衆議院

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第1号 平成25年4月12日(金曜日)

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本分科会は平成二十五年四月九日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      あかま二郎君    遠藤 利明君

      渡海紀三朗君    萩生田光一君

      中山 成彬君    浮島 智子君

四月十一日

 萩生田光一君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十五年四月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 萩生田光一君

      あかま二郎君    遠藤 利明君

      田中 英之君    渡海紀三朗君

      中山 成彬君    伊佐 進一君

      浮島 智子君

   兼務 小松  裕君 兼務 三日月大造君

   兼務 山田  宏君 兼務 岡本 三成君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   財務副大臣        小渕 優子君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   文部科学大臣政務官    丹羽 秀樹君

   文部科学大臣政務官    義家 弘介君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            井内 正敏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      清木 孝悦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   文部科学委員会専門員   久留 正敏君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  渡海紀三朗君     田中 英之君

  浮島 智子君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英之君     渡海紀三朗君

  伊佐 進一君     浮島 智子君

同日

 第三分科員山田宏君、第五分科員小松裕君、第六分科員岡本三成君及び第七分科員三日月大造君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

萩生田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 平成二十五年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十五年度予算の編成に当たっては、東日本大震災からの復旧復興対策を初め、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆三千五百五十八億円、東日本大震災復興特別会計一千八百十五億円、エネルギー対策特別会計一千百三十八億円となっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 以上です。

萩生田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

萩生田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

萩生田主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

萩生田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。

岡本分科員 おはようございます。

 公明党の一回生議員の岡本三成でございます。きょうは質問の機会をお与えいただきまして、皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 私、安倍政権の三本の矢のうちの成長戦略、最も重要な戦略だと思っておりますけれども、この成長戦略には、やはり時間軸があると思っておりまして、中長期的な最大の成長戦略は、教育に対する戦略だというふうに思っております。その意味で、きょうは、未来を担う青年に対する政府の支援ということに対して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私、大学を、日本、イギリス、アメリカの大学で教育を受けまして、その後アメリカの会社に就職をし、最後、議員になるまでの五年間は、社会貢献の一環といたしまして、アメリカの大学の理事を務めておりました。その際に、アメリカを初めとして、諸外国の主要な教育に対する政策、とりわけ未来を担う青年に対する政策というものが成長志向であり未来志向であるということに比べまして、日本の青年に対する支援が不十分だなというふうに思っている点が多々ありましたので、その点につきまして、きょう質問をさせていただきたいと思います。

 とりわけ、将来を担う青年は、日本の将来、夢、そのものでありまして、現在話題になっております社会保障に関しましても、青年に対する社会保障という観点も重要だというふうに思っております。政治がこのような青年に最大限に光を当てて、青年の未来を開いていくことこそが、日本の未来を開いていくことにつながると思いますので、きょうは、日本社会でよく言われております、貧困の格差が教育の格差につながるというその格差を断絶するというポイントからも、大臣にぜひ前向きな御答弁をいただければと思います。

 現在、両親が裕福であれば、それが教育の水準の高さにつながり、子供の方の多くは高等教育を受けているという流れになっております一方、残念ながら両親が低所得であれば、大学への進学を諦める方もいらっしゃいます。一方で、奨学金を借りてまでも大学に行きたいという方は、自分のその状況を自分の力で変革をして、未来に向けて前向きに取り組んでいこうと、自分の未来を切り開いていらっしゃる若者でありまして、ここに対して日本政府として最大の支援をしていくということが、まさしく将来に対する成長戦略だと思います。

 その意味で、まず第一点目に、現在、学生支援機構、旧日本育英会が行っております奨学金制度について御質問させていただきます。

 現在、この学生支援機構からの奨学金の受給者は年間百三十四万人でありまして、このうち、有利子、つまり利子を払って奨学金を貸与されている、借りていらっしゃる方が全体の七五%、百一万人であります。

 元来、この学生支援機構の目的というのは、未来を担う青年を支援する、育成していくという目的でありますけれども、その四分の三がいわゆる学生ローン、しかも金利を取っているということであれば、これは単なる金融機関の学生ローンにすぎないのではないかというふうに私は思っております。

 一方、海外の奨学金制度を考えてみますと、返済の義務のないいわゆる給付型、お金を差し上げるというのが海外の潮流でありますし、貸し付けるというローンに関しましては何らかの利子補給をしているというのが一般的な諸外国の通例です。

 例えばシンガポールでありますと、全ての大学生が八〇%まで補助を受けられまして、シンガポールに来る留学生、海外の人でも、卒業した後、その後三年間シンガポールで働くということを宣言すれば、同じような補助が受けられます。詳細は時間の関係で申し上げませんが、イギリス、フランス、スウェーデン、ドイツ、アジアでも韓国は、日本と比べますと段違いの、学生に対する支援をしていらっしゃいます。

 現在、仮に、この百万人、お金を借りる貸与型の方々の金利を全くのゼロにしてしまう、つまり、現在第一種としてお借り入れいただいている四分の一の方々と同じ条件にするときに、国が年間で負担をしなければいけない費用というのは約百億円です。百億円というと非常に大きな金額に思えますけれども、我が国の国家予算の何と〇・〇一%。たったの〇・〇一%で、未来に向けて自分の力で頑張っていこうとする毎年百万人の青年を支援していけることになります。

 文科大臣、この基本的な学生ローンに関しては全て金利をゼロにするという政策について、御所見をぜひ伺えればというふうに思います。

下村国務大臣 日本の未来は子供たちに対する教育投資で決まってくるというふうに思いますし、経済的な格差がある中で、それが教育格差につながって、貧困の連鎖につながらないような対応をしていくということは大変重要なことであるというふうに思います。

 私も、高校、大学と、当時の日本育英会、当時は特別奨学金、給付型、半分が給付型でしたから、それによって進学できたということがございまして、ぜひこの制度が復活をするようなことを考えていくことは私の体験からいっても必要なことだというふうに思いますが、その前の前提として、まず、意欲と能力のある学生に、大学奨学金事業の充実によって、より進学するチャンス、可能性を与えていくということは当然必要なことだというふうに思います。

 今委員が御指摘のように、今は日本学生支援機構という名前になっておりますが、ここの奨学金は無利子奨学金と有利子奨学金があるわけでございます。この有利子奨学金制度は、私のときにはなかったわけですけれども、その後、発足当初の昭和五十九年から始まり、無利子奨学金の補完措置として導入されたものでございますが、これは、私としても、無利子奨学金がやはり基本であるというふうに思います。

 このため、平成二十五年度予算案においては、無利子奨学金の貸与人数を大幅にふやし、事業の充実に努めているところでありますが、目指すべき方向は、委員が御指摘のように無利子奨学金にしていくということが目指すべき方向であるというふうに思いますし、そういう目指すべき方向に向けて努力をしてまいりたいと思います。

岡本分科員 大臣、前向きな御答弁をありがとうございます。

 本来、将来的な目標としては、全てを給付、つまり差し上げるというところを目指したいと思いますけれども、その時間的な措置として、取り急ぎ、金利を払って借りていらっしゃる方に関しては金利をゼロにするということを目指していただければと思います。

 そもそも諸外国では、給付する、つまり差し上げるもののみを奨学金と呼んでいます。将来返済しなければいけないのは奨学金とは呼んでおりませんで、これはローンと呼んでおりますので。先ほど申し上げたように、政府がやる仕事としては、青年の未来を切り開くという意味で、極力負担を少なくしていくということを、ぜひ、さらに前向きに御検討いただければと思います。

 続きまして、返済の金額の免除につきまして御質問、御提案をさせていただきたいと思うんです。

 学生支援機構からローンなりをお借りして、目的としては、その学生が四年間しっかりと学んで、そしてその未来を切り開いていって、それが日本のためになるということなんだと思うんですけれども、その学生の方々に、さらに学ぶ意欲、インセンティブを与えることは重要なんだと思うんですね。

 したがいまして、例えば、支援機構から奨学金を受けた方が、四年間学んだその成績が最優秀である方に関しては返済額を大幅に減免するとか、または免除するとか、さらには、社会的に必要な職業と思われるもの、しかしながらなかなかそこに携わる方が少ないと思われる職業、例えば救急医療に携わる方、地域医療に携わる方または介護に携わるスタッフの方、このような職業につくと借りた奨学金に関して減免がされる、または返済が免除されるというようなその仕組みづくりというのも、この将来の日本のあり方を考えたときに有用だと思いますけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 かつては、日本学生支援機構の前身でございます日本育英会の時代におきましては、教育職や研究職といったような職に就職した者に対しまして、当該職に在職した期間に応じまして奨学金の返還を免除するというような、職に応じた制度というのもあったわけでございます。

 しかしながら、この制度につきましては、特殊法人等の整理合理化計画、これは平成十三年に閣議決定されたものでございますけれども、その中において、職の間の公平ということを考えるとどうだろうかという御指摘がございまして、こういった職に応じた返還免除という制度はそのときに廃止をされました。そして、日本学生支援機構に転換いたしましたときに、そのかわりに、大学院において無利子の奨学金の貸与を受けた者の中で、今先生御指摘のように優秀な成績をおさめた者に対しまして、貸与した奨学金の全額または半額を免除するという制度がスタートしたわけでございます。

 御指摘のように、頑張った学生、さまざまな活動を通じて社会に貢献をしていく学生につきまして経済的なインセンティブを与えるということは重要な点であるかと思っておりますので、今後の奨学金、経済的支援のあり方について検討していこうということで、今後、学生等への経済的支援のあり方に関する検討会というのをスタートさせることとしておりますけれども、その中で、御指摘のような、学生にインセンティブを与えていくような方途につきましても、経済的支援のあり方全体の中で検討していきたいというふうに思っております。

岡本分科員 ありがとうございます。

 以前、育英会のときに、例えば教育従事者になる方が返納を免除されたというようなことは、やはり社会的な意義づけとして、教育者の数が足らなかったということに対する政府の大きな意思が入っていたと思うんですけれども、同様に今も、医療従事者の中である特定の医療分野に関しては少ないというその現状を嘆くだけでは何も解決をいたしませんので、そのような意味で、未来志向で、そういう職業的な差別という意味ではなくて、よりよい日本をつくるという意味でそういう政策がもう一度考えられてもいいんではないかと思います。

 現在も大学院のレベルで免除が行われていることはよく承知をしておりますけれども、大学院の進学率が上がってきたとはいえ、多くの方は大学四年を卒業した後に就職されているわけで、よく日本は大学に入るのは難しいけれども卒業するのは簡単だと言われますけれども、この四年間のうちに学ぶインセンティブをより与えて、その学んだ実力というのが社会でより発揮され、その方の将来と日本の将来をつくるというようなことの観点から、さらに積極的な御検討をいただければと思います。

 続きまして、奨学金を借りた方が就職をされた後に、なかなか十分な所得を得られず返済に困られたときのその返済利息、延滞の金利について御質問させていただきたいんですけれども、平成二十五年度、市中金利が大きく下がりましたので、税制改正の中でも、税金を納める、延滞をされた方のその延滞金利が大幅に下げられるというようなことになりまして、現状一四・六%ですけれども、それが四・三%、約三分の一になってまいります。

 一方、学生支援機構からのローンを借りた方が、なかなかやはりこの経済状況の中で返済ができないという、滞ったときのこの延滞の利息というのは、何と一〇%であります。高利貸しじゃないかと思うような金利をいまだに取っていらっしゃるわけですけれども、世の中の金利が大きく下がっていく中で、しかも、税金の延滞に対する利息も大きく下がるというような流れの中で、学生支援機構から借りたローンの返済の延滞金についても大幅に見直す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

板東政府参考人 ただいま委員御指摘のように、一〇%という率で延滞金を取っているということは事実でございます。

 これは、返還者に対しまして返還期日に返還をするように促すということとともに、延滞となった場合に、期日どおりに返済している者との公平性というのをどう考えるかという観点から課しているのが延滞金ということでございますけれども、今御指摘いただきましたように、これにつきましては、今回の延滞税の改正などもございますので、そういった状況も参考にしながら、財政当局ともすり合わせをさせていただきまして、この延滞金の趣旨を損ねない範囲でなるべく低い金利とするような、延滞金の利率とするような方向で、そのあり方について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

岡本分科員 税金におきましても支払いの義務があるということは、ローンを借りたその学生の方に関しても支払いの義務があるということで、債務者という意味では全く一緒ですから、その意味では、納税者に対して利息が大幅に引き下げられるということは、ローンを借りた方に関しても大きく引き下げるということは全く違和感のない措置だと思いますので、ぜひ前向きな御検討をいただければと思います。

 続きまして、残念ながら、このように滞納していらっしゃる社会に出た後の方々、現在三十四万人ほどいらっしゃるというふうに資料で拝見いたしましたけれども、大変ゆゆしき問題だと思っております。

 一つは、大きく社会状況が改善できて、景気が立ち上がればいいと思いますし、加えて、先ほど申し上げた一〇%という延滞金利が大幅に低下されれば、さらに返しやすい状況になると思いますけれども。

 現状、ネット上ではさまざまな広告等が打たれておりまして、例えばあるサイトに行きますと、奨学金返済滞納に注意、返済できなければブラックリストに載って社会的廃人になりますというふうなものが出ています。それをどんどんたどっていきますと、最終的には消費者金融のページに行き当たりまして、消費者金融で借りかえをすることによって、ブラックリストに載ることから自分を助けることができますというようなものがネット上で躍っております。

 このようなことを、不安を与えることによって、返したいんだけれどもこのような経済情勢の中で返せないというような方々に対して、不必要に自分の未来を卑下させて、そして、借りかえることによってさらに高い金利を払わせるというようなことが万が一にもあってはいけませんし、加えまして、仕組みとしてこのようなことを排除できるようなことはないかという問題意識をずっと持っています。

 確かに、ホームページを拝見しますと、そのように返済が困難になった方に対して、このような仕組み、例えば、返済額を毎月半分にして、そのかわり返済する期間を二倍に延ばすというようなものがありますというようなことが書いてありますけれども、実際に相談窓口としてここに行ってくださいですとか、または、現在の返済する金額の確認書を毎年送っていらっしゃると思うんですけれども、そこにも大きくそのようなことを載せるようにして、実際には、返済に困ったときに、高金利の借りかえに行かなくても、機構と相談をする中で工夫ができるんだというようなアピール、広告が足らないように思うんですね。

 その点、何かぜひ改善をしていただいて、本人も確実に返せるけれども、しかし負担が少ないというような工夫をいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

板東政府参考人 御指摘のように、さまざまな事情によりなかなか返せないという方に関しての返還猶予とか減額の制度が現在あるということでございますけれども、御指摘のように、なかなか十分に説明、PRが行き届いていないのではないかという御指摘もございますので、一層、そのあたりについては明確な情報提供ときめ細かな御相談、対応をさせていただくように、これは日本学生支援機構の方でも今現在努めているところではございますけれども、我々としてもそれを促していきたいというふうに思っております。

岡本分科員 ぜひ金融庁の方にもお伺いをしたいんですが、このような非常識な広告をネット上に出しているような消費者金融会社に対して、厳しい指導を行っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

井内政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のようなケースとしては、まず、貸金業者がみずからのホームページに借り手を誘引するためリンクを張ることを承諾している場合、いわゆるアフィリエイト広告の場合と、そうではない場合が考えられます。

 前者につきましては、貸金業者は、ホームページへのリンクが自主規制機関である日本貸金業協会の自主規制規則等に照らして適切かどうか、その検証を業者に委託しているのが一般的でありまして、貸金業者は、委託先の業者の検証の状況について、貸金業法の定めに基づいてモニタリングしているというふうに承知しております。

 また、後者のケースにつきましては、不適切な記載があるウエブサイトにリンクが張られている場合には、貸金業者みずから自主的に削除要請が行われているものと承知しております。

 いずれの場合にいたしましても、金融庁としては、日本貸金業協会の自主規制規則の趣旨等も踏まえて、貸金業者のホームページへのリンクのあり方について、適切な管理がなされるように監督指導をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

岡本分科員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいた中で、アフィリエイトかどうかということの仕組みの問題よりも、広告の内容の問題だと思うんですね。

 先ほど申し上げましたように、奨学金を借りて返す方、御両親の収入は低いけれども自分の未来を自分で切り開くために借金をしてでも学ぼうとしているが、社会に出た後にたまたま景気が悪い中で返したいけれども返せないといった方々に、過激な広告を打っておどかして、そしてさらに高金利を取るような借りかえに導いていくというような、その広告の内容ですので、内容についてぜひ徹底的な取り締まりを行っていただければというふうに思います。

 続きまして、東日本大震災で被災された奨学金を受けていらっしゃる方々に対する、さらなる御支援ということについて質問をさせていただければと思います。

 実際に、減額返済や返済期間の猶予などの措置をとっていらっしゃいますけれども、民間の企業等は、社会貢献という形で、給付、つまり奨学金を差し上げるというふうなことを被災地の方々にやっていらっしゃる企業も多くあります。

 加えまして、今回の自公政権で、東北の復興が日本の復興だというふうな大目的の中でさまざまな支援を東北にしているにもかかわらず、実際に、学生支援機構の東北で学んでいる学生に対する支援のレベルというのは余りにも低くて、そして、その利用者の方々も、広告が十分でないという理由もあると思うんですけれども、数も本当に少ないというふうに思うんです。

 さらに、被災をされた学生、また卒業生の方々に対する支援のあり方ということ、また、今後のさらなる拡充ということについて御検討していらっしゃることがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、被災した学生が経済的理由により修学を断念することなく、安心して修学できるよう支援することは大変重要なことであるというふうに考えます。

 このため、平成二十五年度予算案において、被災学生を含めた無利子奨学金の貸与人員を大幅に増員するとともに、被災学生については優先的に無利子奨学金の貸与が受けられるよう運用することにしております。また、被災学生については、災害後、引き続き経済困難な状況が続いている限りは、通常の猶予期間の上限である五年を超えて猶予することとしております。

 引き続き、被災学生等が安心して修学できるよう、さらなる事業の充実に努めてまいりたいと思います。

岡本分科員 ありがとうございます。

 大臣、今のお話ですと、基本的に、お借りになった方々に返済を猶予したり、また新しく借りる方が金利つきではなくて無利子であったりというようなことなんだと思うんですけれども、実際には、そこにお住まいで働いていらっしゃったような方々にはさまざまな形で国から補給金が出ているわけで、金銭的なさまざまな補助をしているわけです。

 ということは、ローンをお借りになった方々に減額をしていくというような形も、今政府としてやっていらっしゃる方向性に全くベクトルがたがわないと思うんですけれども、金利の水準だけではなくて、返済額を大幅に減らしていくような御検討もさらにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 東日本大震災の被災された方々に対しては、国がトータル的な施策を行っているわけでございます。

 その中で、これは民間ですけれども、例えば、私が前に副会長をしておりましたあしなが育英会等は、一括二百万、給付金ですぐ渡すというようなことをしているところもありますし、また、大学等は、授業料減免をしている大学も相当数ございます。

 オール・ジャパンとしてトータル的に、そういう被災地の方々に対する情報等を提供しながら、より軽減の形がとれるようにしていくことであるというふうに思います。

 学生支援機構については、被災者の方々に対する対応だけでなく、最初に御指摘されていたような有利子の奨学金制度のあり方、それから、そもそも給付型の奨学金制度のあり方を含めて、トータル的に、やはりこれからきちっと見直すときでもあるというふうに思いますので、そういう一環の中で、被災された奨学生に対しても、より軽減できるような対応も含めて検討していく時期であるというふうに思います。

岡本分科員 ありがとうございます。ぜひ前向きに御検討いただければと思います。

 加えまして、政府系金融機関から学生にローンを出すということでは、別の政府系機関、日本政策金融公庫も教育ローンを行っていらっしゃいまして、これは、お子さん一人当たりに三百万円まで十五年間貸し付けがなされておりまして、貸し付けの裾野を広げるという意味では重要だと思いますけれども、何と、この利率が二・四五%。今の国債の調達金利または日本政策金融公庫の独自の調達金利の二倍以上の金利で学生に貸し付けているわけですけれども、この金利、この低金利の中ですので、もっと前向きな改善がなされないかというふうに期待をしておりますが、いかがでしょうか。

竹内大臣政務官 岡本委員の御趣旨、よく理解できるところがございます。

 日本政策金融公庫が行う教育ローンの金利につきましては、平成十八年の行革推進法等を踏まえまして、国民負担を抑制する観点から、原則として、日本政策金融公庫の資金調達コスト等を踏まえた収支相償金利となるように設定をされているところでございます。

 最近におきましては長期金利が低下傾向にあるところでございまして、今後、日本政策金融公庫の資金調達コストもこれに合わせて減少して、その結果、教育ローンの金利も低下するものと見込まれております。

 財務省といたしましては、今後とも、日本政策金融公庫が民間金融機関を補完しつつ、教育ローンの実施を通じまして、家庭の経済的負担の軽減と教育の機会均等に貢献できるように、さまざまな工夫をして適切にきちんと対応してまいりたいというふうに思っております。

岡本分科員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、最後に一言だけ。

 初めに申し上げましたように、最大の成長戦略は未来を担う青年に対する教育投資だというふうに思っております。文科省の出している教育指標の国際比較によりますと、我が国の一般歳出に占める学校教育費の割合はOECD三十四カ国で最低であります。やはり先進国として、さらにこの日本の未来を大きくしていくその政治の役割として、教育に対する割合を大きくしていきたいというふうに思いますけれども、最後に一言だけ、文科大臣の決意をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

萩生田主査 質疑時間が終了していますので、下村大臣、簡潔にお願いします。

下村国務大臣 安倍内閣の最重要政策課題が経済再生と教育再生です。その教育再生するためには、当然支援も必要であるというふうに思いますし、ぜひ積極的な教育投資が行われるような施策について全力で対応してまいりたいと思います。よろしく御支援をお願いいたします。

岡本分科員 以上で終了いたします。ありがとうございました。

萩生田主査 これにて岡本三成君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中英之君。

田中(英)分科員 おはようございます。自民党の田中英之でございます。

 きょうは、この文部科学委員会の分科会にてこのような質疑をする機会をお与えいただきましたことに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 私自身は、地方議会に長年携わらせていただいてまいりましたので、今回お聞きさせていただく観点というのは、その地方から見た今日までの国の行政のさまざまな制度やそういったことについて、今日までいろいろと思ってきたことをきょうはお伺いさせていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まずは、少人数教育についてでございます。

 私たちが子供のころ、また私たちの先輩が子供のころから、恐らく、子供たちの一クラスの人数ということは議論がされてきたものというふうに思っております。近年はさまざまな社会情勢等々のことを踏まえて、今は三十五人以下の学級を強く求めておられる、これは自治体もでありますが、保護者の方々もおられるというのが事実であろうかと思います。

 少人数教育の推進というのは、そういった意味では、基礎的な学力を向上させようとか、習熟度別の指導がきめ細やかにできるようにしようとか、また、教員が子供にしっかりと向き合っていくことができる、そういった時間であったり環境を整えていこうということ、そしてやはり、近年さまざま問題になりますいじめの問題や不登校の問題等々、こういったことにしっかりと対処できるような形で少人数の教育というものが望まれているものというふうに思っています。

 国において予算措置をされるまでは、実はこの少人数教育、小学校一年生、二年生になりますけれども、自治体が、まずはみずからの努力で、その地域や情勢のニーズに応えて、財政が厳しくても取り組んできた事実があろうかと思います。

 そこで、少人数教育、今は国の方では小学校の一年生そして二年生も含めてやっているわけであります。実は、私がいた京都市は、中学校の三年生、これは恐らく、受験を目前にした子供たちに対して教員もしっかりとその指導ができるようにということも含めてでありますけれども、今、国に至っては小学校の一年生と二年生ということになっております。

 今後、さらに、そういった意味では、少人数教育というものがいろいろな学年時においても推進を求める声があろうかというふうに思いますけれども、まずは、この少人数教育の必要性と、また、今後そのような形で望まれてくるであろうと思われる、そういった観点があれば御答弁をお願いしたいというふうに思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 公立の小中学校の三十五人以下学級につきましては、先生御指摘のございましたとおり、平成二十三年度には、小学校一年生を法改正による基礎定数化という形で実施をいたしました。平成二十四年度には、小学校二年生につきまして、加配の方式という形で三十五人以下学級を実現してきたところでございます。

 今後の少人数学級の推進につきましては、来年度予算案に係る財務大臣と文部科学大臣の折衝の結果、悉皆で行われますこの春の全国学力・学習状況調査などを活用し、全国的な効果検証を行いつつ、今後も引き続き検討していくということで合意がなされたところでございます。

 文科省といたしましては、教員の目が十分に行き届き、子供一人一人に対しましてきめ細かく指導できるような環境を整備することが重要であるというふうに認識しており、教育再生につながる教職員配置の適正化を計画的に行うなどの方策につきましてしっかり努力してまいりたいというふうに考えております。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 今後も、そういった意味では、きめ細やかな授業ができるように、今御答弁にはなかったですけれども、恐らく、一年生、二年生、特に二年生のところがまだ法的措置というのはないわけでありますけれども、幅を広げていかなければならないような、そんな状況も含めて、今後の課題として検討していただけるものというふうに思っております。

 そこで、今少し御答弁がありましたけれども、小学校一年生については、法的根拠を持った形でこの少人数教育というものについて推進を図っていただきました。二年生についても、財政の措置というものはしていただいております。

 しかし、冒頭申し上げましたとおり、都市、地方自治体においては、自分たちの努力で小学校二年生を事前にやってきたところもありまして、そういったところは今回の措置には実は含まれていない。

 つまり、一〇〇%、小学校二年生をまずは少人数教育、三十五人以下の学級にするということが大前提でありますので、今までやっていたところはそのままやってください、そして、今までやっておられなかったところ、要望のあったところはしっかりと措置しましょう、こういった形になっています。これは、地方でどういった声が上がっているかというと、やはりその格差はなくしてほしいということが言われているわけであります。

 ここで、対象外になっているその理由について、あるのであれば、御答弁を願いたいと思います。

布村政府参考人 先生御指摘の、平成二十四年度の小学校二年生の三十五人以下学級化の実施の際は、加配方式という形をとりましたので、二十三府県で既に三十五人以下学級を実施しておられた県には、直接その加配という形ではお配りできなかったということで、その辺の不公平、既に先行して実施したところの努力が十分に生かされていないのではないかというお声を聞いたところでございます。

 その二十四年度の加配の教員定数を配ります際に、三十五人以下学級でお配りできなかった二十三府県につきましては、個別の教育課題に対応するための加配定数の配分に当たりまして、各県からの御要望、申請を踏まえて、少人数学級の先行実施県と未実施県の定数配分のバランスに配慮した配分を行ったということで、まだやっていらっしゃらない県にお配りした定数の割合が、既にやってこられた県にも同じような割合でその分を配るということで、その定数をまたさらに少人数指導ですとか指導困難な学校に配分するという形で使えるような形で、一応配慮してお配りはさせていただいたところでございます。

田中(英)分科員 今御答弁ありましたとおり、加配という形でやってきた。

 実は、三十五人以下の学級に対して新しくやらはるところの部分の人数もしっかりと確保して、そして、別メニューといいますか、学習支援が真に必要な児童生徒への支援の充実であったり、きめ細やかな質の高い指導の充実、ここで実は加配をされていて、恐らく、これを柔軟に使っていただいて、今まで先行してやっておられたところも使っていただいていいですよということで、今回含まれてこなかったという部分であろうかと思います。

 しかし、実はこれは、国ではそのような形で地方にも間違いなくお話をされていると思いますが、地方でのとり方というのは、やはりなかなかそのようにはなってこない。この別メニューの部分は別メニューの中で生かして子供たちの教育環境をつくっていきたい、こんな思いを持っておられるので、なかなかそういったところにはつながってこない。ですから、格差があるんじゃないかなんという意見が出るわけであります。

 私自身が思うところは、まずは、地方議会でもいろいろと質疑をすると、国の制度がというのがよくついてきます。都合のいいところはそのような形で地方はおっしゃるのかもわかりませんけれども、やはり、小学校二年生の少人数学級、三十五人以下の学級を一〇〇%にしたいというのであれば、これはなかなか、法的根拠もつけなければなりませんし、財務省との予算の関係も当然ながらあろうかと思います。

 やはりそういったことをしっかりとクリアするような形で、今後の少人数学級の、まず一年生、そして二年生、この部分を確立して、別メニューの部分の、ここの加配の部分は少し目減りするかもわかりませんけれども、やられた方が実はわかりやすい、このように私自身は思っております。

 今申し上げましたとおり、私自身は、小学校の二年生も法的根拠をしっかりと持って財政措置を、これは財務省との本当に厳しい折衝はあるのかもわかりませんが、今後、子供たち、一年生、二年生がそういった少人数教育をしっかりと受けられる環境を整えていっていただきたいと思いますけれども、今後のこの少人数教育に向けての御決意なんというものをお聞かせいただければ、お願いしたいと思います。

布村政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 少人数学級の推進につきましては、先ほども申し上げましたけれども、小学校一年生は法律改正という形できっちり制度化ができたところでございますけれども、小学校二年生には、法律改正という形をとらずに、運用上の形で三十五人学級を実現したという形になってございます。本来であれば、法律改正をして、全国きちっと定数を法律に基づいてお配りして、三十五人以下学級を実現していくというのが本来の姿であろうかと思います。

 その中で、二十五年度予算案の中にも、厳しい財政状況ですとか公務員の定数の削減という環境の中で、一方でまた、全国学力・学習状況調査を活用した効果検証も、全国的なレベルでこの政策効果があるということを明確に十分説明ができていないのではないか、そういう御指摘もいただいたところでございますので、きちっと効果検証を行いつつ、また、全国的に法律改正で最終的に三十五人以下学級が中学校三年生まで実現できるように努めていければというふうに考えております。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 ハードルの高い厳しい部分があるのかもわかりませんけれども、その決意を持ち続けていただいて、私自身もそれは応援させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次に移りたいと思います。

 義務教育費の国庫負担金、これは指定都市への移管の話を実はお聞きしております。

 地方自治体、都道府県や市町村での二重行政というのはもう本当にさまざまございまして、ただ、近年では、国民の皆さんもその視点に立っていろいろと我々にもお話をされますので、自治体関係でいろいろと調整をしながら無駄を省いていこう、そういった動きがあるのも事実であります。

 今回、ここでは、道府県と指定都市のそういう教員のさまざまな環境についてのことをお伺いしたいというふうに思っております。

 教員の定数であったり給与、こういったものは、実はいびつな部分があるというふうに私自身は実感いたしております。教職員の配置でありましたり任命というのは指定都市の方が実はもう既に持っておりますし、ただ、給与に関しては都道府県がという構造になっております。

 ほかの部分でいいますと、都道府県がしっかりと握りながら均衡ある発展というものを遂げていくということは大切であろうかと思いますけれども、ここは、こういう任命の部分であったりというのがもう既にあるのに、お金だけがどうしてもそちらにという、こういった状況にあるというのが事実であります。

 恐らくそういったことを考えられまして、平成十五年の六月の二十七日に、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三において閣議決定をされたという、また、平成二〇年六月の二十日には、地方分権改革推進要綱(第一次)においても、その本部で決定をされるというようなこともあったやにお伺いしております。

 以降もいろいろとこのことについては御議論をいただく中で、このたび、平成二十五年の三月十二日には、義務づけであったり枠づけについての四次の見直しについて閣議の決定をされたというふうに聞いております。

 たび重なるこういった検討をいろいろとしていただく中で、教員の確保と質の保障、当然ながら、教育の根幹でありますので守っていかなければならないわけでありますけれども、この決定を踏まえて、各関係省庁においてもこのことについては進めていただきたい、指定都市の方に移管をしていただければ、こういった御意見もございます。

 このことについて、早く結論が出るとは思っておりませんが、今日までの検討されてきた過程でありましたり、また、方向性というものが明確なものであれば、そのことについても御答弁願いたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 公立小学校、中学校につきましては、学校の設置管理者は市町村の教育委員会でございますけれども、給与の全国的な水準を維持すること、あるいは広域人事の必要性ということから、給与負担につきましては、国が三分の一、都道府県が三分の二という制度になってございます。

 その中で、先生御指摘がございましたように、政令指定都市につきましては、政令指定都市の県費負担教職員に係る採用、異動等の人事権は指定都市教育委員会が有するという形でなっておりますけれども、その給与等の負担や定数の決定、学級編制基準の決定の権限は都道府県教育委員会というふうになってございます。

 この件につきましては、長い間、都道府県・政令市、そこに文部科学省も参画をして、給与負担を政令市に移行できるかどうか、検討を重ねてきているという状況でございます。

 その中で、本年三月の閣議決定におきましては、現在は都道府県の権限とされております指定都市に係る県費負担教職員の給与費等の負担、あるいは県費負担教職員に係る定数の決定、学級編制基準の決定につきまして、大都市制度の見直しの審議状況や教育行政のあり方についての検討状況を踏まえつつ、関係省庁において、関係者の理解を得て、速やかに結論を出した上で、指定都市へ移譲するという方向で閣議決定がなされたところでございます。

 今後、この閣議決定も踏まえまして、関係省庁と連携し、また、都道府県・政令指定都市とも十分協議を重ねていきながら、この方向を目指して検討を重ねていきたいという状況でございます。

田中(英)分科員 協議をした上で検討を重ねていくということであります。ですから、一歩一歩で結構でございますので、これは前に進めていただければなと。

 実は、独自で本当に一生懸命頑張っている教員の方々に何かの手当てがしたい、こんなように思っても、なかなかできない部分があります。そういった先生方に、ある意味では勇気を与えたり、やる気をまた持っていただいたりするためには、そういう独自策というものも当然ながら必要でありますし、ひいては、それは子供たちに実はいい影響を与えていく、そのようにも感ずる部分がございますので、検討を重ねていっていただきたいなと思っております。

 ただ、実は、そのように申し上げた一方で、指定都市といいましても、さまざまなところがございます。

 私のいた京都市と京都府の関係であるというところは、意外と、財政面の部分でも、移管をしても、ある意味では簡素化の方につながるのでいいんじゃないかというふうに見られるところもあれば、これは神奈川県になりますけれども、指定都市が三つあるようなところ、ここは恐らく、指定都市に移管をしてしまうと、教育財政というものが厳しいところもあるのかなと思います。

 また、最近、指定都市はどんどんふえてきておりますので、以前から指定都市のところと、新しくなられたところでは、これは体力の問題でありますけれども、恐らく、財源がやはりなかなか厳しい、こんなところも実際のところはあるのかと思うと、簡単にはいかないということもわかっています。

 ただ、スムーズに進む、またそれが簡素化につながる、また、教員にとっても、子供たちにとっても、教育の環境がそれで整うというのであれば、できるところからやっていくということも含めて御検討いただければというふうに思っております。先ほどの答弁では、前向きに捉えてやっていこう、検討していきたい、こういった御答弁でありましたので、いずれかはそのような形で進んでいくものと私自身は認識をさせていただいております。

 そういった意味で、税源の移譲であったり、また、権限を移譲する、こういったことを進めていこうとする際には、移行期間、これは自治体との調整も当然ながらありますが、そういったところはやはりしっかりと確保していただきたい。ただ、一方で、できそうだなというところは、一律にいくのも一つかもわかりませんけれども、できるところから進めていく、こういったことも大切な部分であるというふうに思っております。

 もし、そういった、できるところから進めていくということが前提としてあるのであれば、私自身は、どういった時期でそういったことを進めていこうと踏み切られるのかということを実はお伺いしたかったんですけれども、恐らく、この点については、やはりまだまだ協議をしていくという段階であろうと思いますので、今御答弁をいただいて、いつということが言える状況でないというのはわかりましたので、今後も前向きにこのことについては進めていただく中で、簡素化を図ったり、また、独自の教育ができ、子供たちにいい影響を与えていけるような形にしていっていただくことを要望させていただきたいというふうに思っております。

 次でございますけれども、土曜日の授業の復活についてであります。

 私自身が小学校や中学校のときは、当然ながら、土曜日午前中の授業がございました。一週間の子供のサイクルというか、土曜日は半日授業をし、それから、おうちで御飯を食べて、スポーツをしたり、友達と遊んだり、勉強をしたり、こういうのが一つのサイクルでありました。

 平成十四年、ゆとり教育の一環として、公立の小中高で完全週五日制が実施され、十二年目を迎えるのかなというふうに思っております。その前から、第二週の土曜日を休みにしたり、そして第二週と第四週を休みにしたり、こういったことが移行する中で進められてきて、そういうふうに考えますと、約二十年間、その動きで進めてきたかなというふうに思っています。

 確かに、社会全体が、大人の社会というのが週休二日であるということや、学校も、これは世界を見ても、海外を見ても、それが主流であるという要素であったり、子供たちにいろいろな社会体験、自然体験、いろいろな経験をしてもらうことによって、自分自身が学び、自分自身が考える力、要するに生きる力をつけてもらおうということでも導入されたように思っております。

 しかし、これはゆとり教育との並行でありましたので、学習達成度調査等において、学力が低下したなということがすぐさま見えてしまったということがありました。これは完全実施後、本当に数年後のことでありましたので、当時、第一次安倍内閣のもとでも、教育改革、再生の一環として、学力の向上のために、授業時間をふやしたり、長期休暇を短くしたり、また、一日の授業時間数をもうちょっとふやせないか、土曜日の補習等で補えないか、こんなことを検討するようになったとも伺っております。また、教育再生会議の中でも、今後の検討課題において、週五日制の見直しというものの提言を盛り込まれたとも聞いております。

 以降、さまざま、教育再生会議においても学力の向上を図る取り組みの報告等があって、自民党の政策集、J―ファイルにおいても土曜日の授業を実現すると掲げられました。下村文部科学大臣も、平成二十五年の一月の十五日の記者会見で、再生会議で諮るまでもないけれども、実はもうこれは世の中の御意見が多いということで、意欲的にこれについては取り組んでいこうという、そういった姿勢が私自身には受けとめとして見受けられたというふうに思います。

 そこで、土曜学習について、数カ月あったと思いますが、どのような形で御検討されてきたか、このことについてお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 子供たちに知徳体のバランスのとれた生きる力を育むための方策の一つとして、土曜日のより有効な活用について検討することが必要であるというふうに思います。

 委員御指摘のように、昔は土曜もあったわけでございますが、ゆとり教育が結果的に緩み教育になってしまった部分があるのではないかという中で、それぞれの自治体でも土曜の有効活用を図っているところもあり、それを地域と一体化の中でうまく進めているところもございます。また、保護者のアンケート等でも、八〇%、八五%を超える、土曜授業の復活について賛同するというデータもある中で、文部科学省において、三月に検討チームをつくり、検討を開始したところでございます。

 現在、既に行っている自治体等、先行事例についてのヒアリング等を行いながら、土曜日を活用した教育活動の現状について情報を収集するとともに、課題等を整理しているところでありまして、引き続き、土曜授業の一層の推進に向けて、スピード感を持って検討を進めてまいりたいと思います。

田中(英)分科員 ありがとうございます。

 三月に検討するチームを立ち上げられて、今、先行的に実施をしているところの検証をされ、できる限りスピード感を持って対処していきたいという御答弁でありました。

 私自身、この土曜日の学習というものを、やはりしっかりとした形で取り組んで、復活をさせていただきたい、この思いというのは実はずっと持っておりました。そのことを実は最後に少し申し述べさせていただきたいんです。

 推進したいという思いがある一方、課題もやはりたくさんあるということであろうかと思います。その課題を整理しながらということでありますけれども、例えば学校教育法の施行規則では、実は、この限りではないというふうにうたってあります。しかしながら、日曜日及び土曜日は休業日であると定められているので、恐らくそういった法改正も含めてやらなければならない。

 また、実際、十二年間、土曜日の学習がないままでやっておりましたので、地域の方々に、今、土曜学習ということでお手伝いをいただく、予習、復習、こういったことをペーパーでするということは言っておりますけれども、実は、また教員がかつてのように土曜日の学習をする、こうなってくると、これは労働基準法の問題、一日八時間、週四十時間、この問題にもかかわってくる。そして、教員のそういった勤務体制、また、教員をどのように確保していくか、こんな課題がさまざまあると思います。

 また、地域では、一定、落ちついて今これが進められている中ですので、子供たちにもどんな影響が出るのかなとか、家庭でも出るのかな、地域の皆さんにもまたいろいろと御説明をしていかなければならないというふうに思いますが、これを、スピード感を持って取り組んでいくに当たって、やはり、今の段階から、徐々にその方向に進んでいく様子があるのであれば、周知をもしていかなければならないというふうに思っております。

 そういったことも含めて、今後、スピード感を持って対処いただけるということを、これは強く私自身も望んでおりますので、よろしくお願いします。

 いずれにしても、別に私自身は、子供の教育環境というものを大人に何でも合わせなければならない、こんなふうには実は思っておりません。子供には、子供の一週間の時間の中で、学校の中でいろいろなことを学んでもらいたいですし、吸収をもしていただきたいです。そういう場をまずつくるということ。

 そして、恐らく、教員の皆さんはいろいろ窮屈なことが多々あったと思います。以前でありますと、十のことを予習して十のことを一時間の授業で子供たちに教えていくということが、授業日数、時間が減ることによって、確かに、教えなくてもいいようなことは削っていかれたことがありますけれども、しかし、十一、十二のことを予習して子供たちに教えなければいけない。恐らく、教えるキャパとしてはいっぱいいっぱいのところもあったかと思います。

 そういった意味では、子供に目を向ける、そういった時間がなかなかとれなかったりすることもあったと思います。ですから、さまざまないじめの問題や不登校の問題や、そんなことにも対処がなかなかやり切れなかった部分。ですから、もうちょっとおおらかで、そういう教育環境の整備というものをしていただけるように、これは要望をさせていただきたいと思います。

 ちょっと一昔前の価値観というのは意外といいものがあると思いますので、そういったものを今の子供たちにも与えていけるような教育環境整備をお願い申し上げます。

 最後になります。

 インクルーシブ教育について、これは、障害を持つ子供も障害を持たない子供も、一緒の教育環境の中で勉強したり遊んだりしていきましょうということであります。これは、我が国でも、教育現場におけるノーマライゼーションは本当に大きな関心のある事項であると思っています。国際的にも、障害者と健常者がともに生きる、そういった理念の体現が急務となっております。

 平成十八年、障害者の権利に関する条約が採択され、日本も同条約に署名をいたしました。ただ、批准はいたしておりません。また、二十三年には、障害者基本法の改正によって、年齢、能力に応じ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるよう、障害者でない児童及び生徒とともに教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等の必要な施策を講じるとされました。これに沿って障害者教育の環境づくりを行うことが急務であるというふうに受けとめております。

 そこで、普通学級で障害者を受け入れるためには、学校の施設整備というものが大切だろうと私自身は思います。しかしながら、実は、この施設整備、全体の中に入っておりまして、障害の対策というのは実は余りたくさんあるわけではございません。また、これは下限がございますので、四百万円以上でないとだめであるということがあります。こういったことをやはり改善していかなければならないというふうに思っております。

 また、看護師、これは特別支援学校には実はついているんですが、京都でも、今回、実は、なかなか自分では食事ができない子供が小学校に入学しました、普通学校の方に。そういった意味では、特別支援学校から看護師を派遣しなければならないという状況にあります。

 ですから、私自身は、これをしっかりとするためには、施設整備費の問題、それとやはり看護師の問題、普通学校におけるところにもしっかりとできるようにしていただければという思いを持っておりますので、この点についての御答弁をいただきまして、終わりたいと思います。

萩生田主査 文部科学省清木大臣官房文教施設企画部長。時間が過ぎておりますので、簡潔に。

清木政府参考人 先生御指摘のとおり、学校施設におきまして、障害のある児童生徒を受け入れ、支障なく学校生活を送ることができるよう配慮することは大変重要なことでございまして、そのためにバリアフリー化を進めるということも大変大事なことだと考えております。

 このために、公立小中学校等におきますスロープ、エレベーター、自動ドアなどのバリアフリー化に係る施設整備につきまして、公立学校施設整備費の中で国庫補助を行っているところでございますが、今後とも、地方公共団体の要望を踏まえつつ、また、先生御指摘の点もよく検討しながら、必要な支援を図りまして、公立学校施設のバリアフリー化を推進してまいりたいというふうに考えております。

萩生田主査 質疑時間が終了していますので、簡潔に。

布村政府参考人 看護師の配置につきましても、先生御指摘のとおりの現行制度でございますので、今後、小中学校に在籍する、医療的ケアを必要とする児童生徒等に対する支援の充実につながるような取り組みに努めてまいりたいと考えております。

田中(英)分科員 ありがとうございました。

萩生田主査 これにて田中英之君の質疑は終了いたしました。

 次に、小松裕君。

小松分科員 自由民主党の小松裕でございます。

 私は、消化器内科医として、そしてスポーツドクターとして、現場に長年かかわってまいりました。そんな中、医療、それからスポーツの現場の声がなかなか政治の世界に届いていない、それがそもそも政治を志した原点であります。

 そこで、本日は、健康増進やスポーツといった観点から幾つか質問させていただきます。

 先日の厚生労働委員会でも質問させていただきましたが、病気になっても安心して病院にかかることができる、そして老後も安心して暮らすことができる、そういった安心というキーワードがこの日本を支える上で極めて重要である、そのように考えております。

 一方、少子高齢化社会において、今後、社会保障費、特に医療費の増大、これは避けて通れるものではありません。根本的に、医療費の削減というのは、病気にならないこと、健康長寿でいることであるというふうに考えております。

 私は長野県を選挙区とする議員でありますが、長野県は昨年、男女とも日本で一番長寿の県になりました。しかし、医療費、特に老人医療費が一番安い。これに関しては、先人の努力とともに、地域のみんなが健康に関して学び合い、そしてお互い助け合ってきた、こういったことがその大きな要素でありますし、医療費削減のモデル県とも言えるんだろうというふうに思います。そこにかかわるスポーツの役割というのは大変大きなものだというふうに考えております。

 健康に気を配るということが医療費の削減にもつながることであるというふうに考えるんですが、このような、健康に気を配ること、そして食事のこと、それから体を動かすことの大事さ、これらを子供のころから教えるということが大変重要であるというふうに考えております。

 また同時に、健康診断というのが大人になってからありますが、それによって病気を早期に発見する、これも健康に対しては極めて重要なことなわけであります。

 そう考えますと、生まれてから、子供のころ乳幼児の健診がある、それから学校に入ると学校健診というのがありまして、そういった健診というものを子供のころから我が国では受ける仕組みができているわけでありますけれども、その健診に関して、先日、ちょっと興味深い論文をもらいました。これでありますが、「ヘリコバクター・ピロリ感染症の学校検診への導入」という論文でありまして、県立須坂病院の赤松先生という、私の大学の先輩でもあるんですが、内視鏡医の先生からいただいた論文であります。

 これは、長野県内の高校二年生を対象にしてピロリ菌の検査をする。ピロリ菌というのは、胃がんの原因になるということが最近明らかになってきております。つい最近も、昔は胃潰瘍とか十二指腸潰瘍でなければ保険の適用にならなかったんですが、ピロリ菌をやっつけるという除菌治療、これが慢性胃炎に対しても保険の適用になったばかりであります。その高校二年生を対象にして、ピロリ菌がいるかどうかをスクリーニングで検査したところ、高校生二年生の五%にピロリ菌がいるということがわかった、そういった論文であります。

 つまり、ピロリ菌を退治すると将来的に胃がんを予防できるわけでありますけれども、この論文では、金額的な計算までされていますけれども、このスクリーニング、五%いる、それを全国の高校生に行った場合、一学年当たり七千七百二十三人の胃がんの発生を抑制できると。それから、この場合、一人当たりにかかる費用は四十五万円である。普通、大人になってからの健診、健康診断で胃がんを発見するには、一人当たり二百万円かかる。つまり、ピロリ菌を除菌してやっつけるということを、ピロリ菌がいるかどうかを若いうちに早く調べて、そして若いうちに治療をするということによって医療費を削減できるのではないか、こういった論文であります。

 そこで、お伺いいたします。

 この論文でも、学校健診でこのような病気のスクリーニングとか早期診断をやる、そういった観点も大事ではないかというふうに書いてあるわけでありますが、現在、学校健診における具体的な項目、どんなものが実施されているのか、そしてそれが何を目的に行われているのかに関してお教えください。

    〔主査退席、あかま主査代理着席〕

久保政府参考人 お答えいたします。

 学校における健康診断は、学校保健安全法に基づいて行われておりまして、その目的は、学校における児童生徒の健康の保持増進を図ることでございます。

 また、学習指導要領におきましては、特別活動の中で健康安全・体育的行事として位置づけられてございまして、教育活動として実施されている面もございます。

 それらのことを踏まえまして、学校における健康診断は、就学において支障があるかどうかにつきまして、疾病をスクリーニングするという役割と、学校の健康課題を明らかにすることによりまして教育活動に役立てるという、大きく二つの役割がございます。具体的に申し上げますれば、身長や体重の測定といった身体の発達に関する項目や、結核や寄生虫、菌があるかという感染症に関する項目、また、心臓病や腎臓病といった個別の病気に関する項目などがございます。

 総合的な観点で児童生徒の健康状態の把握に努めているというのが健康診断の状況でございます。

小松分科員 主に、健康教育であるとか、実際の学校活動に支障がないかということが主眼に置かれている、そういった理解でよろしいかと思うんですが、今の論文でもありますように、そういった将来の病気の予防、それから早期治療、こういった観点が今後は学校健診の中に盛り込まれてもいいのかな、そういった思いがあります。そういう考え方も含めて、これからぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 次に、学校における健康教育に関して、少子化に対して興味ある報告を紹介いたします。

 以前、テレビでも紹介されておりましたけれども、少子化の原因として、晩婚化、そして晩産化、これが一部の原因であると言われております。一昨年、平成二十三年には、第一子の出生時の母親の平均年齢が三十・一歳ということで、三十歳を超えたという報告があります。少子化対策として、妊娠しやすい若い時期に女性が出産できる社会を目指す、これが極めて重要なことであるというふうに考えております。

 そこで、ここにあります報告書でありますけれども、これは、平成二十二年、厚生労働省の科研費補助金の分担研究の報告書なんですが、未婚女性の妊娠に関する意識調査という報告であります。これは、平均年齢二十五歳程度の未婚女性に、妊娠に関するアンケート調査を行って、意識調査を行ったものであります。

 この結果でちょっと驚くべきものが、「あなた自身はいくつまで自然に妊娠できると思いますか。」このような質問に対して、三二%の人が四十歳までと答えている。そして、三一%の人が四十五歳まで妊娠できますと答えている。そして、五%の人が五十歳まで妊娠できます、そして、六十歳まで妊娠できると答えている人が一%、こういった結果であります。

 医学的には、高齢になればなるほど、出産のリスクも高くなると同時に、妊娠しにくくなるということも事実として知られております。また、流産の率も高くなってまいります。こういったことを知らない女性がすごくたくさんいる。高齢になれば妊娠しにくくなるんだということを知らない。実際に、高齢になってから子供をつくろうと考えて、そして病院に行ってから実は不妊であるという診断をされて、それから治療が始まる、こういった経験を持つ産婦人科医もたくさんいるようであります。

 そこで質問させていただきますけれども、学校における健康教育、特に少子化対策のための健康教育の取り組み、これは時期にもよると思うんですけれども、高齢になれば妊娠しにくくなるといった保健教育がされているのかどうか、その点に関してお聞かせください。

下村国務大臣 学校では、学習指導要領に基づき、家庭科において、家族・家庭と子供の成長や、子供の発達と保育などの学習の中で、子供が育つ環境としての家族の役割を理解させることや、子供を産み育てることの意義を考えさせることとしております。

 また、保健体育においては、結婚生活と健康などの学習の中で、妊娠、出産とそれに伴う健康問題について理解できるようにするとともに、家族計画の意義などについても理解できるように指導しております。

 しかし、委員が御指摘のように、医学的な観点から、先ほどのアンケートにも御紹介がありましたが、事実認識としてそれが理解されていないという実態があるというのは承知をしておりますし、もっともっとそういうようなことをきちっと学校教育の中で教えるということは、非常に必要なことだというふうに考えます。

小松分科員 どうもありがとうございます。

 若年者に対する望まない妊娠のリスクというか、若年者のリスクが高いというようなことを教えると同時に、今大臣がおっしゃってくださったような、高齢になってからもいろいろなリスクが高くなるんだよ、妊娠しにくくなるんだという教育も、ぜひこれから力を入れていただきたいというふうに、少子化対策のためにお願いしたいというふうに思います。

 さて次に、スポーツ振興に関する御質問をさせていただきます。

 私は、八年前、大学病院から東京の北区西が丘にあります国立スポーツ科学センターに異動して、その国立スポーツ科学センターのクリニックで、昨年の十一月まで、内科のスポーツドクターとして、日ごろからトップアスリートを支えるという仕事をしてまいりました。

 そこで、そのトップ選手を支える仕組みや支える人たちというのはさまざまいるわけでありますけれども、私自身、スポーツドクターと自分のことを言っていますが、スポーツ自体が、トップの選手から地域のスポーツまでさまざまですので、さまざまな立場としてスポーツドクターがかかわるわけであります。ですから、その役割というのは多様なわけでありますが、まず、現在のスポーツドクターの制度について、その認定団体でありますとか種類、それから人数、それぞれの役割などについてお教えください。

久保政府参考人 スポーツドクターは、狭義の意味でいいますと、公益財団法人日本体育協会が認定されますスポーツドクターでございますけれども、先生御指摘のように、さまざまな団体が広義のスポーツドクターの養成を行っておられます。

 スポーツ基本計画におきましては、スポーツドクターの定義といたしまして、「スポーツ医学に関する十分な知識を有し、スポーツを行う人々の健康の保持増進や競技力向上のための支援、スポーツ傷害の予防・治療、スポーツ医学の研究・教育・普及活動等を行う医師」とされております。

 さまざまな団体の資格でございますけれども、まず、公益財団法人日本体育協会が認定しておられますスポーツドクターにつきましては、五千四百八十一名おられます。それから、公益社団法人日本医師会においては健康スポーツ医を養成されておりまして、これが二万一千四百九十七名。それから、公益社団法人日本整形外科学会においてスポーツ医、これが五千五名。さらに、公益財団法人日本障害者スポーツ協会において障害者スポーツ医を百八十七名養成しておられると承知いたしております。

 それぞれの役割でございますけれども、まず日本体育協会のスポーツドクター、この方々は、スポーツマンの健康管理、スポーツ傷害の診断、治療、オリンピック等の国際競技大会におけるチームドクターとしてのサポートなどの役割を担っておられます。健康スポーツ医の方々は、一般の方を含めたスポーツ運動指導、運動処方等を行う。スポーツ医につきましては、整形外科的な診断、治療や早期復帰のためのリハビリテーション指導などを行われる。障害者スポーツ医は、障害者のスポーツ、レクリエーション活動に必要な医学的支援などを役割として養成されていると承知しているところでございます。

小松分科員 ありがとうございました。

 今局長お答えのように、スポーツドクターでもう三万人以上いるということになるわけでありますけれども、実際、国立スポーツ科学センターで私が行っていたような、本当にトップアスリート、スポーツ基本法でも、国際競技力向上という文言が入っているわけです。それによって金メダルをたくさんみんながとる、それを国民が見て、それが最終的に好循環によってみんなが健康になる、これを目指すものであるとしたら、やはり国際競技力向上のためのドクターというのも必要だと思うんですが、実際は、その数が少ないというか、能力はあってもそういう環境にないというのが実は現状なんだろうと思います。

 私自身、国立スポーツ科学センターに移る前までは、東大病院におりました。東大病院にいたころも、アトランタ・オリンピックそしてシドニー・オリンピックと、オリンピックへ行ったわけですけれども、大学にいますと、オリンピックに行ってチームドクターとして日本選手団を支えてくるという話をしても、大学では、小松はオリンピックに行けていいなとか、オリンピックに遊びに行っているんじゃないの、そういったような雰囲気もあったんですね。しかも、普通、例えば海外遠征、合宿もそうですけれども、二週間、三週間と続きます。そうすると、実際の病院勤務をしていたりとか開業しているドクターが、それだけの期間、日をあけるということは実質的には非常に不可能なんですね。

 ですから、国際競技力を向上させるために、それを支えるスタッフ、特にドクターに関しては、国立スポーツ科学センターができたということが、非常に大きな出来事というか、非常によかったんだろうと思います。私もそこに異動して、それで、仕事として、時として年の三分の一、百日以上、海外遠征の選手たちに帯同するということも行うことができました。

 ですから、そこら辺をぜひ考慮していただいて、もっと、特にトップアスリートを支えるドクターの養成でありますとか、それからその環境を整えるという意味で、私がおりました国立スポーツ科学センター、そこをぜひ拠点にしていただいて、選手のサポートだけではなくて、ドクターの養成、それからトレーナーとか栄養士、いろいろなスタッフがいますけれども、それを養成するような、そういった機関として捉えるといった形で、ぜひその施策を進めていただけたらなというふうに思います。

 次に、スポーツドクターと関係するところでもありますけれども、アンチドーピングに関してお伺いいたします。

 我が国においては、日本アンチ・ドーピング機構を中心に、その教育その他が行われております。日本は世界の中でもいわゆるドーピング違反が非常に少ない国でありますし、選手たちの中でも、実際は幾つかの事例も出てきてはいますが、多くが、いわゆるうっかりドーピング、自分でドーピングを行う気はなくても、例えば、風邪薬の中に入っている興奮剤、風邪薬をちょっと飲んでしまって、それでドーピング違反になる、こういった、知識がないためにドーピング違反になってしまうという事例が今までもよく見られました。

 ですから、我々が選手たちに接する場合も、しっかりとしたドーピング知識を持って、わからなかったら誰かに聞くということが大事だよということを言ってきたわけですけれども、この体制をしっかりとつくってあげないと、ドーピング検査があっても飲める薬はいっぱいあるんです。ところが、選手たちは、薬を飲むこと自体が怖くなってしまって、薬を飲まなくなってしまうということなんです。これは、競技力向上にも非常に大きく影響することがあるというふうに思っているわけです。

 私自身も、国会議員になった今でもそうですけれども、携帯電話に時々オリンピック選手たちから電話がかかってくることがあります。先生、この薬、病院でもらったんだけれども、飲んでも大丈夫ですかとか、時として病院からかかってくることがあります。つまり、病院のドクターに自分はオリンピック選手であるということを言うと、処方してくれるドクターが知識がないために、ちょっとこれはよくわからない。そうすると、選手が電話をかけてきて、そこで、ちょっと先生にかわりますねといって、その先生とお話をして、その薬は大丈夫ですよという話をすることがよくありました。

 ということで、このアンチドーピングに関しては、二〇〇九年ですか、JADA、日本アンチ・ドーピング機構では、スポーツファーマシスト制度、アンチドーピングに詳しい薬剤師のそういった制度をつくってそれを支えるという仕組みをつくったのでありますが、日本で働いていらっしゃるというか、一般のドクターにその知識が余りない。先ほどお話ししたいわゆるスポーツドクター以外にはその知識が非常に乏しいというのが現状であります。

 そこで、アンチドーピングに関して、薬学部それから医学部の教育課程にアンチドーピングに関する項目、事項が含まれているかどうか、お聞かせください。

板東政府参考人 お答え申し上げます。

 アンチドーピングあるいはドーピングに関する知識を得させる教育というのは重要であるかと思っておりますけれども、今お尋ねの医学関係、薬学関係につきましてお答えを申し上げたいと思います。

 最初に、薬学の方のお話がございましたけれども、薬学教育におきましては、薬学教育のガイドラインでございます薬学教育モデル・コアカリキュラムというのがございますけれども、その中で、アンチドーピングという文言が出てくるわけではございませんけれども、薬の作用、それから生体内での運命とか、あるいは薬害と社会、これは法制度とか薬剤師の責任なども含むものでございますけれども、こういったことについて学習するということになっております。

 そして、一部の薬学部におきましては、明確にこのアンチドーピングについてやっているところもあるわけでございます。例えば、星薬科大学におきまして、スポーツと健康という科目の中で、アンチドーピング、スポーツと薬について講義を実施しているというような例があるわけでございますが、シラバスなどでいろいろ確認させていただいたところでは、なかなか、まだ行われているところは少ないという状況はあろうかと思います。

 それから、医学の方でございますけれども、医学の方につきましても、医学教育モデル・コア・カリキュラムというのが作成をされております。そしてこの中では、的確な薬物療法を行うための基礎的な考え方を学ぶということが書かれているところでございます。

 そして、アンチドーピングに関する教育につきまして、これも科目、シラバスなどをいろいろ確認させていただきますと、まだ余り多くはないというふうに考えておりますけれども、一部の医学部、例えば聖マリアンナ医科大学においては、スポーツ医学という科目がございまして、その中で、ドーピングの知識等スポーツドクターとして必要な技量を身につけるといったようなことが書かれており、そういった教育が実施をされている状況だというふうに思っております。

 個々の大学の教育の具体的な中身につきましては、我々としてもなかなか十分承知をしていない部分もございますけれども、文部科学省は、学部長会議などにおきましても、さまざまな施策の御説明とかいろいろな取り組みを促しているということがございますので、先生御指摘のアンチドーピングに関する教育の重要性につきましても、情報提供、御説明をしていきたいというふうに思っております。

    〔あかま主査代理退席、主査着席〕

小松分科員 どうもありがとうございます。

 実際、一部の薬学部ではそれが行われていると。医学部に関しても、一部は行われているけれども、実際はほとんど行われていないということが現状なんだろうと思います。

 今、二〇二〇年東京オリンピックの招致も一生懸命やっているわけでありますけれども、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが来るということになりますと、もちろん、たくさんの医者や薬剤師がかかわることになるんだろうと思いますし、先ほど私がお話ししたように、実際、選手たちが薬をもらうのは医者からもらうわけですね。その薬を出す医者がアンチドーピングに対する知識が非常に乏しいという現状がありますので、ぜひ今後、医学教育の中にもアンチドーピングを取り入れるということを御検討いただきたいというふうに思います。

 アンチドーピング、どの薬がドーピング違反になるかどうかということに関しては、これは毎年リストが改正されますので、細かいことまで必要はないと思うんです。ただ、そういったことがあるといったことの一番ベースの部分だけでも医学教育の中に取り入れていただければ、日本の中のアンチドーピングの体制がより進むのではないかというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 最後に、パラリンピックの支援についてお伺いいたします。

 御存じのように、オリンピックは文部科学省、それからパラリンピックは厚生労働省という所管の違いがあります。特に、そのことがパラリンピック選手たちの戸惑いを引き起こしているという現状があります。

 そこで、私も一部承知はしているんですが、国際競技力向上のために二〇〇一年に建てられた国立スポーツ科学センター、そしてその後建てられたナショナルトレーニングセンター、NTCですね、これに関して、そこを使わせてほしいといったパラリンピック選手の要望を時々耳にするわけでありますが、実際、パラリンピック選手のNTC及びJISSの使用実績とこれからの取り組みについてお教えください。

久保政府参考人 国立スポーツ科学センター、JISS及びナショナルトレーニングセンター、NTC、この二つのセンターは、主としてオリンピック選手におけるメダル獲得支援の観点からオリンピック選手のために設置されたものではございますけれども、競技団体間で調整しながら、可能な範囲で、水泳や車椅子テニスなどのパラリンピック選手にも既に御利用いただいているところでございます。

 具体的に、平成二十四年度におきますパラリンピック選手のJISS、NTCの利用実績につきましては、合宿、メディカルチェック等によりまして、延べ日数で、水泳三十五日間、車椅子テニス三十日間、陸上二日間、利用されているところでございます。

 この利用につきましては、スポーツ基本計画につきましても、関係者の連携をとって利用を促進する旨も記載されておりますし、今後一層の推進に向けて我々も努力してまいりたいと考えております。

小松分科員 前向きな御答弁をどうもありがとうございました。

 現在、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致に向けて我々は一生懸命頑張っているわけでありますけれども、これも、東京オリンピック・パラリンピック招致なわけですね。つまり、開催に関しては、オリンピックだけではなくて、パラリンピックも含めて統合的な取り組みが求められているわけであります。

 ですが、強化でありますとか派遣などに関して、いまだオリンピックとパラリンピックの統一感がないというのが現状であると思います。ですから、これに対しては厚労省と文科省の連携が必須であると思いますし、その意味でも、将来のスポーツ庁設置、これの早い実現を期待したいところであります。

 また、ちょうど時間になりましたので、最後、スポーツ予算に関しまして、ほかの国に比べてまだまだ我が国はスポーツ予算が少ないという現状もあります。ですから、その点も含めて、日本を元気にするためにスポーツの多様な価値を社会に生かす、このための取り組みをぜひこれからもよろしくお願いしたいということを言わせていただいて、私の質問を終わりにさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

萩生田主査 これにて小松裕君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐分科員 公明党の伊佐進一でございます。

 本日は、お忙しい中、大臣、また両政務官の御出席を賜りまして、こうして御質問の機会をいただきましたこと、心より御礼を申し上げます。

 私は、十五年間文部科学省でお仕事をさせていただきまして、ここにおられる諸先輩方に育てていただきました。今は立場は違いますが、ともどもに知恵を出し合って、文部科学行政の推進に向けて頑張ってまいりたいと思います。

 本日は、大臣、両政務官のお胸をおかりする思いで、伸び伸びと質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、子ども・子育て支援についてお伺いします。

 現在、超党派の議連で、イクメン議連というのがございます。このイクメン議連、まさしく子育てにもっと参画しようという議員であったりとか、子育て政策をしっかりと企画立案していこうという議員であったりとか、あるいは、日ごろなかなか子育てをできずに反省しようという議員であったりとか、こういう議員の方々で構成されておるんですが、私も今一歳の娘がおりまして、どちらかといえば三番目の、反省しようというような思いでこのイクメン議連というものに参加させていただきました。

 また、こうしたイクメン議連というのとまたもう一つ、育児に積極的な年配の男性、これをイクジイと言うそうなんですが、こういったイクメンとかあるいはイクジイと呼ばれる方々が自然とふえていくような環境をつくっていくということ、これが子ども・子育て支援の一つとして重要なことじゃないかと思っております。

 この子ども・子育て支援、今後、どのような実効性を持って取り組んでいくか。この将来を分けることになるのが、子ども・子育て関連法案の本格施行に向けて今さまざま行っている検討にあるんじゃないかと思います。

 そこで、まずお伺いをさせていただきたいのは、子ども・子育て会議というものが、今週九日に委員の先生方も発表されたところでございます。そして、これから本格的な議論が始まっていくわけですが、その中で、例えばさまざまな具体的な制度設計、給付型になって給付の公定価格をどうするか、あるいは市町村の関与がどうなるか、さまざまな具体的な課題があります。こうした具体的な事項、いつごろ結論を得ることになるかというスケジュールについて、まずお伺いをしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援新法案を受けまして、具体的な制度設計につきまして、子ども・子育て会議で今後議論が進められていくという状況でございます。

 その子ども・子育て会議の議論に際しましても、配付資料ですとか議事録を随時公表していくという流れで、オープンな形で会議が進められるものと承知してございます。

 この子ども・子育て会議の議論を踏まえて、平成二十七年度の本格的な施行に向けまして、可能な限り速やかに御指摘の点についての方向性をお示しいただくということになろうかと思います。

 その際、お尋ねのございました公定価格につきましては、平成二十六年度の早期に骨格を示すべく検討を進めようという方向性を今三省の方で確認しておりますし、また、市町村が地域において計画的に取り組みを行うための基本指針につきましても、本年度の早期に案を示すべく検討を進めようということで、内閣府、厚生労働省、文部科学省で今検討を進めて、それを今後、子ども・子育て会議で具体的な議論をいただくという流れでございます。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 局長の御答弁の中で、できるだけ早期にという言葉もいただきましたので、そこをありがたく思っております。

 その中で、ちょっと具体的な点について、本日は、特に私立幼稚園の対応について質問させていただきたいと思います。

 まず、公定価格ですが、施設型給付を受ける施設となった場合には、公定価格に基づいて給付を受けるということになります。この給付の制度がどうなるかということです。

 これまでは、認定こども園、あるいはさまざまな給付というものはばらばらで、三つの類型があって、またそこには不公平感があったということでございました。今回はこれを一本化していくということですが、そこで、私が今方向性として伺っておりますのは、この給付は全国均一になる、そしてまた、一人当たり幾らというような、個人給付としての形になるんじゃないかと伺っております。

 こうなった場合に少し議論がありますのは、例えば、施設ごとの努力の差というものをどう評価していくかということがあるのではないか。

 例えば、ある施設では教育に非常に熱心に取り組まれている、ある意味お金をかけていらっしゃるというところがある、あるいは特色ある教育というものを行っていらっしゃるという、さまざまな努力というものをどのように勘案していく制度とするかという点についても、一つ課題としてあるんじゃないかと私は思っております。

 そこで、この公定価格についても、何らかの柔軟な対応というのは必要じゃないかと思いますが、その点について、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

布村政府参考人 先生御指摘いただきましたとおり、現在の私立幼稚園につきましては、保護者の多様な教育ニーズに応え、私立学校の建学の精神に基づいた、特色ある教育活動が行われております。新制度におきましても、引き続き、そのような活動が幅広く実施できるようにすることが大変重要な課題かと認識しております。

 子ども・子育て支援新制度におきましては、学校教育、保育を提供するために必要な水準の給付を全ての子供に保障するため、現在の保育所制度と同様の公定価格を基本とすることとなってございます。その上で、私立の幼稚園が引き続き多様なニーズに応え、特色ある教育活動を行えるよう、一定の要件のもとで、上乗せ徴収を認めることとしているところでございます。

 この上乗せ徴収のあり方を含め、公定価格の詳細につきましては、先ほど申し上げました子ども・子育て会議での議論を踏まえて、内閣府、厚生労働省と連携して検討してまいりたいと考えております。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 先ほど局長の方からいただいた上乗せ徴収の部分についてですが、そこの部分についても、私立幼稚園から給付型の方に入った場合に、その分、例えばなくなった私学助成の一部を残すとか、そういった案についても御配慮いただきたいと思っております。

 次に質問させていただきたいのは、応諾義務についてです。

 施設型給付の枠組みに移行した施設というのは、子供を受け入れるということについて義務が生じます。正当な理由がある場合を除き、施設には受け入れを応諾する義務がある。

 この応諾義務というのがどの程度の義務か。つまり、正当な理由とは何なのかということについても、恐らく議論があるところだろうと思っております。

 私が、地元でさまざまな幼稚園の方々と意見交換させていただく中で伺っておりますのは、応諾義務について、現状においてもきちんと果たされているところも多いのではないかと思っております。

 先日、ある卒園式に参加したんです。非常に感動しまして。小さい子供たちが長文の詩を朗読するんです、みんなで声を合わせて。長い詩で、大人でも覚えるのが難しいぐらいの詩を全部覚えて朗読されて、あるいは、演劇もすばらしい演劇がありまして、そのせりふも全部覚えて演劇をする。この式典の間も、本当に行儀正しく、皆さんしっかりと先生の話を聞くという式典に参加いたしました。

 非常に感動したんですが、その後で先生にお話を伺ったところ、この卒園式に参加された園児の皆様の大体二割ぐらいが、特別な支援が必要となる可能性のある子供たちだったということでございます。その中でも、それぞれの個性を尊重し合いながら、ともどもに助け合いながら卒園の日を迎えたというお話を伺いました。

 こうして、現状においても、本当に多くの私立幼稚園では、さまざまな個性を持った子供たちを受け入れて、そういう意味では、応諾義務を課さなくてもきちんとした対応がなされているのもまた現状ではないかと私は思っております。

 その上で、例えば、特別な支援と申し上げた中でも特に手厚い支援が必要な場合、その場合には、そしてまた施設がその子供を受け入れた場合、その手厚い支援に対して国が例えば一部必要な援助というものをサポートしてあげる、そういう配慮も必要なのではないかと私は思っております。

 こうした受け入れ体制の整備に対する一定の支援についての見解をお伺いしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援新制度では、満三歳以上の小学校就学前の全ての子供に対し、教育、保育に係る給付を保障するという仕組みとなってございます。

 このため、施設型給付の対象であることの確認を受けた施設におきましては、保護者からの利用の申し込みを受けたときは、正当な理由がなければこれを拒んではならないという、いわゆる応諾義務が課されることになります。どのような事由が正当な理由に当たるかにつきましては、今後、子ども・子育て会議において制度設計が具体的になされていくことになります。

 なお、新制度におきましては、例えば特別な支援が必要な子供など、市町村によるあっせん等による利用が必要と判断されるという場合には、市町村が関係機関と連携をして利用調整を行い、利用可能な施設、事業者をあっせんするという仕組みになることになります。

 そしてまた、現在、障害のある幼児の在学している私立の幼稚園の設置者に対しましては、私学助成の特別補助として必要な費用を助成しているところでございますけれども、新制度におきましても、施設型給付を受ける場合であっても助成を行うという考えを持っているところでございます。

 いずれにしましても、先生御指摘のとおり、特別な支援が必要な子供が適切な教育を受けられるように、今後の新制度の詳細を検討するに当たって十分留意してまいりたいと考えております。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 こうした国からの支援について、もう一つの観点ですが、認定こども園に移行する際に必要となってくる設備であったり、あるいは施設であったり、この施設設備の整備に対する補助についてお伺いしたいと思います。

 幼稚園が認定こども園になるときには、当然、保育所機能というのを備える必要がある。その中で、長時間子供を預かるとなった場合には、現行の規定においては食事を出す必要があります。この食事についても、難しいのは、特にゼロ歳から二歳の食事です。三歳以上であれば、食事も外部から搬入することも認められてはいるんですが、ゼロ歳から二歳の食事については、施設の中で給食の調理室を設ける必要があるとなっております。

 そこで、認定こども園に移行した際には、こうした施設整備についてどれほど国が補助できるか、あるいは可能かどうかという点についてですが、特に私思いますのは、ゼロ歳から二歳、特に一歳から二歳というのがポイントだと思います。この一歳から二歳というのが一番待機児童が多いときなんですね。だからこそ、待機児童の解消のためにも、ここに対しては国が手厚くしっかりとした補助をしていく必要があると思います。

 実際に、子ども・子育て関連法案、参議院での附帯決議にもこうあります。「幼稚園・小規模保育の〇から二歳保育への参入促進など、」「特段の配慮を行うものとする」と。であるなら、ここにこそまさしく国の支援というのが私は必要ではないかと思っております。

 残念ながら、これまでの認定こども園においては、確かにありました、支援はあったんですが、非常に限られた支援であったと思います。

 そこでお伺いしたいのは、この認定こども園へ移行する際に、一歳から二歳児の受け入れに必要な施設整備について国としても補助を充実させるべきじゃないかと思いますが、考え方についてお伺いしたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、現行の認定こども園制度のもとではいろいろな限界があるという課題も指摘されているところでございます。それを踏まえて、今回の子ども・子育て支援新制度におきましては、施設型給付の創設によりまして、認定こども園への給付の一本化、充実を図るということが法律上規定されたところでございます。これから詳細な制度設計を行うこととなりますけれども、これを通じまして、認定こども園の設置を妨げる要因は大きく解消されると期待しているところでございます。

 また、御指摘の、調理室の施設の設置に対する支援についてでございますけれども、待機児童対策という御指摘もございましたが、それに資する意味もございますし、特に、幼稚園から認定こども園に移行する際、調理室の設置が一つ、大きな課題が幼稚園側に生ずるという状況でございますので、この調理室の設置支援につきましては、関係省庁と連携を図りながら、しっかり支援ができるような取り組みを検討してまいりたいというふうに考えております。

伊佐分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 もう一つ、不安の声を御紹介させていただきますと、私立幼稚園が施設型給付の枠組みに入るかどうか、これは当然それぞれの施設が御自身の判断で決めることになる、決して義務化されているわけじゃない、そう認識をしております。不安の声としていただいているのは、そうはいっても、政府というのはやはり移行させたいんでしょうと。移行をさせるために、例えばそのまま私学、私立幼稚園で残ったとしても、この私学助成というのをどんどん削減していって、政策誘導していくんじゃないか、こういう不安の声をいただいております。

 私は、そうではないと信じております。そもそも今回の関連法案、子ども・子育て関連法案の中で、衆議院の附帯決議にこうあります。「施設型給付を受けない幼稚園に対する私学助成及び幼稚園就園奨励費補助の充実に努めるものとする」と。少なくとも、そういう意味では、立法府の意図としては、この私学助成は減額すべきでないとの見解であると思います。

 こうした私立幼稚園の皆様の不安を解消するために、あえて質問をさせていただきます。この私立幼稚園経常費補助金を減額するとの懸念もありますが、事実関係についてお伺いさせていただきたいと思います。

小松政府参考人 お答えさせていただきます。

 現行の私学助成でございますけれども、私立幼稚園に対する機関補助として、経常費助成に当たります一般補助と、それから特色ある取り組みに対する特別補助、この二項目から構成されて行われているわけでございます。

 御指摘の施設型給付を受けない私立幼稚園につきましては、こうした現行の水準を基本にいたしまして、これまで同様に私学助成をまず継続するということにいたしております。

 そこで、その継続に当たりましては、文部科学省としては、私立幼稚園がこれまで果たしてきている役割の大きさ、あるいは幼児教育の重要性というものに鑑みまして、それからまた、今御指摘の子ども・子育て関連三法案に対する衆議院の附帯決議、これも踏まえまして、施設型給付を受けない幼稚園に対する財政支援につきましても、その充実に努めてまいりたいという立場でございます。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 本日、さまざまな課題について議論させていただきましたが、まだまだ議論することもたくさんありますし、乗り越えなければいけない壁というのもたくさんあると思います。

 そんな中で、この件について最後に大臣にお伺いしたいと思います。この子ども・子育て支援の充実に向けた大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、この時期に質の高い幼児教育が提供されることは極めて重要であると考えます。子ども・子育て支援新制度においては、認定こども園制度の改善、そして認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付型の創設、これらを通じて、質の高い幼児期の学校教育、保育の総合的な提供を行うとともに、教育、保育の質的改善を図ることとしているところでございます。

 今後、早ければ、平成二十七年度に予定している全面施行に向け、新制度の施行準備に万全を期すとともに、幼児教育を初めとする子ども・子育て支援の充実に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

伊佐分科員 大臣の御決意の発言、ありがとうございます。本当に、この子ども・子育て支援というのは、未来に対する、日本の未来をつくる投資あるいは取り組みであると思いますので、ぜひ前向きな取り組みをお願いしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。次は、特別支援学校の訪問教育の充実についての質問です。

 私の地元のある高校生の手紙を紹介させていただきたいと思うんですが、この高校生、既に新聞紙上でも名前を出されていらっしゃいます、久保田君という方です。この久保田君は、ユーイング肉腫という小児がんの一種を患われまして、病院で長い間闘病生活をされておりました。病床でも勉強を続けたいという強い意志がございまして、病院内で高校の院内学級を創設してほしいという要望、これを行政にメールで出されたそうでございます。

 そのときに、このメールに反応して、大阪市の橋下市長から返事があって、すぐに取り組みたいという返事でした。そこで、非常勤講師を久保田君の病床に派遣する、そして授業を受けられるようにしたそうです。また、こうしたお声もあって、病床であったり、あるいは自宅で、インターネット中継で授業が受けられるというようなシステムを大阪府は構築しまして、その提供を本年四月から始めたということでございます。

 久保田君は、一時期回復されたんですが、ところが、昨年の五月に、余命三カ月から半年と宣告をされました。その中でも、そんな中であったんですが、十一月には、自分よりもつらい思いをしている人、こういう人のために役に立ちたいとおっしゃいまして、医療費給付の制度の改善、特に子供の特定疾患の保険の制度ですが、これの改善に向けてさまざま活動をされまして、国にも要望書を提出する、こうした活動を行っておられました。本年一月、体調が悪化されて、立つことも食事もできない状態になったんですが、進学を強く希望されまして、この一月の十九、二十のセンター試験を車椅子で受験されたということでございます。それで、本当に、非常に残念ながら、一月の三十日に短い生涯を閉じられました。

 この久保田君のお手紙、少し紹介させていただきたいと思います。この講師を病院に派遣する制度を活用されていた久保田君、十一月の手紙です。

 この制度を利用してみて思ったことは、やはり一番の要望であった高校院内学級の設置をお願いしたいということです。院内学級という制度ではなく、派遣制度という形で支援をしていただけるようになったんですが、担当の先生に来ていただくために、メールなどで時間と場所を連絡しなければなりませんと。また、その日、治療の副作用等で授業を受けられないということもあります。そのようなときも、担当の先生に自分で連絡をして休講にしてもらわなければなりません。それに対して、院内学級であると、体調がよいときは登校して授業を受けることができます。そして、体調が悪いときは、精神的な負担なく休むことができます。そのように、苦しいときに連絡をしなければいけないという煩わしいことも省けますし、やはり院内学級の設置の方が、闘病中の高校生には向いていると思います。この制度に関しても、さらに施設視察等を入れながら改善してほしいと思いますというお手紙でした。

 久保田君は、こうしたさまざまな活動をされる中で、三月の卒業式を迎えることができずに亡くなったわけですが、自分が本当に一番つらいにもかかわらず、自分よりもつらい人のところ、つらい人のために動こうと、さまざまな活動をされまして、多くの方々に勇気と希望を与えて、短い命を燃やし尽くされたということでございます。私も、友人の一人として、この彼の思いを受け継いで、難病の子供たちの支援、教育の支援であったりというものに全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 そこで、この難病で長期入院している子供たちへの教育について、さらなる充実をお願いしたいと思いますが、文部科学省の見解についてお伺いしたいと思います。

義家大臣政務官 非常に重要な御指摘であると思います。実は、私も高校教師時代、院内学級で中学を卒業した生徒が、もっと学びたいということで私の勤務していた学校に来て、担任を持ったわけですけれども、どのような状況であろうとも未来にしっかりと手を伸ばす、その気持ち、十分理解しているつもりであります。

 特別支援学校の訪問教育対象児童生徒数については、平成二十四年五月一日現在で、小学部が千四百四十四名、中学部が七百八十四名、高等部が九百四十九名となっておりまして、これらの児童生徒に対する教育の充実を図っていくことは、委員御指摘のとおり、重大な課題であると文部科学省としても認識しております。

 文部科学省といたしましては、これらの病気の子供に対する教育の充実を図るために、国立特別支援教育総合研究所と全国特別支援学校病弱教育校長会による啓発冊子「病気の子どもの理解のために」の作成に協力いたしまして、その周知を広く図るなどの取り組みをこれまで進めてきたところであります。

 また、平成二十五年三月には、厚生労働省による小児がん拠点病院の指定等も踏まえまして、各都道府県教育委員会に対して、病気の子供への指導に当たって留意事項等を整理した通知「病気療養児に対する教育の充実について」を新たに発出し、その取り組みの充実を促したところであります。具体的には、転学手続の簡素化、あるいはICTを利用したもの、よりきめ細やかな、それぞれと向き合う体制等々を発出したところであります。

 今後とも、病気の子供に対する教育の充実が図られるよう、そして彼らの希望に寄り添うことができるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

伊佐分科員 義家政務官の本当に前向きな、また心のこもった熱い御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。どのような状況にあったとしても勉強したいというこの子供たちへの思い、熱い思いを、国としてしっかりと、私もその大人の一人として支えてまいりたいと思っております。

 最後の質問になりますが、宇宙開発利用について御質問させていただきます。

 現在、私の地元の大阪にあっても、この不況のさなか、最近は少し上向いてまいりましたが、大阪にはまだまだ景気の波が来るのも少し時間がある、そういう実感を多くの企業の方が持っておられますが、そういった中でも、この地元の大阪の企業では、非常に元気な方々が多いです。

 例えば、宇宙開発利用の分野で有名になりました「まいど一号」衛星、これは中小企業の皆さんがみずからの技術を持ち寄って衛星をつくって、これを宇宙に無事打ち上げたというような、本当に世の中を明るくするような取り組みもございました。まさしく、この中小企業の皆様の技術と情熱、こうしたものの結晶であると思っております。もちろん、その際には、このプロジェクトにおいて、JAXAの皆様でありますとか、あるいは政府関係者の皆様から、さまざまな御支援をいただいたことも伺っております。御礼を申し上げたいと思います。

 実は、今、「まいど一号」衛星を打ち上げた彼らが取り組んでおるのは、月にロボットを送りましょうという、また遠大なプロジェクトに取り組んでおりまして、通常考えれば、当然いろいろなハードルがあるわけです。どのロケットに載せるんだろうとか、あるいは月に着陸させるときにどうするんだろうとか、いろいろな課題があるわけですが、とにかく、この元気な中小企業の皆さんは、大変な経営状況にもかかわらず、夢を持ち続けて、心を燃やし続けていらっしゃるわけです。夢は見続ければ必ずかなうという思いで取り組んでいらっしゃると伺いました。

 我々、政府あるいは行政、立法の立場からしても、宇宙開発利用というのは国だけで担うものではない、宇宙産業の裾野というものをどんどん広げていく必要がある、それこそが宇宙開発利用の発展であると思っております。その意味でも、こうした独自の取り組みを積極的にされる中小企業の皆様の取り組み、国としても、何としてもサポートしていくべきじゃないかと私は思っております。

 こうした中小企業の活動の中でも、さまざまな制度上の隘路というのもございまして、例えば、国から補助金をいただく、その補助金が、概算払いであれば事前にお金をもらえるわけですが、精算払いになっている場合が多いと言われます。つまり、補助金を受けることになっても、結局は、当面のお金は銀行から借りないといけないんです。利子を払って銀行から借りて、何とか苦しい中でお金を回して、最後にやっともらえる。これじゃ、中小企業にとってはなかなか一歩前に足が踏み出せない、こういうお話も伺ったこともございました。

 こうした財政的な支援も含めて、さまざまな中小企業の皆さんの頑張りを、宇宙開発の分野でしていくサポートというものに取り組んでいくべきじゃないかと思いますが、最後の質問として、こうした企業に対する支援策、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

丹羽大臣政務官 伊佐先生から、宇宙に関しまして、激励も含めた御質問をいただきまして、本当にありがとうございます。

 宇宙利用の進展は、国民の生活の向上や経済社会の発展にとても寄与するところが高いと考えております。そこで、これを支える宇宙産業を含めた裾野の拡大というのはとても重要な部分でもございますので、文部科学省といたしましても、宇宙航空研究開発機構、JAXAにおいて、従来より、民間とタイアップをして、民間の打ち上げ、先ほど先生おっしゃられました、「まいど一号」の打ち上げの方にも協力させていただいておりますし、さらに、オープンラボ制度といいまして、民間で使っている技術、また航空ロケットに使っている技術を民間活用しよう、そういった新たな取り組みも取り入れさせていただいております。

 いずれにいたしましても、引き続き、航空宇宙産業分野における我が国の高い技術力を維持発展し、それにさらなる裾野拡大を図っていきたいと考えております。

伊佐分科員 ありがとうございました。

 宇宙開発利用というのは、本当に、産業、経済あるいは安全保障であったり、さまざまな観点で重要であると同時に、先進国としての矜持であると私は思っております。

 そういった意味でも、ぜひ積極的な取り組みをお願いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。

萩生田主査 これにて伊佐進一君の質疑は終了いたしました。

 次に、三日月大造君。

三日月分科員 民主党の三日月大造です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣初め、役所の皆様方、きょうは財務省から小渕副大臣にもお越しいただきましたけれども、お疲れさまでございます。また、国会で働く職員の皆様方、お疲れさまでございます。

 大変だと思います、いろいろな課題もあって。どの党に所属しようと、大変な多くの課題がある中、御奮闘いただいていることに敬意を表したいと思います。

 私たちは、国民の御負託をいただいた立法府の一員として、矜持を持って、緊張感を持って、国会質疑に臨んでまいりたいと思いますし、残念なことですけれども、他の分科会では、大臣が遅刻をされたり、頻繁に離席をされたり、若干緊張感に欠けるのではないかと思われるような、そういう分科会の運営が行われていること、非常に残念なんですけれども、当分科会は、下村大臣初め、きちんと誠意を持って御対応いただいているということですので、私も、そういった観点で、そういう認識で、私なりの問題意識、考え方を申し上げ、政府の見解をただしてまいりたいと思います。

 今、国家経営で考えなければならないことについては、大臣初め、皆様方、よくよく御認識だと思うんです。

 人口が減少する局面に入っています。これは有史以来初めてです。生まれてくる子供の数が減って、そして、幸いなことに長生きできるようになりました。しかし、働く世代の数が減少する。二〇一〇年には八千万人。しかし、五十年後には四千万人超、約半減してしまうというこの状況下で、やはり私たちは、せっかく生まれてきた人、特に、将来社会を担う子供たちに対する教育や能力開発、こういったものに力を入れる、これは私は大事なことだと思うんです。

 限られた予算、厳しい財政状況の中でそのやりくりをすることは非常に大きな困難を伴いますが、しかし、これを多くの方々の御理解と御努力をいただきながら着実に進めていくということが、ああ、あのとき頑張ってよかったなということに私は必ずつながると思い、特にきょうは少人数学級の推進ということについてのみ、一点に絞り、質問させていただきます。

 私ごとで恐縮なんですけれども、私は今、中学校三年、中学校一年、小学校五年、三人の子供を育てる一父親です。生徒指導の面で問題があったり、学力がなかなか伸びなくて相談をしたり、また、娘は今、病気をしておりまして、療養中で、車椅子で学校に通うときにも、先生方が、友達の皆さんが、多く支えていただく、相談にも乗っていただく。私の子供だけではなくて、多くの子供たちが、夢を持って、そして明るく、将来に向かって、学校で今も勉強しています。

 時として、また子供によっては困難な問題があるときも、先生方が本当に親身になって、いろいろな御家庭があるんですけれども、本当に親身になって子供たちのサポートや指導をしていただいている。私はこのことにも心からの敬意を表しながら、きょうは質問したいと思うんです。

 そのときに、もう釈迦に説法ではあるんですけれども、その一人一人の子供たちにより多くの大人の目と心が注がれる教育環境、すなわち少人数の学級をつくっていく、そのために教員を確保していく、もちろん質を高めることも大事です、そのための予算を確保していくこと、恐らくこのことには政府の皆様方も多くのお心を砕いていただいているとは思うんですけれども、まずは冒頭、下村大臣に、少人数学級を推進していくという観点からのお考え、御決意をいただきたいと思います。

下村国務大臣 激励いただきまして、ありがとうございます。

 委員御指摘のように、我が国は、これから人口減少期になってきている中で、一方で経済再生、経済発展をしていくということになりますと、それを支える人材、これは一人一人がさらに付加価値を高め、そして一人一人の可能性を十二分に生かし切るような社会をつくっていくということが必要であるというふうに思いますし、それを行うことができるのは教育でありますから、教育に力を入れるということは大変重要なことであるというふうに思います。そういう意味で、一人一人の子供たちの可能性をより高めるという意味では、より少人数学級を考えるということは当然のことでございます。

 さらに、現在の学校現場においては、いじめの問題、また特別支援教育の対象となる児童生徒の増加の問題、そして家庭の経済状況における教育格差、こういうさまざまな課題を抱えているところでもございます。

 また、新学習指導要領のもとでは、観察、実験やプレゼンテーション、そして対話、討論等を取り入れた新しい学びへの授業革新が求められておりまして、全ての教科を通じて質の高い教育を実現することがさらに求められております。

 こうしたことから、私としては、少人数学級の推進を含め、教師の目が十分に行き届き、子供一人一人に対してきめ細かく対応できるような環境を整備するということは非常に重要であるというふうに考えております。

三日月分科員 認識は共有していると思います。

 それで、私たちも私たちなりに、いろいろなお考え、御批判もいただきました。高校の実質無償化、そして二十二年度に法律の改正、これは御党にも御協力いただいて修正した上で改正をし、小学校一年生から三十五人学級、これは定数の改善を行いました。そして、二年生以降についても計画的に少人数学級の実現をしていこうというこの概算要求を行ったところで解散になり、今に至っております。

 これは文部科学省、事務方にお伺いをいたしますが、結果、今大臣がおっしゃった、少人数学級を進めていく、一人一人の子供たちによりきめ細やかに教育が施せる環境をつくっていくという、その初年度であります今年度、今審議中の予算、これは、少人数学級はどのように要求をされ、そして、結果、どのような形になり、現在の予算案がつくられているんでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 この教職員定数改善につきましては、文部科学省といたしましては、昨年の概算要求を経て、本年一月の政権交代後の改要求におきまして、中三までの三十五人以下学級の実現、また個別の教育課題への対応を内容とする五カ年の新たな教職員定数改善計画の策定を目指し、その初年度分として五千二百人の定数改善を要求させていただきました。

 その後の予算編成過程における議論を経て、平成二十五年度予算案では、国、地方を通じた公務員全体の人件費抑制に取り組むという非常に厳しい状況の中、小学校三年生以上の三十五人以下学級の推進につきましては、今年度、悉皆で行われます全国学力・学習状況調査などを活用し、効果検証を行いつつ、今後も引き続き検討するということになってございます。

 また、個別の教育課題への対応といたしまして、いじめ問題や特別支援教育への対応など、八百人の教職員定数の増を確保したほか、約七千人の補習などのための指導員派遣事業も新たに実施するという予算案を今お願いをしているところでございます。

三日月分科員 今簡単に述べられたんですけれども、大臣もおっしゃった、少人数学級のさらなる推進をしよう、そしていじめ問題、これは滋賀県の大津でもありました、残念なことです。そして、発達、発育におくれがあって特別に支援が必要な子供たち、ふえています、こういった子供たちに対する対応。家庭にいろいろな問題があって、そのサポートをする、個別の教育支援を行っていく。

 そのために、三十五人以下学級の推進ということで三千六百人、今年度分で要求をされ、そして、個別の教育課題に対応した教職員配置の充実ということで千七百人要求をされ、結果、これは何人措置される予算案になっているんですか。

布村政府参考人 定数改善につきましては、計画的な形ではなく、二十五年度の教職員定数の増につきましては八百人という数値でございます。

三日月分科員 私が伺っているところでは、計画の初年度分として五千二百人を要求され、そして結果、八百人ということなんですよね。

 大臣、これは大臣のお考えとは裏腹に、また、今国会の冒頭の安倍総理の所信、教育の危機と述べられ、その後、具体的な施策について述べられていなかったので、その点も残念だなと思いつつ、大臣のそういうお思いとは裏腹に、この教職員の定数、少人数学級を進める、個別に課題のある子供たちに向き合う、そういうための予算案になっていないのではないでしょうか。いかがでしょうか。これは文部科学省の敗北じゃないですか。

下村国務大臣 これは民主党政権のときから御苦労されたことでございます。ただ、民主党政権のときも、小学校一年生については定数改善されましたが、小学校二年生についてはこれは加配教員で対応するということになったわけでございまして、当時も、我々野党としては、義務教育における定数改善を行うべきだということを提案していたわけでございます。

 その後、政権交代になった後、小学校三年生以降についても定数改善を求めてきたところでございますが、残念ながら、財源問題で財務大臣と最後の折衝の中、対応できなかったということでございます。

 しかし、一方で、先ほど局長から話がございましたが、いじめ問題の対応で、あるいは特別支援教育などの対応での八百人の増員とか、また補習等のための指導員の派遣事業で約七千人ということで、前年度よりはさらに一歩二歩改善した学校現場におけるトータル的な教員増にはなっているというふうに思います。

 今後については、今お話をさせていただきましたが、ことし、全国学力・学習状況調査を行う、その効果検証を行う中でということになりましたので、当然、これは学力だけではなくて学習状況、学習状況の中には、きめ細かな、子供の意欲とか多様性がどう反映されるかというような、必ずしも数値的に出ない部分についても十分結果が出るような状況が、今の学校現場を見れば、当然あらわれてくるのではないかというふうに思っております。

 引き続き、これから、来年度以降にもなるわけでありますが、財務省とは折衝してまいりたいと思っています。

三日月分科員 厳しい財政状況の中で、一部の改善にとどまったということであります。

 それで、定数改善については八百人の改善増。いろいろと、例えば学力、学習意欲向上支援でありますとか、外国人児童生徒への日本語指導でありますとか、学校、地域連携等の取り組み支援といったような形で御要求はされたようですけれども、これらについては定数改善という形では認められず、これは、学校いきいきサポート人材の活用という新規の事業ですか、こういったものを創設されて、放課後、土曜日における学習の、また補充学習の、学力向上のための支援を行っていこうということであるんですけれども、残念ながら、これは非常勤の方々の対応になっております。

 財源についてお話がありましたので、きょうは小渕副大臣にも御出席をいただいております。

 これは、副大臣は、文部科学大臣政務官もお務めですし、そして少子化担当、青少年問題担当の大臣までお務めいただいて、今、財務省の副大臣をお務めです。ある意味では、多くの方々の御期待を背負って今のお立場にあられるのではないかと思いますし、御自身もお二人の子供さんを育てながらの活動だと承っております。

 今回の予算を文部科学省と折衝されるに当たり、これは、ことしの一月二十一日ですか、財政制度等審議会の中で、文部科学、とりわけ義務教育教職員の定数について、るる、さまざまな見解がまとめられ、その考え方に基づいて予算案がつくられたのではないかと推察いたしますが、財務省として、今回、三十五人以下学級の予算が認められなかったその理由、見解についてお伺いいたします。

小渕副大臣 今御指摘がありました、財政審におきまして取りまとめられました「平成二十五年度予算編成に向けた考え方」、こちらにもありますけれども、学力等への効果について全国レベルで効果検証を行う必要があるほか、公務員人件費改革との整合性、また、担任外教員などの既存の定数の活用の可能性、少子化のもと、子供当たり教員数は増加していること、そうした観点を踏まえた慎重な検討が必要だということで考えておるところであります。

 ただ、先ほど大臣のお話にもありましたように、今後の少人数学級の推進につきましては、全国レベルでの効果の検証というものを見まして、今後の教員数の定数のあり方全般について検討するということになっております。

三日月分科員 それだけですか。いや、恐らく用意された御答弁はそういうことになるんだと思うんです。私がそちらの側にいると、ここまではそういう答弁になったかもしれません。

 しかし、副大臣、過去の委員会でのいろいろな御主張をひもといてみますと、私は、考えは一緒なんです。例えば、この財政審の考え方、これは冒頭に、「我が国の教員数は国際的に遜色ない水準にある」というところから始まって、少人数学級の政策効果についても、「学級規模と学力、いじめ・不登校、暴力行為の発生件数の間に密接な関係は見いだせない。」と断じておられたり、もちろん、公務員人件費改革というのは必要です、必要ではありますけれども、その際に、児童生徒一人当たりで比べた指標を持ち出して、教職員はむしろふえているのではないかというような見解を述べられていたり、今お言葉の中にもありました、既存の定数、とりわけ担任外の教員の方々、担任を持っていない教員の方々を活用するとおっしゃいましたが、これは少し、実態をわかっていらっしゃって、わかっていらっしゃらないことにした御答弁なのかなと思うようなこともございます。

 財政審は財政審で、こうまとめたけれども、例えば政務三役で、例えば政治主導で、例えば政治の力で、例えば時の政権の考え方で、こういう予算にしようと思う、してきたといったところが私は必要なのではないかなと思うんです。

 国際的な比較についても、副大臣は、これは平成二十年ですけれども、文部科学委員会で、そういう国際的な比較で、主要先進国と比べて遜色ない水準であるということについても疑問を持っているというふうに見解を述べられたり、生徒一人当たりの教育支出ということについても、そういった指標で比べるものではないのではないかということを述べられてもおりますが、その点、いかがでしょうか。

小渕副大臣 少人数学級の政策効果ということで見ますと、今、それぞれの都道府県におきまして、その政策効果というものはいろいろ調べてはおるんですけれども、それが、では全国レベルとして比べられるかというと、それぞれでやっているものですから、全国としてなかなか、少人数の効果というものがきちんと検証できるような状況に今なっていないというふうに承知をしています。

 ですから、先ほどから申し上げているように、二十五年度におきまして、全国レベルでの少人数の効果というものをしっかり検証していく必要があるのではないかというふうに考えているところであります。

 しかし、委員が御指摘のように、やはり現場レベルでどのような課題があるのか、その時々で、学校によっていろいろな、例えばいじめですとか発達障害の問題ですとか、そうした課題というものがありますので、やはりそれについては、個別の課題にはしっかり個別に対応していく、政策目標を明らかにして対応していくということで、今回も八百人の教職員の定数改善措置を講じているほか、また、外部人材ではありますけれども、七千人を活用した事業を新設したというふうに承知をしているところであります。

三日月分科員 副大臣、これ以上は突っ込みませんけれども、ぜひ、次をお願いしたいと思うんです。

 私たちとは考え方が違いますけれども、今年度行われる調査等を踏まえて全国的な比較をしていくということですので、私たちもそれはしっかり見たいと思うんです。

 少なくとも、この財政制度等審議会の中で、私は、我が国の教員数は国際的に遜色ない水準にあるという表現であるとか、あと、担任外教員を活用せよと、これは、幾ら財政を考える審議会とはいえ、もう少し現場のことを考えるべきではないか。

 数字上のことだけでこういう審議会の答申も書くべきではないかといった視点でありますとか、採用倍率低下との関係、大量退職、大量採用の時代に入って、小学校の教員の方々の採用倍率が下がってきている、だから、こういう倍率をある程度確保して、いい人材を確保しなければならないのではないかという問題意識。この問題意識自体は私はわかるんですけれども、しかし、これは都道府県によって差があることはよくよく御存じだと思うんですね。

 さらには、少子化によって子供の数が減って、意図せざる定数改善が行われているではないかというこの表現。これも、子供の数が減るほどクラスの数が減らないこともよくよく御存じだと思うんです。

 この審議会の表現を、財務省の中でも、財政当局の中でも、もう少ししっかりと実態を踏まえろ、そういう視点を私は入れるべきだと思うんです。そういうことを注入するために私は副大臣がいらっしゃるんだと思うんです。

 文部科学大臣政務官にお伺いいたしますけれども、この点について、何となく言われっ放しのような感じがするんですけれども、義家政務官、いかがでしょうか。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 まず、この三十五人以下学級という言葉自体が、私は、非常に財務当局と問題になる言葉のような気がしてならないんです。

 と申しますのは、全国の小学校の一学級当たりの児童生徒数、小学校が二十四・五人、中学校が二十八・六人、既に三十五人以下学級になっているじゃないかという議論が俎上に上がるケースが多いんですね。しかし、これは各都道府県の努力によって一つ一つの基準を決めて行われているものであって、それについて国がしっかりと安定的にできるように後押ししていくということ、これには何の疑いもないところであります。

 その上で、例えば下限というものもまた議論しなければならないと思うんです。例えば、小学校一年生で一学年に三十六人入ってきて、では、それを二クラスに分けて、十八人、十八人。そうすると、男子九人、女子九人みたいなことになったときに、TTとしてどういう対応をするのかとか、よりいい教育をどうするのか、こういう議論をぜひ、与野党を超えて、知恵を出し合いながら、しっかりと検証してまいりたいと思っています。

 また、学級担任外教員を少人数学級に活用すべきという指摘については、これは私の現場の教員経験からいって論外であります。例えば、私は、非常に問題が起こる学校で生徒指導部長を務めてまいりましたが、生徒指導部長を務めながら担任を持つということは実質不可能、担当している生徒たちに対して何もできなくなってしまう日があるというような状況も起こってくると思っております。

 教務、生活指導、進路指導、学年全体の主任等の役割、あるいは加配として専科指導や習熟度別指導、チームティーチング、通級による指導、あらゆる指導として担っている教師たちでありますから、これは、現実、現場の実態をしっかりと届けた上で発信してまいりたいと思っております。

三日月分科員 常々発信されているんだと思うんです。しかし、残念ながら、財政当局というか、財政当局の中でこうやってまとめられた審議会の考え方によって、また、もちろん全体のバランスの問題もあるのかもしれませんけれども、現状がとどめられてしまっているということだと思うんです。

 先ほど大臣からも御紹介いただきましたが、一月二十七日に財務省と文部科学省で交わされました文書、「義務教育費国庫負担金については、以下の基本的な考え方に沿って扱うこととする。」この二、「今後の少人数学級の推進については、習熟度別指導等とあわせ、文部科学省において、その効果について平成二十五年度全国学力・学習状況調査等を活用し十分な検証を行いつつ、教職員の人事管理を含めた教職員定数の在り方全般について検討する。」

 検証して検討するということなんですけれども、これは、いつ、どのような形で、いつまでに行われる御予定なのか、お伺いいたします。

義家大臣政務官 お答えいたします。

 この、あり方全般について検討を行いますというところでありますけれども、文部科学省といたしましては、三十五人以下学級の推進のあり方については、ただ教師をふやせばいいという話ではなくて、教員の資質向上方策、教員給与のあり方など、教職員の人事管理も含めて、教職員定数のあり方全般について検討していくこととしております。

 まずは、平成二十六年度の概算要求に向けては、具体的な方針を打ち出してまいりたいと思っております。

三日月分科員 「在り方全般について検討する。」ということなんですけれども、来年度の予算のこともありますね。今年度はだめだったけれども、来年度の予算案はどうするのかという観点がありますね。

 そして、「全国学力・学習状況調査等を活用し」とありますよね。下村大臣から冒頭の御答弁の中でも一部ありましたけれども、これをどのような基準で、いつまでに行うんでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 三十五人以下学級にすることにより、どのような政策効果、教育効果があるのかということにつきましては、まずは、四月二十四日に実施をいたします悉皆の全国学力・学習状況調査の結果に基づきまして、児童生徒の学力の状況あるいは学ぶ意欲の状況と少人数学級などの教育施策との相関関係、あるいは家庭における環境との相関関係など、幅広く分析、検証を行いたいと思ってございます。

 その上で、学校現場の方々、あるいは保護者の方々、そして、地方の既に実施されておる教育委員会を初め、教育当局の意見を幅広く把握させていただきながら、今まで以上に全国レベルでのデータに基づく根拠を明確にする、そういう取り組みをしっかり行い、平成二十六年度の概算要求に向けて精査を積み上げていきたいと考えているところでございます。

三日月分科員 もうわかっていらっしゃると思うんですけれども、余りデータ、データ、テスト、テスト、基準、基準というものに陥らない方がいいと思いますよ。数字だけではかれないいろいろな効果、これは学校の中にはあると思うんです。

 保護者の方にもヒアリングするというようなこともありましたし、この学力・学習状況調査、テストだけではないというようなお話もありましたけれども、それをいつまでにやるんですか。

布村政府参考人 一つの大きな根拠となります全国学力・学習状況調査のデータの検証は、集計ができ次第ということで、今、できるだけ、六月、七月という段階ではデータの集約が可能かというふうに考えておりますので、それが一つ大きな節目になろうかと思います。

 それと並行しながら、先ほど先生もお話しいただいたとおり、教育関係者、保護者の方々、幅広く御意見を賜りながら、三十五人以下学級の少人数学級の意義、その効果というものを国民の方々に御理解いただけるような説明ぶりをしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

三日月分科員 最後に、短く大臣の御決意を伺いたいと思うんですけれども、先ほど義家政務官は数だけではなくとおっしゃいましたが、やはり数は要ります。そして、テスト等に基づいて調査するとおっしゃいましたが、これは絶対数字だけにとらわれちゃいけないと思います。

 これはどうしても、政府側に入ると、私も短い経験で、その目の前のことに答えたり追われたりして、本来持っているもの、長期的に見て必要なものについて時々見失ってしまいそうになるときがあるんですけれども、大臣初め皆様方はそうじゃないのかもしれませんが、ぜひ、着実なる少人数学級の実現に向けた歩みを進めていかれる御決意を最後に伺って、私の質問を終わります。

萩生田主査 下村文科大臣。時間が来ていますので、簡潔に。

下村国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 今回は、我々も、十二月の二十六日から新内閣が発足して、十二分な対応ができていなかった部分があるというふうに思います。

 この学力・学習調査の結果だけでなく、来年度の概算要求に生かせるように、十二分に省内で理論武装をしながら、なぜ三十五人以下学級が必要なのかということについて、財務省だけでなく、国民の皆様方にも理解、納得をしていただけるような対応をすることによって、対応してまいりたいと思っています。

三日月分科員 ありがとうございました。

萩生田主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田宏君。

山田(宏)分科員 維新の会の山田でございます。

 きょうは、私の方から、教育委員会の改革について、それから教科書検定、とりわけ近隣諸国条項についてお尋ねをさせていただきたいと考えております。

 私、十一年間杉並区の区長を務めておりまして、教育委員会制度には少なからず疑問を持っておりました。

 一番の問題は、やはり教育委員会というところの権限と責任が非常に曖昧だというところであります。やはり全て、体罰の問題にしてもいじめの問題にしても、教育委員会が責任をとったことはあるのかというと、最近の事例を見ていても、これはとりようがないんですよ。

 こういう責任のとりようのないような仕組みというものが問題解決をおくらせているというふうに思っておりまして、きょうの新聞にも出ておりましたけれども、教育委員会制度は、やはり安倍内閣のときにばちっと変えていただきたいというふうに思っております。また、我が党もそれをぜひ法案として提出したい、こう思っております。

 まず、ちょっと下村大臣にお聞きしたいんです。

 私も区立の小中学校を管理しておりましたけれども、公立学校の校長先生というのは、やはりその学校の全責任者ですよね。どうでしょう。

下村国務大臣 その学校の校長先生として、責任ある立場だと思います。

山田(宏)分科員 しかし、校長先生には、教員の人事権もなければ、いろいろな年間の教育計画は立てますけれども、やはり、その内容とか、予算についてもほとんど持ち合わせていない。手足を縛って、そしてプールで泳げというような責任者なんですよ。これが今の公立学校の校長の立場です。まあ、一応責任者としておきましょう。

 そうすると、私立の学校じゃありませんから、その校長の上司は一体誰でしょう。お答えいただきたいと思います。

下村国務大臣 教育委員会であると思います。

山田(宏)分科員 教育委員会。区の教育委員会でしょうか、それとも、東京の場合は都の教育委員会なのか。県でいうと、県か市か。どちらでしょう。

下村国務大臣 これは、人事権は都道府県、そして設置主体は市町村でございますので、分かれていると思います。

山田(宏)分科員 つまり、仮に校長の上位機関が教育委員会としても、人事権は都道府県、そして設置は市町村、責任がまたここで分かれているわけです。そして、委員会が上司、上司が委員会というのも変ですよ。

 では、校長が責任をとる対象、また校長に指示命令を出す、これが教育委員会ということになると、教育委員会は、杉並区の場合五人ですけれども、一体この五人の誰ですか。

下村国務大臣 組織的には教育長だと思います。

山田(宏)分科員 組織的には教育長だけれども、教育委員会が一応そういう上司の立場にあるということです。

 教育委員会というのは、市町村によって違いますけれども、大体月に何回ぐらい開かれていると思いますか。

下村国務大臣 一般的には一回か二回だと思います。

山田(宏)分科員 そうなんですよ。杉並でも二回なんですね。月に二回ですよ。

 しかも、教育委員会でやっていることは、権限はあるんだけれども、本当に瑣末な、いろいろな規則とか、いろいろなものを改変するために、ほとんど教育に対しての議論なんかなされません。これは、承認するかしないかという承認事項ばかりがだあっと出てきて、それをただやるだけ。ここが学校の校長の上に立っている教育委員会なんです。

 しかも、委員は全部非常勤ですよ、教育長を除いては。非常勤です。ですから、学校の状態なんて、指示しようがないし、実際、わかっていないと思うんですよ。どんな優秀な人でも、この機構で学校に対して指示命令をしていくということは不可能だというふうに私は思っております。

 仮に教育長が事務的な責任者としても、では、教育長の上司、教育長は誰に責任を負うのか。教育長に命令、指示をするのは一体誰か。これは誰でしょう。

下村国務大臣 杉並区もそうだと思いますが、実態的にはやはり首長だと思います。

山田(宏)分科員 まあ、首長によりますね。きちっと教育の問題について関心のある人は、事実上、教育長にしょっちゅういろいろな指示をしているということもあるでしょう。しかし、形式上は、首長は、教育委員会の問題に対して、幾ら教育長が事務的な責任者であっても、学校のいろいろなものに対して指示をできない仕組みになっているんですよ。形式的にはですね。教育委員会が責任者ですから。

 すると、教育長が事実上ということで、ここが隠れちゃっているんですよ。議会では、首長は、答弁では教育委員会の責任でと言っていますけれども、都合のいいところは教育委員会の責任でと言うし、そして、都合の悪いときはまた、自分がと言うし、この辺がすごく曖昧なんです。曖昧にしているんです、わざと。

 だから、教育長の上司が首長といったって、首長は教育長を首にできませんよ。責任を問うことはできないんですよ。これは上司じゃないでしょう。どうでしょう。

下村国務大臣 やはり、実態的には上司というふうになるのではないでしょうか。実質上は、教育長と首長の任期が違っている部分がありますね。新しく首長になっても、前の首長が任命した教育委員なり教育長が任期がずれて実質上は行っているという実態でありますが、しかし、教育委員会はいろいろな問題点が、もちろん制度的にもありますし、また、形骸化している教育委員会も全国にかなりありますが、一方で、きちっとした首長のリーダーシップのもとに教育委員会が機能している部分もありますので、その辺は、首長の力量による部分も大いにあるというふうに思います。

山田(宏)分科員 機能しているかしていないかというのは程度の問題なんですけれども、私が申し上げたいのは、責任者と権限がはっきりしていないということなんですよ。だから、いじめの事件が起きても、一体誰が責任を負うんだ、誰が指示命令を出すんだ、はっきりしないものですから、もう責任のなすりつけ合いになる、あたふたあたふたする。こういうことで、問題の解決にもう一歩踏み出そうとか、自分が責任者だから責任を負ってこうしようとか、そういうものが生まれにくい制度上の仕組みになっているんです。これは変えなきゃいけない、私はずっとそう感じてきました。

 そういう意味で、きょう新聞で見ましたけれども、教育改革実行会議でしたかね、正式の名称はちょっと記憶が薄れていますけれども、ここで、教育長がきちっと首長に責任を負うような体制もやるべきだみたいな議論がされているということです。

 もう教育委員会などというのは各市町村で任意設置にして、そして選挙で選ばれた首長、そして教育長という、教育局長でもいいですよ、教育部長でもいいです、教育の責任者。つまり、首相があって文科大臣があるように、そういうふうなラインをぴしっとして、そして教育の行政、公立学校の教育の行政に責任を持てるようにしてほしい。今の教育の現場は、東京都を見ていいのか、都道府県を見ていいのか、市町村を見ていいのか、教育の現場はわからない。しかも、その上には文科省がある。しかし、首長もいる。校長先生にしてみれば、一体誰が上司なのか、はっきりしないんです。

 校長先生の送別会が毎年四月か五月に行われています、公立学校は異動しますから。そうすると、私は杉並区長でしたけれども、宴会の最後、席にいますと、転任される校長先生は、お酒をつぎに、ばっとちょうしを持ってくるんですよ。どこに一番並ぶと思いますか。区長じゃないですよ。まず教育長のところにずらっと並んでいるんですよ。そこでみんなついでいる。その後、教育委員長のところ、その後、区長ですから。どこに権限があるか、はっきりしています。

 しかし、実際は非常に曖昧だ。ここをぴしっと、誰が責任者か、誰がどこまでの権限を持っているのかということをはっきりさせないと、今回の体罰やいじめ、いろいろな問題が起きても、その場限りの問題になってしまう。

 ぜひ下村大臣のときにこの問題を整理していただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。

下村国務大臣 教育委員会については御指摘のとおりだと思います。そのために、教育委員会抜本改革法案を来年の通常国会に出す準備をしてまいりたいと思います。そのために、今御指摘がありましたが、教育再生実行会議で教育委員会のあり方についての提言を来週月曜日に安倍総理に提出するということで、今、委員の中で修正議論をしているところでございます。

 その中で、きょう一部報道されておりますが、委員御指摘のように、教育長に対して首長が任命と罷免責任を明確にする中で、教育委員会のあり方についても、今までのように、人事とか予算とか、トータル的なものを月に一、二回程度の非常勤教育委員でできるのかという問題がありますので、例えば諮問機関にして、そこの自治体の中長期的な教育課題について審議をしてもらうというような、教育委員会そのものの位置づけも変えるべきではないかというようなことがこの教育再生実行会議の中で議論されているところでございます。

 ただ、これは法律改正が伴いますので、この教育再生実行会議も、それから中教審も、私が担当大臣でございますので、提言をしていただいたら、すぐ、今月中に中教審に諮問をしたいと思っております。中教審の方で、さらに詳細な教育委員会の制度設計等、あり方については議論をしていただき、そこで、年内からスタートして、来年の通常国会に向けた法律改正案を文部科学省の中で検討し、本来あるべき、そして責任と権限が明確な中で、中途半端な形でない教育委員会改革法案をぜひ来年の通常国会に提出させていただきたいと考えております。

山田(宏)分科員 応援をいたします。ぜひお願いします。

 それから次に、歴史の問題も含めて、教科書検定のあり方について御質問いたします。

 まず最初に、内閣の意思の表明の仕方にはいろいろな方法があります。まず、一般論として、談話というのもあるでしょう。談話と閣議決定と、一体どっちが重いんでしょう。

下村国務大臣 閣議決定です。

山田(宏)分科員 当然ですよね。閣議決定というのは、もう全大臣が署名しているんですから、談話というものとは全く違うものであります。

 平成五年、一九九三年八月四日に、いわゆる従軍慰安婦にかかわる河野談話というものが出されました。ここの中には、「本人たちの意思に反して集められた」というような表現があり、そのことに対して、平成十九年、二〇〇七年三月十六日、辻元議員の質問主意書に対して、当時の第一次安倍内閣が答弁書を閣議決定しております。これは、強制連行を示す記述というものは見当たらないということを、正式に全大臣が署名してやっています。つまり、以前の談話の、いわゆる強制性を示すような文言について、明確に閣議決定をもって否定した。こういうふうに、順序としては、談話と閣議決定ですから、全然重さが違うんですよ。

 これはこういうふうに見ていいですよね。当時、官房副長官をおやりになっていたんじゃないかと思いますけれども、当時のことも考えていただいて、私はそういうふうに認識をしていますけれども、いかがでしょう。

下村国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

山田(宏)分科員 いろいろな証言がこの問題にはありますけれども、証言だけで事実と認定されたら裁判は成り立ちませんよ。証言は、いろいろな証言があるんですよ。エビデンスが要るんだから。証拠がないと、幾ら証言があったって、それは事実としては認定されないんですよ。証言だけではだめです。

 ですから、日本の中ではいろいろな方々が証言をされているけれども、証言については認識しているけれども、証拠は見つかっていない、証拠は我が方にはない。だから、そういうことを韓国が主張するのであれば、やはり、では、おたくの方から証言じゃなくて証拠を出してくださいよというふうにやんわり言うべきだ、私はこういうふうに思っているんです。

 このように、いわゆる従軍慰安婦と言われる問題一つとってみても、証言のみで、事実として認定されていないことを教科書に書いてはなりません。軍によっての強制性をほのめかすような教科書記述が以前いろいろありましたけれども、今、中学校の歴史教科書、また高校の歴史教科書で、このいわゆる従軍慰安婦の記述はどうなってきたか、どうなっているのか、ちょっとその辺を御説明いただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 中学校の歴史教科書におけるいわゆる慰安婦に関する記述状況でございますが、平成七年度に検定をした教科書には、全ての教科書、七点中七点で記述がございました。平成十二年度に検定をした教科書では、八点中一点の教科書でいわゆる慰安婦についての記述がございました。平成十六年度に検定をした教科書では、全ての教科書、九点で慰安婦に関する記述はなかったという状況です。現在使われることになります、平成二十二年度に検定した、新しい学習指導要領に基づいた教科書においても、慰安婦に関する記述はないという状況でございます。

 また、高等学校につきましても御説明いたしますが、日本史Aにつきましては、平成十一年度告示の旧学習指導要領に基づく教科書では、七点中七点で記述がなされており、新しい学習指導要領、これは平成二十一年の告示でございますが、これに基づく教科書でも、七点中七点で記述がなされています。この日本史Aというのは、近現代史を中心とした教科書になります。

 それから、日本史Bは通史的な教科書になりますけれども、旧学習指導要領に基づく教科書では十一点中九点で記述されていたところでございますけれども、新しい学習指導要領に基づく教科書では、八点中六点で記述があるという状況でございます。

山田(宏)分科員 例えば、いわゆる従軍慰安婦の記述については、中学校の教科書はゼロになったと。よかった。しかし、高校に至っては、まだかなりの教科書がこの問題を記述している。これはどうお考えですか、文部大臣。

下村国務大臣 中山成彬先生もいらっしゃっておりますけれども、平成七年のときに初めて、中学校の、いわゆる従軍慰安婦記述が始まりました。

 それを受けて、自民党の中で、当時、中川昭一先生が中心となって、日本の前途と歴史教育を考える若手国会議員の会をつくりまして、中学校の教科書の中で、それまで言葉としてなかった従軍慰安婦、これは、従軍看護婦とか従軍記者というのはいましたが、慰安婦そのものがいたということについて否定するわけではもちろんありませんが、言葉としてなかった従軍慰安婦という言葉が、そもそも突然中学校の教科書に入ってきた。そういう歴史的な事実関係の検証、それから、中学生という発達段階におけるレベルでそういうことを殊さら入れるということが、教育上、そもそも問題としても正しい言葉なのかというようなことが議論としてありまして、その結果も踏まえて、中学校の教科書からはなくなったというふうに承知をしております。

 その後、新教育基本法ができ、新学習指導要領ができる中、それにのっとった記述が望ましいわけでありますが、残念ながら、それ以降の高校教科書検定の中において、その趣旨が生かされないまま書かれているというのが高校教科書の現状としてあるのではないかというふうに考えております。

山田(宏)分科員 今、いわゆる慰安婦の問題を取り上げましたけれども、先日も、我が党の中山大先輩が、慰安婦の問題、また南京虐殺と言われたもの、こういったものが歴史的な事実に基づかない内容であるということをお話になっておられました。

 南京虐殺についても、証拠能力のあるものは何もないわけです。何も出ていないんです。検証もされていない。こういった中で、こういった記述を将来の日本を背負う青少年にやっていいのか。ゆがめられた事実、誤った歴史、こういうことを教えることによって、青少年が、腐敗と退廃と、卑屈になっていくということを、私は、文科省は絶対に食いとめなきゃいけないと思うんです。これができるのはやはり今の内閣だと期待しています。

 こういったことで、高校の教科書も改めてほしいと思います。

 しかし、その足かせになっているのは、恐らく近隣諸国条項だと思うんですね。

 この近隣諸国条項、ちょっと時間がないんですけれども、一九八二年、昭和五十七年に、侵略を進出に書きかえたなどというような、後で誤報とわかった記事ですね。これを、ニュースをもとに周りが騒いで、そして、宮沢官房長官が、いわゆる教科書検定基準に、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」こういったものを入れちゃった。その結果、事実でないことも、周りの国が騒げば、余り触れられなくなった。

 しかし、先日の予算委員会で、安倍首相も、検定にきちっと新教育基本法の考え方が生かされていないと。下村文科大臣も同様な答弁をされている。私は、自民党も、その重要政策の中にきちっとこのことを明記して選挙に臨まれて、そして近隣諸国条項についてはこれを廃止すると。これですね、「日本を、取り戻す。」重点政策の中に、「子供たちが日本の伝統文化に誇りを持てる内容の教科書で学べるよう、教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項も」見直す。

 見直すじゃなくて、近隣諸国条項は、勝手に入れちゃったんだから、文科大臣の権限でこれは廃止してください。こんな条項を持っている国がほかにありますか。ぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

下村国務大臣 御指摘のように、さきの衆議院選挙における自民党の政策パンフレットで、近隣諸国条項を見直しますということを明言したわけでございます。このことだけでなく、宮沢官房長官談話、それから先ほどの従軍慰安婦の問題等、河野洋平官房長官談話、それから、あわせて村山総理談話等々含めて、これは政府全体として見直すということを今回の安倍内閣の中で対応するということに決めておりますので、政府全体の中で、あわせて一緒に見直し作業に入ってまいりたいと思います。

山田(宏)分科員 どんなスケジュールでやられるんでしょう。

下村国務大臣 これは菅官房長官のもとに対応するということになっておりますので、具体的なスケジュールについてはちょっと承知をしておりませんが、菅官房長官のもとで責任を持って対応されると思います。

山田(宏)分科員 やはり今、日米同盟の再構築を優先して、こういう大事な歴史問題は封印をしておこうということはよくわかります。まずそこがしっかりしていないと踏み出せませんからね。ですから、我々もがんがん追及はしませんよ。しかし、全体を一遍にやるというのは難しいですよ。

 教科書検定基準というのは、文科大臣が責任を持って変えられるんじゃないんですか。どうでしょう。

下村国務大臣 これは、先日、予算委員会の教育問題における集中審議で、中山先生や我が党の西川委員からも御指摘がございました。これを踏まえて、教科書検定、採択のあり方について見直すということをそのとき答弁させていただきました。

 具体的には、自民党の中の教育再生実行本部の中に、もともとこれは昨年からスタートした教育再生実行本部ですが、そのとき私は本部長で、五つの分科会の一つとして、既に昨年十月から、教科書検定、採択の見直しについても着手しております。これを引き続き新たな教育再生実行本部の中でやっていただく中で、それを受けて文部科学省としても対応していきたいと思っておりまして、その作業を急いでもらうように、党の方に昨日お願いいたしました。

山田(宏)分科員 もうそんなに時間をかけなくても、自民党は公約したし、国民に約束をしたわけだし、そして、もうこれは、つくるときには、さっとつくりましたよ、勝手に。懇談会もくそもへったくれもなかったですよ。宮沢官房長官の、鈴木内閣だったかな、そのときに、政府がどこの意見も聞かずに勝手に決めたんです、国民の意見を聞かずに。こんな代物なんだから、何も声なんか聞く必要ないですよ。自民党がきちっと公約で出して、文科大臣の責任でさっと変えればいいんですよ。時間をかけてぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ議論していると、また間からいろいろな声が入って、決められなくなる。これだけはやってくださいよ。

下村国務大臣 先ほど申し上げましたように、教科書検定、採択、これは全てに関係することでございます。歴史観だけではありません。

 そもそも、新しい教育基本法や新学習指導要領にのっとっていないと思われるような記述が、ほかの部分でも、特に今回は高校教科書の中に散見しているのではないかと思っておりますので、本質的な部分から、あわせてきちっと検討していくことが必要であると思います。

山田(宏)分科員 私は、検討の時間はもう十分とった、検討ばかりずっとやってきている、だから、この問題は政治家の決断でやっていただきたいというふうに強くお願いを申し上げます。ここで政治家が決断しなければ、決断する場所はないんですよ。ぜひお願いします。

 最後に、自民党のJ―ファイルの中には、いろいろないわゆる歴史問題、歴史問題といったって、それは、領土にかかわる、竹島は昔こうだった、尖閣はこうだった、これも歴史問題です。歴史問題というのは今日問題なんです、日本にとっては。これは歴史じゃないんですよ。今の政治の、ちょうちょうはっしの外交問題なんですね。

 この歴史問題を扱うのに、確かに、政治家が歴史認識を示すことは、僕は余り適切じゃないと思います。歴史認識は、やはり歴史家が議論して進めていくものであって、政治家が決定するものじゃない。これはわかります。しかし、やはりこういった歴史問題という、日本にとっては今日問題を何とかしていくためには、歴史家が、科学者が、科学的見地に基づいて議論をし、そしてそれをきちっと発表していく、英語にもして、世界に、どんどんどんどん批判を受けていく、こういったようなことが必要だと思う。

 自民党がいいことを言っていますよ。こういった問題、歴史、領土、主権の問題にかかわる、近代史にかかわる研究施設を、センターを新設すると書いてあります。これはぜひお願いします。どんなスケジュールで考えておられるのか、文科省がやられるんでしょうか、どうでしょうか。

下村国務大臣 領土問題に関する研究については、現在、大学や各種研究機関、団体において、歴史学、国際法など、さまざまな観点から取り組まれております。領土問題は我が国の主権にかかわる重要な問題であり、これまでの研究成果も活用しつつ、政府として、国内外に対し的確に主張していくことが必要と考えております。

 御指摘のJ―ファイル二〇一二に提言された領土問題に関する機関の新設については、調査研究に加えて、普及啓発、広報活動を行うという業務内容も踏まえておりますので、これは、文部科学省ということでなく、政府全体として検討すべきと考えております。これは、近々に検討について着手するという動きが今政府の中であると承知をしております。

山田(宏)分科員 期待しております。

 終わります。

萩生田主査 これにて山田宏君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日月曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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