衆議院

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第2号 平成17年2月28日(月曜日)

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平成十七年二月二十八日(月曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 伊藤 公介君

      田中 英夫君    生方 幸夫君

      黄川田 徹君    田中 慶秋君

      仲野 博子君    古本伸一郎君

      馬淵 澄夫君

   兼務 石毛えい子君 兼務 田島 一成君

   兼務 前田 雄吉君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣政務官      山本  保君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (内閣官房地域再生推進室長)           滑川 雅士君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阪本 和道君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   広瀬俊一郎君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中山 壮介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   野島 直樹君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  伊吹 文明君     木村 太郎君

  二田 孝治君     田中 英夫君

  生方 幸夫君     古本伸一郎君

  吉良 州司君     黄川田 徹君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     伊吹 文明君

  田中 英夫君     二田 孝治君

  黄川田 徹君     馬淵 澄夫君

  古本伸一郎君     仲野 博子君

同日

 辞任         補欠選任

  仲野 博子君     生方 幸夫君

  馬淵 澄夫君     室井 邦彦君

同日

 辞任         補欠選任

  室井 邦彦君     吉良 州司君

同日

 第三分科員石毛えい子君、第七分科員前田雄吉君及び第八分科員田島一成君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中総務省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田分科員 民主党の黄川田徹であります。

 きょうは、市町村合併、そして東アジアのエネルギーの安全保障、時間があれば、地域再生についてちょっとお伺いしたいと思います。

 初めに、市町村合併であります。

 顧みますと、地方分権推進法が成立して十年、そしてまた、地方分権一括法が施行されてほぼ五年ということであります。私も地方公共団体職員出身でありますので、地方公共団体も、自己決定といいますか、あるいはまた自己責任、地方分権によってそういうふうな経営をせざるを得ないということになっております。

 そういう中で、合併なんでありますけれども、国が進める合併、これは五十年周期で大波が地方に押し寄せる、そういうふうな状況じゃないかと思っております。百年前の明治の大合併、たしか七万の町村が一万六千ぐらいになった。そして、五十年前は昭和の大合併、これで三千五百。そして、今行われている平成の大合併であります。

 今回の合併特例法でありますけれども、さらに一年の財政支援措置が講じられているということでありますけれども、三月末を迎えておりますので、最初に、政府・与党が目標としました一千にするんだというところ、そして現時点での合併の達成状況、さらに、いろいろな市町村での議決があって、県へ送りまして、そして最終的には総務省なんでしょうけれども、今後この一年間でも大きな動きがあると思いますので、一年後どのような形になるか、お尋ねいたしたいと思います。

麻生国務大臣 大臣に就任いたしました一昨年の九月二十何日の時点においては三千百八十一だったものが、現時点で二千七百四十二になっております。三月三十一日まででいきますと、私の署名が終わっておりますものだと二千二百五十八になることは決定しておるんですけれども、さらに急速に進んでおるところでもありますので、あと一カ月で、残り二百八十、二百五十、それぐらいはいきたいなという感じでありますので、二千前後のところまでは何となく期待ができるところではないかなと思っております。

 先生、これは地域によってすごく差があるところでして、岩手県を例に引かせていただければ、先生のところは面積からいきますとほぼ四国弱ぐらいのところですから、昔、合併は結構進んでおりますので、人口じゃなくて面積からいきますと、一つの町村の規模がでかいんですよね。これをさらにでかくしてどうかなというところが、多分、よく言えば住民の意識が進んでいるところなんだと思うんですが、ほかのところの村やら町やらに比べて面積としては物すごく大きいというのがありますので、なかなか合併が進んでいないところかなと思って、太平洋側の一番右の下のところのあたりの陸前何とかというのは、あの辺なんというのはできては壊れするようなところなんだと思います。地域によってなかなか差があるところだとは、全国を見てつくづくそう思うんですけれども、あとは、やはりそこのところの県知事やら何やらにいろいろお願いをしてやっていただかないかぬところになるのかもしれません。

 いずれにいたしましても、私どもの感じでは、二千前後まで進むのではないかと思っております。

黄川田分科員 昭和の大合併は西高東低といいますか、いや、西高東低の反対ですか。平成の合併があれですよね。白河以北、東北地方で結構合併しまして、今五十年を迎えて、市制施行五十周年記念であるとか町村制施行五十周年ということで、五十周年をやった後にさらに合併記念の大会だとか、大きく動いておるんでありますけれども、私、田舎に帰って、まだまだ市町村合併の入り口論のところでさまざまな意見があるということを本当に骨身にしみて感じております。

 新しい市の名前で結局だめになったとか、枠組みづくりに失敗したとか、あるいはまた、首長の辞任にまで追いやられるというふうなことでありますとか、あるいはまた、もう議会では決められないから住民に丸投げみたいな感じの住民投票であるとか、大きく動いておるわけであります。

 そこで、それぞれ歴史に残った明治、昭和の大合併でありますので、今日の平成の大合併、これは歴史に残る第三の平成大合併というふうになり得るか。この意義といいますか、所信といいますか、大臣に一言お願いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 大合併と言われるようなものに歴史的になるか。黄川田先生、三千二百ぐらいだったものが二千ということになりますと、三割ということになりますので、三割を超えれば、大合併と言えるものに値するかなという感じはいたします。

 ただ、今回の場合も、基本的には、地域に対してもっと権限を、地域に対してもっと主権を与えるという話でいきますと、やはり地方がある程度、基礎財政基盤というか、そういったものをきちんとしておかないと、こちらに権限は移譲されたわ、それに対応はできないわ、行政手続はすべてオンラインになってどんどん送ってくるわ、それを受けるだけの能力はないわというようなことになりますと、権限は移譲されても、されたものをどういうぐあいに使っていいかというような話になると全然効果を上げませんし、権限が移譲されても、それを裏づける財政がついてこないとどうにもならないというようなことがありますので、そこらのところが、今回の三位一体の中でも、権限移譲に伴います税源移譲というところが非常に大きなところだったと思います。

 私どもとしては、こういったものが地方に移譲された分、大船渡市なら大船渡市の市長さんがそれをどういうぐあいに認識して、どうやって大船渡市を経営するかという話に多分なるんだと思うんですね。その経営者としての意識みたいなものが確実に芽生えてくれば、これは平成の大合併と後世言われて、あれから市長の意識が変わったと言われるようになっていけば、それこそ一番いいことなんだというぐあいに、私はそこの意識改革の方を最も期待しておるというのが率直なところです。

黄川田分科員 言うまでもなく、合併は手段であって目的ではなく、少子高齢化の中で、効率的な行財政改革、そしてまた地域に活力を取り戻すこと、それが目的だと思うのでありますけれども、岩手の場合、合併しますと、千平方キロとか、そういうふうな面積のところにもなるわけなんですよ。

 そういう中で、昨年、地方自治法の改正で、地域自治区を設けるとか、あるいはまた、今回の合併時の特例として地域組織の制度を細かく規定しておるわけでありますけれども、これがなかなか複雑なようで、行政対応の屋上屋をどんどん重ねていくということになりはしないか。また一方、地域の生の声を行政に反映させる仕組みもまた必要だということもあるんです。

 この地域自治組織制度ですが、住民の視点から見てうまく機能するかという不安、これまた地域から声があるわけでありますので、合併はしたものの、地域自治区が、逆の作用で、その地域の一体化といいますか融和がどうなるのかとか、そういう問題点もありますので、この点について御見解をお願いいたします。

荒木政府参考人 地域自治区制度の創設に当たりましては、全国町村会を初め、市町村関係者からさまざまな御要望があったところでございます。それを踏まえまして、一般制度の地域自治区と合併特例の地域自治区の二種類の地域自治区制度を設けたところでございます。

 これらは、住民の意思を行政に反映させる仕組みとしまして、地域の実情に応じて多様な選択が可能となるようにしたものでございます。組織、運営に関する事項は基本的に条例にゆだねるなど、地域の自主性を尊重する仕組みとしたところでございます。

 市町村合併によりその規模が拡大する中で、地域自治区の活用などによりまして住民自治の充実を図ることが必要と考えているところでありまして、特に権能が強くなる合併に際しての特例の地域自治区につきましては、合併関係市町村の協議によりまして、設置期間を設けることにいたしております。

 いずれにしましても、地域自治区を設置するかどうか、またその設置期間をどうするか、これは市町村の判断にゆだねられているところでありまして、旧市町村のまとまり、個性を生かしながら、適切に市町村としての一体性を確立していく上でこれらの制度を活用していただきたいと考えているところでございます。

黄川田分科員 ぜひとも使い勝手のよいといいますか、住民から見てもいい仕組みだったというふうに言われるような仕組みにしていただきたいと思っております。

 それから、合併は進んでいきますけれども、まだ町村が残るところがあります。特に、一昨年ですか、地方制度調査会、一万人に満たない町村を小規模町村と位置づけて、さらなる合併を求めるというふうな形でありまして、合併したくてもできなかった町村なんかもあるわけです。首長から言わせれば、国策に乗ってしっかりと我々は仕事をしてきたんだ、その結果の中での負の遺産もあったりというふうなこともあります。

 逆に、昭和の合併は、財産を持っていましたので、五十年前は山が財産でしたから、自分の財産を人に使わせたくないということで、特別地方公共団体ですか、財産区をつくったり、そういう経験がありましたけれども、しかしながら、今、山の価値はいかがということで、いろいろな課題を抱えております。

 そこで、新法で、知事に合併をあっせん、勧告する権限を持たせ、一万人以下の小規模自治体に合併を推進する勧告を行うことができるとされているところでありますけれども、首長から言わせると、あるいはまた町村会なんかからよく出るのでありますけれども、小規模町村は地方自治の本旨に反するのじゃないか、やはり合併は自主的なものじゃないかということで、不満と、それから今後の不安を抱いておると思っております。

 この部分、総務省の認識といいますか、どういうふうに理解して、そしてまたこれをどのように運用といいますか、多分総務省の方でも、都道府県に審議会か何かを設けるんですか、総務省の基本指針なんかをつくろうとしていると思いますけれども、この点よろしくお願いします。

麻生国務大臣 第二十七次の地方制度調査会の中において、一応一万人という勧告がなされたところなんですが、黄川田先生御存じのように、地方におられたのでお詳しいところなんだと思いますが、五千人以下の町、村において、一人当たりの住民にかかります行政経費が約百三万、傍ら、一万人を超えますと四十数万円、約半分になるということでもありますので、そういった意味では、行政経費がかかることを考えて、ぜひ一万人ということをお願いしておるんです。

 二つ例があると思うんですが、一つは、よく例に引きますが、八丈島の南七十五キロに、全村民足して二百三人、これが多分、今全国自治体で一番小さなところだと思います。その次が愛知県の富山村の二百九人だと思うんですが、この二つがよく言われる一番少ないところなんです。そういうところを合併したいというもらい手があるかといえば、経費だけかかってということもありますので、これはちょっとなかなか難しい問題を抱えているだろうなと思うのが一点。

 もう一点は、何も一万人以下の町じゃないんですが、そこそこの大きさの町なんだけれども、早い話が、ほかの周りの町村とどうも波長が合わないので、あのやろうがいる間は絶対おれは一緒にならないとかいうのは、実は私の県内は三つぐらい抱えて、町長同士の折り合いがつかないもの、全然だめというのがあるんです。

 ここらのところは、知事さんあたりが出てきて、知事が頭を下げたら一緒になってもいいとか、表に見えないところでいろいろ感情的なところもあって、リコールが起きちゃったりいろいろごちゃごちゃしておるんです。そういったところをある程度、知事が出てきて、そこそこ話をしていただくとうまくおさまるというところもあります。住民を挙げて合併賛成なんですけれども、どうもなかなか。

 いろいろ地域によって事情が違うとは存じますけれども、今申し上げたような例を引きますと、知事にある程度はあっせんをしてもらう。強制的にじゃなくて、ある程度両方の意見をとって、町名とか町役場の場所とか、えらく話を込み入らせているところもありますので、そういったところを十分に話し合うというあっせんの労を知事にとってもらうとこの話がまとまるという例はかなりあるように思います。いろいろな意味で、知事が強制的にするというのは長い目で見て意味がないと思いますので、私どもとしては、今言ったような形での知事の努力、あっせんの努力というものを期待しておるところであります。

黄川田分科員 二〇〇五年度以降の合併推進構想を都道府県は策定しなきゃいけないのでありますが、総務省の基本指針はいつごろまでに提示できるような、そういうスケジュールはもう固まっているんでしょうか。

荒木政府参考人 合併新法に基づきます基本指針につきましては、現在検討中でございまして、新年度に入りましてできるだけ速やかにお示しをしたいと考えております。

黄川田分科員 もっと麻生大臣に聞きたいんですが、もう一つ聞きたい大枠がありますのでこれでやめますけれども、同じ十万でも、地方交付税の算定なんかによく使いますけれども、首都圏の集中している十万の町と、合併になって千平方キロの十万人、何々市十万といっても全然その中身、本質が違いますから、それで足腰が強くなったなどとはだれも思っておりません。引き続き総務省の役割はまだまだあると思いますので、お願いします。

 事の本質は、私は、国の形をつくるための合併だと思っているんですよ。何か市町村、自治体だけ言われていますけれども、自治体が変われば国自体がどう変わるんだという、そこをしっかりとしないと。道州制とか何かの議論も出てくるんでしょうけれども、私からすれば、基礎的自治体と国家があればいい。国は小さな政府で、そして基礎的自治体は保健、医療、福祉から、こっちでやっている国土交通省とか厚生労働省とか農林水産省みたいな現場でやらなきゃいけないところは人材も地方に行くというようなダイナミックな改革こそが本当はもっと議論されるべきだと思っておりますが、きょうは分科会でありますので、この辺で終わりたいと思います。

 続きまして、アジアのエネルギーの安全保障についてちょっとお伺いしたいと思います。

 日本、中国、ロシアを中核とします東アジアのエネルギーの安全保障の基本課題でありますけれども、最初に、中国の特にエネルギーの資源獲得活動が激化する中で、我が国への石油あるいは天然ガスの安定的な供給確保、そしてまた、我が国のエネルギーの安全保障を図るための政府の取り組み、この基本的な考え方を示していただきたいと思います。

 そしてまた、このような観点から、東北、北海道では、サハリンというと石油ガス田がありますので、特に天然ガスの位置づけを最初にお伺いします。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、中国でございますが、最近需要の伸びが非常に大きな国でございます。一九九三年には石油の純輸入国となりました。また、IEAのデータを使いますと、中国の原油需要は二〇〇三年には日本を上回って世界第二位という状況になっておるわけでございます。これに伴いまして、中国は石油、天然ガスといった資源の獲得活動を積極的に行っているというように承知をしておるところでございます。

 我が国は、石油、天然ガスの大宗を輸入に依存しておりまして、資源小国でございます。エネルギー安全保障の上で必要な対策を講じていかなければいけない、このように思っておるわけでございます。

 我が国といたしましては、産油国、産ガス国との幅広い関係強化を目的といたしました積極的な資源外交、それから、石油天然ガス・金属鉱物資源機構という独立行政法人がございますが、この法人を使いました重点的かつ効率的なリスクマネーの供給、さらには中核的企業の育成といったことを通じまして、我が国上流開発政策を総合的に推進していきたい、このように考えておるところでございます。

 また、サハリンについても今お話がございました。

 サハリンは、我が国に隣接をする、近隣の石油、天然ガスの埋蔵が豊かな場所でございます。現在、サハリンの1とサハリンの2、二つの事業が既に開発段階に移行をしておるところでございます。経済性のある形で我が国にサハリンからの石油、天然ガスが供給されることになりますと、これは我が国に向けてのエネルギー安定供給確保の観点から戦略的にも重要性を有するもの、このように考えておるところでございます。

黄川田分科員 お話をいただきましたけれども、民間事業者が参入するときには、やはり政府間の協定といいますか、国がしっかりと表に出るというところが最も期待されますので、しっかりとお願いいたしたいと思います。

 時間も少なくなってまいりましたので、引き続き、最近、毎日のようにといいますか、東シナ海における我が国の海洋資源、石油とか天然ガスでありますけれども、その確保に向けた対策と動き等、改めて御質問いたします。

近藤政府参考人 東シナ海でございますが、東シナ海は、相当量の石油、天然ガスが賦存しているという可能性が高い地域でございます。我が国の資源エネルギー政策上も重要な地域だと考えておる次第でございます。

 この東シナ海で中国が探鉱開発を行っているところがございます。春暁の油ガス田等でございますけれども、その鉱区構造の一部が中間線の日本側にはみ出しているという懸念を我が国は有しておるところでございます。

 このため、中国に対しましては、情報提供それから開発作業の中止といったことを求めておるわけでございますが、我が国としても、石油、天然ガスのデータを収集しようということで、昨年の七月からデータ集積をしてまいりました。中間線の日本側水域において物理探査を実施してきたところでございます。

 今御指摘のように、その結果を受けまして、二月十八日でございますが、物理探査の解釈結果の中間報告を大臣から公表させていただいたところでございます。

 これは、中国が鉱区を設定している春暁油ガス田、断橋ガス田といったところについて、その構造が中間線の日本側にはみ出している蓋然性が高いという結論を得たところでございます。この点について中国側に申し入れるとともに、あわせまして、春暁油ガス田等の開発について、改めて中国側からの情報提供、作業の中止といったことを強く要求したところでございます。

 我が国といたしましては、今後の中国側からの情報提供の有無といった中国側の対応も十分踏まえながらでございますけれども、引き続き適切な措置を講じまして、国連海洋法条約に基づく我が国の主権的権利、その他の権利が侵害されないよう万全を期していきたい、このように考えておる次第でございます。

黄川田分科員 東シナ海は海洋地下資源とともに水産資源の宝庫でもありますので、国家として毅然としたお仕事をしていただきたいと思っております。

 せっかく分科会ですから、地元に関連して、一つお尋ねいたしたいと思います。

 最近、石油公団の機関誌によりますと、青森の八戸、岩手の久慈の三陸沖でガス資源埋蔵の期待が高まるとの記載がありました。まだまだしっかりとした調査ということじゃないでしょうからあれなんでしょうが、埋蔵量など現在わかっている点があれば教えていただきたいと思います。

 また、仮に小規模な場合であっても、我が国は資源の乏しい国でありますので、やはり大事な国産の資源だと思いますので、その対応はきめ細かくやっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

近藤政府参考人 今、先生御指摘のとおり、私どもの所管しております独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構の機関誌で発表させていただきました。東北の青森県八戸市それから岩手県久慈市の沖合、三陸沖のところに相当量の天然ガス資源が埋蔵されている可能性があるというレポートが掲載されていることは承知をしておるところでございます。

 そのレポートにもございますように、一九九九年に国が国内の基礎調査をいたしました。八戸の沖約六十キロの海上でございますが、その海域で試掘を行いました。産出テストを行いました結果、日量約三十万立方メートルの産出能力がありそうだということを確認したところでございます。

 その後、当該海域に鉱区を有します民間企業によりまして物理探査が行われておりまして、数百億立方メーターの天然ガスが埋蔵しているのではないかということを今期待しておるところでございますけれども、埋蔵量を確定するためにはもう一段の探鉱活動が必要かと考えておるところでございます。したがいまして、当該海域において今後、民間企業がさらなる試掘を行うということを計画しております。

 政府といたしましても、必要な支援を行って、こういう資源を有効に活用するというようなことを進めていきたい、御指摘のような方向で進めていきたいと考えておる次第でございます。

黄川田分科員 景気が回復傾向にあるとはいっても、北海道、東北地方はまだまだであります。そしてまた、地域に活力を取り戻すためには、やはりエネルギーも、地産地消じゃないですけれども、地元にあるものを使って、例えばガスのコジェネであるとか、あるいはまた、そのエネルギーを利用して何か興せないのかな、こう思っておりますので、さまざまな取り組みに挑んでいただきたいと思っております。

 もう時間も参りましたので、最後の質問になるかと思いますけれども、京都議定書が発効されまして、二酸化炭素の排出抑制の観点から、天然ガスの導入、これが高まっておると思っております。

 先ほどお話しのとおり、サハリン1については、中国シフトを踏まえまして、我が国へのサハリンの天然ガスの輸送方法、海底パイプラインであるとか、あるいはまた、自分は主張しているのでありますが、国土幹線パイプラインとか、いろいろな方法があるかと思うんですが、政府の基本的な考え方はいかがでしょうか。

近藤政府参考人 今御指摘のサハリンでございますけれども、少し正確に申し上げますと、サハリンは、先ほど申し上げましたように、我が国に非常に近く存在をしております。また、相当量の石油、天然ガスの埋蔵が確認をされておるわけでございます。

 そこで現在、日本が絡みまして、二つのプロジェクトが開発段階に移行しております。サハリンの1、サハリンの2という二つのプロジェクトでございます。

 サハリン1のプロジェクト、今御指摘の点でございますが、これはオペレーターがエクソンネフテガスという会社でございます。そのほかに、日本、ロシア、インドといった企業主体が入りまして、これまでに約二十三億バレルの原油と約十七兆立方フィートの天然ガスの埋蔵量が確認をされておるところでございます。

 また、サハリン2のプロジェクトにつきましては、我が国企業とイギリスのシェルが出資をいたしますサハリンエナジーという会社を事業主体といたしまして、これまでに十一億バレルの石油と十七兆立方フィートの天然ガスの埋蔵量が確認をされておるところでございます。

 これらのプロジェクトからの天然ガスにつきましては、サハリン1では、既にLNGの約二千万トン相当の天然ガスがロシア本土向けに供給されるということが決まっておるほか、我が国を含めまして、需要家との話し合いが行われているところでございます。サハリン1のプロジェクトのマーケティングを実施していますエクソン・モービル社からは、日本市場が同プロジェクトにとって最も優先度の高い市場であるという前提のもとで、日本の需要家と並行して中国側の需要家とも交渉中であると聞いておるところでございます。

 また、サハリン2からの天然ガスにつきましては、二〇〇七年からLNGの形、天然ガスを液化した形で供給が開始されるという計画でございまして、既に、日本の電力会社、ガス会社から三百四十万トンのLNGの引き取りのコミットメントが得られているところでございます。

 また、お尋ねのサハリンからの天然ガスの輸送方法につきましては、サハリン1ではパイプライン輸送、サハリン2ではLNGによる供給ということを企業側の方は計画しておるわけでございますけれども、これらは基本的に民間企業がどういう形で持ってくるのが一番経済的かといったことも含めて判断するというように考えておるところでございます。

黄川田分科員 要望だけよろしいですか。

伊藤主査 時間が来ていますので、簡略に。

黄川田分科員 新シベリアあるいはまた東シベリア、サハリンのエネルギー資源の獲得でありますけれども、もう中国、インドあるいはまた韓国が積極的にかかわっております。本当にエネルギー地図が大きく変わってきていると思っているんですよ。

 当初、東シベリアの原油パイプラインに関しては、ナホトカから日本へということで優先されるということでありましたけれども、どうもロシアのエネルギー庁長官、中国の方に優先的に行くんじゃないのかという危惧も私はしているのであります。

 いずれ国際的な枠組みがどんどん変わってきます。しっかりとした対応をしないと、最後に残されるのは日本だと思います。資源のない日本でありますので、しっかりと頑張っていっていただきたいと思います。

 終わります。

伊藤主査 これにて黄川田徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、石毛えい子君。

石毛分科員 おはようございます。民主党の石毛えい子でございます。

 本日は、耳の聞こえないあるいは聞こえにくい聴覚障害の方の火災による被災の防止につきまして、消防法施行令の規定をめぐって消防庁に質問をしたいと思います。そしてまた、最後に、短い時間ではございますけれども、総務省所管の独立行政法人平和祈念事業特別基金につきまして、所管をされております麻生大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、消防庁への質問でございます。

 まず、聴覚障害をお持ちの方の火災の罹災の状況につきまして、私が新聞記事を検索してみましたところ、これは知人の方にもお願いをして御協力いただいているわけなんですけれども、一九八五年以降の新聞を検索いたしまして、被災者百五十六名というような人数を把握することができました。

 後先になりましたけれども、本日、この分科会には聴覚障害をお持ちの方が傍聴に御出席くださっておりますので、よろしくお願いいたします。

 戻りますけれども、百五十六名という新聞検索ではございますけれども、実際はもっと多くの方が火災によって災害に遭われているのではないかと思われるわけですけれども、消防庁として、聴覚障害者の方のこのことについての人数を何人と把握されていらっしゃいますか。そのことをまずお尋ねいたします。

    〔主査退席、田中(英)主査代理着席〕

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 結論的なことになってしまいますけれども、消防庁におきます統計上、聴覚障害者の方だけの数値を正確に現在まだ把握できていないことをまずお答え申し上げさせていただきたいと思います。

 現在の状況では、火災報告取扱要領に従いまして、各消防本部から、年齢、性別のほかに、火災時の状況といたしまして就寝中か否か、あるいは病気や身体不自由の方であったかどうか等の項目につきましては報告を受けているところでありますけれども、身体不自由の方々の詳細な内容につきまして、今御指摘ございましたような聴覚障害をお持ちの方がいらっしゃるのかどうか、あるいは視覚障害、肢体障害、このような障害の詳細な区分についてまでまだ報告を求める形になっていない状況でございますので、聴覚障害者の方々についての正確な数字を持ち合わせていないということをまずお答えさせていただきたいと思います。

 しかしながら、近年、ユニバーサルな時代を目指しまして、安全な社会を構築していくために、よりきめ細かな火災予防行政が必要であるというふうにも私ども考えておりますので、現在の火災報告取扱要領につきましても、聴覚障害者の方々がどのような状況かというようなことも含めて調査ができるような見直しを今後は検討してまいらなければならないと考えているところであります。

石毛分科員 ただいま、どういう条件、年齢とか性別とかということでお調べになっていらっしゃるということの中に、身体不自由の方という御指摘がございました。全体で罹災された人数がどれぐらいで、身体不自由の方が何人ぐらいいらしたかということは御指摘いただけますでしょうか。

 それともう一つ、今御答弁くださいました中身をもう少し敷衍していただきまして、これからどんなふうに罹災状況のデータをきちっと把握されていらっしゃるかということについて、せっかくのこの機会ですから、お示しいただければと思います。

林政府参考人 現在の火災報告取扱要領によりますと、年齢、性別のほかと申し上げましたが、病気、身体不自由という項目での報告はいただいております。例えば、平成十五年中の全火災による死者数は二千二百四十八名となっておりますが、そのうち、病気や身体不自由に区分されまして、これにより逃げおくれたことなどによる死者数は百九十一名、率にいたしますと八・五%という報告を受けているところであります。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、この身体不自由の中が視覚障害、聴覚障害、肢体障害というような障害の詳細についての区分になっていないのが現状でございますので、今私ども検討いたしておりますのは、今後の企画立案に資するために、この身体不自由の中を、御指摘がございましたような聴覚障害者の方々はどうであったかというようなことも含めて各消防本部から報告がいただけるような調査要領に改正をしてまいりたい、こういうふうに考えているところであります。

石毛分科員 もう一言御答弁をいただければありがたいと思いますが、いつごろ具体化していただけますでしょうか。

林政府参考人 現在、実はそれ以外に、またこれから御質問いただけるんだろうと思いますけれども、調査委員会等も行っておりまして、そのような報告も見ながら、地方団体にそごがないような形で連絡をしてまいりたいと思っております。

 そういいますと、十七年度すぐというのはちょっと難しいかもわかりませんが、遅くても十八年度にはそのような区分での調査ができるような体制を整えてまいりたいと考えております。

石毛分科員 後ほど私も触れさせていただきたいと思いますけれども、消防法施行令が改正になりまして、住宅につきましては規定が改められております。その実施が十八年六月、二〇〇六年六月というふうに伺っておりますので、ちょうど今から一年ちょっと、一年半はございませんけれども、そのぐらいの期間がございますので、その施行のときにはおっしゃっていただきましたことが具体化するように実現していただければ、聴覚障害をお持ちの皆さんは大変歓迎されると思いますので、ぜひその方向でよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問でございます。

 総務省消防庁の独立行政法人消防研究所が二〇〇三年に聴覚障害者に対する火災警報意識調査を実施したというふうに伺っております。私は、日本火災学会で発表されたといいますこのデータ、調査協力が全日本聾唖連盟それから全日本難聴者・中途失聴者団体連合会また株式会社ワールドパイオニアというふうにここに記載されてございますけれども、その調査報告の抜粋をちょうだいいたしました。

 ここには、調査に回答を寄せられました千四百名のうち、約三八%、五百二十七名の方が火災、ぼやの経験ありというふうにお答えになっておられますけれども、消防庁といたしましては、この調査につきまして、どのような認識と申しましょうか、あるいはどのような評価をなさっておられますでしょうか。その点お伺いしたいと思います。

 また、この調査の中で、きょうの私の主要な課題でございます公共施設における火災の予防という観点からいたしますと、火災やぼやが個人の自宅で起こる場合、それから公共施設で生じる場合、そのような分類もされて実態を把握されておられますでしょうか。そのあたりもあわせてお教えいただければと思います。

林政府参考人 御指摘の調査は、独立行政法人の消防研究所が二〇〇三年に行ったものでございまして、聴覚障害者用火災通報システムの開発を目的といたしまして、聴覚障害者の方あるいは聾学校の生徒さんたちを対象として、千五百人に対し、アンケートによる意識調査を実施したものでございます。千四百人ほどの方から御回答をいただいております。

 この調査結果によりますと、お触れになりましたように、回答の総数の三七・六%の方が火災、ぼやの経験があるというお答えをされておりまして、火災に対する不安をアンケートの中でお示しになっておられます。

 私ども、今後、聴覚障害者の方々に対する火災予防行政を進めていく上で、まず実態を調べておくこと、その実態あるいは関係者の方々の御不安を承知しておくこと、それに基づいてどのような対策なり機器の開発をしたらいいのかを検討していかなければならないと考えているわけでありまして、その意味では、この二〇〇三年に行われました消防研究所のアンケート調査結果というのは今後の対策に非常に有意義なものであると思っております。

 なお、御質問がございました、火災、ぼやを経験された方々の内容でありますけれども、火災を心配されている場合、どのような場合に心配かということにつきましてもアンケートでお答えをいただいておりますが、そのうちの大半は、約六八・二%、九百五十五名の方々が自宅で就寝するときの火災を心配しておられます。自宅にいるときと合わせますと、ほとんどの方々がそのような心配をされているわけであります。加えて、ホテル、旅館に宿泊するときの火災を心配されている方も五四%ほどいらっしゃるということがこの調査でわかっております。

石毛分科員 これは心配ということでございますので、私が持っているデータでは両方表示されておりまして、先ほどの五百二十七名というのは実際に火災、ぼやの経験に遭われた方、今御答弁いただきましたのは火災を気にするときということですので、実情と意識と、ちょっと違う御答弁だったかというふうに思います。確かに私も、火災を気にするときというのがホテル、旅館宿泊のときというのは本当に注目すべき点だというふうに思いますけれども。

 もう一度戻りまして、火災、ぼやの経験のさらに細部の実態ということになろうかと思いますけれども、住宅で経験されたということ、それからホテルや旅館あるいはデパート等々公共施設で経験されたということ、その別はこの調査で明らかにされておりますかどうか。その点は質問通告をしていると思いますので、御確認いただければと思います。

林政府参考人 その点については、出かける前に報告書の中身を確認いたしましたけれども、火災、ぼやを経験した場所についてはこのアンケートの中では調査対象となっていなかったようでございます。

石毛分科員 その点についてはわかりました。それでは、ぜひそうしたこともこれから消防庁の方で明らかにしていただければというふうに要請をさせていただきたいと思います。

 それで、これは独立行政法人消防研究所がなさった調査ですので、お伺いするにはちょっと違うかという意識もございますけれども、調査報告書はいつごろ明らかにされるかということを、できましたら確認させてください。

林政府参考人 これは、その後の検討に資していただきたいということで早目にお願いをいたした経緯がございまして、実は、この調査結果につきましては、消防研究所の研究者から、平成十五年五月に開催されました日本火災学会研究発表会において発表されております。

石毛分科員 発表をされているのは私も手元に持っておりまして、枚数にしてそんなに大部なものではございませんけれども、もっとほかにもいろいろ調査内容はあろうかと思いますので、調査報告書としてオープンにしていただきたい。

 そのことは、聴覚障害、あるいは難聴の方も含めますと全国で約六百万人に上る、手帳をお持ちの方は三十六万人と伺っておりますけれども、加齢によって聞こえにくくなるというような方も含めれば六百万人ぐらいの方が、聞こえにくい方も含めて聴覚の障害をお持ちというふうに伺っております。そうした方のことを思いますと、この報告書が社会的にオープンになるということは大変意味があることだと思います。

 学会で発表というのは、おっしゃるとおりです。私も存じていますけれども、報告書自体がいつごろ世の中にオープンにされるか、パブリッシュされるかということを御答弁ください。

林政府参考人 正式に報告書という形で発表するかどうかということを、独立行政法人のことでありますので確認いたしておりませんが、ただ、研究者から既に発表されておりますので、私ども消防庁としては、報告書という形にはなっておりませんけれども、公表されたものとして受けとめていきたいと思っております。

 もし、そのようなものを正式に入手なさりたい、こういう御意向がございましたら、私の方からでも消防研究所の方にその旨をお伝えし、公表した形になるように取り計らわせていただきたいと思います。

石毛分科員 ちょっと申し上げたいこともございますけれども、時間もございませんので、それは差し控えさせていただきまして、ぜひ報告書は私の手元に届きますように御配慮ください。お願いいたします。

 それでは、次の質問でございます。

 先ほど私もちょっと触れさせていただきましたけれども、個人用の住宅における火災警報に関しましては、法律が改正になっております。いただきましたこれは省令だと思いますけれども、「火災警報は、次によること。」ということで、省令第三条でございますか、その十の火災警報、イは「警報音」というふうになっておりまして、ロが「警報音以外により火災警報を発する住宅用防災警報器にあつては、住宅の内部にいる者に対し、有効に火災の発生を報知できるものであること。」ということ。

 これは法律第九条の二が改正されたことに伴います省令だと理解をいたしますけれども、このロの「警報音以外」という中身につきまして、繰り返しになりますが、施行は二〇〇六年六月ということでございますけれども、ただいま現在どのような検討状況にありますかということをお教えいただきたいと思います。

林政府参考人 御指摘の技術上の規格を定める省令におきまして、確かに第三条十のロにおきまして、「有効に火災の発生を報知できるものであること。」ということを定めているわけでありますが、それを受けまして、一月二十五日付で防火安全室長の方から通知を出させていただいております。

 これまでの研究成果を踏まえまして、「運用上の留意事項」という形でございますが、「警報音以外により火災警報を発する住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備の補助警報装置における具体的な警報の報知の方法としては、閃光や振動が考えられること。」このような通知を発しているところでございます。

石毛分科員 閃光、振動、もう一つ、私が聴覚障害の方に教えていただきましたところでは、電光による言葉の表示というようなこともございますけれども、それは含まれておりませんでしょうか。

林政府参考人 通知の中では、先ほど申し上げました「閃光や振動が考えられる」という通知になっておりまして、御指摘の点は書いておりませんが、もちろんそれを排除しているものではございません。

石毛分科員 わかりました。排除しているものではないという御答弁でございますけれども、重ねてこの件についてお尋ねいたします。

 十のイの「警報音」につきましては、時間の都合がありますから間は省略しまして、無響室で、測定音が七十デシベル以上であり、その状態を一分間以上継続できるというように、具体的に音に関しては規定がございますけれども、閃光、振動、場合によりましては電光の言葉に関しまして、さらに具体的な規定ということに関しましては、消防庁としてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

 と申しますのは、こうした福祉機器と申しますかバリアフリーに関する機器というのは、まだまだ開発が、規模が小さい事業者の方が御苦労されていらっしゃるんだと思います。ですから、より具体的な指針というようなものをお出しいただければ事業者の方は非常に開発を進めやすくなる、そのことが普及をさらに進めていくことになるというふうに思いますので、ぜひ、研究事項かとも思いますけれども、基準の具体化に向けてどのような進展をさせていくつもりかということを確認させていただければと思います。

林政府参考人 私どもも、この点につきましてはより具体的な基準をお示ししたい、こう考えておりまして、今後の重要な検討課題の一つと考えております。

 具体的には、メーカーの方におきましても、例えば、住宅用火災警報器に連動して点滅する室内照明器具であるとか、あるいは火災警報をメールと振動で報知するものであるとか、いろいろなものが考えられているようでありますけれども、今後の普及の段階で、どのようなものが関係者の方々から一番使い勝手がいいというふうに評価されるか。また、コストの問題もあろうと思います。そのような研究開発の動向また関係者の御意向を踏まえて、より適切なものが具体的になってまいりますと、私どももより具体的な基準としてお示ししたい、しなければならないと考えておるところであります。

石毛分科員 ぜひ急いで取り組みを進めていただきたいと思います。

 最後にもう一点でございますけれども、住宅の方が前進をさせていただいているということに比べまして、公共施設の方は、施行令第二十四条二項はまだ「非常ベル、自動式サイレン又は放送設備」というふうになっておりまして、先ほど御指摘くださいました閃光ですとか振動というような具体的な改正には至っていないわけなんですけれども、ぜひそこを求めたいわけです。

 先ほど御紹介いただきました、長官の方も御答弁くださいました、火災を気にするときの二番目が、ホテル、旅館等に泊まるとき。それから、消防署や行政に対して実施してほしいこと、具体的にしてほしいことの中で、二番目に要望の割合が高いのが、ホテルや旅館等の施設に聴覚障害者向けの火災報知機をつける働きかけをしていただきたい、その回答が七一・五%に上っております。そういう意味では、公共施設に対して火災報知機の設置を求める聴覚障害者の方の要望はまことに高いわけでございます。

 ぜひこの点を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。

林政府参考人 個人住宅につきましては、お触れになられましたように、法改正をしていただき、消防用防災機器の設置、維持が義務化される中で、聴覚障害者の方々に対する対策をも考慮いたしまして、音声によるもののほか、音声以外によるものも規定をすることといたしたわけであります。

 ただ、学校、病院あるいはホテル等の公共施設につきましては、実は従前から、昭和五十八年あるいは六十二年、二回、消防本部に対して通知をいたしているところでありますけれども、聴覚障害者等の皆さん方に配慮して、点滅型の誘導灯の取り扱いの基準を定めてその設置を推奨するようなことをいたしておりますが、なかなか普及をしていないような状況もありました。

 しかしながら、お触れになりましたように、聴覚障害者の方々から、外出され、旅館、ホテル等にお泊まりになった際の不安が多く寄せられるようになってきておりますので、実は、平成十五年度に、私どもその問題に本格的に取り組む必要があると考えまして、聴覚障害者団体の代表の方々、学識経験者、それから消防機関、さらにホテル関係者の皆さんにも御参加をいただきまして、旅館・ホテルの火災時等における聴覚障害者への情報伝達手段のあり方検討委員会というものを設置いたしました。十六年度、本年度も検討途中でありますが、私ども、できるだけ早めて、今年度中ぐらいにはその報告書をいただきたいと思っております。

 この検討結果を踏まえて、旅館、ホテル等公共施設における聴覚障害者の方々に配慮した対策はいかにあるべきかを検討し、具体的な基準につなげていきたい、こういうふうに考えているところであります。

石毛分科員 来年は交通バリアフリー法等々の見直しの年次を迎えるかというふうに理解をしておりますけれども、ぜひ、今長官御答弁くださいましたその検討結果を尊重されまして、二十四条の二項改定というふうに結論が出るように私は希望したいと思いますし、多分そうなるのではないかと思うわけですけれども、ぜひその方向で具体化を図っていただけますよう要請をさせていただきまして、消防庁への質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

 麻生大臣にお尋ねさせていただきます。

 昨年末の新聞報道によりますと、総務省所管独立行政法人の平和祈念事業特別基金を解散するというような報道がされております。

 私は、昨年の十二月二十四日でございますけれども、シベリア抑留に対して労働債権の存在を主張されておられる皆様と一緒に総務省にもお伺いさせていただきました。まだ検討中というような御答弁でございましたけれども、もしかしたらこの国会に、この特別基金の取り崩しないしは解散と言ったらよろしいんでしょうか、そういう法案が提出されるのではないかというふうに思わせていただいているわけでございますけれども、現段階でどのような状況でございますでしょうか、お教えください。

麻生国務大臣 今お尋ねの、戦後強制抑留者問題、主にシベリアということになろうと思いますが、恩給欠格者問題と引揚者問題、三つの問題をまとめまして戦後処理三問題とよく言われるところですけれども、御指摘のように、一昨年の十二月だったと記憶しますけれども、自民党の五役から、この問題について、敗戦後六十年という節目でもあるので、何らかの形で最終決着を図っておくべきなのではないかという御趣旨の質問書というか申し入れがあったところであります。

 それを受けまして、確かに、敗戦後六十年を経て、この問題は過去何度となくいろいろ言われたところでもありますが、私どもとしては、六十年というのは人間で言えば還暦を迎えるところでもありますので、何らかの形で決着をということで、いろいろ今関係団体、三団体ございますので、それと調整中なんですが、石毛先生、三団体皆同じというわけではございませんので、いろいろ三団体ごとにそれぞれ意見の違っているところでもございますので、まだその調整中という以上、ちょっと答える立場にありません。いろいろ各団体、二団体が一緒になって合意したと思ったら一団体がだめとか、なかなかちょっと一緒にならぬというのが昨年からことしにかけての正直なところの実感であります。

 申し入れがあったのは一昨年の十二月ですから、約一年かけてやらせていただいたんですけれども、なかなかいけませんので、私どもとしては、この一昨年の十二月のを受けまして、昨年の十二月、一年で一応私どもとしての見解は申し上げております。

 各団体につきましては、それぞれ議員もついておられますので、その議員の方々を調整するという意味で、党の方で一応調整していただいた案をいただかないと、そちらからの申し入れでもありますので、そちらの方である程度、私どもの意見としてはということは申し上げましたけれども、なかなか合意、納得をいただけるところでありませんので、今、自民党側に渡して、目下調整中という段階だと存じます。

石毛分科員 時間が参りましたけれども、あと幾つか言葉を発しますことをお認めいただきたいと思います。

 大臣御存じでいらっしゃいますように、この平和祈念事業特別基金の設置は一九八八年でございました。その後に、シベリア抑留の皆さんにつきましては、労働証明書の問題ですとか、それから実際に、当時のソビエトでございますけれども、ゴルバチョフ政権にかわりましてペレストロイカが始まってから、初めて死亡者の方が三万八千人出られた。最近の統計では、当時のソビエト領にあったその地域では亡くなられた方が九万二千人を超えるというような報告も出ているというふうに伺っております。

田中(英)主査代理 簡潔にお願いいたします。

石毛分科員 ソ連軍支配地域でということでございます。

 申し上げさせていただきたいのは、このシベリア抑留につきましてのいろいろな問題が明らかになりましたのがむしろこの基金が設置された後のことでございますので、私は基金の解散に反対するものではございませんけれども、このことはもっと重大な案件として取り上げまして、内閣官房の中に特別窓口というようなものを設置して、きちっと戦後六十年問題として対応していくべきではないかというふうに考えておりますということを申し上げさせていただきまして、終わりたいと思います。

 超過いたしましたことをおわびいたします。どうもありがとうございました。

田中(英)主査代理 これにて石毛えい子君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵分科員 民主党の馬淵でございます。本日は、この第二分科会で郵政公社、御担当の方にお越しいただいております。私の方からは、郵政公社さんにいろいろと質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 この昨今の景気低迷の中で、厳しい状況の中で企業が大変な努力をされております。私自身も、財務金融委員会でこの経済問題にかかわっております。また、自身の経験からも、企業経営者として長年やってまいりまして、本当に企業の努力というものがそこに要求されている。何とか明るい兆しが出てきたとはいうものの、まだまだ一部企業だけであります。中小企業、零細企業初め大変な努力をされております。

 この努力は、当然ながら経営者の努力もありますが、働く者の努力、そこに従事する者の努力が払われていますが、どうしてもその努力という部分に関しては、働く時間、労働時間に集約されてしまいがちであります。このいわゆる労働時間、残業という問題、少し考えてみたいと思うわけでありますが、私も会社経営の中で、何とかこの残業時間というもの、超過勤務というものは減らしていかないかぬということを考えておりました。

 この残業というもの、どうしても時間内に業務を抑えなければならないということで皆さん方が取り組んでいる、働く者が取り組んでいる。しかし、これが自分の定められた期間内に終わらない、それを処理しようとする、時間外の手当を要求することなく、いわゆるサービス残業になりがちであります。また、その上司である管理職の立場でいっても、みずからの管理能力が問われる。おのずと、これを黙って見過ごすことになる。いわんや、組織的な隠ぺい、まあ隠すとまでは大げさかもしれませんが、組織的に常態的に行われてしまうという可能性もございます。また、さらには、こうしたことが続くと、結果的には、過度な疲労、いわゆる過労によって事故や、また過労死という不幸な結果に及ぶこともございます。

 こうした問題、この残業という問題は本当に、企業の経営側からも、また働く者、さらには管理する者にとってもなかなか難しい問題であるという認識は私も持っております。

 特に、昨今の評価制度の中でいえば、いわゆる年功序列賃金から成果主義へと大きく変貌を遂げてまいりました。成果主義になれば、おのずと、先ほど申し上げたように、みずからのその処理のために、みずからの目的を達するために居残ってしまう、あるいは自分のスキルを高めるために休日など出てきて業務を行う。

 このように、時間という観点から賃金体系が組まれていたことが、これからは成果、結果によって評価されるとなると、時間の管理ということと、そして業務そのものの評価というものがなかなか一致しない、リンクしないという難しい問題がございます。また、管理職においても、部下の能力をどのように評価するか、一生懸命時間をかけてやっているから頑張っているんだというわけにもいかない。構造として、こうした時間外労働が評価体系の変化によって潜在化してしまうおそれがあるということも私自身は御指摘をしていきたいと思います。

 さて、そうした中で、私の地元におきまして、大変不幸な出来事がございました。二〇〇一年の十二月二十三日、一人の郵便局員が急性心不全により在職中に命を落としました。まだ三十六歳、働き盛り、将来の夢も希望もある、その中で、余りにも早過ぎた死でもありました。

 亡くなった青年は、大学卒業の年に近畿郵政局管内の郵便局の保険課に職員として採用され、一九九九年に同じく近畿郵政局管内の奈良中央郵便局に転勤となりました。同時に、保険課の総務主任となられています。採用以来十四年間、まじめに働き、御両親にとっても自慢の息子さんでした。

 実は、私の自宅のすぐ御近所、私は奈良市でございますが、そのすぐ御近所の奈良市の帝塚山南にお住まいの御両親が、この息子さんの余りにも早過ぎる死を簡単には受け入れることができない。これは、同じように子供を持つ親として、私も想像にかたくありません。御両親は公務災害の申請を行いました。

 そして、その申請の過程で、実際の残業時間を超える残業及び休日労働が行われていたにもかかわらず、適正な超過勤務手当の支給が行われていなかったこと、また、上司が長時間の残業なしに処理できないような業務を命じながら、局の予算が少ないんだとして、実際よりも大幅に少ない残業時間を申告させるという労働基準法違反の不払い残業労働が常態化していたということ、さらには、超過勤務命令簿、その本人印の欄に本人から預かった印鑑を無断で押印する等の、虚偽の超過勤務命令簿の作成という隠ぺい工作が組織的かつ長期的に行われていたのではないかということに御両親が気づかれたわけであります。

 御両親は意を決して告発を決意されました。地元では小さなお店をやっておられます。そんな御両親が告発を決意され、そして、これを受けて奈良の労働基準監督署は、二〇〇四年四月、奈良中央郵便局の当時の上司二名を労働基準法違反容疑で書類送検としました。同年九月には、御両親は、同じく二名について、先ほどの超過勤務命令簿の話でありますが、今度は虚偽の公文書作成等の疑いで奈良地検に告発しました。これに対して、地検はいずれも不起訴処分といたしました。

 御両親は、この不起訴処分に対して不服として、奈良検察審査会に申し立てを行いました。二〇〇四年十二月十七日に議決された奈良検察審査会、この議決がお手元に配付した資料であります。これによりますと、労基法違反容疑、これにつきましては不起訴相当の判断としています。しかし、虚偽公文書の作成等の容疑については、超過勤務命令簿を上司が勤務命令をするたびに作成するとしているが、帳簿の筆跡からはどうも一度にまとめて作成された可能性が高く、信用性に疑義があると判断をしました。

 さて、私は、この事案についてお聞きしたとしても、これは係争中の個別の事案としてお答えはいただけないと思います。巨大組織である郵政公社、この郵政公社にとっては小さな小さな事件かもしれません。しかし、これは大事な御長男を亡くした御両親にとって忘れることのできない出来事であり、場合によっては思い出すことすらもはばかられるようなつらいこの事件。御両親がこれまで闘い続けてきたその思いはただ一点、事実をとにかく素直に認めてほしい、この一点に尽きるかと思います。

 最初に私が申し上げたように、サービス残業、その結果としての過労死ということは、これは会社にとっても家族にとっても大変不幸なことであります。しかし、大事なことは、事実を真摯に受けとめて、二度と同じような不幸が起こらないように万全の措置をとることであると私は信じています。この場をおかりして、あえて郵政公社の方にお尋ねをさせていただきたいと思うわけであります。

 郵政公社の中で、超過勤務命令簿、これの管理についてお尋ねをさせていただきました。お手元の資料の中にあるような超過勤務命令簿、これが一般に渡されているということであります。所属長印そして本人印、これは、勤務命令が出た段階でその都度確認をし、そしてこの記入をするのは管理員、大体は課長代理の方がされるそうですが、その都度確認、押印をするということの徹底を図るということを指示してきたそうであります。

 この超過勤務命令簿、これが虚偽であるかどうか、この事件については繰り返し私もお尋ねはしませんが、そうしたことが常態化している可能性もあるとして、勤務時間の適正化について公社の皆さん方も取り組んでおられます。それが、資料でお渡ししましたように、「勤務時間の適正管理について」ということで平成十六年十一月に発出されております。

 この中を見ますと、やはり勤務時間、これが十分に管理されていない、そんな可能性があるということで整理をされておられます。例えば、勝手に仕事をしているんだ、これは命令じゃないけれども勝手に仕事をしている、勝手残業ですね、こういったことが起きてもこれはしっかりと確認をしなさいよ。あるいは、他の者が残っているから何となく残ってしまっている、これもつき合い残業、つき合い超勤などと呼ばれるものであります。上司が残っている、ほかの者が残っている、こうした場合はそこで残業が発生してしまう、でもこれも超過勤務だということで認識しなさい、管理しなさいよ、こういう発出をされています。

 当然ながら、ただ単に時間を管理するだけではなく、業務の無理、むだ、むらをなくすという根本的な改善、改革が公社の中で求められ、また、これが遂行されていくことが望ましいわけであります。

 さて、こうした管理をされている中で、公社の方々にきょうはお越しいただいておると思いますが、時間管理についてはどのようなお考えを持ってこの十一月の発出というものをなされたんでしょうか。端的にお答えいただけますでしょうか。

広瀬参考人 お答え申し上げます。

 郵政公社といたしましても、勤務時間は職員にとって最も基本的な労働条件でございますし、その適正管理は経営上の重要なコンプライアンスの一つであると考えております。

 生田総裁のもとで、公社としても、勤務時間の適正管理について、超勤目安箱だとか、あるいはエリア内の指導員の指名だとか、管理者の人事評価の範囲だとか、そういうことも含めまして、あるいは、今御指摘のありましたような文書による指導なども行いまして、しっかりした適正な勤務時間管理とそれから本当の仕事の見直し、これを徹底してまいりたいと思います。

馬淵分科員 生田総裁が大変な決意を持ってということであったと思います。私も、本日は総裁にぜひお聞きしたかったんですが、理事の方がお越しいただいたということでお答えをいただいておりますが、こうした適正管理をしていく、当然のことだという認識の上でしていく。

 さらに、では、実際にそういった命令を出しているけれどもできているのか、こういう確認をされておられます。この資料の中にあります「勤務時間管理に関する実態調査について(指示)」、このように書かれております。これは昨年の十二月十三日に総裁が出されたということであるかと思います。

 まず、これは昨年の十二月十三日に、なぜこのタイミングにこうした実態調査というものが出されたのか。そして、これは全国に対してでしょうかね。私がお聞きしたいのは、先ほどもありましたように、近畿郵政局、この奈良中央郵便局に対しても当然この実態調査というのは指令が届いているんでしょうか。このタイミングと、今の、全国に、奈良中央郵便局にも届いているのかということについてお答えいただけますでしょうか。

広瀬参考人 今回の実態調査は、公社になりましてからいろいろと施策をやってまいりましたけれども、不十分であるということで、まさに不払い残業を根絶するために、改めて全局所、全郵便局含めて、私どもいろいろな職場がございますが、全局所の職場の実態につきまして総点検を行ったものでございます。

馬淵分科員 いろいろと不徹底があり、全国に対してということですから、これはつまり不徹底があったので、それを認めて再度全国に、奈良中央郵便局も当然ながらこれは含まれているわけですね。

 この徹底管理、それを命じて実態調査を行う。この通達、これを見ますとこのように書かれています。平成十六年十一月十六日に、衆議院の総務委員会において総裁が、不払い残業は経営の恥であり、根絶させていきたいと、大変な決意をここに載せておられるわけです。まさに経営の恥である、根絶だという厳しい言葉でこのようにおっしゃっている。そして、それを受けて、総点検を行う、いわゆる洗いざらい、総ざらいするんだということだと思います。

 しかし、この通達を見ていきますと、私、非常に不思議な気分にとらわれる部分があるわけでありますが、例えば、「今後の取扱い」について、平成十七年の一月一日以降、つまり調査を行った以降に不払い残業等が判明した場合には、「その責任の所在を明らかにするとともに、当然、人事評価の対象とします。」こう書かれています。そして、その二行下には、しかし、「今回に限り特例として人事評価の対象としません。」こう書いています。

 この意味はどういうことでしょうか。お答えいただけますか。

広瀬参考人 総点検をいたします際に実態をはっきり把握していきたい、今までも、私どもの職場ですと、例えば職員に事前に超勤の発令をする場合もありますし、例えば、配達をしていて、まだ終わらないのでやるとか、あるいは、期締めの決算で、計算が合うかと思ったら、ぎりぎりになって合わないというようなことで、ぎりぎりになってとか、いろいろなことがございます。そういったことで、管理者がしっかりチェックをしなかった、翌日、職員からの申告を受けて、それでちゃんと発令をすべきなんですが、そのあたりがあいまいだったとか、いろいろグレーなことがあり得るわけでございます。

 そういった意味で、実態がはっきりするようにということで、その件については、管理者の責任ということを前面に立てるよりは、実態を把握する方を優先いたしました。

 以上でございます。

馬淵分科員 評価の対象としませんよ、こう言っているわけじゃないですか。実態調査をやりますよ、そのときには、要は、今はもう全部洗いざらい言え、不問に付しますよ、こう言っているわけですよね。そして、ただし、この調査が終わった後、また同じことがあったらこれは許さぬよ、こう言っておられるわけですよね。

 十二月のこのときに、私がお尋ねしたのは、生田総裁は、平成十五年の四月一日に総裁に就任をされて、そして、当然ながら、公社という新しい組織の中で業務改革を進めておられるわけです。進められてきた中で、一年八カ月たって、適正管理をしなさいよ、そして、十二月になって、まだいいかげんなことをやっているのか、はっきり出せ、経営の恥じゃないか、根絶するぞと言って出した。そして、今まで黙っていたのはもう許してやる、ここから先は許さぬぞ、こう言っておられるわけでしょう。

 私がお尋ねしたいのは、つまり、公社になったときも、公社になって一年八カ月、総裁が頑張ってこられたこの一年八カ月の中でも、実は公社の中の皆さん方は、かつての常態化しているサービス残業であったり、あるいは超過勤務の命令のあいまいさであるとか、こうしたいわゆる総裁が経営の恥だと呼ばれるようなことが一年八カ月の期間も実は常態化していたということではないんですか。はっきりとお答えいただけますでしょうか。

広瀬参考人 残念でございますが、一部の職場でやはりこのような実態があったと思います。

馬淵分科員 残念であったということじゃなくて、私が繰り返しお尋ねをしているのは、十一月にこうした適正管理について出され、十二月に出されているじゃないですか。もう既に一年八カ月たっているわけです。頑張ってこられた、生田総裁のその手腕というのは、私もあちこちでお聞きするにつけ、内外でも高い評価を得られています。しかし、この間に、結局は何も変わることができなかった。

 そして、この出した文書というのは、これは非常に、私なんかから見れば特異な文書ですよ。経営側が経営の恥だと言っているんですよ。総裁はトップじゃないですか。経営の恥だ、根絶すると言っているわけです。それを国会の場で語って、そして、それを受けて、今まではもう許してやるから出せ、こう言っているわけです。これは通常ではない形じゃないですか。

 一年八カ月も、総裁がトップにおられて、ここまで言わなきゃならぬ状況が結局は公社の中に常態としてあったということはお認めになられますか。いかがですか。

広瀬参考人 大変残念なことでございますけれども、不徹底であったことは認めざるを得ないと思います。

馬淵分科員 不徹底であった。そしてそれが、総裁がかわられても実は変わらず、その不徹底のままであった。

 私は、ではここで、今度は違った観点でお尋ねしますが、このように、許してやるから全部出せといって、そして、これから先、そのかわり、出したらもう許さぬぞ、人事の評価対象とするというのは、ある意味では、これは当然厳しい処分もあり得るということだとこれを見て感じるわけですが、そのような形でこの文書を出して、どの程度調査する側にインセンティブが働くとお感じですか。お答えをいただけますか。

広瀬参考人 この趣旨につきましては何度もフロントラインの方に徹底をしてまいりましたので、この根絶のための点検ということの趣旨は徹底ができたものだと思っております。

馬淵分科員 そうやって検討されてきたことはお話の中で十分わかるんですが、お伺いしているのは、こうした命令発出の仕方が極めて特異な形であり、こうしたことが本当に、そこで働く管理職の方々にインセンティブとして働いていくのか、きいていくのか、逆に、こうしたやり方をしなければ公社というのは動かないのかということを私は懸念しているわけですよ。大きな組織です。末端まですべてに、それこそ一瞬にして情報が伝達するなんということは難しいかもしれない。でも、この公社という存在が今、あり方すらが問われている中で、最も重要なことではないかと私は思うわけです。

 生田総裁が就任をされて一年八カ月のときに、こうした超勤の問題が出てきた。私はかつて、経営の中では、さまざまな会社の新たな経営改革という形で乗り込んでいったこともございますが、大体、改革をやるというときには、一番最初がポイントだと思っています。それこそ経営者が交代するときに、そのタイミングにおいては、かつての問題については、かつての経営者の命令によって行ったことについては、これは不問に付すよというのはわかるんですよ。

 しかし、一年八カ月も、これは企業でいえば一期の任期ですよ。任期を一期近くやって、それでも不問に付すよと言っているのは、総裁御自身あるいは公社全体が、自分たちのやってきたことは実はできていないということを認めているというふうにお感じになりませんか。では、その一点をお答えください。

広瀬参考人 生田総裁が就任されて以来、私どもが一体になってやってまいりましたのは、経営ビジョンとして、とにかくお客様に完全なファーストクラスのサービスをしよう、高サービス、二つ目には、健全な基盤を事業として整備しよう、それから三つ目に、職員が明るい展望を持てるような公社にしていこうということで頑張ってまいりました。そういったことでいろいろな施策をやってまいりまして、確かに完全ではなかったかもしれませんが、職場も大きく変わりつつあると思いますし、サービスの面でもいろいろ努力をしてまいりました。

 そんな形の中で、残念ながらこういうことがあったわけでございますけれども、公社になって、まさに総裁のもとで、そして、先ほど申しましたように、コンプライアンスあるいは勤務時間をしっかりやるんだということを徹底する途中での話ということで御理解いただければと思います。

馬淵分科員 きょう、総裁はお見えじゃないので、理事の方に幾ら言ってもお答えが返ってこないのかもしれませんが、私は、別に残業問題だけじゃなく言っているんですね、経営改革というのを私もやってきましたので。

 結局、単に、ある業務そのものを短縮させる、効率化させるということではもう経営改革というのはできません。よく御存じだと思いますが、いわゆる業務のプロセスそのものを見直す。ベストプラクティスを見出す。業務プロセスの見直し、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングの領域に踏み込んで、プロセスそのものが要るか要らないかまで判断しないと改革はできません。

 今のお話ですと、結局、やれと声をかけた、やらなかった、一期近く、二年近く言って、仕方がないから、それだったら不問に付すから出せ、ここから先はやったら首だというぐらいの厳しいやり方しか通らなかったという。その組織のマネジメント、私は、業務改革、そのプロセスの見直しが本当にできているのか、極めてそこに関しては厳しい取り組みをしていただかねばならない、こう思うわけであります。

 そして、これからまた、この国会でも、公社についてはいろいろと議論がされていくかと思います。ぜひ真摯な取り組みをしていただきたいと思うわけであります。

 この公社、残業問題については今私お尋ねをさせていただきましたが、少し別のお話をさせていただきます。

 この公社のさまざまな取り組みがあるということをお聞きしております。これも一つ地元の課題なんですが、私の住む地元奈良市は、昨年末大変不幸な事件に見舞われました。有山楓ちゃんという小学校一年生の少女が誘拐され殺された、死体も遺棄されてしまった。この事件で、全国に奈良市という名前がとどろいたわけであります。

 私の住まいから数百メートルのところがその誘拐の現場であり、私の六人の子供のうちの五番目の子が、楓ちゃんが通うダンス教室に共通の友人がいるという中で、本当に親として、同様に痛ましい事件に対して言葉を失った、そんな思いでございました。

 この事件、実は、地元では地域の安全、子供安全の見守りというのを大変強化してきた中で起きた事件でありますから、地域の自治会や保護者団体、さまざまなグループが本当に肩を落とし、自信を失ってしまったというところでもありました。

 この状況の中で、何とか地域安全の見守りを新たにつくっていきたいという声が高まってきました。奈良県では、県警や市町村など関係団体とつくる、安全やまとまちづくり県民会議というのがございます。ここが、二十八日、県内の郵便局や銀行などの金融機関、タクシー協会に対して、屋外での子供の安全確保についての協力を要請したということが報道されております。

 この子供安全、地域での取り組みというものについては、お尋ねをしましたところ、実は、公社さんの中でも一生懸命にやっておられる。郵便局のネットワーク部門というところで、公社法の十九条に基づいて、例えば郵便外務員の方々がひまわりサービスとして独居老人の方々のお宅を訪ねたときに状況を把握するとか、あるいは廃棄物の不法投棄など、こうしたものをチェックするなどということがされている。

 また、各地域の郵便局長の判断で協力している事例としては、子ども一一〇番、いわゆる駆け込んでくるような、郵便局が緊急避難場所としての場所の提供をされていたり、また、道路の損傷等の情報提供をされている、こうした取り組みがあるということでございます。

 そこで、ぜひもう一歩踏み込んだ検討、それこそ集団下校ということが今も続いております。そうした中で、最近、新しい家族の姿の中ではなかなか共働きのお母さんたち、町に人が出ていません。郵便外務員の方を初めとして、こうした外を回っておられる方々が地域安全の見守りという形で取り組んでいただくような検討というのは現在行われているんでしょうか、また、それについてはどのような方向でお考えなのでしょうか、これをお聞かせいただけませんでしょうか。

広瀬参考人 公社はまさに地域社会に貢献をして、ぬくもりのあるサービスを提供する、地域とともに歩む公社を目指しております。また、地域に基盤を置いた事業を行うものでございますから、まさに地域社会のよき構成員でなければならないと思っております。

 そういった意味で、地域社会での応分の貢献というのは大変重要なことだと思っておりまして、先生御指摘のように、郵便配達員による子供の見守りというものは、私ども一日に大体七千万通の郵便を三千万の世帯へまさに全国バイクで走り回っておりますので、バイクの後ろに子ども一一〇番というようなことをつけて、もし配達員が業務遂行中に何か不審や異常な状況があれば関係の方に御連絡をするとか必要な対応をとるとかというようなことも当然でございますし、あるいは、子ども一一〇番、お話がありましたように、郵便局でそんなことがあれば緊急避難場所として一時保護を行わせていただくとか、いろいろなことをやらせていただいております。

 さらに、地域とともに歩む公社を目指しまして、地域ごとの実情に応じまして、市町村と郵便局との間で連絡協議会を開催しております。今後とも、そういう中で、地域の皆様の御意見を踏まえながら対応してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

馬淵分科員 駆け込む場所だけでなく、これはもちろん外務員の方の安全確保ということも当然公社として責任を持ってやらなければならぬことですが、やはり、地域に、町に出て見ている状態、これが重要だと思います。もちろん外務員の方々は本来の配達という仕事がございますから、定点でいるというわけにはいかないでしょうけれども、見回っているという、とにかく子供たちがどこに今どういう状況でいるかということの情報を密に把握できるように、一一〇番というステッカー、これを見て抑止になるという部分もあるのかもしれませんが、それを一歩踏み込んだ子供たちへの見守りというところにまで徹底した取り組みを、ぜひこれを機に行っていただけたらというふうに私の方からお願いを申し上げておきたいと思います。

 もう質疑の時間がなくなりましたが、公社の問題、とにかく公社となって新たに経営という視点を取り込まれたということ、私は大変評価をしていますが、一方で、まだまだそれが結果としてあらわれていないということが、先ほど申し上げたような事件などに大きな影を及ぼしているのではないかという懸念がございます。ぜひ今後とも、皆さん方真摯な努力を払っていただいて、さらなる郵便事業の発展をしていただきますことをお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中(英)主査代理 これにて馬淵澄夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、古本伸一郎君。

古本分科員 民主党の古本伸一郎でございます。

 麻生大臣におかれましては、連日の委員会での御対応まことにお疲れさまでございます。またきょうも、分科会、この後も控えておられますので、ぜひお体を大切によろしくお願いをいたします。

 私からは、予算委員会の分科会でありますので、あくまでも予算に絞ってお話をさせていただきたいと思います。

 具体的には、行政のコストをどのようにして国民が、納税者が納得できるようなものにしていくか、これが仮に新たなる負担増を今後求めていくならば、その入り口の大前提にあると私は思っております。

 その意味で、さまざまな行政コストがある中で、昨今いろいろと批判の矛先が向けられておる人件費、あるいは、公務員の皆さんが一体何をやっているのか、その働きに見合った給料なのか、給料に見合った働きなのか等々の批判が今後上がっていく前に、ぜひ大臣の大英断も含めまして、これは総務省、御省一つでできる話じゃないかもしれませんが、パラダイムを変えていく上での転換点、今ぎりぎり間に合う時期じゃないか、そんな思いできょうは質問させていただきたいと思っています。

 まず、先日の予算委員会でも御質問申し上げましたが、三十三万人いらっしゃる今の一般行政職、これは霞が関と地方の管区も合わせた数だと思いますが、この人々の定員査定をするのは御省のある局でやっておられるという理解でありますが、このある局のスタッフの数は一体何人ぐらいいてこの三十三万人の定数の管理をなさっておられるのか、まずここをお伺いしたいと思います。事務的なことですので、事務局からお願いします。

藤井政府参考人 行政管理局全体としては百二名の定員が配置されております。ただ、そのうちの半数は電子政府とか情報公開とか個人情報保護、そういった行政を担当しております。ですから、残りの半分、約五十名ぐらいで査定部門の仕事をしているということでやっております。

古本分科員 では、約五十人で三十三万人、常に三十三万人の定数の査定を入れているわけじゃないでしょう。恐らく、増員要請があり、あるいは純減で削っていく、計画努力の部分がある等々を見るにしても、例えば具体的に、私は今外務委員会に専ら所属をいたしておりますが、この外務省を例にとっても、今年度査定の中で、一体、何人の増員要請が来て、そして何人が外務省の努力の幅で削って、そして結果何人純減になったのでしょうか。数値をお願いします。

藤井政府参考人 ちょっと結果だけの数字が手元にありますので、結果の方で申し上げたいと思いますが、増員としては百二十三人でございます。それから、計画削減としては六十一人の減を立ててございます。そのほか、別途、合理化減ということで四十二人の減を立てているところでございます。増減は、都合プラス二十の増ということになってございます。

古本分科員 今、数字を伺いましたが、結果二十名の増員になった、この妥当性を判断するに当たり、担当のスタッフは何人でやっておられますか。

藤井政府参考人 基本的に、各省担当の管理官というのは一名おります。これは課長クラスでございます。ただ、これは二省、三省兼ねている場合がございます。そして、その下に副管理官という者を配置してございます。これは補佐クラスでございます。これは基本的に一人でございます。それプラス主査ということで、係長クラスでございますが、課長クラスは兼務しておりますけれども、都合三人体制というのが基本でございます。

古本分科員 実は今、これは御省御局の座席表のコピーをいただいておるわけですが、これは入り口に張ってありますから半ば公文書だと思っていただいていますが、現実的には、担当の人は二人でやっていますね。しかも、お二人の机がありますが、防衛と外務を兼務なさっていますから、純粋に外務省、今回、具体的に言えば、デンパサールの領事館を新設したり、あるいはアンカレジの領事館を閉鎖したり等々の実務を、これは在外公館の外交官がどういう領事業務をしているか、そういうことを知っていないとなかなか査定は入れられないと思うんですね。

 その意味で、御省御局に座っておられる二人、防衛、外務を担当されておる二人、いずれかの方は外務省に出向した経験はありますか。

藤井政府参考人 ちょっと全体は把握したことはございませんが、当初からアタッシェで出ている場合もありますけれども、別に外務担当の副管理官をそういう外務省の経験がある者を配するというようなことはやってございませんので、基本的には、大体九月ぐらいから査定時期に入るんですが、それ以降、外務省なら外務省からいろいろ御説明いただくという中でやるということと、あと、実は既存の蓄積が結構ございますので、そういったのとあわせて判断しているということでございます。

古本分科員 外務省からレクっていただく、あるいは外務省から出てくる物差しで判断をする、こういうことでありました。しかし、その当の外務省が、例えば、デンパサールに年間何万人の観光客が来る、観光客何万人当たり何人の領事がいるとか、あるいは進出している日系企業が何社ある、ついては在留邦人が何人いる等々の、恐らく外務省ならではの単価を出していると思うんですね。

 これは、外務省が増員の希望を出す、それで、外務省が努力の幅で削った、計画外で削った、結果、純増二十名だという数字を出す上で、どうして御省御局が独自の、みずからの目と足で確認をして、肌で感じる中で査定を入れる仕組みにしていないんでしょうか。これは大臣にお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 コスト対効果の問題なんだと思うんですね。いいですよ、それをやっても。物すごい人数が多分要求されることになると思いますね。役所として、私どもが行政管理庁だった時代に、その分だけ全部集めて、外務省、約五千四百人の、キャリアに対して何千人でやりますと言われると、トータルで何人、割り振りでこんなぐあいというようにいって世界じゅうに散らすわけですから、それをやるというのは物理的に、これはコストの問題からいくとなかなか合わない話なんだと思いますね。そういった意味では、基本的には、要求官庁であります外務省との間で話をするというところが一点。

 それから、アンカレジなんというのがことしの例で引かれたんだと思いますが、昔はあそこにストップバイといって途中一回おりましたので、当然あそこに人数が多かったので、多分アンカレジということになったんでしょうが、最近ほとんどそこにとまらず、みんな直接飛ぶことができるようになったものですから、そこにおりる人も少なくなったということで、それを閉鎖して、もっとほかのところに、観光客がふえてきたところに領事館をつくりたいという、多分そういった需要と供給の話なんだと思うんです。

 傍ら、こちらの方は、アンカレジを置いておいたままこっちもふやす、あっちもふやすということになりますと、確かに、戦前と今では、この六十年間の間に国の数は決定的に三倍以上違っちゃっている割には、外務省の人数は絶対量が余りふえておりませんから、今五千四百人ぐらいだと思いますので、そういった意味では、昔の拓務省、そのまた前の外務省に比べましても、人口がふえ、国数がふえたのに対して、日本の国は一億二千万、イタリアで約六千万ぐらいですかね、それで外務省の職員の数はほぼ同じぐらいということなんだと思います。

 そういった意味で、この外務省の数で言われると、これはちょっと足りないんじゃないかなと私自身もそう思って、一時期、この外務省の数はしゃにむに五千人まで、昔五千人おりませんでしたので、ふやす方を一生懸命やった一人として、今、それからまたさらに国がふえ、人口がふえておりますというようなことを考えていかねばいかぬところがもう大前提なんだと思うんですが、傍らこっち側で、役所の人数が多い、局の数が多いというのを減らせ減らせの大合唱でしたので、どうしてもその板挟みになって、どこかで調整せないかぬという役目が今で言う総務省行管局に降りかかってくることになるというのが今の現状だと存じます。

古本分科員 なぜこのことに、入り口の議論としてこだわるか、私見ではありますが少し申し上げたいと思います。

 これは、例えば今回の外務省の予算案、私も予算書を拝見しましたし、外務省の皆さんから説明を受けた。かくかくしかじかで在外公館をこういうふうに統廃合したい等々話があった。正直申し上げまして、提案段階で、予算はこの先まだどうなるかわかりませんが、提案段階で、政治ではなくて行政の側で半ばもうでき上がって提案してきているんですね。これはもう日本の現実です。三権分立と言われていますが、現実問題です。議院内閣制にあっては極めてその色合いも濃いと思います。政府と与党が一体となって提案してきているわけです。

 そうしたときに、国民が今後さらなる国民負担が求められる昨今にあって、本当に外務省は二十名増員するという判断が、一点の曇りもなくすばらしいことなんである、国民の利益に資することなんであるということを一体どこの部局がセーフティーネットをかけて調べてくださっているかというと、私は、今御答弁いただいた行政管理局局長じゃないかなと思うんですね。

 そして、この行政管理局局長がみずからこの定員査定を局員の皆さんに入れていただく際に、単なる数の管理ではなくて、やはりその業務の中身に精通していかないといい悪いの横ぐしをなかなか刺せないんじゃないか、そんな思いがありまして、このことを問うているわけなんです。

 そういう意味で、大臣、何かコメントはありますでしょうか。

麻生国務大臣 正直申し上げて、昔は海外に勤務をするというのは、外務省以外ほとんどなかったんだと思うのですね。ましてや、超ドメスティックな自治省などというところは、これはほとんど地方回りを主たる職務としておったんだと思います。自治省でも、これはやはりいろいろなことを考えないかぬということで海外に人を出すようになり始めましたのは、今の消防庁長官の林ぐらいのときからだと記憶するんですが、このときでも、何で自治省の役人が海外なんかに行くんだといって、希望された方はほとんどバツというので、当時余り期待されていないのが出してもらったとかいううわさもあるほど、随分差がついたんだそうです。

 しかし、現実問題として、今、通産に限らず他省庁、財務はもちろんのこと、いずれもかなりな人数を海外の外務省に出向させることによって経験を積ませておられるということのように思いますので、この行管庁も余りその種のことはやってなかったと思いますけれども、この外務省の予算、人数の査定やら何やら、これは予算の枠は財務省とやるんですけれども、そういった意味で、海外の行政管理局のやり方等々は私どもも大いに参考にしなくちゃいかぬところだと、私も古本先生が言われるように、率直に思うところです。

 ただ、一つだけ、私どもが見た中で、地方公務員、国家公務員、政府職員等々含めまして、日本の労働者千人当たりのいわゆる公務員の数というのは三十五人ぐらい。フランスが九十何人、アメリカが七十何人だったと思いますので、そういった意味からいきますと、かなり少ない方であることは確かなんです。

 そういう点は確かだと思いますが、さらに、いろいろな意味で、私どもは、流れとして地方により権限をというので、地域分権にし、小さい政府だけれどもしっかりした強い政府というのが本来の、ただ小さければいいというものじゃありませんので、小さくても弱い政府じゃ話になりませんから、小さくてもきちんとした、しっかりした政府ということを目指していくということになりますと、今言われたように、行管におきましても、いろいろな海外の事情等々、外務省等々の査定をするに当たって、また防衛庁の査定をするに当たって、そういったある程度の基礎知識を持っておく必要はあろうというように私も感じます。

古本分科員 そういう意味では、今、必要性はあろうと大臣におっしゃっていただきましたので、例えば、在外公館の実務を知るためには、何も海外に駐在しなくても、例えば短期で外務省に出向して人事交流をしてお互いに見る、そんなこともやり方としてはあると思うんですね。ぜひ御検討いただきたいなというふうに思いますし、また、この委員会の場でその後の進捗についてお伺いをしたいと思っています。

 その際、定員管理という意味では、人の定数のことでいけば行政管理局、まさに御局になるわけですが、一方で、予算定員になると、これは財務省主計局の方の査定になると思うんですね。これは、人、物、金というふうにリソーセス全般を一くくりに見ると、人の定員は御省がごらんになる。そして、その人をもとにいろいろなプロジェクトがある。前回、三十三万ポスト、職種があるということを確認いたしました。そういう意味では、三十三万個の机といすがあるわけですね。この三十三万個の机の仕事の中身いかんによっては、また新たなポストが生まれる可能性もあります。これは、いい仕事をすればいいんでしょうけれども、ありていに言えば、どんどん予算を使っちゃって金食い虫の職種も、机の中にはあるかもしれない。

 したがいまして、人の数は管理をした、一方で、お金の方の管理をするのは財務省、どうしてこういうふうに切り分けているんでしょうか。これは財務省の見解を伺いたいと思います。

松元政府参考人 お答えいたします。

 定員の査定についてでございますが、国の行政機関の定員の設置、増減及び廃止に関する審査につきましては、総務省設置法に基づきまして総務省行政管理局が行っているところでございます。

 一方、定員措置が人件費を含みます予算措置と密接に関連いたしますことから、財務省におきましても財政当局の立場で定員の査定を行っているところでございます。

古本分科員 イメージしていただければいいと思うんですが、多分、企業でも、採用、配属する人事部と財布を見ている経理部は違うわけですね。しかし、企業は互いに利益を共有しているという大前提があるわけですね。

 財務省と御省が共有していないとは言いませんが、しかし、査定段階で、この仕事が本当に見合っているだろうか、この人員がなすべき仕事、結果、要する行政コスト、これだけを今年度の予算として計上していいものなのかどうか、これを判断するのは、私は一緒にやった方がいいと思うんですね。

 現実問題、今一緒にやる仕組みになっているんでしょうか。これは政治として答弁していただきたいと思うんです。

麻生国務大臣 古本先生、最近の例で警察が一番いい、わかりやすい例だと思います。四年前の一万人増員計画、地方公務員の。このときがいい例だと思うんです。これは、国家公務員の例の法定のものもみんなそうでしたけれども。これは、治安が悪い、これは警察官の絶対量が減っておる。それはもう事実、地方公務員の数に合わせてどんどん減らしましたから。その中にあって、地方において安心、安全の観点からこれは極めて問題ありという御指摘がいろいろ世論調査に出ましたものですから、三年間で一万人増員計画というのをやったんだと記憶するんです。

 財務省が先につきます予算の話をしていたところに総務省の方でちょっと待ったという話になって、双方で話し合いをした結果、あの一万人の増員計画を出し、今年度でちょうどそれが三年目になるんですが、いまだ不足という要求が地方から多く出たものですから、それを財務省と総務省で十分に話し合った結果、その査定を認める。

 傍ら、入国管理官、それから麻薬捜査官、植物検査官等々のところにつきましても同様の要望が上がっておりましたので、それも両省で十分検討させていただいた結果、それをふやしたというのがありますので、一緒に仕事をするというのであれば、そういうような問題の具体例でいけば、かなり一緒に検討をさせていただいていると記憶をいたします。

古本分科員 私はぜひそういう先駆けの事例をつくってやっていくのがいいのか、あるいはもう仕組みとして、これは現実問題、伺いますれば、主計の皆さんが、どちらが上流か下流かというと、これは恐らく財務省の主計の方が上流で、先に定員の問題並びにそれに付随する仕事の中身についての査定を入れているんじゃないですか。もうぜひ仕組みとしてそうした方がいいと思うんです、これは。先立つものがないと、人をふやすだの、張りつけるだの、削るだのという議論はなかなかできないと思うのですね。

 これは行政評価のあり方全体を見る中で、国民世論の目が大変厳しくなってくる中で、定員があって、その人掛ける単価があって、これは法律で決まっています。そして、机という、まさに仕事のボリュームがかかってくるわけなんです。よって、総コストが決まる。これはせんだっての委員会でも申し上げました。

 したがいまして、これを一体的に見る何か仕組みを、大臣から伺ったような警察の事例、ケースが先にあってやっていくこともあるかもしれませんが、ぜひ仕組みの方の御検討を賜りたいということを要望申し上げておきたいと思います。

 残された時間で、一点に絞って申し上げたいと思います。

 新聞報道でも出ておりますが、経済財政諮問会議、きょうですか、開かれる中で、国家公務員のこの給与の問題、「基本給五%下げ勧告へ」という記事が出ておりますが、このことよりも、むしろ、給与の官民格差の是正あるいは各種手当の見直し、そして国家公務員の定員について純減目標の設定というこの三点が指摘されているんですね、民間議員の方々から。私は、このことに象徴されるように、これは世論の声を代弁していると思います。

 その意味で、私は今から何点かこのテーマについて申し上げたいんですが、今、一般行政職三十三万人の方の中で、具体的なモデルに絞りたいと思いますが、問題となっております地方の出先の平均的な管区にいらっしゃる課長さんで、年収大体幾らぐらいなんでしょうか。そして、くだんのキャリアの方々、本省の課長さんで大体幾らぐらいお取りになっているんでしょうか、年収です。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 本省の課長あるいは地方課長のモデルの計算でございます。月収で申し上げますと、まず、地方機関課長、これはモデルでございまして、五十歳として配偶者がおられて子供が二人いて、うち一人が十六歳の年度初から二十二歳の年度末、こんな設定でございます。給与月額が四十七万三千九百十円でございます。(古本分科員「年収でいいです」と呼ぶ)年収でございますと、これに十二月とボーナス等を足しまして七百七十二万九千円余でございます。

 それから、本省の課長さんということでございますが、これもモデルとして四十五歳で先ほどの配偶者、子供二人として設定した場合でございます。給与月額七十二万九千円余でございます。年収では千二百三十三万五千円余、こういうふうに計算されます。

古本分科員 大臣、今、数字、お聞きになったと思いますが、せんだっての我が党の同僚議員とのやりとりも議事録で拝読をいたしましたが、公務員の皆さんがどうして、とりわけキャリアの皆さんが途中で転職するか、あるいは全体に士気が下がっているんじゃないか等々のやりとりを同僚議員とやっておられたかと思います。

 私は、給料というのは、人間が働く上での、士気を高めていく上でのやはり源泉の一つだと思います。その意味では、この地方の課長職、大体平均的な管区の出先の課長さんが年収七百七十万取っておられる、これは結構じゃないかと思うんです。本省のキャリアの方、まさに粉骨砕身でやっておられて一千二百万、これはいいじゃないか。

 ただ、冷厳な事実として、年収七百万円を超える方は、これは国税庁の調査のデータによりますけれども、上位一五%組なんですね、年収七百万超は大体一五%です。給与取得者のトップフィフティーングループのメンバーなんですよ。さらに、年収一千二百万といえば、これはもうトップ数%組ですね。一千万超えておられる方で、四・九%です。一千二百万超えているというとさらなるグループですね。

 したがって、国民世論が今何を言っているかというと、これは、私は下げろと言っているんじゃないんです、誤解のなきように、一千二百万円プレーヤーに見合った仕事をしてもらいたいんですね。この見合った仕事とは、これすなわち、やはり歳出削減であり、より安いコストでより早く道路をつける、より安いコストで公的年金の制度を確立する、つまり費用対効果の問題なんですよ。

 これは、せんだっての委員会でも、全国の国家と地方の公務員、平均すると一千万プレーヤーになる、これは特別職入っていますから、その分を排除すればもうちょっと下になるんでしょうけれども。こういうことを実現していくためにも、私が最前申し上げた、仕事の中身の査定を入れていくという部分におきまして、発揮能力あるいは具体的には成果をどういう部分で物差しではかっていくかというのが、行政評価の項目の中に今後入れていかなきゃいけない大変大きな観点の一つではないかと思うんですね。これは、行革の方の担当になるかもしれません、大臣の守備範囲を超えているかもしれませんが。

 具体的に申し上げます。あるプロジェクトを、例えば、中部空港でもいいですよ、中部国際空港を安く仕上げた、このことを担当した担当官は本来ゴボウ抜きで出世するべきだと思うんですね。今少なくともそういう評価になっていますか。これは事務局でもいいです。行政コストを下げるように努力した人こそ早く出世する、今そういうふうになっていますか。

麻生国務大臣 難しいよ、それは。基本的には、今のは物すごく難しいと思うんですね。これは、私も全く同じ発想で考えるんですが。なぜコストが下がらないかというと、例えば、いろいろ努力をした、従来千万円かかったコストを八百万円にした、二百万円コストが安くなった、二百万円そいつにくれるかといえば、くれないんだもの。丸々財務省、国庫が持っていっちゃう、理財局が持っていっちゃう。組合といろいろ交渉したりなんかするのは全部現場の人、持っていくのは全部理財局、あほらしくてやらぬですよ、そんなもの。僕はそう思いますね。それが普通じゃないですか。

 だから、せめて百万円だけでもとか、半分だけでもその地に何らかの形でしてやるようなシステムでもつくり上げればまた別よ。それでなければなかなかやらないと僕は思うんです。だから、システムの問題なんだと思う。

古本分科員 僕は麻生さんのその本音話、大好きです。まさにそのとおりだと思います。中部空港も結果として一千二百億円下げましたが、これは国庫に帰属しただけで、愛知県民あるいは中部空港のプロジェクトに携わった人には何の得もありません。使ったもの勝ちなんです。

 しかし、そのシステムを変えるのは、まさに男麻生太郎じゃないんですか。そういう意味では、今、国務大臣であり、内閣の一員を構成し、今回の予算も提案しているわけでありますから、それはシステムの問題ですなんて強弁なさっても、大臣、私はそれは違うと思いますね。そう変えていくという方向が正しいのであれば、もう一言コメントをお願いします。

麻生国務大臣 今の話は給与も同じ話でして、一生懸命有能であった者をぽんと引き上げるということは、役所の長い年次でヒラメの目みたいなところにいきなりそれを持ち込んできて、それが合うかねというと、これは役所の中ではなかなか難しいのと同じでして、年次を飛び越えて、下のが偉くなっちゃったりなんかするというのは、国会議員の世界では結構年が下の人がいっぱい上にいますよ、それははっきり言って。ヒエラルキーや当選回数というわけじゃなくなっちゃったでしょう、今は。おたくはどうか知らぬけれども、うちは少なくともそうですよ。

 だから、そういう意味では、時代が非常に違ってきているのは、僕は、ある意味ではこういう変革の時期においては、そういった抜てき人事とかいろんな大きな破壊というものがないと新しいものは構築できないというのは正しいんだと思います。

 今言われたことは、少なくとも単年度評価というか、単年度決算の財務省に、通年をある程度持ち込んだり、少しずつではありますけれども、これは財務省の方も努力をして、今までのをやめて、新しく変えてきているという努力はこの数年間認めていかないかぬところなんですけれども。

 確かに、いろんな意味で、インセンティブがないとなかなか人間はやりませんから、そういった意味で、今言われたようなことは、これは確かに努力をしなきゃいかぬところだと思いますけれども、簡単にはいかぬ。しかし、少なくともこの数年間の間、予算の編成やら何やらが、いろんな形で、政策群とかいろんな形にして、通年でできるようになったり、いろんな形になってきたし、それなりの努力は確実に行われている、そのスピードがもっと上がってもいいのではないかというのは、私もそれはそう思います。

古本分科員 時間が参りましたので一言だけ。

 きょう申し上げたかったことを再度、特に事務方としては肝に銘じていただきたいのは、大臣、最後にいい話をしてくださったと私は思うんです。

 やはり、やりたくてもやる気の起こるシステムになっていないんです。これは、大きな話でいけば、まさにプロジェクトの原価を下げたことによって、地方整備局が、そこに財源を年度をまたいで残してもらえるならそこの整備局長はしゃにむになって原価を下げますよ。それで、よりよい道路を安くどんどんつけられる、これは大きな話。

 一方で、その整備局で働く技官なり事務員の個々の官僚の皆さんは、そういう業務に携わって大仕事をしたときに評価をされる人事・恩給局の仕事であるんですか、行政管理局の仕事であるんですか、さらに言えば、もっと昇格を見ている各省の大臣官房なんでしょう、そういう仕組みにぜひ変えていってください。そうでないと、日本の高コスト構造は変わりません。

 以上であります。ありがとうございました。

田中(英)主査代理 これにて古本伸一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、前田雄吉君。

前田分科員 民主党の前田雄吉でございます。

 本日はNHKの受信料の問題について、これは国民の今や本当に最大関心事項の一つになっておりますので、これについて伺いたいと思っております。

 本日、本当にNHKの経営の責任者の方に出てきていただきたかった、NHKの橋本会長が一月二十九日の特別番組で、受信料の公平徴収について積極的に取り組むとおっしゃっておきながら、確かにスマトラの災害の報道の会議も大事です、しかしながら、国民にしっかりと受信料の公平徴収についての説明をここでしていただきたかったのです。もしくは、経営委員会の委員長に来ていただいて、これについてどうお考えなのか答えていただきたかったと思います。

 また、私は、麻生大臣、二十三日に、NHKの受信料の問題についての公開ヒアリングを行いました。この折もNHKはお越しいただくことができずに終わりました。

 きょうは、NHK問題、不祥事が続くNHKの受信料の問題、一体どういう状況にあり、現実に対してどういう御認識をNHK当局がお持ちなのか、初めに伺いたいと思っております。

 まず、毎月ふえ続けると言われています今日の受信料の不払いの件数をここで明らかにしていただきたく思います。そして、なぜこのような現状になっていると考えられるのか、NHKの責任ある御答弁をいただきたいと思います。

中山参考人 お答えをいたします。

 不祥事などを理由に支払いを拒否される、または保留されるという方がふえておりまして、いわゆる不払いのお客様ですけれども、一月末の時点で、累計で約三十九万七千件という数字になっております。こうしたお客様に対しては、私ども日常的にお会いをさせていただいて、お支払いをいただくようにという努力を毎日続けさせていただいております。

 支払いの不払いのお客様がふえるということのその理由としましては、やはり、昨年来の不祥事、その後の対応の仕方、それから経営責任のあり方等々に対する御意見で不払いになられるというお客様が増加をしております。こういう状況に対して、本当に危機感を持って、全職員一丸となって今取り組んでいるということであります。

 こうしたために、私どもは、今改革、再生ということで具体的なNHKの再生への取り組みということを事業計画とか予算等で視聴者の方々にお示しをさせていただいておりますので、こういう改革、再生への取り組みを、お一人お一人にお会いしてきちんと御説明するということを続ける、それから、公共放送とか受信料制度についても御理解をいただく、本当に全力を挙げて職員が一丸となって不払いの増加に歯どめをかける、そしてお支払いをいただく、こういう努力を続けたいというふうに思っております。

前田分科員 今、NHKサイドとして初めて、受信料の未払い件数を言っていただきました。これは、私は評価します。

 さて、具体的に、これから私が決算行政委員会で十一月に取り上げさせていただきました病院の院内テレビシステム、千円のカードでテレビを見るというこのシステムについての問題に進みたいと思っております。せっかく麻生大臣がお見えですので、私もフリップをつくってもらってきましたので、これでもう一回、事の問題がどこにあるのかということをちょっと御説明したいと思います。

 初め、私の後援会、バス旅行の御婦人から、雄吉さん、いいかげんにしてね、千円のカードで病院でカードテレビを見るけれども、全く、本当に少ししか見られないじゃないか、私ら映画を見ておるんじゃないよ、私も名古屋ですので名古屋弁でしゃべりますけれども、そういう御指摘を受けまして、各カードテレビの会社を調べました。

 そうしたら、私から判断すれば、そのカードに受信料がかかっているんではないかということが濃厚になりました。自宅でも払って、またそのカードを買うときにも受信料を払っている。これは、やはり納得できないというところだと思います。大臣、よろしいでしょうか。

 まず、今私が問題にしているのは、常設のカードテレビ、これは病院ごとに受信契約が必要ですということで、受信契約が必要だと書いてあるわけですね。これは、NHKの「病室内テレビの受信契約について」というパンフレットの中から抜粋しております。

 今度は二の方、こちらの方は、受信料、受信契約がかからないといったものです。もちろん、御自身で持ってきて病院に運ばれたものは、御自宅で払っているから、生活の延長線上なので払わなくていい。あとは、売店で借りてきたテレビ。ここにどういう会話が書いてあるかといいますと、「テレビを借りたいのですが…。」患者さんがこの売店のお姉さんに言います。「病院にはありません。貸テレビ会社に取り次ぎます。」こう書いてあるんですね。

 結局、貸しテレビ会社に行ってそのテレビを借りてくるんですね。患者さんから見ると、借りてきたテレビ、こちらも、もともとそこの病院に置いてあって、カードで借りて見るテレビなんですね。どうして受信料契約に違いが出るか。片やかからない、片やかかるというわかりにくい制度になっているわけであります。

 せんだって二十二日の総務委員会でも、大臣も御指摘ありましたけれども、昭和二十五年の放送法がそのまま放置されているのが問題であって、母屋があって、どんどん建て増しをしていってわけがわからなくなっているというのが今の現状じゃないでしょうか。

 そこで、私、公開質問状をNHKに出させていただきました。NHKから回答をいただきました。自宅で受信契約をしている患者さんが病院でのテレビに受信料を払った場合、二重払いと考えるか否かという見解を明らかにしてほしい。回答の方は、病室に既に設置された貸しテレビの受信契約の締結対象は、ここです、病院または実情によって貸しテレビ会社になります、こう御回答をいただいています。したがって、患者さんに受信料をお支払いいただくことはなく、受信料の二重払いにはなりませんと書いてあるんですね。これが回答です。

 一つ一つちょっと、では、受信契約が病院だった場合と貸しテレビ会社だった場合に分けて、二つの場合だと言っていますので、分けて考えたいと思います。

 まず、貸しテレビ会社の方が受信契約者だとしましょう。そうしましたら、どうでしょうか、結局、企業ですので、コストは解消をしていくわけでありますので、エンドユーザーの患者さんに転嫁していく。これは、当然、企業の論理からいってそうなっていきますよね。ということは、患者さんがその受信料を負担することになってしまうと思いますが、これが二重払いじゃないんでしょうか。NHKのお答えをいただきたいのです。

中山参考人 病室の受信契約につきましては、今先生おっしゃられたとおり、受信のテレビを設置した病院、または場合によって貸しテレビ業者に受信契約をお願いするということで進めさせていただいておりまして、入院される患者さんが契約の対象になるということは今ございません。

 そういうことで、設置をされた方に放送法に基づいて受信契約をお願いして、そして受信料をお支払いするという形で御理解をいただきながら、今受信契約の活動を進めておるということで、入院の患者の方々は必ず二重払いになるんだ、そういうことではないというふうに私どもは理解をしております。

前田分科員 今お聞きしても全く意味がわかりません。結局、現実に、貸しテレビ会社が契約者だった場合、当然、そのカードの価格の中に受信料の部分を転嫁していきますね。それを払うのは実情として患者さんですね。そうしたら、患者さんが御自宅で払っていて、またそのカードを買うときに払っていることになりませんか。これがまず一つ、両方払っているということですよね。だから、貸しテレビ会社でとまっていればいいですけれども、当然、企業ですので、この費用を、経費を価格に転嫁していくと思います。

 それからもう一つの場合ですけれども、病院が受信契約者の場合の話ですね。この場合に、当然病院でとめて、それで患者さんには払わせない、あるいはほかのテレビ会社に払わせないということは、今現実としてありません。

 次に、この件について、私が得た資料があります。十六年五月十七日現在の資料、これは、日本放送協会の営業局担当局長から日本赤十字社総務局長に対して出してある文書がここに一つ、私がこれを手に入れました。ちょっと読みます。

 「とりわけ病室の貸しテレビについては、国公立病院に準じた適正な契約化に向け、リース業者への指導などに一層お力添えを賜りますようお願い致します。」これは放送協会さんから日赤さんに出された文書で、内容は、とにかく日赤さんから徴収に協力してくれ、お力添えを頼むよといった文書であります。これにも明らかなように、病院は今度、例えば日赤病院ですね、日赤病院さんから当然貸しテレビのリース業者へ、ちゃんと徴収する、それを頼みますよというNHKの文書なんですね。

 ということは、回り回って、結局、病院でとまっているんじゃなくて、日赤病院でとまっているんじゃなくて、そこからリース業者さんへ転嫁されていくわけですね。当然リース業者さんは価格に転嫁せざるを得ない。ということは、結局患者さんが払うんじゃありませんか。これについて、厚生省の方はどういうお考えでいらっしゃいますか。

小島政府参考人 先生今御指摘のように、日本赤十字社では、NHKより、赤十字病院に設置されているテレビについて、適正に受信契約を締結してほしい旨の要請を受けました。それに基づきまして、赤十字本社では、各病院に対して、NHKの受信契約の締結状況について、締結されていないものについては適切に対応するように依頼をしたところでございます。

 赤十字病院は、カードテレビ会社と契約を交わしまして、テレビ設置場所を提供しております。施設の管理者として、当該テレビカードに関連して法令が遵守されるということが必要であると考えてこのような措置をとったものと私どもは考えているところでございます。

前田分科員 日赤さんも本当にいろいろな活動をされているわけですから、忙しいです。この問題は、NHKが直接業者さんに当たればいいんじゃないですか、徴収すればいいんじゃないですか。それを、こんな圧力徴収みたいな、迂回徴収みたいな形をしていくんじゃなくて、正直に、正面から、リース業者さんに徴収すべきじゃありませんか。

 今、根拠は、管理しているので、遵法の精神からということでしたけれども、それだったら、きちんと放送法の中に、日赤さんも徴収権者だということも明記すべきじゃありませんか。そんな迂回や、回り回って圧力をかけて徴収するような形じゃなくて、NHKは直接リースの業者さんに取るべきですよ。

 そして、またもう一方、文書があります。これは、NHKの大阪放送局局長から十六年六月七日付で、「「院内病室における貸テレビの受信契約」についてのお願い」という文書で、これはリース業者さんに出された文書です。ちょっと読みます。「テレビ自体の所有権が貸テレビ業者にあるとしても、そのテレビの持ち込みを許可したのは、設置場所の管理者である病院であり、厚生労働省におかれましても、貸テレビ業者に対する病院の管理責任について指導されております。」最後の部分、厚生労働省におかれましても、貸しテレビ業者に対する病院の管理責任について指導されているというこの文書、これは大阪放送局長名なんですね、こういう文書が出されております。

 ということは、これまた、病院に対して迂回徴収を本当にNHKが厚生労働省に言ってやらせているんではないかということじゃありませんか。厚生労働省さんもいっぱい仕事があるわけですから。年金の問題もそう、社会保険庁の問題もそう。こんな徴収員みたいなことを厚生労働省がどうしてさせられるんですか。

 何に基づいてこういう迂回徴収、圧力徴収をなさっているのか、厚生労働省、御説明ください。

岩尾政府参考人 受信契約、受信料の徴収ということは、テレビの設置業者である事業者とNHKとの間で行うということです。

 私ども国立病院では、病室内のカードテレビについては、病院は、カードテレビ業者に対してテレビの設置を許可しているという立場でございます。ですから、各国立病院が事業者に対しましてカードテレビの設置許可を与える、各国立病院でやっておりますが、これについては、受信契約が適法に行われているかどうかという確認を行うことがあるとは思っておりますが、これが不当な圧力であろうということは考えておりません。

前田分科員 とはいっても、一言厚生労働省さんあるいは病院さんから言われたリース業者さんは、非常にこれは圧力だと感じると私は思いますよ。ですから、これは絶対やめていただきたい。

 今、両方の場合の話を伺いました。受信契約者が病院である場合、貸しテレビ会社さんである場合を伺いました。結局、先ほど申し上げたように、貸しテレビ会社さんだったら、それはカードの価格に転嫁されるし、契約者が病院であっても、それは、今言われたみたいに、迂回で、迂回の圧力徴収をされて業者さんに回る、そうしたら、業者さんはまた価格に転嫁する、払うのは結局患者さんということじゃありませんか。

 こういう二重払いを国民の皆さんは実態としてもうわかっているんですね。それをいつまでもこういう古い昭和二十五年の放送法でやろうというのが間違っているんじゃありませんか。私はそう思います。

 さらに少し進めさせていただきますけれども、せんだって、我々国会議員のところに、日本放送協会平成十五年度業務報告書及び総務大臣の意見並びに監事の意見書というのが配付されました。私は、この報告書にある数字の信頼性というものを高めるためにも、今までNHKさんが総務委員会等で全然公表してこられなかった、また私の公開質問状にも全く答えられなかった事項について伺いたいと思います。

 特に放送法三十二条に伴う受信契約必要件数について伺いたいと思います。テレビの今現在の保有世帯数は何台であるか、そういう問いをまずさせていただきます。

中山参考人 お答え申し上げます。

 その前に、先ほど、病院の受信契約ですけれども、私どもは、放送法に基づいて公平負担をお願いする、それから、国会決議等々でも公平負担を徹底しろという御意見もいただいておりますので、そういう中で努力をさせていただいているということを御理解いただきたいというふうに思います。

 それから、今先生御指摘の、受信契約対象数をどういうふうに把握するかということなんですが、放送法は、テレビを設置した方に、申し出て契約しなさいよというような、申し出を基本にしているということと、その中でNHKが一件一件確認をするというような、そういう強制的に確認をするというようなこともできない、そういうような事情もありまして、信頼できるような公的な統計をもとにして推計をさせていただくということで、信頼性のある推計値として参照をさせていただいているということであります。

 保有世帯数につきましては、国勢調査等をもとに算出をしておりまして、十五年度で申し上げますと、世帯数全体では約四千八百九十九万世帯ある。このうち公的な扶助、いわゆる受信料の免除世帯とか、それから同居世帯等については一契約になりますので、そういう世帯等については、社会福祉行政業務報告書、これは厚生労働省で作成されておりますが、また民間の調査機関等々の協力を得て、いわゆる私どもが有料で契約いただくという受信契約対象の世帯数というものを算定しておりまして、こうした算定に基づいて推計した結果で十五年度末の契約対象世帯数としましては、四千二百七十一万世帯が契約対象世帯数であるというふうに今認識をしております。

前田分科員 私は恐ろしい話だと思いますよ。だって、結局、何件いただいているかわからぬという話でしょう。信頼できる統計数値、そんなばかな話がありますか。放送法で国民の皆さんは一件一件捕捉されて受信料を払っているわけです。税金のように当たり前に受信料を取っていかれるわけですよ。何件から入っているかわからない、統計数値で見ろという話は、これは間違っているんじゃありませんか。入りもどんぶり勘定、出もどんぶり勘定でしょう。NHKの会計はそういうことになっているんでしょう。今まで全くこの部分が明らかにされていないということは、ここに書いた、我々に出されたこの報告書の数字の信頼性が全くないわけですよ。

 幾ら何件から入っているか、正確にわからない。では、NHKはどうしてその受信料をいただいているんですか。もう一回答弁してください。

中山参考人 今申し上げました四千二百七十一万世帯というのは、私どもが受信契約をいただいて、そして受信料をいただく対象の世帯が、推計をして四千二百七十一万世帯ある。そのうち、私どもも力足りないところはありますけれども、およそ三千八百九十万世帯、契約数としてはいただいておるということでございます。

前田分科員 私は、およそじゃありません、正確に最後の一台まで、当然受信料を税金のように徴収しているんだからわかるはずでしょう、それを伺っているんですよ。もう一度答弁してください。

中山参考人 先ほど、世帯数につきましては四千二百七十一万世帯が対象と申し上げましたけれども、私どもが一件一件、全世帯を回って、中に入ってテレビがあるのかどうかという確認をするということは、現実的に不可能であります。家庭の中でそういう調査をするというような権限もございません。お客様から申し出をいただいた、そういうお話し合いの中で契約をさせていただくということでございますので、強制的にそういう調査をすることができないということと、年間三百万とか四百万、毎年移動しているわけでして、そういう世帯について毎年毎年きちんと調査をする、それは物理的に不可能だ、難しいということをぜひ御理解いただきたいと思います。

前田分科員 私は、実際、受信料をいただいている国民の皆さんが何件あるか、受信契約数を、一般家庭で何件あるかということを伺っているんですよ。では、これを最後の一件まできちんと答えてください。

中山参考人 現在集計されている最新の数字といいますと、三千八百九十万世帯、契約いただいている世帯は三千八百九十万件、世帯から契約をいただいております。

前田分科員 万単位でしか言えないというそんなどんぶり勘定でどうするんですか。国民に税金のように受信料をいただいているわけですから、最後の一台までそれは当然きちんと答えるべきですよ。

中山参考人 一の位までの数字ですと、十五年末の受信契約世帯数でありますが、これは全国で三千八百十五万六千六百九十四件ということになっております。

前田分科員 そういう数をどうして初めに出してこられないんですか。これがNHKの怠慢なところなんですよ。何回も言いますけれども、税金のように国民の皆さんから受信料をいただいているわけですから、もう本当にきちんと把握して、国会の場でも一回でその数字が出てくるようにしてください。もっとお聞きしたかったんですけれども、時間が近づいております。

 最後に、大臣。今お聞きになったように、NHKの受信料の徴収体制が、時代の流れとともに非常にわかりにくいものになってきている。二十二日に大臣も受信料制度の見直しに触れておられますけれども、私は、どんどんと、携帯でもテレビが見えたりカーナビでもテレビが見えたり、それから病院のこういうテレビシステムも出てきたりしているわけですから、本当に国民が納得できる受信料徴収体制を一日も早く築くべきだと思います。

 これはどういう形にするのが一番いいのか。一つには、受信料制度そのものを見直さなきゃいけないのかもしれません。二つ目に、NHKの組織の仕組み自体を考え直さなきゃいけないかもしれません。また、二十五年の放送法を法体系的に改正しなければいけないかもしれません。とにかく、一日も早く、こういう今の不明確な徴収体制ではなくて明らかなものに、国民の皆さんに理解していただけるようにすべきだと考えますが、大臣の今後の方針を伺いたいと存じます。

麻生国務大臣 確かに、おっしゃるように、昭和二十五年という、放送法とか電波法とか、いろいろこの付近から始まるんですけれども、その後、白黒テレビが出た、それからカラーテレビが出た、それから衛星というんで、やはりこれはそれなりに変わっていったんですよ。

 ところが、前田先生御存じのように、今はPCで見えるからね。それから車の中でも見られる。それでおまけに、ついにFOMAを使って携帯で見られるというんですよ。

 そうすると、一家に一台というようなテレビの時代が前提になったのと違って、今私のうちで娘の部屋にも息子の部屋にもありますからね。そうすると、テレビというのが一家に一台というような貴重品だった時代からは非常に変わったものになっておるのに合わせて料金徴収体系を考えるべきではないか。これは技術的な話として一つ。

 二つ目。二〇一一年にデジタルハイビジョンということになると、払わないところはとめちゃえばいいんだから、技術的にできますから。だから、そういうことも考えるかと。

 三つ目の問題として、みんなと同じように、民間みたいにやるか、広告を集めるかといって、民放はみんなそれをのむねという問題。

 四つ目の問題として、私どもは、これだけ出てくれば、物によると、BSやらあれやら使いますと今年間で二万何千円になるんだと思いますが、これは台数がむちゃくちゃふえますからね、今のやり方をすると。そうしたら、一人一台、動くのを考えて仮に償却入れて十年、その分先払いでちょうだい。そのかわり、全部だから、テレビの画像が映るものは全部一個ずつ、携帯も何もみんな、台数がどのぐらい下がるんだか知りませんけれども、仮に一万円としますか、一万円ずつ上乗せちょうだい。そのかわり、全部テレビの映るものは一万円ずつ余計に取って、先に払っていただきますと、十年したら大体償却していくからという計算になるんです。

 これは、私としてはいろいろな考え方があるんだと思うんですね。だから、技術の進歩に合わせていろいろなやり方があると思いますが、しからば、では、それを今やるかと言われると、御指摘のありましたように、今信用が何となく失われている。おまけに、払わなくても映るのかということになると、それを奇貨として、よしとして、払わないなんという不届きな人もやはり出てくる。税金と同じと言われたけれども、税金は逮捕がありますけれども、こっちは逮捕がないなら払わない方がいいじゃないかというような不届きな人もいっぱい出てくる可能性がありますので、今回のおかげで、何だ、これは払わなくても罰せられないじゃないかということを知った、これまで払っておられた方々が、適当な理由をくっつけて、払わないようなことに自分でしていこうと思う方も、私はこれはないとは言えぬと思うんですね。

 そういった意味では、やはりそこのところを考えたら、ある程度きちんとするということは、当面これはやっていかないかぬのであって、今申し上げたような技術的なこと、法律的なことで徴収方法を丸ごと変えちゃうのを直ちにやるかということに関しては、もう少し検討の余地があるのではないかと思っております。

前田分科員 どうもありがとうございました。

 一日も早く国民の信頼を取り戻していただきたく思います。

 以上です。ありがとうございました。

田中(英)主査代理 これにて前田雄吉君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田島一成君。

田島(一)分科員 お許しをいただきまして、質問に立たせていただきます。ちょっと順番がイレギュラーになったようですけれども、三十分間、大臣初め関係各位に質問をさせていただきます。

 きょう取り上げるテーマは、日本全体の課題でもあります消防でございます。当然のことながら、他の同僚議員からも、この消防行政については、大臣以下、また消防庁にも質問があったかというふうに思いますが、私自身が経験してきたことも踏まえながら、また、それぞれの地域、決して選挙区だけではなく全国的な課題という観点から、消防力の強化という点に絞ってお話をしつつ、質問をしたいと思いますので、明快な答弁をぜひお願いしたいと思います。

 御承知のとおり、全国八百八十三、現在、消防本部が設置をされています。人口の規模で短絡的に区分けするのはいかがなものかという観点はございますけれども、ただやはり、一つの消防本部の目安として、各消防本部が所轄しているエリアの人口規模というものをどうしても無視して考えるわけにはいかない、そう思っております。

 実は、平成十六年版の消防白書を拝見いたしまして、その中に、人口規模別の消防本部数の一覧がございます。もうすべて承知をされているというふうに思いますが、現在、この消防本部数を拝見いたしますと、いわゆる人口十万人未満、そして職員数が百人未満という小規模消防本部が非常に多うございます。もう少し細かくいきますと、人口五万人未満の小規模と言われている消防本部は八百八十三のうちの約三分の一、そして、それも踏まえて、人口十万人以下の小規模を合わせますと、約三分の二が小規模と言われている消防本部であります。

 警察業務とよく似ているところがやはり消防力というのはあると思いますし、警察においても、いわゆる総合警備力また警察力を高める意味でも、規模の拡大、そして即応力を高めていこうというそんな動きがあるわけですけれども、現在、この小規模の消防本部を、例えば人口十万人以上の中規模消防本部に格上げをしていこう、また再編をしていこうという、そんな動きがあるのかどうか。また、やはりこれからの消防力を本当に全体的に高めていこうと思うと、今までのような小さな規模では、どうしても人員の重点配備等々に大きな問題があろうかというふうに思います。

 昨年はたしかこの予算委員会の分科会で大臣に市町村合併について質問をさせていただきましたけれども、後ほどまた市町村合併については重ねて問うとして、この消防本部の再編についてどのような取り組みを今後されていこうとお考えなのか。まずそこから御答弁をお願いしたいと思います。

東尾政府参考人 小規模消防本部の再編問題についてお答え申し上げます。

 ただいま議員御指摘のとおり、私どもの目安といたしましては、管轄する人口がおおむね十万人以上、このような消防本部になるように、現在、都道府県や市町村に対し指導に努めているところでございます。

 消防は、御存じのとおり、市町村消防の原則ということで、個々の市町村が消防本部を持つということが原則ではありますが、御指摘のとおり、高度で専門的な消防サービスを提供する上でも、また昨今の緊急消防援助隊など広域応援をする際にも、この十万人ということが必須というふうに考えておりまして、強力に指導しております。

 十三年三月には、このため、広域化基本計画の見直しに関する指針というものを示しまして、これは各都道府県がそのような計画を具体的にはつくるわけでございますが、この見直しを要請いたしました。この結果、一応、すべての都道府県でこの見直し要請に沿った見直しが行われております。

 現在、市町村合併が行われておりまして、この市町村合併をとらえまして、さらに広域化を推進するべく、現在、専門家や消防庁職員を各地に派遣いたしまして、広域再編に際しての課題の解決等をアドバイスしているところでございます。

 今後とも、消防本部の広域再編を強力に推進してまいりたい、このように考えております。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 住民の立場からいえば、きめ細かな消防署の設置というのは当然声が上がってきても当たり前だというふうに思いますし、皆さんもきめが細かければ細かいほどいいだろう、そうお考えになられるのは当然であろうかというふうに思います。ただ、申し上げたように、予算の限界、また人員、定数等の限界等からすれば、おっしゃってくださったような中規模にやはり格上げをしていく、そういうお取り組みは当然だと思います。

 私、実は、昨年も地元の広域消防組合の竣工式に寄せていただきました。このことは実は、質問には触れていなかったんですけれども。実は、その広域消防組合、人口は五万人どころか四万人にも満たない地域なんですね。しかし、新しい消防本部が設置された。実は、四町から成る郡であります。広域消防組合が伝統的に設置されているんですが、残念ながら、今度は、この消防の四町が市町村合併によって、二町は新たな市に合併された、残る二町だけが単独になっている。しかし、消防事務組合はいわゆる旧来の郡単位でつくられているということで、市町村合併の枠組みと消防の枠組みと結構ねじれてきているという現象が、私の地元でもございます。恐らく、大臣も、福岡なんかでそんな声を聞いていらっしゃるんじゃないかというふうに思うんです。

 確かに、今回の市町村合併は本当にラッシュのように一気に進んできました。ですから、警察署の区域も当然今てんやわんやしています。あわせて消防本部も、新しい本署が去年の末にできたにもかかわらず、年明けて二カ月しないうちに、その自治体の郡としてのまとまりは崩壊をしてしまった。こういう矛盾点が結構出てきているんですね。

 矛盾というよりも、消防は消防で別だというふうにとらえたいんですけれども、今御答弁いただくと、やはりこの市町村合併を好機ととらえて今回の再編をやっていこうとおっしゃるならば、今後、もうこういった小規模には施設の補助金は出さないぐらいお決めになられるのかどうか。そこまで決意を込めて、中規模の消防本部にしていこうとお考えなのか。どうですか、その辺は。

東尾政府参考人 複数の市町村が合併をすることに伴って消防本部の区域と異なる状況になるということについては、現在の市町村合併の進展に応じまして、各地でそういう事態が発生している状況でございます。

 私どもといたしましては、合併後であっても従来の管轄区域が縮小されることのないよう強力に指導しておりまして、おおむねではございますけれども、そのような方針で各地とも御理解をいただいているところでございます。

 例えば、福岡県におきましては、久留米市において大きな合併が行われましたが、この際、消防本部と市町村との区域が異なりましたが、すべてを包含する形で新しい消防本部ができるというような成果もございます。ただいま御指摘の滋賀県の例につきましては、今後、湖北地方全体を巻き込んで、つまり彦根や長浜も巻き込んで、大きな消防本部にするという計画もございます。ただ、これらのタイムスケジュールがいろいろなために、ただいま先生御指摘のような事態も経過的に発生したというところでございます。

 私ども、補助金やそのほかの支援措置を講じる段階において、消防本部の再編と小規模消防本部の存置との関係で何か差をつけるかというふうな御指摘でございますが、現状では、消防補助金はそのような明確な区別をして交付しているものではございませんけれども、今後の広域再編をにらみますと、例えば消防救急無線の一体化などのためにも、あるいは指令台の広域化のためにも、やはり広域再編に熱心な消防本部を中心に、この辺の財政支援措置を強化していくという方針でございます。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと話が戻るんですけれども、消防の、今回の規模という視点は、今、人口を私は申し上げたんですけれども、本当にこれからもやはりこの人口というのを一つの指標、目安として考えていかれるのかどうか、ちょっと確認の意味でお答えいただけないでしょうか。

 要は、人口は少ないんだけれども非常に広域なエリアというのが当然ありますね。そうなると、非効率的だけれども設置しなければならないというケースも当然例外的にあろうかと思うんですけれども、一つの目安としてはどうお考えなのか、人口だけなのか、教えてください。

東尾政府参考人 消防本部の規模の目安でございますけれども、地方交付税措置におきましても、また、私ども持っております消防力基準というものでも、現在は人口ということでこの指標を持っております。

 今御指摘の、非常に広大な市町村が最近は生まれているところでございますが、このような場合においてもなお人口要件のみを維持するかということでございますが、庁内に若干、研究会を設けておりまして、人口以外の指標、例えば面積、この辺も加味すべきかどうかを現在検討しておるところでございます。

 しかし、面積を加味するとなると、複雑な計算要素となるということのほかに、私どもいつも言っておりますが、地域の消防団、これがあるということをとらえまして、常備消防はやはり人口による一つの区分といいますか目安を原則としていくべきではないかというのが基本的な考え方でございます。

田島(一)分科員 ありがとうございました。

 次の質問に入らせていただきます。

 今ちょっとおっしゃっていただいた消防団、順序がちょっと変わるかもしれませんけれども、消防団の現状というのは、恐らく、ある意味で危機感も感じていらっしゃるんじゃないかなと思います。

 当初、当面の目標ということで、たしか百万人という数字を目標値に設定されていたと思います。が、悲しきかな、いただいた消防団員数の推移は毎年一%ずつ減少して、これは平成十六年度ですけれども、九十一万九千人と、減少傾向はとどまるところを知らない、そんな状況でもあります。

 今、消防補助金ということもお話しいただきましたけれども、実は今回、市町村合併でも、消防団の取り扱いというのが自治体によって随分違ったりしていて、その辺が合併協議会等で問題に上がったりしているところも聞いたりしております。その点については、もしまた何か御答弁いただけたらお願いしたいと思いますが、今回、この減少傾向、政府としてはどういうふうに分析をされているのか、まずその所見をお伺いしてから、続けていきたいと思います。

麻生国務大臣 これは田島先生御指摘のとおり大きな問題でして、基本的には、地域にいる自営業の若い人の絶対量が減っているんです。昭和三十年代はサラリーマンが三〇%だった。昭和七十年代だったらサラリーマンが七割、今はちょうど八十年ですから、ほぼ八割と思ってください。簡単に言えば、地元にいた八百屋さんとか魚屋さんのあんちゃんが、みんなセブンイレブンやローソンの社員になったということですよ。そうすると、勤務時間が難しくなるわけです。消防団というようなものになると途端に訓練ができなくなっちゃうというのが一つの大きな問題、地元なんかで見ていると。全部組織にいるものだから、できないんですよ。

 そこで、私どもとしては、結果として今九十二万人ぐらいまで減っているのを百万人までふやしたいんですが、従来と同じようなやり方ではこれはとてもできない。したがって、機能別にしましょう、いわゆる機能別の分団を入れましょうとか、いろいろなことを考えて、女性の団員の希望者もふえていますので、いろいろコミックの影響なんかもあって、テレビになったりして、女性の消防団員がえらく受けたわけですよ。それで猛烈にふえたりしたこともあります。

 また、いろいろな意味で、今、私どもとして、たまたま消防庁は、いわゆる郵政省なんか、みんな同じ総務省管轄になりましたものですから、郵便局の職員に、おまえ消防団に入れ、配達していない時間のときには消防の訓練や手伝いなんか、機能別にすればできるだろうという話やら何やらして、消防団のOBやら何やら含めまして、いろいろ今対策をやっているのが一つと、どうしても転勤なんかしたら一遍でやめちゃうものですから、やめないで休団しろ、ちょっと休めという休団制度など、いろいろやる。

 そして、地元にあれば事業所に話して、おたく、もし火事になったら手伝うのは消防団でしょうと。だから、そういうことも考えて、おたくの職員、ちょっとうちの訓練のときに、休み時間なんだからかしてくださいとか、そういうような話をやはり事業所に個別にいろいろやって、実際問題として結構それなりに上がったり、インターネットを使って、こんなことをやっていますとか、若い人に向いたような話をいろいろして、結果として救急救命の講習とかそういったようなものに結構参加をしてもらえるというのからスタートして、では消防団という話になっていくような形。

 やはり、そういったのは、昔は黙って入ってきたもので、青年団の次は消防団と決まっていたんですけれども、なかなかそんな時代じゃなくなってきたなという感じがしますので、今、田島先生御指摘のあったとおりに、この点は努力がかなり要るものなんだと私ども思っています。やりたいけれどもやれないというのを、やりたいんだからやれるような範疇にうまく受け入れてやれるような制度というものを考えろということで、今いろいろ努力をさせていただいておるというのが現状です。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 大臣の御認識は全くそのとおりだと私も思います。明らかに、サラリーマン化してきたことによって、いわゆる住域と職域がやはりミスマッチであるということ、これが何よりの消防団としての消防力の低下ではないかと思います。

 実は私も、昨年まで十五年間、消防団員として務めてまいりました。ポンプ操法大会とかにも出させていただいたんですけれども、やはり今ああいうつらいことを耐えるということになかなか若い人たちがなじんでくれない、こういう問題もあります。これは、サラリーマン化したとかという問題じゃなくて、やはり訓練に出られない。最近はライフスタイルの多様化に伴って、当然、土曜日、日曜日に訓練というのは集中します。訓練しなければ、当然、現場での消防力なんというのは発揮できない。しかし、土曜、日曜がほとんど消防で使われてしまうとなると、当然、消防は機能別とかだけではクリアできないような、そんな状況に来ていますね。

 確かに、昔、青年団の次は消防団という流れで、消防団に対するいろいろな偏見もあったと思います。酒の席が多い、飲むのは嫌だという声も、確かに若い人たちにはありました。でも、そういうイメージは随分払拭されてきているんですが、残念ながら、週五日制になり、ゆとりができてきた中で、国民のライフスタイルの中に、社会貢献としての消防団の位置づけというのが非常にあいまいになってきた、これは身をもって痛切に感じるところであり、本当に団員探しにあくせくしている、そんな状況が続いています。

 今おっしゃってくださったように、郵便局も、今でも、現在、特定局の局長さんとかも入団していただいています。公務員の方でも何人かいらっしゃいます。でも、やはり、おっしゃってくださったように、企業の理解を得て入団を促進していくためには、何らかのこちらからの施策というものも別途用意していかないと、例えば、ここの企業からは消防団員が何%入っていますよという数値化したものを公表していくとか、例えば、極端なこと、減税措置みたいなことをとっていくとか、すぐにお金の話になってしまいますけれども、何らかこういうようなことをしていかないと、効率的な団運営というのが本当に難しくなってきたなと私も身をもって感じてきたところであります。

 そこで、これから先、こうした積極的な理解をいただいて、当然、本部機能は、常備消防は大きくしていく、そのかわり、きめ細かな消防力は地域の消防団で見てもらうというためには、この十万という目標数値だけで本当に大丈夫かなと思うくらい、まだまだ目標は高く持っていかなきゃいけないと思うんですけれども、何らかそういった、例えば企業に対するふれ込み、また、例えば市役所や町役場の公務員さんなんかにももっともっと入っていただくような、そういう取り組みを政府として強力にお願いをするなり、対策を立てていかなきゃいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

東尾政府参考人 企業に対する取り組みでございますけれども、ただいま御指摘のとおり、まず公共的団体に対する働きかけでございますけれども、これは大臣のお許しを得まして昨年来何回か通知を出しております。また、日本商工会議所やあるいは経済団体連合会、また農業協同組合中央会などに直接出向きまして、その関係組織からぜひ消防団への入団促進をお願いしたい、このようなことをやっているところでございます。

 次に、個々の事業主へのインセンティブということでございますが、これも数年来、例えば税制上の問題そのほかについて議論されておりますけれども、今御指摘のとおり、なかなか難しい問題がございます。私どもは、できるところからやるというところで、消防庁長官による事業主表彰というのを二年前から始めておりまして、これは今年度も、実は金曜日に実施いたしまして、全国の模範となる十数事業所、消防団員の獲得のため、あるいは協力していただいている事業所を表彰したりしております。

 まだまだ不足ではございますが、さらに個別の企業に対して何かのインセンティブがとれるかどうか検討してまいりたい、このように考えております。

田島(一)分科員 これだけは言っておきます、お願いしただけでは聞いてもらえないですよ。何らかの措置をセットで持っていかないと、企業は、例えば、火災で出動したら、その間だれかがその仕事を穴埋めしなきゃいけない。それでも出していこうというものをしていかないと、企業のインセンティブというのは当然無理だと私は思います。ですから、税制に手を加えるぐらいの取り組みを積極的にやっていかないと、本当にだめだと思います。私もその点については応援しますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 次に、鳴り物入りで平成十六年の四月から登録制度になった緊急消防援助隊についてのお尋ねに移りたいと思います。

 昨年の新潟中越地震のように非常に大規模な地震であるとか、豪雨災害、特殊災害等、これからも非常に危惧するところでありますけれども、こうした緊急体制の充実強化を図っていくことからすると、この緊急消防援助隊の役割というのが非常に大きいだろうと思いますし、私どもも期待を寄せるつもりでありますが、これについて今後どのようにお取り組みをされるのか。

 それと、平成二十年までに一応三千隊規模ということで目標値が挙がっているんですけれども、やはりさらに積極的に、もっともっと国がプッシュをしながら、そしてまた体制の充実を図るべきではないかというふうに考えるんですけれども、今後の取り組みについてお聞かせいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 昨年、この法案を通していただいたすぐ後に、福井の大水害やら何やらいろいろ緊急災害が頻発して、去年は台風だけで十回上陸という異常なことにもなったんですが、それに対しまして、緊急消防援助隊という法律をきちんとしておいていただいたおかげで、消防庁長官の求めによって、その発生した県に対して、他県からの消防隊も全部そこに応援に行ける。登録は二千八百二十一隊だと思いますが、二十四都府県から応援に行けることによって、普通だと一県に一つぐらいしかないヘリコプターが、二十都府県から持ち込んで二十台で、消防のヘリを使って川の中で孤立している人たちを次々と救出なんということもできたんだと思います。

 いずれにしても、はっきり言って、阪神・淡路大震災が起きるまでは各県の縦割りになっていましたので、滋賀県の場合、兵庫県に応援に行ったって消防のホースの径が合わなかったんだからね。だから、そういうようなこともあるぐらい統一されていなかったし、無線のあれも全部混線するほどだったんですが、そういったものもこの法律のもとにいろいろきちんとして、いざというときには一斉に、県知事のお伺い立てずして、時間を急ぎますので、どんどんどんどんということができるようになって、おかげさまでその効果は上がったと思っております。

 私どもは、さらにこの充実をさせていきたいと思っておるんですが、こういったところに関しましては、これはそこそこ金のかかる話でもありますので、平成十七年度は五十億をたしか確保しているんだと思います。

 いずれにいたしましても、今年六月に全国で初めての合同訓練というのを静岡でやる予定にしたりして、そういったもので、やはりある程度訓練というものはある意味で競争でやるような感じにならぬと、何となく決まり切ったようなことをやっているんじゃなくて、あの隊に比べておれのところは見たらわかりますから、そういった意味のことを含めてきっちりやっていきたいなと思っております。

 いずれにしても、こういったような法律は、一応できたはいいけれどもあとは何もせぬというのでは話になりませんので、きちんとこういったものを維持していくための訓練というのは避けて通れぬと思います。

 今後とも、地球の温暖化や地震や何やら、いろいろな予測不能なことを考えて、それに対応するにはやはり消防の充実というのは非常に大事なものだと私どもは思っております。

田島(一)分科員 時間も押し迫ってまいりましたので、実は同じように、消防団の中での女子消防団員の話であるとか婦人防火クラブのあり方、そんなことも本当は聞きたかったんですけれども。

 ただ、この男女共同参画と言われている時代の中で、いわゆる今までのような性別役割分担の意識に根差すかのような、そういう誤解を招くようなことはやはりぜひ慎んでいただきたい、これが私からのお願いであります。昨年でしたか、NHKでも「火消し屋小町」というドラマがありました。これはコミックだったか、ちょっと存じ上げておりませんけれども。今や、女性が筒先持って火災現場に突っ込んでいくなんというのも決して珍しくない時代であります。単に後方支援であるとか情報収集活動だとか、そういった分野だけをするのが女子消防団員だというような、そういう考え方ではちょっとどうしようもないんだということだけはぜひお訴えをさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、消防というのは本当に予算が随分必要になってくる。しかしながら、今回の三位一体改革も含めて、財源確保に本当に苦慮しているのが各自治体であります。この先、活動費の捻出、それから財政の確保という点では、今大きく曲がり角に入ってきているんです。

 大臣として当然お考えのことがあろうかと思うんですけれども、消防は大事だ、しかし金はない、これじゃ、だれが一体面倒を見ていくんだろう、だれが安心をゆだねることができるんだろう。金がないのに消防団に入れるかと言う人も中にはいるかもしれない。そうなると、せっかくの目標数値を立てても、常備消防ですら非常に厳しくなってきているという観点からすると、今大きな曲がり角にあると思うんですね。

 両方のことを抱えなきゃいけない立場で、本当に私、心中お察し申し上げるんですけれども、どのようにこれから先この予算について、年間予算の何%については政府できちっと消防に予算を割くぐらいの、何かわかりやすい目標ぐらいは本当は設けるべきじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょう。

麻生国務大臣 全くごもっともな御指摘なんです。

 田島さん、これは二つの面から申し上げてみたいと思うんですが、田島さんが所属しておられた消防団と隣の消防団と、消防車の型式が違っていたでしょう、こっちはハンドル右回し、こっちは左回しとか。あれはみんな違うんだもの。よく知っているでしょう、そういうのは。全部違うんですよ。ふざけているでしょう。だって、これをみんな一括発注にしますと、車をつくる側のメーカーからいったら、コストはどんと下がるんですよ。これはもう間違いなく下がります。

 そこで、共同購入、共同発注。消防団のおじさんというのは偉いおじさんが多くて、冗談言うな、おれのところは昔から右回しに決まっておるとか言うんです。またこの人が元県会議長だったりするものだから、もう大変なんですよ。これはみんなどこでも同じ問題を抱えていると思います。私どものところはやっと説得して、一緒にしたらこんなに安くなる、そうしたらもっと新しいのが買えてよくなるという、コストの削減は絶対だと思う。

 それから二つ目は、この間、科学技術会議という、最も進んだ、この種のことに詳しい学者さんが集まって、総理主宰でやるのが年に四、五回あるものの中で、消防が出たんです。消防なんて、先端からいくと全く外されちゃうわけですよ、こんなもの。先端でも何でもないじゃないかとぽんと外されるんです。

 そのときに、水流の中に泡を入れます。一緒に噴射しますと、水量が十分の一に下がる。いきなり十分の一ぐらいに下がる。鎮火するのに、その泡を入れるだけでいきなり水量が十分の一に減りますと、後片づけがもう全然違います。そうすると、持っているあれも大分違うんですよね。

 こういう新しい技術を、たった二億円なんだから、先端科学技術としてこんなうまいものはないでしょうといって、結果的にこれは入った。入って、これは正式に予算がついて、この技術については結果的に先端扱いになった。消防というのは、特にこのところ放火が多いせいもあるんですが、あすは我が身、学者さんも考えておかれた方がいいですよ、だから、そういった意味では、これは大事なことでしょうといって、そこらのところもついて、意外とそういったものについては、これはやらないかぬなという意識は結構おありになると思います。

 私どもとしては、今後これは非常に大事な問題だと思います。御指摘されたところは間違いないところでもありますので、これはきちんと対応を、コストは、下げるところは下げる、しかし、必要なものは避けて通れぬと思います。ボランティアでお願いしなくちゃいかぬところもいっぱいあろうとは思いますけれども、きちんと、苫小牧の火事の話にしても、この間の栃木県のタイヤ工場の火事にしても、いずれにしても大きな被害を与えておりますので、ああいったことになる前に基本的な、化学防火剤があればあんなにならずに済んだとか、いろいろな説がありますので、そういったものを踏まえて、きちんとやるべきことはするというのは絶対条件だと思っております。

田島(一)分科員 その決意をかたく信じて、私どもも、これからの消防政策を見詰めていきたいと思います。

 最後に、一点だけお願いです。

 消防団員というと、本当に皆さんなりふり構わず、家庭も捨てて、災害時でも本当に献身的に、皆さん苦労されていると思います。なかなかこういった気概を理解していただけない今の世情、これはやはり社会全体の問題という観点でぜひとらえていただきたいと思います。

 私たちも、私たちの身の周りでどういった方々にお願いできるか、そういう取り組みをしなきゃいけないと思いますし、例えば大臣でしたら、何といっても、やはり私たちの先輩でもあります青年会議所の大先輩であります。とりわけ地域でビジネスとそれから住環境も整えていらっしゃる方々ですから、ぜひ何かそういう機会にでも、あいさつの一言に、お立場も踏まえて御要望していただくだとか、こういうところをぜひ、私たちも、大臣がやはり積極的に自分から団員勧誘に頑張っていらっしゃるんだな、そんなふうに受けとめさせていただけるように、ぜひお取り組みをしていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

伊藤主査 これにて田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、仲野博子君。

仲野分科員 こんにちは。民主党の仲野博子でございます。

 麻生大臣とは約一年ぶりにお会いをさせていただいて、きょうまたこうして質問をさせていただくことに、大変光栄でありますと同時に、期待もいたしております。

 きょうは、地方分権、市町村合併問題について何点か質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、昨年十一月十七日に、東京都の千代田区にあります日本武道館で地方分権推進総決起大会が開催されました。御来賓として麻生大臣も出席をされました。なぜか、麻生大臣が登場したときには会場一万人の方たちから拍手があったんですけれども、総理の代理で来られました山崎内閣官房副長官、相当会場やじが飛んだ。

 このとき総理は外遊されていたんでしょうか。なぜ出席できなかったんでしょうか。お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 ちょっと仲野先生、そのとき総理が出られなかった理由を正確に覚えていないんですが、その前に開かれた全国町村長何とか大会には、総理と私一緒に出ましたので、その後何か、ちょっと正確な記憶じゃありませんけれども、出られずに、山崎副長官がかわられた。

 確かに、演説のよしあしもともかく、何となく当時は、地方交付税、地方税の話やら何やらが佳境、真っ最中でしたし、新聞では例によって結果とは全然違った予想をやっていましたから、そういった流れを受けて、山崎先生の方には余りいい拍手がわかなかったと記憶します。

仲野分科員 大臣が、総理がこの日出席をされなかった理由、詳細は定かでなかったと。

 私が申し上げたいのは、全国の町村長、首長さん、あるいは地方議会の議員の皆さん方が、一堂にこの武道館、一万人結集をされたわけであります。今、地方分権、真の地方分権を進める上で国は三位一体改革を推し進めております。そのことによって受けている地方自治体の、本当に悲鳴に近い声が上がっております。そういった、総理が提案をしてまいりました構造改革の中のこの三位一体改革、こういったときにこそ、大臣、総理からきちんとした説明がされてしかりでないでしょうか。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今申し上げましたように、その前の全国町村長大会、市町村長大会だったと記憶しますが、たしか最前列は知事も座っておられたように記憶しますが、そのときはきちんと出られて、一応の流れを説明されたと思っております。たしかされました。

 今、この三位一体という名前の、交付税、地方税、そして補助金、この改革を三つまとめてということになったんですが、やはり結果として、市町村長さんの受ける側から見ますと、仲野先生、去年、おれたちは一兆円補助金を返上したにもかかわらず、地方税として回されたのはたった四千億じゃないか、正確には四千五百億だったじゃないか、残り五千五百億はおまえ詐欺みたいなものじゃないか、だまされたんじゃないかという声というのは大きかったんですよ。

 そこで、去年に当たりましては、これはどう考えても、四兆円やることになっていましたので、三年間で四兆円でしたけれども、残り三兆あるうちの、これは三兆の税源移譲が先ですと。そうしないと、補助金を三兆出したらまた税源移譲は一兆しか来なかったというのでは、二年連続だまされたみたいなことになるとみんな思っていますから、猜疑心があるから、その意味では、三兆円先渡しですということをやはり総理が決断されて、総理が三兆円の税源移譲が先だということを夏の時点で決められたのは、あれはやはり大きな決断だったと思うんですね。

 それで、これは本気だということになって、市町村長側も三兆二千億の補助金削減を考えたわけですから、そういった意味で、どのタイミングがよかったかは別にして、一応、あの決断は総理の決断としては大きかったという点は評価せないかぬところじゃないかなと思います。

仲野分科員 私が麻生大臣に申し上げたいのは、こうした地方分権を進めるに当たっての三位一体改革、麻生大臣も大変御努力をされていると思います。新聞報道等によれば、相当麻生大臣も、財務省谷垣大臣とのバトルもあったかのようなそういう報道もされていたようであります。ということは、麻生大臣は真剣に一億数千万人の国民のために、期待にこたえてあげたい、そういう思いがあったということだと私は思っております。

 きょう、そういった麻生大臣に対する期待も大きく、そしてまた、今、小泉政権の中で総務大臣という重責を担われて、そういった意味で私は、このときに、麻生大臣の思い、改めてそういう国民の切実な、あるいは各自治体の首長さんたちの思いをもう一度小泉総理に麻生大臣からしっかりと伝えていただきたいなということで質問させていただきたい、そのように思うわけでございます。

 今、本当に赤字再建団体になるかどうかすれすれの状態になっているのが、私の選挙区であります北海道釧路、根室地方の各自治体であります。きょうはぜひ前向きな御答弁を期待したいと思いますし、地方分権そして市町村合併問題について、本当に前向きなお答えを再度求めるわけでございます。

 それで、自治体の財政改革の評価について伺いたいのでありますけれども、地方分権一括法が施行されて五年が経過した中で、市町村合併の推進や、また、税財源にかかわる三位一体改革がこうして行われている中で、この五年間の総括はたくさんおありでしょうけれども、まず初めに、この五年間で自治体の分権改革、とりわけ財政面での改革はどのように進んできたのか、政府はどう評価されているのか、麻生大臣、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 仲野先生、明治四年に廃藩置県をやって、三百大名を、最初は九十、最終的には四十七になったんですが、これをまとめて中央集権制度にしてかれこれ百数十年たつんですが、今言われましたように、五年前の平成十二年に地方分権一括法というのをつくって、これからは地域主権なんだと言って、地方にずっと権限を移していくという方向に決めた。私は、この方向の決め方としては、やはり、日本は中央集権でうまくやったことはもう間違いないんですが、ある程度までいったら、ある程度というのは、国力が、もしくは経済力が、もしくは成熟度が、いろいろな表現があるんだと思いますが、ある程度のところまでいったら、今度は、いろいろな形で現場にいる人が自分で判断して自分でやるようにするという流れは正しいんだと思うんですね。何でもかんでも永田町で、何でもかんでも霞が関で決めちゃうというのじゃなくて、現場のことは、やはり中標津なら中標津の人が一番詳しいということになってくるのがこれは当たり前な流れなんだと私は思う。

 そこで、分ける法律を決めたはいいが、やるには金が要るんですよ。その財政支援というのをどうするかというのを決めずに法律だけつくったのが平成十二年の地方分権一括法、それに対して、その金の裏づけをしましょう、財政の裏づけをしましょうというのが、今回の三位一体という名前の、いわゆる地方に対して、国税から地方税に移したわけです。これが、結果的に今四兆円を目指しているんですが、昨年十二月、向こう二年間で三兆円の税源移譲ということが決まったんですけれども、少なくとも、国税が地方税に一発まとめて三兆円というのは過去に前例が一個もありません。それぐらいやはり政府としては大きな決断をして渡したということだと思います。

 いや、おれたちが要求したのは九兆円だ、いや、民主党はやれ十何兆円だといろいろ言われますけれども、受け取る側の方としても、それだけの金をもらったら、その金をもらってきっちり対応するいわゆる対応力が問われることになります。

 そういった意味では、この金というものは、今流れとして地方税にさらに平成十九年度以降もいろいろな形で移っていくことになるんだと思いますが、やはり、移された側の方も、そのもらった金でどう経営するかという別の観点で、今までは困ったら政府が何とかというのがなくなって、自分で経営せないかぬということになりますと、経営責任を問われるということになってきます。人口が一万なら一万の町、五万なら五万の市で同じように比べて、こっちはうまくいっている、こっちはうまくいっていない、どうしてというと、経営能力として、やはり大阪市みたいに何となく組合との間に問題があるのじゃないかとか、わけのわからぬものに金を突っ込んでいるのじゃないかとかいうようなことは、これは住民がいろいろ言ってくるということになる。

 今、流れとしてまず四兆の金が三年間で行くことになるんだと思いますけれども、私は、三位一体の流れとして、やはり後世、まとめて一発三兆円というのは、第一ステップとしては結構大きな流れをつくったなと思っております。

仲野分科員 大臣、五年前と比べて私が思うには、自治体の財政はさらに厳しくなって、住民サービスを充実化させる以前に、もうそれぞれの各自治体での使用料やさまざまな手数料など住民負担が逆にふえている。そして、一般財源による義務的な支出を伴う国庫補助負担金が残り、一方で、税源移譲によっても自主財源の少ない、要するに税の客体の少ない自治体に対する地方交付税の削減がこのような状況をつくっているのではないかと考えるのでありますが、もう一度大臣にそのあたりをお聞きいたしたいと思います。

麻生国務大臣 町村合併が進んでも、仲野先生、格差は必ず残ります。これはもう間違いなく、町村合併が進んで、私どもが大臣になりましたときに三千百ありました市町村が今は二千二百台まで下がってきていると思いますが、そういった形になりましても、財政力指数はそれなりに上がっても、格差が残ることは間違いないと思っております。そういう意味では、その格差を、行政サービスをある程度の段階で維持するためには、その差額を埋めるためにいわゆる調整機能としての地方交付税というものは必要。はっきりしていると思います。

 したがいまして、このたびも、平成十七年度、十八年度、少なくとも三位一体改革が進行中の間は、財務省は七兆円減らす、八兆円減らすぞと結構勇ましい話が最初は出ていましたけれども、結果的には百億円のプラスで終わっております。したがってこれは、一円も減っておりませんし、むしろ百億円プラス。十八年度もほぼ同じで、総額は維持するという方向で流れてまいりますので、私どもとしては、この間にきちんとした対応ができるように各町村いろいろ努力をしていただくのだと思いますが、少なくとも、今回、一般財源の総額を確保したというところは方向としては正しかったと思っております。

 いろいろ御意見というものが出されたことは確かですけれども、結果としてはそういった形をつくりましたものですから、昨年と違って今年度に関しては、地方からは一応納得をしていただいた形で御理解をいただいておると思っております。

仲野分科員 大臣が今言われました、御理解をそれぞれの自治体がしていただけていると思いますという、大臣もやはりそこら辺は自信がないと私は思います。本当にこの自治体が納得しているのかしていないのか、満足しているのかしていないのか、と思いますということは、断言できないということですよね。いや、断言できないはずですよ。本当に今、こうした自治体の財政が悪化しており、並行して分権改革が進められているということが問題であります。

 市町村合併を検討することによって行政コストを下げようとする努力を行ってきた自治体も全国に多数あります。そのための政策誘導と言える合併特例法の適用期限がこの三月に迫っておりますが、全国的な合併の状況とその総合的な評価について、現時点における大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 さっきの答弁で申し上げましたように、私が一昨年の九月の二十何日に大臣になりましたときに三千百八十一あった町村が、過日のあれでは、三月末で二千二百五十八になっております。多分このままいきますと、三月にはさらに幾つか進みますので、二千前後のものまで町村合併は進むんだと思っております。したがいまして、九百以上減ることになりますので、結構事は進んでいったんだと思っております。

 そういった意味からいくと、少なくとも行政の基盤としては、小さな五千以下のようなところが何となく一万五千になったり二万になったりするということは、それなりに行政対応もできるようになる。サービスの範囲は広まりますし、また、行政コストも、五千人以下の町ですと一人頭約百三万円ぐらいかかるんですが、一万人を超えますと四十五万円ぐらい、三万を超えますと約三十四、五万まで一人当たりにかかる行政コストが下がりますので、そういった意味では支出の絶対量が変わります。いろいろな意味で、首長さんの数が減ってみたり助役やら収入役の数が減ってみたりするようなところも、額としては大した額じゃありませんけれども、そういったものを含めまして、機械化されたりICTが入ったり、いろいろな形で機械というものの進歩、発達がそれを補うんだと思います。

 いずれにしても、今までのところ、急にできておりますから、いろいろな形で御不満やら何やら出ているのは当然なんだと思いますけれども、町名やら何やらも結構優遇させていただいたり、何となく、もとの旧町の名前を残せるようにしたり、いろいろな形でそこそこ御理解いただくようになりましたので、不満というものは二年前に比べたら少しはおさまってきているかなという感じがいたしておりますので、結果として、本来の目的であります、町村合併を振興することによって地方の基盤をきちんとしたいという目的には少しは近づいたかなと思っております。

仲野分科員 この合併に向けて努力をしたが、結果として破談になった市町村への対応、これからやはりしっかり政府としてその方向性を打ち出していくことが今最大に求められていると私は思います。

 現在、私の選挙区であります、世界遺産の指定候補に挙がっている北海道の知床にある人口六千人余りの羅臼町の事例について、大臣、ちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 当初は四町の合併協議から始まって、隣町の標津町が住民投票で合併協議から外れることになり、結果として羅臼町は、七十キロメートルも離れた中標津町との間で法定協議会を立ち上げて、そして、飛び地合併の方向で合併の準備を進めておりました。中標津町においてその住民投票が行われた結果として、合併は事実上の破談になりました。あと残された隣接町村には、同じ知床半島の北側に位置する斜里町がありますが、両町をつなぐ知床峠は十一月から四月までの半年間も雪のために通行どめで閉鎖をされており、合併は現実的に無理であります。

 このように、国の指導のもと、合併に向けて最大限努力しましたけれども、しかし、結果として近隣町村との合併ができなくなった自治体に対して、これから大臣、どのような財政的な検討をなされていくのか、現段階のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは北海道に限らず、全国あちこちあります。かなりの数あります。理由もそれぞれ皆違うんですが、どうしてもあの町長とは一緒になるのは嫌だとか、名前が変わるとか理由はいろいろあるんですけれども、住民投票で反対でだめになっております。この三月三十一日で合併特例法が切れますので、その終わった後は、小さなところは頑張ってやっていただかないかぬことになるんだと思います。

 こういったようなところで、例えば北海道ですと、道知事が合併新法を使っていろいろな形で話をしていかれるんだと思いますけれども、合併の障害を除去、外すための特例措置というのもやることになりますので、私どもとしては、実際問題、いろいろなあっせんやら勧告やらが出されるんだと思って、その段階で、標津町、それからその後ろ側にあるのは中標津、上が斜里だと思いましたけれども、そういったところの話というのに関して、私ども全国二千何百を全部というわけにいきませんので、これは県知事が主に上げてくる話になると思いますね、この話としては。都道府県が指導していくことになるんだと思います。

 いずれにいたしましても、合併特例債というのはなくなることになりますけれども、地方交付税の合併の算定がえとか、それから合併の補正というものは引き続き措置をされますので、その後、仮に来年三月三十一日に間に合わなくても活用していただけると思いますので、具体的にこういったのとか、現実こういったものが問題だというのであれば、私ども、個別に伺わせていただかないと、ちょっと一律これというわけにはなかなか言えない問題だと思っておりますので、具体例を言っていただいた方が私どもとしては対応ができると存じます。

仲野分科員 今、羅臼町の話を出させていただきましたけれども、何と大臣、役場の職員もみずから一〇%に近い総賃金のカットを逆提案して、ここの町長はもう一五%、そしてまた、助役の廃止を今年度予算案に上程をしようとされております。そしてまた、特別職や議員の報酬の大幅カット。何と、庁舎、エレベーターはあるんですけれども、四月からこのエレベーターもとめましょう、そういった努力をされているわけであります。こうした中で、本当に歳入不足が見込まれて、現実的にも赤字予算に近い状態になるようなこの自治体の現状をどう認識をされているのか。

 そしてまた、大臣、一〇%のこの賃金カットとなれば、いわゆる地公法上の懲戒処分よりも厳しい内容となるんですよね。この職員の九、一〇%、さらにその上を行く自治体もあるんです。根室市が一二%、今、これは削減するということに市の方から職員組合に提案をなされております。こうなれば、一般職員の平均の賃金が何と年間六十七万円カットになるわけです。本当にこうした厳しい内容になっておりますし、そのことによっても地域経済への影響も懸念をされてくるわけであります。

 そして、今、根室市の事例を紹介させていただいておりますけれども、本当に北方領土返還運動原点の地としても有名な根室市でありますけれども、三方を海に囲まれております。ここは、人口要件などから半島振興法の対象ともなっておりません、根室半島というのはあるんですけれども。そういった意味では、本来は歯舞諸島までは行政区域で、隣の色丹島との合併も可能なはずでありますけれども、北方領土問題ということでそのこともできない状況になっております。こうしたところから、本当に今、払わなくてもいいような昆布の入漁料を払ったり、漁獲割り当ての削減、基幹産業も底をつく状態になっているわけであります。こうした現状をどう認識をされているのか。

 そして、この半島振興法でありますけれども、確かに議員立法でこれはつくられました。こういったハンディキャップのある半島地域の今後の振興策についても総務省として今後何らかの手だてを検討する必要があるのではないのかな、そのように思っております。

麻生国務大臣 今、御指摘のありましたようないわゆる給与カットをみずからやっておられる団体というのは、実は、今二千五百ぐらいあります地方団体のうち千四百は給与カットをしておられます。決して羅臼町、根室に限らず、いろいろ皆努力をしておられるというのがまず第一点。

 二つ目は、今地方公務員の給与というのは国家公務員に準じるということに基本的になっているんですが、今、ラスパイレス指数でことしついに一〇〇以下になって、平均で九七、一番低いところで七四・九というような形で、国家公務員の給与より二割五分安いというようなところが出てくるほどそれぞれ皆努力をしていただいておるわけですが、それでも民間から比べれば高いというのが、今出ております数字の実態であります。したがいまして、こういったようなものは今後それは各町市でいろいろ検討していただくことになるんだと思いますが、民間は、この十年間にわたってそれぐらいやはり給与というものを下げてきたんだということなんだと思っております。

 それから、今の半島振興対策の対象ではないということは確かですが、ただ、根室の場合は過疎地域の自立促進特別措置というのが多分ここはついていると思いますので、過疎地域の対象になっていると思うんですね。そういった意味では、こういった過疎地域対策というものは過疎対策事業債というのが多分認められていると思います。たしかこれは金融とか税制上の特別措置も講じられておりますので、道路法においていえば、道道の補助率の特例措置なんというのもこれは講じられているはずですので、御指摘のありましたように、これは、ハンディキャップのあるところにつきましては、いろいろなこういった支援措置というのを図ってまいりたいと思っております。

仲野分科員 時間もなくなったんですけれども、大臣に最後に一つお聞きしたいことは、北海道は本当に広いです。本当に自治体が広域にまたがっております。そういった意味で、広大な面積を持つということで、なかなかその合併がスムーズにいかないということも住民の方からありまして、そういったこともあるわけでありますけれども、こういったことで、今度は、広域分散型の北海道のような地域にあって、合併という手段をとらなくても、近くの自治体同士が協力し合う形での広域連携や広域連合などの検討があってしかるべきだと思います。

 空知管内の奈井江町では、空知中部広域連合を結成してさまざまな事業を行っております。今後、何らかの政策的な誘導措置は必要だと思いますけれども、今、大臣からそのことを確認させていただきたいなと思います。

麻生国務大臣 広域行政の話というのは、昔から、特に北海道とか大きなところから出てきている。大きなところ、例えば岩手県、これは、岩手県だけで四国ぐらいありますので。そういった意味では、いろいろなところから広域でやらせてもらいたいというお話が来ているんですが、これは、いろいろやって詰めてまいりますと、最終責任はだれがとるんですと言うと、そこでうっと話がとまって、即返事をくださいと言ってもなかなか返事が来ないというようないろいろ欠点もあることも確かなので、やはりこういった点から見ると、迅速、的確といったような観点からの決定がなかなかしにくいというのがこの広域行政のいわゆる弱点なんだと思います。

 そういった点から考えると、やはり、合併というような形の方がより現実的なんじゃないのかなという感じがいたすのが率直なところです。

仲野分科員 質疑時間が終了したということでありますけれども、きょう、羅臼町と根室市の深刻な事例を紹介させていただきました。今後、地方分権を進めるに当たりまして、ぜひ、こういった地域事情もあるということ、さらには、今合併の方がよりいいよというふうにお話をされたんですけれども、それもそうでありますけれども、ただ、そういった合併するに当たって破談になった自治体もありますので、破談になったところ、そして自立をしていくんだという自治体に対して、そういった方向性もこれからもうそろそろ検討に入る時期だと思いますので、よろしくそのことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

伊藤主査 これにて仲野博子君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中英夫君。

田中(英)分科員 自由民主党の田中英夫でございます。

 四点ほど、できましたらお聞きをいたしたい、このように思っております。

 今もありましたけれども、地方分権、地域主権の確立、こういうことで、私もぜひそういうことに努力をしていく一員になりたい、このように思っておるわけであります。それに絡みまして今合併のお話があったのでありますが、麻生大臣の方から、あちこちで、合併を頑張ってやっていこう、いろいろな思いを持ちながら決断をそれぞれの町の皆さんがリーダーも含めてされておるわけでありますが、ぜひ激励の一言を言ってあげていただきたいということをお願いしたいのであります。

 昨日、私のところの選挙区であります美山町で住民投票がありました。私のところは、京都市が二つの区とそして亀岡市と、それから船井郡、北桑田郡というところに八つの町があるわけであります。それが選挙区になっておるのでありますけれども、その八つの町が合併をしようということで三年ほど前からさまざまな議論をしてまいりました。

 結果として、いろいろあったのでありますが、一つの町は、京都市の、私にとっては同じ選挙区でありますが、右京区に編入をされることになりました。そして七つ残ったのが、そういうことも引き金になりまして二つに分かれまして、三つと四つで合併をする、こういう話になりました。先ほど言いました京都への編入はもうこの四月一日から、そして三つの町については、三月いっぱいでもう既に知事へ申請を出しておるという状況になっておりまして、十月あたりをめどに進んでおります。

 残る四つでありますが、その一つの美山町というところが、その四つの中では端側にあるわけでありますが、そこが実は、日本一の田舎という、すばらしい田舎をつくろう、こういうことで頑張っております。そのよさが壊れるのではないかということと、逆に、端だから忘れられてしまうのではないかというような思いもあって、住民の皆さんに不安感があるところへ向けて、一度住民投票をせい、こう言うたのでありますが、議会の方が、必要ない、こういうふうにけってしまったところが、それなら議会が解散をすべきだ、こういう要請が出て、二十日間の運動があって、昨日実は投票があったわけであります。

 結果は、六三%ぐらいが、解散必要なし、そして合併を推進せいという形になったわけでありまして、私も、町長や議長やらと一緒にその運動に何度か入りましただけに、ほっとしてはおるのであります。六割五分と三割五分、三割五分の中には、何と十四人の町会議員しかおらぬのに共産党が三人もおるというところでありまして、ためにしているというところは半分ぐらいはおるのでありますけれども、残り半分ぐらいの人、言うなれば、だれの心にも一割やもう少し不安感があるというようなところだな、こう思っておるわけであります。

 今後、そういう人たちとどういうふうにやっていこうかなというふうに、勝ったという思いに入りながらゆうべ遅くまで話をしておったんですが、そういう思いにありながら、一方ではそれがまた悩みだ、こうその首長は言っているし、周りの、応援をしに来たところも、私のところにもそういうのもあるなというようなことで、いろいろな話が出たというのが実態であります。

 ひとつ激励をいただけたら、こう思います。

麻生国務大臣 これは一つの極めて生々しい事例なんだと存じますけれども、日本じゅう、やはり感情論を含めて、一応立派な理屈は立っておるけれども、感情論がありまして、今似たような例で、私のところも、二市八町を合併して福岡県で四番目にでかい市になるというのでスタートしたんですけれども、半分に割れ、そのまた半分のうち一町だけぱちゃっと落ちたところなんてこことそっくりなんですけれども、そこは住民投票になって、町長はリコール、えらい騒ぎになって、ぐじゃぐじゃになってたった一町だけ残っちゃった、この三月三十一日には間に合いませんという形になっているようなところもあります。

 これは、首長さんやら、そこにいる県会議員さんやら何やらの応援、リーダーシップ、支援というのはやはり大きいと思いますね。やはりほかのところで、合併したら、おれは新しい市の市長にはならぬなと思っている人はいっぱいいて、もうみんな引いていくわけですよ。助役さんにしても収入役にしても、みんなそこそこの人たちは。そして、これはこうしない限りはうちはよくならぬからといって、いや、私は引きますからといってずうっと引いていくようなところはすっと何となく形ができ上がって、それに比べて、成ったらおれがなろうというのが三人ぐらい残っちゃうと、どうしてもまとまらない。こういうのを見ていくと、やはり上に立っている人の姿勢とか態度というのは非常に大きな要素の一つなんだ、私はそう思います。今言われましたように、一〇〇%一方にとって都合がいいなんてことは絶対ありませんから、そこそこお互い譲り合って、立て合ってというようなところがないとこの種の話はできないんだと思うんですね。

 そういった意味では、きちんとした形で合併をされていかれるという町長さん、また行政体の方々には、心から敬意を表する次第です。

田中(英)分科員 今おっしゃったとおりで、この現実の二十日間の間に、近辺の関係の町から町長や議長や来ているわけです。いいことを言っていますよ、やはり。お互いの町がお互いを必要としとんのや、だからみんなそのことを理解してくれ、こんなことを言って、なかなか名文句やなと思いながら聞いていたこともあります。今、大臣おっしゃったように、正面から向き合って、いいこともそして不安なことも真剣に考えるところほどもめるんですよね。そういう問題もあって、しかし、結論は出していかなきゃならぬ。私なんかも、そういう意味の中では、このことに関してでありますけれども、ぜひ今後も、それは国やら京都府やらみんなそろって応援もしていかなあかん、こんなことを一かど言っておりますので、ぜひ、自由民主党のリーダーであります麻生先生にそれを知っておいていただいて、今後ともに応援をしていただくということでよろしくお願いしたいと思います。

 それともう一つ、地元事なんですけれども、鳥インフルエンザの問題でありますが、麻生大臣には鳥インフルエンザに特交をようけ出してほしい、こういうことをちょっとお願いを申し上げたいと思います。

 実はちょうど一年になりました。鳥インフルエンザが起こって、二十七日、昨日で丸一年、こういうことであります。今言いました三町が合併すると言うた方に丹波町というのが実はあるわけであります。ここは、結果としては、御存じのとおり、殺処分した鶏が二十四万羽と言われております。そして、現実には、この農水省のルールでありますけれども、家畜伝染病というのは、鶏やったらわかりませんけれども、千羽ぐらい、牛やったら十頭から三十頭、このぐらいがこけて死んだ、それはもう業者が自分で責任を持って始末しなさい、こういう前提のものだったんですね。しかし、こんな何十万羽というようなことになってくると、それは逆に、やっている者は、これは言うたら大変やというようなもので黙ってしまったということもあると思いますし、いち早く、もう当然でありますけれども、府も、そしてそこの町も、これはおっ取り刀気分でありますけれども、必死で入ってそれを処理していった、こういうことになっておりまして、現実にはこれはかなりの経費もかかっていく、こういうことに相なっております。

 したがいまして、それと同時に、我が自由民主党にも対策本部をつくっていただき、そういう大がかりなことについてどのようにしていくのかということで、もちろん、ルールも含めていろいろなことを改善し手当てをしていただき、今回のことには特別交付税の問題もまたお世話になっておるわけでありますから、ありがたいことだと思っておるんでありますけれども。

 ただ、現実は、この埋めた二十数万羽というのが、三年間は動かしたらあかん、こうなっておるわけですね。袋の中にまた御丁寧に入れて始末してあるんですよ、全部五羽とか十羽ずつ。それをまた大きな袋に入れて埋めている。土の中にそのまま入れておいたんでは当然そのときにはいかぬということでそうしてあるんですけれども、したがって、また再処理をせんならぬという問題があるんですね。

 鶏舎にあった鶏ふんですね。ちょっと高いところに鶏がおって、下へふんがたまるようになって、下をすくってほかすようになっておったんですが、その時点でストップとこうなったんで、これが飛散しないようにということで、少し消石灰などをかけて表面を固めて、上にカバーをかけて、カバーというのはシートみたいなものをかけて、今そおっと置いてある、こういうことなんですよ。そのそおっと置いてあるのが何と三千トンある、こういうことでありまして、これを今から始末せんならぬ、こういうことになるわけですね。

 当面の、要するに鳥インフルエンザとして農水省にもお願いしておりますが、そういうところでやった分プラスこれからの事後処理というのにそういうのもあるというようなことで、もっとほかのことでいえば、直接大臣の方には関係ないんでありますが、そこの土地は、また余り好ましくないものに使われても困る、こういうことでいろいろな交渉があって、町の方にそれが寄附をされました、無償で。なかなかいいんですけれども、しかし、持っておったもとのところが、二十万羽のそういうことが発生したところが倒産したままで、それに根抵当がついておるんですね。根抵当つきで町がもらったものやから、町も今度は始末ができないというような問題を逆に抱えたりして、いろいろ苦心をされておられます。

 そこで、一つは質問でありますが、三位一体の問題、それから地財計画の今後のあり方、そして、もちろん交付税の調整機能、補てん機能等々も含めた、そんなことを含めてこれをしっかり今後もまた存置し、そして新しい形で発展をさせていただきたいと思うんでありますが、特交と言われる特別交付税というものは大体どういうふうなものだと基本的にお考えかというのと同時に、これが数年先にそういうことが起こるということで、ちょっと言質をとるつもりではないんですけれども、ひとつ、そういうときにはそれは災害救助と同じやなというふうな御見解が賜れたら非常にありがたいな、このように思っています。

麻生国務大臣 年度途中に起きました突発的な事項、最たる例だと思いますが、特にここの場合は全国ほかに例がありませんでしたので、そういった意味で、たしかこれは平成十五年度、あれは五億円だか四億円だか特別交付税がついたと思います。いずれにいたしましても、今の、三年後それを出さないかぬというような話はこれは全く特殊事情でもありますし、埋めろと指導したのも別に町が決めたんじゃない、政府で決めてやっておる関係もありますので、こういったところで財政運営に支障を来さないように対応するという必要はあろうと存じます。

 それから、普通交付税と特別交付税の違いというのは、普通交付税はある程度ルールがあって、画一的にぱしゃっとはめるルールが一応のものは決められているんですけれども、例えば、災害が起きた、この間のような地震が起きたというような、急に予想外に年度途中で起きたときには、これはどうしたって町として地方自治体として対応せざるを得ないという事態が起きたときには、やろうにも財政が伴わないというときに、その額を算定して交付するのが特別交付税というように御理解いただいて、今言われた点につきましても、これは多分、鳥インフルエンザの場合は特別交付税の対象にしたと思いますが、たしかコイヘルペスも同じような扱いをしたと記憶します。

 いずれにいたしましても、こういった、今、えたいが知れないというかわけがわからぬというか、どこからともなく飛んできた話で、別に本人の責任なく、いきなりぽんとできたような事態というのは確かにありますので、そういったものも含めて私どもとしては対応させていただきたいと存じます。

田中(英)分科員 ありがとうございます。ぜひ、そういうことがまた将来に発生したときにはよろしくお願いしたいと、これは京都府の山田知事の要望でありますので、ぜひかわって申し上げておきたいと思います。

 そのことに関連して、瀧野局長もお越しでございますけれども、三位一体にかかわって、今おっしゃいましたように、もちろん交付税と特交とは性格的にそういうものがあることは存じておりますが、同じものが同じ制度で同じように残るのかどうかというのもちょっとわかりませんけれども、しかし、残業が生活の中に入ってしまったようなところもありまして、いろいろなものが地方自治の中ではすべて織り込まれてやってきておる、その中でスリム化をしていかなあかん、こういうことに相なっておりますので、今後ともに、そういう意味では、地方分権、地域主権というものがより成り立っていくために、地財計画や、そして交付税のそういう補てん機能そして調整機能、そんなことについてしっかりとまた変化もさせていかなきゃならぬだろうけれどもよろしくお願いしたい、こういうことであります。何かそういうことへ向けて、内々と言ったらおかしいですけれども、常に研究されているだろうと思いますけれども、そのあたりはいかがですか。

麻生国務大臣 今取り急ぎは、平成十七年、十八年度までにつきましては、一応目標としては、三兆円の補助金の削減に伴う税源の移譲を地方に確実にもらう、かつ、各地域によっては差がつきます、三位一体が進んでも地域においての差額が出ますので、その差は埋める、その差を埋めるものは地方交付税、このところまでは一応十八年度まではそこそこの合意ができているんだと思います。

 では、十九年以降どうなんだという点に関しましては、これは田中先生、考えないかぬことは幾つもあるんだと思いますが、今よく消費税の話が出ていますけれども、私どもは、法人税というものを仮にいただいたとしても、地方の方は、同じ法人税を地方に回されても、東京と沖縄では一対五ぐらい、五・六ぐらい違う。逆に、消費税を上げられたときの場合は、地方の取り分と東京都の取り分の差は二倍前後のものということになりますので、それは税がより偏在しているものじゃないもの、いわゆる消費税が一番いい例、法人税が一番極端な例だと思いますが、そういったようなものの方を期待する、これが一つ目です。

 二つ目は、やはり法定率というのがありまして、国税五税、いわゆる酒税とかたばこ税とか消費税とか、この比率が三三%ぐらいのものから二五%までいろいろ差があるんですが、この法定率というものを変更してもらえませんかといって、結果として、地方と国の今は同じ税金を一〇〇払った率でいきますと、地方が四二、国が五八ぐらいの比率になっている、四対六ぐらいになっているのを、これをせめて一対一、五対五にしてくれというところぐらいまでを私どもは中期的な目標としては対応をさせていただきたい、それを目標としてやっていきたいというのが基本的な考えであります。

 これでいきますと、何となく交付団体というものと不交付団体の比率が、圧倒的に交付団体の方が多いんですが、少なくとも、不交付団体に住んでいる人の人口比が全人口の三割ぐらいは不交付団体、今はもうほとんど東京以外は全部交付団体というのでかなり偏っておりますので、そういった意味では、普通のところ、京都なら京都のような普通のところがきちんと対応しておきさえすれば不交付団体として普通に対応できるようなところまでいけるようにするというのが、比率を人口比で約三三%ぐらいまではしてみたいというのが私どもの考え方であります。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 地財計画や交付税や、それよりその上にある今の地方分権、三位一体の改革という形での進め方、もう論議はたくさんありますので、きょうは余り本論の方は入らないことにさせていただきますけれども、やはり、極めて財政状況が厳しい、国も地方もそして個々人もでありますけれども、そういう時代に一方では地域の主権というものの確立をやはりこつこつと図っていかなきゃならぬ、しかし、余り大きな変化を起こすと、金の問題だからなかなかうまくいかないというなかなか難しい時代にこの地方分権をやり始めた、こういう意識は多分当事者であります内閣や総務省にもあるんだろうと思いますけれども、ひとつ、地方のためにまたよろしくお願いしたいと思います。

 その三位一体のちょっとサイドの辺、横の辺の話でありますけれども、実は、三位一体の改革というのにつけ加えて、それはやはり中央省庁の人間を減らすということがそこに一緒にないと、現実には地方に権限を移し、仕事を移していって財源は移したというものの、どこかで典型的なというか悪口として、せっかくあれとこれとを厚労省かな、何かやっておったら、別にものづくり館や何や何や言うて違うものをつくって、また仕事をつくっておる、決して悪いとは思いませんが、そういうようなことも起こってくる。

 そういうふうに考えますと、行政の評価ということをやっておられる総務省として二点ほどお聞きしたいんですが、一つは行革ですね。これは僕の思いですけれども、どうも国の行革大綱はすっきりせぬ。地方の方が格好ええとは言いませんけれども、直接みずからをどうするというふうに、もちろん市町村なんかだったらそれしかないですから、そのようになりますね。

 ところが、この国の行革大綱というのは、実は、見てみますと、一番が行政の組織・制度の抜本改革、こうなっていますね。その二番目に国家公務員、地方公務員制度の抜本的改革ということがあるんだけれども、残念ながら、一番目には特殊法人等の改革といって、これも関係ないとは言いませんが、外側のことが書いてある。そして、三番目は評価システム、これはいいんですけれども、五番目には公益法人に対する関与の在り方、要するに、行政ですからいろんな役務があることはわかるんですけれども、みずからをどのようにスリム化というか効率化というか、小さくて効率化すれば何でもええとは言いませんけれども、要するに、みずからをどうたたいて縛り上げていくのかというところをどうも置いて、その周辺に影響を及ぼしているところをこうするんだ、こういうふうになっておるとちょっと思うんです。

 それで、大きな二番目が地方分権の推進です。これももちろん国のありようではありますけれども、そういう意味で外側らしきものに見えるし、三番目の規制改革の推進というのも、ややそういうことによって外側を活性化させよう、こういうことになります。そして、五番目にやっと中央省庁等改革の的確な実施というのが出てきたわけでありますけれども、これは、もう今総務省がこういうふうになったようなああいう改革のことをここで実際にはやった、こういうふうになっているんですね。

 一つ一つを別に論評するつもりはないんですが、何となく、みずからをするということと同時に、国ですから、社会のありようということすべてにかかわるんでしょうけれども、あれもこうせなあかん、ここもこういうふうにせんならぬから法律でそのようになるようにしていきましょうといいながら、何か本体だけが残っているような感覚が実はあります。

 そういうことも含めて考えたときに、そのあたりについては、私の言っているそういう論点はいかがにお考えですかということが一点と、もう一つは三位一体の改革、これについても、やはり人をどのようにしていくのか、地方へ僕はもう移したらええと思いますけれども、というか、そのぐらいでなければ実現しないんだろうというふうに思うんですけれども、そのあたりについてもどのようにお考えか、お聞かせください。

麻生国務大臣 今言われましたように、国のあれをよくというのは、基本的には、小さくても効率のいい、小さくても強いという政府をつくるのが一。二は、地方分権、地域主権を進めるが二なんだと思うんですね。

 そういうような流れに沿って法律をつくり、今、国の形をそういうぐあいに変えつつあるんだと思いますが、その中にあって、国としての人員という点からいきますと、きちんとした形としては、昨年の十二月に決まりました、いわゆる五年間で一〇%という話になっております。五年間で一〇%といいますが、今、三十三万人の国家公務員というのがおりますが、これは日本の労働人口千人でいきますと、地方公務員それから自衛隊員も含めまして、いわゆる地方の公社や何やら入れたところで、全労働人口千人のうち三十五人がいわゆる税金と思ってください。フランスが九十何人、アメリカが七十何人、ドイツが八十何人、大体、世界水準から見たら半分以下ぐらい、日本の役人の数の絶対量はまず少ない。これは、地方を見ていると何となく役人は多いなという感じですけれども、実は、意外と日本の場合は先進諸国の中で最も少ない、これが一つ。

 その上で、今、現業部門を除いた上で一〇%ということになりますと、これは実は十人に一人どころの騒ぎじゃない、比率が高くなります。そういった意味では、これは結構な削減目標を掲げたということはちょっと御理解をいただきたいところなので、そういった意味では、従来の削減目標からいったら、ことし、削減一・六六%というのは、小泉内閣はもちろんのこと、過去でも最高に今減らした形になっているんですが、これの倍やらぬとこの目標には達しないということになりますので、結構な努力をしておるという事実が三つ目に申し上げられるところだと思っております。

 ただ、今、大阪市の話なんか出ていますけれども、いろいろな意味であちこちでこの種の話が出てくるというのは、これは昨年の七月、全国からいろいろなものをといって上げて、結論を公表した結果、ああいった形での大阪市の話がうわっと外に出てきたんだと思いますが、私は、その地域においてのこの種の改革が市民のいわゆる世論というようなものによって変わっていくというのは、すばらしい、民主主義としてはよく成熟しているんだと思いますが、あの種の話を、いろいろなところで出てくるときに、やはり、ほかの国と比べてこんなにやっているとか、ここまでICT化を進めているとか、行政手続がこれだけ簡素化しているとかいうような点をこれは公平に比較対照していかないと、民間並みにと言うけれども、これは絶対民間並みにはなりませんから、どんなことがあっても。民間の方が冷酷ですから、もうからなきゃぱっとやめちゃえばいいんですから、だからそういった意味では、田中先生、官と民との間に、多分、公という、パブリックセクターというものの考え方がもう一個この間に出てこないと、何となく極端から極端な話に走り過ぎやせぬかなと、最近のいろいろな御議論を伺っていてそんな気がするんですけれども。

 いずれにしても、こういったのは常に努力をしておかないと、緩めるとふわっと広がりますので、そこらのところは、不断の努力というものは、これは議会においてもよく注意して見続ける必要がある種類の問題だと考えております。

田中(英)分科員 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、要は、新たな二十一世紀の国のありようといったらもちろん切り口はたくさんあるんでありますけれども、どんなことをやるにしても、そこにある組織の形というか、運営をしていくべきものの姿みたいなものがやはり一番しっかりしていないとあかんだろう、このように思っておりまして、国においても、そして地方においてもそういうものがしっかりと進んでいくように、特に地方分権については御造詣の深い大臣でありますから、今後ともに地方がしっかり輝くようにお力添えを賜りたい、そのことをお願いしまして、終わります。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて田中英夫君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後二時三十四分散会


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