衆議院

メインへスキップ



第1号 平成15年2月27日(木曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成十五年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      伊吹 文明君    大原 一三君
      萩山 教嚴君    海江田万里君
      吉田 公一君    矢島 恒夫君
二月二十六日
 萩山教嚴君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十五年二月二十七日(木曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 萩山 教嚴君
      伊吹 文明君    大原 一三君
      大谷 信盛君    海江田万里君
      川内 博史君    川端 達夫君
      伴野  豊君    水島 広子君
      吉田 公一君    春名 直章君
      矢島 恒夫君
   兼務 森岡 正宏君 兼務 高橋 嘉信君
   兼務 樋高  剛君 兼務 金子 哲夫君
   兼務 重野 安正君
    …………………………………
   農林水産大臣       大島 理森君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   農林水産副大臣      北村 直人君
   環境副大臣        弘友 和夫君
   農林水産大臣政務官    熊谷 市雄君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   環境大臣政務官      望月 義夫君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           金森 越哉君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           木谷 雅人君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長
   )            西藤 久三君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (農林水産省生産局畜産部
   長)           松原 謙一君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長
   )            太田 信介君
   政府参考人
   (林野庁長官)      加藤 鐵夫君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   政府参考人
   (環境省自然環境局長)  岩尾總一郎君
   農林水産委員会専門員   和田 一郎君
   環境委員会専門員     藤井 忠義君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  海江田万里君     水島 広子君
  吉田 公一君     大谷 信盛君
  矢島 恒夫君     児玉 健次君
同日
 辞任         補欠選任
  大谷 信盛君     川端 達夫君
  水島 広子君     伴野  豊君
  児玉 健次君     吉井 英勝君
同日
 辞任         補欠選任
  川端 達夫君     川内 博史君
  伴野  豊君     海江田万里君
  吉井 英勝君     春名 直章君
同日
 辞任         補欠選任
  川内 博史君     吉田 公一君
  春名 直章君     赤嶺 政賢君
同日
 辞任         補欠選任
  赤嶺 政賢君     矢島 恒夫君
同日
 第三分科員森岡正宏君、樋高剛君、第四分科員高橋嘉信君、金子哲夫君及び重野安正君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 (農林水産省及び環境省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
萩山主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。
 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算中環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 おはようございます。
 平成十五年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。
 今日の環境問題を突き詰めていきますと、国民の日常生活や通常の事業活動から生じる環境負荷が余りにも大きくなっており、それが原因で問題が生じているということに行き着きます。したがって、その解決のためには、私たちのライフスタイルや事業活動のあり方を根本から見直し、社会のあり方そのものを持続可能なものへと変革していかなければなりません。
 とりわけ、私は、環境の保全と経済の活性化とを一体化させるための取り組みを進めることが、持続可能な社会を構築する上で不可欠と考えます。
 現下の厳しい経済情勢の中、環境対策は経済に悪影響を及ぼすとの考え方もいまだ根強くあります。しかしながら、我が国には、自動車排出ガスの規制強化が自動車メーカーの技術革新を促し、世界市場における日本製自動車の躍進の一因となり、経済にプラスの影響をもたらしたという実績もあります。
 こうした積極的な環境対策こそが、新たな技術や産業を生み出す力となり、環境保全と経済発展が同時に実現する道を開くと言えます。そして、現に、日々の活動の中で環境を強く意識して行動しようという萌芽は至るところにあらわれており、環境と経済の統合に向けた下地は整いつつあると感じております。
 二十一世紀は、環境とともに生きる、環境の世紀と言われておりますが、これを現実のものとするためにはなお相当の努力を要します。難問が山積する環境問題ではありますが、私は、我が国の大いなる潜在力を信じ、希望を持って、その解決に全力で取り組む決意です。
 平成十五年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立って取りまとめております。
 まず、一般会計予算では、総額二千六百二十二億七千七百万円を計上いたしております。次に、特別会計予算につきましては、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に一般会計から六十億円の繰り入れを行い、歳入歳出予算を計上いたしております。
 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要経費別概要につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
萩山主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま鈴木環境大臣から申し出がありました環境省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
萩山主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
萩山主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
萩山主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。
 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大谷信盛君。
大谷分科員 おはようございます。大阪九区選出、大谷信盛でございます。きょうは、持ち時間三十分いただきましたので、ごみ行政一般についての御質問をさせていただきたく思います。
 環境庁から環境省に変わりまして、約二年ほどが経過いたしました。
 ちょうど平成十三年のときの予算委員会の分科会で、当時の大臣、川口さんに同じような質問をしたんですが、庁から省に変わってどうなっていくんだ。そのときのお答えが、まずはごみでいいますと、環境衛生ということを観点にしていた行政から、企画と立案が一緒になって、資源循環型社会をつくっていくんだ、そのための大きな大きな違いが今までとはあるんだということを述べられておりました。
 それから二年経過したわけではございますが、この二年間での取り組み、また自己評価、そして、鈴木大臣におかれましては、ある意味、議会人としての初代大臣だというふうに思いますので、抱負など、まず最初にお述べいただけたらというふうに思います。
鈴木国務大臣 大谷先生からお話がございましたが、ごみ行政、特に、これから循環型社会を形成していくという観点を基本に置いて取り組んでいく、そういうお話がございましたが、私も同様に考えております。およそ、人類というものが存在する限り、人類は発展を願うんだと思うのでありますけれども、これからは環境に負荷のかかるような、みずからの生存基盤を壊すような発展は、考えるということはもうできません。ですから、循環型、持続可能な社会をつくっていく、そういう基本原則の中でこうした廃棄物行政も考えていかなければならないと思っています。
 環境省も、循環型社会形成推進基本法に基づく基本計画、これを、本来ことしの十二月までに策定するということでありましたけれども、これを半年前倒しをして、この三月までにつくることにしております。その中で、循環型社会とはどういうものか、そのイメージを明らかにして、それと同時に、数値目標もつくることにいたしました。資源効率性でありますとかそういったような数値目標を具体的に設けて、国民の皆様方に、こうした循環型社会をつくっていく、そういうことをお示ししているわけであります。
 それから、廃棄物の問題につきましては、リサイクルの推進、それから不適正処理の防止に向けます廃棄物処理に係る規制の合理化、また不適正処理に対処するための調査権限の強化等の措置を盛り込みました廃棄物処理法の改正案をこの国会に提出をしております。
 また、過去に行われました不法投棄事案についても、原状回復を計画的に推進していくための法律も提出しているところでありまして、今後とも、循環型社会の構築に向けまして、廃棄物・リサイクル対策を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えております。
大谷分科員 ありがとうございます。
 本当に資源循環型社会ということで、ここ十年ほど、言葉は非常に普及をされたというふうに思いますけれども、具体的なイメージが国民の中で、また地域のオピニオンリーダーの中で、まだまだ見えていないところがあるというふうに思いますので、ぜひともそのイメージを普及させていくという努力、御尽力いただけたらというふうに思います。
 数値目標、いろいろなところで取り上げていっていただいて、その数値目標を守れなかったらどうするんだというのもセットでぜひともつけていただかないと、あくまで目標だけで終わってしまうのではないかというふうに思っています。
 ここで二年前も同じことを述べさせていただきましたが、私が子供のころ受けた教育は、掃除をしたらごみが出る、それは、小学校の焼却炉がございまして、そこで燃やして自前で処理をするんだと。自前で処理をするんだということは必要なことだと思いますが、燃やすということがどうも今余り私はよくないのではないかな。資源循環型社会ということでいうならば、何か別の処理を考えていくような方向性が必要だというふうに思います。
 世界じゅうにごみの焼却施設があって、そのうち三分の二が我が国日本にあります。各自治体が必ず一個以上持っているような状態で、燃やして、自分の自治体で処理をしていこう、それが限界が来て、広域行政で、何個かの自治体が集まって一個の焼却炉をつくっていってというような、減らす方向に来ているんですけれども、大臣自身、ごみというものはこれからも焼き続けるものなのか、もちろん、リサイクル、再使用、そして自分自身が身の回りのところでごみを減らしていくという努力が必要なんですけれども、何かほかに自分自身のイメージとしてお持ちであれば、もし述べていただけたらというふうに思います。
鈴木国務大臣 御答弁の前に、先ほど私申し上げた中で、一点間違いがございましたので訂正させていただきますが、廃棄物処理法の改正案、これは今国会に提出する予定でありまして、今現在はまだ提出してございません。
 ごみの問題でありますが、これは何でもかんでも最終処分にいきなり回す、燃やすというものではないと思っております。第一には、ごみの排出をいかに減らしていくか、そして出たごみにつきましては、それをリユースする、リサイクルする、そういうようなことをしまして、それでも最終的にはごみが出るわけでありますから、それについては適正な処理をしていくということで、やはり、これからはごみの減量、それからリユース、リサイクルに力を入れていくということが基本的に大切なことであると認識しております。
大谷分科員 これは、もちろんごみを出す人は我々国民でございまして、個々の取り組みが大事かというふうに思いますが、啓蒙にはやはり国、自治体というのがあって、施策、制度をつくっていくときの中心は、方向性はもちろん国ですけれども、実行するのは自治体でございますので、大きくアイデアをつくって、自分たちの町はごみが少ないんだということが自慢できるような、そんな枠組みを、権限と財源も含めてつくっていくということが必要なのかなというふうに思っております。
 私の選挙区には能勢、豊能町がございまして、いわゆるダイオキシンで高濃度汚染を受けたごみ焼却施設を持っておりまして、今そこの処理ということで、鋭意、地域また国の支援、御指導をいただきまして頑張らせていただいておりますが、ここでわかったことは、このダイオキシンの問題、化学物質の問題もそうなんですが、実は国民が被害者であり加害者であるんです。ごみの焼却場で燃やされているごみというものはどこから来たかというと、我々国民が毎日何げなく出しているごみで、一日平均、今一人頭一・一キロのごみを排出している。私はそんなに出している覚えはないわよという方もおられるでしょうが、いわゆるオフィスでの紙が今非常に多くなってきている中、ごみの量がどんどんふえてきている。
 私が子供のころ、母親に買い物に行くように言われたときは、買い物かばんというものを持たされて買い物に行きました。肉を買ったら、竹の、ササの絵をかいたような長細い長方形の紙で肉を結んでいただいて、新聞紙にくるまれて、肉屋のおばちゃんからいただいて、持って帰ってきたものでございます。
 今、スーパーの普及で、白いトレーに肉があって、それにまたサランラップがしてあって、それが半透明のポリ袋に入れられて、なおかつレジを通過するときには白いプラスチックバッグに入ってという、包装も非常に多くなってきている。これは、まさに私たち国民が要らないよと言いたくなるような制度、枠組み、啓蒙というものをしていく必要があって、ここはやはり、国に、大きな大きな、イメージというか、啓蒙という役割があるんではないかなというふうに思っております。
 そんな中、大臣として、これから長らく環境行政の長としてのお役割を果たされるというふうに思うんですが、その啓蒙というもので、自分自身がこれをやってやるぞというような抱負がございましたら、ぜひ一言述べていただけたらというふうに思います。
鈴木国務大臣 先ほど申し上げました、循環基本計画の中でも数値目標を幾つか挙げているという中で、平成十二年に対して、平成二十二年には、個人の出すごみを今から比べて二〇%減らそうという具体的な数値目標を挙げております。
 二〇%減らすというのは、これは大変なように思えますけれども、例えば、今先生が御指摘になられましたように、スーパーマーケットに行くときにマイバッグというのを持っていくとか、例えば冷蔵庫の中をあけてみますと、よく、もう賞味期限切れのものがこうなってしまって、それを廃棄するということもございます。やはり、大量に買わないで、必要なものを買って、そうした賞味期限切れのものを減らしていくとか、そういう手だてをするということによってこれは実現できるものであると思っております。
 そういう、基本計画の中で国民の皆様にもお示しをするなどの努力も環境省として大いにやってまいりたいと思っております。
大谷分科員 ぜひ力強くリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。
 今まで話させていただいたのは、どうやって循環型社会をつくっていくか、移っていくかという話でございます。今、もう一つここで残っていくのは、移っていく過程において、燃やし続けてきたごみ、その焼却炉が、どんどん耐用年数が終わって、解体をされなければいけない状態に入ってきている。例えば、きのう新聞報道にもございましたけれども、近畿、中国、四国では、約九割の使用済みになった焼却炉が解体されずにほったらかされている。
 それはもう経済的な理由でございまして、いい意味で規制が強くなりましたので、解体するにしても、密閉してやらなければいけない。また、事前に汚染度の調査をして解体していかなければいけない。そうすると、五倍から十倍ほど解体費用というものがはね上がりました。九七年から規制がどんどん強くなっていって、去年の改正案で、間違いなく私は解体費用が十倍ぐらいにはね上がったのかなというふうに思っております。
 そんなとき、国の役割、規制というものをしっかり方向づけていくということは大切だと思いますが、同時に、自治体が実行できるような施策というものを考えていかなければいけないのかなというふうに思うんです。
 今の国の財政的な支援策でいいますと、調査費に三分の一の助成、それから解体費用の三割を補助しましょうという制度が整っているわけではございますが、これは起債とかというようなものがありませんから、結局は、自治体がまずは全部自分で自前の費用を用意したら補助をしてあげますよという、使いにくいとまでは言いませんが、ある意味、実態に即してはいないのかなというような気がするんですが、その辺の現状と試み、また改正するようなことがあるとするならば、どんな方向を目指しておられるのかということについて教えていただけますでしょうか。
飯島政府参考人 委員御指摘のとおり、平成十三年に厚生労働省から、解体工事に伴いまして血中ダイオキシン濃度が上がったという事例がございまして、それを踏まえて、廃棄物の焼却施設内におけるダイオキシン類暴露対策要綱というのが定められました。これを踏まえて解体をいたしますと、従来の解体費用の約十倍に費用が高騰したということになりまして、市町村から環境省等に対しまして、支援の要請が殺到したところでございます。
 その後、環境省におきましては、適正な解体を推進するための支援方策につきまして、関係する省と協議の上、平成十三年度の補正予算から、委員御指摘ございましたが、市町村が行うごみ焼却施設の解体工事前から実施されるダイオキシン測定に要する費用に対します国庫補助制度を創設したところでございます。
 この測定の意味でございますが、これは実は、厚生労働省の暴露対策要綱は、ダイオキシンの濃度に応じてきちんとした対応をとるように、こういう要綱でございますので、ダイオキシン濃度が高くないところでは従来どおりの工事ができるということであります。この測定を行いますと、ダイオキシン濃度が高いというのは非常に限られた部分でございまして、これに基づいて解体費用を試算しますと、大幅に減少しているということでございます。
 また、御指摘ございましたが、環境省の補助はその測定に対する補助でございますが、実際に解体工事を行われる場合につきましては、その費用につきまして、総務省から地方財政措置が講じられる。これは、先ほど先生三割とおっしゃったと思いますが、それは一定に決まっておりませんけれども、ある計算によると大体そのぐらいになるというお話だと思います。
大谷分科員 事実確認はできましたが、これだけで十分だと思っておられるのか、殺到した自治体からの声に対しての対応というようなものは、今後、これ以上に何かお考えなのか、お教えいただけますでしょうか。
飯島政府参考人 平成十三年当時、市町村が解体しようとして、大変、十倍にも上がってしまったということで要望が殺到したわけでございまして、それに対する対応が、先ほど申し上げた現状の対応でございます。
 確かに、委員がおっしゃるとおり、最近になって解体しなければならなくなったということで、初めて解体費用が高くなったということに気がつく市町村も多いわけでございまして、そういった市町村から見れば、測定をすれば大幅に下がったといっても、従前のから比べればまだ高いわけでございますので、何とか支援をもっとできないかとかいう要望が来ていることは事実でございます。
 しかしながら、既に十三年当時に要望された市町村にとりましては、この測定費の補助と、それから総務省が行っております地方財政措置によって、それまでに比べて非常に下がったということで、正直言って感謝をされているところでございまして、公平性という意味からいっても、今の現状の制度で努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。
大谷分科員 十三年からで、まだ一年半、二年しかたっていないので、この制度で様子を見ながらということでございますね。
 実際、三割補助がいただけるということでいうならば、本当に国としての役割を果たしていただいているというふうに思っておるんですが、その制度には使いやすい、使いにくいというものがあると思うんです。この場合、三割補助をいただく条件として、先に自分たちがお金を持っていなきゃいけないというようなことになるわけですよね。その辺を、速やかに、円滑に、せっかくつくった方向性を実現していけるために、何か工夫をしてもいいのではないかなというふうに思うんですが、そんな、使いやすさに対する、苦情と言いませんが、御指摘みたいなものは最近は自治体からは出ていないんですか。
飯島政府参考人 今の御質問は地方財政措置に関するところだと思いますが、これは総務省が行っているところでございますけれども、現在、解体の跡地に公共施設を設置する場合につきましては十分な地方財政措置がとれます。そうでない場合には特別交付税措置ということになりますので、これは自治体によって上限もございますので、補助率といいますか、支援の率が下がってくる場合があると思います。
 要は、自治体がその跡地をどういうふうに利活用するかということにかかわってきますので、先生の御指摘になったような、もっと使いやすくしてくれというようなお話ではなくて、率直に解体費用そのものについて補助ができないか、こういう御要望はありますが、それについては、施設の整備ではございませんので直接できないので、先ほど申し上げましたように、測定費の補助と地方財政措置のセットという形になっております。
 地方財政措置のときには、その跡地は利活用の計画が決まっていない場合があるのでまだ解体計画がない場合がありますけれども、その利活用の計画がある場合にはそれに対して、解体費用についてもそれと一緒になって地方財政措置が講じられる、こういう仕組みになっているわけでございます。
大谷分科員 その辺が使いやすいか使いやすくないかの判断の違いだというふうに思うんですが、跡地に何かつくらなかったら要はその解体ができないということなんですよね。ですから、そこの部分を何とか、跡地の利用が決まっていなくても、安全に、また速やかに解体できるようなスキームみたいなものがあればいいなというふうに私自身も思っている点でございます。きっと部長の方でそれは十分、釈迦に説法で、考えていただいているのかなというふうには思いますが、ぜひともまた委員会以外のところでも議論をさせていただきたいというふうに思います。
 なぜならば、限られた国土の中で焼却炉をつくって、十年、二十年、三十年運行して、その後限られた国土の中でまた土地を利用していくわけですけれども、しっかりした測定の上で、安全を証明した上に速やかに変えていく場合、やはり何らかの財政的な支援というものがなかったら、使いやすいというものがなかったら、速やかに土地利用の転換が図れないというふうに思いますので、ぜひともともに考えていきたいというふうに思います。
 これをちょうど私の地域の能勢町、豊能町のごみ処理場の処理に当てはめますと、全く同じことが言えるのかなというふうに思っています。
 特に、御理解いただき、御支援いただいていますとおり、国の大きな役割なくしては、この前代未聞の、ダイオキシン類に汚染された土それから焼却場の廃棄物というものの処理はできないというような状態の中、平成十年の補正予算に、処理の半分の国庫補助を特例措置としてつけていただきました。そして、地域の中で、住民参加、行政やまた市民が一緒になって処理策を考える中、少し時間がかかっておりますが、また改めて、十四年の補正予算でも、同様に二分の一の特例としての措置をいただき、本当に感謝をするし、また、心温かく見守っていただいている中で、地域の自治体、二つの自治体とそして住民が苦労して処理を今進めていこうと、住民参加の形での処理策が進められているところであり、また反面、時間がかかってしまっているところだというふうに思っています。
 そんな中、まず土の方でいきますと、汚染土壌の処理の技術というものの実態調査をしていただいております。今はジオメルトという方法ですが、この後BCD、またその後に、熱を加えて溶かすという熱脱却というような方法もあるというふうに聞いておるんです。これは、日本だけでなく世界で最初の大量な汚染土壌の処理ということになりますので、そこから新技術が生まれにくいのかもしれませんが、やはり技術立国、特に環境技術立国を目指す日本としては、ここに、処理という概念だけではなくして投資というような概念も入れて、ひとつしっかりと、ジオメルトの次にBCD、その後に、もう一つのさらなる新しい方法として熱脱却の処理方法について実態調査をしていくべきだというふうに思っておりますし、そのお考えがあるというふうに聞いておりますが、ここで確認をさせていただいてよろしいでしょうか。
飯島政府参考人 豊能郡美化センターの施設の問題につきましては、先生御指摘になりました、周辺のダイオキシン汚染土壌の問題もございます。これにつきましては、現在豊能郡の環境施設組合が除去いたしまして保管施設に保管し、今後処理を行う。その処理の方法についてのお尋ねだと思いますが、私どもも、ジオメルト法あるいはそれにかわる新しい技術についての情報も得ておりますので、自治体からの要請に基づきまして技術的な支援を行っていきたいと思いますし、実際の浄化技術の現地実証調査というものも行ってまいりたいと思います。
大谷分科員 ぜひよろしくお願いいたします。
 今ある、ある意味確立された技術と言われていますけれども、ここで実態調査を踏んでいくことによって、さらなる安心度、信頼度というものがこの既成の技術の中で高まっていくというふうに思いますので、ここはぜひとも熱脱却も含めてやっていただきたいというふうに思うんです。
 それともう一つは、やはりどの自治体も財政難に陥っておりますように、このジオメルトやBCD、ほとんど費用が変わらないのかもしれませんが、また新たな方法によればコストダウンというものが図れるかもしれない、その可能性があるのが熱脱却という方法かなというふうにも聞いております。技術的に詳しいことは私はわかりませんが、もし部長の方でわかりましたら、その辺の、コスト、安全性のことで少し教えていただけますでしょうか。
飯島政府参考人 ジオメルト法については、その実証試験もなされておりまして、ある意味で、確実な方法ということでやっていけるのではないかと思いますが、今委員が御指摘になりました、新しいBCD法とか熱脱却法でございますか、これについてはまだこれから実証して確認していくという段階だと思いますので、それ以上詳しいことは私もわかりませんので、御容赦願いたいと思います。
大谷分科員 ぜひともしっかりとした、充実したBCDの実証検査をやっていただきたいというふうに思います。
 それと、もう一つ教えてほしいんですけれども、技術というものを一つの産業ととらえてこれから考えていかなければいけないというふうに思うんです。そんな場合、これは、産業というならば経済産業省かということになりますが、環境省も、ここはひとつ環境技術を向上させていく、技術力をつけていく、競争力をつけていくという上での役割があるかというふうに思うんですが、その点、大臣としてはどんなふうに抱負をお持ちなのか教えていただけたらというふうに思います。
鈴木国務大臣 先ほど、冒頭の、来年度の予算についての御説明の中でも触れましたが、やはり環境の規制というものを経済の制約要因としてとらえるのではなしに、むしろ環境対策というのが新しい技術を生み出す、技術革新の一つのインセンティブに働く、こういう側面があるというのは先生のおっしゃるとおりであると思っております。
 環境技術全体について言いますと、実は、来年度予算におきましても、これは中小企業あるいはベンチャー企業でありますが、そういうところが環境技術を生み出した場合に、それが中小企業、ベンチャー企業であるがゆえになかなか社会的に認知されないという例もございます。そこで、第三者機関できちっとこれを検証して、こういういい技術が中小企業でもベンチャー企業でもあるんだ、そういうことをお示しして、それを具体化に結びつけていくような、そういう予算も、今お示ししている来年度予算には組み込まれているわけであります。そういうような努力を積み重ねながら、そうした環境規制と技術の革新、そういうものを進めてまいりたいと思っております。
大谷分科員 ありがとうございます。
 大学、行政、そして民間企業というものが一緒になって技術をつくっていくシステムが必要だというふうに今言われているんですけれども、私のところの能勢の焼却炉のケースなんかを踏まえますと、実際に今まで想定してこなかったようなことがこうやって起こった。それも踏まえて、環境省さんの場合は、ほかの産業とは違って、新しいデータというか教訓を得るようなきっかけが大いにある省庁だというふうに思いますので、ぜひとも、上手に利用するという言い方は悪いですけれども、災いを幸に転じるような手法でもって、技術力というものを高める役割を果たしていただけたらというふうに思っています。
 部長にもう一回、最後に質問をさせていただきたいんですけれども、これは、廃棄物を処理する施設として特例措置で二分の一の補助をいただけることになって、またこれから継続をしていただけるものだというふうに、当局、財務省さんの方は理解いただけるものだと私自身思っておりますし、環境省としても努力していただけるのかなというふうに思っておるんですが、もしも、施設はできますけれども、十分に廃棄物の、七百トンかな、処理ができないようなことがあるかもしれないというふうに思うんですね。そんなときのために、それなりにまた別のスキームで、特別交付金等々含めて、何らかの形で、こういう、世界で最初の処理ケースについて国の責任を果たしていくということが必要なのかなというふうに思いますが、前例がこれはございませんので、部長の抱負だけでも聞かせていただけたらというふうに思うんです。
飯島政府参考人 大阪の豊能郡美化センターの高濃度ダイオキシン問題につきまして、先ほど委員からお話がありましたように、平成十年度の補正予算、さらには今回の平成十四年度補正予算で特別な措置をとることにしたのは、これは非常にモデル的な、大変類を見ない例であるということで、これをほかのところに参考にする意味もあるということで、特別の補助をすることにしたわけでございます。
 平成十年の時点で、我が方も、厚生省の生活環境審議会でございますが、きちっとした専門家の議論を踏まえて原因解明を行って、そしてその処理をどうしたらいいかということにつきましても、平成十年の十二月でございますけれども、分解処理技術検討会というのを設置いたしまして、専門家の議論、ヒアリング等を踏まえまして、実証実験も行った上で、十一年の末に無害化処理技術のマニュアルというのをまとめました。
 この中に、先ほど委員が御指摘になりましたジオメルト法というのも入っているわけでございますが、基本的に、これを、解体と無害化処理を行えるということで、平成十年度補正予算を組んで、そして実施を承知したわけでございます。実際は、解体まで終わったけれども、地元とのいろいろな調整が整わないで、解体のまま、保管されたまま今に至っているという状態でございます。
 今回、平成十四年度補正予算で措置しましたのも、実は地元からの強い御要請を受けまして、今保管しているものについては十四年度から実際の無害化処理を行いたい、こういう御希望を首長さんからいただきまして、財務省とも御相談の上に補正予算を組んだわけでございます。
 私どもとしては、現在ある最新の技術によりまして、実証もされている技術によりましてきちんと無害化処理をしていただきたいという気持ちでございまして、今の段階で、それがだめだった場合について考えているわけではございません。
大谷分科員 ありがとうございます。ついつい、心配性なものでございまして、次の次の心配をしてしまったわけでございます。
 この三十分間の質問を通しまして、私の地域におけるごみ行政の中で、国の持てる役割というものを十分に果たそうと御努力をしていただいてきたし、またしていこうとされていることを認めることができましたし、地域の人間として感謝でもございますし、ぜひとも環境立国というものをつくっていくために大臣のリーダーシップで今後頑張っていただきたい。またその中で、一議会人として建設的なやりとりをこれからもさせていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。質問を終わります。
萩山主査 これにて大谷信盛君の質疑は終了いたしました。
 次に、矢島恒夫君。
矢島分科員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 私、先般、予算委員会の一般質疑で、利根川河川敷の不法投棄の問題、これを取り上げました。環境省の早速の対応、評価したいと思います。
 そこで、きょうは北関東でのその他の産廃問題を取り上げてみたいと思います。
 環境省からいただいた資料によりますと、残存判明廃棄物量という一覧表の中で、茨城県が十七件で十六・九万トン、それから栃木県が十件、十八・一万トン、群馬県十九件、六・八万トン、埼玉県が十二件で十九・八万トンとされております。このほか、量が不明な事案が四県合わせましてまだ六件もあります。
 北関東という地域はやはり首都東京それから京浜工業地帯、こういう地域の産廃のごみ捨て場なのかというような状況だろうと思いますが、ふるさとの美しい川や山、これを私たちの時代で産業廃棄物のごみの山にしてしまってよいわけがありません。ひとつ、大臣の認識と見解を最初にお聞きしたいと思います。
鈴木国務大臣 先生から先般、利根川河川敷の不法投棄についてもいろいろ問題点を御指摘いただいたところでございますが、北関東、今先生からお話ございましたが、そのうち、茨城、栃木、群馬の三県について見ましても、平成十三年度には二百四十五件、約三万七千トンということでありまして、これは全国の不法投棄量の約一五%を占めるということでありますから、私もこの数字を見せていただきまして、やはりここに不法投棄というのが集中しているというような認識をしたところでございます。
 その背景でありますが、今先生がまさにおっしゃいましたとおり、首都圏、臨海工業地帯に隣接をしている、こういうことがあるのではないかと思います。
 今後どうしたらいいかということでありますけれども、やはり三県が首都圏臨海部の都県市と連携をして、不法投棄の行為者あるいは排出者、こういう者に対して責任を追及して、原状回復を図っていくということが基本であろう、そういうふうに考えておりまして、今後とも、各地方自治体間の連携、調整ができますように、環境省としても努力をしたいと思っております。
矢島分科員 私ども、この一月に、産廃の不法投棄が大変多い北関東のそれぞれの自治体、八十七自治体、ここにアンケートで、どんな状況かを調査いたしました。ぜひ、これから申し上げるそれぞれの自治体の要望等を政府としても十分耳を傾け、誠実に対応していただきたいと思うんです。
 そこで、例えば、群馬県の新里村、党の議員ですが青木竹志村会議員は、こんな要望を寄せております。不法投棄を初期段階で発見しても、ひどくならないと対応しない行政の対応が事態を悪化させているので、早期発見体制づくりというものを訴えています。
 それから群馬県の渋川市の日本共産党の猪俣市会議員は、以前に県から委託を受けていた業者が汚泥を自分の畑に直接入れていた問題があり、監視体制の強化を求めております。
 同じく、この問題については羽生市の市会議員からも、不法投棄の監視体制の強化というのを市の担当課が言っていた、こういう要望も寄せられています。
 そこでお聞きしたいのは、不法投棄に対して、初期対応の問題だとか、あるいは監視体制を強化する、こういうことについて大臣のお考えと、それから環境省の対応についてお尋ねいたします。
鈴木国務大臣 産業廃棄物の不法投棄の問題でありますが、これは、先生御指摘のとおりに、未然防止ということにまず努めなければならないわけでありまして、その未然防止をする上におきまして、監視体制の強化、それから初期段階での対応ということが重要である、そういうふうに認識を一緒にしているところであります。
 不法投棄が万が一生じた場合、これも初期態勢がきちっとできれば結局原状回復に対する手だてというのが容易になるということもございますし、また、パトロール活動、そういうことをきちっとすることによって、都道府県が速やかに対応できるということにもなろうかと思います。
 そういうことにおきまして、特にこうした監視活動に対する補助、こういうような必要な支援というものも環境省としてやってまいりたいと思っております。
飯島政府参考人 監視体制と初期対応について、環境省としての取り組みについて御説明させていただきます。
 まず監視体制でございますが、都道府県等におきます監視の担当の職員の数でございますが、この五年間に五割ほどふえまして、平成十三年度現在九百二十六人、そのうち九十七人が警察関係者になっております。また、職員以外でも、嘱託の監視員、あるいはボランティアの監視員、さらに民間委託の監視員、こういったものも倍以上にこの五年間でふえているところでございます。
 環境省としましては、こういった都道府県が行う不法投棄の監視パトロールに対する補助の制度を持っておりまして、この補助を実施するとともに、不法投棄の監視のためのIT技術を使った携帯情報端末、これを開発して、現在配備を進めているところでございます。
 また、初期対応の話でございますけれども、平成十三年五月に、環境省として、行政処分の指針というものを各都道府県に通知したところでございまして、この指針の中では、産業廃棄物処理業の許可の取り消しとかあるいは措置命令を迅速に発出できるように、都道府県に対して通知をしたところでございます。この結果、例えば産廃処理業者の許可の取り消し件数でございますが、平成九年度七件しかなかったんですけれども、十三年度には百四十七件、これはまだふえる可能性がございますが、となるなど、大幅に強化されているところでございます。
矢島分科員 同じく飯島部長の方からお答えいただければいいかと思いますが、先ほどの新里村の村会議員からさらに、不法投棄が多い農地改良地域、そこへ埋めちゃうわけですね、泥の中へ、農地改良だといって。あるいは、埋め立て地域があると、その埋め立て地域の下にはごみがあって上には普通の土がある。自治体でも残土条例をつくっておりますが、なかなか対応できない、もっと法律で国が規制してほしいという訴えが一つ出ております。それから、茨城県の大和村の議員団からは、廃棄物を堆肥とする場合に、特殊堆肥製造基準、これもひとつ法令化して環境保全を図るべきではないかと。
 農地改良地域への対応とか、あるいは特殊肥料製造等の基準、こういうものについてどのように政府は考えておられるのか、お答えいただければと思います。
飯島政府参考人 今御指摘のありました、いわゆるカムフラージュして残土に廃棄物をまぜ込んで不法投棄してしまうとか、また特殊肥料の場合は、木くずなどを、本当は廃棄物なのにこれは特殊肥料と称して不適正処理がされている事案というのは、私どもも聞いているところでございます。ただし、こういうものにつきましては、どういうカムフラージュをしても廃棄物の不法投棄であることには変わりはないわけでございますので、こういったものにつきましても直ちに告発を行うなど、厳正な対処ができるものであります。投棄者に対しては原状回復を命ずることができるものでございまして、先ほど申し上げました行政処分の指針等にも、そういった趣旨で都道府県に対して通知をしているところでございます。
 この例とは違うんですが、例えば有価物と称して廃棄物の不適正処理が行われる、こういった場合につきましては、典型例といたしまして、使用済みのタイヤが野積みされまして、そして雨が降って、汚水が流れたり蚊が発生したり、あるいは火災になったような例もあるわけでございます。これにつきまして、これまで廃タイヤとかそれからシュレッダーダスト、これは自動車の破砕物ですね、あるいは廃パチンコ台、建設汚泥、廃プラスチック類、こういったものが典型例としてございましたので、具体例として廃棄物か否かの判断を明確にいたしまして、不適正処理された場合には廃棄物処理法に基づき措置命令を初めとする規制措置を講じることができる、こういったことをしっかりと都道府県に別途それぞれ通知をしているところでございます。
矢島分科員 次に、不法投棄された産廃の撤去の問題でお尋ねします。
 これは埼玉県の三芳町、いろいろ産業廃棄物の問題では物議を醸した地域ですけれども、この上富という地域にあります産廃、ごみの山が高さ二十メートルだと。そこで問題は、業者が行方不明で大変困っている、国と県の力で撤去してもらいたいんだけれどもという、これに似た訴えが各地から出ております。
 これは日高市の党議員団からのですけれども、駒寺野新田、ここに五万トンと見られる行為者死亡の産廃、非常に高く積み上げておりまして、高圧電線がその上を走っておりますが、この土の山と高圧電線との間隔がわずか二メートル程度しかない、誘導電圧を発生させるので非常に危険である、何とか国と県の力で撤去してもらいたいんだけれどもと。
 それから、これは茨城県の龍ケ崎であります。これも党の市議団から、宮淵龍ケ崎飛行場付近の二カ所の不法投棄、約二千百トンあると想定されますけれども、一部撤去されたんですが、廃業しちゃったという業者、いわゆる行為者の中の業者で廃業しちゃったのがいまして、そのままになっている、これも国と県の力で何とかならないかと。
 それから、栃木県の馬頭町、これも、大森町議からの調査アンケートに対する答えですけれども、五万一千トンも不法投棄されているものが北沢という地内にあると。
 以上のような状況で、市町村は大変困っているわけで、行為者、実行者、これを特定できれば直ちに先ほど大臣が言われたようにする、これが基本ですけれども、しかし、既に行方不明だとか死亡したとか、あるいはついに廃業しているとか、いろいろな状況からそのままになっている、これを何とか国と県の力で撤去できないかという訴えなんですけれども、こういうものに対する対処はどのようになっているか、また部長にお願いします。
飯島政府参考人 不法投棄を行った行為者が死亡されたり、あるいは行方不明になったり、あるいは見つかっても資力がない、こういった場合にどうしたらいいかということですが、行為者だけでなく、それに関係する者、例えば不法投棄を行うことを知っていてそれを幇助した土地の所有者であるとかブローカーであるとか、さらにはもともとの廃棄物を排出した排出事業者、これに対しても責任を問える仕組みになっておりますので、注意義務を怠った排出事業者に対してもきちっと求償をしていただきたいと思っております。
 いずれにしても、そうした場合には、最後の最後は行政の力で、行政代執行という形で原状回復措置等を行わなければなりません。それに対する国の支援の仕組みというのは既につくられているところでございまして、廃棄物処理法の平成九年の法改正によりまして、国、産業界から出捐された基金がございまして、これによって都道府県等の行政代執行に対する費用に対して補助をすることになっております。
 ただし、これは平成九年改正法でございますので、基金の出資等から申し上げまして、その施行されました平成十年六月以降の分について適用されるということで、それ以前については予算措置でこれまで講じてきたところでございますけれども、今国会に提出しております、特定産業廃棄物支障除去特別措置法案というのを提案させていただいておりますが、これに基づきまして、この十年六月以前のものにつきましても、都道府県に実施計画を策定していただいて、それに対して国が手厚い支援をする、こういった仕組みを考えているところでございます。
矢島分科員 確かに、地方自治体だけの力ではなかなか処理し切れないという事態等もあります。平成十年以降のものについては基金の対応で、それ以前は予算措置ということですが、平成十年以前のものも結構そのままに放置されておりますので、ぜひ十分な対応をしていただきたいと思います。
 建設残土の問題でお聞きします。
 これは埼玉県の川本町の党の議員団からの要請ですが、建設残土だと言って工場の資材置き場なんかに山盛りになっているのがあるんだけれども、そういうのは規制できないのかというのが一つ。
 それから、これはやはり埼玉県の鳩山という町の議員団からですけれども、鳩山町の環境生活課の担当者から、産廃の山はそのほとんどが自社所有地での一時保管と思われるけれども、その保管方法に特に問題がある、産廃法における保管基準の強化をしてもらえないだろうかと。また、悪質業者の収集運搬業の許可の取り消し等、厳しい対応を求めたい、こういうのが来ております。
 同じく埼玉県の越谷市の党市議団からは、同市の大泊地内にあります農地の不法投棄について、産廃大型ごみは撤去されたが残土が残されている、住民が大変迷惑しており、生活環境を守る積極的な指導を国と県に求めたいと。
 同じく埼玉県北川辺町、同町六軒工業団地内の民間所有地に土の山が長年放置され、ごみも一部放置されているので、住民が撤去を求めているという訴え。
 こういうような、建設残土の問題についてさらに規制強化をお願いしたいというのが圧倒的に多いんですけれども、政府の対応はどうなっているでしょうか。
飯島政府参考人 残土の問題でございますけれども、先ほどの御質問にもございましたように、上に土をかぶせて残土と称している廃棄物まじりの残土の場合は、先ほど申し上げましたように、廃棄物処理法によりまして厳格な保管基準が設けられておりますので、例えば、収集運搬なら七日以上、あるいは処分なら十四日以上保管していれば処分基準違反になるということで、これは厳しく対応ができることになります。
 仮に、本当に残土だけということで、廃棄物でない場合には、これは私どもの所管から外れるわけでございますけれども、大部分が公共事業により発生するものでございますので、実は、先般中央環境審議会でもこの問題の議論がなされまして、国土交通省におきまして、公共事業の基本契約の締結に当たりまして、残土の適正処理に関する取り組みを徹底するというお願いをいたしまして、国土交通省もその方向で残土問題については必要な対策をとっていただくということになっているところでございます。
矢島分科員 それぞれ関係する省庁との連絡もぜひ密にしながら、生活環境を守るという方向での対応をお願いしたいと思います。
 次に、処分場の建設について、いろいろな意見や要望が出ております。群馬県の渋川の市会議員団ですが、処分場新設許可に際して、建設予定地の三百メートル以内住民五分の四の同意が必要、こういう県との事前協議規定、これを外さないでほしい、今あるんだろうと思います、という訴えがあります。それから、茨城県の笠間市の議員団からは、笠間市の福田という地域に県が最終処分場計画をしております。やはり住民合意ということで町づくりを進めることが必要だろうと思うが、こういう住民合意の問題について政府はどのように考えているのか、これも部長の方でお答えいただきたい。
飯島政府参考人 住民同意、住民合意の問題でございますが、廃棄物はそもそも不要なものでございますので、その処理に適正な費用を負担するという、こういった動機づけは働きにくいわけでございます。このためどうしても不適正な処理が行われがちという傾向があるわけですが、そのため、産廃という言葉に対して住民からの不信感が非常に増大しているということだと思います。産廃の処理施設を立地しようとする際に、どうしても住民が反対をして、各地で紛争が生じてきたという経緯がございます。
 今御指摘になりました群馬県の住民同意の事前協議規定等は、そういった状況の中でつくらざるを得なかったものだというふうに理解しておりますが、ややもすれば、住民の五分の四以上ですか、あるいは全員という場合もあるんですが、その同意をもらうというのは、実は不透明な部分もいろいろ出てまいりまして、環境の問題だけでなくて、いろいろな他の要素も含めまして、例えば不透明な金銭の授受が行われるとか、そういった話も実は出てきているわけでございます。
 政府といたしましては、この問題をどうやって地元の住民の方々の理解を得ながら施設を建設していくべきかという観点に立ちまして、平成九年の廃棄物処理法改正におきまして、環境アセスメント、生活環境影響調査の実施を義務づけて、その結果を告示、縦覧して、住民の方々の意見を聴取して、それに対する考え方も述べた上で、そういった手続の透明化、これを確保してきたわけでございまして、その結果によりましては地域の実情に応じて許可要件として生活環境保全条件が出せる、こういう仕組みをつくったわけでございます。
 我々といたしましては、施設の手続の適正化、透明化、これによりまして住民の懸念が緩和され、さらに適正な施設の設置、管理がなされるというふうに考えているわけでございますが、地元ではまだ、委員御指摘になりましたように、どうしても同意を外すと危ないという意見もございますし、あるいは同意があるからこそいろいろな不透明なことも起こるという両方がございまして、この辺は、これまでも都道府県と一緒になって検討会をつくって議論をしてきたところでございます。
矢島分科員 住民同意に際して不正があっては絶対なりません。それは当然のことですが、アセスメント、あるいは意見を聞く、こういう状況の中で住民の意見が反映できるような対応をぜひ進めていただきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、次に、自分の土地の中に、自分の土地だからというので勝手に産業廃棄物を埋める問題なんですけれども、これは埼玉県の川口の党の市議会議員団から要請がありましたが、いわゆる土地所有者、それが勝手に、自分の土地だというので産廃を埋めている、こういうことは取り締まる対象になるのかどうか。
 それから、そのことの中でこういう意見もありました。静岡県の掛川市では、いわゆる生涯学習まちづくり土地条例というのをつくっておりまして、その手法を国段階の施策の中に取り入れてほしい、こういう声もあるわけですが、その点について政府はどういうふうに考えておるか、お話しいただければと思います。
飯島政府参考人 前段の御質問でございますが、みずからの土地でありましても、自社処理であるか否かを問わず、不法投棄は不法投棄でございますので、投棄禁止違反が問えます。懲役五年以下の懲役もしくは一千万以下の罰金という重い罰則が適用されます。
 こういった不法投棄は、実はみずからの土地だというと見つけるのが大変かもしれませんが、見つけられれば、現行犯逮捕によりやめさせることができますし、また、関与した行為者等に対しまして撤去命令も出すことができます。
 後段の掛川市の話につきましては、ちょっと承知しておりませんので答弁はできませんので、よろしくお願いします。
矢島分科員 また機会がありましたらお答えいただければと思います。
 時間になりましたので、最後に大臣に決意をお聞きしたいんですが、以上、いろいろと具体例を挙げながら政府の対応というのをお聞きしてまいりました。それぞれ一生懸命頑張っているということはわかりました。そういう状況の中でもなおかついろいろな問題が地域には起きているというのが現状であります。小泉総理も施政方針演説の中の一つの柱としてこの産廃の問題を取り上げておりますので、ひとつ、この北関東地域の非常に美しい山や川があるわけですが、この自然環境をそのまま次世代に引き継いでいくという大人の責任を果たすという意味からも、不法投棄の撤去に向けて大臣の決意を最後に求めたいと思います。
鈴木国務大臣 不法投棄問題につきまして、今、矢島先生から地方の議会の皆様方の声ということで、極めて具体的な問題点の御指摘をいただいたと思っております。
 不法投棄の問題でありますが、これは周辺の環境を壊すということのみならず、適正に処理をしております事業者でありますとかあるいは排出者、そういう方が不信感を持つということで、この廃棄物処理のいろいろな仕組みが壊れてしまう、そういうことにもつながりかねない極めて大切な問題であると思っております。
 このため、不法投棄を未然に防止するための監視体制、御指摘がございましたが、こうしたものの強化に重点を置きつつ、過去に行われてしまいました不法投棄に対しましても、その行為者に対する責任追及を徹底するとともに、必要な場合には行政代執行により地域の生活環境を保全する必要がある、そういうふうに考えております。
 先ほど部長からお話がございましたが、この国会にも特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案、これを提出いたしておりますし、それからさらなる未然防止の強化等のための廃棄物処理法の改正、これも提出をさせていただきたい、こういうふうに考えているわけでありまして、環境省といたしましても、この不法投棄対策、これは最重要課題である、そういう認識を持ってこれから取り組んでまいりたいと思っております。
矢島分科員 弘友副大臣や望月政務官にも、ぜひ私が提起しました問題等を心に置いていただいて今後取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、終わります。
萩山主査 これにて矢島恒夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、樋高剛君。
樋高分科員 自由党の樋高剛でございます。きょうは、私の専門の一つであります環境政策につきまして議論させていただく機会を賜りまして、本当にありがとうございました。
 また、環境大臣におかれましては、就任なさってもう何カ月もたっておりますけれども、こうして面と向かって環境政策について議論するのは初めてでございますが、今、環境の分野というのは、今後、抜きにしては我々人類の将来はあり得ない、日本の未来はあり得ないという意味におきまして物すごく重要であるというだけではなくて、環境の問題につきまして将来の向こう百年にわたる方向づけをする最も重要な時期にある。その中にあって、環境大臣の活躍が期待される、課せられた責任は重いというふうに私は思っておりますので、どうかリーダーシップを発揮していただきたい。私は委員会では悪いところは悪いと言いますけれども、いいところはいいというふうにはっきりと申し上げてまいりますので、どうか大臣の御健闘にまずもってエールを送らせていただきたいというふうに思っております。
 まず、来年度の環境省の予算案に関してのお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回、環境省の予算ということで初めて特別会計が設けられたわけであります。これまで石油特別会計につきましては経済産業省の所管でありましたけれども、昨年の夏から環境省と経済産業省との間で見直しの議論が活発になされてきたというふうに伺っております。その結果なんでありますけれども、石炭への新たな課税、また、LPGまたLNGの税率の引き上げを行うというふうになりましたと同時に、石油特別会計の一部につきましては環境省と経産省との共管とする、そして、これを財源にいたしまして、エネルギー起源のCO2の排出を抑制する、新しいエネルギーの導入の促進や省エネルギー対策などを進めていくというふうに伺っているところであります。
 この石油特別会計の見直しについてなんでありますけれども、特に地球温暖化対策に関してはどうしても利害が対立することが多い両省がともに手を組んで取り組もうという、ある意味では歴史的な政策転換だというふうに私は思っております。一方で、環境省としての政策が経済産業省に、気がついてみたら取り込まれちゃっているということになりやしないかということで、ある意味で私ははらはらしているのも正直なところなんでありますけれども、大臣として、どのような考え方によりましてこの見直しを行おうとしているのか、初めに伺いたいと思います。
鈴木国務大臣 いわゆるエネルギー特会の見直しでありますけれども、昨年来、経済産業省の方からそういうお話がございました。これは、一つには、京都議定書の目標達成に向けて温暖化対策を充実強化するということ、それから流動的な中東情勢等を勘案してエネルギーセキュリティー対策を強化する、こういうことであるというふうに説明を受けているところであります。そういう中で、天然ガスシフトを加速化することや、省エネ・新エネ対策などの二酸化炭素排出抑制対策を当省と連携して実施することになったわけであります。
 環境省の立場でございますが、環境省はかねてより、温暖化対策、これはもう先生も御承知のとおり、年次を区切って、ステップ・バイ・ステップでやっていこう、こういうことであります。二〇〇四年までの第一ステップにおいて、従来からも環境省としては、今まである特別会計のグリーン化を進めていくんだ、こういう方針でございました。まさに今回のエネルギー特会の見直しは、そうした従来のエネルギー特会のグリーン化の一環である、そういうふうに位置づけているわけでありまして、こうしたことを、この特別会計を使いまして、新たに第一ステップのエネルギー起源の二酸化炭素の排出抑制対策を強化していきたい、そういうふうに考えております。
樋高分科員 この見直しによりまして、環境省も石油特別会計を所管するということになったわけであります。石油特別会計を所管するということでは、ある意味で元年なわけで、スタートなわけであります。来年度の予算案においては、環境省所管分として六十億円が計上されております。今年度の環境省重点施策の資料を拝見させていただきましたけれども、地球環境保全の推進ということで全体で予算が八十四億円、大幅な増額になるということであります。
 去年の通常国会におきましては、私も環境委員会の理事として地球温暖化対策推進法の改正に取り組ませていただきましたけれども、京都議定書で定められた温室効果ガスの六%削減約束を確実に達成していくためには一層の対策の強化が必要でありまして、そのための予算もより必要となるというふうに私は考えております。
 このような中で、今回の見直しによりまして環境省の地球温暖化対策の予算も大きく伸びるということになりますけれども、この増額となる予算を決してむだにしないで、京都議定書の削減約束の達成のためにいかに効果的に使っていくことができるかがこれからの環境省に問われていると思いますけれども、これについてのお考えを伺いたいと思います。
望月大臣政務官 お答えさせていただきます。
 ただいま委員御質問ございましたように、民生・運輸部門における二酸化炭素の排出量の増加は本当に著しいものがございまして、我々も大変心配しているところでございます。多くの効果的な施策を講じることによって温暖化対策を強化してまいりたい、このように思っております。そのために、今回の石油特別会計の見直しによって、エネルギー起源の二酸化炭素の排出抑制対策について、特別会計を共管することになりましたけれども、これで、民生・運輸部門を中心に二酸化炭素排出削減について実効ある対策を進めていきたい、このように思っております。
 委員の御質問のように、具体的なものといたしましては、地方公共団体と連携した再生可能燃料、言われますものはバイオエタノールでございますけれども、これも民生・運輸部門における利用を十分に促進してまいりたいと思っております。二番目には、高効率の廃棄物発電施設、俗に言うボイラーでございますけれども、この整備等の廃棄物処理分野における対策。三番目に、京都メカニズムを活用するための事業者の支援でございますけれども、俗に言うCDM、クリーン・ディベロプメント・メカニズム、それからJI、ジョイントインプリメンテーション、こういった事業者の支援を行ってまいりたい。最後に、温暖化対策に対する普及啓発活動を担う人材の育成、こういった施策を重点的に進めてまいりたい、このように思っております。
 今後とも、効果的な温暖化対策を推進するための観点から、先生おっしゃいますように、特別会計に基づく対策の充実に努めてまいりたい、このように思っております。
樋高分科員 望月政務官がやがて環境大臣になったときに、こんなはずじゃなかったのにと言われないように、ひとつしっかりとお願いをいたしたいと思います。
 次に、今回の石油特別会計の見直しと非常に関連が深い温暖化対策税に関してお伺いをいたしたいと思います。
 私、去年イギリスに参りましたときに、この温暖化対策税につきまして、現地に参りまして、いわゆる排出権取引の会社をお訪ねしたりして、実際に現場でどういう悩みがあり、どういう問題があり、どういう課題があるかということもヒアリングをし、また勉強してきたところなんであります。
 この温暖化対策税ということの議論が必要ではないかという意味なんでありますけれども、大臣は先ごろ、かねて検討されてきた温暖化対策税の具体案づくりにいよいよ着手をし、ことしの夏までに一つの形を示すことを表明されたようであります。また、先週には、地球温暖化対策の問題などに関して日本経団連と懇談会を行って、温暖化対策税の必要性について奥田会長を初め率直な意見交換をされたと伺っております。
 地球温暖化防止京都会議、いわゆるCOP3の議長国である我が国日本が、いかにして率先して京都議定書を実行していけるかを考える上では、ほかの政策手法とともに、温暖化対策税の導入の必要性についても、幅広い立場の方々による真剣な、突っ込んだ議論が不可欠である。この議論をいかにしっかりやって、意識を高めていくかということ。何かお上が決めたから嫌々ながら税金を納めるという押しつけ型ではなくて、トップダウンではなくて、むしろボトムアップによって国民の側から、そういうことだったら税金も仕方ないんじゃないか、そのためにこそ、環境問題について、温暖化対策について、一人一人が一つ一つしっかり考えていこうじゃないかというふうにむしろなれるように、国民的議論が必要ではないか。
 私は、かねがねこの意識の転換ということの重要性を本当に痛感しているところでありますけれども、この温暖化対策税に関する今後の検討の見通し、そして環境省として温暖化対策税についていかに国民的な議論を広げていくかというお考えをお伺いいたしたいと思います。
望月大臣政務官 お答えさせていただきます。
 環境省といたしましては、先ほど大臣がお話ございましたけれども、ステップ・バイ・ステップというようなアプローチに沿って進めていきたいと思っておるわけでございますけれども、どちらにいたしましても、二〇〇四年に実施される対策の進捗状況の評価、見直し、これは大変重要なものだと思っております。
 一九九〇年の六%削減。ところが、現在は八%ふえている。原子力発電所がとまって、また二%ふえている。こういうようなものの評価をやはりしっかりとしていかなきゃならないし、民生だとかあるいはまた運輸部門がふえておりますので、必要とされる場合には、第二ステップが始まる二〇〇五年度以降、早期に温暖化対策税を導入する、こういった方針でございます。
 現在、二〇〇四年の評価、見直しにつきましては、必要とされた場合に備えて、中央環境審議会の地球温暖化対策税制専門委員会において検討を進めているところでございます。先生がおっしゃるように、本年度夏までを目途に具体的な案を取りまとめて皆さんにお示ししたい、国民的な議論を喚起したい、このように思っております。この検討や具体的な方策を踏まえまして、国民の皆様や関係方面の皆様の理解が大変重要でございますので、その理解が得られるように最大限の努力を傾けていきたい、このように思っております。
樋高分科員 ところで、今回、石炭を新たに課税対象に追加しました。また、石炭やLPG、LNG、また石油に課された税金を財源として、いわゆるCO2の排出抑制対策を行っていくということでありますから、何となく環境税のようでもあり、この税制の見直しと現在検討が進められている温暖化対策税との関係が、いま一つわかりにくい、クリアではないというふうに私は思います。
 この点につきまして、今回、石油特別会計の見直しに関しまして、大臣が経済産業大臣と直接お会いになり合意された中で、きちんとした位置づけがなされているはずでありますけれども、まず、この点につきましてわかりやすく、明快に御説明をいただきたいと思います。また、きょうはお忙しい中、経産省からもお越しいただいておりますので、今回の税制の見直しをしたことによって、今後、温暖化対策税の検討が阻害されるわけではないということを明確にしていただきたいというふうに思います。
望月大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。
 今回の石油関係諸税等の見直しでございますけれども、先生がおっしゃいましたように、京都議定書の目標の達成に向けての、これはエネルギー消費国としての責任であるわけでございまして、その充実強化、それからもう一つは、流動的な中東情勢、石油情勢、それに対して我が国のエネルギーセキュリティーというものが、今回のエネルギー特別会計の重要な問題だと我々は理解しておりますし、それを踏まえて、天然ガスだとか省エネ・新エネ対策というものでエネルギー政策や歳出構造の見直し、要するにエネルギーのグリーン化というようなことがエネルギー特別会計の見直し、このように考えております。
 先生御心配のように、そういった御意見がいろいろございますけれども、我々といたしましては、今回の石油税の見直しというものは、エネルギー政策や歳出構造の見直しに伴い、歳入についても負担の公平という観点から見直しを行うものでございます。我々としては、CO2排出抑制を主たる目的とした温暖化対策税とは、その性格や内容が違うものだ、そのように理解して、行動しております。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 当経済産業省といたしましては、昨年来、京都議定書を締結いたしまして、地球温暖化対策推進大綱をより確実に、かつ円滑に実施していくために、エネルギー分野における地球温暖化対策の充実強化に早急に取り組む必要があるということ、二番目に、流動的な中東情勢を勘案しまして、エネルギー源の天然ガスへのシフトなど、エネルギーセキュリティー対策を強化する必要があるということ、これらを踏まえまして、天然ガスシフトの加速化、省エネルギー・新エネルギー対策の拡充、環境省との連携によるエネルギー起源二酸化炭素排出抑制対策などの実施など、エネルギー政策や歳出構造の見直しを行ったところであります。
 今回の石油税の見直しは、こうしたエネルギー政策や歳出構造の見直しに伴い、歳入におきましても、負担の公平の観点から、石炭を新たに課税対象に加える等の見直しを行ったものであります。二酸化炭素排出抑制を主たる目的としたいわゆる環境税を創設するものではないということであります。
 いわゆる環境税につきましては、当省といたしましては、昨年三月に策定された地球温暖化対策推進大綱にあるとおり、「他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果、マクロ経済・産業競争力等国民経済に与える影響、諸外国における取組の現状等の論点」におきまして、国際的な連携に配慮しつつ、さまざまな場で引き続き検討されるべきものと理解しております。
 以上であります。
樋高分科員 環境省と経産省と、いずれにしろけんかをしないように、政府の方針としても経済と環境の両立というのはうたっているわけでありますから、連携を密にしていただいて、環境分野での、またこういう温暖化対策税を初めとする活発な議論をしっかりとやっていただきたいというふうに要望を強くさせていただきたいと思います。
 続きまして、産業廃棄物の不法投棄の問題について伺いたいと思います。
 この不法投棄は、私の選挙区でも大変多いです。しかも、そこに放火をされたり不審火があって、本当に全国でそういう不法投棄の問題、今注目されているんではないでしょうか。環境大臣の地元でも、青森県との県境で大変大規模な不法投棄が行われているということもありまして、大臣もそのことを実感なさっていらっしゃるというふうにも思いますし、去年十二月には千葉県の不法投棄現場にも視察に行かれたというふうに伺っております。
 対策の必要性、緊急性については強く実感されていると思いますけれども、今国会には、不法投棄の原状回復を進める特別措置法案を提出する予定である、来年度予算案にもその支援を行う補助金として三十億円が計上されておりますけれども、この額で抜本的な対策を行うのが果たして本当に可能なのかどうかということを、私、素朴な疑問なんでありますけれども、お考えを賜りたいと思います。
弘友副大臣 委員御指摘の、今の三十億の予算につきましては、これは、先日国会に提出させていただきました特定産業廃棄物支障除去特別措置法案の施行費用として計上させていただいたものでございまして、本法の対象となる事案というのは、平成十年六月以前の不適正処理によりまして、生活環境保全上の支障が生じ、または生じるおそれのあると認められ、都道府県等により代執行として原状回復事業が行われるものでございます。
 今試算されていますのは、十年間の総事業費が大体九百億から一千億程度かかるんじゃないか、国庫補助額の総額が三百億から四百億ということで、十五年度といたしまして、その十カ年の初年度といたしまして三十億円を計上させていただいたものでございます。これで抜本的対策がとれるのかどうかということでございますけれども、今後、この法律の施行段階におきまして、都道府県等の取り組みの予定等を把握いたしまして、そしてまた効率的に予算を執行するとともに、引き続き必要な予算額の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
樋高分科員 もちろん、お金をかければいいというものではないんですけれども、法律はここ数年来、廃棄物処理法の改正が何度も行われました。そして、排出者責任の強化、罰則の引き上げというふうに、不法投棄対策の強化が図られたんですけれども、一方で、いわゆる産業廃棄物の不法投棄が後を絶たない、最近では手口がより悪質、そして巧妙になってきているようでありますから、不法投棄の原状回復の支援策をしっかりと一層強化していただきたいというふうに思います。
 そしてまた、幾ら原状回復措置の強化を図っても、その一方で不法投棄がなくならなければ元も子もないわけでありまして、不法投棄の原状回復措置と、そもそも不法投棄が起こらないようにする未然防止策、これはやはり車の両輪のように進めていかなくてはいけない、一体となって進められるべきものであると思います。
 環境省におきましては、今国会に廃棄物処理法の改正案を提出するというお話でありましたけれども、その中で不法投棄の未然防止策、このことも一方で物すごく重要な部分だと私は思いますが、どのような措置を講ずるというふうにお考えでしょうか。
鈴木国務大臣 樋高先生が今御指摘になられましたとおりに、産業廃棄物の不法投棄問題、これは、過去の廃棄物の原状維持をするということと、もう一つは、そういうものが新たに発生しない、未然防止を徹底するというのがまさに御指摘のとおり両々相まって進んでいかなければならないと思っております。
 この未然防止ということでありまして、今国会に廃棄物処理法改正案を提出いたしたい、その予定をしているわけでありますが、その中身につきましては、廃棄物であることの疑いのあるものについての地方公共団体の立入調査権限等の拡充、それから、従来ありませんでした不法投棄等の未遂罪の創設、緊急時における産業廃棄物に関する国みずからの立入調査権限等の創設、こういったものを現在検討しているところであります。
 そして、過去の原状回復につきましては、先ほど弘友副大臣からお話がございましたが、新法も提出をさせていただいたところでございます。
樋高分科員 やはり、大臣、副大臣、政務官と一体となって、全国、その現場を本当に歩いていただきたい。そしてやはり、百聞は一見にしかずです。現場を見ていただきますれば、では、原状回復をどうすべきか、そして未然防止はどういうふうにすべきかということがある意味で分析できるし、それをもってまた今後の施策に反映をすることができるのではないかというふうに思いますので、積極的に、お忙しいとは思いますけれども現地現場主義で、現地をぜひ、全国を走り回って、時間を惜しんで走り回って現場を見ていただきたいというふうに思います。
 今回の廃棄物処理法の改正によって、一昨年の環境省設置法改正、これは私も携わりましたけれども、これによって創設をされましたいわゆる地方環境対策調査官がさらに実効性を持って機能することとなることを期待しております。
 環境省の地方の組織についてちょっと議論したいんでありますけれども、しかしながら、この産業廃棄物の多くが都道府県の範囲を超えて移動して処理をされている現状、状況をかんがみたときに、不法投棄の摘発や排出事業者の責任追及を徹底するためには、やはり環境省がもっと積極的にかかわって対処すべきではないかというふうに思います。どうしても、私感じますのは、地方自治体にある意味で、言葉は悪いですけれども丸投げをしちゃっているような印象もぬぐい切れない。やはり環境省が地方それぞれをきちんと責任を持って、監督という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、自分のこととして直接そこにコミットしていくということが必要なんではないか。もちろん、全体の行革の流れの中では人数をふやしてはいけない流れもありますけれども、私は、環境の分野というのはむしろ深く地方にもかかわっていくべきであろう、そうすることが望ましいのではないかというふうに思うわけであります。
 先ほど取り上げた地球温暖化の問題に関しても、いわゆる京都議定書の削減約束の達成のためには、特にCO2の排出量が増加し続けている家庭、一つ一つの家族単位での、もしくはオフィスビルなどのいわゆる民生部門の対策をきめ細かく行っていくことが私は重要な課題であろうというふうに思います。
 こういった観点から、環境省においても、組織のあり方にむだがないかを点検しつつも、やはり地方の組織をさらに拡充していくことが必要なのではないか。大臣も、昨年十二月に、総務大臣に対して、地方組織の整備の必要性について申し入れをなされたようでありますけれども、今後どのように取り組むおつもりなのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 環境行政、環境省のあり方について、本当に力強いバックアップをしていただいて、ありがとうございます。
 思いますに、環境庁として発足いたしましたのが昭和四十六年七月ですが、そのころは主に公害対策が中心だったと思います。その後、今日に至って、環境問題、大変に幅広い問題になっているわけでありまして、先生が御指摘の地球温暖化の問題も廃棄物の問題も、これはおっしゃるとおりに、一人一人のライフスタイルあるいは通常の事業活動からこの原因が出ているということですから、環境行政も、そうした地域住民の方々あるいは事業者の身近なところにいて、そして頻繁な意見交換等を進めていくということが大切である、そういうふうに思っております。
 現在、全国九ブロックに配置しております地方環境対策調査官事務所があるわけでありますが、これも先生方の御協力によりまして逐年充実をいたしております。平成十三年、発足時でございますが、四十五人で出発をいたしましたが、平成十四年度末には六十三人、そして平成十五年度末には八十九人ということになるわけでありますが、しかし、出先の重要性を考えますと、これで満足ということではない、そういうことを認識しておりますので、これからも、職員の適正配置等を通じまして、地方での取り組みを強化してまいりたいと思っております。
樋高分科員 環境大臣におかれましては、後世歴史に残る功績を残していただきたい。あのときには鈴木大臣だったから環境問題について国民の意識ががらっと変わったんだと将来言われるように、しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
萩山主査 これにて樋高剛君の質疑は終了いたしました。
 次に、水島広子君。
水島分科員 民主党の水島広子でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、栃木県宇都宮市に住んでおります。宇都宮市では大谷石が有名です。大谷石というのは、宇都宮市大谷地域特産の石材で、加工がしやすく、耐久性にもすぐれており、石特有の冷たさもなく、古くから栃木にとどまらず広く使われてまいりました。今も、宇都宮には大谷石でできた立派な蔵や塀がたくさん見られますし、その石のさまざまな表情の価値が再認識されているところでございます。そんなふうに宇都宮が誇る大谷石であるはずなのですが、ここのところ大谷というと、むしろ宇都宮市民の心配の種となってしまっております。
 一九八九年二月十日には、大谷石採掘場の廃坑が直径七十メートル、深さ三十メートルにわたって陥没をし、巨大な穴があきました。その直前の時間には子供たちがこの廃坑の上の通学路を通っていたというタイミングで、多くの市民を不安に陥れたわけです。その後も陥没事故は繰り返されました。
 問題は陥没だけにとどまりませんでした。
 この大谷の廃坑に業者が産業廃棄物を捨てていたのですが、一九九一年の十一月九日から、何と翌年の九月十日まで十カ月にわたる火災が発生いたしました。安定五品目であればこんな大規模な火災が起こるわけもないわけで、そもそも違法な廃棄があったことが火災の原因であると言えると思います。また、このときに悪臭や白煙等の被害が出て、環境基準値を上回るメチルメルカプタンが検出されております。
 一九九三年七月には、その処分場の産廃内容調査の結果が公表され、環境基準値を上回るカドミウムが検出されました。その後も、大谷石の採掘廃坑には産廃の違法な投棄がされ、環境汚染が続いてまいりました。
 二〇〇二年六月には、産廃処分場ウスイ最終処分場内にたまっていた水から環境基準値の五百倍以上の濃度の重金属類が検出されたということが、宇都宮市廃棄物対策課によって発表されました。この調査は、二〇〇一年八月に発生した大谷石採掘場跡地のガス爆発事故の原因調査の一環として、昨年の三月に行われたものでございます。
 検出された重金属は、一リットル当たりで、総水銀〇・二九ミリグラム、鉛四・九ミリグラム、カドミウム〇・〇二ミリグラム、砒素〇・〇七六ミリグラム。国の環境基準値は、総水銀が〇・〇〇〇五ミリグラム、他の三種が〇・〇一ミリグラムとなっており、総水銀はこの五百八十倍、鉛は四百九十倍であったというわけです。二〇〇二年の三月の時点では、周囲の河川と井戸からは有害物質は検出されていないという結果でございますけれども、地下水に与える影響は大きいと私は思っております。
 いずれ宇都宮では水が飲めなくなるということを言っている人もいるわけでございますけれども、まず、環境省として、この問題が将来に及ぼす影響をどのように予測されますでしょうか。
鈴木国務大臣 御指摘の廃坑利用の安定型最終処分場でございますが、これは既に埋め立ては終了したと聞いております。
 本来、安定廃棄物でございますから、こういった有害物質が出るということは考えられないわけでありますけれども、現に、宇都宮市が昨年三月に内部のたまり水を分析したところ、先生御指摘のように水銀や鉛などの環境基準を超える有害物質が検出された、こういうことであります。
 その影響ということでございますが、現在宇都宮市におきまして、このたまり水について月一回の頻度で調査を行い、それから周辺の地下水につきましては三カ月に一回の頻度で追跡調査をしているということを聞いております。これまでのところは、井戸など周辺地下水への影響は認められない、こういうふうに聞いております。
 一般的には、周りが大谷石の岩盤で囲まれておりますので汚染が外部へ浸透しにくい、こうは考えておりますけれども、しかし、やはり十分な注意というものが必要であると思いまして、現在宇都宮市が行っております、外部との水の出入りが本当にないのかどうか、それから周辺地下水や表流水への汚染がないかどうか、このモニタリング調査をしっかりと継続していくことが大切である、そういうふうに認識をいたしております。
水島分科員 将来的にも環境に与える影響というものを、当然環境省としても十分考慮に入れて対応されていくという姿勢でございまして、全くそのとおりだと思いますけれども、今国会に、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法案が提出されております。
 この法案は、結局、この大谷のような問題、つまり違法な廃棄、違法な投棄があって、そしてそれが除去されないためにいろいろな問題を起こしているという大谷のような問題が全国各地に起こっているためにつくられたものと理解してよろしいでしょうか。
鈴木国務大臣 今回提出をいたしました新法の対象になる要件でありますけれども、幾つかございまして、その一つは、平成九年の廃棄物処理法改正施行前、施行されたのは平成十年六月でありますが、その前に不適正に処理をされたもの、それから生活環境保全上支障が生じ、または生じるおそれが認められる場合であって、その原状回復が処分者等の無資力により履行されない場合等に県が代執行するもの、県に対して行われる、こういうことであります。
 御質問の事案につきまして、もちろんこういうような制度上の要件を備えていれば支援の対象になるわけでありますが、しかし、この場合、処分場設置者というものも判明して今なお存在をしている、こういうふうに聞いておりますので、基本的にはその者の責任で必要な対策をとらせるのが原則であるということであります。
水島分科員 今の答弁を確認させていただきますと、本来は処分場設置者の責任であるけれども、どうしてもそれがいろいろな事情によって実現できない場合に、県あるいは保健所設置市でしたか、それが代執行するという形の法案であるというふうに理解してよろしいということでしょうか。
鈴木国務大臣 そのとおりで結構です。
水島分科員 これは、十年間の時限立法でございまして、私が読みました先日の新聞記事によりますと、鈴木大臣は、青森、岩手の現場だけでなく、十年間で過去の負の遺産を一掃したいと述べられております。
 全国のすべての該当廃棄物を撤去するために、総額幾らかかるというふうに試算されていらっしゃるでしょうか。
弘友副大臣 これも、先ほどちょっとお答えさせていただきましたけれども、本法の対象となるのは、平成十年六月以前の不適正処理によって生活環境保全上の支障が生じ、または生じるおそれがあると認められ、都道府県等により代執行として原状回復事業が行われるというものでございます。これらの支援に必要な予算額につきまして、環境省が把握している十年六月以前の不法投棄の実態調査データでは、十年間の総事業費が九百億から一千億程度かかる。
 これは試算でございますけれども、青森、岩手だとか豊島だとかございますけれども、その他の事案につきましても、全国約四百三十カ所、一千百万立米の不法投棄事案について、平成十二年度の実態調査において、都道府県が生活環境保全上の支障なしと判断しているものが原状回復未着手なもののうちの七割程度であった。そういうことを踏まえまして、有害廃棄物事案以外で代執行による原状回復事業が行われるものは全体の約三割、また撤去される量は投棄量の二分の一と想定して試算したのが先ほどの十年間の総事業費九百億から一千億、そのうちの国庫補助額の総額が三百億から四百億円程度ということで試算させていただいたところでございます。
水島分科員 そのうちの二〇〇三年度の予算案での要求額は三十億ということでよろしいと思いますけれども、この三十億という予算の中でどれほどの事業が実際に行われるかということなんです。
 例えばこの宇都宮市大谷の件につきましても、宇都宮市長が、これを不適正処分された産廃であると認め、そして生活環境保全上の支障があるということを認め、さらにこれはもう代執行するしかないということを判断して実施計画を策定すれば、二〇〇三年度からでもすぐに除去作業が始められるんでしょうか。
弘友副大臣 お答えさせていただきます。
 この法律が成立した場合、これに基づいた支援に関しましては、都道府県または保健所設置市が定めた実施計画、今お話がございましたけれども、それに規定する支障除去等の事業について国庫補助及び地方債の起債特例の対象とすることにしております。
 補助の要求が集中して行われた場合はどうなのか、この大谷の場合が対象となるかどうかということでございますけれども、都道府県等の実施計画を調整すること等によって、全体としての支障除去等事業の実施に支障が生じないように努めてまいりたい。ですから、三十億、一応初年度計上しておりますけれども、今までの五十億の積立金もございますし、対象となりましたら支障の生じないように実施させていただきたいというふうに考えております。
水島分科員 そのときの対象が予算枠を超えてしまったときの調整の仕方なんですけれども、どういったことが基準となるんでしょうか。
弘友副大臣 現実的に上がってこなければなかなか今の段階で三十億を超えるかどうかということはわかりませんので、都道府県の取り組みの予定等をきちっと把握させていただいて、そして、その緊急度等を勘案させていただきながら予算を執行させていただきたいというふうに考えております。
水島分科員 そうしますと、例えばそれで緊急度等を判断されたというときには、その判断の根拠というのは公開していただけることになりますでしょうか。
弘友副大臣 判断の基準というのはきちっと明確に公表していくというふうに考えております。
水島分科員 ぜひそうしていただきたいと思っております。
 また、実際にこの除去作業なんですけれども、例えば大谷のようなケースでは除去作業はどのように行われていくんでしょうか。そして、どういうふうになればその除去が完了したというふうに判断されるんでしょうか。
弘友副大臣 不法投棄されました産業廃棄物に関する対策手法というのは、現地の地形だとか、また地質、廃棄物の種類及び量等、状況によってその最適な方法が異なるというふうに考えておりまして、一律に示すことは困難である。しかしながら、一般的な対策の手法といたしましては、廃棄物を封じ込める、もう一つは廃棄物を撤去する、そして三番目として現地における浄化等の対策があるというふうに考えておりまして、本事案の場合も同様の対策が考えられるのではないだろうかというふうに考えております。
 実際の対策を行う場合には、事業を実施する都道府県または保健所設置市が、当該廃棄物及び周辺の状況、事業期間及び費用等を勘案しながら、最適と考えられる方法を選択していくことが適当である。また、その対策の終了に際しましては、生活環境の保全上の支障が生じていないことをモニタリングにより確認することが必要であり、問題が残っている場合には引き続き対策を行っていくというふうに考えております。
水島分科員 モニタリングに関しては、大体事後どのくらいの期間まで行うとか、そのようなことはありますでしょうか。
弘友副大臣 不法投棄された産業廃棄物に係る原状回復等の事業については、事業を行う前に事前調査を適切に行って、不十分な事業が行われないようにというのが大前提だ、きちっと事前に計画を立て適切な事業を行うというのが大前提だと思いますけれども、万が一事業終了後に再び問題が生じるような事態に至った場合には、支障除去等に係る施工が適切に行われていたかどうかの確認を行うとともに、新法に基づく実施計画の変更を行って、さらなる財政支援を行っていくのがいいのかどうかということもその時点で検討させていただきたいというふうに考えております。
水島分科員 私は、環境の専門家ではございませんので、この問題をむしろ普通の市民感覚で見ているんだと思いますけれども、一人の宇都宮市民として考えますと、大谷石を取りたい放題取って、陥没の危険まで起こして、さらにその穴に産業廃棄物を埋めて、そこから汚染物質が拡散しているというのは、まさに環境破壊の典型例だと思っております。
 なぜこのようなことが起こってしまったんでしょうか。もちろん悪いのは業者であるわけですけれども、行政にはどういう不備があったのか、また何を改善していけば今後こういうことが起こらなくなるのかという総括をいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 今回の問題が発生した原因ということはきちっと検証をしなければ一概に答えられないと思いますが、やはり、まずは原因究明が大切である、そういうふうに思っております。
 お聞きするところによりますと、最終処分場のボーリングによりまして埋め立てしたものを調査しましたけれども、その原因が不明であるということでございますので、引き続き事業者に対して原因究明を指導する、これは宇都宮市でございますが、まずそれが大切である、そういうふうに思います。
 今後どういうふうに対応していくかという御質問でございますが、安定型最終処分場一般について、ここの宇都宮の事例だけではなしに、安定型の産業廃棄物以外の廃棄物が混入をして、そして汚水の発生など生活環境保全上支障を生じる例というものがほかにも見られたわけでございますので、平成九年それから十年の廃棄物処理基準等の強化を行いまして、安定型産業廃棄物以外の廃棄物の混入を防止する措置を講じているところであります。
 具体的には、安定型産業廃棄物以外の廃棄物の付着や混入を防止する措置というものの義務づけ、処分場に搬入する廃棄物の展開検査、開いて中身を確認する、これの義務づけ、それから埋立場所から浸透水の定期的な検査の義務づけ、処分場の周辺二カ所以上での地下水の定期的な検査の義務づけ、こういうものを廃棄物処理基準等の強化に盛り込んだわけであります。
 今後は、こうしたものを適正に実施いたしまして、問題の発生防止に万全を期していくことが必要である、そのように感じております。
水島分科員 ぜひそうしていただきたいんですけれども、できるだけ早期に何かの問題を発見していくためには、やはり第三者のチェックが必要だと思っております。例えば、近所の人だとかあるいは市民団体の人だとか、そういう人がここはちょっとおかしいのではないかと思ったときには、今どのような手段があるんでしょうか。
鈴木国務大臣 廃棄物処理法で産業廃棄物の処理の指導監督が決まっておりまして、これは、都道府県かあるいは保健所設置市が行うということでございます。ですから、先生の今の御指摘の事案は宇都宮市が行う、こういうことでありまして、それぞれの都道府県あるいは市によって、今先生から質問された取り組みというのは、それぞれにあるんであろうと思います。
 しかし、住民の方が仮に、何かこういうおかしな動きがあるということを市などに通報したときに、それがうまく市の方につながっていかないというようなことがあってはならないわけでございますので、環境省といたしましても、こういう場合には都道府県あるいは保健所設置市において適切な対応がなされるように、必要に応じて助言、指導等をしてまいりたいと思っております。
水島分科員 例えば、仮に悪い市長がいて、産廃業者と癒着しているなんということもあるかもしれませんし、実は栃木県では、最近、産業廃棄物をめぐって、鹿沼市の職員が拉致され、殺されたというような本当に衝撃的な事件が連日大きく報道されているわけで、その中でも業者と元市長の念書などというものが出てきていたりですとか、そんなこともありまして、日本のどこの地域においても、行政と業者が癒着していないとは言えないと思います。
 仮にそんなことがあったときに、市に良識のある市民が通報したとしても、それがうまく機能していかないということは十分あり得ることだと思います。もちろん地方自治は地方自治なんですけれども、こうして最終的には法律までつくって国費を投入していくということになるわけですから、環境省としても、日本の環境保全の一環としてもっと責任を持たれてもよいのではないかと思っております。
 今、助言または指導ということでありますけれども、これは拘束力というか、どの程度実効性を持たせるおつもりでいらっしゃるでしょうか。
鈴木国務大臣 先ほど先生の御質問の御趣旨は、例えば市民の方がそういうような廃棄物の不法投棄をしているのを見て、それを市に伝えてもそれが実際に動かなかったというようなことだと私は理解して、お答えをいたしました。
 先ほど申し上げましたとおり、都道府県または保健所設置市が指導の責任を持つということでございますので、一義的には、やはり都道府県、保健所設置市において対応していただかなければならないと思っております。
 しかし、環境省としても、これは法的な強制力はないにしても、きちんとした助言、指導というものは必要があればさせていただきたい、そういうふうに思っております。
水島分科員 ぜひ、第三者あるいは一般の市民がきちんとチェックできているということがわかるような仕組みをつくっていただきたい、それを御検討いただきたいと思っております。市が動かないから今度環境省に行ってみたら、どうも助言したみたいだけれどもうやむやになってしまったとか、そのようなことがないように、きちんと、何らかの仕組みをぜひ今後御検討いただければと思っております。
 また、先ほど申しましたように、栃木県の鹿沼市、私の隣の選挙区になりますけれども、鹿沼市の担当の職員が拉致されて殺されたというような衝撃的な事件が起こっておりまして、本当に、今多くの市民が不安に陥れられているというのが我が地元の現状でございます。
 今まで、産業廃棄物といいますととかく暗い要素がつきものであったし、そこには、ある程度何らか悪いことがあっても仕方がないのではないか、社会の中のごみ、そんなものを引き受けているんだからもうそれは仕方がないのではないかというような暗いイメージがどうしてもこの廃棄物行政にはつきまとってきたと思いますけれども、今、人が殺される、また前任者が自殺される、そんな人の命にかかわるような事態まで起こってきているわけですので、私は、抜本的にこの廃棄物行政というものを改革していかなければいけないところに来ていると思っておりますが、大臣といたしましては、どのように今後この改革を進めていかれるおつもりでしょうか。
鈴木国務大臣 鹿沼市の事件でありますけれども、何か、行政と業者が癒着をしていたという報道もございますが、そういうことはもちろんあってはならないことである、そういうふうに思っております。
 そしてまた、先般、ある新聞の報道でございましたけれども、市町村の廃棄物処理担当の方が何らかの形で業者からおどされた、そういう経験があるというような記事もございまして、現場はなかなか大変なことになっているなということを痛感しております。
 産業廃棄物の不法投棄を含めまして、産業廃棄物に関する廃棄物処理法違反事案を見てみますと、そこに暴力団等が介入している実態というのがございます。または、不法投棄に介入するブローカーみたいなのが介在するというようなこともございましたので、平成十二年の法改正におきまして、暴力団員あるいは暴力団が支配する法人を処理業の欠格要件に追加いたしまして、そういう人はもうなれない、こういうことにしたわけであります。
 産業廃棄物処理業の適正化、健全化を進めるということは大切でありまして、こうした暴力団等の排除というものも今後しっかり進めていきたい、そういうふうに思っております。
水島分科員 何といっても基本的に重要なことは、恐らく、すべてのことを公開していくということだと思っておりまして、どうしても非公開の部分で、人の目の届かないところでいろいろなことが起こっていってしまうわけでございます。
 先ほど、例えばこの新法の対象になるものの優先順位をどういうふうにつけたかというような基準を公開してくれとかいろいろ私が申しておりますのも、また、市民がチェックできるような仕組みをつくってくれと申しておりますのも、すべてはそういった行政の方たちにも、本来、例えば廃棄物処理の担当の方というのはそんな暴力団の担当ということで仕事をされているわけではないわけですので、本来の職務にきちんと専念できるような環境をつくっていくためにも、この分野において特に情報公開が必要であるということをぜひこれからも頭に置いていただきまして、すべてが明るみに出るような、また、何といっても、もちろんごみを出していかないということが社会の基本でございますので、すべてが明るみに出て、またすべての市民がみずからもごみを抑制していこうと思えるような、そんな雰囲気づくりにこれからも努めていっていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は私の地元の事例でございますけれども、本当に、何でこんなことが起こってしまって、なぜこれが許されているんだろうかと思うような気持ちを多くの市民が今抱いておりますので、ぜひ大臣も、日本の環境を守るためにもリーダーシップを発揮していただいて、こんな日本の隅々の問題にまでも取り組んでいただけますように、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
萩山主査 これにて水島広子君の質疑は終了いたしました。
 次に、高橋嘉信君。
高橋(嘉)分科員 自由党の高橋嘉信でございます。
 きょうは、青森、岩手の問題に集中してお話をお伺いしたいと思っております。
 まず、昨年の十一月八日、環境委員会におきまして大臣に質問いたしました廃棄物処理法第十九条の立入検査規定について、再度お伺いをいたします。
 つまり、この内容は、許可施設以外には、原因者の所有地全体には権限は及ばないか否かの問題でありまして、大臣はその時点で、法の解釈、運用面における指導の不備を認められましたが、その後、何か手を打たれましたか。各自治体の担当者を集め周知徹底を図るとか、何か行われたでしょうか。
鈴木国務大臣 昨年の十一月八日に高橋先生から環境委員会で御質問をいただきました。そのときに、私の方から、国からの指導というのが徹底していなかったということを申し上げたわけであります。
 その後の取り組みでございますけれども、ちょっと戻りまして恐縮でございますけれども、先生御指摘のように、平成十三年五月に許可取り消し等の基準を定めた行政処分の指針というものを策定をいたしまして、その中で、不法投棄現場を含め、法に基づく立入検査ができることを明確化し、都道府県に通知をいたしました。そして、通知をした後でございますが、全国を四ブロックに分けまして、平成十三年の七月から八月の間、ブロック別部局長会議を開催をいたしまして、この行政処分の指針を含め、改正廃棄物処理法の施行についての周知を図っているところであります。
 その後の様子を見てみますと、平成十三年四月からこの改正廃棄物処理法というものが施行されたわけでありますが、約一年間で、処理業許可等の取り消しが百八十五件、原状回復等の命令が三百九件実施をされまして、違法行為への厳正な対応が進められている、こういうふうに思っております。
 これからも、都道府県との連携や協調ということが大切でございますので、さきに委員会で御指摘された点等もしっかりと踏まえながら、今後とも都道府県との一体化に努めてまいりたいと思っております。
高橋(嘉)分科員 昭和四十六年に廃棄物処理法ができて通達をした、その後に、今大臣がおっしゃられましたように、平成十三年五月十五日に行政処分の指針という通達を行っております。この通達のみで本当にいいのかどうか。前にもBSEに酷似していると言いましたけれども、いずれ食品衛生法関係でも何でもですが、担当者会議をしているんじゃないですか。これで徹底されたというのは、僕はいかがなものかと思っております。
 青森県が立入検査を行い始めた平成七年当時の内容と何ら変わらないものを、行政処分の指針という形で平成十三年に行っている。それだけでは、本当に周知徹底が図られたのか、施設だけではなくて、その所有の土地全体に立ち入り権限が及ぶんだということの徹底がなされたとは言えないんではないでしょうか。この辺、どのようにお考えなのか。
 何せ、この問題は、この法の解釈の部分で不法投棄の拡大を生んだわけでありますから、僕はもう少し真摯に受けとめながら周知徹底を即座に図るべきだと思いますが、いかがですか。
鈴木国務大臣 昭和四十六年から行われておりました法解釈、そのままになっていたということで、平成十三年に新たな指針を発出したわけであります。その後、ブロック会議を開いて、文書で指針を出すだけではなしに、実際の会議でこの点につきましても周知徹底を図ったわけでありますが、しかし、極めて大切な部分でございますので、まだこれが全国の担当者に周知徹底されていないということであれば、これは大変でございます。必要に応じて周知徹底、会議を開くなど、それは必要があればさせていただきたいと思っております。
高橋(嘉)分科員 そういうことであればするというのではなくて、周知徹底を断言できる状態でなければ周知徹底を即座に図るのが、行政としての責任ではありませんか。
鈴木国務大臣 環境省におきましてもさまざまなこと、都道府県と連絡をし、そして周知を図って御理解をいただいているところでございます。
 そういう中において、この問題につきましても環境省としては周知を図って御理解をいただいている、こういうふうに思いますけれども、先生からそういうお話がございますのは、何か周知が徹底していない、先生のそういう一つの判断もあるのかもしれませんが、そういう判断があるのか、また環境省としても検討して、周知を図ることが大切でございますので、その努力はさせていただきたいと思います。
高橋(嘉)分科員 それでは次に、青森、岩手の問題においてですが、不法投棄はどのように拡大したと考えておられますか。
 原因者は平成十二年の五月の逮捕直前まで事業展開をしています。そこでお伺いしたいのですが、大臣は、日本林業技術協会が撮影していた航空写真の報道を御存じですか。
鈴木国務大臣 岩手日報紙に掲載された写真がそうであれば、それは拝見をいたしました。
高橋(嘉)分科員 これによりますと、一九九七年あたりから岩手側への拡大が鮮明に見られるとあります。私は、岩手であるから云々という、そういった視点で申し上げているのではありません。事実関係の把握と今後の環境行政に資するために申し上げているのであります。
 平成十年六月十七日前と以降とでは、補助率に大きな違いがあります。先般、大臣はこの点につきまして、今ここにデータは持ち合わせていないが両県において把握をしているのではないかと思う、事実を照らし合わせ、法律的にどう対処できるかを判断することになると思うと話されました。この点についてのお考えは変わりありませんか。
鈴木国務大臣 実際のところ、何年にどこの部分に何月何日に行われたということの把握ということは、これはなかなか大変なことであると思います。この点につきましては、青森県そして岩手県、その評価委員会でさまざまな討議もされていると思います。そういう中で、こうした不法投棄がどのように拡大をしていったのかということを把握ができれば、そういうふうに思っております。
高橋(嘉)分科員 いずれ不法投棄の経緯の把握も大切なことですけれども、今僕が申し上げているのは、いつごろ岩手県側に拡大していったか。それは、マニフェストを見たり、いろいろな帳簿を見たりして、そして実際に投棄されている内容と照合すればわかることじゃないんですか。それをする、原因究明、そして、しっかりとした今後の環境行政、廃棄物問題の解決に向けて処理法の改正も含めて考えておられるというのであれば、また新法も考えておられるというのであれば、その辺のところがはっきりしなければいけないんじゃないですか。
 検証委員会におけるいろいろな行政責任が問われてきておりますけれども、大臣の、今後の問題のためにもそれを明らかにしていきたいというような話を報道で見ておりますけれども、この点をはっきり追及していくおつもりなのか、その辺の御決意のほどはいかがですか。
鈴木国務大臣 基本的には原因者の責任ということでございまして、この場合は最終処分者はもう既に倒産されたりお亡くなりになられたり、こういうことでございますが、次に排出者の責任をしっかり追及するということが必要である、そういうふうに思います。
 先生がおっしゃられましたそうした廃棄物が投棄をされた時期の問題、場所の問題、これにつきまして、やはりこれは都道府県において、そういう排出者の責任追及の中で明らかにされるべきものである、そういうふうに考えております。
高橋(嘉)分科員 明らかにされた場合、その内容量によっては、そしてその時期等が特定された場合においては、補助率に変更もあり得るということですか。
鈴木国務大臣 これは、現在あります平成十年六月以降に投棄された新しい仕組みをつくりましたときに、それ以降に投棄されたものについてはもちろん新たな仕組みに乗っかっていくということでありますが、それ以前に投棄が始まって、その平成十年六月を過ぎても一連として行われたものは、平成十年六月以降の新しい仕組みには乗らないというような整理が既になされております。
 したがいまして、今回のこの青森、岩手の問題について、これがある程度事前に一回区切られて、継続性がなしにまた平成十年六月以降になされたとか、そういうようなところの検証が必要でありますけれども、基本的には、その平成十年六月以降の新しい仕組みのときに考えられた考え方、そういうものが基本になると考えております。
高橋(嘉)分科員 この議論をしていきますと、その考え方に基づくとすれば、いつ捨てられたか時期が特定できないものについては何とも補助率を考えられないんじゃないか、僕はそう思いますけれども、いずれこの点についてはまた後日議論していきたいと思います。
 では次に、青森、岩手の問題ですが、有害物質の特定状況がどのようになっているかという点についであります。
 優先撤去の対象となっている特別管理産廃、この量の把握及び有害性物質の特定状況はどのようになっているんでしょうか。そしてまた、まだはっきりしていないと僕は聞いておりますけれども、いつごろをめどに明らかになるのでしょうか。
弘友副大臣 有害性物質の特定状況いかんというお尋ねでございますけれども、両県におきましては、不法投棄廃棄物の原状回復方策を検討するために、学識者による技術部会を設置して、撤去する廃棄物の範囲、それから技術的方法等を検討しているところでございます。
 この第二回の技術部会に提出された資料によりますと、現段階におきましては、有害廃棄物の量は、青森県で三十三万立米、岩手県側では二万七千立米と試算をされております。しかしながら、今後の調査の進捗によりましてその量が増減する可能性も考えられるというふうに考えております。
高橋(嘉)分科員 では、有機溶剤汚染の状態はいかがなものでしょうか。
弘友副大臣 お答えします。
 この汚染状況を把握するために、岩手県におきましては平成十一年度から、また青森県におきましては平成十二年度から調査を実施してきておりまして、その調査結果につきましては、両県とも報道機関に公表するとともに、住民説明会の場でも説明しているところでございます。
 また、両県におきましては、原状回復の方法を検討するために現場で掘削調査等を行っておりますけれども、この調査結果につきましては、有害物質濃度の平面分布図や埋め立て廃棄物の断面図等に集約した上で、住民説明会や関係者が集まる委員会等の公開の場での資料として既に提供されております。両県とも調査結果等の公表は適切に行われているものと考えておりますけれども、今後とも住民の皆さんが不安になることがないように、環境省といたしましても必要に応じまして助言等をしてまいりたいと考えております。
高橋(嘉)分科員 この有機溶剤がここでは大量に投棄されていると言われております。発がん性があって、水よりも重く、地下に浸透して、コンクリートさえ透過すると言われている。この状態から予想すれば、かなり地下水は汚染されていると見るのが妥当であろうと思っております。この地下水脈の流れは把握しているんでしょうか。
 また、正直申し上げて、この特別管理産廃の量が掘削調査するたびにどんどんふえています。これは、適正な断面図云々というお話ですけれども、この調査のありよう、公表までいっているのか、説明会で公開していると言いますけれども。これは本当に十分なもので、そしてなおかつ公表していると言い切れるんですか。
弘友副大臣 両県におきましては、水質分析結果等につきましては、数値データをそのまま公表しております。掘削調査結果等については、投棄地全体の状況をより理解しやすくするために、先ほど申しましたように、平面図や断面図などに取りまとめております。
 御指摘のように、住民の皆さんに不安があるということでございましたが、その詳細な内容を住民の皆さんに知っていただくために今後どのような方法が適切なのかということで、先ほど来御質問がございましたけれども、情報は公開していくということで考えております。
高橋(嘉)分科員 地下水脈の流れはまだ把握されていませんよね。この点だけ確認しておきます。
弘友副大臣 地下水の調査におきましては、青森県では十三年度、岩手県では十四年度に実施いたしておるところでございます。
高橋(嘉)分科員 いやいや、水脈の流れが把握されているかどうかと。水質検査をやっているという話ではないんですが。でないと、どのように流れて、どのようになっていくかわからないじゃないですか。
弘友副大臣 地下水脈の調査をやっておりまして、今それの解析をやっているところでございます。
高橋(嘉)分科員 それでは、次に、排出者責任の見通しについてお伺いいたします。
 現在、排出者責任を求めて追及していると聞きますが、遡及状況はどのようになっているんでしょうか。そして、回収見込みはどのようになっているんでしょうか。何せ、当初二千六百社と言われていたのが五千社を超えて、今や一万七百社になっている。こういう状態を含めて、この遡及状況と回収見込みについての御見解を賜ります。具体的な数字は結構でございますので。
鈴木国務大臣 排出者責任の見通しということでございますけれども、今後どれだけ数がふえていくかということもあろうかと思いますし、また、費用回収の見込みについての御質問であろうかと思います。
 それで、排出事業者の数につきましては、調査の進展に伴って新たな事実が判明いたしまして、事業者数がふえてきておりまして、さらに調査を徹底することによって、今後とも排出事業者数が増加する可能性があると考えております。
 また、これら排出事業者に対する責任の追及に関してでございますが、これは順次進めているところでありまして、当初判明していた二千六百社への報告徴収につきましては、約九割弱の事業者から回答があり、現在、青森県、岩手県は関係都県市の協力を得て、排出事業者に原状回復の責任を課すことができるかどうかについての作業を行っているところでございまして、残りの事業者についても報告徴収を開始したところでございます。
 何社程度に排出事業者責任を問えるのかにつきましては、報告徴収の結果を踏まえて、法の要件に照らして判断することとなり、現段階ではその見込みは不明でございます。しかし、今後の排出事業者数の増加等にもかかわらず、責任が明確になったものから逐次命令を発出する、そういうようなお話を聞いているところでございます。
高橋(嘉)分科員 たしか豊島の場合も、二、三億ぐらいしか回収できなかったと僕は記憶しているんですが、大臣のしっかりとした御決意をお伺いしたいのです。
 どだい一万を超える会社を自治体がそれに責任を求めて、説明会をしたり、そこの会社に行くだけでも大変なことですよ、考えられない。その経費たるや莫大なものでしょう。回収するのよりかかるかもしれない。しっかりとした排出者責任を問うというお考えを、豊島のときとは比較にならないぐらいの決意で環境省としても臨むということでありますか。その辺の御決意をお伺いします。
鈴木国務大臣 排出者に責任を問える場合の法の要件というのがございます。
 それは、廃棄物処理法の第十九条の五の関係でいえば、産業廃棄物委託基準に違反をする委託によって不法投棄が行われた場合、マニフェストの義務違反があった場合、それから不法投棄の行為者に対して不法投棄を行うよう要求したり依頼等を行った場合等がございます。
 また、廃棄物処理法第十九条の六関係におきましても、それぞれ法の要件があるわけでございまして、排出業者のうちこの要件を満たしているかどうかということがまず第一段階になろうかと思います。
 その上で、追及をできるものについては岩手県、青森県においてされていくわけでありまして、こうした責任を問うていくというのは、お金の面で回収するということ、これが一義的でございますが、それと同時に、そういうことによってまたこれが再発防止につながっていくという二次的な側面もございます。そういう意味において、排出者責任の追及を徹底する、両県もそういうことをおっしゃっているわけでありますので、そういうことが大切であろうかと思います。
 今先生の御指摘のように、それでは、幾らぐらい回収できるのか、それから、徴税コストではありませんけれども、そういう費用対効果はどういうものなのかという点については、確かに問題はあろうかと考えております。
高橋(嘉)分科員 大体、一中間処理業者が一万社を超える企業の産廃処理を請け負うなどということは常識的に考えられますか、僕は考えられないのですけれども。処理能力的にも考えられない。だから、処理しないまま持っていって捨てたわけですね。
 大体、廃棄物の処理の流れを管理して不適正な処理を防止するというマニフェストシステム、これに不備があったんじゃないですか。この辺、今回の問題を顧みてどのようにお考えですか。大臣の御見解を伺います。
鈴木国務大臣 当初、二千六百社ということが言われており、それが次には五千社という数字が出てきて、今では一万社を超えているということでございまして、その辺が非常に明確でないという思いは私もしております。
 ただ、これは、事実関係として掌握していることを申し述べさせていただければ、この排出事業者数につきましては、平成十四年八月末の時点で、岩手県が縣南衛生株式会社から提出された資料をもとに平成十三年二月に収集運搬業者に対する報告徴収を行って、その結果報告された排出事業者数を集計して二千六百社とした、こういうことを聞いているところであります。
 しかし、未報告の収集運搬業者が残されていたということでありまして、岩手県は、両県の合同の報告徴収と並行して平成十四年十月に未報告の三十社に督促を行った結果、排出事業者数が大幅に増加した、こういうことであります。
 五千社という数字につきましては、途中段階のものが公表されたもので、十四年十二月末の最終集計では一万七百社になっている、こういうふうに聞いているところであります。
高橋(嘉)分科員 それでは、原状回復についてお伺いします。
 青森、岩手についての産業廃棄物の撤去費用及び撤去中の環境対策費をお役所に試算していただきました。総事業費三百八十七億ぐらいとされ、これに推計による有害性があるものへの二分の一補助あるいは三分の一の補助分を加え、これを差し引くと二百十六億の両県負担が生じる。これに、地方債充当率が、例えば一部報道で言われております七〇%を充てたとした場合、百四十億ほどが両県の実質的な負担分と考えられるのですが、おおむねこの線であるということでよろしいでしょうか。
鈴木国務大臣 今、国会に提出をさせていただきましたいわゆる特措法、これは今先生からお話ございましたとおり地方財政措置の裏づけもあるわけでありますが、これを当てはめた場合、今総務省におきまして、起債の充当率が七〇%、それから地方債元利償還金の五〇%を地方交付税に算入する、こういう予定だということを聞いております。
 したがいまして、青森、岩手両事案につきましては、総事業費が三百九十億円、そして国庫補助金総額が百七十億円と仮定をして試算をした場合、両県の負担額は百四十億円、負担率はおおむね三六%になる、そういう試算をしております。
高橋(嘉)分科員 大臣が一つのモデルケースと言うには余りにも大きい負担を強いることになるのではないかと私は考えております。
 産業廃棄物をなりわいとしている業者の場合、不法投棄のスケールが違います。監視体制の強化を求める意味でも、排出県による基金の創設等を考えていただきたいものだ、私はかように考えております。
 時間もありませんので、最後に、先ほど申し上げました行政責任の話でありますが、大臣は、青森、岩手のこの産廃不法投棄に対して、問題点がどこにあったのかを明らかにし、今後に生かすのは当然のこと、このようにお話しになられておりますが、検証委員会では、青森県の行政責任が問われているようです。
 冒頭御質問申し上げました、国の行政通達のあり方、国、環境省に問題はなかったか等を含め、今後に生かすために責任の所在という点について御見解をお伺いし、私の質問を終わります。
鈴木国務大臣 現実にあのような未曾有な産業廃棄物の不法投棄が起こっているということがございます。それに対して、今度、新しい法律をお願いしているわけでありますが、やはり、国民の税金を使って行うわけでございますので、そこにはしっかりした検証というものが必要であろうかと思います。
 もちろんそれは、都道府県が代執行するからといって都道府県だけのものではなしに、我々環境省も含めてこれは考えていかなければならないわけでありまして、冒頭に質問なされたこと、これは昨年の十一月、お答えいたしましたけれども、環境省としてもこれは反省をしているところであります。
 また、実際に処分業者を許可した青森県、また、実際にこうした廃棄物が投棄をされた岩手県、こういうところにおいて、こういう事態に至ったことをやはりきちっと検証をしていただくということは大切なことであると思っております。
 これは、繰り返しになりますが、都道府県だけでなしに、やはり我が省も含めて、これを今後に生かしていかなければならないと思っております。
高橋(嘉)分科員 終わります。
萩山主査 これにて高橋嘉信君の質疑は終了いたしました。
 次に、森岡正宏君。
森岡分科員 私は、自由民主党の森岡正宏でございます。
 きょうは、環境大臣を中心に、ペットの問題、特に、その大部分を占めます犬、猫の処遇につきまして質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 最近、大変なペットブームでございまして、私ごとを申し上げまして恐縮でございますが、我が家でも、ヨークシャーテリアを十八年間飼いました。また、今も二匹の猫を飼っておりまして、もう十三歳と一歳になっているわけでございまして、子供同様、大変愛情を注いで、家族一同、大事にしているわけでございます。しかし、残念なことに、いろいろなところで、捨て犬、捨て猫、そしてまた虐待の話をよく聞くわけでございます。
 平成十一年に改正されました動物愛護法には、「動物が命あるものであるということにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」と書いてあります。
 そんなことから、まず初めに、都道府県等においてどのくらい犬や猫が引き取られて、そして殺処分されているのか、その殺処分数はふえているのか、減っているのか、不妊、去勢などを奨励しておられるということも聞いておりますけれども、まず、環境省岩尾自然環境局長からお答えをいただきたいと思います。
岩尾政府参考人 お答えいたします。
 動物愛護管理法第十八条に基づきまして、都道府県等において飼い主や拾得者から引き取られる犬及び猫の頭数は、平成十三年度では約三十八万頭となっております。
 各自治体におきましては、引き取られた犬や猫の譲渡の促進を図っているところでございますが、新たな飼い主に譲渡される割合は、その四%に当たる約一万三千頭でありまして、大多数は殺処分されているのが現状でございます。
 しかしながら、近年、都道府県等の引き取り数は減少しつつあり、さらに譲渡の取り組みも進んでいることから、殺処分数も減少傾向にございます。平成十三年度の犬及び猫の殺処分数は、十年前の約半分、五三%となっております。
 以上です。
森岡分科員 鈴木環境大臣にお尋ねしたいと思います。
 今のような局長さんのお話、殺処分されている犬、猫が大部分だ、そして譲渡されているのはたったの四%にすぎない、少しずつふえつつはあるがというお話でございます。外国の例を聞きますと、民間団体が積極的に譲渡を進めて、かなりうまくいっているんだというようなお話を聞くわけでございますけれども、大臣、今の局長さんのお答えを受けて、今の各都道府県が犬、猫に対応している状況をどんなふうに見ておられるのか、そして、適正飼育徹底のためにはどうすればいいと思っておられるのか、基本的なことをお聞かせいただきたいと思います。
鈴木国務大臣 森岡先生が大変ペットを愛されて、そして動物愛護のために国会におきましても大変御努力をいただいておりますことに敬意を表したいと思います。
 私も、今岩尾局長の答弁を聞きまして、まだまだ、都道府県に引き取られる動物、犬、猫の数が多い、そしてその多くが殺処分になってしまうということを聞いて、認識を新たにしたところでございます。
 確かに、近年、引き取られる犬、猫の数は減っている、こういうことではございますけれども、しかし、今お話ございましたとおり、三十八万頭、こういうことでありますから、まだまだ改善の余地があろうかと思います。
 そういう中で、今先生が海外の例をお引きになられまして、民間団体がそこにうまく機能しているというお話がございました。やはり、行政以外でもそういったような取り組みということも検討していいんではないか、そんなふうにも思っているところであります。
 しかし、行政としてもやらなければならないことがあるわけでありまして、やはり飼い主の責任の徹底というのは図られる必要があるのではないか、そういうふうに思います。飼い主が最後まで飼い切らないといいますか、最後まで飼わないで、何か、途中手が余るとこれを放棄してしまうとか、あるいは、不妊でありますとか去勢等の実施を適切にしていないとか、こうした飼い主の責任がまず問われなければいけないのではないかと思います。
 環境省といたしましては、昨年五月に、飼い主が飼育に当たってよるべき基準を定めました。そして、その基準の普及啓発を図るために、都道府県とも協力をいたしまして、地方における適正飼養講習会の実施でありますとか、普及啓発資料の作成、配付等の事業を推進しているところであります。これらの施策を通じて、飼い主責任の考え方、これが国民に広く定着をするように、環境省としても引き続き努力をしたいと思っております。
森岡分科員 大臣、どうもありがとうございました。
 動物愛護法の中で、動物虐待の定義がどういうふうになっているのか、それをお聞かせいただきたい。
 愛護法を見ますと、愛護動物を虐待、遺棄した者は三十万円以下の罰金に処す、こう書いてあります。適用された事例があるのかどうか。また、実際、動物虐待があった場合、どこで取り締まりが行われ、指導、査察を行っておられるのか、望月政務官、お答えをいただきたいと思います。
望月大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
 動物愛護管理法の第二十七条において、愛護動物をみだりに殺し、または傷つける行為、一年以下の懲役、百万円の罰金でございますけれども、先生のお話の、愛護動物に対しみだりに給餌、えさをやらないとか、給水をやめることにより衰弱させる等の虐待でございます、これも三十万円。
 実際にこういう事例がございまして、罰則を適用した事例はございます。そうして、これらの行為が行われた場合には、個々の事例に則して罰せられる。動物虐待という面においてはなかなか難しい問題がございまして、もちろん、よくテレビで見られますように、猫だとかカモに矢を射る、これはもう大変な問題でございます。それから、一つの事例では、三宅島などで、やむなく犬や猫にえさをやれないというようなこともございましたりして、いろいろな問題はございますけれども、こうした規定に違反した者は、刑事犯といたしまして警察の権限によりまして取り締まられることになります。
 環境省としては、自治体とも協力して、これは引き取りは自治体に権限があることがこの法律十八条で決まっておりますので、自治体と協力いたしまして、これらの行為が行われることのないように、動物愛護の精神が広く国民に定着すべく努力をしているところでございます。
森岡分科員 動物愛護法の中で、現在、四十七都道府県の各地方自治体の中に動物愛護推進員という方がいらっしゃると思うんです。法律にも規定されているわけでございますけれども、どの程度の人数が確保できているのか、またどのような活動をやっておられるのか、またどういう指導をしておられるのか、なかなか私たち一般の者には見えてこないわけでございますけれども、その状況を環境省の方からお聞かせいただきたいと思います。
岩尾政府参考人 都道府県等におきます動物愛護推進員の委嘱状況でございますが、平成十四年度の当初において、七つの府県、五つの政令指定都市でございます。
 現在、動物愛護推進員の人数に関するデータはきちんと整備はされておりませんが、大体千人弱ということでございます。相当数の動物愛護推進員が地域の実情に即しまして、飼い主に対する適正飼育の普及啓発、犬や猫の不妊、去勢など繁殖制限に関する助言、都道府県等が引き取っている犬、猫の譲渡のあっせんなどの活動を行っているというふうに承知しております。
森岡分科員 今のお答えでございますけれども、それ以外の自治体にはいらっしゃらないんですか。
岩尾政府参考人 この条項は先般の法改正で追加されたということで、私ども、自治体に対して、このような推進員制度ができたということで、置くように指導しているところでございますが、私どもの把握しているところでは先ほどの数ということでございます。
森岡分科員 次に、私は、犬、猫を飼っているがゆえに、それがハンディになっているようなことが多いんじゃないかということを指摘したいと思います。
 マンションも、ほとんどのマンションが犬、猫は入れちゃいかぬ、また公園なども犬、猫が入らないようにしている、また私たちが旅行をしたり買い物をしたりするときに犬や猫を連れていっちゃいかぬ、いろいろな規制があるわけでございます。
 ところが、欧米では、病院や老人ホームなどで犬や猫と一緒に生活をさせることによって、病人やお年寄りの治療に効果もある、そんなことをよく聞くわけでございますし、私も、動物と一緒に接しておればいろいろないい効果が出てくるんじゃないか、そんな気がするわけでございます。日本ではそういうことが全く顧みられていないというか、おくれているように思うわけでございますが、望月政務官、このことをどう考えておられるでしょうか。お願いいたします。
望月大臣政務官 環境省の方で、実はMOEメールがございます、電子メールが。広く国民の皆さんからいろいろな意見をお聞きするシステムでございますけれども、環境省の中でペット問題という項目が実は一位、二位なんです。いつも一位になるか二位になるぐらいにペットのことについてはメールが多いわけでありまして、多くの国民の皆さんの関心がこのペットの問題についていかに深いかということをここで御披露させていただきたいわけでありますけれども、愛護をしていきたいという今の御意見と、それからより厳しく管理してほしいという、いろいろな多様な御意見が実はございます。
 しかしながら、環境省の基本的な考え方としては、犬や猫などの家庭動物は、飼い主にとって、今の場合には単なるペットとしての愛玩の対象というだけではなくて、生活をともにする仲間あるいは家族の一員として生活に潤いをもたらすなど多くの恩恵をもたらす存在でございますし、また、平成十二年度に施行された改正動物愛護管理法でも、これらの動物との共生を目指しているところであります。
 そのためには、まず、欧米のように動物が社会に幅広く受け入れられる存在となる必要があると思います。そういったことから、飼い主の責任による適切な動物のしつけ、それから管理などの適正飼育の徹底を図りつつ、動物愛護の精神を国民に広く定着をさせていくことが大切であると私たちは考えておりまして、環境省といたしましても、そのための普及啓発を、先生のおっしゃるように十分に進めていくことが大切である、このように認識しております。
森岡分科員 普及啓発を進めていくのが大切であるとおっしゃることは私もよくわかりますし、そのとおりしていただきたいわけでございます。しかし、先ほどの動物愛護推進員にいたしましても、どんなふうな指導をしておられるのか、どこまでやっておられるのか、実際にどういう指導、普及啓発をやっておられるのか、私にはほとんど見えてこないんですね。
 例えば、マンションも新しいマンションが建つ。そうすると、できるだけペットと一緒に生活ができるように、そういうふうにしてくださいよとか、また、公園もペットと一緒に入ってもいいですよ、買い物もいいですよというような、補助犬だけは結構だけれども、それ以外の犬はだめだとか、そんなふうになっているのが実態だと思いますから、私は、環境省がもっと積極的にこれをやっていただきたいな、そんなふうに思うわけでございますが、もう一度どなたか御答弁いただけませんでしょうか。
岩尾政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、私ども、来年度の予算案の中で動物の適正飼養推進事業費というものを要求しております。
 これは都道府県等の動物の適正飼養に関する知識や技能の講習会の開催経費あるいはその配付資料などでございますが、このような予算を通じまして、地元の方々に動物愛護の考え方を徹底させていきたいというふうに考えております。
森岡分科員 次に、農林水産省の方に伺いたいんですが、人畜共通感染症ですね、例えば狂犬病対策など。
 検疫制度について、旅行などで日本から海外へ出かけていきます。そしてまた、海外から日本へ帰国する、その際、犬を連れている。そうすると十四日間も留置が必要だというふうになっているようですが、私は、えらい長いんじゃないか、どういうことなんだろうと。専門的なことはよくわからないわけでございますが、この件についてお答えをいただきたいと思います。
松原政府参考人 犬の動物検疫についての御質問にお答えをさせていただきたいと存じます。
 まず、我が国に輸入される犬につきましては、犬の狂犬病が人に感染をするということを防止するためにということを目的にいたしまして、公衆衛生上の見地から、狂犬病予防法に基づきます輸入検疫が行われるということでございまして、日本から一時的に海外に出て、また帰国した場合でございましても、輸入検疫の対象としているところでございます。
 この輸入検疫期間につきましては、犬の狂犬病の潜伏期間、これを考慮する必要がございますので、犬での潜伏期間は十四日から最長で百八十日間というふうにされているところでございます。こうしたことから、現在、犬の輸入時に携行されます輸出国政府機関が発行するいわゆる健康証明書、これが完備している場合につきましては、狂犬病の発生のない清浄地域、こういうところから輸入される場合におきましては最短で十二時間以内、また狂犬病の発生地域から輸入される場合でございましても、同じように健康証明書が完備していれば、最短の潜伏期間でございます十四日間を係留期間というふうにしているわけでございます。
 我が国におきまして、人の狂犬病でございますが、昭和三十一年を最終発生ということで、その後発生を見ておらないわけでございますけれども、これは犬に対します輸入検疫と国内で飼われております犬の予防接種の励行、徹底、こういったことによって守られてきたというふうに考えてございます。したがいまして、犬の検疫は今後とも必要な措置と考えておるところでございまして、御理解と御協力を賜りたいと考えている次第でございます。
森岡分科員 文部科学省の方に伺いたいんですが、ペットの教育的効果、これについて伺いたいんです。
 私は、NPO法人犬文化創造ネットワークというのを先日仲間の人たちと立ち上げまして、私も役員に入っておりまして、人間と犬が共生していく、そういう社会をつくろうじゃないか、そして心豊かな生活が送れるようにしようじゃないか、そういうNPO法人を立ち上げたわけでございますけれども、文部科学省では、子供たちがペットを飼ったり、またペットと触れ合ったり愛情を注いでいく、こういう教育的意義をどういうふうに考えておられるのか、また、ペットと子供たちが触れ合うことによってこういう教育的効果が出ましたよとか、また、そういう奨励している事例がありますよとか、そういうところがありましたら教えていただきたいと思います。
金森政府参考人 お答え申し上げます。
 児童生徒の豊かな人間性をはぐくむ上で、幼児期から自然や生き物への親しみを持ち、それらを大切にすることができるようにするとともに、生命を尊重する心や態度を養うことは大変大切なことであると考えております。このため、学校教育におきましては、小学校の生活科を初め、理科、道徳などにおいて動物の愛護について学んでおり、地域や学校の実情に応じた動物を飼育して学習指導に役立てているところでございます。
 また、県によりましては、児童に、学校で飼育している動物との触れ合いを通じて、動物の生態や正しい飼い方などを学ばせるとともに、動物愛護の心をはぐくみ、根づかせるため、獣医師の方の協力を得て行う動物ふれあい教室事業などの取り組みや、自然体験活動を通じて動物と触れ合う取り組みなどが各地で行われているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、学校教育において、子供たちが命のとうとさを感じ取り、命あるものを大切にする心をはぐくんでまいりたいと存じます。
森岡分科員 私は、ペットと子供が触れ合うことの大事さというものをもっと教育に生かしていただきたいなと思うわけでございます。また、犬、猫だけじゃなしに、例えば鶏を飼うとか、ウサギを飼うとか、そして小鳥を飼うとか、そういうことも非常に教育効果があるように思うわけでございまして、私も、小さいときの経験でございますが、鶏やウサギを飼っていた。毎日えさづくりは私の責任でございました。そして、毎日毎日、鶏やウサギを飼っていることが、後になって考えてみると、非常に人間形成に役立ったように思うわけでございます。
 そういうことを考えますと、文部省は、今心の教育や人間教育を盛んに言っておられるわけでございますから、自然体験活動も結構でございますけれども、そんな中に、動物と触れ合う、動物との共生、これが非常に教育的効果を発揮するんだということを頭に置きながら、そういう施策をもっともっと進めていただきたいな、そんなふうに思うわけでございます。
 そして、各地区の様子を見ますと、先ほど冒頭話が出ました、犬や猫を殺処分する、そういう施設はどこの県でも整っているんですね。ほとんどのところが整っております。しかし、動物と触れ合うような、例えば動物愛護センターとかアニマルパークというような施設はまだ非常に少ないと伺っております。例えば、和歌山とか長野とか栃木とか愛媛、徳島、そして我が奈良県でも、これからアニマルパークという、動物と子供たちが触れ合えるようなそういう施設をつくろうとしているわけでございますけれども、こういう事業をもっともっと進めていただきたい、そう思うわけでございます。
 どうも国は、こういう施設をつくるのは、どうぞ勝手に都道府県でおやりなさい、国は一切お金は出しませんよ、そういう姿勢をとっておられるようでございますが、これに対して環境省ではどういうふうに考えておられますか。どなたかお答えいただけませんでしょうか。
岩尾政府参考人 法律のかなりの部分というものが動物愛護に関しまして地方の自治事務ということでお願いしているものですから、地方のそれぞれの特色を生かして施策をしていっていただいているところでございます。
 私どもは、もとより、もちろん殺処分が望ましいと思いませんので、先ほど御答弁させていただいたように、さまざまな形で普及啓発をするというのが環境省の立場でございますから、そのようなものを具体化させていくということで、それぞれの自治体で工夫をいただきたいというように考えておるところでございます。
森岡分科員 それぞれの自治体で工夫をしてください、どうぞ勝手におやりなさい、精神は結構ですよ、ちょっとそれでは冷た過ぎるんじゃないか。今どき施設をつくるために国の補助金は出せませんよということかもしれませんけれども、もう少し動物と子供の触れ合い、また大人もそうでございますけれども、動物愛護。私は、犬、猫を虐待している、そういう様子を見ておりますと、児童虐待とも同じことだと思うんですね。
 そういうことを考えましたら、文部科学省そして環境省、これらは一体になって、もっと国がペットを大事にする、ペットと人間が共生していく、そういう施策をもっと進めるべきじゃないか、こういうことを思っているわけでございまして、心からお願いをしておきたいと思うわけでございます。
 最後に、私は鈴木環境大臣にお伺いをしたいわけでございますが、今までの議論を踏まえまして、動物愛護と管理を進めていくためには、欧米では民間団体が非常に積極的な役割を果たしておられるというふうに伺っております。ところが、日本ではそういう民間団体がほとんど育っていない。お金も民間団体が負担しているのが欧米の実例だと伺っております。
 そういう普及啓発が重要であるということを考えるならば、今後、国と民間団体との役割、どんなふうにしていったらいいとお考えなのか。私は、やはり飼い主の意識改革も大事だ、しかし国の動物愛護法に基づく施策も非常に大事だ、そして民間の団体の果たすべき役割も非常に大事だ、そんなふうに思うわけでございまして、それらが一体になりまして本当に心から豊かさを実感できるような社会をつくり上げていくことができる。また、病気の方や高齢者のひとり暮らしの人たち、そういう人たちの心をいやすことができる、そんなふうに思うわけでございますが、大臣のお考えを最後に伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
鈴木国務大臣 ペットを飼う、国民が動物を非常にかわいがる、こういうことでありますから、これは行政がもちろんやらなければならないところもございますが、先生御指摘のように、民間が今よりもさらにこの問題にかかわりを持つということが私も重要なことではないかなということを、きょうの質疑をお聞きしながら感じたところであります。
 行政の絡みでいいますと、先ほど先生から御指摘がございましたとおりに、改正動物愛護管理法で動物愛護推進員というものを都道府県が委嘱できることになったわけでありますが、先ほどの御答弁のとおり七府県、五政令指定都市でそれが委嘱をされているということでありまして、こういう点もまだまだ進んでいないのかなというような気がいたしております。
 ただ、環境省といたしましては、せっかくこういう制度ができましたので、昨年度から兵庫それから福岡両県におきまして実際に動物愛護推進員の方に各種取り組みを行ってもらうモデル事業ということを実施しておりまして、今後こうした成果を普及することによりまして、各自治体における民間との連携、普及啓発の推進を支援してまいりたいと思っているところであります。
森岡分科員 どうもありがとうございました。
 以上で終わります。
萩山主査 これにて森岡正宏君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
萩山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。大島農林水産大臣。
大島国務大臣 平成十五年度農林水産予算の説明を申し上げます。
 平成十五年度農林水産予算の概要でございますが、初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明申し上げます。
 我が国農林水産業と農山漁村は、人の命を支える食料の供給という使命を担い、農地、森林、海を通じた資源の循環、環境との共生を実現する重要な役割を果たしております。私は、この「いのち・循環・共生」の基本的な枠組みづくりを国の責務として受けとめ、生産、加工、流通、消費を一体的にとらえた食料のあり方、環境の保全を初め多面的機能を十分に発揮できる農林水産業や農山漁村のあり方を常に意識するとともに、食の国際化の中での国民の食料確保に向けた中長期的戦略を持って事に当たってまいる決意であります。
 このため、食料・農業・農村基本法及び食料・農業・農村基本計画に基づき、昨年発表した食と農の再生プランの着実な進展を基本としつつ、食の安全と安心の確保、米政策改革の着実な推進、WTO交渉等への対応など、当面する課題に積極果敢に取り組んでまいります。
 次に、平成十五年度農林水産予算について、その枠組みから御説明申し上げます。
 平成十五年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて三兆一千百十四億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆四千三百七十八億円、非公共事業費が一兆六千七百三十五億円となっております。
 平成十五年度の農林水産予算は、食の安全と安心の確保、農業の構造改革の加速化、都市と農山漁村の共生、対流を推進するとともに、地球温暖化防止等に資する森林整備の推進を中心とした森林・林業政策や、安全で安心な水産物供給体制の整備等の水産政策を展開するとの観点から、重要施策に思い切った予算配分を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。
 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを賜りまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
萩山主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま大島農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
萩山主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
萩山主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
萩山主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。
 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川端達夫君。
川端分科員 大臣、副大臣、政務官、よろしくお願いいたします。民主党の川端です。
 今も大臣の方から、農業の役割、使命というものを大所からお述べいただきました。改めて、初め伺おうかと思ったんですが、概略をお述べいただきました。食料・農業・農村基本法の中でも、基本的な理念として、今大臣もお述べになりましたように、いわゆる食料の安定かつ安全な供給、可能であれば安価にということと、それから農業の有する多面的機能、農村地域も含めて。それから、いわゆる国土保全、環境保全、これは多面的機能になるのかと思います。ということで、ずっと農政がやられてきたことは承知をいたしておりますし、今もそういうことをお述べになりました。
 そういう中で、やはり農業の担う一番の基本というか、柱はずっと一本であったのかな、食料というものをどうするのか。食料の自給率もそうですし、国民生活で、いわゆる農は国の基なりという言葉がよく言われますが、その部分で、今までの農業の政治的なあり方を含めては、食料というものに最重点を置いた政策。生産を最重点に置いた。そこから、食の安全ということで、ことしの法案で予定されていますような、消費者というものもドッキングしなければいけないのではないかというふうな大きな転換がありますが、それにしても、要するに食料というものをどうするのかということがやはり一番大もとであった。
 そして、その部分を維持していくために、農村がきちっとならなければいけないとか、その部分が結果的に国土の保全や環境に資しているという考え方で来たんではないかと思うのですが、それは、そういうことだということでよろしいですか。
大島国務大臣 基本的に、川端委員からお話しされたことで私はよろしいかと思いますが、今日、食料の供給ということを基本にしながらも、これも委員もお話しされましたが、農林水産省の政策の歴史を考えますと、もうともかく生産をするというところにあった、それがまず第一義であった。
 私が先ほど申し上げた「いのち・循環・共生」というのは、むしろそこは一つの基本であるんですが、同列に循環とか共生というものを考える政策に転向して、変化をしていかなければならない、このように私は認識しております。また、そのことを、一次産業たる農、林、水が担っていかなければならない、こういう位置づけにしていかなければならぬのではないかと思います。食の供給のところにおきましても、先ほど委員がお話しされましたように、足りないものを補うという時代から、やはり安全ということが問われているということではないか、このように思っております。
川端分科員 そういう観点の中で、今循環というお言葉を使われましたが、そういう部分で、昨年の十二月二十七日ですが、閣議決定でバイオマス・ニッポン総合戦略というものが出ました。一つの大きな転換の部分、私は、生産者というだけから、消費者というものへの視点と同時に、循環というもの、エネルギーというものの有効利用ということ、環境にも配慮した部分で、バイオマス戦略が大きな国の方針として出されたことは評価をしているんですが、この部分は非常に実は農水省が中心的にやらなければいけないものだと思うんですが、その部分に関しての姿勢だけ簡単にお願いします。
大島国務大臣 バイオマスに関しましては、私ども、そのねらいは何かといいますと、まさに循環社会の中における今後の日本の戦略の一つだという位置づけを言っております。したがって、それを担うのは私ども農林水産省、つまり、植物、生物を扱う役所として、戦略の中心にならなければならないということで、閣議決定を十二月二十七日にさせていただきました。
 私どもは、この閣議決定をされたことにつきまして、まず第一に、技術的な、革新的な研究開発の推進、それからバイオマスの利活用の計画の策定への支援、そして新たなモデルの施設の整備、さらに、食品廃棄物、家畜排せつ物などの、バイオマスの特性に応じた利活用施設の整備等、二百十九億円を計上して、緒についたという感じでございます。
川端分科員 そこで、いわゆるバイオマス・ニッポン総合戦略、ずっと読ませてもいただいたんですが、今大臣お述べになったように、いわゆる循環という部分ということが、現実にはそうなんでしょうけれども、やはりそこに非常に力点が置かれている。
 それで、いわゆるバイオマスとして使おうという部分でいうと、総合戦略の資料にもありますけれども、いわゆる廃棄物系バイオマス、ですから農業でいいますと、家畜等の排せつ物、それから食品の廃棄物、それから製材、材木の廃材、それから製材のくず等々がもっと有効に使えないかというふうな視点というのがかなり柱になっているのかなというふうに思うんです。いわゆる資源作物、これも書いてはあるんですが、資源作物としては、トウモロコシなんかのでん粉を、自然分解するプラスチックにしようとかいうふうな位置づけ等々であるんですが、それから、未利用の麦わらとかもみ殻とか、そういうものを、今までは放置していたか、捨てていたか、処分していたかというものを利用しようということです。
 これは、循環を目指すという部分では確かに非常に大きな、大事なことなんですが、その中に、いわゆるエネルギー資源、エネルギー作物というものはどういうふうに位置づけられているのか、余り書かれていないですね。いわゆる食べる作物、あるいは使う材料、木材なんかはそうなんですが、という部分は今までやってきていたわけです。そういう、農業の中で派生的に出てくるものをリサイクルしてエネルギーに使おうということは大きな前進であることは事実なんですが、やはりメーンとしては、農業の中心の最大唯一の柱が食料であるという部分は余り変わっていないと思うんですね。
 そういう部分で、私は、資源エネルギーの作物というものはこれからの部分でどういう認識をされているのかということを伺いたい。
大島国務大臣 バイオマスの資源作物という観点を決して私どもは忘れているわけではございません。
 先般、WTOのミニ閣僚会議の折に、メキシコ、ブラジルの農業担当大臣がおいでになりまして、ブラジルでございましたな、明確に、バイオマスの資源作物を逆に日本に売りたいという意欲が物すごくございまして、バイオマスをうんとやれというふうな話で、私どものバイオマス戦略をお話ししたんですが、日本の中でこのバイオマス作物をどう育てていくかというのは、コストという面で、どうこれを消化して、どういうふうに位置づけていくかというのは、率直に言って課題である、こういう認識を持っております。
 しかし、そのことを否定しているものでもなければ、私どもはそのことに光を当てないというわけではございません。したがって、そういう作物をどう育てていくか、そしてそのことがどういうふうに一種の経済行為の中で成り立っていくのかという視点からも考えていかなきゃならぬという意味で、若干弱目に、この戦略会議の中の位置づけとしては弱く書かれている、このように御理解いただければと思います。
川端分科員 現実、そうなんですね。
 しかし、私は、今の農業、今日までの農業を考えたときに、特に農村、農家の疲弊、正直申し上げれば、今まで国の施策に従って、忠実に、まじめに、一生懸命やってきた、そして将来が真っ暗になり、今や減反政策含めて、捨てられつつあるというのが現実である。しかし、農業が滅びるに近い状況というのは国として大変な事態になるという中で、私は、食物をつくるということの切り口、食料を供給するという切り口以外の、この少資源、エネルギーのない、そしてエネルギーを大量に消費する国として、エネルギー作物という視点は、農業の再生とともに大変大事なものではないかというふうに思っているわけです。
 その部分で、ちょっと各論でお尋ねをしたいんですが、いろいろな施策が農業においてもやられてきました。しかし、要するに国が、行政がメニューをつくり、モデルをつくり、そして支援をし、育てていくというタイプのものがほとんどだったんです。そして、ほとんどそのとおりみんなやって、借金だけ残してつぶれてしまうというのが多かった、全部とは言いませんが。
 そういう中で、行政ではなく地域社会から、そしてまさに原点は循環型。要するに、これはもともと、てんぷらの廃油ですけれども、油を、滋賀県の琵琶湖が汚れるというので、初め、粉石けんにしようということで、油を回収して粉石けんにしたんですね、石けん運動。そうしたら、いろいろな経過で、やや使いにくいとか、合成洗剤メーカーが無燐というものを開発して売り出したとかいうことで、回収するまでみんな努力して、ネットワークで、みんなの暮らしをよくし、環境を守ろうということでやり出したけれども、最後の出口が粉石けんでは流れないということで、いろいろな研究を重ねる中で、メタノール添加によるバイオ・ディーゼル・フュエル、BDFを使うということから始まった。
 ですから、このアイデア自体は市民から始まった、地域から始まった、そして、いつの間にか生産者も巻き込んで今全国に広がってきたというので、いわゆる菜の花プロジェクトというので全国にあるんですが、この部分に関して、大臣の御認識と御感想を伺いたいと思います。
大島国務大臣 先般、熊本にタウンミーティングで参りました。そういたしましたら、その出席者の中で、九州全体をやはり菜の花プロジェクト的なものでやっていきたい、できれば、それは景観農業であると同時にバイオマスに利用できないか、そういう発想で御意見を出されたことを承知しております。そして、地域的なことを申し上げて恐縮ですが、私のふるさとである青森県の中にも、横浜町というところがございまして、これも菜の花プロジェクトをやっておるところでございます。
 ただ、今委員がお話しされたように、あちこちでそういう菜の花プロジェクト的なもの、特に滋賀県が先覚的に大変熱心におやりになっているということを伺っておりまして、そういう意味で、そのバイオマスの利活用の推進という観点、そこに地域住民が参画して循環型社会をつくるというのは、上から押しつけられたものでないという意義で、そういう動きをいかに私たちが育てていくか、芽を育てていくか、そういうふうなスタンスでこれから大いに応援していくということが大事ではないか、このように考えております。
川端分科員 今大臣お触れになりましたように、これは、全国で大体六十カ所ぐらい、地域で自主的にやっている。それで、年に一回、菜の花サミットということで、全国の部分の大イベントを一カ所でやる。去年、選挙区はお隣のようですけれども、御当地ですね、いわゆる横浜町で、これは全国菜の花サミット開催地が青森県横浜町、立派なポスターもありますけれども、町長さん含めて熱心にやっておられて、百二十ヘクタールぐらいやっておられる。しかし、その昔、青森県の横浜町で八百ヘクタールぐらい菜の花を植えていた。今、百二十ヘクタールになっているんですね。
 歌にも、童謡、小学校唱歌というんですか、菜の花畑に入り日薄れと。ほとんど同じぐらいの年代ですから、都会育ちと田舎育ちで違うかもしれませんが、間違いなく、私たち子供のときの田んぼの風景というのは、春、真っ黄になったということなんですね。今はどこに行ってもそういうものはほとんどない。いわゆる経済性がないからなんですね。
 しかし、こういういろいろな、町づくりというか農村の再活性の中でやっておられる部分でいうと、まず、みんなが見ても心和む原風景の、真っ黄の景色が地域にいっぱいできてくる、これだけでもいいな。ロケーションをよく知りませんが、横浜町は百二十ヘクタールという相当な規模を一カ所でやっておられるというので、多分、どこか山の上から見れば、飛行機で見れば、すごい景色になると思います。
 そういうことと同時に、その菜の花の菜種の油を、今、大量消費という部分では、学校給食を中心に消費をして、それを回収して、その油にメタノール添加して、ディーゼル燃料として、トラクターやそういうものにつくる。それも、地域で、簡単な装置でいわゆるディーゼル添加を行っている。みんながその部分でということで、そうすると今度は、お漬物であるとか菜の花染とかなんとかというふうなことで、そこを中心にいろいろなことの活性化が生まれてきているというものです。
 しかし、やはり、大臣が言われたように経済性なんですね。今協力していただいている部分は、何か農家の方も、環境に優しくて、そしてみんなが利用して、そして循環型で、菜種油の油かすはまた肥料になり飼料になり、全部循環するということ、そして世の中にも役に立ちということはいいことだ、景色もきれいになり、みんなもいろいろなことで仕事もふえるということはいいことだけれども、その部分が農家の採算は全く合わないということは、もうボランティアの世界ですから、それは大きくはならない。今そこに来ているんだと思うんです。
 ですから、今大臣がいろいろ応援をしたいなというふうに言われたけれども、私は、このバイオマス、特にバイオ作物を含めた部分は、農業の、そして農村の、これからの、食料だけではない行き方の大きな指針を示しているのではないか。いろいろな部分でお手伝いをしましょうということではなくて、国としてバイオマスの戦略を立てられたということであれば、もっと大胆に、大きな柱として、これからの農業のあり方というのは、こういう地域で、本当に生活も含め、産業も含めてやるというものが大変大事であるという位置づけをすべきではないかというふうに思っているわけです。
 それで、日本は、このバイオマス戦略で、二〇一〇年に、いわゆる新エネルギーを現行の三倍、一%を三%にしよう。諸外国の例を見てみますと、大体世界じゅうで目標を立てておりまして、EUは、二〇一〇年、同じく現行の三倍というのは、三%から九%にしようと言っておる。そして、EU共通の農業政策で、エネルギー作物を栽培する場合には補助金を出しましょうと。ドイツ、デンマーク、フランス等々いろいろあるんですが、大体そういうプロジェクトを国で組んで、バイオエネルギーの部分のプロジェクトを組んで、国がバックアップしていく。日本は、今地域から盛り上がってきたんですが、市町村が多少お手伝いしているぐらいの話。国として、国家のプロジェクトとして取り上げてきた。それから、バイオディーゼル燃料の免税をする、買い取りをするというふうなことを、やはり国家戦略としてかなり取り上げてきているんです。
 もう少し具体的に申し上げますと、ドイツは、菜種の作付面積が百二十万ヘクタールあるんですよ。今、日本の減反面積は百万弱ですね。九十何万ヘクタールだと思います。日本の減反農地を上回る農地が菜種を、しかも、この部分の四割は、てんぷらに使うとかいう循環の部分ではなくて、そのままディーゼル燃料にしている。まさに菜種の田んぼは油の田んぼである。油田なんです。ここまでやっている。そして、ガソリンスタンドを一千数百カ所。そして、いわゆる石油税を非課税等々で価格的な部分でも普通のよりも安くしているというふうなことで、やはり本当に国が本腰を入れた形で支援をしている。
 私は、そういうふうなものが日本で取り組まれる時代に入ってきたのではないか、そういうふうに思うんです。諸外国等々含めて例をアバウトで申し上げましたけれども、先ほど大臣が、地域でそういう芽がある部分を御支援したいというふうに言っていただいたんですが、支援していただくのはありがたいんですが、国としての位置づけとして、諸外国から比べると、もっと大きな太い柱としてやるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
大島国務大臣 川端委員からさきに問われましたことは、菜種の問題という個別具体的な問題でございましたので、割とそこに限定して私はお答えしたつもりでございました。もし全体論としてのお話とすれば、まさに今委員がお話しされましたように、国の大きな柱としてどう取り組むべきか、今、諸外国の例を挙げながらお問いかけをいただきました。
 率直に申し上げまして、バイオマスの世界はヨーロッパよりおくれておると私は思っております。それから、アメリカなんかは経済行為として、カーギルなんかはもう既に合成プラスチックの売り込みに来ております。そういう意味で、おくれたバイオマス戦略をつくるために閣議の了解をいただいたということで、先ほど私は、緒についた、こう申し上げました。国家の意思として、戦略の大きな柱として、まず私どもはこれから取り上げさせていきます。そのためにはまず技術というものを高めなければなりません。
 そしてもう一つは、バイオマスというこの言葉に、私が思っている以上に、国民の皆様方の理解と共感を結構今いただいておりますが、もっともっとこの世界を知っていただいて、そして、国民の皆様方にとっても循環社会をつくるためにとても大事なことだという意識を持っていただくことによって、ずばり申し上げますと、財源が必要でございます。
 そういたしますと、これはまだこれからの議論でございますが、環境税というものもいわば念頭に置きながら、この戦略をどのように国家の意思として伸ばしていくかということは、すぐれて私どものこれからの大きな課題である。したがって、これからも、さまざまな御意見をちょうだいしながら、この戦略に書いたものをしっかりと着実に進めていく、そのために重点的な配分をしていく。ことしは二百十九億円を計上しましたが、我が省としてはかなり思い切ったものであると思います。これで十分だと思いません。
 国の意思として明確に、この戦略会議でつくったものを推進していくということを御理解いただきたい、こう思っております。
川端分科員 今までの役所の予算の枠組みや決め方の中でいえば、二百十八億というのが、新しい部分にやれというのは相当なことであろうなというふうには思いますが、三兆何千億になんなんとする中で二百十八億かという見方もできます。
 そして、その中で、やはり今コストの部分で、いわゆる所得補償みたいなのをドイツがやっているんですね。減反奨励なのかどうかとか、いろいろな理屈はあっても、要するに、農家の人がそこの部分で菜種を植えることも、もうかりはしないけれども、今お聞きすると、もうからなくていい、しかし損はしないことだったら、田んぼを余らせておくよりも、そして、正直申し上げて、土地にもよるんですけれども、減反の中で休耕田対策としていろいろな作物を植えて、現実には飼料になるのが多いという部分よりも、はるかに誇り高く夢多く、そしてみんなにも喜ばれるものがつくれるんだったらいいなという、そこの、いわゆる所得補償的なものへの取り組みというものが一番大きなインセンティブになろうと思うんですけれども、その部分に関してはいかがですか。
大島国務大臣 WTOのこれからのルールの今交渉をしているわけでございますが、委員御承知のように、国際ルールの中で、黄色、緑、青というボックスがあって、そして国内の農業支持の施策をどのようにしていくかという議論が片っ方にございます。そういう中にあって、いわゆるデカップリング、所得補償というその位置づけをどう考えていくかという問題はいろいろございますが、今の菜種という問題についてだけ。
 そこに、何か所得補償、そういうふうなものを考えられないかというのは、今後、バイオマス戦略全体をどう進めていくかという過程の中で、例えばヨーロッパなんかはかなり税制上優遇しております。あるいは、そこに生まれるエネルギーの買い付け義務みたいなものもしております。そういう、国民の理解がどの程度そこにいただけるかということが大きな背景としてあると思うのでございます。
 したがって、例えば、これから農水委員会で議論をいただく米の大改革がございますが、この改革構想の中でも、今までお金の使い方を非常にきめ細かに言っておったのを、いわゆる集落ごとに支援をしていくという形で、地元で考えてもらおう、それを、例えばそういう菜種のようなものに使うということも可能な道が残っております。
 いずれにしても、しかし、それはある意味では小手先的なことなのかもしれません。今先生がお話しされた、大きなバイオマスの世界をどうするか、その世界から、体系的に、バイオマス材料になる農作物をどう考えるかというところから生まれませんと、若干小手先の施策になるような気がしますので、せっかくの大変大事な御提案でございますので、我々としてもバイオマス戦略の一環として、国民の皆さんの理解を得ながら、議会の皆さんのまた御指導をいただきながら、一つの視点として研究をし、議論してまいりたい、こう思っております。
川端分科員 ほとんど時間が参りましたけれども、私の提起した部分は、大臣、本当に真意を酌んで御理解いただいたと思いますので、よろしくお願いしたいと思うんですが、その中で、もう一つ。
 要するに、つくる側のネックがコストの問題、もう一つは、売る側なんですね。売る側も、要するに普通の燃料の世界に並べて入れられる。
 つくる側の、途中で、廃油回収とかいうときに、今度これは規制の話なんですけれども、いわゆる廃棄物処理法にひっかかるんですね。ちょっと違うのではないか。要するに、業としてそういうものをという部分と違う世界で、実はネットワークで、地域でやるときに、割に細かい話なんですけれども、実は非常にひっかかる部分で、そういう部分の規制もある。
 それからもう一つは、やはり税金で、実際、軽油引取税なんかがかかってくる。それで、これは全体の話で、全部そうなんですけれども、いわゆる自動車に関連するグリーン税制というのがおととしできました。そうすると、環境対策、排ガス対策をした車あるいは電気自動車あるいはハイブリッド車、こういうふうな車は自動車税をまけてあげましょう、それから取得税を軽減してあげましょう、こういうふうなことがいろいろやられました。
 環境に対しての部分でずっと調べてみますと、全部ハードの方、自動車の方なんですよね。燃料が、この燃料はこれだけ環境に優しい、あるいは非常にいい燃料ですということに関しては何もない。というよりも、むしろそういう芽が少し出てきたら、どかっと、みんなと同じように荷物を背負えといって、ばったり死んでしまう。
 最近、アルコール燃料の部分で、某社の製品が事故が多発して、それは危ないからもう禁止した方がいいじゃないかというのがありました。現実に危険なものが出回ってはいけないというのがあるんですが、そういうものでも、燃料が環境に優しい、あるいはバイオマスを使ったものがトータルとして国益の部分で非常にいいということだったら、それがもっと伸びていくためには、例えばそれを使った、適応する自動車をどういうふうに開発するかとかいう部分。
 あるいは、買うときに、ドイツでもやはり、聞きますと、お客さんは環境にいいバイオ・ディーゼル・フュエルだから買うのではなくて、安いから買うと言うんですよね。
 だから、そこの部分を含めると、燃料に目線を合わせた部分の、エネルギーに目線を合わせた部分の税制というのが全くないというふうに言っても過言ではないと思うんです。むしろ過重な負担をかける。だから、そこの部分はこのバイオマスにとっても実は大きな生命線になってくるのではないかと思います。
 そういう部分で、直接の税を扱われるのではないのですが、逆に、バイオマス総合戦略ということでこれからこんなことをやっていこうということであれば、必ずひっかかる問題であるこの部分を、農水大臣として、いや、政府としての部分で一番声を大きく言っていただかなくてはいけないお立場だと思うんですが、いかがでしょうか。
大島国務大臣 実はという話がございますが、今の特区構想で、バイオマスを活用した特区をつくれぬかというお話がありました。今委員がお話しされましたように、一つは中間処理施設、あるいは運送、これはなかなか環境省がうるさくて、とうとう構想として浮かび上がってきませんでした。そういう問題もございます。決して小さい問題ではございません。
 それから、税制上の問題も、ヨーロッパのように、バイオマスからつくった油を使うことによって、そこに免税措置をとる、こういうふうな、社会設計として、バイオマスの世界を育てるという設計なくして、この世界は私は確かに伸びないんだろうと思うんです。
 ただ、残念ながら、今バイオマスの世界を、例えば予算委員会でも農水委員会でもどこの委員会でも、率直に言って――この議論、川端委員がこういうふうに取り上げていただいて大変ありがたいと思うのです。ところが、我々が考えている以上に、国民の皆さんがバイオマスというものに非常に関心を持っておるんですね。まさにこれは政治として、バイオマスという問題を、これから国民とともに対話しながら、議論しながら、二十一世紀を生きる一つのこれは柱だ、こういう位置づけをしていただくことによって税制上の社会設計も生まれてくると思います。
 もちろん、私どもは、それを待って黙って指をくわえているのではなくて、積極的に、そういう税制上の問題も、あるいは環境省にかかわる問題も、この戦略の中にはソフトの部分が少のうございます、これはまさに我々の責務だと思いますので、一層勉強して努力したいと思いますので、今後とも御支援を、また民主党の中でも大いに議論していただいて、大いに高めていただければと思います。
川端分科員 ありがとうございました。
萩山主査 これにて川端達夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、金子哲夫君。
金子(哲)分科員 社会民主党・市民連合の金子ですけれども、私は、昨年の十二月に島根県澄田知事が最終的に決断をされた中海・宍道湖淡水化問題について質問したいと思います。
 一九六三年にスタートして、実に四十年間、八百十五億円の巨額の国費をつぎ込んで、全くむだとも言えるこの事業が進んだわけです。そう言いますと、いや、当初はというお話が出ると思いますけれども、その点について、まず最初に、大臣の今のお気持ちなりお考えをお聞かせいただきたいと思います。
大島国務大臣 国営事業、この歴史というものはさまざまにあると思いますが、私は、戦後間もない昭和三十年代、そのあたりは食料が足りない時代であって、そういう意味でのやらねばならないというその思いというのは決して間違った選択ではなかったのかもしれません。しかし、長い間の中で両県の知事さんが大変な御努力をされて一つの決断を出されたことを尊重したときに、我々も、この歴史を検証しながら、そして考えなきゃならぬところは考え、今後に生かさなければならない案件かもしれないなと。
 いずれにしても、地元の知事さんが地元の皆さんと相談しながら一つの決断を下したことを尊重して、そして、今後の対応にまた私どものなせることはしていかなきゃならぬという思いでございます。
金子(哲)分科員 この工事、干拓事業、淡水化事業というのは、幾つか節目があったと思うんです。八〇年代に入りまして宍道湖の漁業などにも被害が出始めまして、この中止を求める声が非常に強まったわけです。私は、もともと生まれは島根でありますし、松江で、父の実家もあり、私自身がそこで生活した体験を持っておりますから、そして、この中海、宍道湖の淡水化事業反対、中止を求める地元の集会にも何度も行ってまいりました。八〇年代前半に決断すべき時期が一度あったと思うんです。
 しかし、やはり国の事業というのは一度スタートを切るとなかなかとめられない。そして、結局八百十五億の国費を支出して、最終的には壮大なむだをやってしまった。当時島根では、昭和の国引きというような言葉も使われてやられたことは事実でありますから、すべて国だけの責任ではないかもわからないけれども、やはり今後の公共事業のあり方、大型公共事業のあり方、たとえ一定の進行があったとしても、英断をもって中止を決断すべきときは決断をするということが、結果としてはむだな国費の支出を抑える。これはまさにいい例だと思うんですよ。その点については、どうお考えでしょうか。
大島国務大臣 何がむだで何がむだでないかというのはそれぞれの考え方があろうかと思いますが、確かに先生がお話しされましたように、私自身の周りにおいても、今ここで決断してやめた方がいい場合もあるかもしれません。そして、ここまで来たから完成させて、そして供用をした方がいいという判断もあるのかもしれません。
 今大事なことは、両県知事のさまざまな協議、地元の皆様方とのお話し合いの上に立って出された決断において私ども中止ということを判断いたしたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、その後の処理について、お地元の皆さんと協議しながらなすべきことはなしていかなければなりませんし、また検証もしていかなきゃならぬ。そういう中で、事業のあり方に、私どもは参考にするべき点は参考にするべきだろうというのが私の思いでございます。
金子(哲)分科員 ぜひ、この宍道湖、中海の干拓事業というものが、今後の公共事業のあり方、進め方において大きな教訓として、特に、一九八八年には地元もそういうことを言い、当時の竹下総理もそういう決断をされて、一たん作業停止というような状況もあったわけでありまして、それから数えてももう既に十五年近くたっているわけです。そういうことを考えてみますと、やはり国の政治の責任というのは大きいし、重いと思うんですね。
 公共事業が盛んに今いろいろなことが取り上げられている時期だけに、この問題については、これからの事後処理を考えるだけでなくて、何としても、やはり今後の公共事業のあり方、その他の公共事業のあり方、中止を含める進め方のいい教訓にしていただきたい。このことを強く要望して、具体的な問題に入りたいと思います。
 さて、この十二月に淡水化の事業の中止を決定されて以降、後始末の段階に入っているわけでありますね。二月には、両県を初め、今後の対処方針について論議がされたと伺っております。そして、私も資料をいただきました。今、二月の会議で提示をされている案を見てまいりますと、中浦水門の施設の取り扱いについてということで、協議をされたようであります。
 しかし、私は、今度の中海、宍道湖の淡水化をめぐっての事業の中で、これを中止をした以降どのようなことを考えながらこの後の始末をしていくかという基本的なところが極めて重要だというふうに思っているわけです。
 それはやはり、この間の干拓事業において影響を受けた、全国でも有数と言われる宍道湖、中海、汽水湖としての役割、これが、この四十年間の工事の進行によって非常に破壊をされた。例えば、アマサギという、茨城県とか関東の方ではワカサギという呼び方もされておりますけれども、島根ではアマサギというふうに呼んでおりますけれども、最盛期六百トンであったのが、昨年は一トンの漁獲量。
 それから、御存じのように、淡水化事業をある意味ではストップをさせる大きな要因になった宍道湖のシジミ、これは最盛期二万トン近くあった。今、七千四百トン。操業も週に四日間に限定をする等々、資源保護ということも含めながら考えております。ヤマトシジミという、いわば汽水湖における有数のシジミの産地、シジミ漁業だけでも成り立つことができるようなところだったんですけれども、今言いましたような状況であります。
 その影響は既に、干拓事業による堤防、水門その他によって、大きくその両湖の水質環境が悪化をしているわけです。もちろん、今、私が当時島根におりましたときから比べてみますと周辺の住宅地もふえておりますから、生活排水の問題等々も原因の一つにあるでしょうけれども、大きな原因は、やはり今、中海・本庄干拓における堤防もしくは水門問題だと思うんです。
 そうしてまいりますと、これからこの環境をいかに取り戻していくのか、そこにまず第一の視点を挙げるべきだ、そしてその視点に立って後始末をすべきだというふうに考えますけれども、大臣のお考えはどうでしょうか。
大島国務大臣 一たん変化した環境をもとに戻すという、その視点に立ってこの問題を考えるべきだ、こういう御指摘だと思います。
 私どもは、そういう考え方も決して否定するものではございませんが、まずその前に、地元の皆さんとよく話し合って、そしてどのように具体的に物事を進めていくかという、まず協議をしっかりしなきゃならぬと思います。もとの環境に戻すといったときに、これは非常に時間と労力がかかるわけでございまして、そういう場合に、負担の問題も出てくるかもしれません。
 いずれにしても、今の協議状況について、まだ詳細に私ちょっと今委員に御説明申し上げる段階ではございませんので、よければ政府参考人の方からお答えをさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
金子(哲)分科員 いや、内容はいいです。
 私があえてそのことを申し上げましたのは、先般の協議会では、中浦水門の取り扱いについてのみ提起をされているわけですね。
 その資料を見ますと、基本的な考え方として、「土地改良事業以外の目的に利用する場合には、新たな管理者に譲渡等」、それから「河川法上、用途を廃止した許可工作物は原則として、設置者が撤去」と。これは考え方としていいわけですけれども、この考え方の中に、そのことによって、これから始められる作業によって及ぼすであろう自然環境、両湖、中海、宍道湖への影響ということが実は載っていない。あと載ってくるのは、完全撤去、全面存置、部分撤去。そして、そのときにはどういう方法、金額はこれぐらい、こういうことがありまして、先ほど私が言いましたように、もちろん、大臣もおっしゃったように、すべての自然が今取り戻すことはできない。
 例えば、本庄の干拓の堤防は、既に道路敷として、生活道といいますか、使われていることを私も承知しております。この問題をどうするかという問題もあります。しかし、総合的に考えながら、その中にあって、中浦水門のことはとりあえずいく、そしてほかのことは、いくということではなくて、総合的に、全体として、どういう後始末をするとどのような環境への影響が出るのか。
 例えば、本庄の干拓には二つの堤防がありますけれども、その二つの堤防についても、掘削をして水の循環をよくすれば、宍道湖にもいい影響が出るのではないか、こういうことが言われておりますし、例えば水門の問題も、今ここでは後利用のことは出ておりますけれども、水門の撤去の方法によってはその海水の流れぐあい等はどのような影響が出るかということがどこで検討されたのか、どのような影響があるのか、そこらが論議をされている節が非常に弱いわけですね。
 そうしてまいりますと、私は、総合的な後処理、後始末ということについて、そして、できればまず第一義的に、漁業で生活を営んでいらっしゃる皆さんも含めて、そういうものをどのように回復していくのかという視点というものがなければならない、こういうふうに思うのですが、その点について。
太田政府参考人 さきの第三回の中海に関する協議会におきましては、先生御指摘の中浦水門の取り扱いのみではなくて、そもそも淡水化を中止するについては、期待されておられた周辺の農業者に対する農業用水の確保の問題とか、あるいは中浦水門そのものの管理、これは雇用の問題もございます、そういったことも含めて、総合的に各般にわたる議論をされております。
 それから、その場で、先生これも御指摘のとおり、堤防開削の議論もされております。その中で、調査をどうしようというようなことも、煮詰まった形ではありませんけれども、テーマには上がってきておりますし、我が方としても、既に本庄工区検討委員会、これは数年前に行いました。その中でもシミュレーションをやった結果等もございまして、そういったものも含めながら、その場で議論を進めていくことが適当であろうかというふうに考えております。
金子(哲)分科員 ただ、この示された日程表を見ますと、何か年度内に結論を出す、中浦水門は平成十四年度、できるだけ早い時期に結論を出そうということですけれども。
 それから、私、大臣にぜひお願いといいますか意見を申し上げたいと思いますけれども、御存じのように、昨年の秋の臨時国会で、これは環境委員会ですけれども、自然再生法という法案が成立をしまして、いわば公共事業によって損なわれた自然等を回復することに関して、多くの人々の意見を聞き、NPOの皆さんが主体者になってこういう事業をやろうと。その中の精神は、できるだけ幅広く意見を集約して、多様な意見を聞きながら、自然環境を回復するということにかかわって最もいい道を選択する、これが精神だと思うんです。
 そうしてまいりますと、もちろんこの事業そのものは自然再生法が適用される事業ではありませんけれども、精神としては、そのような手法というものをとりながら、これを後始末していくということが重要だと思うんですね。
 そうしてまいりますと、先ほど参考人の方から答弁がありましたけれども、その検討会というものを設置されるのであれば、その検討会をどれだけ幅広く、もちろん多様な意見が出てまいりますから、最終的にどこかで結論を出さなきゃ、ずるずるといくわけにいかないという問題はありますけれども、その中にはいろいろな御意見をお持ちの方があります。先ほど紹介があったような、開削をしても余り効果はないのではないかという意見もありますけれども、一方では、開削することによって、水の循環をよくしていくことによって効果が上がるのではないか、こういう意見もあるわけです。
 そうしてまいりますと、そういうことを総合的に検討するような場所ということであれば、私はそれで進めていただきたいと思いますけれども、それがどうも行政の側だけ、国、島根、鳥取両県ということではなくて、これまで多くの人たちが、漁業関係者もNGOもNPOの団体も環境保護団体も、いろいろな意味でかかわってきているわけですから、そういう多様な意見を受け入れるような検討会というものが設置されるかどうかをお尋ねしたいと思います。
太田政府参考人 先ほどお話しいたしました本庄工区検討委員会そのもの自体は、本庄工区の中止をするかどうかというその前段階でさまざまなケーススタディーをしようといったことの説明をいたしたものでありまして、これから新たにそういうものを設置するという趣旨ではございません。
 ただし、まさにこの中海に関する協議会そのものの議題として、それをどう処理するかということが、前回の会議では、それを各県で持ち帰って、それでまた考えていこうということでございますので、当然、その県におかれては関係者の意見をどういう形で集約されるか、そこは県にお任せするわけでございますけれども、そういったことを含めて、その場でも議論をしたいということでございます。
金子(哲)分科員 大臣、今の答弁をお聞きになってわかりますか。国が行った事業ですよ。国がこれを撤去しなきゃいけないんですよ。もっと国が積極的にかかわってやらなきゃ、今の話だったら、鳥取県は鳥取県でどうぞお考えください、影響が出るか出ないか。島根県は島根県で検討してください。そしてそれは、御意見があればどうぞお持ちくださいと。これはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。どういう工法をとり、どういうふうに撤去すればどのような影響が出るかというのは、総合的に判断すべき問題であって、各県がやるというような問題じゃないんじゃないでしょうか。
 そして、私は率直に言いまして、鳥取、島根の両県の財政状況とかいろいろ考えれば、財政の問題が非常に中心になってくると思います。環境、そして水質の改善とか、そういったことになりますと、国も含めてこれらを検討する機関なりを設けなければ、きっちりとした評価はできないんじゃないでしょうか。
 その上に立って、やはり最終的な工法というものを決定していくということが私は重要だと思うわけでして、大臣、どうでしょうか。私はそういう委員会を、時間がかかるようであっても、やはり、鳥取、島根任せではなくて、国がしっかりとした検討機関を設置して、学者も含め、いろいろな、これまで反対、賛成あったかもわからないけれども、そういう人たちも含めて、これからどう宍道湖、中海をよみがえらせ、生き返らせていくのかという方策をお互いが意見を出し合おうという場所を設置するということ、これが私は今政治が決断をして行うべき道だというふうに考えるんです。いかがですか。
大島国務大臣 会議は、たくさん委員会をつくって踊ってはいけないと思うんですね。中海に関する協議会設置要綱の中に、中海の水質を初めとする環境改善という問題もございます。やはり、地元で漁業をやり、地元で生きて、そして地元の地形を知っている、そういう意味で、まさに今先生がおっしゃったようなことも含めて、その協議会の中で御議論いただくということの方が私はいいんだろうと思うんです。
 今改めて、環境という視点に限って新たな場をつくるとなると、一体どういうメンバーになるんだ、どういうふうな形だ、だれを入れるんだ、だれを入れないんだと、まずこれで一年ぐらいはかかるような気がしますね。だから、せっかく両知事さんが御苦労していただいてつくったその協議会、あるいはそういう結果を踏まえてのこの協議会の中で、今先生が言われているような問題点を含めて協議しながら、さまざまな形で議論していただく方が私は建設的ではないか、このように思います。
金子(哲)分科員 いや、先ほども申し上げましたように、では、そういう人たちの意見がどういうふうに集約されるのか。
 私が言いましたのは、例えば、あそこの中海、宍道湖というのは、鳥取県と島根県に両方に行くわけです。協議会の中では、もちろんそういう課題も協議をされると思います。しかし、その前段は、やはり両湖あわせて考えなければ、これは結論は出てこないわけであります。そういう場所がどこかにないと、そして、そこにみんなが意見を言える、どういう形かは別にしても、意見が出せるような場所というものがやはり必要だ、このことを申し上げているわけです。そこがすべての結論を出すということではなくて、そこに対して、やはり環境問題、こういう影響が出る、こういうことが考えられるというような意見が住民なりそういう団体の人たちから集約できていくということが必要ではないかということを言っているわけです。
 ぜひそういうことのできるシステムというものをつくっていくことを、今、協議会があるからそれですべてできるんだということではなくて、先ほども申し上げましたように、この自然再生法、新しくできた法律も、確かに困難であっても、そういう多様な人々の意見をできるだけ聞きながら、時間はかかるようだけれども、遠回りのようだけれども、そのことが最終的にはいい結果を生み出すということで、そういう手法をとろうとしているわけで、これからの、特に自然再生とかそういう事業の中止をめぐっては、その視点がなければ私はだめだと思うんですね。そのことを重ねて申し上げたいと思うんですけれども。
大島国務大臣 一つの視点としてこの点は忘れてはいけないよという御意見としては承らせていただきたいと思うんです。
 やはり県というものはその地域の住民全体の公的機関でございますし、そういう意味で、当然そこの議論の中にはそういう御意見も発せられたり、そしてそういう中で判断を、お互いに議論をしていくことに相なろうと思います。
 今先生が一生懸命お話しされた一番大事な点は、どういう形で参加するかということも大事だけれども、環境という視点を忘れずに後始末に事当たれという点が大事だと私は受けとめました。そういう点は私なりにも受けとめて、さまざまに考えてまいりたい、こう思っております。
金子(哲)分科員 今後の進め方の中で、今大臣がお答えになったことが生きるようにぜひ進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それで、こだわるようですけれども、今中浦水門の案が出ているものも、やはり潮流の問題等を含めて見ますと、そういうことが十分に考えられます。私どもが聞いている、地元の皆さんの中で意見が出ているのは、例えば、本庄工区の中の森山―大海崎の堤防は、二百メートルぐらい開削をして、そして、私にはちょっと疑問なところもあるんですけれども、水門はそのままにしてゲート操作した方が潮の流れはよくなる、こういう意見もあるわけでありまして、その辺をぜひ十分検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 あと残りの時間がありませんので申し上げたいと思いますけれども、この中浦水門が建設されるに当たっては、船の航行のために閘門がつくられた、そしてそこに、今約六十名ぐらいの従業員の皆さんがいらっしゃる。民間の企業が請け負っていらっしゃるということでありますけれども、平均年齢五十歳ぐらいで、今、この中止が決定して以降、非常に将来にわたる雇用不安が出ております。国策の事業として行われたんだから施設運用は永久に続くだろうという思いで、この皆さんはそこの場所の職場を選ばれたわけですね。ところが、不幸にして中止ということになって、いずれこの閘門の操作は要らなくなるということが現実の問題となってくるわけです。
 私は、今深刻な雇用問題、いろいろ言われておりますけれども、国の政策によって建設をされたところで働きたいということで職場を選ばれた、ところが、国の政策によってこれが中止になることによって職場を失う、こういう現実があることを考えますと、ここに働いていらっしゃる皆さんの雇用問題については国も責任を持つべきだ、このように考えております。それは、国が雇用するという意味で言っているわけではなくて、再就職を含めて責任を持つべきだというふうに考えておりますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
大島国務大臣 雇用問題は、一般論から言うと、労使間の話し合いで決まるもの、解決されるべきものではあるわけですが、事業主体として対応できる範囲での社会的な配慮、これは必要だと私どもも思っております。
 いずれにしても、この協議会において検討が行われるところでございますし、鳥取、島根両県の協力を得て可能な対応を検討してまいりたい、このように思っております。
金子(哲)分科員 今大臣からも社会的配慮ということが言われたわけですけれども、私はとにかく、社会的配慮、国の責任とか、言葉はいずれにしましても、少なくとも、この閘門の作業が停止をされる時点で、そこに働いていらっしゃる皆さんが一人も路頭に迷うことがないということを、ぜひ国の立場からもその点について責任を持って取り組んでいただきたいということをあえて重ねて申し上げたいと思います。
 島根、鳥取のみならず、特に今の雇用状況で、平均五十歳と言われておりますから、五十代の皆さんが再就職をするということになりますと、再就職先を探すのは非常に困難であります。これは現実、ここの職場だけでなくて、さまざまな職場がそうであります。そういう困難な雇用状況の中で再就職先を探さなければならない。もちろん、言われたように、企業の側にも責任はありますけれども、事業主体としての国の責任ということを重ねて申し上げ、ぜひ善処をしていただきたい、そのように申し上げて、質問を終わりたいと思います。
萩山主査 これにて金子哲夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、伴野豊君。
伴野分科員 民主党の伴野でございます。
 本日は、予算委員会第六分科会ということで、農林水産行政につきまして、私の思うところを質問させていただければ、そんなふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 私自身、地球規模でいけば飢餓の問題、それから国内的にいえば食の安全、自給自足率の向上、この自給自足率の数字というのはいろいろな意味を持っていて、これは学者の先生方に聞きましても、両面あるというようなこともお伺いするんですが、私としては、やはり少しでも自給自足率を上げていく方向で国の政策というのはあってほしいなと思うわけでございます。さらには、食の安全保障というようなことも、自分なりの考えを持ってやらせていただいているつもりでございますが、きょうは、そういう大きなことよりも、少し地元でいろいろ耳にするようなことを中心に、大臣初め副大臣、政務官にお話を承れれば、そんなふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 余り地元色を出すとというようなこともあるんですが、私の選挙区は、知多半島、東海市とか知多市という名古屋市に非常に近いところはかなり都市化もされておりましてベッドタウン化しておりまして、農林水産業を営む方は少のうございますけれども、半島の先へ行きますと、大臣も御案内かと思いますが、先は南知多町、その前は美浜町ということで、漁業、農業を営んでいらっしゃる方が非常に多うございます。
 それで、私自身も現職にならせていただいてから行政区、四市五町あるわけでございますが、いろいろな会合に出させていただきます。それで、都市化されているところと、そういったいわゆる漁業、農業を営みながらやっていらっしゃる方、例えば運動会やあるいは成人式などに行きましても、音が違うと言うとちょっと言い過ぎなんでございますけれども、そういった農業、漁業を営んでいらっしゃる方の市町のいわゆる行事に出させてもらいますと、子供さんの声からおじいちゃん、おばあちゃんの声までいろいろな、音といいますか声が聞こえる。非常にいい意味でそのハーモニーといいますか、会合に出させていただいても温かい気持ちにもなれます。
 自然にも恵まれているということもあるんでしょうが、そういうことを思いながら、やはり古き日本のいい部分を随分、農業、漁業の技術の継承とともに、親が子に伝えるべきことが伝わっているんじゃないかなというようなことをすごく思います。都市化されているところよりもやはりうまくいっている部分が多いんじゃないか、そんなふうに思います。ですから、日ごろの営みの中で伝えるべきこと、残すべきことというものは、やはり国がそこはしっかり支えながら、残すべきことを残し、伝えるべきことを伝えていかなきゃいけないんじゃないかなとかねがね思っております。
 そういう観点で二、三お聞きしたいわけでございますが、多分、これは知多半島に限らず、日本全国どこもそうじゃないかと思うんですが、今、漁業の担い手、前にも質問があったかもしれませんが、これはかなり深刻じゃないかなと思うんですね。
 私どもの選挙区に行きましても、三カ月前はおうちの前で網を家族みんなで直していたところの方がちょっと最近見えなくなっちゃったなというようなところがあって、いろいろ聞いてみると、いや、実はというようなことがあってみたり、多分いろいろな事情があろうかと思います。それで特に、はたで見ておりましても、やはり非常にきつい、しかも環境を相手にするために、本当に予測できるだけの漁獲量があるかどうか、またそれによって、多分資金繰りとかやっていても、そうはいかないといういろいろな難しい面があろうかと思います。
 そんなようなことで、今日本の漁業の後継者不足、この原因は幾つかあろうかと思いますが、大臣、どんな御認識をお持ちでしょうか。お聞かせください。
大島国務大臣 委員の知多半島はそれでもまだいい方かもしれませんね。私ども、委員から御質問をちょうだいするというので、ちょっと調べてまいりました。四十歳未満の就業者割合は二六%で、全国平均は一七%ですから、まだいいかなという感じはしますが、今御質問されましたとおり、ひょっとしたら、農業の後継者論より漁業の後継者の方がちょっと深刻なところがあると思います。しかし、漁業の後継者のところを見てみましても、例えば、ひょっとしたら一番深刻なのは、漁船漁業の沿岸漁業ですね。養殖漁業の非常に立派にやっておるところはきちっと後継者が育っておられるわけです。
 そういうことから見ますと、やはり漁業後継者問題というのは、今先生がお話ししたように、労働の危険というのが一つあるんだろうと思います。これはしかし、ある意味では昔からある話、しかし、これが一つだろうと思うんです。今の若い人たちが仕事をするときに、何か汚いとか何とかというのは嫌だ、そういう価値観もあると思いますが、やはり危険性が伴うということ。
 それから、漁村社会が新規参入を農業よりも受け入れづらいというところが非常にございます。これは政策的に考えていかなきゃならぬところが非常にあるんじゃないかと思いますが、やはり漁業権との絡みの中で、新規参入がなかなかないということ。
 それから、基本的に、やはり漁業資源の維持が、だんだん少なくなってきているという点において、将来に対する不安というものがあるんではないか、このように思います。
 ですから、そういう状況の中でどう対応を打つかといいますと、それらについて一つ一つ対応をとっていかなければなりませんが、何といってもまず第一は、資源維持、資源回復という問題が、これはもう世界の漁業がそうでございますけれども、日本漁業の水域の中での資源回復というものは、時間がかかっても、これはまず一つきちっとやらなきゃならぬ。それから、やはり新規参入をどのように推奨していくかということが私は次のかぎになるような気がいたします。そのためにさまざまな手だてをこれから考えていきたいと思っております。
 そういうふうなことで、一つ一つやっていくことが私どもとしては大事だな、こう思っております。
伴野分科員 今、三つ御指摘いただきまして、漁業自体が非常に危険なものである、新規参入がなかなか難しい業界である、それから、世界的に見ても、資源維持、非常に今後、将来不安な部分もあるというような御指摘もございました。まさにそのとおりだと思うのですね。
 それで、そういった何か、コンサルティング業務的なことを国が本当にやるべきかどうかというのがあるかもしれませんが、漁業に関しては、やはりなかなか、個人でといいますか、その町だけでということが難しい業界かなと思いますので、ぜひともそのあたりのところを、具体的に対策を今まで以上に練っていただきまして、何とかそういう問題解決をお図りいただきまして、漁業の後継を担うだけではなく、その町の伝統も担うというような観点からも今後御指導いただければ、そんなふうに思っております。
 幾つか漁業に関しても質問させていただきたいわけでございます。時間の都合もありますが、その中で、特に私どもの市町で最近ちょっと問題になっております、これは漁具がいろいろ工業製品化されてきて、昔であれば、例えば木製であったら燃やしてしまったり埋めてしまったりしてもよかったようなものが、工業化されたことによって、なかなか処理が難しい。特にFRPを使った廃船というのが結構美観も損ねているというようなこともあったり、処理でダイオキシンの問題が出てきたり、これは環境問題にもなってくるわけでございます。案外、メンテができない、あるいはメンテの負担が大きいからほったらかしにしてみたり、あるいは廃業したときに、廃業と同時に放置されるというようなこともあるわけでございますが、このあたりの対策、何か具体的にされているようでしたらお教えいただきたいのです。
熊谷大臣政務官 ただいまの御質問に対して私の方からお答えをさせていただきます。
 基本的には、廃船とかあるいは使用済みの漁具の処理というのは事業者である漁業者が責任を持ってやるというふうになっておりますが、今先生御指摘のように、船の材料、FRPが非常に多い。漁船の大体九〇%ぐらいがそういう船である。
 したがって、これからこの種の船がどんどんと廃船になってくるというふうになった場合の処理というのは、確かに、この物質の性格からして非常に問題になってくる。非常に処理が困難であるということと、それから金がかかる、そういう特殊性があるものですから、農水省としては、昨年からFRPというものを炭化して、これを魚礁に使う、そういうことをやっておりますし、それから国土交通省の方でも、この技術開発というものについてかなり検討が進んでいるということも聞いておるので、呼応しながら、検討、協力、提携、そういう形で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 それから、使用済みの漁具のうちに、特に海洋汚染の原因になってくる発泡スチロール、これについては、ただいま御審議をいただいている十五年度の予算の中で、有効的な回収、リサイクルのシステムの開発を行うための経費、予算措置も考えているところでございます。
 いずれにしても、今後とも、廃船とか使用済みの漁具の適正な処理ということについては、これからも適切に行えるような形で努力をしてまいりたい、このように考えております。
伴野分科員 私も工学部の出身なんですが、工学部の人間というのは、どうしてもつくることばかり考えまして、使った後どうするかというところに、最近は、リサイクルとか環境のことを考えてつくっていらっしゃると思うのですが、ぜひともそのあたりのところを御指導いただきまして、このあたりが零細の漁業の方々に余り負担にならないように、ぜひとも業界も含めて御指導いただければありがたいかなと思うわけでございます。
 時間もどんどん来てしまいましたので、端的に質問させていただきたいと思いますが、同じように農業の方も我が地元でも非常に後継者不足の状況に陥っている。先ほど漁業の方でお聞きもしましたが、その違いだけで結構でございます。農業の方で、漁業と違って後継者不足の原因となっているようなものをどう御認識されているのか、その原因に対してどういう対処を今後されていくのか、大臣の御所見をいただければと思います。
大島国務大臣 漁業と基本的に違う農業の後継者不足の原因は何かと言われますと、私は、農地の取得という問題が、向こうは漁業権だからそれは同じじゃないかと言われればそうかもしれませんが、ここにあるような気がするんです。
 ただ、先生も御承知だと思いますけれども、平成二年は四千人程度でした。一年間のお医者さんになる人と同じぐらいだと言われたような記憶が私はあるんですが、今は一万二千人ぐらいになってまいりました。農業をやりたいという意欲のある人は結構ふえてきている、経済が悪いときはいつもそうだと言う人もいますけれども。したがって、そういう方々にどういうチャンスを与えていくか、そういうことを今考えるべきだ、このように私は思っております。
 大変失礼しました。医師の国家試験の合格者数が七千八百名だそうですから、四千名よりは多いんですけれども。
 ざっくばらんに言いますと、今、私ども、農協改革をこの三月末までにやらなきゃなりません。漁業も農業も、やはりどこかというとオープンでないところがあるんですね。私は、農協改革の最大のポイントというのは、意欲のある者が若い人たちでいっぱいいるんですが、こういう人たちが農協の中核に入っていけないようなところがありますね。農協改革も若い人たちが農村で頑張れる一つのかぎでもあるなと私は思っております。さまざまありますが、まだ農業者の方が、いろいろな、知多半島なんかでも花をやったりして、若い人たちが意欲的にやっている姿が見られると思うんです。
 そういう意欲を抑えるんじゃなくて、どうやって伸ばしていくかということ、農業後継者を育てる税制上も、あるいは農協の問題も、あるいは農地の取得の問題も、いろいろな問題を含めて、そういう視点に合わせていま一層変えていくことによって若手が参入してくるのではないかと私は期待を持っております。
伴野分科員 まさに、今大臣が御指摘いただいたいわゆる農地の取得のしにくさといいますか、私は、既得権はすべて悪いものではないと思っているんですよ。本当に意識が高く、伝統文化を守っていく、しかもそれなりの結果を出しているものであるならば、それはまだ許される。ただ、やはり時代の流れとともに、期待にこたえられない部分はできるだけやる気のある人に開放していく方が、これはマスとしてよくなっていくんじゃないかという考えを持っている人間なわけでございます。
 その中で、私の地元の方にも、やはり耕作放棄地といいますか、去年まではここでこんなことが行われていたのにな、ことしは何かコスモスだらけかなというようなところが結構あってみたり、先ほど大臣もおっしゃってみえたように、やはり農業はやりたい方というのは結構いらっしゃいまして、ただ、ことしやってだめだから来年もうすぐ放棄してしまうというような、そんないいかげんなことでもまた一方で困る。
 何か多少のルールを設けた中で、そういった耕作放棄地になっているようなところは、ぜひとも、家庭菜園や園芸、多少何か、うまくやられた方は御自身のポケットマネーを少しふやすぐらいのことができるような、みんなが参加できる農業があってもいいんじゃないか。それで、週七日あるうちの二日、三日は、自分でこさえたもので食をとっていただいてもいいんじゃないかなということを個人的には思っているわけなんですが、そのあたりの何かいい知恵があれば教えていただければと思うんです。
熊谷大臣政務官 委員おっしゃるとおり、今、耕作放棄地、面積も非常に拡大されて、これは十二年度の統計でありますが、二十一万ヘクタール、そういう面積になる。現在はこの面積よりももっとふえているんじゃないかなというふうに思うわけであります。したがって、この耕作放棄地の解消ということは、非常に大きな問題として農水省としても取り組んでいるわけであります。その一環として、今御指摘をいただきました、これを利用した家庭菜園ですね、そしていわゆる市民農園としてこういう農地を利活用していく、そういう取り組みを今助成をしながら行っているというところであります。
 それから、もう一つは、昨年成立をいたしました特区法ですね、この中にも、遊休化農地というものの利活用を図るということで、これは公共団体とかあるいは農業協同組合とか、そのほかにも、いわゆるNPO法人あるいは民間企業、そういうものにも市民農園を開設できる、そういうものを可能にするような措置を今講じているところでございます。
 それから、さっき私、耕作放棄地、二十一万と言いましたが、いわゆる未利用地としての面積でありますので、その点、修正をしておきたいと思います。
伴野分科員 そういうやる気のある人が余っている土地でいろいろできる、特に構造改革の中でもさまざまなミスマッチを解消していただくというのは一つのテーマじゃないかと思いますので、ぜひともそのあたり、いろいろな知恵を出していただきまして、皆が参加できる農業というものを実現していただければありがたい、そんなふうに思います。
 それで、皆が参加できる農業といいますか、そういうものを考えていくときに、私の地元、愛知では、二〇〇五年に中部国際空港、愛称セントレアと申すわけでございますが、愛知万博が開催されます。花卉に関係することで言えば、御案内のように愛知は全国シェア一位でございまして、そのセントレアの名称をつけた、舌をかみそうでございますが、デンドロビウム、ランの一種でございまして、ハッピーバースデイ、大臣のお誕生日はいつか、私調べておりませんが、何か、東海市の花卉の中でそういったものを開発して、誕生日に贈り合ってもらえば、そういう花卉農業の発展につながるということで、やはり皆さん参加してきているんですね。
 どうしても愛知といいますと、産業的には工業生産品が一位という、そちらばかり特化されがちなんですが、花卉というのも一位で特化しているわけでございまして、今後、ぜひとも万博を、経済産業省さんだけに任せていくのではなく、農水省さんのそういう情報力をフルに活用していただいて、世界にいろいろアピールしていただく、そういうきっかけにも使っていただければいいんじゃないか。やはり我が国の得意な部分を特化していくという方向で何か働きかけをしていただいて、私も花が大好きでございまして、花に心洗われることが多いんですけれども、この日本じゅうを花だらけにしていただくような、何か大広な、前広ないい案を愛知万博に合わせてやっていただけないか、そんなことを思うわけでございますが、いかがでしょうか。
熊谷大臣政務官 花卉産業の振興ということは、これは非常に重要な部門になっているわけであります。したがって、生活に密着した花卉の需要拡大、そういうものを政策の中に位置づけをしながら、今取り組みをしているところであります。
 具体的には、花卉の普及啓発資料の作成であるとか配布であるとか、それから、産地と消費者との交流イベントの開催であるとか、全国花のまちづくりコンクールの開催であるとか、そんなことを中心にしながら、花と緑の普及、利用啓発というものに取り組んでいるところであります。
 さらに、先生の愛知県のような産地については、特に、高鮮度で日もちのよい切り花の生産供給体制の構築、それから、生産に要するいろいろな低コスト化、そういったものの推進にも取り組んでいるところであります。
 それから、特に、今御指摘をいただきましたが、愛知県は、菊とかバラとか、こういうものを主体にして、いろいろな花卉生産というものが活発に行われているところであって、その生産額は全国の第一位を占めている。昨年、オランダで開催されましたフロリアード二〇〇二におきましても、これは、政府の出品ということもやっているわけでありますが、特に県として独自の出品などをなされて、花卉園芸に対する意識が非常に高いという取り組みも承知しているところでございます。
 したがって、こういった主産県というものを中心にしながら、花卉園芸をどんどん普及して、先生の御質問の趣旨に沿うような、全国を花と緑にあふれるような、そういうものにするために積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
伴野分科員 きょう二月二十七日は、日本が初めてパリ万国博覧会に出展した記念すべき日だそうでございます。ぜひとも、農水行政の皆様方におかれましても、農水さんのお持ちの情報力をフルに活用していただきまして、愛知万博を世界にアピールするいい機会に使っていただければ、そんなふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 少し話題を変えまして、食というのは、改めて言うまでもなく、私自身もそうなんですが、やはりすべてのエネルギーの源だと思うんですね。どなたも、海の幸、山の幸、好きなものを好きなときに、できるだけしゅんのときに、それも低廉に、安全に口に運べて、そして、晴耕雨読ではないですが、自分の安らかな心の中で、自然の中で生きていけたらなと、どなたも思われているんじゃないかと思うんです。
 そうした中で、先般、たまたま新聞を見ておりましたら、農林水産省の篠原政策研究所長さんですか、この方が非常にいいことを言っていらっしゃいまして、農村的循環社会のありようとして、地産地消、旬産旬消ですか、非常に難しい言葉をお使いになっているようでございますが、その精神は非常にわかりやすくて、だれもが多分そう思うんじゃないか。経済優先、工業優先で突っ走ってきた二十世紀の日本、やはり、少し農村的ないい面も見直して、さまざまコーディネートされる中で生きていけたらな、そんなふうに思うわけでございます。
 そうした考えを、地元色を出して恐縮なんですが、例えば知多半島にこれを応用するとすると、どんな具体的な政策が考え得るのか、何かいい知恵がありましたらぜひお教えいただければ、そんなふうに思います。
北村副大臣 先生からの御質問、本当に私もそのとおりだと思っております。
 人間はすぐ環境に順応できる、こう言いますけれども、しかし我々、やはり、体の中にあるDNAというのは、生まれたところで産湯を使ったその水あるいはその環境というのが一番体にいい、こう言われているわけでありますので、今おっしゃった地産地消というのは、まさしく人間の命を大切にし、はぐくんでいくには一番いいことかな、このように思っております。
 あるいは、旬産旬消というのも、冬場にスイカを食べるなんというのは、到底、普通の時代では考えられなかったことです。しかし、そのことによって、消費者に食べたいときに食べてもらう、そして利益が上がるということであれば、それもまた一つの考え方だと思いますが、しかし、できるだけしゅんなときにしゅんなものを食べる、あるいは地産地消というのは大切だ。
 そういう意味では、我が省が、バイオマス・ニッポン総合戦略の中で、例えば稲わらの問題あるいは家畜排せつ物等の生物資源の総合的な利活用を推進していくということは、先生の御地元でもこれはすぐできることである、こう思いますし、また、食と農の再生プランの中で、なるべく消費者と生産者との連携を強化して、先ほど言った地産地消というものに積極的に取り組む、そういう支援を我が省は考えているということでございます。
伴野分科員 ぜひ、その精神で御指導、政策立案をしていただければと思うわけでございます。
 最近ちょっと、地元からも余り声が出てこない、生産者の方からはよくあるわけでございますが、消費者の方からは、ちょっとのど元過ぎてというようなところがあるわけでございます。その話題について、時間の許す限り質問させていただければと思うわけでございます。
 先ほど北村副大臣もおっしゃっていました、生産者の顔が見える農業といいますか、バイオの発展を有効利用しようというその精神は悪くはないと思うんですが、多少どこか、生もの、生き物を工業生産あるいは工業製品と同じように扱ってきてしまったツケが幾つかここに来て出てきてしまったのが、例えばBSEの問題もそうだったんじゃないかなと、私はそういう視点からも見ているわけでございます。
 食べ物というのは、最終的には血の通ったものだと私は思うんですね。それは、有機物、無機物、いろいろあると思うんですけれども、BSEの反省から、やはり、どなたがつくっていらっしゃるか、あるいは、それは日ごろから培われていると、だれだれさんがつくったものだからという目に見えない信頼と、先ほどおっしゃっていた生産者の顔が見える関係というのが、先ほど話題になりました旬産旬消のまず第一歩、あるいは地産地消の第一歩じゃないかと思うわけでございます。
 一つは、全国的に、今、BSEの教訓をもとにして、生産者と消費者の信頼関係をどう構築していくように御指導されているのか。牛肉だけに限らず、どんなお考えか、お聞かせいただければ。
北村副大臣 私、副大臣に就任をしたときに、実は大島農林大臣から命令を受けまして、特に農林水産省の中に食の安全・安心のための政策推進本部というのをつくることになりまして、その本部長を私がやることになりました。
 特に、BSEを含めて、あるいはいろいろな食品業界の不祥事等々の中から、リスクコミュニケーションということが日本の場合一番不足してきた。そういう意味では、リスク管理をしている農林水産省はそれなりにリスク管理をしっかりしてきたが、そのリスク管理の中できちっと、どういうリスクというものがあるのか、あるいはどういった管理をしているのかということ、これをやはり、消費者の方々を含めてリスクコミュニケーションが足りなかった。
 こういうことを踏まえて、生産から消費段階にわたるリスク管理をやりながら、その情報等々をきちっと伝えていく。そのためには、トレーサビリティーという言葉がありますけれども、やはり物の履歴をきちっと与えていく。そういうことを含めて、消費者の方々が安心して、選択の幅が広がっていく、こういうシステムを考えていくことが一番重要である。
 これは、BSEの、肉ばかりではなくて、果樹ですとかあるいは普通の野菜、果物等々にもこれを応用していきながら、生産から消費まで、この段階が見える形、そして、消費者が選択の幅が持てる、情報がしっかり、自分たちにそれが見える、こういうシステムをつくり上げていき、これを全力で支援していきたい、このように考えております。
伴野分科員 ミサイルが飛んできて、有事の安全保障の議論が華やかでございますが、食事の安全保障も非常に重要でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。
萩山主査 これにて伴野豊君の質疑は終了いたしました。
 次に、重野安正君。
重野分科員 私は、きょうは、林業に絞って質問したいと思います。主として林野庁長官に答弁をお願いしてございますが、大島大臣、最後に私は念を押したいことがありますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
 私は、生まれも育ちも九州は大分県、私の生まれた集落からその先には道がないというほどに山奥で生まれ育ちました。当時のふるさとの光景を思い浮かべますと、本当に小川には絶えることなくいつも水がたくさん流れていたし、その小川では魚がたくさんとれる、カニがとれたりウナギがとれたり、そういう光景。夏になると、山にイチゴをとりに行くわけですね。かごにあっという間にいっぱいとれるというような状況。四季折々の鮮やかな光景があったわけでございます。しかし、そういう時代からそんなに時間はたっていない、たかだか四十年ちょっとぐらいの時間の経過で、そういうふるさとの光景が一変しておる。一変していると言えばちょっと言い過ぎかもしれませんが、まさしく一変している。
 かつて水が流れていた小川には、もう水は流れておりません。四季折々、山に集落の方々が、夏は草切りに行くわけですね。牛を三頭、四頭とみんな飼っていましたから、その牛を連れて朝早く草を切りに行くわけです。そういう道があちらにもこちらにもあったんですけれども、今はそんな道は探したって見つからないというほどに生い茂っている。昔、共有の草刈り場というのがありましたけれども、もう野焼きもしないし手入れもしない、言うならば荒れ果てているというふうな姿なんですね。
 そういう中で、変わらない姿は山の色です。山は一年じゅういつも青々としております。杉がありヒノキがありという光景です。私ども、子供のころというのは、九州ですから、福岡の炭鉱に坑木がどんどん出荷されていたという時代、うちの両親も一生懸命山に植林をしました。私たちも子供ながら山に木を植えに連れて行かれたものです。冬に穂木をとって、それをつけておいて、春、苗床を伏せて苗をつくるわけですよね。その苗を今度は山に持っていって植える、そういう繰り返しだったんですが、今はそんなことをする家なんか探したってありはしない。だけれども、山には一年じゅう青々とした色がある。
 しかし、その青々としている山も、一歩中に入ったらこれは大変な状況になっているわけです。山に雨が降ると山にはミミズがいっぱい出てくるわけですね。小さな赤いカニがいるんですが、カニがいっぱいはうわけですよね。そういう姿も今は見ようたって見られない。
 こういう状況の中で、しかし、地域の人たちは、山を愛する方々は、一生懸命山に資本を投下しているわけです。いつ山の買い手が来るかわからない山にそういうお金をかけるというのは、これはよほどの根気が要る話でありますけれども、しかし、そうして山を懸命に守っておられる方々も数は少ないけれどもいるという現実、これは私は無視してはいかぬと思うんですね。大変貴重な戦力だと私は認識をしているわけであります。
 ちなみに、私、大分県の山で今一番心配しているのは、伐採可能な山林が、いわゆる人工林の全体の約五〇%は八齢級以上の山なんであります。三齢級から七齢級が四五%、もう除間伐をしなければならない、そういう樹齢に至っている山が四五%。したがって、約九五%が木としては青年期から壮年期にいくような、そういう状況にある。問題は、そういう山に手が入らなくなりつつあるという現実がある。
 皆さんも御承知のように、日田杉という名前で有名な日田市という市が大分県にはございますけれども、この日田杉は、かつて、平成十一年、台風十八号に遭いまして大災害を受けました。山が壊滅的な打撃を受けました。しかし、地域の方々は懸命に山の復旧に手を入れました。全国から応援隊も来まして、日田の山を復興しようという大作戦が展開された。自衛隊も入りました。そういう山が、今ようやく木が根づいて、山がぽつぽつと緑を取り返しつつあるという状況も一方にある。問題は、そういう状況を今後果たして維持できていけるのかどうなのかというのが、大分県林業にとっては深刻な問題であります。
 しかも、大分県の内実は、そういうふうに山はあるんですけれども、トータルすると規模は非常に零細ですね。一ヘクタール未満が六七%、一ヘクタールから五ヘクタールが二五%、五ヘクタールから二十ヘクタールが六%というふうに規模が零細ですから、もうみんな投げておるわけですね。そうすると、山に人の手が入らない。その先何が見えるかというと、やはり山の荒廃ということが歴然としてくるわけです。
 そういうことを前提にしながら、私は次に質問に入りますけれども、果たして山が経済的に割に合う生産の場として持続可能なのかどうなのか、こういうふうな極めて深刻な認識があるわけです。それを物にするために、計画的に間伐をやりなさい、あるいは山の複層林化を図りなさい、あるいは有用広葉樹林を造成しなさいとか、いろいろな提案が国、地方あわせて出されているんですが、そういうものが現実にどういうふうに進行しているのかという点について、現状を把握するという観点から、内容をひとつ説明していただきたいと思います。
加藤政府参考人 今お話がありましたとおり、大変厳しい状況でございますけれども、一方では、森林に求められる役割というのは大変多様化をしてきているわけでございまして、やはり多様な森づくりをしていくということが必要ではないかというふうに思っているわけでございます。
 そういう点で、平成十三年、森林・林業基本法を三十七年ぶりに改正をいたしたところでございまして、その法律に基づいて、今までの木材生産を主体とした形から、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を図っていくということで政策の転換を行ったところでございます。また、先生も言われましたように、そういう中で、複層林の施業であるとか、針広混交林というようなことも含めて施業を行っていただきたいというふうに提案をしたところでございます。
 具体的には、全国の森林計画というものを樹立いたしまして、さらに地域ごとに地域森林計画、さらには市町村計画というものを立てていただき、そこの中でどういう森林整備を進めていくのかという方向を明らかにしていただいて、それに従って森林所有者の方々に努力をしていただきたいというふうに思っているわけでございます。森林を三つに大きく区分をいたしまして、水土保全林、森林と人との共生林、資源の循環利用林というような形で、それぞれの目的に合った森林整備を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
 ただ、今お話がございましたように、そういったものを進めていく、例えば広葉樹ということで考えてみましても、広葉樹の経済性というものは極めて厳しいわけでございまして、針葉樹も厳しい中でさらに広葉樹は厳しいというのが現実、実態でございますから、そういった施業を進めていくということにつきましては、やはり国、都道府県、市町村あわせながら助成を考え、森林所有者の方々に努力をしていただくということが必要ではないかというふうに思っているところでございます。
重野分科員 そこで、日本の山には民有林それから公有林ですね、国有林、県有林とか市町村有林とか、いろいろありますね。私は、国有林のあり方について、今の状況というのは非常に悲観的にとらえている。
 なぜかというと、さきも地球温暖化問題が京都議定書の中で大きく問題視され、それに対する山の役割、炭酸ガスを吸収するいわゆる吸収源としての山の力というのが評価されているわけですね。地球温暖化対策推進大綱であるとか地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策だとか、計画は、いい、好ましい計画が立てられておる。一方、国有林会計においては、林野庁長官、ともかく経営、経営が非常に声高に叫ばれまして、国有林を守るマンパワーは年々低下しているという現実があります。国が率先してマンパワーもアップして、国有林をよくするぞというて、そして民有林あるいは市町村有林にハッパをかけるならわかるけれども、国有林を守るマンパワーはどんどんそいでいって、そして地球温暖化対策をやりましょうなんかいうのは、私はこれは矛盾していると思うんですね。
 そういう点について率直に、そういう役割というものをもっと前面に打ち出して、まず国有林をしっかり守るんだ、そして有用に、林業の構造、山の構造を、青一色でなくて四季折々鮮やかな色がつくような広葉樹も植えるんだ、そういうふうなことをやるということを実践していく。そのことを通して、民間の山を持っている方々もやはり山にいま一度情熱を取り返していく。こういうふうに持っていかないと、国有林の方はどんどんパワーは下がっていって、そして民有林にパワーアップしろなんかいったって、これはなかなか聞きませんよ。そういう点についてはどうなんでしょう。私のそういう指摘に対してどのように答えますか。
加藤政府参考人 今お話がございましたとおり、地球温暖化防止森林吸収源として、六%のうち三・九%をやっていかなきゃいけない。ところが、今の森林整備の水準でいけばその三・九%になかなかならないというふうに我々考えているところでございます。
 今お話がございましたように、地球温暖化対策推進大綱の中でも、今以上の森林整備の水準というものをやっていかなければいけないんだ、そのために十カ年対策というものをつくってやるべきではないかという話になったわけでございまして、年末に農林水産省といたしまして、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策というものをまとめたところでございます。そこの中では、お話ございましたように、健全な森林の整備というものを今まで以上の水準でしていかなければいけないということを明らかにしたところでございまして、これを実行していかなければいけないというふうに我々としては考えているところでございます。
 ただ、進めるに当たりましても、お話ございますように、国がまずやるということが必要だろうと思うわけでございますが、ただ、マンパワーの問題で申し上げますと、国有林につきましては、今の経営を改善していくという中で、事業実行につきましては民間実行で行っていくということを考えたわけでございまして、その実行部門につきましては民間の方々に効率的にやっていただくという方向性を出しているわけでございます。そういう点では、民有林、国有林を通じて担い手を確保していくということが必要だというふうに思っているわけでございまして、我々としてそういう政策を打っていきたいというふうに考えているところでございます。
重野分科員 確かに国有林の会計は決して容易なものじゃないという認識は持っています。
 ただ、問題は、それは財貨の問題であって、国有林が果たす、今言った地球温暖化というものを防いでいく上で果たす役割というものが、民有林も、いわゆる国有林も含めて今低いんですよね。計数的にどう出すかという困難性もありますけれども、口では言うけれども、それでは現実、国の一年間の計画の中でどうするんだというと、そこら辺が、私が指摘しているように、言うこととやっていることが違うんじゃないか、こういうふうに言われるような結果になっているんですね。
 そこで、今長官もちょっと触れましたけれども、山というのは、今いう環境問題、これはもう二十一世紀の最大のテーマですよ、地球的に最大のテーマ。その環境という面を考えるときに、この国の国土の七〇%強を占めている山林の果たす役割というのは、これはだれも認めると思うんですね、認めると思う。ところが、その認める山の機能をより強化していくという段になると、専らそれは川上に住んでいるいわゆる林家等々がすべてを背負っていくという現実になっているんですね。ここのところを変えないと、この国の山というのは守れません。
 そういう意味では、今議論になっている環境税の問題ですね、これはいろいろな立場から議論がされている。僕は、環境税というこの問題提起は非常に重要だと思うんですね、これは非常に重要だ。つまり、川下の方々が川上に思いをいたすというそのきっかけになる。やはり、上流の七割を占める山を国民全体で守っていく、そういう意味では、この環境税という問題提起は、私は一つの議論すべきテーマだと思うんです。
 そこら辺について、林野庁長官として、その川上の七割の山をどう守っていくかという視点の中でどういうことが考えられるのか、どういうことを考えておられるか、その点についてひとつ聞かせてください。
加藤政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、森林・林業を取り巻く状況というのは大変厳しいわけでございまして、今の状況の中で、森林所有者の方々だけに依存をしてやっていくということは、なかなか容易ではないわけでございます。そういう点で、助成の強化を図っていかなきゃいけないというふうに考えておるわけでございますし、また、先ほどからお話しさせていただいていますように、森林整備水準を上げていかなきゃいけない。それでなければ三・九%は達成できないということでございますから、そういう点では、一般財源の確保も含めまして、財源を確保していくということが大変重要であろうというふうに思っております。
 今回策定をいたしました地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策の中でも、環境税の問題についても記述をさせていただいておりますけれども、我々として、環境税というものが実行されるということでありますならば、それはぜひ森林の整備に使途を考えていただくということも必要ではないかというふうに思っているわけでございまして、そういう点では、我々、環境省とも十分連絡をとりながら議論を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
重野分科員 それから、もう一つ大事なことは、やはり川下の方々に山とどう触れ合っていただくか。山に入って、山というものを実感してもらう、そして川上も川下も山に対する意識を共有する、そういう場を積極的に提供していくということもまた大事だと思いますね。そういう点についてはどういうふうに考えておりますか。
加藤政府参考人 森林所有者だけで森林の整備ができていかない、保全ができていかないということになりますと、先生もお話がございましたとおり、やはり国民全体で支援をしていただくということが必要になるわけでございまして、そういう点でも国民の方々に森林のことについて御理解をいただく。そのためには、森林の中に入ってきていただいて、実態等を踏まえて考えていただくということも必要だと思います。
 また一方では、実は、今の状況の中で、国民の方々が、森林と触れ合いたい、森林の持っている保健休養機能、あるいは自然環境保全機能、あるいは教育文化的な機能というようなものに着目をされまして、できるだけ森林と気軽に触れ合いたいということが機運としてあるわけでございまして、我々としてそういったものを積極的に進めていくということが必要ではないかというふうに思っております。
 そういう点で、例えば森林作業ということでいきますと、ボランティアの方々が相当ふえてきているわけでございまして、そういった方々に山に入っていただくということもございますし、また、県民の森等の整備というような形で森の中へ入ってきていただけるような、保健休養ができるような空間をつくっていくということも必要であろうというふうに思っているところでございます。
重野分科員 次に、ちょっと視点を変えまして、これも大変な、全国的にそうじゃないかと思うんですが、山にすむ生き物たちが、猿であれタヌキであれシカであれ、もうどんどん里に出てくるんですね。私の母なんか、田舎で菜園をつくってもだめなんですね。出たら、全部食べられちゃうんです。それで、電さくを張りめぐらすんだけれども、それも、だんだんけものたちが電さくになれちゃって、余りその効果がなくなる、笑うに笑えない状況があるんですね。
 私は、これもやはり戦後の植林政策の一つのマイナス部分だと思いますよ。けものたちが今まで結構山で暮らしてきたものが暮らせなくなったというのは、そういう森の、山の相が変わったんですね。彼らが食べるミミズであるとかそういうものがいなくなった。したがって、里に出てきて荒らすわけですね。山芋なんかなかなか、掘りに行ってみたら、もうやられておった、こんな笑い話がたくさんあるんですよね。
 そのときにどうするかといったら、これはやはり山の構造改革ですよ。今言うように、複層林といういい提案をやっているじゃないですか。ああいうのをどう早く進めるかということですよ。提案はいいんだけれども、これをどう早くそんなことにみんなが取り組むようになるかという誘導策、これに欠けていると僕は思うんですね。そうしないと、わなでとればいいというようなものじゃないですよ、やはり山にすむけものたちと人間との共生ですよ。そういう視点から見たら、やはり、山の形を変えていく、本当に、実のなるものがあったり、落ち葉が落ちて、土が太って、そこにミミズが、こういうふうないい循環を山に取り返さなきゃならぬ、こういうことを、けものたちが山をおりてくるという現象を通して感じるわけですよ。そこら辺についてはどのように考えられますか。
加藤政府参考人 鳥獣の問題につきましては、被害の問題もあるわけでございまして、そういう点でも我々も対策を打っていかなきゃいけないということを思っているわけでございます。一方では、生息数がふえているんじゃないかとか、あるいは、最近は狩猟者も減って、なかなかとっていただけないんではないかとかいろいろな議論があるところでありますけれども、森づくりといたしましては、今言われましたように、針広混交林をつくっていくとか、あるいは広葉樹林を適宜配置していくとか、やはりそういったことも考えていくことが重要だというふうに思っているところでございます。
 複層林施業でそういったものを進めたいというふうに考えているわけでございますけれども、複層林施業、できるだけ抜き切りをして、その下にということでございますので、やはり抜き切りをして育てていくということでいけば、長期的な時間が必要になるわけでございます。その辺が、そういう点ではなかなかすぐにということにはならないわけでございますが、いずれにしても、我々としてはそれを推進していきたい。
 推進していくに当たりまして、もう一つは、やはり今の森林所有者がそういった複層林施業にすぐ取りかかっていただけるのかということになるわけでございまして、そういう点では、今回の十五年度予算の中でも、治山事業によりまして複層林をつくるというような事業もつくったところでございまして、そういったこともしながら、複層林施業をできるだけ早く着手していただくような形でやっていきたいというふうに思っているところでございます。
重野分科員 この問題は、私はそう悠長に構えていてはいけないと思うんですね。まず、やはり国が国有林の中でそういうふうなことを実践する、そして、それはある意味では展示の効果もあると思うんですが、地方の林家たちがそういうものを実際目の当たりに見ながら、あるいは地域の人々がそのものを目の当たりに見ながら、それに刺激されて、よし、それならやるか、こういうふうに誘導していかないと、これはかけ声だけでは私はだめだと思うんです。その点はひとつ、そういう実行をまず国が国有林を包含する中でやっていただきたい、このことを特に強調しておきたいと思うんです。やはり、生き物たちとともに生きるという視点、そういう視点で物を発想していただきたいと思うんです。
 もう一つ、間伐問題です。
 先般、私は和歌山県のある村に山の視察に行きました。驚いたんですね。三十年生の杉がもう捨て切りですよ。最後の間伐だというんですね。三十年生ですよ。そのくらいに山に熱心な地域です。その林家が、何ぼ切ってもこんなの買ってくれる人いないんだと。大雨が降って、この木が流木化すると、そのときに下流に大変な被害を与えることになる、そんなことを考えたらやはり心配だ、こういう、非常に心優しい方ですよね、そういうふうに言っているんです。こんな木が金にならぬというのは僕はおかしいと思うんだね。僕は、これは金にしてあげなきゃならぬ、金になるためにどうすればいいのかという研究開発、これは全力を挙げてやってもらいたいと思うんですね。
 これだけの資源が、何十年も手をかけてつくった価値のあるものが、もう全然物にならぬなんという世の中はおかしいんだ、おかしい。これを活用するためには、今は科学が進んでいるんだから、僕は何か研究を進めていけばあると思うんだ。そういうところにもっと農水省も林野庁も銭をかけてやらないと、これはやはり和歌山県の林家、あの人も言っているけれども、本当にこんな人はめったにいないと僕は思いましたけれどもね。
 そのかわり、その一帯はすばらしい山ですよ、見渡す限り。立派です。それで、その下を流れている川は本当に満々と水が流れています。それで、夏になったら関西地方から魚釣りがいっぱい来るというんですね、川に。そのくらい、もう証左、明らかに、山を手入れして、山の力を蓄えた、そしてその川はどうなるというものの展示場みたいなものです。そういうところも僕は実際見まして、いや、申しわけないなという感じがしたんですけれども、そういう点はどうなんです。
加藤政府参考人 今、林野庁といたしましても、間伐を緊急に進めなきゃいけないということで、緊急間伐五カ年対策というのを実行させていただいているところでございまして、そのときに問題になりますのは、先生言われましたように、間伐材の利用をしていかなきゃいけない、また、それが逆に間伐を促進するということでございまして、我々としても何としても間伐材の利用の確保というものを図っていきたいというふうに思っているわけでございます。
 そういう点で、今、公共事業等にも間伐材をできるだけ使っていただくということをお願いしておりますし、また今回のグリーン購入法の中でも間伐材というものを明記していただいたところでございます。また、学校の机だとかいすだとか、そういった細かいところにつきましても、木材がいいというところにはできるだけそういった間伐材も含めて使っていただくことでお願いをしたいということで努力をいたしているところでございますし、新しい技術として、お話がございましたように、木材を使ってさらに新しいものがつくれないのかということも研究開発をしていかなきゃいけないわけですし、バイオマス利用というエネルギーの利用もございます。
 そういったことも含めて、間伐材の利用の促進を図っていきたいというふうに思っているところでございまして、ぜひ御支援を賜りたいというふうに思っております。
重野分科員 最後に、大臣、今私がやりとりしましたけれども、大臣の決意を聞かせてください。
大島国務大臣 二つあると思います。一つは国民の理解と、財源だと思います。
 国民の理解と共感、あるいは森林が大事だというのは非常に高まってまいりました。しかしながら、そこまではいいんですが、例えば分収育林の問題でも、なかなかこれがうまくいかない。参加、参加、こう言うんだけれども、なかなかうまくいかない。
 これは、所有者だけにこの森林の持つ多面的機能を任せて本当にいいのだろうかということを考えますと、私どもは環境税の議論を、私どもも勉強します、環境省も勉強することになるでしょう。これは国民の多くの皆さんが議論していただきながら、そういう視点から森林というこの存在を、木材を供給する場所だけではなくて、本当に我々の、人類全体の宝であるという認識のもとに立って、どのようにこれを維持していくかというところまで立って結論を出さなきゃならぬ時代になった、こう思っております。
重野分科員 ありがとうございました。以上で終わります。
萩山主査 これにて重野安正君の質疑は終了いたしました。
 次に、春名直章君。
春名分科員 日本共産党の春名直章でございます。農水大臣と生産局長に主にお話を聞いていきたいと思います。
 肉骨粉の処分をめぐる問題について伺いたいと思います。
 先日、肉骨粉を焼却している京都の園部町のカンポリサイクルプラザというところがありますが、野中一二三町長が初代社長を務めた花苗生産会社の丹波ナーセリーというところに数回に分けて四千九百万円もの不明朗な送金を行っていたということが新聞で報じられております。農水省はこのことを御存じかと思いますが、確認だけ。
須賀田政府参考人 二月七日とたしか八日だったと思います、東京と大阪の方の朝日新聞に報道された事実は、承知をしております。
春名分科員 この不明瞭な送金は、肉骨粉適正処分緊急対策事業に基づく補助金がその原資になっているのではないかとの疑惑が出ています。BSE問題をめぐっては、牛肉偽装事件など国の補助事業を悪用した事件が相次いで起こって、大きな社会問題となりました。国のチェックのずさんさということも指摘をされることになりました。今度の不明朗な送金についても同じような構図があるのではないかという指摘があります。
 そこで、詳しく聞いていきたいと思います。
 肉骨粉適正処分緊急対策事業というのは、肉骨粉の製造と焼却、それから運搬に至るまで、その処分、処理に係る費用を一〇〇%国が補助する仕組みだと認識しています。それ自身は、国の責任で起こしたBSE問題を生産者や消費者に負担させないという手だてとしてやっていることであって、必要なことだと思うんですね。ただ、それだけに、国民の税金を使う事業なわけですので、透明で公正で、しっかりとやらなきゃいけないというのは当然のことだと思います。
 さて、このカンポリサイクルプラザの平成十三年度の焼却量は幾らですか。
須賀田政府参考人 カンポリサイクルプラザの平成十三年度の焼却量、約五千六百トン、正確には五千六百二十四トンでございます。
春名分科員 その五千六百二十四トンは、徳島県の徳島化製というレンダリング業者からのものでしょうか。
須賀田政府参考人 平成十三年度はすべて徳島化製からの肉骨粉でございます。
春名分科員 肉骨粉の焼却量については、環境省も独自に数字をとっているんですね。「一般廃棄物焼却施設の肉骨粉焼却に関する調査結果」というのが出されておりまして、ホームページ上にもそれが掲載をされているんです。これを見ますと、平成十三年度の京都の焼却量は、ことしの二月五日までは二千十四トンとして掲載されていまして、ところが京都から修正申告が突然上がってまいりまして、二月六日には今度は五千四百四十九トンに書きかえられるという、非常によくわからない、不可解な数字の変更がありました。
 京都は肉骨粉を焼却している施設はこのカンポリサイクルプラザだけだと思いますので、しかも平成十三年度はそこに運び込んでいるのも徳島化製だけだと聞いておりますので、農水省のその数字と環境省の数字と比較しても、この直す前の二千十四トンは一応オミットして五千四百四十九トンというふうにしたとしても、百七十五トンの誤差があるわけなんですね。平成十三年度当時の焼却に係る補助金は一トン当たり五万円、焼却費用として補助を出すという仕掛けになっているわけです。一トン当たり五万円で百七十五トンの誤差が出ますので、はやここだけで八百七十五万円に上る補助金が一体どうなっているのかということになります。
 なぜこのような基本的な数字の食い違いが生まれてしまうのか。その辺、どうですか。
須賀田政府参考人 この点、環境省と私どもの焼却数量に差があるということで、徳島県の畜産課を通じまして、カンポリサイクルプラザに確認をいたしました。
 環境省の調査は、三カ月ごとに保健所から京都府、環境省と上がっていくものでございます。私どもは毎月月別に、契約に基づきまして、補助金の基礎になるものでございますので、報告、請求をしております。私どもの調査に関しましては、本社の経理部門がトラックスケールで正確に計量をした数値というふうに報告が来ております。一方、保健所、京都府、環境省と上がるものは、このカンポリサイクルプラザのそれぞれの工場で、クレーンの荷重計というんでしょうか、その計量値でございまして誤差があるということでございまして、初めのうち、トラックスケールとの突合をしていなかったという報告を得ております。
 なお、先ほど先生言われました、二千何トンを五千何トンに修正したということでございます。これに関しましても、最初の保健所からの要求、これは三月三十一日までの数値を求められておったのを三月分というふうに取り違えまして、三月分のみの焼却量を報告したというふうに徳島県の農林水産部の畜産課あて報告が来ておりました。差はそういうところに基づくものであり、環境省が修正されたのもそういうところに基づくものであろうというふうに思っております。
 ただ、国の同じような機関が、同じ対象に対しまして違う数値があるというのは問題でもございますので、今後、環境省とも連絡を密にいたしまして、事業の適正執行というものに努めていきたいというふうに考えているところでございます。
春名分科員 今、三月分が二千トンだったというふうにおっしゃったですよね。京都の焼却量、二月五日までは二千十四トン、二月五日のホームページ上の資料で二千十四トンになっているんですが、三月分というのはいつの三月分ですか。
須賀田政府参考人 昨年の三月分だろうと思います。
春名分科員 だから、昨年の三月分だと二千十四トンは関係ないんですね。去年の二月の五日までが二千十四トンとして掲載されていて、そして、変ですね、二月六日、次の日に五千四百四十九トンに書きかえられていて、その違いは三月分の分が違っていたと。一体どういうことなんだろうか、全く理解できないですね。ちょっと調べていただきたいんです。
 それで、環境省は、今おっしゃったように、昨年十一月下旬に京都府からの報告事項に疑義が生じたから京都府に確認を求めたところ、本年二月四日に京都府から平成十四年三月末現在の累計焼却量の正式な修正報告がありました、数字を誤ったのは、廃棄物処理業者が肉骨粉の焼却数量を集計するのに計算ミスをしたまま京都府に報告したためですというふうに私どもには説明しているんです。そうやって修正をして五千四百四十九トンを出してきたが、その数字がまた徳島の把握している数字、そして今あなたが言われた数字ともまた違うわけですね。
 どうも一トン五万円ぐらいだからいいやというふうに思っているのかわかりませんけれども、そんなことはないと思うんですけれども、全部国民の税金ですから、一トンたりともあいまいなことは許されないと思いますし、先ほど、環境省と農水省との数字が違うことはきちっと突合していきたいというふうにおっしゃいましたけれども、当然のことなんですが、そういう点を国民にもわかるようにしないと、全然、聞いても納得できないわけで、その点、もう一回きちっとお答えください。
須賀田政府参考人 まず、数量は、昨年の三月三十一日までの数量ということで、それを環境省さんが修正されたのがことしの二月ということでございます。
 私どもは、先ほど言いましたように、補助金の対象となる数量でございますので、農畜産業振興事業団が補助主体でございますし、社団法人の日本畜産副産物協会が事業の主体でございます。そこが、焼却数量でございますとか製造量だとか、ちゃんとチェックをして補助金を交付するようにしておりますので、きちっとした、トラックスケールに基づく正確な計量値というのを求めております。これは、カンポリサイクルプラザの方からの報告もそういうふうになっているわけでございます。環境省の把握するのはなお誤差があるということでございます。
 先ほど申し上げましたように、今後は、同じ国の機関が違う数値ということのないように、そこは国民の信頼を得る上でも大切なことでございますので、きちっとしていきたいというふうに考えております。
春名分科員 私、三月分というものを、ちょっと去年とことし、勘違いしていたので、それは訂正します。
 それで、今、正確な計量をしているというふうにおっしゃったんだけれども、先ほど言いましたように、不明朗な送金という問題も横たわっていますので、さらに詳しく聞いていきます。
 徳島化製とカンポリサイクルプラザに対しては、どのようにこの補助金は交付をしているのか。一括して、生産量にも交付するんですね、焼却にも交付する。別々に全部交付するんですね。生産量、焼却、両方とも徳島化製に一たん入って、そしてカンポリサイクルプラザの方に焼却分の数量だけ補助金としていくのか、それとも別々に最初からいくのか、どういう仕組みになっているか、きちっと言ってください。
須賀田政府参考人 この事業の仕組みは、まずレンダリング業者が事業計画というものを立てまして、こういうふうな事業でやりたいということをまず承認をもらいまして、それからそのレンダリング業者さんが焼却施設と焼却契約を結びまして、焼却施設からの焼却証明と自分の製造量と両方をもちまして補助金の申請を日本畜産副産物協会に行いまして、日本副産物協会がそれを農畜産業振興事業団に補助金申請をしまして、認められますと、事業団から日本畜産副産物協会を通じましてレンダリング業者に焼却費と製造費見合いの補助金が流れまして、レンダリング業者からそのうち焼却費が焼却施設に払われる、こういう基本的仕組みになっているわけでございます。
 ただ、肉骨粉適正処分緊急対策事業、この焼却費の支払いが遅延をいたしますと、肉骨粉の円滑な処理を阻害されるというおそれもございます。そういう焼却費の支払いが遅延しないように、化製業者を通じて焼却施設に焼却経費を交付するという場合のほかに、事情に応じまして、日本畜産副産物協会から直接焼却施設に焼却費が支払われるということがあるわけでございます。
 本件、先生言われました徳島化製の場合、徳島化製の肉骨粉の焼却経費のカンポリサイクルプラザの支払いについては、日本畜産副産物協会から直接カンポの方へ焼却費部分は支払われているという実態でございます。
春名分科員 事情に応じて直接、おのおの別々にということなんですが、この場合はどういう事情でそういうふうにしているのですか。
須賀田政府参考人 私が聞いておりますのは、非常にここは焼却量が多うございますので、それだけ資金も早く要るということでございまして、焼却費の支払いの遅延によって肉骨粉の処理が阻害されないようにということで、本件の場合は直接支払いが行われているというふうに聞いております。
春名分科員 ただ、いただいた資料によりますと、製造経費、焼却経費、それぞれ徳島化製に交付されているような資料なんですよね、副産物協会の資料。製造経費が幾ら、焼却経費が幾ら、こういう資料の出し方をされると、そうやって直接そこに渡っているんだったら、その焼却経費の方はどこにどれだけ渡っているのか、この資料ではわからないわけですね。製造したところに一括して、製造経費、焼却経費、両方入っているようになっているんですね、私がいただいた資料には。これは国民から見て全然わからないので、何でこんなことになっているんですか。
須賀田政府参考人 事業の基本的仕組みが、先ほど申し上げましたように、化製業者が焼却量と製造量を一括して補助金申請して、化製業者の方へ両方の経費が来て、焼却費が焼却施設の方へ流れていくという基本的仕組みでございますので、一覧表でお示しをする場合には、そういうふうにお示しをしたわけでございます。
 実態上のお金の払い方というのは、先ほど申し上げましたように、実情に応じて支払いが行われるという仕組みになっているわけでございます。
春名分科員 では要請ですが、実態がわかるような資料をこれからは必ず出すようにしてほしい。それを答えてください。
 徳島化製への補助金というのは物すごい金額なんですからね。焼却経費だけで、十三年度ですよ、全国大体トップだと思うんですが四億七千三百十万円。それから製造経費、四億七千六百二十七万円。合計九億五千万円、十三年度一年間で。全国の実績は八十八億円ですから、この一社だけで補助金の一割を占めているわけです。断トツに多いんですね。一番多くの補助金を受けている。その補助金の中の焼却について、どこにどれだけの交付がされているのかというのは、この数字ではわからない。十三年度のカンポリサイクルプラザに交付された焼却の補助金、徳島化製の申請によって、これは幾らかというのをお答えください。
須賀田政府参考人 十三年度の肉骨粉適正処分緊急対策事業の助成金全体が八十九億一千六百万でございまして、そのうち、カンポリサイクルプラザに支払われたものが二億九千五百万円でございます。
春名分科員 十三年度、二億九千万。それで、さっき言ったけれども、そういう詳しい、業者ごとの、補助金がどれだけ支出されているかを私が言ってもなかなか出してくれないの。きちっとそういうものは出してもらって、国民の目にさらして、公正透明にやるということが絶対必要なんですね。だって、肉骨粉適正化事業というのはこれからずっと続くんですよ。肉骨粉が出る限り、ずっと続くんですよ。牛肉の方は全箱検査をやりましたね。それで全部検査が終わったというふうになりましたけれども、肉骨粉の方は全部これから続くんですから、牛の解体をやれば必ず出るわけですから。それを一〇〇%補助する仕組みでしょう。
 ですから、要請ですが、まず第一に必ずやってほしいことがあるんですけれども、しっかりしたチェック体制を確立するということです。
 その点で、いただいた資料を見ますと、「レンダリング業者現地調査実施状況」というのをいただいたんですけれども、この調査は年に一回程度やっているだけなんですね。徳島化製に現地調査に行っているのは二〇〇二年十月二十五日一回だけでして、私が数字が違って疑問だなと思っていた十四年の三月末までには調査も行っていないわけですね。要するに業者任せで申請が来て、それを全部そのまま、年間九億円ですよね、補助を出すという仕掛けになっている。しかも、いただいた一回目の資料を見ると、その焼却している相手がどこどこで、その年度でどれだけの焼却をして、どれだけの補助金が出ているかが全然出ない。こんなことじゃ困るんですね。一つ、しっかりしたチェック体制を確立する、これをぜひやってほしい、そうしないと本当に疑惑が広がりますので。
 第二、徹底した情報公開をやってほしい。具体的にはレンダリング業者、焼却業者名を少なくとも一カ月ごとに製造数量や焼却数量、補助金交付額、その都度公開をしていただきたい。
 なぜこのことを言うかといいますと、これは答えてくださいね、大臣も含めてぜひそういうことで前向きに答弁してほしいんだけれども、徳島化製というレンダリング業者は、地元の徳島では本当にいろいろと話題になっている業者なんですね。一昨年の十二月、徳島市議会では、徳島化製が一般廃棄物処理施設の設置許可がないにもかかわらず、犬、猫の死体を化製処理していたことが問題となりまして、昨年二月の県議会では二十三年間違法状態を放置してきたということで県当局が謝罪をする、こういうことをやっているんですね。
 それから、国の同和高度化資金が四十数億円入っております。かつ六十億円もの無利子融資を受けて、その元利償還もまた県からのやみ補助金という形で保証してもらうという仕組みがあることが明らかになって、大きな県民の批判を浴びているような、そういうところです。
 カンポリサイクルプラザというのは、そういう業者から肉骨粉の焼却を請け負ってやってきて、そして不明朗な送金ということが新聞でも報道をされるような事態が出ているわけですね。
 ですから、改めて二点言いました。しっかりしたチェック体制、一年に一回お茶を濁して見に行くというような程度にしないで、実際にどれだけのものが製造されていて、どれだけが焼却されて、それがどの場所に行っているのか、そういうことをきちっと国民の監視にさらすというのをやってほしい。大臣の見解も含めてお願いします。
須賀田政府参考人 まず、チェック体制の問題でございます。
 まず、本事業の適正な事業実施ということで、事業そのものの仕組みといたしまして、先ほど来申し上げております農畜産業振興事業団と日本畜産副産物協会、これが申請書類、焼却証明書でございますとか製造日報でございますとか、そういうものの二重のチェックをまず事業の仕組みとして行いまして、補助金を確定して交付しておるわけでございます。
 それに加えまして、実は私どもの方にも、先生言われましたけれども、いろいろなうわさが入ってきます、化製業者に関しましては。そういうことで、昨年の十月以降、地方農政局、都道府県、農畜産業振興事業団が化製業者への現地調査を実施するということにいたしまして、順番に入らせていただいているわけでございます。そこでは、製造状況の実地確認、肉骨粉の製造量、焼却数量、保管数量の各種の帳票と申請数量との突合、この確認を実施しているところでございまして、念には念を入れた措置として行っているものでございます。
 それから、情報公開の件でございます。情報公開の件に関しましては、化製業者さんごとのいろいろな数量については、節目節目で公表をいたしたいというふうに思っております。ただ、焼却施設の方でございますが、これはいろいろな事情がございまして、地元との関係だとかそういうのがあるんだろうと思うんですけれども、これは、焼却場によりましては公表しないでほしいという申し出もございますので、そこのところは同意を得て、得られればという条件で公表が可能であろうというふうに思っている次第で、このことについては御理解を賜りたいというふうに思っております。
大島国務大臣 委員が質問をされた最後の点でございますが、もちろん国民の血税を使ってこういう対応をしておるわけでありますから、今局長がお話ししたことを基本として、私どもは、透明性の確保ということは当然必要である、そういう基本に立っての努力をしてまいりたい、こう思っております。
春名分科員 先ほど同意を得てにしたいというふうに言っていましたが、その同意を得るか得ないかは別にしても、焼却業者には補助金が入っているわけですから、国民の目にさらすことは当然必要だということは一言申し上げておきます。
 さて、残りの時間、短時間ですが、三年前の六月十九日にJAの西宇和という、愛媛県ですが、そこで行われたかんきつ用の光センサーの指名競争入札の際に不正が発生いたしました。県内業者の石井工業が落札率何と一〇〇%で入札しました。この入札に参加していたマキ製作所という静岡の業者は、石井工業よりも一億七千百万円も低い入札金額を示したにもかかわらず落札できず、そのことの偽装工作のためにマキの入札金額を後で書きかえさせるという事件にまで発展しました。光センサー選果機の購入は国の補助事業でありますので、あいまいにすることはできません。二十四日、県も、次々出てくる事実や証言で、この事実を基本的に認める報告を行ったというふうになっています。
 一言聞いておきますが、光センサーの選果機の入札のやり方ですが、当然指名競争入札でやっていますよね。一言で。
須賀田政府参考人 JA西宇和は、指名競争入札でやっております。
春名分科員 愛媛県は。
須賀田政府参考人 系統施行というルールでやっておりますので、私、昔のことは存じ上げておりませんが、最近は指名競争入札でやっているはずでございます。
春名分科員 そこで、生産局長に事実を申し上げますので、検討していただきたいことがあります。なぜこういう疑惑事件が起こるかということなんですが、事実上無競争入札になっているという疑いが濃いんですね。愛媛県では、九九年度五件、二〇〇〇年度四件、二〇〇一年度当初一件、合わせて十件の光センサーが導入されているんですが、うち七件に疑惑がかかっています。一つは、今回の疑惑の舞台となった川上選果場です。もう六件も、事実上無競争入札で県内業者の石井工業が入札していると見られております。
 競争入札の組み合わせというのは、石井工業とヤンマー農機、石井工業と白柳工業、石井工業とヤンマー農機と白柳工業という三種類です。このうち白柳工業は、光センサー選果機の納入実績はありません、私たち、調べてみましたら。愛媛県以外の入札には参加した実績もありません。主たる取引先が石井工業とヤンマーだそうです。そういう会社が疑惑六件中五件に顔を出している。つまり、石井工業の引き立て役の役割を担わされている疑いが濃いんです。
 さらに、ヤンマー農機は石井工業の株式の二〇%を保有していて、役員を派遣しています。白柳工業と石井工業の間では、白柳工業の設立に当たって、先代の社長と石井工業の社長がそれぞれ相手方会社資本の一〇%を出資し合って、それぞれ取締役に就任しております。つまり、この三社というのは、もともと競争する関係の会社じゃないんですね。身内なわけですよ。
 さらに、特定業者を排除して無競争入札に持ち込んだ事例も少なくないです。二〇〇一年三月七日には、JAの今治・しまなみ選果場の入札で、石井、白柳のほかにマキ製作所、今度やらされたものですね、マキ製作所も加える動きがあったんですが、ぎりぎりに設計図面と見積書を提出させることが決定されて、急遽作成して提出したんですが、図面が要件を満たしていないということで指名を外されてしまいました。結局石井と白柳の入札となって、石井が十五億七千八百十六万円で落札しました。マキの見積もりは実は十三億九千万円でして、一億八千八百万円も高い結果となってしまいました。
 事実上無競争入札でやられている。情況証拠がそろっているんです。入札金額をつり上げているわけなんで、税金のむだ遣いと言われてもやむを得ません。何のための競争入札かということにもなります。大切な国民の税金を使った事業ですから、この実態をきちっとつかんで明らかにしていただきたい、そして指導、改善をしていただきたい、このことを強く生産局長、大臣に申し上げたい。どうぞ。
須賀田政府参考人 ただいま先生おっしゃいましたように、一部そのような報道もされているわけでございます。
 私ども、このJA西宇和の今回の件だけではなくて、今おっしゃいました、なぜ特定の業界をそこで入札資格から排除したのかということも含めまして、愛媛県にきちんとした調査をするように今求めているところでございますので、その結果を待っていろいろ判断をしていきたいというふうに考えております。
大島国務大臣 すべからく公正に行われるべきものであるわけでありますから、私は、先ほども他の委員の御質問にもありましたように、農協というもの、そして、そういうもの等々にも、本当に、もう少しそういう点における、国民の血税を使って行う事業等に対して国民が見ているというみずからの意識を持たなきゃならぬ、こういうことも含めて、農協に対してもきちっとさせなきゃいかぬと思いますし、いずれにしても、今局長から言われた報告を見て、厳しく、二度とあってはならないように伝えておきたい、こう思います。
春名分科員 終わりますが、無競争入札の事例を今私は言いましたので、こういうことが起こってそのまま放置されますと、結局、国民の税金が不当に高い価格でおりていくということになるわけですから、きちっとそういうことはしないとやはり信頼を得られないと思いますので、ぜひよろしくお願いしたい。
 以上で終わります。
萩山主査 これにて春名直章君の質疑は終了いたしました。
 次に、川内博史君。
川内分科員 川内でございます。
 私の地元は鹿児島県なんですけれども、鹿児島県は農業県でありまして、多種多様な鹿児島県が抱えている御要望が出てきておりますので、その中から幾つかきょうはお伺いをさせていただきたいと思います。
 大臣は、WTOの交渉などで大変お疲れでいらっしゃいますし、そのほかにもいろいろお抱えになっていらっしゃって、大変気苦労の多い日々を過ごされていらっしゃることと存じますので、私は主に各局の局長にお尋ねいたしますので、ゆっくりされていていただきたいというふうに思います。
 まず、BSEに関連いたしましてお尋ねをさせていただきたいんですけれども、現在も感染牛がぽつぽつと発生というか出てきているわけでございます。食肉の安全性に対する消費者の不安というものを解消するためにも、当初からBSEの感染経路とか感染源については解明が絶対に必要であるということが言われてきたわけでありますが、いまだもってその特定が、何となくこうじゃないかとか、こういう経路だったんじゃないかということは言われているわけでございますけれども、こうだったという確たる説というものをいまだ私は聞いていないわけでございます。今のこの解明の状況について、どの程度まで進んでいるのかということについてまずお答えをいただきたいというふうに思います。
須賀田政府参考人 これまでのBSEの感染牛に係る調査から、感染源、感染経路といたしましては、今三点に絞り込んであるということでございます。一つは、イタリアから輸入された肉骨粉。これは、昔、その肉骨粉の処理が異常プリオンを不活性化する条件を満たしていなかったということで、イタリアの肉骨粉。それから二つ目に、配合飼料工場の中の一部に肉骨粉が混入した可能性のあるところがあるということ。三つ目に、すべてのこれまでの感染牛に共通しております代用乳、その中にBSEの汚染国でありますオランダの動物性油脂がまじっていたということ。この三つにほぼ絞られてきたところでございます。
 ただ、いずれも決定的なものがないわけでございまして、こういう難航している調査の隘路を切り開くということで、疫学調査、簡単に言いますと、いろいろな状況から仮説を立てまして、そこへ調査を絞り込むことができないかということで、感染源となり得た可能性について、疫学検討チームを設置して分析、評価をしていただいているところでございまして、中間的な取りまとめをこの夏までに行ってもらうということにしているわけでございます。そして、四月からは大体三十県におきまして死亡牛の検査を義務的に始めようということとしておりまして、そういうものを含めまして、感染源、感染ルートの解明というものに万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。
川内分科員 ぜひとも国民の皆さん方に安心を与えていただくためにも、今生産局長がおっしゃられたようなことを鋭意お進めいただきたいというふうに思います。
 次に、牛肉の流通、小売段階における、これは豚肉もそうでしたけれども、すりかえとか詐称というものが、このBSE発生以降、テレビ、新聞を大変にぎわしたわけでありますけれども、消費者に対する情報提供の充実を図るという観点から、既存の家畜個体識別システムを拡充し、流通、小売段階において、牛肉の生産、流通履歴を把握することのできる牛肉のトレーサビリティーシステムの構築が必要だということがこれまた声高に言われているわけでございますけれども、その進捗状況についてもお聞かせをいただきたいというふうに思います。
須賀田政府参考人 牛の生産段階におきまして、我が国で飼養されているすべての牛、これは約四百五十万頭ございます、そこへ耳標を装着いたしまして、これまでどこで飼われていたか、だれが飼っていたか等の情報を盛り込んだその耳標を装着する事業を行ってまいりました。現在、ほぼすべての牛への耳標装着を終えまして、その耳標の中に盛り込まれました個体情報のデータベース化ということもほぼ完了をいたしまして、昨年の十月一日から、個体識別情報のインターネットによる提供というものを開始したところでございます。
 さらに、屠畜以降の牛肉の小売段階まで適正に伝達させるシステムにつきまして、屠畜以降、卸、小売の流通段階の各段階からモデル店というものを選定いたしまして、小売のパックでございますとかパネルで個体識別番号の表示を行います実証展示事業を行っているところでございます。このことについては、たしかNHKでも一回取り上げられたという覚えがございます。
 さらに、本通常国会にトレーサビリティー法案、生産から流通、消費の各段階に牛の個体情報を正確に伝達し、消費者がインターネットでその個体識別情報を検索できる、こういうことを内容といたします法案を提出しているところでございます。
川内分科員 続いて、先ほど肉骨粉のことを春名議員が一生懸命追及していらっしゃったわけでありますけれども、大体、レンダリングの業者さんたちというのは、牛、豚、鶏、あわせて処理をされることが多いようでありますし、もちろんラインは、BSE発生以降、当然変えているわけですけれども、そういう中で、肉骨粉処理の促進を図るためにも、BSEの発生原因とはならないであろう分別処理をされた豚由来の肉骨粉等については、飼料原料として利用できるようにした方がいいのではないかという思いを私は持っておりますが、農水省としてはどのようにお考えになっているかをお聞かせいただきたいというふうに思います。
須賀田政府参考人 現在、豚に由来する肉骨粉につきましても、その生産の段階で牛の肉骨粉の混入の可能性が否定できないということで、原則、飼料利用というものを禁止しているところでございます。
 ただ、先生おっしゃるように、畜産副産物のリサイクルという観点からは、その利用方法について有効利用という観点から検討することは重要なことであろうというふうに考えております。技術専門家に相談をいたしまして、豚の肉骨粉を豚あるいは鶏への飼料として利用することについては技術的に問題がないということでございます。このために、今後、肉骨粉の製造段階における混入防止のための、ラインを分けるということでございますけれども、体制整備の進捗状況を見きわめた上で、さらに専門家の意見を聞きながら、有効利用に関しまして検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
川内分科員 検討をお進めいただけるということでございますので、先ほどの生産局長の御答弁を聞いておりますと、立入検査もされるわけですよね。ですから、ラインを分けることに関しては、混入の可能性についてはしっかりと検証をしながら、リサイクルのシステムというものをなるべく早期に確立をしていただきたいというふうに御要望を申し上げておきたいというふうに思います。
 さらに続けてですが、肉だけではなくて食品全般に関して、品質表示に対する消費者の信頼回復というものがどうしても必要になっているわけでございますけれども、消費者が原料原産地を確認できることにより安心して商品選択ができるようにするために、また安心、安全な農産物生産の取り組みを促進する観点から、すべての加工食品並びにお茶の原材料等の原産地表示を義務づける形で表示対象品目の拡大というものが求められるというふうに考えますが、この点についてはいかがでございますでしょうか。
西藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先生今御指摘の原料原産地表示につきましては、まさに加工食品の品質につきまして、消費者が商品選択をする際の必要な情報提供をするということで、私ども、そういう重要な場合があるという認識のもとに、個別品目ごとに今まで検討を進めてまいりました。
 平成十三年の十月に表示義務化された梅干し、ラッキョウ漬けが皮切りでございましたが、その後、農産物漬け物全体へ拡大し、さらにウナギのかば焼き、さらには野菜の冷凍食品等、現在八品目につきまして、私ども、品質表示基準を制定させていただいて、原料の原産地についての表示が義務づけられているという状況にございます。
 しかしながら、加工食品は非常に多様でございまして、一般的に申しますと、非常に多くの原材料で構成されているというような状況もございます。それらすべてに原産地を表示するということは事実上不可能だということと、それと、消費者にとっても、必要以上に物すごく細かくなって、かえって見にくくなって、商品選択という観点からも問題があるという御意見もございます。
 そういう状況の中で、原料原産地表示の対象品目の選定について、現在、国際的にもこういうルールがないというのも事実でございますし、必ずしも統一的なルールがないのが現状でございます。
 そういう中で、私ども、やはり対象品目とする基準が理解しにくいという意見もありますものですから、当省と厚生労働省の間でこういう表示に関する関係審議会の共同会議ということで、昨年来、できるだけ統一をしていくということで共同会議を開催させていただいておりますけれども、その食品の表示に関する共同会議の議論の場において、対象品目の選定ルール等についても御検討いただくということで、現在検討が始まっております。
 私ども、基本的には、表示の問題は、消費者にわかりやすく、かつ本件の場合ですと、関係者、製造加工業者、流通業者がきっちり実施できる表示ルールの確立ということが必要だろうというふうに考えております。そういう点で、引き続き食品の表示に関する共同会議における議論等を踏まえて適切に対応していきたいというふうに思っております。今までの経緯を踏まえ、対応していきたいというふうに思っております。
川内分科員 お茶については。
西藤政府参考人 お茶の原料原産地ということで、お茶自体、荒茶の生産地を原産地とするということで、たしか平成十三年の四月から、品質表示基準で、外国産の荒茶を日本で精製して製茶として販売する場合、その原料原産国を表示するということでお願いをしている状況にございます。
川内分科員 昨年、農薬取締法の改正が行われたわけでありますけれども、私自身、これが充実強化されることは大変結構なことだというふうに思うわけであります。農薬自体に対してどう思うかというところはあるにせよ、例えば、土壌改良剤でクロルピクリンという農薬があるんですけれども、これなどは非常に強い農薬で、サリンの原材料にもなったりするらしいんですが、こういうものがどうなのかなと思ったりもするんですが、農業をおやりになっていらっしゃる方々が適正な使用をされるのであれば、それは国がしっかりと試験をして、試験に合格をして使われるものであれば、それはそれでいいということになるんでしょうけれども。
 そこで問題なのは、他の作物で登録されている農薬を類似の登録作物以外に使用する場合、その農薬を使うことは法律に違反してしまうわけですが、農水省としては、そのような場合に、どのような形での許可というか承認を与えることをお考えになっていらっしゃるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
須賀田政府参考人 この問題、多くの地域、農家から、特にマイナーな作物について、この規制が強化されたことに伴いまして農薬が使えなくなった、何とかしてほしいという要望と、一方では、やはり食品の安全にかかわる問題でございますのできちんと対応するべきであるという要請と両方がございまして、私ども、二段階で考えております。
 その一つとしては、利用部位だとか形状から類似の作物をグループ化する、例えば麦類あるいは豆類といったようにグループ化をいたしまして、グループごとに農薬の登録ができる仕組み、これはデータがないとだめなんですけれども、これに使っていた農薬についてはそのグループ内であってはこちらの方へ使えるので、登録変更申請を受け付ける、こういう措置をまずはとりたい。
 それから、そういうことができないものについては、一定の経過措置を設けまして、そのグループの中の特定のものに使えるものであれば、その使用方法とか使用期間を使用基準として定めまして、ほかのものにも使える。
 ただ、この場合には、サンプル調査でいいんですけれども、ちゃんと残留農薬検査というものもしてもらうというような措置とあわせまして、二年間ぐらいの経過措置として講じていきたいというふうに考えております。その二年間の間にきちっとした登録拡大をしてほしいというふうに思っております。
川内分科員 ぜひ、食料生産をするときにいたし方なく農薬を使わなければならない現状もあるわけでしょうから、農水省さんがしっかりいろいろな場合についての農民の皆さんの御要望や、あるいは今度は消費者の皆さんの御要望等をしっかり踏まえて、頑張っていただきたいというふうに思っております。
 次に、畜産環境対策、要するに、家畜のうんちとかおしっこの処理対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 家畜排せつ物の適切な処理と利用の促進を図るために、特に資源リサイクル畜産環境整備事業については、低コスト、効率的な家畜排せつ物処理に必要な畜舎の改善、例えば豚舎を排せつ物混合式から分離式に改築する、このようなこともこの資源リサイクル畜産環境整備事業の事業対象にしていただきたいという御要望が数多く寄せられているわけでございますが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
 特に、家畜の排せつ物については、大体、畜産なんてやっているのは、年老いた担い手のいない父ちゃん、母ちゃんが二人でやっているというようなことが多くて、養豚農家の場合には、母豚が百頭、肥育豚が大体千頭という形で、一頭の豚が人間十人分のうんちとおしっこをするわけですから、一万人分のうんちとおしっこを毎日その父ちゃん、母ちゃんが処理をしなければならないという、非常にこれはもう大変な、私も何日かお手伝いをさせていただいたことがありますけれども、大変な作業を、ほとんど朝から晩までそのことばかりやっているみたいな、しかも、BSE以降、養豚をされている方々は若干は豚が人気が出てもうかったりはしたみたいですけれども、しかしそれにしても大変厳しい経営状況であるということには変わりないわけですから、ぜひこの辺についての目配りをしていただきたいというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。
須賀田政府参考人 まず後者の部分でございます。基本的にはやはり、家畜排せつ物を野積みするだとか素堀りするというのは環境に悪影響を与えますので、これは法律もございます、家畜排せつ物法というのがございます。これは、十六年の十月いっぱいまでに処理施設を整備せよ、こういうことでございますので、そこはやはり御理解をいただいて処理をしてほしいというふうに思っております。
 そして、資源リサイクル畜産環境整備事業でございます。
 先生言われるように、例えば、混合式から分離式に変えますと事後の処理がしやすい、これはよくわかるのでございますけれども、今は家畜排せつ物処理施設をともかく整備したいということでこの事業を運営しておりまして、既存畜舎のそういう改築等は、運用として本事業の対象としていないというところでございます。
 ただ、制度資金を用意しておりますので、御希望がございましたら、その制度資金の活用によってそういう改築等を行うということは可能でございます。
川内分科員 私も家畜排せつ物の適正な処理のための法律については、初当選して農水委員会で提起をさせていただいて、自分なりに法律案のたたき台などもつくり、農水省の御担当の方と何回も議論をさせていただきましたので、よく理解をしているつもりでございまして、もちろん素掘りや野積みは絶対に目こぼしをしてはならないことだというふうに私自身も思っております。
 ただ、やむにやまれぬ、たった御夫妻二人で畜産の経営をしながら、非常に厳しい経営環境の中で頑張っていらっしゃる畜産農家の方々の御要望というものは、それはいい豚を生産していただいて、良質な豚肉を消費者の皆さんに提供する、そしてまた、それはひいてはその地域の環境面に非常にいい影響を与えるわけですから、元来豚は清潔好きですし、ぜひとも、産業廃棄物ではあるかもしれないけれども、しかし、そこを何とか工夫をして、頭のいい生産局長ですから理屈は何とでもつくでしょうから、含めていただけるようにお願いを重ねてしておきたいというふうに思います。
 では、次に移らせていただきますが、今、国立大学が独立行政法人になるということで、余りこの質問はしても意味がないのかもしれないのですけれども、しかし、それにしても地元からの御要望でありますので聞かせていただきたいというふうに思うのですが、鹿児島大学の農学部獣医学科というのがあるのですが、鹿児島県は我が国有数の畜産県である。我が国有数というより、日本で一番の畜産県であるわけでありますが、牛も豚も鶏も一番ですから。牛は肉牛ですけれども。地域はもとより全国の獣医療というものに貢献していくためにも、この獣医学科の講座を拡充して学部として昇格させる、これに大学院獣医学研究所なども設置をしてほしいという強い要望があるのですけれども、これについてはいかがでございましょうか。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 BSEや家畜伝染病など、安全な食肉の確保に対する社会的要請にこたえる上で、獣医学教育の充実は重要な課題となっておりまして、現在、各国立大学において、その充実に向けてさまざまな検討が進められております。
 御質問のように、鹿児島大学においてもいろいろ検討がされていると伺っておりますけれども、まだ現時点におきましては、学内で具体的な構想を検討中の段階であるというふうに承知をいたしております。
 文部科学省といたしましては、獣医学教育の充実のために、これらの大学における検討を十分踏まえつつ、よく相談をしながら対応してまいりたいと考えております。
川内分科員 前向きにお取り上げいただいている、よく相談しながら進めるという御答弁であったかと思います。ありがとうございます。
 では、最後の問題です。済みません、大臣、もう終わりますから。
 もう一つ、今、松くい虫の被害というのが、私の地元の桜島では特に大変な被害が出ておりまして、これをどうにかしなければならぬということをいつも桜島の町長や議会の方たちとお話をしておるのでございますけれども、その対策について、林野庁の方に来ていただいていますので、お答えをいただきたいと思います。
加藤政府参考人 鹿児島県の松くい虫の被害量につきましては、近年、実は一万立方ぐらいで推移をしていたんですけれども、桜島を中心としまして被害が拡大をいたしまして、十三年度で申し上げますと、二万八千立方というようなところまで急激にふえているわけでございます。
 そういう点で、この被害については対策を打っていかなければいけないというふうに強く思っているところでございまして、現在、地元の鹿児島県などと連携をいたしまして、公益的機能の高い保全すべき松林というのを指定しているわけでございますが、その森林を中心といたしまして、薬剤の散布などによる予防措置を実施するとともに、伐倒駆除等による被害木の適切な処理の推進、さらには地域の方々の協力も得て、ボランティアで松林の健全化を図っていただくというようなことも進めるというような、総合的な対策を打っていくということが必要ではないかというふうに思っているわけでございまして、できるだけ早期終結に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
川内分科員 どうもありがとうございました。
萩山主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十八日金曜日午前九時より開会し、引き続き農林水産省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.