衆議院

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第1号 平成23年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成二十三年二月二十三日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      大串 博志君    金森  正君

      城井  崇君    渡部 恒三君

      馳   浩君    山内 康一君

二月二十四日

 城井崇君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十三年二月二十五日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 城井  崇君

      阿知波吉信君    大串 博志君

      大西 健介君    金森  正君

      白石 洋一君    中林美恵子君

      森山 浩行君    吉田 統彦君

      渡部 恒三君    谷  公一君

      馳   浩君    山内 康一君

   兼務 加藤 勝信君 兼務 竹本 直一君

   兼務 池坊 保子君 兼務 宮本 岳志君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 岡田 太造君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      辰野 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         河村 潤子君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            倉持 隆雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           篠田 幸昌君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           朝日  弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林 裕幸君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     阿知波吉信君

  渡部 恒三君     白石 洋一君

  馳   浩君     谷  公一君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     吉田 統彦君

  白石 洋一君     中林美恵子君

  谷  公一君     馳   浩君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  中林美恵子君     森山 浩行君

  吉田 統彦君     金森  正君

同日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     渡部 恒三君

同日

 第二分科員竹本直一君、第三分科員池坊保子君、第五分科員加藤勝信君及び第八分科員宮本岳志君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

城井主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。高木文部科学大臣。

高木国務大臣 おはようございます。

 平成二十三年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省所管の一般会計予算額は五兆五千四百二十八億円、エネルギー対策特別会計は一千三百四十九億円となっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

城井主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

城井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

城井主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

城井主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金森正君。

金森分科員 おはようございます。

 まず初めに、けさのニュースにもございますが、ニュージーランドの大きな地震によって大変な被害が出ているようでございます。まことに痛ましい限りでございます。心からお見舞いを申し上げ、一刻も早く救援の手が届くことを期待申し上げております。まずもって、最初、そのことを申し上げたいと思っています。

 きょうは、トップバッターということで、三十分いただきました。大変責任を感じておりますけれども、大変重要な教育、文部行政全般につきまして、少し私の所感も申し上げながら、大臣並びに関係者の皆さん方の御所見をいただければありがたいな、こんなふうに思っておるところでございます。

 まず最初に、一昨日、大臣から所信をちょうだいいたしました。なかなか多岐にわたる面にきめ細かく御配慮をいただいたというふうに思っておりますが、何せ文科行政は生き物でございますし、形がすべてあるものではありません。その時々に誠心誠意努力する、これが教育の根幹だろうというふうに思っておりまして、そんな意味で、大臣の所信をちょうだいしながら、大変機微に触れたお話もいただいたということで感動をいたした次第でございますが、何せ、引き続き御努力をいただきたいなというのが私の率直な感想でございました。

 そこで、大臣のお話に関連をいたしまして、少しお伺いをいたしたいと思っています。

 まず、大臣が触れられました、初めにというところで、「我が国の若者の内向き志向が懸念されています。」という表現が冒頭飛び出してまいりました。まさに、現在の社会情勢の中で、次代を担う若者が本当にどうあるべきかという、その道筋を見つけられないまま推移しているという面が多分にあろうと思っています。日々紙面に躍るいろいろな痛ましい事件等々を見ましても、若者の内向き志向、あるいは、若者が出すいろいろな諸問題が紙面を飾っておりますけれども、まことに憂慮される部分もたくさんございます。

 恐らく、大臣は、この所見の中で一番最初に持ってきていただいたということは、この事実の上にいかに文科行政を構築していくか、その必要性に恐らく思いを触れられたというふうに思っておりまして、大変重要な視点だというふうに認識をいたしております。

 教育というのは、いろいろな意味で大切でございますけれども、今、若者は、どうも内向き志向で、社会全体が期待する本当の役割というものに少し問題を持っているんじゃないかというふうに思えてならないわけでございます。

 まず最初でございますが、この問題認識、私も共有しておりますが、大臣の改めての、この内向き志向というところにどうこれから焦点を当てていただけるのかということを少しお触れいただいたらありがたいな、前段でそのことをまずお願い申し上げたいと思います。御所見をいただければありがたい。

高木国務大臣 金森委員にお答えをいたします。

 今委員御指摘になったように、私の所信についての御感想、また問題提起がございました。その中で誠心誠意という言葉を使われました。私は、文部科学行政を進める上に当たって、いや、我が国が直面する多くの課題に立ち向かうためには、まさに誠心誠意というこの言葉に尽きるのではないか、このように思います。

 特に、私どもとしましては、資源の少ない我が国が今後とも成長を続け、そして、世界の中でも尊敬される、信頼される国をつくっていくためには、何よりも、人材の育成、人と知恵を育てる教育というものの重要性、そしてまた、科学技術の振興というのが特に大きな課題ではなかろうかと思っております。

 国づくりは人づくりから、人づくりは国づくり、こういう思いを私はこれまで以上に強くしております。とりわけ、次代を担う若者、青少年の育成というのは、これから二十年後、三十年後、いや、五十年後を展望する上で何よりも重要な課題である、このように考えております。

 同時に、今、世の中、国際化、いわゆるグローバル化しております。ぜひ、若者には、我が国のみならず、世界の人々とも接触しながら、コミュニケーションをして、ともに平和な、豊かな国際社会を築く、ある意味では一人一人が主人公である、そういう思いを持っていただきたいし、我々もその意味で最大の支援をしていかなきゃならぬ、このように思っております。

金森分科員 ありがとうございました。

 あと、この問題を中心に、少しこれからの取り組みについてお尋ねをいたします。

 まず、予算について私の感じたことを少し申し上げたいと思うんですが、全体に見て、前向きな予算だというふうに思うんですが、それはそれぞれ評価の分かれるところだとは思いますが、二十三年度予算五兆五千億、大変頑張っていただいた予算ではないかな。副大臣もいらっしゃいますけれども、幾度かいろいろな会合を重ねながら一つのものをデッサンされたという意味では、御苦労も多かったというふうに思って評価をいたしております。

 念願の一年生三十五人学級も実現をするという運びでございます。これも、新しい教育の基盤をつくっていく上で一つのきっかけになるであろうし、それぞれの地域が期待をしておる一つだというふうに私は思っております。

 それから、政策コンテストを今回随分おやりになりました。この中から出てきたものが、やはり国民の真実といいますか、願いがそこに集約されておりまして、私は大変重視をいただいたということについても評価を申し上げたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、今回このような形で予算を決めていただきまして、気配りもいただいたなという点では、まず感謝を申し上げますとともに、一定の思いとして評価をさせていただきたい、このように思っております。

 ただ、これからいろいろ教育を進めていくという意味では、心を打つものがそれぞれのセクションで欲しいなというふうな思いはするんですけれども、この辺については、今回の予算を組まれた経過、編成された経過の上で、たくさんのテーマの中から、特に大臣がこの一年重視をなさりたいな、これだけは何が何でも実りあるものにしたいという思いが私はあると思うんですが、その辺について少し聞かせていただくとありがたいなと思います。よろしくお願いします。

高木国務大臣 所信においては、私どもが取り組むべき重要な施策について幅広く触れたところでございました。

 今御指摘のとおり、いずれも重要な施策と考えておりますが、あえてということで申し上げるならば、いわゆる少人数学級の推進、具体的には、来年度から小学校一年生の三十五人以下学級の実現でございます。これは、今、いじめとか不登校とかいろいろな教育的な課題がございますが、子供たちに教師が向き合う時間を確保する、そして、子供たちの個性に合った、一人一人きめ細かい、教育の質を上げるという意味では、私はこれは何としても実現していきたいと思っております。

 また、一方で、昨年もノーベル化学賞の受賞者、鈴木先生、根岸先生、お二方が出られました。このことは、我が国の誇りでもありますし、我が国の将来について、特に子供たちも含めて、大きな自信と、そして励みになった。そういう意味では、世界に貢献する科学研究部門においても、私どもは、今回の予算において、科学研究費補助金の基金化をして、そして使い勝手のいいことにしていくということも挙げておりますので、これなどはぜひ実現をさせたいものだ、このように考えております。

金森分科員 大変ありがとうございました。

 教育戦略というのは非常に幅が広うございますし、単に文科だけの話ではないと思っています。あらゆるところで連携を深めていくということが大事だなということを改めて実感いたしておりますので、どうぞひとつこれからもよろしくお願いを申し上げたいと思っています。

 時間も限られていますので次に進みますが、教員の健康管理といいますか、休職者が多いというのは、年々これは課題になってまいりました。志を持って教師になられて、体調を崩された、あるいは精神的な面でどうも思わしくない、そんな方々が極めて多いというふうに伺っておりまして、実に悲しいことでございます。

 いろいろな意味を考えれば、その問題が持つ本質というのは深いところにあるんだろうと思いますが、今教員の方々、約九十二万人でしょうか、その中で休職は五千四百数十名というふうに伺っておりまして、毎年毎年大変伸びているというふうに思っています。せっかく教師の資格を取られて、将来を担う子供をつくっていこうという意味で、夢を持って頑張っていらっしゃる方が体調を崩される、実に痛ましいし、国にとっても損失であろうというふうに思っています。

 その辺について、恐らく大臣は頭を痛めていただいていると思いますが、原因がどこにあるのか、あるいはこの増加している状況をどう歯どめをかけていくのか、あるいは現在施行されているさまざまな取り組みの中から、何が問題で、どう充実をさせていったらいいのか、総合的な所見等々をいただければ大変ありがたいなと。さまざまな通達も出ているということは私も伺っていますが、本当に真実を追求していく、いかに深いところ、根っこの部分を探り当てて、きちっとした手当てをしていくということが必要だろうな、こんなふうに思いますので、少しその辺についての現状と所見をいただくとありがたいと思います。副大臣でよろしいです。ありがとうございます。

鈴木(寛)副大臣 今委員御指摘のとおり、休職者数は五千四百五十八名でございまして、これは十七年連続増加という大変深刻な状況でございます。

 原因はいろいろございますが、かつまたそれが複合的に絡み合っていると思いますが、やはり長時間労働などによる、多忙によるストレスというのがあろうかと思います。昭和四十一年のときに平均残業時間が一月当たり八時間でありましたのが、今四十二時間ということにもなっております。それから、保護者や地域住民の要望あるいは期待というものが多様化をしている、あるいはかなり生徒指導が複雑化をしておりますなどの要因がございます。

 それに対して、長時間労働ということで申し上げますと、通知の中で、校務の効率化、事務負担の軽減といったこと、あるいは職場で相談をできるような雰囲気、職務環境をつくること、あるいはカウンセリングの体制、あるいは早期発見、早期治療といったことの通知は行っているところでございますし、また、メンタルヘルス対策の効果的な取り組み事例などは御紹介をさせていただいているわけでありますが、やはり余りにも多様化し、そして複雑化する教育現場、それに対して十分な人的体制、あるいはさまざまな専門家というものがまだまだ足らない、こういったところではないかなというふうに思っております。

金森分科員 ありがとうございました。

 さまざまな取り組みというのは、私も先ほどちょっと申し上げましたけれども、毎年増加していくという傾向の中で、どこかに少しワンポイント何か違うものをしていかないといけないのかな。先ほど深掘りという話もしましたけれども、せっかく教師になっていただいて、途中でリタイアする、しかもそれが精神疾患だというと、これはやはり国づくりという観点から見て、もう少し深いところにメスを入れていかないといけないのかな。その方々も大変ですけれども、生徒も大変です、国も大変だ。もうちょっとここのところを、全体を見きわめる、そういう取り組みがあってもいいのかなと、素朴な感情として、私なりにそういうことを思います。

 たくさんのことをやっていただいているのはもうよくわかるんですが、何かどこかで無理があるのか、何か一つこまがずれているような、これはもう単に一つの地方の教育委員会だけで律せられる問題じゃないと思うんですね。国としてどうだろうかと。これは一気に答えは出ません。しかし、それぞれ専門の方々が思いを一つそこに集約していただければ、もうちょっと違ったものが出てくるのかな、こんな気もいたしまして、ことしだけじゃなくて、これから律していくための道のりというものを少し考えていただいたらどうかな、そんな思いで申し上げさせていただきました。よろしくお願いしたいということです。

 それから、次に、代替教員の関係について少々申し上げたいと思います。

 これは先ほどとも関連をいたしますけれども、産休、病気等々、当然のことでありますけれども、地方によってはそれにかわる教師が足らない、あるいは確保できないという現実の問題に直面しているというふうに思っています。

 どう対応するかというのは、既に頭を痛めていただいていると思うんですが、やはりもう少し深掘りしていかないとこの問題は解決しないのかな。残された教師の中でやりくりすれば必然的に時間外もふえていきます。先ほどの話も該当すると思うんです。

 今後は、やはりこの問題も少し踏み込んでいかないといけないのかな、単にお金の問題じゃなくて、やはりそれぞれが知恵を絞っていかないと、あるいは、そういうところへきちっとした力を、焦点として力を与えていかないと解決しないのかなというふうに思います。

 世の中にはたくさんいい人材が埋もれていると思いますので、そういうムードづくりもぜひ今年度の一つの課題にしていただければありがたいな、こんなふうに思いますので、これは私の要望ということにさせていただきたいと思います。

 あと、少しこれはきちっとした形で伝えていなかったかもわかりませんが、奨学金の関係ですね。今年度、基準がかなりきつくなるようでございます。希望者も時節柄当然ふえてまいります。どうも、全体を賄うということは不可能だというふうに伺っておりますが、学生三人に一人が活用しているというこれまでの経緯を見ますと、大変重要な取り組みだろうなというふうに思っています。

 当然、基準の厳格化というのは必要でございますし、それはそれなりに私は肯定いたしますけれども、やはりたくさんの方がいらっしゃるからこそ希望に沿えないというような形は、僕はある意味ではあってはならないだろうと思うし、それは、どういうふうに知恵を絞っていったらみんなの期待にこたえられるのか、そういうところへも少し目を向けていただきたいなという思いで、あえて申し上げるわけであります。

 どうも奨学金の後始末がうまくいっていないという話もその延長線にはあるんでしょうけれども、やはり、この時期こそ、この問題を少し一歩前に進めて取り組んでいただいた方が私はいいのかな。昨年度で二万六千人ぐらいですか、受けられない方がいたというふうに伺っておりますけれども、本年も前年度の取り組みよりも一万人近く拡大していただくというふうにも聞いておりますが、しかし、時の流れ、経済状況、世の中の一つのムードからいっても、この問題は少し幅広く取り組んでいただかないとまた禍根を残すのかなと。

 お金、お金では嫌ですけれども、やはり向学心に燃える生徒の期待にこたえていく、家庭事情も加味しながらこの問題をとらえていくということになりますれば、やはり当局としての知恵の絞りどころでございますので、そんな思いもございまして、あえてお尋ねをし、取り組みを期待申し上げたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 私どもも、学ぶ意欲のある学生の皆様方に、経済的な理由でそれを断念することのないように努めていきたい、これは最も大事にしているポイントでございます。

 そういうこともございまして、財政当局の多大な御理解もいただいて、ことしは奨学金、二十三年度予算で申し上げますと、八万八千人増の百二十七万二千人を確保させていただいております。したがいまして、そうした強い要望にこたえられると思います。

 そして、冒頭、委員からお話がございました基準の明確化、厳格化ということは、むしろ本当に必要な学生にきちっと奨学金が行き渡るようにという観点で、これまではいわゆる世帯主の所得を基準に考えておりましたのを、両親等々の家庭全体の所得で判断をしていくということになれば、より本当に必要な人たちにきちっと充当される、こういう意味での基準の厳格化ということでございますので、委員の御趣旨にはより沿った形でなっていると思いますし、また、きょうの御議論を踏まえて、その点を徹底してまいりたいというふうに考えております。

金森分科員 あと五分少々しかありませんので、少し前へ進めたいと思います。

 最近、これは社会の一つの流れなんでしょうけれども、働くにも働けないとか、一番冒頭に申し上げた内向き志向というか、そんなところにも問題があるようでございますが、どうも働けない若者がふえている、どこか根本的に問題が潜んでいるような気がしてならないわけでございます。仕事を探しに行ってもなかなか思うようにいかないから、自然にうちにこもるようになってしまった、先般テレビでもそんなことをやっておりましたけれども、まさにこれは社会が生み出した一つの問題点かな、こんなふうに思っています。

 これは、単に文科だけじゃなくて、厚労とか経産とかそれぞれに対応しなきゃならぬ複数省庁の問題かもしれませんけれども、義務教育を終えて、さあこれからというときに、うちに引きこもってしまった、そして、親がずっと面倒を見ていく、これはあってはならないことだろうと思うし、これは単に治療をするとかという以前の何か問題構造が私はかかわっているような気がしてならない。ここのところを、やはり文部科学省としても本腰を入れて、現状把握というものがなされるべきだし、それに向けてことし一年はプログラムをつくっていただきたい。

 どうも日本丸の根っこの部分が私は崩れていくような気がしてなりません。単に働く人を外から持ってきたらいいというものじゃなくて、生まれて育って、本当に社会とともに成長し、社会の一員として立派に功をなしていくということは、それはだれよりもみんなが願うところでございますから、そういうところへやはりシフトをしていかないと、いろいろなところでお金だけつけたらいいというものじゃないだろう、こんなふうに思いますので、あえて問題提起とともに、この側面に対して一応これからの取り組みをお願いしたい。

 関連をいたしますけれども、例えば、戦後日本は物づくりで始まり、さまざまが真っ黒になって働きながら日本の今日があると思うんです。そこにはたくさんの企業があり、中小企業があります。みんなが、国を守るために、国をつくるために働いてきた。ですから、企業と我々はイコール関係にあるはずなんですね。ところが、最近はなかなか就職もできない。これは、もちろん企業も存続しなきゃなりません、営利を追求しなきゃならないんですけれども、互いに日本丸を育てていくという意味では、企業とそして就職を希望する方、国民の側がイコールで結ばれて、そこからやはりこの就職難の時代を、少し思いを新たにして、変えていく、新しい流れをつくっていくということは、私はぜひ必要だろうと思うんです。

 御努力はいただいていますけれども、企業が門戸を閉めている。そうじゃなくて、やはり日本の戦後の流れというものを大事に、今思い出せば、もう少し道があるんじゃないか。言うはやすしですけれども、やはりそういう努力をしないと、形にとらわれて物を律していくという時代は既に限界に来ているのかな、こんな思いもいたしますので、あえて関連をし、申し上げた次第でございます。どうぞ一言、何かあればお聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 委員御指摘のとおり、私も同感をいたしております。

 これからの我が国の将来を考えると、お触れになりました、例えば自立できない若者、あるいはまた、職についてもすぐ離れるという実態も、今あちらこちらで社会問題となっております。

 私どもは、これについては、特に学校教育を通じて、キャリア教育、職業教育を充実していくことが重要と認識しておりますし、何としても、まずは人間関係をつくる力、まさに生きる力といいましょうか、社会や職場においての基本となる人間性の育成、これも重要であろうと思っておりますし、また、いわゆる就業体験を通じた働くことへの、職業への理解、このことを深める教育も必要ではないかと思っております。

 委員御指摘のとおり、私たちは、形にはめられた教育ではなくて、多くのメニューはもう言い尽くされた感がございますが、その中で日々改革、改善を目指す、日々新たな、こういう気持ちを持って私も文部科学行政に取り組まなきゃならぬ、このように思いを強くしております。

金森分科員 教育を語るときには、いろいろな問題があるんですけれども、一つのシステムの中でずっとこれまで来ていると思うんですね。しかし、そのシステム、手法も少し疲弊しているんじゃないかなという感じもいたします。

 今盛んに地方主権ということが問われています。地方からいいところを引き出してくる、こちらからもいいところを持っていく、そういう流れをつくって、教育そのもののありようとか、これからの行く道というものを少し考えてみる時代でなかろうかな、こんな思いもございますので、最後に一言申し上げて、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

城井主査 これにて金森正君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石分科員 愛媛県の白石洋一です。

 まずは、高木大臣、鈴木副大臣、政務三役、そしてその方々を支える方々の御精励に敬意を表したいと思います。

 本日、私、幾つかあるんですけれども、まず、他省庁にかかわること、獣医学部の件です。獣医学部、この定員をふやすべきじゃないかという観点から御質問したいと思います。

 獣医学部の定員は、これは文科省の告示によって決まっているんですけれども、三十六年前、一九七五年から九百三十人で一定であります。その間どういうことになっているのか。社会状況は大きく変わっております、三十六年たっているわけですから。その中で、大体、獣医学部を卒業して獣医師になられる、三つの分野が大きくあります。一つは小動物、ペットですね、それが一つ。もう一つは産業動物。酪農、畜産、養鶏、こういった事業を営む、そこに雇用される、これが二つ目。そして三つ目は公務員。特に検疫あるいは殺処分、屠殺、この辺は厚労関係になるんですけれども、主として農水さんが所管しているところでございます。

 一九七五年に九百三十人になってから、その直後と言ってもいいでしょう、八二年には二万六千人の獣医師、それが二〇〇八年、三万五千人に一応ふえております。しかし、そのうち、一番最初に申し上げました小動物の獣医師さんは四千人から一万三千人と三倍超に伸びているのに対して、産業動物は五千四百人から四千五百人に減少、公務員獣医師は一万人から九千百人に減少ということになっております。

 そもそも獣医師さんの役割は大きくて、家畜の健康を守ることのほかにも、獣医師さんじゃないとできないこと、ウイルスの病理検査とか殺処分の注射、ワクチン注射、そして食肉加工場での衛生検査、こういった措置は獣医師でなければならないということであります。

 最近、とみに出てきたのは、BSEであるとか口蹄疫、そして鳥インフルエンザ対策、この重要性が非常に大きくなってきております。さらに、これから食肉を、おいしい肉を輸出しようということになると、検疫の役割というのが大きくなるわけでありますね。ですから、いずれにせよ、産業動物医師そして公務員獣医師というのは、もっと充実させていかなければならないというところだと思います。

 それに対して、今どういう状況になっているのか。獣医師さんを必要としているところ、まずは公務員獣医師、都道府県でございますが、先月発表の毎日新聞の調査によりますと、都道府県で定数枠や必要枠を設定している三十四道府県のうち、二十一道県が定員割れをしているということであります。三分の二ですね。都道府県の獣医師の確保に困難を訴える自治体というのが二十二道県あって、約半分です。そして、獣医師業務、必要とされる獣医師のニーズがふえたとする自治体が九割を超えているということでございます。

 そして、これまでの経緯なんですけれども、文科省さんが獣医師学部の定数を所管しているんですけれども、一方、やはり農林水産省そして厚労省、特に農林水産省の意見を聞きながらそれは定数を決めていくよというスタンスかと思います。

 それで、農水省さんが、その枠組みについて基本方針を平成二十二年八月に出しておりまして、これによりますと、産業動物医師は将来大幅に減少する、そして公務員医師についても確保が困難になる懸念が示されている、こうはっきり書かれているわけであります。

 しかし、それの対策というのは、これはいわゆるやりくりすると。つまり、小動物のところに行く人たちを産業動物、公務員分野で誘引を図ると。どのようにというと、それは、就職情報の一元化とか、あるいは休職・離職中の獣医師の再就職を支援する措置を拡充する、こういったところでとどまっております。しかし、私の問題意識というのは、それで本当に大丈夫ですかということであります。もうそういうやりくり、あるいは公務員分野の誘引、職業あっせんだとか、あるいは給与、待遇を充実させるというところ、もちろんこれも大切なんですけれども、限界が来ているんじゃないかなということでございます。

 このことについては、私、地元愛媛・今治で、毎年、年二回、構造特区で申請しているということをきっかけにこの事実を知ったんですけれども、やはり、そのことはおいておいても、これは全国的な問題ではないかなというふうに思います。

 愛媛県知事も陳情に上がっております。鈴木副大臣にもお願いを申し上げました。その後、文科省さんの対応、好意的に受け取ってくださったという印象なんですけれども、どうなっているのか、ちょっとフォローアップの質問をさせていただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 御指摘をいただきましたように、昨今、口蹄疫や鳥インフルエンザの問題がございまして、産業動物獣医師や公務員獣医師の役割は重要になっておりますし、その確保について懸念があるというのは私どもも承知をいたしております。

 現在、協力者会議を設置して議論を重ねているところでございます。十回会議をいたしまして、まず、その偏在を修正するということの観点から、モデル・コア・カリキュラムの策定や、教育内容、方法の改善や分野別の第三者評価の導入、それから共同教育課程の導入、大学間連携を図ることによって教育研究体制の充実を行おうといった点については、議論が進んできております。

 加えまして、昨年の六月にまとめました新成長戦略の中で、ライフイノベーションへの対応など、今後の獣医学教育のあり方について検討を新成長戦略によってすべし、こういうことになっているところでございまして、そのことに沿って、今まさに検討を行っている、こういうことでございます。

 こうした検討の途上の中にありましても、口蹄疫の問題や鳥インフルエンザの問題が昨今頻発をいたしております。こうした事態も踏まえて、まずは協力者会議での御検討ということでございますけれども、それを注視しつつ、きょうの御議論も踏まえて対応をしてまいりたいというふうに考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 従来どおりの対応というふうに私はとらえました。つまり、偏在をなくす、やりくりする、そして、教育の中で公務員、産業動物、この辺に重心を置いていく、もっと重きを置くということだと思うんですけれども、やはり文科省さんとして動きづらい部分がある。つまり、実際にそれらの人が働いているところの所管が農水さん、厚労省ということもあると思います。農水さんの方は、これは伝え聞くところによりますと、今、農水省の獣医事審議会計画部会というのが立ち上がって、そして二〇二〇年度を目標年度とする新たな方針の策定を進めているということでございます。

 そこで、医師も不足して、その実態調査のために、医師のヒアリングだけじゃなくて、医師を必要としているところに調査をしました。それは、必要医師数実態調査というのを都道府県にやって、それの積み上げを出した。それと同じようなことを、私、獣医師についてもやるべきじゃないかなというふうに思うんですね。

 これは厚労省さんも関係ありますけれども、やはり一番多くかかわりがあるのは農水省さんだと思います。その農水省さんでそういう審議会がある、それで文科省さんにもデータを出さないといけない。そのデータの重要な柱として、やりくりじゃなくて現場の悲鳴。もう相当、新聞記事、雑誌で獣医師が足らないという声が伝えられております。

 ところが、私、何度も農水省さんにヒアリングさせてもらいましたけれども、いやいや、改善している、そうでもないというようなところで、非常に国民の意識、現場の意識と農水省さんの認識とギャップを感じるものですから、これはぜひ、我々民主党政権、国民の声を聞くということでありますから、必要獣医師数実態調査を都道府県、これは畜産とかだけにかかわらず、公衆衛生、動物園、こういった所管外のところも含めて、加えて、酪畜事業者の供給側ではなく需要側、このあたりに行うべきだと思うんですけれども、農水省さんの御意見、お願いします。

筒井副大臣 昨年八月、獣医療の提供体制の整備を図るための基本方針というのを策定して公表しておりますが、それは御存じかと思います。その基本方針に基づいて各都道府県計画をつくるということで、その過程に今入っているところですが、都道府県において都道府県計画をつくる際に、今先生が言われましたような実態調査を、それぞれこういうことでやれということを指導しておりまして、実態調査をやった上での都道府県の基本計画を上げてもらって、それを全体として農水省でまとめていく、これを今は図っているところでございます。

 そして、農水省自身も、今先生が言われました実態調査に関しては、一つはアンケート調査、これもホームページで公表しておりますが、やっております。それから、共済関係の獣医師あるいは開業の獣医師、それらのことについて、直接面会をして状況を聞く、こういう調査もやっておりまして、これもホームページで紹介をしております。

 これらを調査することが必要なことはまさに先生がおっしゃるとおりですし、さらには、この前の口蹄疫の問題やら現在もあります鳥インフルの中で、産業動物獣医師の不足が痛感をしたところでございます。各県ごとにばらつきが非常に大きいですし、ああいうふうに、例えばこの前の口蹄疫のように、一定の地域に集中している場合には、全国の獣医師さんを動員して何とか賄うことができたわけでございますが、鳥インフルはもっと範囲が広がっているのと、あるいは全国的な範囲に広がっていくと、もうそういう動員を、全国の獣医師を動員するということもなかなか難しくなってくる、こういう状況であることは確かでございますので、獣医師の体制整備、これが本当に緊急の課題だというふうには認識しております。

 先ほど先生が言われたような農水省の答え、どこでそういうふうにされたかわかりませんが、そのために全力を挙げていかなければいけないというふうな認識はございまして、現在行っております家畜伝染予防法の改正、ここでも、各都道府県における獣医師の整備充実、これを法律の中で規定する、こういう方向で今作成中でございます。

白石分科員 ありがとうございます。

 その実態調査の中で、ぜひ需要側、獣医師さんの話を聞くのも大事です。待遇がどうか、教育はちゃんとされているか、そういうことも大事ですけれども、やはり必要とされている側の声を聞いていただきたいなということであります。

 そしてもう一つ、二つ目は、その結論を、見えたところから、ぜひ文科省さんに、足らないから定数をふやしてほしい、こういう声をちゃんと伝えていただきたいということですね。整備も大事です。質と量、質も上げることも大事です。一方、質だけでは限界が来ているという私の認識です。その場合は量の引き上げ、これをぜひお願いしたいと思っております。

 獣医師については以上でございます。ありがとうございます。

 そして次に、ちょっと他省庁と関連があるものを先にさせていただきます。もう一つは、医師の養成でございます。

 医師の養成は、二つあるんですけれども、聞くとこれは厚労省さんだということでございますので、これを一つ、先に質問させていただきます。

 それは、医師臨床研修制度についてであります。臨床研修制度の見直しを麻生政権時代にやったものがあります。これは平成二十一年四月に見直しされて、その中で、臨床研修病院指定基準の強化というものであります。これは、小泉改革のときに、医師の卵が自由に研修できるところを選ぶようになった、それで分散してしまった、それではまずかろうということで集約化を図ろうとして、省令、つまり年間入院患者三千人以上なければ指定病院にならない、なれないという決まりをつくったんですね。

 それで、今どうなっているかというと、激変緩和措置によって、何とか地方でも研修医が来る状態にはなっているんだけれども、平成二十四年三月末以降は激変緩和措置の期限が切れて、研修医の募集ができないというところが地方に多発いたします。

 私の問題意識は、やはり地域医療が崩壊していると断言してもいい中で、研修医が残ってくれるかどうかわかりません。でも、来てくれるだけで戦力になる、そして、その地域が気に入ったらとどまってくれるという大切な、貴重な資源であります。その人たちをまず足切りで来ないようにするということは、ぜひこれは見直していただきたいと思います。

 この点について、厚労省さん、お願いします。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生から御指摘がございましたように、平成十六年度に現在の臨床研修制度を導入したわけでございますけれども、この結果、研修病院が増加をいたしまして、指導体制や研修内容等に差が生じているというような問題点がございまして、基幹型臨床研修病院というものを新たに位置づけて、研修の質を確保しようということで始めたわけでございます。

 ただし、今、先生からも御指摘ございましたように、小さな病院は新しい基準では臨床研修生を受け入れられない、こういう御指摘がございまして、現在のところ、激変緩和措置といたしまして、新しい基準を満たすまでの間として、二十四年度までに限り、現行の基準を満たしていれば指定の取り消しを行わないとしているところでございます。

 問題はこの後でございますけれども、今後は、臨床研修の実施状況あるいは地域医療への影響、こういうようなものに関しまして実態把握をした上で、臨床研修病院の指定基準など、制度全般の見直しに向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

 具体的には、現在、厚生労働科学研究、これを活用いたしまして、小規模の臨床研修病院の実地調査を行うなどの実態把握に努めております。既に実施をしておりますので、こういう結果を踏まえて、必要な検討をさらに進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

白石分科員 準備を進めていらっしゃる、その延長に向けて科学研究の枠で実地調査をやって、また、指定できる病院について検討するということだと思うんです。

 そこで、お願いしたいのは、都会はいいんですよ、特に偏在しているわけですから、さっきの獣医師もそうでしたけれども。やはり地方の研修指定病院、これを生き残るようにしていただきたい。科学研究というふうになると、どうしても何か症例が多そうなところが残りそうな雰囲気も帯びてきているんですけれども、そうではなくて、地域医療を救うという観点から指定病院の継続をお願いしたい。

 愛媛でも今、このままだったら九病院が取り消しをされてしまうということであります。地元の、いわば中堅の、御老人がたくさん来るところであります。そこで科学研究というような枠組みでやると、どうもちょっとわからない。ぜひ地域医療を救うという形でやっていただきたい。さらに、これは来年の三月末に決めなければなりません。ぜひ急いでやっていただきたいと思います。

 では、その辺について。

唐澤政府参考人 大変重要な御指摘であると考えております。

 私どもの研究でやっておりますのは、枠組みを、この研究を活用しているということでございまして、確かに、研究では高度な医療ということを対象にすることが多いのでございますけれども、この研究では、実際に研修医を受け入れております小規模な病院、大きな病院ではなくて小規模な病院というものを主に七カ所ほど実際に訪問をいたしまして、研修記録の確認でございますとか、実際に研修をしている医師に対してインタビューを行う、そういうような調査をしております。

 したがって、学術的な研究というよりは、実際に小規模な病院での研修の実態というものがどうなっているのか、あるいは地域への影響というのはどうか、こういうことに主眼を置きまして調査をしているという現状でございます。

 先生の御意見を踏まえて、今後、検討させていただきたいと思います。

 以上でございます。

白石分科員 ありがとうございます。

 ちょっと時間もありまして、医師の教育、もう一つあるんですけれども、後回しにしまして、別のテーマに移りたいと思います。

 国体についてであります。

 国体の運営について、二点ございまして、一つの問題意識は、これからは成熟社会であります。それほど大きな経済成長を望めない、そんな中で、やはりそういう時代に合った開催の仕方をすべきじゃないかということでありまして、そうなると、設備も、今まで全部フル装備をしていた、しかも非常に高い水準の設備を整えていたんだけれども、そこは柔軟に対応すべきじゃないかという問題意識であります。

 具体的に申した方がいいと思います。今から六年後に愛媛県で国体が開催される予定であります。開催させていただくことは非常にありがたいことでございます。

 しかし、頭が痛いのは、まずはハード面の整備であります。その前年までにリハーサル大会というのが予定されますから、それまでに設備を整えないといけないということで、中でも、プールでありますが、プールが水深が浅いんですね。これを、今までの基準でいうと浅いということで、合わないということになってしまう。日本水泳連盟の基準でいうと、国際プール基準というのは水深が二メーター以上ないといけない。

 ところが、今、松山市にあるプールの水深というのは一・四メーター、浅いわけですね。しかしながら、国内基準と言われるその公認の基準は満たしていて、水質一・三五メートル以上はあるということであります。

 しかしながら、今までの国体というのは、慣例として、ずっと国際基準、二メーター以上を満たすプールでやってきた。幾ら共催といっても、水泳競技はメーンでありますから、やはり開催県でやるわけであります。しかしながら、これを水深を掘って改修するということになったらまたお金がかかる、十億円はかかるだろうと言われているわけであります。

 そこで、ここは所管されている文科政務三役からのはっきりとしたお墨つきをいただきたいんですけれども、国民体育大会の基準要項には、これは細則にあって、施設基準は中央競技団体との調整を行い弾力的に運用できるという条項があり、かつ、その公式な基準というのが公認のプールでいいということになっております。

 愛媛県としては、もちろんまだ少し時間がありますから、改修、あるいはほかの地につくる、これはなかなか難しいですけれども、それも含めて、あるいはこのままでやるという選択肢も欲しいわけであります。

 この点について、選択肢があるということを公言していただきたく、答弁よろしくお願いいたします。

高木国務大臣 白石委員の御指摘の愛媛国体、前回、昭和二十八年に第一回がありまして、平成二十九年、二巡目の国体開催予定と聞いております。

 国体の施設の整備については、これは開催地の公共団体が判断することでありますけれども、文部科学省といたしましては、国体の開催後の施設の使用見込みなども踏まえた上で、より負担の少ない方法で対応していただきたい、このように考えております。

 国体で使用する施設の基準については、日本体育協会が定める基準と言われておりまして、あるいは既存組織を活用すること、また開催県にそういう施設がない場合には他県で競技を実施することなどの弾力的な対応が可能となっております。この点を踏まえて、中央の競技団体と調整を行って、柔軟な判断をいただきたいと私は思っております。

 例えば、御承知と思いますけれども、近年では、平成二十年、大分県がボートを熊本県で行ったとか、クレー射撃を同じく熊本県で行っておりますし、平成二十三年度、これはことしですけれども、山口県においては水泳競技は広島県で行う、ライフル射撃は広島県で、そういうこともありますので、どうぞ、ひとつ無理をせずに、負担のかからないように、そういう中で弾力的な運用をしていただきたい、このように私たちも考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 確認ですけれども、共催とか、ほかの県にある施設を使うと同時に、メーン競技だから開催県でやる、その場合でも、やはり慣例にとらわれず一応の基準をクリアしていたらその施設を使ってください、こういう理解でございます。それでよろしゅうございますね。

城井主査 時間が来たようですから、短く。

白石分科員 時間ですか。わかりました。

 それでは、さらに施設については、一括交付金というのがありますけれども、また別途、ここについては都市公園事業で特段の配慮をお願いいたしたいと思います。

 これにて私の質問を終わります。ありがとうございました。

城井主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)分科員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、平成二十三年度の概算要求の関係で、たしか概算要求のときは大臣は今のポストではなかったというふうに認識しておるんですけれども、今の大臣から見て、ちょっと所見というか感想をお聞きしたいと思っているんです。

 というのは、平成二十三年度概算要求で、いわゆる高校の実質無償化を除いて、文部科学省経費、まず一律一〇%カットしなさい、こういう話でありました。そして残りの一〇%分、あるいはそれをさらに切り込んだら三倍というのが元気な日本復活特別枠ということで認められる、こういう制度になっていたわけであります。

 文部科学省はこの特別枠に関して、趣旨どおりだったかという批判もありましたし、中を見させていただきますと、一、二年生の四十人学級を三十五人学級にする、その要求自体は私もよくわかるんですが、そのときに、四十人学級で必要なものもあわせて特別枠の方へ入れざるを得なかった。あるいは、また後で質問させていただきますけれども、耐震化のための公立学校施設整備費もほとんどが特別枠に行かざるを得ない。

 まさに根本の部分、施設整備費とか義務教育の学校の先生の人件費部分、これすら特別枠で要求しなきゃいけないというのは、私は尋常ではないのではないかというふうに思うわけであります。私どものころも、いろいろシーリングというのはありました。しかし、特に義務教育の国庫負担については原則前年度同額ということで、あとは実数が変わるところを調整する、こういうやり方をしてきたんですね。そういったことから見ると、かなり乱暴だったのではないか、少なくとも文部科学省予算についてはそう思わざるを得ないんですね。

 今、日本だけではなくて各国も、リーマン・ショックにおける財政出動のいわば反動として、歳出削減に相当取り組んでいるんですが、例えばイギリスなんかも、相当厳しい歳出計画をしていますね。例えば大学の授業料も随分上がっているという話も聞きますが、ただ、一般的には、新聞の報道なんかを見ますと、学校予算にはそれでも配慮している。かなりめり張りがきいていると私は思うのであります。

 そういう意味から、二十三年度の概算要求、内閣の一員ということでありますから、なかなか歯切れのいい答弁は難しいと思いますが、しかし、二十四年度、この形でおやりになるかどうかというのは甚だ疑問はありますけれども、大臣として、来るべき概算要求、そうはいってもあと半年もないところでございます、そういうところを見越して、大臣の御見解、御所見をまずは伺わせていただきたいと思います。

高木国務大臣 加藤勝信委員にお答えをいたします。

 今の御指摘については、平成二十三年度の概算要求において、文部科学省が元気な日本復活特別枠による要求が多かった、概算要求の仕方に問題はなかったのか、こういう御指摘でございました。

 御承知のとおり、平成二十三年度の概算要求、要望では、いわゆる元気な日本を復活させるための施策の予算の重点配分を行う仕組みとして、マニフェストの実現あるいは人材育成、国民生活の安全に関する事項については、復活特別枠で要望できることとされておりました。

 私どもとしましては、小学校一、二年の三十五人以下学級や公立施設整備費など十項目については、何としても、ぜひ予算の中に入れたいということもありまして、この仕組みにおいて同特別枠で要望をしたところでございます。

 この要望のあり方について、評価会議において厳しい評価をいただきました。文部科学省の努力といいますか活動といいますか、これはいろいろ言っていただきましたが、パブリックコメントにおいては、大変ありがたいことに、国民の皆さん方の教育に関する非常な思い、こういうところから、結果として、例えば、公立学校施設整備費については、平成二十二年度の補正予算などにおける前倒し措置を含めれば、ほぼ要求、要望どおりの額を確保いたしました。

 また、御指摘の三十五人学級については、小学校二年生以上については引き続き検討することになりましたけれども、三十年ぶりに学級編制の標準を引き下げて、小学校一年生については三十五人以下の学級の実現という予算編成になりました。また、財務当局も認めていただいたというところでございます。

 厳しい概算要求組み替え基準の中でありましたが、文部科学省としては、工夫した要求、要望を行った、私はそのように考えております。また、二十四年度どうするのかという御指摘については、皆さん方の御意見も踏まえながら、しっかり内実ともに充実した予算の編成に対して我々としては取り組んでいきたいと思っております。

加藤(勝)分科員 私自身は、要求の仕方が悪かったというよりは、そういう形の要求をせざるを得なかった、そういう概算要求基準というんですか、昔でいえばシーリングのあり方にかなり無理があったのではないか。そこに向けて、またことしもそういう時期を迎えつつありますから、今回はそういう形に押し込まれないように、そこは大臣しっかりと発信をしていただきたい、そういう趣旨で質問させていただきました。

 それでは、公立学校の耐震化のことでちょっとお伺いしたいんですけれども、先日もニュージーランドで地震がありまして、今でも緊急援助隊の皆さん方が必死に作業をし、また被災をされた方々、あるいはかなり御遺体も搬出されるということでありますから、心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、それだけ地震の脅威、特に建物の下敷きになるということの恐ろしさ、改めて痛感をしているわけであります。

 公立学校の耐震化、私どものときにも、厳しい予算の中でも、できる限りということでやらせていただきました。また、現内閣、ややぶれているな、二十二年度予算ではちょっと絞り過ぎていたなと私は思いますけれども、その後、予備費の活用、あるいは先日の補正予算、かなりやっていただいているという認識もしております。

 その中で、二十三年度については、それをしたからということでありましょうが、八百五億円という、いろいろなことが入っている数字だと思いますが、大体、最低一千億は当初予算でキープしてきたんですね。それが随分下回っているなという率直な気持ちであります。

 今、どんどん耐震化診断が進んでおります。また、耐震化診断の結果も公表しなさいというような形もつくっております。各市町村にとっては非常に喫緊の課題になってきておりますが、二十三年度のこの規模で、これから出てくる市町村からの要望に十分こたえ得ると大臣は認識されていますか。

辰野政府参考人 お答えいたします。

 公立学校施設設備におきましては、毎年度概算要求時に地方公共団体の翌年度の計画事業量を調査し、それを勘案して所要額を要求しているところでございます。

 平成二十三年度につきましては、約五千二百棟の耐震化ニーズが計上されたことから、特別枠を含めまして二千百九十二億円を要求したところでございます。この要求に対しまして、昨年九月の経済危機対応・地域活性化予備費、それから同年十一月成立の補正予算及び今回の平成二十三年度予算案を合わせますと、総額二千百四十二億円と、地方公共団体の要望に対応した額にほぼ見合う額を確保できたものと考えているところでございます。

加藤(勝)分科員 調査が去年ですよね、概算要求時点ですから。大体、これから市町村から具体的な数字が出てくると思うんですね。

 そうすると、これまでの傾向からすると、足らないことが非常に多い。特に、大変ありがたいことに、調査がどんどん進捗してくる。そうすれば、当然、耐震化がない建物もよりはっきりしてくる。そうなってくると、今、市町村に、どんどんやってほしいといういわばプレッシャーをかけているわけですね、いろいろな仕組みの中で。当然、それに市町村がこたえてくるということで、私は、そのときの予想よりもどんどんふえてくるということが十分に想定されると思うんですね。

 そこで大臣にお願いしたいのは、今年度も予備費、あのときは緊急経済何とか予備費というのをたしか活用しておりますが、やはりこの予備費もうまく活用していただきたい。

 これを使うときに、国会中はどうのこうのということで非常に、いろいろありました。しかし、学校で対応できる期間というのは夏休みしかないものですから、そうすると、補正をやったりとか、なかなか難しいんですね。あのときは野党の方からも、もういいじゃないですか、予備費、国会中でも結構ですと。しかし、内閣で決まっているんですね、予備費の使い方について。

 こういうこともあったものですから、今から使えと言っているわけではありませんけれども、これからそういう強い要望が出てくる、特にまた一層、地震に対する、あるいは耐震化に対する関心がどんどん高まっているわけでありますから、その辺もしっかり視野に入れて取り組んでいく、その決意をちょっとお示しいただきたいと思います。

高木国務大臣 御指摘のとおり、現下のニュージーランドの地震もそうでしたし、さきの中国の四川省の地震もそうでしたが、学校教育施設が被災をされたというときに、我が国でも特に関心が高まりまして、とにかく予算をつけろ、こういう状況になったことは私もよく承知をしております。

 今後、新たに耐震化ニーズの生じた場合においては、私たちは、安全性や緊急度を考えて執行上の工夫を図るとともに、多くの事業を採択できるようにしっかり取り組んでまいりたい、このように思っております。

加藤(勝)分科員 力強い決意をありがとうございます。その点に関しては、私どもも最大限に御支援をさせていただきたいと思います。

 今のは二十三年度のお話を申し上げましたけれども、まだまだ二万棟とか、あるいは耐震化診断をしていないものを入れれば三万棟を超える施設が、耐震化が不十分か、あるいははっきりしない、こういうことになっているわけですね。

 しかし、少なくともIs値〇・三未満に関しては、もう年限を切って、三年なら三年、五年なら五年以内にやり終える、そろそろそういうメッセージを出していただくべき時期ではないかというふうに思うんですが、ただ、中を見ると、千八百弱の市町村、満遍なくあるわけではなくて、一〇〇%にいっているものと、大量の耐震化に対する未対応のものを抱えている自治体とが、かなり分かれてきているんですね。中には財政力のあるところも若干はありますけれども、ほとんどが財政力がなかなか厳しい。

 その辺を考えて、もう一段踏み込んだ対応を含めて、一定期間の中でこれだけやるという計画というんですか、耐震化完全達成計画みたいなものをお出しいただいて、それに向けてさまざまな施策を動員していく、こういう形でこれから取り運んでいく、そういうお考えがあるかないか、お答えいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 委員もよく御承知のとおり、この問題は政権交代前から与野党を挙げて取り組んできた課題でございまして、大変重要な課題だと思っております。

 御承知のように、平成二十年四月、六二・三%でございましたが、これが二十一年四月には六七に上がり、そして二十二年四月には七三・三に上がり、そして今年度予算案をお認めいただきましたらば八五までは上がってきておりまして、これはさらに、先ほども御指摘をいただきましたように、衆議院の文部科学委員会でも決議もしていただいて、国会を挙げて御指導いただき、そして八五までは参りました。しかしながら、これは一刻も早く一〇〇%にしていかなければいけないという御指摘は、そのとおりだというふうに思っております。

 これは本当に重要なテーマでございますので、きょうの御議論等も踏まえまして、御指摘の計画の策定につきましては今後検討してまいりたいと存じます。

加藤(勝)分科員 もう少し踏み込んでいただきたいと思いましたけれども、本当にこういうのは一定期限を決めませんとなかなか進んでいかないものでありますから、ぜひそういう御検討をお願いしたい。

 そういう中で、補助率のかさ上げ、特に学校施設については、二十年六月に改正して、先ほど大臣からお話がありましたように、上げた。この地震防災対策特別措置法は今年度末で一応切れることになっておりまして、これをどうするかということで、多分与党の中でも、また私どもの中でも当然、今議論をさせていただいております。支障がないようにしていくのが国会の責務だと思いますけれども、よく市町村とも連携を図って、的確な対応がとれるように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 ともに、今、一括交付金の中で、公立学校施設整備資金、整備のお金が入るか入らないかという議論もあったようにお伺いをしております。やはりこれは、今申し上げたように、耐震化を国を挙げてやらなきゃいけない、こういう状況でありますから、今の状況の中では私は少なくとも時期尚早であるというふうに思っておりますので、そういう意味での大臣のそうした視点からの御対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それから、今のは躯体の話でありますけれども、私も地元で、あれは日本海大地震だったですか、被災をした小学校にボランティアで中の後片づけ等に行ったときに、天井からつり下げたところにテレビがあって、今は液晶になっていますから若干違うのかもしれませんが、それが落ちているんですね。ここに子供さんがいたらどうなるんだろうなというので大変ぞくっとした思いがありますけれども、こういう非構造部材の耐震化、こういったものもあわせてぜひ実施をしていただきたい。

 以上、三点申し上げましたけれども、その点について、大臣、コメントがあればお願い申し上げます。

高木国務大臣 これまでの被災の状況を改めて検証していかなきゃならぬと思っておりますし、申されましたことについては、我々も工夫をして、より子供たちの安全、あるいはまた地域の防災の拠点にもなるところでありますから、しっかり取り組みを進めてまいる決意であります。

加藤(勝)分科員 ありがとうございます。

 それからもう一つは、公立学校、特に去年の夏、非常に猛暑でありまして、夏休み期間以外も大変暑いところで、子供さんの教育環境、やはり暑ければ、我々もそうですが、なかなか集中できません。今はかなり空調を入れている、進んでいますけれども、これも相当財政力に格差があるのか、都道府県別の資料をいただきましたけれども、例えば、どちらかというと北が平均気温が低いから整備率が低くて南が高いというのではなくて、あるところは高くて隣はそうでもない。やはり同じ環境の中で子供たちが勉強できるようにするというのは我々の務めだと思っておりますので、空調設備の整備の推進、これもぜひ念頭に置いていただきたいと思います。

 こういった耐震化とか空調施設の整備は、どちらかというと、規模が決して大きくない、非常に小さい事業でもあります。そういう意味では、地方における景気対策あるいは雇用確保にもつながりますし、それから空調もうまく入れれば、今の暖房から空調に変えるだけで温暖化対策にもなるような機器が今出ているというふうにお聞きをしておりますから、いろいろな意味で非常に効果があるということでありますから、子供たちの安全、安心、そして勉強できる環境の整備という基本がもちろんありますけれども、そういった面からもこれは相当強くメッセージを発信していただいて、最初に申し上げましたけれども、ああした概算要求の中に繰り込まれない、盛り込まれない、織り込まれないように、ひとつ大臣の御活躍、あるいは政務三役の御活躍をお願いしたいと思っております。

 余り時間がありませんので、次に、特別支援学校のことをちょっとお伺いしたいと思います。

 特別支援学校の教室不足につきまして、私も実は、自民党の特別支援教育小委員会というのがありまして、そこの委員長をさせていただいたときに、一回、どうなっているか調べてみていただきたいと。特別支援学校の教室不足、足らないというのを地元でも聞いたものですから。

 緊急に調べていただきましたから多少ざっくりした調査だったかもしれませんが、二千七百九十七、これは二十年の五月です。そして、最近お話を聞くと、四千八百教室不足しているということなんですね。支援学校の子供さんも年々ふえてきているわけでありまして、これに対して、二十年の補正のときには相当配慮するように私ども要求をいたしましたけれども、ぜひ積極的に対応していただきたいのであります。

 その中で、今、インクルーシブな教育という点で、障害者制度改革の推進のための第二次意見というのが、障がい者制度改革推進会議から出されております。他方、中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会の論点整理というのが出されていまして、読んでみると、似たように書いているけれども、そうでないように私には思えるんですね。

 そうすると、これからのこうしたインクルーシブな教育をどう進めていくかというのと、施設の整備あるいは体制のあり方、これは当然リンクしていく話なんですが、その辺も頭に置きながら、大臣として、教室不足の解消にどう当たっていかれるのか、その御見解をお示しいただきたいと思います。

辰野政府参考人 特別支援学校の教室不足の件につきましては、今御指摘のように、最新の調査、平成二十二年五月一日で約四千八百教室という不足が生じているところでございます。

 この原因といたしましては、やはり子供たちの増加、約一万人近くの増加ということがあるわけでございますけれども、これらの解消ということは切実かつ重要な課題であるというふうに認識をしているところでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、各都道府県に対しまして、まず、各学校現場と調整の上、教育上支障がないよう適切な対応に努めるよう、計画をきちっとつくって、そして将来予測をし、またそれに対する計画的な整備ということについても遺漏のないようにお願いしたいということで、昨年十二月に通知をし、お願いしたところでございます。

 また、二十三年度の予算案におきましても、地方公共団体のニーズを踏まえまして必要な予算を計上しており、計画的な整備が行われるよう、引き続き、教室不足の解消に向けた取り組みというものを強力に推進してまいりたいというふうに考えております。

加藤(勝)分科員 というところで、ひとつ大臣の決意を。

高木国務大臣 インクルーシブ教育についての方向性は同じだろう、私はこのように思っております。

 その上で、文部科学省としては、中教審の議論など、この中にも、障害者や保護者、そしてまた教育関係者の皆さん方の意見も出ておりますし、それを踏まえて、具体的には、体制面あるいは財政面、こういったものを含めて検討しなければならないと思っておりまして、我々としても、障害者の教育的ニーズに合った指導を提供できるように、このシステムの構築については力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

加藤(勝)分科員 ぜひ、議論は議論としながら、今まさに教室不足の中でかなり無理をして行われているわけでありますから、その一日も早い解消をお願いしたいと思いますとともに、予算委員会でも議論がありましたけれども、特定扶養控除の関係で、特別支援学校に行かれている御父兄はかなりの方が実質負担増になっているんですね。予算委員会で議論がされましたでしょう。そういうことも踏まえて、やはりしっかりとした対応をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、教職員定数、先ほどちょっとお話をさせていただきましたけれども、結果的に、たしか一年生のところが三十五人ということになった。それにおいて、加配定数について、千七百人、今まであったところをこっちへ異動しているんです。

 この千七百人を異動することについて、地元の方から、私どものところはほとんど、三十、四十人学級の学校なんか余りありません、正直言って。むしろ、三十五人学校とか四十人学校、学校規模がそのぐらいのものもございます。そういうことからすると、逆に、そこへ千七百人抜かれると、自分たちのところにこれまで加配されていたものが減ってしまうのではないかというような懸念の声も出ているんですが、大臣から、そういうことは絶対ありませんということを明言いただきたいと思うんです。

鈴木(寛)副大臣 今回の措置で、千七百の分は、加配は、もともと小学校一年生で少人数学級に活用しておりました人数相当分でございます。それを含めてはおりますけれども、トータルで四千人の教職員定数の改善を行っておりますので、すべての都道府県におきまして、学級数に応じて算定される学級担任等の教職員定数が増加するということになりますので、そういうことはございません。

加藤(勝)分科員 ぜひ、そういうことでお願いし、私も地元でそういうふうに申し上げておきますので、よろしくお願いいたします。

 そういう中で、大規模校に対する対応、この三十五人学級とか、こういうのも当然必要だと思いますが、他方で、小規模学校というのをどうしていくべきか。特に、先ほど申し上げた、本当に一学年十人を切るような学校で、例えば、チームプレーの体育をやるといってもなかなかそれができない。

 そういうことで、実は、私どもの地元に矢掛町という町がありまして、そこには七つの小学校があるんですが、どれも小規模学校なんですが、そのうち三つの小学校が一カ所に集まり、四つの小学校が一カ所に集まって、四年生の算数と英語と体育、最初は非常に限定した形でありますけれども、ことしからスタートしておりまして、いろいろな意味でかなり効果が出てきているんじゃないか、こういう評価をしているんですね。

 ただ、これからもっともっとやっていこうとすると、子供たちの移動をどうするかとか、教職員の皆さん方の連携とか、あるいはそれに対応した、組織とまでは言いませんが仕組みづくり、こういったことが当然必要になってくる。今のままだと、どんどん現場の負担が重たくなっていくんですね。

 そういったものに対する配慮、支援というものを、大規模校に対する支援と同時に、小規模校、特に過疎地域の学校における学力の向上、こういったことに対してしっかりと支援をしていただく、ぜひお願いをしたいと思うんですが、御見解をお願いいたします。

鈴木(寛)副大臣 しっかりやってまいります。

 集まる部分については、例えばスクールバスなどの対応が必要かと思いますし、後半御指摘のありました学力等々については、複式学級における教育課程の改善を図るための研究指定校などの実施の活用等々もあると思います。

 いずれにいたしましても、小規模校対策を一生懸命ちゃんとやってまいりたいと思いますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。

加藤(勝)分科員 高等学校の無償化とか子ども手当を我々は批判させていただいておりますけれども、ただ、子育てが必要である、教育が重要であるということは一緒のところでありまして、そういう意味で、本当に、特にこれから、学力を上げ、国際社会の中で十分伍していける人材をつくっていくということが私どもの使命だ、責任だ、こういうふうに思っておりますから、そういう観点からも、今申し上げた大規模校だけではなくて、特に小規模校の、本当に問題があるのかどうかという議論も、今ちょっと研究のお話をされていましたけれども、余り研究されていないというふうに私は感じております。

 いい面も非常にあります。複式学級も見に行かせていただきました。先生もなかなか大変だなと思いますけれども、三年生と四年生の複式だったんですが、その子供さんは三年生なんですが、自分のを終えて四年生の授業なんかを聞いている、そういう面のプラスもあるのかなというふうに思いますけれども、いろいろ研究といいますかよく検証していただきながら、本当に必要な措置をしっかりととっていただくことをぜひお願いしたいと思います。

 最後に、時間になりましたから、二番目に申し上げましたけれども、耐震化の問題でございます。

 改めて、私ども自民党の中にも公立学校施設耐震化等整備促進議員連盟というのを従前から設けておりまして、その耐震化に向けて精力的に取り組んでおりますので、ぜひ、与党また政府においても、一層の対応といいますか取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

城井主査 これにて加藤勝信君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷公一君。

谷分科員 自由民主党の谷公一でございます。

 余り今まで文部科学関係で質問したことがなかったんですけれども、せっかくの機会ですので、何点か質問させていただきたいと思います。高校無償化、そしてそれの私学への影響についてが一つ、それから全国一斉学力調査についてが二つ目、三つ目は伝統文化の振興事業について、この三点であります。

 高校無償化が昨年から始まっています。この無償化の効果あるいは成果、何のためにするのかということが、昨年、何度かあるいは相当議論されたと議事録を調べてみまして改めて思いますけれども、我が党の下村議員が指摘しているように、何かもうひとつしっくりこないというのが実態ではないかと思います。

 さて、ほぼ一年過ぎました。大臣、どういう成果があったんですか。当初想定した成果が達成できているんでしょうか。まず、そのことからお尋ねしたいと思います。

高木国務大臣 谷委員にお答えをいたします。

 御指摘の高校授業料無償化、この制度については、改めて申し上げますが、すべての意志ある高校生の学びを保障する、家庭の経済状況にかかわらず安心して学校に通える、勉学に打ち込める、そういう社会をつくる、このために昨年の四月から実施しております。さらに、高校段階の学びに励んでおる生徒をひとしく支援すること、これは教育についてのすべての権利をうたっておる国際規約の精神にも沿うものであると私は考えております。

 本制度の効果はどうか、こういうことでございますが、この制度が実施されましてまだ一年にも満たないこともございまして、まだその具体的な検証をできる段階ではないのですが、例えば、私立学校について見れば、就学支援金に各都道府県が行う授業料減免補助とあわせた支援は、年収二百五十万円未満の低所得者の高校生について授業料の全額免除相当の支援を行う都道府県が、平成二十一年度の十三県から四十一都道府県に拡大されておる。こういうことを見てみますと、経済的負担の軽減が拡充されておる、このように認識をしております。

谷分科員 大臣、今の答弁はすれ違いですよ。公立高校無償化の一年間の具体的な効果、成果を私は聞きたかったんです。

 前の川端国務大臣は、今大臣がおっしゃったように、子供たちにしっかり勉強してもらうという強いメッセージだ、勉強したいという意欲を向上させる、さらには公共性の概念も強くするのだと。また、次のようにも言われています。親の恩と同時に、社会の恩というものも受けとめて学ぶ、そういうこともあるのではないかとまで言われています。

 それでは、もう一度お尋ねします。学力が伸びる、あるいは公共性が高まる、こういう効果はあったんですか。

高木国務大臣 そのことにつきましても、先ほど申し上げましたとおり、制度がスタートして、やはり一年経過を見てしっかり検証しなきゃならぬと思っております。

 したがって、今のところ、私たちとしては、全般的にどうなのかということについては持ち合わせておりませんけれども、国民の声を聞きますと、この制度によって安心して学校に通える、こういう声を私は聞いておることからしても、私たちの思いは通じておるのではないか、このように思っております。

谷分科員 国民の声はさまざまだと思います。私も、公立、私学を初め、何人かの教育関係者の方に何度か御意見を聞いたこともありますし、こういうような一律に無償にするというよりも、もっと教育状況をよくしてほしいという声もまたたくさんあることも事実です、一律無償化よりも。それは今はこれ以上議論しませんけれども。

 では、検証について大臣にお尋ねします。これはいつされるんですか。新たな施策を大きな国費を使ってやり始めたわけですから、そういうものが本当に効果があるかどうかは当然政府として検証する必要があるかと思いますが、いつそういう検証をされ、いつおおむねの中間報告というのか検証結果をまとめたいと考えておられるのか、お尋ねします。

高木国務大臣 明確にいつまでということは申し上げられませんけれども、新しい年度になればそのことをしなきゃならない、このように思っております。

谷分科員 何かもうひとつ、残念です。残念というのは、新たな施策をやった場合、わずかなお金ならいいですよ、相当な金をやったら、しっかりと、いつ検証をして、その結果をいつまでにまとめるというのは当然考えてしかるべきだと私は思っていますので、そのことだけ御指摘をさせていただきます。

 公立高校無償化について、もう一つお尋ねします。

 先ほどお話しさせていただきましたように、今の制度は所得制限は全くありません。そういう一律の無償化というのは、経済的に豊かな家庭に余力を与え、教育格差をさらに広げる可能性がある、そういう指摘も一部でされております。全部とは言いませんよ。そういう意見についての大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

高木国務大臣 公立学校及び私立学校に対する支援金制度、これについては所得制限を設けておりません。これは、すべての意志ある高校生の学びを保障する、教育費については社会全体で負担していく、こういうこと、また、多くの国で後期中等教育は無償となっておりまして、これはある意味では世界の常識になっておるということも、私たちとしては基本的考えになっております。

 また、低所得世帯の生徒については、年収二百五十万円未満程度の世帯には二倍額、年収約二百五十万から三百五十万未満程度の世帯には一・五倍額、こういうものを支給するなどして、手厚い支援となっております。

 これに加えて、さらに都道府県での授業料減免補助事業等に対する支援も実施されておりますので、これらをあわせた支援については、昨年度と同水準か、さらに手厚い支援になっておる。そういうことで、教育格差を広げるという御指摘は当たらない、そのように考えております。

 私ども政府としましては、経済的理由によって修学を断念することのないように、今後とも支援を充実させていきたいと思っております。

 なお、先ほどのお尋ねの中にもございましたけれども、検証については、私たちはやはり一年を過ぎてしっかりしなきゃなりませんが、この法律についても、三年以内の見直しという規定もございます。この法律にかかわらず、新しくつくった法律は、そういうふうにそれぞれ見直しをするということをもって改革、改善をしていく。これは、高校無償化についても同じことが言えるのではないかと思っております。

谷分科員 先ほど来、私は、高校無償化は主に公立高校を念頭に置いて質問しているんですけれども、大臣の方は、私学の無償化は、年収二百五十万円未満の府県がふえたことをもって成果があったかのように言われますけれども、これは関係ない話ですよ。

 私学については、国の方で、昨年度から、基本的に十二万弱ですか、一定額の助成を高等学校等就学支援金としてする。二百五十万円未満はその倍、そして、三百五十万円未満で二百五十万以上はその一・五倍ということですけれども、そういう制度に都道府県が乗っかって、上乗せしたりして結果的にふえているということで、先ほど来の答弁をお聞きしておりますと、公立高校の無償化のことと私学のことが何か少しごっちゃになっていると私は思いました。

 さて、私学への影響です。

 しかし、実際問題、私学が公立高校を無償化してどういう影響が出ているかといいますと、この前、我が党の参議院議員の上野議員が質問主意書を出して、答弁で明らかになったように、多くの府県でやはり値上げしているんですね。また、私学への専願率、いわゆる私学一本の方々も落ちている。そういうことをどう受けとめておられますか、大臣。

 昨年四月一日、文部科学省の方から通知も出していますね。便乗値上げをやめるようにというような指導通知も出されているようでありますけれども、ほとんど効果がないように思いますが、文部科学省の指導、そして、それを受けた現実の私学の対応についてどう認識されておられるでしょうか。

    〔主査退席、大串主査代理着席〕

高木国務大臣 平成二十二年度の私立高校の授業料及び施設整備費等の納付金の合計額は、昨年度に比べて大きく増加をしていないと私は認識しております。また、来年度の私立高校への志願状況及び入学動向については、今後の推移を見守る必要がある、このように考えております。

 一方、私立高校の経営状況は、もともと、この政策にかかわらずに、少子化などの影響を受けて全般的に厳しい経営環境にある、私はこのように思っております。

 このため、私立高校等の健全な運営のための支援策として、平成二十三年度予算においても、私立高校への経常費助成として、国庫補助一千二億円、対前年度四億円の増でありますけれども、このほか、地方財政措置五千五百五十三億円、これは対前年度六十一億円増、こういうことを措置しているところであります。また、昨年四月から実施している私立高校に対する就学支援金の支給や、各都道府県における授業料減免補助を通じて、安心して私立高校に通える環境の確保に今努めておるところであります。

 今後とも、私立高校が安定的な経営を行うことができるように、各種施策の充実に取り組んでまいりたい、このように思っております。

谷分科員 大臣、今のお答えですと、昨年に比べて余り私学は値上げされていないという認識ですか。

 私の兵庫県では一万四千円余り、隣の大阪府では一万七千円余り、現に上がっているんですよ。多くの府県で値上げされているでしょう。何か今の答弁で上がっていないようなことを言われていましたけれども、もう一度確認します。質問主意書の答弁と反しているんじゃないですか。

高木国務大臣 いわゆる授業料と施設整備費等の納付金の合計額について私は述べましたけれども、授業料については、平成二十一年度、三十五万四千八百七十五円、平成二十二年度、三十七万一千九百五十円、上がっております。

谷分科員 それでは、ちょっと私学の問題で視点を変えまして、公立高校は、所得に関係なく一律に無償化を昨年から始めています。一方、私学については、高等学校等就学支援金として一定額を助成するという仕組みですね。しかし、それは所得によって差を設けていますよね。この考え方、公立高校と私学はなぜ違うんですか。改めてお尋ねします。

 つまり、公立高校は所得に関係なく一律に無償化しているでしょう。私学は所得に応じて助成額を変えているわけでしょう。その考え方は、なぜ公立と私学で違うのですか。基本的な質問です。副大臣でも結構ですよ。

高木国務大臣 公立、私立それぞれ在校生がおるわけであります。私どもとしましては、公立はもとより、私立の場合は、それぞれの建学の精神に基づいて学校が設立され、また運営をされておるということでありまして、私立高校を完全無償化することについては、私が申し上げたそのとおりでございます。

 そういう自主性を尊重する上で、全額無償化ということについては、国の関与等が深まることを考えると課題が多い、こういうことで、今、このような状況になっておるわけであります。

谷分科員 大臣、それは答えになっていないんです。なぜ、私学は所得によって助成額に差を設けるんですか。公立は所得に関係なく一律、授業料は徴収しないでしょう、無償化するでしょう。所得に関係ないんです。

 私が言っているのは、私学は所得に関係なく一定額を助成ということであれば、それはそれでわかりますよ。所得によって助成額に差を設ける、この考え方は、公立と比べてどういう哲学ですかということを尋ねているわけです。簡単なことです。要は哲学がないということですか。

大串主査代理 答弁できますか。

 ちょっと待ってください。

谷分科員 いや、後でいいですから。

 それでは、がらっと変わって、別の質問に移ります。

 学力調査について、いろいろお尋ねしたかったんです。全国統一学力テスト。事業仕分けでやられたということもあるでしょうけれども、二十二年度から、三〇%抽出調査に悉皆調査から変わりました。しかし、やはり三〇%の調査だけでは十分ではないと現場の方は判断されていると思います。多くのところで単独で、国の助成なしに調査をやっています。大体七五%、テストをやっています。

 国の考える抽出ということと、現場の、地域のどういう調査が望ましいかということは、明らかに大きく差があるわけですね。ですから、厳しく言えば、事業仕分けによって、本来、非常に効果的な意味のある事業であった全国統一学力調査、悉皆調査は、抽出によって全く意味のない、いわば無駄なものになったとまで言っても、私は決して言い過ぎではないと思います。

 お尋ねしたいのは、このギャップ。三〇%と、実際、学力調査を一〇〇%やっている都道府県もあるということを大臣は御存じですか。そういう都道府県が全国でもあるんですよ。これについてどう認識されておりますか。

高木国務大臣 学力調査については、平成十九年度から二十一年度まで三年間、悉皆調査がされております。したがって、そのデータそのものは、私どもとしては非常に信頼性の高いものだと思っております。貴重な蓄積されたデータです。したがって、これを踏まえて、平成二十二年度には抽出調査をしたというところであります。

 この調査のあり方については、いろいろ御議論があるところでありまして、全国的な学力調査の在り方等の検討に関する専門家会議においては、調査の目的あるいは対象学科、学年、あるいは調査方式、実施頻度などについて検討を進めておりまして、できれば年度内にもその方向性を得たいと考えております。

 私どもとしましては、よりよい学力調査となるように努めたいと思っておりますし、この調査を活用して、目指すところは、教育指導の充実とかあるいは教育施設の改善、こういったものにあるわけでありますから、その目的と手段、それをきっちり守っていきたいと思っております。

谷分科員 今、大臣から御答弁がありましたように、専門家会議で検討を進められているんですね。それはそれとして、しっかり検討をしていただきたいんですけれども。

 大臣、要は、この問題は霞が関の頭で、永田町の頭で考えてはだめだということです。現場がどう思っているか。役に立たないと多くの方々が思っているんです。だから、国からの助成なしに単費でやっているんです。

 幾つかの県が一〇〇%と言いましたけれども、幾つかの県というには余りにも多い府県ですね。秋田、石川、福井、和歌山、高知、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島、みんな一〇〇%やっています。私の兵庫も八一・七、余り高くはないですけれども、それでも、やはりそうしないと、特定の学校だけしても意味はないんです。地域によってどういう基礎学力があるかというのをしっかりと調査する、そのことが、結局は国力、子供たちの力を高めて教育力をつける、それに結びつくことだと思います。

 時間もあれでございますので、最後に、伝統文化こども教室についてお尋ねしたいと思います。

 大変評判のよかった伝統文化こども教室が、なぜか事業仕分けによって、これは国がやるべき事業ではない、地方に任すべきだという、何か現場の実態を全く知らぬかのような議論により、二十二、二十三で終わりということを聞いておりましたが、昨年、なぜか二十三年度要求は、前倒し廃止して、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業という、自治体が事業主体となって計画をつくり、プランをする事業に振りかえられました。

 その中には、従来からの伝統文化こども教室もいいですよとは言っていますけれども、現実問題、私の知る限り、やはり難しいんです。自治体の計画にそれらを位置づけるというのはなかなか難しい。

 そこで、それはそれとして、自治体がつくるプランなり計画の事業と並行して、いろいろな全国的な文化団体、あるいは分野別の団体でもいいです、そういうところに、やはり伝統文化を大切にして、子供たちにそういうものをしっかり伝え、それで子供たちも礼儀作法の大切さとか人と一緒にやることの大切さを学ぶことが、私は大変効果的だと思うんです。ぜひそういった方向で検討をお願いしたいんですけれども、お答えをお願いします。

笹木副大臣 今、委員からお話がありました伝統文化こども教室事業、昨年八月の文部科学省での行政事業レビューで、公益法人を通じた事業実施であることなどの理由で廃止をすべきという結果、それを踏まえて、一年前倒しということで新規事業に入れ込んでいったという、そのお話のとおりです。

 一番大きいのは、お話もありましたが、市町村でもいい、都道府県でもいいんですが、地域の伝統文化の事情もよく通じている、あるいは後継者の問題もよく通じている、その市町村あるいは都道府県、そこから申請をしていただいて、総合的にまちづくりとか後継者育成とか観光の活性化につなげたい、こういう目的で一年前倒しで新規事業に入れ込んだということです。

 ぜひ、今までの伝統文化こども教室でやっていたことがこういうふうにおかしくなっている、あるいはおろそかになっているということがありましたら、谷先生の方から具体的に教えていただけたら、それはそれでまた考えて対応もしていきたい、検討もしていきたい、そう思っております。

谷分科員 副大臣、もう一度お答え願いたいんです。

 新年度予算の説明はいいです、もう十分聞いていますから。そうではなくて、私が言っているのは、そういう自治体主導の計画と並行して、現実には、今、副大臣は一番よく御存じの都道府県とか市町村と言われましたけれども、それは違うんです。伝統文化こども教室は全国五千ぐらいあったんですよ。それを市町村なり都道府県が十分把握しているか。していないんです。だから、自治体が主導でやる事業と並行する形で、全国的なそういう総合団体なりあるいは分野ごとの団体にも、そういう地域に根差した活動をやってもらうようなやり方もあるのではないでしょうか、ぜひ御検討くださいという提案です。

 それの答えをお願いします。

笹木副大臣 あくまでも申請の主体は自治体ということになっておりますが、お話も踏まえて、例えば、都道府県、市町村において、そういう団体からちゃんとやりとりをしてお話をお聞きしているか、そういうことも含めて検討したい、そう思っております。

高木国務大臣 先ほどの高校無償化の件について、公立の在学生は全員無償、なお、平均の授業料は十一万八千八百円となっております。これを、私立の学校についても基本的には同額を支援していくということです。

 なお、低所得者対策がございますから、さらに増額をしたということ。公立学校については、全員支給ですから、このことには配慮は必要なかった。

 それから、民主党のマニフェストの二〇〇九年でありますが、公立高校の授業料は無償化をしたい、私立高校生については年十二万から二十四万円を助成する、こういうふうにも書いておることは御参考までに申し添えておきます。

谷分科員 ありがとうございました。一言だけ……

大串主査代理 まとめてください。

谷分科員 はい。

 今の大臣の答弁で、もうひとつよくわからないんです。マニフェストがどうのこうのということではないんです。哲学の話なんです。片方は所得に関係なくただにする、片方は低所得者対策だとかで、それはいろいろ理屈をつけても、要は霞が関のへ理屈です。一般の方から見れば、何で私学に通っていると所得に応じて助成額が違うのかな、そういう思いがありますので、御指摘だけさせていただいて、終われということでございますので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大串主査代理 これにて谷公一君の質疑は終了いたしました。

 次に、池坊保子君。

池坊分科員 公明党の池坊保子でございます。

 質問に先立ち、ニュージーランドで地震の被害に遭われました方々の一刻も早い救出を、文部科学省としても力を合わせて頑張っていただきたいと思います。特に、語学での研修に行かれている多くの若者たちがいます。それらのことに思いをはせるときに、文部科学省が関係省庁と連携をとりながら、すべてのできる限りのことをしていただきたいと願い、そして、お願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 きょうは、公益法人と宗教法人のあり方について私はお尋ねしたいと思います。

 公益法人は、言うまでもなく、あしき象徴として、今、相撲界の八百長事件が挙げられました。私も小さいときから相撲に親しみ、そして、激しい修行に耐えて、ああやって土俵に上がる、何か身が引き締まるような思いと、私の世界とはまた別世界の、何かすばらしい違う道があるんだというような、一種の畏敬の思いも持ちました。多くの方々がそう思っていらしたのではないかと思います。そういう意味では、国民に多くの失望と落胆を与えました。

 とともに、今もまだ若者たちが激しい練習というか修行に励んで、自分は必ずあの先輩たちのようになりたい、そう思っている若者たちもまたいます。そういう若者たちに、あのような先を歩んでいる立派であるべき先輩が八百長をしていたのか、世間からそう思われているということは、彼らの夢や目的を閉ざした、そういう意味で、私は罪が大きいのではないかと思います。

 きょう、公益法人と宗教法人のあり方について問いますのは、宗教法人も公益法人も同じような体質を持っているのではないかと思うからです。

 御存じのように、京都仏教会の会長である金閣寺、銀閣寺の住職が、自分が揮毫したものに対して申告をしなかった、二億円申告漏れだったと指摘されました。一般の方は、六百万人も日本のみならず外国から行く、そして感動するあの金閣寺で、その住職がという失望を感じました。と同時に、宗教法人ってそんなものなのかと思われると情けないという多くの人たちもいるのです。

 私の知っている若者は東京でサラリーマンをしておりました。息子たちや娘たちは都会に出ていってしまう、取り残されたような、関西の過疎に近いその村のお父さんの後を継いで住職になりました。孤縁社会と言われております。でも、そうじゃないのだ、若者でも、こうやってこの村に帰ってきて、みんなの、地域のきずなになっていきたい、そうして、志高く帰り、後を継ぎましたけれども、現実は大変厳しいのです。

 毎日毎日、七軒も八軒も檀家や近所の家を回る、でも、お布施は一カ月に十万ぐらいしか入らない、とてもそれでは生活できない。でも、自分は、きずなを求めて、きっと社会に役立っているのだ、この信仰の力でみんなのよりどころとなりたい、そういう目標や夢があったのです。でも、片方でそうじゃない現実を見せられたときに、自分は一体何をやっているのだろうか、本当に絶望し、道を閉ざされた思いがしている。

 私が申し上げたいのは、一握りのそういう人たち、でも、その陰に、まじめに誠実に歩んでいる人もいる。公益法人や宗教法人というのは、多くが非課税ですね。非課税であるということは、国民が支え合っている意義や価値を見出しているのだと思います。だから、それに本来的にはこたえなければならないのがこのような機関ではないかと私は思っておりますが、大臣並びに副大臣は、公益法人、宗教法人のあるべき姿について、明確に御指示いただきたいと思います。

    〔大串主査代理退席、主査着席〕

高木国務大臣 公益法人は、積極的に不特定多数の利益の実現を目的とした民間の非営利法人であり、社会においては新しい公共の担い手としての役割が期待をされております。

 このような公益法人の性質から見ても、公益法人は自律的に適正かつ透明性の高い運営を行うことが求められておりまして、役員が法人の業務を適切に管理するとともに、情報公開を積極的に進めていくことが重要であろうと考えております。

鈴木(寛)副大臣 委員御指摘のとおり、公益法人は税制優遇を受けているわけでありますから、その観点からも極めて高い公正かつ透明な運営が求められるというふうに認識をしております。

 特に、法人の業務に関する事項を議決し執行する理事会や、あるいは法人の財産や理事の業務執行の状況について監査を行う監事におかれては、法人の適正な運営に極めて重要な役割を果たすというふうに理解をいたしておりますので、まさに理事会、監事あるいは理事、そうした方々は、そうした制度の趣旨、使命というものをきちっと認識していただいて業務に精励をしていただきたい、かように考えているところでございます。

 また、定款や寄附行為、財務諸表、事業計画及び事業報告書等が適切に公開されることが必要であるということでございますので、そうした意味で、透明性の確保といったことは極めて大事なことだというふうに考えている次第でございます。

池坊分科員 例えば相撲界の八百長事件は十年前から問題になっていたのではないかと思います。にもかかわらず、そのときには何の指導も行われなかった、あるいは、そのときにはそれがうやむやで何の改善も行われなかったということは、私は、なれ合い、密室におけるなあなあの体質がそうさせたのではないかと思います。

 本来、公益法人や宗教法人は、自助努力こそが私は問われているのだと思いますが、それがなかった場合には、私は、やはり第三者の視点というのが必要なんじゃないか。第三者機関の指示とか、ある意味でそれがあり、そして文部科学省の指導、改善ということが行われるのだと思いますが、この自助努力についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。

鈴木(寛)副大臣 その法人の目的に沿った健全な運営について、日々自助努力がなされるということは当然のことだと思います。

 加えまして、事業目的あるいはその健全性に疑念が投げかけられた場合には、きちっとまずは自浄作用というものが働く、それが働くか働かないかということが、やはりガバナンスを見ていく上でのポイントだというふうに思っているところでございます。

 今御指摘の第三者による認定というような観点から、今日におきましては、委員もよく御承知のとおり、特定公益法人と一般公益法人という二分論、そして、特に特定公益法人に関しては、その認定委員会等々によるさらに厳しい認定を経て特定公益法人になっていく、そういう制度導入もそうした実態を踏まえて行われたものというふうに考えております。

 いずれにしても、公益法人の公益性というものは極めて重要でありますだけに、そうしたことは、まずは自律的な自己統治が機能し、そして、仮に、万が一それが機能しない場合には所管省庁による指導、さらには、その改善が十分でない場合にはさらなる厳しい措置ということで制度設計がなされておるというふうに考えておりまして、この趣旨に照らしてきちっと対応してまいりたいというふうに思っております。

池坊分科員 今副大臣が御説明いただきましたように、公益法人の運営、内部統制に求められるのは、やはり透明性とガバナンス、そして情報公開、自律的な自己統治ということ。これは、やはり千九百の公益法人を文部科学省は所管していらっしゃると思います、そして、二十二万二千の宗教団体を所管していらっしゃると思いますので、ぜひこの点は通知をして、すべての機関にこのことを徹底させる必要があるのではないかと思います。

 では、その中で、例えば公益法人の役員、理事長とか理事が法律に抵触するような行為があれば、当然国民から糾弾されます。不法行為を行った者、資質に重大な瑕疵のある者、公共の福祉を害するような行為を行った者が役員を務める法人に対して、文部科学省はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

 それとともに、それらが明らかになった場合に、指導監督の権限を持つ文部科学省として、指導勧告や改善命令を出すということはあり得るのでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 すべてはケース・バイ・ケースということになろうかと思いますが、これは文部科学省、所管省庁が認可をして寄附行為あるいは定款に基づいた運営がなされているわけであります。基本的には、寄附行為や定款に沿ってきちっとした運営がなされているかどうかということがポイントでありまして、所管省庁に対しては、寄附行為、定款は、変更がある場合にはその認可ということでありますし、毎年度、事業計画書や事業報告書の提出、そしてさらには公開、こういうスキームになっているわけであります。

 でありますから、寄附行為、定款に反する事業、あるいは、事業計画書の提出あるいはその記載に不適切な点あらば、これはきちっと指導をしていくということになるというふうに思っております。

池坊分科員 公益法人の運営に責任を持つ役員に問題があることが明白な場合、例えば役員や評議員の構成の見直しとか外部監査の導入、理事の役割分担の明確化などについて、文部科学省が公益法人に是正を求めることはあるということでございますか、あるいは、そういうことにはタッチしないということでございましょうか。

鈴木(寛)副大臣 まず、一義的にはやはりその組織の自己統治の中でそうした人事等については、選任もそうした自己統治の中で行われているわけでありますから、変更についてもそのベースで行われるというのが基本だというふうに思います。

 ただ、その総体として、寄附行為あるいは定款に掲げた目的遂行に重大な支障がある、あるいは支障が起こっているということは、我々は、事業目的がきちっと遂行されるという限りにおいて、そのことを大前提として法人の認可を行っているわけであります。仮に、目的に反する状態というものが長期にわたり放置される、こういうことになれば、それはその観点から極めて問題でありますので、そのことが速やかに回復できるように指導してまいるというのが私どもの立場だというふうに考えております。

池坊分科員 公益法人から宗教法人にちょっとまた戻りますけれども、宗教法人が宗教活動をする際には、財務管理面からは、宗教法人の財産と代表役員個人の財産は明確に区分し、法人の会計と個人の会計の両方を明確に区別して記帳する、これはだれでも知っている、当然のことだと思っております。しかしながら、近年、宗教法人と僧侶個人との会計区分が明確ではなく、追徴課税される例が見られております。このことによって、宗教法人全体に対する信頼が損なわれることであれば、私は非常に残念なことだと思っております。

 宗教法人に対して、なぜ税制の特例措置が講じられているのか、その趣旨を理解させ、国民から誤解を受けないようにきちんとした会計処理や税務処理を行うよう、これは財務省との連携もあると思いますけれども、所管していらっしゃる文部科学省としてもきっちりと指導する必要が私はあるのではないかと思いますが、大臣あるいは副大臣にそのことについてお尋ねしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 宗教法人に極めて高い法人格付与の目的に沿った運営がなされるべきであるという御指摘はそのとおりだと思いますけれども、行政庁の権限においては、宗教法人に対しますものと公益法人に対しますものは法律上は若干違います。

 すなわち、公益法人に対しましては、行政庁は報告あるいは検査、さらには勧告、命令といったものを発することができることになっております。その基本は、先ほど申し上げましたように、寄附行為、定款の目的に沿ってということでありますが、対宗教法人につきましては、宗教法人法で、一般的な調査権、監督命令権はございません。それだけに、宗教法人の自律的な自己統治ということが重要だということをきょうの御議論の中でも私どもも申し上げているわけでありますけれども、そういう意味では、ここは限定されているということについては御理解をいただきたいと思います。

 しかしながら、認証の取り消しでありますとか、公益法人の場合は公益認定の取り消しを行政庁ができるわけですけれども、宗教法人の場合は裁判所への解散命令請求ができる。ですから、公益法人の場合は認定の取り消しを行政庁ができますけれども、宗教法人の場合は、より強い独立性ということで、その判断は裁判所に関与をしてもらう、こういうスキームになっているということでございます。

 宗教法人法というのは、宗教団体に法人格を付与し、これは認証であります、公益法人の場合は認定ですが、そして宗教活動を円滑に行えるようにするための法律でございまして、宗教法人を行政庁が管理監督、統制をするという目的ではございません。でありますだけに、適切な自己統治というものがより強く望まれる、こういうことにもなろうかと思います。

池坊分科員 宗教法人制度は、憲法の保障する信教の自由などの原則のもとで、宗教法人の宗教活動の自由を最大限に保障するため、諸官庁の関与をできるだけ少なくし、各宗教法人の自主的、自律的な運営にゆだねられている、副大臣がおっしゃったとおりだと思います。

 宗教法人制度を定める宗教法人法の目的は、宗教法人、宗教団体に法人格を与え、宗教団体が自由で自主的な活動を行うための財産や、団体、組織の管理の基礎を確保することができるとされております。この自由で自主的な活動というのは、何も野方図に何でもしていいということではないと思います。副大臣が御指摘になりましたように、非常に強い自主的、自律的な運営をゆだねているということは、だからこそ、それにこたえられるような適切な、自律的な自己統治が私は必要なのではないかと思います。

 今、私どもの中では貧乏寺と言われておりますような、さっきも申し上げましたように、本当に今、一生懸命地域のために尽くそうとか、人々のよりどころのために生きていこうと思っても、なかなか生計が立てられない、そういうお寺もあるのです。そういうところにぜひ光が当たるような、そして、そうでないところに対して、悪いことは悪いんだと適切に厳しく指導、これは指導は構わないんだと思うんですね、文部科学省は言える存在であっていただきたいというふうに願ってやみません。

 ちょっとまた相撲の方に話を戻らせていただきますけれども、冒頭にも申し上げましたように、日本相撲協会には現在も若い力士が大勢練習に励んでおります。そして、その同世代たちは学業を継続している人たちもいるわけです。若くして力士になるわけですけれども、そういう人たちに何らかの支援をすることも必要なのではないかと私は思っているんです。

 これから入ってくる若い力士に対しても、現状の育成方針、方法というのは相撲部屋と相撲教習所だけなのではないかと思いますけれども、これを改めて何か別の方法を考えることも必要ではないかと思っております。中学を卒業いたしまして相撲部屋に入った力士の卵たちは、やはり高校にだけは行きたい、高校は卒業したいと願っているし、また、高校に通わせたいと願っております親方たちもいらっしゃいます。そういう人たちに対しても何らかの手だてをする必要があると私は思っておりますが、大臣並びに副大臣はどのようにお考えでしょうか。それをまずお伺いしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃるとおり、それぞれの部屋、そして相撲教習所でのしっかりした指導に加えて、いわゆる学校教育の機会を保障すべきであるという委員の御指摘は、私もそのとおりだと思います。

 現在は、委員も御指摘になられたことがおありになるのではないかと思いますが、NHK学園というのがございまして、そこの通信制等々で高校の就学というものを行えることになっております。現に、そうした若手力士でその年齢に該当する人がそうしたところで就学をしているという実態もございます。

 ただ、これは、けいこを続けながら勉学を両立するということは大変厳しいことでございますが、そういう厳しい中で一生懸命頑張っておられる力士の方々もいらっしゃって、そして、そのことを少しでも、より両立可能なようにということで、関係者の皆様も大変御尽力をいただいているということでございますが、さらに、より何かもう一段できることはないかどうかについては、きょうの御議論も踏まえて検討もしてまいりたいというふうに思います。

池坊分科員 今私たちが、国民が、相撲の八百長事件に対して、歯がゆくも、そしていら立ちながら、こんなことでどうなるのか、相撲の存続が危ぶまれる、相撲というのは、スポーツだけでなくて、日本が誇れる文化だったのではないかという思いを持っていると思います。

 その歯がゆく思うところの最大は、自助努力がない、自浄能力がないということなんだと私は思います。第三者機関が入りながらも、何か言い逃れをしたら、それで、一過性で済んでしまうのではないか。やはり根本的に、一人一人の力士、一人一人のこれから育とうとしている、卵も入れて、若者たち、それから親方たち、すべての理念というか目的というか、これは一過性じゃないのだ、自浄能力が必要なんだということを、私はぜひ文部科学省はきっちりと指導していただきたいと願うのです。

 何か問題が起こりますと、途端に厳しい、介入とも言われるような指導改善が行われます。確かに、宗教団体は二十二万もある、それから公益法人は千九百もある。一々きめ細やかな目配りはできないのだとおっしゃるかもしれませんけれども、私は、やはり常日ごろの問題意識を持つ、そして自浄能力こそが大切なんだ、透明性、情報公開、ガバナンス、こういうことを徹底してやっていただきたいと思いますので、そのことに関しての、高木文科大臣と鈴木副大臣、特に公益法人や、そしてまたスポーツに対しても担当でいらっしゃいますので、お二方の決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。

高木国務大臣 公益法人については、自律的に適正に運営をしていく、まさに自浄能力を問われております。

 相撲協会の話がございましたが、これまでの不祥事を踏まえた、いわゆるガバナンスの改革等もされておりますし、今回の八百長問題で、さらに国民の信頼を欠いたという事象もあります。したがいまして、この際、きっちりと、まさに相撲協会としての自浄能力を発揮されて、しっかりした全容解明を私は期待しております。

 相撲というのは、我が国の、日本の伝統文化の一つであり、多くの相撲ファンが待ち望んでおる、このように思っておりますので、そのような点も十分注意しながら、また、他の公益法人についてもガバナンスを徹底させていきたい、このように思っております。

鈴木(寛)副大臣 財団法人日本相撲協会は、まさに国技であります相撲の維持発展、そして国民の心身の向上を目的として、公益法人であることを認められております。

 加えまして、力士は相撲道に精進をするということも寄附行為に盛り込んでいるところでございまして、社会の一員であることは当然であります。

 加えまして、まさに国技、相撲道を担う者として、きちっとその点を踏まえた教育、そして、それに基づくきちっとした協会運営というものをすべての協会構成員に求めてまいるということも含め、しっかりと指導を徹底してまいりたいと思っております。

池坊分科員 私の質問は、これにて終わります。

 これからも適正な指導をしていただけるよう、心より願っております。

 ありがとうございました。

城井主査 これにて池坊保子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、竹本直一君。

竹本分科員 自民党、衆議院議員の竹本直一でございます。

 私、この分科会で質問をするのは、代議士になって十五年ぐらいになるんですけれども、初めてであります。

 なぜここに来たかというと、実は予算委員会でやりたかったんですけれども、なかなかその機会がないもので、分科会で仕方ないんですけれども、大臣相手にぜひ聞いてみたい、こういうことでございますので、よろしくお願いします。

 問題は、大相撲の八百長問題であります。

 私は、世に言われるいろいろな報道と一般の人の認識、そして、なぜ、もう桜の花も咲こうとするときに、私の地元でやります大阪場所、みんなが心待ちにしていたものを突如中止したのか、どうも理解ができない。したがって、このときに、相撲とは何か、大相撲とは何か、どういう社会的役割があるのか、公益があるのか、そういった問題も含めて議論をしたいと思っております。

 まず、八百長という言葉、ちょっと辞書を調べたんですが、どうも昔、八百屋さんのだんなが、よく遊びに来る碁の下手なやつを相手に碁を打って、必ず一勝一敗、要するに負けてやっておった。相撲取りも満足、そして八百屋のだんなも、いつも有名な相撲取りが来るから楽しい、こういうことでお互いが利益を得ていた、こういうことなんだろうと思います。

 今回の大相撲における八百長問題。語源はそういうことであるにしても、まず、八百長をやるということは刑法上の犯罪かどうかと考えますと、そうではありませんよね。やはり、大相撲の取り組みにおける無気力相撲が八百長と言われているのではないか。無気力相撲で終わっているケースと、何がしかの金銭のやりとりが、その前または後であったかどうかということが問題になるんだと思います。

 大臣、まず、今回の八百長問題、無気力相撲と同義語と考えてよろしいかどうか、それについてお答え願いたいと思います。

城井主査 文部科学省スポーツ・青少年局長布村幸彦君。(竹本分科員「ちょっと、大臣に聞いたんだけれどもな」と呼ぶ)

布村政府参考人 事実関係だけよろしいですか。

城井主査 事実関係から。

布村政府参考人 スポーツ・青少年局長でございます。お答え申し上げます。

 日本相撲協会の寄附行為では、相撲道に精進をするという規定を設けまして、その一つ下の施行細則におきましては、「本場所における故意による無気力相撲を防止し、監察し、懲罰するため、相撲競技監察委員会を置く。」という規定がございます。

 この日本相撲協会が規定する故意による無気力相撲につきましては、このような、先ほど先生がおっしゃられた八百長のお話がございましたけれども、先生がおっしゃられたような八百長と同義であるというふうに相撲協会として考えている旨、説明を受けているところでございます。

竹本分科員 今おっしゃったけれども、シシというのは指すという意味なんですか。もう一回言ってください、その文章。何とかをシシというふうに聞いたんですけれども。

布村政府参考人 相撲協会の施行細則におきましては、「本場所における故意による無気力相撲を防止し、監察し、懲罰するため、相撲競技監察委員会を置く。」という規定が設けられております。

竹本分科員 その前に、何とかシシと聞こえたんですけれども、その文章をもう一回読んでください。(布村政府参考人「シシですか」と呼ぶ)そう私は聞いたんですけれども。何とかをシシと言ったでしょう、あなた。もう一回読んでください。

布村政府参考人 相撲協会の寄附行為の方には、相撲道に精進するという規定がございます。それを踏まえて、今の、故意による無気力相撲を防止する、あるいは懲罰するという施行細則が設けられております。

竹本分科員 大臣、どうですか。それを前提として。

高木国務大臣 無気力相撲という言葉自体が、余り世の中では聞かされていない言葉でしたが、御承知のとおり、相撲協会の規定では、無気力相撲ということを防止する、そういう規定があると思っています。

 無気力相撲というのは、結局、まさに無気力、力を抜いて行う相撲ではないか、私はそのように判断しております。

竹本分科員 だから、要するに、まず、八百長というのは刑法上の犯罪ではないですね。そして、相撲協会においては、無気力な相撲をとられると困る、やるべきではない、そういう意味でそういった行為を八百長と言っているんだと思うんですが、いかがですか。

高木国務大臣 いわゆる八百長という言葉は、委員御指摘のとおり、そこに金銭問題が絡む、これをもって世の中では八百長と言っておる、私はそのように認識をしております。

竹本分科員 金銭問題が絡まないときの無気力相撲は八百長なんですか、八百長ではないんですか。

布村政府参考人 先ほど申し上げました日本相撲協会の寄附行為の施行細則では、金銭が絡む絡まないというのは要件にしてございませんので、お互いに事前に申し合わせたりして力を抜いた相撲をするということが対象になるかと思います。

竹本分科員 それで今回、春場所を協会の方が、これはみずから中止をしたというふうに聞いておりますけれども、そのことについて、文科省としてはどう考えておられるのか。それは、そういう、不祥事か何かわからないけれども、不祥事的なことがある以上、みずから興行をやめるというのは適切な行為だと思っておられるのかどうか。

高木国務大臣 私も、ファンの一人として、春場所が中止になったということは非常に寂しいことだと思っております。

 今回の中止については、日本相撲協会の放駒理事長から、全力を挙げて今のこの事件の調査に取り組むために、二月六日の理事会において、これは臨時理事会でありましたが、春場所の開催中止を決定した、こういう報告を二月七日に受けたところであります。

竹本分科員 文科省は、指導監督する権限というか責任があるわけですけれども、報告は受けられたけれどもそれで仕方ないと思われたのか、いや、そうじゃなくて、やはり興行だからやるべきではないかと思われたのかどうか、その辺の判断はどうですか。

高木国務大臣 法律上は、所管官庁が監督上必要と認める範囲において指導助言はできるということになっております。

 なお、今回の問題については、文部科学省としては指導は行っておりません。これは主催である日本相撲協会の判断、これを私たちは尊重したものでございます。

竹本分科員 まあ、尊重したのかもしれないですけれども、文科省としての別の判断があり得たのではないか、同じ考え方に立たれたのかどうか、どうもその辺がはっきりしないんですけれども。

 要するに、公益法人、今見直しの渦中にあるわけですよね。それで、二十年に公益法人見直しの法律が通っておりまして、期限が、二十五年までに一般か公益かを判断しなきゃいけない。今、この大相撲協会はこれからどうするか。恐らくは公益社団法人と申請をするんでしょうけれども、そのときには、こういった八百長的な問題があったのではとても公益には値しない。ですから、そういったものを取り除く努力をしなきゃいけない、十分できなければ公益社団法人には行けない、こういうことになるんだと思うんですが、そういう理解でいいですか。

高木国務大臣 私もそのような理解でございます。

竹本分科員 さて、これから本論なんですが、協会が言ってきたからそれを了とした、こういう大臣の答弁なんですが、場所というのは、今、年間六場所やられていますよね。それで、かつては、一年を十日で過ごすいい男と言われたぐらいで、十日間ぐらいやって二場所ぐらいのときが随分続いたようですが、だから、双葉山の六十九連勝というのは物すごい記録なんですね。

 それはともかくとして、休むと本来の相撲がとれなくなるんですね。体力を徹底して鍛えるわけで、私もやりましたけれども、学生相撲でも、それこそ竹刀で殴ったり砂を吹っかけたり水をかけたりして体を鍛えて、それに耐えられる者だけが相撲がとれる。その相撲を見ると、人々は、非日常、自分らがやれることじゃなくてやれないことを見せてくれる、そこで喜びを感じ、ある種の敬意を表するというようなところがあるわけであります。

 ですから、そういう意味で、体を鍛えないと、とてもじゃないが素人相撲みたいになりかねない。ましてや相撲取りというのは体がでかいですし、鍛えないとどんどん太っていきまして、ちょっとした相撲で大けがをする、こういうことになりかねないんです。ですから、私は、春場所をやめ、しかも各地の地方巡業までやめるというのは果たしてまともな経営判断だったんだろうかどうかと。

 逆に言えば、協会の幹部が、世論が非常に厳しい、それで申しわけありませんと。先ほど池坊先生が質問しておられたけれども、外部がうるさいから、そのときに何か委員会をつくって意見をもらって、それで事を済ませようとするケースが多いという話をしておられましたけれども、まさにそれに似たような判断で、はいはいと言うことを聞いてしまったのではないかなと。だから、逆に言えば、世論に迎合し過ぎているのではないかと私は思うんです。

 ですから、このまま春場所を中止、まあ今さらできませんから、そして地方巡業も中止して、夏場所をどうするんですか。もし夏場所も休むようなことがありますと、体力が衰えて、とてもじゃないが大相撲として再生するのは極めて難しくなってくるのではないか。

 そこで、指導監督する立場として、文科大臣は、春場所は仕方がない、夏場所をどうするように指導するつもりですか。夏場所の開催をさせるのか、させないのかということです。

布村政府参考人 最近の経過についてお答え申し上げます。

 今、相撲協会におきましては、八百長問題の全容解明とともに、二月十七日にガバナンス委員会から出されました公益法人化に向けた協会の組織改革に、同時に今、一生懸命取り組んでいるところでございます。

 今後の場所の再開につきましては、放駒理事長の方からは、まずは八百長問題の全容解明をした上で、そして全容解明と処分と今後の再発防止をセットで行った上での再開になるというふうに報告を受けているところでございまして、今の時点で、いつの場所からということは明確にはお答えできない状況でございます。

竹本分科員 そこが私の質問の一番の大きい真意にかかわるところなんですが、今、全容解明、関係者の処分と言われましたけれども、そんな短期間で全容解明ができるのか。私は、なかなか難しいと思うんですよ。

 だって、今までこの大相撲というのは、横綱クラスまで八百長ありということでさんざん騒がれて、そしていまだに週刊誌等ではしょっちゅうそういう記事が出てくるじゃないですか。そうしますと、単にメールのやりとりで後に証拠が残った者だけを調べて、若手の下っ端だけを処分して、そういうかつてやったであろうと思われる人たちに対して調査がきっちり行かなければ、それこそ不公平だとか、あるいは不徹底だとか、そういうそしりを受けるのはもう目に見えていると私は思うんです。

 私の言いたいのは、やるべきですよ、やるべきなんだけれども、極めて難しく、かつ時間がかかるであろうと思われるのにもかかわらず、全容解明、関係者の処分を済ませてから場所を開催すると今あなたは説明されたけれども、そんなことが果たしてできるのかどうか、私は本気で心配をしているんです。もしそれが一年かかる、一年半もかかる、あるいは二年かかったら、とてもじゃないが本当に完全に大相撲はつぶれてしまいます。

 私は、八百長をやった人を許していいということを言っているのでは全然ありません。徹底して調査すべきですよ。でも、調査をするということと場所を中止するということを交換条件にしていることが、今回の判断の大きい間違いだと思うんですよ。

 調査を徹底してやりながら、そして大相撲は開催して、地方巡業もやり、トレーニングをする。そして、万が一、同じようなことが今後起こるのであれば、それは困るから、もう一度、全員に対して厳しい処分をこれからしますよということを徹底した上で、春場所を開催する、夏場所を開催する、地方巡業もやりますと。

 そして、体を鍛え続けないと、とてもじゃないが、相撲の伝統、わざというのは守れないというふうに思っているんですけれども、どちらでも結構ですが、私に対するコメントをいただければと思います。

布村政府参考人 先生御指摘の点もごもっともかと存じますけれども、相撲協会放駒理事長におかれましては、先ほど申し上げましたように、全容解明、そして処分、それから再発防止をセットで、その上で出直したいということをおっしゃっておられます。

 相撲の面につきましては、今、力士の方々は一生懸命けいこに励んで、体調は整えておられると思いますけれども、国民の方々の気持ちをも踏まえて相撲協会が御判断いただいたことと思いますので、文部科学省についても、できる限りの支援なりを、またしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

竹本分科員 もう一度聞きますけれども、全容解明と関係者の処分は、そんなに短期間でできますか。

布村政府参考人 相撲協会からは、現時点で、調査の範囲にあらかじめ限定を付することなく、全力で調査に当たりたいという報告を受けているところでございます。

 一方で、御指摘のとおり、相撲協会の行う調査には強制力がないということを踏まえれば、現実的には、警察から情報の提供を受けた携帯電話によるメールの解析ですとか、現役の力士からの事情聴取などを中心に調査が今進められているという状況でございます。それらを踏まえて、できるだけ速やかな全容解明につなげていただきたいというふうに今考えているところでございます。

竹本分科員 協会はそう言っている、それを了としているということなんですが、果たしてそれで、指導監督という立場からしてそれでいいのかなと私は思うんですよね。

 徹底した調査をやり、それで結果まで出して、関係者の処分を全部終えるまで場所を開催しないというのは、余りにも判断を間違っているというか、やはり、それはそれとしてやりながら、関係者の処分をきちっとやりながら、そして相撲は継続すべきだと思うんですが、もう一回答えてください。

布村政府参考人 相撲協会におきましては、不祥事が続いておりますけれども、これまでの薬物の問題あるいは野球賭博の問題に比しまして、この八百長の問題は土俵のそのものの問題であり、相撲協会の根幹にかかわる問題、そういう認識のもとに、今全容解明に最大限の努力をしているものと認識しております。

竹本分科員 もう一つ、経営上の心配があるんです。

 ちょっと調べましたら、相撲協会の事業規模というのは約九十五億円、事業収入は、これは二十一年度ですけれども、約八十六億円という状況なんです。

 それで、力士に対する給与は、横綱が月額で二百八十二万円、大関が二百三十四万七千円、三役、関脇、小結、前頭、百六十九万三千円、幕内が百三十万九千円。代議士の給与というのは大体この程度です、幕内クラスですね。十枚目で、十両が百三万六千円、こういうことなんです。

 これを、春場所をやらないにもかかわらず、給与を払うんですか、払わないんですか。

布村政府参考人 本場所は開催されませんけれども、給与は支払うというふうに聞いております。

竹本分科員 これは大変なんですよ。何にも仕事をしない、稼ぎもしないのに給与を払わなきゃいけない。そうすると、こんなものを一年も続けたら、だって、内部留保が三十八億余りなんですよ。年間八十六億円も収入があるけれども、ほとんど使っているわけでしょうから、そんなものはすぐになくなっちゃうんです。だから、そういう経営上の心配について、どう考えておられるのか。

布村政府参考人 相撲協会の財政状況について申し上げます。

 相撲協会の資産は、平成二十一年末現在で約五百億という数字になってございます。このうち、基本財産以外の取り崩し可能な財産は、普通預金およそ三十九億円など、約二百億円であると承知しているところでございます。

 先ほどの、場所が開催されなくとも給与は年間四十億という数字が挙がってございますので、そういった面からは、協会が直ちに財政的に運営困難な状態に陥ることはないというふうに認識しており、国技として広く国民に親しまれている大相撲が再生するためには、八百長問題の全容解明に向けまして、腰を据えた最大限の努力をしていただきたいというふうに考えております。

竹本分科員 金が幾らですか、二百億円ぐらい残っているから、一場所で四十億、払い切れると。随分大ざっぱな経営のやり方だなと私は感心するんですけれども。

 要は、毎日営業して稼がないと、協会自身がもたないんじゃないかというのを私は言いたいわけですよ。全容解明、私はそんな短期間でできるとはとても思えないです。ずっと続けながら、徹底した調査をやり続けながら営業をやるべきが本当だと、私は本当に思っているんです。

 これ以上聞いても同じ答えしか返ってこないので、この点についてはやめますけれども、もう一つ、協会の改革について、いろいろ議論があります。

 特に、年寄株がお金でもって売買されている、こういう話もよく聞くんですが、これと協会との関係はどうなっているのか、ちょっと教えていただきたい。

 つまり、年寄株というのは協会の権利であって、それを特定の条件を満たした関取、元関取ということになりますか、その方に譲渡するのか、あるいは、現在年寄の人が廃業する、そして自分の部下に対価をもらってそれを譲る、あるいはもらわないケースもあるかもしれませんけれども、そのように個人的な条件で譲渡できるものなのかどうか、事実関係を教えてください。

布村政府参考人 年寄株について御説明申し上げます。

 年寄株は、年寄名跡の俗称というふうに言われておりまして、年寄名跡は、日本相撲協会の年寄名跡目録に記載された年寄の名称であり、親方株とも呼ばれているところでございます。年寄は、年寄名跡を取得した者を指しており、年寄名跡を取得した年寄は日本相撲協会の評議員となるというシステムになってございます。

 年寄株は現在、百五、存在しているところでございまして、相撲協会は年寄株の財産価値を認める行為はしておらず、年寄株の売買は実態上行われているという状況でございます。

 先ほど申し上げましたガバナンスの委員会の答申におきましても、金銭の授受に伴う年寄名跡の異動については問題ではないかという提言があり、今後、相撲協会においてそのあり方を検討いただけるものというふうに考えてございます。

竹本分科員 要するに、年寄株は、部下かどうかは知らないですけれども、自分のところの力士を指導をするわけです、そして育成するわけです。その限りにおいては、個人的というか、プライベートな側面もあるとは思うんですが、同時に、今の御説明によると、評議員にもなりますね。そうすると、協会の責任者です、ガバナンスの責任者ですよね。ですから、そこをきちっとやることによって、今回の八百長のようなことが十分防げるのではないか。逆に、評議員であるという認識が各年寄に低いのではないかというような感じがするんですが、いかがですか。

布村政府参考人 今先生おっしゃられたとおりかと存じます。

 相撲協会の親方の方々は、みずからの弟子を育てるといった場合には、自分で弟子を探してきて、自分のお金を、協会の委託費もございますけれども、みずから手塩にかけて弟子を育てて、力士、関取にする、そういう気持ちで、自分の部屋だというふうな感覚が強くて、相撲協会全体を見渡した形での先生おっしゃられたガバナンスという観点を、今後の改革においてはより強めていただくという方向でお取り組みいただければと考えているところでございます。

竹本分科員 要するに、評議員という立場でガバナンスを徹底することによって不祥事を防ぐといういい側面と、やはり自分の部屋だという自主独立の気概を持って、リスクをかけながら相撲取りを育成する、その方がやはり効果があると思うんです、競争になるから。公務員みたいに全部上から給与がもらえるんだということでやってしまうと、なかなかうまくいかないんです。両方の役割があることは間違いないというふうに思います。

 私は、大相撲というのは、結局、やり方を見ておっても、土俵の上で相撲をとる、そして神主さんの格好をした行司が判定する。それはもう最終的な判定です。確かに、物言いはあります。これは最近になって、まあ最近でもないけれども、その後にできたものであって、本当はもう彼が神様ですから。そういう儀式の中でやる。

 そして、高い土俵でやるということは、低くやると、下手して頭でも打つと死んだりするんですね。非常な危険を伴うんですね。だけれども、そういうことは、我々普通の人間では危なくてできないことです。でも、彼らはそれができる、そしてけがをしないために体を鍛えている、こういうことですね。非日常性を期待しているんです。

 私は、大相撲というのが日本の文化だと思うのは、やはりそういう儀式性、そして、これは八百長ではなくて、お互い、相手を傷つけること、けがをさせることのないような配慮というのは常にされているわけです。それは八百長でも何でもないと思うんですよね。

 変な話、相撲のわざで、最近うっちゃりが少ないと言われるんですよ。だから、それは八百長をやっているんじゃないかというんだけれども、これだけ体が大きくなりまして、あれだけの高さで下へ転びますと、本当に危ないんですよ。だからそこは、けがをしないような配慮はやはり相撲道としてあるんだと思うんです。それは八百長でも何でもないんですよね。ですから、ここは格闘技のK―1とか、ああいうのとちょっと違うところだと私は思うんです。そこがまた日本文化の象徴と言っていいような一つの形なんですよね。

 ですから、形と技術、それをともに備えた、そして国民に最も親しまれているスポーツがこの相撲だというふうに思います。サッカーとか野球とか、いろいろ人気はありますけれども、やはり、ほぼだれが見てもルールがわかるというか、そういうスポーツなんですね。そして、なおかつ儀式性がすごくある。これがまた日本らしさを残しているものだと思っております。

 ですから、そのルールというか儀式を守る限り、今は幕内力士の半分ぐらいは外人だと思うんですけれども、それは残念だと私は思いますよ。だから、日本人が横綱にならなきゃだめだ、そういう狭い根性ではなくて、そのルールにのっとった人の中で一番強い人が横綱になるんだ、そういう解釈で私はいいと思うんですよ。

 だから、日本人はもっと外国人に対して勝てるような、そういうトレーニングをやはりしなきゃいけない。そのためには、やはり出身母体の数が少ないんですね。相撲を将来やる、大相撲へ行こうという人、今、親方連中は探すのに躍起になっているんですが、なかなかいないんですよ。一たん相撲道に入ってしまうと、体が大きくなってほかに転業がきかない。野球選手だとプロゴルファーの尾崎将司みたいになれるけれども、なかなかなれないんですよ。だから、それだけに、親も子供を一生相撲で終わらせるという決断はなかなかできない。

 それだけに、社会全体で支えてあげなきゃいけない。支える責任はどこにあるかというと、やはり日本の文化ですから、公益性があるわけですから、そこは国としても温かい目で見てあげていただかなきゃいけないわけですね。

 ですから、結局、今回の八百長は、私は遺憾ですよ。遺憾ですけれども、その調査に何年もかけてやることによって、それと場所を中止するということを交換条件にしたことが大きい間違いだと私は思っておるんです。私は大相撲がもっともっと栄えてほしいと思う人間で、皆さんもそうでしょう、大臣もそうでしょう。

 ですけれども、やはりそこの判断、できるだけ早く、夏場所から大相撲を再開させないといけないと思いますが、夏場所、大相撲を再開するように指導しますか。大臣、この最後の質問だけちょっと答えていただきたいと思います。

城井主査 では、簡潔に。高木大臣。

高木国務大臣 相撲に大変詳しい竹本委員からの御指摘でございまして、まさに相撲の魅力ということについては、私も国民の皆さん方もそうですし、ぜひそうありたいと思っておるのは間違いないと思います。

 いずれにいたしましても、今、責任者たる放駒理事長が、とにかく先決問題としてこの全容解明を急ぐ、こういうことでございますので、私としては、できるだけ早くそういうものができるように見守っていきたいと思っております。

竹本分科員 時間が来ましたので、これでやめますが、急ぐのもいいんですけれども、ともかく、相撲を、夏場所を必ず開催してほしい、そのためにそういう指導を大臣としてやってほしいというのが私の願いであります。

 以上です。これで終わります。

城井主査 これにて竹本直一君の質疑は終了いたしました。

 次に、馳浩君。

馳分科員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。午前中の最後のバッターということで、よろしくお願いします。

 我が党の竹本さんから大相撲の現状を大変憂慮したお話がありましたが、私の考え方は全く反対なんですよ。仏の顔も三度まで、今まで何度同じ答弁を相撲協会が繰り返してきたかということを考えると、徹底的にやってください。そして、そうすることが協会内を国民の信頼に足る組織につくり上げることになりますので、大臣のリーダーシップを期待いたします。

 私は、きょう、質問通告をいたしました十番目から質問をいたしますので、申しわけございませんが、資料の方をめくり直してください。

 かつては、日本語教育に関する調査研究を行う政府機関が存在しました。独立行政法人国立国語研究所です。その国立国語研究所の日本語教育基盤情報センターでは、日本語教育に関する調査研究、カリキュラムの開発、試験シラバスの開発、日本語教育の人材育成、全国の日本語ボランティアのネットワークづくり、さまざまなデータの蓄積、データベースの維持管理を行っていました。この独立行政法人が廃止され、平成二十一年十月一日から、大学共同利用機関法人人間文化研究機構の中に新しい国立国語研究所が設置されました。そこでは、日本語教育研究・情報センターが設けられ、旧国立国語研究所の仕事を引き継いでいます。

 センターの予算規模、人員、プロジェクトの内容が、移管前と後ではどう推移していますか。移管前三年間と移管後二年間の数字でお示しください。機能が縮小されていることはないか、政府の認識をお伺いします。

笹木副大臣 お答えします。

 予算規模についてですが、旧国語研の移管前三年間については、研究所全体で毎年十一億円であった。大学共同利用機関への移管の後ですが、平成二十一年度が十一億円、平成二十二年度が十二億円というふうになっています。

 人員については、旧国語研で日本語教育に関する事業を実施していた日本語教育基盤情報センターが十人の体制であった。移管の後では、同事業を引き継いだ日本語教育研究・情報センターで、研究系との併任も含めて、平成二十一年度が十人、平成二十二年度が十三人、こういうふうになっております。

馳分科員 独法移管を法改正した当時の衆議院の文部科学委員会では、私も自民党の筆頭理事を務めさせていただきました。審議の末、それまで当該研究所で実施されていた日本語教育研究にかかわる業務の維持拡充を担保するための修正案と附帯決議案が、全会一致で採択をされました。そのときに知恵を出していただいたのが鈴木副大臣でありまして、ありがとうございました。当時、私も丸のみをさせていただきました。いいものはいい、そういうことです。

 その際、修正文で、当該業務を担うにふさわしい主体等に関し二年を目途とする検討条項を加える、当該業務のあり方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするとし、附帯決議では「さらに、将来的には国の機関とすることを含めて組織の在り方を抜本的に検討すること。」と述べています。移管されたのは平成二十一年十月一日のことですから、ことしの十月には二年経過いたします。

 そこで質問いたします。

 まず、文部科学省では、移管前の日本語教育研究業務が移管後も十分に維持されているかどうかの調査を開始しているでしょうか。

笹木副大臣 プロジェクトについては、日本語教育基盤情報センターで調査研究事業として実施されていた事業は、移管後、研究・情報センターの共同研究プロジェクトとして引き続き実施をしている。同センターでは、日本語教育データベースの構築、日本語教育、学習に関する情報提供事業を引き続き実施しているわけです。こうしたことを踏まえて、今言った人員等について、あるいは予算のことについても調査を始めております。

馳分科員 そこで、通告していた次の質問は、さっき伺いましたので結構です。

 移管の前と移管した後で、大規模な調査研究事業の実施について何か影響はありますでしょうか。

笹木副大臣 現在、日本語教育研究・情報センターとして引き継いでいるわけですが、国内外の大学等から多数の関連研究者の参画を得て実施をしております。また、日本語教育データベースの構築、日本語教育、学習に関する情報提供事業も継続実施しております。

 こういうふうに、移管の後も、旧国語研の日本語教育基盤情報センターから引き継いだ事業については着実に実施をされているというふうに認識をしております。

馳分科員 政府は、移管後も日本語教育に関する調査研究、資料の作成、公表等の業務が維持拡充されていると判断しますか。その根拠とともにお示しください。

笹木副大臣 移管後の国立国語研究所において、移管前から実施されていた生活のための日本語の内容や評価に関する研究継続はもちろんですが、大学共同利用機関法人としての特徴を生かした幅広い学問領域と連携をして、日本語教育に関する多様な問題について実証的な研究を行うプロジェクト、こうしたものも新たに開始されております。

 こうしたことも踏まえれば、日本語教育に関する調査研究、資料の作成、公表等の業務が移管後着実に実施をされている、そして今お話しした新たな事業も実施をされている、こういう現状です。

馳分科員 大規模な調査研究など事業性の高いプロジェクトを大学共同利用機関法人の枠組みの中で実施することに制度上の制約や限界があると思っていますか。それとも、そうではなくて、今のままでも十分だとお思いですか。

笹木副大臣 旧国語研の日本語教育基盤情報センターから引き継いだ事業については、予算、人員、プロジェクトの内容の面で、先ほどからお話をしていますように、着実に実施をされている、新たな事業もやっている。

 このように、大学共同利用機関に移管をされた国立国語研究所において、移管後も、国語の改善や国語政策に積極的に貢献するという観点から、国語に関する総合的な学術研究は着実に推進をされている。制度上の制約や限界があるとは、今のところ把握をしておりません、認識をしておりません。

馳分科員 この独法改革のときに修正案を私ものんだということは、まさしく今笹木副大臣がおっしゃっていただいた心配があったんですね。大丈夫かな、組織が変わって、この調査研究、こういった機能が失われたり縮小していくんじゃないのかなという心配があって、修正文や附帯決議をつけたんですね。老婆心ながら、当時は、「国の機関とすることを含めて」、あえてこういうふうな文言を載せたんですよ。その真意というのは御理解いただけると思うんですね。

 二年目を迎えようとしておりますので、国の機関とすることを含めての組織のあり方について抜本的に検討する、ここは政治判断もあると思うんですが、今ほどずっと副大臣の答弁を伺っている限りにおいては、心配がないのかなと私も判断しましたが、ここは、「国の機関とすることを含めて」とある中で、今後の組織のあり方についての見解をちょっとお示しいただければありがたく存じます。

高木国務大臣 御指摘の点については、委員は非常に詳しい法案審議の過程も承知をした上ですけれども、この独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律の附則第十五条、つまり、「国は、国語に関する調査研究等の業務の重要性を踏まえ、当該業務の人間文化研究機構への移管後二年を目途として当該業務を担う組織及び当該業務の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」ということでありまして、この移管後二年というのは平成二十三年十月一日、こうなっております。

 したがいまして、我々としても、移管後の業務の状況について検証していく予定としておりますし、組織のあり方についても、この検証を踏まえて、外部の有識者などの意見もお聞きしながら検討してまいりたい、このように思います。

馳分科員 実は、私、あえてこの質問の順番を変えたのは、ちょっとだけ説明させてください。

 リーマン・ショックの後に、我が国で働いておられた日系外国人の皆さん方が職を失う、特に派遣の方も多かったりして、では今後の生活をどうしようかとなったときに一番最初にぶち当たった問題が、日系外国人の日本語の問題だったんですね。つまり、再就職しようにも入り口で、手続からしてわからない、どこに相談へ行っていいかわからない。

 当然、日系外国人は家族を連れて日本に来られておりますから、その子供たちの教育環境も、仕事がなくなったので、外国人学校に高いお金を出して行かせることはできなくなった。そうかといって、では、地域の小中学校には当然通うことはできますが、行かせたらいじめられて、いられなくなった、そして学校に通わなくなってしまった。そうすると、今度、日本ならば高校進学の問題がありますけれども、高校進学すらしない、できない現状になって、そういう方々が、特に定住外国人集住都市と言われる、これは大体三十ほどございますけれども、ちょっと社会問題になりましたね。

 そのときに、日本語教育についてのメッカというか組織的な母体がしっかりしていて、その上で、関連する、厚生労働省関連、経済産業省関連、法務省、外務省関連、そういった手続等、あるいは情報のセンターとしての機能が一つ必要なのではないかなというふうな議論が大変多くあったんですね。

 そういう背景の中で、私も当時、独法改革、自由民主党としても行政改革の必要性は十分認識している中で、ばっさりと断ち切るような形だったんですが、鈴木副大臣も御存じのように、お互いに話し合いの上で、この機能はやはり残していかなきゃいけないねということで、こういう形で移管をしたという経緯がございます。

 そこで、また質問に戻りたいと思います。

 平成二十二年八月三十一日に、日系定住外国人施策推進会議から、日系定住外国人施策に関する基本指針なる政府文書が公開されています。この文書は、関係府省庁の副大臣が策定したものであり、民主党政権の基本姿勢を明確に示すものであります。

 「単に定住を認めるだけに留まらず、日系定住外国人を日本社会の一員としてしっかりと受け入れていくべきであり、そのための方策を考える必要がある。」と明言し、次の五つの基本指針を挙げています。一、日本語で生活できるために、二、子供を大切に育てていくために、三、安定して働くために、四、社会の中で困ったときのために、五、お互いの文化を尊重するために。

 この政府文書は、我が国の外国人政策の歴史から考えて画期的なものであると高く評価したいと思います。外国人の受け入れは日本社会の将来を大きく左右する重要な問題であり、このような認識のもとに、以下の質問をいたします。

 この政府文書では、「基本指針に盛り込まれた事項については、各府省庁で検討を行い、平成二十二年度末を目途として策定する行動計画に反映させることとする。」と明記されています。その後、行動計画の策定がどこまで進んでいるのでしょうか、進捗状況をお伺いいたします。

高木国務大臣 昨年八月に日系定住外国人施策推進会議が策定しました基本指針では、いわゆる定住外国人の日本語習得のための体制整備、子供の公教育を受ける機会の保障などが盛り込まれております。

 これに先立って昨年の五月に我が文部科学省で取りまとめた、定住外国人の子どもの教育等に関する政策懇談会の意見を踏まえた政策のポイントでは、まず第一に、日本語指導の充実を図る、第二に、公立学校に入りやすい環境を整備する、第三に、外国人学校における各種学校、準学校法人化を促進する、この三つについて、そのほかもありますけれども、これに取り組むことにしております。これらは、今年度中に策定する日系定住外国人施策に関する行動計画にぜひ盛り込んでまいりたい、このように思っております。

馳分科員 「行動計画に盛り込まれた事項のうち新たな施策については、外国人に係る住民基本台帳制度のスタートを」、これは予定されているのは平成二十四年夏でありますが、「目処として本格実施を目指すこととする。」と書かれています。

 ここに書かれている新たな施策として、どのような施策が検討されているのでしょうか、途中経過だけでもお聞かせください。

岡田政府参考人 御指摘のとおり、基本指針には、行動計画に盛り込まれた事項のうち新たな施策について、外国人に係る住民基本台帳制度のスタートを、二十四年夏でございますが、目途にして実施を目指すこととしているということを記載してございます。

 これは、日系定住外国人施策を今後具体化するに当たって、中には、新しい項目につきましては検討に時間がかかるというものもあるということから、時間的な余裕ということで、平成二十四年を一つの目安として考えたらどうかということを示したものでございまして、具体的に、こういう施策を、あることを想定して、念頭に置いて決めたものではございません。

 行動計画につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたけれども、今年度末を目的に今作業をしておりまして、内閣府として今、関係省庁からいろいろとお話を聞いたりするというようなことを通じて、検討を進めているところでございます。そういうことで、現段階では関係省庁と調整中でございますので、現段階ではなかなか申し上げる事項がないということについて御理解いただければと思います。

馳分科員 「日本に定住し、日本社会に受け入れられるためには、日本社会におけるコミュニケーション手段である日本語をしっかりと習得することが必要である。」と書かれています。

 では、現在、日本に定住している外国人の日本語能力はどの程度であるのか、日本語の習得状況はどうなっているのか、定住外国人は日本語習得に当たってどのような困難に直面しているのか、このような基本的な事項についての調査データがあればお示しください。

笹木副大臣 国立国語研究所が実施した調査で、我が国に定住する外国人約千六百人にアンケートを実施して、その結果ですが、日本語について、読むことに関しては、全く読めないとか、平仮名と片仮名、易しい漢字しか読めない方が五割、書くことについては、全く書けない、平仮名と片仮名、易しい漢字しか書けない方が六割、話すことについては、全く話せないか、日常的なあいさつ、あるいは簡単な表現しか話せない方が五割、こういう結果となっています。

 あと、いろいろ悩みですとかそういう不満、あるいは問題点ということですが、母国語で学べる学校とか教室がない、それから、都合のいい場所や時間に日本語学校、教室がない、あるいは、これはアンケートの結果ですが、勉学に充てる時間がない、そうした回答が多いわけです。

 母国語ができる人によって日本語学習の指導者をということで、今、そういう奨励とかは一生懸命している状態です。あと、委託をふやしていろいろな場所で、場所の問題があります、それから時間の問題、いろいろな場所で日本語の教室を開けるようにしたい、今そういう取り組みをやっている最中です。

馳分科員 国として今後取り組むべき施策の一つとして、日本語教育の総合的な推進体制の整備を挙げています。具体的にはどのような施策を考えているのか、政府の方針をお聞かせください。

笹木副大臣 我が国に在住する外国人に対する日本語教育については、関係する府省でいろいろな取り組みがあるわけですが、全体として効果的に実施ができるようにということで、総合的な推進体制を整備することが必要だと思っております。

 文化庁で、関係府省の実務者を集めて、政府の取り組みについての現状そして課題を整理していく、日本語教育関係府省連絡会議を開催しております。さらに、今後は、日本語教育について具体的な事業を行う関係機関、団体の参集を得て、日本語教育推進会議の開催、これは新年度に始めたいと思っております。さらに、さまざまな機関が保有している教材、資料、データ等の各種コンテンツを横断的に利用する、日本語教育コンテンツ共有化推進事業も実施していきたいと思っています。

 先ほどのアンケートの結果の中で、御紹介を先ほどし忘れましたが、どこに問い合わせしたら、どこに当たったらそのヒントが得られるかわからないというのも、一〇%台だったと思いますが、そういう答えもあります。これは、文化庁のホームページとかそういうところを通して、無料でそういう仕事も始めていきたいと今取り組んでいるわけです。

馳分科員 副大臣、それはいいと思いますね。やはりデータベース、どこからでもアクセスできて、だれでも利用することができる情報の一元化、私はそれは本当に大事だと思います。

 今副大臣がおっしゃった日本語教育関係府省連絡会議、その活動内容を具体的にお知らせください。

笹木副大臣 この関係府省連絡会議は、昨年七月に設置をしております。今まで、現状の把握、課題の整理ということで情報交換を行っているわけですが、七月と九月、二回開催をしております。関係省庁、内閣府、総務省、法務省、外務省、厚労省、経産省、文科省。日本語教育の総合的推進と日本語教育関連施策について、まずそれぞれ説明をし、課題を整理していこうということです。

馳分科員 「地域の日本語教室や日本語学校等における教育体制の充実を図る。」とも書かれていますが、地域の日本語教室ではどのような問題が起きていますか。それに対してどのように対応しようと考えていますか。また、日本語学校などの教育体制についてはどのような施策を考えていますか。

笹木副大臣 平成二十年一月の文化審議会小委員会の報告において指摘もされているわけですが、外国人の日本語教育の学習内容、方法が確立をされていないという点、それと、今先生の御質問の中にもいろいろ最初にお話がありましたが、ボランティアに過度の負担を強いている結果になっているということ、これが指摘をされております。

 そういう指摘を踏まえて、文化庁では、外国人が日本で生活する上で最低限必要な日本語をちゃんと習得できるための標準的なカリキュラム案、その活用のためのガイドブックを作成しています。それと、日本語教室の設置やボランティア研修を行う、生活者としての外国人のための日本語教育事業、これを実施しております。

 今後は、この日本語教室の設置等をさらに推進する、公民館であったり、日本語学校においてやっていただく、こういう設置をさらに推進する、ふやしていく、あと、カリキュラム案やガイドブックを踏まえた教材例の作成、周知を行っていきたい、それで体制の充実を図っていきたい、そういう取り組みをやっております。

馳分科員 外国籍児童生徒の不就学は看過できない問題です。文部科学省も積極的に取り組んでいるところでありますが、不就学児の学習支援のために実施されている虹の架け橋教室事業は、これまでにどのような成果を上げたのか、その実績をお示しください。この事業をなお一層充実させるための方策を検討している場合には、その内容をお聞かせください。

笹木副大臣 今委員からお話があった虹の架け橋教室、定住外国人の子供の就学支援事業、平成二十一年から実施されているわけです。自治体あるいは大学、NPO法人が実施をしている四十二の教室で千二百人の子供たちが学んでおります。

 虹の架け橋教室で日本語や生活習慣等の指導を受けて、公立学校にこれまでに百六十九人、ブラジル人学校等に二百二十四人が就学をしております。

 この事業では、今お話をしたように、子供を学校へつなげるということとともに、地域の行事への参加とか社会見学、あるいは子供と保護者に日本社会と接する機会をふやしていく、そういうこともやっております。交通費の支給とかも含めてやっているということです。

 あと、不就学の子供や保護者のいろいろな実態調査をしていて、なかなかそういうところにつながっていない。就学意識、就学をさせようとか、本人が就学しよう、そういう意識が弱い場合も結構見受けられる。これは、外国人集住都市会議とかでも指摘をされています。

 そこで、この日本で学び活躍している、例えばブラジル等から来日して活躍している、そういう方の先輩に架け橋サポーターとして子供に体験談を話してもらったり、そうした将来の夢を引き出す取り組みも今始めたところです。

馳分科員 ちょっと質問を離れるんですけれども、子供がどうやったら寄ってくるかというのは、いろいろな知恵が必要だと思いますね。

 長らく日本の学校制度の中で言われているように、給食があればやはりやってくるかもしれないし、あるいは、ブラジルといえばサッカーとか、あるいは、最近地方自治体でも協会ができてきていますけれども、カポエイラという民族格闘技、あるいは音楽とか、こういった言葉あるいは学校、やはりある程度子供たちが通ってきたくなるような仕掛けというのも必要だと思うんですよ。

 ただ、行政的にホームページや、あるいは公民館や国際交流センターなどでこういう集いがありますからというパンフレットみたいなものを配って、さあ集まりなさいと言うだけでは、なかなか集まってきたがらない。特に、思春期の子供たち、また、高校進学を断念せざるを得なかった、何となく町でうろうろしていなければならない子供たちは、そのままにしていいわけがないわけですね。その子供たちがまず集まってくる、そこでコミュニティーができて、それを育てていこうとするところに行政の責任があるのかなと私も思いますので、工夫のほどをお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 外国籍の児童生徒の教育に関しては、日本語指導に携わる教員の養成が必要です。現行の教員養成課程の中に日本語教育科目を必修科目として加えることも検討されるべきであります。日本語指導教員の養成についての見解と増員に向けての方策を伺います。

高木国務大臣 御指摘の点については、現在、中央教育審議会で教員の資質能力の向上方策について議論をされております。

 その中で、例えば、外国人児童生徒に対する教育などに関して、専門性を公的に証明する専門免許状、これは仮称ですけれども、こういったものをつくってはどうかということについても、今後検討する際の論点になります。

 また一方、研修については、独立行政法人の教員研修センターでは、日本語指導の指導者を養成するための研修が行われております。四日間のコースで約百名の受講者が対象になっております。

 私どもとしましては、中央教育審議会の審議も踏まえて、今後とも日本語教育指導教員の養成、そしてまた確保に努めてまいりたいと思います。

馳分科員 教員養成についての考え方というのは、私も大臣と全く一緒ですね。養成段階、よりハードルを高くせざるを得ないな、そして採用、それから採用された後の研修、また、信賞必罰といいますか、頑張っている教職員をしっかりと褒めたたえて、給料もちょっと上乗せしてやる、そういった姿勢を文部科学省が毅然としてとる必要があると思うんですよ。

 そんな中で、日本全国の小中学校で外国人の児童生徒を受け入れることができる、である以上は、やはり配置される教職員に対して、一定の基礎的な知識、対応能力、専門能力はそんなに高くなくても対応能力ぐらいはないと、自分のクラスにそういう児童生徒がいたら、何となく、ちょっとおっかなびっくりに対応してもらっては困るじゃないですか。そういう意味での基礎的な科目としても、日本語指導はどうあるべきかと。

 自分の手に負えないこともある、そういうことはあるんですよ。でも、そういうときにはどこにつなげばいいのか、次にどうしたらいいか、だれに頼ればいいかということが、教職員には、管理職が理解をしていれば、うまくつないでいくことができると思うんですね。私は、その辺の配慮というものも、この中教審の議論を見守りたいと思いますが、大臣にもそういう意味でのリーダーシップを発揮していただきたいとお願いを申し上げます。

 次の質問に移ります。

 定住外国人が安定して働くためにも、就職に必要な日本語能力の習得が必要です。その観点から、厚生労働省が平成二十一年度から実施している日系人就労準備事業のこれまでの成果及び問題点をお示しください。

生田政府参考人 日系人の求職者の方の再就職を支援するために、就労への意欲は高いですけれども日本語コミュニケーション能力が十分じゃないようなことで安定した就職ができない方に対しまして、日本語コミュニケーション能力の向上ですとか、あるいは履歴書の作成などを指導する就労準備研修につきましては、平成二十一年度に事業を開始しておりますけれども、この二月十八日現在で、全国で八百三コース、それから延べ一万二千五百五十七人の方が受講されています。

 初年度につきましては、研修修了後一カ月で見まして、研修修了者の三五%の方が再就職をされておりまして、一定の成果は上がっているんじゃないかというふうに認識しております。ただ、昼間のアルバイトとの両立が困難であるということですとか、あるいは授業についていけない方がいらっしゃるということなど、そういう理由で中退する方がいらっしゃるということが最大の課題であるというふうに考えてございます。

 そのために、平成二十二年度から、まず、土曜、日曜ですとか、あるいは夜間コースというのを積極的に設定しようということ、それから、習熟度の差に配慮いたしまして、補助教員を配置するといったような工夫をするということでございまして、これからも効果的な事業ができるように取り組んでまいりたいと考えてございます。

馳分科員 生田さん、何で平成二十一年度からこの就労準備事業が始まったと思いますか、その社会的背景を含めて。今後の継続がやはり必要ですよ、充実も。そのことをちょっとお答えください。

生田政府参考人 今委員から御指摘ございましたように、リーマン・ショックの後、大量に日系人の失業者の方が出まして、ハローワークの窓口も日系人の失業者の方であふれ返ったということがございます。以前のベースと比べまして十倍以上の方の求職者が来られて、就職をするのに、やはり日本語能力がないとなかなか就職できないという現実がございましたので、二十一年度からこういった事業を始めてございます。

 今後とも、日系人の方が就職するためには、やはり日本語能力がないとなかなか厳しいというのが現実でございますので、こういった事業につきましては着実にやっていきたいというふうに考えてございます。

馳分科員 この問題は、総括的に私からも意見を申し上げて、大臣の見解を伺いたい。

 日系人、また定住外国人の方々が、日本において生活をすることができるわけですよね。そうすると、生活言語、学校言語、それから就職、仕事をするための専門的な言語、それと、今般の地震じゃないですけれども、何かあったときの緊急言語というか、こういった意味で、当面生活していく上で必要な日本語習得のためのチャンス、場所、それを指導する人、それを我が国の政策として統括する場所、こういうふうな一貫的な政策の進め方が必要なのだろうなと思うんですよ。

 来年夏から始まる定住外国人に係る住民基本台帳制度、これで恐らく、大体、その定住外国人がどこに住んでいて、幾つぐらいで、どういうふうな行政のサポートが必要かということを一貫して理解していくことができるようになる。また、提供できるサポート体制も飛躍的に充実すると思うんですが、それに備えた、特に日本語指導の充実、そのための体制の整備をぜひお願いしたいということなんです。

 改めて、大臣の決意を伺いたいと思います。

高木国務大臣 確かに、定住外国人、これは、子供だけではなくて、大人に対する日本語の指導についても私どもは重要だと思っておりまして、いわゆる能力評価の基準とか標準的なカリキュラム及び教材を作成するとともに、これらの周知徹底そして活用について今後とも充実を図っていきたい、このように考えております。

馳分科員 私、ちょっと友達が静岡刑務所に入っておりまして、あそこは初犯の方が入るところなんですが、慰問に行ったときに、せっかくだから、刑務所の職員の皆さんといろいろと懇談をさせていただいたんですね。

 一割が外国人の方でありました。刑務所ですから、もちろん少年刑務所とは違うんですけれども、せっかく日本が政策的に定住外国人、日系外国人を受け入れているにもかかわらず、生活をするに当たって十分なサポート体制ができていないということがこういった数値にもつながっているので、やはり、馳さんも国会議員として、こういう実態も踏まえた対応をお願いしたいということ、私も非常に印象的に覚えておりまして、改めて、これは文化庁といったらいいんですか、日本語教育指導についてのリーダーシップを期待するということを申し上げて、次の質問に移ります。

 教職員のうつ病対策でありまして、私、地元石川県の北国新聞の昨年の八月十三日の記事を参考にして、全国的な傾向とは思いますが、石川県でもやはりそうでした。〇九年度、うつ病などの精神疾患で休職する教職員が過去最多、この十年間で八倍ですか、伸びている。そして、休職期間の長期化、あるいは休みがちな予備軍も増加傾向にあるということであります。

 この方々、教職員として大事な人材ですよね。職場復帰支援プログラムはどういうふうになっているのかな、そして、これは国も支援していただいているのかな、ここに着目をして、私はきょう集中してお伺いしたいと思います。

 では、まず最初に、ちょっと時間がありますので、これは鈴木副大臣に聞きましょう。

 もし鈴木さんが中学校の教員だったとして、うつ病になって、二カ月なり半年なり休まざるを得なくなった、こういうふうになったときに、職場に復帰するときに、どういう不安があって、それをどういうふうに解消したら職場に復帰できるか、率直にどう思われるか、お聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 そういうことで一回職場を離れるわけでありますから、やはり再度復帰するといったときにはかなり心理的な、心配というんでしょうか、職場にもう一回、雰囲気になれて戻れるだろうかというところがポイントなのかなというふうには思います。

馳分科員 これは、私学はさておいて、公立を中心に話をしますが、実際に、職場に復帰できない、させられない、そういう教職員はどのぐらいいるんですかね。いないはずがないんですね。どのぐらいいるものなんですかね。それを、統計の数字がわかりましたら、ちょっと教えていただけますか。

鈴木(寛)副大臣 私ども、休職者数は把握いたしておりますが、復帰できないというのも、これまた、期間をどういうふうに決めるのか、こういう定義の問題もあろうかと思いますが、復帰できないという観点での調査は、今のところ持ち合わせておりません。

馳分科員 僕は、そこも今後一つの課題だなと思って聞いたんですね。

 「精神疾患の療養を理由にした休職は最長三年間まで認められ、給与は一年目は八割、二年目以降は無給になっている。」という記事を私は参考にして申し上げさせていただきました。

 そうすると、三年間までは身分保障で守られているのかな、一年目は八割、二年目以降は給料はないんだな、でも、籍はちゃんと三年間は守られているんだなと。多分、この辺を少し基準にして、当事者、本人も考えるだろうし、その休職している教職員の担当医師もそういうことを踏まえた対応をしたり、あるいは所属している教育委員会もそれを踏まえた対応をしているんだろうというのは当然だと思うんですね。

 ここは、僕は何度も言いますけれども、やはり教職員は現場にとっての宝物ですよ。できるだけ復帰させてやりたいし、そのための支援をしなければいけない。そのときに、かゆいところに手が届くような支援になっているのかなというところなんですね。交通事故に遭って入院して、休んで復帰するというのとは意味が違うじゃないですか。教育現場での精神疾患というのは、これは大きな影響があるわけですね。

 だれに影響があるのかなと私も考えたら、まず、教員自身、本人に影響がある。それから子供たち、授業を見ているわけですから、子供たちに影響がある。それから、子供たちを預けている保護者に影響がある。それから、ある日突然いなくなるわけですから、同じチームであるほかの教職員にも影響がある。それから、管理している、当然、管理職である校長にも影響がある。そして、こういう教職員がふえればふえるほど、教育委員会としても、町の評判になりますよ、これは。当然、人の手当てもしなければいけなくなりますから、これはさらに心配事がふえていく。こういうふうに、どんどん影響が連鎖してくるんですね。

 そう考えると、今やっている政策の中で、復帰をさせることができた、でも残念ながら復帰ができずに離職をせざるを得なかった、その実態というものは、調査し、分析して、その分析した成果というものは文部科学省としても持っておく必要があるのではないかなと思うんですね。いかがでしょうか、鈴木副大臣。

鈴木(寛)副大臣 一義的には人事権は都道府県教育委員会でございますが、この問題は、全国的にも、どの県においても大変重要な課題になっております。

 ということも含め、またきょうの御議論も含めて、都道府県教育委員会とも相談をしてまいりたいと思います。

馳分科員 これは去年の八月十三日の地元の新聞ですから、私も、同級生が、県の教育委員会や教員研修センター、あるいは小学校、中学校、高校の教員として現場におります。友達ですから、みんなに電話をしたり、会って確認をしてまいりました。

 そして、県の教育委員会にもいろいろ伺ってきましたら、教員研修センターにいる私の同級生が、そんなのあったかな、あれ、どうなっていたかなという対応だったんですよ。そうか、そういう意味では、一般職員にとってはそんなにポピュラーな話じゃないのかなと思いながらも、さらに調べてみたら、先週、県の方から資料をいただきまして、休職の問題に関する県の施策の概要ということで、ちょっと申し上げますよ。

 研修会、セミナー、一、管理監督者向け教職員健康管理指導者研修会、平成十五年から。中堅職員向けのメンタルヘルス支援セミナー、平成十八年から。その授業を見てみたら、たった一日の研修なんですよ。大学の先生とか、県の労働者健康福祉機構の石川産業保健推進センターの副所長さんが来て、講演して終わりなんですよ。あるいは、中堅職員向けのにしても、元気力アップの講演、それからコミュニケーションの演習、実技、ストレッチ。これは一日で終わっているんですよ。これで十分復帰支援プログラムとして休職対策になるのかなと私は不安に思いました。

 さらに、研修センターの友達に電話して聞いたら、そういえば電話があったぞと。「はあとダイヤル」というのがあるんですね。電話相談をやっているんですよ。受け付けが、月曜から金曜の午後三時から午後七時まで。これは平成二十一年の九月一日からやっているんだということでありました。

 職場復帰支援プログラムとしてのきめ細かなサポートは、多分、このほかにもやっているんでしょうけれども、県の教育委員会、人事管理者としての認識が余りにもお粗末だなと正直私は思いました。

 精神疾患です。公立学校の教職員です。何とかして現場に戻してやらなければいけないということを考えれば、原因がどうであったか、どのぐらいの期間かかったか、担当の精神科のお医者さんとの関係性はどうか、その教職員はどういう家族構成か、家族の問題もあるのではないのか、それから原因にしても、子供との関係なのか、保護者との関係なのか、職場の同僚との関係なのか、管理職との関係なのか、またそのほかなのかということ。

 そういうことを考えると、石川県で今四十五人という数字が出ていましたが、これは、一人一人に、何かあったら来いよというのじゃなくて、一人一人の教職員に対して、出かけていって、どうなんでしょうか、職場復帰するためには何が必要と思われますかというふうな、そういう支援プログラムがあったり、その先生の専門教科についての研修があったり、学級経営についての研修があったり、そういうきめ細かい対応をしてあげる必要があるんじゃないかなと私は思いました。

 復帰支援プログラムというのは、多分、都道府県によって、人事管理者によってそれぞれやっておられるとは思うんですが、何としてもこの方々、一度は、免許を取って、試験に受かって、現場に配属をされている方々で、若い人ばかりではないじゃないですか。そうすると、ベテランであろうとも起こり得る問題と考えれば、いろいろな精神疾患による、うつ病等々による休職者に対する復帰支援プログラムのサポートを、私は、文科省としてもぜひとらえて、推進してほしいなと思って、きょうこういう質問をしているんですね。

 長くしゃべりましたが、大臣か鈴木副大臣、ちょっと考えをお聞かせください。

    〔主査退席、大串主査代理着席〕

鈴木(寛)副大臣 問題意識は全く共有をいたします。

 私は東京なものですから、東京の場合は、この問題の深刻度合いというのも強いということもあるのかもしれませんけれども、まず、復帰の以前に、ストレス検査を二十三年から健康診断項目に入れるとか、それから、残念ながらそうした休職状態になった教員の復帰プログラムに関しては、一カ月から三カ月以内の期間で、それぞれの教員に応じて、しかも、教育委員会が主体者でありますけれども、直営の病院等々も、公立学校共済組合の直営病院の協力などもいただきながら対応しているという事案もございます。

 ですから、おっしゃるように、かなり都道府県によって対応あるいはその中身が違うのかなということを今のお話を伺いながら思いました。

 したがいまして、やはり、委員おっしゃるように、これはすべての教育委員会所属の教員に対して、より復職支援プログラムを充実させるということは大事でありますから、これまでもいろいろ、各県が何をやっているのかという概要は調査をいたしまして、九四%ぐらいの教育委員会では何らか、石川県も含めて、やっているということでございます。その内容、結果、そしていろいろないい事案というもののフィードバックはやっております。

 それから、通知ということでは、管理職に対してこういう意識をきちっと持ってくださいということを、そして教育委員会については、復職時の支援体制を整備してくださいという通知は出していますけれども、きょうの御議論もございましたので、各県、ないところはまずちゃんとやってもらう、それから、あるところでも、やはりこの問題は重要でありますから、きちっとレベルを上げていただくということに国もきちっとかんでやっていくということが必要なのかなというふうに、今、聞かせていただいて考えているところでございます。

馳分科員 スクールカウンセラー、子供たちの心の相談相手、同時に、教職員の心の相談相手というのは必要なのかなと。

 私は、出身が石川県の星稜高校、学校法人稲置学園なんですが、大学側が大学の予算、人件費で、まさしく教職員も含めて学生を相手のいわゆるスクールカウンセラー、大学ですからメンタルトレーナーみたいなものを雇用したんですね。抜群な効果を発揮しているということで、なるほど私学らしいなと思っておりました。

 最近、私の好きなアメリカのドラマで「グリー」というのがあるんですけれども、あれを見ていると、学校にいるメンタルトレーナーというのは、子供たちのカウンセリングもするし、教職員のカウンセリングもするという非常にポピュラーな存在でもありますね。

 特に、教職員であるがゆえに、うつ病、精神疾患になることはあります。私だってもしかしたら、どういう状況で、いつなるかもわかりません。そういったときに、行政の届け出制みたいな感じではなくて、教職員に対する常にきめ細かい対応としても、すぐにかゆいところに手が届く、そういうメンタルトレーナーを派遣したりする一つのやり方もあるでしょうし、基幹校にメンタルトレーナーを配置するということもあるかもしれません。大事な人材としての教職員を失うことのないように、今後とも対応をお願いしたいと思います。

 これにて私の質問を終わります。

大串主査代理 これにて馳浩君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

城井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

城井主査 速記を起こしてください。

 御出席を要請いたさせましたが、質疑予定者の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 宮本岳志君。

宮本分科員 日本共産党の宮本岳志です。

 大臣は、先日の衆議院文部科学委員会における所信表明で、厳しい経済状況が続く中、子供が家計の状況によって学業を断念せざるを得なくなることが懸念されますと述べ、すべての意志ある人が希望する教育を受け、みずからの能力を高める機会を確保することは社会全体の責務です、本人や家庭だけが経済的負担を負うのではなく、社会全体として支え合うことが必要ですと述べられました。これは間違いないですね。

高木国務大臣 間違いありません。

宮本分科員 この言葉自体は本当に大事なことでありまして、私も賛成であります。問題は、現在審議されている予算案がそういうものになっているかどうかということだと思います。

 この予算委員会で、先日、大臣に私は新卒者の就職難問題で質問させていただきました。昨年来、この問題で学生と懇談を重ねてまいりましたけれども、その中で出されたのは、就職難とともに奨学金の問題が出されてまいりました。

 一社だけ最終面接に進んだが、内定はまだない、月に奨学金五万四千円を受給し、来年から十年かけて約二百六十万円を返済することになっているが、返せるかどうか不安ばかりの毎日だ、高校から大学まで六百万円の借金、院に行けば七百万円返さなければならなくなるから、大学院進学をあきらめたなど、学生や院生の肩に奨学金の返済問題が本当に重くのしかかっているのを肌身で感じました。就職ができなければ奨学金が返せないのは当然であって、これは当人たちに何の罪も責任もないわけであります。

 そもそも政府は、今、就職採用活動について、卒業後三年以内の者を新卒者扱いとするということを企業に要請し、それにこたえる企業も出てきております。ならば、卒後三年新卒扱いで就活している期間は奨学金を返済猶予とするのは当然だと思うんですが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 宮本委員にお答えいたします。

 今、御指摘のように、独立行政法人日本学生支援機構の行う奨学金貸与事業については、失業や低所得等の経済困難者については原則五年間を上限として返済猶予を認めております。

 議員は、卒業後三年以内の未就職者に対しても奨学金の返済猶予をすべきではないか、こういう御指摘でございます。そのとおり、卒業後三年以内の方でも、このことに当てはまることについては本返還猶予制度の中で猶予をいただき、後、しっかりとした生活基盤の確立を目指していただきたい、このように考えております。

宮本分科員 現行制度に最長五年の猶予期間があることはよく知っておるんです。私たちは、そもそもこの最長五年という制度自体に異論がありますけれども、それは後で議論するとして、仮に現行制度の枠内で考えてもこれはおかしいことになるんですね、大臣。

 年収三百万円未満、最長五年の返済猶予期間というものは、大体、就職後五年間ぐらいたてば年収三百万円に達するだろう、こういうことを前提として組み立てられていると思うんですね。

 しかし、三年間新卒扱いで就職活動をやるならば、三年後に就職した場合でもこれは新卒就職ということなわけですから、そこからやはり最長五年間返済猶予というものがなければ制度の整合性が成り立たない。私は、この三年間というものは、五年にカウントすることなくやはり猶予すべきだということを先ほど提案したんですが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 奨学金については、いわゆる多くの方々がこれを受けたいという希望も多いわけでございます。次なる人へもそういう寄与をしなきゃなりませんので、ある意味での限界については今の状況の中ではやむを得ないのではないかと。しかし、その中で、私どもとしてはいろいろな方法をもって修学のために御支援を申し上げたい、このように考えておるところであります。

宮本分科員 次なる人に新たに貸し付けなければならない、これは当然のことでありますけれども、だから返せない人からも返してもらわなければならないというふうになるのが問題であって、やはりそういう新たな方に貸し付ける分の財源をきちっと確保することが必要だと思うんですね。

 そもそも、現在、奨学金の返済に延滞が生じているという事態がありますけれども、それは中には返せるのに返さないという人もいるかもわかりませんけれども、圧倒的には、未曾有の就職難や非正規労働の蔓延など雇用環境の悪化に伴って、奨学金を返す気も十分あるが、返したくても返せないという人たちがふえているということが背景にあるわけですよ。

 そこで、お答えいただきたいんですが、昨年十一月に、日本学生支援機構は「平成二十一年度 奨学金の延滞者に関する属性調査」というものの結果を発表いたしました。この調査結果で、「(一)本人の職業」では何と述べられているか、また「三、本人の年収について」の「(一)本人の年収」では何と述べられているか、お答えいただけますか。

高木国務大臣 御指摘の調査は、日本学生支援機構の平成二十一年度における奨学金の延滞に陥っている方の属性に関する調査でありまして、本人の職業について及び年収についてということで整理をいたしております。

 ともに、経済的な状況が相当厳しい方が延滞に陥っているという結果となっております。アルバイトの方やあるいは休職中の方、あるいは、ある意味では二百万なり三百万未満の方々、こういう方が延滞の大きな背景となっております。

宮本分科員 この結果によりますと、延滞六カ月以上の方の場合、無延滞者と比べて正社員の割合が低く、アルバイト等や無職、休職中の割合が高くなっている。延滞六カ月以上の方の場合、三百万円未満と答えている者は八七・五%で、百万円未満の者に限っても四〇・七%であるのに対して、無延滞者の場合、三百万円未満との回答は四八・一%であることから、延滞六カ月以上者には低所得者が多く存在していると考えられる。

 実に九割近い方々が三百万以内、そして年収百万未満が四割という結果が出ているわけですよ。もしそのような人から年二十万も三十万も返させるとしたら、逆に、その方が憲法二十五条の生存権にもかかわる問題となりかねません。延滞者の実に九割近くが年収三百万未満という状況で、これは十分、先ほど申し上げた猶予基準内に入る人たちなんですね。

 この人たちは、決して返せるのに返していないのではありません。返したくても返せないというのが実態なわけです。しかも、その中には、高木大臣が所信で我が国の成長の最大のエンジンと位置づけた若手研究者が含まれております。

 私は、先日、大学の非常勤講師の方々から直接赤裸々な状況をお伺いいたしました。ある私立大学の非常勤講師の方は、年収約百六十万、年収の低さから返済猶予とされてきたけれども、二年前に五年の猶予期限が切れて返還を求められている。その方の返還金支払い振り込み票を見せていただきましたけれども、六十二万七千円払えとなっておりました。延滞した二年間分の返済金が総額五十七万、これに何と延滞金一〇%が上乗せされて六十二万七千円というものであります。

 大臣にお伺いしますけれども、年収百六十万円という生活保護水準以下という方で、六十二万七千円という額が払えると思われますか。

高木国務大臣 かなり厳しいと思っております。

宮本分科員 こういう非常勤講師の方々は、大学で授業を受け持っておられる学生たちから見れば、みんな先生です。今の年収は生活保護を受けようと思えば受けられる水準だが、できるだけそうはしたくない、でも、どう逆立ちしても奨学金を返済するお金は出てこない、こうおっしゃっておりました。

 別の非常勤講師の方は、大学でフランス語を教えておられます。四十代の方ですけれども、日本の大学院博士課程を修了後フランスに渡って、フランスでフランスの博士号を取得して帰国をされた、大変優秀な方です。現在、三つの私立大学で計六こまの授業を受け持っておられますけれども、年収はおよそ二百万前後。大学院博士課程修了時まで受けた約五百万円の奨学金を月々約三万二千円ずつ返還することになっているが、二百万の年収では国民健康保険の一万六千円を支払うのがやっとだと話しておられました。今は返済猶予を受けているが、切れたらもう滞納しかないとのことでありました。この方にも私は直接お会いしましたけれども、我が国の学術を担う立派な研究者でした。

 大臣、猶予期間を五年とか八年とか期間で区切るというところにもはや限界があるわけですよね。もちろん、理由をしんしゃくすることは必要だと思うんだけれども、このような正当な理由がある場合は、返済できるようになるまで、例えば年収三百万円に達するまでは猶予する、また、現在三百万円を超えている方でも、三百万円を割り込んで未満ということになればまた新たに猶予を受けられるようにする、所得証明をつけて申請すれば猶予する、こういう制度にするのは当たり前だと思うんですが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 委員も御承知かと思いますが、今、失業や低所得の方については原則五年間の猶予期間を持っておりまして、その後、奨学金の返済ができるようしっかりとした生活基盤の確立をしていただく、こういうことで考えております。

 なお、災害とかあるいは疾病、生活保護などの理由によって、それらに該当する場合には、その理由が続く間、五年を超えて返還を猶予できることとしております。

 現時点で返還猶予の期限を見直すことは考えておりませんが、経済的理由により返還が困難な方への柔軟な対応として、本年一月から、毎月の返還額を減額することで返還者の負担軽減を図る減額返還制度を導入し、きめ細かい返還が可能になるようにしたところであります。

宮本分科員 大学で学生たちに先生と呼ばれ、大臣が我が国の成長のエンジンと言われる、まさに日本の未来を担う学術を担っている非常勤講師の方に、生活保護を受けた場合には猶予しますよと言ってみたって、当人たちは、できるだけそうはしたくない、しかし我々の生活実態もしんしゃくしてくれ、制度自身がやはりおかしいんじゃないかという声を上げておられるわけですよ。

 私が先ほど申し上げたように、大体五年たったら三百万に達するだろうというこの見通しは、終身雇用で年功序列型で雇われるのが当たり前だった時代にはそれは一般論とし得たでしょうけれども、今の雇用状態というのはそういう状態じゃないわけですよ。五年たとうが十年たとうが、やはりそこまで達しないという働き方が蔓延しているわけであって、今、本当にこの制度設計そのものを見直さなければならないというふうに私は思います。

 それで、今、首都圏でいいますと、私立大学は非常勤講師が大学教育を担っていると言っても過言ではありません。大学によっては、授業の六割を非常勤講師が担っているという大学さえございます。この先生方がこのような低賃金にあえいでいるのは、御本人の責任ではないんですよ。これまで大学院教育と大学教員養成制度のひずみがつくられてきた、そのことの結果としてこういう方々が残されてきたわけですね。

 イギリスの例を紹介しますが、イギリスでは、年収三百万円以下の場合は返済猶予、卒業後二十五年経過あるいは満六十五歳で返還義務が消滅する、こういう仕組みになっています。そのリスクは国が負担するということになっております。

 それから、先ほど大臣が述べられた、十年間に返済期間を延長して半額に下げるという、ことし一月から導入された制度ですね。これは、半額に仮に減らしたとしても、先ほど申し上げたように、年収百六十万とか二百万という状況では、その半額でさえ簡単に返せる状況じゃないんですね。

 それで、イギリスでは返済額は所得の三・八%を上限にする、オーストラリアでは所得の八%を上限にして、所得から返済額を決めるというふうにしているわけですよ。所得と無関係に定額で、何があろうが返せ、こういう制度は諸外国はとっていないんですね。

 私は、やはり、正当な事情があり、返済意欲はあるのに返済できないという人については、定額返済方式だけでなく、諸外国のように、ちゃんと収入に応じて、返還者と返済額を相談して、そして払える額をきちっと払っていただく、納めていただく、こういう弾力的な返済制度に切りかえるべきだ、見直すべきだというふうに思いますけれども、大臣、そうじゃありませんか。

高木国務大臣 御指摘の収入に応じた返還制度、いわゆる所得連動型と言っていいんでしょうか、今、イギリスやオーストラリアの例を挙げられました。そのための前提として、我が国の税制などさまざまな制度との調整が必要になってまいります。したがって、直ちにこのことを実施することは困難になる、このように考えております。

 いずれにいたしましても、減額返還制度を着実に実施することなどによって、個々の事情について可能な限り柔軟に対応していきたい、このようには考えております。

宮本分科員 ぜひ検討はしていただきたいと思うんですね。実態をちゃんとつかんでいただいて、そして、きちっと払えるだけを払っていただくということも大事なことですし、御当人たちも、払える額であれば払いたいというお気持ちを持っているわけですから、ここは定額でなければまかりならぬというんじゃなくて、きちっとやはり誠意を持って話し合い、そしてそういう弾力的な制度を検討するということはお願いをしたいと思います。

 それで、延滞したらどうなるかですよ。私、日本学生支援機構が出しているパンフレットを見て驚きました。延滞三カ月で個人信用情報機関に個人情報が登録されるとあります。これはブラックリストに載せるということですね。御丁寧にもパンフレットには、「登録されると、クレジットカードが作れなくなったり、住宅ローンを組めなくなる場合があります。」と、おどしのような言葉が書いてあります。

 今では、カード会社が賃貸住宅の大家と連携してカードで家賃を決済するというケースがふえておりますから、そうなると賃貸住宅さえ借りられなくなるわけです。延滞四カ月になると民間債権回収会社、サービサーからの執拗な回収が始まり、延滞九カ月で法的措置。二〇一一年度からは、延滞率の高い学校名の公表も行われるわけですよ。これでは、もはや奨学金制度ではないですよ。町金の取り立てみたいなものではありませんか。

 諸外国では、勉強しようという若者には、本来、給費制、返済の必要のない奨学金で支えるというのが常識なんです。国の成長の最大のエンジンというんだから、当然それは給費制で支えるというのが精神だと思います。にもかかわらず、金を貸して利子を取り、延滞すれば一割もの高利を押しつけて、ブラックリストに載せて追い立て回す、そんなことをやっている国がどこにありますか。

 直ちにこんなやり方はやめるように求めたいと思いますが、大臣、いかがですか。

高木国務大臣 今、現下の厳しい経済情勢の中で、雇用情勢も深刻であります。ただいまの個人信用情報機関の活用ということについては、言うまでもなく次の学生への貸与の原資となる、その返還金の回収促進ということも考えられるものでありまして、また、このことは、延滞者に対する各種ローンの過剰貸し付けを抑制するとか、あるいは多重債務化への移行を防止するとか、いわば教育的な意義もないでもない、私はこのように思っております。

 その運用についてですけれども、これは本人の同意を得た上で三カ月以上延滞した者に限られておること、これが一つ。また、返還が延滞している者の中には、経済的理由等により真に返還が困難な者と、返還ができるのにしない者と、双方がいることから、真に返還が困難な者については返還猶予制度により猶予を認め、その者については個人の信用情報機関への情報提供はしないことにしております。

 このような制度の趣旨及び返還猶予制度の十分な周知徹底を図ることがまず何よりであります。また、返還相談体制の充実というのも、これは親身になってやらなきゃなりません。いずれにしても、学生や返還者の不安の解消については取り組んでまいりたいと思います。

宮本分科員 次の人に貸さなければいかぬからやるというのは本当にひどい話であって、次の人に貸すためのお金というのは当然公的に準備するものであって、そのためにどんな取り立て方でもやっていいんだという話にはならないわけですよ。ましてや、教育的な意義があるというのは余りにもひどい言い方だ。これは、この場で決着がつくまでできませんので、引き続き文部科学委員会でも大臣とぜひ論戦を続けたいというふうに思います。

 さて、次のテーマですけれども、この間、授業料の滞納など経済的貧困が理由で学校を卒業できない、いわゆる卒業クライシスというのが問題になってきました。

 これを受けて政府は、今年度から公立高校の授業料の不徴収と私立高校生への就学支援金の制度をスタートさせました。しかし、これで卒業クライシスがなくなったと思ったら大きな間違いなんですね。私立学校の授業料の高さに比べて就学支援金と都道府県が実施する減免制度が貧困なために、多額の学費負担が残るという状況が放置されたままになっています。

 全国私立学校教職員組合連合が昨年九月末段階で実施した調査結果を見ますと、三カ月以上の学費滞納者数は就学支援金制度実施前とほとんど変わりがありません。

 ことし一月三十日と二月六日に実施した私立高校生卒業・学費問題緊急ホットライン、この中身を聞かせていただくと、母子家庭で高三の子を持つ母、約十万の月給と母子手当で学費を払ってきたが、雪で収入が減り、十二月は五万七千円、一月は二万七千円の収入しかなかった、就学支援金を引いた授業料六カ月分、約八万円を滞納しているが、二月十日までに納入しないと卒業できないとか、高三の担任、収入が少なく自分のバイト代も学費に入れているけれども、一年時からの滞納が八十万円ある、救済できるかなど、昨年同様、切実で深刻な声が寄せられました。

 今月、厚生労働省は授業料滞納についても生活福祉資金による貸し付けを決めたことで、胸をなでおろしている家庭も関係者も多いです。しかし、これは厚生労働省のやった仕事なんですね。

 本人や家庭だけが経済的負担を負うのではなく、社会全体として支え合うことが必要と言いながら、これでは本人や家庭に経済的負担を押しつけたままだということになるのではありませんか。大臣、この認識をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 私立高校生の教育負担については、昨年の四月から就学支援金の支給を開始しております。特に、低所得者世帯の生徒には支給額を増額し、手厚く支援をしております。

 また、国は、授業料減免補助や奨学金事業を行う都道府県に対して、国庫補助、地方交付税措置や高校生修学支援基金による支援を行っておるところであります。

 さらに、先ほど議員も御指摘ありましたように、厚生労働省においても、昨年度に引き続き、各都道府県社会福祉協議会の行っている生活福祉資金において、高校生の授業料等の滞納についても貸与対象とする旨決定されたところであります。

 これらを活用して、学ぶ意欲のある高校生が経済的な理由によって修学を断念することがないように、各都道府県に対して、これからも支援策の周知徹底、また、生徒、家庭の事情に応じたきめ細かい対応について、文部科学大臣政務官名で通知をしておるところでございます。

宮本分科員 去年も、修学支援基金を最大限活用してと川端前大臣も述べられたわけですよ。

 では聞きますけれども、修学支援基金は現在全体でどれだけ残っておりますか。さらには、執行率の高い二県、低い二県の執行状況を残金と執行率でお答えいただけますか。

高木国務大臣 高校生の修学支援基金の総額は約四百八十六億円であります。平成二十一年度の取り崩し額は約五十億円であります。また、今年度の取り崩し額は、現時点では明らかではありませんが、平成二十二年の九月三十日現在で各都道府県が算出した執行見込み額によりますと、百十七億円程度となっております。したがいまして、平成二十二年度末の基金残高見込み額は三百十八億円程度である、このように承知をいたしております。(宮本分科員「執行率の高いところと低いところは」と呼ぶ)

 また、都道府県別の基金の執行額の割合については、平成二十一年度実績では、最も高い県は千葉県、次いで富山県であります。それぞれ三三・八%、三一・八%となっております。一方、基金に対する執行額の割合が最も低い府県は大阪府と新潟県であって、両県とも三・五%となっております。

宮本分科員 高いところは、私は京都と富山だと思うんですね。京都と富山の残金をお答えいただけますか。

高木国務大臣 京都と富山の残金はゼロという報告を受けております。

宮本分科員 ゼロなんですよ。京都と富山にはもうお金はないんですね。

 それで、これをやはりしっかりと活用することが求められていると思うんですね。しかも、活用しようと思えば、ゼロのところには新たに基金を積まなきゃなりません。これを活用してとおっしゃるけれども、やはり基金を新たにどう積むのかということも考えなきゃならないし、なぜこれが活用されないのかというその理由にもメスを入れなきゃならないと思うんですが、その点、大臣、どうお考えになっていますか。

高木国務大臣 この件につきましては、修学支援基金の取り崩し見込みを精査いたしまして、各都道府県において充実されるように、こちらからとしても指導をしてまいりたいと思っております。

宮本分科員 これは、使い勝手が悪い理由ははっきりしているんですよ。それは、結局、二分の一負担というものを地方に求めているからなんですね。

 それで、おととしは、二十三道府県から、もっと都道府県負担をなくしてほしいという要望が出されました。そしてこの間も、大きく使い残した大阪府からは、授業料や入学料の減免に係る所要額への全額充当など、地域の実情に応じて活用できる制度とすることを求める要望書が出されております。新潟県や京都府も、都道府県が新たな補助要件を新設した際の都道府県二分の一負担を撤廃してほしいと要望しているわけですね。

 そこで、最後に大臣に聞きますけれども、この二分の一負担の要件を撤廃するということ、それから大阪が求めているように、授業料減免の取り崩し要件を例えば五百万円に緩和すれば、そういった家庭や子供たちがぐんと救われると思うんですよ。こういう改善をするべきだと思いますが、大臣の答弁をいただきたいと思います。

城井主査 高木大臣、簡潔にお願いします。

高木国務大臣 二分の一の地方負担をなくすことについては、授業料減免補助が地域の実態に応じ都道府県の事業として行われておる、国と地方の役割分担の観点から、また既に手厚い補助をしている都道府県との公平性の観点から、困難であると考えております。

宮本分科員 ぜひ大臣のお言葉どおりの政治をやっていただくように、引き続き文部科学委員会でも議論をしたいと思います。

 以上で終わります。

城井主査 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

 ただいま次の質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

城井主査 速記を起こしてください。

 御出席を要請いたさせましたが、質疑予定者の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 中林美恵子君。

中林分科員 衆議院議員、神奈川県第一区の中林美恵子でございます。きょうは、政府三役の皆様にこうやって御質問をさせていただけますこと、大変ありがたく思います。貴重なお時間、ありがとうございます。

 さて、まず、ニュージーランドのクライストチャーチで、日本人の方々も含め、被災された方々、今、その現状を思いますと、私も胸が締めつけられるような思いがいたします。心からのお見舞いを申し上げます。そして、まだ安否が不明な方々の一刻も早くの安否の確認、そして、皆さん、日本人の方々は、学生さんを初め、帰国をできますことを心からお祈り申し上げております。

 さて、こうした語学留学などで海外に行かれている学生さんたちも含めまして、実は日本も地震大国であるというような観点から、こういった災害に対して日本の学校がどのような状況になっているのか、こうしたことについての質問をきょうはさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、地震大国と言われるこの日本で、公立の小学校の耐震化について質問をさせていただきます。

 全国の公立小中学校の耐震化の現状につきまして、文部科学省の方から確認をさせていただけたらというふうに思います。お願いいたします。

辰野政府参考人 お尋ねの、公立小中学校の耐震化率でございますけれども、平成二十二年四月一日現在で、全国で七三・三%、こういう状況になっております。

中林分科員 ありがとうございます。

 これがまだまだ足りないという声もあろうかとは思いますけれども、そうした意味では、着々と、少しずつではありますけれども、前進しているのであろう、またそうあってほしいというふうに願っております。

 そして、日本は地震大国ですから、大規模な地震が起こるのではなかろうかというふうに想定されている地域が実は幾つか既にございます。特に、非常に危険度が高いというふうに指摘されております地域というのがありまして、私もちょっと調べさせていただきました。

 特に私が選出させていただいております神奈川県を含みます東海地震の状況といいますと、東京都も含めてそうなんですけれども、やはりかなり多くの地域が地震防災対策強化地域という名のもとに指定をされているところでございます。神奈川県では、平塚市を初め、小田原、茅ヶ崎、秦野、厚木、伊勢原、海老名、南足柄、その他多くの市町村が指定されているところでございます。

 では、こういった地域においては、公立の小中学校ではどの程度の耐震に対する進捗状況であるのか、また、重点地域であるからこそ、特にそこは早く耐震の強化策が進んでいるのかどうか、その辺も教えていただきたいと思います。お願いいたします。

辰野政府参考人 東海地震に係る地震防災対策強化地域、これが一都七県百六十市町村が指定されているわけでございますけれども、ここにおける公立小中学校の耐震化率、先ほどの平成二十二年四月一日の同じ時点で見ますと、全国では七三・三%に対しまして、九六・一%というふうになっております。

中林分科員 ありがとうございます。

 ということは、やはり重点化地域には相当力を入れて、早目に進めるということであることが数字から見てとれるわけです。

 そうしますと、この耐震化というところで、まずは全体的に見て、耐震化の制度というもの自体はどうなっているんでしょうか、その仕組み。そして、その仕組みの中にある考え方といいますか、理念といったものを教えていただけたらと思います。

辰野政府参考人 公立小中学校の校舎の耐震化に関しましては、これは国の補助制度というものがありまして、既存の建物の耐震性能を確保するための耐震補強工事、それから構造上危険な状態にある建物を建てかえる改築工事に対するものがございます。

 国庫補助の算定割合につきましては、原則三分の一ということでございますけれども、特例といたしまして、地震防災対策特別措置法により、Is値という、Gに対する強さを示す数字なんですけれども、これが〇・三未満の建物に対する補強工事につきましては補助率三分の二で実施するなど、かさ上げ措置が講じられたところでございます。

 それから、ちょっと数字を訂正させていただきます。申しわけございません。

 先ほど九六・一%というふうに申しましたけれども、あれは実は神奈川県の数字でございまして、東海地震に関する一都七県百六十市町村では九四・一%でございます。いずれにしろ高い数字にはなっております。

中林分科員 ありがとうございます。

 ということは、耐震強化の地域というのはそれなりに高い数値をあらわしているということでもありますが、全国の中で、公立の小中学校におきまして、もし可能だったら教えていただきたいんですが、神奈川、そして小中学校の場合は市立ですね、横浜市立というのが非常に多いんですけれども、この辺のランキングあるいは全国での位置といいますか、そういったものはございますでしょうか。

辰野政府参考人 まず横浜市について申し上げますと、平成二十二年四月一日現在で九四・四%でございます。これは全国平均の七三・三%を上回る。これは、千七百九十五の設置者の中で四百四十三位ということになっております。ですから、より高いところもございます。

 それから、神奈川県につきましては、先ほど申し上げましたように、九六・一%ということになっております。

中林分科員 ありがとうございます。

 全国的な公立の小中学校に関しましては、今後、どういうふうな耐震化の完了工程といいますか、見通しが立っているんでしょうか。何年までを目標にするとか、そういった時間軸の流れを教えていただけたらと思います。

笠大臣政務官 耐震化においては、平成二十三年度、現在御審議をいただいております予算案においても約八百五億円を計上して、先ほどありましたように、現在が七三・三%、これをさらに耐震化率を高めまして、約八五%まで上昇することが見込まれております。

 ただ、私たちとしては、残りの一五%をできる限り急いで耐震化を進めていくことが重要だということで、具体的な、何年でこれが完了するという計画は今現在持っていないところでございますけれども、とにかく少しでも早く進めていけるように取り組んでいきたいというふうに思っております。

中林分科員 ありがとうございます。

 さて、それでは、小中学校から、高校についてもお伺いしてまいりたいと思います。

 まず、公立の高校なんですが、耐震化について高校はどの程度進んでおりますでしょうか。全国でのレベル、そして、できましたら神奈川県等も含めて教えていただきたいと思います。

辰野政府参考人 公立高等学校の耐震化率につきましては、平成二十二年四月一日現在で、全国では七二・九%、神奈川県では六二・五%でございます。

中林分科員 ありがとうございます。

 そうしますと、神奈川はおくれているということで、私も少々気がかりな部分ではあるんですけれども、助成金の制度は、小中の公立の学校には制度としてしっかりしたものがあるということでただいまお伺いしたところですけれども、公立高校の耐震化についての制度はどのようになっておりますでしょうか。

辰野政府参考人 公立高等学校の耐震化に対しましては、現在、文部科学省として、国庫補助というものは実施しておりません。

 これは、経緯を申しますと、平成十年度までは危険改築という形でございましたけれども、これを国と地方との役割分担という観点から見直そうということで、地方公共団体が自主的、弾力的に施設整備を行うという趣旨から、これが一般財源化をされているということでございます。国庫補助はただいまないということでございます。

中林分科員 そうしますと、やはり今、高校の進学率と兼ね合わせて、高校がどれくらい日本の生徒たちにとって重要なところかという部分についても思いをはせざるを得ないんですけれども、改めて伺いますが、日本で今高校の進学率は何%になっておりますでしょうか。

笠大臣政務官 約九八%でございます。

中林分科員 ありがとうございます。

 そうしますと、一〇〇%までとはいきませんが、かなりの中学生が高校に進学するというような状況だというふうに思います。

 そういったところで、やはり高校というものも耐震化率の面で非常に重要だというのを改めて考えるところですが、ちなみに、公立高校は地域での災害時の避難場所として指定されている場合がかなりあるのではないかと思います。どの程度の割合、あるいは避難所として指定されている状況になっているかおわかりになりますでしょうか。

辰野政府参考人 平成十八年五月一日現在、ちょっと古い数字になりますけれども、公立高校のうち、災害時の避難場所に指定されている学校数は、三千八百四十三校のうち二千四百十七校、約六二・九%ということになっております。

中林分科員 ありがとうございます。

 今数字を伺って、改めて、災害が起こったときには、高校の耐震強化という意味では、勉強する高校生のみならず、避難をされた地域の被災者の方々にとっても非常に重要であるというようなところをやはり確認させていただいたというふうに感じております。そういった意味では、今後、ぜひ地域の住民の皆様のためにも、学校の耐震強化というのは重要ではないかと感じているところです。

 そこで大臣、これからの学校の耐震強化ということについて、高校も含めて、どのようなお考えかお聞かせくださいませ。

高木国務大臣 中林委員御指摘のとおり、ニュージーランドの大地震、そして記憶に新しいところでは中国の四川省での地震、我が国では、もちろん阪神・淡路あるいは中越地震、こういった大きな災害に見舞われました。

 我々は、そういう意味で、特に公立の小中学校、高校を含めてでございますけれども、子供たちが一日の中で最も多く生活する場所でございます。同時に、御指摘のあったように、非常災害時には各地域においての拠点場所、災害の避難場所になるところでありますので、そういうところの安全というのは極めて重要であります。

 先ほども笠大臣政務官からお話がありましたように、公立小学校の場合でも二十三年度の予算編成では八百五億円を計上しておりまして、まだまだ八五%ということでございますけれども、我々としては一層これの充実を図っていきたい、このように思っております。

 したがいまして、やはり予算の早期成立をさせていただいて、午前中も議論がございましたように、耐震化はある意味では地域の経済の活性化にもつながるという効果もありますので、一日も早い対応をしなきゃならぬと思っております。

中林分科員 ありがとうございます。

 大変力強いお言葉をいただいたというふうに確信いたしました。ぜひこれからも、地域のために、そして若い生徒たちのためにも、ますます地震対策といったものを進めていただきたいというふうに思います。

 さて、これまでは公立の小中、そして高校のお話を伺いましたが、実は私立という大きな大きな、日本の若者を育ててくれている学校もございまして、これについてもやはり同様にお伺いしていきたいと思っているところでございます。

 まず、最初は小中高校あわせてお伺いしますが、私立は日本全国ではどの程度の耐震強化の対策などがとられているものなんでしょうか、お教えください。

河村政府参考人 耐震化率についてお答えを申し上げます。

 私立学校施設の耐震化率、小中高合わせてのデータでございますけれども、平成二十二年四月一日現在で約六九%でございます。

中林分科員 六九%という耐震化率に今現在はなっているということですけれども、私立の小中高校には日本の中央政府から助成をする制度などは実際あるんでしょうか。その仕組みなどを教えてください。

河村政府参考人 私立学校については、学校を設置する学校法人がみずからの費用負担で施設整備を行うということが基本原則でございます。

 しかし、特に耐震化ということについては、子供たちの安全を確保するという上で緊急な対応が求められますので、従来から国庫補助を行ってきております。具体的には、私立の小中高校等の施設に対する耐震補強のために必要な経費の、原則は三分の一、特に危険度が高くなってまいりますIs値〇・三未満の場合には二分の一以内の補助を行っております。

中林分科員 ありがとうございます。

 そうしますと、やはり私立の小中高も日本の多くの若者たちを育てる責任を公立と同様に負っているということで、耐震化率については配慮がされている制度かというふうに思います。

 一方で、今度は地域と私立の小中高のかかわりですが、地域でやはり避難所として私立の学校が指定されているということもあろうかと思います。これはどれくらいの割合でされているか、おわかりになりましたらお願いいたします。

河村政府参考人 御指摘のように、避難所となっている私立学校の施設、現にございますけれども、今、具体的なデータについては手元に持ち合わせておりませんので失礼いたします。

中林分科員 これからそのようなデータを集めたり検討したりするような計画というのは念頭に置いていらっしゃるのでしょうか。それとも、まだまだ随分先の話になるんでしょうか。

河村政府参考人 重要なデータの一つと考えておりまして、調査を行っているところでございます。

中林分科員 ありがとうございます。

 その調査というのはどれくらいのスパンで考えていらっしゃいますか。

河村政府参考人 毎年度行うことといたしております。

 先ほど手元にデータがないということで失礼をいたしましたけれども、まだ半分に満たないぐらいの状況だということでございます。

中林分科員 ありがとうございました。

 先ほど高木文部科学大臣からも大変力強いお言葉がありましたけれども、大学、そして短大、専門学校と、まだまだ日本にはさらに高等教育を担うそういった学校が、校舎という建物を抱えた中で日々生活をしているわけではございますけれども、そういった大学、短大、専門学校に対する耐震化というものについて、何らかのお考えが政府としては明確に出ているんでしょうか、どうでしょうか。そこを確認させてください。

笠大臣政務官 お尋ねの、大学、短大、そして専門学校ということでございますけれども、まず、大学あるいは短期大学施設の耐震化については、学生や教職員の安全確保の観点からも、もちろんこれも重要でございます。

 今、国立大学の施設については、平成二十二年五月現在で、耐震性がある建物が全体の約八六%になっております。また、私立の大学及び短期大学施設については、同じ平成二十二年の五月現在で約七七・九%となっております。

 このため、私どもも、耐震性能の低い施設を優先した、しっかりとした対策を立てながら、早急にこの改善を図っていきたいということで、今後とも、あくまで大学側のニーズ、これにはしっかりこたえていくことができるように、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思っております。

 それで、専門学校についてですけれども、専修学校の耐震化状況については、平成二十二年五月現在で、私立専修学校の七六・五%。ただ、これはすべてではございません。調査回答のあった中で七六・五%において校舎が既に耐震化されている。一方で、耐震基準に満たない建物、まだ耐震改修していない学校が三・一%ございます。旧耐震基準による建物もあって、まだ耐震診断を行っていない学校も二〇・三%ございます。

 文部科学省として、ここに対する専修学校へ向けた補助等々ということは今制度としてはありませんけれども、常に相談窓口を設けて、耐震化についても相談あるいは指導を行っているところでございまして、適切な措置がとられるよう、進められるように、私どもも必要な対応をしてまいりたいというふうに思っております。

中林分科員 大変ありがとうございます。

 こういった大きな地震が世界でも起こって、実際に大きな被害が発生しているというのを、本当にこうやって心の痛む状況を見るにつけまして、我が国も本当に我が身のこととしてしっかりと対策を進めていかなければならないと改めて私も思いますので、今後も政府のますますの力強いリーダーシップを期待しております。

 さて、最後になりますが、私も横浜でいろいろな学校、そして保護者の皆様、また教師の皆様ともさまざまなディスカッションをさせていただく立場にございます。その中で非常に多いのが、やはり、教師の皆様も非常に時間がなく、毎日が忙しい、そしてそれを見ている保護者の皆様も、もうちょっと学校に目を向けてほしい、そういう声もいろいろありますが、私は、民主党が政権交代して、一クラス四十人の学級を三十五人にまでしていこうというのは、これは小学校一年生までというふうになっていると思いますが、それでも、これはやはり今までに比べて大きな、大事な前進の第一歩だというふうに思っております。

 ぜひ、こうした前向きな前進といったものをこれからも進めていっていただきたいと思いますが、民主党政権になってから、そういった教師の皆さんの負担も、また御両親、御家族の方々がお子様方に抱いているさまざまな思いといったものも、こうした一つ一つの改善でしっかり進めていっていただきたいというふうに思っています。

 その点につきまして、クラスが四十人から三十五人になる、その第一歩を踏み出したということにつきまして、ぜひ、これからどういうふうにさらに推し進めていこうというふうにお考えであるのか、お言葉をお願いいたします。

高木国務大臣 新しい年度からは新学習指導要領も始まりますので、それにあわせた形で、小学校一年生については三十年ぶりに四十人学級から三十五人以下学級、このことを予算の中にも編成しておりますし、関連の法案も提出をしております。

 教師が子供一人一人と向き合う時間を確保するということ、それから、やはり子供一人一人の個性に合った指導を行うという意味では、教育の質を上げることにつながっていくということであります。

 したがって、本来ならば一、二年生をやりたかったんですけれども、諸般の事情によりまして一年からスタート。いわゆるこれからそういう学校のあり方について改善を加えてまいりたいと思っております。

中林分科員 大変ありがとうございます。

 何としても教師の皆さん、子供と向き合う時間をもっと持ってほしい、これは教師の方々だけではなくて保護者の皆さんの日々の願いであり、切望そのものだというふうに思っております。

 すばらしい一歩を既に踏み出しているわけですから、ぜひ今後も力強くこういった現場の声を反映していく政策を実行していっていただきたいと強く願います。

 きょうは貴重な質問時間をいただきまして、本当にありがとうございました。

城井主査 これにて中林美恵子君の質疑は終了いたしました。

 ただいま次の質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

城井主査 速記を起こしてください。

 御出席を要請いたさせましたが、質疑予定者の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 阿知波吉信君。

阿知波分科員 民主党の阿知波吉信です。

 きょうは、科学技術、特に核融合ですね、地上に太陽をつくるという核融合につきまして御質問させていただければ、このように存じます。

 まず冒頭、科学技術を推進していくんだ、これについての大臣の御決意を確認したいんです。

 といいますのも、来月に閣議で予定されているというふうに聞いているんですが、第四期の科学技術基本計画、これは菅総理の金看板であります新成長戦略を具体的にするというもの、大事なものであるという意味と、もう一つ、逆に、五年ごとにつくられてきております第二期、第三期の計画、これが結局その予算目標に達しないという状態でもあるという両面あるわけでして、まず、これにつきまして大臣がどのようなお考えで今臨まれているのか、お願いいたします。

高木国務大臣 我が国が将来にわたって持続的な成長をしていくためには、我が国の大きな誇りであり財産となる科学技術については極めて重要な課題であろうと思っております。これからも世界をリードできる科学技術立国として我々は立ち向かっていく、こういう基本姿勢を持っております。

 その上で、新成長戦略においても、成長を支えるプラットホーム、こういう位置づけで、三月、来月でありますが、新成長戦略をより深化させる、具体化をしていく、そういうものとして第四期の科学技術基本計画が閣議決定される予定となっております。

 この第四期科学技術基本計画の原案においては、科学技術・イノベーション政策を国家戦略として位置づける。その上で、政府の研究開発投資についても、対GDP比一%、五年間の総額約二十五兆円を目標として掲げられておるところであります。

 文部科学省といたしましては、この計画に基づいて、科学技術・イノベーション政策の一層の推進を図っていく所存であります。

阿知波分科員 ありがとうございます。世界をリードするという力強い発言ですね。

 その中で、特に核融合につきましては、国の報告書の中でも、国家の存立基盤を左右する安全保障にかかわる大事な話なので強い決意で臨んでいくんだ、こういうことがうたわれております。

 資料を御用意しましたので、写真をごらんください。これは、岐阜県土岐市にあります核融合科学研究所、この装置の中に入れていただいたときの写真です。世界に誇るということですので、これは、日本ということでも地元ということでも、誇りにできるんじゃないかなというふうに思っておるんです。

 改めてこれについて質問をいたしますけれども、もともと、核融合ということは、一リットルの海の水で石油換算で二百五十リットル分の力が出せるとかという話ですし、二酸化炭素が出ない、そういう利点があるというふうに聞いております。そうすれば、今のように、日本は石油がない、今、中東の騒乱の中で一バレル百ドルだ、百十ドルだということでまた日本の経済に心配の影が及んでいる、こういうことも将来大丈夫だということになるでしょうし、地球環境の問題、そしてさらには、こういう装置を世界に出せることになればそれこそ経済成長にも貢献できますので、本当に大切な話だと思います。

 まず、改めて、この岐阜県土岐市に置かれております核融合科学研究所について、これまで国がどれぐらいの予算を投じられてきたか、確認させていただければと思います。

倉持政府参考人 お答え申し上げます。

 核融合科学研究所は、平成元年五月に大学共同利用機関として創設されております。そして、平成十六年四月の国立大学法人化に伴いまして、大学共同利用機関法人自然科学研究機構が設置する大学共同利用機関として位置づけられているわけでございます。

 法人化以前の創設から平成十五年度までの十五年間で二千二百四十億円、この中には、いわゆる大型ヘリカル装置の建設費五百四十三億円も含んでございます。そして、平成十六年度、法人化以降は、これは自然科学研究機構の予算の中で配分されております。したがいまして、公表されている決算ベースでお示しいたしますと、平成十六年度から平成二十一年度までの六年間で八百十億円ということになります。これらを合計いたしますと、三千五十億円ということになります。

阿知波分科員 三千五十億円ということですので、まさに国家プロジェクトということなんですけれども、今、この核融合をめぐる研究開発、世界がしのぎを削っているわけなんですが、こっちの、ヘリカルというタイプらしいんですが、これに注目が集まっているということを聞いております。

 例えば、核融合をうまく動かす課題として、一つは、ちゃんと燃料が燃えるのか、きちんと燃えるのかという話と、燃えたままずっと運転できるのかという二つの観点があって、今世界で話題になっておりますITERというような、世界じゅうが協力しているタイプは燃やす方に得意だろう、一方で、日本が持っている、これは日本の独自技術なんですが、こっちはずっと運転できるという技術にたけている、このように聞いております。

 そして、これからの現実的なゴールを見ますと、むしろ日本のこのヘリカルのタイプの方が有望じゃないか、ゴールが見えているんじゃないかということが言われておりまして、例えば、ドイツが後追いでこういうものをつくっている。それも、二〇〇一年に予算六百三十三億円ということが、だんだんその予算が上がっていって、二〇〇八年現在では千二百十九億円をかけてでもやろう、こういうふうに予算規模を上げてでもやろうとしている。

 ところが、先にやっている日本の方が、例えば平成二十一年度、もうできちゃっていますのでこれは運転経費ですけれども、五十億五千七百万円。これは政権交代の前です。ところが、政権交代しまして二年連続で予算が落ちておりまして、来年度の予算は四十三億七千七百万円ということで一三・四%ダウンする、そういう話を聞いております。

 そうしますと、世界の流れがこのヘリカルに向かっていて、よその国もお金をかけるぞということで急激にやっているという動きと、先ほど大臣がおっしゃった、世界をリードするんだ、そういう方向と全く逆の流れになっているんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

    〔主査退席、金森主査代理着席〕

高木国務大臣 この件につきましては、核融合を実現するためには一億度以上の高温が必要であって、重水素を用いた実験によって初めてそうした高温環境下での実験が実現できる、このように聞いております。

 何はさておきましても、この実験については、地元住民の皆さん方の御協力が大きなかぎになっております。これまでもいろいろな御協力、御理解もいただいておりますが、まだまだそれが実現までには至っていないのは極めて残念なところでございます。これからも地元の皆さん方の理解、協力をいただいて、できるだけ早くこういうものが実現するように私たちは最善の努力をしたい、このように思っております。

阿知波分科員 今、重水素というものの実験が大事なんだということを大臣おっしゃったんですが、確かに、私も伺いますと、そもそも本当は平成十三年には重水素の実験をやるはずであった、平成元年につくり始めてということなんですね。十三年にやるはずだったのが、放射能が出るということで地元が大反対しておりまして、それで、できていなかったわけです。それでも、放射能を出さない水素実験というんですか、重水素じゃなくて一つの水素で今まで頑張ってやってきた。

 こういう中で、実は今、この重水素実験に関する研究所を取り巻く環境、反対という環境が変わろうとしている、やったらどうかという方向に変わろうとしている。百八十度の大転換を今やろうとしているんですが、大臣はこの動き、御承知だったでしょうか。

高木国務大臣 今、私どもとしましては、この件をきょうお尋ねになるということでございました、そういう動きについては、非常に好転の期待をいたしております。

阿知波分科員 実は反対を賛成にするというのは大変でして、最初は、山の上にどかんと研究所ができて、その人たちが、実験をやるんだ、放射能が出るけれども大丈夫だよみたいな話から始まったわけです。そうすると、近所の人は何だろうなと思っていて、放射能が出るということで、こんなばかなことはないという、そんなことから始まったんです。

 その後、やはり山をおりようとか、門を開こうとかいうことをさんざんやりまして、その中で研究所の皆さんもすごく努力されました。町内会単位で説明会を何年も重ねられております。例えば、学校のイベントですとか、学校に先生として行くとか、科学教室だとか、地元の商工会議所との協力をやるとか、物すごい努力を重ねられてきました。

 そういう土壌があっての上なんですけれども、今最後の仕上げといいますか、やはり政治行政が出ていかなきゃだめだということで、実験に関する協定書、約束を、この研究所と岐阜県、それから研究所のある土岐市、また土岐市の両隣の多治見市、瑞浪市、この一県三市で協定書をつくって進めよう、こんな方向です。ですから、各市議会も、例えば全員協議会を開いて核融合の意見交換を今やっております。できれば来月中ぐらいにまとめちゃいたいなということなんですね。

 ですから、協定書も、本当に地元の皆さんの不安がないように、例えば市長さんたちが張り切って専門家を呼んできて、審議会みたいな諮問委員会みたいなものをつくって、きちんとしたものをつくって、それで市長さんたちも町の皆さんに対して大丈夫だというようなことでやっていただいています。本当にこういう機運が出てきたんですね。

 ただ、これは大前提がありまして、大前提は、出てくる放射能は人体には影響がないんだ、問題はありませんよ、そういう話を信じているというわけです。信じています。ここは難しい話で、目に見えないものですから信じるしかないんですが、信じているということです。

 それから、核融合というのは意義があるんだ、日本の国にとっても人類にとっても意義があるんだということで、やるだけのことはあるんだ、そういう意義をみんな理解して頑張ろうということなんですね。

 ですから、私も例えば反対派の人を説得するときには、この近所に私の妻も子供も住んでいるんだ、親、兄弟もいるんだ、そんな変なことはないよ、そういう説明ですし、何としてでもこの地域、ふるさとを全日本というかオール・ジャパンに貢献できるような地域にしようとか、果てはやはり地元からノーベル賞を一回出してみようよとか、そういうことで大キャンペーンをやっているわけです。

 信頼の上に成り立って運動をやっておりますので、ここは大臣の口から御確認したいんですが、実際どんな放射性物質が出て、それが人体に大丈夫なんだ、影響ないということを、ちょっとここで太鼓判を押していただく意味でも、大臣、お願いいたします。

高木国務大臣 重水素実験を行った場合に、非常に低いレベルではあるものの中性子や放射性物質が発生するために、核融合科学研究所では、放射線の遮へい等の対策を講じることによって安全性を確保するということを聞いております。

 この安全性確保のための措置の妥当性について、核融合研究所では、外部有識者で構成されております安全評価委員会を設置して、専門的かつ客観的に評価を行い、その結果、実験は安全に実施できるとの結論が得られたと承知をしております。

 今後、実際に実験が開始される前には、放射線障害防止法に基づいて、文部科学省においては、厳正な審査を行うことによって安全性の確保に万全を期したい、このように考えております。

阿知波分科員 万全を期すという言葉、本当に力強く受けとめさせていただきました。ありがとうございます。

 本当に、こういう核融合みたいなものを扱おうとしますと、国と国民、国と地域、もちろん先生方も集まって、みんなで一致団結して力を合わせないと話がうまくいかないわけなんですけれども、ここでちょっと最近疑念が出てきているということがあります。

 というのも、約束をことしじゅうにつくっちゃって、来年から重水素の実験ができるような環境をつくろうというふうにみんなで目標をつくってやってきたんですが、そうしたら、今度は国の方が一転、何か消極的じゃないかと。むしろ、重水素実験をやるための追加の設備投資、さらに熱を加えるとか放射性の物質を取り除くような、そういう装置について三十億円ぐらいかかるらしいんですけれども、これについて何かあやふやじゃないかという話を漏れ聞いていますし、例えば運転経費なんかも、今までより力が要るわけですから一五%ぐらい余計に運転経費がかかるということですね、電気代なんかがかかるわけなんですね。

 ですから、今、大丈夫かという話と、これはまともな話なのかというような話がちょっと出ていまして、大丈夫だという話になっているんですけれども、ちょっとでも話がずれちゃうとまたパアになっちゃいますので、何としても、ここは国と地元、あと研究者の皆さんが一致協力しているんだということを私はぜひ地元の皆さんに伝えたいですし、そのことを大臣からぜひ発表していただきたいな、このように思うんですが、お願いします。

高木国務大臣 核融合科学研究所においては、平成二十七年度から重水素実験を開始する計画があること、そのための準備経費として、装置の増強などに平成二十四年から二十六年度に約三十億円必要であるとの計画を持っていることは承知をいたしております。

 現在は、このような計画をスムーズに進める上で必要な取り組みとして、超高性能プラズマの定常運転の実証に着手をすることとしておりまして、予算を前倒しして、平成二十二年度補正予算においてそれに要する十六億円を措置したところであります。

 このように、文部科学省としましては、決して消極的ではありません。厳しい財政状況の中でもありますが、国民の理解、また支持、そしてまた何よりも安全性に厳正に対処するということで、地元の皆さん方の御理解、御協力をいただいて可能な限り対応してまいりたい、このように思います。

阿知波分科員 本当にやるということですね。ありがとうございます。

 こういう疑念が出てきた理由の一つとしまして、ITERという、国際協力でフランスにつくるというものがありまして、フランスに国際協力でつくるんだから日本のものはいいんじゃないかみたいな話になっているんじゃないかというような疑念なんですね。

 ただ、専門家の方々に聞いてみますと、核融合なんというものが本当にできるかどうかわからない、海のものとも山のものともわからないうちはリスクを下げるためにみんなでやってみようかということになるんだけれども、実際できそうだと手ごたえがつかめた瞬間に、各国が、これはすごく役に立つものですから、国益むき出しで、まず自分のところのものをつくろうということで、またばらばらになって競争を始める、これが専門家の話なんですね。

 ですから、ITERという国際協力だけにとらわれていたら本当に元も子もなくなりますので、ぜひ、日本独自のものは強力にやるんだと、再確認の意味でもう一度よろしくお願いします。

笹木副大臣 阿知波委員からお話がありましたように、実際の実用段階のことを意識してくると、今の国際的な共同研究だけじゃなくて、我が国独自の、その先の原型炉とか実証炉を見据えて、独自の研究成果を先駆けて我が国のものを確保していく、これが必要だということで、先ほどお話がありましたヘリカル方式の技術も大きく貢献する可能性がある、それも含めてちゃんとバランスよく開発を進めていく、その方針で進めております。

 実際に、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置や日本原子力研究開発機構のJT60、こうした国産の技術を結集していく、そういうこともやっていくということです。

阿知波分科員 本当にありがとうございます。よろしくお願いします。

 また、三千五十億円というお金を使っている、税金を使ってきたわけなんですけれども、一方で、これだけの巨額な税金を使うということの意味を国民に広く理解してもらう、納得してもらうということが、私はこれは必須の条件だというふうに思います。

 例えば、アメリカのNASA、こういうところにお邪魔しますと、宇宙開発予算に物すごいお金を使うんですけれども、いかに役に立っているか、現実の世界でいかに役に立っているか、こういうことを徹底的に宣伝しますし、徹底的にみんなに知らせようとしているわけです。むしろ、宇宙をやるということは、国威発揚だけじゃなくて自分たちの生活を上げているんだ、会社をもうけさせているんだ、経済を成長させていると徹底的にやっています。

 例えば、マットレスとかテンピュールのまくらみたいなものはスペースシャトルの座席のクッションから生まれましたよとか、缶ですね、ペコペコと、ダイヤカットというような、チューハイとかコーヒーで日本でも使われておりますが、いろいろな模様のものは、できるだけ薄くして金属を軽くするんだけれども、強度は高めるための加工なんだと。それが今、日本でもみんなが飲んでいるものに使われてきたり、世界にも広く波及しているわけです。

 ですから、いかに国民の皆さんに理解していただけるのか、また実感していただけるのか、これがポイントである、このように思います。

 一例なんですけれども、これは核融合科学研究所の場合なんですけれども、重水素実験といったってわけがわかりませんので、今地元の方と話が出ているのは、二〇一六年ぐらいに、五年先ぐらいには、例えば人類初の核融合の明かりをともしてみたらどうかと。そういうような明かりがともれば、エジソンの電灯以来初めてまた核融合というものでともる。そうすると、人類初ということなので、おやっということで、わかるわけですね。ですから、そんなようなことなんかもいろいろと企画しているわけです。

 ですから、そういうことで、核融合だけにとどまらず広い分野ですから、これまで国としてどういうふうに皆さんに理解をしていただくようにしてきたのか、それと、そういうことを通じてこういう成果があったということをぜひ御紹介いただければと思います。

合田政府参考人 国民の理解を得るための取り組みについての御質問でございますけれども、御指摘のように、科学技術、とりわけ核融合のような大型の研究開発プロジェクトを推進してまいりますためには、その成果あるいは効果につきまして広く国民に明らかに知っていただいて、そして、その利益が社会に還元されているということについての国民の理解なり、そして支持、信頼を得るように努めていくということは極めて重要であるというふうに考えております。

 一例で申し上げますと、宇宙航空研究開発機構、JAXAがございますけれども、こちらの方では、施設の公開に加えまして、JAXAの研究者がタウンミーティングを開催いたしまして、今のお話のようなスピンアウトといったようなことも含めまして、広く御説明をしながら話し合いをする。あるいは、講演会であるとか出前授業といったような活動を行いますとともに、インターネットで動画を流しまして、JAXAチャンネルということで、JAXAのミッション、あるいは成果でございますとかニュースを配信する、そういったようなICTを活用した広報にも取り組んでいるところでございます。

 また、御案内の「はやぶさ」の帰還に関しましては、そのカプセルを全国的に展示するといったようなことも進めております。

 核融合研究所におきましても、先ほど御紹介がございましたように、科学教室あるいは市民学術講演会といったようなものを年間七十回以上開催するといったような取り組みをしていただいているところでございます。

 そういったようなところ以外でも、例えば、毎年四月には科学技術週間というのを設定いたしまして、そういったような取り組みを積極的に実施しているところでございまして、私どもといたしましても、研究開発投資への国民の理解を得ることができるように今後ともしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

阿知波分科員 では、本当にしっかりお願いいたします。

 ちょっと話をかえまして、土岐市の隣の瑞浪というところなんですが、ここも核関連の研究施設がございまして、それは核分裂、核融合じゃなくて、普通の原子力発電所の最後のごみの、高レベルの放射能の処分地の研究施設、地下に埋めちゃおう、そういうものがあります。

 そのときに、廃液をガラスで固めて、何か金属製の容器でくるんで、さらに粘土で周りを固めて三百メートル以上下に埋めてというようなことのようですけれども、これは、実際埋めたところで、もとのウランの濃さに、濃さというか放射能のレベルに戻るまでに何万年もかかるという話です。そうしたときに、一方では、その金属の容器というのは千年ぐらいで壊れちゃうんだとか、壊れちゃうとガラスのものがむき出しになるので、地中の地下水に溶けていくんだというようなこともあわせて発表されているわけです。

 そうなると、この研究というのが、最初にもう何万年先を見据えて、一〇〇%、二〇〇%絶対大丈夫だからやるんだ、そういう前提の技術開発なのか、それとも、将来壊れたり溶けたりするときに備えてリカバリーをするとか、将来本当に予期せぬようなことが起きたとしても対応可能なようにあらかじめしてある技術なのか、もともとの発想のところを教えていただければと思います。

朝日政府参考人 御質問いただきました。ありがとうございます。

 地層処分の対象になる高レベル放射性廃棄物でございます。今、先生御指摘のとおり、数万年の間、人間の生活環境から隔離する必要がございます。そういったものでありますので、まず、多重バリアによって地層の中に放射性物質を封じ込めまして、一定期間モニタリングを行うようにして安全性を確保いたします。

 さらに、数万年間の安全性を確保するという観点が非常に重要でございます。起こり得る可能性の低いものから多くのリスクシナリオを想定いたしまして、そういったものについて十分に余裕を持った条件を設定することによりまして、処分後の不確実性に対応してございます。

 そういった努力を行うことによりまして、地層処分の安全性の確保に万全を期してまいりたい、安全性の確保ができるというふうに考えてございます。

阿知波分科員 ぜひ万全にお願いしたいと思います。

 それで、また改めて大臣になんですが、この瑞浪の方の施設というのは地下に穴を掘っているということが基本です。ですから、放射能は何も出ません。しかし、これは地元対策だと思うんですが、電源立地の交付金が出ております。これは本当にありがたい話です。一方で、お隣の土岐市の核融合の方は、これから実験をやるたびに放射能が出ていくわけです。こっちの方は別に対策費も何もないという世界です。これが今までの政策の世界だったわけなんですが、これは地元からはどうしてなんだろうと、みんな不思議がっているんですね。

 放射能が出る方がもらえなくて出ていない方がもらえる、これについて、大臣でしたらどのように説明されるか。また、こういう考え方、政策をこれから変更、検討されていく、そういうお考えがないかどうか。ぜひお願いします。

金森主査代理 高木文科大臣、簡潔にお願いします。

高木国務大臣 御指摘の電源立地交付金制度は、電力の安定供給を確保するという重要性から見て、発電施設やあるいは原子力発電と密接な関係がある施設等の設置、運転の円滑化に資することを目的とされております。

 そういう意味で、放射性物質を用いた基礎研究を行っている大学やあるいは放射性物質を用いて治療を行う医療機関は、原子力発電と密接な関係を有するものでないことから、交付金の対象になっておりません。ただし、核融合研究を行っている核融合科学研究所については、将来、研究が進展し発電への貢献が可能となった場合には、その時点で交付金の対象となり得るものと私は考えております。

 そういう意味で、長時間実験が可能な、世界で最大のヘリカル装置を有し、国際的にも注目される最先端研究拠点として、世界各国から研究者の集積も考えられます。そういう意味で、この研究活動については、いろいろな意味で地域の振興に貢献するものだ、私はそのように考えております。

阿知波分科員 どうもありがとうございました。

 終わります。

金森主査代理 これにて阿知波吉信君の質疑は終了いたしました。

 次に、森山浩行君。

森山(浩)分科員 衆議院の森山浩行でございます。

 冒頭、まずは、我が町堺市の姉妹都市でありますウェリントンを首都といたしますニュージーランドの地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、いまだ行方のわからない皆様の一刻も早い救出を望みます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず最初に、不登校の児童生徒への指導という部分でございます。

 不登校、学校に行けないという状態の子供の数でございますけれども、ここ十年、小学校では二万五千人から二万二千人、あるいは中学校では十万人を超えるというような数字で推移をしております。

 学校に戻ることを前提とした形での教育支援センター、適応指導教室でありますとか、あるいは、学校に戻らないことを前提としてのITあるいは通信、もしくは中卒の認定資格というような形、そして学校の中でのスクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーというような、あらゆる場面での支援をしていくという形で文部科学省は行ってきていただいていると思います。

 その中で、学校そのもの、文部科学省の制度そのものではない部分、フリースクールと呼ばれる部分があります。教育内容のチェックはできないわけですけれども、あるいは、法人格で分けようといっても、なかなか、法人格もあったりなかったり、学校の内容とは直接関係しないというところもございます。文部科学省あるいは地元の教育委員会で、これはいいのか悪いのかというところで非常に議論のあるところでございます。実態の部分としては、中学校ぐらい卒業しないといい大人になれないよというようなことを言われるという指導も存在しております。

 まず、学校へ行けないというときであっても教育機会を提供すべきである、私はそんなふうに思いますが、これをどう思われるか。あるいは、ではどうやって線引きをするかというときに、文部科学省で、あるいは教育委員会でリストをつくって提示をする、このようなことができないか。できないのであれば、よい事例だけでも紹介をするというような形にできないか。

 これは切実な問題でありまして、学校に行けない、通信じゃなくてフリースクールに行ってみたいんだけれども、どこにあるかもわからない。インターネットで調べる、テレビを見る、そんなきっかけからしかなかなか入り口にたどり着けないということがあります。

 運動をされている方、あるいは上のお子さんがいてフリースクールに通っている、近所の人が通っている、こういう方はいいんですけれども、親としても初めての経験であります。そのようなときに、当たった教育委員会の方、あるいは校長先生によって当たり外れがあって、せっかく教育の機会を得られるかもしれないときに外れてしまう。このようなことでいいのかという問題意識がございます。

 まずは、非常に線引きの難しい問題でありますから、文部科学省としては、フリースクールに通うということは、不登校の児童あるいは生徒にとっていいことであるというふうに思われるかどうか、そして、もし認めていこうということでありましたら、どのような形で連携を強化していかれるおつもりがあるかということをお聞かせいただきたいと思います。

山中政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十一年でございますと、小中高、不登校の生徒は、約十七万四千人いるわけでございます。

 その不登校の生徒は、本当に外に出られないという子供から、学校外の機関、そこまでは行って相談をしたり指導を受けたりという形の子供たちもいるわけでございます。先生御指摘のとおり、教育支援センターに行きましたり、あるいは、今言われました民間の団体とか施設、フリースクール、そういうふうなところに通う、あるいは相談している子供たちが二千六百人程度いるという状況でございます。

 そこで、フリースクールについて、文部科学省といたしましても、子供たちができるだけ社会との接点を持つ、自立していく、中学校を卒業する、高校を卒業するという時点で社会的に生きていけるような形になるために、いろいろな場所、機会というものを紹介するということは非常に重要だと思っております。

 そのために、フリースクールなどの学校以外の教育施設、団体、そういうところとも積極的な連携をとってくれるようにということは行っておりますし、あるいは、都道府県とか指定都市等の生徒指導の担当者の会議で、フリースクールや民間のそういう教育施設と学校との連携のよい事例も紹介するというふうなことによって、また、それぞれの教育委員会の方でも、それを踏まえてそれぞれの地域での取り組みを紹介してもらう情報提供といったものを促していきたいというふうには考えております。

 ただ、リストを作成するということになりますと、フリースクールというものが、あくまでも、いろいろな活動内容、規模もさまざまで、設置の仕方もさまざまであるということがございますので、ここはお勧めだ、ここは載っていないからお勧めでないとか、そういうところがございまして、リストをつくって、ここはいいところがありますという形を公的なところがやるのは、難しい面もあろうかと思います。

 ただ、フリースクールの団体も、全国的なNPOの団体もございますので、そういうところでもそういうリストをつくったりとかいう活動をしていただいたり、いろいろな形で、子供たちが学校に行けない、外に行けないというときの、相談し、あるいは学ぶ場というものを確保していくことは大切なことだというふうに、また、その情報をお伝えすることを促していくというのは大切なことであるというふうに思っています。

森山(浩)分科員 一気にたくさんの質問をしてしまいまして、済みません。ちょっと整理させていただきます。

 まず、フリースクールに行くということに関しては、文部科学省は前向きであるということでよろしいですね。

山中政府参考人 制度的には義務教育ということになっておりまして、保護者の方は学校に就学させなきゃならない、こういうことになっているわけでございますけれども、実態上、学校に行けないというお子さんがいらっしゃるわけでございます。そういう方に対して、学校以外の場でもしっかりと学習できるような場を確保していくために、学校と連携した施設を認定するですとか、それ以外の場所でも学べる、そういうことを積極的に進めていきたいというふうに思っています。

森山(浩)分科員 これまではどのように都道府県の教育委員会あるいは政令市の教育委員会にお知らせをされていたか。今、指導主事さんに対して研修をする、するというふうにおっしゃったと思うんですけれども、今までは、恐らく紙一枚を送っていたのではないかなと思いますが、今までとこれからとが違うのかということをお知らせください。

    〔金森主査代理退席、主査着席〕

山中政府参考人 今までも、不登校の子供たちについて、例えば学校に行けないけれどもフリースクールには通えるという場合、そのときに、では、そこでの、フリースクールに通っているところの指導を受けたということを出席扱いにしましょうということも可能な場合がございます。

 そういうふうなことも含めまして、学校に来なくても、適応指導教室あるいはフリースクールに行ったことを学校で認めることもできるんだということは、仕組みとしても、私ども、都道府県なり市町村の教育委員会の方にも伝えておりますし、そういう中で、フリースクールについても積極的に評価して、そこでの学習を評価することによって、学校で学んだということと同じにするといった取り扱いとか、いろいろな場面で指導し、また会議の際にも、そういう取り扱いができるんだ、そういう存在があるんだということを知らせているところでございます。

森山(浩)分科員 知らせているということなんですが、実態としてはなかなか、敵視をするような発言も非常に多い、あるいは、そんなところへ行っていたらだめな人間になるよというような雰囲気の言い方をされる指導もかなりあるというのが実態でございますから、しっかりとそれは前向きに、そういう子たちに対しては、行ってもいいんだよということであれば、きちんと対面で、あるいは研修というような形でお伝えをいただけるようにお願いをしたいと思いますが、いかがですか。

山中政府参考人 どうしても、国と市町村、都道府県教育委員会、そういうところになりますので、私どもから直接という場合は少ないんですけれども。

 いずれにしても、いろいろな機会を通じて、そういう仕組みがつくられているし、そういうことを活用して、子供たちができるだけ自立した生活ができるように、中学校の年代、あるいは高校の年代、そういう中でも、学校以外の場でも学びの場というものが確保できるような形、そういうものに取り組んでもらいたいということは伝えていきたいというふうに思っております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。しっかりと伝えていただくと。

 やはり温度差を埋めるというのが大事だと思うんです。現場は、文部科学省に言われているから、あるいは言われていないからということで、なかなか身動きがとれない、あるいは意識が変わらないという部分がありますので、きちんとお伝えをいただくということで、お願いをしたいと思います。

 そのフリースクールなんですけれども、高校無償化に伴う特定扶養控除の見直しということにおきまして、普通科高校はいいのですが、定時制高校あるいは通信課程、特別支援学校というようなところ、ここに関しては、高校生修学支援基金による貸与奨学金の拡大という形で対応していただくことになっております。

 これに対しまして、不登校で、学校へ行きたいけれども行けない、あるいは、フリースクールに通っているんだというような児童生徒たちの家庭についての目配りをすべきではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 高校に通っていない生徒といいますか者については、子ども・若者ビジョンというのが、平成二十二年の七月二十三日に子ども・若者育成支援推進本部決定に基づきましてできておりますけれども、そこで関係府省が、若者の職業的自立、就労等の支援やニート、引きこもり、不登校の子ども・若者への支援等の施策に取り組むことというのがございます。

 それを受けまして、文部科学省はこれが決まる前からやっておるんですけれども、不登校児童生徒の支援の観点から、フリースクールを含むNPOや民間施設に対しまして、不登校児童生徒の実態に応じた効果的なカリキュラムや活動プログラム、あるいは関係機関等々との連携プログラムの開発等をそこに委託しております。文部科学省から直接お金を交付して、そうした活動を支援させていただいているところでございます。

 それから、先ほどの局長の答弁に少しつけ加えさせていただきますと、我々の政権は、フリースクールでの学びも含めて、すべての子供たちの学びを少しでも実現をしていこう、支援していこう、こういうスタンスであります。先ほど来御答弁申し上げているように、文部科学省からは必要な通知は出していたわけでありますが、それをさらに加速するということになっております。

 平成二十二年の一月に、まさに政権交代後でありますけれども、子供たちに対する相談チャネルの整備や子供たちの居場所づくりなどを進めるために、五省庁四十団体が連携をして設置した、子どもを見守り育てるネットワーク推進会議というのをつくりました。そこにも、構成メンバーとしてきちっと、フリースクール全国ネットワークや日本フリースクール協会も構成員になっていただいて、まさに子供を見守り育てる、そうした我々の運動の一員である、そうした位置づけもさせていただいているということでございます。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。

 無償化に伴う部分、新しい政策をするたびに不利益なことがあるのではないかというようなメッセージが送られると、またフリースクールは行っちゃいけないんじゃないかというようなメッセージになってしまってはいけませんので、ぜひ目配りをいただきますように、よろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問でございます。

 私たちの政権では、新しい公共という形で社会をつくり直そうというのが大きな柱でございます。新しい公共という観点から、学校のあり方、公立小中学校のあり方について御質問させていただきたいと思います。

 〇九年のマニフェストにおきまして、学校理事会あるいは教育委員会制度の抜本見直し、インデックスでは、自治体の長が責任を持つというようなところまで書き込んでいるわけですが、教育委員会については、名誉職である、文部科学省に問い合わせるばかりで、なかなか決定をすることができないというような批判、あるいは、教育委員会事務局に現場の優秀な先生をたくさんとられてしまうということで、行政職の方にたくさんの人材がとられて現場が薄くなってしまうというような課題、あるいは、教育委員会が中心で物事を動かしていくことによって、校長先生の権限が弱いのではないか、このような問題意識がございます。私自身も自治体の現場で感じてきたところでございます。

 民主党政権が掲げる新しい公共という理念において、地域の中で、たくさんの大人の目のある中での寺子屋教育、これをよい例として挙げているところでもございますが、教育委員会を廃止して、地域のきずなを結び直す核という形で、たくさんの人が参加する学校理事会、それから学校を開いていくということ、この方針に変わりはありませんでしょうか。また、その後の検討状況についてお尋ねをしたいと思います。

高木国務大臣 新しい公共という極めて重要な時代に我々は入っておりますし、むしろそういう精神に立って物事を進めていかなきゃならぬと思っております。

 今、民主党マニフェストの話がございました。改めて民主党のマニフェスト二〇〇九を見てみますと、まず、「公立小中学校は、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家等が参画する「学校理事会」が運営することにより、保護者と学校と地域の信頼関係を深める。」ということをうたっております。私は、まことにすばらしいことだと思っております。また、「現在の教育委員会制度を抜本的に見直し、教育行政全体を厳格に監視する「教育監査委員会」を設置する。」こういうことも具体的に掲げております。

 私どもとしましては、こういうマニフェスト、そしてインデックスに盛り込まれた制度の改革について、基本的な方向性は何ら変わっておりません。その上で、具体的なあり方については十分検討する必要があろうかと思っております。

 この場合、学校運営にだれが責任を持つのか、あるいは都道府県と市町村の関係をどうしていくのか、こういった地方教育行政の根幹にかかわる問題もあります。したがって、今すぐにということではないにしても、中長期的な課題として、まさに関係者の意見を十分聴取しながら、私たちは十分議論をしてまいることを考えております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。安心をいたしました。ぜひ前に進めていきたい、そんな思いです。

 特に、公立の小中学校というのは、寺子屋があった地域主権型の教育から、中央集権の国家をつくるときに、どんと一気につくったものであります。富国強兵そして経済成長という国家の一つの目標に向かってやっていくときにはよかったものが、今、やはり制度疲労を起こしている。あるいは、学校に先生と生徒しかいない、児童しかいないという状況が、生徒指導に非常に多くの労力を割かなきゃいけないという事態にも陥っていると考えております。たくさんの大人の目がある形でやっていくというのは非常に大事だと考えます。

 学校を開くという文脈で、ソフト面の方ですけれども、現在進んでおります学校評議員、それから学校運営協議会、コミュニティースクール、これについて、現状、それから今後の展開についてお尋ねをいたします。

鈴木(寛)副大臣 お尋ねのございました、校長が地域住民の意見を聞く学校評議員は、平成二十一年の三月現在で三万六千七十五校、全体の八六・五%の公立学校に普及いたしております。また、地域住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画をする学校運営協議会を置く公立学校は、平成二十二年の四月現在で六百二十九校、全体の二%となっております。

 このほか、地域が学校の教育活動を支援する仕組みといたしまして学校支援地域本部がございますけれども、これは、平成二十二年の十月現在で全国で二千五百四十本部、八千五百五十七校にございます。また、放課後子ども教室、これは放課後と土曜日等々でございますけれども、そこに地域の力をかりるということですが、これが、平成二十二年度で全国で九千二百八十教室実施されているという状況でございます。

 民主党政権の、まさに、地域住民あるいは保護者が学校との信頼関係を深め、そして学校づくりを一緒にやっていくということは、我々の根幹でもございますので、学校と地域の連携による学校づくりをさらに加速させていきたいというふうに思っております。

 先般も、こうした取り組みが一層広がるように、コミュニティースクールの取り組みをしている教育長の皆様方に熟議をやっていただいて、効果的な成功事例の普及に努めるとともに、この学校運営協議会等の設置推進の質の向上などを図っていただいて、そして、教育長による連絡協議会も設置をされたところでございますので、こうした方々と連携をとりながら、さらに一緒に進めてまいりたいと思っております。

森山(浩)分科員 ありがとうございます。ぜひ、よい事例をたくさん全国にまいていけるようにお願いをいたします。

 同じく、学校を開くという文脈でございますけれども、ハード面におきましては、学校施設について、昭和五十八年に一千百八十一万九千二人いた小学校の児童数が、平成二十二年には七百万人を切るというところまで減っております。この一番多いときは、我々が小学生であったときでございます。

 やはり感覚的にも、また、第二音楽室、第三美術室というような教室の状態、そういう形をやった上でもまだ六万の余裕教室を抱えているというこの状態で、狭い意味での教育ではない部分にもこの教室を使用するということは可能ではないかという部分がありますけれども、考え方、それから実態についてお知らせください。

辰野政府参考人 児童生徒の減少等により生じました公立学校の余裕教室を地域のニーズに応じて有効に活用するということは、極めて有意義なことであると認識をしております。

 余裕教室活用状況の実態調査によりますと、公立の小中学校の余裕教室を学校施設以外の用途に転用する際の主な活用の用途といたしましては、先ほど来あります、放課後子ども教室等の実施場所としての活用、それから社会教育施設、老人福祉施設、保育所など、地域のニーズに応じた多彩な活用が図られているところでございます。

森山(浩)分科員 有効であるということでございます。また、後押しをしていただいているということでございますが、実態は、これまた現場、教育委員会なんかでお話をしていますと、公立学校の余裕教室を目的外使用するという形にしてしまうと、文部科学省の補助金を返さなきゃいけないんだ、そんなことがあるからなかなかできないんですよというようなお話が出てまいります。

 現場の校長先生あるいは教育長さんなんかでもそんなふうに思っておられる方が非常に多いわけですけれども、この規制については、現在、どのようになっておりますでしょうか。

辰野政府参考人 学校施設を他の用途に転用する際の手続につきましては、実は、最近でございますけれども、平成二十年に大幅な簡素化、弾力化を行いまして、国庫補助事業完了後十年以上経過した施設につきましては、国庫補助金の返還を不要とするなどの措置を行っているところでございます。

 さらに、余裕教室を子育て支援施設や高齢者福祉施設に転用する際の既存施設の撤去工事、それらに要する費用の補助や、厚生労働省等との連携によりまして、余裕教室をいかに活用するかという事例に関するパンフレットも作成をいたしまして、有効事例の紹介を積極的に行っているところでございます。

 引き続き、地方公共団体が余裕教室を有効に活用する際の支援を進めてまいりたいというふうに思っております。

森山(浩)分科員 教室、要るからつくるわけですから、十年以内に転用というのは少ないのかなと思いますが、返さなくていいということになっているということですよね。これもやはり現場との温度差が非常に大きいと感じています。せっかくそのように転換を図って、地域の中に学校を使っていこうというような方向性が現場まで伝わっていないのは非常に残念なことでございますので、しっかりとお伝えをいただいて、地域の核としての学校として再生をしていくというか、さらに地域の中を再生していくきずなの大きなツールとして使っていけるようにしていただきたいなと思います。

 地域主権をやっていくという中において、昔はいろいろなものがあったと思います。寺子屋はお寺でありましたし、このようなコミュニティーの核となる施設、今、全国にあるものということになると、やはり学校ではないかなと考えています。学校を中心とした社会の結び直し、これは非常に大きなテーマであると思いますので、文部科学省さんにも、ぜひ現場にもきちっと伝えていただいて、ともに頑張っていきたいと思います。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

城井主査 これにて森山浩行君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田統彦君。

吉田(統)分科員 民主党の吉田統彦でございます。

 大変貴重なお時間でございますので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、武道の必修化についてお尋ね申し上げます。

 平成二十年一月の中央教育審議会答申によりまして、平成二十四年度から武道とダンスが中学校で男女ともに必修化されることとされております。その中で、とりわけ多くの生徒さんが柔道を選択することが予想されます。

 そこで、私は少し心配していることがございます。愛知教育大学の内田講師が部活動における事故の調査をずっとしているんですが、これによると、中学、高校におきまして、一九八三年から二〇〇九年までの二十七年間、実に百八人の生徒さんが柔道事故によって不幸にして亡くなっておられます。これは一年にすると四人から五人、決して少ない数ではないと思います。また、加えて、重度の障害を負うケースを含めるとかなりの数に上ることが想像されます。

 お手元に配付した資料にございますように、柔道と並んで非常に事故の数が多いのはラグビーでございます。この二つのスポーツに共通するのは、頭部や頸部にけがを負いやすいということです。つまり、頸部や頭部を打ってしまう、その結果、例えば頸椎損傷、脳挫傷、そして硬膜下血腫などで死亡ないしはそれに次ぐような重篤な後遺症を残すことがございます。

 もちろん、柔道でもラグビーでも、上手に受け身ができたり、そして上手に転ぶことを覚えればそういった事故は減っていくんですが、やはり何せ中学生、非常にまだ未熟な分、体も成熟し切っていない、そういう状況で、当然、悪ふざけなどをして事故につながることもあるわけでございます。

 そこで重要なことは、やはり指導者ということになると思います。すべての学校に必修化ということで十分な指導者が行くことは非常に難しいことではあると思うんですが、例えば武道を専門としない先生方に研修を受けていただいて授業を受け持っていただいたり、ないしは外部からしっかりした指導者を招聘するという案も考えていらっしゃると私は伺っております。

 そこで、こういった武道の経験がない先生に対する研修制度のあり方、そして武道指導者を学校外から招聘する場合の採用基準、さらに武道を指導するに十分であるということを文部科学省が確認する方法に関して、まずお伺いしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 まず、研修でございますが、独立行政法人教員研修センターや武道関係団体との共催で、保健体育科の教員の資質向上のための講習会等を開催いたしておりますし、さらに、都道府県レベルで武道の経験の浅い教員向けの講習会を実施しているところでございます。

 それから、武道関係者などの地域外部指導者の活用というのは極めて有効だと思っておりまして、教員とチームティーチングによる指導などをやっていただくということはよいことだと思っております。

 その際、外部指導者の採用については、設置者であります市町村や学校の判断で適任者を採用していただくわけでありますけれども、そうした方にも必要に応じ、あるいは関連して、授業支援や指導法のあり方について研修を行っていただいて、よりよいチームティーチングをやっていただくといったことを考えております。

 そのことをさらに徹底し、また参考にしていただくために、地域の武道指導者を活用した指導を行うモデル事業を平成二十三年度予算案に盛り込んで、二億円を計上しているところでございます。

 こうしたことを活用して、平成二十四年度からの中学校の武道必修化に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)分科員 鈴木副大臣も中学の武道の授業で大けがを負われたと伺ったことがございます。文部科学省における安全確保、事故防止策の検討状況の方はいかがでしょうか。また、そういう生徒さんの安全を守るための施策として、どのようなことが必要であるとお考えでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 大けがではありませんけれども、私の通っておりました中学校、高等学校は柔道が必修でございまして、私も中学校のときに二カ月ぐらいその授業を休んでいたぐらいのけがをした経験はございますので、委員の御指摘は大変よく私も実感をいたしているところでございます。

 これは、なかなか文部科学省がその現場を一々チェックするというわけにはまいりませんし、また安全というのは、マニュアルを配れば、あるいはそうした情報提供をすれば済むというほど簡単な話ではございませんで、むしろ、いろいろな事故というのは予期せぬところで起こるのが事故であります。そういう意味でも、やはり現場の指導者の注意といいますか、私がおりました中学校は大変レベルの高い指導者でありましたけれども、であっても、そういうことは起こるわけであります。

 そういう意味で、いろいろな情報提供と、そして現場にしっかりした関係者が、教員がしっかりするということとともに、そうした専門家の協力を得るということがやはり一番有効であるというふうに私は考えておるところでございます。

 文部科学省は、柔道に関し、再三にわたり、直近で申し上げますと二十二年の七月十四日付でも、受け身を十分に行うことなどの安全指導、いろいろな折に触れて情報提供、注意喚起に努めているところでございまして、これは必要に応じ、さらに充実させていくつもりでございます。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 せっかく日本古来の美しい精神を守るための武道の必修化でございます。安全対策だけはどうぞしっかりしていただくこと、そしてまた、万が一にもそういう少しでも危険な部分があるようであれば、場合によっては少し延期してでもしっかりした安全対策をお願いいたしたいと思います。

 では、次の質問に移ります。

 二〇〇七年より大学教員に新たな職階制度がスタートしております。しかし、この職階制度の中で少し奇異に映る名前が一つございまして、それは助教というポジションなんです。これは、研究や教育を主に行うための若手の研究者がつくポストで、非常に多くの方がついています。

 助教というのは何かすごく、例えば医学部なんかだと、患者さんは、助教授に診てもらったのかな、だれに診てもらったのかなとかなり混乱していまして、実際彼らは、英訳する名刺ではアシスタントプロフェッサーという名前を使っているんです。つまり、日本の今の職階制度は、教授がプロフェッサー、准教授がアソシエートプロフェッサー、そして講師がレクチャラー、そして下に助教という、ちょっとしり切れトンボのようなアシスタントプロフェッサーというのがございます。

 これを、講師というものは実はイギリス以外の諸外国で余り用いられない職階でもあると私は思っておりまして、実際、私もそうなんですが、教授とつくだけで非常に研究者は何となくモチベーションがわいて、自分はプロフェッサーだとアメリカでも言っていいわけですから、私は少し御提案したいんですが、助教というのは非常に研究費用も少なくて、給料も安いわけです。彼らにぜひ、名前、待遇を、講師を廃して助教授を持ってきて、つまり、教授、准教授、助教授にしてしまって、彼らの待遇改善とともに、誇りを持って自分はプロフェッサーだと言って仕事ができるようなモチベーションを与えてあげるために、こういった職階の改正というのはいかがお考えか、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 実は、これは平成十七年の七月の学教法の改正で、准教授と助教というポストを新しく法律で位置づけたわけでございます。

 今、委員御指摘のとおり、これまでの助手とは全く違い、助教というのは、補助者ではなくて、みずから教育研究を行うことを主たる職務として、将来の教授等を目指す者がつく大学教員の職でありまして、まさに英語で言えばアシスタントプロフェッサー、こういうことになる、今おっしゃったとおりでございます。

 当時の議論を思い返してみますと、私も同様の議論をいたしました。それから、もちろん国会に提起される前の審議会等々の議論に際しても、いろいろな文部科学省内外での議論がありました。そのときの決着といいますのは、助教授というのがありますから、それが准教授になるわけですけれども、准教授の下に助教授があると、前の助教授と新しい助教授が余りにも混乱をするということで、助教ということになったわけであります。

 その議論を経て、それは十七年でありますので、まだ間もないわけでありますが、今後、その助教授との混乱がなく、かつ、今おっしゃったように、助教の方々がモチベーションがわくいい名前等があれば、ぜひ御提案をいただいて、また議論をしてみたいとは思いますが、現在そうなっているのは、従前の助教授との混乱を避けるためこうなっているということは御理解をいただきたいと思います。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 将来に向けて、皆さん希望を持ったんじゃないかと思います。私も大学で客員教授をしておりますが、何となくうれしいものなので、ぜひ御検討いただければと思います。

 では、続きまして、政府は来年度科学技術予算を六百億増額していただきました。また、今国会に提出された独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案、いわゆる科研費基金化法案、これは予算をふやさずに実質的な科研費の増額になります。年度末の使い切りもしなくていい、余計な事務作業もなくなる、そして予算の使い勝手が非常によくなる。これは本当に長年研究者が待ち望んだ、まさに福音ともいうべきすばらしい法律案だと思います。

 このように、本当に研究者を現政権、政府一丸となって後押ししていただいているわけですが、ちょっともう一押ししていただきたいことがございます。

 研究者は、先ほどもお話をしましたが、実際、生活費が非常に苦しい、まさに清貧という状況で皆さんやっております。その中で、もちろん給与面をサポートするのが一番望ましいです。ただ、それは多くの予算がかかることであって難しい。

 であれば、研究者は実はいろいろな学会に所属しております。それは、まず年会費が要ります。学会に参加するのに参加費が要ります。そして、旅費、食費等、それにまつわる経費がたくさん要るわけですね。例えば、いろいろな学会に研究者は属するんですが、年会費は大体一つの学会で一万円から二万円、これを多くの研究者が、五から十ぐらい入る人もいらっしゃいます。そして、参加費は、国内であれば大体一万から二万円、国際であれば安いものは一万ですが高いものは十万。そういう中で、さらにそれに旅費も加えて負担するわけです。

 それで、私も医師でございますので、医師の研究者ですと、さらにもう一つ余計な経費がかかります。これは専門医というものなんです。専門医というのは、これからの医療の質を担保していくために非常に大事になってくる資格だと思うんですが、この専門医の資格というのも実は年間数万円かかるんです。専門医というのは、救急医療専門医、眼科専門医、内科専門医、いろいろあるんですが、例えば内科ですと何々内科専門医、外科ですと一般外科、消化器外科、心臓外科、こういうものを複数所有する場合があるんです。実は内科医が一番大変なんですが、数十万、年間五十万近くこれだけで払っている。これは全部自腹なんです。

 こういう現状を踏まえて、ただでさえ待遇面で非常に苦しい思いをしている特に大学の教官のために、こういったものを税額控除の対象にしていただくということをぜひ御考慮いただきたいんです。実際、アメリカでは、アメリカというのは全員が自分で確定申告しますが、その際にこれを申告すると認められますので、日本でも、清貧の中にあえいでいる研究者を力づけるために、ぜひそのような制度をお考えいただけないかと思います。

鈴木(寛)副大臣 御指摘、大変よくわかります、私も学会費を払っておりますので。

 実は、今の国会に提出をしております所得税法等の一部を改正する法律案の中で、特定支出控除を使いやすくする観点から、特定支出の範囲に、職務に関連して加入した学術団体等の会費というものを新しく追加しております。これは、政府におきまして既に決定をいたし、今、国会に提出をしているわけであります。この法案が通れば、今御指摘の点がほぼ可能になるということでございます。

 委員おっしゃいましたように、研究者が学会に参加するということは、まさに本務であります。また、そのことによって、みずからの研究成果をアカデミックコミュニティーに問うて、そして最新の研究動向に触れ、また、そうしたことに取り組んでおられる最先端の研究者に直接触れる、そして交流が始まる、深まる。大変意義深い、意味あることだと考えておりますので、この法案が一刻も早く可決をされて、そして研究者の学会活動、研究活動がより一層円滑に行われるよう、国会においてもぜひ御理解と御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 本当に多くの研究者が今、勇気づけられたと思います。彼らは本当に法案を心待ちにしていると思います。私自身も本当にうれしいです。ありがとうございます。

 では、次の質問に移ります。

 特に鈴木副大臣が注意深く見守っていらっしゃる事項ではございますが、医師不足が叫ばれて久しいです。ただ、日本というのは、医師の本当に献身的な働きによって、日本の国民に対して非常に高い質の医療をずっと提供してきました。しかしながら、これはもう委員の皆さん御存じのように、臨界点に達しています。

 ここで、しかし、本質的な問題は何かといいますと、医師不足というよりも、日本の場合は医師の地域間の格差と診療科間の数の格差なんです。つまり、地域の偏在と各科間の偏在が問題であって、そこを議論することが本来的には一番大事であると思っています。ただ単に医師をふやせばいいわけではないんです。ただ、そういうことも踏まえて、医師をふやすのであれば、医師の質を国民に対して担保する責任が政府にはあると思います。つまり、教育水準を的確に確保しながら、医師を養成しなければいけません。

 そこでお伺いしますが、政府におかれましては、医学部の定員について今後増加させるべきかどうか、簡潔にお願いいたします。

鈴木(寛)副大臣 診療科の偏在と地域偏在はもとより重大な問題でありまして、そのことについては、前政権来、指摘をされ、それについての議論が行われてきたところでございますが、しかし、なかなかこれが進展をしないという状況がございます。

 そこで、やはり地域偏在という言い方をしますと、どこか余っているところといいますか、十分に足りているところがあるというふうにとられるわけでありますが、我が国で最も人口当たり医師数が少ないのは千葉、埼玉、茨城でありますので、四十七都道府県を見渡しましても、要するに医師が過剰な地域というのはないという前提の中で、もとより診療科の偏在、地域偏在は何とかしていくという中で、医学部定員の増員という議論になってきたと思います。

 平成二十年度から医学部入学定員の増員を図りまして、二十二年度から申し上げますと平成二十三年度は七十七人増ということで、現在は、千二百九十八人の増員をいたしまして、八千九百二十三人までの増員を行いました。その際にも地域枠というものを重視して、そして、当該大学が存在をする県並びにそのことを主として念頭に置いた地域枠というものを中心に増員を図ってきたわけでございます。

 いずれにしても、診療科の偏在と地域の偏在というのは、これは直ちにやっていかなければいけない問題でありまして、診療科偏在の是正については、昨年四月に行われました診療報酬の改定で、偏在が特に深刻でありました診療科、すなわち小児、外科、救急、産科といった分野における診療報酬、特に難易度の高い診療行為に対して、大幅な増額を行ったところであります。

 こうしたことをあわせながら、直ちにやっていく。しかしながら、一方で、マクロで見ますと、大都市圏を中心に、これから二十年後、推定患者当たり医師数がさらに百から八十ぐらいに悪化するという状況もございますので、そうしたことも踏まえて、今、文部科学省に今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会を設置して、さまざまな御議論をいただいているところでございます。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 なかなか解決するのは難しい問題だと思いますが、いろいろ知恵を絞って対応していかなきゃいけない問題だと思います。

 あと、医学部の定員を増加させる、いろいろなお話を鈴木副大臣からいただきましたが、例えばふやすなら、今おっしゃった現行ある医学部をふやす場合と医学部を新しくつくるということがありますが、私個人としましては、莫大なお金を使って医学部を新設するよりも、今、全部の医学部がハードが老朽化してきています。やはり先にこういうところに予算分配をしてあげることが大事ですし、そして、医学部の定員がふえることに伴って、ソフトの面も、教官等も充実させなければいけない、そう考えているのですが、それに関してはいかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 もちろん、今存在するさまざまな施設、さらには人的資源というものを最大限にまずは活用するということは非常に重要な視点だと思いますし、私も個人的にそう思います。

 その際に、既存の医学部施設のみならず、これまでどうしても文部科学省と厚生労働省の壁がありました。しかしながら、厚生労働省所管のナショナルセンターだとか国立病院なども卒後臨床研修は受け入れをしているわけでありますから、そうしたところとのアフィリエイトホスピタル的な活用なども含めて既存の施設設備を最大限活用する、そこに人的な投入を促進するための措置を考えていくということは大変重要な観点だと思います。

 その上で、地域的に三百医療圏をつぶさに見ますと、医師不足に大変に苦しんでおられる地元自治体のお声、そういうものもこのあり方検討会で伺っておりますので、そうしたことにどう対応していくのか。その際も、やはり既存の病院等々をどういうふうに活用していくのか。

 ですから、更地から新しい病院をつくるというのは、委員がおっしゃるように、いろいろな意味で現行の医療提供体制にも影響がありますので、その辺はよく勘案していかなければいけないと思います。

 加えて、我が国の成長戦略の柱に掲げておりますライフイノベーションを担う人材というのが、研究に非常に強かった大学においても、なかなか最近はそうした研究分野に行っていただく卒業生というものが減っている、こういう観点も加味しながら、総合的にいろいろな議論を深めてまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 今、本当に頭を悩ませながらいろいろ進めていただいているわけですが、一つ、そういった苦労が比較的少ないんじゃないかなという医学部の定員を補充する案があります。それは、医学部と歯学部を両方持っているところの定員調整です。

 これは、ハード面でも、教官というソフト面でも負担が少なく、医学部定員をふやすことができる。逆に、今は歯科医師はちょっと余っていますので、そういう部分に関して、しかも将来歯科医師がまた足りなくなった場合も再調整できるという案で、すばらしいと思うんですが、実際お取り組みを文部科学省で既にしていただいていて、平成二十二年度は三十人、二十三年度は十二人、計四十二人とまだちょっと数は少ないですが、対応していただいています。まず、これに関して、もっと大胆な定員調整はいかがかということが一点。

 そしてもう一つは、これはあくまで歯科、医科両方持っている大学に関してです。ただ、世の中というのは実は歯科は単科大学が多くございまして、今、はっきり言いますと歯科医師五人に一人は年収二百万円以下のワーキングプア、そういう状況になっている中で、こういった単科大学の定員について今後どのようにしていくおつもりなのか、御所見をお聞かせ願えればと思います。

鈴木(寛)副大臣 今、触れていただきましたように、歯学部入学定員の削減といいますか振りかえは、まさに我々の政権になって、なったときから私は副大臣を仰せつかっているわけでありますが、直ちにその検討に着手をし、そして導入をさせていただいたところでございます。

 現行は、おっしゃるように歯学部をあわせて持っている大学ということに限定をしているわけでありますが、私どもの判断の中で、おおむねの御了解が得られる範囲ということでまず一刻も早くやろうということで、この範囲においてやりました。

 しかしながら、当然に今委員の御指摘のことは非常に有力な方策の一つである、さらに次の延長線上にあることだというふうに想定をいたしておりますので、この点も含めて、あり方検討会で御議論を賜りたいというふうに思っております。

吉田(統)分科員 ありがとうございます。

 本当に鈴木先生、この問題に非常に力強く取り組んでいただきまして、ありがとうございます。今後もぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間がなくなってまいりましたので、少し別の質問をさせていただきたいと思います。きょうは厚生労働省から政府参考人にお越しいただいていますので、ワクチン行政について少しお尋ねしたいと思います。

 時間がないのであれなんですが、日本は今いろいろなものが定期接種になってございます。BCG、DTP、麻疹、風疹、ポリオ、いろいろございます。そしてまた、厚生労働省の予防接種部会における意見書を踏まえて、Hib、小児用肺炎球菌、子宮頸がん予防ワクチンは、次期予防接種法改正に向けて定期接種化の検討が始められています。そして加えて、平成二十二年度補正予算において、対象年齢層にこれらの三種のワクチンの接種を促進するための基金設置のために一千八十五億円が計上されています。

 この子宮頸がんワクチンというのは、日本の子宮頸がんの大体六割ぐらいに関与すると言われているヒトパピローマウイルス16、18の感染を予防するワクチンでございます。

 そして、残りのHib、小児用肺炎球菌というのは、小児の細菌性髄膜炎という非常に怖い病気を防ぐ大事な大事なワクチンです。この二種類が九〇%以上の接種率でされた場合は、まず子供の健康が守られることが一つ。そして、夜、救急外来に来た子供が発熱であれば、細菌性髄膜炎が否定された場合は多くは風邪なんです。そうすると、水分がとれていれば、ほかの医師、小児科の専門外の医師でも対応できる。そして、逆に今度はそういうことがわかってくれば、お母さんが病院に連れていく負担も減る。その他、例えば抗生物質の処方も、当然、風邪に対してはウイルスですから抗生物質は効きませんから、そういう処方を減らすことができる。そうすると耐性菌も減って、万が一なった場合の治療にも非常に有益である等々、いろいろなことがあります。

 加えて、最終的には医療費の縮減や病原体自体を駆逐することも可能だと思います。この医療費縮減効果としましては、Hibはたしか八十二億円ぐらいの縮減効果が期待されていますし、小児用肺炎球菌は三百九十一億、そして参考までに、ヒトパピローマウイルスも百九十億ぐらいの医療費縮減がありますが、このためには非常に高い接種率が必要になってくるわけです。

 そのために、やはり、一つの質問は、ワクチンキャリアというものを欧米のように、日本には憲法によって教育を受けさせる義務と教育を受ける権利があるので、義務教育を受けさせないとかそういうことはできないんですが、ワクチンキャリアをしっかりチェックしていくことによってワクチンの接種率を高めていくことができると思うんですが、そこについていかがお考えかということが一点。

 もう一点は、そういうワクチン行政が日本は非常におくれてございます。その中で、アメリカにはジョン・F・ケネディがつくったACIP、そしてドイツにはロベルト・コッホ研究所にSTIKOという、すばらしいワクチンに関する諮問委員会がございます。日本版のACIPというものも今設立を考えている、準備中だというように伺っておりますが、その目途がいつなのか。

 そして、私個人としましては、国立感染研というのがございます、やはり有事の際のスピード感、そしてデータベースの共有という意味で、国立感染研内に設置することが望ましいと思いますし、そして、その構成メンバーの中には保護者や研究者など幅広い意見が入るようにしていただきたいと思いますが、この二点に関してはいかがお考えでしょうか。

城井主査 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

篠田政府参考人 まず第一点目のワクチンキャリアのお話でございます。

 私どもといたしましては、青少年、小児を中心に接種率を高めていただくというのが予防接種のまさに効果でございますから、そういった点については可能な限り引き上げたいと思っております。文部科学省さんの方と協力をして実施をしてきている面もございますので、今後とも、そういった御協力ということで対応してまいりたいというふうに考えております。

 それから、第二点目の米国のACIPやドイツのSTIKOのお話でございます。

 こちらの問題意識というものは、私どもも承知をいたしておるところでございます。適切に予防接種を進めていく上で、専門的な知識に基づきまして評価とか検討するということが必要だと思いますし、それを総合的かつ恒常的にやっていくというのもまた必要だろうと思っております。

 現在、厚生科学審議会に予防接種部会という、審議会の中の組織でありますけれども、そちらの方で、おっしゃいましたACIP、諸外国の制度を参考にいたしまして、日本版でどういった組織が望ましいかどうか、そのときに、国立感染症研究所のお話もございましたけれども、どういった形で置くのが望ましいかということで、検討を進められているところでございます。

 ワクチン行政、予防接種関係、いろいろ検討事項が多うございますので、そういった点をあわせて検討させていただきますので、もう少々お時間をちょうだいできればというふうに考えております。

吉田(統)分科員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

城井主査 これにて吉田統彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 本日、民主党最後のバッターになります大西健介でございます。高木大臣、それから笹木副大臣、鈴木副大臣、一日大変お疲れさまでございます。

 きょうは、文部科学省所管の諸課題につきまして、私の地元でいろいろいただいた御意見をもとに質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、三十五人学級の実施について質問いたします。

 政府は、公立小学校一年生の一クラスの上限人数というのを来年度から三十五人にするということをお聞きしております。一クラスの上限人数の引き下げ、三十一年ぶりと伺っております。学校になかなかなじめない小学校一年生からこの三十五人学級を実施していこうということは、私は大変すばらしいことだと思いますし、ぜひこれを、小学校一年生から始めて義務教育全学年に拡大をしていただきたいというふうに思っております。

 ただ、一つだけ注文というか、お願いがあります。私の地元、五市から成っている選挙区なんですけれども、安城市だとか刈谷市という市では、いまだに小学校の児童数、それから中学校の生徒数、将来推計でもまだまだふえる学校というのが幾つもあるんです。そういうところがある中で、先ほど森山委員の方からは余裕教室の活用という全く逆のお話がありましたけれども、例えばうちの地元の安城市では、平成十四年それから平成十七年、新たに二つの小学校を開校しています。

 そういうところからは、児童数が減少して空き教室がある地域と違って、これからまだまだ子供がふえていくので、三十五人学級をやるんだったらば、教室の確保だとか施設整備にいろいろな負担が生じるので、その部分はぜひ、国の政策変更でそういう新たなコストが生じるんだからしっかり支援をしてほしいというような御要望をいただいています。こういう御要望について、政府のお考え方というのを聞かせていただきたいと思います。

高木国務大臣 三十五人学級の実施に伴いまして法律の改正をお願いしております。また、予算も計上しております。速やかな成立を望むところです。その上で、必要となる教室の確保、そのための増築、新築、これについては、従前と同様、地方公共団体からの申請に基づいて国庫補助の対象としておるところです。

 平成二十三年度政府予算案においても、地方公共団体のニーズも踏まえつつ、必要な予算は計上しております。したがって、引き続き地方公共団体からの申請に応じて国庫補助等の支援を行ってまいり御要望にこたえていきたい、このように思っております。

大西(健)分科員 ありがとうございます。

 従前からしっかり必要な予算は確保しているという大臣のお答えでありましたけれども、私の地元の市長さんからは、霞が関に用事があって行ったときに、いや、実はうちの地元では学校をつくらなきゃいけないんですよという話をすると、霞が関の皆さんから、そんなところがいまだにあるんですかと言われてしまうと。ですから、やはりそういう認識の違いがあるんじゃないかということを言われておりますので、先ほどの森山委員の話ではないですけれども、あるところでは空き教室、余裕教室が出てきている、だけれども、まだまだつくらなければいけないところもあるんだという地域の違いをしっかりと認識していただいて、こういう政策を進めていただければありがたいなというふうに思います。

 それでは次に、高校授業料無償化についてお聞きをしたいと思います。

 いわゆる高校授業料無償化、これは民主党政権で実現したさまざまな政策の中でも、とりわけ皆さんから高い評価を得ている、非常に高く評価できる政策だというふうに私は思っておりますけれども、ただ、実際に運用が始まって、いろいろな御指摘や御意見というのも地元の方でいただいております。そういうところから幾つかお聞きをさせていただきたいというふうに思います。

 まず初めに、都道府県あるいは市町村が、これまでも私学との格差、この部分について、父母の公私の負担の格差をなるべくなくすという目的で授業料の助成制度というのをやっております。

 私の地元の愛知県、実は、この父母負担の公私格差をなくすために県独自の助成制度を今までやってきました。これが二〇〇九年度まで六十八億円の予算を計上しておりましたけれども、今回、就学支援金制度が始まったことによって、この二〇〇九年度六十八億円だったものを、一〇年度は三十六億円に大幅に減少しました。

 いろいろ事情はあると思うんですけれども、地方も財政は厳しいですから大変だと思うんですけれども、せっかく国がすべての子供に学ぶ機会を保障しようということでこうした就学支援金制度を実施しても、県の方が今までの支援を減額してしまうのであると、これは効果が減殺されてしまうんじゃないかなというふうに私は思います。

 こういう地方自治体の対応というのを政府はどう感じておられるのか。また、なかなか地方にこうしろとは言いにくいと思いますけれども、例えば、せっかく国がこういういいことをするので、地方も今までどおりの助成制度を継続して、できるだけ公私格差が縮まるようにしてくださいというようなお願いというか要請というか、そういうことをしたらどうか、あるいはされているのかということについてお答えをいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 まず、事実関係だけ申し上げますと、今年度といいますか、昨年の四月からという意味での今年度、低所得者世帯の私立高校生への経済的支援は、国、地方を合わせますと、すべての都道府県において昨年と同水準またはさらに手厚くなっているということでございます。

 これによりまして、私立高校生でありましても、年収二百五十万円以下の世帯については、四十一の都道府県で無料といいますか、授業料相当額を全額、国と都道府県あわせて対応する、こういうことになっておりまして、高校生の側から見ますと、そういう意味では改善が見られているわけでございます。

 ただ、愛知県はこれまで、ある意味では断トツに県単独で私立高校への対策を講じてきていただいておりまして、それは大変達見だと思いますし、愛知県のすばらしいお取り組みだったというふうに思いますが、そういうこともございまして、必要な措置を、水準をどの程度にしていくのかという御議論の中で、結果として、今御指摘のありましたように、県の負担額は減っているということでございます。

 ただ、御指摘のとおり、基本的には、都道府県の皆様方には、私立高校への経済的支援を、国が今までやっていた分を肩がわりする分はさらに踏み込んでやっていただきたいということは、私からも折に触れてといいますか、都道府県の担当者、担当課長などがお集まりになるときには毎回申し上げておりますし、笠政務官からも各都道府県知事に対しまして同様のお願いをする通知は発しているところでございますが、きょうの御議論も受けて、さらに一層そうした要請を強めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

大西(健)分科員 今、副大臣の方からは、低所得層、二百五十万円以下では特に無料になっているということでありますけれども、愛知県の場合、結果としてですけれども、年収三百五十万から八百四十万円の世帯では逆に今までより格差が広がってしまった。それから、ただと有償というのを比べると、言い方ですけれども、格差が無限大になっているなんていう指摘もありますので、ぜひ、私学も公教育の一環ということで、この公私格差の解消にこれからも努力をしていただきたいというふうに思います。

 今、副大臣からは非常に力強い御答弁をいただきましたので、私も地元の私学の皆さんに、その御答弁をしっかりとお伝えしていきたいというふうに思います。

 続いて、PTA会費等の学校諸経費の納入方法についてお伺いをしたいというふうに思います。

 私の手元に、きょうお配りはしていませんけれども、これは、私の地元の刈谷というところの、ある高校の父母に実際に配られた事務連絡なんですけれども、昨年の三月に出されております。これはどういう内容かといいますと、これまで授業料と一緒にPTA会費等の学校諸経費というのは毎月口座引き落としになっていたんです。ところが、授業料の方が公立高校不徴収になりましたので、ですから、この学校諸経費については、今まで毎月の口座引き落としだったものを、前期と後期、年二回に分けて、一括して引き落としをしますよという連絡なんですね。

 一見すると合理的でいいじゃないかというふうに思うんですけれども、これを見ますと、前期の納入期限は四月二十日になっています。四万円なんです。四万円というのも、それだけとれば大した額じゃないというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、四月というのはやはり年度当初でいろいろなお金が必要になる。そのときに四万円一遍に払ってくださいということになると、家計によっては非常に厳しいものがあるという御指摘をいただきました。

 せっかく民主党政権で、高校授業料の無償化、公立高校の不徴収、いいことをやっても、こういう細かいところの配慮を欠くと台なしになってしまう。高校授業料無償化になったから一括引き落としになったんだよみたいなことが実際に言われているということを現場で聞きましたので、これではもったいないなというふうに私は思っております。

 文部科学省の方にお伺いしますと、学校諸経費というのは学校ごとに集めて使っているものですから、実際どういうふうになっているか実態は把握していないというお話でしたけれども、現にこういうものが私の地元では出ているわけですから、全国ほかにもあるんじゃないかなというふうに私は思います。

 そういう意味では、今までのやり方が、授業料不徴収ということになったことによって、こういった諸経費の納入方法が変わって、ある意味での新たな負担が生じることのないように、例えば何か文書を発出したりとか指針を出したりとか、そういうことをやった方がいいんじゃないかなというふうに私は思うんですが、この点はいかがでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 御指摘をいただいた事例は、年間で申し上げると六万九千円ほどを授業料とあわせて十二回で分けて払っていたものを、それが二回になってしまった。四万円と二万九千円、こういうことになったということでございますが、そうした一括納入をいたしますと振り込み手数料が無料になるとか、そういうようなこととのパッケージでそのような取り扱いがなされているというふうに伺っております。

 ただ、御指摘のように、それが手間が省けて便利な御家庭もあると思いますけれども、一方で、四月という大変物入りな時期に一括納入が大変な負担になるという御指摘もそのとおりだと思いますので、徴収時期については、こうした二回というのをスタンダードとしながらも、弾力的に対応していただくことが望ましいというふうに私も思います。

 そういう意味で、御指摘いただきましたように、基本的には学校が判断すべき話ではございますけれども、きょうの御議論を踏まえ、さまざまな機会を通じまして、学校諸経費の納入についてもきめ細やかな配慮を検討していただくように、関係方面にお願いをしてまいりたいと思います。例えば、全国都道府県教育委員会、教育長協議会等々で、きょうの御指摘も踏まえて対応するようなことなども考えてまいりたいと思っております。

大西(健)分科員 副大臣がおっしゃるとおり、確かに振り込み手数料の問題とかありますから、私も一概に悪いことだとは思いませんが、今御答弁いただいたような形で、きめ細やかな配慮をいただけると非常にありがたいというふうに思います。

 もう一問、就学支援金についてお伺いいたします。

 これも私の地元にある専修学校から実際にいただいた御意見というか御質問なんですけれども、その専修学校、保育士さんだとか調理師さんだとか、そういった服飾だとか幼児教育の専門知識とか技術を学びながら、同時に技能連携制度を使って高校卒業資格が取れるというふうな学校になっています。

 しかし、公立高校と私立の高等専修学校に同時に在学した場合には、公立は高校授業料が不徴収になりますし、その上に就学支援金の支給も並行して受けられるんですね。だけれども、私立の高校と私立の専修学校という組み合わせの場合には、就学支援金というのは同時に複数校には支給されませんので、これは片方だけの支給ですということになります。

 公立の通信課程というのは、大体、授業料がかなり安く抑えられているそうなんですけれども、私立の通信課程というのは、ほとんど全日制に近いぐらいの授業料になっているというふうに聞きました。そうすると、なかなか負担が大変だという話であります。

 今回の高校授業料無償化というのは、公立の授業料不徴収と私立への就学支援金という二本立てになっているので、理屈の上では非常によくわかるんですけれども、ただ、子供を起点に考えた場合に、その子供が専門学校、専修学校に通いながら高校卒業資格を取るというときに、それが公立か私立かで受けられる支援が変わるというのは、何か私はちょっと常識的に腑に落ちないような部分があるんです。私だけがこう感じているのかなと思ったら、国会図書館の調査資料の中にもそういうことが指摘をされていました。

 こういう部分について、すぐにということは難しいと思いますけれども、何らかの改善というのを検討していただく余地があるのかどうなのか、お願いいたします。

鈴木(寛)副大臣 御指摘の点は、これまでもいろいろな方々から御指摘をいただいてはいるところでございますし、もちろん制度設計のときにも、そうしたことの可能性については考慮をしながら制度設計をいたしたわけであります。

 なかなか、こちらが立てば、こちらが立たず、こういうことで、結局は、二つの私立高校に二校分出すというのはこれまた公平性を欠くわけでございますので、そうしますと、公立と私立の両方に行っている場合に、これは公立がただであるから、もう私立の方は出さなくていいということにするのか、それとも、無償の公立と、私学、就学支援金を出すのか、この比較考量になるわけです。

 今おっしゃいましたように、公立の通信高校の従前の授業料は年額六千二百円でございますから、前者をとった場合には六千二百円の支援増、こういうことになるわけですけれども、六千二百円の支援増をすることがいいのか、それとも、こうしたケースに当たっても、きちっと十二万円程度の、あるいは低所得者であれば二十四万円程度の就学支援金の対象にするのか。この比較をしたときには、私立の通信制高校の生徒の授業料が公立の通信制高校と比較してかなり高額でありますので、この十一万八千八百円を、就学支援金の支給ということをした方がその学生の学びの支援という観点からは望ましいという判断のもとに、このような制度にさせていただいたということを御理解いただきたいと思います。

大西(健)分科員 今の副大臣の答弁、非常に理屈としては私も理解をいたします。

 ただ、こういうことになるということはわかっていなかったので、その専修学校では技能連携先というのを私立の高等学校にしているということですから、では、これを変えないと、まさに今おっしゃったように、私立の場合には通信制課程の授業料も全日制並みになっていますので、ある意味、専修学校に通いながら高校卒業資格を取ろうと思ったら非常に割高になってしまうということですから、それは学校の経営にもかかわってくる話だということでお話をいただきましたので、そういうことが地元であったということをお伝えさせていただきたいと思います。

 次に、国立大学法人の運営費交付金についてお伺いをいたします。

 昨年の夏の概算要求のときに、一律一〇%のシーリングということで全省庁にシーリングがかかって、その中で、この国立大学法人の運営費交付金も例外ではないという話になったものですから、全国の大学関係者から非常に懸念の声が上がりました。

 私の地元には、実は刈谷というところに愛知教育大学というのがあるんですけれども、愛知教育大学、その名のとおり、教員養成の単科大学です。今、例えば東大や京大みたいな総合大学というのは競争的研究資金みたいなものを獲得できるんでしょうけれども、こういった教員養成の単科大学というのは、もう予算のほとんどが授業料と交付金なんですね。ですから、運営費交付金をカットされると、もうこれは死活問題だというふうな声が上がっていました。

 結果としては、いろいろな御配慮をいただいて、下げ幅は本当に最低限に抑えることができたんですけれども、ただ、こういった教員養成系の単科大学のような大学というのは、ちょっと総合大学とは違う配慮が私は必要じゃないかというふうに思うんですが、この点、いかがお考えでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 概算要求時点では一〇%カットということではありましたけれども、昨年秋に行われました政策コンテストにおきまして、大学に対する基盤的経費の確保については、最も大勢の方々から、これは大事である、こういう御指摘もいただきました。それによりまして、おかげさまで、基盤的経費、これまで六年間ずっと削減をされてまいりましたけれども、今年度の予算編成ではその削減をストップするということができたわけであります。御指導には感謝をしたいと思います。

 その中で、総合大学と単科大学の、特に今、教育系の単科大学についての御指摘でございますが、そうした御指摘等々も考慮して、運営費交付金というのは基盤的な経費を安定的、継続的に給付するものでありますが、その運営費交付金の算定に当たって、運営費交付金を少し減額する大学改革促進係数というのがあるんですけれども、その大学改革促進係数の算定に当たっては、単科大学の場合は下げ幅を少し減じることによりまして、まさに教員養成系の単科大学のように教員の人件費の比率が高い大学については配慮を行っているところでございます。

 例えば、教員養成系の単科大学と非教員養成系の単科大学で比べましても、非教員養成系の単科大学の、同じぐらいの規模のところであれば、教員養成系の単科大学が配慮をされている、こういうことになっております。

 加えまして、今回の平成二十三年度予算におきましては、科研費を、従来二千億でありましたものが、二千六百三十三億円に大幅増額をいたしました。

 実は、科研費の獲得、応募してどれだけ採択されるかという比率におきましては、教員養成系の大学は、他の学部、学科等と遜色がございません。それだけ教員養成系の研究能力というのは高いという言い方もできるのかもしれません。

 したがいまして、この一・三倍に大幅増額をいたしました科研費に、これまでどおり教員養成系大学が応募をされれば、科研費の配分というものはふえてまいるであろうと推定をされますので、そうしたことも活用していただいて、教育研究活動の充実に努めていただければというふうに存じます。

大西(健)分科員 今、副大臣の御答弁にありましたように、六年間ずっと削減されてきた基盤的経費を、削減をとめたということは、本当に私は英断だと思いますし、それからまた、教育系単科大学についても、改革促進係数であったりとか科研費の部分でいろいろな御配慮をいただいているということがよくわかりました。

 もう一つ、この愛知教育大学、特別支援教育の特別専攻科というのがありまして、特別支援教育の免許を取るために、附属に養護学校というのがあります。私も、一度この養護学校を実際に訪問して、授業を見学させていただいたり、子供たちと一緒に給食を食べさせていただいたりしました。そのときに、いろいろ先生だとかからもお話を聞いたんですが、雨漏りがしていて非常に施設が老朽化しているとか、あるいは、教材費も非常に苦しいので、それぞれ皆さんが自腹を切って教材費を捻出しているみたいな、そういう窮状もお話を聞かせていただきました。

 例えば、医学部があって、附属病院がある場合には、この附属病院の部分については配慮というか、特別の手当てがなされているというふうに思うんですけれども、こうした教育系の大学で、特別支援教育をやるので附属の養護学校があるような場合に、何らかの加算というのがあってもいいんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 運営費交付金というのは、実は一般経費と特別経費というものによって構成をされております。御指摘のございました、附属の特別支援学校を含む附属学校の教育研究を支援するために、特別経費による特別支援教育を加算するといいますか、そうした取り組みをいたしております。それから、加えまして、教育課程の編成が、これは特別支援教育については必要なわけでありますけれども、それの実践研究を行うための特別支援教育総合推進事業といったものも実施をいたしております。

 枠組みはあるんですけれども、御指摘のとおり、その額が十分かと言われれば、特別支援教育の重要性と、そして現場の御負担を考えると、気持ちとしてはもう少し何とか拡充をしなければいけないなという思いは持っております。大変厳しい財政状況の中ではございますが、さらにきょうの御指摘も踏まえて、今後の課題としては、きちっと必要な支援策に留意をしてまいりたいというふうに思っております。

大西(健)分科員 非常に温かい御答弁をいただいたと思います。ぜひ、私の地元の皆さんにもお伝えをしたいと思います。

 次に、伝統文化こども教室事業について質問をいたします。

 各地にある伝統文化を子供たちに体験、習得させて、次世代にしっかりと引き継いでいくという事業ですけれども、昨年度も、私の地元でも幾つもの事業が採択をされています。刈谷の山車囃子こども教室、あるいは、安城に榎前というところがあるんですけれども、そこで三河万歳のこども教室、こういうものをやっています。非常に地元で喜ばれています。

 ところが、この事業、昨年の秋の事業仕分けで、国の事業としては行わないという評価結果が出ています。来年度予算の方でも、この伝統文化こども教室事業という形での予算要求というのは、もう今は行われておりません。

 私もちょっと疑問に思って、実際にそのワーキングの議事録というのを読んでみたんですけれども、これを読むと、必ずしもこの事業の有効性が議論の的になっているのではないんです。実施主体の問題が、専ら評価者の議論の対象になっています。つまり、常勤役員一名が天下りしているような財団にやらせるのはどうなんだという話だとか、都道府県や市町村の教育委員会の支援をもらいながら文化庁が直接やればいいじゃないかとか、あるいは、伝統文化というのは地域がよく知っているんだから地方公共団体が直接やればいいじゃないかという、実施主体の話が問題になっているんです。なのに、これだけ地元でありがたがられているのに、実施主体の問題でこれはだめだよというふうになってしまうというのは、私は非常に残念な気がいたします。

 今後は別の枠組みの中で、こうした伝統文化の問題というのをしっかり支援していくということをお聞きしていますけれども、今後とも、ぜひこうした事業に、伝統文化の継承に支障が出ないように予算を確保して、しっかり御支援をいただきたいなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

城井主査 時間が来ているので、簡潔に。笹木副大臣。

笹木副大臣 今お話がありましたように、これは新しい事業で、文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業、来年度の予算案で約七十一億円ですが、この中で、子供の伝統文化体験の機会を確保する事業を行う場合にこれを支援する。

 大西委員のお話にありましたが、都道府県が、あるいは市町村が申請をするという流れ、実施の流れは変わったわけですが、ぜひこういう点で、伝統文化教室的な事業がなくなっておかしいよとか具体的な事例がありましたら、また聞かせていただければ検討したいと思っております。

大西(健)分科員 時間が参りました。

 私の地元、実は自動車産業の町でありまして、たくさんの日系ブラジル人の方がいます。ある学校では児童の半分がそういう外国籍の子供ということで、本当はそういった問題についてもお伺いをしたかった。それからもう一つは、科学離れの中で、子供たちの科学への関心だとか夢をしっかり持っていただく。それを特に地方の、余り科学館とか博物館がないところの子供たちに、小惑星探査機の「はやぶさ」をぜひ見せてあげたいというようなこともお聞きしたかったんですけれども、時間が参りましたので、これにて質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

城井主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後五時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後六時開議

城井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 他に質疑の申し出がありません。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後六時一分散会


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