衆議院

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第1号 平成21年2月19日(木曜日)

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本分科会は平成二十一年二月十七日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小池百合子君    斉藤斗志二君

      野田  毅君    筒井 信隆君

      富田 茂之君

二月十九日

 富田茂之君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年二月十九日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 富田 茂之君

      阿部 俊子君    上野賢一郎君

      小池百合子君    斉藤斗志二君

      野田  毅君    藤井 勇治君

      馬渡 龍治君    安井潤一郎君

    …………………………………

   農林水産大臣       石破  茂君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   農林水産大臣政務官    江藤  拓君

   環境大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  本川 一善君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            吉村  馨君

   政府参考人

   (林野庁長官)      内藤 邦男君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 柏木 順二君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  黒田大三郎君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

   環境委員会専門員     吉澤 秀明君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  斉藤斗志二君     上野賢一郎君

  野田  毅君     藤井 勇治君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     安井潤一郎君

  藤井 勇治君     阿部 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     野田  毅君

  安井潤一郎君     馬渡 龍治君

同日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     斉藤斗志二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

富田主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。石破農林水産大臣。

石破国務大臣 平成二十一年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 初めに、予算の基礎となっております農林水産施策の基本方針について御説明いたします。

 農林水産業と農山漁村は、食料の安定供給はもとより、国土や自然環境の保全、地域における雇用機会の創出、文化、教育の場の提供など、国民生活において重要な役割を担っております。農林水産業が衰退して長く繁栄を続けた国は、歴史上かつて存在しません。古来、農は国の基とされてきたゆえんです。

 現在、我が国農林水産業は、生産額の減少、就業者の減少や高齢化、農地面積の減少などによりまさに存亡の危機に瀕しており、その持続可能性そのものが危うい状況になっています。また、地域の基幹産業である農林水産業が活力を失うことは、地域経済全体にも深刻な影響を及ぼします。

 一方、世界では、九億人を超える栄養不足人口が存在し、今後も世界の食料需給は逼迫基調で推移すると予測されています。こうした中で、我が国農林水産業の持続可能性を確固たるものにし、我が国のみならず世界全体の食料需給の安定化に寄与する観点から、現行の農業政策を検証し、見直しが必要なものについては思い切った改革を行うことが必要です。

 今般、政府において、農政改革の推進に向けて関係閣僚会合が設置されたところであります。今後、スピード感を持って検討を行い、政府一体となって農政改革に取り組むとともに、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた議論を進め、国民に安心を、農業者に希望を、農村に雇用とにぎわいを生み出してまいります。

 次に、二十一年度農林水産予算について、その枠組みから御説明いたします。

 平成二十一年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて二兆五千六百五億円となっております。その内訳は、公共事業費が九千九百五十二億円、非公共事業費が一兆五千六百五十三億円となっております。

 平成二十一年度の農林水産予算は、食料安全保障の確立、農山漁村の活性化、資源・環境対策、林業、山村の再生や力強い水産業の確立などを進める観点から、既存の予算を見直した上で大胆に予算の重点化を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成をいたしました。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

富田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま石破農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野賢一郎君。

上野分科員 予算委員会の分科会で質問させていただく機会を与えていただきまして、ありがとうございます。滋賀一区選出の上野賢一郎と申します。よろしくお願いをいたします。

 きょうは、山村振興、獣害対策等々につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 私、滋賀県の選出でございますが、大津市と高島市が選挙区でございます。大津市は、御案内のとおり、県庁所在地で都市化が進んでいるわけでございますが、一方の高島市、これは滋賀県の中でも一番面積の広い市でございますし、東京二十三区と同じだけの面積があります。その中で、その七二%が林野面積だということでございまして、特に、その山間部での高齢化の率も非常に高い状況でございます。

 高島市内のある集落にお邪魔をしてお話をお伺いしました。十数軒しかございません。その中で一番若い方が七十二歳というようなことでございまして、高齢化が非常に進んでいる、そういう地域でもございます。

 最初にお伺いをしたいのは、山村活力の維持ということでございまして、これは滋賀県に限ったことではございません。全国的にもそういう状況が非常に散見をされるわけでございますが、そうした中で、これを社会情勢の変化だとしてあきらめてしまうのか、そうではなくて、やはりそこで地域の活力を維持して山を守っていこうという方向で頑張るのか、それによって全然違うんだろうというふうに思っております。

 まず最初にお伺いをいたしますが、現在の山村の活力の維持ということに関しまして、どのように現状を評価しておられるのか、また、その対策として来年度予算ではどうしたことを特に留意して心がけていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

石田副大臣 御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 私は高知県の出身でございまして、高知県は八三%が山林、四国じゅうもまた回っておりまして、山村の荒廃というのは私も目の当たりにしてきております。この状況は、やはり木材価格の長期的な低迷、こういうことがございまして、大変厳しいものになっている、こういう認識はいたしております。

 そういう中で、やはり山の価値というものを上げていくような、そしてまた施業をやりやすいような方向にどうしてもこれはやっていかなければいけない、このように考えております。ですから、ことしの、二十年度の補正予算、一次、二次、また二十一年度の予算でも、山を手入れしていただこう、こういうことでしっかりと予算をとっておりますので、路網の整備等も含めまして全力でこれはやっていきたい、このように思っております。

 また、雇用もしっかりと、こういう木材産業、大変大事な産業でありますから、そういうところでも雇用が吸収ができるように取り組んでいきたい、このように考えております。

上野分科員 ありがとうございます。

 そこで、具体的には、弊害としては森林の荒廃ということが顕著な事例として挙げられると思います。山を手入れする人がいない、それが森林機能の不全につながったり、あるいは獣害といったものにつながるということだろうというふうに思っておりますが、とりわけ間伐が、なかなか行う担い手がいない、行われないというような問題があると思います。

 こうした点に関しまして、来年度の予算の中では具体的にどういった点で措置をしていただいているのか、そのことにつきましてお伺いをしたいと思います。

石田副大臣 これは、おっしゃるとおりでして、間伐が進んでいない山がたくさんございます。その大きな根っこは、私もいろいろとお話を聞くと、どうしても所有者の負担がある。そして、例えばその所有者がもうそこにいなくて、不在村地主、山主、こういう方がいらっしゃるわけですから、今まではどうしても本人負担ということが出てまいりましたが、ここを軽減していかないとこれはどうしても進まないだろう、このように思っております。

 そういう中で、二十一年度からは、条件不利森林公的整備緊急特別対策事業、こういうものを今回、二十一年度の予算で入れまして、しっかりと間伐が行われていない森林を対象にいたしますし、また、市町村が作成する特定間伐等促進計画、こういうものに位置づけられておりましたら、森林組合等が実施する場合も含めまして、モデル的に行う間伐に要する経費を定額で助成する。これは、やり方によっては所有者の負担がなし、こういうことも工夫ではできるようになっております。

 ちなみに、一県、県平均で二十五万、それを七十五億円、二十一年度の予算で措置をいたしております。

上野分科員 ありがとうございます。具体的な取り組みとして非常に評価できることだろうというふうに思っております。

 今お話がありました、その場にいらっしゃらない不在の森林所有者の方も、実は滋賀県内でも一割近くいらっしゃるわけでございまして、そうした方の意識というものを引きつけていくということも必要だろうと思います。

 今お話のありました新しい事業ですが、条件不利森林ということを対象にされるということでございます。具体的な中身というか、こういった地域や森林が対象だというのはこれからの話になるんだろうというふうに思いますが、余りにその条件を強くしてしまうと、対象になるところも、守らなければいけないところも守れないということになります。予算の制限の中でいろいろ難しい問題もあろうかと思いますが、できるだけその縛りを緩やかにして、手を挙げるところには積極的にその支援はできますという形をとっていただきたいというふうに思っておりますので、その点につきましてもお願いをしたいと思います。

石田副大臣 これは、予算の目的が、やはり間伐が進んでいないところをしっかりやっていただこう、こういうことでありますし、県の平均でヘクタール二十五万。ですから、意外とやりやすいところはもうちょっと安い金額でやって、難しいところはもうちょっと上乗せをしていく、こういうふうに県単位で工夫はしていただけるようになっておりますから、本来の目的がしっかり達成できるようにそこはやっていく必要がある、私はこういうふうに思っております。

上野分科員 県当局とも十分すり合わせをしていただいて、円滑な事業実施をお願いしたいと思います。

 次に、獣害の問題につきましてお話をさせていただきたいと思います。

 この高島市でも獣害の問題が非常に顕著でございます。滋賀県全体で、ここ十年間で一億円から二億円の農作物の被害がこの獣害によって発生をしているわけでありますが、実は、この滋賀県の発生の中で五割が、この高島市に被害が集中をしているという状況でございます。滋賀県の中でも最もこの獣害についての対策を講じていかなければいけない地域だというふうに認識をしております。特に最近は、農家だけではなくて、JRの列車とシカが衝突をして列車がとまってしまう、あるいは軽トラとシカが衝突をして軽トラが全焼してしまうというような、言ってみれば交通事故というんでしょうか、そうしたことも発生をしているわけでありまして、市民生活への影響というものが非常に心配をされるわけでございます。

 その中で、農林水産省あるいは環境省の方で積極的な対応をしていただいているというふうに思います。特にこの被害の甚大なところ、集中して発生しているようなところにはとりわけ力を入れて獣害対策を講じていただきたいというふうに思いますが、それにつきましての農林水産省としてのお考えをお伺いしたいと思います。

本川政府参考人 鳥獣害につきましては、新しい法律もつくっていただいて、私どもとして力を入れて取り組んでいるところでございます。

 鳥獣害防止に関しましては、鳥獣害防止総合対策事業という二十八億円の事業を計上いたしまして各般の対策に取り組んでおります。これは、本当に被害を受けておられるところからの御申請に基づきまして、私ども、御相談にあずかりながら実施する事業でございます。そのような被害が集中しているところを特に重点的に御相談に応じながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。

上野分科員 ありがとうございます。地域の実情に即した形での事業の実施をお願いいたします。

 今年度から、環境省の方で生物多様性保全推進事業という新しい事業が創設をされました。これは、生物の多様性を保全するためにいろいろな事業、非常に使い勝手のよいメニューだというふうにお伺いをしております。この高島市でも、シカの個体数調整にこの事業を活用していただいているところでございまして、地元でも非常に喜ばれているんです。大変評価の高い事業でございます。

 しかしながら、いかんせん、今年度の予算で日本全国、オール・ジャパンで一億円しか予算がついていない、シカの個体数調整はさらにその一部ですから、手を挙げた市町村でもなかなか採択されないというような話も聞いていますし、できましたら、ここの部分をもっと増額していくことが必要だろうと思います。

 来年度は一億三千万ほどだというふうにお話をお伺いしておりますが、これも計画的に、これから二年、三年と計画を立てていただいて、しっかりと予算を確保するようにしていただく、そして、地域の実情にしっかりと耳を傾けていただいて、必要なところに必要な予算がつくという形をぜひとっていただきたいというふうに思っておりますので、その点につきまして、環境省、恐縮でございますが、よろしくお願いしたいと思います。

柏木政府参考人 お尋ねの生物多様性保全推進支援事業でございますけれども、今議員おっしゃったように、これは地域における生物多様性の保全、再生の取り組みを支援しようということで、平成二十年度から開始した交付金の事業でございます。予算額は一億円でありまして、全国で十九事業を採択したという実績がございまして、おっしゃるように、非常に人気も高くて、新規の要望も多いということで、来年度、三千万ですけれども、一億三千万で予算に掲げているところでございます。

 私どもとしては、使い勝手がいい、それから役に立つということで評価をいただいておりますので、こういった事業をさらに進めるよう努力していきたいというふうに思っております。

 それから、二〇一〇年十月に愛知県の名古屋市で生物多様性条約の第十回締約国会議がございますが、日本はホスト国でございますので、それにふさわしいように自然共生社会を構築していきたいというふうに思っております。

上野分科員 ぜひ、来年度、再来年度と予算が増額されていくように努力をお願いしたいというふうに思います。

 この高島市では、今の事業を活用しまして、猟期の間も個体数調整を行うという取り組みをしていただいております。これは、猟友会の方だけではなくて、農家の方がみずから狩猟免許を取得して有害駆除に取り組んでいただいているというような例が非常に多いわけでございます。

 しかしながら、農家の方みずからがやるという場合でも、どうしても限界があると思いますし、例えば囲いわなというようなものにつきましては、必ずしも狩猟免許を全員、全部のかかわっている農家が取らなくてもそうしたものをできるように工夫ができないかなというふうに考えているわけでございますが、その点につきましては何か具体的な措置とか検討されていることはございますでしょうか。

柏木政府参考人 先生おっしゃる、農家みずからのわなによる捕獲をしやすくなるような取り組みを推進すべきではないかという御指摘の点でございますが、おっしゃいました、狩猟免許を取得しないで囲いわなを使ってイノシシとかシカなどをとるということは、これは特例ということでもう既に認められておりますので、これはできるということでございます。

 さらに、私ども、平成十八年に鳥獣保護法を改正しまして、従来は網猟とわな猟と同時に取らないといけないという免許の制度になっておりましたけれども、網猟だけあるいはわな猟だけの免許ということで個別にも取れるようになりましたので、そういう意味で、免許取得の負担を軽減するということで取りやすくしている、そんな措置を講じているところでございます。

上野分科員 ありがとうございます。そうした特例措置、なかなか市町村がよく理解していないような場合もあろうかと思いますので、できるだけ周知を徹底していただいて、現場に合った形で狩猟等々ができるようにお願いをしたいと思います。

 それから今度、有害駆除した、特にシカの場合ですが、シカの肉の利活用という問題がございます。この高島市でも、こうしたことに取り組もうということでいろいろやっているわけでございますが、なかなか採算ベースに乗らない、商売ベースにうまくいかないというようなことがあります。恐らく全国的にもそういう事例はたくさんあるんだろうというふうに思っております。

 市町村がやっていることでございますが、そこには民間の知恵あるいは専門家の意見、そうしたものも必要だろうと思います。このシカの肉の利活用等々につきまして、農林水産省がやはりもう少しバックアップをしっかりしていただいて、市町村のニーズにこたえるということが必要だと思いますので、その点につきまして今後具体的に取り組まれるようなことがあれば、御教示をお願いしたいと思います。

本川政府参考人 今御指摘があったように、高島市におきましては、私ども、先ほど申し上げた事業によりまして、シカ肉の加工施設を整備して、昨年の六月から開設をしているというふうに伺っております。駆除した鳥獣をやはり何らかの形で有効に活用するということが必要であると思いますので、私どもとして、こういう施設の整備を進めてまいりたいと思っています。

 それに加えまして、施設を整備してそこでつくったもの、これがやはり売れていかなければいけないわけでありますので、そのための商品の開発、こういったことに支援をさせていただいております。

 それから、そうやって商品になったものがさらに販売をされていかなければいけないということで、例えば、鳥獣を駆除して商品にされる方と、あるいはそれを流通させて販売をする方々のマッチングといいますか、連携を強化するための会議の開催でありますとか、そういうサンプル品に対する支援、このようなことも先ほどの二十八億円の事業でできることになっておりますので、そのようなものをきめ細かく活用しながら支援をしてまいりたいというふうに考えております。

上野分科員 そのシカの処理施設につきましては、私も一度訪問をさせていただきまして、地元の期待というのも非常に高いというふうに思っております。

 今お話のありました中で、やはりどうも、お役所仕事ではないでしょうけれども、施設だけをつくればそれでいいわけではもちろんない、今お答えがあったとおりだと思います。むしろ、それがどうやったら売れるか、どうやったらその販路を開拓してきちんと流通に乗っていくかということが必要だと思いますので、また、個別に地元の各市町村、あるいは全国のほかの市町村もそうですが、相談がありましたら、そういうきめ細かい対応をぜひ農水省さんにはお願いして、とるだけではなくて、あるいは加工するだけではなくて、それがしっかり売れるようにお願いをしたいというふうに思っております。

 獣害の問題は、各省庁にわたる話でもございますし、地元でも非常に大きな関心を持たれていることでございますので、農水省さんと環境省さん、よく連携をとっていただいて前に進むようにお願いをして、この問題を終わらせていただきたいと思います。

 次に、造林公社の問題につきまして幾つかお伺いをしたいというふうに思います。

 滋賀県、あるいはほかの県でもそうでしょうが、戦後の木材不足の解消、あるいは、滋賀県の場合は琵琶湖の水源の涵養というようなことを目的としまして、造林事業を進めてまいりました。滋賀県には滋賀県造林公社とびわ湖造林公社の二つの公社がございまして、これは国策に基づいて、個々の森林所有者が手を出せない奥地、僻地なども対象として事業を展開しまして、約二万ヘクタールの造林を進めてきた経緯がございます。

 これは、本来は伐採をした収益で借入金等々を返済する計画でありましたが、御案内のとおり、収益が見込めない、あるいは、借金をするために借金を重ねるというようなことが続いてまいりまして、平成十九年度末で、先ほど申し上げました二つの公社の借金の合計額は約一千億円を超えるというわけでございます。

 全国では三十六都道府県で四十の林業公社がございますが、合計の債務残高というのは一兆円であります。そのうちの一割が滋賀県の両公社が負っているということでございまして、こうした現状の中で、昨年、県は、その債務を県が引き受ける免責的債務引き受けということを行いました。長期にわたってこれを分割して返済するということとしたわけでございます。平成二十年度から六十一年度の四十二年間、気の遠くなるような期間でございますが、その間、六百九十億円を返済するというような処理を決めたわけでございます。

 この造林公社の問題、今お話をさせていただきました滋賀県の問題だけではなくて、全国の都道府県も非常に関心を持って、また非常に困っている問題でもございます。先ほども少しお話をさせていただきましたが、国がある種主導をしてこの問題を進めてきたという問題もございますので、政府としても責任の一端を負うということが必要だと私は思っておりますし、そうした意味で、これまで以上に積極的な支援をぜひ講じていただきたいというふうに思っているわけでございますが、この問題につきましての基本的な御認識をお伺いしたいと思います。

内藤政府参考人 ただいま御質問がございました、我々林業公社というふうに呼んでおりますけれども、いわゆる林業公社の問題でございます。

 林業公社は、戦後、我が国全体で造林に取り組む中、地域の森林整備、とりわけ条件の悪いようなところを中心に造林を行いまして、大変な成果を上げてきているわけですが、他方、御指摘のとおり、既往債務等、経営面で大きな課題を抱えているわけでございます。

 この林業公社のそもそもの成り立ちを御説明しますと、これは、地域の森林整備のニーズを踏まえまして都道府県により設立された法人でございます。それから、その経営については、当然のことながら、都道府県が指導監督を行ってまいっております。それから、既往債務など経営実態を見ますと、都道府県ごとにかなり異なってきております。これは、都道府県ごとの経営努力というものがそれぞれ違っておりますので、そこで大きな地域差が生じてきているということでございます。

 このようなことを考えますと、私ども、やはり債務の問題というのは、まず都道府県が主体となってその改善に取り組むことが基本ではないかと思っております。

 この林業公社の借入金については、委員御指摘のように、今後、造林地から木材収入を得まして、それで返済していくということが想定されているわけでございます。しかしながら、多くの造林地はいまだ伐期を迎えていないという状況もございます。また、公社が果たしている役割というものは非常に重要でございますので、国としましても、林業公社の経営が改善され、その造林地の適切な整備が図られるよう、これまでも、例えば高齢級の抜き切りへ新たに助成を行う、低金利の借りかえについての金融の優遇措置をする、それから都道府県が行う林業公社への助成に要する経費についての地方財政措置を講ずる、こういった対策を講じてきているところでございます。

上野分科員 ありがとうございます。

 今のお話ですと、それぞれの県の経営努力によって差が生じてきているということでございまして、それは県の問題ですというような受け取り方をされかねないわけでございますけれども、私としては、そういった面がありますし、それを解決していくのは都道府県が主体になってやっていくのはもちろんでございますけれども、そもそもの経緯、あるいはこれまでの経緯等々を考えれば、やはり国としてもそれを積極的にやっていくというような姿勢をもう少し出していただくことが必要だというふうに思っています。

 そこで、昨年の十一月に、林野庁さん、総務省それから関係県の代表から成る検討会が設置をされたわけでございます。この中で、平成二十一年度の措置として、一定の地方財政措置、特別交付税の措置等々につきまして方針を出していただいたわけでございますが、私は、さらに支援措置というものをもっと拡充していくことが必要ではないかというふうに思っています。

 先ほどお話があったようなこと以外に、今後結論を、来年度の五月ですか、そのころに出すということでございますが、今、どういう観点で支援措置等々につきましての検討を深めていただいているのか、その点につきまして御説明をお願いしたいと思います。

内藤政府参考人 委員御指摘のございました検討会といいますのは、林業公社の経営対策等に関する検討会というふうに呼んでおりますけれども、昨年の十一月から、今まで三回行っております。

 その中で、私どもも、林業公社に対する新たな支援措置を公表してございます。例えば、条件不利森林それから路網整備等の定額助成方式を新たに創設する、利子補給に係る特別交付税措置の措置率を、現行二〇%でございますけれども、これを五〇%に引き上げるといった内容でございます。

 実はきょうも、第四回目になりますけれども、本委員会が開催され、意見交換、検討が行われる予定となっております。今後、各林業公社の経営状況、それから森林整備の課題の分析をさらに深めまして、これまでの林業公社の経営努力、それから国、関係都道府県の支援等も踏まえながら、本年五月を目途に、林業公社の経営対策、それから将来にわたる森林整備のあり方についての取りまとめを行うこととしております。

上野分科員 ありがとうございます。

 今検討中ということで、なかなかその具体的なお話についてはいただけないのは十分承知をしておりますが、その中で、やはり都道府県が今困っていることからいえば、旧農林漁業金融公庫の債務について、これからも多大な負担が生じてしまうということだろうというふうに思います。それにつきましては、私としては、新しい金融支援制度、こうしたものをぜひ検討していただいて、利子補給なり利子負担の軽減等々についてお力をかしていただけないかなというふうに思っておりますが、この点に関してはどういった御見解でしょうか。

内藤政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、都道府県の負担軽減ということについては、先ほども、特別交付税措置の充実等を行ったところでございます。

 やはり債務処理については、まず都道府県が主体的に取り組むべき課題というふうな考えではございますけれども、検討会で、関係者が集まって今議論、検討を行っております。

 そういう意味では、私どもも、総務省それから関係府県の委員と十分に意見交換、それから情報交換をしながら、どういうふうな経営対策、あるいは森林整備のあり方があるのかということについて五月ごろまでに成案を得るように精力的に検討を進めていきたいと考えております。

上野分科員 具体的な話は五月までということでございますので、これについての質問はあれですけれども、森林県連合なんかもできていて、各地方公共団体が非常に関心を持っている課題でございますので、ぜひ前向きに検討を深めていただきたい、そのことをお願いしたいと思います。

 最後、一点だけ。

 先般の都道府県議長会が、この問題に関しまして、新しい特別立法が必要だ、そういった決議をされたというふうに伺っております。その件に関して国に対しても要請が行っているものであるというふうに思っておりますが、国の国有林についても以前、そうした法的な措置を講じて解決を図っているわけでございますから、地方団体のこうした問題についても何らかの立法措置をして、政府としても、あるいは立法府としてもこの問題に対応していくという姿勢を明確にすることが望ましいというふうに私は思っておりますが、もしこの点に関しまして何か御検討されていることがあれば、御教示をお願いしたいと思います。

内藤政府参考人 私どもも、議長会の提案というものについてお話をお伺いしました。国有林の例を引かれましたけれども、国有林につきましては、国が実施をしているということから、国がその債務の処理を行ってきたものでございます。そういう意味からすると、都道府県が行っている林業公社の債務については、都道府県がやるということになろうかというふうに思っております。

 ただ、御要望の点については、繰り返しになりますけれども、さらにどのようなことができるのか、あるいは法的な措置なしでもできるという部分はあろうかとも思いますので、そういったものについても、総務省あるいは関係の都道府県の委員の方々と意見交換しながら考えていきたいと思っております。

上野分科員 国は法律をつくってやっている、都道府県は都道府県でやってくれというふうに受け取られかねないと思うんですが、そうなんでしょうか。

 実際に、三十六都道府県でこの問題は顕在化しているわけです。程度の差はもちろんあります。しかしながら、それだけの都道府県が今この問題で頭を悩ませている状況であれば、それを何らかの法的な措置を講じるというのは、私は全然おかしくないと思っていますし、もちろん今の仕組みの中でやれることもあるでしょう。しかしながら、それを一たんまとめて、ではパッケージとしてこうしますというのを政府として出すということは十分考えられる話だと思いますので、その点につきましても、また御検討をお願いしたいと思います。

 今検討中ということでございますので、これ以上お話をさせていただいても同じような話になりますので、ぜひ今後とも前向きな検討をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

富田主査 これにて上野賢一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井勇治君。

藤井(勇)分科員 自民党の藤井勇治でございます。

 何点か質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私はこの質問に先立ちまして、きのう、私の選挙区、地元は滋賀県でございますが、ファクスで手紙をいただきました。四十一歳で認定農家でございまして、二十年間営々と農業を営む、三十ヘクタールの農家の私の友人であります。何枚も書いてあるんですが、ちょっと抜粋いたします。

 我が家にも二十歳の息子が後継者として農業を営んでくれていますが、今の農業情勢を考えると、本当にこれが息子にとってよき道なのか親として日々悩み考えます、二十一年前に自分なりの夢と希望を持って農業を始めましたが、今や、ため息の連続で、夢はおろか、日々の生活を何とかするのがやっとです、夢や希望もない、こんな農業の現状をどう考えておられるのか。また、この現状で本当に後継者が育つと考えておられるのでしょうか云々とありまして、しかし、私もまだ四十一歳、これからです。二十の後継者もできました。私たちの地域にも若い後継者がたくさんできました。日本の農業を守る、地域の農業を守る、これが私のプライドです。これからの農業を背負っていく若者たちに夢の持てる施策をぜひお願いいたします。

 この手紙を披露いたしまして、私は何点か質問したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、水田における自給率の向上の話からでございますが、日本の食料自給率はカロリーベースで四〇%、一九六〇年ですから、約五十年前の約半分であります。したがって、残りの六〇%は海外に依存しているわけです。

 さきに自民党の食料戦略本部は、二月十二日、政府に対して、自給率を五〇%に向けての提言をいたしました。政府においても、水田等有効活用促進交付金、それから産地確立交付金、そして水田フル活用推進交付金の各施策によって、自給率向上や国内供給力の強化に鋭意取り組んでいただいておるということは敬意を表しております。

 そこで、これらの施策について、農業の現場で農業を営む皆さんやJAの職員の皆さんとの意見を交換してまいりましたので、何点かその中で皆さんの声を、また疑問を申し上げて質問といたしますので、よろしくお願いいたします。

 最初に申し上げました水田等有効活用促進交付金、これでございますが、この交付金は、転作の拡大や調整水田等不作付地への新たな作付について、二十一年度から、拡大した面積について適用されるということになっております。すなわち、耕作放棄地や調整水田として遊休させていた農地のみ対象となるわけであります。

 そもそも、耕作放棄地等の発生は、農家の高齢化とか、あるいは圃場整備ができなかったところとか、耕地の困難や、またはやむなく放棄したところが多く、さらに、中山間地域では獣害によってやむを得ず放棄せざるを得ないところであり、この制度ができたからといってすぐに作付ができないのが実情であります。全国に三十八万六千ヘクタールと言われている耕作放棄地、この面積は、実は我が滋賀県を上回る面積でございます。まずこの解消対策が先決ではないかと思います。

 二〇〇九年度の予算案では、耕作放棄地の解消対策として再生利用緊急対策に二百三十億円の予算が計上されていますが、具体的な耕作放棄解消政策をぜひ明示していただきたいと思います。

 それから、この九年度から水田をフル活用して米の消費拡大へ向け米粉用米や飼料米を作付するという件でありますが、これは、私たちの地元の農家の皆さんも大変期待を寄せておられまして、ぜひ実現、成功させていく必要があると思います。

 そこで、この問題点は、実需者と農家が播種前に販売契約を結ぶ必要があるわけでございますが、現状の農家はもちろんのことでございますが、JAにおいても播種前契約を結ぶノウハウを現状では全く持ち合わせていないのが実情でございます。したがって、現実問題として、実需者を確保できるかという疑問があります。

 また、飼料米については、現在、外国からの輸入品は一キログラム当たり三十五円、そして、六十キログラムにしますと二千百円となります。生産契約等の諸経費が千二百円程度必要となりますので、農家の手取りは九百円ぐらい。ところが、乾燥等が必要なため、諸施設の利用料を差し引きますとこれは赤字となるという状況でございます。

 農家が耕作放棄地を復田して米粉用米や飼料米を作付するには、それなりの財源が必要になります。さらに、実需者の播種前契約について、例えば全農さんなんかに委託するとか、実需者と農家の契約方法について事前に道しるべをしっかり示して、そして農家の負担を軽減することが必要ではないかなと思います。

 農水省の考えをお願いいたします。

本川政府参考人 まず冒頭に、水田等有効活用促進交付金だけでは調整水田などの不作付地に作付を拡大することはなかなか難しいのではないかというお問い合わせでございました。

 この交付金につきましては、戦略的な作物ということで、麦や大豆、飼料作物という従来からの転作作物に加えまして、水稲による転作でありますお米の粉用の水稲あるいは飼料用の水稲、これも対象にすることにいたしております。

 それで、御指摘のような、中山間地などで不作付地になっているところをなぜそのようになっているかということをいろいろお伺いいたしますと、おっしゃったように、土地改良がなかなかできないということで、湿田が解消できない、畑作物を植えようとしてもなかなか植えられないというような問題点がございます。それから、麦や大豆に取り組もうとすると、そのためのまた機械を買わなければいけない、そのような問題がございます。

 ただ、今申し上げましたような米の転作でありますれば、そういう湿田におきましても、従来の普通の食用のお米と同じような形で作付をいただけるということでございますし、それから機械につきましても、従来の食用のお米をつくる機械と共用してそれを利用できるというようなメリットがございますので、そういうところでも、麦や大豆のような畑作物と比較して比較的取り組んでいただきやすいのではないかなと思っております。

 そのようなメリットを私ども周知をしながら、推進をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

藤井(勇)分科員 ありがとうございます。ぜひきめ細かく対応していただきますようにお願いいたします。

 次に、生産調整についてお伺いいたします。

 米の需給バランスが、米離れによりまして大幅に供給過剰となっています。統計によれば、昭和三十七年ごろには一人当たり百二十キログラム食べていたものが、現在ではちょうど半分の六十キログラム程度である。これは大変な米離れでございます。この需給のアンバランスを生産者の生産調整で保っていることは御承知のとおりであります。

 私の出身地である滋賀県では生産調整を確実に実行している県でありまして、全国的に見ると実行できていない地域もございます。平成十九年度産で見ると、水田面積二百三十九万ヘクタールのうち百六十四万ヘクタールに主食用の水稲が作付されておりますが、そのうちの七万ヘクタールが過剰作付であると言われております。その結果、御案内のとおり、大幅な米価の下落となりました。生産調整を正直に行った農家は大変迷惑をこうむると同時に、正直者がばかを見たことになります。

 大臣は昨今の発言の中で、生産調整やすべてについての検証を行っていくとのことでありますが、私の地元の農家の皆さんの意見を聞いておりますと、生産調整をしなくてもよいのかということがひとり歩きしている感じがいたします。前述の七万ヘクタールの過剰作付ですら大幅な米価の下落現象の発生から推測いたしますと、生産調整が守られなければ下落は必至だと推測できます。

 なぜなら、水田の利用は稲作が一番適しておりまして、生産調整をしなくてもよいとなれば、農家は麦や大豆をやめて一斉に稲を作付するのではないかと思います。米をフルにつくると生産量は千三百万トンと言われています。一方、国内需要が八百五十万トンでありますので、米価は暴落するのではないかと思います。

 その結果、一生懸命汗をかいて頑張る、先ほどの認定農家じゃありませんが、この人たちが嫌気を差して、そして米をあきらめてつくらなくなったら、私は、日本の国そのものが危機に陥るのではないかと思います。

 我々の地方も、ようやく生産調整について、農家の皆さんからも実施しようという機運が盛り上がってきました。ぜひとも生産調整は確実に実行されることを望みますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

町田政府参考人 先ほどの御質問につきましてちょっと私まだお答えできておりませんので、御説明をさせていただきたいと思います。

 飼料用米とか米粉用米、これを生産者の方と実需者の方をどうマッチングしていくかというお尋ねだったと承知しております。

 米粉用米、飼料用米、新しい需要のお米でございます。確実に流通、消費されるように両者の連携を図っていくことが重要だというふうに考えております。委員御指摘のとおりでございます。

 現在、実需者と生産農家のマッチングを円滑に進めますために、米粉用米、飼料用米に関します産地また実需者双方のニーズを調査いたしておりまして、その調査した情報を双方に提供するということでこのマッチングに努めているところでございます。

 さらに、こうした情報を活用いたしまして、各都道府県内の実需者と県内産地のマッチングを、都道府県にあります水田協議会等でも行っているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、我が国の食料自給率の維持向上を図る観点から、予算また法律制度も活用しながら、この米粉用米、飼料用米のマッチング、さらには需要拡大に取り組んでいきたいと思っております。

石破国務大臣 問題は、先生御指摘の不公平感をどうするかというお話です。これはもうずっと議論のあるところであって、まじめに生産調整をやってきた人がいる。例えば、私の県なんかもほとんど完全にやっているわけですよね。その上に乗ってというか、生産調整をやらない人たちが生産調整によって維持された価格の上に乗ってお金を儲けているということは不公平感がある、この不公平感の払拭というものがないと制度というものはなかなか長続きをしない、これをどう考えるんだということになるわけです。

 では、一、二の三でみんな生産調整やめましたということになると、それはもう委員おっしゃるように値段は暴落をするわけで、それはもう大規模からつくるのやめたということになるはずなんですね、これは理屈の当然として。それは絶対行ってはならないことだということであります。

 先ほど来議論がございますように、とにかくフル活用だ、米粉米であり飼料米であり。それから、お米の消費量というのは以前に比べて半分に落ちているわけで、そうすると、何で自給率が落ちたのということを考えた場合に、それは、何も麦や小麦を原料としたパンを食べるようになったから下がったというよりは、つまり、五十年前と今と摂取カロリー量がふえたかといえば、ふえていないわけですよ。そうすると、その中身の問題なのであって、さればこそ、それを解消するためにえさ米というのは大切だ。そしてまた、小麦の値段が上がったこともこれあり、米粉というものを活用しなきゃいかぬ。水田フル活用というものを目指していくということであります。

 ですから、二十一年産米においてやり方を変えるかといえば、そうではなくて、水田フル活用というものを目指していくということなのであります。

 それはそれといたしまして、これから先本当にどうするんだと。冒頭御紹介があったように、本当に農業でやっていこう、そして子供にこれを継がせようという人たちが夢も希望もなくなっているということは、何か原因があるはずなのであって、では今までの政策が本当によかったかということは、全部点検をしてみなければいけないのだろうと思っております。

 大事なのは、御紹介になったように、農業で生きていきたい、子供にも継がせたいという人たちが本当に意欲がわくように、そしてそれが報われるように政策は見直していきたいということを申し上げているのであって、二十一年産米において今までのやり方を変えるということを申し上げているわけではございません。その点はよく御認識をいただきたいと考えております。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。ぜひ、農業の現場の一線で働く声をしっかりとお聞きいただきたいと思います。

 続きまして、集荷円滑化対策、これについても農家の皆さんが大変疑問、不安に思っているようなことが一点ございます。

 二十年産米が豊作であったことから集荷円滑化対策が発動され、十万トンが主食用から隔離されました。政府からは所得補償として六十キログラム当たり一万四千円で買い取られまして、農家は大変喜んで安心されたところでありました。

 ところで、政府はこのお米を主食用として売りに出されるのではないかという危惧を持っておられます。どのように対応されるのか。

 仮に政府として売りに出されるとすれば、集荷円滑化対策の趣旨にもとるのではないかと思います。御答弁をお願いいたします。

町田政府参考人 政府買い入れを行いました二十年産の区分出荷米についての取り扱いのお尋ねでございます。

 この区分出荷米につきましては、本当の大不作とか、そういったよほど特別な事情がない限りは、この一年以内に主食用米として販売するということは考えておりません。また、その後におきましても、極力、民間流通米の流通に影響を与えることのないよう配慮して販売することとしていきたいと考えております。

 そうした意味から、今後、主食用米の需給バランスに大きな影響を与えることはないというふうに考えているところでございます。

藤井(勇)分科員 ぜひ、農家の皆さんに無用の不安を与えないように、よろしくお願いいたします。

 それから、日本の農業の将来像ということでお聞きをいたします。

 ちょうど去年の今ごろあたりは、農業といえども市場原理の導入は例外でないとする意見がいろいろなところで交わされていたように思います。ところが、ちょうど一年たちまして、最近は、百年に一度と言われる金融危機や不景気から、都市の失業者の雇用の受け皿として、農業や農村が脚光を浴びてきたのではないかと思います。

 こんな情勢の中で、六閣僚による農政改革関係会議が石破農水大臣のもとで設置され、日本の農業の将来像の検討が始まりました。加えて、食料・農業・農村基本法に基づく食料・農業・農村基本計画の第三次計画に向けての検討も始まりました。まさに、この農の問題が社会問題に浮上したのではないかと思います。

 そこで、少し私の意見を述べさせていただきますと、まず第一点目は、米に対する国のかかわりであります。

 戦後の米の不足の時代は、国の食糧管理、すなわち、農家がつくった米は全量を買い上げて、流通、保管、販売のすべてを政府が一手に引き受けてやっておりました。しかし、日本人の食生活の変化にも伴いまして、米の消費量は落ち込み、現在では、米の管理から政府は一切手を引いた状態であると思います。米は日本人の主食であり、基本の食料であります。米は人の健康と命にかかわるものであることは、衆目が一致するところであります。

 国は国民の命と財産を守る義務があるわけでございますが、その点では、国を守る食料安全保障と考えられると思います。稲作を中心とした農業を守り育てる政府支援策をこの際しっかり推し進めていく必要があるのだと思います。同時に、日本の農業に過度の市場原理主義の導入は避けなければいけないのではないかと思います。

 もう一点、農地法の問題であります。

 農地法の精神は、農地は耕作者みずからが所有するという耕作者主義であります。私の地元の滋賀県では、御高承のとおり、集落営農では全国の高位にランクされております。集落営農の代表者や認定農業者からの意見の多くは、農地の効率的利用の促進、これを求めています。遊休農地の発生を防ぐ面からも、利用を重視した農地法の改正をぜひ望みます。

 この効率的な利用促進の方法としては、農協による合理化事業によることが貸し手、借り手ともによいのではないかなという思いをいたしております。

 いよいよ石破大臣による農政改革が本格的に議論されます。生命産業である日本の農業をしっかり再生するために、農林水産省の御決意をお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 農地政策等々個々の御質問につきましては、また担当局長からお答えをいたします。

 基本認識はまさしく先生と一緒なので、天から与えられた生命というものを利用するという言い方がいいかどうかわかりませんが、まさしく委員がおっしゃるように、生命産業なわけですね。そしてまた、その命をいただいて我々も生きているわけであって、私は、第一次産業というものが衰退して栄え続けた国なんかどこにもないのだということをよく認識をするべきだと思っております。

 一方におきまして、例えば平成二年と平成十七年を比べた場合に、農業の全部の所得というのは半分に落ちているわけですよね。所得は半分に落ちました。耕作放棄地というのは三十九万ヘクタールで、埼玉県の全面積よりも広くなっちゃいましたねということがあります。それで、基幹的農業従事者の六割が六十五歳を超えましたねということがあるわけで、人、金、物から考えたときに、全部低落傾向にあるわけです。どんなに美辞麗句を使ってみたところで、人、金、物すべてが低落傾向にあって、この産業に将来がありますかということを私どもは直視をしなければいかぬと思っておるのであります。

 しかしながら、では日本は農業に恵まれていませんかと言ったらば、これだけ日照量があって、雨が降って、土壌が肥沃で、そして、水田を連作障害なく耕作するための水の流れがあって、考えてみれば日本の農業というのは、ヨーロッパやアメリカなんかよりも、よほど気象の面においても、地質の面においても、地形の面においても、恵まれているじゃないですか。どうやってこの潜在力を生かしていきますかということを、人、金、物、その三つの点からきちんと見直していかなければいかぬだろうというふうに考えております。

 水田フル活用につきましては先ほど答弁を申し上げたとおりでありまして、農地につきましては、関係局長から答弁を申し上げます。

高橋政府参考人 お尋ねのございました農地の見直しの関係でございますけれども、今大臣からも御説明ございましたように、農業の重要な生産基盤でありますところの農地につきましては、国内の食料供給力を強化して食料自給率の向上を目指していくためには、生産対策、あるいは人の、担い手の育成、確保対策の推進とあわせまして、この基盤の農地について、優良な状態で確保する、そして、集落営農、もう御指摘ございましたけれども、このような集落営農も含めまして、農地が有効に利用されていくということが極めて重要であるというふうに認識しております。

 このため、農林水産省におきましては、農地面積の減少を抑制し農地を確保すること、意欲ある者に農地を集積いたしまして最大限これを活用していくこと、この二つを柱といたします農地制度の見直しを行うことといたしまして、現在、農地法等の改正法案を近く今国会に御提出する予定にしているところでございます。

 その具体的な内容につきましては、まずは、優良な農地が無秩序に転用されることを防ぐために、違反転用に対します罰則を引き上げるとともに、農地の国内の総量を確保するために、必要に応じまして、国が都道府県に対して適切な措置を求めていくことができるようにすること、一定の要件のもとに、意欲ある個人あるいは企業等が農地を借りやすくしたり、農協による農業経営についても、これを可能とするなどの、貸借によります農地利用についての規制を見直すこと、これは御指摘ございましたけれども、農協等も主体となりまして、これまでばらばらに分散しております農地を、なるべくまとまった形で担い手に集められるようにするような新たな仕組みを措置すること、そして農地制度につきましては、農地の適切な利用を促進する観点からこれを見直すという今の三つの点を踏まえまして、現在、農地の相続税の納税猶予制度につきまして、人に貸しますとこれが打ち切られるということについては、一定の条件のもとに、貸してもこれが打ち切られないようにするということ等に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

町田政府参考人 我が国の米または水田農業を守るために、国としてしっかり支援していくべきだというお尋ねでございました。

 お話しいただいたとおり、米は国民の主食でございます。また、唯一自給できる穀物でもあります。米、水田農業、この我が国の農業の礎となるものでございます。しかしながら、大臣からもお話しいただきましたが、現在は、主食用の米は水田の六割で賄えるという状況になっているわけでございます。

 一方、世界の食料事情を見れば、中長期的にやはり逼迫していくという恐れがあるわけでございます。食料の多く、カロリーベースで六〇%依存している我が国におきましては、国内農業の食料供給力を強化し自給率を向上させるということは、極めて重要であるということでございます。

 このため、本年を水田フル活用元年への転換と位置づけておりまして、しっかりと今取り組んでいるところでございます。これを軌道に乗せてまいりたいというふうに考えております。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 先ほど冒頭、三十ヘクタールを営む担い手の手紙を紹介しましたが、私のふるさとも続々と農業の担い手があらわれております。しっかりと政治や行政が機能して、こうして担い手として頑張る後継者を育てていく義務があると思いますので、どうぞ引き続いてよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田主査 これにて藤井勇治君の質疑は終了いたしました。

 次に、安井潤一郎君。

安井分科員 本日は、質問の機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。

 私は、生まれも育ちも東京・新宿の早稲田でありまして、一昨年の四月まで十五年間、地元の商店会の会長を務めさせていただき、その商店会、商店街振興組合で組織されております新宿区商店会連合会の副会長は現職でやらせていただいております。

 商店街の存在意義等々につきましては経済産業委員会にお任せして、本日は現場のお話をさせていただきたいと思います。

 商店街の活性化、活性化とよく言われますが、私は、商店街の活性化なんて言っているうちは商店街は元気にならないと思っております。なぜならば、商店街は個々のお店の集合体でありまして、一軒一軒のお店が元気になって、そしてみんなが元気になる、これが順番であります。マジックでも何でもなく、えいやあで商店街百軒がみんな一遍に元気になる、あり得ないということであります。大事なのは個店支援だと言い続けてまいりましたが、経済産業省さんも中小企業庁さんもなかなか聞き入れてはいただけなかったというのが現実であります。

 このたび、平成二十一年度予算の中に計上されております農林水産省所管の補助事業の中の食品小売機能高度化促進事業を拝見すると、いろいろなハードルはありますが、簡潔に申し上げまして、リース料総額の半分を補助する、それも初年度に補助するという、まさに過去に例のない形態の事業のように思います。具体的な話をすれば、一カ月十万円のリース料、年間百二十万、五年リースだったら六百万。その六百万のリース料総額の半分、三百万円を初年度に出す。過去に例のない形態だと私は思っております。

 これを利用することによって、物件とやる気と、そして一番重要な、お客様、消費者が本当に望む業態、店づくりのアイデアを持っていれば、経済的に脆弱な地域商業者も新しい一歩を踏み出せるのではないかと思っております。この新規事業に対しての農林水産省の目的等について、お聞かせをいただきたいと思います。

町田政府参考人 お話をいただきました食品小売機能高度化促進事業の目的、また内容についてでございます。

 この事業につきましては、商店街の個々の中小食品小売店の魅力を高め活性化を図るという取り組みでございまして、個店支援というふうに位置づけております。個々のお店に対する支援を実施していこうというものでございます。ねらいといたしましては、地域農林水産業の発展とあわせて、もちろんのこと商店街の振興を図るというものでございます。

 本事業の内容でございますが、中小食品小売業者が食品販売サービス機能の強化、例えば宅配サービスですとかそういったものでございます、また販売商品の付加価値向上の取り組み、イートイン業務、こういったことを行うに当たりまして必要な設備をリース方式により導入する場合に、そのリース料につきまして二分の一以内の範囲で助成を行うという内容でございます。

安井分科員 商店街の活性化だけでなく、産地も元気になる事業だと感じております。

 次回以降、二十一年度ですからまだ始まってはいないんですが、もしこれをやり、そして皆様のすばらしい御評価をいただけるならば、次回以降は予算総額を拡充していただき、始まっていないのにもう拡充の話をするのかと言われるかもしれませんが、ぜひ拡充をしていただき、ぜひモデル事業という切り口も入れて、販売者サイドに対しては財務諸表の提出を求めること等も、関係省庁さんと連携を持ちながら御検討いただきたいと思います。

 何しろ、新しいことをやっていても、損益計算書、貸借対照表、資金繰り表さえ出さなくてもいいというのは、やはり新しいことに対しての一歩、もっと言うと、いろいろなところではわかりづらいというところがありますので、ぜひ連携を持ちながら御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

町田政府参考人 本事業でございますが、二十一年度から個別小売業者の活性化の取り組みについて、まさに新たに支援をしようというものでございます。まずは、この事業の確実かつ効果的な実施、これに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 二十二年度以降の取り扱いについてでございますが、この二十一年度におけます実施状況を踏まえながら検討していくこととしているところでございます。

 また、本事業につきましては、公募方式により実施することとしております。採択に当たりましては、事業の確実な執行を確保する観点から、応募される中小食品小売業者の人的資源や財務基盤の安定性を評価するといった観点から、財務状況に関する資料の提出も求めることとしておるところでございます。

安井分科員 モデル事業というと全国で五とか十とか、こうよく言われるんですが、北海道でモデル事業をやって何か新しい業態の開発をして、それを沖縄のお仲間が見に行ったところで、果たしてそれをそのまま沖縄に持っていけるのか。私は無理だというふうに思っています。

 そうなってきますと、こういう新業態のいろいろな形の取り組みというのは、全国百カ所ぐらい、四十七都道府県で二カ所ずつぐらいはやらない限り、本来の新規事業の展開ということにはならないように思っておりますので、その点も含めて御検討いただければと思っております。

 続きまして、定額給付金の目的にもありますように、麻生内閣は確実に、地域商業と地方の活性化にかじを切られたと思っております。各省庁が地域商業を活性化させる方策を打ち出されてきましたが、過去の事業のようなわかりやすい縦割りではありません。ましてや、この商店街の活性化などというのは、コミュニティーづくり、まちづくりまで入っておりますので、なかなか従前の形とは違うのであります。生産者が販売者のことを考えて、販売者の向こう側にいる消費者の意向を正確に取り入れる、そういうような意向を取り入れた物づくりが産地経営では大切だということをあらわした事業が多くなってまいりました。

 しかし、今までと仕組みの違う事業なので、その紹介と周知、啓蒙、徹底にも今までと違う方法が必要なのではないでしょうか。紙で出す、書類で出す、そして担当者がお知らせに行かれる、ここまでできればいいのかもしれませんが、やはり地域商業、そして生産者の団体、農業法人等々の皆さんが集まったときに、同じビデオだDVDだアニメだ等々でわかりやすく、同じツールをもって周知、啓蒙、徹底を受けるということが大事だと思っております。ビデオ、DVD、漫画、アニメ等を利用して、地域での集まりに利用するようにしたらいかがでしょうか。また、こういうところが一歩踏み込めば、農業高校そして商業高校の授業にまで連携ができるのではないかと考えております。

 新しい紹介、説明方法について農林水産省の御意向をお伺いしたいと思います。

町田政府参考人 本事業につきましては、これまでにない、個々の小売店のそれぞれの取り組みに対して支援を行います個店対策でございます。関係事業者の皆さんに対して、こうした特徴、活用法について積極的な事業のPRを行っているところでございます。

 具体的には、本事業を全国多くの関係者に利用してもらうために、全国の食品流通関係団体等、今四十八団体でございますが、に対しまして、事業の執行が円滑に実施できますよう、一問一答式のQアンドAなどを作成して幅広くPRを行っているところでございます。これに加えまして、農林水産省や関係団体のホームページでも紹介するといったことをやっているところでございます。

 今いろいろとアイデアもいただきました。地域でのそういった各種の説明会、いろいろな機会があると思います。そういったさまざまな機会を活用してさらなる普及に努めて、この事業をぜひ活用していただきたいということでさらに努力していきたいと思っています。

安井分科員 ありがとうございます。ぜひ、新しい取り組み、新しい仕組みですから、新しい周知、啓蒙、徹底の仕方があるというふうに思っておりますので、御検討よろしくお願いしたいと思います。

 私は、衆議院議員というお立場をいただく前から、東京都の食肉事業協同組合、いわゆる町の肉屋の組合の常務理事を務めております。昨年の総会で選ばれた東京都食肉事業協同組合の島田理事長さんは、従前から、生産から販売までの緊密な連携をお考えになられております。肉屋さんが牧場を経営するというのではなくて、食の安全、安心をテーマに、信頼感に裏打ちされた、地域間交流も事業に含めた活動をお考えのようですが、農林水産省として何か、産地、販売地の両方、もしくはどちらかにサポートするということはできないのでしょうか。お聞きしたいと思います。

吉村政府参考人 ただいま委員から御紹介がありましたような、消費者、食肉販売事業者、それから生産者を結びつけて交流をするというような取り組みは非常に重要でありまして、それによって、食に対する消費者の一層の理解の醸成につながるというふうに私どもも思っております。そういったことで、こういった産地交流会につきましては、私どもとしてもこれまで支援を行ってきたところでございます。

 これに加えまして、消費者の方々におきます食の安全、安心や農山漁村そのものに対する関心の高まりというものがございまして、これを受けて、都市と農村の交流を推進するために、産地と販売地双方の連携を強化する取り組みが重要と考えております。

 このため、都道府県域を越えた共生、対流の取り組みを推進する事業などによりまして、アンテナショップや直売所を拠点に、都市部の商店街などを初めとする都市とそれから農山漁村の交流を実施する取り組みなどを積極的に支援しているところでございます。

 今後とも、関係省庁とも連携いたしまして、こういった取り組みを持続的に支援してまいりたいと考えております。

安井分科員 ありがとうございます。ぜひ、緊密な連携を関係省庁とおとりいただきたいと思います。

 今御答弁いただいた中に、アンテナショップ事業というのがあります。実は、私どもの地元、一昨年の十月十四日にそのアンテナショップ事業、広域連携交付金に関連した部分体であります。現実でいいますと、来街者数、一年たちましたら、約二百メーターの通りなんですが、何と一カ月一万人の来街者数アップであります。生鮮三品、八百屋、肉屋、魚屋、それがなかった地域なのでなおさらなんでしょうが、一万人の来街者数アップというのを記録しております。

 なおかつ、そこのところに関しては、障害者の就労の場ということで、知的障害、精神障害の方がそこでお仕事をされております。

 最初のときはあいさつもできなかったですね。ただ下を向いているだけであいさつもできなかったその障害を持った方が、一年たつとレジができるようになります。今はPOSレジですから、ピッとやるとこう出るわけです。ピッとやって出てきて、二百五十円ですと言えるわけですね。そうすると、お客さんが三百円渡す。三百円預かりとやると、レジですから、五十円おつり、現計ということなので、十円玉を五枚持って出すんですが、自信がないから固まるんですね。固まると、お客さんの方からそれで合っているぞと言うと、はいと出す。一年たつとこうやってできるようになる。

 大手の量販店、コンビニではできないんですね。またこれを言うと怒られますけれども、お客さんの少ない商店街だからこそできるんじゃないかというふうに言える部分があるんですが、これこそ、やはりこだわったものを販売して、そしてこだわった商売をする、これから先の地域の活性化に大事な部分なんではないのかな、私はそんな思いがしております。

 そして、食肉のことで局長に一つお願い事の部分なんですが、ヨーロッパの肉屋の売り上げの八割は自家製のハム、ソーセージ、ベーコンであります。一割が生肉で、一割がデリカテッセンと言われております。食文化が違いますから全く同じようにはできないとは思いますが、もし日本でそういうことができるようならば、今までニート、フリーターと言われてきた人たちが腕に職をつけるということもできます。

 ただ、今は法律的に、ソーセージは調理ということで自店でできるんですが、これは一回百キロ以上つくることができません。調理ですからできないんですね。そして、この店でつくったものを隣の売店で売ることができないんです。ハムとベーコンは塩漬けですから、もっと簡単にできるんです。でも、これは食品販売ですから、四年制の大学もしくはお医者様の資格がないとできないということなんですね。いわゆるブランドづくりということでしたら、ぜひこういうところも進めていっていただけるようにお考えを賜りたいと思っております。

 こだわったもの、いわゆる地域間交流ということ、これがこれから先の商店街の活性化にはテーマだなということがあったんですが、昨年三月二十五日に百十四名の先生方の御賛同をいただき、商店街を蘇らせる行動政策研究会、通称あきんど議連という議員連盟を設立させていただきました。

 そのあきんど議連でいろいろな活動を、御用聞き出前セミナーということで外へ出よう、永田町で話をしているだけではなくて外へ出ようということでやってきたんです。

 いろいろやっているうちに、役所の方には耳ざわりが悪いかもしれませんが、間違うことのできない、失敗することのできない行政の皆さんに新しいことをやれ、こういうふうに言うのはちょっとおかしいんではないだろうか、本来、新しいことをやる、それはリスクがある、間違うかもしれない、やってみなきゃわからないという部分体があるんだったら、そのリスクは政治が、政治家がしょうべきなんではないかという中から、あきんど議連がプロデュースして商店街の活性化、地域間交流、農村振興等々の部分体も含めた活動をしようということで、福岡県の北九州の京都郡苅田町の活性化事業というのをあきんど議連プロデュースの第一号案件とさせていただきました。

 現在までの取り組み内容をお知らせいただければと思います。

吉村政府参考人 苅田町の取り組みについてお答えを申し上げたいと思います。

 福岡県苅田町では、JA福岡みやこが苅田商工会議所と連携をいたしまして、商店街の一角に農産物直売所を整備する事業を計画して、二次補正で増額された農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の活用を図るべく、活性化計画を作成したところでございます。

 農林水産省におきましては、現在、苅田町から提出された活性化計画を受理いたしまして、審査を行っているところでございます。

 この農山漁村活性化プロジェクト支援交付金につきましては、交付対象計画を決定の上、三月中に交付手続を行う予定でございます。

安井分科員 ありがとうございます。

 聞く人によると、苅田町であいていたスペースがあったからそこに直売所をつくっただけだというふうに言われる方もあるかもしれません。それでしたら、商店街のスペース、あいているからといってJAが借りに行ってみたらいいわけですね。絶対貸しませんよ。我々商店街は、絶対JAに貸しませんよ。別段、JAとけんかするつもりじゃないですよ。なぜか。商店街の中に八百屋さんがいるんですよ。商店街が、自分の商売とバッティングするようなことをやらないでくれよと言われたその一言で、商店街は動けなくなるということであります。

 今般、これはまちづくりだ、そして来街者をふやすんだ、町をよくする活動だということの中からこういうふうな状況になってまいりました。今、受理をしていただいて審査をしている最中ですから、余り細かいお話はいただけないとは思っておりますが、ただ、これは一つのきっかけで、今、商店街のあいているスペースを使って直売所をやろうという企画は日本じゅうにあります。しかし、その一歩がなかなか踏み出ない、これが現実だと思います。

 農水の御担当の方はよくおわかりだと思っておりますけれども、ぜひこれを一つのケーススタディーにして、こんなふうにできるんだ、あんなふうにできるんだ、苅田町の商店街連合会、JA、苅田町本体、そして商工会議所、この四者が力を合わせて、この苅田町さんというのは、北九州空港があって、そしてトヨタがあって日産がある、非常に経済的には余裕のある地方自治体だというふうにお聞きしています。中学三年生まで医療費無料だ、こう言われております。幾ら行政に余裕があったとしても、やはり地域が疲弊しているということは行けばおわかりになられると思いますので、ぜひこれを一つのケーススタディーにしていただければというふうに思っております。

 これが徐々に形になってくるということで、実はあきんど議連としてはこのプロデュースの案件の第一だけではなくて、第二、第三、第四というのが今現状出ております。

 第二として今度、案件として立ち上がろうとしているのが北海道の南幌町であります。千歳空港から札幌に行くまでの間、札幌まで車で三十分かからない地域にあります。南幌町、ここのところが住民投票で、この一角、ゾーンを福祉と環境のゾーン、これが決まりました。それを使って、福祉と環境をテーマにしたいわば商店街の活性化事業、その中で食物残渣を使った物づくり、そして高齢者の皆さんにおいでいただく、また夏場は、六、七、八の三カ月間、東京で耐えられない暑さ、これを南幌町で受け入れるいわゆる地域間交流、そんなところも考えていくような進め方ができるのではないかなというふうに思っております。

 ぜひ、これから先の農水の行政、新しい一歩に入ったと思っております。コントロールをとるためにも、他省庁との連携を祈念して、質問を終わりにさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

富田主査 これにて安井潤一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部俊子君。

阿部(俊)分科員 自由民主党の阿部俊子でございます。

 本日は、このような貴重な質問の機会をいただきまして、まずお礼を申し上げまして、農林水産政策に関して三十分間質問させていただきます。

 まず初めに、米の生産調整に関連して、産地づくり交付金についてお伺いをいたします。

 これまで、米価の維持を目的に、四十年以上もの間、減反を中心とする米の生産調整が行われてまいりました。しかしながら、現在の若者を中心とする国民の食文化の変化から、米の消費は落ち込み、減反率は全国でも三五%に達しています。各農家には減反政策に対するいわゆる限界感が強いにもかかわらず、むしろ米価は低落傾向にございまして、この十年余りで生産者米価は四割近くも下落しております。

 現行の減反政策は必ずしも米価を維持する機能を果たしておりません。それでも、私の地元岡山などでも米づくりをしている農家の方々が多くいらっしゃいますが、所得が上向かないまま、先祖代々受け継いだ土地を荒らすまいと、人件費すら捻出できない米価で、日夜汗を流していらっしゃるところであります。

 米政策に関しましては、従来、ばらまき型と批判の強かった助成金制度から、産地づくり交付金に見直されまして、これまでの全国一律の助成金額から、地域ごとに自由に単価を決めて助成ができるようになりました。しかしながら、国が一律に品目や単価を決めていたものを、各都道府県や自治体の協議で計画を立て、独自に設定したルールで配分を行うというのは非常によい取り組みのはずだと思う反面、違う考え方も実はございます。

 平成二十年度の産地づくり交付金は一千四百七十七億円でございます。前年度の生産調整や転作作物の種類に応じまして、全額が各都道府県に配分されたところであります。しかしながら、都道府県によっては財源が不足いたしまして、当初予定したよりも助成単価を切り下げる都道府県が出てきましたり、実際には転作が進むほど損失が出るなど、経営が成り立たず赤字に転落した法人もあると聞いています。

 さらに、実際に生産調整の取り組み状況を見てみますと、平成二十年度米に関しましては、約半数の都道府県では実際の作付予定面積をオーバーし、生産調整を達成していないという状況もございます。産地づくり交付金の配分状況と生産調整の成果は必ずしも相関していないところであります。

 農家の所得が安定し、職として農業が自立できるものでなければ、耕作放棄地のいわゆる拡大など、米づくりの崩壊の危機が助長され、今後の我が国の農業は衰退する一方でございます。

 生産調整の方法については、平成二十二年度の食料・農業・農村基本計画の見直しに合わせてまさにこれから本格的な議論が行われていく段階ではございますが、産地づくり交付金について、現行の配分の考え方を教えていただきたいと思います。

本川政府参考人 御指摘のように、産地づくり交付金につきましては、対策の期間中に地域に一定額の交付金を交付して、地域の協議会でそれぞれの地域の実情に応じましてお話し合いをしていただいて、単価だとか使途を決定していただくというような仕組みにしているところでございます。

 この配分につきましては、これまでの各都道府県ごとの、麦とか大豆とか、やはりたくさん作付けているところにはたくさん交付金が必要になりますので、そういうような形での配分でありますとか、あるいは担い手の方がたくさんおられるところには少し多目に配分する、そういったようなことを一つ基準にしております。

 それからもう一つは、都道府県別の生産調整の規模であるとか、あるいは生産調整の実施状況、やはり熱心に取り組んでいただいているところには多く配分をするということで実施をしているところでございます。

 さらに、これは期間中一定ということにしておりますけれども、その期間中にもいろいろと要素が変動してまいります。例えば地域間で転作面積のやりとりをしたような地域間調整を行った場合、こういった場合には若干の調整が必要となってまいりますので、交付額の一部を見直しているところでございます。

 このような配分の考え方につきましては、都道府県にも一応私ども情報提供いたしまして、それぞれの県の中の配分の参考としていただけるようにしているところでございます。

 今後とも、こういう情報提供を十分行いながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

阿部(俊)分科員 ありがとうございました。

 現行の産地づくり交付金の配分の考え方についてお聞かせいただきましたけれども、生産調整に協力する農家が、米価に左右されず、安心感を持って農業に取り組むことができるような政策が私は不可欠であると思っています。

 生産調整に関しまして、生産調整に協力したら協力した分が明確にわかるような方法でなければ、生産調整に対する農家の理解と協力を得るのは非常に困難であると思っています。

 今後は、確実に生産調整の実効性が上がるような形で、まじめに生産調整をした農家の方々に報いるような形で、実効力のある産地づくり交付金の見直しを進めていただきたいというふうに考えるわけでありますが、これに関しまして、政府の御見解をお聞かせください。

本川政府参考人 産地づくり交付金につきましては、今も申し上げましたように、生産調整の実施状況でありますとか、あるいは麦や大豆の作付の動向というものを反映しながら、都道府県に基本的には期間の中一定ということでお配りをしております。

 ただ、これにつきましては、今おっしゃったように、生産調整に一生懸命取り組めば、一定の金額でございますから、当然、面積がふえればその分薄まるといったような問題がございます。このような点を踏まえまして、この二十一年度からは、水田等有効活用促進交付金という、産地づくり交付金とは別に、生産調整を拡大する、転作を拡大するような場合に別途新たに交付金を交付するというような仕組みを設けたところでございます。

 先ほど来御論議があるような麦や大豆、こういうものに加えまして、飼料用の米、あるいは米粉用の米、こういったようなものにも転作が拡大した場合に、旧来のものが薄まることのないように、まじめに取り組んだ方々に報いるような交付金措置をしたところでございます。

 これらによりまして、これからも、きちんと取り組んでいる都道府県をしっかりと支援してまいりたいと考えるところでございます。

阿部(俊)分科員 ありがとうございました。

 今、本当に、先祖からの農地を守るという使命感だけで、人件費すらも出ないまま米づくりに励んでいる方々、そういう方々が、農業をやっていてよかった、まじめに生産調整をしてよかったと思えるような政策をぜひ実施をお願いしたいというふうに思うところであります。

 続きまして、中山間地域等直接支払い制度についてお伺いをしたいというふうに思います。

 中山間地域等直接支払い制度につきまして、何度か農林水産委員会でも質問させていただいたところでございますが、中山間地域に関しましては、日本の国土面積の六五%、さらには耕地面積に関しまして四三%でございます。中山間地域は、自然環境の保全、景観の維持などでもさまざまな点において重要な地域でございますし、我が国の農業、農村の中でも重要な位置づけになっているところでございますが、一方で、耕作に不利な条件から、農業の生産性は低く、農業所得、農業外の所得ともに低い地域というふうになっているところであります。

 このような地域に対しまして、農地の耕作放棄を防止しまして、農業生産に不利な地域における農業生産の維持拡大を図ることを目的とし、平成十二年から中山間地域等直接支払い制度が導入され、ことし三期目を迎えるところであります。

 私の地元の岡山県にも多くの中山間地域が存在しております。これは、耕作に不利な地域といわゆるそうではないところの生産コストの差額を埋めるなど、存続するために、地域を守るための必要経費として非常に重要な位置づけであり、高く評価しておるところでございますが、しかしながら、地元からはこの制度に対して幾つかの声も聞かれておりますので、この場で御紹介をさせていただきたいと思います。

 まず、手挙げ要件の一つとして、対象は、集落の将来像を明確にした活動計画のもとで五年以上継続して行われる農業生産活動等とされています。

 私の地元、いわゆる小規模高齢者集落、限界集落では、うちの若い衆というと大体七十ぐらいの方のことをいいます。ほとんどの方が八十を過ぎている中で、中山間地域を支える方のほとんどが六十五歳以上のときに、五年以上継続してということを言われた瞬間、それまで生きていられるだろうかというふうにまず思ってしまうことがありますので、体力がいつまでもつかわからない、もう年だからという、手挙げができない制度ではなくて、制度を利用することにちゅうちょしている方が多くいますので、ぜひとも、そこをもっと手挙げをしやすい形でやっていただけたらというふうに思います。

 また、地方の中山間地域では、年金生活の方々で農地が保全されているのが現状でございまして、米一俵二万円のときだったら生き残ることができる方々も多くあるわけでありますが、それ以外の方々が大赤字で、年金で農機具を買い、補てんをしながら農業をやっているのが実情でございます。

 今、いわゆる農地の方の条件に関しましても、二段階、傾斜地とそうではないところと分けておりますが、もう少しきめの細かい形で、特に棚田、非常に厳しい条件の中、棚田百選に選ばれているところが私の岡山県美咲町、久米南にもございますが、選ばれて一体何がよかったのかよくわからない、けれども百選だというところを一生懸命プライドだけで守っているわけでございまして、特に谷の合間にあると、いわゆる同じ傾斜地でも、のり面の部分のそこの草刈りが非常に大変であるということもぜひともかんがみた形での、立地要件のきめ細かい配慮を今後ぜひしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 また、三期目の対策を検討していただくところでございますが、ぜひとも、高齢者が手を挙げやすい、高齢化の進んだ現場の思いにこたえた形で見直しをしていただきたいと思うわけでございますが、これに関して御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

吉村政府参考人 中山間地域等直接支払い制度についての御質問でございます。

 この制度は、中山間地域等において農業の生産条件に関する不利を補正するための支援として、傾斜など農業生産条件が不利と認められる一定の農用地を対象に平成十二年度から実施しているものでございます。先生も御指摘ございましたけれども、農業生産活動の継続的な実施、あるいは特に耕作放棄の発生防止、集落機能の活性化等の面で効果を発揮しているとともに、この制度に対する現場の評価も非常に高いものというふうに認識をしております。

 委員から何点か御指摘がございました。

 一つ目の、集落協定に基づいて農業生産活動の継続五年以上ということが求められていることについてですけれども、この要件は、耕作放棄の発生防止という効果を発揮しているという意味から、必要な要件というふうに考えております。

 一方で、委員御指摘のとおり、個々の農業者が高齢化して農業生産活動に継続的に参画することが困難になるということは、これはもちろん現実に起こっていることでございます。そういった場合に、農業者個々の対応では農業生産活動の継続が難しいということでございますので、幾つかの地域では、この直接支払いを活用して、集落全体の共同取り組み活動で補うといったことも行っているところでございまして、そういったことも含めて対応を考えていきたいというふうに思っております。

 また、委員からも御指摘ございましたが、この中山間地域等直接支払い制度、十七年度から二十一年度までの期間がいわば第二期ということでございまして、二十一年度には対策期間が終了するわけでございます。本制度の今後のあり方につきましては、中山間地域が他地域に比べて高齢化が一層進行しているという状況も踏まえて、高齢農業者の方々を含めた地域の皆様の御意見、それから第三者機関の御意見、こういった幅広い議論を踏まえて検討を進めていきたいというふうに考えておりまして、平成二十二年度の概算要求時までには基本的な方向を整理する考えでございます。

阿部(俊)分科員 ありがとうございます。

 非常に厳しい環境の中で、本当に新しい担い手も出ないまま、自分たちの子供も帰ってこない状況で中山間地域を年金を使いながら守ってくださっている方々ですので、ぜひそういう方々に優しい形での見直しをお願いしたいというふうに思います。

 次に、飲用牛乳の価格安定に関してお話をお伺いしたいというふうに思います。

 飲用牛乳に関しまして、清涼飲料水などその他の飲料とのいわゆる競争の中、消費の低迷、大手スーパーの目玉商品として一リットル百円程度の安価で販売されることによって価格の低迷が続いているところでございます。

 昨年春に、トウモロコシを中心とするバイオエタノール生産が急増いたしましたことによりまして、畜産における輸入飼料の世界的な値上げが響きまして、輸入飼料に依存している日本の酪農家に大きなひずみを生じているところであります。

 さらに、昨年秋から、世界的な景気の悪化が日本の消費者の低価格志向を強め、飲用牛乳を初めとするいわゆる畜産物の需要と価格が低迷しているところであります。

 乳価以外のパック代の上昇、さらには流通、生産コスト、こういう上昇から考えますと、酪農経営は成り立たないから酪農を撤退していくという方も実はかなりふえているところであります。

 これに対しまして、ことし一月からは、国内の配合飼料の価格が一トン当たり一万二千円引き下げられました。これは多くの酪農家にとって朗報ではございますが、配合飼料の価格は、飼料価格が高騰する前と比較すると依然として一万三千円程度高い水準にございまして、決して十分な価格ではありません。

 また、三月にも決定される平成二十一年度畜産・酪農対策に関しまして、乳価の十円アップが検討されているところでありますが、乳価の上昇が酪農家の人件費、安定経営につながるものとなることを切に願うものでございます。

 そのためには、スムーズに乳価が引き上げられること、また、単価が引き上げられた後もこの価格が維持されることなど、乳価の上昇が消費の低下につながることがないように、消費者動向などをきちんと見きわめていく必要があるんだと思っています。

 三月の畜産物価格の決定に際しまして、政府としてしっかりと検討していただきたいと考えていますが、それに対して、意気込みをぜひとも聞かせていただきたいと思います。

本川政府参考人 先生御指摘のように、我が国の畜産、酪農につきましては、配合飼料の価格が高騰いたしまして、非常に厳しい一年間を経過してまいりました。

 御指摘のように、この一月から配合飼料の価格は下がったわけでありますが、二年前と比べるとまだまだ高い水準でございます。なかなか困難な状況にあります。

 ただ、畜産につきましては、毎年この時期に翌年の、法律で決められたいろいろな価格水準をどうするかということでありますとか、あるいは支援策をどうするかということを御論議させていただいて、決定をいたしております。

 酪農ということで申し上げますれば、今の飼料高を反映させるために、この三月から十円、飲用乳価を引き上げるということになっておりますけれども、御心配をいただいておるのは、こういう飲用乳価を引き上げたら需要が減退するのではないかとか、いろいろな御心配をいただいております。

 そういうことも含めましてきちんと議論をして、三月上旬には対策の方向を、我が国の畜産、酪農が成り立っていけるような方向をきちんと打ち出してまいりたいと思っております。よろしく御支援を願いたいというふうに思います。

阿部(俊)分科員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 昨年末も、畜産家、酪農家の忘年会に行きますと、来年忘年会ができるかどうかはおまえらにかかっているから頑張れよ、できなかったら君たちのせいだということも言われておりますので、特に飼料高と原乳安のはざまで一生懸命搾乳をしていらっしゃる方々が報われるような、そういう政策をぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 最後に、林業政策に関連して、間伐の推進と国産材の利用促進に関してお話をお伺いしたいというふうに思います。

 森林は日本の国土の七割を占め、そのうちの四割、百万ヘクタールは間伐や枝打ちを必要とする人工林であります。しかし、安価な外材の輸入や、いわゆる山間部の高齢化に伴う林業の担い手不足、不在森林など、手入れをされずに放置されている森林が急増し、山が荒れています。

 森林を守るためには、環境や大気の保全、災害防止という観点から間伐を進めていくと同時に、林業が産業として成り立つために、国産材の流通を促進していくことが緊急課題であるというふうに思っています。

 間伐に関しましては、平成十九年度から六年間で三百三十万ヘクタールの間伐を実施することを目標として、現在、間伐が進められているところでございますが、昨年の五月には、京都議定書森林吸収目標達成のため、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法が制定され、平成二十四年度までの期間において集中的に間伐を推進することとされました。

 この法律に伴いまして、一定の計画に基づき実施した間伐に対しまして、都道府県に対する補助金の直接申請が可能となりまして、国から直接市町村に交付金が交付され、地域の自主性や裁量を生かした森林整備が進められることが期待されるところであります。

 しかしながら、財政事情が非常に厳しい自治体、岡山県も非常に財政が厳しいわけでございますが、財政難に苦しむ自治体では、自治体負担である裏負担ができないことで間伐が進まないという現状もございまして、現在、私の地元岡山県でも間伐が中断しているというふうに聞いています。

 まず、一年間で五十五万ヘクタールという間伐の目標に対しまして、現状で実際の間伐実績がどうなっているかをお伺いしたいと思います。また、この計画の実現には具体的な予算措置が不可欠でございますが、平成二十一年度の予算状況についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

内藤政府参考人 間伐の実施についての御質問でございますけれども、まず十九年の実績でございます。まだ見込みでございまして全体は集計できておりませんけれども、五十七万ヘクタール実施する予定のところを五十二万ヘクタールについては既に実施が完了してございまして、残りの五万ヘクタールにつきましても、平成二十年度には間伐を完了するという予定で進めてございます。

 それから、お問い合わせの二十一年度の予算でございますが、二十一年度の当初予算と、それから二十年度の第一次補正予算とを合わせますと、六百二十億円の予算で実施しております。これはおおむね二十一万五千ヘクタールの追加的森林整備に相当する予算でございまして、合計約五十六万五千ヘクタールの間伐の実施を見込んでいるところでございます。

阿部(俊)分科員 ありがとうございました。

 これからも、かなり景気の悪い中、さまざまな経済政策を出していかないといけないと思いますが、将来役に立つもの、これは私は森林の手入れだと思っておりますので、ぜひとも御一緒にここのところは、特に山が荒れれば逆にCO2を出していくということでございますから、山を荒らしてしまうのは本当に林野関係の方からは国賊であるというふうに言っておりますが、不在森林が多い中、しっかりと予算立てをしながら山の手入れをしていくことが重要であるというふうに思っています。

 次に、国内材における利用促進でございますが、国内で利用されている木材の八割以上が海外からの安価な外材に頼っているところであります。これは、いわゆる山林の過疎化、高齢化に伴う林業従事者の減少が主な原因でございますけれども、このように、国土の七割を占める森林がほとんど活用されていないということは、大変残念なことでございます。

 今通常国会に、地球温暖化防止に貢献する木材利用推進に関する法律案というのが提出されるところでございますが、現在、世界的に問題となっている地球温暖化の防止に主眼を置いた、木材利用促進のための基本理念や、いわゆるその基本事項を定めたものでございます。

 国と地方公共団体における木材の耐久性の研究と国民への周知、利用に関する技術開発の支援、二番目に、木材の利用促進を阻んでいる建築基準法の規制撤廃と緩和、木材を利用した住宅や小中学校、ガードレールの設置や建築に対する支援、木質バイオマスの製品利用やエネルギー利用への支援などが主な柱となっておりますが、これが早期に成立し、国内材の利用が推奨されることが期待されるところであります。

 一方で、資源の乏しい我が国では、植物エネルギーとして間伐材などの廃材を利用した木質バイオマスの利活用、二酸化炭素の吸収源として木材利用に環境対応の観点から付加価値をつけるなど、いろいろな対策によって積極的に利用を推進していく必要があるんだと思っています。

 さらに、景気の悪化などで失業率が過去最高を記録する中、公共事業の一環として山の手入れを進めることは、担い手不足が非常に厳しい中、林業分野の人手解消につながるとともに、失業者の緊急の雇用対策につながることが大いに期待されるところであります。

 一部の自治体などで、既に、失業者を対象とした林業分野への再就職支援やいわゆる職業訓練などの取り組みが行われているところでありますが、実際の雇用に結びつくことはなかなか困難であるという状況も聞いているところであります。

 国内材の利用促進に関連いたしまして、これらに対する政府としての取り組み、お考えについてお聞かせください。

内藤政府参考人 木材は、御指摘のとおり、CO2の吸収、貯蔵ばかりでなく、加工に必要なエネルギーも低いといった、そういう特性を持った、地球温暖化の防止に貢献する資材でございます。したがいまして、その利用を促進するというためには、消費者、国民の理解が必要なわけでございますけれども、その上でも、木材の利用による環境貢献度をわかりやすく国民に示していくということが重要と考えております。

 そのためには、まず、こういった木材の環境貢献度を客観的に数値化する必要があるわけでございまして、林野庁では、有識者による検討会を開催しまして、こういった客観的な、データによって評価する手法を現在検討しているところでございます。今後は、この評価手法を踏まえまして、環境貢献度を実際に評価しまして国民にわかりやすく示していくための仕組みを早急に構築していきたいと思っております。

 また、例えば、木質バイオマスの利用としまして、化石燃料ボイラーから木質バイオマスボイラーに転換するということも重要なわけでございます。このようなボイラーの転換を積極的に支援するとともに、この排出削減の取り組みを山村地域の収入にも結びつけたいというふうに考えております。

 このため、二十一年度予算におきまして、昨年始まりました排出量取引、それからカーボンオフセットの枠組み、こういったものを活用しまして、山村におけます木質バイオバスの利用による排出削減の取り組みと企業あるいは民間からの資金協力を結びつける仕組みを構築してまいりたいと考えております。

阿部(俊)分科員 ありがとうございます。

 私のところは、本当に山村、いわゆる森林に囲まれたところでありますが、荒れた山の中、間伐材がその辺に転がっているにもかかわらず、公民館では石油ストーブをたいているという実態がございます。まず木を切る人がいない、新しいストーブを入れる余力がないという中で、いわゆる森林のカーボンオフセット、さらには環境に対する貢献度が可視化されるということによって地域コミュニティーの収入になっていく、これは本当に、森林を周りに持ちました中山間地区を活性化するには重要なことであるというふうに思います。これとあわせて、日本の林業を守っていくための国産材の利用促進、これをぜひ進めていただきたい。

 今、環境の観点から間伐などが言われておりますが、やはり本家本元の木がしっかりと売れるということがまず第一でございますし、それに山を守っていくのは、私自身もいわゆる下刈りをさせていただいた経験が何度かございますが、本当に倒れるほどつらい中でやっていくわけでございますから、山を守るということの本当に厳しさを、そのことがしっかりと報われるような、一生懸命頑張って山を守っている方が報われる、そういう政策をぜひともお願いしたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。本日はありがとうございました。

富田主査 これにて阿部俊子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

富田主査 環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。斉藤環境大臣。

斉藤国務大臣 平成二十一年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。

 現在の環境の状況について概括すると、IPCCが地球温暖化は疑う余地がないと断定しているように、地球温暖化対策については待ったなしの状況にあります。

 また、我が国の自然環境についても、人間活動の負荷の増大とともに、逆に、必要な管理が行われなくなっていることや外来生物の影響もあり、危機的な状況にあります。

 さらに、激しい経済情勢の変動が循環資源を含む資源の需給に大きな影響を与えており、将来に向けて安定的に資源を利用できる循環型社会の構築が不可欠になっています。

 このような状況の中、環境省としては、低炭素社会日本、低炭素の世界の実現、自然と共生する社会の実現、資源を繰り返し生かす循環社会への転換を進めるとともに、政府の基本的な役割として、安心して暮らせる安全で豊かな環境の確保に向けた取り組みを進めていきます。

 また、現在の経済状況も踏まえ、環境と経済がともに向上、発展するようにという方向性を持ちながら、予算案の検討を行ったところです。

 また、平成二十一年度予算については、厳しい財政状況を勘案して、例年にも増して、真に必要な施策に重点化して予算を計上するように努力いたしました。

 平成二十一年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立ってまとめております。

 一般会計予算では、総額二千百六十二億八千六百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に一般会計から三百六十五億円の繰り入れを行い、総額として四百十九億七千百万円を計上しております。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策につきましては、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

富田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま斉藤環境大臣から申し出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。馬渡龍治君。

馬渡分科員 自由民主党の馬渡龍治でございます。

 今回は、動物行政、特に動物取扱業のことについて幾つか質問させていただきたいと思いますが、その前にお礼を大臣に申し上げたいと思います。

 このたびの平成二十一年度予算の中に、その譲渡を促進するための予算を組んでいただきました。まだ額は少ないんですが、画期的な第一歩を踏み出したのかな。これについては、後ほど政務官にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

 この十年間で犬猫の殺処分の数が約七十万余から三十万ちょっと、半減をしたことになりますが、それでもまだ三十万を超える命が殺処分という形で失われています。マハトマ・ガンジーは、その国の偉大さ、道徳的発展は、その国の動物の取り扱い方でわかる、このように述べられました。日本も先進国と呼ばれるようになって半世紀近くなりましたが、この点だけとらえると、まだまだ動物関連の行政に力を入れていただきたいな、そんな思いのもとにちょっと質問させていただきたいと思います。

 この犬や猫の殺処分の数を減らしていくように努力するということは、国家としての成熟度を示す一つの指標になるのかな、そしてこれは、子供たちへの教育に対しても大変な影響力があるんじゃないか、そう思います。

 私は、二年前に、自民党で初めて動物愛護と適正管理を求めるための議連をつくらさせていただきました。きょうここに御臨席の小池百合子元環境大臣も一緒に参加をしていただいて、動物行政を取り巻くいろいろな課題に取り組みながら、幾つか、少しずつですが前進をしてきたかな、そう思う次第であります。

 先ほど申し上げましたように、今国会で、譲渡のために自治体を後押ししていく、その施設補助費、一億円という額ですが、これが早く決まるように私望んでおりますし、このような方向になったことを心から感謝申し上げます。

 この補助金をとらえて、その内容と御決意を古川環境大臣政務官にお述べいただきたいと思います。

古川大臣政務官 馬渡委員におかれましては、今御紹介いただきましたように、動物愛護に関する議員連盟ということで、かねてより動物愛護の観点から熱心にお取り組みをいただきまして、感謝申し上げます。今回の新しい補助金につきましても、大いなる御支援をいただきまして、この場をおかりしましてお礼を申し上げたいというふうに思っております。

 御指摘いただきましたとおり、飼い主から引き取りを依頼され、そしてスムーズに譲渡先等が得られなかったということで殺処分に付される犬と猫が、現在におきましても三十万匹おるということでございます。これを、やはりおっしゃいましたように国家の成熟度のバロメーターでもあろうということから、環境省としましては、平成二十九年までにさらにこれを半減させるんだという目標を立てまして、今回の補助金を計上させていただいたということでございます。

 具体的に内容を申し上げますと、各自治体の動物愛護センター等収容施設がございますけれども、そこでできるだけ譲渡がスムーズに行われるように、あるいは、そこに殺処分にされるにしても、残りの命をやはり良好な環境で犬や猫が全うできるように、その改善ということを目的としまして、その犬猫の保管のための施設の新築、改築、改修や、譲渡のための専用スペースの設置を支援対象といたしております。

 ガンジーの言葉にありましたように、動物、ひいては自然との接し方、自然との共生、こういう我が国の本来日本人が持っておる心を、きちんとしたペット等の動物愛護というものが行われますように、今後とも努めていきたいと思っております。

馬渡分科員 ありがとうございました。

 狂犬病予防法には三日間の収容期間というのがありまして、自治体によってはそれを延長する動きがありますが、そこでどうしても収容施設とえさ代、これがネックになるようで、今回のようなこういう予算を計上していただくとその譲渡が促進できるのかな。まことに喜ばしいことだと思います。

 さて、二〇〇五年に動物愛護法が改正をされまして、ペットショップやブリーダーなどの動物取扱業が登録制となりました。これによって、違反した業者は営業停止までできるような内容だったと思いますが、これまでなかったものが二〇〇五年にできたということは、適正な飼養を動物業者に求めていく上で本当に確実な一歩を踏み出したかな、そう思うのであります。しかし、つい最近では、広島のドッグぱーくや大阪のブルセラ症事件や、ことし二月には福岡で二十三頭の犬が餓死したという事件が各地で相次いでおりまして、ここの点について法律、基準を遵守していくように、ぜひ環境省としてしっかりと対応していただきたいな。

 昨年、環境委員会で質問をした内容で、国民生活センターなどに最近ペットを取り巻く苦情がかなり寄せられていて、例えば、買ってすぐに病気になったり、ずっと最後まで獣医に診ていただかなきゃならないような状況があったり、細かいものを挙げたら相当な数だと思うんです。当時の自然環境局長に、それをしっかり調べて対応していただきたいというお願いをしたことがあります。いまだにこれには、買ってすぐに安楽死をさせなきゃならないとか、民事訴訟までなっているような、大ごとになっているようなこともありますので、このようなトラブルはいろいろこれから調べていただいて、ぜひ国としてそういった情報をきちんと取りまとめていただきたいな。

 ですから、そういった件数とか内容を、今多分すべてを把握していないと思います。これからそういう内容も含めて、環境省と、これはもう一つは内閣府になるんでしょうか、ここがしっかりと連携をとって行政に生かしていただきたいな、そういうお願いをしたいんですが、この点についてどのようにこれから取り組んでいただくのか、お聞かせいただきたいと思います。

黒田政府参考人 環境省では、ペットショップなどの業者のトラブルに関してこれまでも、内閣府が所管する国民生活センター、また、各地の消費生活センターと情報交換等を行ってきているところでございます。

 今後ともこうした情報交換、一生懸命密に行うようにしまして、その結果を取りまとめて、また都道府県と情報共有をする、こういうようなことを進めまして、動物取扱業者への指導を初め、動物愛護管理法全体の運用が円滑に進むように努力してまいりたいと思います。

馬渡分科員 ぜひ適正に御指導いただくようにお願いいたします。

 動物愛護法の施行規則第八条の「遵守基準」によりますと「販売業者にあっては、離乳等を終えて、成体が食べる餌と同様の餌を自力で食べることができるようになった動物」、これは「哺乳類に属する動物に限る。」ようでありますが、これを「販売に供すること。」とあります。また、環境省の告示には、動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目では、幼齢な犬、猫などの社会化、これは、その種特有の社会行動様式を身につけ、家庭動物や展示動物などとして周囲の生活環境に適応した行動がとられるようになってから販売をすべしということなんですが、その健全な育成及び社会化を推進するために、やはり、適正な期間、親や兄弟などとともに飼養または保管することを定めています。欧米諸国の中では、生後八週間を経ない動物の販売を法律で禁止しているところもあるようです。

 しかし、日本のペットショップでは、この社会化がなされるべき時期に親兄弟から引き離して店頭に並べるため、その動物の心身の育成に支障を来すことがあり、そのことによって飼い主が犬の病気や問題行動に悩まされることがしばしばあると指摘されています。

 幼齢動物の販売規制についてさらに強化すべきではないかと思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

黒田政府参考人 今お話がありましたとおり、生まれて間もない幼齢動物につきましては、第一に、飼っている飼養環境の変化や輸送などに関する耐性が低いこと、第二に、先ほどお話しになりましたとおり、その種、つまり、犬や猫特有の社会行動様式を身につけたり生活環境に適応した行動を身につけさせる必要がある、こういうことから、生まれてから一定程度の日数に達するまでは親兄弟などと一緒に飼う必要がある、こういうふうに言われておるところでございます。

 このため、動物取扱業者に対しまして幼齢動物の販売の際の遵守基準というものを示しておるところでございますが、八週齢というその数値基準につきましては、種による違いや科学的根拠をさらに検証していく必要があろうかというふうに考えておるところでございます。

 環境省といたしまして、今後、動物の販売、流通の実態の把握をまず行いまして、科学的な根拠を検証して必要な対策というものを考えていきたいと思っておりますし、引き続き、広く国民一般に、幼齢動物の虚弱性、あるいは社会化が必要である、こういうことの周知を図っていきたい、このように考えております。

馬渡分科員 幼齢の犬がしっかりとした社会化を身につけていないと、とても家庭で飼えるようなペットとして適さないようになるようです。

 よく皆さん方がペットショップへ行かれると、同じ犬でも年をとっていくとどんどん値段が安くなっていって、最後にはこれを大量に殺処分してしまう業者もいるようです。私、動物愛護団体の方々に、そのようないわゆる純血種という、雑種ではない高価な犬だからいただいてきたらどうですかという話をしたときに、訓練をしっかり受けていないで社会化されていない犬は、家で飼っても、凶暴だったり要するに扱いにくいものになっているので、それを受ける人が本当にいないようなんですね。だから、多分その年齢というのは大切なことなんだと思いますので、ここのところをよく諸外国の例も検討の中に入れていただいて、日本の国としてある基準を打ち出していただければありがたいと思います。

 環境省の告示では、遺伝性疾患についても述べています。これは、「動物を繁殖させる場合には、遺伝性疾患等の問題を生じさせるおそれのある動物、幼齢の動物、高齢の動物等を繁殖の用に供し、又は遺伝性疾患等の問題を生じさせるおそれのある組合せによって繁殖をさせないこと。」と定めています。純血種の犬は、実は近親交配が多いためにいろいろな遺伝的な疾患を持つこともありますし、本当に弱い。そういうことが起こり得るのです。

 こういったところはきちんとした知識と経験を持った人がその繁殖に当たって、実際に店頭で売られる場合には、健全な、健康な犬が販売されるようにぜひそこも検討していただきたいと思うんですけれども、実は、時々はやりがあります。ある犬がはやって、それを物すごい勢いで繁殖させて販売していることが何度かありました。テレビの影響だとかでチワワが相当もてはやされたこともあります。今はほとんど売れていないようなんですけれども、そのように、やみくもに大量に繁殖させて売ることがあるんです。

 またもう一つは、多頭飼育、一つ一つの個体に対して適正な飼養ができない状況の劣悪な環境の中で繁殖をさせられたり飼養を受けている犬、猫がいますが、こういったものに対しても、このずさんな状況を是正するために、その繁殖業者に対してもさらなる規制の強化が必要ではないかと思いますが、そこのところの所感をお聞かせいただきたいと思います。

黒田政府参考人 動物愛護管理法に基づきまして、動物取扱業者が遵守すべき事項として幾つか掲げておりますが、動物を繁殖させる場合には、先ほどお話しのありました遺伝的疾患について、そういうものが生ずるおそれがないような繁殖をさせるとか、あるいは、飼っている飼養施設の構造、規模あるいは職員の数、こういうようなものも勘案して繁殖回数を適切にする、こういうような基準を定めておるところでございまして、各自治体で、こういうものを踏まえまして、繁殖を行っている取扱業者に対してしっかりと指導を行っている、こういうふうに考えておるところでございます。

 それから、先ほどお話しのありました業者の経営破綻というような問題がしばしばございまして、例えば、そういうことによって多数の犬、猫の遺棄というような問題が生ずる。こういう問題を防ぐために、やはり、早い段階から情報収集をするなりして業者を指導して動物の譲渡を促していく、こういう対策をとっていくことが大事だ、こういうふうに考えておりまして、各自治体に対して、こうした面でも早期対応の重要性を呼びかけて実施の働きかけをしているところでございます。

 環境省といたしましては、繁殖を業とする者が動物取扱業者として適切な飼養あるいは管理を行うように、自治体あるいは関係する動物愛護団体、こういうようなものも通じて指導要請というものをしっかり今後も強化していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

馬渡分科員 動物虐待の中でパピーミルという言葉があります。これは子犬製造工場みたいな訳なんでしょうけれども、狭いケージの中に雌犬、母犬が入れられていて、とにかく産めるだけ産ませる。最後の写真を私見たことがありますけれども、もう本当にぼろぼろになって死んでいく。そういった状況があるようなんです。

 確かに、これをなりわいとしている方々はこれによって利益を出さなきゃいけないんでしょうけれども、余りにもお金ということが先に立って、命あるものを粗末にしているようなところがありますから、日本の国はそういった命を大切にするDNAが民族にしっかりと組み込まれている国ですから、そこのところをもう一度世界に先駆けてこれからもどんどん動物行政を発展させていただきたいな、そう思います。

 ところで、インターネットで販売している業者がふえてきています。環境省の告示では「動物取扱業の実施に係る広告については、次に掲げる方法により行うこと。」「氏名又は名称、事業所の名称及び所在地、動物取扱業の種別、登録番号並びに登録年月日及び登録の有効期間の末日並びに動物取扱責任者の氏名を掲載すること。」としていますが、実は、まだこれは完全に周知徹底されていないようで、インターネットを開くと、このことが欠如しているところがあります。その業者さんたちは、特定商取引法第十一条に基づく表示のみ掲示していて、実は、動物取扱業の登録にかえている場合もあります。

 こういった掲示義務が周知徹底されていない状況の中で環境省としてこれからどのように取り組んでいただけるのか、お聞かせください。

黒田政府参考人 インターネットの通信販売についてのお尋ねでございますが、そういったものが不適正な形で行われないようにということで、環境省では、ペットの関係団体などを通じまして、先ほど御紹介にありました動物取扱業者の登録に関するいろいろな事項につきまして、広告にきちんと表示する、いわゆる標識の掲載というような言葉を使っておりますが、こういうようなことを含む基準の遵守について、これまでもそういうペット関係団体などに要請をしてきたところでございます。

 また、個別に、これは基準に違反しているのではないか、こういうことが疑われる事例に接した場合には、例えば環境省から関係の自治体に情報提供を行う、こういうようなことをしまして、業者に対して改善指導がきちんと行われるように促しているところでございます。

 今後ともこういう対応をしっかり行っていきたいというふうに考えておりまして、動物取扱業者に関する基準というものがきちんと遵守されるように、今後とも周知徹底に一層力を入れていきたい、このように考えております。

馬渡分科員 これから新たに犬や猫を購入しようとする消費者にしてみると、一体どこのお店がよくて悪くてというのがわからないわけで、そうなると、業界の皆さん方の自発的な行動によって、適正な交配とか繁殖とか飼養とか販売の環境が、どういう基準をつくるのかは今はぱっと言えませんけれども、適正に行われている、そういったことをペットショップに表示するような、何というんでしょう、マル適マークとかマル優マークとか、これを環境省の指導のもとにバックアップしてできないものかな、そうするとトラブルも少し減るんじゃないかな、そういう思いがありますが、これについてどのようにお考えになられますか。

黒田政府参考人 ペットの関係業界が、すぐれた施設であるとかあるいは事業であるとか、こういうものを自主的に検査したりあるいはそれを認定する、こういったような取り組みというのは、動物取扱業者のさらなる適正化というか、よい方向に進んでもらう、こういう意味で一定の効果が期待される、こういうふうに考えておるところでございます。

 今後、こうした業界の自主的取り組みについて具体的な話があれば、環境省としては適切に助言を行うなど応援をしていきたい、このように考えておるところでございます。

馬渡分科員 質問は以上なんですけれども、ちょっとお願いしたいことがあります。

 動物の虐待とは一体何をやったら虐待なのかというのが、ずっと私の中でも一つのテーマでありました。三年ほど前に練馬のペットショップで、小鳥の死骸が玄関にあったり、狭い水槽の中に鳥が何羽か飼われていたり、入るだけで異臭がして、近所の方たちが警察に言うと、それは区役所の仕事だ、区役所に言うと、それは警察の仕事だと言って、結局どこに言ったらいいかわからない。何かここ最近、それを見つけたら連絡くださいみたいなアイデアがあるということをお伺いしたんですが、一般の市民が虐待を見つけたときに、どこに連絡をしたらいいのかということをまずはっきりさせていただきたいのがあります。

 もう一つは、命あるものを、ただお金お金、その目的だけで商売をやっているところがあって、これは私は確かめたわけじゃないんですけれども、夜中までやっているショップで高価な犬を買っていく人がいる。後日それをまた持っていくとお金にかえるみたいなものもうわさとして聞いたことがあります。要するに、繁華街で一緒についていってもらって買ってもらって、その買ってもらった人がまたそこに持っていってお金にするという、これはあくまでもうわさの段階で、確かめていませんが、そういうのも聞いたことがあります。

 ですから、今までの質問は、取扱業者に対してのいろいろな規制強化のお話をお願いさせていただきましたが、一方で、飼う立場、消費者の方にもいろいろと責任があるんじゃないかな、そう思います。ですから、環境省として、適正な犬や猫、ペットの飼養のあり方について、何かの形で教育をしていただくような環境づくりも必要なんじゃないかな。

 昔、私が犬を飼っていたころに、おなかの中に虫がいることはしょっちゅうあったことで、今、買ってきた犬に寄生虫がいると、大変な勢いで苦情を言う方もいらっしゃるようでありますし、その個体個体のそれぞれの特性もあるのに、何か消費者がある枠にはめて、それを外れると苦情の対象になるところもあるようですから、ここは、取扱業者と、そしてそれを飼う人たちの、しっかりとした、適正な飼養を目指した気持ちがなければうまくいかないことだと思いますから、動物の行政を取り扱う環境省の皆様方におかれましては、ぜひとも、管理のための教育もちょっと心がけていただくようにしていただいたらありがたいな、そう思います。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田主査 これにて馬渡龍治君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十日金曜日午前九時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十一分散会


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