衆議院

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第2号 平成14年3月4日(月曜日)

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平成十四年三月四日(月曜日)
    午前九時三十分開議
 出席分科員
   主査 井上 義久君
      津島 雄二君    丹羽 雄哉君
      三ッ林隆志君    宮本 一三君
   兼務 森岡 正宏君 兼務 上田  勇君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   農林水産大臣政務官    宮腰 光寛君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            日比  徹君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月四日
 辞任         補欠選任
  丹羽 雄哉君     三ッ林隆志君
同日
 辞任         補欠選任
  三ッ林隆志君     丹羽 雄哉君
同日
 第一分科員森岡正宏君及び第六分科員上田勇君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――
井上主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び自由党所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
 再度事務局をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
井上主査 速記を起こしてください。
 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。
三ッ林分科員 おはようございます。自由民主党の三ッ林隆志でございます。
 坂口厚生労働大臣におかれましては、御就任以来、難問山積の中、昨年のハンセン氏病問題や、先週の医原性のクロイツフェルト・ヤコブ病問題における和解案受け入れ等、大変な御英断に対しまして、深く敬意を表しておるものでございます。今回の御決断に際しましても、大臣の強いリーダーシップが発揮されたと伝え聞いております。
 そこで、本日は、骨髄移植の問題に対し、大臣の御英断を賜りたく、幾つかの質問をさせていただきます。また、三十分の時間をいただきましたので、じっくり質問したいと思います。
 先週の火曜日に、骨髄バンク議連の主催による献血と骨髄ドナーの登録会が国会内において初めて行われました。会場には、御多用にもかかわらず、坂口大臣も御参加をいただき、議連の一員として厚く御礼申し上げます。
 この骨髄移植でありますが、以前私が大学病院に勤務していたとき、自分の担当していた患者さんに、血縁者によるものでしたが、行ったことがあります。その後も、病棟の中で、白血病の患者さんに、血縁者によるものや、また骨髄バンクを通した非血縁者間の骨髄移植が行われるのを見てきておりまして、大変に有用な治療法だと思いますと同時に、ドナーがなかなか見つからない、また、見つかるまでに再発を繰り返して亡くなっていく患者さんに接して、もっと早く適合ドナーが見つからないものかと思っておりました。
 一昨年、議員になりまして、骨髄バンク議連の存在を知りまして早速参加したわけですが、そこで骨髄移植推進財団や骨髄バンク推進連絡協議会の方々からお話や御要望を伺い、骨髄移植を今後も充実させていくためにはいろいろな解決しなければならない問題があることを知りました。
 その中で、大きな問題が幾つか挙げられます。それは、骨髄移植推進財団の財政の問題、また、患者負担金の問題、そしてドナー登録者数の問題です。きょうはこれらの問題点につき質問させていただきます。
 まず、骨髄移植推進財団のことについてですが、重症再生不良性貧血や白血病などの血液疾患の患者さんにとりまして、骨髄あるいは臍帯血によります造血幹細胞移植法は、直接生命にかかわる大変重要でかつ有用な治療法ということで、最近は移植する患者さんの数もふえ、また、移植により健康を回復された方々も多くなってきております。ところが、移植希望者がふえ、ドナー登録者の増加に伴いHLAの適合率が上がるに従い、移植仲介例数がふえればふえるほど、骨髄移植推進財団の財政が厳しくなっていくと聞いております。
 このように、財団としての業務がふえるに従い、それにかかわる経費も毎年増加するわけですが、その増加に応じて運営のための国庫補助金がふえているわけではなく、財団として赤字が続き、本年度には基本財産の取り崩しが必要になったとのことですが、骨髄移植推進財団の現在の財政状況について、局長にお伺いいたします。
下田政府参考人 骨髄移植につきましては、我が国で骨髄バンク事業が平成三年から開始されたわけでございますが、それ以降、骨髄提供希望者として登録された方の数、いわゆるドナーと言われる方々でございますが、こういった方々、あるいは骨髄バンクを介した移植実績件数は着実に伸びてきておるわけでございます。
 移植件数で申し上げますと、平成五年八十六件であったものが、平成十三年ですと七百三十四件、累計で三千八百十七件という実績を上げたところでございます。
 しかし、骨髄移植推進財団におきましては、先生御指摘のように、現下の非常に厳しい経済情勢を受けまして、国庫補助金あるいは寄附金によります収入が伸び悩んでおるといった中で、一方で、移植実施件数がふえますと事業量が増大する、そういったことでの、収入が確保できないというアンバランスが生じまして、大変厳しい財政状況にあるということは御指摘のとおりでございます。
 こうした中で、財団におきましては、平成九年度から単年度での支出超過が続いておりまして、今までは翌年度繰越金の中から繰り入れを行ってやってきたわけでございますが、本年一月二十五日に、基本財産七億九千万円の中から二億円を取り崩し、それに充てたところでございます。これに伴いまして、厚生労働省といたしましては、財団におきまして今後安定的な事業運営が可能となりますよう、財政運営のあり方につきまして必要な指導を行っていくことといたしておるわけでございます。
 来年度以降につきましても移植件数の増加が見込まれるわけでございますが、財団におきましては、事業費の縮減を講じました上で、患者負担金、これにつきましても引き上げを行うことによりまして、初めて単年度収支を均衡させることができるというふうに認識をしておるところでございます。
三ッ林分科員 ただいまの答弁にありますように、財団の財政状況は非常に厳しくて、このままでは事業継続が危ぶまれる状況に陥ってしまうとのことで、財団に言わせますと、かなり経営の効率化を図っているというふうなお話も聞いておりますけれども、それでも改善しないということで、来年度からは患者負担金の値上げに踏み切らざるを得なくなるというふうなお話でした。
 今回の診療報酬の改定で、骨髄移植検査等に係る費用として一万五千点がふやされましたけれども、この点については、大変厳しい状況の中、感謝申し上げる次第であります。しかし、この点数増加は、患者さんの支払い部分では自己負担分が減る効果はあるとは思いますけれども、財団の財政を安定化させる方策は保険点数上はとられておりません。そのため、今回の改定分以上に、二十五万円前後とは聞いておりますけれども、財団の患者負担金をふやさざるを得ないとのことです。
 結局、患者さんにとっては、現在よりも十万円程度の負担金がふえることになってしまいますが、白血病で抗がん剤治療を受けている場合、感染の予防のための個室を使用したりと、患者負担はかなりの金額になります。その上、財団への支払いもふえるのでは、患者さんにとって非常に残念な状況と言えます。
 財団では、以前より、財政の安定化のために、骨髄液に対し保険適用の要望を今まで何年も、また何度も行っておりますけれども、なかなか認められないといいますか、現行の診療報酬制度では応じられないとのことで、今回も適用にはなりませんでした。何とかほかの方法、例えばコーディネート料への保険点数の適用など、患者負担金の軽減と、また同時に、財団の財政へも資するような方法が必要ではないかと考えておりますが、これらの点に対し厚生労働省としてどのようにお考えか、お答え願います。
下田政府参考人 骨髄バンク事業におきましては、現在、登録料、あるいはコーディネート料、それからドナーを確認するための検査料、それからドナーの傷害保険料といった部分を負担していただいておりまして、平均、一人当たり大体四十万から五十万程度の患者負担金がかかるということになってございます。
 先生御指摘のように、今回、診療報酬改定が行われまして、骨髄移植に係る費用が大幅に引き上げられたわけでございまして、今後、骨髄移植の促進が図られることになるわけでございますけれども、財団の運営はなお厳しい状況にございまして、今まで七年間据え置いてきた個人負担を、今回引き上げさせていただくことをせざるを得ないといった状況にあるわけでございます。
 もともと、受益者負担といった観点から、個人にある程度の負担をお願いしてきたわけでございますけれども、厚生労働省といたしましては、財団の運営の徹底した合理化を初めとしまして、何らかの方法を講じることにより、患者負担を少しでも実質的に軽減することができないか、今後、検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
三ッ林分科員 ただいまのお話のように、一人四十から五十万、またそれに対して新たな増加分というふうなものが個人の負担ということですけれども、受益者負担とはいいますけれども、先ほどお話ししましたように、感染を予防するための個室代でありますとか、そのほかのもろもろのということで、実際、病院の窓口でもかなり実費を支払うというふうな負担が生じておりますので、ぜひとも、患者負担、全体的にそれをまた減らすような方法を考えていただきたくお願いします。
 次に、ドナーの確保についてですが、骨髄移植のドナーは、白血球のHLAの適合した同胞が最適と言われております。しかし、同胞間でHLAが一致する確率は三〇%でありますし、現在の少子化の影響もあって、適合ドナーが得られる確率はさらに低くなってきております。そして、血縁ドナーが得られない患者さんのために、骨髄バンクや臍帯血バンクが必要となります。しかしながら、この非血縁者間でHLAが一致する確率は非常に少ないため、多くのドナー登録が必要になっております。
 以前、私の勤務先で白血病の患者さんに適合したドナーが見つかりまして、御両親も大変に喜ばれ、移植を期待されていたのですけれども、最後になってキャンセルされて、非常に落胆しておりました。このような場面を見てきておりまして、このような場合でも対処できるように、できれば適合ドナーが複数で見つかるようになってほしいとそのとき思った次第であります。
 そのためには、ドナー登録者は多ければ多いほど確率が上がるわけですけれども、さらに、現在のレベルよりもより拒絶反応の発生率が低く、また予後の改善につながるレベルまでHLAの適合したドナーを八〇%以上の確率で見出すためには、三十万人のドナー登録が必要とされております。そして、そのために、骨髄移植推進財団や骨髄バンク推進連絡協議会では、三十万人のドナー登録を目標として活動していると聞いておりますが、現在どのような状況なのか、お聞きいたします。
下田政府参考人 我が国におきましては、白血病あるいは再生不良性貧血といったいわゆる血液難病と言われる方々が年間約一万人発症いたしておるわけでございます。そのうち、四分の一程度の方々が骨髄移植の対象となるというふうに言われておりまして、それからしますと、毎年、大体二千人から二千五百人の方々が骨髄移植の適応となるというふうに見込んでいるわけでございます。これに、こうした移植適応患者さんに対しまして的確なる移植を行うためのドナーの数ということは、先生御指摘のように、理論値といたしまして三十万人必要であるという研究結果が出ているわけでございます。
 したがいまして、骨髄移植推進財団におきましては、平成四年一月以降、こうした三十万人というドナー登録者を確保するという目標を掲げまして、その事業を推進してきたところでございます。
 その結果といたしまして、現在、登録をされておられます方は、平成十年八月に十万人を超えたわけでございますが、昨年一年間で約一万五千人新登録がございました。そういったこともございまして、平成十四年一月末現在で約十五万人という形になっているわけでございます。
三ッ林分科員 先ほどの目標値が三十万ということで、今年度一月の状況で十五万ということで、まだまだ、半数ということで、三十万人の目標には道のりがあるなという感じがしますけれども、日赤の献血に対しましては、大体、年間六百万人の方が協力してくださっていると聞いております。それに比較しまして余りにもドナー登録者数の伸びが少ないというふうな感じがしております。これは骨髄ドナー登録に関する情報が十分ではないとか、登録する場所がわからないとかの問題があると思っております。
 先週の院内での骨髄ドナー登録会があった夜に、NHKの「プロジェクトX」という番組で、骨髄バンク設立時の模様が放映されました。この番組を見ている方はかなり多いと思いますし、また、これによって骨髄移植や骨髄ドナーについて興味を持った方も多いのではないかと思われますが、果たして登録場所がすぐに見つかるのだろうかと思っております。
 私も、町の中で骨髄ドナーの登録ができる場所を見た記憶が余りありません。確かに、今はインターネットなどを調べれば連絡先などわかりますけれども、まだだれでもがそのようにして登録できる場所を探すところまではなっていないと思っておりまして、もっと多くの方にドナー登録をしていただくためには、より一層のPRが必要ではないでしょうか。当然、骨髄移植推進財団でも骨髄バンクやドナー登録についてPRしていることと思いますけれども、厚生労働省としても、骨髄移植やドナー登録、そして登録場所等についてPR活動をすべきと思いますけれども、現在とられている対策などについてお聞かせください。
下田政府参考人 ドナー登録者三十万人の確保ということは非常に重要でございまして、それの確保についてのPRということが極めて重要であり、そうした登録をする手法なり場所なりが一般に周知できていないといたしましたら、大変問題であろうかと考えております。
 厚生労働省としましては、こういうPRには大変力を入れているつもりでございまして、これまで、各都道府県の保健所等におきまして、骨髄提供希望者の登録の受け付けをやったり、あるいは集団登録事業といったものを実施していただくようお願いをして、PRに努めてきたところでございます。しかし、さらにそういった登録場所等々のPRを充実させるために、従来の手法に加えまして、ホームページを活用する、こういったこともあわせて考えていきたいと思っておりますし、そのほかにもいろいろ工夫のしようがあるのではないかと考えております。
 今後、そういった手法についても十分研究しながら、PRに努めてまいりたいと考えております。
三ッ林分科員 これからPRに努めていただけるということですけれども、この三十万人を目標とするドナー登録、これによってかなり、HLAが適合して骨髄移植を受けることによって治癒にいき、いずれは納税者となる方もたくさんふえてくると考えられますので、ぜひともこの三十万人の目標というのを達成するように努力していただきたいと思います。
 そして、先ほどからお話しのように、なかなかこれが順調とは言いがたいところにありまして、これには、骨髄移植や骨髄ドナーについての情報の不足、移植時のドナーにおける骨髄採取に関する負担など幾つか要素が関連していると思います。しかし、何よりも、登録方法といいますか、登録場所の問題が大きいと思っております。といいますのは、沖縄県では日赤の献血と一緒にドナー登録を行っておりまして、大変優秀な成績を上げております。何度も引き合いに出して恐縮ですが、先週の院内での献血とドナー登録会では、八十一名の方に献血していただき、またドナー登録も三十九名していただきました。
 このように、献血とドナー登録を並行して行うことはかなり有効なことと言われておりまして、沖縄県以外でも徐々にこの献血並行型が行われ出していると聞いております。しかし、日赤の献血事業におけるスタッフ数の問題等もあり、手間のかかるドナー登録を並行して行うことに、なかなか連携がうまくいかないとも聞いております。実際のところはどのような状況なのか、お聞かせください。
下田政府参考人 御指摘のように、ドナー登録者の募集、登録を促進する一つの手法といたしまして、日本赤十字社が行っております献血事業との連携を図るといったことが有効であり、かつ重要であるというふうに認識をしているところでございます。
 このために、今年度におきましては、地域の実情に応じまして、移動献血会場での献血とあわせてドナー登録会を実施していただくよう、各都道府県や各省庁に対してお願いをしているところでございます。
 その結果、今年度におきましては、関係者の御理解、御協力を得て、全国で約六百回ドナー登録会が実施されておりますけれども、そのうち約四百回が移動献血並行型の登録会であったというふうな報告を受けたところでございます。
 非常に有効でございますので、そういった手法につきましても、どんどん今後推進していきたいと考えておりますが、従来から日本赤十字社に対しましては、ドナー登録希望者の受け付けあるいはHLA検査の実施、ドナー登録者のデータ管理、財団からの依頼に基づきますデータ検索及び結果連絡などをお願いしてきたところでございまして、全国の骨髄データセンターや献血ルームにおいて事業を行っていただいているところでございます。
三ッ林分科員 かなり献血との並行型がふえてきているということで、非常に喜ばしいことと思います。
 そして、これまで骨髄移植に関する問題点として、骨髄移植推進財団の財源の問題、それにかかわる患者負担金の問題、そしてドナー登録の問題についてお聞きしてまいりました。ほかにも、コーディネートの迅速化や患者登録から移植までの期間の短縮の問題等もあります。
 これからの骨髄移植を安定して、また順調に続けていくためには、何といっても骨髄移植推進財団の現在の財政状況を改善しなければならないのですが、今後の財源の確保や、患者さんが安心して骨髄移植を受けられるよう患者負担金の減額など、大変難しい問題とは思いますが、今後これらの問題の解決に向けて、坂口大臣はどのように取り組んでいただけるのか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
坂口国務大臣 先生には、骨髄移植につきましてきめ細かく、現在抱えております問題点につきまして、さまざまな角度から御質問をいただきまして、ありがとうございました。
 今御指摘いただきましたように、さまざまな問題を抱えているわけでございますが、一つは、やはり財団をこれから安定的にどう運営をしていくかということが一番中心になるのではないかというふうに思っております。
 このことにつきましては、財団自身の、これから御努力をどうしていただくかということもございますけれども、国としても態度を明確にしていかなければならないというふうに思います。
 近く、造血幹細胞移植委員会をつくりまして、ここで今後どういうふうにしたなら一番安定的にやっていただけるかということを少し専門家の間で議論していただいて、早期に結論を出していただきたいというふうに思っている次第でございます。
 こうした中で、一つ、財団のあり方というものを安定的にしながら、もう一つは、登録者をどう確保していくかという問題だろうというふうに思います。私も、献血事業等で過去に経験がございますけれども、毎日、新聞にいろいろなことが出ておりましても、PRが足りないというふうに言われた経緯がございます。それは、やはりどれほど出ておりましても、それを聞く耳を皆が持ってくれるかどうかということに一にかかるのであろうというふうに思っております。
 したがいまして、この事業というもの、この運動がなぜ必要かというところを、皆さんの心の中にやはり入るようにちょっとしていかないといけないだろうと思っておりますので、その辺につきましてもよく考えていきたいというふうに思います。
 赤十字との関連につきましては、私も赤十字の方に何度か話をいたしまして、もう少し何とか協力をしてもらえないかということを言っているわけでございますが、何とかひとつ考えます、考えますというふうには言ってくれるのですけれども、一向に現実は前進してこないのが現状でございますので、カードならばカードにちゃんと一項目設けて、そしてそこに記入をできるようにでもして、どの献血者もそれをごらんいただいて、そして、よし、おれはここでひとつやろうというふうに、献血と同時に意思表示をしていただけるような形にしないといけないのではないかというふうに思っています。
 そういうふうな意味で、もう一歩踏み込んだ協力のあり方というものを、これは赤十字にもお願いをしなければならないというふうに思いますし、赤十字にも何らかの形で協力体制が必要なんだろうと思うんですね。ただ献血だけが自分たちの仕事で、骨髄移植の問題は余分な仕事だというふうに赤十字が思っております限り、なかなかこれは進まないというふうに思いますので、中心はこの財団でおやりいただくといたしましても、赤十字もこの仕事にやはりかかわっている、自分たちの仕事の一部であるという認識を持っていただけるようにしないといけないのではないかというふうに思っている次第でございます。そういたしましたら、三十万という数字はそう難しい数字ではないかというふうに私は思っておりますので、そうしたことを、今までの過去の反省も踏まえまして、これから努力をさせていただきますことをお誓い申し上げたいと思います。
三ッ林分科員 ありがとうございます、大変前向きなお話をしていただきまして。
 この造血幹細胞移植委員会、もう大変これから期待して、非常にいい結論が出てくることを望むところでありますし、また、日赤における献血事業のところで一緒にドナーの登録に対するカード等を提示するというふうなことも、ドナー登録者数をふやすには非常に有効ではないかと私も考えておりますので、ぜひ進めていただきたく、お願い申し上げます。
 そして、私がこれまで見てきました白血病などの血液疾患の子供たちは、抗がん剤の副作用や、繰り返す輸血による副作用に苦しんでおりまして、これらの子供たちが、骨髄移植の適応があれば、一日でも早く、より拒絶反応の少ない骨髄移植ができることを、また、適応がない場合には、より効果的で副作用の少ない抗がん剤による治療が受けられるようになることを強く希望するものです。
 そして、これからの医療は、骨髄移植や臍帯血移植、さらにゲノム創薬や遺伝子治療等、今までの医療の概念ではおさめ切れない治療法が出現することが予想されております。それらに素早く対応し、また患者さんが有効な治療を安心して受けられるよう、医療制度も変えていかなければならないと思います。
 また、そのような対応をするためにも、現場をよく知っている坂口大臣の強いリーダーシップが今後ますます必要になると、大きな期待を持っておりますので、今後とも御尽力いただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
井上主査 これにて三ッ林君の質疑は終了いたしました。
 次に、森岡正宏君。
森岡分科員 自由民主党の森岡正宏でございます。
 きょうは、私は、食の安全について坂口厚生労働大臣と宮腰農林水産大臣政務官にお尋ねを申し上げたいと思います。三十分と決められた短い時間でございますので、簡潔に御答弁をお願いできればありがたいと思っております。
 今ほど食の安全が脅かされており、国民が不安に感じているときはないと思います。ここ数年を見ましても、雪印乳業による食中毒事件、ダイオキシン汚染、そして遺伝子組み換え食品の違法混入、中国野菜の残留農薬問題、そしてまた狂牛病、BSEの騒動、雪印食品とスターゼンという会社の食肉偽装事件と、次から次へと切れ目なく心配な問題が発生しております。偽装表示などは相当広範囲に行われていると思わざるを得ない感じがするわけでございまして、もちろん企業のモラルが問われることは当然でございますけれども、行政の対応にも消費者の不信が募るばかりでございます。
 日本の食品行政は、生産者や業者の育成、そして振興策、これに余りにも偏り過ぎてきたのではないか、消費者保護の視点が不十分ではないか、私はそう思うわけでございまして、雪印食品の解散などを見ておりますと、消費者に見限られてしまったら生産者も業界も立ち行かなくなるということが明らかになったと思うわけでございます。食の安全に対する国民の信頼回復、これが急がれるわけでございます。
 そこで、私は、食品行政の抜本改革が不可欠だと思っております。両省の基本的な認識をまず簡潔にお答えいただければありがたいと思います。坂口大臣からお願い申し上げます。
坂口国務大臣 森岡先生から御指摘をいただきますように、BSEの問題、あるいは関連いたしました雪印の問題等々、今大きく食品衛生の問題が取り上げられているところでございまして、食品衛生の問題が大きく取り上げられること自体は、それは好ましいことだというふうに思いますけれども、こういう事件を背景にして取り上げられるということは大変残念なことだというふうに思っている次第でございます。
 先ほども御指摘をいただきましたとおり、近年、遺伝子組み換えの問題がございましたり、また、食品そのものが日本の国よりも外国から輸入される比率がだんだんと高くなってきたということも含めまして、なかなかその内容について我々の目が行き届かない、そういう事態になってきているというふうに思っております。
 したがいまして、今までの食品衛生のあり方だけでは立ち行かない環境というものができ上がりつつあるということは紛れもない事実だというふうに思いますので、その辺のところは、今御指摘をいただきましたように、食品衛生全体の問題のあり方についてこの際に徹底的に議論をして、そして新しい体制にしていくべきときを迎えていると考えている次第でございます。
 あとまた、具体的な話もあろうかと思いますが、まず総論的なことだけお答えをさせていただきました。
宮腰大臣政務官 森岡先生御指摘のとおり、農林省の姿勢がこれまで生産者並びに流通業者に軸足を置き過ぎていたのではないかということは、全くそのとおりであるというふうに思っております。
 そういうことから、武部大臣も、これからは生産者と消費者の間に立った農林水産行政の展開、あるいは生産者と消費者がお互いに顔が見える行政の展開、食と農の一体化の推進ということに、いわば農林水産行政を、これまでの生産者重視あるいは流通業者重視から、目に見えるような形で消費者に軸足を移していくということをかねがね表明しておいでになります。
 そのため、いろいろな取り組みをさせていただいているわけでありますけれども、具体化に向けた取り組みの一環といたしまして、二月八日に、表示に関する消費者の信頼を確保するための食品表示制度対策本部を、それから、食の安全の確保のため動植物検疫・輸入食品安全性対策本部を設置いたしまして、大臣が先頭になって取り組んでおいでになるところでありまして、おっしゃるとおり、これからは消費者に軸足を移した農林水産行政の展開が極めて重要であるというふうに考えております。
森岡分科員 今宮腰政務官がお触れになりました食品の表示制度について伺いたいと思います。
 雪印食品、スターゼン、ともに虚偽の原産地表示をやっておりまして、現行JAS法では、農水省がどのように対応されたのか、そしてあの虚偽表示に対してはどういう罰則が与えられるのか、そこのところを教えてください。
西藤政府参考人 御説明申し上げます。
 食品の表示は、消費者の商品選択ということで非常に重要な位置づけがあるにもかかわらず、今回虚偽表示が幾つか見られたこと、私ども大変遺憾に思っております。
 そういう点で、本部を設定して整理をいたしておりますが、私ども、虚偽表示につきましては、まず制度上は、立入検査を実施し、虚偽表示が確認できた場合改善の指示を出す、指示に従わない場合は公表し、さらに命令を出し、実行されない場合罰則という制度の流れになっております。
 御指摘の雪印食品につきましては、私ども、立入検査実施後、二月一日と二月八日だったと記憶いたしておりますけれども、JAS法に基づく立入検査実施後の指示を、改善措置の実施を含めた指示を行っている状況にございます。
 また、スターゼンにつきましては、私ども、表示制度の監視体制の強化を図るという観点で、二月十五日から表示一一〇番ということを実施いたしてきておりますけれども、そういう状況の中で、二月二十二日から立入検査を実施いたしておりまして、できるだけ早く、実態の解明とJAS法に基づく指示をしたいという状況でございます。
森岡分科員 このような虚偽表示というのは氷山の一角じゃないか、私はそんな気がしてならないわけでございまして、こんな事件が起こる以前からずうっと恒常的に幅広く行われていたのではないかという疑義を持つわけでございます。今のJAS制度を見直すと同時に、この食品表示の平素の監視体制、これをもっともっと強化すべきじゃないかという気がするわけでございます。
 農水省では、今お答えいただきましたように、食品表示一一〇番を設けたり、対策本部を設置された、こういうふうに伺っておるわけでございますが、どのように改善しようとしておられるのか。消費者の協力を得ることが私は何よりも大事じゃないかな、先ほど宮腰政務官にお答えいただいたとおりだと思いますが、その方針の基本だけちょっと聞かせていただけませんか。
西藤政府参考人 御説明いたします。
 本部を設置いたしまして、大臣が総括本部長ということで、食品表示の適正化のための方策ということで論議をさせていただいております。
 当面、具体的取り組みといたしまして、品質表示制度の違反を監視するための体制強化ということと、表示を適正化することが重要だということで、先ほどもちょっと申しましたが、二月十五日から、私ども本省だけではなくて、地方農政局、消費技術センター、食糧事務所にも、全国六十五カ所になると思いますが、食品表示一一〇番を設置して幅広く情報をいただいているという状況でございます。実施後約二週間強経過いたしておりますが、千百件を超える情報が寄せられているという状況にございます。
 また、私ども、食肉表示の緊急調査を予定しておりましたが、前倒しをしまして、二月の二十八日から全国五百カ所程度を対象に現在実施している状況にございます。
 また、先生御指摘の消費者の協力、消費者との関係ということで、私ども、平成十四年度から、消費者の協力を得て食品の表示の適正化を図るということで、全国に、食品表示ウオッチャーということで七百名の消費者の方にウオッチャーになっていただいて、表示モニタリングを実施している。当面、これらの対策に積極的に取り組むことによって、表示の適正化にまずは努めていきたいというふうに思っております。
森岡分科員 表示制度を見直すというならば、農水も厚生労働も一体になってやらなければいけないんじゃないかなと私は思うわけでございまして、賞味期限と品質保持期限、これはどこがどう違うのか、消費者には非常にわかりにくいですよ。みんな法律が違うんだ、こういうことでございますけれども、こんなことでいいんだろうか。
 農水省のその対策本部のメンバーを見ますと、農水省だけの人たちがずらっと並んでおられる。私は、厚生労働省と一体になってやるべきではないか。法律も、JAS法による表示、そして食品衛生法による表示、これでそれぞれ違うんだということでございますけれども、どうもわかりにくいなという気がするわけでございますが、農水省の宮腰政務官の御感想を伺いたいと思います。
宮腰大臣政務官 表示の問題につきましては、極めて大きな問題が幾つもあるんだろうと思っておりまして、今先生の御指摘の、幾つもの法律に基づいた表示の仕組みがあって消費者にわかりにくいというお話がありました。全くそのとおりであろうと思っております。それらのことも含めまして、食品の表示のあり方につきまして、これから厚生労働省とも連携をとりながら進めていかなければいけないと思っております。
 それから、先ほどの先生のお話で、監視体制はどうなっているのかというようなお話がありました。
 食品の品質表示に対する消費者の信頼を得るためには、監視体制を強化するということと同時に、食品の生産履歴あるいは流通履歴を消費者の側からトレースができるというトレースアビリティーの仕組みをきちっとつくっていくということが、回り道かもしれませんけれども、消費者の信頼を得る一番大きな手段ではないかというふうに思っておりまして、先日も、二月の二十一日に、神奈川県の大和市のあるショッピングセンターにおきまして、トレースアビリティーの実証試験を行いました。これは、牛一頭丸ごと飼って、その履歴を証明するというタッチパネル式のシステムでありますけれども、こういうシステムをもっと充実していく。
 例えば、今、農畜産業振興事業団におきまして、四百数十万頭の牛に対しまして、十けたの耳標を今月末までにつけさせるということにしているわけでありますけれども、その十けたの耳標の数字が、枝肉から部分肉にカットされてでも、同じようにして肉と同時に流通をしていく。最終的には、消費者の皆さん方が、例えば携帯電話などで、iモードを使って、店先やあるいは食卓から、生産履歴あるいは飼料の種類ですとか、いついつ屠畜されてどういうふうに並んでいて、品質保持期限等々はいつまでかということが確認できる。そういうシステムをつくっていくことが、食品の品質表示について消費者の信頼を得る最大の手段ではないかというふうに考えておりまして、そういう面でも頑張っていきたいというふうに思っております。
森岡分科員 厚生労働大臣に伺いたいと思います。
 食の安全にかかわるたび重なる事件や事故に対しまして、消費者団体において、食品衛生法の抜本改正、これを求める請願活動が行われてまいりました。そして、昨年秋の臨時国会で採択されまして、全国で千四百万人の人たちが署名されたと伺っております。
 食の安全に対する国民の不信の高まり、これを感じるわけでございまして、厚生労働大臣は公明党御出身でございます。公明党はドイツにおける緑の党のような感じ、そういう存在ではないかなというふうに私は思っているわけでございますけれども、消費者団体のこの高まりをどう評価しておられるのか、簡潔にこれもお答えいただきたいと思います。
坂口国務大臣 この食品衛生法につきましての問題も、特にこの一年ぐらいの間、消費者団体の皆さん方からいろいろと御指摘をいただいておりまして、私も直接お話をお伺いしたこともございます。
 これらの問題を解決していきますためには、先ほどからも御指摘をいただいておりますように、法律とあわせて、その体制ですね。今まで厚生省がやってきた、農林水産省がやってきたというふうに省庁別々になっている部分がございますし、あるいはまた物によりましてはそれ以外の省庁にまたがっているものもございますので、それらの省庁の体制をどうするのかということも同時に決着をしていかなければならないんだろう。
 そうした中で、ばらばらに法律をつくるのではなくて、一つのまとまった法律にして、消費者の皆さん方にもおわかりをいただきやすいようにしていかなければならないというふうに思っております。そうした総合的な立場からこの食品衛生法の改正というものも行わなければならないというふうに思っております。
 これからどう着手をするか、その辺のところを整理させていただいて、その内容に取りかかりたいというふうに思っております。
森岡分科員 大変前向きな御答弁をいただいてありがたいと思います。
 消費者団体の問題意識の中に、食品衛生法は戦後間もない昭和二十二年でございますか成立した法律で、公衆衛生の見地から粗悪品とか不衛生な食品を規制することを主眼にしてきた、そのために、国民の健康を保護するということは目的とされていないということに大変不満を持っておられるようでございます。そうした観点での、また国の責任も明記されていない。例えば遺伝子組み換えでありますとかダイオキシン問題というような問題が起こってからではなく、予防的な視点がないということに不満を持っておられるようでございます。しかも、行政庁の裁量権が非常に幅広い。そういうことに対しても不満を持っておられる。消費者の意思が通りにくい構造になっているのではないか、こう言われているわけでございます。
 国の薬事・食品衛生審議会の中で、消費者の意見が通るように、例えば異議申し立てが消費者の方からできる、こういうような仕組みに変えたらどうでしょうか。大臣の御意見を伺いたいと思います。
坂口国務大臣 食品衛生法第一条には「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。」と確かに書かれておりまして、公衆衛生という言葉が出てくるわけでございます。
 先ほどお話しいただきましたように、公衆衛生ということの考え方につきましても、終戦直後の考え方と最近は大分変わってきておりますから、公衆衛生という言葉の中にはかなり幅広く予防的な側面も含まれて最近は言われるようになってまいりましたから、最近の公衆衛生の向上という言葉の中には、幅広く食品の安全性という側面も裏腹に大きく含んでいるというふうにも理解はできるというふうに思うのですが、しかし、今までの経緯、この法律ができました過去の経緯からして、もう少し適当な言葉がないかという御指摘につきましても、私たち、謙虚に耳は傾けなければならないだろうというふうに思っております。
 そして、これらの問題も含めて、そして先ほど御指摘になりました消費者の立場もひとつ、それがお聞きできるように、消費者の立場というものが反映できるように、そうした形でどういうふうに新しい改正を行っていくか、その辺のところも考えながらやっていかなければならない、考え方の中の視野には入っているというふうに思っております。
森岡分科員 先ほど来大臣から、新しい体制をつくるべきだというお話をいただいて、私はありがたいことだなと思っているわけでございます。
 小泉首相は、BSE問題に関連いたしまして、省庁の枠組みにとらわれず、食の安全についての各省庁の部局を組織改編してもいいのではないか、よく検討したい、こう答弁しておられます。また武部農水大臣も、農林そして食品衛生行政の一元的な改革、食の安全と安心を確立できるシステムづくりというような言葉を使っておられるわけでございます。
 BSE問題が発生したときに、対応ぶりを見ておりますと、私の個人的な感想でございますが、縦割り行政の弊害があるのではないかなという感じがいたしました。私も、食品安全行政というものを一元化すべきだというふうに考えております。しかしこれも、消費者をそっちのけにして、農水、厚生労働両省が縄張り争いを繰り広げて、言葉は悪いですけれども、組織の焼け太りになったり看板のかけかえだけに終わる、こういうことになってはならないと思っているわけでございます。
 ちょっと調べましたら、ドイツでは、あのBSE問題で、御承知のとおり、保健相と農相が辞任に追い込まれました。そして、食料・農業・森林省という名前であったのを消費者保護・食料・農業省と改名されまして、そして消費者保護の組織というものが農水省にくっついた形で一元化されております。しかし、これでも消費者団体は不満だ、失望感が大きいというふうに伺っておりますし、消費者保護庁というような独立した組織をつくるべきではないか、こういうことで今検討中だと伺っているわけでございます。ほかの国々でも、アイルランド、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、米国、こういう国々でも、食品安全、食品衛生関係のシングルエージェンシー、これを求める動きが急速に進んでいる、こんなふうに聞いております。
 日本も食の安全を図り、消費者を保護する立場から、おくれをとってはならないと私は思うわけでございますが、厚生労働大臣、そして農水政務官、双方の思いを聞かせていただきたいな、それぞれが、消費者保護の役割を我が省でというような、そんな狭い了見ではなしに、広い立場から論じていただければありがたいと思います。
坂口国務大臣 HIVの起こりましたときに、このときにはいわゆる産業振興を行う部分と、そして規制を行うところが一緒にやっているのがだめだ、それで弊害が起こったというので、あのときには実は分離をしたわけでございます。それで今度は、分離をしているがゆえに弊害が起こったというので、また一緒にしようという話が実は起こってきているわけでございます。その辺のところの整理をちょっとさせてもらいたいというふうに、正直なところ思っています。
 一番問題になりますのは、やはり省庁が違うことによって、そしてお互いに口を出さない、ちょっとあそこ、どうかなと思っても、よその省のことには、それはもう口を出さないでおこうというので言わないというようなことが、現実問題として、今回のBSEでもいろいろの問題が起こってきた。ですから、その辺のところを、省庁の壁ですとか、あるいはまた局が違うということによって、お互いに遠慮をするというようなことがあってはならない。そこをどうしていくかということをやはりまずやることが大事ではないか。
 しかる上で、先ほど御指摘になりましたように、消費者の問題、消費者を中心とした考え方というのは、当然それは大事だというふうに私は思いますし、そういうふうな形で再編成されることも私は反対はいたしません。反対いたしませんけれども、もうちょっと中の、局が違ったら、お互いに隣の局のことは余り口出ししないとか、隣の省のことは口出ししないという、そこを改めないと、どれだけ再編成をやりましても問題は解決しないという気がいたしておりまして、その辺のところをどうするか。
 もう少し横割り的な物の考え方を、縦割りではなく横割り的な物の考え方でこれからどういうふうにこの行政を進めていくかということの論点をしっかりとして、そして総理も御指摘をいただいておりますので、最後の英断に仰ぎたいというふうに思っております。
宮腰大臣政務官 大変大きな問題でありますから私どもの方で答えられるかどうかわかりませんけれども、思いをというお話でありますから申し述べさせていただきたいと思います。
 今回のBSE問題の発生以来、農林水産省と厚生労働省の連携体制及び相互チェック体制、このどちらもがきちっと働いていなかったのではないかというふうに考えております。リスク分析をやっていくためには、リスク管理、リスク評価あるいは消費者の皆さん方とのリスクコミュニケーション、これらをきちっとやれるような体制にしていく必要があると思っておりまして、あるべき姿はどうであるのかということを念頭に置きながら、組織の問題については検討していくべきではないかというふうに思っております。
 現状の問題もあるわけですけれども、国民の皆さん方から見て納得ができるようなそういう組織づくり、組織の一元化、あるいはチェック体制をとっていけるような仕組みをつくっていくことが必要であろうというふうに考えております。
森岡分科員 時間が余りありませんので、最後に御質問させていただきたいと思います。
 厚生労働大臣の御感想を伺いたいんです。農水省が、狂牛病問題で、WHOやEUの勧告、警告を無視した形で日本は安全だと強調されて、情報開示をしなかったと批判されているわけでございます。行政の責任、私はこのBSE問題については非常に重いと思っております。
 その中で、象徴的に取り上げられたのが、畜産局長、事務次官を歴任されて先ほど辞任された方、この方の退職金問題でございます。私は、勧奨退職だということで通常の退職金よりも八%も上乗せして、八千八百七十万という大金を支給されているということを委員会の審議を通じて知りました。先日の予算委員会でも、野党の方からこれを出された。ところが、武部大臣に迫っておられたけれども、これを変更する意思はない、こういうことでございました。
 この件については、私は、野党の皆さん方がおっしゃること、そのとおりじゃないかと。選挙区へ帰りましても、これはやはり国民の気持ちとして許せないことだというふうに思っておられるわけでございます。
 そういうことを聞きますと、私は、厚生労働大臣、他の省庁のことではございますけれども、やはり国務大臣としての責任もあるわけでございます。よそのことについてなかなか言いにくいということがあるかもしれませんけれども、国務大臣としてどんなふうに感じておられるのか。大変厄介な質問をするなと思っておられるかもしれませんけれども、ちょっと最後にお答えをいただきたく思います。
坂口国務大臣 なかなか難しいお話であることは御指摘のとおりでございますが、いわゆる過去のこと、いろいろの問題が今出てきております。私の方でも、例えばハンセン病の話でございますとかヤコブ病の話でございますとか、さまざまな問題が出てくるわけでございます。
 一体その責任をだれがとるのかということにこれはなるわけでございますが、中には、もうその当時の方は全部おやめになって、現在おみえにならないというケースもあるわけでございますし、それから、今回の農林水産省の場合には、ある程度関係された皆さん方もおみえになった、こういうことなんだろうというふうに思います。
 私は、よその省庁のこと、よそのことには口出しをするのは、そこを直さなきゃいかぬというふうに今言ったばかりでございますけれども、これだけはちょっと言いにくいわけでございまして、御勘弁をいただきたいというふうに思いますけれども、やはり責任のある者は責任をとらなきゃならない。関係した者は責任をとらなきゃならない。これは、農林水産省の話ではなくて、各省庁にまたがって言えることではないかというふうに私は思っております。
 したがいまして、もう昨年になりますか、KSDの問題が起こりまして、そして、多くの皆さん方に責任をとっていただきました。これはお気の毒だったと思うのです。過去の話であって、全然関係ない皆さんもおみえになったわけでございますけれども、それ相応の責任をおとりいただいた。私も、丸一年間、大臣報酬なるものを返還したといったようなことがございます。それは、ある程度はやはり責任を明確にすべき問題と私は思っております。
森岡分科員 今御答弁いただきましたように、私も当事者が責任をとるべきだと思うわけでございます。善処されますことを強く望みまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
井上主査 これにて森岡君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田勇君。
上田(勇)分科員 おはようございます。
 坂口大臣、副大臣、政務官、まことに御苦労さまでございます。
 きょうは、幾つかの点にわたりまして質問をさせていただきたいというふうに思いますが、初めに、臨床検査技師、衛生検査技師の制度について何点かにわたって御質問したいというふうに思います。
 もう十分御存じのとおりだというふうには思いますが、これらの職種は、医師が患者を診断し、適切な治療を施すために、その重大な情報となります微生物学的検査とか病理学的検査、血液学的検査などのそういった検査を行う方々でございます。私は、そういう意味で、こうした臨床検査技師、衛生検査技師の方々は、国民の生命、健康の安全を守る上で極めて重要な役割を果たしている方々だというふうに考えておりますけれども、まず初めに、厚生労働省としてのこの二つの職種の方々の業務に対する認識をお伺いしたいというふうに思います。
田村大臣政務官 先生はもう御案内のとおりであろうと思いますけれども、衛生検査技師の業務といいますのは、医師の指導監督下におきまして、微生物学的な検査等検体検査を行うこと、そしてまた、臨床検査技師に関しましては、衛生検査技師の業務を含めまして心電図検査等の生理学的な検査をそれぞれの業務といたしておるということであります。
 いずれも、医療におきましては、それぞれの傷病の診断でありますとかまた治療のためにはどうしても欠かせない、そういう業務を担っておられるわけであります。
 特に、昨今の医療に対する大変な患者の方々のニーズの高まり、また高度化等々ある中において、さらに的確な診療を行うためにはこの検査というものが適切に行われなければならないわけでありまして、衛生検査技師そして臨床検査技師とも、非常にその業務の重要性というのはますます増してきておるもの、そのように認識をいたしております。
上田(勇)分科員 ありがとうございます。認識を共有していただいたんじゃないかというふうに思います。
 そこで、若干この制度の内容について何点かお伺いしたいというふうに思うのですけれども、御承知のとおり、これらの職種は、臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律という法律でその免許の条件や業務内容等が定められているわけでございます。
 私も今まで認識不足であったのですが、この法律で臨床検査技師と衛生検査技師という二つの職種について定められているわけでありまして、この二つの職種の違いというのはどういうところにあるのか。これは私も今までよくわからなかったんですが、ぜひ、そういう免許の付与の条件であるとか、認められている業務内容の違いだとか、その辺の違いを御説明いただき、また、なぜそういうような違いを設けているのか、理由も御説明をいただければというふうに思います。
篠崎政府参考人 まず、臨床検査技師の方を説明させていただきますと、臨床検査技師の業務というのは、ただいま田村政務官から申し上げましたように、医師の指導監督のもとに、一つは微生物学的検査などの検体検査、つまり人体からもう既に外に出ておる検体検査、それから二番目が、診療の補助としての採血とかあるいは心電図検査などの生理学的検査、これは直接人体にさわるとかそういう影響のあるものでございますが、そういうものを行うものでありまして、その免許取得に当たっては、一定の養成課程を経た後に国家試験が課されております。これが臨床検査技師の方でございます。
 一方、衛生検査技師の方は、医師の指導監督のもとにというところは同じでございますが、検体検査を行うことでございますが、その免許取得に当たっては、大学において医学、歯学あるいは農学、薬学等もございますが、等の正規の課程を修めて卒業した者を対象としておりまして、国家試験は課されておりません。
 このように、両者の免許の業務内容につきましては検体検査というところでは共通をしているわけでございますが、臨床検査技師のみが業務独占行為としての採血及び生理学的検査を行えるという点で、国家試験が課されておるというところが違いでございます。
上田(勇)分科員 今御説明にもあったんですけれども、いわゆる衛生検査技師には、臨床検査技師には認められている人体を直接検査するような生理学的検査、これはいろいろと、心電図検査だとか脳波検査だとか十六種類定められているというふうに聞いておりますけれども、採血が認められていない。これは、臨床検査技師は国家試験に合格しなければその免許が与えられない。一方で、衛生検査技師は一定の要件を満たす大学等での課程を履修していれば、申請によって免許が認められる。したがって、その技能、知識等について客観的に保障するというような国家試験がないがゆえに、直接人体にさわるような検査については認められていないというような整理になっているんだというふうに理解をいたしました。
 しかし、そこでちょっと疑問に感ずるのは、生理学的検査を除く微生物学的検査とか血液学的検査、病理学的検査、こうした六種類の検査が法律で定められておりますけれども、などの検査もやはり人の命、健康にかかわる重要な検査でありまして、本当に資格試験なしで免許を与えられていて大丈夫なんだろうかなというのは実は私も心配になってきたわけであります。
 私は、そういう意味では、この際、両職種の区別というのは余り必要がなくなっているのではないか、むしろ医療が非常に高度化する中で、あえてこれを分けるという必然性がなくて、全部国家試験の合格を免許付与の条件とするような一つの職種に統一する方が合理的なのではないかというふうに考えるんですけれども、その辺、御見解を伺いたいというふうに思います。
篠崎政府参考人 今先生御指摘のように、臨床検査技師あるいは衛生検査技師ともに名称独占の資格でございます。
 御指摘の免許の統合のことについてでございますが、衛生検査技師法は昭和三十三年にできました。その後、いろいろ医学の進歩等に伴いまして、先ほど御指摘の人体に直接触れる等、影響のある臨床検査技師法が昭和四十五年にできたわけでございます。そういう経緯があるわけでございます。
 ただいまの御指摘でございますが、既に衛生検査技師という名称を用いて業務を行っている方々がまだおられるわけでございますが、そういう方々に生じ得る不利益などに十分注意をしながらというふうに思っておりますけれども、御指摘でもございますので、今後検討すべき課題の一つではないかと考えております。
上田(勇)分科員 今ちょっと御答弁の中にもあったんですが、生理学的検査は臨床検査技師の免許を持っている者でなければできないということになっておりますけれども、他の六種類の検査、微生物学的検査ほかでありますけれども、というのは、医療行為の一環だと私は思うんですけれども、であるにもかかわらず、今お話があったように名称独占になっているわけでありまして、法律上は何の免許を持たなくても、いわばだれがやってもいいということになっているわけでございます。
 私は、これで本当に正しい検査が行えるのか、別に免許を持っているから正しい検査ができて免許を持っていない人はだめだと言うつもりはないんですけれども、しかし、これはやはり人の命、健康にかかわることで、一定の資格要件を定めているそういう制度があるんですから、これは正しい検査が行われて適切な結果が医師に伝えられるということが重要でありまして、そうでなければやはり患者は不安なわけであります。
 そういう意味で、これらの検体検査、直接人体にさわるというようなものではありませんけれども、やはりこれは免許を持っている者だけが行えるような業務にするように改めるべきではないかというふうに思うんですけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。
篠崎政府参考人 若干繰り返しになりますが、私どもの医療資格制度におきましては、国民の生命及び身体に対する安全を確保する観点から、医学的判断及び技術をもってするのでなければ、人体に危害を及ぼし、または及ぼすおそれのある行為については、いわゆる業務独占という制度を設けておりまして、資格を有しない者がこの行為を行うことを禁止しているわけであります。
 御指摘のことにつきましてですけれども、衛生検査技師のすべての業務、そして臨床検査技師の一部の業務につきましては、直接人体に危害を及ぼすおそれはないということで、それは名称独占ということになっておるわけでございます。それには、業務独占になりますとその行為そのものが禁止されてしまいますので、例えば、ほかの農学士の方とか、ほかの職種の方で専門的な知識及び技能を有する専門家がいる場合に、そういう方たちの医療及び公衆衛生への参画を排除してしまうのではないかというようなことから、名称独占ということになってきた経緯がございます。
 いずれにいたしましても、先生の御指摘のことにつきましては、検討課題の一つとして検討させていただきたいと思っております。
上田(勇)分科員 ぜひ、御検討いただきたいというふうに思います。というのも、やはりこれらの検査の中には、例えば血清学的検査というとこれはいわゆる肝炎などの、そういうような診断の材料になるわけでありますし、血液学的検査だとその中には輸血関連の検査、これはやはり絶対間違いを起こしてはならないような検査が含まれているわけでありますし、細胞学的検査というとこれはやはり、がん細胞の早期発見というようなこと、早く発見できれば命が救われるのに、それが見過ごされたら手おくれになってしまうというようなこともあり得るんじゃないのかなというふうに思います。そういうふうに、やはり極めて重要なものが多いわけであります。
 実は、私も、法律上はこうなっているんだけれども、現状はどうなっているのかなというのを何例か、幾つか聞き取りで調べてみたんですが、今は、臨床検査技師、衛生検査技師、免許を持っている方が非常にふえてきたので、私が伺った中でもほとんどのケースでは、やはり免許を持っているそういった技師の方が行っているということではあったんですが、中には、やはり今コストダウンを図るという意味で、実際に検査を行っているのは、それまでに特にそういう専門的な知識や経験のないアルバイトの人が検査を行っている事例だとかいうのもあるというふうに聞きました。
 実は、やはりそういったことがあるというのを聞いて私もびっくりしまして、確かに、検査自体はマニュアルで定められていることであるので、それほど難しいものではないというふうに聞きましたけれども、ものも多いというふうにも聞いたんですが、ただ、やはりこれは実際に医療行為を受ける患者の立場になってみると、そういった診断の最も基礎的な条件となるところが、本当に何の制限もなく行われているということについてはやはり不安に思うんじゃないか。私自身もやはり非常に不安に思ったわけであります。今、特にそういう医療過誤等のことが社会的にも非常に関心を集めているところでございますので、やはりその一番最初になります検査、これの適切さというのは非常に大切なんじゃないかというふうに思うのです。
 ちょっとこれは実は通告をしてなかったんですけれども、私もそういうちょっと聞き取り調査をしたりしたものですから、もし厚生労働省の方で、実際にそういう検査を行っている方が、免許を持っている方が行っているのか、それとも、そうじゃなくていろいろと実際には無資格というんですか、免許を持っていない人たちが行っているケースが多いのか、その辺の実態はどのように把握されていますでしょうか。
篠崎政府参考人 今先生が御指摘のような個別のケースについては承知をいたしておりませんが、例えば、現在医療従事をされている検査技師の方の数を、平成十一年に医療施設調査、医療関係者の、施設の中で働いている方の数をカウントしておりますが、臨床検査技師の方が五万四千七百五十三名でございます。衛生検査技師の方は八百三十一名でございます。
 それから、昭和四十五年に法律を、臨床検査技師法を制定したときには、まだまだ衛生検査技師の学校、養成施設がたくさんございましたが、現在は、衛生検査技師だけの養成施設は一つもございません。ですから、今はほとんどが臨床検査技師ということで、国家試験を受けてこられる方でございます。
 今も申し上げました八百三十一名、どういうところでということでございますが、私のあれが正しければ、保健所とかそういうところで働いている方が多いというふうに思っておりまして、先生御指摘のいわゆる衛生検査所で、名称独占ではなくてやっておられる方がおるのだとすれば、どんな実態か、今後調べてみたいと思っております。
上田(勇)分科員 大変ありがとうございます。
 今、厚生労働省の方からも、臨床検査技師の資格それから衛生検査技師の資格についての見直しの問題と、それから名称独占から業務独占も含めた業務のあり方の問題について御検討いただくということでございましたので、ぜひそれについても、それらの点について、実態調査も含めて御検討いただければというふうに御要請をしたいと思います。
 次に、厚生労働省、労働行政も所管しているところでございますので、労働債権の問題について、一点伺いたいというふうに思います。
 今、経済の構造変化が急速に進んでおりまして、その過程で、やはり企業の倒産、整理が増加していくということが見込まれるわけでございます。そうした事態が生じない、また、そうしたことによって労働者が生活不安に陥ることがないようにする、そういうことを防止していくということに政府の最大の努力を払っていかなければいけないわけでありますけれども、どうしても、今激しい構造変化の中で、避けて通れない部分もあるわけであります。そうした中で、どうやって働く者の権利、生活を守っていくかという意味で、労働債権の保護ということが非常に重要なことになっていくのではないかというふうに考えているわけでございます。
 現在は、商法それから民法で、労働債権の先取特権というのが定められておりまして、商法においては、株式会社や有限会社については、労働契約に基づく労働債権については先取特権が認められておりますし、民法ではそれ以外の法人についても、若干いろいろな対象要件等が違いますが、六カ月分の賃金については、そういう先取りの特権が認められておるわけでございます。
 しかし、今の雇用の形態の多様化であるとか経済の構造変化といったことを考えたときに、こうした労働債権の保護をさらに充実させる必要があるのではないかというふうに考えているわけであります。しかも、これからは雇用の流動化も進みますし、さらに雇用の形態も多様化していくのではないかと考えたときに、やはり今の制度では必ずしも十分ではないというふうに考えます。法務省でも、今、会社更生法とか破産法の改正を検討しておるというふうに承知をしておりまして、その中でも、労働債権の問題についても議論されるというふうに聞いております。
 そこで、こうした改正の中で、今度は、労働者の立場、労働行政の立場から、厚生労働省としても、この労働債権の拡充に向けてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、御見解を伺いたいというふうに思います。
日比政府参考人 ただいま労働債権をめぐる状況につきましては、委員からお話のあったとおりでございます。
 私ども厚生労働省といたしましては、賃金が非常に重要な問題だ、特に昨今の情勢、そういうことでございますが、賃金の重要性ということを非常に重く感じております。したがいまして、労働債権の保護につきましても、今御指摘のように、各法律で現在それなりには定められておりますけれども、法律間におけるばらつきの問題であるとかいろいろございますので、その保護の強化を図ることが非常に重要だと思っております。
 先ほど御指摘いただきました法制審議会におきまして、現在、破産法その他各法律について順次見直し作業が行われておるところでございますが、その法制審議会におきまして、私ども、労働債権の保護の強化の重要性ということについて意見も申し上げているところでございまして、今後におきましても、その保護の強化の観点から、適切に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
上田(勇)分科員 ぜひよろしくお願いをいたします。
 これは、もちろんいろいろな立場から見ていかなければいけない問題でありますけれども、労働者の権利保護、これは厚生労働省の役割でございますので、ぜひそれが適切に意見が反映されるように努力をしていただきたいというふうに思います。
 最後に、これは薬物の問題について、一点だけお伺いをしたいというふうに思います。
 我が国におきます麻薬、覚せい剤等の乱用というのは、近年、非常に深刻な状況になっているというふうに思います。特に、非常に一般の方々まで乱用の実態が広がる、あるいは低年齢化が進むといったことがいろいろと言われておりますし、非常に身近なところまで、特に覚せい剤が侵入してきているというのが、今、実態ではないかというふうに思います。
 これについては、特に社会全体で取り組んでいかなければいけない問題でありますけれども、これは各省いろいろな協力体制が必要なことではありますが、ぜひ、厚生労働省として、現状をどのように認識をされて、また今後どのような対策を講じていくのか、方針をお伺いしたいというふうに思います。
田村大臣政務官 薬物事犯でございますけれども、先生が御認識していただいておりますとおり、昨今非常に、ここ数年、高どまりをしておる。大体二万人弱ぐらいで検挙者数が推移しておるわけでありますけれども、そのうちの九割が覚せい剤事犯である。十三年度の検挙者数が一万八千百九人ということでありますから、やはり、ここ数年間、この覚せい剤というものが、検挙者数、高どまりをいたしておるわけであります。押収量が四百十九キログラムということで、その年、年によって押収量は若干差は出てきておるわけでありますけれども、いずれにいたしましても高水準であるということから考えまして、第三次の覚せい剤乱用期に今入っておる、こんな認識をいたしております。
 特に問題なのが、先生のおっしゃられましたとおり、青少年化といいますか、低年齢化しておる問題でございまして、これが高校生のみならず中学生まで覚せい剤を使用する、そういう例が出てきておるということでありますから、そういう意味では、大変な憂慮をいたしております。携帯電話等々で、町中で、現物を持たずに、電話で連絡しながら覚せい剤を取引するというような手法も非常に蔓延しておりまして、こういうものに対しての対策も組んでいかなきゃならない、こんなふうに思っております。
 いずれにいたしましても、この薬物乱用防止五カ年戦略というもの、厚生労働省はこういうものに基づきまして、現在、今申し上げましたとおり、第三次覚せい剤乱用期を終息させる目的で、体制の強化を図りつつ、また取り締まりの強化、これは入ってくる方もそうでありますしそれから使用する方、売る方、こういういろいろな面から取り締まりの強化をする。また、啓発活動というものが非常に重要であろうということで、啓発活動というものをしっかりとやっていく。さらには、再乱用の防止の推進等々にも力を入れていく。こういうような取り組みを今総合的にさせていただいております。
 具体的には、薬物乱用防止キャラバンカーの運行ということで、全国で八台こういうものを運行していろいろなPRをしておりましたりとか、また中学や小学校の高学年の生徒用の啓発読本の作成、こういうものに取り組まさせていただきましたりとか、薬物乱用防止指導員の養成及びまた学校への派遣、さらには、精神保健福祉センター等におきましては薬物関連問題相談事業の実施、このようなことを具体的にさせていただいておりまして、今後とも注意深く、この問題に関しましては情報を収集しながら対策を講じてまいりたいな、このように思っております。
上田(勇)分科員 ありがとうございます。
 今、政務官からお話があったとおり、非常に深刻な事態に至っているというふうに思いますので、ぜひ厚生労働省、ほかの関係省庁とも連携をとっていただきまして、万全を期していただきたいというふうに思います。
 以上で終わらせていただきます。
井上主査 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時開議
井上主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 民主党・無所属クラブ及び自由党所属の本務員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 他に質疑の申し出がありません。
 これにて本分科会所管の審査はすべて終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後五時一分散会


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