衆議院

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第1号 平成22年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十二年二月二十三日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      緒方林太郎君    鹿野 道彦君

      城井  崇君    吉田 公一君

      阿部 知子君

二月二十四日

 吉田公一君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年二月二十五日(木曜日)

    午後七時五十九分開議

 出席分科員

   主査 吉田 公一君

      緒方林太郎君    鹿野 道彦君

      城井  崇君    阪口 直人君

      阿部 知子君

   兼務 玉城デニー君 兼務 石井 啓一君

   兼務 赤嶺 政賢君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   外務大臣         岡田 克也君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   外務副大臣        武正 公一君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 廣田 恭一君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     杉本かずみ君

  阿部 知子君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  杉本かずみ君     阪口 直人君

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     緒方林太郎君

  吉泉 秀男君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  重野 安正君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

同日

 第五分科員玉城デニー君、石井啓一君及び第六分科員赤嶺政賢君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (外務省及び財務省所管)


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     ――――◇―――――

吉田主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省庁所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中外務省所管について政府から説明を聴取いたします。岡田外務大臣。

岡田国務大臣 平成二十二年度外務省所管予算案について概要を説明いたします。

 平成二十二年度一般会計予算において、外務省は、六千五百七十一億八千五百五十四万円を計上しています。これを前年度と比較いたしますと一・九%の減額となっております。

 ODA予算は、外務省所管分として、対前年度比五・三%の減額の四千百三十三億七千七百九十九万円となっております。ODAのあり方については、本年夏までをめどに基本的見直しを行います。それによって、国民の理解と支持のもと、ODAをより戦略的かつ効果的に実施してまいります。

 現実の国際社会の中で、私たちはさまざまな課題に直面しています。その解決に向けて、私たちは、内向きになることなく、常に視野を世界に広げ、なすべきことをなし、みずから率先して国を開いていくことが必要です。日本が積極的に行動し、構想を示すこと、それによって世界の期待にこたえることが求められています。

 このような考え方に基づき、平成二十二年度予算案の作成に当たっては、重要外交課題に取り組む上で必要な予算を計上いたしました。

 第一の課題は、平和構築、テロ対策、貧困の根絶と国家の再建であります。

 世界の人々の平和で豊かな生活の実現のために、そして日本国民が平和で豊かな生活を実感できるために、平和構築、テロ対策、そして貧困の問題や国家の再建支援に力を入れてまいります。

 第二の課題は、環境・気候変動問題への対応であります。

 公平かつ実効的な国際的枠組みを構築する新しい包括的な一つの法的文書を採択するべく、国際交渉を主導するとともに、鳩山イニシアチブに基づき、途上国に対する支援を行ってまいります。

 第三の課題は、アジア太平洋外交の推進であります。

 アジア太平洋地域における外交を積極的に推進し、この地域と一体で、ともに成長し、繁栄していくことを目指します。

 第四の課題は、核軍縮・不拡散に向けた努力であります。

 核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用、それぞれの分野においてリーダーシップを発揮します。

 第五の課題は、国連外交の推進であります。

 日本は、国連を重視し、積極的に活用し、その実効性と効率性を高めることに貢献してまいります。

 こうした課題に取り組む上で、日本の総合的な外交力を高めていくことが重要です。外交官が使命感を持って行動できるよう、外交実施体制を強化するとともに、広い意味での外交を実現するに当たり、NGO、地方自治体、民間企業・団体、文化交流に携わる人々の役割に大きく期待しています。

 私は、就任以来、国民の理解と信頼に支えられた外交の必要性を強調してまいりました。このためにも、納税者の視点から、外務省所管の独立行政法人や公益法人の改革に取り組むとともに、独立行政法人評価委員会や外務人事審議会などの第三者機関が本来の役割を果たすことができるよう、そのあり方を検討します。

 以上が、平成二十二年度外務省所管予算案の概要でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、詳細につきましては、お手元に「国会に対する予算説明」を配付させていただきました。主査におかれましては、これが会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。

吉田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま岡田外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部分科員 社会民主党の阿部知子です。

 ただいま岡田外務大臣から、我が国が直面する外交上の課題についてるる御説明がございました。

 ことしは日米安保改定からちょうど五十年、また、沖縄の普天間の基地問題を初めとして、日米の信頼関係をどう築いていくかということが本当に極めて大切な課題になっておると思います。そんな中で、岡田外務大臣は、世で言う密約なるものの存在についても調査をお進めになり、近く有識者会議の御回答もあるやに伺っておりますが、大きくひっくるめて、そうした日米の関係の相互理解という点できょうは私は質問をさせていただきます。

 まず一点目は、私は神奈川県の選出でございますが、横須賀に、第七艦隊に所属する原子力空母ジョージ・ワシントンが来るようになりましてから、二年になります。二〇〇八年の九月から横須賀に寄港ということであります。

 この原子力空母の寄港については、その安全性を含めて、市民の間にもいまだに不安が強いところでありまして、そうした市民への説明ということも含めて、日米間のいわば文書の取り決め等々も重要になってくるものと思います。

 二〇〇八年の九月に横須賀に寄港するようになりましてから、昨年そしてことし、いわゆる二度のメンテナンスと申すものが行われております。相手が原子力潜水艦ですので原子炉部分を持つということで、この原子炉も、メンテナンスといっても他のものとは違うだろうということで、そもそも、一九六四年、我が国に原潜、原子力潜水艦が寄港するときにエードメモワールというものが取り交わされて、そして、どの作業がどこまで行われ、どこは通知されるべきかなどの取り決めがございます。原子力空母に関しましてはファクトシートというものが同じように取り交わされております。

 きょう私が伺いたい一点目は、このエードメモワールの記載と、それからいわゆるファクトシートの中で、変わった部分があるのではないかということであります。

 大臣のお手元にも資料がお届けしてあると思いますが、エードメモワールの一番上、「原子力艦船の修理」という部分では、エードメモワールには、「動力装置の修理を日本国又はその領海内において行うことは考えられていない」となっております。一方、ファクトシートは、「原子炉の修理は、」という言葉が使われていて、「動力装置」と「原子炉」という言葉に差があるのかないのかというのがきょうのテーマです。

 事務方でも結構ですが、動力装置というのは英文の原文では何と書いてありますでしょうか。どなたか、大臣でも結構です。

岡田国務大臣 委員御指摘の一九六四年のエードメモワール、そこで動力装置とは、英語ではパワープラントであります。

阿部分科員 大臣がお答えくださって、ありがとうございます。

 では、一方の原子炉はいかがでしょうか。

岡田国務大臣 二〇〇六年のファクトシートで修理を行わない対象とされた原子炉、英語ではリアクターであります。

阿部分科員 私がこの質問を投げましたときに、では、リアクターいわゆる原子炉と、動力装置、パワープラントは同じ概念ですか、どうですかと伺いました。簡単に言えば、原子炉の炉の部分に、そこから出てくる冷却水の、一次冷却、二次冷却とあって、一次冷却のところまでを含んで動力装置というのではないかと。その部分で事故も起こるし、修理も必要となったときの対応をお尋ねするものですが、私の質問に対して、同じですというのが担当者のお答えでした。

 私の方で、いや、違うんではないですか、例えば米国の文書の中に動力装置について説明のあるところ、記載のあるところをお調べいただけますかと申しました。ところが、そうしたデータは、どう探しても、ひっくり返っても何しても見つからないということでありました。

 大臣、どうでしょう、同じものでしょうか。また、見つかりませんでしょうか。

岡田国務大臣 一九六四年のエードメモワールによる動力装置、パワープラントと、二〇〇六年のファクトシートでの原子炉、リアクターというのは、同義であります。したがって、そのことによって修理を行わないとされる範囲が変わったということはございません。

阿部分科員 同じではないのではないかというのが私の質問で、パワープラントということの説明を米軍の関係文書ではどのように書いてあるのかを探していただきたいというのが第二でした。

 第二で、どうしても、探しても、ないというので、私の方からお手元に、これは米海軍のホームページからとりましたものですけれども、二ページ目、ファスト・アタック・サブマリンズというタイトルの、米海軍のホームページの二枚目の資料です。

 ここには、各種、いろいろな原潜、あるいは空母はここにはないと思いますが、原潜のパワープラントという説明部分を、幾つかの船種に分けて書いてございます。パワープラントというのは、ワンニュークリアリアクター、ワンシャフト、必ずこういう書き方がされております。ニュークリアリアクター、リアクター、原子炉と、付随するワンシャフト、すなわち第一次冷却のところまでをここではパワープラントと称しております。

 となると、大臣に当初お答えいただきましたリアクターとパワープラントの違いは、米国の文書によれば、パワープラントとはワンシャフトを込みしたものだというふうに使われているのではないか。

 これは、言葉の問題ではなくて、修理にかかわるときの、原子炉の炉の部分の修理は当然日本ではやりませんが、よく起こる事故は冷却水の事故で、とりわけ一次冷却という、原子炉からすぐ出たところの冷却について、もし異常があった場合にどうするか。大半の事故がここで起こります。

 この部分の修理を、エードメモワールでは、日本では当然行わないという取り決めが一枚目のお示しした資料であります。ところが、ファクトシートでは、それが原子炉という言葉になっているために、シャフトの部分、ワンシャフトという言葉がすぽっと抜けてしまうのではないかということであります。これはやはり、相互理解が違えば結果は大変に不信が高まります。

 私がお願いしたのは、きのうも外務省に、遅い時間でしたが、本当にないんですか、探してくださいと。私の方で探したのはこの海軍のホームページでありました。ある意味では少し探せばだと思うんです。大臣も御存じのように、大体アメリカはいろいろな情報をホームページに直截に載せています。とろうと思えばとれる情報です。

 そして、これだけワンニュークリアリアクター、ワンシャフトとあることとニュークリアリアクターはやはり違うし、どこで事故が起きたかが問題になるときが必ずあると思います。

 大臣にもう一度伺います。これらをきちんと精査していただきたいです。

岡田国務大臣 ここで委員御指摘のワンシャフトが何を意味するのかということは必ずしも明確でないわけですが、一九六四年のエードメモワールで修理を行わない対象とされたパワープラント、動力装置と、二〇〇六年のファクトシートで修理を行わない対象とされた原子炉、リアクターは同義であるという旨、米国政府の担当部局に確認したところであります。

阿部分科員 私は、申しわけないが、そういう確認の仕方はやはり不十分だと思うんですね。こういう記載にワンシャフトがあれば、当然、これを目にした市民は、そこに故障が起きた場合はエードメモワールではやらないんだ、だけれどもファクトシートではやるんだとなるわけです。大臣にはさらにその間の相違を米側にお尋ねいただいても結構です。

 そして、市民団体からも大変懸念が寄せられています。というのは、もう二回目のメンテナンス、メンテナンスと修理の境界もあいまいでありますから、もしも原子力空母が現実に我が国にいるという状態があるのであれば、やはり市民の理解とのずれがないように持っていかねばならないと思います。

 きょうの御答弁はそこまでで、私も大臣にお願いをするものですので、ぜひ、このワンシャフトの意味、ほかの原潜の関係のパワープラントというところの説明が全部そうなっております。この点をなおよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続いて、二つ目の問題。これもまた、アメリカの理解と我が国の理解がやぶの中の問題である、沖縄における海兵隊のグアムへの移転問題であります。

 グアムへの海兵隊の移転は、八千人の海兵隊の移転とそして家族九千人の移転ということで、グアム協定にも書かれておりますし、さかのぼるロードマップでもその記載がございます。私どもの通常の理解は、八千人の要員のグアムへの移転とその御家族、その御家族九千人というふうに理解いたしますが、一昨日でしたか東京新聞にも出ておりましたが、この家族は、例えばアメリカから来る兵隊の御家族も入っているのかどうかということが、また疑義が持たれております。

 これは長島さんにお伺いいたしますが、八千人の海兵隊の移転と九千人という、その九千人は、沖縄におられる、まあ家族ですから赤ちゃんが生まれたりしてふえますけれども、でも、沖縄におられる要員の御家族と考えていいですか。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 今阿部委員が御指摘になった報道の内容については私どもも承知をしております。

 今阿部委員がまさにおっしゃったように、ロードマップに基づけば、在沖海兵隊の要員の移転は約八千人、それに伴い家族の移転約九千人、こういう理解であるというふうに思いますが、この移転に伴う実際の家族のグアムへの移転のあり方については、実は、今現在米側で検討中ということでございます。実際にグアムにおいて建設することになる家族住宅の戸数についても、これは、米側が実際に今検討中のその結論を得た上で引き続き、日米間で協議を行っているところなので、今この段階で定かなことを申し上げる段階にはございません。

阿部分科員 では、グアム協定の理解にさかのぼります。

 少なくとも、日本の国民が理解しているのは、沖縄におられる海兵隊が移動される、するとその御家族が当然向こうに移動される、その分については、これは、さまざまに沖縄の負担軽減でもあり、日本の税金を使ってというか、正確には真水で使うわけではありませんが、住宅の建設も保証しましょうという理解ですが、もしアメリカ側が、いや、海兵隊は本土から来られる方もおありですし、その分の家族も含めた家族住宅だというふうにおっしゃった場合は、それは日本からファンディングというか、日本がつくるものには当たらないのでしょうか。

長島大臣政務官 大事な御指摘だと思いますけれども、私どもとしては、日本の分担する事業というのは、在沖米海兵隊の沖縄からグアムへ移転した分に伴って必要となる施設、インフラの整備、これが基本の考え方である、これに基づいて、引き続き日米の間で協議を通じて具体化を図っていく、当初からこう申し上げておりますけれども、この点についてはいささかも揺るぎがないというふうに御理解いただければありがたいと思います。

阿部分科員 では、最後にもう一点確認ですが、建設する住宅数が三千五百とされていたのは、これから検討するということでしょうかというのが一点です。

 三千五百の根拠は、アメリカから言われたものですか。三千五百とこれまでは伝えられておりました。これは各委員会、ちょっともう時間がないので、何回か外務委員会や防衛委員会での質疑を、お答えを簡単にまとめますと三千五百で、その三千五百はアメリカから言われていたけれども、今の政務官のお答えでは、これから改めてアメリカときちんと詰めていき、住宅戸数を決めるというのが一点。

 それから、お手元の四枚目の、在日米軍に提供している家族住宅数というのをいただきました。ここがたまたま三千五百、三千四百五十三になっているので、これは日本がつくって提供しているという、横の表がございますが、うがった見方をすると、この数からとったのかなと思うんですが、そうではなくて、アメリカが言われたもので、そしてこれから防衛省の方でお詰めになるという、先ほどの御答弁どおりでよろしいでしょうか。

長島大臣政務官 基本的にはそう考えていただいて結構だと思います。

 この約三千五百戸程度という見込みは、これはあくまでも、ロードマップ合意時における米側の見積もりであります。これからそれに基づいて日米で協議をして、もちろん日本の納税者の皆さんの税金を使うわけですから、きちっと協議をして最終的には決めていく、こういうことでございます。

阿部分科員 では最後に、冒頭申しました密約問題で、今、岡田大臣がお進めになっておる、有識者による委員会についてお尋ねをいたします。

 これもまだ正式な御答申等は出ていない段階と思いますので、大臣がこの段階でお考え、あるいは発表できることで構いませんが、四つの課題を検討しておる、これは予算委員会でも出ました。その中でも、特に一九七二年の沖縄返還時、これは佐藤総理、元首相の御子息様が持っておられた文書なども出てまいりまして、ある種の密約というかそういうものはあったというふうにまとめられるやに聞いております。これはあくまでも、まだ、聞いておりますと申し上げますが。

 そして、実際にそういう文書もありますし、もしそうした、その当時のやりとりがあったと見た場合に、当然、そうした核関連の物質の搭載されたものの日本への寄港というのは事前協議の対象でもありますし、今後そうした手続を経ることなく日本に持ち込まれることはないというふうに今理解しておいてよいかどうかであります。お願いします。

岡田国務大臣 この密約の問題は、私が外相に就任したときに外務省の中で命令を発し、十一月いっぱいで外務省内の調査は完了しております。今委員御指摘の有識者委員会において精力的に検証作業を行っていただいているところでございます。三月のしかるべき時期には対外的に公表できるようにしたいというふうに考えて、委員の先生方に審議方お願いをしているところでございます。

 具体的な中身につきましては、その検証作業が公表できた時点でコメントすることとしたいと思います。現時点で予断を持って私が何か申し上げるということは避けたいと思います。

 ただ、日本政府として非核三原則、これを従来と同じように守っていくということは何度も鳩山総理も主張されている、委員会の場でも明らかにされているところでございます。

阿部分科員 では、御回答というか、そうした御意見を取りまとめたものの早期の提出を心からお待ち申し上げます。

 最後の最後に、その核密約問題、あるいは密約問題と申しましょうか、全体の取りまとめに当たっておられます北岡伸一東大教授のことについて、私が若干懸念いたしますことに出会いましたので、これは、私も本来はこういう場で取り上げまいと思っておりましたが、ジャーナル等々に出るようになりましたので、ちょっと懸念されますので、お願いをいたします。

 一月十五日、アメリカで、国際セミナー、日米安全保障セミナーがございまして、この席上北岡教授が御発言されたことが、防衛相も外相も首相もスタート時点は同じくらい情勢に関して無知だった。イグノラントとおっしゃいました。しかし、防衛相も外相も少しずつ進歩している中、首相はほとんど進歩していない。この場合はイグノランスという言葉を使われました。

 イグノラントとかイグノランスというのは大変、アメリカの人にとっては、相手をやゆした、無知とか、本当に知らないんだよという形に聞こえるわけです。そういう発言があったことに、会場から、長く、三十年ほど向こうに住まれていた日本人の方が、たまりかねて、いかに何でも自国の首相をそのように表現されるのはいかがなものかという一連のやりとりがありました。

 これが外務省が後援なさる、東京財団と、そして向こうのシンクタンクが両方出たセミナーで、アーミテージも来ていましたし、日本の政府、外務省がしかるべく設けた場でそのような御発言というのはちょっとやはり、誤解を招きやすい。

 北岡さんがどこまでそのことの意味を理解されて、ジョークの受けとめ方ももちろん文化により差がありますが、しかしやはり、会場からそういう発言が出た。大変悲しいという発言でした。そして、まさかアーミテージはオバマのことをそんなふうには言わないでしょうとその人が言いました。私はすごい象徴的な言葉と思った。

 本当にこれは、我が国がアメリカにどう受けとめられるかということにも影響してしまう。例えば我が国の首相が大変に無知であるというふうなことを言えば、アメリカも当然信頼しなくなりかねませんから、ぜひ、これは外務省の関係で開かれた会議でありますし、相手方にも誤解のなきよう、非常に小さいけれどもすごく大事なことだと私は思うのです。

 大臣には事実関係を調べていただいても結構です、私はテープもとっていますからお渡しすることも可能です。でも、本当に、外交というのは一つ一つのそういう小さな場の積み重ね、そしてやはり、相手を、余り悪い評価を言うようなことはやめるべきだと思いますので、大臣に、この点についてもしかるべく調査していただいて、きちんと米国とも理解が進むように御尽力いただきたいが、いかがでしょう。

岡田国務大臣 北岡教授は、密約の問題でも非常に精力的に座長として活動していただいておりまして、かなりの時間を費やして、関係者からのヒアリングあるいは検証作業に取り組んでいただいております。

 そして同時に、これは外務省が関与したとはいえ、自由に物を言う場でありますので、学者として発言されることについて、それを制約するということは適当でないというふうに私は思います。

 ただ、委員おっしゃいますように、これは英語の問題もあるとは思いますけれども、使われた言葉は、必ずしも私の目から見ると適切ではない。もちろんそれは言論を制約するつもりはないんですけれども、少なくとも愉快ではないというふうに思っております。

阿部分科員 今大臣もおっしゃられたように、確かに言論の自由はあります。しかし、それは人を誹謗したり悪く言ったりすることとはやはり違いますし、特に外交の場は大変に重要だと思います。

 私は、岡田大臣に大変期待するものですし、我が国の新しい政権がどのようなスタンスでアメリカと真の信頼関係を築くかということにおいて、外務省の果たす役割は大変重要になる。例えば、今やっております基地検討委員会等々でも案が検討委員会案として定まったときには、その外交の最前線に立っていただくわけです。そうなりますと、やはり総理がきちんとお決めになって、その案で臨んでいるんだという決意と、そしてそれが相手方にきちんとある意味では深く受けとめられますように、ぜひ大臣にあっては御尽力をいただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。

吉田主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 大変遅くなっての分科会でありまして、両大臣、本当にお疲れだと思いますが、通告に従って質問させていただきます。

 最初に、米軍機による低空飛行について伺います。

 二〇〇六年ごろから、鹿児島県内各地で、米軍機による低空飛行がたびたび確認されております。鹿児島県によると、二〇〇八年度には十五件、二〇〇九年度はこれまでに二十二件の目撃情報が寄せられ、うち米軍機の飛行はそれぞれ四件、十一件が確認されているとのことであります。撮影された機影から、嘉手納基地所属のMC130特殊作戦機によるものと指摘されております。

 この問題では、私ども日本共産党の鹿児島県議のまつざき真琴さんが、住民からの聞き取り調査、専門家の協力も得て、飛行高度の調査も行ってきました。

 去年の四月に日置市で米軍機を撮影した、お名前はMさんということにしておきますが、この方はいつも身近にカメラを置いている方でありまして、二人の子供さんがおり、三年ほど前から、米軍機が飛んでくるたびに、ゴーっと物すごい音で、窓ガラスががたがたと揺れて、テレビの画面も乱れて、子供が怖いと言って泣いていたから常時カメラを置いていたそうであります。

 まず、外務省に伺いますが、鹿児島県内で繰り返されている米軍機による低空飛行について、これはどのように対応してこられましたか。

武正副大臣 低空飛行訓練について、小宝島及び薩摩半島で目撃されたとの情報が寄せられたことを受けまして、外務省から米側にこの事実関係を照会した結果、米側からは、米軍機による飛行ではあるが、米側としては日米合同委員会合意に定められた最低安全高度基準を守っていたと認識している旨の回答がありました。

 我が国政府としては、在日米軍が低空飛行訓練を実施する際には、安全性を最大限確保し、地元住民に与える影響を最小限にするよう引き続き求めていく考えであります。

 また、ローアプローチ……(赤嶺委員「ローアプローチは後で聞きます」と呼ぶ)いいですか。はい。

赤嶺分科員 今のは、小宝島の回答、そして、加えて薩摩半島、日置市やその他の町での低空飛行訓練についても米側から回答があったという答弁と理解してよろしいでしょうか。

武正副大臣 そのように理解していただきたいと思います。

赤嶺分科員 目撃者と食い違いがあると思うんですね。

 飛行高度の調査をしているんです。去年の四月に日置市で撮影された米軍機については、標高百六十三メートルの山頂部付近を標高三百メートルの高度で飛行しております。それから、七月に南さつま市で確認された米軍機については、標高六十五メートルの山頂部付近を二百十二メートルで飛行しています。

 いずれも、航空法が定める最低安全高度、つまり、人または家屋の密集している地域の上空にあっては最も高い障害物から三百メートル、それ以外で百五十メートルの高度以下で飛行していた疑いが極めて強いわけです。九九年一月の日米合意に違反する飛行であります。

 MC130は、二〇〇八年七月にも徳島県などで低空飛行を行っておりまして、その際は、米側は、最低安全高度以下の飛行を行ったことを初めて公式に認め、遺憾に思うと表明をしているわけです。ところが、その後も、目撃者から、定められた安全基準を守っていないんじゃないか、こういう疑惑を持たれるような低空飛行を繰り返しているわけです。

 今、回答があったということなんですが、去年の七月、鹿児島県知事が外務省に対して、低空飛行訓練の速やかな中止を求める要請を行っております。これに対する回答が、基準を守っていたということなのか。そして、去年の十二月にも薩摩川内市でこの目撃情報が寄せられております。これらについて回答があった、日置市、そして十二月の薩摩川内市、南さつま市、こういうところについてあったということですね。いつあったんですか。

武正副大臣 薩摩半島における低空飛行訓練については、平成二十一年に計六回ということでございまして、四月十四日、四月十五日、四月十六日、七月七日、七月九日、七月三十日と、計六回の低空飛行訓練があったということでございます。

赤嶺分科員 ですから、基準を守っていたという米側の回答が米側からあったとおっしゃるものですから、それを確認しているんです。

武正副大臣 小宝島における低空飛行訓練についてもちょっと触れさせていただきますが、平成二十一年は計四回、四月二十八日、七月七日、十二月十三日、十二月十四日でございます。

赤嶺分科員 武正副大臣、事実関係がきちんとかみ合ってないようであります。

 私、小宝島についてはそういう一つの理解を持っているんです。

 今、日置市、南さつま市、薩摩川内市、これらについて、鹿児島県知事が外務省に申し入れた、外務省は米側に申し入れていると思うんですが、その回答が来たとおっしゃいましたので、これらの個々の事例について回答があって、基準は守っていた、こういう米側の見解が寄せられているのかどうかということを伺っているわけです。

 小宝島のことではありません。

武正副大臣 米側からは、米軍機による飛行であるが、米側としては、日米合同委員会合意に定められた最低安全高度基準を守っていたと認識している旨の回答があったということでございます。

赤嶺分科員 それならそれで、目撃者の情報、それから山並みを飛んでいる飛行機の高度、写真もありますので、いずれ事実関係は詰めていきたいと思います。

 ただ、鹿児島県内で、住民の目撃情報として、そういう低空飛行訓練、子供がびっくりしたとか、あの飛び方は異常だとかということが相当寄せられているわけですけれども、こういう訓練について外務大臣はどのように考えておられますか。

岡田国務大臣 今委員御指摘いただいた薩摩半島における低空飛行訓練については、今武正副大臣が申し上げましたように七月三十日まででありまして、七月三十日までについて我々は承知をしておりますので、それ以降あったとすれば、その部分についてはアメリカ側の答えには含まれていないというふうに思われます。

赤嶺分科員 まさに、私が伺ったのは七月三十日以降の話を聞いておりまして、八カ月もたっているのに、そして、去年の、鹿児島県知事が申し入れて後もなお、十二月でもあったというのに、こういう回答がないということ自身がこれは問題じゃないでしょうか。

 外務大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 七月三十日以降のことについては、改めて米軍側に事実関係を照会したいというふうに思っております。

赤嶺分科員 事実関係は照会しているんです。回答が……。

 事実関係は照会していないということですか、外務省。

武正副大臣 事実関係は照会しておりません。

赤嶺分科員 それでは、外務大臣、事実関係を照会して、きちんと答弁をいただきたい。住民の側は動かぬ証拠というのも持っておりますし、専門家の高度計算もやっているところです。

 もう一つは、先ほど副大臣が触れられた屋久島のローアプローチの問題です。

 ここはもっとひどくて、屋久島の空港が閉まった後、米軍機が突然轟音を響かせながら低空で進入して飛び去っていくというローアプローチが繰り返されているわけです。点検作業を行っていた空港管理事務所の職員や住民が何十回も目撃しているということであります。

 住民の一人は、民間機より低い、遠くからすごい音を立てて飛んでくる、赤や緑のライトをつけているときもあればつけていないときもある、二機続けて来ることがある、四歳と二歳の孫がいるが、音がすると怖いと言って抱きついてくる、十九時三十分から二十時三十分ごろが多い、二十二時三十分ごろのこともあると証言しています。

 外務省も屋久島でのローアプローチについて事実を把握していると思いますが、そういう事実として把握しているかどうか。そして、米側との確認というか、米側はこれについてどのような回答をしているのか、これについても答えていただけますか。

武正副大臣 ローアプローチ訓練については、数年にわたり屋久島空港で目撃されているとの情報が昨年七月に寄せられたことを受けまして、外務省から米側に事実関係を照会した結果、これが米軍機によるものであることが確認されております。

 あくまで一般論として言えば、ローアプローチ訓練であっても日米地位協定第五条により認められるものもあり得るであろうが、今回屋久島空港で見られた米軍機によるローアプローチ訓練について言えば、日米地位協定上許容されているとは我が方は考えておりません。その旨米側に指摘をし、今協議をしているところでございます。

 なお、その後屋久島空港でのローアプローチ訓練は報告されておりません。

赤嶺分科員 大臣、屋久島空港が閉め切った後に、これもMC130なんですよ。夜中飛んで来て、着陸するわけでない、まさにローアプローチ、滑走路に車輪をつけないで飛び去っていく。こういうのも、地位協定上、米側は、認められていることだと主張している。それに対して、協議中だということなんですが、日本政府として明確にこれは認められないことなんだと言うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 この屋久島空港におけるローアプローチ訓練でありますけれども、平成十八年に三回、十九年に七回、二十年に二回、二十一年は、三月十八日、六月二十二日、七月九日、把握しているだけで三回行われております。

 我々としては、これは委員御指摘のようにかなり危険も伴いますし、基本的に日米地位協定上許容されていないというふうに考えておりますので、日米間でよく、今協議を行っているところでございます。

赤嶺分科員 私はやはり、住民の、そういう住宅地域上空で低空飛行もローアプローチも行うべきではないということをしっかり求めるべきだと思います。

 実は私、この間徳之島に行ってまいりました。普天間基地の代替施設の候補地になっているということで、民主党の議員さんが普天間基地いかがでしょうかと来られて、島は大騒ぎでした、三つの町が。私が集会で、徳之島に普天間基地は来るな、沖縄からも普天間基地は撤去すべきだ、沖縄と徳之島が力を合わせて頑張ろうではないかと演説をしましたら、拍手大喝采でした。

 やはり、沖縄を本土に移転するということは、本土の沖縄化だと思うんですよね。一九七二年の復帰のときに、本土の沖縄化ではだめだということを我々は主張してきたわけですが、今、鹿児島県の中では、既に、低空飛行訓練だとかローアプローチだとか、嘉手納基地の特殊作戦機能を持った、長島政務官はよく御存じでしょうけれども、そういうのがやみ夜に紛れて訓練をしている。もう移転問題が起こる前から、本土の沖縄化、これが始まっているということを本当に感じまして、これは問題の解決にならないよということを強く私は申し上げたい。

 沖縄の基地問題というのは本土に移転して解決するのではなくて、沖縄そのものから基地を減らしていく、こういう日米交渉が求められている。きょうはこれはもうこれ以上申し上げませんけれども、そういうことを主張しておきたいと思います。

 次に、中井大臣もお見えでありますが、前にも伺いました金武町伊芸区の流弾事件について伺います。岡田外務大臣も現場に行かれたということを報道などで私も承知している問題であります。

 沖縄県警は、十二月に、公訴時効を目前にして、軽犯罪法違反容疑で被疑者不詳のまま那覇地検に書類送検をしました。事件は不起訴に終わりました。伊芸区の前の区長の池原区長は、問題がうやむやにされた、考えられない結果だ、このように述べております。

 国家公安委員長に伺いますが、前回の質問で、事件発生から一年近くたった十一月二十日と二十四日、レンジ7への立入調査をすることができたと答弁されましたが、現地で、当時の司令官あるいは部隊から説明を受けることはできたのでしょうか。

中井国務大臣 当時の司令官や部隊というのが立ち会ったということではなかったと聞いております。

赤嶺分科員 その流弾事故が起きたそのときに実弾射撃訓練場を使っていた司令官、使っていたときの司令官そして部隊、この特定はできているんでしょうか。

中井国務大臣 沖縄県警からその点についての報告が詳しく来ているわけではありません。早速問い合わせてみます。

赤嶺分科員 いや、大臣、報告は来ていると思います。警察庁、どなたかおりましたら、答弁させておきますか。(中井国務大臣「いや、おりません、僕だけです」と呼ぶ)沖縄から報告来ていない。(中井国務大臣「来ていません、はい」と呼ぶ)

 でも、大臣、私は、レンジに立ち入った、立ち入ったとすれば、事故が発生したその日の司令官はだれだったか、そして部隊はどういう部隊だったか、この特定は初歩的なことじゃないですか。

中井国務大臣 当時の司令官、部隊の立ち会いを得られなかったと書いてありますから、特定はしているんだとは思いますが、私どもへの報告は、名前が書いてあるわけではありません。

赤嶺分科員 もし大臣がおっしゃるように特定ということであれば、その事故が起きたその日の司令官やあるいは部隊から事情を聞くべきじゃないでしょうか。レンジに入っても、当事者がいなければ捜査にならないんじゃないですか。

中井国務大臣 私も捜査は素人でございますから、沖縄県の専門家が十分調査をしたんだろうと考えております。

 一年前のことですし、もし跳弾であったとしたら、たくさんの方が撃っている中で、いつ、どんな形で跳弾になったかどうかということも含めて、到底それが特定できるという問題でもないんだろう、このようにも考えております。

 ただ、事件直後に米軍から提供されましたライフルの銃弾の弾心と、そして自動車のナンバープレートのところに当たっておった銃弾の弾心が同一だった。したがって、この日、同じ銃弾を使って訓練が行われておったんだろう、こういう推測は成り立つわけでございます。

 ただ、私も写真を見ましたが、跳弾した場所、物すごく遠い、方向違いですから、ああ、こんなふうに飛ぶんだなと素人ながら思ったりもいたしましたが、大体跳弾と見て間違いないだろう、こういうふうに考えているようでございます。

赤嶺分科員 この距離を飛ぶんですよ、米軍の実弾射撃訓練場は。その一例だけじゃないんです、これまで何度もやってきたんです。

 ですから、今度レンジに立ち入ったと言うけれども、使っていたその日の司令の名前も明らかになっていない、部隊の名前も明らかにしていない、それで被疑者不詳で不起訴に結果としてなった。私は、こんな日米関係でいいのかな、本当にまともに追及したのかと。しかも、時効を目前にしてですから、現地に入ったのも。一年近くたってからですから。やはり、流弾事故や跳弾を経験している県民の気持ちからすれば、こんな捜査納得いかないと思いますよ。(中井国務大臣「委員長」と呼ぶ)いいです、もう。外務大臣に……(中井国務大臣「いや、委員長」と呼ぶ)いや、外務大臣に伺います。

 外務大臣も十二月に現地に行かれております。大臣自身が、伊芸区は戦後流弾事件が繰り返されて、うやむやにされてきた、こういうお話を聞かれたと思いますが、この繰り返しです。伊芸区あるいはレンジ4にも入られたと思いますが、いかがだったでしょうか。

吉田主査 まず、いいですか、中井国家公安委員長から。

中井国務大臣 せっかくのたびたびのお尋ねで、私どもも沖縄警察を通じて誠心誠意お答えし、沖縄警察も、大変制約がある中、難しい中、一生懸命、レンジ7まで入って調べて、ああいう結果になった。先生のお気に入らないかもしれないけれども、まともな捜査と言えるんでしょうかという言い方は、私は、沖縄警察を少し侮辱されているんじゃないかと思います。

赤嶺分科員 大臣、私が聞いたのは、制約と難しさがある点について聞いたんですよ。捜査のありようを聞いているんじゃないんですよ。制約がありましたよね、難しさがありましたよね、この制約と難しさを突破しないと、数々起きた流弾事件、では大臣に聞きますけれども、流弾事件や跳弾事故で起訴したのが何件ありますか。

中井国務大臣 私ども今承知しておりますところは、警察で認知していますのは、昭和六十三年十月、そして平成十四年七月、そして今回、この三つを警察として認知いたしているところでございます。(赤嶺分科員「起訴しましたか。起訴したのは何件かと聞いたんですよ、さっき」と呼ぶ)それぞれ、しかるべく送致はしていると思いますが、起訴したかどうかは検察庁において判断をしているんだろうと承知をしております。

赤嶺分科員 起訴したのは、県民が訴えて、一件だけですよ。

 流弾事件が繰り返されている、こういう流弾事件や事故が繰り返されている。民間の近くに実弾射撃訓練場がある、そして流弾事故が繰り返されている。

 やはり、この問題の根本的な解決というのは、外務大臣、現地に行かれて、ああいう欠陥訓練場の閉鎖、撤去、これを求めていく、あるいは実弾訓練の中止。何せ民間の近くの訓練場ですからね。中井大臣、本当に四百メートルしか離れていないんですよ。警察がどんなに捜査をしても防げないんですよ。今、どう防ぐか、再発防止を私は議論しているんです。

 ですから、外務大臣はどのように考えられましたか。

岡田国務大臣 昨年十二月に沖縄を訪問した際に、キャンプ・ハンセンを視察し、私の方からロブリング在沖縄米軍四軍調整官に対して、訓練の安全対策に万全を期すよう申し上げたところでございます。

 なお、その際、米国側からは、昨年の三月に本国から弾道の専門家チームを呼んで調査をしたという説明も受けました。私は、米軍も事実解明をするために努力しているという印象は受けましたけれども、それでも現実に流弾事件が起きているということでありますから、さらに安全を期して、そういったことが繰り返されないようにする必要があるというふうに思っております。

赤嶺分科員 米側の、事故が起きたときの問い合わせに対する回答は、いつも米側は、安全基準に基づいて安全に配慮しながら訓練を行っている、そういう回答の繰り返しの中でこういう事故が繰り返されているんです。私は、もっと岡田外務大臣が本気になって、そういう、これらの問題についてきちんと、危険な訓練場の撤去、そして実弾訓練の中止、こういうことを求めていっていただきたいと思います。

 高江の問題について最後に聞いていきます。

 防衛省は、ヘリパッド建設に抗議活動を続けていた住民団体の代表二人について、妨害行為禁止の仮処分を決定した那覇地裁の本訴提起命令を受けて、一月二十九日、同地裁に提訴しました。自公政権時代に、弱い立場の住民を裁判に引っ張り出して反対運動をおどしつけてきたやり方、自公の時代のそういうやり方を、民主党政権になって、本訴ですから、本格的に継続しようというものと見ざるを得ません。

 現地では、建設予定地へつながる進入路にフェンスまで設置して住民を排除、この七月にも工事再開を強行しようとしております。

 防衛省の姿勢に県民の怒りが大きくなっておりますが、昨年の十月、私たち日本共産党の国会議員団は、長島政務官に、提訴の取り下げ、そして訓練場のヘリパッド建設の中止、撤回を求めました。そのときに、長島政務官は、前政権の行為はすべてレビューするというのが新しい政権の立場だ、現地を視察することを含め真剣に対応する、このように述べられました。

 高江のヘリパッド建設問題で、どういう検証を行ったのでしょうか。そして、現地を視察されたのでしょうか。

長島大臣政務官 もうこれは赤嶺委員十分御案内のとおりだと思いますけれども、この高江のヘリパッドにつきましては、先ほどまさに赤嶺委員がおっしゃったように、沖縄から基地を減らすというSACOの最終報告に盛り込まれた措置の一環でございます。

 北部訓練場、約七千五百ヘクタールの半分以上の四千ヘクタールを返還する、これを一日も早く実現しなければならない、これが大前提でございます。その際に、返還条件がございまして、ヘリコプターの着陸帯を移設する、これについては沖縄県も、それから東村も、それから国頭村も御理解いただいているとおりでございまして、これを何とか一日も早く実現させたい、こういうことでございます。

 先ほどの訴訟の問題につきましても、十二月十一日の那覇地裁の仮処分命令におきまして、妨害をしておられる中心的な方の行為については、これは監視とは言えず、やはり妨害である、こういうことでございましたので、私どもは、やむなく、この妨害行為を禁止するための提訴を那覇地裁にさせていただいたところであります。

 その上で、昨年の十月に、赤嶺委員、わざわざ防衛省へお越しいただきまして、しっかりやれ、こういうことでございましたので、私どもも、この高江のヘリパッドの問題も含めて沖縄の米軍再編については、防衛省内でも、それから官邸でも、あるいは外務省でも、これは相当包括的なレビューを、再検証を行わせていただいたわけであります。

 その結果、私どもとして、SACO最終報告に盛り込まれた、北部訓練場を一日も早く、その過半を返還しようということで、地元の皆さんの状況も勉強させていただいた上で、今回このような形で準備作業に入る、そういう決断をさせていただいたところであります。

吉田主査 簡潔明瞭に。時間が来ていますから。

赤嶺分科員 もうまとめますけれども、北部訓練場の半分を返還するため、返還する場所にあった六カ所のヘリパッドを残った場所に移すというわけですよね。そこには十五カ所、ヘリパッドが現に今あるんです。現に普天間のヘリが飛んで来て訓練をしている。そこにさらに六カ所移した場合は、この部落はヘリ着陸帯で囲まれてしまうわけですよ。ですから、深夜も飛んでくるんです、深夜も飛んでくる。自分をねらっているんじゃないかと恐怖に感じる場合もある。こういう場所に、移される場所からいえば新たにヘリパッドを増設するということじゃないですか。抗議するのは当たり前じゃないですか。

 やはり、県内たらい回しなんですよ。県内たらい回しで、しかも今、普天間基地は、民主党政権では県外、国外移設と言っているわけですね。この北部訓練場を使っているのは普天間基地のヘリ部隊なんですよ。何で、外に移すという普天間基地のヘリ部隊の訓練場はまた維持しようとするのか。

 たらい回しで、行き詰まったやり方をとって、成功しないですよ、長島政務官。野党時代は私と一緒に政府を同じ角度で追及しましたが、やはり、現場も見て、こういう県内たらい回しにどんな思いを持っているかという立場で検証していただいて、北部訓練場のヘリパッド増設は中止するということを強く求めまして、質問を終わりたいと思います。

吉田主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 外務大臣は御退席されて結構でございます。国家公安委員長もどうぞ。

 次に、阪口直人君。

阪口分科員 私、民主党の阪口直人と申します。和歌山二区から選出をしていただきました。

 和歌山二区というところは、日本でも有数の果樹王国であると言えると思います。桃、カキ、またミカンなどの生産が大変に盛んであるとともに、しかし、この地域は、果樹地域特有のさまざまな特徴、例えば、ここは中山間地帯であり機械化が進んでいない、また大規模化が大変に難しい、さらに高齢化、後継者不足などの問題がございます。

 こういった地域における農業の活性化、きょうは特にその輸出を強化していく、そういった視点でお尋ねすることに加えまして、グローバル経済の負の側面が生み出したさまざまな貧困あるいは人権の問題という視点でバングラデシュの問題について、あわせて十点ほど質問をさせていただきたいと思います。

 まず、農業、特に果樹農業についてお尋ねをしたいと思っています。

 先ほど申し上げたようなさまざまな問題があると同時に、この果樹地域というのは、私の選挙区もそうですけれども、大変に風光明媚である。古くからの農村文化が残っている、また大変に豊かな風景がある。そしてまた、この農村というのは、バイオマスを中心とした自然エネルギーの開発によって、これまでエネルギーを都会から受け取る側の農村地域が、エネルギーを供給する場になる可能性もあると思います。またさらに、観光開発という可能性もあると思います。

 しかし、私の選挙区の地域の方々は、民主党の果樹政策の姿がどうも見えない、米に関しては、米の戸別所得補償に関するモデル対策が講じられて、これはもう大変に期待がある反面、果樹はどうやら軽視されているんではないかというような懸念も持っております。

 ぜひ、新しい政府の果樹政策、将来のビジョンとグランドデザインについてお聞かせをいただきたいと思います。

    〔主査退席、城井主査代理着席〕

佐々木大臣政務官 阪口委員の質問にお答えをさせていただきます。

 阪口委員が地元をよく回られて実情を御存じだということは、今のお話でもよく理解をさせていただいたところでございます。

 中山間地域が多いわけでありますので、そういった意味で、必ずしも生産条件に恵まれているわけではありません。今、農村風景のお話も委員からありましたけれども、その農村風景というものが今の農政の中で評価をされているかというと、必ずしもそれも評価をされている状況にありません。

 そういった中で、我々も今、農政転換を図っていこうとしているわけでありますが、中山間地域を初めとして、この果樹というものは大変有用な作物であるという認識は委員と私も同じでございます。これまでも、改植、いわゆる植えかえですとか、あるいは果樹はなり年と裏年が必ずめぐってまいりますので、そういった需給調整などについても、それぞれ予算措置をさせていただいてまいりましたし、特に改植については、ことしは三二%ほど増額をさせていただいたところでもあります。

 ただ、我々が戸別所得補償制度にことしからモデル的に取り組むわけでありますが、この基本は、一つには自給率を上げるということと、もう一つには、生産費と販売価格の差が恒常的に発生しているものについて、その差額を埋めるということを基本にしているものでありますから、そういった点からいうと、果樹が恒常的な赤字の状態にあるかというと、それはなかなか、必ずしもそうは言えないところもございます。

 しかし、今委員から御指摘のとおり、豊凶の変動、需給動向、価格低下などいろいろな経営を不安にさせる要素もありますので、何らかの対策は必要だという認識を持ってございます。ことし、モデル事業を実施させていただきますので、それらの動向も見ながら何らかの対策は講じていかなければならない、新たな支援策が必要である、そういう認識は持ってございます。

 以上です。

阪口分科員 果樹に関しては、今のままでは国内の需要がだんだん低下をしていく、そういった懸念がございます。また、高齢化が進んで、本当に希望を持ってこの果樹農業を行っていく、そういった状況をつくっていくのがやはり国の大きな役割であると思います。

 一方で、私は、国内の需要が大きくふえることがないのであれば、それをやはり海外に求めていくというのも大切なことだと思っています。特に香港、台湾また中国等では中間層、あるいは富裕層がだんだんふえてまいりまして、日本の果物、これは大変質もいいし安全性も高いということで、大変なブランド価値がある。これは正しく輸出をすれば、その拡大が可能であるというふうに私は認識をしております。

 果物の輸出拡大を私はやはり国の戦略として行っていく必要がある。なぜならば、農林水産品の輸出を総額で見ると、平成二十年度、輸入が八兆七千億円、輸出が大体五千億円ということで、大幅な輸入の超過という状況があるわけですね。

 その中で、金額は決して大きくなくても、果物の輸出を拡大することが、ひいては日本の過疎化が進む農村を守っていく、また六次産業化を進めていく、そういったエネルギーの供給地としての農村の可能性を生み出していく、発展させていくことにもつながると私は思っています。

 農作物の、特に果物の輸出の促進、拡大、このために政府としてどのような方策があるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 今委員御指摘のとおり、自給率が低い国ですから、すべてのものを輸出するということにはなりませんが、これから戦略的に輸出というものもしっかり考えていかなければならないというふうに思っております。

 実は、平成十八年に、二十五年を目標にして一兆円規模にするという目標を一度設定させていただきましたが、二十年以降、世界の景気の低迷などということでこれは頓挫をしているわけでありますけれども、委員も御承知だと思いますが、昨年の十二月三十日に新成長戦略の基本方針というものを、当時の菅副総理のもとでまとめさせていただきました。

 そこでは、平成三十二年に一兆円規模というものを目指そうということにしているわけでありまして、六つの戦略分野のうちの「観光立国・地域活性化戦略」というところで、そのことについてもはっきりとうたわせていただいているところであります。

 この目標は、かなり意欲的といいますか、挑戦的な目標ではございますけれども、毎年約八%というふうに設定をさせていただいて、これは輸出が一時減少いたしましたが、その以前の平成十五年から二十年における高い伸び率の八%というふうに設定をさせていただいて、一兆円を目指そうということにしたわけでございます。

 輸出の伸びが期待できる地域、あるいは輸出が期待できる品目というものが、それぞれ戦略的に我々も今検討させていただいておりまして、果実は当然その中に入っているわけでありますが、品目、地域を重点化して、そして、輸出の場合には、検疫協議の問題だとかあるいは販売ルートの開拓などということが必要でございますので、本年六月を目途にして新成長戦略を取りまとめていく予定にしてございます。

 以上です。

阪口分科員 輸出を拡大していくということをマーケットの大きさで見た場合、私は、やはり中国に対する輸出の拡大が不可欠である、また、そのための戦略的な動きを日本政府としてもしていかなければいけないと考えています。

 ただ、中国に関しては、現在、リンゴとナシに関しては輸出が可能ではございますが、それ以外の品目に関しては、もともと、これは二〇〇三年の時点で、日本から見た輸出が大変に少ないものに関しては、検疫上のさまざまな制約等もあって輸出することができないという状況でございます。

 私、和歌山県におりますので、地域の方々に話を伺うと、これはもうぜひ中国に対する輸出拡大を政府として図ってほしいという声をよく聞きます。特に富有ガキ、これは和歌山の有力な果物なんですが、大変に保存もしやすいし、大変に価値がある。また、桃ですね。日本の桃というのは大変にジューシーで、中国等のちょっとかりかりした桃に比べると大変に喜ばれるということで、こういった新しい品目の輸出が可能になるようにしていく、そしてそれを拡大していくということが、私は日本政府の戦略としても必要ではないかと思っておりますが、この点について御所見をぜひ伺いたいと思っております。

佐々木大臣政務官 委員御指摘のとおりでございます。

 我々も、そのことについて、今、品目あるいはいろいろな手続について検討させていただいてございますが、先ほど申し上げました植物検疫の関係ですとか、それからそのための、相手国に対して科学的根拠などというものも求めていかなければなりません。そうしなければ解禁要請というのはなかなかできないわけでありますので、今委員が御指摘をいただいた、特に中国に関して言うと、我々も今御指摘をいただいた桃とかカキを中心にして、ブドウあるいはキウイフルーツ、サクランボなどを戦略的な作物として考えてございまして、中国を初めとして合計六カ国に二十品目、そのうちの十六品目は果物でございますけれども、そういったものを今検討させていただいているところでございます。

 こうしたいろいろな防疫上の問題などというものとあわせて、今、輸出要望にしっかりとこたえていきたいというふうに検討させていただいているところでございます。

阪口分科員 やはり、海外の方々が好む品種、これを積極的に開発していくという姿勢も同時に必要だと考えておりますが、例えば、高齢化が進んでいる方々が、これまで育てていた果樹の植えかえをする、これは大変に大きなリスクと同時にやはり不安が伴うわけですね。少しでも売れるものにしていきたい、あるいは輸出できる、海外の方にも喜んでいただけるものをつくりたいけれども、少なくとも数年間、その木に関しては収入がないわけですから、とてもこれを待つことはできない、何とか支援していただきたい、こういった声も聞くわけでございますが、政府としてこういった声にはどのようにこたえていくことができるのか、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

佐々木大臣政務官 そうなんですね。果樹の場合には、植えてすぐその年に収穫できるというような仕掛けにならないものですから、どうしても無収入の期間があるというようなことで、これは果樹農家にとっては大変大きな悩みだというふうに我々も認識をしてございます。

 そこで、この期間をできるだけ短くしていかなければならない、また、これを植えかえないと、老化していってまた生産量が落ちていくというようなことになりますから、改植の未収入期間をできるだけ短くするということで、果樹経営支援対策事業のメニューとして大苗育苗圃の設置というものを実は今措置をさせていただいてございます。

 これはいわゆる、大苗になるまで二、三年、一年で植えるのではなくて大きくするまで二、三年育成をして、そして大きな苗にして植えるということですから、実質的にはミカンですと五年、リンゴですと十年ぐらいかかりますから、それでもまだ未収入の期間はありますけれども、できるだけそこを短くしていくというようなことで、そんな措置もさせていただいているところであります。

 こうしたことで、できるだけ果樹農家の皆さん方の御期待にこたえていきたいというふうに思ってございますので、またこういうメニューの積極的なアピールもしながら、ぜひ利用していただくように我々も努力をしていきたいと考えているところでございます。

阪口分科員 ありがとうございます。

 主に果樹の需要を国外に求めて、そしてそれを拡大していくという視点で質問をさせていただいたんですが、同時に、国内の需要、これが減っていくそのままに任せるわけにもいかないと思います。

 私、少し統計を調べてみまして、日本リサーチ総合研究所が実施したアンケートによると、六十代以上の方々は大体六割以上の方が毎日のように果物を食べている、その反面、二十代、三十代の方で毎日果物を食べていらっしゃる方は二割を切っている、そういった年代による差がございます。実際、自分自身も、例えばカキなどをいただいても、なかなか食べる機会を逃しているうちに、ちょっと熟し過ぎたかなというようなことも頻繁にあるわけでございます。

 子供のころからお菓子を食べるのもいいんですけれども、やはり果物を食べる、そういった健康志向、そして地場のものをしっかりとおいしくいただくというような教育、食育も私は必要だと思っておりますが、この点について、やはり需要をふやしていく視点も踏まえて、どのような対策、あるいは現在やっていらっしゃることがあるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 実は私も、二泊五日できょうヨーロッパから帰ってきたばかりなんですけれども、向こうはジュースにしても果物に触れる機会というのはすごく多いわけですね。ですから、そういったことも考える必要があるななどと思いながら、けさの朝食をとらせていただいてきたところでございます。

 日本型食生活というものは海外でも注目をされておりますし、日本でも、栄養バランスという、委員も見たことがあると思いますが、こまの形をして、一日の目標みたいなものを今普及させようとして農林水産省が中心になってやっているわけであります。

 御指摘のように、特に若年層は摂取量が非常に少ないという委員の質問があるということで、私も調べましたけれども、本当に驚くほど少ない状況でございました。一日二百グラムというものを目標にしているんですけれども、到底そこには届かないような状況にあります。

 そこで、我々も食育実践活動推進事業などというものを実施させていただいて、まずは、児童生徒に対しては出前授業、作文コンクールなどをさせていただいたり、あるいは栄養士を目指す皆さん方には、果物の健康機能あるいは摂取目安等を情報提供するセミナーの開始、それから、今お話がありました摂取量がとりわけ少ない年代、十五歳から四十歳、ここを対象として、コンビニエンスストアにおける試験販売あるいは普及啓発、それから、企業関係者に対しても従業員食堂でこうした果物による生活習慣病の予防効果などについて、それぞれ普及の取り組みを今させていただいているところでありまして、これらも活用しながら果物の消費拡大に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

阪口分科員 ありがとうございます。

 次に、最初に申し上げましたバングラデシュの問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私、実は、数年間をいわゆる紛争地域の山岳少数民族の村で仕事をして過ごしたという経験もございまして、バングラデシュのチッタゴン丘陵地帯と言われます、インド、ミャンマーとの国境地帯に十二月に行ってまいりました。ここでは、我々日本人と大変によく似た顔をしていらっしゃる、いわゆる先住民族の方々が伝統的な生活を営んでいる。

 その一方で、バングラデシュという国は大変に人口過密で、ベンガル人の入植者を政府が一九七〇年代以降送り込むということで、その先住民族の土地をベンガル人が強制的に収用するといった大変に大きな人権問題と争いが起こっている地域でございます。私、現地に行ったところ、日本の国会議員が来たのは初めてであるということで大変に喜んでもらえたと思います。

 ところが、本当に数日前なんですが、二月十九日、二十日、そして二十三日と、私も訪問しましたカグラチャリ県、またランガマティ県におきまして騒乱が起こりました。ランガマティにおいては、二百軒ぐらいの家が住民の衝突によって燃やされて死者も出た。また、カグラチャリでは千人規模のデモが起こって、それに対する発砲あるいは放火というような問題が起こっております。

 私、日本の外交の今後のとるべき姿勢として、やはりこういったグローバル社会の本当に片隅に生きている方々に対する配慮も必要である、しっかりと見ている、必要なアクションも起こしていくというような、そういった姿勢をしっかりととっていかなくてはいけないと思います。

 この問題について、まず副大臣にお聞きしたいんですが、日本政府としてどのように認識しているのか、また、バングラデシュに関して言うと、こういった問題の把握に関してどういうふうな調査のツールを持っているのかということについて少しお答えをいただきたいなと思いまして、よろしくお願いします。

武正副大臣 阪口委員にお答えをいたします。

 御指摘の事件については、その事実関係につき、ハシナ首相が調査を命じたところと承知しておりまして、引き続き関心を持って見守りたいと思います。

 また、委員御指摘のチッタゴン少数民族問題に関して、現アワミ連盟政権は、同政権が一九九七年に締結した和平協定の完全履行を公約に掲げ、軍の一部撤退を実現するなど前向きに取り組んでいますが、軍の撤退への野党の反対もあり、課題も多いと承知しております。

 我が国といたしましては、バングラデシュ政府要人との対話などを通じて、バングラデシュ政府による少数民族への人権配慮を促しつつ、人間の安全保障、人権擁護の観点から、引き続き、少数民族への経済協力の実施などを通じてバングラデシュ政府の取り組みを側面的に支援してまいりたいと存じます。

阪口分科員 ありがとうございます。

 やはり、山岳少数民族の方々、世界から自分たちは決して見放されてはいないんだ、バングラデシュに対する最大のODAの供与国である日本が、人権的な配慮をしっかりとしていく、また、必要であればアクションを起こしていく、そういったメッセージを送り続けること、これは私は大変に重要であると思います。

 また、ODA大綱の中では人権に対する配慮というのが援助を行う大切な条件でもございますから、これはやはり、適切な対応が政府によってとられていない場合は強く申し入れる、そういった姿勢を日本政府としてはぜひとっていただきたいと私は思っております。

 また、こういった問題について、ジュマ・ネットという現地でも活動しているNGOもございますし、このチッタゴン丘陵地域の問題の解決については、NGOの世界的なネットワークが首相に対しても和平を求める、そういった運動をしております。私は、日本政府のこういった問題の基本的なスタンスとして、やはりNGOとの連携、協力、この重要性をしっかりと踏まえて、本当に必要とする方々に支援、援助が届いていく、こういった姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 これは、鳩山政権になって、まさに実施していこうとする新しい国際協力の姿であると思いますが、武正副大臣からも、この点について御所見をいただければと思います。

武正副大臣 最初に御指摘があった政府開発援助大綱では、「基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う。」こういう項目が援助実施の原則にあるということを今阪口委員がいみじくも指摘をされたというふうに承知しております。

 また、NGOとの連携ということでありますが、ちょうど今、岡田大臣のもと、福山副大臣、西村政務官を中心にODAの見直しというものを、この夏をめどに省内でそうしたODAの見直し、タスクフォースを進めておりまして、ODAの見直しの中でもNGOとの連携というものをよりしっかり強化していこう、そういった視点というのは当然あるわけでありますし、NGOの皆さんが、それこそ現地、現場主義で全世界で活動をされている、今阪口委員御指摘のように、ODAなりさまざまな援助が直接届くためにもNGOの皆さんの力を活用していくことが大事であるというふうに考えております。

阪口分科員 ありがとうございます。

 政治の目的というのは、弱い立場の方々にいかに希望を与えるかということであるかと思います。私も日常活動の中で持った問題意識をこの国会の場でぶつけていきたいと思いますので、ぜひ今後とも御指導をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

    〔城井主査代理退席、主査着席〕

吉田主査 これにて阪口直人君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉城デニー君。

玉城分科員 民主党、沖縄県第三区の玉城デニーでございます。

 きょうは、武正副大臣に、日ごろから沖縄の案件については外務省という職務以外でもいろいろな御助言をちょうだいしていることにまず感謝を申し上げたいと思います。

 あわせて、お手元に、きょう二月二十五日の沖縄タイムス、琉球新報という地元の新聞二紙の朝刊の記事を資料として提出させていただいておりますが、きのう沖縄県議会におきまして、全会一致で普天間基地の移設に関する県外、国外の意見書を可決したということで大きな記事になっておりました。それを資料でお手元にお配りさせていただいております。

 県議会が全会一致で普天間飛行場の県内移設に反対するのは、一九九六年七月、普天間飛行場の全面返還を促進し、基地機能の強化につながる県内移設に反対する決議以来十四年ぶりで二度目ということでありまして、昨年八月の衆議院議員選挙の民意、そしてことし一月、私ども民主党が支援をさせていただきました名護市長選挙における候補者の勝利による民意、そして、今回この県議会の全会一致による民意は、まさに沖縄の総意に近いと申し上げても過言ではないと思います。

 まず、その記事をごらんいただきまして、武正副大臣から一言御所見をちょうだいしたいと思います。

武正副大臣 玉城委員におかれましては、沖縄選出ということで、沖縄県の問題、そしてまた広く外交、安全保障、また日本にとって沖縄を通じて日本の国を開いていく、その意味での沖縄の重要性、こういったものをかねてより御指摘いただき、御示唆をいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 今御指摘の県議会の全会一致の記事でありますが、意見書可決ということについては真摯にそのことを受けとめたいというふうに思います。

玉城分科員 ありがとうございます。

 まさにこれが今の沖縄の県民の民意だということで、ぜひともそれを深くお受けとめいただきたいと思います。

 さて、きょうは外務省関連の質問を少し述べさせていただきたいと思いますが、実は、在外公館にはいわゆる大使館などがありまして、そこで我が国のさまざまな情報、文化を伝えるとともに、外交の重要な役割を担う大使という職責を担っていらっしゃる方々がいらっしゃいます。特命全権大使という職種の方がいらっしゃって、ASEAN担当、地球環境問題担当、国際テロ対策担当などなどいらっしゃるんですが、その中に、沖縄にも沖縄特命全権大使という方が沖縄で外務省の仕事を務めていただいているわけですね。

 そこで、これまでにも過去幾つかこのような質問があったかと思いますが、沖縄の特命全権大使の職務及び権限と、沖縄に置くことになった理由と、あわせて、沖縄特命全権大使が設置されてからこれまで歴任なさった大使のお名前と、任用された時期及び期間などについてまずお聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 外務省沖縄事務所は、沖縄県の御要望を受けて、平成九年に、沖縄担当大使を長とする外務省の出先機関として設置をいたしました。ですから、沖縄大使は平成九年からということになります。

 沖縄県には米軍専用施設・区域の七四%が集中をしている現状などを踏まえますと、外務省沖縄事務所において米軍に係る問題につき地方公共団体等の御意見を聴取し、在沖縄米軍と連絡調整を行うというのが主な役割ということであります。

 また、沖縄担当大使、歴代のお名前と就任期間でありますが、原島秀毅さん、平成九年二月十四日から平成十一年五月十一日まで約二年三カ月、続いて野村一成さん、平成十一年五月十一日から平成十三年二月二十三日、約一年九カ月、橋本宏さん、平成十三年二月二十三日から平成十五年一月十七日、約一年十一カ月、沼田貞昭さん、平成十五年一月十七日から平成十六年十二月七日、約一年十一カ月、宮本雄二さん、平成十六年十二月七日から平成十八年三月三日、約一年三カ月、重家俊範さん、平成十八年三月三日から平成十九年八月二十四日、約一年五カ月、今井正さん、平成十九年九月十一日から平成二十一年六月九日、約一年九カ月、そして現在の樽井澄夫沖縄大使が平成二十一年六月九日からということになっております。

玉城分科員 ここまで八名の大使が歴任をなさっていらっしゃるということなんですが、お話を伺いますと、やはり米軍基地が置かれている特殊性があると思います。

 そこで、外務省のさまざまな情報の収集と、市町村あるいは県及び団体からのさまざまな住民意見の聴取ということも大きな仕事になっていらっしゃると思うんですが、ただ、私は、正直申し上げまして、まだ八代目の大使の方と面識がありません。沖縄県民は、沖縄にこういう特別に仕事をなさっていらっしゃる大使がいらっしゃることの認識は、恐らくそう多くないのではないかなと思います。つまり、ふだんがなかなか大使と県民が接するということが話に上らないことと同じように、私たちも、例えば住民から負託をちょうだいして今国政で仕事をさせていただいておりますが、地元の重要な案件、あるいは住民意見、及びこれから予想される問題等々についての意見交換など、なかなかそういう機会を持っていただけないというよりも、声をかけていただけないと言った方がいいかと思います。

 そういう現状もありまして、これまで歴代の大使がどのような県民からの声といいますか、意見を酌み取っていただき、それを外務省に報告をなさって、そのことによってこれまでどういう成果があったのかということをお尋ねしたいと思います。

武正副大臣 沖縄大使が何をし、沖縄事務所もということになろうかと思いますし、また、具体的にどういう御意見があり、そして成果はということでありますが、沖縄の県民の皆さんから、例えば航空機の騒音、あるいは事件、事故への対応、普天間飛行場の移設問題など、沖縄に駐留する米軍に関するさまざまな問題について、御要望、御要請を沖縄事務所そして沖縄大使にいただいているということであります。

 例えばという御紹介であれば、嘉手納飛行場に暫定展開していたF22戦闘機が米国に向かう際に、航空機騒音規制措置により飛行が制限されている夜の十時から朝の六時の時間帯に離陸していた問題については、沖縄県の皆様からの御要望を沖縄事務所としていただき、それを沖縄大使、沖縄事務所として米側に働きかけた結果、昨年四月及び十月には午前六時以降に離陸したものと承知をしております。

 米軍に関する問題については、外交、防衛に責任を有する我が国政府が責任を持って判断すべきでありますが、地元の地方公共団体の皆様の理解を得ることが重要であり、沖縄事務所としては、沖縄大使を先頭に、沖縄県の皆様の声に耳を傾けていきたいというふうに考えておりまして、より積極的に県民の皆さんとの接触あるいはそうした広報に努めていきたいと思います。

玉城分科員 まさに積極的に、ぜひ住民からの意見や状況というものをできるだけ細かく酌み上げていただきたいなと思うわけなんです。

 お手元に五枚つづりの、きょう私が用意した資料のまさに五ページ目、最後のページをめくっていただきたいと思います。

 これもけさの朝刊です。嘉手納の爆音が百八デシベルの最高値を記録した。これは九九年度以降。これまでにも百十デシベルですとか百六・二デシベルですとか、爆音被害が本当に相当ひどいんですね。しかも、騒音防止協定をつくっているにもかかわらず、いわゆるアメリカの本土の基地に渡るために早朝、未明の離陸を繰り返したり、運用上の理由を建前にして、なかなか地域住民の爆音被害が改善されないと。

 ぜひ大使にはこういうことをもっと細かく、例えば嘉手納町、私は沖縄市にいます、沖縄市も当然、三連協といいまして、沖縄市、嘉手納町、北谷町、この三つの市町の首長が米軍と交渉する、あるいは国と交渉するというふうな努力を重ねております。いまだにこういう騒音が後を絶たない、特に今F16がやってきて訓練をしておりますので、訓練期間中の爆音たるや本当に被害甚大でありますので、ぜひ大使とその辺をしっかりと、地元の様子といいますか、本当にこの状況を細かく外務省に上げていただいて、積極的にアメリカ側と交渉をしていただく。そして、それをしっかり住民に伝えるというアプローチと、そして広報の両方をしっかり努めていただきたいと思います。

 さて、この特命全権大使ですが、実は今現在、関西にも大使がいらっしゃって、しかも、かつては北海道にも特命大使がいらっしゃったそうなんですが、北海道に特命大使がいらっしゃったにもかかわらず、その大使が今廃止になっている、この状況についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 お答えいたします。

 北海道大使が設置されていた期間は、昭和五十五年から平成九年まで。北海道担当大使は、出張ベースで、北海道の地方公共団体、経済団体等との意見交換のほか、広報活動に従事してまいりましたが、平成十年に、北海道以外の都道府県も活動対象とすべく、同大使にかえて外交政策広報担当大使を発令しました。平成十四年に、このような都道府県における活動は特定のポストにゆだねるのではなく全省的に取り組むとの考えから、同大使も廃止をしたという経緯でございます。

玉城分科員 沖縄も尖閣列島の問題等々、中国や隣国とのさまざまな問題といいますか懸念を抱えているわけですが、北海道は、まさに北方四島のいまだ解決できない重要案件がある地域で、なぜに北海道大使が廃止されたのかということが少し理解できないんですね。その辺の背景をお聞かせいただけますか。

武正副大臣 今の御懸念の北方領土問題というような御指摘もありましたが、これが北海道大使という形で対応ができるのか。先ほど、大使を廃止した理由の中で、全省的にということもちょっとあったと思いますが、やはり省としての取り組みをという、また、北方領土問題については内閣府が特に四島返還についての任に当たっているということもありますので、関係省庁との連携もしっかりしながらということかというふうに思っております。

玉城分科員 ありがとうございます。

 まさに北海道と沖縄は、外務、防衛、内閣という三つの省庁のさまざまな仕事が必要なところだと思います。そういうことを思いますと、やはり沖縄の特命大使にはもっとお働きをお願いさせていただきたいなと思うんですが、今現在、民主党連立政権は、行政改革、いわゆる無駄をなくしてスリムにして、もっと地方分権、地域主権を目指してやっていこう、一括交付金などはその大きな形になると思うんですが、その再編の中での沖縄における特命大使の廃止など、今後どのような計画があるのか、今現在のそういう計画等々についてお聞かせください。

武正副大臣 沖縄担当大使について、先ほど玉城委員から、より地域に密着して頑張ってほしいという激励をいただいたわけでありますが、今御指摘のように、防衛省あるいは内閣府、そういう関係省庁との連携、こういったものもしっかりとしながら、今御指摘の行政効率化の観点も踏まえて、大使の活動をより効率的に、また効果的な実施に引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。

玉城分科員 それでは次に、日米地位協定の件について少しお聞かせいただきたいと思います。

 きょうの資料の三ページ目と四ページ目を少しごらんいただきたいと思います。これは、実は昨年の十一月、読谷村でひき逃げの死亡事故がございました。在沖米陸軍のトリイ通信施設、読谷村にある通信施設なんですが、そこの特殊部隊グリーンベレーの二等軍曹が引き起こした事件。

 実は、この米兵のひき逃げ事件、その事故を起こした当時は、起訴前の引き渡しができないという日米地位協定の壁があって、それから実際に公訴提起をして、起訴をして取り調べが始まったということなんです。

 その当時、二〇〇九年十一月七日午前五時五十分ごろ、読谷村の旧米軍補助飛行場の外周道路で普通乗用車を運転中、道路左端を歩行していた当時六十六歳の男性をはねたんですが、救護、警察署に事故の発生などを通告せず、死亡させたということなんですね。検察側によりますと、被告は事故数時間前に実はバーに立ち寄っていたのではないか、つまり飲酒運転をしていたのではないかというふうに言われているんですが、ただ、飲酒の有無は明らかになっていない。つまり、事故が起こったそのときに、すぐ身柄を拘束して警察が少し取り調べをすることができれば、この被告がそのとき重大な過失を負っているというふうなことも明らかにできたのではないかと思います。つまり、地位協定というのは、このように実は米軍にいわゆる有利な、片務的な協定になっているんです。

 この日米の安全保障条約と地位協定との関係ですが、では、国民や沖縄県民に対して地位協定の果たしている役割というのは一体どうなっているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 日米安保条約と日米地位協定の関係、また日米地位協定が果たす役割という御質問であります。

 日米安保条約は、第五条で、日本の施政下の領域における武力攻撃が発生した際、米国が日本を守る義務を明確に規定する。第六条では、日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、米軍が日本において施設・区域を使用することが許されることを規定ということでございます。

 日米地位協定は、今の、日米安保条約第六条に基づき締結されたものであり、施設・区域の提供の手続を初め、日米安全保障条約の目的達成のために駐留する米軍の円滑な活動を確保するため、米軍の駐留に関するさまざまな事項について規定をしております。

玉城分科員 実は、この地位協定はこれまでにもさまざま議論がございます。その最たるものは、日本国内でありながら日本の法令が適用されずに、いわゆる日本国民の人権こそが侵害されているんだというふうなこと等々が言われておりまして、さまざまな資料を読みますと、日米地位協定の第四条の1によりますと、米軍が日本に施設を返還する場合は、その土地をもとどおりに回復する義務を負わない。つまり、その土壌から著しい劇薬に汚染された土壌が発見されたとしても回復義務を負わないというふうなこともあります。

 それから、第十七条の五項(c)によりますと、日本で裁判を受けるべき被疑者であっても、アメリカが先にその身柄を拘束した場合、今回のひき逃げ事件などもそうなんですが、身柄が引き渡されるのは検察により起訴がなされた後であるため、起訴までの間に十分な捜査ができないというふうなことがこれまでにも本当にさまざま言われているわけですね。

 実は、二〇〇四年の八月、沖縄国際大学に普天間航空基地所属のアメリカ海兵隊のヘリが落ちたときにも、米軍がまず真っ先にその周辺を封鎖して、県警もそれから消防隊も、だれも立ち入ることができなかった。つまり、基地の外であるにもかかわらず、事故の一切は先に米軍が押さえてしまっていて、結果的に、どういう経過で事故を起こしたのかということは明らかになっても、では事故を起こした側の責任はどうなのかということが全く明らかにされない。こういう、まさに不平等協定なんですね。

 日本政府は、果たしてこの日米地位協定をこのままにしておくおつもりなのか、それとも、やはりこれは改定しようというふうな動きを持っていらっしゃるのかについてお聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 お答えをいたします。

 米軍関係者による事件、事故はすべてあってはならないものでありまして、外務省としては、具体的事例を挙げることにより、どれが重要でどれが重要でないなどという認識を有しているとの誤解を招くことは避けなければならないと考えておりますが、今御指摘の、平成十六年八月の、海兵隊所属の大型ヘリが沖縄国際大学の敷地内に墜落したとき、民間人にけが人等は出なかったんですが、御承知のように、ローターとか、いろいろ大変危険な状況が部品の飛散ということで発生をしております。私もちょうど、墜落した三日後ですか、現地に行きましたので、今玉城委員御指摘のような状況を目の当たりにしたわけであります。

 この事故を受けまして、平成十七年四月の日米合同委員会で事故現場の統制に係るガイドラインが了承されまして、その後、沖縄県において同ガイドラインの実施のための訓練がこれまで十一回行われたと承知をしております。

 また、平成十五年に発生した婦女暴行致傷事件では、平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意に基づき、容疑者の身柄は起訴前に日本側に引き渡されたということもございまして、日米地位協定の運用の改善ということでこれまで政府としては取り組んでおりますが、過日、外交演説でもこの日米地位協定について岡田外務大臣も触れておりますので、今、普天間移設に係る官房長官のもとの委員会、また総理は五月末までに結論を出すということを言っておりますが、それ以降にこうした地位協定の問題についても取り組んでいくということになろうかと思います。

玉城分科員 まさに沖縄における基地問題は、ありものの、表で見える基地と、法律上でどうしても日本国民の人権が守られていないということの見えないフェンスに囲まれている、二重のフェンスに囲まれているというふうに県民は思っております。そういう意味でも、このような事件、事故が起こった場合には、まず一義的に国民の生命財産を守るということで、外務省にはぜひしっかりとお働きいただきたい。防衛省、内閣府、さまざまな省庁及び地元の自治体、警察機構とも、ぜひ格段の努力をしていただかなくてはいけないと思います。

 あわせて、地位協定と普天間の基地についてのお話を少し関連させてお聞かせいただきたいと思います。

 現在、高江のヘリパッドの工事も防衛省の方で進められておりますが、実は普天間基地の移設に関しては、もう一つ県民が求めているものは、県外、国外への普天間基地の移設ということとあわせて、地位協定の改定を並行的に進めてほしいということなんですね。この二つの並行的な議論というのは可能でしょうか。そして、それは行う予定になっていらっしゃるのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。

武正副大臣 岡田外務大臣が何度となくこの件について答弁しておりますが、まずは五月末までに政府として普天間移設問題について結論を出す、これにまず特化をしていく、その後というような言いぶりをしているというふうに思っております。

 ただ、地位協定の問題については、先ほど読谷村の件も、委員からも御指摘があるように、当然こうした問題点については承知をしているわけでありますので、タイムスケジュール的には五月以降ということになろうかと思いますけれども、そうしたための取り組みということは当然念頭にはあるということかと思います。

玉城分科員 ありがとうございます。

 武正副大臣は、私ども民主党沖縄県連の沖縄ビジョンの座長を務めていただいた経緯もございまして、この沖縄の状況や現状については殊のほか高い認識、御見識をお持ちでいらっしゃると思います。私たちも、やはりこの地位協定の改定は、とにかく一日も早く国が取り組むべき、国民の生命財産を守るためにアメリカと交渉してほしいということをまず受けとめていただきたい、そして、そういういわゆる生命の安全が守られて、そして基地の移転やさまざまなSACOの合意事項に関する条項を早く進めていただきたいということが県民の願いなんですね。

 最後にそのことに御所見をいただいて質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。

武正副大臣 ちょうど日米安保条約の署名がされて五十年という年でありまして、日米同盟の深化を、鳩山総理、そしてオバマ大統領も首脳会談でも確認している。そして、まさにその年に当たっておりますので、日米安保条約、日米同盟の深化は、国民の皆さんの広い理解がなければ、あるいは支持がなければそれを深化させる前提条件が崩れてしまうわけでありますので、今の御指摘の地位協定の改定の提起ということもマニフェストには書かれていると承知をしておりますけれども、こうしたことも含めて、国民の皆さんの理解を得るべく取り組んでいきたいというふうに思います。

玉城分科員 どうもありがとうございました。

吉田主査 これにて玉城デニー君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

吉田主査 次に、財務省所管について政府から説明を聴取いたします。菅財務大臣。

菅国務大臣 平成二十二年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計歳入予算額は、九十二兆二千九百九十一億円余となっております。

 この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は三十七兆三千九百六十億円、その他収入は十兆六千一億円余、公債金は四十四兆三千三十億円となっております。

 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、二十四兆百億円余となっております。

 このうち主な事項について申し上げますと、国債費は二十兆六千四百九十億円余、経済協力費は千三百二十九億円余、経済危機対応・地域活性化予備費は一兆円、予備費は三千五百億円、決算調整資金へ繰り入れは七千百八十一億円余となっております。

 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。

 国債整理基金特別会計におきましては、歳入百八十九兆五千二百八十一億円余、歳出百七十七兆五千二百八十一億円余となっております。

 このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。

 なお、特別会計に関する法律に基づき、特定国有財産整備特別会計が一般会計に統合されることに伴い、平成二十一年度末までに完了していない事業の経理を行うため、当該事業が完了するまでの間の経過措置として財政投融資特別会計に特定国有財産整備勘定を設けることとしております。

 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。

 株式会社日本政策金融公庫国民一般向け業務におきましては、収入二千三百五十一億円余、支出千五百五十六億円余となっております。

 このほか、同公庫の農林水産業者向け業務等の各業務及び沖縄振興開発金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。

 以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。

 なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

吉田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま菅財務大臣から申し出がありましたとおり、財務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田主査 以上をもちまして財務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田主査 質疑の申し出がありますので、これを許します。石井啓一君。

石井(啓)分科員 公明党の石井啓一でございます。

 夜遅くから大変御苦労さまでございます。

 まず、きょうは、先日の財務金融委員会に続きまして、民主党さんのマニフェストの財源について確認をいたしたいと思います。

 先日の財務金融委員会では、このマニフェストの財源のうち、国家公務員の人件費削減について質問いたしました。

 マニフェストによりますと、二十一年度国家公務員人件費五兆三千億円を四年間で一・一兆円、約二割削減するということでございまして、これをどうやって削減するかというふうにお聞きしましたところ、これは地方分権に伴って地方に移管すれば削減ができるんだというお答えでございましたので、私の方からは、国家公務員を地方に移管すれば当然地方からその分の人件費の財源の移譲を求められますから、財源としては生み出せないんじゃないでしょうか、こういう指摘をいたしました。その際、菅大臣からは、行革に伴って、国と地方との二重行政の部分、これを自治体に一元化すれば、その分仕事が減るから人件費は減るんだ、こういう御説明でございました。

 二重行政を一元化することによって国家公務員の人件費が削減できるのかどうか、このことについて確認をいたしたいと思います。

菅国務大臣 先日の審議に引き続いての問題でありますが、まず一つは、このマニフェストが四年間かけて実現をしたい目標になっているということはよく御承知だと思います。

 その上で、今、二重行政の問題について。

 一般的に言えば、二重行政がなくなっていくということは、少なくとも、国、地方に分かれて例えば百人ずつが同じような仕事をしていたのが、合わせて百人でちゃんと事業ができるとなれば、その身分が地方ということになれば、国の方はそれだけの人員が結果的に少なくなるということで、そういう形での人件費の削減は一般的には可能だろう。

 ただ、具体的に、では一方的に国の方だけを削れるのかとか、そういう問題は当然あります。それは当然、権限、財源含めて、どういう形の新しい国と地方の関係をつくっていくか、そういうことにかかわっている。そのために、今回、地域主権戦略会議が立ち上がりまして、今申し上げた、国の方からいえば、出先機関の抜本的な改革などを含めた地域主権の推進についての議論がこれからいよいよ本格的に行われる、そういう段階に来ております。

石井(啓)分科員 今の例えで申し上げれば、国が百人、地方が百人重なって仕事をしていた、だから合わせて二百人の仕事が百人で済むじゃないかということですが、そういたしますと、地方の側から見れば、もともと地方が抱えていた百人でその重なっている分の仕事ができるので、あえて国から引き受ける必要がないわけなんですね。地方が五十人削って、国から地方に五十人移管するということになると、その移管した分はやはり地方から財源を求められるということになりますから。

 国家公務員の地方移管に伴って人件費を本当に削減して財源を生み出そうとすると、国の仕事を地方にやってもらって、財源も地方でその分見てくださいということにならざるを得ないんじゃないのか、それはやはり地方主権という趣旨からはちょっと私は違うんじゃないのかなと。だから、結果的にいうと、話し合いをしても、地方にこれを押しつけるというのは事実上なかなか難しいんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 現実的に、もちろんそう簡単なことだとは思っていませんが、ただ、基本的な考え方については、私は、ごく一般的な考え方を申し上げているつもりです。

 それは、単年度で急に二百人を百人にすることはできないかもしれません。先ほど四年間ということも言いましたけれども、もっと言えば、新規採用との関係とかあるいは他の仕事への移管とかいろいろなことがありますけれども、少なくとも全体として、国と地方が重なった仕事をしていた場合に、それが全体量として効率化できれば、そのこと自体で人件費も浮きますし、場合によっては、それに伴う無駄な経費が、例えば設備とかいろいろなものも変わってくる。会社が合併したときの効率化なんというのも、そういう形で、ある程度の時間をかけてやるわけですから。

 ですから、言っていること自体は、ごく一般的なことを申し上げているつもりです。

石井(啓)分科員 とはいえ、二割の削減というのはかなりの削減量でございまして、四年間とはいえ、一兆一千億円も財源を生み出さなければいけない。

 ただ、四年間とよくおっしゃいますけれども、民主党さんのマニフェストの工程表を見ると、二年目には十二兆六千億円の財源を生み出さなければいけないわけです。七五%は二年目に財源を生み出すという工程表になっているんですね。そういう意味では、かなりのスピードで本当はやらなければいけないということです。

 もう一つ、人件費の削減ばかりやっているとあれなので別のテーマに移りますが、今後のマニフェストの財源について、予算委員会で、総理また菅大臣から四つのことをおっしゃっていました。一つは、特別会計を見直す。二つ目には、独立行政法人への切り込みをやる。三つ目には、公益法人への切り込みをやる。それから四つ目には、補助金の一括交付金化をやるんだということですが、この四つで、それぞれ、どの程度の財源を生み出すおつもりなのか、確認をいたしたいと思います。

菅国務大臣 一般的には、まさにおっしゃるとおり、こういった特会、独法、公益法人、さらには補助金の一括交付金化という形で見直していきたい。こういうものを合わせたところから、その年度年度で、ことしの場合はたしか、それだけではありませんが、七兆円余りを出していく、最終的には十六・八兆円を出していく、そういう中の多くの部分を今申し上げたような分野から捻出する。

 細かい数字を分けて説明すると、ちょっと書類をもう一回見直さなきゃいけないので、時間がかかりますので、大まかに言えばそういうことになっております。

石井(啓)分科員 では、私の方から少し細かく申し上げますと、これはなかなかハードルが高いと思うんですね。

 例えば、特別会計について申し上げれば、二十二年度の特別会計の歳出、会計間のやりとりを省いた純計で百七十六・四兆円です。しかし、この中には、国債の償還金とか社会保障の給付費、地方交付税交付金、それから財投への繰り入れ等がありますから、事実上いわゆる見直しの対象になるのは十兆円なんですね。

 ただ、その十兆円の中身も、例えば、雇用保険の保険事業が三・九兆円ですし、社会資本整備が三・二兆円、エネルギー対策、食料安定供給その他で一兆円ずつ、合計十兆円ということでありますから、ここを相当見直すというのは、これを事業仕分けして財源を生み出すというのはかなりハードルが高いんだろうな、こういうふうに思います。

 それから、二つ目の独法向けの財政支出というのは、二十二年度政府案ではこれも約三兆二千億円ですね。それから、公益法人向け財政支出は二十二年度政府案では約二千億円でございます。それから、地方向けの補助金というのは二十二年度は二十一兆円あるんですが、ただ、これは社会保障費が約十四・八兆円、文教科学振興費が二・三兆円、ここはなかなか手をつけるのが難しいところです。公共事業費が三・一兆円、その他〇・八兆円ですから。

 なるべく事業仕分け等をやって無駄を省いていくということについては私どもも一生懸命やっていただきたいと思いますけれども、ここからマニフェストに書いているような多額の財源が生み出せるとは私はとても思えないんですが、その点はいかがでしょうか。

菅国務大臣 今、具体的に逆に指摘いただきましたように、特別会計全体で三百六十七兆、このダブり等を省いたのが百七十六兆で、確かに、社会保障給付費とかいろいろな項目がありますので、そのうちの十兆がそれ以外のものということになっております。

 事業仕分けのときにいろいろ議論がありまして、項目的には例えば社会保障と書かれている場合も、中にはいろいろな項目が現実には入っているわけで、そういう意味では、同じ社会保障だから切れないんじゃないかといっても、場合によったら社会保障の中でも無駄な形で作業が行われているようなものもありますので、そういう意味では、必ずしも、単にどういう目的のものだから無駄がないというだけではなくて、目的が正しくても運営の仕方で無駄を含んでいるものも十分あり得るわけであります。

 そういう意味では、行政刷新会議が昨年も御存じのような事業仕分けに努力をしたわけでありますが、今回はもっと準備をする時間がありますので、まさにいろいろな切り口でもってこれらを徹底的に見直していく、その中でマニフェストで掲げた目標にどこまで迫ることができるか、これからの努力にかかっている、こう思っております。

石井(啓)分科員 特別会計の純計の中で社会保障給付費が五十六兆八千億円ですが、これは年金が約五十三兆円と聞いています。それから、健康保険給付費など、法律に基づく社会保障給付そのものにかかる費用なんですね。

 民主党さんのマニフェストでも、年金とか医療等、保険給付に係る予算については節約額はゼロを見込んでいるんです。民主党さんのマニフェストそのものでは。だから、ここを切り込むというのは結構ですけれども、それは無駄が全くないとは言いませんが、民主党さん自身もそもそもここからはそんなに多く節約額は見込んでいませんので、大きな期待はできないんじゃないかと思います。

 それから、もう一つ確認しておきたいのは、よく一括交付金化すると補助金が削減できるんだというような説明があるんですけれども、ちょっと私はそれがよく理解できないんですね。なぜ一括交付金化すると補助金が削減できるのか、そこら辺の仕組みを御説明いただければと思います。

菅国務大臣 これは、自治体の経験者あるいは現職の自治体の関係者の話を聞きますと、どうしても従来の補助金というのは、場合によったら圃場整備じゃなくて介護の方になら使いたいんだけれども、全部が縦割りで来るものだから、圃場整備のお金はとれるけれども介護の方はとれないとか、そういうふうに、まさに御承知のように、個々の事業ごとにつく、つかないがあったわけです。

 全部を一緒にしてしまえば、これは財源ごと移す、あるいは一般の交付税になるわけですが、少なくともある程度の枠組みで交付税化することによって、自治体の自主判断で、より優先度の高いところにつけることができる。そのときに、そういうことで、それをいろいろな知事経験者が言われていますが、そうさせてくれれば二割程度減っても実は十分に県民や市民のニーズにこたえることができるんだ、そういう効率化が可能なんだという指摘もいただいております。

 ですから、まさにそこは、単純に国がというだけではなくて、自治体の努力も含めて総合的に推し進める、そういう発想の中で考えられた方向性だと理解しています。

石井(啓)分科員 では、それは成果を見てみましょう。

 それともう一つ。

 マニフェストの中で埋蔵金の活用というふうにうたっていますけれども、二十二年度の予算案の中でも、独法への出資だとか公益法人の基金を返納させる、返還させるということで、財源約一兆円を生み出しています。そのほかにも特別会計の積立金等がございます。こういった基金とか積立金、いわゆる埋蔵金と言われているものについては、取り崩したら、そのときだけの一時的な財源にすぎませんね。毎年毎年財源が生まれるわけではありません。

 したがって、そもそも、この基金とか積立金というのを恒久的な財源と化して計上するのはおかしいと思うんですね。なぜそういったものを財源として考えられたのか、ここを伺いたいと思います。

菅国務大臣 埋蔵金という言葉は、ある時期まで、自公政権の中でも、自民党の中でもと言ってもいいんでしょうか、ないんだという人と、あるんだという人があって、ある時期からは、相当額は、自公政権時代もそれに類するものを予算計上されたわけです。私たちも、今おっしゃったように、いわゆる一回こっきりの埋蔵金、まさにストック型の埋蔵金、それに、部分的には、年度ごとに生み出される埋蔵金という言い方も正確かどうかは別として、フロー型の埋蔵金がある。

 御承知のように、外為などは、アメリカならアメリカに預けている金利と国内で得たもとの金利の差があって、数兆円規模の剰余金と言ったらいいんでしょうか、そういうものが生み出される。あるいは、たしか財投関係においても、ある時期までは、計算の上ではそういったものも生まれる。

 ですから、そういうものについては現在のところではかなり細ってきてはおりますけれども、全くすべてが一回こっきりのものだけではないというふうに認識しています。

石井(啓)分科員 私も実は埋蔵金という言葉は正確ではないと思うんですね。埋蔵金というのは埋まって隠れているということですから。基金も積立金も公になっていますので、埋蔵金という言葉は必ずしも適切ではないと思うんですが、一般的に使っていますので、埋蔵金というふうに言います。

 だから、ストック型の埋蔵金は、大臣もおっしゃったように、一時的な財源にすぎない。実は、フロー型の埋蔵金も年々歳々少なくなっているんですね。特に財政投融資特別会計は、財投の額自体がどんどん減ってきていますから。今は金融危機で政策金融公庫なんかがかなり入れていますけれども。ですから、ここの剰余金というのも小さくなっているんですね。

 それから、外為特会の剰余金も、二十二年度予算案では二十二年度の剰余金の先取り、三千五百億円をもう先取りしちゃっていますから、そういうこともあり、これはまた大臣おっしゃるように、利ざやですから、どれだけの利ざやになるかというのはなかなか想定しにくいところがありまして、そんなに大きな期待はできない。民主党さんのマニフェストによりますと、四年後は埋蔵金の活用で四・三兆円になると言っているんですけれども、とてもフローではこれだけ生み出せないということは指摘をしておきたいと思います。

 それから、次のテーマに移らせていただきます。

 デフレの克服について、先日、二月の二十二日の予算委員会でやりとりがございましたが、その中で、大臣が日銀に対して、日本銀行にもデフレ脱却の努力を一層していただきたい、こういうふうに答弁をされているんですけれども、この一層の努力というのは具体的にどういうことを大臣としては期待されていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 経緯はもう御存じだと思いますので余り繰り返しませんが、昨年の十二月一日、日銀の臨時の政策決定会議でも、三カ月を〇・一といったような低金利で、かなりの資金を供給すると。さらには、たしか十二月十八日には、ゼロから二%の間で、プラス一ぐらいが望ましいというようなことも言われています。

 この間、国会でもいろいろ議論をしておりますが、方向性については、日銀と政府の方向性は私は共通していると思います。

 それに当たってどういうことをやるのか。手段については、もちろん過去に中期国債をもっと買ったとかいろいろなことをやられたことは私たちも知っておりますけれども、その目的達成のためにこういう手段を使えということまで言うのは、やはり日銀の独立性という観点から、言うべきでないだろうと思っています。

 ですから、この場でも、過去にやられたいろいろなやり方は私たちなりにはもちろん知っておりますし、外国の例とか、それによる効果についても、いろいろな学者がいろいろな種類の見解を述べておられます。いろいろな例があるということは念頭にありますが、具体的にこういうことをやってほしいんだというところまで言うのは、ちょっと控えた方がいいのかなと思っています。

石井(啓)分科員 実は、私もかつて日銀の政策決定会合に参加させていただいたことがあるんですが、あそこで、出席する財務省の代表は意見を言えるんですね。あそこで意見を言う場がありますけれども、あれは今、野田副大臣が出られているのかな。あそこでは何か発言されていらっしゃるんですか。

野田副大臣 基本的には、政府の緩やかなデフレの状況に対する厳しい認識はお伝えをしております。

 その点についての問題意識はかなり共有をされていると思いますし、きのうかおととい山口副総裁が鹿児島で御講演をされて、物価下落の幅がなかなか縮まらないと、テンポが遅いことに対する危機感を表明されていました。その上で、適切に対応する覚悟があるという表現もされています。

 問題意識は私は一緒だというふうに思っておりますし、菅大臣が御答弁されたように、そのやり方については基本的には日銀が独自にお考えいただくということでありますが、問題意識はかなり共有をされているというふうに私は認識しています。

石井(啓)分科員 それでは、最後の質問にしようと思いますけれども、いろいろな報道の中では、政府と日銀がお互いにデフレ脱却の責任を押しつけ合っているかのような報道もございまして、私は、そういうふうに受け取られるのは日本として決して得策ではないというふうに思っております。

 いずれにしろ、デフレの原因は貨幣現象だけでなく、需要不足という面もございますし、いろいろな構造的な要因もあると思うんですね。少子高齢化だとか、あるいは人件費の安いところと生産で競争しなきゃいけないとか、そういったいろいろな構造要因もあると思います。

 そこで、やはり政府と日銀が協力し合ってこのデフレ克服に取り組んでいかなければいけない、そういった意味では、政府と日銀のトップが意思疎通をよく図るということが重要だと思います。

 これまでは、経済財政諮問会議の中で、総理も財務大臣も、あるいは経済財政担当大臣も、また日銀総裁も、常時のメンバーとして出席されて、そこでお互いに意見交換の場があったんですが、そういう特別な会議を設けるかどうかは別にしまして、総理、財務大臣と日銀総裁とが折々に意見交換するような場を設けてはどうかというふうに提言をいたしたいと思います。いかがでございましょうか。

菅国務大臣 これまでも、フォーマルあるいはインフォーマルにもいろいろな機会がなかったわけではありません。

 最近でも、月例経済報告には日銀総裁が出てきておられまして、先日も、実は私は予算委員会で出られなかったんですが、かなりの意見交換がその場でも多くの大臣との間であったと聞いております。また、昨年の十二月二日、官邸に日銀の正副総裁三名が来られまして、総理と私と官房長官で割と自由闊達な意見交換をいたしました。

 定例的な形もあり得るかという検討も一時期したんですけれども、当面はいろいろな機会を見つけて意見交換をしたい、場合によっては、今石井議員が言われるように、もっと積極的な形もとることもあっていいかなと個人的には思っておりますが、逆に余りそれをやり過ぎると、マスコミの皆さんにまたいろいろ独立性の問題とか言われるものですから、そこも、独立性をちゃんと尊重しながら意見交換をやるという方向では、御指摘の点を頭に入れて努力したいと思っています。

石井(啓)分科員 では、以上で終わります。ありがとうございました。

吉田主査 これにて石井啓一君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後十時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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