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第1号 平成15年2月27日(木曜日)

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本分科会は平成十五年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      自見庄三郎君    葉梨 信行君
      原田昇左右君    山口 泰明君
      石井  一君    末松 義規君
      横光 克彦君
二月二十六日
 山口泰明君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十五年二月二十七日(木曜日)
    午前十時開議
 出席分科員
   主査 山口 泰明君
      上川 陽子君    自見庄三郎君
      原田昇左右君    金田 誠一君
      鎌田さゆり君    末松 義規君
      平野 博文君    松野 頼久君
      北川れん子君    山口わか子君
      横光 克彦君
   兼務 一川 保夫君 兼務 都築  譲君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           伊藤祐一郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    團  宏明君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  原田昇左右君     上川 陽子君
  石井  一君     松野 頼久君
  横光 克彦君     阿部 知子君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     原田昇左右君
  松野 頼久君     鎌田さゆり君
  阿部 知子君     原  陽子君
同日
 辞任         補欠選任
  鎌田さゆり君     金田 誠一君
  原  陽子君     北川れん子君
同日
 辞任         補欠選任
  金田 誠一君     平野 博文君
  北川れん子君     山口わか子君
同日
 辞任         補欠選任
  平野 博文君     石井  一君
  山口わか子君     菅野 哲雄君
同日
 辞任         補欠選任
  菅野 哲雄君     北川れん子君
同日
 辞任         補欠選任
  北川れん子君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  東門美津子君     横光 克彦君
同日
 第四分科員都築譲君及び第七分科員一川保夫君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 (総務省所管)


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     ――――◇―――――
山口主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました山口泰明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本分科会は、総務省所管について審査を行うこととなっております。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。
 政府から説明を聴取いたします。片山総務大臣。
片山国務大臣 平成十五年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。
 一般会計の予算額は、十八兆八千七百五億一千六百万円であります。
 本予算案は、今日の我が国を取り巻く内外の厳しい情勢のもとで、構造改革を一体的かつ整合的に実施することにより、デフレに対応しつつ、我が国の持つ潜在力を発揮できる新しい仕組みをつくり上げることが必要とされていることを踏まえ、行政改革、地方分権、IT政策等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものであります。
 以下の事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。
 よろしくお願い申し上げます。
山口主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
山口主査 以上をもちまして総務省所管につきましての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
山口主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野頼久君。
松野(頼)分科員 おはようございます。民主党の松野頼久でございます。
 きのうは、若松副大臣、経済産業委員会においでいただいて、固定資産税についてお答えいただき、ありがとうございました。
 きょうは、総務大臣がいらっしゃいますので、お話を伺いたい、質問させていただきたいと思いますが、今までずっと過去の議事録を見ていますと、総務大臣、さすがにプロで、この固定資産税、非常に安定してお答えになっている。そういう中で、ぜひ、きょうは胸をかりるつもりでちょっとお話を伺いたいなと思っております。
 私も地元を歩いていますと、中小零細企業の皆さんが本当に今ひどい状態なんです。皆さんの話を聞いてみますと、特に中小企業は、土地の値下げが、デフレがとまらないと、金融機関からお金を貸してもらえないんだと。大体、本業は何とかやりくりをしながら頑張っていらっしゃって、二割減、三割減でやっているけれども、とにかく毎年、地価公示で地価の値段が下がる、そういうことで融資がなかなかできない、もしかしたら担保割れになってしまって、不良債権と言われると僕のことかなというふうに思うということをよく言われるんですね。
 そういう中で、資産デフレ、特に土地のデフレの大きな要因になっているのが、この固定資産税、この問題が大きくあるのではないかと思います。
 土地の値段が下がっても固定資産税額が下がらないのは一体何でだということをよく言われて、逆に、逆転現象で、地価がこんなに下がっているにもかかわらず、固定資産税が逆転して上がっているというところがちょっと前まで実はありました。その辺をぜひきょうは伺いたいというふうに思っています。
 地方税の五二%、固定資産税と都市計画税に頼っているんですね。資産課税に地方税が五二%、余りにも偏っているのじゃないか、半分以上資産課税で地方の財源が成り立っているというのは、これはちょっと行き過ぎなんじゃないかなというふうに思います。地方税、もう少しばらかして、三割、三割、三割とか、いろいろな配分はあるでしょうけれども、一つの税がこれだけ地方の税の根幹となっている、これはやはり重税感が強いんじゃないかと思いますが、その辺、大臣いかがお考えでしょうか。
片山国務大臣 確かに、今松野委員言われましたように、市町村税の五二%、固定資産税と都市計画税が占めている。
 これは、一つは、住民税、これは所得税リンクですけれども、これをずっと減税してきたんですよ。こういうことが一つある、ほかの税は。それから固定資産税は、それまでの固定資産税の評価というのは日本じゅう割にばらばらだった。それを平成六年に、地価公示価格の七割にする、公的評価の一元化ということで、そういうことを制度として決めたわけです。そういうことで、それまでばらばらで、特に低いところが上がってきているんですよ。
 そういう中で、いろいろな税も引き上がりましたので、いろいろな調整措置を講じてきておりますけれども、結果としては固定資産税のウエートが上がって、場合によっては、地価が上がってがっと下がったところについては割高感が残っている。こういうことは、今委員が言われるのは否めない、私もこう思いますけれども、市町村の収入にとって、これが一番安定的なんですね。
 それで、御承知のように、税源というのは、所得と消費と資産ですね。大きく分けると三つですよ。所得から税を取る、消費から取る、資産から取る。そういう中で、私は、やはり市町村というのは、一番基礎的な自治体で、地域に密着している、国民に一番身近ですから、そういう意味では、資産のウエートが高まるのはやむを得ないと思います。どのぐらいまでどうするかということは立法政策の問題ですけれども、市町村税が、資産やや優位、傾斜ということはやむを得ない、私はこう思っております。
 そういう意味では、本当に市町村税収の大宗なものですから、これをいじると大変な議論があるのですが、ことしは評価がえをやりましたから、来年度は五千億ぐらい減るんですよ。それで今回も、政府の税調や党の税調に、負担調整で上限を抑えてくれという意見があったんですけれども、市長会や町村会や議長会は絶対反対なんです、これをやられると予算が組めないと。こういうこともありまして、我々も、五千億近く減りますし、固定資産税については引き続き同じような考え方、こういうことにしてもらったわけでありまして、減るところは毎年下げるようにしております。
松野(頼)分科員 その話も確かにわかるのですけれども、もっと、地方税の枠にとらわれずに、大臣も実力大臣ですから、国税から一本持ってくるぐらいのことを考えられたらいかがでしょうか。僕らは、地方交付税も一括配分して、もっと地方に税源を移譲すると。国税から一本とるぐらいの感覚で地方の財政を考えていかないと、余りにも資産課税に偏って、確かに地方自治体の財源確保は大事だけれども、五二%というのは余りに重過ぎます。
 バブルのときに、保有税として地価税を導入しましたね、国税が。あのときの税率は〇・一五とか〇・二なんですよ。ですから、保有税が適正な価格として納税者が納得できる額は、やはりコンマの世界じゃないかな。というのは、毎年ずっといきますので。
 今回、登録免許税も三%に値下げをしましたけれども、売買のときの一回の三%というのはそんなに重くないのです、五%でも。それよりも、毎年毎年一・七ずつ出ていく。これは六十年で約一〇〇%ですからね。六十年たちますと、地価が同じ値段だとしますと、大体同じ金額を払わないと自分の資産を持てない。一・七掛ける六十で約一〇〇ですから、それはちょっと余りにも。今まで評価が低かったから、二割か三割だったから一・七でもよかったものが、今、実際に七掛け評価に平成四年に通達でやったので、そこから余りにも評価が実勢に近づいているので、実勢の一・七というと、ちょっとこれは重過ぎるんじゃないかというふうに私は思うのです。
 それで、きのうちょっと若松副大臣にお伺いしたのですが、平成六年の評価がえ、これは四年に自治事務次官の通達で値上げをしているんですね、大臣、その辺よくおわかりだと思うのですが。やはり、私たち国会議員の立場でいいますと、結局、通達で税額が上がったわけですよ。評価額が約四倍に値上がりをして、税額も実際にそれで上がっている。もっと言いますと、地価が下落していて税額が変わらないのであれば、それは事実上の増税の感は否めないと思うんです。
 実際に税額が上がることを通達でやるというのは、ちょっと僕は問題なんじゃないかなという思いがしているんです。実際、その年に約二万二千件の不服審査請求が出ています。これは、今まで四千件、五千件ぐらいの不服審査請求から、平成六年度はどんと二万件に上がって、その次の年も一万数千件出ているわけですから、やはりそれだけ納税者が納得できていないという思いがするんです。
 今まで僕もいろいろな裁判の資料とか判例とかも見ましたけれども、確かに裁判所もこの七割評価は支持しているんです。ただ、僕ら国会議員、大臣もそうですけれども、やはり、課税の税額が上がることは国会の決議を必要として、国会を通らないと税額が上がらない、ある意味では、行政に課税権をゆだねてしまうというのは僕は問題じゃないかなというふうに思うんですが、大臣、どうか、そこを大臣がひとつ答弁していただくと、ずっと情勢が変わりますので、やはり国会議員の立場、政治家の立場で、税額が上がるような、直接国民に関係のある税の部分は、これはやはり通達はいかぬということをどうか一言言っていただけませんでしょうか。
片山国務大臣 税は、租税法定主義ですよね。そもそも国会というのは、イギリスの例を引くまでもなく、勝手に為政者が税金を取らないようなチェックのためにもともとあったわけですからね。委員の言われることはよくわかるんですが、固定資産税の場合には、評価をするとかなんとか、非常に専門的で難しいことがあるものですから、一々国会に全部というのは大変だというので、委任してもらっているんですね、評価法、技術的なことを。それで、結果としてはそれが増税になるということがあるので、御意見はよくわかりますが、それは、そのときも大分国会で議論して、国会の御承認を得て、それじゃそういうことは総務省の役所の方に任せよう、こういうことにしてもらったものですからね。
 また、先ほども言いましたが、具体の減税について、例えば小規模な宅地は六分の一にしたわけですよ、税金は、御承知のとおりで。そういうことは全部国会の承認を得ておりますので。まあ、今の点は十分承って今後の検討課題としたいと思いますけれども、法律で全部書くというのはなかなか難しいと思いますが、できるだけ国会の御承認を広げる、我々の委任の事項をできるだけ限定的にする、狭めていく、こういうことは検討させていただきたいと思います。
松野(頼)分科員 細かい負担調整の数字までは要らないと思うんですけれども、ただ、大きく、時価評価の大体七掛けでいくんだとか、七割に評価しなさいという、やはりあの通達の文言は、ぜひ、本来であれば法律に盛り込んでいただいて、目安ですから。課税権者はやはり地方自治体の長です。ただ、目安はある程度、総務省が監督するに当たって、ぜひそこは御検討いただきたいというふうに思います。
 次に、要は、地方税法の三百四十一条の五、固定資産税の価値を「適正な時価」とするという文言がございまして、やはり、財産課税ですから、財産の、資産の価値によって税率を掛けて、税率は変わらなくても価値の評価が変われば税率が変わってくるわけで、その「適正な時価」という文言、非常にこれはあいまいな文言なんですけれども、この「適正な時価」という文言の意味を、まずちょっと御説明いただけないでしょうか。
若松副大臣 国際用語ですと、適正な価格というのは、いわゆるフェア・マーケット・バリューとかという表現がありますが、やはり、御存じのように、昨日も答弁いたしましたが、全国何万カ所による、または四十数万カ所というところでの実勢価格、基本的には、これが今おっしゃったような適正価格になろうかと私も考えております。
松野(頼)分科員 僕らが裁判の判決なんか見ますと、大体、正常な状態で、公平なマーケットでの取引値というのが適正な時価の定義となっているわけです。今、こういう状態の中で地価が下落をしている。これは別に、何か天災があったり紛争状態だったりとかいう異常な状態じゃなく、今の取引値というのは適正な時価に当たると僕は思うんです。
 その適正な時価をまず三年ごとに評価するという、これはやはり、毎年毎年地価が下落、お配りした資料にも地価下落のパーセンテージが入っていますけれども、資料の4ですね、特に平成四年からは、商業地に至っては四%、七%、六%と結構大幅な下落を続けているんです。それを三年ごとに見直すというのは、やはりちょっとまずいんじゃないか。
 特に、その評価がえ、確かに、ここ近年は一年に一回やっているとおっしゃっていますけれども、一億七千筆の土地ですから、そこまで本当に各地方自治体の固定資産税の調査員が現場に行っているという話も余り聞きませんし、やはり、この見直しというのをかけていただいて、きちっと、地価が下落していけば少しでもいいからその税額が変わっていくような状態というのを考えていただきたい。これはお願いであります。
 今幾つか、東京都の千代田区で裁判の判例が出ましたけれども、三二%下落した二%分は、これはもう違法だと言って裁判所も出しているんです。三年間で三二%、要は、固定資産税の評価が、地価公示の七掛けのそのまた七掛けという二回目の七掛けの意味は、三年間の下落分を吸収しているというふうに言われているんですけれども、そこから飛び出した二%は違法だというふうにされているんですね。たまたまそれは裁判で争ったので、その方は裁判で争って、二%分は違法と勝訴しているんですけれども。
 ただ、実際に、やはり七掛けの評価にして、非常に実勢に近い。今、不動産屋さんへ行っても、土地の売買が、固定資産税評価額でどうですかという状況なんですよ。そこから七掛けですから、そうすると、三年間でその下落率を吸収してしまって飛び出す例がたくさんあるんです。ですから、その辺を含めましても、公示の七掛けというのはやはりちょっと行き過ぎなのかなという思いと、やはり適正な時価というのを、もう一度きちっと今の実勢に合わせて審査をしてもらいたいという思いがしますが、その辺、いかがでしょうか。
若松副大臣 実は私も公認会計士ですので、アメリカとかイギリスの固定資産税を見させていただきました。実際、日本でのこの七掛けという制度、恐らく欧米では余りないと思います。基本的には、先ほど言いました適正価格、フェア・マーケット・バリューということで、現在、実勢的には、この七掛けというのがかなり実勢価格になっているというところに今価格が合っているということです。
 御存じのように、一物何価というのがございますが、そういった全体の土地の評価に対するそれぞれの税制のかかわりというのも、やはり常に総合的な見直しというか検討というのは続けなければいけない課題であると私は認識しております。
松野(頼)分科員 今度の評価がえが平成十八年、そろそろ、来年ぐらいから作業が始まると思うんですけれども、次の評価がえではしっかりと、土地の値段が下がり、税額が下がるということをぜひお願いしたいと思います。特に外形標準課税、これから、一億円以上のは、今法案が審議されていますけれども、入るんです。
 これはちょっと補足で伺いますけれども、この外形は応益課税ですか、応能課税ですか。
片山国務大臣 今の法人事業税は法人税的なんですよね。だからこれは応能です。だが、我々は、応益にすべきだと。こういうことなものですから、委員御承知のように、十六年度から、一億円超の法人について四分の一だけ、しかもそれは、資本を三分の一見ますから、三分の二は付加価値ですよね、簡単に言いますと。そういうことでございまして、しかし、全体としての法人事業税はまだ応能的だと私は思います。しかし、これは、全部外形標準になれば応益ですね、応益。
松野(頼)分科員 応能と応益のプラスということであります。すると、固定は応益ですよね。すると、では応益が二つ並ぶということになるんでしょうか。
片山国務大臣 我々は前から、国税は応能でも結構だけれども、地方税は応益だと。
 というのは、地方団体のサービスというのは、赤字であろうが黒字であろうが、例えば法人事業税でいえば、法人は、道路だとか港湾だとか、いろいろなサービスを受けますね、警察や消防や。それから従業員の方は、福祉や教育や、いろいろサービスを受けるので、だからそれは、広く薄く、少しでも負担してくれと。地方は、受益に応じて負担してもらう応益が地方税の性格にはふさわしい。しかし、全部というわけにはいきません。国の方は、やはり能力に応じて、稼いだ人がたくさん払う、稼がない人は払わない。そこで一種の所得のバランスをとる。所得再配分といいますか、資源再配分といいますか、そういう方が分担としてはいいのではないかというのが我々の考えであります。
松野(頼)分科員 それで、今度は建物の固定資産税に入りたいと思うんです。
 建物の固定資産税の評価の割り出し方というのを僕はずっと調べてみました。非常に複雑なんですね。そこで今応益か応能かと聞いたんですけれども、応益課税であるわけですよ、固定資産税は。にもかかわらず、例えば、鉄骨が太いものとか、壁紙が上等なもの普通なものというランクで分かれている。もっと言うと、壁紙のクロスは柄があるか柄がないかによって点数が違うんですね。これは調べても、非常に、紙何枚もにわたって、わかりにくい、再建築評価法というのをとって割り出しているわけですけれども。
 今、建物の固定資産税が約三兆七千ぐらいあるんですかね。それで、土地がやはり三兆七千ぐらいで、大体、土地と建物が同じぐらいの配分なんです。土地の総資産というのが、国民経済計算年報というところが、バブルのときが二千四百兆だったのが今約千六百兆ぐらいという計算をしているんです。同じく、建物が五百兆ぐらいと計算しているんですね。そうすると、千五、六百兆と五百兆に対しての固定資産税の価格が、税収が大体同じなんですよ。これもちょっとやはり建物が重いんじゃないかなというふうに思うんですが、その辺いかがでしょうか。
若松副大臣 建物の評価がえでございますが、土地の場合には可能な限り毎年ということで、これは三年に一回。実際に、御存じの、土地の場合には一本で価格ができますが、建物の場合にはかなり細かい、いわゆる部品の構成ということで、先ほど委員も御紹介のあったような、いわゆる再建築価格方式が採用されているということであります。
 これにつきましても、それぞれの取引事例によって大分高かったり安かったりということで、現実にはいろいろな例があるからこそ、私どもは、標準的なこの再建築価格方式、これを評価額として税率を掛けて金額とさせていただいております。ですから、この結果としての先ほどの三・七兆ということでありまして、私どもは、こういう方法が極めて適正で、かつ今後も維持させていただきたいと考えております。
松野(頼)分科員 具体例で話すとわかりやすいんですが、資料の6をごらんください。これは港区の去年竣工したあるビルの形なんです。実際の契約書から抜粋をしてきた数字なんですが、鉄骨一トン当たり、東京都の主税局では二十五万七千六百三十円と査定をされたんですが、実際に買い取った価格というのは十五万二百三十七円。資料の6の下の方に鉄骨と書いてあるんですけれども。
 もう公認会計士の先生ならよくおわかりかと思うんですが、実際にこうやって今適正な時価という、去年契約して支払った契約書というのは、それこそ一番適正な時価だと思うんです。ただ、特に安く買いたたいたとかそういう状況があるので一概に言えないかもしれませんけれども、やはりこれだけ、二十五万と十五万の、固定資産評価額が二十五万で、実際に買った金額が十五万というのは、ちょっとこれは行き過ぎなんじゃないのかなという思いがするんですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
若松副大臣 この場合には、確かに一トン十五万円ということですが、これは値引きも入っているんですね。それをやると十八万ということで、先ほどの、二十五万とどうなのかと。
 これはやはり、実際の、いわゆる私どもの言う再建築価格、これと実際の取引の高い例、低い例、かなり幅があります。ですから、今そういう形で、二十五万に対して十五万という事例があるわけでありますが、これも一つの、やはりそういう経済実態の反映であろうかと思います。
 私ども、この再建築価格というのが極めて安定的な状況での評価と考えておりまして、委員の御指摘は事実としてありますが、しかし、私どもの現在の制度というのは、そういった制度に基づいて行っているということを御理解いただきたいと思います。
松野(頼)分科員 そうおっしゃらずに、納税者としては、実際に税務当局が評価した金額が実際の価格より高いというのは、それはやはり納得できないと思うんですよ。この再建築価格は、ずっと、百年たっても残るように設定しているわけです。一回のことならまだいいですよ。ずっと、そのビルが建っている限り続くわけですよ。
 大体、国税の、例えば鉄筋コンクリートの法定償却は四十七年なんですけれども、固定資産税は六十五年で、それでもまだ二割はずっと残るというやり方をしているんです。そういう中で、買ったときの価格より税務当局の課税の標準が高いと、それにまた一・七がかかって、ずっと永遠に払い続けるかというのは、やはり納得が得られないと思うんですが、それはいかがでしょうか。
若松副大臣 ですから、私も先ほど申し上げましたように、やはりいわゆる固定資産税の評価の仕方、これはある意味では永遠の課題なんですね。ですから、委員の指摘もごもっともだと思いますし、私どもとしては、限られたいわゆるマンパワーの中で適正価格というものをしっかり反映すべく努力しなければいけない、そのようにも考えておりますし、これからもしっかりやっていきたいと思います。
 その上で、今どうお考えかということはありますけれども、やはり非常に現実は難しいんですよね、それは御理解いただけると思うんですけれども。いずれにしても、私どもとしては、三年に一回、建物の見直し、これも本当に、さらに、全体的なデフレ傾向ですから、それをどうやってタイムリーに反映できるかどうか、やはりこれは継続的に検討していきたいと考えております。
松野(頼)分科員 例えば、国税の償却資産の考え方と地方税の償却資産の考え方が全く違うので、やはりどっちかに統一されたらどうですか。
 やはりある程度、応能応益課税だから、その建物が続いている限りはずっと税額が必要なんだという話もあるんですけれども、やはり国税の考え方と地方税の考え方がまったくばらばらだと、土地の評価にしても、一物四価とも五価とも言われているように、相続税で評価される金額と固定資産税の評価と全然違うとかいうのは、これは非常にわかりづらい。ですから、やはり納税者が納得できるような、それで、でき得れば、評価は、やはり低目に評価をして、今まで、平成六年の通達以前は二割、三割評価だというのは、多分その辺が僕は含まれていたと思うんですよ。だから、固定資産税、そんなに文句は出なかったんですが、いきなり七割に通達で上げる。
 そして、課税要件を説明してくれと言っても、僕もこの間区役所に電話して、都税事務所に電話して、窓口の人に名前を名乗らずに聞いてみました、再建築評価法というのは何ですかと。答えられないんですよ、課税当局の窓口が。いや、私もわからないんです、自治省に言われていますからと、もうそればかりなんですよ。いや、違うでしょうと。自治省は通達を出しただけで、これは目安で、課税権者はおたくの長ですよと言っても、答えられないんですよ。全部、自治省の、自治省の、自治省のと、もう自治省に払っているような感じで言うんです。
 ですから、これはもっと、課税要件明確主義というのもありますので、やはり納税者が理解をできるような制度に変えていただきたいし、資産課税でずっと続くわけですから、やはり評価は実際よりも低く抑えて、ちょっと低目だな、まあこれならいいかなと思うぐらいの金額をどうか出していただきたい。
 ぜひ平成十八年度の評価がえのときには、これは、がくっと落ちて、外形が入ったわけですから、少し地方税の税収のバランスをとるように考えていただいて、もう固定にしがみつく時代じゃないと僕は思いますので、どうかそこをお願いを申し上げて、最後に大臣、一言、前向きな答弁をお願いしたいと思います。
片山国務大臣 松野委員、外形は、あれは都道府県税なんですよ、固定資産税は市町村税ですから。だから、これは都道府県税、市町村税だからということにはいきませんが、しかし、地方税全体としては、やはり国民の皆さんに納得できるようなあれじゃなきゃいけません。
 今の東京都の場合も、十五万でしょう。主税局は二十五万でしょう。ところが実際は、これは下げられるようになっているんですよ。二十五万、標準なんですよ。だから、東京都の判断で、例えばそれを十八万ぐらいには補正はできるんですね。
 それから、実際は恐らく、売買は需給の関係で決まるものですから、買いたたきやいろいろなことがありますので私はそんなに差はないと思いますけれども、言われることはよくわかりますので、今後とも、評価がえにおいて、あるいは毎年度の評価チェックにおいて、ぜひ松野委員の言うことを念頭に置いていろいろ考えさせていただきます。
松野(頼)分科員 どうもありがとうございました。質問を終わります。
山口主査 これにて松野頼久君の質疑は終了いたしました。
 次に、鎌田さゆり君。
鎌田分科員 おはようございます。
 ただいまごらんをいただいているようでございますが、私は、きょうこの場で片山総務大臣に直接取り上げていただきたいテーマについて、この十年来、片山さんに答えていただきたい、片山大臣ならきっと理解をしてくれて必ず大きな前進を見るというふうにずっと念じ続けて、初当選から二年半、三年、やっと、青少年問題特別委員会初め、委員会で質疑するのはこのテーマでもう四回目でございます。昨年の分科会は流れてしまいましたし。
 ですから、きょうは、本当に待ち焦がれた、会いたかった方に直接お訴えをさせていただきたい、そんな思いでまいりましたので、ぜひ冒頭、その気持ちをお酌み取りいただきまして、そして、今ごらんをいただいたと思いますけれども、いわゆるピンクチラシと言われているものですが、大臣、これは何だか御存じでございますか。
片山国務大臣 私も丁寧につくづく見たことはないんですが、時々見させていただいておりまして、こういうものが町じゅうにはんらんしていることは大変残念だ、困ったものだと。町の景観を損なうだけじゃありませんで、やはり子供が見ますから、だから、いい影響は一つもないわけでございまして、これは、これからどういうふうに対応するかが重要な問題だ、こういうふうに考えております。
鎌田分科員 これをまじまじと見られる人は、精神が余り健常じゃないと私は思います。私も本当に見るにたえないものでございまして、ちょっとつけ加えますと、東京ではんらんをしている、よく見かけるものは、私は出身は仙台でございますが、大臣の御地元、美しい岡山ではいかがかは存じ上げないんですが、東京で散乱をするこのたぐいのものは、仙台の私からすればまだかわいい方でございます。アイドルのブロマイドかなと見られる。しかし、仙台あるいは札幌、福岡、そういったところのものは本当に見るにたえません。
 そして、今大臣もいみじくも御指摘くださいました、子供が見ると。そのペーパーの方は、それは通学路にまかれているものです。商店街のふだん頑張っているお父ちゃんたちが、子供たちに働く姿を見せて頑張っているお父ちゃんたちが、朝、子供らがランドセルをしょって学校へ行くときに、情けない気持ちを持ちながらそれを掃いて回収しているんですね。そして、子供らはそのものに対してさほど恥ずかしい思いもなく拾って、学校の教室でトランプがわりに遊んでいるというPTAからの報告も上がっております。事実でございます。これは本当に困ったものでございまして、そして子供が見る、町の景観も損ねる。
 しかし、これは、現実は悪質、違法な商売の道具として存在をしております。その悪質、違法な商売というのは、いわゆる売春あっせんの道具としてこれは裁判所でも認知をされ、そして売春周旋幇助、この罪でその業者は刑が確定をしている。これが地方の現実でございますので、まずそのことを、単に困ったものだ、子供も見るしなということを超えて、司法の現場でもシロクロはっきりしている問題であるということをぜひ御認識していただきたいと思うのです。
 このチラシなんですけれども、ひとりでその紙が勝手に町中に行って、ぺたぺたひとりで張っついているわけではございませんで、まき屋と呼ばれているグループというか人たちが存在をしているんです。このまき屋について、十代の少年少女がアルバイト感覚で、一日四、五千円で、一日に何百枚もまいて、張って歩いているという事実は御存じでしょうか。それをどう思われますでしょうか。
片山国務大臣 そのまき屋とか、それを若い人、青少年がやっているということは私は知りませんが、いよいよそれは問題だ、そういうふうに思いますね。困ったことだと本当に思います。
鎌田分科員 またもう一つ、各地方都市におきまして、このピンクチラシをめぐる問題ははっきり言ってイタチごっこ状態、これがもう十年、十五年続いている。この現実を御存じでしょうか。どう思われますでしょうか。
片山国務大臣 私は今お話しのように岡山市なんですけれども、岡山市でもありますね、東京ほどひどくないのかもしれませんが。しかも、それは長い間続いているということは私も認識いたしております。
鎌田分科員 ありがとうございました。
 なぜイタチごっこが続くと大臣は思われますか。
片山国務大臣 恐らく軽犯罪法に私は違反すると思いますけれども、それをしっかり執行していないんでしょうね、人手の関係やいろいろなことがあるんでしょうけれども。本当にイタチごっこで、やってもやってもやるということもあるんでしょうけれども、やはり総合的な対応が要るんじゃないでしょうか、そのように思います。
鎌田分科員 総合的な対応というのは本当に大切だと私も思います。
 ただ、イタチごっこが続く原因、もう一つ。私も夜、繁華街を歩いて、大きなごみ袋、サンタの袋ならまだいいんですが、ピンクチラシを山ほど抱えて町を歩いておりますので、その体験からいいますと、なぜイタチごっこが続くか、その原因、もう一つ、この商売はもうかるからなんです。もうかっているんです。
 だから、先ほど申し上げました売春周旋の幇助ということで、そういう捜査手法、これは余り例がなかったんですが、そこに先鞭をつけた地方もありました。それから、そういう判例も出て、一生懸命やっているんです。もう毎晩、何人、何十人と出て、地方の青年会議所あるいは商工会、あるいは町にある警察署、本当に多くの人を動員して、そして、電話ボックスに張られるものですから、地方のNTTの職員の皆さんも本当に頑張っている。それでもイタチごっこが続くのは、これはもうかるんです、業者にとっては。もうけさせていいんでしょうか、大臣。
片山国務大臣 委員の言われるとおりでしょうね。需要があるからこういう違法、不当な供給も後を絶たない、ずっと続くんでしょうからね。だから、そういう意味では、私はやはりもうけさせないということが一番だと思います。しかし、これもいろいろな議論がありまして、なかなか難しい点があると思いますけれども、今言いましたように、やはり、できることはみんなで知恵を出し合って、総合的に対応していくということが必要だと思います。
鎌田分科員 もうけさせない方がいいと、本当にありがたいことだと思います。ただ、需要があるからだというところは非常に複雑な思いです。特に世の男性方がお客さんになっているケースが、女性はお客さんにならないと思いますので非常に複雑ですけれども、やはりこれは、もうけさせないあらゆる手段を知恵を出し合ってやっていくということが私は一つ大事だと思います。
 この業者が商売をしにくくすることは、今大臣も共通認識、大事だというふうにおっしゃっていただいたんですが、そこでなんですけれども、チラシを先ほど見ていただきましたが、そのチラシの命と申しましょうか、そのチラシには写真があって言葉があって、そして電話番号が大々的に大きく書いてあるんです。私は、電話番号はピンクチラシにとって命ともいうべき、お客さんとのアクセス番号、これがなきゃお客さんはどうしようもないわけですから、ただ見て、あら、きれいなお姉さん、それだけで終わりですが、電話番号が書いてあるとこの商売が成り立つ、命だと思うんですが、大臣、そういう御認識は持っていただけますか。
片山国務大臣 恐らくそうでしょうね。そういう意味では、電話という連絡が一番いいわけでしょうから、電話番号は必須でしょうね、この商売には。ビラの中に必ずそういうことがきっちり書かれてあるというのは、そういうことだと思います。
鎌田分科員 これは、その電話番号にかけてカツどん一つとかざるそば一丁というふうな注文をする人はだれもいないわけで、目的はただ一つで、もちろん温度差はあります。業者に言わせれば、女性との出会いをつくってさしあげただけだとか、いろいろ言いようはありますけれども、しかし、現在摘発を受け、逮捕され、そして司法の場で有罪の判決がおりている。しかも、売春周旋幇助という認定ですから、これはもう明らかにその電話番号は売春の商売にとって、このピンクチラシの業者というのは無店舗型ですから、電話を一台置いて、そこにただ電話を管理している人が一人いればいい、ほとんどのケースが暴力団関係者でございますけれども、親分はそこにいない、本当に電話機と電話番号、これがこの商売にとっては命ともいうべきものであります。
 そこでなんですが、私は、この二年半の間、あらゆる委員会の場で、電気通信事業法の中身につきまして、このテーマに視点を置きながら、考え直す必要があるのではないかということを訴え続けてまいりました。電気通信事業法の第一章の第一条に、「公共の福祉を増進することを目的とする。」と、非常にすばらしい言葉であります。今回ここで御紹介をいたしましたこの悪質、違法の商売、これは明らかに公共の福祉増進に反するものだと私は思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
片山国務大臣 公共の福祉というのはいろいろありまして、いろいろなことがこの中に盛られているんですが、恐らく、委員が言われるようなこともその一部だと私は思います。
鎌田分科員 さらに、第三十四条のところに、正当な理由がなければ役務の提供を拒んではならないとあります。正当な理由というのは、電話料の滞納、そしてまた不当な、それこそ違法な電話線の不当引き込み、勝手にやってしまうという、その二つがあった場合には役務の提供を拒んでもいい、利用停止ができるというふうに私は解釈をしております。
 この業種の業者は、明らかに司法の場においてクロの判決を受け、そして二年以下の懲役または五万円以下の罰金というふうになっているんですが、大臣、このチラシに書いてある電話番号は、その判決が出た業者は結局、刑務所に入るかあるいは罰金ですけれども、それとは関係なく、このカードはその後も延々と商売をし続けているということは御存じでしょうか。あるいは、どう思われますでしょうか。
片山国務大臣 そういう有罪の判決を受けながら営業を続けているということは知りません。
 今、こういうことなんですね。通信というのは基本的人権に係る表現の自由そのもので、これは通信の内容や利用目的を問わず自由に利用できなければならない、こういうことを受けて、今委員が言われました三十四条の役務提供義務あるいは不当な差別的取り扱いの禁止、こういうのがありますね。これはかなり限定的に解釈してきているんですよ、有権的な解釈は。
 だから、例えば、今のようなケースでも、即、ずばりこういうものを適用して、それはもうだめですと排除できるかどうかといったら、これは今までの伝統的な考え方からいうと、NTTを含めまして、前、私のところに来ていただいて、私もNTTにすぐ言いました。そうしたら、しばらくたって返事が返ってきまして、今の法律の解釈ではなかなか難しいんです、だから、法律の適用として排除はできないけれども、そのほかでいろいろやりますと。
 今、NTTの支社の人が一生懸命このビラを廃棄したり何かしているというお話ありましたけれども、そういう御返事なので、今の規定ではなかなか限定的に解釈運用せざるを得ないというところはあるのかな、私はこう思っております。
鎌田分科員 ただいまの御答弁のようなお話を、私も本当にこの三年近く、いろいろな委員会で総務省の方から聞いてまいりました。
 ただ、表現の自由、基本的人権とも重要な問題でありますけれども、今回考えなきゃいけないのは、基本的人権の中でも経済的な自由を侵害するものなのか、それとも表現の自由等の精神的な自由を侵害するものになるのか。これは、その商売を営んでいる業者にとって、経済的なところの自由に手をつける、歯どめをかけていくということだと、それは解釈可能だと私は思うんですね。何も、表現の自由だとか精神的な自由をそのことによって剥奪するということには決してならないと私は思うわけですから。
 伝統的なということがありましたが、今ここで、もう地方都市が十年、十五年、二十年とこの問題と格闘し、そして年が明けましてからおととしには、政令都市こぞって、市長が総務大臣初め関係大臣に請願にも、あるいは地方議会からも意見書が上がっていると思います。そういったものに総務省としてこたえていかないと、私は、ワン切りに対して大変素早い対応をなさったときすばらしいと思ったけれども、あのときもやはり、結局はワン切りがいかに利用者の妨害になっているかというところの視点だったものですから、すばらしい対応ですごいなと思った瞬間、またやはりそういう感覚なんだなというふうに複雑な思いをいたしました。
 今回、この問題については、伝統的なところは私も理解をいたします。しかし、地方都市における大変な苦労というものに、総務大臣が大きく前進をというその御決断というものはみんなが望んでいることでもありますので、いかがでしょうか。
片山国務大臣 迷惑メールやワン切りは直接の権利侵害ですね、あるいは利益侵害みたいなところがあるんですが、ビラの中に電話番号を書いているだけでは直ちにそこまでいくのかな、こういうところはあると思うんですね。そういうのは確かにあると私は思うんです。しかし、今委員が言われましたように、有罪の判決を受けて、それはもう確定している、結果として、そういうものが野放しに、ビラがなっている。どっちの法益、法律によって守られる利益が大きいのかということを考えなきゃいかぬと私は思うので、大変よく理解できるんです。
 ただ、それは、現行法ではなかなかそこまでの解釈運用は難しいかもしれません。考えるのなら、まず憲法に違反していないということを、研究をしてはっきり結論を出して、その上で、今委員が言われたようなことは立法政策として検討する対象になる、こう私は思っております。そうすれば、事務方は今までの伝統的な考え方からいうとなかなか難しいということでしょうが、立法政策として検討する価値はある、こういうふうに私は思っております。
鎌田分科員 立法政策として検討する価値はあるという御答弁ですから、全く不可能ではないというふうに私の方も受け取らせていただきますが、若干気になったのは、憲法のところにおいて、これは全く憲法に触れることがないんだという証明がないとという言葉もありました。
 この間、いろいろな委員会でやりとりをする中でずっと感じてきた、総務省は、法務省初め他の省庁の見解、解釈が先に必要だ、あるいはまた、法務省は法務省で、今現在、先ほども大臣お触れになったような軽犯罪法等の取り組み、取り締まりを行っているので、ここはもう総務省がというふうに、私からしますと、もう行ったり来たり行ったり来たりで、たらい回しに近いような状態で、こっちに聞けばあっちに先に判断してくれ、あっちに聞けばこっちに先に判断してくれ、それの繰り返しで、だから私、申し上げた冒頭は、人間片山大臣に物すごく期待をしてきょうの日を待ち焦がれたんです。
 その片山大臣にもかわいいお孫さんがいらっしゃると思います。私にも小学校と中学校の息子がおります。この子供らが本当に、通学路を通りながらそういったものに対して、健全であれば見られないし恥ずかしくなる、ところが今、子供たちはそういうのを恥ずかしいとも思わない、拾っていっちゃう。学校に持っていって、みんなで見せ合って、教室の机の上でトランプ遊びに興じたりする。こんな状態をほったらかしに、私からすると、法務省も総務省も、みんな自分のところは一番乗りができないでいる。
 でも、もし政治家片山大臣が何か大きな前進を見るような御決断をなさって、そして、それに基づいてこの立法機関においても取り組みが進んだらば、それこそ歴史に名を残す、少なくとも私の仙台では本当に歴史に名を残す、地方のことを考えている片山大臣だというふうに。私はそれは約束します。
 私は国会議員になる前は、元地方議員、市会議員でおりましたが、この問題を取り上げるときに、どうしても電気通信事業法が壁になって地方で何もできない。NTTに再三、年に何回も何回も要請に行っても、NTTさんのおっしゃる話は、法律が壁になってできません、そういうお話なんですね。ですから、ぜひ片山大臣には、くどいようですが、重ねてそのことをお伝えしたいなと思います。
 ところで、契約約款というのがございますけれども、この約款改正の権限はどちらにあるんでしょうか。
片山国務大臣 約款そのものはNTTがつくりますけれども、認可ですよね。だから、どっちに権限があるかというと、つくる方に権限があると思いますけれども、その権限が完結するには私どもの認可が要る、こういうことですね。
鎌田分科員 具体的に手続等の改正は、変えていくのはNTTさんでしょうけれども、そこに対しての指導監督、行政の責任者であるところはやはりトップ、現在は片山大臣だと私も認識をしております。
 ですから、NTTさんはそれぞれの地域によって温度差はあるでしょうが、大変この問題で苦慮している地方にとっては、もうハムレット状態でございます。地域住民、PTA、警察署あるいは行政、地方の自治体、そこからは、とにかくNTTさん、この約款を改正して、シロとかグレーの業者にも契約を解除もしくは利用停止期間を二カ月、三カ月設けてほしいという要望が多いんですが、やってくれと言っているんじゃない、クロだとはっきりしたもの、司法においてはっきりこのチラシは押収物として押収されて、そしてその業者がクロの判決を受けたもの、それに対してだけは、また同じように、あの業者は捕まったけれども、またあのチラシが同じ番号でまかれている。つまり営業を続けているわけです。それだけはなくしてほしいとNTTに言うと、NTTは、いや、総務省からの、電気通信事業の管理者としての、非常に大変困った、苦慮した対応に今、サンドイッチ、ハムレット状態なんですね。
 ですから、私はそこに対して、片山大臣からの強い、しかし適正な、公正なそういう行政指導というものがあってしかるべきだ。そして、約款改正に導いていくというようなことを、ぜひその指導力を発揮していただきたいんですが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 これは約款の問題というより電気通信事業法の改正の問題だ、私はこう思っておりまして、今の規定の仕方や解釈では約款の加工が難しいという判断がNTT側にはあると私は思います。
 そこで、今言いましたように、憲法違反かどうかというところだけは私も気になりますので、役所はキャッチボールが好きですからね、向こうに投げたりこっちに投げたりするんですけれども、ぜひ、法務省や内閣法制局と本当に真剣に検討しまして、その結果いろいろな、構成要件を限定的にしっかり書けばいいんですから、そういうことができて、しかも確定判決がしっかりと公的に、私どもの方かNTTかに連絡できるような担保があれば、それは法律改正というのも我々は前向きに検討いたしたい。相当踏み込んでおりますので、委員、検討いたしたいと思っております。
鎌田分科員 ありがとうございました。
 大臣おっしゃってくださったように、構成要件のところがしっかり漏れずにちゃんと、憲法に抵触するおそれのないようにさえしっかりすれば、私もそれは可能だと思いますので、ぜひ片山大臣、在職中の、御任期中の間にこれをなし遂げていただきたい。私は、本当に心から力強くエールを送りたいと思います。
 きょうテーマとして掲げましたピンクチラシのことにつきましては、大いに期待を寄せて、最後に、質問内容とは異なりますけれども、今、義務教育費国庫負担制度の問題につきまして、法律改正でこれから審議なされる予定になっておりますが、質問ではありませんけれども、私は、地方分権推進会議もしくは経済財政諮問会議等々で片山大臣が御発言なさっている議事録を私なりに何度も何度も読み返して、大臣がおっしゃっている発言内容、私は民主党で野党でございますが、心から共鳴をし、全く正しいことをおっしゃっていると思っております。
 小泉総理は、言葉だけで三位一体とおっしゃっていますが、実際のところ税源移譲は伴っていない。その税源移譲のところを片山大臣は力強く訴えておりまして、やはりそれも、特に義務教育費国庫負担制度の中身は、地方にとっては単なる借金のツケ回しでしかございませんから、税源移譲がないために。そこのところを大臣、よく地方のところを御存じくださってああいう発言をしてくださったということに私は本当に共鳴をし、しかしながら、昨年の十二月、三大臣合意であのような決着になってしまったということ、とても残念で、今後、本会議等でこの問題につきましては大臣にもいろいろ御質問させていただきます。
 以上でございます。なお頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。
山口主査 これにて鎌田さゆり君の質疑は終了いたしました。
 次に、一川保夫君。
一川分科員 大臣に、先週の月曜日に予算委員会で質問させていただきまして、その引き続きの市町村の合併問題で、確認も含めて、大変今それぞれの地方では関心の強いテーマでもございますし、御質問させていただきたい、そのように思います。
 今御案内のとおり、各都道府県の県議会等も開催中でございますし、それから、統一地方選挙を控えて、それぞれ地方の議員の皆さん方も方々飛び回っている。そういう中でも、こういう合併問題というのは非常に大きな話題として取り上げられているわけでございます。
 そこで、この前の委員会で問題を提起し、大臣からも前向きな答弁があったわけですけれども、現在の合併特例法のいろいろな内容を点検して、特に合併に際してのいろいろな優遇措置を講ずるための手続等に対する期限の問題も含めて、もう少し、弾力的といいますか、各市町村が対応しやすいような形での方向で検討したいという、合併の方向がはっきりとしておればそういうことを検討したいというような御答弁もありました。非常に大事なことだというふうに私も思っております。
 といいますのは、先ほど言いましたように、それぞれ今、いろいろな選挙をこれから行うという中で、この選挙の結果、またいろいろなことが新たに、関係する市町村の中で議論が起こってくる可能性も十分あるわけでございますし、また、民主主義ということであれば、当然選挙の結果を尊重しなきゃならないということにもなりますので、そういう面では、画一的、しゃくし定規に物事を押しつけるということじゃなくて、当然、大臣もおっしゃっていますように、地域のそういう自主性なり主体性というものは十分尊重してやるんだという基本姿勢でありますけれども、こういった合併特例法の今後の改正に向けての検討ということについて、もう一回大臣にここで改めて所信をお聞きしたい、そのように思います。
片山国務大臣 今の合併特例法の期限は、委員御承知のように、十七年の三月末ですね。この合併特例法そのものを単純に延長することは、私どもは考えておりません。
 ただ、この前も委員の御質問にもお答えしましたように、合併の意思決定をしっかりしているのに手続だけがおくれて優遇措置が受けられないというのは私もいかがかなと思いますし、それは困るという意見が全国からいっぱい寄せられております。あれは、今の法律だと、合併が完了しないとだめなんです、十七年三月までに。そうしますと、もうあと二年ちょっとですから、なかなか大慌てと、こういうことになるものですから、意思決定をすれば、後、優遇が受けられる、手続が残っても。これは、そういう実質上の優遇措置の延長的効果があるんですよ、それが十カ月か一年になるかわかりませんけれども。それはひとつ、法律改正が要りますけれども、次の国会等でぜひ、場合によっては出させていただきたい、こう思っております。
 それから、優遇措置そのものを単純延長はしませんが、合併はずっと十七年三月以降も永遠に続くわけですから、ある仕組みがあることによって合併が大変阻害される、障害になる、そういうものを少し点検してみなきゃなりませんけれども、そういうことがあるとすれば、少なくともその障害除去はしなきゃならぬ。優遇はしないけれども、大変な障害があるというなら障害除去だけはしなければならないし、それについては、やはり新しい法的措置も検討する必要があるのではなかろうか。
 そして、これについては、私どもの方でも検討いたしますけれども、地方制度調査会その他で御議論いただいたらどうだろうか。これは十七年三月末までに決めればいいことですね。ただ、合併するところにとってみれば、特例法の期限内にしようかすまいかの大きな判断になりますから、ある程度早い段階でそこははっきりさせるべきではなかろうか。
 今私どもが考えているのは、この二点ですね。意思決定をしたものについては、手続がまだ残っても優遇措置の適用はする方向で考えたいということが一つ、それから、特例法が切れた後について、合併の障害除去についての新しい法的措置は検討したい、こういうことであります。
一川分科員 今、特に二点のことを御答弁になりましたけれども、その後半のところの、障害を除去したいというところの、例えばこういうことが障害として考えられるというようなこと、何か大臣の念頭に今そういうことがあるとすれば、例えばどんなことを想定されているんでしょうかね。
片山国務大臣 これはいろいろ検討してみなければなりません。ここで言うと大変な影響があるかもしれませんが、考えられることは、例えば交付税の計算上の対応、それから国保や介護保険や、こういうことで今広域化支援というのがあるんですよね。こういうことについてどう考えていくか。もっといろいろあると思います。そういうことについて少し検討してみたいと考えております。
一川分科員 私、もう現段階で、法定協議会をスタートしたところなり、あるいは任意協議会をスタートしたところなり、相当な数に上ってきたと思いますけれども、しかし、依然としてまだ合併の方向づけをできないでいる市町村が相当の数があるのは御案内のとおりですね。
 その中にも、大きく分けて二通り私はあるような気がするんです。それは、単独で、この制度で、ある程度自立しながら頑張っていこう、また、ある程度やっていけるという自信を秘めて、当面は合併を予定しないでいこうというような市町村もありますし、もう一つは、今どうしていいかちょっと判断しかねるということですよね。その合併の範囲なり、そういう合意形成に向けてのいろいろな時間が相当要するのではないかということも含めて、非常に悩み多い問題を抱えた、そういう市町村も当然あるわけです。
 そういう中で、これまでのいろいろな市町村のいろいろな活動的なものがあるわけですけれども、これはちょっと私の意見ですけれども、例えば、全国市長会とか全国市議会議長会とか、それから、片や町村会とか町村議長会というふうに、何か市と町村と分かれた全国的な組織なり、そういうことがそれぞれ行われていますよね。そういういろいろな組織の中で持たれている会合のテーマというのは、それは当然共通したものもあれば、大きな市に対するいろいろな共通したテーマで町村には余りそういうことは議論させていない、またその逆のことだって当然あるわけです。
 どうも、そういう活動そのものは、本来こういう市町村合併の核になるべき市とその周辺の町村との連携が、今回の合併劇を見ていますと、何かうまくいっていないところも中にはあるような気がするんです。そこはやはり、日常的に、こういう各市町村、地方自治体の活動の枠組みに、これまでちょっと何か問題があったのではないかなという感じもしないでもないわけです。
 突然の質問ですけれども、大臣、どうですか。
片山国務大臣 今、私どもの方では、旧自治省時代ですけれども、広域市町村圏、こういうのをつくっていまして、これは郡よりちょっと大きいと思いますけれども、そういうことで共同処理をいろいろ考えたらいい。それから、共同処理の仕方も、単なる連絡調整から組合や連合をつくってやるのまで、いろいろあるんですね。
 それで、例えば一番今よくやっているのは介護保険ですけれども、介護保険だとか清掃、環境、消防、そういうものについて共同でやる、こういう仕組みができているんですが、これは共同処理というか連携ですから、一つの市町村になるわけじゃないので、そこでやはり市の方が中心になるわけで、周りの町村の方は、対等合併だけれどもやはり吸収されるようなちょっとあれがありますし、いつも合併のときに議論になるのは、合併すると場末になる、それから連絡が悪くなる、きめ細かくなくなる、意思が届きにくくなる、こういうことですよね。
 そこで、やはり私が見ていまして、市長会、市議長会と町村会、町村議長会は完全に意見は同じじゃありません。市長会や市議長会は大いに合併をやろうと、町村会、町村議長会の方はいろいろな意見がありますね。だから、合併は賛成だけれども、できるだけ自主的な意思を尊重してほしい、こういうことなのです。
 今回の合併は、もう委員御承知のように、昭和の大合併と違いますからね。あれは国と県が計画をつくったんですから、八千以上にするために。それで、勧告をして聞かなければ強要して、強制的じゃありませんが、かなりきつくやったんですね。今回は、国も県も計画をつくっていないんですよ。たたき台だけ県につくってもらった。ところが、たたき台と違う合併がもういっぱい進行していますよね。
 私は、そういう意味で自主的だ、こう思っておりますが、やはり、その姿勢が若干違いますね、市側と町村側は。そういう感じは私も持っております。
一川分科員 そういう組織そのものを今後どうするかということは我々が余り関与する部分でもないかもしれませんけれども、どうも日常的に、割と人口が大き目の市のそういう組織活動と少ない町村の活動が何か別に動いているみたいなところがありまして、そういうところを、もっとお互いに共通認識を持ちながら議論する場をもっともっとふやしていく必要があったのかなという感じを、今の段階ではそう思いますけれども、今後の課題としてまた検討していただきたいと思います。
 そこで、今、特に法定協議会等がそろそろ大体皆さん出そろったような格好でございますし、当然これからも出てくるかもしれませんけれども、協議会という名前のついた組織ですから、当然ながら、その関係する市町村がそれぞれ代表者を出してそこで活発に協議をしていただいて、新しい合併した市の姿、方向について議論していただくということだろうと思います。
 この合併協議会のいろいろな議論の中で、例えば参加を予定していた市町村が、考えていたこととちょっと違うな、この方向ではちょっと合併しづらいなというような場合が出てくる可能性だって当然あるわけだし、それから、その周辺のところで、合併協議会のスタートの段階では入っていなくても、いろいろな議論を見ていて、それだったらもう合併するかなというところも出てくるかもしれませんね。
 そういう、合併協議会、法定合併協議会がスタートした後に予定した市町村が外れる可能性、また、周辺の市町村が新たに参加する可能性だって私はあると思いますし、また、あっていいという感じもするわけだけれども、そういったところは、今の扱い上、どういう扱いになっていくのかというところをちょっと確認したいと思います。
伊藤政府参考人 お答えいたします。
 合併協議会で協議を進めました結果、枠組みの変更が必要になるケースは大いに想定されるところであります。
 合併協議会は、地方自治法の二百五十二条の二の規定がございますが、それに基づきますところの協議会でありますので、合併の枠組みに変動がありました場合は、地方自治法が定める所定の手続に従って、新たな枠組みに沿った合併協議会にする必要があると考えております。
 具体的には、三つのケースがあるのではないかと考えております。
 まず、その一つは、既存の合併協議会の構成市町村を変更する場合でありますが、この場合は、追加加入する団体ないしは脱退する団体、すべての団体で市町村の議会の議決が必要であります。
 二番目は、既存の合併協議会を廃止いたしまして新たな合併協議会を設置することも考えられるわけでありますが、このときも、すべての関係団体、構成市町村の議会の議決が必要であります。
 三番目といたしまして、既存の合併協議会はそのまま残しまして新たな枠組みの合併協議会を設置する場合もあり得るかと思いますが、その場合には、新たな枠組みの構成市町村だけで議会の議決を経て合併協議会を設置することになると考えております。
 以上です。
一川分科員 今、可能性も含めて、そういうことがあり得るというふうなことは私も理解できますし、手続も当然とらなきゃならないということも理解できます。
 そこで、大臣が冒頭お話しになったようなところと、ちょっとそこの点は整理しておかないとまずいんだと思うんです。
 協議会スタート後に今おっしゃったようないろいろな枠組みに変更が生じてきたときに、それぞれの市町村議会等の手続は当然とりますけれども、例の優遇措置等を講ずるためのいろいろな手続期限、そういうものとの絡みがどうなってくるのかなと。要するに、協議会の最終段階で、どうも枠組みは予定どおりいかない、変更せざるを得ないといって新たな手続に入ったときに、それが先ほど大臣が冒頭おっしゃったような手続とうまく整合性がとれていけばいいんだけれども、そこのところに若干不安感が残るような気もしますけれども、大臣、いかがですか。
片山国務大臣 私が冒頭言いましたように、それぞれの市町村が合併の意思決定をした場合、いつが意思決定かと。それは、法定協議会をつくったというのも一つの案ですよね。それから、法定協議会で合意ができて、合併の新しい市町村の建設計画をつくって、それでいよいよ合併の申請の議決を市町村議会がやる。市町村議会の議決を申請しますと、これは都道府県に出しまして、都道府県の議会の議決を経て知事が告示か何かするんですよね。市については、総務省の方に相談してもらう。それで総務省の方が官報に告示する。
 こういうことになるので、どこの段階を意思決定と見るかですけれども、法定協議会ができただけで意思決定と見ますと、今、一川委員言われたように、出入りがあったり、もうやめたということになったり、私は出るぞと言ったり、いろいろあれがありますので、これはこれから事務的な検討もし、地方制度調査会等の御意見もいただきたいと思っております。
 私個人的に言えと言われましたら、法定協議会で意思決定ができて、合併の建設計画ができて、申請をそれぞれの市町村が議会の議決を経て決めたぐらいが最も無難ではなかろうかという気がいたしておりますが、これはなお検討いたします。
一川分科員 そういう法定協議会の場で、お互いに対等の立場で、それぞれのこれまでの市町村の町づくりのためにいろいろと貢献されてきた、そこの首長さんなりいろいろな代表の皆さん方は、新たな町づくりに向けていろいろな意見を活発に闘わされると思うんですね。その結果として、うまく収れんしていればいいんだけれども、それが変に収れんしない姿になったときの手続というのは、やはりもう少し明確にしておいた方がいいのかもしれません。そのあたりは、ちょっと大臣の立場としては言いづらいところかもしれませんけれども、非常に気になるところですから、ぜひ事務的に整理していただきたい、そのように思っております。
 それから、当面まだ合併を予定していない市町村を見ているときに、数はまだ少ないかもしれませんけれども、単独でとりあえず頑張りたいというところは、それを意思表示している町もありますよね。今までの町づくりに対しては、割と積極的に、相当頑張ってきた町というのは結構多いような気がするんです。
 これまで割と大勢に流されながら、どっちかというとお上の言うことを聞きながらそれなりにやってきたところは、単独でいこうなんという元気はちょっとないんだけれども、そういう面では、私は、これまで割と優良、優良と言うとおかしいんですけれども、人口をできるだけふやしていきたいとか行財政基盤を強化したいということで工場を誘致したりいろいろなことで頑張ってきた、そういう町が割と単独志向型というのはあるんじゃないか。そういうところに対して、今回の合併の一連の動きの中で何か不利になるようなことがあってはならないというふうな感じも私はするわけだけれども、そこのところは、大臣、いかがですか。
片山国務大臣 合併をすれば、合併の補助金を出すとか合併特例債を認めるとか、その他各省庁の関係のいろいろな支援もありますね。合併するときにそれをプラスアルファで差し上げているんですが、それでは合併しないところをより悪くするかというと、そういうことは全く考えておりません。
 そこで、今の地方財政計画は、合併しようがしまいが、基礎的な行政サービスをするだけの財源措置は全部いたしておりますから、よく交付税が減ったと言われますけれども、交付税特会の借り入れをやめているんですよね、そのかわりに赤字地方債。国は一般会計からキャッシュをもらう、地方は赤字地方債、こうしていますから、赤字地方債も交付税の身がわりですから、この赤字地方債と交付税を足しますと、これはもう二十四兆我々は財源措置しておりますから、普通の団体、頑張っている団体が財政運営に困るということは私はないと思います。
 ただ、合併するところには、合併するということで特別な補助金だとか合併特例債を認めている。その分だけは、やはり合併しないところよりは少し得をするのかな、こういうふうに思っております。
一川分科員 そこで、今ちょうど各都道府県も議会開催中でございますし、それに向けて各都道府県も予算を編成して、議会で審議しようとしている段階ですね。この市町村合併の動きに対して、それぞれの都道府県が単独でいろいろな支援策を講じているようなところも報道されています。こういった動きを見て、大臣の一つの感想として、これはおもしろいことをしているなとか、あるいは何か目につくようなことがございましたら、どうですか。
片山国務大臣 私は全部情報を持っておりませんので、場合によっては副大臣か総括審議官から答えていただきますけれども、県独自で補助金を出しているところは大分ありますね。
伊藤政府参考人 合併につきまして、今、都道府県も精いっぱい努力しているところがたくさんあるわけでありますが、具体的な支援措置といたしましては、何といいましても、補助金等を交付しているケースが一番大きいかと思います。
 その補助金につきましても、御案内のように、合併を協議する段階、それから、合併を行いまして一定の施設を建設する段階、ないし、合併に際しまして、例えば非常に多額の金額になる、億の単位のお金を用意して、何にでもお使いくださいというケース等々ありまして、ことしの予算等におきましては、全地方公共団体、全都道府県におきまして合併に関連する経費が何らかの形で予算化され、合併についての財政的な支援措置、都道府県単独の支援措置も非常に強化されつつあると理解いたしております。
一川分科員 私の今住んでいる石川県なんかでも、石川県独自で何か、合併法定協議会をスタートした場合には、それに対して一種の交付金的な、何にでも使ってくださいみたいな、そういうものを支援するということを知事が打ち出したというふうに聞いております。いろいろなやり方があるかと思うんですけれども、やはり、それぞれの都道府県単独でもって、割とユニークなそういう支援策があっていいというふうにも私は思います。
 また一方では、今回の合併に今すぐ意思表示はできないけれども、それなりに頑張っている市町村も当然あるわけでございます。先ほどちょっと触れましたように、割とこれまでは真剣に町づくりに取り組んできたような町村も当然あるわけでございますので、合併したところについてはいろいろな支援策があってもいいと思いますけれども、従来から続いてきているいろいろな支援策が、今回の合併の結果、合併の方向に向かなかった町村に対して、従来のいろいろな措置が不利になってきたということのないようにしていただきたいんだけれども、そこをもう一回、いかがですか。
片山国務大臣 それは、そういうふうに我々も考えております。今の優遇措置が相当手厚いものですから、私はこれをいつまでも続けるのは不公平になるんではないかという感じを個人的には持っておりまして、今の委員の言われたことは十分配慮しながら、いろいろやってまいります。
一川分科員 それからもう一点、これもちょっと予告はしてなかったんだけれども、我々、地元でいろいろな話をするときの一つの話題としてよく出ますのは、合併した市町村の名前をどうするか。これは、割と関心のあるテーマだと思うんですね。これも、最近マスコミの皆さん方もいろいろな報道をされますから、なおさらそうなんですけれども。
 当然、総務省サイドは、名前について、ああしろ、こうしろなんということは言ってはいないと思いますけれども、ただ、名称というものは、当然、これからの町の相当長く使われる名称でございますから、いろいろな面で大事なことだというふうに思います。これについては、大臣は特に何かお考えというのはあるんですか、名称の問題については。
片山国務大臣 合併で一番問題になるのは、名前と庁舎の位置なんですよね。これがいつもどこでも大変問題なんですよね。
 埼玉で三市が合併しましたよね。結局あれは平仮名のさいたま市になったんですよね、御承知のように。大宮と浦和と与野との合併ですね。それから、原田委員おられますけれども、静岡、清水も、これは二市合併なものですから、どうするか大変な議論になって、最終的には、皆さん、話し合いと投票なんでしょうか、静岡に決まったようですけれども。
 我々の方が名前に介入するとかということは全く考えておりませんし、私も個人的に相談を受けることはあるんですけれども、地方自治ですから、ぜひ自分の名前は自分で決めてください、こういうふうに申し上げております。
 ただ、やはりこれから長く使う名前ですから、それだけの合理的な理由、あるいは地域の歴史や伝統、そういうものがわかるような名前がいいんではなかろうか、こう思っておりますけれども、確かにこれはなかなか難しいですね。西東京市ができたり、さいたま市ができたり、なかなか難しいと思いますが、当事者でしっかり御議論いただきたい、こう思っております。
一川分科員 我々のところでも、明治の大合併なり昭和の大合併の折の名前のつけ方が、お互いに妥協したような、どういう意味があるかわからないような抽象的な名前も含めて、そういう町村名というのはたくさんあったような気もします。
 我々、最近、地元では、大リーグに行った松井選手が非常に頑張っているものだから、何か、関係する市町村は松井市にしたらどうかとか、あるいはゴジラ市にしたらどうかというようなことも含めて話題になるぐらいでして、そういう面では、今大臣おっしゃったように、地域の歴史、伝統、文化に根差したような、生活にかかわる、そういうイメージがわくような名前というのがふさわしいんでしょうけれども、そういうこともそれぞれの地方にとっては今非常に大事なテーマの一つではないか、このように思います。
 それから次に、この前もこのテーマをちょっと出させていただきましたけれども、特に山間地域の人口の少ない町村、こういったところは、日本の人口そのものが間もなくピークを迎えて、これから人口が減少していく時代を迎えるわけです。現時点でもう既に過疎化現象が相当進んできている。高齢化が進んできている。そういう中で、どっちかといえば、今回の合併で中核的な市の方に合併せざるを得ない格好で方向を決めている、そういう町村というのも全国的にもたくさんあると思うんです。面積は相当広大なんだけれども、人口が非常に少ない、人口密度の低い、そういう町村の扱いというのは、この合併劇の機会に、国なり県なりがその支援策的なものを、単なる町村の責任ということじゃなくて、やはり国土保全とか環境保全、そういう大きな、公益的な機能を持った地域でありますから、私は、そういう観点から別途新たな施策なり支援策を講じてもいいんじゃないかな、それは国民の皆さん方のコンセンサスは得られるんじゃないかなという感じがするわけですけれども、こういったところに対して何か大臣の御所見がありましたらお願いしたいと思うんですけれども。
若松副大臣 過疎地域に対する問いでございますが、何といっても、地域間交流の拡大とか情報通信の発達、価値観の多様化、地方分権等、これが、時代潮流が非常に大きく変わっております。そういう中で、過疎地域におきましては、文化的に多様で個性的な地域社会として美しく風格ある国づくりに寄与すること、これが期待されているわけであります。その上で、二十一世紀の新たな生活空間として自立的な地域社会を構築することといった、新たな意義、役割が期待されております。
 しかし、現実を見ますと、過疎地域では、引き続く人口減少並びに高齢化、地域経済の停滞、さらには生活基盤整備における格差という、現在でも非常に厳しい状況が続いておりまして、今副大臣会議の中でも農村都市交流プロジェクトというものをつくっておりまして、都市の人にもっと農村地域に来てもらおう、こんな計画も総合的に検討しているところでございます。
 いずれにしても、過疎地域におきましては、今委員が御指摘のような、例えば水資源の涵養とか自然環境の保持等といった、重要な、また多面的な役割を有しておりまして、さらには、国土保全という特に公益的な機能が低下しますと日本全体にとって大変影響大だということもありまして、総務省といたしましては、森林の保全整備、中山間地域におきます耕作放棄の防止を図るための直接支払いの実施等につきまして幅広く地方財政措置を行っているところでございまして、今後とも、的確にしっかりと対処していきたいと考えております。
一川分科員 質問時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますけれども、私は、最近、イラクで戦争が起こるのではないかとか、アフガニスタンの荒涼とした国土とか、ああいうのを我々がテレビを通じていろいろと見たり、いろいろな写真等で見させてもらっていると、ああいう国の状態では非常に大変だなと。
 日本の国土というのは、四季折々のいろいろな恵まれた自然環境の中で、なおかつ国土が守られているわけでございますので、国土資源といいますか、国土保全ということも当然大事ですけれども、こういった国土の資源というものを大事にしながらいくためには、やはり人口がそこでほとんどいなくなってしまうという状態ではその管理がうまくいきませんので、そこのところを各地方自治体のこれからの課題としてどういうふうに取り組んでいくか。また、国サイドも、もし国が直轄的に面倒を見るべきところがあるとすれば、そこは責任を持って対応すればいいことでありますので、そういうことも含めて、こういう人口が希薄な地域の町村の悩み、そういう課題というものをぜひ今後の検討事項に加えていただきたい。そのようにお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
山口主査 これにて一川保夫君の質疑は終了いたしました。
 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十一分開議
山口主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。金田誠一君。
金田(誠)分科員 民主党の金田誠一でございます。
 まず、竹島新委員長には、御就任おめでとうございます。経歴を拝見いたしますと、独禁法に関する業界団体とのしがらみなどもないようでございまして、そういう立場の実力派委員長の登場でございます。公取の改革について手腕を振るっていただけるものと御期待を申し上げる次第でございます。
 今回は、昨年四月八日の決算行政監視委員会の分科会に引き続きまして、仮称フランチャイズ新法の制定並びにフランチャイズに係る新ガイドラインの問題点について質問をいたしたいと思います。
 前回質問したとおり、今日のフランチャイズ、とりわけコンビニエンスストアについては、新聞等で地獄の商法、奴隷の契約と呼ばれるほど深刻な事態に陥っております。単行本でも「日本からコンビニがなくなる日!」とか「コンビニ フランチャイズはどこへ行く 「地獄の商法」?適正化への法規制が必要だ」、こういうもの、まだほかにもいろいろ出ております。こういう状態でございます。
 にもかかわらず、公取は何ら有効な対策を講ずることなく、ガイドラインの改定というアリバイ工作でその場しのぎをしていると私は認識をいたしております。
 そこで、竹島委員長、新任早々でございますけれども、コンビニについてこうした問題点があるということは、今までどの程度御承知でございましたでしょうか。いい悪いということではなくて、率直なところをまずお聞かせをいただきたいと思います。
竹島政府特別補佐人 一消費者としては、この十年、十五年でしょうか、従来の商店街、個人経営の商店街が大変厳しい環境の中にある中で、コンビニが大変伸びてきて、百貨店とかそういう従来型の大型店舗に比べても、今デフレと言われていますけれども、相対的には非常に頑張っていると。
 二十四時間のサービスで、特に都会においては単身者等々が多いものですから、まさに文字どおりコンビニという名前がふさわしい役割が認められているんじゃないかというふうに思っております。
金田(誠)分科員 それが、一般の国民、市民であれば、そのようにだれもが恐らく受けとめていることだと思います。
 しかし、その華やかな、そして新しい時代を象徴するようなコンビニが、実は一皮むくと、奴隷の契約、地獄の商法という実態があるということでございます。委員長、大変お忙しいと思いますが、このブックレットなどは非常に薄いものでございますから、ぜひ機会を見つけて御一読いただければありがたいと思う次第でございます。
 順次、具体的な質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の質問で、私は、この件の主要な問題点について、次のとおり指摘をいたしました。
 一つは、虚偽の収益予測によって勧誘をすること。二つ目は、契約書、附属文書の開示が極めて不十分、内容を精査するなどもってのほかという状態であります。三点目は、商品の廃棄ロスや棚卸しロスにもロイヤルティーがかかる。四点目として、このことに関連して、膨大な廃棄ロスを出さされる。五点目として、加盟店が赤字になっても本部はロイヤルティーを満額取れるというモラルハザードの仕組みである。六点目として、一般に営業時間は二十四時間なわけでございますが、夜中はほとんど客がなくて、閉めた方が利益が上がるという店もあるわけでございますけれども、そうした営業時間の変更も許されない過剰な規制になっている。七点目、販売価格の実質的な規制が行われている。八点目、新規事業、いろいろな公共サービスなどがありますが、これを一方的に押しつけられる。九点目、やめたくても法外な違約金を請求されるため、やめることもできない。やっていても、二十四時間働いても赤字赤字、とどまるも地獄、去るも地獄、こういう状態でございます。
 加えて、オープンアカウントという不思議な会計システムによって、オーナーは自分の店の経営実態さえ知ることができない。まさに奴隷の契約であるという指摘をさせていただきました。
 私のこうした指摘に対して、公取の前回の答弁では、ガイドラインの改定を行って、その周知徹底等に努める、こうしたのみでございました。しかし、ガイドラインの改定によって、実態は何ら改善されておりません。奴隷の契約のどこがどう変わったのか、もし変わったところがあるとすればお答えをいただきたいと思います。
竹島政府特別補佐人 昨年の四月にも、今先生御自身がおっしゃいましたように、委員会で大変御熱心な御議論をいただいた。私も、きょう御質問いただきましたので、にわか勉強ですが勉強させていただきました。
 先生の御指摘、今九項目おっしゃったと思うんですが、我々の調査結果と先生の御熱心な御議論も踏まえまして、我々は、去年の四月に、いわゆるコンビニに関する、コンビニも含めてフランチャイズチェーンに関するガイドラインを見直した。どこがどう変わったかということでございますが、私もその点に関心を持って調べてみたんですが、そういう改定をしまして、また一方で、経済産業省が中小小売業振興法という法律でしたかの省令改正をいたしまして、開示しなきゃならない情報はこういうことでふやしなさいということをやった。
 そういう改正を踏まえて、それぞれ、セブンイレブン、ローソン等々ございますが、調べてみましたら、一つは、今先生おっしゃった、廃棄ロスも売り上げに上げるんですよ、その上で、掛ける何%ということでロイヤルティーが払われるんですよということについて、はっきりさせなさいということについては、はっきりさせましたと。
 それから、違約金がというお話でございましたが、中途解約時に違約金を払わないで済む場合とは一体どういう場合なんだということについても具体的にはっきりしなさいということについては、はっきりしている、それぞれの本部において改正をしたというようなことに見られますように、ガイドラインというのはガイドラインで、それ以上でも以下でもないとおっしゃればそれまででございますが、各本部において、我々の改正を受けて具体的な反応があるというふうに見ております。
金田(誠)分科員 問題は、廃棄ロスにロイヤルティーをかけること自体が問題だということを指摘しているわけでございます。廃棄ロスにロイヤルティーをかけますよということを事前開示文書にうたったところで、何の解決にもならないわけでございます。中途解約の違約金についても同じことが言えるわけでございます。
 項目数が非常に多くございますから、今回は、絞りまして、廃棄ロスにロイヤルティーをかけるということについて質問をしたいというふうに思います。
 新ガイドラインによれば、「フランチャイズ契約締結後の本部と加盟店との取引について」、これは3の項目でございますが、この項の(1)「優越的地位の濫用について」において、次のように規定をされている、掲載をされております。前の方を飛ばしますと、「正常な商慣習に照らして不当に加盟店に不利益となるように取引条件を設定し、又は取引の条件若しくは実施について加盟者に不利益を与えていると認められることがあり、そのような場合には、フランチャイズ契約又は本部の行為が一般指定の第十四項(優越的地位の濫用)に該当する。」こうございます。
 この新ガイドラインに従えば、前回の質問で私が指摘した九項目、これは全部優越的地位の乱用になるのではないかな、こう思うわけでございますが、これは委員長、いかがでしょう。
竹島政府特別補佐人 確かに、全体を見てといいますか、総括的に議論すれば、先生おっしゃっている九項目、これは優越的地位の乱用に当たったり、または欺瞞的な勧誘に当たったりということだと思います。
 ただ、廃棄ロスを入れてロイヤルティーを計算するというようなものは、私も率直に、フランチャイズチェーンというのはしっかりしているというか、なかなか厳しいものだなというふうには思いますけれども、このこと自体が独禁法の優越的地位の乱用に即当たるというのは、これはまさに契約の自由であって、自分ではある程度、経営のリスク、品物を仕入れるリスク等々を省くかわりにフランチャイズに入るわけですから、その入ったときの対価として幾ら払うか、その契約内容はどういうことかということにすべてかかっているので、割に合わないとなれば、今のようにどんどんふえていくということにはならないだろうと思うんですね。
 したがって、問題は、大事なことは、おっしゃるロイヤルティーの計算方法自体が違法だということではなくて、そういう契約を事前に、契約前にきちんと説明しているのかどうかということだと思います。説明されて、それでいいということで契約された以上は、これはフランチャイジーの方も独立した事業者ということになっているわけでございまして、従業員じゃありませんので、そこはやはり自己責任として責任を持つべきなんじゃないかな、基本的にはそう思います。
 私どもが問題にするのは、そういう契約を超えて、一方的に条件を変えたり、それから、売れないと言っているのに、何か強引な方法でもって品物を置いていったり、そういう話は、これはもう、個別にそういうことが私どもにきちんと申告されれば、きちんと個別の問題として処理する用意はございますけれども、最初のところの論点の置き方それ自体が、契約の内容自体が違法だということについては、先生、ちょっと難しい問題があるんじゃないか、こういうふうに思っております。
金田(誠)分科員 廃棄ロス、棚卸しロスにロイヤルティーをかけるということでございますけれども、ここにあるのが新しいガイドラインでございます。これによれば、正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益となるような取引条件を設定しと、これが優越的地位の乱用になるわけでございます。
 資料をお渡ししてございますから、その資料をひとつごらんいただきたいと思うわけでございます。
 「コンビニ会計方式の一例(その1)」でございますが、想定としておにぎり、よくコンビニで人気のある商品でございますが、仕入れ原価一個七十円、売価一個百円。このおにぎりを十個仕入れて、七個販売して、三個売れ残ったというふうに想定をします。企業会計原則による粗利は、売り上げは百円掛ける七個で七百円、仕入れは七十円掛ける十個で七百円、粗利益は、売り上げマイナス仕入れ、ゼロですね。これは粗利ゼロです。
 ところが、コンビニ会計方式による粗利益は、売り上げが百円掛ける七個で七百円。仕入れが七十円掛ける十個で七百円。本来これでゼロになるはずなんですが、廃棄ロスが三個で二百十円あるわけでございます。これについて、純売上原価というコンビニだけの概念を持ち出しております。これは、仕入れマイナス廃棄ロスということが純売上原価なんだそうでございます。七百円マイナス二百十円で四百九十円。
 コンビニ会計方式での粗利益、この粗利益という言葉は、総値入高とか、会社によっていろいろな言葉を使っております。この辺にもからくりがあると思うんですが、いわゆる粗利は、売り上げマイナス純売上原価ということで、七百円マイナス四百九十円の差額二百十円、これが粗利益と計算されて、これにロイヤルティーがかかる。本来、粗利ゼロであっても、二百十円の粗利と計算されて、これにロイヤルティーがかかる。
 最後に「結論」と書いていますが、コンビニ会計方式において廃棄ロス相当額が粗利益に上積みされるということは、本来の粗利益がゼロであっても廃棄ロス相当額が本来の粗利益に上積みされるということである。
 これはいかがでしょうか。ここのガイドラインに言っているところの、正常な商慣習に照らし不当に加盟者に不利益となるような取引条件ではありませんか。これが不当でないというなら、一体何が不当でしょう。いかがでしょうか。
竹島政府特別補佐人 これは、フランチャイズといういわゆるビジネスモデルにかかわる話で、自分で商店を経営する場合と比べての違いというのは当然あるわけなんで、自分で仕入れして、自分で経理もし云々かんぬんということで、売れなかったら自分の責任と。この場合、普通であれば確かに、個人のお店であれば粗利ゼロということなんです。
 先ほどちょっと申し上げましたので釈迦に説法ですけれども、やはりフランチャイジーとしてロイヤルティーを払うというのは当然のことなんで、そのロイヤルティーの決め方の問題。確かに、常識的に見て、これはフランチャイザーの方がしっかり取るものだなという感じは私もしますけれども、これは一つの、こういう形でロイヤルティーをいただきますよということが事前にきちんとわかっていれば、あとは選択の問題と言わざるを得ないんじゃないか。
 したがって、こういう計算をいたしますということ自体が独禁法に即違反するとは私どもは言えないというふうに思っております。
金田(誠)分科員 ロイヤルティーの率が八割、九割ということだって、決め方ですよね。八割、九割払う価値があるのなら払うかもしれません。そういうロイヤルティーが高いか安いかということを私は申し上げているわけではないわけです。
 粗利にロイヤルティーがかかるという決め方をした場合、粗利がゼロでもロイヤルティーがかかる。これは、粗利ゼロでもロイヤルティーがかかるということ自体、通常の正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益になる。ロイヤルティーの率が高いか低いかであれば、委員長がおっしゃることで私は成り立つと思います。しかし、粗利が三割であっても五割であっても、粗利ゼロでもロイヤルティーを支払わなければならない、こんな話がありますか。これが正常な商慣習に照らして正常ですか。
 もう一枚目のコンビニ会計方式その2を見ていただきたいと思います。
 今度の想定は、七十円で仕入れて百円で売るおにぎり。十個仕入れて、一個販売して、九個売れ残ったという想定をした場合です。これでも、結論からいうと、コンビニ方式の粗利は、三十円の粗利が出る。本来であれば、十個仕入れて一個しか売れない、九個売れ残れば、売り上げは百円掛ける一個で百円、仕入れは七十円掛ける十個で七百円、差し引き六百円の赤字。六百円の赤字でも、三十円の粗利が出たと。マイナス六百がプラス三十になって、これにロイヤルティーがかかる。これが正常な商慣習ですか。
竹島政府特別補佐人 何といいますか、言葉の意味するところでこの議論をしてもいたし方ないと思うんですね。
 要するに、ロイヤルティーをいかに計算するかという計算式の問題だと私は思うんです。したがって、売れ残りがあって損が発生しても一定のものはいただきますよ、そういう契約だろうと思うんです。そのときの計算は便宜こういう計算式をもってロイヤルティーを計算するとみなすといいますか、そういうフォーミュラだと思いますので、これが正常な商取引かどうかということからする言葉の意味として議論しても、ちょっと実態に合わないのかなという感じがいたします。
金田(誠)分科員 冒頭、新委員長に大いに期待を申し上げたわけでございますが、答弁を聞いているうちに、これはまた今までと同じかなという何か悪い予感がずっと漂ってきているわけでございますが。
 もう一枚目の資料、最後の資料を見ていただきたいと思います。「企業会計原則とコンビニ会計方式の粗利の比較」、これも想定として仕入れ七十円のおにぎり、売価百円ということで、一覧表にしたものでございます。
 仕入れ個数はずっと十個仕入れて、仕入れ原価は七十円だから七百円の仕入れ値、売上個数が十個売れた場合からゼロに売れた場合、ずっと縦に出しました。右から二つ目の欄は企業会計原則による粗利、十個全部売れれば三百円ですよね、そして九個売れれば二百円、八個売れれば百円、七個しか売れなければ、七百円で仕入れて七百円しか入ってこないから粗利ゼロ、これが当たり前です。どんどんどんどん赤字になって、何も売れなければ七百円の赤字。
 ところが、コンビニ会計の方を見ていただきたい。こういう廃棄ロスからロイヤルティーを取るというやり方をすると、粗利はずっと、百円の赤字のところでも百八十円の黒字、六百円の赤字のところでも三十円の黒字になるわけですね。こういう会計方式です。
 これがまさに計算式の問題です、委員長おっしゃるように。こういう計算式自体が、ガイドラインで言っているところの正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益となるような取引条件、まさにこうじゃないですか。委員長がおっしゃるような計算式自体の問題です。こういう計算式を採用すること自体、正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益になる、こう認定すべきものじゃないですか。
竹島政府特別補佐人 何か平行線のようで恐縮なんですが、私は、その決め方はいろいろあって、それがフランチャイジーの方に一方的に不利だということになったらその本部はうまくいかないはずなので、だれもそれに加盟する人はいなくなるということだと思うんですね。そういうふうに一つ思います。そういう意味では選択の自由があるんだということ。
 もう一つは、売れ残りというものについて、廃棄しなさいと、時間が来て加盟店の判断で少し値引きして売りたいということがどうも規制されている場合もあるようなんですね。むしろ、その辺の方が問題なんじゃないかなと。それから、仕入れが、もしも十でいいというのにとにかく十五というようなことであれば、これはもう個別に、それは問題があると思いますけれども、この計算式自身だめと先生おっしゃっても、これを変えれば、幾ら結局ロイヤルティーとしてもらうかということですから、計算方法は率の方で上げればそれでいいじゃないかというお考えもあるかもしれませんが、それは彼らが、本部の方がどう考えて廃棄ロスをカウントするんだということにしたのか私もちょっとわかりませんけれども、そこは、結論として幾らのロイヤルティーが払われるのかということが一番問題なので、計算式自体を議論してもちょっと前に進まないような気がいたします。
金田(誠)分科員 不当であれば加入する人がいなくなるということをおっしゃいましたね。ところが、法定開示文書を見たって、こんな計算式になっているなんというのはだれもわかりません。やってみなければわからないという状態です。それで、やってみた、大変だ、もうかっているはずがどんどんどんどん赤字だ。なぜかというと、もうかっていなくてもロイヤルティーを持っていかれるからです。やめようと思っても、法外な違約金を取られてやめられないということを申し上げているわけですよ。
 そして、仕入れを強制されたとか値引き販売を許されなかった、それはそれでまた別な問題です。その問題も私は指摘していまして、これも解決しなきゃならないんですが、廃棄ロス、棚卸しロスにロイヤルティーをかけるということ自体、こういう問題がある。正常な取引慣行に照らして不当な不利益を与えているということです。
 委員長、恐縮なんですが、少しこれは検討していただけませんか。きのうこれを通告しまして、会議録も読んでいただいた。しかし、もう少し委員長、新委員長の手元で、ここで結論めいたことを、期待を持たせるような答弁してくれとは言いませんが、事務当局の書いた答弁書ではそう書いていると思いますけれども、委員長のお立場で、本当にそうなのかどうなのか、もう一回これは検討してみてもらえませんでしょうか。せっかく新委員長就任をされたわけですから、ぜひひとつお願いをしたいと思うんですが、いかがでしょう。
竹島政府特別補佐人 重ねてのお話でございますが、私ども、計算式はこうあらなきゃならぬ、これでなければ正常な商慣習に照らして違反しているということまで公取として、今のあまたあるいろいろな商取引について一つのモデルを示す、そうじゃないものについては場合によっては排除命令を出すということについてはやはり慎重でなければならぬと思うんです。現にそれは限界もあると……(金田(誠)分科員「今結論を出せとは言っていないんですが」と呼ぶ)ええ。
 いずれにしても、一部にせよ、そういう社会的な問題が起きているということでございますので、私ども、これからもきちんとそういった動きを見守って、個別にお話があれば当然一生懸命対応させていただきますし、先生のおっしゃる検討も、引き続き検討はさせていただきたいというふうに思います。
金田(誠)分科員 一般論の検討に、さすがベテランの官僚だけあって置きかえられてしまったなと思いますけれども、新委員長、これが象徴的なものです、収奪の仕組みのこれがエッセンスです。廃棄ロス、棚卸しロスにロイヤルティーをかける、それで、働けど働けどたまるのは借金ばかり、こういうコンビニシステム、これをぜひひとつ研究していただけませんか。新任早々、結論めいたことをすぐ出せとは言いませんが、ぜひひとつ大きな関心を持って研究をしていただきたい。改めてまたこの点は質問させていただきたいと思います。
 時間がもうなくなりましたので、全部飛ばしまして、最後の問題でございます。
 今、ロイヤルティーの問題について質問したわけでございますが、これは氷山の一角にすぎないわけでございます。前回の質問で指摘したとおりに、仮称フランチャイズ新法、こういうものがどうしても必要だと私は思っております。
 韓国では、二〇〇二年五月十三日をもって、加盟事業取引の公正化に関する法律、これは韓国の公取の所管のようでございますけれども、これが制定されております。これは大学院生の方が仮に訳してくださったものでございますが、この仮訳を公取にお渡ししてございます。これをひとつ十分検討して、我が国におけるフランチャイズ新法の制定に向けてぜひ御検討いただきたい。
 あわせて、韓国における例えば今指摘したような廃棄ロスにかかるロイヤルティーなんというものが一体どうなっているのか、勧誘時はどうなのか、やめるときはどうなのか、どういうルールになっているのか、この辺もひとつお隣の国ですからぜひ御検討いただきたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
竹島政府特別補佐人 先生からそのフランチャイズ新法のお話を前から伺っておりまして、私どもも、韓国のことも調べて、その運用実態も含めて、今お話しのように、勉強させていただきたいと思います。
 ただ、基本は、今現在、おしかりをいただくかもしれませんが、私どもとしてはガイドラインを示し、業界はそれを踏まえて改定もし、したがって、これから個別の問題があれば独禁法を直接適用するという形で運用していきたいというのが私どもの今の基本的な考え方でございますが、これからの事態でやはり特別な法律が必要だということになるかもしれませんので、引き続ききちんと勉強させていただきたいと思います。
金田(誠)分科員 もう一つぐらい質問できそうな時間があるようです。
 昨年の質問で、私は、このフランチャイズ契約の契約書の提出というものを求めました。これに対して、契約書の中にはノウハウと本部の営業上の秘密事項が含まれているということで、提出を拒否されました。その秘密事項とはどういうものなんでしょうか。私が今言ったような、売り上げが、粗利がゼロであっても、粗利がマイナスであっても、ロイヤルティーを持っていけるというからくり、まさにノウハウですよ、こんなものは。とても人に見せられないノウハウ、そういうものを指しているんではないのかと思います。もし不都合な部分があったらそういう部分を削除して、大手だけで結構ですよ、契約書を提出していただきたいと思いますが、いかがですか。
楢崎政府参考人 私ども、調査の過程で契約書を入手いたしましたけれども、調査の目的外では使用しないということを前提に契約書を出していただいたものでございます。それからまた、コンビニの本部の契約でございますけれども、この契約自体がノウハウだということで、秘密保持義務がかけられているわけでございまして、フランチャイズの加盟店にも秘密の保持義務がかけられているという状況でございますので、私どもの方から提出するというのはできないというふうに考えてございます。
金田(誠)分科員 全部契約書にナンバーがありまして、出せないんですよ、これは。出したら大変だ、これで契約解除されるんですよ。したがって、こういう場で契約書の中身について議論さえできないというのが、まさに地獄の商法、奴隷の契約なんです。
 ぜひひとつ、もう大分ばれているわけですから、本部側とも協議をしていただいて、公の場できちんと出せるように議論できるような手だてを講じていただきたい。また改めて質問させていただきます。
 終わります。
山口主査 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。
 次に、山口わか子君。
山口(わ)分科員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。総務大臣に初めて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 私の方からは、特に消防庁関係、救急業務について御質問をさせていただきたいと思います。
 こんなことは私が言うまでもなく、交通事故の増加、あるいは高齢化や、小児科医の絶対数が年々不足する中で、私たち国民の命と健康は絶えず危険にさらされています。ですけれども、その命の危機を一刻でも早く医療につなげる我が国の救急医療体制は、まだまだ十分とは言えない現状にあります。
 全国の市町村に、すべて救急隊による搬送サービスが確立しているんだろうか、あるいは救急医療機関の受け入れや相互連携体制が機能しているのかどうか、国民にとっては非常にこれは最大の関心事だと思っています。国民の皆さんは、いつでもどこでも事故に遭う危険性はございますし、急病になるかもしれません。そのときに適切な医療が受けられる状態になってほしいわけで、そうした観点から質問をいたします。
 まず最初に、救急出動につきまして、最近この救急出動が非常にふえてきているというふうに私は思っていますが、その出動件数と搬送人員の増加状況、あるいは事故はどんな状況、事故別にはどうなんだろうか、あるいは重症危篤患者がここ数年どんな頻度で変化しているのかをお伺いしたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 救急出動件数は、御指摘のとおり年々増加傾向にございまして、平成十三年では、年間約四百四十万件、それから搬送人員は約四百十九万人、それぞれ前年比で四から五%増。それから、十年前の五〇から六〇%増となっています。
 それから、そのうち、救急自動車による搬送人員を事故種別で見ますと、急病によるものが二百三十二万人でございます。搬送人員の約五六%。それから、交通事故が約七十七万人でございまして、約一八%ということでございます。それぞれ前の年に比べますと約六%、約一%の増でございます。
 それから、救急自動車による搬送人員のうち重症以上の傷病者、これは約五十三万人でございまして、約一三%、これは十年前とほぼ同じ比率でございます。
 以上でございます。
山口(わ)分科員 今お伺いしますと、大変ふえているわけで、ふえた分だけ命が助かる皆さんもふえているんだろうと思って、大変結構なことだというふうに思っています。
 この非常に大切な救急救命士、これはやはり救急救命士が非常に大事だというふうに思っていますし、その皆さんがいらっしゃるから、かなりの頻度で命が助かるというふうに思っています。この救急救命士の運用状況につきましては、すべての救急隊に常駐する体制が当然だろうというふうに思うんですけれども、現状の常駐体制はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
石井政府参考人 消防庁といたしましては、今先生がおっしゃいますように、すべての救急隊に救急救命士を常時一名以上配置するという体制を目標にいたしております。
 十四年の四月一日現在ですけれども、全国四千五百九十六の救急隊のうちで、この救急救命士を運用しております隊が六二・八%ということで、今二千八百八十四隊でございます。まだ、しかし一〇〇%ではないわけですけれども、現在の救急救命士につきましては、救急振興財団の研修所で約千名、これは毎年でございます。それから、東京消防庁でございますとか大阪市等の政令市、約十カ所ございますが、その養成所で約四百名を養成しておりまして、合わせまして年間千四百名程度の養成がなされております。
 今後とも、できるだけ早くすべての救急隊に救急救命士が常時一名配置できますように努力をしてまいりたいと思っております。
山口(わ)分科員 救急救命士を養成するということは非常に大事だというふうに思っていますし、これは一自治体ではなかなかこの養成はできないわけで、国が責任を持ってやはり研修制度を確立していかなきゃいけないと思うんです。
 全国に救急救命士を要望する方はたくさんいらっしゃるわけですが、全国に今のところお伺いしますと千人、これは一カ所ですか二カ所ですか、それも含めてですけれども、非常に少ないんではないかと思うんですね。希望がかなりあるというふうに私も聞いています。
 私の地元でも、希望するけれどもなかなか入れないというお話も聞きまして、そんなに希望するんだったら、せっかくこんな大事なお仕事ですから、もう少し研修体制を強化してもいいんじゃないかというふうに思うんです。今は確かに千人ですが、これからこの研修体制を拡充していく気がおありになるのか、あるいは、全国で二カ所でなくて、もうちょっとふやしていかれるのか。どうでしょうか。
石井政府参考人 今申し上げました救急振興財団によります研修所は東京都それから北九州の二カ所でございまして約千人、そのほかに、先ほど申し上げましたように政令市等で十カ所ございまして、そちらの方では四百人、合わせますと千四百人の養成を年間やっておるわけでございます。
 おっしゃいますように、希望は結構多いんですけれども、大体希望に沿えているとは思うんですが、なお、確かに地域によって、都市によって、もう少しということはあるんじゃないかと思います。
 この点につきまして、大変財政事情、国、地方を通じて厳しい中でございますが、例えば、また一カ所つくるというと、それで何十億、百億単位のお金も要るということになりますので、例えば大都市なんかでは、まだこの受け入れる余地があるようにも聞いておりますので、救急財団はもちろんですが、政令指定都市なんかとも相談しまして、できるだけ要望に沿うように努力していきたいと思います。
山口(わ)分科員 次の質問にも絡むんですけれども、これから救急救命士の質の問題が問われてくるというふうに思うんです。特に、メディカルコントロール体制をこれからつくっていくことになりますと、ますますこの研修の重要性というのは高まってくるというふうに思うんですね。
 ですから、もちろん、救急救命士をふやしていただくということと同時に、質を高めていただくという点で、やはり研修制度の確立というのは非常に大事だと私は思いますし、その点では、やはり厚生労働省との連携も深めながら、病院等による研修体制もこれから徐々に準備をしていただかないと、助かる命も助からなくなってしまうということもございますので、その辺は、今御回答いただきましたようにまだまだ、予算はどうにでもなるんですね、どこを削ってどこをふやすかという問題ですから。一番重要なところをやはりふやしていく、特にお金のないときだったらやはり取捨選択が大事ですし、思い切って削るところは削っていっても、やはり必要なところはふやしていく。特に、人間の命を保障する、安全を保障する部分については、これはやはり、国も責任を持ってきちっとそういう体制をつくっていただくということは大事なことだというふうに思うんですね。
 特に私が心配になるのは、少子化の問題です。高齢者も確かに救急の医療にかかっている皆さんは多いんですが、とにかく少子化に拍車がかかっていますから、小児病院もやはり確立されていない中で、一体その小児の救急医療をどう確立していくかというのは非常に重要な問題だと思っていますし、非常に難しい問題で、質の要求もされますから、そういった意味では、厚生労働省と連携をとりながら、その辺についてきちっと救急医療体制を確立していただかないと、今度は安心して子供が産めなくなってしまいますから、産むのが嫌にならない制度をぜひつくっていただきたいというふうに思います。
 続きまして、安心の医療を確立するための整備です。特に、今私が申し上げました救急救命士の研修、それから救急車の整備、特に特定行為を実施するための各種機材の確保については、十四年度の補正と十五年度の予算で、この各種機材の整備に多分予算を組んでいらっしゃるんではないかと思いますが、この辺の整備をどういうふうに確保されていくんでしょうか。
石井政府参考人 おっしゃいますように、安心の医療を確立しますためには、例えば救急救命士制度でいいますと、御指摘のように、病院実習あるいは事例研究等の再教育の体制が大事でございます。
 御案内かと思いますが、救急救命士の場合には、まず最初に六カ月の養成研修を受けました後、就業前に百六十時間の病院実習をやりまして、これが済んで初めて救急救命士の活動に入るんですが、その後も年に一遍はといいますか、年間必ず六十四時間以上は病院実習をするように義務づけておりまして、各消防本部で対応をしているところであります。
 それから、施設面の御質問がございましたけれども、高規格救急自動車でございますとか除細動器につきましては、国庫補助制度を設けて重点的に応援しておりまして、十四年四月一日現在ですと三千六十二台の高規格の救急自動車、これは救急車の中で除細動とかいろいろなことができるわけですけれども。
 それから、予算面でどうかということでございましたが、十五年度当初予算では、高規格救急自動車は約百九十台分の二十億四千万、これは対前年度の当初予算と比べますと三五%増になっております。それから、平成十四年度補正予算も、これは私どもの総務大臣にも頑張っていただきまして、八億円確保して、約八十台分確保しております。
 そういうことで、一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
山口(わ)分科員 国でも大変力を入れているということで、大臣、もうちょっと頑張って、ぜひ全国に高規格救急自動車が配備できるように御努力をいただきたいというふうに思っています。
 問題はやはり、その高規格救急車に乗る救命士に、これから特に特定行為をする段階になりますと大変な状況になるわけで、なかなかこれは難しい問題もあるんじゃないかと思うんですね。
 当面はメディカルコントロール体制の整備ですが、この特定行為の中の除細動については、総務省からいただいた資料によりますと、十五年の四月から実施に入るということですが、この除細動につきましても、もちろん医師の指示がないといけないという問題もありますが、でも、これは実施していくということになるんだろうと思うんです。
 あと、気管内挿管ですとか、薬剤を使用した注射につきましては、まだまだこれから検討の余地があるということになっているようで、気管内挿管なんかは、早くやれば助かる命も多いんではないかというふうに思うんですけれども、なかなかこの実習体制も非常に難しいと思うんですね。厚生労働省と相談しながらでしょうけれども、病院でやはりそれなりの実習を、何か聞くところによりますと、三十例くらいを消化しないとなかなか一人前にならないというようなこともありまして、これは、三十例を消化するということは並大抵のことではないと思うんですね。お医者さんだってそんなにやっているのかなとちょっと思いますけれども。
 そういった意味では、本当にこれが実施可能、つまり、実行可能になる、そういう特定行為、メディカルコントロール体制というのをもっと早く、そして医師がきちっと指示をすればできる体制をつくっていただきたいというのが一つ。
 それから、除細動につきましても、今の除細動器というのは、電気ショックの器械というのは、一たん電源を入れて、そしてその検査をして除細動を発信するまでに結構短時間なんだそうですね。ですから、その間に主治医というか医師に連絡をとりながら指示を仰ぐことによって時間がもうなくなっちゃって、除細動器の方が切れちゃったというようなことも多いようなんですね。その辺も、どうやったらスムーズに早く電気ショック、除細動が使えるかどうかということも、これから非常に研究していかないといけない部分だと思うんですね。
 ですから、その辺も含めて、これからもっと短い期間に早く実施可能になることを考えていらっしゃるのかどうか、その辺で厚生労働省とどんな連係プレーをとっていらっしゃるのか、御説明ください。
石井政府参考人 先生、幾つか言われましたので、ちょっと順序立てて申しますと、まずメディカルコントロール体制、厚生労働省としっかり連携しろというふうなことです。
 私ども、厚生労働省でございますとか医師会の先生方とも御相談をしまして、まず常時指示、二十四時間いつでもお医者さんが指示できるような体制をとる、それから、救急救命士が処置をしました後の事後検証の体制をしっかりとる、それから、さっき申し上げた再教育、この三点あるんですけれども、こういうことをテーマにしまして、厚生労働省とも連携しまして、都道府県単位それから地域単位で、病院実習でございますとか、今申し上げました事後検証について円滑な仕組みを検討する、また実行していくという協議会の設置を今求めておりまして、この二月現在で、都道府県単位ですと三十五団体、そういう協議会がもう既にできております。年度末までにはすべての都道府県で都道府県単位の協議会が設置されるという見込みに今大体なりつつございます。
 それから、幾つかおっしゃいました中で、除細動について、これまではお医者さんの指示を一々いただかないとできなかったんですけれども、おっしゃいますように、今、除細動器も性能が非常によくなっております。そこで、いろいろ、厚生労働省あるいは日本医師会等とも議論させていただきまして、ことしの四月から、幸い、お医者さんの指示を一々いただかなくても除細動ができるというふうに一応なっております。それから、気管挿管、これも先生御心配のとおりでございまして、これもぜひ実現したいということで、これは来年の七月を目途に実施するということに今しております。
 それからもう一点、薬剤のお話もございましたが、この点につきましても、私ども、片山総務大臣初めいろいろ御尽力賜りまして、できるだけ早期に実施するということで、ことし、十五年中に、まずドクターカーを使いまして、その薬剤の、エピネフリンとか、強心剤中心ですけれども、まず安全性、有効性をチェックする、確認する、実証するということで、その上で、認めるとした場合にこういう手順、プロトコールと言っていますが、これをつくる、検討する。それから、それをやる救命士はやはり教育が必要ですから、その養成カリキュラムも検討するというふうになっておりまして、これは何とか十五年中、できるだけ早くめどをつけていきたいと思って、今一生懸命取り組んでおります。
山口(わ)分科員 国民は非常に早くこのことを望んでいるというふうに思いますし、地域によっては、やはり、医療機関の十分な体制がないところも結構あります。特に、大学病院のあるようなところは割合にスムーズに今ドクターカーも運行できるようですし、いいんですけれども、やはり、医療機関が十分でない山間地、私は長野県ですが、信大のあるところはいいんですが、東北信というところになりますと、十分な医療機関体制がとれないわけですね。そうすると、救急車が現場に駆けつけて搬入する時間が非常にかかってしまうということもありまして、やはり医療機関の方もある程度、救急隊の皆さんとそして医療機関が連携をとっていくことが非常に私は大事だというふうに思うんです。
 特に、地域内の活動状況とか、医療機関の治療能力とか、病床の状況とか、搬送先の指示や医療機関などの関係機関への通報とか、お医者さんの派遣要請なんか、広い救急医療に関する連係プレーというのが非常に大事になってくるというふうに思っています。特に、遠隔診断の方法もありますし、あるいは医療機関のベッドの状況がどうなのか、たらい回しということも実際にはあるわけで、そういうようなことをやはり厚生労働省と十分に連携をとりながら、本当に救急患者の命が助かるような仕組みを、特に消防庁と厚生労働省の中で体制をつくっていかなければいけないのではないかと思うんです。
 その辺については、救急に関する医療あるいは医療機関との連携あるいは患者の搬送についてとか、そういう情報交換をきちっとしながら連携をしていくというような体制について現状はできているのか、あるいはこれから考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
石井政府参考人 今先生おっしゃいましたように、実際に救急医療の現場では、個々の救急車あるいは消防機関と、それから地域の病院なりお医者さん方との連携が非常に大事でございます。おっしゃいますような救急患者のたらい回しのようなことは、かつてに比べると随分減ったというふうに承知しておるんですけれども、今はどこの消防機関でも、基本的にはあらかじめ、地元の医師会ですとか病院と連携をとりまして、あきベッドがどこにあるとか、表示が自動的につくような仕組みを取り入れているところもございまして、大分前進してきたと思いますが、おっしゃいますようになお努力をしていきたい。
 それから、先生おっしゃいますように、救急医が少し足りないんじゃないかとかいろいろなことがございます。これはどちらかというと、消防庁というよりは、やはり何といってもお医者さんは厚生労働省さんの御所管ですから、また厚生労働省さんにもいろいろお願いをしまして、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
山口(わ)分科員 救急救命士の仕事も大変大事になってきますし、最近は火災もかなり大規模になってくるということで、消防職員の処遇というのもやはり非常に大事ではないかというふうに思っています。何か起こったときに、あのときは手がなかったからだとか、あのときは寝不足で眠っていたからだとか、そういうことが後になってわかって、それぞれの消防署や国が責められる、自治体が責められるということは、できるだけ極力なくしていかなきゃいけないというふうに思っているんです。
 国民の命を守る消防職員の職場環境を改善するために、消防職員委員会制度というのが導入されたようで六年ぐらいがたっているわけですが、制度はできましたけれども、その制度がきちんと運用されているかというと、いろいろなお話が飛び込んできまして、なかなか十分に運用されていない、あるいは一回も集まりを持ったことがないとか、いろいろなお話を聞きます。これは、労働組合ができないところとして、かわりに消防職員委員会制度というのが設けられていて、あくまでも消防職員の労働条件を守っていくという姿勢のもとにこういうものがつくられたと私は思うんですけれども、やはり国がきちっとその運用について、それぞれの委員会なり消防署なり消防庁に指導していただくということが大事だと思いますが、その辺についてはどうなっておりますでしょうか。
石井政府参考人 御指摘のとおりでございまして、平成八年十月に消防組織法を改正しまして、消防職員委員会というのをつくっております。全国九百の消防本部にすべて設置をしておるんですけれども、これまでも、大体年に五千件ぐらいは勤務条件等についてのいろいろな御意見をこの委員会の場で審議をしたりしておりまして、六年間でいうと三万五千件ぐらい。その結果、健康増進のためのさまざまな環境改善、例えば、喫煙対策で喫煙室を設けるとか、あるいは最近社会的に関心がふえておりますストレス対策ですとか、あるいは健康診断をもっと充実させるとか、仮眠室の整備とか、いろいろなことをやっております。
 一方で、今先生おっしゃいましたように、毎年一回も開いていないというようなところも最近まであるようでございますので、従来から、少なくとも一回はやってほしいというふうに言っておったんですけれども、昨年末に一遍調べてみました。そうしたら、過去に一度も開催していないという本部が実は十八ございましたので、これはどうしてだと聞きますと、職員から意見が出ないからという返事なんですけれども、やはり、これは積極的にむしろ、仮にそうであっても開いて、いろいろなことをざっくばらんに議論していただくというのが大事でございます。その結果、私どもの方もいろいろと助言もさせていただきまして、この十八本部、一回も開いていなかったところも、十五本部につきましては既に開催をしていただきました。
 それから、今全島民が避難されています三宅島の消防本部を除きますとあと二つだけなんですが、この二本部も、今年度中に開催するというふうな運びに今なっております。
山口(わ)分科員 次の質問とも関連するわけですが、この消防職員委員会制度というのが開催されないいろいろな理由が消防の職員の方からも上がってきているわけです。その中には、消防署や市町村の部局が十分にこたえるような施策がなされていないというようなことですとか、意見を出してもなかなか取り入れてもらえないですとか、当局からいろいろな弾圧があるというようなこと、嫌がらせを受けるというようなこと、現実にはそういうお話を聞いていますので、やはり、そこら辺はそういう職員の不満が出るようではいけないと思うんですね。
 ですから、その辺は十分に、せっかくできた消防職員委員会制度ですから、その中でそういう職員の不満とか不当な差別を受けるとかというようなことがもし仮にあれば、その場所できちっと解決していくような制度にしていただきたいというふうに思うんですね。
 やはり、消防職員が一番大変なのはストレスだと思うんですね。ストレスがたまって本当に公務中いろいろな災害を起こすということもありますし、全国の消防の実態を見ましても、けがですとかあるいは事故もほかの職種に比べては多くなっているようです。それもやはり大事なことだというふうに思いますから、ぜひその辺は、十分そういう職員の皆さんの要望を聞いていただく中で運用をきちっとしていただきたいというふうに思います。
 続きまして、次の問題に入るわけですが、特に消防職員というのは、業務の特殊性もありまして、長時間、無賃金拘束が当たり前になっている労働実態があるわけです。二十四時間勤務体制が今ほとんど消防の職場で行われているようですけれども、二十四時間拘束されるわけです。そのうちの何時間かは拘束されない、仮眠時間だというふうにはなっていますけれども、うちへ帰れるわけではありません。消防署内で寝泊まりをするわけですから、当然これは拘束と考えなければいけないわけですね。
 仮に病院あたりですと、今三交代になっていますから、たとえ夜中であっても、八時間働けば後は自宅へ帰って休むことができるというふうになっているわけですが、勤務の内容は同じであっても、消防職員の場合は二十四時間拘束が普通に行われている現状になっていまして、この辺はやはり改善していくことが大事だというふうに私は思っているんです。
 つまり、拘束されている以上は賃金は支払うのが当然ですから、そういう労働実態にある中で、これから労働条件の改善をやはり何とかしてほしい。私はやはり、三交代制勤務ができれば一番いいんじゃないかというふうに思っていますが、その辺のお考えを聞きたい。
 労働基準法改正が行われまして、変形労働時間制度というのが導入されています。公務労働者の場合には一カ月が変形労働時間制度の単位になっているわけですけれども、これはどういう内容かといいますと、普通は一週間に四十時間で、一日八時間ということになっているわけですね。でも、勤務の内容によっては、一週間に五十時間になることもあれば、一日十時間とか十五時間になることもあるわけで、それを一カ月の単位で平均、要するに、週四十時間と八時間に戻すという、戻すと言うと変ですけれども、ならせば、ですから、今週は五十時間でも来週はそれを削って三十時間にするとか、そういう中で、一カ月の単位で普通は変形性労働時間というのはやっていくわけですが、消防署の場合には、これは一年の単位になっているところが非常に多いということで、一年といいますとわからなくなっちゃうんじゃないかと思うんですけれども、そういう、一年の中で非常に多い勤務時間もあったり短い勤務時間もあったりということになりますと、やはりこれも消防職員の負担になりますから、その辺の努力もしていただきたい。
 時間がありませんので、消防職員のやはり団結権というのは非常に大事だと私は思っているんです。せめて団結権は、消防職員には団結権があるから火事になったって火を消しに行かないんじゃないかとか、やはり私は労働条件が大事だから勤務は拒否するとか、そんなことはありません。消防職員の皆さんは命を助けることが最大の職務ですから、そんなことは絶対ないので、むしろ、そういうことをやることによって、もっと積極的に働く環境というのはよくなるというふうに思いますので、その辺を含めて大臣の方から、お願いいたします。
片山国務大臣 いろいろ救急隊を中心に適切な御質問をいただきまして、ありがとうございました。
 団結権の問題は、正直もう長い問題でございまして、ILOを中心にいろいろなやりとりがありましたが、我々はやはり、消防職員というのは、仕事の中身も行動のパターンも心構えも警察、軍隊的だ、そういうふうに思っておりまして、警察と同じように考えてもらえないか、こういうことを言ってまいりまして、ILOも、それはそのとおりだとはおっしゃりませんが、今の条約の範囲ではそういう解釈も成り立ち得るということで今までまいった、こういうふうに考えております。
 今回、御承知のように、中間勧告、報告という格好で御指摘いただきましたので、ILOとのコミュニケーションをこれからしっかりやってまいりたい、こう思っておりますが、そういう今までの長い歴史の過程の中で、消防職員の委員会が、今委員御承知の委員会ができまして、これが機能しているところもあるんですが、開かれていないところもありますので、私どもとしては、ぜひ年に一回以上は絶対開いて、管理者側と消防職員の皆さんが現場のいろいろな苦労や声を大いに言っていただいて、コミュニケーションを図っていって、それが職場のいろいろな条件の改善や勤務のあり方にいい影響が出てくるようにぜひしてまいりたい、こういうふうに思っておりまして、今後はそれをしっかりと督励してまいりたい、こう思っております。消防職員全般の処遇につきましては、今我々もいろいろと努力しておりますので、今後ともその路線を続けてまいりたい。
 団結権問題については、もう少し息の長い検討をいたしたい、こういうふうに思っております。
山口(わ)分科員 どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
山口主査 これにて山口わか子君の質疑は終了いたしました。
 次に、都築譲君。
都築分科員 自由党の都築譲です。
 きょうは貴重な時間をちょうだいいたしましたので、公務員制度改革の問題について、片山総務大臣にお伺いをしていきたいと思います。
 本来なら石原行革担当大臣にも、公務員制度改革全般を担当しておるわけですからお聞きをしたいんですが、なかなかこま数がとれないという状況もございましたし、要は、国家公務員法、地方公務員法を所管されているお立場、こういうことでございますから、行革の、それこそ公務員制度改革の本丸である、こんな認識でお伺いをしたい、こう思います。
 予算委員会でも随分と公務員制度改革について質疑が行われておりまして、私もそれを幾つか聞いておりまして、ただ、どうも議論がかみ合っていないんじゃないのかなというふうな印象を大変強く持ちました。
 議論がかみ合っていないというのは、国会における政府の皆さん方の答弁と野党の質問者の議論がかみ合っていないということと同時に、政府とそれからILOとの意見交換も私は議論がかみ合っていないような気がいたしまして、片山大臣が時々、ILO側の理解が浅いとか誤解があるのではないか、こういうふうに言われておりますが、私はどうも、そういった状況を超えているのではないのかな、こんな思いがいたしておりまして、そこら辺のところを少しお聞きをしていきたい、こんなふうに思います。
 行政改革は本当に私自身も、以前、参議院議員時代、片山大臣にも予算の理事会でいろいろと議論、まあこの問題について議論したわけではないんですが、行政の大先輩ということでもありまして、いろいろなところで私自身も、行政改革の本丸として公務員制度改革といったものの重要性を訴えてきたつもりでありますし、そして、別にそういった意見を踏まえたわけではないんでしょうけれども、公務員制度調査会といったものが設けられて、九七年から九九年まで活動し、報告を出した。
 ところが、実際にいざ法案の準備に入る段階になったら、急にそういったものとは違った形で物事が進み出してしまったということでございまして、これは一体どういうことかなというふうな思いがございますし、私自身、今回、橋本行革と言われるような形で進んでまいりまして、行政改革、行政改革と言いながら、実は本当に何かとんでもない方向の改革になってしまっているのではないのか。
 省庁の再編統合の問題にいたしましても、本当に事務事業とか権限とか予算とか、そういったものを徹底的にそぎ落として、地方に渡すものは地方に渡し、民間に渡すものは民間にどんどん渡して、そういった上で中央官庁の役割というのを描いて、その中で、では国家公務員はどういう役割を果たすのか、地方公務員はどういう役割を果たすのか、こういう形でいくべきところが、どうも中央官庁もごしゃっと大変、総務省も、失礼ですけれども、自治省から郵政省から総務庁までぐちゃっとくっついて、表現は大変申しわけないんですが、国土交通省なんという物すごい巨大な官庁もできてしまったし、厚生労働省なんていうのもまた大きな役所になってしまったし、本当にこれで大丈夫なのかいなという思いがいたしております。
 こんなことで、公務員制度を改革すると言ったって、何を改革するんだろう、こう思ったら、要は、天下りの問題、あるいまた公務員の任用の問題、さらにまた、今労働基本権が制約されている中での代償機能として今まで果たしてきた人事院の役割の縮小とか、方向が全然違うのではないのかな。
 むしろ一番の問題は、今日本の将来をどういうふうに描いて改革を進めていくのか、そういった明確なビジョンがないままに、やたら改革、改革ということで、何か変えれば改革になるんだろうという形で、継ぎはぎをやっているというか、ほころびを縫っているというか、そういったものを改革と言っているような気がして、そして、この公務員制度改革も実はそういったものではないのかなというふうな印象を強く持っております。
 ということで、将来このままいったら大変な実は禍根を残すことになるのではないのかなというふうな思いがいたしておりまして、閣僚としての本当に基本的なお考えを少しずつお聞きをしていきたい、こういうふうに私は思います。
 まず第一点は、やはり何といっても、公務員に関して労働基本権を制約しているわけであります。それは昭和二十三年の国公法の成立、そして昭和四十年のILOの八十七号条約の批准というふうな形の中で、いろいろな手当てがまた国公法も地公法もされてまいりました。
 ただ、正直に申し上げて、ILOの条約の原則といったものは少し違うのではないのかなというのがかねてから指摘をされてきた点でありまして、先ほど消防職員の団結権の問題がありました。これも随分と、条約を批准する前には政府とILOの間で議論をしてやったものだというふうに承知をしておりますが、その後のILOの見解が変わったのではないのか、こういうことで政府の側は見解を主張し続けてきている、こういう事実だろうと思います。
 それから、例えば地方公務員、あるいはまた学校の先生方、ストライキを禁止されている中での違法ストに対する処分といったものが過酷ではないのかと、いろいろな議論が行われておるわけです。
 明治以来の、本当に近代国家を目指すという中で、官僚主導型の開国、近代国家の建設、そして、戦後のあの荒廃の中から今日の繁栄を築き上げるために公務員が果たしてきた役割というのは大変大きい、こう思うんですが、戦後もう五十年を経過して、相当大きく実態というものは変わってきているんじゃないかと思うわけです。
 例えば、以前は三公社五現業なんというのがありました。今やもう三公社というのは消えてしまって、五現業の中でも、郵政はこれで郵政公社へと移動していくわけでありますし、公社が民営化したJRとかあるいはNTTとかJTとかこういったところは、ではスト権をどうしているんだ、こういうふうな議論とか、そういった問題になってくると思うんですね。現実にはちゃんと機能をするような仕組みになってきているわけですから。
 そうすると、どうして戦後もう五十数年を経た今日でも労働基本権を制約するような必要があるのか、そこの根本的な議論からまずスタートしていく必要があるんじゃないかと思うんですが、まずお考えを聞かせていただきたいと思います。
片山国務大臣 今、都築委員からいろいろお話がありました。行政改革をやろうということで、いろいろ検討して、中央省庁の改革、再編は平成十三年の一月から実施になりました。そこで、入れ物ができた、中で働く公務員制度が次の課題だ、こういうことになりまして、公務員制度改革に本気で取り組もう、こういうことになりまして、本来、行政改革は旧総務庁の仕事でございましたけれども、ちょうど私が閣僚になりました平成十二年の十二月のときに行革特命担当大臣というのができまして、橋本先生が行革担当になりました。その中で、特殊法人と公益法人改革と公務員制度改革は特命で、そこが中心でやろう、もちろん我々も連携して応援する、こういうことで、公務員制度改革はそれから実は始まったわけでございます。
 一昨年の十二月におおよその大綱を決めまして、方向づけだけいたしましたが、中身についてはまだこれから、こういうことでございまして、その中に、能力等級制度だとか、今の退職管理、天下りの問題だとか等がございまして、そういうことで、職員団体の皆さんが、その内容が定かでないことを含めてこれをILOに提訴されて、ILOが、結社の自由委員会がいろいろな検討をされたんでしょう。その結果、昨年の十一月に中間報告が出た。こういう経緯でございます。
 我々は、やはり公務員というのは地位が特殊で、職務に公共性があって、少なくとも全体の奉仕者だ、国民全体の奉仕者である。地方公務員の場合には、地域社会全体の、地域住民の奉仕者である。こういうことからいいますと、労働基本権を完全な形で与えるのは、そこのところはやはり両立しないのではないか。
 そこで、団結権、これは認めます。団体協約といいますか団体交渉権は、交渉はできるけれども、団体交渉の結果を協約として締結することは、これはちょっと、今のような職務や地位からいってそこまではいかない。そういう件はちょっと全体の奉仕者としては困る。こういうことで現在の制度ができたわけであります。
 しかし、公務員といえども勤労者、労働者でございまして、それは生存権等の十分な保障がなければいけませんので、基本権制約の代償措置として、今の人事院制度あるいは人事院勧告制度、都道府県の場合には人事委員会制度でございますけれども、そういう代償措置ができ、そこで代償機能を果たしている、こういうことでございます。
 基本的には、私は、各国でいろいろ差がありますけれども、我が国のいろいろな状況から見た中、この制度はやむを得ないと思います、今の仕組みは。それがそれなりに機能してきている、ここのところはILOにもう少し幅広い御評価をいただきたいものだ、私はこういうふうに思っております。
都築分科員 その御説明もわからないではないんですが、ただ、全部の公務員が基本権を制約されなければならないのか。
 ILOの立場としては、例えば国家運営に関する事務を担う人とか、それを補助する人とか、あるいはまた、不可欠業務、エッセンシャルサービスというふうに言われている部門を担当する人、こういった人にとっては、これはどうしても立場が違うから制約があってもしようがないだろう、こういうふうな見解を持っていると思うんですね。
 ただ、一般の事務職員とか、公務員と言われたら、本当に、学校の先生から、それからまた、例えば社会福祉施設で働く人とかごみの収集の方とか、いろいろな公務員の類型があるにもかかわらず、全部が全部その基本権を制約するようなことというのはおかしいのではないのかというのが基本的な考え方だと私は思うんですね。
 現実に、今そういった目で世の中を見渡してみても、そういった仕事をやっている民間の方たちはいるわけですよね。民間の、例えば私立学校の先生も、あるいは社会福祉施設の先生というか職員の皆さんも、あるいはまた、ごみはもうほとんど民間に委託されちゃっているのかもしれませんけれども、そういったたぐいの働く方たちといったのがいて、それは何ら支障なく実は業務をこなしているし、社会的に大きな影響を及ぼすわけではないわけですから、何でもかんでも国が抱えて、何でもかんでも国が全部責任を持ってやっていくんだ、そういう時代とはもう変わってきているのではないか。
 だから、逆に言うと、民間への規制の緩和とか規制の撤廃という観点からいっても、行政改革のあり方と関連して公務員のあり方といったものも考えていく必要があると私は思うんですが、その点はいかがですか。
片山国務大臣 確かに、今の制度の中でも、現業は大分減ってきていますけれども、国家公務員の現業だとか地方公務員の公営企業職員、こういうものには一種の団体交渉権を認めていますね。そこで差があるんですが、なるほど、今、都築委員言われますように、ドイツの官吏制度みたいに、何種類か公務員の種類を分けて、官吏にはほとんど認めないけれどもその他の者には認める、こういう制度をとっている国もございます。
 そこで、我が国ではその場合にどれをどう分けるかという議論が一つありますね。全体としての公務の遂行がどうなるか、こういう議論もありますね。
 そこで、今のような制度で今日まで来たわけですけれども、これも委員言われますように、これだけ大きく経済社会情勢が変わる。IT革命のような大変な情報化になる。我々も今、民間委託といいますか、アウトソーシングということを本気で考えている。それから、規制改革が行われて、総理の言葉によりますと、民でできるものはできるだけ民に、こういうことになってきますと、公務員の枠組み、公務員の分類、あるいは公務そのものが何か、こういうことを抜本的に見直す必要があるという点では都築委員と認識を共有できると私は思います。
 しかし、なかなかアプローチその他が難しゅうございますので、ひとつこれは、政府としてどうするかということは別にして、公務員制度を所管している総務省としては、今委員が言われたようなことはこれからもしっかり勉強していかなければならない、こういうふうに考えております。
都築分科員 大いに勉強していただかなきゃいかぬのですが、もう時期は随分迫ってきておるわけでありまして、お考えをもっと大胆に実はやっていかないと今の時代を乗り切っていけなくなるんじゃないのかというふうな思いがしております。
 また、ちょっと、今の議論に戻る前に、今おっしゃっておられた、例えばドイツの例とかいろいろあるわけでございますけれども、外国で例えばそういった労働基本権を一般職員には認めておきながら、なぜ日本で認められないのか。先ほど言われた公務の特殊性とか全体の奉仕者としての性格とかそういったものは外国であろうが日本であろうが同じじゃないですか。だからこそILOは、共通の国際労働基準ということで、それは普遍的に実施してもらわないと困るんだ、こういうことを言っていると思うんですよね。だから、その点はもう一度お願いしたいと思います。
若松副大臣 私の方から説明させていただきます。
 公務員制度でも、先進諸国といわゆる発展途上国と、やはりいろいろと、かなり制度的な違いもあろうかと思いますが、特に先進諸国の公務員の労働基本権につきまして御説明をさせていただきます。
 まず米国の連邦公務員ですが、ここは、給与につきましては団体協約締結権が認められておりません、さらにスト権も保障されていない、こういうお国柄でございます。ドイツの官吏の団体交渉権、さらにスト権はないという状況でありまして、フランスでは団体協約締結権が認められていないということで、各国少しずつ、やはり国の生い立ち、歴史的な経緯等で違うようになっておりまして、各国の事情を精査いたしますと本当にそれなりの幅広い制度にあるのかな、そういうことも私どもとしては認識しておりまして、その中で日本としてはどうするのか、先ほど大臣がお話ししたことになるわけでありますが、今後とも諸外国の動向等をしっかりと把握していきたいと考えております。
都築分科員 確かにいろいろありますし、ILOの立場も、それぞれの国の実情を踏まえながら協約の適用状況といったものを検査するというか見ていくんだという立場は一貫していると思うんですね。ただ、余りにも協約適用についてその国の特殊性といったものを強調し過ぎると、それはダブルスタンダードに実はなってしまうわけですから、そういったことはしないという考え方だ、こう思うんですね。だからこそ、私は、やれるところはやっていく、そういうふうな方向で踏み出していくことが必要じゃないのかと。
 ただ、日本の場合は、正直申し上げて、欧米先進国のような形の個人主義的なものというよりは、日本の企業経営等を見ておりましても、資本家対労働者階級という階級的な対立の上に近代国家を形成してきたのではなくて、むしろ、企業城下町というか、一家ぐるみで来るような温情的な部分も実はあるわけですから、その要素をどういうふうに残していくのか、生かしていくのかという議論はなかなか難しいところがあるのは事実だろうと思います。
 ただ、それに実は引きずられていろいろな問題が生じているのが今の状況じゃないのか、こんなふうに思うと、私自身が、それこそ五、六年前、参議院時代に公務員制度調査会といったものができたときに期待をしたのは、いわゆる指定職と一般職といったもののありようといったものを、結局今の、全部、一年生から採用されてそのまま二十五年、三十年、三十五年と勤めていくような仕組みではなくて、もう少しそこのところを、大きな責任を持つ人と、一般の公務員として定年まで、六十歳まで任期を全うする人と、やはり分けていく必要もあるのではないかというようなことも考えておりましたが、そういった形で対応していくことの実は勤労者の要請といったものもあるんです。
 というのは、昔の公務員の人たちというのは、それこそ天皇の官吏でありましたから、身を正しく持って、志を正しく持って、それこそ公務員の採用試験のお話なども、本当に聞くとびっくりするような口頭試問があって、父親が死にかけているときに君は業務を任されたらどうする、父親の看病に行きますなんて言ったらおまえは首だなんて言われるような、そういう自覚というか意識といったものを厳しく持つことが要請されたような時代と、今やこれだけ世の中が多様化、価値観が複雑化してきた、そしてまた豊かさもある状況の中で、公務員の皆様方も、一番安定した楽な仕事場だということで実は公務員を志望してくるケースもあると思うわけです。
 別にそれが悪いというわけではない、悪いというわけではないということであれば、その人たちが働きやすい環境をどうつくっていくのか。何でもかんでも全体の奉仕者だという、当然、全体の奉仕者として、特定のグループとか業界に偏ってしまってはいかぬのですけれども、ただ、働いて賃金を得る、給与をもらう、そういう立場の人たちの要求といったものもちゃんと実現できるようにしなきゃいけないんじゃないか、こんなふうに私は思うわけです。
 先ほど若松副大臣がドイツの例とかフランスの例を出されておりましたが、フランスの例などは、協約締結権がないといっても、実はフランスは秋闘の国でありまして、秋、夏休み明けになると、みんな夏休みでお金を使い切ってしまうから、大変な交通ストからさまざまなストライキで大渋滞が町のそこらじゅうで起こったり、看護婦さんがストライキをやったり、いろいろな状況が起こっているわけでありまして、実態面として、労働組合がそこまで力を持って政治を動かしているという面もあるのかなという思いがいたします。
 私自身としては、だからこそ、余りに何でも対立、対立ではなくて、日本的な労使のお互いのコミュニケーションを進める中でやっていくことが、今、戦後の本当に激しい労働運動の中からここまで実は成熟してきているわけでありますから、昔の、戦後の、ゼネストを打ったりとかそんな状況とは違う。公務員の皆さんも国民の皆さんの意識といったものを多大な関心を持って当然見ているわけですから、そうすると、そんなに軽々に実力行使とかそういう話にはなっていかない、こんなふうに私自身は考えております。
 実際にあったときにはどうするかという問題はもちろんありますけれども、ただ、交渉のデッドロックをどう打開していくのかというのは、これは、近代的な労使関係ということでILOがつくり上げてきた原則といったものは、労働三権といったものをしっかりと認めていくことではないのか。もちろん除外される職員の人たちはいるけれども、一般的な、大多数の人たちには与えるべきだ、こんなふうに思うわけです。
 このお話をぜひ心にとめていただきたいんですが、その上で私が今度申し上げたいのは、代償措置として人事院とか人事委員会が設けられているんだ、こういうことです。
 ただ、人事院とか人事委員会についても、実は、例えば千九百八十何年ごろですか、公務員の給与凍結とかそういった事態があって代償措置としての機能に大変な疑義が生じてしまったし、それから最近では、地方議会の方で、人勧並みの給与改定の条例案といったものを議会に提出したら、議会がそれを否決してしまって給与改定が実施できないということになってしまうと、では、働いている人たちの給与条件といったものを守るのは一体だれなんだ、実はこういうことになってしまって、大きな疑義が呈されていると思うんです。
 一番の問題は、人事院といったものが憲法の中に盛り込まれなかったというのは、日本の民主化政策を担当した人たちの、後でああしまったと思ったというふうな話も聞いたことがありますけれども、人事院といったものがなぜ設けられているかというと、労働組合そしてその使用者、使用者は結局、各省の大臣とかあるいはまた国だということになってしまうわけでありまして、そうすると、実は、国と労働者との交渉といったものに対して第三者の立場でやっていかなきゃいかぬのだろう。だから、人事院が出した勧告とか、あるいはまた、今だったら国営企業労働委員会が出した裁定とか、こういったものは実は即時実施されるという仕組みにしなければいけないんじゃないか。
 ところが、今日本の仕組みは、結局、内閣が人事院の勧告を実施するかどうか、あるいはまた国営企業労働委員会の仲裁裁定といったものを実施するかどうかの権限、さらに、そこでもめると国会に付託をされてしまうということは、結局、使用者対労働者という関係の仲裁を使用者側の方に全部任せてしまう。だから、むしろ、第三者機関として設けられているんだったら、それを忠実に実行していくといった仕組みにする必要があるんではないか、その点が私は欠けているんではないか、こう思うわけであります。
 今、逆に人事院の機能といったものをまた縮小させていくような、まあ別の、能力給の導入の問題とかあるいはまた天下りの問題とかいろいろありますが、代償措置としての問題も実はそこは非常に大きく影響してくる、こう私は思うのであります。その点についてちょっと御見解を伺いたいと思います。
片山国務大臣 給与などの勤務条件は、雇用した方とされた方の本来自決ですね、お互いの話し合いで決めていく。それが気に入らなければスト等の争議行為をやる、こういうことでございますが、先ほども言いましたように、公務員というのは特殊の地位、特殊の仕事、全体の奉仕者、こういうことだから、そういうことはやってもらっては困る。そのかわり、雇用者でもないし使われる方でもない、中立公正な第三者機関をつくって、そこが行司役、アンパイアであって、それを最大限尊重する、こういうことになっているわけでありますが、全体の奉仕者ですから、やはり最終的な雇い主は国民であり、あるいは地方の場合には地域の住民ですから、そこで国会なり地方議会が入ってくる仕組みを最終的にはつくっているんですね。
 私はそれはそれで仕方がないと思いますけれども、例えば都道府県や何かの場合で人事委員会勧告を少し修正する場合には、きちっと今職員団体と話をしていますね。了承をとっている、こういうふうに私は思っておりますが、いずれにせよ、中立公正な第三者機関の人事院の言うことを最大限尊重する、こういうことで代償機能が成り立っている。
 委員言われましたように、かなり昔は、値切ったり、おくらせたり、御承知のとおりのことを別のいろいろな理由があってしてきたんですけれども、ここもう長い間完全実施でございますので、私は、そこはそこでILOを初めとして十分説明をしたいと思いますし、また職員団体との話し合いは今まで以上にやっていく必要がある、こう考えております。
都築分科員 あと、もう時間がほとんどありません。
 今のお話、私は今の小泉内閣そのものの性格と実は共通すると思うんです。というのは、今アフガニスタンの掃討作戦に対してイージス艦まで出ていっている。最初にテロ特措法をつくるときに、憲法のすき間を縫ってというふうなお話を言われている。
 僕自身は、やはり近代的な国家の骨格は法治主義と民主主義ということで、やはりどんなに権力を持っている人でも法の上に立つことはないんです。自分の勝手な解釈で法をねじ曲げたり、解釈を変えたりして、自分の希望を実現するということはできないんだ。どうしてもやるというんだったら、ちゃんと民主主義の仕組みのもとで法律を直して、あるいは必要があれば憲法を直して堂々とやればいい、そういう発想が僕は必要だと思うし、今小泉内閣に一番欠けているのは僕はその点だと思うんです。
 今片山大臣が言われたお話は、確かに、最後に責任を持つのは、主権者はやはり国民でありますから、国民が選んだ国会ということですが、だからそこで歯どめがかけられる必要があるんだというけれども、実は仕組みとして代償措置をつくるということであれば、憲法で労働三権というのは認められ、ILO八十七号条約、九十八号条約を批准してやっているわけですから、その趣旨を踏まえたら、私は、そういう人事院の代償機能といったものはそのまま貫徹される、本当におかしいんだったら人事院制度というものを改めていく、そういうことが必要だと思うんですね。
 それで、もう時間がなくなってしまいましたが、私自身も、実はILOの総会に何度も出させてもらいました。片山大臣、行かれたことありますか、ILOの本部。それで、私は本当にびっくりしたのは、八七年に初めて行ったんでありますが、ILOの本部に行きますと、一階のところに展示コーナーがありまして、ガラスの中に各国の主要な条約の批准書があるわけです。八十七号条約は天皇裕仁と書いてあるわけです。ところが、それが実はごてっと、展示じゃなくて実は物置に置かれている何か雑物のような感じで、今にも見せしめのような感じで実は置かれている。これはILOの方にも参事官を通じて抗議をすべきだ、こういうことを私は申し上げたんです。
 実際にヨーロッパの皆さん方の見方というのは、日本というのはあれだけ経済が発展しながら民主的な労働関係というのはまだできていないという見方を持っているんではないかということを、厳しく持っているということを指摘申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
山口主査 これにて都築譲君の質疑は終了いたしました。
 次に、平野博文君。
平野分科員 民主党の平野博文でございます。
 片山大臣に質問ができるということで、喜んでこの分科会に応募いたしました。
 と申し上げますのは、昨今いろいろ経済情勢が悪い。私、特に地元を中心にいろいろな方々と接点を持って政治に対する不満を聞いているんですが、特に生命保険が、金融市場の問題も含めて、非常に厳しい環境下に置かれておって、生保の営業の方々がよく私の事務所に来る。
 そういう意味で、私も、生命保険会社の営業所なんかに、どうですかと、こういう話をよく聞きに行くわけですが、共通して言っていることは、何といっても、かなり契約者が解約をしていると。
 これはいろいろな要因があるわけですが、特に、将来のためにということで一生懸命契約をしてきた方が、もうとてもその掛金に耐えられないとか、あるいは生命保険会社が今後どうなっていくんだろうか、こういう考え方のもとに掛けかえをする。では、どこに掛けかえるんですかと聞きますと、郵政事業の一つの簡保に、それの方が心配ない、こういうふうな声をすごくよく聞くわけであります。加えて、簡保の担当の方々が、民間だったらどうなるかわからないから、うちに入った方が将来に対していいよ、こういうふうに営業的にやっておられると。何人か私聞いたものですから、改めて私はこの簡保の問題について御質問をしたい、こういうことでございます。
 特に、そういう中で、視点が三つぐらい。三十分ですから余り多く御質問するわけにまいりません。改めて質問をしていきたいと思いますが、きょうは特に、生命保険市場といいましょうか、そのマーケットが本当に健全なマーケットになっているのだろうか、こういう視点。さらには、自由かつ公平な金融市場を本当に形成をしているのか。さらには、潜在的に国民の負担にある意味ではなっていないのか。こういう三つの切り口があると私は思うんですが、そういう視点で何点か質問をしてみたいと思っておるところであります。
 これはもう大臣に質問しますと、何を言っているんだということになるんでしょうが、民業と官業の役割というのは、官業というのはやはり民業の補完であるということについては基本の原則だと私は思うんですが、大臣、それは基本的なところですから聞いておきたいと思います。どうですか。
片山国務大臣 言われるとおりでございまして、民にできないこと、民より先行していろいろ実験的なことをやっている、そういう意味では、補完というと、後をついていくとか、残ったものという感じですけれども、そうじゃなくて、やはり民に対する大変広い意味での、先行を含めての補完だと、私はこう思っております。
平野分科員 大臣、私は同じ認識に立っていますから、民間の生命保険会社、あるいは郵政事業が今度四月から公社化という格好で、その先は民営化という方向に動いていくんでしょうけれども、公社化という事業形態をとってやるわけですが、そういう意味でいったら、私は、同じ事業体を、一方では官でやり、一方では民でやる、こういう視点から不当な競争条件になってはいませんか、こういう視点で質問をしたいと思うんです。
 私は、かつて小口であるとか無診査であるとか月掛けであるとか、民間生保が十分にカバーできていないところは確かに簡易保険制度のもとにやってこられたということは事実だと思うんです。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、民業の補完という立場から考えますと、今のサービス競争の視点からいいますと、公共機関による保険事業の必要性は必ずしも正当な競争のもとにやられていないんじゃないか、私はこう思うんですね。この点はどうでございますか。
片山国務大臣 我々は、簡保は、簡易生命保険はいわばユニバーサルサービスである、こういうふうに思っておりまして、全国あまねく設置された郵便局を通じて簡易に利用できる基礎的な生活保障手段だ、こう思っております。
 ただ、公社ですから税金をまけてもらいますが、固定資産税その他の一定のものは払いますけれども、前の三公社並みに払わせていただきますが、それ以外はまけていただきます。それは、例えば不採算の、普通の生命保険会社では店を置かないようなところも郵便局はあるわけでありますから、そういう配置になっている。あるいは、取り扱いコストのかかる、小口で個人の保険である。加入限度額は御承知のように一千万である。あるいは、これは言われましたが、無診査保険に限定している。保険の種類や資金運用対象も法律その他で厳重に制約している。ある意味では、がんじがらめまではいきませんが、がんじぐらいにはしているわけであります。
 私どもは、そういうトータルからいうと、フィフティー・フィフティーについては御意見があるいはあるかもしれませんけれども、そんなに圧倒的に優位ではない。似たような状況の中で、すみ分け、機能分担をしながら簡保はあるんではなかろうか、こういうふうに思っております。御承知のように、シェアも一〇%ちょっとでございまして、今後とも、そういうことは堅持しながらやってまいりたいと考えております。
平野分科員 そこのところの認識は少し違うんですが、民間と同じ競争条件でやられていますかということなんですよ。これは今、大臣はやっているというふうに理解しますか。
片山国務大臣 民間と同じじゃありません。民間と同じ条件では必ずしもありませんが、それぞれ、この簡保については、有利なところもありますけれども、民間に比べて不利なところもあるので、その有利不利を合わせますと、そんなに民間に比べて簡保が優位であるとか優遇されているとかというふうには我々は考えていないということを申し上げておるんです。
平野分科員 では、大臣、不利なところというのはどこですか、民間と比較して。
片山国務大臣 今言いましたように、とにかく全国津々浦々までやるということは、これは採算性からいうと、採算が合わないようなところにも店を構えて生命保険を受け付けるということになりますし、あるいは、小口で個人だということは、これは手間とコストがかかるわけでございまして、決して有利な条件じゃないし、加入限度額については、保障額等のいろいろな議論がありますけれども、これは一千万で頭を押さえておりますし、それから対象につきましても、いろいろな商品、できませんね、法律やあれで縛っておりますから。それから、運用についてもいろいろな厳重な制約がついておりまして、そういうことは、我々からすれば、簡易保険が民間の自由な商品設定や種類構成からいって不利ではないか、トータルから見れば、プラスマイナス合わせれば、我々としてはまあまあというところではないかというふうに考えております。
平野分科員 そこはもう決定的に、大臣、現場を歩いてもらったら、いかに民間が汗をかいて動いているかということと、郵便局で構えておって、来た人に対して、あるいは、民間は危ないから簡易保険に入りなさいと言う。こんな営業をやっているんですよ、現実に。私、とってきましたから、その声を。そんなことをやられると、私は、本当に官の役割と民の役割というのは一体何なんだと。
 まず第一点、不平等であるというのは、税金を負担していないじゃないですか。半分払っていますからという、そんな理屈じゃなくて、民間はもうかったら全部これは払わされているんですよ。調べたら、昨年度のあれで、四千八百億円の税金を払っているんですよ。簡易保険は租税を全く負担していないじゃないですか。これはどうなんですか。これは当然だ、払わなくて当たり前だという認識ですか。
片山国務大臣 だから、今までは、これは国そのものですから、なかなか払えないですね、理論的にも。国そのものですから、自分で自分に払うというのは。今度は国営公社になりますから、かつての三公社並みの税金を払うわけでありまして、例えば固定資産税だとか自動車関係税だとかその他払いますから、全く税金を払わないということじゃありません。しかし、税金の上では優遇されています。しかし、同時に、郵便局の職員の基礎年金の国庫負担分は、企業については国が持っていますよね、基礎年金ですから。この特別会計は全部こちらが負担しておりまして、今三分の一ですけれども、将来二分の一になるかどうかという議論をされておりますが、そういうことまで含めると、私は、圧倒的に簡保が優位だということでも必ずしもない、こういうふうに思っております。
平野分科員 いやいや、そういう、そこに働いておられる職員のことを言っておるんじゃなくて、事業形態として、本当に、やはり民間と自由市場における競争をしないと。本来の趣旨は、官は民を補完する。
 今、実態を調べたら、この十年間負担すべき税金、三兆円以上払っていないんです、民間だったら払うと予想する税金が。その分、いろいろな仕組みにおいては、民間は税金を払わないかぬから、汗をかいているわけですね。
 それで、調べてみたら、今度は公社後も、中期経営計画期間は国庫の納付の必要がないと。三年間免除しているわけですよ、公社後も。今までだったら、先ほど言った、法律で縛られているから払わなくていいと。公社後も三年間は減免しているわけですよ。なおかつ、それでも、ある一定の限度額を超えた場合のみしかそれ以降も払わないという、こんな優位性のある仕組みにしているわけですよ。民間は一生懸命苦労しても税金を払わないかぬ。民間も同じようにそういう減免をしてあげたらどうですか。これがなくして、公平な市場競争原理に立っておるのですか。ここが一つ。
 もう一つは、不利な点も多々あります。ユニバーサルに、国民全体に、津々浦々やらないけません。
 簡易保険と民間保険の総資産の推移累計をとってみました。たった十年前は、簡保は四十七兆円だった。民保は大体九十兆円弱。今、二〇〇一年でどういう状態になっているか。簡保は百二十六兆円ですよ。民保は百四十三兆円。民保は百四十三兆円にいっていますけれども、四十四社のトータルですからね。簡保は百二十六兆円ですよ。一社でこんな状態になっているんですよ。二・六七倍にふえているんですよ。だから、ある意味では、民業のあるところを補完している、一〇%部分をやはりユニバーサルという仕組みでやっていますというんだったらいいんだけれども、八九年、この十年ぐらい、十一、二年の間にこんな状態に加入者が心理として移行している。これを見たら、民業圧迫しておるとは思いませんか、大臣。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、国そのものでやっておりましたから、これと今度の公社は違いますけれども、公社になりましたら、一定の税金は納めるし、もうけが出れば国庫納付金を払う、こういう仕組みになったんですね。こういう仕組みになっている。それは国会で御修正をしていただいたわけですから、それでやるわけでございますが。
 この公社移行の際に、国会でも御指摘がありましたし、いろいろな学識経験者、また公社設立会議ができましたが、その中でも御指摘いただきましたが、極めて過少資本だ、だからもう少し資本の充実を図れ、こういう御指摘がございまして、そこで我々は、なるほど、この事業体から見て、あるいは国民の信頼という観点からいってもそれはそうだと、こういうことにいたしたわけでありまして、そういうことのある程度充足ができれば、私は、できるだけ民と同じような競争をする環境をつくっていくことはあり得るな、こういうふうには思っております。
 ただ、このシェアについてはいろいろな御議論がありましたが、そんなにこのところシェアが伸びておりませんよ。大体一二、三%と我々は理解しておりまして、今後ともそのシェアを大幅に伸ばすようなことは、まあ恐らくできないでしょうし、そういうことをすべきではない。そこは謙虚に、公社としての民との共存共栄、すみ分け、機能分担の中でやっていくということがひとつ必要ではなかろうかと考えております。
平野分科員 だけれども、資金量からいったら、一社で百二十六兆円という簡保と、民間四十四社でかかっても百四十三兆円ですよ。これは明らかに不当競争ですよ。独占事業みたいになっているんですよ、資金量からいえば。片や四十四社が必死に汗かいて、何とか契約者に不満が残らないように努力をしている。簡保はこの十年か十一、二年の間に、見る見るうちに二・七倍の総資金量になっているんですよ。これは明らかに民業圧迫としか言えないんじゃないでしょうか。圧迫していないと言えますかね。一社ですよ。それで税金免除でっせ。民間の生命保険会社が怒るのも無理ないと思いますよ、僕は。
 生命保険会社の経営者が怒っておるんだったら僕は何とも言いませんよ。一生懸命、加入してください、加入してくださいという、まあ女性の方が多いんですが、営業部員が一生懸命歩いている姿を見ると、郵便局の人が、民間はつぶれるかわからないからうちに入った方がいいよ、今のうちだよと言って歩いておるのと、汗をかいておる姿を見ると、これはもう大臣に絶対言ってやらないかぬと思って、それで僕はきょう立ったんです。
 どう思いますか、大臣。一遍歩いたらどうですか。
片山国務大臣 ここに簡易保険とJA共済と民間保険のシェアの推移があるんですが、昔は、昭和三十年は三七・一だったんですね。四十年には一五・四で、五十年は一一・八。現在は、簡保は一一・九ですね、農協が一三・九、民間は七四・一なんですよ。こういう保険金額ですよ。総資産についても数字がありますが。
 ただ、今委員が何度も言われます、郵便局の職員の中で、こっちはつぶれない、民間の方もつぶれないんですけれどもね、いろいろな手当てがあるんですけれども、まあ、公社とは少し違いますけれども、そういうことをちょっと勇み足で発言したりするようなことは、あるいはあるかもしれませんね。
 まあ、国民から見れば、貯金も簡保もややセーフティーネット的であることは事実なんですね。それはまた、これは御議論がありますけれども、政府保証をつけていますから。これは大変な議論があって、しかし国会でも、そういうことでいこう、こういうことにしていただいたんですけれども、セーフティーネット的な意味がありますから、そういうことを殊さら強調して勧誘をする、やはり成績を上げなきゃいけませんから、そういうことを言う向きがあるかもしれませんが、そういうことについては今後厳重に注意いたしたい、こういうふうに思っております。
平野分科員 それで、先ほど言いましたように、支払い保証の問題ですよ。支払い保証は、先ほど言いましたように、簡保は国が保証しますと。民業は保証がないんですよ。一生懸命経営努力して、頑張らなくちゃいけないんですよ。これも、ある意味では公正な経営努力の柱にはならないんじゃないでしょうか。
 加えて、私、これも大きな問題だと思うんですが、先ほどセーフティーネットという表現をされましたね。生命保険会社の保険機構への部分で、これは国が出しているという部分、さらには民間企業もそこに拠出をしているんですね、今の形態でいきますと。簡保はどうしてここに拠出金を出さないんですか。これも不公平ですね。
 生命保険会社は、例えば、あるA社という人は、おれのところは出さなくていいよということじゃなくて、生保業界としてこのセーフティーネットに拠出している。簡保というのは、これは業界でいうたら生命保険業界でしょう。国だから業界でないという表現なのか。僕は、少なくとも、なぜ簡保はセーフティーネットに、業界拠出金に払わないんでしょうか、これは不思議でならないんですが、大臣、どうですか。
片山国務大臣 これは、支払い保証をつけていますから。いや、そこで、国営公社というものをどう考えるかですね。これは例の、中央省庁再編基本法でそういうことを国会でお決めいただいたんですけれども、これは国営公社ですから、民間と同じでなくてもいいという考え方ですね。
 ただ、民間とできるだけ似せるところは似せなきゃいかぬ。だから、企業会計だとか独立採算だとか、経営目標をつくって経営計画でやっていく、単年度の予算主義じゃない、そういうところは民間を取り込んだんですが、しかし、国営公社だ、国の公社だ、こういうところで、国の公社というのはやはり民間の保険会社とは違うというところが、支払い保証だし、したがって、それが結局、保険機構に拠出金を出さなくてもいい、そのかわり国庫納付金を払おう、こういうことですね、そういう整理だと思います。
平野分科員 いや、大臣のおっしゃる意味はわかるんです。前提は、国営であるがゆえに民業を圧迫しないということですよ。民業を圧迫しようが、国営だからといって自由勝手にやるということは、僕は、市場原理とかそういう視点で見たときに、これはおかしいと思いますよ。民間ではとてもできない、しかし、国民のためにユニバーサルサービスをしないかぬ、損でもやるんだという発想の国営事業は、僕はあっていいと思う。ところが、先ほどからもう何回も言っているように、民業が苦しむほど飛躍的に伸びていっている。しかし、国営公社だから、条件は国が保証しているんだから、そのことによって民間がどれだけ圧迫されているかということに対してはどう考えるかというところが、私、大臣の今までの発言の中で抜けていると思うんです。民業を圧迫していないということに立っているじゃないですか。
 きょうは金融庁の方にも来ていただいていますが、所轄が違うものですから、金融庁から見たら、今の生保の状態というのはどういう状態か。金融庁、これはどう認識していますか、まだつぶれない、大丈夫だ、非常に危機的状況だとか。国民が加入しておるけれども、取りつけ騒ぎが起こって、郵政簡保に移っていくと私は思うんですよ、不安になれば。その辺、今の実態は金融庁としてはどう考えていますか。
伊藤副大臣 私どもとしましては、今の生命保険の置かれている状況というものについては、しっかりとした監督をいたしておりますので、今現在、何か問題が起きるという状況ではないというふうに思っております。
 特に、ディスクロージャーも徹底をさせておりますので、ソルベンシーマージン等々見ても、問題のある状況にはございませんので、そういう意味では、生命保険各社が契約者の皆様方あるいは国民の皆様方のいろいろな懸念を払拭していく、そういう努力もされているところでございますので、そうした努力を通じて生命保険の皆様方に対する信頼というものがしっかりなされていくということを期待しているわけでありますし、そういう視点に立って、私どもとしても監督行政をしっかりやっていきたいというふうに思っております。
平野分科員 伊藤副大臣、きょうは片山大臣がおられるから言いにくいかもわかりませんが、民間の生保を監督しておる金融庁から見たときに、簡保という同じ生命保険の事業ですよ、これは公平な競争をしてやっているな、こういうふうに思いますか。これはちょっとやり過ぎだよ、民間の生保は大変そういうことで圧迫を受けているよというふうに感じませんか。大臣がいないと思って答えてください。
伊藤副大臣 私どもとしましては、先生が冒頭御指摘ございましたように、簡保事業が民業を補完する立場にあるという基本的な考え方のもとで、民間保険会社との公平な競争条件が確保されていることが極めて重要である、こういう認識に基づいて、担当の総務省とも今日まで協議をさせていただき、また、総務大臣の監督のもとで郵政公社の業務運営の適正さが確保されている、そういう状況であるということを今日まで期待してきているところでございます。
 先生御指摘のように、何か公社の業務運営の中で万々が一民間保険会社との競争上著しく公平性を欠くなど不適切な事態が生じた場合には、やはり私どもとしましては、金融システム全体を所管する立場から意見を申し述べる、そうしたことを通じて、必要に応じて適切に対応していきたいというふうに考えております。
平野分科員 これはもう、大臣答弁でいくと、実態を調べてもらいたい。
 やはり、先ほど、冒頭言いましたように、官と民との役割分担という視点から見たら、余りにも簡保は肥大化しています。小口であるとかいろいろな理屈は過去の経過の中にはあったにしても、一社だけでこれだけの状態になっている。片や四十四社、セーフティーネットとしての拠出金を、これは、例えばA生命保険会社に払いなさいということではない、生保業界として拠出金を積みなさいという指導ですよ、金融庁の。そのときに、同じ業界ですよ、なぜ積まないんですかということの指導を簡保にしないんですか。これが一点。
 もう一つは、もう五分になっちゃったので、また改めて細かいところは言いますけれども。簡保事業については国が支払い保証をしておる。しかしながら、簡保の運営資金、運用資金という視点から見たときに、昨年度の決算を見ても、福祉事業団に委託をしている部分だけでも五兆円の損失を出している。それで、今年度も上半期で四兆円も出している。結果、これは国民にツケが回るんじゃないですか。これはどうするんですか。
 したがって、国営公社だから、いや、これは税金でやるからいいんですよと隠れているけれども、結果的には国民の税金にこれは回っていくんですよ。つぶれないから拠出金を出さなくていい、こういうところの矛盾と、私、副大臣、拠出金を出せと言ってもらいたいし、片山大臣、焦げついていっている、これは国民にツケを回さないんですね。この点はどうなんですか。
片山国務大臣 なるほど、指定単で、特に株式の運用で損失が出ていることは事実ですが、いろいろな形の、責任準備金や危険負担金やいろいろなものを積んでおりまして、トータルでは、国民に回すなんということは全くする必要はない、こういうことでございまして、今百二十五兆ということを言われますが、満期が来るんですよ、この十四年度、十五年度に。そうしますと、二十二兆が満期になる。我々の予測では六兆円以上ぐらい減るだろう、今後とも傾向としては減っていく傾向になる、こういうふうに思っておりまして、今の十一・幾らですか、そのシェアがさらに低下するだろう、こういうふうに思っております。
伊藤副大臣 御指摘がございますが、やはり仕組みが違っておりますので、私どもとしましては、公社の方々に、民間の生命保険会社のセーフティーネットに対して拠出を求めるということは考えておりません。
 それと、先ほど先生御指摘ございました公社の方の経営が、しっかり経営上、経営の健全性というものが担保されているかということでございますが、この点につきましては、私どもに検査の権限の一部が委任をされていることになります。この委任を受けて、私どもとしましては、民間金融機関を検査している当庁のノウハウというものを活用して、そしてこの任務を遂行していきたいというふうに考えているところでございます。
平野分科員 いずれにしても、私は、国民の視点、さらには民間事業、事業体という立場から国の事業を見ていると、やはり正常な姿に戻してほしい。だから、将来民営化になっていくという方向にもし歩むとするならば、これは肥大化した民間企業になるんですよ。そのときに、この簡保というのはどうするんですか。競争原理が働かないですよ。独占事業みたいになりますよ、これは。
 したがって、私は、公社化という歩みを踏んだわけでありますから、少なくとも公正なルールによる、市場原理がしっかり働く、こういう業界、マーケットにしていただきたい。
 本来ならば簡保なんてもう廃止ですよ、要らないとすべきですよ。民間が十分補完できますよ、今。昔だったらできなかったかもしれません。しかし、今では十分に津々浦々の市町村に全部民間の業態が入っていっています。そういう中にあって、これはもう民間に任せていく事業体であるということも強く私は検討をしていただきたいと思います。
 伊藤さん、よく知っておりますから、もうちょっとやはり金融庁としても、省庁間の壁の中で語らずに、もっと全体のものとして、やはり片山大臣に、立派な人ですけれども、言っていただいて、正常な姿に戻していただくことが一番今国民が求めていることなんでしょう。特に、やはり不安になりますと、銀行でもそうですが、取りつけ騒ぎが起こってますます悪循環の状態を起こしますから。
 もう時間が参りましたけれども、最後に、ぜひとも、やはり自由な、公正なマーケットに対しては、民間だから官だからという格差を設けずに、自由に、競争原理の結果いい発展をしていくように強く望みまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
山口主査 これにて平野博文君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子君。
北川分科員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。よろしくお願いします。
 きょうは、九九年の改正住基法及び先日来から問題となっておりました全銀協のパンフレットの件についてお伺いをしたいと思うんです。
 まず最初に、全銀協が二月十日付で出した「本人確認法事例・解釈集の訂正について」というのがあります。その中で、「当該コピーを破棄する。」ことというふうに明記をされているんですが、この点については、金融庁にも先日確認をいたしましたが、了解をしたというふうに言っておりました。総務省はこの文書の作成にどうかかわっていらっしゃったんでしょうか。
畠中政府参考人 事実経過ですので私の方から御説明させていただきます。
 今月の六日に全銀協から先生御指摘のQアンドAを出されているということを私どもが承知しまして、早速全銀協と、最終的には金融庁も交えて、その訂正方について種々協議いたしておりますので、この訂正の文書を全銀協が出されたということについては、私ども内容も含めて確認しております。
北川分科員 ということは、竹中大臣がおっしゃったように、総務省の指摘を受けて文書を作成したと。それを金融庁も認めたということですから、両省庁がかかわったというふうになるんですけれども。
 先日の竹中大臣のお言葉によると、指摘を受けてやったので、その後のこと、特に私が問題だと思っている「当該コピーを破棄する。」という文書が書かれている、もう指示を全銀協が各銀行窓口に出しているんですが、この部分は金融庁の責任ではなく、総務省の責任だというふうに総務省は思っていらっしゃるんでしょうか。
畠中政府参考人 これも事実経過ですので私の方から御説明いたします。
 先ほど、六日の時点で判明してから、早速全銀協、それから最終的には金融庁とも議論したということを申し上げましたが、その議論の過程で私どもから、そういう、先生御指摘のコピーを破棄する、してもらいたいというような発言をしたことは事実でございます。
 ただ、この文書を出されたのは全銀協でございますので、私どものそういう発言を受けて全銀協の責任で書かれたというふうに承知しております。
北川分科員 ということは、総務省の方が責任があるという御回答を今いただいたと思うんです。
 そうしますと、竹中大臣は、いつ調査に着手したかとお伺いしましたら、二月二十一日にしたというふうに言われたんですが、二月十日の時点で既にもう不適切といいますか、違法に収集した住民票コードの通知書のコピー、それを破棄することを命じているというふうになると、何を調査しようとしたのかというのがわからなくなるということで、先日来お伺いをいたしておりまして、その時点で竹中大臣に、住民票コード通知書には何が記載してありますかと言うと、彼は四情報だというふうに御発言を、回答をされたんです。
 ここの時点で大臣自身が、四情報というのは今もう限定された使われ方をしておりますよね、氏名、住所、性別、生年月日。というふうになると、住民票コードの通知書にあるんだという御認識がないんだなというのを確認できたわけですけれども、総務省から見ると、この金融庁の対応、それは整合性を欠いているのではないかというふうにお認めにはならないのでしょうか。
 告知をしたかどうか、告知を要求することは違法なわけですね。既に告知の間に時間差があるわけです。窓口に来た人のコピーをとっているというような、そういう形が残っていないことには、それをまず破棄しなさいと言ってから二十一日に調べるわけですから、証拠を破棄してから調べてもわかりませんよね。窓口に来た当事者、銀行利用者が何らかのアクションを起こさない限り、私は、告知を求められたということを言わない限りわからないという点において、十日にもう既に廃棄命令を出している通知書、今も総務省の責任だというふうに明確に言われましたので、それから二十一日に調査をするということには整合性が欠けると思うのですが、その点、いかがでしょうか。
畠中政府参考人 先ほど私が申し上げましたのは、そういうコピーの破棄等について、そういう議論の過程で私どもの方からそういう発言をしたということを申し上げて、文書を出されたのはあくまでも全銀協でございますので、全銀協の責任で出されたということを申し上げたわけでございます。
 それから、整合性を欠くんじゃないかという御指摘でございますが、住民基本台帳法上、違法または不適切な行為があったかどうかについて調査を行うこととする場合、現に全銀協が調査を行っておられるということは聞いておりますが、必ずしも、その住民票コードの通知書の写しがなければ調査できないということではないというふうに私どもは考えております。要するに、本人確認書類として、何の書類で確認したかという事実が残っておれば、それは何も通知書のコピーまで残しておく必要はないというふうに考えておりまして、金融庁なり全銀協の対応が不整合だというふうには考えておりません。
北川分科員 では、通知書のコピーというのは証拠にはならないというふうにお考えになっているということですね。
 通知書のコピーではなくて、通知書の番号を写すということを銀行窓口がしていれば、それは調査の対象に足る、何かそういう、番号を写しているとか、どういう形で告げたか告げないかということの部分では、一番の、最もわかりやすいものではないかというふうに思うんですよ、通知書のコピーというのは。
 ましてや、総務省はお言葉で、いや、コピーは破棄してもいいんですよということを言ったと。言ったから、言ったとおり全銀協の方が書かれて、それは金融庁も、両方とも、二月十日の分も昨年出された分も、すべて金融庁のある一人の担当者が見て、オーケーを出しているわけですから、そこのところは、全銀協に責任があるのではなくて、口頭でコピーの破棄をいいと言った総務省に責任があるというふうに思うんですが。
畠中政府参考人 ちょっと私の御説明が不十分で申しわけございませんが、私どもがコピーの破棄ということを発言した趣旨をちょっと御説明させていただきたいと思います。
 要するに、住民票コードにつきましては、住民基本台帳法上、告知を求めてはいけないというふうに書かれておりますので、それは、告知を求めることは違法の疑いがあるということで、そういう訂正をしていただいたんですが、仮に告知を求めて住民票コードの写しをとっていた、そういう報告はちょっと今のところ私ども聞いておりませんが、とっていたということになれば、違法な行為によってその情報を収集したということでございまして、民間で使っちゃいかぬという住基法上の趣旨が可能性としては損なわれ、ひいては本人のためにならないということで、私どもは、本人のため、それから住民基本台帳法の趣旨から、仮にそういうコピーを、写しをとって保管しておられれば速やかに破棄していただきたいという発言をしたわけでございまして、あくまでも、それは住基法上の趣旨、それから本人の利益を考えてしたわけでございます。
 それで、ちょっと長くなって恐縮ですが、住民票の写し、コピーがなければそういう調査ができないんじゃないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、銀行側がどういう方法で本人を確認し、どういう書類でその事実を残しているか、つまびらかには承知しておりませんが、私の聞いている範囲では、何々の書類で本人確認をしたという記録を残しているんじゃないかというふうに聞いておりますので、その記録を見れば、例えば運転免許証で本人確認した、それから健康保険証で本人確認したということがわかりますので、それで、仮に住民票コードの通知書で本人確認したという記録があったとした場合は、それはそれで、そういうことをした事実は判明できますので、何も写しを、コピーをとって置いておくという必要性はないし、むしろ適切ではないということで申し上げた次第でございます。
北川分科員 今ずっとお聞きしていますと、違法な個人情報の収集であるということはお認めになって、一番それを端的にあらわすのは、コピーというものが残っているかどうか。しかしそこは、別にそれがなくても、何で認知をしたかということの書き取りがあればいいんじゃないかとおっしゃるわけなんですけれども、その整合性がいかばかりのものかということを厳密に調査するという必要性においても、このコピーしたものを破棄したらいいということを十日の日に出すというのは、私は、やはり市民的なルール、ましてや住民基本台帳ネットワークというのは、ことし八月二十五日が本格稼働であるがゆえに、多くの市民や国民というのはすべからく理解が深まっているわけでもないし、ましてや省庁間の、金融庁の担当の部署が認識していなかったという点が追及されているわけですから、いわんや、市民にはまだまだそこまで徹底をしていないということであれば、先ほどいみじくもおっしゃった、違法な個人情報の収集であるといった点においては、そのコピーの破棄をしていいということを言うような態度というのは混乱をもたらしますし、違法にやはり破棄を命じたというふうにつながっていくと思います。
 これが難しいのが、みずから進んで提供した場合と告知を求めた場合がどう形跡が残るかというところにおいて、九九年の条文がすごくあいまいな規定なわけですねというふうになると思うんです。
 次は、大臣にお伺いをいたしたいわけですが、住民がみずから民間業者に住民票コードを含む個人情報を提供した場合や、住民票コードを含む個人情報が漏えいされた場合に、民間業者が住民票コードを含む個人情報をデータベース化して自社利用することは禁止されていないわけですよね。みずから進んでやった場合や、民間業者が不当に漏えいしたか何らかの形で入手したものを自社ベースでデータベース化していくことは禁止をされていない。ここのところが九九年もすごく議論にはなったけれども、条文化はされなかったと聞いております。
 そういう点において、今回の混乱も、違法性の度合いがどうなのか。ですから、みずから進んでやった場合は、総務省にお伺いしましたら、ずばり法違反ではないというふうにもおっしゃっていました。ということになると、改正住基法のもう一回改正というものが必要であるというふうに思うんですけれども、その点の大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 法律上だめだと書いていなければ、法的にはできるんですが、しかし、それは決して好ましいことではないですね。
 だから、例えば銀行で、告知を求めることは違法ですよ、本人が自分で、私はこうです、片山ですと、こうやって通知書を出すことは禁じていませんよね、法律は。しかし、それをもって銀行がチェックするということは、出す方もそれを受ける方も好ましくないんです。だから、それは我々は今後の指導ではやめてもらう、こういうことであります。
北川分科員 ネットワーク化ということ自身が認識がわかりにくい上に、まして電子データベースということで、自己情報コントロール権の問題がありますけれども、わかりにくい上に、告知を求めなければいいとか、あいまい規定がより一層民間業者の気の緩み、ましてや省庁の気の緩みとしてあらわれたというのがまさしく今回のケースであったと思うんですけれども、大臣はいいんだと……(片山国務大臣「いや、よくないと」と呼ぶ)よくないんだったら条文化する必要があるんじゃないですかと聞いたら、いや、いいんだ、条文化しなくたってそこのところは不適切ということでやればいいんだということなんですが、不適切という概念というのを盛り込んだことが今回の事象としても即座にあらわれたわけですから、条文化をしてきっちりと、法違反である、みずから進んでやる場合もいけないんですよ、あなたの情報を民間に伝えることはいけないんですよということをするべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。そして、ましてや民間ベースが、どういうふうに入手したかは別にしても、手段は別にしても、入手した住民票コードをデータベース化することは禁止をする。
 この二つは、私は条文立てすることが必要であるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 とりあえずは行政機関の確認のためにだけ使うんですから、法律上、目的外利用だとか、あるいは民間利用だとか名寄せというのは全部禁止しているんですよ。ただ、本人が出したものまで法律上明確には禁止しておりませんけれども、ほかのことからいって、そんなことは意味がないことになっているんです、制度上は。だから、そのことを特に書く必要はないんです。
 それから、委員、今回は全銀協のQアンドAですよ。我々が聞いているのは、全銀協はそういう確認の例はありませんと。しかし、これは調べてみなきゃいけません。調べてみなきゃいけませんけれども、ほとんど確認の例はない、何の苦情もないわけですよね。そうでしょう。ここで一カ月ほどQアンドAが外に出たわけですけれども、全銀協の我々に対する報告は、例がありません、苦情もない、トラブルもない、こういうことでございますので、今後とも我々は、法律で決めたこと以外は使わせないということでやっていきます。
北川分科員 そこがすごくよく御存じの方と、自分に苦情やトラブルを申し立てる権利があるかどうかということを知らない人の方が圧倒的に多い銀行利用者の市民や国民という概念の中にある人は、知らないことを、これを苦情として申し立てていいものかどうかというのは認識ができないわけであります。
 それと、本当に末端まで、たくさんの銀行があるから調査に時間がかかると言われたわけですよ。と言いながら、片山大臣は、いや、何のトラブルも上がってきていないと。そのこと自身が余りにもきっちりした調査をしていないというふうに見られると思うんですけれども、その点では少しやはりあいまいさが、末端にいくと緩くなって、結局は、民間と住民票コードがマッチングをみずから進んでやるという事態に対して総務省は何の法的根拠ももたらさない。ここが九九年の住基法の改正の中で一番議論を呼んだ点ではなかったかという点においては余りにも不作為であると言わざるを得ないと思うんですが、その辺はどうなんでしょうか、このことはより一層の混乱をもたらすと思いますけれども。
片山国務大臣 マッチングはできないんですから。基本の四情報ですから。四情報は、委員よく御承知のように、これは一種の公開情報ですよ、だれでも見られるんですから。
 ただ、問題は、四情報に住民票コードがついている、コードを変えた場合の変更情報がついている、こういうことでございまして、八月から施行しましたからこれで六カ月、七カ月ぐらいになりますけれども、今まで何のトラブルも生じていないです。トラブルが生じたのは、機器がちょっとおかしくなったりそういうことは、一億二千七百万も八百万もやっているんですから、私は少しは起こると言っているんですよ。しかし今、本質的な、情報漏えい云々の何のトラブルも起こっていないんです。福島県かどっかでジュラルミンケースが盗まれましたよ。しかし、それは三日か四日か、すぐ返ってきましたし、それから、番号、住民票コードは、委員、希望すれば幾らでも変えられるんですよ、固定じゃないんです。
 そういうことで、今回のことも私は全銀協の不手際だと思いますけれども、災いを転じて福となすように厳重に全銀協に言いましたから、全銀協も骨身にこたえたと思いますよ。金融大臣はもっとこたえた、あれだけ予算委員会でやられたんですから。だから、もう今後一切そういうことがないようにしっかりと対応してまいります。
北川分科員 いや、それは、一番こたえなければいけないのは総務省だと私は思いますけれども、今すごく気楽に御答弁いただいたなというふうに思うんですけれども。
 今たまさかおっしゃいました住民票コードつきの住民票、この要求というのは、去年七月十二日、総務省自治行政局市町村課長通知で、留意事項で、結局、「できる限り、住民票コードの記載を省略した住民票の写し等を交付することが適当である。」というふうに言われているんですけれども、今のところ、全自治体の何%ぐらいが、住民票コードつきの住民票を要求しているケースがあるかどうか教えていただきたいと思います。
畠中政府参考人 正確に何%という数字までは把握しておりませんが、私ども、先ほど先生おっしゃいましたように、告知要求制限とか利用制限等に係る規定が設けられておりますので、住民票コードつきの住民票の写しという請求があっても、市町村長は、これらの趣旨を十分説明して、その理解を得て、できる限り、住民票コードの記載を省略した住民票の写しを交付することが適当である旨通知も出しまして、趣旨も徹底しておりますので、何%かというような数字にはならないというふうに考えております。
北川分科員 これは今、番号を変えられるというふうに切り返されたんですけれども、番号は忘れるということがあると思うんですね。
 それで、住民票コードの入った住民票が欲しいと言われれば出さざるを得ないということのまたあいまいな部分になるんですけれども、これは、住民票コード通知書を民間で要求されても出してはいけないというのと同じように、住民票コード入りの住民票を民間に要求されたらだめだというようなことを市民や国民に伝えよう、そういうPRを含め、何らかの手だてをしようということは思っていらっしゃるんでしょうか。
若松副大臣 住基ネットの第一次稼働が昨年の八月五日でありますが、前後して私どもは、新聞、全国紙等を含めて、座談会等も含めてかなりのPRをさせていただき、とにかく民間に対しては、住民票コードのいわゆる収集等はだめであると何度も言っておりますし、これはいろいろな機会にこれからも続けていこうと思っております。そういう意味で、今回のこの事故があったわけでありますが、さらに徹底はしなければいけない、そのための努力を今後引き続きするつもりでございます。
北川分科員 とてもすごく抽象的にお答えになって、PRしているというふうにおっしゃるんですが、別に、自治体の窓口を回りましてもそういうPRをしたような文書を置いているわけでもなくて、竹中大臣のことを申し上げるのは悪いですけれども、竹中大臣自身がやはり住民票コードというものの意味合いをまだ本当の理解というのはされていないというような点からいくと、まず省庁間での認識というものの手配が必要であったというところにおいては、まだまだ市民へのPRなんて何もやっていないわけでありまして、その点は、住民票コード入りの住民票を要求することは、では、どうしていけないんだというふうにはならないんですか。住民票コード入りの住民票を要求することは個人の皆さんできませんよというふうにはならないで、不適切だけれども要求されれば出すんだという態度をとろうとするのはどうしてなんですか。
畠中政府参考人 法令の規定でございますので私の方から御説明させていただきますが、住民票コードが記載されている住民票の写しを請求できるのは、本人または本人と同一の世帯に属する者の写しが可能ということになっておりまして、第三者は住民票コードつきの住民票の写しは請求できないということになっております。
北川分科員 請求できないけれども、各自治体は請求するということを可能にすることは自治体の範囲でオーケー――えっ、住民票コード入りの住民票は要求できないんですか、市民は。
畠中政府参考人 第三者はできません。できるのは、本人と、本人と同一の世帯をしている者、同一の世帯にある者のみでございます。
北川分科員 私は、今までお伺いしていたのは、もちろん同一か本人が要求した場合ということでお伺いして、第三者がというふうにはお伺いいたしておりません。
 それで、たまたま今、世帯単位というふうにおっしゃったんですが、これは住民票コード通知書のときもあったんですが、世帯単位ではなくて個人単位にしてもらいたいという要求が市町村には届きました。そのことはいろいろなところで皆さんもう認識されていると思うのですけれども、この住民票コード、民間にはみずから進んで告知をしてはいけないということも含めて、告知をされたときにも答えてはいけないというものの住民票コードを、やはり個人単位で求めるというふうにするべきではないかと思うのですが、その辺の御検討はいかばかりでいらっしゃいますでしょうか。
畠中政府参考人 前からそういう御指摘があるということは承知しておりますが、これはそもそも、先生も御承知のことと思いますが、住民基本台帳そのものが、住民基本台帳法第六条にございますとおり、「個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければならない。」という規定になっております関係上、住民票コードにつきましても、これは個人ごとのコードでございますが、世帯ごとの住民票に記載するということにしておるものでございまして、その住民基本台帳の制度そのものからくるものというふうに御理解いただきたいと考えております。
北川分科員 これは、次にお伺いします百崎英、地方自治情報センターの理事でいらっしゃる方の去年の朝日新聞のインタビューにあるわけですけれども、国の代弁を僕はしてあげているのだというふうに言われて、こういうふうにおっしゃっているんですね。
 住民票コードを納税者番号に使えば、相当大きなメリットがある。導入するとすれば、一番使いやすいのが住民票コードだ。これは国民にもメリットがある。ですから、住民票がどこでもとれるとかは、どちらかと言えば端っこの話であり、小さな範囲で使ってもらい、安心感を植えつけてから段階的に拡大をして進むということを政府は考えている。しかしながら、反対の声やいろいろな声が聞こえてくるので、政府はまず小さなところからやる。僕は、政府の本音といいますか、もっと広げて拡大するのだということを代弁しているんだ。そういう記事が、全国版ではなくて関西版だけのインタビューで載りました。
 今、住民票コードというのが一つの事象だけを認証するものではなく拡大に、ここにはもう納税、私は兵庫県ですが、兵庫県も納税番号とマッチングをさせていくというのを県段階でもう検討しているということの情報も入れております。そういうふうになりますと、やはり個人単位でやるべきであるというのはもちろんですし、このインタビューの記事、これを代弁してあげていると。この方は住基法の改正のときに諮問委員会の委員をされていたということもありまして、このインタビューに対しての大臣の御感想といいますか、御見解はいかがかお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 住基ネットワーク制度の本質を理解していませんね。これは法律で決めたことしかやれないので、もし何かやろうとすれば国会で法律を直さないといかぬのですよ。こういう個人の意見を新聞に言われるということは大変迷惑です。本人に注意いたします。
北川分科員 時間が来ました。でも、九十三から二百六十四に拡大もあっという間にされました。
 この方は、元行政管理庁の、元総務庁の行政マンでもいらっしゃったということもありますので、注意で済むというふうには思わず、やはり本心である、代弁をしていらっしゃるというふうに思いますので、その点なども加味されて、個人単位の情報であるということと、やはり今回の全銀協の問題は、違法な収集を廃棄するというところまで総務省が認めたという点ではとても大きな禍根を残すというふうに思います。
 どうもありがとうございました。
山口主査 これにて北川れん子君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十八日金曜日午前九時より開会し、引き続き総務省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時七分散会


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