衆議院

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第1号 平成14年3月1日(金曜日)

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本分科会は平成十四年二月二十六日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十八日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      石川 要三君    木村 義雄君
      小島 敏男君    五十嵐文彦君
      原口 一博君    中井  洽君
二月二十八日
 木村義雄君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十四年三月一日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席分科員
   主査 木村 義雄君
      石川 要三君    田中 和徳君
      林 省之介君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   法務副大臣        横内 正明君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    横田 尤孝君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   杉本 和行君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  石川 要三君     田中 和徳君
  小島 敏男君     林 省之介君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 和徳君     石川 要三君
  林 省之介君     小島 敏男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 (法務省、外務省及び財務省所管)


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     ――――◇―――――
木村主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び自由党所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
 再度事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
木村主査 速記を起こしてください。
 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。
 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行うことになっております。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算中財務省所管について、政府から説明を聴取いたします。塩川財務大臣。
塩川国務大臣 平成十四年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は八十一兆二千二百九十九億九千三百万円となっております。
 その内訳について申し上げますと、租税等は四十六兆八千百六十億円、その他収入は四兆四千百三十九億九千三百万円、公債金は三十兆円となっております。
 なお、特例公債の発行等については、別途、平成十四年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案を提出し、御審議をお願いいたしております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は総計十八兆四千九百六十億七千五百万円となっております。
 そのうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは一千四百五十五億二千四百万円、国債費は十六兆六千七百十二億一千二百万円、政府出資は二千四百八十億六千万円、予備費は三千五百億円となっております。
 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。
 造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも三百二十一億六千万円となっております。
 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。
 国民生活金融公庫におきましては、収入二千二百八十億三千九百万円、支出二千三百四十四億九千九百万円、差し引き六十四億六千万円の支出超過となっております。
 このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
 なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
 何とぞ、よろしく御議論のほどお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
木村主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま塩川財務大臣から申し出がありましたとおり、財務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
木村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
木村主査 以上をもちまして財務省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
木村主査 次に、法務省所管について政府から説明を聴取いたします。森山法務大臣。
森山国務大臣 平成十四年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 法務省は、治安、法秩序の維持確保及び国民の権利保全など国の基盤的業務を遂行し、適正・円滑な法務行政を推進するため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要の予算の確保に努めております。
 法務省所管の一般会計予算額は六千九十九億八千八百万円、登記特別会計予算額は千八百三十六億六千九百万円、うち、一般会計からの繰入額が七百六十四億八千六百万円でありますので、その純計額は七千百七十一億七千百万円となっており、前年度当初予算額と比較いたしますと、四億六千七百万円の増額となっております。
 何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
木村主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま森山法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
木村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
木村主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
木村主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。田中和徳君。
田中(和)分科員 自由民主党の田中和徳でございます。
 私は、我が党の若手議員で保護司を務めている者や、更生保護の制度に深い関心を寄せております議員合わせて三十三名で結成いたしております更生保護制度のいわば応援団、「更生保護を考える若手議員の会」の会長を務めさせていただいております。きょうの質問は、法務大臣を初め関係各位に、更生保護制度の主役とも言える保護司制度の課題を指摘しながら、この制度推進の立場から数点お伺いをさせていただきたいと思います。明快な答弁をぜひお願いをいたします。
 日本の更生保護の制度は、明治時代、静岡県で始まったと言われておりまして、世界でも例のないものでありますし、長年にわたりまして我が国の治安の確保に多大な貢献をしてまいりました。全国で保護司は約四万九千人、更生保護婦人会が約二十万人、BBSと言っております若手のボランティアの人たちが約六千人、この人たちはすべて純粋な民間ボランティアとして日々の奉仕活動を展開しております。
 対象になる刑務所の収監者数は約六万人、少年院は約五千人で、保護司一人当たりの環境調整事件数は一・五人、保護観察事件数も約一・五人程度ですけれども、私は川崎市でありますけれども、川崎市のような都市部では、一人の保護司が四、五件も扱っている、こういうことも珍しくございません。
 私も保護司を約二十年間務めておりますけれども、保護司は、犯罪や非行に陥った人を改善させるという重要でかつ困難な仕事をしておりまして、また一方では、危険を伴うこともあるわけでございます。
 しかし、まことに残念なことでございますけれども、特に最近は対象者が増加の一途をたどっておりまして、高齢者や覚せい剤事犯者、こういう処遇に大変困難を要するようなケースがふえてきております。
 さらに、家庭の核家族化や父子家庭、母子家庭の増加によりまして、監護能力の乏しい青少年のケースも多く、福祉事務所や職業安定所との調整や家族への働きかけ、また中学校などの教育現場での指導など、保護司の仕事は社会変化に合わせてますます多様化をしているのが現実であります。
 我が国の世界に誇るすばらしい制度でありますこの保護司制度も、今、幾つかの課題を抱え、これを解決しなければ重大な危機に直面することになるのではと私も危惧する者の一人でありますけれども、森山大臣は、この制度の現況をどのように把握しておられるのか、また、どのような評価や期待感をお持ちなのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
森山国務大臣 先生が御指摘のとおり、我が国における保護司の制度というのは、世界にも例を見ないような大変立派な制度として、国の治安の維持ということに大変大きな貢献をしてきていただいたし、今も大きな力を発揮していただいているというふうに思いまして、心から感謝にたえないところでございます。
 その保護司の皆さんは、地域社会におきます穏健篤実なボランティアである方々でございまして、犯罪者や非行少年を無報酬で補導、指導するという仕組みでございまして、日本のいろいろな制度というのは、よその国でうまくいったものをお手本にして日本に導入するというのが多いのでございますけれども、この保護司ばかりは、日本独特の伝統的な、近隣の助け合いとかお互いのかばい合いとか、あるいは手伝い合うというような、非常に日本人に独特の貴重な性格が大変いい形で発揮されてきたものだというふうに思いまして、大変誇りに思っているわけでございまして、犯罪者の更生、社会復帰を援助するということを通じまして、社会の安定に非常に重要な役目を果たしていただいております。
 保護司というのは、保護司法に基づきまして、それぞれの地域社会で、社会奉仕の精神を持って、保護観察の対象となっている犯罪者や非行少年の更生、社会復帰を助けて、また犯罪予防活動なども行っていただきまして、犯罪や非行のない明るい地域社会づくりのために貢献していただいているわけでございまして、まことに頭の下がる思いでございます。
 おっしゃいますとおり、近年の社会・犯罪情勢を反映いたしまして、保護司が行う保護観察や犯罪予防活動は大変困難の度を増しているということでございまして、保護司の方々には物心両面にわたる社会貢献をお願いしながら、まことに大きな負担をおかけもしているというふうに考えまして、保護司の方々の御尽力に少しでも報いることができますように、いろいろな努力をしていきたいと私の立場でも思っているところでございます。
田中(和)分科員 保護司の活動は、今大臣からもお話がございましたように、見返りを求めない純粋な善意に基づいてなされております。
 私も保護司ですから経験がございますけれども、一カ月に一度、担当する事件ごとに報告書を提出しなければなりません。私も多いときは五、六件扱ったことがあるわけでありますけれども、この報告書を書くだけでも大変でございます。一件の場合でも、はっきり言うと、なかなか問題のある対象者の場合は一枚に書き切れなくて、何枚にもわたるようなケースもたびたびあるわけでございます。また、一カ月の中には、本当に家庭に行く、職場に行く、環境調整の場合は、場合によっては刑務所にも行ってこなきゃいけないこともあります。また、なかなか対象者が言うことを聞いてくれないときは本当に言われぬ苦労もございますし、保護観察官との打ち合わせ、とにかく職業のあっせんというのか人生相談というのか、こういうケースにまで至っておることがしばしばでございまして、おわかりもいただいているものだと思っております。
 当然、国としてもこの活動に対して一定の支援を行っておりますけれども、保護司が保護観察業務やその他の奉仕活動に要した費用はだれが支払っているのか、実情の把握も含め、副大臣にお答えをお願いしたいと思います。
横内副大臣 田中委員が長年保護司として大変に御苦労をいただいておりますことに心から御礼を申し上げます。
 ただいま費用の問題について御質問がございましたけれども、委員も御案内のように、給与という形では支給をされていないわけでございますけれども、保護司法に基づきまして、その職務を行うのに要した費用について実費弁償金という形で支給されているわけでございます。
 保護司の皆さんの大変な御苦労、御労苦に少しでもお報いすることができるように、法務省としては、これの充実、単価の充実に毎年努めてきているわけでございますけれども、今後とも一層のこの充実に努力をしていきたいというふうに考えております。
田中(和)分科員 今、横内副大臣より御答弁をいただいたわけでございますけれども、一つは、やはり保護司自身の勉強、研さん、質の向上というのが非常に重要だと思います。また、そういう人たちを任命していかなきゃなりませんので、これはぜひひとつ大臣初め法務省の皆さんにもよろしくお願いをしたいと思いますけれども、一方では、やはり忙しい保護司ほど負担が大きくなります。保護司も年金で生活をされる方、いろいろとございまして、これ以上の負担をどんどんと重ねていくことは、結果においては保護司の活動の積極性を阻害する要因になるのではないかな、このようにも実は私思っておるわけでございます。
 財政の厳しいときですけれども、社会の動態がまさしく保護司を必要としている時代でございまして、ぜひひとつ実情を十分に確認しながら、予算の措置等十分に、財政当局ともひとつ御協議の上、お力をいただきたい、予算を獲得していただきたい。私どもも頑張ります、議員の立場でも頑張りますことをまず申し上げておきたいと思います。
 昨今の五年間の特徴は、保護観察事件数の増加の中でも、とりわけ、六十歳以上の件数が三四%、覚せい剤事犯対象者は一〇%、大変なことでありますが、中学生対象者は実に九一%も増加をしておりまして、総件数は平成十二年度末で七万六千件に達し、複雑困難な事件もふえておりまして、保護司の活動の負担も、申し上げたように質的、量的に極端に大きくなっている、このように申し上げても過言ではないと思います。
 保護観察等の処遇に要する時間や経費のみならず、幅広い地域活動に加え、今申し上げましたように、保護司の資質向上のための研修の必要性が強く指摘されておりまして、これらに対するための経費等が当然に望まれるところでございます。
 さらに、保護司に対する社会的なニーズを考慮すれば、保護司の定数の増員についても取り急ぎ検討すべき課題だと私は思っております。
 また、こういった状況を踏まえ、保護司個人の負担がこれ以上大きくならないように、保護観察所の地域担当の職員数の増加、専門スタッフの増加をぜひ御努力をいただかなければならないんじゃないかな、こう思います。確かに、行財政改革の中で職員の数をふやすというのは大変言いづらい話でありますけれども、やはり日本の国の姿というものをよき方向に導くためにこのことは欠かせないんじゃないかな、私はこう思っておるわけでございます。
 地区担当の観察官は全国で約六百人いますけれども、一人当たり八十人もの保護司を担当しております。当然、保護司には対象者が申し上げておりますように何人かおります。保護観察所の職員数は、平成九年度の千三百五十三人から、逆に平成十四年度は千三百三十人に減っております。
 財政面とスタッフ増員についての森山大臣の所感を、決意というか、お伺いをさせていただきたいと思います。
森山国務大臣 保護観察所の第一線で保護観察などの事件処理に当たっている保護観察官についてのお尋ねでございます。
 一人当たり百件を超える保護観察事件を担当しておりますので、対象に対する処遇を実施していくためには、保護司の方々の御協力をいただかなければもう全く不可能と申して過言でございません。
 最近の保護観察を取り巻く状況につきましては、今先生がお話しくださいましたように、事件数全体がふえておりますばかりでなくて、近年の社会・犯罪情勢を反映いたしまして、その処遇が困難なケースが増加しておりまして、保護司にかかる負担も大変大きくなっておりますのはおっしゃるとおりでございますし、したがって、保護観察所の観察官の仕事も大変難しくなっているわけでございます。
 保護司の方は民間のボランティアでございますので、これ以上の過度の御負担をおかけすることはもうほとんどできませんし、保護観察官の方でできるだけ必要な人員を確保いたしまして、この仕事に万全を期していくように努力していきたいというふうに思っております。
田中(和)分科員 横内副大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
 私の地元である川崎市中原区では、昭和六十二年から、保護区内のすべての中学校で生徒指導担当教諭と保護司が継続的に連絡協議会を開催するなど、中学校との連携を深めてまいりました。
 また、社会を明るくする運動という行事の一環として、保護司の方々が中学校を定期的に訪問し、生徒指導担当教諭との相互の情報交換や協議を行ってきたところ、中学校の方から依頼がございまして、保護司による中学生に対する講話が行われるようになりました。この保護司の方は、「人間の課題―社会を明るくする運動に寄せて」を演題にいたしまして、一時間講話をされたのでございます。講話においては、人生の目的、人は何のために生まれてきたのかなど、人としてのあり方を学習してもらうとともに、非行や犯罪を犯した人の更生を助ける活動についての説明と理解も求めてまいりました。
 現在、教育の現場における保護司の活躍ぶりは、文部科学省の教育白書にも明記され、大きな注目を集めており、保護司も各地の中学校などとの連携活動に熱心に取り組んでいるところでございますが、中学校における実績をさらに向上させることはもちろんのこと、まだほとんど取り組まれていない小学校あるいは高校についても取り組んでいくべきではないか、連携を深めていくべきではないか、日本の明るい未来を創造する上で極めて大切な教育の分野ではなかろうか、このように私は思っております。法務省と文部科学省の御尽力によって、保護司と学校との連携、取り組み状況について、一歩、二歩進めていただきますように、ぜひ御説明やら所信を副大臣にお伺いをしたいと思います。
横内副大臣 委員の御指摘がございましたように、最近少年非行の低年齢化が進んでおりまして、中学生の保護観察事件も急増をしております。また、いじめや不登校生徒の増加など、学校をめぐる問題も深刻化をしているわけでございまして、家庭、学校、地域社会が一体となって子供の問題、青少年の健全育成の問題に取り組んでいく必要があるというのは御指摘のとおりでございます。そういう中で、保護司に対する地域社会の期待というものも高まってきておりまして、保護司そして保護司会におきましては、平素から地域の拠点の一つである学校との連携を密にしていくという活動もしていただいておるところでございます。
 今、委員から、中学校との連携の一環としての川崎市中原区の例を御指摘いただきましたけれども、全国でそういった活動が広がってきておりまして、保護司さんが中学校に行ってそこで授業をするとか、あるいは、これは文部行政の方の施策でございますが、心の教室相談員という制度がございますが、その相談員に保護司さんが就任をするというような活動をしていただいているところでございます。そして、平成十四年度からは、文部科学省と連携をいたしまして、新規の施策として中学生サポート・アクションプランという施策を開始しておりまして、学校担当の保護司を配置するという施策を始めることにしております。
 今、先生から小学校との連携も考えるべきだという御指摘がありました。この点につきましても、今後我々としては取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 今後とも、地域社会において保護司と学校が連携をして、対象者の更生、社会復帰と非行防止活動に取り組んでいく努力を法務省としても一生懸命続けていきたいというふうに思っております。
田中(和)分科員 副大臣の御答弁、ありがとうございました。
 今はとにかく、残念ですけれども、非行少年といいますか、犯罪を犯す少年の幅が低年齢化によって非常に広くなってきたんですね。ですから、小学校、中学校、高校で相当、実はサポート役も違う役目を果たしていかなきゃいけない。それだけに、今お話あったように、専門家の養成をして保護司として活用する、これは非常にいいことだと思うのです。
 また、学校の先生も、学校によると思いますけれども、非常に混乱が起きて手がつかなくなる、また、それを予防するための日々の努力というものも専門的な知識が必要でありますからなかなか難しい。かといって、最初から警察にお願いするということもはっきり言ってでき得ないことでございまして、やはりこういうことを保護司の制度でうまく機能させていけば、本当にすばらしい効果をもっともっと上げることができるのではないか、このように私は思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
 さて、もう一点でありますけれども、今国会での制定作業が進行しております、いわゆる触法精神障害者処遇法に伴う保護観察上の体制の整備についてお伺いをしておきたいと思います。
 この制度については、退院後の医療の確保が重要と思われますが、対象となる精神障害者の通院の確保を保護観察所が新たな業務として行うことになりますので、保護観察所側が業務を担当するに十分な体制を整備することが不可欠であります。実際に現場を担当するのは、精神保健福祉士などの専門知識を持った専門家を精神保健観察官として新たに採用し、これに当たるわけでございますけれども、精神保健観察の業務自体も、精神障害者に対して通院や服薬などを促すなど、相当踏み込んだ内容になると思われます。
 本当に優秀な精神保健観察官は十分に確保できるのかどうか、対象者は何人ぐらいで、精神保健観察官は全国で何人ぐらいの採用を見込んでいるのか。当然、地区担当官が抱える保護司は先ほど言ったように平均で八十人から百人、こういうことでございますが、今でも手いっぱいの保護観察所の人員で、さらに業務が増加することを考えれば、今までの保護観察所の職員の業務にも重大な変化が起こる可能性がありますが、各方面より指摘されておりますように、これまでの更生保護行政の質を低下させないで対応できるのか、私自身も大変心配しております。新しい役割を受け持つ保護観察所の体制の整備と精神保健観察官の採用について、大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
森山国務大臣 御指摘の触法精神障害者に対する新たな処遇制度につきましては、保護観察所が、地域社会において継続的な治療を確保するために、病院はもとより、地域社会で精神保健に関する援助業務を担っている保健所などとも連携しながら、対象者に必要な指導等を行う役割を担うということが予定されております。
 この制度の対象者は、心神喪失等の状態で重大な犯罪に当たる行為を行った人ということでございますので、そんなに膨大な数が出てくるということは予定されておりません。退院後のアフターケアを実効あるものとするためには、これらの人の生活状況を見守りまして、その相談に応じ、通院や服薬を行うように働きかけていくという、毎日の日常生活のきめ細かな指導ということが必要だと思います。
 しかし、専門的な知識が必要でありますので、御指摘のとおり、このような処遇は、精神保健や福祉に関する専門的知識及び経験を有する職員がこれに当たる必要があるというふうに考えておりまして、おっしゃいましたような精神保健福祉士の有資格者など、この制度で必要とされる専門的知識及び経験を有する者を精神保健観察官として確保したいというふうに考えております。
田中(和)分科員 大臣の御答弁ありましたけれども、実は、現場では相当心配をしているんですよ。というのは、毎日の業務が大変膨大でございまして、当然、各保護観察所の職員の人たちの心配、一方では保護観察所の状況をよく知っている保護司の皆さんまで、大丈夫なのかな、あの上に仕事がふえて本当に大丈夫だろうか、素人の自分たちにも仕事が回ってくるんじゃないか、こういう心配まで実はしておられまして、法務省としても早目に、もちろんこれからの法律ですけれども、法律をこれから審議するわけでありますけれども、やはり法の趣旨とか予想される実情については早目早目に説明をしていただいて、挙げて御理解と御協力がいただけるようにひとつ御尽力をいただきたいなと思っております。
 そこで、総務省の方と財務省の方と二省に、ただいまのやりとりをお聞きになっておられたと思いますのでお伺いをいたします。
 保護観察所の職員、さらに保護司や新しい制度の精神保健観察官の増員は今や不可欠でありますけれども、総務省の所管であります職員の増員について、ぜひどのようなお考えか御答弁をいただきたいと思います。
 これは、私は、実は保護局を存続するかどうかということとあわせて、当時から、保護観察所等の職員については増加をさせていかなければならない、このように申し上げてまいりましたし、相当この面については御配慮もいただいているんですけれども、いま一歩踏み込みが足りないような気がいたしますので、これは先ほどから言っておりますように、社会の大きな変化に対応するという新しい事態でありますから、ぜひひとつ増員について前向きな御答弁をいただきたいと思います。
 もう一点、保護司の処遇改善や保護観察制度に関する予算のアップについては財務省の所管でありますけれども、私が今一端を申し述べましたけれども、私の申し上げた点だけでも、実は予算の措置なくして一歩も前に進めない状況でございますが、この点についても財務省としてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
松田政府参考人 お答え申し上げます。
 保護行政につきましては、凶悪少年犯罪が増加する中で、保護観察の対象となります少年が増加していること等を踏まえまして、これまでも、厳しい定員事情のもとではございますが、保護観察所の保護観察官の必要な増員を行ってきているところでございます。
 また、先ほども先生から御指摘ございましたように、現在、法務省におかれまして検討されております重大な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案におきまして、精神保健観察官の配置が規定される予定であることもまた承知いたしているところでございます。
 今後とも、このような保護行政をめぐります情勢を十分踏まえまして、法務省とも十分協議しながら、また法務省におきます他の部門からの定員の再配置の御努力等もお願いしつつ、適切に対処していきたいと考えております。
杉本政府参考人 先生の御質問に対して、財政当局の立場からお答えさせていただきます。
 御指摘のように、犯罪者の改善更生、青少年の保護、指導、こういったものは非常に重要なことでございまして、犯罪者の社会復帰、青少年の健全育成、こういうものを通じて、安全な社会を築くために重要な役割を果たしているということは、私どもも十分認識しているところでございます。
 十四年度予算におきましても、保護司活動の充実強化、更生保護施設の処遇機能の充実強化、こういったものに重点を置きながら所要の予算の計上をいたしまして、更生保護活動に係る経費の充実を図っておるところでございます。
 今後とも、厳しい財政事情の中ではございますが、法務省とも十分御相談をしながら適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
田中(和)分科員 今、総務省と財務省より前向きな御答弁をいただきました。大変私もありがたいと思っておりますけれども、現実には、職員の数がさっき言ったように減っているんです。大変踏み込んだ御尽力をいただきながらも、やはり現実には減っている。このことは、やはり法務省の方も、大臣、副大臣おいででございますが、もっと積極的に、今いい答弁がありましたので、ひとつ要望していただくと。
 また、予算についても、とにかく明るい日本をつくるためにこれはもう仕方がないんでございまして、ぜひひとつ法務省の方と財務省とよく協議をしていただいて、ひとつ明るい日本をつくるために重ねてお力を賜りますようにお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
木村主査 これにて田中和徳君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
木村主査 次に、外務省所管について政府から説明を聴取いたします。川口外務大臣。
川口国務大臣 平成十四年度外務省所管一般会計予算の概要について御説明申し上げます。
 外務省予算の総額は七千四百六十五億八千九百万円であり、これを平成十三年度予算と比較いたしますと百六十八億円の減額であり、二・二%の減となっております。
 我が国は、かつてなく厳しい財政事情のもとではありますが、流動化する国際情勢の中で、世界の平和と繁栄に向けて、諸外国政府、各国際機関、NGO等と緊密かつ適正な協力関係を進めていくとともに、国際社会における我が国の地位にふさわしい責務を果たし、我が国の国益の実現に向けて積極的な外交努力を重ねていく必要があります。
 特に、ODAについては、九月に発生した米国同時多発テロを受けてのアフガニスタン及びその周辺諸国に対する支援や、途上国の貧困問題等の解決のため、我が国の一層の貢献が期待されていることを十分認識し、その効果的かつ戦略的活用に努めていく所存であります。このような観点から、平成十四年度予算においては、外交施策の充実強化及び外交実施体制の強化の二点を重点事項として、予算の効率的配分を図っております。
 まず、外交施策の充実強化に関する予算について申し上げます。
 外交施策の充実強化の四つの柱は、アジア太平洋外交のさらなる推進、世界の安定に向けての貢献、二十一世紀の新たなODAのための改革推進、そして国際文化交流の推進であります。
 アジア太平洋外交のさらなる推進につきましては、ODAを活用した支援を積極的に展開するため、広域開発、紛争予防、平和構築のための無償資金協力、日ロ関係の進展のための経費、北東アジアにおける緊張緩和及び韓国との関係強化のための経費、日中国交正常化三十周年を初めとするアジア諸国との周年事業を通じた関係強化のための経費等に総額二百五十億円を計上いたしております。
 次に、世界の安定に向けての貢献でありますが、紛争予防、軍縮・不拡散、環境、感染症等への取り組みに関し、我が国として積極的に貢献、支援していくため、人間の安全保障の一分野である感染症対策として、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対し拠出するための経費を初めとして、各分野にわたり総額四百二十八億円を計上しております。
 また、二十一世紀の新たなODAのための改革推進でありますが、平成十四年度政府開発援助につきましては、一般会計予算において、政府全体で対前年度比一〇・三%減となる中で、外務省のODA予算は、対前年度比三・二%減の五千三百八十九億円となっております。このうち無償資金協力予算は対前年度比二・一%減の二千三百二十一億円を計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千八十六億円、食糧増産等援助費が二百三十五億円であります。また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団につきましては、対前年度比五・〇%減の千七百一億円を計上しております。このようなODA予算のもとに、十四年度においては、ODAを通じた日本社会の国際化、活性化、評価、人材育成等を通じた実施体制の抜本的強化に努めてまいる所存であります。
 さらに、国際文化交流の推進でありますが、留学生、日本語教育支援の強化を目的として、留学生受け入れにかかわる諸施策の充実のための経費、海外における日本語教育に対する支援の継続、拡大等に八十一億円を計上しております。
 次に、外交実施体制の強化に関する予算について申し上げます。
 まず、外務省改革要綱の具体化につきましては、監察制度の創設、在外査察の大幅な拡充、領事業務の抜本的改革、国民との意見交換の機会や直接的な接点の拡大を軸とする情報サービスの拡充、要人の外国訪問業務の効率的実施等のための経費として総額四十九億円を計上しております。
 また、統合情報通信システムの整備等につきましては、情報通信技術を利用した領事体制の強化、外務省及び在外公館のホームページの充実、外交通信に使用されている通信基盤の拡充とインターネットも活用し得る情報通信網の整備のための経費として百三十一億円を計上しております。
 最後に、機構・定員の整備でございますが、まず、機構面では、二〇〇五年日本国際博覧会政府代表、監察査察官、総括儀典官といった本省機構の設置、在外公館として、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)日本政府代表部の新設等を予定しております。また、定員につきましては、本省及び在外公館合計で七十二名の増員を図り、平成十四年度末の外務省予算定員を合計五千三百六十三名といたしております。
 以上が外務省所管一般会計予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、詳細につきましてはお手元に「国会に対する予算説明」を配付させていただきましたので、主査におかれまして、これが会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。
 以上でございます。
木村主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま川口外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
木村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
木村主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。
 石川君。
石川分科員 実は、先ほど野党の皆さん方にも出席を要望されましたようですが、依然として、このままで、野党欠席のままでスタートしたわけであります。まことに異常な姿だと思います。
 私は、それはそれとして理由があったのでしょうけれども、国民の皆さんはこういう姿を見て、一体何なんだ、これだけ重要な今時期に何で野党の皆様が出席しなかったのか。このままで、ただ、出席を要請しましたが来ませんでした、終わりでは、国民の皆様から大変政治不信を来すと思います。
 ですから、なぜ来なかったかの理由を、おわかりになったらここではっきりと私どもに教えていただきたいと思います。そうすれば、国民もそれを知って適正な判断をされる、こういうふうに思います。
木村主査 ただいま石川分科員の発言についてでございますけれども、きょう、朝八時半から理事会を開催いたしました。
 そのときに、野党の方から、鈴木議員の証人喚問を求められております。
 その件につきまして、与党の方から、外務省の調査結果が出てからその件についての協議を申し上げたいという説明をいたしましたところ、野党といたしましては、その回答がなければ審議に応じられないということで、現在理事会は休憩中でございます。
 与野党の理事間において、現在鋭意水面下で協議が、折衝が続行されているとは思いますけれども、現在の状況、以上のような状況でございまして、今後その推移を見守ってまいりたい、このように思っておるような次第でございまして、状況は以上でございます。
石川分科員 大体意味はわかりましたけれども、確認しますけれども、そうしますと、外務省の調査がこれから出るわけですね。その前に鈴木さんを呼べ、そうでなければ出席しない、こういうことでございますか。調査に関係なくそれを先にやれということですか。
木村主査 野党の要求は、直ちに証人喚問に対する返事をしてほしい、証人喚問のはっきりした期日等の返答がなければ、その返答があるまで出席をすることができない、こういうような御意見のように承っております。
 この際、暫時休憩いたします。
    午前十時二十六分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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