衆議院

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第1号 平成21年2月19日(木曜日)

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本分科会は平成二十一年二月十七日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊藤 公介君    菅原 一秀君

      園田 博之君    根本  匠君

      前原 誠司君    江田 康幸君

二月十九日

 根本匠君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年二月十九日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 根本  匠君

      伊藤 公介君    清水鴻一郎君

      菅原 一秀君    薗浦健太郎君

      田中 良生君    藤田 幹雄君

      牧原 秀樹君    江田 康幸君

      福島  豊君

   兼務 平口  洋君 兼務 伊藤  渉君

    …………………………………

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       谷口  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            太田 俊明君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  水田 邦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 間杉  純君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 小野  晃君

   政府参考人

   (社会保険庁総務部長)  薄井 康紀君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   厚生労働委員会専門員   榊原 志俊君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  伊藤 公介君     田中 良生君

  園田 博之君     清水鴻一郎君

  江田 康幸君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  清水鴻一郎君     薗浦健太郎君

  田中 良生君     藤田 幹雄君

  古屋 範子君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  薗浦健太郎君     園田 博之君

  藤田 幹雄君     牧原 秀樹君

  大口 善徳君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  牧原 秀樹君     伊藤 公介君

  高木美智代君     福島  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  福島  豊君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  古屋 範子君     江田 康幸君

同日

 第二分科員伊藤渉君及び第三分科員平口洋君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

根本主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣。

舛添国務大臣 平成二十一年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計予算の概要について御説明申し上げます。

 平成二十一年度厚生労働省所管一般会計予算の総額は二十五兆千五百六十八億円であり、平成二十年度当初予算額と比較いたしますと三兆三百四十六億円、一三・七%の増加となっております。これは国の一般歳出の四八・六%を占めております。

 以下、主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地域において必要な医療が受けられるよう、安心と希望の医療確保ビジョンに基づき、医師等人材確保対策を初め、安心で質の高い医療提供体制の充実を図るとともに、新型インフルエンザ等の感染症対策や、がん等の生活習慣病対策、難病等の疾病対策を推進してまいります。

 また、医療保険制度につきましては、安定的で持続可能な制度の運営を確保してまいります。

 第二に、現下の厳しい雇用情勢により、派遣労働者等の雇いどめ、解雇、新卒者の内定取り消しなど深刻な問題が生じており、今後、雇用の大幅な調整につながることが懸念されます。このため、雇用機会創出のための各般の施策を講ずることとしており、特に、中小企業等の雇用維持支援などの労働者の雇用維持対策、派遣労働者、年長フリーター等を正規雇用した企業に対する助成や介護分野未経験者の雇い入れ助成などの再就職支援対策、住居を喪失した離職者等に対する住居入居初期費用等の資金融資等の住居、生活支援などの対策を強化してまいります。

 また、若者、女性、高齢者、障害者等を初めとするニーズに応じたきめ細やかな支援策、地域雇用対策の充実や人材面からの中小企業支援等を強力に進めてまいります。

 第三に、将来にわたる安定した雇用、生活を実現するため、正社員以外の方々の正社員化を含む待遇の改善や、適正な雇用関係の構築などにより、安心、納得して働ける環境の整備を図ってまいります。

 また、健康で豊かな生活のための時間の確保や、多様な働き方、生き方の選択などによる仕事と生活の調和の実現を推進してまいります。

 第四に、少子化や人口減少の進行は、経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤にかかわる問題であります。

 このため、新待機児童ゼロ作戦等を踏まえ、仕事と生活の調和の実現に向けた施策の推進や、地域の子育て支援の推進、児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実、母子保健医療の充実、出産等に係る経済的負担の軽減など、少子化対策を総合的に推進してまいります。

 第五に、高齢者が生き生きと安心して暮らせる健康現役社会を実現するため、安定的、効率的な介護保険制度の運営や福祉、介護サービスを担う人材の確保を行うとともに、医療も含めた総合的な認知症対策や介護予防対策等の関連施策を推進してまいります。

 あわせて、高齢者等の雇用就業対策について、六十五歳までの継続雇用の着実な推進、七十歳まで働ける企業の実現に向けた取り組み等により、意欲と能力のある限り、幾つになっても働ける社会の実現に向けた環境整備を図ってまいります。

 年金制度につきましては、持続可能で安心できる制度を構築するため、平成二十一年四月から基礎年金国庫負担割合を二分の一といたします。

 また、生活保護制度については、生活保護受給者の自立支援、制度の適正実施を推進してまいります。

 第六に、障害者の自立生活を支援するため、良質な障害福祉サービスを確保するとともに、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の地域生活への移行支援の推進や、発達障害者支援施策のさらなる拡充を図ってまいります。

 さらに、福祉施設で働く障害者の一般就労への移行を促進するとともに、工賃水準の引き上げを図り、障害者の職業的自立に向けた就労支援を総合的に推進してまいります。

 第七に、薬害再発防止のため、医薬品、医療機器の安全対策を強化するとともに、有効で安全な医薬品、医療機器を迅速に提供するための対策、血液対策、麻薬、覚せい剤対策などを推進してまいります。

 また、国民の健康危害防止のため、輸入食品の安全対策、残留農薬等ポジティブリスト制度の着実な実施、健康食品の安全性の確保など、食品安全対策を推進するほか、自殺対策、バイオテロリズム等の発生に備えた健康危機管理体制の強化、安全で良質な水の確保を推進してまいります。

 第八に、年金記録問題への対応につきましては、年金記録の管理等に対する国民の皆様の不信感を払拭するため、平成十九年七月に政府・与党で決定した方針に基づき、引き続き、徹底して迅速かつ効率的に対策を進めてまいります。

 また、保険料収納率の向上、民間委託の拡大等の取り組みを徹底するとともに、日本年金機構を設立するなど、組織改革、業務改革の推進を図ってまいります。

 以上のほか、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際協力の推進、外国人労働問題等への適切な対応、社会保障カードの導入に向けた検討、戦傷病者、戦没者遺族、中国残留邦人等の援護、原爆被爆者対策等の諸施策を推進してまいります。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、一般会計予算の主要経費別の概要及び特別会計予算につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 今後とも、国民生活の保障、向上と雇用の安定を図るため、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様のなお一層の御理解と御協力をお願いいたします。

根本主査 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

根本主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中良生君。

田中(良)分科員 自由民主党の田中良生でございます。

 きょうは、舛添大臣に対しまして質疑の時間をいただきまして、本当に心から感謝を申し上げます。

 まず骨太の方針におけます社会保障費に関する問題、そして年金問題、そして長寿医療制度に関しまして質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、骨太の方針における社会保障費の削減方針に関しましてお伺いをさせていただきたいと思います。

 骨太の方針二〇〇七におきまして、社会保障費の自然増、約七千五百億円ぐらいあるというものでありますが、施策の見直しや合理化努力によりまして、年間二千二百億円の社会保障関係費の削減というものがうたわれております。

 二十一年度の予算に関しましても、その削減が前提として組み込まれているとも思いますが、その削減内容の内訳につきまして、年金特会、特別保健福祉事業資金の清算分で千三百七十億円、そしてまた道路特定財源の一般財源化に伴って六百億を捻出する、そして残りの二百三十億に関して、後発医薬品の使用促進によってこれだけを捻出していくというものであります。つまり、実質的な削減は後発医薬品二百三十億円にとどまるというものになっております。

 これはやはり実質的に、もうこの方針は破綻していると言えるのではないかと感じるものであります。これは関係費用の削減というよりも、削減に対応した財源手当てという形でありまして、来年度以降の継続につながるものではないと認識しております。とはいっても、平成二十二年度以降も、社会保障費分野での歳出圧力が減っていくということはまず考えられない現状にあります。

 今、社会保障費の削減は極めて厳しい、これが私の認識でもあります。現状、この医療、年金、介護、障害者の福祉ですとか雇用対策など、さまざまな形で社会保障に関する歳出圧力が高まっております。

 費用削減に取り組む厚労省、関係者の御尽力には敬意を表するところであります。がしかし、この削減によって、社会保障があれば、この費用があれば自立できる人間、いわば支える側の人間を、社会保障費の削減によって、さまざまな負担免除を受けたり生活保護を受けるなど、つまり支えられる側の人間に回してしまうようなことになるのであれば、結果として、入りを減らして逆に出をふやすことにもつながりかねません。社会保障制度の存続がますますおぼつかなくなる、国民はこういう不安を抱いているのではないかと感じております。

 今後の社会保障費の削減は、ある意味、ぎりぎりのせめぎ合いの中で行われているというのが私の認識でもあります。もはやこの二千二百億の削減枠の維持には慎重な対応が必要であるとともに、今後、抜本的な見直しをしていかなきゃいけない、そのように私は考えます。

 ぜひ、この点に関して舛添大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

間杉政府参考人 お許しをいただきまして、お答え申し上げます。

 御指摘のように、平成二十一年度の予算編成におきましては、自然増二千二百億円の抑制につきまして、先生、ぎりぎりのせめぎ合いというお言葉をちょうだいいたしましたけれども、大臣を先頭に非常に苦慮をし、道路特定財源の一般財源化に際して創設をされました交付金からの財源の捻出、あるいは特別保健福祉事業の清算による財源確保といった対応をさせていただいたところでございます。

 二十二年度の予算につきましては、夏以降の概算要求基準の策定、さらには年末の予算編成過程の中で具体的に作業していくことになりますけれども、依然として、先生からも御指摘がありましたような医師不足あるいは救急医療を初めとする地域の医療体制の確保の問題、さらには介護従事者の確保、現下の厳しい雇用情勢への対応などの課題に直面し続けている、そういった中で、二千二百億円の抑制継続には大きな困難があるというふうな状況だというふうに認識をさせていただいております。

 やはり何よりも、社会保障の安定財源の確保というのが大事な課題であろう、こういった基本的な認識を持っているところでございます。

舛添国務大臣 基本的には、英語で言うとサステーナブルというか、維持可能なためには安定財源がないといけない、それはやはり消費税なりなんなりできちんと手当てする必要があるということで、無駄を排し、景気がよくなれば三年後に消費税という中期展望を出したところでありますけれども、これが一つ。

 しかし、片一方で効率化の努力はしないといけません。その両方をバランスにかけながら、国民のコンセンサスを得て、まさに金が天から降ってくるわけじゃありませんので、負担と給付、この兼ね合いをどうするか、これはきちんと議論をしてやるべきでありますが、私としては、やはりこの二千二百億はもう本当に限界に達しているという認識を持っておりますので、今後ともそういう方針でこの予算編成にかかわっていきたいと思いますが、今年度についても相当な努力をして、実質的には何とか確保しました。しかし、やはり安定的な財源ということは考えないといけない最大の課題であろうと思っています。

田中(良)分科員 今、百年に一度と言われるような世界的な不況、この部分では、いろいろな分野におきまして財政出動を行っているということであります。

 私は、社会保障に対する支出、例えば医療とかの分野に関しては、有病者の社会的活動を助ける、国力の増進、そして例えば医療関連産業への投資等にもつながるものではないかなと思います。また、介護分野の需要増にもこたえることができるようになる。医療や介護、福祉などに関連する産業については、各産業の生産を誘発する総合的な波及効果が平均より高い、そういった報告も見られるようであります。

 社会保障への支出は、国内におきましては、お金を国内だけで循環させる、そしてまた、将来の不安を少しでも解消することによって、消費行動の活性化、景気対策にもつながるものではないかなと思っております。

 バブル崩壊後の失われた十年の前後で、将来不安から国民の金融資産が倍増したというデータもあります。これは結果として不況を悪化させて、セーフティーネットへの依存をますます高めることにもつながりかねません。そのあたりにつきましても十分御配慮をいただいた上で、やはり抜本的な見直しをお願いしたいと思います。

 続きまして、年金制度についてお伺いをさせていただきます。

 現行制度は、ある程度の積立方式を加味した、ほぼ賦課方式となっていると思います。これは厚労省としても認識しているものだと思います。そして、今この制度は大変厳しい現状にある、これが事実だろうと思います。

 そもそも、国民年金制度が現行制度となったのが一九八五年。その制度設計の際には、男性は七十四・四八歳、女性が八十・四八歳、六十五歳以上の人口が千二百四十七万人でありました。そして二〇〇七年現在、男性、女性、これは平均して五歳前後、平均寿命が延びております。また、十七年には国勢調査におきまして、六十五歳以上、二千五百五十七万人と、人数的には倍増しているわけですね。年金の給付額は、加入制度にもよりますが、人数に比例して増加するというわけでありますから、その分、給付額がふえるのは当然のことであります。

 これに対して、少子化の影響あるいは長引く不況、こういった影響もあって、保険料収入の方は現実には芳しくない状況にあります。労働力人口でも、八五年には五千九百六十三万人いたのに対して、二〇〇五年には六千六百五十万人と、一二%弱の伸びにしかすぎません。長引く不況による収入減、そして年金記録問題など、制度に対する、あるいはさまざまな不信などもあって、納付率も、平成十九年、四七・九%と過去最低を更新していると報告をいただいております。記録が残る平成十三年以降、一貫して低下しているのが現状であります。また、厚生年金の未加入事業所も十万社近くに上るなど、皆保険制度と言うには甚だほど遠い状況にあるのではないかなと私は思っています。

 先ほど大臣の方からもお話がありました制度改正によって、年金財源の国庫負担割合、三分の一から二分の一へと四月から引き上げられるということであります。マクロ経済スライド制などの導入で年金制度の持続可能性は高まったという評価もあります。がしかし、積立金の取り崩し、こういったものを前提とすれば、当面の間年金を支払う、こういう見通しがあったということも事実でありますけれども、年金制度の持続可能性を徹底して維持していくために、政府としていろいろな努力もしていただいております。これも私は敬意を表するものであります。

 がしかし、年金の財源不足、将来世代の給付額の減少など、こういったものを伴うのであれば、年金制度は持続しても、年金受給者の生活の持続性が低くなる、こういう結果があるのではないかなと感じるものであります。それがひいては生活保護の増加などにつながってしまえば、国家財政全体から見れば、ますます財政状況は改善しないのであろうということが想定されるものであります。

 二〇〇四年の年金制度改革、状況変化を踏まえて、厚生労働省として、年金制度あるいは社会福祉制度全体の枠組みの変化に関してどのように認識をしているのか、お答えいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 ただいま、年金制度から始まって、生活保護を含む福祉の領域にまで、社会保障制度全般の持続可能性の問題についてのお考え、そして論点を提示していただきました。

 私の所掌しております年金制度という観点で一つ見てまいりましても、御指摘のとおり、五年前の制度改正によりまして、保険料の上限固定制、保険料収入の範囲内での給付水準の自動調整というマクロ経済スライド、あるいは、今般法律案を出させていただいております基礎年金国庫負担二分の一への引き上げ、こういうフレームがはっきり打ち出されまして、それによって二一〇〇年程度までの財政のプロジェクションもして、おおむね均衡できるということを見定めながら運営しております。

 したがって、現時点では制度は持続可能なものにされているものというふうに考えておりますが、御指摘のとおり、では、現行制度の足元を見たときに、なお課題が多々あるではないかという点については、未納、未加入に起因する低年金、無年金者の発生などの課題が随所で指摘されておるわけでございます。

 こうした課題への対応については、制度の基本骨格、フレームは維持しながら適時適切に対応していく必要があるというふうに考えておりまして、今般の法律案におきましても、そうした検討の方向性について打ち出した上で、検討条項も示して、また国会での御議論をいただきたい、国民的な議論を進めていただきたいというふうに考えております。

 なお、少し外れますが、生活保護制度につきましては、近年の受給者数の増加などを踏まえて、自立支援の取り組みを強化していると承知しております。十七年度に導入した自立支援プログラムによる就労支援や、ハローワーク、自治体等の担当者がチームを組んで行う就労支援事業など、積極的な取り組みを進めているところでございます。

 年金制度という大きな柱があるので、直近の生活保護制度ではその他の世帯の受給が大変伸びておりますが、高齢者世帯の受給、じわじわ伸びてはおりますものの大きな変化を示していないと承知しております。年金制度と社会福祉制度が両々相まって、国民の生活そのものの持続可能性と先生おっしゃいましたけれども、そういうものをさらに高めていく必要があるという考えでおります。

 官邸での国民会議の中でも、社会保障の機能強化と効率性、その両面をうたい上げていただいておりますが、そうした取り組みをさらに進めてまいりたいと思っております。

田中(良)分科員 来年度からスタートすることになっている、年金の国庫負担割合を二分の一へと引き上げるということであります。

 非常に残念なことでありますけれども、現時点では安定財源、やはりこれに手当てがついていない、これが現状だろうと思います。そんな中で、二年間に限って、財政投融資特別会計の積立金を取り崩して対応するということが決まっております。その後の見通し等について、ぜひ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 十六年改正の大きな柱の一つが国庫負担三分の一から二分の一ということでありますが、こういう状況で、委員御承知のように、今回は特会のお金を使って何とか四月からできるようにしのいできた。

 それで、今法律の改正案を出しているのは、最終的に安定的な財源でもって負担ができるようになるまでは、例えば、来年度も同じ状況が続けば臨時的な措置でやっていく。ですから、ことし二分の一になる、来年調子悪いから三分の一に戻るということはありません。これは確実に二分の一でやっていきます。

 ただ、財源については中期プログラムとの関係があり、特にこれだけの経済不況ですから、そのことを見ながらなんですが、やはり長期的には安定財源をしっかり確保していく、そういう方針のもとに行政の効率化を進め、経済の活性化に努めていきたい、そういうふうに思っておりますので、今回の改正案は、それにまさに対応するための法律改正ということで、ぜひ、一刻も早い改正案の成立をお願いしたいと思っております。

田中(良)分科員 ぜひとも、将来的な、消費税を含んだ社会保障に充てる財源、その道筋ができるまで徹底して無駄を省く、そういった行動を徹底して省庁においても推し進めていっていただきたいと思います。

 私自身の感覚としましては、二〇〇四年改正の想定による将来像を上回るペースで少子化がやはり進行し、そして年金制度への不信感が募ってきている。そんな中で、現行制度の持続可能性が低下する、こういう危険があるのではないかと危惧しているところであります。

 例えばこれまでの年金記録問題、これが未解決のまま残っていたり、中には記録改ざんなど抜本的な解決が非常に難しい問題もあります。今の賦課方式の制度のもとで解決できるかどうか。現実にこれが難しいとなれば、制度の信頼性を回復するためにも、私は抜本的見直しが必要であると考えるものであります。

 例えば国民年金、これはすべての国民の老後を保障するという観点から、すべての国民が対象となっているものであります。しかし、現実には保険料の未納者がいて、六十五歳になっても給付が受けられない。そして、そういう人がやはり生活保護を受けてしまうような道へと進まざるを得ない。結局、保険料を払わない人に税金が使われていくということにもつながるものであります。

 こうした観点から、国がこういう強制力をもって徴収する税金をもって、国民すべてを対象に給付する、年金においても税方式というものが私は将来的にふさわしいのではないか、こう考えるものであります。制度の安定化のみならず、人員の合理化あるいは無駄な経費の削減、社保庁自体をなくすということにもつながるものと思います。また、何よりも未納問題の解決にもつながるものであると思います。私は検討に値する内容だと思っております。

 ぜひ、この点に関して、税方式という部分に関しても御検討いただけるのか、ちょっとその辺の所見をお伺いさせていただきたいと思います。

舛添国務大臣 年金の方式をどうするか、私は学者の時代からいろいろ考えて、例えば積立方式と賦課方式、それから税方式と保険料方式、それぞれメリット、デメリットがあります。

 今おっしゃったように、徴収のコストもそうかからないし、今は年金記録問題で非常に苦労していますけれども、やはり何よりも一番いいのは、税だと未加入とかいう問題がなくなるわけですね。

 ただ、今、日本の社会保障というのは自助、共助、公助ということでやっている。特に、例えば介護の保険、介護制度を見ればわかるんですけれども、特養なんというのは措置で、まさに税金で面倒見ますからどうぞというような。そうすると、受ける方は、何となく恵んでもらっている。ところが、介護保険で三千円でも四千円でもきちっと払うということは、自分は払っているんだ、保険料を払っているんだ、だから権利があるんだ、堂々と行けますよということで、介護保険制度の成功の一つはそこにあると思います。

 医療にしても介護にしても、先ほど申し上げた今回の三分の一から二分の一の国庫負担についても、半分は税金が入っております。

 それ全部でやったときに、自助、自分でとにかく出すんだといういい側面をどうするかというのがありますし、共助というのは、特に賦課方式の場合は世代間の共助、若いときは親の世代を面倒見る、自分が年をとったら子供に見てもらう、世代間でバトンタッチしていくんだということで国民連帯が生まれる可能性もあります。

 それから、税方式にもいろいろないい面がありますけれども、移行するときに、今までせっせと払ってきた人、きょうから税ですよ、そうすると、例えば消費税でやるとしますね。年金をもらっている人、買うたびに五%なり七%なり払うんだったら、あれだけ掛金を払ったのにまた今度税金で取られるのかといって、年を召された方はまた文句を言うというようなこともあるので、経過措置をどうするかというのが一番大きな問題だと思いますけれども、やはりこれはよく議論をして、いろいろな案、いい面がたくさん入っていますから、相当突き合わせができると思いますので、ぜひ、これは国民的な議論をやりたい。

 それで、特に年金記録問題で、これだけ年金についての興味をみんな持ってきていますから、国民の皆さんも大変関心があると思いますので、今の委員の問題提起も含めて、これはきちんと議論するときが来ていると思っております。

田中(良)分科員 長期ビジョン、そういったものを議論しながら制度のあり方を、議論を進めながら形を示していくことこそ年金の信頼につながっていくものだと私は思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう時間がなくなりましたが、最後に、長寿医療制度についてお伺いさせていただきたいと思います。

 長寿医療制度は、さきにお伺いした年金制度と同じく、保険制度の持続可能性を高めるために実施された施策だと私は認識しております。統計データ上、病気にかかりやすいとされる七十五歳以上の方の健康のサポートを強化、また全体的な医療費の適正化を目指す方向、こういったものに関しては、私は、世間で言われるほど非合理的な考え方だとは思っておりません。しかし、この制度の導入当初、説明不足ですとかあるいはいろいろな混乱、これに関してはやはり反省すべき点があると思います。

 しかしながら、単にこの制度を廃止してもとの老人保健制度へ戻すということでは、負担のルールが明確でない、あるいは運営主体がわからないといった問題のある制度に逆戻りする。それだけではなくて、また現場も混乱し、低所得者の方の負担がふえたりですとか、本来の目的である高齢者の安定的な医療の確保ができなくなるなど、さまざまな問題が残ると思います。したがいまして、高齢者の方々の心情にも配慮しながら、よりよい制度への改善を急いで進めるべきだと考えます。

 そこでお伺いしたいのですが、以前、大臣は、この長寿医療制度の見直しについて、国保なんかについても都道府県単位、自治体単位ですね、そして長寿医療制度と一体となった運用をしてはどうかという私案も公表されました。この私案に対して都道府県からの反対意見もあるかと思いますが、国保にとっても、市町村ごとに大きく異なった、格差がある保険料の平準化を進めることができるという利点もあると思います。

 この点について、ぜひ大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 大きな流れでいうと、介護は市町村単位でやっていきましょう、しかし、医療はやはり県単位でやる。今、広域連合という話になっているのは、なかなか今は県の財政も大変だということであるわけですけれども、よく国民の皆さんに御理解いただきたいのは、国保というのは、私たちもそうですけれども、とにかく、働いている現役の方々もお年を召されればそこに行き着く大地のようなものであるので、これをしっかりしておかないと、現役のときだけよければいいわけではありません。

 そういう意味で、それの安定的な基盤をどうするか。それは、長寿医療制度もよく考えられていろいろな利点がありますけれども、今委員がおっしゃったようなつまずきがありましたから、やはり国民の皆さん方に理解していただくために、一つの案として、県単位で発想する。そして、何よりもそこには現役と高齢者をどういう負担にするかを含めて、負担の仕組みは非常に難しいですけれども、ただ、少なくとも県単位でやることによって安定的な基盤を確保していく。保険料についても、市町村によって違う、それは一気には平準化できないですから、経過措置は必要ですけれども。

 そういうことをきちんと議論して、これは党の方でも御議論をいただいておりますし、私のもとの検討会でも、塩川先生を座長に置いて今やっております。そういうことの検討の中で、やはり持続可能な保険制度をどうするのか、最後は国民皆保険をどう守るかということにつながっていくと思いますので、今後よく議論をしていただいて、党と一体となって国民に納得していただけるものをやっていく。野党が言っているように、昔の制度に戻すのではこれは話になりませんから、さらにいいものを目指して変えていく、そういう方向で努力してまいりたいと思っています。

田中(良)分科員 ぜひとも、そういったビジョンをどんどん示して推し進めていっていただきたいと思います。

 この長寿医療制度なんですけれども、公費で二分の一負担が行われている。現行、三分の一の国庫負担、そして六分の一の地方負担という状況になっていると思います。高齢者の保険料の負担は、今、軽減、見直しの財政措置も行われているところでございます。

 そういう形であれば、改正を行って、国庫負担、どのくらいかわかりませんけれども、例えば四割程度に引き上げることによって、より高齢者の保険料負担を低くしていく。私は、長寿医療制度がそういう制度改革をしていくことによって、よりよい制度として定着する可能性は大変大きい、可能性は大と言えると思います。その件に関してはいかがでしょうか。

舛添国務大臣 一番の問題は、やはり世代間の公平をどう考えるか。

 今、例えば子育て支援というようなことも一生懸命やっていますけれども、高齢者世代と若い子育て世代にどういう形で税金を配分しているかというと、相当高齢者に重く行っている可能性がある。例えば、子育て支援保険制度なんてないわけですから。そうすると、だんだん若い人が不満を持ってきて、なぜ高齢者ばかりにお金が行くんだということになると、これももちません。

 そのバランス感覚が必要ですし、一番は、それこそ病気にならないように、治療よりも予防、そういうことのために、いかに現役世代を長く保ち、仕事もしながら、生活も楽しみながら、そして健康を保つか、こういう総合的な政策が必要だと思いますけれども、やはり最終的にはバランスということであると思いますので、本当に困窮なさっている方、そういう方には温かい手を差し伸べないといけないですけれども、ある程度の負担もお願いすることもなければ、世代間の公平がとれない。

 そこは、よく国民的なコンセンサスを得て、おのずといいバランスのところでまとまるだろうというように思っています。

田中(良)分科員 済みません、最後に一点。

 消費税の見直しということに関して麻生総理は言及されております。この税率の増額分をふえ続ける社会保障費に充てるということにおいて、公費負担割合の増額など、こういったものが実現できるとすれば、私は十分検討に値するのではないかなと思っております。

 今の消費税は確かに逆進性がないとは言えませんけれども、社会保障関係費のように所得の再配分機能を付与して、そしてセーフティーネットの構築に役立てる、これを約束することができれば、私は国民の理解を十分に得られるのじゃないかなと考えます。

 ぜひ、この点に対して、舛添大臣の口からその辺のことをお聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 先般の中期プログラムでも、これはまさに社会保障に充てるための消費税のアップだということであります。広く薄く取る消費税というのは、私は社会保障財源に最適だと思います。

 逆進性ということがよく言われますけれども、一千万円の高級外車を買う人は、例えば消費税率が一〇%なら百万払うわけですね。百万円の大衆車を買う人は十万円ですね。まさに十倍の税金の違いがあるわけですから、消費性向から見ても、そう言われているほど逆進性かということがあるし、複数税率という制度を、例えば二けたの税率になるならば持っていって、生活必需品を低く抑えればそういう問題は解決できると思いますから、やはりこれは、みんなが公平に広く薄く負担する財源でもって、みんなが利益を得る社会保障の財源を賄うべきだというふうに思っています。

 なかなか、景気が悪かったり、選挙の年というのに正面切って増税論議というのは難しいことはわかりますけれども、しかし、負担がなくて給付はありません。そういう意味では、私は、国民がきちんと議論し、納得していただけると思いますから、正面から給付と負担についても議論するべき時期に来ているというふうに思っています。

田中(良)分科員 ありがとうございます。

 舛添大臣、さらなる御活躍をお祈りいたします。ありがとうございました。

根本主査 これにて田中良生君の質疑は終了いたしました。

 次に、平口洋君。

平口分科員 自由民主党の平口洋でございます。

 きょうは予算委員会の分科会で質問させていただく機会をいただきまして、感謝いたしております。

 私は、いわゆるベッド数が十九以下の有床診療所の問題に絞ってちょっと御質問をしたい、このように思います。

 まず、平成十八年六月の医療法の改正で、従来、医療法の十三条では、診療所の管理者は同一の患者を四十八時間を超えて入院させることがないように努めなければならないといういわゆる四十八時間ルールというものがあったんですけれども、これを撤廃されました。この撤廃をした考え方についてお伺いしたいと思います。

外口政府参考人 有床診療所につきましては、僻地等における入院施設としての役割を果たすものや高度な手術を行うもの等、さまざまな機能を果たすものが存在していること、実際の平均入院期間が四十八時間を大きく上回っていること、ちなみに平成十四年の患者調査では平均入院期間は十六・六日でございました、こういったことから、平成十八年の医療法改正において、一般病床における入院を四十八時間までとする努力義務規定を撤廃したところでございます。

平口分科員 今のような説明もあるかと思いますけれども、私が知る限りでは、どちらかというと病院予備軍みたいな位置づけから、やはりきちっとした病床を持っている医療施設だというふうに考え方を改めて、それがゆえに、それまではベッド数も地域医療計画の中に位置づけられていなかったんですけれども、これをきちっと地域医療計画の中で位置づけて、それで有床診療所の方の意義を評価するというふうに変わったというふうに思います。

 そういう意味で、病院とあわせてこの有床診療所の充実を図っていただきたい、このように思うものでございます。

 もう一つ、条文で、医療法の一条の五に病院の定義と診療所の定義とありますが、病院の方の定義には、もちろん病床数が二十人以上という要件はあるんですけれども、さらに、科学的かつ適正な医療を受けることのできる施設というふうな位置づけがされているんですけれども、診療所、つまり、ベッド数がない、あるいは十九以下のものについてはこのような規定がないんです。読み方によれば、有床診療所の方を、まあ表現は悪いんですが、小ばかにしたような定義になっていると思います。この点についての見解をお願いいたします。

外口政府参考人 一般的に、病院は地域における中核的な医療機能を担う施設でありますことから、医療法では、科学的でかつ適正な医療を受ける施設であると、その使命を明らかにするとともに、構造設備や医師など人員配置について相当程度充実した医療施設であることを要求しているところであります。

 一方、診療所は、地域住民の医療ニーズに広く柔軟に対応し、地域のプライマリーケアを担う施設でありますことから、医療法では、病院とは異なる医療機能を担うものとして位置づけております。また、診療所は、高齢化が進む中で、医療のみならず介護を含めたサービス提供も地域から期待されているところであります。

 いずれにいたしましても、診療所、病院は、ともに地域全体で必要な医療が確保されるよう、地域の実情に応じて相互に役割分担や連携を進めていく必要があると考えております。

平口分科員 病床数が少ないということや、もちろん人的な医師あるいは看護師といったような方々の配置も病院ほどではないんですけれども、ただ、最近はこの有床診療所というのもいろいろなタイプがありまして、もちろん郡部に所在して病院が立地できないようなところの入院施設といったような面もあるんですけれども、一方で、都市内において、特定の診療科目に専門性の面で大変卓越した技術があるといったような、例えば眼科でいうと白内障の治療が非常に上手だとか、あるいは腰痛の専門家だとか、そういったような面もあるわけですから、ただ単に病床数の多寡ということに着目して、科学的とか適正な医療とか、そういったようなものがいかにもないかのような定義を置かれるのはちょっといかがかというふうに思います。折を見て、もう少し有床診療所の意義づけをした上で、きちんとした定義づけをしていただきたい、このように思うものでございます。

 この有床診療所なんですけれども、どちらかというと、日本の国内では西部、九州なんかが多いので、全国的に均一な立地にはなっていないわけですけれども、その意義は、いろいろとバリエーションがあって、専門性の高いものや、あるいは地域で病院が立地できないようなところの地域医療を担っているようなものや、いろいろあるわけでございまして、特にこれから先、高齢化社会で、介護なのか医療なのかわからないというふうなお年寄りもふえてくると思うんですけれども、そういう意味においては、その役割をもう少しきちっと評価をした上で国内の整備を図るというのが筋じゃないかと思うんです。

 一方で、二十年前ぐらいには三万弱ぐらいあった有床診療所がどんどんどんどん減少していく。言葉を変えていえば、つぶれていっちゃっているわけですね。それでとうとう今、二万を切っているような状況でございます。病床数はもっともっと減っております。年間千ぐらいのペースで減っているというふうな分析もございます。

 こういう中で、やはり何らかの大きな問題があるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、有床診療所がこのようにかなり激減していっている現状を厚生労働省の方はどのようにお考えなのか、御説明いただきたいと思います。

外口政府参考人 全国の有床診療所の施設数は、例えば平成十四年から十九年にかけての五年間で約三千八百カ所減っておりまして、年平均にすると七百カ所から八百カ所の減少となっております。

 有床診療所が減少して無床診療所に転換している理由といたしましては、その地域や医療機関の実情に応じてさまざまな理由が考えられるため、一概にお答えすることは難しいと考えられますが、日本医師会総合政策研究機構が平成十八年三月に実施いたしました有床診療所に関する実態調査によりますと、人件費がかかり過ぎる、入院患者の減少などが主な理由であったと承知をしております。

平口分科員 いずれにしても、七百、八百といったようなオーダーで毎年減っていっているということは、それだけやはり地域医療の担い手が崩壊していっているということとも受け取れるわけですから、やはりこの減少傾向に歯どめをかけて、地域社会でより一層、専門的な技術を持ったり、あるいは高齢化社会への対応をしたりといったような役割をきちっと果たせるように、行政の方も誘導していっていただきたい、このように思います。

 それで、ちょっと細かい事柄に入っていきたいんですけれども、有床診療所におけるベッドですね。十九以下という非常に経営効率の悪いベッド数。例えば旅館、ホテルでも十九部屋以下とかいうと、やはり非常に規模が小さいということは言えるんですけれども、これがさらに一般病床と療養病床とが混在している。一般病床が九つあって療養病床が十あるとか、そういった混在しているようなケースが多いんですけれども、特に介護保険のショートステイについて、現在、医療の療養病床あるいは介護の療養病床の空床を利用して行えることになっておりますが、一般病床でも可能なようにしたらいかがかというふうに思いますが、どうでしょうか。

宮島政府参考人 委員御指摘のように、今は療養病床だけでショートステイの実施ということになっておりますが、ショートステイを実施する診療所の数は必ずしも多くありませんので、今回の介護報酬の改定で、ショートステイの施設要件を満たしていれば有床診療所の一般病床でもショートステイを実施できることとし、対象施設の拡充を図ることといたしました。

 今後とも、有床診療所の患者の身近にあるといったような利点を生かしてサービスの充実に努めてまいりたいと思います。

平口分科員 一般病床の方でも利用できるように四月一日からなる、こういうことでございますので、その点は大変評価をしたい、このように思います。

 ただ、これは介護のショートステイなんですけれども、高齢者によっては医療か介護か分野がはっきりしないような方も多いわけでございますので、どちらかというと医療の方にもこのショートステイのような制度をやはりきちっとやってもらいたいというふうに思うんです。

 これとの関連で、最近、診療所後期高齢者医療管理料という、ちょっと舌をかみそうな長い名前のものがあるんですが、要は、七十五歳以上の方々についてかかりつけ医なんかがアドバイスをしたり処置をしたりする、そういう報酬の制度なんですけれども、これは読んで字のごとく対象が後期高齢者になっておりますし、また、介護保険の適用がある場合は使えないということで、実態的には余り使われていないというふうに聞いているんです。

 ここらの年齢制限を撤廃するとか、あるいは、介護保険でも医療保険でもどちらでも泳げるようにするとか、そういったような工夫をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

水田政府参考人 診療所後期高齢者医療管理料についてのお尋ねでございますけれども、これは、高齢者の在宅医療を補完する観点から設けられているものでございまして、介護保険の短期入所者療養介護、ショートステイと類似するサービスでございます。

 医療保険制度におきましては、介護保険で類似するサービスが行われている場合には介護保険を優先するということが原則とされておりまして、要介護被保険者に対しましてこの管理料を算定するということにつきましては、医療保険制度と介護保険制度の基本的な関係の見直しということにつながるものでございますので、慎重な検討が必要と考えております。

 それからもう一点、この管理料の対象を後期高齢者以外の方へ拡大するということについてでございますけれども、これにつきましては、関係する専門家等からの御意見を踏まえながら、必要に応じて検討を行っていきたいと考えております。

平口分科員 いずれにしても、高齢化社会に入ってくると、やはり介護も必要だけれども医療も必要だというふうなお年寄りがいらっしゃって、もちろん報酬制度の方もいろいろと工夫をされて、例えば、かかりつけ医として在宅療養支援診療所の制度とか、こういったようなものを活用されているというふうに聞いておりますけれども、こういう中で、ちょっと二、三週間施設に入院をして、そして医療のサイドからの面倒を見た方がいいかなというふうなことが間々あるわけでございます。

 これはまた後で申し上げますが、やはり何といっても、有床診療所の入院の基本料金が非常に安い、低いものですし、また、看護加算なんかも一日に三百円とか、ちょっと一けた違うんじゃないかというふうな数字の加算でしかなかったり、実際問題は、こういう分野での経営に診療所の管理者が非常に苦慮されているというのは、これはもう全国的な事実でございますので、一歩進めた制度があるということは評価いたしますけれども、それではまだ十分でないというふうに私は思っておりますので、ぜひとも、今後とも研究、検討を重ねていただきたいと思います。

 それで、要するに、有床診療所は十九以下という極めて経営効率の悪い数字の中で、さらに一般病床と療養病床と混在したりする場合がある。そういう中で地域の医療全体を担っていかなくちゃいけないという局面があって、いろいろなケースがあるんですけれども、昔よりはよくなったんですが、それでもまだ二室八床ルールというふうなものがあって、介護療養病床と医療療養病床との適用の選択に当たって、緩めてはいるけれどもまだまだ使いづらいようなルールがあるわけでございます。これをもう少し弾力化して、仕切りを取っ払うかもっと緩和するか、そういったようなことは考えられないかと思いますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 現在の取り扱いについてでございますけれども、これは、介護療養病床に入院している患者さんにつきましては医療保険からの給付を行わないというのがまず出発点でございます。ただ、緊急な入院に柔軟に対応する、そして患者が適切な医療を受けられるように、男性、女性それぞれ一部屋ずつ四床、合計、御指摘のとおり二室八床に限って特例的に医療保険からの給付を認めているところでございます。

 この二室八床の範囲を拡大するという御提案でございますけれども、この取り扱いはあくまでも特例的なものであるわけでありますし、また、拡大した場合に、要介護者に対するサービスの量の確保に与える影響というものも出てくるわけでございますので、こういったことも踏まえながら慎重に検討していかなければならない問題であると考えております。

平口分科員 十九以下という限られた病床数の中での地域社会における活用ということでは、やはりいろいろなケースがあり得るわけで、できるだけそういうケースに適切に対応できる、療養病床がいっぱいだからもう入れませんとか、一般病床が二室八床ルールでもう余力がないので入れませんというふうなことがないようにやはり工夫をしていただきたい、このように思います。

 それで、やや核心的なところに入っていきたいんですけれども、このように十九床以下で、なおかつ一般病床と療養病床が混在するというふうな場合に、看護職員、看護師さんの配置基準が、一般病床は一般病床、療養病床は療養病床というふうになっていまして、非常に狭いエリアの中の二つの区分の中で、さらにそれぞれの基準を生かしていかなくちゃいけないというふうな運用になっております。

 やはりそれは足し算して十九以下のものについてどのようにしていったらいいかというふうなことになるわけでございますので、そういう意味では、この看護師さんの方の配置基準を例えば通算できるようにするとか、そのように改善されていかれたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。

水田政府参考人 一般病床と療養病床、それぞれ果たすべき役割あるいは患者の病態が違うということでございまして、診療報酬におきましても、当該病床の役割を踏まえた施設基準あるいは点数の設定等を行っているところでございます。

 このために、それぞれの病床におきまして提供される医療サービスの質を確保する、それから、これらを適切に評価する観点から、それぞれの病床ごとに基準どおりの看護職員を配置していただくということが今現在の考え方であるわけであります。これをどのような観点で、サービスの質の確保ということに重点を置きますと現在の考え方になるわけでありますので、必要であればまた御議論をいただきたいと思います。

平口分科員 きょうのところのお答えはそういうことかもしれませんけれども、やはり実際の医療現場においては、一般病床に回すか、あるいは療養病床に行っていただくかというのは非常に微妙な場合が多いわけでございますので、やはり医療を受ける、あるいは介護を受ける方々の実態に即して、やはりどうにもがちがちの制度にしているとよくないというふうな事例が幾つかあると思うんですね。そういう実際の事例をよく分析していただいて、やはりここは弾力的に、十九床以下という非常に小さい数字の中での泳ぎ方になるわけですから、それなりの工夫をした看護職員の配置基準にしていただきたいというふうに思います。

 それと、もう一つの大きな問題は、これは入院基本料の問題でございまして、入院基本料の議論をここで始めますとまた延々と時間がかかりますから、ポイントだけ申し上げますと、いわゆる有床診療所の方の入院基本料というのは日数で区切っているんですね。急性期である七日以内とか十四日以内、これは、例えば看護職員が五人以上いらっしゃる場合は、一週間以内の場合には一日当たりの入院の基本料が八百十点、つまり八千百円。それで、一週間を超え二週間以内は六百六十点、六千六百円というふうになっております。看護職員が五人以上置けない場合はそれよりもっと悪くて、一週間以内の場合は六百四十点、六千四百円。八日以上十四日以内は四百八十点、四千八百円というふうになっております。

 これに対して、一般病院の場合はこういったようなことになっておりませんで、看護職員七対一の入院基本料の場合は一千五百五十五点、つまり一万五千五百五十円。それからさらにずっと、七対一が十対一、十三対一の場合、十五対一の場合というふうになって、最も看護職員の対応の薄い場合、十五対一の場合は、それでも九百五十四点というふうになっております。

 さらに、一般病院の場合は、急性期の十四日以内に四百二十八点、四千二百八十円ほど加算する。さらに、亜急性期あるいは回復期、十五日から三十日以内の場合は百九十二点、千九百二十円加算するというふうになっておりまして、これを足し算すると、一般の病院の場合と有床診療所の場合の入院基本料がもう大変大きな格差になっております。

 冗談かと思うような数字なんですけれども、看護職員が五人以上置けないというふうな場合に、一カ月を超えると二百八十点、二千八百円の入院基本料でしかないんですね。それに看護の加算を加えても一晩一人当たり三百円とかそういったようなことでは、とてもこの有床診療所は経営できない。特に高齢者の場合は、二週間かかるか三週間かかるか、はたまた、先ほどの数字でもおっしゃっていたように、とてもじゃないけれども一週間以内に退院できるような人はいないわけでありまして、一カ月を超える人も随分といらっしゃるわけですけれども。何ともはや、この二千八百円という数字は常識では到底考えられないような点数だというふうに思います。

 この辺の適正化を図っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

水田政府参考人 有床診療所の入院医療に対する診療報酬上の評価についてのお尋ねでございますけれども、病院との比較で申し上げますと、施設設備の基準でありますとか医師等の人員配置標準というものが病院に比べると大幅に緩和されているということがまずございます。さらに、入院業務に従事する職員と外来業務に従事する職員が明確に区分されていない場合が少なくないといった状況がございまして、病院とは異なる点数設定になっているわけでございます。

 しかしながら、個々の医療機関の特性に応じたきめ細やかな評価を行うことが必要であるということから、これは御指摘のとおりでございます、平成二十年の診療報酬改定におきまして、夜間速やかに診療を行う体制を確保している医療機関に対する評価でありますとか、夜間に手厚い看護を行っている医療機関に対する評価を新設するなど配慮を行ったところでございます。

 言ってみますと、提供されるサービスに対する評価ということが原則でございますので、やはり中身に応じて対応をしていくということであろうかと思っております。

 ただ、いずれにしましても、今後、関係者の御意見を伺いながら、有床診療所の役割を踏まえた適切な評価を行っていきたい、このように考えております。

平口分科員 今後、そういう方向で御検討をいただきたいというふうに思います。

 急性期の場合も、あるいは回復期の場合も、あるいはそれを超えた場合も、いずれにしても、どの場合もやはり有床診療所の方の入院の制度というのは非常に不利でございまして、やはりこの辺に毎年七百とか八百とかいうオーダーで有床診療所の機能が閉鎖されていっているというふうなことの根本原因があるんじゃないかというふうに思います。

 それで、一方で、当初も申し上げましたけれども、やはり有床診療所というのは、病院が立地できないような中山間地とかあるいは地域社会とか、そういうところで、これからますますふえていく高齢者、こういったような医療と介護と両方必要な分野の患者さんがふえていく中で、やはりきちっとした生きがいを持って、意欲的に有床診療所の経営ができるような制度にしていかなくちゃいけないというふうに思います。

 また一方で、繰り返しになりますが、白内障の専門家とか腰痛の専門家とか、いろいろな分野で専門性の高い有床診療所というのも大変評価を受けているところでございますので、こういったような有床診療所の、ある意味で日本の医療制度の片側を支えている、大きな役割を持っている制度だというふうに思いますので、これから先も有床診療所がきちっと発展をしていくように、国民の良質な医療の確保にこたえ得るように御指導をいただきたい、このように思います。

 そういったような意味で、最後に大臣の方からこのことについての御所見をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 きょうは平口委員から有床診療所についての御質問をいただきました。

 医療崩壊と言われている状況の中で、勤務医の先生たち、この問題を今クローズアップして非常に力を入れてやっていますが、片一方で地域の診療所、特に有床診療所の役割というのは委員御指摘のように非常に大きいものがあります。特に、一日でも二日でも入院させることができるというのは地域の医療を支える大きな意味がありますから。

 先ほど答弁させましたように、二十一年度の介護報酬改定で、一般の病床もショートステイで使うことができるということも入れておりますので、一番大事なのは、現場の皆さん方の声を聞きながらさらにその機能を高めていく。そして、勤務医の皆さん方も、開業医、そしてこの有床診療所の皆さん方も、病院全体も、みんなでやはり力を合わせて今の医療崩壊と言われる状況に対応しないといけないと思いますので、現場の声に耳を傾けながら、さらに努力をしていきたいと思っております。

平口分科員 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

根本主査 これにて平口洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、清水鴻一郎君。

清水(鴻)分科員 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 舛添厚生労働大臣は、本当に私ども厚生労働委員会をずっとやっている人間から見ましても、大変頑張っていただいているなと大変敬意を表していますし、また高く評価をさせていただいているところでございます。

 そういう中で、今、政局、いろいろ混乱していますけれども、この社会保障というのだけは、いろいろなことはありますけれども、これだけはもう何としても、国民の安心のためにもしっかりしたものを提示していかねばいけないというふうに思っています。

 その中で、大臣もいろいろなところで触れられていますし、いわゆる社会保障費、私も何回か質問をさせていただいて大臣からも答弁を受けているところでございますけれども、二千二百億の自然増の削減は限界に来ているだろう。

 ことしは麻生総理の決断もありましたし、舛添大臣の御苦労もありまして、実際には二千二百億は、道路特定財源の六百億を持ってくる、あるいは特別保健福祉事業資金の清算で一千三百七十億、ジェネリックを進めるということで二百三十億。これは一応削減ですけれども、しかしこれが一つの流れとして、ジェネリックを促進していくという日本の中では、ジェネリックの使用というのは少しおくれているわけですから、いわば削減ということではなくて手当てをしていただきましたけれども。

 ただ、これも、一千三百七十億というのは、いわば特会を壊したという、来年度、次年度だけのことであります。だからこそ、社会保障に携わる者、医療関係者を初めとした社会保障にかかわる者はまだまだ安心していない、だからこそ、こぞって政府を、自民党を信頼して応援したいという声がなかなか生まれてきていない現状がございます。

 その中で、麻生総理は中福祉・中負担ということをおっしゃっています。確かに、中福祉・中負担、そうなんだろう、我々もそういうふうな認識がありますけれども、国民からすれば、中福祉というのはどこまでが中福祉で、中負担というのはどれぐらいが中負担だろうというのは、大臣のように国際的にも非常に見識の高い方はこれが中福祉・中負担だろうということを大体イメージされるものがありますし、私なども若干そういうイメージはありますけれども、なかなかわかりづらいところがあります。

 本当は、中負担を求めるという、今回の例えば消費税論議、特に二〇一一年度から消費税も上げたいということであれば、本来は、こういうメニュー、こういうことを担保する、今までのこういうことは引き続きやっていきます、あるいは、さらにこういうところは社会保障をこういうふうにメニューをつくっていきますということをきちっと示して、だからこそいわゆる負担をお願いするというのが筋だと思いますけれども、今のところ逆に、消費税を上げたいということが来て、メニューがなかなか示せていないというのが現状かなと思います。

 そこで、大きな意味合いで、いわゆる負担率、国際的には、日本は先進七カ国の中では随分、アメリカは特別な国でありますけれども、それ以外のヨーロッパ諸国に比べれば、負担率は非常に少ないわけであります。そういうことを踏まえて、大臣の考え、大臣も、中福祉・中負担で、中福祉・低負担はあり得ないということもしばしばおっしゃっています。大臣のおっしゃる中負担というのはどれぐらいの負担率をイメージして、そのかわり、どういうところはしっかり守っていこうということなのか、お聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。

舛添国務大臣 簡単に言うと、北欧諸国のように、これはスウェーデンですけれども、国民負担率が六六%、そして消費税では二五%、そこまでの負担をすればそれは相当な高福祉・高負担になりますよ。ただ、アメリカなんかのように四千万人の人が保険を持っていないというようなことも、これもまた問題である。そういう意味で、中福祉・中負担というのは、そこそこに、両方の間ぐらいだというイメージだと思います。つまり、国民負担率が五割を超えるというのはやはり非常にきついですから、日本と同じ敗戦国のドイツ、これも高度な先進社会になって、これが五二%ということなので、五割を超えない、できれば四割程度でいければという感じだと思います。

 その中で、しかしながら、介護の問題にしても医療の問題にしても年金の問題にしても、やはり本当に国民が例えば医師不足で困り切るというようなことがあっては中福祉という名に値しませんので、そういう意味で、必要最低限のものはきちんとそろえていくということが必要だというふうに思っています。だから、これは全く負担と給付の関係の問題ですから、最終的には国民がどのバランスがいいかということを決めることになろうと思いますけれども、麻生総理がおっしゃったような中福祉・中負担というのはそういう方向づけだというふうに思っております。

 しかし、そのためにはやはり安定した財源を確保しないといけない。今、消費税は五%ですけれども、一気に二〇、二五上げるというのは、これはとても国民的な理解を得られない。しかしながら、例えば今、介護の費用だけでも全部税金で見ようとしたら消費税の三%アップぐらいはしないといけなくなっちゃいますから、そういうことも含めた上で、適当なバランスの上に立った負担が必要だというふうに思っています。

清水(鴻)分科員 今大臣は四〇%程度というふうにおっしゃったと思いますけれども、もちろん負担率の出し方というのはいろいろあると思いますけれども、今、日本も、少なくとも直接負担、潜在的な負担率を除いても、ほぼ三八とかにいっていて、潜在的な、国債の発行とかも含めると既に日本も大体四四%ぐらいまでいっているんじゃないかと思うんですね。ドイツなんかも、直接的なもの、これは二〇〇三年ですから少し古いですけれども、それでも五三・三、潜在的なものを入れれば五八・四というデータがありますし、低いイギリスも直接的な負担は四七・一、これは二〇〇三年ですけれども、もっと今は進んでいると思いますけれども、潜在的な負担率を入れれば五一・二%。

 だから、私などのイメージするのは、もちろん負担の仕方は間接税もありますし所得税もありますし、あるいは税だけではなしに保険料負担も含めたいわゆる負担率というのは、やはり五〇パーというのが中負担の一つのメルクマールになるのかなというふうに思っているんですけれども、今大臣がおっしゃった四〇という数値はどういう根拠ですか。

舛添国務大臣 それは、間接的な数字を含まない感じで申し上げました。

 ただ、私が申し上げるのは、やはり国民負担率五割、これが、だからドイツなんかもそれを超えていますし、イギリスも直接的だけれども大体そういうレベルなので。ただ、やはり努力目標としては、片一方で無駄も排さないといけない、効率化も図らないといけない。社会保障というのは、それは潤沢な財源があれば、拡充すればするほどいいわけですから、逆に言うと非常にモラルハザードに陥りやすい面があります。ですから、恐らく委員と私とそう変わらないと思いますから、間接的なところも入れれば五割程度になるのかもしれませんが、やはり最初からそれを簡単に超えていいということではなくて、相当抑制的なこともなければいけないというふうに思います。そうじゃなければ、最初からそれは高福祉がいいですね、では高負担ですねと。

 私なんかはヨーロッパで長いこと生活していましたから、どちらかというと個人的には、中か高かというと、それはやはり高福祉になれてきた立場からすると高福祉はいいなと。しかし非常に負担が重い。買い物をして、車を買ったときに三割近く税金を持っていかれたり、まあ三割というのは極端ですけれども、二割持っていかれるわけですから、百万の車を買ったら二十万持っていかれると、おい、ちょっと待てよという感じはあるんです。

 ですから、そういう意味で、四〇か五〇かという数字の論争をするのではなくて、いつも言っていることと矛盾するように聞こえるかもしれませんが、きちんと負担はしてもらわないといけないけれども、社会保障というのは際限なくモラルハザードにつながる危険性がありますよ、そういう意味では非常にそこは抑制的に時々は言うということが必要じゃないかなという思いを込めて申し上げました。

清水(鴻)分科員 ちょっと事務方の方に、今一番近いデータで日本の国民負担率というのはどうなんですか。私の手元にあるのは二〇〇六年のデータなので、直接的な負担率が三七・七、潜在的な負担が六・一あって、四三・九という数値が今私の手元にはあるんですけれども、これ以上新しいデータはありませんか。

舛添国務大臣 私が持っているのも、OECDの二〇〇五年のデータをもとにして、先ほどの三八・九%という数字、それからドイツが五〇を超えている、スウェーデンが六六ということを申し上げましたので、さらに直近のものがあれば、また後ほどお示しするということにしたいと思います。

清水(鴻)分科員 わかりました。

 確かにモラルハザードの問題はありますけれども、やはり今の日本は若干低負担であろうと思います。そういうことも含めて、ただ、逆に言えば、無駄を排除した中でしっかりしたメニューを示していくということを舛添大臣には大変私は期待しておりますので、これからも、社会保障のみならずいろいろな面で先見的な案を出していって、リードしていっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それから、大臣がよく、今、特に妊婦健診、五回が十四回になったということを、これは本当に我々も地元で胸を張って言っていることなんですけれども、実際にはちょっとこれは、公費負担がいわゆる交付税措置でされていますが、自治体によって結構ばらつきがあって、必ずしもいわゆる十四回ちゃんとした健診がカバーできるかどうかというところに一つ問題が起こっているわけなんです。

 それと、私自身が、これはちょっと本当かどうか確かめをしていないんですけれども、最近だと、やはりふるさと出産でありますとか、東京に来ている、だけれども出産するときは地元にいる、あるいは少しつわりがひどいときは地元の実家で過ごす、そのときに健診に行くと、つまりそれは、東京なら東京に現住所があって、そこでやっていると、ふるさとに帰って健診を受けに行くと、実際には健診が無料化にならない。だから、ふるさと出産したりするときは非常に使い勝手が悪いというようなことがあるやに聞くんですけれども、その点のこと。

 それから、自治体のばらつき等について、ちゃんとしたことを、全国的な、統一的なことを、やはりどこに住んでいても、今回、せっかく我々が声を大にしているところですから、いや実際は、どこかでは十回ですよとか、あるいは一回一回に、五回を過ぎると一万円は自分で払う分があるんですよとか、あるいはメニューをちょっと削除して、本当はこれだけやらなきゃいけないけれども、公費負担がこれだけですから、無料健診でいこうと思うとメニューは減らさなきゃいけないですという現実があるやに聞くんですけれども、いかがなものですか。

村木政府参考人 妊婦健診でございますが、今、私ども、公費で負担をできる分、これは地財措置がされておりますということで、五回分、公費負担でやってくださいというお願いをしております。全国平均では五・五回ほどやっているかというふうに思いますが、実際には御指摘のようにばらつきがありまして、まだ回数が低いところもございます。私ども、自治体の実施の回数を全部調べまして、相当定期的に回数の低い自治体にはお願いを申し上げているところでございます。

 今度、二十年度の第二次補正予算におきまして、我々は十四回は必要というふうに申し上げておりますので、残りの九回分について今度はしっかり国庫補助も入れ、地財措置もとっていただくということで、今まで以上に財政的な支援をしっかりいたしますので、財政的な措置はされているので必ず十四回やってほしいということで、回数や標準的な健診の項目などもお示しをして、しっかり自治体を指導していきたいというふうに思っております。

 それから、ふるさと出産は、確かに先生御指摘のような問題がございまして、これは実際には、もともと住んでおられる自治体と、それから里帰りをされたところの医療機関との間でお金のやりとりが要るということになりますので、これはぜひふるさと出産もやっていただきたい、それから助産所を使ったような健診もやっていただきたいということで、きめ細かに自治体を指導して、ふるさと出産の場合でも心配がないような形をぜひつくっていきたいというふうに考えているところでございます。

清水(鴻)分科員 ぜひ自治体によってばらつきがないように、今聞いているのでは、今回の国の措置では恐らく十四回で約十一万三千円、今までは全国平均五・五回で妊婦一人当たり約五万円ですから、回数的にはいけるはずでありますので。ただ、十一万出さない、九万ぐらいしか出さないんだという自治体もあるようでありますので、その辺は、交付税ですので、交付金じゃないのでなかなか難しい点もあるかもわかりませんけれども、やはり、せっかく舛添大臣も頑張っていただいて、我々も声を大にしているけれども、実際には自治体によってできないじゃないかということになると、うそを言っているような感じになりますので、これはぜひお願いしたい。

 それから、やはり今、ふるさとで出産、あるいは体調の悪い、妊娠中つわりがひどいときに地元に帰っていくと、今おっしゃったように、実際には、現実的にはほとんどできていないと思いますよ。一つの市町村でやっていれば、違う市町村でもう一回それを使うことはできていないと思うので、そこのところを、よほどきめ細かく、連携をとれるようにぜひお願いをしたいなと思います。

 それから、それに関連して、我々も希望していました、一つの安心な出産ということで、産科医療補償制度がいよいよこの一月一日からスタートしましたね。これは、まだすべての施設が入っているわけではないんだと思いますけれども、ただ、ハイリスク妊娠管理加算とかあるいはハイリスク分娩管理加算をとるためには、算定要件にこの産科医療補償制度に加入するというようなことを決定されて、指導されているということであります。

 実際、これが一月一日から始まって、加入状況、あるいはもしも案件で適合するような申請があれば教えていただきたいなと思います。

外口政府参考人 産科医療補償制度、まず、現在の加入状況でございますが、病院、診療所においては九九・七%、助産所においては九六・二%、総計では九九・二%の加入となっております。

 現在まだ加入いただいていない分娩機関につきましては、これは運営組織であります日本医療機能評価機構より、制度の趣旨について御理解いただき、加入いただけるよう働きかけているところでございます。

 なお、この制度は、平成二十一年一月一日以降に出生したお子さんが対象となっておりますが、補償の対象となる脳性麻痺の診断は生後直ちには困難ということもございます。したがいまして、補償の申請は早くとも生後六カ月以降に行われることとなっておりまして、現時点においては、まだ実際に補償を行うことが決定された事例はないところでございます。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 せっかくつくった制度、九九・二%というのは限りなく一〇〇に近いですけれども、たまたまそこに加入していないところで分娩して、そしてそこが加入していないことは知らなかったというようなことで、せっかくの制度を利用できないということのないように、やはり一〇〇%加入していただけるように、ぜひ啓蒙活動、そしてまたその実情を把握していって、一〇〇%になることをぜひ努力していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、今大臣私案も出されている後期高齢者医療制度、いわゆる長寿医療制度でありますけれども、これはやはり、ちょっとあれですけれども、衆議院の選挙も近いという中で、今検討中というだけではなかなか、前向きに検討しています、つまり、もとへ戻して財政破綻を起こすようなことがないように与党は責任を持ってやっていますよということを申し上げるわけですけれども、私なども麻生総理が総理になられるときにも政策提言をさせていただいた中に、ほぼ大臣と同じような考え方の中で、いわゆる後期高齢者医療というものを後ろ向きにそのまま国保にまた戻すということではなくて、国保そのものを、国民健康保険も後期高齢者を除いてもやはり大変厳しい財政状況、市町村によっては高齢化率が非常に高まっているところもある、これは広域化がどうしても必要じゃないかと。

 京都府なんかは、私は京都なんですけれども、いわば京都府が責任者になって、国保を統合していけないかというようなことをモデル事業としてやってもらっているわけですけれども、私は、大臣がおっしゃっているように、やはり国保の広域化が必要だろうと。そして、そこへ後期高齢者をいわば吸収合併といいますか、国保の中に、いわゆる広域化した中に入れていく。

 七十五歳という年齢だけで、例えば現実に今会社で一線で働いている方が、またそこの年齢だからといって会社の保険から外れるのがいいのかどうかとか、あるいは扶養家族というのは、もちろん公平性とかいろいろなことはありますけれども、家族が一緒になって暮らしていて、お父さん、お母さんと同居している、介護についても家族が一定責任を持ってやっている。いわば日本の家族制度を守っていただいている。そこに、若干のそういう恩典と言うべきかどうかわかりませんけれども、ただ、家族が病気をしたときに介護をしたりする、有償無償のものをやはり家族というのはやっているということもありますから、必ずしもお金の面で公平性を担保するために扶養家族の人を、これも年齢があれだから家族と住んでいようが何であろうが高齢者医療制度の中に入れていくんだというようなことではなくて、やはりできれば七十五歳の年齢だけで区分するものではなくて、いろいろな状況にかみ合ったものにしていただいて、国民健康保険を広域化するという中で、ただ、高齢者についての一定の、今公費負担は五割でありますけれども、それについては弾力的に、高齢化率あるいはいろいろなものを考えながら、もちろん負担を求めるという国民負担率の先ほどの論議も踏まえながらですけれども、五割が六割になるあるいは七割になるということも、負担が余り偏らないようにというようなことでやっていくのが正しいと私も思っているんです。

 今、検討状況を踏まえて、できるだけ一定の方向性、きちっとしたものがまだできないかもしれませんけれども、どういう方向性でどれぐらい進んでいるのか、特に大臣の思いはどこにあるのかということをお聞かせ願えればと思います。

舛添国務大臣 どんなに理論的にいいものであっても、国民が受け入れるものでなければ、民主主義社会においては定着いたしません。それは、マスコミの取り上げ方がひどかったとか野党の攻撃がひどかったとかいっても、やはり七十五歳以上だけ切り離すのか、嫌だよという感情には配慮をしないといけません。

 それから年金記録問題もあって、天引きということについても、これも問題ありということで、こちらは相当直しました。だから、介護保険制度について天引きをやって文句を言われないんだから今度も大丈夫だろうという法律を準用したけれども、それはやはりきちんとした準備と地域との対話というのが欠けていたんだろうというので、厚生労働省を含めて、これは反省しないといけない面は多々あると思います。

 そこで、昔の制度に戻ることはやりません。ただ、広域的な、都道府県を単位とした国民健康保険のシステムをしっかりとしたものにする。今、その中で、負担のあり方、世代間の負担の分担というようなことについての議論を進めていまして、私のもとでは、塩川さんを座長とする検討会で、非常にアカデミックな面も含めて今進めております。さまざまな意見の方がおられます。そして、片一方、党ではプロジェクトチームでやはり同じような検討が進んでいます。いずれ近いうちに合同での議論を持つなりして、一つの方向性を出したい。そして、恐らくこの春、やがて冬が過ぎて春になりますから、春ぐらいをめどに大きな方向性を出したいというように思いますから、そのときは、さまざまな御批判があった、そして感情的な嫌悪感、こういうことをすべて取り除くことが可能なような案を提示したいと思います。

 私は、やはり介護は市町村、医療は県単位というのが一つの大きな方向であろうかというように思っておりますので、昔のように、ただこれは突き抜け方式、独立型方式、何方式、そういう方式の議論をしても始まらないので、そういう方式じゃない方式であったって、国民が納得するものをクリエーティブ、つくればいいと思っていますので、そういう方向で今議論をしております。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 あと、後期高齢者医療制度、まだしかしながら今検討中で、新しいものにするにしてもまだ少し時間がかかるわけですけれども、今、後期高齢者医療制度の中で、いわゆる普通徴収がございます。もちろん、今度天引きから移動するという、もともと年金等があって払う能力がある人で過去にも不払いがない、そういう人たちは今回は余り問題ないと思いますけれども、ただ、もともと無年金でありますとかそういう人たちに対しましては普通徴収というのが行われているわけなんですけれども、これも原則的には未払いの方が結構いる、一割ぐらい未払いじゃないかというようなデータもあるわけですね。

 そうすると、これが一年続くといわゆる資格証明、無保険ではないんですけれども、資格証明というような問題が出てくる。これは全額一遍に払わなきゃいけないというようなことが起こる。前に、三万二千九百三人のお子さんが、本当は無保険ではない、資格証明なんですけれども、マスコミ的に言えば、無保険で医療が制限されたというような問題ですね。現実的にはそういうことが、今検討中でありますけれども、まだ続いているこの後期高齢者医療制度の中でそういうことが起こり得ないのかどうか。現状はどうですかね。

水田政府参考人 まず、長寿医療制度の保険料の収納状況についてでございますけれども、昨年十二月に各広域連合から報告を求めたわけでございますが、第一期、六月または七月の普通徴収の収納率は、平均して九五・〇%でございました。これに四月の特別徴収を含めた全体の収納率は平均して九八・四%ということで、国保の時代よりも高い収納率を維持できているわけでございます。

 一方で、もちろん、御指摘のとおり、長寿医療制度におきましても、国保と同様、資格証明書の仕組みは持っているわけでありますが、ただ、これにつきましては、高齢者が医療を受ける機会が損なわれないように、昨年六月の政府・与党決定におきまして、「相当な収入があるにもかかわらず保険料を納めない悪質な者に限って適用する。」ということとしておりまして、滞納期間が一年経過したことをもって機械的に交付することがないように、広域連合ごとに統一的な運用基準を定めて適切に対応していただくことにしてございます。

 私ども、各広域連合に対しまして、運用基準のあり方につきまして必要な助言を行う、それから、当分の間でございますが、資格証明書の交付を検討すべき事案が生じた場合には、私どもに報告をするように依頼しているところでございます。

 それから、最も重要なことは、滞納の初期の段階から、被保険者の生活状況を個々に十分に把握した上で、接触の機会をふやすということできめ細やかな対応を行うことであると考えておりまして、その過程で、必要があれば生活保護につなげることも含めて、各広域連合に対する必要な指導に努めているところでございます。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 高齢者がまた無保険だどうだというようなことが起こらないように、ぜひそういう対処をしっかりやっていただきたいと思います。

 それから、先ほど医療崩壊、有床診療所の問題もありましたけれども、レセプトオンライン請求の完全義務化というものが二〇一一年から普通の医院もあると。そうすると、今、医師会の調べでも、八・六%ぐらいの高齢の方の医院はもう三百万とかかかるレセプトも入れられない、廃院にしようというようなこと。ほかの保団連なんかのデータでは十数%、一二%ぐらい。歯科の先生方もまた同じような割合であるようでありますので、このレセプトオンライン化の完全義務化ということについては、できるだけ慎重に、特に過疎のところでの廃院がないような形で処置していただきたいなと。時間がありませんので、これはちょっと要望しておきたいと思います。

 それから、ワクチンの問題といいますか、子宮頸がんでワクチンがかなり効果があるということが世界的にも認められているところであります。日本では年間二千五百人が亡くなる、七千五百人が罹患される。これは検診とワクチンでほぼ一〇〇%予防が可能だと言われているがんでございます。

 この予防ワクチン、海外ではもう百カ国以上で承認されていますけれども、日本ではどのような今現状でしょうか。

高井政府参考人 御指摘のワクチンでございますけれども、二つの製薬企業から薬事法に基づく承認の申請が出ております。両社では、子宮頸がんの原因と考えられる長期間のウイルス感染を予防する効果があるかどうか、これについて国内で治験を実施しているというところでございまして、このうち一社につきましては、昨年十二月に治験を終了した、今月末を目途にその結果を資料として提出する予定と聞いております。今後、資料が提出された際には、速やかに審査を行いたいと考えております。

清水(鴻)分科員 ありがとうございます。

 時間がないのであれですけれども、この子宮頸がんというのはいわば克服できる。がんというのは、やはり今でも大変恐ろしい、人間にとって、がんだと宣告されるだけでも、精神的にも含めて大変な負担がかかるわけであります。ぜひ早急にこの子宮頸がんのワクチン、あるいは検診体制も含めて、しっかりしたものにしていただきたい。時間がないのでもう細かく言いませんけれども。そしてまた、ワクチンが承認された暁には、普及が、できるだけ多くの方が実際にワクチンの恩恵を受けられるような制度をしっかりと構築していただきたいなと思います。

 あと、質問したかったんですけれども、保育の問題で、保育所が、今まではいわば役所が絡んでということになっていましたけれども、今度は直接契約、直接補助というような方向性が出されているやに聞いています。その辺も、利用者の選択性が多くなるというメリットもありますけれども、実際には、低所得の家庭の子供さんがちゃんと保育を受けられるか、いわゆる保育に欠けるという点があるわけでありますから、そこのところ、しっかりした担保をとる形で進めていただきたいということを要望させていただきます。

 それから、臨床研修医制度の問題もきのう出ましたので質問しようと思っていましたけれども、その方向性がしっかりと、実質的には自分の専門科目を早くからやれるというようなこともきのう提示されたようでありますので、その辺もしっかりと、いいお医者さんが早くいい形で出るように、そして地域偏在や科の偏在がなくなるような方向で、もちろんどんな方法にもいいところと悪いところはあると思いますけれども、いい部分は少しでも残るように、しかしながら、いいところを強調する余り今の弊害の方が大きいところはちゃんと是正できるような方法にしていただきたいなということを要望いたしまして、介護療養の問題等も質問したかったんですが、またの機会にしたいと思います。

 どうぞ大臣には、大変激務でありますけれども、御健康に留意をしていただいて、ぜひ国民の安心のために頑張っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

根本主査 これにて清水鴻一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田幹雄君。

藤田分科員 自民党の藤田幹雄でございます。

 本日は、このような質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、選挙区は千葉県の船橋市でありますが、平素から大変御支援をいただいております三師会、医師会、歯科医師会そして薬剤師会の地元の団体の方々にも幅広く御意見をいただきまして、それも含めまして、きょうは全部で十三問の質問を考えてまいりました。三十分の時間でありますので、そんな多い質問数ではございません、一つ一つ丁寧にお答えいただいて結構でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず医療関係、医師会からの質問として六問用意いたしております。順に御説明申し上げたいと思います。

 医療というものは、釈迦に説法でありますが、日進月歩で進歩していくわけでございまして、日々新しい医療技術が開発されているわけでございます。そしてまた、患者さんやあるいは家族の方々にとっては、新しい医療技術、いわば最先端の医療というものをいち早く受けたいというふうに思われるのは当然のことであるわけであります。

 このような国民のニーズに速やかにこたえていくということが国の、そして厚生労働省としての重要な責務であると私は考えるところでございます。そしてまた厚生労働省としても、この点はぜひしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思うところでございます。

 しかしながら、その際に、やはり幾つか注意をしなければならないことがあるというふうに考えております。

 安全で有効な医療を受けたいというのも国民の偽らざるニーズであります。最先端の医療を速やかに受けられるようにするために安全性や有効性の確認などをおろそかにしてしまっては、結果として国民のそのような期待にこたえることができないのではないか、そのように思います。

 そして、よく注意をしなければならないことの二つ目でありますが、経済的な負担の問題であります。このような最先端の医療を受けたいというニーズ、やはり国民の多くが有しているものでありますが、ごく限られた一部の患者さんのみがこのような医療を受けられるということであります。したがって、国としては、まだこれらについて十分な責任を果たしているとは言えないという側面があるわけであります。

 この点につきまして、すべての費用とまではいかなくとも、ぜひ、その一部についてでも医療保険制度が活用されるということが大変望ましいのではないかと私は考えるところであります。我が国は保険制度を広く採用しておりまして、国民に医療を提供していくことを考えたときに、この制度を活用しない手はないと、当然のことながら思うところであります。

 そこで、まず一つ目の質問でございますが、今申し上げたような国民のニーズ、すなわち、多くの国民が最先端の医療を安心して受けられるような形にするために、医療保険制度というものをどのような形で考えておられるか、まずこのことをお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の医療保険制度におきましては、必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保するという国民皆保険の理念、これを基本にしております。したがいまして、安全性、有効性等の観点から適切な医療につきましては、速やかに保険適用して広く国民が受けられるようにする、これが原則でございます。

 一方で、御指摘のありましたような、保険適用に至らない最先端の医療技術の扱いでございますけれども、こういう技術につきましては、先進医療制度等によりまして、一定の安全性や有効性を確認した上で保険診療との併用を認めて、入院料等の基礎的な費用を医療保険から給付することによりまして、国民がこうした最先端の医療も受けやすい環境を整えているところでございます。

 今後とも、こうした制度を積極的に運用していくことによりまして、国民のニーズにこたえていくことができるものと考えております。

藤田分科員 ありがとうございました。

 今御答弁いただいたような形で、最先端医療について、先進医療制度などによって対応するということでございますけれども、この制度自体は、安全性や有効性などの一定の条件を満たした医療につきまして、保険診療と保険外診療という二つを併用して認めるということがあるわけでございます。この点に注目をいたしまして、最近は余り聞かれませんけれども、そのような条件を満たしていないにもかかわらず、保険診療そして保険外診療というものの併用を広く認めるべきだという意見が今かなり多くあるわけでございます。

 混合診療というふうな言葉で申し上げているところでありますが、結果として、安全性や有効性というものが確認されていない医療技術、あるいは保険診療とあわせて実施することも容認するというものであるわけでありますけれども、これを認めてしまうことによりまして、科学的根拠がない医療についても実施されてしまうというリスクがあるわけでございます。これでは、私が先ほど来申し上げているような、国民が求める、有効な医療を受けたいというニーズにこたえられる状況ではないと思います。

 また、現行の医療保険制度では、安全性や有効性の認められている医療というものは、一定の自己負担さえ支払えば、今、日本においては受けることができるわけでありますけれども、この混合診療というものを解禁した場合に、その自己負担に加えまして、追加的に患者さんに負担を求めることが一般化するということがもちろん懸念されるわけであります。さらに、医療保険財政において、必ずしも豊かでないという状況の中で、安全性や有効性が確認できない医療のために貴重な医療保険財源を費やしてしまうことにもつながってしまう危険性がございます。

 このようなことを考えたときに、私といたしましては、混合診療というものを全面的に解禁するべきというのではなく、先ほど御説明いただいたような先進医療制度など、現行の取り組みを着実に推進していくことが重要ではないか、そのように思います。

 この点につきまして、二番目の質問でございますが、舛添大臣も同じような御意見かと存じますが、混合診療の全面的な解禁について御見解をお願い申し上げます。

舛添国務大臣 全面的に混合診療を解禁するということは、今委員おっしゃったように、保険適用の前提というのは、有効性と安全性、この二つが確立しているということが前提であるわけですね。

 例えば、本当にいい薬がある、いい医療機器がある。これは今、PMDAという組織、これは薬の承認をする、医療機器の承認をする、ここに少し人をふやすようなことをして、今大体四年かかるのをアメリカ並みに一年半に薬の承認を早めようとしています。五年計画でこれをやりますから、あと三年ぐらいでそこに到達すれば、本当に迅速に求められている薬を認めることができる、これがやはり第一だと思うんですね。

 それから、おっしゃるように、何でもかんでも解禁したら患者さんの負担が、非常に経済的な負担が大きくなる。ただ片一方では、本当に自分の命を救うためにわらにもすがりたい。それは非常に先進的な医療があるわけですから、これを活用する道というのは開いてありますから、一定の条件はやはりきちっと置いておかないと、今言った国民のニーズにこたえられないというふうに思っていますので、しっかりとこれはやっていきたいと思っております。

    〔主査退席、菅原主査代理着席〕

藤田分科員 大臣、ありがとうございました。

 今後とも、ぜひ、このような最先端の医療を速やかに、かつ安心して受けられるような国民のニーズというものにこたえるべく、厚生労働省におきましては、安全性や有効性を確認しながら、しっかりとその制度の運営に努めていただきたいと思うところでございます。

 そして次に、少し話題をかえさせていただきますが、医師不足という問題について触れさせていただきます。

 国民が安心して暮らしていける社会を構築していくために、社会のセーフティーネットとして、社会保障制度、施策というものを着実に推進していくことが重要であると思うところでございます。全国を駆けめぐる機会がありますと、地域社会の崩壊等々によりまして、心を痛める地域が多いというふうに感じているところでございます。特に国民の皆様の心配していることは、やはり医療機関がなくなっていく、どんどん減っていくんだということですね。

 特に、私が聞いたところによりますと、産婦人科がかなり減少が激しいということでございます。安心してお産ができるようにするために、妊産婦への経済的負担を少しでも軽減するように、これも重要なことでありますが、そもそも、お産ができる医療機関、そしてこれに伴う産科医の確保がなくては必要以上の不安材料になるということになるわけであります。

 統計によりますと、お産を取り扱う医療機関の数というものが、私は大変驚いたんですけれども、平成八年の三千九百九十一施設に対しまして、平成十七年、九年後には何と二千九百九十三施設、およそ三分の一程度、千施設以上減少しているということでございます。そしてまた産科や産婦人科の医師の数についても、平成八年の一万一千二百六十四人に対しまして、平成十八年、たった十年の間に一万七十四人ということで、千人以上も医師の数が減っているということでございます。

 今、各地域においてこのような減少問題というのは深刻な問題として直面しておりまして、お産ができる体制を確保していくというのは非常に重要であると私は考えるところでございます。

 三番目の質問でありますが、このようなことを取り扱う医療機関あるいは産科医を確保するために、今後どのように取り組んでいかれるのか、厚生労働省の見解をお伺いいたします。

外口政府参考人 喫緊に対応すべき課題であります産科医、産科医療機関の減少にかんがみ、平成二十一年度予算案において、その確保のための総合的な対策を盛り込んでいるところであります。

 具体的には、地域でお産を支える産科医や助産師に対して、分娩手当を支給することにより処遇改善し、産科医等を確保するための新規事業として、産科医等確保支援事業二十七・七億円。

 経営に困難を生じている産科医療機関について、財政的支援を行うことにより、身近な地域で安心して出産できる環境を整えるための事業として、産科医療機関確保事業七・四億円。

 産科医を志望する医師を確保するため、臨床研修修了後の後期研修で産科を選択する医師の処遇改善を行う医療機関に対して財政支援を行うための新規事業として、産科医等育成支援事業〇・六億円。

 産科、産婦人科等に占める女性医師の割合が高いことから、院内の就労環境の改善を図り、働きやすい職場環境を普及するための新規事業として、女性医師等就労環境改善緊急対策事業九・四億円などを計上しております。

 今後とも、あらゆる手段を講じ、安心して子供を産むことができる体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 このような医師不足の問題につきましては、比較的医師の数が多いという地域もございます。その一方でまた、医師不足が大きく深刻に懸念される地域もあるわけであります。このような特に医師不足の深刻な地域に対して、医師を派遣するような仕組みというのも当然考えられるのではないかと私は思っておりますが、その際にまず考えなければならないことは、勤務医の勤務環境というものの改善ということも当然考えていかなければならないわけでございます。

 これは四問目の質問になりますが、厳しいと言われる勤務医の勤務環境についての改善というものを厚生労働省としてどのようにお考えか、まずお答えいただけますでしょうか。

外口政府参考人 病院勤務医の方々の勤務環境は大変厳しい状況にあると認識しており、その改善は重要な課題であると考えております。

 このため、先般成立いたしました平成二十年度第一次補正予算及び二十一年度の予算案におきましては、短時間正規雇用や交代勤務制を導入する病院に対する必要な経費の支援や、事務作業を行う医師事務作業補助者を設置、養成する際に必要な経費の助成事業、これらを盛り込み、病院勤務医の方々の勤務環境の改善に取り組むとともに、医師養成数についても、従来の閣議決定を見直し、来年度の医師養成数を過去最大の八千四百八十六名にふやしたところであります。

 こうした対策を総合的に実施し、病院勤務医の勤務環境が改善されるよう努めてまいりたいと思います。

藤田分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、そのような形で進めていただきたいというふうに思うところでございます。

 私自身が、特に私の選挙区を回ったりして実感いたしますことは、大変多くの御指摘もいただいておりますけれども、女性医師の確保、これがまた喫緊の課題であるというように聞いているわけであります。

 特に、女性医師というのは、私も以前は知らなかったんですが、産婦人科医師というのが大変多い。若いお医者さんの七割は何と女性であるということでございました。結婚あるいは子育てのときに、やはり当然現場を離れまして、また現場で働かなくなっている方が多いというふうに聞いているわけであります。そのような女性医師の就業を助けるためのさまざまな手を今後打っていかなければならないというように思うところであります。

 多くの若い女性医師が産科医としてスタートしたいという思い、それをすばらしいことだと私は思うわけでありますが、しかしながら、自分が子供を産めばまた職場復帰も当然難しくなるというような、悲観的にとらえている方々も多いように思います。女性医師の復職というもの、これをまず必要な形、そのようなきっかけをつくることが急がれるわけであります。

 次の質問でありますけれども、女性医師のこのような確保対策というもの、これについてどのような対策をお考えでありましょうか。

外口政府参考人 御指摘のとおり、近年、医師国家試験の合格者に占める女性の割合が約三分の一に高まるなど、医療現場における女性の進出が進んでおり、出産や育児といったさまざまなライフステージに対応して、女性医師の方々が安心して業務に従事していただける環境の整備が重要であると考えております。

 このため、現在、病院内保育所の運営への支援、退職した女性医師に対する復職のための研修を支援する事業や、女性医師バンクへの支援、短時間正規雇用や交代勤務制を導入する病院に対する必要な経費の助成事業等を行っているところであります。

 さらに、来年度予算においては、これらに加え、病院内の就業環境の改善等について効果的な総合対策を行う医療機関への支援等を盛り込んでいるところであり、こうした対策を通じて、女性医師の方々が安心して就業の継続や復職ができるような環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 医師不足の問題に関してもう一点質問をさせていただきたいと思いますが、これは、実は私の選挙区の船橋医師会の方からお問い合わせもいただきました。

 よく言われることでありますが、十年後には医師の数をふやせるように進めているということが周知の事実であるということで伝わっておるわけであります。確かに、今から医師を育てるには当然、大学に入学してから十年程度、一人前の医師になるのに時間がかかるということもございまして、なかなかもって、すぐに医師の数をふやすということは難しいわけであります。

 ただ、その十年間、では何も対策が立てられないという状況では大変厳しいという地元のお医者様からの意見がございます。そのような中で、十年間の中にでも何らか手を打つことができないか。それによって医療崩壊が進んでしまうんではないかというふうに危惧をいたしておるわけでありますが、その点はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

舛添国務大臣 今まで、お医者さんは余っている、偏在しているだけだという話でしたけれども、十一年ぶりに閣議決定を覆して、ふやすという方向になりました。

 もちろんこれは十年がかりですが、若い人たちが医者になるかならないかを決めるときに、こんな過酷な勤務状況だと嫌だといって逃げる人はもういなくなりますよ。今からきちっとやってくれるんだな、一・五倍ふやすなと。それは途中で見直しはあります。だけれども、大きなビジョンを掲げるということは、希望を持って、じゃ、この四月、七百人、過去最大規模の増員ですから、入試を受けるときに、おれは医学部に行くんだという学生さんの希望に燃えたその気持ちをなえさせないという意味では、大きなビジョンが必要です。

 ただ、おっしゃるように、目先のことをどうするか。これは、例えば一次補正予算でメディカルクラークという方々に対する手当てをやる。つまり、お医者さんが余りにも忙しいのは、カルテは書かないといけない、雑用はある、これをほかの方がやるというような形で、チームできちっとやれるようにいたします。

 それから、船橋のような都会でもそうなんですけれども、特に僻地、いわば田舎において非常に医師不足ということがありますから、そういうことに対してきちんと手当てをやるというようなことで一次補正、二次補正、そして本予算でしっかりこの対策をやっていますので、一日も早く予算を成立させていただきたいということを思います。

 それから、昨日、文部科学省と我々とで合同して、研修医制度の見直しということで一定の案を出しました。それは、新しい研修制度が医師派遣機能を損なっているんじゃないかということもありますが、しかし、いい理念もある。そういう中で弾力化していって、いいところは残すけれども問題点は是正しようというので、一つの案を出しました。

 それから官邸の中で、例えば公立病院、銚子の市立病院なんかは閉鎖なんという話がありましたけれども、ああいう公立病院というのはある意味で総務大臣の管轄ですから、総務相と文部科学大臣と私とを含めて、関係閣僚による地域医療をどうするかという検討会議も開いております。

 いずれにしましても、目先の問題、中期的な問題、そして長期的なビジョン、十年がかりのビジョン、それを総合的にやって、医療崩壊と言われている状況について細かく手を打っていく、そして、総合的に大きな改革をやっていく。そういうことでございますので、この予算で相当変わることができますから、地元の医師会の皆さん方にも御説明いただいて、まさに、これだけすばらしい予算案を通過させないというのは私は犯罪的だと思いますから、ぜひ一日も早い予算案の成立をお願いしたいと思います。

藤田分科員 大臣、ありがとうございました。

 今御答弁を聞いていて、大変安心しましたと同時に、このようなことを正確に地元のお医者さんにも伝え、医師会にも伝えて、皆様には御安心いただいて、そして引き続き、また大臣を筆頭に、厚生労働省の皆様の御努力ぶりに敬意を申し上げますし、また御期待申し上げたいと思うところでございます。ありがとうございます。

 それでは次に、話題を移しまして、歯科医療について質問を幾つかさせていただきます。

 まず一問目でありますけれども、介護保険の施設につきまして、指定介護老人福祉施設、あるいは介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設におきます歯科医療、その機関の位置づけというものが、現在、厚生労働省の人員あるいは設備、運営に関する基準におきまして、それぞれの施設であらかじめ協力歯科医療機関を定めておくように努めなければならない、このように努力義務になっているという話を聞いております。

 今回の介護保険制度の改正によりまして、平成十八年四月より、介護予防事業といたしまして口腔機能の向上というものが取り入れられ、実施されてきておるわけでありますが、高齢者の口腔衛生状態の改善、そして摂食、嚥下機能訓練等によります口腔機能の向上を図るためにも、介護予防事業というものを定着させまして、また継続させることが大変有意義であるということがあるわけであります。

 そのためには、歯科医師によります口腔ケアマネジメントが必要であるわけであります。現場での歯科衛生士の指導とあわせまして、歯科医療機関を協力医療機関として位置づける努力というものが必要であるわけでありますが、この点につきまして、協力医療機関として定めておかなければならないんじゃないか、規定するべきじゃないかという御指摘、実はこれは私の地元の歯科医師会の方から御質問をいただいております。

 この点につきまして、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

宮島政府参考人 委員御指摘のお話ですが、今は、介護保険施設はあらかじめ協力歯科医療機関を定めるよう努めなければならないということで、努力規定でございます。これを例外なく義務づけるということになると、施設の近隣に歯科医療機関がないような地域も実はございまして、そこまではちょっと、なかなか慎重な検討が要るのかなというふうに思っております。

 ただ、委員御指摘の、日常的な口腔ケアを入所者に確保する、これは大変大事でございますので、今度の二十一年度の四月からの介護報酬改定では、口腔機能維持管理加算というのを新設いたしました。これで、歯科医師や歯科衛生士が行う介護職員に対する口腔ケアの助言指導、これを評価するということを行ったわけでございます。

 今後とも、入所者の口腔の健康が保てるように努力していきたいと思っております。

藤田分科員 そして次の話題でございますが、弗化物洗口事業というものについて質問させていただきます。

 健康日本21というプロジェクトの目標を達成するために有効な手段といたしまして、弗化物の応用というものが厚労省からガイドラインとして示されたわけでございます。それから三年が経過をいたしておるというふうに聞いておりますけれども、一体、今、全国的にどのぐらいの事業が行われているのか。

 そしてもう一つ、それによります安全性、有効性というものが昨今大変話題になっております。特に四歳児から十四歳まで、期間継続的に弗化うがいというものが大きく効果をもたらすということが周知されているわけでありますけれども、その一方で、小学校、中学校、このあたりでは継続できない現状があるというふうに聞いております。

 この二点につきまして、厚生労働省の現在のお考えをいただきたいと思います。

外口政府参考人 弗化物洗口は、高い齲蝕予防効果等、すぐれた公衆衛生的特性を有するものであります。この弗化物洗口の実施につきましては、それぞれの学校等で判断していただくことになりますが、NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議の調査によりますと、弗化物洗口を実施している保育所、幼稚園、小中学校数は約六千四百施設、弗化物洗口人数は約六十七万人と、年々増加をしているところでございます。

 安全性につきましては、仮に洗口液を全部飲んだ場合であっても、直ちに健康被害が発生することはないと考えられており、安全性は担保されているものと認識しております。

 今後とも、文部科学省と情報交換を行う等、歯科保健対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 きょう、質問があと四問あるんですが、残り時間三分ぐらいですので、ちょっと急ぎ足でさせていただきます。簡潔にお答えいただければと思います。

 次に、歯科診療報酬制度改定につきまして御質問させていただきます。

 長期にわたって歯科の医療費というものが二兆五千億程度で推移しておりまして、国民医療費に占める割合というのは年々減少している、今や八%を切る現状であるというふうに聞いております。このような状況の中で、困窮しております歯科医療機関が大変多いということ、実はこれは地元の歯科医師会の方から切に聞こえてくるわけであります。

 歯科医療費というものが長年にわたって低い状況になっているのは一体なぜなのか。また、歯科医療費に大きな影響を及ぼす歯科診療報酬改定、これが今まで適切に行われていたのかというところを簡潔にお答えいただければと思います。

水田政府参考人 御指摘のとおり、国民医療費に占める歯科医療費の割合は年々減少しているわけでございますけれども、その理由は、まずは子供の虫歯が減っているということがございます。それからもう一つは、八〇二〇運動等がございますけれども、八十歳で二十本以上の歯を残すという、そういった達成者の方がふえている。要するに、国民の歯の健康状態が改善しているということがまず背景にございます。それからもう一つは、医科に比べて新規技術の保険診療への導入が少ない等、さまざまな要因が重なった結果であると考えてございます。

 この診療報酬の改定についてのお尋ねもございましたけれども、これは、物価、賃金の動向、それから医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案するということでございまして、平成二十年度改定におきましては、歯科診療報酬本体をプラス〇・四二%と、八年ぶりにプラス改定を行ったところでございます。

 今後とも、現場の声に耳を傾けながら、国民に対して適切な歯科医療を提供できるよう、適切に対応していきたいと思っております。

藤田分科員 ありがとうございます。

 そのような問題を踏まえて、ぜひとも、今おっしゃられたような形で進めていただきたいと切に思うところでございます。

 そして、歯科医療の裁量権についてということでございますけれども、今、特に歯周病の治療等々では日本歯科医学会のガイドラインに沿った診療、治療が行われているわけでありますけれども、実際のところ、そのガイドラインどおりに適合させるのがなかなか困難であるという側面もあるように聞いております。

 この日本歯科医学会の作成いたしました歯科診療のガイドラインというものは、あくまで診療報酬上の参考とすべきでありまして、歯科医師の裁量に考慮した診療報酬体系にするべきではないかという御意見があるわけでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。

菅原主査代理 答弁は簡潔にお願いいたします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 日本歯科医学会が作成いたしました歯科治療に関する各種指針につきましては、歯科医療技術を診療報酬上適切に評価する観点から、これまでも参考としてきたところでございます。

 しかしながら、こういった各種指針は診療報酬上の評価の参考資料の一つでございまして、実際の保険診療におきましては、個々の患者の状況等に応じて、歯科医師の裁量やさまざまな診療実態も考慮することが必要と考えてございます。

藤田分科員 済みません、時間がなくなってきましたので、あと二問あるんですが、まとめてお答えいただければと思います。

 医療の効率化についてでありますが、医療提供の体制の今後の効率化、そして医療費の効率化についてどのように厚生労働省では考えているか。これは、診療時間を短くする、それに伴って質が落ちてしまうようではいけない。そしてまた医療費というものは、効率化していって、患者に少しでも負担をかけないようにしないといけない。このような二つの相反する側面もあると思いますが、その点についてお聞かせいただきたいと思います。

 それからもう一問、簡潔に申し上げます。

 昨今、インターネットを利用した薬の販売というもの、これが最近大変横行しているわけでございます。薬というのは、一類、二類、三類と三種あるのは御承知のとおりでありますけれども、その中でネット販売禁止というものを、ネット販売の利便性を損なわないために、もっともっと配置業者というものを利用したらどうかというのが地元の薬剤師会の方から聞こえてきているところでございます。いわゆる置き薬の制度ですね。そのようなことを今後活用するおつもりがあるか、御計画があるかということを最後にお聞かせいただきたいと思います。

水田政府参考人 私から、まず前段の医療費適正化についてお答えしたいと思います。

 高齢化の進展は今後とも見込まれるわけでございます。そういった医療費の増加が見込まれる中で、国民皆保険を堅持していくためには医療費の伸びを適正化するということでございますけれども、これは具体的に言いますと、医療に対して国民が安心、信頼できるような医療を確保しながら、一方で給付の合理化、効率化を図るということでございまして、具体的に申し上げますと、私どもといたしましては、生活習慣病対策、あるいは医療提供体制の効率化、こういった中長期的な各般の取り組みを進めていく必要があると考えているところでございます。

高井政府参考人 後段でございます。

 ことし六月に施行を予定いたしております薬事法改正でございますけれども、専門家が対面で情報提供するということによりまして、国民の安全を確保するということが基本と考えております。このために、リスクが高い一類、二類については専門家が対面で情報提供するという省令を今月六日に公布したところでございます。

 御指摘の配置販売業の活用でございますけれども、薬局、店舗等で医薬品の購入が困難な場合の方の対応策の一つとして考えられると思いますけれども、ちょうど今般、大臣の御指示によりまして、医薬品の購入が困難な場合の対応策を検討する検討会を発足することにいたしております。その中で配置販売業の活用についても御検討いただきたいと考えておるところでございます。

藤田分科員 大臣を初めとして皆様の丁寧な御答弁、ありがとうございました。そして、今後の努力を期待申し上げます。

 ありがとうございました。

菅原主査代理 これにて藤田幹雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島豊君。

福島分科員 大臣、大変お疲れさまでございます。

 本日、私は、タミフルの問題について改めてお尋ねをいたしたいというふうに思っております。

 現在、新型インフルエンザの出現に備えてタミフルの備蓄が国家的に進められているわけでありますが、同時にまた、タミフルについては、ちょうど二年前でありますけれども、異常行動の出現ということで大変問題になりました。また、昨今は、タミフルに対しての耐性株がふえている、こういう指摘もあります。

 ただ、二年前、私もよく認識しておらなかったんですが、タミフルによって突然死が起こることがあるんじゃないか、この問題に改めて私は気づかされまして、きょうは、この点について厚生労働省としてしっかり取り組むべきである、このことを申し上げたいと思って質問に立たせていただいております。

 昨年の暮れに、私のところに御相談がありました。ちょっと読ませていただきますと、これは兵庫県のWさんという方ですけれども、「二〇〇七年三月二十四日に主人を亡くしました。主人は、三月二十二日に熱を出し、二十三日に病院に行き、インフルエンザと診断されタミフルを処方されました。インフルエンザの予防接種もしており、担当医にも、来院時には熱もなく全身状態比較的良好と言われました。病院から帰宅後、夕食もふだんどおりとり、熱が出ないうちにタミフルを飲んで寝ると言って二階の寝室で就寝しました。私は一階で寝ました。翌日、主人を起こそうと声をかけても返事がなく、息子は救急車を呼びましたが、既に亡くなっていました。」四十四歳の方です。

 私は、この話を聞いて、やはりおかしいな、何で亡くなったんだろうと。監察医の方は、心筋梗塞、要するに、よく原因がわからないので心筋梗塞だと。兵庫医科大学で解剖いたしました。法医学の医師は、死亡の原因は気管支肺炎だと。これも私はいかがかなと思うのですね。そういう症状がなかったわけですから。実質的には肺水腫のような状態で亡くなったということのようですね。

 この方は、医薬品副作用被害救済制度、これで何とか救済していただけないかということで、二〇〇七年の五月、手続をしました。しかし、医薬品医療機器総合機構からは、因果関係がわからないということでそのままにされている。今の女性、残された奥様は、パートで働きながら御苦労されている。

 突然死の問題は、改めて調べてみると、決してまれな話ではない。

 大臣のお手元に資料がありますね。異常行動が発端になりまして、厚生労働省が検討を開始する平成十九年の十二月、安全対策調査会に提出をされた資料なんですね。これは中外製薬の方ですね。死亡症例は七十一例あります。発売から二〇〇七年まで、その当時まで。

 二枚目を見てください。七十一例のうち、死亡症例、原因不明三十九例の集計という数字になっているんですね。症状発症から二十四時間以内の原因不明死。異常行動ばかり目立ったんですけれども、三十九名も突然にというか突然死をしている、原因不明だ。

 もう一枚めくってください。これは、医薬ビジランスセンターという、薬害について専門的に究明活動をしておられる浜六郎先生というドクターのところですけれども、その先生の集計ですと数がふえていまして、全体、タミフルに関連しての死亡という八十四名の中で、短期突発型というのは、突然死五十二名、異常行動・事故死というのが八名。ですから、異常行動よりもはるかに多く突然死が起こっている。この事態は認識をしなければいけない、こう思うわけです。

 この七十一例、この中でいろいろな症例があるんです。私も、これは資料でも公表されておりますから読ませていただきました。その中で、例えばこういう例がありますね。三十四歳の男性、インフルエンザと診断され、リン酸オセルタミビル七十五ミリグラムを夕食後服用し、そのまま就寝するが、次の日の朝死亡、推定死亡時刻は深夜零時ごろと、全く同じよう。若い、特に病気もない人が、インフルエンザと診断されてタミフルを服用して、そのまま初回の服用後亡くなってしまった。こういうことがあるわけですよね。これをどう考えるのか。

 実は、突然死の問題について、厚生労働省の検討会の話でありますけれども、これは十九年の十二月に行われたものでありますけれども、「臨床WGにおける調査検討の結果(まとめ)」ということで、これにはどう書いてあるか。「これまでに当臨床WGにおいて調査検討を行った疫学調査、臨床試験の結果等からは、タミフルの服用と異常な行動及び突然死との因果関係を示唆するような結果は得られていない。」

 ただ、よく見ると、突然死の中身について詳しく検討して関係がないと言えるようなデータもないんです。要するに、余り真正面からきちっと議論していないんじゃないか、こういうふうに私なんかは資料をずっと拝見しておりまして感じております。これについてどう考えるのか。

 昨年の十二月、日本臨床薬理学会というのが開かれまして、そこで、異常行動の問題、また突然死の問題、これが繰り返し取り上げられるわけです。異常行動の問題については後ほど触れますけれども、厚生労働省のいわゆる廣田班と言われるところで調査する、その廣田班の検討の結果というか検討の仕方が間違っているんじゃないか、こういう議論が何人もの専門家の方からなされている。

 一方で、突然死の話についてはどういうことが指摘されたかというと、専門的な話になって恐縮ですが、大臣は頭脳明晰な方でございますから見ていただければわかると思います。お手元の資料の四を見てください。これは、タミフルの新薬の承認申請のときのメーカーが出したデータ。

 これはラットの実験なんですけれども、七日齢のラットと成熟ラット、十四日齢のラット。七日はまだ子供ですね。子供ですと、いわゆる脳神経、中枢神経に対して、血中の医薬品、薬物が移行するバリア、これは脳血液関門といいますけれども、それが未成熟で移行しやすいのだろうと言われているわけです。十四日たつと完成してそういうことは余り起こらなくなる。

 これを見てわかることは、タミフルの用量がふえていくと死ぬラットがふえるということなんです。しかも、その死に方というのがどういう死に方かというと、呼吸抑制が来て、体温低下、自発運動低下、呼吸緩徐・不規則、中枢抑制が起こって、そしてチアノーゼ、低酸素になって肺水腫になって死んでいる。これは、一番最初に申し上げた兵庫県の方の亡くなり方と実は一緒なんです。おかしいんじゃないか、こういうふうに思っている人がいるわけです。

 大事なところは、これに対して実は厚生労働省の検討会の方でもいろいろと議論されたんです。基礎ワーキンググループでも追加調査もしています。ただ、それについては、非常に量が多いから、普通の使用ではこういうことは起こらないんじゃないかという、私は予断だと思いますけれども、実は追加調査もしているんですよ。追加調査は基礎ワーキンググループでやっていて、しかし、その具体的なデータは実は公表されていないんです。ただ、そのデータは全くこれと一緒です。量がふえると死ぬラットがふえる。しかも、呼吸抑制になって、肺水腫になって、低体温になって死ぬ。

 これは、十四日齢だと起こらぬわけです。七日齢のラットというのは、先ほども言いましたように、脳血液関門が完全ではない。インフルエンザにかかったときも、そのときにはインターフェロンとかいろいろと出ますから、高サイトカイン血症といいますけれども、そういう脳血液関門というのがやはり不十分な状態になっているんじゃないか、こう言われているわけです。七日齢のラットに起こっているようなことが起こってもおかしくはない、こういう話なんですね。

 私は、これをもって直ちに断ずるというわけじゃないんですけれども、少なくとも、用量依存的に、量をふやせばこういうことが起こるというのは、そもそもタミフルに何らかの作用があると考えるのが自然だろうというふうに思うんですね。どういうメカニズムかまだわかりません。ただ、そういう作用がどういうふうにして起こっているのか、ここのところをきちっと究明しておかないと、人間で起こっている、人で起こっているこの突然死の問題について、関係がありませんということは言えないんだろうというふうに思うんです。

 この低体温の話というのは、実はタミフルを飲むと、私は飲んだことないんです、飲んだ人に聞くと、どんと効くと言うわけですよ。体温が下がるんですね、発熱が。これは、インフルエンザウイルスの増殖を抑制するのがタミフルの作用です。ただ、飲んですぐインフルエンザウイルスが減るのかと言われると、多分そんなことはないんだろうと僕は思うんですね。だけれども熱は下がるようです。それが、何か効いた、こういう話に感じられるみたいなんですけれども、タミフルで低体温が起こるということは実は以前から言われている。副作用でも書かれています。

 資料の五を見ていただければわかると思いますけれども、タミフルを飲んでどこまで低体温が起こるのか。これを見ると、すごい数字ですね。三十八度あった熱が三十四・六度、それから遷延的に三十二・四度とか、そんなふうなデータになっている。そしてまた、二例目もそうですね。これは十歳未満の子供ですけれども、三十八・五度の熱が三十四・七度に下がっている。この作用を何なんだと考えるかということですよ。

 大臣、もう一枚めくってください。これは、青梅慶友病院の小児科の先生、菅谷先生という方なんですけれども、右の方に線を引きましたが、タミフルの代表的な効果は解熱効果がすぐれている、こういう話なんですけれども、その下に、手足がチアノーゼっぽくなったり顔色が少し悪くなったりする程度の例もあると。その下に、そのメカニズムの解明は大事ですし医学的な興味もありますと。

 結局、要するになぜ下がるかということはよくわかっていないわけですよ。なぜ下がるかということ。ここのところと、先ほどの、ラットがたくさん死ぬことがある、用量依存的に亡くなる、ここのところの関連をどう考えるかが問題だというのが、昨年十二月の臨床薬理学会で指摘されたことなんですね。

 ただ、実際に突然死された方というのは、服用しておられる方の数というのは膨大な数ですから、どの程度の比率かと言われると、頻度からいうと少ないかもしれない。しかし、こういうことが起こるのか起こらないのか、こういうことについては徹底した調査をすべきなんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 実際に研究班のデータの中でも、もう一枚めくっていただくと、これはタミフルについての、厚生労働省でやっていただいた安全対策調査会に出された資料。その中で、表十五を見てください。異常な行動の直前の体温というのがあるんです。異常な行動の直前の体温と書いてありまして、タミフル、リレンザ、シンメトレル、これは抗ウイルス剤ですよ、その中で、熱は下がっているんですけれども、三十四とか三十五度台とか、こういう体温になっているのはタミフルのところしかないですよ。ほかはないんです。

 ここの問題については、確かに低体温という副作用がちゃんと書いてある、だから、そういうことだねということで別に注目されていないわけですけれども、このことと先ほどの突然死の問題をどう考えるかという、非常に重要な問題があるというふうに私は思っています。

 また、もう一つの点、先ほども言いました異常行動の問題については、昨年の臨床薬理学会では、もう一枚めくってください、資料の八ですね、ここに書いてありますけれども、第一次予備解析結果、これが二〇〇七年の十二月に公表されて、タミフルと異常行動については直接的な因果関係は確認されない、こういう報道のもとになっているところなんですけれども、これの解析、やはりこれは問題があるんじゃないかと。実際に調査会の方でもいろいろな議論があります、議事録を読んでいますと。本当にこれがすっと正しいというふうに余り言っておられない。非常に慎重な物の言い方をしているんですね。

 その後、中間報告というのもなされるわけですけれども、おもしろいことは、私も専門家でないのでよくわからないんですけれども、もう一枚めくっていただくと、どういうことがこの間起こっていたかということがわかります。私は、これについて是非を申し上げるつもりはないんですけれども、タミフルを使用した者、使用しなかった者、異常行動があった者、どういう比率ですかと。ORというのは、オッズレシオ、要するに、事象が起こったか起こらないかということの確率の比率ですね。

 当初、タミフルを使用した者、異常行動あり千二百十五人、一五・六%。非使用者は二千二百四の症例に対して二百六十二人、一一・九%。これを単純に比較するとORが一・三六という話。ここで次に何をしたかというと、タミフルの使用者については、タミフルを飲んだ前に起こったか、飲んだ後に起こったかということで区分しまして、飲んだ前に異常行動を起こした人は、タミフル非使用者の方にそこだけごそっと持ってくるわけです。そうすると、当然、白か黒かという話をすると、黒のところだけ持ってくるから黒が濃くなるのは当たり前でありまして、結局、下のORは〇・五一に減少する。ですから、タミフルを使用している人の方が異常行動が少ないというデータになる。これはどう考えても、どうなっているのかねと首をかしげるわけです。

 これは、やはりそのままではなかなかあれなものですから、その後、もう一枚めくっていただくと、もう少しまた工夫をして、どこにこのグループを持ってくるかによってORが、最初一・三六から〇・五一になり、一・五六になり、そして〇・九一になりと変遷していくわけですよ。

 私は、是非は申し上げません。ただ、これだけころころ変わっていて、そしてまた臨床薬理学会で、ただ一人の研究者ではありません、複数の研究者から、この解析の方法は間違っているんじゃないですか、こういうことを言われている事態が問題なんです。ですから、この問題についてもきちっとしなきゃいかぬと思います。

 そもそも、この横田班、横田先生の班から廣田班に移る、このときには、結局、メーカーからの資金提供がどうだこうだということで、模様がえしてスタートするということになるわけですけれども、そういう経緯もありますし、ここのところはきちっと冷静な議論がなされるべきではないかというふうに私は思っております。

 そして、またもとに戻りまして、昨年五月に申請をして、いまだに救済されない。突然死であっても救済されていない。大臣、この資料の三のところにまたもう一度戻ってください。これは厚生労働省の資料ですが、「医薬品副作用被害救済制度へ請求を行っている使用した医薬品にリン酸オセルタミビルを含む死亡事例について」。使用した医薬品としてタミフルを含んでいる死亡事例十六件。ですから、これはすべての人が別に申請していないということですね。ただ、その十六件でも、調査中にとどまっているのが七件、不支給決定がされたものが四件、実際に原因医薬品として支給決定したものは二件にとどまっています。ですから、この問題は放置しておけない。調査中ですよと言い続けることが私はできないと思うんです。関係があるのかないのか、私は、先ほどからのいろいろなデータを見ていると、いろいろな関係をやはり想定して徹底して調査した方がいい、こういうふうに思わざるを得ません。

 そしてまた、近年、いろいろなデータが実は出てきています。例えば、先般、二月の冒頭にワーキンググループが開かれましたけれども、それだけではありません。そこに報告されているデータだけではなく、例えば、二〇〇七年の九月には、ワシントン大学の和泉先生が、アルコールとの相乗作用、そしてまた低体温が増強することがあるとか、そしてまたエフェドリンとかカフェインとの相乗作用でラットの異常行動がふえるとか、いろいろなことが起こるということが、実は去年、またおととし、実際に研究データとして出てきている。こういうことをきちっと踏まえて、厚生労働省としても適切な対応をしていただきたい、私はこういうふうに思うわけであります。

 私が一方的にずっと話し続けまして、申しわけございません。大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

舛添国務大臣 浜六郎先生は私もよく知っていますし、御著書もお送りいただきました。

 私は専門家ではないですけれども、例えば異常行動についても突然死についても、なぜ起こるんだろう、どういうメカニズムなのか、本当にその薬の作用なのか、それともインフルエンザというそのものに何か脳の中枢機能を混乱させるような作用があるのか、いろいろ興味はあります。

 今、福島委員がいろいろ御指摘なさったことは、データに基づいて御指摘なさいましたので、それぞれ非常に説得力のあるお話だったと思いますので、厚生労働省の研究班を含めて、これは今いろいろなところで研究をやってもらっていますけれども、今のような御指摘も踏まえてさらに進めていくということをやっていきたいと思います。それが基本的には薬の安全性ということの大きな議論にもつながってくると思いますので、しっかりと考慮させていただいた上で、さらに研究、分析を進めていきたいと思います。

福島分科員 いろいろな立場の研究者の方にぜひ入っていただいて、そして、先ほどの、もう実際に亡くなっている方もおるわけですから、早急にやはり結論を出していただきたい、こういうふうに思っています。

 そしてまた、タミフルに関しては、私は、臨床現場での使用方法にも問題があるのではないかというふうに思うんです。

 この資料の後ろから二枚目、「タミフル使用状況(年毎の処方数)」、資料九ですけれども、これを見てわかりますように、世界で利用されているタミフルの七割は日本人が飲んでいるわけです。米国は、人口は日本の倍ですけれども、半分もいきませんね。ヨーロッパはもっと少ない。これは、やはり日本の利用の仕方というのは本当にこれでいいんだろうか、こういうことだと思います。一方でまた、これだけ利用しているからこそ、いろいろな副作用の症例というのは日本で実は一番気づきやすいわけです。ですから、目の前にある事実というものについて予断を持たずにきちっと評価していくということをしないと、やはり後顧の憂いといいますか、今後に憂いを残すことになる、私はそのように思っております。

 そしてまた、もう一枚めくっていただきますと、資料の十、国立感染症研究所の感染症情報センターの直近の報告でありますけれども、タミフルに対して、H1N1の話ですけれども、耐性株の出現ということで、大阪府は辛うじて四分の三ですけれども、ほとんど耐性株になっているという現状があるわけであります。

 こういったようなことを考えると、私は、厚生労働省が十歳代の利用について警告を発し、それを今も堅持していることは正しいというように思っておりますけれども、今後も、やはり臨床現場でタミフルをどう使うのか、一方で膨大な備蓄があるわけですけれども、これは新型インフルエンザ対策ですから、このことと軌を同一にするわけではありませんけれども、これについてもぜひお考えいただければと思っておりますが、大臣、いかがでございましょう。

舛添国務大臣 世界の七割は日本だという使用量の多寡が直接耐性を増すかどうかというような話も、またこれは因果関係をきちんと見ていかないといけないというふうに思っていますので、そのことも含めまして、今都道府県ごとのデータもいただいておりますから、これもやはりきちんとおっしゃるようにさまざまな観点から検証するということが必要だと思っていますので、そういう方向で努力したいと思います。

福島分科員 若干時間を残しておりますが、以上で質疑を終わります。

 ありがとうございました。

菅原主査代理 これにて福島豊君の質疑は終了いたしました。

 次に、薗浦健太郎君。

薗浦分科員 自由民主党の薗浦健太郎でございます。

 きょうは、労働行政について、大臣ほか皆様方にお伺いをさせていただきたいと存じます。

 早速ですが、雇用保険というものがございまして、企業とそれからいわゆる働いている人が折半をして、それで失業なんかのときのために積み立てておるわけでございますが、このたびの改定で、千分の十二が基本的に千分の八にまで引き下げられるというふうに伺っております。

 実際、雇用保険を払っている人にしてみると、年間どのぐらいの影響が出てきて、実質的にどのぐらい収入がふえることになるのかという見込み、見込みというか数字が具体的にございましたら、まずお伺いをしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険料率につきましては、今お話ございましたように、特例的に平成二十一年度に限って、失業等給付に係る雇用保険料率を〇・四%引き下げることにいたしまして、これを今回の雇用保険法等の改正法案に盛り込んだところでございます。

 具体的な〇・四%引き下げの影響につきましてでございますが、保険料負担軽減額としまして、例えば、月収四十万円の場合には労使折半合計分で年額で一万九千円程度、月収三十万円の場合には労使折半合計分で年額一万四千円程度を見込んでいるところでございまして、家計の可処分所得をふやすことにつながるものと考えているところでございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。

 引き続き、保険料率が下がるというのは、私どもというか皆さんにとって大変ありがたい、家計のプラスにもなろうかと思うんですが、一方で、これから失業者が当然ふえる。料率を下げると当然保険料も減収になるわけですが、前回この保険料率を引き上げたときに、たしかもう在庫、在庫というか積立金が底をつく、やばいという話で引き上げたように私は記憶しておるんですけれども、今回のこの引き下げによって、いわゆる積立金がなくなったり、それから減収の幅がどのぐらいあったり、その辺の見込みというのはお持ちかどうかをお尋ねしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険料率でございますけれども、今回、〇・四%引き下げるわけでございますけれども、その場合の財政影響額につきましては、約六千四百億円の見込みでございます。

 積立金でございますけれども、御指摘いただいたとおり、一時期、本当に底をついた時期がございますけれども、その後の料率の引き上げなり景気の回復の中で積立額がふえてきておりまして、平成十九年度決算ベースで申し上げますと、約四兆九千億円という状況でございます。

 したがいまして、今回の料率引き下げは二十一年度の一年間に限っての引き下げでございますので、保険料を〇・四%引き下げたといたしましても、今お話のございました今後の雇用情勢の悪化を見込んだとしても、制度の安定的な運営は確保できるものと考えているところでございます。

薗浦分科員 これがいわゆる失業者にとっての最後のセーフティーネットですので、積立金の額というものはこれからも注視していっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、これは要望にしておきますけれども、この雇用保険でいわゆる育児休業手当を出されておると思うんですけれども、これはたしか平成二十一年度末までで、いわゆるやめるときの五〇%の給料が本人に手渡されるようになっておると思うんですけれども、諸外国なんかを見ると、もうちょっと高く出しているところも結構ございます。これはやはり、国の次代を担う子供たちを育ててもらうという大変大切な仕事をしているんだという位置づけから、少子化対策の観点からも、この給付率をもうちょっと引き上げるようなこともぜひとも今後長期の課題として御検討いただきたい。これは、答弁はちょっと雇用保険の性格上難しいでしょうから結構ですけれども、いろいろな枠組みをそれで考えていただきたいなというふうに思っています。

 次に、雇用保険の話から雇用調整助成金、ハローワークで受け付けているものですけれども、当然、企業が教育訓練をやりますから雇用は守りますといったような場合に支給されておるという趣旨のものだと理解をしておるんですが、ことし、いわゆる例のサブプライムが起こってから、これはどのぐらいの勢いで申請がふえておって、給付はどのぐらいふえておるのかというのをまずお伺いしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 助成金の利用状況でございますけれども、今、休業等の実施計画届が出てきておりますので、その受理件数で見ますと、昨年十二月の速報値で、計画届提出事業所数が千七百五十八事業所、対象労働者数は十三万七千百九人でございます。昨年十一月と比較いたしますと、事業所数で約九倍、対象労働者数で約十五倍という大幅な伸びでございます。

 一月の状況はまだ現在調査中でございますけれども、十二月よりもさらに大幅に伸びているということでございまして、急速に利用が進んでいるという状況でございます。

薗浦分科員 本来であったら利用が進むと余りうれしくない数字なんですけれども、大変不況の中で企業を守ってもらっているという趣旨からは、これは使っていただかないとだめなんですけれども、これもたしかハローワークで受け付けですよね。

 一方で、実際に職を求める方々もハローワークに長蛇の列をつくっている。僕も地元のハローワークをよく通りかかることがあるんですけれども、朝なんかすさまじく並んでいるわけですよ。現実、ハローワークというのは、今、職員の数が足りているんですかと聞くのも変ですけれども、ちゃんと機能できているんでしょうか。昨今の、公務員の数は減らしましょうという流れの中で、ハローワークもたしかその対象になって漸減傾向が続いておったと思うんですけれども、この状況で果たして今までと同じでいいのかというところは、僕は大きな疑問を持っています。

 これに関してはぜひちょっと、前向きというのもおかしいですけれども、厚労省の考え方をお伺いしたいというふうに思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 現下の雇用失業情勢を踏まえまして、今お話ございましたように、雇用調整助成金の申請も大幅にふえておりますし、求職者の方あるいは雇用保険の受給者等々、大幅に増加しているところでございますので、ハローワークの体制強化を図っていくことは大変重要な課題であると考えているところでございます。

 このため、まず、ハローワークにおきまして職業相談とか職業紹介等を実施する相談員につきましては、平成二十年度の補正予算、一次予算と二次補正予算で約千三百人増員しておるところでございまして、さらに平成二十一年度予算案におきましても相談員の増員を盛り込んでいるところでございます。

 その上で、ハローワークの正規の職員数でございますけれども、これは御指摘のとおり、国の行財政改革等に基づきまして、長期的には減少しているところでございます。しかしながら、先ほど来お話ございますような助成金の申請あるいは求職者に対する職業相談等々、大幅に増加しているということでございますので、私どもとしましても、国民サービスの低下を招かないように、定員の確保には最大限努力をしてまいりたいということでございます。

薗浦分科員 定員の確保は厚労省さんのお仕事じゃないので、ほかのところとお話をしながらということになるんでしょうけれども、この状況ですからぜひやっていただきたいというふうに思います。

 それで、これから、いわゆる今一番大きな問題になっております派遣労働者の問題について、これは政策的な話も出てくるかと思いますが、派遣労働者の問題についてお伺いをしたいと思います。

 僕が記憶をしております限りにおいては、平成十一年改正で、いわゆるポジティブリストからネガティブリスト、いわゆる原則開放ということが行われた。このときは、たしか有効求人倍率が〇・四幾つという非常に職がないといった状況だったと記憶します。その次の十五年改正のときに、一年から三年に延ばしますよということをやったんですが、このときは失業率が五%を超えて、最悪五・五%という数字まであのときはたしか行ったと記憶していますけれども、そういう状況だった。

 あのときの議論を、厚労省の中もそうですけれども、国会の議論も思い起こしてみると、これは派遣というものが非常に新しい雇用の受け皿、いわゆる緊急避難的に派遣で雇用を守るんだということで好意的に受けとめられて、それで一気に規制緩和の流れとともに解禁をしていったというふうに僕自身は記憶をしております。

 今、ちまたで、製造業への派遣はもう一回やめるべきじゃないかという話もありますけれども、僕自身は、常用雇用につながっているいわゆる普通の派遣の方の話と、それから不安定な日雇い、いわゆる登録型、日雇いは全部登録型でしょうけれども、この話の切り分けの方が大事で、特定の業種に限って今派遣は全部だめですよということをやってしまうと、かえってこの現下の経済情勢では失業者を町にあふれ返らせることになりかねないといった危惧を僕自身は抱いておりまして、今の、すべてもとに戻せばいいんだという議論に対しては大変な危機感というか危惧を抱いております。

 その点に関して、製造業に対する派遣のあり方等々も含めて、一体、大臣、派遣のあり方というものをどう考えていらっしゃるのかという見解を大きくお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 基本的には今委員がおっしゃったとおりで、登録型か常用型かというのは非常に必要だし、そういう働き方を望む人もおられるし、まさに雇用の調整弁である。今終えちゃえば四十六万人路頭に迷う。むしろ労働組合の中にも反対だというのはある。だからよく議論をしましょうと。

 ただ、私が申し上げたのは、要するに、基本的には常用雇用、そして期間の定めのない雇用が普通であって、それは、同時通訳で国際会議があるたびに行く、こういうのは別ですよ。だけれども、とりわけ製造業においては、今言ったような意味で、非常に安定した労働と安定した収入と安定した家庭があるということは、はるかに精神的にも安定しますよと、これはもう間違いないと思います。

 そういうことを申し上げたわけですし、製造業ということで私が申し上げたのは、やはりその技術の蓄積が必要だと。そうすると、日雇い的に、きょうはあそこの自動車会社、あしたはどこかの家電業界、それはやはり技術がスキルアップしていきませんから、やはりスキルアップして一人一人の技術が上がるということが日本の製造業全体の技術水準を引き上げることにもなるので、そういうことも加味をする必要がある。

 ですから、私自身は基本的にそういうことを思っていますから、ずっとそういうことを申し上げていた。ただ、たまたま、この年末ぐらいから、あの派遣切りの問題が大きくなったときに、ずっと同じことを言っているんですけれども、ぱっとそれが報道される。それで、突然あの大臣がそういうことを言い出した、我が省の役人も誤解して、地方のお役人で、大臣が言ったからおれも言おうなんという人まで出てきて困っちゃったんですけれども、しかし、私の基本はそういうことであるわけです。

 それで、例えば派遣村、日比谷の例の年末年始のあそこででも、五百人の方がおられた。四千人分の住み込みつきの求職票を持っていったけれども、手を挙げないんですね。ということは、やはり職業選択の自由はありますから、自分はこういう製造業で働きたいんだという派遣の方がおられたら、それはもう価値観は自由ですから、そういうことも踏まえた上で、これはよく議論をしましょうと。労働組合も経営者も、そして我々もよく議論しましょうと。そういうことを申し上げたので、委員がおっしゃることはまさに正論だと思いますので、そういうことを踏まえて緻密な議論をやっていきたいと思っています。

薗浦分科員 ありがとうございました。まさに僕が申し上げたかったことそのものを御答弁いただいた。

 要は、日雇いというものはこれから規制の方向にいかなきゃいかぬでしょうし、ただ一方で、派遣でだから働けるんだ、週に三日派遣だからやれるんだという人たちの職の確保という意味では、常用というものは今の業種以上のものも守っていかなければならない。そこの切り分け方が少々、業種で区切るんじゃなくて働き方で区切った議論が今後できればいいかなというふうに思っています。

 その上で、いわゆる働き方という分けで切り分けると、やはり常用の方よりも日雇いの方、それから登録型の方、この非常に不安定な方々に対するセーフティーネットというものの議論をせにゃならぬというふうに思っています。働く場所があって、どういう働き方をするかというのは自由ですけれども、働く場所がないという人たちには、やはり国としてある程度のものを用意しなければならないという議論が片っ方であります。あの派遣村もそうでしたが、あのときも、僕も一月二日に組合の幹部の方からお電話をいただいて、何とかならぬのかというようなお話もいただいて、あれは本当に講堂を開放するという大英断をいただいたというふうに僕自身は思っています。

 その上で、ああいった細かなことも含めたセーフティーネットというもののあり方、余り膨大に過ぎると、これはモラルハザードが起きかねないという二律背反な面もある、確かにあるにはあるんですけれども、かといって、今の経済状況の中では、救うべき人は救わなければならない。このセーフティーネットのあり方、それからその具体策というものを答えられる範囲でお答えをいただければと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの基本的な考え方としては、やはり非正規の方で正規の仕事につきたいという方につきましては、さまざまな助成金等も用意いたしまして、正規の仕事につくような支援を全体として総合的にやっているところでございます。

 その上で、セーフティーネットにつきましては、今、雇用保険法の改正案を提出しているところでございますけれども、この制度につきまして、非正規労働者への適用基準の緩和を行うなど、できる限り雇用のセーフティーネット機能を充実させて、安心して働ける環境の整備を図ってまいりたいと考えております。

 その中で、雇用保険の適用にならない方もおりますので、例えば住宅なりなくなって仕事もないという方には返済免除の融資制度を用意している、あるいは能力開発につきましては能力開発についての手当を支給して、これも返還免除があるというような形で、非正規労働者に対するセーフティーネットの拡充も図っているところでございます。

薗浦分科員 ありがとうございました。ぜひそこはきちっとやっていただきたいと思います。

 それで、今度派遣の問題で恐らく来年あたりこれが頻発するであろうと僕が大変危惧を抱いているお話があります。それは、直接雇用の申し込みの部分でございます。

 派遣期間が満了すれば、その人を引き続き使いたい場合、働いていただきたい場合には、直接雇用を申し込まなければならない。これは、つくるときに何で気づかなかったんだろうなと僕も今でもちょっと反省をせにゃならぬと思っているんですが、直接雇用を申し込むときにパートタイム労働者として申し込む例が僕が聞く限りでも結構あります。そうすると、正社員になれる、安定すると思っていたのに、より不安定なパートとして直接雇用を申し込まれちゃう。なかんずく、当然派遣時代よりも月収が減ってしまう。

 これは法の趣旨と全く違う対応を現場で行われているということをまず認識しているかどうかをお伺いしたいのと、これに関して今後法改正も含めて対策をとられる予定があるのかということまでお伺いをしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 直接雇用への切りかえ時における賃金等の労働条件につきましては、基本的には雇用主と労働者との間で決定されるべきものとなっているところでございますので、これは期間の定めのない雇用には必ずしも限定されていないということでありまして、期間のある雇用の場合、場合によってはパート的なものということも想定し得るというような現在の状況でございます。今般、派遣先が一定の要件のもとで派遣労働者を直接雇用した際には奨励金を支給するという制度をつくったところでございますけれども、この場合には、期間の定めのない雇用の場合には奨励金の額を高くしてインセンティブを強めているというところでございます。こういった制度の活用によりまして、労働者の労働条件の向上に努めていきたいと考えているところでございます。

 それから、もう一つは、現在継続審議となっております労働者派遣法の改正法案におきましては、偽装請負とか派遣期間制限に違反した派遣先に対しましては、労働契約を申し込むこと、その際には賃金その他の労働条件を低下させることのないように措置すべきという勧告規定を盛り込んでいるところでございまして、この早期審議をお願いしているという状況でございます。

薗浦分科員 今出されている派遣法の改正案までお話をいただきましたけれども、あの条文は、あの法律ができたときに、いわゆる派遣という人たちが非常に不安定な立場に追いやられるのを防ぐため、法律の趣旨はあくまであれは使用者側の利便性じゃなくて、あそこの一文というのは労働者の保護のために設けられたわけですから、それが結果としてパートに追いやられるというのは立法趣旨から少々逸脱しているんじゃないかと僕は思っているんです。

 ですから、そこは、法律を変えるのか運用でどうにかなるのかも含めてちょっと御検討いただいて、三年間派遣で勤め上げてようやく正社員になれると思ったらパートの申し込みをされた、それが嫌だとけったら、もうあなたは要りません、かわりがいますと言われた。企業側からしてみれば、直接契約の申し込みをしたんですけれども契約に至らなかったという言いわけができちゃうわけですから、そこで。そこの部分は労働者側を守るというあのときの立法趣旨をぜひ遵守できるような対応策をこれから考えていただきたいというふうに思っています。

 派遣の問題で最後に、これは昨今派遣先企業の問題ばかりがクローズアップされて、派遣先の企業にしてみれば、もともとそういう契約で派遣労働者を受け入れているわけですから、ここまでたたかれるのは何でだよというのが正直な感想だと僕は思っているんです。

 一方で、派遣元の話。おととし、いろいろグッドウィルとか出てきましたけれども、ここの業者さんの話をいろいろ伺うと、まともにやって、新規開拓も自分でやり、教育訓練もやり、まじめにやっている派遣業者さんというのは、利益率が大体二%ないぐらい。中小ほど、きゅうきゅうでやっています。ところが、まだ中には、保険を払わない、そういうことも一切やらない、そういうところが、大っぴらに聞いたわけじゃないですけれども、業界の中では一割近い利益率を上げているというような話も伺っております。

 これはモラルの問題といえばモラルの問題なんですけれども、ちゃんとやっている方が薄利で汗かいて必死こいてやっているにもかかわらず、脱法行為、違法行為をやっている方が、抜け穴のように、もうけているというのはいかがなものかと思っております。

 したがって、社会保険に入っていない企業、それを払っていないいわゆる派遣元への対策と、それから、当然そこで働いている派遣の方々は社会保険が適用にならないわけですから、働いている会社が悪い、働いている人たちには責任はないという考え方からすれば、社会保険に入っていない企業の派遣労働者の人たちへのセーフティーネットというものもまたある程度用意しなきゃならぬと思いますけれども、そこの対応策というか、今のお考え方というのはどうなっているでしょうかということをお伺いしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からいただいた御指摘というのは、いわゆる未適用事業所と言われる事業所の存在、すなわち、健康保険など、本来であれば加入すべきであるにもかかわらず加入しないという状態で事業継続をしている、そういう事業所についての問題かと思います。

 御指摘のように、そのような事業所に関する問題としては、一つはやはり、お勤めの従業員の方に対する医療を初めとする給付面での保障の道が閉ざされるというようなことになりかねないという問題が一点と、それから、まさに今度は事業所同士のいわば制度との関係での公平性、信頼性、そういう問題が二点あろうかと思います。

 私ども、これは速やかに解消しなければいけないというふうに思ってございまして、十六年度より重点対策というのを進めております。

 ポイント的に申し上げれば、例えば健康保険、厚生年金保険、こういう関係で申し上げますと、まず第一弾は、労働保険の適用事業所の方の情報とか、あるいは新規に設立される法人の情報、そういった情報あるいは関係機関から提供される情報を活用いたしまして、未適用事業所というものがどこにどの程度あるのかをきちんと把握する、その上で、加入勧奨状の送付あるいは訪問をさせていただきまして、強く勧奨を迫るというようなことをさせていただいています。

 なかなかそれだけではいかない、そういう事業所もおありなので、特に一定規模以上の、五人以上とか、あるいは業態によっては十五人以上とかそういう形になりますけれども、一定規模以上の事業所等に対しては、さらに呼び出しとか、それから戸別訪問とか、そういうような形での重点的な指導をさせていただく。

 さらに、そういう重点的な指導にも応じていただけないところにつきましては、これは私どもとしては、できるだけ抑制的であらねばならないというふうには思っておりますが、やはり立入調査をさせていただくとか、さらには職権による適用をさせていただくとか、そういうようなことで、いわば適用の適正化というものに取り組まさせていただいているということでございます。

薗浦分科員 原則、立ち入りとかそういうのは抑制的にとおっしゃいましたけれども、やはり一罰百戒、悪いことをしたらいかぬのですよというのを満天下に示す意味でも、これは厳格に運用していただきたいというふうに申し上げておきます。

 最後にちょっとワークシェアの話をしたいんですが、不景気になるといつも出てくるワークシェアリング、多様就業型はいいとして、こういう御時世になると、緊急避難型というものをきちっとやりましょうという話が毎回出てきます。前回出てきたのが坂口大臣の時代、あの時代に坂口さんと、それからいわゆる政労使の会議というものがあって、十四年三月でしたか、あのときにやりましょうという話でまとまったというふうに僕は記憶しています。

 あれがその後どういう状況になってどうなっているのかというのがさっぱり聞こえてこない。それは使用者側にもいろいろ言い分はありますし、労働者側にもいろいろ言い分がある上に、そもそも日本の社会になじまないのじゃないかという根本議論まで最近聞こえてくるようになって、いわゆる雇用のセーフティーネットの手段としては全世界的に認められた手段であるにもかかわらず、日本では好景気になったら忘れられて不景気になったらまた慌ててやるというのが繰り返されているような気がするんですけれども、今、このワークシェアの話というのは、十四年からもう六年たっていますけれども、どういう状況になっていて、今後どういうふうにお進めになるつもりなのか、またネックがあるならどういうところかというのを、どなたでも、御認識を伺いたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねのワークシェアリングについてでございますけれども、平成十三年十月に労使間でまとめられました雇用に関する社会合意推進宣言というものを踏まえまして、平成十四年三月に政労使合意というものがまとめられたわけでございます。

 今委員からもお話ありましたように、この中では、当面の緊急的な措置として、労使の合意により所定労働時間の短縮と賃金の減額を行う緊急対応型ワークシェアリングと、それからもう一つが、短時間勤務とか隔日勤務などの多様な働き方の選択肢を拡大する多様就業型ワークシェアリングに取り組むということが合意をされまして、その中で、まず経営者は雇用の維持に努めること、労働者は所定労働時間の短縮とそれに伴う賃金の取り扱いについて柔軟に対応することに努める、それから政府は財政支援を含めた環境づくりに取り組むということにされたわけでございます。

 この合意に基づきまして、政府としても、緊急雇用創出特別奨励金というものを設けまして財政支援を行ったわけでございますけれども、まず第一に、所定労働時間の短縮に応じた賃金削減がやはりなかなか難しいということがあったこと、それから第二には、ワークシェアリングの導入に当たりましては、やはり職務の明確化とか時間当たり賃金の取り扱いなどを検討することが必要なのでありますけれども、なかなかこうした賃金、人事制度の見直しが難しかったというようなこと等の問題から、個々の労使間での合意というのが十分に進まず、また、その後、景気回復に伴いまして企業の方でも特に緊急対応型ワークシェアリングを導入する必要性が薄れてきたということで、結果として当時ワークシェアリングが十分定着するに至らなかったというふうに考えております。

 今後につきましては、やはりワークシェアリングというのは雇用、賃金、労働時間の配分の問題でございますので、やはりまずは労使で十分共通認識を得るべく話し合っていただくということが前提だというふうに思っておりますので、労使の検討を踏まえる必要がありますけれども、既に与党においてもワークシェアリングについての支援策等について御検討いただいておりますので、我々としても、そういう状況を見守りながら、何ができるかよく検討してまいりたいというふうに思っております。

薗浦分科員 ありがとうございました。ぜひそれは議論を中でもちゃんとやっていただきたいと思います。

 それでは終わります。ありがとうございました。

菅原主査代理 これにて薗浦健太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)分科員 公明党の衆議院議員の伊藤渉でございます。

 きょうは、食の安全ということについて、ことしに入ってフグの食中毒の事故、事件が二件、テレビ等でも報道をされました。これを足かけにして、食の安全といっても非常に多面的なものでございまして、さまざまな角度から考える必要がございますけれども、きょうは、一般の飲食店等で振る舞われている、我々がお金を払って口に入れているこうした食べ物の安全について、いま一度議論をさせていただきたいと思います。

 まず、ニュースになりました一月、二月の事故でございますけれども、一つは、大分県の由布市内で、魚介類販売業者が二月六日の昼ごろ、煮つけ用として販売したフグの卵巣を購入し、家庭で調理、摂取した男性二名が二月七日、フグ中毒に罹患をしたということが判明しております。原因となった施設は大分県の食の安全・安心条例に基づくフグの処理施設の届け出を行わず、フグ処理登録者以外の者がフグを処理していた。ちなみに、原因となった食品はマフグの卵巣だそうです。

 またもう一つは、一月二十六日、山形県の鶴岡市内の飲食店、居酒屋だそうですけれども、ここで提供されたフグの料理、八名のうち七名がフグ中毒に罹患をしたということが明らかになっております。ここでの原因施設は、山形県フグ取扱い指導要綱で定めるフグ取扱者の資格を有していないにもかかわらず料理を提供している。ちなみに、フグの処理施設の届け出もしていないそうでございます。

 まず厚生労働省にお聞きしますけれども、フグの処理、調理についてはどういった形で安全の確保に努めておられますでしょうか。

石塚政府参考人 フグの処理、調理についてのお尋ねでございます。

 厚生労働省におきましては、フグを原因とする食中毒の発生を防止するため、昭和五十八年より都道府県等に対しまして、有毒、有害食品の販売を禁止する食品衛生法第六条第二号の規定の運用方針としまして、食用可能なフグの種類、これは二十二種類を指定しております。あるいは食用可能な部位としまして、これは有毒部位を除外します。この有毒な部位としましては、肝臓あるいは卵巣というものを指定しております。ほかに処理方法等の基準を示しているところでございます。

 これに基づきまして、都道府県等におきましては、条例あるいは要綱というものをつくるなどいたしまして、その徹底を図っているというところでございます。

伊藤(渉)分科員 今御答弁いただきましたとおり、食品衛生法第六条、施行規則第一条、そして昭和五十八年十二月二日、厚生省の環境衛生局長の通知「フグの衛生確保について」というものが各地方自治体に通知をされておりまして、フグの取扱者及びフグの取扱施設を定めることになっている。

 しかし、今回ニュースになった二件は、どちらも適合していなかったということでございます。こういった取り決めがあるにもかかわらず、今回、二件立て続けといった印象が私にはございますけれども、中毒事故発生を許してしまった原因、これはどのように分析をされているのか、あわせて厚生労働省に伺います。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの基準でございますけれども、有毒部位の確実な除去等ができると都道府県知事等が認める者及び施設に限って行うということが各県で基準として定められているわけでございますが、これは先生御指摘のように、先般の山形県及び大分県における食中毒事案につきましては、事業者がその基準を承知していたにもかかわらず、これに違反してフグを消費者に提供したことに起因するものであると認識をいたしております。

 このため、厚生労働省としましては、本年一月、山形県におけるフグによる食中毒事案を踏まえまして、フグの取り扱いについて、関係事業者に対する指導監督、あるいは一般消費者に対する周知を徹底するよう各都道府県等に要請したところでございます。

 ちなみに、一般消費者に対しましては、保健所が交付いたします届け出済みの票を掲示していない飲食店においてフグを喫食することがないように呼びかけを行っているところでございます。

伊藤(渉)分科員 今御答弁の中に出てきた、その資格を持っている人のが何か張ってある。ただ、もちろんフグは高価なものですから、そうめったに食べられるものではありませんけれども、一般の人はほとんど知らないと思うんですね、その存在すら。そこをどう周知徹底をしていくか。もちろん、それを取り扱う方に対しての取り組みも当然重要ですけれども、今あったように、知っていてやっていないわけですから。

 ただ一方で、それを食べに行くお客さんが、ここは張ってあるなとか張っていないなとか、それを知らないとなかなか厳しいんじゃないかと思いますけれども、その点はどうお考えですか。ちょっと通告はしていませんが。

石塚政府参考人 まず、食品事業者に対しましては、この事業者の組織しています協会、組合といったようなものがございます。こういうものに加入しておられる方々に関しましては、そういった職能団体を通じまして徹底をよく周知していく。それから、そうした職能団体が実施しますさまざまな食中毒防止のためのキャンペーン事業といったもので、一般大衆に対する周知徹底を行う機会もございますので、都道府県に対しましては、そういった機会を十分活用して一般消費者にもこうした内容を周知してもらうように、私どもも配慮しております。

 これは自治体に対しても行っておりますし、また、そういった職能団体の全国的な組織に対してもそういうものを周知していくように、今後とも努めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)分科員 ここは大臣にぜひお聞きをしたいと思いますが、このフグの事故が起こって、いろいろ調べてみましたけれども、かつての厚生省からの通知に基づいて、各県が条例ですとか要綱とかを定めているんですけれども、やはり各県で相当ばらつきが実はあります。

 例えば、私が調べた限りでいくと、この処理施設とか処理技術を持った人という認定を受けるのが一番難しいのが東京都なんですね。ですから、東京都で取ると、あとはどこへ行ってもやれるんですけれども、ほかのところでこういう基準を持っていて、東京都に来てフグの調理ができるかというと、できない。

 こういう状況が、一枚の通知が厚生省から出ているにもかかわらず、各県でばらついてしまっている。ここも私は統一していくべきじゃないかというふうに考えているものですから、ここはぜひ大臣の御判断、御見解をお伺いしておきたいと思います。

舛添国務大臣 今局長が答えたように、基本的には法律は一律に適用される。そして、基準も基本的には一律である。ただ、調理をする人に対する講習の仕方、法律を守らせるためのやり方、これは都道府県のある意味で自由裁量に任せてあるので、そこまで規制するかどうかなというのはあるんです。

 私は福岡ですから、北九州なので、関門海峡を渡ると下関なんですね。それで、もう子供のときからフグは高級品ではなくて日ごろ毎日食っていたような感じが、今はそうじゃないですよ、子供のころはそういう大衆の魚だったような感じがするんです、我々の地元では。そうすると、やはり事故があったりして、子供のときから、フグの調理というのは非常に難しいなというのはありました。

 ですから、そういう意味で、そこまでを一律にするかどうか。そして、今回の山形の件も大分の件も違反をしていたわけですね。だから、違反する人たちに対する取り締まり、そして調理師の腕を上げることについて、それはある程度の国の指導、徹底、こういう事案を受けて、もう少し厳しい監視をしろというような通達というようなことができるかもしれません。ただ、そこから先をさらに、例えば講習のやり方、それまでも規制するかどうか。

 これはちょっと検討課題としてみたいと思っております。

伊藤(渉)分科員 ぜひ、現状をもう一度整理していただいて、御検討いただければと思います。

 では、食中毒の数字を少しお聞きしますけれども、直近の過去五年程度の食中毒の件数、どういうふうに経年変化をしてきているのか。また、今質問の中で出しました、その中でもフグの食中毒の件数の経年変化、これもあわせて御教示ください。

石塚政府参考人 お答えします。

 一番新しいまとまった統計が平成十九年でございますので、そこからさかのぼった五年間についてお答えいたします。

 まず、食中毒全体の件数でございますが、平成十五年に千五百八十五件、十六年に千六百六十六件、十七年に千五百四十五件、十八年に千四百九十一件、十九年には千二百八十九件となっております。

 このうち、フグによる食中毒の件数でございますが、平成十五年には三十八件、十六年に四十四件、十七年に四十件、十八年に二十六件、十九年には二十九件となっております。

 ちなみに、このフグ中毒事件の多くが、家庭においてフグをみずから調理したことによるものであると報告されているところでございます。

伊藤(渉)分科員 ここ五年程度は徐々に食中毒は減少傾向にある。これは二十年ぐらいの推移で見ると、不思議なことに減ったりふえたりしているんですよね。ただ、この五年の推移を見れば食中毒は減少している。そういう意味では、食の安全は少しずつ厚生労働省の取り組みによって向上してきていると言えるとも思います。

 今の食中毒の統計は、食品関係営業施設における食品衛生法に基づく取り組みが功を奏してきているんだろうとも言えると思いますけれども、食品衛生法に基づく食品衛生責任者、これはどういったところに配置をされていますか。これも厚生労働省に。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 食品衛生法第四十八条の規定に基づきまして、特に衛生上の考慮を必要とする一定の食品等の製造もしくは加工を行う営業者は、その施設ごとに、専任の食品衛生管理者を設置しなければならないというふうにされております。

 このほか、食品衛生法第五十条第二項の規定に基づきまして、都道府県等は、営業の施設における内外の清潔保持等の公衆衛生上講ずべき措置に関しまして、条例で必要な基準を定めることができるとなっております。このための技術的助言といたしまして、食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針、いわゆるガイドラインというものを示しておりまして、これにおいて食品衛生責任者の設置を規定しているところでございます。

 具体的には、食品衛生管理者を設置する必要がない営業者は、その施設または部門ごとに食品衛生責任者を設置しなければならないものとされているところでございます。

伊藤(渉)分科員 食品衛生責任者は必置義務、こういうことでよろしいですね。はい。

 この食品衛生法による管理だけで、食の安全というものが非常に関心が高まる、またそこに対する要求度も高まってくる中で、本当に食の安全ということが今後も担保をされていくのかというところは考えなければならないと思っています。これだけ健康志向、食に対する関心が高まる中で、本当に体にいい食というものが提供をされている、外食産業全般を含めて、なかなかそう言い切れないんじゃないか。最近になってよくカロリー表示みたいなものはされるようになってきていますけれども、それだけで本当に足りるんだろうかというふうに私は疑問を持っております。

 食品衛生責任者、この資格の取得のために学ばなければならない内容、また講習等の規模、これはどうなっていますでしょうか。

石塚政府参考人 先ほどお答えしましたように、食品衛生法におきましては、食品衛生管理者と食品衛生責任者と二種類ございます。最低、食品衛生責任者というものを設置しなければならないこととされているところでございますが、この食品衛生責任者の要件といたしましては以下のようなことが定められております。

 一つには、食品衛生監視員または食品衛生管理者の資格を取得するための要件を満たす者であること。二点目は、これらの資格ではない場合には、栄養士もしくは調理師あるいは製菓衛生師といったような資格を有するということが条件として定められているところでございます。

伊藤(渉)分科員 それ以外に、今おっしゃっていただいたような資格を有する者以外は六時間程度の講習でこの責任者の資格を取れるというふうに理解していますけれども、よろしいですか。

石塚政府参考人 お尋ねのとおりでございます。

伊藤(渉)分科員 今御答弁いただいたように、食品衛生責任者というのは、講習の規模としては大体一日、六時間、学ぶことは公衆衛生とか衛生法規とか食品衛生、こういう衛生面のことを学ぶということでございます。

 そこで、飲食関係の営業施設、つまり対価をいただいてお客様に食事を提供する、こういう施設を営むために必要な資格及び許可、これはどういった条件になっていますでしょうか。

石塚政府参考人 お答えします。

 まず食品衛生法第五十二条の規定に基づきまして、飲食店営業を営もうとする者は、都道府県等の許可を受けなければならないこととされているところでございます。

 そのほか、食品衛生法第五十条及び第五十一条の規定に基づきまして、飲食店営業者は、都道府県等が条例で定める管理運営基準及び飲食店営業の施設に関する基準というものを遵守しなければならないこととされております。

 ちなみに、この基準と申しますのは、例えば専用の調理場を設けなければならないであるとか、床の面には耐水性の材料を用いなければならないといったようなことを定めているところでございます。

 一方、資格ということで申しますと、先ほどお答えしました管理者のほかに責任者というものがございます。責任者の資格につきましては先ほどお答えしたとおりでございます。

伊藤(渉)分科員 これもちょっと特に通告はしていなかったんですが、さっきのフグの話と同じように、営業の許可とか食品衛生責任者、こういうのを持っていますということはどこかお店の中に掲示はしておかなきゃいけないんでしょうか。

石塚政府参考人 そのとおりでございます。店内にその表示をしなければならないということにされております。

伊藤(渉)分科員 ここで私は調理師という資格の話をさせていただきたいと思うんですけれども、昭和三十三年に議員立法によって調理師法が制定をされております。調理師資格を取得するためには、食品衛生法上の衛生関係、こういったものに加えて、調理理論、栄養学、食品学、食文化等々、こういったことを身につけなければならない。これだけの知識、そして技量を身につけている調理師、現状はあくまで名称独占ということになっております。

 これは大臣にお伺いをしますけれども、なかなか、ここをどう決めていくかは今後議論があるところですけれども、一定の飲食関係営業施設における食の安全、もう少し言葉を尽くしますと、今は営業施設は衛生面さえきちっとクリアできていれば営業ができるということになっていますけれども、食の安全というのは、今や衛生面だけでは、提供される人の側は満足していない時代に突入をしてきていると思います。では、その衛生面以上に、栄養学とか食品学とか食文化とか、そういうことをきちっと身につけている人はだれかと言われれば、現状の仕組みの中では調理師の方でございます。

 こういった食品関係の営業施設における、いわば、今求められる食の安全の守り手として調理師に光を当てていくべきではないかというふうに考えておるわけですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

舛添国務大臣 名称独占ということでありますし、それから、いろいろな飲食店などに設置するということは努力義務にとどまっています。ただ、食の安全、そして食育、そして本当においしい栄養のあるものを食べたいんだという国民の願いがありますから、こういう調理師の方々の持っている能力を最大限そのために使うというのは大変結構なことだというふうに思います。

 ただ、ここから先を完全な国家資格にするとか義務規定にするとかいうことになると、レストランでもいろいろな種類がありますから、なかなか一気にはそこまでいかないと思いますけれども、やはりその前提として、国民の食に対する考え方、これが先ほど委員もおっしゃったような高い水準を求めていくことであれば、自然とそういうコンセンサスも生まれると思います。

 それからもう一つは、やはり調理師の皆さん方の能力がこれだけあるんだ、これを活用すればこれだけいいことがあるんだ、これはぜひ調理師の皆さん方が、例えばシンポジウムを開いていただくとか、地域に根差した活動をやっていただくとかいうことで、そういういい意味での宣伝ということも必要だと思いますので、そういうことを全体的に見ながら、ぜひ調理師の皆さん方の力を国民の食の安全に、そして、おいしいものを食べたいという希望に沿うような形で活用できればと思っております。

伊藤(渉)分科員 この調理師の話というのは、厚生労働省の担当者の方ともやりとりをさせていただきましたけれども、これまでも何度となく取り組まれてきた話、それは私も十分承知をしております。

 世の中の状況が、やはり時を経るごとに食の安全に対する関心は高まっていると思います。我々政治家も、地方から出てきている人間は東京では単身の方が多くて、多くを外食に頼るわけで、外食の食事というのは余り体によくないなんてよく言われたりします。そのものがよくないことだと思っていて、きちっと栄養も管理をされて、家で食べるものと同じように、その人に合わせた調理、こういったものがされていく世の中というのは今後つくっていくべき話だろうと思います。

 そういう意味では、冒頭のフグの話も、確かに許可を受けた施設でもなければ、許可を受けた人がやっていない。しかし、もし仮にここに調理師という方が存在していれば、彼らには当然、食中毒を予防する知識というものは身についていますから、こういった事故も防げたんじゃないかというふうにも思います。

 そういう意味で、まさに人の命に直接影響を及ぼす食、またそれを料理として提供して対価をいただくことができる人、こういう人に対しては調理師の資格を持つ者に限定をしていくということを考えていかなければならないと思いますし、繰り返しになりますけれども、食の安全を守る守り手として、こういった方々により一層努力をいただき、成長させていかなければならない、こうした政策誘導が必要だと思いますけれども、重ねて大臣に御答弁を求めたいと思います。

舛添国務大臣 先ほど申し上げましたような中小のレストランもありますから、なかなか一気に義務化ということはできないと思います。

 ただ、もう一つ、今委員がおっしゃったこととは違うことを申し上げますと、厚生労働省は、生活習慣病を予防する、そのためのメタボ健診というようなこともやっているわけです。そうすると、カロリー計算をする、例えば糖尿病にならないためにはどういう食事があればいいんだというようなことも含めて、これは調理師の皆さん方に、生活習慣病の予防を食の観点からやるということに非常に今から大きな力を発揮できると思います。

 食の安全だけではなくて食生活の改善、昔はそう言うと、貧しい国民が豊かになるためにカロリーを上げる。今は全く逆で、過剰なカロリーをどう減らしていくか、そのためにはどういう食品構成でやればいいのか。それは個々人の体によっても違うと思いますから、そこの分野にも実は非常に大きな力を発揮できるというふうに思っています。

 今は非常に経済がこういう状況ですけれども、片一方、かつてのグルメブームのようなことがあり、みんな体重を気にするというような時代にはそちらの面からもこれはぜひ、光が当たる部分だと思いますので、それも含めて、委員の問題意識を共有しながら、さらに検討を進めてまいりたいと思っております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございました。

 私も、引き続きこの問題には取り組んでいく決意でございますし、文字どおり長寿社会にもなっています。社会保障全体の問題も起こってくる中で、その根本である食の問題に、厚生労働省、またこれは農水省も関係してくると思いますけれども、取り組んでいくことは非常に重要です。また、現場でそれを支える人をどう今後さらにつくり上げていくか、こういう視点から、きょうは調理師の資格に光を当てて質問させていただきました。

 今大臣からも、メタボ健診、そういったところにも役に立っていく方々だという非常にありがたいお言葉もちょうだいをいたしましたし、また引き続き大臣にもいろいろ現場のお話を御提示しながらこの問題に取り組んでいきたいと思いますので、また今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。

菅原主査代理 これにて伊藤渉君の質疑は終了いたしました。

 次に、牧原秀樹君。

牧原分科員 本日は、尊敬する舛添大臣に直接御質問をさせていただく機会を得まして、本当にありがとうございます。

 まず冒頭、本来、これは地元の問題ですから、大臣にお答えいただくような話かどうか微妙ですが、私としては、これは当選以来一貫してかなり命がけで取り組んできた問題でございまして、社会保険病院の存続という問題でございます。

 昨年九月にRFOに所有者が移転するということで、その後どういう見通しになっているのかということについて、実は私の地元にも大宮総合病院というのがございまして、たまたま、あそこは大変人口も多いところなんですが、他の地域の中核病院、宮原メディカルセンターというところがこの二月末で移転し、閉院をします。このことによりまして、特にこの病院が担っていた小児救急を初めとしていろいろな分野について、突如病院が一個なくなるという事態がこの都心でも起こるということになっております。

 したがいまして、この社会保険病院を何とかして、発展的にでも残して、そして地域の拠点病院にしたいというふうに考え、何度も、この三年半、要請行為も行ってまいりましたが、この見通しについてお伺いをしたいと思います。

舛添国務大臣 社会保険病院の改革ということは、これは社会保険庁のさまざまな不祥事も含めてずっと見直しをやってきた、もっと広く言うと、公的病院のあり方について見直しを行ってきました。

 確かに、地域の中核病院として重要な公的な病院、社会保険病院、厚生年金病院、こういうのは、地域の医療体制を崩壊させないということを前提に考えましょうということで、今のような医師不足を含めて、例えば銚子の市立病院が閉鎖されるというようないろいろな事例があると、何としても守らないといけないという意見があります。

 それはそれであるんですが、ただ、やはり、どうしてあんなに効率の悪い経営をやるのかな、民間に任せればもっとうまくいっていたんじゃないか、組合の問題も含めて、さまざまありますね。それはやはり、大なたを振るうのが改革を目指す我々自民党の仕事であるということで、党の中の改革チームで、このRFOという形でなっている。

 そうすると、これは少しでもいい条件で譲渡をして、そして、例えばその施設を使ってよみがえらせて、もっと地域に貢献する、こういうことをやる必要があるので、私は、基本的にRFOに所有者を移転し、一日も早くさらにもっといい受け皿を探すというのは大事なことである、それはきちんとやっていきますよ。ただ、その過程において、とてもじゃないけれども今そんな状況ではありませんというときには、地域医療全体の安定ということを見て判断しますということが大方針でありますので、大宮総合病院についてもそういう観点から、委員が御指摘のようなことも含めて、一日も早く地域の住民にとっていい形でやれるように努力をしていきたいというふうに思っております。

牧原分科員 実は、この大宮病院は、もう受け皿をやりたいという人がおりまして、非常に模範生的な立場にあると思っております。

 したがいまして、我々の希望としては、早く譲渡して、新しい病院として再出発できるようなことをお願いしたい。決して不当なことをお願いしているわけではないので、ぜひお願いをします。もうとにかく一期目の間にこれはやり遂げたい、そういう思いがありますから、いつ選挙になるかわかりませんが、なるべく早くお願いを申し上げたいと思います。

 二番目ですが、これは医療費の問題で、医療費の引き下げが限界に来ているということは何となくもう共通認識になっているかなと思っております。これを抑制するのではなくて、むしろ、日本が一番最初、先進国みんなが高齢化社会という事態を迎える中、その先頭に日本が立っているため、高齢化社会と医療分野がどう向き合っていくかということのモデルケースで、これはぜひ力のある舛添大臣のもとで考えていただきたいと思います。

 その中で、御承知のとおり、レセプトのオンライン化ということが来年にも義務化されるということで、これに対して大変懸念の声が上がっております。これは、後期高齢者医療制度のときもそうでしたが、一たん導入した後、大変な混乱が起きてというわけにはやはりいかないと私は思いますし、かなり医療の現場の方、特に経営的に負担をかけるものでもある大変な問題だと思っておりますので、私としては、やはり中止も視野に入れながら、抜本的に、真剣に、少し時間を置いて考えていくべきかなというふうに考えておりますけれども、この点についての御見解をお願いします。

舛添国務大臣 いろいろな現場に行きますと、医師会、歯科医師会を含めて、全く今と同じ陳情というか要望が毎日のように私のところに寄せられております。それは、地域の本当にお年寄りで一人でやっておられるようなお医者さんが、これをやられると店じまいというか、診療所を閉めないといけない。これは地域医療の崩壊にさらに拍車をかけるということがあるんですが、ただ、猶予期間、最長平成二十五年までありますし、さらに、代行ができるように、代行するためにこれはソフトの開発とかいろいろ要りますけれども、そういうことも予算措置できちんと手当てをしておりますから、ぜひそれを活用していただいて、急にきょうからあしたということではないので、いろいろなそういう願いはよくわかります。

 それで、例えば、じゃいつまで待つんですかと言っても、大臣、もうちょっと待っておけば、もうお年を召されているんですから、いずれそのうちいなくなりますから、そうしたら終わればいいんじゃないですか、そういうことをおっしゃる方も現におられるんです。

 ただ、もう一つ考えないといけないことは、要するに、レセプトの電子化とかオンライン化とか、私は、レセプトの明細を国立病院はただで出せということを言っているのは、C型肝炎なんかのああいう発生について、だれがフィブリノゲンを投与されたかわからない。ぴしっとこういうことがデータで出ていれば、そのデータを見ればわかるわけですよ。例えば、古い紙のデータを探してきて、データというのはカルテ、そこにフィブリンのりをいつ使ったかなんというのを探すだけでも膨大な作業。これがぱっとなっていれば薬害の防止にも実は役立つわけです。

 さらにもう一つ言うと、二千二百億円の問題があります。社会保障費をきちんと安定的な財源で手当てするというのは大事ですけれども、しかし片一方では効率化を図っていかないと、つまり、構造改革をやろうという人から見たときに、あんな効率の悪いものをほったらかしていて何だ、二千二百億円カットするのは当たり前じゃないかという議論に対して、レセプトのオンライン化一つもできないようであれば、とてもじゃないけれどもそういう議論に抗することはできない。ある意味で政治的なシンボルにもなっている問題でもあるわけです。

 ただ、今言ったようなさまざまな手当てをやりますから、どうかそこのところは、医師会、歯科医師会含めて、大きな団体なわけですから、じゃ、みんなで助けよう、そして国民の負託にこたえられるような形で信頼を回復していこうよということもあっていいと思いますので、そういうバランスのとれた議論も必要だということを申し上げて、しかし、切実なそういう御意見、御要望に対しては真摯にこたえられるような方法をさらに努めて探していきたいと思っております。

牧原分科員 ありがとうございます。

 大規模な補正などという話もちらほら出てきておりまして、やはり将来に向けてやっていかなきゃいけない課題であるとすれば、こうした補正を使ってでも国がしっかりと面倒を見ていくということで、現場に押しつけるということがないようにぜひお願いしたいと思います。

 次に、妊婦健診の無料化を第二次補正でしたということで、私も駅立ちでも随分言っているんです。これは一回当たりの金額をフィックスして、ここまで無料化をするんだということで、私の地元さいたま市では、今まで五回無料といっていたのが九回プラスされるんですが、その九回のうちの平均単価は三千円、そしてプラス四回の超音波検査が新しく公費負担だ、五千三百幾らだったと思いますけれども、そういうことになっているということなんです。

 地元の産婦人科の間では、これは絶対足が出てしまうというふうに言っておりまして、そうすると、私たちがさんざん無料化、無料化と言っておきながら、実際に行ってみたらあと二千円払ってくださいとか言われると、これはかなり問題があると思いますので、この辺について御見解を賜りたいと思います。

村木政府参考人 妊婦健診でございますが、平成二十年度の第二次補正予算におきまして、費用の心配をしないで妊婦健診を受けていただこうということで、標準的な健診項目について必要な回数の妊婦健診がしっかり公費で受けられるようにということで、今まで財政措置をされておりませんでした九回分について、国庫からの補助と地方財政措置をしっかり組んだところでございます。

 妊婦健診そのものは実施主体が市町村でございますので、具体的な内容、それから、少し率直に申し上げれば、健診機関との契約の単価等については、それぞれの自治体でこれから適切に定めていただけるものと考えております。

 厚生労働省の方でも、これから自治体に対しまして、標準的な健診項目はこれこれですよ、いつの時期にそれを行っていただくのがいいのですというようなことをはっきりとお示ししまして、そしてまた、実施状況もしっかり把握をして、必要な妊婦健診がしっかり公費の負担のもとで行われるように、これは実施に万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。

牧原分科員 これは、自民党の広報紙とか政府の広報紙とかもごらんになったと思いますが、全部無料化と書いてあるんですね。現場の声を聞いていると、これは恐らく無料化にはならない、足が出るだろうと言われていますので、これは気をつけないと現場が混乱する原因になります。実は、出産一時金のところは、出産一時金の無料化とは言っていなくて、三十八万までとか、今度四十二万までだと思いますけれども、言っていますので、少し説明の仕方を考えていただきたいなと思います。私自身も気をつけるようにしますが、お願いを申し上げます。

 次に、これは若干また個別になりますが、オストミー協会の会合が先日ございまして、オストメイトの器具の交換が必要になるわけですけれども、特に介護が必要な方についての交換については、これは医療行為になってしまって介護の人ができないんだ、困るという話を具体的に受けました。どこまで介護なのか、どこまで医療行為なのかというのは、かなり介護の現場で困るという話を伺っております。この点についての検討をお伺いしたいと思います。

 あわせ、オストメイトの方の特有の問題として、交換用の袋がこれまでと違って日用品という扱いになって費用の負担がふえてしまった、これも困るという話を聞いていますので、この点についても御見解のほど、よろしくお願いいたします。

外口政府参考人 前段の介護と医療の境の点についてでございますが、現在の高齢化の進行を踏まえますと、介護の現場においても医療的なサービスの提供の必要性が高まっていると認識しており、こうした状況への対応が必要であると考えております。

 このため、平成十七年に発出した通知では、介護の現場で医療行為か否かに疑義が生じることの多い行為について、医療行為ではないものを整理してお示ししているところであります。御指摘の人工肛門についても、ストーマ装具のパウチにたまった排せつ物を捨てることや肌に直接装着していないパウチの取りかえは、原則として医療行為ではないことを示しているところであります。現場が困ることのないよう、よりわかりやすく説明するよう努めていきたいと思います。

 また、現在、在宅の介護現場における医療的ケア等について調査しているところであり、こうした調査結果や現場の御意見等を踏まえ、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

木倉政府参考人 後段のストーマ装具の交換の袋についてお答え申し上げます。

 障害者自立支援法の施行の際に、これは従来からあった補装具と日常生活用具という仕組みですが、これの範囲、定義等について、再度、専門家の方々や現場の方々の声を聞いて整理をしようということで、検討会を設けて議論をさせていただきました。

 その結果といたしまして、全国一律の基準をつくって、それで支給をしていただく補装具につきましては、義手であるとか義足のように、障害者の方々の個別の状態に対応して、個別に設計し加工していくというふうなものを対象とする。一方で、日常生活用具といいますのは、個別に対応するようなものではないんですけれども、市販のものを購入していただいて使えるようなもの、しかしそれは非常に大事なものとして、対象として整理をしようということで再度整理を図ったところでございます。

 このストーマの装着をします袋といいますのは、パウチでございますが、これも日常生活用具の方で分類を再度したということでございますが、これは、新しい法律におきましても、地域生活支援事業、きちんと国が補助をしていくという事業の中で、市町村が必須事業としてやっていただきたいことで示しておりまして、ほとんどの市町村でこれを実施していただいております。それは市町村の裁量で負担の額等も定められることになっております。

 この負担につきまして、今御指摘のようにオストミー協会等からも伺っておりますけれども、従前の時代におきましては全国一律の費用徴収基準というものでやっておりまして、無料の方から、収入がある方は全額負担まで幅がございました。これにつきまして、新しい仕組みで市町村が負担を設定しますときに増減がやはり出てきております。しかしながら、市町村におきましては、特に低所得の方々については負担を軽減する、非常に安く抑えるというような努力をいたしておりまして、供給に努めておるというふうに伺っております。

 私どもからも、市町村の方に、低廉なものを継続的に安定して供給できるように購入等に努めていただきたいということ、我々の方もこの国庫補助の確保に努めるということで努力していくので、ともにこれを安定して支障のないように供給できる体制を整えていこうということでやってきておるところでございます。

牧原分科員 ぜひとも、日常的に現場の皆様と意見交換をしていただいて、状況の改善をお願いしたいと思います。医療と介護の問題は日本にとって本当に大切な問題になりますので、引き続き、これも現場の皆様の声をよく拾っていただきたいなというふうに思います。

 また、少し細かい話になりますけれども、認知症高齢者グループホーム等小規模福祉施設におけるスプリンクラーの設備について、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金というものが活用できることになっておりますけれども、これもちょっと各自治体の対応に温度差があって、例えば、これを申請するときの申請様式が自治体によっては用意されていなかったり、あるいは、非常にグループホーム事業者等への連絡が不十分であったりということが、グループホームの経営をされている方々から耳に入ってきております。

 この点についての対応についてお伺いしたいと思います。

宮島政府参考人 スプリンクラーの設置義務が消防法の施行令で生じたわけですが、既に存在している施設は、平成二十三年度末までという猶予があるわけです。ただ、事が火災という人命にかかわるものですから、一日も早い整備が求められるというふうに思っております。

 スプリンクラーの整備の交付金については、全国の市町村に対して、申請の募集も含めて既に通知を出しております。それから、きょう全国課長会議というのを開いておりますが、そこでも事業者への連絡も含めて早期の対応を徹底しているところです。

 申請書の様式、国の方で事業者から市町村へのものについてはお示ししておりませんが、参考例などをお示しして、こういった工夫もしながら、スプリンクラーの設置が進むように努力してまいりたいと思います。

牧原分科員 地方自治体によって対応が違うということは、厚労省としても非常に欲求不満に感じることもあるだろうと思いますが、受ける側、つまり一般の事業者や住民の方からするとそれは関係ないことなので、ぜひ協力して、こうしたところに時間的な差や対応に差がないようにお願いを申し上げたいと思います。

 これも毎年質問させていただいていますが、待機児童と放課後児童クラブという問題を取り上げます。

 私は、子供が、二歳半と、この間二月五日に生まれたばかりですから、まだまだちょっと間がありますけれども、やはり子供が大きくなってきて、今、働き方、特に女性の皆様の働き方が多様化していますので、私の地元さいたま市というのは、若い人が非常にまだふえていて、小学校も二つできるという極めて異例な場所になっていまして、この待機児童と放課後児童クラブの問題はたびたび指摘を受けるところでございます。

 毎年質問していますので、毎年ちょっとずつ改善をされているんですけれども、この点について、全国的な課題でもありますから、厚労省の具体的な施策についてお伺いをしたいと思います。

村木政府参考人 先生御指摘のように、女性の就労もふえておりますし、放課後児童クラブは非常に大事な施策だというふうに思っております。

 まず、その改善状況ということで数字を若干申し上げますと、平成二十年度の数字が出ております。クラブ数で一万七千五百八十三カ所、登録児童数が七十九万四千九百二十二人、八十万人まであと一歩というところに来ております。ちなみに、五年前ですと、クラブ数が一万三千六百九十八、登録児童数が五十四万五百九十五でございますので、順調には伸びてきておりますがニーズにはなかなか追いつかないというのが実態であろうかと思います。

 これについて、平成十九年度から文科省と協力をして、特に学校の教室を利用させていただくというようなことも含めて、必要なすべての小学校区で実施ができるということを目標にしてやっております。また、新待機児童ゼロ作戦でも、特に重点項目として、足元のこの三年間は集中重点期間ということでやっております。

 具体的に申しますと、今度の二次補正の中に、これは都道府県に一千億の基金を積みますが、この中に、特に学校を活用した形の放課後児童クラブを設置するための予算を盛り込んでおりますし、また、二十一年度の予算案の中にも、放課後児童クラブを新設する場合の設置箇所数を増加させ、また相当に単価のアップを図っておりますので、財政面の支援というのはこのあたりで相当手当てができたかと思います。

 それからもう一つ、特にやはり学校を使ってやるということに対して大変御希望が強いこともありまして、昨年の十一月の二十八日に、放課後児童クラブの実施場所を確保するという観点から、普通教室として使用しなくなった教室を放課後子どもプランの実施場所として優先的に活用をするということができるように、文科省と連名で都道府県に通知を出したところでございます。

 こういった施策を通じて、しっかり放課後児童クラブをふやしていきたいというふうに考えております。

牧原分科員 これも緊急の課題だと思うんですね。つまり、子供が余りふえていないどころかむしろ減っているのに、利用者が五十四万から七十九万までふえたというのは、要するに、ニーズがあったのに施設がなくて利用できなかった人がこれだけいたということだと思いますので、私の耳にもまだまだそういう声がありますし、それから、現場に行ってみると、本当に狭いところに三十人ですとかいて、えっとかいうようなことになっていますし、その暴れ回る子供たちを本当に少ない職員の皆様がやっていて、それが非常に過重労働なので、介護の現場ではないですが、すぐやめちゃうという話も聞いています。この人員の話も、単価の話が出ましたが、労働条件全体、そして現場もぜひ見ていただいて、改善をしていただければというふうに思います。

 セーフティーネットについて質問させていただきますが、現在、早川忠孝先生などと一緒にセーフティーネット政策勉強会というのを若手でやっていまして、三日前もNPOもやいという、あの派遣村の村長さんのやっている団体の皆様の場所にも行ってきました。

 そこで、いろいろな課題があって、現場を見まくりますので、これまた大臣に御提言をさせていただければと思いますが、とりあえず当面困るという問題として、例えば派遣が切られたとか何だとかあったときに、どこに相談に行っていいかわからない、行くとたらい回しにされて困ると。結局、このNPOもやいとかいう、本当にボランティアでやっている人たちのところに助けてくれという相談が来て、その方々がボランティアで区役所までついていってあげたりしているんです。これをやはり私としては、ここに行けばいいんですよということをやっていただきたい。

 例えば、今、生活のいろいろなとっさの支援金みたいなものも出ますけれども、これはハローワーク、これは社会福祉協議会とかに分かれているんですね。そうしたところもやはり一つにして、そこに行けばとりあえず助けられますよということをやっていただきたい。

 これから雇用が多分また大幅に悪化する可能性がありますから、そうなったときに、もうNPOみたいなところでは受けられない、もう今でも手いっぱいだから、三月末にたくさんふえると言われても、もう受けられないという状況であります。

 ぜひともワンストップサービスを実現していただきたいと思いますけれども、この点についての御見解をお願いします。

舛添国務大臣 雇用を失ったという方は、もうとにかくハローワークに行ってください、そうすると、職探しをやりますよ、住宅も今はあっせんしますよ、必要なお金の貸し付けということも考えますよと。ただ、もう一つは、やはり生活保護を含めて生活支援というのは、市町村の窓口があってそこで生活支援をやるわけですから、それも御活用くださいよと。だから、我々がやらないといけないことは、ハローワークと地域の行政との連携を保つということ。

 それで、ワンストップサービスのいいこともあるんですけれども、そこに行かなきゃだめだじゃなくて、飛び込んだ先が、市町村の窓口、役場の窓口であろうとハローワークであろうと、連携さえしっかりしておけばいいと思いますので、そういう形で各自治体と連携をとりながら対応してまいりたいと思っております。

牧原分科員 ぜひともお願いをいたします。

 次に、今見直し期間に入っています障害者自立支援法について指摘をさせていただきます。

 現在、これは党で本当に精力的に議論をされておりますし、政府でもされていますので、今さら言うまでもないかもしれませんが、根本的に応益負担から応能負担という形に直してほしいという意見がやはり現場からは非常に強いわけであります。この点について、ちょっとお伺いをさせていただきたい。

 それから、この間、駅立ち、つじ立ちをしていたら声をかけられて、うちの子供がという話があったんですが、前回の施行後、随時見直しがなされまして、その見直しについては大分ありがたいという意見もあります。ただ、これが見直しの後恒久的に続くのか、それともわからないのかということについて、親としては大変不安だという声があります。こうしたことについて、それがそのまま続くという理解でいいのかどうか。この二点についてお伺いします。

舛添国務大臣 二月十二日に与党のプロジェクトチームがお答えを出していただきまして、能力に応じた負担とするということで第二十九条等の規定を見直すということですから、もう実質的に応能負担の方向にかじを切った。それから、そういう対策は継続し、さらなる改善をしていくということですから、これはきちんと、きょうだけであしたからは違うということでなくて、継続する。

 この二点はしっかりしていると思いますので、与党の御議論も踏まえて、そういう方向で努力をしたいと思っております。

牧原分科員 力強いお言葉、ありがとうございます。今のコメントを全国の障害者の皆様にお配りしたいという思いでございます。

 これは地元から上がったことなので、ちょっと指摘だけさせていただきたいと思いますが、移動支援というのがございまして、これは一級の重度障害者のみが対象ということでありますが、二級以下の方でも移動支援が必要な方がいらっしゃるということでありまして、何とか広げられないかという声を一点いただきました。

 それからもう一点、就労時における職場で介助が必要な方の助成制度がありますけれども、これは会社とかには使えるらしいんですが、補助金で経営されているような福祉施設に就職しちゃうと使えないということがあったようであります。この辺も、介助が必要で、働きたいという気持ちは変わらないので、ちょっと柔軟に考えていただければと思います。

 最後になりますけれども、これは鍼灸師会の方から具体的に伺ったわけですが、確かに鍼灸師の医療とかに行くと、大変御高齢の方が、本当にそれがあるから元気でやっていけるんだという方が大分いらっしゃって、やはりこれからの高齢化社会で鍼灸の役割の見直しというのは私は大変重要なことだと個人的には見ております。

 中国には、こうしたはりがまさに国家的な医療の中核を占めていて、研究所みたいなものがあってやっているということでありますけれども、日本もこうした、具体的にははりですが、医学的にきちんと、こうやればもっともっと高齢者の元気、皆様の健康につながるんだというような研究を進めるべきだと思いますし、研究所をつくってくれという要望もありますけれども、このことについての御見解を伺いたいと思います。

外口政府参考人 鍼灸の研究につきましては、厚生労働科学研究費補助金において研究の推進を図っているところであります。

 一例を挙げますと、循環器疾患に対する根拠に基づくはり治療の開発として、つぼ近傍に通電することではり刺激と同等の効果が得られる電気ばりを用いた治療システムの開発、これは国立循環器病センターで研究しております。

 また、がん治療による副作用の緩和に関する統合医療の研究として、がん治療に伴う末梢神経障害に対する鍼灸の有効性の検討、これは国立がんセンターで研究をしております。

 今後とも、引き続き研究の推進に努めてまいりたいと思います。

牧原分科員 ありがとうございました。

 厚生労働省の皆様のこの分野の役割というのは本当に大変大切で、地元を歩いていても、だれに聞いても、舛添大臣の働きにもみんな本当に敬意を表しておりますし、もうすぐポスターも二連のポスターになるということで、私も大臣にお願いをしているんですが、これは、この分野が本当に大切だということで、私も社会保障分野にしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

菅原主査代理 これにて牧原秀樹君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十日金曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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