衆議院

メインへスキップ



第1号 平成28年2月25日(木曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成二十八年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋元  司君    金田 勝年君

      根本  匠君    山下 貴司君

      西村智奈美君    山井 和則君

二月二十四日

 秋元司君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年二月二十五日(木曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 秋元  司君

      赤枝 恒雄君    大隈 和英君

      金田 勝年君    木村 弥生君

      白須賀貴樹君    武村 展英君

      谷川 とむ君    根本  匠君

      堀内 詔子君    山下 貴司君

      大畠 章宏君    田嶋  要君

      高井 崇志君    西村智奈美君

      山井 和則君

   兼務 奥野総一郎君 兼務 小山 展弘君

   兼務 水戸 将史君 兼務 本村賢太郎君

   兼務 伊佐 進一君 兼務 國重  徹君

   兼務 真山 祐一君 兼務 斉藤 和子君

   兼務 島津 幸広君 兼務 伊東 信久君

   兼務 浦野 靖人君 兼務 小熊 慎司君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中島  誠君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 河合  潔君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 掛江浩一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池永 敏康君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           生川 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       福本 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         中垣 英明君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       加藤 誠実君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           杉藤  崇君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 深見 正仁君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  根本  匠君     谷川 とむ君

  西村智奈美君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     堀内 詔子君

  笠  浩史君     大畠 章宏君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     白須賀貴樹君

  大畠 章宏君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     武村 展英君

  田嶋  要君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  武村 展英君     赤枝 恒雄君

  高井 崇志君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     木村 弥生君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大隈 和英君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     根本  匠君

同日

 第一分科員本村賢太郎君、小熊慎司君、第二分科員奥野総一郎君、小山展弘君、浦野靖人君、第三分科員真山祐一君、斉藤和子君、第四分科員伊佐進一君、第六分科員水戸将史君、國重徹君、伊東信久君及び第七分科員島津幸広君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

秋元主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 平成二十八年度厚生労働省関係予算案の概要について御説明を申し上げます。

 平成二十八年度厚生労働省所管一般会計予算案の総額は三十兆三千百十億円であり、平成二十七年度当初予算額と比較をいたしますと、三千九百六十三億円、一・三%の増加となっております。

 また、平成二十八年度厚生労働省所管特別会計予算案については、復興庁に一括計上した予算案を含め、東日本大震災復興特別会計、労働保険特別会計、年金特別会計に所要の予算案を計上しています。

 平成二十八年度予算案では、先般成立した平成二十七年度補正予算とあわせ、一億総活躍社会の実現に向けた新三本の矢関係の施策を重点的に推進することとしています。第一の矢である希望を生み出す強い経済として、最低賃金、賃金引き上げを通じた消費の喚起などを、第二の矢、夢を紡ぐ子育て支援として、出産後、子育て中も就業が可能な多様な保育サービスの充実などを、第三の矢、安心につながる社会保障として、高齢者の利用ニーズに対応した介護サービス基盤の確保などを図ってまいります。

 また、消費税増収分等を活用した社会保障の充実については、消費税増収分に加え、社会保障改革プログラム法等に基づく重点化、効率化による財政効果も活用し、子ども・子育て支援新制度の段階的な拡充などを行うこととしております。

 以下、主要施策について説明をいたします。

 第一に、医療、介護について、団塊の世代が七十五歳以上となり、医療、介護等の需要の急増が予想される二〇二五年、さらにその先の二〇三五年を見据えた課題解決に向け、医療・介護サービス提供体制の改革を本格的に進めるため、地域医療介護総合確保基金による事業や認知症施策などを推進します。

 また、医療分野の研究開発を促進することなどにより、革新的な医療技術の実用化を推進し、医療関連産業の国際競争力を向上させるとともに、予防、健康管理の推進などにより、健康長寿社会の実現を目指します。

 第二に、子供を産み育てやすい環境を整備するため、子供の貧困と一人親家庭対策の推進や児童虐待防止対策、社会的養護の充実強化、待機児童解消加速化プランに基づく保育所等の受け入れ児童数の拡大、母子保健医療対策の強化などを図ります。

 第三に、少子高齢化が進む中で、全員参加の社会の実現を加速するため、女性の活躍推進、仕事と家庭の両立支援、若者の就職支援、高齢者、障害者等の就業環境整備などを図ります。

 第四に、公正、適正で納得して働くことのできる環境整備を図るため、非正規雇用労働者の正社員転換や待遇改善、働き方改革の実現、人材力強化、人材確保対策の推進などを図ります。

 第五に、健康で安全な生活の確保のため、難病、がん、肝炎等の各種疾病対策や感染症対策などを推進するほか、危険ドラッグ対策、食品の安全対策、強靱、安全、持続可能な水道の構築などの取り組みを進めます。

 第六に、自立した生活の実現と暮らしの安心を確保するため、地域の福祉サービスに係る新たなシステムの構築、生活困窮者の自立・就労支援等の推進や生活保護の適正実施、自殺対策の推進などを図ります。

 第七に、障害児、障害者の社会参加の機会の確保と地域社会における共生を支援するため、障害福祉サービスの充実、地域生活支援の着実な実施や就労支援、精神障害者や発達障害者などへの支援施策を推進します。

 第八に、持続可能で安心できる年金制度を確実に運営するとともに、日本年金機構における不正アクセスによる情報流出事案を踏まえた情報セキュリティー対策の強化を進めます。

 以上のほか、世界保健機関や国際労働機関等を通じた国際協力の推進、科学技術の振興などを図ります。

 なお、委員の皆様のお手元に資料が配付されていますが、一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額については、説明を省略させていただきます。

 今後とも、国民生活の安全、安心の確保と質の向上、雇用の安定を図るため、厚生労働行政の推進に一層努力していきますので、皆様のなお一層の御理解と御協力をお願いいたします。

秋元主査 この際、お諮りいたします。

 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔一般会計予算案の主要経費別内訳及び特別会計予算案の歳入・歳出予定額は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

秋元主査 以上をもちまして説明は終わりました。

    ―――――――――――――

秋元主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑時間はこれを厳守され、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊佐進一君。

伊佐分科員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 いよいよ、休憩時間を入れて十二時間という長い長い審議が始まりまして、本当に、三役の皆さん初め、また政府側の皆さんの元気と気力のみなぎっている一番最初の時間帯をいただきまして、まことにありがとうございます。ぜひ前向きな答弁を期待しておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、冒頭質問させていただきますのは、がん対策、とりわけ緩和ケアというものについて質問させていただきたいと思います。

 がんの患者の皆さんの体の痛みというのは、進行すればするほど、本当に激しい痛みが伴ってくるというふうに言われております。この痛みにどうやって向き合うかというこの緩和ケアですが、これは、がん対策基本法が策定されました十年前にこの緩和ケアという概念が導入されまして、その中でさまざま取り組みが進んでまいったわけでございます。

 十年たって、今現状どうか。これは厚労省でも研究をされておりますが、その研究で、この緩和ケアの現状についてアンケートをとられたそうです。その結果ですが、特に比較的がん対策に対して質がいいと言われている病院ですら、三割の患者の方々が痛みがなかなかとれていないという結果が現在出ております。これは、まだまだ、緩和ケアという観点、進める余地がさまざまあるんじゃないかなというふうに思っております。

 なかなか痛みがとれないというのはなぜかという要因分析も厚労省はされておりまして、例えば、一つ上がっておりますのが、緩和ケアチームであるとかあるいは医療者、この提供側がなかなか、技量が不足しているのではないかという指摘もございます。患者が痛みを訴えてもなかなかこれを医師が適切に対応できなかったりとか、あるいは対処できないというような結果になっているというような声も伺っております。

 まず、こうした指摘がさまざまある中で、今後、緩和ケアの質の向上にどうやって取り組んでいくのか、厚労省に伺いたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 がん患者が質の高い生活を送るために緩和ケアが重要であるというのは御指摘のとおりでございまして、がん対策推進基本計画におきましても、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進、これを重点的に取り組む課題と位置づけまして、その推進に取り組んできたところでございますけれども、先ほど御紹介があったように、がん診療連携拠点病院においても、なお体の痛みがあるという患者さんが三割いらっしゃるという結果になっております。

 このために、昨年の十二月にがん対策加速化プランをまとめたわけでございますが、この中で、緩和ケアを推進するために、緩和ケアチームの実地研修、それから地域で緩和ケアを担う看護師等の育成、緩和ケア研修会のさらなる受講促進等を盛り込みまして、医療従事者の技能向上を図るということをしておるわけでございます。

 厚生労働省といたしましては、こういう取り組みを通じて、緩和ケアをさらに推進してまいりたいと考えております。

伊佐分科員 痛み除去という観点で徹底的にメスを入れていただいて、患者の皆さんの今のさまざまな現状、苦痛からぜひ解放していただきたいというふうに思っております。

 二点目、このがん対策についてですが、がん教育についてでございます。

 がん教育というのは、公明党もこれまで長らくずっと主張してまいりまして、ようやく平成二十九年度からがん教育が全国で展開されるというような状況になってまいりました。

 御存じのように、三人のうち一人ががんで亡くなる時代で、また二人に一人ががんになるという時代の中で、がんを教育するということは実は非常に大事なことでございまして、子供たちにがんというものを伝える、また、あわせて命の大切さというものも伝えていくということ。

 子供たちにがんというものを伝えることによって、実はがんの検診の受診率向上にもつながっていくというふうに言われております。これは、子供が大人になったときに検診に行くようになるよというところももちろんあるんですが、さらに言えば、教育を受けた子供の親に対して、その親が、例えば、自分ではなかなか検診に行かないんだけれども、子供に言われたら、では行くかと。お父さん、こういうこと、お母さん、こういうことを教えてもらったよ、検診に行った方がいいんじゃないの、この声を受けて検診に行くというような方が多いというアンケートの結果もございます。そして、早期発見につながっていけば、多くの命が助かっていくということもございます。

 こうしたがん教育もいろいろな、さまざまな意義があるものでございますが、今、ようやく小中高、小学校、中学校、高校生の教材であるとか、あるいはガイドラインというものも完成間近というふうに伺っております。自治体は自治体で協議体をつくって準備を進めておりまして、いよいよがん教育が始まるんだなというふうに思っております。

 ただ、一点ちょっと指摘されておりますのは、医師の確保の問題です。これは、例えば、中学校で一人の医師が複数担当する、一人の医師が二つの学校を担当するというふうな仮定を置いたとしても、単純に計算しても五千人ぐらい医師が必要だということになります。どれぐらい医師が必要かというこの規模感というものもしっかりと把握しなきゃいけないというふうに思っておりますし、また、教育の現場に医師が入っていくわけですから、いろいろな研修も必要になってくるというふうに思っております。

 厚労省はぜひ、医師確保という観点で、文科省とも連携していただいて、医師の研修を初めいろいろな、確保について全力で対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

福島政府参考人 先生が御指摘のように、子供のころからがんに対する正しい知識と、がん患者さんに対する正しい認識を持つことが重要なことでございまして、平成二十四年六月に策定した第二期のがん対策推進基本計画におきましても、がん教育を分野別施策として盛り込んだところでございます。

 この基本計画に基づきまして、文部科学省におきまして、平成二十六年度から、がんの教育総合支援事業、これを開始しておりまして、二十七年度は、二十一地域八十六校においてがん教育を試行的に実施されておるということでございます。

 昨年の十二月に策定したがん対策加速化プランにおきましても、この事業を拡充するために、学校医あるいはがんの専門医等の外部講師の確保をすることとしておりまして、私ども厚生労働省といたしましても、文部科学省と連携しまして、全国に約四百カ所指定しておりますがん診療連携拠点病院等も活用しながら、外部講師の確保に対する支援を行ってまいりたいと考えております。

伊佐分科員 ぜひ、今さまざま自治体でも取り組みが進んでおりますが、各自治体、地域に任せきりになるのではなくて、しっかり国がイニシアチブをとって、しっかりとフォローいただきたいというふうに思っております。

 次は、アスベストの被害、それに対する研究開発というものについて伺いたいと思います。

 私の地元は大阪でございまして、大阪の例えば泉南地域というところは、アスベストの被害に遭われた方々が非常に多いと言われております。これは、日本の石綿紡績業というのが泉南地域で一九〇七年に始まったと伺っておりますが、この工場は、全国の八〇%が大阪の泉南地域というところに集中しているというふうに言われております。

 一昨年、国賠訴訟、国家賠償の訴訟がございまして、国の責任が認められたということになりました。国は責任があるということになったわけですが、このアスベストによって引き起こされるがんが中皮腫というものでございます。これは、潜伏期間は大体三十年から五十年、早期発見がなかなか難しいというふうに言われておりまして、非常に難しい難治性のがんでして、例えば、これまでの抗がん剤だったりとかあるいは放射線治療、こういうものがなかなか、効き目が薄いというふうに言われております。

 これに対してどういう研究が進んでいるかといいますと、大阪の茨木市の医薬基盤・健康・栄養研究所というところで中皮腫に対する最先端の治療法が今研究されております。この治療は非常に画期的でして、遺伝子治療の一種なんですが、がん細胞の増殖を抑制する薬を投与していくと、がん細胞だけが消滅するという効果がございまして、これは今、マウスを使った実験では、安全性あるいは効果というものが一定程度評価されているというふうに伺っております。

 いよいよ人に対する治験の段階に入っていくのではないかというふうに言われておりますが、先ほど冒頭申し上げたように、最高裁の裁判によって、国は責任があるというふうに判断されたわけですから、ぜひ、被害に遭われた方々の治療法をどうするか、これはまさしく希望でもありますので、これを国が全面的にバックアップしていただきたいというふうに思っております。

 こうした研究所で進めている遺伝子治療、遺伝子治療というのは、今、がん治療の中でも、再生医療と並んで、新しい医療の柱だというふうに言われておりますけれども、こうした中皮腫への治療を初めとして、遺伝子治療について、ぜひ政府から強力な後押しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹内副大臣 お答えいたします。

 がん研究につきましては、平成二十六年三月に文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣の関係三大臣確認のもと策定したがん研究十か年戦略を踏まえて、総合的かつ計画的に推進をしているところでございます。

 中皮腫の研究に関しましても、本戦略に基づいて、日本医療研究開発機構を通じて、中皮腫に対する遺伝子治療などの研究開発を支援しているほか、労災疾病臨床研究事業費補助金によりまして、アスベスト関連疾患に関する治療法の研究を進めているところであります。

 昨年十二月に策定したがん対策加速化プランにおきましても、難治性がんや希少がんの研究開発に対する支援を充実することとしておりまして、今後も、中皮腫を含めて、がん患者に対する遺伝子治療などの革新的な治療開発を推進してまいりたいと決意しておるところでございます。

伊佐分科員 がん治療の研究開発でもう一問質問させていただきたいと思います。

 今からちょうど五十年前になりますが、一九六六年のことですが、「ミクロの決死圏」という映画がありました。本当に小さい、ミクロサイズになった医療チームが宇宙艇みたいなものに乗って治療していくというような映画がございましたが、今まさしく、この映画の世界が現実になろうとしております。

 これがドラッグデリバリーシステムというものです。ナノマシン技術とも言われますが、通常、患者の皆さんに薬を投入すると、体全体に行き渡ってしまいますので、この効果が大分薄れていく。百分の一から一万分の一というふうに言われています。当然、ほかの部位にも影響しますので、副作用もあるというような状況です。この新しい研究開発、ナノマシン、分子ロボットというふうに言われていますけれども、これは、ナノですので、ミクロよりもっと小さいわけですが、こういったものに薬を運ばせて、標的となるがん細胞のところまで運んでくれて、そこで集中して投与する、こういう技術がございます。

 まさしく、体内に入っても攻撃されず、トロイの木馬というふうに言われていますけれども、ずっと奥まで入っていって、これは医療と工学の融合だというふうに言われておりますが、こうした最先端の治療法を一刻も早く患者さんのもとに届けていただきたいというふうに思っております。

 その実用化に向けて、厚労省、文科省、しっかりと連携して後押しをお願いしたいと思いますが、文科省、いかがでしょうか。

生川政府参考人 文部科学省といたしましては、御指摘のとおり、次世代のがん医療の確立に向けて、ドラッグデリバリーシステムを初め、患者に優しい治療法や診断法などの研究開発を戦略的に推進し、実用化に向けた取り組みを加速していくということが非常に重要であるというふうに考えております。

 文部科学省では、平成二十三年度から、次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラムという事業を実施し、がんに係る基礎研究を支援してきているところであります。

 そんな中で、ドラッグデリバリーシステム技術についても、それを対象とした研究課題につきまして、平成二十六年度から四課題を採択して支援をしているところでございます。

 今後も、日本医療研究開発機構や厚生労働省等と連携をしながら、患者に優しい、次世代のがん治療の実用化に向けた研究開発をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

伊佐分科員 患者に優しいという言葉を言っていただきました。がん患者の皆さんは、本当にさまざま副作用で苦しんでいらっしゃる方々もたくさんいらっしゃって、患者に優しい、体も切らなくていい、こういう研究開発をぜひ力を入れて進めていただきたいというふうに思っております。

 医療の研究開発について、最後にもう一点お伺いしたいと思います。

 私の地元大阪、また関西は、今、医療の特区に指定をされておりまして、関係機関が連携してこうした医療の研究開発に力を入れているところでございますが、地方創生という観点からしましても、この医療研究分野を、東京だけじゃなくて、いろいろな地域地域、多極化していくという取り組みは非常に重要だと思っておりまして、政府も非常にバックアップを今していただいております。

 例えば、今回の地方創生の観点でも、地方移転ということで、国立の健康・栄養研究所、これを大阪に移転するということで今議論を進めていただいております。また、PMDA、医薬品とか医療機器を審査する機関がございますが、このPMDAの西の拠点としてPMDA―WESTというものを大阪にもつくっていただいております。この政府のバックアップは非常にありがたい、感謝しておりますが、こうした取り組みは、ぜひ引き続き、さらに進めていただきたいと思っております。

 例えば、このPMDA―WESTというもの、今、審査機能はありません。今PMDA―WESTにあるのは、調査機能であったりとか、あるいは相談機能の中でも一部だけが移管されておりますが、相談機能ももっといろいろあるんじゃないかというふうに思っておりまして、このPMDA―WESTについても、大阪、関西にとって使い勝手のいい機関にぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中垣政府参考人 ただいま御指摘をいただきました医薬品医療機器総合機構の関西支部、いわゆるPMDA―WESTでございますけれども、これにつきましては、大阪府を初めとした地元の御要望でありますとか、それから、さらにその御協力も得て、二十五年十月に開設させていただきまして、今御指摘がございました、シーズの実用化に向けた開発戦略等に係る事前の相談といったことを実施しておるところでございます。

 また、昨年の十二月には、この支部におきまして、治験の計画内容や試験結果の評価等、全ての相談を実施可能としようということで、厚生労働省、PMDA、大阪府の間で、PMDA―WESTの機能拡充に関する合意がなされたところでございまして、今委員御指摘がございましたような、全ての相談を可能にするとか、そういった合意がなされておりまして、本年六月から実施できるように、今準備を進めておるところでございます。

 今後とも、関西発の医療イノベーションの促進に貢献できるように努めていきたいというふうに思っているところでございます。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 この相談機能、今まで一部だったのを全部にしていきます、六月からやっていきますという御発言をいただきました。ぜひ着実に進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、特別な支援が必要な子供たち、障害児の皆さんへの支援について伺いたいと思います。

 私が現場でいろいろな声を聞いております中でありますのは、障害児の皆さんのための発達支援センターのところを何回か行かせていただいております。その中で、こういう声があります。

 例えば、子ども・子育て支援新制度というのができました。新しい基金というのができたわけですが、保育園とか幼稚園に通う障害児の皆さんは加算がある、それなりに支援が今回ふえた。ところが、インクルーシブになじめないような、やはりどうしても特別な療育が必要だと言われる子供たちは発達支援センターに通っておるわけですが、こうしたところは新制度の対象じゃない、同じ子供なのに違うという声。

 あるいは、例えば、重度の子供たちをセンターで受け入れたときに、保育園であれば保育士が一人配置されるわけです。ところが、支援センターの場合は、重度も軽度も、ずっと四対一という配置も変わらない、加算もないというような状況、看護師の加算もないというふうに伺っております。

 また、一番大変だというふうに言っていますのは、欠席時の取り扱い。つまり、それぞれの障害児の皆さんに支援計画というものをつくって、年二回以上策定していくわけですけれども、大体一週間こういうスケジュールでやりましょうねというようなものをつくっていくわけです。ところが、皆さんさまざま障害を持たれていらっしゃいますので、調子のいいときと悪いときがあるわけです。なかなか計画どおりに出席できない、通えない。きょうはちょっとどうしても体調が悪いので欠席するというような場合もあるわけです。

 ところが、発達支援センターの皆さんへの補助というのは保育園と違っています。保育園は一カ月まとめてお金が出ますが、ここは、その日その日に来られたかどうかによって、つまり、サービスを提供したかどうかによって給付金が入るかどうかというような状況になっております。だから、突然休みがある場合には国から補助が出ないんです。正確に言うと、急に休みになったとしても、月四回だけ出ます。ただ、四回出ても、一日、一回当たり千円しか出ない。もともと、来られれば一人一万円相当の給付金が来るわけですが、全然差があるわけです。当然、センターとしては、来るものだと思って人員配置をしているわけですから、その分どんどん穴が出てくるというような状況になっております。結局、持ち出しがある。

 いろいろ申し上げましたけれども、私が申し上げたいのは、いろいろな大変な状況の中で支援センターの皆さんは運営されております。それをぜひわかっていただきたいというふうに思います。国からも、ぜひできるだけ支援をいただきたいと思います。

 よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。

竹内副大臣 お答えします。

 児童発達支援センターは全国で四百五十三カ所ございまして、これは、障害児への発達支援を行うだけでなく、地域の障害児やその家族の相談支援、障害児のいる保育所や学校等への援助、助言を行うなど、地域の中核的な障害児の支援施設として大変重要な役割を担っているものでございます。

 このため、児童発達支援センターの役割を踏まえまして、平成二十七年度障害福祉サービス等報酬改定におきまして、保育所や学校などとの連携を評価する関係機関連携加算や、障害児とその家族に対する相談援助を事業所内において実施した場合に評価する事業所内相談支援加算を創設いたしまして、手厚い支援を行う児童発達支援センターに対する評価を充実したところでございます。

 今後、児童発達支援センターのあり方につきましては、その運営の状況や関係団体等の意見も踏まえまして、また、先生の御指摘を踏まえまして、今後ともさらに検討をしてまいりたいというふうに思っております。

伊佐分科員 ぜひ、現場の大変な状況を御配慮いただければと思います。

 最後に、一言だけいただければと思いますが、障害者のグループホーム、これはスプリンクラー設置というものが義務づけられて、基準はさまざま現場の声も上がっておりますが、ぜひ、こうした新しい規制をしてスプリンクラーをつけなさいという場合には、しっかりとした補助を厚労省からお願いしたいと思います。

 最後に一言、よろしくお願いします。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 グループホームの防火安全対策として必要なスプリンクラー整備につきましては、社会福祉施設等施設整備費補助金において補助対象としてきたところでございます。

 この補助金につきましては、なかなか国の財政状況も厳しい中ではございますけれども、平成二十八年度当初予算案におきましては、対前年度で四十四億円増の七十億円を計上したところでございます。

 今後とも、このグループホーム等に関しまして、必要な施設整備費の確保に努めてまいりたいと考えております。

伊佐分科員 以上、終わります。ありがとうございました。

秋元主査 これにて伊佐進一君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)分科員 民主党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きのうも、介護疲れが背景にあり、殺人事件が起こったという報道もございまして、年間平均約四十件、昨今の川崎の事故も含めて、介護現場で、いわゆる介護人材の皆さんのストレスが原因で起こった事件もありますし、老老介護等々から起こる事件もあるんですが、まず第一番目に、大臣は介護施設の現場を視察されたことがあるのか、そして、そのときに受けた感想をまずお聞きしたいと思います。

塩崎国務大臣 介護の現場は、さまざまこれまでも見てまいりました。私の地元でももちろん何度となく足を運んでいますし、そもそも私の母も、今九十五、有料老人ホームに入っております。家内の両親と住んでおりましたが、二人とも老健施設に入っておりましたが、父の方はつい二週間ほど前に病院で亡くなりました。母はまだ老健施設におりますけれども、引き続き自宅と老健施設と行ったり来たり、こういうことであります。

 加えて、厚生労働大臣としても、二十七年度、この年度は、七カ所の介護の関連施設に行ってまいりました。

 例えば、直近では和光市で施設を見てまいりましたけれども、この際は、特に介護予防に力を入れている市として有名なところでございまして、総理も行かれたようでありますが、要支援の方が改善をしていく、そういうところに力を入れている市の頑張りというのを見せていただいて、感銘を受けたところであります。これは、やはり先進事例は全国に展開しないといかぬなというふうに思った事例でございました。

 それから、ちょっと前でありますけれども、立川にありますけれども、特別養護老人ホームなどを運営している社会福祉法人至誠学舎立川、ここで、かなり大きな施設でありますけれども、さまざまなものが複合的にある社会福祉法人で、介護人材の確保あるいは育成が重要な課題だということを聞いてまいったところでございます。

本村(賢)分科員 今、大臣のお話で、二週間前に御不幸があったということで、お悔やみを改めて申し上げます。

 やはり、さすが大臣ですね、あちらこちらの施設に回られて、御自身の親御さんや義理の御両親も老健や有料に入っているというお話も聞きまして、かなり現場のことは御存じだと思いますけれども、私も昨今、地元相模原市の施設に回ってまいりますと、非常に、介護人材の不足や、それから、後ほど触れますが、在宅医療の関係で、二年前に四分の一に切られた関係でお医者さんが集まらないんじゃないかというお声を聞いたり、全てやはり、施設長などからお話を伺ってまいりましたが、入っているお年寄り、高齢者の皆さんが安心して、しっかりとした施設を構築していくためにも、介護人材、さらには医療のあわせた提供というものが非常に大事だということを伺ってまいりました。

 安倍政権では介護離職ゼロということで打ち上げられておりまして、非常にいいお話だなと思うんですけれども、この話は、二〇二〇年初頭までに五十万人分の施設を整備するということでありまして、大いに頑張っていただきたいと思っております。

 今、内閣府の平成二十四年高齢者の健康に関する意識調査によれば、自宅で最期を迎えたい人は五四・六%、自宅で介護を受けたい人は三四・九%ということでありまして、政府も恐らく自宅でのみとり等々を推奨しているんじゃないかと思います。

 一つ、御自宅でやはり一番の大きな問題は、介護の方を受けると、認知症の方が今非常に多いということを伺っておりまして、なかなか御自宅で認知症の高齢者の方を見るのが、生活が壊れてしまうという声も伺っています。

 そういう中でありますが、在宅介護の推進に関する政府の姿勢についてお伺いいたします。

唐澤政府参考人 先生御指摘のように、御希望としては、在宅で暮らし続けたい、あるいは家族で見続けたいという御希望があるわけでございますけれども、実際問題には、やはり医療、介護の負担というものは相当ございますし、特に認知症になった場合は、なかなか対応の方法も十分に伝わっていないということもございまして、大変でございます。

 ただ、私どもは、私の所管しております診療報酬におきましても、あるいはまた介護保険の方の報酬におきましても、できるだけ在宅での医療、介護というものを推進して、地域包括ケアを実現するということで進めてまいりたいと考えているところでございます。

本村(賢)分科員 私ども民主党も、介護離職ゼロの前に、介護職離職をなくす方が先じゃないかという指摘をまずしておきたいと思います。

 昨年八月に、五百二十九の介護事業所を民間企業がアンケートを行った結果、八割以上の事業所が人材不足と回答されておりますし、厚労省の調査でも、やや不足、不足、大いに不足が合わせて五八%と、やはり不足側の方が多くございます。

 そういった中で、平成二十六年度の職員による虐待の確認は三百件を超えておりまして、過去最多となっております。これは、先ほどの川崎の事例でも話したように、介護する皆さんのストレス等々が大きな原因ではないかと思っておりますし、過重労働によるストレスや人手不足による質の低下と専門家は指摘をしているようでありますが、介護人材不足の対策についてお伺いいたします。

塩崎国務大臣 今回、介護離職ゼロということの目標を掲げている一億総活躍社会づくりでありますけれども、今先生御指摘のように、介護の現場は人材を確保することに本当に御苦労されていることはよくわかっておりますし、有効求人倍率を見てもほかの職種と比べると圧倒的に高いということで、御苦労されているわけであります。

 介護施設などの整備と当然あわせて人材の確保を図っていくということが必要であるわけでありまして、就業促進それから離職の防止などをしっかりやらなきゃいかぬということで、今回、この緊急対策、それを反映する二十七年度の補正予算、そしてまた来年度の予算の中で数々手を打たせていただいているわけであります。

 まず、例えば、介護福祉士を目指す学生さんに対して、奨学金についてこれまでよりも拡充しようということで、介護職に五年間勤務をしていただいた場合には返済を免除するというような奨学制度をつくろうということでございます。

 それから、一旦仕事を離れた方々にどうやって戻ってきてもらうのか、これもまた大事なことでございまして、その際、再び仕事につく場合には、介護職に二年間の勤務を復職後していただければ返済を免除するという再就職準備金貸付制度というのを今回新たに創設させていただきました。

 それから、地域医療介護総合確保基金というのがございますけれども、この働きとか、働きやすい職場づくりに取り組む事業者のコンテストとか表彰とか、こういうことをやって、できる限り魅力的な職場をつくっていこうということで手だてを導入しているところでございまして、介護施設等における職員のための保育施設の開設なども大事な支援だというふうに思っております。

 もちろん、介護ロボットあるいはICTを活用して生産性を向上して、仕事がやはりつらいというのをどうやって軽くするかということが、また人が来ていただけるようになるきっかけになるのではないかということで、そういった面でも支援をしているところであります。

 これはもう何度も申し上げておりますけれども、処遇改善加算というのを、前回の介護報酬改定のときに、新たなものとして月々一万二千円取れるという制度を入れ、これについては、去年の十一月段階で約七割の事業所が加算の上乗せを取っていただいているということでございます。

 いずれにしても、今先生御指摘のように、人材がいなければ介護はしっかりできないということでありますので、介護離職ゼロと、そして介護の現場の方々の離職もなくしていくということに力を入れていきたいというふうに思っております。

本村(賢)分科員 私も相模原が地元でありまして、今回幾つかの介護施設にお邪魔している中で、例えば毎月八十万円、百万円の広告代を使って人材を募集してもなかなか日本人が集まってこない、非常に厳しい現実があるということで、あとは介護報酬二・二七%の削減も非常に響いているという声を伺っております。幾つものメニューを大臣を中心にやっていただいていることは、ここは評価をしなくちゃならないわけでありますけれども。

 そこで、労働力確保のために行っていないとは承知をしているわけでありますが、一方では、現場では、人材不足の解消に、EPAということで、インドネシア、フィリピン、ベトナムと結んでいる観点で、この三カ国の皆さんが、二国間の経済連携の強化というのが本来の趣旨だということは十分承知をしておりますが、こういった外国人労働者に対しても非常に現場の皆さんは大きな期待をされております。

 特に、親日であるインドネシアの皆さんは試験に合格する確率が比較的高いと伺っておりますが、フィリピン、ベトナムはまだまだ厳しい形でありますし、三年間現場で働いて、介護福祉士の試験を受けて、おっこちると一年間また延期できるようでありますが、帰ってしまう方も多いようでありまして、そういった帰ってしまう人材を、やはり地元の人たちはもう一度、例えばフィリピンに行って、もう一回試験を受けてくれないかと。恐らく、日本で得た経験が、後にはこのフィリピンやインドネシア、ベトナムで介護という形で生かされていくというふうには思っているんですが。

 平成二十六年十月から外国人介護人材の受け入れに関する検討会が行われておりまして、あす取りまとめがあるとも伺っているんですが、介護におけるEPAの拡充についてお考えをお聞かせいただきたいと思っています。

塩崎国務大臣 先生今御指摘のように、インドネシア、フィリピン、ベトナムにつきましてはEPAで介護の人材を入れるということになっているわけでありますが、この外国人介護福祉士候補者については、既に二〇一五年の日本再興戦略、これは去年の六月三十日に閣議決定をしておりますけれども、そのさらなる活躍を促進するための具体的な方策を検討しろということになっておりまして、これが、今お話あったように、本年度中に結論を得るということになっています。

 今御指摘をいただいた外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会につきましては、今議論を重ねておるところでございますけれども、今月十九日に、先週ですか、外国人介護福祉士候補者の研修を行う受け入れ対象機関の範囲の拡大というものを固め、これは有料老人ホームなども追加をするということでありますが、そしてまた、そこで研修を修了して介護福祉士の資格を取得した、そういう人たちに関しては、就労の範囲の拡大ということで、医療機関についても御活躍をいただこうじゃないかということになりました。

 そういったことを初めさまざま今議論をしているところでございまして、今お話がありましたように、二十六日、あすでございますが、検討会を開催して取りまとめをしようというふうに思っておりますので、その検討会での御議論を踏まえて、介護福祉士候補者などのさらなる活躍を促進してまいりたいというふうに思っております。

本村(賢)分科員 今のお話ですと、外国人の皆さんの働く環境が、少し枠が広がるのかなという方向で捉えましたので、ぜひとも、日本で経験した外国人の皆さんが、やはり本国でもまた日本での介護の経験を生かせるような形で、ともにウイン・ウインの形になるように御指導をお願いしてまいりたいと思っています。

 次の質問は、在宅医療について、先ほど大臣の方からも、御身内の皆さんが老健や有料に入られているという話を伺いましたが、高齢者施設における在宅医療の重要性について、大臣のお考えをお伺いいたします。

塩崎国務大臣 在宅というのは、やはり一人一人にとっては、自宅で医療を受けたい、暮らしていきたい、最期まで自宅にいたいというのが基本なんだろうと思います。

 そういう意味で、先生御指摘のように、在宅医療が重要だということは間違いのないことだろうというふうに思っておりまして、これはやはり、住みなれた地域、御近所にもいろいろ知っている方もおられるという中で、自分らしい暮らしを続けることが大事でありますので、地域における医療、介護の関係機関が連携をしていくということがないと、介護だけ、医療だけではなかなかうまくいかない。その他の、住まいの整備とかいろいろなことがありますから、包括的かつ継続的な在宅医療・介護がスムーズに提供できるような、そういうことが大事なのではないのかなというふうに思っているところでございます。

本村(賢)分科員 大臣からも、在宅医療の重要性について今お話をいただきました。

 それでは、参考人の方にちょっと御質問させていただきますが、この在宅医療の診療報酬について、きょうは皆さんのお手元に資料を配らせていただいております。

 先ほど冒頭にも触れましたが、二年前の在宅医療に関する診療報酬改定の際、在宅医療をやっているドクターの皆さんから、全体の約二、三%ということなんですけれども、今、約一万四千、在宅関係をやっている医療法人があるんですかね、そういった皆さんからお話を聞いたのが、突然四分の一になってしまったということで、これはなかなか、四分の一になってしまうと、例えば、床屋さんでも、四千円カットで、今、普通ありますよね、四千円ちょっとでやっていますが、これが千円カットに突然店がわりするのは非常につらいということであります。

 特に言われていたのが、在宅医療に携わっている皆さんは、ドライバー、事務、それから御本人、ドクターですね、それから看護師さん、大体三人から四人が一体となって各お宅や高齢者施設を回られているということなんですが、前回なぜ四分の一に減ったのかということと、それから、その後、特例措置がとられまして、一医療法人一日三人まで、そういう方が高齢者施設に行けば高得点のままだ。

 確かに、これまでの二年前の点数が高過ぎたというのも、これもやはりドクターの皆さんも認めていらっしゃるし、また、介護現場にいらっしゃる施設長の皆さんからもそういう話を聞きました。ただ、四分の一にいきなり切っちゃうのは非常につらい話でありますし、今回、またその特例措置をなくして、この答申のままいけば、二年前の四分の一と同じ点数になってしまうわけでありまして、一つは、施設長の皆さんからも、それから親御さんが入居されている皆さんからも、介護と医療が一体だからこそ例えば高齢者施設なんかにお預けしている、そういったことが、なかなか回ってくるドクターがいなくなってしまうんじゃないか、そういう心配をしている声を今回この質問を機に地元で聞いてきたわけであります。

 なぜ今回、四分の一に減らしたのか、特例措置がなくなったのか、まとめて質問させていただきます。

唐澤政府参考人 在宅医療につきましては、経過につきましては今先生からいろいろ的確な御指摘をいただきました。

 御指摘のように、私ども、考え方としては在宅医療を推進していくという、これはもうはっきりしているわけでございますが、実は、二十四年の診療報酬改定におきまして、在宅医療を推進するためにかなり思い切った点数を設定いたしました。これは、医学管理料が四千六百点、四万六千円、それから、そのほかに訪問診療料がおよそ一万円ございますので、お一人の方に五万五、六千円というかなり思い切った配分をいたしました。これで、在宅医療をやる方は非常に少なかったわけでございますけれども、かなり取り組んでいただく方がふえてきたわけでございます。

 ところが一方で、先ほど先生の御指摘にもございましたけれども、高齢者施設の中の一部ではございますけれども、医療機関に紹介して、紹介料をその医療機関が払っているとか、あるいは、通院困難とは言えない患者さんのところに、押しかけと言うと失礼かもしれませんが、過剰な診療をしているような不適切事例もございまして、そういう観点から、在宅医療を適正なものとして普及するということで、前回の改定で四分の一という点数を設けたわけでございます。

 ただし、この四分の一につきましては、先生御指摘のように、これはちょっと急激に下げ過ぎではないかということがございまして、実際上、在宅医療が継続できるのかというような御指摘もございましたので、私どもは、運用上の工夫といたしまして、一つの建物に一人だけ、その日だけ診たときには四千六百点という点数を適用する、千点くらいの低い点数ではなくてということをやったわけでございます。

 ただし、これをやった結果、今回どういう御指摘を受けたかといいますと、いろいろな人を診られるのに、わざわざこの建物で一人だけ診るということで、在宅医療の世界ではいわゆるぐるぐるばらばらということで、非効率な診療が起こって、たくさんの患者さんをちゃんと診てもらっていないというようなことが言われたわけでございます。

 そういうことで、これについてはいろいろ検証してまいりましたけれども、今回の改定におきましては、基本的に、運用上の工夫も整理をさせておりまして、できるだけ効率的な診療をしていただけるようにする。

 あわせて、重症患者の人には点数を高くする。今までは重度の評価はございません。それから、休日の往診を高くする。これは、夜間の往診だけはかなり高い点数だったんですが、休日を夜間と同じ点数にするというようなことをいたしました。

 そういう形で、できるだけきめ細かく診療していただけるように工夫をいたしまして、そして、訪問していただく人数も一定程度診られるようにしているところでございます。

 この点については、先生からも御指摘ございましたので、引き続き、今後の課題として、中医協でも検証しながら御議論をいただきたいと考えております。

本村(賢)分科員 重度の方と休日往診が点数が高いというお話を伺いましたが、重度の方はやはり二十人にお一人ぐらいだというお話を聞きましたし、また、休日往診というのは余り少ないと。やはり、二十四時間体制での診療体制を整えていかなきゃいけないわけであります。

 今政府参考人の方がお話しされたように、一施設に行って一人しか診ないというのは確かに非効率だなと思いますし、集団診療すればいいのになと私も率直に思うんですが、ただ、この今回の改定でも、今回、一人だけ診れば点数は高得点、二人から九人はまあまあの点数、しかし十人以上診ると一気に点数が下がるということでありまして、ここが少しやり過ぎな点もあるんじゃないかなと思っております。

 二年前に朝日新聞が掲載して、紹介料を取ったとか、いろいろな、仕事の中で悪さをした方々もいらっしゃったようでありますから、この問題はやはり正していかなきゃいけないと思っておりますが、ただ、入っている高齢者の皆さんが安全で安心な医療と介護を受けられる体制というのは、介護人材の的確な確保と、それからやはり医療の正しい提供をしていくことでありまして、今回も、お二人のドクターの方から地元でちょっとお話を聞いてきたんですが、なかなかこの点数ではやり切れないかもしれない、そして施設長側の皆さんからも、これでは、今、自分のところはできないと言ってきている医療機関が結構出てきているということで、やはり、入居している皆さんに対して非常にここは心配だというお話を伺っておりますので、いま一度よく御検討いただきたいと思っています。

 それでは、大臣に御質問させていただきます。

 介護人材不足の中、認知症患者をクリニックに連れていくことがなかなかできないわけじゃありませんか。ですから、集合型の高齢者施設なんかもありますし、そこにドクターが行くということであるわけでありまして、今回の診療報酬改定が答申のとおりに決まると、高齢者施設に対する医療提供体制が維持できなくなるんじゃないかという声が今出ております。その場合、入居者が困るんじゃないかというふうに考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 今、唐澤局長の方から御答弁申し上げましたように、医療費全体につきましては、やはり、ニーズにちゃんと合った医療が施される、そのことが要するに過不足なく行われるということになれば過剰な負担をしなくていいということもあって、絶えず制度の見直しはしていかなければならないんだろうというふうに思うわけであります。

 今お話を申し上げたように、二十八年度の改定で、同じ日に訪問するかどうかにかかわらず、その建物内の患者の人数によって緩やかに減算するという報酬区分を今回つくるとともに、重症な患者へはやはりめり張りをつけてしっかりと診ようということであります。

 今御指摘のことにつきましては、既に中医協の方から二月十日に答申をいただいたわけでございまして、厚労省としては、今後、告知、通知などで示していくことになりますが、在宅医療の提供体制に悪影響が今回のことでストレートに出てくるかということは、私どもとしては考えていないわけでありますけれども、しかし、いろいろな御指摘が今いただいたような形であるわけでございますので、これは、いずれにしても関係者の皆様方のお声はしっかりとお聞きをして、その上で適切な運用に努めていかなければならないというふうに思っているところでございます。

本村(賢)分科員 中医協から答申が出たのは二月十日でありまして、三月の上旬から半ばに通知されるという話も伺っておりますので、いろいろな、幾つかの問題点もあると思いますので、ぜひまた大臣の強いリーダーシップで御検討いただければというふうに思っています。

 次の質問に入りますが、年金生活者等支援福祉臨時給付金について、ことしの参議院選挙前に一千百万人の皆さんを対象に三万円の給付があるということでありますけれども、その中で事務経費が二百三十四億円計上されておりますが、自治体が一時的に負担をする金額が生じないのかどうかということと、もう一点が、そもそも年金に上乗せするなどの支給を行えば事務費は発生しなかったのではないかという御指摘を知り合いの首長の皆さんからも御指摘いただいておるんですが、いかがでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 低所得の高齢者向けの給付金の支給に要する経費でございますが、これは、まず全額国庫補助の対象となっておりまして、この補助金の執行に当たりましては、早期執行のためにも、地方公共団体に極力負担が生じないよう工夫をしてまいりたいと考えております。

 具体的には、平成二十六年度それから二十七年度の簡素な給付措置の支給に当たりましては、通常の補助金の執行と同様に、当初申請額の七割程度をまず概算払いいたしまして、執行状況を勘案の上、残部を支給したわけでございますが、今回の給付金の支給に当たりましては、早期執行ということもございますので、申請された所要額全額を概算払いとすることを予定いたしているところでございます。

 また、年金と一緒にというお尋ねがございました。

 その件につきましては、今回の給付金が平成二十八年前半の個人消費の下支えを行う観点から、速やかに実施する必要があるため、実務上の対応可能性も勘案して、簡素な給付措置の仕組みを応用して実施する、そういう制度設計になっております。年金の受給を要件とはなっておりませんので、低所得の高齢者の方に給付金を支給する、そういう中身でございます。

 したがいまして、御指摘のように年金に上乗せして支給するということは、対象者の範囲がまず異なりますし、また、迅速な支給の実現という観点から見ましても、なかなかこれは、御指摘でございますが、とり得ないというふうに考えているところでございます。

本村(賢)分科員 最後に、シングルマザー支援について。

 政府は、児童扶養手当を二十八年度から倍額にするとか、資格取得のための給付金の充実や、高等職業訓練促進資金貸付事業などを創設されまして、シングルマザー対策を推進されていることは承知をしています。

 シングルマザー対策は、金銭的な補助よりも、就労意欲を高めて、就労していただくような支援をすることが最も重要であると考えておりますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、やはり自立がちゃんと経済的にできるというところで家庭は安定をしてくるんだろうというふうに思うわけでございます。

 今回、児童扶養手当を倍増するということは、もちろん大事なこととしてやるわけでありますけれども、今先生御指摘のように、就業支援をする、これはとても大事なので、今御指摘をいただいたような、貸付事業の創設あるいは給付金の充実、それから自立支援教育訓練給付金の支給額の引き上げ、あるいは求職者支援訓練における一人親が利用しやすい託児サービスつきの訓練コースなどをつくる、あるいはマザーズハローワークをちゃんと整えて一人親支援の体制を充実するというようなことをやることが、やはり一人一人の、一人親の家庭の働く方がより報酬も多い仕事につけるということが、本当の意味での独立、自立につながっていくのではないかというふうに思いますので、それはニーズに応じたさまざまなことでありますけれども、やはり基本は自立が最も大事だということは、そのとおりでございます。

本村(賢)分科員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

秋元主査 これにて本村賢太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重分科員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、大きく三点、がん対策、介護、そして難聴支援、これらに関してお伺いしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、一点目のがん対策について。

 今日、日本人の二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで亡くなると言われております。日本人の死因の第一位である、このがんの対策というのが極めて重要でございます。

 がんになって、肉体的に、また心理的に、痛い、つらい、苦しい思いをしていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。そういったことに対応するために、がん対策基本法では、がん患者の皆さんに早期からの緩和ケアを提供することが定められております。

 がんの緩和ケアはいわばがん対策の眼目とも言えるもので、がん対策推進基本計画では緩和ケアの推進が「重点的に取り組むべき課題」として位置づけられ、政府としても、これまで種々の施策を講じられてまいりました。

 しかし、大臣、がん医療の中心軸となるがん診療連携拠点病院でさえ、患者、御家族への緩和ケア提供体制が不十分だ、こういったことが厚労省の実地調査によって判明しております。

 この数年でこうした実態が浮き彫りになった以上、第三期がん対策推進基本計画でも、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進は、引き続き重点的に取り組むべき課題であると考えます。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 次期、第三期基本計画をもって、診断時からの緩和ケアが医療現場にしっかりと浸透して、患者を含めた国民の皆さんに十分提供されるようになった、そう言われるように、関係省庁と連携して、厚労省として全力を挙げていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今先生御指摘のように、緩和ケアは、がん患者にとっては大変重要な課題であります。

 今御指摘いただいたように、がん対策推進基本計画において、緩和ケアの推進を重点的な課題ということで位置づけて取り組んできているわけでありますけれども、具体的には、医療従事者に対する研修、それから、がん診療連携拠点病院に緩和ケアチームの設置を義務づけるということをやってまいりましたし、緩和ケアに関する対策を数々やってきているわけでございます。

 緩和ケアを担う人材の不足、それから中小の病院とかあるいは地域での診療所における普及の必要性などが課題というふうに認識をされているところでございまして、私ども、昨年の十二月にがん対策加速化プランというのをつくりましたが、そこにおいても、三つの柱の一つである「がんとの共生」の中でやはり緩和ケアというのがしっかりと位置づけられておりまして、地域で緩和ケアを担う看護師等の育成、あるいは緩和ケア研修会のさらなる受講促進等を盛り込んで、医療従事者の技能向上を図るということとしているわけであります。

 今お話がありました次期のがん対策推進基本計画に向けた議論というのは、本年春から開始をする予定でございます。その中で緩和ケアをさらに普及するための方策についても検討してまいりますが、さきの診療報酬の改定の中でも、緩和ケアについて特に重点的に点数をつけるというようなことも進めておりますし、今申し上げたとおり、緩和ケアが地域でどう受け入れ可能になるのかということもしっかり考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。

國重分科員 ぜひ緩和ケアの推進をよろしくお願いいたします。

 続きまして、緩和ケアの医療現場への浸透、この方策の一つとして、全国四百のがん診療連携拠点病院のトップ、つまり病院長に緩和ケアの精神を十分に知っていただく院長研修というか意見交換会というか、こういったものが効果的であるというようなことは、実地調査された専門家の方々が強くおっしゃっております。

 トップ次第で組織は変わるというのが一般世間の常識でもありますし、これと相通ずるものでありますけれども、具体的な手法、やり方は厚労省の方で考えていただくとして、このような全ての院長を対象にした全院長研修をぜひとも実施すべきだと考えますが、これに関する政府の見解をお伺いいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、がん対策推進基本計画に基づきまして、がん診療に携わる医師を対象に全国で研修を実施しておるわけでございますけれども、今御指摘のように、緩和ケア推進検討会、これは二十四年の四月に設置したものでございますけれども、この中でも、緩和ケアの質をさらに向上させるためにはがん診療連携拠点病院の病院長が緩和ケアの重要性を認識することが重要、こういう指摘がありました。

 この御指摘を踏まえまして、今年度から、拠点病院の病院長等の幹部を対象とした緩和ケアの研修会を開催したところでございまして、九月一日時点では二百三十名弱の方が、既に病院長が受講されております。

 来年度も病院長等の幹部を対象とした研修会の予算を計上させていただいておるところでございまして、さらに、病院長同士の意見交換、こういう場も設けて、さらに緩和ケアを普及させてまいりたいと考えております。

國重分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、がんの治療によって外見に生じる副作用、これに対するケアについてお伺いいたします。

 国立がん研究センターが、二〇〇九年、抗がん剤治療を受けていらっしゃる患者の方六百三十八人に聞いた調査がございます。

 抗がん剤治療による副作用苦痛度ランキングで、男性の場合の第一位は全身の痛み。外から見られる身体症状が出てくるのは十五位になってからでございまして、十五位は足のむくみということになっております。

 一方、女性の場合はどうかといいますと、女性にとっての副作用苦痛度の第一位、トップは、頭髪の脱毛でございます。六位はまつげの脱毛、八位は眉毛の脱毛になっております。

 外見の副作用に関する項目が、男性では二十位までに五項目であるのに対して、女性の場合は半分以上の十一項目を占めております。

 安倍政権は、女性が輝く、女性が活躍できる社会の実現をということを強く訴えておりますけれども、これは塩崎大臣も同じだと思っております。また、竹内副大臣も同じだと思っております。こういった女性の外見に生じる副作用に対するケアにも十分配慮していくことが大切になってくると思います。この外見によって、例えば脱毛した、なかなか外にも出づらい、社会とのかかわりが減ってしまう、こういったことが生じているのが現実でございます。

 私も、高校生のときに同級生が白血病になりまして、やはり髪の毛が抜けてなかなかつらい思いをしている、そういったものも目の当たりにしてまいりました。

 がん患者の皆さんの苦しみの声を受けて、地方自治体においてはさまざまな取り組みが始まっております。例えば、山形県では、がん患者の皆さんの就労や社会参加を応援し、療養生活の質がよりよいものとなるようにとの趣旨で、ウイッグを購入する際に、一万円または購入経費の二分の一の額のいずれか低い額を助成しております。

 また、民間団体等でも、例えば、夏目雅子ひまわり基金では、十六年間で約六千件のウイッグの無償貸与をして、がん患者の皆さんをサポートされております。個人でも、自分の髪の毛を切って小児がん等の患者の子供たちへプレゼントをする、ヘアドネーション運動などが盛んになっております。

 さらに、海外に目を転じてみますと、例えば、イギリスでは、公的医療保障制度として無料のウイッグが支給されております。

 そこで、国においてもぜひ、がんの治療によって外見に生じる副作用、これに対するケアをしっかりと推進していっていただきたいと思います。これは何もウイッグの問題だけではなくて、もっと広いケア、そのように考えております。ウイッグの金銭的な保障というのは、なかなか保険適用とかも、これはさまざまなハードルがあってすぐには難しいことも承知しておりますけれども、現場で苦しんでいるさまざまな方の思いを受けて、一つ一つケアをぜひ進めていっていただきたいと思います。

 政府として今後この副作用に対するケアをどのように推進していくのか、竹内副大臣にお伺いいたします。

竹内副大臣 公明党また國重委員からは種々がん対策につきまして御提言をいただきまして、本当にありがとうございます。

 抗がん剤治療を初めとしてがん医療の進歩により、がんの生存率は向上している一方で、治療に伴う副作用に悩んでいる患者の皆様が増加していることも事実でございます。

 このため、平成二十七年十二月に策定したがん対策加速化プランにおいては、治療に伴う副作用、合併症、後遺症の予防とケアを行う支持療法の開発普及を新たに盛り込み、支持療法の研究やガイドラインの作成を進めることとしております。

 また、治療の副作用などの悩みは性別やがんの種類によっても異なることから、全国に約四百カ所指定しているがん診療連携拠点病院におけるがん相談支援センターにおける相談などを活用して、患者の特性に応じた支援を推進して、がん患者の療養生活の質の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

 種々具体的な御指摘もいただきましたので、そういう点を踏まえて今後検討してまいりたいというふうに思っております。

國重分科員 これはなかなか、研究をして、その後の対策というのはそんなに一筋縄でいかないことも多いかと思いますけれども、ぜひ現場の声を受けて国においても取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、大きな二点目の介護、とりわけ介護職員の腰痛緩和策についてお伺いいたします。

 社会福祉施設で働いている介護職員の皆さんの中で、腰痛によって年に四日以上休業する方の人数は、十年前から何と倍増しております。平成二十四年末時点では、この腰痛によって年に四日以上休業する人の数が、社会福祉施設だけで全産業の約二割を占めております。いかに社会福祉施設における腰痛が多いかということがわかるかと思います。

 しかも、平成二十六年の社会福祉施設における腰痛発症者の状況を見ますと、経験一年未満、また一年以上三年未満、ともに二七%、トータルで五四%と半数以上を占めております。また、発症の最も多い年齢層は、二十九歳未満と若い年齢層になっております。

 介護現場の将来を担う若い方たち、経験のまだ浅い人たちが最も腰痛の症状が多いということは、社会福祉施設にとっても、社会福祉施設だけではなくて、日本の将来にとっても大きな痛手でございます。

 近年、政府も後押しをしまして、私も経産委員会とかでも取り上げましたけれども、介護ロボットの開発が今進んで、徐々にではありますが、介護現場への導入も進んでおります。ただ、すぐに全ての施設に介護ロボットの導入というのが浸透するというわけでもない、これも現実でございます。

 そうしますと、介護職員の方々みずからが腰痛にならないようにしっかりと予防対策をしていく、これが極めて重要なんじゃないかと私は思います。

 この点、平成二十五年に、労働基準局長名で、関係各局、団体へ腰痛予防対策指針を示されております。ただ、腰痛による休業者の数はなかなか減っていないのがこれも現状でございます。

 今後、このガイドラインの周知徹底をしていくのは当然のこととして、介護職員の方一人一人が、腰痛予防、対策の知識をしっかりと身につけていくことが大切になってくると思います。そして、その知識を本当に自分のものとするためには、介護現場で働いて物すごく忙しくなる、その中で、そういうことを勉強しても勉強しなくても一緒みたいな中で、では勉強するのかというと、なかなかこれは難しいというのがこれも実際の現状だと思います。

 私も知人に介護現場で働いている人が多いですけれども、物すごく忙しいですし、短時間の中で多くの人数を見ないといけない。ゆっくりとおむつとかもかえたいけれども、そうはできない、もっと丁寧にやりたいけれども、その短時間の中で複数の人をやらないといけないということで、てんてこ舞いになって働いておられる。その中で新たに知識を勉強するとかいうのは、よっぽど意識がないと難しいというのが現実だと思います。

 そこで、介護の仕事についてからとかではなくて、介護の仕事に従事する前の、介護福祉士の養成段階とかヘルパーの研修段階で、半強制的に研修の中で知識をたたき込んでいくということが私は極めて重要なんじゃないかというふうに思います。

 介護現場で働く方を守るためにも、こういった取り組みをしっかりと政府としても進めていただきたいと思います。竹内副大臣、いかがでしょうか。

竹内副大臣 介護の現場に基づきました的確な御指摘を本当にありがとうございます。

 私も、以前に、介護の現場でどうやって腰痛を予防していくかという研修会をちょっと開いたことがありまして、先生に来ていただいて実際にやっていただいたんですが、やはりやり方が全然違うんです。

 そういう意味で、改めて、介護現場などで職場における腰痛予防対策指針に沿った取り組みを行っていただくよう、事業者に対して、引き続き労働基準監督署における周知や指導、腰痛予防対策講習会の開催などを行うとともに、来年度から、新たにEラーニング教材を作成いたしまして、インターネット上で公開することにより、幅広い関係者への周知に努めたいと考えておるところでございます。

 また、質のよい介護を提供するためにも、介護職員として従事する前から自身で健康管理を行うことは重要でありますので、介護福祉士の養成課程において、介護職員の安全について学ぶ中で腰痛予防についても教育されているものと承知をしておりまして、また、基本的な介護業務の知識や技術を修得する介護職員初任者研修、いわゆるヘルパー研修では、腰痛の予防に関する知識を含め、介護職の心身の健康管理について学ぶこととしているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして介護職員の腰痛予防につながるように、引き続き、必要な取り組みを行って、介護離職にならないように全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

國重分科員 竹内副大臣からも、現場に基づいた答弁、ありがとうございます。

 今、副大臣のお言葉によりますと、今でも研修段階とかでもやっているということなんですが、ただ、その一方で、やはり腰痛になられている方、二十九歳未満が非常に多い、経験年数の浅い方が多いというのが今の現実でございますので、この養成段階、研修段階の知識のたたき込みを本当により強化していくということが私はこの急所じゃないかと思っておりますので、これをぜひ、よりより強化していただくということで、よろしくお願いいたします。

 次に、大きな三点目の難聴支援についてお伺いいたします。

 難聴、ここでは聞こえづらいという身体障害者未満の方も含ませていただきますが、実は私、二年前にも、この分科会で難聴の方への支援について質問をさせていただきました。今回はこれについての引き続きの質問となりますけれども、私も国会において何度もいろいろな質問もさせていただきましたが、難聴支援をやってちょっと公明新聞に取り上げていただきましたら反響が大きくて、今までで、私、国会議員になって三年数カ月ですけれども、その中で一番多くお手紙をいただきました。ぜひこれを進めてもらいたいというようなことで反響があったのは、実は難聴支援でございます。

 厚生労働省の実施した平成二十三年生活のしづらさなどに関する調査によりますと、身体障害者手帳を保持している聴覚障害者は、現在、約三十二万四千人。しかし、日本の聴力障害を理由とする障害者認定には、なかなかハードルが高い。

 一般社団法人日本補聴器工業会が中心となって二〇一二年に実施した調査によれば、日本人のおよそ十人に一人が、聞こえない、あるいは聞こえづらいという自覚症状を訴えていることが明らかになっております。六十五歳から七十四歳であれば五人に一人、七十四歳以上であれば二人に一人。身体障害の認定は受けていないものの、聴覚の低下によって日常生活の不便を抱えているという方は、実際はかなり多いということなんです。

 難聴は、何も高齢者の問題だけではございません。近年の日本、騒音化社会と言われております。若い年代の方の騒音性難聴のリスクも高まっております。

 難聴になると、コミュニケーションがとりづらくなる、また、外に出るのがおっくうになって引きこもりがちになる、こういったことから、うつ、認知症へも派生しかねないというふうに言われております。そして、この難聴の方、患者の皆さんは、高齢化、また環境の変化によって、今後もふえることが予想されております。

 そうである以上、政府としても何らかの対策を講じていただきたいと思っております。対策を講じるためには、その前提として、当然、実態調査が必要になります。まずは、その第一歩として、身体障害の認定を受けた聴覚障害者だけではなくて、私に手紙が来たのも障害者の方ではないんですね、認定を受けた人じゃなくて、受けていないんだけれども聞こえづらい人たちからのお手紙が結構届いたんです。そういう、聴覚障害者だけではない、聞こえづらいという難聴者も含めた実態の把握が必要です。人数やその症状、日常生活への支障の度合いといった実態を調査して、今後の研究につなげていくべきだと考えますが、これについての見解を伺います。

石井政府参考人 先ほど國重先生からも御指摘がございましたが、私ども、平成二十三年に、生活のしづらさなどに関する調査を実施いたしております。この調査は、聴覚に限ったものではございませんけれども、在宅の障害者手帳所持者、そして、障害者手帳を所持していない方で、長引く病気やけがなどによって日常生活のしづらさが生じている方を調査対象として行っているものでございます。

 この調査でも若干データは出ているわけでございますが、障害者手帳を所持していない方に対して自覚症状について御質問したところ、自覚症状がある方のうち二七%の方が、物が見えづらいとか、あるいは聞こえにくいといった視覚、聴覚にぐあいが悪いところがあるという回答結果が得られているところでございます。ただ、その程度についても把握できていないなど、まだまだ実態を把握するには十分ではないというふうに考えております。

 そこで、御指摘の、身体障害者手帳を取得していない高齢者やあるいは若者を含めた難聴者の実態につきましては、さらにこの把握を進める必要があると考えております。

 平成二十八年度にやはり生活のしづらさなどに関する調査を実施する予定でおりまして、この中におきまして、例えば、聞こえの程度が客観的に把握できるよう、具体的な例を示して、例えば、地下鉄の車内で会話が聞き取りにくいとか、どなたでも容易に答えることができるような、そういう形の設問を加えるとか、あるいは、難聴の方のサービスの利用状況、あるいは日中活動でどのような希望があるのか、そういったようなことを分析するといったことによって、難聴者の実態につきましては、より具体的に把握をしてまいりたいというふうに考えております。

    〔主査退席、山下主査代理着席〕

國重分科員 ぜひよろしくお願いいたします。多くの方が望んでおりますので、より強化して、よろしくお願いいたします。

 続きましての質問に入ります。

 冒頭申し上げましたがんも同じですけれども、難聴も、早期発見、早期対策、早期治療が大切でございます。

 国際医療福祉大学病院の中川雅文教授、私、この教授のもとに以前お伺いしてお話を伺ったことがありますけれども、音の聞こえ方に異変を感じたときに早目に検査、治療を受けることで、深刻な聴力低下を防ぐことができる場合もある、逆に、難聴を放置した期間が長くなり過ぎると、補聴器のつくる理想的な音が脳の中でそう捉えられなくなってしまって、補聴器をつけたとしても、もはやうまく聞き取れないおそれがあるということでございます。

 多くの難聴の方というのは、難聴に対する恐れがあるために、難聴に対してネガティブな感情を抱いている、そのためになかなか外に言い出せないということで、対策が後手後手に回ってしまう傾向があるということを、難聴者に対するカウンセリングを専門にされている方がおっしゃられております。

 だからこそ、国民の皆さんに難聴や難聴者に関する正しい知識を持っていただく、正しく認識してもらう、補聴器についてもその重要性を認識していただくことが大切だと思いますが、大臣、この点についての見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 難聴者に限らず、聴覚障害者の、どういうところでどういう御苦労をされているのかということについて健常者側の理解が十分ではないということは、これまでの、私も、政治活動の中でいろいろ指摘を受けて初めて気がつくような、例えば、レントゲンを撮るときに、息を吸って、とめて、はい、もういいですというような声、これは大体音声で聞こえてくるわけでありますけれども、聴覚障害者の皆さん方にはそれが聞こえないということで。

 それで、実は、放射線技師会の皆さん方に一年かけて研究してもらって、どういうところで苦労されているのかということで、医療機関にパンフレットを、その結果を届けて配慮事項を指摘するということがございました。

 強度の聴覚障害を持っていらっしゃる方々でも理解をされていないということは、今先生御指摘のように、難聴者はもっと裾野が広いわけでありますので、なかなか外見ではわからないということで、理解をされないということが多いのではないかと思います。また、家族や周りの方々に何で御苦労されているのかよくわからないということが往々にしてあるわけで、そういうことを私たちはもう一回踏まえた上で対応しなければならないというふうに思っております。

 障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の市町村必須事業として理解促進研修・啓発事業というのを実施しておりまして、地域住民に対して、難聴を含む障害者への理解を深めるための研修、啓発、これを進めているところでございます。

 こういうことで、難聴に対する知識の普及あるいは正しい理解を深めるための取り組みというのは一層進めてまいらなければならないというふうに思っております。

國重分科員 大臣のリーダーシップで、ぜひよろしくお願いいたします。難聴者の新たな歴史を切り開いた大臣と言われるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後に、耳マークを初めとする障害者に関するマークの周知についてお伺いいたします。

 耳マーク、なかなか聞きなれないかもしれませんけれども、耳マークとは、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会が、聞こえない人々の存在と立場を社会一般に認知してもらい、コミュニケーションの配慮などの理解を求めていくためのシンボルとして、昭和五十年に制定したものでございます。

 目の不自由な方は、白いつえによって障害があることを周囲に知らせることができますが、難聴は見た目にはわかりません。それゆえに、日常生活で不便を感じたり、危険な目に遭ったりされております。耳マークは、難聴者の方がそのような苦渋の中で考案されたマークでございます。

 しかし、この耳マーク、一般にはなかなか浸透していないと言われております。マークというものは、認識されて初めて意味を持ちます。耳マークだけではなく、例えばヘルプマークなど、障害者に関するマークは、その人が困難を抱えていること、助けが必要な場合があることを周囲に知らせるための大切な手段でございます。

 私も、線維筋痛症という、見た目にはなかなかわからない、でも非常につらい病気の当事者の方からもお話を聞く場合がございます。本当に大変だなということを感じております。ただ、周りはそのことに気づけない。気づけなければ、そもそも、思いやりの声をかける、行動するきっかけがない。果たしてそれでいいんだろうかというふうに思うわけでございます。

 何とか、耳マークを初めとする障害者に関するマーク全般について広く一般への周知がされるよう、取り組みを講じていただきたいと思います。

 例えば、ポスターとかも一つではあると思うんですが、予算がかかっちゃう。これもやっていただきたいんだけれども、では、予算の壁があるのであれば、例えば、ホームページ上にいろいろなマークのクイズページをつくれば、ゲーム感覚でマークを覚えることができる。そういう楽しいページは拡散もしやすいと思います。あるいは、障害者週間に合わせて開催されている子供の絵画コンクール、これにあわせてマークの紹介をすれば、お子さんからその親御さんまで、広い世代に周知を図ることができます。

 工夫次第でいろいろできることがあると思います。政府の今後の取り組みについて伺います。

山下主査代理 申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

中島政府参考人 貴重な御指摘、ありがとうございます。

 内閣府におきましても、これまで、御指摘の耳マークを初めとして障害者に関するマークにつきましては、ホームページ、さらには白書等で紹介をさせていただいておるところでございます。

 障害のある方への合理的配慮の提供というものを定めた障害者差別解消法が、この四月からいよいよ施行となります。その合理的配慮の理解、普及に向けた広報を今後積極的に展開していかなければならないと思っておりまして、本日委員から御指摘いただいた点も含めまして、その周知に向けた方策を真剣に検討してまいりたいと思いますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

國重分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山下主査代理 これにて國重徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

小山分科員 民主党の小山展弘でございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 きょうは厚生労働の分科会ということですが、最初に二、三問、それ以外のことを質問させていただきたいと思いますが、まず指定都市制度のあり方についてお尋ねしたいと思います。

 指定都市制度、いわゆる政令指定都市ですね。これは、本来の要件であれば百万人以上ということになっておりますが、平成の大合併でとにかく周辺地域を合併していって要件緩和ぎりぎりで指定都市となったものの、全国的な人口減少の中で、百万人どころか要件緩和だった七十万人をも割り込む。合併をどんどんしていって、中には、山村型政令市とか田園型政令市などと言う方も住民の中にはいるところもあるんです。

 例えば静岡市などは、浜松市に次ぐ面積の大きな政令指定都市ですけれども、人口減少が進んでいて、これは全国で進んでいますから特に静岡市だけが悪いというわけではないんですが、今後百万人にふえる見込みはなかなか立ちにくい、むしろ減っていく、七十万も割り込むんじゃないか。

 こういう政令市もあらわれるとも考えられるんですが、この指定都市制度のあり方について、国は今後、どのように認識をされて、どういう対策を考えていらっしゃいますでしょうか。

森屋大臣政務官 先生から御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 指定都市は、先生御存じのとおりに、昭和三十一年に創設をされた制度でございます。先ほどお話がございましたように、人口百万人以上または近い将来百万人になる見込みがある、そうした都市を指定都市として指定する、あるいは、都市としての規模、行財政能力等において従来の指定都市と同様の実態を有していること、さらに、指定都市移行について県と市の意見が一致をされていること等を要件といたしております。

 その後、平成十三年八月に市町村合併支援本部が策定をいたしました市町村合併支援プラン等を踏まえまして、静岡県静岡市、先生の御地元、人口七十万人を最低ラインとして運用されたところでございます。その後、平成二十二年三月に市町村合併支援本部は廃止をされまして、現在においては、従来どおりの人口百万人の要件を運用基準とするとしているところでございます。

 この人口要件につきましては、指定都市の必要な要件、成立要件でありまして、指定をされた以降、引き続き維持しなければならない存続要件ではないというふうに考えております。

 仮に、先生御懸念をいただきました、指定都市の人口要件を欠いたことをもって指定都市に配分されてきました事務を都道府県に戻すことは、既に指定都市に整備をされました人的、物的体制が有効に機能されている以上、非効率であり適切ではないと考えているところでございます。

 よろしくお願いいたします。

小山分科員 今、東京とか首都圏では人口流入がありますので、もしこの傾向が続いていくと、首都圏近郊では緩和要件だった七十万人を超えるような町も新たに出てきて、指定都市になれない。地方の方では逆に人口が減っていって、人口が逆転する。それでももちろん地方の拠点都市であることには間違いがないものですから、もちろん指定都市の解除なんということにはなっていただきたくないと思っているんですけれども、今後、いろいろな矛盾も出てくるのかなと。

 そういった中で、もう少し大都市をターゲットにしたということですが、平成二十四年に大都市地域特別区設置法というのが制定されまして、人口二百万人以上の町と、あるいはその周辺地域も含めた二百万人の地域というところでは、東京都のように政令市を廃止して特別区を設置できるようになったということでございます。

 これは議員立法ということですけれども、この背景には二重行政の弊害ということが言われてきたところがあるんじゃないか。特に、県庁所在地の場合は、県も、県の施設として病院とか野球場とか図書館とか、そういったものも含めてさまざまな施設をつくる。政令市も、県庁所在地がどうしても人口が多くて政令市になっていていろいろな施設があるということで、県に近い権限を持つ政令市と、あと、県全体としての施設があるということで、施設だけ見ても二重行政がある。

 それから、まちづくりも、コンセプトが違って、片や穏やかなコンセプトで、片や斬新的なコンセプトでやろうとするとバッティングしてしまって、住民にとっては非常にそごがあるような、バランスを欠いたようなまちづくりになると魅力をなかなか発信できないということとか、あるいは広域道路の整備とか、こういったところでかなり都市計画にそごが出てくるのではないかということが考えられると思っております。

 そういう中で、静岡県が、県都構想ということで、道府県庁が所在する指定都市というものを大都市地域特別区設置法に追加をすれば、とりわけ二重行政が著しいのが県庁所在地の政令市と県の場合であるということで、県庁所在地の政令市と県が統合して二重行政の弊害を除くというようなことを構想として掲げております。

 私は、これは特に静岡市を名指しで言うわけではないんですが、人口が減少していく地方の政令市の問題ということもありますし、余りにも急にたくさん合併したものですから、住民と自治体との距離感が大変広がっている、住民参加というものが、参加意識というものが希薄になっているというような問題が、これは政令市に限らないと思うんですが、あると思っておりまして、そういった部分も多少改善できるのではないかというようなこともあると考えられるんです。

 こういった県都構想について、議員立法ではあるんですけれども、お答えできる範囲で、所管となる総務省の、最終的には総務大臣との協議というのもありますので、お尋ねしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

森屋大臣政務官 ただいま先生から、静岡県は、大都市地域特別区設置法を改正し、静岡市など道府県庁が所在する指定都市についても、当該の指定都市を廃止して特別区が設置できるよう要望されているというふうなことを私どもの方でも承知をしているところでございます。

 仮に、静岡県が要望する改正素案のとおりに法改正がされますならば、道府県庁が所在する指定都市は大都市地域特別区設置法の対象となり、同法に規定する住民投票等の手続を行うことが可能になるものというふうに思っております。

 しかしながら、一方において、今、総理のもとに置かれております地制調、地方制度調査会、ここでも都市問題というものは大きな課題となっていることは確かでありますけれども、先生先ほど御指摘をいただきました今回の大都市地域特別区設置法は平成二十四年に議員立法として成立をされたものでございまして、同法が対象といたします市町村の拡大につきましては、立法経緯を考慮した中で、多くの皆様方の議論がこれから必要ではないかというふうに総務省としては考えております。

小山分科員 ここはいろいろ考え方があると思いますけれども、一定程度、日本の国ということなので、道州制であろうが、今の都道府県制であろうが、一律の制度にしていくのか、あるいは、それぞれの地域にあって、あるところでは、静岡みたいなところでは県都構想があって、大阪のようなところでは大阪都構想があって、あるいは道州制になっていくような地域もあってというような、多様な、それぞれの地域に合った、だけれども国として見ると、多分、所管省庁は大変だと思うんです、いろいろな地域があるので。

 ここは考え方がいろいろ分かれるところかもしれないですけれども、最終的には、私は住民の意思だと思っています。静岡市とそのエリアに住む人たちが、もし法改正になっても、住民投票でどういう意思を示すかということだと思うんですが、できる限り、地域のこういうビジョンを持っているんだというものが生かされるような、それこそが最終的に地方創生と活力ある地域の再生ということになっていくかと思っておりますので、また今後ともお取り組み、御尽力賜れればと思っております。

 それでは次に、ずっと予算委員会からお待たせをしておりまして大変恐縮ですけれども、TPPのことについて少しだけ質問をしたいと思います。

 遺伝子組み換え食品の貿易について、これは大変国民的な関心が高いところでございますけれども、TPP協定第二章二十七条において、遺伝子組み換え生産品の貿易については、第二章の内国民待遇、物品の市場アクセスの章に定められているということでございます。

 この前後の文脈などを見ても、TPP協定というのは、遺伝子組み換え食品の貿易を拡大していくということを目的として、そういう文脈でこの協定が締結されていると考えられるんですが、政府の認識はいかがでしょうか。

高木大臣政務官 委員の御懸念というのは、遺伝子組み換え製品に関する規定が物品貿易の改善を規定する第二章の中に位置づけられていることから、遺伝子組み換え製品の貿易を拡大させていこうとしているのではないかという御懸念だと思います。

 しかしながら、これはあくまでも遺伝子組み換え製品に関して締約国間での情報共有や協力について規定しているもので、未承認の遺伝子組み換え製品が不注意により微量に混入された食品が輸入されないよう情報共有を図ったりすることがこの規定の目的であって、遺伝子組み換え製品の貿易拡大を目的としているものではないことから、小山委員の御懸念は当たらないものと認識しております。

 遺伝子組み換え製品の貿易について規定する第二章二十七条は、この条のいかなる規定も、締約国に対し自国の領域においていわゆる遺伝子組み換え製品を規制するための自国の法令、政策の修正を求めるものではないと明確に規定をしております。したがって、遺伝子組み換え食品に関する認証等について、情報交換されることはあっても、我が国の法制度を見直し、その貿易を拡大するように求められることはないものと認識をしております。

小山分科員 今お話しのとおり、各国の制度とか、締約国の法令及び政策に従うことを条件としてという言葉が数カ所出ておりますので、この点は本当に交渉をよく頑張っていただいたというふうに私も感じておりますし、考えております。

 しかし、今の情報ということで、実はこの次の質問で聞こうと思っていたんですが、現代バイオテクノロジーの生産品に関する情報交換及び協力を行うための作業部会というものも、農業小委員会が貿易を促進するということを目的としていて、その農業小委員会のもとに作業部会が書かれているということでございます。

 そういう中で、貿易を拡大していく文脈の中で書かれているということでいろいろ懸念もあるわけなんですが、このバイオテクノロジーの作業部会ですけれども、そこの情報交換の中で、例えば各国の表示規制とか各国の法制度といったものが情報の一つとして議題になるということも考えられるんですけれども、こういったことについて政府はどのように認識していらっしゃいますでしょうか。

高木大臣政務官 小山委員の御懸念というのは、TPP協定第二章第二十七条10が規定している現代のバイオテクノロジーによる生産品に関する作業部会の件と推察をいたしますが、その作業部会で、いわゆる遺伝子組み換え製品に関する我が国の制度あるいは運用が取り上げられて、修正を迫られるのではないかという御懸念だと思います。

 しかしながら、作業部会というのは、遺伝子組み換え製品の貿易に関する事項について、情報交換、それから協力について議論する場であり、小山委員の御懸念は当たらないものと考えております。

 同時に、遺伝子組み換え製品の貿易について規定する第二章第二十七条、先ほども申し上げたように、この条のいかなる規定も、締約国に対し、自国の領域においていわゆる遺伝子組み換え製品を規制するための自国の法令、政策の修正を求めるものではない旨を明確に規定しております。

 したがって、遺伝子組み換え食品に関する認証等について、情報交換をされることはあっても、その作業部会において、遺伝子組み換え食品に関する我が国の法制度の見直しが求められることはないと認識しております。

小山分科員 少し質問の順序が前後するかもしれませんが、その情報交換の情報といったものはどういったものがあるんでしょうか。

高木大臣政務官 現代のバイオテクノロジーに関する生産品に関する作業部会では、各国の国内制度に関する情報交換を行うことが一義的には規定をされております。

 いずれにせよ、同作業部会は、遺伝子組み換え製品等について情報交換することが目的であり、その作業部会において、遺伝子組み換え製品に関する我が国の法制度の見直しが求められることはないと認識しております。

小山分科員 きょうは、この後、実は膵臓がんのことについて質問したいと思いますので。本当は、もう少しお尋ねしたいところもあるのですが。情報交換、その目的はどういうところなのか。

 確かに、国内制度は守っていただきたいですし、それは多分思いは共有しているところがあろうかと思います。しかし、このことが議題になったりとか、今も各国の制度のことが情報交換の中の情報であるということで、ほかの分野でも、マルキンを制度化するんだったらアメリカの方でTPPの調印に影響するぞというようなおどしのような動きもあったりとかする中で、かなりそういう圧力もあると思いますので、情報交換する中で、その場で直接的には圧力ということはなくても、間接的なものがあるかもしれないという不安も国民の中にもあるかと思いますので、ぜひまたここは毅然としてやっていっていただきたいと思います。

 また別の機会で質問させていただきたいと思いますが、きょうは膵臓がんのことについてメーンでお尋ねしていきたいと思います。

山下主査代理 高木政務官は退席して結構です。

小山分科員 昨年、がんで亡くなった方は約三十七万人と言われております。その一割近い三万二千八百人の方が膵臓がんで亡くなられております。

 がんの五年生存率が六九%と、七割の方ががんになっても生きていける。三割の方は亡くなるわけですが、膵臓がんの場合には、五年生存率がわずか八%ということで、九割ぐらいの方が亡くなってしまう。がんの中でも一番厳しいがん、高い致死率のがんだということが言えようかと思います。

 そういうこともあって、なかなか膵臓がんというのは壮絶でして、生きる方が少ないものですから、がんについて要望する団体も少ないことも影響があるんじゃないかということを指摘する人もいるんですけれども、この致死率の高い膵臓がんについて、自分の近親者に二人以上の膵臓がんの患者さんがいる場合は、家族性膵臓がんということになっております。

 この家族性膵臓がん、遺伝性のものの場合には、そうではない、普通に家族の中に誰も膵臓がんになっていなかったけれども御本人がなっちゃったというような方と比較して、特に近親者の中に、家族性膵臓がんの中でも、もう一人加えて三人以上罹患した場合にはリスクが三十倍になるということが調査や研究で言われております。

 こういった遺伝性というか家族性膵臓がんに対して、厚生労働省はどのような認識を持って、どのような対策を行っていらっしゃいますでしょうか。

塩崎国務大臣 私どもの身の周りでも、膵臓がんで亡くなられる方、発見して本当にそう長くないということがしばしばあって、もちろん長い方もおられるわけでありますが、残念なケースが多々あるということでございます。

 今の家族性膵臓がん、これは、環境とか遺伝的な要因によって、ある家系に腫瘍が多く発生する家族性腫瘍の一つというふうに承知をしているわけでございまして、今、日本膵臓学会によるリスクの累増の数字についてもお触れをいただきました。

 昨年十二月に策定をいたしましたがん対策加速化プラン、この中でも、がんのゲノム医療を新たに盛り込みまして、家族性腫瘍の検査、治療、支援、こういったもののあり方について、ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォースなどの議論を踏まえて検討するとともに、がん診療連携拠点病院等における遺伝カウンセラー等を配置するという予算を平成二十八年度の予算案に盛り込んで、新たな対策、試みを今からやっていこうということでもございます。

小山分科員 ぜひこの新たな取り組みを加速していただきたいと思います。

 また、膵臓がんに関する新薬のドラッグラグの問題については、これは本当にいろいろな患者さんから伺うんですが、塩崎大臣並びに厚生労働省の御尽力によりまして、着実にラグは改善をしているということで、心から敬意を表させていただきたいと思います。

 その上で、このことを申し上げた上で、ジェネリックの医薬品については、一方で改善をもっと進めてほしいという声が聞かれております。

 例えば、海外で家族性膵臓がんの患者に非常に効果があると推奨されておりますゲムシタビンとシスプラチンの併用療法というものについては、特に日本国内でも胆道がんについては標準療法であるにもかかわらず、膵臓がんでは承認をされていないということでございます。

 また、新しい効能が認められて、米国のFDAでは承認されていないけれども、米国のNCCNのガイドラインに掲載をされ、保険償還もされて、米国の患者が使用するようなケースも多い。日本の患者も、今インターネット社会ですから、わかるんですね。ぜひそれも早く自分たちも、しかも比較的安い医薬品で効果があるということであれば効能を追加してほしいというような声もあるんですけれども、こういったジェネリック医薬品の承認、保険償還するために、厚生労働省はどのような対策を講じていらっしゃいますでしょうか。

中垣政府参考人 今委員御指摘の膵臓がんを初めといたしましたいろいろ重篤な疾患で苦しんでいらっしゃる患者さんに対しまして、有効かつ安全な治療薬をできるだけ早く届けるということは、私どもにとって最重要の課題と考えておるところでございます。

 このため、平成二十二年二月から、厚生労働省におきましては、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を設置いたしまして、欧米で標準的に使用されているが日本では承認されていない医薬品につきまして、関係学会や患者団体からの要望を受けまして、医療上の必要性を評価した上で、製薬企業への開発要請等を通じて、日本において薬事承認が取得されるよう努めておるところでございます。

 本邦で承認がないシスプラチン製剤の家族性膵臓がんへの適応拡大につきましては、今後、関係学会あるいは患者団体等からの要望が提出されますれば、未承認薬・適応外薬検討会議のスキームを活用して検討を進めることができるというふうに思っておるところでございます。

 引き続き、こうした取り組みも通じまして、医療上の必要性の高い未承認薬、適応外薬につきまして、医療現場で早期に使用できるように努めていきたいと考えておるところでございます。

小山分科員 厚生労働省でも、ジェネリック医薬品の使用割合のターゲットも決めて目標値も決めてやっておりますので、患者とか団体からの要望があって取り組むということよりも、さらに積極的に、特に効能を追加するということもぜひ進めていただきたいと思っております。

 安くて効果のある薬の使用というのは、特に難治性の患者の方にとっては非常にこれは願いでございまして、また希望でもございます。

 特に膵臓がんの場合には、一年以内でもかなりの方が亡くなる。そうすると、家族と過ごせる時間というのはわずかしかないんですね。そうしますと、一日あるいは一時間が非常に貴重な時間であって、特に小さなお子さんがいる場合には、家族として、親であれば伝えたいことを伝える。

 そういう中で、膵臓がんは抗がん剤の種類自体が少ないということで、抗がん剤に対してがんが耐性をしてきますと、別の抗がん剤を使わなきゃいけない。だけれども、種類が少ないとそれも限られてしまうと、一時間、一カ月、一日を延ばすということもなかなか難しいというようなこともございますので、ぜひ抗がん剤全体でも使えるものをふやしていただきたいですし、特にジェネリックには、新薬でも塩崎大臣に大変御尽力いただいたということで、重ねて申し上げるのも恐縮ですが、ぜひまたこちらもお取り組みいただければと思っております。

 それと、米国では、膵臓がん撲滅に向けて、毎年研究費として約百二十億円確保している。がん全体でも約五千億円ぐらい確保しているということですけれども、日本では、この膵臓がんの研究費というのはどのぐらいの金額でいらっしゃいますでしょうか。

塩崎国務大臣 がん研究につきましては、平成二十六年三月に策定をいたしましたがん研究十か年戦略というのがございますけれども、これを踏まえて、これまで計画的、総合的に行ってまいったところでございます。

 平成二十七年度において、ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトとして総額約百六十二億円の予算を計上して、がん研究を全体として推進してまいったわけでありますけれども、その中で、膵臓がんの研究費は約五・一億円ということでございます。

 平成二十八年度の今御審議をいただいている予算においては、がん研究全体としては百六十七億円に増額をしておりますけれども、膵臓がんに関する研究につきましては、予算成立後、公募によって決定していくということになります。

 昨年十二月に策定をいたしましたがん対策加速化プラン、これを踏まえて、膵臓がんを初めとする難治性がんの研究開発をさらに推進してまいりたいと思いますし、とりわけ、本当に身近なところで残念なケースがたくさんございますので、しっかりとやっていきたいというふうに思います。

小山分科員 実は塩崎大臣に、僕は、民主党のほかの議員がクイズみたいなことをやるのは余り好きじゃないんですけれども、事前通告でお話しして、多分お調べいただいたものをごらんになられていると思うんですが、時間もないので余りクイズ的なことはしませんけれども、膵臓がんの罹患率が米国の二倍なんですね。罹患率は、十万人当たりでどのぐらいの方が膵臓がんになっているかということで、この罹患率でいいますと二倍、患者の数でいってもアメリカよりも多いということでございます。

 そういう中で、日本では膵臓がんが、がんの中でもかかる方もふえてきているということで、その中で、この研究費を見ますと、アメリカが膵臓がんだけで約百二十億円で日本が五・一億円ということですので、特に、ほかのがんのように、研究がある程度発達したところでこの予算が少ないということではなくて、今、かなり研究がこれから待たれている分野ですので、そのほかのがんのように団体があってということも少ないところではあるんですけれども、非常に難治性のがんでございますので、これから研究費の方もぜひさらに御検討いただければ大変ありがたいなというふうに思っておりますし、御要望させていただきたいと思います。

 最後になりますが、国際共同治験、これは治験の患者さんの数も多ければ多いほど新薬としてもいろいろな研究の妥当性もあるわけなんですが、そういったことで、国際共同治験というものに、より日本も参加できるような下地があればと思うんですけれども、この国際共同治験を促進するための取り組みというのは、厚労省の方で何かなされていることとかはございますでしょうか。

神田政府参考人 お尋ねの国際共同治験の促進についてでございますけれども、平成二十四年度から、日本主導型グローバル臨床研究拠点というものを整備いたしまして、国内医療機関が日本主導の国際共同治験を実施するために、必要な研究計画の立案、作成を支援する、それから、国際共同治験を行える人材を育成するための研修を実施する、また、国際共同治験を実施する国内の医療機関と国内外のほかの医療機関との連絡調整を行うという事業を実施してきているところでございます。

 今後、国際水準の臨床研究等において中心的な役割を担うこととなります、厚生労働大臣の承認を受けました臨床研究中核病院におきましてこうした事業を引き継いでいくこととしておりまして、平成二十八年度予算案におきましても所要の予算を計上しているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、さらなる国際共同治験等の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。

小山分科員 ありがとうございます。

 くどくなってしまいますけれども、膵臓は特に時間が非常に少ない、半年とか一年、こういう中で、新薬やあるいはジェネリック医薬品の効能追加ということを求めている方は非常に多いと伺っております。そのときの患者さんのお気持ち、焦燥感というものを考えますと、これは言葉にするのも非常に難しいと思っております。

 かつて、私の同僚議員で、ジェムザールの保険適用に大変努力をした議員がおりましたが、その方が最初、やってほしいと言われて当時走り回って、一期生の議員でしたけれども、半年ぐらいで適用したんだけれども、その要望してくださった方のところに行ったら、遅いと言って怒られた、この方は乳がんだったそうですけれども。そのお話を聞きまして、非常に患者さんにとっては切実だと思いますので、塩崎大臣が新薬について御尽力いただいたこと、患者の団体の皆様、御家族の方も大変感謝申し上げておりますので、ぜひこれからもさらにお取り組みを加速していただければと思います。

 以上で質問を終わります。

山下主査代理 これにて小山展弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野分科員 おはようございます。

 きょうは何時までやるんですか。十時ぐらいまでやるんですか。(発言する者あり)八時。長時間ですけれども、きょうは、私は早い時間で終わってしまいますけれども、よろしくお願いします。

 この分科会のやり方も、私はちょっと、余りにも、一日ずっとなので、長過ぎて、僕はこのやり方が本当にいいのかどうかというのは前から思っています。二日に分けるなりなんなりした方が本当はもっと充実した審議ができるんじゃないかなというふうにも思っていますけれども、それはここで私が言ってもせんのないことですので、議運とかそういうところで考えるんだろうと思います。

 それでは、質問の方に移っていきたいと思います。

 きょうは、四問ほど質問をさせていただくわけですけれども、一つ目、保育行政のあり方についてということで質問を投げさせていただいています。

 これは、保育行政というのももちろん絡んできますけれども、厚生労働省内の、保育はもちろんですけれども、介護なり障害なり、いろいろな政策分野で、専門官というのを厚生労働省は置いていらっしゃいます。その専門官の体制についてきょうは質問をしていこうと思っているんです。

 まず、今厚生労働省内に置かれている専門官の数、どこに何人、どこに何人というのをちょっと教えていただけたらと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 医療、介護、保育、各分野の専門官の配置でございますが、二十七年十月一日現在で、医療政策を担当する専門官が医政局に七十三名、介護政策に関しましては老健局に二十九名、児童施策を担当しております私ども雇用均等・児童家庭局に二十七名が配置されてございます。

浦野分科員 私がきょう質問しようと思っているのは保育専門官についてなんですけれども、保育専門官は一人しかいないですよね。今おっしゃっていただいた専門官というのも、保育専門官と同じ立場の専門官の人たちの数でいいですか。

香取政府参考人 ちょっと他局のことはあれでございますが、私ども雇用均等・児童家庭局、専門官は今二十七名と申し上げましたが、例えば、児童の健全育成に関係する専門官というのもおりますし、それから放課後児童クラブに関しての専門官も置いております。あとは、虐待の関係ですと虐待防止の関係の専門官の方、これはたしか自治体の方に来ていただいている部署だと思います。あと、母子保健の関係で、生殖補助医療でありますとか、それから栄養の専門官、それで、今お話がありました保育の専門官といったような形で、各分野に専門官がそれぞれ配置されているということでございます。

浦野分科員 先ほども言いましたけれども、保育専門官、安倍内閣に限らず、歴代政権は、子育てのことについて、保育について、非常に力を入れなければいけないというメッセージはよく出していただいているんですけれども、実は、今現在、専門官を一人しか置いていない。別に、専門官が多いからといって、その政策に力を入れている、入れていないという判断をするつもりはありませんけれども、やはり私は、力を入れなければいけない分野にもかかわらず、たった一人しか置いていないというのはちょっとどうかなと思っているんですけれども、この専門官をふやすつもりはありませんか。

香取政府参考人 ちょっと細切れになりまして申しわけありません。

 保育の関係ですが、現在、専門官、私ども保育課に二名配置してございます。うち一名が保育士資格を有する者ということになってございまして、御指摘のとおり、今、保育士資格を有する専門官は一名でございます。

 本年度から子ども・子育て支援新制度も始まりましたし、保育の質の向上、保育教育の質の向上というのが非常に求められているということで、私ども、今年度、二十八年度の予算で、保育の関係ではもう一名専門官を配置する、それから、専門官のもとに、保育の質の向上の関係ということで、これは係長でございますけれども、一名配置をするということで、専門官プラス係長、二名の増員というものをお願いしております。

 あと、人の確保の関係がございますけれども、専門官なり係長のどちらかは保育士資格のある者を配置しようということで、つきましたら具体的な人選に入りたいと思っております。

浦野分科員 つくかつかないかは、この予算が通るかどうかということですか。予算が通ればつくんですか。

香取政府参考人 政府としては、予算に計上していただきましたので、これは財務省さんなり、あるいは人事院なりに認めていただきましたので、予算が通りますと、たしか十月からだと思いますが、十月から定員がつきますので、そこで配置ができるということになります。

浦野分科員 では、賛成したいと思います。

 保育の部分に関する予算というのは、本当に大事な未来に対する投資でもありますので、前向きに考えていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 ふえるという答弁というのが、僕もふえるかどうかわからなかったのでちょっとびっくりしましたけれども、ありがとうございます。ぜひ頑張ってください。

 二つ目の質問なんですけれども、我々おおさか維新の会は、副首都構想というのを掲げて、今いろいろと、大阪市の方でも部局が立ち上がることになりました。

 この副首都構想というのは、もちろん、首都機能が麻痺したときのバックアップ機能も兼ねる。さらに、東京一極集中という日本のこのいびつな構造を打破というか是正していく、地方にもいろいろとそういった行政の出先機関を置いて意図的に人口を移していくという意図ももちろん含まれています。こういったことをやっているのは別に世界では珍しくない。例えばロンドンとかでも、都市部の人口集中を避けるために行政機関をわざと移したりだとか、そういったことを意図的に政策としてやっている国というのはそんなに珍しくありません。

 我々おおさか維新の会は、もちろん、私も大阪出身の人間ですから、でき得れば大阪にということを主張させていただいています。

 ただ、これはもう一つ、子供にとって重要な部分もありまして、待機児童の問題ですけれども、待機児童というのは、都市に人口が集中し過ぎて子供の数がふえ過ぎて、それで保育園に入れなくなって待機児童を生んでいるんですね。

 翻って、地方を見ると、待機児童がいないところは幾らでもあります。というか、地方に行けば待機児童のいないところの方がほとんどです。

 だから、そういう子供の子育て環境も含めて、やはり、人口を集中させるのではなくて、少しずつ少しずつ、満遍なく日本の国土の中で人口を意図的に移動してもらって、保育とかそういった子育てに関する環境もよくしていくというのは、僕は政治として必要なことじゃないかなと思っています。

 こういった観点から、私は、そういうことも含めて、政治の行政機能とかそういうのも地方に移転していくべきだと思っていますけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 待機児童から今お話を掘り起こしていただいているわけでありますが、私は個人的には、私は愛媛県の松山市ですけれども、待機児童が潜在的にはいるのではないかというふうに思っていて、これは、働き方とか、あるいはこれからの経済がどう変わっていくのかとか、そういうことで随分変わってくるんだろうと思いますが、明らかなことは、大都会、都市部でやはり待機児童が多い、そして保育士も足りない。さらには、介護も人材が足りない、そして施設も足りない、サービスも足りない。こういうことで、今、介護離職ゼロということでもいろいろな対応をさせていただいているわけでございます。

 待機児童は、首都圏、近畿圏の七都府県とその他の政令指定都市、中核市で全国の七三・七%を占めているというふうに理解をしておりまして、都市部に多く見られる状況というのは、今先生御指摘のとおりであります。

 この問題については、もう何度も申し上げているように、待機児童解消加速化プランで、平成二十九年度末までにこれの整備目標を四十万人から五十万人に上積みするということで、二十七年度補正予算、二十八年度の予算で、保育所等の施設整備費の上積み、あるいは都市部にも地方にも対応しやすい小規模保育の施設整備補助の創設とか、あるいは保育所建物の賃借料加算の大幅な改善とか、企業における多様な働き方に対応しやすい事業所内の保育等の企業主導型保育サービスの推進ということで、事業主拠出金の活用なども含めて、都市部の状況に主に対応した全国的な支援の強化を行うということにしているわけであります。

 先生から今、首都機能移転、こういうお話がございました。これは、東京一極集中解消ということと首都機能移転というのは必ずしも一致しないわけでありまして、首都機能移転は、幾つかの候補地があって、それを進めるということになっていましたが、最近少しその流れが国会においても下火になっているということはあるわけでありますけれども、東京一極集中を解消するということに関しては、まち・ひと・しごと、石破大臣が御担当していただいていますこの地方創生の流れは、まさに東京一極が極端に集中が進んでしまっているこの日本のいびつな形を解消していくということは、私も全くそのとおりだというふうに思っています。

 やはり、地方への新しい人、物、金の流れ、これをつくることは当然重要で、我々愛媛県も、人口が減少していますから、もっともっと人に来てもらいたいというふうに思っているところでございます。

 待機児童解消という課題への対処というのも、足元の需要に応える十分な保育の受け皿を着実に確保していくことが重要であるわけであります。

 しかし、では、そのために何をするのかというと、保育だけ持っていくとかなんとかいうことでは決してないわけで、やはり経済活動、暮らしを移していくということが大事なので、そのことこそ私どもは日本の再生に不可欠なことだろうと思うので、他の国ではここまで一つの町に物事が集中しているというのはないというのはそのとおりだと思いますので、さまざまな手だてを打っていかなきゃいけないなというふうに思っております。

 ちなみに、私は大阪生まれでございます。

浦野分科員 大阪生まれだというのは、僕は今初めて知りました。済みません。

 今、東京に余りにも人口が集中し過ぎて、保育園をつくるにも土地がない。待機児童を解消するためにやむを得ず、東京都は、全国の制度とはまた別の認証保育園制度をつくってやっている。そしてさらに、国も、小規模保育という形で、今は規模の小さな保育園でもどんどんどんどんつくっていこうということでやっています。

 私は、これは本当に限界のある政策で、しかも、小規模保育を運営されていく方々はこれから非常に努力をしなければいけないというのは、応援はしたいと思っていますけれども、私、個人的には、小規模保育園というのは非常に怖いと思っています。それだけ、フルサイズの保育園と小規模の保育園では、やはり手当てできる人の数も違いますし、子供の安心、安全を守るには、結局はやはり保育士の目、人の目がたくさん要るわけですよね。そうなってくると、やはり小規模保育園となるとどうしても保育士の数も限られてしまいますし、その中で子供を見ていくというのは、私は結構不安に思っております。

 しかも、保護者の皆さんは、でき得れば園庭もあるちゃんとしたフルサイズの保育園に子供たちを入れたいというふうに思っております。だからこそ、先ほどロンドンの話をしましたけれども、省庁で、別に都心になくてもいい省庁なんかは離れたところにわざと移転させて、その職員も含めてみんなそっちに移る、そういったこともやっていらっしゃいます。幹部の方だけが残って、何かあるときはその人たちが対応しているというふうなことをしております。

 そういう東京一極集中、私は、子供の子育て環境のことも考えて、そういったところ、やはり大人の我々が不便さを享受することによってしっかりと確保していく時代が来たんじゃないかなというふうに思っています。

 厚生労働委員会でも、横浜なんかは、今、保育園は、例えば公園を園庭として規制緩和で認めています。複数の保育園が同じ公園を園庭として認定していることで、時間になると各園の子供がわあっと来て一般の子供たちが遊べなくなっている状況だというので、苦情が出ているというふうな事態も起こっています。

 そういったことは本来おかしな問題ですので、そういったことの解消が、本当はそうやって人口をばらけさせることによって分散できるんじゃないかというふうに思っていますので、これはこれからもまだまだ考えていかなければいけないことだと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、ジカウイルスについてです。

 これは本当に、ここ数カ月、非常に中南米で大流行しております。日本は島国ですので、そういった海外で流行しているウイルス性の病気、感染症のものがなかなか入りにくいというのはあるんですけれども、今現在、ちゃんとした防疫体制をとっているのか、ちょっと確認です。

福島政府参考人 ジカウイルス感染症対策につきましては、検疫法上の検疫感染症に位置づけをしておりまして、検疫所の検査体制、これは検疫所でPCR等ができる体制でございますけれども、この体制を整える等、帰国者への対策というものは今強化をしておるところでございます。

浦野分科員 国内は、もちろん、そうやってやっていただいていると思っています。

 ところが、オリンピックで今度は逆に、選手を含め応援団の方々がたくさんオリンピックのときに中南米に移動されます。

 聞いたところによると、オリンピックの時期というのは蚊が下火になっている時期で、そういった意味では感染の危険度は下がっているということなんですけれども、それでも大量に日本から人が移動するわけですね。

 私は、このジカ熱、特に妊婦の方が感染した場合に小頭症の子供が生まれる確率が、リスクが高いという研究結果が今出ているということで、非常に怖いウイルスだなと思っています。

 入ってくることはないですけれども、向こうに行って、もらって帰ってくる可能性があるわけですね。特に、オリンピックの選手はもちろんですけれども、渡航される皆さん、そういった注意をして行かなければいけないですし、安全にオリンピックをするために、その辺の手だても国としてしていかなければいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

福島政府参考人 御指摘のように、海外でうつされてこない、特にブラジル等に渡航するときの注意というのが必要なわけでございます。

 ジカウイルス感染症それ自体は、症状としては発熱もそれほどひどくございませんけれども、今先生御指摘のように、妊娠中の方が感染した場合に小頭症になるのではないかと強く示唆されておるわけでございまして、そういう面で、まずは、外国にいらっしゃる方、特にブラジル等の流行地域に渡航される方に対しまして、外務省とも協力をして、リーフレットあるいはホームページを用いまして、まず、感染防止のために長袖、長ズボンをできるだけ着用していただく、あるいは蚊を防ぐ薬を使っていただくということの徹底をお願いしているということ。

 それから、妊娠している方あるいは妊娠する可能性がある方については、できるだけ渡航を控えていただくことを呼びかけておりますし、また、どうしても渡航しないといけない場合は、厳重にその間は対策をとっていただくようにお願いしております。

 それからもう一つ、実は性行為でうつるのではないか、これはまだ十分には知見が得られておりませんけれども、そういう指摘もあるものですから、妊娠中の方のパートナーの方が渡航されて万が一感染しているということがあるものですから、妊娠中には避妊をしていただく、性行為をするときにはコンドームを使っていただくようなこともお話をしています。

 これは、市町村で母子手帳をもらうときとか、母親学級とかのときに、そういう情報も提供していただくように、いろいろな形で今周知に努めているところでございます。

浦野分科員 実際、これは本当に、その後に来る、小頭症になってしまうかもしれない、そういうリスクが高いというのがちょっと怖いので、これはぜひしっかりと、今おっしゃっていただいた対策も含めて、周知を徹底していただきたいなと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 四つ目ですけれども、野良猫対策についてです。

 大臣は猫派ですか、犬派ですか。ペットを飼われていますか。

塩崎国務大臣 私は両方派でありますが、今、家には猫が、女房が猫派なものですから、そういうことになっています。昔は両方いました。

浦野分科員 私も両方なんですけれども、今は私の家には犬が二匹いてまして、秋田犬なんですけれども、有名な遠藤さんのところからいただいた犬なんです。

 本当に、今、空前の猫ブームらしいです。スマートフォンとかでも「ねこあつめ」というアプリがあって、ただただ、餌を置いておくと猫が集まってくる、その猫を画面で見ているというだけのゲームなんですけれども、それが非常に売れていて、これは世界じゅうでヒットしているアプリになっているんですね。日本の猫カフェとか、ああいうのは海外にはないそうで、それを目当てに日本に海外からやってこられる外国人もいてるということです。

 元来、日本は、犬もそうですけれども、猫も非常にめでてきた国だというふうに思っています。一説には、今、ネコノミクスと言われて、二兆三千百六十二億円の経済効果を生んでいるということらしいです。

 ただ、こうなったときに一番怖いのは、何年か前、犬ブームが実はあったんですね。その犬ブームが去って何が残されたかというと、やはり、飼えなくなった犬を保健所に引き取ってもらって、それを殺処分してもらうという非常に悲しい出来事が、今でも起こっています。それは多分、猫も同じ運命を、ブームというのは非常に、いいときもあれば悪いときもありますので、去ることがありますので、これからまたそういったことも出てくるんじゃないかと思っています。殺処分の内容が、今現在でも既にもう猫の方が、というか大半が猫であるということです。

 犬、猫の殺処分を減らしていこうという取り組みで、今かなり、日本国内でも取り組まれているところが非常にふえてきています。

 私の地元の市でも、私の高校の後輩になるんですけれども獣医がいまして、その獣医の人たちがボランティアでNPOを立ち上げて、そのボランティアの人たちに頼んで野良猫を集めてきて、去勢手術をして、放して、自然減で猫の殺処分を減らしていこうという取り組みをされています。

 私、今現在、手出しで皆さんやっているところもたくさんあって、こういう活動は、殺処分に費用がどれだけかかっているのかと聞いたら、いろいろなものと一緒に予算をつけているので、実はその部分だけ抜き出して予算がどれぐらいかかっているのかというのを調べることが、一回調べようとしたことがあったらしいですけれども、調べられなかったということなんですね。

 ただ、でもやはり、殺処分をしないようにしてやれば、その費用も抑えられる部分も出てきますので、国として、この対策、こういった活動を少し後押しするような政策を打つべきじゃないかと思っているんですけれども、どうでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 自治体が引き取りました猫の数というのは、近年減少傾向にはありますけれども、平成二十六年度で十万頭となっておりまして、その約八割が所有者不明の猫、また、約六割の六万頭が幼齢の子猫となっております。これは、野良猫から生まれた多くの子猫が引き取られていることを示唆しておりますため、御指摘の野良猫の対策は大変重要だというふうに思っております。

 環境省では、平成二十六年に、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランというのを発表いたしました。その中で、長く継続的な活動として地域に根づかせるための地域猫対策の推進事業等、複数の地域においてモデル事業を実施しております。

 今後、モデル事業の成果等を取りまとめたガイドラインを環境省で作成し、自治体だけではなくて国民にも広く普及をしてまいりたいというふうに考えております。

 それから、寄附金を活用して不妊、去勢にかかる費用の補助枠を拡大している例など、各自治体独自の取り組みもございますので、こうした先進的な事例を他の自治体による取り組みの参考としてもらえるよう、環境省のホームページでも紹介をしているところでございます。

 環境省といたしましては、このような取り組みを通じて、今後とも地域における地域猫対策を推進してまいりたいと思っております。

浦野分科員 今、先進的な取り組みをされているところをいろいろと情報収集してガイドラインのようなものをつくるということをおっしゃっていたと思うんですけれども、ガイドラインができても、では、それができたから市町村、都道府県でやってください、予算をつけますというわけにはなかなかいかないと思います。

 ただ、でもやはり、ガイドラインをつくっていただくことによって、一つでもそういった取り組みを進めてくれる市町村が出てくるのであれば、つくった意味もありますし、そのガイドラインが出た後、市町村とか都道府県単位でそういった対策をとられているところもありますし、我々はそれはそれでしっかりと後で地元でやっていきたいなと思っていますので、しっかりとしたものをつくっていただけたらと思います。よろしくお願いをいたします。

 あとちょっと時間があるので、きょう朝から、朝というかきのうの晩からちょっと腹が立っているんですけれども、厚生労働委員会があした、どうも大臣所信に対する質疑は開かれないということで非常に、それをすることによって、来週は参議院の予算があるので委員会が全然開けないんですよね、大臣がやはり予算委員会に出られるということで。それならもう来々週になっちゃうんですよね。

 慎重審議を求めている野党筆頭の某、もう名前を言うのも嫌ですけれども民主党が、慎重審議を求めているにもかかわらず、そうやって審議の時間をどんどんどんどん飛ばすわけですよね。

 あしたも、実は大臣所信の質疑を反対しているのは民主党だけなんですよね。野党の、僕らも野党という立場ですから、私たちも質疑をやりましょう、共産党さんも質疑をやりましょう、改革結集さんも質疑をやりましょう、与党はもちろんやりましょうと言っているのに、民主党だけが反対しているだけで開かれない、そんなおかしな話はないんですよ。野党筆頭といって筆頭協議をやっていますけれども、自分たちの意見だけぶつけているだけで、何の野党の意見も聞いていないわけですよ。

 だから、僕は本当に、与野党の筆頭協議はもうそろそろ真剣に考えてほしいと思っています。大臣も同じ思いだと思いますけれども、何しかまともに委員会が進むように我々も頑張りますので、よろしくお願いします。

 以上です。

山下主査代理 これにて浦野靖人君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷川とむ君。

谷川(と)分科員 おはようございます。自由民主党の谷川とむでございます。

 ことしも予算委員会第五分科会で質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、泉南地域のアスベスト問題について質問させていただきます。

 一昨年、足かけ九年にわたった泉南アスベスト訴訟は、最高裁判所判決及び大阪高等裁判所での和解により、被害者の救済範囲が限定的であるものの、一定の終結を見るに至りました。

 昨年一月には、塩崎大臣にも地元泉南にお越しいただき、私も同席させていただきましたが、原告団の皆さんと面談、意見交換をしていただきました。原告団の皆さんも、塩崎大臣が地元泉南にお越しいただき、本当に丁寧で心ある対応をとっていただいたことに大変喜んでおられます。私からも心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 しかしながら、まだ残された課題も多く、不安がなくなったわけではありません。塩崎大臣には、引き続き、強いリーダーシップをとっていただき、丁寧かつしっかりとした対応をとっていただければと思っております。

 そこで、塩崎大臣にお伺いします。

 地元泉南にお越しいただき、原告団の皆さんと面談、意見交換をしていただいた際の率直な感想と、今後の決意等があればお聞かせいただければと存じます。

塩崎国務大臣 大阪・泉南アスベスト訴訟につきまして、原告の方々に直接おわびを申し上げるということで、昨年一月十八日に泉南を訪れさせていただいて、その際には、谷川委員にも御同席、御同行いただいて、ありがたく思ったところでございます。

 その前に、最高裁の判決の後だったと思いますが、大臣室でも原告団の方々とお目にかかることがございました。事前にいろいろお話を聞く中でも、かつて工場で働いていた際の、もうもうとアスベストが空中を浮遊する中で仕事をしておられたというところがそこここにあったということを聞いておったわけでありまして、そういうことを踏まえて、最高裁の判決、そしてまた大阪高裁における和解の決着を確認した上でお邪魔をさせていただいたわけであります。

 訪問直前に、私どもはお会いをするということを大変期待し、楽しみにしておりました原告の松本様が亡くなるということがございまして、行ってお話をするのが、かわりに弔問するという格好になってしまいました。お線香を上げさせていただいて御冥福をお祈りしたところでございます。それから、裁判の道半ばで亡くなられた原告の方の御遺族の御自宅にもお邪魔をさせていただいて、仏壇に手を合わさせていただいたということもさせていただいたわけでございます。

 その後、原告団の方々との面会の場があって、その場に谷川先生もおいでをいただいたわけでございますけれども、私から改めて直接おわびを申し上げたところでございます。そして、原告の方々からの直接のお話を聞くということで、これまで重ねられてきた御苦労についてお話をさまざま聞かせていただいたわけでございます。

 厚生労働大臣として、本当に頭が下がる思いで、今後とも、このアスベスト対策につきましてはしっかりと万全を期してまいりたいというふうに思っているところでございますので、谷川委員には、ぜひともまたいろいろな御指導を賜れればありがたいというふうに思います。

谷川(と)分科員 本当に、塩崎大臣、ありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、労働者災害補償保険、労災の時効問題について質問をさせていただきます。

 アスベストを業務として扱っていた労働者に対しては労災が適用されます。労災補償には、健康被害の原因がアスベストであることの認定を受けなければなりません。しかし、アスベスト疾患は、アスベストを吸引してから非常に長い年月を経て発症するのが大きな特徴でございます。例えば中皮腫の場合、その多くが三十年から四十年という非常に長い潜伏期間の後に発症するとされています。また、そもそもアスベストは非常に細かい繊維、アスベストの繊維一本は髪の毛の五千分の一とも言われております。吸引したか自覚がない労働者も多い。そういう中で、労災請求期間は死後五年以内となっていますが、職歴と疾病の関連がわかりにくいために、労災申請せずに時効となるケースもあります。

 そこで、厚労省として、これまでどのような救済措置を図っているのか、お聞かせください。

加藤政府参考人 労災保険法によります遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅した方に対しましては、平成十八年に成立しました石綿による健康被害の救済に関する法律に基づき、特別遺族給付金の支給を行っているところでございます。

 この制度の周知につきましては、過去、石綿暴露作業に従事した労働者の方々に対する注意喚起のために、平成十七年度以降、石綿暴露作業による労災認定等を行った事業場名等の公表を行うとともに、それらの認定を行った事業場に対しまして、当該事業場を離職した労働者等に対する労災保険制度等の周知や請求勧奨を行っていただくよう要請しているところでございます。

 このほかに、新聞広報により石綿関連疾患に係る労災補償制度等を周知するとともに、医療機関宛てに石綿暴露歴などのチェック表を送付しまして、問診ですとか診察の際にチェック表を活用することで、業務による石綿暴露が疑われる場合には請求勧奨をお願いしているなど、さまざまな方法で制度の周知や労災等の請求勧奨を実施しております。

 加えて、平成二十三年度、二十四年度には、全国の法務局などに保管しております死亡届をもとに、平成七年から平成十七年までの間に中皮腫により亡くなられた方を把握しまして、労災請求などがなされていない御遺族に対する請求勧奨も行ったところでございます。

 こうした制度の周知や労災等の請求勧奨によりまして、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく特別遺族給付金の支給決定件数は、平成二十六年度までに累積千五百七件となっております。

 厚生労働省といたしましては、引き続きこういった周知を進めることで、労災保険法による遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅した方に対しましてしっかりと特別遺族給付金が支給されるよう対応してまいります。

谷川(と)分科員 ありがとうございます。

 引き続き周知を徹底していただきまして、救済できる人はできるだけ救済していただきますようにお願い申し上げます。

 次に、アスベストによる健康被害に対する今後の対応として、アスベスト治療に向けた医学的研究を進めていく必要があると考えておるんですけれども、厚労省の取り組みは今いかがでしょうか。

加藤政府参考人 石綿によります健康被害に苦しまれている方々が、よりよい治療を受けられ、合併症の予防や生活の質の向上、苦痛の緩和につながるよう、医学的研究について進めることを大臣から指示を受けております。

 このため、平成二十七年度から、労災疾病臨床研究事業費補助金制度を活用しまして、石綿関連疾患に係る治療手法及びケア手法に関する研究を開始したところでございます。

 具体的には、現在二つの研究を行っておりまして、一つは、中皮腫患者の治療選択やケアの指針に活用することを目的としまして、中皮腫の腫瘍マーカーでありますCD26というものに対する抗体ですとか、ほかの分子標的薬との併用によります、副作用の少ない、有効で安全な中皮腫の集学的治療法の確立を目指すということと、CD26の発現と治療反応性や予後など臨床現場で得られます医学的指標との相関を明らかにすることで治療選択やケアの指標を見つける、そういった研究。

 二つ目としましては、悪性胸膜中皮腫患者の予後改善と生活の質の向上を図るために、抗PD―1抗体という新しい免疫治療薬でございますけれども、これの有効性を評価するための医師主導治験を行うとともに、中皮腫患者の身体的、精神的、社会的問題を評価する緩和ケアのツールを作成し、導入することを目的とする研究でございます。

 今後とも、石綿疾患につきましては、患者の皆様への福音となるよう、研究の推進に全力で取り組んでまいります。

谷川(と)分科員 ありがとうございます。

 私も原告団の皆さんと意見交換をさせていただいた際に、やはり苦しまれている方がたくさんいます。ぜひとも国を挙げて医学的研究を進めていってほしいという強い要望をいただきましたので、これからもどんどんどんどんと医学的研究を進めていただきますようにお願い申し上げる次第でございます。

 次に、労働者には労災が適用されますが、労働者の家族や工場周辺の住民の皆さんは、労災の対象外であります。そのような労働者以外の人たちに対する救済措置として、環境省としてはどのように行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。

北島政府参考人 労災制度の対象とならない石綿による健康被害の救済につきましては、平成十八年から、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく救済制度を行ってきているところです。

 この救済制度は、原因者と被害者の個別的な因果関係を明確にすることが困難という石綿による健康被害の特殊性に鑑み、損害賠償責任とは切り離して、事業者、国及び地方公共団体の全体の費用負担により、石綿による健康被害を受けた方及びその遺族に対して医療費や療養手当等の給付を行っているところです。

 また、平成十八年の制度実施以降、医療費等の支給対象期間の拡大、指定疾病の追加、肺がん等の判定基準の見直しなど、適時適切に制度の見直しを行ってきております。この結果、平成二十七年三月末の時点で、中皮腫や肺がんなど、指定疾病の認定件数は一万件を超えたところです。

 今後とも、救済制度を着実に運用し、石綿による健康被害の救済に全力を尽くしてまいります。

谷川(と)分科員 ありがとうございます。

 私の父の事務員だった方も、御主人がそういう石綿、アスベスト工場で働いていて、その工場で石綿がやはりいっぱいつきますよね、それを家に持ち帰って洗濯をしたりとかいろいろして、知らず知らずのうちに吸引をして、最終的には、長い年月、先ほども中皮腫とかであれば三十年から四十年というお話をさせていただきましたけれども、それによってやはり肺の病気で亡くなったということもございます。

 家族の皆さんや周辺住民の皆さんも、知らず知らずのうちにアスベストを吸引して、なかなかやはり自覚ができないかもしれませんけれども、長い年月たって発症するというケースも、多分、もしかしたらまだ出てくるのかもしれないと思っていますので、環境省としても、ぜひこれからも救済措置をしっかりと図っていっていただきたいなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、泉南地域は、戦前戦後を通じて、国の基幹産業の下支えとしてアスベスト加工業が発展し、中小、小規模を合わせ数多くの事業所が稼働してまいりました。日本におけるアスベスト製品の生産、使用は全廃となっておりますが、泉南地域において、飛散の懸念はないと聞いておりますが、残存アスベストが放置されたままの廃事業所も複数存在していると聞いております。

 そこで、泉南地域の残存アスベストの有無の調査はどのように行っていて、現時点でどの程度把握しているのかをお聞かせいただきたいと思います。

深見政府参考人 いわゆる残存アスベストに関する調査につきましては、平成二十六年十二月十六日に、大阪府におきまして、泉南地区を含む大阪府内における旧アスベスト工場の実態調査及び事業所周辺の環境調査の結果を公表したと承知しております。

 この調査結果によりますと、廃棄物処理法の指導監督権限を有する大阪府等により、府内の四百八十二カ所の旧アスベスト工場等を対象に調査が行われておりまして、十一カ所の事業所に残存アスベストがあったことが確認されております。

 現在、大阪府等により、事業者に対する指導が行われておりまして、これまで三カ所の事業所において残存アスベストの処理が行われております。他方、残り八カ所の事業所の残存アスベストにつきましては、大阪府等の指導に基づきまして、事業者や土地所有者が飛散防止措置をとるなど、生活環境保全上の支障が出ないように対応していると聞いております。あわせて、大阪府等により、早期に適正処理をするよう指導が行われているところでございます。

谷川(と)分科員 ありがとうございます。

 その残存アスベストがある旧アスベスト工場へはどのような対応を行っているのか、お聞かせください。

深見政府参考人 廃棄物処理法では、事業者がみずから排出した廃棄物は当該事業者の責任において処理することとされておりまして、廃棄物処理法の指導監督権限を有する自治体が事業者に対して指導等を行っております。

 大阪府内の旧アスベスト工場の残存アスベストにつきましては、廃棄物処理法に基づく適正保管や適正処理について、大阪府等により事業者や土地の所有者などの関係者に対する指導が行われているところでございます。

 なお、環境省におきましては、平成二十六年十二月の大阪府の公表を受けて、直ちにアスベストを含む廃棄物の適正保管や適正処理の徹底について、全国の都道府県等に改めて通知を行ったところでございます。

 環境省といたしましては、今後とも、住民の生活環境保全上の支障が生じないよう、関係自治体に対し、必要に応じて助言等を行ってまいりたいと思っております。

谷川(と)分科員 ありがとうございます。

 先日も、泉南市と阪南市の首長、そして議員の先生方、塩崎大臣初め、環境省では鬼木政務官のところに要望を改めてさせていただいたんですけれども、指導監督する対象者、事業者だったり土地の所有者がいる場合であればそういう対応も可能ではあると思うんですけれども、指導監督する対象者がいない旧アスベスト工場への対応がどうなっているのか。持ち主がいない旧アスベスト工場への残存アスベストの処理について、国としてどのように対応しているのか。

 これはなぜかというと、やはり、市としても、飛散の懸念はないと聞いているんですけれども、もし何かあったときに、その工場、僕もちょっと写真とかを見たんですけれども、やはりアスベストの繊維がいっぱい散乱している状況のところも実際あるんですね。それをやはり処理しようとしても、なかなか市の財政が、予算が確保できないということで困っていらっしゃるところもあるんですね、実態としては。

 その辺について、国としてどのような対応をしていただけるのか。また、その処理について御見解をお聞かせいただければと存じます。

深見政府参考人 御指摘いただきました、排出事業者がいなくなった残存アスベストにつきまして、原則論を申し上げますと、廃棄物処理法の指導監督権限を有する自治体の指導により、土地や建物の所有者により生活環境保全上の支障が出ないように、例えばシートを張るなどしまして飛散防止の措置をとっていただきまして対応していただいているというふうに承知しております。

 今後も、自治体により、適正な保管、適正な処理について指導が行われていくものと考えておりますけれども、国としても、必要に応じて廃棄物処理法に基づく助言等を行ってまいりたいと考えております。

 また、現在、大阪府下におきましては、残存アスベストによる生活環境保全上の支障が出ないように対応されているというふうに承知しておりますけれども、もし仮に、こうした廃棄物が不適正に保管あるいは処理されることによりまして生活環境保全上の支障が生じ、または生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県などが排出事業者に対しまして措置命令を発出し、支障の除去等を行わせることが原則となってまいります。

 その上で、原因者が支障の除去を行わない場合、あるいは、御指摘いただきましたように原因者が不明の場合におきましては、都道府県等が代執行により支障の除去をすることができる制度になってございます。

 さらに、原因者が不明な場合、あるいは資力不足の場合におきまして、代執行に要した費用につきましては、都道府県が、国と産業界が協力して助成している産業廃棄物適正処理推進センターの基金による財政支援を受けることができることになってございます。

谷川(と)分科員 ありがとうございます。

 環境保全が一番のやらなければいけないことだとは存じているんですけれども、やはりそれを守るために、代執行するにしてもいろいろとお金の面があります。その点について、基金の活用ができるということでございますけれども、もしそういうときには、ぜひとも国としてもしっかりとした予算を確保していただいて、御尽力を賜れればなというふうに思っております。

 少し時間は早いですけれども、私も、これからアスベストの問題、最高裁または大阪高裁での和解で一定の終結は見られると思いますけれども、いろいろと課題がまだ残されていると思っているところでございます。

 引き続き私も、アスベストにより苦しまれている人、またその環境保全についてしっかりと、できる限り取り組んでまいりたいと思いますし、アスベスト対策について、厚労省そしてまた環境省ともにしっかりとした対応を引き続き進めていただきますことを心からまた強く要望させていただきまして、ちょっと時間は早いですけれども、質問を終わらせていただきたいなというふうに思います。ありがとうございました。

    〔山下主査代理退席、主査着席〕

秋元主査 これにて谷川とむ君の質疑は終了いたしました。

 次に、水戸将史君。

水戸分科員 民主・維新の党・無所属クラブの水戸将史でございます。

 きょうは、脳卒中に関して、きょうは大臣初め三役の方がお見えでございますので、それぞれのお立場から見識を伺わせていただきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 もう釈迦に説法でありますけれども、その概要的なことを私から話しますが、脳卒中は、御案内のとおり、がん、心臓病とともに国民の三大病と言われておりまして、特に、昭和五十五年までは死因の第一位を占めておりました。医療技術の進展とともに今は四位という形になっておりますけれども、しかし、さはさりながらも、年間十一万人ぐらいの方が亡くなっているということであります。

 脳卒中の最大の問題というのは、やはり後遺症なんですね。結局、それを患ってしまった後の後遺症にかかって、それでその後の人生にいろいろなダメージを引きずっていってしまうということが最大の問題であると思われております。

 そして、きょう皆さんにお配りをしたこの一枚ぺらの紙でありますが、若干試算の域も超えませんけれども、しかし、大体このような数値であることを大臣も皆さんも御認識していただくということを前提として、お話をさせていただきます。

 介護を要する患者さんの人はというと、大体四百五十万人以上いると言われているんですね。そのうち、脳卒中で倒れた患者の方が一九%、ここには一八・五%と書いています。平成二十五年の段階では一九%弱いると言われておりまして、特に、この右の要介護四とか五に行くと、いわゆる重たい介護を必要とする方々の方はやはり脳卒中の患者の方の比率が高いということは、これは一目瞭然であります。

 一方、認知症の方々は大体一六%程度でありますものですから、やはりこの脳卒中による後遺症がそれほど人生に大きな影響をもたらすということ、これは想像にかたくないということはよく御認識をいただきたいと思っております。

 そういうような現状で、まず、大臣、こうした脳卒中の現状、この現実をどう深く受けとめていらっしゃいますか。

塩崎国務大臣 脳卒中についてのお尋ねがございました。

 今お話がありましたように、脳卒中は、がん、それから心疾患、肺炎に続いて我が国の死因の第四位ということでございまして、年間十一万人の方が脳卒中でお亡くなりになっておられる。そしてまた、脳卒中は介護が必要となった主な原因の第一位、先生の御指摘のとおりでございまして、医療のみならず、介護の観点からも重大な疾病というふうに認識をしております。

 脳卒中対策というのは極めて大事でありまして、予防、救急、治療、リハビリテーション、介護、これは多岐にわたるわけでございまして、厚労省としては、健康日本21、これは第二次の21でございますけれども、による食生活、運動などの生活習慣の改善の推進、特定健診、保健指導の実施によるハイリスク者への対策、救命救急センターなどの救急医療を充実すること、これも大事でありまして、自治体における医療計画の策定を通じた医療供給体制の整備など、総合的な取り組みを進めてまいっているわけでございます。

 特に、予防の中には、最近、例えば、糖尿病由来で血管に問題を来して、それが原因で脳卒中になるということもあるわけでありますし、身近なところに本当に多い脳卒中の患者さん、後遺症を持っておられる。実は、私の家内の母も脳卒中で、脳卒中というか脳梗塞で救急車で運ばれました。幸い命は取りとめましたけれども、やはり歩行が思うようにいかないということになっておりまして、大変身近であり、深刻であり、そして、これをしっかり予防しながら、何とか減らしていかなきゃならないというふうに思っております。

水戸分科員 大臣のお母様もそういう形で患ってしまったということでありまして、本当に、お身内として、やはりこの脳卒中を深くこれからも認識していただきたいと思うんですね。もちろん、大臣のお立場としてもそうなんですけれども。

 今大臣がいみじくもおっしゃったとおり、脳卒中は、血管が詰まる脳梗塞、そして血管が破れるような脳出血やクモ膜下出血があるんですね。特に、この脳梗塞は全体の四分の三を占めているということで、高血圧がやはり最大のリスク要因かなということはもう既に言われております。

 これも試算の域を超えませんけれども、大体、大まかこういう形かなと思うんですが、全体の医療費の中の約一・八兆円部分ぐらいが脳梗塞でというような形での医療費の支出ではないか。これにも増して、介護費の中の、全体は約九兆円ぐらいあるんですけれども、その中の約四分の一ぐらいが、先ほど言ったように、介護を必要とする脳卒中の患者のために費やされているんじゃないか。これは約二・二兆円部分ということを試算しております。

 結局、どっちが多いの少ないのという話ではありませんけれども、やはり総合的に見れば、医療費、介護費がこれからどんどんどんどん膨張しますけれども、医療費部分よりも介護費の部分が非常に増加の一途をたどっているということなんですね。

 いかにこの介護費を少なくするか、脳卒中の患者の後遺症を和らげることによってこの介護費を少なくするかということも、大きな大きな対策を講じていかなければいけない一つの道しるべだと思っているんですけれども、これについてはどういうような御見識でしょうか。

太田大臣政務官 今先生御指摘のありましたように、介護の必要となった人の一八・五%が脳血管疾患によるものであったということと、また、医療費に占める割合もこの原因によるものが一定程度高いというようなことは御指摘のとおりでありまして、平成二十五年の国民生活基礎調査によってもそのことが明らかになっております。

 これを減らしていくために何か打つ手はないか、こういう御質問でございます。

 一つは、これは生活習慣病から発している部分もございますから、特定健診、保健指導やデータヘルス等の予防、健康づくりの取り組みを推進するということ。それからもう一つは、リハビリですね。日常生活や地域社会における制限や制約を最小限にするために、高齢者御本人の望む生活を支える効果的、効率的なリハビリテーションを推進していく。

 このようなことを通じまして、できるだけ高齢者の方々が健康に、要介護状態とならずに、住みなれた地域で自立した生活を過ごしていただくようにするということが重要ではないかと考えております。

水戸分科員 いろいろな対策を講じていくということは、もちろん当然です。予防にまさる治療なしでありますものですから、そういう生活習慣の中のさまざまな気配りとか心がけというのが必要だと思っております。

 もちろん、技術的な面として、これは一つの明るい話題でありますけれども、血栓溶解薬というんですか、tPA、これが平成十七年に認可されまして、発症から四・五時間以内にこれを使用すれば、非常に発症後の症状の改善が期待できるというような進展を見ることができました。

 そもそも、厚労省は、このtPAについてはどのような評価をされていますか。専門的な方から。

太田大臣政務官 tPA治療ということで御質問がございました。

 厚労省がどのように評価しているかということでございますけれども、私ども、この承認審査に当たりましては、海外での臨床試験と国内での臨床試験、それぞれについて確認を得ております。

 まず、海外の方ですけれども、発症三カ月後の機能予後良好率という数値が三九%ということで、比較的高いよい数字、良好であったということ。そして、国内の方では、海外で得られた成績と同程度の効果が得られているということ。これらを確認した上で、御指摘のあった平成十七年十月に承認をいたした、こういうことでございます。

水戸分科員 その有効性を確認していただくことは本当に、これはこれとして、それを前提として、では、実際どの程度国内で使われているのかという使用状況、tPAの治療の使用実績、こういうことについては具体的に厚労省は把握をされていますか。

太田大臣政務官 使用実績というのは正確には把握しておりませんけれども、診療報酬上、一定の要件のもとにtPA治療を行った場合に算定することのできる超急性期脳卒中加算というものの審査分が、平成二十六年六月時点におきまして六百四十二件、こういうことでございます。

 この審査分は、平成二十一年百五十二件、平成二十二年八十件というようなところから比べますと、かなり増加をしてきているものと認識しております。

水戸分科員 やはり、もうちょっと具体的に、かつ詳細なデータを集めて、このtPAの成果というか、この効果というものをもっと検証していただきたいということと、釈迦に説法でありますけれども、やはりこのtPA、先ほど言ったように、四・五時間以内に投入する、治療薬として使うという一つの時間的な線があるんですね。

 私は横浜市出身なんですけれども、横浜市はこのtPA治療を導入しておりまして、脳血管疾患救急医療体制に横浜市内の二十九の医療機関が参加しているんです。二十九の医療機関がtPAに関してということで登録をしておりまして、救急隊から症状がもしかしたら脳卒中じゃないのかと疑って搬送された件数、正確に言うと七千百八十四件のうち、六千四百九十四件がこの参加医療機関に搬送されているんですね。そこまでかなり周知徹底がこれは進んでおります。

 その際、tPAの治療を受けたことで、亡くなられた方の比率が九%ぐらいになっている。先ほど言ったように、これは余り全国的にやっていない、厚労省がやっていませんからこれをやってくれということを言うんですが、今、一つのものとして、国内の市販後調査というのがあるんですね。これは死亡率が一七%なんですけれども、いわゆる脳卒中で亡くなる死亡率は一七%ぐらいなんですが、このtPAを使った場合に九%にとどまるということで、非常に効果的であるということが、横浜市では一応実施済みという話なんですね。

 ですから、こういう事例がありますものですから、結局、これから全国的な展開を厚労省としても率先垂範して呼びかけていただきたいんです。

 この実施機関の整備をする、その地域の中にどういう医療機関がこういう脳血管疾患の場合に受け入れ体制ができるのかという整備とか、その実施状況についてこういう結果がありましたよという公表をするということも含めて、そういうことについてやはりもっともっと厚労省が音頭をとって進めてくれと思うんですけれども、大臣、こういうようなことはどうでしょうかね。

塩崎国務大臣 今、横浜が先進的な試みをされているという御紹介をいただきました。

 先ほど来、政務官の方からも申し上げているように、tPA治療というのは、脳卒中の発症後すぐに、直ちに実施をしないといけない、そういうものでありますから、住民に対する脳卒中の症状などの啓発とか、迅速な救急搬送の体制を整えて搬送する、それから医療機関の受け入れ体制、今先生御指摘のとおりでありますけれども、これを整備しなければいけないということで、総合的に、町全体が脳卒中対策として構えをしておかなきゃいけないということだというふうに認識をしております。

 横浜市のこの市民に対する啓発運動とか、あるいは関係医療機関による連絡会をやっていらっしゃるということでございますけれども、そういったこと、あるいはtPA治療を行う医療機関の情報の公開などの取り組みを実施しているというふうに聞いているわけでありまして、こうした先進的な取り組みについて、それぞれの地域地域で先駆的にやっていらっしゃることについて、厚生労働省としても、全国で先進的なところはどこにどういうふうにやっているんだろうかということをしっかり踏まえながら、その取り組みの普及を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

水戸分科員 大臣がおっしゃったことは、いみじくも私も同感というか、本当に我が意を得たりという答弁をいただいているので、ぜひ有言実行ということは強く強く求めていきたいと思うんです。

 先ほど大臣のお言葉からもありましたとおり、やはりtPAは時間に制限があるということ、だからこそ、的確に疑わしい患者を搬送する、そして医療機関が受け入れるというこの連携が必要になってくるんですね。しかし、残念ながら、たらい回しということも、なかなかこれが解消できないような状況もまたこれありということでございますものですから、いかに救急現場の医療連携ということが大切かということは非常によくわかるものであります。

 結局、繰り返しになりますけれども、脳卒中は、発症直後の治療次第で、後遺症の発症率とか、入院期間及びリハビリの期間、その後の人生が決まってしまうと言っても過言ではありません。したがって、いかに地域ごとに二十四時間しっかりとした受け入れ体制を整備するかということと、tPAの治療を専門的な見地からできる、そうした病院や人材を確保することが必要であります。

 何よりもやはり、先ほど触れましたように、搬送体制、いかに救急隊員が現場で判断して速やかに患者を運べるか、そういう技術的な面もありますけれども、そういう時間的なものもあります。ですから、結局、絵に描いた餅にならないように、やはりきっかりとした形でこれをやる必要があるということなんです。

 そこで一つ聞きたいんですが、これは前回も、別な形で太田政務官もお越しいただきましたけれども、やはり救急現場で活躍している救急救命士さんなんですね。これはもちろん、消防法の中にある、消防において消防隊としてもやっているんですけれども、実際、救急救命士の資格はやはり厚労省の資格なんですね。

 ですから、この救急救命士の職域とか処置の、いわゆる自分の置かれた活動、任務、役割の拡大をもっともっと進めていく必要があると思っているんですね。そういうことによって、先ほど言ったように、受け入れ医療機関とか、搬送時間のおくれということの問題が解消できると思うので。

 もしこれが仮に医療機関とかそういういろいろなたらい回し等々もあった場合におきましても、しっかりとした形で救急救命士が応急的な手当てをできるような、そうした処置ができるような形での職務の拡大をしていけば、かなり一命も取りとめることができるのかと思うんですけれども、何か、なかなか物事が決まれども実施が進んでいないということで、非常に、これは言い方が悪いんだけれども、厚労省が及び腰じゃないかという話があるんですが、これについてはいかがでしょうか。

竹内副大臣 救急救命処置の範囲につきましての御指摘だというふうに理解いたしておりますが、救急救命士制度は、消防職員である救急隊員が傷病者を搬送する途上で救急救命処置を行うことによって、救命率を上げることを目的に創設された制度でございます。その処置は、病院または診療所に搬送されるまでの間に限って行うものと法律上なっております。

 救急救命処置の範囲につきましては、これまでも有効性や安全性の評価を行った上で拡大をしてきておりまして、最近では、平成二十六年四月に、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与などを加えたところでございます。

 現時点で、新たに拡大すべき具体的な救急救命処置の提案が関係の方面からは今のところなされておりませんで、今後、傷病者の救命率の向上や後遺症等の軽減に資すると思われる提案が具体的にありましたら、有識者の御意見も聞きながら、その範囲の拡大を検討してまいりたいと考えておるところでございます。

水戸分科員 もちろん人もあるんですけれども、その受け入れ体制というか、これはこの間太田政務官が答えているので、今回、特に大臣に御認識をいただきたいんですけれども。

 人材の、職域の拡大もそうなんですが、例えば、今ドクターカーというのが、かなり、これは八戸の話で、一つの事例でありますけれども、結局、ドクターカーというのは、病院から救急車を現場に向かわせて、医師をここに随行させて、そして連れて帰ってくるという話なんですが、もちろんこの搬送中に万が一の場合がありますから、ぜひドクターカーの中に、これはドクターヘリもそうなんですけれども、そこで施術、手術もできるような、そうした環境も必要じゃないかということなんですね。

 しかし、どこを手術室とするかという医療法の問題がありまして、一義的にはこれは都道府県レベルで決めるという話になりますから、しかし、都道府県もなかなか自分たちで決めることができない。厚労省に聞いても、なかなか、お互いにキャッチボールして。

 ですから、私は、やはり率先垂範して厚労省が、どこを手術室とするのかということについて、ただ単に病院の中でなくて、緊急の場合はある程度例外的というか特例的なものとしてこういうものを手術室とみなしてもいいんじゃないかということも、お互いにキャッチボールしないで、そろそろその判断をすべきじゃないかと思うんです。

 大臣、このドクターカー、ドクターヘリ等々も含めて、手術室のあり方について大臣の御見解を求めたいと思います。

塩崎国務大臣 救急救命士を導入した後も、気管挿管とかいろいろな形で、何をやっていただくかということについては随分いろいろな議論があって今日を迎えているわけでありますし、今のドクターカーということで、お医者さんに乗ってもらう、ドクターヘリも、乗っていただいているからこそいろいろなことができ得るということでありまして。

 先生今御指摘のように、一人でも多くの方の命を守るためにどういうことがあり得るのかということは、今先生御提示いただいたような方向性を、どういうふうにやれるのかということを、しっかり、御意見をさまざま伺いながら、前に進めていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。

 大体、気管挿管のときも、記憶しておりますけれども、やはり医療との兼ね合いとか、これは弁護士法との兼ね合いでなかなか法律相談などについてもいろいろ制限があるのと同じように、では本当にそれでニーズが満たされるのかというと、やれないことをやらせないままでいくことが命を救うということにつながるかどうかということも、必ずしもそうも言えないようなこともあるので、ここのところは、やはり皆で本当にベストな組み合わせは何なのかということを考えて、前に進めるということが大事なんじゃないかなというふうに思っておるところでございます。

水戸分科員 特例的な形を含め、おっしゃられたとおり、やはり人の命が一番大事なものですから、形式的なことに余りこだわっちゃうと結局本末転倒になりますから、ぜひこれは前向きに検討していただきたいと思っています。

 脳卒中対策には、医療間で連携をとり合って急性期後の再発防止に努めつつ、施設や自宅でのリハビリを充実させること、さらには、地域における回復後の社会参加への支援を継続的に行っていくことが今求められております。

 これらの多くの課題を早急に整備していくためにも、これは平成二十六年でありますけれども、六月十八日、脳卒中対策基本法案が第百八十六回国会に提出され、そして参議院の厚生労働委員会に付託されたというものの、残念ながらこれは継続案件となりまして、次の第百八十七回国会では、これを継続案件として、それに上げられっ放しで、十一月の二十一日に、あのような突然の解散によって審議未了、廃案となってしまったんですね。非常に残念なこととなってしまいました。

 あれから今、なかなかこれが芽が表面的に出てこないという状況でありますけれども、特に、竹内副大臣もお見えでございます。やはりこの法案を策定するに当たって御党が非常に中心的な存在として役割を果たしていただいたということを私は仄聞しておりますけれども、脳卒中対策基本法案の提出、制定までに向けての動きを、副大臣としては、今までの経過をよく御存じだと思いますけれども、どのような形で受けとめていらっしゃいますか。

竹内副大臣 脳卒中を含めまして、循環器病対策をさらに進めるために、現在、循環器病対策基本法案について、与党の議連におきまして検討が進められていると認識をしております。

 厚生労働省といたしましては、こうした基本法案の動きも見据えつつ、脳卒中対策も含めた循環器病対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

水戸分科員 御存じでそういうふうにおっしゃっていると思いますけれども、やはり循環器、総合的なものと脳卒中は似て非なるものでございまして、確かに心臓病も脳血管疾患も血管が詰まるとか血管の障害なんですけれども、しかし、先ほど言ったように、脳に対するものと心臓に対するもの、全くこれは次元が違う話でございますから、それをふんわりした循環器全般でやっちゃうと、薄くなっちゃいまして、結局、効果的な医療体制とか人材の育成、また先ほどのような治療の方法も散漫になってしまうということになってしまう、その理念が非常に崩れていくのではないか、それを懸念しているんです。

 だからこそ、やはりがん対策基本法もそうなんですね。がんというものに特化して、非常に、もちろん、死因の第一位でありますからこの深刻さは当然受けとめていく必要がありますけれども、さはさりながらも、死因の第四位を占めるようなこうした脳卒中でありますから、またそれの後遺症がその後の人生に大きな大きな影響を与えますから、やはりこれは特化して法案化すべきであるということの方が、私はそれを多としたいと思っているんですよ。

 副大臣、もう一度、これに関してどういう御見識ですか。

竹内副大臣 水戸委員の御指摘も、おっしゃる部分として、理解できる部分は多々ございます。一方で、専門家の間でもまたさまざまな意見があることも承知をしております。

 いずれにいたしましても、中身がどのような形になるか、これは厚労省としては、議員立法というふうに進められておりますので、ちょっとコメントをするのは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても中身が大事でございまして、先生が御指摘のように、脳卒中に対してしっかりとした対策が打てるような中身にならなければいけないというふうに思っているところでございます。

水戸分科員 では、がん対策の話を若干しましたので、その御見識も問いたいし、もちろん、がん対策も議員立法という形でできました。しかし、厚労省は、他力本願的に、議員が出さなきゃやらないよみたいな、そういうイメージがどうしても、ネガティブになっているのかなという気もしないではないわけであります。

 私は、こういうものに対しては、やはり率先垂範して、国民の命を守る、健康を守るということでやっていただきたいなと思うんです。がん対策基本法も、できたことによって、いろいろな体制整備ができ、人材の育成も進んで、もちろん、がんは全体的にパイが広がっていますからなかなか死亡者数は減りませんけれども、しかし、いろいろな形でこれからがんに対しては取り組みを強化していくんだという、それが、やはり不治の病と言われたがんが克服できる、闘える病となって、国民に大きな勇気を与えているのだと思っているんですね。

 具体的に、今、がん対策基本法ができた、もう来年は十年目になりますけれども、どのような効果、成果が上がっていると認識されているか、簡潔にお話しください。

太田大臣政務官 がん対策基本法が平成十八年に成立して以来、基本計画を策定いたしまして、がん対策を鋭意進めてまいりました。

 十九年六月の基本計画では、もう言うまでもないことですけれども、がんの予防や検診の推進、がん医療提供体制の整備、がん研究の充実等々、そして、二十四年からの第二期では、小児がん対策、がん教育、がん患者に対する就労支援等、新たな取り組みを追加して、推進をしてきたものでございます。

 この結果、一言で申し上げますと、十年間で二〇%がんによる死亡者が減ったということで、これまでの包括的かつ総合的なこのがん対策の実施というものは一定の成果が得られたというふうに認識をいたしております。

 今度、春から、第三期の基本計画策定の議論が開始されることになっております。成立十年を迎えるこのがん基本法、これを踏まえまして、がんによって亡くなる方を減らす、そしてがんになっても安心して暮らせる、そういう社会の実現に向けて一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

水戸分科員 最後に、大臣にお聞きします。

 先ほど、大臣のお身内のお母様もそういう形で患ってしまったということ、本当に、生のお話をいただきました。

 がんもそう。しかし、死因第四位であり、また介護原因の第一位であるこの脳卒中、やはり基本法というもの、よりどころというものがあれば、いろいろな形でその効果が波及していくのかなと。そして、医療や介護を初め救急体制にも大きなインパクトを与えるし、また、脳卒中患者やその家族、関係者を初め、国民にとっても大きな希望を与えることができると思うんですね。ですから、こうしたよりどころとするものの存在というものは、やはりこれは必要だと思っております。

 ですから、他力本願的にならないで、議員が出さなきゃやらないよみたいなことじゃなくて、大臣、やはりこれは率先垂範して、厚労省が音頭をとりながら、ある意味で議員を引っ張っていくような気持ちも含めて、ぜひ脳卒中克服に向けて大臣が率先垂範してそのアクションを起こしていただきたいと思いますけれども、大臣はどのようなお考えでしょうか。最後に、前向きな答弁をよろしくお願いします。

塩崎国務大臣 脳卒中が極めて日本人の中でも死因が高いということなので、大事な対策をしっかりとやれ、こういうことで先生から今御指摘をいただいて、私も全くそのとおりだと思っております。

 一つは、まず、脳卒中になるリスクを減らしていくということは、かなり手前からずっとやっていかないといけないことで、そのことも私ども、これまで、少し保険者が十分な機能を果たしてこなかったのではないかということを私は個人的には思っていて、それぞれの保険者がしっかりとそういった予防をやっていく。これはもう国民運動でやっていかなきゃいけないと思うんですね。

 ただ、それが結果が出るには時間がかかりますから、そうなると、今先生がおっしゃったように、脳卒中に対してどうやって、治る病気と言えるほど予後がいいということになる体制を組んでいく、それも、さっき申し上げたように総合的に組んでいかなきゃいけないということ。

 したがって、tPA治療などを含めた適切な治療、それから適切なタイミングで治療が行われる体制を社会全体、地域も含めてつくっていくということが大事なので、きょう包括的にお話をいただきましたけれども、私ども、この脳卒中の特性をよく踏まえて、死亡率をさらに減らす、それから後遺症をどう低減するか。

 さっき申し上げたように、私の妻の母は、幸い、伝い歩きぐらいはできるほどのリハビリを、先生方の御努力とスタッフの御努力で、やっていただけるようになりました。ですから、そういうことが、みんな、仮になったとしても後遺症が軽いということになるようにしなければいけませんし、何よりも亡くならないというふうに体制を組んでいくことが大事なので、総合的な対策をさらに考えてまいりたいというふうに思います。

水戸分科員 よろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

秋元主査 これにて水戸将史君の質疑は終了いたしました。

 次に、大畠章宏君。

大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは、認知症対策と、地域におけるお医者さん不足の課題について質問をさせていただきます。

 まず最初に認知症対策ですが、実は、私の知人が医者をやっておりまして、小児科の医者として一生懸命頑張っておりました。しかし、ちょうど六、七年前から、診察が難しい、こういうことになって病院は閉院をいたしましたが、それが認知症ということで医療活動ができない、こういうことで、今、彼自身も病院に入っているところであります。

 この認知症というのが、非常に地域社会の中で大きな問題といいますか、課題として広がっております。したがって、認知症対策は今どのような状況にあるのか、こういうことを全体的に把握するために質問をさせていただきます。

 ちょうど去年の十一月の十四日と十五日に、「NHKスペシャル」で「認知症革命」という番組がありましたので、それを録画しておいて、私も拝見をいたしました。さらには、ちょうど二、三年前だったと思いますが、茨城県の笠間市立病院の白土医師の講演を伺いました。

 この二つから言えることは、認知症というのは、早くそれを把握して対策すれば治るんですというのが白土医師の話でありましたし、「NHKスペシャル」の方でも、アメリカ、日本でもかなり研究が進んできて、そういう症状を回復させたり軽くしたりすることもできるんだ、こういうことでございました。

 したがって、日本においてはどういう状況に今あるのかということを最初にお伺いいたします。

 そこで、認知症患者のこれまでの推移といいますか傾向、それから、今後どういうふうになるのか、十年後には大体七百万人になるのではないか、こういうことも言われておりますが、まず最初に、厚生労働省としてどのような事実把握をしているのか、伺います。

三浦政府参考人 認知症の患者さんの人数あるいはこれからの推移というお尋ねでございますが、我が国における認知症の方の数ということになりますと、平成二十四年の段階で約四百六十二万人、六十五歳以上の人口の約七人に一人と推計されているところでございます。

 この数でございますけれども、今の発生の状況が仮におおむね変わらないと考えますと、高齢化が進展していく中で、数としてはさらに増加が見込まれておりまして、平成三十七年には約七百万人前後と推計されているところでございます。これは、六十五歳以上人口の約五人に一人ということでございます。

大畠分科員 ただいまのお話を伺いますと、これから、六十五歳以上の方については、おおむね五人に一人ぐらいが認知症ということになるだろう、七百万人という話も出されました。

 これにどう対応するかですが、実は、二〇一二年度にオレンジプランというものを政府の方で決定し、それを推進し始めた。この中身は、相談窓口とかあるいはお医者さんのネットワークですとかあるいはまた地域における支援策とか、こういうところが加わっていたわけでありますが、特に私が注目するのは、そういうときにはどうしたらいいのかという対策のためのガイドラインとか、若年性認知症支援のハンドブックですとか、認知症初期集中支援チームの設置だとか、こういうところを政府は当時やろうとしていたわけですが、ここら辺も含めて、現在どのような状況にあるのか、お伺いします。

三浦政府参考人 今御指摘ございましたように、新オレンジプランに基づいて、さまざまな基盤の整備が進み始めたということがございます。

 まず、平成二十四年に策定したオレンジプラン、これでは、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で暮らし続けることができるよう、平成二十五年度からの五年間の具体的な計画を定めていたところでございます。

 オレンジプランで掲げました主な施策の進捗状況でございますが、平成二十六年度末時点で、認知症サポーターにつきましては約六百十一万人、認知症初期集中支援チームにつきましては四十一市町村、認知症地域支援推進員につきましては二百十七の市町村、認知症介護実践者研修修了者につきましては約二十万人、それぞれ養成、配置されていたところでございます。

 このほかにも、若年性認知症支援ハンドブックや認知症ケアパス、認知症の薬物治療に関するガイドラインにつきましては、都道府県、市町村に配布などを行っておりまして、これを通じて、地域包括支援センターなどの相談支援機関や、かかりつけ医などの医療機関などの地域で支援に携わる方々に活用されているものと考えております。

大畠分科員 ただいま新オレンジプランについての説明がありましたが、その前にオレンジプランというのがあったと思うんですね。

 今のお話で新オレンジプランとして今動いてることはよく理解しますが、当時のオレンジプランでいいますと、おおよそ新オレンジプランの中身と同じような内容でありますが、例えば、認知症と認定された場合の対策のガイドラインとかそれから若年性認知症支援のハンドブックだとか、要するに、周りの家族がどうしたらいいんだろうということを知るためにこういうハンドブックというのは非常に有効だろうと思うんですが、ここら辺については具体的に今どういう状況になっているのか、お伺いしたいと思います。

三浦政府参考人 先ほど実績として申し上げましたのは、オレンジプラン、民主党政権時に定められたオレンジプランに基づいて進捗してきた状況について御説明申し上げたところでございます。

 その中で、今御指摘ございました若年性の認知症支援ハンドブック、認知症のケアパス、認知症の薬物治療に関するガイドラインなどにつきましては自治体に配布を行っているところでございまして、現場の例えば地域包括支援センターあるいはかかりつけ医、医療機関、こういうところで活用されているという認識をしております。

大畠分科員 このハンドブック等を大いに活用はしなければならないと思うんですが、実は「NHKスペシャル」の中で、番組を見ておりますと、MCI、いわゆる軽度認知障害、こういう状況をいかにして把握するか、こういうことで、これを把握すれば正常に戻る人も進行をおくらせる人もいる、こういう話でありました。

 したがって、私は、ハンドブック等を活用する、あるいは各企業においてもよく見て、物忘れが多くなってきたとかなんかというときにはどうなのか、これを診断するという機会を設けて、できるだけ本人も周りの人もその状況を把握することが私は大事だと思うんです。

 この対策は、早歩きをするといいとか、一日に一時間、週三日ぐらいは早歩きをすると随分改善といいますか、それを防止したりなんかするということにつながるというのですが、防止するための対策といいますか、それをどうやって一般国民に通知するか、ここら辺についてはどういう努力をされているか伺います。

三浦政府参考人 御案内のとおり、認知症につきましては、いまだその病態の解明ということになりますと不十分な状態でございまして、現時点では、根本的な治療薬あるいは予防法ということになりますと、十分な確立がなされていないという認識もございます。

 一方で、御指摘ございましたように、運動ですとか口から食事をとる機能の向上、栄養の改善、社会交流、趣味の活動など、日常生活における取り組みが認知機能低下の予防につながる可能性が高いということがさまざまな論文などで示されているところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、これらの知見を踏まえまして、介護保険の地域支援事業という事業を活用いたしまして、住民主体の運営によるサロンや体操教室の開催など、地域の実情に応じて社会参加などの進展が見られるような取り組み、こういうものを推進していきたいと考えております。

 また、研究ということも極めて重要な分野ではないかと考えておりますが、そのために、大規模な遺伝子解析、国際共同研究など、高品質で効率の高い追跡研究を全国に展開することや、発症前のいわゆる先制治療というようなものの可能性について追求すること、また、認知症の方々が研究への参加に際して容易に登録できるような仕組みを構築するなど、根本的な治療薬や効果的な症状の改善方法、有効な予防方法の研究開発を推進していきたいと考えているところでございます。

大畠分科員 先ほどの御答弁の中に含まれていたのかもしれませんが、改めて、早期診断というのは非常に大事だと思うんです。

 それで、当時、オレンジプランの中では、平成二十四年から二十九年度までの間に、認知症の早期診断等を行う医療機関を五百カ所整備する、こういう目標が掲げられておりましたけれども、これについてはどういう状況なのか、再度お伺いしたいと思うんです。

三浦政府参考人 今御指摘ございましたように、認知症は、早期に診断し、早期に対応していくということが極めて重要でございますが、その際には、医学的にもかなり専門的な知識ですとか技術が必要な場合がございます。

 そのために、認知症疾患医療センターを整備するということで、目標を置いて整備しているところでございまして、現時点でおよそ三百余り、全国で三百三十六カ所の認知症疾患医療センターの整備が進められているところでございます。

大畠分科員 この認知症というのは、若年性認知症というものも広がり始めていて、職場での仕事ができなくなる、こういうことで大変大きな影響もありますので、できるだけ関係する企業とも連携をとって、早期にそういう状況を把握して復帰ができるように、「NHKスペシャル」の中では、早期に把握したので職場に復帰しました、こういう事例もありましたから、ぜひ力を入れてやっていただきたいということを要請しておきます。

 そこで、実は今、研究がなかなか大変だということでありますが、薬の開発も進んでいるという報道もスペシャルの中でも言っていました。現場の方から、認知症治療薬アリセプトの服用添付文書に、治療開始から二週間経過後にアリセプト五ミリグラムに増量しなければならない、こういう記載が当初あって、その後、平成二十二年三月に、お医者さんが状況を見てこれを減量、量を減らしていいですよ、こういう付記もされたというのであります。

 実は、皆さんのところに参考資料をお渡しいたしました。去年の十一月二十二日の愛媛新聞の報道でございますが、全国の病院に、この少量投与に関してどうですかというお話を聞いたら、九の県で少量投与は認めず、こういうことで、国民健康保険団体連合会が診療報酬支払い請求を認めない査定をしたことがわかったというんですね。

 そうなりますと、私が聞くところによると、一生懸命減量したんだけれども、そんなレセプトはだめだということで却下されて、三百万ぐらいのお金は戻ってこなくて、結局病院でそれを負担しなければならなかった、こういう事例が伝わった。確かに、厚生労働省からの文書では、お医者さんの裁量で減らしてもいいですよ、こういうことが追記されたというのは存じ上げておりますが、どうもそれが徹底していないんじゃないか、したがって、これを徹底させるために何らかの方策が必要ではないですか、こういうお話が来ております。

 この件について、現在どういう状況にあるのか、お伺いします。

唐澤政府参考人 大畠先生から御配付いただきました新聞の資料を拝見いたしましても、取り組んでいらっしゃる先生方は在宅医療などを熱心にやっていただいている先生方で、私ども承知をしている皆様でございます。

 それで、このアリセプトの減量使用といいますか、普通はふやしてくる場合に査定されるということが多いんですけれども、少なくした場合も認めてくれという御要望でございます。

 私どもの方も、こういう御報道もございましたし、先生の御指摘もございましたので、国保連合会、それから社会保険診療報酬支払基金、こちらの方の現場の審査委員会での扱いというものがどうなっているかということを、まず私どもの方でも調べてみたいと考えております。

 これは、事務方が査定をしているわけではなくて、お医者さんと歯科医師さんのような専門家の先生方の委員会で査定をしておりますので、そちらで実際にどのような扱いにされているかということを私どもできちんとまず把握をさせていただこうと考えております。

 その上で、医学的、薬学的な、専門的な事柄もございますので、こちらの方は、その結果を踏まえながら、医薬局などとも相談してまいりたいと考えております。

大畠分科員 今の御答弁ですが、せっかく平成二十二年に、現場のお医者さんの裁量権といいますか、やはり増量すると副作用もあって、これは適さない、この患者には、一人一人の患者で随分状況が違うので増量する必要はない、こういう判断で減らしたという話なんですが、そういうことでは薬代としてお金は払いませんよというのは、これは現場のお医者さんの裁量権というのを認めていないものになるんですね。

 したがって、ここに「なお、症状により適宜減量する。」と書いてあるんだけれども、これが守られていないじゃないかということで、確かに専門の方々かもしれないけれども、患者は直接見ていないわけですよ、レセプトしか見ていないんです。

 だから、厚生労働省としては、こういう減量してもいいですよという通知をきちっと出すことが必要じゃないかと思いますが、再度、この件について整理をして答弁していただきたい。

中垣政府参考人 今委員から御指摘がございましたように、「用法・用量」のところ、最初三ミリから始めて、一、二週間後に五ミリに増量する、さらに、高度な方には、五ミリで四週間以上経過後、十ミリに増量する、こうなっておりまして、「なお、症状により適宜減量する。」ということになっております。

 委員御指摘のとおり、副作用を見るというのは非常に重要なことでございますので、私どもとして、薬事当局としては、こういった副作用がどういうふうに出てくるかといったことについては今後とも注視していかなきゃいかぬというふうに思っておるところでございます。

大畠分科員 今後とも注視していかなければならないんじゃなくて、現実にこういう、その用法について、なお、症状により減量するということを何のために書いたのか。この時点で、現場のお医者さん、患者と向き合っている医者の裁量に任せると言ったんだから。レセプトの審査というのは大変あるわけですよ。一々その患者がどうかというのはわからないわけ。

 ところが、現実に、調べてみると、これは去年の十一月の時点で、あるというのは九県あるわけですよ。お医者さんの処方箋というかレセプトを認めていないということなんですよ。これでは何のために厚生労働省からそういう通達を出したかわからないじゃないですか。

 したがって、やはりお医者さんを信頼して、一人一人症状が違うから、この患者には一番これがいいかなということで処方しているので。レセプトを審査する人は、それは一々わからないんですよ。ですから、減量したとしてもこれをよしとするということを、もう一度改めて厚生労働省はきちっと通知することが必要だと私は思うんですが、注視するなんという中途半端な話だからこうなっちゃうんですよ。再度、答弁を願います。

唐澤政府参考人 このアリセプトの用量をどう使うかというのは、先生御指摘のように医学的な判断があって、さらに、原則として、適宜、増減量といいますか減量することが認められているという添付文書になっておりまして、これは平成二十二年に変更されているわけでございますので、先ほどの実態を把握するのとあわせまして、支払基金とそれから国保連合会の方に、アリセプトの用法、用量についてはこういうふうになっている、その変更についての周知というものがどのぐらい徹底しているかということをきちんと把握して、よく理解をしていただくということについては、私どもの方から審査の団体の方にきちんと通知をさせていただきたいと考えております。

大畠分科員 大臣、せっかく厚生労働省としてこういうものを明らかにしながら、実は私のおふくろも、昔、薬を多量に投与したためにどんどん病状が悪化したことがあるんです。それで、ある病院から転院させて、その薬をやめたところ、症状が回復したという実例を持っています。

 したがって、お医者さんが処方した処方箋に従って、医者は患者に責任を持ってやっているわけなんですよね。そのレセプトをチェックするところが、これは増量していないからだめだ、認められない、こういうことで現場のお医者さんも混乱しているというので、この薬も、少量にすればそれだけ安く済むわけですよ、一言で言えば。

 だから、現場の医師をもうちょっと信頼して、今局長からも答弁ありましたが、ちゃんとこの通達に従ってレセプトの審査をするように、こういうことを再度大臣からも指示してもらいたいと思いますが、大臣の答弁を求めます。

塩崎国務大臣 私も、いろいろな医療関係者、特に医師から、特に認知症の御専門の医師からもお話を何人か聞いたことがございまして、まず第一に、認知症については、必ずしもまだ医学の観点からしっかりとした確立した判断ができていない部分がある、それもかなりあるということを聞いていて、そういう意味で、新オレンジプランを含め、オレンジプランを受けて、今回、オール政府の国家戦略にしましたが、その中での研究がいかに大事かということを申し上げているわけであります。

 したがって、私は医学の門外漢ではありますが、認知症にも幾つかのタイプがある、そのときに誤った処方をしてかえって悪くなるという、今の先生の御経験と同じことを私も聞いたことがございます。

 ということは、今答弁が少しかみ合っていないというのがございましたが、こういうところについては、最先端の、最善の知見を持って今判断をして、統一的に考えるということを考え、そしてそれを決め込むということをやっていかないといけないと思います。

 ですから、もちろん関係学会の御議論もしっかりと聞いて、今先生から受けた御指摘をどういうふうにしていくことが本当は一番望ましいのかということを決めていかなきゃいけないというふうに思いますので、早急にこれについては対処してまいりたいというふうに思います。

大畠分科員 大臣からも御答弁いただきましたが、前線の医者をもうちょっと信頼してもらいたいんですね。お医者さんは、一人一人の患者を本当に親身になって、どうしたらいいかなと考えながら治療をしているんです。

 確かに、大臣がおっしゃるように、まだ認知症の実態解明は難しいんですが、それでも、現在ある知見の中でどうしたらいいかと最善の努力をしていますので、前線で頑張っているお医者さんが戸惑わないような形のレセプトの審査ということになるように、先ほど答弁いただきましたが、もう一度全国を調べて、そして適切に対応するようにしますという答弁がありましたよね、そういうふうにぜひやっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に入ります。

 次の質問は、実は、いろいろなことを私も考えたのでございますが、過日、私も地域のいろいろな人のお話を伺いましたが、やはり大臣、地域医療を担うお医者さんが不足して、各自治体とも、少ない財源の中でもお金を出して一生懸命お医者さんを確保する、こういうことをやっているわけでございます。

 この地域医療を担う医者不足対策については、厚生労働省としてもいろいろやっていると思うんですけれども、抜本対策が必要じゃないか。一々自治体が、お金を準備しますから来てください、こういうことでいいのか、こういう声も上がっておりますが、これについての厚生労働省としての基本的な考え方を伺いたいと思います。

神田政府参考人 先生御指摘の医師不足対策についてでございますけれども、これまでも、都道府県の特定の地域等での勤務を条件といたします地域枠を活用いたしまして医学部定員を増加してきているところでございます。平成十九年に七千六百二十五人であったものを二十八年には九千二百六十二人ということで、千六百三十七人、大学十六校分に相当する増員をしているところでございます。

 それからまた、地域の個々の病院の不足の状況を調査分析いたしまして、個別の病院への医師派遣を行います地域医療支援センターというものを医療法を改正いたしまして位置づけまして、これに対する財政支援などを行ってきているところでございます。

 それから、抜本的な対策ということについてでございますけれども、現在、都道府県で地域医療構想ということで、二〇二五年に向けまして、各地域の急性期ですとか回復期、慢性期といった病床がどれぐらい要るのかという構想を今つくっていただいております。

 骨太の方針二〇一五におきまして、こうした地域医療構想との整合性の確保でございますとか地域間偏在等の是正などの観点を踏まえて、医師、看護職員の需給について検討するというふうにされたところでございます。

 昨年の十二月から、医療従事者の需給に関する検討会というものを設けまして、医師につきましては医師需給分科会というものを立ち上げておりまして、その中で、医師の中長期の需給推計を行うとか、あるいは医師の地域偏在、診療科偏在の是正策について検討するということにしてございます。

 今後、この分科会での議論を踏まえまして、先生御指摘のありました医師の地域偏在とか診療科偏在の問題について効果的な対策を講じていきたいというふうに考えております。

大畠分科員 これは大きな課題でありますが、地域の方は行きたくない、行きたいところにお医者さんは行くんだというこのルールが、大臣、やはり何か私はおかしいような感じがするんですよ。国も、一生懸命、税金まで投入してお医者さんを育てているわけなので、医者の資格を取ったら五年間ぐらいは国が指定するところに勤務しなさい、このくらいのルールを私は決めるべきじゃないかと思うんですが、塩崎大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 昨年、たしか十一月だったと思いますが、私、稚内に参りました。これは自民党の会で講演をするために行ったんですけれども、そのときにあわせて、その地域、宗谷地区というそうでありますが、市町村長さん全員集まって、一つだけ陳情したい、何かといったら医師不足。

 要は、大体、国民保険病院というのが一つあって、お医者さん一人、そんな町がずらっと並んでいるんですね。島も、利尻島などがありまして、そこなどは、救急のときにはドクターヘリが夜は飛ばないので自衛隊に来てもらう。ところが、自衛隊はお医者さんを乗っけてきませんから、一人乗って北海道の方に行く。そうすると、こっちの救急体制がもう島ではもたない。

 そういうことでありまして、今答弁を申し上げたようなことで、全体としてどうかということも大事でありますけれども、それぞれの地域がどうなっているかということは、やはり医療がなければ地域は壊死していくという、そんな感じを私はこの間持ちました。

 去年、「保健医療二〇三五」というのを、二十年先の保健医療体制はどうあるべきかという提言をいただきましたが、その中にも、今先生が御指摘になったような、一定程度はやはり義務的にこの地域にちゃんと行ってもらうというような仕組みを考えていかなきゃいけないんじゃないだろうか、そういう提言もいただいております。

 これから、医療従事者の需給に関する検討会をするわけでありますけれども、私は、今のような実情、そしてまた、製薬産業などを含めたところへの医師の存在というものが日本は圧倒的に少ないわけで、そうすると、産業競争力としてもいかがなものか。あるいは、これから医療ビジョンを各都道府県ごとにつくっていきますけれども、判断できるほどのお医者さんが、あるいは公衆衛生の専門家がそれだけ各都道府県にいるかというと、必ずしも私は足りているとはとても思えない状況であります。

 そういうことを考えてみると、総合的に医師の需給を考えるということが大事で、何よりも大事なのは、地域は医療がなければ成り立っていかないということを踏まえた上でのあり方を考えていくべきかなというふうに思っています。

大畠分科員 終わります。よろしくお願いします。

秋元主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

秋元主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。堀内詔子君。

堀内(詔)分科員 平成二十八年度予算委員会第五分科会で質問する機会をいただきまして、ありがとうございます。自由民主党の堀内詔子です。

 政府は、一億総活躍社会の実現に向け、介護離職ゼロを目指し、二〇二〇年までに介護入居者を五十万人以上上乗せする介護サービス整備計画を決定いたしました。これに伴い、安倍総理は、今後二十五万人の介護人材をあらゆる施策を総動員して確保すると指示されています。労働人口の減少、介護人材の需要はふえ続ける。限られた労働力を最大限活用できる仕組みづくりも急務と思います。

 第一の質問に移らせていただきます。

 ユニット型特別養護老人ホームについて質問させていただきます。

 ユニット型特養が導入され十三年がたちました。入居者の尊厳が確保され、御家族の皆様も安心、納得する入居者の方々のプライバシーが確保され、よりきめ細かい良質のケアが提供される。

 一方、省令、通達などのいろいろな制約があり、施設運営に非効率な点があるとも聞いております。ユニット間で介護・看護職員の行き来ができないように壁が必要と指導されており、人手の足りない折などは介護職員の負担は大きなものがあります。せめて夜間や見守りの必要な時間帯については、各ユニットの間の壁を移動、開放して効率的な介護、看護を可能とするなど、施設、事業所が知恵を出し、やりやすくする、創意工夫に任せてはいかがでしょうか。お考えをお教えください。

三浦政府参考人 ユニットケアについてお尋ねいただきました。

 ユニットケアにつきましては、居宅に近い環境のもとで日常生活を送りながら、その中でケアを行うことが適切であるということから、その施設基準におきまして、入所者の個性を尊重し生活のリズムを保つための個室や、入所者相互の交流などを図るためのユニットごとの共同生活室の設置を定めているところでございます。

 さらに、ユニットにおける共同生活室の間の壁が可動式であるものは適切ではないという解釈を示しているところでございます。

 一方で、これらにつきましては、国が自治体に対して示した参酌すべき基準であるということから、ユニットケアにおいて実現すべき適切なケアができるのであれば、地域の実情に応じて異なる内容を定めることは許容されることから、地方自治体において検討されるべきものと承知しております。

堀内(詔)分科員 ありがとうございました。

 続きまして、ユニット型特養の運用への柔軟な仕組みづくりについてお伺いさせていただきます。

 二十四時間の介護、見守りでは、入居者三、職員一では対応が難しい。人員配置の設定を九人ユニットに固定せず、もう少し大きいユニットや、複数のユニット単位の人員配置を可能とするなど、柔軟な対応を認める仕組みとしてはどうでしょうか。よろしくお願いします。

三浦政府参考人 ユニットケアにつきましては、先ほど申し上げたとおり、居宅に近い環境のもとで日常生活を送りながら、その中でケアを行うということが適切であるということでございまして、その施設基準におきましては、小規模なケア単位として一ユニット当たりの定員をおおむね十人以下とすることを規定しているところでございます。

 これらにつきましては、先ほどと同様に、国が自治体に対して示している参酌すべき基準であるということから、ユニットケアにおいて実現すべき適切なケアが実行できる、実施できるということであれば、地域の実情に応じて異なる内容を定めるということは許容されております。地方自治体において検討されるということが適切ではないかと考えております。

堀内(詔)分科員 ありがとうございます。各地方自治体の柔軟な対応を求めてまいりたいと思っております。

 次に、介護療養病床の廃止問題についてお伺いいたします。

 介護療養病床の廃止決定後、転換期間を二〇一七年まで延長しましたが、患者さんや御家族の方からは、これまでどおりの療養生活が続けられるのか、不安の声が寄せられております。私が局長を務めております地元自民党山梨県支部連合会女性局からは、地域医療構想による病床削減に対し、介護施設の充実や在宅医療の推進を要請されております。地元山日新聞でも大きく取り上げられました。

 今後の方向性はどうなるのか、お教えいただけますでしょうか。

三浦政府参考人 介護療養病床につきましては、平成十八年の医療保険制度改革によりまして、平成二十三年度末で廃止するということになったわけでございますけれども、介護老人保健施設などへの転換が進んでいないなどの理由によりまして、平成二十三年の介護保険法の改正におきまして六年間の期限の延長が行われたところでございます。

 介護療養病床は、主として重篤な身体疾患を有する重度の要介護高齢者の長期療養を担うとともに、例えば喀たんの吸引あるいは経管栄養などの医療処置を高頻度で行うという施設でございます。今後、慢性期の医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者が増加していく中で、これらの機能を地域において確保する必要があると考えているところでございます。

 ことしの一月には、療養病床の在り方等に関する検討会におきまして、介護療養病床を含む療養病床のあり方について、新たな選択肢の整理案が示されたところでございます。

 具体的な制度設計におきまして、この取りまとめを踏まえまして、社会保障審議会において議論を行うこととしております。引き続き、慢性期の医療・介護ニーズに対応するサービスの提供体制の整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

堀内(詔)分科員 ありがとうございます。

 地域の実情に応じた病床になっていくことを望んでおります。ありがとうございます。

 それでは次に、産後ケアハウスについてお伺いします。

 アベノミクスをさらに進めるには、女性が輝き活躍できる社会をつくっていくしかありません。その一つの鍵が少子化対策です。我が国の進める最も重要な政策の一つであります。

 OECDのデータからは、女性の育児負担の軽減が有効と言われております。目標の出生率は一・八。政府は、主に保育の受け皿拡大や保育人材の確保に重点を置いています。これは都会に偏り過ぎた政策のように私には思われます。

 日本全体で百万人の赤ちゃんが生まれる。東京都や神奈川県、大阪府で生まれる赤ちゃんは、百万人のうちの二十五万人にしかすぎません。今でも、多くの赤ちゃんは地方で生まれているのです。地方にも目を向けた少子化対策が必要だと思います。

 私の山梨県では、保育園の待機児童については良好な状況となっております。しかし、出生率は一・四です。また、出産をめぐる状況は厳しく、医師不足などを背景に、厳しくなる一方です。

 配付させていただいた資料の五枚目をごらんください。例えば、正常出産の方々の入院日数が年々短くなっていることは御存じだと思います。このように、出産という女性の体が一番つらい時期にもかかわらず、病院に泊まる期間が短くなっているのです。

 この一月に、地元山梨県では、お母さんがゆっくり宿泊しながら、育児の相談が助産婦さんに気軽に相談できる、産後ケアセンターを開設しました。全国でも非常に珍しいものです。県と市町村が連合して広域産後ケアを行う、こういった試みは、日本で山梨県が唯一のものと聞いております。理由は、国からの財政支援を受けられないといったことです。妊娠・出産包括支援事業の対象が市町村に限られているからです。県下最大の甲府市の出生数は年二千人に満たない、そういった山梨県でございます。どこの市町村でも単独にこのような産後ケアセンターは持てません。

 このままでは、横浜市のような大都市しか産後ケアはできなくなります。県と市町村が一緒になり実施主体として母子保健政策が行えるようになってほしいと思っております。

 全国に山梨産後ケアモデルを広げていくことはできないでしょうか。お伺いさせていただきます。

香取政府参考人 産後ケアセンターについての御質問でございます。

 御指摘のように、退院直後の母子に対する心身のケア、あるいは妊娠期から出産、その後の子育てを通じて一貫したサポートを行っていくという意味で、産後も安心して子育てができる環境、支援体制を用意するというのは大変重要なことでございます。私ども、平成二十六年度から、今お話がありました産後ケア事業というのを予算事業として制度化いたしまして、今進めているところでございます。

 産後支援も含めた母子保健事業なんですが、これはできるだけ妊産婦さんの身近な地域で提供するということがもちろん望ましいわけでございまして、母子保健法の中で、例えば新生児訪問でありますとか健康診査、妊産婦健診、あるいは指導など、さまざまな保健指導の実施主体は基本的に市町村ということで、市町村の業務で整理をされているということですので、さまざまな業務は市町村が主体的になっているということもございまして、この事業の実施主体は市町村ということでお願いをしているところでございます。

 他方で、御案内のように、例えば非常に小さい市町村ですと、そもそも妊婦の数が少ないというようなこともありますので、一つの単独の市町村では難しいという御議論もあろうかと思います。

 これは、事業としては市町村主体でということでございますけれども、さまざまな工夫はあり得るのではないかと思っておりまして、まだできて一年、二年の制度でございますので、さまざまこの後、実施状況でございますとかいうものも含めて、実施した後、いろいろ御指摘いただいていることもございますので、そういったものもあわせて、必要に応じてよりよい方向に見直しをしてまいりたいと思っております。

堀内(詔)分科員 ありがとうございます。

 産後ケアセンターについて、もう一つの視点から質問させていただきたいと思っております。

 施設立ち上げのとき、皆様から、産後ケアセンターはお母さんと赤ちゃんが入る施設にもかかわらず、医療施設ではないために旅館業法の適用を受けることとなってしまったそうです。

 旅館業法と助産所についての法律を配付させていただいております。お手元の資料の、助産所についてというものと、旅館業法についての資料をごらんいただければありがたいと思います。

 旅館業法と助産所について、その基準が全く大きく異なっております。産後ケア事業を行う際に、どちらの法の適用を受けるのか御存じでいらっしゃいますか。山梨県では、旅館業法の厳密な適用を受けることとなってしまいました。

 今、厚生労働省では、民泊関連で旅館業法の運用の見直しを行う検討をしています。産後ケア事業を行う施設こそ、この適用を見直すべきではないでしょうか。質問させていただきます。

香取政府参考人 御指摘の点でございますが、産後ケア事業につきましては二つのタイプがございまして、宿泊型というものとデイサービス・アウトリーチ型というのがございまして、それぞれ、宿泊するもの、それから、ケアする専門職がお伺いしてお世話をするタイプがありまして、基本的には両方とも、母体とか乳児のケア、あるいは育児に関する指導、相談、あるいはカウンセリング等々を行うということになっておりますが、宿泊型につきましては、基本的に二十四時間体制で、専門職の方、看護師あるいは助産師、保健師等がいらっしゃるということが条件で今一応制度設計されております。

 そうしますと、私どもとしては、基本的には、有資格の医療従事者がケアを行うということで、宿泊型で二十四時間お世話をするということになりますので、基本的には病院とか診療所とか、あるいは助産所といったところで事業が行われるということを念頭に実はこの制度は設計されてございます。

 ただ、この点につきましては、制度施行の後、自治体の方からも、恐らく、先行していろいろな形でこの事業をやっておられる場所が多分あるんだと思います、そういった関係で、お話しのように、旅館業法との関係でありますとかそういうことがちょっと指摘をされ、医療機関であれば旅館業法は適用になりませんので外れるんですが、そういった問題が出てきたということで、実は地方からも、その点について検討してくださいということで御要望が上がってきております。

 地方からの要望に関しましては、昨年の十二月に閣議決定いたしまして、その中で、検討しますということで、産後ケア事業につきましては、その事業の実施状況を踏まえて、実施に当たっての留意点等を定めるガイドラインを策定するということで、まず、産後ケア事業について、ガイドラインをきちんと、どういった形になっていればいいかを整理して、それをまず二十八年度中に形でつくる。その形を踏まえて、旅館業法の適用をどうするかということについて、今度は旅館業法の適用について調整するということで、今そういった形で私ども内部で検討している状況でございます。

 その中で、旅館業法の方では、衛生管理等、いろいろそういう規制があるわけですけれども、私どもの方で、どういった形で産後ケア事業の形をつくるかということに合わせて旅館業法の方の解釈なり運用をお考えいただくということで、全体として整理をしていくということで、一応二十八年度中にその辺を整理した上で方針をお示しするということで今検討しておりますので、よろしくお願いいたします。

堀内(詔)分科員 どうぞよろしくお願いいたします。

 日本全体が少子化に直面しています。その中で、女性のよりどころとしての産後ケアハウスが山梨にできました。大臣もぜひ視察にいらしていただいて、この取り組みを広げていっていただきたいと思っております。

 産後ケアハウスについて、塩崎厚生労働大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 今お話がありましたように、全国に先駆けて、これは市町村の事業であるのが基本でありますけれども、県も一緒になっておつくりになられたという産後のケアハウスでございますので、ぜひ、先駆的なものとして私もできれば拝見をしたいなというふうに思うところでございまして、私の妻の出身地でもございますから。どこにできたんでしたっけ。(堀内(詔)分科員「甲府の隣の笛吹市です」と呼ぶ)わかりました。

 ということでありますが、退院直後の母子が、心身的にも非常に微妙な、デリケートな時期であって、そこにケアが必要だということ、それから育児のサポートも必要だということで、そのことによって子育てが健全に行われるということで、大変大事な時期に対する施策、手だてだというふうに思います。

 先般、和光市に行ってまいりましたけれども、高齢者のことにも随分先駆的なことをやっていらっしゃる和光市ですけれども、産後ケア事業もしっかりやっていまして、その施設を一つ私は見てまいりました。そこは実際にお産もできるところでございましたけれども、当然、産後の支援、若いお母さんたちがたくさんおられましたが、そういうニーズが極めて高い。そこで知り合った人たちがまたいろいろ悩みを共有しながら、保健師さんの指導を得て、助産師さんの指導を得て、みずからの子育てを豊かにやろう、こういうことになっているのに感銘を受けたところでございます。

 さっきお話があったとおり、市町村が母子保健施策の実施主体ということでございますけれども、二十六年度から、まずは市町村を実施主体として、退院直後の母子に対して心身のケア、育児のサポートを行う産後ケアをやっているわけですけれども、二十八年度では、前年度と比べますと二倍の百六十の市町村で実施に必要な予算を計上しております。

 したがって、こういった市町村が中心となって、ケースによっては県と一緒になってやるということもあるようでございますから、いずれにしても、子供を育てるということに非常に役立つ、そしてまた産後の難しい時期を乗り切るためのプラスになるような、そういう事業が全国で展開されるように期待をしたいというふうに思います。

堀内(詔)分科員 ありがとうございました。どうぞ御支援のほど、よろしくお願いいたします。

 続きまして、診療報酬について質問させていただきます。

 認知症を初め、在宅医療の必要性はますます大きくなってきております。また、地方では、移動に大きな時間と労力を費やします。ぜひ、交通が不便な地域での加算等について、より充実していただきたいと思っております。

 また、認知症に対応するお医者さんをふやすためにも、認知症に対する医療への報酬を強化するべきとも考えております。

 この二点について、お答えをお願いいたします。

唐澤政府参考人 ありがとうございます。

 御指摘のように、地方は、まばらに家がございますので、移動がなかなか効率的にいかないという問題がございます。

 何度も御議論をいただいてまいりましたけれども、在宅医療の訪問診療の問題につきましては、現行の仕組みの中では非常に非効率に、ばらばらに診療せざるを得ないというような仕組みにこれまでなっておりますものを、合理的な移動ができるようにするということで、特に、地方の場合は移動の時間がかかりますので、効率的に動けないと大変困る、あるいは患者さんがたくさん診られないということがございますので、そうした改正をさせていただくことにしております。

 それから、在宅医療の訪問診療の関係では、これまでは月二回訪問しないと算定ができなかったんですけれども、それを、状態が相手の方がさまざまでございますので、一回でも算定できるようにする。二回から初めて点数がつくというものを、一回の点数もつくりまして、訪問が柔軟にできるようにさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

 このほか、診療報酬は、基本的には全国一律の点数がついておるんですけれども、訪問看護につきましては、従来から、離島や僻地で実施をされているものにつきましては、特別の加算ということで、五〇%増しの点数を設定しております。

 それから、次に御指摘をいただきました認知症の関係でございますけれども、認知症の対策というのは、これからの我が国の超高齢社会の最大の課題の一つだというふうに考えておりまして、私どもは、今回の診療報酬におきましても、新オレンジプランを踏まえまして、一つには、認知症を専門的に診断できる診療所、こういう診療所に対する評価がこれまでなかったのでございますけれども、新たにこういう点数を設定したいというふうに考えております。

 それからもう一つは、入院した際の対応でございますけれども、認知症の患者さんが入院した際に、認知症にきちんと対応できる研修を受けた医師ですとか看護師などのチームで対応を行うことへの加算、これは認知症ケア加算と言っておりますけれども、そういうものを新たに設けさせていただきたいと考えているところでございます。

 それで、この加算が特に重要なのは、急性期の重い病気を二週間くらいで治療するというところの皆さんは、意外に認知症の対応になれていないというようなことがございまして、これからは高齢の方がふえますので、救急で運ばれていったときに、認知症の対応もきちんとできながら、脳卒中や心疾患、心臓病の治療ができるということが実は大事でございますので、こういう加算を設けさせていただいたところでございます。

 今後とも、こうした診療報酬上の評価ということにも検討をさせていただき、さらには、医療施策、介護保険の施策とも連携させていただきながら、地域包括ケア推進の構築の中で認知症対策の充実を図っていきたいと考えております。

堀内(詔)分科員 ありがとうございます。

 在宅医療の問題、認知症の問題、これからの高齢社会でますます重要な課題となってまいりますので、よろしくお取り組みのほどお願い申し上げます。

 続きまして、介護人材の確保について質問させていただきます。

 介護離職ゼロを目指し、今後二十五万人の介護人材が必要となってまいります。労働力の減少が進む中、介護人材の確保は深刻な問題となっております。

 国内の介護労働の充実はもちろんですが、最近、外国人の介護人材についても議論が活発となってきております。

 今後、外国人の受け入れも含めて、政府としての対応はいかがでいらっしゃいますか。質問させていただきます。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 介護離職ゼロ、これは一億総活躍社会の実現のため大変重要な政策の柱でございまして、議員御指摘のように、介護施設の整備とあわせて、人材の確保、これは極めて重要でございます。

 このため、介護福祉士を目指す学生に、介護職に五年間の勤務で返済を免除する奨学金制度の拡充や、あるいは介護ロボットの活用促進、ICTを活用した生産性の向上の推進、さらには平成二十七年度介護報酬改定による処遇改善の着実な実施などの取り組みを進めるとともに、これらの施策の効果検証を行いながら、必要に応じて施策を充実改善し、着実な介護人材の確保につなげていきたいと思っております。

 委員が御指摘のとおり、まずはこうした介護人材の確保、あくまでも国内の人材確保、これをしっかり進めていく、充実強化が基本だというふうに考えているところでございます。

 他方、介護分野における外国人の人材の受け入れに関しましては、既に、経済連携協定に基づきまして、経済活動の連携強化を目的として外国人介護福祉士等の受け入れを実施しているところでございます。これは閣議決定ができておりまして、これに従いまして、そのさらなる活躍促進のための具体的な方策についてただいま現在検討を進めているところでございます。

 さらに、同じく閣議決定に沿って、専門的、技術的分野への外国人材の受け入れを目的としまして、日本の介護福祉士養成施設で学んで、かつ介護福祉士資格を取得された方の就労を認めるため、在留資格「介護」の創設などを内容とします出入国管理及び難民認定法の一部改正法案、これが国会に提出されているところでございます。

 これらはいずれも人材確保そのものを目的とするものではございませんが、ただ、介護を担っていただくこともこれは事実でございますので、まずはこのEPA介護福祉士等のさらなる活躍促進を図るとともに、あわせて、この法案の早期成立、これが重要と考えておりまして、その成立の暁には、この円滑な施行に向けて全力で取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。

堀内(詔)分科員 ありがとうございます。

 私も、議員の一員として、法律の制定に向けて一生懸命努力してまいりたいと存じております。

 それでは、時間が参りましたようなので、これで質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

秋元主査 これにて堀内詔子君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)分科員 民主党の奥野でございます。大臣、きょうはよろしくお願いいたします。

 ちょっと順序を入れかえまして、先にGPIF絡みの話もしていきたいと思うんですが、まず、昨年、二〇一四年障害年金受給者実態調査というのが報道されていますが、それによれば、障害年金受給者の約半数が、労働による年間の収入が五十万円未満だ、こういう結果が出ています。

 単身世帯が多くて、年金を受給した上で働いても生活が困窮している、こういう実態が明らかになっていると思うんですが、まず、大臣、これについてコメントをお願いしたいと思います。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 平成二十六年の障害年金受給者実態調査、今先生おっしゃっていただきましたように、障害者年金受給者で就労している方の約半数、四七・五%の方々が、就労収入が五十万円未満ということでございます。ただ、これは、労働収入に年金等の収入を含めた世帯収入で見てみますと、百万円以上の方が約七割、六六・八%となります。障害年金は、労働収入があっても額が調整されないということで、全額支給されるものでございます。

 そして、障害者につきましては、支出の部分も少し配慮していきたいということで、低所得者の福祉サービスの利用の負担をゼロにしていこうということで配慮をさせていただいております。

 ということで、障害者年金や特別障害者の手当等の支給、さらに、もう一つ力を入れておりますのが、障害者福祉サービスによります一般就労への移行支援、これはここ十年で八倍になってまいりまして、平成十五年が千二百八十八名、平成二十五年は一万一人ということでございます。また、ハローワークにおける職業紹介、こちらも過去十二年間ずっと増加をさせていただいております。

 ということで、障害をお持ちの方にも積極的に働いていただくということで、障害者の就労施設への発注の促進や工賃の向上、こういった形で収入をアップしていって、労働の収入そして年金の収入でしっかりと世帯の収入を確保させていただくように配慮をさせていただいております。

奥野(総)分科員 いろいろ御努力されているということなんですが、それで十分暮らしていけると思いますか。百万円と言っていましたけれども、百万円で人は暮らしていけるでしょうか。どうぞ。

とかしき副大臣 いろいろ事情もおありでしょうけれども、一応そういう形で、今、百万円以上の方が約七割ということで、これでいろいろなサポートをしながら、地域の皆さんのお支えありながら、何とかお暮らしいただいているというのが現状でございまして、もちろん、こういったことをこれから配慮していくことはとても大切だというふうに考えております。

奥野(総)分科員 もう少し何か心のこもった答弁が欲しいんですよね。いや、それは財政があるから、できますとは言えないとは思うんですけれども、百万円で十分だと思わないし、生活保護も受けている方もいらっしゃるんだろうけれども、受けないで頑張って、周りの方に支えられながら頑張っている方もいらっしゃるわけですよ。

 就労支援といったって、それは、働いてもなかなかお金は、賃金は難しいですよ、人それぞれ障害の程度は違いますから。もう少し温かい答弁が欲しいんですよね。役所的にはそういう答えになるんでしょうけれども、やはり、福祉とかそういうものに携わっておられる以上、それは野党だからそういう答えになるのかもしれないけれども、こういう分科会の場ですから、テレビでやっているわけじゃないんだから、もう少し温かい答弁をしてくれてもいいと思うんです。

 そこで、ちょっとまたこれは順序があれなんですが、例えば、交通費の軽減とかというのは、知的障害者とか身体障害者は手帳を持っていれば軽減になるんですよ。ところが、私もこれは知らなかったんですが、精神障害者はそういう仕組みがないらしいということなんですね。これなんかも結構冷たい。

 障害年金の受給者というのは、多くの方は精神障害者なわけですよね。精神障害者は、見た目は健常者と変わらなかったりして、なかなかこれまで理解が得られないということもあったんですが、時代もだんだん変わってきましたから、精神障害者の方も、やはりほかの障害者並みに交通費の減免ですか、軽減、受けられるべきだと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

藤井政府参考人 先生御指摘の、身体障害者手帳ですとかあるいは知的障害者の療育手帳等をお持ちの方への運賃の割引につきましては、公共交通機関の事業者でありますとかあるいは交通事業を行っている自治体が、それぞれ独自のサービスとして行っていただいておるものでございます。その中で、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方が一部の公共交通機関で運賃割引の対象となっていないことにつきましては、私どもとしてもこれは重要な課題であると認識をしております。

 したがいまして、厚生労働省といたしましては、交通事業者を所管しております国土交通省に対しまして、公共交通機関の割引につきまして各事業者に協力をしていただきますように要請を行ってきているところでございます。また、そういった運賃割引を受けやすくするための方策として、本人確認が容易に行えるように、平成十八年の十月でございますが、手帳に写真を貼付するようなことにもしたところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、ほかの手帳をお持ちの方と同様に運賃割引を行っていただけますように、引き続き、国土交通省に対してまた要請を行っていきたいというふうに思っております。

奥野(総)分科員 予算措置がないからということ、そこはほかの障害の方もそうだと思うんですけれども、そうなるとなかなか難しいということかもしれないけれども、でも、この時代に、やはり精神障害者の方も同じように受けられるというふうにするのが筋だと思いますし、もしそれがかなわないというなら、何らかの強い措置、一番いいのは財源を持ってくるのがいいんでしょうが、そうすると、ほかの障害者の方との並びという話も出てくるかもしれませんが、何か制度的に手当てをするというのが一番大事なことだと思うんですよ。私のところにも請願が来たり、それで知ったわけですけれども、やはり、ちょっと時代錯誤と言っちゃいかぬけれども、この二十一世紀の世の中にそういう区別があっちゃいかぬと思います。

 きょうはずっとこの話をしていくわけですが、やはり所得が低い、なかなか働けない、働いても収入が少ない、唯一の頼みの綱が障害年金だったりするわけですよ。

 年金一般についてもつながるんですが、先日、予算委員会で総理は、株式運用の損失が拡大するなら年金支払い額に影響もと記事になっているんですが、新聞によっては支給減額もという書き方になっているんです。

 私も昔、郵貯の運用の部署にいたことがあって、若干この問題には関心があるんですが、例えば郵貯であれば、お預かりしているお金だから、運用は安心、安全、確実にと当時は言っていたわけです。最近は、民営化して外債とか株式の割合もふえていますが、ただ、そこは余りふやさないということが基本だと思うんですね。

 ただ、年金保険と、より長期のものになると、もう少しリスクをとってと。しかし、それはポートフォリオの中で一定割合ということで、リスクを分散させるというのが基本的なあり方だと思うんですが、年金については、突出して、民間と比べてもリスクをとりに行っているわけですよね。万一損失、株価をきょうはちょっと見ていませんが、ことしに入って非常に乱高下していますし、為替の影響、それから海外の経済の影響を非常に受けるわけですよね。だから、大臣は恐らく積極的に株式運用という立場かと思うんですが、ただ、年金受給者の立場から見ると、これは非常に不安だと思います。

 もう一度ここで確認したいんですが、損失が出た場合に年金の支給額が減額というのは、論理的にはあり得るんでしょうか。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 二月の十九日の予算委員会で総理の答弁がございまして、そこでも同じように田村委員の方から質問がございまして、そこで総理は、株価が下がったからといって年金が下がるといったことは全くないと、はっきりとおっしゃっております。

 ということで、年金の積立金は長期的な観点で行うものでありますので、今確かに株価が下がっておりますけれども、短期的ではなくて、目先の運用実績がすぐに年金にはね返ってくるということはございません。

 ということで、運用も長期的視点から今実績もきちっと出しておりまして、平均収益率は年率でプラス二・七九ということで、収益額も累計で四十五・五兆円ということで、年金財政上必要な運用利回りを十分確保させていただいているということで、御心配には当たらないと思います。

奥野(総)分科員 これは時価評価でやっているから、確かに、下がればどっと損失がふえるし、上がればもうかっているように見えるんですが、確かに、売却をして確定しないと損失が見えてこないんですね。

 そうなんですが、しかし、論理的には高値づかみしている可能性もあるわけです。ちょうど去年の秋ぐらい、上がり局面でポートフォリオを拡大して買いに行っているわけですよね。多分、二五%いっているんですか、これもまだ買い増している。一番高いところで買ってしまった可能性もあるわけですよ。これが、今、例えば一万四千円とか、そのあたりで塩漬けになると、そこは損失としてずっと抱えたままということになりますよね。そうすると、外債もそうなんだけれども、運用に失敗すれば年金の支給額には影響が出る、これは論理的にはあり得るわけですね。

とかしき副大臣 一〇〇%ないとは申し上げられないかもしれませんけれども、多分、総理の方の答弁はそういう形で、万が一ということで答弁になったと思いますけれども、ただ、この二月のこの間の予算委員会で、先ほどから申し上げましたように、株価が下がったからといって年金額がすぐ下がるということは全くないということを総理もきちっと答弁なさっておりますので、その辺は安心していただければと思います。

奥野(総)分科員 まあ、論理的にはあり得るわけですよ。

 大臣に伺っているんですが、何度も何度も仕事上大変だと思いますけれども、大臣に伺いたい。

 論理的にはあり得る。だとすれば、もう少し運用に対しては慎重であるべきじゃないか。積極的に、公的年金ですから、公的年金はアメリカだって株式の運用はしていないはずですね、たしか。公的資金でリスクをそれだけとっていいのか、資金の性格上リスクをとりに行っていいのかという問題があるわけです。

 今言ったように、論理的に、損失を出して、それが年金支給額に影響する可能性は全くないとは言えないわけですよね。だとすれば、そういう資金の性格を踏まえて、もう少し、昔、僕らが言っていたのは安心、安全、確実、そこまで言う必要はない、年金だから、もう少し郵貯なんかよりはリスクをとっていいと思いますが、しかし、これはやり過ぎじゃないですか。もう少しリスクを抑えた運用にすべきだと思いますが、大臣、どうですか。

塩崎国務大臣 アメリカの例をよく出される方がおられて、株で運用していないじゃないかということをおっしゃいますが、あそこは完全賦課方式という方式で、そこの、言ってみればこれはペイロールタックスという形で税収で入ってくるわけですね、保険料じゃなくて。それを一般会計に預けている形が、受け取る借金証書が特別な国債ということなので、これは国債で運用しているという発想では全くないということをまず御理解をいただいた方がよろしいのではないかというふうに思うんです。

 我が国の場合は、完全賦課方式ではなくて、よく言われる修正賦課方式と言われるもので、どこが修正されているかというと、積立金が今であれば百三十とか百四十兆とかあって、この年金の、言ってみれば賦課方式部分と、それに加えて、運用の収益から乗っけて約束された年金をお支払いするという格好になっているわけであります。

 したがって、長期的に見て、これは五年に一遍財政検証を行うことになっていて、さまざまな経済要件や人口、あるいは高齢化のペースとか、そういうことを全部加味した上で財政検証をするわけでありまして、今は、御案内のように、名目賃金上昇率プラス一・七という形でGPIFには運用してくださいということをお願いして、そのような形で運用するならば、経済情勢がデフレの時期から脱して、新しく賃金、物価が上昇し得る経済環境のもとで新たなポートフォリオを組むとすればこういうものではないのかというのでGPIFから出てきたのが現在の基本ポートフォリオで、これは厚労大臣がもちろん認可をしているわけでございます。

 したがって、私どもとして最も大事なのは、やはり長期的に見て年金財政上必要な利回りを確保できるのかどうかということが最も大事で、これが約束どおりの年金を支払うことができるかどうかにかかってきますので、それを、経済情勢を分析した上でさまざまなケースを考えて、このくらいが一番妥当ではないかということで決めさせていただいています。

 何しろ大事なことは、今副大臣からも答弁申し上げたように、長期的に見てどうなのかということなので、もちろんリーマン・ショックのようなことがあったら、今の組み合わせは、短期的にはぶれは大きくなったけれども、長期的に見て年金財政上必要な利回りを確保できないというリスクは小さくなったというのが今回のポートフォリオの組み合わせでございまして、我々にとって大事なのは、もちろん大きなぶれがあるということも御心配をされるという意味においては大変大事なことでありますので、私たちはしっかりと説明責任を果たして、御心配は要らないということを申し上げなきゃいけません。

 少なくとも、長期的に見て、今のポートフォリオでいけば、いわゆるこの十年間の、リーマン・ショックを含むパフォーマンスについてよく総理から御答弁申し上げていますけれども、新しいポートフォリオだとこの十年間で四・三%の利回りで回っていたはずであるということでありますけれども、変更前であれば三・二ということで、よく国債で運用を全部したらいいじゃないかということをおっしゃる方がおられますけれども、それだと、この十年間で一・八六%しか回らない。

 そうなると、名目賃金上昇率プラス一・七、名目賃金上昇率が例えば三とか二とかいうことであれば、当然、二だとしても三・七%で回らなきゃいけないので、そうすると、長期的に見ると、皆様方、国民に対してお約束をした支給額を年金としてお支払いすることができなくなってしまうということになるので、そうならないようにするためのポートフォリオを考えたというのが今の組み合わせでございます。

奥野(総)分科員 言い出すと根本的な話になって、修正賦課方式だから、ある程度利回りを稼がなきゃいけないんだという話になるわけですよね。そこはもうそうなってしまっているからということなんでしょうか。

 その上で、今のアベノミクスの先行きの見通しを前提にポートフォリオを組まれたということをおっしゃっておられたと思うんですが、その前提が正しいかどうかというのがもちろんありますよね。名目賃金がそのとおり上がっていくのか、あるいは本当に物価が上がっていくのか、その前提が違っていた場合もあり得るわけですよ。

 だから、非常に僕は、このタイミングで本当にやるのか、もう少し落ちついて、もう少しアベノミクスの成果を見たところでポートフォリオの見直しをやるというならわかるんですが、案の定、見直した途端に、一時的に株価は上がりましたけれども、下がっていくわけですよね、今は。わからないですよ、これはまた戻るかもしれないし、戻らないかもしれないし。ただ、言われているのは、やはり日本の労働力人口は減っていく。消費が減っていくのはそのあたりにあるんじゃないかと言われている。これは、そういう説もあるというにとどまる。でも、それはだんだん認識されてきているわけですよね。

 そうした中で、今のこの見込みが本当に正しいのか。副大臣、さっき図らずもお認めになったけれども、減額の可能性が〇・〇%じゃないんだ、それはそのとおりだと思うんですね。だから、そういうことも踏まえていただいて、慎重に運用していただきたい。

 これをやっていると障害年金のことが聞けなくなるから、一言。

塩崎国務大臣 総理が、一般論として給付水準に影響があるかもわかりませんよということは、法律上書いてあることを申し上げているだけで、それは何が書いてあるかというと、財政検証というのを、さっき申し上げたように五年に一遍やるわけですね、基本的には。次の財政検証までに所得代替率が五〇%を下回ることが見込まれるような場合に初めて、まずマクロ経済スライドそのものの調整を終えようとか、あるいは保険料の引き上げも含めた負担と給付、このあり方を検討するということが法律に書いてございます。

 しかし、五〇%を代替率が割るというのは、今、御存じだと思いますけれども、代替率は六二%で、これから三十年かけてマクロ経済スライドをかけていこうということになっていますので、これが五〇を割るというときになったら、さっき申し上げたように、負担と給付のあり方を検討するということにもなるので、さっき申し上げたのは、給付が削られる可能性があるのかという御質問だった。これは玉木さんがされて、今も先生が御質問されていますけれども、これは、給付だけじゃなくて、負担と給付のあり方を考えろというふうに書いてあります。

 ちなみに、今、この代替率は六二%ありますので、これを三十年ぐらいでスライドをかけていこう、調整をしていこうと言っておりますので、究極の、法律的にどうなるかということで、可能性はもちろん法律上否定されていないけれども、そのときはやはり給付と負担と両方を考えなければいけなくなるんだということでございますので、まず、そういうことは想定すること自体も余り意味があることではないんじゃないかなと私は思っております。

 長々説明しようと思ったらずっとまだほかにもありますけれども、基本的な考え方はそういうことで、一年ぐらいのタームで変動が大きくなるということはそのとおりでありますけれども、これだけをリスクと呼ぶんじゃなくて、国民にとって一番大きなリスクは、予定された年金額をもらえないというのが最大のリスクでありますので、長期的な運用の考え方をしっかりと御理解を賜るように、我々ももちろん努力をしてまいりたいというふうに思います。

奥野(総)分科員 仕組み自体は理解をしているつもりですが、余計な懸念を与えるとか、余計なファクターとしてリスクをとり過ぎないようにということを申し上げているということです。これ以上やっていると肝要なことができなくなるので。

 きょう聞きたかったのは、去年も伺ったんですが、障害年金の等級判定ガイドライン、去年はちょうど支給の地域格差が明らかになって、それについてどうするんですかという質問をしたと思うんですが、それについて見直していくんだ、判定方法も含めて見直していくということで、ずっと検討会をされてこられておるのですが、これは今年度末にはガイドラインができるというふうに伺っています。

 それで、ちょっとこれも気になったんですが、七十九万人、障害年金受給者がいて、そのうち一割、七万九千人が、このガイドラインに沿って、新しい判定基準によった場合に支給停止や支給減額になるおそれがある。これは、全国の精神科医の団体、精神科七者懇談会という方々がこういう主張をしておられるということなんですが、これを踏まえて、ガイドラインというのは今どうなっているんでしょうか。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたけれども、昨年の二月以降、専門家検討会を設けまして、障害認定の地域差についてどうするかという検討を進めてまいりました。今月ですけれども、二月の四日、専門家検討会においてガイドラインの案というのを取りまとめたところでございます。

 そのガイドラインの案をまず申し上げますと、このガイドラインの案では、一つには、等級の目安というものをつくりまして、これは、障害による日常生活能力の程度あるいは日常生活能力の判定、これはそれぞれ生活に与える影響を数字的に評価したものでございますが、その組み合わせでまず等級の目安を確認するということをし、これが一つ目ですが、二つ目に、それ以外に考慮すべき要素、これは生活環境とか就労についてどういう影響を与えているかということを具体的なところを聞き取って、それは診断書とか御本人あるいは家族が記載される書類から確認をすることによって、それを組み合わせて総合的に判定をするという仕組みをつくったものでございます。

 ただいま先生が御指摘されました関係団体の指摘なんですけれども、この案に対して、精神科七者懇談会、これは病院とか診療所の精神科の医師から成る団体でございますけれども、このガイドラインを当てはめると障害年金を受給できなくなる方が七・九万人生ずる、こういう話でございました。

 実際、この計算なんですけれども、これは、一定のサンプルを用いまして、先ほど申し上げました等級の目安、これは数字の組み合わせですので、そこだけで、そこだけ当てはめて認定に至るかどうかを判断し、その結果から全体母数を機械的に推計して、七・九万人が認定が得られなくなるおそれがある、こういうふうなことで推計をされたということだと思います。

 これについては、我々、今、案としてつくりましたガイドラインの案は、等級の目安という数字の組み合わせだけではなくて、生活環境の考慮すべき要素等を考慮して、総合的に判定するということも加えておりますし、加えて、先ほども申し上げましたけれども、主治医の方々に対して診断書の標準的な記載の仕方を記載要領という形でお示しをすること、それから、請求者御本人から詳細な日常生活状況を把握するための照会書の様式というものもこの検討会であわせて検討いたしまして示すということにしておりまして、そういうことを踏まえまして全体で正確な認定をするということですので、必ずしも、この関係団体が推計したような数字、機械的な当てはめにはならないというふうに認識しております。

奥野(総)分科員 年金の運用の話で少し時間を使い過ぎてしまったんですけれども、聞きたかったのは、ガイドラインに新しく加わった部分というのがあって、この団体の意見を受けて、「受給者の障害の状態が従前と変わらない場合については、当分の間、等級非該当への変更は行わない」と。

 要するに、基礎年金でいえば二級から三級への変更は行わないと言っているんだと思うんですが、これだけ読むと、では一級から二級への減額はあり得るんですか、あり得ると読めます。

 それから、では、二級から三級への変更は行わないというのは、これはどういうロジックで、当然、新しい基準によれば変更は起こり得るんだけれども、新しい基準で判断してもなお、二級の人については三級あるいは等級外への変更は行わない、これはどういうロジックなんでしょうか。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回つくりましたガイドラインですけれども、その経緯を先ほども申し上げましたが、きっかけとしては、これは、今まで認定をしてきておる、その認定の結果に地域差がある、それを是正するべきではないかという問題提起から始まっております。

 その結果として、今、新たにつくりましたガイドラインに沿って運用を行った場合には、今までの地域差を解消するということからすると、再認定をした際に、新たなガイドラインに当てはめますと認定の非該当の方が出てくるということは想定し得ることではあります。機械的ではなくて、いろいろな総合的判断をいたしますけれども、その結果、変わることはあり得る。地域差が是正されていくということであれば、そういうことがあり得ると思います。

 ただし、既に認定を受けておられる方ですけれども、それは、今までの認定のプロセスにおいては、今までは、適正な手続に基づいて、認定医が医学的判断を行い、障害の程度が認定されてきた、今までのやり方で正しいやり方でやってきたということには違いありませんし、さらに加えて、年金収入を前提として今生活をされておる方々でございます。障害非該当ということになりまして年金が受給できなくなると、生活上の困難が生ずることで、特にこれは精神障害の方ですから、その程度を、障害の症状を悪化させるおそれがあるというような御意見も関係の方々からいただきました。

 それで、新たに認定される方々とはやはり違う事情がある、従来認定された方についてはそういう事情があるということから、障害の状態が従前と変わらなければ、当分の間は、等級非該当にして年金額をゼロにするという扱いについてはしないという経過措置を講ずるということにしたものでございます。

奥野(総)分科員 それをやめてくれと言っているわけじゃなくて、それはそれでいいと思うんですが、ただ、地域差があったわけですから、そもそも、ある地域ではもらえていた人が、同じ基準で、ある地域ではもらえなかった可能性があるわけですよね、別の地域に引っ越して。もらえなかった人は今ももらえないままで、相変わらずもらえません。ということは、すごく不公平だと思うんですね。どこかの地域に住んでいたから、経過措置があって今ももらい続けられます、一方の人は相変わらずもらえません、こういうのは僕は不公正だと思うんです。

 であれば、あのとき、日常生活の能力の程度、二段階、三段階、どっちにそろえるかと。今回、そういうのではなくて、もっと総合的にという話なんだけれども、何をみんな懸念しているかというと、厳しくなるんじゃないか。これは、もう時間がなくてできなかったんですが、再認定も厳しくなっているという一部データもありますし、それから、今回の新しいガイドラインで、厳しい方にそろえられるんじゃないか、絞られるんじゃないか、こういう懸念があるから、こういう七十九万人、七万九千人、それは正確じゃないという話かもしれないけれども、受給者の皆さんにとっては非常に不安なんですよね。

 だから、やるべき方向としては、そんなに大した額じゃないと思うんですよ、こんなことを言っちゃいけないけれども。一兆円の軽減税率に比べれば、障害者の方に少し寛容に障害年金を給付するというのは、僕はあっていいと思うんですよね。そのあたりはどうなんですか。それが一つ。

 それから最後、時間がなくなったんですが、認定医の数が少ないんじゃないかという話がありますが、それについてどう対処しようとしているのか、伺いたいと思います。

福本政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘いただきましたこと、関係団体の方々からそういう懸念が示されておることは十分認識をしておりますし、それを踏まえて、先ほど申し上げたような経過措置を設けたということでございます。

 これを実際どういうふうに施行するかということですけれども、一定の準備期間を経て施行いたしたいと思っていますけれども、実際、有期認定を受けておられる方が多いということですから、次の期限が来ます。そのときにこのガイドラインを当てはめた認定をするということであります。

 そのときに、下がる形になる方については、あるいは認定を受けられないことになる方については、先ほどの経過措置を適用するということでありますし、新たなこれに基づけば従来とは違って上のクラスに行けるという方々は、これに当てはめて適用していくことによって地域差をならしていくということを考えておるわけでございます。

 それから、実際これを進めていくときに、スタッフとしては、日本年金機構の方で、事務的スタッフに加えて認定医という者が携わります。その認定医が十全にこういう事務を行える体制になっているかということは確かにあると思います。できれば数多く確保したいということではありますし、これを機会に関係のところにも我々持ちかけて、できるだけ多くの方々を確保したいと思っております。体制を整えたいと思っております。

奥野(総)分科員 済みません、たくさん通告したのに全部聞けなくて申しわけなかったんですが、ぜひ温かい行政をやっていただきたいとお願いして、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

秋元主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 改革結集の会の小熊慎司です。

 まず初めに、少子化については、人口減少が今、日本の最大の課題の一つでもあるというふうに言われていますが、この少子化対策、予算においても三世代同居に支援をするなど、いろいろやっているところではありますけれども、いろいろデータを見ると、結婚した人が産んでいる数というのは、ここ近年少し下がってはきていますが、長いスパンでいうとそんなに激減しているわけではなくて、やはり非婚化というのが非常に大きな要因になっています。この非婚化の要因をしっかり把握して、これに対策をとっていかないと、大きく少子化に対策を打ったということにはなりません。

 ただ、難しいのは、結婚というのは人の人生観にかかわることですから、政治がどれだけ関与すべきかという議論も一方ではあるのも事実であります。また、非婚化の原因が、バブルがはじけた後は職業との関連とかがありましたが、近年は若者の意識が変わってきているという状況もあります。

 そうした非婚化の現状をどのように捉えて分析をし、そして対策を講じているのか。一応、党で来年度の予算のレクを受けたときに、非婚化の対策というのはしているんですかと言ったら、明確なことがレクを受けたときには出てこなかったんですね、実際は。改めてお聞きをいたします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の少子化の主な要因の一つといたしまして、生涯未婚率の上昇など、晩婚化、未婚化の進行が挙げられます。

 二〇一〇年におきましては、生涯未婚率、男性二〇・一四%、女性一〇・六一%となっておりまして、また、二十歳代後半の未婚率は、男性七一・八%、女性六〇・三%となってございます。

 一方、国立社会保障・人口問題研究所の第十四回出生動向基本調査によりますと、若い世代は、いずれ結婚しようと考える未婚者の割合が高い水準にあるなど、結婚の希望が高うございます。他方、適当な相手にめぐり会わない、あるいは結婚資金が足りないなどの理由で希望が実現できていない状況にあると認識してございます。

 このようなことから、雇用の安定など経済的基盤を確保することや、適切な出会いの場を創出、後押しすることなどにより、結婚の希望が実現できる環境を整備することが重要であると認識してございます。

 このため、非正規雇用労働者の正社員転換など、結婚、子育ての希望実現の基盤となる若者の雇用の安定と待遇改善に加えまして、内閣府といたしましては、地域少子化対策重点推進交付金、これを活用いたしまして、地域におけるさまざまな出会いの機会の提供を支援いたしましたり、あるいは若者の新婚生活の住居負担の軽減を図るなどの取り組みを進めることとしているところでございます。

 こうした取り組みを着実に実施し、結婚の希望をかなえるための環境整備にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

小熊分科員 今言った非婚化の、未婚化のものは、生涯未婚率がすごく近年ふえていて、二〇〇〇年代には男が一二・五七、女性が五・八二。ずっと一九七〇年代ぐらいまでは一とか二とかという割合が、二〇〇〇年になってふえて、今は、直近のデータでいうと、男性は五十歳まで二割結婚しない、女性は一割。この差は、多分、男性はする人は二回も三回もするから女性の方は一割なんでしょうけれども。

 こんな高い率になっているというのは、これは驚愕すべきところでありますし、今言った結婚しやすい環境づくりというのは、また一歩踏み出さなきゃいけないというのが私の問題提起です。

 というのは、今、ゆとり世代とかいろいろ言われていますけれども、さらにその下の世代のことをさとり世代という話も聞いたことはありますか。

 ゆとり世代は、まさに、ちゃんと就職しなきゃいけない、収入がどうだとか、この社会的な条件整備、これは最終的に決断するのは個々人です、結婚というのは個人の価値観ですから。ですが、社会的要因でそういうのができないのであれば、これは政治として解決をしていく、ちゃんと選択ができるような条件整備をするというのが政治の役割ですけれども、さとり世代は、何でさとり世代かというと、欲がないんですね。恋愛しようともしない。

 これは、民間の方のいろいろなアンケート調査ですけれども、よく政治意識のときに今の若者の意識調査をやりますが、恋愛したくてもできませんとか、失敗が嫌だからなかなか交際のチャンスに恵まれませんというのはゆとり世代の人たちのときでした。今の若い、そのさとり世代と言われている人は、もうその必要性がないと。ここにフォーカス、もう一歩踏み込んで対策をとる。

 ただ、これは価値観に触れることですから非常に難しいとは思うんですけれども、ここにもフォーカスしていかないと、結局は、いろいろな政策は打ち出したとしても、この未婚化率というのは下がっていかないんじゃないか。

 今の、まさに新しい、若い世代のこうした意識の部分については把握していますか。

 それに対しては、では、どうすればいいのかというのは、その話をしたときに、レクを受けたときには、その対策はないんですと。いろいろな、婚活とか、支援をしていくということですけれども、それに行く人はいいですよ。行かない人のところはどうするんですか。人の価値観だからそれは手をつけませんというのであれば、希望出生率一・八なんというのはもう望むべくもないんですよ。そこをどうしますかという話です。

小野田政府参考人 お答えします。

 昨年三月に閣議決定いたしました少子化社会対策大綱の中で、例えば、ライフデザイン構築のための支援ということで、まさに結婚するしないは個人の自由でございますけれども、それを強制するというのではなくて、若いうちから、例えば、結婚、妊娠、出産、子育て、どういうふうにライフイベントを自分が考えるのか、そういうライフデザインを若いうちからしっかりと個々人に構築していただこう、そういうような取り組みも文科省さんとあわせて取り組んでいこうというようなことを大綱に書かせていただいておりまして、そういう取り組みも関係省庁と連携しながら進めていきたいと思っております。

小熊分科員 意識が変化したのは何でか。それは価値観の変容なのか、社会に問題があるのかというのは分析したことはありますか。

 意欲がないというか、求めないわけですよ。それも結構な割合がいるわけですよ。ここは分析していますか。データをとっていますか。

小野田政府参考人 お答えします。

 済みません、ちょっと今お持ちしていませんけれども、昨年の白書で若い人の意識みたいなものを少し調査をさせていただいておりまして、先ほど先生がおっしゃいましたような、恋愛に対する考えとか、そのようなものも一定の把握はさせていただいているところでございます。

小熊分科員 私、それは手元にあるんですけれども。

 それは意識が変わってきている。でも、民間の調査でもっと踏み込んでやっていて、これは結構な割合で、恋愛は面倒くさいとかですね。

 この間、私は余りテレビは見ないんですけれども、「ケンミンSHOW」というのを福島県が出るから見ていたら、福島県は初婚年齢が一位なんです、都道府県ごとでいうと。私も福島県に住んでいますから意識していなかったんですけれども、結婚が当たり前、結婚に対する意識が高い県なんですね、福島県は。だから、初婚年齢も低くて結婚するというところがあった。気づかなかったんですけれども。

 全国を見てみると、そんないろいろな意識調査を見ると、恋愛すらも要らないというところが何でこんなにふえたのかなというのがあって、そこの問題点を明らかにしない限り、どんな対策を打っても、未婚化率を改善していくということにはならないというふうに思うんですね。

 ですから、今、白書の中ではさらっとした調査でしかありませんから、この未婚化の意識はしっかりともっと調査、把握すべきだと思いますけれども、どうですか。

小野田政府参考人 お答えします。

 個々人の意識にかかわる問題でございますので、なかなか把握も困難かもしれませんが、少し幅広く検討させていただきたいと思います。

小熊分科員 私はバブル世代でしたから、車だ、アルバイト代を稼げばすぐにみんなで飲んで使っちゃうとかやっていましたけれども、そういうふらちな学生ではなくて、逆に、若い人たちは真面目になり過ぎていて、何の欲もないというのは、これはやはり社会にどこか問題があるんじゃないかな、個人の価値観の多様化ではなくて、というふうに思いますので、これはまずそこの意識調査をして実態を把握しないと、いろいろな補助金で、婚活支援しますよ、街コンやってくださいとお金を出すといっても、そこに行く人がいなければ政策としても効果が上がりません。

 ぜひ、その結婚しない、恋愛をしないという意識の調査をもうちょっと深掘りして、この実態把握に努めた上で対策をとっていかなきゃいけないと思うんですが、大臣にもお聞きしてよろしいですか。

 まさに今の若者、本当に年代ごとに変わっていますけれども、こんなに欲のない年代、車も興味がない、何にも興味がないという、これはまさに縮小する日本じゃないですけれども、欲があり過ぎても困りますが、やはり意欲につながったり、きょうよりあした頑張ろうという意欲につながっていくわけですけれども、働きぶりも変わってくるわけですよ、人と接触するような仕事は嫌だとか。

 私も学生のときに接客業の方が楽しかったりしたんですけれども、今の若い人たちは、接客は嫌だ、工場勤務みたいなところでいい、そんなバイトでいいみたいなことにもなっていて、この意識変化というのをしっかり捉えていくべきだと思うんですけれども、大臣は、今の若者たちに対して、どういうふうにそこを見ていますか。

 だから、意欲がない人に、結婚しましょう、結婚というのはいいですよと言ったって全然響かないんですよ、今の若い人たちに。その問題というのは、大臣、意識は持っておられましたか。

塩崎国務大臣 私の妻は女子大の先生をやっていまして、よくうちに若い女の子たちが来るんですね。もちろん私にはそういうことは、いろいろなことは言いませんけれども、家内を通じて聞いてみると、やはり今先生御指摘のような感じの、これは男性じゃなくて女性の場合でありますが、似たり寄ったり。

 結婚する、あるいは子供をつくるということを、みずからも準備をし、心の準備もし、そしてするということではなくて、何の準備もなく、心構えもなく、子供ができて結婚するみたいな、その逆のこともあったとしても、そうすると、いろいろな難しい問題が起きてしまったりして、離婚につながったりとか、いろいろなことがあります。

 男の人の方も、確かに、先生おっしゃるように、欲がかつてに比べるとないなということを感じることは私もしばしばありますが、一方で、いつも、いつの時代にも、今どきの若い者はと言って何百年、何千年とやってきたことでもあって、では、本当にこの国は退化をしているかというと、私は余り、そんなに悲観はしていないわけです。

 ただ、では、何もしないで手をこまねいていていいかというと、そこは全く違っていて、これは家庭が問題である、親が問題であるということがまず根本にあると思っているので、我々も反省をせないかぬところはたくさんありますが、では、学校は大丈夫なのかと。全然大丈夫ではないという個人的な感じを持っています。

 特に大学なんかでも、何で相変わらず、入るのは大変でも、出るのは物すごく簡単だというのは、やはり、大学というのはどういう場なのかということが全然わかっていないので、もう少しきちっとしたことを教えなきゃいけないけれども、まあ、昔から教えていなかったといえば教えていないんですけれども。

 しかし、かつて少したくましかったとすれば、どこかでそれを得てきたわけで、それは一体何だったんだろうか。隣のおやじとか、隣の兄貴とか、そんなのからもいっぱいあった。地域からも。最近はそれもばらばら。ですから、これをどう補っていくかということを考えていかないと、本当に、アニマルスピリットに満ちた人間をたくさんつくるということは難しいのかなというふうに思っているので、私は私なりにいろいろ考えていきたいというふうに思っています。

小熊分科員 今の若者は欲がなくて逆に偉いなというぐらい、達観している若者が多いというのが、逆に、今までと違う、今の若者の状況だというふうに思います。

 まずそれをちょっと深掘りして、意識調査をした上で、その実態把握をした上で政策を打っていかないと、気がない人ばかりふえているところにチャンスを与えたって何も響いてきませんから、ぜひ、何で欲がないのかというところは、もう少し調査をされた方がいいというふうに思います。

 さらに今度は、結婚した人たちの経年変化を厚労省は長年にわたってやっています。二十一世紀の若者の経年変化、これはいいデータだというふうに思っています、長い時間をかけてやっていますけれども。

 ここにおいて、では、結婚した人がどうすれば子供を生んでいるかといえば、今回、三世代同居とかをやったり、就職のことも、職のこともありますが、一番大きな要因は、この調査でも何年も前から指摘しているとおり、三世代同居であろうと、例えば収入が高くて専業主婦であろうと、やはり男性側の育児参加の多い家庭は多子化になる要因になるというのは、前々から厚労省がこの調査において指摘をしているところなんですね。

 最近、イクメンというのがちょっとイメージが悪くなってしまいましたが、私もイクメン議員連盟の役員をさせていただいているんですけれども、では、私がイクメンをちゃんとやれていたかというと、そんなにはやれていないんです、この間も妻とは話し合いをしたんですが。やはり男性がどれだけ育児にかかわるかというのは非常に大きな要因だというところがあります。

 今回、目玉のように三世代同居というのを出生率の政策、対策のためにと打ち出しましたが、これはやらないよりはやった方がいいんですけれども、ここに焦点が当たっていないと思うんですね、うがった見方をすれば。

 というのは、女性に、お母さんに育児の負担があるから負担をなくしていきましょうということで三世代同居だ、親と一緒にいるからと。福島県も、多子化になっているのは、全国の中でも近居率が福島県は高いというのがあるので、それも要因ですけれども、でも、それがスポットライトを浴びると、そこにフォーカスしていくと、お母さんの負担をなくすというのを男性側に改善してもらわなきゃ、旦那側に、お父さん側に改善してもらわなきゃいけないんだけれども、それを結局、おじいちゃん、おばあちゃんにやってもらいましょうということでしかないんですね、三世代同居というのは、ざっくり言うと。

 それはそれでいいと思うんです。社会全体で、家族全体で子供を育てるというのは、別に否定することではありません。でも、一番やらなきゃいけない、お父さんに育児に参加してもらうということが一番目に来なきゃいけないと思うんです。

 ですから、今回の三世代同居のいろいろな補助のものは、声高に言う前に、やはりイクメンをどうするかということが一番目に来ないと本来的な問題解決の政策にはなっていないと思うんですけれども、このイクメンへの支援をもっと促進していくということに関して、今やっていますけれども、まだまだ目玉になっていない。これについてお伺いいたします。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 私は先生よりちょっと上の世代なので、うちは娘が二人ですが、今ちょうど二十代後半、一人結婚しましたが、まだ一人残っていますが。

 やはり、若い人たちの実際の働き方とか生活ぶりを見ていると、先生の御指摘のようなことは私も常々よく感じることであります。

 お話しのように、家庭といいますか家事労働といいますか、子育ても含めてですが、男性と女性が応分に負担をして均等に責任を分かち合うという形がつくれませんと、女性の側にいろいろなしわ寄せが行くという形になりますと、それこそ子供の目から見ると、お母さんに非常に負担がかかっているというのを毎日見て育つことになりますから、家庭に対してもなかなかポジティブなイメージが湧かないということになりますので、やはり男性がきちんと育児や家庭生活、家事にかかわるというのは非常に重要だ、これは政策担当者としてもそう思いますし、個人としてもそう思っております。

 もう先生御案内のように、イクメンプロジェクトというのをやって一種の意識改革を進める、一応一三%という目標を立てて育児休業等進めていますが、今たしか、男性はわずか二・三%ぐらいしかとれていないので、これは進めなきゃいけない。まず第一に意識改革。それ以外に、補助金をつくったり、あるいは育児休業給付の水準を上げたり、さまざまな取り組みをしております。

 この問題は、そういった直接的な対策だけではなくて、先ほどの結婚する場をつくるといったことも含めて、特に若い世代の人が非常に長時間労働をしているというのがありますと、なかなか結婚の機会もない、結婚した後でも家庭に帰らないということになりますので、やはり、企業側の意識、経営者の意識を変えていくということが恐らく必要で、イクメンの中にも、イクボスといって企業側の取り組みを表彰するというようなものも用意して、まずそういったものをやっていかなきゃいけない。

 もちろん、さまざまな助成金でありますとか、そういったものも用意しますし、やるわけですが、やはり、意識を変えていく、特に、働き方を改革していくということをもうちょっと踏み込んでやっていくというのが根本にというかベースにまずあって、その上で、当面できること、先ほどの公共機関がやるお見合いなんかも含めてですが、できることをとにかく全部やっていくということが恐らく必要なんだろう。

 やはり、この種の施策は、きょうやって来年ということにはなかなかならないので、そんなに我々は時間があるわけではないですけれども、時間をかけて継続的に取り組みを進めていくことで、企業サイドの意識、あるいは企業サイドの雇用管理の考え方、あるいは、生産性との関係で長時間労働が必ずしも企業にとってプラスではないというようなことも含めて御理解をいただけるように、さまざまな施策を通じて努力をしてまいりたいと思っております。

小熊分科員 ちょっと時間がないので、その際、女性の社会進出の部分も一緒なんですけれども、今言った企業の改善というのも、大企業とか公的機関は伸び代があると思うんですけれども、本当に小規模の事業所は、そういうふうにやってくださいよという理想はわかるけれども、実態として難しいんですね。

 日本は中小企業が多い国でもありますから、中小企業が取り組める施策でなければ改善はしません。育休とかでも、代替要員といいますけれども、それはAさんでもBさんでもCさんでもかえられる仕事ならいいんですが、特に、小さい企業とか地方においては、誰々さんじゃなきゃだめなんだということで仕事をしていて、かわりの要員といったって、いなかったり、それでは仕事が回らなかったりします。

 ですから、今後、企業側の努力といいながらも、これは切り分けて、小規模の事業所に対して育休がとりやすい、産休がとりやすいということをやっていかないと、一部の大企業だけがイクメンアワードで表彰したりということでしかないわけですから、まさに、小さい企業が、事業所が取り組めるものとは何だろうというのをしっかりと打ち出していかなければ広がりは出てこないというふうに思います。女性の社会進出でもそうです。

 今言われた、育休をとらないまでも、都会のように通勤時間が長い地域は別ですが、私のような地方だと通勤時間は短いので、時短になれば、夕食までにはお父さんが帰ってきて育児に参加するということもありますから、まさに、今言われた時短をしていく、休みをとらないまでも時短をしていくということを進めていくということは、これは大きな方向性の一つだと思います。

 それに関しても、中小の企業がそれに取り組みやすいような職場環境づくりというのを政治としてどうやっていくかというのをとりわけ努力をしていただいて、大企業や公的機関のところで満足するんじゃなくて、まさにそこに焦点を当ててこれから政策をどんどん打ち出していっていただきたいということを指摘させていただきます。

 次に、最後になりますけれども、ワクチンに関してなんですが、日本はワクチン後進国とも言われています。

 もちろん、ワクチンにおいて、いろいろな事故もある。日本はゼロリスクを求める社会だというふうに思っています。五年前の東電の原発事故災害の後も、福島県民としても、リスクのあり方というのを感じている。県内外の反応を見ると、やはりゼロリスクを求めるわけですよね。そういう意味では、このワクチンにしても、ゼロリスクを求めがちな社会にあると思います、日本では。だけれども、ワクチンを打たないことによって失われる命や損なわれる健康といったものが数多く生じているのも事実であります。

 国際社会の中でワクチン後進国、先進国からのワクチンギャップをどう埋めていくのかということについてお伺いをいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、他の先進諸国と比べまして公的に接種するワクチンが少ないといういわゆるワクチンギャップ、こういう状態にあると従来から指摘をされてきたわけでございまして、その解消に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、平成二十五年の三月に予防接種法改正を行いまして、そのときに新たにHib感染症、それから小児の肺炎球菌感染症、それからヒトパピローマウイルス感染症、この三つのワクチンを予防接種法の定期接種に位置づけまして、さらに、改正予防接種法に基づきまして、二十六年の四月に策定した予防接種に関する基本的な計画、これに基づいて、順次、定期接種化に取り組んできております。

 二十六年十月に、高齢者の肺炎球菌感染症、それから水痘、水ぼうそうですね、この二つのワクチンを定期接種として位置づけたところでございます。

 さらに、B型肝炎ワクチンにつきましては、ことし、平成二十八年十月から新たに定期接種化するということにつきまして、先日の厚生科学審議会において承認をされたところでございます。

 引き続き、どういうワクチンを定期接種化すべきか、厚生科学審議会における専門家による検討を踏まえて、ワクチンギャップの解消に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

小熊分科員 最後に大臣にお聞きしますが、ある意味では政治決断が必要だと思います。厚労省だってデータ、大臣はもちろんお詳しいと思いますが、公費負担でやる財政負担と、やらないことによって不幸にも病気になってしまって生じている保険料を考えれば、しっかり国が公費負担をして接種することを広めていった方が、ひいては保険料の減額にもつながってくるわけでありますから、ぜひこれは、遅々として、少しずつ進むということではなくて、英断すべきだというふうに思います。その際には、いろいろな補償のあり方、もし事故が不幸にも起きたときの補償のあり方も、ほかの国でもいろいろなモデルがありますから、きちっとリスク管理もしながらやっていくというのは、もう政治決断すれば決まる話だというふうに思います。

 ぜひ大臣、大臣在任期間中に、ワクチンの拡大、そして公費負担も、これは市町村に押しつけると市町村ごとによって格差が生じますから、地域格差が生じないためには、国が前面に立って公費負担で定期接種をしていく、これを拡大していくという、もう判断する時期じゃないですか。やらない理由の方がわからないです、そっちの方が逆に財政的には負担になっていくわけですから。

 大臣、どうでしょうか。

塩崎国務大臣 日本が寿命が世界最長にほぼなっているというのは、ある意味、これまでの、かつての公衆衛生政策はポジティブに評価すべきものだというふうに思うんですね、結果がこうやって出ているわけですから。公衆衛生の中でワクチンというのは非常に大きな役割を果たして、それがゆえに、こういった長い寿命を享受できるようになったということだろうと思います。

 一方で、今お話しのように、ワクチンに関して、私もかねてより問題意識を持ってきたつもりでございますし、やはりワクチン後進国と言われないようにしないといけないという問題意識は十分持っております。

 したがって、定期接種化することがパブリックポリシー、ヘルスポリシーとして大事だということであることは全くそのとおりですが、今回、化血研の問題で、改めて、ワクチン行政、そしてワクチン産業、血液製剤の政策、行政、これを抜本的に見直そうということで、今、タスクフォースを設けてやっています。

 その中に出てくるのは、やはりワクチン行政がぶれていたりすることがこういう産業をつくってきたという側面もないことはない。一方で、ドイツのように、もうメーカーはない、しかし、研究開発をしっかりしながらワクチンをつくって、ワクチン行政はワクチン行政としてやる、そういう国もあることを考えると、私どもとしては、こういう機会に、化血研の問題は不幸な事件ではありましたが、ここでワクチンの産業と政策そのものをもう一回考えていくということはとても大事だということで、今、そのタスクフォースでゼロベースの議論をお願いしているところでございます。

小熊分科員 時間になりましたので、ぜひ大臣、前向きに取り組んでいただいて、寿命の話だけではなくて、これは障害を抱えて生涯を送ってしまう場合もあるわけです、ワクチンを打たなかったことによって。だから、寿命だけの問題じゃないんです、障害の問題もありますから、ぜひ広い観点から推進していただきますようお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋元主査 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋(要)分科員 田嶋要でございます。大臣、よろしくお願いします。

 今ちょっとお話を聞いていまして、健康寿命、寿命、私も、日本が誇るべきいろいろな取り組みの成果だというふうに思っておるんです。

 しかし同時に、幸福度という尺度もありまして、世界四十二位から、さらに四十六位に悪くなったということで、まだまだ日本としてやらなきゃいけないことはたくさんあろうかと思うんです。

 その一つが、私はやはり子供のことだろうというふうに思って、きょうは、里親、養子縁組制度に関する御質問、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思って、やってまいりました。

 なぜ子供に注目するか。これは言うまでもありませんが、その後の平均余命が長いわけでありますから、公的支出も含めて、対策を早いうちにとればとるほど、そのプラスの成果は確実に大きくなるというふうに一般的に私は信じております。そういう意味で、子供を重視した、足らざるところの政策が大事だと思っております。

 昨年十一月に、私も愛知県に行ってまいりまして、愛知方式というものの現場を見てまいりまして、矢満田さん、萬屋さんにお目にかかってまいりました。現地で、大臣がお見えになった、日にちは五月ということでございますけれども、大臣も、愛知方式に何か情報を得られて行かれたということでございますが、そのきっかけと、そして、その感想をお聞かせいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 まず、感想からいくと、三組の特別養子縁組の親子に会わせていただきました。本当に、本当の親子と同じでありまして、この特別養子縁組制度が子供のためにも本当にいい結果をもたらし、なおかつ、御両親にとっても、養親にとっても大変いい選択ではないかなということを肌で感じたような感じをいたしました。

 やはり一番子供にとって大事なのは、ゼロ歳から二歳までの愛着形成だとよく言われますが、まさに一生はその時期でかなり決まってしまうと聞いています。

 私は、たまたま児童養護施設の皆様方との長いおつき合いを賜って、いろいろなところの児童養護施設や乳児院にこれまで行ってまいりました。そしてまた、そういうことにかかわってきた方々と話し合いをしてまいりました。

 今回、厚生労働大臣というお役を頂戴して、改めてこの問題、そしてまた、児童虐待の犠牲者がここまで全国で果てしなく出てくるというこの現実を見ると、親権が強い日本にあって、このままでいいはずがない。やはり、子供の権利を主張するのは、みずからはできないわけですから、これは、社会全体で、もっと端的に言えば、法律でもって救える者は救っていかなければいけないんじゃないか。

 そんな中で、その子供の人生を救うという意味においては、特別養子縁組というのは、非常に大事な時期から人間として必要なものをつくり得る制度として、大いに活用していかなければいけないんじゃないかということを感じた次第でございます。

田嶋(要)分科員 なぜ愛知県に行こうと思われたのか、そのきっかけの部分もお話しいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 特別養子縁組を熱心にやっていらっしゃるところは、有名なのは愛知県と熊本の慈恵病院であるというふうに思っております。

 去年の五月の連休には、NHKが、これは熊本の慈恵病院のケースをたくさん、何度か繰り返し番組を流しておりましたが、そんなこともありました。

 いずれにしても、この特別養子縁組という制度については、これに熱心な方々とのおつき合いが前からあって、愛知県は、大変熱心に、児童相談所そのものがやっている、このことがやはりほかと違うところでありまして、公的にやっているというところに強く関心を抱いて愛知には出向いた次第でございます。

田嶋(要)分科員 私の最初のきっかけは、特段大きな、何かぼんとあったというんじゃなくて、海外に住んでいるときに、身の回りの人に結構、養子を受け入れている家庭の方に会うことがあって、日本の外に来ると、養子ということに関する敷居が低いというか意識が高いというか、何か全然違うなということを、時折そういう状況に出会って、気になっていたということでございます。

 去年の秋に、ある地元の有権者が、若い女性の方でしたけれども、まだ自分は独身だけれども、将来自分が子供に恵まれなかったら、私は恵まれない赤ちゃんを養子に迎えたい、そういう切々としたメールをいただきまして、ああ、やはり、こういう思いが今高まってきているんじゃないか、そして、現状に対しての危機感を持っていらっしゃる方がこういうふうにいらっしゃるんだなということを受けて、そして、その方から紹介されたのがこの「「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす」という矢満田さんの本、これを読んで、そして愛知県に行ってきたわけであります。

 そういうふうになって、昨年年末にワーキングチームを民主党内に立ち上げまして、私が座長をさせていただき、我々も立法措置が必要ではないかという立場に立って、今議論を行っておるところなんですね。

 そういう意味では大臣の思いと重なるところがあろうかと思いますが、今の大臣のお話を伺っていて、大臣になる前から乳児院や児童福祉施設に行かれていたということですが、そういう施設をごらんになっていたときに、子供の幸せとか人権とかいう立場で気になられておったんでしょうか、それとも、それはそれで、よく頑張っていただいているということで受けとめになられていたのか。その辺はいかがですか。

塩崎国務大臣 当然、私は地元でもそういう施設に行って、これは、この十年余り、小規模な施設というものがふえてまいりました。

 自民党の中で私は勉強会をずっとやってまいりました。途中から議連にして、最初は安倍総理が議連の会長でありました。安倍さんが今回総理になられて、私が会長をやってまいりました。

 やはり、施設に入っている子の六割は虐待だということをもう十何年も前に知って驚愕をし、そして、施設に行って大舎を見れば、なかなかこれは本当に、普通の親子で育つ子供のようにいく環境では、特に大舎の場合には、五十人も六十人もいる中では、ないな。そして、三、四人とかマックスで六人が小規模は多いわけですけれども、そういうところで丁寧にやっていく方がずっといいということはよくわかりましたが、一方で、それもやはりどう見ても、それはある意味施設であります。

 去年、ドイツに行って、ドイツの州レベルと市レベルの児相の職員の方々が日本にその後六月ぐらいにやってまいりまして、そのときにその人たちから話を聞いて、ドイツはゼロ歳から六歳は基本的に施設に入れない、法律ではないけれどもそういう原則だと言っておられたのに、改めてまたそこはびっくりした。

 そこは、裏返せば、やはり愛着形成というのは、本当に肌と肌の触れ合いの中で親子というのはずっとゼロ歳児から来るのが普通でありますから、それによって築き上げられてくる心や頭の中が構築されるので、それに近い形にしないといけないということではないか。とりわけ、虐待を受けたりするようなケースは、子供は心に傷を負っているわけですから、ますますもってそういったスキンシップも大事。ほぼ親子という形でなければ、本当に真っすぐに育ってくれないんじゃないか。

 里親の皆さん方とも、私も随分いろいろお話もしました。難しいケース、戻さなきゃいけなかったケース、そういうこともたくさん聞いてまいりました。

 世界は日本が施設養護が多過ぎると批判していることもよくわかっていますが、そういうことをもろもろ踏まえてみると、この特別養子縁組、先生が今熱心に取り組まれているというこの制度は大変大事だし、一方で、この間イギリスに視察に行かれた方々が、ここでまた学んでびっくりしたと言っていましたのは、小学校の六年ぐらいまでは施設には入れないということがイギリスの方針だそうでありまして、それは、里親か養子か、あるいは里親の複数版のファミリーホームということが限界であろうかなというふうに思いますが、それは国それぞれでありますし、やれることとすぐにはやれないことがあるかもわからないけれども、でも、やはり、人間はどこの国に行ったって同じですから、基本は同じことを私たちも考えながら、何がすぐにできるかということも含めて、今考えつつあるというところでございます。

田嶋(要)分科員 すぐにはできないけれども、ちょっと時間がかかり過ぎているなという感じが私も共有するところで、どこでも人間は同じだというのは私もそのとおりだと思います。

 人によっては、日本は文化的な事情があるからちょっと欧米とは違うんだなんという話も時々聞くんですけれども、しかし、統計をもうちょっと過去にさかのぼってみますと、昔は非常に多くの養子縁組もあって、あるいは、里親の数も今よりもうんと多かったんですね、一九五〇年代、六〇年代。だから、最近でこそ非常に低い数字になってしまっているけれども、それを何か文化とかの理由にしてしまうのはおかしくて、やはり、国も含めて早くアクションをとらなきゃいけないと私は思います。

 次の質問なんですが、では、矢満田さん、萬屋さんがやられたいわゆる愛知方式は、別に法改正があったから動き出したわけじゃないですよね。

 大臣のお感じになられた御理解として、なぜ愛知県ではこんなに成功したというふうに大臣は思っておられるか。それから、もう一つの謎ですけれども、なぜそれが隣の県へ、隣の県へ、全国で、要するに、典型的な、ある地域ですごくうまくいった、それをみんなで学んで広げれば、別に立法なんかある意味なくても全国に普及した可能性もあるわけです、本来は。なぜそれが起きなかったというふうに大臣は思いますか。

塩崎国務大臣 正直言ってわかりませんが、一つはっきりしていることは、やはり、矢満田さん、そしてまた、それを追って萬屋さんが牽引車となって児相の中でやっていったということが一つ大きなことで、やはり、この特別養子縁組というものが、虐待などのケースや、あるいは不幸な望まない妊娠をされたときの子供が生まれてくる際に、その子供に幸せになってもらうための近道であろう解決策としてこの道があるんだということを信念として持っていらっしゃる方がぐいぐい引っ張っておられたからかなと、私は行ってそう思いました。もう矢満田さんは引退されておられましたが、多分、それは伝統として残っているんだろうと思います。

 一方で、熊本の慈恵病院は、これは院長先生が看護師さんなどと一緒になってずっとやってきたことでありまして、あそこを中心にネットワークで全国の子供を助けるということをやっていただいていますから、それは特別養子縁組も同じような形でやっております。

 若干考え方が違うので、生みの親と育ての親は会わない熊本と、会う愛知という違いもあったりしますけれども、しかし、どちらも、たとえ障害があっても、必ずその子供は受けるということをまず約束しなければならないということを言っておられるようでありまして、宣誓しているということで。

 実は、さっきのアメリカの話がありましたが、私の妻が一年一緒に過ごした家庭のきょうだい、女の子ですけれども、そこに養子をもらっていました。それは障害を持った子でありましたが、本当に大事に大事に育てていました。たまたま、養子にもらった後、本当にカップルの間に子供ができた。しかし、分け隔てなく自分の子供として育てている姿は、実に、日本ではなかなか今は見られない、かつてはあったかもわからない、そういうことだろうというふうに、先生の御指摘のとおりだというふうに思いました。

田嶋(要)分科員 私も、個人、Aさん、Bさん、そういう特定の方の情熱がここまでの実績につながったというのは全く同感でございます。

 しかし、三十年間、愛知県でやっていて、本来であれば、あそこの現場ですごくいい取り組みをやっているぞということが中央官庁の厚生労働省のところに届いて、そして動かされる、我々がその現場を見てショックを受けた、驚愕した、動かされて、やはりそれが、全国的な取り組みが本当は広がっていってほしかったなと本当に思うんですね。

 これは一事例でありますが、一事が万事、いいことを地域でやっていても、自治体でやっていても、あるいは特定の町でやっていても、何か、風通しの問題なんですかね、やはりもっとそれを国が評価し、そして、これでいこうよというふうに変えていけるような仕組みが、私は、日本の霞が関の文化としてまだまだ足りないなという印象を思っております。

 大臣、次の質問なんですが、里親ということと養子縁組ということは違うわけでありまして、里親は、いわゆる児童福祉法にしっかりと位置づけられているものでありますが、私は、特に新生児、生まれたばかり、新生児の赤ちゃんに関しては、優先順位として、里親ということよりも、むしろ特別養子縁組、民法上の、今の制度上の特別養子縁組、これを基本に考えないと、先ほどの愛着障害の問題、あるいはよく言われるパーマネンシーの問題、そういう観点からすると、やはり一番に考えるべきは、今児童福祉法がどうなっているかとかいうことを抜いて、子供のために、赤ちゃんの人生と権利のためを考えると、一番に考えるのは、もし実の親と幸せになれればそれは一番いいですが、その選択肢がもはやない場合には、特別養子縁組が最初に考えられる選択肢ではないかと私は思っておるんです。

 施設か一対一の家庭かという比較はよくされるんですが、里親という制度と特別養子縁組という制度が、どうもそこが曖昧な状況のまま、施設よりは、ほかの国は個人の家庭だというふうなことはよく聞くんですが、ここはやはり明確に違いがあるというふうに私は認識をしておりまして、大臣は、いろいろ現場をごらんになってショックを受けた。やはり、本来、新生児に関しての優先順位は特別養子縁組だろうと私は思うんですが、そこは大臣、どのようにお考えですか。

塩崎国務大臣 これはなかなかケース・バイ・ケースだと思っていますが、ちょっと先ほど申し上げるのを漏らしたんですけれども、一応、厚生労働省も、愛知方式を平成二十三年に通知を出して紹介をして、参考にしてくれということを言っているということは事実としてありますし、今、家裁ベースで全部合計してみますと、去年だと年間大体五百件超、特別養子縁組が行われています。ところが、人口が半分ぐらいのイギリスで五千件と聞きました。そこに彼我の差がある。

 したがって、私もどちらかというと養子が先かなというふうに思ってはいますが、これは愛着形成という意味においてはやはりそうなんだろうと思いますが、しかし、私も長年、長年というか十何年やってきて、いろいろ教えていただきながら、いろいろな話を聞いてみると、実は千差万別の子供と親との複雑な関係があって、本当はやはり生みの親と子供が再統合という形でまた一緒になるというのが理想です。しかし、それが本当にうまくいくから再統合しているかどうかというのが大問題であって、そこのところについてはいろいろあると思います。

 したがって、短期間で済むんだったら、やはり里親で済むんだろうと思います。しかし、どう見てもこれは命にかかわるよというようなときに、親権が強いからといってそのまま預かりっ放し、一回やってもまた在宅に戻しちゃうということによって、そこで不慮の事件が起きるということが間々あると私も聞いていますので、そういうときには、やはり司法も関与しながら、何らかの決断をして、子供の将来を考えて、それでいくときもあるはずであります。

 だから、これは順番というよりは、余りにも幅のある、いろいろな難しい組み合わせの親子関係の中で、だからこそ、専門性のある人が児童相談所に、あるいは、これから市町村がもっときめ細かな支援をするならば、そこにも専門家がいなければいけない。そのためには、やはり我々は、人材のための財源も必要になってくるんだろうなというふうに思いますので、そこのところは与党、野党関係なく、この辺は一緒に考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思ったりするところでございます。

    〔主査退席、山下主査代理着席〕

田嶋(要)分科員 今、財源というお話がありましたけれども、それでは大臣のお考えでは、何らかの立法措置も必要だし、そして当然、立法するだけじゃなくて、今後、里親という、いわゆる措置の世界に財源があるのみならず、特別養子縁組のような、今民法に規定があるそういったものに関しても財政的な支援を、特別養子縁組含めてしていくべきだというのが大臣のお考えということでよろしいですか。

塩崎国務大臣 里親もそうですけれども、特別養子縁組に養子に出して、そのままお願いしますではないと思います。

 やはり、生みの親ではない限りは、さまざまな支援が必要でありますから、支援をするのは人間でもありますから、まずそれは人件費が必要で、それも専門性のある方にお願いをしないときめ細かな対応ができないということを考えてみると、そういうところで何らかの財源が必要になってくる筋合いであることは否定しがたい事実だろうというふうに思っていますので、これをどうするかということは、まさにこれからの政策の優先順位づけとタイムフレームワークで、どういう時間軸でやっていくのかということが大事になってくるんだろうというふうに思います。

田嶋(要)分科員 政策の優先順位づけはもちろんございますけれども、冒頭私が申し上げた子供のときの政策というのは、プラスの効果が長い将来にわたって基本はやはり大きいのではないか。

 特に、この愛着障害の問題というのは、私ももちろん医者とかそういう専門家じゃありませんが、非常に深刻だということは世界でも言われておりまして、脳の発達への影響とか、大きくなってからの適応障害、生きづらさ、そしてまた、場合によっては反社会的行動の原因になってしまう場合もあるということで、世界が、やはり施設よりは家庭の方がいいんだよということを言っている。

 そして、それは何か全然違う人の話ではなくて、自分だって生まれ落ちた環境によってはやはりそうなるということで、みんなの問題だ。

 だから、やはりこういった取り組みに力を入れて、本当に私は何十年も遅かったと思いますけれども、しかし、これからでもやっていかなければいけないんだろうというふうに思っておりますので、大臣から心強い言葉もいただきました。

 もう一つ、今、民間のあっせん団体が十五団体あるわけですが、そういう意味では、特別養子縁組を橋渡ししていただいている、そういう団体に関する財政的支援ということも当然視野に入れている、そういう理解でよろしいですか。

塩崎国務大臣 この問題につきましては、今、自民党の中で、そしてまた公明党の中で、議員立法でできないのかなということで、あっせんの団体に対する規律と支援をどうするかということを議論いただいているというふうに聞いております。

 したがって、その検討も考えながら、私どもとして、子供の未来のために何が必要かということを考えていかなければいけないというふうに思っております。

田嶋(要)分科員 ありがとうございます。

 そうしますと、今政府は、平成三十一年度までに、いわゆる里親率、先進国の中で非常に日本は低い状況にございますが、それを二二%まで高めるという目標を定めておるんですが、里親に関してのいろいろな資料には載っておるんです。きのうも御説明いただいた役所からもらった資料の中にも、里親委託率を上げていくということで平成三十一年二二%とあるんです。

 私は、大臣のように、特別養子縁組ということをもっと、厚生労働省、厚生労働大臣が重要性を御認識いただいているのであれば、私は、特別養子縁組の目標のようなものも、数値目標、これからここまで特別養子縁組をふやしていきたい、そういうものも設けるべきだろうというふうに考えておるわけでございますが、大臣、これは質問通告をしていなかったのですが、お考えをいただきたいんです。

塩崎国務大臣 今、児童福祉法の改正でいろいろ毎日議論していますから、こういう質疑は大変ありがたい限りでありまして、もともとこの目標は、施設とグループホームと里親など、おおむね三分の一ずつということになっているわけですね。

 今までの厚労省の資料を見ると、里親、ファミリーホームとなっていて、養子というのが出てこない。養子を最初に持ってこいと私は言っています。しかし、言ってもなかなかできないこともありますし、そもそも、ホストファミリーを受けるというのは、実は留学生なんかでもなかなか難しい最近の日本でありますので、それはどうなるかわかりません。

 今、明示的に養子というのが目標などがないのは少しいかがなものかなということを私も感じているので、その辺は考えていきたいと思いますけれども、しかし、非現実的な目標を掲げてみてもしようがないので、どこまで行けるのか。そもそも、去年、全体で五百人余りだというこの特別養子縁組、こういう数字すら一発では存在していない。各家裁から集めて初めてわかる、そういう現状でありますから。

 しかし、五百何人いるということは、愛知だけではなくて、いろいろなところでやって、今それぞれ地道に頑張っている児相の皆さん方が都道府県におられる。あるいは政令指定市、中核市も、横須賀と金沢は児相を持っていますから、そういうところは頑張っていただいているので、この頑張りをもっと広げていって、子供たちが救われるようにして、未来が明るくなるようにしたいなというふうに思っています。

田嶋(要)分科員 そういう議論で、大臣もそのように特別養子縁組を重視されたいというふうにお考えだということは大変心強く感じました。ぜひ、私たちも今議論しておるところでございますので、いい方向に持っていけたらいいなというふうに思っております。

 その観点からしますと、一生懸命今やっていただいている児童相談所も、その役割とかいろいろ、今のままではいけないのではないかなというように思っております。

 もちろん、中で一生懸命頑張っておられる方は本当に幾ら時間と体があっても足りないぐらい、どんどんどんどん虐待の話とかで来るわけですから、その御苦労は敬意を表するんですが、現在の児童相談所のあり方ということで、大臣、今、この特別養子縁組をふやしていくということも含めて、そういった方向性からすると、どういう問題点があるというふうに御認識ですか。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、大体の児相は、燃え尽き症候群になっているほど忙しく、虐待対応に追われているというのが現実であり、また、そのフォローをしていかなきゃいけないということで、もう本当に大変だというふうに、先生が今おっしゃったとおりだと思っています。

 問題は、私がずっと言ってきたのは、国、都道府県、市町村、この役割と責任のあり方を、もう一回分担も含めてしっかりと見直して、定義をし直して、それぞれ責任と役割を担い直していこうじゃないかというふうに言ってまいりました。そういう形で今地方公共団体にも投げているところでありますが、それぞれ、実は都道府県でも跛行性があって、専門性のある人材をどれだけそろえているかというのを見ると、本当にばらばらです。

 これをばらばらで放置しておくということは、厚生労働省としては、児童福祉法を所管する限り、あってはならないことだというふうに私は省内で言っているわけで、データも含めて、国はやはり全体に責任を持ちながら、都道府県、市町村と役割をしっかりと分けながら、連携をしっかりとやっていく。

 それで、都道府県と市町村の関係もなかなか微妙な関係だったりするところもございますので、やはり、中心は子供の未来、ここから考えてどうするかということで、それは、地方公共団体でも重点を置いているところとそうじゃないところとそれぞれお考えがありますので、しかし、我々にとって大事なのは、国にとっても地域にとっても、やはり子供が未来を背負っていくということは何も変わらないので、ここのところは共通の認識として一緒にやっていければいいなというふうに思っています。

田嶋(要)分科員 先ほど養子縁組という言葉が出てこないということをおっしゃいましたけれども、私も全く同じ印象でございまして、今のところ、児童福祉法の中で明確に定義づけられていないということもあり、少し遠慮がちな感じな印象を受けるんですね。跛行性の話もございました。

 ぜひとも、国が先頭に立って、しっかり予算もつけていただいて、一人でも多くの子供たちが家庭の愛情の中で育てられる日本、人口は半分のイギリスで十倍の数の特別養子縁組があるというお話もいただきましたし、そして、予算は、民間の十五団体も含めて検討し、しっかりつけていただくとは言っていただいていませんが、とにかくその重要性を十分御認識いただいているというふうに理解いたしましたので、ぜひ前に進めていっていただきたい、そのことを申し上げまして、終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

山下主査代理 これにて田嶋要君の質疑は終了いたしました。

 次に、真山祐一君。

真山分科員 公明党の真山祐一と申します。

 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、私からは、冒頭、子ども・子育て支援について質疑を行わせていただきたいと思います。

 昨年、地方創生元年ということで、現在、地方創生の取り組みが大きく各地域において進んでいるわけでございまして、各地方自治体におきましても、今、地方版総合戦略の策定、これが年度末に向けていよいよ出そろう、そんなタイミングでもございます。この地方版総合戦略の中、これから戦略が整いまして、いよいよ来年度は実行の年であるというふうに思っております。

 この地方創生の取り組みは、幅広く、多岐にわたるわけでございますけれども、とりわけ、若い世代が安心して働き、そして子供を産み育てていける、暮らしていける、そうした地域をつくっていくということがやはり私はこの地方創生の肝ではないかというふうに思っているところでございますし、まさに、人口減少、少子高齢化、これを乗り越えていく大きな方向性であると確信をしております。

 そういう中にございまして、二十八年度予算案の中には、保育料の軽減であるとか児童扶養手当の拡充であるとか、公明党としても推進してきた取り組みが実りつつあるわけでございまして、こうした経済的な側面で支えていくというのは、非常に若い世代にとりまして有効な手だてであるというふうに思っておりますし、そういう意味でも、この予算案の早期成立を願うところでございます。

 一方で、地方創生に関連して言いますと、子育て世代、若い世代を支える施策の一つとして、子育て世代包括支援センター、いわゆる日本版ネウボラと呼ばれるものでございますけれども、この整備が、各自治体、盛り込まれているように認識をしております。

 これは、子育て中の方、妊婦、または妊娠を希望される方も含めた方々が、身近な相談窓口として設置がなされ、地域で子供を育む中核拠点となることに意義があるというふうに思っております。

 そういう意味で、単なるセンターの施設整備では効果を発揮しないのは明白でございまして、特に人員の配置、専門家、特に保健師さんの役割が重要ではないかというふうに私は思っておりますけれども、この件に関しまして、子育てを地域で支える体制の構築に向けて、塩崎厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 いつも公明党の皆様方には、子供そしてまた若者に対してしっかりと支援をせいということでハッパをかけられておるわけでありまして、ありがとうございます。

 今、子育て世代包括支援センターについてお話をいただきました。

 これは、地域において、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援をしていくということが一番大事でありますから、このセンターを今回初めて法律に定めて、そして、おおむね三十二年度までに全国展開がちゃんとできるようにしていこうじゃないかということで、これを目指すわけでございます。

 私も、三重県の名張市、それからこの間は埼玉の和光市に行って、この子育て世代包括支援センター、日本版ネウボラといって、名張版ネウボラとか、わこう版ネウボラとか書いてありました、そういうところを見てまいりまして、それこそ、まだこれから赤ちゃんができる妊娠中のお母さんたちや、子供ができて、その後の、産後のいろいろなケアがされているところを見てまいりました。

 妊産婦、乳幼児の状況を継続的に把握するということがやはり大事で、母子保健それから育児に関する相談に応じて、必要に応じて個別に支援プランを策定するとともに、地域の関係機関と情報を共有して、連携して必要な支援を提供する。こうしたことから、センターの中核を担うのは、今御指摘があった保健師の方が中核となりながら、こういった方々を初めとする専門職にしっかり支援をお願いできたらなというふうに思っています。

 子育て世代包括支援センターの全国展開をこれからやっていくわけでありますけれども、保健師などの専門職を確保しながら活用を促していくこと、そしてまた好事例の周知をしっかりとやって、センターを中心に、子育てを地域で不安なく皆さん方ができるような支援体制を整えていきたいというふうに思います。

真山分科員 三十二年度を目指して全国展開ということで御決意をいただいているわけでございますけれども、やはりこうした、本当に身近なところにこういった相談窓口があって、安心して子供を産み育てていける、そして、早い段階から専門家である保健師の方とつながって子育てを、また妊娠期からしていくということは非常に意義のあることでありますし、また一方で、子供をめぐる悲惨な事件もあるわけでございますけれども、そういったものを早期発見するという意味でも、しっかり地域とつながるということは重要ではないかと思っているところでございますので、ぜひその体制整備に関しまして御尽力いただきたいとお願いするところでございます。

 次の質問をさせていただきますけれども、子供の医療費についてお伺いをさせていただきます。

 子供の医療費、この自己負担分の減免措置、対象や年齢、所得制限等の違いはありますけれども、全ての都道府県が域内の市町村に補助を行い、また当該市町村が地方単独事業として医療費の減免措置を行っているところでございます。

 この場合、現物給付で実施、つまり、窓口においての支払い段階で減免するという措置をとりますと、国保の減額調整が行われることになっておりまして、これがいわゆるペナルティーというふうに言われておるわけでございますけれども、これは、一部負担金が法定割合より軽減される場合、一般的に医療費が増加するが、この波及増分は自治体が負担するものとの考えから減額調整される仕組みでございますけれども、一方で、やはりこの減額調整に関しては、廃止を望む声も多々聞かれるわけでございます。

 私は福島県に住んでおりまして、福島県では、震災以降、やはり子供の健康が大事だということで、十八歳以下の子供の医療費無料化というのを実施してございます。十八歳以下の子供の医療費を無料化して、実際、医療費がどうなったのかというのを県の方に確認をさせていただきまして、ちょっと参考までに御紹介させていただきたいと思うんです。

 医療費に関しまして、これはちょっと、数字上、九歳から十八歳というくくりになっているんですけれども、制度前三十二億、そして直近二十六億ということで、制度前と直近で比べると七九・五%医療費は少ないということでございます。また、受診件数に関しましては、制度前三十二万件の受診件数に対して、直近、二十六年十月から二十七年九月は二十五万件、これも七七・六%でございます。

 ただ、これは子供の数も影響がございますので、少し公平な観点で見る数値として、一人当たりの子供の医療費推計額、これは推計でございますけれども、推計額も出ておりまして、制度前は子供一人当たり七万九千八百五十円、そして直近では七万八千九百八十三円ということで、これは九八・九一%でございます。

 いずれにいたしましても、申し上げたいことは、窓口負担をなくすことによって、いわゆるコンビニ受診のような形になって医療費が増加するという懸念があるわけでございますけれども、一概には言えないのは重々承知でございますけれども、少なくとも福島県においてはそういう実態にはなっていないというのが事実でございます。

 そこで、お聞きをさせていただきたいと思います。

 現在、この減額調整措置について議論がなされているわけでございますけれども、現在の検討状況について、政府のお考えをお伺いさせていただきます。

唐澤政府参考人 ありがとうございます。

 御指摘の、地方単独事業により子供の医療費助成を行った場合、市町村に対する国保の公費負担の減額調整措置、こういうものが講じられているわけでございます。

 これは、財政的な観点からの公平という観点から実施をしているわけでございますけれども、先生御指摘のように、現在は全ての都道府県で何らかの医療費助成措置というものが講じられているということがございまして、都道府県、市町村などの地方団体からは、従来から強い見直しの御要望というのをいただいております。

 こういうことで、私どもは、現行制度の趣旨、それから、もちろん財政的な問題もございますので、国保財政に与える影響等も考慮しながら検討していく必要があるというふうに考えておりますけれども、具体的には、この減額調整措置のあり方、そしてさらに、それだけではなくて、子供の医療のあり方、少子高齢化が進む中で、子育て支援などの幅広い観点から考えていくことが重要であるというふうに考えております。

 そういう意味で、医療保険という観点だけではなくて、私どもの省内で申しますと、雇用均等・児童家庭局の方の母子保健でございますとか、あるいは医政局の方の地域医療体制というような観点も含めまして、昨年の九月から、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会を設けまして、検討を進めさせてきていただいております。これにつきましては、今春、この春を目途に一定の取りまとめをしたいということで、現在精力的な議論を進めさせていただいているところでございます。

真山分科員 ぜひ前向きな検討をしていただきたいと思いますけれども、考え方の一つとしては、やはり医療機関にすぐにかかれるということは、逆に言うと、早期発見にもつながる話でございまして、それによる医療費の軽減ということも要素としては考えられるわけでございますので、そういったことも含めて、ぜひ前向きに検討いただきたいと思います。

 次に、話題を障害者福祉にかえさせていただきたいと思います。

 障害者総合支援法の三年見直しについて、現在議論がなされているところでございます。その中で触れられてもおりますけれども、発達障害児についてお伺いをいたします。

 発達障害を抱えていらっしゃる方で、精神的なストレスがかかった場合に、やはり発作的に暴れてしまいますとか、そういったケースがあるわけでございます。

 私もお聞きしているケースにおきましては、お母さんが一人で発達障害を抱えられた児童を育てているわけでございますけれども、やはり時に暴れてしまう。小さいときは抑えることができたけれども、やはり年齢が大きくなってくると、もうお母さん一人の力では抑えることもできない。しかし、それが深夜であったりとか休日であったりとかしますと、そういったことをぱっと相談できる、そういった緊急時に相談できる場所もないということで、どうすることもできずに、例えば近所の方が警察に連絡して警察が来るとか、そんなことが実態としてあるわけでございまして、大変、御家族の負担も含めて、考えなければいけないと思っているところでございます。

 この発達障害児支援は、同時に、その家族の支援でもございまして、特に、先ほど言いましたような緊急時に家族が相談、また助けを求められるような機関や窓口が必要と考えておりますけれども、現在十分に整備されているとは言えない状況と私は認識をしております。

 こうした緊急時の対応が可能な相談支援窓口の整備について、政府の見解をお伺いさせていただきます。

藤井政府参考人 先生御指摘をいただきました発達障害者を含めて、いわゆる行動障害を有する障害者の皆様方に対しましては、緊急時に対応できる相談支援、あるいは受け入れ体制の確保が重要であると私どもは考えております。

 そういう中で、こうした機能を持ちます地域生活支援拠点といったようなものにつきましては、これは第四期の障害福祉計画、現行走っておるものでございますが、これに位置づけまして、市町村または障害保健福祉圏域に一カ所以上整備することとしておりまして、今年度実施をしておりますモデル事業の成果も踏まえまして、全国に普及をさせてまいりたいというふうに考えております。

 また、一方で、行動障害を有する障害のある方々が、発作的な、いろいろなリスクのある行動を起こすことがないように、適切な支援を行えるような人材の育成を行うことも重要ではないかというふうに考えておりまして、都道府県が実施をいたします強度行動障害支援者養成研修というものがございます。これを国としても支援をいたしますとともに、短期入所における緊急受け入れを評価するために、重度障害者支援加算というものを、これは先般の平成二十七年度の報酬改定において見直しもしておるところでございます。

 また、緊急時の受け入れ体制という意味では、緊急に支援が必要な利用者の方を短期入所事業所で受け入れた場合に、緊急短期入所受け入れ加算といったようなものも設定をしておるところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、行動障害を有する発達障害者等の地域生活を今後とも支援してまいりたいと考えております。

真山分科員 ぜひ、引き続き、きめ細やかな体制整備ということに関して推進いただきたいと思います。

 続けまして、障害者を取り巻く環境の中で、一つ、就労の問題を質問させていただきたいと思います。

 就労が必要であることは言うまでもございませんし、そして、障害者を問わず全ての人々がそうであるように、やはり障害者にとっても、自身が就労によって賃金を得るということには重要な意義があるというふうに考えております。

 この障害者総合支援法に基づきまして、就労系障害福祉サービスとして、就労継続支援A型、B型がございます。これを活用して企業が障害者を雇用されているわけでございますけれども、しかし、実際に就労支援を行う事業所の中でも、なかなか経営が立ち行かないケースも多いように感じております。

 私なんかがお聞きしている話でございますと、A型事業を活用している事業所さんでございますけれども、障害者の雇用の場所をつくるという高い志のもと展開はしたものの、やはり非常に、経営上、課題にぶつかりまして、A型事業を諦めざるを得ないのではないかというような、そんな瀬戸際にもなっている方がいらっしゃいます。

 障害者の就労支援を進めるためには、障害者を雇用できる経営体をつくり出さなければならないというふうに認識しておりまして、これはもうA型、B型問わずだと思いますけれども、一般的な経営力が当然求められるわけでございますし、重ねて、障害者の就労支援に関する専門的な経営力も必要であると認識をしております。

 今後の就労支援予算の拡充と専門的な経営支援について、厚生労働省の見解をお伺いさせていただきます。

藤井政府参考人 先生御指摘をいただきましたとおり、就労継続支援事業所における就労支援の充実を図ってまいりますためには、これは事業所の経営力を高めていくということが大変重要な課題だというふうに私どもも考えております。

 これまで厚生労働省におきましては、一つは、まさに事業所の経営力の育成強化に向けまして、経営コンサルタント等による効果的な工賃向上計画の策定でございますとか、あるいは管理者の意識向上に向けた助言をしていただきますとか、そういう事業を行ってまいりました。また、事業所の職員を対象といたしまして、効果的な商品開発ですとかあるいは販売戦略などに係る研修会の開催、そういったことを支援いたします工賃向上計画支援事業に私どもとして取り組んでまいったところでございます。

 今後とも、こうした取り組みをさらに進めていくことによりまして、就労継続支援事業所での就労支援の充実を図ってまいりたいと考えております。

真山分科員 それでは次に、難病対策についてお伺いをさせていただきます。

 これは難病指定はされてはございませんけれども、線維筋痛症、推定二百万人以上いると言われておりますけれども、この診断基準が確立されていない、また根本的な治療法もないということで、対症療法として薬物療法や認知行動療法などが行われている、このように認識をしております。

 一方で、慢性的な痛みについては、当然、肉体のみならず精神までむしばんでいく、それほど患者にとってはつらく苦しいものでございます。

 政府として、線維筋痛症を含めた慢性の痛み解明研究事業ということで研究を進めていらっしゃいますけれども、その取り組みの状況と今後の見通しについて、政府の見解をお伺いいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 線維筋痛症を含めました慢性の痛み、こういうものを来す疾患につきましては、身体的なものだけではなくて、心理的あるいは社会的、そういう問題というのが関係していると言われておりまして、総合的なアプローチが必要だということでございます。

 このため、平成二十一年度に慢性の痛みに関する検討会を設置して、翌年の二十二年の九月に「今後の慢性の痛み対策について」という提言を取りまとめていただいたところでございます。

 この提言を踏まえまして、平成二十三年度から慢性の痛み対策研究事業を開始しておりまして、病態解明、治療法の開発などの研究体制の充実、そして医療体制の構築等を行っているところでございます。

 また、平成二十四年度からは、からだの痛み相談・支援事業という事業を始めておりまして、慢性の痛みに苦しんでいらっしゃる患者さんに向けた電話相談、医療機関の紹介、情報提供、相談体制の充実、こういうことを行っているところでございます。

 これらの慢性の痛み対策として、来年度の予算案におきましても、一・三億円を計上しておるところでございます。

 今後とも、研究開発、普及啓発、それから医療体制の構築等を進めることによりまして、慢性の痛み対策の充実に努めてまいりたいと考えております。

真山分科員 慢性の痛み対策を進めていただいている、また研究を進めていただいているわけでございますけれども、一方で、なかなか医療従事者も含めて認識がされていない、それによって患者の方が大変つらい思いをする、そんなケースも聞こえてくるところでございまして、当然、診断基準の確立、また治療法の解明、こういったことを進めていただくとともに、先ほども少し御答弁の中で触れていただきましたけれども、ぜひ普及啓発という観点でも後押しをいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、難病のギッテルマン症候群というのがございます。これはミネラルの再吸収障害によって発症するものでございますけれども、十八歳までは難病指定ということになっております。そして、患者の皆様の程度にもよろうかと思いますけれども、汗をかくとミネラル分が体外に出てしまうために、汗をかきやすい夏場なんかは家から出られない、家の中もクーラーできんきんに冷やしておかないと自身の健康にかかわってくる、そういった実態がある病気でございまして、現在、この根本的な治療方法はないわけでございます。

 重症化する割合も高くはないという見解もございますけれども、一方で、やはり重症化している方もいるのも事実でございまして、なかなか、そういった方々が生活上も大変御不便を感じていらっしゃるところでございます。

 このギッテルマン症候群について、現在の厚生労働省としての取り組み状況についてお伺いをさせていただきます。

福島政府参考人 ギッテルマン症候群に対しての取り組み状況についてのお尋ねでございますけれども、まず、難病の医療費助成制度につきましては、法律に基づくものとしては、難病の患者に対する医療等に関する法律に基づきまして、昨年一月一日から発足をしたところでございます。

 この医療費助成の対象になるものは、ほかの施策体系が樹立していない疾患であって、その治療方法が確立していない、さらに、希少な疾患である、そして、客観的な診断基準が確立している、こういうような要件が指定の要件ということになっておるわけでございますけれども、ギッテルマン症候群については、実は、まだ現時点では客観的な診断基準が確立をしていない、こういう状況にございまして、指定難病ということにはなっていないわけでございます。

 これまで、ギッテルマン症候群に関する研究に関して研究事業を進めておりまして、この中で、遺伝子診断等の診断方法の確立、あるいは患者の数の把握、こういうものに向けた研究を今後とも推進してまいりたいと考えておるところでございます。

真山分科員 これは一朝一夕で解決できるような問題ではないということは重々承知しておりますけれども、研究も取り組みもしていただいているということでございますので、ぜひこの後押しもあわせてお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。救命救急のドクターヘリについてお伺いをさせていただきます。

 このドクターヘリにつきましては、我が党といたしましても、全国配備を目指して進めてまいりました。そして、現在、全国で、ほぼ全県網羅するような体制が整いつつあるという状況でございます。

 一方で、操縦士が不足しているというお話も聞こえてまいります。そういう意味で、操縦士の人材育成が急務でございます。この操縦士の不足によって、例えばドクターヘリが運航できないということがあってはならないわけでございまして、そういった意味でも、この操縦士の人材育成は急務であるというふうに認識をしてございます。

 そして、ヘリコプターの操縦士を希望するお子さんが、また子供さんがいた場合に、なるためのいわゆる学費は非常に高額になるというふうに聞いておりまして、その学費の問題がゆえに、経済的な問題がゆえに操縦士の夢を諦めなければならない、そういった子供さんがいるというのも聞いてございます。

 操縦士の育成を急ぐとともに、人材は足りないわけでございますので、せっかく希望される方がそういった経済的理由で夢を諦めることのないように、やはり、操縦士育成のための例えば奨学金を充実させるとか、そういった対策も私は必要ではないかというふうに考えてございますけれども、操縦士の育成について、これは国土交通省にお伺いをさせていただきます。

島村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のドクターヘリや消防防災ヘリの運航は、極めて公共性の高いものであり、これらヘリコプターの運航に十分な数の操縦士を養成、確保することが重要な課題となっております。

 こうした状況に対応するために、国土交通省は、総務省、厚生労働省等々と連携をいたしまして、昨年三月に関係省庁連絡会議を設置し、検討を進めております。昨年七月に、ヘリコプターの操縦士の養成、確保についての取りまとめを行っておるところでございます。

 この取りまとめに基づきまして、今後、ドクターヘリ及び消防防災ヘリの運航に必要な能力に着目した訓練プログラムの開発、また、これらのヘリコプターの乗務要件の見直し等の取り組みを進めることとしておりまして、平成二十八年度予算案において必要な経費を計上しているところでございます。

 また、先生御指摘のございましたとおり、より一般的に若手のヘリコプターの操縦士の養成を推進するために、ヘリコプターの操縦士の志望者の裾野拡大に向けた取り組み、また、既存の民間における奨学金制度の拡充に向けた検討の取り組みも進めてまいりたいと考えております。

 これらの取り組みの具体策については、現在、民間の事業者さんも含め、協議会の場において検討を進めており、可能なものから順次実施していくこととしております。

真山分科員 時間が迫ってございますので質問はこれで終わりにさせていただきたいと思いますけれども、今御答弁いただいたとおり、志望される方がこの夢を諦めることがないような手だてを着実に打っていくことが、やはり操縦士育成の大きなポイントになろうかと思いますので、ぜひ、引き続きましての取り組みの推進をお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山下主査代理 これにて真山祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、白須賀貴樹君。

白須賀分科員 自民党の白須賀貴樹でございます。

 本日は、塩崎大臣に胸をおかりさせていただいて質問させていただきます。

 与党の議員は、どちらかというと、大臣と政策で話す時間というのはなかなか少ないと私はいつも思っておりまして、質問時間は野党の皆様方に大体委員会でもお渡ししておりますし、また、部会等には大臣が出席することはできません。そういった意味で、きょうは、私の思っていることを大臣にぶつけていきたいなと思っております。

 その前に、塩崎大臣に、前、飛行機の中で、高知に私が向かうときにたまたまお会いさせていただきました。私は斜め後ろに座っていたんですけれども、私は乗り物に乗るとすぐ寝てしまう性質でございますのですぐ寝てしまったんですけれども、ぱっと途中で起きると、大臣は、ずっと何かペンで引きながら、あの飛行機の時間帯、ずっとお勉強されていたみたいでございます。本当に非常に政策通で、私の敬愛する塩崎大臣でございます。これだけごまをすったので、よろしくお願いします。

 そういう冗談はともかく、本当にきょうは、大臣に、私の政策等も含めて、だめ出しのところはだめ出ししていただきたいと思いますし、また、さまざまな御意見、御助言をいただきたいと思います。

 まず最初に、我が国の最大の問題、課題というのは、もう皆さん御存じのとおり、人口減少、少子高齢化、これに尽きます。もう釈迦に説法でございますが、やはりこの国、二〇二五年には団塊の世代の方々が皆さん七十五歳以上になられまして、今、ざっとですけれども、六千四百万人の方々が働いておりますが、二〇二五年には大体七百万人、二〇三〇年には九百万人の方々がお仕事をリタイアされる。そして、二〇三〇年からは毎年毎年約百万人の方々が亡くなられていくという人口減少社会に加速されていきます。

 その中で、大臣のお住まいの愛媛県が二〇一二年に約百四十四万人、近くの香川県が約百万人でございます。ですから、毎年毎年、四十七都道府県の一つの香川県が一個一個消えていく、それが約二十年間続いて、約二〇五〇年には一億人以下になる。このスピード、そしてこれだけの人口減少が起きるというこの問題認識は、本当に私たち政治家はしっかりと考えなければいけないと思っておりますし、また、大臣が一番考えられると思っております。

 人口が減少していくことにはどういうことが起きてくるのかというと、やはり、当たり前ですけれども、労働力が減ってくるし、税収も落ちるし、消費活動も落ちる。さまざまな問題が出てくる中で、そしてまた、今我が国の働いてくださっている方々で今のGDPを支え、税収を支え、そしてさまざまな労働をしていかなければいけない。二〇三〇年には約五千五百万人ぐらいになってしまう。そのことを考えますと、私は、やはりこれから多様な働き方、この日本人がどうやって働いていくべきか、そのことに本当に真摯に取り組まなければいけないと思っております。

 特に、今のアベノミクスで、いわゆる金融政策によって、私たちはそれなりの景気浮上というものは体験しております。しかし、これはあくまでカンフル剤の一種でありまして、本来やるべきことは、このときにしっかりと先を見据えた構造改革、それをしていかなければいけない。

 その構造改革の中で、私の持論でございますが、やらなければいけないのは、労働法制、そして税制、社会保障、この三つをパッケージ化してしっかりと考えていかなければいけない、そのように考えております。特に、これから我が党の政策、GDP六百兆円に向けて進むに当たり、これはどう考えても、お一人お一人の国民の皆様方のGDPをどうやって上げていくか、また生産人口をいかにふやしていくか、これに尽きると思います。

 そして、このGDPを上げるため、そして働き方を変えるため、何をしなければいけないか私はずっと考えていたんですが、やはり、最初に労働法制を考えますと、必ず壁が来るのが、税制の壁と社会保障の壁でございます。どうやってもやはり百三万円の壁、百三十万円の壁、そしてまた労使折半の社会保障、さまざまな問題が目の前に立ち塞がります。

 私の持論としては、自由な労働、例えば週二日正社員、週三日正社員。また、一日八時間、週五日の四十時間の労働、これが正社員の最初の定義でございますけれども、それが週二日の正社員でもいいんじゃないか、週三日の正社員でもいいんじゃないか、一日六時間、週五の正社員だっていいじゃないか。さまざまな働き方をして、その自由な労働の仕方を考えていく。

 でも、そのときに、いわゆる自由な、流動的な労働を考えますと、どうしてもやはり労働力の使い捨てみたいな話が出てしまいますので、こうなってはいけません。ですから、そのときに一緒にセットになって考えなければいけないのが、やはりしっかりと社会保障に責任を持たせる。つまり、人を雇ったときには、その企業は、私の持論でございますけれども、一分でも働かせたら、一円でも稼がせたら、企業はそれ相応の、応分の社会保障の面倒を見ていく。

 そして、週二日、週三日の自由な働き方。A社とB社、二日ずつ勤めたっていい、二日と三日勤めてもいい。さまざまな働き方をさせてあげることが本来の自由な労働力の分配であり、また、七十歳以上の御年配の方々がいきなりフルで正社員で働けといっても、これは大変体力的にも厳しい方も出るでしょう。そういう方々のことも考えれば、週三正社員という考え方だってあると思います。

 また、これはちょっと言葉が悪いかもしれませんが、例えば田舎の方の町役場、村役場で、公務員の方々が、本当に週五日間四十時間、その場に必要ですか。それとも、三日間公務員をされて二日農業をされて、トータルの所得はマイナンバーでわかる、そしてそれ相応の負担をしてもらう。さまざまな働き方も考えられます。

 また、医者不足のいろいろな隔地がございます。週三日だけ東京で働いて、週一日だけでも地方で勤務をされる、こういう自由な働き方。そういった、東京だけとかじゃなくて、東京と地方であったり、地方でも、ある県とある県であったり、ある会社とある会社であったり、さまざまな自由な働き方。

 そしてまた、女性においても、出産されて、例えば子供がまだ小学生のとき、早く帰ってあげたい、そういうときには、週五時間、週六時間、それでも正社員として認めてあげよう。そして、御自分の社会保障もしっかりと自分で払いながら、そして子育てをすることができる。お父さんの方もそうです。

 一時期育児休業とかそういう話が出ていましたが、私自身は、本当にちっちゃな零細企業で社員が三人とか四人しかいないところの会社で、本当に育児休業はとれるのかなと思っていたところもありましたので、私は、随分前の分科会だったんですけれども、育児早退、できる限り、二時間だけでもいい、三時間だけでもいい、早く帰らせてあげる、男性の方々を帰らせてあげる。そして、例えばこの冬の寒い時期に、お母さんが、お父さんがまだ帰ってきていなくて、子供とお風呂に入っていて、そのときに、自分の体が冷えても先に子供のことを拭いて、風邪を引かないようにお洋服を着せてから自分がまた体を拭いてと、これは本当にストレスになります。そのときに、二時間前に旦那さんが帰ってくれるだけで相当ストレスが緩和されます。

 また、私の個人的な思いとしては、やはり家族というのは、夕方の六時、七時になったら一家団らんをしてもらって、みんなで夕食を囲んで、お父さんこういうことがあったよ、お母さんこういうことがあったよ、そういう時間も絶対に人生の中に大切だと思います。

 そういった新しい、本当にワーク・ライフ・バランスというものを考えるときには、私は、どういう働き方、多様な働き方、そういったものを提唱していきたい。

 そしてまた、適当なことを言わせてもらいますが、控除という考え方も私はいかがなものかなと。もちろん、百三万、百三十万の壁で、給料によって働く時間を制限されているという問題もやはりありますが、私は、税というのは、中立、公平そして簡素という原則がありますが、そこにやはり目的意識というものが必要だと思います。ですから、どちらかというと、私は控除というものはこれからなくしていくべきだと思いますし、そのかわりに、しっかりと手当によって保障していくというか、手当てをしていく。

 例えば、お二人が結婚されて、夫婦手当というのはちょっとお話が変だと思いますが、結婚されてお子様が生まれたら、ちゃんと目的で、子供を育てるための手当ですよという形でぼんと出してあげる。目的を持って出してあげて、なおかつ、そこにやはりしっかりと所得制限もかけて、しっかりと子供たちが産み育てられ、しかも公平感があって中立がある。

 そういう税制にするためには、昔ながらの控除という考え方、そういったものを考えていくのではなくて、しっかりとした、最初の本来の税制を考え、そしてまた社会保障のことも考え、今は、二社、A社とB社で勤めていましたら、A社とB社でどちらかが、一番負担をしている方、お金を払っている方が、まず全額労使折半の分を払って、A社はもう一つのB社の方に均等割した分をちゃんと徴収する、これを民間に任せているというのはいかがなものですかね。

 ですから、そういった意味で、社会保障の改革も、そしてまた税制の改革も、そして働き方の改革も、パッケージにして皆さんで議論をして、どうやれば自由に働くことができ、そしてまた労働参画しやすい環境をつくり、もちろん無理なく、また自分の人生の中でどういう時間の配分をするか。

 また、私、最近思うんですけれども、三十年先のこともよく考えています。三十年先、塩崎大臣は、今、六十七歳じゃなくて、六十五……(塩崎国務大臣「そんなにいっていないよ」と呼ぶ)いっていないですか。失礼しました。三十年後、恐らく介護、いや、失礼しました、冗談です。三十年先、私、まだちょうど七十ぐらいで、まだ働けると思います。それで、三十年前を考えました。三十年前、何をやっていたのかなと思ったら、まだ小学生なので、ファミコンばっかりやっていたんですね。

 そのファミコンというのは、ちょっとこの間ウィキペディアで見たら、八ビットしかないんです。ビットというのは、二掛ける二掛ける二掛ける、二の八乗ですから。今、アイフォン6を見たら六十四ビット。二の六十四乗ですから、二を六十四回掛ける。もう天文学的に違うスピードで物事が処理されている。私も、小学校のときの、あのドット画面の粗いゲームをやっていたときには、今みたいに、携帯で動画が配信されて、何でも調べることができて、小型のパソコンを持ち歩くなんてことは全く想像していなかった。

 つまり、二十二歳で大学を卒業して、それからそのまま七十まで働かれるとしたら約五十年間。その五十年間の間に、どれだけの技術の進歩があって、どれだけ物事が変わって、この国の形がどう変わっていくか。二十二歳のときに学んだことと七十歳のときと、どれぐらい日本が変わっていくかということを考えると、約半世紀ですから相当な変化があります。

 ですから、二十二歳から、例えば四十何歳のときに、もう一度勉強してみようとか、自分の違う仕事に移ってみよう、そのための勉強をする時間も欲しいな、さまざまなことを考えて、やはり働き方、そのときに、全部仕事をやめて私は勉強の方に行きますよなんて言っても、これはすごく勇気が要りますから、せめて週二正社員、週三正社員という形で、そして、会社の方としても、その彼がグレードアップしたり、また違う分野のところでも活躍してもらったら、会社にとってプラスになるかもしれない、また、日本にとっても社会的にとっても人的投資としてはプラスになります。

 そういったさまざまな自由な生き方、働き方、そして学び方、さまざまなことを考えますと、今のこのままの労働法制で、本当にこの国は、五十年先、生き残ることができるのであろうか、そのことをいつも私は考えておりまして、仲間の議員、特に同期の仲間たちと絶えずディスカッションしている内容、そして、ここまでドラマチックに変えることができたら日本というのはおもしろくなるんだろうな、そのような思いで塩崎大臣に、今自分の思いをぶつけさせていただきました。しかし、なかなかこれは答えることが難しいと思いますので、質問に入らせていただきます。

 人的資本のポテンシャルを最大限発揮するためにはどうするべきか、また、構造的な人材不足への対応について、大臣の御見識をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

塩崎国務大臣 御高説をたっぷり聞かせていただきましたが、ありがとうございました。

 昨年も、昨年は大体GPIFの話が多かったような気がいたしましたが、分科会で御質問いただいて、ありがとうございます。

 今お話を展開していただいたことにかなりつながる話でもある御質問を今いただいたのかなというふうに思うわけでありまして、この間、私は、ダボスに行ったときに、変容する家族像の中で、社会や企業、経済界が何をすべきか、特にケアのために。そのケアというのは、子供であって、日本の場合には高齢者も含めてどうすべきなのかというディスカッションに私も出ました。五人ぐらいだけでやって、あとはフロアからというのですけれども。

 そのときにつくづく思ったのは、先ほど人口減少と高齢化と少子化をおっしゃったんですが、実は、人口の増減と労働人口の増減というのは必ずしも一致していないというのがほかの国であります、日本の場合には一致していますけれども。ですから、人口、労働人口、高齢化、少子化、この四つともなかなか厳しい条件なのは、G7の中では日本だけだということがよくわかりました。ドイツがやや似ているんですけれども、労働人口はふえています。イタリアもそうです。高齢化、少子化はお互い同じような感じでありますが、しかし労働人口はふえている。

 こういうことでありますから、この四つの問題が厳しい中で、どういう日本のモデルをつくれるのかということが恐らく問われているんだろうというふうに私は改めて思って、言ってみれば、世界の中で先進的に新しい経済社会モデルを示すということが我々のノルマではないか、使命ではないかというふうに思いました。

 実は、まさにそれをやっているのが今の一億総活躍社会づくりであって、総理もよく人口問題に初めて正面から取り組むんだとおっしゃっていますが、そのとおりだと思います。

 そのときの決め手は、今御質問いただいた、人的資本のポテンシャルがどこまであるのかということがとても大事であって、もちろん、目先のことを言えば、例えば今、人手不足で、特に介護、そして保育、極めて人手不足で困っているがゆえに、今回の補正予算、来年度予算でもさまざまなインセンティブを提供しながら人材確保をしよう、そしてまた介護でも、介護の処遇改善加算も加えていろいろやりつつあるわけでありまして、そういうところでもやはり、言ってみれば、高齢化する少子化の日本、労働人口が減る、人口も減る、そしてまた東京一極集中みたいな日本独自の問題を抱えている中で、解決するのは、やはりこの人的資本のポテンシャルをどれだけ持つかということなんだろうと思います。

 これは厚生労働省ではないので何とも言えないところでありますけれども、その人的資源を開発していく、キャピタルとして持つというためには、私はやはり教育というのは、文科省ではありますが、とても大事で、特に、これからはイノベーションで勝負をしていこう。

 それは、労働人口もそれから人口全体も伸びない中で、高齢化が進んで、高齢者の就業は最大限お願いをしたいと思っていますし、女性にも最大限、御希望される限り参加をしてもらいたいと思いますけれども、それを仮に前提にしても、生産性革命と今一本目の矢で言っていることを本当にやっていかなきゃいけない。そのためには、並の生産性の向上では間に合わない。だからこそ総理は生産性革命と言っているわけですから、それをやらないと、先ほどおっしゃった、社会保障を賄うだけの経済の言ってみれば果実を得ることができないということなんだろうと思うので、そうなると、このイノベーションをつくり出す力はやはり教育であり、特に、私は、高等教育が大事であり、大学の教育改革というのが物すごく長い目で見て大事で、今やらなきゃ間に合わない。

 今、現状は、ノーベル賞をとるだけの力を日本の科学者は持っていますけれども、世界の科学者でノーベル賞をとった人は日本では誰も研究していないということに象徴されるように、日本の大学は世界から見ると魅力的ではないということでもありますので、そういうところにしっかりと力を入れていかなければ生産性革命を起こすこともできないんじゃないかというふうに思っているわけであります。

 先ほどの、税制というのもありましたが、当然、この人的資本を活用する大学なりイノベーションをつくり出すというときに、やはり、働き方を変えることと、税は国家なりというぐらい税が人間の行動パターンを変えてしまいますから、ここについては、どういう方向についてかというのはいろいろ考え方がありますけれども、極めて大事な問題として、企業行動ももちろん変えますが、この人的資本のポテンシャルを回すために、税制改正も実に大事なテーマだというふうに思っています。

 まとまりのないことになりましたけれども、役所でつくってくれたものとは全然関係ないことを、関係ないというか、全然材料がないことはないわけですけれども、私なりに整理をするとそんな感じかなというふうに思います。

白須賀分科員 ありがとうございます。答えにくいことばかり言って申しわけございません。

 ただ、私、持論として、今本当に、労働をいじくると言ったら失礼ですけれども、労働を考えるときに、これだけ求人倍率もすごく回復して、景気もそれなりの感じになってきて、また、企業の収益は、よく大企業の収益が最高だといいますけれども、中小もすごく業績がいい、そしてまた、内部留保も三百五十兆円までいっている、このタイミングを除いていつ労働法制をいじくれるのだろうかと。

 私は、本当に今、このタイミングでしっかりと議論をして、もちろん、企業の皆様方にも、当たり前ですけれども、労働者に対するコストの負担をまたお願いしますから大変でしょうけれども、このタイミングを逃したら、本当に、労働を自由化しながら、なおかつ社会的弱者をつくらず、そしてまた社会保障のこともしっかりと考えてできるタイミングというのは今なのかなといつも思っています。

 また、ちょうどきのうですが、グーグル社が今つくっているロボット、物すごく人間みたいな動きをして、ドアをあけて歩いていく姿も人間とほとんど変わらないぐらい滑らかに歩いていくという、AIを組み込んだロボットがあったんですが、これは、一つ一つの部品、またロボットの性能からいえば、圧倒的に日本の方が優秀なんですよ。日本の方が力があるんですよ。でも、グーグルがこれをつくろうと思えば、ぱっと動き始めて、そういったものをつくられてしまう。スピード感が雲泥の差でございます。

 私は、政治において、いろいろなタイミングはあるんでしょうが、本当にこのスピード感で私たち動いて、この国は世界のスピードに置いていかれるんじゃないかな、そういったことをいつも危惧しながら、私はちょっときょう大臣に、持論でございますが、むちゃくちゃな政策をぶつけさせてもらいました。本当に済みません。ありがとうございます。

 だんだん時間がなくなってきて二問目がなかなか難しくなっちゃったんですけれども、私がいつも思うんですけれども、介護の分野とかも考えていますと、フランスは昔まで、一九九〇年代前までは、食事もしっかりと介護して、胃瘻もしっかりして、いかに長く生きていただくかということがまさに介護の中心で、原則胃瘻で、例外として、そういったものをしない方々がそういうことをしないというのがフランスでございましたが、一九九〇年半ばぐらいから二〇〇〇年にかけて、それが、原則と例外が逆転されています。基本的には、お食事がとれなくなったら水分のコントロールという形で、これは天に召される時間が来た。どうしても御自分の御希望があるなら胃瘻をしていこうと。

 私も、NHK特集等で、さまざまな人生のエンディングを考える番組を見させてもらいました。やはり、水分のコントロールをすることによって、脳内物質の中のエンドルフィンとかさまざまな物質、ドーパミンとかが出て、いわゆる眠ったように静かに逝ける。

 私は、人生のエンディングに対して、さまざまな宗教や文化や、また個人の考え方等がございますから、強要するものでもないし、私の今の発言で不快な方が出てきても申しわけないと思いますが、自分だったらどうやって自分のエンディングを迎えたいかな。

 そしてまた、私自身が、口腔がん、口の中のがん担当で大学病院に残っていました。そのときに、亡くなられているんですけれども、家族の方が到着するまでは人工蘇生をしなければいけない。上に乗っかって、ずっと心臓マッサージをし続けるわけですね。そうすると、多分大臣は経験がないと思うんですけれども、十分、二十分やりますと、肋骨もばきばきに折れますから、もうゴムみたいになって、ぼよんぼよんするんですよ。その状態でも、押している間は心臓はぴこんぴこんいくわけですね。一応数字上は生きているんです。家族が来たら、いいですか、見ていてくださいねと、やめたらピーとなる、こういう状況でございますというのが、私が勤めていたときのその当時、二〇〇〇年のときの大学病院の姿でした。

 私が自分で考えていたのは、心臓はポンプですから、送られたら脳に血流もありますから、脳が一応動く、そうすると、死ぬ間際、エンディングの間際に、まず上に乗っかられるだけでも重たい、そこに押されてばきばき骨折させられて、本当に自分だったらこれは地獄だなと正直感じました。

 ですから、終末期医療等も考えて、どういうふうに自分のエンディングを迎えるべきか。まさにこれは、国民一人一人の皆様方に、リビングウイル、生きているうちに自分の最期をどう迎えたいか真剣に考えてもらう、そういう時期が来たと思っております。

 そういったことも含めて、もっとあと十分ぐらい話すつもりだったんですけれども、ちょっと割愛させていただきまして、質問に入ります。

 今の話は、あくまで僕の大臣に対する思いでございますが、質問の内容は、今回の診療報酬の対応も含めて、医療の質的な評価というものをどう進めていくか、大臣の見解を聞きたいと思います。よろしくお願いいたします。

塩崎国務大臣 去年「保健医療二〇三五」というのをつくっていただいて、さまざまな提言をいただきました。

 その中で、やはりこれからの二十年先の医療、さっき三十年と言いましたが、あのときは二十年先でありますが、二十年先の医療を考えるときに、パラダイムシフトをしなきゃいけないと。今まではインプット中心でしたけれども、これからはやはりアウトカムを中心に評価を加えた診療報酬体系にしていかなければ患者本位の医療にならない、一人一人のための医療にならないんじゃないかということを提案いただいて、今回、二十八年度の診療報酬改定でも、患者にとっては、いわゆるこの評価というのは、やはり、安心できて安全だ、そういう、納得できる、効果が出る、効率的な質の高い医療というのを実現するということが基本視点だということで掲げて、初めて第三者による評価とかアウトカム評価などの客観的な評価を進める取り組みを、費用対効果などを通じてやろうということになりました。

 具体的には、入院によるリハビリテーションについて、その効果の実績に応じた評価を行う仕組みを導入する、あるいは、総合的かつ専門的な急性期医療を提供する保険医療機関を評価する加算において、第三者評価を受けていることを要件とする、それから、医薬品や医療機器等の費用対効果の評価、これを試行的に導入するということを初めてやっているわけでありますが、こういうような形で、客観的に見て皆さんが納得できる医療をどう提供することが可能なのか、これは評価というのは大変難しいわけでありますから、いろいろ試みながら、こういう形で皆さん方の納得を得られる医療というものをやっていかなきゃいけないなというふうに思っております。

白須賀分科員 私の父が、私が二十のときに他界しました。肺がんでした。五十七歳でした。私の父は、肺がんが見つかったときに、自分でレントゲンを見せてもらって、これは助からないなと自分で判断した瞬間に全ての治療をやめて、ペインクリニックだけをして、おかげさまで、全く痛みがなく、眠るように逝くことができました。本当にいいお医者さんに私はめぐり会えたと思って、今でも感謝をしております。

 ですから、私は、病気は闘うことが全てではなくて、ある意味、闘わないという生き方も、またこれは家族にとっても本人にとっても幸せなんだなと思ったのが二十のときでございますので、さまざまな方向、さまざまな考え方を駆使して、みんなで国民の幸せを考えていきたいと思います。

 本日はまことにありがとうございました。

山下主査代理 これにて白須賀貴樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、島津幸広君。

島津分科員 日本共産党の島津幸広です。

 塩崎大臣とは、先日、最低賃金の問題で議論させていただきましたけれども、きょうは、雇用促進住宅の問題について質問させていただきたいと思います。

 最初に現状についてお聞きしますが、厚生労働省の資料によりますと、昨年末現在で、住宅所有戸数は十一万八百五十七戸、実際に入居しているのは四万四千九百五十戸となっています。推定では十万人近い人が住んでいると思いますけれども、これは間違いありませんね。

生田政府参考人 お答えいたします。

 現在、入居されている戸数につきましては四万四千九百五十戸でございまして、正確な入居者数は把握してございませんけれども、仮に一戸当たり平均二人が居住されているというふうに仮定いたしますと、約九万人ぐらいが住まわれているというふうに考えてございます。

島津分科員 二〇〇八年当時と比べると、約八年間で入居者数だけでも二十万人減っています。中堅都市が丸々一つ消えたことになるわけですけれども、ここには数字以上に大きな問題を抱えていると思うんです。

 私も、実際に三重県や静岡県の現場に足を運んで、住宅がどうなっているのか、また、この目で見て、入居者の方々からもお話を聞いてきました。

 三重県四日市市のある住宅を訪ねて、まず驚いたのは、五棟あるうちの一つの棟の一階部分が丸々、板塀が囲うように打たれている。入居者がいないので、防犯対策だということだそうです。かつては二百七十戸入居者がいたんですけれども、現在は三十数戸、激減しています。また、空き部屋の風呂場の窓が割れてハトの巣がつくられている、台風で雨漏りがするんだけれども自然災害だから個人負担でと言われた、管理人は週に一回しか来ない、草刈りは家賃に含まれていないからやらないなど、日常生活にさまざまな支障が出ています。

 何より、住宅としてのコミュニティーが破壊されている。別の棟で聞きましたら、高齢の方が孤独死をしていた。新聞配達の方が、何日分も新聞がたまっているものだから通報したそうなんですけれども。岐阜県のある住宅でも、いわゆる孤独死の方が発見されました。

 全国各地でこのような事例を聞いているんですけれども、大臣のもとにはこういう実態は届いているんでしょうか。

生田政府参考人 お答え申し上げます。

 入居者の方の御不安という中で、孤独死という問題、孤立死という問題があるというふうに私どもも承知しております。

 最近、平成二十五年に、今雇用促進住宅を所有しております独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構の方から通知を、管理会社、雇用促進住宅を管理している会社に出しまして、その中で、地方公共団体の福祉担当部局それから警察関係者と十分連携をとって、もし何かございましたら対処するようにという通知を出してございます。そういう中で個別の事案につきましては把握していくという考え方でございます。

島津分科員 本当に大変な事態が生まれているんです。

 昨年来、私どもの国会事務所や地元事務所に、入居者の方々からさまざまな心配、不安の声が寄せられています。突然、更地にするという書類が届いたが、入居の際には一切説明がなかった、住宅の自治会からも連絡がない。住宅の売却のお知らせが入っていたけれども、どうしたらいいのか。これは千葉県の八十歳を過ぎた女性からです。

 政府は、閣議決定で、二〇二一年までに雇用促進住宅の完全廃止を目指すということを決めました。入居者にとっては不安が募るばかりです。

 大臣、入居者の皆さんがなぜこれほど不安な気持ちになるのか、どうお考えなんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の雇用促進住宅の廃止につきましては、平成十三年の閣議決定などによりまして雇用促進住宅は早期廃止を計画的にやるということを受けまして、当時の所有者でございました独立行政法人雇用・能力開発機構におきまして検討を行い、収益の最大化を図りつつ、早期の事業廃止を行うために必要な期間を考慮いたしまして、平成三十三年度までに譲渡、廃止を完了するという方針で臨んでおります。

 こういう方針で臨んでおるんですけれども、実際に入居されている方につきまして、御不安を抱かれるケースもあるかと思いますので、こういった御不安を招くことのないように、入居されている方に対しまして丁寧な説明をするということだというふうに考えてございます。

 来年度以降の売却の考え方につきましては、十年間は現在の入居を継続できるということや、あるいは賃貸条件を変更しないというふうなことを対処方針としておりますけれども、そういった内容も含めまして、きちんと丁寧に説明していくということかと思います。

 平成二十七年度につきましては、既に六百七十七回の説明会を開きまして御理解を得られるように対応しておるわけですけれども、これからも、入居者の方に不安を与えないように、理解を得ながら対応していくという方針で臨みたいというふうに考えてございます。

島津分科員 丁寧な説明と言いますけれども、十分説明されていないし、なっていないし、説明を受けても不安だという現実があるんです。

 この不安の根本にあるのが、やはり二〇二一年までに廃止を決めた国の方針だと思うんです。第一次安倍内閣の時期、二〇〇七年六月に、遅くとも二〇二一年度までに全ての処理を完了する、この閣議決定を行いました。当時、塩崎大臣は官房長官でした。

 どういう目的で、何のために、二〇二一年度までと期限を切った方針を固めたんでしょうか。これは大臣、どうなんですか。

塩崎国務大臣 これは、平成十三年の閣議決定などによって雇用促進住宅は早期廃止を計画的に行うということになったことを受けて、当時の所有者でありました独立行政法人雇用・能力開発機構において検討を行った結果、収益の最大化を図って早期の事業廃止を行うために必要な期間を考慮して、平成三十三年度までに譲渡、廃止を完了するということを決定したわけでございます。これを受けて、政府として、平成三十三年度までの譲渡、廃止を平成十九年に閣議決定したところでございます。

島津分科員 私たちは、当時の法案審査、雇用・能力開発機構法案、この際に、住宅業務からの撤退というと、一番大きな問題になるのは、現在の入居者がどうなるかという問題だということを指摘してきました。我が党の大森猛議員は、九九年三月十二日の衆議院労働委員会で、今回の法改正で雇用促進住宅の大家さんがかわる、政府側の都合によるものですが、いかなる理由があろうとも、入居者の同意のないまま退去の強制をしたり、あるいは家賃、管理費などの一方的な引き上げ、契約条件の一方的改悪、こういうものは絶対にあってはならない、こう問題提起しました。

 残念ながら、今日、この指摘がかなりの部分で、現実のもの、当たったものになっていると言わざるを得ません。

 大臣、改めて確認しますけれども、いかなる理由があろうとも入居者の同意のないまま退去の強制はしない、このように受けとめているんですけれども、その認識でいいんでしょうか。いいですね。

塩崎国務大臣 入居者を強制的に排除するかという御質問かと思いますが、現在、入居者の方の退去を促進することは実施をしておりません。住宅の譲渡に当たりましては、入居者の方が安心して引き続き住み続けられることを条件とした譲渡を進めておるところでございまして、現時点で退去促進を行う予定はございません。

島津分科員 現実に通知が来て、廃止します、民間に売却します、そういう場合には更地にしますとか、いろいろ説明があるんですけれども、退去は言っていないということなんだけれども、なくなるということですから、実際には、退去しろ、してくださいということを言っているに等しいんですよ。

 今、大臣も改めて確認していただいたと思うんですけれども、同意のないままの強制退去はない、これは歴代の大臣が明言しているわけですから、ぜひそこは守っていただきたいと思うんです。

 その上でお聞きします。

 平穏な生活を送っているのになぜ出ていかなければならないのか、この声はもっともな話だと思うんです。一番大事なことは、現に今入居している人の日々の生活を、将来をどう保障するか。入居者の皆さんの居住権にかかわる問題なんです。にもかかわらず、国は、今も繰り返し言っているように、二〇二一年度と期限を切って実質的な退去を迫っている。入居者の皆さんの不安を解消して、居住権をいかに保障するんでしょうか。これをどう保障していくんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 これからの対処方針といたしまして民間売却を進めるという考え方でございますが、これにつきましては、先ほどちょっと述べましたけれども、十年間の居住は保障するということや、あるいは、その間の賃料等の条件につきましては変更しないという前提で売却をするという考え方でございますので、そういった中で居住者の方の権利の保障を図っていきたいというふうに考えてございます。

島津分科員 問題だと思うのは、廃止、民間への売却ということへ今大きくスタンスが変わっているということだと思うんです。

 機構が各地の雇用促進住宅で配布している資料、「入居者の皆様へ」と題する案内、現物はこれなんですけれども、これを見て私は驚きました。例えば、「雇用促進住宅は閣議決定により平成三十三年度までに事業を終了します。」「地方公共団体は雇用促進住宅を取得する意向がありません。」「賃貸住宅として運営を続けるために民間売却に取り組みます。」こうあるんです。

 これは、民間売却ができなければ住宅の存続がなくなるとも読めるんですけれども、そういうことなんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 今回の売却につきましては、所有者でございます独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構におきまして、平成二十六年度に地方公共団体の買い受け意向の調査をいたしまして、その中で、買い受け希望が極めて少ないという結果が出ました。

 そういう中で、何とか入居者の方に引き続き住み続けていただくためにどうするのかということで、平成二十八年度からは、新規入居可能住宅も含めまして民間売却をするということでございます。

 この民間売却につきましては、きちんと売り切るという方針で臨みたいというふうに思っておりまして、従来から、雇用促進住宅を民間事業者の方に売却をするということ、個別売却をやっております。これにつきましては成果が上がってきておりまして、ことしの二月二十三日現在で百六十四住宅の売却がされてございますけれども、その売却した後、入居されている方から御不満ですとかあるいは苦情などは寄せられていないというふうに承知しております。こういった手法で、きちんと民間に売却していくよう頑張っていくということでございます。

 入居されている方々が不安を感じることのないように配慮する形で、先ほども申しましたように、きちんとした説明をしていきたいというふうに考えてございます。

島津分科員 先ほど紹介した「入居者の皆様へ」という資料では、こうもあるんです。「民間売却できなかった場合は平成三十三年度より前に退去となります。」と書いてあるんです。ここまで書いてあるんです。まるでおどしとも受け取られるような表現なんです。

 売却ができなかったら平成三十三年度より前に退去となるというのは、どういうことなんでしょうか。先ほど大臣にも確認しましたけれども、一方的な追い出しはしない、こういう歴代の厚労大臣の答弁にも反すると思うんですけれども、大臣、どうでしょう、いかがですか。

生田政府参考人 法的に申しますと、契約がきちんとできずに、要するに、売ることができずに残った住宅につきましては、何がしかの方法を考えないといけないというのはこれは事実でございます。

 ただ、方針といたしまして、私どもとしては完全に売り切るということで臨みたいと思っておりますので、そういった点で、御心配が起きないような形での説明というのをきちんとやっていきたいと思っております。

塩崎国務大臣 三十三年までの期限をつけてはおりますけれども、今局長からも答弁をしているように、まず第一に、話がつかないままに追い出しみたいなことはないということは申し上げてきたとおりでありまして、できる限り、お住まいになったままで民間に移れるというような形でいけることが一番好ましいことではないかというふうに思います。

島津分科員 いずれにしても、納得のないまま一方的な追い出しにならないようにしていただきたいと思うんです。

 冒頭でも紹介しましたけれども、入居者の不安は、今、一気に広がっています。三重県のある住宅に住んでいる方から、あしたどうなるのか、毎日が不安でたまらない、こういう心境を聞きました。

 入居者の多くは、その住宅の譲渡、廃止を決めた閣議決定について、知っていないという方も少なくありません。さらに、民間への売却後十年間は家賃等が変わりませんとも言っているんですけれども、この間のそうした経過や十年間という根拠も知らされずに、簡単に納得できるものじゃないんです。現在五十五歳の人は、十年というと六十五歳になるんです。退職して年金生活、大幅に家賃が値上げされたら対応のしようがない、こういう不安がやはりあるんです。

 一つ確認したいんですけれども、売却後十年間は家賃等は変わらないとしているんですけれども、では、十年後の保障というのはどうなるんでしょうか。この不安にどう応えるんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 雇用促進住宅の二十八年度以降の売却につきましては、今委員おっしゃいましたように、十年間は居住を保障して、それから家賃等の条件は変えないということを条件として売却をいたしますけれども、買い受け後十年経過後の入居の契約条件につきましては、これは入居者の方と買い受け事業者の間で決められるものであるというふうに認識をいたしております。

島津分科員 結局、民間に売却するということは、近い将来、十年後にはどうなるかわからないということなんですよね。本当にひどい話だと思うんです。

 次に、雇用促進住宅の役割についてお聞きしたいと思うんです。

 リーマン・ショック、東日本大震災のときに、国は、通知を出して雇用促進住宅の活用を指示しました。それだけ雇用促進住宅というのは重要な役割を果たしたと言えると思います。

 現在も、被災者の方が利用しています。一番多いときで五千戸を超え、全体の七・七%、直近の入居実績でも二千戸が入居しています。震災という非常時はもちろん、その後の生活が安定するまで、極めて重要な役割を果たしているんです。

 そこで、改めて、やはり雇用促進住宅の公的な性格、役割、これを見直すべきじゃないかと思うんですけれども、大臣、その点での見識をお伺いしたいと思うんです。

塩崎国務大臣 今おっしゃったように、雇用促進住宅は、リーマン・ショックによる住居喪失者のために供せられたり、東日本大震災、この際にも被災者に入っていただくというような、一時的な公的な役割を担っていた、それはそのとおりでございます。

 もちろん、ですけれども、これは当然、公的にお住まいを探さなきゃいけないような事態が起きておったからでございますので、どういうところに入っていただくように公的支援をするかというのは、それぞれいろいろあるんだろうと思います。しかし、この雇用促進住宅が使われた、その用に供せられたということはそのとおりであって。

 他方、政府としては、先ほど来申し上げているように、閣議決定をし、それに基づいて雇用促進住宅の譲渡が、もともと、炭鉱の閉山に伴って、働いていらっしゃる方々に一時的な訓練とかあるいは住む場所を広域的に御用意するということでできたものでございますので、三十三年度までに譲渡を完了するという閣議決定に基づく方針というのは変わらないということで、入居者の方々の御理解をどうやって、丁寧に得られるように努力をしていくかということは、極めて大事なことだと我々としても思っているところでございます。

島津分科員 役割があるのに廃止というのはどうも納得できないんですけれども、役割は今もお認めいただいたと思うんです。

 雇用促進住宅は、民間の住宅には入るのが厳しい状況の人の生活を支えるという点でも大きな役割を果たしていると思うんです。しかし、その生活に寄り添った運営が本当にできていないというのも事実だと思うんです。

 例えば、滋賀県や三重県四日市市でも、実際に困っている事例として私は切実な訴えを聞いたんです。

 住宅の四階の部屋に住んでいる七十代の高齢の女性の方。足が悪くて、一階の部屋があいているから移りたいという希望がある。この寒い時期に、不自由な足で重い灯油缶を持って四階まで、本当に懸命に重いものを持って上がっていくわけです。

 しかし、機構に話をしても、一階に移るということを認めてくれない。部屋があいているのに認めてくれない。これは何でこうなっているんでしょうか。

生田政府参考人 お答えいたします。

 雇用促進住宅で、入居されているところからあいているところに移るということにつきましては、新規入居という扱いになりますので、それができましたらもちろん移れるわけですけれども、そういう扱いができないということだとすれば移れないということでございます。

 新規入居に伴いましては、それに伴ういろいろな手続が必要でございますので、それができないとすれば、移れないという結論になる可能性はございます。

島津分科員 今御答弁あったように、いろいろなハードルがある。一番大きな問題、ネックの一つに保証人の問題があるんです。入居時に保証人がいたんだけれども、年数がたつうちに保証人がいなくなってしまった。それで新規契約を結べない。しかし、これまで家賃をきちんと納めている、これが私は何よりの保証だと思うんです。

 そこで、国土交通省にお聞きしたいと思うんですけれども、公営住宅において保証人を免除する場合の規定があると思うんです、これはどうなっているんでしょうか。

杉藤政府参考人 お答えをいたします。

 公営住宅への入居の申し込みに当たっての保証人の取り扱いにつきましては、公営住宅法令上は特段の規定を設けておりません。一方で、公営住宅を管理する地方公共団体においては、条例等の規定に基づき、一般的には保証人を求めているものと認識しております。

 国土交通省といたしましては、公営住宅管理標準条例案、国のモデルを示しておりまして、この第十条の説明部分においては、保証人をつけるかどうかの取り扱いについて、地方公共団体の判断に委ねているところです。

 なお、同標準条例案の第十条第三項では、公営住宅法の趣旨を踏まえ、特別の事情があると認める者に対しては、請書、これは入居申し込み時に必要な書類でございますけれども、請書に保証人の連署を必要としないこととすることができるという規定を設けてございます。

 いずれにいたしましても、公営住宅への入居の申し込みに当たって、保証人の取り扱いについては、地方公共団体において、地域の実情等を踏まえ、適宜御判断いただくものと考えております。

島津分科員 今御答弁あったように、必ずしも必要じゃないということでもいいと。

 現に、名古屋市なんかでは、保証人がなければ緊急連絡先を一人立てればいい、こういうことだとか、あるいは、横浜、京都、大阪、北九州などでも、必要としないことができる要綱をつくっているんです。要するに、困っている人は保証人を免除できるということなんです。

 厚労大臣、雇用促進住宅の公的な役割から見て、同じように、同様の配慮、柔軟性ある対応をすべきだと思うんですけれども、いかがでしょう。保証人はなくてもいいんじゃないか。

生田政府参考人 技術的な中身でございますので、お答えいたします。

 これにつきましては、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、これが雇用促進住宅を所有しておるわけですけれども、その機構におきます住宅貸与の規則上、どうしても必要であるというふうに聞いてございます。

 その根拠といたしまして、先ほど御答弁にもございましたけれども、他の公営住宅におきましても実態としては保証人を必要としているケースが多いという中で、機構として、住宅管理をしていく観点からはそういったことが必要になってくるという判断を独立行政法人としてしているということでございます。

島津分科員 公的な住宅ですから、本当に困っているわけですから、柔軟な対応をぜひしていただきたいと思うんです。

 時間がありませんから、次に進みます。

 安倍内閣は、まち・ひと・しごと創生総合戦略を掲げています。私、このまち、人、仕事づくりの角度から見ても、雇用促進住宅が地域で重要な役割を果たしているという事例を幾つか聞いています。

 例えば、岐阜県下呂市と郡上市では、雇用促進住宅を市が買い取って、公的な住宅として管理運営をしています。最大の動機は、現に住んでいる人が退去させられるのはどうか、住んでいる人に迷惑をかけてはいけない、こういう、自治体として住民の生活と権利を重んじるところから出発したということだと聞きました。

 さらに感心したのは、下呂市では、一つの住宅を、子育て世代、十八歳未満の子供がいる世帯、それから四十歳以下の若年層を対象にした専用の住宅にする、促進する。若者向けのリフォームをやる。敷地には幼児用の遊具なども設置している。

 下呂市は温泉街なんですけれども、そこで働く人たちの住居を提供するという上でも大いに役立っている。公営住宅の不足を補って、むしろ積極的に活用することによって入居率が大幅にアップして、財政的にも、家賃で運営できるほどになったと聞きました。

 千葉県の旭市では、現に入居している人や住宅困難者への住宅確保が必要だというだけでなくて、近隣の区長さんなど市民の要望も大きくて、市が買い取って運営している。譲渡金は約三千七百万円。国の交付金を活用して、市の負担はゼロだといいます。市が管理してからは、年間の家賃収入から維持管理費を除いても、毎年一千万円を基金に積み立てられるほどの運営なんです。

 機構のホームページでも譲渡後の活用方法として紹介されている山形県村山市。ここでも、こんなブログが発信されているんです。村山市の行動は大歓迎だ、子育てのための新婚夫婦や若い夫婦の住宅が不足というだけに、積極的に住宅を確保してもらいたいと願う、こういうものなんです。

 このように、現に住んでいる人もそうですけれども、これから住みたいという人の願いにもなっている。

 大臣、通告していませんけれども、今紹介した例は一部なんです。雇用促進住宅を自治体へ譲渡する趣旨と合致していると思うんです。まちづくり、人づくり、仕事づくり、どっちも地域に貢献していると思いませんか。

塩崎国務大臣 橋本行革のときに雇用促進事業団の改革の問題が議論になって、その際の延長線でこれが議論になって、安倍内閣でも閣議決定をした、こういうことになっているんだろうと思うんです。

 時代時代に役割のある政策というのがあって、そして、今先生が御心配になっている、入っていらっしゃる方々が先行きどうなるのかということについて、当然、国として、あるいは地域社会あるいは地方公共団体から見て政策的に支援が必要だということに関しては、それぞれ、どういう政策で解決をするかということはそれぞれだろうというふうに思うんです。

 この雇用促進住宅については、これまでの経緯、そして、財源が雇用保険の二事業の事業主の負担から出てきていたということ等々から考えてみて、このような閣議決定を政府として決めたわけでございます。

 したがって、今、地方創生でこういう住宅が必要じゃないかということでございますが、それはまた、新たにどういう政策、アロケーションをして、必要な人にどういう支援をするのかということにかかわってくる問題ではないかなというふうに思いますので、それはそれとして大事な問題でございますけれども、この雇用促進住宅については、このような整理を私どもではつけて、あとは、きちっと丁寧に、配慮をしながら、住んでいらっしゃる方に困ることができる限りないようにしていこう、こういう努力をするのが私たちの仕事ではないかというふうに思います。

島津分科員 雇用促進住宅が現在まだあり、そこに住んでいる、そしてその役割も非常に大きなものがある。そして、自治体に譲渡すれば、住んでいる人ももちろんですけれども、その周りの方にも望まれる。非常に大きな役割、期待があると思うんです。

 ですから、私は、今、国としてもっと力を入れてやるべきことは、廃止の方針を決めたからそれに突き進んでいくということではなくて、やはり改めて見直して、地方自治体への譲渡、自治体が買い取りやすくなるような方策、ここをもっとやるべきじゃないかと思うんです。

 自治体によって当然事情は異なります。しかし、政府としてまち・ひと・しごと創生を掲げているならば、先ほど紹介した自治体の努力は、まさに地域に根を張った典型的な取り組みだと思うんです。

 雇用促進住宅の廃止、民間への売却、更地化などの方向ではなくて、こうした自治体の努力や工夫、そしてその背中を後押ししてこそ、今直面している問題解決の近道じゃないかと思うんです。

 改めて、大臣、見解はどうでしょう。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、支援が必要な方には支援をするのが、国、地方、政府の役割でありますが、どういう方々にどういう支援をするのかというのはそれぞれでありますので、地方への移管ということがスムーズにできるようにすることについては私たちも努力をしてまいりたいと思いますし、それを使ってどう地方が、支援が必要な方にどういう支援を提供されるのかは、それはまたそれぞれがお決めになることではないかというふうに思います。

島津分科員 改めて、きょう、廃止決定の矛盾、実態に合わないやり方が浮き彫りになったと思うんですけれども、改めて、閣議決定の撤回、入居者の一方的な追い出しはしないということを求めて、終わります。

 ありがとうございました。

山下主査代理 これにて島津幸広君の質疑は終了いたしました。

 次に、武村展英君。

武村分科員 自由民主党の武村展英でございます。

 答弁につきましては、全て政府参考人にお願いをいたします。

 それでは、早速質問に入ります。

 まず、慢性疼痛対策についてお尋ねをいたします。

 ある調査によりますと、三カ月以上続く痛み、いわゆる慢性痛につきまして、我が国では人口の二二%の方々が苦しんでいるという調査がございます。また、疾患がどれだけ社会経済に影響を及ぼしたかという調査によりますと、慢性痛が四三%と圧倒的に高く、慢性痛で仕事を休んだ場合の経済損失は一兆八千億円になるとの試算がございます。

 このように、慢性痛は重大な国民的問題であると考えますが、この点につきまして厚生労働省にお伺いをいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 慢性の痛みは、患者さんの生活の質を著しく低下させるだけでなく、就労困難を招く等ございまして、御本人の問題だけではなくて社会全体として損失が大きい、そういう御指摘があるわけでございまして、適切な対策が求められている非常に重要な問題である、そういうふうに認識をしております。

 このため、平成二十一年度に設置した有識者による慢性の痛みに関する検討会、ここの提言が二十二年の九月に出されておるわけでございまして、その提言に基づいて、二十三年度からいろいろな施策を行っておるところでございます。

 今後とも、重要な問題と認識して施策を進めていきたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございます。

 こうした慢性の痛みにつきましては、体だけではなくて、精神面、社会的側面が複雑に関与しているというふうに言われています。このため、診療科の枠を超えて、心理療法、運動療法を含めた総合的なアプローチが必要であるというふうに考えますが、厚生労働省の御認識をお伺いいたします。

福島政府参考人 議員御指摘のとおり、慢性の痛みというものは、身体的要因のみならず、精神的、心理的、あるいは社会的な要因が複雑に関与すると考えておりまして、診療科あるいは医療職種、そういう枠組みを超えた総合的な対応が求められている、そういうふうに考えているところでございます。

 ただ、痛みというものは、主観的なものでもあるがゆえに、客観的かつ標準的な評価法や、もともとの原疾患の診断法、これが十分に確立していないという状況にございまして、そのこともあって、国内においては診療体制も十分整っていないというふうに考えております。

 このため、先ほど申し上げました提言を踏まえまして、二十三年度から慢性の痛み対策研究事業を始めておるところでございまして、これは、病態解明、それから治療法の開発などの研究体制の充実とともに、各診療科あるいは職種横断的な連携に基づいて総合的な診療を行う痛みセンター、これを設置して、診療体制の構築に努めているところでございます。

武村分科員 ありがとうございました。

 我が国ではまだ研究段階ということで、国民的課題であるにもかかわりませず、国際的に見ると極めておくれている現状です。

 欧米を中心に海外では、学際的痛みセンターというものがございまして、整形外科医、神経内科医、臨床心理士、理学療法士、さらには看護師が連携をして慢性疼痛に対して治療に取り組んで、患者さんのQOLの向上、そして健康寿命の延伸を図ることが世界標準となっているところです。

 この点、我が国の現状と今後の取り組みのあり方につきまして、厚生労働省の御認識をお伺いいたします。

福島政府参考人 先ほど申し上げましたように、慢性の痛みの診療に当たりましては、それぞれの疾患分野あるいは医療職種に限定されない総合的アプローチが必要だということは先生御指摘のとおりでございまして、このために私ども、二十三年度から、診療科とか職種横断的に連携する診療を担う痛みセンター、これを大学病院に設置して進めておるわけでございまして、これについては、現在では十九カ所までふえておるところでございます。

 また、二十四年度からは、からだの痛み相談・支援事業を開始して、慢性の痛みに苦しむ患者さんに向けた電話相談、あるいは医療機関の紹介を行うなどの情報提供、相談体制の充実を図っているところでございます。

 今後とも、研究開発の充実、医療体制の構築、あるいは普及啓発、相談支援等に取り組むことによりまして、総合的に慢性の痛み対策を進めてまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 総合的に施策を進めていただいているということなんですが、我が国では、おくればせながら、国からの科研費補助金などを活用して標準的治療を確立する途上であるということであります。

 今御紹介がございました痛みセンターを設置しておられるということですが、私の選挙区である滋賀県では、滋賀医大の福井聖教授が、複数の専門家が連携をする学際的痛みセンターの取り組みをされておりまして、科研費補助金も一部活用をされています。ですが、多くの専門家の皆様が手弁当で活動をされているという実態もございます。国際的に見て極めておくれている我が国の取り組みとしては、私は極めて不十分であると言わざるを得ません。

 こうした現状を変えるためには、私は、議員立法で新たに立法措置を行う以外、道はないと考えておりますけれども、厚生労働省の皆様におかれましてもぜひ問題意識を共有していただきますように強くお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 続きまして、交通事故の被害者に係る国民健康保険の第三者求償についてお伺いをいたします。

 例えば、自動車事故の被害者が医療保険を使うケースがありますが、本来、この医療費は保険者が負担すべきものではなくて、加害者または加害者が加入している損保が支払うべきものであります。したがいまして、被害者がかかった医療機関は、国保など保険者に保険診療分を請求することとなります。こうした第三者求償につきまして、国民健康保険の場合、地域ごとに取り組みに大きな差がある現状にございます。この点について、厚生労働省に御認識をお伺いいたします。

唐澤政府参考人 ありがとうございます。

 先生の御指摘のとおり、保険者の行った保険給付、これは治療でございますけれども、それが交通事故などの第三者の行為に起因をするという場合には、国民健康保険法に基づきまして、その第三者、これは加害者あるいはその加入する損害保険会社に対して求償権を取得するということが法律で定められているわけでございます。

 御指摘のように、保険者による、国民健康保険の場合では市町村でございますけれども、保険者における第三者求償の取り組み状況でございますけれども、私どもは従来からこの取り組みというものを熱心に行っていただくようお願いをしてまいりましたけれども、ばらつきが見られるわけでございます。

 例えば、平成二十六年度の求償の件数、これは被保険者、国保の加入者千人当たりということで見ますと、一番高いのが宮崎県で三・二件、全国平均は一・二件くらいでございますが、一番低いのは石川県とか山口県が〇・五件ということで、非常に低くなっております。ちなみに、滋賀県は一・八件です、ちょっと平均よりは高くなっておるんですけれども。

 こういうようなばらつきがございますので、私どもは、やはり市町村だけでは限界がございますので、損害保険会社と連携をしていただいて、交通事故がございましたらその被害状況がすぐ報告される、速やかに把握できるということが重要ではないかと考えているわけでございまして、実は、宮崎県などはそうした独自の取り組みというものをしていただいているわけでございます。

 そういうことを踏まえまして、実は、昨年の十二月にこの第三者求償の取り組み強化というものを各都道府県と市町村に、特に国保の保険者である市町村にお願いをいたしました。

 これは、大きく分けて三点お願いをしております。

 一つは、損害保険関係の団体の、損保会社の団体でございますけれども、協力をいただきまして、傷病届、交通事故に遭いましたという、けがをしましたということを市町村に、保険者に届け出てもらうというものを損害保険会社に代行してもらう、そういう覚書を都道府県単位で、一市町村ごとでは大変ですので都道府県単位で、代行してもらうという協定を締結してほしいということをまずお願いしております。

 それから、二つ目には、収納率の目標の設定でございますとか、あるいは、保険事務でございますのでかなり細かいこともございますので、標準的な事務マニュアル、こういうものを提供する、あるいは、求償専門員の増員ということで、損保のOBの皆さんなんかにお願いしているところもございますけれども、そういうようなことを市町村や国保連合会にお願いしております。

 そして、三番目には、国保の運営方針の策定など、これは、これから三十年度に向かって、都道府県が財政運営の責任を持っていただくということになって国保の広域的な運営方針を決めていただくわけでございますけれども、そういう際にも、第三者行為の求償事務の推進、あるいはアドバイザーの派遣等による国等の支援強化、こういうものも進めてまいりたいと考えているところでございます。

 今後とも、関係団体の協力、市町村の御協力をいただきまして、第三者求償の取り組みが促進されるように努力をしてまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 この国民健康保険が行う第三者求償につきまして、適切に対応がされていないのではないか、そうした疑念が多く持たれているわけです。全ての政策について同じことが言えると思うんですけれども、実態把握を行うことがまず全てのスタートであるというふうに思います。現状、実態把握というものがなかなか行われていない。そういった中で、今お答えいただきましたような施策を着実に進めていただきますようにお願いを申し上げます。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 医療通訳者につきましてお尋ねをいたします。

 私の選挙区である滋賀県では、外国人集住地域におきまして、外国人が医療機関で診察を受ける場合に、医療通訳者がなくてはならない存在になっております。

 こうした医療通訳者につきまして、医療機関が募集を始めてから現場で業務に従事するまでに四、五カ月の時間を要します。また、従事した後のスキルアップのための教育の継続が必要となっておりまして、医療機関の大きな負担となっている現状です。

 そこで、例えば、公的機関による医療通訳士の認定制度をつくるとか、その後の継続的専門研修制度をつくる、そういったことも考えられますが、厚生労働省の御見解をお伺いいたします。

神田政府参考人 先生御指摘の医療通訳についてでございますけれども、厚生労働省といたしましては、平成二十五年度の補正予算におきまして、医療通訳の育成カリキュラム、またそのテキストを作成、公表いたしまして、各種団体の研修で今使っていただいているというところであります。

 それから、平成二十六年度から、医療機関における医療通訳や外国人向け医療コーディネーターの配置について財政支援を行っているところであります。

 さらに、二十八年度におきましては、その対象に電話通訳の活用等に対する支援も盛り込むということで、現在予算案を提出させていただいているところでございます。

 御指摘の公的な仕組みについてということでございますけれども、現在、国立国際医療センターでございますとか日本医療教育財団、大阪大学等で既に医療通訳の養成が行われております。平成二十八年に、学識経験者ですとか医療関係者、実務者を交えまして、医療通訳の評価の基準のあり方について研究を行うことを現在検討しているところでございます。

武村分科員 ありがとうございました。

 厚生労働省として、育成カリキュラムそしてまたテキストを作成する、そういったお取り組みをされているとのことでした。また、従事者の配置に対しまして財政支援をしていただいている、こうしたお答えでしたけれども、やはり、一定の水準、レベルを保つためには、私は、公的機関による資格制度というものは必要だというふうに思いますし、資格を取った後も、スキルアップ、そしてまた水準を保っていく、そうした取り組みをするためにも公的な資格制度というのは必要だというふうに思いますので、これからも御検討のほどをいただきたいと思います。

 続きまして、こうした通訳業務と医療保険制度の関係についてお伺いをいたします。

 医療通訳者が安定的に雇用され、その質を一定の水準に維持するためには、医療通訳士を正当に評価するような医療保険制度を構築する必要があるというふうに考えます。

 例えば、医療通訳者雇用を機能評価項目にする、あるいは、医療通訳士がかかわった外国人患者数を診療加算項目で評価する、さらには、医療通訳者を医師事務作業補助三として位置づけるといったことが考えられますけれども、厚生労働省として御見解をお伺いいたします。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からいろいろな御提案をいただきまして、ありがとうございます。

 今の現状でまず申し上げますと、この保険診療の範囲というものがやはり診断と治療ということになっておりますので、通訳の方の通訳料を診療報酬で払うというところまではなかなかいっていないのが実情でございます。

 ただ、御指摘のように、外国から訪れる方、これは観光客の方も含めて非常にふえてきておりますので、例えば、そういう方たちがぐあいが悪くなったときの訴え、お医者さんに説明とか訴えとかいうものをきちんと伝えられるのかということが課題になっていることはもう先生の御指摘のとおりであると考えております。

 現在の保険制度では、例えば、通訳の方をお願いして、それにコストがかかったという際には、実費徴収として病院が徴収できるという位置づけにはしてございますけれども、混合診療みたいな話とは違うので実費は徴収できるということにしておりますけれども、実際に徴収できるかどうかということはまた別の問題なんですね。

 こういうようなことが現在の状況でございますけれども、これから海外からの方もふえてくるというようなこともございますので、医療関係者だけではなくて、保険者も含めた議論というものが必要であろうと思いますので、これが必要な場合には、保険者も参加をしております中医協などでも議論をいただくようなことも含めて検討してまいりたいと考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 保険者も含めて議論をしていただけるということで、今や必要不可欠となっている医療通訳者につきまして、雇用する医療機関側の経営、それからまた、今度は働かれている医療通訳者側のモチベーション、そして、今お答えいただきました保険者も含めて、幅広くやはり議論をしていただいて、現場の方々の声に改めて耳を傾けていただいて、安心できる医療システムの構築に努めていただきますようにお願いを申し上げます。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 医療に係る消費税問題についてお伺いをいたします。

 社会保険診療は、政策的配慮に基づきまして、消費税が非課税とされています。非課税取引につきましては、確定申告を行わないために、設備、材料、医薬品等を購入した際に払う消費税を控除する仕入れ税額控除ができない状況にあります。

 一方で、診療報酬にはこの仕入れ税額相当分が十分に上乗せをされていないために、特に、大きな設備投資を行う医療機関に大きな負担を強いる不合理な状況が生じているところです。

 この点につきまして、厚生労働省の認識と、こうした損税を解消するための方策の検討状況について、厚生労働省にお伺いをいたします。

神田政府参考人 医療に係る消費税の問題につきましては、先生御指摘のとおり、医療界から、医療機関等の消費税問題の抜本的解決を図ってもらいたいという要望があるところでございます。

 これにつきましては、昨年末に取りまとめられました与党の税制改正大綱におきまして、医療に係る消費税等の税制のあり方について、抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、実態の正確な把握を行いつつ、税制上の措置について、医療保険制度における手当てのあり方の検討等とあわせて、関係者の意見、特に高額な設備投資にかかる負担が大きいという指摘等を踏まえまして、平成二十九年度税制改正に際して、総合的に検討し、結論を得るというふうにされているところでございまして、今後、引き続き、与党の議論の状況も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。

武村分科員 ありがとうございました。

 医療に係る消費税問題につきまして、収入側の診療項目と支出側の仕入れの項目というものは一対一対応をしないので、これはもとから、診療報酬で仕入れ税額分を見るということは理屈的にも最初からなかなかできるものではないというふうに思います。

 消費税率がどんどん上がっていくにつれてこうした矛盾というのは大きくなりますし、今、現実問題、特に大きな病院では設備投資が多額に上っておりまして、こうしたものの損税というものの存在が無視できない状況にございます。

 引き続きの御検討を心からお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

山下主査代理 これにて武村展英君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤枝恒雄君。

赤枝分科員 お疲れのところ、後半は重い話になりそうで、本当に御苦労さまでございます。

 実は、私、けさ、東部ニューギニアからの遺骨収集団のお迎えに行ってまいりました。本当に、私は、産婦人科医として人工妊娠中絶というのを扱っている以上、この問題について、やはり遺骨をお迎えするのが私の仕事でもあるなというような気持ちで行ってまいりました。

 きょうは、人工妊娠中絶ということについてお伺いをしたいと思います。

 私は六本木で三十九年前から産婦人科をやっておりまして、もちろん人工妊娠中絶をやっているわけですが、一昔前は、子供たちというか、大人もそうですが、女性は、中絶をした後、病室で必ず泣くんですね。ところが、今は、病室へ行ってみると、携帯を片手にけらけらと笑って、彼氏に電話して、何を食べに行くみたいな話になっちゃっていて、何か人工妊娠中絶が、痛みもなくて短時間で終わってしまうものですから、余り大変なことだと思っていないというのは、これが今、時代でしょうか、変わってきております。

 一つ、大臣もびっくりされるようなお話があるんです。

 私の選挙区の都内のあるクリニックなんですけれども、一カ月に五百から五百五十の人工妊娠中絶をやっているんです。一カ月に五百から五百五十、年間六千ですね。これが、私のところに来る患者さんに聞きましたら、ホームページの広告がちょっとオーバーだと思うんですけれども、我がクリニックでは十五年前から我々が独自に考えた無痛手術ができますと。無痛手術なんて、全国どこの産婦人科に行ったって、中絶は無痛手術ですよ。これを、我がクリニックでは十五年前から独自にという、こういうオーバーなことで。とにかく、そこは予約がとれないらしいです。うちの手術費用の倍ですよ。倍だけれども、高いんだけれども、とれない。そういう状況になってきているんですね。

 だから、中絶について、産む産まないというのは女性の権利では確かにありますけれども、これだけ児童虐待がどんどんふえて、朝も児童虐待のお話がありましたが、児童虐待がどんどんふえて、社会保障審議会の児童虐待の検証委員会の調べによりますと、やはり、ゼロ歳の、一カ月以内の赤ちゃんが死んだ場合、実母が五七%、加害者になっているということがありますし、さっきもテレビで、静岡の男女とも高校生、これが赤ちゃんをそのまま殺してしまったという痛ましい事件がある。

 こういうときに、私は、中絶という選択肢もあるよとあえて言いたいんですね。そこまで追い込まれるのであれば、その前に中絶という選択肢もあるんです、どうしても苦しくて、体に害を及ぼすような健康的に弱い人であれば、そういう選択肢もあるという、そういう情報すらないか、経済的な問題もあるのかというところで、中絶は悪いとは言い切れない問題でもあるわけなんです。

 それで、望まない妊娠である中絶とともに、現在は、性感染症の問題がやはり蔓延をしているという大きな問題があるわけで、エイズ、これは高どまりで、減りはしないんですが、とりあえず高どまりしている。

 問題なのは、梅毒が過去最高、それから、アナルセックスがある程度ゲイを中心に、男女間でもそういうプレーがはやっていて、アメーバ赤痢が過去最高、こういう事態になってきている。

 それで、アメリカのCDCでは、おととい、ジカウイルスも、これはどうも、これから先、性行為が大きな感染経路になるんじゃないかということで、そっちの方面に行った人には必ずコンドームをつけろという発表までしましたよね。

 アメリカでもCDCが、コンドームをつけろ、こういう発表もしたわけで、この性感染症についてもやはり子供たちに伝えたい大事な情報なんですが、こういう中絶を簡単に考える子供とか、性感染症も遊び人は一回ぐらいかからなきゃ遊び人とは言えないよなんという、こういう風潮の中で、では、教育はどうなっているのと。私が知りたいのは、とりあえず中学校の教育はどうなっているのと。

 つまり、性教育と言うのは僕は嫌ですよ。性教育という言い方は、学校で現実に性教育をすると言うと、あっ、性教育があしたあるんですか、では子供は休ませますと父兄は言いますよ、性教育をやるのなら。

 だから、私は、性の危機管理ということと性の道徳教育ということで私自身も講演には行っているんですが、この性教育の現状、どうなっているのか、これは文科省の方からひとつお知らせいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 学校における性に関する指導につきましては、学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動をとれるようにすることを目的に実施をされておりまして、体育科や保健体育科、特別活動を初めとして、学校教育活動全体を通じて指導することとしているところでございます。

 また、指導に当たりましては、発達段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることに配慮をいたしますとともに、性的な発達への適応につきましては、個々の児童生徒間で発達の差異が大きいことから、集団で一律に指導する内容と、個々の児童生徒の抱える問題に応じ個別に指導する内容を区別して指導することとしているところでございます。

 ただいま御質問ありました中学校についてはということでございますけれども、中学校につきましては、特に思春期には、内分泌の働きによって生殖にかかわる機能が成熟すること、また、成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となることなどについて指導することとしておるところでございます。

赤枝分科員 今の文科省のお答えで、多分、これをごらんになっている方が、やっぱりなと。

 私も、本を読みました、教師用のテキスト。立派にできていますよ。本当にこれが伝わればすばらしいなと。しかし、これを誰がやっているんですか。教師が全部やることになっているんですよ。責任者は誰ですか。やったけれども、その評価は、どうやって評価しているんですか。

 というふうに、激しく文句を言いたいのは、性のこういう問題について、我々産婦人科医も、二十五年ぐらい前から、全国で五百人の養護の先生を集めて性教育の指導者セミナーをやってきたんです。それで、その第一回目のタイトルは何だと思いますか。今の中学生の性がおかしいというんですよ。二十五年前から、今の中学生のセックスがおかしいと言われていながら、私は、今の御答弁を聞かせていただいて、だからなと。これは文科省の責任だと思いますよ。

 具体的に何をやったんですか、その評価は、それで結局どうなったんですか、それを教えてもらいたいんです。評価、それから責任者は誰ですか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 責任者ということでございますけれども、学校におきましては、保健主事を置くこととされているわけでございますけれども、各学校の判断によりまして、保健主事や養護教諭などを中心といたしまして、学校全体でどういう指導方針をとるかということを定めて、性に関する指導に当たっているところでございます。

 また、評価というところでは、個別の教科の評価の中でこれを行うということもあるわけでございますが、実際のところ、個々の生徒の個別の状況をしっかり捉えて、そしてこれを指導していくことが必要なわけでございますけれども、そうしたために、学校によってはワークシートといったような内容を実施いたしまして、その中で、先生御指摘のような人工妊娠中絶のような問題について必ずしも十分な理解が得られていないような児童生徒に対して、個別に指導を行っていくというふうな取り組みが行われているところでございます。

赤枝分科員 本当に個別の指導が一番大事だと思いますので、その個別の指導というのをぜひ広げていただきたいということと、それから、養護の先生は必ずいるわけで、生徒が一番仲よくする先生というのは養護の先生ですから、ぜひ養護の先生あたりに、責任者ということで、やはりこの性の問題についての理解度のチェックをしていただきたい。そういうふうなシステムづくりをぜひお願いしたいと思います。

 私は自慢が多いんですが、私の一つの自慢として、街角でいろいろな相談室をやっていたんですけれども、二〇〇一年からは深夜のラジオ番組を始めました。これは、「ガールズガード」、夜の保健室ということで、二〇〇一年から、金曜日の深夜二時から。いい時間帯でしょう、金曜日の深夜二時。これは親が寝ているから、いろいろな性の話が聞けるわけですね、次の日の土曜日は休みだから。普通のラジオ番組は六カ月で改編ですよ。私のこの文化放送のラジオ番組は、何と十年続いたんです。十年間、この「女の子の保健室」をやりました。

 そこで、自慢ではないんですが、私のせいだけとは言いませんが、私がラジオ番組を始めたときの十代の人工妊娠中絶が年間四万六千五百十一です。十年たって、ラジオ番組は十年で一応やめました、議員になった関係もあったんですが。十年たったら一万九千三百五十九、半分以下になったんです。

 決して私のせいだけだというわけではないんですが、皆さんの努力もありますが、やはり、知らないことを聞く、それもリスクなことを聞く。決して妊娠は、おもしろい、気持ちいい、楽しいだけじゃないんだよ、リスクがあるんだよと。妊娠しておろそうと思ってもだめだ、子宮外妊娠になっておなかを切らなきゃいけないかもしれない。それから、性感染症なんかは、ほとんど今、クラミジアが不妊症の原因とまで言われていて大変な問題になっている。あの写真を見たらびっくりしますよ、おなかの中のクラミジアの写真。クモの巣だらけですよ。あんなふうに自分がなると思うと、あの写真を見せればそれでもういいわけですけれども、そういう努力もされていなくて、子供に情報が伝わっていないんですね。

 ですから、それを聞いた子供は気をつけると思うんですよ。私のラジオを聞いてこれだけ、人工妊娠中絶が半分以下になっているということになると、どうですか、文科省も今度、私に少し投資をして、私がラジオ番組をもう一回やるというのはどうなんですかね。

 これは冗談ですが、そういうことも希望したいぐらいに、やはり、伝える、ラジオ番組で伝える、こういう広報的なことも考えてもらいたいなというようなことを思います。

 それでは、肝心の人工妊娠中絶の問題にまた戻りますけれども、人工妊娠中絶というのは、中絶をする期間というのが決められているわけなんですね、いつでも中絶していいわけじゃないので。この期間について、今まで期間がずっと改正されてきたと思うんですね。その改正されてきた理由も含めて、ちょっと御説明を厚労省からお願いしたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 人工妊娠中絶を実施することができる時期でございますけれども、現在の母体保護法の前身であります旧優生保護法第二条第二項におきまして、人工妊娠中絶は胎児が母体外において生命を保続することができない時期において行うものとされております。昭和二十八年に、この法律の施行通知、当時の厚生省の事務次官通知で、その時期の基準は通常妊娠満二十三週以前ということになってございました。

 その後、未熟児に対する医療水準が向上したことに鑑みまして、平成二年の三月二十日にこの通知を改正いたしまして、満二十二週未満というふうに改めました。

 その後、優生保護法が改正されて、現在、母体保護法になってございますけれども、現在の母体保護法においても、満二十二週未満ということで、この定めがそのまま維持されております。

赤枝分科員 これはやはり、週数がだんだん下がってきたのは、きっと、赤ちゃんが母体から出ても生きていけないということだと思うんですね。どうしてかというと、それは手術の技術的なものによって、または胎児の発育ぐあいによって、やはり母体から外に出ても生きていけるということで、この間の二十四週が今二十二週ということになっていると思うんですね。

 では、そこでお尋ねしますけれども、二十一週の赤ちゃんは、今、どうですか、生きられないということで考えてよろしいんですね。二十二週までは手術をしちゃいけない、二十一週までは手術をしていいんだとすると、手術をしていい赤ちゃんは外で生きられないという原則ですよね。これは大きな原則ですよね、今も。いかがですか。

香取政府参考人 御指摘のように、医療水準の向上その他、さまざまな医療に関する技術革新があるということがございますので、この時期はその時々の医療水準によって定まるということですが、現在の二十二週は、昭和六十三年に日本産科婦人科学会が行った調査の生育例で、最短の妊娠期間が二十二週以降だったということで定められているものでございます。

 したがいまして、これをどう考えるかということですが、やはりここは、胎児における生命の保持の可能性の限界という科学的な知見を踏まえてこれは議論することになろうかと思います。

 現状の時期についても、確かにさまざま御議論があるところでございますが、これはやはり、学会その他、専門家の御意見も踏まえながら検討していくということになろうかと思います。

赤枝分科員 我々、いろいろな仲間からいろいろな話を聞いて、果たして二十一週の赤ちゃんが泣かないのか、生体反応を起こさないかというところの話は、微妙なところではあるんですが。

 もしもの話ですよ、もしも二十一週で中絶した赤ちゃんが、膿盆という鉄のおわんみたいなお盆に入れておくんですが、それで泣き出して、動き出して、生きた場合、この赤ちゃんはお母さんは要らないと思って中絶に来ていて、その赤ちゃんが生きていったら、親権はどこになるのか。これは前から考えていたんですけれども、法務省に来てもらっているんですけれども、お願いします。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの委員の直接のお尋ねは、子の親権者が誰かということですが、親権者となるための前提として、まず、法律上親として認められるということが必要になりますので、まずその点を御説明し、次に、親権者がどのように決まるかについて御説明いたします。

 さらに、その前提としまして、人工妊娠中絶を行った場合に、胎児が生きて生まれた場合の親、それから、その子の親権者の定まり方、これは通常の出生の場合と同じでございます。

 まず、生まれた子の法律上の母は、その子を出産した女性ということになります。他方、法律上の父子関係、父と子の関係は、その母が婚姻していない場合には、その子の血縁上の父が認知をすることによって生じます。その母が婚姻中にその子を出産した場合には、原則として、その夫が父ということになります。

 次に、親権の所在について御説明しますが、子の母が婚姻していない場合には、原則として、母が単独で親権を行うことになりますが、例外的に、その子を認知した父と母との間での協議で父を親権者と定めた場合は、父が単独で親権を行うということになります。その子の母が婚姻中にその子を出産したという場合には、父母が共同して親権を行うということになります。

赤枝分科員 そうすると、母親の気持ちは、病院に行ってこの子をおろしてほしい、中絶してこの子はもういなくなると思っていたわけですから、母親が親権を拒否した場合はどうなりますか。

金子政府参考人 今御説明したルールで親権は決まりますので、拒否するとか放棄するということは想定されておりません。

赤枝分科員 想定されていないということは、無戸籍になるわけですか。違うのかな。

金子政府参考人 多少場合分けが要るのですが、婚姻していない女性が子を出産したとしましても、戸籍上は、きちんと、その産んだ子の母として載るということになります。

山下主査代理 法務省、よろしいですか。結局、生まれた場合は同じだということをもう一回整理して言ってください。

金子政府参考人 はい。

 人工妊娠中絶をしたということで、その中絶をした方はそのお子さんを望んでいなかったのかもしれませんが、法律上どのようにして親が定まるのかというルールにつきましては、人工妊娠中絶を行ったけれども、その胎児が生きて生まれてきたというような場合は、通常の出生をした場合と同じに扱われるということでございます。

赤枝分科員 それでは厚労省にお尋ねしますけれども、やはり、医療の進歩と胎児の発育ということでずっと下げてきたわけですから、仮定の話として、こういう赤ちゃんが生きる事例が報告され始めるといずれ、私は十九週にしてほしいとは思っていますよ、私、個人的には、十九週までは大丈夫、十九週過ぎたらだめというふうに下げてほしいと思っていますが、今後それは当然検討されるわけですが、どのように現在のところはお考えでしょうか。

香取政府参考人 この問題は、法律的にどう整理するかということもございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、現実に、医学の進歩の中で、かなり早い段階で生まれたお子さんでも生存の可能性がある、あるいは生存している。今の現状で一応二十二週ということになっているわけですけれども、お話しのように、早い段階で、早産されたお子さんが生存が可能だ、それだけの医療技術の進歩がある、そういったことが事例としてそれなりに積み重なってきて、あとは、これは産婦人科医さんなり医学界の専門的な知見を踏まえて決めるということになりますが、そういった事例があれば、その段階で検討するということになるわけです。

 現在のところでは、特にこの二十二週ということを下げるということが必要な事態が生じている、そういうふうな事例があるというような報告は、私ども基本的にはまだ承っておりませんので、まだ、最後はもちろん法律でということになりますが、そこはやはり、専門家の方の科学的な知見を踏まえて、それを尊重して私どもとしては判断するということになろうかと思います。

赤枝分科員 では、そういう事例が出てきたら、それは考えるというお答えをいただいたというふうに思っております。

 ここで大臣にも、感想といいますか、二十一週の赤ちゃんというのは、もう二十センチもあって、百七十グラムとか、かなりミニチュアな赤ちゃんですが、その赤ちゃんをできたらおろしてほしくはないわけですが、できるだけ低く、呼吸や動きが出る可能性がない妊娠週数まで、例えば十九週までおろしたらどうかというこの意見に対して、大臣の心意気といいますか、御感想をちょっとお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

塩崎国務大臣 きょうは大分学ばせていただきました。

 先ほど局長から御説明をしてまいっておりますし、また法務省からも御説明がございましたけれども、妊娠満二十二週未満という基準、これは平成二年に定められたものだということでありますが、胎児が母体外において生命を保持する可能性の限界は妊娠二十二週までであるという当時の科学的知見に基づく結論を参考として定められたという話が今あったわけでありまして、人工妊娠中絶の実施時期について、私は正直、全く無縁で来ましたので存じ上げませんでしたが、さまざまな御意見があるということを今回のこの御質問を契機に知ったわけであります。

 医療技術の発展による母体外における生命の保続というか続く可能性を踏まえて、これは慎重に考えなきゃいけないなというふうに思うところでございまして、なかなか重たいことであり、また、科学でも同時によく考えなければいけないことだというふうに思うわけでございます。

赤枝分科員 大臣、もう一言。

 そういう事例が、例えば、二十一週でも呼吸をする、泣く、動く、そういう生きる可能性の報告があれば、それは積極的に週数を下げるということは考えなきゃいけないよねというような御答弁をいただきたいんですが、いかがでしょうか。(塩崎国務大臣「積極的に何ですか」と呼ぶ)

 積極的に妊娠週数を、今は二十一週までは手術できるんですけれども、二十一週、二十週まではだめ、十九週までならいいというふうに、中絶の手術ができる期間を下げる。今まで下げてきたわけです。そういうふうに下げてきたわけですから、今、二十一週は手術していいわけですけれども、二十一週の赤ちゃんが生きられないという条件で二十一週になっていますけれども、生きるという報告が出てきたら、それはやはり変えなきゃいけないなという御答弁をいただければと思います。

塩崎国務大臣 これは科学で判断をすべきことだろう、先ほど専門家の知見という話がありましたが。私が今、軽々に、そうすべきだということを言うべきではなかろうというふうに思いますが、そういうケースがあるならば、今の基準と照らし合わせてみて、それをどう考えるのかということをやはりしっかり科学的に判断していかなければならないと思いますし、最後はこれは生命倫理の問題にもかかわる問題ですので、そこのところはしっかりと考慮をしなければいけない、いろいろとあわせ考えていかなければならないんじゃないかなというふうに思います。

 まずは、科学的にどうこれを解釈したらいいのか、理解をしたらいいのかということを検討しなければいけないのかなというふうに思いました。

赤枝分科員 前向きな御答弁だというふうに私は受けとめております。ありがとうございました。

 それから、もう一つ悩ましいことがありまして、中絶をしてもお金が自分のところに残るという今の制度、これは皆さんはほとんど知らないんだと思うんです。

 妊娠の十一週までは、これは赤ちゃんじゃないんです。WHOからいっても、世界の規格として、エンブリオといって、これは胎芽なんですね。人間じゃない。でも、十二週からは、フィータス、これはベビーですよ、赤ちゃん。人間になるわけです。

 ですから、十二週から中絶の手術をした場合に、何と、妊娠、出産の一時金が四十万四千円、請求すればもらえるんです、誰でも。病院に三十万の手術費用を払って、自分が請求すれば、国保とか社保とか組合に請求して、四十万四千円が誰でももらえるんです。

 この制度はおかしくないですか。人工妊娠中絶がある程度こういうふうに、月に五百も手術をして、年間六千もやるクリニックが出てきて、こういうふうに妊娠中絶が何か大変なことじゃなくなってきて。

 しかも、私のところの実例があります。先週もありました。妊娠十週で病院で診断されていながら、手術をしないで、十二週になってからうちに来たわけですよ。つまり、赤ちゃんになってから来たわけですよ。何で二週間おくらせたかというと、それは、出産育児金の四十万四千円がもらえるからなんです。そういう意味で、その四十万四千円をもらうために、わざとおくらせて来ているわけです。

 そういう意味で、この制度はこれからも続けていくんですか。厚労省、これについては何かないでしょうか。

山下主査代理 申し合わせの時間が既に経過しておりますので、答えは簡潔にお願いします。

唐澤政府参考人 簡潔に申し上げます。

 出産育児一時金につきましては、出産に要する経済的負担を軽減するために支給されるということで、これは実は相当前から、戦前から設けられている制度でございまして、これは、通常の出産の場合、それから早産、流産、死産というような残念な場合もございますけれども、そのどれであるかを問わずに、妊娠八十五日以上の分娩に対して給付を行う、そういう制度になっているというのがこれまでの経過でございます。

 それで、先生の大きな視点からの御提言につきましては、どういうような大きな視点でこれを議論していくかということは、また大臣の御指示もあるかもしれませんけれども、専門的な知見も加えて御議論いただくことではないかというふうに考えております。

赤枝分科員 時間の関係で、ここまでにさせていただきます。今後のことは、また勉強会でいろいろ勉強させていただきます。

 きょうは、ありがとうございました。

山下主査代理 これにて赤枝恒雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)分科員 日本共産党の斉藤和子です。

 児童虐待、それに関連する児童相談所、一時保護所の問題について質問をいたします。

 連日のように、目を覆いたくなるような虐待の報道が続いています。

 ことし初め、埼玉県で、三歳の女の子が顔にやけどを負ったまま放置され、死亡したという事件が報道されました。顔はやけどで赤く腫れ上がり、傷やあざが体全体にあちこちあった。痩せ細り、胃には食べ物がなかった。押し入れにはロープをつなぐ金具が装着されており、閉じ込められた可能性もあるというふうに指摘されています。

 しかも、近隣住民から、虐待を疑い、昨年の夏の時点で二度の一一〇番通報がありました。しかし、警察官は虐待はないと判断し、児童相談所には通告せず、秋ごろから虐待がエスカレートし、三歳の女の子の命は残虐な形で奪われてしまいました。

 今回の警察の対応について、警察ではどのような検証を行っていますでしょうか。

河合政府参考人 お答えいたします。

 現在埼玉県警察において捜査中の事案でございます。詳細は差し控えますけれども、同県警察では、一一〇番通報を受理した後、警察官を現場に派遣して調査した上で、児童虐待など児童相談所に通告すべき状況は認められなかったと判断したものと報告を受けております。

 なお、現在、同県警察におきまして、事件に至る経緯を含め、全容解明に向けて全力で捜査に取り組んでいるところでございますが、その結果を踏まえ、将来に生かすべき事項があれば生かしてまいりたい、かように考えてございます。

斉藤(和)分科員 現場で検証が行われているということです。

 私が指摘したいのは、一回目の一一〇番通報は、昨年六月、夜十一時過ぎ、三歳ぐらいの女の子が布団にくるまって玄関前に出されて、しゃがみ込んで泣いている女の子を見かけての通報でした。親御さんは、自分たちがけんかしたから締め出したと。女児に体の傷やあざがなかったので、虐待はないと判断し、児童相談所にも通告しない。埼玉県警内部の虐待情報集約システムにも登録しなかった。そして、翌月には、三十分前から女の子が泣き続けているので調べてほしいという二度目の通報が入るわけですが、駆けつけた警察官は、前回の情報を知らずに、母親の、お風呂に入らなかったから叱ったという説明に、このときも児童相談所に通告しませんでした。

 この間、さまざまな通達などで、警察と児童相談所などの連携の強化ということは言われていますが、警察の内部でも連携が途切れてしまっている。

 「子ども虐待対応の手引き」というのを厚労省から出されていますが、「虐待の判断に当たっての留意点」に、「虐待の定義はあくまで子ども側の定義であり、親の意図とは無関係です。」「子どもにとって有害かどうかで判断するように視点を変えなければなりません。」さらに、保護者の中にはしつけと主張する場合もあるけれども、暴力的行為は子供にとって悪影響をもたらし、不適切な行為であることを認識すべきというふうに書かれています。

 現場で虐待かどうかを判断する警察官に、この「子ども虐待対応の手引き」を使った研修というのは行っているんでしょうか。

河合政府参考人 お答えいたします。

 この「子ども虐待対応の手引き」につきましては、厚生労働省におきまして作成されたというふうに聞いてございます。この資料につきましては、児童虐待に対応する警察の執務上も参考となるものと認識してございます。

 こうしたことから、警察においても、各種研修において「子ども虐待対応の手引き」につきましての紹介を行ったり、あるいは教材として活用しているという例もございます。また、児童虐待についての理解を深めるため、警察学校等における研修の際に、児童福祉関係者による講義や児童相談所への視察等を実施してございます。

 今後とも、こうした手引を参考にしながら、児童虐待への的確な対応や関係機関との連携強化に資する研修を実施してまいりたいと考えます。

斉藤(和)分科員 教材や研修でというお話でした。しかし、残念ながら、その中身が生かされなかったというのが今回の事件だったのではないかというふうに思います。

 児童相談所の方にお話を伺ったときに、今は非常に理解のある警察の方が担当してくれているので本当に助かっている、協力も求めやすい、しかし、その人がいなくなればなかなか難しいでしょうねというふうに話をされていました。児童相談所と警察や関係機関との連携を本当に生きた意味で生かしていく、連携させていく、そうした点でも、やはり現場に駆けつけて判断をする、その現場の警察官の研修に、ぜひこの手引を活用する、そしてまた生かしていただく、徹底するということを強く求めたいと思います。

 それで、大臣、ぜひこの「子ども虐待対応の手引き」を、警察はもちろんのこと、子供に関係する、例えば保育園や学校、医療機関など、関係機関にも活用を促進するようなことを行ってはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほども少し虐待の質疑がございましたけれども、子供たちは全て、最も愛される親から虐待を受けるようなことがあってはならないわけであって、今、私ども、児童福祉法の改正に取り組んでおりますけれども、その中で、児童相談所、それから市町村、さらには警察、学校、医療機関、こうして関連する機関が全て連携をきちっとするということはとても大事であり、また、私どもそれに努めてまいったところでございます。

 今引用いただきました「子ども虐待対応の手引き」につきましては、児童相談所や市町村などにおいて適切な対応ができるようにということで、具体的な支援方法とか関係機関による連携のあり方などをお示ししているわけでございまして、これは平成十一年の三月に最初につくって、以後、法改正等に伴って改正を行ってきた。これは雇用均等・児童家庭局の総務課長通知という形になっています。

 改訂の都度に、自治体に対して、関係機関に周知するように要請をしているわけでありまして、さらに厚生労働省のホームページにも掲載、積極的な周知を図っておりますが、各自治体においては、要保護児童対策地域協議会、要対協、この構成機関などで共有をし、支援のマニュアルや研修資料などに活用していただいているものだというふうに承知をしているわけでありますが、今まさにおっしゃった警察、学校、医療機関等々、メンバーに入っているわけでございますので、活用していただいているものだというふうに思いますけれども、なお幅広く使われるように努力していきたいと思います。

斉藤(和)分科員 幅広く使われるようにという御答弁でした。

 やはり現場にかかわっている、要対協で専門的にかかわられている方はもちろんのこと、やはり現場で現に子供に接する方がどう判断するのかというのが一人でも多くの子供を救う意味で重要だと思いますので、この中身を私も読ませていただきましたが、非常に重要だと思いましたので、ぜひ広めていただければというふうに思っております。

 次に、児童相談所について質問させていただきます。

 児童虐待防止法が施行される前年、一九九九年の児童虐待相談件数は一万千六百三十一件。それが二〇一四年には八万八千九百三十一件に急増しています。

 二〇一四年には、私の地元千葉県で、生後二カ月の男の子が右腕を骨折し病院に搬送され、医師は虐待を疑い児童相談所に通報し、一時保護をされました。しかし、その四カ月後、児童相談所は一時保護を解除し、母方の祖父母のもとに帰します。その一カ月後に、男の子は父親の虐待と思われる急性硬膜下血腫で亡くなってしまいました。児童相談所がかかわっていたのに、なぜ命を救えなかったのかというのは常に問われる問題です。

 「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」を見ても、虐待死事例を担当していた児童福祉司の受け持ち件数は一人当たり百九・一件、うち虐待事例は六十五件とあります。どう考えても、一人がこれだけの件数を抱え、複雑化している虐待の対応をきめ細かく行う、また判断するというのは、そもそも無理があると思います。

 相談業務を担う児童福祉司を、現場の実態に合わせて抜本的に人員をふやす必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 昨年末、政府として、発生予防から自立支援まで一連の対策を強化するため、児童虐待防止対策強化プロジェクトを取りまとめたところでございます。この中で、中心的な役割を担う児童相談所については、体制や専門性を計画的に強化することとしております。

 このため、直接に指導等を行う児童福祉司の配置基準について、人口だけでなく業務量も考慮する等の見直しを検討することとしております。

 平成二十八年度には、児童福祉司の増員に対して、この十年間で最も手厚い水準となる地方交付税措置、標準団体、人口百七十万人当たり三人増員が予定されております。

 また、児童心理司、保健師等の専門職の配置を確保することとしております。

斉藤(和)分科員 児童福祉司の数を交付税で基本団体に三人ふやすという話がありました。しかし、児童虐待の相談件数はこの十五年間で七・六倍です。それに対して、児童福祉司の数は千二百三十人から二千九百三十四人。今おっしゃられた、さらにふやすというのを足したとしても二・五倍です。

 そもそも、児童相談所は、虐待対応だけではなくて、障害相談、肢体、視聴覚、言語、重度、知的、発達障害から、育児相談、不登校、さらには非行、虞犯、触法の対応まで、まさに生まれたばかりの乳幼児から十八歳までのありとあらゆる問題に対応しています。そこに来て、虐待の相談件数が七倍以上に一気に膨れ上がる。職員が悲鳴を上げるのは当然のことだと思います。

 海外に目を転じれば、例えば、ロサンゼルスは、人口八百七十万人に対し、ソーシャルワーカーは三千五百人置かれています。ドイツやイギリス、北欧などでも、人口数千人に対して一人のソーシャルワーカー。対して日本は、人口一億二千万人に約三千人。私の地元の千葉県の中央児童相談所でいえば、人口百三十万人に二十四人の児童福祉司です。

 大臣、こうした状況を見ても、先進国並みの体制をこの日本の中で確立していくことが必要だと思いますが、大臣、ぜひ、いかがでしょうか。大臣にぜひ。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 児童虐待の通告等に対しましては、夜間、休日を問わず、迅速かつ的確に安全確認を行うことができるよう、平成二十八年度予算案において、安全確認を行うための職員の増員、児童相談所一カ所当たり二人から三人へ、全ての児童相談所において夜間、休日に対応できる職員の配置、これが六十九カ所から二百八カ所へを盛り込んでいるところであります。

 昨年七月には、児童相談所全国共通ダイヤル一八九の開始に合わせて、全ての児童相談所において、二十四時間三百六十五日、虐待通告など緊急の相談に対応する体制を整備したところであります。

 今後、着実に児童相談所の体制が強化できるよう、関係省庁と協力しつつ、地方自治体に働きかけてまいりたいと思います。

塩崎国務大臣 お気持ちは私ども共有をしているというふうに思っています。

 今、三ッ林政務官から答弁したとおり、方向としては同じ方向に行っているのではないかというふうに思いますが、問題は、どこまでやるかということでございます。

 今私どもが見ている中での問題点というのは、国レベルで、まず全国がどうなっているのかということをより詳しく把握を常時するということが大事だな。そして、都道府県にあっては、今、児相の皆さん方、今お話しのとおり、燃え尽き症候群のように、次から次へと事案を追いかけていかなきゃならないということであります。市町村も、もちろん、権限、役割がまだまだ不明確な中で、実際に一番身近な行政の単位としてお世話をしなきゃいけないということで、私どもはやはり、国、そして都道府県、市町村、それぞれの役割と責任も再定義をして、さらに明らかにして、そしてそれに見合った形で体制を整える努力を挙げてやっていかなければならないんじゃないかというふうに思います。

 どこまでどういうペースでということは、資源配分の問題としてもなかなか難しいわけでありますが、しかし、方向性はやはり、今申し上げたとおり、子供たちの未来をしっかりと確保できるだけの体制が一日も早くできることを念頭に入れながら努力をしていかなければならないし、今回の児童福祉法の改正もそういう思いでやっていかなければいけないというふうに思っています。

斉藤(和)分科員 子供たちの思いをきちんと支える、そういう点でも、子供たちの真の意味での成長を支えていくという面でも、人員の確保をしていくという御答弁でした。

 現場の人たちの悲鳴というのは、まさに今大臣がおっしゃられたとおり、慢性的に、今抱えている事案が職員には相当重くのしかかっている。そうした結果、現場の児童福祉司は、次々と飛び込んでくる虐待対応に追われている。そうした中で、心身ともに病み、療養休暇をとらざるを得ないという職員もふえていらっしゃいます。そうすると、結局、残された職員にさらに負担がのしかかるという悪循環になっているというのは、やはりどこかで断ち切らなければならないというふうに思っておりますので、ぜひ大幅な人員増を求めたいと思います。

 児童福祉司の方にお話を聞いたときに、私は、非常につらいなというふうに思ったのが、私たちはどなられることはあっても感謝されることはありません、評価されることがないんですというふうに話されていました。虐待だと思っていない親から子を引き離し、子を返せとどなり込まれ、殴られ、けがをしたこともあると。そういう親御さんと信頼関係をつくって相談業務に当たるということは、それだけでも相当な負担であり、時間もかかるわけです。

 親との面接が入っていても、緊急対応が入り、面接をキャンセルせざるを得ない。本来の、一番私たちがやりたい福祉職として親や子に対するケアの部分に率直に言って手が回っていない、非常に悔しいというふうにおっしゃられました。

 先ほど政務官の方が、初期対応だとか夜間、休日の職員体制のお話をされましたけれども、千葉県では、例えば緊急でかかってくる電話の転送、どこにかかるか、土日祝日、夜間。それは、児童福祉司が当番携帯という形で一週間携帯を持ち回りし、そこに緊急の電話がかかってきて対応しなければならないという、全く休まる暇がないという状態です。児童福祉司の職員の数を抜本的にふやすということもそうですけれども、やはり夜間、休日の職員体制、先ほどありましたけれども、仮に今回の予算が通ってふやしたとしても、一児相当たり二名だった枠を三名と、プラス一ですよね。だとしたら、この当番携帯はやはりなくならないわけですよね。

 先ほど来あります一八九が行われたのは非常にいいことだと思いますが、その結果、それを受け取る児童福祉司は非常に負担が重くなっている。しかも、携帯を持たされて休まる暇がない。やはりここの、夜間、休日の職員体制、抜本的にもっとふやしていくというお考えは、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、人を救うには人でないと救うことはできないということであり、なおかつ専門性が高くなければ的確な対応ができないということで、これは、ただ人をふやせばいいという問題ではない、済まないということで、専門性のある人たちをどう確保していくかということも同時に大事なことであり、場合によっては、経験者、もう退職された方なんかのお力もかりなきゃいけないぐらい人手がかかる問題でもあるということでございます。

 そういう意味で、さっき申し上げたとおり、方向としては何とかこの体制を格段に強化したいというふうには思いますが、そこのところをどうするかということを、我々としてはしっかりこれからまた努力をしていかなきゃいけないなというふうに思います。

斉藤(和)分科員 ぜひ抜本的な体制強化、特に、一八九をやはり自治体任せにしないで、国の責任で、体制だとか、回線を分けることだとか、ぜひ支援をしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 次に、一時保護所の問題についてです。

 一時保護所は、児童福祉法に基づいて、児童相談所に付設などの形で設置されています。

 お配りもしていますが、こちらにパネルも用意いたしました。これは、千葉県の中央児童相談所の一時保護所の子供が寝泊まりする部屋の物入れの扉です。もう一枚目が、これは食堂にある手洗いの場所なんです。これは、修理をしたんだけれども、非常に老朽化が激しくて、抜本的な改修をしないと無理だということで使用禁止になっています。最後が脱衣所の壁。虐待やネグレクトで心身ともに傷ついた子供がこんな場所で過ごさなければならない。老朽化というのは非常に深刻です。

 また、子供たちの実態に合わない施設であるために、一人暴れ出すとそれにつられて施設全体が暴れる。福祉司の方が言っていました、せっかく虐待する親から子供を引き離して一時保護所に入れたんだけれども、その施設内が荒れてしまって、暴力を振るわれたり、振るったりしたことを親に報告しなければならないときほどつらいときはない、せめて壊れたところはすぐに修繕して、一時保護した子供たちに少しでも安心できるいい環境を与えたい。これは当然の思いだと思います。

 確かに今、一時保護所の整備、改修には補助金があります。しかし、児童相談所と一時保護所が一体化しているところが多いために、一時保護所だけの二分の一の補助だけでは、なかなか自治体は踏み切れないというのが実態だと思います。

 私は、ぜひ大臣にこの現場を直接見ていただきたいと思いますし、また同時に、一時保護は国が措置をしているわけですから、その一時保護所の整備に関しては一〇〇%国が責任を負うという立場をとるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 一時保護所、私は福岡で拝見をさせていただいたわけでありますが、ここはかなり質の高いところでありまして、ツーフロアあって、一つは個室、それもかなりゆとりのある個室で、丁寧な子供たちのケアをしているというふうに拝見をしました。しかし、それが全てでは決してないということはそのとおりだと思います。

 虐待などを受けた子供について、迅速に安全を確保するとともに、支援につながるためのアセスメントを行うということで、そういう機能のためにあるものでございますけれども、一時保護を必要とする子供の数は増加の一途、また、入所率が常に一〇〇%前後。ですから、今、相部屋になったり、いろいろな種類の問題を抱えている子が入っているということで、そういうことから、適切な処遇を確保するための整備を推進する必要があるということはそのとおりであります。

 一時保護される子供は、その背景も、虐待、非行、養育困難、さまざまでありまして、一時保護所のほかに、里親等への委託を含めて、個々の状況に応じた支援を行うことが重要だというふうに思っています。

 社会保障審議会児童部会の新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会、ここで今、児童福祉法の改正を議論しておりますが、個別対応を基本とした環境整備について御意見をいただいておりまして、昨年末に政府として取りまとめた先ほどのプロジェクト、対策強化のプロジェクト、ここにおいて、一時保護所の環境改善、それから量的な拡大を盛り込んだわけでございます。

 このため、二十七年度補正予算において、一時保護所における居室の小規模化、それから、年齢、入所事由に応じた処遇の確保を緊急に図るため、特例的に、国の補助、今お話がありましたが、二分の一相当から三分の二相当に上げるということをさせていただき、また整備の促進をそれによって図ろうということで、二十八年度以降も適切な整備の推進に努めていかなければならないというふうに思っております。

斉藤(和)分科員 ぜひ、補正だけではなくて、通常の予算の方でも三分の二にかさ上げをするぐらいのことをやらないと、やはりなかなかこうした実態というのは変わっていかない。財政難でなかなか自治体も大変、だからこそ、やはり国が音頭をとっていくということが非常に重要になってくるというふうに感じております。

 施設の話、大臣からもございましたけれども、さまざまな子供たちが、非行も含めて入ります。ある児童相談所では、触法の百八十センチを超える少年を、虐待を受けた幼児たちが非常に怖がって、不安定になってしまった。当然だと思います。幼児たちの心理的負担は相当だと思いますけれども、こうした一時保護所の実態、これを改善する上で、個室だとか環境改善が必要だということは、今、大臣の口からありました。

 この児童相談所は、ツーフロアでとおっしゃいましたけれども、非常に新しい施設なので、やはり何とか幼児を安定させなきゃいけない、不安にさせちゃいけないということで、児相の職員の皆さんが、レクリエーションルーム、遊び場にしていたところを潰して、幼児たちの、生活し、寝て、食事もできるという、別の場所をつくったんです。これは、新しい施設だったから、要は遊び場を潰してしまいましたけれども、できました。

 しかし、先ほどのパネルで示した中央児相は、もう既に、あいている部屋はありません。しかも、十五畳の部屋に小学生男子十人が布団を敷いて寝る、そのすき間に男性職員が一緒になって寝るとか、そういうきつきつの状態になっているわけです。階段の下のところにクッションマットを敷いていたんです。どうしたんですかと聞いたら、部屋がないので、暴れ出した子の、要は心を休めるための場所がその階段の下なんですよ、つまり廊下なんですね。そういう状況なんです。

 こうした状況になってしまう背景には、一時保護所の設置基準というのが、児童養護施設に準ずるというふうになっています。やはりそれぞれの、児童養護施設と一時保護所の施設の役割や、そこで生活する子供たちの実情というのは違うわけですから、一時保護所独自の設置基準に私はすべきではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 今お話がありましたように、一時保護所について、設備、運営については、児童養護施設の面積とか職員配置などに係る基準を準用するという形で今日までやってきたのは御指摘のとおりであります。

 先ほど申し上げた専門委員会の場でさまざまな議論を今回いただいておりまして、その中で、個別対応を基本とした基準の見直しについて御意見をいただいているところでございますので、今後、そのあり方について検討し、また、新しい時代にふさわしい一時保護所をつくらなければならないというふうに思います。

斉藤(和)分科員 ぜひ前向きに検討をお願いいたします。

 やはり現場は、子供を守ろうと必死に努力し、いろいろな工夫をして踏ん張っています。その現場の思いに応えて、一人一人の子供たちの状況に合わせた、今大臣がおっしゃられた個別のケアができる人的、施設的体制をぜひ国の責任で進めていただくことを最後に強調して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山下主査代理 これにて斉藤和子君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)分科員 おおさか維新の会の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 私は、国会議員になる前は医療法人の理事長でございまして、現在も理事長職はございますけれども、そもそもは、椎間板ヘルニアのレーザー治療という、昔でいうところの評価療養をやっておりました。昔でいうところのというのは、椎間板ヘルニアのレーザー治療というのは、なかなかやれる先生も少ないもので、そういった基準から外れたんです。

 最近、常々、腰が悪い方、首が悪い方というのはやはり年配の方が多いもので、また、手術の性格上、日帰り手術ですので、全国各地から来られます。各地域の先生に、手術後、いろいろその後のフォローなり治療とかをお願いするわけなんですけれども、各地域の医療というのは本当に医療事情がさまざまです。

 そんな中で、私は、いわゆる地域医療の強化に向けて私自身が何をなし得るかというのを考えまして、在宅医療充実のために、私の地元である枚方市、交野市におきまして、訪問看護ステーションというのを立ち上げました。先進医療と訪問看護というところの、自分自身の医療法人の中では一くくりになっていますけれども、いろいろ、日本の医療に向けて、地域の医療に向けて何が貢献できているのかと思いつつ、その訪問看護ステーションをやっておるんです。

 この訪問看護ステーション、今後の地域医療の発展のためには、私自身、非常に大事だと思っておるんですけれども、地域医療における訪問看護ステーションの重要性について、塩崎厚生労働大臣の御見解をまずお伺いいたします。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、医療や介護が必要となっても高齢者が住みなれた地域で暮らし続けることができるように、通院が難しくても在宅で療養生活を支える二十四時間三百六十五日の看護サービスを提供できる訪問看護ステーションというのは、充実していくことが大事だというふうに考えております。平成二十七年四月時点で全国に約七千七百カ所ございますけれども、これは年々ふえているということでございます。

 平成二十七年度の介護報酬改定においては、重度の褥瘡ケア等の特別な管理を必要とする利用者などに重点的に対応する事業所を評価する加算を新たに設けまして、訪問看護ステーションの機能強化を御支援申し上げているということでございます。

 また、地域医療介護総合確保基金などを活用して、訪問看護の人材の育成そして確保を推進するための研修などを実施しているわけでありまして、引き続いて、地域の包括ケアシステム構築ということを今大きなテーマとして取り組んでいるわけでありますので、その中で、この訪問看護ステーションは極めて大事な、不可欠な、必要なサービスとして伸ばしていきたいというふうに思っております。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 今、大臣のお言葉から褥瘡というお言葉が出ました。

 私、形成外科医として勤め人のころ、褥瘡対策委員というのを各病院でやっておりまして、各科を超えて褥瘡ケアをしていたわけなんですね。褥瘡に関しては、非常に専門性を必要としまして、看護師一人の力で、患者さんの家族の指導をしたり、日々の褥瘡ケア、洗浄したり、軟こうを使ったり、いろいろな薬剤を使ったり、もしくは、私自身、昔は褥瘡の手術を、かなりたくさん症例を重ねたわけなんですけれども。

 通告していないので、褥瘡の話は質問しません。それより、ちょっと訪問看護ステーションの機能強化の話をさせていただきたいんです。

 もう一つお言葉の中に、七千七百カ所、訪問看護ステーションが全国にあって、その中で、大阪府内には八百カ所のステーションがございます。これは全国最多とも言えるんですけれども、その六割が五人未満、つまり、三人、四人なんですね。施設基準として、二・五人、二人の常勤とあとは非常勤ということで訪問看護ステーションというのは施設を立ち上げられるわけなんですけれども、ただ、五人未満の小規模施設がほとんどなんですね。

 そういった場合、やはり、大臣がおっしゃられた夜間の対応であったり、二十四時間と言っていましても、夜間に悪くなる患者さんも、在宅の場合は問題である、それで夜間対応。もしくは、悪性腫瘍で、在宅に移られて、本当に、術後の患者さんもおれば、インオペといいまして手術ができなかった患者さんもおられて、もしくは、生活習慣病、心臓血管障害、脳の障害で重症患者さんもたくさんおられると思います。こういった場合、看護師不足で、やはり小規模の場合、頻繁な訪問が難しいと思うんですね。

 大阪府におきましては、大規模規格を目指して、施設の統合に向けた事務システムの改修費などに大体一億一千八百万の予算を計上しておりますし、逆に、訪問看護師の確保定着支援として六千二百万の予算を計上しているんです。

 そもそも、この訪問看護ステーションというのは小規模事業所が多いんですけれども、これについて、どうしてそうなっているか、もしくは、この現状についていかがお考えなのかを厚労省の方にお聞きいたします。

三浦政府参考人 御指摘のように、訪問看護ステーションの規模というのは、比較的小型のものが多いという認識を私どもも持っております。また、小規模だということがございまして、そこの従業員、看護師さんたちに負担がかかる場合もあるというような指摘も伺っているところでございます。あわせて、経営面から見ても、規模が大きくなればなるほど収支の状況というのが改善する、よくなるという傾向もあるということでございまして、この規模の拡大というのは、一般的に見て、課題の一つだろうというふうに考えているところでございます。

 現在、都道府県におきまして、地域医療介護総合確保基金などを活用いたしまして、サテライト事業所の設置によりまして訪問看護ステーション全体の規模を拡大していくという取り組み、また、訪問看護推進協議会を設置し、訪問看護ステーションの大規模化などを含めて訪問看護の課題や対策について関係者が協議し、必要な取り組みを実施する、このような対応もしているところでございます。

 今回お尋ねがございましたように、訪問看護の重要性というのは明らかでございますし、また、利用者の方もふえているということでございまして、訪問看護ステーションを通じて必要な訪問看護サービスが提供されるように、私どもとしても留意していきたいと考えているところでございます。

伊東(信)分科員 では、ちょっと逆にお聞きしたいんですけれども、うちの場合、最初に私が医療法人の理事長と申し上げたのは、理事長というのは経営とかもするわけなんですけれども、経営という面で考えると、確かに、少人数の、小規模の訪問看護ステーションというのは大変です。別の、私自身が手術するクリニックもあって、全体で、グロスで考えて何とかやっていけるわけなんですけれども、本当に、月々の収支を見て、うちのスタッフもよく頑張ってはくれているんですけれども、なかなか単独では経営ベースに乗っていません。

 ということは、そもそも、小規模の訪問看護ステーションというのは、どうなんでしょうか、厚労省のお考えとしては、それを何か支援するような施策がないのか。大規模を進める、そういった厚労省の方針だと理解してよろしいのでしょうか。

三浦政府参考人 お尋ねがございましたように、規模の拡大というのは、経営の安定から見ても重要な要素だというふうに考えております。

 例えば、先ほど御答弁の中で申し上げたように、サテライト型の事業所、これは、本体と、それからそれに関連するサテライトと、二つないしは複数のそういうサテライトと本体とをもちまして、総合的に、一体となって訪問看護のサービスを提供していく仕組み。

 こういうことを通じて、例えば、いろいろな技術の指導が一体的にできるですとか、勤務内容の管理が一元的にできるとか、あるいは、移動などにかかる時間、コストを削減する、できるだけ利用者の近くにそういうサテライトを置けば動く距離が短くなるということでございますけれども、そういうようなやり方もございます。

 いろいろな仕掛けを通じて、連携しながら訪問看護ステーションが活動できる、そういうようなことも考えているところでございます。

伊東(信)分科員 わかりました。

 ちょっと加えて質問をさせていただこうと思ったんですけれども、三浦局長のお話、よくわかりました。

 実は、であるのならば、例えば、訪問看護ステーションとかを志して、経営をしたい、いわゆる女性の、経営、働く職場としての小規模というのは余りその意味がないのかなというような御質問をしようと思ったんですけれども、サテライトにしていって事業を拡大するということで理解しました。

 ただ、訪問看護ステーションのあり方に関して、より身近で、より地域に密着してというお話をいただいたわけなんですけれども、もちろん、悪性腫瘍の患者さん、各種生活習慣病の重症化した患者さん、難病の患者さん、胃瘻の患者さん、褥瘡の患者さん、さまざまだと思うんですが、例えば、子供が御病気になって病院に行く、これは当たり前のことなんですけれども、ちょっと様子がおかしいレベルで、気軽に、つまり、もともとは主治医の制度、かかりつけ医の制度を確保するという国の施策もわかるんですが、そうではなくて、例えば、ちょっとした子供の健康相談などのもっと気軽な訪問看護ステーションということも私はイメージとしてありではないかなと思うんですけれども、そういった活用の仕方に関してはいかがお考えでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 お子さんの健康ですとか、あるいは育児相談といったような、いわゆる保健指導にかかわるようなものにつきましては、母子保健法で、基本的には、保健所、市町村保健センター等においてこれを行う、都道府県、市町村がこういった場所で行うということで行われているところでございます。

 母子保健法上は、当然、みずから保健センター、保健所で行うということもあるわけですが、法律上は、八条の二というのがございまして、病院、診療所または医師、助産師その他適当と認められる者に対して実施の委託ができるという規定がございます。

 この規定を使いまして、例えば、そういった委託を受けて適切な実施ができる訪問看護ステーションというものがあれば、それは、市町村の御判断で委託をするということはもちろん可能でございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 訪問看護ステーションの活用に至りましては、施設からの紹介、ケアマネジャーさんからの紹介、病院からの退院患者さんの紹介、そして私自身の患者さんの紹介ということで、患者さんを御紹介いただいて訪問看護ステーションというのは成り立っていくわけなんですけれども、そういったときに、そもそもどういったところで訪問看護ステーションを利用すればいいのというような質問も、これは医療従事者の中からでさえも起こっていますので、こういった質問をさせていただいたんです。

 そんな中で、予算委員会の中でも、子宮頸がんの話をさせていただいたときに、塩崎厚生労働大臣に最後にちょっと時間もなかったので早口でお聞きした死亡診断書に関して。

 三重県の名張の特別養護老人ホームなんですけれども、死者に立ち会わずに死亡診断書を書いた例があった。八十代男性が死亡されたときに、事前に死亡診断書に氏名や、死因に老衰などを書き入れて、後で日時や診断日を看護師に書かせた、そういった事案がありました。

 このことを、うまいこと看護師、訪問看護師を使って、かつ、もう一つの私のテーマであるんですけれども、ITを使った医療の分野への応用といいましょうか。

 そもそも私が訪問看護ステーションを立ち上げたきっかけというのは、訪問看護師のナビゲーションシステムというのが今はございまして、看護師さんというのは、かなり、記録とかそういった、カルテの問題、レセプトの問題、いろいろありますし、我々経営者の、看護師の管理で、どこどこの場所に行く、施設だったらわかりますけれども、居宅に行くときになかなかそれが便利ではないわけですね。それをアプリ一つでできる、そういったアプリを開発した企業がございまして、ソフトバンクを含め、大きな企業で使っています。そこのセミナーとかで私が手伝わせていただいた経緯があって、だったら私自身が使ってみようかなと思って、そのアプリを使った経緯があるんですね。

 同時に、今、いわゆる遠隔医療で、電話再診の延長で、画像を使って、スマホなどを使って遠隔医療もできます。

 名張もみじ山荘の事件を踏まえて、この訪問看護と画像などを使った方法で、医師が死亡診断書を書く仕組みなどを考えればいろいろなことが解決するかと思うんですけれども、この間の話の続きになって申しわけないんですけれども、塩崎厚生労働大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 前回十分な議論ができなかったということもありましたが、報道によりますと、特別養護老人ホームにおいて、医師が死亡診断を行わないまま死亡診断書を発行した、そして、看護師が死亡確認を行って遺族に死亡診断書を交付したということについて医師法違反に問われたというのがこのケースでございまして、非常に遺憾であるケースであったわけであります。

 また、現在、地理的な問題などによって医師が直接対面で、出向いて死後診察を行うことができないというような場合に、看護師を通じて得られた情報に基づいて医師が死亡診断を行うことができるような例外的な措置を設けるように、規制改革会議を通じて要望が寄せられているところでございます。

 厚労省としては、死亡診断が、やはりこれは生死の問題であり、犯罪性の有無などもあり得る、大変責任の重い判断が必要であるということを十分踏まえなきゃいけないというふうに思うわけでございまして、要望のような場合に、遠隔診療の枠組みを活用することで医師による直接の対面診察を補完できないか、今後、さまざまな関係者の方々の御意見を伺いながら、調整を進めてまいりたいというふうに考えております。例外的な措置ということでの御要望をいただいているわけでございまして、これにつきましては、しっかりと関係者の御意見を聞いて、調整をしてまいりたいというふうに思います。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。医師の診断行為の補完というお言葉を使っていただきました。

 その中で、やはり、医師不足云々かんぬんという話よりも、医師の数も限られてはいるわけですね。医師不足に関していろいろな方策はあるかと思うんですけれども、事今回の事件、事案というのは施設で起こった事案なんですけれども、これからは、在宅医療が進んでいくと、居宅でのみとりとかも問題になります。

 通告のときにこのあたりをどう受けとめていただいたか甚だ心配でもあるんですけれども、であるならば、医師だけでなく看護師がみとりできるような制度、もちろん、十分な研修と、十分な、国家資格にするのか云々も含めて、このみとり看護師の制度について、厚労省及び政府で何か議論というのはされているでしょうか。厚生労働省にお聞きします。

神田政府参考人 先ほど大臣からもお答えしたところでございますけれども、規制改革会議の議論では、最初は、看護師が死亡を診断するというようなことができないかというような御提案であったというふうに承知をしております。

 しかし、死亡診断に当たっては、医師法上は、診察を行わずに診断書を発行してはならないと。先ほど大臣から御答弁申し上げたように、生死ですとか犯罪があるかどうかということをしっかりと確認しなければならないということでありますので、あくまでも死後の診察は医師が行い、死亡診断書は医師が書くんですけれども、死んだかどうかという状況の確認をどうやってやるかということで、医師間の連携ですとか医療機関と介護施設の連携で、できる場合はできるだけお医者さんが直接対面で死後診察をしていただくわけでございますけれども、それが難しいようなケースについては、例えば、訪問看護に行っている看護師さんがバイタルのデータをとるとか、あるいは画像を送ることによって医師が診察することを遠隔診療技術を使ってできないかということを、例外的な措置として今検討しているということでございます。

伊東(信)分科員 おっしゃるとおりだと思うんです。私も医者なので。

 ただ、看護師の中に、もちろん、事件性のことも踏まえ、法律のことも踏まえ、みとり看護師の設置というのは、実は、現実、枚方市においても在宅に特化した大潤会という医療法人があるんですけれども、そういった先生から具体的に要望というか、私自身に質問があったお話なんですね。やはり往診する医師も限られている、その中の一つの方策として遠隔医療というのがあると。

 みとりの看護師というようなことも現場の医師から出始めたということだけはわかってください。これは、お話自身はわかっているので、答弁いただかなくて結構です。これは提案です。

 こういった在宅が進んでいきますと、医師の指示に基づいて、いわゆる点滴をしたりとか、いろいろな処置をするわけなんですけれども、その中で、考えられないという表現は余り使いたくないんですけれども、ちょっとびっくりするような事案がありました。

 今月、いわゆる電解質補液、二百ミリリットルですから、そんなに大きいサイズではないですね、リプラス三号という電解質補液、つまり、電解質というのは簡単に言うと塩水なんですね、血液の濃度と同じ、それ以外に、ラクトリンゲルM、マルトース加乳液という糖分が入った点滴液があるんですけれども、これを中身を取り違えた。

 これは企業の問題、薬品会社の問題でして、こういった場合、在宅もしくは訪問看護の推進に関して、ちょっとストップがかかってしまうのではないか。もちろん、事前にわかったことで、現場でわかった話じゃないんですけれども、ただ、これも患者さんによっては、例えば、糖尿病の患者さんであったりとかすると重篤な副反応になりかねないので。

 こういったところの厚生労働省の把握といいましょうか、この医薬品の表示と内容物が異なっていた事案についていかが捉えているかというのを厚生労働省にお聞きいたします。

    〔山下主査代理退席、主査着席〕

中垣政府参考人 ただいま委員から御指摘ございました事案につきましては、大阪府内の医療機関からこの輸液の表示について疑義が呈されたということを受けまして、企業において確認を行ったところ、その表示と内容が異なっているということが判明いたしまして、それを当該企業が大阪府に報告したということでありまして、大阪府が回収命令をかけたという事案でございます。

 当然のことでございますけれども、医薬品につきましては、医薬品医療機器法、旧薬事法におきまして、使用により保健衛生上の危害が発生するおそれがある場合には、速やかに回収等の措置を行わせることとしておりまして、今回、大阪府も必要な措置をとったということでございます。

 一方、やはりどうしてこういうことが起きたのかという原因の究明というのは非常に大事でございますので、あわせまして、今、大阪府の方から当該会社に対して指示をしてやっておるというものでございます。

伊東(信)分科員 いずれにしても、こういった事案については、詳細な報告と詳細な分析をお願いしたいわけです。

 もう一つ、二次救急医療の輪番制に加わる京都の病院が、手術室を物干しに使ったりと手術できない状態をずっと続けていた、こういった不適切な行為に関して、事件ばかりで嫌なんですけれども、厚労省としてはいかに捉えていますでしょうか。

神田政府参考人 御指摘の事案については、手術室で着がえをしていたとか、洗濯物を干していたというような使用があったということでございます。

 報道があったわけでありますが、手術室については、医療法の施行規則において、衛生上、安全を確保するために、準備室を設けてじんあいの入らないようにしなければならないというふうになってございます。

 報道があったその日に、京都市が立入検査を実施いたしております。その段階では、既に消毒、片づけ等も実施されておりまして、手術に使用できる状態であったということは確認いたしておりますけれども、別の用途に使用したということを病院側は認めておりますので、その場で、別の用途で使用を行わないように指導することとあわせまして、病院としての改善方法、今後の対応を含めたてんまつの報告を今求めているというところでございます。

伊東(信)分科員 本当に、事件ばかりあげつらうのは、私も医療従事者としては心苦しいわけです。

 そういった中での、病院側の言いわけの中に麻酔科医が足らなかったというのもあったんですけれども、医師不足、看護師不足で何事も終結させるのはよくないんですけれども、ただ、医療現場におきましてそういった現実もあるんです。

 この人材不足に関して、最後、塩崎厚生労働大臣はいかがお考えでしょうか。

塩崎国務大臣 手術室を別の用途にというお話でございましたが、先ほど局長から申し上げたとおり、本来の守らなきゃいけないものを守っていなかったということは何も変わらないわけでございまして、別の用途での使用を行わないような指導が京都市からも行われているということでございます。

 これから、医療資源をどう活用して、どういう医療を展開していくのかというのがいろいろそれぞれの地域で問われてくるわけでありますけれども、やはり基本は基本としてしっかりと守っていただきながら、その中で、医療として許容できる範囲をしっかりと見据えてやっていただきたいなというふうに思います。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 時間なので、終わります。

秋元主査 これにて伊東信久君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村弥生君。

木村(弥)分科員 自民党の木村弥生でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、初めに、大学院における特定行為に係る看護師の研修制度についてお尋ねいたします。

 医療、介護をめぐる国民のニーズの広がりに対応するために、各職種の役割のさらなる発揮が不可欠です。

 一昨年の通常国会におきまして、医療介護総合確保推進法が成立し、特定行為に係る看護師の研修制度が創設されました。この制度は、チーム医療の観点から、効果的、効率的な医療提供を進めることを目的としております。本制度の実施は、在宅を含む医療現場におられる多くの患者さんが待ち望んでいたものと理解しております。

 平成二十八年度予算案におきまして、厚生労働省は、特定行為に係る研修機関の支援事業費を計上するほか、指導者育成事業等を計上し、充実した財政支援を行おうとする努力が見てとれます。ありがとうございます。

 しかしながら、制度化に先立ち行われた試行事業で成果を出していた、大学院での取り組みが広がりを見せておりません。現在、看護系大学院修士課程はおよそ百六十課程あるうち、この研修制度を取り入れた課程はわずか七つの大学院にとどまっております。

 国民のニーズに対応できる高度な判断能力、実践能力を持つ看護師を育成することは急務であり、大学院での取り組みの拡大が必要でございます。大学院での推進が図られるための対策についてお伺いします。

太田大臣政務官 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けましてさらなる在宅医療等の推進を図っていくためには、御指摘のとおり、熟練した看護師のみでは足りず、医師または歯科医師の判断を待たずに、手順書に従って一定の診療の補助を行う看護師を養成し、確保していくということが必要になっております。昨年十月に特定行為研修制度が創設されたのも、そのような背景によるもので、御指摘のとおりだと存じます。

 特定行為と申しますのは、診療の補助であって、実践的な理解力、思考力、そして判断力を要し、かつ高度な専門知識や技能が必要とされるものでございます。このため、特定行為研修の受講が義務づけられているわけですけれども、その中では、臨床病態生理学あるいは臨床推論等、大変高度な学問も学ぶことになっておりまして、大学院においても積極的に研修に取り組んでいただきたい、私もこのように考えます。

 御指摘のように、予算では大変な増額をいたしました。指定研修機関の確保等に向けて、二十七年度に引き続いて、指定研修機関の設置準備や運営に必要な経費に対する支援、指定研修機関や実習施設において効果的な指導ができるように、指導者を育成するための経費等について、増額計上しているところでございます。

 指定研修機関は、現在、全国に二十一カ所ございますけれども、そのうち大学院は七カ所でございます。今後とも、引き続いて、より多くの看護師さんに研修を受けていただくために大学院等の積極的な取り組みは不可欠であると思いますので、大学院等の関係者に積極的に働きかけを行いまして、指定研修機関の拡充を図ってまいりたい。看護に対して大変強い思いを持っておられる木村委員の思いをしっかり伝えてまいりたいと思います。

木村(弥)分科員 太田政務官、ありがとうございました。

 次に、看護職員の夜勤、交代制勤務に関する規制についてお尋ねします。

 私たち看護職は、二十四時間三百六十五日、患者さんに寄り添う仕事です。その分、夜勤、交代制勤務の負担から健康を損ね、離職する看護職も少なくありません。

 しかしながら、現行の労働時間法制におきましては、看護職員の夜勤、交代制勤務に関する規制は行われておらず、診療報酬の入院基本料算定における月平均夜勤時間七十二時間以下が唯一の歯どめとなっております。

 看護職員の夜勤、交代制勤務の負担軽減は、離職防止、人材確保、ひいては患者さんへの安全な医療、看護の提供のために必要です。

 折しも、平成二十七年二月に、労働政策審議会におきまして、深夜業の回数の制限や勤務間のインターバルの導入に向けた具体的な方策を検討することなどを労働時間等設定改善指針に盛り込むことが建議されております。

 これを実効ある規制としていくために、具体的にどのように取り組んでいくのか、お尋ねします。

山越政府参考人 政府が現在提出をしております労働基準法等の改正法案におきましては、今先生がおっしゃられました勤務間のインターバルに関しまして、労働時間等設定改善法、これは各企業の労働時間についての自主的な取り組みを促す法律でございますけれども、この法律を改正することとしております。

 具体的には、終業から始業までの時間、これはインターバル勤務でございますけれども、これをこの法律の対象事項の一つとして規定するとともに、先生がおっしゃいましたように、同法に基づく指針を見直しまして、勤務間インターバルの確保に向けた方策を労使で検討すべき旨を指針に明記する方針でございます。

 法案を成立させていただきました暁には、厚生労働省といたしましても、労働時間の設定改善につきまして、勤務間インターバルを含めまして指針の周知を図ることなどによりまして、各企業、団体におけます自主的な取り組みが図られるように努めてまいる所存でございます。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 看護の仕事は国家資格です。一生働き続けられるために、看護職の離職防止のために、何とぞ、そのように推進していただきますよう、切にお願い申し上げます。

 次に、三番目の質問でございます。

 介護職のインセンティブでございます。

 高齢者のケア施設で看護職と一緒に働く介護職の皆さんの離職等、またいろいろと大変だということを聞いております。そこで、介護の現場というものは常に人手不足ということでよく指摘されておりますけれども、その待遇改善というのも大変重要なんでありますけれども、専門性の確立、このような視点も重要ではないかと思います。

 介護職員がその専門性を生かしたケアによって高齢者のADLが改善したとしても、現行の介護保険制度では、要介護度が軽くなると、事業者が受け取る介護報酬が減ってしまうんです。リハビリや自立支援に力を入れているとアピールする事業者は多いんですけれども、実際に要介護度が改善してしまうと、自分のところの報酬が下がってしまう。その一方で、介護度の重度の利用者が多いと、介護職員はやはり大変疲弊して、離職率が高くなってしまうという傾向があります。

 このような介護報酬の矛盾が、事業者や職員のやる気を低下させているのではないかと私は思います。介護職員が懸命に専門性を生かそうとケアに取り組んでも、経営側からは損になりかねない。経営陣と現場職員の方向性が一致していないと、組織としての本当の力というものが発揮されないのではないでしょうか。介護職員の離職理由につきましても、法人や事業所の理念や運営のあり方への不満というものが多いです。

 介護職員のモチベーションが下がる現実に対して、検討している改善策についてお尋ねいたします。

塩崎国務大臣 誰しもやはり人間というのは、評価をきちっとして、評価を受けるということが大変インセンティブになるんだろうというふうに思います。

 これは介護に限らず医療も同じことだろうというふうに思いますが、今お尋ねの介護報酬に介護サービスの質の評価を適切に反映させる、入れ込むということで、効果的な、そしてまた効率的な介護サービスが提供されて、介護職の皆さん方のやりがいが向上し、そして何よりも、やはり介護を受ける方が要介護度が向上する、軽くなる。そういう結果、つまり、要介護の方々の言ってみればみずからの評価が高まるということが、あわせ期待をされることではないかというふうに思うわけであります。

 介護において、事業者の努力の結果の評価としては、まず、平成二十四年度の介護報酬改定では、在宅復帰を目的とする老人保健施設での在宅復帰率、これへの評価を新設いたしました。二十七年度の介護報酬の改定では、先ほどの、日常生活動作が改善したとき、後に、介護保険サービスを利用せずに、地域における趣味活動などができるようになるなどの質の高いリハビリテーションの提供をした事業所への評価を新設したということがございまして、こういった評価が可能なものについては順次導入をしてきているところでございます。

 今後とも、介護サービスの質の評価のあり方について継続的な検討を進めて、介護サービスの質の向上につながるものについてはアウトカム評価を導入してまいりたいというふうに思います。

木村(弥)分科員 ありがとうございます、大臣。

 高齢者の自立度が改善しまして、また介護職員のモチベーションがアップすれば、こんなにいいことはないと思います。私ども看護界におきましても、三年ぐらい前から、ディンクルといって、看護職の労働と看護の質を評価するというデータベースでそういうシステムを取り入れております。そういうところによりまして、頑張っている介護職員が、専門性を生かしたことがちゃんと評価できるような、そういった仕組みをぜひ進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

 四番目の質問でございます。

 要介護認定を受けた高齢者の運転免許の保持についてでございます。

 警視庁の統計では、七十五歳以上の高齢運転者による死亡事故の件数及び死亡事故件数の全体に占める割合は増加の一途をたどっております。超高齢社会でございますので、年齢が高くなるほど事故がふえている。その一方で、特に公共交通機関の衰退が進む地方の過疎地域に住む高齢者にとって、車は重要な生活の足です。買い物や通院のために欠かせない交通手段となっているという側面があります。

 そこで、要介護認定を受けた高齢者の自動車運転についてお尋ねしたいと思います。

 まず一点が、認知症の高齢者による自動車の運転についてですけれども、これは昨年の道路交通法の改正によって対策が講じられましたが、日常生活の基本動作について支障があり、要介護認定を受けた高齢者の運転免許保持に対しては、現状において制限がございません。

 要介護認定を受けた高齢者の自動車の運転についても、今後何らかの対策を講ずる必要はないのか、見解を伺います。

掛江政府参考人 高齢の免許保有者の増加に伴い、要介護認定を受けた方を含め、高齢運転者の交通事故対策はますます重要となっていると認識しております。

 そのため、七十歳以上の運転者については、従来より、更新時の高齢者講習において、実車によるきめ細かな指導を実施しているところでございますが、さらに、委員御指摘のとおり、昨年六月の道路交通法改正により、七十五歳以上の高齢運転者について、運転免許証の更新に際して行われる認知機能検査で認知症のおそれがあると判断された場合に、その者の違反状況を問わず、医師の診断を要することとする制度等が新設されたところでございます。

 また、この改正法の施行とあわせて、本人の身体機能の低下をより自覚していただけるよう、認知機能検査で認知機能が低下していると判断された方については、実車指導に加え、その結果を踏まえた個別指導を行うことを予定しております。

 なお、要介護認定を受けた方が、その身体の障害により、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがあることが運転免許の更新の機会あるいは家族の相談等を通じて判明した場合には、運転免許の取り消し等を行うことになります。

 警察庁といたしましては、今後も、こうした取り組みにより、高齢運転者による事故防止を図ってまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 ありがとうございました。

 また、高齢者の御家族が運転免許の返納を勧めても、返納後の代替的な交通手段がないために返納しない高齢者も多いと聞いております。

 私も、両親がもう七十四と七十六で、非常に切実な問題ではございますけれども、こういった高齢者による悲惨な交通事故を減らすために、運転免許を返納しても不便を感じることなく生活できるよう、高齢者、要介護者に対する移動支援サービスというのを充実を図っていく必要があると思うんですけれども、その御見解をお尋ねいたします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 急速に高齢化が進行する中、自家用車を運転することができない、もしくは運転をやめた高齢者や要介護者といった方々の移動の手段として、地域における公共交通の確保が重要な課題であると認識しております。

 そのため、一昨年の通常国会におきまして、地域公共交通活性化法を改正いたしまして、地方公共団体が先頭に立って、持続可能な地域公共交通ネットワークを実現するための計画、こういった計画を策定する制度を創設いたしました。

 現在、このような計画策定などを通じまして、中山間地等を中心に、バスのみならず、デマンド交通、コミュニティーバスの導入など、多様な交通モードを組み合わせつつ、地域の足を確保しようとする取り組みが進んできております。また、このような取り組みを推進するため、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、助成などの支援も行っております。

 さらに、昨年七月には、地方運輸局に、地域の公共交通を担当する専門部署として交通政策部を設置いたしまして、地方公共団体や地域の関係者と連携していくための体制も強化いたしました。

 国土交通省といたしましては、今後とも、関係省庁や地域の皆様との連携を密にしつつ、地域における生活の足の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 これは多分、エリアによっていろいろと事情等があると思いますので、一概には言えない問題かと思いますけれども、非常に皆さんが心配していることではないかと思いますので、今後とも取り組みをお願いいたします。

 それでは、次の質問に参ります。

 性犯罪の被害者の支援についてお尋ねいたします。

 現在、性犯罪、性暴力被害者支援のためのワンストップ支援センターというものが全国に二十六カ所あります。私も、東京、大阪、名古屋と視察してまいりました。これは、なるべく、四十七都道府県に最低一カ所以上設置すべきだと思います。

 私が行ったところでは、まだ開設してからわずか五日間しかたっていないのに八件の被害の状況があり、その中の半分が児童であった、そういった痛ましい話を聞きました。

 そのためには、継続的に予算というものを確保して、地方公共団体の取り組みを支援していく体制を構築すべきだと思っているんですけれども、なかなか難しい実情があるとも聞いておりますが、いかがでしょうか。お願いします。

大塚政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、犯罪被害者等の支援のためのワンストップ支援センター、私ども内閣府といたしましては、平成二十六年度から、実証的調査研究事業という形になりますが、地方公共団体におきますワンストップ支援センターの開設、運営など、被害者の方々に対する取り組みを支援してきているところでございます。

 センターの設置に関しまして、昨年の十二月に男女共同参画基本計画を策定いたしましたが、その中で、委員もお話しでございました、やはり各都道府県に最低一カ所は設置をしようということを成果目標として新たに掲げたところでございまして、今後、この設置の促進に一層取り組んでいくこととしているところでございます。

 そういったこの調査研究事業でございますが、二十八年度の予算案にも所要の額を計上させていただきました。お認めいただければ、引き続き二十八年度もこの事業を実施してまいりたいと考えております。

 その上で、こうした取り組みの成果、あるいは支援センターの設置が今後どう進んでいくのか、そういったような動きも見ながら、国として、さらにどういう取り組みが必要となっていくのか、検討してまいりたいと考えております。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 この問題は、平成二十七年度の犯罪被害者白書によりますと、二十六年は強姦が千二百五十件、強制わいせつが七千四百件となっているといいますけれども、警察に言っていないような、そういった実数というのが必ず、これは氷山の一角だと思うんですね。なるべく被害者の心の負担というものがないように、ワンストップ支援センターというのも大事ですけれども、やはり病院とかそういったところできちんと支援していく、そういった取り組みをぜひ進めていただきたいと思っております。ありがとうございました。

 子供の話をちょっといたしましたので、次にまた児童相談所に関して質問させていただきます。

 児童相談所の全国共通ダイヤル一八九についてでございます。

 これまで児童相談所の全国共通ダイヤルというのが十桁の番号だったんですけれども、これが覚えやすい三桁の番号一八九になりました。自民党の女性局等の努力によったものと認識しております。

 このこと自体は、児童虐待の早期発見につながるものとして大変よかったと思うんですけれども、その中で、改善を求める多くの声が寄せられております。

 一八九は、実は、児童相談所に転送されるシステムなんですけれども、途中で電話を切るケースが非常に多いと聞いています。これは、一一〇番や一一九番みたいに、押しただけですぐその所轄の児童相談所に行くような、そういうシステムにはなっておらず、有料で、料金を説明するガイダンスなどがありまして、それが一分近くかかるものですから、途中で嫌になって切ってしまう、そういったことがあるそうです。

 限られた少子化の時代、子供の児童虐待を早期に発見し、助けるためにも、この児童相談所全国共通ダイヤル一八九の改善を図るべきであると考えております。この無料化も含めた検討など、いろいろ予算上の問題もあるとよくわかっておりますけれども、現状の段階でどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。

香取政府参考人 一八九、児童相談所全国共通ダイヤルについての御質問でございます。ありがとうございます。

 御指摘のように、これは、虐待を受けたと思われるお子さんたちについて、ためらわずに御連絡をいただけるようにということで、今先生お話ありましたように、昨年の七月に、十桁番号から三桁番号、一八九、「いちはやく」と我々は呼んでおりますが、三桁番号にいたしまして、あわせて、二十四時間三百六十五日対応できるようにということで措置をいたしました。

 今、数字を集計しておりますけれども、これによりまして、受電件数は、文字どおり桁が一つ上がるぐらい連絡の電話が入っておりまして、その意味では、この番号自体は、児童虐待防止の理解を進めていただくということにとっては非常に役に立ったと思っております。

 他方、御指摘のように、実は児童相談所につながるまでのところは無料ということになって、そこから料金がかかるんですが、このガイダンスが約一分十秒かかっているということと、非常に受電数が多くなったということもございまして、なかなか最後までたどり着かないということが現実に起きております。私どもは、まず、そもそもこのガイダンスの時間をできるだけ短くしようと、今いろいろ努力をして半分ぐらいにできないかと思っておりまして、これをやろうと。

 それから、途中で、特に携帯電話からかけますと、どこからかけているかを確認するためのプロセスがありまして、そのときに、お住まいのところの郵便番号を押してくださいとかそういうのがあるものですから、それが非常に手間だということで、これをまず改善するということで、とにかく早急にやりたいというふうに思っています。

 もう一つは、そもそも相当大量の電話がかかってきておりますので、今のシステムだと、受電件数に対して十分対応できたかどうかというそもそもの問題がございまして、ここは少し、ほかの、一一〇番とか一一九番とかでとっているオペレーションのシステムなんかも参考にして、そもそも少しシステムそれ自体を見直す必要があるんじゃないかと思いまして、これはちょっと時間とお金がかかるんですが、当面の対策とあわせて検討して、早急に対応いたしたいと思っております。

木村(弥)分科員 ありがとうございます。

 私は、日本に生まれた全ての子供たちが、どんな家庭環境であろうと、社会と大人を信頼してすくすくと成長していけるような、そんな社会にしていきたいと常に思っております。どうかこれからもそのような取り組みをお願いいたします。

 最後の質問に参ります。

 昨年、通常国会が終わってから、いろいろと私は興味のあるところを視察してまいりました。その中に、乳児院や児童養護施設、児童相談所等がありました。児童虐待の現状や社会的な養護のあり方について、いろいろな、さまざまなお話を伺ってきたところでございます。

 その中で、非常に残念に思ったことが一つございます、たくさんあるんですけれども。

 学校の先生、本来、児童、子供たちの立場に立って、何か問題があれば助けなくてはいけない小学校の先生方が、非常に不用意な質問によって子供を非常に孤立的な立場に追いやったという残念なお話です。

 貧困家庭であることを察知できずに、電気も水道もとめられているところでお風呂に入れない、そんな中で、みんなの前で、ちょっとにおうからお風呂に入ったらどうかと言った、そこでもう不登校になった。子供にとって、みんなと自分は違うんだといったことがどれだけ心に傷をつけるかということを、小学校の先生がわからないといった事実を非常に残念に思います。

 ここで、教壇に立っておられる先生方がそういったことのないように、何か研修の実施、また基礎教育において改善を図るべきだと思いますけれども、いかがでございますでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、教員は、子供たちの気持ちを十分理解し、適切に指導、支援していける、そうした資質が必要でございます。

 こうした観点から、教員養成におきましては、教職課程において、児童生徒理解や教員の果たすべき役割等について修得しておるところでございますけれども、また、必修となっております介護等体験、これは七日間でございます、そこにおきましては、高齢者の介護施設などのほか、児童養護施設も規定上実施の対象になり得るという形にはなっておるところでございます。

 また、現職教員の研修につきまして、教育相談等についての研修の充実を図ってきているところでございますが、いずれにいたしましても、児童生徒と信頼関係を築き、深い児童生徒理解のもと指導ができるよう、資質の向上を図っていくことが必要と考えておるところでございます。

 また、昨今、子供たちを取り巻く環境が複雑化、多様化している状況の中で、私ども、チーム学校という理念のもとで、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフ、あるいは近隣の児童養護施設などの機関とも連携協力しながら、児童生徒の教育に当たっていくことが必要というふうに考えておりまして、今後もこうした観点での取り組みを推進してまいりたいというふうに存じます。

    〔主査退席、山下主査代理着席〕

木村(弥)分科員 ありがとうございました。

 今、学校の先生がどんなに疲弊して大変かということは重々承知した上でのお願いでございます。

 もう一度言いますけれども、日本に生まれた全ての子供たちが、どのような家庭環境であろうと、明るく、すくすく、社会と大人を信用して生きていくような、そういう社会にしていただきたいと思っております。

 私の質問は終わります。ありがとうございました。

山下主査代理 これにて木村弥生君の質疑は終了いたしました。

 次に、大隈和英君。

大隈分科員 自民党の大隈和英でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、きょう、まだ詳細なところがつまびらかになっておらぬのですが、大阪の市内で大変大きな自動車事故がございまして、たくさんの方が犠牲になられたというふうに聞いております。心からお見舞いを一言申し上げまして、質問を始めさせていただきたいと思います。

 さて、国民の死因の一位である、今、国民病とも言える、がんですね。対がん戦略といたしまして、がん検診、検診率の向上による早期発見が必須の課題でございます。その中で、がん検診の受診率に、都道府県単位、あるいはその中でも市町村の単位で大きな格差が存在しているということがよくわかっております。

 その中で、問題となりますのは、受診率の低い都道府県や市町村での改善に向けた抜本的な対策が急務であるというふうに考えておるんですが、私の地元であります大阪を初め関西や、同じ都道府県の中でも、例えば郡部より都市部というような、長く受診率が低いままでとどまっている地域、そういうものがございます。

 しっかりとした取り組みを日本全体で、オール・ジャパンでやっていかなければならない中で、厚労省としての、この差異、格差の問題、その御認識や、低いままでとどまっているというような現状についての御評価や、あるいは現在までの低いところに対しての対策をぜひお伺いしたいと思います。

福島政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、がん検診の受診率が低い自治体があることは、私どもも、もちろん認識しておるところでございます。

 厚生労働省では、がん対策推進基本計画に基づきまして、がん検診受診率五〇%の目標達成に向けて取り組みをしておるわけでございますけれども、同時に、市区町村が実施するがん検診の実態を調査して、受診勧奨の方法などの把握に努めているところでございます。

 今年度の実態調査では、個別受診勧奨の実施状況や、あるいは特定健診との同時実施、こういう状況を把握したところ、市区町村の間でこういう取り組みに非常に差があるという調査結果でございました。

 昨年十二月に策定したがん対策加速化プランにおきましても、こういう結果を踏まえまして、受診率向上に向けた取り組みなどを比較可能な形で公表することや、かかりつけ医による検診及び精密検査の受診勧奨を進めていく、こういうことを通して受診率向上に係る取り組みの強化を図ることとしておるところでございます。

 また、今月でございますけれども、市区町村の担当者向けの研修会を開催いたしまして、がん検診の受診率向上に係る具体的な取り組み事例、よい取り組み事例の共有を図ったところでございます。

 今後とも、がん検診の受診率向上に努めてまいりたいと考えております。

大隈分科員 このお配りしております資料、これは少し古い資料になりますが、最近でも、大阪のデータを見ておりましても、都道府県の差がなかなか埋まってこないなということは考えております。実は、私も大阪でがんの診療に取り組んでおりました者でございますので、責任の一端はあろうかというふうに自省の念を込めておるんです。

 例えば、この全国の、一枚目のグラフを見ていただきますと、左の山形県、宮城県、それから福島、秋田というのが、ほかの五大がんもそうなんですが、大体高いところでございます。それに対しまして、右側を見ていきますと、大阪、兵庫、和歌山、京都というような、私どもの近隣の近畿のところが少し多いのかなというふうに考えておるところでございます。

 その中で、資料の二枚目をめくっていただきますと、取り組みが都道府県によっても、あるいは自治体によっても、今、例えば住民の無料がん検診というようなものが私の地元の高槻市でも昨年の九月から始まりましたが、非常に頑張っているところは頑張っておられるなというふうに考えておるんです。

 その中で、一方で、頑張っていないように見えてしまう、例えば、私もそこで聞いてみますと、なかなか予算がとれなくてなんという話を聞くんですが、予算を投じた広報啓蒙活動を精力的に頑張っておられる都道府県、自治体に対して、一方では、余り努力が見えないようなところ、そしてなかなか改善の結果が出てこないようなところをやはり一律にして評価するわけにはいかないんじゃないかなというふうに考えております。

 そこに住んでおられる方々は選ぶ力がないわけですから、そういう点では、都道府県の責任、自治体の責任というものはやはり大きかろうというふうに考えております。

 その中で、がん対策基本法十年、あるいはがん対策推進基本計画の見直しの時期に当たりまして、次なる一手として、さらなるがん検診、あるいはほかの検診もそうですけれども、受診率の向上に向けて、抜本的な対策、あるいは少し刺激的な対策が必要ではなかろうか、そういう時期に至っているのではないかなというふうに考えております。

 特に、欧米諸国に関しましては、日本と比べ物にならないぐらい、がん検診の受診率が非常に高いわけですので、では、なぜ日本だけそうなんだということを考えたときには、まだまだ我々が努力をするべきところがあろうかと思います。

 その点に対しまして、改善に向けた何かしらカンフル剤のような大きな取り組み、あるいはインパクトのあるものをやっていただきたいと思う中で、その意気込みといいますか、お考えをぜひ御披露いただきたいと思っております。

福島政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えしたように、私ども、いろいろな市区町村のがん検診の受診率向上の取り組み状況の把握に努めているわけでございますけれども、がん対策加速化プランにおきましても、市区町村の検診の受診率であるとか、あるいは死亡率、あるいは取り組み状況ということを比較可能な形で公表する、これによって、自分のところが全国ではどれくらいの位置づけにあるのか、それはそれぞれの市区町村もわかりますし、また周りからもそれがわかるようになるわけでございますけれども、そういうことをすることによって、一つは各市区町村の奮起を促すということをしていきたいと考えております。

 先ほど、研修会とか、そういうことがありましたけれども、好事例の取り組み内容の周知というものも図っていこうと思っています。

 さらに、がん対策加速化プランの中でも書いておりますけれども、市区町村、それぞれ特性がございますけれども、特性に応じて、市区町村が行動変容を起こすための、取り組みを一生懸命やってもらうためのインセンティブあるいはディスインセンティブ策、これを導入するということにしておるわけでございまして、こういうものを通して、各市区町村のがん検診の受診率向上の取り組みを促していきたい、そういうふうに考えておるところでございます。

大隈分科員 実は私も、大学院の研究で、診療情報のビッグデータをさわりながら、医療のパフォーマンスに大変な格差があるんだということが見える可視化のプロジェクトをさせていただいておりましたが、実は、データを公表すると、やはりドクターというのは非常に、自戒を込めながら思いますと、いろいろ言いわけ、エクスキューズがあるんですよね。うちは山が邪魔してなかなか拠点病院までたどり着かないんだとか、いろいろ言われるものですから、やはりそういう点のインセンティブあるいはディスインセンティブというものが本来必要になってくるのかな。残念なことではありますが、その点をまた御検討いただきたいというふうに考えております。

 一方で、受診率の向上には、最近普及してきました無料クーポンだけでなく、コール・リコール制度なども改善効果が報告されております。

 また、最近の研究では、医療保険別に、その加入者によって大きな格差があるということがわかってきております。市町村の国保の加入者、被用者保険の被扶養者、生活保護受給者等々がハイリスクグループだというふうに報告されておりますので、それらの方々、大企業に勤めておられて手厚い健康診断、検診が受けられる方ではない、そのハイリスクグループに関しての厚労省としてのアプローチやアクションをお伺いしたいというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

福島政府参考人 実際に、例えば、医療保険ごとに受診率にかなり差がある、属性によって差があるということは、私どももいろいろなデータを分析して、そういうふうな状況があるということは承知しております。特に、市区町村の国保の加入者、それから被用者保険の被扶養者、御家族でございます、あと生活保護受給者等が、被用者保険の本人に比べますと、やはり低うございます。

 こういうことから、こういう検診の対象者というのは、市町村の検診の受診をされる、そういう方なわけでございまして、そういう面では、市区町村におけるがん検診の受診率向上がやはりこういうものにつながるんだろうと思っています。

 その点で、例えばかかりつけ医による個別の受診勧奨の支援、先ほど先生御指摘のありました、いわゆる再勧奨、精密検査の未受診者に対する再勧奨とか、そういうことにも取り組むように、来年度予算でもそういうものを予算案の中に盛り込んでいるところでございます。

大隈分科員 ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきます。

 安倍政権は、一億総活躍社会を標榜する中で、総理みずからが、難病や小児がんなど、レアケースであっても、救いを求める全ての方々のために、先頭に立って頑張っていこうということを標榜してくださいまして、一国民としても、一人の医師としても、大変にありがたい思いをしております。ここには今、塩崎厚労大臣もおられますので、一言感謝を申し上げたいというふうに考えております。

 その中で、現在、先天性の心疾患、例えば、心臓に穴があいて生まれてくる子供、生まれながらにして心臓に病気を抱えておられる子供を一つ例にしてお話し申し上げますと、心臓の外科手術や内科治療の進歩によって、先天性の心疾患の子供の八五%、ほとんどは、思春期や成人期まで生き長らえることが可能になってまいりました。昔ではなかなか考えられないことも今可能になってきております。

 その一方で、その子供たちも学校を卒業して、社会人となってくる時代になって、大変にうれしい限りではありますけれども、そうしますと、最初のころ手術された患者さんたちも、今、三十年、四十年たってきて、いよいよ私のような中年期を迎えておられることが多うございます。

 先天性の心疾患の患者さん、要するに、子供のころに心疾患を抱えていながら大きく育っておられる成人を迎えた方が、四千人の割合で一年間にふえてきているという学会の報告もございます。その中で、今や、十八歳以下よりも、本来の小児の先天性の心疾患の患者さんの数よりも逆転してきているという現象が見られているというふうに聞いております。これは、何らかの身体的障害を抱えたお子さんたち全てに当てはまる事象だというふうに考えております。

 そこで、困ったことに、その成人した患者さん、心疾患なら心疾患ですが、診てくれるドクターが少ないという問題がございます。

 例えば、成人の循環器科にいきなり行かれても、複雑な心奇形というのは非常にケースが少ないということもありまして、相変わらず小児科の先生がそのまま、大きくなってもフォローアップされております。小児科自体がパンクしそうな外来でやっておられるわけです。

 その一方で、成人の循環器のドクターにとっても、診療になれていないということもありますし、学会全体でも、診察を、たくさんこの症例数を経験していくことが実際のキャリアアップにつながっていないという学会の内情もあろうかというふうに考えております。

 要するに、今の現状を早いうちに是正しまして、この小児から成人に向けての診療体制を構築していかないと、そのうち、外来でたらい回しに遭ったり難民になっていかれる患者さんが早晩出てくる、あふれ出してくるという時代が目の前に来ているというふうに考えております。

 そういう点で、小児と成人の診療の移行、トランジションを促す診療体制の充実を厚労省、学会、ともにタッグを組んで図っていただきたいというふうに考えておりますが、その点の御見解をいただきたいと思います。

福島政府参考人 議員御指摘のとおり、先天性心疾患を含みます小児慢性特定疾病等については、成人後も必要な医療等を切れ目なく行う体制の充実が必要だ、そういうふうに考えておるところでございます。

 昨年十月に、小児慢性特定疾病等施策の推進を図るための基本的な方針、これを定めたわけでございますけれども、この中でも、主に成人医療に従事する者が適切な医療を提供できるように、小児期それから成人期をそれぞれ担当する医療従事者間の連携を推進する、こういうことをこの中でも規定しておるところでございます。

 今年度からでございますけれども、国立成育医療研究センターを中心に、関係学会の協力を得まして、小児期及び成人期をそれぞれ担当する医療従事者間の連携を推進するためのモデル事業、これを実施しておりまして、また、連携上必要な医学的知見等の情報収集、さらには円滑な連携方法等の研究も進めているところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、今後、そのモデル事業の成果を都道府県等の地方公共団体や医療従事者の方に提供することによって、小児慢性特定疾病をお持ちの子供さんが成人になった後も必要な医療を切れ目なく受けることができるような、そういう体制の充実の支援を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

大隈分科員 ありがとうございました。

 ここには、きょうは遅い時間ですが、国立循環器病センターを地元に抱えておられますとかしき副大臣もおられますので、またぜひとも皆様方にお力をおかりしたいというふうに考えております。

 持ち時間が少なくなってまいりましたので、時間の都合で、次の機会にさらに詳細に踏み込みたいと考えておりますが、一言言及させていただきたいのは、やはり医療と消費税についてのことも避けて通れないかというふうに考えております。

 消費税一〇%を目前にしまして、税率アップに伴いまして増大する医療機関の控除対象外消費税、すなわち、いわゆる損税の発生でございます。特に購買規模が大きい大学病院の損税というものは、さまざまなデータ、きょうは資料三、四とおつけしておりますが、小手先の診療報酬の補填ではとても追いつくようなレベルではないということが叫ばれておるところでございます。

 とりわけ、国や自治体の補助があります国公立の大学病院よりも、私立大学の附属病院での損税が顕著になっている状況でございまして、計算上、五%のときでさえ、一病院当たり約四億円の私立大学病院での損税が発生しているという現状がございます。

 これが一〇%になればさらに大きくなるというのは自明の理でございますので、その点での抜本的な税制議論を政府・与党と進めながら、抜本的な改革が求められるところでございますが、やはり国民的な関心、窓口でどなたが負担されるのかということもあろうと思いますし、国民的な関心や議論の喚起に関しまして、やはり厚労省にも大きな役割を担っていただかなければならないというふうに考えております。

 現在の私大病院の極端な不利益やアンバランスを踏まえた上での今後のお取り組み、見解をお伺いさせていただければと思っております。

神田政府参考人 先生御指摘の医療機関の消費税の問題についてでございますが、抜本的な解決を図ってほしいという要望があることは我々も承知をいたしております。

 昨年、中医協の医療機関等における消費税負担に関する分科会というところで、これは、五%から八%に上がったとき、診療報酬上の手当てでどの程度補填をされたのかということでございますが、全体としては、おおむね一〇〇%補填はされておりますけれども、特定機能病院については九八%ということで、その割合が若干低いという状況にございます。

 この問題につきましては、昨年末に取りまとめられました与党の税制改正大綱におきましても、抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるよう、実態の正確な把握を行いつつ、税制上の措置について、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、関係者の意見、先生からも御指摘ございました、特に高額な設備投資にかかる負担が大きいとの指摘等も踏まえて、平成二十九年度の税制改正に際して、総合的に検討し、結論を得るというふうにされておりますので、引き続き、与党の御議論の状況なども踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。

    〔山下主査代理退席、主査着席〕

大隈分科員 ありがとうございます。

 今、その議論の中で、蚊帳の外と言うと言葉が過ぎますが、国民的な関心といいますか、興味、関心の喚起というものが全く今感じないところもございますので、やはりこれは国民的な、共有する問題、関心事でございますので、そういう点での啓蒙等々もあわせて力をおかしいただきたいというふうに考えております。

 さて、最後の質問に移らせていただきます。

 障害児童の支援学校の進学、就労の支援についてでございます。

 私の地元にも、創立五十年、ことしで五十一年の歴史を紡ぎます大阪府立高槻支援学校というものがございます。キャリア教育・就労支援等の充実事業がスタートいたしまして、大変熱心な教員の先生方の頑張り、あるいは児童の、生徒さんの頑張りで、この事業のモデル校にも指定されまして、御家族や地域の協力も大変良好であるということもプラスに加わり、進学、就労も右肩上がりの効果が出てきております。

 その状況から、次に求められますのは、進学や就労後、それが長続き、定着するかどうか、その継続でありまして、そして質的な向上、単に進学や就労すればいいというものではなくて、そこに行ったことにより、例えば、仕事をする、お給料をもらうという幸せを感じたり、人生の喜びを感じる、QOLを上げていく、あるいは、賃金がアップして、例えば自分の欲しいものを自分で買うことができる、経済的に独立していける、そういうような質的な向上が必要かというふうに考えております。

 実際にその質的な検証をするためには、やはり客観的な、正確なデータが必要不可欠だというふうに考えておりますが、なかなか乏しいというのが現状だというふうに考えております。

 支援学校にせよ、障害児受け入れをされておられる一般の学校にせよ、次のステージのかけ橋となるコーディネーターさんの持続的な配置など、大変重要な取り組みを今しておられるところですが、そこのところの取り組みにつきまして、障害者総合支援法が施行されまして三年、見直しの時期を迎えますが、現状での進学や就労状況の評価、私も資料を最後につけておりますが、あるいは、さらなる進学や就労の定着、継続に向けた取り組みのお考えをいただけたらというふうに考えております。

 資料の最後でございますが、見てまいりますと、障害の内容あるいはグレードなどによって、やはり大きく、バラエティーといいますか多様性があるのかなというふうに考えておりまして、難しいところもあろうかと思いますが、さらに前に進めるようなプロジェクト、お取り組みにつきまして、見解をお伺いしたいというふうに思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年三月のデータでございますが、特別支援学校生徒の卒業後の状況につきましては、就職者が二八・八%、進学者が二・一%となっております。

 特別支援学校の生徒が、将来、社会人、職業人として自立し、就労を継続させていくということは、非常に重要でございます。

 先生からも御紹介いただきました、キャリア教育・就労支援等の充実事業というのを実施いたしておりまして、モデル地域におきまして、就職先や就業体験先の開拓などを行う就労支援コーディネーターを配置するとともに、労働や福祉の関係機関と連携し、企業などのニーズにも対応した就業体験、ソーシャルスキルの指導、あるいは技能検定等の実施などの取り組みを行っていただいているところでございます。

 また、大学におきましては、障害のある学生の支援担当部署の設置などによりまして、個々の障害の状況を踏まえた修学支援を行っているところでございまして、文部科学省におきましても、障害のある学生の修学支援のための各大学における取り組みを促進しているところでございます。

 今後とも、御指摘のように、現状を把握しながら、障害のある生徒の進学、就労が継続できるように、特別支援学校におけるキャリア教育、就労支援の充実、あるいは大学における修学支援の取り組みといったものを推進してまいりたいと考えております。

大隈分科員 ありがとうございます。

 例えば、病院の中でも、この十年、十五年の間に、チーム医療でありますとか、いろいろな診療科であったり多職種のコーディネーター、リエゾンというようなことも非常に叫ばれながら、大分うまくいっているなという感想を持っております。

 そういう点でも、この障害児、障害者の取り組みにおきましても、やはり多職種、あるいは、いろいろな地域も含めた方々の、そのコーディネートをしてくれるコーディネーターの存在も非常に大きいと思いますし、地域の理解も不可欠でありますので、例えば、その事業の見直しが終わった後に、そういうものが逆に減らされるであるとか継続できないということがないように、ぜひともお願いしたいというふうに考えております。

 最後になりますが、今のところ、社会保障全体が大きな問題を抱えている中で、その数は少ないかもしれませんが、すき間すき間となるような患者さんであるとか、あるいは障害児・者に対しての光が隅々まで、くまなく当たるようにしていかなければならないということを私自身も微力ながら感じておるところでございますので、皆様方にはさらなる御支援をいただきたいというふうにお願い申し上げまして、質疑の方を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋元主査 これにて大隈和英君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井崇志君。

高井分科員 維新の党の高井崇志と申します。

 まず、大臣におかれましては、いよいよ最後でございます。朝八時から夜の八時まで十一時間、計二十二人、これだけの質問を答えられるというのは、本当に頭が下がります。本当にお疲れさまでございます。

 最後に質問を幾つか、結構大臣への質問も多うございますので、ぜひ最後、頑張って答えていただけたらと思います。

 まず最初に、私は不妊治療の問題についてお聞きをしたいと思います。

 希望出生率一・八という目標を掲げられている今の一億総活躍社会のこの目標については、私は野党でありますが、評価をしております。

 ただ、やはり具体的にこれをどうやって実現していくかというところが課題でありまして、この不妊治療支援も、非常に大臣、力を入れていただいて、百五十五億でしたか、予算も計上していただいているわけでありますけれども、しかし、少しさかのぼってみると、そもそも、平成二十六年に、これまで回数の制限はなかったものが、回数の制限が設けられるようになった。あるいは、平成二十八年からにはなるんですけれども、年齢制限、四十三歳以下しか不妊治療の助成金が出ないということになっているわけでございます。

 つまり、一旦二年前に不妊治療支援をかなり絞って、抑制しておいて、今また男性の不妊治療支援とかメニューをふやしていただいて、百五十億程度、ふやしたことは評価しますが、しかし、一旦そこを減らしているわけでありますから、これはちょっと悪い言い方をすれば、看板に偽りありではないか。もともと減らした分を減らさずに、それはそのまま継続した上で今回さらに支援を拡充するということであれば、胸を張って不妊治療支援に力を入れているとおっしゃっていただいて構わないと思うんですが、私はこれはもう一度戻すべきじゃないかと思いますけれども、お考え、いかがでしょうか。

三ッ林大臣政務官 お答えします。

 不妊治療への助成については、年齢別の不妊治療による分娩割合や、妊娠、出産に伴うリスク等の医学的知見に基づき、平成二十五年度の有識者検討会での御議論を踏まえて、治療による安全、安心な出産に至る確率を高めるため、平成二十六年度から対象年齢や助成回数の見直しを行ったところであります。

 平成二十六年度の見直しでは四十歳未満であるところを、平成二十八年度の見直しでは四十三歳未満にいたしました。そして、助成開始年齢が四十歳未満を六回、助成開始年齢が四十歳以降を三回といたしました。年間の回数は制限なしということであります。

 平成二十七年度補正予算におきましては、早期の受診を促すため、出産に至る割合が高い初回治療の助成額を十五万円から三十万円に拡充するとともに、不妊の原因が男性である場合に精子回収を目的とした手術療法を実施した場合、高額な医療費の負担を軽減するため、さらに十五万円を上限に上乗せして助成することとしたところであり、このことは、平成二十五年度の見直しを前提としながら支援の拡充を行ったものであると考えております。

 こうした取り組みにより、子供を持ちたいと願いながらその機会に恵まれてこなかった夫婦の希望が一日でも早くかなうように支援してまいりたいと思っております。

高井分科員 私は、冒頭申し上げましたとおり、希望出生率一・八を実現するために、やはり、産みたいと思っている方が産めるようになる最も直接的な支援であって、しかも、不妊治療をやっている方というのは想像以上に多いですね。

 実は私も夫婦で今受けておりまして、実際やり出すと、例えば、ちょっと世間話で、実はやっているんだと言うと、いや、実は私もやっているんだ、やっているんだと。今までやはり余り大っぴらに言わない方が多いので、でも実際結構やっている、あるいはやっていたという方は、恐らく政府が把握している以上に潜在的にかなりいらっしゃると思います。

 ところが、今、私もまさに現に治療に行くんですけれども、非常にやはり混んでいます。人気の病院、クリニックなんかは一年待ちなんというところもあります。抽せんじゃないとだめだというところがあるんです。

 私もようやくそこを、うまく人気のところへ行けるようになったんですけれども、そこは今度は、行くともう平気で三、四時間は待たされます。私は妻に付き添ってたまに行くだけだからいいんですが、妻は三日連続とか行かなきゃいけないんですね。三日間、三時間四時間待たされる。それは、女性のいろいろ排卵日とかそういった周期というのは不定期ですから、なかなか前もって日程を確保して行くというのは難しいんですね。そうすると、普通に働いていらっしゃる、うちの妻も働いているんですけれども、実は自分でちょっと会社をやっているものですからある程度時間の融通がきくけれども、OLさんなんかだと私は相当困るんじゃないかなというふうに思っています。

 そういう意味では、不妊治療の専門医をやはりもっとふやす、希望する方がいつでも行けるようなそういう体制をつくるべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

香取政府参考人 その前に、先ほどの御質問の関係で、ちょっと政務官の答弁を補足させていただきます。

 二十五年の見直しのときの考え方なんですが、実は、加齢とともに、不妊治療による母体あるいは子供に対する健康の影響のリスクが高くなるということ、それから、三十九歳以下ですと、体外受精の回数を重ねるにつれて出産に至る確率が高くなっていくんですが、四十歳を超えますとほとんど増加をしなくなっているということ、それから、体外受精については、六回までは回数を重ねるごとに確率が上がるんですが、六回以降はその増加傾向が顕著に下がるということ等々、それから、出産に至った方の九〇%が六回未満だったといったようなことで、専門家の御見解をいただいて、リスクとのバランスということで、できるだけ確率の高いところで集中的に治療していただこうということで見直しをしたという経緯がございます。

 それから、今御質問の専門医でございますが、不妊治療に従事する専門医、生殖医療専門医でございますが、これは日本生殖医学会が認定している資格でございまして、新規認定者は最近ふえてございます。どんどん増加傾向にありまして、現在五百五十九名というふうに承知しております。

 専門医につきましては、それぞれ各専門団体で認定をしていただいているということでございますが、申し上げましたように、不妊治療は当然リスクがある治療でございますので、やはり質なり安全性の確保ということをあわせて考えないといけないというふうに考えてございます。

 二十六年以降、私ども、母子保健課長通知で、不妊治療を実施する医療機関の配置基準というのをお示ししておりまして、年間採卵件数が百件以上あるような施設の場合には、この生殖医療専門医がいる方が望ましいということでお願いをしております。

 ということで、私どもとしては、専門医をふやしていくということと、一方で質なり安全性の確保ということで、人の確保と体制の整備というものを両にらみで整備していくということで、できるだけ多くの方がお受けできるようにと。今、大体年間出産件数は百万人ございますが、不妊治療による方が大体四%ぐらいいらっしゃいますので、やはりそれなりの数字でございますので、不妊治療については、できるだけ多くの方々が受診できるようにということで努力してまいりたいと思っております。

高井分科員 役所の方が答弁するとそういう答弁になるんだと思うんですけれども、先ほどの年齢制限のことも、私はあえて聞かなかったんですけれども今お答えになりましたけれども、私の周り、四十三歳以上でも不妊治療をやっている女性はたくさんいて、そういう方々は、政府から四十三歳で打ち切りというのは、何か女性であることを否定されたような気分になる、そういうふうにやはりおっしゃって、嘆いておられる方もいますから、余り医学的見地で確率がどうとかこうとかいうのは、私は余り大っぴらに言う話でもないと思っていますので、ちょっと、もうあえてこれ以上言いませんけれども。

 それでは、これは本当に、役所の官僚の皆さんが考えるとなかなか、今のような答えなんでしょうけれども、やはり政治決断で、希望出生率一・八というのは私はすばらしいと思うので、それを実現するためには思い切った抜本的な改革が必要で、特にこの不妊治療は一回五十万か六十万ぐらいかかります。年間三回、四回やる方もいらっしゃいます。とんでもない費用ですよね。

 これを、まだ今助成していただける人はいいですけれども、年齢制限とか回数制限とかでもう助成されない、年収制限とかもありますから、その人にとっては、年間二百万とか、そんな金額はちょっと本当にとんでもない金額で、私は、これは医療の保険を適用すべきではないか。いろいろ難しい課題は役所から聞いていますけれども、しかし、私は政治決断でこれをやるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 不妊治療が大事だということは先生おっしゃるとおりで、私も、地元で不妊治療の専門の先生とも長いつき合いで、いろいろと教えてもらって、現場も見せてもらったりいろいろしていますが、確かにおっしゃるとおり、意外に身近なところで、実はあの先生にお世話になって子供ができたんだ、そういうことをおっしゃる方がたくさんおられるので、びっくりするわけであります。

 保険適用の問題、確かに高額であるがゆえに何とかならないのかな、こういう話でありますが、これは、保険にしても税金にしても、助け合いの仕組みであることは間違いないわけでありますが、どういう整理をするのかというところで線引きがされるんだろうというふうに思います。

 当然、不妊治療のうちで、いわゆる治療の世界、疾病の世界、つまり、ホルモンの異常とか、それから子宮、卵管の機能の障害などの治療ということについては、治療と疾病の関係が明らかなので、治療の有効性、安全性等が確立しているということで、既に保険適用の対象となっている不妊治療というのがあるわけであります。

 一方で、人工授精、体外受精を保険適用の対象とするということについては、医療技術の有効性、安全性等の評価のための専門家による技術の標準化あるいはガイドラインの策定などが前提となった上で、人工授精や体外受精を、先ほどから申し上げている線引きをどこで引くかというところで、疾病に対する治療というふうに位置づけることが可能なのかどうかということについてのコンセンサスが、国民の助け合いの保険の仕組みでありますから、なければいけないということで、今の段階で、これまでは、関係者の意見を聞いてまいったわけでありますけれども、慎重に検討すべきだという考え方の整理がなされてきましたし、目下の段階ではそうとしか言いようがないというのがあれでございます。

 今申し上げたように助け合いの仕組みですから、どういう形でこれだけの高額なものをサポートするのか、それで子供を産み育てることの喜びをひとしく経験していただくかということなので、それについてのコンセンサスを得なければいけないのかなというふうに思います。

高井分科員 まさに医療保険というのは助け合いの仕組みですけれども、やはりそこが、巷間よく言われることですけれども、高齢者の方にやはり手厚くなってしまっているんじゃないか、それは選挙の投票率も関係するんじゃないかとか、いろいろ、若者あるいは子育て世代への支援をもっとと。

 やはり、少子化というのは、この後も取り上げる保育所の問題とか、いろいろ複雑な要素、さまざまな要素が絡み合っていますけれども、しかし、最もダイレクトには、やはり子供を産みたいと思っているのに産めない。これが、やはりホルモンの関係とか食べ物の関係とかで、昔に比べれば恐らく格段に確率が下がってしまっている。しかし、医療、医学の力をかりれば産めるということであれば、私は、広い意味で助け合いの中で、やはり若い世代、子供が欲しいと思っている人にそこを配分していくということは十分検討すべき課題だと思いますので、これ以上質問はしませんけれども、ぜひ大臣には前向きに検討していただきたいと思います。

 次に、児童養護の問題、あるいは里親。子供が欲しくてもどうしても授からないと、今度は里親になろうかと考えたりもするわけですが、そのときにちょっといろいろ問題が今ありまして、我が国は、児童養護施設と里親の比率というのは九対一と言われていて、児童養護施設に圧倒的に子供が多い、そして里親になるのは少ないという現実があります。

 ただ、では、里親になりたいと思う人が少ないかというと、ちょっと古い数字かもしれませんが、実は里親登録している人は九千四百世帯ぐらいおりまして、ところが、実際にマッチングされて里親になれたという世帯は三千五百世帯と、三分の一ぐらいに下がってしまうわけですね。

 この原因は何だろうかといろいろ調べたり聞いてみますと、実は、児童相談所、ここが里親のマッチングをしているんですけれども、児童相談所が非常に業務多忙で、最近虐待などがふえていますから、なかなか里親マッチングまで仕事の手が回らない。児童相談所の職員も真面目な人が多いですから、やはりちゃんとした里親を見つけないと安易には行かせられない。だったらもう児童養護施設に預けようということで、私からすれば、安易に預けてしまっているんじゃないかと。

 そういう意味で、私は、今回児童福祉法を改正していただくことは一定の評価をしますけれども、やはりここの、児童相談所の職員をふやす、あるいは予算を確保する、このことが大変重要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 これは先ほど別な御質問を受けたときに申し上げたところでございまして、今、児童養護施設に入っている子供さんの六割ぐらいが虐待原因で入ってくるというぐらい社会が病んでおりますし、また、虐待件数と言っているけれども、実は虐待対応件数ということで、実は対応ができていない件数がたくさんある。

 そういうことを考えてみると、今先生から御指摘をいただいたように、児相の職員がもうほとんどフル回転をしながら、対応ができているのは約九万件ということでありますから、本来、やはり、人とそれから財政資源とをあてがわなきゃいけないし、また、専門性というものがなければ、虐待という原因で、かつてのような戦争孤児であるとか親が病気だとかいうことであれば、それが解決すれば、特に親の病気の場合なんか、また戻るだけの話ですが、むしろ親と子供と両方のお世話をしないといけないというのが、今の児相の皆さん方あるいは施設の皆さん方であります。

 そういう意味で、予算の問題、それから人的資源の問題については、方向としてはおっしゃるとおりであって、あとは、どこまで国民の、国会の御意見がいただけるかということだろうというふうに思いますし、一義的にはもちろん政権として決断をしないといけないということになろうかというふうに思います。

高井分科員 もう大分遅い時間になってきてお疲れだろうと思いますので、順番を少し変えたりしましたので、通告どおりいくと、次も大臣にぜひこれは答えていただきたいということでお願いをした質問に移ります。

 実は、児童相談所がなかなか今大変だという問題もあります。高齢者福祉施設と比べて、児童相談所の配置基準とか職員数とか居住面積なんかは非常に厳しいという実態があって、その中で、私はもっとボランティアの皆さんの助けをかりたらどうかというのを思っていて、実は、私が深くかかわっている「ぐるーん」というNPO団体がありまして、これは、児童養護施設へ行ってお子さんをだっこしてあげる。赤ちゃんとか、結構大きな、私も行って、六年生ぐらいの子でも、男子ですけれども、だっこしてなんて言って、来るわけです。

 やはり、だっこされる、抱き締められるということは物すごい大事なことで、その子供の発育にとっても情緒にとっても非常に重要なことで、実は、このNPOを設立した有尾美香子さんという、私と同じぐらいの世代の、お子さんが二人いらっしゃる方が去年お亡くなりになってしまって、今五百人ぐらいが頑張ってこのボランティアをやっているんですけれども、その後を継いで、私の地元の岡山の河本さんという方が今代表を引き継いでやっておられます。

 ただ、児童養護施設の中には、外の人が来てちょっとだっこだけして帰るのは抱き癖がついて困るとか、外の人は入らないでくれみたいなところもあったりして、なかなか一筋縄じゃない。こちらから頼みながらやったりして、本当に苦労されているんですけれども、こういった取り組みを政府として支援する。お金の支援があれば一番いいですけれども、それが難しいとしても、そういう団体などは推奨してあげるとか、児童養護施設なんかも、やはり政府からそうやってお墨つきがあれば、では受け入れようかというようなことにもなると思うので、ぜひ御検討いただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先生今おっしゃったように、子供、私もいろいろなところでそういう経験をしておりますけれども、本当に、だっこしてほしいということが結構あったのを私も経験しているわけでありまして、それだけ愛着形成がなかなかうまくいっていなかったという子供さんのいろいろ抱えている課題なんだろうというふうに思います。

 そういう意味では、大勢の人たちがやはり心を砕いて子供と一緒に一体となっていくということはとても大事なので、今の、岡山の「ぐるーん」ですか、だっこしに行くという話がありましたが、これはやはり継続的にきちっと、その一人一人の子供さんに合った活動を民間のそういう道にたけた方々にやっていただくというのは、私はもう大賛成であります。

 厚労省では、地域の学生グループとか老人クラブとかを定期的に施設に招いて入所児童との交流の機会を設ける施設、つまり、施設がそういう形で地域にオープンにしていくということについて、施設の措置費の加算制度を設けてエンカレッジしているという格好になって、地域の実情に応じた取り組みを支援しているわけであります。

 そういう意味では、今お話しのとおりであって、また、専門性を有する専従の職員による支援が重要である一方で、今のようなことが大事ではないかというふうに思いますので、それはそれでしっかりやっていただければ、やはり政府としても応援をしていくというのが筋ではなかろうかというふうに思います。

高井分科員 ありがとうございます。

 そういう予算措置もされているということはありがたいことでありますけれども、恐らく、予算よりも、本当に児童養護施設がそういったものを受け入れやすい、推奨しているみたいなことをやっていただくと、結構、ボランティアの方は本当にボランティアでやって、ボランティアにもかかわらず頼み込んでようやく入れていただくみたいなところがあるので、そこの垣根をちょっと取っ払ってあげることが非常に効果的ではないかなと思いますので、お願いいたします。

 それともう一つ、関連するんですが、里親に、例えば私のような、私は今四十六歳なんですけれども、子供ができずに、では里親になろうかと思ったときに、実は、厚労省の里親委託ガイドラインというのがありまして、こういう記述があります。「養子縁組を前提とする里親の場合は、子どもが二十歳に達した時、里親の年齢が概ね六十五歳以下であることが望ましい。」こうなりますと、二十歳のときに六十五歳以下ということは、私が今ゼロ歳児や一歳児を養子にもらおうと思ったら、もうもらえない、四十五歳以下の人しかだめだと。

 これは、先ほど、不妊治療を四十代でもやっている方が結構多くて、不妊治療をやってもなかなか子が授からなくて、ではもう諦めて里親になろうと思った人がこうやって希望すると、このガイドラインにひっかかってできなくなるというのは、私はかなり不自然で、今どき、六十五歳で二十、要するに、六十五歳を過ぎちゃったらもう定年でお金が入らなくなるから子供を養えないからという、かなり古臭い時代錯誤なガイドラインのような気がしますが、でも、いまだにこのガイドラインは生きていて、結構自治体によってはこれを厳格に守っている自治体もあるようなので、私は見直すべきだと思うし、見直さないにしても、もうちょっと自治体に対して、これは一定のメルクマールだよぐらいのことを言っていただいたら大分改善するんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 全く同じ考えでありまして、一つの目安として示しているということになっていますが、お役所、お互い役所ですけれども、受ける方は、やはりそういうふうにすべきなのかなというふうにとってしまいます。

 大事なことは、やはり子供にとって何が大切かということを判断したら、里親をやる、あるいは養子縁組をやっていただける方の年齢ではないと思います。私はやはり、そこの愛着形成に必要なだけの愛を提供することができるのかどうかということが大事なので、二十になったときの養親の年齢よりも、子供がゼロ歳だとか小さなときの、本当に愛を注いでくれる、そのことの方が大事なので、そこのところは私は、おかしいんじゃないか、もうそろそろ変えるべきじゃないかということを事務方にも言っているところであります。

 これは実は、特別養子縁組は六歳までということになっています。これについても、なぜ六歳までなんだという意見がそこここで聞かれます。ほかの国ではそういうことはやっていないというふうにも聞いておりますので、そこのところは今後しっかり検討していくべきではないか。

 大事なことは、子供にとって何が大切かということ一つだと思います。

高井分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 本当に時代がどんどん高年齢化していますから、定年もどんどん上がってきますから、やはりちょっと古い基準だと思うので、これはもう大臣の権限でばさっと変えていただいたら皆さん大変喜ぶと思いますので、よろしくお願いします。

 ちょっと保育園の問題。もうそろそろ時間がないので、本当は、今、希望出生率一・八を実現する最大の肝は、やはり保育士の賃金を上げる、全産業平均と十万円違うということを私は大臣にお聞きしようと思いましたが、これは多分余りいい答えがいただけないだろうと思いますので、もう時間がないので、これは飛ばさせていただきます。

 そういう思いは、これが一番の肝だと私は思っていますので、ぜひ受けとめていただきたいと思うのと、もう一つは、今、大体六千五百億円ぐらいの予算が保育園にかかっていて、そのうち、二百六十万人ほど園児がおりますので、単純に割ると、一園児当たり二十五万円の税金が使われているということになります。これも保育バウチャーにした方がいいんじゃないかという意見もあります。これも聞こうと思ったんですが、時間がないので、済みません、ちょっと意見の表明だけにさせていただいて。

 次の、残念ながらこれは通告を政府参考人にしてしまったんですが、ちょっと細かいんですが、ただ、大臣にもぜひ知っていただきたいのでちょっとこの話をしますが、保育所のIT化なんです。

 実は、保育士さんがなかなか定着しない理由は、もちろん一番の理由は、お給料が安い、これが最大です。しかし、もう一つあって、それは、勤務時間が長い、厳しい、お給料の割には仕事が多いんですね。あと、責任感も非常に、最近親御さんも結構厳しく言いますから。だから皆さんやめてしまうんですけれども、でも、仕事の長さを緩和するのは、私はこのITだと思っています。

 例えば、お母さんとのやりとり、連絡帳というのを保育園では書くんですけれども、いまだに紙でやりとりしているんですね。あと、朝、園児がちょっときょうは行けません、風邪を引きましたなんという連絡も電話でやっている。そうすると電話番が必ず一人いなきゃいけなくて、お母さんの方も、電話をかけるとつながらなくて、もう地下鉄に乗っているのにみたいな不満がある。だったら、私は、スマートフォン、もう保育士さんもお母さんもほとんどみんなスマートフォンを持っていますから、これでメールでやりとりするというようなやり方をもっと推奨したらいいと思うんですね。

 そのときに、ちょうど今回厚労省で保育園のIT化の補助金がつきましたので、こういうものをうまく使えないかと申し上げているんですが、なかなか事務方はそこまで踏み込んでいただけなくて、どうも自治体によってはなかなか使い勝手が悪い、あるいは保育園もなかなか使いにくいなということで、せっかく予算があるのに十分使われないんじゃないかというおそれがありますので、政府参考人にきょうは質問することになっていますので答えていただきますが、お願いします。

香取政府参考人 これは、まさに今先生がおっしゃったようなことをやりたくて、実は補正で計上したものでございます。

 御案内のように、保育園は今土曜日もあけています。十一時間開所ということになりますので、相当保育士さんの労働は厳しい。

 私どもとしては、できるだけお子さんとかかわっている時間に保育士さんの仕事を集中させたいと思っておりますので、ペーパーワークでありますとか連絡作業はできるだけいわば業務を省力化するということで考えています。

 この予算を組むに当たっては、実は、保育業務を支援するような、今先生がおっしゃったように、ペーパーワークみたいなものをスマートフォンであるとかオンラインで処理できるようなソフトを結構開発していらっしゃる会社なんかもあるものですから、そういったものを導入して軽くしていただくということで予算計上しております。

 そうしますと、今お話のあった連絡帳でありますとか園児の台帳でありますとか、あるいは保育日誌の作成とか、これはかなりそういったIT化で使えることになります。もちろんスマホを使った処理なんかもできるようになるということで、実はできるだけそういう形で使っていただきたいというふうに思っております。

 これは、保育士さんはあれなんですが、やはり園長さんとか経営者の方はちょっと年齢が高いので、なかなか御理解していただくのにちょっと時間がかかるかもしれないんですが、これは普通にもう皆さん使っているものですので、できるだけとにかく子供にかかわる時間を長くするということで省力化をしたいと思っているので、できるだけ多くの方に利用していただけるように、我々も広報にこれ努めたいと思っております。

高井分科員 わかりました。どうもありがとうございました。ぜひいろいろ前向きに御検討いただきたいと思います。

 長い間お疲れさまでございました。

秋元主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.