衆議院

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第2号 平成21年2月20日(金曜日)

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平成二十一年二月二十日(金曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 下村 博文君

      臼井日出男君    清水清一朗君

      福田 峰之君    三原 朝彦君

      阿部 知子君    保坂 展人君

   兼務 鈴木 宗男君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   財務副大臣        平田 耕一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 廣木 重之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 高岡 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房広報文化交流部長) 門司健次郎君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   真砂  靖君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   中尾 武彦君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     清水清一朗君

 吉田六左エ門君     福田 峰之君

  馬淵 澄夫君     鈴木 克昌君

  渡部 恒三君     岡本 充功君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     臼井日出男君

  福田 峰之君    吉田六左エ門君

  岡本 充功君     渡部 恒三君

  鈴木 克昌君     大串 博志君

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     馬淵 澄夫君

同日

 第八分科員鈴木宗男君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (外務省及び財務省所管)


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     ――――◇―――――

下村主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中財務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。清水清一朗君。

清水(清)分科員 自由民主党の清水清一朗でございます。

 お忙しい中、貴重なお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。早速でございますが、質問に入らせていただきます。

 先週の末でございますが、中川前財務大臣は、主要七カ国財務相・中央銀行総裁会議、いわゆるG7に出席をされておられます。そこで採択された共同声明は、世界経済が戦後最悪の不況に直面しているとの危機感を共有し、内需を刺激するため、各国の財政出動の前倒しなどについて合意をしておられますが、サブプライム問題に端を発する金融危機によって、米国政府は財政支出を余儀なくされておるところでございます。報道によれば、景気が回復をしても数年間は毎年一兆六千億ドル、約百四十八兆円規模の財政赤字が続くとあります。余り金額が大きいので大分心配でございますけれども。

 現在、米国経済の状況について、そしてまた、政府はどのようにこの状況を考えておるか、お伺いをいたしたいと思います。

平田副大臣 大変厳しい局面でございます。

 例えば、次の質問にもございますけれども、サブプライム問題のきっかけになりました住宅の問題にいたしましても、ここのところ、先物指数としては常に上方には示しておるわけでございますけれども、それも常に横ぶれをいたしまして、なかなか当初サブプライム問題が破綻をするという状況がつかめなかったと同様に、現在どこで底入れをするかということがなかなか予測しがたい。さらに実体経済が悪化をしておるという状況でございますので、大変厳しい状況であると考えざるを得ないと思っております。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 次の質問にもかかわったお答えもあったようでございますけれども、それでは、順次お伺いをさせていただきます。

 米国は、この十八日、あるいは現地時間十七日であったかと思いますが、連邦住宅抵当公社並びに連邦住宅貸付抵当公社向けの公的資金の注入枠を十八兆円から三十六兆円に倍増いたしました。米国における不動産及び住宅価格の底入れの時期は、これによって早くなるのか、またいつごろになるのか、お伺いをしたいと存じます。

平田副大臣 商業用不動産の価格は、二〇〇八年一月がピークでございまして、足元では、前年比で下落に転じております。

 現在、下落率は前年比で約二割近くなっておりまして、なかなか先を予想するのは困難でありますけれども、先ほども申し上げました先物の価格は別にしまして、新築住宅で十二・九カ月、中古住宅で九カ月の在庫というものが積み上がっておりまして、回復はかなり厳しい、下落基調が続くというふうに考えているところでございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 日本のバブルの崩壊の時期には、実は十四年間ほどかけて八七・九%ほど不動産の価格が下がったわけでございます。ですから、これから考えますと、アメリカの状況もまだまだ下がっていくのかなという心配をしておるところでございます。

 次に、米国の現在の二〇〇九年会計年度に、やはり先ほどと同じ数字でございますが、一兆六千億ドル、約百四十八兆円の財政赤字になる、これは報道でございますから、内容は違ってくるかもしれませんけれども、報道されております。日本政府としては、今後、この数年間における米国の財政赤字の額をどのぐらいになると想定をしておられるのか、お伺いをしたいと思います。

平田副大臣 一月、米国の議会予算局が公表いたしました財政経済見通しは、米国の財政赤字は二〇〇九年度で一兆一千八百六十億ドル、二〇一〇年で七千三十億ドルでございます。

 ただ、これは、今般成立いたしました米国再生・再投資法の影響は含まれておりませんので、その二〇〇九年度、二〇一〇年度分を単純に赤字としてマイナスでプラスをいたしますと、二〇〇九年度で一兆三千七百九億ドル、二〇一〇年で一兆一千二十四億ドルと見込まれるのではないかなと考えておるところでございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 私どもが聞いているよりは、やはり米国政府の正式の発表の方が少ないということですし、また、それに加えて、追加の対策が打たれたということによって、回復に向かう期間も短くなる可能性が期待されるということだと思います。しかし、それでもやはり心配があるものですから質問をさせていただきます。

 米国は、みずから発行する財務証券、いわゆる米国国債を国内では消化できないのではないかという見方がありますが、それは、これまで発行された米国債の半分が米国以外の国に保有されていることによって示唆されると思います。我が国は、官民合わせて、既に発行された米国国債の一八・七%を保有しておるわけであります。

 ですから、これも報道によるわけでございますけれども、危機対策としてFRBが長期国債を買い入れる案も検討しているのではないかということが書いてございます。また、先日のG7に先立つ日米会談の中で、ガイトナー財務長官から中川前大臣に対して、今後の米国国債の購入について要請があったのではないか、あるいはございましたかということをお伺いしたいんですが、さらに、先ほどのFRBの直接引き受けについてはどのように予測をしておられるか、お伺いをしたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 G7の本会議に先立つ二月十三日の金曜日に、中川前大臣とガイトナー新財務長官の会見がございました。米国の経済政策、特に新しい対策、それから、最近発表されました金融安定化策のことについて幅広く意見交換いたしましたけれども、特に米国から米国債の購入要請といったものはございませんでした。

清水(清)分科員 ありがとうございました。

 同席された政府委員からのお話でございますので信用させていただきますけれども、大変そういう意味では安心もさせていただきます。しかし、なかなかこれから先のことについては見通しがつかないのではないか、あるいは難しいのではないかという気持ちだけはまだ残っておりますので、引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 基軸通貨としてのドルの威信が著しく低下し、国際通貨の多極化時代が到来したとも言われております。政府は、今後、為替政策についてはどのような姿勢で臨まれるのか、お伺いをしたいと思います。

 また、我が国における輸出企業は、対ドルレートを百円前後に想定していたと報じられております。政府は、主要輸出企業が想定していた対ドルレートについてヒアリングをされておられることと思いますけれども、相場観として、円の対ドルレートを今後どのように想定されておるか、お伺いをいたしたいと思います。

平田副大臣 もう御承知でありますけれども、なかなか、市場のことでございますが、我が国の為替政策につきましては、G7の声明にもございますとおりに、強固でかつ安定した国際金融システムが重要であって、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に影響を与えることから好ましくないというコメントが各所で出されておるわけでございまして、我々としましては、今後、こういう考え方に基づいて、市場の動向というものをしっかりと見守るという立場であるというふうに考えておるところでございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 ということは、介入とかそういうことは余り考えはしないし、そして、今のままで、輸出産業にとって好ましい状況が続くのかどうかということになってくると、なかなか難しいのかな、こう思うわけでございます。

 そこで、将来的に日本の産業構造の転換あるいは輸出構造の転換ということを考えていかなければならないわけでございますけれども、産業構造の転換は一朝一夕でできるものではないと当然思っております。であるとすれば、当面、輸出企業に頑張ってもらう以外はないわけでございます。

 そこで、基軸通貨としてのドルを支えるという立場、また米国への間接的な財政支援ということも考え、そして我が国の産業への支援という観点から、実際、私どもとしては、為替レートについて何らかの対策を打つべきではないかと考えるわけでございますが、重ねてその点をお伺いいたします。

平田副大臣 先ほどお尋ねの為替相場、相場の水準ということと同様に、コメントを申し上げる立場にはないのでございますけれども、引き続き市場の動向をしっかり見るということでありますが、加えて申し上げますと、二月十六日でございました、中川前財務大臣は、日本だけが為替を安くするということについて、各国の警戒感というものを非常に考慮しなきゃいかぬだろう、日本は外需頼みで為替がすべてかという印象はやはりよくないのではないかということで懸念を示しておりますので、そのこともお考えをいただいて、しっかり注視をしていくということに尽きるんだろうというふうに思っております。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 重責を担っておられます副大臣としては、レートあるいは貿易関係、そういったことに影響を与えるような発言というのは当然慎まなければならないという非常に厳しい立場であられるということを、私どもも御理解をさせていただくところでございます。

 しかし、心配の続きをまたもう少し質問をさせていただきたいわけでございますけれども、現在、我が国では、官民合わせて五千七百七十億ドル、約五十二兆円の米国国債を保有されております。先ほど言ったのは、今現在、官民合わせてでございますが、政府の保有額と同程度の米国国債を新たに購入したという場合でございますけれども、我が国の国債はどの程度、つまり、日銀なり政府なりの状況が我が国の国債に与える影響ということでございますけれども、どの程度減価するものか、そういう心配をするわけでございます。

 国債の減価に伴う長期金利の上昇ということも予想されるわけでございますので、長期金利の上昇により我が国の銀行の保有国債の価格の評価損が拡大した場合、貸出資産を圧縮して自己資本比率を現状維持しようとすると、融資額はどの程度減少することになるのか。

 具体的に申し上げますと、主要行の二十年九月期のディスクロージャーによりますと、保有している国債の簿価は四十四・九兆円、時価は四十四・六兆円でございます。仮に国債価格が一%下落した場合には、評価損が四千億円程度拡大をいたします。その場合の融資額への影響はどうなるのか、これは一般論で結構でございますが、お伺いしたいと思います。

谷本副大臣 議員指摘のとおり、国債を含めて銀行が保有している有価証券の価格が変動した場合は、それは自己資本比率に影響を与えることになります。

 しかしながら、税効果会計の適用いかんによっても銀行の財務に与える影響は異なってまいりますし、また、昨年十二月に自己資本比率規制の一部弾力化というのを行いまして、国債の評価損を自己資本に反映しない取り扱いも認めることとされておりますので、そういった観点から見れば、有価証券の価格が変動したことが銀行の融資行動に与える影響というのは、なかなか一概に申し上げることが難しいかと思います。

 ただ、恐らく議員御心配なのは、それによって中小企業等融資が減ってくるんじゃないかということだと思いますが、今、年度末の資金の需要期を迎えておりますので、金融庁としましても各金融機関に、本来の仕事であるお金を貸してしっかり企業を支えるという仕事を全うすること、それをしっかり今訴えているところでございまして、特に地域においては、それぞれの中小企業の状況をしっかり見て、柔軟に、リスクを管理しながらもリスクをしっかりとるようにという指導を今行っております。

 また、中小企業に対して金融機関が安心して融資ができる環境を整備するために、先ほど申し上げました自己資本比率規制の一部弾力化も行いましたし、また、改正金融機能強化法、これを速やかに施行もいたしましたし、貸出条件緩和債権に該当しない場合の取り扱いの拡充、こういったさまざまな取り組みを今金融庁としても行っております。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 私の質問の中の深いところまでしんしゃくをいただきましてお答えをいただきましたこと、本当に感謝を申し上げます。

 BIS規制の弾力的運用、そしてまた国債、そういったものの減価に対して急に影響が出ないようにということで手を打っていただいておる。そしてまた、私どもが心配しておる、大企業も含めて中小企業の融資の問題でございますね、大変十分な手を打っていただいておりますことを心から感謝を申し上げる次第でございます。

 次に移りたいと思いますが、今月の二十四日、ホワイトハウスにおきまして、我が麻生総理は世界の首脳に先立ってオバマ大統領と日米の二国間協議を行うわけでございます。また心配の方になっていきますが、その際、オバマ大統領から相当な規模の対米協力を要請される可能性が予想されるわけでございます。

 例えば米国国債、また米国国債でございますが、購入をして、基軸通貨としてのドルの信認低下に歯どめをかけることなどは、国際貿易の中でしか生きられない我が国にとっては、短期的にはやむを得ない措置、容認せざるを得ない措置と考えます。しかし、その結果、買い入れた米国国債が、近い将来減価したドルで戻ってくるというようなことは、国民としては大変厳しい、耐えられない、そういう状況になるのではないかと思うんです。

 そこで、我が国が米国国債を購入するに当たって、米国政府に円建て債、いわゆるサムライ債を発行していただいて、これを購入するということにはできないのかどうか、お伺いをしたいと思います。また、当局はそれを予想しておられるかどうか、あるいは既に予定して交渉に入っているのかどうか、こんなことをお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

平田副大臣 過去に米国がドル以外の通貨建てで米国債を発行しました例としまして、カーター政権下で西ドイツのマルク及びスイスのフラン建てのカーター・ボンドを発行したということを承知しておるところでございますけれども、円建て米国債、御承知のように、ドルの為替リスクから投資家を守る機能を持っておりますけれども、現在の状況で、ドル建て米国債というものが市場で安定的に消化されているという状況だと思っております。今のところ、他国通貨で発行する必要性は薄いというのが一般的な見方ではないかなと思います。

 いずれにいたしましても、債券の建て値がどの通貨になるのかにつきましては、発行主体でございます米国の状況及び市場の需給を踏まえまして、また他の発行条件とあわせて決定されるべきであろうかと思いますけれども、日本政府としましては、米国に対しまして特段の要請をするべき問題ではないというふうに考えているところでございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 今のところ、ドルに対する信認も、まずそんなに心配することはないであろう、そしてまた、現在の市場の状況からいって、そのような特別な措置を日本が要求する必要も今のところないであろう、つまりは、米国に対する世界の信頼というものがまだまだ大きな厚いものがあるという認識だろうと思います。

 私は杞憂と言われても仕方がないような質問をずっとさせていただいているわけでございますけれども、最後に、大分時間が余ってしまいましたけれども、今現在、実は、こういった金融危機に際して、最後のとりでといいますか歯どめになるところが金だということをよく言われております。そして、現在、現に金の価格は上昇傾向にあるわけでございますけれども、日本は金の準備が大変少ないわけでございますが、アメリカとか、あるいは産出国、南アでありますとかロシアでありますとか、こういったところは金をたくさん持っておるわけです。

 そして、この金の問題については、今までも、十年前も二十年前も、何回も議論に上ったことがあるわけでございますが、米国の財務省証券、国債を発行するに当たって、ここまで言ったら本当に米国に対する侮辱だと言われるかもしれませんが、兌換国債といいますか、金が裏にくっついているようなものですね。その結果はどういうことが起こるかというと、兌換でないものが大変値下がりをするということが起こってくるかもしれません。そしてまた、逆に言うと、金を持っている方が物すごくもうかる、金の価格が何十倍にもなってしまうということがあるかもしれません。しかし、現在のような世界的な金融危機をおさめるのにはそんなことも一つの方法ではないかと、私ども、ない頭で考えたものですから、ちょっと質問をさせていただいたわけでございます。

 我が国が、米国国債に金が裏に張りついている、つまり、今の価格の十倍か百倍かわかりませんけれども、そういったものが発行されるときには購入しますよと。今、購入してくれという要請がないわけですから、そんなことを言う必要はないといえばそのままでございますけれども、しかし、購入してくれという可能性はまだまだあると私は思っておりますので、そういう質問をさせていただきたいのでございます。そういう状況になったときに、つまり、米国の財務証券、日本がある程度購入します、ただし、条件をつけて、こういうものを条件にするということは起こり得るのかどうか、あり得ることなのか、お伺いをしたいと思います。

平田副大臣 私ども、各国政府の金保有量というものを、御質問いただくということで初めてこれを見せていただいたんですけれども、ロシアは意外に少ないんですね。アメリカが図抜けて持っておるわけですけれども。

 それにしましても、アメリカの、例えば金の価格ベースでいきますと、現在価格で二千五百六十億ドルでありますけれども、それに比べますと、米国債の発行残高が十兆七千億ドルというけた違いでございまして、したがって、国債を裏づけるだけの金の保有量というものはないんだろう、不可能なんだろうというふうに思いますし、それともう一つ、金の裏づけのある債券と、ないものとの影響ということがかなり大きく出るだろうというように思います。

 いずれにしましても、米国債がどんな条件で発行されるかということにつきまして、我々が何か言えるという立場ではないんだろうというふうに現在のところ考えているところでございます。

清水(清)分科員 ありがとうございます。

 私どもの夢想みたいな話を質問させていただいて大変申しわけなかったと思いますが、当然、米国がたくさん金を保有していたとしても、今の通貨の発行額からすれば、先ほど私も申し上げましたように、十分の一どころか百分の一、あるいは百倍ということでしょうね、金の価格が百倍になるというようなことの計算が出てくるわけでございますけれども、そういう必要はないということでございますので、私ども、一生懸命頑張って、世界の金融不況の脱却のためにいろいろな知恵を絞っていきたいと思っております。今後とも、ぜひいろいろな御指導をいただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。質問を終わります。

下村主査 これにて清水清一朗君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

下村主査 次に、外務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田峰之君。

福田(峰)分科員 よろしくお願いいたします。

 きょうは、在外公館についてお話をお伺いさせていただきたいと思います。

 約二百カ所、各国に存在する日本の在外公館の役割は一体何なのかなと改めて最近考えさせていただきました。

 外務省のホームページによりますと、大使館の役割は、相手国政府との交渉や連絡、政治経済その他の情報の収集、分析、日本を正しく理解してもらうための広報文化活動を行い、邦人の生命財産を保護するとあります。領事館の役割は、その地方の在留邦人の保護、通商問題の処理、政治経済その他の情報収集、広報文化活動とあります。

 日本は、貿易立国として発展してきた当然歴史があります。確かに、今後、内需の拡大というのは大切でありますが、外需も当然、引き続き伸ばしていくということは、日本の存亡にかかわることでありますので、これもしっかりと伸ばしていかなくてはいけないと思います。

 こうした中で、在外公館というのは、私たち日本の国のさまざまな企業の商品だとか、あるいは文化だとか、まさしく、そうしたものをいかにその国々の中で理解をしていただいて、あるいはまた、商売につなげていくということを含めて、世間一般的な、企業的な言い方をすると、私はアンテナショップではないかなというふうに思うんですね。

 こうした中で、先ほどの大使館あるいは領事館の役割ということが別途明記をされている中で、この在外公館というのは、日本の、いわば私たちのイメージするアンテナショップとしての機能というのをそもそも有しているのかどうか、伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 在外公館の果たしている役割というのは大変幅も広うございますし、また大変重要でございます。

 今委員からもお話がありましたけれども、外務省では、海外に進出をしております日本の企業とかそういうような団体等の活動などの支援を行っているわけですが、特に日本のすぐれた食品、食材の紹介、そういうものを最近は積極的に行っております。

 例えば、現地の有力者、それから業界の関係者、またオピニオンリーダーなど、そういう方々を対象にして、在外公館の中において、展示会とか、あるいは食品でしたら試食会、あるいはセミナーなどを開催して日本の産品に関する情報を発信したり、それから、現地の市場に関する情報収集の面で日本企業等への協力を行っているところでございます。

 今おっしゃいましたように、アンテナショップ的な役割は重要だと思っております。

福田(峰)分科員 日本の国も含めて世界同時不況と言われて、麻生総理も、日本はこうした中でイの一番にこの不況下から脱していきたいということをおっしゃっているわけで、となりますと、当然、私たちも、私たち一人一人の国会議員も含めて、そして内閣、行政も含めて、そうした方向で考えていかなければいけないなと思っているんですね。

 そのためには、当然、在外公館の役割の情報収集、分析、広報活動とあるわけですけれども、そうしたことが、一つは、いろいろな役割がある中で、私は、今本当に重要なのは、日本人が商売をしやすくする環境をいかにつくっていくかということで、そして、その諸活動があれば当然企業が利益を得て、そして税収が入ってくるということがあるんじゃないかと思います。税収が入ってこないと国の財政は成り立たないし、ましてや在外公館の経費もこうした税で成っているわけですから、こうした税金をいかに集めていくか、そのための企業活動のフォローというものは、私は非常に重要な役割を持っていると思うんですね。

 こうした中で、いろいろな役割があると大臣もおっしゃっていましたが、では、この中で、今こうした時代認識の中で、在外公館が日本の商品を紹介しても最終的には売れなきゃ意味がありませんので、この売るという意味において、在外公館の活動の中でそこの部分の役割というのはどれぐらい優先順位が高いのか低いのか、そうした点を伺いたいと思います。

中曽根国務大臣 今お話しの在外公館と申しますと、我が国の、日本の海外にある大使館と想定されるわけですが、日本におりますと、海外の日本にある在外公館、大使館、これはかなり活発に、その国のいろいろなPRとか、あるいは投資の誘致とか、また商品のそういうような支援を行っておるわけで、日本も当然やるべきことだと私は思っております。

 経済が非常にグローバル化している中で、日本企業が海外でどんどん活動できるようにするというのも、それを支援するというのは大変大事なことだと思っておりまして、在外公館、また外務省を中心としてそういう面での環境整備と側面支援を行うということは政府としての重要な課題の一つと思っております。どれぐらいの位置づけかとおっしゃいましたけれども、かなり重要だ、そういうふうに認識をしております。

 それで、例といたしましては、在外公館では公館長みずからが先頭に立って最近は日本の企業の支援を行っておりますが、例えば、在外公館が日本産品を紹介するレセプションなどを開催するとか、あるいは、日本の企業関係者に対して、現地の同じような業界の方とかあるいは有力者、そういう方々を紹介したりする人脈形成、そういう機会を提供するとか、あるいは、日本の企業が現地の政府から例えば不当な扱いを受けたとか差別を受けたとか、そういう場合に是正を申し入れるとか、そういうような活動も在外公館では行っているところでございます。

福田(峰)分科員 この情報提供というのは、多分いろいろな意味で大切だと思うんですね。いろいろな形で収集したものを、オピニオンリーダーとかいろいろな方々を呼んで日本の情報を伝えていくとか、当然そういうことは大切だと思うんですね。

 一方、この情報提供というのは、例えば外務省の在外公館の方々がいろいろな形で集めたものを、例えばこういうふうなことをやったらこれからの商売につながるんじゃないかとか、こうした情報というのは、聞くところによりますと、どうしても、その国にある、その地域にある、例えば日本の商工会だとかあるいはさまざまな協議会だとか、そうしたところに対して、例えば、今国の情勢はこうなっているから商売はこういうところにつながっていくよとか、そうしたことはやられているようでございます。でも、商売ネタというのはいわゆるシーズとニーズのマッチングということでありますので、要は、伝わっていく情報が大きな広がりを持てば持つほど、ネットワークの中でそのニーズとシーズのマッチングというのが効率的に行われてくるんじゃないかなと思うんですね。

 こうした中で、いわゆる在外公館が、いろいろな市場調査というか、その国、その地域のいろいろな情報分析をした中で、例えば、何が売れるかとか、あるいは、逆に言うと、こんなものが必要とか、こういう各種情報を日本の企業にビジネスチャンスとして届けるというのは非常に重要なことだと思うんですね。

 この届け方の問題というのは、今言いましたように、果たして、その地域にいる商工会みたいなものには伝わるのかもしれませんけれども、逆に言えば、その後ろ側にいる日本の国のいわゆる国内企業に対してというのは、どんな形で届けることができているのか、あるいはどんなやり方をしているというのがあったら教えていただきたいと思います。

高岡政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館におきましては、現地のジェトロ事務所あるいは現地の日本商工会等々も密接に協力しながら、現地の法制度あるいはビジネス習慣等、日本企業の進出それから事業展開に有益な情報を随時提供しているところでございます。

 また、個別企業との関係につきましても、個別企業から具体的な紹介や相談等がございますれば、それに対して可能な限り積極的に対応するというのが我々としての方針としてやっているところでございます。

 ただいま委員から大変貴重な御示唆もいただきましたけれども、私どもといたしましては、今後とも日本企業の海外進出や海外事業展開が円滑に行われるよう最大限の努力を行ってまいりたい、そう思っております。

福田(峰)分科員 企業の方々というのは、今ありましたように、大変厳しい環境の中でいかに商売をつなげていくかということに生命線がありまして、そうじゃないと税収が入ってきませんので。

 例えば、今までどちらかというと、企業から、進出をしたい、ジェトロでも直接外務省でもそうですが、こんな商売をしたい、相談に乗ってくださいというと、当然それは窓口がしっかりできていると思うんです。でも、私が言いたいのは、例えば、逆に言えば在外公館の方々が、こういう商売が成り立つとか、こういうニーズがあるんだとかいうことを逆に、在外公館の方がいろいろな調査をかけているわけですから、この国だったらこんな商売がこれから成り立つかもしれないねということをいかにして国内向けに情報提供していくかということが非常に重要だと思うんですね。

 特に、例えば、商社だとか、そもそも人材がそろっていて出先に事務所を構えているとか、一定の規模の会社というのはみずからもできるかもしれませんが、日本の国はどちらかというと九五%は中小企業、いわゆる中小零細企業でありますので、そうしたところに先ほど言いましたシーズとニーズの関係が含まれている可能性は極めて高いんだと思うんですね。ただ、残念だけれども、その人たちに、例えば、要は自分たちの持っているものが本当に国際市場の中で売れるのか売れないのかというのはわからない。

 逆に言うと、こんなことが求められているよということが、逆に皆さんから、世界から集まった貴重な情報が、どんな形かで、トータルな意味での情報が中小零細企業に至るまで何とか伝わっていくような方法があると、その中で触覚がすぐれた社長とかが、だったら自分たちはこういうところでできるんじゃないかとか、そういうことも想定できるんじゃないかと思います。やっていないというわけじゃないですよ。でも、言われたからどうするというんじゃなくて、積極的にもっと、こんなものが売れるということを、集めた情報の中から提供できる仕組みというものをぜひつくっていただけたらいいんじゃないかなというふうに思います。

 一方で、じゃ、どんなことが売れるんだろう。今、残念だけれども、車だとか電気製品だとかというものがなかなか売れない、そういう時代になって企業が苦しんでいますが、一方で、クール・ジャパンと言われるアニメだとかクラブサウンドだとかあるいは現代アートだとか、あるいは最近では一〇九の渋谷系ファッションだとか、ちょっと私にも理解がなかなかできないような、そういう文化をはらんだといいますか、さまざまなものが他国によって高い評価をされているわけですね。こうしたものは、戦略物資として当然世界に持っていくことができると思うんですね。世界といっても、どうしても欧米諸国になりがちですけれども、でも、アジアだとかアフリカ、中南米など、まだまだこうしたクール・ジャパンの商品を広げていくことができる可能性があるところはたくさんあると思うんですね。

 こうしたところに、麻生総理は、こうしたものをいわゆる戦略物資として世界に羽ばたかせて、日本の経済の先兵としようじゃないかということもおっしゃっているわけでして、じゃ、その中で、在外公館を含めて、どんなことをやっているんだろう。せっかくそういう売れそうなものがあるのに、そのままほっておくのは当然もったいないわけでありまして、特にアニメはすそ野が大変に広い産業でありますので、こうした日本のアニメ産業を世界市場に乗せるために、在外公館というのは具体的にどんなことをされているケースがあるのか、教えていただきたいと思います。

門司政府参考人 お答えいたします。

 外務省では従来から伝統文化を取り上げてきておりますけれども、最近若者の間で大変な関心を呼んでおりますアニメ、漫画といったポップカルチャーも、これは日本の文化の一つの重要な柱として、文化事業実施に当たっての大事な素材であると考えております。

 例えば、平成二十年にはアニメ文化大使の事業を開始いたしました。日本のアニメ作品を海外で上映し、日本アニメへの関心を日本そのものへの関心へとつなげてもらいたいということをねらいとしています。

 アニメ文化大使にはドラえもんが就任いたしまして、劇場版映画「ドラえもん のび太の恐竜二〇〇六」の字幕を英、仏、スペイン、中国、ロシアの五カ国語で制作した上で、平成二十年度においては、世界六十五の都市、これにはアジアも多く含まれておりますが、そこの在外公館などで合計約百二十回上映するということになっております。

 また、日本から講師、専門家を派遣して、在外公館において、アニメ制作指導ワークショップまたは講演会といった事業も実施しております。

 今後とも、このような活動を通じて、世界における日本のアニメへの関心を高めていきたいと考えております。

福田(峰)分科員 このアニメ産業は本当に極めてすそ野が広いんですね。昨年、私も、東京ビッグサイトに行って、アニメフェスタというのに行ってきたんですね。最初はどんなものかなと思ったんですが、ゲームだけじゃなくて、文房具だとかおもちゃだとか映画だとか、そこからデジタルコンテンツになったり、経営している会社を見たら、当然大企業もありますけれども、中小零細企業も結構たくさんありまして、随分すそ野が広かったなというのを実感させていただきました。

 しかし、今御努力をされておられるようですが、こうしたものを中途半端にやっても多分なかなか広がらないんだと思うんですね。やはりこれはやる以上は徹底してやっていくべきだと思いますし、例えば、まずは欧米の先進国からスタートしてくることかもしれませんが、さまざまなほかの国々にも本気で売り込むというようなことをこれからもぜひやってもらいたいなというふうに思うんですね。

 アニメは多分そうした意味においては随分前に進化をしているんだと思うんですが、このアニメ産業に比べると、例えば現代アートの作品だとか、これも随分高い評価を得ているものがたくさん出てきています。あるいは、クラブサウンドなんというのは、一人のDJの人がこんなことをやる、そういうクラブサウンドみたいなものも実はすごい高い評価を得ているんですが、こうなると、これは個人経営に近い世界なんですね。いわゆる企業体として、例えば外務省の皆さんと協力し合ってというよりも、極めて個人経営に近い状態になっていると思うんですよ。

 ですから、こういう個人経営に近いとなるとなかなかフォローしていくのは大変だと思うんですが、例えばこうした現代アートとかクラブサウンドみたいに、規模がもっと小さいものに対してはなかなか相手側も情報収集できないこともあるんですが、ここの部分はどんな形で推進されているのか、もしケースがあったら教えていただきたいと思います。

門司政府参考人 さきに申し上げました伝統文化、それから新しいポップカルチャーに加えまして、現代美術というものも文化事業実施においての重要なものだと考えております。

 例えば、支援が必要ですので、国際交流基金を通じまして、世界的に有名なベネチア・ビエンナーレ国際美術展などに毎回参加し、日本の現代作家の作品を紹介しております。さらに、海外で日本の現代美術を紹介する美術展を企画、実施ということも行っております。

 今後とも、このような活動を通じて、日本の現代美術への関心を高めてまいりたいと思っております。

福田(峰)分科員 こうしたいろいろな活動は、在外公館の費用で賄われていたりとか、あるいは拠出金によっていろいろな周りが、外郭がやっていたりとかいろいろケースはあると思うんですけれども、やはりこうした費用をかけてやっていくわけですから、当然この費用がどれだけ効果を起こしたかということは常に検証していかないと、税金が少ない、余り入ってこない時代の中では重要なことだと思うんですね。逆に言うと、そうしたものが明記されないと、国民の皆さんに理解をしてほしいと言ってもなかなか理解してくれないというのが現実ではないかなというふうに思うんですね。

 先ほど、現代美術を推奨したりとかいろいろなことをやられているようですが、要は、在外公館がトータルな意味で日本のイメージを、いわゆる日本に対する好意がどのぐらいあるのかということを数字を使って、例えば在外公館が直接執行している広報費十五億ぐらいだと言われていますけれども、こうしたお金が果たして本当に意味がある形で使われているのか。それが、その国の日本に対する好意が世論調査をかけたら前よりかよかったとか同じだから、だからこのお金が妥当だというような見方をしてしまうと、非常にざっくりとした物の見方になってしまうと思うんですね。

 こうした中で、いろいろなことをやられていると思うんですけれども、効果目標というのは、どんな形でこれを立ててやられているのかをちょっと教えていただきたいと思います。

門司政府参考人 まさに厳しい予算の中でいろいろ工夫しながら広報文化事業も行っておりますが、我が国の政策や魅力を海外に発信し、我が国に対する共感と信頼の増進を図るということを目指して、在外公館では、講演会あるいはインターネットを通じた海外広報活動、文化事業ということを行っております。

 この効果でございますけれども、直接はかることが大変難しゅうございます。国際的にもこの効果を測定する方法というものは必ずしも確立しておらず、各国とも、どうやったらいいかということで非常に悩んでおります。その中で、海外の方々の日本に対する意識というものの調査、これは一つの指標になるんだろうと思います。

 もちろん、これだけがすべてではございません。その前後のいろいろな政策、状況といったものを反映しますが、あくまで指標としては一つの大きな参考になると考えまして、海外における対日世論調査を外務省としても実施しておりますし、また、民間機関が実施しておりますこのような調査についても参考といたしております。

福田(峰)分科員 指標がなかなか難しい、確かにそのとおりですけれども、でも、わかりやすく、何とか指標を生み出さないと、なかなか国民の皆さんに私たちも説明できないんですね。何でですかと言われたときに説明ができない。ということは、なかなか言いづらいという部分もありますので、ぜひ指標みたいなものは確立をしていただきたいと思うんですね。

 そうした中で、やはり時代が大きく変わってきていると思うんですね。例えば、文化の推奨にしても、今までは伝統的な美術、そういうものを広めてきたものを、例えば現代アートもやってみるとか、アニメもやってみるとか、当然、社会というのは時代に応じて大きく変わってくるんだと思うんですね。特に情報通信基盤整備が進みましたので、インターネットの普及、あるいは世界標準の携帯電話の普及とか、こうした社会環境というのは大きく変わってきていると思うんですね。

 こうした中で、在外公館の定員、私も資料をいただいて見させていただいたんですが、もともとの定員、そしてアタッシェの定員、現地採用の人数、例えばインドであれば、定員三十七、アタッシェ八、現地採用八十二とか、これは各国の資料をいただいて全部目を通させていただいたんですけれども、こうした人数、例えば定員であり、あるいはアタッシェの数であり、現地職員の採用の数であり、こうした数値というのはどんなルールによって決められているのか、教えていただきたいと思います。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 在外公館の定員、これは、今御指摘のあった出向者、各省からの出向者も含めまして、毎年、外務省と総務省、それから財務省との間でいろいろ折衝、協議をやって決定をしているところでございます。

 この決定をするに当たりましては、それぞれの国、もしくは国際機関の場合もございますけれども、それとの関係、それから、いろいろな抱えている政策、案件の重要性、緊急性といった、具体的な業務量も勘案をしながら決定されているところでございます。また、現地職員につきましては、主に予算の観点で財務省と協議をしておるわけでございますけれども、それぞれの館の抱えている課題というのを念頭に置いて決めておるわけでございます。

 外交案件、そしてまた、先ほど先生からも御指摘のあったような、昔以上に日本の各企業を支援するという必要性もどんどんふえていると思います。それから、地球規模の問題。それから、邦人の海外渡航の数も非常にふえている、それに伴ってやはり邦人保護業務もふえている。テロという問題もあるということで、業務はどんどんふえている中で、やはり定員をどれだけ合理的にうまく活用していくか、配置をしていくかということでございます。

 それで、ちなみに、二十一年度につきましては、こういう業務の拡大、重要性の増大という中で、一応、定員の百名の増員というのをお願いしているというところでございます。

福田(峰)分科員 先ほど言いましたように、日本の環境というのは変わってきていると思うんですね。特にインターネットが普及をして、社会状況というのは一変したはずですね。例えば情報収集も、私が自分の机で世界の情報を収集できるという時代になってきているわけですね。

 そうすると、定員の数も、当然、役割分担とか、中の職務分担だとか、こうしたことは当然行われてこなければいけないと思うんですけれども、これは、特にこうしたインターネットが普及をしている前と今の時代では環境は全く違うと私は思うんですけれども、そうした意味においては、ある時点を境に、こうした定員というのは時代背景の中に大幅な見直しというものが行われてきた経緯というのはあったんでしょうか。

中曽根国務大臣 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど、現代美術等の海外へのPRというお話がありました。実は、個人的な話で恐縮ですが、私、党の伝統文化調査会長を一年間ほど務めまして、いろいろな方から、海外の方も含めて、日本の文化の発信のあり方について調査研究を行いました。そして、最後に取りまとめをしたんですが、何よりも日本の文化の海外への戦略的な発信が大切だということを私たちとしてはその取りまとめの中で訴えたわけであります。

 そういう意味におきまして、委員から今御質問のございましたような点は、やはり国家としてかなり力を入れなければならないと思っていまして、今後、こういう点を努力していきたいと思います。

 それから、今御質問のありました、情報通信手段が随分変わってきたということで、特にインターネットの発達などによって変わってきたのは、お話しのとおりであります。そういうことによりまして、公開情報の収集、あるいは外務省におきましては、外務省の本省とそれから在外公館との連絡などの面で業務の合理化が随分進展をしてきております。そして、同時に、こういうインターネットを活用した広報活動あるいは情報発信、そういう新たな業務も生まれてきているところでございます。

 社会情勢の変化という面では、邦人の海外渡航の増加に伴いまして領事業務がふえてきた、あるいはテロ対策関係での情報収集、これも最近は非常に重要な仕事となっておりますが、そういう意味で、在外公館のさらなる活動が期待されている分野、新しい分野もございます。予算、それから定員をめぐる状況は、御案内のとおり大変厳しい状況でありますけれども、外務省は、在外公館の人員体制について、合理化できるポストと許可すべきポスト、そういうふうにやはりきちっと整理しまして、そして不断の見直しを通じて適切な人事配置に今後も努めていきたい、そういうふうに思っております。

福田(峰)分科員 テロだとか邦人の救護の問題というのはまさしく外務省の方々の仕事かもしれませんが、各省庁から出向をされている方々というのは、それぞれ政策目的があって来ているわけですね。

 となれば、例えばアニメみたいなものを推奨していこう、この国でアニメを推奨していこうと思ったら、当然、そこを担当する例えば出向者なら出向者が、出向する省庁も、今まで何をやってきたかというのも全部違ってくると僕は思うんですね。それを一たん整理しないと、延長線上で、ことしはここを一人ふやす、ふやさないという、定数が多くなるか少なくなるかではなくて、必要なものはふやせばいいのであって、ただ、そのときに、今までここの役所に例えば経産省から何人来たからそのまま何人来ますみたいなそういう状況では、今言ったような国が戦略を持ってここの方向に持っていこうというときに、実は、例えばそれを直接担当できる能力がある人が本当にいるのかと問われると、そういう見方で在外公館の定員、あるいはそこに来てもらっているいわゆる専門家とか、そうした人たちが果たして本当に機能して、その政策目的に向かって走れていけるのかなと思うと、私も、過去の人数を見ても、人数はほとんど余り変わらないし、各省庁から来ている人もそれほど変わるわけではない。

 時代が大きく変わり、あるいは百年に一度という経済の中で果たしてそれで本当に機能的にできるのかどうかというのは、私はもう一度考えるべきだと思いますし、今大臣おっしゃいましたように、どうせやるのなら、これはゼロベースでやるべきですよ。一たんゼロベースにして、本当にここには何人必要で、どこの省庁のどういう専門家が必要なのかということを一度やらないと、延長線上にやっていって、先ほど言いましたように、この国がさらに外需が高まるということは私は厳しいんじゃないかと思いますので、ぜひそうした見直しをお願いしたいということを切にお願い申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。

下村主査 これにて福田峰之君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂分科員 社民党の保坂展人です。

 きょうは、国連広報センターの問題について、外務大臣及び外務省に伺っていきたいと思います。

 中曽根外務大臣に一月十三日の予算委員会で、短時間でしたけれども、国連広報センターの問題をお尋ねいたしました。そのとき、短い答弁でしたが、国連広報センターが五百万円の定期預金を有していた問題について、次のようにおっしゃっております。

 「我が方といたしましては、本来このセンターの諸活動のために活用されるべき信託基金の残高の一部が定期預金として、定期預金も途中で解約できるものもありますけれども、長期にわたり出し入れもなく保有されていたということは遺憾なことであった、そいうふうに考えております。」こういうふうに、つまり、定額預金というのが五百万円あって、それが出し入れが全くない状態でいわば放置されていたということは遺憾である、こうおっしゃっていて、今年度予算、この国連広報センター信託基金の予算を一千万円減額して計上するということも同時に述べていらっしゃいます。

 確認しますが、これは間違いないことでしょうか。

中曽根国務大臣 そのとおりでございます。

保坂分科員 としますと、定期預金が長期にわたり出し入れもなく保有されていたというところにはどういう問題点があったのか、ちょっと外務大臣に一言だけそこの認識を示していただきたいと思うんですけれども。

中曽根国務大臣 私ども、国連本部が、定期預金を含む信託基金の口座残高につきましては、国連広報センターから定期的に報告を受けているわけでありまして、透明性ある形で管理をされていた、そういうふうに思っております。

保坂分科員 外務大臣、今、かみ合わないんですけれども。

 問題はなかったということをおっしゃったんですが、遺憾だった理由についてお話しくださいと言っているわけです。遺憾だったので一千万円減額したんですね。

中曽根国務大臣 我が方といたしましては、本来、この国連広報センター、これの諸活動のために活用されるべきである信託基金の残高の一部が定期預金として長期にわたって出し入れなく保有されていたということは遺憾なことである、そういうふうに考えております。

保坂分科員 外務省、廣木審議官においでいただいていますが、これは、外務大臣のおっしゃるように、定期預金を有しているというのはやはり遺憾である、間違いないですか。

廣木政府参考人 お答えいたします。

 今大臣の方より答弁していただいたとおりでございます。

保坂分科員 それでは廣木審議官にしっかりただしていきたいと思います。

 実はこれは外務委員会でも大臣にお尋ねをしたりいたしまして、外務委員会で今は河野委員長の指揮のもとに真相を解明していこうという議論がなされております。これは去年の年末でしたか、実は外務省から、審議官に、この国連広報センターの定期預金についてという、幾つかの案件についての説明資料の中でこのプリントをいただいています。

 この定期預金がこれだけあったということについて、外務省は、外務委員会の理事会に対してこんなことを言っているんですね。年間活動経費の一部を留保し、計画していない支出に対応するようにする必要がある、定期預金を含む信託基金の口座の残高はそのような意味で利用しており、特段の問題があったとは考えていない、問題なかったという認識を示しているんですね。

 これは間違いだったということですね。つまり、こういう見解ではいかぬので、外務大臣が、これは遺憾だということで一千万円の予算を減額したということでよろしいですか。これは訂正してください。

廣木政府参考人 お答えいたします。

 今大臣の方からお答えしましたように、センターの諸活動のために活用されるべき信託基金の残高の一部が定期預金として長期にわたり出し入れもなく保有されていたということは遺憾なことであったと考えておりますが、他方、国連の本部からは、これも大臣の方から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、定期預金を含む信託基金の口座残高については、国連広報センターから定期的に報告を受けているなど、透明性のある形で管理をしていたという説明も受けているということで、こういった説明を受けた上での御答弁というふうに御理解いただければと思います。

保坂分科員 この期に及んで全く理解できないですね。

 昨年の末の段階では、この定期預金は全く問題ないんだ、急な出費に備えるんだ、こういうふうに言っている。でも同時に、外務省では、ことしの予算は一千万円減額していたわけですね。これは早く認めるべきじゃないですか。こういう認識をしていたけれども、今大臣は、一月に踏み込んだように、こういう定期預金を長期にわたり、報告はされていて外務省も知っていたとはいえ、これは外務省の責任も含めて、あったのはよくなかった、こういう認識じゃないんですか。これは両立しないですよ。ちゃんと答えてください。

廣木政府参考人 ただいまの一千万円の減額の話でございますけれども、これも大臣より御答弁しましたとおり、国連広報センターの予算を約一千万円減額して計上することといたしましたというふうにお答えしてございますが、これは、厳しい財政状況を踏まえまして、また、UNIC東京が……(保坂分科員「そんなことは聞いていないですよ。訂正してくださいと言っているんです」と呼ぶ)二〇〇七年十二月末の時点で約一千万円の残高が存在していたということも踏まえて、限られた財源の中で予算配分について総合的に検討した結果、UNIC東京の活動経費に係る予算要求の配分については一千万円減額して要求することとしたということでございます。

保坂分科員 では、伊藤副大臣に伺います。

 これは、西村政務官が熱心にこの問題に取り組んでいただいている間に把握されていると思いますし、伊藤副大臣もおわかりだと思いますけれども、ずっと指摘しているわけですよ、五百万円の定期預金があるのはおかしいんじゃないかと。外務省は年末の段階では理事会に、問題ない、適切であるというのを出していて、一千万円減額して大臣が遺憾だと答弁しているのはおかしくないですか。これは、事務方が間違いがあったら間違いがあったというふうにちゃんと正すのが政治家じゃないですか。

伊藤副大臣 外務省としては、厳しい財政状況を踏まえて、今大臣及び審議官から御答弁あったとおり、UNIC東京に二〇〇七年十二月末の時点で約一千万円の残高が存在していたことも踏まえて、限られた財源の中で予算配分について総合的に検討した結果、UNIC東京の活動経費に係る予算要求の配分については、八月末の平成二十一年度の概算要求において、前年度比で約一千万減額して要求したということだと承知しております。

保坂分科員 伊藤副大臣、私は、別に事務方と同じ答弁をしてもらおうと思って質問しているわけじゃないので、政治家としての姿勢を伺ったまでなので、そこはちょっと残念な答弁です。

 では、外務大臣にも伺っていきますが、私は、この調査をしていく中で、五百万円の定期預金について、日本政府が当初この資金を、例えば二〇〇八年四月二十四日の、国連代表部の一等書記官の方が国連の広報局のシューラー・ウルックさんという方にあてたメールでありますけれども、UNIC東京の残高が十万ドル、約一千万円、この剰余金の利用について、日本政府は、ビークマン財団から提案のあった国連所蔵の美術品の巡回展に使ったらどうかと国連事務局に提案をしているという趣旨のメールがあるわけなんですね。

 ほかにも、これはUNIC東京と外務省とのやりとりですけれども、外務省の国連企画調整課の職員の方からUNIC東京あてに、美術巡回展の日本開催を実施するに際して、スポンサー、開催場所についていろいろ相談を受けておりまして、UNIC東京の関与の可能性も検討し得るのではないか、こういうふうに言われています。そして、これに対して幸田シャーミンさんが答えているんですけれども、十万ドルあるというけれども、五百万円の定期預金についてはどういう性格なのかわからないんだ、今調査しているから待ってほしいと。

 少なくともこれは、外務委員会の理事会でもこれを提出し、委員会でも議論をし、予算委員会でもやっているわけですが、いわゆるメールが本物かどうかということが問われた事態が以前ありましたので、確認のために外務大臣に聞きたいんですが、このメールは真正のものというふうに考えてよろしいですか、それがにせものだという話になるとまた全然迷走していくので。

 ちょっと大臣、答えてください。

中曽根国務大臣 私、ちょっとそのメールについて詳細存じ上げませんので、具体的なことですので、参考人から説明をいたさせたいと思います。

廣木政府参考人 ただいまのビークマン財団の話でございますけれども……(保坂分科員「いや、メールが本物かどうかだけ聞いているんです」と呼ぶ)

 メールにつきましては、どういうふうに書いてあったのか、私どもの方でも見せていただきまして、そこでは、確かに、幸田所長の方から、五百万円の定期預金については、まだ、どこからお金が出たのか明確になっていないため、残余金であるとは現段階では申し上げられませんというふうに言っておられるようでございます。

 また、私どもの方からのメールでは、国連側から、国連所蔵の美術品巡回展の日本開催を実施するに際しての、スポンサーや開催場所についての相談を受けておりまして、一つの選択肢として東京UNIC関与の可能性も検討し得るのではないかという案も浮上しています、この関連で、国連側より東京UNIC信託基金の残余金が現在十万ドルほど存在するとの連絡をいただきましたということで、実際には、残余金が幾ら存在するのか再度確認いただけないでしょうか、こういう形のメールを出しているという資料を御提出いただいたというのは理解しております。

保坂分科員 理解していますということは、これは、そういうやりとりはあったというふうに外務省としても確認をしているということでよろしいんですね。違うというんだったら、次の答弁のときに言ってください。それを前提として聞きますので。

 とすれば、昨年の十一月二十八日に、外務委員会で梅本審議官が、美術巡回展ということで、国連広報センターが保有している五百万円の定期預金を使うことについて外務省が提案したということは全くございません、これは虚偽答弁じゃないですか。全くございませんというのは、全く一かけらもないんだということですね。趣旨が違うとかそういうことじゃなくて、こういうやりとりがあるということを今認めたわけだから、こういう答弁も不十分だったということを指摘しますよ。いかがですか。

廣木政府参考人 御答弁申し上げます。

 今申し上げましたように、私どもの方から、もともとビークマン財団が開催をしたいということで、スポンサー等を探してほしいという情報提供がありましたので、関係の幾つかの団体に問い合わせをした中で、UNIC東京に対しても、十万ドルを有効活用する方法についてお伺いしたわけでございます。その時点では、私ども、五百万の定期預金があったということについては承知していなかったということでございます。この点は、幸田シャーミンさんも、どういう形のお金だったかわからなかったというふうにメールの中で言っておられるわけでございます。

保坂分科員 外務大臣、今大変重要な答弁が出たのであります。

 つまりは、今、私が紹介したメールの内容を審議官もまた繰り返して読むような形で中身の紹介がありました。UNIC東京に十万ドルという残余金があった。今審議官が言ったのは、そのうちの五百万円の定期預金がそこにあったかどうかについて知らなかったということでありまして、そこが唯一の抜け道になっているのかもしれませんけれども、少なくとも、美術巡回展ということについて、UNIC東京について、これはどうですか、乗ってはいかがですかということは提案しているわけです。つまり、持ちかけているわけです。

 しかし、質問主意書に対する答弁では、これは十月三日付なんですが、閣議決定されています。「日本政府が国連所蔵の美術品巡回展の開催を国連に働きかけたことはない。」と言っているんですね。こういうふうに断言しているわけです、閣議決定で。

 これはやはり訂正をしてもらわなければ困る、そういういいかげんな閣議決定をしてしまったことについては。外務大臣、自分の部下である外務省の調査と答弁の内容について、今全く矛盾しているわけです。閣議決定した内容は、働きかけたことがない、メールは、いわばどうですかと言っている。

 外務大臣、今、審議官の答弁の前に、どうされますか、これ。閣議決定の内容と全く違うんですよ。

中曽根国務大臣 その辺のいきさつについて、詳細まで、私、申しわけないんですが、承知しておりませんので、まず事務方からちょっと状況をお話しさせたいと思います。

廣木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のございました質問主意書でございますが、私どもの方にいただきました時点において、まず、時系列的に申し上げますと、二〇〇八年の四月十四日に、国連代表部から本省に対して、ニューヨークのビークマン財団より、国連所蔵の美術品日本巡回展の開催に向けて展示場所とスポンサーを探しており、窓口となる機関などがあれば教えてほしい旨の依頼があったとして、情報提供の依頼がございました。ということで、あくまでも開催はビークマン・ファウンデーションというふうに私どもは認識しております。

 ビークマン・ファウンデーションが開催するということで情報提供を求められた我が国としましては、幾つかの団体に情報提供をいたしたわけでございますが、そのうちの一つが、今御指摘のございました国連広報センターでございます。私どもの国連代表部の人間から、十万ドルを有効活用することについてはお話は申し上げましたけれども、あくまでも、開催をするということは、これはビークマン財団がやることでございまして、開催を持ちかけたということではございません。

保坂分科員 閣議決定で、日本政府が美術巡回展の開催を国連に働きかけたことはない。UNIC東京にちゃんとメールが行っているわけですよ。

 五百万円の定期預金について知らないと言っていますが、一番最後に私が紹介した外務省の職員の方の加古さんのメールですね、このメールにはちゃんと幸田さんが答えているじゃないですか、五百万円の定期預金は、今その性格がわからないんだと。いいですか。性格がわからないんだ、だから調べているんだと。外務省の方は聞いているじゃないですか、十万ドルというのは確定できないんですか、幾らなんですかと。だから、それを確定するのに当たって、五百万円の定期預金について今調べているんだと。

 メールのやりとりは五月十五日ですよ。その段階でわかったわけでしょう。五百万円の定期預金があるのをわかっているから、メールのやりとりは本当だと言ったでしょう。五月十五日にわかっているわけです。わかっているのに、知らなかったと答弁書に出しているというのはどういうことですか、これ。そういうしらを切った答弁を続けているというのはどういうことですか。おかしいです。五月十五日の段階のメールを認めているんだから、五月十五日のメール、これは定期預金の性格について幸田所長が調べていると言っているでしょう。それを見なかったんですか。質問主意書で聞かれていたら、閣議決定の答弁をかけるときに、そのぐらい調べるべきでしょう。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございました、幸田所長が指摘しておられますのは、五百万円の定期預金については、まだ、どこから出たお金か明確になっていないから残余金であるとは現段階では申し上げられないということでございますので、私どもは、その時点では、五百万円の定期預金というのがいかなる性格のどのようなものであるか、そこは承知していなかったわけでございます。

 ですから、質問主意書の方でも、どういう形のものであるか、御指摘のような五百万円の定期預金については承知していないということをお答え申し上げた次第でございます。

保坂分科員 これは外務省からちゃんとペーパーで答えをもらっているんですが、外務省が五百万円の定期預金を把握したのは六月二十三日の新聞報道だと書いているんだよ。今おっしゃったのは、外務省職員と幸田所長とのメールのやりとりであった五百万円の残余金の性格がわからないから、そういうふうに答えなかったんだ、こうおっしゃっていますけれども、少なくとも五月の段階で五百万円の定期預金というのは把握をしていた。

 次に、では、この五百万円の定期預金というのはどういう性格のものなのか、これは審議官に聞きますよ。

 これは、一回、五百万円の定期預金は証書化されているようですね。証書化されて、しかも、それがなぜか、理由はわかりませんね、紛失をしている。紛失をしているので、喪失届をして再発行している。なくして、また発行してもらった。

 透明性のある形で管理していた、こういうふうに外務省は言っているんですが、透明性はありますか、これ。どういう認識ですか、どういうお金なんですか、これ。

廣木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの証書化の話でございますけれども、御議論いただいております定期預金五百万円でございますけれども、これは、六月の二十四日になりまして初めて私ども、残高十万ドルの一部だということを承知したわけでございますが、それまでの間は、そもそも、どこにある、どういう五百万円なのかというのがよくわかっておらなかったわけでございます。それからさらに、十二月になりまして、昨年の十二月でございますが、この五百万円が長いこと出入りのないお金であったということも承知したわけでございます。

 ですから、そういう意味では、長い期間にわたって私どもも、どういうものであったのか、幸田所長自身も、どういう性格のものか、大変、内部におられて調べておられたんだろうと思いますけれども、私どもが知ったのは昨年の十二月ということでございます。

 今御指摘のございました証書化でございますけれども、その点につきましても、その後、私どもの方で調べをいたしております。三菱東京UFJ銀行でございますが、これは御承知のように、一時期、支店の統合ということがございまして、その過程で証書化の話が出てきたやに伺ってもおります。

 いずれにしましても、証書化につきましては、きちんと調べさせていただいて、また御報告させていただきたいと思います。

保坂分科員 では外務大臣に。

 細かい事実経過じゃなくて、透明性のある形で管理されていたというふうに今の大臣の答弁にはあるんですけれども、私はちょっと、これは透明性があるとは言えないなと思っているんですよ。

 今の審議官の答弁にもあったように、五百万円という定期預金がなぜできたのか、まずわかっていないんですね。そして、その五百万円の定期預金が証書化されて、支店統合によってとおっしゃいましたかね。しかし、それを紛失して、喪失届を出してというような経過はおよそちょっと首をかしげるなと思っておるんですね。

 恐らく、一千万円の予算減額ということをされた背景には、やはり、こういう形で疑念を呼んではいかぬという大臣の御判断もあったと思います。やはり国民の税金から出ているわけですから、日本政府が一〇〇%出しているわけです。だから、透明性とおっしゃっていますが、これをきちっと調査してください。

中曽根国務大臣 先ほど透明性と申し上げましたけれども、国連本部がUNICから定期的に報告を受けているということで、国連本部としては透明性のある形で管理していた、そういうふうに我が方が説明をまず受けております。

 おっしゃるとおり、これは国連が管理しているので、国連が中心、主体なんですが、もちろん、言うまでもありませんが、我が方も金を出しているわけですから、これについては時々チェックとかそういうものをするのは当然のことだと思っておりまして、今後はそういう点を改善していこう、そういうふうには思っております。

 先ほどから参考人が御説明しておりますように、最初は断片的な情報しかなかった。それで、幸田シャーミンさんが、自分が調査する、そういう話だった。私はそういうふうに聞いておりまして、彼女が国連に照会したんでしょう、あちらのことはわかりませんけれども。国連のことですから、多少時間はかかる。我が方が知ったのは五月だか六月だかということでありまして、そこら辺の時間的な経過があったのは御理解いただけるんじゃないか、そういうふうに思っております。

 いずれにいたしましても、国民の税金から支出しているものでありますから、今後はきちっとそういう点を、我が方としても体制を整えたいと思います。

 それから、一千万円の減額については、そういう諸般の状況、それから、一千万円残っているということであれば、それはまた使えば少しはいいんじゃないか、当然そういう判断もありまして、そのような対応をした、そういうふうに私は思っております。

保坂分科員 その判断は妥当な判断だと思います。

 もう一回審議官にお聞きしますけれども、その透明性についてなんですが、実は、UNIC東京は国連広報局に定期的に、今このような財務状況ですよという報告をしていたというふうにおっしゃっていますね。その内容は、例えば、十万ドルあって、半分は五百万円だ、定期預金だ、こういうふうに報告されていたんじゃないですか。

 ですから、国連広報局に聞けば、定期預金というのはあるんだということは、少なくとも質問主意書が出たりした段階ではわかったはずだというふうに思うんですが、ここの点だけ、どうですか。

廣木政府参考人 お答えいたします。

 何度も御答弁させていただいておりますけれども、私どもが、この五百万円の定期について、十万ドルの一部であると聞いたのは、六月の二十四日でございます。その後、十二月になりまして初めて、長期にわたって出し入れのない定期があった、この五百万円の定期というのは出し入れをしていなかったということがわかったわけでございます。

 ですから、質問主意書で御答弁した時点におきましては、この五百万円が残余金の十万ドルの中にあったということも承知していなかったわけでございますし、また、長年にわたって、長期間にわたって出入りがなかったということも十二月に至るまで承知をしていなかったということで、その時点、全く承知していなかったために、質問主意書においてあのような形での御回答になったというふうに御理解いただければありがたく存じます。

保坂分科員 つまりは、そういう不十分な回答しかできなかったことについて、済まないなと思っているんですか。当然だ、こう言いたいんですか。どっちなんですか。

廣木政府参考人 この五百万円の定期につきましては、当時の東京にございます国連広報センターの所長も、どういう形の五百万円であるのか、なかなかわからなかったようでございまして、私どももその把握に時間がかかったことは事実でございますが、御答弁申し上げた、質問主意書にお答えした時点では、誠意を持ってお答えしたということでございます。

保坂分科員 これは外務大臣、一千万円減額という判断は妥当なんですが、やはり、国会で質疑、あるいは質問主意書で聞いたことについて、事実と違ったことを答えたわけですね。後からわかった、そのときはまじめだったというんですが、こうじゃないですかと言った私の指摘が当たっていて、そして外務省の認識が間違っていて、後でわかった、こういうことなんですが、やはり、この一千万円の減額という、それは妥当であるにしても、なぜこうなったのかということについて、もっと監督を強めて、調査を徹底してもらいたい。じゃないと、こういうことというのは、実はもっと大きな単位で、きょうはやりませんが、信託基金の、預けっ放しになっていて忘れていたという問題がございますね。そういうことをただしていくに対して、こういったミスがあったのならあったと認めて次に進むということが必要だと思います。

 その点について、大臣の言葉でお願いします。

中曽根国務大臣 委員の先ほどから御質問されている点は大変重要なことであると、まず基本的に認識しております。

 それで、きょうは、大変申しわけないんですが、御質問の通告が細かい通告をいただいていなかったので、十分なお答えができなかった点もあろうかと思います。

 いずれにしましても、先ほど私が申し上げましたように、国連等へのそういう出資なり、あるいは資金の提供のあり方というものについては、今後十分注意してまたやっていきたい、そういうふうに思っております。

保坂分科員 時間になったので、終わります。

下村主査 これにて保坂展人君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)分科員 大臣、御苦労さまです。

 最初に確認しておきたいんですが、きのう予算委員会で私が麻生総理に質問した点で、国後、色丹、択捉、歯舞の四島が日本領として確認されない限り平和条約は締結しないという認識は変わらないということでよろしいでしょうかとお尋ねしたところ、総理は、四島の帰属の問題、ここが一番肝心なところです、委員の言われたとおりですと答えています。外務大臣もその認識でよろしいでしょうか。

中曽根国務大臣 今の御質問にお答えする前に、一つ、委員にもしお許しいただければ。

 実は、国後島沖における日本漁船四そうが拿捕されていた事件、御承知ですね。一昨年、国後島沖で日本漁船四そうが拿捕され、その船体の返還が長らく日ロ間の懸案となってまいりましたけれども、これまで、ロシア側に対し、首脳、外相レベルを含めまして強く働きかけをしてまいりました結果、三そうが返還されることとなりまして、本日午前四時、羅臼港に到着をいたしました。残る一そうにつきましては、漏水をしておりますために修理が必要とのことでありまして、ロシア側にてしかるべく修理を完了した後、可能な限り早期に日本側に引き渡されるよう、ロシア側と調整を行っているところでございます。もう委員御承知かもしれませんが、そういうニュースが入っております。

 今御質問の件でございますが、総理の御発言は、北方四島の帰属の問題をまず解決して、そしてロシアとの間で平和条約を締結するという従来からの政府の基本方針を述べたもの、私はそういうふうに承知をいたしております。

 私も、この政府の基本方針に従いまして、引き続いてそういう意思でまた交渉を行っていこう、そういうふうに思っております。

鈴木(宗)分科員 そこで、領土の、北方四島の帰属の問題。その帰属は、当然日本への帰属ということでよろしいですね。

中曽根国務大臣 それは、従来から、当然政府としての基本的な方針というか、そういうものでございます。

鈴木(宗)分科員 大臣、東京宣言には、四島の帰属の問題、それは、ロシア側か日本か、これは話し合いで決めましょうということになっているんですよ。ですから、ロシアが四、日本がゼロのときがあるんです。ロシアが三で、日本が一。ロシアが二で、日本が二。ロシア一、日本三。そして、ロシアがゼロ、日本四という、五通りのシナリオも東京宣言では読めるんですよ。だから私はあえてこのことを質問したということをぜひともおわかりをいただきたい。

 ただ帰属問題となると、日本かロシアのどちらかに帰属するかを決めましょうというのが東京宣言の趣旨ですから、この点、意外と勉強していないというか、事実をわかっていない人がおりますから、その意味で確認したということなんです。この点、担当局長もそれでよろしいですね。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 北方領土問題でございますけれども、これは今御指摘の四つの島でございますけれども、四島の帰属の問題を決める、その後で平和条約を結ぶということでございますので、四島の帰属ということでございます。

鈴木(宗)分科員 四島の帰属というと、ロシアに四つ帰属する可能性もあるわけですよ。それが東京宣言に書いてあるわけですよ。日本に四つ来る可能性もあるわけですよ。

 だから、基本は日本に来る、我々はそれを前提に今まで交渉してやってきている、このことを確認しているということなんです。その帰属はもちろん日本だということをしっかりしてもらわぬと困るということだ。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 東京宣言のポイントでございますけれども、北方領土の四島の帰属に関する問題ということで位置づけておりまして、さらに明確な交渉方針を示した重要な文書だというふうに思っております。

 その上で、政府としては、東京宣言そのものが四島の日本への帰属を確認した文書であるとは認識しておらず、また、そのような説明を行っていないということでございます。東京宣言そのものが、四島の日本への帰属ということを言っているわけではなくて、四島の帰属の問題について触れているということでございます。

鈴木(宗)分科員 今の話になると、日本への四島の帰属を言っているものでないという今の局長の言い方ですね。だから私はそれを懸念しているんですよ。

 さっき言ったように、五通りとられるんですよ、今の局長の答弁だと。委員長もそう思いますね、今の話を聞いていると。だから、私は、あくまでも四島の帰属というのは日本ですよということが大前提でなくてはいけないわけですよ。

中曽根国務大臣 東京宣言の趣旨というのは、四島という言い方をしていますけれども、我が方からすれば北方領土ですから、北方領土の帰属ということであって、我が方からすれば四島が日本の領土である、そういう基本的な考え方に立ってのそういう宣言だと思います。

鈴木(宗)分科員 局長、今の大臣の認識できちっと外交交渉に当たってもらいたい。今の局長の答弁ですと、両方にとられますから。私は、今の大臣の答弁が基本的な方針であるということをあえて確認させていただきたいなと思います。

 そこで、大臣、ユジノサハリンスクでは、麻生総理は、新たな独創的で型にはまらないアプローチという表現がありますね。これは具体的に、独創的で型にはまらない新たなアプローチというのはどのようなことなのか、これが見えてこないんですね。この説明をいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 独創的で型にはまらない新たなアプローチにより、我々の世代で解決すべく具体的な作業を加速することで一致した、そういうふうに私も聞いております。

 これまでの日ロ間の平和条約交渉の中で、日本側から幾つかの提案がなされたということはまず事実なんですけれども、交渉の内容にかかわる事柄については、もう委員も十分そういうことは御承知のとおり、明らかにすることは差し控えたいと思いますが、サハリンでの今回の首脳会談では、昨年十一月の首脳会談後にメドベージェフ大統領が事務方に具体的な指示を出されたことは、この問題の解決に向けた大統領の強い意思のあらわれとしてうれしく思う、そういうふうに麻生総理から述べられた上で、これまでに達成された諸合意及び諸文書を基本としつつ、大統領が指示を出したような新たな独創的で型にはまらないアプローチのもとで、帰属の問題の最終的な解決を目指していきたい、そういうふうに麻生総理は述べられたわけでございます。

 これに対して、メドベージェフ大統領は、この問題について双方に受け入れ可能な解決を見つける作業を継続する用意がある、この問題は世界にある他の問題と同じように解決可能と思っている、そういうふうに述べられたそうでございます。

 その上で、両首脳は、この問題を我々の世代で解決すべく、帰属の問題の最終的な解決につながるよう、具体的な作業を加速するよう事務方に追加的な指示を出すことで一致をしたわけでございます。

 今回メドベージェフ大統領が指示を出しました新たな独創的で型にはまらないアプローチというものは、具体的な提案という性格のものではなくて、領土問題の最終的解決に向けた取り組みの姿勢を述べたもの、私はそういうふうに理解をしておりまして、今後の交渉においてロシア側の対応がより明らかになることを期待しております。

 政府としては、今回の首脳会談の結果を踏まえまして、先ほどから申し上げておりますこれまで達成されました諸合意それから諸文書、これに基づいて、また新たなアプローチのもとでともに作業をしてこの帰属の問題の最終的解決を目指していく、そういう考えでございます。

鈴木(宗)分科員 大臣、過去に行われた宣言、協定、諸文書、あるいは首脳会談での取り決め等、今すべて包含されて大臣は話されましたね。

 では、お尋ねしますけれども、その中に川奈提案、イルクーツク声明は入っていますか。

谷崎政府参考人 私どもが申し上げておりますこれまでの宣言や条約といった場合でございますけれども、これは具体的に何かという御質問でございますが、幾つかございます。

 そのうちの一つが五六年の日ソ共同宣言、それから九三年の東京宣言、それから九八年のモスクワ宣言、さらに二〇〇〇年の平和条約問題に関する声明、それから五つ目でございますけれども、二〇〇一年のイルクーツク声明等が含まれているというふうに認識しております。

鈴木(宗)分科員 確認しますけれども、では、独創的で型にはまらない新たなアプローチの中に、今二〇〇一年のイルクーツク声明も言われましたが、川奈提案はどうなんでしょうか。

谷崎政府参考人 川奈提案そのものの日本政府の方の位置づけでございますけれども、これはまさに提案ということでございます。平和条約締結問題そのものが交渉中の案件ということでございますので、この川奈提案等の提案、先方と合意したというものではないものについての位置づけということについては、我々としてこの段階でコメントすることは差し控えたいというふうに存じます。

鈴木(宗)分科員 少なくとも、この領土問題解決の上で、川奈提案とイルクーツク声明は、大臣、日本にとって有効な手段、考え、そしてまた国益に沿った提案だったし、話であった、私はこう思っているんですよ。

 そこで、大臣、イルクーツク声明は、今局長からも、担保されているということでいいんですけれども、私は、この川奈提案も、日本は提案した、向こうは向こうで受けとめて帰って、その後の経緯、小渕さんが行ったときに、向こうの考え方が示された。細かい中身は今外交交渉中ですからそれには触れませんけれども、川奈提案も、これから交渉を進めていく上では、日本側にとっては一つの有効な考えであることは事実だと私は思うんですが、この点、大臣の見解はどうでしょうか。

中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、日ロ間の平和条約交渉の中ではいろいろなことが話し合われ、いろいろな提案があったと思います、幾つかの提案があったということは事実ですが、今委員もおっしゃいましたように、これは外交交渉なので、交渉の内容にかかわる事柄について明らかにすることは差し控えた方がいいと私は思います。

 そして、先ほども申し上げましたけれども、メドベージェフ大統領の、新たな独創的で型にはまらないアプローチというのは、重ねて申し上げますが、これはやはり具体的な提案というようなものではなくて、領土問題の最終的解決に向けた取り組みの姿勢だ、そういうふうに理解しておるところでございます。

鈴木(宗)分科員 時間の関係がありますから、とりあえず今の点はとめておきますけれども、大臣、やはり、過去の条約、宣言、協定、あるいは首脳会談の取り決め、約束、それの積み重ねの上のもとに領土問題の解決ということもあるわけですから、これだけはきちっと筋を通してやっていただきたい、私はこう思います。

 あわせて、きのう、麻生総理は、次回に会談するまでに、四島の帰属の問題について、ロシア側の回答を準備する旨要請したというふうに答弁されています。外務大臣もその認識でよろしいですか。

中曽根国務大臣 昨日の予算委員会で麻生総理が御発言された、この平和条約締結問題に関して、これは次の首脳会談までにきちんとした答えが欲しい、そういうふうに総理が発言した、そういうふうに私は承知をしております。

 我が国といたしましては、ロシア側との間で、太平洋地域における重要なパートナーとしての関係を構築する用意があるわけでありまして、できるだけ早くこの回答をいただきたいということで御発言されたもの、そういうふうに理解しております。

鈴木(宗)分科員 次回の会談というと、一つ想定されるのが、ロンドンでの国際会議が、今、日程に上がっていますね。あれは四月二日でしたか、局長。これで当然メドベージェフさんとも会う機会がありますね。次回の会談というのはこれを想定してよろしいですか。

中曽根国務大臣 四月二日に確かにロンドンで金融、経済のサミットがあります。麻生総理も、国会の御都合もあるでしょうけれども、出席をされた場合に、メドベージェフ大統領も出席をされた場合に、会談を行える可能性もあるわけですが、これは決定したわけじゃありません。今、その可能性を探るということで、今回サハリンでは両者の間で話が行われた、そういうふうに承知をしております。

鈴木(宗)分科員 大臣、首脳会談は、お互いの都合がありますから、そうそう開けるようなものではない。しかし、四月二日、金融サミットがあることは事実ですから、ここには当然ロシアの大統領も出てくるのは考えられますので、今まだ時間があるわけですから、これはきちっと詰めていくべきだ。

 次回の会談で、総理のせっかくのこのサハリン・ユジノにおける会談を生かす上でも、私はやはり、四月二日、会談が行われる方向に向けて努力して、何がしかの返事をいただくというのがまた国益にかなうものだと思いますけれども、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 それはもう長年の国家の最重要課題の一つでありますから、できるだけ早く解決をしたいと思っておりますし、そういうことから総理もそのような御発言をされたわけでございます。ですから、その場で、次のロンドンでの首脳会議でロシアとの会談がもし行われるということであれば、これは次の機会ということになるわけですから、回答がいただければありがたいし、ぜひ回答をいただきたいと総理も思って御発言されたことと思います。

 ただ、会談が行われるかどうかは、これは金融のサミットでありますから、またロシアもいろいろな都合があるでしょうし、時間的なものもあるでしょうし、それだけは、会談が行われるかどうかはまだわかっていません。

鈴木(宗)分科員 大臣、私が言っているのは、外交ルートで日程等を詰めるわけですから、いいですか、外交をつかさどる外務大臣として、裂帛の気合いで問題解決に向けて進めるかどうかということを私は尋ねているんですよ。相手の都合がどうのこうのじゃないんですよ。その考えがあるかということを尋ねているんです。

 だから、積極的に、四月二日、金融サミットに国会の都合がつけば行くと言っているわけですから、当然、世界の経済のことを考えるならば、G8の一員としてのロシアも出てくることはもう当たり前のことなんですから、そういう機会をつかまえてでも、やはりきちっと詰めるものは詰めていくという努力が大事じゃないですかということを言っているんですよ。その方向でいいですね、大臣。

中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、会談はまた何回行われても、そこでまた前進すればいいわけですから、次の機会というものを、日本としてはロシアとの会談を検討するわけですが、今のところは、さっきから申し上げておりますように、これはまだ模索しているという段階で……(鈴木(宗)分科員「だから、外務省がそのアプローチをかけるかどうかということを聞いているんです」と呼ぶ)ですから、我々としては、そういう機会に会談が行われればということで、当然、そういうようなことはロシア側にはまたしかるべきときに話をすることにはなろうと思います。

 ただ、さっきから申し上げておりますけれども、首脳が大勢集まるわけですから、それが行われるかどうかというのは、相手の都合もありますし、諸般の事情で行われないこともあるということです。

鈴木(宗)分科員 大臣、いいですか、それはもう百も承知の上。ただ、会いたいと言うのと黙っているのではわけが違うんですよ。その会いたいでも、絶対会いたいという言いぶりと、渋々会いたいというか、都合がつけば会うかというのは、受けとめが違うでしょう。こっちとしては、絶対会って、少しでも前進させたい、解決したいと、その強い思いを出さなければいけないんじゃないかということを言っているんですよ。

 大臣、もう少し政治家としての答えをせぬといかぬですよ。そういう役人の振りつけの話じゃ中曽根カラーは出ませんよ。

中曽根国務大臣 役人の振りつけじゃないんですよ。やはり、サハリンで、ロシアの大統領と日本の総理大臣が次の会談を模索するということで、ロンドンでの機会を模索するということで、トップ同士がおっしゃっているんですから、それは実現に向けて努力しましょうということでありまして、我々も当然そういう方向で、役所としても、外務省としても、私としてもそれは当然努力してまいります。

鈴木(宗)分科員 大臣、簡単な話、今の話を最初にすれば、お互いこれは時間の無駄にならないんですよ。もう少しその点、私は、何もちゅうちょする話じゃない、国民も喜べば、そうだと思う話なんですからね。ぜひとも前向きに、しっかり事務方もサポートをいただきたいなと思います。

 あと、大臣、これはきょうの毎日新聞ですけれども、ロシアの議員が北方領土面積分割案というのを出しました。新聞、みんなこれを見ていると思いますね。

 この中で、モスクワへ訪問中の小泉首相は、

 「両国が妥当だと思える線でなければ、(領土問題は)まとまらない」などと発言し、「四島返還」に固執しない立場で領土問題の進展を目指すべきだとの考えを鮮明にした。

  小泉元首相は十七日にモスクワで開かれたロシア有識者との非公開セミナーに出席。ワレーリー・ズボフ下院議員が北方四島の全島の面積を折半する案を説明したところ、「大変に興味深い」と語ったという。小泉氏は翌十八日の記者会見でも、この提案の詳しい説明を避けながら、「領土問題の解決と平和条約を結ぶためには一歩進まなければいけないとの考え方から(提案は)出ている」と一定の評価を与えた。小泉氏はまた、日本が四島返還を要求し続ける限り、ロシア側は譲歩しないとの認識を示した上で「究極の目標(平和条約の締結)に到達するために何が必要なのか考えたい」と述べた。

となっています。

 当然、モスクワの大使館からも、外務省に公電等が入って報告があると思いますけれども、小泉元首相がこういうふうな話をしたということは、大臣ももう確認されていますか。

中曽根国務大臣 御指摘の報道は承知しております。

鈴木(宗)分科員 モスクワの大使館からも報告が入っていますか。

中曽根国務大臣 私自身は、まだそういう報告は受けておりません。新聞報道は承知しております。

谷崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの新聞報道は私ももちろん存じ上げておりますけれども、公電ベースでこういう御発言があったということについては、まだ接到しておりません。

鈴木(宗)分科員 これは、委員長、当然、もう公電が入ってくるかもしれません、時間差がありますから、入ってくるかもしれませんけれども、これはぜひとも確認をいただきたい。

 元首相がモスクワに行っている、あわせて、同時期に麻生総理はユジノサハリンスクで首脳会談も行っている。私はいいタイミングだったと思うんですね、モスクワではモスクワの日ロ関係のシンポジウム、セミナーをやる、首脳会談は首脳会談でユジノでやるという。その中で、この小泉元首相の言いぶりと、あるいは麻生総理さらにメドベージェフ大統領の中での独創的で型にはまらない話というのは、何かしら符合するものだなという受けとめを私はしているんです。また、私らの読みもありますけれども、ここは避けたいと思います。

 そういった意味で、この小泉さんの認識というのは極めて重要だ、こう思っているんですよ。ですから、そういった意味で、ぜひとも確認をして報告をいただきたいと思いますが、よろしいですか。

下村主査 はい、確認をさせていただきます。

鈴木(宗)分科員 それで、報告をいただきたいというのは、公電ベースでどういう報告が来ているかです。

谷崎政府参考人 この御発言があったと毎日新聞に載っている記事がそのとおりかどうかは、ちょっとまだ公電を見ていないものですからわかりませんが、何らかの形で元総理の御動向等については、館員が随行しておりますので、一連の情報というのが公電ベースで入ってくるというふうに考えております。

 個々具体的な報道そのものが必ず入ると言えるかどうかは、まだ今の段階では、ちょっと予断はできないというふうに考えております。

鈴木(宗)分科員 局長、少なくとも元総理、総理大臣経験者は外交官パスポートを持って行っていますね。これは終身外交官パスポートですね。元総理が行っていて、大使館がアテンドしないこともないでしょう。こういった会議には、元総理が出席している会議ですから、必ず大使館の人も入って、いろいろサポートしていると思いますよ。

 ですから、今のような話は、委員長、失礼じゃないですか、だれが考えても。新人議員か何かに言うんならいいけれども、それなりの経験を持って、中身を知っている者に対して、非常にそんな事務的な話をするというのは、ふざけた話ですね。ちょっと局長、今のお話、もっと親切に言うべきじゃないですか。

谷崎政府参考人 公電そのものが今手元にまだ接到していないということでございますので、この記事を読みますと、まず、小泉元首相が述べられたのは……

鈴木(宗)分科員 ちょっと時間がないから。局長、私が聞いているのはそういうことじゃないんですよ。公電が来るかどうかわからぬだとか、報告があるかどうかわからぬと言うのは失礼じゃないかということを言っているんですよ。

 元総理大臣が行っている会合に大使館の者がつかぬことはないでしょう。そういうとぼけた話をするなということを言っているんです。委員長、どうですか。

下村主査 谷崎欧州局長、端的にお答えをお願いいたします。

谷崎政府参考人 この御発言は、非公開セミナーというところの御発言も引用されておりますので、そこに館員が出席していたかどうかについては、私、今この段階で即答はできないということを申し上げているわけでございます。

鈴木(宗)分科員 だから、確認をして、きちっと報告をくださいということでお願いします。

 大臣、中川財務大臣の不幸な一件がありました。本人の責任はもちろんですけれども、また、私は、取り巻き等も重々配慮を欠いたというか、ちょっと甘かったかなという感じを持っていますね。

 そこで、少なくとも日本国を代表してG7の財務大臣・中央銀行総裁会議に中川大臣が行きましたね。当然、ローマの日本大使は、同行するなり出迎えするなり、アテンドしていると思うんですよ。あの会議で安藤大使はどのような役割というか、どのようなアテンド、サポートをしたか、お知らせをいただきたいと思います。

中曽根国務大臣 今回の七カ国財務大臣・中央銀行総裁会議、これには現地の安藤大使を初めとする在イタリア大使館の館員は、日本代表団、もちろん中川前大臣を初めとする日本代表団ですが、この送迎、それから宿舎の留保等についての便宜を図り、また会合に参加する日本代表団を適切に支援したと認識をしております。

 そして、大使御自身は、中川前大臣の空港到着時の出迎え、それから出発時の見送り並びにバチカン視察への同行を行ったわけでございます。それで、前大臣の全日程には、在イタリア大使館員が、これは当然のことですが、連絡係として同行いたしました。

 また、G7の会合、二国間会談、記者会見等におけるサポートは、専ら財務省の出張者が対応したということでありまして、大使はそこには同席はしておりません。

鈴木(宗)分科員 記者会見のとき、大使館の人が同席したというか、その場にいたんでしょうか。あの問題になった記者会見の際、大使館はだれが立ち会っていたのか。

谷崎政府参考人 この記者会見そのものに大使館員は立ち会っていなかったというふうに承知しております。

 財務省との間で、一連の行事日程については財務省の同行者が責任を持って対応するということでございましたので、この記者会見そのものには館員は入っていなかったというふうに承知をしております。

鈴木(宗)分科員 これはくれぐれも、今回の件はやはり起きてはいけないというか、あってはならぬといいますか、これは日本のためにも、やはり私は、取り巻きの人らも重々配慮するというか心配してあげる、これがまた本当の親切でもあるし、国益にもかなうことだと思うんですね。

 そういった意味で、送迎は結構ですけれども、やはりああいう会見なんかでも、私は、イタリアなんかには財務省からも館員として出向しているわけですから、そちらがつくのはそれは当然の慣例というか一つの枠になっていると思いますけれども、大使なんかも万般注意を払うというか、それは想定外の出来事については対応できないと思いますけれども、やはり、特に体調なんというのは、はたから見てもおかしいというときは進んで取りやめさせるだとか、あるいはストップをかけるだとか、そういうことも私は大事ではないかと思うんですね。これからもぜひそういった意味では、気の使う仕事ではあるけれども、国益という観点からしっかりとしたサポートをお願いしたいなと思っています。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、大使並びに外務省の在外の職員のアテンドなりは申し上げたとおりでありますが、財務省との間では、従来からそうなんですが、海外における大臣の一連の行事日程については、送迎とかいろいろやりますけれども、こういうものについては財務省の同行者が責任を持ってやるからいいですよ、そういうふうな関係になっているようでございます。

 こちらの大使も自分の都合で行かなかったということではなくて、そういうふうなことで要請もありませんし、むしろ、前からそういうようなあちらの意向というものを尊重して、我々としては、大使も出席していなかったということ、これはぜひ御理解いただきたい。

鈴木(宗)分科員 昔から財務省と通産省、今の経産省、ここら辺はやはり独自に歴史もあれば人もいるということで、それは今大臣が言ったとおりで、私も承知しております。

 ただ、やはり全権大使ですから、天皇陛下の認証官をもって行っている、大臣もやはり認証官で、国際会議等で政府を代表して行く場合は全権大使で行っているわけでありますから、その点お互い緊張感を持ってやった方が国益のためではないかなということですので、よろしくお願いします。

下村主査 これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会所管の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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