衆議院

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第2号 平成16年3月2日(火曜日)

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平成十六年三月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 植竹 繁雄君

      滝   実君    荒井  聰君

      石田 勝之君    生方 幸夫君

      仲野 博子君    細川 律夫君

   兼務 漆原 良夫君 兼務 斉藤 鉄夫君

   兼務 山口 富男君 兼務 照屋 寛徳君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   内閣府副大臣       佐藤 剛男君

   総務副大臣        田端 正広君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原田 正司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)  大野 慎一君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)  有冨寛一郎君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 杉山 篤史君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     城内  実君

  石田 勝之君     仲野 博子君

  生方 幸夫君     荒井  聰君

同日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     尾身 幸次君

  荒井  聰君     高山 智司君

  仲野 博子君     山田 正彦君

同日

 辞任         補欠選任

  高山 智司君     生方 幸夫君

  山田 正彦君     石田 勝之君

同日

 第一分科員斉藤鉄夫君、第三分科員漆原良夫君、第五分科員照屋寛徳君及び第八分科員山口富男君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

植竹主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算及び平成十六年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)分科員 おはようございます。公明党の斉藤鉄夫でございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 先日、中古自動車にかかわる税について御相談をいただきました。私も大変に重要な問題であると思いまして、総務省の御見解をきょうはお伺いしたいと思います。

 古物営業法第三条一項の許可業者となる中古自動車販売業者によって下取りまたは買い取られた中古自動車は、再度使用者に転売する間、道路運送車両法に基づく届け出、いわゆるナンバープレート、このナンバープレートを返納することなく、一時的に販売業者の自己名義にした上で、在庫商品として古物台帳に記載し、展示、販売という流れになるそうであります。しかしながら、これら在庫している中古自動車の税金についていろいろ論旨一貫していないところがあるのではないか、こういう御指摘をいただきました。

 まず、中古自動車販売会社が在庫している普通自動車については、年額の十二分の三、すなわち三カ月分の税が減免されておりますが、軽四輪自動車については、毎年四月一日時点で在庫がある場合、年額すべてが販売会社に課税され、一切減免措置されていない現状だそうでございます。地方税である自動車税の徴収については、各地方自治体の判断で行うものでありますが、このような軽四輪自動車への課税について、既に課税免除を実施している自治体もございます。

 そこで、まず初めに質問ですけれども、現在、商品であって使用されていない軽自動車等、いわゆる中古軽自動車の軽自動車税を免除している自治体を総務省としてどのように把握されているか、現状をお伺いいたします。

板倉政府参考人 軽自動車税の課税免除につきましては、平成十二年に、地方分権推進の観点から、他の課税免除に関する同様な通達とともに通達を廃止いたしました。したがいまして、中古商品自動車に対する軽自動車税の課税免除につきましては、市町村の判断によって行われるということになっております。

 このため、本件に関しまして私どもの方で調査は行っておりません。その課税状況については把握をしていないということでございます。

斉藤(鉄)分科員 わかりました。把握はされていないということですね。

 我々も全部知っているわけではないんですけれども、例えば鳥取県の米子市とか境港市とか、三千三百のうち十数自治体だろう、このようなところまではつかんでおりますが、総務省として把握されていることはないということですね。

 地方税法第六条に、「公益等に因る課税免除及び不均一課税」の中で、「地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。」とございます。

 また、平成十二年十一月に発行されました「市町村諸税逐条解説」における軽自動車税の課税免除の中では、「構造的、機能的に、道路運送車両法に定める軽自動車等の基準に該当するものであれば、地方税法上は、軽自動車税の課税客体となるものであるが、しかし、新車・中古車にかかわらず商品であって使用されていない軽自動車等、未だ流通段階にあり、使用段階に至っていないものについては、」地方税法第六条の規定に該当するものとして、「条例で課税対象から除外することが適当であろう。」との解説がなされております。

 そこで、軽自動車税の課税免除におけるこの解説について総務省の御見解をお伺いいたします。

板倉政府参考人 軽自動車税の性格でございますけれども、財産税としての性格と、道路損傷の負担金的な性格、この両者の性格をあわせ持った税であるというふうに考えております。

 したがいまして、商品であって使用されていない軽自動車につきましては、道路損傷負担金としての性格から考えますと、課税を免除することに合理性があるというふうに考えられるところでございます。

 このことから、従前は、取り扱い通知におきまして、「商品であつて使用されていない軽自動車等に対しては、課税しないこととすること。」といたしまして、具体的には、道路運送車両法の規定に基づく登録を行っていないもの、いわゆるナンバープレートの表示のないものを想定いたしまして、その取り扱いを示していたところでございます。

 しかしながら、地方分権推進に伴いまして、基本的に課税免除は市町村の判断によるべきものであるということから、取り扱い通知の記述は、平成十二年度にその部分を削除したということでございます。

 なお、先生がお示しの市町村税の逐条解説におきまして、従前の取り扱い通知をもとに同じような趣旨の記述がされていたというふうに考えております。

斉藤(鉄)分科員 そうしますと、財産税という性格、それから、道路損傷に対する補償という性格、この二つがあって、道路損傷という面からすれば、確かに課税免除という考え方もあるけれども、財産税ということからすれば、ナンバープレートがついている限り課税の根拠はある、どちらをとるかは各地方自治体の判断に任せていると。今、難しい言葉でおっしゃったので、こういう理解でよろしいんでしょうか。

板倉政府参考人 ナンバープレートのあるものとないものというのが、まず大きく大別できると思います。

 ないものにつきましては、これは道路を走ることができないということになりますので、これは課税対象からは除外することが適当ではないかというふうに、もう従前から、これは軽自動車という定義の問題として考えております。

 他方、ナンバープレートがあるものにつきましては、従前の考え方を申しますと、これは、例えば試乗することができるとかいうことで、いつでも道路を走ることができるというようなこともございまして、そういうことを考慮いたしまして、基本的には課税となるんではないかというような考え方で従前は整理をしておりました。

斉藤(鉄)分科員 よくわかりました。

 これは質問通告しておりませんのであれですけれども、聞きますと、実態的には、四月一日にナンバープレートを外していれば課税がかからないということなので、三月の終わりに一斉にナンバープレートを外して返納する、四月一日が過ぎてからまた登録するというふうなことも現実に起きて、事務手続等、実利に結びつかない、経済の成長に結びつかない社会的コストが非常に高まっているという声も聞いておりますので、その点も考えて、これはあくまでも地方自治体の判断ですから、総務省が一律にこうしなさいというものではないというのはよくわかっておりますけれども、その点についても考えていただければと思います。

 それから次に、今は中古軽自動車についての税金でしたが、次は自動車税一般についてです。

 昭和三十三年の事務次官通知に、「自動車税の課税客体である自動車とは、道路運送車両法の適用を受ける自動車をいい、通常道路において運行する自動車をいうのであるから、その具体的認定に当たっては、道路運送車両法第四条の規定による登録の有無によっても差し支えないものであること。」という解釈がまずあります。

 このような解釈がある中、一方で、「自動車税法の原則は自動車に対し、その所有者に課税するとあり、まだ消費段階にいたっていない商品自動車は自動車税の課税客体から除外すべきであるが、現行法の規定上商品である自動車が当然課税客体から除外されると解することはできないので、条例において商品を課税免除することが適当である」との解釈もございます。いろいろな解釈が出回っているようでございます。

 そこで、自動車税を考える上でこのような二つの解釈をどのようにとらえていくべきか、総務省の御見解をお伺いいたします。

板倉政府参考人 今御指摘ございましたとおり、自動車税の課税客体であります自動車につきましては、御指摘のあった取り扱いの通達によりまして、「通常道路において運行する自動車をいうのであるから、その具体的認定に当たっては、道路運送車両法第四条の規定による登録の有無によっても差し支えないもの」との判断基準を示しております。

 この取り扱い通知は、登録がない自動車でありましても自動車税を課税すること自体を否定するものではないということでございますので、自動車税に関する解説などにおきまして、商品であって使用しない自動車については自動車税を課さないことが適当であるとするような考え方が示されているところでございまして、これらの自動車につきましては、都道府県において、地方税法第六条の規定に基づき課税免除されている例が多いものと承知をしております。

 登録を受けている自動車につきましては、運行が可能であるということから、一般的には、ここに言う、商品であって使用しない自動車には該当しないというふうに考えております。

斉藤(鉄)分科員 済みません。最後におっしゃったのは、プレートがついていれば、つまり、登録されていれば課税免除ということにはならない、条例によってもそう決めるということは適当でない、こういう御答弁なんでしょうか。

板倉政府参考人 従前の考え方を申しますと、自動車税につきましては、プレートがないものにつきましては、先ほどおっしゃいましたように、いわゆる自動車税の自動車には該当しないという解釈をすることもできると思いますし、他方、これは、全体として課税対象に含めた上で免除をするというような取り扱いもされていたということでございます。

 いずれにしてもそれは課税はされないということでございますが、プレートがあるものにつきましては、一応課税されるという前提で、従前、例えば十二分の三を軽減するとか、そういうような通知を出していたわけでございまして、課税対象になるのではないかという考え方については現在も変わっておりません。

斉藤(鉄)分科員 そうすると、この昭和三十三年の事務次官通知の考え方が基本的に生きているという御答弁だと思います。

 しかしながら、先ほど言いましたように、例えば軽自動車については、先ほどここで読み上げましたけれども、逐条解説等には、いわゆる道路を損傷していないという性格からして課税免除することが適当であるというふうな表現も出てきておりますが、そのことと、今おっしゃった、基本的にはナンバープレートがついていれば課税するんだということとの差ですね。そこが全体として論理的に完結しない体系になっているんではないかという御指摘だと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

板倉政府参考人 先ほども申し上げたつもりなんですけれども、要するに、軽自動車税も自動車税も、プレートのないものはいずれにしても課税されないということでございます。ただし、プレートのあるものについては、試乗なりなんなりすぐに道路を走ることができるというような状態でありますので、これは基本的には自動車税の課税対象になる自動車に含まれる、軽自動車としても含まれる、こういう考え方でございます。

 ただ、いわゆる地方税法の減免の規定は、課税対象になるものを、特定の公益的な理由ですとかその他の理由で減免をするという規定でございますので、これは、そちらの方の解釈で、それぞれの地方団体の方でそういう必要がどうしてもこの点についてはあるとか、別のこともたくさんいろいろ減免の理由はあろうかと思いますけれども、やっているものについて、そういう取り扱いは別の世界の話で、もともと課税になるものを減免するのがその減免の規定だということであります。

斉藤(鉄)分科員 わかりました。

 基本的には課税なんだ、この三十三年の事務次官通知による考え方は。しかし、公益上の理由等によって各地方自治体の判断で減免することができる、こういう位置づけ。それで、いわゆる普通自動車については四分の一減免という措置があるんですが、ほとんどの都道府県でこれが課税免除ということにはなっていないわけですけれども、軽自動車については各地方自治体の判断に任されている、こういう理解。

 そうすると、最後に、これも質問通告していないんですが、普通自動車には四分の一の軽減措置がある、しかし軽自動車にはそれがない、もうゼロか一〇〇だ。この差についてはどういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。ちょっとこれは質問通告していなくて申しわけないんですが。

板倉政府参考人 自動車税につきましては、もともとが月割りで課税をするという税金でございます。したがいまして、従前、十二分の三を軽減ということで通達をしておりましたのは、その三カ月というのが適当かどうかはわかりませんけれども、通常三カ月程度は販売店に滞留をするんではないかという平均的な数字として十二分の三というのが使われていたようでございます。ただし、これにつきましては、先ほども申しましたが、この通達は廃止をしておりますので、事実上、都道府県がそれを継続してやっているということかと思います。

 一方の軽自動車税の方は、これは、ちょっと技術的な理由もございまして月割りではございませんで、四月一日の所有者に一年分、年の税として払っていただくということにしておりまして、そこのところがちょっと課税の仕方が技術的な理由で違っているということで、三カ月分というような考え方がとれなかったのではないだろうかなというふうに思います。

 それと、実際的な理由の一つといたしましては、自動車税の方よりも軽自動車税の方は相当に税額が安いといいましょうか低いということもございまして、そこのところもそういうことであったのかなというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、その辺のところは、十二分の三を含めまして、現在は通達上はもうなくなっておりますので、地方団体に任された分野であろうかというふうに思っております。

斉藤(鉄)分科員 はい、よくわかりました。

 この問題に関しての最後の質問ですが、地方交付税との関係ですけれども、自動車税を条例免除すると、税収入がわずかながら減額するだけでなく、これが基準財政収入額の算定に影響し、地方交付税そのものに影響するという指摘もございます。普通自動車については、中古自動車販売事業者が自動車税の賦課期日である四月一日現在所有している商品中古自動車については、日本自動車査定協会で商品中古自動車の確認証明書が発行されれば、自動車税の三カ月分が免除されるという制度がございます。これは先ほど言ったとおりですが。

 そこで、この自動車税の減免制度と地方交付税を算定する際の考え方について総務省の御見解をお伺いします。

瀧野政府参考人 普通交付税におきます自動車税の基準財政収入額の算定についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、都道府県ごとの課税対象の台数に一台当たりの平均税額を乗じて基本的には算定いたしますが、その際、今も御指摘ございましたけれども、全国で減免が行われているということを考慮いたしまして、身体障害者などに係ります課税免除などとあわせまして、中古自動車販売業者の所有する自動車についての減免分も加味しまして、全国一律の割り落とし率を乗じて算定するということといたしておるところでございます。

斉藤(鉄)分科員 わかりました。

 それでは、自動車税の関係についてはありがとうございました。

 次に、消防庁の関係の質問をさせていただきます。

 私、広島でございまして、瀬戸内海沿岸に沿っていろいろな石油コンビナート等がございます。先日、それらを視察したときに、大型石油タンクの保全をしている技術者の方々とちょっと懇談をする機会がありまして、ある意味で生の声を聞いてきたわけですが、そこからわいた疑問をちょっと質問させていただきます。

 一昨年、原子力であの東電の問題が発生しました。これはいろいろな問題があったんですが、最初の問題は、原子炉の中にあるシュラウドという、炉心で温められた水がうまく流れるように、その流れをつくるためのシュラウドというもの、そこにひびが入った。もちろん初めはなかったわけですけれども、途中で入ったわけです。それで、入ってそれが見つかったんだけれども、規定上、シュラウドにはひびがあってはならないという規定があって、それをそのまま出しちゃうとシュラウドを交換しなきゃいけなくなる。しかし、現場の技術者だったら、別に、構造上大きな、重要なところでないシュラウドにちょっとひびが入ったぐらいで、全然問題ないわけです。これは、私、専門でない技術者でもそう思います。であるならば、ここは何とか表に出ないようにしようということがああいう大きな東電のトラブルにつながったわけですけれども、同じようなことが石油タンクの検査にもあります、こうおっしゃるんです。

 つまり、新設時の基準、これはもうまさにできたばかりですから、ひびが入ってはいけない、溶接部分も完璧でなきゃいけない、これは当然なんですが、経年した後のいわゆる保安基準、維持基準についてもそれが適用されていて、結果として、ちょっとでも傷があれば底板を全部かえなきゃいけなくなって、むだなコストを生じている。これは、ひいては日本の産業力、そういう石油関連産業の競争力をなくしてしまうのではないか、このような指摘があったわけです。

 この石油タンクについて、設置時の基準というのは当然あるんでしょうけれども、維持基準というのはそもそもあるのか。原子力の場合は、あの東電の問題が契機になって維持基準がつくられることになったわけですが、この石油タンクの場合は、経年した後の維持基準というのはあるのか。もしあれば、どういうものなのかを簡単に教えていただけますでしょうか。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねのございました維持基準というものにつきましては、例えば、設備の運転開始以降にその維持のために適用する技術基準、こういうものを指していると思いまして、御指摘いただきましたように、原子力施設につきましては、現在維持基準というものが導入されております。

 しかし、石油タンクにつきましては、原子力施設で導入されているような維持基準は現在はございませんで、石油タンクは、消防法上屋外タンクという形で位置づけられており、容量千キロリットル以上の特定屋外タンクに関しましては、御記憶のように、昭和四十九年の水島の重油流出事故を踏まえまして詳細な技術基準が定められておりまして、設置時に、完成検査という形で、これらの基準に適合していることを市町村長等が検査するというのが、まず第一段階、設置時の対応になっております。

 それ以降、石油タンクにつきましては、設置後は、タンクの容量に応じてでございますけれども、定期的に市町村長が行う保安検査という制度が位置づけられております。また、事業者がみずから行う内部点検という形も行われておりまして、設置時に必要とされる技術基準に適合するよう維持されていることを検査あるいは点検する、こういう形になっているのが現行の制度でございます。

 この技術基準あるいは保安検査等につきまして、今御指摘いただきましたような維持基準のようなものがもしあれば、設置時の技術基準を守るための厳格なものが必要ないんではないかという御指摘なり、あるいはそういう御意見をお聞きになったものと思いますけれども、私ども、現状を見ますと、我が国の屋外タンクの保安レベルというのは、現在のこの制度で大きく維持されておりまして、私どもとしては、関係者ともお話をしたところで、維持、堅持していくべきではないかと考えております。

 といいますのは、特定屋外タンクを有する事業者の皆さん方が、特に、内部検査等を含めましてタンクの技術基準の維持に非常に熱心に努力をしていただいておりまして、実態を見ましても、検査で発見される問題箇所というのは屋外タンクの場合は極めて少ない、そしてまた、改修の必要性があるなと思われるものにつきましても、非常に軽微なものにとどまるような実態になっております。

 そういうことを含めまして、現在の状況では、原子力施設に適用されるような維持基準というものをつくる必要はないのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、御指摘もいただきましたし、そういう意見もおありのようでございますから、こういう維持基準というものが石油タンクにつきましても必要かどうかという点につきましては、そのメリット、デメリット両面から今後とも勉強させていただきたいと思っております。

斉藤(鉄)分科員 原子力と石油タンクを必ずしもすべて同列に論ずる必要はないと私は思いますけれども、原子力の場合は、現場での技術者の裁量がもう少し生かされてもいいのではないか、また、現場で、明らかにこの基準は安全側に過ぎる、オーバーセーフティーに過ぎるというふうに技術者が思っていても、なかなか現場の技術者の意見が通用しにくい、そういう風潮があったそうでございます。アメリカでは、原子力についても、ある意味では合理的な基準が現場の技術者の提案によってそういう委員会がつくられて、現場の技術者の意見も反映された維持基準がかなり古い段階からありましたけれども、日本の原子力については、全くそれがなかったということが一昨年の東電の事故に結びついたと私は理解しているんです。

 それと同列に石油タンクが論じられるかどうかわかりませんけれども、ぜひ、そういう現場の声もあるということを御認識いただいて、できるだけ合理的な基準、そしてそれが、ひいては日本の産業力を伸ばしていくことにもなると思いますので、御検討をよろしくお願いいたします。

植竹主査 答弁求めますか。

斉藤(鉄)分科員 もしあれば御答弁を。

林政府参考人 そういう御意見もいただいておりますので、我々、また勉強もしてみたいと思っておりますが、今後、石油タンクのあり方に関しましては、私ども、現状のままでいいと思っているわけではありませんで、例えば、新しい技術として、生産性を上げるような観点からになるかもしれませんが、より耐久性のある、よりコストのかからない、あるいは維持管理が容易な材質によるタンクの基準はいかなるものが考えられるのかというようなことも研究の必要があると思っております。

 新しい技術の導入等に対応した技術基準のあり方につきましては、今後とも、また専門家の御意見もいただきながら検討を深めてまいりたい、こう考えております。

斉藤(鉄)分科員 終わります。ありがとうございました。

植竹主査 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋分科員 社会民主党の照屋寛徳でございます。

 きょうは、最初に、自治体病院における医師の確保の問題、あるいは離島、僻地の医師不足の問題等々について質問をしたいというふうに思っております。

 朝日新聞の調査によりますと、自治体病院のうち、医師の確保に困難を来しているというのが八割にも上るという報道がございました。

 私も、離島県というか島嶼県、沖縄に住んでおる者として、この自治体病院の医師の確保の問題というのに非常に関心を持っておるわけでありますが、やはり、離島、僻地というハンディがあっても、医療を受けるということについて不平等が生じてはいけないだろうというふうに私は思うわけであります。

 一方で、医師を確保するのに困難を来しているせいでしょうか、自治体病院が医師確保のために多額のお金を大学の医局や教授に渡すような事件というか事例もあるやに聞き及ぶわけでありますが、自治体病院における医師確保の実態について、まずお教え願いたいと思います。

麻生国務大臣 照屋先生、これは深刻です。

 医師の不足というのを言っております病院は、いわゆる自治体病院協議会というところの数字だけを見ますと、自治体病院の約四割が医師の不足を訴えております。充足率でいきますと、約二割足りない、二〇%不足というのが実態であります。場所からいきますと、これは北海道、東北。御地の場合はいろいろ別の事情もありまして、病院の絶対量が少数でありますので、統計としてはちょっと当てはまらぬところもあるんですが、例の北大の病院が出ましたけれども、北海道、東北は特に深刻と思っています。

 加えてもう一点、これは見過ごされておりますけれども、診療の内容、医者が不足しておりますというと、医者もいろいろございますので、その中でいきますと、簡単に言うと、小児科と産科が特に問題と思っておりまして、急患を擁する部分というところになりましょうか、ここのところが非常に医師の確保が困難ということになっておりますのが実態であります。

 私どもとしては、言われたように、格差をなるべくなくすように配慮をせないかぬ、これは当然の務めなんですが、なかなかそこのところが、僻地または離島に勤務する医者というものが足りないということになってくるんですが、そう強制的に行けというものではありませんので、厚労省、それから大学病院を預かります文科省、それと私どもといろいろ話をさせていただいて、いわゆるネットワークのやり方とか、また、今、遠隔医療という言葉が技術の進歩で出てきておりますので、こういったものは今非常に鮮明に、デジタルハイビジョンなんというものを使いますと顔色まで全部きちんと出るような形の画像が鮮明にとらえられますので、遠隔医療によりまして指示ができたり、いろいろな形で技術的に補えるところが大分出てきた。

 とはいえ、やはり医師に直接さわって診てもらうというのは非常に大きな要素だと思いますので、この点につきましては、ネットワーク化を進める、各県の中で巡回、ネットワークをするとかいろいろなことを今考えて事を進めておりますが、なかなか簡単には進んでいないというのが実態です。

照屋分科員 麻生大臣は沖縄のさまざまな問題についても日ごろから大変御理解をいただき、また、いろいろと沖縄問題の解決のために御奮闘いただいていることに感謝申し上げますが、今大臣お触れになりましたように、沖縄は全国に比べて医師不足なんですね。特に離島の医師の負担が大きいという状況にございます。

 二〇〇一年十月現在で、人口十万人当たりの病院は、沖縄が七・一施設に対して全国は七・三。一般診療所、沖縄五十二・七施設に対して全国七十三・九。それから歯科診療所の数も、沖縄四十二・一施設に対して全国五十・五施設。

 一方、医師の数でありますが、二〇〇〇年十二月現在で、人口十万人当たり、沖縄が百八十七人ですね。全国が二百一・五人であります。歯科医師の数は、沖縄が五十三・八人に対して全国が七十一・六人と少ないわけで、特に、有人離島が四十二もあるものですから、離島の医師の負担が大きいということがございます。

 私も現在は幾つかの総合病院の顧問弁護士をやらせていただいておりますが、沖縄は戦後非常に医師不足で、特にアメリカの軍事支配下にありましたときには、大臣御承知のように、医介輔制度というのをアメリカがつくったんですね。メディカルサービスマンというか、かつて軍医の経験のあった人だとか獣医さんだった人とか、医師が不足なものですから、そういう人たちに、日本の医師制度とは違う枠組みで医介輔制度みたいなものをつくって、現在でも、ごくごく少数でありますが、活躍をしておられる医介輔がおられます。もちろん、離島の診療所で活躍をしているわけでありますが。

 復帰直後に、詳細、記憶が薄れるところもありますが、更新制度みたいなものがありまして、その医介輔の資格の更新手続を怠ったために、いわば医療行為に従事できない、医師法違反だということで摘発をされた事件を私は担当したことがございますけれども、ところが、正式な医師免許を持った人よりその医介輔の方が治療は上手なんだということで、地域の人から大変親しまれておると嘆願がございまして、私もその刑事事件を担当したことがあるわけです。

 いずれにいたしましても、大臣お触れになりましたように、私は、東北だとかあるいは北海道だとかの僻地の医療の問題、それから、沖縄のように一つの県で有人離島を四十二も抱えている離島県の医療の問題、ここにおける医師の確保というのは大変重要な課題だというふうに思いますが、改めて大臣に総務省としての対策についてお伺いいたします。

麻生国務大臣 離島におきます話は、海が荒れるとちょっとまたいかぬという話がついてきますので、これは多分雪で行けなくなるみたいなものですけれども、いわゆる僻地とはまたさらに違った難しい条件を抱えております。

 そういった意味で、ここのところは、離島、僻地に赴任してくれる医師につきまして、何か特別なことをやらぬと、もうけも少ないとかいろいろな話もこの辺のベースには出てくるところだろうと思います。そういった意味におきましては、これは私どもとしては、都道府県に対していわゆる地方財政措置というようなものを講じて、離島を多く抱える県につきましては、これは数字の上からでも、医療施設全体で八百七十六施設で常勤医師が八百九十一ですから、一・何とかという数にしかなりませんので、勤務体制やら診療等、結構大変なところだと思いますので、いろいろな形で地方交付税によります財政措置等々は行っております。

 さらに、この種のものにつきましては、新しい角度で、先ほどちょっと遠隔医療も申し上げましたけれども、いろいろなものを含めて考えねばならぬところだと思っております。

照屋分科員 最後に、自治医科大学の問題で、これは細かい論点かもしれませんが、私は、参議院におるときに自治医科大学に視察に行かせていただきました。その後、自治医科大学の教授をしておられた先生が沖縄に戻ってまいりまして、沖縄の北部の医師会病院の院長先生として頑張っておられることもよく承知をしております。

 きのう、レクが終わりまして後にインターネットでいろいろ検索をしておりますと、僻地医療の担い手養成の目的であるこの自治医科大学でありますが、卒業生が長野県内の僻地診療所には十三年間余り一人も勤務していないという実態もあったという報道がございました。

 自治医科大学を卒業して九年間でしたでしょうか、それぞれ知事が指定をするところで勤務をするようになっているわけでありますが、おおむねそれは、理念、目的どおり卒業生も離島、僻地の勤務に従事をしているんでしょうけれども、この長野の事例は恐らく特殊な事例だと思いますが、今、自治医科大学として抱えている課題というか解決をしなければならない問題とか、そういうことがございましたら、御意見をお聞かせ願いたいと思います。

瀧野政府参考人 自治医科大学についてのお尋ねでございます。

 先生御案内のとおり、僻地の医者を確保しようということで、都道府県が共同で自治医科大学をつくっておるわけでございます。今御指摘ございましたとおり、卒業いたしました後九年間は義務年限ということで僻地医療を中心に勤務していただくということとしておるわけでございまして、我々、現在の状況では、大部分の方はこの枠組みの中で勤務していただいておるというふうに考えております。

 九年終わりますと、もうそういう拘束はなくなるわけでございまして、その実態を見てみますと、その後も僻地にとどまっていただく方が大体四三%ぐらいはあるという数字にはなってございますが、今後、卒業した後の研修制度の充実とかいろいろなことがございまして、今非常に僻地の医師不足が問題になっているわけでございますので、そういった中で、この自治医科大学の定員というようなものをどういうふうに考えていくかとか、いろいろな課題が今後あろうと思いますので、医療担当省庁ともよく相談してまいりたいというふうに考えております。

照屋分科員 それでは次に、外国人配偶者の氏名を住民票の備考欄に記載することについて何点かお伺いをいたします。

 この問題については、かねてより国会でさまざまな議論があったということを私も承知いたしております。これらの議論を踏まえて、私なりに疑問点というか要望点を含めて質問をいたします。

 我が日本もいわゆる国際化の時代を迎えたわけでありますが、世界の国々との交流が広がり、いわゆるボーダーレスの時代というか、それが到来をしたことを実感するわけであります。当然のことながら、国際結婚もふえてまいりました。いよいよ二十一世紀の新しい時代に、日本も多元化というか多文化というか、そういう共生社会を迎えたのではないかというふうに思うわけであります。

 我が国に在留する外国人の居住関係、身分関係は、外国人登録法に基づいて、市町村に外国人登録を行って把握をするということになっておりますね。それから、日本国籍を有する者の身分関係の公証については戸籍によって行う、居住関係の公証については住民票によって行う、こういう仕組みであります。

 もちろん、外国人登録法を含むいわば出入国管理というんでしょうか、どのような法制度をもって出入国管理体制をつくり、あるいは外国人登録制度をつくるかというのは、これは私は極めて主権国家の主権にかかわる重大な問題だというふうに承知をしているわけであります。

 一方で、今言う国際化の時代で、国際結婚もふえる、日本国籍を持った者の配偶者が外国人籍を持っているということも多くふえているんだろうというふうに思うんですが、外国籍の者は、日本国籍の者と結婚して一緒に暮らしていても住民票にはその名前すら記載されないというために、さまざまな不便を生じ、トラブルを発生させているというふうに聞き及ぶわけであります。

 このことを受けて、先ほど申し上げたように、国会でも議論があって、二〇〇二年の三月十五日に「住民票の備考欄への外国人配偶者の氏名の記載について」という通知を発せられたようでありますが、この通知を発して後、当該市町村の窓口で備考欄への記載を要望したのに拒否をされたとか、そういう事例はございませんか。また、実態がどういうふうになっておるのか、そこらあたりを詳細をお教え願いたいと思います。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 先生、先ほど十四年三月十五日付の通知に言及されましたが、その前に私ども、平成九年に行政実例といたしまして、妻が外国人であっても住民票の備考欄にその旨記載することは差し支えないという助言をしてきたわけでございますが、先ほど先生御指摘の十四年の三月十五日の通知では、一歩進めまして、住民票の備考欄に原則として記載する、こういうふうな趣旨の通知をしたところでございます。

 したがいまして、市町村におかれては、備考欄の記載につきましては原則として記載するということでございますので、個別の市町村ではこの通知にのっとって適切に対応されているというふうに私どもは理解しておりまして、先生今御指摘ございました拒否されたというような事例は、私どもは把握しておりません。

 なお、外国人配偶者の氏名の記載の状況について総務省が把握しているかということでございますが、一々、三千二百の市町村について把握しておりませんが、そういう不適切な事例も聞いておりません。なお、そういう事例が仮にあるとすれば、私どもも改めてこの趣旨を徹底していきたいというふうに考えております。

照屋分科員 御承知のように、これらの外国人籍を有した者も、地方自治法第十条一項との関係では、それに定める住民であることは間違いないし、一定の所得があれば住民税も賦課されるわけですね。

 一方、先ほど申し上げましたように、我が日本国籍を有する住民の居住関係等の公証との関係で、住民基本台帳法三十九条の規定があるわけですね。この住基法三十九条で言う、「この法律は、日本の国籍を有しない者その他政令で定める者については、適用しない。」この三十九条の改正問題が総務省の中でも検討されているんだ、そういうふうにも聞き及ぶんですが、そういう事実はあるんでしょうか。もしあれば、この改正へ向けての検討状況を明らかにしていただきたいと思います。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 結論から申し上げて、三十九条を現在改正に向けて検討しているということはございません。これは、先生も先ほど御指摘のように、外国籍につきましては外国人登録法、日本籍の者については戸籍法と住民基本台帳法で身分関係とか居住関係を公証するという仕組みになっております。

 そういうことで、住民基本台帳法三十九条で外国人を適用除外しているというふうに私ども理解しておりまして、これを改正するということになりますと、住民基本台帳制度及び外国人登録制度のあり方そのものの抜本的な見直しが必要となるんじゃないかというふうに考えておりまして、慎重な検討が必要じゃなかろうかというふうに考えております。

照屋分科員 それでは、時間も残り少なくなってまいりましたので、地方財政と三位一体改革について二、三質問をいたします。

 共同通信が加盟新聞社と協力して実施をした、三位一体改革に関する、あるいは市町村合併等に関するアンケートの結果が昨日の新聞で報道をされておりました。

 これはかなり大がかりなアンケートで、四十七都道府県知事、六百八十一名の市長、それから五百四十七の村長、一千九百四十二名の町長、二十三東京特別区長など、三千二百四十人が対象で、そのうち三千二百十人から回答があり、回答者は全体で九九・一%のようであります。それから、沖縄を含む三十道府県では一〇〇%、未回答は三十市町村にすぎなかったようであります。

 このアンケートの中で、全体としては、三年間で約四兆円の国庫負担金を削減する改革の基本方針や、あるいは二〇〇四年度分として四千二百億円の税源移譲を決めた改革初年度の決着、これについてはいずれも厳しい評価になっております。

 地方交付税との関係でいいますと、実質、二〇〇三年度に比べまして一二%減となった初年度の決着については、余り評価しない、評価しないの合計が七六%、一方で、特例市以上の市では、評価する、ある程度評価するの合計が五六%と過半数に及んでおります。評価しない理由は、交付税削減の先行が六八%で最も多くて、次いで、地方財政の自由度が高まらないが二〇%であります。

 結局、国の税源移譲で自主財源の増加が期待できる都市部と、それから、人口や企業が少なく、税源移譲されても税収が見込めない地方との改革への期待度の温度差があるのかなということ。それから、小泉内閣における構造改革で自分の町が悪い方向に向かっていると考えている市町村長が実に六割に達しているという実態にございます。

 沖縄県でも、市町村の過半数以上が、平成十六年度予算を編成するのに大変四苦八苦をしている。大臣御承知のように、宮古の平良市においては第一次内示の段階で最初から赤字編成をして、総務省含めて大騒ぎになりましたけれども、これでは地方の切り捨てではないかというのが大方の、財政基盤の弱い市町村長あるいは市町村の受けとめ方かなというふうに思うわけでありますが、今申し上げたアンケート結果について、大臣の所感をお伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 今、照屋先生の御指摘のところですけれども、この新聞のあれを見ましても確かにおっしゃるとおりなんですが、簡単に言えば、人口の多いところ、人口二十万以上というようなところは、いずれも評価するという方が上回ったというところで、三大都市圏とか人口五万人以上では、よい方向などが上回った。逆に、過疎指定市町村では七三%が悪い方向ということになった。

 そういうふうになっておるんですが、基本的には、今言われましたように、いわゆる財政力指数という、財源基盤の弱いところの方に総じてショックが大きく見えるということなんだと思うんです。

 簡単に言えば、わかりやすい例で、例えば、公立の保育園というものに対する補助を切って、その分は税源移譲しましたということになります。そうすると、従来は補助金で二千万なら二千万来ていたところが、対象人口また対象企業が少ないために、地方税になりますと、従来二千万来ていたものが千万しかないということになります、人口が少ないということになりますと。そうすると大変やないかということが一番よく町村から伺う例です。

 まず、これにつきましては、今申し上げたようなきちんとした義務的な経費のものにつきまして、千万なら千万減ったとか五百万減ったというような町村につきましては、いわゆる地方交付税でその点はきちんと補てんをいたします。したがって、そこのところの上下はないということは、まず理解をしておられないところもいっぱいありますので、それならまた話は別やと言っていただく方も多い。

 いろいろ例を挙げていくと幾つでもございますけれども、そういった形で、これは三千百三十もありますものですから、いろいろ抱えておられる事情がその地域別々にございますものですから、多分、同じ沖縄の県内、同じ離島でも地域によってすごく差が出ていると思います。

 その中でも、その対応の仕方につきましても、保育園の例を今引きましたけれども、例えば公立保育園を三つ持って、同じ市内に私立の福祉法人が三つあったといたしますと、市長さんによれば、公立保育園を公設民営にしますというと、民はそれなりにみんな黒で運営しているところが多いものですから、公設の保育園の補助金として来ていた千万なら千万円が、民営ということにしますと、この公設に金は使わなくて、ゼロとは言いませんけれども、使う分ががたんと減る。民間はいわゆるアウトソーシングすることによって黒字でやっておる、したがいまして、その分だけは、仮に半分を私立に渡しますと、残り半分の五百万円は自分の、簡単に言えば税として入るわけですから、自由度のある税が使える等々、いろいろやり方がございます。

 その点につきましては、これはその種のところにぱっと頭が切りかわっていく首長さんと、何となくそれはもうきちっとして、これはやらないかぬと思っておられる方とはかなり差がありますので、私どもに対して、いろいろ市町村会やら何やらでお見えいただきますときに、いや、それはこうされたらいいでしょう、ああされたらいいでしょうと丁寧にいろいろお答えしておるんですが、一律に言え、もっとわかりやすく早う言えと言われても、市によって全然状況が違っておりますので、そこらのところはいろいろさせていただいております。結構お見えになる方、ここのところ日増しにふえておりますので。

 かつ、それでも足らぬというところにつきましては、地方再生債とか財政健全化債とかいろいろな形で八千億を用意したり、さらに、合併することによって向こうはもっと今度は浮く予定になってくるんだったら、その分だけあらかじめ先にということもできるよう等々、いろいろそこのところは柔軟に対応させていただいております。

 今、いろいろ御不満が、特に小さなところを抱えておられるところからは大きく出てきているというのはよく知っておりますけれども、ぜひその点につきましては、一件一件手間暇かかる話で恐縮ですけれども、内容を聞いて言っていただければ、私どもとしていろいろそれなりの対応はさせていただいております。

照屋分科員 ありがとうございました。

植竹主査 これにて照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口富男君。

山口(富)分科員 おはようございます。日本共産党の山口富男です。

 きょうは、地下鉄や地下駅の火災の問題、それからバリアフリー化にかかわる問題についてお尋ねしていきたいと思います。

 まず初めに、地下鉄道での火災対策の問題なんですけれども、昨年の二月に韓国の大邱市で、地下鉄一号線ですが、乗客の放火による火災で、死者が百九十二名、負傷者百四十八名という大惨事が起きました。この原因としましては、車両自体が大変燃えやすかったことですとか、ワンマンカーで、運転手さんが乗客の避難誘導をしないで真っ先に逃げちゃった、そのほか数々の対応のまずさがありました。この件では、私、そういう乗務員の対応のまずさにとどまらずに、排煙設備の問題ですとか、避難方向がきちんと確保されているかという問題ですとか、検討しなければいけない問題がたくさんあると思うんです。

 特に日本の場合は、東京、大阪、名古屋を初めとしまして、大体大都市部は全部地下鉄が縦横に走っているわけですね。それで、私が資料をいただきましたところ、今は十一地下鉄事業者で五百七十五の地下駅がある。地下鉄事業者以外でJRや私鉄も地下に駅を持っておりますから、これを含めますと六百八十四あるといいます。大変な数だと思うんですが、地下駅の場合は、御存じのように、地上の駅と違いまして、火災などが起きた場合に、その車両だけじゃなくて、その付近の駅で待っている乗客にも影響を与える。そういう意味で、いろいろな特別な安全の施策をとらなきゃいけないと思っているんです。

 それで、麻生大臣の場合、消防行政に責任を負う方ですので、これは本当の基本の基本なんですが、東京の場合、いわゆる営団地下鉄、これは一日大体どのぐらいの利用者数があるというふうに見ていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 一日平均輸送人員五百六十万人、これはちょっと一夜漬けもいいところで、習ったばかりで恐縮ですけれども。ついこの間、オウムの霞ケ関の話が出ましたけれども、霞ケ関駅で一日約十二万人、東京駅で十四万、一番多い池袋駅で四十七万という数になっております。平均輸送人員五百六十万人と聞いておりますけれども、これは、私が想像したよりはるかに多かったというのが正直な実感です。

山口(富)分科員 一夜漬けとはいえ、この数字が大変なものだということを大臣がお認めになったところが非常に大事だと思うんです。

 それで、消防庁長官にお尋ねしますが、消防庁は、昨年二月の韓国の大邱市の地下鉄火災を受けまして、地下鉄道の火災対策についてどういう検討や調査を行ったのか、これを示していただきたいと思います。

林政府参考人 地下鉄火災対策についてでございますが、御案内のように、昭和五十年の一月に、地下鉄火災の事故防止のための具体的な指導基準というものを、当庁と当時の運輸省との間で協議の上まとめて、関係者にお示しをいたしているところでございます。

 お触れになりました、昨年二月十八日に発生をいたしました大韓民国の大邱市における地下鉄火災は、放火事案ではありましたが、車両十二両が全焼し、百九十二名の死者を出すという大変痛ましい事故でございました。

 このため、消防庁といたしましては、我が国におきます安全防災対策について検証する必要があると考えまして、事故の火災対策設備の現況に加えまして、火災による被害の拡大を招いた原因であるとか、あるいは、被害の軽減のために必要な対策等はどうすべきか等の調査を目的といたしまして、消防庁職員と、それから消防研究所というところを持っておりますが、そこの研究所の研究員を現地に派遣いたしたところであります。

 現在、その調査結果を踏まえまして、私ども、地方団体にお示しをしております基準をさらに強化する必要があるかどうか、検討いたしているところでございますが、消防庁といたしましては国土交通省と連携して、今度のような放火火災を前提としながらも、主として安全対策上の観点から、幾つかの課題について議論を深めているところでございます。

山口(富)分科員 その基準の見直しについては、後ほどもう一回お尋ねしたいと思うんです。

 国土交通省に聞きますけれども、地下鉄事業者だけでなくて、他の事業者も含めて、地下駅における避難通路や排煙設備など、昭和五十年、一九七五年の地下鉄道の火災対策基準、これへの適合状況を調べたということですけれども、その結果について報告してください。

杉山政府参考人 昨年の二月に韓国の大邱市で発生いたしました地下鉄の火災事故を踏まえまして、私ども、我が国の地下鉄駅につきまして調査をいたしました結果、現在の地下鉄道の火災対策基準に一部適合していない駅が二百六十八駅ございます。全駅数は六百八十四駅でございますので、基準適合駅が四百十六、一部不適合が二百六十八駅、こういうことになっております。

山口(富)分科員 その数は、単純に計算しますと、四割近くの駅が二十九年前の基準に適合していないという深刻な事態だというふうに思うんです。

 それで、東京の営団地下鉄の場合に、国が五三%、都が四七%出資している特殊法人ですけれども、四月に新しい特殊会社に変わるという話なんですが、この国土交通省の発表を見ましても、百四十四ある駅のうち、一部でも基準に適合していないという駅が七十九あるんです。ですから、全国で見ますと四割近くあるんですが、首都東京に限って営団地下鉄を見ますと、五割を超える駅が基準にいっていないわけですね。

 私、この結果を見まして、実は、先週の土曜日なんですけれども、営団の地下鉄の駅を幾つか見てまいりました。私も、実は毎日営団の地下鉄の駅を利用していまして、ここの国会議事堂前駅の乗りおりをやっているんですけれども、特に丸ノ内線の場合は、一九五四年に最初に池袋―御茶ノ水間が開業したということで、大変古い地下鉄道になっているんです。しかも、この路線の特徴というのは、新宿から始まりまして、国会、霞ケ関、銀座、東京、池袋、先ほどオウムの例の事件の話もありましたけれども、非常にたくさんの乗客がこの路線に乗っている。一日平均で大体百万人を超えているんですね。

 では、この丸ノ内線についてはどうかということで、視察の結果は後で申し述べますが、火災対策基準に基づく排煙設備や避難路の確保など、丸ノ内線ではどうなっているのか、これを報告願います。

杉山政府参考人 ただいま、丸ノ内線につきましての基準の適合状況のお尋ねでございますが、先生、今御指摘にございましたように、丸ノ内線は大変古い時代につくられたものでございまして、現在の火災基準が昭和五十年にできたわけでございますが、それ以前につくられたということもございまして、現時点で申し上げますと、営団地下鉄丸ノ内線の地下駅、二十五駅ございますが、この二十五駅すべてが現在の火災対策基準には一部適合していないという状況でございます。

 多少詳しく申し上げますと、避難通路の基準を満たしていない駅が十一駅、それから、排煙設備の基準を満たしていない駅が二十四駅ございます。したがいまして、重複して不適合であるという駅が十駅ある、こういう状況でございます。

山口(富)分科員 大臣、驚くべき数だと思うんです、一〇〇%不適合なんですから。

 この丸ノ内線の中で特にひどいと言われております、中野坂上から方南町にかけての支線があるんですね。地下鉄はどこから入るかじゃありませんけれども、もともと車庫があったものですから、それを支線にしてつくったわけですけれども、ここがひどいんです。

 ちょっと紹介いたしますと、中野坂上、避難誘導設備が避難通路が一通路のみ。これは最低二通路なきゃいけないのに、一通路しかない。それから、排煙設備も各種基準を満たしていない。中野新橋、ここも避難通路が一通路だけ、排煙設備もだめ。中野富士見町、ここも一通路だけ、排煙設備もだめ。最後の方南町、ここは辛うじて二方向にあるんですけれども、ひどい急勾配の狭い階段なんです。それで排煙設備もだめというわけなんです。

 こういうところについては、今度の韓国の火災の経験からいきましても、早急な手だてを打って、基準を満たすように改善する必要があると思うんですが、この点、いかがですか。

杉山政府参考人 御指摘ございましたように、基準に適合していない駅が多数あるわけでございまして、丸ノ内線はすべてということでございます。

 それで、私ども、現在の火災基準に一部適合していない地下駅につきましては、これは基準の制定前に建設されたものではございますが、利用者の安全の確保を図るために早期に所要の火災対策設備を整備する必要があるという見地から、国土交通省といたしましては、平成十六年度から五年間で、基準に適合するようこれらの整備を義務づけるということにしているところでございます。

 なお、これらの整備を確実に行えるようにするために、大規模な駅の改良工事を伴うわけでございますので、そのために必要となる避難通路及び排煙設備の新設に対しまして、平成十六年度の予算案におきまして、その整備費用の一部を助成する制度を創設いたしまして国費三十億円を計上するとともに、固定資産税等を軽減する税制特例措置を講ずるということを考えておりまして、以上のような施策を講ずることによりまして、平成十六年度から五年間で基準適合を図っていきたいというぐあいに考えております。

山口(富)分科員 少し確認しておきますが、ことし三十億円という話がありましたけれども、これでどのぐらいの箇所数で改善が図られるんですか。

杉山政府参考人 三十億は初年度でございますので、どうしても調査設計が主体になるわけでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、不適合駅につきましては五年間ですべて基準に適合させるということでございますので、初年度三十億ということでございますが、これから額をふやしてまいりまして、所定の時期までには基準を達成するように努力をしていきたいというぐあいに考えております。

山口(富)分科員 どうも心もとない話で、調査でつけてあるが、はっきりした、見当としてどのぐらいまで見込めるかというのは、どうもお答えを持っていないようです。

 実は私、その中野の四つの駅を訪ねながらちょっと驚いたんですけれども、ここには、営団地下鉄利用者の会という会があるんです。これをきょう持ってまいったんですが、署名用紙なんです。韓国であの地下鉄の火災が起こる前から、避難誘導の通路をちゃんと二方向確保してくれという運動を地元の方がやっていたんですね。ですから、国土交通省が、この二十数年、もう約三十年です、その三十年前の基準で、それに適合しないのが丸ノ内線は一〇〇%、そういう事態があったのに、地元の住民の皆さんからこういう改善の要望が上がっていたのに改善されてこなかったという、これはやはり非常に責任が重いと私は思います。

 それではもう一つ、ここの中野坂上からの支線を訪ねまして驚いたんですが、七月からワンマン化の計画があるんです。既にホームドア、可動式のさくが設けられ始めているんですけれども、ところが、ホームを歩くとよくわかるんですけれども、カーブが大変多いんですね。それで、あそこの路線は三両編成と六両編成と両方朝夕走っておりますが、特に六両になりますと、車掌の席から前が全く見えないんです。何と驚くことに、途中にカーブミラーがあるんです。私はてっきりテレビのモニターで確認するものだと思っていましたら、それでも先が見えないから、途中にカーブミラーがあって、そして何とか見ようとしているんですね。

 となりますと、火災の対策や基準も満たしていない、ところが一路ワンマン化というのは、私は、甚だ住民の皆さんが不安に思うのも当たり前だと思うんです。

 それで、これは「中野の広場」という、地元で配布されているチラシなんですけれども、ここにこういうことが指摘をされております。「ワンマン運転では、運転士ひとりで、ドアの開閉からかけ込み乗車や急病人への対応、乗客からの問い合わせ、走行中の車内の暴力、苦情などに応じなくてはなりません。視力障害者や車イスなどへの安全対策もとれません。」ここからがもう一つ大事なんですけれども、「もともと丸の内線は、電力を天井からとる一般的な方式でなく線路内にある第三のレールから電力をとっています。」古いですから、三つ目のレールがあって、そこから電力をとっているんですね。「そのため線路に転落した場合、高圧電気(六〇〇ボルト)で感電死するおそれもあります。」そういうチラシなんです。私は、地元の皆さんのこの不安や危惧というのは、根拠があるし当然のことだと思うんですね。

 それで、国土交通省に改めて聞きたいんですけれども、ワンマン化に当たって、安全を確保するための基準や指導が必要になると私は思うんです。まして、この四つの駅の場合、火災基準を満たしていないわけですから、まず初めに手がけるべきは、火災基準を満たすというところから始めるべきだと思うんですが、この点についてはどういうお考えですか。

杉山政府参考人 今、丸ノ内支線につきましてのワンマン化のお尋ねがございました。

 営団地下鉄では、効率的な輸送を行い、経営改善を図るという観点から、丸ノ内の支線におきまして、旅客の乗降を監視するモニター設備等のワンマン化に必要な設備の整備を行った上で、十六年度中を目途にワンマン化を行う、こういう予定にしているわけでございます。

 今お話がございましたように、他方でバリアフリーあるいは火災対策が必要じゃないかというお話でございますが、もちろん、丸ノ内線の支線におきまするこういった火災対策あるいはバリアフリー対策につきましては、御承知のとおり、あの周辺、用地の確保がなかなか困難でございまして、また、大規模な工事が必要になるということから、ワンマン化運転の実施の前にこれを実施していくということはなかなか困難な状況にあるわけでございます。

 しかしながら、私ども国土交通省といたしましては、利用者の安全性や利便性を確保するため、火災対策については、平成十六年度から、先ほども申し上げましたように五年間で対策を講じるということでございますし、バリアフリー設備につきましても、やはり、関係者の協力、特に地権者の御協力が必要でございますので、こういった関係者の協力を得ながら、早期に整備が図られるように事業者を適切に指導していきたいというぐあいに考えている次第でございます。

山口(富)分科員 私がこの駅を訪ねましたときに、ホームではほとんど駅員の姿が見えなかったんです。今度のワンマン化に伴って、私が聞いたところでは、四つの駅で十五人の職員が削減されるそうです。

 この火災対策でいいますと、鉄道の場合は消火栓も持っているわけですけれども、私が実際に地下鉄の電車を動かしている方に聞きましたら、それだけ減らしちゃって、いざ火災になる、消火栓はある、仮に排煙設備もあるとして、人がいなくなって一体だれが動かすのか、こういう話があるんです。

 その上、今ちょっと駅の名前は特定できないんですが、私が見てきたところでは、非常停止のボタンさえない駅もこの四つの中にはありました。先ほど、十六年度から三十億円かけてという話がありましたが、こういうところを直ちに改めるべきじゃないですか。

杉山政府参考人 今、非常停止ボタンのない駅があるという御指摘がございましたが、私ども国土交通省といたしましては、平成十三年一月に、御承知のとおり、山手線の新大久保の駅で人身障害事故がございました。これを踏まえまして、同年二月に、ホームドアや可動式ホームさくが設置されている場合を除きまして、列車速度が高く、運転本数の多い駅を対象といたしまして、非常停止ボタン等の設置、ホーム下の退避スペースの整備等につきまして、全国の鉄道事業者に対しまして通達を出したところでございます。

 そこで、この通達を受けまして、営団では、ホームドアのございます南北線等を除く全駅、百四十五駅に対しまして対策を講ずることといたしました。非常停止ボタンの設置につきましては、平成十八年度までに完了する計画を立てておりまして、現在のところ、七十四駅において完了しております。

 なお、今までお話のございました丸ノ内の支線につきましては、全四駅中三駅に非常停止ボタンが設置されておりませんが、営団では、本年三月中に四駅すべてについて可動式ホームさくを設置することとしておりまして、これによりまして、ホームからの転落事故に対する対策として考えているところでございます。

山口(富)分科員 最後の答弁は納得いかないですね。だって、非常停止ボタンと可動さくというのは全く機能が違うんですから。この点は、私は、きちんと早急に非常停止ボタンを設置するように、特に、ないという三つの駅、これは国土交通省としてきちんと監督指導していただきたい、こういうふうに思います。

 先ほど、消防庁の方から、地下鉄道の火災対策基準の問題でこの見直しを図っているというお話があったんですが、これは現状はどうなっていますか。

林政府参考人 消防庁と国土交通省が連携いたしまして、今回の事故を踏まえまして、また、我が国におきます地下鉄の状況を踏まえまして、防災対策の強化策を検討しているところでございますが、私ども消防庁の立場から考えております問題点をその場で指摘させていただいております。

 幾つか申し上げますと、私ども考えておりますのは、各地下駅の排煙設備の能力等を踏まえた避難安全対策をどうするか、それからまた、消火器等のわかりやすい車内表示を含めました車両の火災安全対策につきましてどう考えるべきか、さらに、消防活動を迅速、円滑に行う必要があるわけでありますけれども、火災報知設備等の消防用設備は今の基準のままでいいのかどうか、あるいは、事業者との連携方策をどのようにしていくべきか、さらにまた、新しい課題といたしまして、お触れになりました、ワンマンカーの導入に伴う乗客の安全対策はいかに行うべきか。

 こういう、車両的な基準に加えまして、火災発生時のソフト面での対策についても検討を深めていく必要があると考えておりまして、私ども、三月中にも、早急にその検討結果をまとめて、関係者に周知徹底をお願いしていかなければならないと考えております。

 私ども消防庁といたしましては、現在の指導基準が遵守されることはもちろんでありますが、今回の検討結果を踏まえた対応が早期に図られるよう関係者に働きかけてまいりたいと思っておりますし、また、万が一にも、例えば不幸にも災害が発生する場合もあるわけでありますが、そのような場合に備えて、迅速な避難誘導等が行われて被害が最小限にとどまるような訓練も必要であると考えておりまして、関係者とも今後お話をさせていただきたいと考えております。

山口(富)分科員 きょうは、麻生大臣には随分詳しく地下鉄の駅の火災対策の現状を聞いていただいたんですけれども、確かに鉄道関係の所掌は国土交通省ですが、この分野では消防庁の果たす役割が非常に大きいと思うんです。ですから、基準の見直しとともに、火災対策の基準をきちんと満たすようにこれはしっかり仕事をやっていただきたいと思うんですが、その点、答弁願います。

麻生国務大臣 今、林の方から御答弁を申し上げましたように、三月中に、運輸省とのお互いの話のすり合わせをさせていただくということになっておりますが、要は、何でもそうですが、基準ができたらそれで安全というわけじゃないので、それをきちんと書いてありますように履行できるか否かというのは、ふだんの訓練もあるでしょうし、また心がけもありましょうし、いろいろなものがあろうと存じます。

 いずれにいたしましても、消防というか、車両火災とはいえ、そういったものに関しましては、私ども消防庁としては、駅という不特定多数の人が大量に入られる、五百六十万人ということになりますと、非常に範囲が大きいところでもありますので、私どもとしてはきちんと対応させていただきたいと存じます。

山口(富)分科員 では、私、残された時間をバリアフリー化にかかわる点について質問を続けたいと思うんです。

 私が訪ねた駅で中野富士見町という駅があるんですけれども、ここはエスカレーターもエレベーターもありません。それで、ちょうど車いすの方が利用されていまして、今は人数が足りませんから、周りの駅から駅員を呼びまして、四人がかりで階段を上がっていくというところをちょうど拝見しました。

 もう一つ、方南町という駅があるんですけれども、先ほどもお話をしましたが、階段が三回曲がるんですね。大変狭くて急で、これは、心臓破りの丘ならぬ心臓破りの階段なんです。それで、高齢者の方にお聞きしましたら、もうあそこは使えない、ですから、バスを使って遠くまで出向くような新しい道を考えているんだと言うんです。これはやはり、駅員のためにも、それから高齢者の皆さんや障害者の皆さんのためにも、地下鉄の駅でのエスカレーターやエレベーターの設置がもう欠かせないと思うんです。

 先ほど、用地取得の問題をめぐってなかなか難しいという話がありました。確かに、古い駅ですから駅の構造上の問題もあります。ですから、そういうところへの援助も含めて、エスカレーターやエレベーターの設置をこの丸ノ内線の支線の部分について早急にやっていただきたいんですが、この点、答弁をお願いします。

杉山政府参考人 今、営団の丸ノ内支線につきましての、エスカレーターやエレベーターの整備を至急にするようにという御指摘でございます。

 私どもも、鉄道駅におきまするバリアフリー化の推進というものは、これからの高齢化社会におきまして大変重要な施策であるというぐあいに認識しております。

 一方で、今御指摘がございました丸ノ内支線の中野新橋、中野富士見町駅、それから方南町の各駅の沿線というのは大変な密集地域でございまして、導入空間となる用地の確保が大変困難で苦しんでおります。こういったこと等から、現在のところ、残念ながらエスカレーターやエレベーターが整備されていないという状況ではございますが、私ども、沿線の地権者等関係者の協力を十分いただきまして、できるだけ早期に整備ができますよう、引き続き努力してまいるよう関係事業者を指導していきたいというぐあいに考えている次第でございます。

山口(富)分科員 時間がちょっと限られてきましたので、まとめて二つお伺いしておきます。

 今、東京都で目の御不自由な視覚障害者の方は、東京都に聞きましたら、手帳を交付されている方で三万六千人いらっしゃいます。昨日、私、この皆さんに集まっていただきまして、地下鉄の駅の利用でどこが一番今困っているんだという話をお伺いしたんです。そうしましたら、異口同音に出てきましたのは、点字ブロックの誘導なんです。

 実はここに、移動円滑化整備ガイドラインという国土交通省が出したガイドラインがあるんですけれども、ここにはきちんと書いてあるんですが、有人改札口に点字ブロックの誘導のラインを引きなさいというふうになっているんです。ところが、営団の地下鉄の中には、行ってみると、有人の改札口でなくて通常の改札口にそのラインが引かれちゃっているところがある。これはもう直ちに改善してくれという要望をいただきましたので、調べて、すぐに改善していただきたい。

 もう一点は、実はこのガイドライン自体に問題があるんです。

 私がきのういただきましたペーパーでいくと、その三枚目なんですけれども、点字ブロックの視覚障害者誘導用ブロックの敷設の例を示した図があるんですね。大臣、ちょっと遠くて見にくいかもしれませんが、ここの国会議事堂前の駅もそうなんですけれども、改札がありますね。実は点字ブロックがその前でとまっちゃっているんです。点字ブロックがそのまま敷いてあるところと、入り口でとまっているところがあるんですね。

 私は、なぜそういうことが起こるのかと思いましたら、例の中にそういうものが例示されちゃっているんですね。三つありまして、二つはそのまま行けます。もう一つはとまっちゃうんです。このことを聞きましたら、やはり視覚障害者の方は、この表示では、なぜそこでとまるかわからない、だから、これはほかの二例と同じようにきちんと延ばしてほしいと言うんですが、この点も含めて、改善の答弁をお願いします。

杉山政府参考人 点字ブロックにつきましてのお尋ねがございました。

 まず一点目の誘導の通路でございますが、御指摘ございますように、平成十八年の八月に、私ども、公共交通機関の旅客施設の移動円滑化……(山口(富)分科員「十三年です」と呼ぶ)失礼しました。平成十三年の八月にガイドラインを策定いたしておりまして、このガイドラインの中におきましては、今お話がございましたように、視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法につきましては、「改札口への線状ブロックの敷設経路は、有人改札口がある場合は有人改札口へ誘導する。」ことというぐあいに規定をしておりまして、国土交通省といたしましても、これに沿った整備が進むことが望ましいというぐあいに考えております。

 そこで、ガイドライン策定前に設置されました点字ブロックがあるわけでございますが、こういった点字ブロックの中には、有人改札に誘導していないというものも御指摘のとおりございます。私ども、ガイドラインの周知徹底に努めまして、改札口の改良等の機会をとらえまして、できるだけ速やかに改善が進むよう指導してまいりたいというぐあいに考えております。

 それから、二点目の点字ブロックの敷設の仕方の点でございますが、これにつきましては、今ちょっと私どもの手元に資料がございませんが、御指摘の点も踏まえましてよく検討してみたいと思っております。

山口(富)分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、この地下鉄火災の問題、バリアフリー化の問題、いずれも政治の責任が問われる問題だと思いますので、大いに仕事をしていただきたい、そのことを申し上げて、質問を終わります。

植竹主査 これにて山口富男君の質疑は終了いたしました。

 次に、仲野博子君。

仲野分科員 民主党の仲野博子でございます。

 本日は、麻生大臣をこのように近い距離で目の前にし、今、大変緊張しているところでございます。お聞きしますと、麻生大臣は大変親切に御答弁をいただいているということでありますので、私のこれからの質問に対しても多分親切な答弁をいただけると期待をして、何点か質問させていただきたいと思います。

 本日は、市町村の合併問題にかかわって何点か質問させていただきたいのでありますけれども、今、国が地方分権の受け皿として進めている市町村合併が、将来にわたる地域のあり方や住民生活に大きな影響を及ぼす最重要課題であるだけに、だれに強制されることなく、関係市町村の自主的な判断により進められることが何よりも重要であります。

 現在、あと一年以内には最終的な結論を得るべく、全国の多くの市町村で、法定協議会の立ち上げを含め、関係者は大変な苦労をされているわけでございます。合併を検討せざるを得ないことの最大の理由としては、行政の効率性を高めて、その中で合理化された行財政資本を住民サービスの向上に結びつけるというきれいごとではなくて、やはり各自治体の財政が今のっぴきならないところまで来ているからだということが本音でないのかな、そのように思っているわけでございます。

 しかし、この自治体の財政危機の問題は、来年度の予算編成をめぐり、もうあちこちの全国の自治体から、これでは自治体が沈没しかねない、そういう悲鳴に近い声が上がっているということも事実でございます。そういった意味で、本当に地方分権を実効あるものとするためには地方への税源移譲が積極的に行われなければならないこと、さらには、国の地方に対しての将来の財政、つまり交付税等がどうなるのかな、そういった不安が先行しているというのが本当に多くの声であります。

 そこで、現在大変な状況にあるこの地方財政の立て直しにどのように対応されていくのかをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 仲野先生は北海道ですか。

 基本的には、北海道、東北、いずれも厳しい条件であるということはもうわかった上での話とさせていただければ。

 先ほどの照屋先生のときにも話があっておりましたけれども、今回の町村合併の話、三位一体の話、いろいろあるんですが、この話の中で、財政力指数の高いところ、簡単に言えば人口二十万以上とか、もう少し細かく言えば人口五万以上とか、都市部と言われるところでは、総じて今回のあれは評価できるという声が多いのに対して、人口五万以下のところは、非常に不満が多いということになっておる。これは先ほど照屋先生が引かれたアンケート調査の例でも、共同通信の例だったと思いましたけれども、それは正しい、私もその感はあるだろうと思っております。

 そこで、大前提として、まず金がないから合併するというのではなくて、本来、今回の市町村合併、平成の大合併とかいろいろ表現がありますが、今回の合併は従来の合併と少し趣を異にして、何といっても、明治この方中央集権だったこの国家が、近代工業化社会の時代には中央集権というのは正しいシステムだった、結果としてはうまく作動したんですから、だからそれはよかったんだと思うんですが、どうやら、脱工業化社会と言われる、近代工業化が終わった次の時代、今の情報化と言われる時代においては、何もかにも集中する必要はないということになってきたのが、いろいろな国でも、国家が分裂していったり、ソ連が十五の国に解体し、ユーゴスラビアは六つに分かれ、いろいろなことをした背景の流れは多分これだと思うんです。

 そうすると国も同じでして、やはり地方で、地域の住民のことは自分で決めるという形にしないと、これが幸せですとか、三つのことをやれば大丈夫ですというようなものではなくなって、価値観も多様化してきたんで、それに合わせて地方でやるとなると、今度はその地方自体によほどの行政能力、またそれを裏づける財政能力、そして首長さんのリーダーシップ、経営能力と言ってもいいかもしれませんが、そういったものがそろわないと、そこに住んでいる人は、例えば自主財政権を与えられても全然対応できないということになりかねない。

 したがって、ぜひ、地方団体、いわゆる市町村団体がしっかりしていてもらわないかぬという大前提。その目的のためにどうするか、次にお金の話になるというんで、この金の話から入ってくるものですから、話が何だかさもしくて、何となく金がないから合併するかというのは、それは貧しい人ばかりみんな集まったってそんな豊かになるわけないんですよ。勉強できない人が幾ら集まったって勉強できることにならぬのと似たような話でして、貧しいのだけ集めて豊かになるかといえば、そうはいかぬ。

 ですから、私どもとしては、そういったところはよほどきちんとしたビジョンを持たないと、数さえ集めればいいんだ、そんなことにはなりませんよ。私どもはそこはそう思います。

 ただし、ここはただしがつくんですが、これを集めることによって規模の利益というのが出てくる、規模の利益。職員の数を減らせるとか、例えば、私どもで二市八町を今合併しようとしておりますが、これだけで、今地方議員だけで百七十五人かな、体育館借りてやるかというぐらい百七十五人でやるんですが、規定どおりいきますとこれは三十四人でやれるはずという形になっておるんです。仮に百七十何人が三十四人に減りますということは、それは百四十人ぐらいの議員の数が減りますし、また、九人の助役、九人の収入役は要らないということにもなります。

 いろいろなことで、合併した上で、かつ、きちんとスリム化するということをやってもらえると、きちんとできることになりますので、そこらのところまで絵をきっちりかいた上で合併していくということにならないと、ただただ合併して何の対策もしなくて、そのまま今までどおりだったら、それは余り意味がないんであって、合併した上で、行政能力がそれだけできたわけで、いい人材を残して、かつ、いろいろな形でのスリム化をやっていただかないと、きちんとしたものにはならないと思うんですね。そこはよろしいですか。

 そこのところまでいかないといけないんであって、ただただ集まって合併しても、その後で、財政の健全化のためにいろいろ努力をしていただかないと、ただただ集まればいいというのではいかないということだと思います。

 そこで、今そこらのところの理解がきちんとできていないと、目先の、何となく合併したら金が来るんじゃないかというような考え方だけでやりますと長くもちませんので、やはりきちんとした経営というもの、行政の運営というものをやっていただかなくてはならないだろう、私自身としては基本的にはそう思っています。

仲野分科員 ただいま大臣からお答えいただいたんですけれども、非常にわかりづらかったんですけれども、その自治体の行政、あるいはまた財政、経営の能力がなければ、その経営能力を発揮するのは自治体の首長であると。

 私が大臣に申し上げたいのは、地方分権とは何ぞやということなんですね。地方分権とは、その本質を大臣からもう一度お聞かせ願いたいと思います。

麻生国務大臣 地方が元気を出す、そのためには地方に自由裁量権を与える、自由にできるためにはそれを裏づける財源が要る。多分その三つが一つになるんだと思いますが、その上で、では、その地元にいる町民、市民に対して何が最もいいかということを自分で、東京にいるんじゃない、そこにいるわけですから、その人が考えて、その町のグランドデザインをきっちりやっていくということが最後に問われる能力なんだと思うんです。

 ですから、こっちが決めて、はい、公民館つくったら幾らとかいうのは終わった。だから、公民館は要らない、うちは体育館が要るんだとか、いろいろその地域によって全然違うんだと思うんです。それに対しては、おたくで今地方税を取ることができるようになったんだからその中でおやりください、たびたびにお伺いを立てるというんじゃなくて、自分の裁量でもってやれるようにするというのが本来の趣旨だと思います。

仲野分科員 そのように大臣今お答えいただいたんですけれども、確かに意思決定権というのは自治体にあります。しかし、今度、例えば公園をつくりたいという意思の決定、しかしその公園をつくるためには財源が要る。その財源を国が持たなければならない。

 そういった意味では、自治体というのは一番住民の皆さんのニーズをよくわかっているところであります。したがって、物事を決めていくことができる、それにはやはり、こういうものをつくりたい、例えば児童館をつくりたい、体育館をつくりたい、公園をつくりたい、しかし先立つものがなければできない。

 地方分権というのは、地方が自分たちの町をどう描くか、デザインしていくか、先ほど大臣も言われました。そういった意味では、やはり私が申し上げたいのは、この三位一体改革が今地方の財政危機に追い打ちをかけているということであるんです。

 私の北海道の釧路支庁管内、根室支庁管内も新年度予算案がまとまりました。どこの首長さんも、このままではもうやっていけない、そう言われているわけですね。そういったことについても本当に、過日、小泉総理の、地方の自立を目指す、そういった構造改革で自治体がどんな方向に向かっているのか。

 全国の首長、四十七都道府県知事、六百八十一市長、千九百四十二町長、五百四十七村長、二十三東京区長の三千二百四十人に対して、さすが大臣、もう既にアンケートをごらんになっていらっしゃいました。

 そういった意味で、今本当に財政悪化が著しい小規模町村では、地方切り捨てと受けとめており、地域からは、このままではもう経営破綻しかねない、企業だったらとっくにもう倒産をしているわけでございますね。

 そういった意味で、地方のこの生の声を大臣御自身がお聞きになっているのかどうなのか、お尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 先生のところを、現実、最近根室に行ったことないのでよく知りませんけれども、生活保護世帯率日本一、筑豊というところですからね、状況はしんどいですよ。多分おたくよりもっとしんどい。北海道では空知、ああいった地域だと思ってください、私のところは。そこから来ていますので、出身地域がそこですから、状況は多分もっと厳しいかなというのが率直な、私の選挙区の事情です。

 ですから、その種の話に関しましては結構よく聞いている方だと思っております。

仲野分科員 大臣は筑豊、産炭地ですか。

 私が大臣に申し上げたのは、今この三位一体改革の中で、本当に全国の首長さんたちが新年度予算を編成できない、このままではもう赤字再建団体に転落せざるを得ない、そういった全国の声を、大臣、あなたはお聞きになっているのかということであります。

麻生国務大臣 よう聞いておるつもりなんですけれども。聞いておるというのは、選挙区の事情もあるから、さらに詳しく知っておるということを言いたいんです。財政力指数からいくと、うちより悪いところってそうざらにないんですよ。多分日本で一番きついぐらいのところですから。そういった意味では、かなりしんどいところから来ていますので、よくわかっているとは思うんです。

 今どういうところが問題点なのかというところで、先生の場合も市町村長さんからいろいろお話を聞かれるんだと思うんですが、財源が組めないと言っている分に関しては、交付税の話と補助金の話と、いろいろありますでしょう。話がいろいろある。

 まず、地方税に移管されたけれども、おれたちみたいな人口の少ないところ、もしくは対象法人の少ないところでは、税源移譲されても取る相手がおらぬと。わかりますか。今までは補助金が二千万来ていた。税源移譲されたら二千万円税金が取れる、地方税ですから。ところが、地方税は、それを取る対象者の人口がいるところ、企業がいるところとないところじゃ全然違います。

 従来は補助金で二千万来ていたものが、地方税に移管しろというので移管したら、税は千二百万しか来ない。だって人口が少ないんだから。法人税は均等割で来ますから。そうすると、八百万少なくなるわけですよ。だから補助金の方がよかったということになるわけです。今まで補助金で来ていたときは二千万、それが税にかわったら千二百万になりました。というのは、人口によって違いますから。その差の八百万が大変だということをみんな言われる。一番、不勉強な町長さんは大体そう言うんです。

 ところが、その八百万円は国から交付税がつきます。そこはぜひ言っておいていただかなきゃいかぬ。交付税がそこへつきますから。わかりますか。八百万、前より減った分につきましては、それは別に地方交付税というものがそこに新たに乗っかりますので、トータルできちんと従来と同じものになります。

 ここのところが一番よく聞かれる質問なんですが、ここのところがよくわかっておられぬ首長さんというのは、実は読んでおらぬ人なんていっぱいいますので、ただただ従来どおりと思ったのがいきなり減ったというけれども、その分はちゃんと補助金のかわりに交付税で、減った八百万は来る、そういうことになっておるわけです。

 ですから、その点に関しましては、例えば公立保育園、従来は公立保育園は補助金が二千億行っていましたでしょう。それが、その分だけはそっくり地方税に振りかわりましたという例がそういう例ですが、その分は、足りない分は交付税で来ます。

 その点は、いろいろな意味で、従来とは違ったもので、縛られた形の二千億と違って縛られない形の二千億が来るわけですから、その分は地方の自由度は増すわけです。だって、その分は保育園に使おうと何に使おうとそれは自分の裁量ですから。公設だった保育園を民営化する、公設民営化するのも自由です。

 そういった形で自由な裁量がふえるというところが一番大事なところで、私どもとしては、そういった意味では、町村長さんもよくよくそういったことをきちんと新しいものを勉強しているところと全然していないところと、うちの町もいっぱいありましたので、全部分けて、はい、わかっている人はこっち、わかっていない人はこっち、うちは二十市町村ありますので、私ども、結構区別してやりました。

 そういったところでは、今言われる、予算が組めないと言われるところ等々にはそういう説明をした上で、なおかつ足りないところにつきましては、地方再生債等で八千億等々のものが別につくってありますので、そういったところも含めて考えていただければそうそうむちゃくちゃな話ではないんです。

 ただ、これは三千百三十の市町村、ばらばら、いろいろありますので、その点につきましてはきちんと、各市町村ごとに違いますので、個別に丁寧に今対応をいたしております。いろいろありましたら市町村課なりなんなりに言っていただければ、そこのところの対応は、こういったところにはこういうやり方があります、こういうやり方がありますと。不勉強な人は全然しておらぬですから。はっきり言って、しておらぬ。うちの町長なんか、もう全然していないのがいますので、そういうのに関しては、一々呼んで言う以外手がないんです。

 そういった意味では、一律紙をやって、これはみんなですよなんて言ったって、うちはこんなこと言ったって全然種類が違いますので、これはもう、まことに丁寧にやる、手間暇のかかる話ですけれども、やっていかねばいかぬものだと思っております。

仲野分科員 大臣、ただいまの御答弁を聞いていますと、勉強している首長さんと勉強していない首長さんがいる、勉強していない首長さん、いや困ったものだと。そんなことを聞いたら、多分、憤慨しないかな、怒らないかな、何を大臣はおっしゃっているのかなと。私、心配でなりませんね。

麻生国務大臣 そう言っておられる方もいらっしゃるかと思いますけれども、勉強してみたら、ああ、そうかとわかる方もいらっしゃると思います。これはもう人によって全然違います。

 だから、三千百の中で不満を持つ人もいっぱいいらっしゃいますよ。だけれども、同時に、ああ、やはりそうかといって理解していただける方もいらっしゃる、全部が全部とは思いませんけれども。少なくとも、首長さんもこれからの時代に合わせて地方自治体を経営するという才能が要求されることだけははっきりしていると思います。

仲野分科員 私に限られた時間は十一時五分までという紙が回っていますのであれですけれども、大臣は筑豊、私は北海道でありますけれども、端と端。

 北海道は、大臣も御存じのとおり、本州と違い、隣の町までは一時間もかかるというところが少なくないわけでございます。その少ない人口で広大な面積を有する市町村が多いことから、行政サービスの充実、行政の効率化という面から見ても、人口規模を基準にただ市町村合併を推進するということでは、これは実情に合わないところが出てくるわけです。

 先ほどの新聞のアンケート調査の結果でも、北海道では、合併をする理由というのが、本当にもう財政が苦しい、存続が難しいからという、これは全国平均の六二%を上回る、何と七四%という調査結果が出ております。合併せずに大半の業務を近隣自治体と例えば共同化する連合自治体の必要性を尋ねたところ、これは北海道新聞が独自のアンケート調査を行ったんですけれども、必要が六六%に上ったということです。

 そこで、北海道のニセコの逢坂町長が、合併後の旧自治体を独立した自治組織、連合自治体制度を創設できないかということにどのような見解を大臣がお持ちになっているのか。あわせて、そういった場合に支援するお考えがないのかをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 広域連合の話につきましては、これは結構昔から、ニセコのあれに限らず、苫小牧を初めいろいろ言ってこられたところだったと思うんですが、基本的には今ありますものでもかなり対応できるものがあるという点に関して、まず頭に入れておいていただきたいと思うんです。

 今新しく言われている問題点で、一番ちょっと問題点だなと思うのは課税権ですよ。その広域連合で決めて課税できるというようにしてありますでしょう、読まれたと思いますが。その課税権というものが少々、これは大丈夫かねと思うんです。今あります市町村連合の大部分のものは今の地方自治法で大体対応できるものだと思っているんですが、市町村連合がすべての事務を総括するというところと課税できるというところが、ここのところが少々問題なんだと思うんです。

 少なくとも、この話でいきますと、昔からよく言う、代表なくして課税なしという言葉がありますのは御存じのとおりなので、これを今やりますと、都道府県と市町村税とさらにもう一個、二層が三層になるという可能性が出てまいりますので、それは今の流れを逆に、さらに話を権威化する、判この数をふやすことになりますので、流れとしてはその二点が問題と思います。その他の点につきましては、私どもとしては、ほとんどのところは今の法律でできるというのが一点です。

 もう一点は、人口だけでやるのはいかがなものかという意見に関しましては、これはまことにごもっともで、人口で割った結果、北海道の何区でしたかね、端から端まで六百三十キロ、東京から神戸までが一つの選挙区ということになったわけでしょう。

 ああいったのは、人口割でやったのが正しいんだ、正しいんだとわんわん言う話に乗って、やってみた結果が巨大なものになったという一つの選挙区の例がありますように、人口だけでやるのがすべて善かと言われると、ちょっと待て。東京の水はだれが出しておるんや、これは利根川の水じゃないか、この水はおれたちがふだんからきれいにしてやっているから、おまえらがこれを飲めているんだと、茨城県の人だったら僕は言うと思うんですね。

 いろいろな意味で、人口の少ないおかげで森林が、また水が清流としてというようなことをいいますと、そういったものから考えると、人口割だけが正しくてというのは、正直なところ、この日本の国土のように三十七万平方キロメートルにこれだけの人口密度を持って、その七五%が中山間部ということになりますと、非常に偏在している形になる中にあってどのように公平感を保つのかというのは、人口割でやるのはいかがなものかというのが率直な感想です。

仲野分科員 昨年十一月なんですけれども、第二十七次地方制度調査会の答申におきまして、合併の進捗状況やあるいは市町村の具体的なニーズを踏まえて、基礎自治体のみによって構成される広域連合制度の充実等、広域連携の方策により対応することについて検討していると言われているんですね。

 現在の市町村合併が小規模町村合併で、消滅させることばかりが先行しているように思えてならないんですね。市町村が主体的に地域の実情に応じて選択、実施できるように仕組みを整えていくことこそが地方分権であると思いますし、また、麻生大臣にはぜひ、この連合自治体、市町村連合という考え方も念頭に置きながら、地方分権を改めて進める方向で努力していただきたい。

 それと、具体的に合併に向けてさまざまな努力をしたけれども合併の道を選ばなかった、自立の道を進む、そういった市町村に対して、国としてどのようなシミュレーションを描かれているのか、あえて見解を求めたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、大きければいいものではないというのは先ほど申し上げたとおりですし、人口割でやるのもいかがなものかというのも先ほど申し上げたとおりです。

 例えば、東京の一番端っこの南に、日本で一番南に人が住んでいるところは、御存じかと思いますが、九州ではなくて東京でして、東京の八丈島からさらに南に七十キロぐらい行ったところに青ケ島という島がありますが、人口百九十五人の小さな小さな島であります。ここに人が住んでおるというので、そこも独立した村なんですが、このところに住んでいるおかげで竹島みたいな話が起きないわけです。ここに人が住んでいるわけですから、日本人が。

 そういったところを合併しようといったって、それはなかなかそうはいかないのであって、そういったところは大陸棚の話とかいろいろなことを考えて、日本の国益を考えてここに住んでもらっているということによって、いろいろな意味で私どもの国益には沿うておるというところもあろうかと思いますので、ただただ合併させれば全部いいということを考えているわけではないんです。

 ただ、そこのところがきちんと独立して行政能力を持ち、財政能力をきちんと持つようにしてもらいたいというのが率直な私どもの願いでして、お題目につきましては最初に申し上げたとおりなので、細目につきましては大野の方から答弁をさせます。

大野政府参考人 地制調の答申を踏まえまして、まずは、現行の合併特例法につきまして、経過措置を一年程度設けるというふうなことをいたします。

 それから、新しい合併新法の工夫もいたします。それは、御指摘のような、いたずらに人口要件だけで合併を進めるということにはなりませんで、都道府県が合併構想をつくるという上で、小規模市町村も対象にいたしますけれども、地理的条件とか、これまでの合併に至らなかった理由、合併に至った理由等々を勘案いたしまして構想をつくっていく、それに従って市町村がみずから合併協議会をつくる、こういうふうな組み立てにいたしたいと思っております。

 市町村連合なり広域連合の話につきましては、御指摘のような工夫を随分調査会でも議論いたしましたけれども、成案には至らなかったので、今後の中でどうしていくかというふうなことが検討課題になっているわけでございます。

仲野分科員 質疑の時間が終了したという紙が回ってきましたので、ぜひ大臣には強い決意を持って、各自治体が不利益をこうむることのないように、本当の意味での地方分権というものをしっかりと進めていただきたいことを要望して、終わらせていただきたいと思います。三十分という時間は大変短かったです。

植竹主査 これにて仲野博子君の質疑は終了いたしました。

 次に、漆原良夫君。

漆原分科員 公明党の漆原でございます。

 きょうは、災害救助犬についてお話をお伺いしたいと思っております。

 まず初めに、日ごろから国民の安心、安全のために昼夜を分かたず御尽力をいただいております、消防庁、また内閣府の防災担当の皆さん、心から感謝を申し上げたい、こう思っております。

 早速本題に入りますが、まず、内閣府の皆さんにお尋ねしたいんですが、自然災害が突発的に発生したときに、予測の範囲をはるかに超える、こういう被害をもたらすこともあるわけでありますけれども、特にその被害が甚大であると判断した場合に、政府の対応の流れ、全体的な流れをまず確認をさせていただきたいと思います。

原田政府参考人 都道府県等で対応しがたいような大規模な自然災害が発生いたしました場合におきましては、政府におきまして非常災害対策本部を立ち上げることになっております。さらに、特に著しい大規模な災害の場合には緊急災害対策本部を設置するということになっておりまして、これらの本部におきまして各省庁間の連携を確保するということになっております。

 さらには、それぞれ現地対策本部を設けることができるということになっておりまして、現地における都道府県あるいは関係諸機関の防災活動との連携を確保するということになっております。

 以上でございます。

漆原分科員 消防庁に、災害時のボランティア団体の掌握についてお尋ねしたいんです。

 阪神・淡路大震災以降、国民意識の高まりから、ボランティアの参加による救助、救援活動がふえていると聞いておりますが、災害時の救助、救援に対するボランティアについて、行政側、特に消防庁、どのような掌握をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 災害時のボランティア活動は、被災地の復旧復興に貢献しようとする人々の自発的な意思に基づくものでございまして、阪神・淡路大震災の経験も踏まえまして、平成七年には災害対策基本法が改正されておりますが、その中でも、国及び地方公共団体における防災上の配慮事項として、災害ボランティアの活動環境整備を位置づけたところでございます。

 現在、消防庁におきましては、平成十三年の五月に始めたわけでありますが、これら団体からの申し出を受けまして、災害ボランティア・データバンクというものをつくっております。ここに登録されておりますボランティアの団体の数は、現在三百十九団体になっております。

 この登録内容は、団体の所在地であるとか、活動人員であるとか、活動内容であるとか、所持している資機材等についても登録をしていただくことになっておりますが、活動内容も多岐にわたっておりまして、例えば、ボランティアの中で、復旧復興活動を中心としたボランティア、救出救援活動を中心としたボランティア、避難生活支援活動を中心としたボランティア、あるいは救助犬ボランティア等々が登録されているところでございます。

 私どもといたしましては、このようなボランティアの活動が効果的かつ円滑に実施されるよう、側面的な支援を行うことといたしているところでございます。

漆原分科員 続いて、内閣府に災害救助犬についての基本認識をお伺いしたいんですが、先日、二月二十四日未明に起きたモロッコの震災では、我が国から、警察庁や消防庁、海上保安庁などの職員で構成された国際緊急援助隊とともに、災害救助犬二頭の派遣が報じられております。

 また、国内でも、昨年、熊本県の水俣市で起きた土石流の災害では、災害救助犬が行方不明者の捜索に加わって活躍したと報じられております。

 また、数例でございますけれども、地方自治体と民間救助犬団体とが災害救助の協定を結んで、地方自治体消防職員とともに、災害救助犬との連携を想定した災害救助訓練を行っているところもあると伺っております。

 また、災害救助犬は、主に、全国災害救助犬協会等幾つかの民間NPO法人等の団体と警察犬協会で育成されていると伺っておるところであります。

 そこで、この災害救助犬に関する内閣府の認識について、あるいはまた有用性について、概括的に少し詳しく説明をしていただきたいと思います。

原田政府参考人 お尋ねの災害救助犬につきましては、地震などによる家屋崩壊現場で被災者を捜索する地震救助犬、山での遭難あるいは行方不明者を捜索する山岳救助犬、海あるいは湖での遭難者救助に当たる水難救助犬などに分けられるところでございます。

 日本における災害救助犬の頭数でございますが、警察犬の中で、災害救助に活躍するいわゆる災害救助犬につきまして約三十頭ばかり保有をされておると聞いております。しかし、大半は、先ほど先生のお尋ねにもございました、災害救助犬に関する民間団体が登録を受け付け、あるいは育成をしておる、そういう団体によって維持されて保有されているものが数百頭に上ると聞いております。

 こうした災害救助犬に関する民間団体は、災害時において自治体と円滑な活動が行われるようにということで、協定をあらかじめ結ぶケースもございまして、現在、都道府県、政令市におきまして把握している限りにおきましては、石川県、福井県、兵庫県など七県、同じく、政令市以上の消防本部の中で、東京消防庁、仙台市消防局、さいたま市消防局、神戸市消防局などの消防本部において協定が結ばれておるというふうに聞いております。

 こうした災害救助犬につきましては、海外での活動事例及び最近における国内での活動事例から考えまして、災害救助に当たって一定の有用性を有しておるというふうに認識をいたしております。

漆原分科員 その有用性なんですが、災害が起きた、テレビで見ると、必ず、どこの国でも災害救助犬が活躍している映像がありますね。そういうことで、この災害救助犬、日本ではまだその有用性が十分認知されていないように思うんですが、内閣府の皆さんは、この災害救助犬が人命救助にどのくらいの有用性をお感じになっているのか、その辺の認識をお伺いしたいと思います。

原田政府参考人 先ほどもお答えいたしましたとおり、海外における活動実績を考えました場合に、災害救助犬が、例えば、倒壊した家屋の下敷きになっておる被災者を救助する地震救助犬の活動のように、一定の状況下、条件下で大変有効な機能を発揮するということは認識をいたしておるわけでございますが、実際の我が国における活動実績というものはまだまだの実情であるというふうに認識をいたしております。

 やはり、災害救助犬と、それを指揮するハンドラーと申しますが、指揮者と、そして現場の消防本部との連係プレー、そういうものが訓練等によりまして十分確保されていくということが必要不可欠ではないかというふうに認識をいたしております。

漆原分科員 今まで日本の災害の中で、特に阪神・淡路大震災は大きな災害でしたけれども、ここでこの災害救助犬が活躍したという実例とか、あるいはその他の被災地で災害救助犬が活躍したという実例、内閣府、消防庁、お持ちであったら教えていただきたいと思います。

原田政府参考人 全体像を把握いたしておるわけではございませんが、阪神・淡路におきましても、これは、外国のものも含めまして十数頭が活動をした。あるいは直近では、熊本県の水俣での活躍もございます。あるいは、山岳関係での救助活動に出動したという実例を聞いております。

 阪神・淡路以前では、私ども、現時点では必ずしも全体像を把握いたしておりません。

林政府参考人 私どもといたしましても、国内での実災害での経験、なされた情報は持っておりません。ただ、訓練は、いろいろなところでされているのは承知をいたしております。

漆原分科員 しっかりと、そういうボランティア団体あるいはその訓練団体、ハンドラーの方というんですか、その方と連携を密に保っていただいて、日本での実績を積み重ねていっていただきたいというふうに思います。

 実際の災害は基本的に予測不可能であります。どの地域でいつ起こるかわからない。その意味から、ただいまの御答弁にもありましたように、地方自治体と救助犬団体との協定がない場合、ある場合はいいんですが、ない場合が多いと聞いています。その際には、現場にその救助犬を移動する問題もある、あるいは、活動の場所に災害救助犬が立入禁止で入れない、こういう問題もあるわけですね。既に共同訓練等も行っている地方消防本部もあると聞いておりますが、この点について消防庁の御見解を聞きたいと思います。

林政府参考人 災害時におきまして災害救助犬との連携を図るような協定がなされている団体につきましては、それを前提としたいろいろな訓練なり取り決めがなされ、対応策が検討されているわけでありますが、御質問ございましたような協定がない場合、どうかという点でございます。

 協定がない場合については、いろいろ問題もございまして、お触れになりましたように、例えば、ハンドラーとの組み合わせでの活動が必要になるとか、あるいは、輸送手段とか現地での受け入れ態勢がどうされるか決まっていないとか、あるいは、救助犬の場合の特性でございますけれども、災害の事象によりましては、例えば、近くにいる救急隊員等の人間のにおいを検索場所周辺から消さなければなかなか活動がしにくいとか、こういうような課題をクリアしなければならないということになっておりまして、現場の対応、なかなか難しいところがあるとも聞いております。

 しかしながら、いざ災害が起こった場合、大規模災害時にも一定の有用性があるものと私どもは考えているわけであります。その際の一つの対応策といたしましては、とにかく救助隊員の協力が不可欠ということが大前提になりますので、これを前提といたしまして、一つの現実的な方法といたしましては、協定等に基づき災害救助犬団体と日ごろ訓練等を実施している地方公共団体があるわけでありますが、そこと連携を図ることによりまして、応援派遣される当該地方公共団体の救助隊員とともに、救助犬とハンドラーがセットで出向くことで活動をする、こういうことは考えられるんではないだろうか、そういう場合も想定をして、協定がない場合でも、有効性がある場合には救助犬の活用策等についても考えていきたい、こう思っております。

漆原分科員 内閣府にお尋ねしたいんですが、この災害救助犬の有効性については、現在、地方自治体の判断に任せておくだけじゃなくて、国としての調査研究を行って、災害の黄金の七十二時間というふうによく言われますね、ここが勝負のところですよね、災害から生存者の救出までに限られた時間の中で、捜索にもっと私は災害救助犬を活用すべきだというふうに考えております。

 また、災害の憲法とも言われる災害対策基本法、この中では、災害のどの段階においてだれが何をすべきかについて具体的に示されております。その観点からも、災害救助の一翼を担うべき救助犬の位置づけについて、内閣府に、現在での御見解または今後の見通し等についてお尋ねをしたいと思います。

原田政府参考人 災害時における人命救助に当たりまして、市町村、特に消防機関がその中心的役割を果たすと考えておりますが、民間のボランティア団体を初め、関係各機関の協力を得て人命救助に全力を尽くすということが災害対策基本法の考え方というふうに承知いたしております。

 それで、お尋ねの災害救助犬をどのように活用するかということにつきまして、一定の有用性につきましては私ども十分認識をいたしておるところでございますが、実際に有効に活動ができるためには、やはりハンドラーと、災害救助犬の特性、能力等を十分訓練によって把握している地元の救助隊との連係プレーが何よりも必要不可欠というふうに考えておりまして、この面での努力が今後必要ではないかというふうに考えております。

 したがいまして、私ども内閣府といたしましても、消防庁と十分協力いたしまして、地方公共団体が災害救助犬団体と連携して行う先進的な防災訓練の実施結果等を踏まえまして、地域における活用方策を検討するために、参考となるような情報を提供していく、こういった方法などによりまして、広域的な大規模災害時において、自治体と災害救助犬ボランティア団体との連携が図られるような仕組みづくりに協力をしてまいりたいというふうに考えております。

漆原分科員 この災害救助犬については、今のところ法的な位置づけはないというふうに私は見ているんですが、その点はどうですか。

原田政府参考人 先ほど申しましたように、市町村が災害時に救助活動を行うに当たりまして、民間機関を含めまして、幅広く協力を仰いで救助活動の実効を高めていくということが災害対策基本法でございまして、その中に救助犬の活動を支える民間団体も一般的には含まれ得るものというふうに考えておりますが、災害救助犬そのものを取り出して法的な位置づけをしているということではございません。

漆原分科員 そうなんですよね。要するに、災害救助の一つのツールというか、道具としての位置づけになっているわけですよね。

 それはそれで私はいいんだけれども、それが何らかの格好で法的な地位まで高まらないと、逆に言うと、災害救助犬が、法的な認知がないとなかなかこれから発展をしないというふうになりますね。政府の方も、法的位置づけがないから、まあ民間のボランティア団体に任せておけばいいやという感じの認識になるし、あるいはまた、位置づけがない分だけ、災害救助犬の認定をどうするのか、訓練をどうするのか、そういう努力もなかなか政府としてもしない。そうなってくると、やはり民間も政府も相まって、なかなか位置づけがしっかりしないものについては将来の発展性に欠けていくと僕は思うんだね。

 そういう意味では、災害救助犬の有用性について認識をしているというのであれば、もっと何らかの方法で法的位置づけをして、さらに、予算的な措置も含めて、災害救助犬の、日本として、政府としての育成を図っていくというふうな考え方に立ってもいいのではないかというふうに私は思うんですが、この点はいかがでしょう。

    〔主査退席、滝主査代理着席〕

原田政府参考人 繰り返しの御答弁になって恐縮でございますが、やはり、我が国におきましてはまだまだ活動の実績が十分とは言えないんじゃないか。現在、先進的な自治体消防本部で、災害救助犬団体との連携、そしてその具体の活動、その前に、訓練というものを積み重ねていただいておるところでございます。

 私どもは、そういった動きを助長するための努力はいたしてまいりたいということで、消防機関と災害救助犬の、あるいは災害救助犬を育成する団体との連携がより積み重ねられるということを期待いたしてまいりたいと思います。

漆原分科員 災害救助犬の有用性と広報についてお尋ねしたいんですが、先ほど来お話に出たとおり、全国四十七都道府県、また、三千有余の自治体すべてと各救助犬団体との協定、これは、自治体ごとの防災及び災害救助に対する認識の違いもあって、実際には難しいというふうに思います。また、予測が困難な災害時の救助現場において、被災者の立場に立ったときに、あらゆる手段を通じて、一刻も早く瓦れきに埋もれた被害者の救出が望まれることはもう言うまでもないことであります。

 技術の進歩によって、人間の体温を透視的に感知する機械の開発も、既に赤外線カメラとして、犯罪捜査の現場で活用される議論が欧米でなされていると聞いております。このようなハイテク技術は、犯罪捜査もさることながら、災害救助にも望まれるところでありますけれども、各地消防本部や災害対策の現場に配備する以前に、使い方によってはこれはプライバシーにもかかわってくる問題でありますから、国家の財政も考えればかなり現実性は難しいかなというふうに思っております。

 そういう意味で、いつ起こるかわからない災害、そして一刻を争う災害に備えて、少しでも早く、身近にある災害救助犬の能力を最大限に発揮する、また、発揮できる状況を構築していきたい、私はそういうふうに考えております。

 その意味で、国民にその有用性、また、訓練、活動について広く知ってもらうことも大事だと考えておりますが、内閣府にこの点についてお尋ねをしたいと思います。

原田政府参考人 現在、救助犬の活動団体が、例えば、昨年の九月一日に行われました、政府と八都県市の連携による総合防災訓練にも参画をいただいておりますほか、各自治体での防災訓練にも数多く参加されているやに聞いております。そうした防災訓練に積極的に参加いただくということは、訓練の効果だけではなくて、先ほどの先生の御質問の御趣旨でありますPR活動にも大変意義あるものというふうにまず受けとめております。

 このほか、私どもといたしましても、災害救助犬ボランティア団体と自治体との連携の事例とか、あるいは災害時での災害救助犬の活動事例などを私どもの持つ情報誌やホームページなどで積極的に紹介する、こういった広報活動を消防庁とも相協力いたしまして展開してまいりたいというふうに考えております。

漆原分科員 先ほど申しましたように、災害救助犬が何らかの法的な位置づけを持って、そして、国民の災害、一刻も早く現場に行って災害救助に当たるような体制をつくっていきたいと思っておりますが、この点について、消防庁それから内閣府の意見をちょうだいして、質問を終わりたいと思います。

林政府参考人 災害救助犬につきましては、例えば山岳等での遭難者や行方不明者の捜索など、個別災害時にはもう既に活躍をしていただいているわけでありますし、また、大規模地震災害時にも、先ほど来御答弁申し上げておりますように、一定の有用性があるものとの基本認識に変わりはございません。

 今後とも、消防庁といたしましては、関係機関、関係団体間の活動、訓練を積み重ねていく中で、それぞれの事象、あるいはそれぞれの地域の実情に即した連携協力を深められると考えておりますので、地方団体の訓練等を通じてその協力を深める中で、救助犬の有効な活用策が認知され、また、期待にこたえて活動していただけることを私どもとしても期待をいたしているところでございます。

原田政府参考人 私どもといたしましても、災害救助犬の活動事例がより多く積み上げられるということが先生の御趣旨にかなうものというふうに理解いたしておりまして、自治体と災害救助犬ボランティア団体、そして、救助犬の活動の事例を紹介するなどして、そうした動きが広まるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

漆原分科員 ぜひとも、自治体それから救助犬のボランティア団体との連携を深めていただいて、有効な事例を把握していただいて、そういう災害救助犬が一刻も早く法的地位を持って災害救助に当たれるように御努力をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

滝主査代理 これにて漆原良夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、荒井聰君。

荒井分科員 民主党の荒井聰でございます。

 大臣、初めて大臣と議論を闘わすわけでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、私たちは昨年の九月にマニフェストというものをつくりました。このマニフェストの中では、国の形を決めていく国家公務員制度というものを極めて重視しているという姿勢を打ち出しているところでございまして、「私たちのめざす社会」ということの中に公務員の早期勧奨退職慣行の是正ということをうたってございます。

 その中では、中央省庁においては、現状、五十二から五十三歳で退職していく早期勧奨退職慣行があります、定年を前に退職するがゆえに、第二、第三の就職先として特殊法人や公益法人に天下りしていく側面がございます、このような早期退職慣行を是正し、定年まで働く意思のある職員については引き続き勤務できるようにしますということを私たちはうたったわけでございます。

 このような状況の中で、現在、中央省庁ではどのくらいの勧奨退職があり、どのようなところに再就職をしているのか、第1種、特に課長職以上の方々についてどのような実態にあるのか、まずお示し願えますでしょうか。

戸谷政府参考人 公務員制度改革大綱におきまして、公務員の再就職の状況について透明性を確保するために、この状況について公表制度、平成十二年からやっておりましたが、さらに整備をいたしまして、平成十四年八月十六日から平成十五年八月十五日までの一年間、今回、この大綱におきまして、企画官相当職以上というところまで広げております。その状況でございます。昨年十二月に取りまとめて公表しております。

 該当する退職者の総数、千二百八十五人という数字が出ております。再就職先の区分ごとに見ますと、財団法人が三百八人、約二四%、自営業が二百八人、一六%、営利法人が百七十六人、一四%ぐらいでございます。それから社団法人が百四十六人というようなところが多くございまして、これ以外にもいろいろな場面に出ておられるということでございます。

荒井分科員 天下りというと、よく私たちが耳にするのは、関係業界の営利法人、営利企業に天下りをしているのではないかというふうな思い込みというか、そんな一般的な理解があるのですけれども、今お聞きしますと、財団法人それから社団法人で、全体の四割近くがこの分野に集中をしている。

 この分野はほとんど関係する省庁の管理下にある公益法人ではないかと思うのですけれども、そこはどうですか。

戸谷政府参考人 今回の調査では、それぞれの細かい点につきましては各省の方で公表しておりまして、私どもの方で取りまとめておりますのは、今申し上げた数字でございます。

荒井分科員 そのあたりが天下りの一番ポイントになっているんだと私は思うのですね。営利法人でも、関係省庁とどういう関係の営利法人なのか、天下りの特色というのはそこに一番端的に出てくるわけですので、その調査をぜひ次回までにしていただけるように要望しておきます。

 ところで、次に大臣にお聞きしたいのですけれども、このような早期退職慣行を是正して、定年まで働く意思のある職員は定年まで引き続き勤務できるようにするということが、私は、公務員制度全体、あるいは一人一人、個人個人にとっても、あるいは大きな意味では国、そういう形から見ても大変必要だというふうに考えています。

 政府も同じような考え方から、平成十四年の七月の総理の指示で、早期退職慣行の是正に取り組んでいるというふうに聞いています。実際にこの総理の指示によって、これは平成十四年の七月ですから一昨年になりますか、退職年齢は上がったのかどうか、効果はどうだったのかということをお聞かせ願えますか。

麻生国務大臣 御指摘のように、平成十四年七月に小泉総理からの指示を受けて、同年の十二月のいわゆる閣僚懇談会において、この是正につきましては基本的な合意が出されたところです。

 具体的には、1種を通った者の年齢は、平成十五年度から五年間で段階的に引き上げて、平成二十年度には原則として現状と比べ三歳以上高くすることという形になっております。

 それを受けまして、この申し合わせに沿って今いろいろ計画的に取り組んでおるところで、実際どうなったかといえば、平成十三年八月から比べてみますと、平成十三年八月から平成十四年八月までの平均は五十四・四歳だったものが、翌年では五十四・八に、約〇・五上がっております。

荒井分科員 私は、五年間で三歳まで上げるという目標、これは目標は目標として実施するわけですから目標としていいんだと思うのですけれども、ただ、その目標が適正なのかどうかということ。六十歳までに上げていく努力というのが、この五年間で三歳というのが果たして適正なのかどうか。

 このあたり、総理がお決めになったことですからいかんともしがたいところはあると思うのですけれども、総務大臣としてはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは国家公務員制度自体の、いわゆる給与制度の仕組み自体まで立ち入って考えないと、ただただ定年延長というのではいかがなものかと思っております。

 民間は、御存じのように、ある程度行ったらそこで給与上昇はとめて、それから先はずっと横に流すとか、いろいろな形にしております。公務員においても、同じように民間のその種の給与体系を取り入れる等、いろいろな工夫をした上で、優秀な方はなるべく長く使うというのは当然のことなのであって、私としては、優秀な人は六十歳まで使おうとするのもよろしいでしょうし、それは何もラインでそうなるからといって、スタッフとしての才能の優秀な方はまた別の給与体系でやる等々、これは民間でみんなしておりますので、そういったことも考えられないことはないのではないか、私自身はそう思っております。

荒井分科員 私は、公務員の給与体系をもう少し見直しをしていくべきではないかと。

 私も役所経験者ですけれども、役所時代で一番働いたというのは課長補佐ぐらいですよね。しかし、そこのところでの給与というのと、それから部長クラス、局長クラスになったときの伸び率というのは随分格差があって、そのまま伸ばしていくと、確かに六十歳まで定年にすれば人件費ばかりかさんでしまう。

 このあたり、民間はいろいろな工夫をしていると思うんですよね。ある一定限度のところでとめてしまう、あるいは、ある一定のところで一回雇用体系を変えてしまうとか、そういうさまざまな工夫がある。ありながら、公務員の、その人の持っている知識だとかあるいは専門性だとかをどうやって組織の中で生かしていくのか。これは、公務員制度設計の大きなポイントになっているんじゃないかと思うんですけれども、そのあたり、大臣、どうですか。

麻生国務大臣 これは私の担当ではちょっと言いがたいところなんで、公務員制度改革をやっておられる方の方が適当なんだと思います。

 民間でも、例えば新聞記者という極端な例がいいかもしれませんが、ジェームス・レストンという、たしかワシントン・ポストきっての敏腕記者の給料は、私の記憶では、キャサリン・グラハムという社長より一ドル安い。ただし、彼のポジションはというと、一記者、しかも政治部。ワシントン・ポストの一記者でありながら、彼の給料。そのかわり、彼はデスクについたことはない、生涯管理職はなしで、一現場記者だったんですが、このジェームス・レストンが出てくれば大統領でもしゃべると言われているぐらい。そういった特殊能力というものを評価して、ワシントン・ポストという新聞社はあれだけなものになったんだと思います。

 いろいろな意味で、やり方というのは、百数十年やってきた官僚制度というのをそっくりもとからやりかえるというのはなかなかなものだとは思いますけれども、少なくとも、今の時代に合わせていろいろな形の新しい試みがなされるというのは、僕は、人材を活用するという意味からも正しいと思っております。

佐藤(剛)副大臣 委員は農林水産省におかれて、また北海道庁等で大活躍をされたわけでございますが、私も官僚経験をいたしております。

 そういう意味で、よいも悪いもよく理解いたしておるところでありますが、皆やはり、国の、あるいはそれぞれの都道府県のためにということで試験を受けて、採用されて、そして退職を迎える。そこの中を、どういう形で、いわばむだなく効率的な観点を含めて進めていくか。公務員改革という問題は、退職勧奨だけではなくて、民との交流の問題であるとか、その能力をどういうふうにやるかとか、あるいは先ほど来委員御指摘の天下りの、早期勧奨の是正の問題とか、非常に多岐にわたる問題だろうと思うんです。

 そういう長寿社会の中において公務員制度をどうするかということで、私どもは、国家公務員の問題を担当する副大臣といたしまして、各界各層の意見、これは非常に重要なことだろうと思うんです。それを聞き、そして、労働組合初め、そういうところとの話し合いもいろいろ重ねまして、この問題に取り組んでいきたい、こういうことでございます。

荒井分科員 私たちは、マニフェストの中でさらにこう書いているんですね。

 官僚の天下りを禁止します。民間企業への再就職しか対象になっていない規制を、平成十七年度中をめどに、特殊法人などの政府関係法人等にまで拡大します。また、政権任期中に、国際労働機関(ILO)勧告にもとづいて、一般の公務員に労働基本権を保障する一方、人事院機能の見直しや公正な人事評価システムの確立などをすすめ、国民に開かれた公務員制度とします。同時に、局長以上のポストの民間等からの登用など政治のリーダーシップ確立と政策責任の明確化を実現します。分権の推進や中央省庁の機能・役割の見直しにより、国家公務員の省庁間異動や定数削減、高級官僚の手当等の見直しなどを順次すすめ、四年以内に、国家公務員人件費総額を一割以上縮減する効率的な政府に改革し、さらに分権の推進等により効率化と縮減を図ります。

 私、これは、小泉さんが今やろうとしていることととてもよく似ている。ただし、行革事務局が出されている、大臣認可によって天下りを認めていこうという、そこのところは大変違うんではないか。しかも、私たちは、今の行政に多くのむだが生じているというのは、特殊法人、あるいは財団法人や社団法人など公益法人に対する天下りが大きな原因の要素になっているんではないかと。

 今、社会保険庁の問題がいろいろ取りざたされていますけれども、営利法人よりも、これらの特殊法人あるいは財団法人などの天下りの方にむしろ大きな問題があるのではないかと私は認識しているんですけれども、そのあたり、佐藤副大臣、いかがお考えでしょうか。

佐藤(剛)副大臣 委員御指摘のように、天下りといいましても、いろいろ多岐に分かれるわけでございます。

 営利企業への再就職問題についてどのような形を持っていくか。企業との癒着が生じないよう、いろいろな形をとっていく。あるいは特殊法人とか公益法人への再就職について、この問題は行政改革等の一つの大きな課題でございますが、これらの法人というのが再就職の安易な受け皿になっているのではないか、そういう批判があるわけでございまして、そういう点について取り組まなきゃならぬわけでございます。

 これを現に、私どもは今、この問題についてどういうふうな仕組みでやっていこうかと。民間に行く場合、あるいは特殊法人等々、独立行政法人、あるいは民法の三十四条の公益法人に行く場合、いろいろ多岐に分かれますが、そういうことについて取り組んでまいっているわけでございます。

荒井分科員 きょうは人事院の方おられないので、聞けないんですけれども、営利法人に行く場合には、関係営利法人は二年間制限されていますよね。公益法人に対しては、今のところ何の規制もないわけですけれども、このあたりについては、行革事務局、現在の検討状況というのはどうなっているんですか。

春田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、佐藤副大臣の方からもお話を申し上げましたが、特殊法人とか公益法人、まさに、それらの法人がいわゆる安易な再就職の受け皿となっているのではないか、こういう問題につきまして、特に公益法人についてのお尋ねでございます。

 私ども、公務員制度改革大綱に基づきまして、国が所管するすべての公益法人につきまして、国家公務員の出身者でありますところの役員、これにつきましては、最終官職を公表するということを始めさせていただいております。

 また、特に国と密接な関係にある公益法人につきましては、これは国から委託であるとかそういうことを受けている公益法人でございます、こういった公益法人につきましては、いわゆる役員の報酬であるとか、あるいは退職金でございますとか、こういったようなものの水準、あるいは年齢の関係で、高齢まで働くようなことについては、一定のルールをやはり守っていただく必要があるんじゃないかということで、指導、要請をしているところでございます。

 私ども、こういったルールづくりに関しましては、特殊法人等に限らず公益法人につきましても、全体的にいろいろと不信にわたらないような形での対応をしてまいらなければならないというふうに考えてございます。

荒井分科員 どっちが鶏でどっちが卵かわからないんですけれども、早くやめさせるので就職先をたくさんつくらないといかぬ、その就職先として、今までは社会的に余り批判のなかった公益法人に求めていったという側面があったんだろうと思うんです。

 しかし、公益法人そのものが、行政との癒着というか、あるいはむだなものを生み出していく一つのポイントになってしまっているという側面があるということから、私は、国民的な大きな批判の的がここのところに非常にあらわれているのではないか、これを是正するためには、やはり公務員の定年の延長、早期退職慣行、この制度自体を大きく改めていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 さて次に、公務員制度改革そのものについてお聞きをいたします。

 公務員制度改革について、私、昨年の五月二十七日、もう随分古い時期になるんですけれども、小泉総理と笹森連合会長の政労会見、その後の連合幹部と石原大臣との会談、さらには金子大臣との会談で、政府と連合との協議の場を設けて協議することになっていたと承知をしております。

 昨年の六月二十六日の総務委員会において、当時の根本行政改革担当副大臣に対して、協議の場でしっかりとした議論を尽くし、協議が調うまでは法案を提出すべきではないということを申し上げ、根本副大臣からは、ちゃんとやりますという趣旨の答弁をいただいたところでございます。

 ところが、先週の二月二十六日の朝日新聞の朝刊によりますと、また、公務員制度改革関連法案について今国会提出を目指すという記事が掲載されております。政府と連合との間の協議というのが現状どうなっているのか。出すということは、協議が調ったという意味なのか、あるいは調うという見通しなのか。

 私は、公務員制度というのは国の形そのものだと思っています。国というのは行政府のことなんだろう。その行政府を構成する一人一人の制度設計でありますから、極めて大きな意味のある、それが拙速になされるということは、私は、後顧に憂いを残すことになると思うんですけれども、そのあたり、いかがでしょうか。

佐藤(剛)副大臣 荒井委員のおっしゃられる、公務員システムが国の姿を決めるものだというのは全く同感でございます。

 そういう観点に立ちまして、公務員制度改革をいろいろな面から進めているわけでありますが、先ほど御指摘がありました朝日新聞の記事で、公務員改革法案の提出を目指すというお話でございますが、これは、与党の中におきまして、御承知のように組織体がございまして、いろいろな議論をいただいております。ただ、私のところには、具体的な方針が決定されたということは承知いたしておりません。

 政府としましては、私どもとしましては、引き続き各方面の意見を聞きながら、政府内の関係機関もありますし、今先生御指摘ございました労働関係団体との、連合との関係の協議、これは、先生の御指摘もあって、公務員制度改革を進めるに当たっては労働組合との話し合いを重ねるということが非常に重要であるという立場、これはそういうことで私どもも同じ立場でございまして、いろいろ有識者初め幅広い関係者の意見を伺ってまいっているわけであります。

 今、職員団体とどうなっておるかということも御指摘でありましたので、ちょっと詳しくなりますが、連合の公務労協との間で、昨年の十月、あるいは本年になりまして、私どもの金子大臣が会見をされまして、そして、公務員制度につきまして、幅広いと言った方がいいと思いますが、そういう意見交換を行っておりまして、この会見の折に、組合の方から政労協議開催ということの要請があって、金子大臣から、事務的に調整を行いたいという旨の回答を行っております。

 こういう経緯を踏まえまして、数日前、二十六日でございますが、公務労協と関係行政機関の局長レベルの事務的な打ち合わせが行われたわけであります。いずれにしましても、今後とも、委員御指摘のように、職員団体と幅広い話し合いを行って本件に臨みたいと思っております。

荒井分科員 いずれにしても、公務員制度というのは、私は、一人一人の公務員が国のために真剣に働く、そういう制度システム、制度設計が大事だと思うんですね。その場合、現状の評価システムでいいかどうか、公平な人事になっているかどうかということを検討していくというのは当然なことだろうというふうに私は思うんですけれども、しかし、民間企業と違って、公務員の人事評価あるいは能力評価というのは大変難しいですね。何をもって能力とするのか。

 結果的には、関係者が、これがその評価基準だというふうなコンセンサスを得ることが、万人がそうだというふうにみんなで認めるということが一番大事だと思うんです。働く人も使う人も、あるいはその周りの、給与を払っている国民、税金を払っている国民全体が、こういうシステムこそ能力の評価につながっていくんだ、あるいは制度システムというのはこうあるべきなんだ、それを全体が認めていくということが大事だと思うんです。

 その意味では、一部の人たちだけでつくり上げていくというものではなくて、関係者全員が同じようなコンセンサスを持っていくということがこの公務員制度改革にとっては極めて重要だと思いますので、そういう点にぜひ留意をしていただきたいというふうに思います。

 あと五分しかなくなりましたので、もう一つ。最近の新聞記事で、ヤフーという大きなプロバイダーの会社でしょうか、ここから大量の個人情報が流出いたしましたね。これは多くの国民に大変不安を持たれてしまったというふうに私は思います。

 IT社会は、今から三年前になりますでしょうか、当時の森総理が、IT化を日本全国で進めるというお話をされて、そのときには日本国民全体がバラ色の夢を持ったと思うんです。

 そのとき私は、IT化には負の側面もある、ある意味では失業を伴う、あるいは中間管理職が必要じゃなくなるという側面もあるし、あるいはIT化によってさまざまな個人情報というものの流出の危険性もあるということを指摘したことがあるんですけれども、まさしくこのヤフーという、業界第一位の会社なんですけれども、その会社から大量に個人情報が流出してしまった。これはどういうふうに考えたらいいのか、現状どういうふうにとらえられているのか、田端総務副大臣にぜひお答えいただけたらと思います。

田端副大臣 議員御指摘のとおり、今回のヤフーの問題は、非常に予想以上といいますか、かつてない大量の情報が漏えいしているということにおいてはまことに遺憾なことだと私たちも認識しているところであります。

 それで、先生おっしゃることは、ではどうするんだということが問題の大きなテーマになろうかと思いますが、総務省といたしましては、これまでもガイドラインに基づきまして電気通信事業者に対する指導ということは行ってきたところでありますけれども、しかし、そういう中でこの事態が発生したということでありますから、これについては今後大変大きな課題を背負ったということは御指摘のとおりだと思います。

 それで、実は、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというのが平成十年に策定されているわけでありますが、このガイドラインに基づきまして、情報の改ざん、漏えい防止等の適正な管理、あるいは、アクセス制限やファイアウオールの設置など技術的な措置、こういうことも考えなければならないわけでありますが、このガイドラインの第五条四項におきまして、情報通信ネットワーク安全・信頼性基準というものが昭和六十二年に告示されているわけですが、この基準に基づいて活用すべき、こういうふうになっています。

 そのネットワーク安全・信頼性基準の中には、また細かく今回の事件に該当するようなことがすべて規定されておりまして、インターネットへ接続する場合はファイアウオールを設置して適切な設定を行えとか、あるいは不正アクセス等に関するネットワークの監視機能を設けなさいとか、正当な利用者の識別、確認を行いなさいとか、こういったことがあるわけでありますが、しかし、今回、そういう点が守られていなかったといいますか、そこのところにそごがあったということになりますので、この定められている信頼性基準に基づいてより一層実効性を高めていく必要がある、こう考えているところでございます。

 そして、現在、総務省においては、個人情報保護法が平成十七年四月施行でございますから、まだ一年あるわけでありまして、そういう意味で、その間をどうするかということも踏まえ、また、ガイドラインをこのままでいいのかということも踏まえ、今、電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会というものを立ち上げまして、この一年議論をしていただいているところでございます。

 既に八回議論を行ってきていただいておりますが、そういう中から、ガイドラインを見直すかどうか、そしてまた、先生おっしゃるのは、恐らく電気通信事業に関する個別法をつくったらどうかという趣旨だと思いますが、そういったことも踏まえて、今最終的な議論をしているところでございます。

 ガイドラインの見直しについては、このままでいいかどうかについては、この夏までにこの懇談会において一定の結論をいただいた上で考えていこう、こういう方向でございますので、よろしく御理解のほどお願いしたいと思います。

荒井分科員 もう時間が来てしまったんですけれども、大臣、住基ネットを国は大々的に始めているわけですけれども、一般の国民から見れば、住基ネットもこのヤフーの流出も、同じIT、パソコンの上で載っかって動いているという意味ではどこが違うのか、同じような危険性があるんだなというふうに思っている人はたくさんいるんじゃないかと私は思うんですね。

 個人情報というのは、一回抜けてしまうともう取り返しがつかない。そこの中に載っかっている情報が、今回の場合にはメールアドレスぐらいだったのかもしれませんけれども、何がこれから載ってくるのか、ますます深まってくる可能性があるわけですので、それが一回抜けてしまうと取り返しがつかないという意味で、私、法体系の整備、それから技術体系の整備というのはますます重要になってくるし、また、社会的なこれに対するフォローアップというものをどうやっていくのかということも大きな課題としてこの問題は提起しているんではないかというふうに思ってございます。

 その点、大臣、何かございますか。

麻生国務大臣 セキュリティーの問題に関しましては、この種のITみたいな便利なものが出てくれば、これは必ずいいところがあれば悪いところも出てくる、裏表の世界であるのはもう御存じのとおりなので、当初より、このサイバーテロ等々に対します対応は一番の関心事としてやってきたところなんです。今、住基ネットの話が出ておりましたが、おかげさまで、いろいろ、特別な県において特別なことを試みている特別な人がいますけれども、今のところ、住基ネット本体がおかしくなったということだけは全くこれまでありませんので、その点はうまくいっているんだと思います。

 いずれにしても、これは、御存じのように、追いかけっこみたいな話ですので、今後とも、ここは手を抜かず、最大の関心事として注意を払ってまいりたいと思っております。

荒井分科員 終わります。

滝主査代理 これにて荒井聰君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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