衆議院

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第2号 平成21年2月20日(金曜日)

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平成二十一年二月二十日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席分科員

   主査 富田 茂之君

      小里 泰弘君    小池百合子君

      斉藤斗志二君    野田  毅君

      広津 素子君    筒井 信隆君

      三日月大造君

   兼務 吉田  泉君 兼務 赤羽 一嘉君

   兼務 高橋千鶴子君

    …………………………………

   農林水産大臣       石破  茂君

   環境大臣         斉藤 鉄夫君

   農林水産副大臣      石田 祝稔君

   環境副大臣        吉野 正芳君

   環境大臣政務官      古川 禎久君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           寺西 達弥君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       石塚 正敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         針原 寿朗君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         實重 重実君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            町田 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           竹谷 廣之君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  本川 一善君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            吉村  馨君

   政府参考人

   (水産庁長官)      山田 修路君

   政府参考人

   (気象庁地球環境・海洋部長)           小佐野愼悟君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 柏木 順二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   谷津龍太郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

   環境委員会専門員     吉澤 秀明君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  斉藤斗志二君     小里 泰弘君

  野田  毅君     広津 素子君

  筒井 信隆君     三日月大造君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     斉藤斗志二君

  広津 素子君     野田  毅君

  三日月大造君     筒井 信隆君

同日

 第二分科員赤羽一嘉君、第四分科員吉田泉君及び第七分科員高橋千鶴子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

富田主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 石破大臣、石田副大臣におかれましては、連日の御公務、大変にお疲れさまでございます。きょうもまた早朝から、よろしくお願いいたします。

 特に、石破大臣におかれましては、本当に、この日本の農政を改革していこう、こういった御意欲のあらわれる御発言を賜っておりますし、私も神戸市の選出でございますが、北区という選挙区のところには、六甲山の裏側で相当の近郊農家が所在しております。しかし、その政令都市の近郊農家ですら、週末よく訪問させていただくんですが、正直言うと、平均年齢七十歳以上の実態でありまして、ざっくばらんに言うと、五年後に本当に農業が成り立つのかな、こういったことを大変心配をしております。

 私は、日本で農業をやりたいという青年はこれから出てくると思いますし、現在も現にいると思いますが、就職をする会社がないと。農業をするためには、農家に生まれるか、農家に生まれたお嬢さんと結婚するしかない。これは、やはり産業として将来性は本当にないと。ここはやはり、これまで日本の農政が引きずってきた経緯はあると思いますが、だれかがしっかり中興の祖として改革をしなければ本当に日本の農政は成り立たなくなるということはだれもが共有していることだと思いますし、これまでの歴史的なしがらみを断ち切って、ぜひ石破大臣のときに日本の農政の改革の方向づけをしっかりとつけていただきたい、こう思うわけでございます。

 まず、麻生総理を初め我が党もなんですが、食料自給率五〇%を目指すということが大変スローガンになっております。私は、この食料自給率、農林水産省が作成した基本計画は、平成二十七年にカロリーベースで食料自給率たしか四五%を目標に掲げてあったはずでございます。当時、その説明を聞いたときにも、率直に言って、この四五%を平成二十七年というのは大変難しい数字だ、こういうふうに言われていたように記憶をしております。

 しかし、それが、これは政治の勢いというか、五〇%なんだ、こういうことをどの政党も、どの政治家の口からも言われて、農林水産省として、このカロリーベースの食料自給率を五〇%という目標に変更したのかどうか、この辺の事実確認と、もし変更したのであるならば、その目標を変更した背景と、当然積み上げた数字でしょうから、それに至る根拠の部分というのをぜひ御答弁いただきたい、こう思います。

針原政府参考人 御説明申し上げます。

 今、四五%、五〇%という数字が先生から出ましたので、その御引用になった基本計画をまず御紹介したいと思います。

 平成十七年三月二十五日の閣議決定でございますが、そこにおきましては、「基本的には食料として国民に供給される熱量の五割以上を」、ここでもう五割というのは出ております、「国内生産で賄うことを目指すことが適当」。一方、「この目標が望ましい食生活や消費者ニーズに応じた国内生産の指針としての役割を有する」、こういうことを踏まえますと「実現可能性を考慮する必要がある。」と。したがいまして、計画期間内に重点的に取り組む事項、あるいは将来の食料消費の姿、農業生産の努力目標、それを踏まえた目標として、平成二十七年度四五%ということになっております。

 そういった中、近年、穀物の国際価格が高騰するなど、世界的な潮目の違いといいますか、変化が生じておりますので、昨年九月、麻生総理が五〇%の食料自給率を目指すということを表明されております。それを受けまして、昨年十二月、おおむね十年後に自給率五〇%になったらどういうイメージになるか。例えば、麦は九十万トンを百八十一万トンにする、そういうイメージは私どもも公表しているわけでございます。

 この基本計画につきましては、今改定作業を進めております。来年三月をめどに改定すべく、現在、関係審議会において審議が開始しております。この五〇%のイメージの妥当性、可能性も含めて、今検討している、そういう状況でございます。

赤羽分科員 どうもありがとうございます。

 今こういう質問をしておきながらなんなんですが、実は私は、このカロリーベースの食料自給率ということそのものにそれほど意味があるのかないのかと率直に思っております。というのは、昭和二十年代の食生活と現代の食生活というのは全く違うわけでありまして、御存じのようにカロリーベースですと野菜は全くカウントされない。野菜ばかり食べている人というのは、食料自給率と全く関係ない世界なんですね。

 これは非常に矛盾に満ちていまして、農水省の人がよくレクに来て説明をして、ちょっと話は飛びますが、私は小麦なんか日本でつくるべきじゃないという論理に立っているんですが、いや、それをしないと食料自給率が達成できませんからなんて言うんですよ。それは本末転倒の話だろうと。食料自給率を上げるために無駄なことをするみたいな、このカロリーベース食料自給率五〇%ということが余りにも先行すると、私は本質を見失ってしまうんではないかと率直に思っております。

 きのう御説明いただいたときに、食料自給力、やはり結果として食料自給率が上がる、自給力を高めるという、日本の農政の体力をつけるということが大事なのであって、食料自給率を上げるなんというのは、それが目標になっては、すごく誤解のある言い方ですけれども、非常におかしな話になっていってしまうんじゃないか。食料自給率を上げるだけだったら、全員に米を食えと。日本の国民がみんな朝から晩まで米ばかり食べていれば食料自給率は格段に上がるわけで、それが望ましい姿ではないはずなわけですね。

 ですから、私、食料自給率の場合、価格をベースにして表記すると今はもう六十数%ですし、やはり野菜なんかも入れた食料自給率ということを見るような方が少しフェアなんじゃないかと。これは、カロリーベースの食料自給率というのは、政治の責任も随分あると思うんですけれども、本当にまじめな議論をして、まじめな目標を掲げていただきたい、こう思うわけです。

 来年の三月、基本計画を改定するということでありますが、そこを念頭に置きながら、石破大臣として、この日本の農政の目標の定め方というのを、細かい話は結構ですけれども、今の私のやりとりの中での御感想とか御決意を聞かせていただきたい。

石破国務大臣 同感です。

 私は、農林水産大臣になって以来、気をつけていろいろなことを申し上げているのですが、自給力ということと、その結果として自給率という言い方をいたしております。

 委員おっしゃるように、みんな米を食べればいいわけですよ。一日一ぜん食べれば八%上がるわけですから、もし仮に朝昼晩もう一ぜんずつ食べてくれれば、八、三、二十四で二四%上がるわけですよね。あるいは、昭和三十年ぐらいの食生活になれば、自給率八〇とかその辺までいくわけですね、七〇ちょっとかな。

 つまり、国民の食生活が貧しくなって、自給率が上がって、政策目標が達成された、めでたしめでたしなんというのはそれこそ本末転倒の最たるものでありまして、私、むしろ委員が冒頭おっしゃったように、基幹的農業従事者の六割が六十五歳以上になりました、十年前は五十五歳以上でした、二十年前は四十五歳以上でした、このまま延ばすと十年後は七十五歳以上というようなことになるわけで、農地はどんどん減っているわけで、生産額はどんどん落ちているわけで、所得は落ちているわけで、そうすると、本当にこれは産業として次の時代にあるんですかと。自給率というものを自己目的にして、そのためにいろいろな政策を積み上げていくというのは、どこかにひずみとか間違いが出やしないかというのがずっと基本的な認識としてあるのです。

 ですから、問題は、自給力、そしてそれを構成するがところの人、金、物というのか、農地であり、農業従事者の構成であり、そしてまた生産額、所得であるということだと私は思っております。

 ですので、金額ベース、あるいは重量ベース、穀物ベース、カロリーベース、いろいろな計算方法がありますが、とりあえず人間が生きていくということでカロリーベースを置いておりますが、私は、では本当に何を政策目標として設定をするかということについては、本当に委員と真摯な議論をしながら、日本農政というのをきちんとした方向に持っていかないといかぬのだという認識を強く持っておるところでございます。

赤羽分科員 どうもありがとうございます。

 また、ちょっと誤解があったらいけないんですけれども、私はやはり、日本は、日本の農地というか耕作地は米が一番適している、ですから米はどんどんつくらせるべきだと。ですから、私は減反政策も見直されて当然だと思います。しかし、一方で、食生活というのはバラエティーになっているんだから、あるべき姿の改革案をぜひ出していただきたい、こう強く思うわけでございます。

 次に、私がずっと長らく取り上げてきたBSEの問題に移りたいと思います。

 BSEの問題、あれだけ大騒ぎしているのにほとんど何も、皆忘れたかのような状況になっておりますが、行政としてはまだまだ決着がついていないところもございますので、改めて事実関係を確認させていただきたいと思います。

 きょうはまず、厚生労働省も来られております。二〇〇一年十月から世界で類のないいわゆる全頭検査をされて、これは二千何年でしたか、途中から二十一カ月の月齢以上を対象とした検査が進んでいるわけでございます。多分もう八百万頭近くの検査をされていて、それなりのデータが蓄積されておると思いますが、きょうお聞きしたいのは、その中の感染牛の状況です。

 三十六頭、多分これまで感染牛として出ておりますが、何か日本というのは、感染牛が出ると危険だとか、まだまだ安全じゃないみたいな話、これは全くナンセンスだと私は繰り返し申し上げておるわけでございます。農林水産省が二〇〇一年の十月からえさの飼料規制を相当やっているんですね。私は、三井物産で飼料原料部だったので、一番詳しい国会議員だと思いますが、全くコンタミが起こらないようなことをやっているわけです。

 ですから、私、確認したいのは、二〇〇一年の十月の飼料規制以降に生まれた牛で、BSEの感染牛として判明したのはどのくらいあるのか。私の認識では、二十一カ月と二十三カ月という世界で例のない二頭だけだというふうな認識でおりますけれども、その点だけ厚生労働省から。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 平成十三年、二〇〇一年の十月からこれまで、本年の一月までの間に実施しました検査件数は、九百二万五千三百七十二頭を対象として検査を実施したところでございます。

 この検査において発見されました牛の総数は二十一頭となっております。このうち、先生お尋ねの、二〇〇一年、平成十三年の十月以降に誕生したものは二頭でございます。この内訳としましては、平成十三年十月十三日に生まれて、平成十五年の十月にBSEと診断された二十三カ月齢の牛が一頭と、平成十四年の一月十三日に生まれ、平成十五年の十一月四日にBSEと診断された二十一カ月齢の牛、合計二頭でございます。

赤羽分科員 その二頭だけだということが確認されました。

 この二頭も実は大変グレーな二頭でして、これも厚生労働委員会初め何回か質問しておりますが、異常プリオンと認定された量は、ほかの感染牛で発見された異常プリオンに比べて千分の一とか五百分の一という大変微量だったということなんですね。

 そこで、私なんかも質問しまして、これはやはりマウステストをしなきゃいけないと。もう三年以上やっていたはずなんですが、この異常プリオンは伝達性、感染性があるかないかという検査がされていて、これは感染性は認められなかったという結果が出たと認識をしておりますけれども、その点について確認をお願いしたいと思います。

石塚政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

 具体的に申し上げますと、平成十七年度から平成十九年度までの間に実施されました厚生労働科学研究におきまして、二十一カ月齢及び二十三カ月齢の二頭のBSE感染牛の脳材料を使用しまして、異常プリオンたんぱく質の伝達試験を実施いたしましたが、いずれについても実験動物に対する伝達性が確認されなかったところでございます。

赤羽分科員 どうもありがとうございます。

 これはやはり、そういう意味では、日本国内のBSEの安全対策というのが相当効果を上げているということだというふうに私は思います。

 加えて、では、世界はどうか。そもそも、BSEというのはイギリスとかヨーロッパから始まったわけでございますけれども、これもちょっと確認したいんですが、私が聞いている話では、EUでは、BSEの感染牛の平均年齢というか月齢が、二〇〇二年には七十カ月だった、ところが今、五年たった二〇〇七年にはこれが九十二カ月だと。当然、ヨーロッパも安全対策が進んでいるので、その安全対策以前の牛で感染牛が出ても、安全対策が進んだ後、若い牛からは出てこないというのがデータとして出ている。

 そういう事実を踏まえて、加えて、ヨーロッパの飼料規制も進んでいるということから、二〇〇九年の一月、本年の一月から、ヨーロッパ、EUの検査年齢が三十カ月以上だったのを四十八カ月以上に変更した、こういうふうに伺っておりますが、この決定は事実でしょうか。

石塚政府参考人 お答えいたします。

 昨年十一月のEU委員会決定に基づきまして、二〇〇九年、本年でございますが、一月一日以降、従前よりEUに加盟しておりました十五カ国においては、四十八カ月齢を超える健康牛に限定してBSE検査を実施することが認められているものと承知いたしております。

赤羽分科員 ヨーロッパもEU諸国も、そういったリスクの低減によって検査の方法を変えている、検査の対象を変えているということが明らかになったということであります。

 ちょっと農水省に確認をしたいんですが、我が国では二〇〇五年の八月から、この検査対象を月齢二十一カ月以上に変更いたしました。同年の十二月から、それまで輸入禁止としていました米国産の牛肉も二十一カ月未満に限って輸入が始まったわけですけれども、これは私の想像では、二十一カ月といっても相当限定的なんですね。

 ですから、恐らく米国産の牛肉、最盛期に輸入されていた輸入量よりまだ相当シェアとしては低いと思いますが、現在の米国産の牛肉の輸入量は、かつての、従前と比べてどのぐらいの割合になっているんでしょうか。これは食料供給という意味合いで農水省の大事な仕事だと思いますので、確認をさせていただきたいと思います。

本川政府参考人 米国産の輸入量につきましては、我が国のBSE発生直前の平成十二年が最も多うございまして、三十四万八千トンが輸入されておりました。現在のところ、平成二十年の米国産輸入量は五万四千トンになりますから、十二年の輸入量の約一六%にとどまっておるという状況でございます。

赤羽分科員 私、米国産の牛肉の話で、いつもこの質問でも話すのですけれども、おかしいんですよね。日本人で、国内で食べられない、米国産の牛肉は制限があると。その日本人がアメリカに行くと平気で食べるわけですよ。

 民主党のある議員が議員立法を出したときに危ない、危ないと言うから、あなたたち、この前アメリカへ行って食べなかったのかと質問したら、いや、試しに食べてみました、こんなふざけた答弁がありましたが、やはりこれはおかしいですよ。食べる場所でその危険度が変わるなんという話はないわけで、今、世界じゅうでそんなことを言っている国が実は全くないわけです。安全というものが何かということは、まさに正しく認識するべきだというふうに私は思うんですね。世界じゅうの食べる場所によって、食べていいところ、いけないところというのは、それは本当に理屈に合わない。

 そういったことから、私は、リスクの低減が見られるのであるから、検査のあり方も変わって当然だと。率直に言うと、この検査費用だって膨大な費用をかけているわけですよ、国費で直入で入れているわけですから。だから私は、こんな、無駄というとすごくはばかられるんだけれども、やらなくてもいいことにお金はかける必要はないし、そこで安全性が損なわれるわけではないんだということをやはりいつか明らかにするべきだと思います。

 私は、その段取りのためだと思いますが、昨年十二月十五日、農林水産省からOIEに対して、BSEのリスク評価、我が国のリスク評価の申請がなされた。これは、アメリカはBSE発生国ですけれども、リスク管理国という認定がされているわけです。不明国とか可能性としてはないとかという三種類になっていると思います。このリスク評価の申請がなされた背景というのを農林水産省からお尋ねしたいと思います。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から今お話がございましたように、国際獣疫事務局、いわゆるOIEでございますけれども、加盟国のBSEのリスクに関しまして評価を科学的に行っているわけでございます。それで、ステータスという形で国ごとに決めて、既に四十一カ国、ステータスの認定を行っているところでございます。それに基づきまして、貿易の条件あるいは国内におけるサーベイランスの条件等も国際基準として定めているところでございます。

 我が国に関しましては、各国の申請状況、認定状況を見、あるいは我が国として準備を進めてまいったわけでございますが、ことし五月にOIEの総会が開かれますが、それに向けて認定をいただきたいと思っておりまして、御指摘のように、昨年の十二月に申請をいたしているところでございます。

 その背景ということについてお尋ねでございますが、我が国の行っておりますBSEのリスク管理措置につきましては、厚生労働省と私どもと行っておりますけれども、これに関しましては、平成十七年の五月に食品安全委員会からリスク評価をいただいているところでございます。

 今回、こうした我が国のリスク管理措置につきまして国際的にも評価をいただこうということで、OIE事務局に申請をさせていただいているところでございます。国際的な確認をいただこうというものでございます。

 それと同時に、我が国は近年、国産牛肉の輸出を促進しておりますので、そういった面にも資するものではないかというふうに考えている次第でございます。

赤羽分科員 こういった制度改革というのは恣意的にできないので、OIEの、世界で認められているところからの確認がされれば、この五月をめどにぜひ制度変更をするべきだ、私はそう考えております。

 アメリカも既にリスク管理国という認定がされているわけですから、そこからの牛肉をいまだに制限しているというのもいささか道理に合わないと私は思いますし、食料供給という農水省の責任が果たし切れていないのではないかと。先ほど、一六%しか輸入がされていないということは本当に大変残念なことであって、そういったことを踏まえて御判断いただきたいと強くお願い申し上げたいと思います。

 次に、小麦について、これも私、初当選以来ずっと取り上げておるんですが、昨年十月三十日に政府・与党で決まりました生活対策におきまして、「輸入小麦の政府売渡価格の改定ルール等については、国際相場の動向をより迅速に反映できるようにする方向で早急に見直しを行う。」こういう一言が盛り込まれました。

 これは、小麦の相場が相当急落しているのに、今の国の売り渡し価格の政策というのはタイムラグがあり過ぎるんじゃないか、去年の四月に値上がりしたパンとかうどんなんかの原料は安くなっているわけだから、当然、そういったことをもっと反映するべきじゃないかということが指摘されたと思います。

 現在、政府の売り渡し価格というのは四月と十月に決めている。ですから、今後、もう四月はそろそろ、今月決めなければいけなくなると思いますが、そういった価格はどうするのか、また見直し作業の状況はどうなっているのかということと、あと今、小麦というのは、一部がSBSという、簡単に言うと民間の自由貿易、もう一つの方は従来的な国家貿易、そこにマークアップ分をオンして売り渡し価格を決めているわけですけれども、この自由貿易と国家貿易のスタイル、二つあるというのはなぜなのかということも含めて御答弁いただきたいと思います。

町田政府参考人 お答え申し上げます。

 一点目のルールの見直しの関係でございます。

 お話をいただきましたように、昨年十月三十日の生活対策を踏まえまして、昨年の十一月二十六日に、消費者、学識経験者などを委員といたします輸入麦の政府売渡ルール検討会を立ち上げたところでございます。

 この検討会におきましては、製粉企業だけでなく、製パン、製めん、製菓など二次加工メーカー、また外食事業者などと幅広い業者の方からヒアリングを行っておりまして、既に七回の検討を行っておりますが、結論はまだ出ておりません。したがいまして、次回の改定ルール、どのような方法で行われるか、また改定幅がどの程度になるかといったことも決定はしておりません。引き続き精力的に検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、二点目のお尋ねでございます、小麦の輸入方法に関しましてSBS方式と国家貿易方式があるのはなぜかということでございます。

 小麦につきましては、米に次ぐ主要な食糧でございます。その安定供給を図る必要があるということで、国家貿易によって輸入を行っているところでございます。しかしながら、一方で、国家貿易では最新時点におきます実需者の多様なニーズにきめ細かく対応することに限度があるといったことも事実でございます。

 このため、食料・農業・農村政策審議会におきまして、麦政策検討小委員会で検討が行われまして、平成十七年十一月に、麦につきましても、米や飼料用大麦に既に導入されておりますSBS、売買同時入札方式を導入する必要があると報告が出されました。この報告を踏まえまして、十九年四月から、一部の銘柄、デュラム小麦、またオーストラリア産のプライムハード等でございます、につきまして、SBS方式を試行的に導入しております。

 このSBS方式も国家貿易の一形態であるわけでございますが、輸入業者と実需者がセットで入札に参加できるということで、多様なニーズにこたえられるような仕組みというふうに理解しております。

赤羽分科員 見直し作業で私はちょっと気になっていることがあるんだけれども、関係者からヒアリングという、製粉メーカーとか二次加工品メーカーとか外食産業から聞いているんだけれども、これはこんな内輪で聞いていてもだめですよ。消費者から全くヒアリングしていない。都合のいい結果しか出ないようなヒアリングの仕方なんですよ、私に言わせると。大事な視点が欠けているということを指摘しておきたいし、だれが値段を下げろと言っているのかというと、消費者なんですから。おかしいじゃないかという声が消費者から出ているのに、その消費者以外からヒアリングしても、それはやはり役所の都合のいい調査ということにしかならないということをまず指摘したいのが一点。

 もう一つ、僕は、米を国家貿易で輸入するというのはよくわかるんです、本当に主食ですから。でも、小麦を何でまだやっているのというと、全くおかしな理由しかないんですよ。国が一番クレジビリティーというか信頼があるんだとか、国が買えるのはボリュームもまとまるからと、そんな子供だましみたいなことをいつまでも言っていてはいけませんよ。

 私は三井物産だけれども、丸紅とかみんないろいろな連中に聞くと、国が、もちろんそのメリットはあるけれども、やはり民間でやれないわけがないと。だって、米と麦以外、全部自由貿易でやっているんだし、麦だって、世界じゅうどこで、国家貿易なんてやっている国なんてないですよ。これは民間でできるんです。

 加えて言えば、国で買えると予算の関係があって、安くて買いどきに買えないとか、それはフレキシビリティーという意味では明らかに経済性は損なわれているんですよ。その上、マークアップを乗せて、安くて買えているはずのものを買い損ない、加えて国内対策で乗せるということに、極めて高いものになっているわけですよ。

 ですから、私は、今すぐどうこうせいということじゃないんだけれども、やはり、石破大臣のときに聖域ない農政改革ということでは、ぜひ、小麦の輸入について本来どうあるべきか、今やるべきタイミングだと思いますので、その点について御所見を賜りたいと思います。

石破国務大臣 私は、当選二回のときだったと思います、平成二年に、自民党で麦対策委員長というのをやりました。そのときに、何で小麦なのというと、結局のところ、自給率が低いとかいう話もありましたし、ローテーションで回すときに小麦というのは大事だからとか、そんな理屈がありました。自来、もう二十年たちました。

 どう考えるかというのは、委員が冒頭おっしゃったように、麦政策というものをどう考えますかということと恐らく直結をしているお話なのだと思います。

 御指摘のように、本当に何を我が国として選択するのかというお話、そしてまた、ローテーションで回していったときの麦のあり方というものも含めて、消費者の利益というものをよく考えながら、委員がおっしゃいました子供だましとは私は思いませんが、皆が納得するような、なるほど、そうだねと思ってもらえるような政策を出さないと、これは納税者の負担にも耐えないと私は思っております。

 きょうは本当にいろいろなことを御教示いただきました。よく検討させていただき、またこれから先も議論させていただきたいと存じます。

赤羽分科員 時間が来ましたのでもうやめにしますけれども、いま一点だけ申し上げておきたいのは、輸出を奨励しようと。輸出を奨励するといってそこそこ予算はついているけれども、私は覚悟を決めてやるべきだと。外国にある日本レストランというのは今三万店舗ぐらいあるらしいんですね。だけれども、本物のレストランは多分一割もないんですね。

 ですから、これはもったいなくて、日本食というのは物すごく人気がある、そこに対して本物の日本食文化を普及していくというのは、これは輸出振興にもなると思うんです。農林水産省と日本外食産業協会とかがやっているJROというNPOもつくっているんだけれども、いかんせん、予算が少な過ぎる。輸出の方にどんと二十億かな、ついているんだけども、JROにはもうほとんどかすみで、人も置けないような、かすみを食っていくような制度なので、ぜひ、角度をつけて、予算もつけて、日本の外食というか日本食文化を普及していただきたい。この一点だけもう端的にお答えいただいて、終わりにします。

石破国務大臣 おっしゃるとおりです。

 ですから、日本食が広まるということによって輸出というもの、食材というものも出るわけであって、輸出を一兆円にふやそうと思っておりますけれども、そのために、委員おっしゃるように、いろいろな角度から検討しなければいけません。

 予算を今後増額できるかどうか、これは今回の発言とあわせて、御意見を踏まえて今後検討させていただきます。

赤羽分科員 どうもありがとうございました。

富田主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、小里泰弘君。

小里分科員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 いよいよ飼料用米の制度が本格化をするわけであります。これを軌道に乗せていきますと、日本の水田がよみがえる、稲作がよみがえる、そして畜産農家の経営の安定にも資する話でありまして、大きな期待が寄せられているわけであります。

 そこできょうは、日ごろ地域を歩く中で、生産者の皆さんが飼料用米の生産についていろいろと素朴な疑問、質問を寄せられます。そういった中から、重立った項目についてお伺いをしていきたいと思います。

 まず、飼料用米を生産拡大を図る上でコスト削減をしっかりと図っていく、これがまたあわせて重要な課題でございます。例えば、二期作ができるところは二期作をやる、あるいは多収穫米を用いる、あるいはまた直まきをすればできるかもしれない、さらには、同じ機械、同じ人でやりますから、その分でもコストが下がるんじゃないか、いろいろな期待があるところでございます。

 そういった中で、特に多収穫米、反当たり八百キロ、九百キロとれる品種が開発をされてもおります。これをいかに活用を図っていくかが大きなポイントになってくるわけであります。そのための飼料用米の専用品種としての種もみの増産、確保をいかに図っていくか、大きな課題でありますが、政府の、農林省の方針をお伺いしたいと思います。

本川政府参考人 御指摘のように、本当に飼料用米の増産を図っていくためには、多収穫の種子を使っていくということは非常に重要でございます。

 私どもも、昨年六月に協議会を立ち上げて、こういう種もみの確保に向けて体制を整えて取り組んでおりまして、昨年はえさ用につくっておった種から転換するということまで途中段階で取り組んでおります。そういう結果、前年の二・四倍の三百五十トンの種子が確保できておりまして、これは、大体八千七百ヘクタールを賄うに足りるものが今年度確保されております。

 今後とも、そのような協議会なりを通じて、ニーズを把握しながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

小里分科員 まだまだ緒についたばかりでありまして、まだ全く足りないというのは現実でありますから、ぜひともそこをしっかりとお願いをしたいと思います。

 新たな飼料用米の制度におきましては、補てん対策として、実の部分に五万五千円、あるいは、耕畜連携で稲わらの利用にも取り組む農家にはさらに一万三千円を上乗せするという措置が組まれているわけであります。これで十分やっていけるという声があります。その一方で、全く足りないじゃないかという声もあるし、また、稲を稲としてつくらせてもらえるだけでもありがたいというようなさまざまの声があるわけであります。どれだけ補てんをすればいいか、なかなかこれが難しい問題であると思います。

 今後、コスト削減効果をどこまで見きわめていくか、大事な要素でありますし、あるいは、肥料価格が変動する、トウモロコシの価格もまた変動するわけでありまして、その辺をどうやって織り込んでいくのか、これもまた大きな要素であろうと思います。

 とりあえずやってみようということで始まった感が強いんじゃないかと思いまして、補てんの水準として、特にコスト削減効果をどれだけ見きわめるのか、そこがまだ十分でもないんじゃないかというようなのが、また現実的な印象として受けられるところであります。

 今後、実施状況を見て、よく検証しながら適切に補てん水準を図っていく、そして、飼料用米の生産拡大に向けてこれが実効の上がるものとなるように、柔軟に機動的に対応していく必要があろうかとも思います。そのあたりにつきまして見解をお伺いしたいと思います。

本川政府参考人 飼料米につきましては、この二十年度から本格的に取り組んでいるところでございます。

 この二十年度につきましては、今御指摘のあった助成でございますけれども、産地づくり交付金から大体三万五千円、それから、畜産対策としてキログラム当たり二十五円の助成をするということで、おおむね十アール当たりでいえば一万三千円、合わせますれば四万八千円の助成を用意させていただいて、この二十年度は取り組んでいただきました。

 二十一年度につきましては、先ほど御指摘のあったように、転作対策として五万五千円、それから、それ以外にわらも利用していただければ一万三千円ということで、都合、今年度の二万円アップの六万八千円の助成を用意させていただいております。

 それからもう一つは、御指摘もありますように、稲作農家にとってのメリット、畜産農家にとってのメリットとございます。こういうものを周知しながら、私どもとしては今年度推進をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

小里分科員 今後の実施状況、取り組み状況をよく検証しながら、しっかりと生産拡大に向けまして実効の上がるものとなりますように、柔軟な対応を重ねてお願いをしたいと思います。

 さて、飼料用米の新たな制度では、支援対象の農地として、調整水田あるいは新たな減反割り当て分というようなことが基本になっております。そういった中で、既転作分の水田をどのようにとらえていくか、地域からも大きな要望として寄せられているわけであります。

 本来畑作目であるものを水田に作付するがために、収量が著しく落ちる。したがって、品質も下がる、品質加算も受けられない、農家のモチベーションが上がらない、水田が十分に生かされない。そういった現状も確かにあるわけであります。本来、水田は水田として稲作でもってしっかりやっていってこそ最大限に生かされるわけであります。そして、生産者も生かされていくわけであります。

 そういった観点からは、特に野菜の捨てづくりとか、なかなかモチベーションの上がらない中でつくられているようなそういった既転作分につきましても、旺盛な意欲を持って対象としてとらえていくべきじゃないか、そんなふうに思うわけであります。

 地域での特認の制度というものも進められているように聞いてはおりますが、その辺も含めて政府の方針をお伺いしたいと思います。

本川政府参考人 日本の国土は狭うございます。この中でできるだけ自給力を高めていくためには、水田でもやはり畑作物をつくったり、水田の裏作を利用して麦をつくっていただくことも必要でございます。そういうことでは私ども、乾田化でありますとか排水対策をいろいろ進めてきております。そのような畑作物をつくるのに適するような水田も相当できてきておりますので、そういうところでは、ブロックローテーションとか団地化をしながら麦とか大豆をつくっていただくことも必要ではないかと思っております。

 それで、飼料米を導入するに当たって私ども最も懸念いたしましたのは、これまで担い手の方々が努力をして構成をしてきたブロックローテーションでありますとか麦や大豆の団地、こういったものの中に虫食い的に飼料米が入っていくということが出てきますれば、国家全体のあれにとってもよくないということで、そういうものができるだけ壊れないような現地での対応をお願いしたいなと思っております。

 ただ、御指摘のように、捨てづくり的なものであるとか、あるいは、適地でなくて余り収量が上がらない大豆などがあることも事実でございます。そういうようなところについては、地域の実情をよく踏まえていただいて、地域で話し合いをしていただいて、私どもとしては、飼料米をつくっていただくようなことをお認めしたいというふうに考えているところでございます。

 今後とも、現地の声をよく聞きながら、そういう特認制度をきめ細かく運用してまいりたいと考えているところでございます。

小里分科員 ぜひ、生産者の意欲に応じて柔軟な対応をお願いをしたいと思います。

 通常、稲作農家には、食用米を生産するという誇りがあります。そういった中で、飼料米、えさ米を生産することに対してなかなか胸を張れないなという感情があるということも事実であります。

 考えてみますと、飼料用米でも、あるいはお茶でも、葉たばこでも、花卉でも、それぞれの農地に最も適したものをしっかりとつくっていく、そのことで農地が守られて、最大限に生かされて、生産者も生かされます。

 そういって確保された農地や生産者といったいわゆるこういった生産基盤が、いざというときの食料供給の生産基盤として生きてくるわけであります。すなわち、食料安保、食料自給力の考え方がそこにあると認識をするわけであります。

 ぜひ、飼料生産農家にありましても、日本の食料安保に大きく貢献をしていくんだ、そういった誇りを持って積極的に取り組んでいただきたい、そんなふうに願っているところであります。

 そういった観点から、飼料用米を生産する農家に対して、誇りを持っていただく意識づけ、そのための啓発をどうやっていくのか、お伺いをしたいと思います。

本川政府参考人 まさに御指摘のように、自給力を高めるためには、水田をフルに活用していくことが重要でございます。そういう観点から私ども、ことしから、調整水田のような作物が植わっていないところをできるだけ活用していく、その一つの大きな方策としてこの飼料米を位置づけているわけでございまして、まさにことし、総理のあの演説にございましたが、水田フル活用元年というふうに位置づけて取り組んでいきたいと思っております。

 そのような意義づけをきちんと農家の方々にも御説明をして、御理解を得ていきたいというふうに考えておるところでございます。

小里分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 国内飼料の自給体制、中でも飼料用米の生産体制を構築する上で、畜産側の実需というものをいかに呼び起こしていくかが、また一方の大きな課題であります。例えば、飼料用米を使うことで豚肉がやわらかくなる、あるいは鳥肉の品質が向上する、そういったメリットを私どもは学んでまいったわけであります。

 そういった飼料用米を使うことによる畜産側のメリットをいかにとらえておられるか、そして、これをいかに畜産側に伝えていくのか、畜産側の意識をいかに喚起をしていくか、大きな課題になってくると思います。そういった観点からの見解をお伺いをいたします。

本川政府参考人 御指摘のように、米を与えることによりまして畜産物にいい影響が出てまいります。一つは、おっしゃったように、脂肪酸が変化をしてくる、また、オレイン酸といううまみ成分、そういう酸がふえてくるということで、豚肉とか鳥肉がおいしくなるというような効果がございます。それから、鳥肉でいえば、皮下脂肪の色が変わって品質評価が向上するといったようなメリットがございます。それからもう一つは、米を食べさせることによってブランド化を図れる。例えば、こめ育ち豚でありますとか玄米卵でありますとか、そういうものがブランドとして消費者などに好感を持って迎えられているというようなことがございます。

 このようなメリットを私どもとしても畜産農家の方々に今年度から周知を図っておるところでございますが、今後とも引き続きそういうメリットを畜産農家の方々に理解していただくように、取り組んでまいりたいと考えております。

小里分科員 地域の農家から、飼料米をつくっても引受先は自分で探さなければいけないのか、なかなか大変だなという声もよく聞いております。理想としては、地域の畜産農家と飼料用米の生産者との結びつきの中でいかに付加価値をつけるか、そして、地産地消的にいかに進めていくかということがポイントになってくるんじゃないか、そんなふうに思っております。

 そのための情報提供体制というものをいかに構築をしていくのか、バックアップ体制というものをいかに構築をしていくか、大きな課題であると認識をいたします。また、加工工場の方も、これをいかに確保するのか、生産者や利用者側といかに結びつけていくか、これもまた大きな課題になってくるわけであります。

 生産者が安心して飼料用米をつくっていくための環境整備、これをしっかりと進めていく必要があるわけであります。見解をお伺いいたします。

本川政府参考人 まさに御指摘のとおり、でき上がった飼料米を畜産農家の方々に利用していただけるようにつなげていかなければこれは全く意味がないわけでございまして、私どもとしても、そのマッチングが一番のかぎだろうと思っております。

 そういうこともありまして、昨年来、いろいろと使う側の畜産農家の方々のニーズをとっておりまして、実需者でいえば、三百弱の方々がぜひ飼料米を使いたいというふうにおっしゃっておられます。一方で、飼料米を出したいという方々、生産者サイドは、全国で千五百七十八の協議会がございますが、そのうち四百五十八ぐらいが飼料米をつくって取り組みたいと。こういうような調査はいたしております。

 これをきちんと結びつけて実施をしていただけるようにしていきたいと思いますし、それから、飼料米を給与するに当たって配合飼料の工場まで遠いであるとか、いろいろな議論があると思います。そういうものについては、もし、途中段階で施設をつくったり、あるいは畜産農家のところで配合するための施設が要るといったことであれば、これについても補助金を用意して、万全の支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。

小里分科員 政府の試算あるいは私どもの試算によりますと、夏場の休閑地というものが全国では約三十万町歩、あるいは新たな減反割り当て分が十万町歩、あるいはまた耕作放棄地等もあります。一方で、需要としては、ざっと言えば、年間全国で七百五十万トンの飼料用米に対する需要がある、そういうふうに私どもの試算としては認識をしております。大いにこの飼料用米、生産拡大を図っていかないといけない。そのためにはかなりの環境整備が必要になってくるわけでありますが、ぜひそこを積極的にとらえていっていただきたいな、そんなふうに思います。

 現場におきましては、食用米と飼料用米の専用品種等がまざる、そのことによりまして食用米の品質が落ちるんじゃないか、この懸念が大いにあります。いかにこれを分けていくかが大きな課題になっていくわけであります。団地化を進めるのかどうか、あるいは、機械や貯蔵庫を分ける場合、その費用に対する補助が出るんだろうか、そういった声も大いに聞かれるわけであります。そのような観点からの方針をお伺いをいたします。

本川政府参考人 御指摘のように、飼料米をつくるに当たりまして、多収穫の品種を使った場合に食用のお米と混入をしてしまう、コンタミの問題が現場で非常に心配されているということは私どもも十分承知をしております。

 今御指摘があったように、方策としては、一つはやはり、団地化なりで作付ける場所を区別するということが一つであると思います。それからもう一つは、時期的な問題であります。品種を変えることによって時期をずらす。そういうことによって、同時に主食用のお米と飼料米を扱うということができるだけ少なくなるようにする。それから、おっしゃったように、機械なり施設についてよく清掃をする、あるいは区分をするということが必要ではないかと思っております。

 私どもも、そういうことを現場の方によく理解をしていただきながら、そういうコンタミの不安を少しでも払拭できるように取り組んでいきたいと思っております。

 それから、そういうことに伴いまして何らかの形で区分をするということで施設なりが必要になる場合には、新しい施設の設置などに対する補助金も用意しておりますので、そのようなことも含めてよく周知を図ってまいりたいと考えておるところでございます。

小里分科員 ありがとうございます。

 生産者が安心して取り組んでいけるように、いろいろな角度からぜひ前向きにやっていただきたいと思います。

 ちょっと飼料用米の話から離れますが、いろいろな対策を政府あるいは与党の間で検討する中で打ち出していくわけであります。畜産対策についても、昨年、三次にわたりまして打ち出しました。それぞれの対策を打ち出すのはいいんだけれども、なかなか現場まで、生産者のところまで届かないなというのは往々にしてあるわけであります。

 例えば、昨年、肥料価格高騰対策として、肥料年度、昨年度から今年度にかけまして値上がりした分に対して国が七割を補てんする、そして農協系統と合わせれば約九割までを補てんしよう、そういう対策が講じられたわけであります。

 ところが、私の選挙区のある地域の話でありますが、農協が対象となる二千二百三十名の組合員に対してこの対策の案内を行いました。その結果として、四百七名の申請しかなかったという実態があります。せっかくの対策が生かされていないと言わざるを得ないわけであります。

 原因としましては、対策の意味がわからない、あるいは、化学肥料の二割低減等の条件が課されておりますが、この条件がなかなかクリアできない、あるいは、小規模農家であるがために、その手続の手間とあわせて考えるとなかなか申請が及ばないな、そういう原因が考えられるわけであります。

 今後、特にこの対策をいかにわかりやすく周知をさせるか、この広報のあり方というものが問われているんじゃないか、そんなふうに思いますし、また、条件面につきましても、せっかくの対策がしっかりと、なるべく意欲のある農家に対しては行き渡るように、柔軟に対応していく必要があると思うわけであります。政府の見解をお伺いいたします。

本川政府参考人 まさに御指摘のとおり、我々の政策が現場に浸透して利用していただいて、初めて効果が出るものでございます。我々としても、政策の周知に努めているところであります。

 この肥料高騰対策につきましては、補正予算で措置をしていただいたということもあり、急いで年度内に使用しなければいけませんので、周知を図っているところでございます。

 例えば鹿児島県でありますと、延べ八十九回の説明会をし、六千三百人の方にお集まりいただいて御説明をしたようでございます。その方々が現場でいろいろとまた浸透を図っていただいておるということでございますが、今もおっしゃったように、二千二百三十人に対して四百七人の申請、我々としても、今後ともそういう努力を重ねてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、要件なりなんなりの問題につきましても、できるだけ御利用いただけるように柔軟にやっていきたいというふうに考えております。

 ただ、やはり国民の皆さんの税金を使わせていただくということでございますので、やはりその効果なり、あるいはそれに必要な書類の問題とか、できるだけ農家の負担を少なくしたいというふうには考えておりますが、一定の限界もございます。

 そういうことも踏まえながら、きちんと周知をし、利用していただけるようにできるだけの努力をしていきたいと考えているところでございます。

小里分科員 昔からの、かつ深刻な課題であろうと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、農地転用のあり方についてお伺いをいたします。

 我が国の食料自給率の状況や食料安保のあり方というものを考えますときに、農地転用につきましてはしっかりと厳格にとらえていくべきである、このことは言うまでもないと思っております。

 そこで、今まで農地転用の規制につきまして地方にかなりゆだね過ぎてきたんじゃないか、そういう思いがするわけであります。現場に任せておきますと、地域の特殊な事情、感情等の中でなかなか思うようにこれが働かないということも散見をされるわけであります。あくまで食料安保というものは、国が最後まで責任を持つべき最たる課題であろうと思っております。そういった観点から、国の関与をむしろさらに強めるべきじゃないか、そんなふうに私は信念として思っているわけであります。

 一方で、住宅などに囲まれた小さな農地につきまして規制が及ぶということもよくあるわけであります。そういったところは、柔軟に対応することでむしろ農村の活性化につながっていくという場合もあると思います。めり張りのきいた対応というものが求められるんじゃないか、そんなふうにも思うところであります。

 以上、農地転用のあり方について見解をお伺いしたいと思います。

吉村政府参考人 農地転用の問題についてお答え申し上げます。

 委員まさに御指摘のとおり、国内の食料供給力の強化ということが喫緊の課題となっている中で、農業の最も基礎的な生産基盤である農地の確保につきましては、国が積極的な役割を果たすべきであるというふうに考えております。

 政府といたしましては、今般、農地制度を大幅に改めて、現行では農地転用許可が不要となっている病院、学校等の公共施設、この設置について、許可対象、具体的には、許可権者と法定協議をしていただく。したがいまして、四ヘクタール以上のものは国に直接協議が来ますし、また、二ヘクタールから四ヘクタールのものも国に協議をしていただく、こういうことになる。それから、都道府県が農地転用許可制度について適正な運用を行っていない場合には、国が是正を求める。こういったことを内容とする農地法等の改正案を今国会に提出することといたしております。

 このような制度面の強化を通じて、国として農地の確保に積極的な役割を果たすこととしております。

 一方で、これも委員が御指摘のとおり、住宅地に囲まれた小さな農地とか、そういった問題がございます。現行の農地転用許可基準におきましても、今申しましたような、住宅地に囲まれた農地、あるいは集落に隣接する農地、こういったものについては、他用途に転用しても影響が少ないということで転用許可ができるように措置をしているところでございます。この点については、改正案の中でも変更しないということにいたしております。

小里分科員 最後の質問でございます。

 これから、世界は急速に食料不足の時代を迎えていく。これは、人口の増加の傾向、あるいは新興国の経済発展、あるいはエタノール需要等を大きな背景といたしまして言われておるわけでございます。そういった中で、世界各国が、農地や担い手等のそれぞれの国の持つ食料生産基盤というものを最大限に生かしていく、あるいは増強を図っていくということが大いに求められるわけであります。

 本来、貿易自由化は、当然のことでありますが、物品が各国を自由に行き来をする、そういう前提に立っているわけであります。ところが、昨今の輸出制限等の動きに見られますように、食料が自由に行き来をしない傾向が出てまいりました。特に、食料の需給動向を見据えた場合に、この傾向というものはさらに高まっていくんじゃないか、そういったことも懸念をされるわけであります。

 そういった前提条件が崩れつつある以上は、WTO交渉の理念やあり方も変わらなければならないと思うわけであります。上限関税や重要品目の議論以前に、そもそも、自由化の結果、各国の食料生産基盤が損なわれる、そういうことになってはならないわけであると考えます。従来の交渉経過にとらわれることなく、ゼロベースからの交渉、そして新たな理念の確立というものが求められるんじゃないか、そんなふうに素朴に思うわけであります。

 政府の見解をお伺いいたします。

實重政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、世界の食料需給の逼迫、それから輸出規制といった動きが出てきております。

 こうした中にありまして、ドーハ・ラウンドにおけるWTO農業交渉につきましては、一方で豊かな先進国が、輸出補助金、国内農業に対する補助金、それから関税などによりまして、自国の農業を守るあるいは振興を図る、こういう一方で、加盟国の中で百カ国以上を占めます途上国におきましては、これを貿易歪曲的なものだということで批判をしております。こうした状況は変わっていないという状況でございます。

 そこで、ドーハ閣僚宣言に基づきまして、市場アクセスの実質的な改善、輸出補助金の段階的撤廃、貿易歪曲的な国内助成の実質的な削減を目指しているところでございます。このような基本的な構造は現在も変わっていないものでございます。

 こうした中で、委員の御指摘にございますように、生産の増強を図っていかなければなりませんので、我が国を初めG10諸国は、多様な農業の共存ということを基本理念としております。こうした貿易ルールづくりを主張してきたところでございまして、我が国としては、農政改革を進めながら持続可能な農業を確立していくこと、それから、途上国に対しても支援を行っていくこと、こういうことを表明してきております。この内容につきましては、一月三十一日にダボスで開催されましたWTO非公式閣僚会合におきましても、石破農林水産大臣から主張していただいたところでございます。

 このように、WTO農業交渉におきましては、国内農業の体質強化を進めながら、食料輸入国としての我が国の主張が交渉の成果に適切に反映されるように、最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。

小里分科員 WTO交渉におきましては、押される一方ではなくて、新たな理念を我が国が主張し打ち立てていく、そのぐらいの意気込みでぜひ積極的な対応をよろしくお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

富田主査 これにて小里泰弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、広津素子君。

広津分科員 本日は、御質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 最初に、地球環境問題がクローズアップされておりますが、水産業と環境の視点から、地元玄海の海を例にとりながら、現在海の中がどうなっているかについてお伺いします。

 二十一世紀になりまして、私たちの住む地球環境は、人類の活動の結果、地球温暖化や海洋汚染、野生動物の絶滅などの事態を生じており、その解決は待ったなしの状況です。そのため、人類が地球に持続的に住むことができるようにするためには、私たちは、生態系を維持し、環境を守って、持続可能な循環型社会をつくることを真剣に考えなければならないと思います。

 そこで、私の地元である佐賀県で、玄海地区の海産生物の特徴、保全、開発にかかわるシンポジウムが行われたのをきっかけとして、現在の日本の海や玄海の海の中がどうなっているかについて、水産庁及び環境省の認識をお伺いします。

 まず、環境もしくは水産資源という観点から、我が国の海の中全体を把握する調査がありますでしょうか。

山田政府参考人 水産資源の調査についての御質問でございます。

 水産庁におきましては、独立行政法人水産総合研究センターや各都道府県の水産試験場と連携しまして、我が国周辺水域の主要な漁業資源の状況を調査しておりまして、毎年度その結果を公表しております。

 平成二十年度における評価結果でございますが、評価の対象は五十二魚種八十四系群でございます。このうち、半分の四十二系群の資源水準が低位となっている状況でございます。

 委員から、玄海の資源についても御質問がございました。玄海の海域を含みます日本海・東シナ海系群、こういう系群がございます。この資源の状況でございますが、同様の傾向でございまして、十七系群のうち七系群が低位にあるという状況でございます。

柏木政府参考人 お答えいたします。

 環境という観点から全体を把握する調査があるかとのお尋ねについてでございます。

 環境省では、全国的な観点から自然環境の現状それから改変状況を把握するために、昭和四十八年度より自然環境保全基礎調査というものを実施しております。この調査におきまして、海域の自然環境としては、海岸あるいは藻場、干潟、サンゴ礁等々について調査を行っているところでございます。

 また、水質の関係でございますけれども、昭和四十六年度より全国の河川、湖沼、海域の環境基準点等におきまして、COD、化学的酸素要求量と申しますけれども、そういった水質の環境基準がございますが、それの状況について、水質測定を都道府県及び国の機関等で行っているところでございます。

広津分科員 どうもありがとうございました。

 次に、藻場の状況を知るための国の調査についてもお伺いしたいと思います。

 玄海地区の海の中は、九州地域では最も広いアラメという海藻の藻場が残されているそうですが、藻場が減少しますと、そこにすむアワビ、サザエ、アオリイカ、メバル、カサゴなどの魚介類資源が減少しますし、ユコエビ、ワレカラ、アミなどの小型動物も少なくなるため、それらをえさにしているブリやカンパチなどの回遊も減少することとなり、藻場は水産業にとっては非常に大切な存在です。

 しかしながら、玄海地区は、昭和五十二年ごろにはおよそ千七百ヘクタールあった藻場が、平成四年には千二百ヘクタールと、五百ヘクタール近く減少しております。その後、藻場を回復させるための事業を平成十九年までに十九ヘクタール行ったところ、少しですが藻場が回復して、現在約千三百ヘクタールになっております。

 現在、日本全体では藻場の面積はどのくらいで、最も広かったころと比較してどのくらい減少しており、それはどういう理由で、国は水産資源に対してどのような調査をして今後の見通しを持っていらっしゃるかについてお伺いします。

柏木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、環境省におきまして自然環境保全基礎調査を実施しているというふうに申し上げましたが、その中で、全国の藻場の状況についても把握をしているところでございます。直近のデータは平成七年度から八年度にかけての調査データでありますけれども、全国の藻場面積は約十四万ヘクタールというふうになっております。

 それから先生お尋ねの、過去最も広かったころと今とではどうなったかという御質問でございますが、私どもの自然環境保全基礎調査では、過去三回しか全国の藻場の面積の調査をやっておりませんで、しかも途中で方法が変わったりしているものですから、一応、同じ方法で行われた昭和五十三年と、それから平成元年から三年まで調べた調査結果で見ますと、約六千四百ヘクタールが減少しているという状況でございます。

山田政府参考人 全国の藻場の面積等につきましては、今環境省からお話があったとおりでございます。

 水産庁といたしましては、平成十八年から二十年にかけまして、全国ではなくて、全国の一部の海域につきまして藻場資源の長期的な変動の調査を実施しております。例えば、委員がお話ありました玄海などの地域で見ますと、日本海西部・九州・沖縄沿岸域という区域で調査をしておりますけれども、十九年におきましては、その十五年前と比較をしまして約一五%減少しているというようなデータがございます。

 やはり、海域の水質の変化ですとかあるいはさまざまな食害ですとか、そういったことが影響しているというふうに見ております。

 以上でございます。

広津分科員 どうもありがとうございます。

 地元の方では、もちろん水質の変化の話も多々お聞きするんですけれども、最近、藻食動物のことについて聞きます。そのため、藻食動物の漁獲、流通、利用についてお伺いしたいと思います。

 平成十九年に、藻場の減少理由は、海の温暖化を背景とした藻食動物であるアイゴやブダイ、ガンガゼなどの食害も大きな原因であることが明らかになりました。これは今まで南の海にいたんですけれども、温暖化によってだんだん上の方に上がってきて、北九州の方にもいるということで、今までいなかった動物がどんどん藻を食べているというのが一つの原因なんだそうです。したがって、この原因による藻場の減少は、地球温暖化に伴う海の温暖化をとめればなくなるわけですが、海の温暖化をとめるということは容易なことではありませんので、これら藻食動物の駆除もしくは漁獲を進めるのが効果的だと思われます。

 そこで、これらの漁獲を進めた場合に一石二鳥で、海の森保全対策商品と申しますか、高い付加価値で流通できるような商品や経路を開拓するとか、もしくは、どうしても使えないようなものでも何らかの利用をするとか、そういうようなことを何か考えていらっしゃるかどうか、お伺いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の魚介類の利用についてでございます。

 例示にありましたアイゴ、ブダイといったいわゆる藻を食べる魚につきましては、やはり独特の臭みというんでしょうか、においがありまして、一般的になかなか消費者の嗜好に合わないという面がございます。また、ガンガゼというお話がございました。これはウニの一種でございますが、ほかのウニに比べまして可食部分が少ない、それから処理に手間がかかるというような問題がございます。このようなことから、もちろん一部の地域では利用されておりますけれども、一般的にはなかなか利用されにくい状況にございます。

 水産庁といたしましては、平成二十一年度予算におきまして、こうした未利用あるいは低利用の魚種の有効利用を図るという取り組みを支援することとしております。

 まず第一に、市場流通に乗らないこうした魚を漁業団体等が消費者に直接販売するなど、新たな販路を開拓していく取り組みへの支援でございます。それから第二番目に、加工原料として有効活用するという観点から、水産加工業者のモデル的な取り組みを支援していくというようなことでございます。

 こういった支援によりまして、地域の創意工夫を生かした積極的な利用を期待しているというところでございます。

広津分科員 どうもありがとうございました。

 消費者には臭みがあってどうしても食べられないとしても、養殖魚のえさぐらいにはなるんじゃないかと思いますので、やはりとったものは一石二鳥で使っていきたいと思っております。

 あと、玄界灘沿岸に生息する貝類についてですが、私が子供のころは貝類というのはかいたらいっぱいいて、今いないというのが不思議なような状況なんですけれども、玄界灘沿岸は基本的には外洋環境で、唐津湾、名護屋湾、仮屋湾、伊万里湾などに内湾環境があり、複雑な海岸線に岩礁、砂浜、干潟などさまざまな環境があって多様性に富んでおります。

 また、最近の調査で、この玄界灘沿岸の貝類相の多様性と貴重性が明らかになった一方で、環境の悪化によって絶滅に瀕している貝類も少なくないことがわかりました。例えば、かつては豊富に生息していたけれども今は数少なくなっているものに、ビョウブガイ、イタヤガイ、アサリなどがあります。

 しかしながら、水環境をよくしてこうした海岸生態系の多様性を保全することは、同時に、カキやアワビ、サザエ、ウニなどの有用な水産資源も豊富に保全されていくということになります。そのため、まず、このようにかつては豊富に生息していた貝が今は数少なくなっている理由とその解決策があればお伺いします。

山田政府参考人 玄界灘沿岸の貝類の漁獲量でございますが、約二十年前、昭和六十一年あるいは六十二年というような時期には四千トンを超えるような漁獲がございました。しかしながら、その後、平成三年ごろまでの間に、特にアサリが大幅に減少いたしました。そういったことから、その後はおおむね一千トン程度で推移をしているという状況にございます。

 特に、今申し上げましたアサリの漁獲量が大きく減少した理由といたしましては、水質等の漁場環境の悪化ですとかあるいは稚貝の過剰漁獲等の資源管理の不備、あるいは生息域が減少してきている、これは埋め立てとかそういうことで減少してきているというようなさまざまな要因によるものと考えております。

 解決策でございますけれども、まず第一に、覆砂と言っておりますが、砂をかぶせていくということ、それから作澪と言って、海水の流れをよくするために海底に溝を掘るというようなことによりまして貝類の生息適地を造成する、また水質等の改善を図るということが一つ目でございます。第二といたしまして、生息適地への種苗の移殖、それから第三としまして、漁獲サイズや漁獲量制限等の資源管理措置等が必要であると考えております。

 このため、これらの措置の推進を図っているところでございます。

広津分科員 どうもありがとうございました。

 ついでに、ある海士の話をしたいと思います。

 その方が生まれた島である松島というのは、底まで見えるきれいな水がある島なんですが、そこで二十五年間、海士としてアワビ、サザエをとって生計を立ててきた方のお話です。

 最近、松島や加唐島の周辺の海を見て、アワビ、サザエが極端に少なくなった、カジメ、アラメなどの海藻の林が少なくなった、場所によっては全く藻場がなくなった、網で魚をとる漁師の生計が成り立たなくなったと感じており、息子が海士になって松島で生活したいと言っても、それを喜びはするけれども、生活できないので許すことができない状況にあるということでした。

 これは、我が国の資源をなくしているということでありますし、また食料自給率の向上にはマイナスであるということ、また環境にもよくないということにかんがみまして、今までどのような対策がとられ、平成二十年の二回の補正予算と平成二十一年度予算におきましてはどのような強化がなされているのかについて御説明をお願いします。

山田政府参考人 藻場の維持、回復についてどのような措置をとってきたかという御質問でございます。

 水産庁におきましては、平成十九年度から、第二次漁港漁場整備長期計画というのを策定いたしまして、二十三年度までの五年間におおむね全国で五千ヘクタールの藻場、干潟の保全、創造を図るということとしております。

 現在やっております対策といたしましては、藻場造成のための石材あるいはコンクリートブロックを設置するといったハード対策を推進しております。また近年、藻場が著しく消失する、磯焼け現象と呼んでおりますが、この磯焼けにつきましては、全国協議会を開催いたしまして情報交換をしたり、あるいは磯焼けに取り組む地域への専門家の派遣等のいわゆるソフトの対策を実施しております。

 特に、二十一年度からは、漁業者あるいは地域住民等が取り組む海藻の種苗の投入、あるいは食害生物の駆除等の藻場の保全活動に対して支援を行う新しい交付金制度を創設するということを考えております。

 今後とも、さまざまなハード対策、ソフト対策を組み合わせまして、地域の実情に応じた藻場の保全対策を推進してまいりたいと考えております。

広津分科員 どうもありがとうございます。

 次に、自然環境と環境教育につきましてお伺いをいたします。

 このように、海の環境を守り、我が国の美しい自然を次世代に残すとともに、水産業を振興して食料自給率を高めるためには、あらゆる分野で働く皆様が環境意識を持っている必要があります。例えば、政治家や官僚も含め、そのほか建設会社も、全員がそういう意識を持っていないと、全く逆のことを無意識にしてしまうということになります。

 そのために環境教育が大変重要なんですが、これを達成するためには、現在、子供たち向けの環境教育と大人向けの環境教育がどうなっているかについてお伺いしたいと思います。

柏木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、我が国の美しい自然を次世代に残していくためには、環境保全を担う人づくりが重要であるというふうに考えております。そのためには、環境省としましては、五感で自然を感じる原体験を初めとする環境教育、環境学習が必要であるというふうに考えております。

 具体的な取り組みとしましては、例えばみどりの月間、これは四月の半ばから五月の半ばまででありますけれども、あと夏休みなどの期間におきまして、親子を対象とした自然観察会ですとかあるいは親子キャンプなどを各地で実施することとしております。また、こういった取り組みについて、自治体にも呼びかけて、積極的に実施していただくようにお願いもし、実際もやっていただいているところでございます。

 それから、特に子供たちの環境教育でございますけれども、子供たちが地域の中で楽しみながら自主的に、環境の保全活動とかあるいは環境学習ができる、そういうこどもエコクラブ事業ということも実施しているところでございます。

 それから、子供から大人までということでありますけれども、多彩な自然体験活動や環境保全に関するいろいろな知識を吸収していただくということで、環境教育、学習に関するプログラムですとかあるいはイベントの情報、そういったものをインターネットを通じて提供しているところでございます。

 私ども、今後とも、環境教育、学習の重要性にかんがみまして、関係省庁、自治体、あるいはNPOなどとも連携をして、あらゆる機会を通じて自然の大切さを伝える環境学習あるいは環境教育を推進していきたい、かように考えておるところでございます。

寺西政府参考人 我が国の美しい豊かな自然環境を守り、これを次世代に残していくためには、広く国民全体で高い関心と意識を持って環境の保全に取り組んでいかなければなりません。

 そのためには、学校、家庭、地域が連携し、子供から大人まで国民一人一人が、環境問題に対する理解を深め具体的な行動に結びつけられるよう、知識の習得だけでなく、体験活動などを通じた環境教育を推進することが大切であると考えております。

 文部科学省といたしましてはこれまでも、新しい環境教育の在り方に関する調査研究や、環境教育の全国的な実践普及事業などを行う環境教育推進グリーンプラン、あるいは子供が体験活動を通じて環境などについて学ぶ豊かな体験活動推進事業、青少年体験活動総合プランなどを実施してまいりました。また、今回の小中学校の学習指導要領改訂におきまして、社会科や理科、技術・家庭科など関連の深い教科を中心に、環境教育に関する内容の充実を図ったところであります。

 さらに、平成二十一年度予算案におきましては、公民館などを中心として地域の関係機関、団体が連携協力し、環境保全など地域の環境課題に取り組むプログラムを重点的に支援する優れた社会教育重点推進プランを新たに計上しております。

 今後とも、環境省を初めとする関係省庁とも十分に連携をとりまして、実践的な環境教育のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。

広津分科員 どうもありがとうございました。

 せっかく農林水産大臣もいらっしゃるので、一言お話しいただければありがたいと存じます。

石破国務大臣 私が子供のころは、夏休みは一カ月ぐらい海で過ごしました。実際に海に潜って藻場へ行って、いろいろな魚が泳ぎ、そして海藻が育っているというのは経験をいたしております。

 委員ずっとおっしゃっておられますように、藻場があって卵が産める、藻場があってちっちゃな魚が育つ、それがなくなっちゃったら卵は産めないわ育つところはないわ、本当にそれで資源が増殖していくのということもそうだし、命の大切さをどう考えているのというお話なんだと思います。

 今、これも担当外ですが、各省からいろいろなお話がありましたが、実際に臨海学校なんて本当に少なくなっちゃったんじゃないか。事故が起こったらどうするのみたいな話なんだろうと思います。実際に、子供のころ海の体験をしなければ、海のすばらしさもわからないし海の恐ろしさもわからないんだと私は思っているのですね。

 これは政府として本当に、今委員がおっしゃっていただいたように、藻場の大切さ、漁業という観点からも環境という観点からも、また命という観点からも、それを切り口に、私ども、水産業の大切さも訴えていきたいし予算においても具体化をしてまいりたいと思っております。

 ありがとうございました。

広津分科員 本当にありがとうございました。私も全く同感でございます。私も頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

富田主査 これにて広津素子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

富田主査 次に、環境省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。三日月大造君。

三日月分科員 おはようございます。

 環境大臣を初めとする皆様方に、環境行政について、特に産廃特措法の問題について質問をさせていただきます。

 まず、冒頭、この分科会の開催をめぐりいろいろとばたばたさせまして、大臣初め当局の皆様方にもある意味では大変御迷惑もおかけしたと思います。また、日ごろは環境行政に熱心に旗振り役としてもお取り組みいただいていることに敬意を表したいと思います。

 まずは、随分間があきましたけれども、御就任おめでとうございます。琵琶湖を抱える滋賀県としても、やはり環境行政、環境省、環境大臣、もっと強くならないといけないと思っています。

 今のこの不況を脱するためにも、グリーン・ニューディールということを先頭に立って取りまとめていただいているようですが、きょう御指摘する案件についても、私は究極のグリーン・ニューディールだと思うんです。産廃の不適正処分を、これ以上将来に汚染を残さぬ形で、公費を投入し片づけていくこと、処理していくことというのは、ある意味ではニューディール政策になり得ると思いますので、そういう観点からも、ぜひ大臣の決意なり御見解をいただければと思います。

 まず、現行の産廃特措法に基づいてお伺いをいたします。

 まず、資料をごらんください。先般、民主党で、滋賀県の方からも来ていただいて御説明なり御要望を伺いました。

 もう既に、行政の皆さん、大臣、副大臣、政務官の皆さんも御存じかもしれませんが、滋賀県の栗東市にあるRD最終処分場、これは一ページ目、二ページ目をめくっていただきますと、その概要が書いてあります。大変大きな処分場です。

 四ページのところに経過が書いてあります。昭和五十五年に設置をされて以降、さまざまな処分が行われてきたんですが、残念なことに、平成十年に最初の改善命令が出されて、平成十一年に硫化水素ガスが発生をしています。それ以降、地域住民の皆様方を多くの不安に陥れて、行政の方も改善命令や措置命令を相次いでずっと出してきているという状況です。

 五ページのところに、何が問題なんやということなんですが、これは安定型処分場であるにもかかわらず、安定品目以外のものを埋めておる。もう一つは、許可容量を超えて埋めている。言ってみれば、量の面、質の面、両面で不法投棄になってしまっているんです。この写真にいろいろと、ドラム缶の様子や埋めちゃいけない木くず等の様子が記されております。

 一枚めくっていただいて、七ページのところに、安定型処分場であるにもかかわらず、掘り過ぎているんです。ですから、突き破っているんです。上に埋めちゃいけないものを埋めて、埋めていいよと決められた以上のものを埋めて下が破れていれば、当然のことながら、地下水、浸透水の汚染があります。その結果が八ページに書いてあります。ちょっと細かい字で恐縮なんですが、いろいろな有害物質が観測をされているということなんです。

 それを受けて、九ページ目以降のところに、滋賀県としてこういう対策をしようじゃないかという検討が今なされ、住民の皆様方にも説明がされているところです。

 この産廃処分場は、一度お越しいただければわかると思うんですが、かなり住宅地に近接しておりますので、山の中とか島の上とか、それはそれで問題なんですけれども、それ以上に、地下水汚染だとかにおいの問題等も含めて人体への影響が大変危惧されております。

 県が行おうとした対策案について、十四ページ、周辺七自治会の皆さんは、きょうの時点で、ここに書いてありますように、不同意の自治会が七分の六あるんです。一つの自治会だけが県の案でいいんじゃないかという賛意を示されております。

 という状況下において、まず一点目、ちょっと今の法制度の点でお聞きしたいと思うんですが、法の四条第四項に定めております、都道府県は関係市町村の意見を聞かなければならないとあります。基本方針にもその点が記されておりますが、住民の合意と納得ということについてどのようにお考えでしょうか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった不法投棄案件の処理につきまして、その問題となっている地域の住民の方々の御意見をどういうふうに反映させるべきかというお尋ねでございます。

 私たちといたしましては、こうした不法投棄案件、特に産廃特措法の対象になるような案件につきましては、都道府県が実施計画を定めた上で、環境大臣の同意を得て事業の実施に入るということでございますので、地元の実施計画の策定のプロセスにおいて、適切に住民の方々の御意見も伺った上で計画をつくられるべきというふうに考えております。

三日月分科員 事務当局が答えるなら、もうちょっとまともな答え方をしてもらわないと困る。

 住民の合意と納得ということについてどのようにとらえられるべきですか。要は、実施計画を県がつくって、環境大臣の同意を得るべく提出をするときに、住民の合意と納得があるかないかということを環境大臣は問われますか。その点、まず環境大臣、どうお考えになりますか。この案件、先ほど説明したことの感想も含めてちょっとお答えいただければと思います。

斉藤国務大臣 産廃特措法の支援スキームを実施するに際して、まず、県が実施計画をつくる。その段階におきまして県の行政対応が適切であったかどうかということを評価することになっております。その上で同意をするということでございます。

三日月分科員 大臣、済みません。ちょっと、多くの案件を抱えていらっしゃるのであれなんでしょう。

 行政対応が適切だったかどうかを確認する際に、住民の方々が合意されていますか、納得されていますかということを物差しにされますか、条件にされますか。

 ちなみに、産廃特措法制定時には、衆参の附帯決議で、衆議院では、住民の不安解消に努めること、参議院では、周辺住民の意見が反映されるようと記しています。

 繰り返しますが、行政対応が適切だったかどうかを見るときに、周辺住民の皆さんが合意されていますか、納得されていますかということについて判断材料にされますか、大臣。

斉藤国務大臣 それは大きな評価の重要な項目要素だと思います。

三日月分科員 そうなんです。それが重要な項目だと滋賀県も考え、知事も考え、それが取りつけられていない状況下で実施計画を策定することを一回ちょっととめて、もう少し時間をかけてみようという段階に実は入ったんです。

 そのときに、この資料の十ページをごらんいただければと思うんですが、個別案件のことで恐縮です。次は事務方でも結構なんですが、いろいろな案を示して検討してきました。一番左側は、今のまま、原位置で浄化する案。真ん中は、掘って、埋め戻して行う案ですね。一番右側は、さっき申し上げた、下を突き破っていますから、粘土層を修復しようじゃないかという案なんです。それぞれコストや期間が書いてあります。

 この下から二番目の「制度的課題」というところで、ちなみに、真ん中の案は「廃掃法が適用されない」「産廃特措法の支援が受けられない」。右側のE案というものでは「廃掃法が適用されない」「産廃特措法の支援が受けられない」と表記されているんですが、この表記に環境省の意見は加わっていますか、入っていますか。環境省の見解ですか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの滋賀県と環境省とのさまざまな場でのやりとりの中では、私の方からこういった見解を申し上げたことはございません。

三日月分科員 そうすると、これまでいろいろな技術的助言や、ある意味では相談に乗ってきていただいた過程において、県が出された資料の中にあるこのA2案とE案について、環境省の見解として、廃掃法が適用されない、産廃特措法の支援が受けられないというようなことを判断として示されたことはないということでいいですね、繰り返し。

谷津政府参考人 御指摘のとおりでございます。

三日月分科員 そうなってくると、ここから先は大臣や副大臣、政務官の皆さんにもお伺いしたいと思うんですけれども、今どういう状態になっているかといえば、この技術的な支援を行うべき産廃特措法、財政的な支援を行うべき産廃特措法、ある意味では時間的支援を与えるべき産廃特措法、平成十年六月以前の産廃物の不適正処分に対してという法律になっているんですけれども、平成二十四年度末が期限なので、その期限に間に合わせるための対策でしかだめなんじゃないかという事態に陥っているんです。財政的な制約と時間的な制約がこの対策の選択肢を狭めている。二十四年度末までにやらなあかんねん、だからD案なんやというような行政対応になっていると私は危惧するんですけれども、大臣、どのようにお感じになられますか。

斉藤国務大臣 平成二十四年度末までの期限ということが時間的制約、また、特措法が切れるということによる財政的制約についてどう考えるかという御質問かと思います。

 まず、産廃特措法の財政面についてですけれども、三位一体改革以降に大臣同意がなされた事案についても、地方債の特例措置を拡充し、必要な支援が行われているところでございまして、本法が対策工法の財政的な制約となっているとは考えておりません。

 また、本法律の施行後約六年の間に、それぞれの都道府県が平成二十四年度という期限も念頭に置いて必要かつ最善の努力をされているものと考えておりまして、現状においては、期限内に支障除去などのために必要な取り組みが進むものと考えております。

 環境省としては、引き続き、これらの事案について、支障の除去等が計画的かつ着実に進められるように、関係自治体と必要な打ち合わせ、助言等を行っていきたいと思っております。

 平成二十四年末という期限を設けたのは、当時、全国に散見された目に余る不法投棄事案、これを早期に解決したい、財政的にも援助したいということで、国会が二十四年末ということを、期限を区切ってみんなで努力しようということになったわけでございまして、それを今の段階で安易に延ばすこともあり得るんだということになりますと、これまで頑張ってきた都道府県等の意欲をそぐことになるのではないか、このように考えております。

三日月分科員 おっしゃったとおりだと思うんです。当然、法の定めに従って行政執行される側でしょうから、立法機関は国会ですから、必要であれば国会でまた議論をして変えればいいんですけれども、行政を執行されるお立場として、延ばすことに伴うデメリットのようなことも今お答えいただいたと思うんです。

 さはさりながら、期限がありきで、その期限に間に合わせるための対策になってしまっていることへの懸念。今行われている全国十一の事例、この表もつけていますけれども、各地で対策をとっていただいている十一の案件と、その中でも二十四年度が期限である案件がそこに記されておりますけれども、それが間に合うか否か。うち七案件が二十四年度末で切れることになっています。

 さらには、この滋賀県の栗東市の案件もそうなんですが、今目の前に産廃の不適正処分があって、さあどうやってそれを処分しようか、第一義的には原因者に責任を追及せなあかん、負担もさせなあかんということを種々検討される中で、これから出てくる可能性もあります。産廃特措法の期限の延長が必要だと思いになられませんか。まず期限内に間に合わせることとあわせて、その検討を始めるということの必要性を感じになりませんか。

斉藤国務大臣 先ほど御答弁申し上げたのと同じ答弁になるわけでございますけれども、この特措法を成立させたときの基本的な考え方、短期間に、できるだけ早い時期にこの問題を解決するということ、そして、国といたしましても、環境省といたしましても、各都道府県などに、事案はないかということを積極的に、事案があったらぜひ取り上げて一緒にやっていきましょうということを呼びかけてきたという経緯もございます。

 そういう中で、各都道府県や政令指定都市もこの二十四年末ということを念頭に置いて努力をされてきたという経緯がございまして、そういう意味では、今回、安易にこれを延ばしますということになりますと、それらの皆さんのこれまでの努力に対して申しわけが立たないということもございますし、できるだけ早くこれを解決していこうという立法時の意思にも反するのではないか、このように先ほど御答弁申し上げたところです。

三日月分科員 立法時の趣旨で、早うやらなあかんというのは、そのとおりだったと思うんです。しかし、やってみたら、意外に時間がかかるな、お金もかかるな、技術的なことも検討せなあかんし、住民にも納得してもらわなあかんな、意外に十年って短いし、えらいきついなと。加えて、全国にもたくさんあるな、おれのところにもあったな、あそこにもあったなということがあるんじゃないかなと思うんです。

 では、ちょっと見方を変えて、この法に基づいて処分せなあかんという案件が現時点でどの程度あると把握をされているんですか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、毎年、都道府県などの御協力をいただきながら、産業廃棄物の不法投棄の状況について取りまとめているわけでございます。

 その中で、先生御指摘の産廃特措法の検討対象になり得るのではないかというふうに思われる事案、これは、平成十年の五月以前に不法投棄が行われて、なおかつ都道府県などにおきまして生活環境保全上の支障があるというふうに御報告を受けた案件でございますけれども、この数字は八十三件ということになっております。

 そうした中で、この八十三件の状況でございますけれども、現在までに支障除去の作業が完了したものにつきましては二件、今支障除去の作業が継続中、実施中というのが三十七件という状況について把握しているところでございます。

三日月分科員 今報告された案件は、産廃特措法に基づいて定められた基本方針に定められている、定期的に取りまとめ及び公表を行わなければならないということになったことに基づいて出されているものだと思うんですけれども、地域的にどこがどういう対策をとっていて、産廃特措法の対象となり得る不適正処分の事案数は何件だととらえていらっしゃるんですか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけございませんが、今、そういった地域ごとの数字は手元にございませんので、またそのあたりを詳細に調査いたしまして、必要に応じてお答えさせていただきたいと思います。

三日月分科員 いや、違うんですよ。大臣、今の御答弁聞いていただいたと思うんですけれども、要は、この対象となり得る案件がどれぐらいあるかということについては、八十三件、生活保全上の支障が残っている案件があるんです。トン数にすると七百五万トンなんです。これは全体の四三%あるんです。加えて、まだ生活保全上の支障があるかないか不明なものが、これは昨年末の発表ですよ、三十四件あって、これらを合計すると四六%になるんです。つまり、全国の不法投棄等の案件の中で四六%が、平成十年五月以前、いわゆる産廃特措法が対象とする期間の産廃であり、不法投棄であり、生活保全上の支障がある状況として残っているんです。

 もちろん、そのすべてが産廃特措法の対象になるかどうかということは、これから当該の都道府県の中で検討されてくるものなんですけれども、大臣、今の状況は、宿題を忘れた子供のような状態なんです。早うやらなあかんで、絶対やらなあかんで、応援もしてあげるでと言ったやないか。何、滋賀県はまだやってへんの、早うやれと言うてたのにと。いや、でもお金もかかるし、これから時間もないし、今忘れているけれども、やらなあかんけれども、言わんとこう。今さら言ったら、期限が短い中で、それ以上延長してもらえるかどうかもわからへんし、十分な対策がとれへん。十分な対策がとれへんのやったら、住民の皆さんにも納得してもらえへんやないかという状態に陥ってしまっているんです。

 したがって、産廃特措法を延ばすとか、支援の内容を変えるとか、加えて言えば、この短期間の中でぎりぎりの状態になった状態で、この特措法のメニューに基づいて対策を講じていくということについて、ちょっと踏み込んだ支援が必要じゃないかと思うんです、もしこの期限は延ばせませんと言うのやったら。その点、どうお考えになりますか。

斉藤国務大臣 三日月議員が今御質問されているこの栗東市の事案については、大変大きな問題であって、いわゆる環境大臣の同意に基づいて産廃特措法で実施計画をつくり、実施するにしかるべき大きな事案という認識がございます。したがいまして、滋賀県も懸命に努力をされておりまして、私たち環境省も、まだ実施計画をつくる段階にはなっておりませんけれども、相談にあずかって一緒に議論をしてまいりました。そういう意味では、かなり早い段階から一緒にこの問題の存在を認識し、対応してきた事案でございます。

 その努力の中で、ぜひこの特措法の期限である二十四年までに全面的な解決といいましょうか、対処の方針を決定し解決をしたいということで努力をしてきているところでございまして、滋賀県もそのような認識だと思います。そういう状況の中で、二十四年までの解決を目指して今我々全力を挙げているということについてはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 また、そのほかにもいっぱい小さい事案はあるではないか。我々、この八十三の事案については、いわゆる環境大臣の同意に基づく実施計画をつくってやるものなのかどうかということについては、そういうものではないというふうに認識しておりますけれども、そのほかのものにつきましても、二十四年までにきちっと解決するべく、各地方自治体そして我々も努力をしているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

三日月分科員 環境大臣のその優しいお顔で、理解してくださいとか言われると、何か、うんうんと言っちゃうんですけれども、そうじゃなくて、具体的に申し上げれば、例えば、もう期限が迫っているんです。あともう四年しかないんです。そうすると、物すごく大規模な案件でも、期限があれば、やることが限られるんです。その中で、やることが限られるから、どうしてもその対策が、住民から見れば不十分なものに見えてしまう対策になっちゃうんです。

 かつ、これまで長年の行政対応の不始末もあって、言うたのにやってくれへんかった、けしからぬから指導してくれと言ってもやってくれへんかったという、長年の、積年の不信感もこれまたありで、そういう状況下で、では、県が住民の合意と納得というものが得られる説明ができるかというと、なかなか難しい状態になっているんです。

 だから、具体的に言えば、今環境省が、滋賀県から来てもらって、どうやとか、こうしたらとかと言っているだけじゃなくて、国からもだれか間に入っていって、住民の皆さんはどう言ってはるの、県はどう言っているのという、何か取り持つ人間も必要じゃないかと思うんです、事この期限が迫ってきた段階においては。県さん、ちゃんと説明しなさいよ、住民の皆さんはどうやって言っているんですかと、一歩引いた技術的支援や助言ではなくて、ちょっと一歩前に出た支援も、この期限が迫ってきた段階においては環境省もやっていかなあかんと思うんですけれども、その点はどうですか。政治家としての御感想と御決意を承れればありがたいんですけれども。

斉藤国務大臣 この案件につきましては、まず県が案をつくられて、栗東市も一たんはそれに同意をされたという経緯もございます。その段階で、環境省もその案づくりに、環境省に正式な書類が出てくる前ではございますけれども、ある意味では相談に乗りまして、こういうことでやれば工法的にも、また汚染対策という意味からも十分なのではないかという形で相談に乗らせていただきました。

 そういう経過が十年来あったということも踏まえまして、ぜひ二十四年までの間に、特措法の期限までの間に何とか解決したい、そのことについて我々環境省が助言をしたり、またある意味でいろいろな技術的なことで説明を申し上げたりということについては我々大いにやらせていただきたい、このように思っています。

三日月分科員 県の努力も認めます。これまでの環境省の皆さんとの関与も認めます。いろいろな意味で御苦労、御尽力をいただいていることは認めるんですが、事期限が迫ってきた中でこれだけ大規模かつ悪質な案件を処理していこうと思ったら、より踏み込んだ支援、もちろん法改正、期限の延長は立法機関できっちり与野党で話をしてやっていきたいと思うんですが、事今定められている法に基づいて、例えば、全国では八十三件、滋賀県の栗東市にもこういう形で残っています、でも、住民の皆さんとは合意相入れない状況になっていますという中で処理を進めていこうと思ったら、やはり今の助言のままじゃ、応援のままじゃ足りへんのちゃうかなという観点からの支援の検討が必要だと思うんです。

 最後に、大臣、副大臣、政務官の感想も含めた御答弁をいただいて終わりたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

 これは、ぜひ検討だけでもしてほしいと思うんですよ。今のままじゃだめですよ。期限があるからやれよ、残り四年やぞ、早うやれ早うやれと言うだけじゃ絶対だめですよ、何か一歩前に出てもらわないと。それができることないかなという検討も含めてしていただけたらと思うんですが。

斉藤国務大臣 産廃特措法の延長問題に関しての今、私、環境大臣として考えている基本的な考え方は、今まで申し述べたとおりです。

 法律の趣旨は、先ほど申し上げましたように、こういう本当に信じられないような産廃の案件を早く日本からなくしたいということが趣旨でございますので、そういう意味も含めて、この栗東市の問題、それから残されている比較的小さな問題、どういうことができるか検討していきたい、このように思っております。

吉野副大臣 私の地元は福島県いわき市というところなんです。炭鉱地帯でありまして、昔々、炭鉱の坑道に廃油を不法投棄して、産廃特措法をつくる、豊島の前の古い事件がございました。福島県が代執行までして全部きれいにしたのであります。これは、県が自分の責任できれいにしたんですけれども、国の支援もある意味で受けることができました。特公という形で受けることができました。まず、その地域にある不法投棄をきれいにしていくというのが日本国としては当たり前のことだと思いますので、今大臣おっしゃったように、十分に検討していきたいと思います。

古川大臣政務官 産廃特措法の二十四年という期限を延ばせという問いに対して、この委員会のこの場で答えよと言われれば、それはいたしかねると申し上げる以外にないのですが、三日月委員の御提案、御趣旨は、私、非常に腑に落ちます。よく理解できます。

 ウサギ追いしかの山、小ブナ釣りしかの川ですね。やはり、御先祖から子孫への預かり物であるこの国土を、今この時代において可能な限りきちんとした形で後世に伝える努力をしなければならないと思うし、冒頭に委員がおっしゃったグリーン・ニューディール、こういう大きな一つの武器が今私どもの手に与えられるかどうかというこの機会をとらまえて、大臣がおっしゃるように、前向きに検討していけるように努力をしたいと思います。

三日月分科員 ありがとうございました。終わります。

富田主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

富田主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年、青森県産リンゴは、ひょうや霜によって四割の園地で百三億円もの被害がありました。県が宣伝したひょう太君、あるいは農民組合がほほえみリンゴと名づけて、少し傷があっても同じようにおいしく食べられますと売り出しました。また、ひょう害リンゴがテレビでも紹介をされ、その後、県内の関係機関にたくさんの問い合わせもあったそうです。生産者にとっては、何より生果で食べてもらえるということがうれしいと思います。

 それでも、まだ田んぼには行き場のないリンゴ箱が山積みにされ、生産者は支払いに頭を抱えています。加工用は既にいっぱいです。木箱を七百円で買って、それにリンゴを二十キロ詰めて売ったら六百円にしかならない。完全な赤字です。ある加工業者は、向こう二年間在庫がある。ドラム缶七千本、それだけで四千万円の保管料という業者もあります。こうなると、引き取ってもらえないばかりか、来年も加工という受け皿がないということになります。

 しかし、私がきょうお話ししたいのは、本当にそうだろうかということです。リンゴ果汁は年間一人二・三リットル消費をされ、ミカンの半分とはいえ、果汁の中では人気が高い商品であります。

 では、全国のリンゴ果汁消費量が一体幾らで、そのうち国産品の加工仕向け量、どのくらいになるんでしょうか。

本川政府参考人 まず果汁の消費量でございます。果汁の消費量につきましては、五分の一の濃縮果汁換算のトンだそうでございますが、十九年で全国三十五万三千四百六十七トンということになっております。これに対しまして国内生産量は三万二千五百五十トンでございますので、九一%が輸入ということになっております。

 他方、リンゴの果汁につきましては、十六万七千二百七十六トンが消費量でございまして、国内生産量はこれに対しまして一万九千百八十六トンということでございますので、八九%が輸入であるということになっております。

高橋分科員 九割が輸入果汁である。やはり、ここにもっと何とかする道がないのかということが、今生産者が大きく願っていることであります。

 九〇年にリンゴ果汁の輸入自由化が決定されて以降、輸入量は増加し、七万五千トン以上、生果換算で約六十六万トン、これはもっと多いときも少ないときもありますけれども。加工というのは、生果の価格安定や需給調整という役割を持っていると思います。しかし、安値の輸入果汁によって、加工に振り向けていたリンゴが生果に回り、ここでも価格を下げてしまう。つまり、生果の価格さえも下げてしまうという問題がございました。

 ここに対してまずどうお考えなのか。この間、私たちが繰り返し指摘をしてきたリンゴ果汁の原料原産地表示、今こそやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

竹谷政府参考人 お答えいたします。

 加工食品の原料原産地表示につきましては、JAS法に基づきまして、平成十三年以来、個々の個別品目ごとに取り組んできたところでございますけれども、これにあわせまして、平成十八年から、品目横断的な取り組みをしようということで、原材料が品質に影響を与える、差異を与える、ある程度加工度の低い二十食品群というものを選定いたしまして、原料原産地表示の義務づけの対象という形で取り組んでいるところでございます。

 そうした中ではございますけれども、JAS法の義務づけということになりますと、これは、製造業者の方々にとりましては、中小の方あるいは零細な事業者の方も含めまして、すべての事業者の方を対象とした制度になってまいります。そうなりますと、実際に実行可能なのかといった問題点もございますし、また、国際的な規格との整合性といった問題点もありますので、これらの点につきまして十分考慮の上検討すべき問題であるというふうに考えております。

 一方におきまして、生産者の方にとってもそうですし、また、消費者の方にとりましても原料原産地というのは非常に関心の高いことであるというふうに認識しているわけでございまして、この原料原産地の表示の問題につきましては、昨年の三月の時点におきまして私どもの方から、関係の事業者、三百三十の業界団体の方々に積極的に取り組んでいただきたいということで、手引などを示しながら、積極的な取り組みを促しているところでございます。

 それと同時に、昨年の七月から、厚生労働省の審議会の委員の方と私どもの審議会の委員の方で食品の表示に関する共同会議というものを設けておりますけれども、その共同会議におきまして、原料原産地のこの問題につきまして、どういった情報提供をしたらいいのかということについて、ことしの三月を目途に方向づけができないかということで、現在議論を行っておるところでございます。

 その中におきましては、消費者の方、生産者の方、製造事業者の方々から賛否両論の御意見をいただいておるところでございますけれども、まずはその方向づけを待ってというふうに考えている次第でございます。

高橋分科員 余り前向きには聞こえなかったわけですよね。前段のところはもう何度も聞いたお話でございます。

 ただ、この間の消費者の関心は非常に高いという中で、前向きに向かってきたのではないかと私たちは受けとめているんですね。本当にそこはどうなのか。例えば、業界団体の話を聞いたと言います。でも、業界といったときに、清涼飲料業界というくくりでいうと、果実飲料というのはわずか一〇%にすぎないわけです。そうすると、もともと無果汁を売りにしている業界もあるし、そういうところと一緒になってどうしますかという議論をしたって、それはなかなかまとまるはずはないわけです。やはり、そこはちゃんとすみ分けをして考えなければならない。そうじゃないですか。

 もう一回、前向きに検討するということで。

竹谷政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、先ほどの共同会議におきまして清涼飲料業界の方から意見を聞いたのは事実でございます。そうした中で、単に清涼飲料一般についてお聞きしたわけではなくて、実際に、果汁の具体的な問題につきましてもいろいろと意見のやりとりがあったわけでございます。

 今ここに問題になっておりますリンゴの果汁ということになりますと、中国を初めとしまして多くの国々から輸入果汁が入ってきているわけでございます。また、果汁の場合に、加工過程がなかなか複雑なわけでございます。単に生果から搾ってジュースをつくるというだけではなくて、実際に、例えば南米の国々から入ってきたオレンジをアメリカにおいて濃縮をする、それを日本国内に持ち込んで還元をするという過程をとったりもしているという、そういう多段階の加工もございます。

 そういったことにつきましてのいろいろな果汁に即した御意見が出まして、事業者の方、消費者の方のいろいろな御議論がありまして、今、それらの御議論を踏まえながら、果汁だけではございませんが、一般的にこの原料原産地の問題にどういう方向づけができるかということを委員の方々に御議論いただいているというところでございます。

高橋分科員 さまざまな国、さまざまな過程、ここがずっと理由にされてきたわけです。大手ボトラーがどこからどの程度仕入れているのか、全く公開されていないんだ。無果汁を売りにしている商品は別として、消費者が県産品だと信じて飲んでいる商品があります。かつて青森県当局が、団体の求めに応じてボトラーに原産地あるいは成分調査を行いました。それを、せめて企業名がなくてもいいから、割合ですとか国の内訳ですとかを教えてください、それすらも公表してもらえなかったんです。しかし、本当にそれでいいのかということなんです。

 例えばここに、〇六年十一月八日、公正取引委員会事務総局が発表した「果汁・果実表示のある加工食品の表示に関する実態調査報告書」がございます。これは、果汁などの強調表示のあるキャンディーとかグミとか、固形タイプの加工食品なわけです。その調査の中で最後に指摘されたことは、「今回の調査において、「○○県産りんご果汁一〇〇%」などと特色ある原材料を使用している旨表示している商品の一部に、実際の原材料の使用率と果汁等の含有率表示の数値が著しく乖離するなど、適正表示の観点から問題のあるケースがみられたことから、」農林水産省に対して、景品表示法上の考え方を踏まえた適正な表示を要望した、このように言われているわけです。

 この調査の中でモニターの声が紹介されているんですけれども、果汁含有量の表示方法について、商品重量に占める割合を商品の表面に明瞭に表示すべきである、これが三七・二%、一番多いんです。一〇〇%と書いているのに、果汁以外の原材料を使用している商品に一〇〇%と書くのはおかしい、三七・六%。だから、たとえキャンディーだといっても、やはり消費者の意識はそれだけ厳しいんだ。ましてジュースであれば、適正な表示を求めるのは当然ではないか。

 こうしたことで、もっと実態がどうなっているのかを明らかにしてほしい。そういう青森県がやったような調査を国としてやるつもりがあるのかということも含めて、御答弁いただきたい。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさに委員から御指摘をいただきましたように、消費者の方々が実際にどういった原材料を使っているのかということを知りたいというお気持ちがあるということは、重々承知をしているわけでございます。他方、それを包装資材の上に表示するとなると、産地がいろいろ移動したりしまして、その移動した産地のものをブレンドして一定の品質の商品をつくっているという場合がございますので、包装資材に臨機応変に対応できないものもあるという声も事業者の方からは聞いております。この事業者の方も、零細な事業者の方もありまして、なかなか難しい問題があるわけでございます。

 そうした点を先ほど来申し上げております共同会議の委員の方々にしっかり御議論をいただいて一定の方向づけを得たいというふうに、まずは、第一段階としてその方向づけを得たいというふうに考えております。また、委員から御指摘のようないろいろな問題につきまして検討を深めていきたいというふうに考えているところでございます。

高橋分科員 ことしの三月に方向を出すということになっておりますので、その結果をぜひ期待をしたいと思っております。

 時間があるので次に進みます。農政改革についてであります。

 二月六日、農政改革閣僚会合と特命チームが発足し、ことし四月までに何らかの方向性を出すとしております。生産調整をめぐる大臣の発言が、そこだけがひとり歩きしているような気がして、それだけを言ったのではないと多分大臣はいろいろお気持ちがあるんだと思うんです。事実かどうかということはあえて聞きません。そういうことではなくて、十七日の記者会見で、二十一年産米についてはまず変更がない、その先は、こうなったらいいなではなく、こうなるということを数字をもって検証する、いわゆるシミュレーション、それをさまざまやるということをおっしゃったと思うんです。

 そこで私が伺いたいのは、まず、政府・与党が強調している水田フル活用、これは矛盾しないんですよねということが一つです。それから、減反を仮に選択制にすれば、何らかの直接支払いは行うとしても、価格を完全に市場に任せるということにならないかと思います。その点についてどうでしょうか。

石破国務大臣 委員がおっしゃっていただきましたように、私は選択制にすると一回も言ったことはないんです。そこははっきりしている。そしてまた、二十一年産米については変更は行わない、飼料米あるいは米粉米を用いて水田をフル活用しなければならない、ここまでが私が公に言っていることでありますし、実際にそうであります。

 しかしながら、今の生産調整に一生懸命まじめに取り組んできた人が頑張って頑張って価格を維持している。しかし、おれは関係ないんだ、好きなだけつくるんだということで庭先でがんがん売っている人がそのまじめにやった人の努力の上に乗って利益を得ているということになれば、まじめにやっているのは一体どうなるのだと、この不公平感はどうしても払拭できない。

 私は、制度の中に不公平感があるものというのは永続性を持たないと思っているものですから、そこをどう考えるかということについては、いろいろなシミュレーションをして、一体何がどうなるのかということを作業としてやらなければ、政策として正しいことは立証されないし、納税者の御理解も得られないだろうということを申し上げておるわけでございます。

 ですので、いっぱいつくればもちろん値段は下がるわけで、仮定の議論として、一、二の三で全部やめて好きなようにつくりましょう、それはもう値段は落ちるに決まっているわけで、そうすると、一生懸命まじめにやっている人、大規模でやろうとしている人が一番打撃を受けるに決まっているわけで、そういうわけにはならないでしょうと。しかし、今の制度ですと不公平感がありますでしょうと。

 ではどうすればよいのですかということは、いろいろな角度から検証しなければいかぬだろう。そしてそれは、単に農林水産委員会の場とか農業関係者の場とかそういうところの議論ではなくて、私はずっと若いころ農政をやっていたのですが、その議論が本当に一部だけで行われておって、消費者とか納税者とか広い観点で議論されたことがない。そもそも、日本農業というものが本当に国民全体で支えるんだということのコンセンサスを得るためには、本当に広い議論をオープンにしなければ、何か繰り返しになりましたが、オープンな議論を透明性を持って広く行わなければいけないと思っております。

 いかなる政策をとるにしても、これは正しいのだというような確証を持って、そして、納税者の方々がそうなのだという御理解をいただいてやっていかねばならぬ。こうあればいいなということではなくて、こうなるのだということが、すべての皆が同じ意識を持ってやっていかなければならないのだ、そういうことを申し上げておるわけでございます。

高橋分科員 後段のところなんです、私が聞きたいのは。価格を完全に市場に任せるのかと。

 農政改革六大臣、これは経済財政諮問会議と同じメンバーでございますよね。やはりこれがことしの重要なテーマであるということで、ことしの骨太を視野に入れているのかなと思っているわけですけれども、二月三日の諮問会議の席上で、大臣は改革の必要性について発言をされています。前段で、高齢化が非常に進んでいることや農村がなくなっていくことに対する危機感、あるいは環境問題や食料危機の問題、この点ではほとんど認識は同じだと思うんですね。我が党も、五割の自給率を目指そうということで訴えてきたわけです。

 問題はその後ですね。民間人の吉川洋東大大学院の教授が、大臣の意見と私も全く同じ認識を持っている、そう述べた後で、さっき私が聞いたことをおっしゃいました。つまり、米の消費者価格と生産者の収入を切り離して、前者については原則として市場に任せる一方、農業経営体の水田経営による所得は安定させる仕組みを考えるべきではないかと。これに対して大臣は、特に反論も補足もしておりません。賛成だということでしょうか。

石破国務大臣 いや、そこで述べていないのは、別にそれに賛意を表したからということではありません。どうする、こうするということを決めているわけでもないし、まさしくそれはこれからの御議論なのでありますが、価格は市場に、所得は政策でとか、いろいろなスローガンがありますけれども、そこは、例えば多くの国において、何も日本だけが農業保護をしているわけじゃないんです。どの国もやっているわけです。そして、日本の国の自給率がこんなに低いのは、それだけ開放されているから自給率が低いのでありまして、日本農業が閉鎖的だなんというのは、私はそれはうそだと思っているのですよ。

 しかしながら、では、所得補償というものを行っている、直接補償というものも行っている、あるいは納税者負担型でやっているという場合に、その中身は何なんですかという議論もちゃんと詰めていかなければ議論にならない。どれでやるということを私は全く申し上げておりません。

 例えばきのう、スイスの副大統領兼経済大臣のロイタードさんという女性の方がいらっしゃいました。ダボスでも議論をし、きのうも議論をしたのでありますが、スイスだって日本と似たような国ですよね。山国で、平地が少なくて、自給率が四九%であって、そういう国ですよ。では、スイスにおいて直接補償の中身は一体何なんですかと。環境に適合するような農法を行った場合に、それがきちんと証明をされた場合には補償します、スイスの農業予算の相当部分は直接補償で占められているとか、そういういろいろなタイプがあるわけです。

 どの国も農業は守っていかなければいけない。そのための政策手段としていろいろなものがあるだろう。それが、農業の持続性を確保するものであり、かつまた納税者の理解を得られるものとは一体何ですかという議論をしていこうということなのでありまして、この方向で行くとか、吉川委員がおっしゃったことに私が全面的に賛同したとか、そういうことを申し上げているわけでは全くございません。

高橋分科員 非常に大事なところなのであえて指摘をさせていただきました。もう御存じのとおり我が党は、やはり価格の下支えということは必要だという立場でありますので、そしてそれが現場の声でもあるということをお話ししたかったわけです。

 あわせて言いますと、今、スイスのお話を紹介されましたけれども、スイスは国民投票で食料主権ということを明確に打ち出している。やはり、そこに我が国も立つべきではないかということを重ねて指摘をしたいと思います。

 それで、水田フル活用について考えてみたいんですけれども、農水省が休耕田や転作不向きな水田を活用してえさ米や米粉生産を強めよう、私は、これは各地でもう既に意欲的な取り組みが始まっていますし、歓迎したいと思っているんです。

 そこで、麻生首相が昨年の十一月に、岩手県の八幡平市、コマクサファームという養豚業者の方を視察に行かれたわけです。同市がつくったえさ米を活用するんだということを聞いて、総理は、輸入トウモロコシから米にかわると自給率は上がるし、大いに応援したいということを記者団に述べられているわけです。

 私は、実はその八幡平市につい先日行ってまいりました。人口が三万一千七十九人、そのうち農業人口が一万三千八百二十九人、かなりなわけですよね。ホウレンソウと、安代りんどうという、非常に有名なんです、日本一の生産地であります。

 この八幡平市で、えさ米を二百四十トン、面積で四十ヘクタール、作付をしております。ざっくり言いますと、産地づくり交付金から十アール当たり五万円の助成、販売価格が二万四千円で、合わせると七万四千円から、そのほかに、団地化とか土地集積とかさまざま加算がありまして、最高にとれば九万四千円くらい見込めますよということを言っているんですね。そしたら、総理がごらんになったその養豚業者が、あと十倍受け入れてもいい、二千四百トン受け入れてもいい、こう言ってくれている。非常にありがたい話です。

 これを試算しますと、再生産価格は大体十アール当たり三万七千八百六十円だ。そうすると、四百ヘクタールふやすとすると、一億五千万何がしである。同市が交付されている産地づくり交付金が二億五千万なので、六割増しが必要になってくる。政府の五万五千円も活用したいと言っているわけですが、そうすると二億を超えるわけですよね。ホウレンソウあり、リンドウあり、ほかにいろいろな転作をやっている。そうすると、丸々それにばっかり使えないよね、というと現実的じゃないなという話になりました。

 そこで、一体農水省は、どの程度、農家の所得をえさ米で得られようと考えているのか、あるいは、全体としてどのくらい普及しようとしているのか、その点、伺いたい。

本川政府参考人 飼料米につきましては、二十一年度から、水田フル活用対策ということで積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 それにつきまして助成策でございますけれども、二十年度は従来の産地づくり対策でございます。これは、今委員が御指摘になったように、十アール当たり五万円を助成しているところもあれば、平均的に三万五千円程度でとどまっているところもございます。これ以外に私どもは、畜産対策で十アール一万三千円相当の別途の支援を二十年度は行うということで、平均的に言えば、四万八千円の支援を行うということでやっておりました。

 二十一年度につきましては、これを大幅に増額をいたしまして、産地づくり交付金とは別に、そういう転作拡大部分に対しまして五万五千円の支援を行うということにいたしております。それ以外に、飼料米でありますから、わらまで家畜に与えるという取り組みをしていただければ、これにプラスいたしまして一万三千円、都合六万八千円の支援を行うということで計画をいたしております。今年度から見れば二万円のアップということでございます。

 これに対しまして、昨年よりも少しトウモロコシが下がっておりますので、粒としての販売金額は少し落ちますが、わらまで御利用いただけると、九万円をはるかに超える収入が見込まれるのではないかなというふうに思っております。

 そのようなことを十分農家の方に御説明しながら取り組んでいきたいと思っております。

 それから、飼料米のその数量の見込みでございますが、これは畜種によっても違ってまいります。例えば豚でありますと、二割ぐらいは使えるのではないかというような見込みがございます。それから、鳥肉生産であれば半分ぐらいは使えるのではないかと。ただ、牛ですと五%ぐらい。これは、牛の場合には、お米は消化がよ過ぎて下痢をするというようなことがございます。そういうようなことを見ますれば、相当程度使用が見込まれるのではないかと思います。

 まだまだ国内生産は千六百ヘクタール程度でございますので、これを拡大するように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋分科員 山形県遊佐町の平田牧場の取り組みが全国に非常に先駆けとなったわけですけれども、そこで生産者と連携をした生活クラブ生協、この連合会の会長である加藤好一氏が、昨年の十月二十日付農業協同組合新聞の対談記事でこのようなことをおっしゃっています。「ただエサ米を作ってくださいといっても生産者は作るはずはないですよね。産地づくり交付金で助成しても、とてもそれで生計を立てていくということはありえない。」「主食用米が数量も含め米価が維持されるということが根本に置かれなければ自給率向上なんてあり得ない。それがなければ生産者にとって水田フル活用なんて、おととい来い、みたいな話」になる、このような指摘をしている。

 私は非常に重要だと思うんです。えさ米も米粉も拡大するのは大事です。しかし、六割の主食用で勝負できなければ農業が続けられない。大臣、どうでしょうか。

石破国務大臣 自給率を上げるためには、みんなが食べなければ自給率は上がらないのです。どんなにつくろうが、価格を維持しようが、みんなが食べてくれるということにならなければ自給率は上がらない。そこの議論なんだと私は思っているんですね。

 価格維持ということ、それはいろいろな御議論があるでしょう。同時に、朝も答弁しましたけれども、お米をもう一ぜんみんなが食べれば八%上がるんです。一日、朝、昼、晩食べれば、八、三、二十四で二四%上がるんです。どうやって自給率を上げていくかということが、どのようにして今ある資源を活用するかということを本当にまじめにあらゆる観点から考えていかなければいかぬのじゃないでしょうか。そして、農家の生活が維持をされるとともに、自給率が結果として上がる、自給力が強化される。そのためにいろいろな観点から見なければいけないのであって、それは、おととい来いかなんか存じませんが、そういうお話があることも承っております。

 また、飼料米についても、つくりましたが、それがどうやってきちんと活用されますかという耕畜連携のあり方だってよくよく考えていかなければいけません。米粉だってそうです。あらゆる観点からやっていかねばなりませんし、国としての支援もしていかねばなりませんが、私は、こうすればこうなるということがきちんと理解をされなきゃいかぬというのは、それは、納税者が理解をして負担をするということが必要だからであります。

 ですから、願望みたいなことを言っても仕方がないのであって、こういうふうにします、そのためにこのような助成をし、このような財政資金を投入します、ですから消費者の方々もこうしてくださいねということは、すべてのコンセンサスの上になされなければ、議論は砂上の楼閣に終わるということを申し上げております。

高橋分科員 そこでまた消費者の問題になってしまうと、もちろん確かにそうなんですよ、多く食べた方がいいに決まっています。ただ、そこだけでお話を集約されてしまうと、どうだったのかと思うんです。

 そうすると、もう一つの問題がありますよね。ちょっと時間がないので端的にお答えをいただきたいと思うんですけれども、来週、WTOのラミー事務局長が訪日をされて大臣と会談を持たれる。大臣は、従来どおりの日本の主張を述べますとおっしゃっているわけですけれども、まず確認だけです。

 日本が受け入れようとするミニマムアクセス米、昨年の七月の最終局面で受け入れようと合意していたラインは、重要品目四から六%というものでありました。その後さらに改定版というのがあるわけですけれども、どのくらいになりますか。

町田政府参考人 WTO農業交渉でございますが、現在、関税削減などの一般的なルール、いわゆるモダリティーについて議論している段階でございます。個別品目の方の取り扱いということにつきましては、今後、モダリティーについて合意がなされれば、そのなされた後に、譲許表の交渉の段階で検討するということとなるわけでございます。

 今、MA米の数量についてのお尋ねでございますが、これはあくまでも一つの試算ということで申し上げるといたしますと、関税割り当ての数量につきましては、現在の農業交渉議長テキストにおきましては、重要品目に指定した場合の基本とされている国内消費量の四%分の拡大をすると仮定した上で、前回のウルグアイ・ラウンド農業交渉における消費量算出方法を参考に算出いたしますと、百十四万トンとなるという試算でございます。

 繰り返しになりますが、これはあくまでも一つの試算でございまして、米の取り扱い、またMA米の輸入数量について予断するものではございません。

高橋分科員 済みません、一点だけ。

 百十四万トンという、もう汚染米の事件で明らかになったように、大臣もよくおっしゃったように、使い道が本当はないんだと。ミニマムアクセス米が百十四万トン、これは試算、でも、その前後入ってくるということを今日本が受け入れようとしているわけです。九五年から十三年間かけて飼料用米に使ったのが百四万トン、それが一年で一気に入ってくるということなわけですよね。そうすると、フル活用しよう、大いに食べようと言っている、しかし、そういうときにこれは矛盾しないかと思うんです。

 九三年十二月十七日の閣議了解、米のMA米導入に伴う転作の強化を行わないとか、国内の生産に影響を与えない、これを何度も繰り返してきたわけです。しかし、もうこれは壊れていると言えるのではないですか。MA米の撤回、もうそこに踏み出すべきではないですか。

石破国務大臣 それは、MA米が入ってこなければ一番いいわけです。そのことはよく存じております。それから、輸入機会の提供なんだから、何もみんな入れなくてもいいという御議論もありますが、生産調整に影響を与えないということを考えた場合に、国家貿易から考えまして、今のやり方というのは維持をせざるを得ないという状況であります。

 ですから、MA米が入ってこないようなやり方とは一体何なのだということは、それは日本の産業全体から考えていかねばならないことであり、そして、国際ルールの中でどのようにして我が国が我が国の国益を主張するかということだと思っております。

 MA米が入らないのが一番よろしいということはよくわかっておりますが、いろいろな中で、どうすれば国民が国産の安全なものを食べられるかということを考えていかねばならない。同時に、自由貿易の中に生きる我が国にあって、我が国のことだけ考えていればいいのではなくて、ほかの国の、農産物しか輸出するものがない、そこに貧困な人たちがたくさんいるということに対して我が国はどう考えていくのかということも、あわせて議論せねばならないことだと思っております。

高橋分科員 入ってこなければ一番よろしいと。その続きをまた次の機会にやりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

富田主査 次に、環境省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。吉田泉君。

吉田(泉)分科員 民主党の吉田泉です。きょうは大変長い時間の審議になりましたが、私が最後の質問者でありますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは、地球温暖化について、その現状さらには原因の考え方等を中心にお伺いしたいと思います。

 御存じのように、昨年から京都議定書の約束期間というのが始まりました。また、ポスト京都について、中期的、長期的にどういう目標にするか、そろそろ我が国も態度を決めるというときも近づいている。さらには、今審議中の予算で、地球環境保全経費ということで六千八百億円ほど計上されている。大変大きな額がこの問題に使われているということもありまして、今、政治的に非常にしゅんのテーマかなと思っているところでございます。

 まず最初に、温暖化の現状について、数年単位で見たらどうなんだ、十年単位で見たらどうか、百年単位で見たらどうか、千年単位で見たらどうか、そういう視点からお伺いしてみたいと思います。

 お手元に資料が行っていると思います。ことしの二月、今月初めに気象庁から発表されたデータ、世界の年平均気温平年差、これは資料一ですが、それから二枚目がそれをグラフにしたもの、三枚目はもうちょっと長期に見たもの、この三枚が気象庁から発表されました。これが一番いいデータかなと思いましたので、これをベースに最初に話を進めたいと思います。

 まず、気象庁にお伺いしますが、このデータはどのようにして算定されたものでしょうか。

小佐野政府参考人 気象庁では、本年二月三日に、二〇〇八年の世界と日本の平均気温についての報道発表を行い、二〇〇八年の世界の年平均気温の平年差を公表しました。

 世界の年平均気温の平年差の算出方法は、約千二百地点の陸上の観測点や約六千五百の船舶やブイの観測データを使用して、五度、約五百キロでございますけれども、格子ごとの平均気温の平年差を計算しまして、その値を世界じゅうで平均して世界の年平均気温の平年差として算出しております。

吉田(泉)分科員 世界じゅうの気温をデータをとって算術平均と。イギリスとかアメリカもやっているようですが、日本の気象庁のこのデータが世界的に大変権威のあるデータだ、こういうふうに聞いておるところでございます。

 さて、資料一を見ていただきたいんですが、平年差というデータが大体十三年から十四年分出ております。この間お聞きしましたところ、地球の気温の絶対値というのは余り意味がない、いろいろな、緯度が違ったり何かすると絶対値というのは意味がないので、平年差という格好で気温のデータを出しているということでございます。この右側に手書きで年間上昇分というのを書きました。つまり、一九九五年から九六年にこれは下がったですね、マイナス〇・一度下がった、こういうふうな数字をここに書いてみました。これを見ますと、ここに十三年分のデータがありますが、下がったのは六回、上がったのが五回です。変わらないというのが二回。ざっと言えば、上がったり下がったり、この十三年しているなというデータだと思います。

 そこで、この数年間に限って見ると、二〇〇六年、下から三行目ですが、マイナス〇・〇一、さらには七年もマイナス、去年もマイナス、こういう数字になっております。そして、二十一世紀に入って、二〇〇一年からずっとデータを見ますと、プラスの度合いが去年が一番低いんですね、プラス〇・二ですから。そういう意味では、去年、二十一世紀に入って最低の気温を記録したというふうに思うんですが、まず、そこを確認してください。つまり、少なくともこの三年間は気温が下がっている、そして昨年は今世紀最低の気温を記録したというふうにこのデータから読み取っていいかどうか。

小佐野政府参考人 毎年の平均気温は年々や数十年規模の自然変動や地球温暖化の影響を受けて変化することに留意が必要でございますけれども、二〇〇六年から二〇〇八年の三年間、連続して平均気温が下がっていることは事実でございます。

吉田(泉)分科員 それでは、二枚目を見ていただきたいんですが、もうちょっと、十年単位ぐらいの趨勢を見たいんですが、これは同じデータを棒グラフにしたものです。これを見ると、どうも一九九八年がこの図の中では一番温度が高かった。つまり、ここがピークだった。それから下がったり上がったりはしておりますが、昨年までの十年程度の期間を見ると、強いて言えば横ばいないしは下がっているというふうにこのグラフを読まざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。

小佐野政府参考人 二〇〇八年の平均気温から一九九八年の平均気温を差し引くと〇・一七という数字が出てきますが、この値を直ちに十一年間の変化傾向として解釈するのは適切ではないというふうに考えてございます。

吉田(泉)分科員 横ばいか下がっているとしか読めないと私は申し上げたんですが、ということは、上がっているとこれを読むということですか。

小佐野政府参考人 毎年の平均気温というのは年々や数十年規模の自然変動や地球温暖化の影響を受けて変化しておりますので、直ちに上がっているとか下がっているとかというふうに論じるのは適切ではないというふうに考えてございます。

吉田(泉)分科員 では、その問題はさておきまして、今度は百年単位でちょっと見たいと思いますが、三枚目でございます。

 これも気象庁が発表したグラフになっておりますが、一番左端が一八九〇年、大体百年以上前ですね。それから一九〇〇年ということで、最後は二〇一〇年手前まで、二〇〇八年までをグラフ化したものです。

 ここに二つの線が書いてあるわけですが、まず直線で書かれているグラフですね。「長期的な変化傾向」というふうに下に解説が書いてありますが、この百年間、長期的に見ると直線的な温度の上昇があった、温度の上がり方は直線的であるというふうにこのグラフを読んでいいと思うんですが、どうでしょうか。

    〔主査退席、斉藤(斗)主査代理着席〕

小佐野政府参考人 直線的とは思ってございません。過去百年以上にわたる世界の平均気温は、年々の変動や数十年規模の周期的な変動により、上昇、下降を繰り返しながら、全体として地球温暖化の影響を受けて上昇しているというふうに考えてございます。

吉田(泉)分科員 その話はこの次にしようと思うんですが、まず、直線が書いてあるということは、統計学的に処理してこの百年間の気温は直線的に上がっていると解釈したから直線を引いたのではなかろうかと思うんですが、今おっしゃったのをちょっとここで質問します。

 これは、よく見ると曲線も書いてありますね、上がったり下がったりしている曲線といいますか。例えば、一九一〇年、これは随分低いですよね。それから一九四〇年、この間三十年間ですが、〇・五度ぐらい上がりました。その後、戦争が終わったころですが、なかなか気温は上がらずに、どっちかといえば低下傾向を示しながら一九七五年ぐらいまで行くわけですね。そして、七五年ぐらいから、今度はこの曲線が上がり出す。

 つまり、この図から、直線的な傾向以外に、三十年から三十五年ぐらいの周期でもって気温というのは上がったり下がったり上がったりしているのではなかろうか、その二つの事実、直線と周期と二つの傾向がこの百年間の地球の気温にあったということをこのグラフは示している。先ほどおっしゃったことはそういうことだろうと思うんですが、もう一度確認してください。

小佐野政府参考人 世界の平均気温の変化を詳細に見ますと、先生おっしゃるとおり、ある時期は上昇し、ある期間は下降または横ばいの状況を続けるなど変動しておりまして、百年当たりではおよそ〇・七度の割合で上昇しております。

 このような平均気温の変化は、地球温暖化の影響に、数年や数十年程度の時間スケールで繰り返される自然変動が重なっているものと考えております。したがいまして、二〇〇〇年以降の平均気温につきましても、最近の三年間が前年に比べて低下しているといっても、下降傾向にあると即断はできませんので、もう少し長く見ていく必要があるというふうに考えてございます。

 気象庁としても、今後も引き続き世界の平均気温の監視を続けていく所存でございます。

    〔斉藤(斗)主査代理退席、主査着席〕

吉田(泉)分科員 おっしゃるように、やはり長い目で見るということが大事だと思います。

 それで、一枚飛ばして、資料五というのをつけました。これは気象庁のデータではありませんので御答弁はよろしいですが、これは赤祖父教授の本に書いてあったデータをコピーしてつけさせていただきました。これは大体三千年ですね、紀元前千年ころからの地球の気温を示したグラフだと思います。

 ざっと見ますと、紀元前千年から紀元ゼロ年、このころは、今現在、二〇〇六年というのが右端に書いてありますが、それよりも気温は高かったということを示している図だと思います。その後、紀元前から大体一千年、中世期ぐらいまでは温度が低かった。しかし、その後、「温暖期」とそこに書いてありますが、中世温暖期と言われている時期が来て、その後また、「小氷河期」と書いてありますが、気温が下がった。上がって下がって上がって下がったというところが小氷河期までだと思います。

 その後、このグラフでいうと一八〇〇年ぐらいと言っていいと思うんですが、一番右端ですが、ぐっと直線的に上がっているグラフがありますよね。このグラフから、赤祖父教授の言葉をかりれば、実は一八〇〇年ないし一八五〇年ごろから、自然現象として地球の気温というのは回復期にあるんだ、つまり小氷河期からの回復期にある、こういうグラフになっているところでございます。長い目で見るというのは、ここまでたどって見る必要がある。

 要するに、結論から言えば、我々、現代は、自然現象としての温暖化の時代にもいるんだというのが、一つこのグラフから読み取れることだと思います。

 それで次に、今度は環境省の方にもお聞きしたいんですが、これらを踏まえて、温暖化の原因、炭酸ガスという問題でございます。

 資料四を見ていただきたいんですが、これは環境省の資料であります。これは「ストップ・ザ・温暖化」、環境省の二〇〇五年の資料ですが、世界の二酸化炭素の排出量はこのように急激に上がっておりますという棒グラフになっております。これはアメリカのオークリッジ研究所のデータであるということであります。

 これを見ると、一九〇〇年のところに五百三十四という数字が出ますが、そのころからだんだん炭酸ガスはふえてきましたが、一九五〇年、千六百三十と書いてありますが、戦後復興期、このころから急激に炭酸ガス排出量が地球全体でふえてきたということが一目瞭然のグラフであります。

 それで、まず確認ですけれども、この排出量のグラフは、これはどちらかといえば曲線になっておる、y=ax2というような格好の曲線になっているというふうに読んでいいと思うんですが、いかがでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 オークリッジ研究所ではございませんけれども、IEA、国際エネルギー機関の統計を見てみますと、これは二〇〇八年の報告でございますけれども、世界の二酸化炭素の排出量は、一九〇〇年で約二十億トン、一四四六年で約四十五億トン、二〇〇〇年で約二百五十億トンということとなっておりまして、おっしゃるとおり、単純に同じ割合で増加するのではなくて、近年になって増加の幅がかなり大きくなっているというような傾向にあるというふうに考えられると思っております。

富田主査 今、一四〇〇と言われたよ。訂正された方がいいんじゃないですか。数字、間違えて言われた。一九四六年を一四四六年と今言われたみたいです。

寺田政府参考人 一九四六年で約四十五億トンでございます。失礼しました。

吉田(泉)分科員 わかりました。

 それで、ここでその温度の変化のグラフと炭酸ガスのグラフを比べようということなんです。

 先ほど確認しましたように、温度の方は、このグラフでいうと一八九〇年、百年前から、さらには赤祖父先生のグラフからいえば一八〇〇年ぐらいから、もう二百年ぐらい直線的に上がっているということを示すグラフがありました。今御説明があったように、ガスの方は一九四六年ないし一九五〇年ぐらいから急激に上がってきているということであります。

 もしこの温暖化ガスというのが気温変化の極めて大きい部分を占める主因だということであれば、こちらは急カーブで上がっているわけですから、曲線状に上がっているわけですから、温度の方も曲線状に上がってしかるべきかと思うんですが、温度の方は直線的に、しかも炭酸ガスが非常に低い戦前もしくは十九世紀、このころから直線的に上がっているということであります。

 ということは、温暖化ガスだけではこの二百年続いている地球の温暖化ということを説明するのは極めて難しいんじゃないかというふうに感じるんですが、いかがでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来気象庁からも御答弁がありましたように、気温の変化というのはさまざまな影響によって起こるものでございまして、決して温暖化だけですべてを説明することはできないということでございます。

 ただし、御指摘の長期的な変化の動向というものを考えてみますと、二〇〇七年に公表されましたIPCCの第四次評価報告書によりますと、世界の平均気温の上昇を長期で見てみますと、一九〇六年から二〇〇五年までの百年間では〇・七四度の上昇があったということでございます。

 この百年間の上昇傾向というのは、十年当たりに直してみますと〇・〇七四度になります。それから、一九五六年以降の五十年間というのをとってみますと、これは十年当たり〇・一二八度になります。さらに、近いところの一九八一年以降の二十五年間をとりますと、十年当たり〇・一七七度となりまして、長期的に見ますと、近年になるほど気温上昇というのは加速しているということで、このIPCCの第四次評価報告書によりますと、人間活動による温室効果ガスの排出を考慮しないとこの気温上昇の観測結果は説明できないとしているところでございます。

吉田(泉)分科員 確かにIPCCは、第四次報告で、温暖化は九〇%以上の確率で温暖化ガスが原因であるという報告書を発表したところであります。

 しかしながら、局長が今おっしゃったように最近は温度が上がっているというんですけれども、気象庁のデータを見ると、どうも必ずしもそうは言えないんじゃないか。百年を見ても上がったり下がったり上がったりして、ついこの数年間は、少なくとも三年間は下がっているというようなこともある。

 IPCCが言っている、九〇%以上の確率で人為的な温暖化ガスのせいであるという点についてはまだ検討の余地があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

寺田政府参考人 御指摘のとおり、IPCCが確かさの程度として、英語で言いますとベリー・ライクリーという言葉でございますけれども、九〇%以上の確からしさがあるということで、そういう言葉を使っております。ただ、もちろん科学の話でございますから一〇〇%ということはあり得ませんので、それはさらなるいろいろな知見というものを蓄積していかなければならないということでありましょう。

 ただし、IPCCの第四次評価報告書では、複数の気候モデルによるシミュレーションの結果、二十世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどが人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高いと言っております。この結論は、二〇〇一年に公表された第三次評価報告書の、可能性が高い、これは六六%以上の確からしさということでございますけれども、これからさらに検討が進展したという結果であろうと思います。

 このように、科学的な検討の進展に伴いまして、人為起源の温室効果ガスの濃度の増加が地球温暖化の原因である確からしさは高まっているというふうに考えているところでございます。

吉田(泉)分科員 よくわかりませんでしたけれども、確からしさは高まっていると。九〇%以上だとIPCCは言っていますからね。ただ、私は、ここが最大の論点、最大の課題だと思うんですよね。

 例えば、先ほどグラフを引用しましたが、この赤祖父俊一教授、アラスカ大学の国際北極圏研究センターの所長をされていた専門家でございますが、この方は、長い間の気温上昇を見ると、確かに人為的なものもあると。ただ、長期的な傾向を見ると、先ほど〇・七という話もありましたが、赤祖父先生は百年間で大体〇・六度ぐらい自然現象だけで上がっていると。それで、今〇・七だとすれば、その〇・一は確かに人為分だと言えるんじゃないか、つまり、ちょっと数字は間違えましたけれども、大体五対一、〇・五度対〇・一、人為起源が一、自然起源が五、このぐらいの割合ではなかろうかという仮説を赤祖父先生は出したところでございます。

 そうなると、IPCCの報告書と全くニュアンスが違ってきちゃう。ここをやはりもうちょっと純学問的に詰める必要があるんじゃないかと思うんですが、そろそろ時間ですので、最後に環境大臣に総括的に御答弁願いたいと思うんです。

 私は、気象庁の最新データをいただいて、IPCCというのは一九九〇年ごろから第一次報告書をつくっていますから、もう二十年間こういう説をIPCCは主張してきたわけですが、二十年たって、IPCCの予測は外れてきたんじゃないかというふうに感じたところでございます。赤祖父先生は、昨今のIPCCを中心とする動きというのは大学の修士論文がもてはやされているようなものだ、もうちょっと基礎的な研究を世界の知能が集まって詰めるべきであると。IPCCの仮説が非常に政治問題化されて、多額の、日本は六千八百億ですが、こういうお金を使われるような事態になっている。

 もう一回ここで立ちどまって、純学問的に気温変動の仕組みを解明すべきじゃないか。私は、そこに日本の地球環境保全経費の重点をもっと当てたらどうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 きょうは、吉田議員と一緒に科学的なシンポジウムを今行っているような雰囲気になりまして、こういう国会審議が行われるのもすばらしいことだなと感じながらお話を伺わせていただきました。

 今の御提案、科学的な調査を徹底的にやるべきである、科学的な研究、お金もつけて加速すべきである、そのとおりだと思います。

 IPCCですが、このIPCCの位置づけですけれども、これは研究所ではございません。国連の一機関で、ある意味では世界のいろいろな研究者、研究機関の研究成果を持ち寄って、そして、学術の世界ではどういう意見が主流であるかということを調査し、検証し、発表するところ、こういうふうに私は認識をしております。

 赤祖父先生の御意見も、非常に有能な、高名な科学者の方でございますし、その科学の世界の一意見だと思っておりまして、当然、科学者の集まりであるIPCCで、その中の材料の一つの中に入っているもの、このように認識をしております。

 したがいまして、IPCCそのものは研究所ではございませんので、そのIPCC、科学者の集まりの中にいかに正確な情報を、科学研究成果を持ち寄るかということで日本がいかに貢献するかということだと思います。

 日本には、国立環境研究所を初め各大学等、世界からも評価を受けている権威ある研究所がございまして、そこでしっかり研究をしております。そこの研究をより一層加速すべきだという今の吉田議員のお話はそのとおりだと思いまして、しっかり頑張っていきたいと思っておりますけれども、IPCCの報告書の性格づけについては、先ほど申し上げたように考えているところでございます。

 なお、いろいろな世界じゅうから集まってきた科学者の研究の成果をある一定のルールに基づいて、これまで権威づけられてきた一定のルールに基づいて評価をした結果、一〇〇%科学者の意見が一致するということはどの分野でもありませんけれども、九〇%以上の確からしさで今回の近年の温度上昇は人為起源によるということが結論づけられた、そのこと自体は大変重たいものだというふうに認識をしております。

吉田(泉)分科員 議会としても、専門家の話をもっと広く聞いて根本的に考えていきたいというふうに申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田主査 これにて吉田泉君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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