衆議院

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第2号 平成14年3月4日(月曜日)

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平成十四年三月四日(月曜日)
    午前九時十分開議
 出席分科員
   主査 木村 義雄君
      石川 要三君    小島 敏男君
   兼務 上田  勇君 兼務 白保 台一君
    …………………………………
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   法務副大臣        横内 正明君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局長
   )            谷内正太郎君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            田中  均君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君
   政府参考人
   (財務省理財局次長)   松田 広光君
   法務委員会専門員     横田 猛雄君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月四日
 辞任         補欠選任
  石川 要三君     林 省之介君
同日
 辞任         補欠選任
  林 省之介君     石川 要三君
同日
 第一分科員白保台一君及び第六分科員上田勇君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 (法務省、外務省及び財務省所管)


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     ――――◇―――――
木村主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び自由党所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
 再度事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
木村主査 速記を起こしてください。
 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算中財務省所管について審査を進めます。
 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。白保台一君。
白保分科員 おはようございます。
 大変日本全体の経済の状況が厳しい中で、国民全体は一日も早い予算の成立を望んでいる、こういうふうに思います。そういった中で、衆議院は今、国民の期待しているところの予算を一日も早く可決して参議院に送らなきゃならない、そういう大事な時期でありますが、今も大変おくれて始まるような状況であるということを非常に残念に思います。私たちは粛々と審議を進めて、一日も早く国民の期待にこたえられるような状況をつくっていかなきゃならない、このように思います。
 さて、私は、実は、きょうは旧日本軍が沖縄県において接収をした土地の問題について議論をしていきたい、こう思っております。
 戦後五十七年目になります。沖縄も復帰をして満三十年。今年度中で沖縄開発振興計画あるいはまた特別措置法が終了いたしまして、新たな十年へ踏み出す振興計画が予定され、また振興法が今月中には成立をさせなきゃならないという重要な時期でもあります。
 三十年たって、なぜまた今ごろ旧軍用地の問題なのか、こういうふうに思われるかもしれませんが、復帰前後、前というのは、復帰を控えて国政参加選挙をやって、復帰前に既に国会議員が衆議院で五人、参議院で二人参加をしておりますので、復帰前後、これからずっと、三十年前ですけれども、旧日本軍用地の問題については議論をされてきました。
 そういった中で、私も若干かかわりを持ってまいりましたし、一たんは収束したのかなというような感じも持っておりましたが、今沖縄では、県議会を初め、また県知事も含めて、戦後処理の問題、旧軍用地の問題はまだ残っておるぞということで、またここ二、三年新しい大きな運動が展開をされている状況になっています。
 今開かれています沖縄県議会においても、先般、県知事が、この問題は国の責任において解決をしてもらわなければ困る、こういう答弁をされていることもありまして、私は、おさらいの意味も含めてこの問題について議論をしていきたい。そして、県民が求めるところの、望むところの根本的な解決の方向へ持っていかなければいけない。
 そういうことでまずお聞きしたいと思いますが、旧日本軍が大戦で接収した、いわゆる軍用地として収用した、その概要についてまずお答えをいただきたいと思います。
松田政府参考人 お答えいたします。
 旧軍が買収した土地の大部分でございますが、太平洋戦争が緊迫の度を加えておりました昭和十八年から十九年にかけて取得されたものでございまして、その後沖縄の復帰に伴い、当時の大蔵省所管普通財産となったものでございます。
白保分科員 規模的にはどれぐらいのものが接収されたということはわかりますか。――よろしいです。これから議論をしていきますから、聞いていてください。
 そこでもう一つ、これから先の議論の中ではっきりさせなきゃいけませんから、前後、要するに復帰前後、国政参加で出てきた議員の皆さん方がこの議論もされていると思いますが、どのような論点で議論されておるかということはわかりますか。
松田政府参考人 その当時の議論でございますけれども、旧地主の方々を初め関係者の方々でいろいろな議論が行われておりますが、一つは、これらの土地は、太平洋戦争時の緊迫した情勢のもとで、国家総動員法に基づき強制接収が行われたものであるとか、対価を受領していないとか、あるいは戦争終了後は返還するとの口頭での約束があったとか、こういうことを理由に旧地主へ返還すべきである、こういう要求がわき起こってきたところでございます。
白保分科員 そうなんです。今答弁がなされたような形の議論であったというふうに私自身も認識している。要するに、国家総動員法で強制的に接収された、したがって返還すべし、こういうのが基本的な議論であった、こういうふうに思うのです。
 そこで、私どもは後発でございますので、その後、特に福田総理の時代になって、昭和五十二年ごろから我が党もこの問題に絡んで議論をしてまいりました。その際の議論というのが、福田総理は大変賢明な方でございましたから、非常に前向きの答弁を相当されています。そこからスタートしていくわけですけれども、その時点で我が党が、特に近江さんやそういった方たちが議論した議論というのはどのように整理されていますか。
松田政府参考人 先ほどのそういうふうないろいろな議論が起こったものでございますから、当時の大蔵省におきましては、土地買収の経緯等を明らかにするために、昭和四十八年以降、大蔵省におきまして、関係省庁の協力を得まして可能な限りの調査を行いました。
 その調査の結果でございますが、国家総動員法に基づき強制接収が行われたとする証拠は全く見当たらなかった、あるいは直接の戦闘が行われた沖縄本島などにおいては代金の支払いを示す直接的な資料は発見されていないが、宮古島及び石垣島においては領収書等が発見されているほか、正当に契約し、代金を支払った旨の旧軍の資料が発見されている、それから宮古島、石垣島については登記簿等が現存しているが、登記簿上買い戻しについての付記登記はなかったこと、こういったことなどから、旧軍買収地は私法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものとされるという判断をまとめまして、昭和五十三年四月、国会へ報告したところでございます。
白保分科員 これから進めようという議論の中の結論がもう既に出てきていまして、申し上げたいと思いますが、今私が申し上げようと思っているのは何かといいますと、ここの部分なんですよ。いいですか、ここの部分なんです。
 今、結論は、いわゆる大蔵報告、これは福田総理が、いろいろな問題を提起されるものですから、それではよく調べてみる、そして台帳から不都合なものは、落とすべきものは落とす、ここまで踏み込んで御答弁をされました。
 私たちは調査をしたのです。先ほど申し上げたように、一番目になぜ、復帰前後の議論は何だったのか、こういうふうに言いますと、復帰前後の議論というのは、国家総動員法、強制接収、金はもらっていない、したがって、みんな持っていかれたからすぐ返せ、こういう議論でした。
 その後、私たちは丹念に調査をしたのです。丹念に調査した結果、皆さんがおっしゃるように、宮古島や石垣島においてはしっかりとした証拠があります。だから、これをひっくるめて、国家総動員法で強制接収されたから直ちに返還しろなんという、こういうことは言っていないのです。これは、現在では農地法で、農業者が自分たちで、戦争中に売った、だけれども、戦後自分たちで取り戻したところも全部きれいにして、整理して、農業用にして、また小作料を払って農業をやっている、こういう状況である。
 したがって、直ちに返還などということは言わない。ここは払い下げをしてもらいたい、農地法に基づいて、農業用地として農業振興のために。そして、払い下げをしてくださいということで、現に宮古島でも、農地法に基づいて払い下げをしてくれましたね。それからまた、石垣島でも農地法に基づいて払い下げをやっていますよ。だから、私たちは、みんな合わせて返還しろなどということは言っていないです。
 払い下げの部分は、これだけの証拠がある以上はこの証拠に基づいて国有地ですと。したがって、農業振興のためにこれは払い下げてくださいということで、国も判断をして、この対価を非常に、農地にしたんですから、これも勘案して安い対価で払い下げてくれました。農家は非常に喜んでいます。
 このことと沖縄本島における問題と一緒くたにしてはいけないということで、私たちは、証拠のあるものは払い下げです、国有地ですよ。証拠がないのに、ここの証拠があるから、沖縄には本当に証拠はないけれども、これから類推して、沖縄の土地は国有地だという判断ができるか。いかに国といえども、焼却したに違いないと言うけれども、焼却なんか関係ないです。要するに、あなたたちは、石垣島や宮古島の土地を国有地と言う。言えるのは、皆さんのもとにちゃんとしたものがあるからでしょう。当然登記簿も必要かもしれませんが、皆さんのところにちゃんとした証拠があるからじゃないですか。なぜ沖縄本島のものが証拠として残ってないんですか。ここなんです、一番問題なのは。
 ですから、我々は、こんな乱暴な、せめてひっくるめて返還しろなんとは言わない。そこで、我々は議論を整理したのです。そして、払い下げをしていただかなきゃならないところがありますね、この証拠のないところは、ここは返還ですねということを言って、整理をしてやってきた。いかなる証拠に基づいてこれが国有地だと言えるんですか。類推じゃないですか。ここに証拠があるからこれもおれのものに違いない、国のやった仕事だから同じような仕事をやったに違いない。類推で書いてあるでしょう。絶対にこれは、簡単に人の権利を類推などでもって自分のものだと、いかに国といえどもそれは言えませんよ。どうして国のものですか。
松田政府参考人 繰り返しになるかと思いますが、直接の戦闘が行われた沖縄本島の旧軍買収地につきましては、戦時中旧軍が買収したことを証する直接的な資料は発見されておりませんが、旧軍の買収手続あるいは代金の支払い方法等に関する資料が発見されておりますこと、旧軍が買収したという旧軍関係者及び旧地主等の陳述があること、それから一方では、国家総動員法に基づき強制収用がされたとする証拠は全く見当たらないこと等、こういったことを総合的に判断して、先ほど申し上げましたような報告書になったわけでございます。
白保分科員 ここで、私法上の正当な売買と言うならば、皆さんがそう言うのならば、それはそれでいいです。宮古島、石垣島の問題については正当にやられていましたね。だから、こっちについてもあえて国家総動員法の話なんかしていません。だから、国家総動員法は外してください。これを外しても、じゃ、私法上の正当な売買というのは一体何なんだ。どうやったら私法上の正当な売買ですか。
松田政府参考人 売り主、買い主が契約書を交わして、代金を交付して、一方でその所有権を移転をしてもらって、そういうことでございます。
白保分科員 そこで、先ほどのお話の中で資料が見つかったと言いましたね。その資料というのは、正当な売買をやったという資料ですか。それをちょっと教えてください。それによっては全部違ってきますから。
松田政府参考人 戦火を逃れました宮古島、石垣島においては、売り渡し証書、これは契約書に相当するものでございますが、それから登記簿等が現存しておりまして、正式に売買が成立し、登記が行われているところでございます。
白保分科員 だから、議論を整理しましょうと言っているんです。こっちの方は認めているんです。だから、正当な農地法に基づく払い下げをやりましょうねと。返還などという話はしていないんです。これは全部整理したんだ。初めに出てきた人たちは、みんな返還と言ったんです。我々は調査したんです。返還と言える部分と払い下げとしか言えない部分とあるねと、整理をしたんです。だから、私は、この話はこれでいいですよ、こっちの部分はどうしますかと。これは類推でしてはいけないんです。
 そこで、一つは、皆さんも、可能な限りの調査をされてそういうふうに結論を出したという話もされているわけですね。それはそれで結構です。しかし、県の調査報告、これと国の報告と違いがあるんじゃないですか。違いがあります。なぜそれをあえて言うかといいますと、あなたはさっき陳述の話をしたものですから。
 そこで、お聞きしたいと思いますが、県が行った調査は、旧地主に、ここであえて旧地主と言っておきますが、可能な限り聞いて、話があったとか、あるいはまた、立毛補償みたいなものを若干もらったとか全く何ももらっていないとか、非常に細かいんです。皆さんは、この報告の中でこういう陳述があるんだということを示してください。
松田政府参考人 先ほど御紹介しました当時の大蔵省調査は、公表を前提として当時の関係者から聴取したものではございませんので、ちょっとそこは差し控えさせていただきたいと思います。
白保分科員 ですから、国家総動員法ではなかったとか陳述があったとか資料があったとか、こういうふうに言いますが、しょせんは、沖縄本島におけるところの問題は、宮古島、石垣島、いわゆる先島の方の資料をもとにして類推をして、その結果として、大蔵報告という形でもって国のものというふうにしているんです。ですから、私は、これでは納得がいかない。
 そのころは、今の読谷補助飛行場の旧地主の皆さん方が地主会をつくって、この問題を解決するために頑張りました。そして、竹下大蔵大臣やあるいは三原さんという沖縄開発庁長官等、皆さん方が、読谷のものについてはこれ以上所有権問題をやってもらちが明かないから、この際、沖縄振興法にかかわる問題であるならば、ここに資するものであるならば払い下げましょうよ、所有権問題を云々しないで実質的に地元に払い下げるような形にしていこうということで決着しました。これが一つ。
 そしてもう一つは、嘉手納空軍飛行場は、この地主の皆さん方は裁判を起こしました。最高裁で、何と、今あやふやなこういう答弁でやっているそれをもとにして、最高裁は国のものと決めました。しかし、本人たちは納得していません。皆さんのこの大蔵報告がもとになって国有地、このようになってしまった。
 しかし、もう一つは、最近は、今那覇飛行場は自衛隊と共用していますが、あの飛行場の海側であるところの大嶺という地域の皆さん方が、我々は納得していない、だからこれをしっかりとしたものにしなきゃいけないということで、またこの人たちが運動を起こしています。
 今のような答弁では、とてもじゃないがだれも納得しない、そういう状況にあるんです。
 しかも、なぜ国のものになったのかといえば、復帰の時点で国有財産台帳に載っけられた、ここが始まりです。しかし、それは載っけるだけの根拠がそれなりにあっただろう。それは要するに、米軍が巡回裁判で所有権を主張する者を排除して、そもそも軍用地だからこれは国有地というふうに全部村長なんかに決めさせてこれを残しておいた、それを調べもしないで、運動もあるにもかかわらず、そのままぽんと載っけてしまった、そこに始まりがあるんです。
 ですから、私は、この際、これは大臣に申し上げたいと思いますが、こういうあやふやなことでもって所有権の問題が国有地として、しかも、大蔵報告というのは私は全く信頼していませんが、こういうことではいけませんので、大臣、再調査をやられる必要があると思います。そうしなかったならば戦後処理は絶対に終わらない、このことを大臣に御答弁いただきたいと思います。
塩川国務大臣 この問題は長年の懸案でございまして、先ほど松田次長からも報告しておりますように、一部の証拠はあることはあるんだが、本島全島についての確たる証拠がないということも、またそう言われておるところでございますけれども、しかし、旧軍用地買収手続は、一貫してその当時としては正確な手続をしておったということであって、その証拠が戦災によってすべてなくなってしまっているというところに、これを立証することができなかったという、そういう経過が実はずっと響いてきております。
 そこで、復帰に伴いまして、かつて訴訟が起こってまいりました。昭和五十二年七月に旧嘉手納飛行場における訴訟がございまして、それに対する最高裁の裁判の判決が出ておるということでございますが、この事実は、やはり国としてもここを一つの論拠にせざるを得ないような状態なんです。
 けれども、沖縄に所在する旧軍用地の買収問題は、これは所有権の問題等いろいろございましょうけれども、むしろそれよりも、沖縄の振興開発にとって貴重な財産として活用するということが政府の基本的な方針であると伺っておりまして、その面についてさらに一層島民の皆さん方に納得していただけるようなことを詰めていくことの方が有効な解決策ではないかなと思っておりまして、そちらの方に鋭意努力しておるところでございます。
 白保さんの御質問の趣旨は承りましたので、一応、先ほど私が答弁いたしましたような趣旨でございますけれども、こういう御質問があったということは、部内に対しまして、再度検証をさせてみようと思っております。
白保分科員 せっかくの大臣の答弁でございますので、了という言い方はできませんけれども、整理をしておかなきゃなりませんのは、一つは、今最後の部分で、検証していただくということが一つ、これはぜひ検証いただきたい。
 もう一つは、嘉手納の問題について、あえてここでもって御答弁の中で出てきますと、もう一回申し上げなきゃならないのは、この嘉手納の最高裁の根拠になっているのは大蔵報告、この大蔵省報告なんですよ。大蔵省報告がこういうことになっているからということが非常に大きな重みを持っているんです。しかし、その根拠は、極めて我々が納得いかない不十分なものであることも間違いないんです。これはまたこれから議論をしていかなきゃならない。もう時間がありませんから、また場を変えてこの議論をしていかなきゃならない、こう思いますが、そういう問題が残っていることだけはきちっと認識しておいていただきたいと思います。
 そこで、これを議論しておりますと同じことを何回も繰り返すような形になりますから、きょうはここでこの問題については終わります。
 そこで、最後の部分で、沖縄振興に資するものであるならばという国の方針の問題について、大臣おっしゃられました。
 SACOの合意で、先ほど議論しました読谷の補助飛行場が近々に国に返還されます。そして、そのことは、先ほども申し上げましたように、福田内閣当時から、沖縄の振興に資するものであるならば返還をして大いに振興開発に役立ててまいりたいという方針に基づいて、これは基本の方針としてありますね。そして、今度これが返還されてきます。
 その返還に当たって、今村長や皆さん方が既に総合事務局の財務部長などとも折衝を始めていると思いますが、この返還時期、そしてまた、どういう形であるならば資するものと判断できるのか、この辺のことについて伺っておきたいと思います。
松田政府参考人 旧読谷飛行場跡地の問題でございますが、地元地方公共団体などから沖縄振興開発計画にのっとった利用計画が提出されれば、関係省庁と協議の上、沖縄振興開発特別措置法、それから国有財産法等にのっとって、地元地方公共団体等に対し売却等の処理を行うこととしております。
白保分科員 時間は若干残っていますが、一分ぐらい残っておりますけれども。
 先ほどの議論を大臣お聞きになったと思います。決して県民が納得のできるような状況での、二十数年前の報告でございますが、なっていなかったために、また改めてこの運動が大きくなってきた。
 しかも、県知事も、国においてきちっとした責任を持って解決を図っていかなきゃならない問題であるという県議会における答弁もありますし、五十三市町村がありますが、既に五十二市町村でこの問題解決に対する議会決議がなされています。そして、県議会も昨年この決議をしております。沖縄の議会すべてが、一つの議会を残して、そのすべて、九九%が、もはやこの問題は国における解決を図ってもらいたいということで、私の言ったような論調での決議でございますので、そのことはぜひとも念頭に置いていただいて、今後また議論を進めていきたいと思います。
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
木村主査 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
木村主査 次に、法務省所管について、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。上田勇君。
上田(勇)分科員 おはようございます。森山法務大臣、横内副大臣、まことに御苦労さまでございます。
 きょうは何点かにわたりまして質問させていただきたいというふうに思いますが、まず労働債権の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
 今、経済の構造改革が進んでいくと、その過程で企業の倒産、整理、これが増加するということは、ここは避けて通れない部分でありまして、そうした事態が起きないこと、極力防いでいくということ、これに最大限の努力を払っていかなければいけないんですが、とはいっても、どうしても会社の整理が必要になった場合に、どうやってそこに働く者の権利を守って生活を守っていくか、労働債権の保護というのが非常に重要な課題になっているというふうに考えております。
 そこで、まず最初に、今の法律制度の中で、民法、商法でこの労働債権に先取特権が設けられているわけでありますけれども、そうした先取特権が設けられている意義というのはどういうところにあるのか、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。
森山国務大臣 先生御指摘のように、労働債権については、民法及び商法におきまして先取特権が認められております。これらは、労働者の賃金などが労働者自身やその家族の生活に不可欠の基盤であるということから、労働者の保護を図る社会政策的な考慮に基づいた制度であるというふうに考えております。
上田(勇)分科員 今大臣からその意義について御説明をいただいたんですが、労働債権というのは、労働者とその家族の生活の基盤、ひいては労働者を守るという立場で必要なんだという御答弁だったんですけれども、今の法制上、いわゆる共益費の部分、その中でも、会社の整理に必要なさまざまな費用、これは先取りしておかないと、それこそ労働債権も保護できないわけでありますけれども、租税債権等がこうした労働債権よりも優先することとなっているわけであります。これは本来、今大臣からお話しをいただいたような意義を考えれば逆であるべきではないかというふうに思いますけれども、現行法制上こういうふうになっている理由を御説明いただければと思います。
房村政府参考人 ただいま御指摘の租税債権でございますが、租税債権は、何と申しましても国家の財政の基盤でございます。したがって、公益性が非常に高いということで、これを公平かつ確実に徴収することがどうしても必要だというようなことから、国税徴収法で私法上の債権に優先する地位が与えられております。これを受けて、破産法においても、破産手続になった場合に、この租税債権については最も優先して支払いを受けられる財団債権という地位を与えているわけでございます。
 これに比較しますと、労働債権は、先取特権が与えられておりまして、それなりに優遇されておりますし、破産手続においても、その租税債権等が属しております財団債権に次ぐ優先的破産債権という地位は与えられておりますが、御指摘のように、租税債権の方が労働債権よりも優先するという扱いに現在の破産法ではなっております。
上田(勇)分科員 今御説明があった点というのが理屈の上では理解できるところなんですけれども、実際にこれから本当に会社の整理がふえていくと、一般の債権だけじゃなくて、そこで働いていた賃金の未払いの債権などが未払いになる中で、国だけが優先的に租税の債権を行使するというようなことについて本当に理解が得られていくのかということを私も疑問に思うところでありまして、そういう意味では、この問題は、特にこれからさらに検討していかなければいけない課題なのではないかというふうに考えております。
 もう一つお伺いをしたいのですが、商法においては、これは会社法の部分で株式会社の労働債権については規定がされているところでございます。しかし、株式会社以外の会社も含めまして、その他の法人、これには今、公益法人というのもありますし、最近ふえているNPO法人というのもございます。そういうその他の法人においては、労働債権はどのように現在取り扱われているのでしょうか。
房村政府参考人 ただいま御指摘のとおり、いわゆる労働債権につきまして、民法と商法とでやや取り扱いが異なっております。
 民法では、「雇人給料」という形で、そういう雇い人の給料に対しては最後の六カ月間の給料について先取特権を与える、こういう規定の仕方をしております。これに対しまして、商法の方では、会社と使用人との雇用関係に基づいて生じた債権、これについて全額先取特権を与えております。
 したがいまして、御指摘のように、株式会社あるいはこれを準用しております有限会社に雇われている人の場合には、その雇用関係から生じた債権全額について先取特権の保護が与えられるわけでありますが、それ以外のNPO法人とか、そういった法人に雇われている人につきましては、最後の六カ月間の給料について先取特権が与えられる、確かにそういう違いがございます。
上田(勇)分科員 多分、そういう規定というのは、公益法人などというのは従来そういうふうに破産をしたり整理をされるという可能性が極めて低いという前提のもとに行われていたんだというふうに思うのですけれども、今いろいろ経済情勢も変わっていますし、行政改革の流れもあります。特にNPO法人は、法人法ができてから相当数の法人ができてきて、その中には団体としての基盤の非常に弱いものも含まれておりますので、そうしますと、やはりこれから、会社形態、株式会社、有限会社以外のそういう法人についても労働債権の問題というのが出てくるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 さらにもう一つ、次にお伺いをしたいのですけれども、では、労働債権の保護が認められる労働者というのはどういう対象かということでありますけれども、労働者についての定義というのはいろいろな法律であります。私もちょっと調べてみた中でも、労働組合法にもそういう定義がありますし、労働基準法でもそういう定義がなされているところでありますが、今日、非常に雇用形態が多様化しておりまして、特に企業の多くはアウトソーシングが相当進んでおります。
 そうすると、労働債権が保護されるべき範囲というのも従来の考え方からは少し変わってきているのではないのかなというふうに考えているところでありまして、そういう労働者の定義といったことも従来とはまたちょっと変わっているし、したがって、労働債権といったものの対象というのも従来から見れば変化しているのではないかというふうに思います。
 そこで、今の法律の上での解釈についてちょっとお伺いをしたいのですが、例えば、外見上は請負契約になっていたり、また準委任契約というような形になっている場合でも、使用者の指揮命令のもとに就労している、実質的には雇用関係にあるような場合、これは労働債権がどのように今の制度で取り扱われているのでしょうか。
房村政府参考人 御指摘のとおり、先ほどもちょっと申し上げましたが、民法の規定では「雇人給料」というような書きぶりがされておりまして、この解釈としては、一般に雇用契約によって生じた債権、これが民法上の先取特権の保護の対象になるというぐあいに理解されております。
 これに対しまして、商法では、「雇傭関係ニ基キ生ジタル債権」と、やや広い言い方がされておりますので、必ずしも狭い雇用契約そのものに基づいて生じた債権に限らず、使用人が広く株式会社に対して有する債権が含まれるという広い解釈がされているのが現在の状況でございます。
上田(勇)分科員 どうもありがとうございます。
 今、いろいろと現行法の制度について解釈をお伺いさせていただいたのですが、今やはり経済の構造改革を進めていく上で、冒頭申し上げましたように、企業の整理などが非常に増加することが予想されるわけでありますし、雇用形態も非常に多様化しているという現実から、今ちょっと現行の法律制度について御質問させていただいた中でも、いろいろと議論を呼ぶ点が生じているのではないかというふうに考えているところでございます。
 そういう意味で、法務省では、今、破産法それから会社更生法の改正について検討を進めているというふうに承知しておりますけれども、この際、この労働債権のあり方についても、現在の企業経営の実態、雇用形態の多様化、そうした実態を踏まえた上で、抜本的な見直しをすべきではないかというふうに考えますけれども、その辺の御見解を伺いたいと思います。
森山国務大臣 御指摘のように、昨今の経済状況などにかんがみますと、労働債権の保護のあり方についての見直しを行う必要があるのではないかと思っております。
 私自身も、地元のよく知っている大変まじめな中小企業の経営者、余りにもまじめにこつこつとやり過ぎていたと言うと変ですが、そのような経営手法が今の時代に結局合わなくて、大変残念ながら会社をやめなければいけない、倒産ということになるという結果になったその人から、この問題について特に考えてほしい、非常につらい思いをしたので、今後そういうことがないように、労働債権の保護のあり方について見直しをしてほしいという特別の意見を聞いたことがございまして、全くもっともだと思っていたのでございます。
 法務省におきましても、現在、倒産法制及び担保・執行法制に関する見直し作業を行っております。この作業の中では、労働債権の保護をより一層拡充するかどうか、重要な検討項目の一つとなっておりまして、引き続き鋭意その検討作業を進めていきたいというふうに思っております。
上田(勇)分科員 今大臣から前向きなお話をいただいたのですが、全く大臣が今おっしゃったとおりで、やはり相当、経済の構造改革という中で、従来安定していた企業経営が、これは必ずしも悪い面ばかりではなくて、会社の整理をせざるを得ないケースがふえておりまして、特にその中でも、いろいろな請負契約などで実質的にはその企業の労働者というような形で働きながら、労働債権の取り扱いについて非常にグレーな形になっている部分があるということで、働く側も非常に心配があります。また一方で、今大臣もおっしゃったように、企業経営者の方も、何とか今まで一緒に仕事をしてきた身内というか自分のところの社員の給与については保全をしたいのだけれども、一般債権と同じように扱われる部分が多くなってしまうというようなことで、非常にそういう懸念があるわけであります。
 今まさに経済の構造変化が非常な急ピッチで進んでいるところでありますので、ぜひとも早急な御検討をいただいて、結論をいただくようにお願いを申し上げます。
 それでは次に、いわゆる保護事業のことについて何点かお伺いをしたいと思います。
 保護事業は、一たん犯罪を犯してしまった人が社会復帰をするため、また再犯、再度犯罪を犯してしまうというふうなことを防止していく上で、非常に重要な事業だというふうに考えております。
 その保護事業の特徴というのは、やはり、民間の方々がボランティアの精神にのっとって、社会の安全、安定の向上のために尽くされている事業であるという点で、非常に大きな意義があるというふうに私は考えているところでございます。
 その中で、まず更生保護事業についてお伺いをしたいというふうに思うんですが、伺ったところ、全国で百一の施設があって、今度の国会にその法律の改正が提出予定であって、更生保護施設に委託する保護内容の充実などを内容とする法改正が行われる予定というふうに承知いたしております。
 また、十四年度の予算案でも一億四千七百万円の増額ということで、予算面での充実も進められているということについては一定の評価をさせていただいているところでありますけれども、ただ、やはり今非常に事件の件数もふえているというふうに理解をしておりますし、実際、この更生保護施設の運営は、非常に経営面でも厳しいのが現状であります。施設面でも老朽化している施設が非常に目立つということで、今後予算面での一層の充実を図っていくということが重要なんではないかというふうに考えておりますけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。
森山国務大臣 御指摘のとおり、更生保護事業は、犯罪や非行を犯した者で家族からの保護が受けられないなどのことで自立、更生に困難が伴う者を保護いたしまして、その改善、更生を助けている仕事でございます。犯罪者や非行少年の再犯防止に大きく寄与いたしまして、刑事政策上極めて重要な役割を果たしていただいているというふうに思います。
 更生保護事業に関する予算につきましては、平成六年度に更生保護施設整備費補助金が創設されまして、これまで一部補修も含めて四十三施設の整備が図られました。平成十四年度予算案におきましても、四施設の整備のための二億三千七十万円が計上されているところでございます。また、更生保護施設に被保護者の保護を委託した際に支給する更生保護委託費につきましては、今国会に上程中の更生保護事業法等の改正案により更生緊急保護の委託対象の拡大などを図ることに伴いまして、平成十四年度には三十億百七十六万円が計上されておりますが、これを平成五年度と比べますと、この十年間で四八%の増加になっております。
 犯罪者の専門処遇施設としての更生保護施設に対する社会の期待が大変高まっておりますわけでございまして、官民協力して犯罪や非行のない社会をつくりますために、今後とも更生保護事業予算の充実に一層努めてまいりたいと考えております。
上田(勇)分科員 ありがとうございます。
 もう一つ、保護司の制度がございますが、保護司の皆さんも非常に重要な役割を担っているわけでありまして、全国で五万人弱のボランティアの方々が、一回犯罪を犯してしまった人たちの更生、それから社会の犯罪防止のためにいろいろと御努力をいただいているわけでございます。地元の方でも、この保護司の皆さんはいろいろな非常に多岐にわたる活動に従事をされているわけでありますけれども、保護司の皆さんは無給ということでございまして、実費弁済の手当が支給されているわけでありますけれども非常に少額でございまして、いろいろ聞くと、実際に、本当の意味でそういう釈放された人たちの相談に乗ったり訪問したりすると、到底この金額では間に合わないということを何回も聞いているところでございます。
 もちろん、これはあくまでボランティアの活動でございますので、その全額を見るということが制度の趣旨ではないというふうには承知いたしておりますけれども、ただ、実際にそのかかる費用については、やはりこれは非常に公共性の高い仕事をしていただいているわけでありますので、国の方で十分な手当てをする必要があるんではないかというふうに思います。
 来年度、十四年度の予算でも約四千万円程度、この保護司活動の充実ということで増額が図られているということでは、非常に評価できるところでありますけれども、さらに、特にこの保護司の皆さんの活動に伴います実費弁済の手当については、その費用の充実を図っていくべきではないかというふうに思いますけれども、その点、御見解を伺いたいというふうに思います。
横内副大臣 委員から御指摘がございましたように、保護司さんは社会奉仕の精神で犯罪者の更生、社会復帰を助ける、また、犯罪予防活動に従事をしていただいておりまして、大変に重要な役割を果たしていただいているわけでございます。
 その手当は保護司法に基づきまして実費弁償金が支給されるということになっているわけでございますが、最近の犯罪が非常に多様化している、複雑化しているという状況の中で、大変に保護司さんの活動が困難の度を増しておりまして、実際問題、なかなか実費弁償金では足らなくて、保護司さん自身の御自分の負担で物事をやるとか、そういうふうに物心両面の御負担が非常に大きなものになっているというふうに承知をしております。
 御指摘にありましたように、我々としても毎年毎年充実は図っておりまして、単価アップ等はやってきているわけでございますけれども、まだまだ不足の状態にあるというふうに思っておりまして、今後ともこの充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
上田(勇)分科員 ありがとうございます。
 最近やはり非常に犯罪が増加しておりまして、社会の地域の方々も、非常にそういう犯罪に対して今脅威を感じているんじゃないかというふうに思います。そうした中で、犯罪者の社会復帰、それから更生を図っていくという意味で、ボランティア精神で活動されているこうした方々の仕事というのは非常にとうといものであるというふうに私も思いますし、今、社会にとっても非常に貴重な存在なんではないかというふうに思います。
 そういう意味で、十四年度の予算でも非常にそういった点については配慮をされているところでありますけれども、さらにもっともっと充実していく必要があるんではないかというふうに思いますので、私たちもまたそういったことを一生懸命応援させていただきたいというふうに思いますので、ぜひ法務省の方でも来年度以降もさらなる充実に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それで、最後に、今いろいろと議論を呼んでおります人権擁護法案について、若干、何点かお伺いをしたいというふうに思います。
 今国会に法案が提出予定というふうに伺っておりますけれども、先日その大綱が発表されました。それを受けて、この法律に基づきまして人権委員会、これが国家行政組織法第三条に基づく法務省の外局とするというふうに想定されているわけでございますが、そうしたことについて一部から、これでは行政からの独立性が十分図られないんではないかというような批判があるんですけれども、その点について御見解を伺いたいというふうに思います。
森山国務大臣 予定されております法案におきましては、人権委員会は、独立行政委員会、いわゆる三条委員会として設置いたしまして、委員長、委員を国会の同意を得て内閣総理大臣が任命するということになっているほか、身分保障、職権行使の独立性の保障などによりまして、その職権の行使に当たっては内閣や所轄の大臣から影響を受けることがないように高度の独立性を確保する予定でございます。
 これを踏まえまして、人権委員会は、国民の権利擁護を図ることをその任務といたしまして、人権救済手続に関する職務を遂行するために必要な法律的な専門性を有する職員を擁するとともに、人権救済に関するノウハウの蓄積を有する法務省の外局として設置することが適当ではないかと考えております。
上田(勇)分科員 この予定されている法案についてもう一点お伺いしたいんですが、今非常に議論になっているのが報道機関に対する特別救済手続の問題でありまして、人権委員会の特別救済手続の対象に報道機関を含めるということがいわゆる報道に対する規制につながるんじゃないかという批判が多く出ております。
 そこで、大綱を見た限りでちょっと御質問するんですが、大綱を見た限りにおいては、報道の方法というんですか、取材の方法、報道の手段について、いわゆる犯罪被害者に対する過剰な取材であるとか、あるいは非常に常軌を逸したような過剰な取材について、それが救済手続の対象になるというふうに規定されていると理解しておりまして、報道機関による人権侵害には、いわゆる報道の内容、その内容によって人権が侵害されたというようなことまでは含まれていないというふうに考えてよろしいんでしょうか。
横内副大臣 現在立案中の新たな人権救済制度では、特別救済手続と称しまして、報道機関等による人権侵害を救済の対象にしているわけでございます。
 この報道機関等による人権侵害につきましては、一つは、犯罪被害者等に対する人権侵害を対象にする。犯罪被害者等というのは、犯罪被害者とその家族、被疑者・被告人の家族、それから少年の被疑者・被告人とその家族ということでございますが、被害者等に対する人権侵害を対象にし、かつその侵害の態様につきましても、報道によるプライバシー侵害と過剰な取材に限定をしているわけでございます。
 したがいまして、報道の内容が犯罪被害者等に対するプライバシーの侵害に当たるという場合には、これは特別救済手続の対象になるわけでございますけれども、ただ、その場合にも、人権委員会の調査というのは任意の調査に限るということにしましたり、また、報道機関の自主的な取り組みを尊重するというようなことをいたしまして、報道の自由には十分の配慮をするようにしたい、そういうふうに思っております。
上田(勇)分科員 今伺ったように、その対象になるのが、犯罪被害者、あるいは過剰な取材に遭った、いわゆる取材の方法について余りにも過剰なものについては、人権救済、特別救済の対象になるという解釈だというふうに理解をいたしました。
 そうすると、いわゆる報道の内容が例えば批判だったり中傷だったりというようなことで、その内容いかんによって人権委員会の救済手続を適用するというようなことはないということだろうと考えたところでございますけれども、ただ、それであれば、犯罪被害者とか、特に一般の方でいろいろと取材攻勢を受けている場合に、確かに報道機関に対してそれに対抗する手段がないという意味で、これは人権救済手続を通じて救済を求めるということは理解できるところでございます。
 ただ、今いろいろと各種マスコミでは、報道機関による人権侵害を特別救済手続の対象に含めたこと自体が、それがやはり報道の自由を制約するというような批判がございます。私は、今御説明いただいた範囲においては決してそういうような印象は受けないんですけれども、そうした批判が非常に大きな声になっているのも事実でございまして、最後にこうした批判についてどういう御見解をお持ちか御意見を伺って、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。
森山国務大臣 表現の自由とか報道の自由というのは非常に重要なことでございまして、それを制約するというようなことは全く考えておりません。
 今立案中の法案の対象として考えておりますのは、先ほどもお話し申し上げましたように、いずれも特に弱い立場にある犯罪被害者の方々に対する報道によるプライバシー侵害と過剰な取材という二つの類型のもののみでございまして、かつ調査は専ら任意のものに限るということになっておりますので、報道機関等による自主的な取り組みを尊重するということが前提でございます。先ほども申し上げましたとおり、当然のことですが、表現の自由、報道の自由を制約するということは全く考えておりません。
木村主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
木村主査 次に、外務省所管について審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。白保台一君。
白保分科員 公明党の白保でございます。大変御苦労さまでございます。
 私は、幾つか質問の通告をしておりますが、初めに、本日朝、鈴木宗男議員の北方支援事業への関与等について、外務省の調査結果が当予算委員会理事会に提出されました。調査報告書によると、入札に当たって、地元根室の業者が落札できるように鈴木議員が主張し、外務省や支援委員会がこれに追随した経緯が明らかにされております。
 二月二十日の予算委員会の参考人質疑において、北方四島の支援事業の入札、受注に関して介入したことはありませんでしたかとの質問に、鈴木議員は、私は関与したことはございませんと答えています。
 外務省の報告書では、本案件の入札参加資格決定に深く関与していた、一国会議員が自己の影響力を行使して、その変更を求める等細部にわたり、入札参加資格決定過程における関与が行われたことは異常であり、社会通念上あってはならないことであると、全く反対の事実を述べている。
 外務省は、二十日の当議員の答弁は間違いである、こういうふうに認識しているのかどうか、事実関係だけをまずお聞きします。
川口国務大臣 鈴木議員の御発言につきましては、私、議事録をきちんと読んだ上で申し上げるべきだと思いますので、私どもの調査について申し上げさせていただきますと、先ほど園部参与が御発言を記者会見でなさいましたけれども、国後島緊急避難所兼宿泊施設及び国後島桟橋改修工事について、入札参加資格の決定過程において、鈴木議員と外務省関係部局との間で細部にわたるやりとりが行われていたということが明らかになったということでございまして、このやりとりを示す外務省の内部文書は、今回の報告書の別添として付してございますが、いずれにいたしましても、こうしたやりとりが行われることは、社会通念に照らしてあってはならない異例なことであるということが書かれているわけでございます。
白保分科員 それで、公正な行政がゆがめられたということについて、これは基本的に大臣としてどのように認識をされておるのか。この基本の問題です。
川口国務大臣 結果として、外務省が鈴木議員の意向を突出した形で重視をして、行政の公平性、透明性に対して国民の方々に疑念を抱かせたということになったことについては、改めておわびを申し上げたいと思っております。
白保分科員 関連して伺いますが、このような結果ということについて、これは違法性の問題といいますか、この辺の公務員の立場ということを考えると、職員の処分を含めた今後の対応、こういうことについてはどのように御認識されているんでしょうか、伺いたいと思います。
川口国務大臣 これにつきましては、報告書を精査いたしました上で、しかるべく対応をいたしたいと考えております。
白保分科員 それで、実は、きょうこの問題についても報道が出ておりますので若干聞いておきたい、こう思っておりますが、北方支援事業の経費の積算に本来払わなくてもよい消費税分を上乗せした問題に関して、法律上支払う必要のなかった消費税分については、支援委員会事務局が返還請求を行う可能性も含めて早急に調査検討すべきであるとあります。
 報道によれば、九六年九月ごろ外務省から国税庁に対し問い合わせを行い、消費税はかからないことを確認していたとの報道があります。事実であると大変大きな問題でありますが、大臣はこの事実を確認しておられるのか。また、早急に調査をする必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
川口国務大臣 報告書に書かれていますことは、「支援委員会事務局は、国内企業との契約である以上、当然消費税を支払うべきものと理解し、基本的に消費税を加えた額で契約を行っていた。」ということでございまして、「法律上支払う必要のなかった消費税分については、支援委員会事務局が返還請求を行う可能性も含めて、早急に調査・検討すべきである。」というふうに書かれております。
 外務省といたしまして、今後、この可能性も含めて調査検討をしていきたいというふうに考えております。
白保分科員 けさの調査報告、大変御苦労なさって出されたことでございますので、基本的なことだけをまず最初に聞かせていただきました。
 さて、大臣に、私ども沖縄県にアメラジアンと呼ばれる人たちがおります。これについてどのように御認識をなされておりますか。
川口国務大臣 アメラジアンというのは、一般的には米国人とアジア人の間の混血児を意味するということでございましょうけれども、特に沖縄では、在日米軍人と日本人女性との間に生まれた子供を指して使われる場合が多いというふうに承知をしております。
白保分科員 この人たちの生活、そういったものがここ数年非常に議論をされてまいりました。
 学校へ行っても、肌の色の違いだとかあるいは言葉だとか、そういったことで大変苦しい思いをしながらやってこられた。そしてまた、今御答弁もありましたように、米兵と沖縄女性との間に生まれる。米兵が帰ってしまう。一方的に置き去りにされる。それまではアメリカンスクールに行っていた。ところが、アメリカンスクールに行く根拠がなくなってしまいますと外へ出てくる。中へ入ってアメリカンスクールへそのまま行こうと思ったら百五十万ぐらいかかる。とてもじゃないがもうやっていけないということで、いわゆる普通の学校に、日本の学校に行かせよう。しかし、そういった先ほど申し上げたような状況で行けないということで、就学することもなくずるずると成長せざるを得ないというようなこともありまして、この問題、非常に社会的な問題であるということで、我々もここ数年問題提起をしてまいりました。
 特に、昨年もこの委員会でお聞きしたわけですが、今この子たちをどうしたらいいかということでもって、米軍の中で、問題等いろいろなことがあったら基地の中で受け付けをして相談をやっていこうということで、外務省も二、三年前から努力をしてこられました。アメリカとの交渉事、いろいろあってやってまいりましたが、この実態、現実、昨年も質問いたしましたが、今はどのような状況になっておるのか、このことについてお聞きしておきたいと思います。
藤崎政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のとおり、本件、アメラジアンについて、極めて重要な問題であるということで昨年も御指摘をいただきまして、私どもも、在沖米軍のアメラジアン母子のための相談窓口の開設について鋭意検討をしてきたところでございます。
 昨年御答弁申し上げましたのは、まず、マニュアルといったものをつくるということから、これについて努力しているということを申し上げたわけでございますが、このマニュアルにつきましては、一応、大体、私ども、こういうことかなというところで合意を見たところでございまして、これからどういうふうに実際に窓口を運営していくかといった話、これは日本側、アメリカ側、まとめまして、どういう形で話を取り次いでいくかということを詰めたいと思っております。
 本件、今御指摘のとおり、極めて重要な話でございますので、早急に窓口の開設が実現いたしますように、私どもとしても最大限努力したいと思っております。
白保分科員 御存じのように、一年たったら子供は一つ大きくなって、中学に行かなきゃいけない、高校に行かなきゃいけない、また、大学に行かなきゃいけない。じっと待っていれば何かできるという話じゃないわけで、年はとまるわけじゃありませんし、毎日毎日の生活の中で非常に困った問題等も、どこへ持ち込むのかということがあるわけです。
 したがって、これはまさに早急にやってもらわなきゃならない問題だからこそ毎年同じようなことを申し上げているわけでありまして、実際に、いつどうなるのか、方向性はどうなのか、どこでやるのか、こういった方向というようなものが、きっちりとお話し合いを今進めておられると思いますけれども、信頼しますが、どういう方向になっているんですか。
藤崎政府参考人 今まさに委員御指摘のとおり、これは毎日の生活にかかわることでございますので、手をこまねいて見ているわけにいかない、一生懸命進めなきゃいけないという認識を私どもも持っております。
 そこで、この相談窓口につきましては、できるだけ早く立ち上げるということで、今申しましたように、ガイドブックをつくりまして、マニュアルをつくりまして、それから実際にこういうものを活用いたしまして、例えば母子の方が来られたときにどこでどう受けてアメリカ軍にどういうふうにつなぐかといったようなことを含めまして、関係当局と鋭意詰めているところでございまして、できるだけ早く結果を御報告できるようにということで努力しております。
白保分科員 御努力、よくわかります。しかし、みんな人の子ですから、本当にこういった子供たちの目線に立って、毎日毎日どう生活しているかという、このことはわかっていただきたいな、こう思います。
 この中で、立ち上がって自分で学校をつくって、そしてこの子はカリフォルニアの大学へ行ったとか高校へ行ったとか、そういった子供たちも我々今一生懸命支援をしながらこうやって支えてきておるだけに、来年はこんな質問をしなくて済むように、私は、一日も早い解決方をぜひ要望しておきたい、こういうふうに思います。
 さて、次の問題ですが、昨年も非常に努力いただいて調査をいただいたようであります。私どもは、国連アジア本部を沖縄に誘致してはどうか、つくったらどうだ、こういう大きいお話をさせていただいてまいりました。
 その発端は、小渕総理と私ども神崎代表、浜四津代表代行が、おととしですか、公明新聞の正月の鼎談の中でお話が出まして、小渕総理も大変前向きにお答えになりました。同時にまた、その年の通常国会、代表質問で神崎代表が質問し、秋の臨時国会で私ども北側政調会長が森総理に質問をし、進めてまいりました。
 皆さんが今年度調査をされて、中間報告やら最終報告等を出されたことも承知しております。その概要についてまずお聞きしたいと思います。
谷内政府参考人 沖縄県の国連機関の誘致について、大変熱意を持っておられますことは、今先生幾つか事例を挙げて御説明されましたとおり、私どもも十分承知しておるところでございます。
 そのお気持ちも踏まえまして、私どもとしては、客観的に、今国連の方でどういうニーズがあるのか、どういう考え方なのかということを、今先生も御指摘になりましたように、ニューヨークの国連の事情に詳しいコンサルタント会社二社に調査を依頼いたしまして、昨年十一月までに報告書の提出を得たところでございます。
 これらの二つの報告によりますと、いわゆる国連アジア本部というような大規模な機関の設置については、国連側にはそのようなニーズはないというのが結論でございます。その他、国連が非常に厳しい財政状況にあること、あるいはまた、アナン事務総長は、各国に存在しております国連事務所は国連ハウスというべきようなものに統合すべきではないか、東京には今そういう国連ハウスというのはあるでしょうと。そういう点とか、あるいはまた、沖縄が首都ではないものですから、各国の代表の確保ということが容易ではない、こういうようなことから、現在のところそのような機関は現実的ではない、こういうのがこの報告書の結論ではございます。
白保分科員 私どもは、きょう、あした、どんと何か大きなものができるなどという認識は全く持っていません。アジアの平和と安定ということを考えたときにどのような形がいいのかということを考えていく、したがって、できるとかできないとか、こういう短絡的な物の考え方の上に立ってやっていこうという話をしているのではありません。
 一つ考えてもらいたいのは、実は、国が復帰後三次にわたる振興開発計画をやって営々と築き上げてきて、一定の整備ができて、非常にいい形ができ上がってきました。沖縄ですよ。そこに基地があります。基地があるものの、沖縄へ沖縄へと皆さん行くようになってきた。よくなったねと。国の努力もある。地元の努力もある。ところが、九月十一日の同時多発テロが起きた。そうした途端に、沖縄は危ないね、基地があるからねということで激減しました。国会議員の皆さんや閣僚の皆さん等、皆さんの御努力によって大分持ち直してきております、地元の努力もあって。
 したがって、私は尾身さんにも申し上げました、何でこういうことになるのだろうかと。七兆円からの国費を投じてこれだけのことをやってきながら、基地が存在するという一言で、危ないねということでがたがたっと県経済がマイナスになっていく。それはなぜか。平和戦略がないからだ。基地がある。これはまた一方の抑止力として必要である。だけれども、それに伴って平和戦略がない。首都じゃないからだめだとか、交通網がだめだとか、こんな話じゃない。十五年問題だって約束できないじゃないですか。ということは、まだまだ先が不安定であるという中で、平和戦略がきっちりとあれば、平和と対話の場と抑止力と、両面あって初めて、国がこれだけの力を入れている、発展していく、そういうものだということを考えています。
 同時に、長い歴史の中で、歴史をここで論じようとは思いませんが、琉球王朝の歴史はまさに力の政治じゃないのです。力の交流じゃないのです。人の交流なのです。そういう中で、だからこそ小渕さんもサミットを沖縄でやって、あれだけの人たちが来ていただいて、大きな国際交流の場としてこれから進めていくという考え方を持ってきた。
 私は、基地があるからこそ、平和戦略を明確にしておかなければ基地の存在も危うくなる、そのことを申し上げているのです。国連に詳しい人に調査をさせた、そうしたらこういう報告でした。だったら我が国の平和戦略はどこにあるのだ、だったら基地が存在する沖縄の平和の問題をどうするのだ、それを言っているのですよ。できるとかできないとか、それは、現状の国連改革の問題や、あるいは財政の問題や、その他幾つかの条件があるでしょう。それはわかります。だから、きょう、あすの問題として言っているのじゃなくて、平和軍縮センターでも、とにかく平和戦略の一環として、七五%の基地の存在があるわけですから、それに見合った平和戦略を日本が持つべきだということを言っているのです。いかがですか。
谷内政府参考人 今先生おっしゃいますように、日本が平和戦略を持つべきだ、そのとおりだと思います。私どもも、これからさらに努力を続けて、また、先生方とも御相談しながら、そういうことは十分考えていきたいと思います。
 先ほどの御質問は、報告書について御説明せよという御質問だったものですから、それだけに限らさせていただきましたので、失礼いたしました。私どもといたしましては、平和と沖縄のかかわり合い、それからまた、今おっしゃいましたような歴史的、地理的な特性、こういった沖縄の特色を十分踏まえまして、これからまさにそういう平和の発信その他、沖縄がどういうことができるのかということにつきましては、十分御協議させていただきまして、現実的な可能性を検討させていただきたい、こういうふうに思います。
白保分科員 大臣、私の今のやりとりをお聞きになっておられたと思いますが、安保条約、そのほとんど、七五%が沖縄で機能しているわけですから、そういう意味からいって、私が申し上げました今の平和の問題についてどのように受けとめられますか。御感想でも聞きたいと思います。
川口国務大臣 日本にある米軍の基地の七五%が沖縄にあるということは私はよく承知をしておりまして、沖縄県民の方に多大な御負担をおかけしているというふうに思います。
 今委員がおっしゃられた、沖縄が基地を多く持っているという現実、それから、日本として平和戦略があるべきであるという委員の問題意識につきましては、私はしみじみと今伺わせていただきました。沖縄が日本全体の国の平和とそれから繁栄に関する政策のあり方の中で果たしていくことができる役割というものには大きいものがあると思います。
 また、環境大臣として沖縄について考えさせていただいたときに、沖縄の持っている日本のほかの地域にはない生物の多様性ということについても、やはり十分そこを踏まえて沖縄については考えていく必要もあると思っています。ヤンバルクイナですとかさまざまなものがあるわけでございまして、そういった全体の日本の中における沖縄のあり方ということを頭の中にきちんと置いて私も外務大臣として考えていきたいというふうに、今お話を伺わせていただきながら思いました。
白保分科員 したがいまして、新たなそういった問題について、あれだけで日本の有能な外務省が終わりとはしないだろうと私は思っています。ぜひ、県内のニーズや国内の考え方、こういったことも含めて調査をしていただいて、そして平和戦略が成り立つような形にしていただきたいということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。
 最近、沖縄選出のお二人の議員が地位協定の改定についての問題を提起しており、非常に大事なことだと思います。何でこの地位協定というものがあるのか、このことをちょっと、簡単なことですが、教えてください。
藤崎政府参考人 今、地位協定は何のためにあるのかということでございますが、日米地位協定は、日米安保条約の目的達成のために我が国に駐留いたします米軍の円滑な活動を確保するということで、米軍の地位につき、及び米軍の施設・区域の使用ということにつき規定しているものでございます。
白保分科員 そういう中で改定論議が出てくるというのは、それはどういうことですか。
藤崎政府参考人 地位協定につきましては、私ども、沖縄に関する特別行動委員会のSACO以来、いろいろな運用の改善を図っているところでございます。SACOで合意しました九項目につきましては、すべてこれを実施しておりますし、それから、昨年の一月には緊急自動車の基地内立ち入り等実現いたしました。このほかにも、環境原則、これにつきましては、一昨年の九月のいわゆる2プラス2、閣僚レベルで合意をしたところでございます。
 そのほかいろいろ地位協定の運用改善を図っておりますけれども、これにつきまして十分でないという御指摘をする向きもあり、地位協定の改定が必要ではないかという議論をされておられるのではないかというふうに思いますけれども、繰り返し申し上げますけれども、私どもといたしましては、SACO以来、その前からでもございますけれども、いろいろな運用の改善を図り、また、今努力中であるということを申し添えさせていただきたいと思います。
白保分科員 歯切れが余りよくないんだけれども。
 少女暴行事件、悲しい事件がありました。あのときに、安保条約を認める人も安保条約を認めない人もみんな集まって、こういった問題があったらいけないということで、抗議をしようじゃないかといって県民大会を開いて、あの宜野湾に八万五千の人が集まりました。その他の地域を合わせれば十万ぐらいの人が集まっただろう、こういうふうに言われています。安保を認める人も認めない人も、この実態を根本から変えなきゃいけないというので、あのときは基地の整理縮小だとか地位協定の改定だとか、こういったものを含めて、今の内閣府の大臣政務官をやっておられる嘉数さんが県議会の議長で、この人が実行委員長になって、当時は大田さんが知事で、認める人も認めない人もみんなが集まって県民大会を開いてこのことを要求しているというこの実態なんです。
 結局は、円滑な運用のためにということでやりました。しかし、米軍の円滑な運用というものは、周辺の県民の生活がしっかりと安全が確保されて初めて円滑な運用というものは成り立ちます。ですから、そういう面では、この問題は、運用でずっとやってきました、やりますといいながらも、なおかつ根強いものとして残っている。これは、本当に実態が厳しいものがあるということですよ。だから、なぜ改定論議が出てくるのか。県議会ですら全会一致で改定決議をやっていくんですから。そのことをしっかりと踏まえておかないと、運用でやるからいいという話だけで終わってしまいます。
 そこで、これについては聞く必要はありませんけれども、「嘉手納爆音 激化」、沖縄の新聞です。約束していてもはみ出して、しかもこれは、六十デシベル以上、日に四百回を超える、こういうことが行われる。ですから、運用ということでは私どもは、これとこれとを一緒にするわけにはいきませんが、納得いかない、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 大臣、いかがでしょうか、その改定論議につきまして。
川口国務大臣 地位協定の改正についていろいろ議論がなされているということの背景には、県民の方々の中に、これが改定をしていくことが大事なことなんだという意識がおありになるからだというふうに私は思います。
 政府の立場ということについては、委員もうよく御承知のとおりのことでございまして、先般、二月の十八日に日米首脳会談がございましたときに、総理が、沖縄の負担を軽減するために閣僚レベルで議論をさせたいということをおっしゃられまして、ブッシュ大統領から、沖縄についての建設的な議論を行いたい、閣僚でこの問題について議論をさせたいというお話がございました。
 それを受けまして、同じ日の夕方、パウエル国務長官と私との間でこの問題についてのお話をいたしまして、私から、沖縄については日米両国がSACOの最終報告の実施のための努力をしていくことが必要であるということ等を述べまして、パウエル長官との間では、日米地位協定の運用の改善について、刑事裁判手続に関する協議の決着が必要であり、また、環境問題について十分な注意を払って、個別の問題に関しまして緊密に協議をしていくことで意見の一致を見ました。この方向で私も努力をしていきたいと考えております。
白保分科員 沖縄と台湾の間の防空圏、防空網、この問題についても質問することで通告しておりましたが、時間が来ましたので、このことについてはまた改めて質問することで終わりたいと思います。
 以上で終わります。
木村主査 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午前十時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時二分開議
木村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 民主党・無所属クラブ及び自由党所属の本務員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 他に質疑の申し出がありません。
 これにて本分科会所管の審査はすべて終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後五時三分散会


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