衆議院

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第2号 平成17年2月28日(月曜日)

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平成十七年二月二十八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 植竹 繁雄君

      村井  仁君    篠原  孝君

      笠  浩史君    田端 正広君

   兼務 石井 郁子君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   参考人

   (国家公務員共済組合連合会理事長)        寺村 信行君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  村井  仁君     江藤  拓君

  小泉 俊明君     石毛えい子君

  篠原  孝君     笠  浩史君

  田端 正広君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     村井  仁君

  石毛えい子君     中野  譲君

  笠  浩史君     篠原  孝君

  高木美智代君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  中野  譲君     小泉 俊明君

  古屋 範子君     田端 正広君

同日

 第八分科員石井郁子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (財務省所管)


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     ――――◇―――――

植竹主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中財務省所管について、政府から説明を聴取いたします。谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 平成十七年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入予算額は八十二兆千八百二十九億円余となっております。

 この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は四十四兆七十億円、その他収入は三兆七千八百五十九億円余、公債金は三十四兆三千九百億円となっております。

 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、二十兆千百二十四億円余となっております。

 このうち主な事項について申し上げますと、国債費は十八兆四千四百二十一億円余、政府出資は二千百二十四億円、予備費は三千五百億円となっております。

 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。

 国債整理基金特別会計におきましては、歳入二百二十一兆七千二十一億円余、歳出百九十一兆七千二十一億円余となっております。

 このほか、財政融資資金等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。

 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。

 国民生活金融公庫におきましては、収入千九百七十八億円余、支出千四百四十一億円余となっております。

 このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。

 以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。

 なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして、詳細な説明にかえさせていただきますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

植竹主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま谷垣財務大臣から申し出がありましたとおり、財務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植竹主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

植竹主査 以上をもちまして財務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

植竹主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守の上、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠分科員 おはようございます。本日は、朝から、大臣初め、ありがとうございます。

 また、きょう私は国家公務員の共済組合連合会の主に医療施設、医療事業についてちょっとお伺いをいたしたいということで、きょうは、お忙しい中、寺村理事長の方にもわざわざおいでをいただきまして、まことに感謝を申し上げたいと思います。

 それで、まず最初にお伺いをいたしたいわけでございますけれども、平成の十三年度の閣議決定で、国家公務員の共済組合連合会も、特殊法人等整理合理化計画の中で、例えば医療施設については、「組合員のニーズ若しくは事業の意義が低下し、又は著しい不採算に陥っている医療施設・宿泊施設は、整理する。医療施設については、共済事業としての意義の再検討を行い、それに併せて他財源からの繰入れ等その財源についても見直しを行う。」

 これまで、多くの補助金も含めて、この共済事業の方には、まさに税金も投入をされる中で、さまざまな事業が展開をされてきたわけでございます。それを見直そうという中で、共済病院が、共済の連合会の運営する病院がこれまで果たしてきた役割、こうしたものについて、所管の大臣としてどのように認識をされているか、まずお伺いをさせていただければと思います。

谷垣国務大臣 国家公務員共済組合連合会が設置運営しております直営病院、これは国家公務員の生活の安定と福祉の向上に寄与する、それから、あわせて公務の能率的な運営に資する、こういうことで昭和二十二年以来設立されているところでございますが、今後とも、今申し上げたような意義、重要性は変わらないものと思っております。

 しかし、他方、今委員がお引きになりました、平成十三年に特殊法人等整理合理化計画というものが閣議決定されておりまして、その中で特殊法人等の事業の徹底した見直しが極めて重要である、こういう認識のもとで、ちょうど委員がお引きになったところでありますけれども、この連合会病院についても、組合員のニーズもしくは事業の意義が低下し、または著しく不採算に陥っているものについては整理する、こういうことで、連合会ではこの閣議決定に基づいて平成十四年の十二月に再編合理化計画をつくりまして経営の合理化推進に努めてきている、このように承知しております。

笠分科員 今まさに大臣おっしゃったとおりなんですけれども、その中で、特に組合員のニーズというもの、そして国家公務員の皆さんの安全、そういうものに資するところでこの事業が始まっているわけでございますけれども、やはり医療というのは、先ほど大臣もおっしゃったように、これはもう本当に半世紀近くにわたって、全国で共済病院の方が展開されていて、地域に非常に根づいている部分も多々あると思うんですね。

 もちろん、公務員の方が対象だけれども、それ以外の方々が今ほとんど、やはり共済病院じゃないと嫌だというような、地域医療にもまた貢献をしている側面があると思う中で、ちょっとほかの事業とはまた違った要素、そうした地域医療というものに貢献しているまさに公共性、こうしたものもやはり考えていかなければいけない部分があるのではないかと私は思うわけでございます。

 著しく採算の状況がおかしいとか、もうこのままではとてもじゃないけれども経営が続けられないとか、そういうところはもちろんいろいろな努力もしていかなければいけないとは思うんですけれども、やはり医療という面から見た重要性というものについてどういうふうにお考えになるのか、その点もう一点、御答弁いただければと思います。

田野瀬副大臣 私の方からお答え申し上げたいと思います。

 先ほどから出ております、平成十三年に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画でございますが、これにおける指摘を踏まえまして、厳しい病院経営環境の中、収支の均衡が図れる経営体質を目指した再編合理化計画を策定いたしております。それに基づきまして、病院の再編、病院機能等の見直し、業務効率化、コスト削減等、経営の合理化に現在も努めておるところでございます。

笠分科員 私、その点でも、冒頭申し上げました整理合理化計画に、「医療施設については、共済事業としての意義の再検討」という文言があるわけでございますけれども、共済事業としての意義の再検討というのは、具体的にはどういうふうに再検討されたのかということをお答えいただければと思います。

松元政府参考人 御指摘にありますように、病院経営の見直しに当たりましては、慎重を期す必要があるというふうに考えております。

 連合会病院の果たしてきた役割ということで申しましても、あるいはエイズ拠点、結核医療、小児救急医療等、さまざまな貢献をなしてきているというものがございまして、そういったことを踏まえましても、この病院経営ということについてのあり方ということを考えていく必要があるというふうに考えておりまして、連合会に対しましてもそのような指導を行っておるところでございます。

 ただ、さまざまな状況のもとでできる限りの経営改善努力を行った上でも、どうしても収支の均衡が図れない病院につきましては、連合会として統廃合を含めた検討を行っていかざるを得ないことはやむを得ないところと考えております。

笠分科員 それで、ちょっと具体的にお伺いをしたいんですけれども、この新たな再編合理化計画、これは平成十四年につくられた計画を見ておりまして、直営の病院が二十六ですか、あるわけでございます。

 現状維持、あるいは建てかえ、あるいは統合、そうしたさまざまな見直しがなされている、計画がなされている中で、川崎にあります、私の地元でございますけれども、稲田登戸病院という、非常に地域の方にも長く愛されてきた、そしてまたいろいろ頼りにされている病院があるわけでございますけれども、この一病院だけが閉鎖というような、二十六病院の中で唯一閉鎖ということがこの計画で出ているというふうに私は認識をしているんですけれども、まず、この事実関係についていかがかということでお答えをいただければと思います。

松元政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘がありましたように、稲田登戸病院につきまして、現状につきましては、民間の土地を借地して、その上に建設しているものであるということで、昭和六十二年五月に地主から借地権更新拒絶の意思表示がなされて以降、連合会としては契約更新の合意を得るべくさまざまな努力をいたしてきておりますが、既に十七年以上も借地をめぐる係争の関係にあり、現在地主から病院の敷地の明け渡し訴訟が提起されているという状況のもとにありまして、そういった中でこの廃止ということが検討されているというふうに承知いたしております。

笠分科員 これはちょっと連合会の方にお伺いしたいんですけれども、今、次長の方から廃止が検討されているという御答弁でございましたけれども、廃止というのは、これは連合会として決めたわけではないということでよろしいんでしょうか。

寺村参考人 ただいま財務省の方から御説明ありましたように、この川崎の稲田登戸病院は、敷地のほとんどが民有地からの借地でございます。土地所有者から十七年間、明け渡しを求められまして、係争が続いているという状況でございます。そういう状況でございますので、施設の建てかえについての所有権者の了解が得られないということで、実は建設後四十五年経過した、本館病棟でございますが、出てきているというので、施設の老朽化が急激に進行しているという状況にございます。

 そうした中で、実は、平成十八年の二月から、当病院から一キロメートルの距離に川崎市立の多摩病院、三百七十六床の病院が新たに開設される、こういった状況に置かれておりますので、この再編合理化計画におきましては、新たな敷地を確保して閉鎖するという判断をせざるを得ないような状況に追い込まれた、そういう状況でございます。

笠分科員 実は、私も、議員になりましてから病院の方にもお伺いし、また地域のさまざまな方とお会いする中で、これは去年、七万人以上の地元の方々が、ぜひ残してほしいというような署名、連合会の方にも届いていると思うんですけれども、川崎市に対して、そしてまた連合会の方に対して出されている中で、今のお話は私もよく承知しております、その地権者とのいろいろなまだ裁判が続いているという問題。

 ただ、本当に現状、今おっしゃったとおり、施設が、裁判中であるということでこれまでなかなか手を入れることができずに実質放置されている状況の中で、一体病院はどうなるんだということで、患者さんも、本当に随分若いころから稲田登戸の共済病院の方でお世話になって、今何があっても共済病院という方もたくさんおられるんですね。そういう患者さんからも、現場の先生方が、一体全体、この病院はなくなるんですか、どうなるんですかというようなことを言われても、全くお医者さんたちが患者さんに答えることができない。

 あるいは、看護師の方、そして本当に努力して、いい先生たちがたくさん来られて、経営も単年度でいうと決して悪くなかったんですよ。けれども、今先行きが不透明なので、病院の先生方も、例えばやめていかれたり、あるいは看護師さんもやめていかれたりという中で、まさに内部崩壊が始まっているわけですね。

 こうなりますと、事実上、このままずるずるずるずると病院が内側から崩れていって、そして廃院に追い込まれていくというような、まさに今ぎりぎりの状況に来ていると思うんですけれども、そうしたことについて、やはり私は何かいい方法がないかと。

 例えば統合する、あるいは移転する。そういう中で、例えば地元の自治体も協力して、どういうふうな条件を満たすことができれば残していくことができるのかというようなことを今地域の皆様とも話しているわけでございます。いろいろと御相談もさせていただいているわけです。

 ここで、ちょっともう一つ確認しておきたいことが、逗子市の方に新たに共済の連合会による病院が、本当は来年の四月にできる、新設されるという予定がありまして、要するに、稲田登戸は逗子に移転するんだというようなことが報じられたり、あるいは、連合会の方がそういう説明をされた方も過去におられるんです。そこのところの事実関係というのはどうなんですか。

 これは、稲田登戸が逗子に移転をするという計画が一方であるのか、これが決まったことなのか、その点についてお答えをいただければと思います。

寺村参考人 逗子市の方から病院誘致の強い要請を受けて、連合会としても新病院を開設することは条件が整えばお受けをしていいという意向は表明しておりますが、現在、逗子市の住民それから地元医師会の反対があるという状況にございます。逗子市との関係はそういうことでございます。

笠分科員 確認ですけれども、これは、地元の反対があるところには病院をつくることはできない、つくるつもりはないということでよろしいですね。

寺村参考人 私どもは公的病院でございます。それから、病診連携がこれからの病院、地元医師会の協力がなければ病院経営は不可能のような状況になっております。そういうことでございます。

笠分科員 では、あくまで、稲田登戸の話と逗子の病院の新設の話は、全くこれは別の話である、稲田登戸が移転をする、逗子市がその検討対象になっているということではないということでいいんですね。逗子市の話と稲田登戸の話は、全く別の話として考えてよろしいですか。

寺村参考人 そのとおりでございます。

笠分科員 そうなりますと、私は、では、今まさに、稲田登戸が先ほどおっしゃった裁判も抱えている中で、非常に状況が、このままだと大変なことになってしまうというような認識。私は、恐らく連合会の方もこれは頭を痛めているんじゃないかと思うんですよ、悩ましいと。

 地域の方々の声も理事長さんも受けとめられていると思いますので、これを何か、逆に言うと、私も正直、今のままそこに残すのは、これは無理だと思います。あそこを取り壊して、しかも土地はまさに係争中ということで、いつ出ていかなければいけないかもしれない。

 例えば、これは先ほど川崎市の方の病院が、確かに多摩病院という、仮称でございますけれども、できる予定があるんですけれども、それでも川崎市の北部医療圏では、それができても稲田登戸病院がなくなれば、やはりベッド数は不足していくんですね。さらには、北部というのは物すごく今人口がふえているんです。

 そういう中で恐らくは、また市の方の、北部の医療圏に対してどれぐらいの病院が必要かということも見直されていくことになると思うんですけれども、そうした中で、せっかくこれだけ地域に根差してきた病院があるわけですから、そのままではなくても、例えばどこか非常にいい土地ないしあるいは場所があれば、これを北部の中で移転させるということは検討するに値するのかどうか、そのあたりをちょっと理事長の方にお伺いをいたしたいと思います。

寺村参考人 稲田登戸病院の存続について、七万人の地域住民の皆様の御署名をいただいたということ、まことにありがたい、涙が出るほどありがたく、地元住民の皆様に対して感謝の気持ちで受けとめているところでございます。

 ただ、先ほど来申し上げましたように、私どもの置かれている状況は、新設、建てかえが全く不可能な状況がございまして、そういった事情もありまして、実は平成三年度以降、経営が赤字になりまして、八年度には累積赤字が三十三億円に達しております。

 その後、職員一丸となった経営努力と、それから地元住民の皆様方の温かい御支援によりまして、経営は徐々に改善してまいりまして黒字になりましたけれども、今なお累積赤字が二十億円に達している、こんな状況でございまして、とてもみずからの資金をもって新しい病院を建設する力は今ない、こんな状況でございます。

笠分科員 一方で、例えば逗子なんかで病院の新設を検討している。そうしたら、これは違う話と先ほどおっしゃいましたよね。そして、私はもちろん、今の稲田登戸病院をそのままそこにお金を入れてどうこうということは難しいと思っています。

 ただ、同じように、北部のまたこの地域では、私はこれは経営が成り立つと思うんですよ。どんどん人がふえていっている、それで病院は足りない、しかも高齢化が進んでいる。そういう中で、私は、まさに地域医療に、福祉的なということだけじゃなくても、これは実際に民間の病院が調査したこともあるんですけれども、この川崎北部というのは十分やっていけるところなんですね。

 ですから、何かそういったことで、新たに共済病院の移転というか、こういう条件、例えば土地、あるいはなかなか土地を購入してその上に新しく病院を建てるということは、今の時代、私も難しいと思っています。けれども、そういったところで市なり地域なりが協力をして、先ほど言いましたよね、逗子市の方から誘致があったと。

 では、川崎市の方から一生懸命、誘致をするという形で、どこまで地元が頑張れば、どういう条件を満たせば建てることができるのか。あるいは、いや全くもう無理ですよ、川崎北部に残すということすらもう考えられないということなのか。そこをちょっとはっきりさせていただければと思います。

寺村参考人 逗子と、川崎の関係の病院は、連合会病院は二つの系統がございまして、稲田登戸病院というのは直営病院と申しまして補助金をいただいて運営してきた病院でございます。それから、逗子の方は補助金なしの病院でございます。ちょっと状況が違うのでございますが。

 そういった中で、直営病院の今置かれておる状況は、先ほど御説明がございましたように、特殊法人の整理合理化計画に基づきまして、補助金は十九年度以降一切廃止するという非常に厳しい状況に立たされております。それで、もう補助金依存体質から脱却して、みずからの資金ですべての運営を行わなければいけない、そういう厳しい状況に置かれておりますので、今、連合会病院全体として、新たな一切の新規投資は直営病院はとめておる状況でございまして、だから、そこで新たな資金投入というのはほとんど困難な状況になっているということでございます。

 したがいまして、御質問でございますけれども、敷地と病棟についてのインフラの御提案をいただくならば、その中で経営が成り立つかどうかを検討し、監督官庁と御相談をする、こういう段取りになるのではないかと思います。

笠分科員 本当に私も、今おっしゃったことはよくわかるんです。また、そうしていかなければいけない。

 ただ、先ほど来理事長おっしゃっているけれども、その土地の地権者との裁判も含めて、結果としてはやはりこれを放置してきたんですよ。病院の内部の方々は本当に努力されてきているんですね。そして、やはり何とか患者さんのことをということで、もう九〇%以上、大半が公務員じゃないんですね。地域の方々が患者として使われている。

 結果として、でもそれは、今まさに病院の先生方あるいはそこにかかっている患者さんに私は何の責任もないと思うんですね。むしろ、そのもめてきた状況とか、これまで手を入れられなかったという、そしてその結果として累積赤字もあって、しかし単年度でいうと黒字に持っていくところまで今頑張っておられるわけですね。

 でも、全体のこの共済病院というものをどうしていくのか、直営事業というものをどうしていくのかというのは、ちょっと言葉は悪いですけれども、少し補助金に頼ってきて、放漫な経営が全体としてなされてきたという責任というのは、むしろこれは監督官庁あるいは連合会の上部の方のシステムに問題があったわけで、個々の病院の責任ではないと私は思っているんですね。

 そうした中で、今大変ありがたいなと思ったのは、その土地あるいは建物について丸々今連合会としてお金を投入して建てることはできないと。けれども、何かそうしたところでアイデアがあるんであれば検討はしていただけると。検討には値するということを今理事長おっしゃったので、やはりそうしたことをしっかりと、私は、稲田登戸の職員の皆さんに、先生方を含めて、説明をしていただきたいんですね。

 本当に、さまざまな今うわさが流れて、もうあしたにも、来年にも病院がなくなるんだというようなことを、これは誤解ですよね、けれども思っておられる方もおられる。あるいは、逗子市に移転するんだ、だからもうここからはなくなるんだという誤解をされている方もおられる。ここについて、私はきちんとした説明をやはり近々していただきたい。そのことをお願い申し上げたいんですが、いかがでしょうか。

寺村参考人 来年の十八年の二月に、一キロメートルの距離に三百七十六床の川崎市立多摩病院が開設されることになっております。稲田登戸病院といたしましては、それまでの間、地域医療に責任を持てるような体制をしいてまいりたいと考えております。

 おっしゃるような状況になって、私ども大変心を痛めているわけでございますが、何としても、地域医療を確保するというのは公的病院としての私どもの責務であると考えておりますので、そのような対応を一生懸命やってまいりたいと考えております。

笠分科員 しっかりと取り組んでいただきたい。

 そしてまた、私もまた、地元の川崎市あるいは地域の皆さんにも、皆さんも何らかの形でどうしても地域にこの共済病院というものを残したいというのであれば、やはりそれぞれの努力が必要ですよということもまたきちんと申し上げていきたいと思います。

 今、共済の方の連合会の理事長さん、さまざま現場の責任者というお立場からのお話をいただいたわけでございますが、所管の財務省として、こうした医療施設というのは、なかなかこれはほかの福祉サービスの施設とは違って地域に根差している、こういう大事な地域医療も担っているんですね。

 そういう点から今ちょっと議論させていただいたんですけれども、今後、もちろんお金を何でもかんでも昔のように補助金つけてという時代ではないのは私も承知をしております。

 ただ、やはり、地域の方、病院を使われている方々の声というものをしっかりと受けとめて、やはり、私、病院の閉鎖というものは、問題を起こして、あの病院はとんでもないというようなところであれば別ですけれども、これだけ地域のニーズがあり、また、やはり稲田登戸の共済じゃないとという七万人以上の方が署名までされて、何とかしてほしいという声を上げられていることは、これは非常に重く受けとめていただければなと思うんですけれども、その点について御所見をいただければと思います。

谷垣国務大臣 今伺っておりまして、国家公務員共済組合が地域に支持されて、委員がおっしゃったように、大勢の方が署名まで集めてこの病院は必要だと言っていただいているのは、まことにありがたいことだなと思います。

 他方、私どもはやはり、今の財政事情で効率化とか合理化とか、こういうようなことも避けて通ることはできませんし、今伺いますと、なかなか地権者との関係なんかも難しいものが、裁判上どういうふうになっていくのか、私どももこれは行政の立場からどうこうするわけになかなかまいりませんので、やはり本来の目的と全体の住民にどれだけ支持されるかということと、それから財政の健全化というようなもの、こういうものをあわせてよくよく考えながら結論を出すような方向が正しいのではないかと思います。

笠分科員 大臣にありがたい御答弁をいただきまして、私本当に今あれなのは、確かに裁判もいつ判決が出るかわからない、あるいはいつ立ち退けということになるかわからない。ただ、それはもう私重々承知しております、財政的にも。

 ただ、やはり今現に本当にいいお医者さんたちを集めてこれまで努力してきたんですね、この整理合理化計画以前から、またこういうことを踏まえて。ただ、そこがもうどうなるかわからない、だからあした移転しろとかあさってどうしろということを、私はもちろんそんなことを申し上げるあれじゃないですけれども、ただ、やはり今ビジョンを、いつそういう例えば裁判で結論が出るとか、いろいろな事態が想定できるはずですから、そうしたことを踏まえて、最後にきちんとしたビジョンをまず出していただきたい。どうなるかわからないというこの不安だけは、患者さんの、そして働く看護師さん、お医者さんの、その方々の不安を取り除く努力をやはりしていただきたいと思います。

 そのことをしっかりと強く受けとめていただくよう要請をさせていただき、また今後ともこの件につきましていろいろな相談も、また地域の方々、川崎市の方、またあるかと思いますけれども、そのときには真剣にお考えをいただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

植竹主査 これにて笠浩史君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)分科員 おはようございます。日本共産党の石井郁子でございます。

 本日は、NPO法人の問題について質問をいたします。

 市民が自覚的、自律的に活動して社会問題にかかわって貢献していくということは、私は、日本社会の進歩にとって健全で積極的な意味を持つというふうに考えているものでございます。

 一九九八年十二月に施行されたNPO法以後、法人数が右肩上がりにふえました。六年余りを経ているところでございますが、全国で二万を超えているという状況でございます。このことは、社会参加を求める市民、いろいろ社会とかかわって貢献をしていこうと考える市民が急速にふえているということを示していると思います。

 一方で、寄附者に優遇税制がされる認定NPOの数は、最新の数でも二十九法人なんですね。まず、この数字というのはどのように財務省として受けとめていらっしゃるでしょうか。

谷垣国務大臣 今NPO法人のことを取り上げておられますけれども、私、小学生のころ初めて憲法というのを教わりましたときに、憲法の中には、委員も御承知のように、結社の自由というのが書いてございますね。それで、これが学校の先生から教わったお話では、やはり結社の自由というのが近代社会をつくってくるときに非常に大きな役割を果たしたという話を伺いまして、子供心に非常に印象に残っております。

 それで、その後、仕事をしたりこうして政治の場でもおりますと、政党も結社の自由の一つでございましょうし、また民間企業もいわば結社の自由として近代経済社会を支える大きな役割を果たしているわけです。政治に出たころ思いましたのは、公益法人というようなものが、確かに公益は果たしているけれども、どうも役所とどちらかというと一緒になって、民間の方々が民間におられながら官とは違う意味で公益的な役割を果たしていくというところで、もっと、近代社会の初めの結社の自由という言葉が非常に輝かしい光を持ったように、何かもう少しみずみずしい力を発揮できないかというようなことを選挙に出た当時は考えておったわけですが、その後、NPO法人というようなものができまして、なるほどこういうことが、要するに、民間の方々が官に、官というだけではなくて、自分たちが社会の公益を増進してパブリックを担おうというような、何かみずみずしさを持ったような印象で私はずっと見てきているわけでございます。

 そういう意味で、NPO法人の行う民間の非営利活動が、大分少子高齢化も進展してきておりますから、そして社会の多様化も進んできておりますから、それぞれ自発的にこういう運動をしていただくことが少子高齢化の中でも活力ある日本社会をつくっていく上で私は重要な役割を果たしているんじゃないかと思います。

 ちょっと前置きが長くなりましたが、そういう中で、寄附金、やはりお金がなきゃなかなか活動できませんから、優遇措置をつくろうということで認定NPO法人制度というものができたわけでございますが、その後、NPO法人制度自体、施行後の年数も浅くて、それから財政基盤も弱いものが多い、こういうことで、平成十三年度にできて、十四年、十五年と税制改正で認定要件を緩和した。

 それで、確かに委員がおっしゃるように、平成十七年一月末現在では、二十九しか、しかないというか、二十九までふえたというか、ここも微妙なところでございますが、申請件数も徐々に増加しておりますし、また、今度の国会でもこの点についてはさらに改正をお願いしておりますので、さらに認定要件の緩和が進んでくるということで、できるだけ多くのNPO法人にこの制度を利用していただきたいと思っております。

石井(郁)分科員 大臣のいろいろ政治家としての思いも含めてお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 諸外国、アメリカを初めとして、やはり、NPO法人というのが市民のパブリックな参加の仕方としてずっと広がってきているという状況があるわけで、そういうことも見ながら、きょうはちょっと幾つか御質問させていただきたいわけです。

 具体的な問題としまして、今起きていることなんですが、これは、昨年十一月二十五日付の東京新聞にありましたけれども、中越震災のときに、新潟県の上越市で活動しているNPO法人というのがありまして、くびき野NPOサポートセンター、そこに一千万円を寄附したいという地元企業からの申し出がありました。それは、日ごろから信頼関係がある、そのNPOの活動もよく知っているということもあって、しかも震災の活動だということで有効に使ってほしいという申し出だったんですが、NPOとしては断らざるを得なかったということなんです。

 だから、被災地で活動するそういう地元NPOが断らざるを得ない、せっかく寄附の申し出があるのに断らざるを得ない、これは一体、この事実と、それはどういう理由に基づいているというふうに把握しておられるでしょうか。この事実についてちょっと把握していることをお聞かせください。

佐々木政府参考人 今お話しになりました新潟中越地震の上越市におけるNPOの事例につきましては、私どもどういう理由でそういう寄附金を断らざるを得なかったのかということを把握しておりません。

 ただ、災害に対するいろいろな支援につきましては、現行の税制上も、義援金であるとかさまざまな特例措置が認められておりますので、そういういわば支援活動、寄附活動というのは行われていると承知しておりますけれども、委員の御指摘の具体的な事例については承知しておりません。

石井(郁)分科員 やはり、こういう一つ一つのことについても把握していただきたいというふうに思うんですが、それは新聞にもあることでございますけれども、本当にありがたいけれども、ほかの社会福祉法人に寄附してくださいと言わざるを得なかった。つまり、それはやはり、寄附金の課税対象の問題なんですよね。だから、この優遇税制を受けられていないということで断らざるを得ないということなんですね。

 このNPO法人の問題は、改めて言うまでもないんですが、十年前、阪神・淡路の大震災がありました。このときも行政の力は行政なりに発揮しましたけれども、やはりどうにもならない、被災者のそばで献身的な活動を行ってきたボランティア集団の存在なくしては被災者支援は成り立たない、そういう教訓もあってNPO法というのが施行されたというふうに思うんですね。そして、今大臣もお話しのように、二〇〇一年には認定NPO法人制度というものもできました。

 そういう経過からしましても、やはり、いわば阪神・淡路大震災に続く大地震という中越震災があって、NPOが一生懸命活動をされているという中に、しかし障害が生じてしまうというのは問題だと思うんですね、もっと大規模に活動したいのにそれができないということになるわけですから。

 私は、ここで申し上げたいのは、やはり災害時という特別な事態、そういうときにNPO法人が活動しやすい、そういう条件をつくってもいいのではないかというふうに思うんですね。その点はいかがでしょうか。

谷垣国務大臣 制度の詳細については政府参考人の方が詳しいと思いますが、私、今委員のおっしゃったような問題意識で、私自身も、今の制度はどうなっているんだろうと調べてみたんですが、被災者支援については政府としてもいろいろな施策を講じておりますけれども、寄附金に対する現行税制、これも災害救助法に基づく義援金に関する税制優遇、特定公益増進法人、それから今御議論の認定NPO法人の寄附金、それぞれ優遇税制ができておりまして、かなり諸外国と比べて遜色のないところに制度自体は来ているなと私は再認識をしたわけでございます。

 今の委員がお引きになった例自体は、私、詳細に、多分認定NPO法人になっておられないという前提ですね。ですから、今度の法改正等によりまして受けられるあれはさらに広げておりますので、こういうところを活用していただきたいというのが差し当たっての私のお答えになるわけでございます。

石井(郁)分科員 私の意図は、やはり認定NPO法人になっているか、なっていないかによって、非常に寄附を受けられる範囲というか、寄附条件が異なってくるんだということで問題にしているわけでございます。

 本当に、今災害被災地で活動する多くのNPOが国内外を問わずでございますから、そういうNPO法人が活動しやすいような条件をどうつくるかということが非常に大事だという意味で申し上げているわけで、今、いろいろな使える制度もできているということもございましたけれども、より、認定、非認定を問わないで、被災地、被災者のニーズに沿ったきめ細かい活動ができるということが大事ではないかというふうに思うんですね。

 私はきょう、そういう意味での認定NPO法人にするという点での重要性ということを特にどう認識していらっしゃるのかということで、特別措置としてでも、これはぜひ検討に値するのではないかと思っておりまして伺ったところでございますが、再度、いかがでしょうか、大臣。

佐々木政府参考人 大臣から御答弁されましたことの繰り返しになると思いますけれども、被災者支援、災害について特に御指摘でございますけれども、被災者支援につきましては、現行制度の上からもかなり、災害救助法に基づく税制の優遇であるとか、特定公益法人、認定NPO法人への寄附金の優遇措置が設けられておりまして、また、認定NPO法人の認定の要件につきましても、累年、要件の緩和が行われてきておりますので、そういうことを考えますと、現在の税制のもとでその制度を活用していただきたいというのが基本でございます。現実に、新潟中越地震の場合には義援金も赤十字とかいろいろな機関を通じて拠出されておりますし、スマトラの地震におきましても具体的なそういう義援金も集まっていると聞いております。

 片や、NPOの認定条件をさらに災害に関して緩和するということにつきましては、税制上の優遇措置を受けるNPO法人の適格性ということをどう考えるかという問題がございまして、災害という一つの事象をとらえて認定要件を緩和するという側面と、さらにその受け皿であるNPO法人が税制優遇にふさわしい団体かどうかということももちろんチェックしなければいけません要件でございまして、その点につきまして、現行の認定要件の中にもさまざまなそういうことが書かれているわけでございます。

 ですから、災害であるからということではなくて、NPO法人の税制優遇を受ける適格性があるかどうかという点の要件はやはり必要であろうと思っております。

石井(郁)分科員 そういう御答弁ですけれども、その問題にこれから入っていかなくてはいけないんですが、だから、NPO法人が認定を受ける法人たり得るかという認定要件というのは、実は大変厳しいものがあるんですよ。そこはやはり問題なんですね。

 それでは伺いますけれども、現在NPO法人で活動する人たち、多くはボランティアだったりもするわけですけれども、活動する人たちの年収というのは幾らぐらいだというふうに把握していますか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省として独自にNPO法人の活動実態について調査をしたことはございませんが、独立行政法人経済産業研究所が実施したアンケート調査というのがございまして、それに基づきますと、二〇〇二年七月の調査結果報告では常勤スタッフの場合約百三十四万円、非常勤スタッフの場合約五十一万円、二〇〇三年九月の調査報告では約百十八万円というふうになっていると承知しております。

石井(郁)分科員 私もそういう調査を見ておりますけれども、やはり常勤のスタッフの給与百三十四万円というのは余りにも少ないというふうに言わざるを得ないんです。

 NPOには若い方も年配の方もいらっしゃいますけれども、特に今職がないと言われる若い人たちがいろいろな情熱を持って、そして自分のこれからを見定める上でも参加をしている、若い人たちにとってすごく仕事の場にもなっているわけでしょう。

 そういうことでいいますと、私は、やはりもっと若い人たちがNPOに参加もできるという保障もなければいけないというふうにも思うんですね。そのためにも、NPO法人の財政基盤ということがある程度安定している、しっかりしていないと困るわけですよね。だから、そういう点でも、認定要件をなかなかクリアできない状況というのはやはり改善する必要があるというふうに思うんですね。

 そこで伺いますけれども、一番ネックになっているのが日本版パブリック・サポート・テストと言われるものだと言われるわけです。これは、総収入に占める寄附金の割合を決めている。今、五分の一以上ということになっているかと思うんですが、これが財務省の言い分ですと社会的支持を受けているかどうかを判定するために必要だと言われていることですけれども、これは余りにも要件が厳しすぎるという声がNPOの側から出ているでしょう。

 ちょっと一つずつ伺いたいんですけれども、一つの問題としては、現在、運営に議決権を持つ社員の会費は議決権の反対給付ということで寄附金扱いになっていないということなんです。私は、これでは民主的な運営をしようとすればするほど認定要件が満たせないということになるわけですね。だから、この部分も寄附金として計算すべきだというふうに考えますが、その点はいかがでございましょう。

佐々木政府参考人 パブリック・サポート・テストの意義といいますか、意味といいますのは、NPOの活動が広く一般からの支援を受けているかどうかということをチェックする、いわば公益性を推測する客観的な基準ということで設けられておるわけでございます。

 そういった観点から見ました場合に、寄附金というのはやはり直接の反対給付がなくて、一般からの支援というにふさわしいものだと考えておりますけれども、社員が支出する会費は、まさに委員おっしゃいましたように、社員総会で議決権を行使できる権利の反対給付になっているわけでございまして、まさにそのNPOの運営に参加をするという、広く一般からの反対給付を受けない支援という性格とはやはり異なるものであろうと考えております。ですから、寄附金と同様の取り扱いをするというのは困難であろうと考えております。

石井(郁)分科員 これはやはり非常に厳し過ぎる条件になっているんですよ。

 それから、事業収入が多くなると、これは収入と、分母にされてしまうわけですね。しかし、NPO法人は今、本当にいろいろな分野で活動していますけれども、特に障害者の問題あるいは子育ての分野等々、環境の問題等々もありますけれども、まさにそういう公益活動としてやっているわけですよね。そういう事業収入についても分母にされてしまうという点でいうと、私たちは、やはりこの事業収入についてはパブリック・サポート・テストの分母から除外するということを考えないといけないと思うんですが、そのお考えはございますか。

佐々木政府参考人 御指摘のように、事業収入を分母に加えた場合には、事業活動が活発になればなるほど分母が大きくなるということで、パブリック・サポート・テストをクリアしにくくなるという御指摘があるのは承知いたしております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、パブリック・サポート・テストの意味というものが、NPO法人の活動全体に一般の支援がどのくらいあるのかという基準でございますので、分母から事業収入を外しました場合には、意味が、つまり、その他の収入、事業収入じゃない収入に占める一般の支援の割合という意味になりますので、これは何を意味しているのか。つまり、NPO法人の事業全体に対する評価ではなくなってしまうという点が一つあるかと思います。そういう意味で、事業収入を除いてしまいますと、パブリック・サポート・テストの本来持っております意味が失われるのではないかと考えております。

 さらに、あえて申し上げますと、特定NPO法人が自分の事業活動を活発に行いましたら、その支持者あるいは一般の理解も深まって、それがさらに寄附金の増加というものにもつながっていくということも考えられるんじゃないかと思います。

石井(郁)分科員 どうもその辺がよくわからないんですけれども、認定を受けるというのは、やはり寄附金を集めやすくする、寄附優遇税制を適用してもらいたいということで、認定を申請したわけでしょう。認定というのはそのための条件というか、必要なことなんです。

 だから、寄附金を集めやすくするために受けたいんだけれども、しかし、その前に寄附金をちゃんと集めておかなきゃいけない。総事業収入における寄附の割合が幾らかということが条件になっているということになると、本当に逆さまだという感じがしてしようがないんですよね。事業収入をうんと広げれば広げるほど、寄附金は認定を受けにくくなるというシステムにもなっているということですね。

 だから、現在、時限措置として、総収入のうちの寄附金の占める割合は五分の一というふうになったかと思うんですけれども、これはまたやはり三分の一に戻ったら、一層要件が厳しくなるということになりますよね。この点ではいかがですか。やはり三分の一に戻すようなことはない、これは逆行措置になっていくわけですから。この点はどのようにお考えでしょうか。これはぜひ大臣からも御答弁いただければと思うんですが。

佐々木政府参考人 御指摘のとおり、本則がパブリック・サポート・テストの数式で三分の一以上ということになっておりますが、三年間の時限措置で、平成十五年度から十七年度、本年度までの三年間ということで、それは五分の一というふうに特例的に下げられているわけでございますが、その期限が切れました後は本則に戻るというのが基本でございます。

石井(郁)分科員 幾つかちょっと細かな問題で恐縮でもあるんですけれども、きょうは私は、本当に認定を受けやすくしてほしい、そういう条件をやはりもっと緩和してほしいという趣旨で申し上げておりまして、例えば認定手続という問題も一つあるんですね。

 これも私ども、報道でも、また実際にも伺ったんですけれども、昨年三月に認定を受けたNPO法人、その二十九という少ない中の一つですけれども、カスパルという法人がございますけれども、こう言っているわけです。認定のための書類づくりが大変だ、もう本来の活動ができない、これでは何のために活動しているのかわからない。これは小規模になればなるほど、大体NPO法人は多くは小規模で占めておりますけれども、こういう声はたくさんあるわけです。申請書類の厚さが七センチメートルにも上ったというNPOも聞いております。

 そもそも、財務省にも伺いますが、こういう認定手続が大変だという認識はございますか。

佐々木政府参考人 まさに御指摘のようなお話は、私どもも税制改正の過程で伺っております。

 手続、書類が大変で、かなりの分量に上るということでございますが、そういう御意見も踏まえまして、平成十七年度の改正では手続の簡素化を図っております。書類をできるだけ少なくするとかあるいは事前に提出するのを事後でいいとか、そういう改正を行っております。

石井(郁)分科員 この大変な申請書類なんですけれども、日本の場合は二年に一度申請になっているでしょう。これも大変なんですよ。一回が膨大な書類だということですけれども、それを二年に一度しなければいけない。この点では、私は、本当に日本は非常に特殊だというふうに思うんですね。

 これも聞くところによると、アメリカの場合などは、一度認定されたら、取り消しということがない限り、ずっとつながるという話でしょう。だから、日本だけが非常に厳しいこういう要件を課しているというふうに思うんですね。

 私は、この点でも、やはり歴史も浅いけれども、NPO法人という立ち上がった法人に対する信頼というか、政府の方もそういう条件をつくるという点での問題がまだ残っているなというふうに思うんですけれども、この再申請の期間を延ばしたりするという、まず期間の緩和というか、それはお考えにありませんか。

佐々木政府参考人 日本の場合には、二年ごとに再申請を要請されているということでございます。

 これを延長の考えがあるかということでございますけれども、NPO法人は公の関与をできるだけ排除した仕組みということで成り立っておりますので、事後的な確認手段だけでは活動の適正性を十分に担保することが困難な恐れもございます。そういうことで、期間を設けて、二年ごとに審査をするという制度になっているわけでございます。

 この制度は、認定NPO法人だけではございませんで、公益法人につきましても、特定公益増進法人という認定を受けます場合にも二年間の認定期間というのがございます。それとのバランス上も、認定NPO法人だけを延長するということはできないかと思います。

石井(郁)分科員 わずかに二十九法人の認定しかないという中の一つの例を申し上げたんですけれども、このカスパルという法人は、もう次は申請はやめようかという話も聞いております。

 私は、本当にここら辺は抜本的に考え方を改めないといけない問題を含んでいるんじゃないかというふうに思うんですね。もっと市民のそういう活動をまさに政府がサポートする、そして信頼をしていく、育てていく、そういう立場に立たなければいけないというふうに思っています。

 さて、その書類の問題でもう一つ例を挙げますけれども、この中には、役員、社員に占める親族等の割合制限を緩和してほしい、制限というのを役員に限定してほしいというのがあるんです。現在は、親族の範囲を六親等以内の血族と三親等以内の姻族というふうに定めていますけれども、これを証明するための書類というのがまさに膨大だ。先ほど御答弁の中で、書式、書類というのは随分簡素化を進めたという話がちょっとありましたけれども、本当に、提出する書類を裏づけるというか、そういう書類が膨大になるということなんですよ。

 そういう点で、制限は役員だけにしたら書類の簡素化にもつながるというふうに思いますが、その一点だけ最後にお答えください。

佐々木政府参考人 やはり、社員につきましても、社員総会における議決権を行使するということで、法人の運営に直接携わっているわけでございますので、その親族の集中を排除するという趣旨は適用をやめるというわけにはいかないと存じます。

 ただ、先ほど御指摘の親族の範囲につきましては、十七年度改正で、それまでの六親等内の血族というところを三親等内に限定をいたしまして、書類の簡素化、手続の簡素化のための改正を行っております。

石井(郁)分科員 私は、認定要件について、やはりこれだけ厳しいとNPO法人の活力をそぐことになると思います。本当に、今、政府、官から民へというふうに言うんでしたら、やはりもっと活動しやすい認定要件をつくるべきだ、NPOの要望に耳を傾けてさらに要件緩和を進めていくべきだということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

植竹主査 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会所管の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十時一分散会


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