衆議院

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第1号 平成20年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成二十年二月二十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      臼井日出男君    大野 功統君

      小池百合子君    増原 義剛君

二月二十六日

 増原義剛君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 増原 義剛君

      臼井日出男君    越智 隆雄君

      小池百合子君    山内 康一君

    …………………………………

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   外務副大臣        小野寺五典君

   法務大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  稲見 敏夫君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    柳  俊夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新保 雅俊君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  別所 浩郎君

   法務委員会専門員     小菅 修一君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     山内 康一君

  大野 功統君     越智 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     大野 功統君

  山内 康一君     亀岡 偉民君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     臼井日出男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (法務省所管)


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     ――――◇―――――

増原主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中法務省所管について、政府から説明を聴取いたします。鳩山法務大臣。

鳩山国務大臣 平成二十年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 法務省は、治安、法秩序の維持確保、国民の権利保全など国の基盤的業務を遂行するとともに、司法制度改革の推進に取り組んでおり、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、適正、円滑な法務行政を推進するため、所要の予算の確保に努めております。

 法務省所管の一般会計予算額は六千五百五十一億七千九百万円、登記特別会計予算額は一千七百二十九億九千三百万円、うち、一般会計からの繰入額が六百八十八億八千四百万円でありますので、その純計額は七千五百九十二億八千七百万円となっており、前年度当初予算額と比較いたしますと、百十六億三千八百万円の増額となります。

 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

増原主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま鳩山法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増原主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

増原主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

増原主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内康一君。

山内分科員 自由民主党の山内康一です。よろしくお願いします。

 まず最初に、法務省に、難民認定制度についてお尋ねをさせていただきます。

 難民認定、日本にやってきたアフガニスタンとかミャンマーとかの難民の認定にかかる時間が今平均二年ぐらいと言われております。アメリカとかだと半年で大体平均と言われていますので、二年というのはかなり長いように感じるんですけれども、きょうはせっかく大臣がお見えでありますので、二年も難民認定にかかっている現状についてどのようにお感じなのか、お聞かせいただければと思います。

鳩山国務大臣 我が国は基本的に移民法というのは持っていないわけですね。つまり、アメリカは人種のるつぼと言われておりますが、日本の国は移民というのを認めていなくて、そういう意味で、難民認定にも慎重を期す必要がある、そう考えております。

 しかしながら、国連高等難民弁務官の方にもお会いをして、例えば今第三国定住、つまり、その国を出て、例えばミャンマーからタイへ出てキャンプを張っている、そういう人たちが日本に来るとすれば、これは条約上の難民ではないということで、例えばそういう第三国定住という形での難民受け入れをやるかやらないか、真剣に検討いたしておりまして、そんなことを考えますと、慎重には慎重を期さなければいけないと思いますが、確かに二年というのはかなり長いなという印象は持ちます。

山内分科員 ありがとうございます。済みません、突然の質問で。

 大臣もちょっと二年は長過ぎるなというふうにお感じであるようでありますが、ぜひ入管局長にお尋ねしたいと思います。

 この二年の期間を何とか少しでも短くするための何らかの工夫なり手続なりが必要だと思うんですけれども、それについてお聞かせいただけますでしょうか。

稲見政府参考人 お答えいたします。

 難民認定手続でございますが、委員御承知のとおり、平成十七年の五月から大幅な見直しを行いました法改正を施行しております。この施行を十七年の五月十六日からいたしましたところ、翌年の平成十八年、この一年間の難民認定の申請数が九百四十五人、これは前年の三百八十の二・五倍ということで、急増したというのがございます。また、翌年の平成十九年も同様の数字、八百件を超える申請がある。この急増にそれまでの処理体制が追いつかないということから、実は審査期間が長時間化しているということが生じております。

 これは早急に是正しなきゃいけないということで、当局といたしましては、難民認定に当たっております職員の技術の向上、各種研修を繰り返す、加えて、難民認定事務処理体制を整備する、あるいは合理化できる手続はすべて合理化するというふうなことで、処理期間の短縮に努めているところであり、今後もスピードアップに全力で取り組んでいくという所存でございます。

山内分科員 ありがとうございます。

 確かに十七年五月の新しい難民認定制度、これは前に比べると大変進歩だと思います。民間の有識者あるいはNGOの代表の方が難民審査参与員ということで認定されて、難民の適格性について審査する、そういう制度がすごくよくなったということは大変評価しておりますが、他方で、日弁連の調査等によりますと、この難民審査参与員の資格について、ちょっとどうかなと思われるような参与員が含まれているというふうに、難民の側あるいは日弁連の関係者からも御指摘があります。この難民審査参与員の任用基準が外から見て非常にわかりにくいという指摘がありますが、それについて、どういう任用基準になっているのかお聞かせいただければと思います。

 法律を読む限りは、人格高潔とか、あるいは国際情勢と法律に詳しいとか、非常に大ざっぱなことしか書いていないんですが、実際のところどのように任用の基準がなされているか、お尋ねします。

稲見政府参考人 お答えいたします。

 参与員の任用の基準、お願いする基準といいますか、これはまず法律で、委員御指摘のとおり、人格高潔、難民不認定処分等の異議の申し立てに関し公正な判断を行うことができる者、これが内容的な基準でございます。

 かつ、ジャンルにつきまして、法律または国際情勢に関する学識経験を有する者というぐあいになっておりまして、具体的な運用といたしましては、ジャンルとしては三つのジャンル、第一のジャンルは、事実認定を含む法律実務の経験豊富な法曹実務家、これが第一のカテゴリーでございます。第二のカテゴリーは、地域情勢や国際問題に明るい元外交官、商社等海外勤務経験者、海外特派員経験者、NGO、国連関係機関の勤務経験者、これが第二のカテゴリーでございます。第三のカテゴリーが国際法等の分野の法律の専門家ということで、三つのカテゴリーから選ばせていただく。

 選ぶ方法につきましては、先ほどの難民認定の制度の大幅改正の法改正の際に、国会で附帯決議をちょうだいしておりまして、その附帯決議によりまして、選ぶに当たっては、例えば日本弁護士連合会あるいはUNHCRというような団体からの推薦を受けて任命せよというような附帯決議をいただいておりますので、それに基づきまして任命を行っている、これが実情でございます。

山内分科員 その中で、NGO団体から推薦を受けた方で、私が前から個人的に知っている方で、法律にも詳しい、そういう人が、NGOの推薦があるにもかかわらず採用されなかった、人格が高潔じゃなかったのかもしれませんが。そういう意味では、ちょっと今の大ざっぱな説明ではなかなか納得していない方が多数、そういう支援団体あるいは弁護士関係者の間におりまして、もう少し明確化していくことが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

 例えば経験年数にしても、年数とか、もうちょっと具体的な、人を採用するときのジョブディスクリプション的なものをもうちょっときっちりしていくことが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

稲見政府参考人 この難民審査参与員の推薦につきましては、例えば、特定の団体から、お二人採用させていただくという場合に、お二人を推薦していただくのじゃなくて、四名、五名の方を推薦いただいて、その中から選ぶということをやっております。結局、最初の枠、二名という枠がどうやって決められるのかということだと思います。

 難民審査参与員につきましては、制度発足当初は十九名ということでお願いしているわけでございますが、先ほどの審査の迅速化、スピードアップの観点から、現在は二十八名ということにふやしております。ということで、実は、どのジャンルからという人数も固定ではございませんで、いろいろな御要望を聞いて、現在、その割り振りをやっているというところでございます。

 ということでございますので、先ほど言いました三つのジャンル、どのジャンルから何名というのは、今後の運用も見ていきながらだんだん具体的なものをつくっていく、そういうものを踏まえて、任用基準というものが固まれば、それを法制化していくということを考えている次第でございます。

山内分科員 この新しい制度は始まったばかりなので、最初のころはいろいろ摩擦とか問題もあるかと思いますが、ぜひ透明度を高める努力ということをこれからも続けていっていただいて、そういう支援のNGOなり弁護士の皆さんから不満が出ないような、透明度の高い制度にしていただければと思います。

 次に、四番目の質問をスキップしまして、難民申請中の就労許可についてお尋ねします。

 今の制度におきましては、難民申請をすると、基本的には申請中は就労の許可が出ません。就労の許可が出ないのであれば、例えば生活保護のような金銭的な支援をする必要があろうかと。働けないのだったら、何か経済的な支援がないと食っていけないわけでありますから。そういうふうに、申請中、働くことを許可するか、さもなくば生活保護を与えるか、どっちか、二つに一つしか本当はないんだと思うんですが、実は、今の制度におきましては、難民申請中はずっと働かずに待っていなきゃいけないということになっております。

 そうすると、先ほど申しましたように、認定に二年かかるとなると、二年間無収入でずっと待ち続けなくてはいけない。それは難民にとってはもう実質的に不可能に近いことで、実際どうなっているかというと、難民申請中の皆さんが不法就労しているわけですね。日本が制度の不備によって不法就労を必然にしてしまっているという状況がございます。

 これは、生活保護のようなお金を上げるか、さもなくば就労許可を与えるか、二つに一つしかないと思います。どちらかの方法をとらなくては、不法就労せざるを得ない状況がなくなりません。これについて、法務省のお考えをお聞きします。

稲見政府参考人 結論から先に申し上げますと、選択肢は二つじゃございませんで、私ども、三つ目の選択肢を先年の法改正の際にお約束しております。それは、難民認定につきましては、最初の認定から不認定になった場合の異議の申し立て、この一連の処理を申請から六月以内に処理いたしますということを、先年の大改正の際に国会でお約束しております。

 それが、先ほど冒頭申し上げました申請数の急増ということで実現ができていない。ここがすべての問題の起点だと考えておりますので、大至急、六月以内にすべての処理を終わらせるという体制の方に全力で取り組んでいただかせるということを考えている次第でございます。

山内分科員 確かに、六カ月で終わるのであれば、本当に問題ないと思います。アメリカでもイギリスでも、半年か一年は就労許可を出さない制度になっていると思うので、六カ月というのは極めて妥当なラインだと思います。

 ただ、実際二年かかっている、平均して二年かかっているということは、やはり食えなくなるのは当たり前のことで、そうすると、不法就労を招いても当然になってしまいますので、六カ月以内に許可、不許可の決定を出すというのは当然やっていただくとして、過渡期というか、暫定的に何らかの支援策を考えなくては、もう六カ月以降どうしようもなくなってしまいます。

 ですから、六カ月以内に結果を出すのを目標にしますが、例えば、それを超えた場合については就労許可を出すとか、そういった措置が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

稲見政府参考人 就労許可を出すということになりますと、これはいろいろなことを検討しなきゃいけなくなります。というのは、もちろん、それで時間がかかるということになりますと、そのことに着目して制度を悪用するというようなものも出てまいりますので、そういうものを確実にどうやって排除するかという問題も出てまいります。

 また一方、やはり何といっても、庇護を与える、あるいは在留特別許可を与えなきゃいけない者については、そういう中間的な処分ではなくて、一日も早く本来の認定なり在留特別許可を与えるべきだと考えておりますので、やはりストレートに六カ月以内という、単なる努力目標ではなくて、本当に六月以内にすべての処理をするという体制に全力で取り組んでいきたいと考えている次第でございます。

山内分科員 全力で六カ月以内というのはもう全くそのとおりだと思いますので、そこは理解するんです。ですから、六カ月を超えた場合はどうするかということを考えなくてはいけないと思うんですね。これは、法改正のレベルじゃなくて、政省令でちょこっと変えられるところじゃないかと思うので、ぜひ前向きに御検討いただくか、さもなくば本当に六カ月以内に確実に結果を出せるようにしていただくか、どちらかの対応をお願いしたいと思います。

 では、とりあえず法務省に対する質問は以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 続きまして、外務省にお尋ねします。

 ODAのモニタリングあるいは評価、特に国際機関に対する拠出と出資についてお尋ねしたいと思います。

 今、ODAのうち、国際機関に対する拠出と出資はかなりの金額になって、三千億を超えるような状況になっていると思います。三千億と一口で言うと、実は、JICAの技術協力と無償資金協力を合わせたぐらいの相当大きな金額を、国際機関に出資なり拠出しているわけです。

 JICAなりJBICなりといった政府の実施機関に関しては、相当前から政策評価、プロジェクト評価をやるようになってまいりました。特に、国際援助の世界では、OECDのDACが決めたガイドライン等、もう十数年前からずっときちんと評価するような仕組みができております。

 しかしながら、国際機関の拠出と出資に関しては、そのあたりのフォローというか、成果の検証が余りなされていないような印象を受けております。私も昔JICAの職員をやっておりましたけれども、会計検査が入るというと、もうみんなおびえて震え上がっていたものですけれども、そういったことが全く、国際機関の場合は、お金を出しちゃうと後は領収書をもらうだけと、ほとんどブラックボックスのような状況になっていると思います。

 このような国際機関に対する出資金、拠出金のフォローアップというか、成果の検証、モニタリング、これが今どのような体制で行われているのかをお尋ねします。

小野寺副大臣 御指摘にありますように、我が国は、この出資金というのはかなりの額を出しております。

 国際機関におきましては、会計検査、内部監査、外部監査などが各機関ごとに行われる、そういう制度が設けられておりまして、例えば、国連におきましては、三カ国の会計検査院の長から構成されます国連会計検査委員会が会計検査を行っています。また、国連内部監査部が内部監査及び国連の活動評価を行っています。さらに、外部監査ですが、国連合同監査団、これは日本もメンバーに入っておりますが、国連システムのマネジメントの向上や活動の効率性などを監査しております。国連会計検査委員会、国連合同監査団の作成する提言を含む報告書というのは、行財政問題を扱います国連総会第五委員会に提出され、我が国を含む各国により審議をされております。

 このように、我が国としては、国際機関ごとに設けられている会計検査や監査制度にのっとって、国際機関の活動を適切に評価しているというふうには考えておりますが、これだけ多くの金額を出しているということですので、今後、この努力を一層強めていきたいというふうに思っております。

山内分科員 各国際機関がそれぞれ内部で監査をするなりあるいは評価をするのは当然のことだと思うんですけれども、日本の外務省として、あるいは日本政府として、どのようにその拠出金が役に立っているかのフォローアップというのは、一元的に外務省のどこかの部署なりどこかの課なりでフォローアップされているのでしょうか。それについて、局長からでもどなたからでも結構ですので、お願いします。

新保政府参考人 当然のことながら、私どもは、ただこういった制度だけではなくて、我が国としても、このような国連その他の国際機関におきますこういった会計検査あるいは監査といったものについて強い関心を持ちまして、例えば、私どもの方のOBをそのような機関に出すとか、そういうことをしております。

 また、そのほかでありますが、国際機関等に対する拠出、出資金等に関する報告書というのを毎年、平成十五年度から出させていただいておりますが、その中で、国際機関の活動を把握する、積極的に把握するということをしております。

山内分科員 やはり国際機関に関する報告書というのは、こういうものをちゃんと外務省が出されていて、百を超える国際機関に、金額が少ないものも含めて相当たくさんありまして、今は何をやっているかわからないようなコロンボ・プランとか東南アジア漁業何ちゃら機関とか、本当に数え切れないほどたくさんの国際機関に、細かいものまで入れるとたくさん出しています。それを、一つ一つの機関について、概要表みたいなのはあるんですけれども、実際にそれがどの程度役に立っているのか。プロジェクトの成果もそうですし、それが日本外交にどういうプラスの影響を与えているのか、そういうことも含めて、何か一元的に管理する機関が必要なんじゃないかな。

 やはり、これからODAをふやしていくのは大変難しいと思いますから、国際機関もめり張りをつけて、日本にとって戦略的に必要な分野、例えば環境とか平和構築とか、これから伸ばしていく分野にはもっとたくさんつけるとか、あるいは人も出していく。それから、ちょっと時代のニーズに合わなくなったような組織には引っ込めていくとか、そういうめり張りが要るのかなと思うんです。

 こんなにたくさん、百幾つもあって、一つ一つを恐らく局長レベルでも覚えられないぐらいたくさんあると思いますので、こういうものをきっちりモニターして、どこを削る、どこを足す。

 あるいは、国際機関の中でも、例えば教育にかかわっているところだけでも、ユニセフもあれば、ユネスコもあれば、東南アジア何とか機関もあれば、アジア工科大学もあれば、そういう全体を見渡して、めり張りをつけるような機能というか戦略性というのが余りこの報告書を見ていて見当たらなくて、広く薄くばらまいているような印象を受けるんですけれども、今の体制について何か改善すべき点があるとはお考えにならないでしょうか。

小野寺副大臣 私も、副大臣に就任してすぐにその報告書を見させていただきまして、実は、一つ一つ、これは何だ、これは何だというふうに時間をかけて担当者から話を伺いました。なかなか一回では理解をすべてできない、そのぐらい広くいろいろな分野がありますし、また金額も、多い少ない、それぞれかなりばらつきがあるというふうにも感じております。

 今後、内容についてはきちっと精査をしなきゃいけないと思っておりますが、一点、どうしても、やめてしまうということ、こういうスクラップ・アンド・ビルドの考え方も必要なんですが、やめてしまった場合の、逆に、抜けたということでの国際社会へのインパクトというんでしょうか、それは余りいい方に伝わらないこともあると思います。そういうことも考えながら、この内容についてはやはりきちっと見ていくことが必要だと思っています。

山内分科員 これだけODAが厳しくなって予算が減っている中では、どうやって効果的な援助を実施していくかということはこれまで以上に重要で、私は、ODAの実施手段の選び方、最適のモードというか、最適のサービス提供の方法を考えるフォーマットというか公式みたいなものが必要なのかなと。

 例えば、学校をつくる、アフガニスタンで学校をつくりますといったら、いろいろな機関に頼むことができるんですね。NGOも学校をつくれるし、JICAも学校をつくれるし、それから、世界銀行もつくっている、アジア開発銀行もつくっている、ユニセフもつくっている、UNDPも雇用創出でつくっている。恐ろしくいろいろな機関が、学校建設をやろうと思えばできるわけですね。

 その中で、どの機関を選ぶのが一番効果的か。アフガニスタンにとっても効果的か、あるいは、日本側から見ても、恐らく正直言ってJICAか日本のNGOが学校を建てた方が、日本人の顔が見えるから、ユニセフとかでやるよりもいいんじゃないかなというふうに率直に思います。

 あるいは、私は昔、ユニセフの仕事を受注して、NGOの職員としてユニセフの仕事を下請でやっていたことがありますけれども、ユニセフに出している拠出金をそのまま我々の、日本のNGOにくれた方が、中間の卸業者がなくなるようなものですから、もっと安くできたはずだと思いますし、もっと柔軟にできたと思います。

 そういう意味では、例えば、これまでの援助といえば、幾ら金額を突っ込んだと金額ばかり議論されていたと思うんですね。本当は、何人の子供が学校に行けるようになった、幾つの橋が直ったとか、幾つの空港を直したとか、そういうアウトプットをベースにして、もうちょっと援助の効果を考えていかないといけないし、コストパフォーマンスも考えなくちゃいけないんだと思うんですね。

 そのときに、本当に国際機関に金を出すのがいいことか。国際機関に出すよりも日本の援助実施機関に渡した方が、もしかしたら日本の顔が見えていいかもしれない。あるいは、コスト的にいうと、JICAよりもアジア開発銀行の方が安くできるから、ADBに任せた方がいいかもしれない。同じ教育セクターの中でもどの機関を選ぶか、そういう発想で、もうちょっと援助のあり方を見直していくということが必要ではないかと思うんですね。

 そういった、何かいろいろな国際機関、二国間の援助機関、それから、民間のNGOなり、あるいはジェトロみたいな商業ベースのものを含めて、どの援助モード、どの援助手段が一番最適か、それを考えるような仕組みというのをこれからつくっていただきたいと思うんですが、それについて外務省のお考えをお願いします。

小野寺副大臣 確かに、国際機関への拠出金、いろいろな形で使われていますし、それが直接日本の顔になっているかという御指摘は多々あると思います。

 私どもとしましては、日本の外交的な全般のことを考えて国際機関への拠出も考えておりますが、今後、国際機関から逆にいろいろな形で事業を受け取る。今、山内委員もおっしゃいましたが、NGOの活動、活躍というのは大事だと思っております。ぜひ日本の拠出金がいろいろな国で有効に活用されることが大事だと思いますが、日本のNGOがそれを受け取り、また、日の丸を立てて活躍されることが大事だと思っています。

 今、学校の件のお話がありました。恐らく、学校一つつくることに関しても、どこがどのような実施をしていくのが一番効果的かということがあると思います。恐らく、これは受け手側のニーズあるいは状況によって大分変わってくると思います。

 例えば、本当に小さな学校一つをつくるということであれば、一番有機的に機能するのは、NGOに直接支援をしてやっていただくのが多分有効なんだと思います。また、小学校のような比較的軽微につくれるようなことに関しましては、例えばコミュニティー開発支援無償のようなものがあるでしょうし、中学校、高校のような、少し教育設備もしっかり整えた形ということであれば、無償の援助もあると思います。

 なかなか私どもも、きちっとこの支援に関してはこういうやり方ということを考えていきたい部分は多々あるんですが、それぞれの国の状況とかニーズによって、支援の仕方というのもさまざま形があります。今後、この支援の形を進めていく中でだんだん整理されていく、そういう方向になるのではないかなというふうに思っております。

山内分科員 外務省の、今、国際協力局とか地球環境審議官のところで国際機関に対する援助を見ていると思うんですけれども、三千億もの大きな金額を見ているんですから、場合によってはもっと人をふやすということも必要だと思いますし、国際機関に対する援助のあり方のガイドラインとか評価のあり方はもう少し工夫が必要なのかなと思いますので、ぜひその点は力を入れてもらいたいと思います。

 例えば、外務省なり経産省の官僚のOBの方がそういう国際機関の上級ポストに応募しても、だれも天下りだとは批判いたしませんので、そういう日本の、特にキャリアの官僚の皆さんを含めて、優秀な外交官、優秀な人材をぜひもっともっと国際機関に出していけるように、金を出すけれども人も出す、金も出すけれども口もちゃんと出す、そういう援助のやり方をやっていかないと、国民の皆様に理解が得られないと思います。

 それから、JICA、JBIC、そういうODA実施機関の評価は、これだけちゃんとやって国民に広報していますけれども、国際機関に対する拠出というのは余り国民の皆さんに知られていないんだと思うんですよね。国民の皆さんも、ユニセフの募金だったら結構集めるけれども、実は、ユニセフには外務省からも結構ちゃんと税金で出している、そういうことは意外なほど知られていないんだと思うんです。

 そういう国際機関経由の援助も我々の税金ですし、納税者に対する説明責任はきちんと果たしていかなくてはいけないと思いますので、そのあたりの広報のあり方、評価のあり方、それから、うまくいっていない国際機関の援助に関してはきちんと物を申してやめさせていく、あるいは、うまくいっているところにはもっと手厚く配慮していく、そういうめり張りをつけることが必要ですし、そのためには、外務省でもきちんとそれなりに人も充てないといけないと思いますし、例えば国際機関援助統括官みたいな役職をつくって、チェックしていく体制をつくるということも必要ではないかと思います。

 それから、せっかく海外経済協力会議が官邸にできましたので、ああいったところでも、国際機関向けの援助のあり方について、ぜひ大所高所から御議論いただければと思います。

 三千億、四千億のお金を動かしている割には余りにも知られていないし、我々議会も、国際機関向けの援助というのは余りチェックしていないし、過去の議会の議事録を見ても、そんなに大きく議論がなされている形跡がないと思いました。そういった意味で、ぜひ改善をお願いしたいと思います。それについて最後、小野寺先生、お願いします。

小野寺副大臣 恐らく、お金も出すけれども口も出す、そういうことが大切だと思います。今、御提言があったこと、本省でちょっと真剣に検討していきたいと思います。

 また、これはちょっと外務省から言う話ではないかもしれませんが、この拠出金につきましては、実は外務省分は、三千億を超える中での約五百億円分だと思います。あとは世銀、IMFほか、これはやはり、官邸を含めたオール・ジャパンでこういう拠出金については検査をしていく、そういう仕組みが必要だと思っております。

山内分科員 今御指摘があったように、外務省以外の国際機関の拠出が物すごく多い割にはだれも知らなかったりとか、あるいは昔、大蔵省が、自分の省の役人を留学させる資金を世銀にファンドでこっそりつくっていたりとか、いろいろ問題になったことがありました。そういったものも含めて、外務省がチェックするわけにもいかないと思います。ぜひ、より上の官邸の方の海外経済協力会議等で、オール・ジャパンの視点に立って援助のやり方、スキームを最適化する、そういう発想が要るのかなと。

 技術協力にしても、JICA以外に経産省がいっぱいやっていたりとか農水省がいっぱいやっていたり、JICAでやっていることとほとんど同じことをいろいろな機関がやっている、こういう状況があると思います。場合によっては、JICAがやるよりも農水省の関係団体がやった方がよければ、そこは譲るところは譲ってもいいと思うんですね。そういうほかの省庁とのデマケで、少ない、限られた税金をいかに効率的に使うか、そういう発想で、ぜひほかの省庁との連携を深めていただきたいと思います。

 最後、もう一度お願いします。

小野寺副大臣 御指摘は、大変的を射た御指摘だと思っております。

 私も、各国を回らせていただいて、日本の援助機関あるいは現地で活動をしているいろいろな方、日本の支援、それぞれを見させていただいて、実は、例えばマングローブ、これはインドネシア、バリで見させていただきましたが、そこの環境に対する支援というのは日本がしっかりやっております。ここは、元林野庁の職員の方が、この経済支援、技術協力の中で、逆にそこに根づいて、むしろプロパーの職員で働いていらっしゃる。

 そういうこともございますので、恐らく、外務省の持っている役割、得意分野と、それから実際に技術協力で相手国が必要な得意分野、多々ありますので、そこはこれからも協力し、そしてまたオール・ジャパンという形、官邸にもそういう機能がありますので、そういう方向で頑張っていきたいと思っております。

山内分科員 時間がなさそうなので、最後は質問ではなくて、意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 たしか予算では、国連機関のJPO、アソシエートエキスパートの予算が少しずつふえていると思うんですが、こういった人的貢献をするために、特に若い人たちに国際機関で働くチャンスを与えていく、そのためにはもっとお金を使った方がいいんじゃないかと思います。

 三千億あるうちの一%、三十億円でも、もう既に三十億使っているのかな、いずれにしても、三千億、四千億のオーダーからすれば、JPOにかけるお金なんか、恐らく五十億、六十億出したって大したことないんだと思います。もっと人の面で、特に若い人たちが、将来、緒方貞子さんみたいになれるような人たちを育てるためにお金を使っていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

増原主査 これにて山内康一君の質疑は終了いたしました。

 次に、越智隆雄君。

越智分科員 おはようございます。自由民主党の越智隆雄でございます。

 きょうは、鳩山法務大臣に初めて質問をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、オウム真理教に関して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 オウム真理教を規制しております観察処分の更新、そしてまた団体規制法の見直しが来年に控えておりまして、この機会を利用させていただいて、法務大臣並びに公安調査庁の長官に御意見をお伺いしたいというふうに思います。

 オウム真理教は、今でも活発に活動をしておりまして、全国に広く施設を持っておりますが、その後継団体でありますアーレフ及びひかりの輪の双方の本部が、実は、私の選挙区であります烏山にございまして、今、出家信者が百人ぐらいそこで活動しているわけでございます。そういう意味で、特に関心を持って活動に取り組ませていただいているところでございます。

 また、私以外にも、金沢市の施設を抱える馳浩衆議院議員を中心に、施設周辺の議員がグループをつくって取り組んでいるところでありますけれども、きょうは、その中で、基本的なところを御質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、公安調査庁にお伺いしたいんですけれども、オウム真理教の拠点数や信者数など、現況についてどのように把握しているのか、また、このオウム真理教の危険性についてどのように考えているのか、御説明をお願いいたします。

柳政府参考人 オウム真理教につきましては、昨年の五月に上祐派が脱会いたしまして、新団体ひかりの輪を設立したところでございます。

 信徒数につきましては、主流派でございますアーレフ及び上祐派でございますひかりの輪の両方合わせまして、出家約五百人、在家約千人の合計千五百人、それから施設数は、十五都道府県下に二十九カ所の拠点施設を保有していると承知しております。

 両派ともに、現在なお、麻原彰晃こと松本智津夫の影響下にありまして、依然として本質的な危険性を内包している上、その閉鎖的、欺瞞的な性格には、いささかも変化がないと私どもは見ております。

越智分科員 ありがとうございます。

 それでは、今お話がございました、分裂をしたというところでございますけれども、去年の五月に新しくひかりの輪ができたということで、一方、存続しておりますアーレフの方は、麻原に対する帰依をますます強くしているということでございましたけれども、この分裂によって、オウムの危険性というのはどう変化したか、ここをまずお伺いしたいのと、もう一点は、ことしの三月に、オウムの被害者の方々がやっております破産手続、この破産手続が終了するということが伝えられているわけですけれども、この破産手続が終了したときに、財政面でのオウム真理教への締めつけが緩むのではないかというような考えがあるわけですけれども、この点についてもどうお考えなのか、この二点、よろしくお願いいたします。

柳政府参考人 オウム真理教の主流派におきましては、麻原に対します絶対的帰依を徹底する修行を信者に課すなどの指導を強化しております。その意味で、本質的な危険性を依然として保持しているというふうに見ております。

 一方、上祐派でございますけれども、脱麻原を標榜してはおりますが、そういうことで、表面上、麻原の影響力の払拭を装ってはおりますが、その目的や組織構成などからいたしまして、本質的な危険性を保持していると見ております。

 それから、破産手続の関係でございますが、当庁につきましては、従来より観察処分を実施しているところでございまして、これによりまして教団の危険性の増大を抑止するなど、一定の効果を上げているものと認識しております。

 公安調査庁といたしましては、教団の破産手続の終結にかかわらず、教団の資産等の厳正な調査を引き続き実施いたしまして、教団の実態等の把握に努めてまいる、こういう所存でございます。

越智分科員 ありがとうございます。

 今お答えいただきました一点目については、ある意味では、分裂したことによって、アーレフの方がより凶暴化するんじゃないかという危険性を考える人も当然いるわけでございます。

 また一方で、ひかりの輪の方は、今までどおり、麻原隠しというような形で続くんじゃないかということを考える人もいると思うので、ぜひこの辺をこれからもしっかりと見ていっていただきたいというふうに思うわけでございます。

 もう一つの方の破産手続の方は、後でちょっと議論させていただきますけれども、今までは、破産管財人の方から知り得た情報があったと思うわけです。特に収支については、キャッシュフローについては、破産管財人から経済報告という形であったと思いますけれども、これがなくなるという問題は、より深く認識をしていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 次に、別の質問をさせていただきます。

 オウム真理教は、国内では、今おっしゃっていただいたように、観察処分の中でいろいろと規制をかけている。観察処分の対象だということで、これは平成十八年の公安審の決定の理由は、主に麻原への帰依が強まっているということと、もう一つが、殺人を暗示的に勧める教義が使われているということを理由に観察処分が更新をされているわけであります。

 一方で、オウム真理教に対して、海外の国は、諸外国はどういうふうにとらえているのかということについて、御説明をお願いしたいと思います。

柳政府参考人 オウム真理教に対しましては、アメリカ政府が外国テロリスト組織に指定しておりまして、資産凍結や信徒の入国拒否等の規制を行っております。それからまた、欧州連合、EU及びオーストラリア政府が教団をテロ組織に指定いたしまして、資金や資産凍結措置を講じております。さらに、カザフスタン政府がテロ組織に指定いたしまして、同国内におきます活動禁止の措置を決定していると承知しております。

越智分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、諸外国でもかなりオウムは認識をされております。特に、アメリカの内務省がつくりました外国人テロリスト集団リストというのがありまして、四十二団体あるわけですけれども、その中にはアルカイダも入っております。そこに並列でオウム真理教というのも入っておるわけでございまして、国際的に見てもテロリスト集団としての認識があるものだというふうに考えております。そんな中で、ロシアでも三百人の信徒がいて活動しているということも聞いておりますので、そういう意味では、かなり活発に活動を続けているということが言えるんじゃないかというふうに思っているところであります。

 それでは、次の質問なんですけれども、オウムの信者の数ですね。団体規制法が制定されてから、その後、信者数がどうなったのかということについて、御説明をお願いします。

柳政府参考人 お尋ねの信徒数でございますけれども、平成十二年一月の観察処分決定以降、出家信徒が約六百五十人、在家信徒が約千人の合計千六百五十人で推移してきたところでございます。その後、平成十六年の末以降、組織運営をめぐりまして主流派と上祐派との対立が続きましたことなどから出家信徒の脱会が相次ぎまして、その結果、出家信徒約五百人、在家信徒約千人の合計千五百人に減少していると見ているところでございます。

越智分科員 今の信徒数について公安調査庁に意見をお伺いしたいんですけれども、どういうことかというと、千六百五十人から千五百人に減った、一割減ったというのは事実だというふうに思います。ただ、一方で、観察処分が適用されている団体であります。それから、先ほど申し上げたように、殺人を暗示的に勧める教義が使われている団体であります。そしてまた、あのサリン事件の首謀者でありました麻原に帰依している団体であります。この団体に対してまだ新たに入信する人がいるという事実、また、この団体にずっと居続ける人がいるという事実、それを考えたときに、千六百五十人から千五百人に減った、一割減ったことが、減ったということで、いいことだといって評価するに値するようなことでは全くないんじゃないかというふうに思うわけであります。

 逆に、これだけ観察処分がかけられている団体に入る人がいること自体、とても変なことだと思いますし、また、ずっと居続ける人がいること自体、おかしなことだと思うわけでありますけれども、その辺の信徒数の変化についての御見解、御意見を伺いたいと思います。

柳政府参考人 信徒数が減少しているわけでありますが、減少したとはいえ、出家信徒約五百人の九割以上、在家信徒約千人の七割以上が、地下鉄サリン事件以前に入信した麻原への帰依心の強固な者であります。したがいまして、依然として麻原の影響下にあると認められるということや、団体のその目的や組織構成等からいたしまして、本質的な危険は依然として保持しているものと考えております。

越智分科員 ありがとうございます。

 定着率が高いといいますか、帰依の度合いが高い人がずっといるわけですね。新しい人が入ったり出たり入ったり出たりしているんでしょうけれども、そういう意味では、深い帰依を持った人間が千人規模でいるということだと思いますので、大変危険だというふうに思うわけであります。

 ここで、大臣に御所見を賜りたいんですけれども、オウム真理教は国内では観察処分が適用され、国際的にはテロリストリストに掲載されています。そして、今聞いていただいたように、実態的にも大変アクティブに活動しているわけでありますけれども、オウム真理教はまさにテロリスト集団であると考えるわけですけれども、この危険性について大臣の御所見を賜れたらありがたいと思います。

鳩山国務大臣 越智先生御指摘のように、オウム真理教は今なお危険性が十分あるということで我々も認識しておりまして、国民はもちろんですが、先生御自身のように、教団施設を抱える地方公共団体、そうした地域住民の方々に強い不安感あるいは警戒感を持たせている、そういう状況は我々は深刻に受けとめなければいけない。

 先ほどから話が出ておりますように、公安調査庁としては、団体規制法に基づく観察処分を厳正に実施するということで、また、観察処分や、財産の話もあると思いますが、資産の話もあると思いますが、そういう情報を関係の地方公共団体に提供するということで努力をいたしております。

 ですが、本質の問題として、アメリカでテロ組織だという、指定というのか認定というのかわかりません、指定をして、入国させないという、ほかの国でも、今御説明申し上げたように、テロ集団だという認定をしている。やはり、どの国も、冷戦の時代は終わっても、テロという最も恐ろしいものに対しては厳しく対処をしているわけでありまして、そういう意味で、日本の国もできるだけ厳しく対応していかなければいけないなと私は思います。

 正直言って、私のアルカイダ云々ということで随分マスメディアが騒いだこともありますけれども、それだけ身近に危険なものがあるということを強調したくて申し上げたことがああいう取り上げ方をされるということは、やはり私は残念ですよね。これは平和ぼけと言われても仕方がない。何か事件が起こると大騒ぎする。そうならないように、未然防止という意味で、これは厳しく厳しく政府全体がテロというものに対して対応していかなければならないし、越智先生おっしゃるように、それは千六百五十人か千五百人かわからないけれども、本当に危険性があれば、これはやはりテロ集団ということですから、そういうふうな意味で心を引き締めてかからなければいけないと思います。

越智分科員 大臣、ありがとうございました。

 本当に心強い御発言をいただきました。今おっしゃられるように、テロというのは大変身近なものでございまして、まさにオウムの施設の周辺住民にとっては、本当に近くに、駅から三、四分のところにありまして、住宅密集地の中にありますので、また、同じビルに住んでいる人もいるということを考えると本当に身近な存在でございまして、それにできるだけ厳しく対処していかなきゃいけないという大臣の御発言をいただきましたことに、大変感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、ここから、オウム真理教を規制する取り組みについて具体的に幾つか質問をしたいと思うんですが、まず、オウム真理教、現アーレフとひかりの輪の財政状況の把握について、今どうしているのか。資産状況また収支状況ですね、どのような仕組みでどう把握されているのか、教えてください。

柳政府参考人 当庁におきましては、教団に義務づけられております活動報告あるいは立入検査等によりまして、オウム真理教の資産や収支など財政状況につきまして鋭意調査を進めているところでございます。

 オウム真理教は、在家の信徒から説法会への参加費や布施を徴収していますほか、集中セミナーなどにおきまして高額な布施を徴収するイニシエーションを実施するなどいたしまして活動資金を獲得しているものと認識しております。

 ただ、教団は立入検査の際に非協力的な姿勢を示しておりますなど、その隠ぺい的な体質とも相まちまして、財政の内容につきましては依然として不透明な部分がございまして、今後とも実態解明に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

越智分科員 私は、問題意識としまして、テロを行うにはお金が要るんだということを考えますと、テロ集団の財政状況というのはきっちり把握するべきじゃないかというふうに思っているわけであります。

 そういう意味で、ここで、では今、オウム真理教が幾ら資産を持っているんですかという質問をしていきたいところなんですが、とても具体的なことを伺ってまいりますけれども、資産状況について、オウム真理教が幾ら金を持っているのか、あるいはどんな資産を持っているのかといったときに、どうも金銭換算で、いわゆる一般の企業のように資産は幾らですという形では、現状では報告できない状況だと話を聞いております。

 ですから、不動産は何平米持っていますとか、何筆持っていますとか、何は何個持っていますとか、動産何個持っていますというような、そういうような報告形式じゃないかというふうに聞いておるのでございますけれども、この辺について、やはり金銭換算して一般の企業のように把握できる仕組みができないと、オウム真理教をめぐるお金の動きはわからないんだというふうに私は思っています。

 二点目は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、お金の出入り、収支について、公安調査庁で把握する仕組みがあるのかどうか。今までは破産管財人の経済報告によってそれを把握していたというような話も聞くわけですけれども、その辺について、ここで正式に公安調査庁から、今の把握できる範囲、それについて教えていただきたいと思います。

柳政府参考人 まず、教団の資産状況でございますけれども、教団がことしの二月十五日付で提出いたしました第三十三回報告によりますと、ことしの一月末現在におきます教団の資産につきましては、現金約一億三千万円、預貯金約九千二百万円などとなっております。

 それから、不動産につきましては、教団が出家信徒名義あるいは関連事業体名義で実質的に所有する不動産は、六県に八施設あると認識しております。

 その金銭換算といいましょうか、不動産の現況等につきましては、引き続き現在の評価額を含めまして鋭意調査してまいりたいというふうに思っております。

 それから、収支の関係でございますが、この点につきましても、観察処分に基づきまして教団に義務づけられております活動報告書によりまして、資産や負債の状況のほかに、教団が営む収益事業の概要や、各事業に関します会計帳簿の備え置き場所等を把握しておりまして、これらを端緒といたしまして、立入検査や任意調査によりまして、その収益事業の詳細や収支状況なども明らかにするように努めているところでございます。

越智分科員 今、御説明をいただいたのが現状だと思うんです。

 やはり、特に不動産、六県というお話がございましたけれども、資産の金銭換算は多分されていないと思うんです。そうすると、お金を得ても、それを不動産にしてしまえば幾らもらったかわからない、また、それをお金にかえたら、いつまたそれがキャッシュになるかわからない。ほかのテロ行為に使われるかもしれないという可能性が今の把握の状態だとわからないと思うので、この辺についてはこれから鋭意検討をしていただきたいなというふうに思うところでございます。

 また、収支の状況についても、今、収益事業についてはという形で限定されましたけれども、やはり教団全体のキャッシュフローを見ていかないと、どこで幾らためているのかというのはわからないわけですから、この辺については改善が必要だというふうに私は思っているところでございます。

 それでは次に、またちょっと具体的な話なんですけれども、アーレフ、ひかりの輪、あるいは信者に対する課税状況はどうなっているんだろうか。

 一般の個人や法人のような形で課税をされているのか、一部には、アーレフは今、宗教法人じゃなくて任意団体なわけですけれども、宗教団体という形で税金を優遇されているという話も聞くことがあるわけです。ぜひこの辺は、公安調査庁と税務当局がうまく連携して、間違いのないように、取るものは取るという形で、経済的な締めつけといいますか、これは当たり前のことなわけですけれども、そういう状態をつくっていただきたいわけですけれども、特にこの辺、公安調査庁と税務当局の連携についてどうなっているか、御説明をお願いします。

柳政府参考人 当庁におきましては、業務遂行に当たりまして、税務当局を初め政府の関係機関と適宜連絡をとるなどしているところでございます。

 また、その具体的な内容につきましては、これを明らかにすることによりまして業務に支障を生ずるおそれもございますので、詳細の回答は差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、今後とも税務当局を含めまして関係諸機関と連携を密にしてやってまいりたいというふうに考えております。

越智分科員 ありがとうございました。

 今、連携されているというお話がございました。連携はしているんだと思います。

 具体的な個別のことについてはいろいろと差し支えがあるから申し上げられないというような御答弁でありましたけれども、ぜひこれは、少なくとも公安調査庁は税務当局から個別の情報をすべて集積していただいて、そこで公安調査庁として判断できる状態はつくっていただかなきゃいけないと思うんです。税務当局も個別の情報というのはなかなか出しにくいかもしれませんけれども、これは何らかの対処をすることによって公安調査庁が把握するという状況をつくらないと、それ以外に公安調査庁さんが公表するかどうかはまた別の話として、そういう取り組みについてやっていただきたいというふうに思っているところでございます。

 それでは、ここでもう一度、大臣に御所見を賜りたいと思いますけれども、地下鉄サリン事件から来月で十三年がたつわけであります。団体規制法制定から九年がたつわけでありますけれども、オウムの活動レベルは、従来のレベルを維持しながら、衰えているとは決して言えません。また、先ほど大臣がおっしゃったように、国際的に見てもテロへの脅威というのが高まっている。

 一方で、時間がたつ中で、認識といいますか理解といいますか、風化している部分ですとか、あるいは現実的に、破産手続はこの三月で終了してしまうという事実もあるわけでございます。

 それで、一方で、団体規制法が制定された九年前、そのころに、オウムの活動がそれからずっと今まで同じようなレベルで続いているとは、多分想定していなかったんじゃないかというふうに思うわけであります。

 そう考えると、ここで何らかの追加的な対処というのが必要なんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、事件後十三年たって、オウムがこれだけ活発に活動しているということに対して、大臣の御所見を伺えたらありがたいと思います。

鳩山国務大臣 越智先生おっしゃるとおりだと思いまして、これは書いてあるものを読むとさっきと同じ答弁になりますからもう読みませんけれども、やはり風化させてはいけない。破産手続が終了すると、確かに管財人を通しての報告、情報というのも入ってこなくなる。関係当局との連携はもちろんやっていかなくちゃなりませんけれども。

 宗教法人ではなくても、残念ながらと言ってはいけないのかもしれませんけれども、結果として破防法による解散はさせられていない、そして活動が継続して、信徒数も決して大幅な減少はない。

 やはり非常に怖いと思うべきであって、諸外国のオウム真理教というかアーレフ、あるいはひかりの輪に対する態度の方が厳しくて、肝心かなめの日本の対応が一番緩いなどということは絶対あってはならないことでありますから、そういう殺人を暗示的に示すような団体、いわばテロリスト集団に近いのかそのものかわかりませんが、そうしたものに対して、これを身近な危険ととらえて、法務省、公安調査庁だけでなくて、政府はもちろん努力しなくてはなりませんが、党の方でもまた、例えば団体規制法というのがこれで十分なのかどうか、いろいろ御議論をいただければありがたいと思います。

越智分科員 大臣、本当に心強い御答弁をありがとうございました。

 これから党の方でもこの問題のプロジェクトチームをつくっていこうという話もございますので、しっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 あと残り五分ございますので、最後に二問させていただきたいと思います。

 来年の初めには、観察処分の三年に一度の更新がございます。これまでの議論を踏まえると、観察処分の更新は当然であるというふうに私は考えますし、また、財政状況の管理等々、いろいろな面で観察処分の強化をすべきじゃないかというふうに考えるわけでございますが、この辺、公安調査庁の現時点での御意見を聞かせていただけたらありがたいと思います。

柳政府参考人 先生御指摘のとおり、オウム真理教に対します観察処分は明年の一月末に期間満了となるわけでございます。

 当庁といたしましては、引き続き観察処分を厳正に執行いたしまして、教団の危険性やその動向を見きわめながら、今後、適当な時期に更新請求の要否などを判断していきたい、こういうふうに考えております。

越智分科員 ありがとうございます。

 観察処分はぜひしっかりと更新はしていただきたい、強化もしていただきたいと思うわけであります。

 その次のステップが、来年の末に来る団体規制法の見直しということでありますけれども、現状では、例えば捜索や差し押さえが公安調査庁はできないという状態であります。要は、これで十分なのか、オウムに対する対処として十分なのかということも考えるわけであります。

 そんな中で、団体規制法の強化を検討すべきじゃないかと私は考えるわけでありますけれども、この辺について、公安調査庁の御意見を賜りたいと思います。

柳政府参考人 現在、教団に対しましては、観察処分の実施によりまして教団の危険性の増大を抑止するなど、一定の効果を上げているというふうには思っております。

 この団体規制法につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、二十一年の十二月で見直し時期を迎えますことから、当庁におきまして、教団に対する観察処分の実効性やその問題点など、幅広く団体規制法の施行状況などにつきまして検討を行っていきたいというふうに考えております。

越智分科員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、この三月で破産手続が終わる、来年の一月に観察処分の更新、来年の十二月に団体規制法の見直しということで、大変大きな節目の時期を迎えたというふうに思っております。

 そんな中で、オウムの施設の周辺の皆さんというのは、日々、監視活動を続けておられる方が多くて、例えば烏山の場合は、三百六十五日、毎日、日中は周辺住民の方が監視小屋に来られます。延べ人数でいきますと多分一万人を超える方々がそこに参加をしながら、テロの脅威といいますか、オウムの恐怖と闘っているわけであります。

 そんな中で、この節目の時期に、きょう、こうして鳩山大臣とお話をさせていただいて、その中で、このテロの脅威に対してはしっかり対処していかなきゃいけないんだ、そして、海外がオウムを取り扱うよりも、日本はそれよりも緩くちゃ絶対だめなんだ、しっかり取り組んでいかなきゃいけないんだというお話もいただきました。そういったきょうの御答弁に心から感謝を申し上げ、また、公安調査庁の皆様の日々の取り組みに感謝を申し上げるとともに、なお一層厳しく取り締まっていただきたいというお願いを申し上げまして、これをもって質問を終了とさせていただきます。

 きょうは本当にありがとうございました。

増原主査 これにて越智隆雄君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午前九時三十分より開会し、外務省及び財務省所管についての審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四分散会


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