衆議院

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第2号 平成22年2月26日(金曜日)

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二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小里 泰弘君    小池百合子君

平成二十二年二月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 山口  壯君

      石田 三示君    田中 康夫君

      豊田潤多郎君    森本 和義君

      山崎  誠君    笠井  亮君

   兼務 緒方林太郎君 兼務 柿澤 未途君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   環境副大臣        田島 一成君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

   環境委員会専門員     春日  昇君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  田中 康夫君     山崎  誠君

  森本 和義君     石田 三示君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     森本 和義君

  山崎  誠君     田中 康夫君

  宮本 岳志君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     笠井  亮君

同日

 第二分科員柿澤未途君及び第三分科員緒方林太郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

山口主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎(誠)分科員 おはようございます。民主党の山崎誠でございます。

 本日は、トップバッターということで、質問のチャンスをいただきました。私は、本日は森林にかかわる行政施策についていろいろと伺ってまいりたいと思っております。

 きょうも随分暖かくなりまして、もう間もなく、一カ月もたてば新緑のころになる。日本には本当に豊かな四季があります。ことしは、特に北の国、雪国では、多くの雪が降って苦労されていると聞きますが、これがまた新緑の美しさを増す源になる、そういう日本はすばらしい森林の国であります。言うまでもありませんけれども、国土の七割を占めている日本の森林、これを私たちはやはり資源としてしっかりととらえて、後世に受け継いでいかなければいけない、そういう大きな責務があると思います。

 また、今、地球温暖化のお話、私も環境委員会の委員なんですが、さまざまな議論がなされています。当然、森林がCO2を吸収する吸収源として重要な役割を果たす、そういった意味での森林の価値もやはりもっともっと高めていかなければなりません。また、生物多様性という、これもこの委員会でも何度も言葉が出てきていると思うんですが、その源がやはり森林である、これも大事な大事な森林の役割であり要素だと思います。

 そういう前提に立ちまして、私は、この森林をどうやって守り育て、そして後世につないでいくのか、受け渡していくのかという観点でお話をさせていただきたいと思います。

 まず、赤松大臣にお聞きしたいんですが、日本の森林の現状と課題についてお聞かせください。

赤松国務大臣 山崎委員にお答えを申し上げたいと思います。

 御存じのとおり、日本の森林・林業については、大変残念な、自給率においてもそうですし、それから現状についても、一言で言えば荒れ放題という状況になっております。

 理由は何だ、原因は何なんだろうかということだと思いますけれども、一つは、路網整備等が、ドイツなんかに比べて、平米当たりも大体十分の一ぐらい、十対一ぐらいの比率で整備が大変おくれているということもありますし、私も、この間、地籍図を見て驚いたんですが、昔ながらの入会権みたいなのがそのまま所有権に変わっていまして、本当にこんな小さな土地を一人の人が持っている、ところがそれはほとんど不在地主だということで、どうしても森林に手を加えられない、あるいはその意欲もないという中で、残念ながらそういう状況になってきているというふうに思っております。

 しかし、反対に考えてみますと、そうはいいつつも、戦後の混乱の中で、そのころ植林をされた木が、ちょうど今五十年、六十年たってきた。CO2の吸収能力からいっても、五十年、六十年を過ぎてずっと急激に落ちていくわけですから、その意味でいえば、ちょうどその五十年、六十年成育した、木材としても一番使い勝手のいい、そういうところを今ちょうど切って製材して、住宅等に回していく。

 チャンスとしては、今、時期としては一番いいときだということでもございますので、環境問題とも含めて、森林・林業再生プランというのもお認めをいただきましたので、ぜひ、しっかり予算もつけながら、日本の森林や林業の再生のために全力投球で今取り組まないと大変なことになる、そういう決意で今頑張りたいと思っておるところでございます。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。端的にまとめていただきました。

 荒れ放題という言葉がありました。残念ながら、今、皆さんのお取り組みで間伐が進んできたり、いろいろ以前よりはよくなっているんだというふうには私は感じておりますが、それでもまだ大臣の口からそういう荒れ放題という言葉が出るくらい、やはりまだまだ森を守っていく取り組み、これから手をつけていかなければいけないんだろうなと思います。

 私は、ここで二つ、ちょっと整理をしたいんですが、今お話がありました、例えば路網の整備のお話だとか入会権のお話だとか、あるいは、戦後の高度成長期あるいはその前に植えた木のお話とか、いわゆる社会的な課題というのがやはり森林にはあるんだろうなと思っております。そういう社会的な課題とまとめさせていただく。もう一つは、本当に自然環境、自然としての課題というので、多分二つ分けられるんだろうなと思っております。

 まず、社会的な課題についてお聞きをしていきたいんですが、お話もありました森林・林業再生プラン、これを発表されて、これから推進していくということですが、改めて、その目的と、それから今回の森林再生施策の特徴を御説明いただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

山田副大臣 森林・林業再生プランを先般発表させていただきまして、今、自給率が二〇%ちょっとぐらいしかありませんけれども、我々の木材需要の自給率を五〇%には持っていきたい、そのためにどうしたらいいのか。私ども、さっき申し上げましたいわゆる社会的役割、環境的役割、そういった意味で、先ほど大臣がお答えしましたけれども、一番大事なのは、今は切り捨て間伐で、山の中でそのまま切り捨てしていっている、もうそうじゃないんだ、路網を整備して集約化して、施業を集約化するんだ。

 そういう意味で、私も、二年半ぐらい前、ドイツの黒い森に、今の菅財務大臣と一緒に行ったことがあるんですが、ドイツの山、オーストリアの山、これは一ヘクタール当たり百十七メートルぐらいの作業道ができていて、そして、日本の山というのは十七メートルしかない。しかし、作業そのものは、やはりユンボみたいな重機で、今のプロセッサーとかハーベスターでやっていて、全く変わらない。

 いわゆる路網整備さえすれば、ヨーロッパ並みにきちんと整然とした山ができて、間伐も切り捨てじゃなく、それを運び出していろいろな有効利用ができ、建物も、さらに今回、公共用建物を中層、低層のものはすべて国産材でやるようにしたいという法律を準備しているわけですが、そういった形で需要も伸びていくんじゃないか。そういう取り組みを、我々農水省としては大臣のもと政務三役で今検討しております。

山崎(誠)分科員 自給率を五〇%以上にするという目標は、私は非常に高く評価をさせていただいて、ぜひこういう目標を、やはり具体的な数値目標というのは非常にインパクトがありますし、やる気が出てくると思うんですね。そういった意味で、この目標をまず達成する、その方策として、今のお話がありました路網整備のお話、あと今御説明になった国内材の利用を促進していくというお話、やはり非常に重要なポイントだと思うので、ぜひ具体化を進めていただきたいんです。

 私も、たまたまドイツに視察に行ってまいりまして、森を見てまいりました。ただ、私が感想として思ったのは、ちょうどミュンヘン近郊の森を見に行ったんですが、要するに平らなんですね。非常になだらかな丘の森ですから、多分非常に整備がしやすいだろうなと。お話しのとおり、ちゃんと路網が整備されている。日本の森に行けば、本当に急峻じゃないですか。真っすぐなんかもちろん登れません。それを登っていかなきゃいけない。非常にやはり日本独特の工夫をしながら整備していかなきゃいけないんだろうなと思います。

 例えば四国だとかそういうところでは、いろいろな工夫をして、お金をかけずにそういう路網を整備しているというお話も聞きますので、ぜひ日本的な手法をつくっていただきたいな、大事にしていただきたいなというのが一点です。

 それから、利用のお話なんですが、たまたまこれも私が懇意にしています山梨の林業家の方がいらっしゃいまして、その方と森に入ったときに、いろいろ教えていただきました。その方は、要するに、木を見ると、それはどういう家の、どこに使うべき木かというのがわかるんですね。

 それは、自分がいろいろな木を育て、自分でひいてみて、その木の性質だとかをわかった上で、そしてまた、市場に行って、自分でその木を市場に卸す、そういう作業を全部一貫してやっていらっしゃるんですね。大手の工務店なんかからもいろいろな引き合いが来るような、個人でやっていらっしゃる小さな会社なんですけれども。

 私が感動したのは、やはり、そうやって木一本一本の個性みたいなものをしっかりとらえて、それがどうやって利用されるのかなという思いを、それは多分、五十年後かもしれません、場合によったら百年後かもしれないというのをしっかりと想像ができて、その上で木を育てる、そういう取り組みがなされていたんですね。私は、そういう方が日本にいて林業を支えていくんだなというのを非常に感動した覚えがあります。

 一つの例だとは思いますが、ぜひ、利用から森林の経営、流通を含めて、やはりそういった視点で見届けていただきたい、しっかりとしたプランをつくっていただきたいと思います。これは要望させていただきます。

 続いて、次の課題にお話を進めたいんですが、先ほど大きく分けました社会的な課題については今の再生プランが動き出すということでよろしいかと思うんですが、自然環境に関する課題というのが森には今つきまとっていると思います。

 今まで林野庁の皆さん、どちらかというと経済優先の林業だったと思うんですね。もちろん、いろいろな配慮もあったと思うんですが、どちらかといえば経済的な森林経営を優先されていたと思うんですが、今は、生物多様性の言葉で言うならば、生態系サービスという言葉で、自然の生態系がいろいろな恩恵をもたらすんだよというふうなお話が出てまいります。そういった意味では、森を森としてしっかりと管理をしていかなければいけない、そういう視点がどうしても必要であろうと思っております。

 それで、少し具体的な事例で議論をしてまいりたいんですが、樹木の枯死に関する現状、樹木が枯れてしまうという現象がいろいろなところで問題視されています。現状についてお話を伺いたいと思います。

佐々木大臣政務官 山崎委員にお答えをいたします。

 山崎委員は、環境の課題に積極的にお取り組みでございますし、私も、そういう地域に住んでいる人間として、地球は未来からの預かりものだという言葉がありますが、まさに今委員の御指摘のとおりだというふうに思います。

 枯死の現状でございますが、現在、森林に発生している枯死は、一つには松くい虫被害、もう一つはナラ枯れ被害、この二つが主なものであります。

 松くい虫の被害の方でありますが、平成二十年度は約六十三万立米、これの場合面積でなくて量であらわすことになっているのだそうでありますが、昭和五十四年度に二百四十三万立米、ここがピークだったわけでありますが、このときと比べると四分の一程度に減少はしてございます。

 一方で、ミズナラが集団的に枯れるというナラ枯れでございますが、これは本州の日本海側を中心に、平成十一年度は十二府県、平成二十年度は二十府県と、やや拡大傾向にあるというのが現状でございます。

山崎(誠)分科員 これはやはり、ある意味、森の警告のあらわれだと思うんですね。この原因等を研究して、今いろいろと対策をとられていると思うんですが、その状況について少し詰めていきたいと思います。

 個別になりますけれども、少し追いかけていきたいんですが、今お話がありましたナラ枯れの状況と対策の実施状況をぜひお聞かせいただきたいと思います。

佐々木大臣政務官 今御指摘がありましたナラ枯れでありますが、先ほども申し上げましたが、本州の日本海側を中心に発生してございます。被害区域は、先ほど申し上げましたが、平成十一年度十二府県で三百六十四ヘクタール、平成二十年度には二十府県で千四百四十五ヘクタールというふうに拡大をしてございます。

 我々としても、平成十四年度から被害に対する駆除措置の支援、あるいは平成十九年度からは予防措置の支援などに取り組ませていただいているところでございます。

 二十二年度の対策について申し上げますが、一つは航空機を利用した被害木の探査、それから駆除の関係では被害木の薬剤による処理または焼却による駆除、それから予防の関係でありますが、健全木への粘着剤の塗布またはビニールシートの被覆、殺菌剤の樹幹への注入などなど実施をさせていただいております。一層効果的にするために、さらにまた技術の開発ということについても取り組ませていただいているところでございます。

 以上です。

山崎(誠)分科員 状況はわかりました。

 森に入って薬剤を使ったり、あるいはいろいろ予防策を講じたりということで、わかりますが、そもそも、ナラ枯れの原因について今把握されている、そして対応に結びつけているのは、その原因を特定したからだと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

佐々木大臣政務官 今御指摘の原因でございますが、ナラ枯れの被害はカシノナガキクイムシが運ぶナラ菌であるということが、科学的、合理的に論証されております。

 また、被害が増加している背景として、薪炭材としてのナラの利用が減っている、あるいは樹木が高齢化している、大径木化しているなどということも一因ではないかというふうに見られてございます。

 また一方で、酸性雨の環境要因もナラ枯れの一因にあるというようなことをおっしゃっておられる方もおられるわけでありますが、残念ながら、現時点で研究者の間では一般的なものにまだなっていないというふうに承知をしてございます。

 ナラ枯れ被害について、新たな知見の収集や情報の収集に努めていきたいと考えているところでございます。

 以上です。

山崎(誠)分科員 ありがとうございました。

 それで、お配りをした資料が、ナラ枯れの現状についてということで、林野庁の皆さんの集計したものをお届けしたんですが、私はこれを見て、そして今の理由、原因についてのお考え方あるいは対策について見ていて、実際に、本当にそれが、虫が原因だというのはわかったと思うんですね。虫が原因で病原菌がついて枯れていくというそのメカニズムはわかったけれども、では、何で虫がふえていくのかというようなお話になると、この統計の情報からだと十分に説明できているのかなというのは私は非常に疑問に思っています。

 例えば、薪炭材のお話とかありましたけれども、薪炭材をとらなくなったのは、もっと以前から恐らくとらなくなっていますよね。この統計のもっと以前からとらなくなっている。多分、それにはいろいろなタイムギャップみたいなものがあって、影響が出てきたんだろうとは思うんですが。

 要するに、私としては、原因というのは一つではなくて、自然界の出来事というのはやはり一番難しいのはそこだと思うんですよ。非常にいろいろな要素が組み合わさっていて、例えば、このデータを見ますと、平成十七年は非常にピークを迎えて、どかんとその後十八年は下がるんですね。対策が特別な対策で功を奏していったということもあるのかもしれませんが、聞くところによると、やはり自然環境、気候の変動の要因で落ちたというようなこと。またこれがずんと上がっていくんですね。

 ですから、端的に申し上げて、原因については、もちろん一つの原因はあるかもしれない、でも、先ほども少し出てまいりました酸性雨の影響はどうなんだろう、あるいは土壌のさまざまな変質、酸性化のようなお話も調査の中で一部発表されていたりする。そういった意味で、多様な原因についてやはり特に行政は目を配らなければいけないのではないかな、そのように感じているところです。

 また、今、対策で、薬剤を使って処理をしているということがあります。これについて、どんな薬剤で、その使用によって生態系への影響等がないのかどうか、その点について確認させてください。農薬の使用についてということで。

佐々木大臣政務官 今、ナラ枯れ対策としては、農薬だけではなくて、今委員から御指摘がありましたように、ビニールシートの被覆でありますとか、あるいは侵入をどう防ぐかというような手法も同時に研究をさせていただいているところであります。

 それから、独法の森林研究所で、ナラの枯損被害、いわゆる枯れる被害ですが、その被害情報の集積、あるいはおとりになる木、おとり木に虫を誘引するというような防除技術も今開発をさせていただいているところでございます。

 さらにまた、被害防除を効果的に推進するために、森林環境保全総合対策事業で、ナラ枯れの被害を受けにくい新しい種類の森林への誘導なども今開発の支援をさせていただいているところでございます。

 さらに、今御指摘がありましたが、いろいろな、森林・林業・木材産業づくり交付金で、例えば炭の施用などについても実証事業に取り組むというようなことが今可能になってございます。

 今御指摘をいただいたようなところ、総合的な防除技術というのが必要でございますので、そういったことについても取り組んでいきたい、御指摘を踏まえて頑張っていきたいというふうに思ってございます。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 いろいろと工夫をしていただけるということは、本当に私としては、今お話ししました自然相手ということですから原因がやはりなかなか特定できない、その意味でも、ぜひいろいろなネットワーク、あるいは研究者のネットワークもあるでしょう、民間の方々のいろいろな取り組みもありますので、うまくそういう力をおかりしながら対策を立てていただきたいなと思っています。

 今私がいろいろお話をお聞きして思うのは、やはり虫が媒介をして病原菌が原因でナラ枯れが発生している、それに対して、ある意味、対症療法的に薬剤を使ったりあるいは予防をしたりということで被害を防ぎたいということだと思うんですね。

 それについて、結果を見ると、まあ、やらないよりはやった方がもちろんいいはずですが、でも、根本的に被害の伸びは抑えられているのかなというと、必ずしも十分な結果にはなっていないと思うんですよ。

 もっと次の段階の原因というのは、やはり森全体が弱っているんじゃないか。森全体を元気にしなきゃいけないんじゃないか。先ほどお話がありました、高齢化した森を若返らせるだとか、あるいは、森が本当に、例えばその地域、地域に合った潜在植生といったもので豊かな森になっているかどうか、そんなことも当然見ていかなければいけないでしょう。だから、二段階目としては、そういうもっと広域な対策を打っていかなきゃいけない。

 それからもう一つ上にいけば、これは全体の気候変動の影響であるとかあるいは酸性雨だとか、酸性霧と言われているような海外から汚染物質が流れてくるような、そんな原因もやはりあるのではないかなと疑ってかかって、広い視野で検討をしていっていただきたいというのが私の御要望です。

 そして、先ほども炭という話がありました。たまたま、炭で土壌改良をして森を元気にしようという取り組みをしているNPOの方々、森びとプロジェクトというところと私もいろいろ情報交換させていただいたんですが、そういったところの考え方、もちろん一つの仮説ではあるかもしれませんが、ぜひそういった仮説も大事にしていただいて、一緒にモデルプロジェクトみたいなものをやっていただけたらいいのではないかなと。

 炭というのはもともと、土壌の改良剤としては皆さんもう認識をして、農業の現場とかで使ったりする実績はあるわけで、それを森にも適用してみる。炭は本当に、ある意味いいことずくめなんですね。木を炭にするときにCO2は出しません。燃やしちゃうとCO2は出ますけれども、炭というのは、炭自体が炭素ですから、炭素を固定することができて、そういった意味では、例えば間伐した木を燃やしてしまうとCO2が出ますけれども、炭にするのは大丈夫。その炭をまくということで、それを固定化していくような意味もあります。それで、土壌に対して、微生物を元気にして木々の根を元気にして森を元気にするということで、非常に自然の理にかなった方策ではないかなというふうに考えています。

 いろいろな問題もありまして、例えば大量にまいてしまうと山火事みたいなものが発生したときに消せなくなってしまうとか、そんな危険性もあると聞いております。そういった意味で、使える場所だとか方法だとか、そういったものも十分に検討はしなきゃいけないとは思うんですが、ぜひそういったものも活用いただきたいなと思います。

 今お話ありましたが、もう少し、もう一回まとめとしてお聞きしたいのが、森林の現状の把握、本格的な調査がやはり必要なのではないかなというふうに思います。そして、多様な対策をモデル的に実施していくような取り組みというのをぜひ推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山田副大臣 確かに、いろいろ山崎委員のお話を聞いて、炭の利用など、私ども勉強させられるところも多いんですが、同時に、先ほどから話しておりますように、森林のこれからのあり方という意味では、多様な問題、生物の多様性の問題とか、北海道の富良野の混合林というのを一回見せていただきましたが、落葉樹とかそういったものと針葉樹と組み合わせたりとか、いろいろな形の林業というか森林のあり方というのがこれからいろいろと検討されていくと思います。やはり、そういう林業に携わる、多様性とかあり方とか、そういったことをよくわかったフォレスターというか、人材育成というものがこれから非常に大事になってくるんじゃないか、そう考えております。

 そういった病気に対策するものとか、路網をどこにどういう設計をしていくとか、そういったことと同時に、先ほど話しましたように、需要をどうやってつくり出していくか、公共用建物はすべて木材、あの正倉院の建物が千五百年もそのまま残っている事実からしても、この木材の利用といった面でも大きく考えていきたい。

 そういう意味で、林業はこれから、本当に雇用を生んでいく非常に大事な産業だと私ども農水は考えております。ぜひこれからもいろいろ御指導いただければと思います。

山崎(誠)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ今のお話をまた発展させていければと思います。いろいろとまたアイデアを御提案させていただければと思います。

 私も、例えば学校、横浜市で市会議員をやっておったんですが、横浜市の学校を回りますと、やはりコンクリートの建物の冷たさというんですか、そういうものを感じて、例えばぜひ木造の校舎をつくれないかというようなことを提案したりしたこともありました。今後、多分、今のお話でいくと、木造校舎ももっともっとつくりやすくなるのではないかと期待をしております。

 最後になりますけれども、一番初めにも申し上げましたように、経済最優先で森林経営をする時代から、今度はもっと広い立場で、生態系全体の中での森林という位置づけで森林経営をしていっていただきたいなと思っております。

 その中で、やはり林野庁の皆さんにももっと生まれ変わっていただいて、国家戦略として森林行政、森林を育てていく、受け継いでいくという視点で取り組んでいただきたいと思うんですが、最後に大臣に、地球環境保全の中核をなす緑を守るという視点で、今後の抱負、施策の展望等をお聞かせいただければと思います。

赤松国務大臣 きょう三十分間お話しいただきましたように、森林の持つこうした環境面、例えば水源の涵養でありますとか、あるいは国土の保全、温暖化の防止、生態系の保全、こういうことについては本当に理解が今深まってきていると思います。

 問題は、そういう中で、まさに地域資源創造型の産業としてきちっとこれを位置づけながら、環境対策として、あるいは地域における地域の活性化や新たな雇用を創出していく、そういう産業としてしっかり育てていく。

 もう一つ重要なことは、やはり川上対策だけやっても、住宅産業の人たちはよく言うんですが、いやいや、安定的に供給してくれれば、外国からじゃなくて国内産を使いますよ、ただ安定的に供給してもらえないからなんということが言いわけ的に使われていますけれども、そういうことにならないように、路網整備や、あるいは今、山田副大臣の方からも申し上げましたけれども、人材の育成もきちっとやっていく。

 そして、先ほど委員からも御指摘があったように、この木を見たらこれはどういう住宅のここに使ったらいいなとわかるような人たちがだんだん今少なくなってきていますから、そういうプロたちをきちっと育成していく、養成していく。

 そういうことも含めて、まさに鳩山内閣の中心の政策としてしっかりと取り組んでいく。その決意を申し上げて、答弁にかえたいと思います。頑張りますので、どうぞ御支援をよろしくお願いします。

山崎(誠)分科員 ありがとうございました。期待しておりますので。

 これで終わります。ありがとうございます。

山口主査 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田三示君。

石田(三)分科員 民主党の石田三示でございます。おはようございます。

 私は今回初めて質問に立ちます。ということで、先生方にも初めて質問に立つときのことを思い出していただいて、どうかよろしくお願いを申し上げたいというふうに存じます。

 私は、過去農業に携わってきた者として、あるいはNPO法人で地域活動をしてきた者として、そういった立場からきょうは質問に立たせていただきたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 今、民主党は政権交代を果たし、農業、食料問題に対して非常に積極的に取り組まれて、私も、農業者として大変ありがたく、また、今こういった立場でいられることに非常に感謝をしているところでございます。ぜひ一緒に頑張っていきたいなというふうに思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 今、世界のいわゆる投機マネーの動きというのは、まず食料、それからエネルギー、水資源、それから森林資源だと言われております。そういったものがあるのは農村だろうというふうに私は思っています。食料に関しても、人口増が見込まれる中で、もう輸出を控えようという国も出てまいりました。また、水資源あるいは森林資源を目指して、日本の森林を買おうという、そういった外国から新たな動きも出てきているやに聞いております。

 そういった中で私は、これから農村が果たす役割というのは非常に大きなものであるというふうに考えております。言い方をかえれば、農村こそ戦略対策地域なのかなというふうに考えております。食の安全保障、水資源、森林資源の保全と活用というのは、国民生活を保障し、国民の利益を守る、政治の大きな役割だというふうに認識をしているところでございます。

 また、こういった国の宝とも言える資源が、そこで営々として農業経営をしてこられた人、また、そこで暮らしてこられた人がいるからこそ守られてきたということでもあると私は認識をしております。

 それが今非常な危機に陥っているわけでございます。御存じのように、少子高齢化の中で大きな波が農村地域に寄せられているわけでございます。

 それに追い打ちをかけているのは、いわゆるシカ、イノシシ等による鳥獣被害でございます。農家の方が一年間一生懸命汗水垂らして、収穫を前にして一晩にして収穫ができない状況になってしまう。こういった状況が続くならば、やっとやっている農業に大きな痛手で、やる気がなくなってしまう。耕作放棄地がふえていくということにもつながっていくわけでございます。

 まさしくそういった現状から私は今回出させていただきましたので、それをまさしく見てきたという状況でございます。農業者の高齢化、鳥獣被害、農村の疲弊は大きな深刻な問題になっているということでございます。

 それについてでございますが、農村が安心して農業を続け、また暮らしをしていくために、中山間地の直接支払い制度あるいは戸別所得補償モデル対策などの直接支払いは必要であり、継続的に進めていく政策だというふうに考えております。これについては大変感謝を申し上げているところでございます。

 しかしながら、この受け皿になる担い手が大変不明な状況でございます。と申しますのは、一九七〇年に一千二十五万人だった農林人口は、二〇〇九年には約三分の一の二百八十九万人、人口の約二%強の人が、自給率が四〇%に下がったとはいえ、それを支えているという現状でございます。なおかつ、そのうちの四五%、ほぼ五〇%近い方が七十歳以上でございます。二四%が六十代でございます。

 この状況で十年後はどうなるんでしょうか。七十歳以上の四五%、半分近い方が十年後に農業を続けられるんでしょうか。こういった逼迫した状況が農村にあるということをまず御理解をいただきたいというふうに思います。そういうことを踏まえまして、早急に農業の担い手、後継者を確保していく必要があるというふうに考えております。

 この状況を踏まえて、国としてどんな後継者対策を進められておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

赤松国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、今の農業の現状は、委員御指摘のとおり、十年前は日本の農業者の平均年齢は五十八歳か九歳、そんなところだったと思いますが、十年たってみたら、今は平均で六十五歳。その主力は、言われるとおり六十代、七十代が担っているというのが現況でございます。

 また、一番肝心なのは、業として農業が成り立っていく。そういう仕組みになっていない。十五年前と比べて農業所得は半分に減ったわけですから、百万円や百五十万円で、若い人たちにこの年収で結婚して子供をつくれと言ったってそれは無理に決まっているわけで、そういう意味で、コンクリートから人へ、本当に意欲のある農業者たちに、きちっと真面目に一生懸命頑張れば農業で食っていけるという仕組みに変えていかなければ農業の将来はない。

 また、農業の将来がなければ、地域の活性化や、また、農業は食料生産ということばかりじゃなくて、水、緑、環境、そういう多面的な機能を持っているわけですから、そういう意味でもしっかりと国の政策として農業を支えていかなければいけないというのが鳩山政権の大きな命題である、このように考えております。

 その意味で、戸別所得補償制度も、そしてまた、御指摘のありました中山間地の直接支払い、小規模な、あるいは生産条件の悪い皆さん方も含めて、こうした役割を担っているすべての人たち、意欲のある人たちにしっかりと応援していくというのが、今回の私ども三党連立政権の農業に対する基本的な考え方でございます。

石田(三)分科員 ありがとうございました。

 個別の政策についてはお伺いできなかったんですが、私の知っている範囲で、いろいろプロの農業者を育成していこうという活動は私も知っているわけでございますけれども、果たしてそれだけでいいんだろうかということを非常に疑問に思っているところでございます。

 それはそれで非常に大切なことだと思うんですが、現状といたしますと、農業を知らない、そういった方たちにいかに農業に入ってきていただくかということが非常に大切であるというふうに考えております。いわゆる農業者の子弟で農業を継いでいくという状況が非常に今少なくなっているわけでございますので、そういった入り口としての施策が大いに必要なのかなというふうに私は考えております。

 その中で、その一つになるかと思うんですが、平成二十年度から開始している「田舎で働き隊!」、こういった事業が、農業に足を踏み入れる、農業分野を見てみるという中で非常に意味のある仕事だというふうに考えております。

 一つ、参加者の意見が新聞にありましたので、読み上げてみたいと思うんです。

 ただ今回の研修で一番感じたのは、都会と田舎の暮らしは想像以上に違っていて、都会の基準で田舎を判断したり、比べても意味がないということです。また都会の人は、自分たちの食を支えてくれている農漁村のことをもっと知り、応援すべきだと思いました。今回の研修を通して、都市と農村の交流をすすめたり、農漁村を元気にするお手伝いをしたい、という思いが一段と強まりました

 ということは、これを読むとわかると思うんですが、都会の人たちが農村を知らない。多分、私たちの親の世代でしたら、都会で働いている人たちも、農家の出身だったり、農業を多少見たり経験をしたりしてきた人たちでございます。全くそういった家庭じゃない人たちが今は都会で暮らしているわけでございますので、こういった施策を進めていくことによって、農業への理解、そういったものが進むんだというふうに思っています。

 この辺のことでもう一つ新たな動きがありましたので、ちょっと御紹介をさせていただきたいと思うんです。

 島根県で兼業就農型農家の育成に取り組み始めた。いわゆる専業農家の育成ではありません。これは、これまでの専業農家を想定した営農支援から切りかえる。それから、農業収入が少なくても暮らせるようなライフスタイルを目指す人を対象にした支援であるということですね。いわゆる半農半Xというもので、Xの部分は問わないよ、何でもいいよ。六カ月一生懸命研修しなさいよ。五年間定住しないと返還しなきゃいけないよということもあるんですが、こういった全く農業にかかわらない人たちが入りやすい施策がこれから必要なのかなというふうに思っております。

 ぜひ御検討いただいて、新しい後継者育成の方向として位置づけていただければ幸いだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それから、都会の人たちに伝えるということの中で、実は私は、千葉県の鴨川にある大山千枚田という棚田の保全活動を、今もそこの理事であるんですが、十数年間続けてまいりました。都会の人たちに、農村、農業、安全な食料ということを一生懸命伝えてきたつもりでございます。大人の方にはその中で一生懸命伝えてきた。それからもう一つ、子供たちにも、子供の農業体験ということで一生懸命伝えてきたつもりでございます。

 後継者の育成の中で、やはり、将来的な長い展望の中で、子供たちに体験をさせる、農村を見せるということを絶対すべきだ。そういった中で、三省連携の中で、子ども農山漁村交流プロジェクトという事業が多分二年間続けられてきたというふうに認識をしております。

 私は、先ほどから申し上げておりますように、都会の人たちが農村に来てそういったことをまず見ることだということ、非常に感受性の高い子供たちにその時点で体験をさせるというのは、その子供が、将来、非常に薄い希望であるかもしれませんけれども、農業につくという可能性もあるわけですので、それを全員にさせていくということが非常に大切だというふうに思っています。これはぜひ進めていただきたいと思うんです。

 二年間の実績あるいは成果、それから、本年度もあるわけでございますけれども、その計画についてお伺いをしたいというふうに思います。

赤松国務大臣 この事業につきましては、子ども農山漁村交流プロジェクトということで、平成二十年から二十年、二十一年ということでやってまいりました。

 今、二十年度の実績が出ておりますけれども、五十三地域で三百二十三校、約二万人がこの農山漁村交流プロジェクトに参加をした。これは必ずしも農業ばかりじゃなくて、漁村にも行って体験をする。集団で寝泊まりをして、そして実際に畑へ出てみる、野菜をつくってみる、そういう体験をするということで、私どもとしては、ぜひこれはさらに充実をして、でき得れば、必ず日本の小学生は五年あるいは六年のある時期は、十日、二週間はそういうところへ行って学んでくる。そして、土のありがたさ、そして優しさ、生む喜び、そういうことをぜひ子供の時期に体験させたいということを考えておりましたが、残念ながら、昨年のあの事業仕分けで七億円がばっさり切られて、初めはゼロと言っていたんですけれども、何とか四億円は残りましたので、文科省の分と合わせて、文科省それから農水省で今は力を合わせて、それに総務省の協力も得ながらやっておりますけれども、ぜひこれは拡大する方向で、すべての子供たちがある学年のある時期、こういった農村へあるいは漁村へ行ってみんなと一緒に体験してみるということが委員御指摘のとおり大変必要だと思っておりますので、ぜひ今後とも拡充をしていくよう頑張りたいと思っております。

石田(三)分科員 ありがとうございました。

 私ども、受け皿としてこれを受け入れした経緯もあります。その中で、三省連携といってもなかなか省庁によって温度差があるのかなということを現場で感じているところも事実でございまして、今回も、文科省も昨年度の事業費の三分の一になったというような予算も聞いておりますので、ぜひ、農水の方でしっかりとリーダーシップをとっていただいて進めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 それから、こうした都市農村交流も大切なんですが、農村の中で、地域内で、農業を守っていこうという動きが今出てきております。

 地域支援型農業という概念でございますけれども、日本でも優良な事例がございます。鳴子の米プロジェクトというのがあるわけでございますが、これは、地域ぐるみで地元産の米を買い支える運動を展開して、それを地域活性化に結びつけている。これは外国でも非常に盛んになってきているところでございます。特にそのことについて補助事業とかなんとかではないのかもしれませんけれども、こういった動きが出てきているということ。これは総務大臣表彰を受けている事例でございます。

 こういった事例がもっともっと外にしっかり広報されて、私は今そういった事業がということを言っているんですが、あってもいいんですよ。これをもし進めていただけるのであれば進めていただきたいと思うんですが、そういった取り組みに対してモデル事業として支援しましょうというのも、それはあっていいと思うんです。そういったことを、成功事例をもっともっと外に発信をしていただきたい。

 それを見て、地域の宝物は何だろう、これをではどう生かしていこうかということが地域内で話し合われることがやはり非常に大切だというふうに思っていますので、CSAの取り組みに国として支援をしていく方向がもしあるとするならば、ちょっとお答えをいただければ幸いでございますが。

佐々木大臣政務官 石田委員からいろいろな面にわたって御提言いただきました。

 特に、農村という視点でいろいろ御質問をいただいたわけでありますが、実は、今の新しい基本法というものがあって、その中では食料、農業、農村とタイトルを三つつけているんですが、残念ながら、農村ということについて今まで御指摘のとおり政策としてきちっと位置づけてきたのかというと、そこは必ずしもそうではなかったのではないかというふうに思っております。

 とりわけ担い手対策ということについても、実は今、食料・農業・農村政策審議会の部会でこの担い手についても御論議をいただいているのでありますが、担い手といっても、実は余り位置づけがはっきりしているわけではなくて、では認定農家が担い手なのかというと、それもそうではないというようなところもあって、我々はむしろ、多様な担い手、今委員御指摘のような方向をできるだけ求めていきたいというふうに思っております。

 それから、そういった中で、先ほども兼業型の就農というお話もありましたが、そういう多様な担い手というものを農村というものの中で求めていかなきゃならないというふうに思っています。

 ドイツあるいはイギリスなどでファームインというようなことがよくやられていますが、私は、あれは一種の兼業農家の育成だと思うんですね。日本の場合は外に兼業を求めたんですが、ヨーロッパは内なる兼業を進めてきたというところだというふうに思っております。

 そういった意味では、今委員からいろいろ御指摘をいただきましたが、一つには、「田舎で働き隊!」というような施策を進めていくと同時に、農業をやりたいという人たち、それは、本業にしたいという思いの人たちもいるでしょうし、あるいはボランティアで取り組みたいという方、兼業で頑張りたいという方、いろいろおられるというふうに思いますので、それぞれについて、就農の相談、あるいはまた農業法人での就業体験、あるいは先ほど申し上げました「田舎で働き隊!」などなど、多様な取り組みをぜひ支援していきたい、そして多様な人材の確保に努めてまいりたい、そのように考えているところでございます。

石田(三)分科員 ありがとうございました。

 それでは、時間もありませんので、次に入らせていただきます。

 もう一つ、先ほど申し上げましたように、中山間地域の農業を脅かしているいわゆる鳥獣害対策についてでございます。

 先ほど申し上げましたように、一生懸命つくってきた農作物が一晩でやられてしまう。こういった中では農業者もやる気がなくなってしまいますし、やめてしまう、耕作放棄地がふえていくという状況であるわけでございます。

 これは、日本じゅう今は中山間地域どこでも出ている問題で、取り組んでいることではありますけれども、現在の対策の状況をお伺いしたいというふうに思います。

佐々木大臣政務官 鳥獣被害でありますが、多くの場合には、捕獲現場で埋設あるいは焼却処分というのが今の現状でございます。地域によっては、この対策が大変負担になっている地域、あるいはまた、逆にこれを有効利用しようではないかというような地域などなどいろいろあるわけでありますが、今、こうした中で、総合対策交付金、二十二年度から、補助事業から交付金事業に実はこれも変わりました。

 そういった中で、地域においての処理加工施設の整備、あるいは商品の開発、あるいは流通経路の確立など支援をしていきたいというふうに思ってございますし、もう一つは、食肉利用のためのマニュアルなどの作成も行っていきたい、そのように考えているところでございます。

石田(三)分科員 ありがとうございました。

 そういった施策が進む中でも、イノシシ等々についてはまだまだその被害がふえている状況であります。

 その中で、私の知り合い、オオカミ協会というのがありまして、いわゆる食肉の生態系のトップにいるオオカミをもう一度復元することで生態系をしっかり守ろうではないかという運動をしている者もいるんですね。これもちょっと、非常にまだ時期としては早いのかなという気もするのですが、まだまだ議論を要することがいっぱいある。

 それで、私はシカの研究者もちょっと知り合いがおりまして、現実的に今即効性のあるやり方というのは、プロの、いわゆる公務員のハンターを養成することだよというお話をいただきました。

 きょうは提案をさせていただこうというふうに思ったんですが、実は、もう北海道と富山で、いわゆる自治体職員、公務員ハンターを養成しているんですね。専属でそれは給料をもらいながらできますので、いわゆる趣味やそういったことではなくできるということで、確実に処理ができるということだろうというふうに思います。そういったことで確実に処理をして、できるだけ早く農業等に被害のない状況までに落としていくことが大切なのかなというふうに思っています。

 先ほどオオカミの話もありましたが、ふえ過ぎたところにオオカミは無理なんだそうです。ある程度のところまで落として、バランスをとるためにオオカミを入れるということはあるようなんですが、そういったことも踏まえて、いわゆる公務員ハンター、これについてどうお考えなのか、ちょっとお伺いをしたいと思うんですが。

田島副大臣 御質問ありがとうございます。

 シカやイノシシがふえ過ぎて農業被害を及ぼしている事例、これはもう先生の御地元千葉県だけではなく、全国各地でそういった話は枚挙にいとまがない状況にございます。

 それだけに、鳥獣を適正に管理していくということにつきましては、各都道府県で特定鳥獣保護の管理計画を策定いただいて、個体数の調整また被害防除などの対策を講じていくことがやはり必要だというふうに考えておりますし、御地元の千葉県でも、猿とシカの管理計画がつくられているところだと認識をしているところでございます。

 しかしながら、今御指摘いただいたとおり、この捕獲の担い手であります狩猟者数の減少また高齢化といった問題は、全国の農林水産業の被害に大きく影響を及ぼしておりまして、やはり、狩猟者の育成とそれから確保が何より重要な課題であるということを私どももしっかりと認識をしているところでございます。

 このため、来年度、二十二年度の予算案の中ででも、この鳥獣保護管理に係る人材育成事業を拡充いたしまして、研修などを通じて、地方公共団体の職員の狩猟免許の取得を推進していくということにしております。

 ちなみに、平成二十年度、この対象鳥獣捕獲員数は、七百十四の市町村で計画策定いただいておりまして、全国で八百二十四人の対象鳥獣捕獲員数を上げているところでございます。

 今御指摘いただいた北海道や富山にとどまらず、それぞれの市町村長によって任命されてこの数がふえているところだというふうに考えておりますので、私どもも、引き続き、鳥獣被害拡大の防止に向けた取り組みに全力を挙げていきたいと考えておるところでございます。

石田(三)分科員 ありがとうございました。

 多分、今残っているハンターも非常に高齢化をしているということ、そういった中で、しっかり責任を持ったプロのハンターがしっかりした教育の中で養成をされれば、まず事故が減るだろうということ、それと、しっかりした捕獲頭数も確保できるんだろうというふうに思いますので、ぜひひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 それから、最後にもう一つ、先ほどちょっとお話にありましたけれども、せっかく捕獲したシカ、イノシシがなかなか利用されない。今、利用されているのは多分一割くらいだろうというふうに思っています。これは処理をしていこうということなので、現地で埋設をしていくというのが原則のようでございますし、また、散弾銃でとったものについては、体に撃ったものは鉛の弾が入っているからだめだよとか、そういったいろいろな制約があるようでございますので、すべてを使っていくというのはなかなか難しいことなんだろうというふうに認識はしているんですが、せっかくの資源でございますので、一割とは言わず、二割、三割、何かもう少し利用していける方策がないのかなということをちょっと考えるところでございます。

 処理施設の問題もあるだろうと思いますし、また、そういった狩猟の方法によって使えないということもあるんだろうと思うんですが、その辺に対して何か手だてというか、それを進めていこうという考え方というか、その辺はあるんでしょうか。

赤松国務大臣 御指摘のように、イノシシなんかは以前の何倍も親が捕獲できている。しかし、実際にはほとんどが廃棄処分でやっている。しかし、その筋の人に聞きますと、三歳のイノシシ、雄だったか雌だったか忘れましたが、どちらかは一頭二十万円で売買できる、非常に高価で販売できるということも聞いております。

 そういう意味でいえば、私どもとしては、今回、地域におけるこの捕獲鳥獣の処理加工施設の整備だとか、あるいは捕獲された鳥獣を用いた商品開発だとか、あるいはそういった商品の流通経路を確保するだとか、そういうところにも今しっかりと応援をしていきたいということで、この鳥獣被害防止総合対策交付金の中でこうしたことも含めて取り組んでいきたい、このように思っておるところでございます。

石田(三)分科員 ありがとうございました。

 質問時間がもう終了いたしましたので、最後にお願いだけ。

 農業問題、食料問題は、これは農業者の問題ではない、私はずっとそれを言ってきたんですが、これは、消費者、無論農業者も消費者でございますので、国民の問題だということ、これをしっかり位置づけながら、やはり農林省あるいは環境省の仕事は進められるべきだというふうに思っています。

 私たちも一生懸命それを応援していくつもりでございますので、そういったことをしっかり踏まえていただいてよろしくお願いをしたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

山口主査 これにて石田三示君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山口主査 環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。小沢環境大臣。

小沢国務大臣 御報告申し上げます。

 平成二十二年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。

 現在の環境の状況について概括すると、まず、昨年末のコペンハーゲンにおける国連気候変動枠組み条約第十五回締約国会議、COP15において、アメリカ、中国などの主要国が入る新たな枠組みに向けた第一歩を踏み出すことができました。我が国としても、これまで以上の温室効果ガス排出削減の取り組みが必要となります。

 また、本年十月には、愛知県名古屋市で生物多様性条約第十回締約国会議、COP10、いわゆる国連地球生きもの会議が開催されるところであり、国内外における生物多様性の保全を初めとする自然共生社会づくりの取り組みが求められます。

 さらに、世界的な資源制約が強まる中、我が国の経済社会の持続性を高め、大量生産、大量消費、大量廃棄からの脱却を図るためにも、循環型社会の構築が不可欠になっています。

 このような状況を踏まえ、環境省としては、温室効果ガス二五%削減目標の達成と豊かな暮らしの実現に向けた社会の変革、生物多様性の保全と持続可能な利用による自然共生社会の実現、循環型社会づくりを進めるとともに、引き続き、環境政策の基本的な役割である安心、安全な社会づくりに向けた環境保全の取り組みを進めてまいります。

 また、平成二十二年度予算については、厳しい財政状況を勘案して、例年にも増して真に必要な施策に重点化して予算を計上するように努力いたしました。

 平成二十二年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立ってまとめております。

 一般会計予算では、総額二千七十一億八千四百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に一般会計から三百五十五億円の繰り入れを行い、総額として三百八十七億一千六百万円を計上しております。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策につきましては、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

山口主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま小沢環境大臣から申し出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿澤未途君。

柿澤分科員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、小沢鋭仁環境大臣に御質問させていただけるということで、大変感激をいたしております。

 今から三十三年前でございますが、一九七七年、昭和五十二年に、私の父親が、大蔵省をやめて参議院選挙に新自由クラブから立候補しました。そのときに、東京大学の学生として私のおやじの選挙を、遊説隊長の立場で、マイクを握って陣頭指揮をとってくださったのが実は小沢大臣でありまして、私も、小沢先生との若き日の思い出というのを父親から何度も何度も聞いてまいりました。その息子であります私が小沢環境大臣とこの委員会の場で御議論させていただける、大変感慨深いものを感じております。

 そしてまた、今まさにこの日本の未来あるいは地球の未来を担う温暖化対策、この問題について取り組まれておる大変重要な立場におられるということでもございまして、そういう意味で、思いを込めてこれからお尋ねを申し上げてまいりたいというふうに思っております。

 まず最初に、地球温暖化対策法案というのが、大体骨子が固まったというお話が報道されておりますので、それについてちょっとだけお伺いしたいと思います。

 温室効果ガスを二五%削減する目標を達成するため今国会に提出を予定している温暖化対策基本法案について、先日、十九日の午後、仙谷大臣と小沢環境大臣が鳩山総理と会談をして、大体の法案の骨格について報告をし、大筋で了承されたということが言われております。法案の骨格では、主要な排出国の参加を前提に、二〇二〇年までに温室効果ガスを一九九〇年に比べて二五%削減し、また、二〇五〇年までに八〇%削減するという目標が明記をされる方向だというふうに報道をされております。

 この二五%削減を明記するかしないかということ自体が一つのトピックであったかというふうにも思います。今後、詰めの議論を行って、来月五日にも法案を閣議決定することになっているというふうにこの報道では書かれております。最終的な詰めに向けて、今まさに議論を行われているところだと思いますが、経済界などでは、この地球温暖化対策基本法案の中身について、どのような書きぶりになるのか、いろいろな心配もしながら見ている状況でもありますので、この機会でありますので、法案の骨格、また大臣の法案提出に向けた決意というものをまずお伺いしておきたいと思います。

小沢国務大臣 私からも冒頭、今委員がおっしゃっていただいた思い出、一言だけ触れさせていただきたいと思います。

 私が敬愛し、尊敬する柿澤弘治先生の御子息の未途さんが、このような立場で、立派になられ、こういう議論ができますことを、本当に感慨深く思っております。心からお祝いを申し上げますとともに、ともに力を合わせて新しい未来のために頑張りたい、こう思います。

 今、基本法案の御質問でございました。

 今の委員の話にもありますように、まず、前提つきではありますが、二五%という目標をしっかり書き込みたいと思っております。そして、その実現のための基本的な計画を、これは追って定めることとし、そして、現時点で考え得る基本的な施策を列記してまいりたいと思っております。

 そうした中で、基本的な考え方は、必ずしもこの二五%達成が、いわゆる国民の我慢を強いるとか、あるいはまた産業界にとっては生産量を削減するとか、そういった道筋ではなくて、まさに国民の生活を快適にし、安全、安心な社会をつくっていく、その先に二五%削減というものがあって達成できるんだ、そういう基本的な考え方に立ってつくっております。

 さらにはまた、そういった考え方に立てば、一九九〇年比で比べてみたときに、排出量がふえているのは我々の身の回り、まさに暮らしの中、あるいはまた、経済活動の中でも、いわゆる業務部門と言われるオフィス部門等でございますので、そういったところの削減に重点を置いて施策を組み立てていただいているところであります。

 現時点で、法案は、きょうの午後の副大臣会合で大方固めることができると思っております。それを一般の皆さん方にもしっかり示して、意見を承りながら決めてまいりたい、こう思っておりますが、同時に、もう一言つけ加えさせていただきますと、基本法と、それからもう一つは、具体的な実現に向けてのロードマップというものを、名称はどういうふうにするかまだ最終決定になっておりませんが、示して、国民の皆さん方の議論に付したいと思っております。

 この国会の場が国民の皆さんとの最大の議論の場だ、こうも承知をしておりますので、何とぞ委員の先生方におかれましては、そういった観点で御指導賜りますようにお願い申し上げます。

柿澤分科員 この地球温暖化対策基本法案のメニューにも盛り込まれることになるだろうと思いますが、再生可能エネルギー、その中でも廃棄物のことについて、ちょっと後ほどお伺いをしてまいりたいと思っております。

 今度、これもまた報道されているとおりでありますけれども、政府が地球温暖化対策基本法案で、国内エネルギーに占める太陽光発電など再生可能エネルギーの割合を、目標値として、二〇二〇年までに二〇%以上と明記する方向で調整をしているということが去年の段階で報道されております。これは読売新聞のインタビューに対して小沢大臣がお答えになられたものだというふうに理解をしております。

 これは、世界的な流れでも、トゥエンティー・トゥエンティーということで、二〇二〇年に一次エネルギーに占める自然エネルギーの比率を二〇%にしようという考え方に沿ったものだというふうに思いますが、この目標については、今回の法案にこの報道のように明記をされるということになるんでしょうか。

小沢国務大臣 まだ最終決定ではございませんが、現時点では、トゥエンティー・トゥエンティーは、残念ながらそういう形ではなくて、需要ベースで二〇%削減、こういう話を私としては目指したわけでありますが、民主党がマニフェストで掲げました供給ベースで一〇%、こういった目標になる可能性が極めて大きい、こういう状態でございます。

柿澤分科員 民主党の政権公約では、今おっしゃられたとおり、二〇年までに一〇%程度に引き上げるという目標を掲げておられました。この目標自体が非常にチャレンジングな数字ということも言えると思いますので、そういう意味では、着実な前進を目指すということであろうかと理解をいたします。

 再生可能エネルギーには、太陽光、水力、風力、バイオマスなどがあります。エネルギー白書によると、〇六年ベースの再生可能エネルギーの割合は一・八%ということで、アメリカ三・七%やドイツ五・三%を下回っているようであります。総エネルギー使用量が十年間変わらないということを仮定したとしても、一・八%を一〇%にするには、おおよそ五、六倍再生可能エネルギーをふやさなければいけないということになります。そういう意味では、不変という前提でもこれだけの努力をしなければいけないということで、大変な努力が必要になってくると思いますが、発想の根本的な転換というものが求められてくるかと思います。

 その点、再生可能エネルギー、また自然エネルギーの使用の拡大というか消費の拡大というものに向けた基本的なお考えをお尋ねしたいと思います。

小沢国務大臣 今委員も御指摘いただきましたが、やはりこの再生エネルギーを高めていくというのは、日本にとって物すごく重要な観点だ、こう思っております。

 若干持論を申し上げたいと思いますが、いわゆる今回の政権交代のこの分野における意味は、これまでの社会がある意味では化石燃料社会であったとすれば、この政権交代から目指すべき社会は脱化石燃料社会だ、こういうふうに私としては思っておりまして、脱化石燃料社会という話になれば、その中心は当然再生エネルギー、自然エネルギー、こういう話になるわけであります。

 そういった中において、この比率をできるだけ高めたい、こう思っておりますし、そして、海外に目を向けてみても、日本がこれほど低い数字であることがある意味ではおかしい、こうも思っているわけでありまして、海外でできる話がなぜ日本でできないのか、そんな思いも私は大変強いものですから、この再生可能エネルギーというのは理念的にも脱化石燃料社会の柱になっていくエネルギーであるし、そして、諸外国と比べてもその比率が低いこの分野を大いに掘り起こしてまいりたい、こう思っているところでございます。

柿澤分科員 脱化石燃料社会を目指すという、この政権が目指すものなんだというお話がございました。ここの部分について、海外でできるものがなぜできないのか、こんな問題意識もお聞かせをいただきましたが、一つに、やはりこれは発電コストの問題があることは論をまたないと思います。自然エネルギーのコストをひもとくと、太陽光でキロワットアワーで大体五十円とか言われている。バイオマスで大体三十円強というようなことで、風力は若干リーズナブルですけれども、それでも、石油火力のキロワットアワー十円前後と比べると開きがあるわけであります。

 この状況の中で、再生可能エネルギーの消費というか、使用をふやしていくということになると、さまざまな政策的なインセンティブが必要になってくることは間違いありません。そういう意味で、今度の法案で、いわゆる固定価格制、フィード・イン・タリフを目指すということも打ち出されていたかと思いますが、これについてはどのようになっていくのか、お伺いをしたいと思います。

小沢国務大臣 固定価格買い取りの問題は、もちろん、基本法の中にはそういった制度を明記してまいりたい、こう思っておりますが、具体的中身に関しましては、私の所管を離れて経産省の所管になるものですから、具体的な制度論に関しては控えさせていただきたいと思っています。

 ただ、いずれにしても、確かに、先ほど委員がおっしゃられたようないわゆる数字の差はあるわけでありますが、しかし、石油自体も、一昨年から昨年にかけての高騰、こういった問題もあるわけであります。そういったことを考えれば、その価格も本当にこのまま行けるのか、こういう話もあって、価格効果、価格の面から考えても、私は、自然エネルギー、再生可能エネルギーが、例えば太陽光にしても、さらにふえていくことによって太陽光パネルの生産費が落ちていくとか、そういうことは十分考え得るわけでありますので、やっていけるのではないか、こう思っているところでございます。

柿澤分科員 廃棄物発電について幾つかお尋ねをいたします。

 今、再生可能エネルギーの定義の中でいうと、再生可能エネルギーとして認められるのは、いわゆるバイオマス由来の発電ということに限定をされておりますが、これからの再生可能エネルギーの拡大、また、いろいろな意味で循環型社会、サーマルの意味でも考えていくと、技術の高度化という今の状況を前提とすれば、私は、廃棄物そのものを再生可能エネルギーとして扱った方がよいのではないかというふうに考えております。

 これはもともと、この再生可能エネルギーの法体系をつくるに当たって大変な議論があって、ゼロエミッションという考え方に反するのではないかとか、あるいは、その焼却に由来するさまざまな懸念があるのではないかというようなこともあって、結果として入っていないということだと思います。

 こうしたことについて、私が都議会議員をやっていた東京都では、二〇〇四年の五月から、廃プラスチックの発生抑制・リサイクルの促進に関する答申をまとめて、そして廃プラスチックを貴重な資源ということで位置づけて、焼却不適物ではなくて埋立不適物だという位置づけをして、焼却をして熱回収を行うサーマルリサイクルの方向に転換をしております。

 こういう形で、ごみの減量を目指すと同時に、使える資源という着目をしてこれから活用していくということが私は望ましいというふうに考えておりますし、また、こういう形で計画を進めていくことは、恐らくこれから世界的にも潮流になるというふうに思いますので、日本でこのような技術やあるいは供給が拡大をすれば、日本の技術をもってすればこれを世界に広めていくこともできる。これ自体がある種、日本の成長戦略の一つに位置づけられるというようなところまで育てていけるものなのではないかなというふうに感じております。

 環境省からは、今、廃棄物処理制度専門委員会の報告書案が公表されておりまして、その中では、循環型社会構築の面からも、低炭素社会構築の観点からも、廃棄物からの熱回収を今後推進していくべきだという方向が打ち出されております。しかし、そのためには、熱回収を行っている事業者や、熱回収施設に対する有形無形の支援も不可欠です。今後、この熱回収施設に対する支援ということについて、どのようなことを考えておられるか、お伺いをさせていただきたいと思います。

小沢国務大臣 今、委員御指摘の廃棄物発電及び廃熱利用、これは、私も本当に力を入れてやってまいりたい、こう思っているところであります。

 特に、環境省は廃棄物の処理の問題は所管でもございますので、ある意味では環境省の中で対応できる、そういったエネルギー源だ、こう思っております。

 これも若干余談になりますが、今回COP15が行われたコペンハーゲンに行きまして見せていただいたいわゆる地域暖房システムは、まさに廃棄物の廃熱、あるいはまた工場の廃熱、それに、あそこは風力発電がありますから、風力発電を加えてほぼ一〇〇%脱化石燃料で地域暖房が行われている。それが町全体の九八%程度をカバーしている、こういう状態でありまして、そういった海外の実例なんかを見ますと、本当に日本の方でそれをしっかりやっていかなければいけない、こう思っているところでございます。

 現在は、発電については三百のごみ焼却施設で発電が行われておりまして、総発電能力は百六十万キロワットということでございます。平成二十年三月に改定した整備計画においては、ごみ発電の総発電能力を平成二十四年度には二百五十万キロワットとすることを目標としているところでありまして、目標達成のためには一段の努力が必要な状況というふうに認識しております。

 このため、平成二十一年度から、循環型社会形成推進交付金において、高効率ごみ発電については、交付率を三分の一から二分の一へとさせていただいたところでもございますし、今後とも、ごみ発電の推進に努めるとともに、熱供給についても力を入れてまいりたい、こう思っております。

柿澤分科員 環境省の廃棄物処理施設整備計画の五カ年計画の中でも、ごみ発電能力は、千六百三十メガワットから二千五百メガワットへと引き上げる意欲的な目標を掲げておりますけれども、先ほどの二五%削減という、世界が驚き、注目をした意欲的な目標からすれば、今、前段で語っていただいた意気込みからすると、この二千五百メガワットという目標そのものを引き上げて取り組んでいくというぐらいの決意を持っていただければというふうに思いますが、いかがですか。

小沢国務大臣 今はまだ二十二年度予算の審議中でありますので、余り先走ったことを申し上げるのは適切でないと思いますが、まさに委員の御指摘のとおり、その気持ちで頑張ってまいりたい、こう思っております。

柿澤分科員 大変いい答弁をいただきました。

 また、先ほど申し上げたように、これはいろいろ議論の分かれるところであることは承知をしておりますが、しかし、コペンハーゲンでまさに大臣みずからごらんになった風景を見ても、廃棄物を発電に利用して熱回収、熱供給を行っていくというのは、世界でも議論はありますけれども、しかし、一般的に行われつつあることでもあります。

 そういう意味では、今後、冒頭に申し上げた再生可能エネルギーの使用、トゥエンティー・トゥエンティーというのを目標として目指していくとすれば、この際、この再生可能エネルギーの一つに廃棄物の利用、都市ごみ利用を含めて、考え方の枠組みを見直すということも選択肢ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 冒頭申し上げましたように、私は当初、需要ベースで二〇%、こういう話ができないかというふうに思っておりました。しかし、マニフェストで掲げたことでもあり、今回の基本法は、供給ベースで一〇%、こういうふうになったわけでありますが、その議論をした際にも、今話題になっております廃熱、あるいはまたヒートポンプを初めとする日本の新しい技術、そういったものを大いにこれからも推進していこうということに関しては政府の中でも一致をしておりまして、そういった意味では、基本法の中には入れませんけれども、いわゆるロードマップというようなところでは、ぜひそういったところもしっかりとやれるようなロードマップを示してまいりたい、こう思っておるところでございます。

柿澤分科員 御期待を申し上げたいと思います。

 五分程度まだ時間がありますので、途上国支援における鳩山イニシアチブについて幾つかお伺いをいたします。

 小沢環境大臣、コペンハーゲンのCOP15で、その場において、地球温暖化対策に取り組む開発途上国に対して、今後三年間、一兆七千五百億円、百五十億ドル規模の支援を行うということを表明されました。途上国を資金面で支援する鳩山イニシアチブの一環ということでありますけれども、今後どういう規模で、どのようなことを、どういうところを対象に行っていくのか、基本的な考えをお伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 温暖化の問題は、途上国の側からすれば、いわゆる先進国がこれまで歴史的に排出をし、さらにはまたそれが温暖化につながり、一番苦労するのも途上国あるいはまた島嶼国だ、こういう基本的な認識があるわけでありまして、そういった意味においては、鳩山政権としては、先進国としてのある意味では役割、先進国に対して、ともに削減をやろう、こういう意味では二五%削減、さらにはまた、途上国へしっかりと支援をし、途上国のアダプテーションをサポートしていこう、こういう意味では鳩山イニシアチブ、こういう基本的な戦略に立ってやったところでございます。

 先ほどお話がありました、三年間、百五十億ドルという話を表明させていただきました。ここのところはしっかりと、島嶼国あるいは途上国、本当に温暖化の問題で苦労をしているところ、そこをしっかりと見きわめて、これは外務省がある意味ではその基本的な窓口をやっていただくことになりますが、外務省あるいはまた関係省庁とも連携をとってやってまいりたい、こう思っておるところでございます。

柿澤分科員 これについては、やはり一兆七千五百億円という、規模も大変大きいものでありますし、これがどのような形で行われて、また、このような途上国支援が先進国の役割だということを超えて、日本が何らかの排出削減に貢献をしたというクレジットを得られるのかどうかということについて懸念をする声もあります。そうなるように、ぜひ、ある意味では日本が、情けは人のためならずではありませんが、途上国に対してこうした支援を行うことによって排出削減に対するクレジットを得るというような形になることが望ましいというふうに考えております。

 しかしながら、京都議定書の枠組みで認められているCDMの枠組みでいうと、これが使い勝手がよくないというふうにも言われております。しかも、CDMの、今国連の理事会で認められた案件の大半は、中国、インド、ブラジルといった、途上国と言うにはちょっと疑問が残るような国々でありまして、こうしたメカニズムを通じて支援を行う、それによってクレジットを得るということであるとすると、これは途上国にはなかなかお金が行き渡らないということになってしまう。そうでない形をとるとすれば、今度は排出削減のクレジットにつながらないということになってしまいます。

 そういう意味で、財政事情の大変厳しい中、効果的にこの一兆七千五百億円を日本の国益に資する形で使っていく上でどのようなことをお考えになられているか、お伺いをしたいと思います。

小沢国務大臣 今御指摘がありましたように、ある意味では、本当に必要なところに資金を出してまいりたい、そして、資金を出すからには、それは地球益として排出削減につながると同時に、日本の国益としても、それがクレジットとして例えばカウントしてもらえるような制度を新たにつくっていきたい、そんな思いは全く共通でございます。

 そういう中で、私としても、現在の京都議定書におけるCDM、これをもう少し幅広にすることができないか、あるいはもう少し使い勝手がいいようにできないか、さらにもっと具体的に言えば、各国の国別削減目標、NAMA、こう呼ばれておりますが、NAMAクレジット、こういう形でそれをカウントすることができないかというふうに思っておりますし、既にそういった議論も行われております。日本としてはそれに積極的に参加をしてまいりたい、こう思っております。

 それと同時に、これは議論があるところではありますけれども、国連のベースのクレジットと同時に、地域間のそういったクレジットの構想、それは翻ってはやはり日本の排出権取引等に反映されるというような制度もあり得るのではないかということで、今いろいろな形で試行錯誤をしているところでございます。

柿澤分科員 まさにこれから時間があればそのことをお尋ねしようと思っていたんですが、持ち時間が終わってしまいました。大変いいところを逃してしまったような気がしますけれども、しかし、きょうは、小沢環境大臣とこのような形で御議論ができたということだけでも本当に感慨深いものがございました。私は環境委員会にいるわけではありませんのであれですけれども、これからもまたいろいろと機会をとらえて御議論をさせていただければと思っております。

 ありがとうございました。

山口主査 これにて柿澤未途君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 民主党、緒方林太郎でございます。

 この第六分科会で質問させていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。そして、お忙しい中、小沢大臣を初めといたします各省政務三役の皆様方にも御礼を申し上げたいと思います。

 まず一番最初に、少し大きな話から、気候変動枠組み条約での二五%削減ということでございます。

 これは釈迦に説法でありますが、一九九〇年比で二五%ということでございますが、御承知のとおり、これをすることによってだれが一番得をしているかというとヨーロッパでありまして、EUが冷戦直後の共産主義の非効率な施設をたくさん抱えていることによって、一九九〇年比であっても、当時、京都議定書での八%というのは比較的楽にやれたという事実であると思うんです。逆に、日本は、そこは乾いたぞうきんを絞るような状況での六%ということで、非常にきつかった。

 これは、環境問題というよりも産業政策ということでひとつ考えていただきたいと思うんですが、私の町、北九州は鉄鋼産業が非常に強い町でございまして、鉄鋼産業の世界の構図を見てみると、今一番大きいのがミタル・アルセロール。ミタル・アルセロールという会社は、半分ぐらいがヨーロッパで鉄を生産していて、半分は全然、途上国でやっている。ほかの鉄鋼産業で大きなところというと、中国、韓国、アメリカ、どこも制限がかかっていない。ヨーロッパで制限がかかっているミタル・アルセロールも、制限が結構緩い。そうすると、日本だけが、日本の鉄鋼産業だけが何となくばかを見ている感じが非常にするわけであります。

 私は交渉の戦略としてぜひお考えいただきたいと思うのが、一九九〇年、もうこのゲームに乗っている国というのはEUだけです。世界全体で見ても、これはヨーロッパのゲームでありまして、こんなものは廃棄して、アメリカ、中国も、最近出てきた提案というのは、すべて二〇〇五年とか二〇〇三年とか、そういった年での計算。当然です、一九九〇年というのは今から二十年前で、もう今はそれでやる必要ないと思うんですね。やはりEUというのを、連携することも必要なのかもしれませんけれども、私は、締め上げることがあってもいいと思うんです。

 EUというのは、環境の分野で、彼らはビューティーコンテストが得意でありまして、いかに自分をビューティフルに見せるかということに物すごく意を用いているというのが私の率直な感想です。日本はそういうところがなかなか苦手なわけでありますけれども、やはりここは、日本は、EUだけではなくて、アメリカとか中国とかと連携をして、そろそろ基準年を、例えば二〇〇五年、二〇〇八年、二〇一〇年、どこでもいいと思います。

 日本の方針として出している、世界全体で公平な負担をというときに、まずもって、この一九九〇年に設定していること自体がEUとの関係で公平な負担になっていないと私は思うわけでありますが、小沢大臣、いかがでございますでしょうか。

小沢国務大臣 委員の御指摘のような議論というのは、私もよく承知をしているところでございます。

 大事なことは、いわゆる削減していく目標数字、本当にCO2を削減していく、こういうことに関しては、二〇二〇年、九億二千八百万トンまで下げなければいけないという意味では、九〇年比でいえば二五%になりますし、二〇〇五年比では三〇%になりますが、そこの削減すべき量に関しては同じだということですね。

 ただ、それが責任問題というような話になっていって、さらにはまた、それでクレジットというような形で、各国がもし達成できない場合にはそれを買っていかなければいけないという数字に関して言うと、そこのところは、今委員が御指摘のように、EUは、九〇年であればかなりそこは容易であるし、二〇〇五年だときついとか、そういう話になってくるわけであります。そこは、まさに国際交渉のポイントになるわけであります。

 ですから、私としては、私は今、環境省としての思いは、日本が国際貢献で削減していく目標というのは、九〇年比でも二〇〇五年比でも同じなので、そこは変わりません。ただ、国際交渉をこれからやっていく上ではどういうふうにしていったらいいのかということに関しては、外務省を初めとする、きょうは経産省の増子副大臣もいらっしゃっていますが、そういった関係省庁と今後よく協議をして、これから対応ぶりは考えていかなければいけない、こう思っておるところであります。

 いずれにしても、しかし、表示に関しては、最近は、九〇年比幾つ、二〇〇五年比幾つという両論併記も私どももやらせていただいているところでありまして、最後は、いわゆる国の責任を決めていく最終段階の国際交渉のときにどの物差しを使っていくかというのは大変重要な外交交渉の一つだ、こう思っております。

緒方分科員 ありがとうございました。

 どうしてもやはり地元で話を聞くときの、アルセロールとの競争ということで、そういったお声を賜ることが本当に多いし、私も昔外務省に勤めておりましたので、EUの人たちがどういう人たちかというのは大体わかるわけでありまして、非常にビューティーコンテストの得意な、こういう場で言うのがいいかどうかわかりませんが、非常にこうかつな人たちなので、お気をつけくださいというのが率直な気持ちです。

 ちょっとテーマをかえたいと思います。

 我が町は、環境モデル都市ということで、今、環境省そして経済産業省とさまざまな形で協力をしながら環境問題に取り組んでいます。もともと、七色の煙とか死の海とか言われたものが町中で取りざたされ、私の生まれたころはもうそうではなかったですが、少し前の写真などを見てみると、本当に黄色、赤、青、そういう煙が出ていて、それを克服するために、環境で頑張ろうと。その意識は、我が党の元国会議員であります北橋健治市長以下皆で、本当にこれほど環境に入れ込んで頑張ろうという町は全国にないんじゃないかと思うぐらい頑張っているわけであります。

 その関係で、今いろいろな取り組みの中で、一つスマートグリッドというものに取り組みをやっていきたいというのが、これは北九州での今本当に大きなテーマになっておりまして、町の人がこれだけスマートグリッドという非常に技術的な話を知っている町というのもそんなにないんじゃないかと思います。ハイレベルの送電網であるとかそういったものを整備することによって、恐らくこれから、太陽光エネルギーであるとか風力であるとか、そういったものから出てくるさまざまなエネルギーをいかにうまくマネージしていくかということで、本当に町中での関心が高い。

 今、実証実験について、経産省の方で応募が進んでいるというふうに伺っています。まだ応募が進んでいる段階なので、増子副大臣の方から、よし、おたくでやりますよと言うことは難しいということは重々承知をしつつ、町全体で一生懸命頑張りますので、副大臣から温かい答弁をいただきたいと思います。

増子副大臣 緒方委員からここで御陳情いただいたような感じがいたしておりますが、北橋市長は、かつて私たちと一緒に政治改革を含めて頑張ってきた仲間で、今、環境モデル都市として、北九州、新しい都市づくりに邁進していること、心から敬意を表しております。

 その中で、緒方委員の方からもございましたスマートグリッド、まさに今環境大臣の方からもお話がありましたとおり、CO2削減二五%を目指して低炭素社会をつくる中で、再生可能エネルギーを導入することは極めて重要な課題でございまして、その中で、スマートグリッドというものを私たちはきちっと整備しながら、新しい都市づくりを進めていきたい。

 ただ、これは単なるエネルギーだけではなくて、交通インフラの整備だとか、さまざまな熱効率の有効活用とか、あらゆるものを活用しながら、新しい都市づくりをしていくときに、スマートコミュニティーという形の名前のまちづくりを私たちは進めていきたいというふうに思っております。これについては、経産省はもとより、環境省やあるいは総務省を含めたさまざまな省庁と連携をとりながら、一つのモデル都市をつくりたいというふうに考えております。予算も、まあまあの予算を確保いたしております。

 全国的には、今、大体まだ、締め切りはきょうになっておりますので、正式には数が確定いたしませんが、多分、今のところの私どもの予想では、二十から三十ぐらいの都市が最終的には申し込みをされてくるのではないだろうか、そんな気がいたしております。その中から私どもとしては、限られた予算の中でどれだけ有効なスマートコミュニティーのまちづくりというものをやっていくか、その中でスマートグリッドというものを実証実験するときに必要なものかということになれば、できれば四つか五つぐらいの都市を選定して、新しいまちづくりの実証をスタートしてみたいというふうに思っております。

 北九州も多分名乗りを上げていただくんだろうというふうに期待をいたしておりますので、十分他省庁とも連携をとりながら、我が省としても精査しながら、この指定をしながら、新しいまちづくり、低炭素社会に向けた環境対応のまちづくりに私どもは努めていきたいというふうに思っております。

緒方分科員 ありがとうございました。

 本当に町中で、市長、市議会議員、県議会議員、さらには市の商工会議所、青年会議所と、皆で全力で頑張っていく所存でございますので、御高配よろしくお願いを申し上げます。

 そしてもう一つ、環境モデル都市ということで、今、我が町が頑張ってやろうとしていることの中に、アジア低炭素化センターというプロジェクトがございます。

 これは、既存の寄せ集めということではなくて、新規に、アジアに向けて、これまで我々が培ってきた技術であり、そして人材でありといったものを移転することによって、アジア全体で、北九州はアジアに向けたゲートウエーということでも頑張ろうとしておりますので、アジア低炭素化センターという形で、先ほど言いました環境モデル都市のプロジェクトの一つとして、まだ端緒についたばかりのところでございますけれども、これは外務省と協力して、経済協力の部分もあると思います。そして、総務省と協力する部分もあると思います。しかし、やはりその中核となるのは環境省でございまして、まだ詳細が伝わっていないところはあるかもしれませんが、我々の取り組みをぜひ御理解いただきまして、後押しをしていただければと思っております。

 政務官の方から一言いただければと思います。

大谷大臣政務官 政務官の大谷でございます。

 北橋市長を先頭にしての北九州の取り組み、本当に敬意を表したいと思います。

 日本が環境立国となってソフトパワーを拡大していくという局面からも、北九州に頑張っていただいて、日本の国内のお手本、そして何よりも、アジアの中でこんな取り組みをすることができるんだというお手本をぜひとも示していく、そんな大切なセンターになるのであろうと思っております。

 平成二十二年度にできていくということで、今まさに構想から実行に移っているところだと思いますので、やりとりをさせていただきながら、可能な限り、協力連携を探っていきたいというふうに思っております。

緒方分科員 ありがとうございました。多分、恐らく、北九州市、聞いて喜ぶのではないかと思っております。

 今、アジアへの取り組みということで、ここから先があるわけでございますが、北九州市だけでこれから中長期的に、構想としては二千三百四十万トンのCO2削減を実現しようということで、非常に高い数字を抱えているわけであります。ただ、ここからは、先ほど柿澤委員の方からもありましたが、やはり、せっかく外国でいいことをやる、外国でCO2の削減をやるからには、それを幾ばくかでもクレジットとして国内に持って帰ってくるべきである、私はそう思います。

 そして、先ほど柿澤委員の方から、CDMがなかなか使いにくいところもあるということでございましたが、このCDMの使いでをよくしていくための国際交渉については、先ほど小沢大臣の方からの答弁がありまして、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、これは地方の方から見ておりますと、最後は国連まで書類を上げて、英語でドキュメントを書いてというのは、なかなかハードルが高いというのが正直なところであろうと思います。

 地方自治体の中でも、国際協力をやりたいなと思っている地方自治体というのはたくさんあるわけでありますが、では、それを国と国との外交交渉にまで高めていって、それを国連に上げてCDMで持って帰ってくるということになると、一地方自治体の力になかなか負えないようなところがあると思います。

 これまでも、実態ベースで、環境省を中心として経済産業省、さらには外務省ということで対応をしていただいているようなところもあるというふうに質問通告の際にお伺いをしたわけでありますが、やはり政府全体として、窓口をばしっとつくっていただいて、ノウハウを蓄積していって、こういうものというのはだんだんなれてくると様式が例えば一定化してくるとか、最初のうちは試行錯誤だと思いますけれども、そういう窓口をしっかり設けることによって、地方自治体が、ああ、そんな道があるのかと。国際協力しようと思ったら、それがお国の役に立ち、場合によってはクレジットを地方に戻すということもあるのかもしれません。

 地方同士でやったものを国同士に上げて、国同士で交渉して、クレジットをある程度とったら少し戻しますよというような、そういう体制づくりというのが私はあっていいのではないかと思いますし、逆に地方からすると、そういう窓口でもないと、どこに相談したらいいのか、きっと環境省なんだろうけれどもというので、これは予算が物すごくかかる話でもないと思いますので、少し各省で協議をしていただいて、地域間協力を促すような、一生懸命促すような、そういうインセンティブづけをする意味も込めて、窓口をつくっていただければなという思いがありますが、環境大臣、いかがでございますでしょうか。

小沢国務大臣 委員の御指摘、十分理解をするところでございます。

 二点申し上げたいと思います。

 一つは、先ほど柿澤委員との議論も、お話がありましたが、CDMをできるだけ使い勝手をよくしていく、あるいはまた、我が国にとっても、それが産業界あるいはまた地方自治体が頑張ることによって、そういった形でのインセンティブになるようなものにしていく、こういう話が重要だというのが一点でございます。

 それからもう一点は、実は、今もお話の中にありましたが、既に環境省としてはそういった窓口は設けているわけでありますが、結論からまず最初に申し上げますと、委員から御質問もこういうふうにあるように、多くの皆さんたちになかなか知れ渡っていないというところはあろうかと思っております。でありますので、大いにここはさらに頑張ってまいりたいと思います。

 その上で、実態だけ申し上げておきたいと思いますが、環境省は、平成十五年から、京都メカニズム相談支援事業というのを行っておりまして、そこでCDM事業に関する相談窓口を設けております。

 具体的には、社団法人の海外環境協力センターというところに委託をして業務を行っておりまして、ウエブサイトへのアクセス件数は一応年間十九万件ある、こういう話なんですね。実際に相談として行った件数は、年間二百八十件。

 その中には、北九州の、いわゆるインドネシアでの廃棄物コンポスト事業という話もございまして、その相談も行った。しかし、当時はコンポストがCDMの対象になっていなかったので、それは成立しませんでしたけれども、そういった経緯もあるようでございます。

 いずれにしても、まだまだ、もっと広く知らしめてというのはそのとおりだと思っておりますので、努力したいと思います。

緒方分科員 ありがとうございました。

 本当に地方で、やはり私も自分の町から二千三百四十万トンと聞くと、そんなに頑張るのならという気持ちがありましたので、そういうところを後押ししていただければと思います。

 そして、もう一つ環境の問題で、増子副大臣の方にお伺いをさせていただきたいんです。

 現在、この呼び名が私は好きじゃないんですけれども、くず鉄の金額が下がっていないんですね。国内での建築需要がまだ景気の関係でそれほど高まっていない中、うちの町にはいろいろな形のくず鉄、くずという言葉がよくないと思いますけれども、スクラップしてリサイクルするというシステム、工場があったり、そういう業者の方がたくさんおられるわけですが、緒方さん、下がらないんですよと。何でですか。中国と韓国に出ていっているんですと。

 中国と韓国にどんどんくず鉄が出ていって、自分たちは、本来であれば日本の国内で、これは貴重な資源だから、この貴重な資源、日本が持つ貴重な資源の一つだと思います。これが、売れるから売るけれども、本音としては、これがどんどん外国に出ていっていることに対して、内心じくじたる思いというのは実はあるんだ。本来であれば、トン当たり二万円ぐらいまで下がるんじゃないかと思っていたら、いまだに三万二千円ぐらいで売れるから、ありがたい、ありがたいと思って売っていると。

 実は、くず鉄をもう一度鉄に直すとき、電炉で処理をするわけでありますが、これは、通常の高炉で鉄をつくるよりも、大体CO2の排出量が四分の一だと言われています。CO2削減の観点からも、このくず鉄というものを国内で使っていく。今、くず鉄でつくる鉄の、なかなか品質が、今一生懸命それを改良しているというふうに伺ってはいますけれども、そういったことも含めて、日本の貴重な資源であるこのくず鉄を有効に使っていく。できれば外国に余り出ていかないように、私は質問通告のときは、輸出税や輸出クオータを課してはどうかなんというちょっと無理筋なことを言いましたけれども、そこまで行かなくても、CO2削減の観点から、そして日本の貴重な資源を守る観点から、このくず鉄を産業政策、環境政策の中心に置いていただけるようにお取り組み願えないかと思います。

 増子副大臣、いかがでございますでしょうか。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 緒方委員御指摘のとおり、大変、くず鉄がどんどん海外に流出しているということ。ちなみに、平成二十二年の二月の第四週、直近の平均価格が二万九千百三十一円というふうになっておりまして、一時よりはかなり下がりましたけれども、それでもまだおっしゃるとおり結構高い値段だ。今まで、韓国、中国、台湾に、平均五百万トンぐらいの輸出でしたが、ここに来て、九百万トン近くに実は輸出量がふえているということ。それは、とりもなおさず、国内の景気が極めてここしばらく悪かったということが大きな原因でございます。

 何といっても、このくず鉄を初めとした鋼材は我が国にとって大変重要な材料でございますから、これらを何としてでも国内にとどめるような政策を私どもしっかりと取り込んでいかなければならない、そういうふうに思っております。

 アジアでは鉄スクラップの需要が拡大する一方なので、なかなか国内の景気がよくならないと、そこに私どももとどめ置くことができないという大変大きな問題がありますので、まずは景気回復のために、全力を尽くして景気拡大に努めていきたいということを考えております。

 一方で、より高級な鋼材の生産においても鉄スクラップというのは極めて重要であり、その利用促進を進めるように、私どもとしては、品質を向上させること、あるいは研究開発をさらに進めていくということ、これらをあわせて、今後ともこうした取り組みをとりながら国内での需要をふやすための最大限の努力をしていきたい。今お話しのとおり、環境との関係もございますので、この鉄スクラップ、くず鉄の国内需要がさらに促進されるように、今申し上げたとおり、景気回復と同時にさまざまな品質向上や研究開発も含めて取り組んでいきたいということで考えておりますので、御理解のほど、よろしくお願いをいたしたいと思います。

緒方分科員 ありがとうございました。

 環境ということでも、少しテーマの違う話をさせていただきたいと思います。

 イギリスに、世界遺産でキューガーデンというところがございます。これはなかなか立派なお庭でありまして、ここは何で世界遺産になっているかというと、実は、世界じゅうあちこちから植物であるとか種子とかいうものを集めて、そのコレクションが物すごい。これは、実はイギリスが大英帝国時代の植民地政策の一環でもあったというふうに、例えば、アフリカでとれた何かをインドに持ち込んでインドで栽培してとかいう話、植民地政策の一環から進んだものであるというふうにも思いますが、今、いろいろな形で、希少な植物、そして種子、種苗、そういったものが絶滅していこうとする中、国策としてこういったものをやっているというのはすごいな、さすが大英帝国だなと私は思ったわけでありますが、我が国でも、やはり今、種苗さらには植物、そういったものを日本の財産として確保するようなことというのが、生物多様性ということからも、あってしかるべきじゃないかな。

 これは本当に一大プロジェクトになると思います。そして、農林水産省の所管物資であったり環境省の所管物資であったりといろいろ分かれているところはありますが、国全体としてこういった取り組みの力をマックスにできるようにお取り組み願えないかなと思いまして、まず、佐々木政務官の方からお願いいたします。

佐々木大臣政務官 種の保存ということはまさに国家戦略だ、私もそのように認識をいたしております。

 私も、つい先日、つくばの研究所を視察させていただきましたが、そこの農業生物資源研究所というところが中心になって、農業生物資源ジーンバンクというものを今組織してございます。ここジーンバンクでは、植物、微生物、動物、DNA、こうした部門でそれぞれ組織をさせていただいているところでありますが、このバンクではこれまで、植物で二十四万三千点、微生物で二万六千点、動物で九百八十九点、DNAで二十八万点程度の遺伝資源の保存、そして管理を行っているところでございます。

 ここを視察させていただいて、基礎研究というもの、あるいは原種の保存というところは、やはりこれは国がやらなければならない大切な分野だと私は思うんですね。それを、今度、具現化していくといいますか具体化していくというのが、むしろ都道府県とかそういったところの研究所にお願いをして、こうした資源の提供を行って、そして新品種や新商品開発をしていく、やはりこういうシステムが必要なのではないかというふうに思ってございます。

 これらの収集、保存、さらに強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

緒方分科員 本分科会は環境そして農林水産ということで、最後に一つだけ、WTO農業交渉についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は昔、外務省側でWTO農業交渉担当課長補佐をやっていたこともありまして、思いが深いんですが、今、農業交渉の中で大きなテーマとなっているのが、重要品目、センシティブプロダクトと言われるものをどれだけ指定するかということなんです。

 一つ大きいのは、センシティブプロダクトというのはもう政務官は御承知なのであえて説明をいたしませんが、関税の下げる幅をちょっと免除してあげるかわりに、割り当ての量を少し多く出してくれよというようなシステムだと思いますが、私、米をこれに入れるかなと。

 今の米の税金の輸入するときのあり方というのは、一次税率無税、マークアップをつけて、そして二次税率がキロ当たり三百四十一円ということで、通常の今のテキストのルールであれば、七割削減ということであればキロ当たり百二円まで下がってくるわけでありますが、これで持ちこたえられるかどうかという議論。

 あともう一つは、この削減幅を少し、百二円まで下げずにもうちょっと免除するかわりに割り当ての量を拡大するというと、大体消費量の四%を拡大するということですので、今七十六・七万トンですと、百十四万トンぐらいまで割り当ての量が拡大するということになるわけでございます。

 実は、一九九五年に、政府統一見解ということで、食糧部による国家貿易については、内外価格差が高くて、国家貿易である以上は全量輸入するのが基本的にWTOの考え方であるということで政府答弁があるわけですけれども、そうすると、百十四万トン、今ですら、七十六・七万トンですら、国内の市場にどれだけ圧力をかけずに頑張るかということで農林水産省は頑張っておられると思うんですが、これが百十四万トンという数字になったときには、これはどんなに、仮に例えば飼料米に回すということになったときには、特別会計はもう破綻するんじゃないかと思うぐらいであります。

 そうすると、では、本当にそうやって重要品目というものに米を入れていくことが日本の国益との関係で一番最善の選択なんだろうか。実は、自民党の政権の時代に、たしか石破大臣が、何でもかんでも重要品目をふやすんじゃなくて、重要品目をふやすというのは関税割り当ての拡大と見合いなんだから、そこは何でもかんでも重要品目をふやすということじゃないんだよということを言ったら、自民党の農林の方にぼこすかたたかれて、撤回をしたということがございました。

 けれども、この議論というのは私は本当にやるべきだと思います。交渉の話が絡むので、今、政務官の方から、では、それでやりましょうという答弁が返ってくるとは到底思っておりませんが、ぜひ、この真摯な議論、農林水産省の中でもう一度やっていただければと。今何か具体的な答弁ということではなくて、お願いということでお話をさせていただきたいと思います。政務官、いかがでございますでしょうか。

佐々木大臣政務官 委員もおわかりで質問をしていただいているというふうに思うんですが、言われるとおり、量と関税、この両面から今いろいろとWTOの中で論議をしているところであります。

 今、いわゆるルールの論議をWTOはしているところでありますので、言われるとおり、なかなか具体な話に今触れるということは、交渉上の問題もございますが、個別の扱いというのはこの後、いわゆるモダリティーというルールが合意がなされた後に、譲許表というところの段階で論議をするというテーマになります。

 言われるように、上限関税の問題、それから重要品目の数の問題、これらがそれぞれ微妙に絡み合ってくる問題でありますので、委員会決議などもあったりして、なかなか今申し上げられることには制限がございますけれども、我が国にとって何が一番国益かというところをしっかりと踏まえて主張していきたいというふうに思ってございます。

緒方分科員 もう終わりますけれども、米の制度については、先ほど申し上げたように、今は一次税率が無税で、マークアップをつけて、そして二次税率で高い税率を設定してそこで守って、最後、一次税率部分というのは国家貿易でやるというシステムなんですが、私、これからまた未来永劫これがずっと続くのかなというのは若干疑問がございます。

 こういった交渉と絡めて国内制度の改革というものをしっかりと進めていただいて、私が言っているのは、決して米の保護水準を下げればいいとかそういうことではなくて、米をしっかりと守っていける、未来永劫的にやっていけるようないい体制を築いていっていただくようぜひお願いを申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

山口主査 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午前十一時九分散会


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