衆議院

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第1号 平成19年2月28日(水曜日)

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本分科会は平成十九年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      河村 建夫君    馳   浩君

      深谷 隆司君    山本 公一君

      大串 博志君    中井  洽君

二月二十七日

 山本公一君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十九年二月二十八日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 山本 公一君

      赤澤 亮正君    木原 誠二君

      萩原 誠司君    馳   浩君

      平口  洋君    広津 素子君

      深谷 隆司君    福岡 資麿君

      藤野真紀子君    盛山 正仁君

      大串 博志君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    中井  洽君

      松本 大輔君    山井 和則君

   兼務 田端 正広君 兼務 古屋 範子君

   兼務 赤嶺 政賢君 兼務 重野 安正君

    …………………………………

   農林水産大臣       松岡 利勝君

   環境大臣         若林 正俊君

   農林水産副大臣      山本  拓君

   環境副大臣        土屋 品子君

   農林水産大臣政務官    福井  照君

   環境大臣政務官      北川 知克君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間杉  純君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           中林 圭一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局結核感染症課長)        三宅  智君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       染  英昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           吉田 岳志君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            岡島 正明君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  山田 修路君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            中條 康朗君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           高橋 賢二君

   政府参考人

   (林野庁長官)      辻  健治君

   政府参考人

   (水産庁長官)      白須 敏朗君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  関  成孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           近藤 善弘君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 大口 清一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 石野 耕也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   由田 秀人君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  冨岡  悟君

   参考人

   (独立行政法人緑資源機構理事長)         前田 直登君

   農林水産委員会専門員   渡辺 力夫君

   環境委員会専門員     齊藤  正君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     赤澤 亮正君

  深谷 隆司君     木原 誠二君

  大串 博志君     山井 和則君

  中井  洽君     細野 豪志君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     福岡 資麿君

  木原 誠二君     萩原 誠司君

  細野 豪志君     鈴木 克昌君

  山井 和則君     楠田 大蔵君

同日

 辞任         補欠選任

  萩原 誠司君     藤野真紀子君

  福岡 資麿君     平口  洋君

  楠田 大蔵君     後藤  斎君

  鈴木 克昌君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     盛山 正仁君

  藤野真紀子君     広津 素子君

  後藤  斎君     大串 博志君

  松本 大輔君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     深谷 隆司君

  盛山 正仁君     河村 建夫君

  近藤 洋介君     中井  洽君

同日

 第二分科員重野安正君、第三分科員田端正広君、古屋範子君及び第四分科員赤嶺政賢君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

山本主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中農林水産省所管について政府から説明を聴取いたします。松岡農林水産大臣。

松岡国務大臣 平成十九年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。

 農林水産業と農山漁村は、食料の安定供給はもちろんのこと、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成などの多面的機能の発揮を通じ、国民の毎日の生活において重要な役割を担っています。さらに、農林水産業や農山漁村が持つ潜在能力を最大限に引き出すことは、国民生活を一層豊かなものとするとともに、農林水産業を二十一世紀にふさわしい戦略産業とすることにつながるものと確信しています。

 私は、昨年九月に農林水産大臣に就任して以来、これまでの施策の効果や、地域に息づく新たな発想や創意工夫に基づく特色ある取り組みの成果などを徹底して点検検証しながら、今後の政策展開の土台づくりに取り組んでまいりました。こうした取り組みを基礎に、今後は具体的成果に結びつけていくことが重要です。本年が我が国農林水産業の新生元年となるよう、諸施策の推進に果敢に取り組む所存です。

 次に、十九年度農林水産予算について、その枠組みから御説明いたします。

 平成十九年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて、二兆六千九百二十七億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆一千三百九十七億円、非公共事業費が一兆五千五百三十億円となっております。

 平成十九年度の農林水産予算は、担い手への施策の集中化、重点化等による国内農業の体質強化、国産バイオ燃料の本格的導入、農林水産物、食品の輸出促進などの農林水産業、農山漁村の新たな可能性の追求、森林・林業再生や水産業の構造改革などを進める観点から、既存の予算を見直した上で大胆に予算の重点化を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

山本主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま松岡農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。

田端分科員 おはようございます。公明党の田端でございます。

 きょうは、農林水産行政の視点から温暖化の問題についてちょっと議論をさせていただきたいと思います。

 本当にことしの暖冬は異常だというのはもうしみじみ感じているわけであります。東京も、このままいけば冬に雪のなかった一年、こういうことになるんではないか。これはもう記録的だと思いますが、全国各地、榛名湖の氷が張らなかったためにワカサギ釣りができなかったとか、あるいは全国各地で雪祭りができなかったとか、いろいろなことが起こっておりますし、スキー場も大変なピンチのようでございます。こうなってきますと、水の問題にも絡んでくると思いますが、ことしの農作物のことにも影響してくるんではないかな、こういう懸念もしております。

 また、この問題は、いろいろなことが言われております、エルニーニョ現象とかそういうことも言われておりますが、しかし、現実の問題として、温暖化になっているということは国際的といいますか世界的な模様であるようでありまして、ヨーロッパでも、そういった意味では雪が少ないとか、そういうふうなことが言われております。

 それで、IPCCがまとめた第四次評価報告を見てみますと、これは、今の調子で石炭、石油を使い続けていくと、今世紀末には世界の平均気温が最大で六・四度C上がるということを言われておりまして、六・四度も平均気温が上がれば、これはもう大変なことになるというふうに思うわけであります。世界じゅうが亜熱帯になるんではないか、こういう感じもいたします。

 京都議定書の第一約束期間をいよいよ来年から迎えるわけでありますが、日本が六%削減を達成するためには、実質、現時点で一四%が必要になる、そういう意味では大変厳しい見通しになっていると思いますが、まずこの点について、環境省、お見えだと思いますので、見通しをよろしくお願いしたいと思います。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、二〇〇五年度、平成十七年度の温室効果ガスの排出量は、速報値で見ますと、一九九〇年度に比べまして八・一%増ということになっております。したがいまして、六%削減約束の達成は容易ではないと理解しております。

 環境省におきましても、このような状況を厳粛に受けとめまして、バイオマスエネルギーの導入などの対策、施策の一層の加速化を図るとともに、二〇〇七年、第一約束期間までの最後の準備の年に当たりますので、来年度末、平成十九年度末までに京都議定書の新たな目標達成計画の策定を行うための定量的な評価、見直しを昨年の十月から行っているところでございます。

 その中で、排出量の見通し、また対策、施策の進捗状況、これを厳格に評価いたしまして、必要に応じて対策、施策を追加することによりまして、六%削減約束の確実な達成を図ってまいりたいと考えております。

田端分科員 松岡大臣、ゴアさんの映画、「不都合な真実」、ごらんになりましたか。おとつい、アカデミー賞でドキュメンタリー賞というのをとられて、私も先般あれを見ましたが、大変なヒットで、あんなドキュメンタリーの、かたい映画がこんなにヒットするなんて、恐らくだれも、ゴアさん自身も思っていなかったんだと思いますが、大反響、出版、本の方も大変売れているようでありまして、それだけ実感として温暖化の問題が我々の生活に入り込んできているんだ、だから若い人もたくさん映画を見に行っていられるんだな、こう思ったわけですが、大臣、感想ありましたら、どうぞ。

松岡国務大臣 今田端先生の御指摘、私もごもっともだと思っております。

 実は、自分のことを言うようで恐縮でございますが、私自身、自民党におきまして、緑のエネルギー革命推進議員連盟、これを五年ぐらい前から結成して、この問題に取り組んできております。

 今、温暖化という問題でありますけれども、時間がないので簡潔に申し上げますが、NHKのドキュメンタリーででありましたけれども、地球が今より六度高かった時代、シベリアが砂漠状態であった、こういったことも現実、地球の歴史の中であったようであります。

 今先生おっしゃいましたように、IPCCの研究の一つの結果として、今よりも六・四度高くなる、最大幅でしょうけれども。そうなりますと、これは本当にどんなことになるのか。恐らく人類は生存していけないような大変な状況になる。そして、もう何度もこれも国会で申し上げましたが、穀物は、成長期の適正温度が一度C上がりますと実は一割の生産が減る、こういうふうに作物生態学の世界でも、それはもう研究成果として言われております。

 したがいまして、私はまだゴアさんの「不都合な真実」は見ていないんですが、これはもう本当に大変なことだ、このように今認識をいたしております。

 したがって、温暖化から地球を守るためにはCO2をどうやって少なくするか。そのためにはやはり、CO2を出さない緑のエネルギー、出しますけれどもまた新たな緑で吸収して差し引きゼロという、土から生まれて土に返る、このエネルギーが一番地球を守っていくんだろう、このように強く認識をいたしております。したがって、これからの問題でありますバイオのエネルギーの問題とか、また吸収源としての森林をしっかりと守っていく、こういったことが本当に重要な、必要な時代であると認識をいたしております。

田端分科員 そこで、京都議定書以後、二〇一三年、そこのところの中期目標をどういうふうに設定するかということは、国際社会の大問題になると思います。

 あの、と言っては失礼ですが、京都議定書を離脱しているブッシュ大統領が、先般の一般教書でも、一〇年度のガソリン消費を今の予想消費量から二〇%削減すると。アメリカですらこう言い始めておりまして、つまり、次の、京都議定書以降の目標に向かって、わずかではありますが、世界世論もそういうふうになってきました。

 この京都議定書は、アメリカが入っていませんし、また中国とかインドとか、こういう大国も入っていないわけでありまして、やはり、これらを含めて、大きな目標を設定していくその役割として、日本がリーダーシップを発揮しなきゃならないと痛切に感じているわけでありますが、世界に向かってこの中期目標を日本としてどういうふうに設定し、日本がどういうことをやっていくのか、ここのところがみずから問われるわけでありますから、この目標についてどういうように政府の方ではお考えになっているんでしょうか。

谷津政府参考人 中長期目標並びに次期枠組みについて、政府としてどう対応するかというお尋ねでございます。

 気候変動枠組み条約の究極の目的は、温室効果ガスの濃度の安定化ということでございます。これに照らして考えますと、今、世界全体の排出量は地球全体の吸収量の二倍以上になっておりまして、これを吸収量と同じレベルに、いわゆるプライマリーバランスを確保するというためには、今後、中長期的に世界全体の排出量を半分以下にしないといけない、こういう状況にあるわけでございます。

 一方、現在京都議定書を批准している国の排出量を見てみますと、我が国、EUなど合わせましても、世界全体の排出量の三割を占めるにすぎません。したがいまして、今後は、京都議定書を批准していないアメリカ、また京都議定書では削減義務を負っていない中国、インドなどを含めまして、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある枠組みを構築することが不可欠というふうに考えております。このため、国連のもとでの交渉会議、あるいはG8プロセスなどを活用しまして、世界各国に取り組みを呼びかけている、こういう状況でございます。

 このように、次期枠組みの目標設定に当たりましては、まず、世界全体で必要となる削減量、これを中長期的にどう考えていくのか、また、次期枠組みの基本的方向につきまして世界各国の間で共通認識を形成する、こういうことが必要と考えております。

 来年には、我が国がG8の議長国となるわけでございます。こうしたことも踏まえまして、議論の進展に主導的な役割を果たす必要がある、かように考えております。

田端分科員 今あったように、G8の議長国になり、日本でサミットを開催する以上、やはりそれは、日本として、世界に情報を発信できるリーダーシップを発揮していただきたい、こう痛切に思います。

 そこで、温暖化に対しての今後の問題は、たくさんテーマはあると思いますね。排出権取引とか省エネの技術の開発とか、ライフスタイルを変えるとか、あるいは森林吸収源に対して三・八%、これは果たしてどうなるのか、大きな問題だと思います。等々課題はたくさんあるわけですが、例えば、森を再生する、里山里地を再生する、そういったきめの細かい積み上げも必要だろうと思いますし、農業との絡みで有効的な緑をふやしていく、こういう政策も大変大事だと思います。

 そこで、ちょっと私なりに一つの提案を申し上げたいわけでありますが、森という、木は時間がかかります、何十年とかかりますが、海の方の海藻、藻ですね、これだと二、三年で育成する、この藻のCO2吸収が非常に効果がある、こういう話を伺っておりまして、むしろ、森林も大事ですが、同じ農水省の中で、水の方の視点から考えて、藻の育成、そういう意味での一つの考え方も今後取り組んでいく必要があるのではないかと思っておりますが、その点について農水省の方の御意見があればお願いしたいと思います。

谷津政府参考人 まず、環境省の方からお答えさせていただきたいと思います。

 先ほど、藻場の扱いについてのお尋ねでございました。

 吸収源の取り扱いにつきましては、一九九七年の京都議定書、またその後の国際交渉を踏まえて二〇〇一年にまとまりましたマラケシュ合意、こういったものに基づきまして国際ルールが定められております。その中では、吸収量に算定できるのは、植林、森林経営、また植生回復などとされておりまして、御指摘の藻場は、現在の国際ルールでは対象になっておらないわけでございます。

 第二約束期間以降の取り扱いにつきましてでございますが、吸収源の課題を今後どのように議論するか、まだ方向が出ておらないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、科学的側面につきましては、IPCCにおいて国際的な検討が進められるというふうに考えてございます。

 環境省といたしましては、藻場が吸収源としてどういう取り扱いになっていくかということにつきまして、吸収源としての有効性の調査研究の動向、また国際的な議論を注意深く見守りながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。

田端分科員 実は、私は大阪なものですからあれですけれども、関西新空港の、埋め立てたその空港の周辺に藻場を育成して、それが今、大変すごい固まりになって育っているわけであります。そして、そこにはたくさんの魚が来て、クロダイ、スズキ、ヒラメ、タコ、百四十種類ぐらいが群がっているようでありますが、大阪府はおとつい、この周辺海域を、第二期の方の空港島の五百メートル以内は第一期と同じように漁業を禁止する、漁獲を禁止するという公布をいたしました。つまり、藻場が育ってそこに魚がたくさん来るわけですが、そこは保存地域として禁止する、こういうことを、第一島に続いて第二島の方も決めたわけであります。

 ということで、つまり、空港島周辺五百メートル内は禁止になるわけでありますが、それほどこれは非常に価値のあるといいますか、有効的な手段だと私は思います。ぜひこれは、きょうはもう答弁要りませんから、新エネルギーということの一つの課題として考えていただきたい。特に、さっきお話があったように、国際的にはまだこの問題は議論になっていないということでありますが、ひとつぜひ研究していただいて、森をつくるより海の森をつくった方が早いのではないかという意味で提案させていただきたいと思います。

 つまり、二〇一三年以降を考えますと、そういったこともやはりやらなきゃだめだということで申し上げているわけであります。

 次に、バイオマス発電について、あるいはバイオマス燃料についてお尋ねしたいと思います。

 これは大変これからにとっては大事なテーマだと思います。それで、いろいろな形で補助金とか交付金とかそういったことも考えていただきながら、このバイオマス発電をやり、またバイオマス燃料、エタノール等も考えていかなきゃならないなというふうに私も思っております。

 大臣にお伺いしたいことは、特にバイオマス燃料の方は、バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議というのが出されまして、そこで工程表をつくるとおっしゃっておられるわけであります。私は、二〇三〇年に六百万キロリットルを目指すということで総理に報告されたというふうに伺っておりますが、これはもう大変な目標、高い目標だと思いますが、それは本当にどうなんだろう。二〇一〇年まで五十万キロリットルが一つの目標だと思いますが、それですら大変だと思っていたんですが、大臣が大変高い目標を持たれたということで、これはすばらしいことだと思いますが、それなりに体制を整えなければこれは至難のわざだと思いますが、その辺についての御決意をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 田端先生御指摘のとおりでございまして、先ほど、二〇一三年以降は、山の森も大事だが、海の森、藻場を育成してというか造成して、これは十分研究をしろということでございます。しっかり問題意識を受けとめまして、このような取り組みを我々水産庁、農林水産省としてもやっていきたいとまず思っております。

 それから、今のバイオ燃料のことでございますが、アメリカが、去年のブッシュ大統領の一般教書演説は二〇三〇年目標だったわけであり、ことしはもうそれを大幅に前倒しいたしまして、二〇一七年、十三年も縮めまして、もちろん目標も多少下げましたが、内容的にはかえってきつくなるような、思い切った、二〇一七年に目標を定めました。バイオ燃料によってこれを達成するんだと。その量は、ガソリンにいたしまして一・三億キロリットル。したがって、私どもが六百万キロリットルと申し上げました、これの実に二十二倍。それも、こっちは二〇三〇年、あっちは二〇一七年ですから。それだけのものを達成するという目標をブッシュ大統領は打ち出したわけであります。

 今、例えばオーストラリアにいたしましても、これも京都議定書に参加していない国なんですよ。ところが、緑の認証制度といいまして、ここも、発電の中に、いわゆる緑のエネルギーに基づく発電、これを何%というように義務づけている。したがって、電力会社は好むと好まざるとにかかわらず達成しなきゃならない。単価の問題じゃない、コストの問題じゃない。イギリスなんかもそうなんですよ。そうやってもう制度をつくっていっている。

 したがって、私ども日本としても、本当にこれは、世界の流れに負けずに、他の国にも率先して、経済活動が多い日本としてもやっていかなきゃならぬ、こう思っていますし、安倍内閣でも、総理が先頭に立ってこのことを強く求めておられました。

 具体的に、昨年十一月、総理から指示がございまして、それを受けまして、私ども関係府省連絡会、局長級の会議を持って、そこにおきましてずっと議論を重ねてまいりました。今先生おっしゃいましたように、二〇三〇年には六百万キロリットルを目指そう、こういう工程表の取りまとめをし、総理に御報告をいたしたところでございまして、御了解をいただき、しっかりひとつその目標に向かって頑張れ、こういうさらなる御指示もいただいたところでございます。

 今回の工程表は技術開発を中心に取りまとめておりまして、木材や稲わら、これを効率的にどうやって収集、集めるか、そういった機械の開発、さらにはエタノールを低コストで大量に生産できる作物の開発。サトウキビにしましても稲にしましても、そういったものを、資源作物をしっかり開発していく、それから効果的に製造をしていく技術の開発。

 そしてまた、一番大事なことは制度ですね。これは税制の面もそうでありますが、他の国と同じような、例えば畜産の廃棄物、これをエネルギーの原料として全国的に使っていけるような、ドイツあたりがやっている再生可能エネルギー供給法に基づく畜産廃棄物からのバイオ発電、こういったことができるように、これは環境省との関係もいろいろあるわけでありますけれども、これは先生方の後押しをいただきまして、大々的、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 今の我々の見通しでは、六百万キロリットルは、これは可能である、こういったことで、これを一々内容を説明するとなると時間がかかりますから申し上げませんが、可能である、これを目標として進めていく。そしてまた、先生方のいろいろな意味での後押しを、御支援を賜りまして、制度改正も含めて取り組ませていただきたい、このように思っております。

田端分科員 大臣の御決意、よくわかりましたが、ここは、エネルギー基本計画改定でしたか、きのう、おとつい、経産省の方でもそういう形で計画を発表されておりますが、そういったこととの絡みで、しっかりと政府内で調整していただかないと総合的な戦略にならないんじゃないかというふうに感じているわけです。

 それで、実は私は先般大阪の堺に、世界で初めてのセルロース技術による、バイオエタノール・ジャパン・関西という会社を視察させていただきまして、廃木材からエタノールをつくるというすばらしい技術を見てまいりました。

 しかし、これはすごいんですが、これを、例えばガソリンに混合して使うということになるためには、供給するガソリンスタンドがまた必要になってくるわけでありまして、そういう意味では、燃料として、今度はそれが消費者との接点になる、そこではどういうふうにインフラ整備するかということとも絡んできます。

 そういう意味では、なかなか、技術はできてもそこを実用化するというのは大変なことだなということを実感しているわけですが、幸い、大阪府が今後五年かけて十カ所で供給スタンドを設置するということをきのう、おとつい、何か発表されているようでありまして、それも非常によかったなと思っておりますが、これは環境省も力を入れられているようですので、ぜひ一つのモデルケースとして成功させていただきたいと思います。

 そういう意味では、バイオによる発電あるいはバイオエタノールによるエネルギーとしての活用、こういったことは今後も大いに研究していただきたいというように思います。

 大臣、今ちらっとおっしゃったように、このバイオエタノールの場合に、私は、やはりネックになるのは、これは非常に申し上げづらいことですが、税が、やはり非常に厳しいものがある。つまり、十八年六月現在、ガソリンが例えば百二十一円だった、そのときサトウキビからのバイオエタノールの料金が、原料費と製造コストとガソリン税、これを入れると百四十四円になりますから、やはり二十円ほど高くなる。こういうところが非常にひっかかってくるし、これは、仮にブラジルから輸入しても、またこれで十八・二円の関税が入ってくるわけですから、そういうのを加算しますとなかなか非常に難しいものがあるというふうに感じております。

 京都とか滋賀県で、菜の花プロジェクトというので、菜の花の油からとった、これの廃油によって混合するものをつくっていますが、これとても軽油引取税が三十二円多くかかってきますから、コスト的にはやはり合わない、十円ほど高くなる、こういうことでありまして、ぜひ税の問題については研究しなきゃならないと思っておりますが、農水省の方で御意見があればよろしくお願いしたいと思います。

染政府参考人 先生御指摘のとおり、バイオ燃料の推進のためには、税制措置は大変重要な手段の一つであるというふうに考えておるところでございます。

 それで、海外を見ますと、バイオ燃料を推進しておりますほとんどの国では、バイオ燃料にかかりますガソリン税に相当する部分、この部分について減免措置を講じているというのが実態でございます。ただ一方、日本では、御指摘のように税制面での優遇措置はなされておらないという現状でございます。

 昨日、松岡大臣から総理に報告されました国産バイオ燃料の大幅な生産拡大の報告書におきましては、「制度面等での課題」といたしまして、「税制措置を含めた多様な手法について検討する。」としているところでございます。

 これを受けまして、農林水産省では、今後とも、諸外国などの実態も十分調査しながら、関係省庁とも連携を図りながら、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けてどのような措置が可能かということについても検討してまいりたいというふうに考えております。

田端分科員 総理の施政方針演説の中で、こういうお話がございました。「京都議定書目標達成計画に基づき、地球温暖化対策を加速します。乗用車の燃費基準を二〇一五年までに二割以上改善し、世界で最も厳しい水準とするとともに、バイオ燃料の利用率を高めるための工程表を策定します。」。

 こういうふうに先般総理から所信表明がございましたが、これはもう大変大事なことだと思っておりまして、つまり、バイオ燃料に対して、総理はやるぞということをもうおっしゃったわけでありますから、この問題はぜひ、今の税の問題も大きな課題ですが、そういったことも含めて検討していただいて、二〇一五年二割以上という一つの数字を出されたわけですので、やっていただきたいと思います。

 そこで、先ほども申しましたが、二〇一〇年に五十万キロリットル達成ということは、これは輸入も入れなければ私はできないんではないかという危惧をしているわけですが、それにもまして、二〇三〇年で六百万キロリットルのエタノールということなんかは、ガソリンの一割に当たるんだろうと思いますが、これはもう国を挙げて取り組まなきゃならない大テーマになっていく、エネルギー問題の最大のテーマになるんではないかというぐらいの私は気持ちを持っているんですが、大臣の積極的な御決意を伺い、そしてまた、その工程表、いつまでにどういうふうにするのか、これはもうせっぱ詰まっていると思いますので、その辺のこともお教えいただきたいと思います。どうぞ大臣、よろしくお願いします。

松岡国務大臣 田端先生からは、ありがたい、御支援の意味も含めて御指摘をいただいたと思っております。

 これにつきましては、例えば、先ほどガソリンと比べて二十円ぐらいの差があると。しかし、私は、温暖化から地球を守っていく、人類の生存をしっかりと将来守っていく、そのためには、これはやはり税制でもってきちんと措置をして、そしてこのバイオ燃料の普及ができるように、広がることができるようにしていくべきだ、そう思っております。したがって、税制も含めた制度的ないろいろな条件整備というのは、これはどうしても、国民総意のもとに関係各省庁にひとつ絶大な御協力をいただいて実現させていただきたい、こう思っております。

 アメリカにしても、ブラジルにしても、それからドイツも私もずっとつぶさに見てきましたが、そういったところにいたしましても、やはり法的なことも含めてそういう条件整備をしっかりやっておりますから、私も、日本としても諸外国に倣って、この整備、おくれております、正直言って。おくれております、税制面でも、いろいろな面でおくれております。したがって、これを早急に整備をさせていただくように、また先生方、これはもう与野党超えて、ひとつぜひともいろいろと御指導とまた御支援を賜りたい、そしてしっかりやってまいりたい、このように思っております。

田端分科員 どうもありがとうございました。

 終わります。

山本主査 これにて田端正広君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤澤亮正君。

赤澤分科員 自由民主党の赤澤亮正です。

 きょうは、松岡大臣、山本副大臣、福井大臣政務官、御質問の時間をいただきましてまことにありがとうございます。少数精鋭ですが、傍聴席に地元の応援団も来ておりますので、張り切って質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、戦後農政の大改革と言われます三本柱の改革の中でも重要な位置づけにある品目横断的経営安定対策について、若干お伺いをしたいというふうに思います。

 今、自民党と民主党でそれぞれ農政の基本的な政策を出し合って、政策の競争というか、国民にそれを問うという状態にあると思います。民主党の戸別所得補償制度、いわゆる直接支払いという制度ですけれども、私自身、これはもう見るからに、まず国際約束といったようなものに合っているのか。毎年の生産に基づいて直接支払いをするということで、WTO上黄色の政策じゃないかとか、あるいは、これだけ、今与党が日豪FTAについて、日本の食料の安定供給を守る意味で交渉について懸念を表明している中で、貿易の自由化も主張されている、若干のうてんきな感じもいたします。ただ、きょう特に問題にしたいのは、私自身、民主党の農政についての基本的な施策で、危機意識が足らぬのじゃないかという思いであります。

 今本当に持つべき危機意識というのは、農家が大変な勢いで高齢化が進行している。六十五歳以上がもう過半を占めているという状態。そして、農地がどんどん減少し、耕作放棄地が増加している。では、このまま農業の構造というのを変えないで、今のままで、何か快適な制度を続けて、十年、二十年たったときに、七十五歳以上の方が過半を占める、八十五歳以上の方が過半を占める、そんな農業構造があり得るのかということであります。当然のことながら体がきかなくなってくる、耕作に出かけたくてももう病院にいるしかない、そういうようなことも考えられるわけであります。後継者不足と考え合わせたときには、当然のことながらここ十年で耕作放棄地が急増する、そういったようなことも十分予想されるところであります。

 そういった意味で、私は、与党の打ち出した、担い手をしっかりと決めて、高齢化されている農家の方も、先祖代々守ってきた土地を今後ともしっかりと管理され耕される状態に置ける、なおかつ、今まで以上によい収入も得られて、生活も安定する、そういった方向にきちっと持っていくことは、当然正鵠を射た対策であると理解をするところであります。

 しかしながら、その一方で、最も対策に参加をしていただきたい高齢者の方が、誤解などに基づいて、土地を喪失するのが嫌だ、これも完全に誤解に基づくものだと思いますが、あるいは自分の役割がなくなるんじゃないか、こういったような議論で、地元でもなかなか対策に参加をされないというような実態があるようにも聞くところであります。

 大事な品目横断的経営安定対策を成功させるために、この点も含めて、大臣の御認識、今後の対策の進め方についての見通しを伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

松岡国務大臣 赤澤先生、随分いろいろな観点から非常にポイントを突いた御指摘が今あったわけであります。

 まず、今回の私どもが進めようとしております経営所得安定対策、品目横断的経営安定対策とも中身としては言っておりますけれども、これにつきましては、今先生が御指摘のように、例えば今七十、八十で農業をやっておられる、しかし、持っておる土地は三反とか四反だと仮にいたします。そういたしますと、三反、四反、七十、八十で、何とかやれるうちはやろう、こういうことになると思います。ところが、これは認定農家とか法人経営とかにはなれない規模であると思います。したがって、では、この方々がリタイアされた後はどうなるのか。そうなりますと、そのままそこは放置されてしまう、取り残されてしまう。これでは、やはり農地がしっかりと生産に供されていくということにならない。

 そこで、私どもとしては、そういったところも含めて、将来、担い手によってそこが担われるようなシステムをつくろう。だから、認定農家として一人で単独でやっていける人は、それはもう一人で頑張ってもらっても結構だし、また、法人経営で頑張れる人は、それは法人経営で頑張って、農地なんかもまだもっともっと集めて大きくして、規模を拡大してやっていく、これも、どうぞ、そのとおり、これは結構だし。

 では、そうじゃなくて、一人や二人や三人では、なかなか、これは将来農業をやって継続していくことが、もう年齢的に見ても困難である。そういった人たちには、うんと固まってもらって、まとまってもらって、これがいわゆる集落という単位で、大きな単位でひとつ固まってまとまってもらう。ある一定の要件をクリアしていただければ、集落という一つの経営的な姿、これも担い手として位置づけていこう。そうすると、大きくまとまっていれば、では自分がそこを担って、しっかりその農作業を請け負ってもいい、こういうことができるわけでして、また新たな人が、それだけのものがまとまっていれば、では自分も担い手としてそこで頑張っていってもいい、こういうふうにして新規就農も可能なわけであります。

 そういうふうに将来の日本の農業というものを、総合力で、そして最大の力が発揮できるような、そういったような姿をつくり上げたい、そして、日本農業の総合力というのが最大限になるような方向を目指す、これが今私どもの進めていることでありまして、これは農政史上、恐らく一度あるか二度あるかわからないというぐらいの、それぐらいの大きな大改革ですから、混乱もあるかもしれません。

 明治維新のときに、それまでとごろっと変わってしまうわけですね、身分制度も社会制度も。不安で心配で、なかなか大変であった。しかし、それを本当に乗り越えて、やはりそれから以降の発展があったわけでありますから、そのような意味でも、今回は特に、先生がおっしゃった高齢者の皆様方、その高齢者の方々がリタイヤされた後その農地はどうなるのか、そして、それはどうやって経営されていくのか、そのことを考えれば、今まとまってもらって、自分の時代だけじゃなくて、将来の時代にも農業経営がなされていくような、そういう姿を目指して、ひとつ御理解をいただきたい。こういったことで私ども、最大限の努力をして進めていきたいと思っております。

 それから、民主党のことを言われましたが、戸別所得補償政策、今大串先生おられますけれども、これは民主党とまた議論をしなきゃならぬと思っております。ここではちょっと、まだ中身がよくわかっていないんですよ。戸別所得補償政策というタイトルだけしか私ども承知いたしておりません。そこで、仕組みがどうなのか、規律がどうなのか。

 ただ、受け取るイメージでは、農林水産委員会でも随分議論もしましたが、その感じでは、これは直接所得支払いというよりも不足払い制度。だから、WTOの規律では、コスト、生産費と価格が差があって、その差を毎年毎年埋めるというのは、これは黄色です。間違いなく黄色です。したがって、それは緑の直接支払いにはなり得ない。したがって、それは削減をしなきゃいけない。もう黄色というのは削減をするということで、信号の黄色と一緒ですから、これはもうとまらなきゃならないですよ。用心しなきゃならぬということ。それはなるべく緑にするというのが方向ですから、そういう意味では、ここでは、民主党の方がおられませんので、あすにでもまた議論があれば、お互いに議論をし合うことがフェアだと思うので、私、きょうここではそれ以上申し上げませんが。

 ただ、おっしゃいましたので、感じだけを申し上げておきますと、そういう性格のものではないか、こういうふうに思っております。だから、先生の御認識も、そこは一つの本質を突いておられるのではないか、こう思っております。

赤澤分科員 ありがとうございました。私も、今この場には民主党の議論できる方がちょっとおられませんので、その点については、もうコメントはこれ以上あれでありますけれども。

 少なくとも、政府の今掲げている政策については、あえて高齢者の農家の方々から不安とかそういったものが出るおそれ、そういったリスクを冒してでも、きちっと最終的に日本の食料の安定供給が図れる、なおかつ、先祖代々の土地を守ってこられた農家の方にも、結局はその土地がきちっと管理し続けられるということでいい政策、本質的にいい政策を打ち続けようということで、私は高く評価をしているところでございます。引き続き、万全を期して対策を進めていただきたいと強くお願いをするものであります。

 私の地元においては、実は米子市市部でも、箕蚊屋平野というのがあって、米の生産がかなり盛んであります。そういう地元で特に若い農家の方とお話をしますと、小規模農家への配慮を求める声とか、あるいは、もっともっと実はつくりたいんだというような、米の増産圧力がなお強いというふうに私自身は認識をするところであります。

 いわゆる非担い手について三年の時限で実施をする稲作構造改革促進交付金、これは担い手用にはずっと残るわけでありますけれども、非担い手については三年の時限で二十一年度に終了ということであります。二十二年度以降も、担い手でない生産者のためのセーフティーネットでありますとか生産調整参加へのインセンティブといったものについては、しっかりと講じていく必要があるのではないかと考えますけれども、その点いかがでしょうか。

福井大臣政務官 おはようございます。御指名まことにありがとうございます。

 赤澤先生におかれましては、特に地方対策、格差問題への対応、そして弱者対策ということで、お地元のお一人お一人に温かいお目配りをされた政治活動をされているということでございますので、高く敬意を表させていただきたいと存じます。ぜひ、国交省出身の大政治家として大成をしていただきますように、心からお祈りを申し上げたいと存じます。

 さて、今御質問の稲作構造改革促進交付金のことでございますけれども、平成十九年度産から、水田におきましても、米も含めた品目横断的経営安定対策が導入されることを踏まえまして、品目横断的経営安定対策の対象とならない生産者に対しましても、米の需要に応じました生産を誘導するために、米価下落の影響を緩和するための対策である稲作構造改革促進交付金を産地づくり対策のメニューの一つとして措置することといたしておるわけでございます。これは今、先生がおっしゃったとおりでございます。そして、二十一年度までの時限措置というのも、そのとおりでございます。

 なおかつ、担い手への集積の促進を図る観点から、担い手集積加算を措置しておりますし、加えて、担い手の育成、確保の見通しを勘案して、二十一年度までの間に交付金額を漸減させるということで、担い手への移行を加速度的に進めるということにしております。

 このように、交付金は二十一年度で終了いたしますけれども、今、先生が御心配のように、だれも冷たく見捨てられる、冷遇されるということがないように、二十二年度以降の産地づくり対策、産地づくり交付金の扱いにつきましては、しかるべき時期に改めて検討を重ねる、検討をさせていただくということにする考えでございますので、今後とも、先生の御指導をよろしくお願い申し上げたいと存じます。

赤澤分科員 予算にかかわる話でもあり、三年後の話でもありますので、今、何か、この場で確定的なことというのはなかなか言えないんだと思いますが、その点、しっかり目配りをお願いしたいというふうに思うところでございます。

 私の地元では、例えばネギとか、あるいはホウレンソウとか、野菜の生産も非常に盛んに行われているところであります。地元のことしの大きなトピックといえば、やはり暖冬ということであります。郡部などでは、もう旧年のうちに二メートルぐらい雪が積もるようなことが実は昨年はあったわけでありますけれども、今度の冬についていうと、いまだに雪が全くありません。通常はもう、地元を回るのに車ではなかなかつらいというようなそういう時期に、雪が全然ない。この影響で、新聞等でも報道されましたけれども、なべ物用の野菜の需要が盛り上がらずに、値崩れをして、野菜生産農家が打撃をこうむっているという点があります。

 私の地元で特に生産が盛んな、先ほど申し上げました、ネギあるいはホウレンソウなどについて、指定野菜価格安定制度、これが発動されているものと考えますが、その制度の信頼性といいますか、これまでに造成されている資金の規模とかあるいは過去の利用状況、そういったものに照らして不安がないかを伺いたいと思います。

山田(修)政府参考人 ただいま、指定野菜価格安定対策についてのお尋ねでございます。

 先生、今お話がありましたように、野菜については、価格が低落した際にその価格低落分の一部を補てんする価格安定対策を実施しておりまして、先生のお話がありましたように、ネギなどにつきましては、ことし暖冬でありましたので、価格の低落がございます。これにつきましては、所要の条件を満たせば補てん金の交付が行われるということになるわけでございます。

 具体的にこの指定野菜価格安定制度について申し上げますと、あらかじめ、野菜の種類ごとに、国が六〇%、都道府県が二〇%、生産者が二〇%負担をするということで造成をしておりまして、この現在の運用では、価格が大幅に低落をいたしまして最大限の補てんをしたような場合でありましても、一年間の支払いには耐えられるような造成を現在しております。

 先生からお尋ねがありました、ことしの交付状況や、あるいはその価格の動向などのお話でございますが、特に御地元の鳥取県の方では、十二月末までの段階ではまだ具体的な支払いが行われていないという状況にございます。それから、過去の交付の実績を見ましても、積み立ててある分満額を支払うというようなことは過去十年を見ましてもありませんで、かなりレベルが低い状況にございますし、それから、最近の価格の動向を見ますと、品目によっては少しずつ回復しているようなものもありますので、必要な資金は十分足りているというふうに考えております。

赤澤分科員 野菜についてもしっかりとしたセーフティーネットが働いているものと認識をさせていただきます。ありがとうございました。

 もう一つ、地元で私が最近よく聞くのが弓浜半島ですね。こちらは埋め立てなどをいろいろやったりして、砂地っぽいところでネギの生産というのをやっております。

 最近、私のところにネギ生産農家から塩害についての申し立てがあります。

 当初は、農家の方たちというのは、中海干拓に基づいて海面水位というのが上昇したのではないか、こういうような疑いで私のところに来られたんですが、いろいろと関係する省庁などに問い合わせをし、理由を調べてみると、理由は地球温暖化なのか正確にはわかりませんけれども、やはり日本海の潮位が上がったことによって弓浜半島の塩害というのが起きてきているというのが実態のようであります。

 私自身、これについて非常に関心を持っておるわけでありますけれども、全国の海沿いの畑作地において同様の被害というのがこれまでに報告されているか、伺いたいと思います。

中條政府参考人 お答えいたします。

 気象庁によりますと、日本海沿岸の海面水位は一九八〇年代半ば以降上昇傾向にございまして、そのため中海の水位も、国土交通省の出雲工事事務所の観測によりますと、近年十年間でおよそ十五センチほどの上昇が報告されております。このため、弓浜半島の既耕地の地下水位が上昇している主因は、日本海の潮位の上昇に連動した中海の水位上昇ではないかというふうに考えられているところでございます。

 なお、委員から日本海の潮位の御指摘がございましたけれども、串本、油津などの太平洋側でも水位上昇が報告されておりまして、近年の潮位上昇は全国的な傾向であるというふうに聞いております。

 また、御質問の、このような最近の海面水位の上昇によります塩害などの被害につきましては、現在のところ報告を受けていない、そのような状況でございます。

赤澤分科員 今伺っても、中海の水位が十年で十五センチ、これは非常に大きな影響があるだろうと私は思うところであります。

 最初は、干拓工事のせいで、人為的なもので生じていたというような考え方で調べてみたわけで、これであれば何か手を打てば直るかなという感じでありますけれども、本当に地球の温暖化のせいか、そういったことで日本海についても水位がどんどん上がっていっている。こういったことというのは中長期にわたって大きな影響があると私は心配をするものであります。

 今後被害が深刻化をして、弓浜半島でいえばネギ、これは農家にとっては大変希望の作物でありまして、ことしは暖冬で例外的に値崩れが起きていますけれども、ネギについては値段が比較的安定しているということで、弓浜半島でネギをつくっている方たちというのは、大変心強く、自分たちの将来についても安心しておったわけでありますが、こういった問題が生じてくると、長期的に、これがもし構造的なもので変わらないというのであれば、本当に何らかの救済などを考えていかなければいけないかと思います。

 こういった塩害などについての国としての救済策にどのようなものがあるのか、お伺いしたいと思います。

中條政府参考人 お答えいたします。

 一般論ではございますけれども、海面上昇が起こりますと、農地の排水不良、地下水の上昇、塩水の遡上によります作物の生育障害が生じることがございます。

 このための対策としましては、いろいろあると思いますけれども、私ども担当のところでは、湛水のおそれがあります地域の湛水被害を防止するために、排水機場、排水路の整備を行います湛水防除事業、それから、水質が悪化しております農業用水を水源転換するための農業用用排水路等の整備を行います水質保全対策事業、その他、暗渠排水、客土などを行う事業などが考えられるところでございます。

 今後、私どもとしましては、地元からこのような事業の要望がありますと、県、市町村とも協議いたしまして対応を検討していきたい、このように考えております。

赤澤分科員 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。

 次に、先般完成をいたしました東伯地区の国営かんがい施設についてお話を伺いたいと思います。

 これは実は二十七年間の年数をかけて、昭和五十四年開始、平成十八年完成ということで、一千億を超える予算をかけてかんがい施設をつくっていったということで、大変な効果を上げております。私自身が地元の農家めぐりを始めてからすぐに気づいたことというのは、これについては本当に評価を得て、地元も感謝をしている。例えば果物とかの糖度が上がった、あるいは通年でホウレンソウとか、中玉トマトというのが正式な言い方かもしれませんが、プチトマト、こういったもののハウスでの栽培ができるようになった。それまではトラックに積んだ貯水タンクで水をまいていた状態でありますので、かんがい施設が整ったということは大変大きな効果があったわけであります。

 この事業は地元でも大変感謝をされておりまして、私も喜んでおりますけれども、今後このかんがい施設の維持管理をやっていく上で、国にどのような支援をお願いできるのかというのを伺いたいと思います。地元の大変高い関心事項でありますので、よろしくお願いをいたします。

中條政府参考人 国営かんがい排水事業東伯地区についてのお尋ねでございます。

 この事業につきましては、昭和五十四年から事業に着手いたしまして、船上山ダムを初めとします三つのダムと二カ所の頭首工を新設することによりまして、水源を確保するとともに、畑地かんがいに必要な施設の整備を進めまして、今年度に工事の完工を予定しているところでございます。

 お尋ねの維持管理の助成制度についてでございますけれども、国営事業によりまして造成されましたダム、頭首工など、公共性が高い一定規模以上の農業水利施設を地方公共団体が管理する場合に助成を行います基幹水利施設管理事業、それから、国営事業によりまして造成されました施設を土地改良区等が管理する場合に、農業水利施設の持っております多面的機能が適切に発揮されるよう管理体制を整備しますための国営造成施設管理体制整備促進事業などがございます。

 東伯地区におきましても、ダム、頭首工などの大規模な農業水利施設が整備されておりますことから、これらの制度の活用につきまして積極的に検討してまいりたい、このように考えております。

赤澤分科員 ありがとうございました。

 この国営かんがい施設の整備事業でダムが三つ、頭首工が二つできております。国につくっていただいたこの施設をしっかりと活用して地元の農業が発展していくように、今後とも頑張っていきたいと思いますので、その維持管理についての支援もしっかりとよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、林業についてお伺いをしたいと思います。

 京都議定書の目標達成のために、補正予算五百三十億、そして十九年当初予算二百三十五億ということで間伐予算の手当てをいただきまして、トータル七百六十五億円ということで、二十万ヘクタール掛ける六年積み増すということで京都議定書の目標達成ができるということのようでありますが、初年度、二十三万ヘクタール分の間伐の予算を組んでいただいたということであります。

 これについては大変感謝する声がある一方で、割と急に決まったあれでありますので、補正予算中心に裏負担の問題で事業量が積み上がるかというのを心配する声が地元にございますけれども、鳥取県を初めどのような状況であるのか、お伺いをいたします。

辻政府参考人 お答えいたします。

 京都議定書に係る森林吸収目標一千三百万炭素トンの確保のためには、先生の話のように、平成十九年度以降六年間で毎年二十万ヘクタールの追加的な森林整備が必要でございます。このため、平成十九年度の予算と平成十八年度補正予算、合わせまして総額七百六十五億、森林面積にいたしまして二十三万ヘクタールの追加的な森林整備に必要な予算が計上されているところでございます。

 都道府県の裏負担等でございますけれども、補正予算につきましては各都道府県と調整が大体ついているところでございまして、当初予算につきましては、全国ベースでございますが、森林整備で三割がまだ都道府県と調整がついていない、それから治山事業につきましては一割が調整がついていないといったような状況でございまして、六月補正、九月補正に向けて、一生懸命、都道府県と調整を進めてまいりたいというふうに思ってございます。

 それからもう一つ、森林所有者の負担でございますけれども、最近中国等でも木材輸入量が急激に増大をいたしてございまして、木材価格が上昇傾向でございます。こういう中で、間伐材の需要拡大だとか、路網と高性能林業機械の組み合わせによる低コスト化だとか、あるいは企業等による森づくりの推進だとか、こういったことを推進することによりまして、追加の森林整備を着実に実施していく考えでございます。

赤澤分科員 どうもありがとうございました。

 これは地元では、鳥取県、大変林業が盛んであります。林業が本当に採算のとれる事業になっていくように引き続ききちっと目配りをお願いしたいし、間伐についても、これは国有林の場合でも地元の森林組合の人間を雇用していただけるということで大変期待が大きいところであります。しっかりと地方の林業というのが活性化するように取り組んでいただきたいというふうにお願いをしておきます。

 最後に、国際関係について大臣にお伺いをしたいと思います。

 本当に松岡大臣は、大臣になられる前から議員外交、全国会議員の中でも最も有効な議員外交をずっと展開されてきたと、私自身大変尊敬をしているところであります。なので、国際関係については大臣みずからの口からぜひ聞かせていただきたいと思うところであります。

 まずWTOと日豪FTA、両方一度に聞かせていただきます。

 WTOについては三すくみの状態で、昨年交渉が水入りということであります。再開の動きがあるというふうに伺いますけれども、アメリカの農業法などを見ても、特にアメリカが一番責任を負わされて、国内支持の問題でアメリカが譲歩せぬのが一番いかぬ、これがまとまらぬ理由だと言われながら、現時点においても余り国内支持についてアメリカから何か新しい提案が出てきているような感じは私自身は受けておりません。にもかかわらずまた再開しても、いわゆる三すくみの状態は相変わらずでありまして、これについて何らかの展望があるのか。逆に言えば、その三すくみの状態で、日本以外の当事者がバイでどんどん話し合って、日本だけ取り残されて、周りが大体合意しちゃったみたいなことのないように、本当に気をつけて交渉していかなきゃいけない状態だなと私自身思うところであります。その点についての大臣のお考えと、あわせて、ちょっと時間の関係で、日豪についても御質問をくっつけてさせていただきます。

 これについては、もう大臣がいつもしっかりとした御決意を述べておられますけれども、日本の農林水産業、畜産業、大変な問題でございます。最近全中の宮田会長を初め、押しかけて、豪州と交渉をきちっと、毅然とした意思表明というのをしてきているわけでありますけれども、相手の方はもう全く、それについて一顧だにしないといいますか、交渉の対象としていくんだというようなことで取り扱われているように思います。今のままでいくと交渉に入ることについて大変な懸念を持たざるを得ないんですけれども、その辺の見通しについても大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

松岡国務大臣 日豪の方から先に申し上げますが、これはもう、お互いぶつかり合うしかないんですね、正直言って。向こうもすべてテーブルにのせると言っていますし、我が方は逆にすべての柔軟性ある選択肢、これを全部こっちもそろえていますから。いまだかつてない、段階的削減とか、再協議とか、除外とか、そういう言葉を。こちらもあらゆる、持っている武器はもうすべて並べて、うちはこれでやりますと、こう言っているわけです。向こうも向こうで、すべてテーブルにのせてやりますと言っている。だから、ぶつかり合うしかないから、それは腹を据えて頑張るしかないんですね。そして、とにかく自分たちの主張するところをやり抜く。

 ただ、農業の問題の一つそれによって、国家的にも大変大きな問題ではあります、しかし農業の問題でもって日豪全体のEPAをノーと言えるか。それはなかなかそうはいかぬのだろうと思いますから、その中で我々はしっかり頑張るしかない。だから、そこは関係の皆様方の絶大なバックアップをいただきながら、我々はしっかりと頑張り抜く、こういうことだと思って、そういう決意でおります。

 それからWTOの問題でありますが、先生がおっしゃっているとおりでありまして、日本ももちろんですが、EUも、それからインドも、ブラジルも、その他の国のいろいろな国が、まずアメリカが国内支持を大きく削減をして先に動くべきだ、そういうような認識は一致いたしております。ではアメリカは動くのか。なかなか動いてこない、こういう状況でありますが、ではこのままでいいのか。こういったことから、一月のダボス会議におきまして、再開ということが総意で確認をされました。したがって、今現在は、実質上、実務的な再開が行われている、こういう状況にあります。

 先般、先生御指摘のロンドンでG4という、EU、アメリカ、ブラジル、インドの会合がある、そこで日本は取り残されないようにということでありますが、私どもも村上農水審議官を派遣いたしまして、そしてバイ会談をずっとやりました。そして、日本としてもしっかりとコミットしていく、こういうような形で今やっておるところでありまして、先生がおっしゃっておりますような、取り残されて結果だけを押しつけられる、こんなことが間違ってもないように我々はしっかりやっていきたいと思っていますし、ウルグアイ・ラウンドのときに比べますと、これはまず私どもは攻めの交渉をしっかり貫いていこうと。やはり、守っていればどうしても守った分で押し込められる、したがって、我々もいろいろな対応をしながら攻めていく、その中で守るべきはしっかり守っていく、こういう形が必要だと、こう思っております。

赤澤分科員 大臣のことを信頼しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

山本主査 これにて赤澤亮正君の質疑は終了いたしました。

 次に、重野安正君。

重野分科員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、こういう機会を得まして大変ありがたく、感謝いたしております。時間の制約もありますので事細かに申し上げることができない部分もありますけれども、ひとつ誠実に答弁をしていただくようによろしくお願いいたします。

 まず、南極海で日本の船が火災を起こして云々という話でありますが、これについてちょっと聞いておきたいんですけれども、経過について、私が申し上げるまでもなく、大臣十分承知をされていると思うんですが、二月十五日未明に火災が発生しまして、十日間南極海で立ち往生した、二十四日、鎮火をして動ける状態になった、こういう事件であります。

 これにかかわったいろいろな団体がありますけれども、グリーンピース・ジャパンという環境保護団体があることは御案内のとおり。ある意味では、現場では対立をする場面が多々あるんですね。しかし、このグリーンピースの船が日新丸の火災事故にかかわって、救援活動ではありませんが、非常に好意的な行動をとってきたということであります。

 テレビの映像等々で非常にエキサイトした場面も見ましたけれども、まず事実確認として、日新丸の火災事故から鎮火して今日に至る状況把握、あるいはそれに対応して農水大臣としてどういうふうな対処をしてきたのかという点について聞いておきたいと思います。

    〔主査退席、馳主査代理着席〕

松岡国務大臣 先生、誠意を持ってと。私も誠意を持って、先生と隣同士で、大分と熊本でありますから、日ごろからそのような気持ちでおりますが、改めまして、きちっと先生の御指摘を受けましてお答えしていきたいと思っております。

 残念なこういったことが起きてしまいまして、シーシェパードという、環境保護団体と言われておりますが、この団体が大変な妨害活動を、日本の、これは国際協定に基づいて、その許可を受けてやっておる活動に対しまして妨害をしてきたということでありまして、このことはまことに私どもは遺憾なことである、このように思っております。

 これは日本の鯨類研究所というところが実施主体となってやっておるわけでございますけれども、その研究所としても、世界に向かって、こういった行動はまことに遺憾なことである、そういう声明を出しておりまして、そのような意味の抗議をいたしておるわけでありますが、私どもも政府の立場として、その抗議声明はまことに妥当であるし、私どもとしても遺憾なものである、こういった行動は許されるべきものではない、このように認識をいたしております。

 そこで、火災が起きたわけでありますが、私自身、記者会見でも、この火災の原因をどう思うかと聞かれてこう答えておるんです。火災の原因ですが、これはよくわからない、まだ特定されておりません、結論的に言うとそういうことなんです、ただ、何が原因かというのは、直接シーシェパード、ああいう妨害活動が関係したのかしないのか、これも含めてわからないと。全く今はわからない状況でございます。今私が読んだのは記者会見で言った言葉なんです。

 だから、これは、いろいろこれから状況等を検分しながら、どのような原因であったのかというのは解明をされていかなきゃならないと思っていますが、いずれにしても、海上保安庁において、日本に帰国してからしっかりした調査もまたなされると思いますが、その結果判明するものだろう、このように思っております。

 それから、グリーンピースとの関係でございますけれども、そういう報道があったわけですね、報道によって私ども知ったのですが、グリーンピースが、救助したいというか救助に向かうと。ただ、直接こちらには何もないんですよ。例えば水産庁の方にそういうお話があったとかというふうには、直接はなかったというふうに私は聞いておりますが、そういう状況であるということでございました。

 私も、そこのところもこういう答え方をしているんですね。捕鯨船の関係なんですけれども、グリーンピースが自分たちの船で曳航してもいいみたいなことを言っているみたいなんですけれどもという記者さんからの御質問に対しまして、私の答えはこうなんです。何と答えていいんですかね、グリーンピースとシーシェパードは違うのかもしらぬけれども、同じ環境保護団体という仲間なんでしょうね、一方でやられて一方で助けてもらっても、何と答えていいか、ちょっと受けとめかねますねという言い方をしているんですね。

 したがって、事実関係でいうと、私が受けておる報告では、報道的にはグリーンピースの意向がそのように報道されましたけれども、直接こちらの方には、そういったような申し入れというか、それはなかったというふうに私は聞いているわけなものですから、これ以上のコメントはちょっとできないということでございます。同じ環境保護団体同士として情報的なことはずっとあっているのではないかというようなことは報告として受けているんですけれども。

 以上が、このことに関係しての今日までの対応の事実関係でございます。

重野分科員 いろいろな情報があるんですが、一つ確認しておきたいのは、今大臣も発言をされましたけれども、火災の原因をシーシェパードという環境保護団体によるものとほのめかす発言もしたというふうな話も聞くわけですね。

 そこのところは今の大臣の発言とちょっと違いますけれども、実際問題として、その火災の原因というのは、外部のそういう能動的な行動があって火災を起こしたのか。例えば、内部の機関で火災が起きたのかという点については、どういうふうな認識を持っているんですか。

松岡国務大臣 これは全く、まだ何とも、具体的な調査がなされておりませんから、ちょっと今ここで言ったような、何が原因なのかは正直言って特定できない、これが今の現状だと思っています。

 私が言ったのは、今、これは記者会見のときの記録を全部読んでいますから、このとおりなんです。火災の原因ですが、これはよくわからない、まだ特定されておりません、結論的に言うとそういうことなんです、ただ、何が原因かというのは、直接シーシェパード、ああいう妨害活動が関係したのかしないのか、これも含めてわからない。これは私のそのときのそのままの発言ですから、私が何か、シーシェパードじゃないかというふうに、そういうことをちょっと断定的に言ったというのがもしお伝わりになったとしたら、これが正確な表現でございます。要するに、わからないと言っているわけです。

 そういうことなので、私も、じゃ、どう思っているかということについては、これはちょっと何とも言いようがない。ただ、ああいう妨害活動があっている中で起きたんだということが一つの事実だとすれば、これは何が原因なのかな、内部なのか、やはり船が揺れたりなんたり、相当老朽船だそうですから、船齢二十年かそれ以上たっているという老朽船ですから、いろいろなひずみが起きるとすると、無理な航行とかなんとかが影響したのかもしれないし、これは専門家の調査を待って特定をしないとわからないというのが正直なところだと思います。

重野分科員 それは今後明らかになってくるだろうと思いますね。

 そこで、問題は、グリーンピースが救援活動に出ろうとするわけですね。私も詳しく知らないんですけれども、南極条約では、一番近くを航行し、救援できる船が積極的に救援を行うことが奨励されている、こういうふうに聞いているんです。それにもかかわらず、グリーンピースのそういう救援活動をしましょうか、応援しましょうかという能動的な態度の要請に対して、水産庁が政治的な理由でそれを断る、こういう経過があるということなんですが、その辺の事実はどうなんでしょうか。

白須政府参考人 ただいまのお話でございますが、日新丸につきましては、この火災の直後から、これの補給船というものがすぐ近くにおりまして、この補給船から電力の供給を行うとか、あるいは動けなくなった場合に曳航活動を行うといったような支援活動を我が方の補給船が行っておりましたので、そういった意味で、そういったグリーンピースの救助活動については必要がないということを調査団の方からグリーンピースの方に伝えておったということでございます。

重野分科員 そうすると、現場では、グリーンピースと、日新丸船団というんですか、その間の情報交換だとか、そういう要請に対するやりとりというのは正常に行われたというふうな受けとめでいいんですか。

白須政府参考人 その間の意思伝達といいますか、そういうものは正常に行われておったというふうに承知をいたしております。

重野分科員 立場は全然違うわけで、グリーンピースの皆さんの主張と、現場で調査捕鯨をやっている方々の立場というのは違いますから、それは意見はなかなか一致しないと思うんです。

 しかし、南極海という公海上におけるそういう礼儀だとか、礼節なんという言葉が妥当かどうかわかりませんけれども、そういうふうな要請が来る、何とか力になりましょうかというときに、受け入れるか断るか、それはいろいろケースがあるんだと思うんですが、やはりそのときの対応のあり方、対応の仕方というものが即我が国日本の評価あるいは見方につながってくる。公海上の出来事というのはすべてそうだと思うんですね。その点は、やはり僕はしっかり意思統一をしておかなきゃならぬと思うんです。

 グリーンピースの行動と、これは政治的なものですから現場で解決できるものではありません、しかし、そういう出来事が現にあるわけだから、それに対する接し方というのは、僕は十分に考慮してしかるべきだろうという感じがします。その点、どうですか。

松岡国務大臣 私も、実は違法伐採等の問題なんかでは、グリーンピースの皆さんと非常によく連携をして、逆に言うと、連携をしているというよりも、いろいろ教えていただいたりしながらやってきています。そういう関係にあるわけです。今先生がおっしゃったように、善意を持って、好意を持って、本当に、真摯に誠意を持ってやっていただくことに対しては、しっかりとそのことを受けとめていくということは、もうそのとおりだろうと思います。

 これは私の個人的な推測ですが、そういったことが影響したのかしなかったのかわかりませんが、恐らく日本の調査団からすれば、あの映像で見るような形のものは、何が原因かはともかく、あの最中に一人亡くなられておるわけですね。これもまたはっきりと専門的に、科学的に原因は解明されると思うんですけれども、そういう状況の中でああいう活動があったということになれば、やはり受けとめ方としても、調査団の方たちは現場ですから、離れて見ている我々の冷静な見方と違いますから、いろいろな気持ち、思い、感情というのはあったのではないかなと思います。そういったことがどう影響したのか、しなかったのか、これもまた現場の、直接そこで、そういう場におった人の気持ちとして我々も理解できる点もあります。

 ただ、要は、政治なり、それから行政なりは、本当によく見極めて、善意であり好意であれば、そういったものをしっかり受けとめていくというのは、先生の御指摘のとおりだと思います。

重野分科員 それともう一つは、日新丸にいたしましても、オリエンタルブルーバード号、これは冷凍された鯨を運んでくる、いずれも南極海というところで、厳しい環境の中で働く船にして、その船の構造的な問題、これをグリーンピースの皆さんは指摘しているんですね。日新丸は耐氷構造になっていない、これも問題だ。それから、オリエンタルブルーバード号は船底が一層構造だ、氷にも弱い。

 もし油漏れなんかになった場合に、これはやはりこの国の責任を問われまよすね、海の汚染、しかも南極海となると。だから、そこら辺の問題意識、船齢だとかそういう構造だとか、安全装置、海を汚さない、そういう問題意識を持って、それが船そのものに及ぶ、そういう思想というのが僕はやはりあらねばならぬと思うんです。

 ちょっと、私は専門的なことはわかりませんけれども、船の構造そのものがやはり弱い部分もあるという指摘があるんですが、それは現実的にはどうなんですか。

白須政府参考人 ただいまの御指摘でございますが、この日新丸にいたしましても、ただいまお話ございましたオリエンタルブルーバードというのが補給船なのでございますが、このいずれも耐氷構造にしっかりなっておりまして、そういった意味では、十分安全な船であるということは申し上げることができるというふうに考えております。

重野分科員 それじゃ、そういう団体の言っていることがうそなんですね。二十七年前の船というのも、これもうそですか。

白須政府参考人 船齢につきましては、私申し上げましたように、二十年を超えておる船であるということは間違いございません。ただ、構造として、ただいまおっしゃいました耐氷構造ということについてはしっかりと措置をしておるということでございます。

重野分科員 いずれにいたしましても、油漏れ等々、海洋汚染につながるようなことまではいかなかったということは不幸中の幸いだと私は受けとめております。

 やはり今後とも調査捕鯨はやっていくんだろうと思うんですが、それ自身にいろいろな、世界的な、批判を浴びせている国もたくさんあります。それもしっかり受けとめなきゃならぬと思うんですが、やはり実際に現地で働いている皆さんの安全、あるいは海洋汚染を絶対に起こさないとか、そういう思想を持ってやらねばならぬという点をあえて私は付言しておきたいと思います。

 それでは、次に話を進めます。

 今、私大分県ですが、行きどまり、そこから先に道がないところに私の家があるんですけれども、山間僻地において、鳥獣の害、私はけものたちにそんな悪意はないと思うんですが、結果的にその行為が、人間から見れば、とんでもないやっちゃ、こうなるんですね。東京では考えられぬような現実が過疎地域においてはどんどん進んでいるんです。

 それで、今度の予算の中でも、野生の鳥獣被害対策であるとか、あるいは漁村でもそういう鳥獣が迫ってくるというようなことに対する対応であるとか、いろいろなことが語られておるんですが、それも大事ですけれども、私は、同時に、本気でそういうけものたちが山で暮らすことのできる配慮をやはり人間がしなきゃいかぬ。

 そういう意味では、戦後、杉、ヒノキをびっしり植えました。うちもそうです。じいさんからおやじから一生懸命植林をいたしました。杉、ヒノキばかりです。私の経験から、本当に山にけものたちのえさになるミミズなんかはもうすまなくなったんですね。そのことが、結果として、けものたちが、人間の住む世界とけものたちのすむ世界の境界が見えなくなって、人間が住む世界に出てきているというのが今の鳥獣被害の問題だろうと思うんです。

 そこで、今後の林業政策あるいは水産の政策の中で、どう豊かな山にしていくか、けものたちと共生できる山にしていくか、そういう思想が私は本当に大事だろう。だって、この国は国土の七〇%以上が山なんですから。そういうようなことを、大臣、いわゆる農林水産行政を遂行していく中で配慮されているのかどうなのか。そして、やはりそういう部分というもののシェアを広げていくという考え方を持っておられるかどうか。まずその点を聞きます。

白須政府参考人 まず、水産の方との関係につきましてお答えをさせていただきます。

 私どもで、漁場保全の森づくり事業というのを十九年度予算案で計上いたしておるわけでございますが、これは、林野庁の事業制度に基づきまして、いそ焼けでございますとか、あるいは土砂の流出、そういった環境の悪化が見られます漁場と関係をいたします森林を整備、保全することによりまして、川上から漁場に対しまして栄養塩類といったものを供給していく、あるいは、濁り水でございますが、そういったものの緩和を図ることで豊かな漁場環境を改善するということで計上しているわけでございます。

 ただいまお話しのとおり、そういう漁場保全の森づくりを推進することによりまして、豊かな森と漁場がはぐくまれるわけでございますが、あわせまして、今委員からも御指摘のございました、野生鳥獣のえさ場というものが創出されるわけでございますので、生息環境が改善されるということで、ふもとの集落での鳥獣被害を未然に防止するという効果も期待されるのではないかというふうに考えておりまして、そういった意味で、鳥獣害対策との連携にも十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。

辻政府参考人 お答えいたします。

 野生鳥獣の生息環境ということにも役に立ちます針広混交林につきまして、林野庁としては積極的に進めていきたいというふうに考えてございまして、具体的には、森林整備事業におきまして、人工林の抜き切りとその後の広葉樹の植栽などに対しまして助成を行う、あるいは治山事業におきましても、保安林で針広混交林を造成していきたい。

 それから、これは平成十九年度の予算でございますけれども、地域の実情を踏まえ、針広混交林あるいは広葉樹林、こういったことを推進するための施業適地の選定なり、あるいは森林所有者など地域の関係者のコンセンサスづくり、こういったものについて進めてまいりたいというふうに思ってございます。

 もう一つは、造林未済地が出てきているわけでございますけれども、この造林未済地につきましても、基本は針葉樹なり広葉樹を植栽するということでございますけれども、野生鳥獣の生息の場の提供という観点からも、既に天然更新で広葉樹だとかそういうのが生えているものにつきましては、これを育ててまいりたいというふうに考えているところでございます。

重野分科員 私、一つ提案をしたいんですけれども、今けものたちがすむ世界と人間が住む世界の境界線が非常にわからなくなって、さっき言ったように、けものが出てくるんですね。うちの集落なんかは、田んぼ、畑、もう全部電さくで囲まないとだめなんですよ。大変な金がかかるんです。これは補助金が出ていますけれども。

 そこで私は、今見ていると、山がだんだん荒れて、山際の水田というのはもう耕作していないんです。もともと環境がよくないですから、日当たりも悪いから。だから、政策的に山際の水田の耕作放棄地に広葉樹を植えなさい、実のなる木を目的意識的に植えさせるということが一つ。

 それから一つは、荒廃した山があって、その荒廃した山でも、その中にはいわゆる松やヒノキでない木があるんですよ、もともとあるんです。だから、そんな木が生育しやすいような環境を、そういう木の林をつくる、造林ですね。造林というと植林の意識しかないんですが、今ある木を育てる、その木が育ちやすいような環境をつくってやる。そうすれば、僕は、コストが非常に安くて目的が達するんじゃないか、けものたちにとってより好ましい環境ができるんじゃないか、こういうふうに思うんです。

 そういうふうな発想をひとつこの行政の事業遂行の中に生かしてもらいたいと思うんですが、そういう提案に対して、どうですか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる耕作放棄地でございまして、今後森林として育成していこうという土地における植林につきましては、森林整備事業で広葉樹の植栽についても補助対象といたしているところでございます。また、平成十八年度からは、地域の自主性を発揮しつつ里山エリアが抱える耕作放棄地等の諸課題に対応するため、針広混交林だとか複層林だとか、こういった整備も可能な里山エリア再生交付金を創設したところでございます。さらに、森づくり交付金におきましては、NPO等による里山での刈り払いなど森林づくり活動を支援しているところでございます。

 それから、既に天然更新なり、あるいは天然に広葉樹だとかそういうのが生えているものについて、それを生かした森づくりをやればというお話でございますけれども、現在でも、既に天然更新で広葉樹だとかそういうものが生えていて、それをむしろ生かして森づくりをやった方がいいというような森林につきましては、下刈り等につきまして助成をして、そういう森林を育てていくということになっているところでございます。

重野分科員 問題は、それを完全にやった場合に、どれぐらいそういう面積がふえるんですか、今長官が言ったことを完全にやった場合。

辻政府参考人 今林野庁では、人工林の中で二百万ぐらいは人工林から天然林、いわゆる広葉樹だとか、こういうものに振りかえていこうかというふうに考えているところでございまして、ただ、予算の状況だとか、あるいは地域の方たちが広葉樹なりそういうものを植えるということが必要でございます。広葉樹というのは、杉だとかヒノキに比べまして非常に生産期間が超長期でございますので、そういったことを、森林所有者の意向だとか、あるいは予算状況を見ながら進めてまいりたいというふうに考えております。

重野分科員 時間も来ましたので、以上で終わりますけれども、長官、今本当に山は危機に瀕しています。積極的に今申したことを実行して、そういう行動を通して国民に山に対する関心を持っていただくよう誘導する、そういう役割を果たしていただきたい、お願いいたします。

 以上で終わります。

馳主査代理 これにて重野安正君の質疑は終了いたしました。

 次に、木原誠二君。

木原(誠)分科員 自民党の木原誠二でございます。

 本日は、この第六分科会で松岡農林大臣に御質問させていただきます。本当にありがとうございます。

 いろいろ農水行政、幅広い課題、幅広い分野があるんだろうというふうに思いますけれども、私自身は、そういう中ではいわば非常に小さな分野と言ったらしかられますけれども、特徴的な分野ということで、都市農業についてきょうはお時間をいただいて御質問させていただきたい、こんなふうに思っております。

 手前事で恐縮ですけれども、私の選挙区は東京第二十区というところでございます。いわば多摩の北の方にございまして、市でいいますと、東村山、東久留米、東大和、武蔵村山、清瀬と、余りお聞き及びでない市もあろうかというふうには存じますけれども、この五市で成り立っております。

 東京の農業というのは、多摩が基本的には八割を占めております。この多摩のうち、私の選挙区が所属します北多摩がさらにそのうちの七割近くを占める。特に私の選挙区は、もともと武蔵野台地のもとで江戸時代に広く開拓が行われたということがございまして、依然としてまだ農地がかなり残っているという状況でございます。例えば、私の清瀬市というところは、まだ四分の一以上の土地、市内の土地の四分の一以上は農地ということになっておりまして、四百戸近い農家がまだ残っている、こういうようなところでございます。

 そうした中で、ただ、東京全体、あるいは都市部というのを全体で見てみますと、明らかに耕作面積あるいは農業戸数というものは減ってきているというのが現状かなというふうに思います。東京だけを見てみますと、戦後六万五千戸近い農家があったわけですけれども、今や四分の一以下、一万五千を切るような状況でございますし、農地面積ということで申し上げますと九〇%を割る、こういうような状況になっております。とりわけ深刻だったのは、やはりバブルの時代に土地を宅地転用すべきだという大変厳しいプレッシャーがあって、その過程で随分農地が失われてしまったという現状がございます。

 他方で、最近は、人口減少に入ったということもあります。あるいは、循環型社会が重要なんだというような認識の広がりもございます。そういう意味では、都会に住む方々の意識というのも大分変わってきておりまして、この都市農業に対する需要、あるいは期待、あるいは環境面でのさまざまな多面的な機能に対する理解というのも、随分進んできているんだろうというふうに思います。

 したがって、今大変いいチャンスなんじゃないか、都市農業をもう一度見直して、都市農業をまた保全し、そして育成していく、今本当にいいチャンス、場面に来ているのかな、こんなふうに理解しているわけですけれども、まず最初に農水大臣の方から、この都市農業に対する現状認識、そしてまた今後どのように育成をしていこうか、そのような認識について御答弁いただければありがたい、このように思います。

松岡国務大臣 先生、都市農業のことについての御指摘でございますが、実は、新農業基本法、現在の農業基本法でございますが、これをつくりますときにも随分この議論をいたしました。

 そのとき、今でもまだお元気だと思うんですが、そんなことを言うと怒られますが、ますます元気だろうと思うんですが、東京の加藤会長、この加藤会長が自民党の私どもの議論の場にもお見えになりまして、私、そのときちょうど農業基本政策委員長をやっていました。そこで、都市農業のことについてもしっかりやってくれと言われて、随分このことについては私どもはそれなりに対応したところでございまして、市民農園の問題等も含めまして、それまでにないような形でひとつ市民農園の位置づけもしようじゃないか、こういうこともやったところでございます。

 今先生おっしゃいましたように、ずっと以前は、宅地が足りないときは、市街化区域なんだから当然市街化していくべきだということで、いろいろとそういった、プレッシャーとおっしゃいましたけれども、あったんだろうと思いますが、そういう中で、いろいろお互い各省間の土地の区分けをしますときは、やはりそういうようなやりとりは随分あったと思います。しかし、現在では、都市において、いわゆる緑地としての機能、それから、いざ防災というときの受け皿としての機能、役割、これはもう大変重要な役割が今あると私は思っております。

 そしてまた、これを農業的側面から見ますと、やはり大消費地に近い。そういう意味では、非常に有利な立地条件にある。そしてまた、新鮮な野菜を初めとして、農産物を供給するという意味で、消費地に近い、こういうことがあって、消費者側からもこれは非常にありがたい存在なんだろう。そしてまた、農業というものを目の前で見ることができるし、また農業に対する理解、そういったことも、教育的な効果も含めまして、私は大きな役割があるんだろうと思っております。

 したがって、そういったことをしっかりとトータルで踏まえまして、農業的な観点からはどういう取り組みをしていくのかということについては、私は非常に大きな意味があると思っておりますので、国土交通省やいろいろな関係各省と連携をとりまして、この市街化区域内農地、そしてそこにおける農業のあり方、また都市との関係、消費者との関係においても、さらに、どのような将来の位置づけをしていくのか、こういった将来の観点も含めて、私は、特に木原先生の御指摘も受けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

木原(誠)分科員 大変力強い、そしてまた励ましのお言葉、ありがとうございました。

 まさに、農業基本政策委員長として松岡大臣に御尽力いただいたがゆえに、恐らくこの食料・農業・農村基本法の中にも都市農業がしっかり位置づけられ、そしてまた、その多面的機能というものも広く認識されるようになったんだ、このように思う次第でございます。

 今まさに大臣がおっしゃっていただいたこと、私自身、私なりにしんしゃくさせていただきますと、都市農業、かつてはまさに命を支える、農産物を生産し、それを供給するという意味で命を支える、このことに主眼があったものが、今では命そしてまた暮らしを支える。暮らしという意味では、防災の話を今御指摘いただきましたし、あるいは子供に対する食育といったようなものも含めて御指摘をいただいたわけでございます。

 そもそも、我々日本人の文化というのは、緑あるいは農業とともに共生をするというところにあるのかな、こんなふうに思います。欧米の文化というのは、どちらかというともう少し、石の文化であり、森林を切り開いていって文化をつくっていく。しかし、我々の文化というのは、常に緑とともに共生をしていく。それは、都市部にあっても共生をしていくということが大変重要かな、そういう意味では、今大臣の御答弁にもいただきましたけれども、基本法というものは大変ありがたかったな、こういうふうに思うわけでございます。

 ただ、これは少し厳しい言い方になるかもしれませんけれども、もう既に九九年に、農業・農村基本法の中で都市農業というものを位置づけていただいて、そしてまた、基本計画の中にもしっかりとこれを振興していくということを位置づけていただいた、そしてまた、都市農業・地域交流室というものも組織としてつくっていただいた、その割には、まだまだ農水省の取り組みというものが目に見える形で見えてきていないのかなというのが率直な感じでございます。

 ぜひこれは今御質問したいと思いますけれども、今度の予算でどんなことを都市農業向けにやろうとされているのか、事務方で結構ですから、御説明いただきたいと思います。

中條政府参考人 都市農業についての十九年度の新たな施策についてお尋ねでございます。

 農水省としましては、これまで、今大臣が申しましたように、都市農業は多面的な役割を担っておりまして、この振興のために、簡易な基盤整備、あるいは直売所、市民農園の整備等を図ってきておるところでございますし、また、引き続きこういった整備も行うつもりでおります。

 特に、今御指摘の十九年度予算ということについて申し上げますと、都市部において市民農園が依然供給不足の状況にございます。新たに広域連携共生・対流等対策交付金というものを創設いたしまして、体験農園の全国的拡大を進めていくことが非常に重要と思っておりまして、その効果的な取り組みの内容、企画を募集いたしまして、それに対しまして支援していくこととしたところでございます。

 また、このソフト対策とあわせまして、引き続き必要な施設整備の支援を行うこととしておりますので、こういったことで対応していきたいというふうに考えております。

木原(誠)分科員 新しい、まさに市民農園あるいは体験農園といったものを推進していく、そしてまた、いわばベストプラクティス、こういうことだろうと思いますけれども、しっかりとした取り組みには予算をつけていただく、こういう御答弁だったんだろうと思いますけれども、この十九年度、今まさにおっしゃった広域連携共生交付金というものは、八億円というところでスタートをしているわけでございます。

 もちろん、都市農業の規模から見るとその程度なのかなと言ってしまえば、その程度なのかもしれません。ただ、都市農業というのは、出荷額で見ますと三割近くを占めておりますし、農地面積で見ても四分の一近くを占めている。そういう意味でいいますと、ぜひもう少し、これはまた二十年度予算に向けての取り組みかなというふうに思いますけれども、都市農業に少しでも多くの予算を振り向けていただきたいな、このように思う次第でございます。

 もう一点、とりわけ、これは恐らく前の元気なまちづくり交付金を受けてのまた新しい施策だというふうに思いますけれども、十八年度まであったこのまちづくり交付金というものは、実はなかなか執行が十分なされていない、活用が必ずしも十分になされていないという現状がございます。私も地元でいろいろな農家の方に伺っても、実はその存在すら知られていないといったようなところがございますので、せっかく新しい交付金をつくっていただきましたから、ぜひこの周知徹底というものを、そして、活用しやすい交付金ということにしていただければありがたいな、こんなふうに思う次第でございます。

 もう一点お伺いしたいのは、今、ソフト予算、こういうことでございましたけれども、やはり都市農業にとって大変重要なことは、後継者をどうやって育成していくかということだろうというふうに思います。とりわけ、都市農業というのは、ほかの農業と違って大変に集約型でやっていかなければいけないという面がございますし、都市特有の状況もあって、なかなか後継者が見つけにくいというような状況もございます。

 この後継者支援ということについて、今、農水省としてどんな取り組みがあるのか、御教授いただければと思います。

中條政府参考人 お答えいたします。

 都市部におきましても、御指摘のとおり、都市農業を担う人材が重要でございまして、持続的な営農展開のために、生産緑地を中心としました簡易な基盤整備など、農業者の支援を行ってきているところでございます。

 また、先ほども少し触れましたけれども、体験農園、それから直売所、加工施設などの交流施設の整備を通じまして、都市住民の都市農業への理解の拡大も図ってきているところでございます。

 さらに、先ほど御答弁申しましたように、平成十九年度からこの予算で体験農園の全国的拡大を進めていくこととしておりまして、体験農園を通じまして都市住民がまず農業に親しむことによりまして、高齢者、それから後継者不足の農家を応援する、都市住民によります援農ボランティアなどの育成をしたいというふうに考えておりまして、こういった取り組みを通じまして後継者問題にも対応していきたい、このように考えております。

木原(誠)分科員 ありがとうございました。

 時間も限られていますから、少し国土交通省の方に質問を移したい、このように思います。

 今、冒頭から、都市農業ということの多面的な機能、そしてまた重要性ということについては、御認識をいただいているということだったというふうに思います。

 ただ、現実には、都市農業の担い手というのは、もう既に六十歳を超える人たちが七割というような状況でございます。これは全国的にそうなのかもしれませんけれども、都市農業もその例に漏れないわけでございますし、実際に、相続を契機としてどんどんどんどん農地がなくなっている。東京でいえば、環状七号線の内側というのはもうほとんど農家がない、二十三区内は基本的に農地がなくなってしまっている、そういうような状況でございます。

 他方で、冒頭大臣からもお話をいただいたように、新しい農業・農村基本法の三十六条には、しっかりと農地を、都市農業を保全していくんだ、こういう姿勢が出ているわけでございます。

 ただ、問題は、この新しい基本法の以前につくられた都市計画法あるいは生産緑地法というものが、基本的には市街化区域内の土地は十年以内に宅地化するんだ、基本的に宅地化をしていくんだ、農地を保全していくということではなくて、宅地化をしていくんだというところにまだ基本的な思想があるというところに大きな問題があるんだろうというふうに認識をしております。

 いわば、農水省が担っていただいている基本法の世界では、都市農業は守っていくんですよという一つの道がありながら、一方で、国土交通省が持っていただいている法律の世界では、農地は基本的に十年以内に宅地化をしていくんだという基本思想が依然として続いている。この矛盾が何らかの形で解消されていかないと農地の保全というのは大変難しいのかな、こんな認識を持っております。

 国土交通省に今お伺いしたいのは、一つ矛盾を解消する手段としては、生産緑地の指定、これをもう少し柔軟に、あるいは活発にやっていただく。私も地元に行っても、やはりこの生産緑地、指定をもう少ししてほしいんだという要望がかなりございます。

 もう少し具体的にお伺いしたいのは、今、この生産緑地の指定、五百平米ということで要件があるわけでございます。一般の農家の方から見れば、これは猫の額程度の本当に小さな農地でございます。しかし、都会にとっては大変重要な、貴重な農地でもございます。

 現実には、例えば七百平米ぐらいの土地があるときに、相続になって四百だけ切り売りしてしまった、しかし、残り三百残っています、この土地もぜひ生産緑地として指定をしていただいて、やはり残したいんですという要望はかなりあるわけでございます。そういう意味で、ぜひこの五百平米という指定の要件は緩和をしていただきたい、このように強く望みたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 生産緑地についてのお尋ねでございますけれども、先ほど来議論がございますように、私ども国土交通省といたしましても、緑とオープンスペースというのは都市にとって必要不可欠なものだというふうに考えております。中でも、都市農地についてですが、これは、緑地的な空間でありますとか防災的な空間としまして、それに加え、また、農業体験ですとかレクリエーションの場といったような都市におきます良好な生活環境の確保の面からも、大きな役割を果たしているというふうに認識をいたしております。

 このために、都市計画制度といたしましては、都市農地の持つ機能を積極的に評価しようということで、これを適正に維持保全するための制度として、生産緑地地区制度が設けられているということでございます。

 しかし、この生産緑地地区制度の持つ意味合いは、農地を対象にして、先ほど申し上げましたいろいろな機能を都市計画として守っていこう、それで都市で活用させていただこう、こういう趣旨でございますものですから、今お話がございました面積要件、これは五百平米になってございますが、この緩和について申し上げますと、都市計画として、緑地機能を評価し得る農地の規模がある一定程度やはり確保されないといけない。都市計画は、これも先生御案内のとおりでございまして、適正な制限をかけて、制限のもとで合理的な土地利用を実現するというのが基本的な考え方でございます。したがって、制限をかけて都市計画として守るべきもの、それはある一定規模以上のものじゃないとなかなか評価がしづらいのではないかという点がまず一点ございます。

 それと、農地としての特性がございまして、営農をしていただいて初めて、今申し上げました緑地機能が発揮される。公園なんかと違いまして、営農を継続していただくということが非常に生産緑地地区制度の基本的な、他の地域、地区とは違った性格づけになっております。そういう点があるということ。

 それと、これもお話がございましたが、税金の面で、生産緑地につきましては各種の税制上の特例措置が講ぜられております。そういうことを踏まえますと、農地所有者の皆さんと周辺の宅地の所有者の皆さんとの税負担の公平性の観点といったことも、考えないといけない課題ではないかというふうに考えております。

 こうしたことから、私どもとしては、関係省庁を含め、この生産緑地の規模要件の見直し等については、慎重な検討が必要ではないかなというふうに考えておるところでございます。

木原(誠)分科員 ありがとうございました。

 慎重な検討を要するということは、基本的になかなか難しい、こういうことなのかなというふうに思いながら聞いておりましたけれども、ただ、よく実態を見ていただきたいな、こういうふうに思います。都市の農業、私の地元もそうですけれども、本当にばらばらに、いろいろなところに小さな農地を点在して皆さん持っているというのが現状でございますから、慎重で結構ですからしっかり検討していただきたい、こういうふうに思います。

 ただ、その点でもう一点申し上げたいのは、昨年、住生活基本法というものが、六月ですか五月ですか成立をして、もう既に基本計画もつくられている。その中に、大都市における住宅の供給促進という項目のところで、市街化区域内農地については、市街地内の貴重な緑地資源であることを十分に認識し、保全を視野に入れて、農地と宅地が調和したまちづくりなど計画的に利用してまいりますということが書かれているわけですね。

 私自身は、先ほど、国土交通省が所管をしている生産緑地法あるいは都市計画法、基本的には農地を宅地化していくという精神が残っているというふうに申し上げましたけれども、他方で、この住生活基本法の方は、その精神を少し変えているんだろう、認識を少し改めているんだろうというふうに思っております。

 ちょっと具体的にお聞きしたいんですけれども、この住生活基本法の基本計画の中で保全をしていく、その場合、保全をしていくその手段はどういうものを具体的に考えていられるのか、教えていただければと思います。

加藤政府参考人 先生お話しの住生活基本法の中で、これは手法としては、保全すべき農地については、生産緑地地区を活用して、しっかりと先ほど申しましたいろいろな都市農地の持つ機能を都市計画として評価して守っていこうという考え方でございます。

木原(誠)分科員 まさに今御答弁いただいたように、昨年こうして基本計画をつくられて、あるいは基本法をつくられて、方針転換とは私は申しませんけれども、しっかり緑地保全をしていくんだという方針を打ち出していただいて、その手段はどこまでいってもやはり生産緑地制度しかないんだろうと思います。

 そうだとすると、この五百平米という要件がずっと続いているというのでは、その政策手段には何ら変更を加えないということになるわけで、表ではやろうといいながら、裏の実際の手段のところは何もしないというわけにはいかない、私はこういうふうに思います。そういう意味では、繰り返しになりますけれども、ぜひこの要件の緩和ということについて前向きに御検討いただきたい、そのことだけ申し上げておきたい、このように思います。

 時間が限られてきましたので、より重要と言ったら大変あれですけれども、税金の問題について財務省にお伺いをしたい、このように思います。

 御案内のとおり、生産緑地制度は、いわば相続税の納税猶予制度とセットになって初めて都市農業を守るツールになる、こういうことだろうというふうに思います。

 現場の実態を申し上げますと、ただ、この相続税の納税猶予制度というのは、あくまでも本当の意味での農地だけを対象にしておりまして、我々の都市農業の世界でいいますと、例えば屋敷林でありますとか、あるいは農地に隣接をした形で置いてある倉庫、いろいろな農機具を置く倉庫などについては適用されない。このため、結果として、相続が発生をすると農地を切り売りしていかざるを得ないというのが今の現状でございます。

 それから、もう一点申し上げたいことは、都市の農業とそしてまた地方の農業との間に、都市農業の従事者から見ると大きな格差が存在をしている。

 それはどういうことかと申しますと、地方の農地、農業の場合には、この相続税の納税猶予制度の適用条件というのは二十年継続営農、こうなっておるわけでございますけれども、都市の場合にはこれは終生営農ということになっている。そうすると、なかなか相続の時点で、あなた、死ぬまでちゃんとやりなさいよということにまで踏み込むというのは、大変これは重い決断でございまして、現実にはこれが一つ大きなネックになっているというような状況もございます。

 財務省としてどういう御認識であるか、今からお伺いしたいというふうに思いますけれども、もちろん、相続税でございますから、あるいは税金でございますから、公平という観点は重要だろう、こういうふうに思いますけれども、今私が申し上げた二点、一つは都市部における例えば屋敷林とかあるいは農業倉庫といったようなものについてのお考え、それから終生営農という条件が付されていることについてのお考え、この二点、お聞かせいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、よく御存じの農地等に関する納税猶予制度の基本的な考え方でございますけれども、この措置は、農業政策の観点から、農地の転用、利用、譲渡が法律上厳格に制限されている、また、農地は耕作者みずからが所有することを最も適当であると認める農地法上の基本的な考え方を踏まえまして、みずから農業経営を継続する相続人を対象に設けられた、ほかの相続税の制度から見れば極めて例外的な措置であるということでございます。

 そういう観点から申し上げますと、一点目の屋敷林それから倉庫等、そういうものにつきまして、そのような権利制限とかいうものがないと思いますので、基本的な考え方との整合性といいますか、そういう点がやはり問題になろうかと思います。

 それから、二点目の二十年の営農の条件でございます。

 これは、都市部については、平成三年度の税制改正におきまして、先ほどおっしゃいましたように、当時の非常に高騰した地価を背景としまして行われました土地政策の議論の中で、土地税制につきましても議論が行われて、そのときに、都市計画上保全すべき農地については相続税の猶予制度を残しましょう、適用しましょうと。

 ただ、この二十年という営農の条件につきましては、二十年たったら売ってもいいのか、免除されるのかという意味におきましては、これは都市も地方もかかわりませず、やはりもともと問題になっていた点でございます。当時、都市を中心とする土地利用の見直しの機会に、この点は、保全すべき農地の相続猶予を適用を認めると同時に、ここは適正化をさせていただいたという経緯でございます。

 以上でございます。

木原(誠)分科員 わかったようなわからないような、という意味は、恐らく経緯があって、平成三年のときの見直しで、都市にだけはその見直しが効力を及ぼした、こういう御説明だろうというように思いますけれども、実際それは、経緯は経緯として、今現状を見れば、明らかに、都市は終生、それ以外のところは二十年という格差が存在をするということは、一点御指摘をしたいと思います。

 もう一点は、保全すべき農地があります。これは全国津々浦々そうだろうというふうに思います。その上で、この保全すべき農地で農業をしていただく、つまり、終生農業をしていただく、そのことが重要なのであって、もし営農ということが大変重要だということであれば、ひとつ御見解を伺いたいというふうに思いますけれども、相続人が、例えば、二十年経過した後に、この土地を市民農園に貸し出す、あるいは他の農業者に貸し付ける、そのことによって農地を引き続き保全する、そこで農業も、引き続き営農が続くというような状況があれば、必ずしも本人がずっと続けていなくても、これは納税猶予制度の対象にしてもいいんじゃないか、私はこのように思うんですけれども、いかがでしょうか。

松岡国務大臣 きょうは、木原先生から、都市と農業のかかわりということで、都市にとっての農業の重要性、また、農業から見た都市との関係、私は、非常に大きなポイントをついて御指摘、御質問いただいたと思っています。

 今、いろいろ議論がありました。私がここで一々財務省や国土交通省の制度にどうこうというつもりは全くございませんが、ただ、今財務省からもお話がありましたように、平成三年は、あのときは、総量規制といって、とにかく締めたんですよね、金融も。我々もあのときおりましたが、そういういろいろな議論がありました。したがって、時代時代によって、いろいろな背景が違ってくるし、議論も違ってくるし、また対応も違ってくると思っています。

 そういった観点で、また、都市と農業の関係というのが、これは単なる生産緑地だけなのか。やはり農業的観点から見ても、これは大きな意義を持つ、意味を持つということもあるんだろうと思うし、これは大いに議論をしていただいて、そしてあるべき一つの大きな方向が定まっていくことが望ましいと思っておりますし、私は、そういう意味で、木原先生の取り組みは非常に、さっきからお聞きをいたしておりまして、私自身、頑張ってもらいたいなと思いながら今見ておりました。

 端的に申し上げますと、私が当選してきまして、阿蘇で爆発がありました、阿蘇山が。全部農地がやられました。雨よけ施設が全部つぶれたんですよ。いわゆるビニールハウスですよ、全部つぶれた。ところが、これは共済対象になっていなかった。だから、救うことができなかった。私はそれを質問して、だけれども、やはりそれが共済対象になるまで三年か四年かかるんです。それだけでもかかる。

 だから、木原先生、ひとつ頑張っていただいて、都市と農業のあり方、大いにそういう観点で大きな方向を目指していただければと。私も、非常に関心を持って、興味を持って、興味深くきょうは聞かせていただきました。そのことを申し上げて、答えになったかどうか知りませんが、終わりたいと思います。

木原(誠)分科員 最後に一言だけ。

 最後、大臣に拾っていただいて本当にありがたいな、こう思いますし、今、激励の言葉をいただいた、このように思います。

 実は、もう大臣のお耳にも届いているかというふうに思いますけれども、若手議員で、都市農政を考えるということで三十人の会を立ち上げております。どうしても短期的な視野で、一年以内に何か結論を出そう、こうなりがちですけれども、長期的な視野でしっかり考えてまいりたい、このように思っておりますので、また側面支援していただければありがたい、このように思います。

 どうもありがとうございました。

馳主査代理 これにて木原誠二君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福岡資麿君。

福岡分科員 自由民主党の福岡資麿と申します。

 本日は、貴重な質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、九州、佐賀県出身でございまして、松岡農水大臣も熊本県で、同じ九州ということで、いつも農林水産の問題についてはいろいろ御教授いただいております。きょうは、大臣に対しまして質問をさせていただく機会をいただいたことを大変光栄に存じます。

 まず申し上げさせていただきたいのは、昨年のことでございますが、九州には台風十三号という大きな台風が直撃をいたしました。御承知のとおり、佐賀県は一番被害が大きく、作況指数で四九、私の選挙区とします佐賀県の南部地方は四二ということでございまして、戦後最悪の作況指数となったということは御承知のとおりというふうに思っております。

 作況指数、もう御承知と思いますが、九五から九八がやや不良、九一から九四が不良、九〇以下が著しい不良ということにされていまして、九〇以下が著しい不良の中で四二という数字だったということは、いかにひどい数字だったかというふうに思っております。

 しかしながら、そういった中で、激甚指定も含めまして、いろいろな面でお力添えをいただきましたし、また、農業共済のいろいろな特例を認めていただくに当たりましても、いろいろ農水省の方でお力添えをいただきましたこと、まず冒頭感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 そして、何よりもことしは品目横断的経営安定対策がスタートする年ということでございまして、各農家がそれに向けて準備を進めておるところでございます。私どもも、そういった中で、この台風被害によっていろいろな、支払いが滞ったりすることで、新しい体制に移っていくということの出鼻をくじかれる、モチベーションを下げる、そういったことがあっては本当にいけないなというふうに思っておったんですが、そういった面では、昨年末にきちっと農業共済金を出していただいて、皆様方御納得いただいた上で、気持ちを切りかえて、今、新しく前向きに取り組んでいこうという機運が生まれているということは、本当にいいことだというふうに思っております。

 そんな中、まず、通商について質問をさせていただきたいんですけれども、今、地元に帰りまして、いろいろな農業団体の方とか生産者の方とか、そういった方々と懇談をさせていただく機会を持つことがございます。当然、一番大きいお話というのは、大きな農政の大転換期でございますから、品目横断的経営安定対策にどうやってスムーズに移行していけるかといった質問が多うございますが、もう一方では、やはり通商といいますか、特に昨年末来、いろいろ新聞等にも出ておりますオーストラリアとのEPAの問題とか、こういったことが非常に話題に上ります。

 今、非常にそういった意味では、集落営農を進めて、日本の農業の方々も、経営の効率化だったりそういったことに一生懸命取り組まれているんですが、そういった通商の、農業の貿易の自由化とかが一気に進められれば、そういった血のにじむような努力も大きな力で一切合財持っていかれる、もう自分たちはなすすべがないんじゃないかというような大きな不安が農業者の中に蓄積をしているということも事実だというふうに思っております。

 特に、きのう私も何人かの方からお電話をいただきましたが、農業新聞にも、農水省が試算として発表されて、農業を自由化した場合にどういった影響が出るのかというようなことが新聞にも出ました。非常にセンセーショナルな数字で、完全自由化した場合には、食料自給率はわずか一二%になってしまう、国内農業生産も三兆六千億が減少するんじゃないか、そういった非常に衝撃的なことが発表されていたわけでございますけれども、そういった中で、特に、大臣が今後の通商交渉に臨む、日本の農業をどうやって今後守って、発展させていくかということについての大臣の決意というのをぜひお伺いしたいと思っています。

 特に、農業者の中では、大臣は非常にそういったところには理解を示していただいているという認識はあるんですけれども、トータルの貿易の中で、やはり経産省であったりそういったところに、力で最終的には押し切られてしまうんじゃないかというようなことを懸念する農業者の方々もいらっしゃいまして、そういう中で、あくまでも農水省としての決意というところをまずお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 福岡先生、冒頭にお話ございました台風災害といいますか、被害のことにつきましては、本当に佐賀県は大変であったと思います。作況指数四九、もう全国の最低ライン、半分以下というのはいつのときからかなと思うんですが、本当にそういった、今までにない歴史的な被害を受けられた。その中で大変御苦労されたということにつきましてはお見舞いも申し上げますし、それから、先生方はもちろんですが、古川知事を先頭に、また町村長さんも皆さん陳情にも参られまして、これに対する対策をということでございました。

 我々も、あらゆる、可能な限り最大限の対策をして、先生がおっしゃいましたように、これによって挫折をしてもう農業をやめてしまう、こういったことのないように、またもう一遍元気を持って、よし、頑張ろう、こういったお気持ちになっていただくように、そこが一番のポイントでございまして、私どもは、そこに一番意を用いて、なおこれからも一生懸命、復旧に向け、また新たな取り組みに向けて、頑張りに向けて私たちも精いっぱい努めてまいりたい、このように思っております。

 そこで、今お尋ねの件でございますけれども、通商にどのような姿勢で臨むのか。私はもともと、基本的には、日本農業の将来の発展ということのためには、大きく外に打って出る、これも非常にこれからの方向として必要だし、重要だと思っています。特に、日本農業のお得意さんということになりますと、それは当然日本の国内の消費、こういうことになりますので、日本の胃袋、日本人の胃袋、これがやはり一番のお得意さん。ところが、なかなかこの日本人の胃袋というものが、減ることはあってもふえることはない、こういう中で、どうやって生産を拡大し、そして販売を増大させていくということができるのか。そういうことになりますと、どうしてもやはり外に向かって大きく展開をしていくということも、これから日本農業の発展していく道として私は必要だ、こう思っております。

 そこで、それぞれ得手、不得手があって、大きさとか、こういうスケール的な点では日本はなかなかよそに勝てない。しかし、物のよさという、品質ということで比較をすればどこの国にも負けない。したがって、自分たちの一番利点、長所、強さを生かして大きく勝負をしていこう、これが大きな方向であります。

 そこで、具体的には、では豪州、オーストラリアが相手の場合どうなのか、こういうことでございますが、これはもう人口も二千万でございますし、例えば中国の十五億とか、アメリカの二億とか、EUの数億とかいうところとは全然、市場も小さい。一方で、農業の規模ということになりますと、世界で一番というぐらい大きい。圧倒的な農業大国だ。得るものは少なく、取られるものは多いんじゃないか、こういうことで皆さんが心配をされておられます。

 そこで、この交渉、まだ入っておりませんけれども、臨むに当たって、私どもが政府内において、農林水産省の立場としてどのような取り決めをしたかといいますと、私も麻生外務大臣とひざ詰めで協議をいたしまして、それぞれ事務方のトップも一緒にひざ詰めをいたしまして、そして、とにかくオーストラリアとの交渉に当たっては、段階的削減、再協議、そして除外、あらゆる柔軟性の選択肢をすべて確保して、その上で臨む。今までにない形で、今までEPA、FTA交渉をやったときに、いろいろな国とやりましたが、それまでにない形で、城壁でいうなら最も高い城壁をこちらもしっかりと用意して、築いて取り組もう、こういうことでございます。

 先般、日本の農業団体の代表団がオーストラリアに行かれてトラス貿易大臣とお会いになった、私もダボスで会ってきましたけれども、お会いになった。そこで、トラスさんは、いやいや、あらゆる品目を例外なくテーブルにのせるんだ、向こうはそう言っている。こっちは、あらゆる守るための選択肢をすべて確保しておる。こういうことでございますから、もうこれはぶつかり合い。それはもうしっかりやり抜くしかない。したがって、私は、対オーストラリアの場合は何といっても、攻めるよりもまず守る、そういう基本でこれは臨もうと思っております。そのことについては外務省とも十分協議の上、今言いましたような、あらゆる柔軟性の選択肢が活用できる、そのすべてを取りそろえてというか、それを構築した上での交渉、そういうことになっています。

 そして、総理を初め、このことにつきましては政府一体となって御認識をいただき、御了解をいただいた上での交渉でございますので、タフな交渉になると思います、それはもう本当に大変な交渉になると思いますが、ここにきょうは山本副大臣、それから福井政務官、御一緒をいただいておりますけれども、あと国井副大臣も永岡政務官もおりますが、我々政治家はもとより、役所としての総力を挙げましてこれは頑張ってまいりたい。そして、必ず重要品目についてはしっかりと守り抜いてまいりたい、このような決意で交渉に臨むつもりであります。

福岡分科員 非常に力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 大臣も折に触れて、そういったいろいろな力強いコメントをいただいておりますが、なかなか、やはり現場の方々というのはどうしても不安に思うわけでございまして、そういった意味では、今後も引き続きいろいろなメッセージを発していただくとともに、先ほどおっしゃったとおりの原則をもって今後の交渉に臨んでいただくことをお願いさせていただきたいというふうに思います。

 次に移らせていただきますが、先ほど大臣の口からもございました、日本の農産品というのは本当に世界に誇れるものだというようなお話がございました。これは総理の所信にも、大臣の所信にもありましたけれども、日本の農産品を、今後輸出額を一兆円まで持っていこうということを、具体的数字も挙げて取り組みを進めていくということを明示されました。

 今、三千億強ということでございますので、その三倍近くの輸出量を増加させなきゃいけないというようなことでございますけれども、そういった中で、一般の方々からすると、では、本当に三倍も一気に持っていけるのか、どういったプロセスで三倍に持っていくことができるのかといった声も、私の中には聞こえてきたりする部分がございます。

 特に、先ほどおっしゃいましたけれども、消費地として考えるのであれば、日本の隣の国の中国というのは、今後ますます、潜在的な需要も含めて、日本の農産品を輸出するに絶好の相手国だというふうに思っております。そして、大臣も、米等の検疫とかにつきましては、直接お話をされたりして、それの解消に向けて努めていらっしゃるということは私も報道等で聞かせていただいております。

 現状、今資料を見させていただきますと、日本から中国に輸出する際に検疫がかからないで送ることが可能なのは、今のところ、リンゴ、ナシが送ることができるということでございます。それ以外の多くの品目については、今、解禁を要請中ということでございますが、まだ正式な解禁に至っていないというような状況でございます。

 例えば、佐賀県なんかは非常にいいイチゴをつくる産地として有名でございまして、そういったものも、知事もぜひとも中国にどんどん送っていきたいというような意欲を持っていらっしゃいますし、例えばメロンとかサクランボとか、そういった日本の本当に誇るべきおいしい果物、たくさんありますけれども、そういったものを今後、検疫も含めて、どうやって海外に送っていくのか。先ほどおっしゃった一兆円規模に持っていくために、どのようなプロセスを経て持っていくことをお考えなのかといったことについて教えていただきたいと思います。

松岡国務大臣 今福岡先生の御指摘の点ですが、二〇〇六年で今三千七百四十一億円、そして二〇〇五年から二〇〇六年の間の一年間の伸びが一三%。だから、伸びがきゅっきゅっと角度を上に上げて、ずっとここのところ伸びてきております。

 そういう中で、今おっしゃいましたように、十五億人もいる中国、そして経済的に本当に豊かになってきた。今や穀物の消化量というのは、中国はアメリカを上回りました、肉類につきましても。これが一人当たり一生になったら、えらいことになるんですよね、世界じゅうの穀物の四割は中国が食べてしまうみたいな。大体、二〇三〇年ごろと見通されているんですが。したがって、これからは急角度で、恐らくまた水準的にも相当高い水準で値段の高いものも消費されるようになっていくと思います。

 米で見ますと、中国人は二億トン食べているんですよ、二億トン。もちろん、その中には短粒種、中粒種、長粒種と品種もいろいろさまざまですけれども、いずれにしても二億トン食べる。その中で、高級志向というのが非常に強まってきておる。我が日本は八百四十万トンの生産ですから、そういうことを考えますと、私は、大きな可能性がある。そして、日本の米を食べた方々は、日本に来ても向こうに持っていく。これはもう本当に病みつきになる、またどうしてももっと食べたい、そういうような需要、志向が確認されておりますから。

 私は、やっと今度、米の輸出というものが事実上決着を見、温家宝総理が四月に来られます。安倍総理との会談において、そこでこれが正式になる。それで、この九月以来、これは我々農林水産省を挙げて、輸出促進本部長なんですが、農林水産省を挙げて、私も最後は中国に行ってまいりまして、向こうの検疫大臣とバイの交渉をしまして、そして事実上の決着を見てきたわけであります。あと、これから肉につきましても、野菜、果樹につきましても、これはお互いひとつ理解をし合って、一日も早い貿易を目指していこう、今そういう方向で全力を尽くしております。

 外務大臣にもお力添えいただきました。経産大臣にもお力添えいただきました。二階国対委員長にも本当にいろいろな形で御支援をいただいて、この四カ月間、五カ月間総力を挙げて、米の輸出の実現はここまでこぎつけることができた、そう思っております。したがって、私は、大きな大きな可能性を持っておる、こう思っております。

 今、イチゴの話がございましたが、これはイチゴは行けるんですよね。たしか佐賀の中野会長も、私も親しいんですが、中野会長も中国とのこれからの貿易については物すごい期待をされておられました。今イチゴは行けるはずなんですよね。例えば、とちおとめなんかはもう上海にどんどん行っている。小泉総理も国会答弁で言っておられましたが、一粒三百円。こんなような形で、これは行けます。

 ただ、今のところそれ以外で、イチゴはあれは野菜なものですから、そういう果物とか、肉とか、米とかということでいうと、向こうからは来れるけれども、こっちからは行けない。行ける中では、たったリンゴとナシだけだ。それも、高い物は物すごく高く売れている。こういうことなので、これを全体に広げていく。そうすれば、大変な市場が隣にある、十五億という巨大な胃袋が隣にある。こういったところをしっかりと見定めながら、全力を尽くしてやっていきたいと思っております。

 あと、山本先生から何かありましたら、また答えていただきたいと思います。

山本(拓)副大臣 どうもありがとうございます。

 今ほど御質問がありました輸出につきましては、一兆円の目標につきましては、御案内のとおり、今日本に輸入しております農林水産物は年間七兆円を超えているところでございまして、そして輸出に対しては昨年度でやっと三千七百億になったところであります。

 そこで、ふやすに当たっては、まず現状の七兆円を輸入しているのにかかわっているのは、大半が大手の商社が絡んでおりまして、まず、そこらのトップに対して、少しバランスをとってもらいたいということで、日本からは輸入、日本向けの輸出をしている調達品、そこの国に対して、その一割を日本の製品を買わせる努力をしてもらいたいと。また、逆に、その国の好みもあるでしょうから、その国の好みのものの情報をいただければ各地区の農産品と結びつけて、そしてそれを逆に、一割バックという言い方でありますが、実業界の方は絶えず頭の中にバランスシートを置いて仕事をしておりますので、その意味ではバランスという感覚でしっかりと理解をいただいて、各商社単位で輸出対策というセクションを新たに設けていただいて、検討いただいております。

 そして、中国につきましても、先ほど大臣の方から米の輸出の成功の例を言っていただきましたが、これも、中国から日本に入る輸出品は農産物で一兆二千億を超えているところでございますが、日本から中国に行っておりますのが六百億弱でございます。そういう中で、中国も国内の所得格差がかなりの開きがございまして、中国で七百五十万といいますから、日本円で、いわゆる日本でいう億万長者が二千万人を超えておりまして、そういう人たちに向けた、いわゆる外車を乗り回すというか、ベンツを乗り回す人たち向けの高級食材を買ってほしいということで、バランスをとる意味でも、松岡大臣の交渉が実って、ようやくそういう枠が開けた。

 そういうふうにして農産物レベル単位の二国間のバランスをとっていくことによって、七兆円の一割は七千億でありますから、今三千億ですから、足してちょうど一兆円になるという、これは個人的な思いでありますが、具体的にはそういうことで、そしてまた独自に展示会とかいろいろなものを開いておりますが、メーンは、日本に輸入を七兆円もしている事業者に対して、その相手先に一割を、日本製品を売りつけるというか販路を拡大してもらうということで、今、私の立場で一生懸命努力をいたしているところでございます。

福岡分科員 ありがとうございました。

 大変具体的に、力強く取り組んでいただいている事例がよく理解できました。やはり攻めの農業の象徴として一兆円の輸出額ということを掲げているわけですから、ぜひ、何としてでもその実現を達成すべく御努力をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、米について一つ質問させていただきたいんですが、ここのところ、去年の台風以外にも、佐賀県は米作、ここ四年間ずっと凶作が続いておりまして、そういった中で、現場の方の声の一つとしては、地球温暖化が何らかの影響をしているんじゃないかというふうな声が上がっております。

 佐賀県は、主要なウルチ米の品種としてはヒノヒカリという品種がございますけれども、そういったのが、今のこの温暖化した、暖かくなった気温に必ずしも適合していないんじゃないかというような現場の声があるわけです。しかしながら、これまでも脈々とブランドイメージとして築いてきていまして、単価としてもそれなりの単価で出荷できるようにブランドイメージを築いてきた中で、気候が違うからといってまた新しいブランドを一からつくっていく労力を考えると、なかなか簡単にそこまで、品種を転換するというところに踏み切れないというようなことも現場としては思いとしてあるみたいでございます。

 そういった中で、やはり地球温暖化が確実に進展しているということに伴って、今後、作物の適地というのが日本の中でも移動していくというようなことが考えられますけれども、そういった中で、農水省としてはそういった研究にどういうふうに取り組まれているのかということについてお教えをいただきたいと思います。

松岡国務大臣 先生の御指摘、本当にそのとおりだと思っています。

 九州全体がもう四年続きで作況指数が一〇〇以下ということでありまして、前から言われておりますし、私もそのことはずっと認識をしてきているんですが、作物生態学の研究では、穀物の成長期の適正温度が一度上がりますと一割収量が減る、こう言われております。そういった意味で、北海道の方は逆に今、二年続きの豊作、作況一〇〇以上。したがって、昔は北海道、東北というのは冷害があったんですが、おっしゃったように、どうもこれは適地が移動してきているんではないかという思いがあるわけです。

 ただ、まだそこまで断定できるかどうか。こういった点はやはり科学的な判定を待たなきゃいけない、こう思っておりますが、問題認識はまさに先生と一緒でして、特に佐賀県の場合はモチ米の産地。本当に、モチ米が半分になってしまったらどうなるんだという問題もあったと思うんですが、いずれにしても大変な影響を受けておる。そういう中で、あとちょっと事務方の方から、具体的な取り組みなり、どういうことをしようとしているかということを答えさせたいと思いますが、問題認識は先生と全く一緒であります。

高橋(賢)政府参考人 大臣の答弁に若干補足させていただきます。

 御指摘のとおり、温暖化が進みますと、我が国の農林水産業に大きな被害が及ぶ可能性があるということは十分考えられますので、こういった温暖化の進行につきましてさまざまな取り組みの研究をしています。

 先ほど御指摘がありました米の話ですけれども、米につきましては、高温でも外観品質がすぐれた水稲品種の開発ということで、現在、九州とか温暖な平たん部に適しました「にこまる」という品種を開発しています。これは現在、長崎県では奨励品種になっていると思いますが、そういった品種も開発していますし、あと、麦あるいは果実、それぞれいろいろ想定される障害に対してどう取り組むかという研究もやっております。

 先般、IPCCの第四次報告書が出されまして、この中で、温暖化につきまして、第三次よりもさらにかなり厳しい状況が確たる言葉で述べられておりますので、これまでいろいろと取り組みをやっておりますけれども、今回の報告書も踏まえまして、さらに、改めまして影響の予測評価を行いまして、どう取り組むか、より一層力を入れてまいりたいと考えております。

福岡分科員 ありがとうございます。

 続きまして、ちょっと細かいことですけれども、農業経営基盤強化準備金というものがございまして、その適用対象というのは、認定農業者、特定農業法人、特定農業団体ということが認定者の要件になっておるわけでございますけれども、そういった中で、任意組織である、別に集落営農組織というのがあって、その中に認定農業者が加入をしているケースというのも見られるわけでございます。

 今回、その認定農業者単独では、圧縮記帳の対象となるような準備金を固定資産用に回したりするということができるようになっているんですが、一度任意団体の集落に加入した場合に、その方々が準備金の対象から外れてしまうということについては、個人でやっている分にはいいんだけれども、集落に入ってしまうと、そこから対象が外れてしまうというのはおかしいんではないかというような声もあるんですが、その点について教えていただきたいと思います。

高橋(博)政府参考人 今御指摘の農業経営基盤強化準備金でございますけれども、これは、今回の品目横断的経営安定対策の導入にあわせまして、一定規模以上の認定農業者あるいは集落営農組織というような、いわゆる今後の我が国農業を担うべき担い手の経営体の経営改善のために、産地づくり交付金等も含めまして、今回の交付金等を受領した場合に、準備金としての積み立てについては損金算入、それから、それを崩しまして固定資産を取得した場合にも圧縮記帳が認められるという制度でございます。

 これにつきましては、先般、二月二日に所得税法等の一部を改正する法律案という形で閣議決定をいたしまして、今この国会に提出させていただいているところでございますけれども、この準備金の趣旨が、いわゆる任意団体、任意組織も含めて、その組織の経営としての改善を図っていく。したがいまして、その組織体の構成員の経営改善というよりも、その人たちが入っているその組織体を今後とも育成していただくという趣旨でつくっておりますので、組織の構成員の方々を対象としているものとはなっておりませんのを御了解いただきたいと思います。

福岡分科員 ありがとうございます。

 もう時間がなくなりましたので最後に一点だけ、今度は水産関係についてお伺いしたいと思います。

 今、議員立法で、有明海特措法の見直しの時期に来ておりまして、その動きをしておることは御承知と思いますけれども、私も、いろいろな地元、特に有明海に面したところの漁協の組合員さんとかとお話をさせていただくに当たって、去年、ことしと、ノリのできは非常にいいというふうに聞いております。

 そういった中で、やはり有明海再生に向けて国の取り組みというのが、ずっと、例えば二枚貝とかについては覆砂をやったり耕うんをやったりということで対策をされているということは十分わかっておるんですが、なかなか、かつてに比べて、有明海対策に向けて国としての取り組み、その意気込みというのが、従前に比べて少し意欲が見えなくなってきたんではないか、そういった不安の声というのもございますので、最後に、そういったことはないということで、今の取り組みも含めて力強いお言葉をいただければと思います。

松岡国務大臣 実は、私も、この有明海・八代海再生法、これは古賀誠先生とともに私も提案者の一人でございまして、議員立法でやったのでありますが、決してマインドが落ちてきたのではないと思っております。

 ただ、非常にノリも順調に来ておる、喜ばしいことと思っておりますが、今水産庁長官が参っておりますが、ちょうどあの有明の問題が起きたとき、私は副大臣をやっていまして、水産庁長官が漁政部長で、こういう組み合わせ、コンビで現地まで出向いていろいろ議論いたしました。幸い、今ノリも順調に来ているということで喜んでおりますが、さらなる有明海、八代海の再生ということにつきましては、福岡先生御指摘のとおり、私どもはこの立法の趣旨を、意図を体しまして、全力で取り組んでいきたいと思っております。

 時間の中で、あと具体的に長官がお答えすることがありましたら、お答えしたいと思います。

 以上であります。

白須政府参考人 もう御案内のとおりで、十四年に有明海、八代海の再生の法律ができたわけでございます。その後、私ども、政府一体となりまして、海域の水質保全でございますとか、あるいは貧酸素水塊の発生源の究明、あるいはただいまお話しのアサリでありますとかタイラギ、そういった生産回復、さらにはノリの共同加工、ノリ栽培に必要な栄養塩類の補給対策、そういったもろもろの対策を政府一体となりまして取り組んでいるところでございます。

 今後でございますが、やはり有明海、八代海は貴重な自然環境、水産資源の宝庫でございます。宝の海とも言われておるわけでございまして、そういった豊かな海に再生するということで、今後とも私ども、海域環境の保全、改善、あるいは水産資源の回復、漁業の振興、そういった施策に万全を期することが重要であるというふうに考えております。

 今後とも、関係省庁とも連絡を図りまして、有明海の再生に向けまして一生懸命努力してまいりたいと考えている次第でございます。

福岡分科員 ありがとうございました。

 昨年、豊かな海づくり大会というのがございまして、天皇皇后両陛下にもお越しいただきましたし、農水大臣もお越しいただいて、力強いお言葉をいただきました。まさに豊かな海づくりを今後も積極的に進めていただくことをお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本主査 これにて福岡資麿君の質疑は終了いたしました。

 次に、萩原誠司君。

萩原分科員 自由民主党の萩原でございます。

 まずは、松岡大臣、御苦労さまです。

 党の方で、農産物の輸出を飛躍的にふやす議員の会というのに参加させていただいて、そこで、松岡大臣が日本の米はダイヤだとおっしゃいました。僕はあの言葉に物すごく胸がわくわくしまして、これだ、この前向きな精神というのがなきゃ農政はやれぬなと思って、物すごくうれしく思いました。

 私は岡山が地元なんですけれども、岡山では、例えば桃、ブドウというのがあって、昭和三十年代には、ブドウでいうとベリーA、キャンベルなんかやっていたんですけれども、実はタイや香港やフィリピンまで輸出をどんどんしていたんです。それがどこかの時点で終わった。去年は、おかげさまで、桃については、タイに持っていって、何ぼだったかな、これぐらいの白桃ですけれども、たしか一粒二千五百円で売って、どえらいことになりました。ただ、問題だったのは、去年は不作だったものですから、岡山の中央市場に物が不足しまして、業者の方々はいわゆるお中元用に予約しているものですから、えらい高値がついて大騒動になりましたけれども。

 やはり、日本の持っている力というのを、ダイヤと表現されたその実績を、我々も少しずつ出していきたいというふうに思っています。

 きょうは、そういうことで、世界の中の日本の農政というような観点から全部の質問をしてみたいと思うんですが、その一つの入り口になるかどうかわからないんですけれども、ことしは米政策が大きく変わるというようなことで、米の需給見通しあるいはその生産調整については、新しい手法、つまり六中四でやって、十割にして、いわゆる技術的な補正を行って、ペナルティーを少しつけてと、非常にこれはいい形になっていると思うんですけれども。

 私は、こういう米についての需給見通しというのは、国内的に非常にいいものだと思っているんですが、世界の需給見通しから見て非常に変わった需給見通しでもあるなというふうには思っているんです。日本の需給見通しについての世界的な位置づけというか、あるいはその特徴ということについて農水省はどういうふうに御判断されているのか、ちょっと教えていただきたいと思うんですけれども。

岡島政府参考人 米についての需給調整なり需給見通しについてお答えしたいと思います。

 今、萩原委員から御指摘あったとおり、まさに十九年産から生産調整、需給調整システムが新しいものになる。その中で、一つは、やはり、農業者、農業者団体が地域の販売戦略に基づいて、主体的に、需要に応じた生産に取り組むということによって、米づくりの本来あるべき姿の実現を図るものであるということでございます。

 そうした中で、国の関与といたしましては、まず、当然のことながら、全国における米穀の需給を見通すということでございまして、その動向を踏まえた上で、都道府県別の需要量に関する情報を提供するということでございます。そうしたことによりまして、農業者、農業者団体がみずからの生産目標数量を決定し、主体的に需給調整が実施できるようにしているところでございます。

 それだけではなくて、国としては、地域水田農業ビジョンの実現を図り、需給調整の実効性が確保されるよう、産地づくり交付金などの予算措置を初め、構造政策、経営政策などを総合的に実施するとともに、需給調整についても、農業者団体などに対する必要な助言及び指導に努めているところでございます。

 諸外国との関係でございますけれども、確かに諸外国の需給調整の事例は定かではないのですけれども、我が国の米という事情をかんがみますと、より実効性の上がるものとして、こういうふうにして設計したものでございます。

萩原分科員 ありがとうございました。

 ただ、恐らく意が達していなかったかもしれませんけれども、日本の需給見通しの特徴は幾つかあって、一つは、先ほど局長の答弁にもあったように、全国、つまり日本を対象にしているんですね。世界の需給見通しというのは、基本的にその国内だけで閉じることは絶対ないんです。すべて世界に広がっている、マーケットは通じているという観念からつくっている点が一つ違う点。

 もう一つは、内側の、生産調整を念頭に置いていますから、地域ごとの需給見通し、需要見通しということになっているというのが非常に珍しくて、アメリカの需要見通しでニューヨーク州は何ぼかとかいうようなことはほとんど問題にならない。つまり、全国区という中で、世界を無視し、地域を重視している。

 これはこれでいいと思うんですけれども、こういう特徴を持った需要見通しを農業生産の調整の中で使った上での話ですけれども、今後、先ほどの福岡先生とのやりとりにもあったように、日本はやはり世界に打って出る必要がある。そのことを考えたときに、私は、需要見通しなんかについても、次第次第に世界のマーケットというものを踏まえた色合いというものを出していかなければいけない、そんなふうに思っています。

 そこで、次の質問になるんですけれども、日本は、米についてもいろいろ、少しずつ輸出をしたり、あるいは輸入もあるんですけれども、他の穀物について言うと、世界での一番大きな輸入者だった時期もあるし、先ほど大臣がおっしゃったように、中国がこれから恐らく世界一の輸入国になっていくんだろうと思います。さはさりながら、日本の食料の安定供給、食料安全保障といったことを考えたときに、我々は、やはり世界におけるマーケットというものを常に輸入国としても輸出国としても見ていかなければいけない、そんなふうに思っています。

 FAOとか世界の機関が、世界の気候とかいろいろなことを考えながら需要見通しを出したり、あるいは人口学者が、地球上の人口が何億人になったらもう食えぬとか食えるとか、そういう話もありますけれども、やはり日本国として、自分たちの農業というものの抱えているその特徴を生かしながら、世界の需要供給について的確な見通しを実は自分たちでつくっていかなきゃいけないんです。

 私は通産省の出身ですけれども、石油ショックのときにやはりエネルギーの総合的な連関表なんかつくって、エネルギーというのは世界でどう動いていて、だれが使っていて、どういうふうに例えばCO2を出しているかとか、いろいろな形で、自分たちなりに徹底した需要見通しを念入りにつくっていく、それが実は政策の基礎になっていくわけですね。そういったところの努力というものが一体どうされているんだろうか。

 私は農水省にたくさん友達がおりましたけれども、農水省の定員はこのところ減っていますね、大臣、何となく。どこが減っているのかというと、例えば統計の連中が減っているんですね。あの優秀な、米をもう一粒ずつ見ていたような方々がいなくなっている。これは本当に寂しいことなんです。

 もっと世界に視野を広げて、世界のマーケットを、米なら米で徹底的に調べてレポートをしていく。アメリカはこれをやっていますね、USDAは見通しを出している。恐らく、先ほど大臣がおっしゃった中国の米の需要なんというのはひょっとしたらUSDAの見通しの中から出てきているデータかもしれない、そんなふうな気がします。日本でもやはりきちっとした見通しというものを持つべきではないかという気がします。

 そこで、穀物の貿易を日本の安全保障の観点から担っている農水省として、他の穀物、米も含めて、どういうことで今後需要見通しを作成する必要があるのかどうか、その辺についてのお考えを、もしございましたらぜひお聞かせいただきたいと思います。

松岡国務大臣 先生の御指摘のとおりでして、今、世界じゅうというか地球上で大体二十億トン前後なんですね、生産されているすべての穀物は。そのうち米は五億トン、玄米とか精米とかいろいろ違いはありますが。二十億トン、二十一億トンと言われています。人口は、これがいつの時点で百億になるのかとか八十億になるのかと言われていますが、米だけで見ましても、先生も御存じだろうと思うんですが、FAO、こういったところの見通しでは、あと十年で、五億トンという単位で見ている今の米が、需要は六億トンになる。言ってみれば二五%ふえる。そういたしますと、とてもそれに供給が追っつかないから、価格は逆に三五%ぐらい上がるだろう、こういう見通しなわけですよ。

 そうすると、おっしゃいましたように、もう中国が大変な、これはレスター・ブラウン、私はこれをいつも持って歩いているんですが、相当前の、去年の新聞だと思うんですけれども、レスター・ブラウンが言っているものでも、やはり、とにかく状況は変わりつつある。その一番の状況は何か、これは中国だ。最も基本的な資源の消費量で中国が米国を大きく超えてきた、まさに、食料部門の穀類と肉類、エネルギー部門の石炭と石油、こういった中で大きく動いてきた。そういったことですから、もちろん食料についても私はそういうものだろうと思う。

 その中で、我が日本の米というのは、先ほど言いましたように、八百五十五万トンが去年の生産量ですね。そういう中で、日本だけしか見ていない。今まで日本は、どちらかというと守りが主ですから、農業の場合は。とにかく守る。

 だから、私は、やはりそこのところを、守るのはもちろん基本として大事ですけれども、発展していく、将来を展望するには、外の需要も自分たちのものとしてどうとらえていくか、こういった観点が必要だということで、輸出ということを言っているわけでありますが、本当に、先生のおっしゃるような、そういう他の国との、地球全体、そしてまたアジアとかいろいろな地域との関係、そしてまた日本の国内の生産と需要との関係、こういったことをトータルにとらえて、そしてその上で政策を組み立てていくということの必要性というのはもう全くそのとおりだろうと思います。

 そういった意味で、我々も、役所としても、これはしっかりしたそういう取り組みをしていきたいと思っていますし、そのような考え方に立って、こういった今後に向けた一つの方向を必ず私どもとしても突き詰めてまいりたい、こう思っています。

萩原分科員 ありがとうございます。

 そこのときに、先ほど私が日本独自のということで申し上げたのは、いろいろな背景があります。

 一つには、やはり我々がつくっている米というものは、先ほどちょっと御紹介しましたように、大臣の言葉をかりればダイヤなんですよね。ダイヤと、こんなことを言うと変ですけれども、中国の長粒みたいなものを一緒の物品だというふうに思われ、確かにカロリーとしては同じなんだけれども、一物一価というのがあって、いろいろ議論がある。石油ならまあわかりますよ、ちょっと重いねとか軽いねぐらいで区別すればいいんだけれども、米なんというのはもっともっと品種があるはず。

 先ほども、ヒノヒカリの話が出ていました。コシヒカリとヒノヒカリはやはり違います、食ってみて。うちでいうと朝日米は違いますね。全く違うんですね。そういうふうなものを考えると、日本の持つべき需要見通しというのは、米についても、品目が少なくとも十や二十はあっていいはずですよね。

 そういうことを、品目を区別し、質をちゃんと言った上での需要見通し、これは実は販売戦略に完全につながるんですね。需要はつくるものだから、こういうものがあるんだ、これは皆さんが売っている、中国で売っている米じゃないんだ、これは日本の米とは違うんだということを言いながら、需要をつくっていって見通しに入れていくという作業も含めて、ぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岡島政府参考人 一つは、米について申し上げますと、まさに御指摘のとおりだと思います。

 今の日本の米の置かれた状況、基本的には国内で生産して国内で消費するということを踏まえながら、一方で、これから攻めの農政ということがございます。そういったことをどうするか。一方で、ミニマムアクセス米で入ってくるものを、どういう需要で行っているかということも含めて、需給動向を見ておりますし、今おっしゃられました、まさに品種、銘柄、それによってどういうふうなものが今消費者に売れているかとか、そういったことも含めて情報として提供しているところでございます。

萩原分科員 大変ありがとうございました。

 先ほどの御質問の中の一部に、輸入国として、小麦であるとか、あるいは大豆もそうですね、そしてコーンなんかもそうなんですけれども、いろいろなものの輸入国として、日本は、今後の中国の動向というのは逆に今度は圧迫になってきたり、いろいろな面があります。

 そういうことも含めて、我々としても、当時、石油危機のときに、エネルギーについての需給見通しを世界でぴしっとつくって、これなら食えるとかこれなら何とかなる、あるいはここは問題だ、こういう戦略をとろうということをやりましたけれども、例えば小麦なら小麦、そういった非常に重要な物資についての、食糧についての世界レベルの需給見通し、あるいは日本への影響についての調査研究、あるいは資料の作成、公表といったことについての農林省のお考え方もあわせて伺っておきたいというふうに思います。

岡島政府参考人 まず、穀類全体、穀物全体につきましては、毎年、海外食料需給レポートということで、こういうもので、今後どうなっていくかということを含めて、我々としての調査研究を出しております。

 それとともに、穀類それぞれ、品種特性とか用途等さまざまありますけれども、小麦について申し上げますと、我が国は国内需要量の九割を海外に依存しております。そうしたことで、やはり海外需給の動向をきちっと把握する、これは何も日本に対する輸入だけじゃなくて、海外がそれぞれ、どこの国とどこの国でどういうふうに小麦が動いておるか、あるいは小麦と代替する、例えばえさ需要としてトウモロコシがどういうふうに動いているか、そういうことも含めてやはり考えていく必要があると思います。

 昨年六月に改正されました食糧法に基づきまして、小麦につきましては、麦類の需給と価格の安定を図るために、ことしの四月から新たに麦の需給に関する見通しを策定することにしておりまして、これを三月末までに策定することとしております。

松岡国務大臣 萩原先生の今の話は、私は、すばらしい、大きな、これからの大事なポイントを御指摘いただいたと思っております。

 といいますのは、単なる量だけの話なのか、そこに質が絡んでくる、質を求めるというやはり大きな需要が起きてくる、こういったことに対して我々はじゃどうこたえていくか。

 それこそ、日本の米にしましても、牛肉にしましても、育て方も含めて、これは私がダイヤモンドかプラチナだと言うのは実はそこなんですね。それは、これだけ品種改良をしたすばらしいものはどこにもない、そしてまた栽培技術もすぐれている。

 そして、この肉にしましても、和牛ということで、世界で言われている和牛は、実は日本の種だけれども、アメリカとかオーストラリアで育てられたものが和牛と称して売られている。本家本元は一つもその恩恵に浴していない。こういったようなことを考えますと、どうして本家本元でありながら利益だけはよそにとられているのか。こういったことが、今私が輸出ということを考えたり外に打って出ようということを考えたりする発想の実は原点になっているわけでありますけれども、一番苦労しながら、努力しながら、一番報われていない。ここは大きくその辺を目指すべきじゃないか。

 だから、先生がおっしゃったように、商売という観点からと、それから資源としての、需給の観点からと、いろいろな形の市場動向、需給動向というのをやはりとらえる必要がある、こういうことにつきましては、これは大きな問題指摘として、新たなポイントの指摘として、しっかり受けとめたいと思っています。

萩原分科員 大変ありがとうございました。

 アメリカの農務省の方々と話すときに、彼らは同じことを言うんですね。彼らは、やはり自分たちの出している情報あるいは需要見通しというのが、アメリカの小麦をつくっているお百姓さんたちに一番いいように、そして例えばバイヤーである日本の商社にとってよくわかって、それは買うたろうというふうな思いをしっかり込めてやっている。

 私は、四月から新しい統計も出るという話を聞きましたけれども、そういう中に、農林省としての日本農業に対する力いっぱいの思いを込めて、熱いものを出していただくように、それはぜひ、この場をかりて心からお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 そういうことで、話は大分行きましたけれども、先ほど申し上げましたように、米施策の中では、需給見通しが県別になっています。私も岡山の市長をやっておりましたから、例えば岡山産の米を学校で食おうよ、学校給食はもう徹底的に岡山でいこうよと、炊飯器をようけ買いまして、炊飯器をたくさん買って、農協と一緒に買って、学校につけたら、まあ何とヒューズが飛んだりしまして、ブレーカーが落ちたりして、大ごとになったりしながら楽しくやってきたんですけれども。

 ただ、それはそれとして、結局そのところ、岡山の米は、米だけでいうと供給できるんですけれども、やはりすべての栄養バランスをとって考えていくと、岡山市だけで独立にいくわけにはいかぬ、やはり北海道の方にも御参加いただかにゃいかぬし、九州の方にも御参加いただいて、いいものを提供していただく必要がある、そういうふうに思うんですね。

 なぜそんなことを言っているかというと、農林省が食料についてどこまで責任を持つのか、都道府県がどこまで持つのか、その責任分界のところが、いろいろな考え方であると思うんですね。私はぜひ、食料について、安全で、そしてよくて、おいしいものを安定的に供給するということの責任というものを改めて、農林大臣の口からでも結構ですので、しっかりまずは聞いておきたいなと思うんです。

 だれが責任を持って、日本の国民の方々に対して安定的に食料を供給する責任を持つか。多分それは、市は協力します、市長も頑張りますけれども、市長だけで全部やれと言われると、安全保障上の観点でちょっと無理がありますね。知事に言うても、知事も恐らく、自分も無理かなと思うんですよね。だから、一体だれが最終的にこの責任というものを持っているのか、もちろん協力は必要ですけれども。その点についての非常に単純な答えで結構です。よろしくお願いいたします。

松岡国務大臣 いや、もうそれは端的に言って、やはり国民食料という言葉で言うぐらいですから、それはそれぞれに県民とか市町村民とかもあると思いますけれども、食料安全保障、こういった言葉の観点からいたしましても、それは私は、まず国民食料の確保というのは国の一義的な責任だろう、こう思います。そういう観点に立って、またそういう認識と責任に立って、これはやはり国民食料の確保ということに取り組んでいく必要がある。

 それはやはり、国際的に見ても、どこもそうなんじゃないかなと思いますね。自分の県さえよければいいということはないと思うので、やはり国全体として食料を確保して、そして国民あまねく食料をしっかりと届けるということなんだろうと思います。

萩原分科員 そこで話が飛んじゃうんですけれども、大臣、道州制についての御所見をお聞かせいただけますか。(松岡国務大臣「副大臣」と呼ぶ)では、副大臣、道州制についての御所見を。

山本(拓)副大臣 道州制につきましては、御案内のとおり、二つやり方があろうかと思いますが、今政府が進めております道州というのは、国の権限を分割するみたいなイメージでやっております。

 これはなかなか、農業の立場からいたしますと、基本的には、農政自体の改革が、もう国でコントロールするのではなしに、地域の農業者に責任を持たせて、そして国がそれをバックアップしていくという形の方向転換をいたしているところであります。御案内のとおり、北海道であれ岡山であれ福井であれ、もう全然条件が違うわけでありますから。

 そしてまた、経済力からいきますと、それぞれの県レベルでも、中東であれ東南アジアの国々の一国に匹敵するような経済力を持つ自治体も出ているわけでありますから、そういう自治体の力を全面的に出して、そして規制をできるだけ緩和する中で、直接行使をしていく中でしっかりと独自性を発揮していただくということが一つかと思います。

 根本的には、小さな政府を目指しておりますから、小さな政府ということは公務員をできるだけ減らしてということで、最低限のことは国でやりますが、多様なことは地方自治体に任せようという方向であります。公務員を減らして小さな政府にするということは、農業分野での地域の特性の決定権はできるだけ地方に移すという方向になっておりますから、そういう意味では、道州制という形で早く、どういう区割りの仕方かは別として、移行するべきかなという思いをいたしております。

 ただし、食料安保論とかそういう国策的な交渉事についてはこれはまた別問題でありますが、答えが一つであるものは国がやるべきでありますが、答えが複数以上あるものは、幾つか選択肢が出るものは地方に決定権を与えるという意味での分け方が妥当な分け方だと認識いたしております。

萩原分科員 最後の一言がなかったら大変なことになっていましたけれども。

 私どもとして思うことの一つは、先ほどの大臣のお答え、あるいは、実は、ナショナルに考えるということはインターナショナルに考えざるを得ないということなんですね、これ。

 そうしたときに、日本の農業というものが、ちょうど松岡大臣のときに多分恐らく底を打っていると思うんですね、これから変わっていくんですけれども、重要性とか意味を含めて。その中で、日本の農業政策というものの意味もまた非常にナショナルになってくる可能性が高くなっているんですね。食料安保の問題一つとってもそうですけれども、非常に高くなっている。

 したがって、その道州制の問題について言えば、副大臣おっしゃったとおり、二つの議論があったり三つの結論があったりしていいということがあるし、それの典型に、ここ数年間の議論の中で農業施策というのがあったのも確かなんだけれども、本当にそうかというところは、地方出身であるからこそ思うんですけれども、ぜひこれは考えてほしい。ナショナルな農政の必要性というのは、私はむしろ高まっている可能性が非常に高いんだということを思っております。

 大臣、いかがでしょうか。

松岡国務大臣 いや、それは本当にそのとおりだと思います。

 例えば、個別の品目を見てみましても、例えば道州制が実現したとして、それはそれぞれの道州ごとにやっておって国全体の整合性がなかったら、過剰になったり、また逆に言うと全く足りなくなったり、これはもうそのバランスはとれなくなってしまうと思うんですね。だから、そこはやはりそういう地域を超えた問題なんだろう、こういうように私も思います。

 それと、道州制に賛成か反対かというのは、これはやはりいろいろな利点、長所、短所、欠点もあると思いますから、総合的に判断しなきゃいけないと思うんですが、一つの方向として、分権といったようなことからしていけば、そして活力をそれぞれに生み出していく点からすれば、私はそれは一つの大きな価値もあるんだろうと思うんです。

 ただ、先生、地方自治に長くおられたから、一番認識されて、一番何か実感しておられるんじゃないかと思うんですけれども、岡山はちょっとどういう位置づけになっておるかは知りませんが、財源ですよね。

 例えばあのとき、三兆円税源移譲するからその分補助金やめる、こうなった。その三兆円をモデルにして考えたときに、そのときの一つの数字ですよ、正しいかどうか私知りませんが、東京都が三兆円分のうちのたしか四千八百億ぐらい税収がある。これは国税ですから、国税をばらしたら、東京都になる。そうすると、もう実に一六%ぐらいは東京都一都で占めている。そして、実際、東京都下で使われているその配分先というのは二千百億だったと聞いていますよ。そうすると、残りの二千七百億というのが、国税ですから、地方に配分されていたわけですね、東京都以外のところに。今度は、これは税源移譲で地方税になった途端に、東京都は黙って四千八百億自分のものになるわけですね。

 だから、それは、東京都にとっちゃこんなすばらしいことはないが、それが配分されておった地方から見ると、税源は来たけれども財源は来なかった、お金は来なかった。

 だから、そこのところが解決されない限り、私は、裏腹の問題として、一方で問題が起きてしまっている。そこをどう解決するのかということが一緒にいかないと、一体となっていかないと、私はこれは、道州制というのもなかなか先がハッピーということにならないんじゃないかな、こう思っていますから、そういう議論とセットで議論すべきだ、こう思っております。

萩原分科員 実は私も同じ所感を持っていまして、不交付団体がふえるということは、それまでもうかっている人はどんどんもうかるし、その他の人は実は財源が減るという非常に難しい問題を持っていますが、そこのことは総務委員会でまた議論をいたしますけれども。

 もう一個申し上げておきたい、質問をしておきたいことの一つは、道州制の議論の裏側の議論として、官邸機能の強化という議論があるんですね。USTR的なもの、つまり通商交渉権限の一括化。きょう、たまたまですけれども、新聞等に出ていますが、いわゆる安全保障については国家安全保障会議、この中に農水省が入るかどうかは微妙ですけれども、本来入っていいと思いますけれども、そういう形ができてきている。最終的な形式というのは、権限そのものが官邸に移っちゃうというのが最終形なんですね。これが実は中央省庁解体の一つのツールになっていて、もうこれは頭要らぬだろう、残っているのは道州に行ったらどうだというのが一般的な筋道なんです。

 私は、今後の議論ですから、それを今プレジャッジというか決めてしまう必要はないんですけれども、農水省にお願いしておきたいのは、すべてのところで、抵抗勢力じゃないんだけれども、我々はナショナルにここまでやっているんだ、ナショナルな観点から国民のためにここまで徹底的にいい仕事をしているんだというのを正々堂々と見せて、そしてその上で真摯な議論に参加してほしい。

 何か、最近調子悪いねとか、最近影薄いね、向こうへ散らばったらどうかみたいなことになるんじゃなくて、すべての部局が使命感に燃えて、日本の農業を守り、あるいは国を守り、国土を守っていく、そういう気持ちで徹底的にやっているんだということを示しながら、さまざまな議論、官邸強化の議論であるとか道州制の議論に農水省としても積極的に関与をしていく、そういう態度でこの問題に臨んでいただきたいというふうに思っております。

 もしお答えがあればいただきます。

松岡国務大臣 いや、すばらしい視点から、今萩原先生に激励も含めて御指摘をいただいたと思っています。

 もうあとは、先生が今おっしゃいましたようなそういう心構えで、腹構えで我々臨んでいきたいと思っておりますし、今おっしゃいました国家安全保障、この中に入るか入らないか。狭義と広義とあると思うんですが、純粋な、例えば国防的な、防衛的な観点からいえば、これは狭義としてとらえれば入らないのかもしれませんが、しかし、国民の、総合的な安全保障という観点からいえば、これはもう食料の確保というのは、何はさておいても食わないことには、食うのが第一義ですから、私は、もとよりイの一番に入るんだろうと思っておりますし、そういう自覚と使命感を持って取り組んでいきたい、このように思っております。

 きょうは、そういった意味じゃすばらしい御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

萩原分科員 私からもお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 終わります。

山本主査 これにて萩原誠司君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 民主党の山井和則です。これから三十分にわたり質問させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 私の地元は京都六区、京都南部でありまして、お茶日本一、いや世界一のお茶であります宇治茶の本場であります。そのことを中心に質問をさせていただきます。

 先日二月十日に、私の地元で、社団法人京都府茶業会議所主催で春の大茶会というのがありました。この今の健康ブームの中で、お茶の重要性というのはますます見直されていますし、また、このぎすぎすした競争社会の中で、やはり一家の団らんの中心にはいつでもお茶があった。宇治茶の歴史というのは八百年ぐらいさかのぼるわけであります。鎌倉時代にさかのぼるわけであります。そういう意味では、健康飲料であり、かつ日本の伝統文化の中心、なくてはならないのがこのお茶であります。

 例えば、言葉一つとってみましても、そんなむちゃな話はあるかというように、お茶がないとむちゃだと。あと、めちゃくちゃとか言われるように、これは無意識のうちに私たち使っておりますが、それほど日本文化、そして生活、家族の団らん、また人間関係の和みの中にお茶というのは溶け込んでいるわけであります。

 このようなお茶の本場が私の地元宇治なわけですが、鎌倉時代に宇治に伝えられたお茶は、江戸時代に現代の宇治茶製法が宇治で誕生し、その後、宇治の茶匠たちのたゆまぬ研さんにより、その栽培法や製法は、宇治にとどまらず、滋賀、三重、奈良などの各地に広まりました。現在も、この地で栽培された茶葉は、京都府内に出荷、加工仕上げされ、日本茶の代名詞と言われています。そしてまた、宇治茶となって、日本はもちろん、世界へも届けられて、今ヨーロッパ、アメリカでも、健康ブームに乗じて宇治茶ブームというのも出てきているぐらいであります。

 そこで、最初にペットボトルのことを取り上げさせていただきたいと思います。

 実は、きょうは二月二十八日なんですが、今からちょうど四年前の二〇〇三年の二月二十八日に、私はこの分科会でペットボトルの問題を取り上げさせていただきました。少し読み上げさせていただきますと、「最近ペットボトルのお茶も非常にふえております。その中で、これは日本のお茶なんだろうか、中国のお茶なんだろうかと緑茶に関しても疑問に思ったりするわけであります。そういう外国の緑茶の場合はやはり表示をすべきではないかというようなことを思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。」という質問をさせていただきました。二〇〇三年二月二十八日です。

 その当時の答弁は、現在厚生労働省と一緒になって、食品の表示に関する共同会議を設置させていただいております、その場において御議論をいただきたいと思っておりますという答弁であったわけであります。

 あれから年月がたちましたが、このたびペットボトルの原産国表示について制度改正を行われるとお聞きしました。

 それで、例えば、きょう一例を持ってきたんですが、これは実は中国産のお茶なんですね。食品の表示に関する共同会議の議事録、これを見てみても、やはりこういう議論の中で、増田委員という方がこうおっしゃっていられるんですね。「緑茶飲料については、たまたま非常に安い茶飲料を飲んでみたが、中国製と書いてあり、非常に不味かった。それはたぶん抽出まで中国でやって、極めて安い価格で出回っているものだろう。日本茶というのは、日本の食文化を支えてきた飲料だとするならば、茶飲料にはそれなりの責任があり、日本の味覚を育てるという役割もあるのではないか」と。

 それで、大手のメーカーではかなりがこの原産国表示をされているんですが、まだまだ中小のメーカーがされていない。茶の本場に住んでいる議員として、こういう、どこの国でつくられたのかもわからないペットボトルが流布しているというのは非常にゆゆしき問題であると思います。

 この問題について、以前から私何度も国会で取り上げてきましたし、また茶業振興議員連盟の中でも、私の質問の後に、このことを提案として農水省にお願いしたわけであります。

 このペットボトルの原産国表示につきまして、制度改正の趣旨、理由、今後のスケジュール等について、お答えください。

松岡国務大臣 私から最初にお話をさせていただいて、具体的なことは事務方から報告させます。

 山井先生、実は私、全く同じ考えでありまして、今、食品の原産地表示というのがありますが、これを実は一番最初に取り組んだのは、私が自民党の農業基本政策委員長でこれに取り組んできたわけであります。

 ちょうどウルグアイ・ラウンドで、平成五年の末にああいう形でウルグアイ・ラウンドが妥結をいたしました。そしてマラケシュ協定ということで、これが発効した。で、どっと自由化になってどんどん入ってきた。そこで、やはり消費者の方にどうしても選択してもらう。消費者の方に情報をちゃんと与える、そしてその選択ができるような表示をする、こういうことから、最初は平成八年に、ブロッコリーと里芋とニンニクとショウガと生シイタケ、これをやりまして、そしてまた十年には、ゴボウとアスパラとサヤエンドウとタマネギ、それがまずスタートでして、それからずっと私は議論してきました。それから今日に至って、この歴史があるわけでありますけれども。

 今のお茶につきましても、私も飛行機で行くときに、今カナダで物すごく日本茶がはやっているんですね。それは何でだというと、やっぱり健康なんですね。そして料理屋さんに行くと、よく日本茶が出る。必ず最初に出る。私もこれはNHKのテレビで見たんですけれども、あれを飲んでおくと、お酒を飲んだ後、二割方お酒が、人によって個人差があるんでしょうけれども、消化というか、アルコールを分解するのが二割方早いと。だから、まさにアルコールに対しても健康なんだと。だからお茶を飲むんだ、日本は。これは経験則なんですね。

 中国にも行ってきましても、向こうも、出ると緑のものが出てきますから、ウーロン茶、ウーロン茶というけれども、やはりこっちももとは緑なんだなと。

 私は今、これは必ずヨーロッパでも、世界じゅうで、日本のお茶というのは、健康だし、いい、またその飲み方も含めて、これを出していけば絶対売れると思っているわけです。だから、私は、このお茶の輸出ということも今非常に強く言っているわけです。

 したがいまして、先生と全く一緒でして、だからこの原料原産地にいたしましても、梅干しとラッキョウ漬けなんかも、最初は加工地が原産地になっちゃう。だから、例えば紀州の梅でも、木を持っていって植えるんですよ。木も同じだから、もう全く同じものなんですね。しかしプロセスは違う。例えば鳥取のラッキョウでも、中国のラッキョウを持ってきてそこで加工すれば、そこが原産地になっちゃう。だから、我々はそのときも、原料原産地をつけようということで、ずっと議論して、つけてきたんです。そして、消費者の方に本当に、正しい、選択の情報を与えようと。どっちを買うかは消費者の選択だ、こういうことなんです。

 この表示制度というのはこういう形で私も取り組んできた経過がありますから、先生の考えと、今お聞きしていて全く一緒だ、こう思っております。

 そこで、具体的なことは、私が言うより、今の先生の御指摘を受けて、緑茶のどういうふうな表示を今考えているか、ちょっとこれは事務方から答えさせます。

 では、改めまして。

 これは、今先生からのものにつきましては、私ども、これを加工食品については義務づけてきたわけでありますが、緑茶飲料、これにつきましても近々追加の予定で、ちょっと具体的な日程は私ここに持ってきていないんですけれども、追加の予定で、きちんとこれを措置すべく、そういう形で今予定をいたしております。

 三月下旬に第三十二回の共同会議をやります。そして、加工食品品質表示基準、これを改正案ということでやりまして、三―四月にかけまして、一カ月間パブリックコメントをやります。そして、五月から七月の間にWTOに通報いたします。これは二カ月かかります。そして、夏から秋にかけまして、JASの調査会の総会、そこで改正案を決定いたします。そして、秋を目途に官報告示をいたします。こういうことで予定をいたしておりまして、それから、移行期間が二年間ございますので、二十一年の秋には完全義務化、それまでの間は、義務ではありませんが、そういった方向を目指してやらせる、こういうことであります。

山井分科員 平成二十一年の秋から完全義務化という答弁をいただきました。ありがとうございます。

 ことしは二〇〇七年で、四年前にちょうど私も国会で取り上げさせていただきまして、時間がかかるなとは思いながらも、こういう、茶の大切さを認識していただいて原産国表示をしていただくのは非常にありがたいと思っております。松岡大臣の答弁を聞いていても、非常にお茶に思い入れを持っていただいて、私も感謝をしております。

 昨年、私が園遊会に行きましたときに、天皇陛下と服部先生という料理の専門家が私の前でお話をしておられまして、日本人はなぜこんなに健康なのか、食べ物がいいのですかという質問を天皇陛下が服部先生にされたら、服部先生が、食べ物よりもやはり飲み物だ、緑茶が非常に健康にいいんだというお話をされていまして、私も非常に意を強くしたわけであります。

 そこで、厚生労働省に次にお伺いしたいと思いますが、このようなお茶の健康への効果、また、世界三大のお茶として、紅茶、ウーロン茶そして緑茶と言われておりますが、こういうものと比較しての栄養効果についてお答えをいただきたいと思います。

中林政府参考人 お答えいたします。

 独立行政法人国立健康・栄養研究所というところがございますけれども、そこのホームページにおきまして、健康食品の安全性あるいは有効性に関する情報を公開しているところでございます。これによりますと、お茶にはカフェインやビタミンCが多く含まれている。中でも、緑茶にはアミノ酸が非常に多く含まれているという記載がございます。

 また、近年、緑茶に関しまして研究等が行われてございまして、その効用につきましても多くの知見が得られつつあるところでございます。例えば、平成十六年度の厚生労働科学研究でございますけれども、その中で、高齢者における緑茶摂取と認知機能との関連を検討した研究がございます。その中では、緑茶摂取による認知機能障害の発生抑制効果が示唆された。あるいは、同じ独立行政法人でございますけれども、国立健康・栄養研究所におきましては、バイオ細胞を用いた試験によりまして、緑茶ポリフェノールの一種でございますけれども、それが過酸化水素等の活性酸素種により誘発した染色体損傷を抑制する作用がある、こうした結果も得られているところでございます。

 なお、厚生労働大臣が審査を行いまして保健機能の表示の許可を行う、これを特定保健栄養用食品と申してございますけれども、この制度におきましては、茶の成分を利用した食品といたしまして、例えば、虫歯の原因にならない茶ポリフェノールを利用した菓子であるとか、あるいは緑茶弗素を利用したチューインガム等が、既に許可、そして販売されているところでございます。

 以上でございます。

山井分科員 認知症というのは二十一世紀最大の病とも言われているわけでありまして、そういうものに対する抑制効果がある、あるいは虫歯の予防にもつながる、これは言い出せば切りがありませんが、やはり八百年の歴史があるだけに、すばらしい飲み物だと思います。

 しかし、一つ重要なのは、ペットボトルのお茶になると、そういう栄養効果というのは非常に少なくなるわけでありまして、やはり地元としては、急須でお茶を飲む、そうしないと栄養価が落ちてしまうということを私たちは言っているところであります。

 実際、私の自宅の近所におきましても、茶業会議所が宇治茶道場「匠の館」というものをつくって、やはり急須で入れて飲んでもらうと。確かに今緑茶ブームなんですが、大部分はペットボトルなんですよね。今御答弁いただいたような、重要な健康効果は、やはり急須でお茶を入れねばならない。そういう意味では、急須でお茶を入れるという文化を二十一世紀に守り育てていかねばならないと思っております。

 そこで、私の地元では、京都山城「宇治茶の郷づくり」構想というものを今考えておりまして、八百年の歴史を有し、日本を代表する緑茶ブランドの商品は、山城地域の重要な宝であり、その振興は地域の活性化を図る上においても非常に重要だということで、宇治茶を通した和みの文化の継承とお茶する生活の実現ということで、京都南部を挙げて今この構想の実現に取り組んでおります。

 そこで、経済産業省にお伺いしたいと思いますが、その一環として、この宇治茶を地域団体商標、地域ブランドに認定をしていただきたいというふうに思っておりまして、今出願登録をしているところであります。ぜひ一日も早くこの登録をお願いしたいと思います。そして、その上で、宇治茶のような伝統ある地域の特産品を地域団体商標として適切に保護し、地域の活性化につなげていくことが重要だと考えますが、経済産業省の見解はいかがでしょうか。

関政府参考人 お答えします。

 今先生から、伝統のある地域の特産品を地域団体商標として保護し、地域の活性化につなげていくことが重要との御指摘がありましたが、まさにこの地域団体商標はそれを目的として設立された制度であり、昨年の四月から運用を開始しております。

 この目的のために幾つか主要な要件がございます。その一つは、商標の中に入っている地域がその当該産品の生産地である、あるいは主たる加工を行っている土地であるなど、その地域と産品との間に深い関係があるということ、それからもう一つまた大事なものとしては、その使われている商標が、出願された方がつくっているあるいは販売なりをしているものとして需要家が認識していること、そのような需要家が隣接都道府県程度には広がっているということでございます。

 このほかにも出願団体の資格等の要件がございますが、現在、宇治茶を初めとしまして、六百七十余りの出願がございます。これらにつきましては、今申し上げましたような要件に照らして、出願案件を迅速かつ適切に審査してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。(発言する者あり)

山井分科員 今、中井先生も、うじうじ言わずにさっさとやるようにという話が出ましたので、ぜひとも急いでいただきたいと思います。

 先ほどの松岡大臣の答弁にもありましたように、お茶というのは非常に重要な日本の文化でありまして、お茶なしには日本人の生活は成り立たない、日本人の家族の団らんも成り立たないと思います。

 例えば、おすしを食べた後にも必ずお茶が出てくるわけですが、あれはやはり生ものを食べた後にお茶を飲むと殺菌作用があるという。こういうのは本当にあらゆるところに行き渡っている日本の文化、日本人の食生活の知恵でありますので、ぜひとも京都ブランドとして宇治茶というものを早急に認めていただきたいと思っております。

 それでは、改めまして松岡大臣に、茶業の振興、そしてお茶や茶業の重要性についてお伺いしたいと思います。

 といいますのは、最近、過労死とか、ぎすぎすした人間関係、あるいは行き過ぎた競争社会ということが言われているんですね。私も、国会事務所にお越しになられた方には、時間があれば時々お抹茶をたてさせていただいたり、あるいは自分で急須でお茶を入れさせていただいたり、京都南部では男性が急須で客人にお茶を入れるという文化がありますので、もちろん時間があればですが、そういうことを私もさせてもらっていますし、また地元宇治田原町の茶の線香を立てて、お茶の香りというのは心を和ませる効果があります。

 そう考えてみると、単に健康的な効果だけではなくて、急須でお茶を入れてお茶を飲む、そしてよもやま話をする、そういうゆったりとした語らい、空間、人間関係、スローライフとも言うんでしょうか、そういうものこそが、私は、今の失われた日本のよさを取り戻す一つのキーではないかというふうに思っております。

 そういう意味では、茶文化の、和みの社会というものを、やはりお茶の普及を通して実現していく必要があるのではないかと私は思います。このような点に関して、お茶、そして茶業の振興について、松岡農林水産大臣の御決意、思いを改めてお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 きょう山井先生からお茶の話をこうやってしていただきまして、非常に、何といいますか、心が豊かになったような、そんな思いがいたします。

 といいますのは、やはり何といっても、お茶というのは確かに、おっしゃいましたように、日本としては大変な文化でありますし、これによっていろいろな人たちが精神を修養したり、また、人間関係の上でいろいろな役割を果たしてきたんだろうと思います。そういう意味で、本当にこれは日本が誇る大きな文化だ、こう思いますし、そういったことを支えていくお茶の生産、茶業というもの、これを我々はもう一遍改めて見直して、そしてこれをどうやってしっかりと発展させていくか、そういう観点で、今先生のお話をお聞きしながら思っておったところでございます。

 そこで、私は今、輸出、輸出とこうやって言っておりますが、実は、日本の食文化、料理文化、こういったことが世界に伝わっていく、そして日本が理解されていく。非常に重要だと思っています。

 反対、賛成、いろいろあるんですが、日本食の認証制度という言葉があったら、では私が何か排除するのかどうかと。そんな気持ちはさらさらなくて、これだけ世界が日本食ブームになってきた。それはやはり健康だから、おいしいからといろいろあると思うんですが、その中で、これが本当の日本ですよという形のものを、押しつけじゃなくて、そういったものを示していく。そのことによって、ああ、これが日本の本来か、本当の日本の料理というのはこういうものなのかということで、さらなる理解が深まれば、日本に対する理解とか日本に対する思いも持っていただけるんじゃないか、こう思って、世界において日本食のすぐれたものを推奨する。認証というと何か許認可みたいになるので、言葉を優良店の推奨制度に変えてやろうということで、今実は有識者にいろいろな検討をしてもらって、やろうとしているんです。

 いろいろな国がいろいろなことをやっています。そういう中で、例えば先ほど先生から服部先生の話が出ましたね。あの方はフランス政府から一つの何かを認定された、表彰をもらっておるわけですね。フランスの政府というのは、外国人がフランスのことを広げてくれる、その人に対してそういった一つの資格を与えるような認証制度をやっている。よそはそういうことをやっている。

 だから、そういった意味でも、私は、世界に羽ばたく日本のすぐれた、お茶も含めた農産物、そういう観点があってもいいと思っていますから。

 そして、やはり日本人の胃袋、これが日本の農業の言ってみればお得意さんになるわけですけれども、消費者。日本だけで見ていますと、人口も減っていくし、胃袋も小さくなっていくし、消費拡大、需要拡大といっても、胃袋に限りがありますから、そうするとどうしても、やはりほかの胃袋や消費の対象を求めていく、こういう観点も必要だと思っています。そうすると、そこでまた大きな発展が国内的にもできるわけです。

 そういうことも含めて、私は、今先生がお茶ということをおっしゃいましたが、私ども農林水産省といたしましては、お茶は、これはもう先生おっしゃったように一つの大変重要な産品でございまして、地域の重要な基幹作物だ、このような位置づけをいたしております。

 そこで、高品質なお茶の生産を目指した地域の取り組みを支援していくということで、特に十九年度予算におきましても、強い農業づくり交付金、これらを活用いたしまして、高品質な品種の導入を含む茶園の改植や小規模な土地基盤整備、こういったこともやっていこう、こういうことでございまして、荒茶の加工施設の整備もやっていこう、霜の被害を防ぐための施設の整備もやっていこう、それから、お茶の機能性に着目した、健康食品という、新食品や新素材の開発もやっていこう、こういうことでございまして。

 私も熊本に随分お茶の関係者がいるんですよ。こういった方々と、宇治茶とか八女茶とかいうほどまで、熊本は何とか茶というふうには、まだ有名じゃないんですけれども、しかし、おいしいお茶だと言われておりますので、よくその生産者の人たちの話も聞くんですが、こういった施策を通じまして、なお振興を図ってまいりたい。

 私は、これからは大きな戦略作物としての、輸出という面も含めた、そういうやはり価値のあるこれは作物だ、品種だ、そう思っておりますので、我々も全力を尽くして取り組んでいきたい、このように考えております。

山井分科員 松岡大臣から、これからはお茶の輸出も重要である、そういう御答弁もいただきました。私は、まさに世界の飲み物の中で最もすばらしいのがお茶だというふうに確信しておりますし、私の地元でいいますと、そのお茶のまさに本場が宇治なのであると思っております。そういう意味では、先ほどの地域ブランドの宇治茶の認証をぜひとも早急にお願いをしたいと思います。

 それに関連して、この京都南部の交通、JRの、鉄道問題について最後に一問お伺いをしたいと思っております。

 京都南部では、古都京都と奈良を結ぶJR奈良線は、列車の増発等によりまして利用者も増加しております。沿線地域は、関西発展の起爆剤と言われる関西文化学術研究都市の建設及び木津川右岸運動公園の建設等により、これから大きな発展が期待され、今後も人口の増加、通勤通学、そして観光の乗客の増加が見込まれて、将来的にも非常に有望な線であると思っております。そして、沿線の自治体も、駅前整備等を図って利用者の利便の向上に努めております。そして、奈良の手前にあります木津のあたりも、今回四月から、木津町、加茂町、山城町の合併によりまして新しく木津川市が誕生しまして、大きく発展が見込まれるわけです。

 そんな中で、地元の要望としては、何としてもこのJR奈良線の複線化を急いでほしいと。考えてみれば、京都と奈良という千年の都を結ぶ非常に重要な幹線でありまして、まさに、先ほどの質疑でも申し上げましたように、宇治茶の本場という、非常に歴史的にも文化的にも、農業的にもすばらしい地域であります。この全線の複線化について、これも今までから国会で質問して、要望してきているんですが、現状と今後のめどをお聞きしたいと思います。

大口政府参考人 先生の御質問にお答え申し上げます。

 JR奈良線は、近鉄京都・奈良線とともに、京都駅と奈良駅を結ぶ大変重要な鉄道だというふうに認識しております。特に、地元にお住まいの方々を含めた通学通勤の足として、これまでもその機能は相当重視されておりまして、平成十三年三月の時点でございますけれども、このJR奈良線の複線化につきましては、京都駅とJR藤森駅の間、それから宇治駅と新田駅との間の複線化、それから、宇治駅及び山城多賀という駅がございますが、その駅において列車が行き違いができるようにするという事業が平成十三年に完成したところでございます。これは総事業費が百六十三億円かかっておりまして、そのうち、地元自治体にもまさに合力をお願いしまして、約半額ほどその事業費を持っていただいているところでございます。

 さて、その結果でございますけれども、一日の列車の運転本数は、平成十三年の三月に六十三本ふえまして、その後、さらに十四本ふえ、現時点では、事業前に比べて、事業を完成する前に比べてでございますけれども、合計七十七本増発されているという状況にございます。

 こうしたことから、朝夕の通勤時間帯における京都と奈良の所要時間も、まさに快速列車の運行などによりまして、それまでは一時間を若干超えていたわけでございますけれども、二十分短縮されまして、約四十分前後で運行がなされているところでございます。

 こうしたことから、奈良線の一日当たりの輸送人員も、これは年度によって凹凸はございます、しかし、毎年の平均にならしますと、大体一千五百人程度ずつ着実に増加してきているのが現状でございます。

 さて、先生の御質問のポイントは、JR奈良線のまさに残る単線区間の複線化の問題ではなかろうかな、こう思うわけでありまして、確かに、現在、単線区間として、JR藤森駅と宇治駅の間、それから新田駅と今度市に昇格されます木津駅の間、その間につきまして今後どういうふうにしていくのかというところが問題かと思っております。

 現在、JR西において、これまでの線増をやった効果がどういうものであったのか、それから、関西文化学術研究都市を含む沿線の自治体さんの面の開発状況というんでしょうか、そういうものの開発状況の進捗状況、それから事業の採算性、さらには、地元の自治体とのまさに協力の度合いの進捗化の状況、そうしたことを全部勘案しながら、事業主体でございますJR西において、現在、鉄道という公共サービスを提供する役割をどういうふうにしていくのか、そういうことも含めまして検討されているというふうに承知しております。

 以上でございます。

山井分科員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、最後になりますが、かねてからの私の要望は、委員会では水が出てくるわけですが、委員長、ぜひこれは、お茶を入れたらもっと穏やかな和みのある審議になるのではないかと思いますので、最後にそのことも要望しておきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、平口洋君。

平口分科員 自由民主党の平口洋でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。

 私は、広島県の広島第二区というところの選出でございまして、広島県の西部地域に該当いたします。有名な世界遺産の宮島を含む地域でございまして、大変風光明媚な瀬戸内海に面しているわけでございます。

 瀬戸内海は大変静かな海でございまして、昔から大変豊かな水産業が行われておりまして、沿岸漁業の一種であります海面漁業としては、マダイ、クロダイあるいはイワシ、カレイ、アナゴといったような魚種が豊富でございますし、また養殖漁業の方は、カキあるいはノリといったような養殖が盛んでございます。このうちカキの養殖につきましては、文献によりますと、室町時代にまでさかのぼるというふうに言われております。大変風味がよいのに加えまして、ビタミンあるいはミネラルといったような成分を多く含んでおりまして、別名、海のミルクというふうに言われておりますのは御高承のとおりというふうに思います。

 例年、十二月や一月、二月というのが最もおいしくて出荷の最盛期でございますが、この養殖ガキが、今シーズンはノロウイルスの被害に遭いまして、カキ産業が大変大きな打撃を受けております。

 そこで、きょうは、このノロウイルスとカキの養殖との関係、こういったような問題について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、厚生労働省の方にお伺いをいたしますけれども、このノロウイルスというものは一体どのような細菌で、どのような影響を人体に及ぼすのか。また、今シーズンでございます、昨年からことしにかけて、この時期のノロウイルスの発生状況、特に、例年と比べてどのような状況であるのかということについてお伺いをしたいと思います。

三宅政府参考人 ノロウイルスについてのお尋ねでございます。

 ノロウイルスは、主に冬季の感染性胃腸炎の原因となるウイルスでございまして、手指や食品などを介しまして、経口、口を通じて感染をし、人の腸管で増殖をしまして、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスの特効薬やワクチンはございませんで、輸液などの対症療法に限られております。多くは軽症に経過する疾患でございます。

 ノロウイルスを含みます感染性胃腸炎につきましては、感染症法に基づきまして、全国の約三千カ所の定点医療機関から発生の報告がなされておりますが、昨年十一月から十二月にかけまして流行が急激に拡大いたしまして、十二月中旬には、一週間当たり一定点当たりの報告数が二十二・八一と、調査開始以来最高となったところでございます。その後、年末にかけましては流行は縮小いたしまして、ことしに入ってからは平年並みの流行で推移しているところでございます。

 以上でございます。

平口分科員 ありがとうございました。

 ノロウイルスの性質について御丁寧な説明をいただきまして、ありがとうございます。

 いずれにしても、今シーズン大変大きな発生が見られたということでございますが、なぜことしこのように大きい数字になったのかということがもしわかればお伺いいたしたいと思いますし、また、ノロウイルスによる感染性胃腸炎をどのようにして予防していったらいいのかということについてお伺いをしたいと思います。

三宅政府参考人 ノロウイルスにつきましては、患者のふん便や吐物に大量のノロウイルスが含まれていることから、その予防といたしましては、一点目は、食事の前やトイレの後などの手洗いを励行すること、二点目としまして、下痢や嘔吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱わないよう要請すること、三点目といたしまして、胃腸炎患者に接する方は、患者のふん便や吐物を適切に処理し、感染を広げないようにすること、四点目としまして、特に子供やお年寄りの抵抗力の弱い方に対しましては、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べていただくこと、また、調理器具ですとかそういったものを使用後は洗浄、殺菌を励行していただく、こういった点が重要でございます。

 以上でございます。

平口分科員 今の御説明ですと、やはり主に発生源は人と人との間の接触というふうに御説明があったように思うんです。

 厚生労働省も、このノロウイルスの食中毒の関係でいろいろと想定問答などを出されておられますけれども、その原因としてカキなどの二枚貝というふうな例示がございますものですから、こういったようなことがちょっと曲がり曲がって大変な風評を呼びまして、カキが敬遠されているような状況があるのでございますけれども、カキなどの二枚貝をこのように例示されているという理由、そういったようなことについてお伺いしたいと思います。

中林政府参考人 お答えいたします。

 ノロウイルスの食中毒事例の実情につきまして、まず御説明申し上げます。

 私ども、都道府県等から報告がございました速報値がございますけれども、これによりますと、平成十八年十一月一日から平成十九年、ことしの二月十二日までの間に、ノロウイルス食中毒が三百五十二件ございました。これを原因食品別に分類いたしますと、まず、原因食品の特定まで至っていないが飲食店等で提供された食事、そういうふうにされたものが二百六十七件で七六%、不明とされたものが四十六件の一三%、なお調査中とされたものが二十二件で六%という状況でございまして、食品の取り扱い時の汚染、これが疑われる事例が多いというようなことが判明しているわけでございます。

 なお、原因食品にカキを含む事例につきましては、先ほど申しました三百五十二件中十件でございまして、全体に占める割合は三%弱というような状況でございます。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、国民の健康の保護のため、国民に対するノロウイルス食中毒の正しい知識の提供を通じ、食の安全を確保しつつ、同時に、特定の食品に対する風評被害が起きないよう、専門家あるいは関係者の御意見等を十分踏まえまして、より的確な情報提供に努めてまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

平口分科員 今の点について一点だけ確認をさせていただきたいんですけれども、去年の十二月の時点では、カキを原因とする食中毒は出ていないというふうな理解でよろしゅうございましょうか。

中林政府参考人 昨年十二月の中旬の時点でございますけれども、その時点では、今シーズンにおきましてはカキを原因とするというような事例はございませんでした。ただし、過去数年さかのぼりますと、そういう事例もあったということもございます。

 いずれにいたしましても、先ほど私申し上げましたように、風評被害が起きないよう正しい知識をきちんと伝えていくということが大切というふうに考えてございます。

 私ども、QアンドAという形で、国民の皆様にノロウイルスの食中毒の防止について注意喚起を行っているわけでございますけれども、実はこのQアンドAにつきましても、関係者の方々、あるいは専門家の方々もそうですけれども、さまざまな御意見を踏まえまして、ことし改めてございます。その中で、例えば、カキは十分加熱すれば安心して食べられるということを、新たにそのQアンドAにもつけ加えた次第でございます。

 今後とも、正確な情報の伝達に対しましては私どもも意を払ってまいりたい、このように考えてございます。

平口分科員 それでは、農林水産省の方に質問をさせていただきたいと思いますけれども、今シーズン、つまり昨年からことしにかけて、養殖ガキの価格、それと出荷量の状況を教えていただきたいと思います。特に、去年と比べてどうかといったような御説明をいただきたいと思います。

白須政府参考人 養殖カキの、まず価格の関係でございますが、東京それから大阪の中央卸売市場の状況を見ますと、昨年十二月中旬からことしの二月中旬にかけまして大きく下落をしておるということでございまして、キログラム当たり、大阪では千二百三十五円から六百三十六円、また東京でも千九十円から七百三十五円というふうに大きく落ち込んでいるわけでございます。

 また、特に大阪での広島県産の生鮮カキの市況を、ただいまお話しの昨年同時期と比較いたしてみますと、価格につきましては、十二月上旬にはキログラム当たり千三百三十八円、このときは対前年比一二八%でございましたが、これが十二月下旬には八百六十八円ということで、対前年比七六%に下落をいたしまして、また、直近の二月中旬でも六百三十六円ということで、これは対前年比七一%でございます。したがいまして、最近でも、対前年比で大体七割程度の水準で推移をいたしているわけでございます。

 また一方、数量について見ますと、十二月上旬には四・三トンということで、対前年比、このときは九九%、ほぼ前年並みであったわけでございますが、十二月下旬には二・四トンということで、対前年比四八%、ここまで落ち込みました。年明け後は一たん回復をしているわけでございますが、それ以降二月中旬にも四・八トン、対前年比六六%といったようなことでございまして、やはりこれも、対前年比で見ますれば七割程度の水準で推移をいたしておるというふうに理解をいたしております。

平口分科員 ありがとうございました。

 今、いろいろ数字をお伺いしたんですが、いずれにしても、価格も相当程度下がっている、出荷量も相当下がっているということであります。仮に両方とも三割ずつ下がるとすると、七、七、四十九で売上高は五割になってしまうわけでございますので、出荷する方の漁業協同組合の方は大変大きな打撃を受けていることに間違いはないわけでございます。

 このカキの風評被害については、約十年ぐらい前に、大阪の堺市で発生いたしましたO157の原因がどうもかいわれ大根じゃないかというふうなことがございました。そのときは厚生労働大臣がじきじきにマスコミの前でかいわれ大根を食べてみたりされたということを覚えておりますけれども、今回のカキの方の風評被害も似たような面があるんじゃないかというふうに思うものでございます。

 こういったようなことは、水産庁の方は、直接あるいは都道府県を通じて詳細に掌握をされているとは思うんですけれども、このようなカキのノロウイルスによる風評被害に対してどのような対策を講じてこられたか、あるいはまた今後講じようとされるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

白須政府参考人 ただいまの、風評被害に対する対策の関係でございます。

 昨年暮れ以降、ただいまお話し申し上げましたとおり、価格なり出荷量、大幅に低落をいたしているわけでございますが、カキの消費の回復を図りますために、私ども、まずは生産者が行いますカキの安全管理のPRといったようなことで、消費回復の取り組みを緊急に支援するというふうにいたしたところでございます。

 これによりまして、全国漁業協同組合連合会と、広島県などの養殖カキの主産県、あと宮城県なり岡山県ということでございますが、それぞれの県の漁業協同組合連合会によります消費回復キャンペーン、これを都内で実施いたしたわけでございますが、さらに全国各地におきまして、安全管理の講習会なりイベントの開催、あるいはパンフレットといったものの配布ということで、カキの消費拡大の取り組みも行っているところでございます。

 また、一番大切なことは、生産者の皆さん方がカキの出荷の前にノロウイルスの検査を自主的に行っておられるというふうなことで、生産者みずからが安全管理に大変に努めているところでございまして、こうしたことを消費者の方々に理解していただくということが、やはり安心してカキを食べてもらえる上で大変重要ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。

 そこで、私どもとしましても、農林水産省のホームページにおきまして、カキの養殖でございますとか出荷に際しましていかに生産者の方々が安全管理に努力をしておられるかといったようなことにつきまして、それをホームページに記載いたしまして、消費者の皆さん方、国民の皆さん方に、情報発信に努めているということでございます。またさらに、カキの生産なり出荷における一層の安全管理の徹底を図るというようなことで、指導もしているわけでございます。

 あわせまして、風評被害ということで経営の面にも大きな影響があるわけでございますので、経営の安定のために、農林漁業金融公庫からの長期、低利の資金の融通ということも行うことといたしまして、公庫に相談窓口も設置をいたしているわけでございます。

 こういったことを通じまして、一日も早くこのカキの価格あるいは出荷が回復する、あるいは生産者の経営安定が図られますように、私どもも真剣に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

平口分科員 どうもありがとうございました。

 水産庁では、平成十八年度の補正予算でいち早くこのカキの風評被害対策の予算を組んでいただいたように思います。本当に適切な対応ということで、感謝を申し上げたいと思います。

 特に、一般消費者にとって、やはり行政が一枚かんでこのような運動をしていただくということは、非常に信頼性が高いというふうに見られる面があるわけでございますので、先ほどございました安全管理の方を、指導もされていると思いますけれども、安全管理を指導した上で、さらに消費拡大運動に一役買っていただくというのは、まさに漁協なんかにとっては地獄に仏のような気持ちであろうというふうに思います。

 今後も似たようなことがあれば、どうぞ、補正予算でも何でも結構ですから、行政が直接乗り出していっていただいて、お金はかかると思いますけれども、頑張っていただきたいというふうに思います。

 それと、これに関連して、カキの被害としては、私は正確に時期を覚えていないんですけれども、数年前に赤潮が発生して壊滅的な打撃を受けたことがあるんですけれども、赤潮が発生する原因とかその対策といったようなものについて何かお考えをお持ちかどうか、水産庁の方の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

    〔主査退席、馳主査代理着席〕

白須政府参考人 赤潮の関係でございます。

 赤潮の関係につきましては、原因は、富栄養化を初めといたしますさまざまな点があろうかと思いますが、私どもといたしましては、まず、赤潮の発生につきましては、水産総合研究センター、こういう独立行政法人がございますが、それに、さらに関係の各県でございますとか、あるいは大学の協力も得まして、赤潮の発生予察あるいは防除技術の開発といったようなことで、赤潮に関します基礎的な研究をまずは実施いたしているわけでございます。さらに、赤潮の発生の監視でございますとか、あるいは発生情報の提供といったようなことで、漁業者に対しまして、漁業被害の軽減に向けた取り組みということも進めているわけでございます。

 さらに、こういった取り組みをやっておるにもかかわらず、ただいま委員からも御指摘ございましたように、やはり赤潮による被害を受けられるということもあるわけでございまして、そういった養殖業者の方々に対しましては、公庫資金によります長期、低利資金の融通もございますが、さらに、漁業共済を通じまして、赤潮被害によります物的あるいは経済的損害の補償ということも行われているわけでございます。

 またさらに、やはり赤潮というものは、どうしても環境の負荷が大きくなってまいりますと発生するということも十分あり得るわけでございますので、養殖によります環境の負荷、これを軽減する必要があるわけでございます。この軽減対策といたしましては、持続的養殖生産確保法、こういう法律がございまして、漁場の改善計画というものを策定いたしまして、それによりまして、養殖をする場合に、過密な養殖ということでどうしても環境に負荷がかかるわけでございますので、過密養殖の防止といったようなことを進めまして、養殖漁場の環境改善の取り組みを進めているわけでございます。

 またさらに、えさの中に魚粉の配合が大変高うございますと燐の量が多くなりまして、またこれが環境負荷につながってまいりますので、魚粉の含有率を下げるといったようなことで、燐の量を少なくいたしました環境負荷の低い配合飼料の開発といったようなことも進めておりまして、そういうことを通じまして、赤潮の対策を進めているところでございます。

平口分科員 どうもありがとうございました。

 カキの養殖のようなものは大変中小で零細な業者さんが多いので、今回の風評被害だとかあるいは数年前の赤潮の発生なんかによると、もう壊滅的な打撃を受けるわけでございますので、どうぞその辺をごしんしゃくの上、適切な御指導をいただきたいというふうに思います。

 それと、質問が相前後して申しわけないんですが、この風評被害対策として、先月の二十日の日に東京都内でカキの消費拡大のためのイベントを開催していただきました。これはたしか水産庁の方が音頭をとってやっていただいたというふうに思います。私も冒頭一時間ほど出たんですけれども、大変な数の人に並んでいただいて、まだまだ養殖ガキも捨てたものじゃないなというふうに思ったんですけれども、このイベントの状況がどのようであったのか、御説明いただければというふうに思います。

 そしてまた、カキを含む養殖漁業の振興のためにどのような対策を今後とも講じていかれる所存なのかということについて、お伺いをしたいと思います。

白須政府参考人 ただいま委員からお話ございました、先月の一月二十日に、全漁連それから広島県漁連ほかの県漁連との共催によりまして、カキの消費拡大のための全国カキ安全推進キャンペーン、これが池袋の西口公園で開催をされたところでございます。私どもとしましても、このキャンペーンに対しまして助成を行ったところでございます。

 このイベントを主催いたしました全国漁業協同組合連合会から聞きますと、参加者は、ただいまお話ございましたが、五千人を超えるということで、大変多くの方々に集まっていただきまして、そこで実際に焼きガキでございますとかカキなべといったものも振る舞われまして、それを待つ行列が途切れることがないというふうなことで、予定時間を待たずに完食されるといった、大変に盛況であったということでございます。また、多くの消費者の皆さん方もお集まりをいただきまして、配布されたパンフレットを見てカキが大丈夫だということがわかったという主婦の方々の声でありますとか、あるいは生産者にも、これだけ安全管理を一生懸命やっているんだからしっかり頑張ってくれといったような声も多く寄せられたというふうにお伺いをしているわけでございます。

 今回のキャンペーン、やはり最大の消費地でございます東京で開催されたということでございますので、私どもとしましても、多くの消費者の方々にカキについて理解をしていただくいい機会になったのではないかというふうに考えているわけでございます。

 そこで、ただいまの、カキを含みます養殖業の振興ということで、どういう施策を講じておるかというお尋ねでございますが、我が国の海面養殖業は、総漁業生産のうちの約二割を占めておりまして、生産額でも三割を占めるということで、大変に大きな、重要な役割を果たしていると考えているわけでございます。

 そのために、私どもといたしましては、やはりこの養殖生産の安定ということが第一でございますので、カキなどの養殖につきましても、加工場を初めといたします共同利用施設の整備、こういったものも支援をいたしますとともに、優良な種苗の生産、こういった技術開発、あるいは、先ほどちょっと申し上げました、魚粉の含有率が低い配合飼料の開発というものも行っているわけでございます。

 また、もう一つの観点としまして、やはり漁場環境の悪化ということが赤潮といったようなことにも通じてまいりますので、漁場の改善あるいは良好な漁場環境の形成というものも必要でございます。あるいは、環境負荷の低いえさの開発というものも必要でございます。

 また、ただいまのカキの関係にもございますが、やはり食の安全、安心ということで大変関心も高まっておりますので、消費者の方々の信頼を高めぬといかぬということでございますので、消費者の方々によります養殖現場の見学でございますとか意見交換、また養殖の生産過程における給餌なり投薬の履歴情報、トレーサビリティー、そういった履歴情報の記録あるいは開示といったもののシステムづくりも必要であるというふうに考えております。

 また、先ほど来お話ございましたノロウイルス、こういったことにつきましては、カキ養殖場におけるリスク予測でございますとか、あるいは浄化処理によりますリスク低減方策の調査研究といったようなことも通じまして、消費者に信頼される安全なカキの生産体制の確立といったものも進めてまいりたいということで、以上のような養殖業の振興のための施策を講じているところでございます。

平口分科員 大変丁寧な御説明で、安心をいたしました。ぜひともそういう方向でお願いをしたいと思います。

 最後に、松岡農林水産大臣にお伺いをしたいのでございますけれども、私の地元でございます広島の方は、漁業といってもやはり瀬戸内海に制約されるわけでございまして、海面漁業あるいは養殖業といったような中小の零細な漁業者が細々とやっているというふうなことでございます。

 そういう中で、今、水産庁長官の方からも御指摘がありましたけれども、漁場の環境が非常に悪化していっているということ、あるいは漁師さんたちの高齢化が進んでいるということ、さらには価格が低迷しているということ、こういったようなことが相まって、状況として見通しが大変厳しいわけでございます。

 そういったような点を踏まえて、状況は厳しいとは思いますけれども、今後、養殖漁業を含めた沿岸漁業の振興策というものについて、ひとつ大臣の方のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

松岡国務大臣 まず、平口先生お地元の今回のカキの大変な打撃につきましては、私どもも心からお見舞いを申し上げる次第でありまして、今、水産庁長官からもいろいろ申し上げましたように、この対策につきましてはしっかりとできるだけのことをやってまいりたい、まず、そのように思っております。

 そこで、お尋ねの沿岸漁業のことにつきましてでございますが、これは、漁船漁業を初め、定置網それからまた養殖漁業と多岐にわたっております。そして、生産量で五割、生産高でいきますと六割というふうに、実は我が国漁業全体の大変大きな位置を占めておりまして、役割を担っております。

 そこで、非常に重要な地場産業でもありますし、この沿岸漁業の振興を図るということは日本の漁業全体の振興を図ることと同じでございまして、そういった意味から、今回、水産基本計画を三月に改定することといたしております。

 今先生が漁場の問題を言われました。漁場の保全、環境の改善、これをしっかりやっていくということ。それから、高齢化、こういったようなことに対しまして、漁船漁業の改善も含めまして、構造改革もしっかりと進めていく。そして、経営安定対策という観点からの取り組みも、私どもは今回、初めてといいますか、今まで漁業にはなかった点も含めて、しっかり取り組んでいきたい、こう思っております。それから、流通拠点、市場とのそういう関係もしっかり頭に置きながら、前浜と消費者をどうつないでいくか、こういった点につきましても、多様な流通経路の構築を通じた産地の販売力を強化していく。こういったことを新たな水産基本計画ではしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 そして、このカキの養殖も含めた、こういった沿岸漁業の振興というものをしっかり図るようにしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

平口分科員 どうもありがとうございました。

 質問を終わります。

馳主査代理 これにて平口洋君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

馳主査代理 環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。若林環境大臣。

若林国務大臣 平成十九年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算についてその概要を御説明申し上げます。

 まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。

 我々は、かつてない深刻な地球の危機とも言える状況に直面しております。

 例えば、地球温暖化については、先日、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第一作業部会の総会において、最新の評価報告書が承認され、公表されました。この報告書では、温暖化が間違いなく起こっていることを明らかにするとともに、人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因であるとほぼ断定しています。また、二十一世紀末には、平均気温が一・一度Cから六・四度Cの幅の中で上昇し、台風やハリケーンなどの強大化や海水面の上昇、集中豪雨、熱波の増加などを予測しています。

 地球温暖化は、今や人の健康、食料、水資源、居住地、生態系、平和と安全などあらゆる分野に対する脅威として認識されるべきであり、気候安全保障の問題として対処していく必要があります。

 地球温暖化への取り組みは国際社会共通の重要課題であり、我が国はリーダーシップを発揮していく必要があります。二〇〇八年は、京都議定書の第一約束期間が始まるとともに、日本で開催されるG8サミットにおいて、米国、中国、インドを含む主な国々が参加している気候変動対話、いわゆるG20対話の成果が報告されることになっています。したがいまして、本年は、これらの準備を行う極めて重要な年です。

 地球温暖化問題に加え、アジアの経済成長に伴い深刻化する環境汚染や廃棄物リサイクル問題、自然環境の問題等各種の課題が山積しております。

 こうした状況を踏まえ、先日、安倍総理から私に対し、二十一世紀環境立国戦略を六月までに策定するよう指示がありました。本戦略は、国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明示し、今後の世界の枠組みづくりへ我が国として貢献する上での大きな指針となる、いわば環境政策の羅針盤です。本戦略が、世界の大きな流れである環境と経済と社会の統合的な向上に向けた動きをさらに推進し、環境立国に向けたさまざまな主体の取り組みの輪を広げ、力強く後押しするものとなるよう、各界の御協力をいただき、環境省を中心に六月までに本戦略を取りまとめます。

 二十一世紀環境立国戦略のもと、各般の環境政策を一層のスピード感を持って展開し、自然と共生した新しい形の経済や社会に向けた取り組みを進めてまいります。特に、脱温暖化社会の構築と循環型社会の構築は、政府の重要課題であり、これら二大改革の実現に向けて、懸命に取り組んでいきます。また、環境への取り組みが経済や地域社会の活性化にもつながるような環境、経済、社会の側面が統合的に向上する社会を実現するための基盤づくりの取り組みを進めるほか、生物多様性の保全と自然との共生を図るための施策や、安全、安心の確保と快適な生活環境の保全の施策を講じます。

 平成十九年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立って取りまとめております。

 まず、一般会計予算では総額二千百九十九億四千七百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、仮称ではありますがエネルギー対策特別会計に、一般会計から三百二十一億円の繰り入れを行い、総額三百三十六億六千二百万円を計上しております。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策につきましては、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

馳主査代理 この際、お諮りいたします。

 ただいま若林環境大臣から申し出がありました環境省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

馳主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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馳主査代理 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

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馳主査代理 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井分科員 これから三十分間にわたりまして、産業廃棄物の不法投棄の問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 環境行政の中でも、住民にとって一番切実な問題の一つが産業廃棄物の不法投棄であります。

 今までからこの分科会で私ずっと取り上げさせていただいておりますが、私の地元には、非常に大きな山砂利採取跡地、全国でも有数の広大な山砂利採取跡地が私の地元京都南部の城陽市にございます。人口八万一千人でありますが、その中で、お配りしてありますきょうの資料の中にも地元の読売新聞が出ておりますが、「問題招く砂利採取跡」ということで、一九六一年からずっと採取が続いて、四百二十ヘクタール、市の面積の一二%がこの山砂利採取跡地になっているわけであります。

 少し背景を申し上げたいんですが、これは、一九七〇年代の万博、新幹線建設、まさに日本の高度経済成長、特に関西の公共事業を支えたのがこの城陽の山砂利でありまして、非常に良質な山砂利が出たということであります。しかし、そのように経済発展に大きく貢献をしたその傷跡と言えるのがこの山砂利採取跡地でありまして、広大なこの採取跡地をどうやって安全に埋め戻していくのかということが今重要な課題となっているわけであります。

 そこで、どういう問題が起こっているかといいますと、先日、我が党の北尾府会議員が京都府議会でも取り上げたわけですが、その答弁から今起こっている問題を御紹介したいと思います。二月十四日の京都府議会での京都府の答弁を読み上げます。

  山砂利採取跡地問題についてでありますが、平成十七年五月に、再生土と称します建設汚泥処理物が搬入されていることが判明し、直ちに搬入を停止させるとともに、廃棄物処理法に基づく立入検査等を行いまして、環境省や専門家とも協議を重ね、対応を検討してまいりました。

  その結果、搬入された約一万六千台のうち、不適正処理と推定される約三千台分について、産業廃棄物と認定し、昨年の五月に廃棄物処理法違反で告発をいたしました。

ということであります。このように、産廃と認定されたものがここに搬入されてしまっているということであります。

 そこで、最初に環境省にお伺いしたいと思います。このような山砂利採取跡地に産廃が運び込まれて、それに対して覆土、土を盛って対処した、そのような事例というものは全国的にございますでしょうか。

由田政府参考人 環境省が毎年実施しております調査におきまして、平成十七年度に新たに確認されました不法投棄事案は五百五十八件であります。このうち、生活環境保全上の支障があると認められる案件が五十一件、そのうち、支障の除去として行われた事案は四十一件でございますが、その中で覆土によるものは八件ということであります。

山井分科員 それで、こういう山砂利採取跡地において産業廃棄物の覆土を行ったケースはありますでしょうか。

由田政府参考人 産業廃棄物の不適正処分が行われた場所の土地利用に関する体系的な調査は行っておりませんが、ただいま申し上げました覆土による生活環境保全上の支障の除去が行われました八件につきまして、今回都道府県等に確認いたしましたところ、山砂利採取跡地に不適正処分された事案は確認されておりません。

山井分科員 そういう事例は日本に今ないということであります。

 ここで、若林環境大臣、ぜひ御理解いただきたいのは、ここに地元新聞がございます。京都南部の地元新聞、洛南タイムスそして城南新報をお配りしておりますが、「「覆土処理」実施を「凍結」! 京都府」「府が覆土施工を凍結」というふうに見出しでも書いてあります。「「府民の理解不十分」と再び検証」、副知事、説明責任を果たすというような見出しになっております。

 つまり、有害であるという認定がされなくても、私の事務所もこの採取跡地から本当に車で十分ぐらいのところにございますが、ここは八万一千人城陽市民の大切な飲み水のもととなる地下水の水源になっているわけです。ですから、現時点において有害であるということが認定されなくても、やはり、それをそのまま放置する、あるいはそこに覆土をしてそれで済ませるということに関しては、住民からなかなかそれは納得が得られない。そして、地元の城陽市議会におきましても、これについては完全撤去を求める城陽市議会での決議というものが出ているわけであります。

 このような問題を地元の北尾茂府議会議員も二月十四日の京都府議会の本会議でも取り上げてこられて、このようにおっしゃっているわけですね。「私は、土壌や地下水の安全性の問題とともに、山砂利採取跡地への産廃投棄が既成事実となることを強く懸念するものである」というふうにおっしゃっておられます。

 産廃を不法に投棄してもそれを撤去しろという指導にならないのであれば、一歩間違うとこれは捨て得になるのではないか。そして、それが有害であると客観的に証明をされなくても、やはり、捨てたものがそのまま放置をされるというのは、周辺住民としては納得がいかないものであります。

 そこで、お伺いをしたいと思いますが、このような産業廃棄物について、本来、不法なものはやはり廃棄した者の責任において撤去させるべきではないでしょうか。

由田政府参考人 産業廃棄物が不適正処分された場合におきまして、生活環境保全上の支障あるいはそのおそれがあると認められるときには、廃棄物処理法上、都道府県知事は、その支障の除去などの措置を実行者に命ずることができることとされております。

 この命令は、必要な限度において行われることとされておりまして、都道府県知事は、廃棄物の種類、性状あるいは現地の状況などに応じまして、廃棄物の撤去あるいは原位置での浄化あるいは覆土などの各種の方法から、生活環境保全上の支障の除去のために必要であり、かつ経済的にも技術的にも最も合理的手段を選択し、実行者に対して必要な措置を命ずることになるものと考えております。

山井分科員 大臣にお伺いしたいんですが、やはりこれは地域住民としては納得できないものがあるわけですね。産廃を大量に捨てたにもかかわらず撤去せずに済んでしまう、やはりこのことは、私は法の不備でもあるのではないかと思っております。逆に、適正に処理をしている業者が、正直者がばかを見るようなことになってはならないと思っております。

 この件について、産廃をこのように不法投棄しても撤去しなくても済んでしまうというこのような現状について、大臣、いかが思われますでしょうか。

若林国務大臣 ただいま部長の方からお答えを申し上げましたが、また委員もおっしゃっておられます、法の不備なのかな、こういうお話がございますが、廃棄物処理法十九条の五第一項、つまり、法律で行政側にその権限が与えられておりますその根拠につきましては、必要な限度において、次に掲げる者について、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる、こういうふうに法律上しっかりと規定をされているものですから、法律の要件に該当をしないと、行政上の措置としてこれを除去させるということはできないわけであります。

 委員がおっしゃられるように、そんなことであれば、産業廃棄物の不適正処分があって、これが生活の環境などに支障があるその必要な限度といえない場合は、そのまま放置されていくのもおかしいじゃないかという御指摘でございます。

 もちろん、この法体系の上におきましては、当該不法の廃棄物の処理をした、産業廃棄物の不適正処分については、刑事上の訴追をもってこれを処罰するといういわば処罰法の形になっておりまして、産業廃棄物の不適正処分に関しましては、生活環境保全上の支障またはそのおそれが認められない場合であっても、刑事責任は課し得るわけでございます。廃棄物処理法のたび重なる改正がございました。平成九年、十二年、十五年と、刑罰の加重措置、罰則強化というのを三回にわたって行っておりまして、不法投棄等につきましては、法人の場合は罰金が最高一億円、個人の場合は罰金が最高一千万円、懲役が最高五年という刑事罰の対象としたところでございます。

 京都府城陽市の事案につきましては、京都府は平成十八年五月に、処理を委託した事業者を、無許可業者に委託を行ったという点につきまして、廃棄物処理法の委託基準違反としてこれを告発し、刑事的責任を現在追及しているところでございます。

 対処としては、以上のような対処をきっちりと行うということが行政の責任だと理解をいたしております。

山井分科員 私は、そこは何度聞いても法的な不備だと思うんですね。今大臣は、刑事的責任を追及しているとおっしゃっているわけですが、周辺住民の立場に立ったらどうですか。大量な産廃は捨てたまま、ずっとそのまま放置されるわけなんですよね。それはやはりおかしいんじゃないでしょうか。まさにそれが城陽市民の不安と怒りになって、城陽市議会での全会一致での完全撤去の決議ということになっているのであります。

 そこで、この問題について京都府も、今後絶対このような産業廃棄物の不法投棄の再発は許さないということで、チェック体制づくりに取り組む決意を固めております。この問題については、北尾府会議員が府議会でも先日取り上げたわけであります。

 ついては、このような京都府のチェック体制づくり、今後もまだまだ、この山砂利採取跡地は広大な穴が残っておりまして、ここにこれから埋め戻しをするわけですね。このような京都府の取り組みを環境省としても後押ししていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

若林国務大臣 今委員が御説明ございましたように、地元としては、このような状況が放置されるということに、あるいはまた覆土によって解決するということに、大変大きな不安がある、不満があるということでございます。

 今までのところ、ボーリングその他によりましても、ここで投棄された再生土と称するものは、土壌環境基準に定める二十六項目の有害物質のすべてについて、この基準に適合しているものですから、有害物質とは認められないということでございますけれども、しかし、そのような地域の皆さん方の不安を受けまして、今委員がお配りいただきましたこの新聞で承知したわけでございますけれども、京都府と市と関係者による検証の委員会を設けて、今後とも検討していくということが伝えられております。

 住民の不安感を和らげていくために、周辺地下水の継続的な監視を行っていくんだと聞いておりまして、環境省としても、今後、この再生土の地下水への影響の検証などを通じて、住民の不安に対する方策を検討するために、この委員会に環境省の地方環境事務所の職員もオブザーバーとして参加をいたしまして、適宜助言をするなどして一緒にこの問題に取り組んでまいりたい、このように考えております。

山井分科員 環境省としても一緒に取り組んでいくということですので、ぜひとも後押しをお願いしたいと思います。

 ただ、大臣、もう一つお伺いしたいのですが、やはり私はこれは明らかに法の不備だと思うんです。大臣、大臣のお住まいになっている自宅の御近所にダンプで三千台分産廃が捨てられた、こういう事件が起こった、それで、調べたら有害じゃなかったからその産廃はそのまま放置しますよということで、大臣、それで納得されますか。それで行政の責任を果たしていると思われますか。確かに、その業者は刑事責任を追及する、それは当然でしょう。でも、その三千台分の産廃は放置されたままなわけですよね、ちょっと覆土はするかもしれないということですけれども。

 改めてお聞きして恐縮なんですが、大臣の率直な感想というものをお聞きできればと思いますが、いかがですか。

若林国務大臣 周辺の住民の人がそのことに不安を覚えるということについては理解はするわけでございますけれども、科学的にそのことが有害であるということが明確でないと、いわば権限を発動してこの除去を求めるというような行政権限の行使というのは、一方では私的な権利に対する行政の介入でありますから、厳密な、厳格な要件のもとに行わなければならないわけでありまして、生活環境に支障があるかないかという判断はあります。生活環境に支障がないというふうに判断をしている以上は、やはり、法律で今決められていますように、除去等の強権的な命令は発することは難しい、そのように私は思います。

山井分科員 ここは、ぜひ今後御検討いただきたいと思います。

 それで、私はもともと専門は、大学、大学院時代、化学でして、化学反応の研究をずっとやっておりました。確かに、今若林大臣は今有害ではないとおっしゃっているんですが、これは今後、雨が降ったりいろいろなことで、どういう化学反応で一年後、二年後、三年後、四年後に有害物質に変化するかどうかというのは、今後のことはだれもわからないわけですよ、これは化学反応ですから。

 そういう不安というのは非常に持っていて、先ほども言ったように、城陽市民八万一千人分のまさに飲料水にもなっている地下水とつながっているわけですね。そういう言い知れぬ不安が、チェックでは有害ではないと出ているけれども、もしかして、十年後、二十年後、自分たちの子供たちがこの城陽の地下水から来ている飲料水を飲めなくなるのではないかという大きな不安があるということは、ぜひとも御理解いただきたいと思います。

 そこで、要望なんですが、今後も、今回もう有害じゃないから大丈夫だということではなくて、継続的なモニタリング、安全性の監査というものを続けていかねばならないと思うんですが、このような点について、ぜひとも環境省としても後押しをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

若林国務大臣 環境省としても、今後、本件の土地につきましては、地下水への影響の検証等を通じて、住民への不安に対する方策を検討していくために、先ほど申しました地元地域の京都府あるいは城陽市などでつくります委員会、これに参加をいたしまして、これに助言をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。参加するのは、近畿地方環境事務所の職員がこれに参加して、適宜助言をするなどの協力をしてまいりたい、このように思います。

山井分科員 やはりこれは、城陽市、京都府だけではなかなか十分な対応ができないものですから、ぜひとも国としての御指導、御支援、御協力をお願いしたいと思います。

 何といいましても、今後埋めねばならない掘った穴は東京ドーム十三杯分ですからね。東京ドーム十三杯ですよ。そこに今後産業廃棄物が紛れ込むようになったら、もう大変な問題になるわけであります。そういう意味では、最初にも申し上げましたように、関西の七〇年代、八〇年代の公共事業、高度経済成長を支えて貢献したわけですから、これはぜひとも、地元任せにせずに、国家的なプロジェクトとしてこの跡地整備をお願いしたいと思います。

 そのことに関連して、実はこの地域と関係するのが第二名神高速道路であります。ここにパネルもございますが、この山砂利採取跡地のちょうど上を第二名神高速道路が通る予定になっているわけであります。しかし、この第二名神高速道路が今、抜本的見直し区間は凍結になっております。

 ここからは国土交通省に対する質問でありますが、一年前の国幹会議で、第二名神の二区間、大津から高槻までの二区間の三十五キロに関しては、三五%を超えるコスト削減を図るとともに、「主要な周辺ネットワークの供用後における交通状況等を見て、改めて事業の着工について判断することとし、それまでは着工しない。」こういうふうな結論と第二回国幹会議で一年前になったわけであります。

 あれから一年がたったわけでありますが、やはり、関西学研都市の今後の発展、また、既に今山砂利採取跡地問題でお話しした城陽市においても、このような第二名神が来るという前提において山砂利採取跡地整備の計画も立てているわけですし、関西学研都市も第二名神というものを当て込んでいるわけでありますし、また、宇治田原などや八幡の工業団地も期待をしておりますし、そして、中部圏と直結する幹線道路という意味でも、全線開通というものを待ち望む声というのは非常に強いわけであります。

 この点について、第二回国幹会議から一年がたちましたが、今後の着工のめどというものはいかがでしょうか。

近藤政府参考人 第二名神高速のお尋ねでございますが、このうち、大津市から城陽間の二十五キロ、それと八幡から高槻までの十キロにつきましては、抜本的見直し区間とされまして、今後、主要なネットワークの供用後における交通状況を見て、改めて工事の着工について判断することとし、それまでは着工しないこととされたところでございます。

 これらにつきましては、今後、国土交通省としても、主要な周辺ネットワークの供用後の交通状況をよく見きわめた上で、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

 それから、第二名神の城陽から八幡間の今後の整備の見通しについてでありますが……(山井分科員「それは改めて聞きますので、そこで結構です」と呼ぶ)はい。

山井分科員 今、まだこれからも状況を見きわめていくということでありますが、確認ですが、ということは、この三十五キロの抜本的見直し区間に関しては、去年から一年たったわけですが、状況は基本的には変わっていないということですか。

近藤政府参考人 それらにつきましては、今後の周辺のネットワークの状況を見た上でということでございますので、結論的には変わっておりません。

山井分科員 地元では、正直言いまして、それができるという前提で、山砂利採取跡地整備を初め、工業団地の整備から、関西学研都市から、その前提で京都南部の地域づくり、まちづくりというものを当然進めているわけでありますので、ぜひとも早く結論を出していただきたい、早期着工の結論を出していただきたいということを改めて要望しておきます。

 それで、もう一つは、その中で城陽と八幡間だけは、この抜本的見直し区間というものにかからずに、もう施行命令が出ているわけですね。この八幡から城陽間であります。(地図を示す)ここに関しては、第二京阪、京奈和、京都高速、そしてこの四キロの八幡―城陽間というものがつながれば、ここに関西学研都市があるわけですが、京都市と関西学研都市も結ばれますし、また、国道二十四号線、これは私の事務所の前でありますが、慢性的な大渋滞でありますが、こういうものの解消も図れるというふうに思っております。

 それで、昨年のこの分科会で、私はこの城陽―八幡間の早期整備をしてほしいということで、当時の国土交通大臣からも前向きな答弁をいただいて、それで無事着工したわけですね。

 しかし、一つ問題がありまして、いざ着工してみたら、完成が平成二十八年度、つまり今後十年かかるということでありまして、私は地元から非常にしかられているわけですね。着工するのはいいけれども、十年も四キロのためにかかるのか、十年後というのはそれはあんまりじゃないか、もっと早くしてくれということで、もう本当に地元からはもっと急いでくれ急いでくれの大合唱であります。

 つきましては、一言で言うと、十年というところをもっと早く、できる限り早く整備をしてほしい、完成させてほしいということに尽きるわけですが、何にそんな時間がかかるのかということ、そして、地元でできることがあるとすれば、どういう努力を地元ですれば、その十年が九年なり八年に、あるいは七年に早くできるのか、そのことについて御答弁をお願いしたいと思います。

近藤政府参考人 第二名神のお尋ねの区間について、まず、なぜ時間がかかるのか、どういうことで時間がかかるのかというお尋ねでございます。

 現在、これらの地域につきましては、用地買収に向けた設計図面を作成中でございまして、今後、その図面を用いまして地元説明を行った上で、用地の幅くいの設置でありますとか用地の単価交渉、用地買収等を行ってまいるところであります。その用地の取得状況に応じて、盛り土工事や必要な工事を行っていくということでございまして、この用地買収がやはり工事を促進する上では大きな要素になろうかというふうに思われるところでございます。

 そういう観点から申しますと、これらの工事につきまして促進を図るというためには、用地取得とかあるいは工事実施段階において、特に地権者を初めとする路線の周辺地域の方々の御理解と御協力が不可欠であるというふうに考えております。

 今後、西日本高速道路株式会社が第二名神の事業を進めるに当たりましては、我々としても引き続き地元の方々の御理解と御協力をお願いしてまいりたいというふうに考えております。

山井分科員 ということは、用地買収が一番の時間がかかる部分であるということですので、今の答弁を受けて、地元としても精いっぱい用地買収がスムーズに進むように努力をしますので、ぜひとも早く完成をさせていただきたい。このことは、引き続き国会でも取り上げていきたいと思います。

 また、最後になりますが、若林大臣におかれましても、この城陽の山砂利採取跡地、間違っても、十年後、二十年後、後で気がついたらやはり産廃で地下水は汚染されてしまっていた、もう城陽の水は飲めないことになってしまっていたなんてことになったら、これは本当に、国会議員は一体何をしていたんだ、国は何をしていたんだということになるわけですから、絶対そういうことにならないように、私も頑張りますので、国としても指導、援助をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

馳主査代理 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野真紀子君。

藤野分科員 自由民主党、藤野真紀子でございます。

 今回もまた動物愛護の観点で質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 動物愛護といいますと、やはりどうしても人間優先ということは当然のことでございますので、毎回毎回堂々めぐりで、やってもやっても最終的にはまたもとに戻ってしまう、そんなことをよく感じております。まさにジレンマを感じるような、もどかしいような動物愛護の仕事だと思っておりますが、一つ一つ地道に積み上げて、よりいい形になるということを信じてやっていきたいと思っております。

 きょうは、今大阪府で問題になっておりますブルセラ感染の集団発生でございますが、これは、大阪にございます繁殖場で二百五十七頭の繁殖犬が保護されたということでございます。それで、そのうちのブルセラ病に感染をしている犬、陽性が出た犬に関しましては百十八頭。そして、まだ感染していない、でも、もしかするとまだこれから感染の可能性はあるかもしれないという犬が百三十九頭。そして、この陽性の犬に関しましては、全頭殺処分ということで大阪府の決定が決まったところでございます。

 この全頭殺処分ということに関しましては、やはり大変な混乱が生じておりまして、大阪府では連日テレビ等で報道されているところでございますけれども、若干過熱ぎみな団体もあることもございますので、そういったことで殺処分ということに関しての、しかも百十八頭でございますから、一気にということに関しましてのショックといいますか、そういったものが混乱を引き起こしているのではないかと思っております。

 しかし、ブルセラ菌という言葉でございますが、ブルセラ病ということ自体、この言葉、私は実はこのニュースで聞くまで全く知りませんで、そしてこれは一体何なんだろうかということをネット等で調べたのでございますけれども、とんでもないうわさがいっぱい出ておりました。みんなブルセラブルセラと言っている割にはいろいろなことを言っていて、例えば、これは細菌兵器にもなるような菌なんだとか、いやいや全く無害の菌なんだ、それなのに殺してしまうのはとんでもないとか、そんなことがいろいろ言われております。

 ということで、まずはこのブルセラ菌という菌に関しまして、一体これはどんな病原菌なのかということを厚生労働省にお尋ね申し上げたいと思います。

三宅政府参考人 ブルセラ病に関しましてのお尋ねでございます。

 ブルセラ症は、ブルセラ菌を原因とする感染症でございまして、このうち、犬ブルセラ病と言われるものはブルセラカニスを原因菌としております。犬ブルセラ症では、人は、感染した犬の死体あるいは流産時の汚物ですとかあるいは尿などからブルセラ菌に感染し、軽症では単に風邪のような症状を示しますが、場合によっては高熱などの重い症状を示すことがあると言われております。

 ブルセラ症は動物からの感染症で、通常、人から人への感染はございませんが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、いわゆる感染症法におきましては四類感染症に指定されており、ブルセラ症の患者を診断した医師の保健所への届けが義務づけられております。

藤野分科員 今御説明いただいたとおりでございますが、ただ、一つ、ブルセラカニスに関しましてはこれ単独の資料が全くなくて、要するにブルセラを全部一くくりにしている。この発熱に関しましても、それから一生骨が痛むに関しましても、これはすべてブルセラという一くくりでございます。

 と申しますのは、ブルセラにも段階がございまして、人にうつるブルセラ、五つほどあるかと思いますが、一番重症なものがメリテンシスというブルセラ菌、これは最も重症なもので、人にうつってはとんでもなく大変なこと。その強弱の中で最も人への感染率が低く、最も症状の軽いのが、この犬ブルセラと言われているブルセラカニスというふうに聞いております。こういったすべての情報が、全部が混在している中で、このブルセラカニスはもしかしたらほとんど人に害はないかもしれない。あったとしても多少熱が出る、あるいは風邪に近い、あるいは、この情報によりますとほとんど気づかないで済んでしまうことがある。

 ただし、今おっしゃったように、一九九九年に感染症法ができて、届け出制になったのが一九九九年ということでございますから、となりますと、一九九九年以前に関しましては不明である。そうなりますと、ここのところは非常に、不明のところを大丈夫だと言い切るということは、行政としては難しいだろうなということは感じております。

 そして、一九九九年以降、ではブルセラの届け出が何人あったかということでございますが、八人ございました。これも全部ブルセラが一緒くたになっておりますので、では、犬の感染のブルセラカニスはどのぐらいかといいますと三人でございますね。しかも、その症状に至りましては極めて軽いということで、まず、人に感染した場合にも極めて軽い、今まで死んだ人もいない、これは皆さん口をそろえておっしゃいます。私も、これは一人の人ではいけないので、きょうは国立感染症研究所、それから大阪大、東京大学の四カ所、皆さん教授方にお聞きした結果でございます。ただ、どなたも、絶対とは言えまい、それがつらいところだ、しかし、人に感染したとしてもほとんど風邪程度であるということでございました。

 犬に関して申し上げますと、これはほとんど死産、流産の症状であってそれ以上のものはない。ですから、抗生物質、そして去勢、避妊の手術さえしておけば、これに関しては犬は、いろいろな症状、例えばてんかんを起こすだとかなんとかかんとかということは一切ない。ただし、細菌というのは細胞の中に潜んでいるので、決して完治することがない。そのために、常に排菌、要するに一回感染した犬はずっとキャリア犬として排菌する、あちこちに菌を出すということ、そういった意味では極めて、国としては対応しなければいけないということを伺っております。

 ただ、一つ不思議なことがございまして、日本で今、既に二%から六%の飼い犬がブルセラ感染症にかかっている。しかし、この場合、例えば我が家の犬を、感染症にかかっていると病院に連れていった場合にどういう対応か。殺処分ではなく、これは治療をし、治し、そして一生、動物愛護の精神を持ってしっかりと終生見てやれよ、そういうことでございました。

 ここで問題なのは、個々の個体のブルセラ感染症にかかった犬と、今回は集団発生でございますが、集団発生をした犬たちのブルセラ、要するにブルセラカニスですが、この病原菌自体が違うために今回の大阪府の決断、要するに殺処分でございますね。個々に飼っている犬は殺処分しなくていい、しかし集団発生した場合は殺処分をしなければいけない。これは、行政サイドの責任の問題ですとか、それから一気に百何十頭の犬が感染した場合には非常な勢いで感染する。しかし、人に対しては今までそれほどひどい症状はないんですけれども、そして犬に対しても流産ということなんですが、個とそれから集団発生、それぞれの犬たちへの対応の違いでございます。

 一つは殺処分、一つは生かす、この違いに関して、これはどういうことなのかということを御説明いただきたいと思います。環境省でございますね。

冨岡政府参考人 ただいま先生御指摘の件につきましては、この件がわかりましたかなり早い時期から、大阪府ブルセラ感染犬等援護対策本部というものが幅広い関係者の参加のもとに設立されております。例えば、府の日本動物福祉協会であるとか、府、市の獣医師会、日本愛玩動物協会、大阪府立大学、それから府の公衆衛生研究所、こういった専門家も交えまして対策本部が立ち上げられたところでございます。

 そして、この本部におきまして血液検査もし、対策を検討いたしました結果、ブルセラ病の完治は困難であり、再発の可能性のある犬を一般譲渡することは、他犬への感染拡大や人への感染のおそれがあることから、苦渋の決断として殺処分という結論を出したと聞いております。その意味におきましては、必ずしも集団感染だから殺処分といった結論にすぐなったというものではないものと理解しております。

 なお、先生御指摘ございました一般的なケースにつきましては、動物の飼養につきまして、動物愛護管理法に基づきます飼養保管基準におきまして、こういった場合には「原則として獣医師により速やかに適切な措置が講じられるようにすること。」とされております。飼養者が自己所有の犬に必要な治療を受けさせるとともに、みずからの感染のみならず、他者への感染防止の観点から必要な注意を払うこととされているものでございます。そういう観点から、個人の場合には先生お話しのような対応がなされているものということでございます。

 以上でございます。

藤野分科員 とはいえ、菌の強さも全く同じということで、極めて歯がゆい思いがしているところでございます。集団発生であったとしても、個々にしていけばこれは個体一般と同じことでございますし、譲渡した飼い主さんがきっちりと同じような管理をしていけば命は守れるはず。

 ただ、おっしゃるとおり、私も大阪府に参りまして、何度か足を運びいろいろなお話を伺いました中で、じくじたる思いはございましたけれども、当然、行政サイドとしてはいたし方ない御判断だなということは思っております。万に一つ人に感染をして、今は人に全く、それほどの影響はないにいたしましても、万に一つ、十年、二十年後にたまたま人に感染をして何か事件が起きた、このときに行政サイドは一体何をしていたんだ、そういう責任追及がもしあるとすればということを考えましても、この頭数の多さに関しましてはやはりいたし方ないかなということを感じました。

 そして今回、大阪府のブルセラ感染犬救済本部というものを立てまして、まさに動物愛護ということの観点から、多分日本で初めて地方自治体が予算というものを、緊急災害時動物救援本部の支援を仰いで、本当に自治体挙げて取り組もうというこういった試みをしたことに関しましては、高く評価をされるものと私は思っております。

 ただし、その府の決断も、これこそまた苦渋の決断で、だれ一人この殺処分を望む者はいなかったと思います。この会議に出た方たちも、すべてが救いたかった、でも、行政サイドの責任としてはこれを殺処分せざるを得ない、そういった苦渋の決断。その中で、本当に皆様それぞれ苦しい立場で、まさに愛護団体の方たちからのたくさんの御不満等の矢面に立っていられる、そういった御苦労を見ますと、やはり自治体がしっかりと愛護の精神を持って、しかし、愛護の精神を持ちつつ、だからこそここでやはり決断をしなければいけないという、その心中を私は本当にお察しするものがございます。

 それにいたしましても、私自身も、九〇%殺す必要がない犬たちだと思っております。この命を殺す必要も失わせる必要も、全くほとんど今の段階ではない。にもかかわらず、この百十数頭の命が失われていくということに関しまして、多分みんなが、もう二度と繰り返したくない、これは大阪府の皆様も、そしてこの会議に出られた先生方もみんな思っていらっしゃると思います。

 そして、愛護団体の方では何を心配しているかと申しますと、こういったことがもし次に起きれば、ブルセラ大発生ということで、二百頭が感染しました、一気に二百頭の犬たちが殺処分されるのではないか、これが一つの慣例となって次々と、まさに何の議論もなく繰り返されるのではないかということを危惧しているところでございます。

 我が国は、このブルセラ感染病ということに関しましては、まず家畜に関しましては、予防ということはイコール殺処分というふうになっております。諸外国ではワクチンの予防がございますが、これは家畜に関しては淘汰ということになっております。淘汰というのは極めて効果的な、感染を防ぐ一つの手段というふうには聞いておりますが、とはいえ、やはり家畜と、今家族同様に暮らしている犬との若干のニュアンスの違いということがございます。

 そんな中で、予防はイコール淘汰、殺処分であるということではなく、予防はワクチンである、そういった方向にこれは行くことができないのだろうか、そういうことを考えております。ということで、犬ブルセラ病のワクチンというのはあるのだろうか、動物医療品として承認を受けているのだろうかということの疑問を感じるわけでございます。うちにも犬が、今は持ち犬が五頭になってしまいましたけれども、狂犬病、フィラリア、ジステンパー等の注射はあるにせよ、このブルセラ病のワクチンというのは今まで一度も耳にしたことがございません。これに関しまして農林水産省にお伺いいたしたいと思いますが、こういったワクチンはございますでしょうか。

小林政府参考人 農林水産省でございます。

 犬のブルセラ病のワクチンについてのお尋ねでございます。

 これまで、国内で薬事法に基づく承認が申請されたことはございません。したがって、承認されたワクチンは存在しないということでございます。

藤野分科員 ワクチンがないということは、こういった感染症がまた繰り返し起こる可能性があり、かつ、それが起こった場合には百頭以上の集団の多数の犬が一気に殺処分を受けるということになります。ということを繰り返すことはぜひとも避けたいと私は思うところでございます。無駄に命を失う、これは、例えば私どもは肉をいただきます、これは必要なものとしてありがたく命をいただくものではございますが、無駄に何の意味もなく動物たちの命をとっていくということは人としては決してしてはいけない、したくないことだと思いますので、ぜひとも予防ワクチンの開発研究に関しましてお願いをしたいところでございます。

 これに関しましては、国立感染症研究所の先生のコメントでございますが、こういったワクチン開発及び犬ブルセラ菌に関しまして、ブルセラカニスでございますが、今後ぜひとも研究をしていただきたいということを申しましたら、そういうのをやりたい人は多分いないだろうと。要するに、何の手柄にもならない。要するに、今のところ、それくらい無害に近いような菌なんだと。そこが今回の事件の一番やりきれないところでございます。これが非常に脚光を浴びるような、この菌に関してはしっかりと解明をしたということが大変なニュースになるような、そういった菌ではない、だれも手をつけたくない、むしろこの菌の研究をしたいという人は物好きじゃないか、そういったコメントでございました。

 しかし、大阪府立大学でございますか、助教授の方が、ぜひともこれに取り組みたいと。僕は臨床医もしているけれども、今回は一頭の犬も殺したくなかった、だから、ぜひとも次回はこういったことのないように研究をしたいということをおっしゃっておりました。

 それに関しましても、予算枠ですか、こういった研究費等にもぜひとも、これは人間感染ということもございますので、力を入れていただきたいと思っております。今は人間に感染してもほとんど風邪のような症状でございますが、今、インフルエンザ、それからいろいろな細菌が出てきておりますので、そういった意味でも、何がどう変わるかわからない。あるとき人から人へうつるということもございますので、こういった動物から人に感染するような病原菌に関しましては、人の命もかかわるということもお考えいただきまして、ぜひとも後押しをしていただきたいと思っております。

 さて、あと十分でございます。最後の質問になりますけれども、今、陽性犬はすべて殺処分ということで、有識者、各先生方、大阪府の判断はいたし方ない、しかし、やりきれないものがあるねというお話は皆さん異口同音におっしゃいます。ですから陽性犬に関しては、皆これは断腸の思いであきらめようと。しかし、あと陰性の犬でございますが、これに関しましてはぜひとも命を救うという方向で、トータルが二百五十七頭でございます、二百五十七頭の犬が一斉に殺処分されることのないようなきっちりとした後押しをぜひともお願いしたいと思っております。

 そして、最後の質問でございますけれども、陽性の犬に関しましても、これは今後の追跡調査という研究のために、一頭でも二頭でも責任ある飼い主に譲渡をし、その一生を見届けるというような手だてができないものかということを私は考えております。

 これに関しましては、極めて難しい選択肢と思われます。そして、先ほど来申し上げているとおり、地方自治体と国との関係がございます。国会議員というのは一体どういうことをするのか。やはり法改正と制度改革しかやりようがないのか。地方自治体の権限のもとに、一生懸命働きかけをしても、なかなか国の要請は聞いてもらえないものなのだろうか、そういったジレンマがございますけれども、これは地方自治体と話し合いを持ちまして、大阪府でもぜひとも、殺処分が決まった陽性犬の数頭でも、ほかの命がすべて失われる、その一つの希望のあかしとして一頭でも二頭でも生存させ、それを次の研究につなげていく犬たちとすることができないのか。

 そういったことを考えておりますが、治療、予防の研究の目的で、責任ある者に譲渡、飼養するということも考えられるという点に関しましては、最後は例えば献体をするですとか、そういったことに関しまして環境省の御所見をお伺いしたいと存じます。

冨岡政府参考人 大阪におきましての今回の決断は、他犬への感染拡大や人への感染防止の観点から、陽性犬については殺処分を行うという苦渋の決断、本当につらい決断をされたものと考えております。

 ただ、先生御指摘のように、ブルセラ病の予防に必要な情報の収集、整理、その成果を普及啓発していくことは必要なことであると考えておりまして、こういった取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 ただ、先生御指摘のように、陽性犬を研究材料として予防、治療の研究の推進にということにつきましては、この点につきまして社会的な必要性とか、それから研究者や研究機関の動向、御意向といったことを見きわめないと、なかなか進まないものではないかというように感じております。

藤野分科員 こういう話をしていますと、陽性犬がいかにもばい菌をまき散らす犬かのように、ちょっと何となく恐怖のような気がいたしますが、我が家の犬がブルセラになったら、これは陽性犬でございますね。ということは、陽性犬というのは、陽性反応を出したというのは、これは国立感染症研究所の先生のお話によりますと、キャリア、かつてかかった犬、そして今はすっかり菌自体が細胞の中に潜んでいて静かにしている、これも陽性犬である。抗生物質を投与しまして、そして去勢、避妊の手術をした犬に関しましては、これはしっかりと、菌に関しては潜んで静かにしている。

 こういうものに関して、これは排尿と交尾とそして唾液によって感染をするというふうに言われておりますけれども、ここから感染をするにしても、こうやって細菌が細胞の中にひっそりとここで隠れている場合には、極めて排菌量は少ない。そして、それが活性化し、どんどんどんどん病原菌がふえてきた場合には、これは感染のおそれがある。ですから、一頭、二頭はせめてもの希望のために、どういった一生を送るのか、陽性犬をすべて殺してばかりいたら、これは最終的には何もわからない。そんなことも含めまして、ぜひともお考えいただけたらいいなということを考えております。

 そして、あと最後、時間がございませんので一言でございますが、こういった動物愛護法がきっちりと改正をされまして、終生、責任を持って命を全うさせる、そういった意識がみんなに芽生えてきております。その中で、本当に不当な命の殺処分ですとか、無意味、無駄なことということは決してあってはならないだろうと思っております。

 ただ、人の健康のことをしっかり考えますと、重く受けとめて、もとを断つ、そういったことで苦渋の決断をしなければいけない。ですけれども、予防イコール殺すであるという、これは時代が非常に古いのではないか、前近代的な方法ではないかというふうに思うところでございます。ブルセラ病は、やはりワクチンでどうにか予防するというような方向にぜひとも持っていっていただきたいというふうに思っております。

 人にうつっても重症ではない、しかし、不明確な点があるから、やむを得ず全頭殺処分でございます。本当だったら、この子たちが、百頭それぞれ一人一人の飼い主のもとにいた犬たちであれば、死ぬ必要など全然ない犬たちでございます。こういったことを私どもももう一度しっかりと胸に思いまして、こういったことが起こらないように、また地道に努力をしていきたい。そういったことの責任を強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。

馳主査代理 これにて藤野真紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、特定外来生物被害防止への取り組みにつきまして、若林大臣にお伺いしてまいります。

 本来、日本には生息をしないカミツキガメ、またワニガメ、ワニ、オオトカゲ、大蛇のアナコンダやボア、また毒グモのタランチュラ、サソリなど、逃げたり捨てられたりしたと見られる外来生物の捕獲報道が後を絶たないわけであります。これら野生化した外来生物による、生態系また農業、漁業に及ぼす被害、また遺伝子汚染など、大変に深刻な社会問題となっております。

 このような外来生物による問題は、国際的にも重視をされておりますが、生物資源の保護とその持続可能な利用を目的とする生物多様性条約の第八条では、「締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、」「生態系、生息地若しくは種を脅かす外来種の導入を防止し又はそのような外来種を制御し若しくは撲滅すること。」と定められており、第六回締約国会議で決議されました生態系、生息地及び種を脅かす外来種の影響の予防、導入、影響緩和のための指針原則では、侵略的な外来種の進入の予防、早期発見・早期対応、定着したものの防除の三段階のアプローチが示され、各国が指針に沿った取り組みを行うことを求めております。

 こうした世界的な流れに対し、我が国でも、平成十六年六月に、特定外来生物被害防止法、外来生物法が制定されました。

 そこで、初めにお伺いいたしますが、その一年後の一昨年六月、特定外来生物被害防止法の施行により、指定された生物の駆除が各地で始まっておりますが、特定外来生物の規制と防除について、その現状を簡潔にお答えいただきたいと思います。

冨岡政府参考人 平成十七年六月一日の外来生物法の施行後、これまでに、アライグマやオオクチバスなど八十三種類を特定外来生物に指定し、飼養等を規制しております。

 また、こういった生物につきまして防除事業を行っておりまして、環境省におきましては、奄美大島及び沖縄島山原地域におけるジャワマングース、西表島のオオヒキガエルなど、環境省といたしまして希少生物等の保護を進める上で重要な地域における防除事業を実施しているケースがございます。このほか、地方公共団体、民間団体におきましても、アライグマやヌートリアなどについて、環境大臣等の確認、認定を受けまして、計画的な防除が行われております。平成十九年二月十九日現在で、合計二百四十件のこういった事業が確認、認定されております。

 こういったことで、法に基づきまして防除が着実に進んでいるものと考えております。

 以上でございます。

古屋(範)分科員 マングースを初め、現在、二百四十の特定外来生物の駆除が始められているということでございます。

 次に、アライグマ被害の現状についてお伺いをいたします。

 北中米原産のアライグマの成獣、体長五十センチほど、三十年前に放映されたアニメ番組で人気を呼びまして、ペットとして輸入されたものが捨てられたり逃げたり、野生化をしております。夜行性で繁殖力も強く、昆虫、魚、鳥や農作物、生ごみを食べ、また物置のスライド扉もあけることができると言われております。

 私は現在横須賀に住んでおりますが、近隣の鎌倉市におきまして、十年ほど前からアライグマ被害が報告をされ始めました。富裕層が多く、そのペットがこの地域で野生化したものと見られております。被害は、鎌倉から、温暖で自然豊かな三浦半島を中心に神奈川全域に急速に広がり、神奈川県の農業被害額は、平成十七年度で千六百万円を超えております。大変甚大な被害でございます。三浦半島におきましてもスイカや大根、私も、最近サツマイモを全部食べられたというような話も聞いております。農業被害が大変に深刻でございます。

 このアライグマにつきまして、十六年度の農業被害が全国で一億を超えるとも伺っておりますが、全国的なアライグマ被害について農水省にお尋ねをいたします。

吉田政府参考人 アライグマによる農作物の被害状況についてのお尋ねでございます。

 アライグマによります農作物の被害金額でございますが、各都道府県からの報告に基づきまして集計した結果によりますと、平成十七年度でございますが、全国で約一億五千万円となってございます。これは平成十三年度と比べますと、平成十三年度が約三千六百万円でございますので、約四倍というふうに増加をしてございます。

 この内訳を見ますと、果樹、野菜が主でございまして、野菜が九千三百万円、果樹が四千五百万円というふうになってございます。

 それから、都道府県別を見ますと、一番多いのが北海道でございまして、四千七百万円、続きまして和歌山県が三千百万円、兵庫県が二千八百万円、そして、今委員がおっしゃられました神奈川がこれに次いでおりまして、一千七百万円というふうになってございます。

古屋(範)分科員 平成十三年度で三千六百万、十七年度で一億五千万、この四年間で四倍、神奈川も多いと思いましたが、さらに多い県があるということでございます。非常に急速に被害が拡大をしているような感がございます。

 また、このアライグマの駆除につきまして、横浜国立大学の小池助教授は、分布拡大のシミュレーションを作成しまして、二〇一三年には神奈川全域に分布が広がり、三〇年ごろは富士山、秩父、奥多摩に、百年で関東甲信越全体に広がると報告をされています。小池助教授は、今は被害がない地域でも駆除対策に力を注ぐべきだ、そうしないと分布拡大を食いとめられないと広域対策を訴えられております。

 このように、アライグマなど、生息域の拡大が懸念される、全国的な対応が必要な種については、やはり、それぞれの自治体、個別に対応していてもなかなかできない。国が主体となりまして、特定外来生物に指定された鳥獣による生態系への影響や被害の評価方法、また防除手法等につきまして調査研究や技術開発を進めて、各種マニュアルの整備などによりまして地方自治体の取り組みへの積極的な支援を行うべきと考えます。

 アライグマについては、これまで、神奈川県内の各市町村が個々に対策に取り組んできたところであります。昨年四月、神奈川県が外来生物法に基づき策定した防除計画が国の適合確認を受けたことから、今後、市町村にはさらに取り組みの強化が求められると思われます。

 先ほども指摘いたしましたが、効率的な対策を進めるには、市町村間の連携による広域的な取り組みが必要です。こうした外来生物は、当然、市町村の境を越えてくるわけでございます。市町村間の取り組みに温度差があれば、アライグマを野外から排除できた市町村とできない市町村が生じることとなりまして、再び繁殖が繰り返されるということが容易に想像されます。また、積極的に取り組めば取り組むほど負担が増し、市町村の財政を圧迫するということも懸念されます。

 そこで、効率的な取り組みを進めるために、市町村間また自治体間の連携に向けた調整とともに、手厚い財政支援をお願いしたいと思いますが、この点に関しまして大臣政務官にお伺いをいたします。

北川(知)大臣政務官 ただいま古屋委員の方から御指摘がありましたアライグマによる被害でありますけれども、環境省の方といたしましても把握をしているところがあります。

 今御指摘の市町村間の財政支援についてでありますが、国といたしましては、都道府県、市町村が行う外来生物の防除に対し、補助金や交付金等の財政支援措置は有していないところであります。

 しかし、広域に分布をして被害を及ぼすおそれがあるアライグマなどに関しましては、効果的な防除方法や効率的な防除体制に係る情報を提供することが必要であるとも認識をいたしておりまして、先ほど局長の方からも話をさせていただきましたけれども、ジャワマングース、オオクチバス等の防除のために、環境省といたしましても、平成十七年度より、地方公共団体と連携をした外来生物の防除事業を実施いたしております。平成十九年度予算案においても三億五千万円を計上しているところであります。

 具体的には、北海道、今御指摘の三浦半島を含む関東地域、関西地域でアライグマの防除事業を現在実施いたしております。十九年度におきましても、事業の成果をマニュアルとして取りまとめ、各地で都道府県や市町村が行う防除事業に活用していただくことといたしておりまして、情報やマニュアルの提供を積極的に行っていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、効果的、効率的な防除が進むよう、今後ともこれらの取り組みを着実に実施していきたいと考えております。

古屋(範)分科員 十九年度予算で三億五千万を計上し、さまざまなモデル事業を展開されているということでございます。ぜひとも、国が率先をして防除方法の確立などなど進めていただきたいというふうに考えております。

 アライグマの次に、タイワンリスについての質問をしてまいります。

 私たちの地元、神奈川県の三浦半島地区、各自治体、さまざまな被害が顕在化しているわけでございます。葉山町におきましては、樹林地帯でタイワンリスによる樹木への被害が深刻化をしております。今後、三浦半島全域にタイワンリスの生息が拡大した場合、農業被害また観光農園被害、地域全体に大きな被害を及ぼす可能性があります。近年、町中における、台風、強風による倒木については、タイワンリスが木の皮をかじり木が枯れてしまったこと、そこに強風があり倒れてしまったのではないかとの声も寄せられております。

 私の家にもリスが徘回をしておりまして、かんきつ類があるんですが、全部食べてしまう。もちろん、販売をしているわけではありませんので、全部食べられてしまったねということで終わるんですが。初め一匹と思いましたら、現在、何か複数いるような感じがいたします。また、電話線をリスがかじったというような話もありまして、いろいろな被害が今発生をしております。

 しかし、このタイワンリスの生息実態、またその効果的な捕獲方法につきまして、大変情報量も少なく、葉山町におきましても対応に苦慮しているのが現状でございます。

 こうした実情にかんがみ、このタイワンリスの生息状況調査の実施、また情報の収集、提供など、必要な対策及び防除実施計画の策定に向けた取り組みをぜひ御検討いただきたいのですが、環境省のお考えをお伺いいたします。

冨岡政府参考人 タイワンリスにつきましては、かつてペットとしてかなり流通いたしておりまして、それが捨てられたり逃げ出したりして、そういったものが自然の中で暮らすようになってしまったということでございまして、先生御指摘のように、樹木の皮はぎ等の生態系被害が認められることから、平成十七年に特定外来生物に指定しているところでございます。

 なお、この実態、駆除方法については必ずしも明らかじゃない点がありますので、環境省におきましては、昨年、長崎県五島市及び壱岐市が行います箱わなによりますタイワンリスの防除事業につきまして、外来生物法に基づく確認を行ったところでございます。

 環境省といたしましては、これらの防除事業の実績を初め、タイワンリスの生態や防除手法に係る情報を収集しまして、地方公共団体等に対しましてこれを提供し、ノウハウを広めてまいりたい、かように考えているところでございます。

古屋(範)分科員 新たな防除方法の開発、ぜひともよろしくお願いいたします。

 私の地元の自治体では捕獲のためのおりを貸し出しているようでありまして、私も忙しくて借りには行っていないんですが、そのおりを貸し出して、捕獲したらそれをとりに来るというような方法を今とっているようでありますけれども、このタイワンリスのそうした防除の新たな取り組みについても、ぜひ、何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、環境教育という点につきまして、大臣にお伺いをいたします。

 内閣府が外来生物法施行後一年たった昨年の六月から七月にかけて行いました自然の保護と利用に関する世論調査では、外来生物は駆除した方がよいと考えている人が全体の九〇・七%に上りまして、二〇〇一年の調査で駆除した方がよいと答えた人の七三・八%を大きく上回りました。この調査からも外来生物問題に関する国民の理解は進んでいると思いますが、ペットとして飼われていたと思われる外来生物の町中での発見事例が報道されることが依然として後を絶たないわけであります。

 日本で広がり続けるこの外来種問題は、例えば、南の空港にはヤシの木が栽培され、どこの海辺であろうとハマナスが植えられ、公園の植物も外来種ばかり、私たちもそれほど違和感を覚えない、この日本人のおおような自然観というものがあるような気もいたします。また、生物の多様性を守るということは生物の種類が単に多い状態であると勘違いされたことにより、外来種の野生化が気にならなくなることすらあると思われます。

 しかし、安易にペットを飼って、そして手に余ってそれを捨ててしまう。確かに、外来生物は自分で日本に入ってきたわけでは、飛行機に乗って飛んできたわけではないわけであります。それは、やはり日本人の責任、人間の側に原因があるわけであります。私たち国民一人一人がこの外来生物の問題をみずからの問題ととらえて、主体的に対応していくことが外来生物による問題解決に不可欠であると考えます。

 そこで、子供から大人まで、すべての国民に対しまして、環境教育また自然保護教育を本気で再構築することが急がれていると思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

若林国務大臣 委員、熱心に事例を挙げながら、外来生物によります地域地域の生活への障害あるいは農業被害などについてお話をいただきました。大変参考にさせていただきたいと思います。

 もう既に御説明申し上げていますけれども、この特定外来生物の被害防止法は一昨年の六月に施行になったということでございまして、ようやく今、施行後、各都道府県、市町村を通じまして法の執行管理体制が整いつつあるというような段階でございます。

 にもかかわらず、先ほど委員がおっしゃられました、ワニ類だとかカメ類だとかその他の、ちょっとペットとしてどういう感覚かよくわからない、私などわかりませんけれども、非常な多様な珍しい動物がペットとして輸入されております。それらが成長をしていくにつれて管理が手に負えなくなって、これを遺棄するというようなことがあり、それが川や沼などに入っていくということが報じられました。

 委員がおっしゃられました、そういう異様なものではなくて、タイワンリスについてもお話がございまして、うちの部局で調べさせていただきましたが、非常に広範に被害が及んでいるということでございますし、アライグマに至っては、お話しの神奈川県を中心にして、関東一円、かなり広くなっております。

 そんな状況でございますので、一昨年、環境大臣が国民の皆さん方に、そういう外来生物への取り組みの姿勢として、注意を喚起いたしまして、外来生物の適正な飼育に関して環境大臣が談話を出し、これを周知させるというような努力はいたしました。一昨年九月の三十日でございます。また、局長の談話も昨年七月の二十日に、カミツキガメが野外で発見されるなど、逃げたり捨てたりしたものと思われる外来生物に関する報道が相次いでいることを受けまして、大変憂慮すべき事態だということで、その他の外国産のカブトムシやクワガタなどの甲虫類などにつきましても、これを飼育している方々は最後まで責任を持って飼育してもらいたい、こういうお願いをいたしました。

 同時に、外来生物を販売している業者の人たちには、購入をする人たちに、捨てない、逃がさない、そういったマナーをきちっと伝えて、今言った遺棄などによりましてこれが自然界に出ないようにするということに努力をしているところでございますが、なかなかもう、一度広がったものを阻止することは難しい状態にあることは承知いたしております。

 基本的には、委員もおっしゃられました環境教育の問題でありまして、家庭で一度飼育している動物は適正にきちっと管理して、最後まで責任を持つんだということを子供たちに家庭でしっかり教えてもらうということ、同時に、動物と親しむというのは大事なことですが、親しむと同時に、学校教育あるいは地域教育でそういうことを、教育を徹底しなきゃいけないというふうに思います。

 私は、子供たちのそういう教育について、文部科学省と、自然と人間とのかかわり合いというジャンルの中で、ペット飼育につきましても責任を持たなきゃいけないんだ、そうでないとこれは非常に迷惑をかけることになるんだということを、教科書あるいは副読本などを通じて周知、教育上、教材などを通じて周知できるような、そんなことを協議したいというふうに思っております。

古屋(範)分科員 大臣より、家庭教育また学校教育での自然環境に対する大切さというような御答弁をいただきまして、私も全く同感でございます。

 最後の質問になります。

 こうした特定外来生物、この対策というものを一層推進していくために、科学的知見の充実、またそれに基づく適正な種の選定や防除の推進、また法に基づく輸入や飼育等の規制の徹底、先ほどもございました国民全般の意識の向上に向けた普及啓発、それにかかわる関係機関の協力連携した体制整備、あらゆる分野からのさらなる取り組みが必要とされております。

 最後に、大臣に外来生物対策推進への御決意をお伺いいたします。

若林国務大臣 生物多様性の条約がございます。御承知のとおりでございます。

 実は、来年五月にドイツのボンでCOP9というものが開催されることになっておりますが、ここで次期の開催地を決めることになっております。我が国は、ぜひ生物多様性の条約締結国の会議、COP10を日本で開きたい、日本で、積極的にこの問題、いろいろなところで取り組んでいただいていますが、手を挙げてこられ、そして内部でその要件をチェックして、名古屋市で開催するということを内々に決めまして、先般、一月十六日の閣議で了解をしまして、立候補をいたしました。国際事務局の方に申し出ているところでございます。

 これは、生物多様性の保全というのは大変重要なことでございますし、またこのことを通じて国民一般の皆さん方にも、生物多様性、在来種も含めまして生物との人間の触れ合い方、そしてまた管理をしっかりとしていくということをしっかり決めて、徹底をしていきたいというふうに思っております。

 日本は非常にその取り組みについては先進的だという評価を実は国際的に受けておりますので、そういう評価にこたえられるように、しっかりとした、行政面におきましても、普及の面におきましても、こういう国際会議を一応の焦点にしまして、それまで国内で徹底していきたい、こう思っております。

古屋(範)分科員 では、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

馳主査代理 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、盛山正仁君。

盛山分科員 兵庫一区選出の盛山正仁でございます。よろしくお願いします。

 ことしは暖冬というんでしょうか、異常気象がもう毎年のように起こっているものですから、異常気象がだんだん当たり前という感じにもなっているわけでございますけれども、やはり地球の温暖化が進んでいるんだなと国民みんなが感じるようになってきたのではないかなと私は思います。

 私が子供のころは、朝、小学校に行くとバケツに氷が張っておりましたし、それから霜柱、こういうのを踏みながら行っておりました。大臣の御出身地とは違いまして、私は大阪で小学校へ行っていたわけでございますけれども、大阪の市内ですらそんな状態でございました。

 それが今や、ことし東京では全く雪を見ませんし、スタッドレスタイヤの必要もありませんし、暖かくてしのぎやすくていいといえばいいわけですけれども、やはり寒いときには寒くなり、暑いときには暑くなりと、そういうふうになってもらわないと、やはりいろいろなところに問題が出てくるなと感じております。スキー場で雪がないというのも、そういうことでもありましょう。

 いずれにせよ、国民みんながそういうことを感じるようになってきたということも背景かとは思うんですけれども、私、環境省を離れましてからまだ二年もたっておりませんけれども、当時と違いまして、新聞やテレビ、マスコミがこの地球温暖化の問題を本当によく、詳しく取り上げるようになったというのはつくづく感じております。特に日経新聞に、こういう地球温暖化の関係の記事、日本がこういうふうな取り組みをすべきであるというようなことが大きく出てくるようになりまして、マスコミの方の取り上げ方も大分変わってきたんだなと、そんなふうに感じております。

 昨年は、暮れに、スターン・レポート、イギリス、スターン卿のレポートが出まして、これはつい先日、二月の頭、パリでありましたインターガバメンタル・パネル・オン・クライメット・チェンジ、IPCCの第一次報告書、これの前取りをした形のものでもあったんでしょう、こういうことで、これからヨーロッパあるいは地球全体、こんなふうに取り組みをしないと大変深刻な事態になりますよと、あるいは、今取り組みをすることによって、先に延ばすよりも経済的にもこんなにメリットがありますよという、すごくわかりやすい、説得力のあるレポートだったかと思います。

 また、IPCCの第一次の報告書は、アメリカその他の国が言っておりました、地球の温暖化はいろいろな影響によるもので必ずしも人が起こしたものではないということを覆すような、アメリカですらそういうことを正面から受けとめざるを得ないような、そんな形になってきて、世の中、世界全体でそういう認識がだんだんだんだん共有化されるようになってきたのかな。逆に言うと、それだけ地球の温暖化が深刻になってきたのではないかなと思いまして、けさも日経で、たしか末吉さんですか、UNEPのシニアアドバイザーの方が、CO2の排出について大変厳しい御提言をしていられたかと思います。

 全体的に、マスコミを含めまして、世界全体で地球の温暖化がこれだけ深刻になってきているというふうな認識は強くなってきたとは思うんですけれども、アメリカの取り組みその他を見ていますと、大分ブッシュ政権も、当初の京都議定書を離脱したころから比べますと、大統領の年頭教書にも環境のことが触れられるようになってはきたなとは思うわけでありますけれども、それでもまだまだ大分取り組みが甘いんではないかなと思うわけでございます。

 アメリカそしてオーストラリアがこの京都議定書に入っていない大きな先進国のリーダーの二カ国であると思いますが、こういう先進国、アメリカ、オーストラリアの動き、あるいはEUは相当前向きに、二〇〇五年のグレンイーグルズのサミット以来、EUは取り組みが大分アクセラレートしてきた、前向きに強化されてきたとは思うわけでございますけれども、まずは先進国のその動き、温暖化対策への動きについてお伺いしたいと思います。

    〔馳主査代理退席、主査着席〕

南川政府参考人 お答えいたします。

 先進国の中でとりわけアメリカでございます。やはり世界のCO2排出の二三%ということで、最大の排出国でございます。ようやく、ことしの年頭教書に気候変動問題を取り上げるようになりました。これは初めてでございます。その中で、ガソリンの消費量の、トゥエンティー・イン・テンということで、十年間にガソリン消費量を二割削減するということを発表いたしました。これは、車の販売規制と、それからE10を初めとするエタノールの普及拡大ということを目指したものでございます。

 ただし、連邦議会では大変大きな動きが起きております。例えば、今、八本から九本の法律なりあるいは決議が提案されておりますけれども、その中では、共和党の大統領有力候補でございますマケインが中心となりまして、大幅な米国内の排出量を削減するといった法案も出されているところでございます。

 あと、州レベルにおきましては、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事の動きを中心としまして、大変大きな動きが全米的に今起きておるところでございます。

 それからもう一つ、アメリカとともに京都議定書を離脱しました豪州でございます。豪州につきましても、昨年の大干ばつ以来、国内的にこのままではいけないという世論が大変強くなりました。それを受けまして、ハワード首相が、昨年末でございますけれども、排出量取引制度というのを豪州でも考えようということで、その検討が始まったところでございます。

 なお、EUにつきましては、当然言うまでもなく、この問題で世界の先頭を走っております。EUは、スターン・レポートにございましたように、産業革命前に比べて、二度Cを超えてはいけない、二度Cを超えれば大変な、取り返しのつかない壊滅的な影響が気象面で起きるということで、それにとめたい、そのためには、世界全体の排出量を二〇五〇年までに半減させようということを強く提案しているところでございます。これにつきましては、三月の首脳会議でそれを決定して動くということも伝えられております。また、欧州域内での排出量取引ということで、活発な対応を行っていると承知しております。

盛山分科員 ありがとうございました。

 先進国の最近の動き、これまでよりは大分変わってきたのかなと思うわけでございますけれども、それにつけても、これから大事になりますのは途上国ということではないかと思います。

 もともと、気候変動枠組み条約や京都議定書ができたころには、先進国のシェアというんでしょうか、温室効果ガスの排出量が大きくて、ですからこそ、あるいはこれまで温室効果ガスを排出してきたのはほとんどが先進国だということで、先進国が義務づけを負うというような厳しい内容になっているわけでございますけれども、人口の増加、あるいは生活水準の向上ということで、発展途上国の方々の生活水準が向上し、人口がふえ、それに伴ってエネルギーの消費、水の消費、食料の消費、そういうものがふえるのと同様に温室効果ガスの排出がどんどんどんどん増加する一方である、そういうふうに思います。

 もうこれまでにも議論されているところですが、中国、インドあるいはブラジル、こういった途上国にもこれからの取り組みをしっかりとやってもらうということでなければ、地球全体での温室効果ガスの削減ということにはつながらないと思います。

 私も担当しておりました当時ですが、二〇〇四年の十二月、日中韓の三カ国の環境大臣会合がございまして、そのときのプレスとの応対で、プレスから、中国のたしか解振華環境大臣だったと思うんですけれども、中国はこれから温室効果ガスの削減に取り組まれる御意向はあるんですか、つまり、ポスト京都に向けてどうするんですか、そういう厳しい質問が出たときに、当時の中国の解大臣は、応分の負担は当然していくことを考えているというふうに、明確にそのときは答えたわけなんでございますが、さて、現在そういう、中国を含めまして、インドやブラジルといった途上国がこれからポスト京都に向けてどういうふうな取り組みをしていくのか、あるいは今どうなっているのか。その辺をお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 中国、インド等につきましては、途上国として今扱われております。その中で、具体的には一九九〇年が今基準年になっておりますけれども、このころは、先進国、途上国で見ますと、先進国が排出の七割、途上国が三割でございました。それが現時点では徐々にフィフティー・フィフティーに近づいておりまして、特に中国につきましては、二〇〇九年あるいは二〇一〇年にCO2排出量でアメリカを抜いてトップに出るということも推測をされておるところでございます。

 ただし、国際交渉になりますと非常に厳しゅうございまして、途上国はまず先進国の責任が大きいということを相変わらず主張しますし、特に中国につきましては非常に強い態度でそういったことを訴えてまいります。

 ただし、中国も含めてでございますけれども、大変エネルギー問題に困っております。特に中国につきましては、毎年新車が六百万台ふえるという状況でございますものですから、ガソリンを初めとした油不足、大変資源不足に困っております。そういう中で、五年間でエネルギー消費量を、GDP当たりのエネルギー消費量を二割削減しよう、そういった、エネルギー効率化というんですか、そういったことをある程度進めるということは言っておるほどでございまして、かなりの危機感を持っていると思います。

 ただ、CO2について言いますと、どこまで削減されているのか。現状では、個々に会うといろいろおっしゃいますけれども、対外的には非常に厳しい発言を聞くというのが現状でございます。

盛山分科員 ありがとうございました。

 京都議定書が発効したのが二〇〇五年の二月でございまして、そしてその年の十一月から十二月にかけて、カナダのモントリオールでCOP/moP1が開かれました。私も今度は議員という立場で参加をさせていただいたところであります。そのときからもう二〇〇八年の第一約束期間、そして二〇一三年以降のポスト京都に向けての議論を始めようとしたわけでありますけれども、なかなかうまく始まらなかった。

 クリントン前アメリカ大統領が来て、会議の場で、今のブッシュ政権とは違う環境問題への取り組みを演説されたときは、会場がわっと受けましたけれども、それ以外はなかなか、途上国と先進国が前向きに建設的に話をするという雰囲気では全然なかったと思います。

 そして昨年の十一月の、ケニア・ナイロビでのCOP/moP2でも、それほど大きな進展がなかったというふうに伺っております。

 さはさりながら、もう今は二〇〇七年の二月末でございます。来年二〇〇八年からは第一約束期間がいよいよ始まる、そういうタイミングでございます。第一約束期間は二〇〇八年から二〇一二年ということでありますけれども、今後の途上国、中国、インド、ブラジルといったところの取り組み、あるいはアメリカ、オーストラリアを初めとする先進国の扱い、また、第二約束期間をどのような形でやっていくのか、もう待ったなしのタイミングになっていると思うわけでございますが、マルチの交渉、なかなか大変だと思いますが、今後の道行きというんでしょうか見通しというんでしょうか、日本がどういうふうにして取り組んでいこうとしているのか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。

南川政府参考人 御指摘のとおり、いわゆるCOP/moPというところで枠組みは決めることになります。これは国連の会議でございます。まずそれで申しますと、ことしの十二月にインドネシアのバリでCOP/moPの3ということを開くことになっておりますし、また来年も年末にヨーロッパの、恐らくポーランドだと思います、ポーランドでCOP/moPを開くということになります。

 ただし、それでは、百八十を超える国と地域が参加しますので、なかなかその議論が煮詰まりにくい。どうしても南北対立の、ある程度自分の主張を繰り返す場になります。したがいまして、それだけではなかなか第二期の中身が見えてこないということがございます。

 したがいまして、イギリスがグレンイーグルズ・サミットの際に、ブレアがブッシュ大統領を説得しまして、そして、ともかく今の温暖化というのは人間の影響によるんだということを納得させまして、そこからG20対話というのが別途始まっております。

 これはアメリカを含めたG8はもちろんでございますけれども、それ以外に、豪州、中国、インドを初めとした二十の国が参加をする。そしてこの全体で約八割のCO2排出をカバーするということでございまして、実質的にこれらの国が対策をとれば非常に大きな意味があるということでございます。

 この対話がサミットの前後に挟まって入ってきております。具体的には、ドイツでことし六月にG8がございますけれども、その後の、秋の九月ごろにG20対話というものをドイツで開きます。その後は、来年の春、三月か四月に日本でそのG20対話を行いまして、中国、インド含めた、豪州も含めた方針というのをある程度まとめたいと思っております。その上で、夏のG8の日本サミットにそれを報告し、それを安倍総理がそこに報告する。そしてそれを来年の十二月に行いますCOP/moPの会議に報告するということで話を進めていきたいということで、日本としては、日本が議長国であるサミットの前後に重大な会議がございますので、ぜひイニシアチブをとっていきたいと考えております。

盛山分科員 ありがとうございました。

 今南川局長のお話にもありましたとおり、来年は日本でサミットがあります。二〇〇五年の七月、グレンイーグルズでブレア首相が提唱してG20ダイアログ、対話を始めて、そして、それの報告を来年の日本でのサミットでしよう、こういうふうになってきているわけですから、ぜひ、日本の立場というんでしょうか、日本として来年のサミットを成功させるためにも頑張っていっていただきたいと思うわけなんですが、マルチの会議というのはなかなか難しいんですよね。バイの会議はバイの会議で難しさがあり、マルチはマルチで難しさがあると思います。

 日本がいろいろな会議の場でリーダーとなってやっていけるような、つまり環境省から、あるいは外務省から、あるいは経済産業省から、いろいろな省からも人は出てくるんだろうと思うんですけれども、日本の場合、人事というのは一年交替でかわったり、いろいろするものですから、なかなか顔ができません。そういったことも含めまして、ああ、あいつが来ているんだ、あいつが言っているんだというような形になっていかないと、なかなかネゴはうまく進まないと思うんですね。

 あるいは、俗にマフィアという言葉がありますけれども、インナーサークルのメンバーになって、そこでその会議の今後の成り行きを含めていろいろなことが議論できる、そういうふうな形にならないと、なかなか国際会議というのをうまくリードしていくのは難しいということではないかなと私は思っているわけなんでありますけれども、来年のサミットに向けまして、日本がどのようにまとめていくのか、リーダーシップを発揮していくのか、土屋副大臣からお伺いしたいと思います。

土屋副大臣 今盛山先生がおっしゃったように、外交の場、さまざまな場で日本がリーダーシップをとっていくのは、今までの経験でもなかなか厳しいものがあるという御指摘でございますけれども、先生は今後の動きに対して大変御心配もあって御意見をいただいたのかと拝聴しておりました。

 私も外務大臣政務官のときにインドの環境会議に出ましたけれども、そのときにも、各省の横のつながりが大変大事だな、チーム・ジャパンとして力を持っていくことが大切だと考えておりますし、今も環境副大臣になりまして、特に外務省との関係、この辺も一枚岩でいって闘わなければいけないなと考えております。

 そういうことを考えながら、今後、気候変動問題を考えますと、いろいろな面での脅威、人の健康、食料、水資源、居住地、平和と安全、あらゆる問題に対する脅威を感じてきているところでございまして、これは気候安全保障、大臣もよく使われておりますけれども、クライメートセキュリティー、こういう立場からしっかりとメッセージを送っていく必要があると思っております。

 今盛山先生がおっしゃられたように、来年はG8議長国、これは私たちも本当にしっかりと、メッセージを送る場として最大の努力をしていかなければならないと考えておりますけれども、今局長がお話ししましたように、あらゆる会議、世界の会議においていかに日本が大変強いメッセージを送れるかというのが肝心なことだと思っております。それに向けて私たちも一丸となって頑張っていくつもりでございます。

盛山分科員 土屋副大臣、ありがとうございました。

 古い話ですが、一九九二年がリオ・サミットで、そして世界のトップが集まって気候変動枠組み条約ができました。一九九七年は京都議定書、京都という名前の議定書、立派な議定書を日本でつくることができまして、今副大臣からお伺いしたとおり、来年日本でのサミットということでございます。ぜひ成功させていただきたいと心から願うわけでありますけれども、例えば二〇〇五年は、グレンイーグルズのときは、ブレア首相がみずから各国を回って説得をしたり、いろいろ調整に動かれました。

 そしてことしは、一月のダボスの会議で、ドイツのメルケル首相がそこへみずから出ていって環境の話をし、そしてことしの六月、ハイリゲンダムというんでしょうか、ドイツでサミットがある、当然環境のことが大きなテーマの一つになる、こういうことでございます。日本も来年のサミットに向けてぜひ頑張っていただきたいと思うわけなんです。

 ちょっと話が横にずれますけれども、日本時間のきのうの朝でしょうか、アカデミー賞で、アル・ゴア前アメリカ副大統領の「不都合な真実」という映画がアカデミー賞を受賞された。もう大変すばらしい。私自身も見てすごく感銘を受けました。地球温暖化の深刻さをわかりやすく説明しているのと同時に、感動しましたのは、アル・ゴア副大統領が学生のときから地球温暖化について、これは大きな問題であるというふうに感じて問題意識を持っていて、大変な先見性があったなということと、それから、逆風の中でも一貫して地球温暖化に取り組んでやってこられた、そういう強さというのに本当に感銘を受けたわけでございます。

 ぜひ、来年のサミットを成功させるためにも、副大臣がおっしゃられましたとおり、まずは日本国内を一枚岩にしていく、チーム・ジャパンにしていく、これが大事だと思うんですね。環境省と経済産業省あるいは経済界、これがばらばらであるというようなことでは全く説得力がないというんでしょうか、パワーが出ないと思います。

 また、排出権の問題その他にしましても、最近新聞の記事にも出てくるようになりましたけれども、やはりこういうところを先取りして、日本が頑張っていかないと、ビジネスチャンスをみすみす失っていくと思うんです。例えば自動車の排出ガス規制にしましても、最初自動車業界は反対しておりましたけれども、結局それが日本のすばらしく大きな強みになりまして、自動車産業がこれだけ強くなってきまして、うかうかしているとヨーロッパ、あるいはアメリカにすら排出権でも負けていく、そんなことじゃないかと思うんです。

 産業界その他、うまく説得をしていただくというんでしょうか、調整をしていただくというんでしょうか、日本国民みんなに地球温暖化の深刻さ、重要さをよく上手に御説明していただいて、チーム・ジャパン、そういうような形をとっていただきたい。また、来年のサミットに向けて、環境大臣が、あるいは安倍総理が先頭に立って日本国民全体を引っ張っていく、あるいはアメリカ、オーストラリアという反対をしている国、あるいは内容の点ではEUとということになるでしょうし、そして途上国の中国あるいはインドまたブラジル、こういったところもみずから説得をする、そういったような形での、トップがみずから動くというような形で取り組みをぜひしていただきたいなと、こういうふうに思います。

 大臣に、御所見というんでしょうか、御決意のほどをお伺いしたいと思います。

若林国務大臣 盛山委員は御自分でもおっしゃっておられましたが、環境行政の深い経験者であり、しかも実務的な責任者も務められました。水・大気局では企画課長、自然局でも総務課長、そしてこの地球問題では地球環境局の総務課長として、第一線で各国を相手にしながら、また国内であれば経済産業省あるいは外務省、運輸省、国土交通省など、各省庁との調整にも御苦労をいただいたわけでございまして、そういう知識、経験、そして熱い思いというものを込められて、いよいよ待ったなしに迫ってまいりました地球温暖化の問題、これは人類が破局へのコースを進みつつあるという意味での危機感を互いに共有した上で取り組んでいかなきゃいけない、こういう思いでございます。

 安倍総理は一月の十二日からヨーロッパを回られました。ヨーロッパを歴訪した際に、今お話がございました英国のブレア首相やドイツのメルケル首相とも会談をされまして、その中で、当然のことながらブレア首相からもメルケル首相からも気候変動問題というのは大変な問題だという話がありまして、それぞれの国が協力し合ってこの重要な課題に取り組まなきゃいけないということを確認し合ったわけでございます。

 お帰りになりまして、私呼ばれて、いろいろとそれらの状況の説明も求められ、そしてまた協議もしたわけでございますが、総理は施政方針演説の中で、二十一世紀環境立国戦略というものを六月までに策定するんだということを明らかにされましたし、当予算委員会におきましても、総理みずからが、京都議定書の目標を必ず達成するということとあわせまして、京都議定書以降、二〇一三年以降の枠組みづくりにリーダーシップを発揮するという考えを述べておられました。

 私は、この二十一世紀環境立国戦略の策定、これは戦略的な意味で羅針盤をつくっていくようなことでありますし、日本から発信する意味で大変重要な戦略にしなければならないと思っておりますけれども、そういう中で、経済産業省の産業構造審議会と環境省のもとにあります中央環境審議会と合同でいろいろな作業をしてきておりますが、この戦略の立案につきましては、中央環境審議会の中に戦略の特別部会を発足させまして、そこに幅広く各省庁から推薦をいただいた方に委員としてお願いをいたしまして、既に検討を開始したところでございます。

 私としましては、二〇〇八年のG8サミットに向けまして、G8プロセスの論議に有意義に貢献をしていく、そこでの議論が実効のある次期枠組みの形成につながるようにやはり主導的な立場を果たさなきゃいけないというふうに思い、その意味でこの戦略というのは、六月までにつくろうというのもそのことを念頭に置いてのことでございます。

 さらに、三月には実はドイツで、G8サミットを前にしてG8の環境大臣会合が予定されております。こういう機会も最大限に活用をして、いわばプレゼンスというか存在感のある日本の代表として今後こういう交渉の中で積極的に取り組んでいかなきゃいけない、こういう問題意識を持っているところでございます。

 今後ともの御指導、御鞭撻をお願い申し上げるところでございます。

盛山分科員 大臣、力強い御発言、ありがとうございました。

 生物多様性についてもちょっと伺いたかったわけでございますが、残念ながら時間となりましたので、またの機会にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

山本主査 これにて盛山正仁君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山本主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本大輔君。

松本(大)分科員 民主党の松本大輔です。

 農水省所管の独法、緑資源機構に対しまして、昨年十月、公取が立入検査を行っております。これについては、報道によれば、談合の疑いがあるというふうにされておるところでございます。きょうはその問題について取り上げたいというふうに思います。

 まず、今回談合の疑惑が持たれているのは測量であるとかあるいは環境影響調査などのいわゆる建設コンサルタント業務部門なわけでございますけれども、では、この分野について、一体緑資源機構の契約実態がどうなっているのかということで資料要求をいたしました。返ってきた答えがお手元の資料一であります。

 これによりますと、一般競争入札は何とゼロですね。指名競争入札が九十五件、平均落札率は九一・九%、契約合計額が六億九千万。随意契約が二十四件、契約合計額が一億六千五百万円、平均落札率は九二・三%ということになっております。

 これは、実は私、去年も同じ問題を取り上げたんですが、緑資源機構の会計規程というのがありまして、これを見ますと、十九条のところで、「一般競争契約の方法により、」という形で、一般競争入札が原則である、それ以外は例外であるというふうに規定をしてあるわけであります。ところが、実際には、この資料要求した回答によれば、何と一般競争入札はゼロであって、すべて指名競争入札か随意契約になっている。しかも、平均落札率はどちらとも九二%程度になってしまっている。

 果たしてこの契約状況は適正なんだろうかという疑念を抱かざるを得ないわけでありまして、だからこそ今回公取の立入検査を受けるに至ったのかなというふうに考えておるわけでありますけれども、この点について、果たして適正なのかどうか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 緑資源機構におきましては、これまでも公共工事の入札及び契約の適正化を図る観点から適宜入札制度の見直しを行ってきておるということでございまして、平成十八年度におきましても、建設工事における一般競争入札の下限金額を原則二十四・一億円以上から二億円以上に拡充するなどの対応を行ってきたと承知いたしております。

 また、今般、公正取引委員会の立入検査等を受けたことを踏まえまして、緑資源機構においては、より透明性の高い契約制度のあり方等について検討するため入札制度等改革委員会を設置して、検討を行っているところと承知をいたしております。

 農林水産省といたしましては、緑資源機構におけるこのような取り組みを見守るとともに、現在も公正取引委員会の調査中でありますことから、今後の事態の推移に応じて適時適切に対処してまいりたい、今私どもとしてはこのような観点で見守っているところでございます。

 先生の、これまでの入札等が適切であったのか、こういうことでございますけれども、これは入札制度の仕組みにのっとりまして対処してきたものだ、このように受けとめております。

松本(大)分科員 今大臣から御答弁があった一般競争入札の下限額の引き下げというのは実はいわゆる土木工事分野でありまして、これについても触れたいと思いますけれども、こちらも、今御答弁があったように十八年度から一般競争入札が行われているんですが、それ以前、例えば十七年度の落札率がどうだったかといいますと、これも資料要求をしまして返ってきた返答は、平均落札率九三・四一%ということでした。

 つまり、先ほど御紹介をした、お手元にも配付をさせていただきました建設コンサルタント業務の随契や指名競争入札の平均落札率九二%よりも高い水準にあるということでありまして、しかも、十八年度から一般競争入札に付されたとはいえ、これは上半期だけですが、わずか十件なんですね。十件というのが、全体に占める割合がどれだけあるかといいますと、これが件数ベースでは五・六%、金額ベースでも一六・三%にすぎないということであります。

 問題は、実は、この土木事業の分野が、今回立ち入りを受けた建設コンサル部門の金額に比べて十倍以上になっているということなんですね。つまり、測量や建設コンサル業務というのは大体二十億ぐらいの規模なんですが、一方で、今一般競争入札の下限を引き下げたとおっしゃっている土木工事分野については、その十倍以上、二百三十億規模で存在をしているわけです。

 今回、一方の建設コンサル業務分野については公取の立入調査が入っているわけですが、きょう、せっかくお越しいただいているので、ちょっと通告はしていなかったのですが、せっかくですからお伺いしたいと思います。

 平均落札率が、例えば十七年度をとってみれば、九三・四一%と高い水準にあるわけですけれども、これは、全国市民オンブズマン連絡会議なんかに言わせると、談合の疑いがある水準ということになるわけですが、こちらについても談合の疑いがあったのかどうか、調査をされるおつもりがあるのかどうか、公取にお伺いしたいと思います。

山田(務)政府参考人 御指摘ありましたように、公正取引委員会では、昨年の十月から、緑資源機構が発注する測量、建設コンサルタント業務にかかわる独禁法違反事件について調査をしているところでございます。

 先生が御指摘になられました土木事業につきましての取り扱いにつきましては、個別事案にもかかわる問題でございますので、御答弁は差し控えさせていただければと思っております。

松本(大)分科員 多分そのようにお答えになられるだろうなというふうには思っていたんですが、ぜひ調査をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 さっきもちょっと触れましたけれども、この土木工事の分野については、一般競争入札が十八年度から始まったけれども、わずか十件にすぎない、全体に占める比率は、件数ベースで五・六%、金額ベースでも一六・三%にとどまっているんですね。

 ですから、大臣、さまざまな改革を進めているというふうにおっしゃっているんですが、先ほど紹介した会計規程の原則と例外が逆転した状況はまだ是正できていないわけなんですね。金額ベースでも一〇%、一割程度しか一般競争入札はされていないということでありますから、これはそもそもこの規定のあり方に問題があるんじゃないかと私は思うんです。というのは、先ほども御紹介した会計規程十九条ですけれども、これを読みますと、二項の二号というのがあって、「契約の性質又は目的が一般競争に付することに適しないとき。」という規定があって、結局、ここを機構側が恣意的に判断することで、一般競争入札に付さなくてもいい分野、その適用範囲を無制限に広げちゃってきたというのが実態ではなかろうかなというふうに私は思います。

 ですから、どんなに一般競争入札の下限を引き下げたとしても、実態上まだ金額ベースで一〇%程度にすぎないわけで、やはりこの原則と例外の逆転を許す会計規程をそのままにしておく限り、これは構造的な問題として残ると私は思うんですね。

 そこで、大臣にお伺いしたいのは、昨年十二月、全国知事会が都道府県の公共調達改革に関する指針というのを出していまして、指名競争入札の原則廃止ということをその指針に盛り込んでおります。ここはぜひ、大臣、この会計規程を、緑資源機構の会計規程ですけれども、この会計規程を改正させて、指名競争入札は原則全廃するんだというふうにやっていかないと、恣意的な判断の余地を残す限り、原則と例外の逆転、しり抜け規定がそのまま残ることになる、談合の温床が残り続けることになるというふうに私は考えますが、大臣、いかがですか。

松岡国務大臣 国、それからまたこういった独法、こういう準ずるようなところの入札のあり方というのはいかにあるべきか、こういった観点につきましては、今先生の御指摘のような状況等を受けまして、国全体また私どもの方でも、そういった状況の中でどのようにあるべきかということにつきましては今後十分検討してしかるべき、このように思っておりますので、今後、いろいろな議論等を踏まえながら対処してまいりたい、このように思います。

松本(大)分科員 知事会が具体的に、こういう一歩踏み込んだ、指名競争入札の原則廃止ということを出されているわけですから、検討というよりは、既に決断の時期に来ているのではないかなというふうに私は思います。

 時間の関係もありますので、今回、官製談合の疑いがありということですが、次に、受注者側の天下りの実態というものについて触れたいと思います。

 過去の道路公団の橋梁談合の話、それから防衛施設庁の官製談合事件、いずれも天下ったOBがその談合に深く関与をしていた、こういうことでありました。今回、談合の疑いが持たれているのは緑資源機構が発注をする測量、建設コンサルタント業務の入札に関する分野でありますけれども、この建設コンサルタント業務の受注者に対して、公務員退職者の再就職状況はどうなっているのかというのを、実は、質問取りというか、通告をしてあるんです。

 お手元に資料二として、さっきの資料一の裏につけましたけれども、これは平成十七年の衆議院による予備的調査の結果と、それから林野庁提出資料などをもとにつくってみたんですが、上から六つが公益法人でありまして、それぞれ、国家公務員の再就職者数がそのようになっている。その横が役員として再就職をしている人ということになりまして、ごめんなさい、ちょっと合計欄をつけていないんですが、これを足し合わせますと、六法人で二百八十八名、うち役員として天下りしている人が四十九名ということになるんですが、通告もしてあったので、確認のため緑資源機構に伺いたいと思います。よろしくお願いします。

辻政府参考人 お答えいたします。

 緑資源機構の測量、建設コンサルタント業務の発注先のうち、林野庁所管の公益法人における平成十七年四月現在におきます国家公務員退職者の役職員等の人数は、合計で二百八十八名というふうになってございます。

松本(大)分科員 率直に申し上げて、おびただしい数のOBの方が再就職をしている、天下りをしているなというふうに思わざるを得ません。これは我々の調べですが、役員として天下っているのがうち四十九人、そのうち四十三人は林野庁のOBです。非常に深い関与、関係をうかがわせるわけなんです。

 では、一体全体、緑資源機構が発注をする業務の受注割合はどうなんだ、天下りを受け入れている業者が全体の何%ぐらいの業務を請け負っているんですかということで同じようにお尋ねをしましたところ、お答えが返ってきまして、資料一に戻っていただくのですが、資料二にあった天下りの受け入れ先となっている公益法人分を足し合わせますと、合計で四億三千百万、総額八億五千五百万の工事に占める割合は五〇・五%ということになります。つまり、半数以上の業務については、天下り先となっている六つの公益法人が占めているということなんですね。

 橋梁談合や防衛施設庁の官製談合に見られるように、やはりこれも、今は疑惑の段階ですが、天下りを背景とした官製談合なんじゃないかな、そういう疑いを持ちたくなるわけでありますけれども、天下りの受け入れ実績を勘案しながら業務を割り振っていたんじゃないか、逆に言えば、仕事が欲しければOBを受け入れてね、いわゆる押しつけ的な天下りのあっせん、OBを受け入れろという要請をしていたんじゃないかなというふうに思うわけですけれども、林野庁長官、いかがですか。

辻政府参考人 独立行政法人緑資源機構における林道の測量、建設コンサルタント業務につきまして、平成十八年度上半期に受注のあった公益法人は六法人でございまして、この間の契約金額に占める受注割合は約五一%だったと承知しております。

 再就職の件でございますけれども、国家公務員の退職後の就職につきましては、法令や内閣の方針に従って厳正かつ公正に行われているところでございます。公益法人等の民間団体への再就職につきましては、当該団体の要請を前提とし、また、それぞれの団体における選任手続を経て行われております。

 こうした中、独立行政法人緑資源機構の測量、コンサルタント業務の受注先につきましても、農林水産省がここへの再就職を要請しているという事実はないものと承知しております。

松本(大)分科員 果たしてそうかなと思わざるを得ないわけですが、実際、これは予算委員会の分科会ですけれども、予算委員会で二月十四日に我が党の長妻委員から安倍総理に質問をされていまして、安倍総理の答弁の中で、いわゆる押しつけ的あっせんについて、我々としては、実態としてはやはりあったのではないか、こういう答弁をされています。さらには、私も、また私の内閣としても、押しつけ的ないわばあっせんがなかったとは言えないと考えておりますというふうに答弁をされているんですが、林野庁長官はそんなのはないんだというふうにおっしゃっている。総理の認識とは大分違うなというふうに思うんです。

 これは、報道によれば、この二月十四日の総理答弁の後ですけれども、渡辺規制改革担当大臣が、各省庁が予算や権限を背景にした再就職のあっせんを行っているかどうか実態を調べるよう政府の行政改革推進本部の事務局に指示しましたというふうに二月二十六日のNHKニュースで流れております。

 こういった安倍総理の答弁、それから渡辺大臣のお話を受けまして、今の林野庁長官の答弁も踏まえて、大臣としては、このような押しつけ的なあっせんが実態としてやはりあったんじゃないか、だとすれば、やはり渡辺大臣のように、調査に協力する、実態を速やかに調査して、そして公表をして、もしあったとすれば何らかの責任問題、処分の話も出てくると思うんですけれども、これについてはいかがですか。

松岡国務大臣 安倍総理の方からそういう御答弁があったということは、そのとおり、安倍総理がそういう何らかの思いを持って言われたんだろうと思いますが、間違っても、安倍内閣においてはそういったことは根絶をする、これが総理の一大方針でもございますし、我々内閣全体としても、それはもう間違っても、そういったことは根絶をしていく、こういうことは確認をいたしておるところでもございます。

 したがって、そういったことを踏まえて渡辺行革担当大臣もそのような発言をされたんだろうと思いますし、私どももそのような立場に立ってこれは今後進めていきたい、このように思っております。

松本(大)分科員 進めていきたいというのは、実態を調査されるということでしょうか。

松岡国務大臣 これは、各省それぞれにということじゃなくて、行革担当大臣の方でそういったことを主宰されると聞いておりますので、それを私どもは見守りながら、今私が進めていくと申し上げましたのは、予算やそういったものを背景として押しつけ的なことが間違ってもあってはならないし、それは根絶していく、こういったことを進めていく、このように申し上げたわけでございます。

松本(大)分科員 渡辺大臣は大臣としてやられるということですが、これは、官製談合の疑いを持たれたのはもう三件目、国民の目も大変厳しくなっているわけですから、やはり所管の大臣としては、みずからもリーダーシップを発揮して、率先して実態を調査して公表するということでなければ、私は、到底国民の理解は得られないのではないかな、それで果たして本当に内閣として根絶をしていく覚悟があるのか、その本気度合いを逆に疑われることになるのではないかなというふうな危惧を持ちました。

 今回は、今受注者側の天下りの受け入れ状況についてお話ししてきたわけですが、官製談合の疑いが持たれているということは、天下りを受け入れている受注者側のみならず、発注元の緑資源機構、ここにもやはり大きな問題があると言わざるを得ません。

 そこで、お手元に、新聞記事ですが、配付をさせていただいております。

 まず、十一月一日、昨年ですけれども、東京新聞の朝刊。これによりますと、「機構の森林業務担当理事ら複数の幹部が」ということで、あるいは「林道企画課長」、こういった方々の名前が挙げられていまして、この方々の関与が疑われているということになっておりますけれども、受注調整に関与したという記載があるわけです。機構の理事長にお伺いしますが、これは事実でしょうか。

前田参考人 今お話ありました本件につきまして、そのような報道がなされているということについては十分承知いたしているわけでございますけれども、なかなか実態のところを私どもも正確には把握しておりませんが、現在、公正取引委員会の方におきまして鋭意調査が行われているところでございますので、そういったものを踏まえて対処していきたいというふうに考えているところでございます。

松本(大)分科員 そんな悠長なことでいいんでしょうか。

 これは、記事を見ますと、二段目のところですけれども、「コンサルタント業務や林道斜面工事について公取委の調査が入ることを見越し、部下や地方の担当者らに、パソコン内のデータを消去させたり、関係書類をシュレッダーにかけるよう指示していた」「理事や林道企画課長らは、」と書いてあるんですね。

 やはり機構のトップなんですから、身内で、組織内で起こった話なんですから、これは当然トップの方が率先して、職員に本当にこんなことなかったのか、理事にこんなことなかったのかとみずから聞き取り調査をされるべきだと思いますが、そういうことをされていないということですか。

前田参考人 ただいま申し上げましたように、今件につきましては、公正取引委員会の方におきましてそういったものを全般的に調査なされている段階でございます。そういった中で、さらに、かてて加えて機構独自にまた調査ということになりますと、いろいろ混乱も生じるわけでございますので、そういった意味で、機構の方としてというよりは、公取の調査、そういったものを見守りながら、そういったことで対処していきたいというように考えている次第でございます。

松本(大)分科員 もうびっくりする答弁ですよね。自浄能力を発揮する意思は全くありません、公取がやっているんだからそれを待ちますと。機構のトップですよ、身内の中で起こっていることですよ。民間の企業なら考えられない答弁、トップの首が飛ぶような答弁ですよ、今のは。ちょっと信じられないなという思いが一層強まってくるわけなんですけれども。

 ただ、問題は、この緑資源機構には、理事の過半は林野庁からの出向者とOBで占められている。出資金は全額国が持っています。補助金も林野庁予算の一割が投下されています。人、金、経営陣の派遣あるいは業務の受注関係、こういった面から見ても、ほぼ林野庁と一体、実質的な同一体だというふうに思うわけなんですが、これだけ出向者を送り込んでいる以上は、やはりこれは林野庁というか農水省としても、機構の疑われている理事らに対して、あるいは機構の理事長に対して、今非常に消極的な答弁をされた理事長に対して、みずから調査しろ、うみを出し切れと指示をされるべきだと思いますが、大臣、どうお考えですか。

松岡国務大臣 先ほど理事長も申し上げましたように、今現在、公正取引委員会で調査中ということでございます。

 これは、しかるべきそういった権限を持って今行われているわけでありますので、その調査に対して全面的な協力をしっかりとしながら、また全面的な協力をするようにということを私も強く指示いたしておりますが、その調査を見守るというのが我々の立場だと思っております。その上に立って、我々も対処してまいりたいと思います。

松本(大)分科員 先ほどから見守るという言葉が非常に多いのが気になるんですが、やはり傍観者じゃいけないと思いますよ、大臣。これだけ人もお金も出しているんですから、みずから率先して、組織のうみを出し切るんだ、自浄能力を発揮するんだ、リーダーシップを発揮するんだという気概をやはり見せるべきではないかな、私はそのように思います。

 定率減税も全廃をされて、納税者の方も税の使い方については非常に敏感になっているんですね。そんな中で官製談合疑惑が持たれていることに対して、思いをいたすべきだと思いますし、本件は予算委員会でやっているわけですから、到底納税者の理解はこんな予算案は得られないんじゃないか、そういうことになってしまわないかなと私は思います。しかも、これは官製談合だから身内の調査にどうも気乗りがしないのかな、官製談合だからやはり自分たちで調べる気が起きないのかなという余計な疑念を惹起しかねないということを申し添えておきたいと思います。

 時間の関係もありますので、もう少し、ちょっと別の観点から聞きたいと思います。

 実は、林野庁の天下り先、今回は受注者ですけれども、受注者に公取の立入検査が入ったのは今回が初めてではない。公取にお世話になると言うと変な言い方ですけれども、今回が初めてではありません。実は、二〇〇一年に排除勧告というものが出されております。

 公正取引委員会に伺います。簡潔に、このときの排除勧告の概要を御説明いただけますでしょうか。

山田(務)政府参考人 公正取引委員会では、国有林野の調査、測量業務等の業務に係る入札談合事件につきまして、平成十三年十二月に三件の措置をとっております。

 具体的には、一つは、林野庁東北森林管理局青森分局管内に所在する官公庁等が指名競争入札等の方法により発注する国有林野の利活用に関する調査、測量等の分野、二番目が、東北森林管理局青森分局等が指名競争入札等の方法により発注する治山事業に係る調査、設計業務の分野、三番目が、同じく青森分局等が指名競争入札の方法により発注する林道事業に係る調査、設計業務の分野、この三つの分野について、それぞれ入札参加者らが共同して受注予定者を決定したということで、独禁法に違反するとして勧告したものでございます。

松本(大)分科員 今御答弁をいただいたんですが、先ほど配付した資料に、このとき排除勧告を受けた業者について、資料二のところに黒丸を入れてあります。

 実は、昨年の立入検査の対象になった先と重なっているところが公益法人に四つありまして、この四つというのは、国家公務員再就職者数の多い順に四つの公益法人がかぶっているということでありまして、官僚が多く天下りしているところほど懲りていない、過ちを繰り返している、こういう構造であります。もし今回官製談合が黒ということになれば、二〇〇一年に排除勧告を受けておきながらその後も談合を繰り返していたということになりますから、これは極めて悪質だというふうに私は考えます。

 もしこれが黒だとなった場合、もちろん受注者側も問題ですけれども、発注元の緑資源機構も大いに問題ですし、そのとき公取から要請を受けていた林野庁も非常に大きな責めを負っている。とりわけ、官製談合ということになれば、やはり緑資源機構、主導者側が一番悪いということになろうかと思うんですが、大臣にお伺いします。

 先ほど、みずから進んで調査をするというよりは、どちらかというと、公取の調査を見守るとおっしゃったんですが、もしも黒だと判明した場合は、例えば補助金の大幅削減であるとか、出資金や出資比率の見直しであるとか、あるいは、指定法人化して、もう緑資源機構を独占的な地位から外すというような手も考えられるかというふうに思うんですが、それぐらい厳正な対応を行うお考えはおありなのか、最後にお伺いしたいと思います。

松岡国務大臣 この点に関しましては、御指摘いただきました事々、それについては、私どもも極めて遺憾なことだと思っております、こういったことが起きたこと自体を含めまして。

 したがって、今は私ども、最大の協力を申し上げながら公正取引委員会の調査を見守っておる、こういう立場でございますが、今先生が御指摘の点につきましては、その調査結果を踏まえまして、私どもどのように対処していくべきか、その調査結果を待ってしっかり対処していきたい、このように思っております。

松本(大)分科員 政治家はやはり傍観者であるよりも改革者であるべきだというふうに申し上げて、質問を終わります。

山本主査 これにて松本大輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、広津素子君。

広津分科員 ありがとうございます。

 佐賀県は、農業、漁業を中心とする県で、今まで製造業が少なかったため、都会への人口流出が多く、過疎になりがちでした。そこで、現在佐賀県では、企業誘致を進めると同時に、既存の農業、漁業にもイノベーションを起こして、食料自給率を上げ、若い人たちの働く場所をつくることに懸命であります。

 最初の質問ですが、私の地元佐賀県北部では、現在、あいた農地や耕作放棄地が散見され、資源を有効に使って食料自給率を上げるという観点からは大変もったいない状況になっております。我が国の農業は、現在、担い手を育てるという政策をとっておりますが、大学の農学部卒業者、農業高校の卒業者など、将来有望な担い手となり得る若者に対して、うまく農地をあてがうことができているのでしょうか。地元農協では、農業をやるという人がいれば、責任を持って土地を紹介し、技術指導もすると言っておりますので、将来担い手となる人たちと土地とのマッチングを考えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

高橋(博)政府参考人 今後とも、効率的、安定的な農業経営を持続的に育成していくということが、我が国農業にとりまして非常に重大な課題でございます。その際、農業の内外から、チャレンジ精神を持った新規就農者、今委員御指摘にございましたような農業大学校の卒業生等々含めてでございますけれども、このような方たちを育成、確保していくことが不可欠であるというふうに考えております。

 このため、就農の際に必要となりますのは三つあるわけでございます。一つは技術の習得、そして資金の手当て、それからおっしゃられましたような農地の確保。このような課題がございますので、これに対応するために、まず、全国及び各都道府県に設置されております新規就農相談センターにおけます相談活動。それから、農業の就業体験を通じました知識の習得、あるいは都道府県の、県立の農業大学校におけます技術あるいは経営の研修、さらには普及指導員によります技術指導。そして、農業経営の開始の際に必要な研修、あるいは機械、施設の購入のための資金の貸し付け。そして、新規就農相談センターによります農地情報の提供や、農地保有合理化事業を活用いたしました農地の貸し付け、売り渡し。こういうような形で、就農形態あるいは経営の発展段階に応じましたきめ細かい対策を講じたいというふうに思っております。

 これにつきましては、十九年度予算においても所要の手当てをしておりまして、さらに担い手の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

広津分科員 わかりました。

 次に、施設農業は、利益の上がる農業として比較的担い手に困らなかった農業なんですが、最近、重油の値段が高騰して、ハウス栽培などの施設園芸が、やればやるほど赤字となり、窮地に立たされております。

 そこで、まず、農業用の重油にかかる税をなくし、少しでも農業用重油の値段を下げていただきたいと思います。これは、地元農業者の切実な要望です。

 そして、根本的には、農業にも国際競争力をつけるため、産業として、工業と同様に農業用の電力枠をつくっていただきたいと思います。

 なお、佐賀県玄海町はプルサーマルを受け入れた原子力発電所の町ですが、原子力発電所の夜間電力は現在は使っていないエネルギーであり、ハウスを暖めなければならないのは主に夜であるため、夜間電力の有効活用にもつながります。現在、電力を使ったハウス用のヒーター等の機器を開発中であると聞いておりますが、これをさらに加速させ、早く実用化させていただきたいと思います。これにつきましては、九州電力に確認し、地元農家、玄海町長も同意見ですが、いかがでしょうか。

福井大臣政務官 広津先生には、御指名いただきまして、まことにありがとうございます。いつも農水委員会でお隣に座っていただきまして、本当にありがとうございます。いつも部会で御活躍されて、お地元で皆さん方と本当に真剣に対話しているんだなというお姿を想像させていただいて、敬意を表させていただいているところでございます。

 まず、重油の値段のことについて私の方から御答弁をさせていただきたいと存じます。

 現在、施設園芸の加温のために使用されておりますA重油の価格につきましては、平成十八年十二月段階で一リッター七十・七円、昨年同月比で一二%の上昇とはなっておりますけれども、昨年九月に七十五・四円をピークにいたしまして、その後の原油価格と連動して、今は下落傾向となっている次第でございます。

 また、重油価格の高騰によります農業者の省エネ努力とともに、ことしは暖冬ということもありまして、昨年と比べてA重油の使用量が三割から四割、相当程度減少していると聞いているところでございます。

 他方、施設園芸用を含みます農林漁業用A重油のうち、国内で製造されたものにつきましては、石油石炭税相当額の還付措置がございます。輸入されたものにつきましては、石油石炭税の免税措置が既に講じられているところでございます。

 さらに、平成十九年度の新規の予算で、石油消費量を大幅に低減するための脱石油施設園芸生産を確立するために、トリジェネレーションシステムなどを利用した温室の導入を進めることともしておる次第でございます。

 今後とも、脱石油化を進めて、重油価格の動向に左右されない施設園芸の実現に努めてまいりたいと考えているところでございます。

山田(修)政府参考人 御質問の後半の部分についてお答えをいたします。

 ハウスの暖房用として、農業用の電力枠みたいなものが設けられないかという御質問でございましたけれども、私どもも、せっかくの御提案でございますので、いろいろ調べさせていただいたところでございます。

 それで、電気料金は、業務用、産業用等の用途別に設定をされております。これは先生御案内のとおりですけれども、業務用、産業用の電力は、六千ボルト以上の高電圧でありまして、変電を行う必要がないということから、電力ロスが少ないということで、格安な価格とされております。農業用に使われております電力は、通常二百ボルト以下でありまして、業務用、産業用の電力を使用する場合には変圧が必要となるということで、若干割高になるようなこともございますし、また、管理責任者を置くという必要も出てくるというふうに聞いております。

 また、仮にそういったことで、電気式の暖房機で加熱した場合と通常の燃油式の暖房機による燃油代、こういうものを比較してみました。これも、電気式による加熱が非常にまだ例が少ないものですから、うまく正確に比較はできないんですけれども、一定の前提を置いて調べてみますと、やはり電気式暖房機の方が若干割高になるというようなことでございまして、もう少し検討すべき課題があるというふうに考えております。

広津分科員 ありがとうございます。私たちも頑張りますので、そちらも、技術開発など、よろしくお願いいたします。

 次の質問ですが、地球温暖化を初めとする地球環境の問題は、世界全体にとって重要な課題です。こうした中、一九九七年に世界各国が京都に集い、京都議定書が策定されました。また、これを受けて我が国では、二〇〇五年四月に京都議定書目標達成計画が閣議決定されております。

 この中で、森林の整備は、CO2吸収源として、また地球温暖化対策としても重要であると位置づけられております。さらに、森林がしっかりと保全されていなければ、土砂崩れや水害が起こり、安心、安全な生活ができないことは、昨年夏の集中豪雨や台風十三号の被害で改めて明らかになったところです。そして、森林は、水の供給源でもありますし、栄養塩を供給することにより、水産業の漁獲高にも大きく影響しております。

 そのため、森林の手入れは重要であり、農林水産省では森林や川や海を守るための予算をつけていますが、こうした森林整備に必要な財源は地方自治体からも支出されております。

 空気も水も食料も、農山漁村に暮らす少数の人々だけではなく、都会の多くの人が生きていく上でも必要不可欠なものです。しかしながら、現在は、過疎地である地方自治体の少数の人々がその手入れの費用を支払っており、都会の人々はフリーライダーとなっている状況です。農地、海、森林の手入れをする費用は、酸素や水や食料を提供している地域の人々だけではなく、それらを消費している地域の人々も負担するのが公平だと思います。

 そこで、よい地球環境を維持し、良質の食料を生産するための費用は広く国民一般で負担すべきであるとの考えから、海、山、川、森林などの手入れに必要な財源を確保するため、都会の人も含む一般国民から環境税を徴収して、森林の保全や川、海の手入れに充てるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。これは、地方税ではなく国税として徴収し、手入れをすべき面積等に応じて地方自治体に配分すべきものと思います。

 これらの意味から、環境省だけではなく、農水省も環境税に賛成していただけると大変ありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

辻政府参考人 京都議定書におきます温暖化効果ガスの削減目標六%を達成するためには、森林で三・八%、炭素換算で一千三百万炭素トン、これを森林で吸収することが必要でございます。また、先生のお話にもございましたように、水源涵養だとか国土保全だとか、こういった機能を発揮させるためにも、森林の適切な整備、保全が重要でございまして、そのためには、安定的な財源を確保することが重要と考えているところでございます。

 環境税につきましては、平成十九年度の税制改正大綱におきまして検討事項とされたところでございますけれども、平成二十年から京都議定書の第一約束期間が始まるということも踏まえまして、幅広く安定的な財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

    〔主査退席、馳主査代理着席〕

広津分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、昨年の夏、私は、水産業を中心とする話をしながら、地元の離島を全部回りました。そして、現場に行って次のようなことに気がつきました。

 離島は、海の水の透明度が高く、海の底まで見えているところが多いです。つまり、水がきれいで、水産業の基地として十分有望であるばかりでなく、土地も余っており、放牧、その他の作物の生産などいろいろな可能性を持っております。けれども、現在、島は交通の便が船しかなく、船は国道にも匹敵する重要なものですが、便が少ない上、連絡船の乗組員が一人しかいないため、波や風が強いときは船を港に安全に横づけできず、乗客の乗りおりが危ないところさえありました。

 農業、水産業などの生産基地として離島をとらえるならば、そこに住む人のために基礎的なインフラをつくることは極めて重要であると思いますが、いかがでしょうか。

白須政府参考人 ただいまの委員のお話のとおり、離島は、農業あるいは水産業などの第一次産業を主要な産業としているところが多いわけでございまして、水産業全体から見ましても、離島の役割は大変重要であるというふうに認識をいたしているわけでございます。

 そこで、私ども水産庁としましては、水産基盤整備というものを推進いたしておりまして、安全な漁業活動の確保に努めているわけでございますが、特に離島におきましては、漁港が、今委員からも御指摘ありましたように、生活航路としても重要な役割を果たしている、そういう場合も多いわけでございまして、漁船とあわせまして定期船などの安全な発着に資するように、十分に配慮して整備を行っているわけでございます。

 そういった意味からいたしますと、ただいま委員からお話しのように、基礎的なインフラの整備という点におきましても、漁港の整備は大変重要であるというふうに考えているわけでございます。

 今後とも、安全で、そういった意味での便利な交通手段の確保にも配慮しながら、適切な漁港の整備に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

広津分科員 よろしくお願いします。

 次に、私の地元は九州の玄界灘に面しており、中国、韓国、日本のごみがたくさん流れてきており、大きな木のごみが小さな連絡船にぶつかると、船の方が危ないくらいでした。海上を浮遊しているこのような大量のごみは、ごみとなる前に何とかならないものかと思いますが、いかがでしょうか。

白須政府参考人 ただいまの、海上を浮遊いたしているごみの関係でございます。

 お話のとおり、最近、外国由来のものも含みます漂流なり漂着ごみ、これの増加というのが大変に問題になっておりまして、こういうことを踏まえまして、これに対して実効的な対策を政府全体としても検討する必要がある、こういうことで、昨年の四月から漂流・漂着ごみ対策に関します関係省庁会議というものが設置をされているわけでございます。そこで、本年度、平成十八年度末までに当面の取りまとめを行うというふうになっているわけでございまして、水産庁としましても、その会議に参画をいたしているわけでございます。

 そこで、この会議におきましては、ただいまお話しの外国由来の漂流なり漂着ごみ、これの発生源対策ということが必要でございまして、これにつきましては、関係省庁がそれぞれ関係国との間での政策対話といったようなことを推進するということ、あるいはまた、関連の国際プロジェクトへの積極的な参画といったようなこと、そういうことを行うということが検討されているわけでございます。

 私ども水産庁といたしましては、ただいま委員からお話ございましたが、漁業活動中にごみを回収するということも多々あるわけでございまして、そういった漁業活動中に回収をいたしました漂流物の処分というものの促進のために、モデル的な取り組みに対しましてその費用の一部を支援するといったようなことで、外国由来のものを含みます我が国の漁場に漂流をしておるそういったごみにつきまして、有効な対策が講じられるように努めているところでございます。

広津分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 また、離島は、四方を海に囲まれており、湧昇流や藻場に恵まれるため、我が国の水産業の基地として有望です。今後は、離島で養殖を行い、食品加工なども行って、付加価値の高い水産業を研究し振興して、若い人が戻ってこられるようにしたいと思っております。仕事がないと、戻りたくても戻れないものですからね。

 そこで、離島に住んでいる方々の声を御紹介いたします。

 まず、基礎的インフラとして、ドクターヘリが欲しい、お医者さんに行けないと危険です。本土の病院に通うのに交通費が高く、年金生活の老人はそれが出せないため援助してもらいたい、島の道や港をもう少しバリアフリーにしてもらいたいというようなことがまずありました。それから、水産業や、それを生かして観光の基地として発展させたい。防波堤の設置や修繕をしてほしい。働き口をつくるとともに、付加価値をつけて海産物を販売するため、水産加工場の整備をしたい。養殖施設をつくりたい。魚や貝の放流をしてほしい。燃油の高騰で漁業が赤字なので、一刻も早く何とかしてほしい。

 いろいろな要望が出ていますのは、私が遠慮なく要望を言ってくださいというふうに申し上げているせいもありますが、島を住みやすくしたいという気持ちのあらわれでもあります。ぜひ、このうちの多くを、水産業、農業の生産基地となる離島に最低限のインフラを整備し振興するという意味から、かなえていただければ幸いです。いかがでしょうか。

山本(拓)副大臣 先生の今の御指摘、確かに離島の水産業は我が国の漁業生産の約一割を占めているところでございまして、そういう中にあって、今御案内のとおり、非常に不便であるとか高齢化が進んでいるとかいう話で、農水省といたしましても、御案内のとおり、平成十七年度より、離島の漁業集落を対象とした、集落協定の単位でありますけれども、いわゆる直払いというんですか、そういうことをやっているところでございます。

 ただ、今先生、地元の方からいろいろな要望を受けておられます。それをいま一度整理していただいて、自治体と国の制度、まだよく徹底しておらないところもありまして、しかも、離島といっても、全国の離島、いろいろ考え方とか条件が違いますので、まず具体例をさらに進めていっていただきたい。それの受け皿については、直接払いという有効利用の手だて、また新たなる提案における対応、これらを積極的に進めてまいりたいと考えております。

広津分科員 まだ整理されていなくて、どうも申しわけありません。ぜひよろしくお願いいたします。

 これで終わります。

馳主査代理 これにて広津素子君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、鳥インフルの問題について質問をしたいと思います。

 私たちは、鳥インフルが発生した直後に、日本共産党国会議員団として対策チームを立ち上げ、そして私も二月の四日、五日、宮崎県に行ってまいりました。二回にわたる現地調査というのも党として行ったわけですが、やはり鳥インフルが発生すると、農家の方々はこんな思いなのかという場面に何度もぶつかりました。

 日向に訪ねたんですが、農家の皆さんと懇談をしたときに主婦の方が話しておられたんですけれども、朝、鶏舎に入るのが怖いというんですね。もちろんこれは発生農家ではなかった、十キロ圏より外の農家だったんですが、もしかしたらという非常に緊張した思いでこの季節、鶏舎に入るんですよと言っておられたんです。

 それから、年末、韓国で発生して以降、養鶏農家の皆さん方で毎年行っている忘年会も中止したというんですね。お互いに顔を合わせて話し合う場もなくなって、ファクスだけのやりとりで心細いと。もちろん、人と人が接触するとそれが蔓延するおそれにもなりかねないということで、非常につらい思いで、寂しい思いで、きつい思いで鳥インフルに直面している、こういう現場も見てまいりました。

 あれから月日がたったわけですが、今、宮崎と岡山で起こった鳥インフル防疫体制はどんなふうになっているんでしょうか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 一月以降、宮崎県及び岡山県で、四件の発生が確認されたところでございます。

 この四件とも、いずれも養鶏業者の方から早期通報がなされまして、宮崎県また岡山県の関係者による御努力によりまして、迅速かつ的確な防疫措置がとられた結果、このまま問題がないということが確認されますれば、あす三月一日午前零時に両県における移動制限措置がすべて解除され、防疫措置が終了する見込みとなっております。

赤嶺分科員 移動制限措置があすにはすべて解除される見通しだというお話でありました。

 宮崎は、大臣もよく御承知のように、日本一のブロイラー産地であります。これまでと違い、やはり対策も大規模でありました。その宮崎での移動制限区域を初め、鶏の殺処分、それから養鶏農家あるいは食鳥処理場の問題。件数だとか、何よりも被害総額、これについて説明していただけますか。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 四件の発生が確認されると先ほど申し上げたとおりでございますが、殺処分された鶏でございますが、四件合わせて約二十万羽でございます。また、移動制限の対象となった養鶏農家の戸数は計百五十二農場、その飼養羽数は約四百五十万羽となっております。また、食鳥処理場につきましては、合わせまして五施設が移動制限区域の対象となりました。

 また、今回の発生に伴います農家の損失やその他の影響額につきましては、現在、県及び市町において鋭意精査中であるというふうに聞いております。

赤嶺分科員 今回は、機敏な防疫体制、防疫措置をとったというのが、もしそれが一歩間違っておれば、四百五十万羽の鳥が犠牲になっていたかもしれない、それを未然に防げたという意味では非常に大きな成果というか、不幸中の幸いだったと思うんです。

 やはり日本一のブロイラー産地で起こった鳥インフル、今までと違ういろいろな問題点が浮かび上がってきたんじゃないかと思いますけれども、この点、大臣、いかがですか。

山本(拓)副大臣 先生お話しのように、今回の対応は速やかに対応できたと思っております。

 そういう中で、三月一日に移動措置の解除もされるところでありますが、それを機会に、これでよかったというのではなしに再度検証して、今回の措置を国及び県が速やかにやった、さらにさらに速やかにやれることに向けて、もう一度検証をし直してみたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 さらにさらに検証をということでありましたけれども、やはりあれだけの産地ですから、今までになかったようないろいろなことが起きているんです。そういう意味では、速やかに措置がされたという話にとどめないで、ぜひ、宮崎や岡山の今度の事故から何を学ぶかというのをやっていただきたいと思うんです。

 それで、現場へ行きますと、これはもう異口同音に、発生源、発生ルートは何なんだと、いら立ちに近い生産農家の声でありました。今、これらの感染ルートはどのように解明されておりますか。

町田政府参考人 今回の高病原性鳥インフルエンザ発生を受けまして、一月の十五日に専門家から成ります感染経路究明チームを設置いたしまして、これまで現地調査、また検討会を開催してきたところでございます。去る二月十四日には、その前日まで現地に入っておりましたが、その調査結果を踏まえまして第三回の検討会を開催したところでございます。

 この検討会におきましては、まず分離されたウイルスでございますが、これはいずれも近縁でありまして、中国、モンゴル、韓国などで分離されたウイルスと同じ系統であることなどから、我が国への侵入というのは渡り鳥が、また、発生鶏舎の状況から見まして、鶏舎内へのウイルスの持ち込みにつきましては、人による可能性よりも野鳥、ネズミなどといった野生生物が関与していると想定されるという整理をしていただいたところでございます。

 また、発生農場におきます消毒対策や、野鳥、ネズミなどの侵入防止対策などの実施状況、実効性につきましてはさらに調査検討すべきという指摘をいただきましたことから、二十一日まで宮崎県におきまして現地調査を重ねて実施したところでございます。

 私どもといたしましては、引き続き、専門家の意見も伺いながら、宮崎県、岡山県また環境省と連携の上、早期の感染経路の究明に努めてまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 感染ルートというのはある意味、決め手になるようなものはないと思うんですが、例えば今の野鳥説でいっても、いわば設備がきれいな鶏舎が発生農家になり、また、地頭鶏など放し飼いをしているような、屋根もないようなところで発生していないということもあり、やはり慎重で本当に正確な感染ルートを定めるために全力を挙げていただきたい。農家の不安解消がこのことにかかっていると思います。全力を挙げていただきたいと思うんです。

 ところで、この間、清武の一ノ瀬町長にお会いいたしました。一ノ瀬町長から詳しく、発生の疑いが出たときの対応ぶり、防疫体制について訴えられました。まだ疑いの段階だから県の指示があるまでは待っておけという話でありまして、動くことができずに非常に困っていたけれども、しかし、鳥インフルの蔓延を防止するためには速やかな防疫体制が必要だということで、発生現場を通行規制しようとしたけれども、警察の理解が得られなかったとおっしゃるわけですね。それもあるけれども、何よりも拡大を防ぐのが先決だということで、町長はみずから決断されて通行規制をしいたということでありました。

 清武の町の要望文書にこういうのがあります。防疫の初動体制における法律の整備、特に家畜伝染病予防法の通行規制の規定に鳥インフルエンザの発生を含める、こういうことを求めております。これは、法律をこの点で改正してほしい、整備してほしいということでありますが、この点については、農水省、どのように検討されておりますか。

町田政府参考人 宮崎県清武町におきます事例でございますが、お話ありましたように、一ノ瀬町長さんの陣頭指揮のもとで、地域の混乱の防止ということのために、警察などの理解も得まして発生農場周辺の交通制限や立ち入り制限を行ったというふうに伺っております。

 今回のインフルエンザの発生に際しましては、防疫措置が終了した段階で今回の一連の対応について十分検証いたしまして、今後の対策に生かしていきたいというふうに考えております。この検証の中で、発生農場の通行の制限等が必要になった場合に、円滑な措置が講じられるために何ができるのか、こういったことにつきまして、清武町の事例も参考にしつつ、十分に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺分科員 町長は、警察も含めてそういう場合の通行規制が、法律の中に鳥インフルが入っていないので大変戸惑った、しかし機敏な措置が必要だということで必死になってとったというわけですから、日向や新富とも地域が違いますので、住宅地の中でありますので、やはりこの点、きちんと検討をしていただきたいと思うんですよね。

 あと一点あるんです。住宅地ということから、殺処分した鳥の廃棄場所を探すのに大変苦労した、廃棄場所を、近隣の自治体との協力体制についてあらかじめ国の方で決めていただきたい、自治体任せでは限界を感じたとおっしゃっています。この点、いかがですか。

町田政府参考人 高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病が発生した場合には、蔓延防止のために、感染した家禽の迅速かつ円滑な殺処分、これは大変重要だというふうに考えております。

 近年、特に我が国におきます畜産経営規模は大変大規模化しております。一たび本病が発生いたしますと、殺処分しなければならない家禽等が大量に生ずるということから、家畜防疫の指針におきまして、各都道府県に対しまして、市町村、関係機関等とも連携いたしまして、焼却または埋却が迅速に行えるような体制の整備をするようお願いをしているところでございます。

 今回の発生でございますが、清武町と周辺市町村が協力をされまして、周辺住民の理解も得ながら焼却処分がされたところであると承知しております。今後とも、家畜伝染病の発生に備えまして、発生時における殺処分された家畜の処理体制の整備、こういったことに努めてまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 迅速、機敏ということなんですが、この点で町長は、やはり自治体だけでは限界があるな、国においてきちんと決めてほしいという要望でありますから、清武町のとった措置が立派だったというだけでは足りないと思うんですよね。やはり国が何ができるか、それこそ、さっき話しておられました検証の問題ですね。万事うまくいったという話じゃなくて、こういうところにもきちんと目配りをして、法律の新たなる整備が必要であれば、それはやっていくというぐあいにしていただきたいと思うんですよね。

 今度、地元に入りまして大変感心したというか、やはりこれは大事だったなと思ったのは自治体の対応なんですよね。ただ、自治体は、対応の手順をよく踏まえていてやれたわけではないんです。しかし、鳥インフルの場合には蔓延を防ぐことが第一で、いろいろなルールやいろいろな決まり事や、そして職員を体制をとって出動させた場合の財源の裏づけなど、全く見通しがない。見通しがないけれどもこれはやらざるを得ないんだということで、新富町でも町長の決断でとか、日向市でも職員が休みの日も総出で出て、防疫体制に当たっておられました。

 振り返ってみて、やはり私たちが調査に入った段階から、一生懸命それはやってはいるんだが、かかる経費は一体だれが持つんだろうと。これは、町を含めて、そういう確たる裏づけを認識しているところはなかったんです。今回の防疫体制で、職員の人件費や、あるいは消毒用石灰を配布しましたよね。これらも含めて、日向市がこれらの費用だけで九百八十万円、新富町で千五百六十万円、そのうち八百八十万円は県から補助があるということなんですけれども、やはり自治体が安心して素早く動けるようになるためには、これらの財政負担についても明確にしておく必要がありますし、市町村の負担の軽減策というのは急がれると思うんです。

 こういうのは自治体に負担をかけないんだという点で、皆さんのお考えはいかがですか。

町田政府参考人 家畜伝染性疾病の発生時におけます迅速な蔓延防止措置を推進するということで、市町村などが行います対策本部の設置や関連農場への消毒薬の散布、また農場などへの必要な知識の啓発普及、こういったことに要する経費につきましては、私どもの食の安全・安心確保交付金、こういったものを通じまして、都道府県を通じて支援することが可能となっているところでございます。

 また、高病原性鳥インフルエンザの発生に伴いまして関係県や市町村が負担した経費につきましては、関係県の方から総務省に、特別交付税、こういったことを要請するといった場合には、農林水産省としても総務省に支援をお願いしたいというふうに考えております。

 なお、今回の両県での発生を受けまして、既に私ども、総務省に発生状況などにつきましては情報を提供しているところでございます。特別交付税措置の運用が円滑に行われますよう、今後とも総務省とも十分連携をとってまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 私は、宮崎県に調査に行ったときに、宮崎県の知事さん、東国原知事にお会いしました。そこで出ていたのは、やはり国と県で二分の一ずつ負担するのは負担が重いと。特別交付税というお話もありましたけれども、やはり鳥インフルで防疫体制に、市町村もそうですし県の方も機敏に対応していくためには、この二分の一、二分の一の負担割合も見直すべきじゃないか。

 今回の場合はかつてない殺処分があったわけですが、それでも五百万羽近い鶏への蔓延を防ぐことができた。非常にその点でも新しい教訓をつくったと思うんです。いわば、鳥インフルの蔓延を防ぐのはある意味では国益ですよね。そういう国益を守るという意味からも、私は、国、県の負担割合二分の一、二分の一ではなくて、改めて万全を期すという意味で、国が三分の二、県が三分の一、これは我が党が前の法改正のときにもそういう主張と提案をしたところでありますが、そうすべきだと改めて宮崎に行って感じたんですが、この点、どうでしょうか。

町田政府参考人 家畜伝染病予防法におきましては、お話しされました十六年の法改正によりまして、都道府県が行います死体の焼埋却経費あるいは防護服等の衛生資材に対して、その経費の二分の一を国が負担するということとしたところでございます。家畜伝染病の防疫措置、これは全国的かつ統一的に行う必要があるわけでございますが、その実施は同時に地域の畜産振興の上からも重要であるということから、国の負担率を二分の一としているところでございます。

 繰り返しになりますが、この県の負担分を含めました、鳥インフルエンザに県が支出した経費につきましては、総務省に交付税を要請する場合には、農林省としても総務省への支援、こういったことをお願いしたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 同じ質の問題なんですが、今回防疫体制が非常に機敏であったというのを見た場合に、私は、これは三年前の、今御説明のあった法律の改正が効果を出したと思いますよ。やはり発生農家が隠ぺいをするのではなくて、初期の段階で通報をする。通報をしても被害をこうむっても、それはきちんと生産活動が担保されていく、こういう安心を、三年前の法律改正が効果を出したと思うんですが、この点、大臣はいかがですか。

松岡国務大臣 その点につきましては、そういった効果があったものと思いますし、先生の御指摘につきましても、我々もそういったことに注目をして、しっかりとらえていきたいと思います。

赤嶺分科員 つまり、三年前というのは、発生農家の不安を財政面から補っていくことができたという側面なんですね。

 防疫体制には県や市町村の協力が大事なんです。新富町の町長もおっしゃっていましたよ。現場の地理をよく知っている職員が防疫体制に当たらないと混乱を拡大するだけだ、やはり現場をよく知っている地方自治体の職員が一番だと。日向でもそうでしたよ。そういう三年前につくり上げた安心を、さらに今回のものを通して拡大していくために、県や地方自治体に対する支援のあり方、これも私は見直していくべきではないかということを調査を通じて感じているわけです。

 この点で、結局、私は鳥インフルというのは今度初めて現場に行って調査もして、いわば割と新鮮な目でいろいろなことを見ることができたと思うんです。それで、やはり私たちが見ておやっと思ったのが、まず一つびっくりさせられるのは、鳥インフルエンザというのは、かかった鶏とかかり得る鶏を殺すしかないわけですね。これが最善の方法だと、日本ではとっている。一方で、農家にとっては手塩にかけた鶏を殺傷しなければならない、非常に無念な思いですよ。家族経営も多いんですね。非常に大きな養鶏場なんですが、家族三人でやっているとか、毎日毎日死んだ鶏は出ていくけれども、おばあちゃんがそれを運んでいるんですよとか。

 そのときにとても疑問に思ったのは、そういう発生農家への補償が、今、殺処分をしても患畜が三分の一、疑似患畜が五分の四ということなんですけれども、これはちょっと、何で十割できないのかという思いを抱きましたが、この点、いかがですか。

町田政府参考人 今御指摘いただきましたように、家畜伝染病予防法におきましては、患畜または疑似患畜の殺処分を行った経営者の方に対しまして手当金を交付して、蔓延防止措置の円滑な実施と畜産経営の継続を支援しているところでございます。

 この手当金の水準でございますが、防疫措置の実施によりましてこうむる損失に対応するという観点から、その時点での残存価格相当額、患畜につきましては評価額の三分の一、また疑似患畜につきましては評価額の五分の四としているところでございます。

 また、発生農家の経営再建が円滑に進むようにするという観点から、これも平成十六年の発生を踏まえてでございますが、家禽を家畜防疫の互助事業の対象にいたしまして、支援策の強化、こういったことを図っているところでございます。

赤嶺分科員 いや、それは今の制度はいいんですよ。私が言っているのは、やはり発生農家も周辺農家も含めて防疫の意味をよく理解し、そして殺す以外にないんだ、そういう考え方にも協力をしていくことが大事なんですね。そのことができていたんです。非常に理解もありました。そしてそれを理解したのは、三年前の法律の改正で、生産農家に対する安心の担保もあったと思うんですよ。

 ところが、そういうものの安心が弱い国、そういう国では鳥インフルの清浄化というのはなかなか大変ですよね。日本はある意味では対策が進んでいると言われている。それは、経済的打撃に対する支援措置がしっかりしているからなんですよ。だから、発生農家こそ安心して防疫体制に協力していくという点では、その三分の一、五分の四というのは見直すべきだ。

 それから、現在、多くの農家が移動制限措置も受けて大変苦しい思いをしているんですが、その手当金は今どうなっているのか。この二点、お願いします。

町田政府参考人 お話しいただきましたように、十六年の発生を踏まえまして、私ども法律を改正いたしました。そのときに、発生農家さんの通報がおくれたのはやはり周辺農家さんの経営を考えてじゃないかということで、移動制限区域内の農家に対する経営支援策も講じたところでございます。そういったことがあって、かねてからお願いしていた早期通報、早期届け出ができたというふうに考えております。一応、三年前の経験なり、その後やりました制度改正、また防疫指針の策定等々、そういったものが一定の効果を発生して、発生農家からも早く通報していただけたし、周りの農家さんも安心して、移動制限の中にあっても、移動制限の解除を待っていたんじゃないかというふうに思っております。

 それで、あと手当金でございますが、これは県の方からできるだけ早く上げていただいて、早期にお支払いができるようにしていきたいというふうに思っております。

赤嶺分科員 農家は、発生農家も含めて、本当に自分たちのところで鳥インフルが起きたらどうしよう、どうしようといって、起きたら防疫体制に速やかに協力するという考え方を非常に持っているだけに、そこが崩れないように、やはり発生農家に対する支援措置、これも法律の問題になりますが、見直すべきは見直してほしい。

 あと一つ、やはり一大産地で新たな問題なんですが、宮崎の食鳥加工施設、これも営業停止になってしまったわけですね、移動禁止で鶏が入ってこないわけですから。ある食鳥加工施設は、この移動禁止期間内に、新富町ですけれども、あすにはというお話もありましたが、この間の被害総額で一億円に上るというあれですね。

 私は、加工施設と農家は一体だと思うんです。ところが、その食鳥加工施設に支援措置がない場合は、やはり十キロ、移動制限区域内から出ていかざるを得ない。生産農家にとっても地域経済にとっても大変マイナスだと思うんですね。今、結局、仕事がないから職員は休業状態というのもあります。大変深刻な問題が改めて、宮崎ならでは、あるいは岡山でもこれは同じで起きています。この点についても検討をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

馳主査代理 申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

山田(修)政府参考人 ただいまお話がありました宮崎県の新富町の食鳥処理場でございますが、この方々、食鳥処理場などの関係事業者の経営悪化に対しましては、政府系の中小企業金融機関によります運転資金の貸し付けですとか、県の信用保証協会による運転資金の貸し付けの円滑化を図るための保証等のセーフティーネット措置が講ぜられておりまして、こういった対策が円滑に活用されるよう、関係者に周知をしているところでございます。

赤嶺分科員 セーフティーネットも本当にそうなっているかどうか、きちんと見ていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。

馳主査代理 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)分科員 大臣、遅くまで大変お疲れさまでございます。

 大臣の昔のお仕事でもありました、まず林野関係からちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 大臣もつい数年前から花粉症になったというお話をちょっと小耳に挟みましたが、私も五、六年前から大変ひどい花粉症で、きょうもおでこがかゆかったり、ほっぺがかゆかったり、目がかゆかったりで大変な思いをしているんです。

 多分、花粉症というのは、いろいろな学説によると、古代エジプトまたギリシャ、ローマ時代から非常に花粉症に似た症状があったというふうな学説もございます。そして、今花粉症は、本当に、かゆいとかくしゃみをするだけではなくて、経済活動にも影響を与えているというふうに言われています。医療費では約三千億、そして、一月から三月の花粉が非常に飛ぶ時期には、外に出ないとか、例えば集中力が減るとかいうので、八千億を超える経済損失があるというふうにも言われています。

 その中で、花粉というのは、日本の場合は特に八〇%がヒノキだというふうにも言われていますが、要するに、今までの林野行政のあり方、特に戦後のいろいろな、植林も含めた、杉に特化をした、花粉を出す側の対策がまだまだ不十分ではないかなというふうにも言われています。

 特に、後ほど大臣にお尋ねをしますが、各省の連携も、厚生労働省や環境省、気象庁も含めて、いろいろな対策が講じられていますが、必ずしも一本化というか連携が十二分にとれていないというふうに私自身は思っています。

 まず、お尋ねをしますが、花粉症の排出源と言うとおかしいな、出す側の林野庁としてどのような対策を講じられているか、そして、特に十九年度においてどんな対策を、予算的な措置も含めて講じられているか、端的にまずお尋ねをしたいと思います。

辻政府参考人 お答えいたします。

 林野庁では、森林・林業面からの花粉症対策といたしまして、無花粉や花粉の少ない杉品種の開発普及、それから広葉樹林化、針広混交林化や、雄花の量の多い杉林の重点的な間伐、都市部への花粉飛散に影響している発生源地域を推定する調査等に取り組んでいるところでございます。

 平成十九年度におきましては、新たな挿し木生産技術の普及や組織培養の手法を用いた苗木の増殖等による、花粉の少ない杉等の苗木供給の加速化、花粉の少ない杉の植栽などの都市住民等による森づくり活動の支援、こういったことを行うとともに、引き続き、杉人工林の広葉樹林化、針広混交林化や、雄花の量の多い杉林の重点的な間伐の推進に取り組んでいくこととしているところでございます。

 今後とも、森林・林業面からの花粉症対策の推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。

後藤(斎)分科員 済みません、先ほどヒノキと言ったんですが、杉です。訂正いたします。

 そして、今お話をいただいた、平成十九年度の、特に花粉症対策苗木を今後十年間で百万本超にするというお話がありましたが、ただ、これは一ヘクタールに何本植えかえをするかということもありますが、平均的に言えば二千本とか三千本というふうに言われています。これで百万本を割ると、たかだかと言ったら大変失礼なんですが、三百ヘクタールから四百ヘクタールしかない。杉は全国で四百五十万ヘクタールを超えるという話ですから、大臣、ほとんど対策にならないと思うんですね。

 ですから、ここはきちっとやはり、この百万本というのがどんな趣旨かというのは、数年前は六十万本という話もあったようですが、まだまだ十二分でないと私は思うんです。大臣、これはある程度計上しているからやむを得ないかもしれませんが、きちっとした予算措置も含めて、林野庁は、やはり発生源として花粉症対策をきちっとするにも、林野庁の予算の部分では、花粉症になっている方を国民の、総人口の一〇%を超えるというふうに推定していますが、ほかの数字では、全人口の一六%とか二〇%とか近い数字。仮に二〇%だとすると、二千五百万人くらいの方が一年間に花粉症にかかっているということですから、まさに国民病だというふうな定義もできると思うんです。ですから、この百万本というのはまだまだ不十分だというふうに私は思いますし、やはりここをきちっと林野庁が対応できるかどうか。

 農林省として、これからの林業行政の推進も含めて、そうはいっても、まだ杉やヒノキを植えているじゃないかという指摘も当然今あるわけですね。もっと少なくしてくれというふうなことも含めて、大臣、先ほども御指摘をしたように、厚生労働省や環境省や気象庁も含めて、やはり連携をきちっととって、今お話を長官からいただいた部分も含めて、何々の内訳という数字しか出ていないわけですね。本当に政府として花粉症対策にどの程度予算を使っているかというのが全然見えないわけです。

 ですから、そこは、ぜひ大臣が強力なリーダーシップを持って、一番それに理解と言うとおかしいな、現実のものとして、被害者と言うのもおかしいかもしれませんが、患者さんとしても、やはりきちっとそういうメッセージを政府全体としてするべきだと思うんですが、大臣、ぜひ積極的な御答弁をひとつお願いしたいと思います。

松岡国務大臣 後藤先生のお話をお伺いしておりまして、全くそれはおっしゃるとおり、国民病とも言えるものなんだろうと思います。二千万人を超えるということになりますと、もう五人に一人とかそんなようなわけでありますから、これが及ぼす影響というのはいろいろな活動の面でやはり阻害要因になる。個人的な苦しみはもちろんですけれども、社会的にもこれは大問題なんだろうと思います。

 したがって、そういう観点からこれは大きく取り組んでいく必要性があるという先生の御指摘は、今お聞きをしながら、私もなおそのような実感を持ったところでございまして、これにどう対応していくか。もちろん、科学技術的な観点もありますから文部科学省もあると思いますし、もちろん林野庁、農林水産省は、これは林、植林を担当する、また森林を管理する立場で、当然のことながら一番の直接の責任者でありますから。それからまた厚生労働省は、これは医学的な観点、健康やそういった観点から当然関係ありますし、環境省はもちろん環境という観点、それから気候との関係もありますから気象庁、こういったところと、しっかり関係省庁として連携をとりながら、私ども対応して対策を立てていきたいと思っております。

 後藤先生から言われまして、私も、そうなのかなと今改めて認識をした次第でありますが、花粉症対策としてどれくらいの予算があるのかはっきり見えない、内訳になってしまっているということでありますので、これも、明らかにできるものであれば明らかにしてやはり御理解をいただいていく必要があるんだろうと思っております。

 それと、後藤先生、農林省におられたわけでありますが、林野庁におられたのかどうか、私も今のところ確認していないのでちょっとわからないんですが、随分お詳しいなと思ったら、これは花粉症の観点からお詳しくなられたのか林野庁におられてお詳しくなられたのかわからないんですが、花粉症の観点からこれだけお詳しくなられたのであるとすれば、まさにこれは、よっぽど先生もそういう思いが強くてそこまでいろいろ勉強されたんだろう。そういった思いを受けましても、これは私どもしっかり取り組んで、こういったことで苦しんでおられる方々がそんなことがなくて済むように、ひとつしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 百万本、全体から見たら、これは本当にそうですね、四百五十万あって三百ヘクタールというんじゃ、これはちょっと、長官にもその点はしっかり聞いてもらって、今後の取り組みに生かしていただきたい、そのような思いであります。

 いずれにしても、しっかり取り組んでいくことをここで申し上げまして、まだまだ不十分かもしれませんが、お答えにさせていただきたいと思います。

後藤(斎)分科員 大臣、もう一つ林野行政で大切なことは、地球温暖化対策、大綱に掲げられているように二酸化炭素の吸収源としての機能や、また水涵養の役割というものが当然ございます。そんな中で、予算の十二分な手当てができていないということもあって、間伐や、また外国産材との競合ということで、現在では八割くらいが外国産材に依存をしている。やはり、国産材のさらなる利活用、特に国や地方自治体というのはもっと積極的に国産材、地域の材木を使っていくべきだという指摘があるにもかかわらず、なかなか周知が進まない。

 一方で、神奈川県や岡山県、高知県では、要するに森林を守っていく、水という観点もありますが、いろいろな自主財源をみずからつくっています。私は、これは、やはり大臣のお立場からいえば、全国的に森林保全や水源税的なものを積極的に対応していかないと、シンクの三・九というのは絵にかいたもちになります。農林省としては、それを積極的に発言はなさっているようでありますし、環境省も一定の理解をしていますが、なかなか経済界、財界や経産省も含めて非常に鈍い反応だということも聞いておるんです。

 先ほどの、例えば百万本が一千万本になったり、そして、間伐や国産材の利活用という部分を公的な部分が後押しするにしても、財源がなければやはり絵にかいたもちになってしまうと思うので、その点について、ぜひ積極的に、全国的に、森林保全税や水源税的なものを環境税とリンクしたような形で、早期に、やはり政府全体で対応していただきたいと思うんですが、その点について、大臣の御見解をお願いしたいと思います。

松岡国務大臣 今後藤先生からのお話は、我々からすると大変ありがたい、まさに応援そのものの、勇気の出るお話をいただいたと思っております。

 御指摘のとおりだと思っておりますし、今回、安倍内閣におきましては、総理の思い切ったリーダーシップもございまして、京都議定書にもあわせまして、また災害対策という観点も含めまして、ひとつ森林の整備を特段に進める、こういうことで、補正と当初と合わせまして七百六十五億の予算措置を、これは画期的な予算措置をいただいたところでございます。あと、京都議定書の約束までに百二十万ヘクタールの森林の整備をしないと約束が達成できない、こういう観点でございますが、十九年度は二十三万ヘクタールの間伐を実行する、こういう予算措置ができた。あと五年の百万ヘクタール分、これも何としても財源を確保して、私ども、これをぜひ達成してまいりたい、こう思っております。

 そういう意味で、財源をどうするかということにつきましては、環境税の問題を初め安定した財源がやはり必要でありまして、そういった意味では、先生の今のお話、これはありがたいお話でございまして、私ども、これからも御支援を賜りながら、安定した財源の確保に向けましてあらゆる取り組みをしていきたい、このように思っておりますので、ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 幸い、ここに来て、国際的な木材需給が非常に大きく変わりつつありまして、中国やインドや中東、こういったところの木材需要がぐっと伸びてきたものですから、そういった面の後押しもあって、これからは山も、今までとは違って、いい一つの追い風が吹いてくるんじゃないか、期待もいたしているところでありますが、何より直接的な財源が一番大事でありますので、先生のお力添えを今後ともお願いしたいと思います。

後藤(斎)分科員 大臣、実際、私もぜひ大臣にそういうふうな形で積極的に財源の取り組みも含めてしていただきたいと思うんですが、確かにインドや中国でこれから木材需要がふえてくる、日本ではなかなかという部分があると思うんですが、実際、大臣の御地元はどの程度大きい林家があるかどうか別としても、全国平均では、林家の所得というのは四十万程度であります。そして、いろいろな森林組合の合併も急速に今進んでいますが、なかなか流通体制の整備までというのは、正直、行っていないところもあるので、ぜひその点も含めて、林野庁長官も含めて、積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思っています。

 ちょっと順序が大変変わって恐縮なんですが、大臣、二月の十三日に、いわゆる六者会合で一定の取りまとめが行われました。その中で、我が国は、拉致問題を含む日朝関係の進展が見られるまで、例えば重油の五万トンの初期段階の措置についても直接参加をしないということが決められておりますが、大臣、私が昔農林省にいたときの部分をちょっと思い出して、幾つかきのうお尋ねをしたんですが、実は、平成の七年度に、いわゆる延べ払いということで、三十五万トン、北朝鮮に米を輸出しております。これは三十年償還で十年間据え置くというものであります。

 この北朝鮮の米の問題というのは、平成十二年の部分で、世界食糧計画を通じた無償援助の部分では、かなり大きい、金額も一千億近くあったので大きい問題になりましたが、やはり、平成七年の米の三十五万トンを、今のような日朝関係であれば、きちっと政府全体でウオッチをし、そして、債権でありますから、それをきちっとした形で管理をし、そして、この平成十九年度予算にどういうふうに盛り込まれているかはよくわからないので、その点を、まず現状についてお尋ねをしたいというふうに思います。

岡島政府参考人 今委員からお話ありましたとおり、我が国は、北朝鮮に対しまして、平成七年に三十五万トンの米につきまして、償還期間三十年ということで延べ払い輸出を行ったところであります。その代金は、元本として五十五・八、五十五億八千万円、利息が二十九億二千万円ということで、総計八十五億円でございます。

 このうち、返済期限が到来しております債権二十億一千万のうち、支払いがなされたものは利息の八千万円のみでございまして、延滞金を含めますと、現在十九億三千万円が未払いとなっております。

 こうしたことから、返済期限が到来している未払い金につきましては、契約の相手方であります北朝鮮の国際貿易促進委員会に対し、百十九回にわたり督促状を送付しています。しかしながら、残念ながら返答はない、そういう状況にございます。

後藤(斎)分科員 局長、百十九回、何か余りよくない番号なんですね、一一九番みたいで。

 この債権の、例えば返済予定額みたいなものは十九年度予算には計上されておるんでしょうか。

岡島政府参考人 歳入額としては計上していないということでございます。

後藤(斎)分科員 大臣、これは本当に大切な問題だと思うんです。

 これは、この延べ払いの根拠法は、昭和四十五年の外国政府等に対する米穀の売渡しに関する暫定措置法、これに基づいて対応なさっているようであります。そして、先ほど局長から御答弁をいただいたように、元本も含めて七十二億円近い、特に利息はどんどんこれから、延滞金も含めて残がたまっていくわけですから、これから日朝協議というのがいつ具体的にできるかどうかというのは別としても、やはり、冒頭申し上げたように、これは多分大きな政治課題になってくるのではないかなと私は危惧する一人であります。

 実は、本当に、先ほど、冒頭申し上げたように、つい数日前までちょっと忘れていたんですが、やはりこれは、日朝協議がもしかしたらこれからいろいろな形で進んでいく、少なくとも六者会合の中では前進をしたという……(発言する者あり)六カ国協議という中で、この問題も含めて、大臣、きちっと政府としてウオッチをし、百十九回督促をしても、もちろんなければ払えないわけですから、何のリアクションもないということは大変危険な状況で、もしかして日本国政府として債権放棄をするとか、いろいろな選択をいずれしなければいけない状況があると思うんです。

 私、やはりきちっと、法律のもとでお貸しをした以上は日本国国民の財産としてきちっと返していただくというのがもちろん当然でありますけれども、それは四十五年の法律ですね、この法律をまたどうするかということもあるんですが、ぜひ大臣、ここは、政府として、大臣として、やはり事務当局にお任せをするのではなくて、きちっとウオッチをし、そして、外務大臣も含めて、こういう問題があるということを閣内でもきちっとした形で話し合いをしていただきながら、やはり国民の財産ということでありますから、そういう点も含めて対応していただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

松岡国務大臣 今の後藤先生の御指摘、まことにそのとおりであります。

 このことは、このことだけでも、貸し借りの問題だけでも、百十九回も、およそ百二十回ということになれば、一月に一回ですから、十年間ほったらかしということであります。それだけでもけしからぬわけでありますが、さらに、もっと基本的な拉致の問題等、これは関連いたしておりますから、今後藤先生の指摘を受けまして、私も、これは閣内にありましても、また外交当局に対しましてもしっかりとこのことは改めて申し上げまして、しっかり対処していきたいと思います。

後藤(斎)分科員 ぜひ、これから、今大臣が最後にお答えいただいたような、事務当局はもちろん、大臣自身もきちっとフォローをして、国民の財産をきちっと守るという観点に立っても対応していただきたいというふうに思っています。

 ちょっとまた話がかわって大変恐縮ですが、いわゆる菜の花プロジェクト、今、バイオマス・ニッポンということでいろいろな動きが、日本の国内でたくさんの動きがございます。特に、滋賀県からスタートをしたと言われている、菜の花を中心として、菜の花を植える、そして種を収穫する、搾る、そして搾りかすを肥料に回す、循環型の、いわゆる地産地消の、エネルギーの問題も含めた大変いいプロジェクトだというふうに思っています。

 ただ、なかなかこれが全国的に普及をしていないということであります。これは、白書の中にも、バイオマス利活用の取り組みにおける重要課題ということで、一番は、バイオマス変換施設や機器の設置に係る資金の調達が難しいと。地域の市民団体の方や地域の有志の方がやはりそういうプロジェクトをメーンで動かしていますから、要するに、資金的な対応がなかなか難しいということだと思います。

 私の地元でも、菜の花ではないんですが、ヒマワリ、私の地元の一番北側の、長野に近いところに今北杜市というところがありまして、そこは日本でも日照時間が一番長いということで、ヒマワリがちょっと有名なんです。ヒマワリを使って、要するにヒマワリプロジェクトと言ってもいいかもしれませんが、数年前から、一生懸命地域の女性の方や若い人たちが対応しています。

 そこでも、やはりなかなか資金的な手当てができずにそういう施設的なものができないということで、今、廃油の回収で少し資金をためて、それを売ってヒマワリの種を買って、まいて収穫をしてという、まだ全部循環型にはなっていないんですが、北杜市バイオディーゼル燃料を考える会ということで、数十人の方が積極的に参加してやっている団体がございます。

 やはり、大臣、先ほど大臣もインド、中国のお話をされましたが、今まで食料だけが主目的であったものが、これから特に穀物全体は燃料という観点からも競合する、その部分は国内だけではなく海外との競合にもさらされる。そして、その単価で、それが積極的に推進できるかどうかというのもわからない。いろいろな取り組みはなさっているんですが、こういう、地域に根差した、地域の、それがヒマワリであっても菜の花であってもベニバナであっても、いろいろなものがもちろん考えられますが、やはりもっと積極的に、一番大変だなというところに後押しをすることをぜひ私は考えていただきたいし、それがひいては地球温暖化の問題や、地域活性化の問題や、また景観の保全という、いろいろなものにもちろんプラスになるということだと思うんです。

 ぜひ、こういう、地域で活動している、いろいろな思いを持っている方の後押しを、農林省としてももっと積極的に対応していただきたいと思うんですが、その点について御見解をお伺いしたいと思います。

染政府参考人 御指摘の、菜の花などのバイオマスの利活用というものは、地域の活性化はもちろんのことでございますが、化石資源への依存度を減らしまして、地球温暖化の防止であるとかあるいは循環型社会の形成などに極めて役立つものだというふうに考えております。

 菜の花プロジェクトにつきましては、現在、全国で百五十以上の自治体や市民団体などで取り組まれておりまして、その数は年々増大しておるというのが実態でございます。

 農林水産省では、関係省庁と連携いたしまして、昨年三月に閣議決定いたしましたバイオマス・ニッポン総合戦略に基づきまして、菜の花などのバイオマスをエネルギーや製品として利用するバイオマスタウンの構築、これを進めておるところでございます。

 平成十九年度予算では、新たに、今御指摘がありました、いわゆるバイオマスの変換設備であるとかあるいは利活用施設の整備等を行います地域バイオマス利用活用交付金というものを創設いたしまして、これによって大いに助成していこうというふうな考え方でございます。今後、二〇一〇年までには三百の地域でバイオマスタウン構想の推進を図ってまいりたいというふうに目標設定しておるところでございます。

 菜の花プロジェクトにつきましては、今まで、北海道の滝川市あるいは福岡県の大木町などでバイオマスタウンの構想の中に取り入れられておりますので、今後ともこのような取り組みを大いに推進いたしまして、所期の目標を達成してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

後藤(斎)分科員 局長、ぜひ個別の事例が、モデル的でもいいから、例えば各県一つとか二つとか、集中的に、予算や人的なサポートも含めて、やはりそこで育つということが実際必要だと思うんですね。全国三百というのももちろんそれでいいことだと思うんですが、むしろ各県や各地域に一つずつくらい、それが本当に成功した事例というものをつくっていくべきだと思うので、その点の予算の集中的な投下や人的なサポートということも含めて、ぜひその御配慮もお願いをしたいというふうに思います。

 時間がそろそろなくなったんですが、私の地元は果樹が大変盛んなところでありまして、特にサクランボとスモモ、桃は全国で一、二を争う果樹王国と今言っています。ただ、大変……(発言する者あり)済みません、山形はありますけれども。

 ただ一方で、今、高齢化というのが後継者の部分であります。私の知り合いの方でもう七十七歳を超えた方が、スモモを今一町歩つくっています。そこは中山間地、山に非常に近いところなので、イノシシやシカや猿が来て、おいしいものは食べてしまう、熟したものは。という一方で、やはり季節、収穫時期になると、近所の女性の方をパートでお願いして箱詰めをする。実際、一町歩やっていても、要するに、そういう人件費がかかってマイナスになってしまうということが多々ある。そして、鳥獣被害でも、なかなか市や県がスピーディーに動いてくれなくて、もういいや、自分で出しちゃえということで、それに百万、五十万かかってしまうということ。

 今、果樹では、果樹農業振興基本方針というのを十七年から対応していますが、この十四ページにもあるように、例えば、ブドウであれば、一・八ヘクタールやって、主たる従事者一人当たりの所得が六百万になる、やはりこういうモデルをきちっと本当につくっていけるかどうかというのがこれからの後継者対策にも資します。残念ながら、品目横断の中には果樹や野菜というものは当然入っていません、五品目だけということであります。これは、直接的な所得や共済みたいなものを上手に使いながら、所得が確保できるということが当然大前提でないと、やはりだれもその職業に参加をしようということはないと思うんです。

 ですから、私は、鳥獣害対策もきちっともっとやっていただきたいと思いますし、そして果樹だけではなくて、やはり、野菜をつくっている農家の方も果物をつくっている農家の方も、お米をつくっている農家と同じような形できちっとしたサポートが欲しいという強い要望があります。その点を含めて、ぜひ御答弁をお願いしたいというふうに思います。

松岡国務大臣 先ほどの菜の花プロジェクト、バイオマス、これはもう、私ども、一大方針として、内閣はもとよりでありますが、我々農林水産省の今後の一大方針として取り組んでまいりますので、先生の御指摘のとおり、積極的にしっかりやってまいりたいと思っています。

 あわせまして、今のお話でございますが、この品目横断経営所得安定対策も、将来は他産業並みの所得、それを達成するために、今はじゃどういう形でこの基盤といいますか土台を整備するか、こういうことで取り組んだわけでありますが、確かに果樹、野菜は入っておりません。

 これは個別対策でやることになっておりますけれども、先生のおっしゃるとおり、やはりこれくらいの規模でこれくらいの所得、これがちゃんと一つの大きな実際の姿として提示できれば、みんなそれに入る。ああ、じゃ、おれもそのようにやろう。まさにそのとおりだと思いますので、先生の、きょう、今言われましたことも、私どもモデルを、どのようなモデルがそういう形になるのか、そういったことをいろいろな事例で示していく、そういったことによって大きく皆さんにまた、よし、じゃ、農業に入って頑張ろう、こういうようなインセンティブになっていく。そういったようなことで、先生の御指摘、もっともだと思います。しっかり取り組んでまいりたいと思います。

後藤(斎)分科員 ぜひ大臣、積極的な取り組みをこれからもお願いして、時間が来ましたのでこれで終わります。

 ありがとうございます。

馳主査代理 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)分科員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、予算委員会の分科会で農業政策、林業政策につきまして質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。私も、現在は経済産業委員会の方に所属をしておりますが、農業政策をライフワークにしたいなと思う議員の一人として、本日機会をいただいたことを心より感謝を申し上げたいと思います。

 まず大臣、安倍内閣が発足をいたしまして、国会が百六十五、百六十六というわけでありますけれども、総理大臣の施政方針演説を我々も二度聞いたわけでございます。その中で、安倍総理の施政方針演説を聞いていて一つ気になることがございます。それは、農業、林業、水産業、いわゆる農林水産業への言及の分量が非常に少ないということでございます。

 御紹介しますと、総理の演説の中にはこういうことが書いてありますね。「地域の主要な産業である農業は、新世紀の戦略産業として大きな可能性を秘めています。意欲と能力のある担い手への施策の集中化、重点化を図ります。おいしく安全な日本産品の輸出を二〇一三年までに一兆円規模とすることを目指すとともに、都市と農山漁村との交流の推進など、農山漁村の活性化に取り組みます。」たったこれだけなんであります。

 ほかの歴代の総理の施政方針演説、私も田中内閣以来、だあっと目を通してみました。最も少ない言及とは言いませんが、ずばり言うと、傾向としては小泉内閣ぐらいからどんどんどんどん少なくなっているのかなと。

 例えば竹下総理の演説などは安倍さんの分量の二倍以上を当然割いております。もっとも、竹下総理の演説の中には、基本的にはふるさと創生というところで、農業への思い、農山村への思いというのが施政方針全体にちりばめられている、こう受けとめてもいい。

 さらには、大平総理の演説は、田園都市構想、こういうのがありまして、田園都市構想という中で田園の再生、こういう思いが、農山漁村への思いというのが、分量を超える部分が非常ににじみ出ている。

 ところが、安倍総理の演説は、片仮名は非常に多いんですけれども、イノベーションとかオープンとか、こういう言葉は非常に多いんですが、およそ農林水産業をイメージするような言葉がほかのところにも残念ながら少ないな、こういう気がするんです。

 この点で、農業は国のもとなり、こういう思いは党派を超えて共通だと、大臣、私は思うんですが、安倍総理のこの演説について、大臣はどのように受けとめて、御感想を持っていらっしゃいますでしょうか。

松岡国務大臣 まず、お答えをする前に、近藤洋介先生、お父さんの近藤鉄雄先生には私ども大変お世話になりました。近藤鉄雄先生も自民党にあっては農林族の一人だったと思うんですが、随分いろいろお世話になりまして、今また御子息から御質問をされまして、何となくお父さんを思い起こした次第でございますが、本当にお世話になりましたことをまず心からお礼を申し上げたいと思います。

 今の近藤先生の御指摘でございますが、決してそうではなくて、安倍総理が、農村や農業や森林や山村、また水産も含めまして、これがいかに重要なものであるか、また、いかに将来に必要なものであるか、こういうことについては、私は、歴代の総理にも負けない、それ以上の御認識を、また、強いお気持ちを持っておられる、このように常々実感をいたしております。

 二十一世紀における大きな発展の可能性を秘めた戦略産業だ、こういう言葉も、私は、農業を戦略産業だという形で大きくとらえた総理の施政方針演説というのは今まであったのかなと。今、先生みたいに全部調べていませんからわかりませんが、そういう観点。これは本当に大きな戦略産業という形でとらえておられる。これは、国にとって大きな戦略産業である、こういう観点でございます。

 そしてもう一つ、輸出ということにつきましても、私自身そう思っていますが、必ず一大輸出産業に日本の農産物、農業というのは発展できる。それはいろいろ言いますとちょっと時間がかかりますから言いませんが、そのようなものを持っているという確信を持っております。そういった意味でも、これを輸出ということをこれだけ打ち出した過去の施政方針演説というのはなかったのではないか、そう思います。

 そして、小泉総理のときに初めて輸出というものの目標を立てられたんですが、それをさらに加速化して、一兆円。そういう形でこれを加速化して、一兆円。この目標も、これは総理の思いであります。総理から、やはり一兆円いこう、こういう形で出されたわけであります。

 それから、このバイオマスの問題につきましても、温暖化、バイオマスの利活用の加速化という言葉が入っています。加速化と。促進とか推進じゃありません。加速化という言葉が入っています、施政方針演説の中に。これも、もうまさに、温暖化対策はもとよりでありますけれども、エネルギー対策という観点も含まれておりますが、農業にとって食料という、これが今までの大きな対象でありました。お得意さんの分野でした、食料が。これを今度はエネルギーという、バイオマス燃料という、新たな領域に向かっていくという、新たな領域を開拓するという、今までにない大きな方向を示された、そういう施政方針演説であると思っております。

 したがって、世界の流れも大きくこっちの方向に向いておりますが、そういう中で日本はその中でも一番大きな取り組みをして今後やっていこう、こういう姿勢を示された。そのことによって地方全体としても雇用の拡大や新たなエネルギー産業が生まれてくるわけでありますから、そこにおける地域全体の活性化、そしてまたそれを担う農業の大きな活性化、秋田にも行かれましたが、愛媛にも総裁選のときに行かれましたけれども、農業を核とした、そしてまたこれはイノベーションと結びついた、そのことによって大きな一つの展開を遂げておる、それがまた地域の活性化につながっておる、そういう認識というものについてはもう物すごくお持ちでございますし、今申し上げましたような観点でとらえられた、私は分量を比較してみたことはありませんが、過去の歴代総理の施政方針演説にもなかった新たな観点をしっかりと幾つも踏まえられましての施政方針演説であったと、歴代総理に負けない、いやそれ以上の重みを持った、中身を持った、農業のことに対しまして、水産も含めまして、施政方針演説であった、私はこのように確信をいたしております。

近藤(洋)分科員 松岡大臣は農政のエキスパートでありますし、私、実は昔、日経新聞の記者時代、農政クラブに一年ほどですか、おったことがございます。当時の大臣は中川昭一大臣が最初の大臣だったころでございますが、当時、松岡先生はたしか自民党の農林部会長だったような気がしますが、農業基本法の議論とか新しい稲作経営の基金をつくる云々と、基本法の最初の、第一次の議論だった、そのころでございます。

 そのころの松岡大臣の、私は自民党農林部会もよく取材に、ちょこちょこ行っておったんですけれども、そのときは輸出ではなくて、むしろ農業の現実、農村の現実を踏まえて、何かしなきゃいけないんじゃないか、そういうのが、当時、自民党農林部会長の熱い思いで、いわゆる族議員と簡単に片づけるけれども、そうではなくて、それはそれで、農村の実態を踏まえた主張であったという面でも私は受けとめておったんです。

 そこで、輸出云々もそれは否定はしません、バイオマスもいいと思いますが、しかし、大臣、御存じのとおり、農村の実態を、歩けば歩くほどやはり、そういうこともあるけれども、基盤をもっと強くしなきゃいけないんじゃないか、こういう危機感なりもこの演説にはもっと盛り込んで欲しいなという感想、それが地方の思いなんじゃないのかな、松岡大臣ならそれは十二分におわかりになる方だと思うものですからあえて伺った、こういうことでございます。

 そこで、現実の農業政策、今回、私やや残念だと思うのは、先ほど大臣もおっしゃった品目横断経営安定化対策、これはまさに戦後農政の一大転換という旗のもとに農林水産省は打ち出された政策だと私は認識しております。これの政策の是非については、我々民主党はそれと別の考え方がありますから、それはそれで別の機会にいろいろ議論をさせていただきたいと思いますけれども、この場であえてお伺いしたいのは、大臣、現場では、少なくとも、私の地元、山形県の内陸部でありますが、では大変苦労しているということを申し上げたいわけであります。

 すなわち、我が山形県の内陸部は、もちろん田んぼもあります、しかし果樹もある、畜産もある、いわゆる複合経営であります。この複合経営の農家の方々にとってこの四町歩のバー、一つのハードルというのは非常にある意味で高い。現場の農協の方々と率直に話をしても、やはりこの四町歩のバーはなかなか難しいな、やはり複合経営をやっているわけですから、この集約がなかなか、集落営農の方も進みませんし、かつ、個別の農家の生産者の方々に聞いても、我々は見捨てられたんじゃないかという声は正直今もってある、こういうことであります。

 もちろん、北海道なりさまざまな地域においては、すぐすんなり移行できる、これに乗れるという地域もあるでしょう。山形県においては海側の、庄内地方と言いますが、こちらは田んぼの、平野の広がった地域ですから、米について乗れるところもあるわけですが、山形県内陸部も立派な農業生産地域でありますけれども、なかなか乗れないという現実があり、おくれている、これは現実であります。

 そこで大臣、日本は、北海道から沖縄まで、地域それぞれなわけでありますから、この運用について少し柔軟に、要するに現実に即して制度を見直したらいかがかなと思うのですが、いかがでしょうか。

松岡国務大臣 近藤先生から先ほどから私が部会長時代のことも御指摘いただいたのでありますが、いや実はもうずっと、日本の農業というのは小さくて弱いから、これと比較しますと大きくて強い外国の農業から守るしかないと思ったんですよ、本当に。ところが、守っていて守り切れるのか。

 というのは、やはり農業のお得意さんというのは胃袋ですよね、日本人の胃袋ですよね。そういたしますと、これは減っていく、小さくなっていく。とすれば、お客さんが減っていくお店と一緒で、これはやはり幾ら守っていても守り切れない。やはり外に向かって胃袋を獲得しなきゃならぬ。これがわかりやすく言えば、そういった、もう思いに思って、そして突き詰めた先から逆にまた輸出という問題も発想してきたわけでありますが。

 それはそれといたしまして、今御指摘がございましたこの品目横断の問題。先生のところは複合経営だと。実は私ども、私も、これはいろいろな議論をしてきました。これは三年ぐらい議論してきました、私、農業基本政策委員長ということで。そして、究極の、日本農業を、この構造をしっかりと強くしていく、土台を強くしていくにはもうこれしかないというのが、私は、ずっとやってきた経験からくる結論だったんです。

 何でかといいますと、土地を手放すとか所有を移転するということは、これはやはり農耕民族という面もございまして、土地に対する執着もあって、なかなかそれは無理だと。しかし、今度は集落単位で、契約という形で、権利の移転を伴わずにまとまってもらう、それがやはり究極の策ではないかと、こういう形で、そのみんなを対象にして、排除の論理はとらない。だから、手を挙げた人は、みんなだれでも、集落営農という形で。一人で無理なら二人と。認定農家で、もう一人で渡って泳げる人もいますが、一人一人じゃ泳げない、渡れない人はいかだを組んででもみんなで渡ってもらう。そういう、やはり苦労だけれども、その努力をして乗り越えてもらう、一定の要件、こういったことで、何としてもこれはお願いしたい。

 確かに不安も心配もあると思うんです。明治維新と一緒で、これは今までの身分制度、社会制度が変わるのと一緒ですから、心配も不安もある。しかし、それを乗り越えてもらってやはりその後の発展があった。今回もそういう御苦労をお願いすることになりますが、ぜひ乗り越えてもらいたい、こう思っているわけであります。

 そして、複合経営には複合経営で、面積じゃない要件で、経営規模の所得によって入っていただくような、いろいろな特例を設けているんです。中山間の特例も。いろいろ設けております。したがいまして、バリエーションというのはいっぱいあるんですよ。

 そこで、今、先生のところの加入状況、これは秋まきでどうだったかといいますと、大分苦労も困難もあったんですが、十二月現在で全国平均で九〇%になっていまして、ちょうど山形がその全国平均と同じ九〇%の達成率なんです。隣の秋田、ここが一〇七%でしてね、またお隣の福島、ここが一〇三%でしてね、大体東北はいいんですよ。北海道が九五%。したがいまして、だんだん御理解もいただいて、そして進捗してきたかなと。足らざるところは、もっと我々いろいろな御説明を申し上げたり御理解を願ったりして、しっかり努力をしていこう、こう思っております。

 だから、バリエーションがありますので、そういったところがまだ理解不足だったりする点もあるかもしれませんが、さらなるその説明や努力を重ねていきたいと思っております。

近藤(洋)分科員 大臣、バリエーションがあるのはよく私も承知しておるんですけれども、ただ実際、所得を見ても、今米の値段が下がっているわけでございますから、二町歩、三町歩をやっておっても、なかなか所得の要件にもはまらない農家の方々もいる。また、くどいようですけれども、やはりあきらめにも似たような気持ちも生産者の中に広がっているのも事実であります。

 ですから、くどいようですが、やはり現実に即した動きというのは、引き続きぜひ御努力をいただきたいなと。我々は何もこの政策が失敗するのを、私は党が違うからといって、望んでいるわけじゃ決してありません。ただ、農業に現実の姿に即した形になってもらいたいと、こう思っているものですから、あえて指摘をさせていただきたいと思います。

 続いて、林業政策について伺います。

 ことしの冬は歴史的な暖冬でありまして、私の住む米沢も雪がない、雪もないし仕事もない、こういう状況でありますけれども、農作物への影響も果樹を中心に大変心配でありますが、きょうちょっとこの場で伺いたいのは、森林といいますか山も心配でありまして、松くい虫の被害、これは、温暖化の因果関係は別にしても、やはり暖かくなればどんどん北上している、こういう関係があるわけであります。既に秋田の北部まで北上している、こういうことでありますが、山形県も非常な被害を受けております。

 この松くい虫対策については、大臣の指示で、昨年度から国による直接支援、こういう制度が導入されております。大変ありがたいことだ、いいことだと思っております。補助事業ですと、なかなか、自治体はもう、これもあえて申し上げますが、三位一体の改悪で自治体は細る一方でありますから、二分の一補助でも出すお金がない、こういう現実でありますから、やはり緊急避難のところは国が直接手を出す、重要だと思っております。

 そこで、この松くい虫被害、ことしもちょっとこういう暖冬だとどうなるんだろうと心配なわけでありますが、今後もこの国による直接支援といいますか直接的な措置、大臣指定による措置、この制度は続けるべきだと思いますが、林野庁長官、いかがでしょうか。

辻政府参考人 東北地方における松くい虫被害でございますけれども、現在、東北地方では、青森県を除く五県におきまして松くい虫被害が発生をしておりまして、その被害区域が拡大をしているところでございます。

 また、東北地方の被害量は全国被害量の四分の一を占めているところでございまして、特に先生お話にございましたように、昨年七月には秋田・青森県境まで被害が北上していることが判明したところでございまして、国と秋田県、青森県、両県が連絡調整を緊密化いたしまして、同じ考え方のもとで、防除帯の設置だとか監視活動の強化等の防除対策に全力で取り組んでいるところでございます。

 今後とも、東北六県と密接に連携をしながら、公益的機能の高い保全すべき松林を対象として、各地域の被害状況に応じ、特別防除や伐倒駆除等による的確な防除、その周辺における松林を対象として樹種転換による保護樹林帯の造成等の総合的な被害対策を実施してまいりたいと考えてございます。

 それから、先生お話がございました大臣命令による防除でございますけれども、これにつきましては、制度的にそういうのができているわけでございますので、必要があればさらにやってまいりたいということでございます。

近藤(洋)分科員 ぜひ各県と連携をとって適切な対応をとっていただきたい、こう思うわけであります。

 また、森林の保全についてお伺いしたいんですが、この森林の保全、整備については切り札というのはなくて、やはりさまざまな手を複合的に組み合わせなきゃいかぬ、こう思うわけでありますけれども、地域の森林組合の方々のお話を伺うと、意外に苦労されているのが、森林の持ち主がわからなくなってしまった、だれの山かわからなくなっている、こういう状況が起きているわけですね。

 もう二代目、三代目、四代目といいますか、自分の山に入ったことがないような方々もどんどんふえている。一体おれの山はどこが境界線でどこまでなのか、こういう方々が非常にふえておって、そもそも森林を整備しようにもしようがないという状況になっております。地籍調査ではありませんが、そういった山の持ち主がわからなくなっている、これが深刻な問題になっております。

 これは現実としては非常に深刻な問題になっておりまして、林野庁として何らかの対策、支援措置を講じるべきかと思いますが、長官、いかがですか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 森林の境界問題は、先生言われるとおり、なかなか境界が不明になってきている、そういう事例が出てきているわけでございまして、このため、林野庁といたしましては、森林組合等が不在村森林所有者を含む森林所有者を対象に、施業の集約化といいますか、例えば間伐をするときに、このような間伐をすれば生産コストが幾らで、補助金が幾らで、間伐材が幾らで売れる、こういった取り組みをしていくことによって境界がはっきりしてくる、いわゆる施業の区域がはっきりしてくるといったような取り組みもいたしたいと思いますし、もう一つは、森林組合なり森林所有者等による施業実施区域の明確化など、これは交付金が出るわけでございますけれども、そういった取り組みによりまして、区域の明確化を図ってまいりたい。

 それから、森林組合系統組織が不在村森林所有者に対してダイレクトメールを送りまして施業を働きかける、ふるさと森林会議の開催に対する助成も行ってございまして、こういうことを通じまして、境界がはっきりするような、そういう取り組みをしてまいりたいと思ってございます。

近藤(洋)分科員 いずれにしろ、これは現場で一番苦労している問題でございまして、ちょっともう一歩二歩踏み込んだ施策を打たなければ大変なことになるかなと思えるので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 また、もう一つ、木材の需要の件でございますけれども、価格については外材と比べて国産材は安いわけですが、安定的に供給できない、こういうことがやはり需要の広がらない問題になっているわけであります。これは卵と鶏で、需要があれば安定的に出るしと、こういう話だと思っておりますので、やはり需要をある程度喚起することは重要だろうと思っているんです。

 そこでお伺いしたいんですが、これは通告しなくて恐縮なんですけれども、林野庁の方々は、名刺をいただくと、間伐材パルプ一五%を入れた名刺ですよね。農林水産省のこの封筒も、間伐材と古紙によりつくられていますと、こうなっているわけです。ところが、他省庁は再生紙のみなんですね。経済産業省、衆議院もそうです。ほかのところは全部再生紙のみなんですね。ここはやはり、政府が間伐材を利用する。例えば、細かな話ですが、農林水産省がせっかくやっているんですから、政府でも、間伐材利用しようじゃないかと、封筒ぐらいは古紙と間伐材でやろうじゃないか、これぐらいはすぐにでもできるような気がする。一点。

 二点目、本格的に、例えば国産材を使った住宅については税制面でいかなる措置ができるかとか、こういう思い切った措置も、これは財務省とかけ合うとか、これはなかなか大変かもしれませんが、すぐ足元でできることはできるわけでしょうから、ぜひ需要拡大策、検討すべきと思いますが、いかがですか。

松岡国務大臣 近藤先生、ちょっとタイムリーな質問をしていただいたと思っております。実は先週の二十三日に、美しい森、これをつくっていく、推進していく関係閣僚会合というのを新しく設置いたしまして、官房長官がその座長であります。そこで、私の方からも、間伐材の名刺を、各大臣、ひとつこれを使ってもらいたいと、こういうことで今印刷をしておりまして、来週には大体これができ上がるということで、関係各大臣にもこれを使ってもらいたい、こういうことでお願いを今いたしているところでありまして、本当に、まさにタイムリーな御質問をいただいた、こう思っております。今の封筒にしましても、これはここで、もう名刺だけじゃなくて、先生からそういう御質問をいただきまして、御指摘いただきましたので、この質問があったことも紹介をしながら、これも私は閣僚懇談会等でお願いをしていきたい、こういうふうに思っております。

 それから、二点目の、国産材で建てるものに対して税制と。これは私も、もちろんそれができればそう思うところでありますが、国産材に助成をしたり、国産材を例えば実質上助成になる税制でやりますと、内外無差別の原則で、WTO上できないものですから、ちょっとその辺は、これは、これ以上、うっかりなんという言葉を使うとまた怒られますので、何か知恵があるのかな、工夫があるのかな、こういった意味で、問題提起として受けとめさせていただきまして、どういう対応がとれるのかわかりませんが、ちょっと、私自身、ない頭をひねって、何らかのそういう措置ができればこれは本当にすばらしいなと、先生の問題指摘を非常にありがたい問題指摘と受けとめさせていただきまして、ちょっと考えてみたいと思います。ストレートな形ではちょっとできかねると思いますが、何らかのそういった、推進的な形ができるかどうか、これはいい御質問をいただいたと思っています。

近藤(洋)分科員 ぜひ御検討いただければと思います。

 最後の質問でありますが、これは、毎回、機会があるときは伺うんですが、国有林野の話でございます。

 国有林野は、その経営については、大変、乾いたタオルを絞り切っている状況というのは私もよく理解しているんです。その上で、この一兆円を超える債務残高、なかなか減らぬわけですね。私は、この国有林野の事業を見るにつけ、この国有林野特会に一兆円を預けるのは、これはもう限界があると。もう無理なものに無理なものを押しつけても、これは不幸を招くだけでありますから、やはり特別会計の改革の中で、独立法人等々さまざま組織改正があるのは十分承知しております。この長期債務について切り離して整理をする、私は、こういう政治決断がもうそろそろ必要ではないかと。

 もちろん、必要以上に国有林野事業を甘やかすというつもりで言っているものではありません。これまでさんざん努力を重ねてきてこの状況であります。ですから、そこは政治判断で、この債務については一般会計に移すという政治判断をした上で、ではどうやって国有林を守るのかという決断の時期に、それこそ大臣、最後の質問です、これはもう、大臣は林野については人一倍の思いがある方だと思っておりますから、その政治決断をする時期ではないかと。

 残念ながら、この行革法では、その辺がよくわからない形になっておりますので、この点について、いかがでしょうか。

松岡国務大臣 先生のお気持ちは非常にありがたいと思います。といいますのは、確かに先生御指摘のとおり、三兆円を超える国有林の赤字がございまして、ちょうど国鉄の清算事業団のあのときの整理とあわせまして一緒に、一般会計で処理してもらう分を二・八兆円実はしていただきまして、あれは村山内閣でしたか、平成八年から九年の時期だったと思うんですが、もう村山内閣終わっておったかもしれません。そのときに、そういうぐあいにして、あとの一兆円ちょっとは残すということで、二・八兆円は一般会計でこれを背負っていただきました。それから改革を進めるということで改革を進めて、今から二、三年前にやっと赤字経営を脱却しまして、プライマリーバランスは一応黒字になった、黒字というか、赤字でなくなった。こういう状況になって、そのかわり、もう本当に、組織的にも人員的にも大変なスリム化をいたしまして、営林署なんか、多いときには三百幾つあったものを、もう今は百以下にする、こういうことで、本当にスリム化してまいりました。そして、今やっとそこまできたわけであります。

 先生からそういう思いのことを言っていただいたことは非常にありがたいと思っていますが、なお努力をいたしまして、二十二年度までに一般会計への統合と、それから独立行政法人としての分離、こういったことが、二十二年度までにこれを整理することになっておりますので、先生から御指摘いただきました点につきましても、二十二年度までの間の中で、我々はしっかり努力をしながら、そして先生の御指摘もその努力の中で受けとめながら、二十三年以降の新たな姿形、これに向かって進んでいきたい、努力をしていきたいと思っております。

 ただ、本当に、大変応援団的な、応援的なことを言っていただきましたことは、もう本当にありがたいお言葉でありまして、感謝申し上げながら、さらなる努力を重ねていきたいと思います。

近藤(洋)分科員 時間ですので、終わります。

馳主査代理 これにて近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日木曜日午前九時より開会し、引き続き環境省及び農林水産省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時二十八分散会


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