衆議院

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第1号 平成20年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成二十年二月二十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      菅原 一秀君    園田 博之君

      長勢 甚遠君    森  英介君

      江田 康幸君

二月二十六日

 森英介君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 森  英介君

      坂井  学君    清水鴻一郎君

      菅原 一秀君    園田 博之君

      冨岡  勉君    長勢 甚遠君

      赤羽 一嘉君    江田 康幸君

      谷口 和史君    桝屋 敬悟君

   兼務 石井 郁子君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  関  有一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  西山 正徳君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          新島 良夫君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    中村 吉夫君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  阿曽沼慎司君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  園田 博之君     清水鴻一郎君

  長勢 甚遠君     平  将明君

  江田 康幸君     谷口 和史君

同日

 辞任         補欠選任

  清水鴻一郎君     冨岡  勉君

  平  将明君     坂井  学君

  谷口 和史君     井上 義久君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     長勢 甚遠君

  冨岡  勉君     園田 博之君

  井上 義久君     桝屋 敬悟君

同日

 辞任         補欠選任

  桝屋 敬悟君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  赤羽 一嘉君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  上田  勇君     江田 康幸君

同日

 第一分科員石井郁子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

森主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 平成二十年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計予算の概要について御説明申し上げます。

 平成二十年度厚生労働省所管一般会計予算の総額は二十二兆千二百二十三億円であり、平成十九年度当初予算額と比較いたしますと六千四百五十四億円、三・〇%の増加となっております。これは国の一般歳出の四六・八%を占めております。

 以下、主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地域において必要な医療が受けられるよう、緊急医師確保対策に基づき、医師派遣システムの構築、病院勤務医の勤務環境の整備などの医師確保対策や救急医療体制の確保など、安全、安心で質の高い医療提供体制の充実を図ってまいります。

 また、子供を守り育てる健康対策、女性を応援する健康プログラム、メタボリックシンドローム対策などの健康施策を総合的に推進してまいります。

 がん対策につきましては、がん対策推進基本計画に基づき、放射線療法、化学療法の推進と専門医等の育成、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進などを重点課題として、総合的かつ計画的に推進してまいります。

 さらに、新型インフルエンザ対策や新しい肝炎総合対策などの感染症、疾病対策を推進してまいります。

 医療保険制度につきましては、安定的で持続可能な制度運営のため、被用者保険間の助け合いの考えに立って、政府管掌健康保険に対する支援措置等を講じつつ、各医療保険制度に係る国庫負担に要する経費を確保するほか、医療費適正化に関する施策を推進してまいります。

 第二に、フリーター等職業能力形成機会に恵まれない方々を支援するためジョブカード制度の構築を図るとともに、母子家庭、生活保護世帯、障害者等を対象に、セーフティーネットを確保しつつ、可能な限り就労による自立と生活の向上が図られるよう、福祉、雇用の両面にわたる支援を行ってまいります。

 また、中小企業の生産性向上に向けた人材確保や、雇用の改善の動きが弱い地域への重点的な支援等を行うとともに、最低賃金制度の機能強化のための施策により成長力強化を図るほか、若者に対する雇用対策、職業能力開発を推進してまいります。

 第三に、仕事と生活の調和の実現に向け、企業の取り組みに対する支援や、その成果について広く周知するなど、社会的機運の醸成を図ってまいります。

 また、職業キャリアの持続可能性を確保するために、生涯にわたる自律的なキャリア形成を可能とする環境の整備を図ってまいります。

 さらに、労働者派遣事業の適正な運営の確保を図るとともに、男女雇用機会均等の推進、総合的な安全衛生施策の推進など、公正かつ多様な働き方の実現と、安全、安心な職場づくりを進めてまいります。

 第四に、少子化や人口減少の進展は、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題であります。

 このため、新しい少子化対策についてや子どもと家族を応援する日本重点戦略等を踏まえ、仕事と生活の調和の実現に向けた施策の推進や、地域の子育て支援の推進、児童虐待への適切な対応、母子保健医療の充実など、少子化対策を総合的に推進してまいります。

 第五に、高齢者が生き生きと安心して暮らせる社会を実現するため、介護福祉の人材の確保や介護基盤の整備、安定的、効率的な介護保険制度運営の確保を図るとともに、認知症対策、介護予防対策、元気高齢者支援対策等の関連施策を推進してまいります。

 あわせて、高齢者等の雇用就業対策について、六十五歳までの雇用機会の確保、七十歳まで働ける企業の普及促進等を図ってまいります。

 年金制度につきましては、持続可能で安心できる制度を構築するため、基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げに向け、国庫負担割合を着実に引き上げることとしております。

 また、支援を必要とする人々を支える仕組みを再構築するため、身近な地域における福祉活動の活性化を図るとともに、生活不安定者等に対する自立支援体制を整備するほか、生活保護制度につきましては、受給者の抱える生活上の課題に応じた支援を着実に推進し、その適正な実施を図ってまいります。

 第六に、障害者の自立生活を支援するため、良質な障害福祉サービスを確保するとともに、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の地域生活への移行支援や、発達障害者支援施策を推進してまいります。

 また、福祉施設で働く障害者の工賃水準の引き上げ、障害者の職業的自立に向けた就労支援を総合的に推進してまいります。

 第七に、医薬品、医療機器の安全対策を推進するとともに、医薬品等を迅速に提供するための対策、血液対策、麻薬、覚せい剤対策などを推進してまいります。

 また、輸入食品等の安全対策の強化、残留農薬等ポジティブリスト制度の着実な実施など食品の安全対策を推進するほか、自殺総合対策大綱に基づく自殺対策、健康危機管理体制の強化等の諸施策を進めてまいります。

 第八に、年金記録問題への対応につきましては、昨年七月に政府・与党で決定した方針に基づき、本年三月までに、五千万件の未統合記録と約一億人すべての年金受給者と加入者の方々の記録をコンピューター上で突き合わせ、その結果、記録が結びつく可能性がある方々へねんきん特別便をお送りしております。

 さらに、その他の方々にも、本年四月から五月までにすべての受給者に、六月から十月までにすべての加入者に、順次ねんきん特別便をお送りいたします。

 こうした取り組みにより、国民お一人お一人に記録を確認いただくとともに、市町村、企業、社会保険労務士等の御協力も得ながら、相談体制の整備等に国を挙げて対応するなど、引き続き、国民の皆様の信頼回復に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。

 また、日本年金機構法に基づき、機構の設立準備を行うとともに、保険料収納率の向上、民間委託の拡大等の取り組みを徹底するなど、組織改革、業務改革の推進を図ってまいります。

 以上のほか、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際協力、国際協調の推進、外国人労働問題等への適切な対応、社会保障カードの導入に向けた検討、戦傷病者、戦没者遺族の援護、中国残留邦人に対する新たな支援の実施、原爆被爆者対策等の諸施策を推進してまいります。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、一般会計予算の主要経費別の概要及び特別会計予算につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 今後とも、国民生活の保障、向上と雇用の安定を図るため、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様のなお一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。

森主査 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

森主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口和史君。

谷口(和)分科員 おはようございます。公明党の谷口和史でございます。

 時間が限られておりますので、テンポよく質問をしてまいりたいと思います。きょうは、地域、現場を回っておりまして、現場の方から要望の強い項目を幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、派遣社員の交通費に関してであります。

 今、大半の派遣会社は交通費が給料の中に込みになっているということで、本来であれば、月十万までは通勤の交通費は非課税ということになっているわけでありますけれども、確定申告をしようとしても、通勤費を除外した源泉徴収票等をもらえないために確定申告ができないということで、交通費は別建てでという要望を派遣社員の方からも、現場を回っていてもそうですし、また、インターネットの書き込み等を見てもそういう声が寄せられているようであります。

 そこで、派遣社員の方も交通費は区別して支払うべきだというふうに考えるんですけれども、厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 所得税の課税、非課税につきましては、これはもちろん国税当局がどのような取り扱いをするか、また、個々具体的なケースについてどのように判断するかの問題であると考えておりますけれども、御指摘の通勤手当の税制上の取り扱いについては、通勤に要する実費弁償という性格から、通常の賃金とは別に通勤手当を支払えば非課税措置が適用され、このような取り扱いは派遣労働者であろうとなかろうと変わりないというふうに承知をいたしております。

 しかし一方で、通常の賃金とは別に通勤手当を支払った場合には、通勤手当分が例えば時間外割り増し賃金の算定基礎から除外されて、割り増し賃金額が低くなるといったような問題も生ずることもありますので、どのように賃金を支払うかについては、労使間で決定していただくということが大事だというふうに思っております。

 通勤手当の税制上の取り扱いにつきましては、都道府県労働局の開催する賃金セミナー等において情報提供を行っているところでありますけれども、今後とも、情報提供につきましては、さまざまな機会をとらえて努力してまいりたいというふうに思っております。

谷口(和)分科員 一律に派遣社員の人も交通費を区別してしまうと、例えば残業代、残業が多い方は反対に目減りをしてしまうというふうなお話がございました。一律にやってしまうとそういうマイナスの面も出てくることも確かだと思いますけれども、いずれにしても、派遣社員の方々が、交通費、特に残業代が余りない方というのは損にならないように、ぜひ企業側にも周知徹底をお願いしたいというふうに思います。

 次に、シングルファーザー、父子家庭への支援の強化についてお伺いしたいと思うんです。

 これもやはり地域を回っていると、母子家庭の方への支援に比べて、父子家庭への支援が手薄じゃないか、児童扶養手当も、やはりシングルファーザーもぜひ支給対象にしてほしいという声も強く伺っております。その辺について見解をお伺いしたいと思います。

大谷政府参考人 児童扶養手当のいわゆる父子家庭への支給についての御質問でありますが、平成十八年度全国母子世帯等調査結果によりますと、父子家庭につきましては、母子家庭に比べまして平均年間収入は約二倍というふうになってございます。また、父子家庭のほとんどが就業しておられまして、いわゆる常勤雇用についておられる方の割合も、母子家庭に比べますとはるかに高いという現状がございます。

 こういった収入や就業の状態を考えますと、父子家庭に対しましては、むしろ、子育てとか生活支援を中心に現在施策を展開しているところであります。

 父子家庭も児童扶養手当の支給対象とするということにつきましては、今申しましたような母子家庭と父子家庭における状況の違いとか、あるいは、御承知のとおりの厳しい財政状況の中で、限られた財源を有効に活用するということを考えますと、なかなか慎重に検討せざるを得ないというふうに考えております。

谷口(和)分科員 今、シングルファーザー、父子家庭については子育てと生活支援、こっちに力を入れているという御説明がありました。

 ただ、現場を回っていると、その辺のところが余りよく広まっていないのかなという感触を受けております。父子家庭への支援というのは全くないんじゃないかというふうな声も聞くわけでありまして、そこのところ、もう少しアピールをしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 その上で、この子育てと生活支援について、改めてここでもう一度その詳細を伺っておきたいと思います。

大谷政府参考人 父子家庭に対しましては、子育てと生活支援の内容といたしまして、一つは、市町村が保育所の入所に際して特別な配慮を行うであるとか、また二つとして、親の病気等によりまして家事や保育のサービスが必要となった場合に、家庭生活支援員、いわゆるヘルパーを派遣します日常生活支援事業でありますとか、また三つとして、親の残業や病気などの場合に、お子さんを一時的に児童養護施設などにおいてお預かりする子育て短期支援事業、いわゆるショートステイ、トワイライト事業と申しておりますが、こういった事業を中心に展開しているところでございます。

谷口(和)分科員 今御説明いただいて、ぜひさらに力を入れていっていただきたいというふうに思います。

 次に、ことしの四月一日からスタートをします後期高齢者医療制度について、二問ほどお伺いをしたいというふうに思います。

 四月一日からこの制度がスタートして、三月に恐らく保険証が届けられるかというふうに思うんですけれども、被扶養者の方が、年収百八十万未満の方々が今度新たに保険料の支払いが発生するということで、政府・与党としてもその凍結を決めさせていただいたわけでありますけれども、いずれにしても、所得の低い方に対して新たに保険料が発生する。そういう低所得者の方々への減免措置とかさまざまな支援制度、この辺はどういうふうになっているのか、改めてお伺いしておきたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 後期高齢者医療の保険料についてでございますけれども、これは、所得に応じて負担していただく所得割額と、それから被保険者の間で等しく負担をしていただく均等割額の合計額、こういう構成になっております。

 低所得者の方々に対しましては、現行の国民健康保険と同様に、均等割額につきまして、七割、五割、二割の軽減措置を講じることとしてございまして、保険料が過大な負担とならないように配慮を行うこととしてございます。さらに、広域連合の条例によりまして、事業の休廃止あるいは病気など保険料が支払えない状況にある方に対しまして、独自の減免制度が設けられているわけでございます。

 こういった保険料の納付に当たりまして、広域連合や市町村におきまして、個々の被保険者の状況に応じた納付相談を行う、それから、必要に応じてこの減免制度を活用する、こういったきめ細かな対応を行うように徹底していきたいと考えております。

谷口(和)分科員 この制度は本当に御年配の方々にとっては、一般的に言って、保険制度自体が大体複雑で、特にお年寄りの方々にとっては理解をするのが非常に困難だというふうに思います。先ほどの相談の窓口も含めて、ぜひ、きめ細かなサービスを行っていっていただきたいというふうに思っております。

 それから、よくお伺いするのは、やはり新しい制度に移った場合に新たに発生する自分の保険料、もしくは国保から移行した場合、保険料はどうなるのかというところが大きな関心であります。

 都道府県によってそれぞれ違うわけでありますけれども、例えば、自分の前年の所得を入れれば自動的に計算ができるような、よく保険会社が出しているシミュレーションのシートみたいなものを添付するとか、そういう自分の保険料がわかるというような、きめ細かな説明もぜひしていただきたいと思いますし、また、この制度について周知徹底を図っていっていただきたいというふうに思います。その点について、見解を改めてお伺いしておきたいと思います。

水田政府参考人 後期高齢者医療制度の周知についてのお尋ねでございますけれども、これまでも、厚生労働省におきましてリーフレット、いわばひな形でございますけれども、こういったものを作成いたしまして、自治体や医療保険者に送付をいたしまして、それぞれから広報誌等による周知を行っていただいているわけでございます。

 これに加えまして、二月六日に全国会議を行ったわけでございますが、広域連合に対しまして、今お話ありましたとおり、被保険者ごとに算出した保険料額につきまして、現時点での見込み額として可能な限り情報提供を行っていただきたいということ、それから、市町村に対しまして、低年金受給者など生活にお困りの方が納付相談等を受けられる窓口、コールセンターなどを設ける、こういったことによりまして、きめ細かな説明や相談を行うように依頼したところでございます。

 お尋ねのワークシートでございますけれども、現在、十の広域連合におきまして、ホームページ上のワークシートによりまして保険料の見込み額を算定することが可能となっておりますので、こういったことにつきましても情報提供をしていきたい、このように考えております。

谷口(和)分科員 ありがとうございます。ぜひ一段とこの周知徹底、またきめ細かな対応、この辺をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、外国人研修制度について二点ばかりお伺いをしておきたいと思います。

 この制度についてはいい制度だというふうに思うわけでありますけれども、ただ、外国人労働者の受け入れについては、報道等によりますと、違法労働とか、それから劣悪な環境下での仕事、単純労働、また低賃金、賃金の未払いなどの問題が発生しているというふうにも言われております。

 厚生労働省としては、この外国人研修制度について、技能移転を通じた国際協力と位置づけ、一部に見られる劣悪な労働環境あるいは実習環境の改善を図り、技能移転の実効性を一層高めるというふうにしておるわけでありますけれども、そこでちょっとお伺いしたいのは、現在、どういう体制で外国人の研修生の方が受け入れられているのか、また何人程度入ってきているのか、まずこの辺の事実関係をお伺いしたいと思います。

新島政府参考人 外国人研修・技能実習制度は、技能移転を通じた開発途上国への国際協力ということでございますけれども、現在、物づくり分野を中心といたしまして、六十二職種を対象に研修生、実習生の受け入れを行っております。

 その内訳でございますけれども、繊維、衣服関係あるいは機械、金属関係、食品製造関係等の職種で多くの実習生を受け入れているところでございます。

 受け入れ人数につきましては、平成十八年、研修で入国された方が九万三千人ほどいらっしゃいます。それから、技能実習に移行した方が四万一千人ということでございまして、実習生につきましてはおおむね二年滞在をいたしますので、研修生、技能実習生、合わせて約十七万人の方が在留しているという状況でございます。

 なお、御指摘のとおり、この制度につきましては、一部の受け入れ企業あるいは受け入れ団体におきまして不適切な研修が行われていたり、あるいは実習生に対する賃金未払い等の事案が発生していることから、厚生労働省といたしましては、国際研修協力機構を通じた受け入れ機関に対する自主点検、受け入れ団体、企業に対する巡回指導の強化、あるいは、法令違反があった場合には入国管理局あるいは労働基準監督機関への通報などの連携の強化、これらを通じまして制度の適正な運営に努めているところでございます。

谷口(和)分科員 研修である限り、外国の方がどういう研修を行って、また日本での研修の後、本国に戻って、その研修がどれくらい生かされているのかというのをきちっと把握しておく必要があるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点についての見解をお伺いしたいと思います。

新島政府参考人 この制度は開発途上国への技能移転ということでございまして、そういう意味で、帰国された後、その成果を生かしてもらうということが重要であると考えております。御指摘のように、技能移転の実態を把握し、その実効性を高めていくということが重要でございます。

 研修生、実習生の帰国後の就職状況等の技能移転の実態につきましては、部分的な把握ではございますけれども、国際研修協力機構が現地におきます実態調査を行っているところでありまして、例えば、中国の帰国生を対象に実施しましたサンプル調査によりますと、来日前は縫製工場の一般従業員であった者が、帰国されて後、係長クラスあるいは課長クラスに登用されている例も少なくないということでございます。

 しかしながら、帰国後の技能移転の実態につきましては必ずしも十分に把握ができていないという状況でございまして、今後、実習生本人に対しまして、帰国後の就職状況、技能の活用状況等のフォローアップ調査を行いたいと考えております。あわせまして、送り出しの政府に対しまして、習得技能の活用状況等について報告するよう協力を求めることにしてございます。こういったことを通じまして、実態の把握に努めてまいりたいと思っております。

谷口(和)分科員 研修に来られた方が本国に戻って、技術が身についた、日本に行ってよかったというふうになるように、ぜひお願いをしたいと思います。

 最後に、もうあと五分ちょっとですけれども、里親制度についてお伺いをしたいと思います。

 二〇〇七年、昨年の十一月二十九日に発表された社会保障審議会児童部会の社会的養護専門委員会報告書、ちょっと長いんですが、この報告書についてお伺いをしていきたいと思います。

 まず、施設機能の見直しについてでありますけれども、養護施設を出てからのフォローの強化をしてもらいたい。また、生活、特に食事の教育ができておらず、現状はすべて与えられた生活になっている、生活に関する教育を取り入れないと、施設を出てから生活ができない状態になりはしないか、現場でこういう心配の声が上がっております。この点について見解をお伺いしたいと思います。

大谷政府参考人 御指摘にありましたように、児童養護施設の中に入所中だけではなくて、特に退所した後のお子さんたちに対しまして、社会で自立していこうとする過程において継続的に支援を行うことが重要と考えております。

 先ほど御指摘の委員会の報告におきましても、施設を退所し就職したお子さんに対して、相談その他の日常生活上の援助を行う自立援助ホームの見直し、また、生活や就業等に関する相談等を行う拠点事業の創設など、具体的な提案をいただいたところであります。

 これを踏まえまして、今国会に提出を検討しているわけでありますけれども、児童福祉法等の改正法案の中で、子供自身による入所申し込みを基本とします自立援助ホームの見直し、また、施設等を退所した子供が、生活や就業に関して気軽に相談したり、また相互の意見交換等を行うことができるような場を提供するという新しいモデル事業でありますが、地域生活支援事業、こういったものを平成二十年度の予算案にも盛り込んでいるところであります。こういったことを通じまして、自立を促進する策を推進してまいりたいと考えております。

谷口(和)分科員 次に、施設内の教育に関してでありますけれども、職員が一人一人に携わる時間が限られているので、教育が行き届かない状況になっている。例えば、塾の講師などの専門職の派遣をしてほしいという声もあるんですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

大谷政府参考人 施設に入所しておられる子供につきまして、学習のための支援を充実するということは非常に重要というふうに考えております。

 このために、従来は、児童養護施設に入所する中学三年生の子供のみを対象として参考書を購入するなどの、いわゆる学習に必要な費用を支弁しておりました学習指導費加算という制度でありますが、これにつきまして、平成二十年度の予算案におきましては中学一年生から対象とするというふうに改めましたほか、里親や児童自立支援施設、情緒障害児短期治療施設に対しても、こういったものを支弁するというふうに改善しようとするところでございます。こういったことを通じて、学習支援に努めてまいりたいと思います。

谷口(和)分科員 次に、今度は施設職員の採用に関してでありますけれども、教育実習の強化とか、それから児童心理学などの専門知識の教育研修の実施など、こういったことをしていくべきだというふうに考えるわけでありますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

大谷政府参考人 児童養護施設の職員につきましては、従来より、児童指導員として、心理学や教育学等を大学等で学んでいる方、また、保育士等、専門的な知識を身につけている方を職員として採用することとしております。

 現状でも、自主的に各施設等で研修等、御努力いただいているわけでありますが、しかしながら、社会的養護専門委員会の報告書におきましても、社会的養護の担い手となります方々の専門性の確保や質の向上を今後とも図る必要があるという御指摘をいただいておりまして、特に職員の研修等につきまして、職員等の指導や自立支援計画等の作成や進行管理を行う基幹的職員、いわゆるスーパーバイザーと申しますが、こういった配置を義務づけるであるとか、国及び都道府県の研修体制を充実して、都道府県においては計画的に人材育成を進めること、こういった具体的な提案をいただいております。

 こういった提案を踏まえまして、具体的に今後の進め方を検討してまいりたいと思います。

谷口(和)分科員 最後の質問になります。

 シルバー人材センターなどを積極的に活用することで、施設内での教育を地域とのかかわりの中でやっていくということも一つの有効な策ではないかというふうに考えるんですけれども、この点についてお伺いします。

大谷政府参考人 児童養護施設に入所する子供たちが、地域の方々とのかかわりを持ちながらさまざまなことを学んでいくということは非常に重要であると考えます。現在でも、近隣の大学生が子供に勉強を教えるような学習ボランティアといったものとか、あるいは近くにお住まいの方々が行事に参加される、こういった地域の方々との交流が可能となるようないろいろな取り組みを各地域で行っているところであります。

 今御指摘ありましたように、シルバー人材センターの活用ということも、例えば、そこに登録されておられる高齢者の方、特に学校の先生を退職された方に学習の支援を行っていただくとか、いろいろな形で活用されることもあり得るかというふうに考えますので、実際に現在、各地域で行われている取り組みも研究しながら、今御指摘の点についても検討していきたいと思います。

谷口(和)分科員 時間が参りましたのでこれで終わりにしますけれども、最後に、ぜひ地域とのかかわりの中での教育、具体的には現場からの提案でということでありますけれども、ぜひ側面からもしっかりと支援をしていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

森主査 これにて谷口和史君の質疑は終了いたしました。

 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)分科員 自由民主党の清水鴻一郎でございます。

 本日はこのような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問をさせていただきたいと思います。

 通告をしております細かいといいますか、個別の質問に入る前に、せっかく舛添厚生労働大臣がいらっしゃいますので、本当に根幹的な、大きな考え方みたいなものをお聞かせいただきたいなとまず思います。

 これは社会保障制度そのものでありますけれども、今日本の社会保障のあり方が大変問われている。特に、少子高齢社会、世界に類を見ない。だから世界モデルがないという状況の中で、どんなふうな社会保障を国民に示していくのか。今やはり日本の中で一番関心があることは、その時々でももちろん変わるわけですけれども、常に国民の方々の最大の関心事、どの、各級の選挙がありましても、私は京都でありますけれども、最近、京都の市長選挙がありました。しかし、最大の関心事は、やはり社会保障、医療、介護、福祉、そのことが最大の関心事であります。もちろんその時々のことはあるわけですけれども、それがやはり最大の関心事。医療、福祉、介護、年金というところであります。

 日本は、今現在では、社会保障の負担率、租税それから保険料を合わせた負担率は、潜在的負担率を合わせても四三・九%、これは二〇〇六年のデータであります。そういう中で、給付率も一七、八%というところで、当然これは負担と給付の問題であります。これは、どちらかというと、それよりも負担は少ないけれども給付も少ないというのは、先進諸国の中ではアメリカだけです。そしてヨーロッパ諸国では、負担率は、イギリスも五〇%を超えました。そしてドイツ、フランスも六〇%を超えた。北欧のスウェーデン等は七〇%を超えている。これはある意味では少し特別なものかもしれませんけれども、そういうことであります。

 もちろん、だから給付の方もアメリカだけが少ないけれども、あとはイギリスを初め、ドイツ、フランス、スウェーデン等、給付率も、日本が一七、八%なのですけれども、ヨーロッパ諸国はもう軒並み二〇%を超える、三〇%近くになっている、そういう状況であります。

 こういう中で、これはもう大臣のビジョンでありますけれども、日本の社会保障のあり方、私は、あえて言わせていただければ、やはり日本の国民性、相互扶助の考え方、伝統のある、そういう、隣だけが貧乏だから社会保障がなくても、うちは金持ちだからということではなくて、お互い相互扶助をしながら、そういう日本の国民性からいったら、もう少しヨーロッパ型に近いものを目指すべきではないのかなと思っているんですけれども、大臣はこれについてはどうお考えですか。

舛添国務大臣 高福祉・高負担か、低福祉・低負担か、日本の場合、よく中福祉・中負担ということを言われますけれども。ただ、今委員がおっしゃったように、私は若いころヨーロッパにいたものですから、感覚的にというか生活体験から、そちらの方が私の肌には合っております。

 ただ、問題は、我々、私もそうですが、団塊の世代が高齢者になっていく。では、家族の数がどれだけあるか。家族や地域の力で支えるということは大変難しくなっていく。それから、八十五歳まで生きますから、そうすると、定年退職後二十年間、健康寿命を保てればいいですけれども、やはりそれは、疾病その他、体が故障したりということもあると思います。そうすると、やはりある程度、最後のセーフティーネットとして、国というか、地方を含めて政府がかかわってくる必要があるだろうと思います。

 戦後の日本というのは、会社がセーフティーネットを張りめぐらせてくれていた。それが今はできません、雇用の流動化とか、いろいろな問題があって、国際化とかあって。そうすると、最後に行き着く頼みの綱というのは、それは政府以外に、中央、地方の政府以外にあり得ない。では、その財源をどうするか。

 だから、私は、国民の理解をいただいて、それが消費税であれ何であれ、きちんと負担をしていただく、しかし、それに見合った給付をする、ただ、もちろんその前提として、信頼できる政府、効率のいい政府、これは努力を続ける、そういう方針で考えております。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 それに関連しまして、医療の崩壊ということが言われております。もちろんいろいろな原因がある。お医者さんそのものの絶対数の不足。OECDの加盟国の平均が、千人当たり三人という中で、日本は二人。少なくとも、そういう意味では、あと一・五倍しないとOECDの平均にも追いつかないという状況であります。

 ただ、その中でも、医療費そのものも、今の社会保障費の中の一部でありますけれども、今やOECD諸国のGDP比では、三十カ国中二十一位、八・〇%。イギリスにも抜かれたという中で、やはりコスト的なことでも医療が崩壊しつつある。二〇〇〇年のときには、WHOの評価、これはいろいろなものがあるかもしれませんけれども、総合評価、医療達成度ナンバーワンということでありましたけれども、今の状況の中で、二〇〇〇年のWHOの評価が、今もし評価されればそうでもないのかなというぐらい、医療崩壊も進んでいると思います。

 そういう中で、毎年二千二百億、五年間で一兆一千億の社会保障費を削減する。当然ながら、医療費もその中の大きな一部でありますから、削減せざるを得ない。今回、本体部分は〇・四二%、ちょっと数字が、〇・四二というのは死に番で、余りよくなかったかなと思いますけれども、〇・四二、本体価格は上がったという中でありますけれども、しかし、全体としては、薬価も含めれば削減ということであります。

 そういう中で、毎年の二千二百億の削減も含めたこの考え方を、今後ももう二年間ですか、あるという中で、社会保障、削れるところはかなり削り、もう削れるところがないんじゃないか、これ以上削れば、本当に国民の不安をあおってしまう、国民の心が非常にすさんできているのもそういうところにあるのではないかと思うところでありますけれども、これに関して、舛添厚生労働大臣のお考えはどうですか。

舛添国務大臣 私は半年大臣をやって、いろいろ、二十年度予算についても、本当に無理に無理を重ねて二千二百億円というマイナスシーリングを達成したわけで、常に申し上げていますように、もうほとんど限界に来ているというふうに思います。

 特に、地域格差の問題がある。そして、この格差が、例えば医療格差というのは、地域にお医者さんが足りない、大都会でもそうなんですけれども、そういう格差の問題の一環として社会保障の格差が出てきているわけですから、これはやはり何とか手当てをしないと、今委員がおっしゃったように、国民の安心、そして若い世代が希望を持てる日本にならないというふうに思います。

 だから、自助努力は必要だし、例えば地域社会で共助する努力も必要ですけれども、やはり公の、官の力というのは、社会保障でないといけない。すべて市場経済原則でいくなら、こんな簡単なことはないですし、これだけ医療水準、技術が高度化した、お金もかかります、そうすると、例えば難病の人などというのは市場経済原則なんて全く関係ありませんですから。しかし、こういうことに対してきちんと手当てをするのが本当の意味での先進国であろう、私はそういうふうに思って、今後とも施策を展開したいと思っております。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 大変力強い言葉、まさに本当にいろいろなところで、赤ちゃんも産めなくなっている、公が担うことはやはりあると思うんですね。特に医療の場合は不採算医療、つまり、大臣もおっしゃいましたけれども、難病でありますとか、めったに起こらないけれども感染症に対する備えとか、これはやはり効率主義、市場経済だけでは全く不効率きわまりない。そういうものをやはり担っていく公の医療というものがあると思いますね。

 ただ、残念といいますか、すべて、国立病院もいわゆる独法化されていく、大学も独法化していく。もちろん独法化したからすべて自前でやるというわけではないんですけれども、独立採算をすることによって、やはり効率を追わざるを得ないところが出てきていると思うんですね。そういうことによって、何かもう全く民間医療と同じところで、民間医療と同じ土俵で勝負する、それがやはり少し違う部分があるのではないのか。もちろんいい部分もあります。独法化したために頑張っておられるということも含めて、日本の財政を考えれば、そうも言っていられないところもあるわけですけれども、やはり僕は、国が担うべきものは、特に医療なんかの部分はしっかりやっていかないと、日本の安心、安全はつながらないというふうに思いますので、ぜひ、今大臣のおっしゃった不採算のところもしっかりと担っていただきたいなと。これは公の力でやるべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと個別の質問に入らせていただきます。

 一昨年末に、我々にとっては突然という感じでしたけれども、いわゆる療養型病床群が三十八万床ある、それが十五万床に、二十三万床一挙に減ると。これはやはりびっくりしますね。この二十三万人の人、もちろん必要がない人もいるんだということもありますけれども、一遍に二十三万床減らしたら、その人たちはどこに行くんだろうと。

 今、在宅というのは大変難しい環境にあります。昔のように同居がない、そして高齢化で、いわゆる老老介護、夫が年をとれば奥さんも年をとるということでありますから、老老介護でありますとか、このごろは、認知症の方が認知症の夫を介護する、あるいは逆のことも、そういうことを含めて、大変厳しい環境にあるわけでありますけれども、療養病床の再編、もちろんそれは一定理屈があるわけですけれども、ただ、やはり少し乱暴だというふうに私自身は思っています。

 それで、厚生労働委員会でも、大臣にも、転換に関して非常にソフトランディングな、つまり柔軟な対応を面積要件なんかでもしていただいたところでありますけれども、実際、厚労省の担当者に聞きますと、十五万床という数字にはこだわらないんだ、やはり必要なものは残すという考え方でいくんだということでありますけれども、最近また、各都道府県から積み上げた数字、必要な数が上がってきて、そしてそれをベースにと言っておられたんですけれども、最近の報道等では、二十万という数、二十万床、それは一応、高齢化率とか現在の医療区分の一、あるいは二の三〇%とか、そういう理屈があるわけですけれども、そういうものを含めて二十万床あれば、これも、純粋の医療療養型だけではなくて、回復期リハビリを入れて、二万ないし二・五万を入れて二十万床が一つのめどだと。

 都道府県、私の地元に行って聞くと、京都なんですけれども、やはり、数値が先に出ると、京都では大体これぐらいに抑えないといけないなというプレッシャーを非常に感じて、本当の意味で必要なものを病院が自由に選択できるんだ、残りたい、あるいは必要があると思えば医療療養で残れると言っているけれども、実際にそれを積み上げていくととても二十万でおさまらないから、京都としては、これぐらいの目標値なんだろうというプレッシャーを非常に感じている。

 先にこの数値が出てくること自体は、やはり、積み上げの数値が出てきてから、この二十万の目標といいますか、あるいはある程度のめどというのを出すべきだと私は思うんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

舛添国務大臣 この療養病床の再編成の問題というのは、ずっと大臣になる前から私も本当にいろいろ議論をしてきたところで、きめ細かい対応がやはり必要だろうというふうに思っています。

 それで、どういうふうな数値を設定するかというのは、例えば、後期高齢者の人口が急速に伸びているところはある程度数を保っておかないといかぬだろうし、しかし片一方で、緊急医療体制の整備があったり、リハビリ体制の整備があると、療養病床じゃなくて介護の方に移ってもらうというようなことも必要なので、そういうことで、二十万というのはまだ正確に決めた数字じゃないと思います、一部報道があったというのは聞いていますけれども。

 だから、これは今委員が御指摘のように、各県の皆さん方の情勢をきちんと把握した上で、そういうものをすべて踏まえて策定すべきだというふうに思っておりますので、余り御地元で皆さん方がプレッシャーを感じられてやるということじゃなくて、今言った要因についてきちんと分析していただいて、京都なら京都で、大体どれぐらい残せばいいんだ、こういう数字をいただければ、それを全体的に踏まえた上で一つの数字というかビジョンを出したい、そういうふうに思っております。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 数字というのはどうしてもひとり歩きしてしまうので、二十万がめどだということになると、医療関係者からも、回復期リハを入れて二十万ということになるというような声があります。その辺、ぜひ、都道府県にしっかりと本当に必要数を出していただいて、その上で、もちろん検討は必要でありますけれども、適切な転換が行われるように、さらにまた、転換をしていくところは、大臣、非常に柔軟な考え方をお示しであります。

 面積なんというのは、本当につくり直すということはなかなか、六・四平米を八平米にする、また、つくったときに、特養は今回移れないことになりましたけれども、最初は特養も受け皿だと言われていました。それは、十平米だとか、何か細かく分けているんですね。四人部屋ですか、こう分けて、一人ずつ住めるところに、一つカットしたからといって、これはデッドスペースになるだけです。だから、その辺のところは本当に、大臣のお考えで非常に柔軟な考え方になりました。

 そのほかも含めて、本来的には、もし移るとしたら、せっかくの今ある施設、つまり、例えば、転換型老健はみとりも従来の十倍ぐらいしていくんだ、そうなってきたら、やはりそこで、せっかくそこに病院が、レントゲンを撮る機械があったら、それをわざわざつぶして談話室にして、そこをカウントできるから、面積にカウントするためにとって、そこは一応カウントできるよとか、余りそんな役所的なことではなくて、それだったら、胸の写真の一つも撮れれば、ああ、これは肺炎だなということがわかって多少の治療ができるとか、今回、転換型老健の場合は、医療、お医者さんの配置も、少なくとも今の老健よりは手厚くするということであります。

 そういうことをぜひ、今のものをそのまま利用した形で、転換型老健というのは、療養型から移るという場合は、面積も含めて、ちょっと少し違う老健だと。老健という名前にこだわる必要はなくて、本来、病院という名前をもしとるなら、介護療養施設というもので、新しいジャンルだというぐらいの考え方で、これからの、十倍みとりもする、入所者の急変率も今の老健の十倍ぐらいと想定しているわけですね。だから、少し違うものだという認識で進めていただきたいなということを強く要望しておきます。

 次に、脳卒中の問題を少しお聞きします。

 脳卒中というのは、実は私、脳外科の医者ですので、脳卒中、特に脳血管障害を専門にしていたということもありますので。

 脳卒中というのは、死亡原因としては今第三位です。従来は、心疾患と第二位を争っていた、争っていたというか、これは多い方がいいわけじゃありませんけれども。ただ、脳外科も、CT、MRI、それから顕微鏡の手術等が入りまして、非常に救命率は高くなりました。

 しかしながら、やはり疾患の特性でありまして、いわゆる寝たきりになるという意味では最大の要因であります。寝たきりの原因の四割、これはもう最大の原因だ。そして、要介護になる原因の三割は脳卒中、つまりこれも最大の要因であります。寝たきりになる最大の原因が脳卒中、第二位が転倒、高齢者の方が、ひっくり返って大腿骨等の骨折などで、それがきっかけで寝たきりになるというのが第二位であります。

 そういう意味で、脳卒中対策というのは非常に大切なものであろうと。これをしっかりやることによって、医療費そのものも削減できる。つまり、脳卒中が医療費の約一割を占めているんですね。だから、それをしっかりやることが、医療、介護を合わせればすごく大きな費用の削減にもなるし、それからユースフルライフ、病気になった方々がどうやって後の人生を送れるかということにもつながるわけであります。

 そういうことで、今、がんも、がん基本法ができて非常によくなりました。しかし、がんは、きょうわかったから、あした三時間以内にどうこうしなければいけないということとは少し違います。しかし、脳卒中の場合は、例えば脳梗塞の場合、三時間という間でないとできない、例えば、tPAといいまして、血管の中にカテーテルを入れまして、そこで集中的に血栓を溶解する、これは三時間がゴールデンタイムであります。それ以上たってやりますと、かえって、そこが溶けると、今度、その壊死したところに血液が流れますので、出血性脳梗塞になる。つまり、三時間しかその治療法はできない。それをやれば、非常に今は回復率、予後がいいということであります。

 しかし、それをやれる血管内の専門医がどこにいるのか、そしてtPAの治療をどこができるのかというマップもなかなかありませんし、そのアクセスが偶然うまくいった人はいいけれども、アクセスがうまくいかない人は、一回、それができない病院に行って、それからまたということになると、三時間という時間のタイムリミットがありますから、非常に大事な問題であります。その辺の、これからの脳卒中の対策。

 さらにまた、その専門医の脳外科医そのものが実は非常になり手がない。これは三Kとか四Kとかいいまして、きつい、何とか、何とかで、それから、金が入らないというふうに言われていまして、脳外科医のなり手も、このごろ、僕の後輩の教授に聞きましても、ことし一人ですよとか、去年一人ですと。我々のときは、「ベン・ケーシー」とかありまして、脳外科は最先端ということで、五人、十人と入局したんですけれども、今はその人たちが最先端でやっていますけれども、これがまさに団塊の世代と同じように、もう十年ぐらいたてば引退せざるを得ない。特に、脳外科の手術ですから、顕微鏡の手術ですから、余り高齢になっては、視力の問題とか体力の問題。六時間、七時間と顕微鏡でやるわけですね。僕も、最長の時間というのは京大病院で二十三時間の手術という経験がありますけれども、そういう体力とかも要るし、目のそういうものが要る。

 その中で、後継者の育成も含めて、今、ローテーション、新しい研修医制度の中でも、実は脳卒中は最初の初期が一番大事だけれども、脳卒中を一回も診ないでも二年間の研修医制度を終えることができるんですね。それも不備で、やはり、少なくとも、その専門医にならなくても、これは脳外科に送るべきだ、あるいは脳内科に送るべきだということの判断ぐらいはできるような研修医制度にしていただきたいなということも含めて、大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 これは釈迦に説法で、今、ドクター清水の方から詳しく御説明があったとおりですので、我々も、この脳卒中対策というのを基本的にしっかりやらぬといかぬなと。

 それで、今度の診療報酬改定でも、脳卒中用の薬とかいろいろなことについて手当てもいたしましたし、今後とも引き続き、国民の死因の大きな原因でありますし、今おっしゃったように、医療費の一割ということでありますので、全力を挙げて対策に取り組んでいきたいと思っております。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 普通、アメリカだと神経内科が割と最初に診て、それから神経放射線科がありますが、そこがCTやMRIや血管撮影をして、そして手術を脳外科医がやる。割と分業になっています。しかし、日本は、歴史的に、脳外科医が脳卒中の七割を診る。つまり、初めから脳外科がかかわって、脳外科の中で神経内科的なものを専攻している人、神経放射線をやっている人、脳血管内手術を主にやる人、それから開頭術、頭をあけて手術をする人と、割とその中で分業化になっていまして、アメリカとかヨーロッパと少し歴史的な流れが違うんですね。

 そういう中で、少なくとも、脳神経科あるいは神経内科というのは、日本の場合は割と難病とか変性疾患を扱う、慢性的なものを取り扱われることが多いのです。そういうことで、少しそういう特性もよく研究をしていただいて、そして、二年間の研修医の間に、少なくとも脳卒中を診て、将来どこかに行かれても、最初にその患者さんを診れば、少なくとも専門医へ早急に送れるような、その研修医制度、大臣、これをぜひ検討してみていただきたい。これは答弁は要りません。これをぜひ検討していただきたいということを強く要望させていただきます。

 次に移りますけれども、次は、今、いわゆる死因究明制度、死因究明のことが大変取り上げられています。そして、医療が萎縮医療にならないようにということも含めて、日本が訴訟社会に、徐々に訴訟する社会になってきているわけです。それ自体がいいとか悪いとかは別にしまして、医療界が、産婦人科の、例の福島県立大野病院の産婦人科医が逮捕されるというような事件がありました。

 あれも、もちろんいろいろな考え方がありますけれども、母体の安全性、子供さんの安全性、そして、そこから後送病院に送る時間帯、せっぱ詰まった状況の中で、前置胎盤、それも全前置胎盤、そういうもともとリスクの高いものであります。そういうものを、赤ちゃんを救命するためにもということでやって、母体が、お母さんの方が亡くなったという不幸な事件であります。

 しかし、医療には必ずリスクというものが伴いますし、人間が生まれてきた限りは、死というものはある意味では避けて通れないということも含めて、そういうことで、今、医療安全調査委員会、第三者委員会が立ち上がって、それが機能しようとしているわけですけれども、医師法二十一条は、もともと明治にできた法律に由来していまして、本当は、二十四時間以内に届け出るというのは、不審死があった場合、あるいは新生児、生まれたての赤ちゃんがあった場合、これはもしかしたら犯罪に関与するかもしれないということで、二十四時間以内に警察に届ける、そして、スムーズな初動捜査をやってもらうということが本来の目的でありましたけれども、厚労省の通達から始まりまして、国立病院機構、それから大学、そして今は民間のすべて、医療過誤あるいは医療の過失があったかもしれない可能性があるものについても警察に届けるということになっています。

 しかし、警察は、もちろん医療の専門家でもありませんし、そのことを説明し切れるというのは、結果責任みたいなものです。亡くなった例を届けるわけですから、どうしても死んだということ自体が問題になって、医療が非常に萎縮医療になってしまうということになっています。

 今、医療安全調査委員会が立ち上がって、このことについてかなり詰まってきていますけれども、やはりこれは医療サイドにとっても、では、そこにそういうものが立ち上がって、やはり医療が伸び伸びと、そして力強く国民のためにやれるんだ、また、逆の立場からいえば、亡くなった患者さんサイドにとっても、やはりその原因が納得できない場合に、それを医療安全調査委員会にちゃんと調査してもらって、納得のできる、そういうものにならないと、これは意味がないわけでありますけれども、今、どういう進捗状況であるのかということを、大臣、もしくは、大臣があれでしたら担当からもお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 いみじくも福島県の大野病院の例を出されましたけれども、私は、今全国の産婦人科の方々といろいろ議論をして、今のところ百数十名、一人平均十一ページ、意見を出してくれて、全部目を通していますけれども、その中に、例えば大野病院の件、これを無罪にしてくれない限り産婦人科医なんてふえませんよと。だから、訴訟リスクにどう対応するかというのは非常に大きいわけですね。

 一つは無過失補償制度、これは脳性麻痺の子供についてはスタートしようということで進めつつありますけれども、原因究明とかADRとか原因究明の委員会、こういうものをどうするかというのは、今医療界にもいろいろ意見は分かれています。ですから、少し慎重に検討した方がいいというふうに思うのは、萎縮医療につながるというのは、やはり公の権力がそこに入る、厚生労働省が後ろに控えていて裁断を下す、それを警察が持っていって、こういう委員会の決定だから、お医者さん、あなた逮捕しますよ、それが怖くてしようがない、それなら、おれは医者にならないよ、これも一つ意見があります。

 しかし、片一方で、私は、ここのところ、お医者さんのヒアリングばかりやっているので、ちょっとお医者さんの頭になっているかもしれないんですけれども、患者さんと話をすると、余りにも医者がひどい、うそしか言わない、本当のことをもっと言ってくれないかというようなことで、例えば病院内のメディエーターを入れようなんという話にしたって、お医者さんが直接私たちに説明するのが嫌だから逃げているんでしょう、こういうことなので、私は、やはり患者と医者の相互信頼関係がない限り、いかなる医療行政も失敗すると思っています。

 患者さんの中にも二種類いますよ。要するに、政府がやっている案がよろしいというのと、だめだというのがいる。お医者さんの中にも二種類いる。こういうものをどう調整するかというのは、もう少し国民的な議論を巻き起こした方がいいし、やはりお互いに胸襟を開いて死因究明をやる。

 それはなぜかといったら、やはり本当の原因が知りたい。補償というのは実は二の次であって、なぜお父さんが死んだんだ、そのことが知りたいんだというのが、やはり残された方の気持ちなので、私は、ですから、少し国民的な議論を巻き起こし、いろいろな議員連盟もできております、その上でやることで、ただ、片一方で、余りのんびりやっていると、大野病院の件もありますから、医師法二十一条の問題もある。ですから、ある程度のスピード感は必要ですけれども、拙速は避けたいということで、今の現状を見ております。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 つくる以上は、医療機関の方にも、そして患者さんといいますか、国民にも安心のできる、そういう制度にならないと意味がない。ただ、今、警察に届け出るという、これはやはり少し意味が違う、もともとの医師法二十一条の発想からも違うと思いますので、その辺の整備をよろしくお願いしたいと思います。

 実は、あと、脳卒中なんかに関連して、脳卒中の後遺症が対象になります特殊疾患療養病棟でありますとか、あるいは障害者施設の入院基本料の問題を少し質問したいと思っていたんですけれども、時間が来ましたので。

 脳卒中の後遺症というのは大変重いものでありますし、そして長く続くものであります。だけれども、その後の人生、脳溢血あるいはクモ膜下出血あるいは脳梗塞になったけれども命は助かった、だけれども後の人生はもうなかった方がよかったと、私、実は患者さんに言われたことがあって、あのとき一思いに死んでいた方がよかった、先生が、中途半端にといいますか、助けてもらったばかりに後の人生は本当に厳しいということを言われて、私、実はそれが政治家になるきっかけでありました。医療の技術だけではなくてやはり制度がきちっとしないと、せっかく助かった命というのが結局は、かえって人を不幸にするんだということをつくづく感じて、政治の重さ、大きさを感じたのでございます。

 そういうことでありますので、ぜひそういう脳卒中の後遺症の方も安心して治療ができるように、今申し上げました特殊疾患療養病棟からも、いわゆる追い出すというような形ではなくて、ちゃんと受け皿も考えられた中で、現状を把握した中で、患者さんに不安がないように、そして、取りとめた命が、命があってよかった、孫の顔も見られたというふうになるようにということでお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

森主査 これにて清水鴻一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)分科員 日本共産党の石井郁子でございます。

 きょう、私は、保育の問題で質問をさせていただきます。

 内閣府の男女共同参画社会に関する世論調査を見ましても、これは昨年八月ですけれども、子供ができてもずっと職業を続ける方がよいと答えた方は四三・四%ですね。十五年前の約二倍なんです。多くの女性が、子供を産んでも働き続けたい、また、働き続けることが当たり前の選択肢になっているというふうに言えるかと思うんですね。働く女性にとって、その子供にとって、保育所というのは安心して育てられるいわば第二の家庭でもあるわけで、この充実というのは本当に大事だという立場で質問させていただきます。

 まず、福田総理が先日、企業内保育所を訪問されまして、記事を見ましたけれども、今月中に新待機児童ゼロ作戦を打ち出すということを明言されましたけれども、この中身というのは具体的にどのようなものでしょうか。

舛添国務大臣 総理が施政方針演説で述べられましたとおりでありますけれども、今委員おっしゃったように、女性の就労意欲、もう本当に出産する前から、出産した後、働けるんだろうか、こういう不安があるわけです。

 ですから、子育てと就労が両立できるように、例えば保育ママの制度なんというのはもう少し充実させようということで、質も量もふやしていこうということで今最終的な調整をやっておりますけれども、もともと待機児童ゼロ作戦というのはたしか平成十三年からやっておりまして、そういうものを量的にも拡大する、質的にも拡大する。そして、出産から子供が小学校に入る、今度入った後、では放課後、だれか見てくれる人がいないといけない。だから、放課後の面倒を見ることから、就学前の保育から、こういうものを一貫して質も量も少し上げよう、これが新待機児童ゼロ作戦で、近々発表できると思います。

石井(郁)分科員 小泉内閣以来だったと思いますけれども、待機児童ゼロ作戦と銘打って進められたと思うんです。しかし、今もってゼロには届いていないという問題があるわけですね。これはなぜなんでしょうか。

大谷政府参考人 待機児童の解消につきましては、平成十四年度から待機児童ゼロ作戦ということを進めておりまして、まず、平成十六年度までに保育所を中心に十五万人を超える受け入れ児童数の増加を図った。また、平成十七年度以降につきましても、市町村が次世代育成支援対策を実施するために定めます市町村行動計画というものを踏まえまして、平成二十一年度までにその受け入れ児童数を二百十五万人まで拡大するということを目標として、現在その児童数の拡大を進めているところでございます。

 この取り組みの結果でありますけれども、待機児童数は四年連続で減少しておりまして、平成十九年四月の待機児童数が、ゼロではありませんが、今一万七千九百人というところまで減少してきております。また、待機児童が五十人以上いるという市区町村の数も、前年の八十一から七十四ということで、減少の効果が見られているというわけであります。

 しかしながら、御指摘のありましたとおりでありますが、毎年三万人程度以上定員をふやしましても、都市部においては一方で就業を希望される女性の増大というものもございまして、保育サービスの拡充を上回るいわば潜在的な需要が喚起されるということでありまして、依然として都市部を中心に多数の待機児童が存在するということは御指摘のとおりであります。

 今、大臣から調整中と申し上げましたこの新待機児童ゼロ作戦でも、こういった点を踏まえまして、サービスを計画的に整備することを目指して努力したいと考えております。

石井(郁)分科員 一応、政府として目標を設定してゼロを目指す、しかし、その目標は達成できない、潜在的ニーズが次々とあらわれてくるということだと思うので、これ自身がやはり本当にニーズをつかみ切れていないからだと私は思うんですね。だから、その点ではそこを指摘したいと思うんです。

 待機児童ゼロ作戦のもとで、保育所の定員の問題なんですけれども、この間、政府は、年度途中では一二五%まで受け入れる、それから、年度後半だとその上限さえも超えてふやすことも可能だというふうにしてきましたね。だから、もう定員の二割、三割増で受け入れているという状況があちこちに見られました。

 これはどうなんでしょうか。いつまで続けるのか。本来の保育所定員にやはり戻すべきではないのか。これは無理して入れているわけですから、子供にも非常に無理がかかっている、保育士さんにも無理がかかっている状態ですね。この点はいかがですか。

大谷政府参考人 現在行っております保育所の定員を超えての入所措置でありますけれども、年度途中における保育を必要とする児童が発生した場合とか、あるいは待機児童解消の対策として行ってきたというのが実情であります。

 この定員の弾力化の措置は、あくまでも児童福祉施設の最低基準、要は、その中身としましては、施設の面積であるとか保育士の配置というものを満たす範囲内で行っているということでありまして、その入所児童の処遇に支障を来すことがないようにということは基本でございます。

 今後のことでありますが、保育の実施はやはり定員の範囲内で行うということは、これは原則でございます。この定員を超えている状況が恒常的にわたっているという場合には、現行でも定員の見直しについて積極的に取り組むように指導あるいはお願いしているところであります。

 ただ、最終的には、やはり潜在需要も踏まえたいわば定員の拡大というものが必要でございますから、それは、先ほど申し上げましたように、そういった本格的な対応というものとあわせて考えていかねばならないと考えております。

石井(郁)分科員 本当に、こういうやり方で待機児をゼロにする、保育所に受け入れているんだというようなことは、もうやるべきではないと思うんですね。

 それで、大臣が量と質というふうに言われましたけれども、これはやはり圧倒的に公的な保育所が足りないということから生まれているわけですから、これはもう保育所をふやす以外にないということをまず指摘しておきたいというふうに思います。

 さて、その公立保育所が今どんな実態にあるのかということについて、少し別の角度で問題を指摘したいと思うんですが、非常に老朽化が深刻なんです。

 この写真、ちょっと持ってまいりましたけれども、これは天井なんです、ある公立保育所の天井。もうこんなふうに破れている状態。それから、これは手洗い場、その前の床がこんなふうにはげ落ちているわけですよ。子供たちというのは保育園の中をはだしで歩きますよ。本当にささくれがあって危険だ。これは本当に一部です。私たちのところに実はこういう写真がたくさん寄せられておりまして、全部お見せできないのはちょっと残念なんですけれども。

 だから、なぜこういうことかというと、やはり三十年、四十年前に、保育所が必要だということで急場しのぎでかなり建てたというところがあるんですね、鉄骨づくりで。もう老朽化しているという状況です。

 私は大阪なので、大阪府下のある市ですけれども、十一園の公立保育所がありますけれども、その十園、これは父母の皆さんがずっとウオッチングされた。そうしたら、ほとんどこんな状態だった。もう耐用年数が切れているという状態なんですね。床が波打っていましたということなんです。

 それで、こういう待機児童ゼロ作戦と銘打ちながら、一方ではこんな貧困な施設に子供たちを詰め込んできておりました。大臣は、まずこの実態、御認識されていたでしょうか。

舛添国務大臣 今委員がおっしゃったように、とにかく保育所をつくらぬといかぬということでつくった。それで、今の基準からすれば、今写真も見せていただきましたけれども、例えば耐震化率なんということを見ると、地域によってはほとんど耐震化が全くされていないというようなところもありますので、これは何とか手当てをしていきたいというふうに思います。

石井(郁)分科員 耐震化、私も申し上げようと思ったんですが、私は文部科学委員会にずっとおりまして、例えば小中学校の耐震化というのはもう本当に私ども声を上げてやってきましたが、保育園の耐震化、どこからも本当に、そういう意味では声が十分届いていなかったということがありまして、耐震診断ですけれども、公立小中学校は八九・四%ですけれども、保育園は二五・九%ですよ。子供というのは最も逃げ場がない、そういう子供にこんな状態でいいのかということがありますので、本当に放置できない、今大臣、御答弁のとおりだと思うんですね。

 しかしながら、今、地方自治体は財政的に大変困難ですね。申し上げましたように、公立保育所の多くがもう築四十年から五十年、耐用年数はもう限界だと言われています。それでこういうぼろぼろな状態が起こっているけれども、施設整備費の一般財源化によって非常に財政状況が自治体は厳しい。だから、建てかえとか改修というのは今の状況では本当にできない状態だということになっているわけですね。もちろん耐震化も進まないという状態でございます。

 それで、ぜひこの点は大臣に伺いたいんですけれども、各自治体の公立保育所の施設整備が本当に保育所としての整備がされているのかどうか、こういう実態をやはり厚労省として把握する必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。

大谷政府参考人 私の方からお答え申し上げます。

 公立の保育所につきまして、ちょっと今の先生の数字と一致しませんが、私どもが今持っております、平成十九年四月一日現在で耐震化率が五二・七%というふうに承知しております。ただ、これですらその取り組みはいまだ十分でないわけでありまして、都道府県において取り組みに違いが生じております。これについては、都道府県担当者に対する会議等におきましても、耐震化推進のための取り組みを進めるように周知しているところでございます。

 これも御指摘のとおりでありますが、公立保育所の施設整備費につきましては、平成十八年度から一般財源化されておりまして、地方交付税において所要の財源措置が講じられているということで、地方自治体の判断によって計画的に整備を図っていただくというふうに考えているわけであります。

 しかしながら、公立、私立を問わず、児童の安全確保の観点から、保育所の耐震化整備は非常に重要な課題というふうに認識しております。今やっていることは、各地方自治体の取り組みについて、例えばどこが進んでどこがそうでないとかいうことを公表するとか、いろいろな形で呼びかけて取り組みの推進を促しているという実情にございます。

石井(郁)分科員 この点ではぜひ大臣もちょっと御決意を聞かせていただきたいんですけれども、本当に地方自治体はこの一般財源化のもとで財政が厳しい、しかし、厚労省、それを黙って見ていていいのかということがありますので、何とかしなきゃいけないんじゃないかという、ちょっと大臣のお気持ちを聞かせてほしい。

舛添国務大臣 国の財政も火の車、そして地方もそうなんですね。それで、今のテーマは保育所ですけれども、例えば、地方の基幹的な公立病院をどうするか、全く同じような問題が起こってきています。

 ですから、我々は必要な予算は要求するというようなことで努力はしておりますけれども、これは国会の議論の場、国民的な議論の場で、こういう社会保障、それから子育て支援、どれぐらいの財源を使えばいいか、そしてそれはだれがどういうふうにして負担するのか、これはやはりもっと国民的議論をするべき時期に来ているというふうに私は考えて、それで、いつも申し上げていますように、二千二百億円のマイナスシーリング全体も限界に来ているんじゃないか、こういう発言をしているのはそういう意図でございます。

石井(郁)分科員 こういう話になると財源の話に行っちゃうわけですけれども、しかし、今、公立保育所は本当に緊急的な事態ですよ。だから、もっと補正予算で考えるだとか、いろいろな手もあるんじゃないかというふうに、何らかのやはり手を打つべきだというふうに思っております。

 それで、先ほど女性の意識を申し上げましたけれども、保育所を少子化対策に役立てていくために充実してほしいのはやはりサービスだ、だから、待機をしなくても入所できるように保育所の数や定員をふやしてほしいという方は六二%ですよ。だから、圧倒的にまだ保育所は足りないんですよ、ふやしてほしいと。

 何が足りないかといえば、とりわけ三歳未満、ゼロ歳、一歳、二歳のところなんですね。日本はこれは二〇%台ですよ、その子供たちを受け入れている公的な機関というのは。これは大臣御存じと思いますが、フランスだとかスウェーデンというのはもう四割方ですね。ですから、本当に少子化対策というんだったら、この点の手当てをしないと、女性はやはり働き続けられない、子供を産めないということになるわけです。

 ですから、そういう立場で私は申し上げておりまして、ただ財源が厳しいからできないということではなくて、急いでこの部分の手当てを政府として力を入れてほしいということを強く申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、きょうもう一つのテーマは、同じ保育所なんですが、この重要な公的な保育施設というところで今民営化が進んでいます。これは、ある人に言わせれば、民営化のあらしが吹き荒れていると言う人もいるぐらいなんです。そこで、ちょっと私が調べたところでいっても、これは民間の人たちも調べておりますけれども、毎年、約二百五十カ所、公立保育所が民営化あるいは民間委託されていっています。

 これは私の地元の大阪なんですが、二〇〇〇年度末まで公立保育所は五百三十二カ所ありましたが、私立保育所五百二十一カ所とほぼ同数だったんですね。それが、七年の四月には、公立保育所が四百五十一カ所、私立保育所は七百十一カ所です。ですから、その差、一・六倍に開いてしまっている、逆転をしているという状態ですが、民営化、民間委託がこういう形で進んでいるということについての御認識、大臣、おありだったでしょうか。

 これは大臣にお聞きしていますから。

大谷政府参考人 私の方からお答えいたしたいと思います。

 児童福祉法上、市町村に保育の実施責任がありますために、どのような形態で保育所を運営するかということにつきましては、各市町村で適切に御判断いただけるものというふうに考えているわけでありますが、一方で、認可保育所は、職員の配置基準や施設の基準というものを定めた児童福祉施設最低基準の遵守というものが法で義務づけられております。そういった意味で、公立、私立を問わず保育の質は担保されるべきものというふうに考えているわけであります。

 一方で、保育所の民営化についてでありますが、これは、住民の理解を得るなど配慮するべき一定の事柄というものはあると考えております。

 例えば、貸与先あるいは委託先の選定に当たって、手続の透明性を担保するとかあるいは公平性に配慮するとか、こういったことを自治体に通知するということ。また、保育所の民営化によって質の高い保育サービスを提供している自治体のいわばよい事例、取り組みの事例というものを事例集として取りまとめて、民営化に際しての配慮すべき事項を自治体に周知する。こういったことを行うことによって、民営化あるいは公立を問わず、保育の質が担保されるように努力しているところでございます。

石井(郁)分科員 大臣は御存じでしたか。

舛添国務大臣 私は、母親を介護した後に、今小さな子供を抱えていまして、まさに子育ての現場におりますからよく存じ上げております。

石井(郁)分科員 それはちょっと時間的には少し前の話じゃないかなというふうに思うので、本当にここ一、二、三……(舛添国務大臣「いえ、今やっていますから。今四歳ですから」と呼ぶ)今でございますか。そうですか。失礼しました。

 局長からも御答弁がありました。いろいろ配慮をしているというような話もあったんですが、しかし、なぜ公立保育所の民営化を急いでしているのか。今急ピッチであちこちで起こっているんですね。なぜそうするのか。もしそれで保育が本当によくなるのなら、それは一つの選択だと思うんですけれども、実態はそうじゃなくなっていますね。つまり、自治体が民営化を急ぐ理由は、やはり運営費の多くを占める人件費を減らしたいということからきているんですよ。まさに効率が先にありきでこうしているわけですね。

 私は大阪なので、保育研究所というところがありまして、その調査によりますと、〇六年、大阪府下の市町村立保育所のすべての保育士に占める非正規雇用保育士の割合が五割以上となる自治体が四十一自治体中二十三。だから、半数の自治体で保育士さんは非正規雇用なんですよ。民間企業が運営する保育所は、ほぼ全員が非正規雇用だと言われています。

 やはり非正規雇用ですと、保育士さんの待遇もありますけれども、保育園としていろいろ集団的に取り組むことの制約も非常に受ける。一方で、常用雇用の保育士と同様に担任も持っている、保護者からの相談や対応もしている。しかし、職員会議だとか職員研修のために時間外労働するということは認められない。やはり非常に限られた給料になっている。

 私、この点も厚生労働大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり保育士は大変その専門性が問われます、継続性が問われます、そしてまた、園の集団としての、職員集団の取り組みが問われる。そういうところで非正規雇用の保育士がこのようにふえていく。これはどうお考えですか。これは大臣にお聞きします。

舛添国務大臣 さっきお医者の話をしましたけれども、病院とか保育園、経営とかそこに働いている人の立場もありますけれども、私、今まさに現役の子育てで、日々、子の保育に苦労をしていますから、そういう立場から見ると、いいところに預けたいんですよ、いいところに預けたい。そうすると、公立であっても私立であっても構いません、いいところであればいい。そして、保育料がべらぼうに高ければいいというものでもないし、それは一定の基準を満たしておればいい。

 だから、私は、きちんとした資格を持った方がいないといけないと思いますけれども、では、なぜ民営化が進んでいるのかということで、民営化が全部悪いことばかりならば、それは一定の歯どめはかかるでしょうし、きちんと基準がある。だけれども、たとえ公の保育所に入れようと思ったって、しかも、正規のきちんとした保育士さんがいても、きちんとやっているかというと、私は、やはり現場を見て、そういうことばかりではないと思いますから、委員がおっしゃる問題点は、私も日々苦労していますから、認識はしておりますので、保育士の方々の処遇、これは保育の現場だけじゃなくて、やはり非正規じゃなくて常用雇用すべきだと基本的には思います。

 だから、そういうことのために全力を挙げて厚生労働省としてはやっていきますけれども、親の立場から見たとき、ちょっと私は勝手な物言いをしているように見えて、お許しいただければと思うんですけれども、そういう苦労も片一方でございますので、これは実態をもう少し検討させていただいて、委員の問題意識と私は全く重なるものですから、やはり処遇をよくしなければいい人は来ないと思いますので、そうすると、また今度は財源の問題にいつも行き着くのですが、全力を挙げて努力を申し上げたいと思います。

 自分の経験を語りまして、大変失礼いたしました。

石井(郁)分科員 私も、相当前ですけれども、公立保育所に二人の子供を預けて苦労しましたから、その保育所は大変いい保育所でしたけれども、そういう経験を踏まえながら申し上げております。

 非正規雇用になったところの保育士さんの給料とか待遇ですけれども、社会福祉法人の大卒の初任給というのは税込みで月十五万だというんですよ。それから、四十歳になっても税込みで二十二、三万ですよ。つまり、やはり人件費を安くできるから民営化している、それが地方自治体にまで及んでいる、ここが問題だと思うんですよ。そういう安い給料のもとで、じゃ、本当に保育士さんが専門性を発揮できるのか、いい保育をできるのかということになるわけです。

 実際に、民営化に移行するということが起こっているところで何が起きているかというと、これは東京の練馬区の場合ですけれども、園長と保育士八名が相次いで退職ですよ、もうやっていかれないと。こういう事態が起きています。大阪・大東市でも民営化に関する裁判がありまして、そこで裁判の結果が出ましたけれども、判決は、引き継ぎでは信頼関係の構築、移行するのに三カ月で引き継ぎをしたんですね、三カ月で引き継ぎした、これはやはり無理だということでの判決、いわば勝利判決が出ていますし、横浜市の裁判でも、子供たちが入所した園で継続した保育を受けることは法的に守られた権利だ、一たん入所したら、そこできちっと保育を受けるのは子供たちの法的な権利だという判決も出されています。

 実は、こういう裁判が今、横浜でも千葉でも、それから神戸でも、もちろん大阪で何カ所かございますけれども、あちこちで起こっているんですよ。こういう実態もぜひ見ていただきたいというふうに思います。

 なぜこういう裁判に訴えて、親にとったら大変困難ですね。わざわざこういうことで裁判しなきゃいけないということはなぜかといえば、こんな形で公的保育が壊されていくんじゃないのか、本当にこれで子供あるいは地域が守られるのかどうかということから、やむにやまれず踏み切ったことだというふうに思うんですね。

 改めて大臣に、この民営化、規制緩和という名のもとに、一方でこういう措置が進み、そしてまた、地方の財源がないということで、やむなしにそっちに踏み切る、こういうことなんですから、やはりこれは政府の責任が大きいんじゃないでしょうか。いかがですか。

舛添国務大臣 委員が御指摘のことも踏まえて、先ほどの新待機児童ゼロ作戦というのは、質の確保、量だけじゃない、質だということで、実は先ほど総理とも、この点、議論をしてまいりました。そして、のんべんだらりとやるのではなくて、早急にこういう問題について問題点を指摘して質の確保をしようと。

 だから、例えば保育ママなんというのは、これは非常にいい制度でもあるわけですけれども、子供を預ける立場から見ると、やはりその保育ママさんの質が確保されているのかなということがありますから、これは政府全体の施策として、私は、民営化そのものがすべて悪いとは思いません、いい面もあると思います。しかし、今委員が御指摘なさったようなさまざまな問題点が出ている。

 こういうことについては謙虚に反省して、そして、しかるべき手を打っていかないと、とにかく、仕事を続けたいんだ、仕事をやりたいんだという女性が家庭と仕事を両立するというのは基本的に大事なことで、これは政府の重要な施策ですから、委員の御指摘を賜ったこともきちんと検討、検証した上で、これからも、近々その新待機児童ゼロ作戦をまとめ上げたいと思いますけれども、必要に応じてそれはまた追加していく、そして少しでもいいものにしていく、そういう努力を重ねたいと思っています。

 私自身が毎日現実と闘っておりますので、全力を挙げて頑張りたいと思います。

石井(郁)分科員 もう一点、最後に伺いますけれども、昨年十二月の規制改革会議の第二次答申を見ますと、保育所の最低基準について、どこまで最低基準が必要なのか見直すというようなことが書かれているかと思うんですね。そのためにも科学的、実証的な検証が必要だというふうに言われているかと思うんですけれども、これは厚労省としてはどのような対応をされますか。

大谷政府参考人 児童福祉施設最低基準における、特に面積の基準につきまして、制定以来ほとんど改正されておらず、中には明確な科学的根拠がないままに長年適用されてしまっているものも少なくない、こういうふうに規制改革会議から指摘を受けたところであります。

 厚生労働省といたしまして、こうした指摘を踏まえて、どこまでの最低基準が必要なのかについては、科学的、実証的な検証を平成二十年度に行うこととしておりますが、その検証に当たりまして、乳幼児が生涯にわたる人間形成の基礎を培う重要な時期に、その生活時間の大半を保育所で過ごしているということ、また、乳幼児は利用する保育所の施設設備や処遇のよしあしをみずから判断することはできず、また、みずからの意思を伝えることができないということを十分留意して行いたいと考えております。

 こういった形で、児童が健康、安全で情緒の安定した生活ができるように、先ほどの見直しも含めて、保育所の質の確保には努めていきたいというふうに考えております。

石井(郁)分科員 大臣からは、しばしば保育ママのことが言われます。保育ママの資格という問題もありますけれども、やはり子供たちは、どんな施設、どういう空間で、どういう遊び場があって、どんな施設のもとで過ごすかというのはすごく大事だと思うんですよ。そのために最低基準があったと思うんですね。

 ところが、今、民営化の中では、調理室もない、園庭もない、そういうところがいっぱい出てきているんですよ。私は、そういう形で緩める見直しをされたら大変だと思うんですね。実際、これは確かに一九四七年の制定ですけれども、このときの児童福祉施設最低基準の第三条、最低基準ですから、「常に向上させるように努めるものとする。」最低なんですから、それから下がっちゃ意味ないわけですよ。最低を超えなきゃいけないという趣旨だと思うんですね。ぜひそういう立場で私はやっていただきたい。

 そして、日本の保育、児童一人当たりという数字が出ていますけれども、二歳児では一・九八平米ですね。だけれども、外国を見ますと、ドイツでもイギリスでも、そこはもっときちっとやはりスペースをとっていますよ。

 ですから、やはり、これから本当に日本の社会を背負っていく子供たちなんですから、本当に子供たちには手厚い、この今の最低基準をよくする抜本的な見直しをこの機会に私はぜひ厚労省としてやっていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 本当に最後になりましたが、大臣にもう一言、きょう、保育の問題でこのように実態、現状、いろいろな問題点を私なりに指摘させていただきました。日本の保育はこれでいいのか、どうしていったらいいのかということについての大臣の御決意をぜひ聞かせていただきたい。

舛添国務大臣 医療とか子供を育てるということについて、ただ単に規制緩和をすればいい、ただ単に市場経済原則でやればいい、そういうことではないと思います。人間が相手ですから、基本的に、命を守っていく、しっかりした子育てをやっていく、そういう総合的な施策をしっかりとやっていきたいと思います。

石井(郁)分科員 終わります。

森主査 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂井学君。

坂井分科員 自民党の坂井学でございます。

 本日は、何点か質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、神奈川県の歯科、歯医者さんの審査の査定の点数に関しての質問をさせていただきたいと思います。

 私がきのうお配りいただくようにお願いをしました資料があるのでありますが、その資料の一を見ていただきますと、審査査定点数ということで表になっております。

 この審査査定点数というのは、歯科のお医者さんが、こういう治療をしました、保険で支払ってください、社会保険ですけれども、支払ってください、こういう形で出したものに関して、簡単に言えばこれだけはねられている。要は、これは適切ではないとはねられている件数でありますが、それが、ここの表を見ると神奈川が圧倒的に多い。

 これは、神奈川が他府県に比べてもともとの母数が多いからではないかということでありましたので、次の二枚目のものを見ていただくと、これは一万点当たりということでならしました。

 一万点当たりにしても、見ていただくとわかりますように、神奈川は滋賀の二倍近くあります。数字でいいますと、一万点当たり、神奈川が二十八・一三一で滋賀が十四・六でありますから、二番と比べても倍。全国の平均をとりますと、何と六・三でありますから、四・五倍神奈川ははねられている、こういう現実があるわけであります。

 昨日、レクというか質問取りでお話をさせていただいた折には、こういった現状を厚生労働省は御存じなかった、知らなかった、こういうことも聞きました。一応こういった指導には、医療保険取り扱いの平等性を確保するというのは当然私は入っていると思いますし、全国統一基準に基づく審査をやっていくんだ、こういう理念も当然あるかと思うんですが、この現状、この状態を見ての御見解をお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 各都道府県の社会保険診療報酬支払基金におきます審査状況を比較いたしますと、確かに議員御指摘のように、他の都道府県に比べまして神奈川県では査定の割合が高いということは承知をしてございます。

 ただ、この結果につきましては、診療報酬を請求する医療機関と査定を行う審査機関の双方に要因がある可能性がございますけれども、これまで具体的な分析等は行ってございません。あくまでも結果がこうなった、このように受けとめているところでございます。

 ただ、算定ルールに関しましては、会議などの場を通じまして、関係法令等を踏まえた適切な審査の徹底について指導する等しておりまして、県によって査定ルールの解釈に違いはない、このように考えております。

坂井分科員 今、県によって査定ルールの解釈に違いがない、こういうことでありますが、例えば資料の三、四でございます。これはアンケートになりますが、このアンケートは、関東ブロックの各都県で打合会があったときにされたアンケートということでございます。

 このアンケートを見ていただいて、丸がついているのが神奈川の査定の解釈の方法です。丸がついているというのは、この場合、埼玉が外れていて山梨が含まれているという話でありますが、丸がついているところ、すなわち、例えば4にしても、五と二と書いてあります。一番は4の(1)、「実態通り、算定可」というのが五。五県がこの解釈をしている。(2)の方がもちろん厳しいわけでありますが、これが、要は神奈川を含めて二県しかやっていない、対応していないということでありまして、これは全部で十五の項目がありますけれども、何と神奈川だけの特別ルール、神奈川だけしかやっていないというのが、十五のうち十カ所も神奈川しかやっていないというルール、解釈があるわけなんです。

 例えばこの五枚目、神奈川基金の取り扱いが大きく違う、これが六点上っておりまして、特にこれが違いが大きいというところでありますが、例えば、私が歯医者さんに行きまして、奥歯がはれていて抜かなきゃいかぬという場合があったときに、はれたまま抜いたら大変なことになるので、まず、はれをおさめるためにうみを出して、引くのを待ちます。はれが引くのを待ってから歯を抜きます。ほかのところは、はれを引く処置、これに点数がちゃんとつきます。歯を抜く処置、これにもつきます。神奈川だけは歯を抜くものしかつかないんです。

 というのは、このルールの中には、同時に行ったものに関しては一回だと。要は一つの点数しか認めないということでありますが、後日、日をかえて行っても、神奈川だけは一連の処置であるからということで、一連という言葉を使って、同時じゃないんです、一連という解釈で片方にしか点数をつけない、片方ははじいてしまう、こういう解釈を実際にやっているんです。

 こういうようなことが査定の点数のこれだけの、ほかの府県との違いに出てきていると私は思うわけでありますが、このアンケート、この状況を見て、ほかの府県とこれだけ違うという状況を見ての御意見をお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 ただいま委員がお示しになりましたアンケート、それから事例につきましては、きょう初めて拝見させていただいたものでございますので、内容につきましては検討させていただきたいと思います。

坂井分科員 これが、なぜこのようなことが起きたかということまできっちり調査をして報告をしていただきたいと思っております。

 というのは、この一つの原因は、もちろん査定がこれだけ違うという原因は今申し上げたような算定ルールの解釈が違うんですが、どうして解釈がここまで違うかという点、これは神奈川の審査委員会が機能をちゃんと果たしていないんじゃないか、こういうことに行き着く話じゃないかと思っています。

 神奈川では、ほかの都府県はちょっと私も知りませんが、まず診療側、現場をやっている歯医者の先生方、現場の立場の方が十八人出ます。それから今度は保険者側、これももちろん歯科の資格を持っている方ですが、この方が十八人出てきます。保険者側ですね。それと、あと十八人は学識経験者というか、要は大学関係の方が十八人出てきて、そして適切かどうかということを含めて審査会で議論をしているわけでありますが、例えば、この審査会がちゃんと機能しているかどうか、そのメンバーの選定がちゃんと行われているかどうか、これに関しても私はきっちり調査をしていただきたいなと思っております。

 例えば、ある方が、ある大変有力で影響力のある方が、自分の世話した人間とか自分の好きな人ばかり集めて、そしてこの審査会をつくっていたとしたら、結局はその人の影響力から離れることができずに、やはりそれはちゃんとした機能を果たすような審査会とは決して言えない、私はこのように考えておりますので、この審査会がどういう状況にあるかということもしっかりと考えていただいて、そして、結果として他府県の歯医者、歯科医師の方々とここまでの違いがないような結果というものをしっかり厚生労働省としては指導をしていただきたい、こう思うわけでありますが、御意見をよろしくお願いいたします。

水田政府参考人 神奈川県の社会保険診療報酬支払基金におきます審査委員会は、診療担当者代表十六名、保険者代表十六名及び学識経験者十六名の三者構成になっていると聞いておるわけではございますが、私どもとしては、これは適正に任命されているものと承知をしてございます。ただ、どういう経緯かということは聞いてみたいと思っております。

 それから、結果として各県が同じになるかどうかというのは、査定の内容でございますので、そこまでのことは当然言えないわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、お示しになった事例につきまして、内容を検討させていただきたいと思います。

坂井分科員 私の方も引き続きいろいろな調査もさせていただきまして、必要があればまた別の機会にしたいと思いますが、とにかく、一度その報告を私のところに上げていただきたいと思っております。よろしくお願いをいたします。

 次の質問に移りたいと思います。次は、インフルエンザです。

 きょう、ことしのインフルエンザもこれで終息かというような話がありましたけれども、インフルエンザのタミフルという薬がありまして、そのドライシロップについて、地元の調剤薬局の関係者から質問がありました。最近、タミフルのドライシロップを頼むと有効期限が半年ぐらいしかないものしか来ない、これの有効期限を延ばしてもらえないか、こういう質問でありました。

 また、ほかの方からは、タミフルの有効期限が今度五年に延びるような話があるけれども、であるならば、この半年しかないものも内容が同じものであれば延ばしてくれないか、これはもう半年たったら廃棄しなきゃいけないんだから、そんなもの大変困るんだ、延ばしてくれないか、内容、中身は同じなんだ、こういう話がありました。

 私が調べてみますと、実は、今までそういうことはなかったんですが、ことしに限りメーカーさんが、半年の有効期限を過ぎて、そしてなおかつ在庫になって残っているものは再び買い取ります、引き取ります、ことしだけそういう扱いをしているということでありました。それは、要は半年しかないから、そういうものを出してきているので、それに対する対応なのかなと、これは全く根拠がない私の推測でありますが、そういうことも思わせるような、ことしだけという対応であったわけでございますが、私が一つ言いたいのは、大変それで現場が混乱をしているということなんですね。

 もう一つは、例えば厚生労働省からの指導、指示によって、またもちろん現場の状況も変わりますから、それは適切な指導が必要なのでありますが、同じ薬でも、表示が変わる、そうすると、全く同じものでも表示が変わるだけで、要は、現場の調剤薬局さんが、例えば在庫が余りました、それでメーカーさんに引き取ってくださいと、今までお金と引きかえに引き取りますよと言っていたものが、表示が変わっただけで、変わったものは引き取りません、こういうことになってしまうということも話を聞きました。

 いわば、そういうふうにメーカー、問屋そして現場の小売の調剤薬局等、それぞれちゃんと情報をしっかりと共有して、そして流通の段階でしっかり安定的に、そしてスムーズに流通をさせることというのが、やはり私たち国民が実際に調剤薬局で薬をいただく、こういうことを考えた折にも大変大事なのではないか。

 要は、在庫がどれだけだ、何がどれだけだと、混乱があればあっただけ調剤薬局が、例えばその薬品をとっておこう、自分の計画の中にも、一軒一軒の計画の中にもそれはそごが生じるということにもなりますので、これはお願いでもございますが、まずは薬の流通、これをしっかり監視していただいて、指導していただいて、そしてこれに関しまして適切な状態というものを今後もつくっていただきたい、このように思っておりますが、この点に関して御見解をお願いしたいと思います。

外口政府参考人 医薬品の流通に関しての御質問でございますが、医薬品の卸におきましては、医薬品の供給と品質管理に関する自主基準によりまして、有効期限、使用期限のある医薬品等は、定期的な棚卸し等により、その残存期間を確認、把握し、一定期間を過ぎた医薬品等については期限切迫商品として別途管理する等の措置を講じており、一般的には、使用期限が残り半年程度のものについては十分に説明を行った上で納品する取り扱いとしていると聞いております。

 また、平成十八年三月に、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会におきまして、医薬品の品質保全または資源の有効利用の観点から、できるだけ返品を生じさせない取引の推進を求めるとともに、やむを得ず発生する返品に関しては、その発生事由及び返品に至った事情を踏まえ、当事者間で協議し対処するとした医療用医薬品の返品の取り扱いに関する提言書を取りまとめ、関係団体等を通じて周知を行っております。

 いずれにいたしましても、医療用医薬品の流通に関しては、メーカー、卸、医療機関、薬局やこれらの関係者の間での連携の問題により患者さんに迷惑がかかることのないようにということが大事だと思っております。議員御指摘のように、お互いの情報をよく交換して連携するということが大事だと思います。国としても適切に指導してまいりたいと思います。

坂井分科員 薬のメーカー、卸、そしてまた小売でもあります調剤薬局を含めた小売とうまく連携をとって、そして、どちらかが都合が悪かったり都合がよかったりということがないように、うまくやっていただきたいと思っております。

 次に、年金の記録についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 年金の記録に係る第三者委員会に対する確認申し立てというのがございまして、ここに表がありますが、今のところ、二月十七日までの累計で約四万三千弱の申請があるということでございます。これが実際に、三月末までということになりますと大体五万件程度、また、その中で既に決着がついたものも含めれば、ことしの三月末に残っている申し立て件数は大体四万五千程度じゃないか、このような話も聞いております。

 その四万五千を約一年間で大体処理したい、こういう一年間という期間と、それから、全部を処理したいという数的な目標というものをおっしゃっておられるかと思いますが、今までのペースを見てまいりますと、今までの決着済みというのが、先週の段階では三千二百十三件、今月は約九百件程度ということは聞いておりますが、平均すると数百という件数だということでございまして、四万五千という数字を一年で処理しようとすると、大体月に四千件弱と、今までに比べて大変大きな処理能力が必要だということであります。

 これはぜひやっていただかなければ困るわけでございますが、私は、また同時に、いろいろな方の御意見も聞きながら、今はまだ第三者委員会のターゲットに入ってこない厚生年金基金や国民年金基金、基金の話とか、それからまた、これから新たに勃発をするような年金絡みのさまざまな紛争事項について、付議事項等々の対応について、例えばでありますが、年金記録審判所というようなものを第三者委員会をてこ入れする形で発展的につくって、そしてそこには大幅な増員もする、そして予算もつける、そして、ほかのものも含めて年金絡みの話はそこで決着をつけるような話に持っていったらどうか、こういうアイデアも持っているわけであります。

 とにかく第三者委員会に頑張ってもらわなければいけないわけでありますが、この点に関しまして、ちょっと御意見をいただければと思います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 年金記録確認第三者委員会の処理件数でございますけれども、委員会開始直後、昨年の七月から九月の処理件数、三カ月でございますが、二百十三件でありました。これが、十月は二百八十一件、十一月は四百八十八件、十二月は五百十七件、一月は七百三十件、それから二月でございますけれども、二十二日現在で九百八十四件まで来ております。その後の処理件数を加えますと、千二百、千三百はいくのではないかというふうに思っております。

 しかしながら、今後処理すべき案件は大変累増しておりますので、このために、年金記録確認第三者委員会の事案処理の一層の強化を図らなければいけないというふうに思っております。

 まず、当面の審議の促進といたしましては、昨年の秋以来、委員を三百三十八人から五百三十八人へ増員いたしました。また、事務局職員を四百六十八人から八百七十七人に増員しております。こういう措置によりまして、審議のチーム、これは部会でやっておりますけれども、五十四チームから百十八チームにふやすなどの体制の強化を図ってきております。

 さらに、多数の申し立てがありまして処理のスピードアップが必要な、大都市を抱えます都道府県約十五カ所程度、ここにおきまして、審議チームを約五十ぐらいふやしたいということ、それから、事務局の体制強化も図ってまいりたいというふうに思っております。現在、そのようなことで関係方面にお願いをしております。

 こうした体制の強化と、また、各地方委員会におけます習熟度の向上によりまして、本年三月までに申し立てられた事案につきまして、おおむね一年を目途に処理を終えるべく大幅に処理の促進を図りたい、このように考えておるところでございます。

坂井分科員 今、第三者委員会に関してのお話を伺いましたけれども、大体一年間で三月末にあるものは処理をしたい、こういうことがございましたが、一方で、社会保険庁の五千万件の統合していかなければならない記録に関しては、時期とそういった目標というのは一切出ていないですね。きのうも聞いたところ、ありませんという話でありました。

 今、第三者委員会の話は、四万五千残っています、一月に四千程度になります、ではそのためにどうしたらいいでしょうかという話を具体的に詰めてできるわけですね。例えば、一年という時間があります、四万五千というボリュームがあります。では、できるかどうか。これは目標があり、その時期設定ができるからこそ詰めていけるわけでありますが、実際、社会保険庁の作業に関して、例えば、今御案内を送っております八百五十万件、それが一千五十万件になったのかもしれませんが、その案件に関して、どのようなスケジュール、工程でそれを決めていくのか、そして統合していくのかということに関して、時期、目標というものが一切ない。ないということは、フィードバックのしようもないわけですね。この方法がいいのか悪いのかもわからない。

 訪問しますといいますけれども、一人一人訪問をして、そうしたら一千万件の方を、では何年、いつまでに確定できるのかということもありますから、これは目標というものをしっかり出すべきではないか、このように考えております。

 ちょっと時間がありませんので、石井部長にはおいでいただいていますが、私からお願いだけさせていただきまして、それをぜひ出していただきたいな、このように考えているところであります。済みません。

 次に、新型インフルエンザに関しての質問をしたいと思います。

 先日いただいた厚生労働省の資料によりますと、新型インフルエンザの対策の一覧表がございまして、その中で、私も大変びっくりしたのが、今現状では、新型インフルエンザ、H5N1と言われる鳥インフルエンザの致死率は六割、六〇%になっています。しかし、この厚労省でつくった資料では、致死率が何と〇・五%から二%という、三十分の一の数字でつくっているわけですね。

 これは大変に基礎的な、推計をする、仮定をするときの基礎的な部分でありますから、この部分が、今現状では六〇%、それを〇・五から二%、三十分の一の小さな割合で計画をつくっても、これは実は全く意味がないんじゃないかと思うんですが、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

西山政府参考人 今の数字でございますけれども、私ども、第七回ヨーロッパ・インフルエンザ会議、国際的な専門家会議の勧告に基づきまして、国民の二五%が罹患し、致死率が過去の新型インフルエンザと同等程度だったと仮定して、さらに国内の専門家の意見を聞いて予測しております。

 先生おっしゃいますように、こうした想定にかわり得る国際的な基準が現在ないものですからそのように決めておりますけれども、鳥インフルエンザとして発生しているH5N1は強毒性でございますので、想定以上の被害が発生するという可能性もありますから、随時この数値についてはチェックをしていきたいというふうに考えております。

坂井分科員 これは逆に、こんな低い数字をもとに計画をつくってしまえば、実際起きたときには、これと全然違うもっとひどい状況が起きれば、パニックに陥りますよ。この少ない数字で想定をしていたものが全然想定どおりいかないということは、それは想定をしない方がよかったということにもなりかねないので、これは国際会議でどうのこうのということよりも、現実問題として、日本の国、我々国民が実際にどうなのかということを考えて、もっと現実に近い形での想定のもとに計画をつくっていただきたいなと思っております。

 それから、一月二十六日の読売新聞の記事を見ますと、新型インフルエンザが流行すると、お医者さんは、一七%は医者をやめると言っているんですね。それで、看護師も三一%は看護師をやめると。協力しないじゃなくて、やめると言っているんですね。

 テレビで見ましたけれども、二十三区のある区のお医者さんは、新型インフルエンザが流行しても六割の方は協力をしないと言っているということでありますから、いわば、医療従事者の方々、今いる方々でも足りない、八日間で十四万人も感染がふえるかもしれないと言われている中で、一遍に新たに十四万人の患者がふえるということが想定される中で、医療従事者が半分以下になってしまうということが今のこのアンケートから見ると明らかだ、このように考えているわけであります。

 これに関して、私は行動計画だとかいろいろなガイドラインみたいなものを幾つか持ってきてもらって見ましたけれども、今いる医療従事者がそのまま残って十分に機能するということを前提につくっていますよね。現状と計画と、ここで既にもうそごがあると思いますが、これはちゃんと現状に即した形、もしくは現状をある程度、もっとちゃんとてこ入れをして、実際に機能する形に持っていかないといけないと思いますが、その点、いかがでしょうか。

西山政府参考人 おっしゃる話は、私ども非常に深刻にとらえております。

 それで、二十年度予算におきまして、まず、医師の方々に新型インフルエンザに対する正しい知識の普及啓発を行うための研修を実施する。さらに、感染防止策を徹底するために、マスクなどの個人防護具の着用ですとか、あるいはパンデミックワクチン等の接種、タミフルの予防投与を行うこととしてございます。

 一方、地域ごとにおきましては、どの地域にどのようなお医者さんがいて、どの医療機関がこういった患者さんを診ていただけるかというようなことについて、喫緊の課題だと考えておりまして、現在、地方自治体の担当者と私どもと協議する場を設けることにしております。医師会等の協力を得て、各地域の具体的な医療体制の整備を早急に推進してまいりたいと考えております。

坂井分科員 私の実感として感じるのは、この新型インフルエンザが、インフルエンザという言葉が入っているがために、通常のインフルエンザ、ことしもインフルエンザが終えんだと新聞に書いてありますが、そのインフルエンザ、要は、風邪のちょっとひどいものとか熱が出るものというようなイメージから、一般の国民も、そしていわば自治体の関係者も抜け切れていないんじゃないかなという気が物すごくするわけです。

 ですから、新型インフルエンザという言葉自体が、私は、本当は何か新しい言葉を考えてもらった方がいいんじゃないか。インフルエンザというと、今ある通常のインフルエンザを想定しまして、風邪のようなものじゃないかみたいな話しかないかと思いますが、これは致死率六割、インドネシアは八割ですよね。これだけかかった人が死んでしまう病気というのは大変恐ろしいものでありまして、これは物すごく脅威なんですが、その脅威が自治体関係者にも国民にも十分伝わっていない。伝わっているのは、調査から見てわかるように、医療従事者の方だけにはしっかり伝わっているということだと思います。このままいくと間違いなく、パンデミックになったらパニックにならざるを得ないと思うんですね。そのためにはもっと、まず地方自治体の方々にもちゃんとした広報であり、そして啓発活動をしていただきたいと強く思うわけです。

 それともう一つ、このガイドラインというか行動計画を見ておりますと、パンデミックになっても、日本の行政の機能だとか、各種の例えば事業所の機能だとか、また通常の一般の企業の活動だとかというのが基本的にはそのままちゃんと機能しているんだということを前提につくられている気がするんですね。

 ところが、多くの人が感染しないためには自宅から出ちゃいけない、こもりきりになりなさい、こういうような話になった場合に、自宅にこもっていたら企業に行く人がいなくなる、行政、自治体に行く人もいなくなるわけです。そういう状態も当然想定されるわけでありますから、例えば公共交通機関にしても、役所にしても、その他の施設にしても、企業さんにしても、要は機能が十分果たせなくなるということも想定した上でのシミュレーションというものももっと真剣にやり、それをちゃんと自治体の担当者、そして国民にも伝えるということが必要だと思いますので、それも強く希望いたしますが、その点に関して一言コメントをお願いします。

西山政府参考人 幾つか御質問ございました。

 まず、現在ですけれども、私ども厚生労働省のホームページにおきまして、新型インフルエンザといいますか、鳥インフルエンザの発生状況等についての情報提供、QアンドAを配して正しい知識の普及、それから、個人、企業レベルでの感染予防の周知等々を図っておりまして、次年度の二十年度予算におきましても、ポスターやDVDを用いた普及啓発の経費を計上しております。やはり効果的に普及啓発する必要がありますので、趣向を凝らしていきたいと思っております。

 二点目の、地方自治体との関係ですけれども、簡潔に申し上げれば、国が行動計画をつくりましたので都道府県も行動計画をつくってくださいというようなことで、首長さん方にもしっかりやっていただきたいということとか、あるいは対策本部の設置を要請しております。このような形で、各都道府県についても対策が進むように、また地域住民の方々に対しましても正しい知識の普及が図られますよう努力していきたい、かように考えております。

坂井分科員 最後になりますが、今お話があった中にも、例えば地方自治体に指導するといっても、何をどれだけどうしろということをやはり具体的にちゃんと国の方で計画して伝えないと、地方自治体の担当者も、国の方もそうかもしれませんが、要は体験をしたことがないことでありますので、想像の中でしか対応できないわけですから、具体的にこれをああしろ、こうしろという形でちゃんと国と連携をとって、まずそれは指導をしていただきたいな、このように思います。

 地方自治体に行動計画をつくれ、こういう指示をするときも、今私が指摘をさせていただいたように、要は、すべての、例えば役所も公共交通機関も企業もみんな機能しているんだ、物流もちゃんと動いているんだ、こういう前提で行動計画をつくるのではなくて、そういうものが十分に動いていない、三割しか動いていない、二割しか動いていないということも想定した上でその行動計画をちゃんとつくっていかなければ現実に即したものにはならないということも十分留意して指導をしていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

森主査 これにて坂井学君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

菅原主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。

桝屋分科員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 舛添大臣には大変御苦労さまでございます。なかなか私は厚生労働委員会に入れないものですから、やっとお目にかかることができました。きょうは限られた時間でありますが、大臣にも議論を聞いていただきたい、こんな思いで二題ほど議論をさせていただきます。

 一点は生活保護制度、それからもう一点は心身障害者扶養共済制度、いずれも私ども公明党の三千人おります地方議員から具体的事例として挙げられたものでありまして、分科会で議論するのが一番ふさわしい、こう思いまして、きょう持ち込んだ次第でございます。

 一点目が、生活保護制度に係る特別基準の取り扱いでございます。

 生活保護、とりわけ医療扶助の問題なんですが、医療扶助につきましては、特別基準も設定できるとされているわけであります。もちろん医療扶助の適用は、当然ながら国民健康保険の診療方針あるいは診療報酬の例によるというふうにされているわけでありますが、健康保険の対象となっていない治療行為、医薬品の投与は医療扶助の対象にならないというのがまず基本の考え方、その上で、主治医の正しい診療方針あるいは当該福祉事務所の嘱託医あたりなどの検討を経て、生命の維持に直接かかわるような場合は、国民健康保険の診療方針あるいは診療報酬の例と異なる取り扱い、いわゆる医療扶助の特別基準でありますけれども、この設定もできるのではないかと私は思っている次第であります。

 具体的な事例が実はございまして、病名が多発性骨髄腫の治療であります。もちろん、生活保護受給者の中で現にあるケースでありまして、多発性骨髄腫の治療で、何か、現場の状況を聞きますと、北九州の方でありますけれども、中国地方の遠いところまで治療を受けに行っておられる。当然ながら、福祉事務所もそうしたことは理解をしていただいているようでありますが、治療で、サリドマイドを使う治療、これを主治医が行いたいということで、先ほど申し上げた嘱託医の議論も経て、福祉事務所から、恐らく大臣協議ということで特別基準の設定が協議されたのではないかと思っております。

 ところが、結論としては、これは昨年の事例のようでありますが、特別基準が認められなかった、こういう経緯があるようでございまして、その理由をまずお示しいただきたいというふうに思います。

舛添国務大臣 桝屋委員、既に御承知のように、国民健康保険の適用になるためには、安全性、有効性ということに関しての科学的評価が一定のものがなされなければならない。

 サリドマイド、これはかつて大変な薬害を引き起こしましたから、そういうこともありまして、今、そういう意味での国民健康保険適用ということになっていない。なれば、当然、生活保護世帯に対して問題なく使うことができるわけでありますけれども、今まだ、治験を含めて、医薬品としての品質、有効性、それから安全性が確認されていないということで、それでまだ製造販売の承認が行われていない。

 そういう段階で、今委員御指摘の特別基準に設定することが可能かどうかということに関して、むしろこれは、その有効性や効果、その安全性、品質、こういうものをもう少し、できるだけ迅速に審査をしていただいて、その上できちんと健康保険適用ということになって、そうすれば、生活保護を受けておられる方々も何の問題もないので、今、一応そういうプロセスにあってこういう決定だということを御理解願いたいと思います。

桝屋分科員 ただいまの大臣の御説明は、医療扶助における特別基準、これについては、やはり大前提として、効果が実証されるものだということでありますけれども、有効性、安全性が立証されているかどうかということを大臣がおっしゃいましたけれども、この多発性骨髄腫、特に、何か女性か、どっちが多いのかは僕も専門家でないからわかりませんが、とりわけ高齢化によって、加齢によって出てくるケースが高いみたいでありまして、高齢化の中で患者数も徐々にふえているという情報もありますし、それから、強力な血管新生抑制剤ということでアメリカあたりでは相当その有効性は確認をされているというようなこと。ただ、大臣がおっしゃるように、さすがにサリドマイドということでありますから、そこは慎重な議論が必要だということも理解できなくはないのでありますが。

 私は、医療というのはやはり主治医の判断が一番だろうと。当然ながら、主治医も、生活保護のケースということもあり、他法優先という精神も当然わかった上でいろいろ治療をされているんだろうと思いますが、ほかに方法がない、ぜひこの患者にはサリドマイドを使いたいという主治医の診療方針というものをお立てになったということは、それが事実であるわけでありますから、であるとするならば、確かに有効性ということは大事でありますが、サリドマイドの製造販売、確認しましたけれども、十八年八月には既に承認申請が行われているということで、大臣がおっしゃった、本当に有効性、安全性ということが問題なのか、薬が薬だけに、流通管理等の問題もあって、その辺を団体同士でしっかり議論しているという状況があるのではないかと私は思っているんです。

 であるならば、生活保護、すべてが整ってからだということではなくて、少なくとも主治医が判断をし、そして福祉事務所の嘱託医がこれは必要ではないか、恐らく県も絡んできて協議をされて、では大臣協議しようということで上がってきた経緯があるのではないかと思うんですね。

 ということであれば、まずは、有効性とか安全性ということをおっしゃらずに、本当に必要性、主治医の判断というものを優先させて、特別基準の検討をしていただいてもいいのではないか、私はこう思うんですが、改めて大臣の御所見を伺いたいと思います。

舛添国務大臣 個々の、本当に困られている患者の皆さん方にとっては、本当にこれは命綱だろうというふうに思います。

 ただ、先ほど委員がおっしゃったように、これから高齢化に伴ってふえてくる。そうすると、有効性があるから恐らく医師は使っている、安全性の確認ということ、特にサリドマイドという、昔のことがありますから、いろいろなガイドラインを厳しく、都道府県を通じて、医師が使用するときは、例えば妊婦に対しては一定の基準を満たしてくださいというようなことをきちんとやってはいるわけですけれども、高齢化に伴って患者がふえていくのは、やはり正当な道は、きちんと保険で適用できるようにする、そして承認の上、ガイドラインを決めて、お医者さんに対しても、使い道はこうだろう、そういうことが基本的に踏むべきステップだというふうに今考えていますけれども、委員の御指摘も今ございますので、何か知恵を働かせてできないか、ちょっと検討させていただきたいと思います。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 余り激しく言うつもりもないんですが、恐らく、主治医がそこまで判断をされた背景には、当然我が国で製造承認されていないという薬でありますから、院内で倫理委員会等を行い、恐らく院内の態勢は主治医としておつくりになっているんじゃないかというふうに思いますし、ベルケイドとか代替薬もあるようでありますけれども、この方の場合は、神経症状が出たりして、やはりどうしてもサリドマイドを使いたい、こういうケースだろうと思うんです。

 恐らく薬等でこの例外を取り扱ったケースが、生活保護の特別基準ではないんだろうと思うんですね。したがって、第一歩は何としても守りたいというのが役人の心情でありますけれども、特別基準まで上がったものが、その一点で、製造承認されていないという理由ではねられるというのはいささかつらい話だな、私はこう思っておりまして、大臣、知恵が出るかどうか、ぜひとも現場の福祉事務所の判断を大事にしていただきたいなと。

 その方は、今現に生活保護を受けながら通院して、場合によっては入院されているケースもあるようですが、そして薬をお使いになっている。これは、生活保護上、扶養義務者の支援等がされているのか、そして、遠くから通院されている、その通院費についても福祉事務所も認めておられるようでありますから、私は、よほどの必要性があるんだろうなというふうに思っております。

 生活保護の運用は、やはり担当ケースワーカーがさまざまに知恵を出して取り組まれているわけでありますから、そうした努力を何とか、初めての事例だからだめだというようなことではなくて、これを大臣に御答弁いただくというのは本当に私も心苦しいのでありますけれども、こうしたこともあるんだということはぜひ御理解をいただきたいと思いますが、大臣、何か御発言ありますか。

舛添国務大臣 生活保護に伴う医療扶助というのは、公費で賄われている。それだけに、きちんと説明が可能でないといけないと思います、国民の税金ですから。ですから、今おっしゃったような社会福祉のケースワーカー、こういう方々の意見も賜って、このケースについてどういう形で対応できるかはちょっと検討させていただきたいと思います。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 もうこれ以上申し上げませんが、まだ一言、大臣の今の御答弁を聞いて、生活保護ですから、やはり国民の皆さんに理解をいただかなきゃならぬというのはよくわかります。よくわかりますが、福祉事務所が被保護者の味方にならなかったら、患者の味方にならなかったら、これは味方がいないのでありまして、もちろん国民の理解というのは絶対必要でありますが、私は、厚生労働行政、やはり一番大変なところにいらっしゃる方の立場に立つというお気持ちは大臣の中に持っていただきたいなとお願いを、私ごときが言うのも恐れ多いのでありますが、そんな感じがいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

 残された時間、もう一点議論したいと思います。

 心身障害者扶養共済制度の運用上の問題であります。これも、予算委員会全体よりも分科会で議論することがふさわしいと私は思って、きょう取り上げさせていただきます。昨年暮れに一般紙などで報道されております。と同時に、私ども公明党にも、地方議員から党中央に意見が寄せられまして、何とかしてもらいたい、こういう声が寄せられた案件であります。

 障害者の親亡き後の所得保障ということで、地方自治体の制度として始まり、それを全国的に展開されたこの扶養共済制度でありますけれども、残された障害者あるいはその家族などが制度を十分理解されていないということがあって、請求をされなかったということで、年金の一部を受け取れないというような事実があったということで報道されております。

 まずは、厚生労働省が把握している実態というものを教えていただきたいと思います。

中村(吉)政府参考人 お答えいたします。

 心身障害者扶養保険制度につきましては、都道府県、政令指定都市が条例に基づいて実施しておる保険でございまして、独立行政法人福祉医療機構が再保険を実施しております。障害者の保護者が生存中に保険料を支払い、保護者が死亡された場合などに、障害者に対しまして終身年金を支給する任意の制度でございます。制度の実施主体である都道府県知事あるいは市長に対しまして年金給付請求書を提出することによりまして、年金を受け取る仕組みとなっております。ちなみに、平成十八年度末の受給者数は三万七千六百九十一人というふうになっております。

 お尋ねのございました請求がなされていない状況でございますけれども、平成十六年六月に独立行政法人福祉医療機構が調査したものによりますと、加入者の死亡から調査時点までに請求がなされていない者が四百十八人、そのうち、死亡から三年を超えている者が百四十七人。四百十八人に対しましては三五・二%となっております。

 なお、請求が加入者の死亡時から三年を超えてなされた場合におきましても、請求月以降の年金が支給されるほか、過去三年分の年金も満額支給される取り扱いとなっております。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 せっかく大臣が御出席でございますから、もうちょっと現状をお話ししますと、我が党内で三千人の議員と実は議論してみました。その中で出てきたいろいろな、この心身障害者扶養共済制度について、例えば、今代議士の秘書をしている方から直接メールをいただいたんです。

 その方も身内に障害者がいて、兄弟が障害者だという方でありましたけれども、この方は、お父さんが、亡くなられたのじゃなくて寝たきりになられて、いわゆる重度の障害ということですから、この共済年金の対象になるんだろうと思います。お父さんが寝たきりになって病院に入っておられる。その間に、長い入院になるので、身辺整理をした。その中で、たまさかこの証書が出てきたということで、これは何かいなということで、その方は、ふだん余りお世話していなかったものですから、お父さんに任せ切りの御兄弟の障害者、障害児の方のようですから、ふだん余り関心がなかった。その中で、たんすを整理していたら出てきたということで、これは一体何だろうと。では、どうすればいいのかなと。

 よく考えれば、父はもう重度障害者になっているということであれば、これは何らかの手続をしなきゃいかぬなと。手続をするために、さまざまなところに相談に行ったらしいんです。ところが、心身障害者扶養共済制度の仕組みや手続について、なかなか的確に教えていただけない。ましてやお父さんが寝たきりということであれば、その診断書をどうするのかとか、まずは年金管理をどうするんだとか、さまざまな、何度も何度もやりとりをしてやっとその制度の全容がわかったということで、これは、今年金制度で随分問題になっていますが、まずそこは、余り理解されていないなということで、この扶養共済制度、年金管理者をきちっと設定するとか、待つのではなくて、やはり行政側からアプローチをするという仕組みも大事かなと。

 ところが、私も現場をよく回って聞くんですが、心身障害者扶養共済制度の担当というのはなかなか、それ専任でいるという状況でもない。本当に今、障害者自立支援法等もあって、支援費から自立支援法ということで、現場は大変でありまして、この共済制度までしっかり所管をするという、今そういう状況でないという窓口の状況もあるんだろうと思うんですが、そんなことも聞かせていただいております。

 同時に、この制度、近年の運用利回りの低下とか、あるいは障害者の受給期間が長くなっているというようなこともあって、将来の年金の支払いが難しくなっているという状況がありまして、改めて、国あるいは都道府県、指定都市で二十七年度まで財政負担するということが、方向が決められて、今、全国の都道府県、政令市で、条例等の手当てを議会でするという段階にあろうかと思うんですが、せっかくの機会であります。

 先ほどの御説明では、請求がおくれた方々の中で、三年まではさかのぼるのでありますが、三年以上はさかのぼらない、いわゆるそこは未支給になるわけでありますが、未支給という言い方がいいかどうかでありますけれども、そういう方々が三五%あるということは放置できない状況ではないのかなと私は思っておりまして、何らかの改善策をぜひとも検討してもらいたい、請求がおくれてしまった者への対応、救済について御検討いただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

中村(吉)政府参考人 お答えいたします。

 本制度につきましては、独立行政法人福祉医療機構におきまして、毎年度、実施主体である都道府県、政令指定都市に対しまして、加入者等の現況確認を依頼し、必要な手続を促すなど、年金請求の遅延防止に努めておるところでございます。また、年金の受給者が障害者であることも踏まえまして、障害者にかわって年金を受領し管理する年金管理者を指定できる仕組みとしておるところでございます。

 しかしながら、本制度の受給者は知的障害者等の障害者であり、また親族等も加入を知らない場合もあることから、年金請求がおくれる事例が生じているという課題があることは承知しております。

 今後は、毎年度、地方公共団体が実施しております加入者等の現況確認を一層徹底し、請求おくれを極力防止するとともに、お話のございましたように、やむを得ず三年を超えて請求がおくれた方々に対する年金支給のあり方につきましては、関係者と協議をいたしまして、本制度の中でどのような対応が可能なのか検討してまいりたいと思っております。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも検討していただきたい、何とか救っていただきたいなと切実に思う次第でございます。

 今御説明がありましたように、年金管理者も、全部年金管理者が設定されているわけではない状況だろう、そんなに割合として高くないと思っていますが、今、手元に情報はありますか。どのぐらい年金管理者が扶養共済制度であるのか。

中村(吉)政府参考人 四割ぐらいのケースについて設定されていると承知しております。

桝屋分科員 ですから、残りの六割の方は年金管理者がないわけでありまして、先ほど私が事例としてお示ししましたように、せっかく親亡き後ということで保護者が一生懸命掛金を掛けてきたケース。その親が、突然の事故やいろいろなことでお亡くなりになる、あるいは重度の障害者になると、その部分が、残された方、年金管理者がある方はそこは整理をされるんでしょうが、そうした対応。これはやはり、特に知的障害者ということを考えますと、言ってくるのが筋じゃないですかと言うのはさすがにつらい気がいたします。

 それから、実際に報道の経緯になったことについても、中央から各都道府県、指定都市に現況確認ということをお願いしているんでしょうが、これがきちっとなされていなかったという事例もあるようであります。そこは注意喚起というようなことではなくて、これがそれぞれの都道府県の条例でやられているものでありますから、そこは本当に難しいなと思うんですね。そして現場は大変忙しいということでありますから、ぜひともこの実態を何とか改善するという方向で、そういう気持ちを持っていただいて、検討をお願いしたいと思いますが、重ねて部長の答弁をいただきたいと思います。

中村(吉)政府参考人 心身障害者扶養保険制度につきましては、先ほども御答弁申し上げたとおり、加入者等の現況確認の徹底や年金管理者の活用などによりまして、まずは請求漏れを極力防止していきたいというふうに考えております。

 また、やむを得ず三年を超えて請求がおくれた方々に対する年金支給のあり方につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、関係者と速やかに協議をいたしまして、本制度の中でどのような対応が可能なのか、結論を得てまいりたいと思います。

桝屋分科員 せっかく大臣が本席におられますので、話を聞いていただいたと思います。ぜひとも、障害者の皆さん方、この声がなかなかあの年金のように大きな声にならない。これはまさに障害者の団体の皆さん方の特徴だろうと思っておりまして、現場から、公明党の地方議員団からこれは何とかしてもらいたいという声でありますから、ぜひとも大臣自身も見守っていただいて、検討を前に進めていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

菅原主査代理 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。

 次に、冨岡勉君。

冨岡分科員 委員長、どうもありがとうございます。

 それでは、私の方から二点について質問をさせていただきます。

 まず、鳥インフルエンザ対策は大丈夫か、パンデミックは起こらないのかというタイトルでございます。

 御案内のように、鳥インフルエンザ、昨年は、トリ・トリ型の感染が起こって、宮崎それから岡山というところで大量の鶏というのですか、養鶏場がやられまして、多数を埋めたりしなくちゃならないようになったわけなんですが、我が国のすばらしい防疫体制、農林水産省が直ちにこの対応をしまして、それから拡大に至らなかった、大変幸いなことでございました。我が国の防疫体制のすばらしさを一面では見せたのではないかというふうに思っております。感謝申し上げます。

 ただ、ヒト・ヒト型については今のところ発生は起こっておりませんが、H5N1タイプのウイルスの人から人への感染が非常に危惧されておるわけでございます。

 そこで、まず、H5N1タイプのウイルスというのは、今、国民にわかりやすく言えば怖い順というのですか、第一種、第二種、第三種、第四種と、感染性あるいは例えばテロリストに渡るのを防ぐために、そういった危険な細菌とかウイルスを分類している基準があるんですが、現在のところ第四種ということで位置づけをされているんです。

 例えばこれを、わかりやすく、新種ができた場合に、やはり四種のままでいいのかどうか。扱いとしては、やはりこれは危険なものとして、場合によっては一種あるいは二種としての取り扱いをするべきではないかというふうに私は考えるんですが、その点に関しまして当局の御見解を伺いたいと思います。

西山政府参考人 今の御質問ですけれども、病原体の管理については、平成十八年の感染症法の改正で盛り込まれております。この法律改正は生物テロを意識した改正でありまして、現時点では、新型インフルエンザウイルスについては、飛沫感染により感染するものでありまして、病原体をばらまくようなテロに使用される可能性は低いと考えていまして、四種に位置づけております。

 病原体の規制につきましては、国民に対しまして健康影響を及ぼす可能性があるものを対象としていまして、今申し上げました生物テロを含む人為的な健康被害の可能性、あるいは安全管理の必要性等を考慮しまして分類をしております。

 以上のことから、四種の病原体として位置づけております。

冨岡分科員 その感染力とかそういったものは確かに、四種というのでしょうか、最初はですね。ただし、最初というよりも、一般に、パンデミックが起こったらどこでもいるわけだからそういった怖さというのはないんですけれども、初期の段階、つまり、ヒト・ヒト型が起こるのは、多分、インドネシアあるいはベトナムそして中国あたりのウイルスの変異によって、恐らく鳥が運んだり人が海外旅行から持ち帰る、そういう状態になると思います。

 したがって、その時点での取り扱いというのは非常に注意を要する時期が当然あるわけで、それを同じような分類によって四種のままでいいのかというのが、私自身、非常に危惧するわけであります。

 したがいまして、これは国民のためにも、あるいはそういった扱う施設の管理状態にしても、十分にその疑いがあるときは、恐らく、患者が発症して病院に行って、そのウイルスの同定、PCRという手段でそれを同定するわけですけれども、その時点で確定した場合には非常に注意を要する、隔離政策等が行われるべきだと思っておりますし、その菌体というか、ウイルスの検体自身も十分な取り扱いをしないと、やはりこれを水際で防ぐことはできないのではないかと思いますけれども、こういった危惧に対して、そのままでいいのかどうか、もう一度ちょっとお答え願いたいと思います。

西山政府参考人 確かに先生の危惧は十分理解できるわけですけれども、現在、一種病原体とされていますのは、いわゆる天然痘の痘瘡ウイルスですとか、過去に使われた可能性のあるものというようなことで、非常に各界専門家が心配しているものを一種として位置づけております。

 やはり、私ども、新型インフルエンザはこれから当然起こり得るものと想定しておりますけれども、生物テロに使われる可能性については、先ほど申し上げたようなことで、現時点ではそう高くないだろう、このように考えておりますので、四種にしております。

冨岡分科員 ちょっと世間一般とのずれ、テロという観点からと、感染力とかそういった恐怖を与える検体というのでしょうか、ものとして、どちらが怖いかというと、初期の段階では私は新型の方が嫌だなというふうに思うので、そういった質問をさせていただきました。

 十分国民にわかるように、あるいは検査室そして医療関係者にも十分そこら辺を認識させて行政を進められることを望みます。

 それから、海外から新型のインフルエンザが国内に侵入する経路としては、先ほど申しましたように、人が体内にウイルスを抱えて持ち込む場合が一点と、あるいは鳥がこちらに飛来してそこから感染が起こるということですが、国の防疫体制につきまして、空港それから艦船等、そういった防疫体制に不備がないかどうか。もし不備があるとしたら、現在の体制でどういうことが危惧されるか。いろいろな冊子で読ませていただくと、いろいろな対応は書いてありますけれども、今までのところ完璧かどうか、お考えをお聞きしたいと思います。

西山政府参考人 水際対策は非常に我が国は重要でございまして、主なポイントだけ申し上げますと、平成十八年六月二日でございますけれども、インフルエンザH5N1を検疫感染症に定め、発生国からの入国者に対しまして、まずサーモグラフィーを活用した体温計測、それから発熱等の症状のある入国者に対する診察あるいは検査等の措置を行うというようなことで、人に対する検疫体制を強化したというのが一点でございます。

 それから、もう一点でございますけれども、これは各省庁絡みまして、新型インフルエンザ対策行動計画に沿いまして、発生国から来る航空機及び船舶についての運航自粛を要請する、あるいは、来航する場合には、検疫実施場所を集約しまして、機内検疫の実施、あるいは感染が疑われる者の停留、患者の隔離、このような措置を実施することによりまして、可能な限り国内への侵入をとどめられるよう水際対策の強化を図っているところでございます。

冨岡分科員 それは、入ってきてからの防疫体制を今お述べになったんですけれども、もちろんそういう体制が必要であることはもう十分理解しています。

 そこで、恐らく国内で新型が出てくるというようなことはちょっと考えにくいので、海外からということになると思います。となると、海外のそういった診断、新型H5N1亜型が出てきたりして、そこでウイルスの同定、PCRをかけるわけですけれども、そういった協調体制、つまり、国内ではなくて国外での診断、それから、例えばもうそこで発症した人たちに対する治療とか、あるいは、いち早く情報を入手して、WHO経由でも構いません、そういったワクチンの製造等を行うべきではないかと思います。

 幸いに、我が国は新興・再興感染症研究拠点形成プログラム等により、例えばインドネシアでは神戸大学がそういった施設を持ち、ベトナムのベトナム国立衛生疫学研究所ではP3施設を備えた施設がもう既に稼働しようとしております。そういった施設と連携をとりながら、いち早く診断、さらにはその防疫体制、さらにはワクチンの製造等を進めるべきではないかというように考えますが、そういった連携する体制、中国を含めて、それはどういうふうにできておるんでしょうか。また、どのようにお考えでしょうか。

西山政府参考人 お尋ねの国際的な、特にアジア地域におきます情報交換は極めて重要でございます。

 御指摘の海外研究拠点につきましては、文部科学省ですけれども、新興・再興感染症研究拠点形成プログラムというようなことで、各大学が、神戸大学、長崎大学を中心に検査体制の強化、あるいは封じ込め技術の強化等の協力を行っているものと承知しております。

 私ども厚生労働省の方では、国立感染症研究所におきまして、中国、韓国、ベトナムの同じような研究所と研究協力協定を結んでおります。

 具体的にどのようなことをやっているかということで、一言二言例示を示せば、まず、中国CDCとの覚書の締結ということで、多くの感染系の専門家の招聘ですとか、あるいは日中韓の三機関の合同シンポジウムを開催する、あるいは台湾CDCとの共同シンポジウムの開催、あるいはベトナムでのJICAの新規プロジェクトの開始というようなことで、さまざまな研究、国際的な交流が現在活発化してきているというようなところで、私どももそういった情報を極力得るように努力をしているつもりでございます。

冨岡分科員 大変アクティブな活動だと僕は思います。

 実は、先般、メコン議連、そしてメコン外相会議というのが行われまして、その席でもこういった、例えばメコン外相会議では、メコン川流域の各国の共通の課題として、衛生面、それから環境問題、そして交通の問題等と並ぶように、こういった感染症、麻薬の問題等がクローズアップされております。

 ぜひ、我が国はそういったネットワークをもう既に構築しておりますので、もちろんWHOとの共同というのでしょうか、そういった早期の診断、そして治療等は必要だと思いますけれども、我が国独自のやはりそういったネットワークもさらに構築を進めて、このパンデミックが起こらないような防疫体制をお願いしたいと思っております。

 もう一つ、タミフルというのが、二千八百万人分ぐらい備蓄しておるようですけれども、この薬価が結構高いのです。ちょっとこれは質問条項になかったかと思いますが、これの薬価引き下げなんかがやはり言及されているようですけれども、具体的にどこら辺まで話が進んでいるか、あるいはどういうふうにお考えか、もしわかれば教えていただけますか。

西山政府参考人 タミフルの薬価でございますが、ちょっと私、現時点で知り得ておりませんので、保険局で調べて、また御報告させていただきます。

冨岡分科員 では、また後日よろしくお願いします。

 それから、次の質問をさせていただきます。

 被爆体験者は被爆者だという質問でございます。恐らくこの部屋におられる方も、被爆体験者というのは一体何なんですかねというふうにお思いになる方もおられるかと思います。長崎にはそういう認定をされた方がおられます。

 その件についてですけれども、まず第一の質問は、西山局長、今、原爆症認定ということで非常に御尽力いただいて、かなりのスピードと、それから、その認定患者の拡大というんでしょうか、それが実現しつつあります。大変ありがとうございます。それで、まず、原爆症の認定基準は広島と長崎で異なっていますかという質問なんですけれども、一応、答弁としてお願いしたいと思います。

西山政府参考人 もう先生十分御承知のことでありますけれども、原爆症認定基準の見直しにつきましては、総理の指示のもとに、昨年末の専門家による検討会の報告、それから与党PTの報告書、御提言を受けまして、現在、原子爆弾被爆者医療分科会において検討していただいております。

 ことしの二月二十五日開催の分科会におきまして、新しい審査の方針、仮称、案でありますけれども、この原案が審議されております。もう御存じのとおり、この原案の中で、広島と長崎で異なった取り扱いをするというようなことはございませんので、そのような取り扱いにしていきたいというように考えております。

冨岡分科員 一言で言うと、差はありませんということだと思います。

 それでは、被爆者援護法による被爆者の定義や認定基準は広島と長崎で異なっていますか。

西山政府参考人 これにつきましても、異なっておりません。

 つまり、被爆者援護法によります被爆者の定義でございますけれども、四つ基準がございます。原爆が投下された際、当時の広島市、長崎市など一定の区域内にいた者、あるいは、もう御存じだと思いますけれども、原爆が投下されてから二週間以内に一定の区域内に立ち入った者等でございまして、広島、長崎でこれは異なるものではないというふうに考えております。

冨岡分科員 それでは、被爆体験者というのは、定義と、それともう一つ、広島に何人、長崎に何人、今認定されているんでしょうか。

西山政府参考人 被爆体験者ということでございますけれども、これは被爆体験者精神影響等調査研究事業の対象者でございます。この事業は、原爆投下当時、長崎の一定区域におり、現に被爆体験による特定の精神疾患を有する者を対象としておりまして、平成十九年十二月末現在で七千百八名となっております。

 この研究事業でございますけれども、広島にはございません。特に長崎県と長崎市が被爆地域の指定拡大の要望をしてこられまして、この要望の対象となった地域におきましては、原爆放射線による健康影響は認められないと科学的な結論が得られたために、対象地域の住民について、被爆体験による心理的影響に着目した証言調査報告が取りまとめられたということであります。この報告書をもとにした制度でございますので、現在、長崎のみの事業となっております。

 以上でございます。

冨岡分科員 そこからがちょっと理解ができないようなことになっていくんですね。

 要は、被爆者援護法のもとでやられている長崎と広島の政策に差異がある。何でそうなったのかというのが非常に、広島の人は知らないかもしれませんが、長崎の人にとっては不可解きわまりない状態であります。今までの認定基準、原爆症そして被爆者手帳を交付された人たちのクライテリアというか、診断基準というんでしょうか、認定基準というんでしょうか、それは全く、若干の違いはありますが、ほぼ大筋で一致しています。

 ところが、被爆体験者というのは後で取ってつけたような制度で、それも長崎に限定しているという非常に矛盾したような制度設計になっていることを、まず私たちは認識しなくてはいけないと思います。

 お手元の資料をちょっとごらんください。もう皆さん方は御存じの方も多いかと思いますが、資料の一枚目が、長崎が原爆症と認定した、その色分けで時間系列を示しているというふうに理解してください。

 ピンク色が、第一期というんでしょうか、昭和三十二年、これは行政単位なんで爆心地より十二キロ以遠の方も認定されています。次に、四十九年に拡大されます。水色。そしてグリーン。そして最後に残ったのが、この黄色の健康診断特例区域というのが、この体験者が居住されている十二キロ円のことになるんですが、このように順次拡大していった最初のボタンのかけ違いというのが、行政単位ごとにやってしまったということで、これが今もって尾を引いているというふうに私自身は理解するわけでございます。

 それがあって、平成十四年に、当時の森首相、十三年に長崎に来られたときに、これはおかしいじゃないかということで、一たんは、言葉が悪いんですが、被爆体験者という名前はそのとき使われなかったと思うんですが、認めてあげなさいよということで、この見直しが決まりました。

 ただ、御存じのように、PTSDですね、ポスト・トラウマティック・ストレス・ディジーズ、そういった外傷性の心因によるストレスによって症状が出ている、そういう理解のもとで、この被爆体験者支援事業というのが出てきたわけでございます。

 そこまでは僕はよかったかなと思うんですが、残念ながら、財政再建のさなかでございまして、次の次の年、平成十六年に見直しに入って、最初、この被爆体験の記憶と放射能の不安があれば認められていた方たちが、どちらかでよかったんですが、こういう被爆体験の記憶と、かつ放射能の不安を覚える方たちに限定支給されまして、それから漏れた、つまり医療受給者証を召し上げられたというんでしょうか、支給ができなくなった方たちが二千数百人出てきたわけでございます。

 現在、それに対して訴訟が起こっております。恐らく判決が出るのは相当先のことだと思いますけれども、この経過についてお考えがございましたらお伺いしたいんですが、その前に、広島型と長崎型の威力はどっちがどれくらい強いか、ちょっと御説明いただければと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 広島型、ウラニウムであります。爆発エネルギーとして、TNT火薬十五キロトン分、長崎はプルトニウムで、TNT火薬二十一キロトン分となっておりまして、爆発エネルギーとしては長崎の方が大きいと承知しております。

冨岡分科員 はるかに強いんですね、長崎の方が。

 そして、何でこういう地図上の指定地域が出てきたかというと、明らかに山で遮へいされたという理由からこういったものが出てきたというふうに考えられるわけなんです。

 ただ、六百メートルぐらいの上空で爆発しております。火球が恐らく三百メートルぐらい、例えば三百メートルがこれだとすると、山は金比羅山と稲佐山というのがあるんですが、両方とも三百メートル台なんですね。三百三十三メートル、三百六十六メートルなんです。つまり、それを超えて、我々が言うところの西山地区に放射線が当たったというのは、もう紛れもない事実で、その後、広島と同じように黒い雨が相当遠隔まで降っています。

 そういったことがもとになって原爆症認定問題も見直しにかかったわけなんです。つまり、三・五キロ以内の被爆あるいは百時間以内入市被爆者とかというのが、いろいろな条件が緩和されて、原爆症も認められるような流れになってきています。

 当然、そういった一つの診断基準が変わっていけば、残留放射線とか内部被曝の問題等を含めた見直しというふうに理解をしておりますので、この被爆体験者というのは、当然、診断基準それから距離的なもの等も見直しに入るべきだというふうに私は思うわけなんですが、まず、その点につきまして御見解を伺いたいと思います。

西山政府参考人 この制度でございますけれども、制度発足後、専門家から成る検討会において事業の検証を行ったところであります。先生も御存じのとおり、そのときに、精神的疾患の治療の必要のない方が対象となっていたとか、あるいは対象外の疾患にまで医療費を負担していたというような問題点が判明したために、事業の本来の趣旨を踏まえまして、平成十七年度に事業の適正化を図る観点から見直しを行いまして、約三千百名の方が対象外となったわけであります。

 これに対しまして、地元の方々からの要望を受けまして、平成十七年の事業の見直しの結果、非該当となった方に対しまして精神科医による再検査を行う、こうした対応を行いまして、約九百人の方が改めて対象となったというような状況でございます。

冨岡分科員 そこも存じ上げた上での質問なんですが、現にこういった見直し作業、全体にわたって原爆症は行っています。当然、私自身思うのは、ある部分だけが変わったら全体の見直し作業に入らないと、またそこに矛盾が生じる可能性が非常に高い。制度設計上そういうふうになるわけです。

 現場というんでしょうか、長崎の方では、そういった意味で被爆体験者の方たちが訴訟を起こされたわけなんです。ただ、それが、多くの方たちは被爆体験者は被爆者だというようなものを求めておられますが、一部というんでしょうか、半々ぐらいなんでしょうか、現地でいろいろな声を聞いてみますと、もとの十四年の制度にとにかく戻していただけないかというような声が非常に強く、多うございます。

 その点について、局長さん初め当局の皆様方が今後どのような対応をとられるのか、あくまでも訴訟を受けて立つというんでしょうか。どのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせ願えればと思います。

西山政府参考人 この点につきましては、予算委員会でも、私ども、大臣からも答弁いたしました。

 さらに何らかの対応が考えられるかどうか、長崎県・市の要望もお伺いしつつ、また本日、先生の御指摘もございますので、引き続き検討をしてまいりたいというふうに考えております。

冨岡分科員 市も県も、この点に関しましては、強い要望書を私の方もいただいています。訴訟の相手は国、県、市なんですけれども、市も県も、やはりこれは、最低というんでしょうか、少なくとももとの制度に戻していただきたいというのが今のところの考えだと聞いておりますので、そういった意味で、訴訟の行方はわからないにしても、制度設計上やはり早急にもとの制度に戻して、それから、やり方としては司法の判断も仰がなくてはいけないのかなと思います。

 個人的には、被爆体験者は被爆者だというふうに私は認識しておりますので、そういったことを勘案されて、どうぞ、国民、被爆者のための行政を行っていただきたいことを要望して、質問を終わります。

菅原主査代理 これにて冨岡勉君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 まず、大臣が御到着される前に何点か御質問させていただきたいと思います。

 実は、兵庫県のタクシー協会には兵庫県乗用自動車厚生年金基金というものが、一九七〇年に、神戸市内のタクシー会社を中心に設立されました。人材確保を考えて、厚生年金に上乗せをして手厚い年金給付ができるようにしたわけでございますが、これが、運転手の高齢化で支給額が増大する、バブル崩壊後は運用利回りも低迷する中で、年間十六億円の年金給付に対して加入者からの掛金は約五億円、逆ざやで立ち行かなくなり、二〇〇六年一月に基金は解散となったところでございます。加入者は、創設時には七千名おりましたが、解散時には二千名に激減する、こういったような状況でございます。

 この解散の時点で、同基金の加入五十社は約七十億円余りの不足額を返済していかなければいけないということでございまして、このうち十九社、プラス二社あるので計二十一社が一括で返済をし、残りの二十九社が分割徴収ということで返済を進めているところでございます。

 ところが、近年の燃料価格の高騰、燃料価格は三年前に比べると一リットル四十円も値上がるというような状況があったり、また二〇〇二年の規制緩和の中で、タクシー事業者の供給過剰という現象の中でそれぞれの各社総売上高が年々落ち込み、タクシー乗務員の賃金が低下する中で若い労働力が参入することができなくなってきた、大変いびつな状況の中で、苦しい経営が進められているということでございます。

 神戸の場合は、タクシー業界といっても、ほとんどが五十台所有のまさに中小企業の集まりで、月間の売り上げが二千五百万円程度というような状況でございまして、この中で、年金基金の現制度のもとでの支払いは大変厳しい状況にあるということが続いていました。

 しかし、これは、解散時にも厚生労働省にも大変お骨折りをいただいて、何とか特例的に認めていただいたということで、これまではその返済は滞りなくしていたわけでございますが、実は、昨年の七月にそのうちの一社が倒産をいたしました。十一月にもう一社、そしてことしの二月に二社倒産をして、結局、二十九社の分割事業者が今は二十五社になった。そして、倒産した四社の部分は、二十五社の分割事業者にその負担が連帯責任としてのしかかっているという状況の中で、私は大変、これを本当に心配しておりますが、連鎖倒産。

 今でもかつかつの返済をしておりまして、平均で、当初は一社一年当たり千八百万円の返済が、実態としては二千四百万円支払わなければいけなくなった。大変苦しい中小企業の中で、年金の返済というのが、大変経営にダメージを負っている中で、私、このままいきますと本当に業界自体がつぶれてしまうのではないかということを大変危惧しております。現実に、あと二、三社つぶれるのではないかというような状況があり、これ以上やっても大変なだけで、早目に事業清算した方がいいというような、悪く言うと黒字倒産みたいな形も出てくるのではないかということを心配しております。

 数々の要望が出ておりますが、その要望事項に入る前に、まず当局にお聞きしたいことは、加入事業者全社が一斉に倒産することというのは、変な話ですけれども、実は合法的な終わり方というか、嫌な言い方なんですけれども、これ以上務まらない、もう返すことができない、せえので一斉に全部やめれば、これはだれも違法行為ではないということで、私、そういうことも起こり得べきリスクの一つなのではないかというふうに認識をしておるんですが、そういった御認識はあるのかないのか、まず御答弁いただきたいと思います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、要望に入る前にということで、一般情勢について現場の厳しさをお述べいただきました。大変厳しい状況にあるというふうに私どもも、このケースなど、幾つものケースで承知しているケースがございます。

 しかしながら、原点に戻って考えますと、厚生年金基金が解散する場合に、厚生年金の一部を代行していただいた部分をお返しいただく、最低責任準備金としてお返しいただくということでございますので、そこで掛金を納めていた被保険者の方々にとってみると、大切な将来の年金の資産でございます。

 ただ、現実の問題があることから、十六年、四年前の制度改正によりまして、三カ年の特例措置として、分割納付を最大で十年間の期間を定めて認めるという条件が設定されて、そのルールのもとで、平成十八年に、今御指摘の件の解散の認可、納付計画の承認が行われたということでございます。

 おっしゃられたように、経営は生き物でございますから、皆倒産してしまった場合はどうなるんだろうか、こういう心配をいつも抱えておられると思います。また、私ども年金財政を預かる身からすると、被保険者からお預かりした貴重な資金がどこに行ってしまうんだろうかという心配もしております。そういう両方の観点から、個別具体の御相談をお受けしながら運営をしていきたい、こういうふうに思っております。

赤羽分科員 今の答弁で結構なんですが、もう一度確認しますと、要するに、これまで四社倒産したわけですね。しかし、四社倒産したからといって、違法行為じゃないわけですよね。ですから、倒産したところが、客観的に言うと先に倒産した者勝ちみたいな、おかしな話なんですけれども、基金の本体としては返済履行義務はある、だから頑張ろうとしているんですが、悪く言うと、まじめじゃなく、先に一抜けをした者が何も問われないで、まじめに頑張っているところが残されているという状況だ、そういう御認識はもちろんあるのかどうか、もう一度確認をしたいと思います。

渡辺政府参考人 各事業者のお考えについて、あれこれ私どもから推察してそれに正邪をつけるような立場にはないと思っております。

 それから、現在の状況が違法かと言われれば、別に違法な状態ではない。したがいまして、特例納付の精神も踏まえながら、基金としてきちっと年金財源をお返しするというふうにするにはどうしたらいいかという中で工夫をしていく必要があるものと考えております。

赤羽分科員 ですから、四社は違法行為じゃない。これが、例えば残り二十五社全部とか、五十社がすべて、倒産そのもの自体は違法行為ではない。残るところが一社もなくなったときに結局大きな穴があくという、こういった状況を何とか回避しなければいけないと私も思いますし、彼らもそう考えているわけでございます。

 ですから、具体的な陳情として何点か出ておりまして、一つは、燃料価格が適正水準に戻るまでの期間、現在の支払い額を何とか少し減免していただけないだろうか、こういった要望があります。具体的にお願いをしておりますので、その点についての今の御認識。

 もう一点が、昨年十一月、二社目の講和交通という会社が倒産をいたしました。はっきり言うと、新しいところが倒産して、その分が上乗せされると、本当にぎりぎり立ち行かなくなってくるので、彼らは今、十年の計画で返済をしておりますが、八年に圧縮するので、倒産した会社、去年の講和交通社以降の倒産会社の未払い分の支払いについては、向こう八年まではちょっと待ってほしい、残り八年から十年、厳格に言うと二〇一四年の四月から二〇一六年の三月までの二年間で返したいと。ここは残った事業者で責任を持って、どういう責任の示し方をするかは議論があると思いますが、そういった具体的な要望が出ております。

 現行の制度でなかなか今すぐ、えいやという形にはならないと思いますが、全部ぽっかり穴があくというのは、私は本当に、すごくまじめな話として大変な危機を感じておりまして、当面この返済計画を、最終的にいいものにしていきたいという観点からの御要望なので、この二点の御要望について、ぜひ前向きで、また、日々倒産がふえるんじゃないかという時々刻々なところがありますので、ぜひとも具体的で明るい御答弁をいただければと思いますが、よろしくお願いします。

渡辺政府参考人 今先生おっしゃられたように、日々新しい状況も生まれるやもしれないというふうなことも聞き及んでおるところでございますが、納付計画、既に承認されておる特例的な納付計画につきましても、その変更ということ自身は、承認の手続を経て可能でございます。

 ただ、法令が定めるところは、原則としてはということなんですが、期間を経過するごとに納付金額を後ろ倒ししていくという納付計画であれば、安易にいいですよというのは、これは世の常識として危ういということで、原則としてはそういうふうにならないようにと定められておるところでございますが、先生のただいまの御指摘も踏まえまして、基金の具体的な納付計画の変更申請内容を固めた手続の中で、私ども、法令の定める範囲、趣旨に照らして、基金の実情を十分勘案した弾力的な対応をぜひ検討させてもらいたいと思っております。

赤羽分科員 済みません、より具体的に一点だけ。

 彼らは、平成二十年、もうこの四月から始まる納付額については二割の減額、来年の二十一年については一割の減額、当面この二年間、これでしのがせてくれ、こういった具体的な要望も届いていると思いますが、この点について、ぜひそれは受けていただきたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

渡辺政府参考人 そのようなお話も、まだ非公式ながらも承っておるところでございます。

 その点を含めて鋭意検討して、その当面の話についてはさらに具体的なお話でございますので、何とか対応ができないか、結論を出せるように検討を指示したいと思っております。

赤羽分科員 ぜひ、早期に具体的な御回答が出るようによろしくお願いしたいと思います。

 大臣、大変済みませんでした。何かちょっと手続の間違いで御迷惑をおかけいたしました。端的に、できるだけすぐ戻れるようにしたいと思いますが、御答弁は細かい地元の話なので結構でございますが、こういったこともいろいろな面であるということをぜひお聞きいただきたいということで、済みません、同席をお願いしたわけでございます。

 まず、私の地元の神戸市北区の中に、生野高原住宅というところがございます。ここは、この前、難病の綾佳ちゃん基金で大臣のところに行きました歌手のBOROさんも実は引っ越して住んでいるところなんです。

 ここは神戸市北区なんですが、西宮市のところにあるというか、飛び地になっているところでございまして、ここは、実は昭和四十四年に別荘地として開発許可がおりたんです、宝塚高原別荘地ということで。山の中だったんですね。ところが、昭和五十一年から造成工事の完了検査、詳しくはあれですけれども、不合格になりまして、ところが、どんどん土地は売っているものですから、旧の住造法の認可を得て、昭和五十三年の十月から、土地購入者に対して神戸市が建築承認をオーケーしたんです。

 現在、実は四百五十世帯、約千人の人口がおるんですが、この開発をするときに、神戸市としては、給水区域から相当離れているものですから、将来にわたって給水計画がないということを言っている。であるがゆえに、開発事業者は自己水源をもとに簡易な水道事業を行ったんですが、この水源ダムの、ダムと言っても小さなところなんですけれども、水質が相当悪化したために途中でだめになりまして、昭和五十六年の十一月から西宮市から給水を受けるように、分水するようになった、こういったことでございます。

 そして、平成七年の三月から、開発事業者自体が経営が悪化して、ある意味では実体がなくなったものですから、開発事業者から水道の施設と施設用地を生野高原の自治会が買い取って、今、生野高原専用水道管理組合というところが西宮市と契約を結んで給水を受ける、こういったことで現在に至っているわけでございます。

 問題なのは、この前、住まわれている方四百五十戸全体に、検査未了地区であったことを知っているかどうかという調査があって、八六・二%が知らなかった。環境がよくていいところだからといってどんどん入ってくるけれども、水道はあるんだけれども、自分たちで水道の管理組合を行っている。もちろん素人の皆さんの集まりなんですが、どこの水道管が漏れたというと、水道組合に入っている人が飛んでいって夜でもやらなければいけないとか、そういう人たちが高齢化が進んでいまして、ライフラインの基本ですので早く何とかしたい、そういう強い要望がございます。

 これは、神戸市と西宮市に両方またがることでありまして、神戸市の皆さんなんですが、現実には西宮市の地域にあるものですから非常に難しくて、実は、昨年の決算委員会で私この質問をさせていただいて、厚生労働省の皆さんも出てきてもらって御答弁がありましたのは、将来的には、西宮市の合意が得られれば、西宮市水道事業の給水区域として位置づける方が合理的だと考える、生野高原住宅団地の住民の方々の意向を受けて両市の間で検討を行っていると聞いており、両市からの相談があれば適切な助言をしてまいりたいと考えている、このような御答弁がありました。

 約一年たつんですが、西宮市にしてみれば、新たな負担が発生する、それを西宮市民に理解を得るというのはなかなかそんな簡単じゃない。神戸市は神戸市で、本当は道路も全部市営の道路にしないとその下に水道管が敷けないとか、クリアしなきゃいけない問題があって、実は、現実には余り進捗していない状況が続いているようによく聞くんですね。

 その点について、こういった御答弁もあって問題は認識をしていただいていると思いますので、厚生労働省として、現状の進捗状況と今後の見通しについて御答弁いただきたいと思います。

西山政府参考人 議員おっしゃったとおりでございまして、神戸市と西宮市、まだ協議が調っておりません。

 その理由ですけれども、前に議員がおっしゃいましたように、神戸市に在住の方が西宮市の水道の受給を受けるというようなことについて、西宮市市民や議会の了解をとれていないというような点。それからもう一点、地区内の施設に関する基礎資料、施設台帳や図面が未整備であることと、管路やポンプ施設等の増強の必要性の程度が不明になってきているというようなことで、それぞれの地方公共団体が苦戦をしております。

 私どもも、技術的な支援を含めて、住宅団地の自治体の方々と神戸市が定期的に話し合いをしているですとか、あるいは現地へ職員派遣をして、現状の水道施設の維持管理の観点で専用水道管理組合の技術支援を行っている、このような状況にございまして、私どもとしても、今お話がありましたように、両市から相談があれば、積極的なサポートといいますか助言を行っていきたいというふうに考えている、このようなことが今の現状でございます。

赤羽分科員 なかなか相談しない構造になっているんです、相談すると自分たちがやらなきゃいけなくなるみたいなところがあって。

 もちろん、神戸市にも西宮市にも我が党の地方議員さんがおりますので、しっかりとこういったことをただしていきますので、ぜひ前に進めていただきたい。

舛添国務大臣 ちょっと話を聞いていまして思うのは、全国の水道の管轄は私でございますから、何らかの形で、こういう問題が解決するようにという指導ができるかどうかやってみたいと思います。それからもう一つは、神戸と西宮の二つの町の間の話ですから、総務大臣が何かできるかどうか。

 実は、神奈川県の真鶴という町と湯河原という町、これは湯河原が真鶴という町に水を売っているんですね。そうすると、これは費用分担が簡単だ。

 ここの場合に、住民税はそこは神戸市に払っているわけですね。しかし、水道代は西宮市に払っているわけですね。しかし、その水道代でインフラが賄えるわけではないですから、これは両方の市がきちんと話をして、インフラの部分を例えば神戸が買ったならば、その分をどう負担、だからインフラの部分と、今、フローとしての水の部分は西宮に払えばいい。それは、やはり基本的には両市がきちんとお話しすべきだと思いますので、私は、それこそが地方自治だろうと思います。

 ですから、私の今の思いを委員からもお伝えいただいて、ぜひ、両市の議員の皆さん方、市会議員の皆さん方も御協力賜って、そして総務大臣には私が働きかける。私自身も水の担当ですから、ぜひ解決していただきたいというのはこの国会で申し上げておきますので、ぜひ地方自治にのっとって、よく話し合いをして費用分担を考えて解決できればと。やはり住民の目線でやるということが一番大事ですから、そのための行政であり政治だというふうに考えます。

赤羽分科員 どうもありがとうございます。

 今の大臣の御発言、本当に住まわれている方たちも大変励ましになると思いますし、この方たちというのは、何かしてくれというような感じではなくて、自分たちもしっかりやるから、しかし、住民でできることというのは限りがあるのでという切なる要望ですので、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一点だけ、済みません、災害救助法の見直しなんです。

 災害救助法というのは、昭和二十二年の物資窮乏の状況の中で制定した法律で、基本的に現物支給が基準となっているんですね。それの不合理性というのも少しあるということが一つ。

 例えば、避難所に行くと、炊き出しをしなきゃいけないとか食事を給与しなきゃいけないと定められているんですが、現物支給なので、お弁当を出すとか自衛隊が炊き出しをするとか、こういうことに限られているんですが、神戸の場合ですと、食中毒を起こせないので、毎日毎日、油物の、フライ物の弁当ばかり出てくるわけです。そうすると年寄りの人たちは食べられない。

 ところが、それで、ある程度たってくると地元の商店街とかが立ち上がってくるんですが、そこである程度のものは買えるんですね。だから食券とかを導入させてくれということですが、なかなか食券は使えないというような規定が書いてあって、そういったものはなじまないというような話ですとか、あと、住宅の応急修理という項目もあるんですが、この応急修理についても、当然年収要件もあったり、居室、居間とか炊事場とか便所など日常生活に必要最小限度の部分の修理を現物をもって行うものとする。規定が結構細かくて、非常に使い勝手が悪いということがあります。

 ですから、この辺は、やはり被災者の立場に立った、また被災地復旧復興の立場に立った意味で、少し柔軟にしてもいいんじゃないかということが一点。

 もう一つは、被災者生活再建支援法、去年十一月九日に成立しまして、実は年齢要件とか年収要件が撤廃になりまして、あっちは年収要件が撤廃になっているけれども、災害救助法は年収要件が、これもあいまいにかかっているんです。具体的な感じじゃないんですが、定性的にかかっておりまして、この辺を少し根本的に見直さなきゃいけないんじゃないか。

 私がお願いしたいのは、昭和二十二年からの通達とか何かで結構化粧しまくって、法律として物すごく複雑になっているものですから、これをあけるのは大変だと思うんですけれども、パンドラの箱をあけると僕は言っているんですが、災害救助法の見直しを、被災者生活再建支援法とか災害対策基本法とか、関連法制と一緒に整合性を持たせる検討会を内閣府とともにぜひ立ち上げていただきたい。

 細かいことはここで御答弁は結構ですけれども、大きな法改正があったときですので、呼吸を合わせてやっていただきたいということだけ御答弁いただきたいと思います。

舛添国務大臣 今委員おっしゃったように、私も、災害関連法制は、積み上げ積み上げで来ていますから、一度整合性を持たせる必要があるなというふうに思っています。関連大臣も複数おられます。

 それで、そういう事態にならないように今全力を挙げていますけれども、例えば新型のインフルエンザが来る、これは災害ではありませんけれども、こういうときの危機管理にもつながる問題ですので、これは私も同じ問題意識を持っていますので、内閣全体として何ができるか、これはひとつじっくり検討させていただいて、できるだけ早期に結論を出して、そしてこの国会の場で法改正を含めての整合性をとりたい、そういうふうに思います。

赤羽分科員 お忙しいのに、大臣、どうもありがとうございました。

 では、あと、私は当局に一点だけ確認をしたいと思います。

 地元で、今、後期高齢者医療制度の保険料の見込み額の通達というのがされております。先週なんですが、地元に行きましたら、去年のこれまでの保険料より、今度来る保険料は二倍以上になると。去年はこの方は十二万一千円だったのが、通知を見たら二十八万二千円になる、こう言って、とんでもないって物すごく怒られまして、私たちも本当に驚いて、さまざまその方の話を聞きました。

 そうしましたら、ある意味では相当特殊なケースだと思いますが、この方は、ちょっと個人情報にさわらない程度で言いますが、年金の収入が四百十万円ぐらいある、かなり高額にある。ところが、奥様もお子様も特別障害を持たれているということでありまして、配偶者控除にしても扶養控除にしても障害者控除にしても限度額に近い控除がございまして、所得控除が実は二百六十万円あるということなんですね。

 そうしますと、神戸市国保の場合、所得割の保険料が住民税に対して課されている、そういった状況も実はあって、あれやこれやで、去年までは国民健康保険料は年間で十二万一千円だったんですが、それが今回、後期高齢者医療保険料というのは個人別にかかるので、総所得から基礎年金控除しか控除されないというようなこともあり、もちろん奥様には均等割がかかってくるということで、十二万が二十八万円を超えるようになる、どうなっているんだということで、ちょっとびっくりしたんです。

 これはやはり特殊な例ではあると私は思いますけれども、ただし、このスキームをつくるときには、多分想定をしていなかったというわけではないんだと思うんですね。恐らく、これだけの年収がある方は新しい制度の保険料でも耐えられるだろうという見方もあると思いますが、しかし、さはさりながら、去年までに比べて二・三倍にふえるということであったりとか、障害を持たれている御家族をお二人抱えているというと、収入があっても相当大変な状況であるということには変わりないんじゃないかというふうに私は思いまして、この中で、できればこのところは激変緩和的な措置をしていただきたいな、こう考えているわけでございます。

 この個別の案件についてということではないんですが、たまたまこういう事例が出てきた。似たような、障害者のお子さんを持っている高齢者の家庭というのは結構あると思いますし、その方が、これほど大きい収入がある人は限定的だとも思いますが、この新しい制度を執行するに当たって、それぞれの各地方自治体の仕事になると思いますけれども、個別の減免制度みたいな形で激変緩和措置をやはりとられるべきではないか、こう考えているわけでございます。

 ぜひ厚労省として、こういったことに対して、全国の地方自治体、広域連合のところにヒアリングをかけていただいて、余りこの制度改革が、激変緩和ということで、実は、前期の半年間は凍結にして、後期の半年間は九割減免ということを制度としてしているわけですから、そういった激変緩和措置がなるべく広くとられるように御検討をいただきたいと思いますが、その点について御答弁をいただいて、質問を終了させていただきたいと思います。

水田政府参考人 先生今御指摘のあった点についてでございますけれども、これは、国民健康保険の所得割の算定におきまして、全国的にも例外的な、住民税額に保険料率を掛ける、いわゆる住民税方式を採用している自治体において起こる場合があると考えてございます。

 具体的には、こういう住民税方式をとっておられる国保の保険料におきましては、御指摘がありましたけれども、算定根拠である住民税額の算定に当たりまして、総所得金額から基礎控除以外に障害者控除などの所得控除が控除される。これに対しまして、後期高齢者医療保険料におきましては、賦課ベースとなる所得の算定に当たりまして、総所得金額から基礎控除のみが控除されるということでございますので、国保の保険料に比べて、後期高齢者の医療保険料が増加することもあり得るというふうに承知をしてございます。

 さらに、こういった算定方法が住民税方式であることに加えまして、御指摘のあったケースのように、対象となる方の収入額が極めて高い、あるいは控除額が極めて多い、こういった例外的ケースにおいて、御指摘のようなケースが起こり得るということが想定されるわけでございます。

 これにつきまして、言ってみますと保険料軽減のための対策を講じるかどうかということにつきましては、基本的には、これは地域の問題でございます。つまり、住民税方式をとっていたがゆえに起きた問題でございまして、この点につきましては、実は、全体で二%の保険者がこの住民税方式をとっているわけでありまして、私どもとしては、かねてこの問題提起をしてございました。何か激変緩和的な措置をとる必要があるんじゃないかということは言ってまいったわけでございますけれども、基本的には、やはり地域の問題として、その地域の判断で解決していただくべき問題であると考えてございます。

 なお、広域連合におきましては、条例に基づきまして、保険料を支払えない特別の事情がある場合に保険料を減免できる、こういった制度が設けられておりますので、広域連合や市町村の窓口におきまして、納付相談や減免制度の活用、こういったきめ細かな措置を、対応をとっていただくように、この点については徹底していきたいと考えております。

 いずれにしましても、今回のケースにつきまして、お話もさせていただきましたけれども、やはり後期高齢者保険料につきましては県内で均一保険料にしたいという強い広域連合としての意思、あるいは神戸市の理解というものがございまして、今のところはそういったことになっているわけでございます。

 いずれにしましても、保険料が払えない、こういった事情がある場合には、しかるべき制度が設けられておりますので、きめ細かな対応を行っていただくように徹底していきたいと思っております。

赤羽分科員 この制度がなかなかいじりにくいので、その周辺できめ細かな対応をしていただきたいというのをぜひ強く要望いたしまして、私の質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

菅原主査代理 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十九分散会


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