衆議院

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第2号 平成21年2月20日(金曜日)

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平成二十一年二月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 石田 真敏君

      杉浦 正健君    中馬 弘毅君

    とかしきなおみ君    盛山 正仁君

      渡辺 博道君    枝野 幸男君

      高井 美穂君    古本伸一郎君

      細野 豪志君    池坊 保子君

   兼務 鈴木 克昌君 兼務 中川 正春君

    …………………………………

   総務大臣         鳩山 邦夫君

   総務副大臣        石崎  岳君

   総務副大臣        倉田 雅年君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  滝本 純生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  素川 富司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 殿川 一郎君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進担当室室長代理) 上西 康文君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長) 金澤 和夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官) 岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長) 門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長) 山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 武内 信博君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   戸塚  誠君

   政府参考人

   (消防庁長官)      岡本  保君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官) 中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官) 坂本 森男君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役) 伊東 敏朗君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  杉浦 正健君   とかしきなおみ君

  中馬 弘毅君     盛山 正仁君

  細野 豪志君     高井 美穂君

  池坊 保子君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

とかしきなおみ君     杉浦 正健君

  盛山 正仁君     中馬 弘毅君

  高井 美穂君     古本伸一郎君

  赤羽 一嘉君     池坊 保子君

同日

 辞任         補欠選任

  古本伸一郎君     細野 豪志君

同日

 第三分科員鈴木克昌君及び第七分科員中川正春君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

石田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき分科員 おはようございます。自由民主党のとかしきなおみでございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。朝一番でございますので、元気よくまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、きょうお伺いしたいと思いますのは、道州制についてお伺いをしたいと思っております。

 道州制のことなんですけれども、今、日本の状況を言いますと、就労人口が毎年四十万人ずつ減っておりまして、仮に年七%の生産性の向上がありましても、GDPの維持がやっとという状況であります。少子高齢化で労働人口がどんどん減っている、そういう状況であります。一方、報道等で御存じかと思いますけれども、二〇〇八年の十月から十二月の国内総生産の実質GDP、年率換算で前期比一二・七%減ということになりました。

 このようなかなり厳しい状況に日本は置かれているわけですけれども、こういったときに、日本の富の創出を議論せずに、今は、景気対策と称して、道路建設や福祉の充実、富の配分、こちらの方の話ばかりが先行しておりまして、どのように富を生み出していくのか、この議論がどうも薄くなっているような気がいたします。

 結局、富の配分の議論ばかり進んでいきますと、その原資は未来から、すなわち子孫から借りてくるしか方法はありません。将来ますます少なくなる就業人口、そしてそのために、借金を返していくというのはもう至難のわざになってまいります。そして、生産性の高い、さらに競争力のある企業はどんどん海外の方に出ていっているというのが現状であります。ですから、国内だけでの付加価値、すなわち富の創出には、これから余り期待できる状況にはありません。

 そこで、未来からの借金を避ける方法、私はここで二つ方法があると思います。

 まず、その一つの方法なんですけれども、今実際に大阪の橋下知事が行っている改革であります。二月十七日に発表されました大阪府の予算案、これは、彼も同じようなことを言っておりますけれども、財政が厳しい中、将来にツケを残さない、要は歳出削減の方法であります。

 総務省は、橋下知事が今行っておりますこの歳出削減の方法、これを実際どういうふうに評価なさっているのか、どういうふうにごらんになっているのか、将来これを進めていくとどうなるのか、その辺、どういうふうに評価なさっているのか教えていただきたいと思います。

久保政府参考人 大阪府におかれましては、昨年の二月に財政非常事態宣言を発出されまして、昨年の六月には、府のすべての事業、それから出資法人及び公の施設をゼロベースで見直しをして、収入の範囲内で予算を編成するという原則のもと、財政再建プログラムを策定されました。そして、平成二十年度予算からこの考え方を徹底されておられます。

 この財政再建プログラムでございますけれども、平成二十二年度までの三年間を集中改革期間として位置づけておられまして、すべての事務事業などの見直しに加えて、人件費等につきましても、これはかなり思い切った削減をしておられる、こう考えておりますけれども、そういうことによりまして財政の健全化に取り組もうというふうにしておられます。

 私どもといたしましては、今後とも、こうした大阪府の動向、これは注目していきたいと思っております。

とかしき分科員 ありがとうございます。

 国の負担金も一部返上したいというお話もございまして、これから国との闘いもいろいろ橋下知事は控えていらっしゃるかと思いますけれども、しかし、彼は、やはり歳出削減をして、将来にツケを残さないように、ある意味必死でございますので、ぜひ応援をしていただければと思います。

 しかし、それだけ頑張っても、大阪府の借金は約五兆円と言われております。一年に一千億ずつ返しても五十年かかるという大変気の遠くなるような話であります。それも借金に利息がつかなければの話でありまして、仮に一%ついただけでも年間五百億円でありますから、借金は永遠に減らないということになります。プライマリーバランスを保っても、これ以上借金がふえないレベルであって、ずっと五兆円は残ったままということであります。ですから、歳出削減だけではやはり非常に厳しいということが言えるわけであります。

 そして、先ほどから言いましたように、二つ方法があるもののもう一つの方法ですが、これは、国家としてやはり真剣に、富をいかに生み出していくのか、こちらを考えていくということであります。

 日本はいまだに、国民の払う税金で景気を刺激するという方法を考えている人が大半であります。でも、富の分配というのは、やはり富を生まなければ分配することはできません。ですから、この富をどういうふうに生んでいくのかという方法を考えなくてはいけません。

 私は、世界の繁栄する地域を見ておりますと、大体、世界からお金を呼び込む力、こういった力があるところが国として、地域として栄えていると思います。世界の余剰金というのは約六千兆円ある、これはホームレスマネーとも言われておりますけれども、こういったお金をいかに日本に呼び込んでくるのか、ここが日本の発展に大きくかかわってくるかと思います。

 道州制とは、こういった世界の国のお金をいかに呼び込んでいくか、富の再配分の機関としての中央集権国家を解体してしまって、世界から富を呼び込む責任を地域国家に持たせていくというものであります。そして、一部の立法の権限を道州に移譲して、富の創出を真に志向させていくもの、これこそが道州制の意義ではないかというふうに思います。

 総務省は、この道州制の意義、目的、こういったものをいかにお考えになっていますでしょうか。その方向性をお示しください。

素川政府参考人 内閣府内閣官房からお答えを申し上げます。

 道州制につきましては、現在、道州制ビジョンの策定に向けまして、道州制担当大臣のもとに置かれました道州制ビジョン懇談会において議論を深めていただいているところでございます。

 道州制の意義、目的につきましては、昨年三月に道州制ビジョン懇談会が中間報告を取りまとめられたところでございます。そして、中央集権国家から分権型国家、いわゆる地域主権型の道州制への転換という理念を打ち出されております。

 そのもとで、その目的といたしましては、繁栄の拠点の多極化と日本経済の活性化でございますとか、国際競争力の強化と経済・財政基盤の確立、そして住民本位の地域づくりや効率的・効果的行政と責任ある財政運営などといった目的を実現するものとされているところでございます。

とかしき分科員 ありがとうございます。

 今、ビジョン懇談会の方でお話が進んでいるということでございますけれども、今どういったスケジュールで進んでいるのか、いつごろ方向性が具体的になるのか、どれぐらいの実施を目指しているのか、ごめんなさい、ちょっと通告がなかったんですけれども、もしそういったタイムスケジュールがある程度わかっておりましたら、お知らせいただけますでしょうか。

素川政府参考人 道州制に関する作業でございますけれども、導入検討の、課題のための検討ということで、道州制ビジョン懇談会、これは平成十九年の一月にスタートをいたしております。そして、先ほど申し上げましたように、中間取りまとめを昨年の三月に行ったというところでございまして、その中で、道州制の理念とかその大枠についての論点を整理したところでございます。

 その後、幾つかの個別の課題というものを列挙しております。それが、税と財政の問題でございますとか、区割りに関しての基本の方針、そういったことでございまして、今、そのための専門委員会というのも昨年立ち上げまして、残された課題について議論をしているというところでございます。

 道州制ビジョン懇の中間まとめで記しているところでは、二十一年度中にこの取りまとめを最終的に行いまして、その後、中間取りまとめによりますと、十年後ぐらいを目途に道州制の実現を目指していくというようなこととされているところでございます。

とかしき分科員 ありがとうございました。

 今の日本は大き過ぎる会社のような形になっておりまして、権限が中央に集まり過ぎていて、完全に機能不全という状況になっております。道州制というのは、その大きな会社を分社化していくようなものだと思います。道州に経営の責任と権限を移譲して、自由と機動性を与えて、現場の声がより反映されるように、それが道州制の一番の意義だと考えております。

 今お話しいただきましたように、国家レベルでは道州制の議論はかなり進んできてはおりますけれども、やはり、富の呼び込み、それがどうも俎上に余り上っていないような形がいたします。

 拝見しておりますと、平成の大合併の延長上のように位置づけて、国の出先機関と地方機関が重なっているのは効率が悪い、この重複を排除すれば、例えば幾ら幾ら、北海道では三千億円ぐらい節約できるとか、何かコストダウンの話の方がどうも先行しておりまして、中央からの受け皿の集約、先ほどからお話ししております富の創出、それにはどういったことがいいのかという、富の創出の受け皿として国を大改革していこうという議論にはどうもまだ至っていないような気がいたします。

 道州制とは、国家の統治機構、これを根本的に変えるという大変なことであります。必要な立法、徴税、行政の単位をみずからつくり上げて、世界経済を呼び込むための戦略事業単位を確立していくことが大切だと思います。もちろん、地域国家として独立していくわけでありますから、失敗すれば滅んでしまう可能性もありますし、成功したりする場合もあります。互いに競争することによって、これが繁栄に結びついていくのだろうというふうに考えております。

 昨年、福田前総理が施政方針で述べられました道州制の導入について、国民的な議論を深めていくとありましたけれども、具体的に今どのように進められているのか、どういったところから国民の議論を高めていこうとなさっているのか、その内容をお知らせください。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話しになりましたように、道州制は国のあり方にかかわる改革でありまして、その導入に当たりましては国民の理解が不可欠であるわけでございます。

 そのため、先ほど申しました道州制ビジョン懇談会を開催するほかに、あわせまして、国民の皆様方の間で議論を深めていくために、全国各ブロックの経済界の方々を構成員といたします道州制協議会を設置いたしております。また、各地域の経済団体などと共催いたしまして、全国各ブロックにおきましてシンポジウムを開催してまいっております。さらに、一昨年からスタートいたしました道州制特区、これは道州制に向けた先行的な取り組みでもあるわけでございます。

 今後も引き続きまして、シンポジウムなどを通じまして、国民の皆様方にわかりやすい道州制のイメージをお示ししていくことが必要だと考えております。

とかしき分科員 ありがとうございます。

 今お話が出ました北海道の道州制特区、法律の制定後どんな進捗状況にあるのか、今後の予定、そして、この特区の活動をどのように道州制議論に結びつけていくおつもりなのか、教えていただけますでしょうか。

滝本政府参考人 お答え申し上げます。

 道州制特区につきましては、道州制導入の検討に資する、そういう観点から、平成十九年に法律が、いわゆる道州制特区推進法が施行されておりまして、政府として今取り組みをしているところでございます。現在、北海道が道州制特区とされているところでございます。

 この法律の施行時におきましては、北海道に対しまして、いわゆる民有林におきます直轄の治山事業など八項目の権限移譲が行われているところでございます。また、法律の施行以降、これまでに北海道から三回にわたりまして提案が行われておりまして、そのうち、まず第一次の提案を踏まえまして、水道事業の監督権限などにつきまして権限移譲を行っているところでございます。それからまた、今、第二次、第三次の提案につきましても、政府内において鋭意検討し、また、所要の準備を進めているところでございます。

 今後のことでございますが、道州制特区は道州制に向けた先行的な取り組みでございますので、その成果につきまして国民がそのメリットを感じることができるように、それからまた、道州制に関しまして国民的な議論が深まりますように、引き続き法律の運用に努めてまいりたい、このように考えてございます。

とかしき分科員 ありがとうございます。

 やはり、北海道の特区をいかに上手に使っていくのか、ここで特徴を出して、繁栄の富を創出していく力があるというふうになりますと全国の取り組みも変わってくるかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、橋下知事も今積極的に、この道州制を何とか進めていって、やはり富の創出をしていかないと、このままでは借金を返していくことは難しい、そして関西を発展させていくのは難しいということで、橋下知事自身も声を大にして今道州制に対して発言をしておりますので、ぜひその声も受けとめていただきたいと思います。

 そして、私、道州制の委員会をいろいろ拝見しておりますと、いつも同じようなメンバーの方が同じような話をなさっている印象がどうしても否めないわけであります。なるべく国民の皆様に広く、いまだに、道州制といっても、何のことですかという方が地元でも多くございまして、やはりこれは浸透度がかなり低いのではないかなというふうに思います。なるべく多くの方に参加していただく、経済の方だけでも結構なんですが、やはり市民の方に入っていただくことが私は大切ではないかなと思います。

 そのようなときに、私のたまたま知っているNPOで、この道州制のテーマで、道州制ドットコムといってインターネットのホームページの中でわざわざ会議室を設けて話し合いをしたり、本まで出して、市民団体の中でも、道州制について真剣に取り組んで国民的議論を沸き上げていこうという努力をなさっている人たちもいるわけであります。そういった方々に協力を願いながら、市民の声を吸い上げていくのに効率がいい方法はないか、そういったことをぜひ検討していただくのも一つの方法だと思います。

 こういった形で、なるべく道州制、これは日本がこれから発展していく上に絶対必要な最後の切り札とも言える政策であります。ですから、この政策を国民の皆様に理解をしていただいて、ぜひそのために頑張っていこう、地域の特徴を生かしながら栄えていこうよ、そういった大きな動機づけになるように、ぜひそういった政策、政策の周りの地盤づくりをしっかりとお願いしたいと思います。私も議員として一生懸命応援していきたいと思います。

 それでは、道州制の話から、次は消防団の方のお話をさせていただきたいと思います。

 道州制へ移行するに当たって、やはり地域の住民の方との連携、ここがとても大切になってまいります。地域発展のかぎ、地域の人たちとうまく連携をとっていく。そういうふうに考えていくと、やはり今の既存の組織も上手に使っていく必要があると考えます。

 そこで、消防団なんですけれども、消防団は、災害発生時には、地域では消防本部と連携をとりながら活動に当たっている、大変重要な役割を担っております。消防団の皆さんは、それぞれ別の職業を持ちながら、火災発生時や大規模の災害発生時には消防本部とともに災害活動に当たっております。多くの災害現場で見られる人海戦術が必要なときは、消防団なくしては現場の対応は困難である、そんな意見もたくさん聞かれます。

 しかし、御存じのように、近年の社会情勢の変化の影響を受けてか、消防団員の減少が深刻な問題となっております。私の地元の消防団の方を見ておりましても、本当にボランティア精神で一生懸命頑張ってくださっております。

 年末も、私、地域の消防団の夜警の激励に参りまして、全部で二日間に分けて七、八十カ所回らせていただきましたけれども、皆さん、年末の大変な時期に集まって、地域の皆さんとともに夜警をしてくださっている。本当にボランティア精神にあふれて、本当に自己犠牲の上にこの私たちの安全性が守られているんだなということを私もひしひしと感じたわけであります。

 何とかこの皆さんの思いに報いてあげたいなという気持ちはあるんですけれども、では報酬を上げるという話も単純に出てくるんですけれども、この財政難の折、報酬を上げていくというのも多分これは難しい話であるかなと思います。

 そこで、叙勲とか褒章制度、これは今でも消防団の中では十分あるんですけれども、ある程度年数を重ねたりしないとなかなかその対象にならないわけであります。費用をかけずにモチベーションを上げていくというのは、やはり褒めてもらうというのが私は一番有効な方法だと思います。

 ですから、もっと、若い人たちが入ったときに、消防団に入った、それに対して、仕事を何かしたときに、ちょっとでも誇りに思える、褒めてあげる、こういったことをなるべく頻度高くしていただけるとありがたいと思うんですけれども、総務省としては、消防団員の減少をどのようにとらえていらっしゃるのか、そしてその対策をどういうふうにお考えなのか、さらに、今お話しさせていただきました叙勲や褒章等の制度の一層の拡充、広報の活用など、どういった政策を今後お考えなのか、取り組まれていく予定なのか、その辺をお教えください。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきましたように、消防団は、消火活動を初めといたしまして、大規模災害時に対応していただくということで、今委員御指摘のような、まさに地域の防災のかなめということで、義勇の精神を持って、常備の消防と連携しながら、非常に大きな働きをしていただいていると思っております。

 団員が、平成元年に百万人ぐらいでございましたのが、近年、八十八万人、九万人ということで減少しておりまして、そういう意味で、消防団の強化拡充を図ることが非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 このため、私ども、四つの視点から具体的に取り組んでおります。

 一つは、今お話ございましたような、とにかく消防団員の数をふやしていくという意味での全国的な、サラリーマン、女性、学生の方々に御理解をいただく、そういうキャンペーンでございますとか、全国的なキャンペーンだけではなくて、やはりそれぞれの地域、特に地域に密接しております各消防署の単位、そういう単位での具体的な働きかけといったものをまずお願いいたしております。

 また、今お話しいただきましたように、今、団員の多くの方々、七割ぐらいはサラリーマンの方でございますので、このサラリーマンの方々が活動しやすいような、企業主に御理解いただくようなことが必要でございますので、昨年の秋から、各企業の大手の団体、それから経済団体、それから主な企業に、具体に、個別に労務担当の方々にお願いに回っておりまして、その御理解を願うべく働きかけをさせていただいております。

 また、もう一つは、今先生御指摘ございましたように、まさに団員の方々に対する社会的評価、モチベーションといったものを上げるという観点からの取り組みでございます。

 団員の皆さん方に対します叙勲につきましては、この叙勲の枠を増加させたいということで、先生方のお力もいただきながら関係当局にも働きかけをしてまいりまして、昨年の春は四百四十名でございましたが、昨年の秋には、これを五十名増加させるということで、四百九十一名の方に叙勲を受けていただくということができました。またことしの春に向けましても同じような増加ができるように、今、関係当局と調整をいたしております。

 また、褒章につきましても、今御指摘ございました、一定年数、経歴年数ではなくて、一定の、出動でありますとか、いわば出動率でありますとか、回数とか率、そういうような活動実績に応じたものにこれを変えていくということで、受章者の枠、例えば、四年ほど前の平成十六年でございますと五十名ほどでございますが、今年は百十八名というふうにこれを増加させるというような、まさに評価を上げて、それを叙勲や褒章にも反映させるということでやっておりますが、私ども、また今御指摘ありましたように、ぜひそれを高めていきたいというふうに考えております。

 また、消防団員を初め吏員の方、災害時に活動して残念ながら殉職される方が何名かおられますが、昨年の秋、全国の消防殉職者の慰霊祭に内閣総理大臣に、初めて御本人に御出席をいただきました。まさに地域を守るために残念ながらその命をなくされた方々に対して、一国を代表する方にその慰霊に直接出ていただくということは、団員の方々の、そういう意味では非常に励みになるということでもございますので、ぜひ、こういういろいろな取り組みを通じまして、団員の方々に対する評価、それからまさに意欲を高めていただくような取り組みを続けていただきたいと思っております。

 それから、当然のことながら、私ども、予算それから地方財政措置等につきましてもこれを充実して、団員の方々が活動しやすいような、そういう意味での財政措置、二十一年度の地方財政措置も交付税の需要で八%強ほど伸ばさせていただいておりますが、いろいろなそういう措置も講じまして、団員の方々の活動がより円滑に行えるようにいろいろ努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞまたよろしくお願いいたします。

とかしき分科員 どうもありがとうございました。

 いろいろな取り組みをしていらっしゃるのはよくわかりました。しかし、もっとPRを頑張っていただきたいなと。ふだん、日中は別の職業を持っていらっしゃるわけですから、私は、そのふだんのときに、ああ、この人は消防団に入っているんだな、そして結構頑張って評価されているんだなというのをわかりやすくしてあげる必要があると思うんです。

 ですから、例えば、今叙勲とか褒章とかありましたけれども、そういう仰々しいだけではなくて、表彰状だけでも結構ですし、もしくはそういったものをバッジとかにして、消防団の人が、入っているんだと、それは褒められると何本かラインが入るとか、そういったものも、ふだんの洋服の上でもつけられるように、そしてそれが、あら、このバッジは何なのと、これは実は、消防団で私はこういう活動をして、こういうふうにしたからこういうふうに褒められたんだよと、ふだん何気なく話題の中に提供できるような、消防団の人の口をみずから使ってPR活動をしていただけるような、そういったツールを考えていくことが、やはり現場で働いていらっしゃる方が一番の広報マンだと私は思いますので、そういった方々の熱のこもった言葉が一番ほかの国民の皆さんの心を動かしていくことにつながるかと思いますので、そういったツールもぜひ今後御検討いただきたい。

 そして、その対象の人数も大幅にふやして、例えば、所属している人の一割ぐらいは受けられるような形のものを何か考えていくとか、そういった大胆な改革をしていただいて、消防というのはそういったボランティア精神で本当に社会ですばらしい人なんだ、どうもあのバッジをつけている人たちは本当に人格もすばらしいなと言っていただけるような雰囲気をつくっていくこと、これがやはり働いている人の一番の誇りになってくるかと私は思いますので、ぜひ、そういった形、環境をつくっていただきたいと思います。

 それでは最後に、新型インフルエンザについてちょっとお伺いしたいと思います。

 新型インフルエンザもいよいよ、史上最悪の強毒性ウイルスであるということで、日本もいつか、世界がいつかまた襲われるのではないかと非常に話題になっているものであります。これも一度感染してしまいますと、非常に恐るべき伝播力を持っていまして、飛沫感染だけではなくて空気感染もいたしますので、日常生活においてもこのウイルスの脅威にさらされてしまいます。

 一九一八年には、二十世紀最大の被害と言われておりますスペイン風邪、世界の人口の約五〇%が感染し、四千万人から五千万人の方々が犠牲になられました。日本でも四十万人が亡くなっております。

 今回の新型インフルエンザ、出てきますと、厚労省の試算によっても、四人に一人が感染し、六十四万人が死亡するとなっておりますけれども、これはスペイン風邪が流行したときの算出をもとにしておりますので、今はもっと人の動きが激しいわけでありますから、もっと感染力が高くなる、そして伝播力が非常に強くなることが予想されます。すると、やはりこれも被害がもっともっと甚大になるだろうという可能性があるわけです。

 現在、自治体ごとにいろいろな対応に取り組んでいただいておりますけれども、確実に行動計画やガイドラインを作成している自治体もありますけれども、全くまだその対策を講じていない自治体が半数以上あるというふうに伺っております。

 新型インフルエンザへの自治体の取り組みの現状をどのように把握なさっているのか、それぞれの自治体の温度差をどういうふうに考えていらっしゃるのか、仮にパンデミックが起こった場合に、自治体間の連携、これが結構重要になってくるかと思いますけれども、その連携をどういうふうにとらせていくのか、どこがイニシアチブをとっていくのか、その辺の対応について教えてください。

中尾政府参考人 新型インフルエンザ対策につきましての自治体の取り組みでございますが、都道府県段階におきましては、すべての都道府県におきまして新型インフルエンザ対策に対する行動計画がつくられております。しかしながら、市町村におきましては、このような計画をつくっている自治体が約六%にとどまるというようなことでございまして、大変取り組みがおくれているという現状でございます。

 このような中におきまして、厚生労働省といたしましては、市町村の取り組みをより推進するために、昨年、全国の市区町村の担当者に対する市町村セミナーというものを開催いたしまして、この場で新型インフルエンザ対策につきまして説明を行ったところでございます。また、政府の対策といたしまして、今月十七日、今週でございますけれども、新型インフルエンザ対策の行動計画の改定とガイドラインの策定を行いました。ここにおきましては、都道府県や市区町村の果たすべき役割分担を示すとともに、各自治体が地域の実情に応じて計画を策定することとしております。

 今後とも、このような自治体の取り組みが推進されるよう、説明会の開催や情報提供に努めるとともに、御指摘の自治体間の協力体制の構築につきましても推進してまいりたいと考えております。

とかしき分科員 ありがとうございます。

 パンデミックが起こってしまいますと、医療従事者や保健所の職員、消防署の救急隊員とか、そのほかさまざまな職種いらっしゃいますけれども、最前線で活動される人々が一番感染の危険にさらされるわけであります。こういった人たちをいかに守っていくのか、そして感染をいかに拡大していかない、感染しないようにしていくのか、その辺の取り組みが必要だと思います。

 私は、一番の取り組みは、動かないようにしていただく、とにかく人が動くとウイルスが飛んでいってしまうわけですから、やはり、パニックにならないで、家の中でじっとしていただく、これを徹底するのが一番の対策だと思いますので、そういった周知対策はやはり自治体の協力がないと、国からのメッセージだけでは弱いわけでありますから、ぜひ自治体、今、六%というちょっと衝撃的な数字でありましたけれども、ほとんどの自治体というか、一〇〇%の自治体がちゃんとインフルエンザ対策の計画がとれるように、ぜひお願いしたいと思います。

 そして最後に、消防団の皆さんも、実は、多分、この最前線で働かれる方がまた多くなるかと思います。私の自治体でも、消防団の方々の力をかりようということで、マスクを一生懸命支給したりもしておりますので、こういった方々の御好意にこたえられるように、体制をしっかり整えていただきたいと思います。そのことを申し上げて、質問を終わりにさせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

石田主査 これにてとかしきなおみ君の質疑は終了いたしました。

 次に、盛山正仁君。

盛山分科員 おはようございます。衆議院議員の盛山正仁でございます。

 何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、かんぽの宿についてお尋ねをしたいと思います。

 日本郵政による事業譲渡の入札経緯が不透明ということで、オリックス不動産への一括譲渡が白紙撤回されるというところまで参りましたけれども、まだ今検討中で、どの程度明らかにできるのかということかなとは思ってはいるんですが、今後の売却方針あるいは売却方法、売却時期、いつごろ、どのような形で明らかになるのか、今お答えできる範囲のところで結構ですから、御答弁をお願いします。

伊東参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘をいただきました今回のかんぽの宿等の譲渡につきましては、お客様、関係者の皆様に大変御心配、御迷惑をおかけいたしました。

 今後の不動産の売却等につきまして基本的な考え方を整理するため、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士の専門家の立場から御検討いただく第三者検討委員会を設置することといたしました。

 本日、第一回目の委員会を開催いたしますが、この中で、かんぽの宿の事業譲渡につきましても議論、検討を開始することとしておりますので、ただいま委員から御指摘のございました点につきましてもより適切な形で対応をしてまいりたいと考えているところでございます。

盛山分科員 今御答弁がありましたように、適切な形でということでございますけれども、これまで経緯があってということで、一括譲渡ということでこれまでは動いてこられたんだろうと思うんですけれども、適切な形で見直しをされるということであれば、地域の振興あるいは観光の振興、こういったきめの細かい配慮をぜひしていただきたい。つまり、一部の大手の資本がどかどかと入ってきて、その地域が後で混乱することがないように、中小企業を圧迫することがないように、地域の実情ということをぜひきめ細かく配慮をしていただく。

 そしてまた、日本郵政にとってもそうでしょうし、我々国民にとってもそうですが、できるだけ早く売却をして次の形にしていくということが国民のためでもありますので、先ほどの御答弁では時期その他明確な御答弁はなかったと思いますが、極力早くそういったことを明らかにしていただけるようにぜひお願いしたいと思います。

 ぜひ、御答弁をもう一度お願いします。

伊東参考人 今回のかんぽの宿等につきましては一括譲渡を考えたわけでございますが、これは、雇用の維持に支障を来すことのないようにすること、ネットワークの維持による事業価値の最大化を図り、顧客の利便性を確保しようとしたのが理由でございますが、今先生からも御指摘ございましたし、各方面からもいろいろな御意見が寄せられております。

 したがいまして、先ほど申し上げました第三者検討委員会の検討もしていく中で、地域とのかかわり方、そういった点も含めて早急に結論を出していきたいと考えているところでございます。

盛山分科員 ありがとうございました。

 早急にということでありますので、できるだけ早くお願いしたいと思います。

 次に、バリアフリーについてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 私は、役所にいるときから、駅にエレベーターやエスカレーターをつけるですとか、そういう段差の解消のところをまず中心にしてバリアフリーにずっと取り組んでまいりました。議員になりましてからも、法律の改正もいたしましたし、当時はバリアフリー推進議連の事務局長、今、バリアフリー推進議連という名前をもう一歩進めようということで、ユニバーサル社会推進議連。

 バリアフリーという言葉は、バリア、障害があってそれを取り除くという、どちらかというと英語では余りいい語感の表現ではありません。障害を後から取り除く。それに比べて、ユニバーサルデザインというのは、最初からだれについても分け隔てのないような状態でというのがユニバーサルデザイン、そういう言葉でございますので、だれにとっても住みやすいような、そういう暮らし、社会づくり、これをこれからの日本はもっと力を入れて目指していくべきだ、そんなふうに考えているわけでございます。

 最近、いろいろ御要望を賜りました中に、耳の不自由な方、聴覚障害の方から強い御要望が出ておりまして、聴覚障害の方というのは、一見、周りの人から見ると、障害をお持ちであるということが、目の不自由な方あるいは足の不自由な方に比べると、周りの方からわかりにくい。

 だから、例えば電車に乗っていて、何らかの形で事故その他で電車が一たんストップした、あるいは何か周りの人がわっと動き出しても御本人はわからないことが多いんだ、そういう点で、聴覚障害の方にとっては音声による案内というのは意味がないので、ぜひ文字による文字情報の案内をこれから充実していってほしいんだ、こんなふうなことを言われているわけでございます。

 その中でも、また言われておりますのがテレビについてでございますが、映画はある程度字幕はあるんですが、テレビでの放送その他にもう少し文字の情報をふやしてもらえないだろうか、こういうことでございます。

 私が聞いているところでは、アメリカでは、これはいろいろな英語以外の、ヒスパニックの方ですとか、そういう方がいらっしゃることもあろうかと思いますが、放送の場合、文字情報の義務づけがもうなされているやに、そこまで進んでいるというふうに聞いております。

 言語の違いあるいは国情の違いもありますので、なかなか日本でテレビ放送その他に文字情報をアメリカのように義務づけるというところまでいくのは難しいのかもしれませんが、それでも、例えば地震その他の災害が起こった場合、あるいは事故その他の鉄道あるいは交通情報、こういったもの、そういうような必要最小限というんでしょうか、こういうところについてはぜひ文字情報といったようなサービスをもっと充実してもらえないかな、こう思うわけでございます。

 総務省さんですとかあるいはNHKさんですとか、機会があるごとに働きかけをこれまでしておりますけれども、ぜひ、きょうは副大臣御出席でございますので、聴覚障害の方に向けて、ユニバーサルな社会が実現するよう、放送においての文字情報のサービスのできるだけの普及に一層積極的に取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

石崎副大臣 盛山委員がユニバーサルのバリアフリー解消に一貫して取り組んでこられたことに、本当に敬意を表したいというふうに思います。

 平成九年に放送法を改正いたしまして、字幕放送等を努力義務化する、その流れで、総務省、当時は郵政省でしたけれども、十年計画でこの字幕放送を普及していく、そういう活動を続けております。

 平成十九年度までに総放送時間の四割を字幕放送化するという目標を設定して、NHKはほぼ一〇〇%、民放キー局は大体八九%、その目標を達成したところでございます。一昨年に、さらなる十年、平成二十九年度までの計画をつくり、今度は総放送時間の六割を一つの目安として字幕放送をさらに拡充していこう、それから解説放送の方も一割、こういう目標を設定して今取り組んでいる最中でございます。

 日米の違い、今委員おっしゃったように、言語の違い、文字の違いがあって、日本語というのはなかなか難しい面があります。先日、NHKの研究所に行きまして、ちょっと現場を見させていただきましたけれども、特に緊急時はスピードを要する。それから、地名とか固有名詞とか専門用語とか、そういったものに瞬時に対応していくというのはかなりのスキルが必要でありまして、平時はともかく、緊急時にそれだけのスキルを持ったスタッフをそろえるということも、これはなかなか大変なことだというふうに痛感をいたしました。

 しかし、緊急時であればあるほど障害者にとってはその情報というのは死活的に重要でございますので、そういう被害情報、避難情報、こういった災害情報が提供されるという方向をさらに強めていきたいなというふうに思っておりますし、放送事業者に対して、テロップやデータ放送を活用するとともに、可能な限り字幕放送により災害情報を提供するということを要請し、さらに拡充に努めていきたいと考えているところでございます。

盛山分科員 副大臣、ありがとうございました。

 副大臣おっしゃられたとおり、英語と日本語の文法の違いもありますし、英語はアルファベットだけですけれども、日本語は漢字、平仮名、片仮名がありますので、そういう点で、音声を文字に変換するというのが大変困難であるということは承知しております。

 総務省さんというよりは経済産業省の分野が中心になろうかと思いますが、今開発をしていただいているところでございますので、そういう機器の開発が進むことを私自身期待しているところでもありますし、また、副大臣が今おっしゃられたとおり、緊急のときの対応が難しいけれども、緊急であればあるほど、余計にまたそういう情報が必要であるということでもございますので、これから一層取り組みを積極的にしていかれることを心より希望する次第でございます。

 文字情報のことでもう一点お尋ねをしたいと思います。

 選挙というのは、我々衆議院の場合、いつあるかわからないわけでございますけれども、来年は参議院選挙もありますし、ことしもいろいろなところで地方選挙がございます。総選挙につきましても、九月の十日までに我々は任期が来るものですから、必ずあるんじゃないかとは思っておりますけれども、そういう選挙のときに、一般的には政見放送がなされることが多いわけなんでございますけれども、この政見放送にも必ずしも字幕がついていないということで、聴覚障害の方から、参政権を行使するためにもぜひ政見放送に文字情報をつけてほしい、あるいは、例えば党首が新宿の駅頭ですとか、そういう街頭で演説をされるときにもぜひ文字の情報をといったような、やはり言葉で、本当は肉声で聞きたいところなんだけれども、それが聞こえないので、やむを得ず文字で情報を得ることができないだろうかと。

 先ほどの副大臣の御答弁にもありましたが、正確にちゃんと文字に変換するというのはなかなか難しい。それは聴覚障害の方も御案内でございまして、要約の形で文字情報が出るのでもいいから、とにかく政見放送その他、これから文字情報の充実をしてほしい、こういった強い要望がございますので、選挙制度の問題と絡みますのでなかなか簡単にはいかないかと思いますが、こういった聴覚障害の方の御要望についてぜひ対応をお願いしたいと思うんですが、御答弁をお願いします。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 聴覚障害者の方々にいかに政見なりを正しく御理解いただくかということは、重要な問題でございます。

 現在、政見放送につきましては、参議院の比例代表選挙、これでは手話通訳をつけることができるというふうになっておりますし、衆議院小選挙区、この政見放送につきましてはいわゆる持ち込みビデオ方式というのができますので、持ち込みビデオですと、字幕ですとかあるいは手話通訳を付することができるというふうにはなっているところでございます。

 ただ、まず字幕の前に、手話通訳の付与につきましても、なかなか政見放送を同時に通訳できる方が地域的に、いらっしゃる地域、いらっしゃらない地域があるといったような問題があるところでございますけれども、今般、衆議院の小選挙区に加えまして比例の選挙につきましても、手話通訳士の方をつけての録画ができるように今関係機関と準備を進めているところでございます。

 それから、お尋ねのございました字幕の付与でございますが、考え方としては、この持ち込みビデオ方式を拡大するということもあり得るところでございますけれども、これを導入する経緯としましては、長期間にわたります政治改革の各党各会派の間でなされました御論議の中で、今の小選挙区比例代表並立制を入れる際に小選挙区に限って持ち込みビデオ方式を採用するという御判断がされたものでございまして、それ以外の選挙にこの方式を拡大できるかどうかにつきましては、やはり選挙運動のあり方にかかわってくる問題でございますので、各党各会派の御論議が必要な点かというふうに認識いたしております。

 それから、字幕を放送局の方でつけていただくということにつきましては、選挙の場合、収録の期間が非常に短いという問題、それから字幕として表示可能な文字数の問題もございます。その辺が仮に解決できるとしましても、要約をどうやってするのかというような非常に微妙な問題を含んでいるところもあろうかと思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、聴覚の障害を持った方々がより投票しやすい環境を整備するということは極めて重要な課題であるというふうに認識いたしております。選挙運動のあり方にかかわる問題でもございますので、課題がございますけれども、十分、今後とも関係機関あるいは関係の団体の御意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

盛山分科員 門山部長、ありがとうございました。

 我々議員の方でも、議会の方で選挙制度ということで検討を進めていきたいと思いますし、また、総務省の方でも御検討をさらに一層進めていただいて、ことしの総選挙に間に合うかどうかは別にして、一日も早く、聴覚障害の方にとって参政権の行使が十分にできるように、そういう環境を整えていくことが必要であるというふうに思っておりますので、御協力をぜひよろしくお願いします。

 それでは次に、救急体制についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 実は、私の母もここのところ何回か救急車の御厄介になったりしているわけなんでございますけれども、日本の、消防庁というんでしょうか、救急体制、それなりに、本当にいつも感謝しております。救急での搬入の際もそうですし、私の実家は西宮でございますので、阪神大震災の際にも、消防庁あるいは各地域の消防の皆さんに本当に御尽力をいただいて、そういう点では、なかなか大変な仕事をいつもやっていただいていることに対して、心から深く敬意と感謝の意をあらわしたいと思うわけなんでございます。

 最近、テレビでも新聞でもよく取り上げられていることとしましては、救急車には乗ったものの、たらい回しになっていてなかなか病院に受け入れてもらえない、そうこうしているうちに手おくれになるというケースが頻繁に耳に入るようになりました。

 幸い、私の母の場合は、幾つかの病院に当たっているうちに、三つ目か四つ目ぐらいで入れていただいているケースでございましたので、そこまでいかずに済んだわけでございますけれども、厚労省の問題でもあるわけなんですけれども、医療の崩壊がもういよいよ現実、目の前のところまで来ている、地方自治体の公営の病院ですらクローズをしていく、そんな状況になりつつあるというふうに思っております。

 そんな中、消防と医療機関との連携というのをこれまで以上にうまく密接にやっていただかないと、今後ますます手おくれになるケースがふえてくるんじゃないかな、そんなふうに今懸念をされているところでございます。

 そういうタイミングの中、今度総務省さんの方で法律を出されて、そのあたりの体制強化をされるというふうには承知しておりますけれども、具体的にどのような形で国民の安全、安心の暮らしづくりに役立つように救急体制の整備をしていかれるのか、御答弁をお願いしたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきましたように、救急の現場まで到着をいたしましても受け入れの医療機関がなかなか選定できないという中で、例えば、平成十九年中に医療機関を照会、四回以上やったような事案が一万四千件ほどございます。また、なかなかそれが決まらない中で、現場で三十分以上滞在をしていたというものも一万五千件ほどあるという状況にございます。

 このような状況は、やはり医療機関で、それぞれの傷病の方がその状況に応じてまずどういう医院に行くのかということのきちんとしたルールが事前にはっきりしていないというものがございますのと同時に、また、そのルールがあった中でも、なかなかそこで、多数の医療機関、複数の医療機関がある中で、それが一つに絞り込めていない、あるいはお互いが受けないという状態があるわけでございますので、私ども、厚生労働省、それから医師会、救急の医学会等と御相談しながら、この国会に法案をお願いしたいということで現在最終の調整をいたしております。

 その具体的な方策といたしましては、今申し上げましたように、救急の搬送と受け入れの実施について、消防機関と医療機関と都道府県がまず一つの会議を設定いたしまして、そこで、それぞれの傷病に応じた程度については、例えばAという病院が受ける、あるいはBという病院が受けるというものをまず事前に決めてしまう。そういう受け入れのルールを設定するということをやろうと。

 そして、その受け入れのルールを設定した上で、なおその中でその当事者において絞り込めないというような場合には、それが三十分以上その現場で停滞するということになりますと、その傷病の方々に必要な応急の手当てもできないということになりますので、決まらない場合は、例えばCならCというところでとりあえず受けるとか、だれかがそこで決めるとかいうようなルールも、選定が決まらない場合にも確保するためのルールを設定する。そして、その設定によって運営をしていくということを消防機関及び医療機関に努力義務等を課すという形で担保していきたいということで、今法律の改正の準備をさせていただいております。

 また、その協議会におきましては、決めましたルールのとおりいかないような場合も出てくることも考えられますので、では、その原因がどこにあったのかというようなことをお互いに探求し合って、そのルールを変えるということもその協議会の場で行っていくということにしていきたいと思っております。

 今最終の調整をさせていただいておりますが、またぜひ、その法律を提出させていただきたいと存じておりますので、よろしくお願い申し上げます。

盛山分科員 ありがとうございました。

 私も、できる範囲で協力をさせていただきたいと思っております。

 もう一点、消防についてお尋ねをしたいと思います。

 公的な機関である消防署とは別に、民間の消防団というものがございます。私の地元神戸でもそうなんですけれども、地域の皆さんがボランティアということでこういう消防団活動に従事をしていただいて、本当にありがたいなと思うわけなんでございますけれども、その消防団の団員の方の構成が、これは神戸に限った話ではないと思うんですけれども、どんどん高齢化をしております。若い人が消防団に入って地域を支えるということが、今なかなか難しい環境になっているのかなと。

 雇用の状況も今大変厳しい状況でありますし、また仕事も大変忙しくなっておりますので、そういう地域の活動に力を振り向ける余裕、ゆとりがないというところが正直なところだろうと思うんですけれども、自主防災組織を含めまして地域全体が元気な地域になっていきませんと、地域を支えるこういう消防団ですとか、そういう活動ができなくなると思うんですけれども、そのあたりについて総務省としてどういうふうにしていけばいいと思っているのか、お考えを伺いたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘をいただきましたように、消防団は、地域の防災のかなめ、中核ということだけではなくて、地域のボランティアの皆さんが集まってそこでいろいろな地域活動をやっていくときのまさに一番のコミュニティーの核にもなる、そういうものだと思っておりますし、そこでいろいろな、自分の身の回りの安全ということはみんなの共通の課題でございますが、その共通の課題を議論していく中で、まさに自分たちの地域をどのように振興させていくのか、あるいはどうやって元気づけていくのかということもまたそこで話し合っていく一つのステップになる、あるいは一つのプラットホームになるようなものだというふうに考えております。

 そういう意味で、消防団に多様な方々に参加をしていただく。今、消防団は大体七割の方がサラリーマンの方々でございますが、このサラリーマン、いろいろな職種の方が入っていただきやすいように、まず企業、経済団体等に御理解をいただこうということで、そのような個別の企業の回りということを、私どもの職員が個別に回らせていただいてお願いするということ。当然、各地域ごとに回っていただくこともやっていただいておりますけれども、経済団体や全国に事業所を持っているような企業にも個別にお願いに回っております。

 また、女性それから若い学生の方々を中心に参加していただくということでのいろいろなキャンペーンもさせていただいております。また、消防団員の方々が地域で活動しやすいように、二十一年度の地方財政措置でも、地域の活動奨励費といったものを新たに設けまして、団員の方々の活動がより円滑にできますような財政支援も講じてまいりたいというふうに考えております。

 自主防災組織を含めまして地域の総合的な防災力を高めるためには、常備の消防と、今御指摘いただいておりますような自主的な防災組織が一体となってその力をつけていくということが何より必要だと思っておりますので、またそういう面に意を用いてまいりたいと思っております。

盛山分科員 岡本長官、ありがとうございました。

 官である消防署と民である消防団、これが両方、車の両輪になってうまく地域での活動を円滑に進めていけるように、今後ともぜひ取り組みを強めていっていただきたいと思います。

 最後に一問、副大臣にお尋ねをしたいと思います。

 イギリスでは、ピーターラビットという、ウサギの漫画というんでしょうか、絵がありまして、その作者の方が、レイクディストリクト、イギリスの湖水地方の広大な土地を印税でお求めになりまして、それで、ウサギだけではないんですけれども、そこの自然を保全するといったような活動を百年以上前からしておられます。ナショナルトラスト運動と言います。

 ですから、イギリスでは、地域の自然を守ったり、あるいは歴史、由緒のある伝統的なもの、文化のある文化施設ですとか、そういうものをうまく保存する、こういうことが本当に定着しております。税制の違いや寄附、こういったことに対しての日本との違いというのもあるんだろうと思いますが、イギリスではそれが広く定着しております。

 そして、お隣韓国でも、実は数年前に、これまでの開発一辺倒から、やはり自然、そういったものを守らなければならないのではないかということで、ナショナルトラスト法という法律ができております。

 我々日本でも、こういった動きはこれまでにもあったわけなんでございますね。あったわけなんでございますが、なかなかうまく進んできておりませんでした。しかし、韓国でもナショナルトラスト法ができたということで、我が国日本においても、立派なすばらしい自然景観でございますとか、あるいは里地里山のようなところでもいいわけでございますし、あるいは古くからの街道筋ですとか建物、こういったものでもいいわけなんでございますけれども、そういった守るべきもの、古くてもいいもの、あるいは自然であるがままにしておいた方がいいもの、開発で手をつけない方がいいもの、そういったものを選んでできるだけうまく保存をし守っていく、そういう必要があるんじゃないかなという機運が少しずつ高まってきているのではないかなと私は思っております。

 その際に、私、大事なポイントは二つだと思います。自治体、地域の協力ということではないかと思います。

 横浜では、ことしからですか、みどり税というのを新たに設けて、自然環境保全のための土地の買い取りなんかに充てるといったようなことをされるという動きがあると聞いておりますけれども、自治体としてのこういうナショナルトラストというんでしょうか、保全、こういったものへの取り組み、これまで以上に積極的になるように、横浜ですとかあるいは高知県ですとか、いろいろなところでぽつんぽつんとはあるわけなんですけれども、全体として自治体が取り組みを強化していただけるように総務省から御指導をお願いしたいなというのが一つ。

 それからもう一つは、民間団体でありますナショナルトラスト運動について、それがうまく定着して活動していけるかどうかというのは、例えば固定資産税の減免ですとか、地方税の税制での優遇策が必要になってくると思います。こういったことについては総務省さん等も含めて検討を進めていきたいと思っておりますので、この二点について、ぜひ今後御協力を賜りたいなと思うところでございまして、副大臣から、お考えについて御答弁いただければと思います。

倉田副大臣 委員がおっしゃられました自然環境保全策、これは日本にとって大変重要なことだと認識しております。委員おっしゃられましたイギリスでは、既に一九〇七年にナショナルトラスト法ができたんですね。韓国でもできたというのは、私、正直言いまして今初めて勉強させていただいたわけでございます。

 そうしたことではありますけれども、まず、日本でもトラスト法のようなものをということが御質問じゃないかと思うんですけれども、まず環境省とか、そういうところからそういった形の法律ができてくれれば、総務省として税制上の考慮をするとか、そんなような展望になってくれればなというような考え方でいるところでございます。

 第二点でございますけれども、地方団体あるいは民間のナショナルトラストが一生懸命やってくれております。日本では、大佛次郎さんが、鎌倉市で乱開発を防ごうということで民間から募金を募って始めたというのが日本で初め、こんなぐあいに聞いておりますけれども、非常に重要な運動だと思っています。

 それに対する地方税の減免等がどうなるのかということでございます。これはまさしく地方がやっていただくことではありますけれども、現在二十九の都道府県及び横浜市、これが自主課税権というものを用いまして、超過課税ということで森林環境税などをつくっていらっしゃって、そちらの方に努めていただいておる。そうした中で、固定資産税の減免ということについては、蔵王の白石市、事実上そこでやっておられる。東京都も、里山の保全ということで固定資産税の減税をやっております。今委員のおっしゃられた横浜につきましても、これは土地を民間から借り上げる、使用貸借を一定の期間結ぶというような形で事実上の固定資産税の減免などを行っている、こんなようなことでございます。

 こうした運動がさらに広がっていただくことを期待しているところでありますし、先ほど言ったような形で、ナショナルトラスト法というようなものにまでいってくれるとありがたい、こういうぐあいに考えているところでございます。

盛山分科員 副大臣、ありがとうございました。

 今、鳩山総務大臣もお見えになりましたが、環境省だけの法律ということではなく、地方自治体としての取り組みも大事でございますので、各省連携しての法律になるように私も協力させていただきますので、ぜひ御協力をいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて盛山正仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)分科員 民主党の鈴木克昌でございます。

 お時間をいただきましたので、今最も国民の関心の高いというふうに思われます、またそうでなくてはならないわけでありますが、地デジの問題について少し勉強させていただきたい、このように思います。

 私の地元というのは、三河山間地でありまして、いわゆる限界集落と言うとしかられますが、限界に近い集落が点在をいたしております。そんな中で、高齢者を初め多くの方々が必死な思いで山間地を守っているというのが今の状況であります。当然のことながら、山間地が乱れれば日本の農業や林業が荒廃するということでありまして、こういった地域の皆さんにとって、やはり大きな問題は、道路整備が一つ、もう一つは情報インフラの整備、この二つがある意味では非常に大きな問題、課題であるわけでございます。

 残念ながら、いまだに携帯電話が通じないというところがあります。山へ入るたびに、地元へ戻るたびに、せめて携帯電話だけは通じるようにしてもらいたい。山で作業をしておって、何かあっても連絡のしようがない。実際に、通信ができなかったためにとうとい命を落とされたというようなケースも実はあるわけでありまして、この問題は本当に放置できない問題だ、このように思っております。

 そこで、今まさに国が二〇一一年の七月に向けて完全移行を計画してみえる地デジ放送について、そういった問題も絡めて、少しくお尋ねをしてまいりたい、このように思っておるところであります。

 地デジ対策というのは、デジタルでテレビを見るということに主眼をしたものなのか、いわゆる総務省のおっしゃってみえる情報通信技術の恩恵を受けるということなのか。言いかえるならば、放送事業なのか、通信事業なのか、またその融合なのか。このことは、ここ数年来、本当に繰り返し繰り返し国会でも議論されてまいりましたし、あれですが、ただ、なぜ私がまたここでお伺いするかというと、その辺のところが、本当に国民の皆さんお一人お一人にはまだまだ理解されていないということだと思います。

 そこで、あえてお伺いをしたいわけでありますけれども、御答弁としては、一気に放送と通信の融合を果たして、いわゆるICTの活用等による国力アップの政策である、こういうふうに当然御説明をなさると思います。また、そういう説明を我々も何回も聞いてきたわけでありますけれども、先ほど申し上げました、高齢者を初め大多数の国民の皆さんはどういうところなのかというと、デジタル放送に変わるそうだからテレビをかえなきゃならないねと、こういうところが本当の現実の姿ではないのかな、このように私は認識をしておる、違えば、いや、そんなことはありませんということをお示しいただければいいんですけれども。

 こういう状況の中で、総務省としては、まさに関連事業に数千億円という税金を投入されようということなんですが、もう一度ここで、いわゆる放送と通信の整理をしていただくと同時に、予算についてどういうような御見解を持ってみえるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 鈴木先生とは長いおつき合いで、ともに友愛運動をさせていただいた間柄でございます。

 先生御承知かと思いますが、私は、実は、もともと理科系は好きだったんでございますけれども、余りこの方面のことに詳しくないわけです。詳しくないだけに、地デジに全部移行するんだ、アナログが停波するんだということも、私自身が相当勉強しないと理解できなかった。つまり、なぜ地デジなのか、これは最終なのか、もっとその先があるのかとか、私は何もわからなかった。だからこそ、先生がおっしゃる高齢者の方等がなかなか理解できない、何で今までのテレビが映らなくなるのか、何のためなのか、どうしてなのということを、やはりもっともっと説明しなければいけないなというふうに思います。

 私は、実はひねくれ者でございまして、携帯が出たときに、こんなもので縛られるでしょう、縛られるのは嫌だと言って、皆さんが携帯を使い始めてから数年間は携帯というのを持たなかったんです。携帯というのを持たなくて、これを使うようになって何年かしたら、今度は、私のはそんな機能はありません、簡単なものですけれども、しかし、ワンセグでみんながテレビを見ているのを見て、これは何なのと言ったら、今は携帯でテレビが見られる、ワンセグという、これはデジタル放送だとこういうことができるんだという話を聞いた。これを今諸外国に、日本のデジタルの、地デジの方式を売り込んでおりますけれども、日本方式の特徴としてワンセグというのがあるということは、総務大臣になって初めて知った。

 しかし、でもちょっと待ってくださいよ、ワンセグでテレビ見ちゃうんでしょうと。テレビ見るというのは、これは放送なの、それとも通信なのということで、放送と通信は、先生がおっしゃったように、これはだんだん境目がなくなってきて、そのために新しく法律をつくらなければならないということで、今いろいろな準備をしているんだと思います。

 ですが、そういう意味では、通信とは何か、放送とは何かということさえ、私自身がよく理解できないことさえあるわけでございますから、今回の地デジへの完全移行というのは相当な宣伝と説明がこれから必要だ。

 もう繰り返しになりますけれども、やはり単にデジタルテレビを見るようにさせようというようなことではなくて、重要なのは電波の利用方法で、地デジにすることによって三分の一ぐらい電波の余裕が出る。その電波をいろいろな形で、例えば安心、安全のための情報とか、あるいは携帯が拡大してくれば携帯に振り分けるとか、そういうことのメリットが大きいんだろう。

 私、ショックを受けましたのは、今、大臣車にテレビがついているんですが、これがデジタルなんです。すごくよく映るので、移動に強いらしいんですね。私が大臣になる前に乗っていた車はテレビがついているんですが、ほとんどいつもぐちゃぐちゃぐちゃで、ああ、ここはよく映るわというと、車をとめるぐらい。

 だから、やはりそういう科学技術の進展によって、確かに画質等が大きく変化することも間違いないとは思います。

鈴木(克)分科員 ありがとうございます。

 非常にわかりやすく御説明をいただいたわけでありますが、もう少し深く御質問させていただきたいんですが、要は、予算措置や執行状況が、地デジ対策だと言いながら、実はまさになし崩し的に、これも利用できます、あれも利用できますというような流れでいっておるわけですよね。

 問題は、先ほどから言ったように、その結果どういう恩恵が受けられるんだ、国民にとってどういうメリットなのかというところが明らかにまだまだ説明不足であるし、いわゆる多額な税金を使うというその事業に対して、本当に国民の合意ができているのかどうかということが実は問題だというふうに私は思っております。

 決して情報化に反対をするということではありませんけれども、要するに、通信技術による恩恵をきちっと説明することなく、また具体化することなくというのはちょっとおかしいんですが、なし崩し的に進めるということについてはやはり問題があると思いますので、再度、技術的な問題かもしれませんが、情報通信技術の具体的な国民に対する恩恵というのは何なのかというところを御説明いただければありがたいと思います。

鳩山国務大臣 局長からお答えいたしますが、例えばアメリカは多少延期しましたけれども、四カ月ほどでしょうか、ただ、アメリカでもチューナー関係で物すごいお金を国民に配付しているというふうに聞いております。我が国でも総額でいえばあと二千億ぐらいのお金が要るだろうというふうに思います。中には、二千億じゃ済まないんじゃないのと私におっしゃる専門家もいます。

 そうなりますと、巨額なお金でございますから、税を使うわけですから、きちんとその利益、恩恵がどこにあるかということは、私は説明できませんけれども、専門家から広く国民に説明する必要があると思っております。

山川政府参考人 情報通信技術の具体的な恩恵ということでございますけれども、先ほど大臣から御答弁させていただきましたとおり、地上デジタル放送につきましては、ゴーストのないハイビジョン画像でございますとか、あるいは高音質の放送を楽しめる、あるいはワンセグサービスも見られるといったこともございますが、通信網、放送網がともにデジタル化することによりまして、例えば、国民の皆様は、見逃したテレビ番組をインターネットでごらんになることができるということも可能でございますし、あるいはテレビ画面をテレビ端末だけではなくて、インターネット上で、パソコン上で楽しんだりすることもできますし、あるいはまさにワンセグなどは携帯電話でテレビが見られる。こういった情報通信技術の進展あるいはデジタル化による恩恵というのがまさに国民全体にお楽しみいただけるというふうに思っております。

 私ども、デジタル化につきまして、その必要性、それからどうやってデジタルに対応するのかということにつきましては、もっともっと丁寧かつきめ細かく国民に説明をしていく必要があると認識しておりまして、平成二十一年度予算におきましても、高齢者、障害者の方々を中心にきめ細かく説明をさせていただくとか、あるいはひとり暮らしの高齢者、障害者を必要に応じ戸別訪問させていただくとかといった予算も盛り込んでおるところでございます。

鈴木(克)分科員 ありがとうございました。

 確かに、見逃したテレビをインターネットで再度見れますよ、そしてテレビでインターネットが駆使できますよ、携帯でテレビが見れますよ、これはまさにわかっている人については本当にいいわけですけれども、問題は、田舎でお暮らしになっている、そして本当に何なのという方々にとって、私は十分理解を今いただいておる状況では正直言ってないんじゃないのかなというふうに思っておるわけです。

 なぜこういうことを言うかというと、かつてCATVを敷設するとか光ファイバーを敷設するとか、大変な、国を挙げて、そしてある意味では鳴り物入りでやった事業があります。本当にそういう意味で、そういった新しい技術、最先端の技術を享受できる、恩恵に浴している方々も確かにないとは言いません。ところが、そうではないところも、先ほど言いました携帯電話すら、すらと言うとしかられるかもしれませんが、通じないところが現実にあるわけですよね。ここなんですよ、問題は。

 だから、田舎の方、まあ田舎ばかりではありませんけれども、そういった方々にしてみれば、まず携帯電話を通るようにしてくださいよ、テレビをインターネットでとか、インターネットで何がとか、そういうことじゃなくて、まずそういうふうにしてくださいよと。それから、本当に地デジで今度そういうようなあれになると、何で今までのテレビで見れなくなっちゃうの、冗談じゃないよという、本当にそういうことなんですよね。

 先ほどちょっとアメリカのお話が大臣から出ましたので、通告がないんですけれども、今回、アメリカでグリーン・ニューディールの中で、いわゆるデジタルテレビ化用クーポンという制度がありますよね、御存じだと思うんですけれども。いわゆるこれはアメリカの世帯がアナログテレビ放送からデジタル放送へと乗りかえることができるようにするクーポンプログラムだと。そして、このためには六・五億ドル、これはコンバーター購入用のクーポン、一世帯当たり四十ドル券二枚を提供するプログラムだ、こういうふうにあります。これはちょっと通告しておりませんが、まさにこういうことが大事だというふうに私は思っておるわけであります。

 いずれにしても、それはそれとして、もしコメントがあればお伺いしますが、私がお伺いしたいのは、問題は、先ほど、宣伝をする、そして地域に理解をしてもらう、皆さんに理解を深めていくということであるなら、まず、それを受ける市町村の職員の皆さんが、果たしてどこまでそういったことについて御理解をされておるのか。現実には、業者へ丸投げなんですね。いや、私は詳しいことはわかりません、だけれども、こういう業者に聞いてくださいよというような話でありまして、私は、総務省としては、まずそういった窓口になる人、担当の皆さんに、今からまだ二年ちょっとあるわけですから、そこのところをきちっとして、少しでも国民の皆さんの不安を解消していく必要があるんじゃないかな、このように思いますが、いかがでしょうか。

山川政府参考人 委員御指摘のとおりだと思っております。

 例えばケーブルテレビなどが地域の情報通信基盤として非常に重要なものであるわけでございますけれども、この施設が住民のニーズにちゃんとこたえるものであって、かつ有効に地域で活用されているということが非常に重要なわけでございます。

 しかしながら、御指摘のとおり、地域の行政によりましては、必ずしも十分なノウハウを有していないというところも当然想定をされておるところでございます。そうした場合には、私どもの地方支分部局であります例えば総合通信局が、こうした地域の行政と緊密な連携を図りながら、必要な助言あるいは指導を行って、地域の皆様方に安定的かつ良質な役務の提供が確保されるように努力をしていくことが重要だというふうに認識しております。

鈴木(克)分科員 いずれにしても、地域の皆さん、とりわけ、田舎と言うとしかられますけれども、そういうところの皆さんは、やはり役場へ行って聞くということが多いんですよね。その役場の皆さんが、確かに技術的なことはわからないまでも、やはり最低の、説明できるだけの能力を持っているべきだと私は思うんですよ。これは大変大きな、国の一つの方向性ですから、そういう努力についてはまだまだ十分ではないというふうに私は思いますけれども、もう一遍、その辺はいかがでしょうか。

山川政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、地域の行政の方々には、技術はどんどん進歩いたしますし、新しいサービスもどんどん出てまいります。私どもも、これに追いつくべく、必要な補助制度も毎年充実をさせてきております。そうした補助制度も有効に活用していただきながら、地域の方々に、本当にそのニーズに合ったサービスが提供できるように、私どもといたしましても、今後とも、地域の方々の御相談やニーズには的確に応じ、また御助言もしてまいりたいというふうに思っております。

鈴木(克)分科員 本当に、くどくなりますが、ぜひそこのところはもう一度初心に返って、根本的にこの取り組みを私は進めていただきたい、強く御要請を申し上げていきたいというふうに思います。

 少し議論を進めさせていただきますが、通信が放送も含む重要なインフラであるということでありますが、その通信業者の中でとりわけNTTさん、このことについて少しお伺いしたいんですが、まさに通信業者はどのような期待、役割を担ってもらうべきか、国はどのようにそこに期待をしているのかというところをお伺いしたいわけです。

 具体的にはどういうことかというと、NTTは、かつての体制後、そして民営化をしたわけですよね。民営化ということであるのは、一言で言うと、もうかる部分はやりましょう、もうからないところはやる必要ないんですよということなんですね。

 ところが、やはりまだ国民の多くがそのNTTに期待をするところはかつてのような部分でありまして、私はここを、あの民営化当時というのは放送と通信の融合なんというのは恐らく考えられていなかったのではないのかな、わかりませんけれども、そういうふうに思うんです。しかし、改めて、ここでぜひ一遍お伺いしたいのは、放送業者に対して、特にNTT等に対して、国は何を期待していくのか、どういう部分を担ってもらおうとしておるのかというところを教えていただきたいと思います。

山川政府参考人 先生御指摘の、例えば中山間地域においてデジタルテレビが視聴できるようにということにつきましては、放送事業者がデジタル中継局の整備を行うということが基本ではございますけれども、現在、ブロードバンド回線により提供されます電気通信役務、こういったことを利用して、例えばIP再送信といったことで地上デジタル放送を送り届けることも可能になっておるわけでございます。

 こうしたサービスにつきましては、デジタルの中継局というのを補完いたしまして、条件が不利な地域におけます地上デジタル放送の受信を可能とするための手段として有効ではないかというふうに私ども認識をさせていただいております。

 したがいまして、例えば、IP再送信を行う事業者につきましては、昨年の十二月にIP再送信に関するロードマップというものも公表させていただきまして協力を依頼し、条件不利地域におけるサービス提供につきまして私どもの方から促していっております。

 もちろん、通信事業者がインフラ整備やサービス提供をどういうふうに行っていくかということにつきましては、最終的には民間事業者としての各社の経営判断によるところが大きいわけでございますけれども、今後、各事業者で御努力いただきまして、条件不利地域におけますサービス提供のエリアの拡大というのが図られましたら、それは国民の円滑なデジタル放送への移行に非常に大きな役割を果たしていくというふうに思いますので、そういう意味では、私といたしましては期待を持っておる次第でございます。

鳩山国務大臣 すごく不正確な、粗っぽいことを言いますので、ちょっとお許しいただきたいんですが、私もいきさつがわからないので。

 先生おっしゃったように、NTTが民営化されますと、当然、採算性の問題というのは最重要になる、日本郵政は余り採算性を考えていないようですけれども。そこで、私よくわからないんですが、光ファイバー、ブロードバンドというものができたときに、当然、NTTの巨大な力で、採算のとれそうなところには全部引いたと思うんですね。

 それから、私の選挙区ですと、かえって山間地域にはそういう何か特別に面倒を見る制度があったのか、割かし引かれているんです。途中が抜けちゃっているんです。途中、つまり中心市街地と山間地の間の農村地帯あたりが抜けちゃっていて、それでそこに光ファイバーを引いてくれと私はNTTに言うんですが、結局、何万世帯が加入してくれないと採算がとれない、そうでなければ久留米市に引いてもらってごらんというような感じで、やはりそういう意味でのデジタルデバイドというか、妙に抜けてしまっているところがあるような気がします。だけれども、片や会社は採算性を考える。

 その辺、何かこう、この人も随分うるさく言っているんですけれども、うまく処理していかないと、これからもそういう問題が残るような気がするんです。

鈴木(克)分科員 本当におっしゃるとおりで、むしろ私が申し上げたいことを大臣の方が上手に言っていただいたかなというふうに思っていますが、期待をするだけではなくて、国として、こういう部分についてはやはりやるべきだというような、期待ではなくて、まあ指導というと民間ですから確かに問題かもしれませんけれども、しかし、やはりそこできちっと話し合って、本当に協力要請だけではない、何かもう一つ進んだ部分の協力体制というのは当然できるというふうに私は思うんですよね。

 一たん敷いてしまえば、あとは、NTT、NTTと言って恐縮ですけれども、民間である業者はずっと長い間利益を享受していくわけですから、そういう意味において、やはりここがやるべきだという強力な指導を期待していきたいなというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。

武内政府参考人 今、先生が御指摘なされましたように、光ファイバーの整備というのは非常に重要な課題でございまして、NTT東西におきましても既に積極的な投資は行っておりまして、その累計額は二兆円に上っているところでございます。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、民間事業者としては、事業採算性の点から限界があるということでございます。

 したがいまして、総務省といたしましても、従来以上に、条件が不利な地域を含めまして、光ファイバー網を目標に沿って整備していくということで、整備主体でございます通信事業者ですとかあるいは地方自治体等への支援措置というものの拡充に向けた取り組みが加速化していく必要があるというふうに考えております。

 この各種の施策の拡充に努めてまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(克)分科員 時間もあれですので、これぐらいにさせていただきますが、ぜひその辺のところを、国家の利益とそれから民間のいわゆる持ち分、職分というところで一つの方針を出していただければ大変ありがたいなというふうに思います。

 最後に、ちょっと通告をしていないんですが、いわゆる詐欺ですね。

 私は愛知なんですが、愛知県の一宮に在住されておる方から、地元のCATV業者や市役所の職員を装った詐欺、どういうことを言ってきておるかというと、地上デジタル放送を見るアンテナ機材等の購入費として二万円が必要であるというような電話をかけてきて、まさに弱者そして高齢者をねらい撃ちのような、何とかやら詐欺というのが今多いわけですけれども、そういうようなことが特に愛知で、一宮とか豊橋とか岡崎とか、そのようなところで今頻発をしております。

 これは恐らく全国的に出ていく可能性がありますので、ちょっと通告外ではありますけれども、こういったことに対する対策としてどのように今お考えになっているのか、少しお示しをいただきたいと思います。

石田主査 簡潔にお願いいたします。山川局長。

山川政府参考人 こうしたいわゆる悪質商法につきましては、全国で発生をしております。そうしたところ、特に多数は高齢者関係が多いわけでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、例えば高齢者関係につきましては、民生委員の方々の御協力を得ながら、日々のそうした方々の活動の中で注意喚起をしていただくために、例えば十一月に総務省から、各市区町村の民生委員・児童委員協議会に対しまして、そうした御協力方を文書で依頼するなど、関係のところと協力をとりながら進めてまいりたいというふうに思っております。

鈴木(克)分科員 ありがとうございました。

 以上で終わりますが、先ほど、デジタルテレビ化用のクーポン、アメリカのグリーン・ニューディールについて御答弁がありませんでしたけれども、ぜひひとつ、こういったことも含めてお考えをいただきたい。このことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて鈴木克昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井美穂君。

高井分科員 民主党の衆議院議員の高井美穂です。

 大臣、きょうはよろしくお願いいたします。連日、大変お疲れさまでございます。いろいろな場面で大変率直なというか誠実な御答弁をなさっておられ、すばらしいなと思いながら、きょうは、大臣がおられるということですので、地元からの要望がある二次補正の件なんですけれども、地域活性化・生活対策臨時交付金、細かいことは政府参考人の皆さんにお聞きしたいと思いますので、中段の部分は何か御用があれば結構でございますが、まず冒頭、地方交付税について、ちょっと素朴な疑問を持つもので、せっかくの機会ですので、お伺いさせてください。

 地方の自主性を損なわず、財源の均衡化を図るものとして地方交付税は大変必要なものであり、地域にも喜ばれている。そして、当然充実させる必要があるというのは間違いないというふうに私は思っています。財政調整の機能は、当然財源が乏しく、過疎が進む市町村がふえている中で、やはり絶対的に必要であると思いますが、今年度は、この現下の経済情勢では、原資となる法人税や所得税が激減するのではないかと思います。

 この前の本会議で原口議員の御質問の中で、大臣もいろいろと御答弁をされておりました。まさにあの指摘にもあった、一兆円上乗せしたといっても実質は四千億ちょっとではないかということに対しても御誠実な答弁がございましたけれども、これでも一生懸命努力されている、当然それもわかっているつもりであります。

 今後の方針について、小泉政権時代は総額抑制をしていくという方向が出されたのではないかというふうに思いますが、改めて、総務大臣となられてから私は初めての御質問ですので、今後の交付税の方針についてお聞かせをいただければと思います。

鳩山国務大臣 この間の原口先生の本会議での質問のときの私の答弁につきましては、多少批判も受けたわけです。というのは、言い方が余りに率直、きつ過ぎるということのようです。

 私は、三位一体改革のとき、実はこれは池坊先生と全く一緒なんですけれども、三位一体改革のとき補助金を減らすのは、私も池坊先生もいわゆる文教関係議員、私は文部大臣をやったことがありましたから、やはり義務教育というのは絶対国が責任を持つものだと思い込んでいて、要するに、義務教育諸学校の教職員の二分の一は国が出していました、それを三分の一にするという話ですから、総務省にだまされるんじゃない、総務省にとられるんじゃないぞなんという演説ばかりぶっておったのです。

 私は、そのときに、補助金のことは理屈ではわからないではないが、地方交付税の改革というのはどういう形でやるのかなというふうに思いました。補助金を減らして、その分所得税から住民税へ三兆円の税源を移したということ自体は、今後の国と地方の税財源の配分を見直していきたいと思う立場からすれば画期的なことなんでしょう。国税を手放すなんということは、かつての大蔵省、財務省では考えられないことだった。それが三兆円移ったということはいいことだったんですけれども、補助金は四兆七千億減って、三兆円しか財源が移らなかったということは、あと一・七兆円分は行政改革をやってごらんと言われているようなものでしょうかね。

 そのときに、地方交付税が五兆円以上減額された。あのころは、地方税収が割かし伸びていたからダイレクトには響かなかったのかもしれない。しかし、今このような状況になってくると、あのとき急激に五兆円減らしたことが強烈なボディーブローとなって地方にきいてしまっているのではないか。

 そう思いますと、やはり地方六団体からいつも言われますけれども、一たん減らされた地方交付税の復元ということは、私はこれから絶対に必要なことだと思っておりまして、さあ頑張るぞと思ったときに、ああいう経済状況で、高井先生おっしゃるように、原資の国税五税が六兆円、七兆円単位で減った。ということは、それだけで地方交付税の本来の原資から来るものが二兆円以上減ってしまう。そこで、さあ大変ということでいろいろ加算をして、穴埋めをして、それでも前年度比マイナスになるところだった。マイナス六千億ぐらいになるところだったのを、総理の決断で一兆円上積みして、やっとプラス四千百にこぎつけた、そういう現状にあります。

高井分科員 おっしゃったとおりだと思うんですが、復元することが必要で、地方は当時景気がよかった時代でもやはり厳しかったと地元に帰れば皆さん言われます。復元しなければいけないというときに当たって原資が激減してしまった現在の状況の中で、復元するための原資をどうふやすかとか、いろいろな、まさに踏み込んだ交付税そのものに対する考えが必要なんだろうと思うんですね。総務大臣としては、これからはふやしていきたいというお考えなんでしょうか。確認だけ。

鳩山国務大臣 それは自治体が全部地方税で運営、経営されればベストでしょうけれども、そういうことはあり得ないんだと思いますね。我が国を例えば道州制にして、七つに割った、八つに割ったというふうにしようが、自治体が複数存在する限り、そこには財政の調整というのは絶対必要だから、地方交付税というものはこれからも地方の自由に使える財源としてはふやしていかなければならない。

 本来、地方税がもっとふえて、地方税がふえたから地方交付税は減らしてもいいというなら別ですけれども、今、地方税ももっともっとふやさなくちゃならぬと思いますが、そう簡単にふえていく状況にないとすれば、地方交付税の役割はますます大きく、額的にもこれを確保しなくちゃならない。

 ただ、景気変動等でこういうことが続いてくると、あるいは根本的に原資が少な過ぎるということであるならば、今、国税五税だけれども、五税は変えないとすれば、やはり率ですね、三二%とかいろいろ決まっていますが、その率を上げる。これは多分財務省とはすごい闘いになると思いますが、私は、その率、要するに法定された率を上げることによって地方交付税の総額をふやすというぐらいの発想を持たなければいけないと思います。

高井分科員 ありがとうございます。

 私、素人目に見て本当に素朴な疑問なんですけれども、現状では基準財政収入額がふえるように自治体が努力すればするほど、交付税が少なくなっていくという仕組みになっていますよね。私、まだまだ議員歴も浅いし、外から本当に素人目に見て、まさにこの矛盾する仕組み自体にも踏み込んで、多分何らかのことをしていかなくてはならないんじゃないかなと思うんです。

 そもそも、地方自治体が行革とか不交付団体になる努力をすればするほど、大事な自主財源である交付税が減っていく。本当に、普通に外から見て、この仕組みは何かおかしいなというふうに思うんですが、その点に関してはいかがでしょうか。

鳩山国務大臣 基準財政収入がふえると、当然減りますね、基準財政需要との差額ですから。したがいまして、私どもが努力しておりますのは、基準財政需要を積み上げることなんです。割り増ししていく。

 つまり、一番目立つのが、これが意外と社会保障の分野なんです。社会保障の分野というと、何か厚生労働省の専権事項みたいで、国がいろいろな制度をつくって、介護であっても、あるいは年金でも医療でも全部やっていると。それで、国と地方の間で役割は分け合いながら、基本的に国から金が出ているように思われるんですが、意外と地方単独事業が多いんですよ。国から全くお金が出ない地方単独事業が七兆円とか、九兆円とかというのがオーダーである。そういうものなんかもできるだけ今後基準財政需要を積み増ししていく努力をする。そうすると、地方自治体が仮に収入がふえても、需要もふえた形にしますから地方交付税が減らないというふうに考えています。

高井分科員 よくわかりました。ありがとうございます。

 私も徳島の田舎の方なので、社会保障関係で自治体が独自でいろいろ工夫しながら努力しておられる現場をよく見ていまして、国が決めるよりも自治体の裁量の中で、一生懸命サービスを提供しようと特に過疎地区においてはやっておられる。本当に、交付税をきちんと手当てすることによってサービスが充実する部分が多いと思いますので、ぜひ今後とも御尽力をよろしくお願いいたします。

 では、地域活性化・生活対策臨時交付金の方に移らせていただきたいと思うんです。

 これは、国会の方は通りましたけれども、十月三十日に決定された二次補正に入っている交付金なんですけれども、総額とその趣旨をお教えください。

鳩山国務大臣 民主党さんに御協力をいただいて、あっという間に通りましたのが一次補正でしたか、あのときに地域活性化安心実現何たらかんたら交付金という、いまだに言えないんですけれども、これが二百六十億あったんです。二百六十億のうち、たしか都道府県には十五億、市町村に二百四十五億と、随分都道府県に怒られましたが、そういう配り方をしました。今度は、それに比べますと、地域活性化・生活対策臨時交付金は六千億でございますから、それは規模が大きい。

 よくそれぞれの地域の代議士さんから、今、特別交付税、特交でうちはこういうことでやっているんだから、特交をふやしてくれという要望が来ておりますが、これが、三月に配りますが、六千七百億ぐらいですから、大体特別交付税と同じぐらいのスケールを持っているんです。

 結局、これはできるだけ地方に自由に使っていただこうということで、ハードでもよければソフトでもいいと。とにかく地域活性化が主目的ですけれども、いろいろな政策に自由に使っていただこうということで、多分企画書みたいなものも非常にシンプルなものにして、こんなことに使いたいと思うがどうかというのを、もちろんそれぞれの市町村によって金額が決まっていますけれども、これはできる限り地方の自主性を生かすような形で使っていただこうということでございます。

 私の選挙区の中心に久留米市というのがございます。久留米市は幾らだったか、金額はまだ正確に聞いておりませんけれども、多分、定額給付金に合わせて八億円の一割のプレミアムつきの商品券を発行して、八億八千万の買い物ができると。その八千万円は、この六千億の生活対策臨時交付金で手当てをするというふうに言っておりました。いろいろな使い道があると思います。

高井分科員 徳島でも、県の方に六十三億ということで、各市町村にも配分額が決まっておるというふうに、きのう通告の段階でいろいろお聞きをしましたので、ちょっと割愛をさせてもらいながら行こうと思うんですが、この算定基準等もかなり厳密な形で、裁量の余地がほとんどなく、きちんと弱いところに配慮したりしているということでお聞きをしておりますので、それでよろしいかと思います。

 改めて、この対象事業についてどのようなものか、少しお教えいただければと思います。申請自体は、自治体が内閣府にまず提出をして、そこで移しかえて決定、交付ということになるというふうに思いますけれども、あらゆるいろいろな分野に使える広い交付金であるのかどうか、対象事業についてちょっと御説明ください。

上西政府参考人 お答え申し上げます。

 この交付金は、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、できるだけ地方公共団体の自主性、創意工夫を生かして、幅広い事業を対象とするということで、この十月末の生活対策や私どもの地方再生戦略に対応した非常に幅広い事業を対象として活動していただける仕組みになっておるところでございます。

 交付対象の経費は、国庫補助事業の地方負担分と地方の単独事業の所要経費の合計額でございます。ただし、国庫補助事業につきましては、これは二次補正にこの交付金が入っておりますので、二次補正に計上された補助事業のうち国の負担等の割合が法令で規定されていないもの、こういうふうな整理をしておりまして、また、地方単独事業につきましては、生活対策の十月三十日以降に実施された事業を対象とするということにしております。

 実施計画に対する内閣府の審査におきましては、これらの基本的な要件に合致した事業であるか等について審査をしておるところでございます。

高井分科員 そこで、ちょっと具体的な要望について申し上げたいんですけれども、この交付金は、今おっしゃった対象事業の実施期間が平成二十一年度までということになっておりますが、これは少々の延長を認めることは可能でしょうか。

上西政府参考人 お答え申し上げます。

 この交付金は、先ほど来申し上げておりますように、十月末の生活対策に盛り込まれたものでございまして、地方公共団体ができるだけ速やかに追加的にさまざまな事業を実施することによって積極的に地域の活性化に取り組んで、地方がまさに地方の底力を発揮することを支援するために創設されたものでございます。

 このような創設の趣旨を踏まえますと、私どもといたしましては、地方公共団体にできるだけ早くこの交付金を活用していただきまして、早期に地域の活性化等に資する事業を実施するということを期待しておるところでございます。

 ただ、制度の創設がこの年度末に近くなってしまいましたところもございますので、予算上はこれを繰越明許費ということにいたしまして、二十一年度に繰り越して実施ができるということは措置をしたところでございますけれども、先ほど申し上げましたような制度の趣旨を酌んでいただきまして、迅速にこの事業を実施していただくということを私どもとしては期待しているところでございます。

高井分科員 繰り越しができるということではありますけれども、今回、二次補正の中で緊急雇用創出事業臨時特例交付金というのもございますし、ふるさと雇用再生特別交付金というのが別の枠でございますけれども、これらについては都道府県が設置する基金に入れることができるということで、少し延長して使えるという形になっておるかと思いますが、地元からの要望ということで、本当は同じような形で基金に入れることができれば、もうちょっと弾力的に使えるのではないかということであったかと思いますが、制度上はちょっと難しいという御回答だろうというふうに思います。

 もう一点ですけれども、交付対象事業に緊急地方道路整備臨時交付金事業の地方負担相当分についても充当することを可能にしていただけないかという要望がございますが、この点に関してはいかがでしょうか。

鳩山国務大臣 本来、そういう使い方があってもいいと思うんですけれども、ただ、法定されている。つまり、国と地方の負担割合が完全に法定されている場合は、交付金でそれを充てますと、結局法定率と違ってきたじゃないかということで、法定されていないものに、いわゆる裏負担という意味でいうと、法定されていないものにお使いいただくしかないというのが、申しわけありませんが、現在の見解でございます。

高井分科員 なるほど。

 今回、別表に定めて、国庫補助負担事業に対して別表に限る事業を出しておられるということでありますが、今の大臣の趣旨からいうと、それはまた別だということなんですか。

上西政府参考人 これは先ほども申し上げましたとおり、別表に掲げられております補助事業のうち、国の負担等の割合が法令で規定されていないものについてこの交付金の対象となっておりますので、大臣の御説明のとおりでございます。

高井分科員 わかりました。

 それでは、交付金に対する最後の質問として、実施計画を出すと思うんですが、この内容変更に関して、かなり弾力的に、柔軟に認めていただければというふうに要望が出ておりますが、原則は提出される実施計画に基づいて事業を厳格に行うというのが必要だとは思うんですが、いろいろと実施する中で地域の事情に応じて少々の変更がなされてくることがあるだろうと思います。そういう場合でもある程度柔軟に対応をお願いしたいと思いますけれども、お願いいたします。

上西政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方公共団体から出していただきます実施計画につきましては、先ほど大臣の御説明にもありましたように、できるだけ簡素なものを出していただくというようなことで、地方公共団体から計画を出していただいておるところでございます。

 先ほど委員からもお話がございましたように、実施計画に記載された事業について、それに応じまして関係する府省にこの予算を移しかえて、当該府省が交付事務を行うという仕組みとなっておりますので、一たん移しかえた後に実施計画が大幅に変わるというようなことになりますと、制度の運用に係ります地方公共団体と国、双方の事務が著しく煩雑なものになるおそれがございます。

 ただ、こうした仕組みの中でこの交付金をできるだけ柔軟に使っていただくために、実施計画におきましては、この交付限度額を超える多数の事業を掲載していただきまして、最終的にどの事業にこの交付金を充てていくかということについては地方公共団体の裁量に任せておるところでございます。また、その実施計画におきましては、同種の複数の事業を大くくりにして、一つの事業として記載できるというような形にもしておりまして、このような形で地域の実情に応じた柔軟な対応をしていきたいと考えているところでございます。

高井分科員 ありがとうございます。

 二次補正ですので、基本的に、まさに一時的な地域活性化にどんとやってほしいという趣旨でこの交付金があるんだろうと思いますけれども、私も地方に生活している中で、結局は、一時的なものだけではなくて、それが呼び水となって雇用につながり、地域の産業に根づいていくという形になっていくのが本当は理想であろうと思います。雇用に関しては先ほど申し上げた別の雇用対策の交付金があると思いますけれども、できる限り柔軟なやり方で、とりあえず、今危機的状況にある地方経済に対して、この交付金が有効であればいいなというふうに改めて感じたところであります。

 最後の質問を一つだけさせていただきます。

 私は、青少年の携帯電話の、そこから犯罪に巻き込まれるということが大変多くなっているということから、フィルタリングサービスについて一番最初に質問をさせていただいてから、そして、昨年、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案というのを超党派の議員でつくらせていただいたときに、事務局として参加をさせていただきました。

 その件に関して、今後の取り組みについて引き続き丁寧に見ていきたいと思うんですが、現状を、その後の取り組みについて把握している限りで教えていただければと思います。

殿川政府参考人 お答え申し上げます。

 青少年が安全に安心してインターネットをできる環境の整備に関する法律が、先生御指摘のとおり昨年六月に議員立法で成立をいたしました。その後、これを受けまして、政府といたしましては、十二月にこの法律に基づきまして必要となります関係政令を策定いたしまして、その中で本年四月一日から施行するということを定めました。また、具体的なフィルタリングの提供義務に関する技術的な部分の詳細を政令で定めることになっておりまして、この点も定めたところでございます。

 現在、法の施行に向けまして、関係省庁や民間事業者などと連携をしまして、法令の趣旨等について保護者や事業者などに広報啓発を実施しております。具体的には、政府広報によるテレビ番組を放送したほか、去る二月十日には関係省庁と合同で、都道府県教育委員会、あるいは都道府県警察、PTA等に対して啓発活動に取り組むように要請をしたところでございます。

 今後とも、関係省庁、事業者とも連携をしてキャンペーンを実施するほか、広報啓発に努め、フィルタリングが適切に普及をしまして、子供が安心してインターネットが利用できる環境の整備のために努力をしていきたいというふうに考えております。

高井分科員 この法律をつくるときに、かなり表現の自由に抵触する問題ですので、極めて隘路を模索しながら形としてでき上がりました。

 そのフィルタリングサービスを提供するに当たって、やはりまず事業者側の自主努力が大事であるけれども、ただその自主努力に任せているだけではもうけが優先してしまいますので、できるだけ客の側が、子供なら保護者の側が選択できるように、年齢に応じてまた必要な情報も違ってきますし、そういうふうにできるだけこの開発をすること、また提供することに努力してほしいということを申し上げ続けてまいりました。

 総務省として、その点、今技術的にどこまで可能になっているのか、また、提供できる状況にあるのか、把握していることを教えていただければと思います。

武内政府参考人 今先生が御指摘になりましたフィルタリングサービスに関しまして、利用者が複数のサービスを選択することができるということが非常に大事な点でございまして、平成二十年の四月に、総務大臣の方からもフィルタリングサービス改善等に関しまして事業者の方へ要請をいたしました。

 各電話事業者等は、この利用者の選択肢をふやすためのサービスの提供に向けた取り組みを行っているところでございまして、具体的には、NTTドコモが、親権者が許可したサイトやカテゴリーについて個別に閲覧を可能とするカスタマイズ機能を本年の一月九日に提供を開始してございます。また、KDDIにおきましても、同様のカスタマイズ機能を提供できるように検討を行っていると聞いているところでございます。このほか、ソフトバンクモバイルにつきましては、青少年の年齢層に応じたフィルタリングサービスの提供に向けて取り組んでいるところというふうに伺っております。

 総務省といたしましては、引き続き、携帯電話事業者等が多様なフィルタリングサービスを提供できますよう、その取り組みを注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

高井分科員 ありがとうございます。法律をつくった側の者として、やはり事業者がきちんと努力を続けていってもらって、この法の趣旨に沿ったものを提供できるように引き続き見ていかなくてはならないと思っておりますので、今後とも協力をしながらいろいろとやっていけますようによろしくお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて高井美穂君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川正春君。

中川(正)分科員 民主党の中川正春です。

 大臣の顔を見ると郵政をやりたくなってくるんですが、ここでは、身近な、あるいは私自身が懸案として持っている課題について質疑をしていきたいというふうに思っています。

 まず最初に、固定資産税、その中でも、市街化区域の中に取り込まれております農地なんですが、これが、もう数年前からなんですけれども、全体の土地の価額というのはバブル崩壊後ずっと下がり続けておりまして、今回のサブプライムの影響というのも、恐らくもっと深刻な形で、特に地方の土地の価額を下落させていくということになっていくんだろうと思います。

 一方、それが、そういう形になっているにもかかわらず、固定資産税だけは確実に上がってくるんですね。しかも、そこで農業をずっとやっているわけですから、そこから出てくる農業収入と比較すると、固定資産税というのはとんでもない価額で徴収をされるということになりまして、農家としては、片方、土地の値段が下がってきているのに、もう片方で固定資産税を上げてくるというのは一体どういうことなんだと、当然こういう気持ちになるわけでありまして、そこはもう十分理解できるところだろうというふうに思うんです。

 大臣、なぜこういう結果になってくるんですか。

鳩山国務大臣 私が初当選したころに、市街化区域内の農地の宅地並み課税の問題というのは、ずっと大騒ぎがあったというふうに記憶いたしております。それが、生産緑地というような形で、営農を当分継続するところは農地並みの課税にして、あとは宅地並みというふうに分けたんだろうという認識がございます。

 私は環境をとても大事にする人間ですから、市街化区域という線引きがどうあるべきかという問題は別にあるような気がするんです。ただ、現在の仕組みでいうと、市街化区域というのは十年以内に計画的に市街化を図るべき区域とされていて、市街化区域の中にある農地は届け出のみで宅地に転用できるので、宅地としての潜在的な価値というか効用を持っているというふうに理解されるんです。

 そういう形で、市街化区域内の農地の売買も、ほとんどが宅地化を前提として売買される場合が多くて、売買価格も周辺の宅地の価格が基準となっているという状況にあるものですから、資産価値に応じた公平公正な課税という観点で、市街化区域の農地については宅地並みの資産価値があるということで税負担を求めているというのが現状でございます。

中川(正)分科員 よく聞いていただきたい。

 的確に答えていただきたいんですが、私が今言っているのは、そういう前提でいくと、片方、地価が下がってきているんですよ、資産価値が下がってきている、にもかかわらず毎年固定資産税は上がってきているんですよ、そういうことに対してこれは国民が理解できない、その法律の趣旨からいっても、こういうことに対して、大臣、これはおかしいと思いませんかという問いかけをしているんです。

河野政府参考人 農地を含めた地価の動向でございますけれども、冒頭お話ございましたように、バブル崩壊後、全体として下落傾向にございます。

 その中で、農地でございますけれども、一般農地につきましてはほぼ横ばいでございますが、先ほど来お話あります市街化区域の農地につきましては、大臣が先ほど申し上げたような趣旨で、宅地並みの評価ということをやっておりまして、評価額自体は、総じて言えば、市街化区域の農地については下落しているという状況にございます。

 ただ、一般の市街化区域、特に一般市街化区域農地につきましては、もともと農地であったところを宅地並みに評価して課税をしていくということでございますけれども、固定資産税の課税に当たりましては負担調整措置というものを講じております。本来の課税すべき水準に対して、もともと農地であったためにかなり低い水準にあるという状況の中で一遍に税額をふやすということは適当でございませんので、なだらかに、一年ごとに一定の割合で一定の範囲で税額が上昇していくような負担調整措置というものを講じております。

 もともと農地であった土地につきましては、一部そうした負担水準が低いものがあるものでございますので、この負担調整措置の結果に応じて、本来御負担いただくべき税額にいくまでの間に、相当期間をかけて、少しずつ少しずつ負担水準が上がるような形で負担調整をしているということがございますので、地価が全体として下がっておる中で、評価額自体は下がっていても、そうした負担水準が極めて低位にあるために、宅地並みの評価をした場合の市街化区域の農地の税額が少しずつふえていくという状況はあり得るところでございます。

中川(正)分科員 大臣、御理解いただいたと思うんです。

 しかし、これは役所の説明であって、国民からすれば、時価が下がってきているわけですから、下がってきているにもかかわらず何で固定資産税を上げてくるんだということなんですよね。さっきの説明をしても理解できないんですよ。

 どうですか。国民的な立場に立ってこの問題を考えていったときに、ここをどう説明するか。さっきの説明では、私は、国民的な感覚からいけば無理だろうというふうに一つは思うのと、それからもう一つ、この法律ができたときには、いわゆる宅地化を促進していくということだったと思うんですよ。いつまでも農地でおってもらっては困りますよ、十年以内には宅地化していってもらうということが、将来のいわゆる人口構成と都市化ということの圧力の中でむやみやたらに土地の値段が上がっていかない、いわゆるバブルの現象に対しての一つの牽制措置といいますか、土地の供給を促進するためのやり方でもあったんだろうということ。

 実は、本当は、急激にといいますか、バブルでどっと上がったら、固定資産税もそのように後をついていかなければいけなかったんだけれども、それを急激にやることができずに、いわゆる調整措置という名前のもとに途中で調整したものだから、今、そのバブルが終わってぐっと下がってきても、その調整措置だけが生きていて、もともとの、天井までは到達させようという、そういう中途半端な流れが今できているということなんですね。

 そういうふうに考えていくと、もうバブルは終わったと見て、これは地域によって違いますよ、東京で物を考えているんじゃなくて、私は地方都市で物を考えているんですが、逆に、都市計画の中で、真ん中の方に集めて、いわゆる町をコンパクトにしていくというか。

 ドーナツ化現象でずうっと周辺へ広がって、団地化したところは今何が始まっているかといったら、団地全体が老齢化してしまって、逆に町全体が沈んできているんですよね。

 そのことに対して、我々、感覚として、やはりやらなきゃいけないなと思うのは、中心部の活性化というか町がおもしろくないといけない、そこへ向けて人口を集めてきて、横に広がっていくんじゃなくて縦に積み上げていくような、そういうおもしろいいわゆる中核都市のつくり方というのを考えていかなきゃいけないんじゃないかな、そういう思いが強くしています。さっきの自然派ということからいっても、そういうめり張りのきいた都市計画というか。

 そういう時代背景になっているんですから、一度固定資産税の出し方というのも見直していくということをしていかないと、昔のままで突っ走っていて、これは市町村の財源になっていますから、そこのところはしっかり納得をさせて、話し合っていくということも必要でしょう。しかし、農地を持っていてもう動かない、それは、ひょっとしたら市街化されているところでの緑地として本来は生きていくということなのかもしれないという、そういう思いの中で農業をずっとそこで続けている人たちにとっては、やはりここは整理をしていくべきだろうというふうに思うんです。

 そういう観点に立って、これは一度見直していくということで考え方を整理する時期に来ているんじゃないですか。

鳩山国務大臣 私として申し上げられることは、まず、先生のコンパクトシティーというような考え方は、私はとても大事だと思っております。なるべく市街地を中心に集めて、その周辺はむしろ自然を復元させるというぐらいの気持ちでやっていくことは大事だと思うし、先ほど冒頭申し上げましたように、市街化区域というものの線引きの仕方も、コンパクトシティーという考え方になれば、もう少し狭い範囲になるのかというふうに思っております。

 固定資産税に関しましては、確かに大きな税金でございまして、私自身もまだ勉強が十分でありませんので確たることは申し上げられませんが、基本的には、見直すべき時期ではないかと思っているんです。

 というのは、きのうたまたま、また予算委員会でかんぽの宿等の、要するに簿価、実に怪しげな簿価というものがありますね、減損処理した簿価というものと固定資産税の評価額が七倍も違うという話が出た。ところが、私が初めて議員になったころは、東京の議員でしたが、固定資産税の評価額というのは物すごく低いものだと思いました。つまり、実勢価格並みに固定資産税が評価されたら、何の利益も生んでいない宅地なのに物すごい税金がかかるから絶対反対などというようなことで、いつも意見書ばかりつくっていた。

 ところが、土地に関する法律ができて、余りばらばらはおかしいということで、地価公示価格が実勢価格に、かつては随分ずれておったんですが、近いものにするという感覚ができたのかな。それから、相続税の評価のときはその八割ぐらいで、固定資産税がその七割ぐらいというわけですから、随分固定資産税というのは昔よりも評価は高くなったんだと思うんですね。

 その過程で、さっきの先生のお話の農家と同じように、我々東京に住んでおった者は、地価が全然変わらないのに固定資産税の評価を上げていきましたから、負担調整しながらも、ちょぼちょぼちょぼちょぼ固定資産税が上がっていくということで、大いに不満を持っておった時期があるわけです。

 ですから、私は、固定資産税というもので、いろいろな調整があると思うんですけれども、宅地の場合と企業なんかの場合とかいろいろあると思いますので、これは大いに勉強して、基本的には見直すべき時期ではないか。

 私、一回役所の人に、日本列島の土地全部に固定資産税を評価どおりに何の調整もしないでかけたら幾らの税収になるのかという質問をしたら答えてくれませんでしたけれども、まずそこから考えるぐらい、やったらいいと思います。

中川(正)分科員 逆に、農地を保全していって、それこそ食料自給率を上げていこうという考え方が一方にあって、いわゆる市街化を囲み込んでいく前提で都市計画をつくっていたころと本当に前提が変わってきたように思うんですね。だから、そこのところを一つ考えていかなきゃいけないけれども、これは国交省なんですよね。さっき私が次に聞こうと思っていたコンパクトシティーの話も含めて流れを説明していただきましたけれども、だから、恐らく総務省だけでこうした見直しをやっていくということではなくて、もっと戦略的な考え方のもとに立つということが必要なんだろうと思う、一つは。

 それからもう一つは、本当に、人工的にというか、制度としてつくられた面があるんです。というのは、市街化区域の農地というのは、そのものを農地で持っていても、いわゆる収益還元法みたいな形でどれだけ本当にその土地から価値が生み出されるのかという意味での評価をしたときには、それを時価だと見たときには、これは全然価値は生み出していないんですよ、それなりの。ところが、売買して、そのときに宅地化できて、その上に物が建つ、あるいはビジネスとして使えるということになったときに初めて価値が出てくるということですよね。

 だけれども、今固定資産税をかけられている人は、農地のままでかけられているわけです、価値を生み出したときにかけているんじゃなくて、今のままで。それで、今のままの農地をそのまま農地として使うんだといって売買したときには、その農地というのは、本来は恐らく時価と直しても価値がないんだろうというふうに思うんですね。

 そういうことも含めて、これは本当にいびつな形というか、無理やりそうしたもので挟み込んで、色づけをして、それで恐らく宅地の供給を促そうとした意図がここにあったんだろうと思うので、そこのところを見直すということを今おっしゃっていただいたわけであります。

 さて、せっかく言っていただくと、どんな形でいつまでにこれをスタートするのかと聞きたくなってくるんですが、鳩山大臣の理想とも合っている話なので、今、具体的な話を残しておいてください。

鳩山国務大臣 問題が巨大でございますから、市街化区域の農地だけでなくて、私は、固定資産税というものについてどう考えたらいいかという大議論が必要ではないかと申し上げているわけです。

 つまり、それは、土地とは一体何かという話になるわけで……(中川(正)分科員「余計なことはいいです、具体的な話を」と呼ぶ)いや、だけれども、例えば収益還元方式、土地に関しては収益還元という概念がすぐ出てくるけれども、そうすると、かんぽみたいな話になって、収益が出ていないものは一万円で買ってもらっても御の字だという竹中さんの議論になってくる。

 しかし、土地には可能性というのがあるわけで、市街化区域の農地というのは、やはり宅地としての潜在的な可能性というものに着目されている部分がありますから、まずいろいろな勉強を開始して、私は、この問題に特化するんじゃなくて、固定資産税全体についての見直し、総合的な見直しの時期に来ているということを申し上げているわけです。

 例えば、環境の問題を考えれば、やはり食料自給率も高めなくちゃいけない、あるいは自然が、林が残る部分が余計多くなくちゃいけない、考え方も昔とは違ってきていると思いますので、そういう意味で、総合的な見直しの時期に来ているということなので、まず、見直しのための勉強会を始めます。こういうことです。

中川(正)分科員 今の政権でできない、スタートしないということだったら、我々がやりますと、こう言わざるを得ないので、ぜひ鳩山さん、大臣として足跡を残していただきたい、ここのスタートを切っていただきたいというふうに思います。

 次に、地方分権なんですが、これはいろいろな議論があるんですけれども、私は、究極には、法律の枠組みから、もっと言えば、国が政策誘導する手段として、資金である補助金、それから税、これで誘導する。それからもう一つは、法律で誘導する。財投みたいな、ああいう投資資金ということもあるかもしれない。この辺、こういう手段をもって誘導していくんだろうと思うんですが、それを一つ一つ分権化していこうということだと思うんですね。

 今、そういう意味で、一番おくれているのは、法律でもって誘導する場合の議論が欠けてきたんだろうというふうに私は思うんです。ここのところを最終的にしっかり整理をしていかないと、幾ら金を渡しても、その使い方を法律でもって規定しているのであれば分権されたということにはならないと思います。そこが問題なんだと思うんですね。

 そういう意味から、私は従来から言っているんですけれども、政省令、これが間違っている。

 法律をつくるときに、詳細については政省令で決めていきますよと、勝手に、それこそ官僚の仲間でもって決めていくという話になるので、ここのところを、政省令じゃなくて、法律の中で書くときに条例化する、ここは条例で定めるという形で法定化をしていくというようなルールを、いつそれができるか、どういうものに対しては条例化して、どういうものに対しては全国一律のものをつくらなきゃいけないかというふうなことをチェックするシステムと、それから、まずは条例化が前提なんだというような基本法みたいなものをつくるシステムと、僕は両方要るんだろうと思うんですが、どう見てられますか。

鳩山国務大臣 地方分権改革推進委員会の二次勧告が出て、これから工程表をつくるのがまた大変な作業になりますし、正直言って、相当反対も受けるだろうと思って覚悟いたしておるわけですが、いわゆる法令で縛っている義務づけ、枠づけのことについても二次勧告に出ておりまして、これは一万条項ある、その半分ぐらいは、義務づけ、枠づけを廃止したり、あるいは、それはもう地方に委ねて条例制定でやったらどうだというような見解が勧告の中に入っているわけでございます。

 まず、この法律による義務づけ、枠づけをどこまで外せるかというのが、これもまた課題の大事業というか難事業と言ってもいいのかもしれない、こう思っておりまして、法律について整理する、つまり、法律の義務づけ、枠づけを外すという形にした後で条例に委ねるというような措置を考えていきたいというふうに思っておりますから、先生がおっしゃる、この部分は各自治体が条例でやれという部分をふやすというのは、次の目標としてはとらえております。

中川(正)分科員 本来、法令というのは国家の意思で、これを条例が超えていくということであってはならないと思うんですよ。そういう手段として、私たちも、特に補助金だとか、それからいわゆるひもつきで縛る金の使い方というのはもうやめよう、いわゆる補助金はやめようということを言っているんですけれども、では、しからば、その後、何が国家として政策誘導できるかといったら、法律なんだと思うんですよ。それで義務づけ。

 これは、そうした形のものはやはり必要なんですよ。それを、どれが必要でどれが必要でないかというようなことをだれが判断するかといったら、これは政治が判断するより仕方ないですよ。だから、それを見直していくという作業、これはやはりルール化しなきゃいけないんだと思うんです。だから、そういう意味での、基本法的な、ルール化する作業が必要ですねということ。

 それから、もう一つ。例を挙げて言うと、例えば、住民投票を法定化していこうじゃないかということが積極的に議論されています。これを、それこそ、住民投票の個々の、例えば我々の選挙と同じような形で、細部に至る部分、それから法的拘束力は持つか持たないかというふうな部分も含めて法定化するというやり方と、そうじゃなくて、例えば、地方に対して住民投票法を条例化しなければならないということだけ規定して、その住民投票をどういう形で法定化して、決まったことに対して、法律的な効力を持つのか、それとも参考意見程度にするのかというようなことも含めて、どういう仕組みでいくかというのを地域の条例に任せるという考え方と、これは二通りあるんだと思うんです。

 そのときに、例えば国民投票だったらすべてを国家がつくるということだと思うんだけれども、住民投票というのは、地域の、それこそ住民自治の基本ですから、それは地方自治体がやはり法定化をしていくべきだろう、条例化をしていくべきだろうというふうな、そういう基準、そういうものをどうつくっていくかということをはっきりさせないと、答申が出てきたからそれについてこれはああだこうだと言って答申の出てきたままに個別に法定化をしていくというのは、これは間違った方向で、混乱をつくっていくもとなんだろうと思うんです。

 そういう点について、どういう方向性を持ってこれを整理するかということを、基本的な考え方として、総務省のこれからの作業としてお聞きをしておきたいと思うんです。

金澤政府参考人 今委員からお話がございましたように、それぞれの法律が規定する領域というのは大変さまざまでございまして、災害への対応とかあるいは伝染病の拡大防止のように、細部にわたってまで国でしっかりとルールを決めておかなければならない領域もございます。

 そうした細部にわたってまで法令で定める領域と、細部は自治体に任せるべき領域、その基準づくりが必要という御趣旨かと思いますけれども、そうした基準につきましては、現在、分権委員会が行っておりますように、それぞれの法律の性格、領域、そうしたものを個別個別に国が全国的に縛る必要があるのか、自治体の裁量に任すべき部分がどこにあるのか、そうしたものを個別個別にチェックして、全体を見通した中で、先ほど大臣も申し上げましたけれども、次の段階としては、そうした基準化、あるいは新たな法令が制定されるときのチェックのための仕組み、そうしたものにつながっていくことになろうかと思います。

 まず第一歩といたしましては、現在の法令一つ一つに当たって、そうした基準づくりの前提となるような個別個別の作業を積み重ねていくことが必要ではないかという判断で今分権化の作業をしております。

中川(正)分科員 感想を申し上げたら、そういう手法ではできないだろうと思います。

 今、環境省が各省庁に対していろいろなことを言っていますよ。ところが、全然、自分たちのいわゆる省益を含めた主張を各省庁がしているだけで、トータルとして戦略的に動かないということなんですよ。だから、総務省が各個別の法律について言ったって、それは各省庁それなりの理由があって自分たちで微に入り細に入りつくったわけですから、そんなものは恐らく動かないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 時間が来たようでありますので、以上です。ありがとうございました。

石田主査 これにて中川正春君の質疑は終了いたしました。

 次に、古本伸一郎君。

古本分科員 民主党の古本伸一郎でございます。

 鳩山大臣におかれましては、連日の御対応、大変お疲れさまでございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 総理がサハリンに行かれて、帰国されてから、帰国という言い方がそもそもいいかどうかなんですけれども、記帳をされたんですね。随行の外務省の皆さんも含め、公用か外交パスで、つまりパスポートを持って渡航された、渡航という概念もいいかどうかなんですけれども。

 元来帰属がまだ決まっていない旧南樺太、このサハリンについて、サンフランシスコ平和条約によれば、ロシアは締約国に入っていないという中で、ある意味帰属が決まっていないわけですよね。領事館も既に立ち上がっているという事実もあるんですね。

 きょうは、ここは外務の所管ではありませんが、大臣におかれましては当然に北の方には御関心があろうかと思いますので、記帳したことについてはどう思われますか。大臣が総理なら記帳されましたか。

鳩山国務大臣 御党の幹事長様も同じだと思いますけれども、一九五六年に、祖父鳩山一郎が、ソ連との戦争状態を終わらせようという意味で、例えばシベリアに抑留されている方々がまだ帰ってこられない、戦争状態ですから、それを終結させるためにモスクワに行きまして、ブルガーニン首相、フルシチョフ第一書記等と話し合いをやって日ソ共同宣言を残したわけでございます。

 ところが、その後、日ソ共同宣言から平和条約へ向かっていくだろうと思われた平和条約がいまだにない。当然、北方四島の帰属の問題についても、当時も話し合いは決裂をいたしておりますし、その後の領土問題は全部先送り先送りで今日になっておるわけでございます。

 今の古本先生の御質問に関して言えば、南樺太、サハリン及び千島列島、ウルップ島以北の島々となっていますが、その領域主権を有していた日本が、サンフランシスコ平和条約によりすべての権利、権原、請求権を放棄したものというふうに承知はいたしております。

 しかし、そのサンフランシスコ平和条約に、まずソ連、ロシアは締約国ではありません。サンフランシスコ平和条約上、南樺太及び千島列島の最終的な帰属は将来の国際的解決手段にゆだねられるというふうになっておるわけですから、南樺太、サハリン及び千島列島の最終的な帰属はいまだ未定であるというのが日本の立場でございますので、向こうの大統領とお会いになって、帰国の記帳をされたということでございますが、これは実に微妙な問題だなと正直思います。

古本分科員 総理の動静はロシア政府当局もごらんになっているでしょう、ロシア語に訳して。新聞のあの動静ですね。記帳と書いているというのは本当に微妙だなと私も思いますし、さりとてパスポートを持たずにかの地に行けたのかなと思うと、まあ、外務省も携行していった。当然、恐らく入国審査をしたんでしょうね。

 ですから、その時点で、今回この問題の打開を図ろうということで総理が御努力なさっている姿は私もよくわかるんですよ、だけれども、記帳はだめを押したんじゃないかなという気がいたしました。しかも、調べましたら、記帳というのは法律事項でも何でもなくて、やらなくてもいいそうなんですね。

 鳩山総理だったら恐らく記帳しなかったんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。

鳩山国務大臣 実は、御党に鮫島宗明代議士という、私にとっては非常に貴重な、環境問題、エネルギー問題の先輩であり同志がおられまして、鮫島さんと私は二回サハリンに行っておるわけです。サハリン1、サハリン2等は見ておるわけです。それで……(古本分科員「閣僚で行かれたんですか」と呼ぶ)違います、違います、議員同士で。

 プリゴロドノエ、LNGをつくっているところがありますね、そこも見たんです。私と鮫島さんは、液化天然ガスを船に積んで、日本がそれを買うというのに不満があったわけです。本来、パイプラインをサハリンから北海道に引いて、北海道から全国へ引くという、パイプラインというのは巨大なガスボンベですから、サハリンで注入すれば鹿児島でガスが出るわけですから、そういう計画を考えて、数年間にわたって努力しましたが、残念ながらそうなりませんでした。

 昔、豊原と言ったところが今ユジノサハリンスクになっているのかなというふうに思って、やはり日本国民としてはちょっと悔しいような思いを常に抱いて、つまり、サハリンへ行っても何となく悔しいんですね。

 ただ、残念ながら実効支配されておりますからね。そういった意味で、ロシアが実効支配しているところで向こうの大統領にお会いになったので、帰国の記帳をされたのかなと、私は総理の心境を勝手に類推いたします。

古本分科員 ありがとうございました。

 では、本題の方に入りたいと思います。

 大臣、今回、地方の自動車関係諸税、具体的には自動車取得税、あるいは軽油引取税を暫定税率をそのままに一般財源化されるんですね。この暫定税率というのは、昭和四十九年のオイルショックのときに、道路建設を促進させるために二倍の課税をいたしたいということで、例えば軽油引取税は、これは昭和五十一年ですけれども、リッター十五円を今リッター三十二円、それから自動車取得税は三%を五%に暫定税率として上乗せ課税しているんですね。そうすると、ドライバーの皆様は、唯一納得代だったのは、受益と負担の論理ではなかろうかと思うんです。つまり、よく国道を走っていますと、この道路は皆様の自動車諸税でできています、ガソリン税でできていますと看板が出ていますよね。

 大臣、先ほどまで私は財務金融委員会で財務大臣与謝野さんにこの問題の国税分である揮発油税と自動車重量税をお尋ねしてまいって、実は、与謝野さんからなかなか思い切ったお話があったんですよ。

 この受益と負担の論理からいうと、まさに道路特定財源は、御党も弊党もわあわあやったときに受益と負担という言葉を互いに御旗にしていたじゃないですか。受益と負担の関係から、やはりこの暫定税率は課税し、ドライバーに負担をいただきたいんだと言っておられましたよね。言っていましたよ、もう一々議事録とか言いませんけれども。それは大臣のみならず、多くの与党の先生方は言っておられた。

 ところが、与謝野さんは、先ほど私はびっくりしましたけれども、受益と負担の関係については、今回の一般財源化を契機に自民党としては決別したんだとおっしゃったんです。もうその関係は消えたんだとおっしゃったんです。

 まあ、揮発油税はぎりぎりわからないでもないんです。なぜならば、揮発油税というのは、昭和二十四年に、ガソリン税ですね、これは戦後の混乱期にガソリンを買うことができた人ですから、いわば担税力があったんです。ですから、応能負担として創設された税金だったんですね。途中で道路建設目的の財源特例法で囲い込んだことによって、道路特定財源として使い始めた。一方で、自動車重量税は、全く譲れないなと思っているのは、権利創設税なんですよね。自動車という商品を買い、車庫に置いているだけで、車に乗ろうが乗るまいが課税されるんですよ。つまり、まさに登録免許税的な概念ですね、これが自動車重量税。これがそれぞれ暫定税率が残ったままなんですよ。

 なおさら譲れないのは地方税なんです。なぜならば、地方税の自動車取得税と軽油引取税は、財源特例法によって特定財源として囲い込んだ揮発油税とはまことにもって異なりまして、もともと道路建設目的税なんです。そう法律に書いてある。今回の提案は、それをするっとあの二重線で消しただけなんです。

 これは、事務方から事前のインプットが大臣もあると思うんですけれども、実は、これをざっと調べまして、ちょっとデータが古うございますが、平成十七年現在で一番保有しているのが茨城県の千代川村。当時ですよ、合併したかどうかわかりませんが。この茨城県の千代川村さんが三・九台なんです。例えば愛知県の飛島村は二・八台。他方、東京の中野区は〇・二九台なんです、約〇・三台。つまり、三軒に一軒しか車がないんですよ。それはそうですよ。これだけ公共インフラがあって、地下鉄も便利ですし、何より駐車場が高いですよ。大臣、御存じですか、この辺で借りたら一台五万円、六万円するんですよ。つまり、車を持ちたくたって駐車場が高くて持てない。そういういろいろな要素があって、東京の中野区は、あるいは豊島区も〇・三台ですかね、保有台数が低いんですね。

 つまり、受益と負担のこの原則から決別をしてしまうと、片や〇・三台分しか税負担をしていない東京都の区民の皆様に、片や一家で四台近く税を負担しておられる茨城県のこの方が負担した税はそちらに行っちゃうということになるんです。これは租税の公平主義に著しく反するんじゃなかろうかと思うんですよ。

 これを先ほど与謝野さんに言ってきましたら、与謝野さんは、交付税があるじゃないかと。そう言い出したら、東京都民がせいぜい納めたいろいろな税、消費税やら所得税は東京都民は随分納めていますから、それを交付税として地方に渡している、それでイーブンじゃないかという御趣旨のことをおっしゃりましたけれども、この自動車という商品は、地方自治を担う大臣におかれましてはよくよく御理解をいただきたいんですけれども、地方ほど車がないと生活ができないんです、学校に行くにも病院に行くにも。九州や東北や北海道の皆様ほど世帯当たり保有台数が多いんですね。

 したがいまして、私の主張の結論に入りますけれども、やはり一般財源化するのであれば、ぎりぎり暫定税率は廃止しないと、これは納税者への裏切りになるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 私は、与謝野財務金融・経済財政担当大臣と同期でございまして、選挙区が隣でありました。そうしたところへ長くおって、今は福岡の久留米市に居住をいたしております。ですから、先ほどの与謝野発言、なるほどと思う部分もあります。

 ですが、私は、大都会の真ん中と、車を最も多く持っているであろう地域と、両方を選挙区といたしておりまして、私が福岡に選挙区を移してびっくりしたのは、とにかくみんな車を持っている、それも複数持っている、それが一つ。それで、昼間すれ違うドライバーの七割ぐらいが女性であるということ。つまり、男の人は、農業をやっている方もいるでしょうけれども、例えばビルの中で仕事をしている。ところが、女性はいろいろ買い物とかあって常に運転しておられるから、七割、場合によってはすれ違う車の八割を女性が運転をしているということでありますから、それだけ自動車取得税も払っているんだなということが実感としてあるわけでございます。

 確かに、受益と負担の関係をもろに表現したものが、それを制度化したものが目的税という制度なんだろう。これは、地方税である軽油引取税も自動車取得税も同じでございます。ですが、今回、一般財源化しましたけれども、受益と負担の関係というのは残ってはいるわけですね。それは、基本的に車は道路を走るわけですから、それで負担もかけるわけですから、そうしたものはあるだろうと思っておりますが、正直言って、一般財源化した場合、暫定税率をどうするかというのは極めて難しい問題であると私は認識いたしております。

 ですが、それは正直言って今の財政事情というものがありまして、やはり地方ではまだまだ道路が必要だということ、国、地方ともに大変厳しい財政状況にあるということ、そして地球温暖化というのか、要するに税を安くすれば余計多く使うだろうということで環境税的なもの、つまり、エンバイロンメント・リレーテッド・タックスでしょうか、環境税ではないが環境関連税というような意味合いということで、今回もそういう整理の中で暫定税率分もいただくということになっているわけでございます。

 なお、私は道路族でも何でもありませんけれども、地方が支出する道路関係予算のうち、県は約三分の一が自主財源です、市町村は何と半分が自主財源。それが全然足りないというような状況もあるものですから、今の財政事情等を最終的に御理解いただいて、暫定税率を維持することとしたものでございます。

古本分科員 この場で明快な答えは出せないんだと思うんですけれども、今、大臣も売り出し中でいらっしゃいますから……。

 いや、本当に、車という商品がかつてのぜいたく品というか、高級品であった戦後の昭和二十年代に設計された税のままなんですよ。それを、本当に地方の皆様がこれがないと暮らしていけないという現実を考えますと、暫定税率をそのままに丸々一般財源化は、納税者、つまりドライバーの理解はなかなか得られないというふうに思うんです。

 環境の話もなさいましたが、例えばCO2の排出原因者という意味では、自動車だけじゃないですよ。CO2排出源は、世の中には家庭部門もあれば工場セクターもあればいろいろなセクターがあるわけですから、その場しのぎのことで環境を語っても、税の抜本的な見直しはできていないんですよ。車を買ったときに取得税、車庫に置いているだけで重量税。それから、自動車税は、走らせたときにガソリン税、軽油引取税。これはもう大概にしてほしいというぐらいかかっているんですよ。

 その結果が、今、百万円のいわゆるエントリーカー。リッターカーですね、千ccの車でリッターカー、いわゆるエントリーカーと言われていましたけれども、もうこれは過去形ですよ。こういう千ccクラスの車が、まさに大臣がおっしゃった奥様とかの生活の足になっていると思うんです。こういうリッターカーを百万円で買っても、一年間の税金のランニングコストは地方税と国税を全部合わせまして約十万円ですよ。それで、地方都市でも月決め駐車場は五、六千円しますよ。地方でも、ちょっと舗装してあるような駐車場ですと一万円かかりますね。私の選挙区でも、気のきいた駐車場は大体一万円しますよ。年間で十二万円ですね。そうすると、百万円の車を買った人が、年間で二十何万円も負担がかかれば、五年でもう一台買えちゃうんですよ。これではますます、若者が自動車教習所を出ても、車が欲しくても買えないんです。よくテレビでやっていますよね、車なんて要らないとか。いろいろなことを若い子たちも言っていますけれども、内心は関心があると思いますよ。そういう物欲は、健全な物欲だと思いますよ。だけれども、先立つものがない中で買えないんですよ。

 そこで追い打ちをかけるように、道路建設目的だと言いながら、取っている税はそのままに、それを医療費だ、社会保障だといって、それは財源が大変なのはわかりますけれども、自動車ユーザーという特定の人だけから取った税を一般財源化するということは、道路建設を促進するという目的が専らであった暫定税率をそのままに、一般財源化はないですよ。これは紛れもない納税者への裏切りであり、ますます車が売れなくなりますよ。

 大臣、地方の都市で聞けば、例えば広島のどこか、マツダさんの本社のある町では、行政が補助を入れるとか、今一生懸命やっておられますよね、バイ・マツダ運動だとかやっておられますよね。ああいう事態は、僕は見ていまして、果たして日本の産業セクターの四番バッターというのは製造業であり続けるべきであるというふうに思ってくれているのか。いや、日本は付加価値を生み出すしかないんですから、資源がないんですから、もちろん知価社会だとかいろいろなこともあるんでしょうけれども、僕は大臣が製造業に御関心を持っておられるかどうかよく知りませんけれども、法人税収の寄与度、あるいは雇用への寄与度、今いろいろ雇用だ何だと言いますけれども、雇いたくたってつくる車がないんですから、つくる液晶テレビがないものだから、電機メーカーさんも雇用を整理せざるを得ないわけですよ。そういうものからむしり取るような税制をやめたらどうですか。ますます売れませんよ。

 自民党さんは、例のグリーン税制とか言われるんですけれども、あれは電気自動車とハイブリッドという非常に限られたものの税の恩典をこのたび取得税でも言っておられますよね。新規で買うという方ももちろんですけれども、今持っておられる奥様方、あるいはおじいちゃん、おばあちゃん、地方の方々の税負担を軽くしてあげることこそ、景気の特効薬になると僕は思うんです。役所から偏った情報しか入っていないような気がしたので、僕なりの見解を言いました。また機会があったら、互いに議論し合いたいと思います。

 それで、続いて残りの時間で、これは与謝野さんがうれしいことをさっき委員会で言ってくれましたので、閣僚懇でも話題にしていただけるという約束をしてくれましたので、先に私から言っておきます。

 今、派遣労働者とかいろいろ非正規の方がジョブレスになって苦労されています。この皆様に住民税が課税されるわけですよ。これはなぜならば、現年の所得課税である所得税と違いまして、住民税は前年所得課税なんですね。与謝野さんは、このIT化の時代に国税からリアルタイムでデータが市町村の課税担当者に行かない現状をとらまえて、これは何とかしなきゃいけない、税調も含め自民党の中にも検討を指示したいという話があったんですよ。これは僕はすごくうれしかった。

 今、失業なさっている方の失業手当をどうするか、あるいはセーフティーネットをどうするかの議論も大変大事なんですが、あわせて、自治体は今税収によって成り立っているわけですから、この住民税という概念でいきますと、いろいろ問題がありますよ。一月一日時点の居住者に課税ですから、しこたまもうけて一月一日に海外に住居を移せば住民税を取り損なう等々の問題もありますので、これは現年の所得課税に向けて財務省と連携して、そういった雇用不安で大変苦労なさっている、納税したくたって住民税が払えないという人が今、山といるわけですから、現年の所得課税に向けて、ぜひ総務省としても財務省と連携してこの話を前に進めていただきたいと思うんですけれども、約束していただけませんか。

鳩山国務大臣 個人住民税がなぜ前年の所得を標準とするかというのは、早い話、その方が事務的に楽だからだと思います。つまり、所得税の課税情報をちょうだいすると、前年の所得ですからその税額が確定する、それを割って給料から取るという形でできますから、年末調整の手間が要りません。確定申告も基本的に不要ということで、そういう方が事務的に楽だから前年の所得を課税標準としているんだろうと思います。

 ですが、確かに、前年は所得がいっぱいあったがリストラで所得がなくなったという方にしてみれば、払いようがない。これは、もちろん、そういう方に対してはそれぞれ個別の救済措置はある程度あるとは思うんですけれどもね。そういう意味で、要するに事務的な問題が大変にならないということであるならばという条件つきで今検討をしていく、政府税調でも検討すべきと言われておりますので、総務省としてもその検討には応じていこうと思っております。

古本分科員 確認しますけれども、今現在、失業され、月々の住民税を納めたくても納められないという苦労をなさっている方は、これは地方税法の三百二十三条、「市町村民税の減免」という項目におけます「その他特別の事情がある者に限り、」「市町村民税を減免することができる。」というこれに当てはまるという解釈でよろしいでしょうか。

河野政府参考人 法律的な問題でございますので、私からお答えをさせていただきます。

 お話ございましたとおり、地方税法の三百二十三条におきましては、災害、天災を例に挙げておりますけれども、そのほか貧困によって生活のため公私の扶助を受ける者、その他特別の事情がある者について減免を定めておるところでございます。

 これは個々具体の事情によるわけでございますので、失業して所得がなくなったということで自動的に住民税の減免の対象になるということではございませんけれども、市町村におきまして、私どもの方で条例例といいますか条例のひな形みたいなものをお示ししておりまして、その中で、減免の対象者につきまして、当該年において所得が皆無となったため生活が著しく困難となった者、またはこれに準ずると認められる者といったものを例示するように条例をつくっておりますので、こういった条例に則して、個々具体の納税者の事情に即しまして担税力を失っているかどうかということで減免の判断がなされるわけでございます。

古本分科員 大臣、あと一、二分いいですか。

石田主査 もう時間が参りましたので。

古本分科員 時間ですか。では、残念ですけれども、結局、何を言ったかわかりませんよ。

 つまり、今本当に失業なさっている人が、払いたくても払えないという人は、個別に市町村役場に行って相談すれば応じていただける、こういうことでいいですか。イエスかノーか。

石田主査 時間が参りましたので、簡潔にお願いいたします。

河野政府参考人 減免は申請に基づいて行いますので、申請があれば、それに基づき個々の事情を判断して決定するということでございます。

古本分科員 大臣、これで最後ですが、他方で、今後も、景気がいろいろと不安定な状況ですから、こういう前年所得課税がある限りはこの問題は引きずりますので、現年の所得課税に向けて、将来に向けた話として、与謝野さんと連携してこの問題を解決するように早急に動いていただけますか。

鳩山国務大臣 政府税調も検討をすべきと言っておりますので、そうした検討に参加をします。

古本分科員 ありがとうございました。

石田主査 これにて古本伸一郎君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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