衆議院

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第2号 平成19年3月1日(木曜日)

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平成十九年三月一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 森  英介君

      大島 理森君    倉田 雅年君

      逢坂 誠二君    岡田 克也君

      北神 圭朗君    小宮山泰子君

      長島 昭久君    丸谷 佳織君

   兼務 大串 博志君 兼務 三日月大造君

    …………………………………

   財務大臣         尾身 幸次君

   財務副大臣        田中 和徳君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 後藤  博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    青山 幸恭君

   政府参考人

   (国税庁徴収部長)    秦  邦昭君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  清水美智夫君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  岡田 克也君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     長島 昭久君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 昭久君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     岡田 克也君

同日

 第五分科員三日月大造君及び第六分科員大串博志君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 (財務省所管)


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     ――――◇―――――

森主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中財務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串分科員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。

 きょうは分科会で質問の時間をいただきましたので、財務省の案件等々について質疑をさせていただければというふうに思います。

 きょう議論させていただきたいというふうに考えておりますのは、十八年度補正予算を一つのモデルケースとしてとりまして、補正予算というもののあり方、そこから予算全体、本予算も含めて予算全体のフレーム、つくり方、そして、そういう中から予算配分のめり張りをどうやって出していくのか、そういうふうなことに関して議論させていただければというふうに思います。

 十八年度補正、今回、厚生労働大臣の発言等々のこともあり、国会の中で大きな問題となって、審議がやや尽くされなかった形で終わってしまったのは非常に残念でございました。このことも含めまして、補正予算の方から議論を始めさせていただきたいんです。

 まず、補正予算というもの、この意義あるいは性格づけ、そして、どういうふうな要件といいますか、どういうものが補正予算、本予算じゃなくて補正予算なのかという観点に関して、財務省の方からお答えください。

松元政府参考人 お答えいたします。

 補正予算についてのお尋ねでございますが、財政法第二十九条におきまして、法律上または契約上、国の義務に属する経費の不足を補う場合、また、予算作成後に生じた事由に基づきまして特に緊要となった経費の支出を行う場合等に補正予算の編成が認められているところでございます。

 予算の作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の意味につきましては、予算作成後に生じました事態や諸情勢の変化に対処するため、その年度内に追加することが特に必要となった経費を指すものと解されております。

大串分科員 ありがとうございます。

 今御説明いただきました。義務的経費で、その年度内により多くかかってしまうことが後からわかったがゆえに、その義務的経費を措置していくもの、あるいは諸情勢、事態の変化、本予算策定時には見込めなかった事態の変化が本予算が執行され始めて以降、つくられて以降生じた、これに対して、どうしても年度内に手当てをしておかなければならない、そういう緊急の要請がある場合に補正予算をつくるんだということでございました。

 一つ確認をさせていただきたいんですけれども、年度内にどうしても必要な予算ということが後からわかったということ、それが要件でございますので、その当該年度内、例えば十八年度補正だったら、十八年度の予算年度の中で年度内執行、年度内消化をしなければならないということも、先ほどおっしゃった定義の中に含まれているという理解でよろしゅうございますでしょうか。

松元政府参考人 お答えいたします。

 この予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費という意味の中には、その年度内に追加することが特に必要となった経費を指すものということでございますので、委員御指摘のとおり、その年度内にということが要件になっております。

大串分科員 ありがとうございます。

 今、補正予算の定義、年度内執行も含めて非常によくわかるように説明していただきました。

 さて、今回、十八年度補正で議論されたもの、たくさんございます。今回、税収が予想を上回る伸びでございましたので、これをどういうふうに受けとめていくか、そして、先ほどお話のあった義務的経費や、あるいはどうしても必要になった経費、これをその中にどうやって取り込んでいくかというのが、十八年度補正のフレームだったわけですね。税収は四・六兆、補正で伸びているわけですけれども、それをどう取り込んでいくかということだったと思います。

 今回、補正予算の中で、歳出に関してはいろいろな項目が盛り込まれておりますけれども、一つ、これは財務省からいただいた資料でもありますけれども、障害者自立支援制度の運営円滑化対策九百六十億というものが非常に大きな項目の一つとしてあります。これに関して、厚生労働省の皆さんからもいろいろ内容に関して御説明をいただきました。九百六十億でございますね、補正予算計上額。

 この九百六十億の補正予算計上額の内訳を簡単に申しますと、これは障害者自立支援法が今般導入されて、それに対しての緊急対応をしなければならないという背景ということでございます。それを受けまして九百六十億の内容は、まず一つには、事業者の方に対する激変緩和措置、これが三百億、そしてもう一つ、障害者自立支援法、新法への移行等のための緊急的な経過措置、これが六百六十億というふうになってございます。

 事業者に対する激変緩和措置というのは、これは内容を見てみますと、施設の方々、つまり障害者の支援をなさる事業所の方々、これまでは月払いによる報酬額の支払いだったところを、今回、日払いの方式にした、それによって、これまでより収入が、報酬額が下がってくる可能性がある、そこを保障するために、保障額をこれまでの八〇%保障から九〇%保障へ変える。こういうことを主な柱として三百億をつけられているわけでございます。残りの六百六十億に関しては、新しい法律への移行等のための緊急的な経過措置として、これもいろいろなメニューがございます。

 これらの措置に関して、厚生労働省の方にちょっとお尋ねしたいんですが、先ほど補正予算の要件を説明いただきました。先ほど説明のあった補正予算の要素、要件、特に緊急性等々の観点から見て、これは本当に緊急性があるのかどうか、どうしても今年度補正でやっていかなければならないという事情があるのかどうか、その辺について厚生労働省の方の御所見を伺いたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、障害者自立支援法関係の補正予算をお願いいたしました。障害者自立支援法につきましては、十七年十月三十一日に国会で成立し、十八年四月から一部施行、十八年十月から全面実施になったところでございます。

 この障害者自立支援法につきましては、大変大きな改革でございましたので、実施に当たっては各方面からさまざまな御懸念なり御指摘をいただいておりました。そういう中で、施行後の実施状況を踏まえて、生じている問題については早急に対応すべきではないかという御論議が国会の中でも起こったところでございます。

 委員御指摘ございました九百六十億円の補正予算のうち事業者に対する激変緩和措置につきましては、給付費のデータが秋ころまとまりまして、今委員御指摘のとおり、他の施設のサービスについては順調に増加しておりますけれども、通所関係のサービスにつきましては想定を上回る落ち込みがあった。これは、報酬の日払いの問題、報酬の支払い方が月払いから日払いに変わったことに伴うものであり、その状況が続きますと通所施設の経営が成り立たなくなり、それは利用者である障害者の方々に大変大きな影響を及ぼすという強い御指摘がありましたことから、緊急に対応しなければならない、緊急性があったということが第一点でございます。

 第二点、御指摘がございました九百六十億円のうちの六百六十億円でございますが、これも、障害者自立支援法でさまざまなサービス体系の変更を行いました。そういう中で、従来、法定外の施設で補助金を制度で補助していたもの、あるいは法定内の施設でありましても、補助金で運営していたものにつきまして新体系に移行していただくということで、補助金制度自体、十八年度なくしておりましたが、実際問題、なかなか新体系に移行できないということで、十八年度中の運営費について空白が生じ、特に、障害当事者の御家族の方、親御さんたちが運営されている小規模な作業所等について、存続が懸念されるというようなこともございましたので、そういった意味で、新体系に移行する緊急的な措置が必要である、こういうことを中心に、六百六十億円の補正をお願いしたところでございます。

大串分科員 今、基本的には、障害者自立支援法が入って、それによって事業者の方々が大変厳しい運営になることが予算をつくった後に明らかになってきたので、その声にこたえるという意味で緊急性が非常にあるという説明が主だったというふうに思います。

 しかし、先ほど財務省の方から説明があったように、緊急ということの持つ意味は、今年度予算でどうしても措置しなきゃならないという意味での緊要性、これが補正予算なんです。基本的には、予算は必要なもの、緊要性のあるものを、補正予算であろうが本予算であろうが措置する、緊要性があるというのはどの予算でも私は同じだろうと思うんですね。補正予算で措置するということは、今年度中にどうしてもやっておかなければならない、そういう意味があったんだろうと思うんです。ですから私は、その緊要性のところをあえてまたお尋ね申し上げたわけです。

 なぜこれをこういうふうに申し上げているかといいますと、これは厚生労働省の方からいただいた資料でございます。十二月の末に今回補正予算をつくられて、この補正予算の執行の方法としては、九百六十億、これは交付金という形で基金を造成するわけですよね。基金を造成して、その中で使っていただくという形で出す。地方公共団体、都道府県の方々にこの交付金を出していくわけですけれども、そのときに、どういうふうな内容ですよということを説明する資料だというふうにお聞きしました。

 これを見てわかるのは、今回の九百六十億の三百億の部分、事業者に関する激変緩和措置三百億、この部分は、大宗が今おっしゃいました事業者への報酬を月払いから日払いに変更したことによる減収分を補うもの、それにプラスして、これも全く一本の新しい補助金のように思いますけれども、通所サービス利用促進事業として、サービスを利用しやすいような送迎サービス等々の実施、これに対する補助というふうになっています。残りの六百六十億に関しても具体的な内容が見えていますけれども、これを見ると、六百六十億の部分について見ても、十本に及ぶ個別の補助金の束というのがよくわかります。

 ですから、この九百六十億を通して見ると、全部で十二本の個別の補助金の束なんですね。それで、十二本のうちの最初の二つが、この三百億円に対応する事業者に対する激変緩和措置、こうなっています。

 この資料の中で私が非常に不思議だなと思ったのは、事業期間、実施年度を書いていまして、冒頭の三百億、事業者に対する激変緩和措置、そのほとんど、大きな部分が、先ほど申しました事業者の報酬の減収分に対する激変緩和措置なんですけれども、ここの事業実施年限を見てみると、この三百億の分については十九年度から二十年と書いてあるんですね。十八年度、これは実施するようになっていないわけですよ。

 十八年度実施することになっていないそもそもの事業を、三百億です、非常に大きな額、本予算においても三百億という額は小さな額ではない。これを十九年度から実施するという前提で、なぜ十八年度補正で措置する必要があったのか。これは、先ほど話があった年度内執行という観点からすると、補正予算にはそぐわないんじゃないか、そういうふうな意味で、緊急性があるんですかというのをお尋ねしているんです。その辺に関していま一度御答弁ください。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者に対する激変緩和措置につきましては、委員から御指摘がございましたように、一つは報酬体系の月払いから日払いによる落ち込みに対する対応措置でございます。それから、残りが六百六十億円で、先ほど申し上げました移行措置に対する措置でございまして、合わせまして九百六十億円を、委員御指摘のとおり都道府県の方に配分いたしまして、十八年度中に基金造成をしていただき、造成された基金を活用して十八年度から二十年度まで、この二十年度までと申しますのは、障害者自立支援法におきましては三年後の見直しということが、検討の上見直すことが法律上規定されておりますので、その意味で二十年度までの事業といたしておりますが、事業の移行につきましては、十八年度においても移行することがあるということでございますので、十八年度、執行できる形で基金を積ませていただいたということでございます。

 三百億の制度につきましては、実際、九〇%を保障するという観点から、九〇%保障をするための、いわば事業者からのデータをとって、それを都道府県の方でチェックしなければならないというようなことを考慮いたしまして、十九、二十年度を想定して行っておりますが、実際影響が生じておりますのは、冒頭申し上げましたように、十八年四月からの給付費におきまして、通所サービス等につきまして、予想を上回る六%のマイナスが生じておるということに着目して予算をお願いしたところでございます。

大串分科員 今話がありました。まず一つに、この九百六十億の、いわゆる激変緩和措置も含めた、障害者自立支援法によるきつい影響を何がしかの財政措置で緩和していこうという考え方自体は我々も反対じゃないんです。これ自体は反対ではないんです。障害者自立支援法、大変な苦しみ、きつさを現場の方々に与えているので、こういうふうな措置をとっていくこと自体はいいんですが、それを補正予算で措置することが適当かどうかという議論なんです。

 今お話がありましたように、その三百億部分について、なぜ十九年度からかというと、県からのいろいろなデータを集めなきゃならない、したがって、厚生労働省の事務方の方にお尋ねしたときも、事業の実施が十八年度は間に合わないと思われたことから、十九年度からというふうにここに書いているんだ、そういうことでありました。であれば、この三百億円、もともと十八年度補正ではなくて十九年度以降に措置するのが、予算の数字からすると、これは筋だったんだろうというふうに思うわけでございます。

 そして、いろいろ聞き進んでいくと、今お話がありましたように、これは基金方式にしているんだと。九百六十億を基金にして、その中に全部で十二本、補助金のメニューがございます。この十二本の補助金のメニューから、都道府県を中心として、市町村で、どういうふうないわゆる支援措置をとっていくのかというのを自由にとっていただけるように、基金方式にしているんだという御説明でありました。

 ですから、結局、資金の出るのも十八年でも十九年でも二十年でもいいように基金方式にしているんだということでございましたけれども、厚生労働省の方が考えていらっしゃる年度内に執行できるというのは、つまり、基金に積むということが十八年度中にできるという意味であって、実際にそれぞれの事業が行われるかどうかというと、それは、この一つ一つのメニューに立ち返って、十九年度からというものも三百億もあるという、そういう非常におかしい状況になっているわけです。

 なぜこういうことが可能になっているかというのは、一つは基金方式を使っているというところもあると思うんですが、この基金方式を使うということ、これは、いわゆる予算というのは単年度予算主義です。単年度予算主義でありまして、つまり、これは憲法にも書かれていますけれども、年度予算をつくって国会は議決するということになっている。これが財政規律の一つの歯どめといいますか、一つの規律の置き方になっているわけです。もちろん、複数年度主義にしていって柔軟に使えるようにしていかなきゃならないという一方の要請もあるので、それをうまく加味していかなければならないと私も思います。

 しかし、この場合、基金にして十八、十九、二十に使えるようにしたということ自体は、私は、これは財政規律という観点からすると合理的な理由があったのかなという感じがしているわけです。この基金方式にしているがゆえに、逆に言うと、十九年度以降執行分だというようなものが三百億入っていても、その基金にお金をぽんと渡すのは十八年度中にできるから十八年度補正でいいじゃないか、そういう理屈にもなってくるわけですね。三百億というのは決して小さなお金ではありません。

 厚生労働省の方からお聞きしましたところ、障害者自立支援法が入ったことによって、措置制度のときと比べてどれだけのお金が浮いているといいますか、財政的に浮くようになったかというと、三百九十億だったそうでございます、年度的にいうと。つまり、障害者自立支援法によって削られた額と匹敵する額が補正で手当てされている、そういうことだったんじゃないかなと思うんですね。

 財務大臣、ぜひこれをお伺いしたいんですけれども、こういうふうに年度内執行という観点からすると、明らかに三百億分、これは補正予算に入る必要はなかったんじゃないか、本予算で手当てするべきだったんじゃないかと私は思うんです。かつ、それがなぜそういうふうになっているかというと、基金方式を使われている。これは、単年度予算主義というものを逸脱して、今申したような、本来であれば本年度予算でつけるべきような内容も補正予算で盛り込めるような理屈の一つになってしまっている。これは財政規律という観点からして非常におかしな内容になっているんじゃないかと思います。この点について、財務大臣として、規律をしっかり働かせるという趣旨からしていかがお考えか、御所見を賜りたいと思います。

尾身国務大臣 十八年度補正予算に計上しております、ただいまお話のありました障害者自立支援法の円滑な運用を図るための特別対策につきましては、障害者へのサービスを円滑かつ安定的に提供していく上で、特に緊急性が高いと考えられる事業者に対する激変緩和措置等を講ずることにしております。この実施に当たりましては、各地域の状況に応じた柔軟な事業の実施ができるよう、国が具体的なメニュー及び都道府県、市町村ごとに交付上限額を示した上で、これを踏まえて都道府県、市町村が対策の実施計画を作成し、必要な事業を実施していくこととしているところであります。

 このため、十八年度を含めた各年度の所要額は、市町村、都道府県が策定する実施計画の内容次第で異なることになりまして、都道府県、市町村の実施計画によっては、国が示します交付上限額の全額を十八年度中に使用する都道府県、市町村も存在し得るところでございます。こうした事情を踏まえますと、都道府県、市町村が行う特別対策の実施に万全を期すためには、都道府県に基金を造成し、そのために要する経費を十八年度補正予算に計上することが必要であります。

 このように、政策上、本年度中に国が支出することが必要な経費を十八年度補正予算に計上し、国会の審議に係らしめるものでありまして、予算の単年度主義に沿ったものであると考えております。

大串分科員 今大臣がお読みになった答弁は、まさに私が問題にした、基金方式にしていることが問題じゃないか、あるいは基金方式をしたことによって、補正予算でいうところの年度内執行等々も含めた緊要性を見えなくしているんじゃないかという問題に関して、まさにその点が問題として露呈していることをあらわしているような答弁だったと思うんですね。ぜひここは、財務大臣でいらっしゃいますから、財政規律という観点で厳しく見ていただきたいというふうに思うんです。

 なぜこういうふうな事態になっているかということをそんたくすると、やはり本年度の通常予算というのが非常に柔軟性を欠くような現状になっているところに問題の根源があろうかと思うんです。すなわち、前年度予算というものがあって、そこから大きく上振れ、下振れがなかなか難しい、柔軟性を欠く、配分の見直しがなかなか難しい予算になってしまっている。前年度主義、インクリメンタリズムというんですかね、そういうふうなものになっているところが問題だと思うんですね。

 そういう予算のあり方、本年度予算のあり方がそうだから、補正予算で財源があるときには、こういうふうに本予算でなかなかのみ込めないところを補正予算でがばっととっておこう、そのためには複数年度とれた方がいいから基金で複数年度分とっておこう、こういうふうな考え方になっちゃうんだと思うんですね。こうならないように、本年度予算の方の柔軟性も確保できるようにしなければならない、そういうふうに思うんです。

 本年度予算の方の柔軟性がないことから生じている問題点は、ほかにもあると私は思います。必要になってきている予算が小さい予算額であっても、なかなかのみ込めなくなってきている。例えば、難病支援の予算なんというのは、私は、そういうふうな一つの例だと思います。

 難病支援、これは社会保障関係費じゃなくて科振費の方ですけれども、難病支援に関しましては予算額が最近非常にふえてきております。治療費補助と研究費補助と二つあります。治療費補助の方についても二百億円台、研究費補助に関しては二十億円台、これで最近、難病にかかられている方が御高齢になっていらっしゃることもあって、非常にこの額が、両方の補助金が最近において急激に伸びてきているという事態がある。これが、先ほど申しましたように、本年度予算、通年度予算の柔軟性が非常にないためになかなかのみ込めなくなってきている。必要な予算であるにもかかわらず、かつ伸びている予算であるにもかかわらず、本予算の柔軟性がないがゆえにのみ込めない、よって難病支援が十分に行えない、こういうふうな状況になっているんじゃないかというふうに思うんです。

 厚生労働省の方にお尋ねしたいんですが、難病支援に関して十全な支援を行うために、対象の見直しに向けた検討が進んでいると思います。私が住む佐賀県には、実は二百万人に一人と言われる、FOPと言われるんですけれども、筋肉が自然と骨になっていくという病気を持たれている方が、二百万人に一人なんですけれども、私の県はたった八十万人です、そこに二人いらっしゃいます。お一人は若いお嬢ちゃん、もう一人は若い男性の方です。筋肉が骨になっていく、そういう病気。こういう方もいらっしゃるんですが、難病支援の対象に向けた取り組みを厚生労働省の方でもやられていると思います。その現状についてお伝えください。簡潔にお願いします。

宮坂政府参考人 簡潔にということでございます。

 御指摘の難病に関連しまして、特定疾患治療研究事業と難治性疾患克服研究事業、二つの事業がございます。これにつきましては、原因が不明だとか、効果的な治療法が未確立とか、患者数が少ない、生活面で長期にわたる支障があります等々、四つの要件がございまして、これをすべて満たす、かつ、全国規模で研究を行わなければその原因の究明や治療法の開発が進まないというものにつきまして、そういうものの中から、特定疾患対策懇談会という、学識経験者の方々にお集まりいただきまして、そこで選定をするということになっております。

 昨年十二月に開催をされました特定疾患対策懇談会におきましては、今年度中、すなわち平成十八年度中でございますが、平成十八年度中にこの懇談会におきまして疾患の選定について議論を行うという意見が示されているところでございます。新たな難病指定につきましては、今年度中に特定疾患対策懇談会におきまして検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

大串分科員 ありがとうございました。

 今、見通しが示されました。FOPをも含めて難病の方々に対する対応、つまり弱い方々、政府の措置が必要な方々はたくさんいらっしゃって、かつふえています。先ほど申し上げた、予算の柔軟性という観点からすると、あるいは予算の効率的な配分の見直しという観点からすると、今世の中で必要なもの、政治的な判断で必要だというふうにして手厚くカバーしていくべきものは、まさにこういう弱い方々に対する予算、難病支援も含めてこういう弱い方々への支援みたいなもの、これは予算額では二百数十億です。小さい予算ではありませんが、厚生労働省予算からすると非常に少ないパートでございます。

 ですから、こういうところも柔軟に見直せるような、そして本当に必要なところへ予算がつけられるような仕組みにしていかなければならないと思うんです。この点について、財務大臣の御所見をぜひよろしくお願いします。

尾身国務大臣 十九年度予算につきましては、財政健全化路線を貫いていく中で予算を大幅にはふやせない、こういう状況にございます。

 ただしかし、全体を抑制する中で、少子化対策、教育再生、あるいは再チャレンジ、地域活性化などに配慮いたしまして、弱い地域や弱者を初めとして、広く国民、地域に温かみのある配慮を行き届かせたい、そういうことを念願して作成していると考えております。

大串分科員 ありがとうございます。

 予算の配分をしっかり見直す、そして本当に必要な方々へ財政の手が届くようにする、FOP等々、難病の支援の方々も含めて。ぜひ財務大臣のリーダーシップをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 終わります。

森主査 これにて大串博志君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神分科員 おはようございます。民主党の北神圭朗でございます。

 引き続き、大串さんの後に審議をさせていただきたいと思います。

 私の方は、北朝鮮に対する外交問題についてお聞きしたい。外務省の事務方にも来ていただいていると思います。

 ついこの間、六者会合というのが閉幕をしているんですが、その前に、日本としても平成七年ぐらいから北朝鮮に対してはいろいろな支援をしてきた、ある意味では、それが破綻をしたからまた仕切り直しということで、六者会合というものが、二月八日でしたか、開催されたというような経緯だというふうに思っております。きょうは、外交問題もありますし、それと、北朝鮮に対して日本としても国際協力銀行を通じて資金供与している、この回収の問題とかいろいろあると思いますので、その点について御質問したいというふうに思います。

 簡単に私の方から経緯を、私の理解の範囲内で申し上げますと、平成七年ぐらいからKEDOという国際共同事業というものを立ち上げて、日本、そして米国、韓国を主として、北朝鮮に対して軽水炉事業の支援をしてきた。これは、別に慈善事業でも何でもなくて、北朝鮮が平成六年ぐらいに、核査察というものを国際機関から受け入れない、そして核兵器の開発の疑いというものが生じた、それをやめさせるために、その引きかえに軽水炉事業でもやってあげようかということで、日本もそれに参加したということだというふうに記憶しております。

 その中で、国際協力銀行からKEDOに対して約四億ドルぐらいの資金拠出、貸し付けをしている、そのKEDOからまた、北朝鮮の軽水炉事業のための資金供与として貸し付けが行われている。さらに、KEDOの事務局経費とか利子補給とか、そういうものを含めると約五億ドルぐらいにも上る、日本円に換算しますと大体五百億円を超える、そんな金額になるというふうに思います。

 それが、一昨年の二月に北朝鮮が核兵器を保有しているという宣言をして、一体何のためにこれまでKEDOを通じてこういう支援事業をしてきたのかということで、当然のことながら、同年の十一月に、KEDOという事業も廃止をする、停止をするというのが正確な言い方だと思いますが、そういう事態になったわけであります。

 ある意味では、そういうことで北朝鮮との関係が混乱してきた、さらに今、核兵器を保有しているという話になって、それでこの前の六者会合というものが開催をされたということであるというふうに思いますが、依然として、日本の立場からしたら、北朝鮮を信用してこれまでお金の貸し付けもしてきたわけでありますが、見事に裏切られたというわけであります。今後、こういう事態の二の舞は絶対避けないといけないというふうに私は思うんです。

 そういう意味合いも込めて御質問したいのは、今回の六者会合の評価というものはまた後ほど議論したいと思いますが、そもそも、今申し上げた、国際協力銀行からKEDOに約四百八十億円ぐらいの貸し付けを行ってきた、KEDOからまた北朝鮮に貸し付けを行ってきた。北朝鮮が約束を裏切って核兵器保有宣言をして、KEDOというものを廃止したのはいいんですが、その貸し付けたお金というものを回収しないといけないと思うんですね。

 これについて、去年も私はこの会で、ちょうどこの日だったと思うんですが、麻生外務大臣にも質問させていただいたんです。大臣は、非常に率直に議論に応じていただいて、読み上げますと、「最もふざけているのは北朝鮮なんだから、ちゃんとその分出せということを、おまえらはおれたちに損害を与えたんだから出せということは、我々としては言わないかぬ、大事なところだと思っております。」という答弁をされております。

 その後、この返済の問題についてどう対応されてきたのか、特に六者会合で問題提起をされたのかどうか、御質問したいと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今先生御指摘のとおり、今回の軽水炉のプロジェクトが終了するに至ったというのは、北朝鮮がそもそも供給協定に定められた約束を守らなかったからだということは明らかでございます。

 それで、北朝鮮とKEDOとの間の供給協定というものを見ますと、その十六条の二というところで、いずれか一方がこの協定に定められたそれぞれの措置を履行しない場合には、金銭的な損失に対する即時の支払いを要求する権利を有するということが供給協定に明記されておりまして、そういう意味では、KEDOは、この軽水炉プロジェクトに関連する金銭的な損失に対して即時の支払いを北朝鮮に要求する権利があるわけであります。

 我が国としては、KEDOの他の理事国メンバーと緊密に連携しまして、KEDOから北朝鮮に対して、KEDOがこうむったすべての金銭的な損失に対する支払いを行うように、口上書で既に五回にわたって要求を行っております。

 それから、先般の六者会合と今回のこういうKEDOをめぐる問題との関係でございますけれども、まさに先生御指摘のとおり、KEDOというのは、九四年の米朝のジュネーブの合意に基づいて行われている事業でありますが、残念ながら、米朝の合意というものは北朝鮮側の行為によって踏みにじられたわけです。そういうことを踏まえて、もう一度北朝鮮に対して核の放棄を迫るというのが今回の六者協議でございます。

 この六者協議において、先般の北京での会合で、第一段階の措置として、KEDOでも、ジュネーブ合意でも彼らが約束しましたけれども、核施設のシャットダウン、そういった一連の措置について約束をさせ、さらにはその次の段階で核施設を無能力化するとか、そういった一連の約束をするのに対応した形で一定限度のエネルギー支援をしよう、それが前回の北京での会合の結果でございまして、それとジュネーブの合意に基づくKEDOというのは全く別のものでございますので、今、私どもは、むしろ六者会合を通じて、北朝鮮に対して核の放棄を迫っていくということが重要であろうというふうに考えております。

北神分科員 私の質問というのは、六者会合で問題提起をされたのかということであります。それで、答弁は、ジュネーブの合意された枠組みと今回の枠組みというのは別個だという話です。

 しかし、それは外交の専門家の間でそういうふうに位置づけているのかもしれませんが、実際の流れとしては、当然、九四年のジュネーブの合意された枠組みが破綻をして、また核兵器を持とうとしている、あるいは持っている、それで、もう一回集まって六者会合で議論しようじゃないかという意味では、これは非常に直線的につながっているというふうに言わざるを得ないと私は思うんですよ。

 日本もそうだし、ほかの韓国もアメリカも、もう一回、ある意味では、私の個人的な意見でいえば、振り出しに戻っているような話ですから、もちろん今回いろいろな新たな工夫をされておるのはわかっていますが、そういう中で、普通は、おまえらは一回約束を破って、お金を貸している、これは韓国もたしか貸していると思うし、アメリカは重油だけの支援をしているんだと思うんですが、それについての総括がなくて、よくその次の話に進められるなというふうに思うんですが、それについてどうお考えですか。

 要するに、一たん今までの話を、これは同じ話ですからね、核兵器を保有して、それをやめさせるという、この一連の外交の中で、なぜこういう総括をせずに次にまた支援の話になるのかというのはとても理解できないんですが、これについてどうお考えか。

伊原政府参考人 KEDOをめぐる問題に関連しては、六者協議をやっているから終わりということではなくて、KEDOの問題については引き続き、私どもとしては、他の理事会のメンバーとも協力しながら、北朝鮮に対して金銭的な損失に対する支払いを強く求める、これは六者協議での取り組みとは別個、これはきちっとやっていくというふうに考えております。

北神分科員 私は、六者会合でも、ある意味では、カードというとおかしいですけれども、そういうことも本当はテーブルにのせて交渉すべきじゃないかなというふうに単純に思うんです。別個に五回もKEDOを通じて北朝鮮に要求をされているという話でありますが、これは具体的に成果を上げているんですか。どういう感じで交渉が推移しているのか教えていただきたいと思います。

伊原政府参考人 残念ながら、今のところ、北朝鮮側からはこれに対する前向きな反応というのはございません。

北神分科員 これはもうわかり切った話で、九四年の合意に基づいた話でも、あれは急に一昨年二月に核兵器を保有したという話じゃなくて、今までも、日本に対しては不審船を送り込んだり、テポドンを撃ってきたり、拉致問題が公式に発覚したりしながらも、日本というかKEDOはずっとそのままお金を貸し続けてきた経緯で、さらに最後に、核兵器を保有しました、それで、やめるかもしれないからまた支援をお願いしますというのが今度の会合の話であるわけです。

 ですから、こんな国は、そもそも私なんかは話にならぬ国だと思っておりまして、とてもこんなものは返済なんかはできないというふうに思うわけであります。

 そこで、国際協力銀行が財務省の所管だということもあるので、財務大臣にお聞きしたい。

 ややこしいのは、すぐ外務省の皆さんはKEDO、KEDOと言うけれども、KEDOなんか、まあこんなものは、国際共同事業といいながら、実質は日本と米国と韓国で仕切っているわけですよ。だから、KEDOに任せているような言い方は私はよくないというふうに思うんですよ。やはり当事者意識を持って、国際協力銀行からKEDOに対して四百億円以上のお金を貸し付けているわけで、その回収の見込みが立たないというか、はっきり言って北朝鮮が返すわけがないというふうに私は断言してもいいというふうに思うんです。

 そこで、自然な疑問として、この貸付金は戻ってこない、今後どう処理されるつもりなのかということをお聞きしなければならない。結局、先取りして私の考えというか、みんなこういう考えになると思いますが、財務大臣としては外交の失敗による穴埋めを恐らく日本国民の血税によってしないといけないというふうに、私のない知恵を絞る中でそういう解決策しか思いつかないんですが、そういう対応もあり得るというふうにお考えなのか、もし、そうでないのだったら、どういう処理の仕方があるのかというものをお聞きしたいというふうに思います。

尾身国務大臣 ただいまの問題、北朝鮮における軽水炉プロジェクト及び重油供給を行うために設立されたKEDOは、我が国との協定において、JBICへの返済を確実にするということを約束しているわけでございます。一方、KEDOの方は、北朝鮮との協定に基づきまして、KEDOがこうむった金銭的な損失に対する支払いを北朝鮮に要求している。

 我が国としては、このようなKEDOの努力にあらゆる協力をするという立場にございます。したがいまして、現時点では、あくまでも北朝鮮からお金を返してもらうという考え方でありまして、北朝鮮が支払いを拒否することを前提としたような御質問にお答えできる状況にないというふうに考えております。

北神分科員 昨年も、この分科会で、当時は外務副大臣であった塩崎官房長官が同じような答弁で、まずは供給協定に基づいて北朝鮮に対するKEDOへの金銭的な損失に対する支払いを要求するというのが筋だ、そして、現時点では、我が国としてあらゆる協力を行うというのが政府としての立場で、北朝鮮が返済を拒否するということを前提で今のようなお話、税金投入の話をするわけにはいかないと、現時点でというふうに去年も言われているわけですよ。

 それで、今、外務省の参事官からお話がありましたように、五回交渉して、多分もう話にならないぐらい全然進展はないというふうに私は推測するわけでありますが、これは私も決して何かくだらない足を引っ張ろうというつもりは全くございません。ただ、北朝鮮に対する外交の問題もありますが、この問題も、例えば同じKEDOにいるアメリカとか韓国、韓国は無理だと思うけれども、もともとこの九四年のジュネーブの話なんか、アメリカ主導で、カーター元大統領が乗り込んでやっているわけですから、米国は非常に大きな責任を持っていると私は思うんですよ、こんなものに乗せられて。だから、米国からちょっとおまえら支援するということも考えられないことはないけれども、これもなかなか難しいと思いますので、これはもういずれ血税を入れないといけないということであるならば、どこかのタイミングで決断をしなければならない。これはやはり早め早めにしないと、だらだらずっといくと、利子の問題はないのかもしれませんが、国民の皆さんに対する説明責任という問題もありますし、これはひとつけりをつけないといけない。

 KEDOが廃止をしてから一年数カ月たって、まだ全然めどがつかない中で、現時点ではそういう税金投入の話はできないという大臣の今の答弁だったんですが、では、どのタイミングで決断をされるのかというのを大臣にお聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 これは、KEDOを通じて北朝鮮に対する軽水炉プロジェクトを進めていたわけでありますが、これを終了せざるを得なかったのは、そもそも北朝鮮がKEDOとの協定に関して核開発を凍結せず、二〇〇五年二月に核兵器保有宣言を行ったことが原因であります。

 したがいまして、こういうことを考えますと、KEDOとしては、KEDOがこうむったすべての金銭上の損失について、引き続き北朝鮮に対して支払いを要求しているわけでございます。ですから、私どもは、このKEDOの立場を踏まえて、KEDOに対するあらゆる協力を行うというのが我々の考えでありまして、それ以上のことは今は全く考えられない、こういうことであります。

北神分科員 全く考えられないというお話ですが、それはもうある程度のめどがついているんですか。要するに、政府としてKEDOに協力をしてお金を回収するという。少しでもそういうめどが立っているんだったらわかりますよ、引き続き交渉していくということであると思うんですが、もう一年もたって、何の進展もない。常識的に今までの北朝鮮の行動を見ると、そんな進展があるはずがないというふうに思うんですが、それでも全然そういうことは考えないというふうにおっしゃるんですか。

尾身国務大臣 この問題は、KEDOが北朝鮮と交渉して、きちっとした返済をしていただくということが必要であり、それが国の立場であります。ですから、この点に関して、いずれ云々とかいうようなことは考えないで、この基本的な線を私どもは貫き通していきたいと考えております。

北神分科員 財務大臣がそういうお立場だったら、私は外務省にお聞きしたいのは、そうしたら、五回やってきた、全然進展がない、外務省としてKEDOに対していつまで要求し続けるつもりなんですか。要するに、これは今のままだったら、皆さんかたくなにみずからの信念を貫かれて、KEDOなんか実体のないようなところが北朝鮮からそんなお金の回収なんかできるはずがないですからね、それをずっとそのまま放置していくというのは、ちょっと私は考えられないんですが、外務省の立場として、何かこういうスケジュール観はおありなんですか。

伊原政府参考人 政府の立場は今大臣の方からお答えしたとおりでございまして、政府全体として、KEDOを通じて北朝鮮からお金を返してもらうように引き続き努力するということだと思っております。

北神分科員 立場は重々わかりましたが、私としては、要求したいのは、これはやはり、そんな精神論というか、あるいは逃げているのかちょっとわかりませんが、いずれこの問題は発覚するわけですから、早目にそれは明らかにして国民に説明をすべきだというふうに思いますので、それだけちょっと申し上げて、次の質問に移りたいというふうに思います。

 次は、六者会合そのものの話ですが、会合の結論としては、初期段階の措置として、北朝鮮が、寧辺ですか、そこの核施設を最終的に放棄することを目的として活動の停止及び封印することを決めた、そしてその引きかえに、重油五万トンに相当する緊急エネルギー支援を開始する、その次の段階の措置としては、北朝鮮がすべての核計画の完全な申告の提出及びすべての既存の核施設の無力化などを行って、その引きかえに、さらに重油九十五万トンに相当する規模を限度とした援助を行うということが合意されたということです。

 日本はその中で、拉致問題を含む日朝関係の現状を踏まえて、初期段階の支援については我が国は参加しないということと、その次の段階の支援についても同じように、拉致問題を含む日朝関係に進展が見られるまで、我が国は参加しないことにつき、関係国は了解と説明されているわけであります。

 外務省のホームページを見て、「共同声明の実施のための初期段階の措置」という採択された正式な文書を読んでも、全然日本の立場が書かれていないわけですよ。ただ、おかしいなと思ったんですが、外務省がつくった概要の中には、括弧書きの中で、拉致問題を含む日朝関係に進展が見られるまで、我が国は参加しないことにつき、関係国は了解というふうに書いてある。

 私も、外交については素人ですが、役人をやっていたこともあるので、こういったことは基本的に一番重要な部分。これは、日本の姿勢としては、私は非常に評価しているんですよ。当然のスタンスだというふうに思うんですが、ただ、それが実行できるかどうかというのが問題でありまして、実行するに当たっては、当然その公式の採択された文書に明記されているのが普通だというふうに思うんですね。なぜ明記されていないのかということを、外務省の方にお尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 先般の北京での全体会合あるいは二国間の会合を通じまして、今先生御指摘のような日本の立場、すなわち拉致問題の進展がなければ日本としては経済、エネルギー支援には参加できない、そういう立場については、明確に我が方代表団の方から一貫して発言をしております。

 その結果として、日本は、そういう意味で、今回五万トンあるいは九十五万トンについて今は参加しないということでありますけれども、この五万トン、九十五万トンについて参加するという意向を表明しておりますアメリカと韓国とロシアと中国、この四カ国が、ではどういうやり方で支援をするのかということを話し合って、これは文書で彼らの中で合意をしております。それは彼らの文書ですから、私どもが公表するというものではございませんけれども。その彼らの文書の中で、この四カ国は平等と公平の原則に基づいて支援をするんだということがはっきり書いてあって、その後に、日本については、日本の懸念、これは当然拉致問題です、日本の懸念が手当てされるに従って、日本も同様の原則に従ってこの支援に参加してくれることを期待するということがはっきり書かれている。その書かれた文書については、全体会合においてもみんなに明らかにされて、北朝鮮も含めてそれは見ている。ただ、その文書そのものは四カ国の文書である、そういうものがございます。

 したがいまして、そういう意味で、この日本の立場、すなわち日朝関係の進展がない限りは具体的な経済、エネルギー支援には参加しないということはこの四カ国においても明確に認識されている、了解されている、そういうことでございます。

北神分科員 その四カ国の文書というのはまた後で、それは入手することはできるものですか。

伊原政府参考人 今申し上げましたように、それは四カ国がつくった文書、四カ国のものですので、私どもの方から公表するような性格のものではないと思っております。

北神分科員 例えば、アメリカとか韓国からは入手できるということなんですか。

伊原政府参考人 入手云々というよりも、それを対外的にどう明らかにするかということについては、まさに四カ国の御判断であろうというふうに思っております。

北神分科員 わかりました。それについては、また私も検討していきたいというふうに思います。

 時間がございませんので、最後の方で、経済制裁の話に移りたいというふうに思います。

 まず、外務省にお聞きしたいのは、六者会合の今回の結果を受けて、要するに拉致問題等を含めたそういう日本と北朝鮮の間の懸念事項が進展をするまでは支援をしないということですから、それまでは、今までの経済制裁に象徴されるような北朝鮮に対する厳しい姿勢というものは崩さないという理解でよろしいんでしょうか。

伊原政府参考人 我が国が北朝鮮に対してとっております措置については、今回の六者の会合あるいはその合意文書を受けて今後北朝鮮がどういう対応をするのかとか、あるいは安保理の決議もございますので、これは安保理で今後どういう議論が行われるかとか、そういった国際社会の動き等も踏まえて総合的に判断していく問題だというふうに思っております。

北神分科員 総合的に、それは情勢を見ながら当然判断をされていくんだと思いますが、現時点で、私は、その経済制裁というのは当然続けておられますし、それを維持すべきだというふうに考えているわけであります。

 そこで、財務大臣にお聞きしたい。この前、二月二十六日に、米国財務省のグレーザー財務次官補代理がマカオに入られた、バンコ・デルタ・アジアという銀行において凍結をされている北朝鮮関連口座の凍結解除問題について協議を行ったという、これは私は報道でしか見ていないんですが、そういった報道がありました。その報道によれば、違法行為と無関係の口座、これは多分アメリカの愛国者法という法律に違反していないと思われる口座について、凍結解除の方向で話が進んでいるということになっているわけであります。

 これはまだ決まっていない話だと思いますが、仮にアメリカが金融制裁というものを緩めるということになれば、それは我々の、日本としての金融制裁に直接影響を及ぼすものではないというふうに思いますが、やはり金額からしてみても、日本独自で金融制裁をやってもほとんど効果がない、これは当然アメリカが参加していないと意味がない。例えば、このマカオのバンコ・デルタ・アジアというのは、二十八億円今まで北朝鮮関連で凍結をしているわけですよ。日本は今まで九十万円ですよ。ですから、そのくらいアメリカの金融制裁の重みというのは非常に大きい、連携をしないといけない話だというふうに思いますが、この今回のバンコ・デルタ・アジアへのダニエル・グレーザー氏の協議についてどうお考えか、お聞きしたいと思います。

尾身国務大臣 二月の二十六日に、グレーザー米財務次官補代理がマカオに行って、バンコ・デルタ・アジア銀行問題についてマカオ当局と協議を行ったということは私どもも承知をしております。

 しかし、このバンコ・デルタ・アジア銀行の問題をどう取り扱うかということは、一義的にはアメリカの財務省の問題でございまして、私どもとして、この問題について、現在コメントすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、この北朝鮮の核問題、核開発問題は、日本、アジアだけではなしに、人類全体に対する脅威であり、断じて容認できないと考えております。財務省といたしましては、昨年九月から、北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及びミサイル開発計画に関する十五団体一個人に対して資金移転防止措置を実施しているところであります。

 現在の核不拡散体制は崩壊の危機にあるというふうに私は考えておりまして、全人類の未来のために、国際社会が連携して核不拡散体制を維持するための努力を強化しなければならないというふうに考えております。そういう中で、米、中の財務省とも日ごろより情報交換を緊密にしているところでございます。

北神分科員 最後にしますが、きょうの質問で申し上げたかったのは、今回の金融制裁の話も、アメリカの方は私の理解では独自に動いている、多分今回の件でも、それ自体について事前に日本に相談があったとも思えないし、独自に動いている。そして、それは、アメリカの国益に基づいた世界戦略の中でイランの方が大事だから、今度日本もイランの制裁にも参加しておりますが、あるいはさせられておりますが、こういったアメリカの戦略がある。

 日本が、本当に拉致問題を含めて北朝鮮との関係で自分たちの国益を確保するんだったら、これはアメリカの世界戦略にある程度影響されるのはしようがないと思いますよ、今の国力の中では。でも、やはりそこを、自分たちの利益をちゃんと踏まえてしっかりと交渉していただきたい、それに失敗すれば、北朝鮮の問題に限らず、今後全部請求書が日本の財務省に行くわけですから。これはひいては、大臣、はっきりおっしゃらないけれども、国民の税金で穴埋めせざるを得ない。

 こういったことを、私は決して軽々にこれは批判する話ではないと思います。もっと本当に根本的に国の防衛とか外交問題に及ばないといけないけれども、皆さんがある程度正直に問題を認めないと、そこまで問題が行かないんですよ。そして、みんな適当に責任逃れでいって、うやむやになって、日本の国益がどんどん失われていく、そういう懸念を申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

森主査 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)分科員 民主党の小宮山泰子でございます。

 きょうは、この第三分科会、尾身大臣がお見えになっていらっしゃいますが、こちらの方で質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日なんですけれども、私も、おかげさまで、国会議員、衆議院議員にならせていただいて四年目となりました。おかげさまで何とか二期目に無事入りまして、一期目のときは、先生の非常にバラエティーに富んだというか、予算委員会で鋭いお声がけをする姿を、通路を挟んでではありますけれども隣の方で見ておりまして、やはり議員を重ねるということは、いろいろな歴史を御存じで、そして税の成り立ちやいろいろなことを御存じなんだな、逆に言えば、そこまで言わなくてもいいなと思ったこともありますが、あのときに横に、間接的に横ではありますが、座らせていただいて、非常にいい勉強になりました。これからも、そういう意味で、私もいい意味での声がかけられるように、また、いい意味でそういったいろいろな判断ができる、わかる議員になっていきたいと思いました。

 さて、きょうなんですけれども、私も、この四年間という間、いろいろな税の使われ方を見ていて、社会保険庁の問題あり、そしてタウンミーティングもそうですが、多くの問題、税の使われ方によって、国というものは国民を幸せにできるのか、そしてできないのかということを痛感することがありました。

 とりたてて、私は、おととし通ってしまいましたけれども、障害者自立支援法などその予算を見てみると、その年、それを超すような衆議院の突然の解散、ここに予算があるならこんなところに使わなくてもよかったんじゃないかと。約百億以上、障害者自立支援の支援費は一年間に六百八十億ぐらいであって、それを財源がないからといって切っている、そしてその年に七百七十億を使って衆議院解散、これは一年九カ月で解散ですので、四年間しっかりとその分消化すればいいのにと思わないでもありませんでした。

 そしてまた、私も本会議場で反対討論をさせていただきましたけれども、その年の定率減税の廃止。今、この影響というのは、高齢者世帯など、また、ローンを抱えて一生懸命働いている世代に大きな影響を及ぼす。

 そしてその一方で、私も国土交通委員会等でも質問させていただいておりますけれども、国が持っている全国十四カ所の地下駐車場、これは、ありていに言えば、天下り団体の方で全部運営されている、そういったものに対し、都市の交通渋滞を緩和するという理由で建設費一千億円も出している、こういう中で、それは、これからも回収することができないという答弁もいただきました。

 予算というのは、行政サービスを受ける上において、だれが担っていくのか、そしてどうしてふやしたり、また使っていくのかということを日々考えております。

 そこで、本日なんですけれども、大きくは二点、これから将来夢のあるという意味では、国内製造のお酒、これは今、日本食があちらこちら世界じゅうでブームでありますが、しかしその割には、日本でワインや他国の酒類が普及している以上にまだまだふえていない。その歳入の意味では大きなものだと思いますので、その点について。

 もう一点は、今現実に、土地の売買等、またいろいろな資産の流動化というものを国土交通とあわせてやっていますし、この点に関しては、非常に大きな額が動くからこそ国も潤っていく、活気があるというふうに考えます。その中において、今、特別会計の問題もございますけれども、法務省の登記特別会計の手数料の関係について、大きくは二点、まずは質問していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、最初なんですけれども、本当に法務省の方も、いろいろな資料も出していただきまして、遅くから早くから頑張っていただいてはおりますが、登記手数料のことについて質問させていただきたいと思います。

 この登記手数料、現在、登記手数料収入というのがありますが、昭和五十四年には三百五十円だった登記事項証明書の額、これが、昭和六十年以降、特別会計を設置することによって、コンピューター化のための手数料ということで年々上がっております。現在は、平成十年から既に千円に上がっています。そして、これは九年間変わることなくでありますし、特別会計に関しては平成二十二年で終わるということで、この千円がどうも維持されるのではないかということになっています。

 そして、コンピューター化に関しては、当初の予定では、これは法務省のホームページには、登記事務コンピューター化経費はどんな内容かとか、そういったQアンドAの中にあるんですが、「コンピュータ化経費をはじめ、謄抄本作成機器の整備経費や窓口整備のための経費など、登記情報の保存、管理、公開事務に必要な経費に使われています。 予算を使うに当たっては、真に必要な経費にとどめるとともに、コンピュータ機器等をより安価な新機種に更新するなど経費の削減に努めています。」。

 そして、いつまでかということは、これは更新が全然ないので、この情報では平成十五年度ぐらいまででとまっていること自体も問題だと思うんですが、ここの段階では、「平成十六年度末までに、全国の主要な登記所における土地・建物の登記についての移行作業を完了させたいと考えています。」これは、結局、十九年までかかったということでよろしいんでしょうか。

    〔主査退席、倉田主査代理着席〕

後藤政府参考人 登記事務のコンピューター化の件でございますけれども、現在では、不動産については、全国の土地建物のうち約九一%が完了している状況でございます。十九年度中にこれを完了させたいということで作業を進めております。

小宮山(泰)分科員 実際、現場では、コンピューター化をしたならば、終わっているならば、極端に言えば、もとに戻せ、コンピューター化の費用というのはもう終わっているのではないかという声が上がってきているのは御存じでしょうか。

後藤政府参考人 登記手数料のあり方については、各方面で御指摘を受けていることは承知しております。

小宮山(泰)分科員 実際、私も伺いながら、本当にこの額も大きいですし、先般、法務委員会で我が党の高山代議士も質問に立たれています。登記の費用というのは、全体で二千七百九十五億ほど平成十五年度以降でもかかっておりますし、これからも大体二千億を超す、二千七百億前後ぐらいというのを見込んでいらっしゃる、ある意味大きな額だとは思います。

 実際には、私自身も、ある意味、そういうコンピューター化のために特別会計で証明書の手数料というものをふやしたのならば、終わったのなら終わっていいんだと思うんですね。また新たにしっかりと見直さなければいけない時期が来ているんだと思います。

 特に、この登記手数料の額の積算方法というのは、読み上げますと、「登記事項証明書等の交付等に係る登記手数料の額は、物価の状況、登記事項証明書の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して定めることとされており(不動産登記法第百十九条第三項、商業登記法第十三条第一項、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律第四条第四項。)、また、各種手数料については、おおむね三年ごとに見直すこととされている。」。

 簡単に言えば、いただいた手数料、どれだけ費用がかかって、そしてどれだけの申請要請があって、その件数で割って手数料を出すということで、ある意味、経費と手数料が総額でとんとんになることを見込んで出されているということで、この千円という額が出てきているというふうに理解をしています。

 数式的にいいますと、平成十五年からの資料はいただけたので、それでいいますと、謄本だけを取り上げますと、経費が千八百九十六億円、全体の六八%の経費をこれで使っていらっしゃる。そして、件数は一億八千九百万通。だから、一件当たり千円ぐらいかかる。実際にはもう少し低い予算でできたような話もありますが、証紙の関係が百円単位なので千円にしたというふうに説明は受けております。

 コンピューター化が済んでオンライン化されて、オンラインでも申請ができるようになった時点で、またいろいろな、人件費とかたくさん、細かい数式で出してくださったんですよ。

 それを見ますと、書面による請求が一億五百万件、少し減る、そしてオンライン請求の方は五千五百万件ぐらいになるということで積算をされて、経費の案分でいくと、書面による請求が千二十四億円、そしてオンライン請求だと、窓口を通さなくて済む分、三百八十七億円というふうに計算を出し直されているのですが、一件当たり千円、書面によるのは、千円は変わらないんですね。

 コンピューター化するから予算をとったという額で、また、これは、特別会計が終わる時点までの三年間はこれでやるというふうに今言われているわけですが、オンラインになると、コンピューター化した恩恵を受けるにもかかわらず、七百円で、手数料はかからなくなるんだというふうに説明を受けたと私は理解しているんですが、その点はよろしいですか。

後藤政府参考人 御説明させていただきます。

 今委員の御指摘の一千二十四億円あるいは三百八十七億円は、三年分の経費ということでございますので、単年度で見ますと、その三分の一の経費がかかる見込みだ、こういうことでございます。

 それで、現在では、オンラインの請求の場合と書面の請求の場合、手数料は両方千円でございますが、平成十九年度の四月以降は、今の予算案では、オンラインの請求については七百円ということでお願いをしているところでございます。

 これは、今後、オンライン申請の促進に伴って、オンラインの請求がかなりふえてくると思われますけれども、その場合には、私どもでかかる経費が、書面請求の場合とオンラインの請求の場合とで、登記所の側で要する経費にかなりの違いがございます。その違いを反映させて、書面の請求の場合には一通千円となり、オンラインで請求された場合には一通七百円で算定させていただいたということでございます。

小宮山(泰)分科員 この前の高山委員の質問の中では、この中には公費でやっている部分が、手数料を払わないでもらえる、約二割ぐらいといいましたか、全体で入っている。

 そして、お話を伺いまして、ここで私が問題だと思っているのが、これは、収益性は悪くはないんですよ。過去、平成十六、十七年度を見ると、最初の見込みよりも三十億以上、支出もあるけれども収入も一千億を超えたりとかしているんですね、実際には。そういう観点で見ると、コンピューター化をするといったところに関して言うならば、だれが費用を持つのかということが、公平性の観点からいうと、多分出てくるのではないかと思うんです。

 要するに、確かに、窓口で人件費は使うかもしれません。今、この内訳を細かく分けてきていただいていますが、窓口でやりますと、人件費は金額にして一通当たり三百二十円、物件費百八十九円、そのほかの印紙とかいろいろなもので四百六十四円、合計九百七十三円かかり、処理件数一件当たりの単価が九百八十円になる。先ほども言いましたけれども、収入印紙の関係で、百円単位なので、千円になるということ。そして、オンラインを使うと、これは、人件費はぐっと下がって、単価当たり九十五円になり、物件費は五十六円、そのほかのオンライン申請でいくと五百四十九円になるから、合計ぴったし七百円になるというふうな説明を受けました。

 これは、ある意味、分離をして試算を出すならば、正確に言えば、確かにそうだとは思うんですが、オンラインをするために、今までの方もそうですけれども、ひたすら千円を払い続けてくださった方々がいるわけですよ、結局は。さらに、公が使うための二割の費用もこの人たちは負担をしているんです。

 性質上、案分で割っていきますので、ある意味、非常に公平につくられた手数料の算出の仕方をしているんだと思います。しかし、こうやって考えると、後から出た、今まで一生懸命コンピューター化について払っていた方々は、窓口でやる限りはその恩恵にあずかることもなく、さらに、まだ地図の部分が終わっていないということで、コンピューター化という部分は一段落をしたにもかかわらず、これから地図情報システムの全国展開というところにこの会計は入るわけで、これに関して言えば、オンラインを使おうが窓口を使おうが、どちらも負担は一緒なわけですよ、ある意味。

 そうやって考えていくと、同じようにやっているならば、これは、本来であればもとに戻すのが定石だと私は思うんですが、合計していくと、もしフラットにするならば、一件当たり八百八十二円。実際、今までも、超したり、少し減ったりとかする場合でも、二、三円とかであるならば、その手数料を、四捨五入なのか確認はとれなかったんですが、削っていたりとか、いろいろしています。

 実際、歳入、今までの収入を見ていきますと、ふえることもあり得るわけですから、八百八十円、これは、証紙の関係上で言うならば、場合によっては、八百円なのか九百円なのか、窓口で端数を切り捨てることをしなければいけないでしょうが、オンラインは、その点だけはちょっと譲ったとしても、八百八十二円でも構わないんだと思うんですね。そういう意味では、本当の意味で、同じ会計であるならば、その点は、利用者に関しては区別することなく、今までの負担をされていたことを考えれば、ちゃんと均一にするべきなのではないかという発想もあるんだと思うんです。

 この点に関して、利用者の負担に関して、どうするべきであるか、御所見があれば、ぜひ伺わせていただきたいんです。

後藤政府参考人 委員も先ほどから御指摘になっておられますように、登記事項証明書の交付等の手数料、登記手数料の額ですけれども、物価の状況、登記事項証明書の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して定めることとされております。

 コンピューター化の完了時におきましては、それまで必要としていたコンピューター化の移行経費は不要となるということから、それに要する実費相当分が手数料引き下げの要素となるものとは考えておるところでございます。

 いずれにしましても、コンピューター化完了後の積算につきましては、その時点での実費と利用状況を勘案して、適切な手数料額となるように、関係機関と調整の上、見直しを行ってまいりたいと考えております。

尾身国務大臣 一般論で申しますと、だんだんとITによる行政手続が進んでまいりますから、この種の手数料については、コスト主義であれば徐々に軽減する方向に行くんだろう。また、それによってIT化を促進することにもなる、いわゆるパブリックセクターだけではなしに、こういうことを通じて全体のIT化が進み、日本全体の生産性が向上する、こういうことになるんだろうと考えております。

小宮山(泰)分科員 ぜひ、この特会、細かく見れば、実を言うと、収入が結構、百億近く見込みよりも上だったりとか、いろいろあります。そして、手数料はきちんとその使った額を割るということが積算する根拠であると書いてあるにもかかわらず、本当に頑張ってはいただいたんですけれども、過去の部分についての試算が出てまいりませんでした。本当は、もしかするともっと安く上がっているかもしれない。逆に、もしかすると千円以上かかっているかもしれない。件数がわからなかったんですよ、この質問の準備の段階で。

 そういう意味においては、利用者の方は、やはり千円という額は小さくありませんので、非常に苦労されていると思いますし、この点において、ぜひ、この特別会計のあり方も含めまして、十九年度以降、また二年間特別会計として残す法案が提出されていますが、本当の意味できちんとした案分にしていただきたいと思いますし、利用者負担ということも、先ほど言いました、恩恵を受けるのがオンラインの方だけというのではなくて、本来であるならば、オンライン化、コンピューター化をしたからこそ全体の経費が下がったんだということで、全体が下がるのが本来の姿だと私は思っておりますので、その点をぜひ御検討いただき、前向きに対処していただければと思います。

 さて、地図の問題に関しては、国土交通大臣も本当に頑張っていただいていると思いますし、筆界の問題、その当時の北側国土交通大臣も、弁護士のときには、土地の境界線の問題とか出てくると非常に苦しいことがあるから、余りその仕事を受けたくないような発言もされていましたし、ほかの弁護士さんも同じようでした。

 この点に関しては、国土交通省任せではなく、やはり最後の最後、本当のところ、古い歴史があって時間もかかる、手間もかかることですし、これをやる方々も、公的なことをやる方は、ボランティア精神というか、非常に奉仕の精神があるからこそやっている、余り単価は必ずしもこの仕事は高くないので、ある意味そういった登記の関係をやるというステータスがあるから頑張れているという現場の現状もあります。

 ぜひ、この点に関しては、予算も含めまして、もっと法務省は頑張っていただきたいということを伝えさせていただいて、この問題に関しては終了させていただきます。

 さて、大臣も恐らく、予算委員会も続いてまいりまして、今一番、復活折衝から含めて、いろいろな意味で大変お忙しいと思います。

 ちなみに、大臣はお酒は飲まれますか。――はいと。ありがとうございます。酒税という問題、いろいろな方が今までも質問しておりますけれども、本当に今、日本食ブームと世界じゅうで言われております。私も、昨年九月に、党の観光政策推進調査会でイタリアの方に視察に行きました。アグリツーリズモで、そういう意味では新しい農業政策、観光とあわせたものという意味で、ある意味、外貨収入であったり農家の定期的な収入につながるということで、非常におもしろい、興味深い視察をしてまいりました。

 ただ、そこで、日本大使館の方に、今一番何がレストランとかではやっているんですかと聞きましたら、日本食で、すしであると。イタリアまで行って日本食を食べる必要はないかなと思ったので、イタリアにどっぷりはまりながら、はまりながらという言葉は適切じゃないかもしれませんけれども、堪能して帰ってきたわけです。

 そこで、考えていきますと、お酒というのは、今日本にもたくさん入っていますが、この飲食の分野、食品業界は約二十兆円ぐらいの規模があります。大きなマーケットであるにもかかわらず、なかなかこの生産が追いつかない。また、関税障壁であったりとかいろいろな、日本は量の問題で、ボトルだったら七百二十ミリリットルであったりとか、そういったような関係で、輸出をするといったときに障壁がいろいろあります。各国の障壁もいろいろありますが、その点に関して、当然、財務省というか国税局でこの輸出推進に関して大きな提言もホームページ上はしておりますが、現実にはまだまだ解消されていないんではないかという思いがしてなりません。

 その点でお伺いしたいものなんですけれども、まず、ヨーロッパでありますと七百二十ミリリットル瓶では輸入できない国とかがあります。七百五十ミリリットルに合わせるようにということで、当然、その分の差異があれば、場合によっては、これはみなしで七百五十ミリリットルであるとみなすことによって障壁がなくなるんではないかというふうにも考えます。

 ぜひ、財務省、これは外務省とかそういったところの担当なのかもしれませんけれども、お酒を扱うという意味では財務省が中心であります。また、度数の問題とか醸造酒のアルコールを入れているというところに関して言いますと、アメリカとかですと純米とかであればいけるんですが、この点に関しては、醸造アルコール、昔からの吟醸酒であったりというものに関しては輸出ができない、やりづらい、関税が非常に税率が高くなって、日本人が昔から飲んでいる形のアルコールであっても、それが認められないというふうなことがあります。

 しかし、実際には、ワインでも、そのつくり方によっては、ハードリカー扱いというか、ソフトリカー扱いになってという意味では、混入している場合もあります。一定の制度であって、同じ条件であるならば納得できるけれども、実際には、今日本は、その点に関しては非常におくれているんではないかと思います。

 こういった関税、これは、各国ごとにアルコールの扱いが違いますので、大臣、もう少し力を入れてやることによって、この分野はもっと伸びるんだと思います。例で言えば、フランス国内のワインは、国内消費は確かに下がっているけれども、実を言うと、フランスワインは海外に出ることによってその消費量や販売、また小さな経営者というものも守られているんだと私は考えております。実際、国税局の中においても、そういった答申というか座談会、言葉も出ております。

 この点に関して、今後どういった対応をされていくのか、力を入れていらっしゃるのか、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

尾身国務大臣 最近、海外で日本食ブームが起こっておりまして、これに伴いまして日本酒の需要も増加しておりまして、国税庁といたしましても、お酒の製造業者に対する各種の輸出支援の取り組みを実施しております。

 もっと具体的に言いますと、各国の流通の事情とかあるいは輸出の事例を紹介する輸出セミナーを開催したり、あるいは輸出マニュアルの作成などの支援を行っております。また、海外で日本酒の海外清酒プロモーション会というのを各地の大使館と共催して行っているなどの協力も行っております。また、酒類製造業界からの要望も踏まえまして、各種の国際交渉の機会をとらえまして、日本酒類の海外への参入障壁の問題についても対応しているところでございます。

 ここ五年間で日本酒の輸出はかなり伸びておりまして、数量が、五年前の七千五十二キロリットルから一万二千六十九キロリットルと一・五倍、金額は、三十二億円から六十一億円と二倍に伸びているわけでございます。おすしのブームと並んで、日本の伝統文化と密接に結びついた日本酒が海外で大きく飛躍をするということは、大変に文化の交流という意味でも経済の面においてもプラスでございまして、私どもとしても、こういうお酒の国際化ということに全力を尽くしてまいりたいと考えております。

小宮山(泰)分科員 ぜひお願いしたいと思います。

 本当にいろいろな障壁があるし、各国それぞれ、アルコールに対しての対応も違います。しかし、それは、やはり外交交渉等、また考え方で、いろいろな意味で乗り越えられる部分もたくさんあるんだと思いますし、この分野、これから発展可能性があるという意味においても、ぜひ、さらなる後押しもお願いしたい。

 そして、それをするための前提となる日本の酒蔵というもの自体が、非常に今苦しい状態にあります。大きなところはそれなりに努力もあるし、自分で流通ルートを確保したり、また、現地法人をつくって出すことはできます。しかし、今、スーパートスカーナであったりとか、いろいろな小さなシャトーであっても、世界じゅうの市場ができている。それと同じような原理で言うならば、日本の小さな酒蔵というものももっと守られるべきではないか。

 実際、戦後、統合等を進める形になってしまったために、ある意味、地方の酒蔵というものが統廃合によって逆につぶれていってしまったということも伺っておりますので、その点に関しては、地域の活性化、地方分権ということも考えていくと、まだまだやるべきことがあるのかなということがあります。

 そこで、もう一点お伺いしたいんですけれども、小さな酒蔵とかを守るという意味においては、平成十九年度で一回期限が来てしまいます、租税特別措置法の八十七条によって酒税が軽減されているという現実があります。これは、等級を廃止したときにできたものだというふうに私も伺っているんですが、これがなくなるとまた、昔からある、そして地域のお米を使ったり、その土地でとれた水を使ってそこでしかできなかったお酒、そして世界に向けて資産となるような産物、製品というものがつくられなくなってしまうおそれがあるんだと思います。

 私の町、川越におきましては、唯一最後にありました造り酒屋さん、ここも、町中ということもあるし、また後継者ということもあって、何年か前に廃業されました。そういう意味においては、一回廃業すると、また復活するのはなかなか難しいわけですよ。

 そういう観点からも、今あるものがさらにちゃんと残れるようにする。スローフードとかいろいろな、地域が今目指すもの、そして見直される時代に入ったからこそ、この租税特措法が今度切れた場合、また新たなるそういった地域、結構面積も要りますし、周辺のこともありますので、何かこういったことに関して早急に対策を打って、安心して続けられるんだと。特に、仕込みのころというのは冬が多いです。それが終わったときに、その前に廃業するか、早目に考えてしまうところも現実には出てくると思います。

 ぜひ、そういう意味で、この点に関して何か対策を打っていかれるおつもりがあるのか、お伺いします。

倉田主査代理 時間が経過しておりますので、簡潔にお答えください。

尾身国務大臣 昨今は、日本のお米も輸出をするというようなことで、多くの方が関心を持っているわけでございますが、日本酒につきましても、文化の交流という意味も含め、地域活性化という意味も含め、大いに打って出ることは大変大事だと思っておりまして、今のお話もございましたので、いろいろと検討してみたいと思っております。

小宮山(泰)分科員 ぜひ、地域の活性化、本当の意味で財源となる、そして地域においても財源となるこういった動きというものをとめることなく、そしてしっかりと保護する、その一方で無駄遣いは徹底的に洗い出して、切るところは切っていただきたいと思います。

 特別会計もそうですけれども、まだまだ切れるところは大臣一番よくおわかりで、いろいろなことがあって切れないんだ、目を見ているとそう思います。ぜひ、その点に関して期待をしながら、その点に関してはまた今後も提案し続けるということを伝えさせていただきまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

倉田主査代理 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島昭久君。

長島(昭)分科員 民主党の長島昭久です。

 きょうは、財務大臣に、特に防衛予算、防衛関連予算を中心にお伺いをしたいと思います。

 大臣のことしの年頭の財政演説、これはいろいろな、すべての分野を網羅しなければならないので仕方がないんですが、たった一行、「防衛関係費については、弾道ミサイル防衛や米軍再編事業等に的確に対応しつつ、一層の効率化を図っております。」こういう一文があるのみで、国民から見ると、なかなかこれだけでは、どういう姿勢で大臣が取り組まれているかというのはわかりにくいだろうと思いますので、きょうは限られた時間ですけれども、少し大臣から御所見を承りたい、こう思うんです。

 その前に、今回、防衛関連経費の中で、防衛予算の中で一番焦点になっているのは、在日米軍基地の再編の問題であります。

 その点でいくと、尾身大臣は沖縄担当大臣を平成十三年の四月から翌年の九月まで、第一次小泉内閣でお務めになられて、言ってみると、今回は日本全国での在日米軍基地の再編ということになりますけれども、当時は沖縄の米軍基地の再編、私はミニ米軍再編と呼んでいるんですけれども、ちょうどその沖縄の米軍再編の真っただ中だったというふうに思うんですね。

 一九九六年に、平成八年ですけれども、SACOの合意がなされて、例の住宅街に囲まれた普天間の基地を移設する、返還をして代替施設をつくる、県内につくるか県外につくるか国外か、こんな議論があって、九九年、平成十一年でありますが、移設に係る政府方針についての閣議決定がなされて、もちろんその前に沖縄と政府との間で結論を得ているわけでありますが、いわゆるキャンプ・シュワブ沖の海上に代替施設を建設する、こういうことが決まりましたね。そして、それを受けて代替施設協議会が立ち上げられて、ちょうど尾身大臣が担当しておられたときに、二〇〇二年でありますが、基本計画が決定をいたしました。

 しかし、その後、紆余曲折があって、今日まで移設が実現をしないまま、これは裏を返して言うと、危険きわまりない普天間の海兵隊基地がそのまま放置されざるを得ない、そういう状況が続いている。三年前の二〇〇四年の八月には、海兵隊のヘリコプターが国際大学の近くに墜落をする、こういう事件がありました。幸い、沖縄県民の間に死者やけがをされた方は出ませんでしたけれども、これは本当に一触即発の沖縄の状況を如実に物語った出来事だというふうに思います。

 沖縄に非常に思いも強く、造詣も深い尾身大臣、ぜひ、この基本計画をお決めになった担当の大臣として、その後、それが実現に至らなかった、その辺の経緯について、どんな御所感をお持ちか。とりわけ、政府の閣議決定で決められたことがなされなかったという、この事実は重いと思うんです。なぜならば、今回も米軍再編という形で閣議決定をして、新たな構想に向かって政府が努力をする、こういうことになりましたけれども、同じ政府ができなかったことが、なぜ今回できるのか。その辺も含めて、尾身大臣の御所見を承れればありがたいと思います。

尾身国務大臣 確かにおっしゃるとおり、二〇〇一年十二月に第八回の代替施設協議会というのがございまして、そこで辺野古周辺のリーフ上に移設をするということで合意をし、細かいことを詰めまして、最終的には二〇〇二年の七月に普天間飛行場代替施設の基本計画というのが策定をされました。これを受けまして、防衛施設庁が平成十六年四月から環境影響評価手続を開始して、九月からは海底のボーリング調査にも着手したわけでございますが、一部反対派の妨害等もございまして、このプロセスが進捗をしませんでした。その後、今のお話の、平成十六年の八月の宜野湾市におけるヘリコプターの墜落事故等もありまして、いろいろと日米間あるいは日本、沖縄の間で話し合いもなされているところでございます。

 私は、昨年の十二月に、今度は財務大臣に着任後初めての普天間移設第二回協議会というのがございまして、それに出席をさせていただきました。日米間でも、全体の米軍再編との関係で、その一環として普天間移設の問題が協議されているわけでございますが、私自身はそのときに、沖縄の県民の皆様と中央政府との間の相互の信頼関係というのが一番基本ではないか、こういうふうに申し上げたわけでありまして、この問題の担当はもちろん防衛大臣でございますが、そういう意味の信頼関係というのがベースで問題が解決できることを私としては祈念しているところでございます。

長島(昭)分科員 おっしゃるとおり、信頼関係は一番重要だと思います。

 ただ、今、政府は、この問題はイントロなので余り立ち入りたくないんですが、今大臣が非常に重要なポイント、信頼関係というふうにおっしゃったので、重ねて伺うんですけれども、この前、第三回の、今おっしゃった協議会をやりましたね。たしか名護市の方からは、あるいは沖縄県もそれを後押ししているんでしょうけれども、何とか日米間で決めた合意を多少修正してもらえないだろうか、その修正も議題にのせてやってもらえないか、こういう申し出があったというふうに伝えられていますね。

 大臣の後任の高市大臣は、修正協議もきちんとやろうよという御発言をなさっている。それから、防衛大臣も、ことしの一月ですか、別にV字じゃなくて一本でもいいんだ、本当に三者が、つまり沖縄、日本政府、そしてアメリカ、この三者が合意できる筋だったら、そんな一ミリも動かさないとかそういうものではないんだというお話もされています。しかし、総理も、あるいは官房長官も非常にかたいですね。そういう修正協議には応じられないというような姿勢なんです。

 沖縄担当をなされた、しかも協議会に有力な財務大臣として入っておられるお立場で、閣内における温度差の違いというか、この問題を何とか実現しようという目的に向かって、今の状況をどういうふうにごらんになっていて、どんなアドバイスをなさろうと思っておられますか。

尾身国務大臣 この問題は、直接には政府部内では防衛省が担当でやっておりますし、また、そういう中で、アメリカとの話し合いも、外務省、防衛省でやっておられると思います。

 私自身は、今、財務大臣という立場で、米軍再編にかかわる予算の面についてはかかわっておりますが、昔、かつて沖縄を担当していた者として、先ほど申し上げましたように、沖縄の県民の皆様と中央政府との間の信頼関係というのが一番大事だという、極めて大事であり、かつ基本的なことだけを申し上げて、具体的な折衝などについては、そういう考え方のもとに、ぜひ関係者が協力をして問題を解決していただきたいという私の希望だけを申し上げさせていただきまして、具体的にどうすべきだとかこうすべきだとかいうことを言うことは差し控えさせていただきたいと思います。

長島(昭)分科員 しかし、大臣は一度、前の計画が実現できなかったという大変苦い御経験もおありだし、重要閣僚でありますから、そんなに引っ込んでいないで、ずばずば発言をされて、やはり両者の信頼関係を築けるようにぜひ努力をしていただきたい、そうしないと実現もおぼつかないというふうに私は思います。

尾身国務大臣 私は、今一言で申し上げましたが、相互の信頼関係が大事であるということは、万感の思いを込めて申し上げているわけでございますから、ここはぜひ御理解をいただきたいと思います。

長島(昭)分科員 ぜひ、引き続きそういう思いでやっていただきたいと思います。

 それで、今回の特に沖縄関連の基地の再編によって、今申し上げたのは普天間だけでありますが、今回の米軍再編の大きな目玉として、司令部を中心とする海兵隊の部隊が八千人、そして家族も含めて一万七千人がグアムに移転をするということで、それによって、この図でいくと嘉手納よりも南にある、ここで赤くなっている地域でありますが、この施設・区域が一千五百ヘクタール返還をされる、こういうことになるわけです。

 人も減る、土地も返還される、こういう状況になるわけでありまして、このことによって、いよいよ米軍再編の関連経費についての問題に移るわけでありますが、日本が出している、アメリカの駐留経費を負担しているいわゆるホスト・ネーション・サポート、このホスト・ネーション・サポートにかかわる経費がかなり軽減される可能性があるんじゃないかと私は思っているんですが、財務省として現在どういう見積もりを持っておられるか、伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 御指摘のとおり、そうしたことが実現された場合には相当の軽減が可能になるかもしれないと思っておりますが、現在のところ、そういうふうな積算をまだしておりません。

長島(昭)分科員 防衛省に聞いても、まだわからぬ、それから今、財務省にお伺いしても、まだ積算もしていない。

 これは、いつどういう形で積算をするんでしょうか。つまり、日米間で具体的にこれだけの合意をしていて、今現在こういうことを維持するのにかかっている経費は大体どのぐらいかということは、財務省として当然把握をされていると思うんですね。

 特別協定に基づくいわゆる思いやり予算を含めて、大体、年間で一千四百億程度出ているわけですね。このうち、こういうことにかかってきた経費というものがどのぐらいかというのは数値でお持ちなんでしょう。それが本当になくなった場合には、年間で大体このぐらいは浮くんだろうという積算みたいなことはやっておられるんでしょう。

    〔倉田主査代理退席、主査着席〕

鈴木政府参考人 まだ、どのような形での返還、具体的なスキームが決まっていないということもございますので、私どもとしてはそういうふうな作業をまだ行っていないということでございます。

長島(昭)分科員 具体的なスキームは決まっていますね、閣議決定しているわけですから。具体的なスキームについては決まっていますよ。私たちは、防衛省から何度もそういう説明を受けていますよ。

 具体的なスキームについて説明してください。おわかりでしょう。

鈴木政府参考人 御指摘のとおり、返還するという基地のところは合意書の中に入っておりますけれども、どういうふうな形で、いつごろ戻すかというふうな話は、今、協議を行っているところというふうに聞いております。

長島(昭)分科員 時間がないから余りこの問題はやれないんですけれども、次長、スキームは決まっているんです。いつどういう形で返還されるかは、これは少し転がしてみないと、十年、二〇一四年まで、こういう計画ですからね。これはいろいろな紆余曲折があると思いますよ。

 しかし、スタート地点で、ゴールの段階で大体どのぐらいになるかということは把握しておられるんでしょう。

鈴木政府参考人 恐縮でございますが、まだそのような作業を行っていないということでございます。

長島(昭)分科員 目をつぶったまま飛び込むみたいな話ですよね。僕は、それは納税者に対して少し無責任な気がするんですが、大臣、いかがですか。

尾身国務大臣 この点に関しては、いろいろな関係者とよく相談をしながら、米軍再編についての経費をどうするかということはしっかりと検討していきたいと考えております。

長島(昭)分科員 いやいや、もちろんしっかり検討していただきたいんですが、今の次長の御答弁、大臣、お聞きになってどう思われますか。責任ある態度と言えますか。

尾身国務大臣 次長の答弁は妥当なものであると考えております。

長島(昭)分科員 そういうことで納税者の理解はなかなか得られないと私は思いますよ。防衛省と本当にきちっと詰めていかなきゃならない一番重要なポイントだと思うんですよね。

 というのは、大臣、大した金額でないんだったらいいんです、米軍再編全体に係る経費が。全貌は恐らく財務省も把握しておられると思いますが、これは単に普天間の基地がキャンプ・シュワブの辺野古岬と言われているところに移転をするだけではなくて、ほかにも、訓練移転もある、あるいは府中の航空自衛隊の施設が米軍の横田基地に移転をする、それからグアムに対する経費負担も日本は全体の六割、真水では二千八百億円と言っていますけれども、これからどうなっていくかなかなかわからない。訓練のための施設をつくっていく、そういう経費もある。締めて三兆円と一時言われたことがあって、大騒ぎになりました。二兆円だとか、三兆円だとか、一兆円だとかいろいろ言われていましたけれども、平成十八年、昨年の十月一日、読売新聞の記事によりますと「日本負担一兆八千六百二十七億円」。

 これは、次長、今後どうなっていくかわからないという先ほどの多少無責任な響きのある御答弁でしたけれども、こういう金額が事細かに、これは別に当てずっぽうの数字じゃないと私は思いますよ。つまり、これだけの施設の再編をしたら大体このぐらいかかるというのは、予測の範囲でしょう。こういう数字が表に出ている。次長としてどういうふうにごらんになっていますか。

鈴木政府参考人 私ども、その記事が出た直後にも、それからまたその後も随時確認しておりますが、防衛庁の方からは、現在所要の経費を精査しており検討を進めているところということで、現時点で積み上げた数字はないというふうに伺っております。

長島(昭)分科員 ここは、これから恐らく、私は安全保障委員会に所属しておりますが、その委員会も含めてきちんと精査をしていかなきゃならない、こう思っているんですが、きょう一番お伺いをしたいポイントは、これだけかかってくる膨大な再編経費負担が一体どういう財布から、どこの財布から出てくるか、こういう問題であります。

 端的に言うと、これを防衛関連の予算として計上をするということになると、防衛費はそういうことを予測しないで、防衛予算というのは、防衛計画の大綱に基づいて五年間の中期の防衛計画の見積もりをして予算化をしているわけですから、そこにどのくらい圧迫をしていくことになるのかというのは、これは国の安全をつかさどる防衛省はもちろんやらなきゃいけないことでありますが、国民の皆さんも非常に関心があると思うんですね。

 在日米軍の再編の経費、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」という平成十八年五月三十日、昨年の五月三十日の閣議決定の第六項目を見ると、こう書いてあるんです。政府としては、このような考えのもとと書いてあるんですが、このような考えのもとというのは、つまりは再編を促進していくという考えのもと、法制面及び経費面を含め、再編関連措置を的確かつ迅速に実施するための措置を講ずることとする。

 政府としてはと書いてあるんですね。これは、防衛省としてはと書いていないんですね、主語は。これは政府として取り組む。防衛関連の経費については、そんなに圧迫をしない、そういうスキームで臨んでおられるのかどうか、財務大臣から御答弁いただきたい。

尾身国務大臣 一般に、国の歳出につきましては、絶えず合理化、効率化の努力が求められているわけでありますが、現在の厳しい財政状況のもと、昨年七月に閣議決定されました基本方針二〇〇六におきましては、二〇一一年度には基礎的財政収支を確実に黒字化すべく、ゼロベースから聖域なく歳出を見直すこととされています。このため、防衛関係費につきましても、これを聖域化することなく、さまざまな分野で合理化、効率化に取り組み、従来以上に厳しい削減を継続し、二〇〇七年度以降、五年間名目伸び率ゼロ以下の水準とすることとされております。

 米軍再編関係の経費もこうした防衛関係費の一部として整理されているところでありますが、一方で、基本方針二〇〇六におきましては、米軍再編に要する経費については、既存予算のさらに思い切った合理化、効率化を行ってもなお、削減目標の中では、米軍再編に関する地元の負担軽減に資する措置の的確かつ迅速な実施に支障が生じると見込まれる場合は、各年度の予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるものとするとされているところでございます。

 財務省といたしましては、効率的な防衛力整備のあり方について防衛省とよく議論を重ねつつ、米軍再編経費については、各年度の予算編成の中で、この閣議決定に沿って適切に対処してまいりたいと考えております。

長島(昭)分科員 今、財務大臣、いろいろなポイントをばあっとおっしゃいました。一番ポイントは、既存の予算のさらに思い切った合理化、効率化を進めるんだと。これは合理化、効率化をずっと進めてきていますね、防衛庁あるいは防衛省は。

 例えば、総人件費の改革については平成十八年から五年間で六千人の削減をする、こういう方針を三自衛隊で立てて、これは行革推進法で一律五%カット、こういうことが決まった。今聖域なくというお話で、自衛隊についても、自衛官も一般職に準ずるそういう形にするんだと。六千人というのは二・五%、半分じゃないか、こういう見解もありますが、大臣、ちょっと聞いていただきたいんですが、他省庁は大体五%純減しているという話があるんですけれども、例の独法なんかの仕組みを使って、実は、実質的には三・五%ぐらいなんだという見立てもあるんですね。

 自衛隊については、まさに人が命、まさに実力組織を担っていくのは、例えば、陸だったら本当に生身の人間そのものですし、海空については装備に人がついてくるわけですから、そういう意味では、この人の削減というのは、もちろん日本を取り巻く環境が安定して平和ならば、私もこんな言い方はしないんですけれども、今私が申し上げるまでもなく、中国やロシアを中心とする周辺の環境、国際環境というのは決して安閑としていられるような環境ではないですね。

 そういう意味で、この防衛費というのを聖域なくというのは、思いはよくわかるんでありますが、納税者の意思を背景にしたそういう財務大臣の思いはよくわかるんですけれども、その防衛費をそのまま一律にほかと横並びで考えていいものかどうか、その辺について、大臣は御所見いかがでしょう。

尾身国務大臣 十九年度予算におきましては、基本方針二〇〇六をベースとした考え方に基づいて、聖域なく歳出削減をやるという基本方針が安倍政権発足のときから決まっていたわけでございまして、そういう意味で、税収の増も大変あったわけでございますけれども、しかしそれをほとんど全部財政健全化に回すということで、六兆円以上の財政健全化を実現したわけでございまして、私どもとしては、財政が厳しい中でこの方向を今後とも貫いていきたいというふうに考えております。

 防衛関係の経費につきましても、あるいは社会保障につきましても、教育関係につきましても、経済活性化関係につきましても、いずれも大事な分野でございまして、それぞれの分野の関係者の方々からはこれでは日本が大変になるという声もいただいておりますけれども、同時に、全体としての支出は聖域なく削減をしていかなければならないという状況でもございまして、少なくとも十九年度予算については歳出削減をベースとして財政再建化に一歩を踏み出すという考え方でございまして、その方向で対応してまいりたいというふうに考えております。

長島(昭)分科員 それともう一点、先ほど大臣がお読みになった骨太の改革方針二〇〇六に基づくポイントですけれども、さらなる思い切った合理化、効率化を行ってもなお、その上記の削減目標の中では、つまり削減目標がずっと書いてあったその中では、米軍再編に関する地元の負担軽減に資する措置の的確かつ迅速な実施に支障が生じると見込まれる場合には、各年度の予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずる、つまり、例外がここにあり得るという表現ぶりなんでしょうか。

 というのは、私もこの点が気になったので、前の防衛大臣といいますか防衛庁長官、額賀さんのときに、私伺ったんです。ミサイルディフェンスにお金がかかる、あるいは周辺国のいろいろな軍拡の傾向とか、そういう外部要因に防衛関係費というのは左右されることがあるので、国内的に骨太の方針だ、聖域なく歳出をカットしていかなきゃいけない、そういうこともあるのかもしれませんけれども、そうではない部分もきちんと押さえておかなきゃいけないんじゃないですか、この再編のための経費というのは、先ほど少し申し上げましたけれども、一兆円を超える莫大な経費がかかってくる、そういうものに防衛予算がなるべく左右されないような環境をつくるのはあなたの責任ではないですかという質疑をさせていただいたんです。

 そのときに、額賀長官からは、防衛予算とは別に、新SACO方式で考えるのが適当であるというふうに思っています、そういう御答弁だったんです。新SACO方式というのは、SACOで決められた沖縄の米軍基地再編の関連経費はいわゆる別枠で、防衛費とは別計上でやるということで、この間十年近く支出をしてきたわけですけれども、それと同じような考え方で今回も臨むんだ、こういうお話だったんですが、その点、確認をさせていただきたいと思います。

尾身国務大臣 これは、基本方針二〇〇六において明確に書かれておりまして、基本的には聖域なき削減をするとした上で、米軍再編に要する経費については、既存予算のさらに思い切った合理化、効率化を行ってもなお、削減目標の中では、米軍再編に関する地元の負担軽減に資する措置の的確かつ迅速な実施に支障が生ずると見込まれる場合は、各年度の予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるものとするとされていることでございまして、この全体の基本方針二〇〇六の線に沿って今後対応していきたいと考えております。

長島(昭)分科員 SACOと同じような形式で考えておられるかどうか、そのポイントだけ、イエスかノーかでお答えください。

尾身国務大臣 私は、SACOというのは中身をよく存じませんで、今申し上げた答弁がすべてでございます。

長島(昭)分科員 次長、いかがですか。

鈴木政府参考人 大臣から今御答弁がありましたように、先ほど申し上げましたように、今後五年間、名目伸び率ゼロ以下の水準とするというのが目標でございますが、この目標の中で、米軍再編に関する地元負担軽減に資する措置が的確かつ迅速に実施するのが難しい、支障が生じるというような場合には必要な措置を講ずるということでございます。

長島(昭)分科員 これは何度やっても禅問答のように繰り返しになってしまうので、余り意味がないのでここで切りたいと思いますが、御案内のとおり、防衛費というのは、防衛計画の大綱というのを閣議決定して、これは〇四年に閣議決定して、政府全体の取り組みとしてこの大綱の内容を実現していこう、そしてそれに基づいて五年計画で中期防というのをつくり、そして予算をそれぞれの年度でつくっていくわけです。

 その中期防が今ちょうど真ん中に来ているんです。十七年から始まって二十一年で一つの計画が終わるわけですけれども、達成率が二〇%ちょこちょこのものがかなりあるんです。こういう状況の中で、大綱で決められたことが守られない可能性、つまり、大綱で決めて、中期防で決めて、そして予算なのに、予算を切り詰められるから中期防が達成できなくて、今度はでは大綱を修正しましょうかみたいな本末転倒な話になっては私はいけないと思うんですね。

 それともう一つ、私は財務省の皆さんに申し上げたいのは、今のように、私はSACOにこだわったのは、SACOは、大臣、毎年毎年、平成九年度が六十一億円ですけれども、大体多いときで二百六十六億円ぐらい出しているんです。ということは、これでSACOは終わりますから、この部分が浮いてくるんですよ。この部分と、さっき申し上げましたホスト・ネーション・サポート、こういう大がかりな基地の撤去によって浮いてくるお金、こういうものをやりくりしながら、米軍再編経費全体を吸収して、何とか防衛費の一番コアな部分に手をつけないでやっていく、そういうやりくりをしていく、これが方針なんでしょう。財務省としてそういう見通しは持っておられるんでしょう。そういうことは、私は、国民の皆さんにはっきりと、こういう見通しでやっていますというふうに説明していただきたいと思うんですね。

 何か、別に言葉じりをとらえて、あのときこう言ったからこうじゃないかみたいな話は私はするつもりは全然ないんです。やはりフェアに、きちんと内外情勢を見きわめた上でこの米軍再編が実現できるような予算を組んでいただきたい、このことをお願いして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

森主査 これにて長島昭久君の質疑は終了いたしました。

 次に、三日月大造君。

三日月分科員 民主党の三日月大造です。

 それでは、限られた時間ですので早速質問をさせていただきたいと思うんですけれども、まず来年度の税収ですね、五十三兆四千六百七十億円と見込まれています。これは、我が国の経済活動、国民の生活の結果得られるものなんでしょうけれども、まずこの税収増の要因をどのように分析されておりますか。

尾身国務大臣 前年、十八年度に比較しまして、七・六兆円の増収を見込んでいるわけでございますが、その内訳は、所得税については、配当税収の増加などが見込まれることから、定率減税の廃止による一・一兆円の増収も含めまして、十八年度の十二・八兆円から十九年度十六・五兆円と三・八兆円の増収を見込んでおります。法人税につきましては、企業収益が好調であることなどから、十八年度の十三・一兆円から十九年度十六・四兆円と三・三兆円の増収を見込んでいる。これらが大きな増収要因であると考えております。

三日月分科員 まず、技術的なことをちょっとお伺いしたいなと思うんですけれども、昨年度の当初予算、税収見込みが四十五兆でした。補正されて五十兆になり、そして今年度五十三兆と見込まれております。

 もちろん、予測できないさまざまな状況、影響等もあるのかもしれませんが、これだけ税収の見込みが大きく変動する、五兆円にわたって変動するということは、さまざまな経済財政政策をスピーディーに策定する上で極めて大きな問題をはらんでいるように思うんですけれども、このあたり、いかに改善をされる御予定ですか。

佐々木政府参考人 御指摘のように、最近、税収見積もりが、当初の見積もりよりもふえております。これは、主に法人の好調な収益を背景としまして、法人税収それから配当などがかなりふえたということでございます。そのほかに、前年度の、例えば、先ほどもおっしゃいました十八年度の税収につきまして、なぜ当初に比べてこんなにふえているのかという要因の中には、十七年度の決算において、やはり二兆円の上積みがあったということも影響しております。

 こういうことにつきまして、やはり法人税のぶれが大きいものですから、法人につきましては大手の企業を中心としてヒアリングをしたり、あるいは中小企業のヒアリングをしたり、できるだけ正確な推計ができますように努力を重ねているところでございます。

三日月分科員 この税収見積もりを、より精度を高めて出せるようにヒアリングの数をふやされているんじゃないですか、そのあたりについて。

佐々木政府参考人 最近、ヒアリングの数もふやしておりまして、それにいろいろな調査機関の企業の収益見通し、そういうものも勘案しながら推計をできるだけ正確にやっていく努力をしておるところでございます。

三日月分科員 大臣、先ほど、昨年度から今年度にかけて税収が七兆円を超えて増加の見込みだと言われました。その要因は、配当所得、それにかかる税、そして定率減税の廃止約一・一兆円ですか、これによるもの、こういうものが大きいんだという御報告、また法人税含め、おっしゃいましたけれども、これは広く民のかまどに煙立つ影響によるものだとお考えでしょうか。

尾身国務大臣 小泉政権以来続けてきたいわゆる経済の構造改革が進展をして、民間の活力を主として経済が順調に発展し続けかかっているということの要因がかなり大きく作用していると考えております。

三日月分科員 私は、民間の活力によるものという聞き方をしたのではなくて、広く民のかまどに煙立つ税収増になっているかという御見解についてお伺いをしているんです。

尾身国務大臣 全体として経済が順調に発展をしていく中で、いろいろな意味での収入がふえてきているわけでございまして、それが結果として税収の増につながったというふうに考えております。

三日月分科員 税収増は、財政当局にとっては好ましいことだと思うんです。この税収増は景気回復による。その景気の回復は、民間需要が活発化してきて、活力もだんだん出てきて、そして所得がふえ、所得税がふえ、法人の利益がふえ、法人税がふえということで、税収として増加してきたんだという御見解が示されましたけれども、私の考えは、これらはいずれも、勤労者、働く人たちの過度の負担によって成り立っているものではないかという考えを持っているんです。

 例えば、定率減税の廃止、私も資料でつけていますけれども、これは既に財務省の方でも御案内ですし、国会でも議論されておりますけれども、所得税の増加は定率減税の廃止一・一兆円、これによるそれぞれの所得階層ごとの負担は、年間五百万円の所得に対して、夫婦子二人で三・五万円、独身であったら七万円、定率減税の廃止によって負担がふえる。

 そして、法人税の増加は、これは企業利益の増加によるものだと思います。しかし、その企業利益の増加は、伸びない労働分配率、その分が配当に回り配当所得となり、その配当にかかる税が伸びる。働く人たちの給料はふえず、不安定かつ低賃金のいわゆる非正規雇用の方々が増加をしているというこの状況。

 これは大臣、働く人たちの過度の負担による税収増だという見方をもう少し踏み込んで持つべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 今申し上げました税収増の要因の中で、所得税が、十八年度から十九年度にかけて十二・八兆円から十六・五兆円と三・八兆円増加をしております。そのうちの定率減税の廃止による分が一・一兆円ということでありますから、この差額の二・六兆円は所得が増加したことによる税収の増である。

 したがって、国民全体の所得の増ということは、やはりそういう意味で経済全体の発展が、所得税の増という格好で、国民所得の増加になってきたその結果であるというふうに考えております。したがって、もっと別の言い方をすれば、それだけの所得税を、所得を取っている国民全体が納められるようになったということは評価をしていただきたいと思います。

三日月分科員 観点を変えてお伺いしたいと思うんです。この定率減税の廃止、私は、小泉政権から安倍政権にかかる間に、税だけではなくてさまざまな社会保障に関する負担の増加も含めて、個別に、ばらばらに、それぞれ家計に影響を与えてきているというふうに思うんですけれども、定率減税廃止が消費に与えるインパクトをどのように見積もっていらっしゃいますか。

尾身国務大臣 この定率減税は、八年前の小渕政権の一九九九年に導入をしたものでございます。その当時は、消費も対前年同期比で〇・七%減、経済全体の成長率もマイナスの一・八%、雇用は、失業率四・三%、有効求人倍率は〇・五という水準でございましたし、また当時、一九九八年時点では、不良債権が主要行で六・一%となっておりまして、極めて高い水準であり、かつ、日本長期信用銀行あるいは日本債券信用銀行が相次いで破綻をするというような極めて厳しい状況でございました。そのような中で、定率減税は、臨時異例の景気対策として、中所得者、低所得者を中心に減税を行ったものであります。

 減税のやり方は、所得税については、税額の二〇%を控除する、ただし二十五万円を限度、住民税については、所得額の一五%を控除するけれども四万円限度、こういうことでございまして、これは、景気を刺激するための臨時異例の措置として小渕政権のときに行ったものであります。

 その定率減税を二年かけてなくすということにいたしました。逆に言うと、失業率も今や四・三%から四%になり、有効求人倍率も〇・五から一・〇八になる。それから、不良債権の比率もかつての六・一が一・五%となり、ほとんど解決した。そういう正常化した状況の中で、臨時異例の措置として行った定率減税を廃止する、こういうことにしたわけでありまして、これは増税というものとは性格が違うと考えております。

三日月分科員 今大臣は、臨時異例的なものであるということで、もともと対象も低所得、中所得者層をねらってやったものだということなんです。

 では、一点お伺いいたしますが、その状況の中で、これは内閣として出された、閣議決定をされた、平成十九年一月二十五日、「平成十九年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」というところの中に、「景気は、消費に弱さがみられるものの、回復を続けている。平成十八年度の我が国経済は、企業部門の好調さが、雇用・所得環境の改善を通じて家計部門へ波及し、民間需要中心の回復が続くと見込まれる。」という表現をなさっているんです。しかし、この部分の保証というんですか、根拠というものが乏しいように思うんですけれども、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 格差というようなことでいろいろ言われておりますが、昨今の状況は、一番目立った特徴は、労働需給がタイトになってきた、つまり人手不足になってきているということで、中小企業などは、需要がふえてくることに伴って人をふやそうと思ってもなかなかふえない、いわゆる人手不足が非常に深刻になっております。

 そういう中で、いろいろな、特に野党の方々がおっしゃっていますが、常勤、非常勤の中で非常勤が多いというようなことが言われていますけれども、需給バランス上から見て、賃金も徐々に上がってくるであろう、非常勤は常勤の方に移る傾向が見られてくるであろうと思っておりまして、そういう中で、今やや低迷していると言われている所得も上がってくるであろうというふうに考えておりまして、これをベースにして順調な回復軌道に乗ってくるというふうに期待をしているわけであります。

三日月分科員 期待でもって経済財政運営をするべきではないと私は思うんです。

 そして、先ほど、労働に関する指数が改善をしてきたとおっしゃいました。したがって、臨時にやったこの減税策はもうこれで打ち切りにするんだと言われました。しかし、この労働需給の逼迫は必ずしも所得の増加につながっていないんです。その状況の中で、労働の指数だけを見て景気が回復してきたからといって、いわゆる減税をやめる、増税をするということは、私は、税制を考える上でいささか都合がよ過ぎるのではないか。

 加えて、来年度、所得税も含めた税制の抜本的な見直しをしていくんだと、これはもうずっと言われております。それであるならば、年金の財源の問題も含めて、根本的に、所得の増加の状況、経済の状況を見た上で、この定率減税の問題についても一緒に議論をすべき課題ではなかったんでしょうか。

尾身国務大臣 これは、経済の異常とも言える状況に対応するために臨時異例の措置として定率減税を行ったものでございまして、経済全体が全体として正常化をしてきている状況において、これをもとに戻すということは妥当なものである。

 しかし、財政の状況は、債務残高がGDPの一四八%ということで世界一高い。二番目がイタリーの一二〇%、ヨーロッパやアメリカの国は大体六〇から七〇%ぐらいのGDP対比の債務残高でございます。そういう中で、今度は、日本のこれをどうしていくかということが喫緊の課題でございます。

 これから将来は高齢化がどんどん進んでくる、これにどう対応するか。それから、このままいくと、手をこまねいていれば人口も五十年後には九千万人を切る、百年後には四千五百万人になるというふうに見通しがあるわけでございます。これをこのまま放置していいかどうかということを考えれば、財政再建と人口問題あるいは社会福祉問題に対応しながら、年金負担も、国庫負担も三分の一から二分の一にしなければならないという問題もある。

 それらを総合的に考えて対応していかなければ、今、二、三年はいいけれども、三十年、五十年先に日本の国がどうなるかということは、これは、与党のみならず野党の皆様にもぜひ考えていただきたいと思う次第でございまして、そういう問題の解決に向けて、成長なければ財政再建なしという考え方も含めながら対応していきたいと考えているところでございます。

三日月分科員 今の大臣の御答弁でいくと、財政状況が大変厳しいことは私も承知をしています。財政状況が厳しいから、この定率減税の縮減と廃止に踏み切ったのではないんですよね。では、何だというと、数年前までの異常な景気の悪化、それを解決していくためにやってきたんだということですよね。

 しかし、異常な経済状況、景気の状況を脱したと見るその部分の根拠が乏し過ぎるんではないかと私は申し上げているんです。失業率だとか有効求人倍率は確かに改善してきています。企業の労働に関する需給バランスも逼迫をしてきています。人手不足です。しかし、その人手不足を補うために、社会保障の空洞化を招くかのような、非正規の労働者に頼ってしまう部分、賃金が伸びない部分、こういう方々にこの労働需給バランスを改善するために多く頼り過ぎているが余り、低中所得者層の所得がふえていない。この状況の中で、定率減税の縮減、廃止に踏み切るということは、私は、安易に、特にサラリーマン世帯、給与所得者層に負担を求め過ぎているんではないかということ。

 加えて、今言われたように、債務残高が大変多い、社会保障の多くのニーズにこたえていかなくちゃいけないという税制改正は、来年度検討して行われるんでしょう。それであるならば、その中で、きちんと所得の状況も把握し、そして、消費税だとかその他の税制も一体で税制改革に取り組むべきだと思うんですけれども、その点、いかがですか。

尾身国務大臣 定率減税の廃止は、あのときの状況、もう八年もたちましたので何となく実感がわいていないんでありますけれども、極めて深刻な状況でございました。銀行がいつ倒れるかもわからない、取りつけが起こるかもしれない、失業率は高い、有効求人倍率が〇・五というような状況でございまして、あのときに就職したくてもできなかった方がかなりある。そういう臨時異例の経済状況に対応して、まさに異例とも言える定率減税を小渕政権のときに実現したわけでございます。

 それがその後、最近に至って経済の状態が全体としては順調な回復過程をたどっていて、失業率も四・一になり、有効求人倍率も一・〇八というような水準になっている状況において、この臨時異例の措置を二年に分けて廃止したということでありまして、これは普通の増税とはわけが違う、もとに戻したんだというふうに考えております。

三日月分科員 いや、そのもとに戻す根拠とタイミングが違うんじゃないかと申し上げているんです。所得の部分にしろ労働の部分にしろ、必ずしも、その異常な景気の悪い状態を脱し去れている状態になっているかというときに、大臣は、サプライサイドの、企業の収益でありますとか、労働のいわゆる全体、正規であろうと非正規であろうと関係のない部分での数字でもってお示しをなさいましたけれども、そこは、景気の読み方として、そして税制を語るときに不十分なんではないかなということを申し上げているんです。

尾身国務大臣 これは、いつやったらいいというものではありませんが、来年度の例えばGDPの見通しも二・〇%の伸びだ、名目は二・二%の伸びだ、少なくともプラスの伸びになっている。あの小渕政権で定率減税をやったときは、GDPもマイナスでございました。それから、銀行の倒産も、いつあるかもわからないという状態だった。不良債権はたまっていた。まさに臨時異例の状況でございまして、そういう状況を踏まえて、小渕政権のときに臨時異例の措置として定率減税を断行したと言ってもいいと思います。

 そういう状況を経済が正常化した段階でもとに戻すというのがこの決定したことでございまして、しかも、二年に分けて激変緩和をしながら戻すということでございまして、この点については、野党の皆さんが言われる増税とは全く違うものであるというふうに考えております。

三日月分科員 そこの認識は幾ら議論しても一致しないのかもしれませんが、引き続き、この経済の状況、働く方々の所得の状況を見きわめていきたいと思うんです。

 残り時間少ないんですが、あと一点、確認したいことがありますので、お伺いをしたいと思います。税関の状況なんです。

 これは来年度の予算でも、約九百億ですか、要求がなされ、日々入ってくるもの、出ていくものの税関を行っていただいていると思うんですが、お示しをしたように、いただいた資料を提出させていただきましたが、入ってくるもの、出ていくものが大変ふえているにもかかわらず、その取り扱う税関の定員の方々は、いささか微増はありますけれども、しかし状況として、ギャップが大変開いているように思うんです。このギャップをどう埋められているのか。

 かつ、もう一枚めくっていただいて、社会悪物品の密輸摘発実績。件数はこういう形で平成十七年度以降、何となく減ってきています。いわゆる社会悪物品の覚せい剤だとか大麻だとか、こういうものの出入りや取引、密輸が減っているならそれはそれでいいと思うんですけれども、きちんと見られていないのではないかなという懸念もあるんです。

 この二点、いかがでございましょうか。

青山政府参考人 先生お話しのとおり、最近におきます国際化の進展ということで、税関業務の対象であります貿易量等につきましては著しく増加しているわけでございます。十年間を見ますと、入国旅客者数でございますが、空で見ますと、約一・三倍、大体二千五百万人が入っているというところでございます。輸入申告件数でございますと、二・〇倍、千七百万件というような数字でございます。

 御指摘のとおり、水際取り締まりということになりますと、税の議論と関所的な部分、これも、従来からの麻薬、銃砲等とあわせまして、テロ関連、知的財産、原産地の認定、さらには、いわゆる大口の関税逋脱の摘発等々、非常に幅広くなっているわけでございます。

 私ども何をやってきたかということでございますが、まずはIT化、通関情報処理システムと言っておりますが、NACCSシステム、あるいはコンテナの大型エックス線の検査装置ということによりまして、事務の効率化、合理化を図っている。さらには内部組織の再編、その上で必要な定員の確保ということでございます。

 本年につきましては、先生、微増というふうにおっしゃっておられますが、国家公務員全体で二千百二十九人の純減となる中で、税関定員につきましては、百六十四人の削減を行う一方、二百九名の増員ということで、合計といたしますと、ネットで四十五名の純増ということになってございます。

 こういう中で、私ども、毎年度の関税改正法案の中で附帯決議がついているわけでございますが、業務運営のより一層の効率化とあわせました上で、定員の確保なり、あるいは機構、職場環境の整備、さらには機器の整備ですね、それからあと、専門性を有するような人材の確保ということで、最大限努力を行っているというところでございます。

 御指摘の社会悪物品の密輸の状況でございます。確かに、量的には、このところ大口の事犯というのが減っております。これは恐らく、いろいろな面はあろうかと思いますが、いわゆる洋上取引等につきまして、かなり上からもいろいろな形で見張っているということから減ってきているということでございますが、他方、件数的には、昨年落ちたんですが、ことしまた結構ぼちぼちふえてきております。要するに、小口でいろいろ入ってきているというところでございます。

 そういう中で、もちろん、この手口がいろいろ複雑、巧妙化しておりますが、こういう点を含めて、今申し上げましたように、定員の確保もそうなんでございますが、さらには、人材という意味での研修なり、あるいは専門性の確保、それから機器の開発等々含めて、さらには、もう一言申し上げますと、諸外国との連携、これが一番大事でございまして、いろいろ情報を交換する。こういう点を含めまして、全体としてやらせていただいているというところでございます。

三日月分科員 今、機械化だとかIT化だとか隣国との連携、また人材確保、専門性を高めていくということが言われました。

 知的財産の侵害物品が、最近これまた異常にふえているんですね。にせブランドを含めて、多くの国から輸入差しとめ実績が、ここ数年、一五〇%近い形でふえていて、今年度に至っては、既に九月までの実績で前年にほぼ並ぶ、前年度すべてに並んでしまうという状況の中で、例えば安倍総理はアジア・ゲートウエーを掲げられ、経済連携を強められ、ようこそジャパンを含めて、ビジット・ジャパンを含めて、多くの方に入ってきていただきたいということを一方でやられるんですけれども、この知的財産侵害物品、知的財産を侵害するような物品の輸入に対してどのように取り組みをされておるんですか。

青山政府参考人 知財の保護でございます。

 知的財産立国の実現ということでございますが、官民挙げて取り組んでいる。私どもにおきましても、平成十五年度以降毎年、制度改正を行わせていただいておりますし、さらには、これは官民挙げてということでございますので、省庁間の連携と民間との連携が一番大事でございます。

 定員の議論をまたちょっと申し上げますと、平成十九年度におきましては、知財取り締まりを専担する職員の増員、これは六名でございます。今これで六十九名になります。このほか、専門性の向上の観点から申し上げますと、弁理士さんを任期つきで採用するとか、あるいは特許庁等の関係省庁の職員によります研修、さらには、先ほどちょっと申し上げました機器ですね、DNA鑑定機器とか、さらには画像システム等を整備しているというようなやり方をとっておりますのと、あと、先ほど申し上げましたような二国間でのいろいろな税関の相互支援協定というのがございます。これをアメリカを皮切りに中国、韓国とも結んでございまして、いろいろなこういう形での情報交換を行わせていただいているというところでございまして、今後ともそういう形で万全を期していきたいというふうに考えております。

三日月分科員 限られた人数の中でいろいろなものが入ってきて、難しいものが入ってきて大変だと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 もう一点、この予算の要求の中に税関監視艇というのがあって、水際、特に海の監視も強めているという状況を確認させていただいておりますが、海上保安庁との連携はどのようになっておりますか。

青山政府参考人 海上保安庁は、何といいますか、より広範な取り締まりということでございますが、私どもは、どちらかというと水際に近いような部分でございまして、船の大きさももちろんそれぞれ違うわけでございます。私どもは三十五メーター艇が一番大きいわけでございますが、保安庁との連携といいますと、船内検査等を含めまして、見張り等を含めまして、いろいろな形での共同捜査といいますか、共同的な作業を行わせていただいているというところでございまして、職員の人事交流も行っております。

三日月分科員 最後にお伺いしたいと思うんですけれども、水際対策の強化が求められる一方で物流の促進といったこともあり、内陸税関のメリット強化を滋賀県やなんかも求めているところなんですけれども、このあたり、今後の政府の考え方、方向性をお示しいただきたいと思います。

青山政府参考人 御指摘の内陸税関の議論でございますが、港や空港から離れました内陸地域におきます国際物流の効率化等に寄与するために、従来から、前橋、宇都宮、それからつくば市、それからあと諏訪市、草津市等の内陸地におきましても税関官署を設置いたしまして、輸出入貨物の通関業務等に対応してきておるわけでございます。

 最近、ここら辺をいろいろ、いわゆる保税蔵置場の有効活用という観点から、距離基準を設けておったんですがこれを緩和する形で、具体的には、管轄の官署から二十五キロメーター以内から百キロメーター以内に延長するということで、こういう規制緩和を行っているというところでございまして、こういうところを含めまして、国際物流の効率化に寄与できるように対応してまいりたいと思っております。

 官署の議論でございますが、全体としてのこういう行政需要を見ながら適切に対処していきたいというふうに思っております。

三日月分科員 景気も税収も引き続き議論させていただくことを申し上げ、終わります。

 ありがとうございました。

森主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂分科員 民主党の逢坂誠二と申します。きょうはお世話になります。よろしくお願いいたします。

 きょうは、少し、このいわゆる国会の予算委員会で行われる議論としては初歩的以前のといいましょうか、極めて素人的な議論をさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 私どもの日常生活の中で使うお金でありますけれども、これは普通、私の財布から千円を出して、コンビニエンスストアへ行って物を買うということになる。五百円のものを買って千円札を出すと、当然五百円の物品と一緒に五百円のおつりがついてくるわけですね。これは当たり前のことであります。小学生でも知っていることであります。すなわち、私の財布から出たお金と戻ってくる対価というものは一致しているというのが、これは日常生活当たり前のことですね。これは普通のマーケットの原理かというふうに思うわけです。

 ところが、私たちの社会にはもう一つ別な側面がありまして、そうじゃないお金がある。それが税金だろうというふうに思うわけですね。税金は、私の財布から仮に五万円出たとしても、私の住んでいる地元のそれぞれの役所から私に直接的に五万円分のサービスは来ないということですね。仮に私が、縁起でもない話でありますけれども、次の選挙で落選をして無職、無収入になるというようなことがあった場合、当然納税はしないわけですけれども、そうなった場合に、税は払っていないけれども、逆に地元の役所からサービスが来ることがあるということですね。すなわち、マーケットの原理から見ると、この税の原理というのは不公平なわけでありますね、どちらかといえば。払ってもいないのにサービスが来ている、払っているのにサービスが来ないということがあるわけであります。

 したがいまして、税はそういう通常のマーケットの原理とは違う不公平な側面を持っているがゆえに権力が介在し、あるいはまた、国民の代表たる議会のメンバーが、正当な手続を経て選ばれた議会のメンバーがそのお金の使い道に相当な慎重さを期して議論をして決定していくということが必要なわけだと思うわけです。

 一方で、先ほど尾身大臣の方からも発言がありましたが、今の日本の国は先進諸国の中でも最大の借金を持っている国になっている。GDPの一・五倍近い借金があるという国になっているわけであります。したがいまして、国であると地方であるとを問わず、これは財政を立て直すということを必死になってやらなければいけない。与党であると野党であるとを問わず、これは相当必死になってやっていかなければいけないというのはもう火を見るより明らかでありまして、もうまさにこれは緊急事態、喫緊の課題だというふうに思うわけです。

 そんなことを背景にして、最近、新聞の投書欄でも、あるいは地方の選挙の場面でも、この財政の問題というのは、国民のこういう問題に余りふだん関心のなかった方からも、随分と声高く語られるようになっていると思うわけですね。その中で、例えば、新聞の投書などにこんな声があります。国の予算の使い道について、きちんとした使い方をしていない、何か不正があった、あるいは無駄があったというようなことがあった場合に、国会議員は、予算の議決をしているんだから、その議決をした責務、責任というものを果たせるようにきちんとしろというような、結構辛らつな投書があったりするわけであります。

 私は、でも、国会議員になって、ああした投書に私たちはこたえられるような状況にあるのだろうか、予算を議決しているという責務を果たせるような状況にあるのだろうかというと、前からも薄々感じてはいたのでありますけれども、この国会の場での予算に対する議論というのは、どうも少し不足しているのではないかなという印象を持つわけですね。

 例えば、マクロでの議論というのは、これは大事なことであります。税収をどう確保するかとか、減税をどうするかとか、経済の対策、景気の対策をどうするかということは、これはもう極めて大事なことでありますけれども、マクロの議論とあわせて、もう少し精緻な議論もできるような仕組みというものを我が国は持たなければ、国民の目線からのこの予算の納得度合いというのも得られないのではないかなという気がしているわけです。

 そこで、先般、財務省の方にお願いして、予算編成から成立までの流れというようなことを資料でいただいて、改めて予算の流れというものを確認したわけでありますけれども、まず最初に、政府参考人の方にお伺いをしたいんです。

 この予算のいろいろな流れがあります。閣議で決まって、概算要求があって、財務省原案が閣議提出されて、復活折衝があって、また幾つかのプロセスがあって国会に予算案として提案され、国会で審議をされる、そして成立という流れがあるわけですが、このプロセスの中で、国会議員が予算の審議あるいは内容にかかわれる場面というのはどの場面なのかということをまずお伺いしたいと思います。

松元政府参考人 予算編成の流れにつきまして御説明させていただいておるところでございますが、それぞれの予算編成におきましては、経済財政諮問会議におきまして、財政に関する基本的な考え方につきまして御審議いただき、その報告が出されておるということがございます。

 そういった中で、概算要求基準というのを、通常八月の初め、あるいは七月の末に出させていただいておりますが、これが閣議了解をされるということでございます。それに基づきまして、各省庁、八月の末に概算要求がなされるということでございますが、この概算要求、各省庁からそれぞれ御説明がなされておるところでございますが、全体につきましては、財務省といたしまして、主計局がこれを取りまとめて、発表させていただいておるということでございます。また、さらに、年末の概算決定に向けましては、予算編成の基本方針といったことも決定させていただいておりまして、それぞれにつきまして、これを公表いたしているところでございます。

 国会議員の先生方から御要望がございましたら、それぞれにおいて御説明をさせていただいているところでございます。

逢坂分科員 今の話からしますと、公表するという言葉があったのは、財務省原案、概算要求、予算案というようなところで、それぞれ国会議員から要求があればそこで示して、議論をしていただくというようなニュアンスにとれたわけですが、それでよろしいでしょうか。

松元政府参考人 これは、公表いたしておるということでございますので、国民に対しまして、これを私ども公表させていただいておるところでございまして、国会におきまして、国民の代表としての国会議員の先生方から御要求がございましたら、私ども、必要に応じまして御説明をさせていただいているということでございます。

逢坂分科員 それらの期間的なものでありますけれども、七月から始まって、およそ年度内に予算というものが決まっていくわけでありますけれども、大体、時期といいましょうか時間といいましょうか、それは予算全体から見て、事務方の見る目として、これは適切な時期だ、期間だ、長さだというふうに思われますでしょうか、その辺はいかがでしょうか。

松元政府参考人 時期、期間ということでございますが、予算編成につきましては、八月の末に概算要求していただきまして、ただ、それに向けて概算要求の基準というのを七月末ないし八月に決定する、その要所要所で、それぞれのプロセスにおきます公表をさせていただいておるというところでございます。

 なお、予算そのものにつきましての国会の御審議ということに関して御説明させていただきますと、財政あるいは予算につきましては、憲法の第八十三条におきまして、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」とされておりまして、この国会の議決をいただくというために、憲法第八十六条で、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」ということにされておりまして、国会におけます御審議というものは、内閣が調製いたしました予算、これを御審議いただくという中で行っていただいているということかと存じます。

 ただ、その前段階におきましても、予算編成の節目節目におきまして、その情報を公開させていただいておる、また、その節目節目におきまして、必要があればこれを御説明させていただいておる、こういったプロセスになっておるということでございます。

逢坂分科員 ただいま極めて教科書的な、当たり前の話でありますけれども、ルールについて説明をいただいたわけですが、尾身大臣は、この予算の編成の過程というものが、これは十分な時間があって、きちんとという言葉は適切ではないかもしれませんが、内容深く議論されるに足る今の仕組みであるというふうにお考えでしょうか。それとも、少しこれは、いわゆる国民、庶民感覚からすれば、予算の議論というのはもう少し深まりが必要なのではないかなというふうにお考えなのか。別に、その発言をしたからといって、揚げ足をとってどうこうというつもりはないんですが、まさに財政をこれから考えていく上で重要なことだと思いますので、そういう感覚で、いや、やはりもっと必要だなとか、いや、この程度でいいんじゃないかなというような感覚、長い国会議員としての御経験からお聞かせいただければと思います。

尾身国務大臣 民主主義社会の一番の根幹にかかわる話だと思っておりまして、非常に感銘深く聞かせていただいております。

 私自身も、もう二十三年になるわけでございますが、その間大部分、与党の国会議員として、予算編成の原案につきましては、いろいろな意見を言わせていただいております。経済関係あるいは社会福祉、防衛、外交などなど、いろいろな意見を言わせていただいておりますが、国会での議論というのは、本会議と予算委員会あるいはこの分科会も含めまして議論がなされるわけでございますが、今度の十九年度予算につきましても、財務大臣としては、もちろん予算委員会等で議論をするのは私初めてでございますが、予算の内容、意味、そういうものについて、国民の皆様に私どもが説明できる一番絶好の場所が予算委員会でございます。

 そういう意味で、きょうは午前中でございますが、きのうの夜ときょうと、この分科会で何人かの方に御質問をいただいてお答えするという形で議論をさせていただいておりますが、この午前中の議論というのは大変に、基本的な問題も含めて、私の方から見るといい議論をしておりまして、もう一カ月くらいやっているわけでございますが、この一カ月間ずっとこの種の議論をやっていただくのがいいなというふうに私は感じております。

逢坂分科員 私、地元へ帰りまして、私は予算委員ではないんですが、予算委員会の状況などを地元の人にお知らせします。そうすると、大体、こういう世界に余り縁のない国民の方からは、私は前、ニセコの町長をやっていたものですから今でも私のことを町長と呼ぶ人が多くて、いやあ町長、予算委員会というのは予算の議論をしていると思ったら余りやっていないんだね、予算の議論じゃなくて、何とか発言がどうだとか随意契約がどうだとか、あんな話ばかりしている、一体予算をどこで議論しているんですかというふうに聞かれることがあるんですね。

 だから、私は、何とか発言とか何とか失言とか、さまざまな政局、時局、その時々で最もホットな話題を議論するということもそれは国会として重要なことだとは思うのでありますけれども、予算そのものの本質をやはりもっと議論できる場というものをつくっていかなければこの国は危ういのではないかというふうに考えるんですね。その点、大臣いかがでしょうか。

尾身国務大臣 私自身は、全く同感だと思っております。

 我々が、財政再建をどうするか、経済の活性化をどうするか、あるいはこの日本という国の置かれている地位、核実験の問題をどうするか、そういう国家のあり方の根幹についての議論、もちろん私どもと野党の皆様とは意見が違うところがかなり多いわけでありますけれども、そういう議論を国民の見ておられる前で徹底的にやりまして、見解の違い、あるいは一致するところ、日本の国の方向づけということをぜひ議論したい、そのように思っております。

逢坂分科員 私もまさに同感でありますので、きょうは分科会での皮切りみたいなものでありまして、私が国会議員になろうとした一つの理由が、まさにこの点であります。

 先ほども言いましたが、繰り返しになりますけれども、その時々の時局の中のホットな話題ということ、あるいは政局的なことというのもこれは重要ではありますけれども、予算をまさに本格的に議論できる場の設定を、これは与党、野党問わず真剣に、きょうをきっかけにしてまた私なりに努力をさせていただきたいと思っていますので、大臣もぜひ御協力をお願いしたいなというふうに思います。御協力というよりも、ぜひ中心になって引っ張っていっていただきたいと思います。

 実は、私は二十四年前に大学を卒業いたしまして、北海道のニセコという町の役場の職員になりました。町役場の中に入ってみて驚いたことがありました。実は、町役場の予算の中身を、町議会の皆さんが余りわかっていない、あるいは町議会の皆さんがわからないだけではなくて、役所の職員自体も、自分の所掌するところの予算はわかっているけれども、ほかのところの予算は予算書を見ても全くわからないというような実態がありまして、これでは地元の皆さんからお預かりした税金をきちんと使う、その使い道を決めるという立場としてはいかにも不十分だというふうに感じたものでありました。

 そういった目線で、実は国の予算書を眺めてみます。これは平成十九年度の一般会計予算、予算書であります。これを眺めてみると、やはりよくわからないわけであります。しかも、先ほど松元主計局次長から、国会議員の皆さんの御要望に応じてという話がありましたけれども、私は、そこは違うのではないかという気がするんですね。リクエストがあったところだけ詳しく説明するということではまずいのではないか。もっと幅広く、わかりやすく説明を、要求があるないにかかわらずしておくことが、実は、いわゆる最近はやりの言葉で言う説明責任、アカウンタビリティーなのではないかというふうに思うわけですが、まず、主計局次長の方でどうお考えでしょうか。

松元政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、予算編成過程においてということでございましたので、この概算要求なり年末に向けての編成過程でのことにつきまして御説明させていただきましたが、でき上がりました予算につきましては、これはまさに国会の御審議に向け、国会議員の先生方に十分御理解いただくということがまず第一ということで私どもも考えております。

 そういったことから、この年末から年明けにかけましては、予算の中身を網羅的に説明いたしました予算の説明あるいは予算案の全体的な特徴や各経費のポイントなどをわかりやすく説明したPR資料、こういったものを国会議員の先生方にもお配りいたしまして御説明させていただいているということでございまして、私どもといたしましても、これは国会議員の先生方というだけではなく国民一般にということも大事なポイントと考えておりますので、ホームページにそういった内容を載せさせていただくといったことで御理解いただくことに努めているところでございます。

逢坂分科員 種々いわゆる説明の資料などを用意されて、網羅的あるいは場合によっては要約をしてわかりやすく説明をしようとしていることは一部理解をしているわけでありますけれども、例えば、今この予算書の財務省のところ、財務省所管の、財務本省の予算のページを今見ています。四百二十一ページから始まるものでありますが、この中に、財務本省一般行政に必要な経費として四百九十六億九千三十二万六千円が計上されております。このことが書いてあって、さらにその次のページからこの内訳が書いてあるわけですね。例えば、そのすぐ直近に書いてあるのが、国際会議等に必要な経費として十一億六千四百五十四万四千円というようなことが書いてあるわけであります。

 もちろん、こうしたことを予算書に書くというのは、これは大変重要なことではありますし、当然のことなのでありますが、例えばこうした単位で、十一億とか二十三億とか三百七十七億とかいう単位で、例えば予算編成事務等機械化合理化に必要な経費二十五億八千四百六十五万七千円などと書いてあるということが、予算をきちんと細かく説明するということになるかどうかなんですね。私の感覚からいいますと、これではやはり予算の議論にはならないというふうに思うわけです。どこに無理があるのか、どこに無駄があるのかということをもう少し精緻に説明する必要があるのではないかというふうに思うんですね。

 例えば、私がこの予算書なり、あるいは事前の新聞情報や事前の概算要求や各省庁の要求などを見て、この分野を知りたいと言えば、いろいろと御説明に来ていただくことはございます。しかし、予算というのはモグラたたきのようなものでございまして、こちらで計上していたのをやめてこっちへ計上するというようなことはよくあるわけでありまして、森全体が見えるようになっていなければ、実は予算全体の木一本一本のある種の正しさみたいなものというのは必ずしも認定、特定できないわけですね。したがいまして、もっとやはり全体を細かく見せるという工夫、努力が必要なのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

 それで、この点について、三十年前でしたら私はこういう議論はしなかったというふうに思います。しかし、今の時代はIT、ICT、要するにさまざまな情報機器や公開の手段というものがあるわけでありますので、一々手書きをして印刷して、こんなにもたくさんの資料をやはりつくらなきゃだめだということであればそれは不可能なことではありますけれども、今の時代であれば、それは技術的あるいは事務的には可能なのではないかというふうに思うわけですね。このあたり、主計局次長、いかがでしょうか。

松元政府参考人 予算書及びその添付書類につきまして御指摘がございましたが、予算書につきましては、これは予算の執行をしていくということで、項あるいは目といったものに区分けいたしまして、それぞれ国会での議決事項、それから、それぞれ執行に至った場合に各省庁が間違いのないように執行していただくという観点がございますので、各省庁横並び的なといったことも勘案しながら作成されているというところがございますので、御指摘ありますように、一般の国民の方から見るとなかなかわかりにくいといったような点もあろうかというふうに考えております。

 そういったことから、予算案の中身を網羅的に説明しました予算の説明といったものを別途作成させていただいておりますし、各省庁におきましても、予算ができますと、その中身を説明した資料をそれぞれ作成していただいているということでございまして、こういったものをできるだけわかりやすくしていく、かつ、特に新規の施策などにつきましては、そのポイントをわかりやすくさらに説明するといった資料も作成させていただいているところでございます。

 まさに、おっしゃいましたような新たな技術といったものもございます。こういったものも活用していくということで、ホームページにおきますそういった資料の充実ということにつきましても、私ども努力いたしているところでございますが、今後、さらに改善すべき点ということがございましたら、先生の御指摘なども踏まえながら、さらに努力させていただきたいと考えております。

逢坂分科員 私は今の答弁では全く納得はしないわけでありますけれども、大臣、いかがでしょうか、今の私の指摘。この予算書だけではわかりにくい、でも説明資料もある、説明資料も網羅的だという話をされましたが、私は、それでは必ずしも私たちが本当の意味で知りたい予算情報というものではないのではないか。

 多分、私は、与党の皆さんも、本当の予算の中身を知りたかったら、網羅的な説明資料以外に、個別に突っ込んだ別の資料というものを手にして、初めて、ああ、ここにこんな予算があるんだな、ここはちょっと多いな少ないなということになるんだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

尾身国務大臣 確かに、この予算書を見て何人の方がこれをわかるかというと、自分の分野はわかりますが、一般的にはなかなかわかりにくいんじゃないかというふうに思います。

 いつも事務方から予算委員会の資料等で説明を受けて答弁をしておりますが、これのペーパーも、大体において私が直してもらうところは、九割方は、これではわかりにくい、こういう言い方をしないとこの問題はわかってもらえないという観点から文章の修正も全部させております。そういう意味では、我が財務省の職員の皆様、非常に頭脳も明晰でありますけれども、我々のように選挙をやっている方々ではないものですから、わかりやすく説明をするという点において、その点で競争すれば、まだ私の方がはるかに上だと思っておりまして、そういう点をいつもいつも意識しながら資料の作成あるいは答弁もしているところでございます。

 今おっしゃいましたことは大変我が国としても大事なことだと思っておりまして、ぜひ政策的な議論を予算委員会でまともにしたいなというのが、私が特に大臣就任以来非常に強く感じていることでありまして、ほとんど毎日そういうことを事務所の中では言い続けているということでございます。

 大変に貴重な意見をいただきました。ぜひ逢坂議員には予算委員になっていただいて、予算委員会の場でこういう議論をしていただいて、これは与党も野党も関係ありませんから、全体の、政治が本当に予算そしてまた国民生活に密着している議論をするということを、与党、野党問わず、これを実現していきたいというふうに思います。

 先ほども申し上げましたが、私は大臣就任以来、きょうの分科会の議論が、朝から今までほとんど例外なしにまともに予算の内容についての議論をしていただきましたので、大変にハッピーな思いでございます。ありがとうございました。

逢坂分科員 実は私もまさに大臣と同じ思いでございまして、先ほど私が北海道のニセコ町の例を申し上げました。十四年前に私はニセコの町長になりまして、やはりこのままでは、きちんとした、地域の皆さんに説明責任や、議会の皆さんも議決責任が果たせないだろうということで、地元で使っている、これは予算の説明書であります。

 地方自治法に基づく予算書は、こういう形で、第一条何、債務負担行為がどうとかということが全部書いてある予算書があるんですが、それではわからないので、こういう絵地図が入ったようなわかりやすいものをつくって、これを配付することで初めて議会の皆さんも、ああ、あの予算はこういうことだったのかとかということがわかるわけです。これはまさに絵地図入りで、佐藤さんの家の前から高橋さんの家の前まで下水をやるなんということも書くわけであります。財源がどうなっているかですね。こういうものがあって初めてわかるわけであります。

 私は、国家の予算はこのレベルにしろと言うつもりは、それはないのですが、だがしかし、こういう基本姿勢を持ってやらなければ、まさに大臣が御指摘する予算本質の議論というのはできないのだというふうに思うわけですね。

 したがいまして、ぜひこうしたことを、全国の自治体にはいろいろな事例がありますので、それらを参考に、国の予算もわかりやすく見直していただきたいなというふうに思います。そうすることが、実は、財務省の皆さんが一番今御懸念されている、心配されている国家財政の危機を救うことになるんですね。

 今は、どちらかといえば、私は、官僚の皆さん、確かに能力は高い官僚の皆さんではありますけれども、僕たちがちゃんとやっていれば財政の危機は何とかなるから皆さん納得してねというふうにしか見えないわけです。そうではなくて、あけっ広げに、僕たちはこういう予算原案をつくっている、だけれども議会の皆さんいかがですか、国民の皆さんいかがですかというような問いかけをきちんとする中で、さまざまなガバナンスがきくような仕組み、それがまさに情報公開だというふうに思うわけですね。ぜひこの点をお願いしたいと思います。

 それと、私がこういう冊子を手にしますと、こういう批判があります。それは逢坂さん、北海道のニセコなんというのはせいぜい予算規模が五十億、七十億程度のところでしょう、だからできるんです、国家予算は八十兆ですよという言われ方をします。でも、私はそうは思いません。国家予算八十兆であったって、それは各部、各局、各課のある種積み上げでありますから、各部、各局、各課にモジュール、断片、切り分けて、その課、その部、その局でこういう取り組みをもしするとするならば、それは実現可能なわけでありますよね。

 したがいまして、ぜひ、日本の国家財政を立て直すためにも、適切な情報開示、公開を大臣お願いしたいんですが、最後に御決意のほどをお聞かせください。

尾身国務大臣 ニセコのパンフレットもいただいて、来年そういう種類のものをつくるべく、関係者と相談をして、努力したいと思います。

 大変いいサジェスチョンをいただきまして、ありがとうございました。

逢坂分科員 きょうは短い時間でしたけれども、いろいろな話ができました。ありがとうございます。

 終わります。

森主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会所管の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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