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第1号 平成18年2月28日(火曜日)

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本分科会は平成十八年二月二十三日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      井上 喜一君    玉沢徳一郎君

      二田 孝治君    山本 公一君

      笹木 竜三君    阿部 知子君

二月二十八日

 玉沢徳一郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十八年二月二十八日(火曜日)

    午後二時四十分開議

 出席分科員

   主査 玉沢徳一郎君

      井上 喜一君    木挽  司君

      坂井  学君  とかしきなおみ君

      二田 孝治君    馬渡 龍治君

      山本 公一君    田村 謙治君

      阿部 知子君

    …………………………………

   環境大臣         小池百合子君

   環境副大臣        江田 康幸君

   環境大臣政務官      竹下  亘君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   日野 康臣君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      下村 和生君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局企画部長)         宮本 敏久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省河川局砂防部長)           亀江 幸二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            田村 義雄君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            竹本 和彦君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  南川 秀樹君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     坂井  学君

  二田 孝治君     馬渡 龍治君

  笹木 竜三君     田村 謙治君

  阿部 知子君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     木挽  司君

  馬渡 龍治君     とかしきなおみ君

  田村 謙治君     笹木 竜三君

  保坂 展人君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     井上 喜一君

  とかしきなおみ君   二田 孝治君

  日森 文尋君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算

 (環境省所管)


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     ――――◇―――――

玉沢主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算及び平成十八年度政府関係機関予算中環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。小池環境大臣。

小池国務大臣 ありがとうございます。

 平成十八年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。

 私たちは、今、地球から絶え間ない警告を受けています。世界各地で熱波、洪水、干ばつ等の異常気象が発生し、我が国でも強大な台風による被害が発生しました。この冬の豪雪被害をもたらしている寒波も、東南アジアの上昇気流の活発化と、北極周辺の気圧変動などの要素が複雑に関係していると言われています。

 これらの自然災害と地球温暖化との関係を個別に実証することはできませんが、今後、地球温暖化が進行すれば、このような異常気象が頻発することが予想されています。

 就任以来、私は、環境問題の原因となっている事業活動やライフスタイルのあり方を根本から見直し、環境をよくすることが経済を発展させ、経済の活性化が環境を改善する社会づくりを進めてまいりました。チーム・マイナス六%などの国民運動は、幅広い参加、御協力をいただき、大きな成果を上げています。

 二十一世紀は環境の世紀であり、今こそ地球からの警告と国民の共感の高まりを受けとめ、経済社会の変革をさらに加速することが必要と考えます。

 環境省では、地球社会への発信力を高めること、地域社会において国民の知恵と行動力を結集することの二つの視点を持ち、脱温暖化社会の構築と循環型社会の構築を二本柱として施策を推進します。また、環境を軸とした豊かな経済社会を創出し、生物多様性の保全と自然との共生を図るための施策を進めます。さらに、さきに成立させていただいた石綿健康被害救済法などの着実な実施を初め、安全、安心な生活を保全するための施策を講じます。このほか、昨年十月に発足した地方環境事務所を最大限活用して、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開します。

 今、政府、事業者、国民のそれぞれが我が国の未来に思いを至らせ、大胆な発想で環境と経済が好循環する国づくりに向けて取り組むことが必要であり、私としても、こうした環境立国が実現されるよう、全力を挙げてまいります。

 平成十八年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立って取りまとめております。

 まず、一般会計予算では総額二千百七十四億二千九百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に、一般会計から二百五億円の繰り入れを行い、総額二百三十八億五百万円を計上しております。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策につきましては、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

玉沢主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま小池環境大臣から申し出がありました環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玉沢主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玉沢主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

玉沢主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬渡龍治君。

馬渡分科員 自由民主党の馬渡龍治でございます。

 小池大臣に質問させていただくのは、委員会で既に行わせていただきましたが、私は、常日ごろから、小池大臣が環境大臣になられてから、何というか、待ちの行政じゃなくて、能動的に、攻めの環境行政をやっていただいているなと、そのように心から敬服を申し上げる次第でございます。特に、昨年のブラックバスの指定や、そしてクールビズやウオームビズ、そして地球温暖化防止のために御努力をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、もう一つ、文部科学委員会に所属をしておりまして、どうしても環境教育というものに力を入れていきたい、それをライフワークとしていきたい、そう思っておりますので、それを支えていく一つとして、やはり動物愛護管理のことが子供たちにとって大切なことではないか、そう思いまして、先にこちらの方を質問させていただきたく存じますので、よろしくお願いいたします。

 昨年六月に、この動物の愛護及び管理に関する法律が改正をされました。このときの趣旨が「近年、ペットは、心豊かな生活に欠かせないものになってきました。しかし、残念なことに、一部では、虐待事件や悪質な販売事例が見受けられます。また、マナーの悪い飼い主による鳴き声・臭いなどの迷惑問題も発生しています。このような現状を踏まえて、動物愛護及び迷惑防止等の、より一層の推進を図るために、」「動物愛護管理法が改正されました。」と、こういうパンフレットがあります。

 そこで、ことし六月から施行されますこの動物の愛護及び管理に関する法律について質問をさせていただきます。

 今後、この法律が施行されて、動物愛護管理施策がどのように変わっていくのでしょうか。来年度から始まるわけですから、また新しいことを始めるわけですから、これを適正な運用をしていくだけのしっかりとした予算がついたんでしょうか。そして、この法律の中で、小池大臣は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するために基本的な指針を定めるとありますが、どのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、そこのところを教えていただけないでしょうか。大臣に、よろしくお願いします。

小池国務大臣 御指摘のように、昨年の動物愛護管理法の改正により盛り込まれました基本指針でございますけれども、これは動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進しようということで、環境大臣が定めることとされております。

 この基本指針でございますが、現在、中央環境審議会の動物愛護部会の御意見をお聞きしながら、ことしの秋をめどに策定しようということで、検討作業を進めておるところでございます。人と動物との共生を目指す我が国の動物愛護管理行政の基本的な方向性を示すものにしたい、このように考えているところでございます。

 また、着実な運用を図るために、その予算はどうなのかという御質問でございますが、今申し上げましたような基本指針、そして各種の基準の策定をいたしまして、また動物愛護管理に関しての総合的な普及啓発も必要でございます。そういったことを含めまして、必要な予算といたしまして、今御審議いただいております平成十八年度予算案で一億一千二百万円を計上しているところでございます。

 御指摘のように、この動物愛護管理法が適正に、また効率よくこれによって運用されるという、このために努力してまいりたいと考えております。

馬渡分科員 大臣が基本的な指針を定められた後、各都道府県は、これに準じてこの施策を推進するための計画を定めるということになっております。ですから、大臣が定めたその指針が大もととなって、それぞれの都道府県がその地域に合ったものをおつくりになられるんでしょうが、少なくともこの法律の理念がきちんと形になるように、具現化されるように、それぞれの自治体が環境大臣の基本的な指針を本当に理解して、すばらしい計画をつくっていただきたいと思っています。

 そもそも、今日まで変わってきたこの法律の中で、そのきっかけとなったのが、あの神戸での殺傷事件があって、その前に、動物たちが虐待を受けて、首が取られてなんという前兆があったと。どこかの学説で、弱いものをいじめていって、だんだんエスカレートしていって、子供や大人を殺傷する事件が起こる確率が結構高いという話も聞いたことがありますから、結局、大臣がお定めになったこの基本的な指針が、単に動物だけではなくて、子供たちを守ることにもつながることになろうかと思いますから、そこのところは、そういったことも酌んでいただきまして、ぜひいいものをおつくりいただきますようお願いいたします。

 ところが、残念なことに、自治体によって、この動物愛護の理念をしっかりと理解しているのかどうか、本当に疑いたくなるようなところがあるんです。国及び地方公共団体は、動物が命あるものという生命尊重の精神で、動物の愛護と適正な飼養に関して、国民に普及啓発を図るように努めなければならないとあるはずです。しかし、動物が命あるものであることをわかっていないとしか思えない表現が結構あるんです。

 例えば、不要犬の処分とか不要となった犬の定点回収、ここに不要となった犬を持ってくれば行政が引き取りますよという、そういった宣伝が各自治体のホームページの中にあるんです。まるであたかも犬や猫をごみのように取り扱って、そういう適切ではない言葉で表現をしているところがあります。

 ですから、今回改正されて六月から施行される新しい法律、これをぜひ環境省が各自治体にきちんと理解をしてもらうように御指導いただいて、しかも、それぞれの地域の住民に今回の法の趣旨をしっかりと理解していただく、そういった普及啓発を進めていただくようにしていただけないでしょうか。今後この普及啓発をどのように効果的に進めていくべきか、ぜひ教えていただきたいと思います。

竹下大臣政務官 これが環境省がつくりましたパンフレット、これは二十三万部作成をいたしました。「愛情はたっぷりと 責任はしっかりと」、まさに馬渡さんがお話しになりました命あるものという思いをたっぷり込めたというふうに思っております。

 人と動物が共生する社会を築いていくためには、幅広く動物愛護という考え方が浸透していく必要がある。そして、そのことが重要であると同時に、まさに今回の法律に基づきまして、国あるいは自治体が積極的に普及啓発を行っていくことが必要であるというふうに認識をいたしております。

 こうした認識のもとに、こうしたパンフレット、これは二十三万部でございますが、こういうものもつくりましたし、五回以上、各種の説明会、自治体の担当者を集めた説明会ですとか、関係業界あるいは愛護団体を集めた説明会ですとか、積極的に開いて、そしてパンフレットの作成、配布を行うという形で普及啓発を図っていこうとしているところでございます。

 今後とも、関係自治体と連携しながら、動物愛護週間行事等の機会も活用をいたしまして、動物が命あるものであるということの普及啓発に努めていきたい、このように考えております。

馬渡分科員 ぜひお願いいたします。

 昨年の九月のデータでちょっと古いんですけれども、例えば、今、自治体が住民に対して発信をするのに、インターネットを通じてホームページからやるんですけれども、北海道の場合ですと、昨年九月です、九十四市町村がまだ動物のことを一切記載していないんですね。青森県だと二十六市町村、福島県だと三十五市町村、長野県に至っては五十市町村が、ホームページにおいて動物の記載がないということでありますから、ここのところをぜひ、今おっしゃっていただいたことをもっと進めていただくように御努力をお願いいたします。

 さて、次に、犬及び猫の引き取りというのがあるんです。私もこれは実際にいろいろ調べたらびっくりしたんですけれども、かなり多くの犬や猫がこの制度によって安易に殺処分をされている事実があります。

 例えば、これは法の改正のときの決議で、「犬及びねこの引取りについては、飼い主の終生飼養の責務に反し、やむを得ない事態としての所有権の放棄に伴う緊急避難措置として位置付けられるものであり、今後の飼い主責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って、引取りのあり方等につき、更なる検討を行うこと。」こういったことがあったはずなんです。ところが、犬や猫を自分の意思で飼う、そしてふやしていく。それなのに、この個人の責任の放棄を、行政が人もお金も出して、飼い主にかわって殺処分しているという事実があります。

 そして、実は、これは無料のところが結構ありまして、ここ最近は手数料を取るところがふえてきたんですけれども、無料のところがあるんです。だから、飼っていて、自分でもう飼いたくない、それを、先ほど申し上げたように、不要犬として、定点に、ごみみたいに出して、それを引き取りに来てくれる、こんな現状が今あるんです。

 例えば、自分の家で飼っていた犬が迷子になってしまった。どこか保健所とか、例えば、今何というんでしょう、動物愛護相談センターとかいうんですか、そこに拘留というか預けられるというか。そこに引き取りに、飼い主が見つかってとりに行ったときには、このときには手数料があるんです。ですから、飼い主が自分の犬を、猫を大切にして引き取りに行くときにはお金を払う。ところが、もう要らないといって殺処分をするときに全くお金を取らないという、私から見たらちょっとおかしいんじゃないかなという現象が今この時点であるということを、御承知かと思いますが。

 ですから、飼育を放棄する人の方が何かちょっと優遇されてしまって、この六月から始まる、せっかくいい法律ができたのに、この精神に反しているんじゃないかなという思いがあるんですが、この引き取りの制度について、今後どのようになっていくのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。

南川政府参考人 委員御指摘のとおり、動物愛護管理法に基づきまして、現在、犬と猫につきましては、飼い主が飼養ができないという場合には引き取りをするということになっております。当然ながら、緊急避難的な措置でございますけれども、それがなかなか後を絶たないということで、私ども大変困っているところでございます。

 私ども、これを何とか打破したいというふうに考えまして、ことしの一月に犬、猫の引き取りなどについての措置を一つ決めております。

 この中で、まず第一点としまして、飼養の放棄を行う者に対してきちんとした助言をしたいということでございます。例えば、飼養を維持するように、また継続するようにと、あるいは去勢、不妊手術を行って不必要な出産をなくすようにということもございますし、特に、商売にしている方については、もう商売上要らなくなったから出すという方もおられます。そういったことのないような指導を的確に行うということが一点でございます。

 また二点目は、引き取られました犬、猫について、新たな飼い主の譲渡先を探す措置を推進したいと思っております。

 この後者につきましては、地域だけでは限界がございます。より広い情報があった方がいいわけでございますので、全国の情報に環境省のホームページからアクセスできるようにしたいと思っておりまして、現在の予定では、四月の上旬にも、環境省のホームページから、全国の犬、猫の保健所における引き取り待ち状況というんですか、それがわかるように準備をしているところでございます。

馬渡分科員 ぜひ、里親を多く探していただいて、殺処分がされないように努力をいただきたいと思います。

 次に、今度の法改正では、六月からは、虐待をした場合には、以前は三十万円でしたが、今度は五十万円以下の罰金ということで、強化をされたと聞いております。ところが、この虐待というのは、一体どんなことをしたら虐待になるんでしょうか。

 私が思うに、定義があいまいですから、実際に虐待といって、その場に遭遇した人が警察に通報したけれども、警察の方が、現行犯でなければ取り締まることはできないといって相手にされなかったと。例えば、もう環境省の皆さんは御存じだと思うんですけれども、昨年八月に練馬区のペットショップでとんでもないことが、その現状がありまして、例えば店先に鳥の死骸が放置されていたり、例えば水槽の中にインコが何羽も密集して飼われていたり、それから、子犬がきちんとした飼養を受けていなかったために、毛が抜けていて、衰弱していて死にそうな、そういった、これ、ペットショップなんですよ。そこに行ったお客さんが、その現状が余りにもひどいので、弱った犬、猫、それからほかの動物を、カメも買い受けて、それぞれのところで、何というか、救出したという事例があるんです。これも実は、警察とそれから動物愛護相談センターに通報したんですが、これを虐待として取り扱うことができないということで、結局そのままになったらしいんです。

 法改正、変わって厳罰に処することになりましたが、これは、昨年の時点でも、虐待をすれば三十万円という罰金の制度があったはずですよね。だから、今後特に、六月から施行されるに当たって、ここのところをやはりしっかりと、法律ができたんですから、それを適正に運用していくという体制を強化するためにも、頑張っていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたように、虐待の定義というのはあるんですか。そして、虐待を減少させるためにもっと厳しく取り締まった方がいいと思うんですが、そこのところは環境省としていかがなお考えをお持ちか、お聞かせください。

南川政府参考人 お答えいたします。

 動物愛護管理法でございますが、この中で、愛護動物をみだりに殺すあるいは傷つけるということはしてはいけない、また、愛護動物に対してみだりに給餌、給水をやめることにより衰弱させる等の虐待行為はしてはいけないということでございますが、後の等をどこまで読むかということはなかなか議論のあるところでございます。

 一般論としましては、不必要に強度の苦痛を与えるということが残虐な取り扱いということだと思いますけれども、あとは、個別の行為をよく見て、その事柄に即して考えていかざるを得ないということでございます。

 御指摘のとおり、今回五十万円の罰金に引き上げられましたけれども、やはり、実効が伴わないことには、罰金だけ上げても意味がないというふうに思っております。私どもとしては、動物愛護週間等の行事、あるいは動物愛護団体、獣医師会等の関係者への働きかけとかを含めて、動物虐待の防止に向けた啓発活動を行ってまいりますし、また今後、さまざまな情報から、動物虐待について情報を整理した上で対応を検討していきたいと考えております。

馬渡分科員 ぜひそのことを検討していただいて、一つの抑止力になるようにお願いいたします。

 さて、もう時間がないので、あと一、二問で終わらせていただきますが、国の偉大さ、道徳的発展は、その国の動物の扱い方でわかる、これはマハトマ・ガンジーが発した有名な言葉であります。昨年、イタリアのローマでは、飼い犬を定期的に散歩させないと罰金という動物保護条例が施行されました。すごいことだと思います。そのほかに、ペットを夏、車の中に置き去りにしてはいけないとか、例えば生後二カ月未満の子犬や子猫を母親から引き離してはいけない、こういったことの規定があって、違反をすると七千円から七万円の罰金があるそうなんです。これだけでもすばらしいのに、もっとすごいのは、この法律の実効性を高めるために、動物保護局の職員を増員してこれを配置して、常に監視状態をしっかりやっているそうなんですね。私は、ここのところを見習うべきじゃないかと思うんですが、まず一つ、これに対しての所見をお聞かせください。

 それから、神奈川県の平塚市では、十九年度からスタートする総合計画の策定に当たって、各部会で提言書をまとめるんですが、その中で、アニマルポリスの設立というのが出てきたんです。「相談窓口・アニマルポリスと市民の連携活動で虐待・遺棄などの犯罪を未然に防ぎ適正な飼養を指導する。」とあるんです。ひょっとしたら、日本初のアニマルポリスはこの平塚市で誕生するかもしれないんですが、今、動物愛護推進員という位置づけがあると思うんですけれども、これをうまく、もっと権限を強化して、別に警棒を持って制服を着たお巡りさん的なあれじゃなくて、虐待を監視して、何かあったら指導するような、そういう体制を検討できないかどうか、このこともあわせて所見をお聞かせください。

南川政府参考人 まず、前者の外国の例も含めて、日本も勉強すべきではないかということでございます。

 今、イタリアの例をお話しいただきましたが、ドイツなどにおいても、飼い犬中心に非常に厳しい規制がございます。虐待どころか広さの問題も含めて、動物が苦痛を味わわないようにということで、立派な規則がたくさんつくられております。日本で、今そこまですぐつくるということはなかなか難しゅうございますけれども、私ども、そういった例を全部整理しまして、それを広く流すことによって、少しでも動物を愛護する動きが広まるようにしていきたいと思います。

 それから、アニマルポリスの問題でございます。

 これはもともとはイギリスのロイヤルソサエティーというところから出てきた制度でございますけれども、我が国におきましても、それとはやや色彩は異なりますけれども、法律に基づきまして動物愛護推進員というものを設けております。そして、彼らが活動しやすいようなガイドライン、マニュアル等を用意しておるところでございます。全国で十五年度末で千三百六十八名の方を、知事さんを通じてその推進員に任命をしておるところでございます。彼らの、随分すぐれた活動をしていただいていますので、そのすぐれた例を、モデル例等まとめまして、それを全国に広めていきたいと思います。

馬渡分科員 ぜひお願いいたします。

 大臣、おととい、地球の人口が六十五億人になったそうなんです。これは質問じゃないですから、もう時間もないから。要するに、人類が地球の支配者というおごりを持ってこのまま続けていけば絶滅をするということはだれでもわかっている。でも、経済的な欲が先に立ってしまって、本当はみんなで絶滅をしてしまうかもしれないのに、そこのところが見えないのが現状ではなかろうかと思います。もし真剣に命を大切にしてこの状況を把握しておれば、ひょっとしたら石綿の事故だって起こらなかったかもしれないし、過去五十年前のあの公害だって起こらなかったかもしれない。

 ですから、今後、環境省として、大臣としては、私たち日本だけではなくて地球を、人類を救う大きなお役を持っていらっしゃるということをぜひさらに御認識いただいて、とにかく頼もしい大臣ですから、私も一生懸命応援をさせていただきますので、御活躍をいただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

玉沢主査 これにて馬渡龍治君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂井学君。

坂井分科員 自民党の坂井学でございます。

 私は前国会の環境委員会におきまして、環境と経済についての質問をさせていただきました。その折にも、大臣から大変力強いお答えをいただいたということを覚えておりますけれども、今回は、環境と経済、経済に関する開発やその他の関係で、今失われつつあります都市部における緑の空間、これに関しましての幾つかの質問をさせていただきたいと思っております。

 都市部は機能性を追求すべきだというような考え方が、いっとき前でございますけれども、昔あったかと思いますが、今は郊外のこういった自然同様、都市部における緑の空間というものも大変重要な役割を果たしていると私は考えております。

 まず、小池大臣にお伺いしたいと思いますが、いろいろな重要な役割の中で、特に生物多様性の保全の観点から、この都市部における緑の空間をどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

小池国務大臣 都市部におけます緑地というのは、開発が進むとともにどんどんどんどん狭くなってきてしまっている。そして、これまで例えば大きなお屋敷があったところが、そこには庭木などもあったというところが、相続によってまた細かく分かれて、結局アパート群になっている。結果として、例えば都市部、東京などその最たるものでありますけれども、緑が失われてきているという現状かと思います。

 そしてまた、都市部におけます緑地というのは、御質問のように、多様な生物が生息し、また生育する環境を提供しているということで、かけがえのないものだと思っております。生物多様性の保全上極めて重要な空間だ、このように認識をしております。

 また、緑があるというのはそれだけでいやしになるわけでございますし、ほっと一息つく、そういった観点からも、景観を守るというのは重要なことでございますし、また、子供たちが、かつては都市部にあっても緑の地で遊んだり虫を追いかけたりするというようなことで、自然との触れ合いの場の提供ということでも意味がある。さらに、快適環境をつくり出していることであるとか、それから地球温暖化の観点から、ヒートアイランド現象を緩和してくれる。そしてもう一つ加えるならば、防災機能がそれによって守られるというようなことで、さまざまな役割を果たしているものと考えております。

 二十一世紀のキーワードはサステーナブル、持続可能なという言葉でございますけれども、都市部においても緑地を確保するということは持続可能なまちづくりという観点からも極めて重要だ、このように認識しております。

    〔主査退席、山本(公)主査代理着席〕

坂井分科員 どうもありがとうございました。

 私は当初、同じ内容の質問を国土交通省にお伺いしようと思っておりましたが、大臣が極めて満遍なくお答えをいただきまして、かなりダブってしまうと思いますので、大変申しわけありませんけれども、ちょっと次に移らせていただきたいと思います。

 今大臣がお答えいただきましたように、大変幅広い役割を果たしているのが都市部の空間また緑ではないかと私は思っております。しかし、今大臣からお話がありましたように、今、大変これが失われる危機にある、そのように考えておりまして、一生懸命努力して保全をしていかなければならないということを私も考えております。

 そして、特に公共事業に関しまして、これを守る一つの法律、また方策というのが、平成九年に制定をされましたアセス法、環境影響評価法ではないかと私は考えております。これは、一定の規模以上の開発に、回避もしくは低減、少なくすることですね、それから代償、かわりにということですね、そのような環境保全措置が義務づけられているというものでありまして、これによって緑の総体、総量を減らさないようにしよう、こういった動きでありました。

 平成九年に制定をされて以後でございますが、今まで対象になった公共事業が何件あるのか。そしてまた、それは、全体の公共事業におきまして、数において大体どのくらいの割合を占めているのか。そしてまた、今お話をさせていただきました回避、低減、代償というこの保全措置でありますけれども、それぞれこれには優先順位があるのかどうか。要は、事業者が、どちらから、どのように考えてこれらの措置をとっていくのか、これをあわせてお聞きしたいと思います。環境省の方、お願いします。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、件数でございますが、平成十一年の環境影響評価法施行後、同法の対象といたしまして実際にアセスメントが行われている案件は、昨年十二月末の時点でございますが、百五十九件ございます。

 一方で、全体の公共事業においてこれがどのくらいの割合を占めているのかという御質問でございますが、実は定量的には把握しておりませんけれども、このアセス法の趣旨にかんがみれば、やはり事業規模が大きな公共事業につきましては大半がその法の対象になっているというふうに認識をしております。具体的に申せば、例えばでございますが、飛行場や空港の場合の例を申し上げますと、日本の全体のうち、環境アセスを要する環境アセスメントの第一種事業、具体的には滑走路が二千五百メーター以上でございますが、この割合が四一%でございまして、さらに第二種事業、これは必要に応じて環境アセスをやる必要がある、大半は環境アセスをやっておりますが、この割合も含みますと約六七%がアセスの対象、約七割弱がアセスの対象に入っていると、一つの目安として御理解いただければと思います。

 それからもう一つ、回避、低減、代償の御質問でございます。

 回避、低減、代償措置を含みます環境保全措置の検討に当たりまして留意すべき事項につきましては、法対象十三業種、それらのすべてにわたりまして共通的に、環境省が現在、基本的事項というガイドラインをつくって定めているところでございまして、この優先度合いという御質問でございます。

 この基本的事項におきましては、環境保全措置の検討に当たっては、まず回避または低減を優先する、そしてその上で、必要に応じて代償措置の検討を行うという順番でございます。

 環境保全措置につきましては、何といっても環境保全効果が確実であること、かつその程度、そういったことを観点にいたしまして、代償措置を考えるよりもまず低減を考えてもらいたい、低減よりも、基本的にはやはり回避を考えてもらいたいというような優先度合いで考えておりまして、そのようなことがこの基本的事項に定められているということでございます。

坂井分科員 どうもありがとうございました。

 今、百五十九件という数字が上がりました。この百五十九件、平成九年からでございますから、まだ十年たっていないということではございますけれども、この中で、まだ、事後評価までしたものはないというようなお話を聞いてはおりますけれども、しかし、これが終わりまして、そしてしっかりと今言った環境保全措置がとられているかどうか、これをしっかりとチェックしていく機能、またチェックしていく作業が必要かと思います。

 また、今お答えをいただきましたように、回避、低減、代償といった、基本的にはこの順番で優先順位がついているということでありますから、この順番どおりに実際に行われているかどうか、そしてまた、実際に保全措置として、要は、そこで生物多様性が確保される、また、実際にそこで生物がすめるような状況となっているのかどうか、生物がはぐくまれているのかどうか、こういったことをしっかりと担保していかなければいけないのではないかと思います。

 これらについての方策、要はやりっ放しではなくて、その後もしっかりそれがなっているよ、こういったチェックをする、この方策についてお聞きをしたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 環境保全措置でございますが、今御質問のあった優先順位等も含めましてそれが適切な内容となりますように、まず、事業者みずからが十分な検討を行うということが義務づけられ、これは各省の主務省令におきましてそれぞれ義務づけられておりまして、また、環境省におきましても厳正な審査を行っているところでございます。また、法律上も、環境影響評価法におきましても、事業者は、環境影響評価を通じて行うこととした環境保全措置を実施しなければならないとはっきり規定されているところでございます。

 また、環境保全措置の効果がどうも不確実であるというようなものも多々ございます。そのような場合等におきましては、事業の実施後に、あるいは工事の終わった後でございますが、事後調査を実施するというふうにされておりまして、この事後調査の結果を確認することによりまして環境保全措置の実施について把握することが可能であると考えております。

 環境省におきましては、事業の実施段階において何よりも適切な環境保全措置の実施が担保されるように、今御指摘の趣旨でございますが、担保されるように、やはり必要なフォローアップを行ってまいりたいと思いますし、必要な場合には、例えばその後もレポートを出させたり、そんなことも含めてフォローアップをしっかりやってまいりたい、そのように考えております。

坂井分科員 どうもありがとうございました。

 公共事業で、大規模な開発でありますから、要は、都市部だけではありませんけれども、こういったしっかりとした自然の保全、お願いをしたいと思います。

 それでは、次に移らせていただきます。

 次は、生物多様性という問題を議論する場合、同じ緑の空間、例えば都市部における緑の空間といっても、例えば花壇でありますとか、バスターミナルの中の植え込みでありますとか、単一植物による街路樹でありますとか、こういった緑の部分と、実際、生物がそこにすんで、そこで食物連鎖または生物連鎖を行っているような、そういったビオトープと呼ばれるような空間とは、生物をはぐくむ量、命の総量というものが全く違ってくるというのが一般的な議論でございます。

 しかし、例えば緑被率というような議論、この数値を見ましても、空から写真を撮って、この割合でいろいろ決めたり、またはかったりというような手法もあるようでございますが、そういった観点から緑は緑で一括されてしまっておりまして、要は花壇や植え込み、こういった死んだある種の緑と、それから実際にそこで命が生き生きとはぐくまれている緑、いわばビオトープと全く差がない、区別がされていない状況が今の状況ではないか。

 しかし、実際に議論をする際には、私はここはしっかりと区別をしていかなければならないと思っております。例えば、国土交通省さん等々で行っております特別緑地保全地区指定の面積等は年々伸びておりまして、平成十五年では千七百二十一ヘクタールというような数字を聞いておりますけれども、しかしながら、この中身の議論、要は質の議論というのがまだまだされなければいけない、こういうような課題があるのではないかと思います。

 そこで、私は環境省に御質問させていただきたいと思いますけれども、緑の土地、緑の空間といえども、要は、一つは生物的には死んだ土地である、また一方ではビオトープで生物がはぐくまれている、この二つの土地を、どのようにこの差をとらえているか。また、各種のデータ等にその違いを反映させていくことができるのかどうか。また、ビオトープといった空間に限定した、もしくはビオトープに限定した調査等は行われているのかどうか。それから、先ほど環境保全措置の代償という措置がありましたけれども、新たにそういった緑や自然を生み出すわけでありますけれども、その措置のときに、このビオトープに関して十分配慮がなされた指導が行われているのかどうか、こういったことを含めて環境省にお伺いをしたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず、都市の緑地でございますけれども、生物多様性の確保上、大変に重要なものだと考えております。そのためには、単なる緑の量だけではなくて、生物の生息空間をきちんと確保する、またそれをネットワーク化していくということが大事だと思います。

 ただ、残念ながら、私ども、緑の質の差というものを、都市部につきましてはデータの違いとしては把握する調査は行っておりません。委員御指摘のとおり、都市部における生物多様性の確保には緑地は大変重要でございますので、今後、国交省とも連携しながら、都市における生物多様性の確保が進むようにしていきたいと思います。

 それから、ビオトープについてでございます。ちょっと具体的なデータについては私ども現在把握をしていませんが、民間ベースでもさまざまな活動が行われております。つい二、三週間前でございますけれども、民間の日本生態系協会も全国学校ビオトープ・コンクールなどを行いまして、私ども、大臣も出席しまして、その普及啓発を行ったところでございます。

 最後に、代償措置の問題でございます。これは、生物の生息空間としてふさわしいか否かという視点のもとに、個々の事業の審査を行ってまいりたいと考えております。

坂井分科員 もう一点だけ、この件に関してちょっとお尋ねをしたいんですが、今まで調査をしていなかった、こういうことでございますが、これは調査が必要ないと思われてのことではないと思いますけれども、予算要望の方は今まで出されているんでしょうか。

南川政府参考人 本来、予算要望とは別に調べるべき内容だと思っております。

坂井分科員 わかりました。ありがとうございました。

 都市部におきますこういったさまざまな問題を考えてまいりますと、私の近く、私は地元が横浜でございますけれども、横浜におきましても、本当にいい自然だなと思っていても、ある日いきなりこれが工事に入られまして、そしてマンションまた一戸建ての分譲地に変わるということが多々あるわけであります。

 これは相続というものが発生をいたしまして、相続に関して都市部の緑が失われる、住民の方々も含めて、ああ、いいな、こう思っていた緑が失われる、こういう結果が出てくるわけでありまして、私も個人として大変心を痛めているところでありますけれども、こういった相続に関しましてひとつお伺いをさせていただきたいと思います。

 こういったものは、今申し上げましたように、相続税の支払いが発生をいたしまして、その相続税の支払いをするために、結局、緑の部分、林でありますとか、また草地でありましても、そういうものを売ることによって、要は、相続税を払うための資金を捻出する、キャッシュを捻出するために売ってしまうということからあらわれているものだと思います。

 また、今の制度では、これは物納ということで、国に自然の場所を物納しても、最終的には、これは競売にかけられましてマンションが建ってしまうというようなことが今起きているのではないかと思います。

 実際、私の選挙区にありますふれあい樹林という、これは横浜市の制度で、ふれあい樹林ということで林を地区の人たちにオープンにしているわけでございますけれども、このふれあい樹林の地主さんに話を聞きましても、相続があると、この樹林をこのまま確保する、維持するのは難しい、こういうことが言われております。

 それで、こういった観点から、実際、自然保護、生態系保全、こういったものを考えますと、こういったような物納を進めた上で、一方でこれを競売にかけることをせずに国のストックとしてそのまま保全をする、こういった考え方も検討する必要があるのではないか。冒頭にお尋ねしましたように、これらの空間というのは都市において大変重要な役割を負っています。防災という役割もありますし、教育という役割もありますし、こういった多様な意味において都市及び都市に住む住民にとって意味がある。こういった空間は、ぜひとも、国のストック、国が確保して管理をしても意味があるものだと思います。ですから、こういったことは検討いただけないのか。

 また、例えばこれを確保して維持するとしても、例えば横浜市でふれあい樹林という制度をつくっておりますけれども、地域の住民の方々が愛護会というのをつくりまして、四十人、五十人という方々が自主的に掃除をしたり、そこでイベントを開いたりということを実際に今行っております。このふれあい樹林だけで横浜市は十五カ所ありますけれども、こういったような観点でやっていけば、費用というものも、コストもさほどかからずに維持できるのではないか、このように考えておりますけれども、この点に関しまして財務省の見解を聞かせていただきたいと思います。

日野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の大変厳しい財政事情をかんがみますと、売却可能な国有財産を積極的に売却することは重要な政策課題と認識しております。特に、物納財産につきましては、金銭にかわり納付されたものでございますので、早期に換金することが必要であると考えております。

 ただ、都道府県等におきまして、公園として管理することが適当であると判断し、取得したいということであれば、優先して売却することは可能ではございますけれども、そうした要望がない場合には、今申し上げました物納財産の性格を踏まえますと、早期に一般競争入札により売却し、換金せざるを得ないということを御理解いただきたいと存じます。

坂井分科員 確かに、金銭のかわりに納められたということを考えますと、今おっしゃられたことはもっともだと思いますが、また同時に、自然が持つ、これは金銭にもかえがたい機能を持つようになってくると思いますし、これは一度つぶしますと戻ってこない貴重な自然でございますから、この観点も考えながら、今後また議論をしていきたいと私は考えております。

 また、同じように、都市部に緑を残す手法を考えてまいりますと、やはり緑地の買い上げ、こういった考え方もございます。今は物納というものでございまして、かわりに入ってきたものをそのまま残すということでございましたけれども、積極的に買い上げる、こういった手法もあるのではないか。

 例えば、アメリカのフロリダ州というところの、これは数年前の数値でちょっと古くて恐縮なんですが、州の面積は千四百万ヘクタールということで、これは恐らく変わっていないと思いますが、日本の約四割という広さなんですけれども、そのうちの三百二十六万ヘクタール、すなわち二三%が自然として残すための土地として州が買い上げている土地でありまして、当時、三〇%を目標に、また資金を集め、そして買い上げを進める、こういうような施策をとっているところでもあります。

 環境省さんにも、都道府県が自然公園の中で土地を買い上げるときに限って、特定民有地買い上げ補助事業、こういうような事業があるそうでありますし、また神奈川県におきましても、かながわトラストみどり財団というようなところがありまして、買い上げ事業を行ってはいますけれども、これを自然公園内とか、例えば主体を都道府県に限らず、もっと幅広く都市部においての貴重な自然を買い上げる、こういった制度を検討できないか、こう考えますけれども、この点に関しまして、やはり同じく財務省の方からお答えをいただきたいと思います。

松元政府参考人 お答えいたします。

 現在、環境省の緑地保護事業といたしましては、委員御指摘のとおり、国立公園等に係る自然保護対策上、特に重要な地域におきまして、民有地であるために、当該土地を買い取らない限り、私権との調整上、厳正な保護が図れない地域につきまして、国が土地等を直接買い上げております。

 また、都市における緑地保全につきましては、都市公園事業といたしまして、国土交通省が緑地保全等事業計画に基づき必要な土地の買い入れ及び施設整備を行う緑地保全等事業を実施しているところでございます。

 いずれにいたしましても、都市の緑地保全の重要性は財政当局といたしましても認識しているところでございまして、限られた財源の中ではありますが、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。

坂井分科員 どうもありがとうございます。前向きに、また積極的にお願いをしたいと思います。

 都市部の緑ということでお話を進めさせていただいております。そして、都市部の緑という観点からいきますと、要は農地、田んぼ、また畑、横浜は田んぼは大変少ないわけでありますが、やはり都市農業の振興も外せないと思うところでございます。

 私の地元におきましても、都市化の進行、そしてまた後継者、これは不足しておりますけれども、ホウレンソウやキャベツ、またコマツナなどの栽培や、また「浜なし」という、横浜の浜をとって「浜なし」というナシの生産などが行われております。

 都市農業は、同時に、申し上げてまいりましたような単なる食料の生産だけではなくて、さまざまな機能を持っているわけでございますから、これも貴重な緑の空間ととらえることができるのではないでしょうか。この都市農業の振興策を農水省さんはどのように考えているのかということをお聞きしたいと思います。

 同時に、特に横浜等は都市部でございまして、いわば消費者に囲まれている土地であるわけであります。ですから、例えば私の地元でも、朝市といいまして、日曜日の朝六時半から生産者がお店というか車で持ってきまして、野菜を出す。そこに地元の方々、マンションの方々が歩いてこられて、そこで買っている。これは単に農産物が割安というからだけではなくて、また、その地域の話題や、例えばそれぞれ珍しい野菜等の調理の仕方等の話、こういった話に、大変話題に花を咲かせておりまして、大変交流の場としても喜ばれているというようなことを感じているわけであります。

 こういったような観点から、地産地消という取り組みとも絡んでくると思いますが、農水省さんに都市農業の振興策、並びに地産地消の取り組みの推進等々に関連いたしまして、お答えをいただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生、まさに御指摘いただきましたとおり、都市農業は都市住民にとりましても新鮮な農産物の供給を果たしているわけですが、これとあわせまして、農業体験の場でありますとか、あるいは緑の潤い空間としての役割、こういった役割を果たしております。さらには、近年、災害時の避難場所等としての機能も果たしているところでございます。

 また、これも先生御指摘のとおりでございますが、消費地に非常に近いという立地特性を有しております。そういう面で、その中で、地産地消の推進といったことを通じまして、消費者と生産者の間の信頼関係の構築、こういったことも極めて重要な役割を果たしているというふうに考えているところでございます。

 今先生も御紹介いただきましたが、横浜市におきましては、特に農協を中心といたしまして、直売所、朝市、こういったものに積極的に取り組んでいるところでございますし、また、横浜市独自の制度といたしまして農業専用地区というものを設定しまして、その中で優先的な農地の整備あるいは施設の整備などの支援も進めていらっしゃるところでございます。また、先ほど申し上げましたような防災用の協力農地というものがございますが、これにつきましても、全国に先駆けて横浜市さんの方は取り組んでおられるところでございます。

 農林水産省といたしましては、このような都市農業の役割を踏まえまして、食料・農業・農村基本計画に都市農業の振興について明確に位置づけているところでございまして、今後ともこのような都市農業の果たす重要な役割が十分発揮できるよう、地域の実情に応じまして、元気な地域づくり交付金、強い農業づくり交付金といったものを用意しておりますが、こういったものの活用によりまして、地産地消の推進とあわせまして、都市農業の振興を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

坂井分科員 どうもありがとうございました。

 やはりこの都市農業というものもしっかりとやっていかなければならないと思っております。特に、横浜におきましては、先ほど申し上げましたように、相続というものに土地がかかわってくるものでございまして、相続に関しまして、農地税制に納税猶予制度というものがありますけれども、これは、要は田畑が生産緑地として指定を受けていなければこれは受けられない、こういう状況でございますが、今都市部は大変環境変化が著しくて、しかも建物が建って、いきなり日照、光が当たらなくなりまして、畑に日照不足が起こりまして、今までつくっていたものがつくれないというようなことも突如出てくる、こういうこともございます。

 そういった中で、今営農期間三十年という約束をさせられておりましたり、例えば、五百平方メートルという面積要件等もございますが、こういったものを緩和していただかなければこの生産緑地という指定がふえない。横浜におきましては、市街化区域内の農地で全部で七百七十九ヘクタールあるわけですが、そのうちの四五%の部分が生産緑地でありますが、逆に五五%、これは生産緑地になっておりませんで、要は早く建物を建てろということで、大変、宅地並み課税もされているということを聞いております。

 こういった状況になっておりますので、私は国土交通省にお聞きをしたいんですが、こういった営農期間、もしくは面積要件、こういったものを緩和しまして生産緑地をふやす、こういった施策は考えられないものか、お聞きをしたいと思います。

加藤(利)政府参考人 今先生から御指摘のありましたように、都市における緑とオープンスペースの重要性はますます増加しており、都市農地は、都市の緑地的空間あるいは防災的空間として、また農業体験ですとか、レクリエーションの場などの都市における良好な生活環境の確保の面から、大きな役割を果たしているというふうに認識をしております。

 このため、市街化区域における農林漁業と調和した良好な都市環境の形成に資する一団の農地について、市町村が都市計画において生産緑地地区に指定をし、その適正な保全を現在図っているところでございます。

 御指摘のありました生産緑地地区制度の見直しにつきましては、都市環境としての機能を発揮し得る規模の農地の確保が必要であるということに加えまして、継続的な営農状況の整備でございますとか、農地としての永続性の確保、それに農地所有者と周辺の宅地所有者との税負担の公平性といった観点から、関係省庁を含め、慎重な検討が必要になるというふうに考えております。

坂井分科員 どうもありがとうございました。

 もう時間も参りましたので、最後に環境大臣にお聞きをしたいと思います。

 今回、都市部の土地の確保、緑の確保ということでテーマを絞って御質問させていただきましたけれども、今回のテーマにおきましても、国土交通省さん、そしてまた農林水産省さん、そしてまた財務省さんと大変多くの官庁に御質問させていただいたということになりますが、実際にかかわっているということが明らかになりました。

 これから人口減少社会を迎えまして、今までどんどん広がっていったわけでありますが、今度は逆に都市が少しずつ小さくなってくる可能性もある。要は、縮合政策といいますかシュリンキングポリシーといいますか、どんどん小さくなってくるような政策、また、まちづくりというものもこれから考えていかなければならない。もしくは、積極的に考えていくことも必要ではないかと思っております。

 そういった中で、各省庁が関係をしているこの施策全般でございますから、これをどこかが、要はシンクタンク的な機能でありますとか、各種官庁、役所の調整的な機能でありますとか、こういうものをしっかりとリーダーシップをとって引っ張っていく必要があるのではないか。そういった意味におきましては、環境省の使命はますます重くなっている、こう考えているわけでございますけれども、小池大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 委員御承知のように、生物多様性国家戦略ということで、生物の多様性をどうやって守っていくのか、文字どおりの国家戦略をつくったところでございます。

 その際、目的は自然と共生する社会を政府全体として実現するためのトータルプランとして作成したわけでございますけれども、その作成の現場というのが地球環境保全に関する関係閣僚会議の形でございます。ここにおきまして、環境省が中心となって取りまとめをさせていただきました。

 都市の緑地保全のことにつきましても、この生物多様性国家戦略に基づいて、関係の各省が施策を展開したという実績がございます。かつ、毎年関係の省庁の連絡会議を開いておりまして、その施策の実施状況の点検結果を取りまとめているということでございます。

 御指摘のように、都市の緑地の重要性はますます高まってきておりますし、また、人口減少社会の中でこれからどういう国の形づくりをしていくのか、そういった大きな観点に立って、環境省としては、生物多様性国家戦略の枠組みを活用して、御指摘のような形で、関係各省との連携をこれまで以上に強化して進めてまいりたいと考えております。

坂井分科員 どうもありがとうございました。

山本(公)主査代理 これにて坂井学君の質疑は終了いたしました。

 次に、とかしきなおみ君。

とかしき分科員 自民党のとかしきなおみでございます。きょうは、こちらの分科会の方で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 私は、地方議員になりましたときに、環境問題に取り組むきっかけになりましたのが杉並病という病でございました。環境大臣は、この杉並病のことを御存じでいらっしゃいますでしょうか。

小池国務大臣 存じておりますで終わってしまっては不十分だと思いますので続けますが、私も、杉並病ということにつきましては、新聞などを通じまして当時から存じておりました。

 そして、この杉並病でございますが、平成八年に、東京都杉並区のごみ中継施設周辺の住民の方々に健康が不調になるという方々が発生したということでスタートをして、平成九年、住民から公害等調整委員会に対して原因裁定が申請されたものと聞いております。

 また、平成十四年のこの委員会の裁定で、平成八年の四月から八月までの五カ月間、健康被害が、杉並中継所の排水中の硫化水素などが原因であると考えられていますが、この年の九月以降については原因が不明であるとされたと伺っております。

 この裁定を受けまして、東京都は損害賠償制度を創設することとして、また、杉並区の方でも環境モニタリング調査や継続的な健康相談を実施しておられると伺っております。

 環境省とすれば、この問題の当事者であります関係自治体などからの要請があれば、技術的な支援等に協力してまいりたい、このように考えております。

とかしき分科員 ありがとうございました。

 今、大臣、御説明いただきましたように、きょうはパネルもいろいろ持ってまいりまして、こちらの杉並中継所というところで、これは先ほど大臣もお話しなさいましたが、燃えないごみを圧縮する処理施設なんです。ですから、東京都は、燃えるごみ、燃えないごみというふうに集めてまいりまして、こちらの中に清掃車が集めてまいりまして、コンパクターというところにおろしまして、そこで圧縮をして、プラスチックとか、あと化学物質を含んだごみとかがたくさん入っておりまして、非常にかさが張る割には重量が軽いということで、そして効率よく運ぶためにということで圧力をかける。こんな簡単な施設で、火も使わないので問題ないだろうということで稼働をし始めたんですけれども、その日からぐあいの悪い人がたくさん出てきて、それを称して杉並病というふうに言っているわけです。

 杉並病の主な症状は、写真が悪いんですけれども、これは女性の一応あごの写真なんですけれども、彼女はひげが生えてきたりとか、この杉並病は人によって全く症状が違いまして、その人の弱いところに出てくるわけです。この方はたまたまホルモン系が弱かったのであごにひげが生えてきたんですけれども、このほかには、皮膚に湿疹が出てきたりとか、呼吸困難になったり、引きつけを起こしたりとか、涙がとまらなくなったりとか、そんな症状が出てまいります。

 そして、植物にも異状が出てまいりまして、こういう斑点がたくさん出てまいります。化学物質にたくさん暴露した場合によくこういう症状が見られるんですけれども、そういった形で植物にもよく異状が見られる、こんな状況になっております。

 そして、先ほど大臣、お話しいただきましたように、原因が、当初は硫化水素ではないかというふうに言われていたんですが、公害等調整委員会の方で、硫化水素ではなくて複数の化学物質が関与していたのではないかというような形になっておりまして、グレーの裁定と言われております。そして、杉並区役所がその後モニタリング調査というのをいたしまして、大体二、三カ月に一回、その辺の空気を調査いたしまして発表しております。

 私は、その調査結果を見ますと、全部環境基準値以下の濃度の化学物質しか出ていないので、問題がないというふうな結果が出ておりました。しかし、やはりそれではちょっと納得できないということで、一日にどれぐらいの量の化学物質が出ているのかということで、濃度で比較するのではなくて、どれぐらいの量が出ているか、その量でまず見てみようということで、グラフに起こして実際計算してみたところ、実に物すごい量の化学物質が一日排出されているということがわかりました。一番多いときで、平成十四年の六月の段階で、アセトアルデヒドという一つの化学物質をとっただけでも、たった一日で、千七百人分の致死量という物すごい量の化学物質が出ているということです。アセトアルデヒドといいますのは、ホルムアルデヒドと似たような物質になりますけれども、シックハウスのような、たくさん吸いますとアレルギー症状を起こす化学物質というふうに言われております。

 このアセトアルデヒドがなぜこのようにたくさん出てくるのかというのが非常に疑問で、その後、杉並区役所の方に私も議員時代に働きかけまして、原因を調べてほしいというふうに言いましたけれども、なかなかこれがわからない。そこで、先ほど言いましたごみを圧縮する、燃えないごみに圧力をかける瞬間にガスが出てくる、アセトアルデヒドのようなガスがたくさん出てくるのであれば、ごみを集めている清掃車、この段階でもう実はごみに圧力がかかるわけですから、もしかしたらその段階からも既にガスが発生しているのではないかということで、調査をしてほしいというふうに言いましたら、杉並区役所は重い腰を上げて調べてくれました。

 その後、調べてもらった量がどれぐらい出ているのかということを、これもモニタリング調査の後ろの方でちょっとだけ今触れているんですけれども、それは、清掃車の車内からも実に物すごい量の化学物質がたくさん出ておりました。私、最初、アセトアルデヒドだけに着目しておりましたけれども、ほかの化学物質もたくさん出ておりまして、例えば、多いときに、まずベンゼンですと環境基準の千四百三十三倍、トリクロロエチレンに至っては三百八十倍、トルエンは二十一・五倍、アセトアルデヒドは百四十倍と、非常に強い濃度の、濃い濃度の化学物質が清掃車の中からも出てきているということがわかりました。

 ということは、ごみを集めながら化学物質のガスをまき散らしている可能性が十分に考えられるわけです。

 ベンゼン、トリクロロエチレン、トルエン、アセトアルデヒド、これが人体に一体どんな影響があるのかと申しますと、例えば、ベンゼンですと強い発がん性物質、トリクロロエチレンですと環境ホルモンのような影響があります。トルエンは中枢神経の障害とか、アセトアルデヒドは頭痛、目まい、シックハウスの症状ということになります。

 具体的にどんなものに含まれているのかといいますと、例えば、ベンゼンですと塗料や医薬品、トリクロロエチレンは殺虫剤や洗浄剤、トルエンは接着剤や塗料、アセトアルデヒドはプラスチックということで、ふだん私たちが生活の中で何げなく使っているこういう化学物質を含んだものがごみの中に入ってしまいますと、これがガスとなって空気中にまき散らされている可能性が十分高いということがわかってきたわけです。

 ということで、これ以上杉並区役所は、ここまでは何とかわかってきたんですけれども、この後の対処のしようがなくて、この段階で今とまっている状況なんですけれども、このような状況をお聞きになりまして、このように、燃えないごみを集めている清掃車の中からこういう有害な化学物質が町じゅうに今まき散らされているという現状をちょっとお話しさせていただきましたけれども、このお話をお聞きになって、今後、どのような対応が必要だと環境省はお考えになるのか、お考えをお聞かせください。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘のとおり、平成十六年に杉並区がごみ収集車内の不燃ごみを取り出しまして、フィルムに包みまして二十分放置後、フィルム内のガスを分析したわけでありますが、その中のガスを分析いたしましたところ、アセトアルデヒド等が比較的高い濃度で検出されたと報告がされておるのは御指摘のとおりであります。

 杉並区の調査結果からは、ごみ収集車の不燃ごみに起因するアセトアルデヒドの環境への影響につきましては判断できないとのことでありますが、アセトアルデヒドの環境中の濃度につきましては、環境省におきまして有害大気汚染物質として継続的にモニタリング調査を行っておりまして、その結果は、おおむね〇・一から十数マイクログラム・パー・立方メーター、平均的には三マイクログラム・パー・立方メーター程度と、問題のない水準にございます。

 今後とも、こうしたモニタリング結果を注視してまいりたい、このように考えております。

とかしき分科員 お答えありがとうございました。

 今お話しいただきましたように、日本の環境基準値は、実は一つ一つ単体の化学物質の濃度で設定されているわけです。昔のように、一昔前の、水俣病が出たころは、単体の化学物質が原因でこういう公害問題が起こっているんですけれども、ところが、これからの公害病といいますのは、今お話ししましたように、複数の化学物質が関与してきて、原因の化学物質を特定するのが非常に難しくなってくる可能性があるわけです。

 そうしますと、これは濃度だけで基準を見ていくというのは非常に難しいということで、どれぐらいの量を暴露した場合に健康被害が起こるのか、もしくは、複数の化学物質がまざった場合にどんな毒性が体に出てくるのか、その辺を研究することを今後お考えいただけないのか、環境省、お答えいただけませんでしょうか。

竹本政府参考人 人の健康の保護に係る環境基準でございますが、現在、原因となる物質について濃度の基準として設定をされているところでございます。これは、人への暴露量が人の健康上安全なレベル以下になるように、一定濃度を環境基準として定めているところでございます。

 ただいま委員が御指摘のありました複数の化学物質による影響でございますが、複数の経路を通じて暴露することによる影響、いわゆる複数媒体影響、そして、複数の物質に暴露することによる影響、いわゆる複合影響などが考えられるわけでございますが、これらの影響につきまして、試験評価手法はいまだ国際的にも確立していないというようなことでもございますので、現在、環境省におきましては、こうした暴露により起こり得る事象についての調査研究を進めてきたところでございます。

 いずれにしても、委員の御指摘のとおり、今後とも、国内外の科学的知見を収集するなど、調査研究をしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。

とかしき分科員 ありがとうございます。

 このほかに、例えば在宅医療で出てくるごみの代表格に注射針というのがあります。これも、一般廃棄物に混入してしまいますと、清掃員の方が傷ついて、注射針で感染症を起こしたりということで、大変危険だということで、今、薬剤師会が中心となりまして、少ない自治体ではありますけれども、モデル事業ということで、注射針の回収を行っております。ところが、回収の費用の問題や保存方法、さらにメーカーへの協力体制がまだ整っていないということによって、これがなかなか全国的に広められずにおります。

 このように、ごみ回収において、注射針に限らず先駆的な試みをしている団体等があるかと思いますけれども、国としてこのようなモデル事業の後押しをぜひしていただきたいと思うんですけれども、環境省のお考えをお聞かせください。

由田政府参考人 お答えさせていただきます。

 近年、在宅医療の進展に伴いまして、在宅医療廃棄物の排出量が増加しているところでございます。

 こうした状況に対応いたしますために、環境省としまして、平成十五年度及び平成十六年度に、在宅医療廃棄物の処理のあり方につきまして検討会を開催いたしまして、調査検討を行わせていただきました。

 検討会からは、注射針などの鋭利なものは、医療関係者が持ち帰っていただくか、あるいは患者、家族が医療機関へ持ち込む、それで感染性廃棄物として処理する、その他につきましては市町村が一般廃棄物として処理する方法が現段階では最も望ましい方法として提言されております。

 検討結果としまして取りまとめました報告書につきましては、地域に応じました在宅医療廃棄物の適正処理を推進いたしますために、昨年九月に日本医師会等を通じまして医療関係者に通知をいたしましたが、これとあわせまして、都道府県を通じまして市町村に通知をいたしたところであります。引き続きまして、よい例なども参考にしながら、関係者への周知を図ってまいりたい、このように考えております。

とかしき分科員 あと、薬の分別のことなんですけれども、薬というのは家庭ごみから出される、ある意味で化学物質の濃縮みたいなものなんですけれども、それの最たるものというふうに考えられますが、その分別処理に関しては、どの自治体でも対応が明確に打ち出されることなく、利用者側の判断にゆだねられているというあいまいな状況になっているわけです。ですから、ごみの処理も、燃えるごみに出したり燃えないごみに出したりということで、非常にあいまいになっております。

 化学物質の塊である薬の回収、この処分を国は今後どういうふうに考えていらっしゃるのか、その辺のことをお聞かせいただきたいと思います。例えば、これはピルなども問題があったんですけれども、薬で飲んだ場合に、そのときはピルとして体を通って、尿となって出たときに、それも既に環境汚染ということで非常に問題になったことがありますけれども、体を通った薬でもそれだけの大変な環境汚染を起こすものが、家庭の中で余った薬として廃棄物になったときに物すごい毒性があるというふうに考えられますので、その辺を国としていかにお考えなのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。環境省、お願いいたします。

由田政府参考人 家庭から排出されます薬の廃棄物の処理につきましては、通常、ダイオキシン対策が十分に行われております市町村の高性能な焼却施設におきまして、高温で良好な燃焼を維持しながら、他のごみと一緒に処理をされておりまして、薬の成分であります化学物質は焼却処理の過程で十分に熱分解されているものと考えております。

 また、こういうことではありますが、日本製薬工業協会の方では、現在、一部の薬品については回収システムの必要性も検討しておるというふうに聞いておるところであります。

 環境省としましては、引き続きまして、製薬業界や市町村と連携しながら、必要な対策について検討してまいりたいと考えております。

とかしき分科員 薬の処理も今後ぜひ御検討いただきたいと思います。

 私は、環境問題にかなり興味を持ちまして、世界じゅうを、いろいろな国を、環境をテーマに視察してまいりました。そのときに、先進国であるヨーロッパの国々、そしてカナダとかにも行きましたけれども、いろいろな国を見ていて一番思いますのは、化学物質を含んだごみの処理が日本は極めておくれているということです。

 例えば、ドイツの例ですと、化学物質を含んだごみの場合は拠点回収ということで、決まった時間、日時にそこに行きますと、市民の人たちが化学物質を含んだごみを持ってまいりまして、ペンキですとか洗剤ですとか、そういった残ったものを持ってまいりますと、その裏を見ながら、専門家の方が同じ成分のものをバケツに入れていって、絶対にまぜないように細心の注意を払って回収していくわけです。そして、それをメーカー側に返すというようなことをしているわけです。ということで、化学物質のごみというのはまぜないのが鉄則である、まぜてしまうと空気中に溶け出して大変なことになってしまうということなわけです。

 ところが、私も地方議員をしておりましたときにこの化学物質を含んだごみの処理のことを何度も指摘をいたしましたが、やはり、量がそんなに大したことがないから問題ないというふうに必ず答弁が返ってきたわけです。化学物質を含んだごみといいますのは、まぜてしまいますと、これがすごくガス化してしまいまして、そのときに物すごい量になってくるわけです。ですから、化学物質のままで、要するに、気体にならないようにするというのが処理方法としては非常に気をつけなくてはいけないわけです。そのためには、なるべくまぜないようにしていくということが基本ではないかと私は思うわけです。ところが、日本のごみは、化学物質を含んだごみに対しては非常にアバウトな考え方で、その辺の配慮がほとんどなされていないのが現状です。

 化学物質は非常に私たちの生活に便利であります。例えば、物をきれいにしたり漂白したりとか、洗濯物をやわらかくしてくれたりということで、あと、病気を治してくれたりとか、私たちの生活に便利で、便利であるほど、これは私たちがごみとして出したときに非常に害が強いということです。薬と同じことで、よく効く薬ほど副作用が強いということで、科学物質も、家の中にあるときはとても便利なんですけれども、一たん外に出てしまうと、ごみになって出ていってしまうと、非常に害となって、強いものになるということです。ですから、化学物質の取り扱い方法をこれからどんどん考えていく必要があると私は思います。

 特に、環境教育の中で、この化学物質、私たちは、今、日本人は、安易に化学物質を生活の中に取り入れてしまっている、その傾向が非常に強いというふうに考えられますので、ぜひ、そういったことも考えていく、化学物質とのつき合い方、今後どのようにしていったらいいのか、その辺のことも環境教育の中に取り入れていっていただきたいというふうに考えております。

 有害化学物質を含むごみの回収のことについていろいろ質問させていただきましたけれども、国として今後どのように取り組んでいったらいいのかということで、環境大臣の御意見をお聞かせいただければと思います。

小池国務大臣 薬剤師御出身の先生らしい御質問をちょうだいをいたしました。

 今御質問の中身は、家庭から廃棄される製品のうちで有害な化学物質を含むごみの回収法についてということでございましたけれども、家庭から廃棄される製品のうち、有害物質などを多く含んでいるものというのは決して多くはないんですけれども、その代表例とすれば塗料であるとか殺虫剤などが含まれると思います。このようなものについては、通常、市町村がみずから収集するというよりは、販売店での回収の指導、それから専門業者の紹介などを行っている、このように承知をいたしております。

 また、有害物質を含むなど、処理が難しい、もう使ったものの製品全般につきましては、例えば、廃棄物処理法に基づきまして、広域認定制度というものがございます。これは、製造事業者が回収をするといったものでございまして、これを活用する。それから、資源の有効利用促進法に基づきまして、指定再資源化製品を指定していくといったことも考え方として既にございますし、また実施されているところでございます。

 さらには、製造事業者と市町村が直接調整をするといったようなことなどを含めまして、環境省として製造事業者などによります回収など適切な処理体制の構築を努めてまいりたい、これが国の考え方でございます。

 よりわかりやすく申し上げると、電池、ニッケルカドミウム電池であるとか小型シール鉛蓄電池などですけれども、こういった二次電池、それからエアゾール製品については、今申し上げましたようなスキームを利用いたしまして、既に製造事業者などによる回収が進められているというところでございます。また、エアゾール関係などでは、最近、缶に、中に残るものがないように、そういう技術的な工夫などもしていこうということが進められていると聞いております。

 環境省といたしまして、こういった市町村において処理が難しい廃製品についても、有害物質を含有するものも含めまして、引き続き、きょうの御指摘も踏まえて、対策を着実に進めてまいりたいと考えております。

とかしき分科員 ありがとうございました。

 化学物質というのは、私たちの、先ほどから申し上げておりますように、本当に便利なものなんですけれども、家の外に出てごみとなったときには非常に怖いものになりかねないものですので、その辺の配慮をぜひお願いしたいと思います。

 そして、杉並病は多分その警告を発してくれているんだと私は思うんです。たまたま、この杉並病というのは、これは燃えないごみを圧縮する処理施設ということで、燃えないごみに圧力をかけた瞬間に、多分、化学物質がまざることによってそこでガスになって、たくさんのものが排気をされ、そして、それを吸った周りの住民の方々がぐあいが悪くなっている可能性が十分にあるわけです。

 杉並区は、この中継所を、すり鉢状の土地の一番下のところにたまたまつくってしまい、そして、たまたま周りに住宅地がたくさんあったために顕著に症状が出てきたというふうに考えられるわけです。ということで、この杉並病の警告を私たちは真摯に受けとめて、化学物質として、化学物質を含んだごみをどういうふうに処理をしていったらいいのか、そして化学物質を生活の中に今後どのように取り入れていったらいいのか、その辺のことをぜひ真摯に考えて御対応いただければと思います。

 何か思いっ切り早く時間が終わってしまいました。きょうは五分ほど早く終わりましたけれども、どうもありがとうございました。

山本(公)主査代理 これにてとかしきなおみ君の質疑は終了いたしました。

 次に、木挽司君。

木挽分科員 自民党の木挽司でございます。

 私は、もともと地域で中小企業を経営しておりました。倒産の危機から企業を立て直し、みずからが中小企業を経営する中で、いつもつらい思いをしながら、やはり中小企業の育成をというようなことをいつも念頭に置きながら、地域で活動してまいりました。また、地域においては、地方議員をしながら、地域の青少年たちともかかわる中において、これからの中小企業が生き残っていくにはどういった方策があるのかな、また、これから次世代を背負う人たちのことを考えたときに、私は国会議員としてどういったものをライフワークとしていけばいいのかなというようなことを考えて今国会にも臨んでおりましたが、初めて国会議員となって、やはりグローバルな話題であり、かつ私たち中小企業が将来日本を背負って、また世界に情報を発信していくにも、生きる道として、環境の分野は非常に大きなものではないか、一縷の望みを託せるものではないかと思って、私は環境委員会へと登録をさせていただきました。

 さて、そんな私から、まず最初に質問させていただきますのは、昨年十二月の二十三日、大阪府豊中市にあるごみ焼却施設、豊中市伊丹市クリーンランドで、敷地内の雨水を流す放流口から、国の排水基準値の五十倍に当たる五百ピコグラムのダイオキシンが検出された旨の新聞報道がされました。ことしに入って、二月二十四日、その原因等についてプレス発表がありましたが、まずその経過について御説明をいただきたいと思います。

由田政府参考人 本件につきましては、豊中伊丹クリーンランドが行った原因究明の中間報告につきまして、環境省も兵庫県を通じまして報告を受けております。

 これは、ダイオキシン類の排水基準超過の原因につきましては、バグフィルター、いわゆるろ過式集じん機のろ布交換作業中の誤操作によります焼却飛灰の飛散によるものと承知をいたしております。

 環境省としましては、誤操作が起きた原因分析を行いまして、それらを踏まえた再発防止策を盛り込んだ最終報告を取りまとめるよう、豊中伊丹クリーンランドに指導をさせていただきまして、また設計上の対応がとれないか、メーカーにも検討を要請したところであります。

 今後、本件の検討結果をもとにさせていただきまして、同種の事故が発生しないよう、全国の都道府県及び市町村に情報提供を行ってまいりたいというふうに思っております。

木挽分科員 プレス発表等々、また今の御報告をお聞きしますと、人為的な操作ミスということなのでしょうが。

 メンテナンス企業に依頼していたわけなんでしょうが、ここの部分で、今回こういった事件につながりました直接の部分に関しましては、このクリーンランドの作業員が当たっていたということをお聞きしております。

 もちろん、今、地方分権の流れに沿って、各自治体はコスト削減に係る努力が一層望まれるところではあるんですけれども、そういった意味では、今回の施設は老朽化が進んで、近い将来新たな焼却施設の建設も検討されておりますし、そのときPFIなりなんなりの手法をとるということが考えられるんでしょうけれども、とにかくこういった現場において、現行施設へのコスト削減へ向け努力をされた結果、今回のような、メンテナンスのうち薬剤の塗布の部分を自前の職員で対応した結果生じたこういう事件というものに対しまして、その姿勢は、コスト削減に向けるその市の職員の姿勢というものは評価できるんですけれども、反面、安全と安心とが問われている昨今、こうした作業に当たる際の指針を国として新たに示すべきではないかと思うんですが、その辺についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

由田政府参考人 本件に限りませず、廃棄物処理施設の事故につきましては、平成十六年の廃棄物処理法の改正におきまして、廃棄物処理施設におきまして、生活環境保全上支障を生ずるような事故が発生したときには都道府県知事に届け出を行うことを義務づけておりまして、今後、この仕組みを活用いたしまして、事故の内容、原因及び対応等のデータベースを構築していこうというふうに考えております。

 こういうふうなデータベースを活用しまして、都道府県あるいは市町村に対しまして情報提供を行いながら、より一層廃棄物処理施設の安全、安心の確保に努めてまいりたいと思っております。

 御指摘のように、コスト縮減に臨まれているところはたくさんございますが、安全、安心という点は最も重要な基本的なものというふうに認識しておりますので、今御指摘の点も踏まえまして、今後とも都道府県を通じて市町村に助言、指導してまいりたいと思っております。

木挽分科員 ありがとうございました。

 続いて、人間社会の持続可能性を論議するとき、環境問題が大きなテーマとして世界規模で認知されていることは、ここにいらっしゃる皆さん、同様にお考えだと思います。

 しかしながら、環境に関する国家レベルでの法整備、施策が話し合われるようになったのはごく近年のことでございます。同様に、環境ビジネスなるものが注目されるようになってはきたものの、まだまだ産業規模としては小さなものであり、市場システム内での問題や発展を直接的に促すテクノロジーのたぐいと比べれば二次的なものであることは否めません。すなわち、従来のビジネスからの投資や資金の還流が存在しにくい分野だからこそ、国家が、国が積極的に支援、投資していく必要性を私は感じております。

 視点を変えれば、小さな政府を目指し、市場の機能を最大限に生かすというパラダイムを是とし、また市場の拡大を是とするならば、その市場の失敗を扱う環境と呼ばれる分野は、それに対応して、国家の関与が許され、かつ拡大し得る数少ない分野の一つだと私は受けとめております。

 そのためには、環境に関する研究や環境ビジネスを支える環境を整備して、新しい有能な人材を確保する施策を打っていくべきではないかと考えております。この点に関しては、小泉総理も我が国の資産は、また資源は人材であるということを大きく表明もしておられます。

 そこで、まず副大臣にお尋ねしたいと思います。

 環境の分野に限ったことではありませんけれども、日本の若手研究者の置かれている状況を見たとき、数年前の大学院拡充に対して、期限つきや短期雇用などがふえてきて非常に不安定な中、日々の研究に取り組む姿が目立つようですが、そういった現況を今どのようにとらえておられますでしょうか。

江田副大臣 私もライフサイエンスの分野ではございますけれども、長い間研究開発にかかわってきておりましたその経験から、科学技術の重要性、またその推進というのには最大の関心を持って政策に取り組ませていただいているところでございます。

 先生御指摘のように、我が国の科学技術の将来、また国際競争力の維持強化のためには、やはり若手研究者や女性研究者を初めとする多様多彩な人材が意欲と能力を発揮できる環境を形成して、そして人材の質と量を確保すること、これが重要であると認識しております。特にすぐれた若手研究者がその能力を最大限に発揮できるよう、その自立性を確保することが重要であると思っております。

 環境分野におきましては、科学技術基本計画におきましても、先生御存じのとおりだと思いますが、IT、ナノ、バイオテクノロジーとともに、重点四分野の一つでございまして、また、今策定中の第三期科学技術基本計画におきましても、そのように位置づけられる予定でございます。

 環境と経済、この両立には、キーワードは科学技術である、そのように私は思っておるわけでございますが、この環境分野の研究を大いに進めていくためにも、若手研究者の登用、そういうことが重要と思っております。この若手研究者につきましては、環境省としては、環境技術開発等推進費等の公募型の研究資金、これは競争的研究資金でございますが、若手研究者向けの公募枠を設けまして、そして若手研究者からの積極的な提案を推奨しているところでございます。

 また、我が省の所管であります国立環境研究所、国環研におきまして、所内の若手研究者を対象とした公募研究制度を設けておりまして、積極的に若手研究者の育成に努めておるところでございますが、さらに、私は拡充をしていく必要があると思っております。

    〔山本(公)主査代理退席、主査着席〕

木挽分科員 江田環境副大臣から力強いお言葉をちょうだいいたしました。ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 ただ、私、ずっと自分の選挙区に帰って、また、選挙区によらず、各大学の若手の方と交流を持つようにしております。そういった活動を通して、こういう若手の研究者の方々から寄せられるお話というのは非常にせつなくなってくるような生活状況があるんですね。ぜひとも彼らをバックアップしてやりたい、これは本当に私たち未来の日本に通じることだと私は思っております。

 そこで、環境副大臣の方からはこういった力強いメッセージをいただいたわけでございますが、そういった若手の研究者は当然師と仰ぐ先輩の教授というものにつくわけなんですけれども、教授も随分若い人がふえてきまして、頼もしい人もたくさんいらっしゃるんですが、多くは最新の研究や技術、技術といいますと特にコンピューターソフトだとか、そういうテクノロジーを扱える方は少のうございまして、そういった部分は、所属する若手の研究者の能力に負うところが大きいと私は思っているんです。

 そういった若手研究者の能力を評価するようなシステムを構築できないものかなというふうに常々考えておるのでございますけれども、その辺、ちょっと文科省の方にお尋ねさせていただけたらと思います。

下村政府参考人 お答えいたします。

 将来の研究活動の中核を担う創造性豊かなすぐれた若手研究者が、大学におきまして、その能力を適切に評価され、自立して活躍することは、我が国の研究開発活動の活性化を図るために極めて重要でございます。科学研究費補助金によります若手研究者向けの支援、それから若手研究者を経済的に支援する事業等を積極的に推進しているところでございます。

 研究者の業績評価につきましては、国の研究開発評価に関する大綱的指針、平成十七年三月二十九日、内閣総理大臣決定等に沿いまして、研究者が所属する機関長が、機関の設置目的等に照らして評価のルールを整備し、責任を持って実施することとしております。

 文部科学省といたしましては、すぐれた若手研究者がその能力を最大限に発揮できるような環境整備に一層努めてまいるとともに、各大学におきまして、若手研究者の柔軟で多様な発想を生かし育てるという視点を加味して、若手研究者の能力が適切に評価されるよう期待しているところでございます。

木挽分科員 ありがとうございました。

 続いて、産業界の部分について少し環境とリンクさせてお話を聞かせていただきたいと思います。

 産業界において、確かに環境ビジネスなど環境保全に関する取り組みが進みつつありますが、いまだ環境保全はマイナスイメージとしてとらえている事業者が少なくありません。事業者における環境保全の取り組みを促すため、事業者に対して環境保全について報告することを義務づけることにより、広く一般にその取り組みを評価してもらうシステムを構築すべきではないかと思います。これは、実際、そうした提案が過去、国会において退けられてきたことを承知で見解をお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいますように、産業界におきまして環境への積極的な取り組みを推進するということは、今日の環境問題の解決、なかんずく私ども環境省が非常に力を入れております環境と経済の好循環という観点からも不可欠であると思っております。

 事業者がみずからの環境配慮の取り組み、あるいは事業活動に伴う環境負荷の状況、これを報告する環境報告書という形でそれを作成、公表することは、環境に配慮した事業活動を促すという上で極めて重要なことだと思っております。

 今、先生からお話ございましたように、こうした観点に立ちまして、この環境報告書の普及及び信頼性の向上という制度的枠組みを整備しようということで、環境配慮促進法というのが制定されまして、昨年の四月一日から施行されているところでございます。この法律におきましては、国に準じた公的事業を行います独立行政法人に限っておりますが、これにつきまして、環境報告書の作成、公表が義務づけられておりますが、大企業等につきましても、環境報告書の公表について、努めなければならないという努力義務としては規定されているところでございます。

 民間企業におきます環境報告書の作成、公表につきましては、事業者の創意工夫によって取り組まれておりますし、例えば、最近ですと、CSR報告書といいますか、御承知の、企業の社会的責任報告書みたいな形で出しているところもございます。

 環境報告書自体の数も非常にふえてきておりますけれども、やはり作成、公表が余り形式的なものにならないように、事業者の自主性は最大限生かされることが重要であると考えておりますので、先般の法律もそうでございますが、すべての企業に対して法律的な義務づけということまでは行っておりません。

 ただ、今後とも、この配慮促進法なんかも一つの糧といたしまして、幅広い、自主的な環境配慮の取り組みがマーケット、市場におきまして積極的に評価される環境の整備を行ってまいりたいと思いますし、例えば、優秀な環境報告書については表彰するとか、あるいは環境報告書をわかりやすく、ガイドラインのようなものをつくるとか、そういった制度はこれからも進めてまいりたいと思いますし、あるいは、環境報告書を離れて、もっと幅広く申し上げれば、例えば中小企業にとってはISO14001なんて非常に複雑でございまして、お金もかかりますから、中小企業用のエコアクション21みたいなものをもっと普及するとか、あるいはグリーン購入を進めるとか、あるいはエコファンド等のSRIみたいなものをどんどん進めていくとか、そういうさまざまな施策を中心として、市場において環境というものの価値が評価されるような、そういう仕組みづくりに尽力してまいりたい、このように思っております。

木挽分科員 ありがとうございます。

 確かに、そうしたことが認知され、企業にとってもステータスとなって、国民の皆さんに認知されるような形になれば非常にいいなと思います。その意味では、環境大臣が昨年来取り組んでおられますクールビズや、今回はふろしきを題材にして皆さんに広めようというのは非常にいい視点だと私も日ごろから敬服しておる次第でございます。

 さて、教育の現場、産業界、そうした場での環境というテーマを、また広がりという視点で考えると、やはり日本国内ではなくて、どうしても世界というもの、地球規模での視点を抜きに考えることはできないと私は思います。

 ところで、ここで少し方向性は変わるかもしれませんが、JICAにおける海外での環境保全活動はどのようになっているのでしょうか。JICAの環境保全活動の現状と、今後、さらにそうした活動を促進させるための方策などについてお聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 環境問題の取り組みというのは、当然ながら、我が国が行います政府開発援助、ODAの世界でも最も重要な課題の一つということでございます。その意味でも、JICAが行います海外での活動、この活動に際しましても環境問題への配慮というものは当然非常に大きなテーマであるわけでございます。

 これには二つの側面がございまして、JICAが行ういろいろな活動に際して、環境問題への配慮というものを怠らない、いろいろなプロジェクトを行うに際しても、環境問題を十分に考えながらやっていくというものでございます。この点につきましては、昨年から新たに新しい環境配慮のガイドラインというものを導入いたしまして、すべての案件、事業というものがきちっとしたガイドライン、環境配慮にのっとって行われるという体制を整備いたしております。

 それから、もう一つの側面としては、当然ながら、JICAを通じて行われます途上国に対する技術協力、その重要な分野の一つが環境問題、環境対策でございます。これにつきましては、途上国の大気汚染対策であるとか、あるいは植林であるとかいろいろな、環境保全のためのいわゆる途上国の能力向上のためにJICAを通じて技術協力を行う、JICAが行う協力の非常に重要な部分がそうした環境対策能力の向上ということになっておりまして、こういった分野の協力については、引き続き充実をさせてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

木挽分科員 ありがとうございました。

 施策、確かに世界的な規模でそういった環境問題も重くとらえて臨んでおられるということはよくわかりました。

 しかし、先ほど来申し上げておりますが、私、在野のそうした若手の研究者たちとの交流を通してお話を伺っておりますと、JICAの方々にせっかく貴重なデータをお渡ししても、それを有効に活用するどころか、逆に、そういったものを、その土地土地、あるいは地域、発展途上国などの環境保全のために役立てようという姿勢が見られないというような、そんなお話が随所に聞かれておりますので、またこんな質問をさせていただいたところではございますが、また、もしそれが本当ならば、私、これは別に検証してきたわけではございませんけれども、そういった報告を聞いている中で、JICAの積極的な環境研究への参画と貢献が望まれる中で、そういった姿勢で臨まれないということが本当に散見されるのであれば、今先ほどからお話しさせてもらっておりますけれども、現状を考え、もっとやる気のある、大学の研究室だとか、そういった若手研究者へ委託した方が効率的かつ効果的な分析ができるのではないかと思うのですが、その辺はいかがお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、JICAにおきます環境問題の取り組みは先ほど申し上げたとおりでございまして、いろいろな分野について環境問題に積極的に参画をしていくというのが、これはJICAの基本的な姿勢であろうと思いますし、また、こうしたJICAの取り組みにつきましては、いろいろな形で、先ほどもガイドラインということを申し上げましたが、JICAの取り組みぶりにつきましては、ホームページ等を通じてもいろいろな形で公開をしておりますし、また、いろいろな方から、外部の方からも御意見をいただくという体制をとっております。そういう意味では、JICAそのものの環境問題に取り組む姿勢というのは、先ほど私が申し上げたとおり、積極的にこれに対応していくということであろうと考えます。

 また、今御指摘がございました、例えば研究者の方、あるいは大学の方等でそういった環境問題について非常に積極的に取り組んでおられる方々、そういった方々に例えばJICAの事業の中でいろいろな形で協力をしていただく、こういった視点は、またそれは非常に重要な視点だろうと思いますし、JICAも、そうした大学とか研究機関との協力ということについては、特に近年でございますが、非常に力を入れてきているというところでございます。

木挽分科員 どうもありがとうございました。

 次に、国及び国の研究機関が有する人工衛星画像などの環境分野におけるデータ等の民間への提供、この件について、今後、地球環境分野における研究を促進する上で重要であると私はとらえております。

 先ほどから申しております、国及び国の研究機関が有するデータを民間に無償で提供するなど民間の地球環境研究を進めるための方策というものについてお聞かせいただきたいと思います。

小林政府参考人 今お尋ねの点、民間の研究員の方々との交流等々でそういった御指摘があったのかというふうに思っております。

 御指摘のとおり、衛星データ等、例えば一平方キロのデータですと数万円といったような値段で費用が取られるということは私ども承知してございます。

 私ども環境省におきましては、衛星の画像データ等は持っておりませんけれども、例えば、衛星によりますところのいろいろな、例えば大気汚染物質の濃度の分布、こういったようないろいろなデータを持ってございます。こうしたことにつきましては原則無償で提供するということで、私ども、ささやかではございますけれども、そういった民間での研究の促進ということに努めている次第でございます。

 時間の関係で簡単に済まさせていただきたいと思いますけれども、例えば、衛星搭載用の大気観測センサーから得られたデータ、これは専門の学者さんが使うものでございますが、大体年間五十人の方が無償で使っていらっしゃるとか、あるいは、地表の大気汚染のデータ、これは衛星データではございませんけれども、こういったものにつきましては年間一千八百万件ものアクセスがあるとか、そういったようなことで、無償のデータ提供については十分御活用いただいているのかなというふうに考えてございますが、今の御指摘でございます、なおこういった民間の研究促進になりますように、私どもとしても工夫を凝らしてまいりたいというふうに考えてございます。

木挽分科員 ありがとうございます。

 今のお話をお伺いしておりますと、十分、無償提供の方は広がっているというふうに受けとめていいのでしょうか。

 先日話題になったグーグルアース、ありますが、あれはアメリカが無償提供した衛星画像を利用して作成されておりますよね。我が国も、今後、自国が上げた衛星データは、調査研究への利用の場合、無償提供がもっともっと必要ではないかと私は思います。ぜひとも、予算の多い大学だとか大きい金額の科学研究費の当たった研究室が利用できるというような構図がないよう、広くそういったものを進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 我が国における環境ビジネスや環境研究のお話、るるさせていただきましたが、私は、そういったお話からも、まだまだ脆弱であると考えております。国としても積極的にバックアップする必要があると、先ほど副大臣からも力強いお言葉をちょうだいいたしましたが、ここで最後に環境大臣の見解をいただきたいと思います。

小池国務大臣 我が国におけます環境ビジネス、そして環境研究という分野でございますけれども、環境と経済の好循環を支えるという意味では極めて重要なことだと思います。

 そしてまた、例えば公害防止用装置の製造といったこれまでの形、従来型の環境ビジネスなどもございますけれども、省エネ型家電製品など、環境保全を意識した消費者によって需要が誘発されますいわゆる環境誘発型ビジネスというものがございます。そういったビジネスのマーケット規模として、例えば、二〇二五年には百兆円を超えるものと見込まれておりますし、また、そちらの方向に導いていくということが我々の務めではないかと思っております。

 それから、エコファンドというものがございます。社会的責任投資、SRIというファンドシステムでございますけれども、環境ビジネスにしっかり取り組んでいるような企業のそういった項目をバスケットに入れたエコファンドでございますけれども、こういうのもこれからもっと活用していくことが、環境ビジネス、そしてまた、環境ビジネスが広がると、ここは鶏と卵かもしれませんけれども、研究開発の方がさらに進むということになるのではないかと考えております。

 これまで、環境ビジネスの発展を促すために、環境省の方でも、環境ビジネスに関しての市場規模調査など情報の発信をいたしましたり、それからグリーン購入の推進で環境に配慮した製品であるとかサービスの市場形成を行っていく、それから地域発の創意工夫を生かした環境ビジネスの振興などにも取り組んでまいったところでございます。

 また、環境研究につきましても、競争的研究資金によります研究開発の活動に対しての支援、環境技術実証モデルの事業によります実用段階の技術に対しての支援など、研究開発の段階に応じた各種の支援も図ってきたところでございます。

 また、私は、環境大臣として、私的な懇談会として、環境ビジネスウイメンという、環境ビジネスで起業をしたとても元気な女性たちを集めまして、その彼女らをしっかりとバックアップをすることで、さらにそんな環境ビジネスを目指そうという女性を啓発したり、それから、もっとわかりやすく言えば、小泉総理が総理に就任されたときにおっしゃっておられました政府の公用車を低公害車にかえていくなどというのも、まさしくこの環境ビジネスというのを国が後押しをする。そして、その後押しをした後は、まさに競争原理、市場原理でもってさらに環境ビジネスが伸びていくということで、国全体としてこの環境ビジネスというのが広がっていく、そしてそれは、すなわち日本の国づくり、その柱が環境であるということにつながっていくのではないかと考えております。

 環境ビジネス並びに環境の研究ということの促進というのは極めて重要なことであるということを踏まえまして、これからも全力で取り組んでいきたいと思っております。

木挽分科員 大臣、本当にありがとうございました。

 私も、地域で、うつむきかげんな中小企業に、環境というテーマがもうかるんだよ、元気出してくれよと鼓舞しながら、また、若手研究者にも夢の与えられるような、そんなテーマとして、私もこれからおしりを押していきたいと考えております。

 ありがとうございました。質問を終わります。

玉沢主査 これにて木挽司君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)分科員 民主党の田村謙治でございます。

 本日は、この予算第六分科会でお時間をいただきまして、私も環境問題につきましてはまだまだ勉強中でございますので、小池大臣初め環境省の皆様に御指導をいただければと思っている次第でございます。

 本日、私が取り上げさせていただきますのは、自然再生推進法でございます。自然再生推進法というのは、平成十五年、三年前に施行されたというふうに聞いております。この法律に基づいて、自然再生協議会というものが設置をされて、全体構想や実施計画が策定されているということのようでございますけれども、現在の状況について御説明をお願いいたします。

南川政府参考人 お答えいたします。

 十五年の一月に法律が施行されまして、三年が経過いたしました。この時点での自然再生協議会は、全国で十八カ所設置されております。そのうち八つの地域で自然再生の全体構想が作成されましたし、その八つのうちの二つの協議会で実施に関する計画が策定されております。

 なお、すべての十八カ所におきまして、既に具体的な取り組みは始まっております。調査は実施をしておりますし、また試験的な事業は始まっておるということでございますので、全体として自然再生の取り組みが着実に進められているというふうに感じております。

田村(謙)分科員 今現在、十八カ所で自然再生協議会が設置をされているという御説明をいただきました。

 今後設置が見込まれる協議会というものが、どの程度現在の段階で見込まれているのかというのも教えていただけますでしょうか。

南川政府参考人 お答えいたします。

 私どもで把握している範囲でございますが、高知県の竜串というところでのサンゴの再生事業、それから沖縄県漫湖というところでの干潟再生事業の二件がございまして、来年度中には設立の見込みというふうに承知をしております。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 現在のところ十八カ所、そしてさらに今後二カ所が見込まれているという状況のようでございますけれども、自然再生推進法が施行されてちょうど丸三年たつわけであります。議員立法で成立した法律というふうに聞いておりますけれども、当初どのような想定があって、そして三年たって、もともとの想定と比べて、現在の状況というのを実際どのように評価なさるか、大臣から御見解を伺えればと思います。

小池国務大臣 御質問のように、この自然再生推進法、三年がたちました。十八の協議会が設立されたということでお伝えしたんですが、実は、十八番目というのがきのうできたばかりでございまして、沖縄の石西礁湖の再生協議会がきのう立ち上がったところでございます。

 いずれにいたしましても、この十八の協議会、地域住民であるとかNPOの皆さん、それから専門家を含みます、合わせて約千名の構成員が活動をしているということでございます。

 また、各地の協議会では、メンバーをできるだけ広く公募するということによりまして、合意形成を図っていく上で、幅広い層からのさまざまな意見を取り入れるということをベースにしております。そしてその上で、慎重に、かつ建設的な議論が行われているものと認識をしております。

 これらは、自然再生推進法の趣旨をきっちりと踏まえられまして、多様な主体が参画するという自然再生の取り組みが全国各地で着実に進展をしているということを示すものだ、このように考えているところでございます。

田村(謙)分科員 そうしますと、確認なんですけれども、単純に数だけで評価するものではないとは思いますが、三年間で十八カ所立ち上がったということ自体について、もともと議員立法をした時点で、明確に何年間で何カ所が目標とか、そういう目標は多分なかったんだろうと思いますけれども、当時想定していたような協議会の立ち上げの、例えば数で見た場合に、三年間で十八カ所というのは、大体もともと想定していたとおり順当なのか、あるいはそれ以上なのか、若干ペースが遅いというふうに考えていらっしゃるのか、いかがでございましょうか。

小池国務大臣 こういった項目は、数というよりは、その質が問われるべきではないのかな、このように思うところでございます。また、こういったいい例ができてくるという、その実績を積むことによって、それらをまたモデルにした形で全国で進んでいくということではないかと思います。

 三年目でございますので、こういった形で一つずつ進めていく、実際にその合意形成を進める、結論に至るまではこれはかなり時間がかかる場合も、そのケースによって違うと思いますけれども、そういった形で、何カ所であるとか、それからそのスピードについてどうとかということは、数ということは余りメジャーメントには入らないのではないか、私はこのように考えております。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 それでは、若干、中身についてお伺いをさせていただければというふうに思います。

 自然再生協議会の設置にどのような要件があって、そして事業が実施されるまでにどのような手続があるのか、簡単に御説明をいただければと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 まず協議会をつくるに当たりましてでございますが、地域において自然再生事業を実施する者が協議会をつくっていただきます。これは単に周りから批判するのじゃなくて、みずから、どんな小さなことでも具体的に参加して、体を動かしてその再生に加わるという方が集まってもらう必要があるわけでございます。そういう方が協議会を組織しまして、そしてその協議会において対象区域、目標などを定めた全体構想というものをまずおつくりいただきます。その上で、その実施者の集まりが、その構想を踏まえまして、また協議会で十分な具体的な御検討をいただきまして、事業実施計画というものをおつくりいただきます。それを環境大臣など、また都道府県知事にもお送りいただくということでございます。

 私ども、それをいただきますと、専門家の会議の意見を聞きまして、必要な場合には助言を行うということで、全体としてその再生事業が適正にいくように確保したいと考えているところでございます。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 現在の状況として、十分に自然再生推進法が機能しているというか、自然再生協議会も全国で順当に立ち上がっているという御評価をしていらっしゃるということは今お伺いいたしましたけれども、念のため、自然再生推進法の附則の三に、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というふうに書いてございますけれども、まだ丸三年ですので、あと二年ございますが、現時点で何らかの見直しとか、問題点というようなことはお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

南川政府参考人 実は、この法律の議論が国会でございましたときに、私は官房総務課におりました。そのころからずっと議論はフォローしておりましたけれども、この法律自身は全体的に推進しようという法律でございまして、いわゆる国民の権利義務を縛るということではないわけでございます。そういう意味で、こんな法律が要るのかどうかという議論はございましたけれども、やはり多くの議員の先生方が熱心に討議してつくっていただきました。そういう意味では、非常に成果が出ているというふうに、私はずっとこの問題にかかわってまいりまして、まず感じておるところでございます。十八が少ないかどうかわかりませんけれども、大変その機運が盛り上がっておるというふうに考えております。

 また、この法律は、つくる時点から、できるだけ批評家じゃなくて、体を動かして参加する人に情報を出して協力してもらおうということでできております。そういう意味で、各地の情報をできるだけオープンにして、多くの人にその現状を理解してもらえるように努めたいと思っております。

 どういう反響があるかを踏まえた上で、私どもも必要な点検を行いたいと思っておりまして、まず現状では、三年たちましたけれども、各地の情報を広く知っていただくというところから徹底していきたい。その上で、あと二年たった時点で判断をしたいと考えております。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 私も、今局長がおっしゃったように、地域の住民やNPOを巻き込んで、まさに地域住民が中心となって自然を再生していく、それをサポートするという枠組みは、非常に日本においては先進的な法律だなというふうに、まだまだ私は専門家ではありませんけれども、若干勉強させていただいた中では思っているところでございます。そういった意味で、よりいろいろな地域で活用ができるようになったらなという漠然たる思いがあるわけなんです。

 そういった意味で、先ほどから、現在十八カ所で、今のところあと二カ所で協議会が立ち上がるという状況は、最初の三年としては十分じゃないかというお話がございましたけれども、まだまだもっといけるんじゃないかなという非常に漠然とした思いがあって、そこでお伺いをするんです。

 ただ、地域の住民を巻き込むという非常にいいアイデアでありますけれども、その一方で、当然いろいろな方々を一緒の協議会にまずまとめて、それを立ち上げていくという、さまざまな困難がやはり伴っているのかなという気がしております。

 例えば、自然再生推進法の枠組みでもできるようなことでも、地域のNPOやいろいろな団体の中でうまくまとまらずに、結局この法律を活用せずに、それこそ単に各省庁の補助金を引っ張ってくるとか、そういったもので済ましてしまっているというようなケースが多いという気がしているんです。

 その点について、例えば、自然再生推進法というものの先ほど御説明いただいた手続的な部分で、その障害になっているというような部分はないかどうか、その点についての御見解をお伺いします。

南川政府参考人 手続といいますよりも、私自身いろいろな方にこの関係でお会いしておりますけれども、やはりリーダーがおられるかどうかということが非常に大きいと思います。何だかんだ言いましても、足を運んでいただくとか、休日も顔を出していただいて手伝っていただくとかいうことが大事でございますので、いわゆる役所でない方に、民間の方なりNGOの方にしっかりしたリーダーがおられれば、かなり各省もそれに協力する、自治体も協力するということが多いように思います。そういう意味で、ぜひ、多くの方に知っていただけるように情報を広めて、できるだけリーダーたる方がそれに関心を持つように広げていきたいと思います。

 手続については、私が聞いている限り、さほど煩瑣ではないというふうに承知をしております。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 確かに、それぞれの地域でリーダーを見出すというのは非常に難しいことなのかなというのは、私の地元で見ても何となく想像はつくところではありますけれども、その延長なのかなとは思います。

 今までの、既に十八カ所の自然再生協議会の一覧を拝見させていただきますと、十八カ所あって、その協議会の参加メンバーとしては確かに幅広くいるんだと思いますが、やはりどうしても自治体系が中心になってしまっているのかなと。NPOとかほかの市民団体、あるいは地域というのは後からついてきているのかなと。そういうNPOのような、本当にそういう自治的な団体が中心になって、まさにリーダーとして立ち上げるというようなケースというのが、まだまだ少ないかなというふうな印象を受けているんです。

 それについて、確かにいろいろな困難が伴うということは今局長からもお話をいただきましたが、例えばNPOという観点から見て、まだまだそれほど中心的な役割を果たしていないという理由、原因はどのようにお考えになりますでしょうか。

南川政府参考人 私の印象で申し上げますと、時間の問題だと思います。

 つい二週間ほど前でしょうか、CONEという、民間の自然保護関係の指導者を集めた、民間の新年会がありました。私も農林省とか国交省の方とともに参加をいたしましたけれども、そこには、百五十人程度、実際に民間で、半ばボランティアの方も含めて、地域でのそういう自然体験活動などのリーダーをしている方が集まっておられました。二時間ほど一緒に酒を飲んでだべってきただけなんですけれども、随分そういう方がふえている。特に、若い方もおられますし、あるいは、五十を若干超えて、これから第二の人生を自分なりに考えたいという方もおられまして、そういう意味では、そういう方がどんどんふえてくるのは時間の問題だと思いますし、私ども、ぜひそういう方とのおつき合いを深めながら、そういう方が少しでも活動しやすいように応援していきたいと思っております。

田村(謙)分科員 私もまだまだこの点については半ば素人でありますけれども、今回のこの法律、非常にいい枠組みでありながら、例えばその財政的な裏づけがないとか、今非常に財政は厳しい状況であることは私も十分に承知をしておりますので、こういう新しい法律というのはなかなかそういう裏づけをとれないという状況は私も十分理解をしておりますけれども、例えばやはりそういったところがネックというか、逆に言うと、財政的な裏づけがあればより皆さんも乗りやすくなるとか、そういったふうにはお考えにならないのかどうか。もし大臣の御見解があれば、お伺いをできればと思います。

小池国務大臣 自然再生法でございますけれども、お金のこともさることながら、まずは、どうやって地域で環境を守っていこうかというその総意がないと前に進まないんじゃないでしょうか。その総意が結局、お金が後からついてくるという話になってくるのではないかと思っておりますので、予算をつけるからここをこうしろというのは、それはむしろ二十世紀型の考えで、その結果としてあちこちダムをつくったり海岸線をセメントで固めちゃったということなのではないでしょうか。むしろ、地域の方が、我々の地域はこうやって自然を守りたいんだという結論をまず皆さんで出していただいて、そこから、これまで曲がっていた川をびょんと伸ばしてコンクリートで固めたのを、今度またそれを壊して、もとにあった自然の河川に戻していきましょうというような形にするのが、この自然再生法の一番のコアの部分、魂の部分ではないのかな、このように考えております。

田村(謙)分科員 先ほど局長の方から、さまざまな努力をなさっているという話もございましたけれども、もうちょっと具体的に、各地にさまざまな情報提供をしなければならない、あるいはリーダーがいるかどうかというのが非常に大きな問題だということは、逆に言うと、リーダーをどのように見つけるのか、あるいは育成するのかというような話になるんだと思いますけれども、そこは環境省さんとしてはどのような御努力をなさっているのか、今後どういうことをお考えになっているのか、教えてください。

南川政府参考人 私ども、東京でも、それから地方の環境事務所、あるいはまた出先の国立公園の管理事務所などで、できるだけ多くの方に会うようにしております。私もそうしておりますし、また職員にもそれを督励しております。そして、いろいろな人に会って、もっといろいろな話をするということで、その中でこの人はと思う人がいれば、その人とのつき合いを深くするということだと思います。

 いずれにしても、どんどん人は出てきていますので、そう道は遠くない、必ず近いうちにこの事業が全国的に展開できるというふうに信じております。

田村(謙)分科員 ぜひともその御信念で大臣以下頑張っていただきたいなというふうに思います。

 そういった中で、ちょっと私の地元の話で恐縮ではありますけれども、私の地元というのは静岡四区、静岡市の清水区も入っているわけでありますが、静岡市においては既に一カ所、巴川の流域の関係で自然再生協議会が立ち上がって、いろいろと御尽力をいただいているという話も聞いておりますが、三保の松原というところがございます。清水港のすぐ横に三保半島、半島といいましても大変小さいものではありますけれども、十数キロ離れた安倍川からの砂が流れて半島になっている。そこからの富士山の眺めが大変きれいだということで、以前からそれこそ浮世絵ですとかさまざまな絵にもなったりしているような名勝であるわけなんですけれども、そこの半島が、安倍川の土砂が一時期減って三保半島の海岸が随分侵食をされてしまったというような話があります。

 地元の人間として、やはり観光名所として何としても残していきたいという思いが私も一市民としてあるわけでありますけれども、三保の松原の、三保半島の海岸侵食の状況、原因ですとか、あるいは今までどういった対策をなさっていたのかということにつきまして、国土交通省さんの方からお伺いをいたします。

亀江政府参考人 ただいま、静岡市の三保の海岸侵食についてお尋ねがございました。

 三保の松原を含む静岡・清水海岸は、先ほど先生おっしゃいましたように、主として安倍川から海岸へ供給される土砂によって形成された海岸でございます。安倍川は昔から土砂の堆積により河床が上昇し、しばしば大洪水に見舞われたことから、昭和三十年代から四十年代にかけて、骨材採取と洪水対策のために、年平均約七十万立方メートルの土砂を掘削してきました。このため、安倍川からの土砂供給が減少し、海岸侵食に影響したものと考えております。

 そこで、安倍川に堆積した土砂を掘削して海岸に人工的に搬入する養浜対策や、養浜した土砂を安定化させるためのヘッドランドの整備等を平成元年度から実施してまいりました。これにより、現在では砂浜はほぼ安定しており、一部を除いて約百二十メートルの砂浜が維持されている状況でございます。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 いろいろな御尽力をなさっていらっしゃるという、実際に過去最悪の時期に比べたら改善をしているという状況のようでございます。

 私もつい先日も見てまいりましたけれども、まだ依然として消波ブロック、波を消すためのブロックなどがばっと積んであるというような状況で、そこは何とかさらにきれいにならないかなという思いがあるわけですけれども、それについてどのような対策というものが考えられるのか、ぜひお考えをお聞かせください。

亀江政府参考人 ただいま静岡市三保の今後の海岸侵食対策についてお尋ねがございました。

 本海岸の侵食対策として、安倍川からの土砂供給を増加させるということで、そのために河川の土砂採取を禁止いたしましたが、河川から自然に供給される土砂だけでは長大な海岸線全体の砂浜が回復するまでに長期間を要します。この間、海岸線の後退が急速に進んだために、安倍川から供給される土砂が砂浜を回復する効果を発現するまでの措置として、安倍川に堆積した土砂による養浜対策や、養浜した土砂を安定化させるためのヘッドランドの整備等を緊急的に実施してきたものです。

 この際、三保の海岸は富士山を望む景勝地であることから、海岸侵食対策の計画に当たりましては、景観に配慮した施設計画とすべく、有識者による検討を行いました。この検討結果を踏まえて、三保の海岸においては、必要最小限のコンクリートブロック製の構造物の設置にとどめることといたしました。

 これらの構造物が砂浜の安定に役立っているということから、例えばこれを直ちに撤去したらどうかというようなお話もあろうかと思いますが、砂浜の不安定化を招き、再び侵食を助長させるということにつながるために、困難ではないかというふうに考えております。

 今後とも、三保の松原を含む一連の海岸の砂浜の変化につきましては、海岸管理者である静岡県において継続して実施されておりますモニタリングを踏まえ、景観に十分配慮した安全で美しい海岸を目指して、よりよい工法によって対策が講じられるよう静岡県とともに検討してまいりたいというふうに考えております。

田村(謙)分科員 今お話がございましたように、県ですとかあるいは国土交通省さん、さまざまな努力をしていらっしゃる。そして、有識者の方々を集めて検討していらっしゃる。御尽力につきましては私も敬意を表する次第ではありますけれども、今後どうしていくかというのは、それこそ地域の住民やさまざまな問題意識を持った方というのは、私も地元を歩いてみますと、個別には結構お会いすることはあるんですね。ただ、それがまだ大きな、それこそNPOとかそういったまとまりにはなっていない。個別には問題意識を持っている人がいても、今役所が何をやっているかわからないし、結局はどうなるんだという問い合わせをかなりいただいております。

 そういった中で、もちろん、それこそ県や国土交通省さんの御尽力というのは引き続きお願いをしたいと思っておりますけれども、そこに地域住民の方々でそういう熱心な方も一緒になってやっていくということの方が、それこそまさに景勝地というのは、人が来るから、人がそこに来て、ああきれいだなと、より多くの人に楽しんでもらう、そういう場所をつくっていこうという話でありますので、やはり地域の人も一体となって進めていくということが大変重要なんじゃないかなと私は思っております。

 そこで、この自然再生推進法のようなコンセプトというのは、もし当てはまるのであれば、非常にいいスキームなんじゃないかなというふうに個人的に思ったのでありますけれども、例えば自然再生協議会のように、後方支援に当たるような人たちが出てきて、そういう協議会のもとになるようなものができるというような見込みが立つ場合、そもそもこの三保のケースというのは、自然再生推進法のスキームを利用することというのは可能性としてあり得るのかどうかということをお伺いいたします。

南川政府参考人 私も一度伺ったことがございますけれども、三保の松原は大変立派な自然景観の地だと承知をしております。

 この推進法、地域からの発意があって、そこに多くの方が参加していただくということで動くものでございますので、地域の動きを待ちたいというふうに考えております。

田村(謙)分科員 局長御自身もいらっしゃっていただいたということで、大変心強く感じている次第でございます。私もまだまだいろいろなところで勉強させていただきながら、確かに、先ほどから局長あるいは大臣からお話がございましたように、地域のリーダーにまとめてもらうというのは非常に難しい部分は多々あるとは思いますけれども、三保には限りませんが、私も微力ながら、こういう非常に先進的ないい法律の後押しをさせていただくべく努力をさせていただくとともに、環境省の方でも、大臣以下、皆様にさらなる御尽力をいただきますようにお願い申し上げまして、若干時間が余りましたが、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

玉沢主査 これにて田村謙治君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日水曜日午前九時より開会し、環境省所管及び農林水産省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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