衆議院

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第1号 平成25年4月12日(金曜日)

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本分科会は平成二十五年四月九日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      関  芳弘君    野田  毅君

      原田 義昭君    宮路 和明君

      長妻  昭君    坂本祐之輔君

四月十一日

 宮路和明君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十五年四月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 宮路 和明君

      石崎  徹君    大串 正樹君

      関  芳弘君    原田 義昭君

      長妻  昭君    足立 康史君

      坂本祐之輔君

   兼務 山井 和則君 兼務 伊藤  渉君

    …………………………………

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   厚生労働副大臣      秋葉 賢也君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   厚生労働大臣政務官    丸川 珠代君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    須江 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  矢島 鉄也君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       宮野 甚一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           村木 厚子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  原  勝則君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  木倉 敬之君

   厚生労働委員会専門員   中尾 淳子君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  野田  毅君     石崎  徹君

  原田 義昭君     小松  裕君

  坂本祐之輔君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     大串 正樹君

  小松  裕君     原田 義昭君

  足立 康史君     坂元 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     野田  毅君

  坂元 大輔君     坂本祐之輔君

同日

 第二分科員山井和則君及び第六分科員伊藤渉君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――

宮路主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私、宮路和明が本分科会の主査を務めることとなりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。最初に、田村厚生労働大臣。

田村国務大臣 おはようございます。

 平成二十五年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計予算の概要について説明いたします。

 平成二十五年度厚生労働省所管一般会計予算の総額は二十九兆四千三百二十一億円であり、平成二十四年度当初予算額と比較しますと二兆七千四百四十八億円、一〇・三%の増加となっていますが、平成二十四年度当初予算額に、基礎年金国庫負担割合二分の一と三六・五%との差額分二兆四千八百七十九億円を加えて比較すると、二千五百六十九億円、〇・九%の増加となっております。

 以下、主要施策について説明いたします。

 第一に、待機児童解消のため、保育所などの受け入れ児童数の拡大や放課後児童クラブの充実を図るとともに、地域の子育て支援、社会的養護等の充実、一人親家庭支援、母子保健医療対策等を推進し、子供を産み育てやすい環境を整備してまいります。

 第二に、できる限り多くの人が働きがいのある仕事ができるよう、若者の安定雇用の確保、女性の活躍促進、障害者、高齢者の就労促進、成長分野などでの雇用創出、人材の育成の推進、就職困難者など全ての求職者の就労に向けた重層的なセーフティーネットの構築、震災復興のための雇用対策の推進を図っていきます。

 第三に、就労形態にかかわらず公正に処遇され、安心して働くことができるよう、非正規雇用労働者の働き方をめぐるルールの整備、人材育成、仕事と生活の調和の実現、労働者が生涯を通じて安全で健康に働くことができる労働環境の整備などを推進してまいります。

 第四に、国民の信頼に応えた生活保護の適正実施と生活困窮者の自立・就労支援、自殺・うつ病対策、災害救助法による災害救助などにより、暮らしの安心を確保していきます。

 第五に、公的年金制度は国民の老後の安定した生活を支えるセーフティーネットであり、持続可能で安心できる年金制度の構築に向け、基礎年金国庫負担二分の一を維持していきます。

 また、年金記録問題の解決に向けた取り組みを進めていきます。

 第六に、世界に先駆けて日本発の革新的医薬品、医療機器を開発するとともに再生医療を推進し、医療関連分野におけるイノベーションを一体的に推進していきます。

 また、できる限り住みなれた地域で、その人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会の実現に向け、地域医療確保対策、在宅医療の推進などの医療提供体制の機能強化と、安定的で持続可能な医療保険制度の実現を図っていきます。

 さらに、認知症を有する人の暮らしを守るための施策の推進を初めとする、安心で質の高い介護サービスの確保を図っていきます。

 第七に、予防接種の推進や新型インフルエンザ対策の強化などの感染症対策、がん検診や緩和ケアの推進などのがん対策、肝炎治療促進のための環境整備などの肝炎対策、難病等の各種疾病対策などを推進していきます。

 また、健康危機管理対策や輸入食品などの食品の安全対策、食品中の放射性物質対策、食中毒対策などを推進していきます。

 第八に、障害児、障害者の日常生活及び社会生活の自立と地域生活における共生を支援するため、障害福祉サービスの充実や就労支援、地域生活支援事業の着実な実施、精神障害者や発達障害者などへの支援施策の推進などを図っていきます。

 以上のほか、社会保障に対する国民の理解の推進、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際協力の推進、外国人労働者問題などへの適切な対応、科学技術の振興などの諸施策を推進していきます。

 なお、委員の皆様のお手元に資料が配付されていますが、一般会計予算の主要経費別の概要と特別会計予算については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 今後とも、国民生活の保障、向上と雇用の安定を図るため、厚生労働行政の推進に一層努力していきますので、皆様のなお一層の御理解と御協力をお願いいたします。

 以上でございます。

宮路主査 この際、お諮りいたします。

 厚労省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮路主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮路主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮路主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたしたいと思います。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎徹君。

石崎分科員 おはようございます。

 大変僣越でございますけれども、本日の分科会のトップバッターを務めさせていただきます。自民党で最も若い昭和五十九年生まれの衆議院議員でございます。石崎徹と申します。本日はよろしくお願いいたします。

 昨日、自民党の青年局のチーム・イレブンという活動で、小泉青年局長ほか私を含めて五名で被災地に行ってまいりました。宮城に行ってきたんですけれども、被災者の方々は、本当はいろいろな問題を抱えているのに、やはり若い国会議員が来たということで非常に温かく受け入れていただきまして、抱えられている悩みというものを余りそこまでストレートにはお伝えしていただけなかったのかなというのが正直な実感でございます。

 私は、被災者の今抱えられている問題の中で、やはり健康問題、特に医療、介護の問題が非常に今実際には重大な問題として、被災者それぞれの方々が抱えられているんじゃないかというふうに思っております。

 そういった形で、来年度の予算につきまして、この被災者の医療または介護の問題につきまして、どのようなサポートをしてくださるような事業あるいは関係予算があるか、まずは、田村大臣にお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

田村国務大臣 石崎委員には、本当に被災地に昨日はお向かいになられたということでございまして、地域の声をしっかりとお届けいただくという意味で、心から感謝を申し上げます。

 五十九年生まれということで、私は三十九年生まれでありますから、私よりもまた二十も若いということでございまして、若さというものは行動力を伴うものでございますから、うらやましく思うわけでありますけれども、行かれて、やはり地域の医療・介護ニーズ、いろいろなお話があったというふうに思います。

 まずは、仮設住宅、これも一年、また仮設住宅にお越しをされることを望まれれば、各地域においてこれまた延長したわけでございまして、その中において、地域医療というものに対してどのような対応をしていくか。

 今までも、いろいろなことをやってきているんですけれども、地域医療再生基金というものが非常に使いやすいということで、被災地の方からも喜んでいただいております。

 普通ですと、大きな病院、公的病院等々に対しての支援というものが中心になるんですが、この地域医療再生基金といいますのは、例えば、地方の民間の病院のみならず診療所、こういうところに対しての例えば整備等々、復旧復興に向けての整備等々にも使えますし、医療人材等々が足らないというときに、これに対しての対応という意味からも使えるわけでありまして、それぞれの都道府県で計画をつくっていただいて、その上で、これを今有効に使っていただいておる。

 特に、被災三県プラス茨城県に関しましては、前回、予備費で、これは民主党政権のときでございましたけれども、三百八十億円を積み増しさせていただきました。

 あわせて、今般の、これは、来年度予算というか今年度予算なんですけれども、この議論に関しまして、実際問題は、我々、補正予算と一連でこの予算を考えております。補正予算におきましても五百億円、これは全ての都道府県が対象でございますけれども、積み増しさせていただいておるわけでございまして、これにおいて、より有効にこの予算を御利用いただいて、地域の医療というものをしっかりとお守りをいただきたいなというふうに思います。

 あわせて、介護の方なんですが、各地域で仮設住宅等々をつくられて集団で御生活されておられる中において、見守りでありますとか、いろいろな相談業務も含めて、サポート拠点事業というものをやっておりまして、これに関しましては、二十五年度予算案で二十三億円計上いたしておりまして、これも、これから介護、在宅介護をやっていくうちの一つのモデルケースにもなっていくのではないかというふうにも考えております。

 そのような意味からいたしましても、これからも、このサポート拠点事業というものをしっかりと進める中において、それこそ被災者の方々のニーズにお応えできるような形で、それぞれの地域で御活用いただければというふうに思っております。

 以上でございます。

石崎分科員 ありがとうございました。

 今つけられた予算が、しっかり被災者の方々お一人お一人のところまで届くように、しっかりとチェックしていただけたらというふうに思います。

 また、あわせて、今、サポート拠点事業ということでお話がございましたけれども、これから日本全国で人口減少社会が到来いたしますので、そうした事業が本当にしっかりモデル事業になるように、そちらの方もしっかりとチェック、監督の方をよろしくお願いいたします。

 また、あわせまして、私の地元は新潟市でございますけれども、非常に多くの被災地からの避難者を受け入れておりまして、私も、この前、地元の被災者の方々のところに飛び込みでいろいろお話を聞いてまいりました。やはり、震災直後の本当につらい状況がまだフラッシュバックされているようでして、お話を聞いておりましても、やはり非常に感情面が高ぶって、もう本当に、今でも涙を流されながらお話をされる方が非常に多いです。

 そうした形で、被災者の心のケア、また、これは子供さんたちも一緒でございます。やはり、学校に行っても、学校では楽しく過ごしておりますけれども、家に帰ると布団の中でしくしくと、夜泣いておられるお子さんたちもいるというお話を聞きました。

 そういった形での心のケア、避難された地での雇用の受け入れ促進、または、住宅をどのように取得しやすくして、被災地外で新たにスタートを切ろうとされております被災者の方々に対する支援策等につきまして、お聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、関係の政務の方に。

宮路主査 大臣ですか。

石崎分科員 では、大臣によろしくお願いいたします。

田村国務大臣 被災者の心のケアについては、震災によるPTSDの症状が長期化したりでありますとか、また、避難生活の継続で、うつ病でありますとか、また不安障害の方が増加しているというふうに考えられるわけであります。

 そのような意味からいたしまして、心のケアは、やはり中期的に、また長期的に続けていかなきゃいけないという、必要があるというふうに考えております。

 岩手、宮城、福島の三県でありますけれども、心のケアに当たる看護師でありますとか保健師の専門職の人材の確保、それから、仮設住宅で、被災者の話を聞いたり、また必要な医療的支援を行っておるわけでありまして、心のケアセンター、こういうものをつくっておられますので、各県がこういうものを設置する中におきまして、心のケアに必要な経費として、平成二十五年度予算案といたしまして十八億円を計上いたしております。

 また、被災地外への避難者に関しましての心のケアでありますけれども、各都道府県等に設置している精神保健福祉センターにおきまして専門的な相談、指導等を実施するための経費に係る補助金といたしまして、二十五年度予算案において九千二百万円を計上いたしております。

 さらに、被災時の心のケアに対応できる保健医療関係者の養成も大変重要なことでございまして、その研修事業を行う経費といたしまして一千八百万円を計上いたしておるというような次第であります。

 なお、雇用促進につきましては、ハローワークによるきめ細かな就職支援を行っておるわけでありまして、平成二十五年度予算においては、福島県内の就職支援を含め、県内及びその近隣地域での被災者のニーズに合った求人等を確保する事業を盛り込んでおるわけであります。

 住宅取得につきましても、被災者生活再建支援制度によりまして被災者の生活再建を支援しているところでありますが、住宅が全壊した被災世帯に対して支援金が支給されるというふうに承知をしております。

 引き続き、被災者への支援を進めてまいりたいというふうに思っております。

石崎分科員 御答弁ありがとうございました。

 昨日、秋葉厚労副大臣、復興副大臣でもございますけれども、私も、仙台市の市議会、市議、議長様たちとの意見交換会で御同席させていただきました。田村大臣、秋葉副大臣、しっかり連携をとっていただきまして、この被災者の問題にしっかりと取り組んでいただけたらというふうに思います。

 それでは、次の問題でございます。

 私も昭和五十九年生まれということで、若者の問題につきまして、非常にいろいろ関心が高い状況でございます。

 今、日本を取り巻く人口減少の問題、これも本当に非常に重要な問題だというふうに思っております。やはり、私の地元でも、比較的若い時期に結婚をできた若者は、生涯のうちに二人以上の子供を産んでおりまして、結婚することは非常にいいことなんだ、結婚に対して魅力を感じるようになれば、もっともっと少子化も是正されていくのかなというふうな思いがしております。

 そういった形で、来年度予算におきまして、若者が結婚に魅力を感じてもらえるような措置につきまして、どのような予算がついているのかにつきましてお聞きしたいというふうに思います。

 特に、雇用の問題もあるというふうに思います。しっかりと若者が賃金を得ながら、それをしっかりと家族のためのお金に使えるような、そういった形でうまく生活が成り立つ、結婚生活が成り立つようなことが非常に重要だというふうに思いますので、そうした点につきましての関連予算についてお聞きしたいというふうに思います。

 では、事務方からお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

宮川政府参考人 お答えさせていただきます。

 若者の結婚を後押しする対策、特に雇用面を中心にお答えさせていただきます。

 若者、特に男性につきましては、正規雇用と非正規雇用という雇用形態の間で、配偶者がある率、いわゆる有配偶率にかなり大きな差があるという状況でございまして、若者が安心して結婚することができるためには、安定した雇用の確保ということが非常に重要だと考えております。

 このような観点を含めまして、若者に対する雇用対策につきましては、新卒者に対しましては、全国の新卒応援ハローワークなど、ジョブサポーターによるきめ細かな職業相談、職業紹介を実施しておりますし、また、フリーターなどに対しましては、わかものハローワークなど支援拠点を中心に、正規雇用に向けた支援を実施しております。

 さらに、平成二十五年度予算案におきましては、大学等へのジョブサポーターによる相談窓口の設置ですとか、大学との一層の連携の強化ということで、具体的には、大学内等へのジョブサポーター相談窓口で一億一千万円など、所要の予算を計上しておりますので、若者の安定した雇用の確保と、それを通じた形での、安心して結婚できるような対応ということにつきまして、意を尽くしてまいりたいと思っております。

石崎分科員 ありがとうございました。

 私個人といたしましては、私の地元では、新潟の潟をとって潟コンという、若者が多数集まって、合同コンパみたいなものを地域活性化の一つの取り組みとしてやっております。男性が二千人、女性が二千人ほど集まって、地域の居酒屋を貸し切って、地域の居酒屋の売り上げにもつながりますし、また、そこで生まれた出会いが、地元での結婚また少子化対策にもつながっているという非常にいい取り組みが、新潟だけではなくて、全国で街コンが今ブームになりつつあるというふうに思います。

 個人といたしましては、そうした街コンは地域活性化の一つのいい事業だというふうに思いますので、そういった点にもこれからしっかり国としても何かサポートができないか、御検討していただけたらというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 次は、女性に関しましてお聞きしたいというふうに思っております。

 地元でいろいろな若い女性の方からいただきますのは、やはり出産した後にしっかりと職場復帰をしやすいような制度をもっとつくってほしいというお話をよく聞きます。もちろん、いろいろな制度はあるのかもしれませんけれども、やはりまだまだ、なかなかもとの職場にメンタル面で行きづらいような雰囲気があったりするのではないかというふうに思っております。

 来年度の予算につきまして、出産した後の女性が職場に復帰しやすくするような、サポートする制度につきまして、どのような予算をしっかりつけられたのかにつきましてお聞きしたいというふうに思いますけれども、せっかくでございますので、できれば女性の政務の方から、とかしき政務官からお聞かせいただけたらというふうに思いますけれども、よろしいでしょうか。

とかしき大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 出産した後の女性の再就職というのはとても重要でありまして、私も、実は前の仕事では比較的女性の多い職場で実際働いておりまして、その様子を見ておりました。私のところは、非常に企業は理解がありまして、休職制度はかなり整っておりましたので、出産によって離職する人がほとんどいないという、ある意味、日本の中では最先端を走っていた企業だと思います。それをすることによって、女性が自立をし、そして子育てもしやすい環境を整えていく、これはまさに、ある意味、理想型であるなというふうに思いました。

 では、実際どうなっているかといいますと、今、全国では、百七十三カ所の拠点におきまして、子供連れで来所しやすいように、女性の就職支援を行わせていただいております。これはマザーズハローワーク事業という形で二十四億円、今回、予算計上させていただいております。

 また、このほかには、仕事と子育てが両立しやすい職場づくりをしていきたいということで、なるべく職場の理解を得られるように、短時間の労働でも大丈夫なようにということで、育児・介護休業法の周知徹底を企業の方に指導しております。

 また、このほかには、次世代の育成支援対策推進法に基づく一般事業主の行動計画を策定していただいたりとか、そして認定の一層の促進をする、こういったこともさせていただいております。

 このほかには、今、先ほど私もお話しさせていただきましたような、いろいろな企業で、頑張っている、いい事例、こういったところには助成金を出したり、あと、褒めていくような制度、両立支援しやすいような雇用環境を整えている企業を一つでもふやしていこう、そのために、総額七十四億円、予算計上させていただいております。

 以上でございます。

石崎分科員 ありがとうございました。

 とかしき政務官、また丸川政務官、本当に最強の両女性政務官が今厚労省におられるというふうに思いますので、女性の問題対策、しっかり取り組んでいただけたらというふうに思います。

 次に、イクメンというのが今少しずつ認知度が上がってきておりますけれども、私もイクメン予備軍の一人として、こういった関係の予算につきまして、どういった対応をしっかりとられているのかにつきまして、簡単にお聞きしたいというふうに思います。

 では、事務方からよろしくお願いいたします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 男性の育児へのかかわりや育児休業の取得を促進することは、大変重要な課題というふうに思っております。このため、男性の育児休業取得促進のための制度、パパ・ママ育休プラスと呼んでおりますけれども、その導入などを盛り込みました改正育児・介護休業法の周知徹底に取り組んでおります。

 そして、積極的に育児に参加する男性を応援するイクメンプロジェクト、こういう形で参加型のサイトを運営いたしておりまして、イクメン本人が育児に関する夢や決意を登録するイクメン宣言、あるいは、家族、同僚、企業などが応援メッセージを登録するイクメンサポーター宣言などを実施しておりまして、今後もしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 ちなみに、二十五年度では、新たにSNS、いわゆるフェイスブックとイクメンプロジェクト公式サイトを連携させて、より多くの広がりを深めていきたいというふうに考えておりまして、予算としまして、非常にわずかなのでございますけれども、二十五年度予算案では千五百六十四万円、計上させていただいているところでございます。

 以上でございます。

田村国務大臣 イクメン予備軍ということでございまして、私も、この間まで、イクメン議員連盟で共同代表をやっていたんです。

 厚労省に来まして、すぐに厚労省の男性の育児の状況を聞きまして、いろいろと、他の省庁と比べたら優秀なところまで来ておりますけれども、そこで、厚生労働省の中でどうやったら育児ができるように休めるかというのを、実際、取得した方々の事例集をつくりまして、これは、もちろん、とった方のいろいろな感想、工夫もありますが、一方で職場側、こちらの努力というものも含めて、今ホームページの方にアップをいたしております。

 そういうような形で、少しでも企業等々の皆様方が、厚生労働省も含めていろいろな事例を見ていただきながら、より意欲を持っていただければというふうに思っております。

石崎分科員 ありがとうございました。

 私もイクメン議員連盟にこの前所属させていただきまして、これからしっかり取り組んでいきたいというふうに思いますし、今、大臣からも非常に心強いお話がございました。

 私も、昨日、チーム・イレブンで、帰ってきたのが九時近くで、そこから要旨を送らせてもらって、事務方には多大なる御迷惑をおかけしたというふうに思っております。そういった形で、国会議員の方も、霞が関に対する国会の面でもう少し業務負担というものを考えながら、なるべくルールをしっかり守って質問を送ってあげた方が、また一番質の高い答弁というものを聞けるというふうに思いますので、私もこれまで財務省の役人でございましたので、そうしたこれまでのいろいろなつらい思い出を思い返しながら、私のコメントとさせていただきます。

 次に、介護の問題についてお聞きしたいというふうに思います。

 私も、あした、地元の若い介護士の皆様といろいろ意見交換を持つ場を設けることとなっておりまして、この前、介護士の方からお話を聞きましたところ、大体、介護士を取り巻く環境におきますと、低賃金の問題がよく挙げられるというように思いますけれども、お金の問題というよりも人手が足りな過ぎるというお話をよく聞きます。人手が不足して、余りに多忙になり過ぎて、健康を害してしまったりというケースもありますし、多忙を起因といたしまして、非常に人間関係がぎくしゃくして、楽しい雰囲気の職場ではないというような話を聞いております。

 そういった形で、介護施設、失業者対策も兼ねまして、介護士の配置数の基準等の緩和ですとか、いろいろな、各介護施設の裁量で柔軟に職場の環境を改善できるような措置が私は必要だというふうに思っておるんですけれども、そういった形で、来年度予算につきまして、介護士を取り巻く問題につきましての関連予算がどのようについておるのか、お聞きしたいというふうに思っております。

 では、事務方からよろしくお願いいたします。

原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 介護分野では、先生御指摘のように、離職する人の割合が全産業よりも高くて、また、勤続年数も全産業よりも短くなっておりまして、介護人材を安定的に確保していくためには、できるだけ離職せずに長く働いていただくということが大変重要な課題だと思っています。

 このために、介護報酬改定等で介護職員の処遇改善等に取り組んできたところでございますけれども、御指摘のように、メンタルケアの充実でございますなどの職場環境の改善ということも、やはり離職の大きな要因になっているということは事実であろうかと思います。

 そこで、御提案の人員配置基準の見直しということで、これは、引き上げる場合もあれば、もう少し緩和する、いろいろなやり方があると思いますが、人員配置基準については、全ての施設が遵守すべき最低限の基準という性格でございますので、これを直ちに変えることは非常に影響が大きゅうございます。

 したがいまして、私どもの方では、例えば、夜勤職員や看護職員など、手厚い介護・看護職員配置を行っている施設に対しては、介護報酬で、加算によりまして手厚い評価を行うといったような対応の仕方をしております。

 これらの加算によりまして、例えば、特別養護老人ホームは三対一という基準でございます、利用者に対して看護、介護の方が一人という割合なんですけれども、実際には一・九人対一というようなことで、それだけ手厚い配置が介護報酬によってなされているということでございますので、今後、介護報酬の評価等を通じまして努力をしていきたいと考えております。

石崎分科員 ありがとうございました。

 どちらかというと間接的に職場環境の改善を促すというのが、この介護報酬を通じた措置だというふうに思うんですけれども、いろいろな行政指導ですとかそういった点を含めて、予算面以外の措置でもいろいろ、介護報酬以外の措置でも考えられないか、これからしっかりと検討していただけたらというふうに思います。

 最後に、医療の問題についてお聞きしたいというふうに思います。

 今、医師の方からお話を聞きますと、自分は小児科についた、子供が好きだから小児科の医療に従事したいということで小児科医になったという話を聞くんですけれども、一方で、やはり、何といいますか、整形美容ですとか、どちらかというと賃金の面に引かれて、または労働のしやすさという点で、ある診療科に行ってしまうお医者さんの方もいらっしゃるというお話をよく聞きます。

 こういった形で、診療科の偏在の問題につきまして、これからどのような措置をしっかりとっていくのかについてお聞きしたいというふうに思います。

 では、事務方からよろしくお願いいたします。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 特に、診療科偏在の中でも、産科や小児科領域というのは非常に勤務環境も厳しいという中で、医師不足が深刻になっていると考えております。

 このために、総数、全体として医師の数をふやしていくという意味では、平成二十年度以来、医学部の定員を千四百十六人増員いたしました。平成二十五年度では過去最大の九千四十一人の入学定員枠となっているところでございます。

 また、増員に当たっては、それぞれの都道府県の地域格差というものもございますので、特定の地域やあるいは県によっては、その診療科で勤務を条件とするような形でのいわゆる地域枠というものを設けていただいているところでございます。

 また、平成二十五年度予算案においても、新生児を扱う医療やあるいは産科を担当する勤務医、こういう方々に手当を出す医療機関に対する財政支援等を行っているところでございます。

 また、県によりましては、先ほど来出ております地域医療再生基金を活用して、この地域枠の医学生に対する修学資金を設けているところもございますし、さらには、都道府県内の地域医療支援センターというものを設けまして、地域の偏在あるいは診療科の偏在をうまく調整するような役割をしていただいているということで、この地域医療支援センターにつきましては、現在二十カ所、平成二十五年度予算案につきましては、さらに十カ所増の三十カ所を設置していただくことにしているところでございます。

 今後も、こうした取り組みによりまして、医師の診療科偏在の解消に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

石崎分科員 ありがとうございます。

 私の地元、新潟におきましても、やはり医師不足ということで、医学部を新しく新設するとかそういった議論にもなっております。

 今お話を聞いておりましても、医師の総数をふやすというお話と、また、地域医療支援センターですか、そうしたどちらかというと箱物的なところで何とか医師不足を解消していくというお話がありました。

 そもそも論として、これまでは医局制度というものがありまして、いろいろな悪いところもあったというふうに思うんですけれども、医師の配置がうまくバランスをとれてできていたといういい面もあったのではないかというふうに思います。

 そういった形での総数の増加、そしてまた、いろいろな予算を使っての医師不足の是正というのも必要だとは思うんですけれども、そういった形での規制ですとか基準等をうまく使って、例えば国立病院のお医者さんというのは、税金を使って、医師としてなるわけですから、国としても、うまくこの医師の適正配置の問題につきまして、もう少しいろいろな措置をしっかりと考えていただけたらというふうに思っております。

 最後になります。

 被災地でもいろいろ医師不足の問題が言われております。特に福島県は、もともと大学病院の数が少なくて、震災前からいろいろな課題もあったというふうにお聞きしております。

 そういった意味で、これから、被災地を含めた人口の減少していく地域での医療を維持するための措置につきまして、先ほど関連の御答弁をいただいたのかもしれませんけれども、改めて、ちょっとお聞きしたいというふうに思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地での医師不足も含めまして、人口減少地域でどうしていくかということでございますけれども、先ほど来申し上げています地域医療再生基金、これは多様な使い方ができるわけでございます。平成二十一年度の補正予算以降、合計五千五百五十億円を積んでおりますし、今回の、先ほどの二十四年度補正予算においても、五百億円を積み増したところでございます。このためには、例えば基金を使いまして、僻地医療拠点病院から僻地の診療所への医師派遣などに活用している県もございます。

 また、僻地医療全般につきましては、平成二十五年度予算案におきましても、こういう僻地医療を担う医療機関に対する運営費や施設の整備の助成、それから、無医地区等に対する巡回診療に対する助成、また、僻地医療を県全体で考えていく僻地医療支援機構の運営費の助成などを予算案に計上しているところでございます。

 引き続き、被災地を含めた人口減少地域の医療を維持していけるように努めていきたいと考えております。

石崎分科員 ありがとうございました。

 厚生労働省の仕事というのは本当に重要な仕事だというふうに思っております。厚生労働省の役所の方々も含めまして、本当に、今、経済の再生、アベノミクス、経済成長の方に比較的視点が置かれておりますけれども、社会保障をどうしていくのかにつきましても、しっかりと田村大臣のもと、しっかり音頭をとって、しっかり国民の皆様方に、しっかりとこれからよりよい社会保障制度をつくっていくんだということをしっかりとお示しして、それをしっかり一人一人の国民が認知できるまでやり抜いていただけたらというふうに思います。

 本日は、初質問でいろいろ不手際もございましたけれども、本当にありがとうございました。

宮路主査 これにて石崎徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。

 尊敬する田村大臣初め厚生労働省の皆様方、本当に連日の御対応ありがとうございます。私は、初めての質疑が予算委員会で、厚生労働委員会、それから昨日の連合審査、本日の分科会と、つきまとうように、田村大臣初め、また、とかしき政務官にも、きのう、とかしき政務官に、ちょっとストーカーみたいで申しわけありませんと申し上げたら、ありがとうございますなんて言われてしまいましたけれども、他意はございませんので、よろしくお願い申し上げます。

 私、連日討議をお願いしておりますのは、今もございましたけれども、やはりこの社会保障、特に今、医療については大変重要な局面にあると思っていまして、維新の会は是々非々ですので、決して従来の野党的な立場ではなくて、むしろ、田村大臣初め皆様方と御一緒に、この分野を一歩でも前に進めていけるようにお手伝いを、野党の立場から、維新の立場からさせていただきたいという思いで取り組ませていただいております。

 これまでは、比較的、医療財政を、今回、健康保険法、健保法改正案が審議中でございますので、そうした保険者あるいはその財政、こうした問題を中心に取り上げることが多いんですが、本日は、そういったマクロあるいはセミマクロではなくて、極めてミクロの現場の話を、分科会でございますので、取り上げさせていただきます。いただいた三十分の時間、とにかく、国立循環器病研究センター、この国循の移転の問題に絞ってお伺いをしたいと思います。

 資料を配らせていただいておりますが、この国循の移転先の誘致については、既に幾つかの報道がなされておりますが、例えば、お配りをしております毎日新聞の三月十五日の朝刊、これは、吹田市の岸辺と箕面市の船場をめぐって、両市が誘致合戦をしているということで、大臣のお名前もあったかな、あるいは、とかしき政務官のお名前も出てきます。

 私は、そもそも、こういうナショナルセンターの移転先の決定について、余り首長さんが前に出るのはいかがなものかなと。別に市のためにやっている仕事ではありませんので。非常に違和感を持ってこの記事を拝見したわけでございます。

 ところが、いろいろお話を伺っていると、そもそも、この国循の移転先については、平成二十年の九月に現地建てかえを断念。現地建てかえを断念してからもう五年近くたっているわけでありまして、ある種、この移転先の決定については、迷走という言葉はちょっと否定的過ぎるかもしれませんが、大変手間取っているというのが客観的な状況だと思います。

 調べてみますと、二十三年の夏に、厚生省と国循が、その移転先について、地域の首長に誘致意向を照会した、こういうことがあるようでございますが、これは事実かどうか。もし事実であれば、照会の時期と宛名等について、その概要をお教えください。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の資料にもついてございますけれども、平成二十三年の八月十六日付で、厚生労働省及び独立行政法人国立循環器病研究センターの連名によりまして、北摂地域、七市三町と大阪市、この十一の自治体に対しまして、移転候補地の誘致意向調査を実施したところでございます。

 その結果、吹田市、箕面市、茨木市及び池田市の四市から誘致の意向が示されました。なお、茨木市と池田市につきましては、後日取り下げとなっているところでございます。

足立分科員 私は、今おっしゃったような照会、資料にもつけさせていただいていますが、この紙ですね。要すれば、この国循のセンターの移転整備についての照会ということで、厚労省と国循の連名で、大阪の北摂の市町村の首長さんに対して、誘致の意向があるかないかを、この有無、あるなし、こういうアンケート調査を、多分これを持っていかれてやられているんだと思うんです。

 私はこういうのを見たことがなくて、いわゆるナショナルセンターの移転先について、このように誘致の意向の有無を、まさにこの「意向の有無」という形で照会をするというようなことは、国が、国立センター、ナショナルセンターの移転等の地域を決定するに当たって、こういう取り組みをされるということは一般的なのかどうか、御教示ください。

原(徳)政府参考人 お答えを申し上げます。

 現地での建てかえができるところは現地で建てかえを行っているところでございますし、それから、ナショナルセンターにつきましては動いたということはございませんので、一般的な例として、国立病院等につきましては、基本的にはそのような調査をしているわけではございません。

足立分科員 一般的にはしているわけではないということですが、すると、この国循の場合は非常に特別な取り扱い、特殊な取り扱いをしたということになりますが、それは理由は何でしょうか。

原(徳)政府参考人 国立循環器病研究センターにつきましては、国立でありました時代、平成十六年から十七年にかけまして、国立でございますので厚生労働省内で将来構想検討委員会を設けて、その移転等も含めて検討をしてきたところでございます。

 また、経過の中でもございますけれども、現地での建てかえというのが敷地上非常に困難だということもございまして、どうするかということが、先ほども先生からお示しがあったところでございますが、その間、現地の、現在は吹田市にございますけれども、吹田市の方から東部拠点への移転の要請が出てきたということもございます。

 そういうことからしまして、こういういろいろな過去の経緯も踏まえて、より透明性、公平性を確保する観点から、センターと連名で北摂地域に誘致意向を照会したということでございます。

足立分科員 私は、今、医政局長がおっしゃった、透明性を確保するために調査をしたということですが、正直、率直に申し上げて、それは間違っていると思うんですね。

 やはり、ナショナルセンターですから、もちろん、国循については大阪でということですから、法律にもそういう枠組みがあるわけですから、一定の地域的な、地域医療への影響とかそういうことも検討する必要があるのは当然でありますが、先ほど御紹介したこの記事にあるように、照会をした結果、何が起こっているかというと、こういうふうに吹田市長と箕面市長が誘致合戦をする。結局、医政局長が今おっしゃったそういう意向調査をした結果、こういうことを招いてしまっているわけですね。

 何で私がここにこだわるかというのは、結局、国循が移転先を検討するときに、いろいろなレポート、報告書を見ると、五つの選択肢が大阪の北摂にはある、こういう認識がもともとあるんですね。要は、現地建てかえ以外に、時間がたっていますから、既に別の利用に決まった茨木や池田、これが二つ。それから現地が一つ。現地、茨木、池田は別かな、それから箕面の船場、吹田の岸辺、それから吹田の万博。池田はその五つには入っていないんだと思いますが、意向調査の中では池田市も手を挙げられたということですね。池田市はまず除外しましょう。

 その五つについて、虚心坦懐に厚生労働省あるいは国循は移転先を検討すべきであるにもかかわらず、吹田市の意向を余り聞くものだから、吹田市さんどうですか、吹田市さんどうですかと。吹田市は岸辺が一番いい。要は、吹田市の市益、吹田市にとって何が一番いいかというと、それは岸辺がいいんですと。それは吹田市のチャンピオンですね。吹田市のチャンピオンの結果、例えば万博について十分な検討がなされた形跡が見受けられないんですね。

 私は、本来、こんな誘致合戦を招くのではなくて、厚生労働省及び国循が、粛々と、迅速に、公正にこの移転先の精査をして決定をする、そうすればよかった。

 ところが、この報告書を拝見すると、例えばその報告書に挙がっている五案のうち、いずれも精査をしてきていますが、万博だけは精査をした形跡が私には見つけられなかった。万博について精査をしたんでしょうか、お答えください。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 万博跡地につきましては、先生の資料をまた参考にさせていただきますけれども、平成二十四年三月五日付で、万国博覧会記念機構理事長から、建設可能用地の有無についての回答をいただいているところでございます。

 万博跡地につきましては、この文書にもございますように、既に利用計画がそれぞれの土地で決まっているということからしまして、国循を建てるような、かなりの面積を必要としますので、そのような用地がないという回答をいただいているところでございます。

足立分科員 お配りをしていますのは、平成二十四年三月五日付で、万博機構の中井理事長から国循の橋本理事長宛てに、今局長がおっしゃったように、「貴センターの建設用地となる未利用地はございません。」

 これは当たり前のことですよね。未利用地があったら、それは機構が本来利活用すべき土地を塩漬けにしているということですよね。そんなことはあるわけない。万博機構は、万博の非常に広大な土地を、公園であったり、いろいろな形で利活用しているんですよ。そんなのは当たり前のことですね。

 これは、国循からどうも照会があった、平成二十四年二月二十八日付で御依頼があった云々と。そのわずか一週間後に、「ございません。」これが国立循環器病センターの橋本理事長への万博機構の回答です。

 万博機構は、万博機構は御所管ではないですけれども、この短い期間で、今、箕面の船場や吹田の岸辺で行っているような精査が行われたとお考えですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 この先生の資料についております三月五日付の回答書でございますが、これにつきましては、その一週間前に、国循の中の検討会に出席をいただいて、万博の跡地について使えないか、意向をお聞きしたいという文書に対する回答で、こう返ってきたわけでございます。

 現在、さまざまに使われているところもございますし、現在未利用となっていますエキスポランドの跡地、これが一番広大なわけですけれども、ここにつきましても既に利用計画が決まっているので、国循が建てられるような大きな面積分はないというふうに返答が返ってきたと承知しております。

足立分科員 国循が平成二十四年五月十日付で、建替整備構想検討委員会報告書というのを出しています。ここには、岸辺、船場、茨木の彩都、それから現地建てかえと万博、これについての一定の検討結果が書いてあるんですね。万博についてどう書いてあるか。万博記念公園については、地権者である万博機構に対して用地提供の可能性を照会したところ、未利用地はない旨の文書回答があったため、今回の委員会では候補地としては取り上げることはできなかった。

 今、医政局長がおっしゃった、医政局長あるいは厚生労働省は、万博はこの文書をもって検討の余地はないと今でもお考えですか。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 国立循環器病研究センターの方では、現在の検討対象としては、箕面の船場地区とそれから吹田の岸辺地区を中心に検討をしていると聞いているところでございまして、万博の跡地については、現在、検討の対象にしているところではございません。

足立分科員 私は、これは大変な問題だと思うんですよ。よく御存じのとおり、今、この新聞記事にあるように、箕面市長と吹田市長がつばぜり合いをしている。箕面の船場と吹田の岸辺で取り合いをしているんですね。本来、平等に精査をすべきところ、文書一枚で特定の案を却下して、地域の首長の意向に沿ってこの移転先が決められようとしている。

 私から申し上げるまでもありませんが、今、船場でいろいろ議論がある、あるいは岸辺で議論がある。船場についてFSしましたね、それから岸辺についてFSをした。岸辺について、さまざまな課題が挙げられたんですよ、FSで。ところが、それについて、今、厚生労働省の担当者から聞いているのは、交通が不便です、では、道路をつくりますと言っているんですよ。隣を走っているJRの線路、騒音がうるさい、そうしたら、その線路の長さを長いものにつけかえますと言っているんですよ。

 どこだってさまざまな課題があるでしょう。そうであれば、五つの案について、同じように、課題があっても、その課題を潰せないかどうかについて検討しないんですか。私は、FSを船場と岸辺についてやっているのと同じように、五つの案、茨木はもう別の土地利用が決まった、余り遅いものだから別の利用が決まって、茨木市が辞退をしたということですから、もともと想定に入っていなかったわけですから、少なくとも岸辺と船場と万博は同じように精査をすべきと思いますけれども、違いますか。

原(徳)政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在まで、先生御指摘のように、初め、当初の五カ所を検討対象にしてきたところでございますが、その後、いろいろな検討の中から、土地の条件でありますとかそういうことから、現在は、箕面の船場と吹田の岸辺の二カ所に絞って検討を深めていこうということで、それぞれフィージビリティースタディーを行っているというふうに聞いています。

足立分科員 その国循の検討内容について、厚生労働省は公正だと思っているかどうかを聞いているんです。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 フィージビリティースタディーそのものを、私、直接見たわけではございませんけれども、報告を客観的な形で受けているところでございますし、循環器病センターの方でも、その理事会の中で議論をしていただいているというふうに聞いております。

足立分科員 では、もう一度伺います。

 万博について、そもそも検討の対象になっていたにもかかわらず、既に検討対象ではない理由を端的に御教示ください。

原(徳)政府参考人 先ほどから申し上げていますように、万博の跡地の中で循環器病研究センターの建てかえに要する土地がないということが一番大きな理由だと考えております。

足立分科員 厚生労働省がないと判断している根拠を教えてください。

原(徳)政府参考人 先ほど先生からのお示しがありましたが、その資料の中にございますように、その土地を所管しております機構の方から、利用する土地がないという旨の回答を得たからでございます。

足立分科員 機構との関係で、厚生労働省あるいは国循は、機構と調整をしたんでしょうか。その調整内容を教えてください。

原(徳)政府参考人 厚生労働省として、直接出ていったことはございませんし、循環器病センターの中でどのような調整がされたかは、ちょっと承知をしておりません。

足立分科員 それを承知されていないのであれば、その国循の検討のプロセスあるいは内容が公正さを欠いているのか、欠いていないのかについて、判断できないんじゃありませんか。

原(徳)政府参考人 お答えを申し上げます。

 今現在におきましては独立行政法人となっておりますので、最終的には、その独立行政法人の中で決定していただくことになろうかと思います。

 それに際しまして、厚生労働省としては、所管の省としまして、それが適正に行われるように見ていくということでございます。

足立分科員 事務方からいろいろな形で意見交換をさせていただいていますが、箕面についてFSをした、それから、吹田についてFSを今していると。この後、五案を、茨木はともかくとして五案ですね、五案なり四案なりをまた一線に並べて検討していくという方向性を、内々に、そういう方向になるんじゃないかという見通しをちょっと伺っておったんですけれども、今の医政局長のお話だと、国循は、吹田と箕面の二案の中で一つを選ぶ、そのことについて、厚生省もそれでいいんだと。

 これは、医政局長はもう十分いろいろ立っていただいているので、担当の三役のどなたか、この問題について厚生省としてどうお考えか、ぜひお答えください。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 国立循環器病研究センター、こちらの方は独立行政法人でありますので、自主性を持って業務運営に当たっております。ですから、今回の移転、建てかえ計画につきましては、センター自身が最終的に決断するものでありまして、厚生労働省がどうこうということではなくて、センターの判断によるもの、このように考えております。

足立分科員 私、この問題を国会で、あるいは予算委員会で、分科会でこうして取り上げさせていただいているのは、別に何か他意があってやっているわけではなくて、大臣、本当に結構地域でもめているんですよ、これは。

 もめているというのは、この新聞記事にあるように、結局、厚生省が地域の首長に、普通は、一般的にはないような形で、誘致希望、誘致意向の有無を、「有」「無」に丸をさせる形で、あるのかないのかに丸をさせる形で意向調査をしたところから、このおかしな話が始まっているんです。さっきあったように、普通そんなことはしないんです。そんなことを国循と厚生労働省が連名でやったことから、今、地域が混乱しているんですよ。地域の首長も混乱しています。地域の医療界も混乱しています。

 私は、このまま透明性を欠く形で移転先が決まるのであれば、それは公正さを欠くおそれが大変大きいし、それは国にとっても問題だけれども、地域医療にとっても大きな禍根を残すおそれがあるというふうに私が思っているから、ここでこうやって取り上げさせていただいているんですね。

 さっき申し上げたように、私の趣旨は、なぜ地域の首長に引っ張られるんだ、国循と国が粛々とやればいい。ところが、医政局長、とかしき政務官、あるいは田村大臣、もう既に地域の首長を巻き込んじゃっているんですよ、既に。それを巻き込んだ責任は、この意向調査をした厚生労働省にあるんです。それを今になって、いや、これは国循に任せてあると。これはないんじゃないですか、とかしき政務官。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 国循に任せてあるといいますか、最終的には、独立行政法人ですので、そこでお決めいただくことになろうかと思いますが、厚生労働省の立場といたしましては、それが公正に行われるようにチェックをしていきたいというふうに考えております。

足立分科員 私は、この問題については、とにかく、冒頭も申し上げましたように、公正さ、公正に決定をしていくということ、それも、ここまでいろいろ新聞にも取り上げられているわけですから、地域の市民が見ても、あるいは国民が見ても、なるほど、ちゃんと公正に移転先が決定されたなと思えるようなしっかりとした検討をしていただくこと。私は、公正に、かつ迅速に、こんなものは早く決めたらいいと。平成二十年に現地建てかえを断念してから、もう五年がたとうとしているんですね。ところが、こんな記事が出る。こんなものは早く決めてしまえばいいんですよ、国が。

 したがって、公正に五つの案あるいは四つの案を再びテーブルに虚心坦懐に並べて、その移転先としてのメリット、デメリット、あるいは課題があるならその課題を潰せるのかどうか、そういうことを端的に並べて、誰が見てもそうだなと思えるような移転先を決定していくことが、国の医療あるいは地域医療の今後を考えたときに、私は、急がば回れだ、早く決めるためにも、もう一回仕切り直した方がいいというふうに考えておりますが、もう時間ですので、今の点について最後に厚生労働大臣のお考えを伺って、私の質問を終わりにしたいと思います。

田村国務大臣 私も、地理的な配置がよくわからない中で話を聞かせていただいておりましたから、十分に委員の思われているような回答ができるかどうかわからないんですが、多分、かなりこの国循は大きな面積が要るものでありますから、現状、建てかえが無理だという前提のもとでスタートしたんだと思うんです。それだけ大きな土地が必要となれば、やはり各自治体等々、町づくりも含めてかなりの影響があるであろう、それぞれの地域にお声がけをしたという経緯はそこにあったんだろうというふうに思うんですね。

 ただし、一方で、地域の基幹的な医療機関でもありますよね、これは。ですから、ただ単に自治体だけではなくて、自治体を超えた意味で、それぞれのアクセスという意味、これは重要なことになってくるわけでありますし、地理的にどこにあった方がいいというような問題もあるのであろうと思うんです。

 そういうことを勘案して、いろいろな候補地の中から、公平性、公正性、客観的に見てですよ、これを踏まえて、最終的には、やはり国立循環器病研究センターの方でお決めをいただきたいというふうに思います。

 中期計画等々、厚生労働省がやはり承認するわけでございますので、そこは我々としても責任はあるわけでありますが、ただし、一義的にやはりお決めになられるのは、これは独立行政法人になっておりますので国循であるわけでございますから、そのような意味で、やはりそこの公平さだけは我々もしっかりとチェックをさせていただきながら、最終的な御判断をいただきたいという思いでございます。

足立分科員 大臣、ありがとうございます。

 とにかく、厚生労働省が手を突っ込んだわけですから、最後まで公正かつ迅速な移転先の決定に責任を持って取り組んでいただくようお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮路主査 足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串正樹君。

大串(正)分科員 自由民主党の大串正樹でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、いろいろな問題がある中で、少し、医療の中でも、特に看護政策についてお伺いしたいと思っております。

 私の経験もございまして、私は、大学の看護学部で教員をやらせていただいたりとか、また、看護管理者向けのさまざまなかかわりをしておりまして、その中でいろいろな課題を見聞きする中で、ぜひともちょっとお伺いをしたいなということを簡単にお話ししたいと思います。

 まず一つは、看護政策といいますと、これまで、戦後一貫して、看護師が不足している、いかにしてこの供給不足を何とか解消しようかということを、延々といろいろな策に取り組まれて、本年度の予算の中でも、需給見通しに応じて、定着の促進であるとか再就業の支援とか、あるいは養成の促進といったところに予算をつぎ込まれている。

 ただ、その中で、これまでさまざまなことをやられてきた中で、なかなか効果が上がってこない。どうしてもやはり不足しがちな分野で、何とかこれを解消していくためには、ちょっと、そもそも看護師不足という、この不足の中身について考えてみたいなと思いまして、それを少し問題提起したいと思っております。

 いろいろな問題を解決していくことも我々の仕事なんですけれども、なかなか表面に出てこない問題を議論の俎上にしっかりとのせていくということも我々の仕事であろうかと思いますし、そういうことを、できれば与党である我々がしっかりとやっていきたいなというふうに思っておりますので、本日のお話の趣旨と申しますのが、そういった不足をいかに解消していくかということを中心にお話ししたいと思います。

 まず、看護師の確保についてです。

 今申し上げましたように、需給見通しで、ずっと量の調査を行われているということで、いろいろな病院から、恐らく経営上の観点で、うちは七対一を取得するために、これだけの病床数であればこれだけの看護師が必要である、そういう積み上げで、大体、今、日本の医療の中で、医療だけではないですけれども、看護師という職種がこれだけ必要であるということが積算されていって、それに対して供給量がこれだけ足らない、何とかそれを政策的に変えていかなければいけない、あるいはさまざまな施策に取り組んで不足分を補っていかなければいけない、そういう流れだと思うんです。

 ただ、ちょっと見方を変えますと、本当に数だけそろえばいいのかという問題でして、特に、看護という職種は、教育を受ける、もちろん専門職として実習期間も結構長くて、いろいろなことを学んでいくわけなんですけれども、大学教育だけで一人前になったとはなかなか言いにくくて、現場に入ってからいろいろな経験を積んで、特に、看護という仕事は、人と人が接する仕事でありますし、また、相手の病状によってもいろいろな見方ができる。ですから、一通りの技術だけではやはりだめで、いろいろなかかわり合いの中で経験を磨いていく、感覚を磨いていく、そういう職種であるというふうに思います。

 ですから、ただ単に数がそろえばいいのかというと、またちょっとそれは違うのではないか。要するに、全然経験の浅い新人ばかりがたくさんいて、数が満たされていて、これでうちは七対一を取得していると言っても、それはちょっと違うのではないかな。

 その先にあるのは、もともと日本の医療が、量とそれからアクセスのよさというのをしっかり整備してきた、これは世界に誇れるところまで来たんですけれども、次の課題としては、医療の質、サービスの質をいかに向上させるかというところに論点が移ってきている。

 その中で、特に患者と一番接する期間も長いし人数も多い看護の質を上げていくというのが、結果的には、病院に対するサービスのイメージであるとか、具体的な、治癒に関しても影響は大きいと思いますので、やはり、看護の質を向上させるためには、ただ単に数がそろえばいいというわけではなくて、質の中身も考えていかなければいけないというふうに考えております。

 ですから、今回お話しする内容が、要するに、ただ単に数が不足している、数を調査して、それに対して考えるのではなくて、そもそも、何が不足しているか。

 例えば、技術の量が不足しているとすれば、例えば新人ばかりたくさんいる病院で、そこから先の、中堅で、ちょうど技術がなれてきて、いろいろなことができるようになった人が少ない病院もあるのではないか。例えば、看護というのは、男性も大分ふえてきましたけれども、まだまだ女性中心の職場でございますので、入職して、病院で働き出して何年かしてちょうどなれてきたころに、結婚、出産、そして育児、そういうイベントが重なってくれば、当然そこの部分が手薄になるのはしようがない。

 だけれども、そこから先の復職の問題ももちろんそうですけれども、ベテランと中堅と新人という、大きくそういうくくりで見た場合に、中堅の人たちが大きく欠けていると、多分、職場としてはうまく回っていかないのではないか。国会でもそうだと思うんですけれども、新人議員ばかりいっぱいいても国会というのはうまく運営できなくて、やはり三年、四年当選した人がうまく立ち振る舞って調整して、初めて何とかなっていく。それと同じで、やはり看護の現場でも、そういう中堅がひょっとして不足しているのではないか。

 そういう意味で、私もいろいろ調べたんですけれども、質の問題で調査されたというのがほとんど実はなくて、特に看護の研究の中では皆無で、一件だけ、労働経済学の研究者がそういうのを調べた論文があったんですけれども。ですから、看護としても需給量の調査というのを、数の調査はされているんですけれども、今後の課題として、一体どういうものが本当に足りていないのか、能力の面、質の面でそういう調査をしていくことは可能かどうか、まず御意見をお聞かせいただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、看護職員につきましては、量的な確保という意味では、看護職員需給見通しをもとに、着実に就業者が増加してきているのは確かでございます。

 ただ、御指摘ように、一方で、質をどうするかということがございます。

 このために、平成二十二年の四月から、いわゆる医師の臨床研修に相当する卒後の新人看護職員の研修が努力義務として法定化されたところでございます。これらの研修、あるいは、それからちょうど五年ぐらいたった中堅になるところの方々に対する研修について、こういう看護職に対する資質向上研修に対する国庫補助制度を設けて助成をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、量のみでなく、質の面においても必要な看護職員の確保が図られるよう、努力してまいりたいと思います。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 これから人数が確保されて、そして卒後研修とかも含めて質を向上させるという中で、やはり、臨床の場でいろいろなことを学んでいく。特に看護の技術というのは経験に依存するという、要するに、本を読んでわかる知識じゃなくて、現場で一緒に何かやりながら学んでいくという特性を考えれば、連続的な知識の伝承というのがしっかりできるような、そういう組織の体制が必要なのではないかな。

 ですから、ベテランもいれば中堅もいて、そして新人もいて、そして、それぞれの質が上がっていくことによって、全体のサービスの質の向上が図れるのではないか。そういう観点に私はいつも立って、できればそういう状況をつくっていきたいなというふうに考えております。

 それがもとになって、人員配置という問題を今度議論していかなければいけないと思いますので、次の質問に入りたいと思います。

 では、実際にどれぐらいの看護の量が必要なのかという議論。これは、当然、今行われているのが、いわゆる看護必要度と呼ばれる指標ではかられる。

 これは、以前から、原さんがちょうど課長のときに導入されたお話でございまして、平成十八年から十九年にかけていろいろな議論があって、ちょうどそのときに大きな問題になったのが、七対一看護、入院基本料が導入されたことによって、一気に看護師の奪い合いが始まって、病院で看護師を確保できるところとできないところの格差が非常に問題になって、珍しく中医協の中でも建議を出されたというのが非常に興味深かったことなんです。

 そういう中で、その当時の議事録も結構読ませていただいたんですけれども、看護必要度というのが導入された時期なんですけれども、確かに、ハイケアユニットの中でいろいろな重症度というのをはかる指標、それをベースにつくられたんですけれども、あの当時、まだ看護界でも、本当に看護をはかるということが、きちっとしたコンセンサスが得られていなかったのではないかな。

 いろいろな学者、名前は特に言いませんけれども、看護度であるとか重症度であるとか、いろいろな名称で、こんな指標ではかってはどうかというアイデアが少し出てきていた時期で、あえてその中で、看護必要度というものの導入に踏み切られた。

 これは恐らく、議事録を見ても、いろいろな、看護というよりも病院側とか、とにかくこの看護師の奪い合いを何とかしてくれ、そういう事態が読み取れるんですけれども、その中で、とにかく、どこでもいい、どこでも七対一をとるのではなくて、本当に必要なところに必要な看護師の数を配置しようという、そのふるい分けをする一つのはかりとして看護必要度が必要であったということは大変理解できるんです。

 それから何年か、今導入されている中で、私もいろいろな現場の話を聞くと、やはりちょっと不評なんですね、看護必要度。あの票を見て私も、私は看護師じゃないんですけれども、ビデオを見ながら、こういうことをできますね、できませんねというチェックシートをつけていくという、果たしてそれは看護師がやるべき仕事なのかどうかということも含めて。

 いろいろな、聞くところによると、例えば食事を出したときに、おわんのふたを看護師があけてあげる。患者があけちゃうと必要度が下がっちゃうので、わざわざふたをあけるのを看護師がやっている。

 何か笑い話なんですけれども、それを本当にみんなやっているみたいで、そうなってしまうと本末転倒の話で、本当に必要なところ、本当に看護のケアの量が必要なところに看護師が配置されなければいけない、その指標のはずが、必要度を満たすための努力をみんながしているという状況が生まれてきてしまっている。

 ましてや、看護そのものの考え方でもあるんですけれども、私は看護をいろいろ教える立場にいたんですけれども、もともと看護というのは、やはり、基礎看護のテキストなんというのは、御存じのように、ナイチンゲールの「看護覚え書」であるとか、ヘンダーソンの「看護の基本となるもの」といった、いろいろ有名な本があって、その中で大体共通して書かれているのは、いかに患者さんのことを観察して、そして患者さんに必要なこと、患者さんが治療に専念できるようにどんなことができるかというのを考える。

 私もそういう姿勢で学生たちに教えてきていたんですけれども、どうも、看護というのは、看護の看という字は、手に目と書いて、しっかりと観察するというのがすごく大事なわけなんですけれども、なかなかそれができにくくなっている現状の中で、できるかできないかをはかる。本来であれば、できないことをどうやればできるようになるかを考えてあげる、そういうケアがやはり本当のサービスの質の向上、あるいは自立に向けてのケアのあり方としては大事なのではないかなというふうに思います。

 その中で、看護必要度、今ちょうど、去年の科研費の中で看護必要度の改定というか内容の見直しについての報告もありまして、そろそろ見直しの時期にあると思うんですけれども、まず、そもそも看護をはかる、本当に人と人、いろいろなケースがあって、人によって、同じ病名でも全く症例が違って、必要なケアも全く違う中で、本当に正しくはかれているのか、正しくはかるというのはどういうことなのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のように、医療が高度化をしていく、あるいは入院期間も短くしてまた頑張っていただくという中では、やはり高い質の看護サービスを確保していくこと、これが基本だろうというふうに思っております。そのために、看護師の皆さんに頑張っていただくということだと思っております。

 それで、これを実現するためということで、この重症度、看護必要度は検討されてきたわけでございまして、それまでが、看護職員の数としての配置数をベースに診療報酬の評価もしておったということでありましたけれども、入院していらっしゃる患者さんの状態に対応した看護、それをきちんと評価して、それに対応したより質の高い看護を行う、そのための人員はどうあるべきかということを評価しようということで、これは平成八年ごろから、先生もうよく御案内だと思いますけれども、検討、研究をされて、この評価指標を開発され、だんだんと入れていただいてきた。

 それで、御指摘のありました、平成二十年のときに、一般病棟の七対一、患者さん七人に対して一人常時いるというこの入院基本料の部分に、人数だけではなくて、高い点数評価をするためには、実際に看護の必要度、患者さんの状態に応じた看護の質が担保されているのかどうかということをチェックしていただこうということで導入をされた指標でございます。

 それで、今、この評価項目を動かしておるわけでございますけれども、二つに大きく分かれている。もうよく御案内ですが、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。

 傷の処置、創傷処置というような医療的な行為をどのぐらい必要とされていて、どのぐらい毎日やっていらっしゃるかというようなこと、そういう分野と、それから、御自身の生活能力といいますか、寝返りが自分で打てますかとか、今御指摘のように、食事が自分でとれますかというようなことも含めて、介助を必要としていますかということも毎日のように評価をしていただいて、これを指標化していただいて、記録に残し、皆さんでも共有していただくということをしていただいているというふうに思っております。これで、病院の医師も含めた全体のチームとしての全体の把握、見直しということがされていると思いますし、御努力されている。

 ただ、患者さんをきちんと把握する、観察するということを中心にすべきですが、記録をつける方に時間がかかってしまうとか、それから、本当に今の状態で患者さんの状態を適切に評価できるんだろうか、認知症がある患者さんが評価できていないのではないかとか、そういうふうな御指摘もございます。あるいは、入退院のときにもっときめ細かく対応すべきだけれども、そこがちゃんと評価の項目に入っていないんじゃないかとか、そういうこともございます。

 そういうことの御指摘もありまして、その後動かしてきた中では、中医協の方でも、きちんとこの評価項目のあり方を研究し直すべきだという御指摘もありまして、今御指摘の、昨年度厚生労働科学研究費の方でも、この看護の必要性を判定するためのアセスメント、この項目の妥当性ということを検討し、報告をいただこうということで、昨年度ですから、もうすぐできてくると思います。

 その取りまとめの成果もいただきまして、来年の春の診療報酬改定に向けまして、中医協でもこれをきちんと議論し直していこうという段階にございますので、よく御議論させていただきたいというふうに思っております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 よりよいものに変えていただけるように、本当にお願いしたいなと思います。

 先ほどの話ともちょっと関係あるんですけれども、同じ必要度が高い患者であっても、それにかかる看護師が新人であればすごく手間取って、本当に時間もかかる。だけれども、ベテランがやれば簡単に終わってしまうこと、私なんかが見る中で、例えば、カテーテルでたんの吸引をするときのチューブを挿入するときも、やはり新人はなかなか入っていかない。でも、ベテランがやれば一発で入る。そういう、やはり技術が高い人がいっぱいいると、同じ必要度が高くても全然手間がかからない。だけれども、簡単なことでも、新人であれば時間がかかる。

 そういう意味で、質の高さというのを維持していく上では、ただただ数だけではなくて、技術の量というんですか、そういう質の面でもう一度検討しながら、非常に難しい話になると思いますけれども、質の確保と、そして本当に必要な看護の量の提供のサービスの仕方というところのバランスをいかにとるかというところで、もう一度その需給バランスというのを見直していくべきではないかなというふうに考えております。

 では、次の質問に参ります。

 そういった中で、看護師も病院の中で雇用されているということで、ちょうどこの二月に、厚生労働省さんの研究で、医療分野の雇用の質の向上についての報告というのが出されています。

 その中に、「雇用の質」向上マネジメントシステムというのが提案されて、これからの研究であるということで、将来的なビジョンとか描かれているんですけれども、このマネジメントシステム、何をどんなふうにマネジメントしていこうとしているのか。現在わかっている範囲で構わないんですけれども。

 また、その具体的なプランで、雇用の質がこんなふうに向上していくんだということを教えていただきたいのと、一つの目標として、ワンストップのアドバイスでそういうマネジメントの質が向上していくという提案も、将来的には目指していかれるということで、その辺の概略と今後の工程について、御説明いただきたいと思います。

原(徳)政府参考人 お答え申し上げます。

 看護師を含めまして、質の高い医療スタッフを確保して定着を促進するというのは、極めて重要なことだと考えております。ただ、従来、医療機関の中では、なかなか、その勤務環境という面に目配りが十分できていたかというと、必ずしもそうではないということでございます。

 御承知のように、非常に離職率の高い職場で、就業看護婦が約百五十万の中で、十五万人が離職して、また再就職する人がそれぐらいいて、新人がふえてという形で徐々にはふえてきているわけですけれども、そういう意味では、就業環境をよくしていくというのは非常に重要な課題だというふうに考えております。

 このために、御指摘がありましたように、本年の二月に、省内で検討しておりました勤務環境の改善のための施策を取りまとめたところでございます。

 この中では、具体的には、例えば、労働時間を短縮することによりまして仕事と家庭の両立など、勤務環境改善の目標をまず医療機関で立ててもらう、その上で、院長などトップの方針に基づいて医療機関全体で組織的に改善計画をつくる、そして、いわゆるPDCAサイクルなどでもって勤務環境の改善に取り組んでいく、こういうような仕組みづくりを想定しております。

 このために、こういう改善計画に対しまして、どのように具体的に勤務時間の短縮などを図っていくかといいますと、例えば、夜勤の勤務シフトを工夫するでありますとか、それから、医師や看護師の確保は必ずしも容易でない中で、例えば補助職をうまく使っていくとか、そういうようなさまざまな工夫を講じることで、労働時間面を含めた働きやすい勤務環境づくりが促進されると考えております。

 また、個々の医療機関でさまざまな条件もございますので、こういう勤務環境改善のための専門的な支援が当然必要になってくるわけでございます。このために、ワンストップの専門的な相談体制を構築できるような形で考えていきたいと思っておりまして、その支援の拠点づくりなどについても今後検討していきたいというふうに考えております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 マネジメントのアドバイスがワンストップで簡単にできるというのは、なかなかハードルが高いお話だと思います。

 それでも、病院の中での経営の課題というのはやはり幾つかあって、ただ単に経営状況を改善するだけではなくて、雇用の質を高める。当然、どこに行っても、地元に帰れば、恐らくいろいろな市民病院の医師の不足であるとか、そういうのを皆さん多分聞かされてきていると思いますので、経営環境をよくして、雇用の質を高めて、そして長く続けられるという状況をつくっていく上で、ぜひとも有効な施策につながっていくような研究になることを期待しておりますので、また随時御報告いただければと思います。

 それでは、最後の質問に参りたいと思いますけれども、看護師の配置基準です。

 今、七対一、今は高くなりましたけれども、それまでは十対一とか十五対一とか、そういう段階を踏んでありました。きょうの一連の質問の中身として、この七対一とか十対一が本当に妥当であるかというと、多分、ケース・バイ・ケースで、余り複雑にしてしまうと、診療報酬の計算も複雑になりますので、ある程度のレベルで段階的に簡便化しなければいけないとは思うんです。

 一つ私が考えているのは、これは私案だと思っていただければいいと思うんですけれども、今、階段状に十五対一とか十対一とか七対一になっているのを、例えば曲線に置きかえてしまうという考え方があるんです。

 要するに、何を言いたいかといいますと、七対一と言っている病院の中でも結構差がありまして、非常に、五対一ぐらいで十分にやっているところもあれば、七対一ぎりぎりで何とかやっている。五対一ぐらいでやっているところというのは、非常に意識も高くて、質の高いケアが提供できるのであれば、それは何かもっと評価してあげてもいいんじゃないかというのが一つ。

 それから、七対一でぎりぎりやっているところというのは、どういうことが起こっているかというと、月末になると、今月はちょっと出勤が足らないから、もうあんたたち休まないでくれと、非常に月末に休暇がとりにくい。

 私の考え方というのは、有給休暇というのは、権利として、自分が休みたいときにいつでも休めないと有給休暇ではないと思うんですけれども、それを看護師さんたちを集めて話をすると、みんな、そんなのあり得ないというふうに、完全にカルチャーが、なかなか休めないというカルチャーになってしまっているのは、やはりちょっと。そうではなくて、自分の権利として、いろいろな状況があっても、ちゃんと休みたいときに休めるという環境を医療現場でもつくってあげるというのがやはり大事じゃないかなと思います。

 そのためには、ある程度人員のゆとりも必要ですし、柔軟性も必要なんですけれども、この七対一という縛りが、本来は、最低限これぐらいの人を配置しなければいけないという下支えの基準だったわけですけれども、それが何かキャップのようになってしまっているのが、いろいろなところから声があります。

 だったら、今月は頑張って六・八対一ぐらいになったから、それは評価してもらう、今月はちょっと足らなくて七・二対一ぐらいになってしまった、これは何とか来月頑張りましょうねと、その微調整が自動的にできるようにできないかなと思います。

 そういうことを、昔は手計算でやっていたので、そんなに複雑なことはできないでしょうけれども、今はもうDPCとか電算化も進んでいますので、勤務実績を入れれば自動的に、今月は何対一で、診療報酬はそれに合わせて何点ですよ、そういう考え方をすれば、月末の雇用環境は大分改善するのではないかなということで、そういうことも一つ考慮に入れられないかなというのが一つの考え方です。

 そうなると、財政的な問題がどうなのかと思うんですけれども、これは、数学的に、積分をしたときの面積が一緒になればいいだけの話であって、そのカーブがどこかで必ず見つかるんです。そういうこともあるので、財政的に、トータルの医療にかかっている費用は変わらないのであれば、その階段のぎざぎざの部分を埋めるような、そういうやり方もちょっと工夫できないのかなと思いまして、これに関して御意見をいただければと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。御指摘ありがとうございます。

 今御指摘のように、今の一般病棟の入院基本料、基準としては、まず、配置数、七対一、十対一、十三対一、十五対一、こういう四段階のものをつくって、その中で、先ほど言いましたように、重症度、看護必要度というふうなものを加味しての把握をしておるわけですが、その中で、本当に勤務環境の改善が図られているのか、そういう効果を生んでいるのかというふうな御指摘が同時にあることは事実でございます。

 その中でも、二十年に七対一の看護必要度を導入しました後でも、看護職の皆さん、あるいはほかの職種の皆さんも含めて、勤務環境改善、自分の専門性がある仕事に専念できるということの両立も図らなきゃいけないという観点もありまして、先生の御提案と少し違いますが、看護補助者を、高齢者の方が多い場合なんかにはその方を導入する。全体に看護補助者の方も配置をして、専門の看護職の方と分担をし合っていただいて、より看護職の方々の勤務の改善を図れるということも工夫した場合には、加算の点数がその病院にとれるというふうな工夫もいたしました。それからさらには、夜間の配置を少し変えてみるとか、補助者も夜間にも入れて、夜勤を少なくできるというふうなことについても、配置していただいた場合の加算も入れております。

 ですから、十対一と七対一の間でありましても、そういう加算で少し、改善された実態があれば、それに合わせた評価もできるようには少しずつは検討してまいっております。

 一律に基準をつくってしまった場合に、今御指摘のように、そもそもの看護職さんの安定した職場としての確保をどうすればいいかとか、その確認を我々の診療報酬の払い方においてもどういうふうにするのかとか、その点は検討をしてみなきゃいけない点があるのかなというふうにも思っております。

 それから、専門性の高い人たちをチームの中に入れられた場合にも、例えば緩和ケアの専門の研修、国も認定をしています六カ月にわたるような研修をちゃんと受けていらっしゃる方を配置して、チームで緩和ケアに対応されている場合には、その緩和ケアの体制の加算をとっていただけるとか、それから、褥瘡があるようなハイリスクの患者さんの対応をするための研修を終えた看護師さんがチームで対応されている場合にもそういう加算をとっていただけるとか、そういう部分についても、より専門性の高い方を配置したことを評価するということで、この階段の間を、少しその病院の実態に合わせた形で評価を加えていくということは、この間も工夫をしております。

 さらに、御指摘の点も踏まえて、しっかり検討してまいりたいというふうに思っております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 認定看護師であるとか、そういう専門性の高い人たちが今どんどん出てきて、今は特定看護師ということが話題になったりもしておりますので、これからどんどん、医療の専門分化とあわせて、役割の分担、チーム医療の中でのどういう役割をしていくか。

 ただ、もともとチーム医療の話というのが、医師の負担をいかに減らすか、医師がやらなくてもいいことはほかの人にやらせてもいいじゃないかと言っていると、同じように看護師も不足しているので、看護師だけ仕事をふやすかというと、そうではないと思うんです。一部で、専門性を高めた人をどういうふうに活用していくかという考え方と同時に、圧倒的多数の、普通に患者さんのケアをしたいと思っている看護師さんたちの処遇の改善というか、そういったことをもっと政策の中でやっていく上では、やはり質の問題ということをぜひとも検討していただきたいなと思います。

 ちょうど四月になりまして、学生たちが卒業して、本当に看護学校を出た学生たちが今職場について、非常に楽しみにして、そして将来に向けていろいろなことをやりたいと思っている。

 そういう気持ちがずっと続いて、せっかく専門職として身につけた技術が、一生これが使えるような、そういう職場環境を提供していってほしいと思いますし、それが結果的には日本の医療のサービスの向上にもつながるということで、そういう観点で、数だけではなくて質の面をこれからも一緒に検討していきたいなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、どうもありがとうございました。

宮路主査 これにて大串正樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)分科員 公明党の伊藤渉でございます。

 まずは、田村大臣、御就任大変におめでとうございます。何しろ、我々国民がふだん生活の中でさわる、生活に密着した行政全てを網羅して所管している省庁でございますので、業務量も大変多いと思いますし、御苦労も多いと思いますけれども、どうか体にお気をつけいただいて励んでいただければと思います。

 ソフトだけではなくて、インフラも所管をしておりまして、まず冒頭は、ちょっと水道のことについてお伺いをしたいと思います。

 私ども公明党も、党内に社会インフラの老朽化問題に対する対策チームを立ち上げまして、検討を進めております。戦後、急速に整備された日本のインフラは、今、急速に老朽化の時代を迎えております。だからこそ、防災、減災という観点から、老朽化したインフラの再整備を強力に推し進めよう、これが我が党の考え方でございます。

 今申し上げたとおり、厚生労働省は、ソフト事業のみならず水道も所管をしておりまして、これも非常に重要なインフラでございます。

 先日の新聞報道によりますと、全国の上水道の総延長、これが約六十三万二千八百キロ、法定耐用年数が敷設四十年だそうでございますが、これを超えた水道管が七・八%、キロ数にして四万九千キロ、地球一周を上回ってふえ続けている、こんな報道もございました。

 また、水道事業は、公営企業でございますので、料金収入によって水道管や浄水施設の更新などを賄う独立採算制が原則となっておりまして、非常に難しい問題を内在している、こういうことだろうと思います。

 そこで、まずお伺いをいたしますけれども、東日本大震災でも被害を受けたと思いますが、被災地における水道の被害状況と現在の復旧の現状について、これは政府参考人にお伺いをいたします。

矢島政府参考人 東日本大震災による全国の総断水戸数は、十九都府県二百六十四事業体で、約二百五十七万戸でございます。このうち、津波被害や土砂災害により家屋が流出した約四万五千戸は復旧困難な状況にございます。

 復旧工事に着手しました百八十一水道事業者のうち、平成二十四年度末までに復旧が完了した水道事業者数は百五十八事業者であり、約八七%の進捗状況でございます。

 平成二十五年度以降は、復旧が完了していない事業者の工事を進めるほか、福島県内の避難指示区域の見直しによって新たに現地調査が可能となる地域の復旧準備や計画策定を実施する予定でございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 まさに生活に欠かせないインフラでございますので、また着実な復旧復興をお願いしたいと思います。

 重ねて水道の事業についてですが、平成二十五年度予算におきまして、防災、減災のための交付金等が計上されておりますが、これは全国的に見て、水道インフラの再整備のために使える予算の概要について、これも政府参考人にお伺いいたします。

矢島政府参考人 水道は災害においても安定した給水を確保することが求められるライフラインでございますが、全国の基幹的な水道管の耐震化率は三二・六%と依然として低く、また、今後、老朽化した施設の更新需要が急増することが見込まれております。

 このため、災害時においても安全で良質な水道水を安定的に供給できるよう地方公共団体が実施をいたします更新事業でございますが、地震等により被災を受けやすい老朽化した塩化ビニール管やコンクリート管などの更新事業、災害時に給水拠点となる基幹病院など給水優先度が特に高い施設へ配水する水道管路の耐震化事業、浄水場、配水池などの基幹構造物の耐震化事業などの事業を推進するため、これはいわゆる十五カ月予算の考え方でございますが、平成二十四年度補正予算に三百億円、平成二十五年度予算案に三百四十七億円の合計六百四十八億円を計上しているところでございます。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 一生懸命、予算も確保してやっていこうとしているわけですけれども、これは五年前ぐらいの文献で見ますと、全国平均で更新率を見ると〇・四%という文献上の数字もございました。つまり、今、敷設した管の更新は、単純に計算しますと二百五十年後となってしまう。一生懸命、予算も確保しているんですけれども、なかなか進んでいかない。こういう難しい状況の中で、老朽化対策、これは非常に重要になってくると思いますが、現在の取り組みについて、政務官の御答弁をお願いいたします。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 水道管の老朽化対策は非常に重要でございまして、委員も御存じのように、高度成長のころに水道事業はピークを迎えまして、今ちょうど四十年、法定耐用年数が四十年でございますので、今、更新の時期ということになっております。

 委員も計算もなさっていただきましたように、今、平成二十二年、更新の割合は〇・八%ということで、この数字で計算いたしますと、これでもやはり約百年ぐらいかかってしまうということになっております。

 このため、厚生労働省といたしましては、中長期的な視点に立ちまして、計画的な施設の更新と資金の確保、これが進めていけるように、アセットマネジメント、資産管理に関する手引を平成二十一年の七月に策定し、その実施を促進してまいりました。

 必要な財源を確保しつつ、国庫補助金も最大限活用していただけるように、老朽化施設の更新が進められるよう、厚労省としても背中を押していきたい、このように考えております。

 ありがとうございます。

伊藤(渉)分科員 さまざま、厚生労働省としてもサポート体制を整えていただいているわけです。

 最後に、水道関係、参考までにお伺いをしたいんですが、今答弁の中にありましたアセットマネジメント、よく聞くんですが、なかなか難しいことでございまして、現状、全水道事業者が幾つあって、今のところアセットマネジメントがちゃんとできているのが何事業者ぐらいあるのか、そして率はどの程度になるのか、お伺いをいたしたいと思います。

矢島政府参考人 平成二十四年度に厚生労働省が全国の千四百九十六の水道事業者を対象に調査を実施した結果によりますと、アセットマネジメントを実施中または実施済みの事業者は四百四十で、割合は約三〇%でございます。

 アセットマネジメントの実施は、中小規模の水道事業者において余り進んでいない状況となっております。そこで、厚生労働省では、中小規模の事業者が容易にアセットマネジメントに取り組めるよう、簡易支援ツールを作成し、各水道事業者へ配付をする予定としております。また、今年度以降、全国各地にて説明会、研修会等を積極的に実施するなど、水道事業者のアセットマネジメントへの取り組みを支援していきたいというふうに考えております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 継続的なサポートをしていただきまして、生命にかかわる重要なインフラでございますので、引き続きの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、労働安全についてお伺いをいたします。

 常日ごろから、この点についても、労働者の命を守るために、行政の推進に心より敬意を表したいと思います。

 あまたある職業の中で、若い人が多い、あるいはかなり危険な作業だなと見ていて思うという観点から、労働安全の向上に私が個人的に積極的にかかわってきた団体に、ガラス外装クリーニング業という団体がございます。平成二十一年四月の決算行政監視委員会でもこの問題を取り上げさせていただきました。

 これは、いわゆるビルの外壁、窓、これを掃除する仕事です。我々議員がお借りをしている議員会館の外壁の掃除もこの団体の方がされているわけです。

 よく見るのは、新しいビルは、ゴンドラと呼ばれる箱の中に乗って掃除をします。上からずっとおりていきますので、そんなに危なくないような気がするんですけれども、それは新しいビルだからそういう仕組みがあるのであって、昔のビルになりますと、ほとんど裸の人間がロープにぶら下がって、俗称ブランコと言いますけれども、うなずいていただいてありがとうございます、小さな板に座って、上からずっとおりながら掃除をする。見るからに危ない作業がございます。

 まず、現状をお伺いしたいと思いますが、平成十九年から二十三年、過去五年間で、このブランコ作業における死亡災害の発生件数を政府参考人にお伺いいたします。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 ブランコ作業における死亡労働災害の発生状況でございますけれども、平成十九年、二件、平成二十年、二件、平成二十一年はゼロ件でございます、平成二十二年、五件、平成二十三年、一件となっております。

伊藤(渉)分科員 これは政務官以上にお答えいただきたいんですが、このブランコ作業、従来から私は取り組んでおるわけですけれども、労働災害を減少させるために、特別教育の実施など、安全確保対策をさらに前に進めるべき、こう考えておるわけですけれども、桝屋副大臣、御答弁をよろしくお願いいたします。

桝屋副大臣 委員におかれましては、この案件にずっとお取り組みいただいておりますことに敬意を表したいと思います。

 高所作業では、ゴンドラあるいは足場等を使用することが基本でございますが、委員が今おっしゃったように、ブランコ作業、これらの措置がとれない場合の例外的な作業だろう、こう思っております。

 これまで、高所作業では、可能な限り、今申し上げたゴンドラや足場等を使用することを原則として、やむを得ずブランコ作業を行う場合には、安全帯の使用など十分な墜落防止措置をとるよう指導してきたところでございます。

 一方で、今報告がありましたように、ブランコ作業においても死亡災害が発生しているわけであります。作業の実態なども踏まえつつ、ブランコ作業における労働災害を防止するためのさらなる対策について、委員の御指摘もございますので、検討してまいりたいと考えてございます。

伊藤(渉)分科員 非常に前向きな答弁をいただきまして、大変にありがとうございます。

 このブランコ作業は、墜落、転落による労働災害は重篤度が高く、死亡に至る可能性が高いことから、繰り返しになりますが、安全確保対策の確立は喫緊の課題である、こう考えておりますので、対応方よろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、不妊治療についてお伺いをしたいと思います。

 これも、現場におりますと至るところでお話をお伺いします。そして、非常にナイーブな問題ですので、大きく社会的に声が広がっていくことではないんですが、皆さんお一人お一人、すごく深く悩んでみえる、そういう大事な問題だと思います。

 この不妊治療については、ニーズは年々高まる傾向にございまして、近年、その治療件数は増加傾向にございます。結果、経済的な負担も大きいということが話題になることが多いわけです。

 まず、お伺いをいたしますが、不妊に悩む方への特定治療支援事業、これが平成十六年度に創設をされておりますが、これまでの支給実績及び予算総額の推移の概要をお伺いいたします。

石井政府参考人 御指摘のありました不妊に悩む方への特定治療支援事業でございますが、事業を創設した平成十六年度以降、支給実績、予算額ともに急増いたしております。

 まず、支給実績でございますが、平成十六年度は一万七千六百五十七件でございました。事業開始から五年目に当たります平成二十年度は七万二千二十九件でございました。そして、直近の平成二十三年度は十一万二千六百四十二件でございます。

 また、予算額も同様、急増いたしておりまして、平成十六年度は約二十五億四千万円でございました。その後につきましては、統合補助金に移行いたしまして、内数でしかお示しできないのでございますが、金額のおおむね九割がこの事業で使われております。

 具体的には、平成二十年度は約三十八億三千三百万円、そして平成二十三年度は約九十八億七千百万円、さらに直近の平成二十四年度では約百五億一千万円となっております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。

 私の家族、家内も、家内の母も、家内の妹も皆看護師でございまして、うち二人が産婦人科の看護師だものですから、非常に現場の声をよく聞いておるわけですけれども、この不妊治療について、男性の私が言っていいのかどうかわかりませんが、年齢の上昇とともに出産のリスクが上がってくる、これは避けられない事実だというふうに聞いておるわけでございます。

 よって、安全、安心な出産のためにも、そうしたことをしっかり普及啓発していく、これも極めて大事な活動だと思いますけれども、こちらは政務官以上の方に御答弁をお願いしたいと思います。

秋葉副大臣 今、伊藤委員御指摘のとおり、普及啓発は大変大事なことだというふうに認識しております。結婚や出産の年齢が上昇していけばいくほど、年齢が上がるほど妊娠率は低下をいたしますし、また、妊娠や出産に伴うリスクも高くなる傾向にございます。

 非常に誤解があるのは、全体的な傾向はある程度認識が皆さんおありになるんですが、不妊治療をすれば大丈夫だろうというふうな安易な考えを持たれている方が非常にその中でも多いということなので、特に、やはり年齢とともにいろいろなリスクが伴うんだという面を強調していかなければいけないと思っております。

 私、たまたま、昨日の午前中、国立成育医療研究センターを視察してまいりました。

 非常に興味深かったのは、卵子に精子が受精する面積というものが、年齢とともにだんだん面積が少なくなってくるという絵を見て、非常に勉強になりました。若いうちは一〇〇%近いところで受精があるのに、加齢とともにその面積がどんどん縮小していくという非常にわかりやすい映像でございまして、そういったものもパンフレットに掲載をしながら、説得力があるもの、わかりやすいものをつくっていくことが大事だと。

 厚生労働省といたしましても、安心、安全に出産できる環境づくりの観点からも、不妊や妊娠に関する普及啓発をしっかりと推進してまいりたいと思っております。特に、若い男女に妊娠や出産、不妊等に関する知識をしっかり持っていただくことがとりわけ重要だと思っておりますので、パンフレットの、見やすくて説得力のあるものを、いろいろ工夫しながらしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございます。ぜひこの点もお願いしたいと思います。

 今、るるございましたように、予算額もふえてきております。一方で、世の中のニーズも高まる一方でございますので、支援事業のあり方、これを見直していかなければならない時期に差しかかっているのではないかと思うわけでございます。

 そこで、これも政務官以上にお伺いをいたしますけれども、不妊に悩む方への治療支援事業のあり方、これを改めて考える時期に来ていると考えますけれども、この点について御答弁をお願いしたいと思います。

秋葉副大臣 今、不妊に悩む夫婦の経済的な負担を軽減するために、一回当たり十五万円を年二回、初年度は三回、通算五年までという形で助成をさせていただいているわけでございます。

 この事業につきましては、近年、助成件数が、先ほどの数字の披瀝にもありましたとおり大変急増いたしております。中でも、四十歳以上の方が三分の一を占めるなど、高年齢の方がふえているのが実情でございます。

 医療機関によって人員配置、費用等にばらつきがあることなどが課題となっておりまして、こうした状況を踏まえて、事業のより安心、安全かつ適正な運用を図るとともに、妊娠等に関する普及啓発の推進方策を議論するために、学識経験者や自治体あるいは患者団体等から成る検討会を連休明けに設置する、そして七月の末あたりをめどに答申をいただけるように、今、検討会を準備しているところでございます。

 厚労省といたしましては、この検討会における御議論などを踏まえて、必要な対策を講じていきたいと考えておるところでございます。

伊藤(渉)分科員 少子化対策と呼んでいいのかどうか、これも非常に悩ましいところですが、非常に重要な施策でございますので、私どももしっかり応援をさせていただきたい、このように思います。

 スムーズな答弁のおかげで最後の質問になりましたので、小児がんのことをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

 我が党もがん対策本部をつくりまして、松あきら副代表のもとで進めておるわけですが、その中でも小児がん、この二月に、小児がんの拠点病院として全国十五施設が指定をされました。この十五施設をまとめる中核施設も一カ所程度設置する予定、こういうふうにお伺いをしております。医療の谷間と我々はよく聞いておりましたけれども、置かれてきたこの小児がん、大人のがんに比べておくれていた対策がいよいよ動き出しました。

 そこで、これは今、順調に進んでいる最中ですので、改めて政務官以上の方の御決意をお伺いしたいわけですが、がんに罹患した子供たちがきちんとした治療を受け、病後も安心して生活できるよう、着実な推進をお願いいたします。

 では、大臣の御決意、答弁をお願いいたします。

田村国務大臣 小児がんでありますけれども、小児の方々の病死原因一位ということでございますが、一方で、他のがん対策に比べますと、決して進んでおったと言えるような状況ではなかったわけであります。

 昨年六月、がん対策推進基本計画において、小児がんに対してしっかりと取り組んでいこうということでございまして、今委員がおっしゃられましたとおり、ことし二月に、小児がんの拠点病院に十五施設を指定させていただいたわけであります。

 一方で、全体的に、そういうものに対しての中核的な機関という意味で、小児がんセンターと仮称で言っておりますけれども、これも整備をしていく予定であります。やはり一つは、情報の収集が重要でございますし、その発信もやっていかなきゃなりません。それから、診療支援をやっていかなきゃなりませんし、臨床研究の支援もやっていかなきゃいけない。こういう機能を期待いたしておるわけであります。

 小児がんの拠点病院をつくっていくという中において、いろいろな症例もそこで積み重なってくるわけでありまして、要するに、小児がんは、いろいろなところで今まで治療されておったわけでありますが、それを拠点化することによって、これからの新しい治療の仕方でありますとか、医療の質自体も上がっていくことを期待いたしておるわけであります。

 一方で、やはり、それぞれの御家族の方々、それから御本人もそうでありますけれども、大変心細い中で頑張っておられるわけでありますから、精神面も含めてしっかりとフォローできるような、そんな体制を組んでいかなきゃならぬわけでございます。

 小児がんに対して、厚生労働省、国を挙げて、これからもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っておりますから、どうか御支援のほど、よろしくお願いをいたしたいと思います。

伊藤(渉)分科員 今の大臣の御答弁をお聞きして、小児がんで苦しんでみえる方は、本当に喜んでおられると思います。我々も、立法府の立場から、たくさんのなさねばならない仕事が厚生労働省所管行政の中にありますけれども、しっかりサポートしていくことをお約束申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 大変にありがとうございました。

宮路主査 これにて伊藤渉君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 これから三十分にわたりまして、子供の貧困の問題、また、住民税非課税限度額への連動、このことによって非課税世帯であった低所得の方々に対してさまざまな問題点が出ないのか、そういうことについて質問をさせていただきたいと思います。三十分という短い時間でして、田村大臣、そして平嶋審議官、お二人に簡潔にお答えをいただければと思います。

 田村大臣、私も、この質問をもう何度も何度も繰り返し、子供の貧困、生活保護基準の史上最大の、最大が一〇%、平均六・五%の引き下げ、質問をさせていただいております。

 私も、もともと大学で酵母菌の研究をしておりましたが、なぜ政治家を志したかといいますと、学生時代に児童福祉施設で、虐待を受けた子供たち、あるいは貧困家庭の子供たちの遊び相手のボランティアを六年間しておりまして、その中で、本当にやはり、最も困っているこういう子供たちの声というのがなかなか政治に届いていない、そういう子供たちの苦しみや涙を見て、方向転換をして政治を志したわけであります。

 そういう私の立場からすると、今回、生活保護、史上最大の切り下げで、特に子育て世帯を多く切り下げていく、おまけに、その理由がデフレである、インフレターゲットで生活必需品は価格が上がっているにもかかわらず、デフレを理由に下げていくということに関しては、私は、やはりこれは問題だと思っております。

 国民は生活保護の適正化は求めておりますし、私も適正化はしっかりやらねばならないと思っておりますけれども、そういう貧困家庭の子供たちのところを削れというふうに思っている人、あるいは、それに連動して多くの低所得者の給付をカットしたり、自己負担をアップさせろということまでは、国民も望んでいないと思っております。

 まず、このフリップを見ていただきたいんですが、配付資料がきょうはたくさんございますが、一ページ目です。

 これは、長妻さんも隣におられますけれども、長妻大臣のときに、生活保護の母子加算を復活させました。このときに、母子加算が復活して何が変わりましたかという調査を厚生労働省がされましたら、子供の教育費、そして子供の学校行事に関する費用がふえたという方が、母子家庭が五〇%ずつ。そして、何よりも、子供の進学や学校行事への参加について、六二%が、積極的に考えるようになった、または、やや積極的に考えるようになったと答えておられます。

 私も、今回、非常にうれしかったのは、あるお母さんが、息子が大学に入ることができました、やはり、高校授業料無償化、そして母子加算の復活がなければ、息子は大学に行けなかったと思いますと言って、生活保護家庭のお母さんからそういう声を聞きまして、やはり本当によかったなというふうに思いました。

 そこで、田村大臣にまずお聞きしたいんですが、今回、生活保護を大幅にカットするわけですけれども、子供への教育費とか学校行事に関する費用、これは削られることになりませんか。

田村国務大臣 もう何度も申し上げておりますけれども、今回、四・七八%、物価部分で適正化をするというのは、そのとおりであります。

 しかし、子供の数が多い、子供の数が多いといいますか、子供のおられる家庭等々を含めて、非常に引き下げ幅が大きくなるではないかというふうにおっしゃられますが、その部分は、実は、我々が政権をいただいてから決めたことではなくて、民主党政権時から検討会で議論をいただいた、その中において出てきた結論においてそうなるわけでございますから……(山井分科員「そんな結論出していません」と呼ぶ)いや、そうじゃないんです。

 それは今、山井委員が御質問の中で、家族の多いところが下がるというのは、デフレをやったからだとおっしゃられるから、そうじゃなくて、デフレ部分は全ての家庭においてかかる部分であります。家族が多い部分に関しては、デフレは引き下げ幅が大きい意味ではなくて、それ以前の、要は、それぞれの地域でありますとか年齢でありますとか、それから家族の数、これにおいての是正をする。

 これは、生活保護世帯間の公平性を図るという意味でやったことでありまして、それは、以前の民主党政権時から進めてまいった検討会での結果をいただいた上でそのようなことになるわけでございまして、そこはひとつ御理解をしっかりといただきたいというふうに思います。

 その上で、教育はどうだというお話でございますけれども、例えば教育扶助、これに関しては引き下げ対象になっておりません。それからまた、一方で、高校への就学費、これに関しましても、これも引き下げ対象になっておりません。

 さらには、学習支援でありますとかいろいろな対応をやっておるわけでございまして、今までは中学校三年生が対象でございましたけれども、これからは中学校一年生から学習支援等々の対象にしようということでございますから、子供たちの教育に関する部分に関しては、さらに強化をしていこうというような方向でございますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

山井分科員 何点かありますが、民主党政権であれば、このような大幅な引き下げは全くやっておりません。

 さらに、基準部会の委員の先生方の名誉のためにも言いますと、基準部会の方々も、このような大幅な引き下げをしろなんということは全く言っておりませんし、子供の貧困の連鎖が拡大しないように、他制度への波及がしないようにということを言っております。

 それで、今、田村大臣、教育扶助とかは削っていないとおっしゃいますが、そういうわかり切ったことを聞いているんじゃないんですよ。そこの名目は切っていなくても、一万円から二万円、生活扶助費が削られるわけでしょう。そのことが教育費や子供の進学費用にしわ寄せが行くのは当然じゃないですか、それは。当たり前じゃないですか、受け取った家庭にとったらお金が減るわけですから。だから、そういう意味では、もう少し真摯に御答弁をいただきたいというふうに思います。私は建前の話をしているんじゃないんですよ、これは。

 それで、次に、そのことに関連して、例えば板橋区の調査でも、不登校のお子さんが中学生においては四・八倍、一般の家庭よりも生活保護の家庭の方が多いというデータがございます。

 そこで、質問通告もしておりますが、田村大臣にお伺いしたいんですが、一般の御家庭のお子さんたちと、そして生活保護家庭のお子さんたち、高校、中学、小学校の不登校率や中退率について、厚労省からいただいておりますのは、A市というある市のデータをもらいましたが、このA市と全国一般とを比較して、今言った中退、不登校率はどのような状況で、どれぐらいの差があるでしょうか。

田村国務大臣 名前は明かせないので、A市というような形で出させていただきました。

 まず、高校生の中退率、これは、全国約一・六%、A市約三・四%、これは生活保護世帯ということであります。

 それから、不登校率は、小学校、全国平均が〇・三%、A市の生活保護世帯の状況が一・七%、中学生、全国平均二・六%、A市の生活保護世帯、約一〇・二%、高校生、全国約一・七%、A市の生活保護世帯、約三・六%でございますが、これはA市同士では比較しておりません。

 全国平均とA市の生活保護世帯という比較の仕方でございますから、比較対象になるかどうかは、これは私どもは疑問を持っております。

山井分科員 これも通告しておりますが、今おっしゃったような前提を置いて、大体何倍ぐらいそれぞれ高いわけですか。

田村国務大臣 まず、高校生の中退率ですけれども、二・一倍です。小学生は約五・七倍、中学生は三・九倍、高校生は二・一倍でございます。

山井分科員 私は、これは非常に深刻だと思うんですね。なぜならば、子供は当然、家庭を選ぶことができません。みんな、学校に行きたい、進学したいという思いを持っている子供たちが多いわけです。しかし、家庭の状況によって不登校率や中退率が、今おっしゃったように、数倍の開きがあるわけです。

 田村大臣、このことについてお願いが二つあるんですけれども、一つは、今、A市では一般のデータと比較していないということなので、そのA市との比較のデータを出していただきたいということと、このA市一つしか実態がわかっていないんです。やはり、今、残念ながら、こういう生活保護を子育て世帯を直撃する形で引き下げようとしている以上は、現状を把握することが大事だと思いますので、A市以外にもこういう不登校や中退がどうなっているのかという調査をしていただきたいと思います。

 この二点についてお答えください。

田村国務大臣 まず、A市の生活保護世帯での高校中退または不登校の皆様方の理由を若干調べましたけれども、勉強の不振、友人等の人間関係がうまくいかないなどの一般的な学生でもあるような理由でありまして、経済的な理由であるということではなかったというふうに承知をいたしております。

 それから、ほかの市でも調べろというようなお話でありますけれども、なかなかこれは難しいんです。それはプライバシーに入っていく話でございますし、いろいろな世帯でいろいろな状況がございますから、それを総合的にアンケートみたいな形でしっかり把握できるかどうかといいますと、かなり難しい問題だと思いますので、ちょっとよく精査をさせていただきたいと思います。

山井分科員 やはり、問題の解決というのは、現状把握なくして進まないんです。私は、厚生労働省が、本気で子供の貧困の解決、あるいは田村大臣がおっしゃったように、こういう貧困の子供たちに悪影響を及ぼさないというのであれば、きっちり実態調査をして、それが悪化していないか、向上しているかというのは調べるのが当然の筋だと思います。

 今、田村大臣がおっしゃった、この中退や不登校が経済的な理由ではないんだ、この配付資料にもございますけれども、正直言って、私はそういう建前の答弁はもう聞きたくないんです。経済的理由も関連しているに決まっているじゃないですか。やはり、それは、経済的理由とかさまざまな理由が複合しているんです。

 やはり、田村大臣、日本の国の厚生労働大臣なわけですから、そういう実態と乖離した建前の答弁は、私はやめてほしいと思います。本当に、私の知り合いでも、経済的な理由で中退した人はいますよ、実際。いるに決まっているじゃないですか、それは。だから、そこは、そういう建前の議論はやめていただきたいと思います。

 そこで、この問題がより深刻なのは、生活保護家庭だけではなく、連動していくんですね。

 きょうも資料をたくさんお配りしておりますが、例えば就学援助。就学援助というのは、この五ページにもありますけれども、全国で今、百四十二万人ぐらい利用しておりますが、次の六ページにもありますように、就学援助を受けられる基準は、生活扶助基準の一・一倍以下、一・二倍以下というふうに、これを基準にしているんですね。

 これについては、今までの文部科学省の見解の中でも、七ページにありますが、この就学援助を生活扶助基準が下がったときに来年度からどうするかということは、各市町村において判断していただくとなっているんです。ということは、残念ながら、地方分権の時代ですから、やはりこれは削られるところも出てくると思います、市町村の判断ですから、財政的な理由もあるから。

 さらに、同時に、住民税非課税限度額が引き下げられれば、連動して負担増や給付カットになる制度が九ページからたくさん、これは長妻議員が今までから取り上げておられますが、数十あるわけですね。一番大きいのは、介護保険料が軽減されている人たちが一千七百二十万人おられるわけですけれども、この中の、下手したら何十万人か、下手したら百万人以上、非課税限度額から外れてしまう危険性があるし、子供に関しては、十一ページにもありますように、幼稚園就園奨励費補助や高等学校等就学支援金というのが、非課税世帯から課税世帯になると大幅に削られてしまう。

 そういう意味では、これは単なる生保家庭の子供たち二十数万人だけではなく、多くの低所得世帯の子供たちに連鎖をしていく危険性が極めて高いわけであります。

 そこで、総務省から平嶋審議官にお越しをいただいておりますが、これは一番最後のページにあるんですが、このことに関して、閣僚懇談会で合意文書があるわけですね、生活扶助基準見直しに関する対応方針。

 この資料、これは割と不思議なんですよ。その他生活扶助基準の見直しに直接影響を受ける国の制度に関しては、できる限りその影響が及ばないように対応をするということを基本的な考え方とすると。ところが、個人住民税の非課税限度額等というところについては、その文言はあえて入っていないんですね。あえて入っていないんです。

 そこで、平嶋審議官、お聞きしますが、来年度から生活扶助基準の変動に従って非課税限度額を変える税制改正の議論を年末にすると思うんですが、この生活扶助基準引き下げの影響を極力なくすということで閣僚間で合意はされていますか。

平嶋政府参考人 山井先生の御質問にお答えします。

 事実関係ということでございますが、二月五日の閣僚懇では、厚生労働大臣、総務大臣の発言を踏まえて官房長官から一定の取りまとめの御発言があったと伺っておりますので、厚生労働大臣それから総務大臣から申し上げた方針については、一応共通の理解があるということだと存じております。

 その際に、田村厚生労働大臣からは、個人住民税の非課税限度額等について、平成二十六年度以降の税制改正の議論を踏まえて対応することを政府で確認いただきたいと。その一方、新藤総務大臣からは、個人住民税の非課税限度額については、これまで、生活保護基準額の改正を踏まえ、翌年度の税制改正において所要の見直しを検討することとしていること、今回の生活保護基準の見直しに係る非課税限度額のあり方についても、厚生労働省の考え方も十分に伺いながら、平成二十六年度以降の税制改正において、与党税制調査会における議論も踏まえて検討することという発言があったというふうに理解をいたしております。

 以上でございます。

山井分科員 非常に曖昧な答弁なんですが、私の聞いたことにストレートにお答えください。

 生活扶助基準の引き下げが住民税非課税限度額の引き下げに、影響を極力なくすということで閣僚間で合意をしているんですか。それとも、合意はしていないんですか、まだ。

平嶋政府参考人 お答えいたします。

 私の方からは事実関係しかなかなかお答えできないところでございますけれども、総務大臣から申し上げましたのは、先ほどのとおり、与党の税制調査会において、厚生労働省のお考えも十分に伺った上で検討していくということを申し上げており、それが了承されているというふうに理解しております。

山井分科員 残念ながら、ということは、極力影響をなくすということで閣僚間で合意したという答弁はできないということですか。

平嶋政府参考人 私の方から申し上げられるのは、文字どおり、大臣が申し上げたことのとおりでございまして、厚生労働省の考え方も十分に伺って、平成二十六年度の税制改正において、与党の税制調査会の議論も踏まえて検討することということでございまして、それが合意されているというふうに理解をしております。

山井分科員 田村大臣は、四月三日の私の質問に対する答弁で、今の生活扶助基準引き下げを、住民税非課税限度額への影響を極力なくすと閣僚間で合意していると答弁をされているんです。

 今、平嶋審議官は、そのことは答弁できないということなんですが、田村大臣、それは総務大臣と合意しているということでよろしいですか。

田村国務大臣 まず、先ほどのお子さん方の問題ですけれども、授業料が払えなくて学校をやめなきゃいけないという子供はいないということは、これは間違いないことでありまして、まさにあなた方がつくった法律でそうなっているわけでありますから、そこはちゃんと御理解をいただかないと、みずからつくった法律がおかしいという話になりますよ。そこは申し上げておきます。

 その上で、今のお話ですが、今、総務省の方からあったのは、要は、新藤大臣がお答えになられたその話をおっしゃったわけでありまして、今回、閣僚懇談会ですか、閣議後の懇談会で我々が一応合意した内容の中に、三番目にこう書いてあるんです。「今回の生活扶助基準の見直しに伴い、他の制度に影響ができる限り及ばないよう、引き続き、各府省のご協力をお願いします。」と。いいですか。「今回の生活扶助基準の見直しに伴い、他の制度に影響ができる限り及ばないよう、引き続き、各府省のご協力をお願いします。」こういう一言が入っているんです。

 ですから、私はこれをもってして合意したというふうにお答えをしたということです。

山井分科員 これは何十万人、あるいは百万人以上、これは全部で三千百万人いるわけですからね。これがはねると大変なことになりますよ、これは。格差がどんどん拡大します。できる限りと今おっしゃいましたが、過去、前回〇・九%削減したときは一%以上引き下げになっているんです。

 それでは、平嶋審議官にお伺いしますが、要は、議論のベースは、今回六・五%下がりますね。六・五%がベースで、そこから、今の厚労省の言い分などを聞いて、六・五ではきついかな、五にしようかな、四にしようかなと議論するんですか。それとも、ゼロベースで、そもそも、この生活扶助基準が引き下がったことを影響させるかどうか、影響させないという選択肢もあるんですか。

平嶋政府参考人 私の方から申し上げられますのは、先ほど申しましたとおりでございまして、平成二十六年度の税制改正におきまして、与党の税制調査会の御意見も伺いながら、厚労省の御意見も十分に伺って検討するということでございます。

 その際に、今、先生いろいろおっしゃられたようなことについて、多様な御意見もあろうかと思いますが、それはもう十分踏まえて検討していくということになろうかと思っております。

 以上です。

山井分科員 ということは、頑張りますということですね。

 ただ、要は、連動しないという担保はあるんですか、ないんですか。これは、連動し出すと、百万人以上の高齢者の介護保険料がアップしたりする危険性がありますからね。これは小さな話じゃないですよ。後期高齢者医療制度のときも、法案審議のときには、いや、それほど自己負担はふえませんよと言っていて、実際に導入したら、多くの人の自己負担がふえて大混乱になったわけですから。私はそのことを今言っているわけなんです。

 ということは、ある程度連動する可能性もあるということですね、田村大臣。

田村国務大臣 まず、今年度は関係ないという話でございますね。(山井分科員「来年度」と呼ぶ)

 来年度に向かっては、なかなか総務省も答えづらいのは、我が政権下といいますか、要するに、自公政権下の中におきましては、与党の税制調査会の発言権は非常に強いというのは前から申し上げておるとおりでございます。

 その中で、私の方からも税制調査会の幹部の方々に、今の点、大変心配な点があるので、そもそもは、生活保護家庭とそれから一般の低所得者家庭との間の乖離というものをある程度平らにしていかなきゃならぬであろうという話の中から、今回の適正化という問題が出てきたわけでありますから、その一般の低所得者世帯に影響を及ぼすという話になると、委員が今おっしゃったとおり、何のために今回の適正化をやったかわからないという話になりますから、そこも踏まえてこれからの税制改正に取り組んでいただきたいというお願いをさせていただいた、それに対して、趣旨はよくわかりました、そういうお答えをいただいたということであります。

山井分科員 私は全く理解できないのは、何十万人、あるいは百万人以上にはねるかどうかもまだ決まっていないのに、よくこんなことをやるなという気がするんですよね。ただでさえアベノミクスでこれから生活必需品は上がっていくのに。

 それで、十八ページにありますが、例えばですけれども、六・五%、そのまま扶助基準に連動して非課税世帯が下がったとすれば、例えば、粗い機械的な試算を私がやりましたが、そうしたら、介護保険料がアップする人、百七十八万人、もちろんこの人は、介護保険料だけじゃなくてダブルで、今まで非課税だったのが課税になるわけですからね。おまけに、一割負担の介護保険の上限が、今まで二万数千円だったのが三万数千円に上がっていく、さらに、特養に入るときにはホテルコストの自己負担も上がる、そういう恐ろしいことにこれはなっていくわけであります。

 それで、その意味では、これは田村大臣に改めてお聞きしたいんですが、私、一つわからないのは、私の立場を申し上げますと、こういうインフレの中でデフレを理由に引き下げるというのはおかしいというのが、私はそもそもの立場なんです。今、一般世帯に連動させない方針だという話でしたが、生活保護基準、今回の引き下げの最大の理由はデフレですよね、四・七八%。デフレ分は、低所得者の方々も生保世帯も、同じ日本にデフレの中生きているわけですから一緒だと思うんですが、生保世帯はデフレだから下げますよ、でも、低所得者世帯は、デフレだけれどもその影響は与えないようにしたいんですと。その差はなぜなんですか。同じデフレなんじゃないんですか、日本は今。

田村国務大臣 なぜデフレの部分を今回適正化したかというと、それは、ずっとデフレ部分に関して対応してこなかったからですよね、だから下げるという話になった。しかし、一般の低所得者の方々は当然収入が減っているわけでありますから、デフレに伴って。でありますから、今回、引き下げるといいますか、そこの間は対応しようという話であります。

山井分科員 その答弁は全く理解できません。今まで、なぜならば、この総務省の見解の中でも、平嶋審議官にお答えをいただきたいんですが、この十五ページにありますが、地方住民税の原則というのは、非課税限度額につきましては、均等割にあっては前年の生活扶助額の水準を上回るように設定されてきた。つまり、こういうインフレやデフレの状況に連動して生活扶助基準が動き、それに連動して地方住民税も決められてきたということなんですね。

 ということは、これは、平嶋審議官、今回、この今までの総務省の大原則、非課税限度額と生活扶助基準を連動させているというこの大原則を変える可能性もあるということですか、来年度。それとも、原則は変えないけれども、その連動幅をちょっと小さくするかもしれないということですか。

平嶋政府参考人 お答えいたします。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、厚生労働省の御意見を十分に伺って、与党税調での議論を経て決まることとなっておりますが、今までも生活保護基準あるいは生活扶助基準を勘案して決めてきたということは事実でございます。

山井分科員 ということは、これからも生活保護基準を勘案して決めるということですか。

平嶋政府参考人 私どもとして今までの考え方はそうであったという事実を前提として、検討してまいるということになると思います。

山井分科員 ということなんですよ。ですから、勘案して決める以上、六・五%、最大幅、今まで最高下がったのは〇・九ですからね、それの七倍以上今回下がるということは、住民税非課税限度額も大幅に下がると考えるのが普通であるということにならざるを得ないわけなんですね。

 それで、私は、田村大臣に申し上げたいのが、すごくひっかかるのは、生保の引き下げを一般の人に連動させるなというときに、非常に心配するのは、何か生保の人だけいじめられているような印象を非常に受けるんです。生保の人も低所得者世帯なんですよね。だから、やはりそこは、なぜ、ほかの人に連動をさせたくないのに生保の人はさせるのかというのがよくわからない。この後、長妻さんからも、今回のデフレの四・七八%というのは非常におかしいという議論が出てきますが。

 だから、そういう意味では、そこは私は、一歩間違うと生保の方々に対する差別になるのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 生保の方々は、今回、生活扶助が下がりますけれども、それによって何らかの今受けておるような恩典といいますか恩恵がなくなるというわけじゃないんですよ。そういう話じゃないですよ。

 要するに、今言われたのは、生活扶助の金額を参考にしながら住民税の最低限度額を決めている、しかし、それを上回らなきゃいけないという話でありますから、上回っている状況は、これは変わらないんですよ。ですから、そういうような中で、要するに、生保の方々も、扶助額は下がりますけれども、他の部分で何ら今よりも権利を奪われるわけではないわけであります。

 一方で、今の住民税非課税限度額が仮に変わらなかった場合、すると、それは、誰も今と何ら状況は変わらないわけでありまして、生保だけがなぜいじめに遭ったかというような御発言でありますけれども、そんなことはありません。

 ただ、一方で、生活扶助額に対しての適正化というものは、いろいろな議論の中で、これはもうやる時期であるというお話でございましたから、その中でこれをさせていただいたということでございまして、他の部分に影響が出るというものではございません。

宮路主査 山井和則君、もう時間が来ておりますので。

山井分科員 そうしたら、ストレートに聞きます。

 例えば、住民税非課税限度額によって、介護保険料が、今後、六・五%のことで上がる人は、必ず百万人以下ですか。あるいは、必ず五十万人以下ですか。そこは、厚生労働大臣としてどう考えておられるんですか。これ以下だというのはあるんですか。

田村国務大臣 なるべく影響が出ないように努力をしていただく、我々も努力するということでございます。

宮路主査 もう時間が来ておりますので、手短にお願いします。

山井分科員 はい、もう終わりますが、私は、残念ながら、参議院選挙前はそういう答弁で乗り切って、来年の四月以降、やはり税制の原則は変えられないよねということになって、はねちゃったということになるのが非常に心配なんです。

 私は、やはり今の答弁を聞いていて、甘いと思いますよ。下がらなかったらと、そんな、今まで、〇・九下げたときでも一以上下がっているのが、六・五下げて下がらないはずがないじゃないですか、普通に考えたら。やはりそういう意味で、私なんかは、この三カ月、このことで本当に夜も眠れないぐらい、すごい心配なんですよ。

 残念ながら、田村大臣の答弁を聞いていると、いや、影響は出ないですよ、実質下がらないですよと、それはおかしいですよ。ほかの大臣がそう言ったとしても、本来、厚生労働大臣は、心配で心配で眠れないんだというぐらいのことでないと、私は、本当に日本じゅうの低所得の方や子供たちは心配だと思いますよ。

 ぜひともここは、私たちも野党、与党関係なく、子供たち、低所得者を守る必要があるわけですから、私も頑張ってまいりたいと思います。

 以上です。

宮路主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻分科員 民主党の長妻昭でございます。

 きょうは、大変貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。

 生活保護の質問をさせていただきたいと思います。

 私は、国家の礎というのは、二つの保障があると思っておりまして、安全保障と社会保障。その社会保障の中核をなすのが、生活保護。つまり、本当に困ったときには、国は、誰に対しても、健康で文化的な最低限度の生活は保障する、国家として必ず誰に対しても保障するんだ、これが生活保護、究極のセーフティーネット。

 このセーフティーネットは、ほかの政策と異なりまして、これにほころびが出ると、最後はありませんから、死が待っているとなりかねないので、これは細心の注意を払って議論するということが重要だと思います。

 当然、不正受給というのは、これは厳に取り締まるということで、我々の政権でも今の政権でも、同じ思いで取り締まっていただいていると思いますけれども、ただ、全部一緒くたに、全体の生活保護がもらい過ぎだ、こういう前提で事を進めていくというのは間違いを犯すと思っておりますので、ちょっと具体的な観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、資料をお配りしておりますけれども、これはインターネット等を見ている方にも解説しますと、国会でのいろいろな委員会での配付資料といいますのは、我々が数年前、野党時代に、国会図書館にもお願いをして、全て国会図書館に永久保管されるということとなっておりますので、どなたでも閲覧できるということになっているものでございます。

 一ページ目でありますけれども、先ほど山井委員からも質問がありました。生活保護を、生活扶助費を三年間で六百七十億円削減するという計画のうち、今回はデフレ部分に限定して議論をさせていただきたいと思います。

 五百八十億円は、デフレで物価が下がったから下げますということで、下げるという計画でございまして、物価が下がったんだから、名目の支出、受給額が減ったとしても、実質的な価値としては同じだから、生活には影響がないんですよ、こういう政府の説明なんですね。

 ここにもありますけれども、総合物価指数、CPIともいいますけれども、これが、全体でいうと、平成二十年と二十三年を比べると、二・三五%下落しているんですね。物価が安くなっている。

 ところが、では、生活保護も二・三五%下げるのかなと思うと、そうではなくて、生活扶助相当CPIという新しい概念、これは多分、恐らく今までない概念だと思うんですけれども、そういう概念を今の政権がおつくりになられて、そういう生活扶助相当CPIというような形でまとめると、四・七八%。平成二十年と平成二十三年の物価下落は四・七八%下がるんですよ、だから四・七八%分を下げますよ、そうすると五百八十億円削減ですよ、こういう理屈になっているわけですね。

 私も、この数字を見て、初めにちょっと不思議だなと思いましたのは、全体の物価の下落、全国民の物価下落が二・三五%なんですね。ところが、一番の低所得である生活保護を受けている方の方が、物価下落が大きい。

 これは直観的に、余り食料品なんかは物価は下落しないような気がするわけで、電気製品とか、高級家電とかは結構下落しているイメージがあるので、これは総務省にちょっと調べていただいて、配付資料もあるんですが、この配付資料の二ページ目と五ページ目について、統計局長ですか、説明をいただければと思います。

須江政府参考人 お答え申し上げます。

 配付資料の二ページ目のものにつきましては、私どもで作成したものではございませんが、消費者物価指数の勤労者世帯の年間収入五分位階級別の指数をグラフにしたものと思われます。

 そして、資料の五ページの方ですが、資料の五ページに出ております消費者物価指数、総合の勤労者世帯全体の平均と第一階級区分が出ておりますが、消費者物価指数では、通常の指数のほかに、二人以上の勤労者世帯の消費構造に基づいた指数も公表しております。

 それによりますと、二人以上の勤労者世帯全体の消費者物価指数は、平成二十年が一〇二・二であり、平成二十三年が九九・七となっておりまして、その変化は二・四%の下落となっております。

 また、右側の方ですが、収入階級別の分位のうち、収入が最も少ない年収四百三十万以下である第一階級について見ますと、平成二十年が一〇二・〇であり、二十三年が九九・九となっておりまして、その変化は二・一の下落というふうになっております。

 以上でございます。

長妻分科員 今説明していただきましたけれども、五ページ目の資料は、全体の物価下落でいうと、勤労者世帯全体でいうと二・四%だと、平成二十年と二十三年。ところが、第一階級ということで、その勤労者世帯全体を収入によって五つに分類をして、一番収入の低い二〇%の人たちが第一階級ということなんですけれども、一番収入の低い人とか、収入によって買い物かごに入れる品目が違うわけですね、それを補正して、その人たちが買うものについての物価下落というのも総務省が出しておられる。

 それによると、第一階級、つまり、全世帯の中で収入の多い順に五つに分けると、一番下の二〇%の収入の低い方々、この第一階級については二・一%の下落であるということ。つまり、全体の平均の下落が二・四%で、低所得者は二・一%、これは私の初め受けた感想と合っているわけですね。つまり、低所得者の人ほど物価下落は少ない。

 これが、二ページ目の表で、過去の部分も、インフレのときもありましたけれども、デフレのとき、最近を見ていただきますと、この収入が最も少ない階層というのが、赤い線であらわしておりますけれども、この赤い線というのは、余り下落していないんですね。

 一番収入が多い階層、第五分位第五階級というのは、さっきと同じ統計ですけれども、収入の多い二割、上の二割の方々の方がかなり物価が下落している。

 ということは、これはちょっと不可解なんですね。生活扶助相当CPI、これの方が全体のCPIの下落よりも倍ぐらい下落幅が大きい、こういうようなことになっているわけで、本来は、この統計データにも示されているように、低所得者ほど物価下落について下落幅が少ない、小さいということでなきゃいけないのに、生活保護という、かなりの、一番の低所得の分類に入ると思うんですが、そちらの方が平均よりも倍も下落している。

 これはちょっと実態からかなりかけ離れているのではないかと思うんですが、いかがでございますか。

田村国務大臣 まず、今委員おっしゃられたのは、確かに、これを見ると低く出ているわけでありますけれども、これは働いている方々ということでございますから、一律に生活保護家庭と比べるというわけにはなかなかいかない部分があるのであろうなということは言えると思います。

 それと、低い、四・七八、低いというか、高いというのか、引き下げ幅が多い、これに関して、なぜなんだと。

 一つ、相当分のCPIですね、これの算出の仕方というのは、もう委員御承知のとおり、本来の中からいろいろな扶助で受けている等々のものを抜いた形での残りのものに関しての物価相当分でございますから、それからいけば、当然、物価が下落しているものもあれば、物価が下落していないものもあります。幅がいろいろあるものがある。

 それぞれを抜いた、要するに、教育扶助で抜けている部分だとか住宅扶助で抜けている部分、その部分を単純に抜いて引き伸ばしてありますから、当然、下落幅が多い部分も引き伸ばされていれば、下落幅の少ない部分、逆に上がった部分も引き伸びておるわけでありまして、そのような中でこの数字が出てきておるということであります。

長妻分科員 私も同じ説明を役所からも受けまして、大臣も同じだということなんですが。

 そうすると、今おっしゃったものをちょっと図にしてみたんですけれども、三ページ目でございます。

 大臣がおっしゃったのは、例えば電気製品を、これは私が、全体の品目の中から、二十八品目が全部の支出の調査の中で電気製品だろうということで選んだものでありまして、それは資料の四ページに、二十八品目の細かい、電子レンジ、電気炊飯器、電気ポットから始まって携帯電話機、電気かみそりまで二十八品目、私の判断でピックアップをいたしまして、これは恐らく、そう異論はない電気製品というものだと思いますが、それについて、こういう理由だと思うんですね、こういう理由なんですね、生活扶助相当CPIの方が下落幅が大きいのは。

 大臣がおっしゃったように、生活扶助相当CPIは、確かに、生活保護で住宅購入とか例えば自動車を購入するとか、これはないわけでありますので、そういう品目はやはり除外しなきゃいけない。そして、それを除外してしまった空き地、そこの空き地を、生活保護の人たちが買う品目を伸ばして、その空き地を埋めているわけですね。それによって実は電気製品の比率も伸びているんですね。

 どういうことかというと、この上の表は、一般の御家庭では、電気製品の全消費に占める割合が三・四%、こういうことになっているわけですね。ところが、生活保護の方々の全支出に占める電気製品の割合が五・四%ということで、二倍近くまで高くなっちゃっているわけですよ。三・四%から五・四、一・五倍から二倍でありますけれども、高くなっているわけですね。これもおかしいと思うんですよね。実態とかけ離れているんだ。

 これも、ある学者の方々がアンケートをしたところ、これも私の感覚と合っているんですが、一般の方と生活保護の世帯と、どちらが全消費に占める電気製品の割合が多いかというと、生活保護を受けている方々の方が少ないと普通は思うわけなんですが、これは二倍近く多いというふうになっている。これが非常に大きく影響しているんですね、下落幅が大きい。

 といいますのも、四ページ目にありますけれども、例えば、平成二十年と二十三年の物価でいうと、一番下落しているのがデスクトップパソコン、七四%も下落している。二番目がノートパソコン七三%、ビデオレコーダー六八・七%。そして、テレビというのは、ウエート、全消費に占める割合が電気製品の中で最も高いんですけれども、これの下落幅も六六・四%ということで、こういう非常に大きい下落、全カテゴリーの中でも、家電というカテゴリーはありませんけれども、大きなカテゴリーの中でも最も引き下げ幅が大きいものが倍近くまで引き伸ばされた結果、これが下がっているということなんです。

 これは田村大臣に提案をさせていただきたいのが、一番最後のページ、六ページをごらんいただきますと、実際の実態調査をぜひしていただきたいと思うんです。

 先ほどの田村大臣のお話にもあったとおり、生活扶助相当CPIというのは、現実の生活扶助、保護を受けている方々の消費の割合を実地調査して調べたものではないんですね。おっしゃったように、そうではなくて、買わないものを除外して、その空き地、あいてしまったスペースを、ほかの品目の比率をそのまま比例して伸ばしているということなので、実地調査から、実態調査から導かれた結果ではないので、それで電気製品が過度に影響が出ていると思いますので、ぜひ現実の調査をしていただきたい。

 これは、多分、そういうお願いをすると、いやいや、手間がかかるとか、いろいろなお話があるだろうと思って、ちょっと先回りして調べますと、実は既に、かなり歴史が古い、昔から、生活保護を受給している世帯の支出調査というのをちゃんとやられているんですよ、毎年。毎年、ちゃんと千世帯。大体千世帯ずつ毎年やられているんです、厚生労働省は。自民党政権から民主党政権でも、今は自民党政権でも、前からです。その調査票の原票が一番後ろに添付されています。

 どういう調査をするか、現場の方に聞いてみましたら、この調査票というのをケースワーカーの方が生活保護受給者の方にお渡しするんです、月末に。この一枚は一日分なんですね。ここの左に何月何日と書いてあるのは、これは一日分なんです。これを三十枚あるいは三十一枚を、月末に生活保護の受給者の方にケースワーカーの方が渡すんですね、毎日書いてくださいと。当然、全生活保護受給者じゃないですよ、千サンプル、千世帯の調査対象。全国ある程度くまなく選んでいるということなんですけれども。

 それで、生活保護受給者の方は、この左の品目を、まず何月何日、一日一枚だから、買ったものを全部書いてもらうんです。何でもいいから、買ったもの、支出したものは全部書いてもらうんです、電気代でも何でも。何しろ、支出したものは全部書いてもらうんです、ここに。右にも丸をつけてもらったり、金額を書いたり。こういう票があるんですよ。財産だと思いますね。

 ところが、これについて、集計するときに、これを大きい品目にざっくり分けちゃっていますので、なかなか物価の下落のCPIとの連動というのができない、大きい項目で分けちゃっているんです。これは、外注して、業者に頼んで厚生労働省が入力して、アウトプットをネットで公表していますが、非常に大ざっぱな公表なので。

 ですから、ぜひ提案したいのは、ここにビデオカメラとかビデオデッキとかテレビとか細かい電気製品も全部書いてあるわけですから、この千サンプルの原票というのは一年間は保管しているということで、今、一年分、千世帯分のこの原票が厚労省の建物の中のどこかにありますから、それを、業者に外注することになるとは思いますけれども、一つ一つ分析して、本当の生活扶助CPIというのをつくっていただきたいんですね。

 本当の現実の、実際の支出のデータがあるわけですので、実際の支出で電気製品の割合はどのぐらいなんだ、家具の割合はどのぐらいなんだ、食料品の割合はどのぐらいなんだ、娯楽というか、例えばトランプとかそういうのを買う方もいらっしゃるかどうかわかりませんけれども、そういうのはどのぐらいなんだ、学習関係はどのぐらいなんだとか、そういうものを実地調査として調査をしていただいて、それで、総務省が調べた物価の下落のCPIというのは品目ごとに細かくありますので、それに当てはめて計算すると、平成二十年と二十三年を比べるとこれだけ下がりましたと。

 私は、恐らく四・七八%も下がらないと思います。平均の二・三五%よりも下落幅は小さいと思いますので、これはぜひこの調査を、大臣が調査をしますと言えば役所は動きますから、このぐらいのことは動きますから、ぜひ言っていただきたいと思うんですが。これは本当にお願いします。

田村国務大臣 まず、初めのこの資料ですよね、委員が出された。

 五・四、上が三・四というのは、これは当たり前でありまして、要するに、生活保護世帯が買わないものを除外してありますから、その分伸びますよね。これが全部入っていますから、上は。

 それが伸びただけの話であって、実はそこも含めて、自動車なんかは別ですけれども、医療だとか教育だとかそういうものも含めて、実は、生活扶助には入っていないけれども、生活保護家庭は恩恵を受けているわけですよね、サービスの。つまり、実態、自分の財布からは消費していませんが、しかし、全体としては消費しているということでありますから、そういうものを入れれば当然これは下がるわけですね、この五・四というのは。それが入っていないから、伸びただけ。

 だから、先ほどから言っておりますこの残りの部分も、実は伸びているわけですよね。その中には、今言われた家電製品、下落幅が高いじゃないかと言われた部分がありますよ。それよりも低いものも入っていますし、場合によっては物価が上がったものも入っているということでございますから、そのように御理解をいただければありがたいというふうに思います。

 その上で、生活保護全体で考えれば、国の概算要求を出してくる中で、生活扶助に対して物価下落分が四・七八だと言っていますけれども、全体でいけば、これは二・三%です。今回の引き下げ分、六百七十億円ですよね、全体で二・八兆円だと思いますけれども、国の支出分が。これはちょうど物価の下落分と合うんですよ。意図してやったわけじゃないんです。ということは、今回のこの調整というものは、結果的にはかなり物価の下落と整合性があるということの証左だというふうに私は思います。(長妻分科員「だから、調査をするかと。それはわかりましたから」と呼ぶ)

 その上で、調査と言われても、この資料自体が、非常に精緻にはしておりません、このサンプル調査。千という数字も十分ではございません。そういうものを仮に使った調査をしたとしても、実際問題、生活保護世帯の消費実態、これは、例えば都市部に多いでありますとか高齢者世帯が多いというようなものにそのまま適用できるような物価下落の数字が出てくるとは我々は思えませんので、そういう意味からしますと、これはなかなか、そのような形で調査をするというものには値しないのではないか、このように思っています。

 あわせて申し上げれば、これを、仮に精緻なものをこれからつくったとしても、実際問題、何に活用していくのかという問題があります。

 毎年毎年、今までは民間最終消費支出等々を勘案してやってまいりました。今回は物価の下落分を使いました。ちなみに、民間最終消費支出を使うと、四・七八%よりも下落分は多いんです。でも我々はそれを使わなかったんですね。それを使った方が恣意的にもっと引き下げられるじゃないかというような見方もあるかもわかりませんけれども、我々は、より生活の実態に即したのは、今は物価下落の方がいいだろうということで、これを使ったんです。だから、恣意的に高目の数字を使ったということでもないわけであります。

 一方で、生活保護家庭のCPIをつくったとしても、我々は、本来、毎年毎年の見直しには、やはり民間最終消費支出を使っていきたいと思っているんです。なぜかというと、給料が上がったときの、つまり生活の質がよくなった部分は生活扶助費に反映されていかないんですよ、物価だけですと。(長妻分科員「委員長、ちょっと長い」と呼ぶ)

宮路主査 ちょっと待ってください。

田村国務大臣 ですから、消費支出を使った方が、今度は物価が上がって給料がよくなったときにはそちらの方が、生活保護家庭の扶助の金額というもの、ふえる率は、より世の中の実態に合った、そんな数字になるであろうと思っておりますので、CPIをつくる必要性はないというふうに思っております。

長妻分科員 ちょっとこれは、驚く答弁が今、私は連発したと思うんですね。

 当たり前だ、家電の、電気製品の比率が高くなるのは、空き地を埋めたから、それは伸びたんだから当たり前だと。当たり前だといったって、一番、しかも下落幅が大きい品目が伸びているわけで、それは正確に実態を反映されていないですよ、これは。机上の空論が当たり前だという言い方というのは、おかしいんではないのか。

 そしてもう一つ、私が提案した千件の、毎年毎年厚労省がやっている調査が精緻じゃないんだと。それは税金の無駄じゃないですか、いいかげんな調査、精緻じゃないという調査であれば。それで、ちゃんとネットで公表しているわけですよ、その中身を。そうであれば、精緻な調査をちゃんとしていただきたいと思うんですよ。

 千件じゃ少ないような趣旨の話もありましたが、では、そうであれば、生活扶助CPIというのは何のためだというんですが、それをつくったのは今の政権じゃないですか、生活扶助CPIという概念をつくったのは。そうであれば、きちっと……(田村国務大臣「相当」と呼ぶ)では相当でいいですよ、生活扶助相当CPI、これが正確な用語でしょうけれども、これをつくったのは今の政権で、そうであれば、実態の生活扶助相当CPIを現実と即して調査したらいいじゃないですか。千件が少ないというのであれば、一万件か何件かわかりませんけれども、統計データに基づいて、信頼性のあるサンプルで。

 というのは、何か、机上の空論で、たまたま数字が結果的に合ったから、こっちの数字とあっちの数字とこうだ、そんな簡単なことで生活保護の人たちの扶助費を削られたら、これはたまったものじゃないですよ、その身になったら、と思いますよ、私は。

 私がこういうことを言うのは、例えば、ではインフレになったときにどうするんだというお話がありましたけれども、一つ懸念されるのは、生活扶助相当CPIだと、今るる申し上げたように、電気製品の比率が高くなるわけですよ。高くなるということは、インフレになったときに、一般的にですよ、私の理解では、電気製品というのは技術革新があるのでそれほど価格が上がらない。

 ということは、インフレになったときは余り上昇率が上がらなくて、デフレのときは普通の現実よりもぐっと下がるということで、踏んだり蹴ったりみたいな話になりかねないので、生活扶助相当CPIという概念をつくったからには、机上の空論じゃなくて、現実に即した、こういうサンプルのデータもあるわけなので、そこで調査をされたらいかがですかと。今後の重要な、生身の人間が受給額が削られるわけでありますので。ですから、私は、決して法外な提案をしているつもりはないわけであります。

 これは、ちょっと桝屋副大臣にお話をお伺いしたいんです。

 福祉の公明党だと私は思っているので、私の今の提案ぐらいは、連立といえども、当然政策は違うわけですので、現実に生活保護を受けている方がどれだけの支出なのかというのを調査して、それで物価が下落した、そういう理由であれば、その部分については、我々も、ああ、それはそのぐらい下がったのかと思うんですが、今のような調査では到底納得できないし、いろいろな支援団体の皆さんも、あるいは生活保護を削られる御本人も、納得できる理由としては非常に不十分なんじゃないかと思うんですが、桝屋副大臣の御見解をお尋ねします。

桝屋副大臣 久々にお尋ねいただいて、ありがとうございます。

 我が党の立場まで御心配いただいて、ありがたい限りでありますが、私もこの仕事をずっと現場でやってまいりまして、今委員のおっしゃった、そもそも生活保護そのものが、生保世帯の消費実態に応じて生活保護基準が設定されているというふうには理解してきませんでした。時々の経済動向によって基準が決定されてきた、こういうふうに理解しております。

 この千件がどういう目的で、この中身がどういうものであったかというのは、ちょっと私も今すぐ頭に出てまいりませんが、恐らく、それなりの目的を持ってやっているものだと思います。

 第一、これを千で足りなければ一万でもやればいいと。生活保護費というのは、そもそも、いただいた現金は、保護費は自由に使っていいわけでありますから、その中身を全部調査するということが果たして適切かどうか、この調査の目的も踏まえて、大臣ともよく協議してまいりたいと思います。

長妻分科員 それでは、桝屋副大臣にもう一問質問したいと思うんです。

 そうすると、これだと、実際に一般の御家庭の支出に占める電気製品の割合が三・四%、生活扶助相当消費者物価指数、生活保護を受けておられる方の支出に占める割合が五・四%ということで、一般の勤労世帯よりも、一番の低所得の生活保護を受けている方の方が、電気製品の支出の割合が高いんですね。

 という計算で物価下落を計算しているんですが、これは違和感はないですか。一番の低所得の生活保護の方の方が、支出に占める電気製品の割合は普通の御家庭より大きいんだというのは、不思議には思われませんか。それはそうだと思われるんですか。

宮路主査 時間が来ておりますので、桝屋副大臣、手短にお願いいたします。

桝屋副大臣 詳細、この比較、今の議論を聞きながら、何とも言えないなと思っているんですが、ただ、私の実感としては、生保世帯の電気製品の使用ということも、一般世帯と比べてそれほど大きな変化はないのではないかというふうに私は理解しておりますが、きょうの御指摘も踏まえて、自分も研究してまいりたいと思います。

長妻分科員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

宮路主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日月曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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