衆議院

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第1号 平成26年2月26日(水曜日)

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本分科会は平成二十六年二月二十四日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十五日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      今村 雅弘君    小池百合子君

      西川 公也君    宮路 和明君

      篠原  孝君    浜地 雅一君

二月二十五日

 宮路和明君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十六年二月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 宮路 和明君

      池田 道孝君    今村 雅弘君

      岩田 和親君    加藤 寛治君

      斎藤 洋明君    中谷 真一君

      藤井比早之君    渡辺 孝一君

      大島  敦君    黄川田 徹君

      篠原  孝君    中根 康浩君

      鷲尾英一郎君    稲津  久君

      上田  勇君    浜地 雅一君

   兼務 足立 康史君 兼務 石関 貴史君

   兼務 鈴木 義弘君 兼務 中田  宏君

   兼務 大熊 利昭君 兼務 井出 庸生君

   兼務 赤嶺 政賢君 兼務 玉城デニー君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   環境大臣         石原 伸晃君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   環境副大臣        北川 知克君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   農林水産大臣政務官    横山 信一君

   環境大臣政務官      浮島 智子君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  村井 正親君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           高橋  洋君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          坂井 眞樹君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            山下 正行君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            三浦  進君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           雨宮 宏司君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     大野 宏之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 平岡 英治君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            清水 康弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  星野 一昭君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  櫻田 道夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   農林水産委員会専門員   栗田 郁美君

   環境委員会専門員     仲川 勝裕君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  小池百合子君     渡辺 孝一君

  西川 公也君     中村 裕之君

  篠原  孝君     鷲尾英一郎君

  浜地 雅一君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     斎藤 洋明君

  渡辺 孝一君     岩田 和親君

  鷲尾英一郎君     中根 康浩君

  遠山 清彦君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     加藤 寛治君

  斎藤 洋明君     池田 道孝君

  中根 康浩君     鷲尾英一郎君

  伊藤  渉君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     藤井比早之君

  加藤 寛治君     中谷 真一君

  鷲尾英一郎君     菅  直人君

  遠山 清彦君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     小池百合子君

  藤井比早之君     西川 公也君

  菅  直人君     黄川田 徹君

  樋口 尚也君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     大島  敦君

  稲津  久君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  大島  敦君     篠原  孝君

  輿水 恵一君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  上田  勇君     樋口 尚也君

同日

 辞任         補欠選任

  樋口 尚也君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  稲津  久君     浜地 雅一君

同日

 第二分科員足立康史君、鈴木義弘君、中田宏君、第四分科員赤嶺政賢君、第五分科員石関貴史君、第七分科員井出庸生君、玉城デニー君及び第八分科員大熊利昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十六年度一般会計予算

 平成二十六年度特別会計予算

 平成二十六年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

宮路主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算及び平成二十六年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。林農林水産大臣。

林国務大臣 おはようございます。

 まず、先般の雪害により被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 この冬の大雪は、通常降雪量の少ない地域を中心に、農業用ハウスの倒壊などによりまして、平成二十四年を上回る甚大な被害をもたらしております。特に、創意工夫で経営を発展させてきた担い手が多大な被害を受けており、被災農業者が今後も意欲を持って農業を継続していけるよう、万全の対策を講じていくこととしております。

 このため、融資、農業共済での対応に加え、倒壊したハウスの撤去、再建、果樹の改植などの支援策を実施することといたしました。

 また、今後、詳細な被害状況を把握し、現場のニーズを伺った上で、追加対策を検討することとしております。

 平成二十六年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。

 私は、大臣就任以来、農林水産業を成長産業とするため、攻めの農林水産業の推進に向けた検討を進め、昨年、今後推進すべき政策改革の内容を示す農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめました。また、これらの施策を着実に実行するため、平成二十五年度補正予算及び平成二十六年度予算案において、必要な予算を盛り込みました。

 本年は、攻めの農林水産業の実行元年であります。今後は、このプランに基づき、あらゆる施策を総動員し、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村をつくり上げてまいります。

 また、今後の農政の中長期的なビジョンを示すため、食料・農業・農村基本計画の見直しに着手いたしました。今回の見直しでは、これまでの施策を検証しつつ、食料自給率目標及び食料自給力の取り扱いや、農業、農村の所得倍増目標に向けた道筋、農業構造の展望と具体的な経営発展の姿等について検討してまいります。

 次に、平成二十六年度農林水産予算について御説明いたします。

 平成二十六年度農林水産予算の総額は、関係府省計上分を含めて、二兆三千二百六十七億円、その内訳は、公共事業費が六千五百七十八億円、非公共事業費が一兆六千六百八十九億円となっております。

 農林水産予算の編成に当たっては、農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、強い農林水産業、美しく活力ある農山漁村の実現に向けた施策に予算を重点的に措置したところであります。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

宮路主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま林農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮路主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮路主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮路主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大熊利昭君。

大熊分科員 おはようございます。みんなの党の大熊利昭でございます。

 私は、ふだんは内閣委員会と財務金融委員会を担当しておりまして、こういった農業、漁業等、あるいは環境の関連を質問させていただく機会は非常に貴重な機会ということで、ぜひぜひよろしくお願いをいたします。

 私自身は、東京の下町の選挙区、生まれも育ちも東京なんですが、私の政策秘書さんが、東北の方なんですが、漁業だとか農業が大変盛んな地域の出身でありまして、きょうの機会のためにいろいろと勉強をしていただきまして、私にもいろいろレクチャーをしていただきまして、そういう中でいろいろ教えていただければと思うんです。

 まず最初に、今も大臣の所信にあったかと思うんですが、農業をどうやって成長産業にしていくんだ、そういう観点から、通告としては、株式会社、特に上場会社の農地取得についてという通告になっているわけでございますが、私のようなキャラですと、そういうことで、ではみんなの党だしがんがん農業は規制緩和して、そういうイメージだろうと思うんですが、実際そうなんですが、笑っていらっしゃいます、実際そうなんですが、一方、やはり守るべき農業というのは、これはないことはないんだろうということで。

 先にちょっと私の意見を言っちゃって申しわけないんですが、やはり成長産業としての農業と、それから、本当に守るんだ、極端なことを言うと、では江戸時代にこんなような農業スタイルでやっていましたというような江戸農業村のような、そういう、棚田をつくって観光資源としてやるわけです。そこに外人さんか何かを呼んできて、おまけにレストランか何か、江戸時代はこういうのを食べていましたとか、そっちはもう徹底的に守るよ。一方、成長産業として農業を捉えていく、こっちは、それこそ自動車産業を凌駕するような目標をつくってやっていく。

 こういう区分けが必要なんじゃないかな、そういう考えがずっとありまして、今の大臣の所信の中でも、農業の成長、一方で、美しい農業でしたか、何かそういうような表現で、一緒にまとまってしまっているといいますか、なかなか峻別されていない、区別されていないというところにちょっと政策的な難しさがいろいろあるんじゃないかと思うんですね。

 もちろん、上場会社の農地取得ということになりますと、成長の方、そういうことで、だからそっちの分野の農業の農地に限りということでこういうことをやっていくことが、きょうあしたということは無理かもしれませんが、中期的ぐらいに検討していかれる。ただし、絶対やっちゃいけないところは、より、最も、賃貸もだめみたいな、そういうふうに逆に、守る方は、土地の方は規制を強化してもいいんじゃないかなというふうに、いいんじゃないかなというのはちょっと党の見解になっておりませんが、個人の見解なんですけれども思うわけなんですが、その辺、大臣いかがでしょうか。

林国務大臣 私も多分キャラ的には大熊先生に近い方だと見られておられる方もいらっしゃるかもしれません。

 今、冒頭に先生がおっしゃったことは大変大事なことで、やはり産業政策的な部分とそれから地域政策的な部分、これをしっかりと踏まえてやるということで、車の両輪と申し上げておりますが、産業政策的な部分で成長産業化、強い農業、そのために三本柱で、サプライサイドとディマンドサイドとそれをつなぐバリューチェーン、こういうことで、それともう一つの四本目ということで、地域政策的な農山漁村、こういう四本柱で実は昨年の十二月のプランというのをつくらせていただいたわけでございまして、そういう整理の仕方というのは大変大事であろう、こういうふうに思っております。

 その上で、今お話のあった、産業政策的な部分で上場会社の農地取得、こういうことでございますが、実は、賃貸というお話を今していただきましたけれども、平成二十一年の農地法改正でリースを全面自由化したわけでございます。この理由が、農地が耕作放棄された際に、リース契約であれば、契約を解除し原状回復を図ることが容易であるということでございまして、所有権を取得してしまうとなかなかこれが容易でなくなるということでございます。

 この後どうなったかというと、かなり企業が参入してこられまして、上場企業も含めて、二十一年の農地法改正後四年間で千三百九十二法人既に参入をしてきまして、農業界、経済界が連携するような状況になってきているということでございます。

 所有の方は、実は、都府県でございますが、農地価格が、収益価格、これは大体通常賃料の二十五年分ということで見ておりますが、これの大体四倍程度になっているということで、経営上のメリットが余りない。上場企業の経営者の方からも、バランスシートを考えるとなかなか、取得してバランスシートに載っかるということはこの今の現状ではいかがかなという声も実際にあったわけでございますし、それから今度は、農業界の方からは、撤退した場合に産廃置き場になるのではないか、こういう不安がありまして、この所有方式についてそういう懸念があるということでございますので、これを拙速に進めると、リース方式で今せっかくうまく企業が参入しているケースがあるわけですが、こういうところにマイナスの影響が出る可能性がある、こういうことでございます。

 したがって、農地中間管理機構の活用によりまして、リース方式を積極的に推進していくということが得策だというふうに考えております。

大熊分科員 ありがとうございました。

 個別の論点はなるほどなと思うわけなんですが、考えてみますと、ほかの産業、例えば自動車産業ですと、自動車産業の経営者から見て、工場が全て賃借でなければならない、そういう法律になっていたらここまで自動車産業が発展したものだろうかなというのはやはりちょっと疑問は拭い切れないわけでございまして、今この瞬間、賃料と土地の値段が合っていなくてもそれは短期的なものかもしれませんし、ここはやはり産業を育てるという観点から、ぜひもうちょっと中期的にも引き続き可能性を残していただけないものだろうかな。

 一方で、繰り返しですけれども、中山間部の棚田のような地域というのは、これは逆に本当に規制強化をしてもいいんじゃないかなというぐらいの気もしているわけでございまして、そこのところをはっきりと分けていく。

 では、実際に分けていくということになると、実際やろうとすると、恐らく、後ろに座っていらっしゃる農水省の皆さん方が非常に困ったなということになるのは、組織に多分手を突っ込まないといけないはずで、守る方の農業の組織とそれから成長産業、要は産業政策としての組織と分けなきゃいけないとなると、これはまた公務員制度改革の話になってくる、あるいは組織再編の話になってくるわけでございます。

 これは霞が関の皆さんが非常に嫌がるわけでございまして、上場会社の土地取得ということを推し進めるということは、そういう皆様方が嫌がる話に手を突っ込んでいくことになるのでなかなかやりにくいんだろうとは想像しますけれども、ここはひとつ政治主導で、そういう観点から、もう全部農業を成長産業にしろ、そういうふうに言っているわけじゃないわけでございますので、いろいろと包括的に検討を進めていただければなというふうに思うわけでございます。

 続きまして、通告の農業金融についてという話なんですが、これも土地の取得と実は大きく関係してございまして、これは昨年の内閣委員会で、たしか国家戦略特区法の審議の中で、特区の中で農業に対する信用保証ができるようになった、あるいはなるはずでございまして、そのときに内閣委員会で議論をさせていただいたんですけれども、農業金融、これは我が国とアメリカで非常に大きな違いがあって、アメリカでは、農業への融資というのは非常に大きなビジネスになっているわけでございます。

 通常、海外ですと、お金を貸すというときに、御承知のとおり、土地担保じゃなくてキャッシュフローでの融資というのが中心なんですが、事この農業に限っては、かの地アメリカであっても土地担保融資なんですね。

 それはなぜかということで私も調べましたら、私もそういう農業金融をやったことがなかったので調べましたら、やはり農産物というのは非常に価格の変動が激しいということで、要は動産担保にならないということのようでございまして、どうしても、通常キャッシュフロー融資をやっているアメリカですら土地担保融資になっているということなんですね。

 我が国の農業金融、農業に対する融資額というと、恐らくアメリカのたしか数分の一か下手したら十分の一以下ぐらいではなかったかなと思うわけでございまして、これはやはり、日本では当然この土地担保ということをとるのはさらに難しいんだろうと思いまして、したがって、その貸し出しがふえないということになっているのではないか。

 それを考えますと、これはもうちょっと大きな話になってくるわけですが、アベノミクスで、私どもも最初に言っていた金融緩和でお金をじゃぶじゃぶまくわけですね。ところが、そのお金は相変わらず国債に回っちゃっている、貸し金に回らない、こういうことになっているわけです、残念ながら。預貸率がふえていないわけですね。

 もしここの分野、つまり農業金融に土地担保ができてお金が回っていけばこれは一石二鳥なんじゃないか。農業のための成長資金にもなるし、マクロ的に言っても、お金をまいた部分が国債に行かずに農業という新しい新産業の方に回っていく、これは一石二鳥なのではないかというふうに思うわけでございます。

 この点、大臣、そういう方向性、考え方はどう思われるか、一言お願いいたします。

林国務大臣 農業系の金融機関のリスクというような御質問をされるというふうに聞いておったものですから。ちょっと今のお話は、改めてアメリカにおける農業金融の形態と我が国とを比較してみていろいろと考えてみたい、大変示唆的なお話だった、こう思います。

 要するに資金需要ですね。土地担保とかいろいろな金融の手法を研究してやったときに、今要するに資金需要があるけれども、そういうものがないので行っていないのか、そもそも資金需要みたいなものがそれほどないのかというところもあわせて考えておかないと、道をあけたけれども通る人がいないということになってもいけませんので。

 やはり、先ほど申し上げました三本柱と地域政策の四本柱によって、成長産業にすることによって資金需要が出てくる。A―FIVEというのを使って官民のマッチングファンドも始めたわけでございますけれども、そういうものもあわせて、間接融資、直接金融、全てトータルでやっていくということが環境整備になるわけですが、一方で、やはりそういう資金需要、融資にしろ出資にしろ出てきて、お金を取っていって、それを産業として回していくという、そちらのこともあわせて考える必要があるのかなというふうに、今先生の御質問を聞いていて思ったところでございます。

大熊分科員 ありがとうございました。

 まさに鶏が先か卵が先かという話なわけです。そういったときにも、起業家的な農業者を育てていく、あるいは、今は違うビジネスをやっているんだけれども農業を起業してみよう、あるいは引き継いでみよう、そういう経営マインドを持った人たちをどうやって確保なりふやしていくのかなということが一番重要ですよね。そういう人たちが融資を受けたいという判断をする経営者なわけですから。

 そういう意味でも、守りではなくて攻めの人材をどうやって育てていくんだろうかということだろうと思います。

 一方で、済みません、質問のもともとの通告の農業金融のリスクということですが、今は必ずしも農業向けじゃなくて、住宅ローンその他の融資が多いんじゃないかなと思うんですね。これは農業への金融のリスクというよりは、農業系金融機関の持っている金利リスクですね、正確に言うと。

 実は先日、財務金融委員会の方でもお話しさせていただいたんですが、アベノミクスが成功しますと長期金利が間違いなく上がってまいりまして、財務省の想定でも二%ぐらい上がっちゃうということになるという予測なわけですね。金利が上がらずに物価が上がって、全部、景気もよくなる、そういうことはあり得ないわけでございまして、もっと悪くすると、悪い方の金利上昇も起こり得ないとも言えないわけでございます。

 そうなった場合に、住宅ローンのリスクが結構大きいんじゃないかな、これは農業系金融機関だけじゃないわけなんですけれども、と思うわけでございます。

 では、この点について一言お願いできればと思います。

林国務大臣 これは、一般論のところはまさに財政金融委員会でやっていただくところだと思いますが、長期金利、十年物の国債で、これだけの財政状況で一%を切る状況、こういうことですから、これは金融政策で長国の買い入れなんかをやっているというところで、かなりやっていただいているところもあるのかなと思っておりますので、物価が上がっていくとそれがすぐいくかどうかは金融政策によるところも大きい、こういうことだと思います。

 農協の系統金融機関については、これも金融システムの一部でございますので、経営の健全性を確保することが大変重要でありまして、久しぶりに国内四%、国際行八%という懐かしい数字を見ましたけれども、そういう自己資本比率、ディスクロージャー、同じような法規制をかけておるところでございます。

 また、さらに、農協系統金融機関においてはJAバンク法がございまして、農林中金が、金融行政の基準より厳しい自主ルール、JAバンク基本方針というのがあるんですが、これを定めて、これによって農協や信連をランクづけしまして経営改善指導を行っているところでございます。

 農協については各都道府県、それから信連と農林中金については国が金融庁と農林水産省共同で監督、こういう仕組みになっておりまして、これら関係機関で適切に連携して、ヒアリングや検査を通じて実態把握や指導に努めているところであります。

 ちなみに、現在の状況ですが、自己資本比率、これは、農協は平均で一八・一%、それから信連は平均で二四・八%、農林中金で二三・八%。先ほど申し上げました国内基準行四、国際基準行八ということに比べても、かなり高い水準を有しておるというふうに見ております。

 それから、不良債権比率でございますが、農協が平均で三・〇%、信連が平均で一・四%、農林中金で一・四%ということで、一般の金融機関ですが、主要行一・八、地銀三・一、信金六・三、信組が八・四、これに比べても低い水準になっているというところでございます。

 こういった健全性の確保、これからも関係機関と連携して確保してまいりたいと思っております。

大熊分科員 現状は今大臣がお話しなされたような状況で、大丈夫だということなんでしょうけれども、たしか、かつて金融危機のときだったか、農林中金さんはデリバティブで相当やられまして、一兆円ぐらいやられたんじゃなかったですかね。

 私もかつて金融業界で働いて、デリバティブの担当じゃなかったんですけれども、一般的に農中さんはデリバティブのお客さんとしていいお客さんだと言われておりまして、特定の企業は幾つかあるんですが、その中の大口のお客様だということになっているということは、この瞬間の自己資本比率はいいのかもしれませんが、その辺のガバナンスなり、デリバティブが全部悪いということではないんですけれども、その辺の基準、規制というのが、かつての失敗を踏まえて一般の金融機関よりどうなっているのかなというのは、ちょっと細かいところなので大臣の御答弁は結構ですけれども、心配は心配だという点。

 もう一点つけ加えさせていただくと、私が心配しているのは、この瞬間ではなくて、金利が二パーぐらい上がっちゃったときにリスクが、いわゆる金利の感応度がどうなっちゃうんだろうということでございまして、この二点、過去と将来、この二点がちょっと心配だなということをつけ加えさせていただきます。

 続きまして、農協改革ということなんです。

 これも私がリアルな体験を持っているということでもないんですけれども、伝え聞くところですと、なかなか農協という組織が農家の皆さんの側に立っていないんじゃないかと。要するに、お客さんとして農家を扱っているのではないか、商社機能のようなそういった機能が中心なのではないか、こういう指摘をよく耳にするわけでございます。

 それは、私が思いますに、ある地域で競争が存在していないというところに大きな問題があるんじゃないかなと。特定の県を申し上げるのはあれですからどこかの県で、その地域には一つしかないわけでございますが、こういった競争がないものというのは、多分法的には何か認められているということになっているんでしょうが、では、これが果たして産業の成長にとっていいことなのかということだろうと思うんですよね。

 現在の法体系がどうなっているかという議論より、ちょっと中長期的に見たときにそういう仕組みが本当にどうなんだろうかという疑問を持たざるを得ないんですが、この点、いかがでございましょうか。

江藤副大臣 それでは、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 農協のあり方については、我々自民党としても随分幹部の先生方と議論を重ねてきたわけでありますけれども、農協にもさまざまございまして、例えば、正組合員よりも准組合員の方がはるかに数が多いような農協もございます。完全に農産品の販売では赤字で、その他の事業、共済、金融、そちらの方で埋めているというような実態も、これも認めなければなりません。

 しかし、昨年の米政策の改革を我々はやりましたけれども、これから飼料米をつくっていって水田をフル活用していこうということであれば、どうしてもやはり現場に根づいた農協さんの協力なくしては政策の実現は難しいというのが実態だと思います。それに加えて、農地集積バンク、これもやはり農業委員会それから農協さんの協力も必要です。

 これからあるべき農協の姿は、今産業競争力会議にも私が出席しておりますが、経済界の方々の御意見も踏まえながらこれからやっていかなきゃならないと思っています。

 しかし、やはり、これまで果たしてきた役割も、評価するべき点は評価しなきゃならない。批判するのは簡単だと思うんですよ。

 私は、もう大分前になりますけれども、郵政改革のときに郵政民営化というのを経験いたしまして、小泉内閣で郵政民営化がなされました。その後いろいろ、特に中山間地域、辺境の地では弊害が起こっておりますが、それを受けて一定の改革が行われたわけであります。

 いろいろな組織、歴史のあるものを壊すのは簡単でありますが、それをリビルドする、さらに、もとに戻すことは非常に困難でありますので、大胆な改革は必要だと自覚は持っておりますけれども、現場の意見も踏まえながら、これから、これには大臣の御指導のもと、着手してまいりたいと考えております。

大熊分科員 私も、農協をなくした方がいい、そういうことではなくて、競争が働くような環境にした方がいいんじゃないか、こういうことなんですが、この点はいかがなんでしょうか。

江藤副大臣 競争は必要だと思います。

 例えば、我々宮崎県でありますと、宮崎県は一農協ではないんですよ。私の選挙区だけでも、幾つも農協があります。例えば、西都農協と児湯農協、尾鈴農協は、やはり競争しています。負けてたまるか、あっちでこれをやるんだったら我々のところでもこういう六次化に向けて努力をしようと。

 そして、各県に一つしかないところであれば、経済連のある県と経済連のない県がありますけれども、これからは六次化をして付加価値をつけて、より高く物を売る、そしてまた、国内だけじゃなくて国際的にも売っていくという努力が必要になってくるわけでありますから、委員の御指摘のとおり農協同士でも競争するということであれば、中央会からのガバナンスがありますので、ある程度それぞれの単協、それぞれの地域の自由度というものを上げていかないといけない部分も制度的には私はあると思っています。

 これからは、いいところはやはり伸びていく、そして、自由度を上げて、各農協の自主的な判断によって物事が進んでいくようなそういうシステムの改革であるとか、そういうことに努めてまいりたいと考えております。

大熊分科員 一点、ちょっと教えていただきたいんですが、県をまたいでの競争、これは今可能なんでしょうか。

 要するに、隣の県、別の県に、今競争はしているとおっしゃいましたがそれは同じ県内でのお話なんじゃないかというふうに伺っていたんですが、宮崎でいらっしゃいますか、お隣の県に出張っていくということは現在の制度上可能なのかどうか。どうなっていますか。

江藤副大臣 その出張っていくということの意味がちょっとなかなか難しいんですけれども、例えば、小里政務官は鹿児島です。和牛の世界では全国共進会というのがございまして、四年に一度、オリンピックと呼ばれておるわけでありますが、それに向けて和牛の競争を必死でやりました。そして、これで日本一になりますとやはり枝肉になったときの値段が全然違うわけでありますから、宮崎は幸い二回連続全国チャンピオンになったわけでありますけれども、そういった努力もしております。

 例えば、イチゴの世界でいえば「あまおう」とか、今村先生のところでいうと「さがほのか」とかですね。宮崎ではまだおいしいイチゴがつくれません。残念ながら、苗を佐賀から買ってきてイチゴをつくらなければ、いいイチゴがつくれない。非常に劣等感を感じているわけでありますけれども、県境を越えた競争がないのかというと、そうではありません。

 これは、県の種苗改良センター、それから営農指導員、そして農協、いろいろな方々が力を合わせて県境を越えた競争がなされておりますけれども、これは、これからますます差別化の進んでいく時代ですから、激しくなっていくんじゃないかなというふうに考えております。

大熊分科員 私が伺っているのは、では、具体的に、宮崎県の農協さんが鹿児島県の農家の方を組合員にするということです。それが可能かどうかということです。しているということじゃないと思いますが、それが制度的に可能かどうかを伺っているんです。

江藤副大臣 それは制度的には可能でございます。

大熊分科員 そうすると、一個前の答弁と組み合わせると、そういうことを積極的に競争環境の中でやっていくべきだ、こういうふうに理解いたしましたが、よろしいでしょうか。

江藤副大臣 やはり農業は農地があってそれが成り立っておりますので、例えば、鹿児島の非常に離れたところの人が県北の農協に入っても、地理的な障害がそこにはありますので、余り合理性がないと思います。

 ただ、これから農地集積バンクが稼働してきますと、鹿児島で農業を大規模にやっている方が宮崎の農地を取得するということもこれからはあります、リースという形になりますので。そういうことになれば、鹿児島の農協にも在籍しながら宮崎の農協にも在籍をするということは、論理的にも制度的にも十分あり得ると思います。

大熊分科員 そういったことは競争の中では十分あり得るし、そういったことを推進していこうじゃないか、こういう意気込みだ、こういう理解をさせていただいたんですが、よろしいでしょうか。

江藤副大臣 これから、やはり担い手の確保というものは、その地域に限定して担い手を確保するというのは難しいというのが正直なところです。

 本当は、その地域で生まれ育った人にその農地を守ってもらいたい。これは正直な気持ちですよ。しかし、Iターンの方であっても、意欲を持っている方であれば経験のない人にも農業をやっていただきたいし、例えば北海道、私の友人でも、九州で畜産をやりながら北海道でも畜産をやっている人がいます。そういった意欲のある方は、全国、それからまたは世界に出ている人もおりますので、グローバルな視点で農業展開をしていただければいいんじゃないか、そういうふうに考えております。

大熊分科員 ちょっと時間がなくなってきたので、また何か機会がありましたらと思いますが……(江藤副大臣「農林水産委員会にどうぞお越しになってください」と呼ぶ)それはちょっと、私どもは少数政党なもので委員がおりませんで、委員がどこか違う党に行っちゃいましたもので。

 済みません、流れで、オランダの農業、食品産業はフードバレーというんですか、非常に活力があるやに。質問していると時間がないので、先に私が言ってしまうのもなんなんですが、オランダの輸出というのは世界第二位だか第三位だか、面積は九州と同じぐらいの面積なんですよね、オランダ一国。だから、九州の農業の目標だけでもオランダを上回るぐらいの目標を立ててもいいんじゃないかと思うんですね。

 そういう、要は、輸出の目標一兆円でしたか、この間、五千億円達成してというのを私もニュースで拝見したんですが、もっと大きな目標値を立てられても。要するに、オランダを抜いて銀メダルか銅メダルになるんだ、そういう目標値、大きな目標値をさらに上積みする、そういうことはどうなのかなというのをちょっとお伺いしたいと思います。

小里大臣政務官 御指摘のとおり、オランダは我が国の九分の一程度の国土面積であります。それでいながら、世界第二位の農産物輸出国ということであります。

 いろいろな要因があると思いますが、まず、オランダは欧州の中央に位置するという地理的な好条件があります。また、ロッテルダム等の良港を有しております。そういった条件を生かして、花卉や野菜、チーズ等を他のEU加盟国を中心に輸出しておるという現状があります。そういった条件面での違いはありますが、同じく国土面積の狭い我が国にとりましては大いに参考になるところであると思っております。

 また、御指摘のとおり、輸出目標としては、これは二〇二〇年までに一兆円を達成しようということでありまして、昨年が五千五百六億円と過去最高額になったところでありますが、旺盛な意欲を持って取り組んでいきたいと思います。

 一兆円というのは、とりあえずの暫定的な目標と捉えていただければ結構かと思います。

大熊分科員 時間となりました。水産庁さん、環境省さん、大変申しわけございませんでした。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて大熊利昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺孝一君。

渡辺(孝)分科員 自由民主党の渡辺孝一でございます。

 きょうは、朝早くから、大臣、副大臣、政務官初め、役人、官僚の方々、このような時間をとっていただきまして大変ありがとうございます。

 時間がございませんので早速質問に入りたいと思いますが、ぜひお願いしたいんですけれども、私は農林水産委員会に所属しておりまして、常々、御三名の御意見はいろいろ各委員への説明の答弁でしっかり聞かせていただいております。よって、こんなことが許されるのかどうかわかりませんけれども、私は今回、質問もしますけれども、三人の、あるいは官僚の方々の思いなどをぜひお答えいただければ大変ありがたいなと思いますので、そういう話にはならないのは重々わかっておりますけれども、そんな思いを、私にではなく、ぜひ、私の後ろにいる選挙区の、特に農家の方々に訴えていただければありがたいなというふうに思います。

 さて、まず一点目は、いきなりTPPなどという話にしたら、今は大変苦労なさっていらっしゃるので多少御迷惑なところもあるのかなと思いながら、いずいと思いながらも、質問させていただきます。

 よく、私たち一期生仲間でこのTPPについて話をする機会が多うございます。そんな中で、特に地方出身の新人の議員の先生方の共通の考え方なんですが、やはりどうしてもこのTPPについてはいわゆるマスコミの後追いになってしまいがちだということで、週末、地元に帰り、いろいろ選挙区を回り、農業関係者の方々とお会いし話をする際も、マスコミの話を題材に責められる場面が多うございまして、それに防戦一方だというのが、大体新人議員の皆さんの声でもございます。

 このTPPに関しましては、当然、十二カ国の中でしっかりとしたルールをつくって、特に情報の開示等々につきましては、守秘義務があるのもしっかり理解しているところでもございます。

 しかし、この間の某マスコミの新聞記事の中では、マレーシアのことを取り上げて、そこのTPPの担当大臣が、国民的な議論あるいは議会等の議論をしっかりとしなければいけないということで、TPPの草案や各国の話し合いの経緯、さらには、国内のTPPに関する利益試算の結果などを公表しなければいけないという記事が掲載されておりました。

 このことが本当なのかどうかというところをまず聞きたいなということと、果たして、こういうことがマレーシアで許されるのであるのだったら日本にも許されるんだろうかというまず質問でございますけれども、お願いいたします。

村井政府参考人 お答えいたします。

 今、委員の方から御指摘のありましたマレーシアの担当大臣の関係でございますけれども、一部の報道におきまして、マレーシアのTPP担当大臣が御指摘のようなことを語ったということを伝える記事があったということは承知をしておりますけれども、現時点におきまして、政府として、この一部の報道について事実関係を確認しているということはございません。

渡辺(孝)分科員 冒頭申し上げましたように、うちの地元では三十二の市町村がございますけれども、そのほとんどが、いわゆる一次産業、特に農業を主体とした基幹産業の町々でございます。ゆえに、全農家の世帯を調査したわけではございませんけれども、ほとんどの方がこの農業新聞に目を通しているというのが現状でございまして、やはりこの記事というのは非常にインパクトがあったようでございまして、非常に私の事務所にも問い合わせがありまして、もしこれがTPP関係国の中で言うなれば許されるということであれば、日本としてもしっかり情報を開示し、我々にももっと正確な情報をいただけるんだという、非常に期待する声も多うございます。ゆえに、私としては、今の段階では当然明快な答えを得られないというふうにわかっておりましてこの質問をしたわけでございます。

 大臣に一言お願いがございまして、この辺の十二カ国の協議というふうになりますと、当然、その守秘義務の中から、それが第一優先になるかというふうに思いますけれども、この記事が本当かどうかは我々には知るよしもございません。しかしながら、今本当に農業関係者の方々だけで申し上げますと、やはり、情報不足からくる不安というのが非常に多いのではないかというふうに思います。

 私も、その三十二の市町村の中で、もう二十数カ所、国政報告会と称して新春の集いという形の中で皆さんと議論をしておりますけれども、その際、農業関係者、農民の方々から、自民党を信じる、おまえを信じるぞ、最終的にはやはりそこに落ちついてしまうというか、そういう話になってしまうということが、私としても非常に歯がゆい思いがあります。

 ぜひ、このTPPの交渉に当たっては、守秘義務というのも十二カ国でつくったルールでございます。ぜひ何らかの機会に、大臣初め交渉を担当している方々に、もう一度このルールを見直しいただき、国民的な議論というのをする時期が私は必ず来るんではないかというふうに思いますし、日本だけではないというふうに思います。

 そんなことを含めてそういう声を発していただき、ぜひ御検討願えないかなということの、質問みたいな希望みたいな話でございますけれども、何か大臣の思いがありましたら、一言お願いしたいと思います。

林国務大臣 きょう、渡辺委員から冒頭、思いを語ってくれ、こういうことでございましたので、今のお話は、まず申し上げたいのは、報道、これを詳細に読んでいきますと、例えばこの記事にどう書いてあるかというと、見出しは「国際貿易産業相が発言 草案の公表を約束」、これが目に飛び込んでくるんですが、記事を読むと、「結果を公表する予定だと発言したことが分かった。同相は議会承認を得ることも明言したという。」と書いてあるんですね。だから、この辺で新聞がリスクを担保して、後で違っていてもこの文章は間違っていない、こういうところがよくわかるわけでございまして、事ほどさようにメディアは、その原文をよく読んで、一体誰がどこで言ったことなのか、伝聞なのかということを本当に我々は冷静に受けとめなければ、読者としてはいけないと思っております。

 そういう意味で、先ほど内閣官房の方からありましたように、これは事実関係が確認できていないということでございますので、やはりその辺の御説明もしっかりとやっていただくということと、一方で、これはほかの交渉もそうなんですが、交渉中で、まだこういう案を出している、向こうはこういう案を出しているという途中のことは、これはまあなかなか難しいわけですが、例えば、妥結をして合意をしたということがもしあったとすれば、そういうものについては、参加国の間でこういう合意をしたということについてもう公表しようということはあり得る、こういうふうに思っておりますし、最終的に、妥結をした後、リーガルチェックをやって、条約案として国会に出てきて批准のための審査をするということになりますから、その時点では、もう全てが決まったこと、条約案が公表される、こういうことになるわけでございます。

 その辺が何か手続として、我々はここにいてわかっているんですが、農家の方とか一般の方は、そこが最後まで何にもわからずに、ただ決まってしまうんじゃないかと。批准がどうしたとか、その前の合意内容がどうしたというところを、いかに皆さんにわかっていただくように、我々はそういうことをシステムとしてわかっているわけですから、御説明をしていくかということが大事なポイントであろうな、こういうふうに思っております。

 渡辺先生は市長さんもおやりになって、いろいろな難しい話を今までも住民の方に説明してきたという御経歴もお持ちでございますので、そういうところをしっかりと踏まえて、できる範囲の説明というものを、我々も努力いたしますし、そういう説明の仕方をやっていただけたらありがたいな、こういうふうに思っているところでございます。

渡辺(孝)分科員 市長時代は市民説明会では袋だたきに遭うことが多かったものですから、そちらの方にはなれているんですけれども。

 ただ、同じ新聞紙上におきまして、たしか二十日付の新聞で大臣の強いメッセージが掲載されておりまして、地元の関係者は、大臣のいわゆる信念というのですか、紙面を通じて伝わったことが、それ以降非常に反応もいいようでもございます。ですから、自民党を信じる、あるいは、おまえを信じるぞという言葉も少しずつふえてきたのかなというふうには思っております。

 私がぜひ政府の方にお願いしたいのは、朝の部会等々にも意見が出ておりましたけれども、やはり、その強いメッセージというのを国民にどのように発していくかということを工夫していただければ、今の関係者の方々が胸をなでおろして、二十六年度への、さらには二十七年に向けてどう成長戦略に乗せるかというような、そんな建設的な環境や雰囲気になっていくのではないかというふうに思いますので、政府の皆さんには、その強いメッセージをどのように工夫して出していくかということを、ぜひもう一つ工夫していただきたいなというふうに思います。

 さて、守るものは守る、攻めるものは攻める、安倍総理や石破幹事長、もちろん林大臣からもこのフレーズはもう何回も聞いておりまして、最初聞いた昨年の春ぐらいのときには非常におぼろげながらイメージングだけだったんですけれども、いろいろと政府の皆さんが努力して、しっかりと国民に、いろいろ諸政策やメッセージを通して、農家の方々も私たちも理解をするところに来ております。

 その中で、昨年十二月、農水省で発表されました四つの改革といって、パンフレットも見させていただきましたし、私も、地元に帰りまして、それをコピーするなりして地元の農業関係者の方々にもお配りをしながら、たどたどしい説明ながらも、皆さんに理解をしていただく、そんなことを今努力している最中ではございます。

 長老と言ったら笑われますけれども、農村に行きますと、重鎮と言われる方、または、おさと言われるような方が本当にまだまだいらっしゃいます。そういう方々にはいろいろと私も御指導を受けることが多いんですが、その先輩に話を聞かされたときに黒沢明監督の「七人の侍」の映画を思い出しまして、農家というのは雨が降れば大騒ぎし、晴れたら晴れたで大騒ぎするものだ、それが農家だというようなことを、長老が村で雇った侍の方々にお話ししたのを覚えておりました。

 今回のこの四つの改革に関しましても、私としては理解をするところであり、ぜひこれは推進していかなければいけないというふうに思っておりますけれども、例えば餌米一つにとりましても、私の選挙区では、なかなか畜産というのが縁遠いジャンルになっておりまして、つくったところで、では一体どうすればいいんだという問いかけに関しまして、私も、ここはJAともしっかり相談しながら、言うなれば、管理の仕方から、さらには販路確保等々、これはしっかりとみんなでこれから詰めなければいけないねと言いながらも、つくっていいものかどうかという問いかけをされると、非常に困っているのが現状でございます。

 もちろん、政府としては、たしか十二月の会議の際に、この餌米についてはしっかりと今は国内的に調整しているというお答えで、各地域にわたってどのような生産をされるか、まだまだそういうことまでの答えがなかったような気がしておりますし、しかしながら、もうそろそろ、二十六年度の営農の準備と称しまして、雪深い北海道でもこれから準備に入るかと思います。

 そこで、この四つの改革、私は地元で、これは決してきのうきょうつくった案じゃないんだ、平成二十一年の、自民党が政権をとられ下野した時点から、自民党の方ではしっかりと先輩たちが、農業を根本的に変えていこうじゃないか、特に担い手と多面的機能にある程度焦点を絞った中で、農家を守るために法律をつくり、そして、その法律のもとにしっかりと諸政策がつくられたんだという話をしておりますけれども、実際、いろいろと懇談をしている中で思うんです。やはり最終的には、この秋のおらの取り分、いわゆる所得は一体どうなるんだというところに、どうも究極的にはそちらの方にやはり行ってしまいがちなもので、非常に困っております。

 そこで、たしか農水省にも、いわゆる所得の変動ということで資料を部会に出していただいたのも覚えております。その資料を持って地元に帰って説明をしたんですが、なかなかぴんとこない。もちろんそうでしょう。それぞれの個々の経営体、抱える面積はいろいろ千差万別ですから、自分の所得と、この改革によってどう変動があるかというのが非常にわかりづらくなっているのかなと。

 そこで、江藤副大臣あたりははっきりすぱっと言ってくれる方なので私としては江藤副大臣にちょっとお聞きしたいんですが、予期した形で出た結果と予期しないで出た結果というのは、人間、やはり受け取り方は変わると思うんです。ですから、今回この改革によって農家の方々の所得にどのような変動があるかというのを、副大臣に全国の農家に向かって説明してというわけではありませんけれども、せめて地元のJAあたりがしっかりと個々の状況に応じて説明できるような、そんな形は農水省として考えていらっしゃらないのかなと。

 実際、地元の組合長に聞いても、うちは全部で十七の、四囲の組合長がいますけれども、一堂に会して懇談したときには、組合長たちも正直言ってお手上げだなんということも言っておりましたので、やはり、直接農家の方々と接する機会の多い組合長さんクラスがJAの職員を使ってそういう個々の相談に乗れるような、もちろん何十何円まで説明せいとは言わない、大ざっぱでもいいから、説明できるような仕掛けをぜひこれからもフル回転でやっていただけたらなと思うんですけれども、江藤副大臣、何かいい案ありませんか。

江藤副大臣 予定では政務官がお答えになる予定でしたけれども、御指名でありますのでお答えをさせていただきたいと思います。

 農政の中でやはり我々が一番いつも恐れているのは、激変です。激変というものにはなかなか農家は耐えられない。これは、私もまだ十年のキャリアしかありませんけれども、激変緩和ということは常に考えなければならないということは考えてきました。

 しかし、今先生御指摘のとおり、野党時代に戸別所得補償制度一万五千円、たとえ三万円以上で米が売れても、生産調整に協力すればお金を払いますよと。そういう農家については、これはなくてもうちはやっていけるよと言う農家もいらっしゃる、もっと手厚くやらなきゃいけないところが片方ではある。限られた予算を有効に使うためには、やはり直接支払いよりも、地域政策として、今度支払う農地維持支払い、資源向上支払い。

 ですから、一万五千円だったのがいかにも何にもなくなってしまうというような誤解があるようですけれども、今度は、面積要件もなくしてならしにも加入できるようになるわけですから、その一年間の経過期間の中にぜひとも認定農業者になっていただいて、ならしに参加していただいて、そしてその先に収入保険があるんだという、やはりこれから我々は、農家の未来については希望を見出していただくような農政でなきゃいかぬというのは、自民党で農政を専門でやってきた宮路先生や今津先生なんかまさに代表ですけれども、先生方のお気持ちですよ。

 決して民主党政策を否定するというところから始まるのではなくて、五年たったときに、十年たったときに、あのときが日本の農政が立ち直ったときの転換点になったと言っていただけるよう、我々は仕組みをつくったという自信は持っているつもりであります。

 ですから、地域において、なかなか制度がわかりづらいとか、例えば、ある県によっては、百五十億あった一万五千円の直接支払いがいきなり七十五億円になって、数年後にはゼロになるということになれば営農計画も大きく狂う、そのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、しかし、これからの長いビジョンの中で所得倍増を考えていったときには、我々が組んできたこの政策は、決して民主党政策がだめですよということを言っているのではなくて、例えば人・農地プランなんかは非常にいい考え方なので、それも生かしながらやっていることでありますので。

 パンフレット等をつくりましたから、先生、足りないということであれば、政務官でも私でも行ってまた御説明させていただく機会もあればやりますし、役人も、派遣すべきであれば派遣もさせて説明をさせていただきたいと考えておりますので、またいろいろ御意見賜れればと思います。よろしくお願いいたします。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 変わり目のときというのは不安になるというのは、別に農業関係の方だけでなく、全ての方がそうではないかというふうに思います。今、副大臣にいただいた言葉をしっかりと地元の関係者の方に伝えて、まずは頑張ること、一生懸命やることによって結果が出て、その結果は、やはり頑張る者が報われるこの制度なんだということをしっかりと伝えて、農業振興に私も一役買いたいなというふうに思っております。

 さて、最後の質問であります。今までは、TPPの問題さらには四つの制度改革の話をさせていただきましたけれども、正直言って、いわゆる守りの農業なのかなというふうに思っております。

 そこで、攻めの農業の中で、農地集積と海外の輸出等々について今大きく地元でも話題になっておりますけれども、特に農地集積の場合は、うちは土地利用型の大型の農家が多く、大体一人当たりの平均面積というのは十五ヘクタールぐらいになっておりまして、今後、二十、三十とどんどんなっていきますし、大型の方は、もう百ヘクタールを超える農家の方々も実際にいらっしゃいます。

 そんな中で、農地集積と言われても、うちはむしろ基盤整備事業の充実というのが非常に大事でございまして、夏期施工等も北海道ではなかなかなされておりませんでしたけれども、今回、農水省の粋な計らいでこの夏期施工も実現しまして、土地改良区初め農業者の方々は非常に喜んでいるところでもございます。

 しかし、もう一方の海外戦略、輸出戦略となりますと、正直言って、私も冷やかされるんですけれども、先生、そうしたら俺らにリュックに米入れて売りに行ってこいと言うのかというようなレベルの話から、では、どうロットを確保して海外に持っていけばいいんだとか、ピンからキリまで非常にいろいろな質問をされて、正直言って困っております。

 ただ、総じて私は思ったんですけれども、国はどうしてくれる、おまえどうするんだというようなことを言われることが多くて、これはちょっとおかしいぞと。私は、やはり関係者あるいは農家の方々は、まずみずからどうしたらいいんだというやる気を起こさせなければ、また起こさなければ、この成長戦略というのは大失敗するんではないかというふうに思っております。意欲のある人とない人が差がつくのは当然なんですけれども、それが余りにも大きな格差になってくると、私は、成長戦略のいわゆる目的が半減しているのではないかというふうに思います。

 そこで、農家の方々に火をつけると言ったらおかしいでしょうけれども、農水省として、この成長戦略で海外の輸出向けにつきましては、ぜひ三人の大先輩たちに、どのように農家の方に火をつけたらいいかというそんなアドバイスをいただけたら大変ありがたいので、よろしくお願いしたいと思います。

林国務大臣 まさにおっしゃっていただいたように、これはケネディの言葉でもあるんですが、国が何をしてくれるかではなくて、自分が国のために何ができるか考えようと。国のためにというよりも、自分のためにどうするかということをまず自分が考えるというのは、自由民主党の綱領にも、自助、そして共助、公助と。ですから、自助だけと言っているわけではないんです。まず自助があって、そして助け合いがあって、そしてなかなか難しいところに公助が行く。これは基本的な考え方だ、こういうふうに思っております。

 もう火がついている人が随分出てきている、こういうふうに思っておりまして、リュックの中に米をかついでというのはなかなかあれでございますけれども、例えばお地元の北海道でも、たしか、JAさんのリーダーシップで長芋を輸出している、こういうところが出てきております。

 我々、今回のそういうプランをまとめるに当たっても、我々が東京で考えるというよりは、現場でうまくいっている例、これを現場の宝ということでいろいろ集めてきまして、こういう例がある、そのことそのものが、ああ、ああいうことをあの人たちがやっているんだったら、俺たちも自分のところで頑張れないかな、こういうふうになるという効果がそもそもあるのに加えて、やはりコツがあると思うんですね。うまくいっているコツみたいなものが多分があって、それは、その長芋のケースやほかのケースを幾つか並べてみると、ああなるほど、こういうことをやるとそういう成功例が出てくるんだなということが出てくるわけで、そのコツみたいなものを政策でどうやって応援するかという観点でこの間のプランをつくらせていただいたわけでございます。

 したがって、何というんですか、部品というか道具はかなりそろえました、ですから、このそろっている道具を、どの道具とどの道具とどの部品を組み合わせて何をつくるかを、ぜひいろいろな例、周りにあると思うので、火のついた人を見ながら頑張ってもらいたい、こういうことを申し上げたいというふうに思います。

渡辺(孝)分科員 大変ありがとうございました。

 質問時間が終わったようでございますので、また委員会の方でも質問する機会があると思いますので、よろしくお願いします。

 どうもきょうはありがとうございました。

宮路主査 これにて渡辺孝一君の質疑は終了いたしました。

 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾分科員 おはようございます。

 先日の農林水産委員会に引き続きましてこの分科会でも質問させていただきたいと思いますが、きょうは環境省さんと一緒に第六分科会ということでございまして、非常によかったなと思っているところでございます。

 思えば、農水省さんと環境省さんが一致協力すればいろいろ解決できる問題も多々あるんじゃないかということで、きょうは幾つかその共通する、ネタと言ったら語弊がありますけれども、共通する課題を取り上げながら、ぜひとも一致協力をしていただきたいし、それがまた、きょうは林大臣に来ていただいておりますので、農林水産業の振興に結びつくぞというところを御理解いただき、御支援をいただきたいと思っているところでございます。

 まず最初ですけれども、この間質問したネオニコチノイド系農薬の問題につきましてまずはやっていきたいというふうに思いますが、この間も質問をさせていただいて、農水省としては、EUの規制を受けて、いろいろ話を聞こうという体制を整えられているということでありました。

 その中で、大臣からも御答弁いただきましたけれども、県段階から上がってくる報告が余り実態を正確にあらわしていないんじゃないかという指摘をさせていただいたところ、日本養蜂協会など業界からも意見をしっかりと聞きながら実態の把握に努めたいし、また、そういった仕組みづくりもやっていくということを御答弁いただいたところでございます。

 このネオニコチノイド系農薬につきましては、さまざまな研究結果が出ております。二十四年三月ですから一昨年になりますかね、フランスの研究グループ、イギリスの研究グループがともに、ミツバチの帰巣能力について非常にネオニコチノイド系農薬が影響している、そういう研究結果を報告されている。また、それを受けて、EUの方では、いわゆる相当な因果関係が認められてはいないけれどもそれでも予防的に、因果関係が全て明らかになるまでは待てないけれどもリスクを払拭できないということで、予防原則という立場に立って、特定の使用の仕方について規制をしたというところでございます。

 この間の質疑でもありましたけれども、もちろん、日本においてネオニコチノイド系農薬の使われ方は、EUの中とはまた違った使われ方をしているというのは私も承知をしているところであります。

 調べてびっくりしたんですけれども、トウモロコシとかヒマワリとかアーモンドは、その種子をいわゆるそのネオニコチノイド系農薬に漬けて、それをまいて、それで成長させる。その方が効率的だということなんですが、結局そこに来たミツバチなどがやられてしまう。それで、随分とヨーロッパの方は養蜂業者さんが規制の方向に声を上げて、政府の方も、今ほど申し上げたように、ドイツやフランスなどは早くから禁止をしておりますし、EUの方も、今回は予防原則ということで本格的に動き始めたというところだと聞いております。

 そういう、種子処理というんだそうですが、ちょっと考えられないですけれども、日本ではそういう使い方はされていない。あくまでも稲とかそういった部分の殺虫に使われているということでもございますけれども、ですから、使われ方が違いますけれども、やはり心配の向きはあります。

 特に、農林水産省の中でも、農業とそれから健康を考える食と農のプロジェクトか何かやっておられましたよね、たしか。たしかやっておられて、農業に携わると健康が増進をするんだという話を、今農水省でもプロジェクトチームを組んで研究をされていると聞いております。

 そういったところからも、農業に携わったら農薬に触れる機会が多くなってそれで健康を害すと言ってしまったら、これはもう全く違う話になってしまいますし、むしろ、こういった農薬のことを考えると、ちょっと怖いな、そういった気配も感じざるを得ないところもあります。それは、私がここで話しているよりも恐らく現場の農民の皆さんが一番感じておられるんじゃないかなと思っております。

 ですから、やはり携わる方々の健康にも気を使う、それが農林水産省でありそれが政府であるというところの見地に立って、きょうは環境省さんにもおいでをいただいておりますので、まずは環境省さんに質問をさせていただきたいというふうに思います。

 環境省として、このネオニコチノイド系農薬、今ほどいろいろ申し上げましたが、EUでも規制が昨年の五月から始まっております。ことしの一月から本格的に、ある種類についてはその使用が規制されているということでございます。

 環境省として、こういった農薬につきましてはどのような取り扱いをされているかということをお聞きしたいと思います。

小林(正)政府参考人 環境省では、農薬につきましては、農林水産省と連携をしながら、農薬取締法に基づいて役割を果たしております。具体的には、この法律に基づきます、農薬を登録してよろしいかどうかという農薬登録保留基準をつくる、これが私どもの役割でございます。

 これは幾つかの観点からやっているわけでございますが、特にきょうの御指摘に関連するところで申しますと、水産動植物の被害防止というのが一つございます。いわば生態系への影響をしっかり見ていくということでございます。それからもう一つは、水質汚濁に係る基準をつくるということで、これは人間の健康を見ていく、こういうことでございます。

 そういう中で、今先生の御指摘にかかわりが深いと思われます水産動植物の被害に係るところにつきましては、現在では魚類、甲殻類、それから藻類、こういうものを対象といたしまして個体のレベルで毒性の試験をいたしまして、そういうものをもとに判断をして基準設定をしているということでございます。ネオニコチノイド系の農薬についても、幾つかのものについてはこういった設定をしております。

 そういう中で、御指摘ありましたように、特に欧州委員会では使用を制限するというような取り組みもされております。それからまた、いろいろなところから、さまざまな角度からのネオニコチノイド系の農薬についての指摘がございます。

 環境省としましては、農薬の使用に伴う環境影響をなるべく抑えていくことが重要だ、こういうような観点から、一つは、今の試験というのは個体レベルでやっているわけでございますが、もう少し生物群集を捉えた場合にどんな影響があるかということを解明できないかということで、今実験的な取り組みを進めているところがございます。

 それから、最初に申し上げるべきでございましたが、さまざまな知見が提供されておりますので、こういうものを幅広く、特に環境省だけではなくて、関連の国立環境研究所などともタイアップをして広く世界の知見を集める、こういうこともやっております。

 また、できましたら、来年度からはネオニコチノイド系の農薬について環境中にどのぐらい残留しているのかというようなことを確かめましたり、また、トンボなどへの影響も懸念が指摘されておりますので、こういった生息に及ぼす影響というものについても調査を進めたいと考えております。

 そういうものを通じまして、農薬による生態系への影響をなるべく低減できるようにというようなことに取り組んでいきたいと思いますし、特にネオニコチノイド系の農薬につきましては、農水省さんでありますとか食品安全委員会ですとか、そういう関連のところとは連携をいたしまして、それから、どういう使用実態などにあるかというようなことも認識を共有しながら、どのような対応が可能かということを考えていきたいと考えているところでございます。

鷲尾分科員 それで、実はきょう環境省さんに来ていただいているのは、このネオニコチノイド系農薬が鳥の生殖の機能に悪影響を及ぼす、神戸大さんが確認したそうですが、そういった最新の研究の報告もあるわけです。

 鳥の生殖能力ということになりますと、例えば国の天然記念物であります、私の地元佐渡でもトキがございますけれども、やはりそういったところにも影響してくるんじゃないかという心配があるわけですね。

 今おっしゃっていましたけれども、いろいろ農水省と連携してという話をされていましたけれども、かなり生態系に悪影響を及ぼすんじゃないか。そういった天然記念物も含めて影響を及ぼす可能性がある、そこら辺を、これは最新の、二月十六日の新聞なんですけれども、こういった話は把握されていますか。

小林(正)政府参考人 鳥の生殖機能に影響があるのではないかというような研究者の発表があったという報道がございました。

 この神戸大の先生はかねてからシンポジウムなどで、私ども把握している限りでも鳥類、これは実験的にウズラなどを使って生殖機能にどうかというようなことの取り組みをされたというふうなことを私ども把握をしております。

 最新の報道がありましたものが具体的にどういう論文であるのかとか、この辺はぜひ取り寄せて、研究したいと思っております。

 いろいろなところからの研究が出てくると考えておりますので、研究機関とも連携をいたしまして、幅広くこういうものは収集をして、知見を深めてまいりたいと思っております。

 また、鳥類についての影響をメーカーの開発段階でチェックしていただくためのノウハウなどにつきましては、環境省もいろいろと提案をかねてからしてきておりますので、こういうものも視野に入れてやっていきたいと考えております。

鷲尾分科員 林大臣にコメントいただきたいのは、ヨーロッパでは予防原則という立場に立って今回規制を強めた。関係する業界から反発はあったとは聞いています。例えば欧州委員会でも、食品安全規制委員会ですか、こちらでも、最終的に、ネオニコチノイド系農薬の種子処理だとかそういった方法について禁止をするに当たって多数決をとったところ、反対する国もあったと。業界の方では、それはやはり因果関係が認められていないから行き過ぎだといった声が上がっているのもわかりますけれども。

 やはり日本では、それこそいろいろ、原発の災害もありました、それから、これから輸出をしっかりとそれこそ政府一丸となって取り組んでいくんだ、信頼回復に努めている中で、どうやって国の農産物について付加価値をつけて輸出を促進していくかという見地に立てば、ヨーロッパが今回とり得たのは予防原則に立ってということでありましたが、そのような見地に立って今後判断をするということも私はあり得べしだと思っております。それがひいては日本の、特に農林水産業にとって、全世界に対する非常にアピールになると思うんですね。

 ですから、大臣にコメントいただきたいのは、ぜひとも、いろいろ影響をこれから調査されるんでしょうけれども、私も、ことしも引き続き農水省さんや環境省さんにはこの問題についてどうなっていますかという問いかけはしたいと思いますけれども、やはり予防原則に立って規制をするということをやっていくべきだと思うんです。大臣、この点いかがですか。

林国務大臣 この問題は何度か農水委員会でもお話があったところでございまして、この間も、私も養蜂協会の皆さんにもお話を聞くことが大事じゃないかという趣旨の答弁をさせていただきました。

 要するに、把握をきちっとして科学的に問題を解決するということが大事だというふうに思っております。したがって、今予防的に何かをするということも一つの考え方としてあると思うんですが、全くないものに対して、海外でこういう事例があったからということですぐに予防的というところでなかなか難しくて、やはりこういう蓋然性というものがあるので、それと今、コストとベネフィットを比較してどうであるかという冷静な分析が必要になっておる、こういうふうに思います。

 それで、ミツバチですとかそれから農産物ということもあるんですが、もう一つ考えなきゃいけないのは、やはり食の安全を確保する、こういうことが、そもそも政府は国民の身体と財産を守る、これが一番大事な使命でございますので、やはり国産農産物や食品の輸出を今からしていこうというときにこれは大変大事だ、こういうふうに思います。

 したがって、今申し上げたように、科学的なデータに基づいて必要な規制、これがやはり原則でなくてはいけない、こういうふうに思っておりますので、厚生労働省、環境省とも連携しながら、最新の、今御指摘いただいた二月に出た論文等も含めて、内外問わず広く最新のデータを収集してやっていくということがやはり肝要ではないかというふうに考えております。

鷲尾分科員 大臣、常識的には本当にそのとおりだと思いますので、別にヨーロッパがやったからこっちもやれという乱暴な議論をしているわけではなくて、ただ、日本も、今おっしゃったように国の食の安全、国産ミツバチからもネオニコチノイド系農薬が検出されたという話もございます。ただそれは、残留農薬の基準に適合していればそれは人体に影響がないというのはもうそのとおりだと思います。ですから、出たからどうだという話ではありませんけれども、では、残留農薬の基準自体をむしろ日本としては戦略的に、それは業者さんの意見も聞きながらでしょうけれども、引き下げながら、逆に食のブランド化、それがベネフィットにつながるということもあるわけです。

 ですから、だからといって論理性は無視してはならないと思いますけれども、やはり諸外国に対するアナウンスメントということも含めますと、そういったベネフィットも踏まえながら、予防原則というのも大臣の頭の中に入れていただきたいな、そのように思っております。

 それでは、続きましての質問に移りたいと思いますが、レンズ風車なんです。林大臣、レンズ風車を御存じですか。最近の日本の技術力はやはりすごいなと思います。御紹介いたしますので、ぜひお聞きいただきたいと思います。

 今、再生可能エネルギーということで、風力エネルギーがございますね、風車。これで風力発電をやります。ところが、この風力発電に、扇風機ですかね、囲いをつけるんです、レンズをつけるんです。そうすると気流が変わりまして、既存の羽根にレンズをつけただけで発電量が二倍、最大三倍になるという技術があるんです。

 私はこれを聞いてびっくりして、いろいろ実験のデータとか拝見したんですけれども、確かに騒音も少なくなるんだそうです。騒音も本当に二分の一以下。ですから、普通、風車の近くに行きますと、御存じだと思いますけれども、ゴーっという音がしてちょっと近くには寄れたもんじゃないということで、それがレンズ風車というものになりますと極めて静かで、レンズ風車の外周部分には鳥がとまることもあるそうです。

 あるいは、これは後でちょっと御紹介したいなと思っているのは、洋上の発電、洋上風力発電を今、日本各地でやってございますね。この洋上風力発電は、下が魚礁になるんだそうです、魚が集まってくるんだそうです。ところが、レンズがないと風がブワーっと音がしますから、それで魚がばらけちゃって大変な状況になるんだそうですが、レンズ風車ですと魚が集まったまんまなんだそうです。

 これはおもしろいと思っておりまして、発電効率、それから騒音のレベル、バードストライク、環境面、あるいは今言ったような魚礁にも有効だということで、このレンズ風車というのは、今、日本が世界最先端の技術ですから、こういったものを再生可能エネルギーだというんであればどんどんどんどん取り入れていくべきだと考えておりますけれども、レンズ風車の利活用について、環境省さんは今どのような体制をとられていますか。

関政府参考人 先生に今御指摘いただきましたように大変注目すべき技術でございまして、環境省の方で地球温暖化対策の観点から技術開発・実証研究事業という予算を頂戴いたしておりまして、九州大学の教授を中心としてこの事業に応募していただきまして、平成二十二年から三カ年間にかけまして、私どもでこの技術開発、実証を御支援させていただきました。幸いにいい成果が出ておりまして、平成二十四年度には、当初の目的でございます事業化に成功してございます。

 内容的には今先生が御指摘されたとおりでございまして、逆転の発想で、風を混乱させることによって、輪っかをつけることによりまして乱気流が生じることによって、圧力が少し負圧になるということで、通った風が、風車が回るエネルギーが多くなる、こういうものを実際の形にしたものでございまして、開発者の報告によりますと、同じ風で同じ大きさの風車で比べますと、二・五倍程度の電力が賄える、このようにございます。

 また、騒音につきましても、輪っかがございますので、通常の風車でございますとブレードの羽根の先端の部分が風を切るときに騒音が最も発生するわけでありますけれども、輪っかをつけることによって騒音がかなり低減するということも報告されてございます。

 既に商用化されておりまして、数十台、関連の販売をしている企業が売っているということも報告を受けてございますなど、普及につきましては、私ども、実証で商用化できましたので、FIT制度で、これは比較的小型の風力発電を対象としておりますので、例えば、二十キロワット以上、今商品化されておりますのは一基五キロワット程度でございますので、ちいちゃいものにつきましては、FITは一キロワットアワー当たり五十七円強で買い取るというふうな制度ができておりますので、こういうものを活用してぜひ普及をさせていただきたい、このように考えているところでございます。

鷲尾分科員 実証でも非常にいい結果だということで、NHKのロボットカメラとか、そういったところの上に実はレンズ風車があるんですね。そうするともう自立電力でやれるんです。しかも、風力発電というのは、今御説明がなかったですけれども落雷するんですね。これが常に回り続けられない一つの要因なんですが、レンズ風車にすると落雷も避けられるんだそうです。

 ですからいいことずくめなんですけれども、そのいいことというところの中で、私、ぜひ大臣にもちょっと今度視察に行ってもらいたいなと思うんですけれども、これは九州でいろいろ実証実験をしていただいているということでございますので。

 要するに、洋上でやるとさらに効率がいいというんですね。しかもそれが、下に魚がたくさん来るということなんですよ。これで私はぴんときまして、これはレンズ風車が環境省さんの所管でやられているけれども、それだけではもったいないと思ったんです。

 というのは、再生可能エネルギーで、今地元に行きますとどんな話になっているかというと、江藤副大臣のところもそうだと思いますし大臣のところもそうだと思いますけれども、大体太陽光ですよ。太陽光を想定してそれこそ再エネ法もつくっていただいたというところでございますけれども、やはり地域の荒廃した農地をどう利用するかというところで、農家さんも経営の主体になりながら、再生可能エネルギーを入れると非常に農家の収入もいいじゃないか、そういう議論が結構あると思うんですね。それで、第一種農地でも太陽光発電できるようにといって、わざわざ、足をつければその上に太陽光を載っければいい、そういう改正もしていただいたと聞いております。

 それはそれでいいんですけれども、問題は漁村なんですよ。漁村の方でうまく活用できないかという見地に立っていただきたいんですよ。魚がいるわけですから、そこに。これは非常にいい、しかも自立電源ということで、養殖するシステムとうまく合わせれば非常に漁村を再生することにもつながっていく。農村再生で太陽光だというんであれば、漁村再生で今言った洋上風力だ、そういった活用をするということも私はありだろうと。

 漁村再生のネタというのは実は余り、私もここで言うのも変ですけれども、なかなかないです。ですから、そういう意味で、風力発電というのは分散型ですし、そこでいい魚礁になるのであればまた魚もとれますから、そういった見地からもいいんじゃないかなと思います。それで大臣に紹介しようと思ったんです。

 大臣、ぜひちょっとコメントをいただけませんか。

林国務大臣 レンズ風車、きょう初めて聞かせていただいて、今環境省のお話を聞いていて、なるほど、うまくいっているんだな、こう思いました。

 太陽光の方は、一本足でやる規制緩和を去年の三月末にやらせていただいて、その後実は法律も通していただいたので、今度は協議会をつくるといろいろなことがもっとできるようになるわけでございますが、そもそも今の魚礁の上にレンズ風車をやるというのは、農地転用の話もないわけですから、そういうことすら要らないという意味では、非常におもしろい話だなというのが第一印象でございます。

 魚礁をやはりふやすことによってそこに魚が集まってくるというのは、まさに水産庁の仕事の中に入ってくるんだろう、こういうふうに思いますので、どういう連携が可能になるか。ただ魚礁をつくるよりも、そこでFITをもらいながら電力が出るというのなら付加価値がつくということはあり得ると思いますので、少し勉強させていただきたい、こういうふうに思います。

鷲尾分科員 大臣のかなり前向きな発言と捉えさせていただきました。ぜひよろしくお願いいたします。漁村再生という意味でもよろしくお願いします。

 最後に、六次産業化の中で、A―FIVEでございます。

 A―FIVEは我が政権でつくらせていただいたわけですけれども、本格稼働を去年からしていただいて、その運用の状況、私も担当の局からさまざま聞いておりますが、なかなかうまく活用されていないんじゃないかなというような印象も受けています。

 どうでしょうか、大臣、一言。

林国務大臣 去年の二月にスタートして、鷲尾先生とも何度かやりとりもさせていただきましたが、今、サブファンドが、地域金融機関のものが中心になって三十九まで来ました。やはり、三十九のサブファンドが実際は案件を形成していくということですから多少時間はかかるかなと思っておりますが、現在、出資までもう決まったところは六件、ちょっと少ないわけですね。

 ところが、このA―FIVE本体やサブファンドを介して既に相談している案件が八百件以上ある、こういうことでございますので、やはりこれをどうやって案件化、ファイナライズしていくかということが大変大事なのではないかな、こういうふうに思っております。

 このファンドの難しさというのは、余り何でも出していくと、エクイティーですから空になっちゃう。千三つでいいというわけになかなかいかないところはありましょうが、しかし、余り保守的にやると、やはり融資じゃありませんから、だからそこの兼ね合いをどうして見ていくかということで、私は、この八百件の相談の中でどれぐらい出ていくか。やはり、サブファンド一つにつき一つぐらいまず出ていくとそれだけで三十、四十、五十になるわけですね。

 したがって、その最初のところを、余り功を焦って何かとにかく業績を上げるということじゃなくて、一度一つずつやっていくと、一つ目よりも二つ目、三つ目よりも十個目というのはだんだんノウハウが蓄積されてきますので、最初のところはそのバランスが非常に難しいと思いますが、今の六件を、やはり全くこれでいいというわけではございませんので、しっかりと、いわゆるむちを入れるというか尻をたたいていきたいというふうに思っております。

鷲尾分科員 そこでなんですけれども、今までも、去年からずっと議論させてもらっていますけれども、今大臣からおっしゃっていただいたとおりだと思います。余り何でもというわけでもなければ、余り保守的というわけにもいかないだろうということなんですが、農業のビジネスというところの、その農業とビジネスの間にある難しさというのはあると思うんですね。

 この間も、この間というか去年になりますが、委員会でも指摘させていただきましたけれども、やはり農業でビジネスをするということになると、農家さんは必ず、生産物をどう売っていくか、どう活用していくかというところが一連の流れになってきます。ところが、生産物についてはこれはもうだめだ、一方で加工、販売についてだけは認めましょうという形になると、これは幾らファンドで、別会社でやるといっても、そうそううまくいかないんじゃないか。

 それで、きょうは経営局には来ていただいていませんけれども、生産法人に資本を拡充させる、その投資法人をもうちょっと規制緩和してつくっていこうよといった法律が先回の臨時国会で通りました。

 ですから、アグリビジネス投資育成法人だけじゃなくほかの法人でも生産法人に出資をしていこうという形になりましたけれども、それですと、大臣御存じのように、生産法人本体で事業を行っていかなきゃいけない。これは、いわゆるA―FIVEで、有限出資の中でリスクをある程度遮断していきながらやっていくという方向性とはやはり違うわけですね。

 一方で、農業のビジネスは変わりませんから、何か加工、販売をしようとしたら、では、新たに生産物もつくっていこう。では、その生産物をつくるための生産設備に対して、A―FIVEさん、お金はどうですかという話になると、いや、これはだめです、加工、販売だけなんです。こういう話になると、我が政権でそういった取り決めをしたということはよくわかっているんですよ、よくわかっているんですけれども、やはりそこは、いいものは変えていってもらいたいなという気持ちなんです。

 その方が恐らく相談件数ももっとふえると思いますし、採択される件数ももっとふえると思いますし、せっかくできた制度であればそのように活用していっていただきたい。何よりも、農業者が新たなビジネスに参入するリスクをかなり低めるいい制度だと思っていますので、その点をお願いしたいなと思います。

 大臣、最後にコメントをお願いします。

林国務大臣 もう時間もあれですから短くお答えさせていただきますが、十一月十三日に、どんどん広がっていろいろなケースが出てくれば、いろいろな検討をしていく余地が出てくる、こう申し上げましたので、今おっしゃっていただいたアグリビジネス投資育成会社の話もその後出てきましたし、今申し上げたようないろいろなものがリアライズしてきてどういうところが足りないかというところを見ながら、これは、申し上げたように、引き続きしっかり検討をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

鷲尾分科員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて鷲尾英一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、中根康浩君。

中根(康)分科員 民主党の中根康浩でございます。

 本日の分科会におきましては、日ごろから私が地元からの御意見あるいは御要望、お問い合わせ、こういったものを承っている、そういったものの中から幾つか取り上げて、農水省のお考えをお聞かせいただければと思っております。

 まず、東海農政局管内の矢作川あるいは矢作古川水系の頭首工の魚道について質問をさせていただきます。

 もちろん、頭首工本体の機能、役割と魚道というのは目的やその機能というものが異なるわけでありますが、しかし、頭首工が内水面漁業の妨げとなるようなことがあってはいけない。そもそも、魚道がないもの、あるいは、あっても有効に機能していないもの、こういった頭首工が幾つかあると聞いております。ぜひ、上流にどんどんぐんぐんアユが遡上して内水面漁業が盛んになるよう、このように考えておるわけであります。

 そういった観点から、例えば矢作川にある細川の頭首工、そして乙川の頭首工、矢作古川にある吉良の頭首工、この頭首工における魚道はどのような状況になっているか、現状や整備計画などについて農水省からお伺いをしたいと思います。

    〔主査退席、今村(雅)主査代理着席〕

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 矢作川・矢作古川水系におきまして国が整備いたしました乙川頭首工それから細川頭首工でございますが、これらにつきましては、魚類の遡上を確保するために魚道が設置されております。ただ、愛知県が造成いたしました吉良古川頭首工におきましては、魚道が設置されていないという状況でございます。

 この魚類の遡上の機能を継続的に確保する観点から、細川頭首工につきましては、平成十八年度に、国営かんがい排水事業によりまして魚道を部分改修済みでございます。

 また、乙川頭首工につきましては、国で現地調査等を実施いたしまして、魚道改修の必要性を含めて、今対応を検討しているところでございます。

 また、魚道が設置されていない吉良古川頭首工でございますけれども、これは、魚道の新設に向けまして、愛知県が基礎的な調査を実施して、設置を検討中であるというふうに承知しております。

 引き続き、矢作川・矢作古川水系におけます頭首工の魚道整備につきまして、施設を管理いたします愛知県、それから、関連の土地改良区ですとか地元の漁業者の方々ともよく相談しながら対応を検討してまいりたいと考えております。

中根(康)分科員 当然のことながら、水の流れは一本につながっております。

 まずは矢作古川の吉良の頭首工でございますが、これは魚道がそもそもないわけでありますので、下流から魚が遡上するに当たって全く閉ざされてしまうということになりますので、ここはぜひ、今お話がありましたように、土地改良区の皆様方にも恐らく御理解のいただけることであろうと思いますので、国、県、地元とぜひ十分な協議をして、早い時期での設置を要望しておきたいと思います。

 それと乙川の頭首工でございますが、この奥、上流には、岡崎市漁協あるいは男川漁協、観光地になっているようなところもあるわけでございます。この乙川の頭首工につきましては現地調査が行われているという御答弁をいただきましたけれども、ここもぜひとも早期に調査をして、その結果、間違いなく今ある魚道では十分機能しない、役立っていないということでございますので、あるべき姿にといいますか、機能を十分果たすような形に改善整備をしていただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 次にウナギでございます。

 私の地元愛知県、三河湾、まさにウナギの一大産地であるということはよく御認識をいただいておると思いますが、残念ながら、シラスウナギの四年連続不漁という事態に直面をしております。ことしは若干いい状況だということも聞いておりますが、これは、ウナギがとれなくなれば、養鰻業の方はもちろん、日本の食文化そのものの危機ということにもなるわけであります。

 平成二十六年度予算、今審議されているものの中では、平成二十五年度から大幅アップして、四億二千三百万円程度の予算がウナギ対策として計上されているようでございます。この予算で、廃業の危機に直面している養鰻業者に対する支援は十分行っていただけるのか、あるいは、周辺諸国との連携なども含めた資源の確保はできるか、生態系の解明はできるのか、ウナギの完全養殖技術の確立はいつごろになる見通しなのか、こういったことにつきまして農水省からお聞かせをいただければと思います。

    〔今村(雅)主査代理退席、主査着席〕

本川政府参考人 御指摘のとおり、近年、ニホンウナギの稚魚の採捕量は東アジア全体で低迷しておりまして、ことしは少し回復しつつあるということでございますが、ただ、全体として、やはり傾向として、低迷状態が続いておる状況でございます。

 今後とも、ニホンウナギの持続的利用を確保していくためには、御指摘のように、国内外における資源管理を推進しつつ、人工種苗の生産の早期の実用化など、確保の対策に取り組む必要があると考えております。

 このため、水産庁といたしまして、まずは国際的な資源管理対策、ウナギを利用しております中国、台湾、そういった東アジアの国における資源管理の枠組みを構築する、そういう中で主導的な役割を果たしていく、このようなことを行ってまいっておるところでございます。

 それから国内におきましては、シラスウナギをとる方、それから親ウナギをとる方、それから養殖業の方、こういった方々がそれぞれ資源管理を三位一体で推進をしていく、そのようなことで進めているところでございます。

 また、平成二十六年度の予算におきましては、今御指摘ありましたように、二十五年度の一億八千万から四億二千万円に、倍増以上の形で予算を増額させまして、養鰻業者の方が行う放流でありますとか、あるいは御指摘の生態系の解明の調査、こういったものを引き続き進めるとともに、新たに、シラスウナギの大量生産システムを実証化する、こういうことで完全養殖に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 それから、御指摘の養殖業者の方への経営対策でございますが、無保証人、担保限定による融資保証制度、こういったものによる支援をさせていただいておりますが、その保証限度額につきましては、養鰻業者の方の強い要請を踏まえまして、三千万円から六千万円に増額させる、こういう措置もとっておるところでございます。

 それから、最後に御指摘の人工種苗生産の実用化のめどでございますけれども、科学技術イノベーション総合戦略におきましては、ウナギの完全養殖の商業化を平成三十二年度以降に実現するということになっておりますが、私どもとして、先ほど申し上げた予算でありますとか、そういうものを活用しながら、可能な限りこれを早期に実現するように努めてまいりたいと考えておるところでございます。

中根(康)分科員 養鰻業者の皆様方は、餌代の高騰あるいは燃料費の高騰、そして何よりも、シラスの不漁、さまざまな何重苦にも直面をして大変厳しい状況に置かれておられる。これは水産庁もよく御認識をいただいておると思います。

 なかなか謎の多い、その生態系を含めて十分解明されていない、どのようにしたらウナギがたくさん生存してもらうことができるか、こういったことがなかなか抜本的な対策がとりにくいウナギではございますけれども、だからこそここは、このピンチをある意味チャンスに変えるといういい機会だということで、一気呵成にこのウナギ対策に十分取り組んでいただきたいと思います。

 この完全養殖ということ、ぜひこの技術の確立が待たれるわけでありますが、今の御答弁だと平成三十二年度以降ということでありますが、まだ六年以上かかるということでございます。これは全く見通しが立っていないわけではなく、一部といいますか、成功した事例も既にあるわけでありますので、もう少し人、物、金をつぎ込んで、早い時期での技術の確立ということにはならないものなんでしょうか。改めてちょっとお伺いしたいと思います。

本川政府参考人 ウナギの完全養殖につきましては、実験室レベルで、小さい水槽で何とか今まではやっておったという状況でございます。これを大量にシラスウナギをつくっていけるような仕組みをつくっていかなければいかぬ。それが早急に待たれている状況でございます。

 そういったことも含めまして、平成二十五年度、今年度には、研究室レベルで、小さい水槽で何とか完全養殖ができておったものが、もう少し大きい水槽でできるようになっております。

 それから、来年度の予算二億五千万を使いまして、先ほど申し上げたシラスウナギの大量生産システムを実証化する。それに当たりましては、民間の研究者の方あるいは民間の企業ともプラットホームをつくりまして、そういう方々の協力も得て取り組んでいきたいと思っております。

 何とかそういうような取り組みによりまして、平成三十二年以降といったような先ではなくて、もう少し早くこれが可能になるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。

中根(康)分科員 ぜひ、中国、台湾など周辺諸国との連携がこれは大事なことでありますし、あるいは密漁対策というようなことも大切なことでございますし、実際に私の知り合いのウナギ料理屋さん、仕入れが高くなって、その高くなった分を価格に反映するということになればお客さんは来てくれないということで、廃業されたというような事例もあります。

 余り悠長に構えていると日本の大切なウナギ食文化が失われてしまうということになりかねませんので、これはぜひとも危機感を持って、水産庁、農水省、取り組んでいただきたい、このように改めて要望させていただきたいと思います。

 次に薬草でございます。特に、甘い草と書くカンゾウ、この栽培の促進についてお尋ねをしたいと思います。

 国内医薬品生産額は、平成二十三年で約七兆円、うち漢方薬は、まだまだ規模が小さくて、千四百二十億円程度と聞いておりますが、平成十九年から平成二十三年の統計で見ますと、生産金額ベースで一・二三倍に着実にふえている、拡大しているということでございます。

 この漢方薬の原料となる生薬は約二百五十品目あるそうであり、年間の使用量は約二万トンということでございます。しかし、残念ながら、品質や価格の面から、八〇%以上は中国産に頼らざるを得ないという現状でございます。

 しかし、その中国においても、需要の増加や乱獲で自生の薬用植物の減少が起きていて、カンゾウなどには輸出制限を課すなど、薬用植物は資源問題ともなっており、第二のレアアースというような言われ方もしておるわけであります。

 このようなことから、薬用植物の安定的な確保のためには、中国のみに偏らない原料産地の多様化、あるいは、バイオテクノロジーや植物工場などを活用しての日本国内での栽培の促進ということが重要になってくると思います。

 特に、中国が輸出制限の対象としたカンゾウ、漢方薬の七割に配合されているということでございます。幅広い用途に使われているにもかかわらず一〇〇%輸入に依存しているということは、これは憂慮すべき現状であると思います。国内栽培を政府としてぜひ力強く後押しをする必要があると考えています。

 私の地元で岡崎市というところでございますが、耕作放棄地を活用しての転作用の作物として栽培に取り組んでおられる方があるということも存じております。そういった方々にお話を伺いますと、問題は、採算性あるいはコストということでございます。

 例えば、カンゾウなんかは植物工場における水耕栽培が最も適しているということも聞きますが、この実際に取り組んでおられる方にお話を伺いますと、もう十分日本の農地でも栽培は可能だという確信を持っているという、実体験からそのようなお話も伺っているわけでありますが、問題は、コスト、採算性、あるいは安定的な販路の確保ということ、あるいはまた製薬メーカーと栽培農家とのマッチング、このようなことが重要だということではございますが、こうしたことに対する農水省の取り組みをお聞かせをいただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘いただきました、鎮痛あるいは解毒作用がございますカンゾウを含みます薬用作物につきましては、近年、需要が伸びている漢方薬の原料でございますが、現在はその八割以上を中国からの輸入に依存しておるというものでございまして、先生御指摘のとおり、原料供給安定に向けた国内生産の拡大といったことが非常に期待されているというふうに認識しているところでございます。

 他方、産地側にとりましても、国内需要の拡大が見込まれる数少ない作物として、また、先ほども出ておりましたが、耕作放棄地の活用あるいは中山間地域の活性化につながる作物として、薬用作物への関心は高まっているところでございます。

 薬用作物の生産振興、これを図っていくためには、今先生の方からありましたように、まず、生産者と実需者との契約栽培の締結の円滑化といったこと、また、一定の品質をクリアするための栽培技術の確立、こういった生産上の課題がございまして、こうしたことに取り組んでいくことが重要だというふうに思っております。

 このため、農林水産省といたしましては、昨年の八月から、厚生労働省と連携いたしまして、こうした薬草の産地化を志向する地域と薬剤メーカーといいますか実需者とのマッチングのためのブロック説明会を全国各地で展開してきたところでございまして、現在、このブロック説明会を受けまして、二十七の道県、四十五の産地で実需者との個別折衝が開始されているところでございます。

 もう一つ、栽培技術の確立のための実証圃の設置、あるいは機械の改良、特に、普通の機械にはなかなかなじまないといったようなことが現場で言われておりますものですから、この機械の改良等を支援するといったことが大事なわけでございまして、今御審議いただいております平成二十六年度の予算案で、こうした実証圃の設置、あるいは機械の改良等に取り組むための事業といったものを計上しているところでございまして、今後とも、厚生労働省や関係団体とも連携しながら、カンゾウを含む薬用作物の生産振興に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

中根(康)分科員 やはり何よりも契約栽培が主体ということ、ほぼそうだということでありますので、買い手あるいはつくり手、つくり手というのは漢方薬のつくり手、つまりは薬草の買い手、そして農地におけるつくり手、このマッチング、これが何よりも重要なことであると思いますので、ブロックごとに行われているというその事業、なるべく多くの方に御周知をいただき、関心のある方が少しでも御参加をいただけるように、きめ細かく広報活動をしたり呼びかけをしたり、また、参加をしていただいた関心の高い方、意欲のある方に対しましてはぜひきめ細かな支援が行き届くように、そして、第二のレアアースと言われるような資源問題にもなっている薬草、生薬の国内における安定確保ということにつなげる、また、いわばアグリビジネスと言われるようなものとして成長分野としてもこれは捉えていくことができるということだと思いますので、ぜひ、この分野にも力強い農水省からの後押しを心から期待をしてまいりたいと思います。

 次に、お茶、茶業でございます。

 私の地元愛知県というのは、トヨタ自動車を初めとするものづくり、製造業が盛んなところだというイメージがありますけれども、実は、先ほどのウナギも日本一、そしてお茶も一大生産地であるということでございます。特に西尾市というところは、お抹茶の原料になる碾茶の産地ということで、西尾の抹茶というものは、特許庁から地域ブランドにも認定をされております。

 和食が世界無形文化遺産ということにもなり、クール・ジャパンとしてこの和食とお茶、セットで世界じゅうに展開をしていくということが期待をされると思います。言うまでもなく、日本食、和食には日本のお茶が一番よく合うわけであります。お茶は健康にもよく、また心も安らぐというもので、二十三年にはお茶の振興に関する法律が成立をしております。この法律には、国が財政措置や支援対策を講ずることが努力義務として明記をされているわけであります。

 この法律成立後のお茶の振興に対する農水省のお取り組みをお聞かせをいただきたいと思います。

林国務大臣 今、中根先生からお話しいただいたように、お茶は和食文化の大変重要な要素の一つでありまして、さらに、今お触れになっていただいたように、機能性についても評価がされてきているところでございまして、健康増進といった意味からも、大変重要な作物であると考えております。

 生産の方が、生産者の高齢化もありまして、栽培面積がちょっと微減ということで、大体荒茶で八・五万トン前後で推移をしております。需要も、リーフ茶、いわゆる急須で入れるものですが、これは少し減少して推移をしておりますが、ペットボトルについても横ばい、こういうことでございます。

 このような中で、お茶の振興に関する法律をつくっていただいたということでございまして、その基本方針を二十四年三月に策定をしたわけでございます。

 この基本方針も踏まえまして、まずは共通の課題である茶園の老園化に対処するために、品種更新による品質の向上、これを図るために、二十三年度から、茶の改植等を行った際にどうしても未収益期間が出ますので、これに対する支援を行っております。平成二十六年度予算案においても、新植も支援対象とするなど、事業メニューの拡充を図るということにしております。

 また、二十六年度予算案からは新たに、輸出拡大それから新しい需要の開拓ということで、海外ニーズに応じた茶の生産加工技術、それから、肥料の低減等によりまして低コストで生産する技術、こういうものの導入に対する支援を行うことにしております。

 また、ことしの二月に実は農林水産省の正面玄関に、和の空間ということで、国産材や国産畳を使った茶室を設置いたしました。ここで定期的にお茶の提供を実は行わさせていただいているところでございます。

 今後とも、茶業が健全に発展をいたしましてお茶の文化が守られるように、振興に取り組んでいきたいと思っております。

中根(康)分科員 新幹線の車内販売の様子を見ていても、アイスクリームが売られておって、バニラとか抹茶、二、三種類あるんですけれども、どのアイスクリームを買うお客さんが多いかなんてちょっと関心を持ちながら見ていると、お抹茶味のアイスクリームを買う方が割と多いんですね。抹茶というのは、老若男女、割と人気のある味だということでございますので、そういったことも含めて可能性のある、お茶、抹茶であります。

 西尾の抹茶は地域ブランドにも認定されておりますように、極上の香りと味わいが自慢でございます。今の農水省玄関の和の空間で御提供いただくときには、ぜひ西尾の抹茶を御活用いただけるように、一度お試しをいただけますようにお薦めを申し上げたいと思いますし、また、今はアイスクリームという例も挙げましたけれども、お茶は、六次産業という面からいってもさまざま可能性のあるものでございますので、ぜひ、茶業の振興に対しまして農水省の力強い御支援をお願い申し上げておきたいと思います。

 続きまして、EMでございます。

 自然農法あるいは環境浄化に有効だと言われて、私の地元でも熱心に取り組んでいる市民団体や自治体もあるわけであります。

 しかし、EM菌あるいはEM商品に対する評価は必ずしも定まっているとは言えないと思います。例えば、口蹄疫問題に有効であるとか、あるいは放射性物質の除染に有効であるとか、熱心に取り組んでおられる方々からはさまざまなこともお聞きをするわけでありますが、このEMというものに対して政府はどのような評価をしているか、あるいは、有効性を科学的に検証する作業が農水省などで行われているかどうか、お尋ねをしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今、先生から御指摘ございましたEMでございますが、これは、農業分野において生産性を向上させるために行う土壌の改良を目的として利用されることがある、微生物を主体とする資材でございます。

 これにつきまして当方で、有機農業におけるEMの取り組みというものもなされておるわけでございますが、その関係者からいろいろお話を聞いてみますと、生産性の向上に効果がある場合とない場合とがあるといったようなことでございまして、現在のところ、この効果につきまして科学的には明らかになっていない、このように認識しているところでございます。

 いずれにいたしましても、現場段階で、市町村あるいは農業者の方で、地域の土壌あるいは気象条件等を踏まえまして、地域段階でのEMの効果の有無の検証に取り組みたいといったような御要望がありましたならば、有機農業関係の予算の中でこうした実証についての御支援をすることは可能というふうに相なっているところでございます。

中根(康)分科員 今の御答弁だと、御要望がありましたならばということで、まだ科学的な検証に取り組んでいるということではないという御答弁であったと思いますが、本当に有効なのかあるいは有効でないのかどうなのかということが客観的に定まっていかないと、これは、使う人あるいは勧められた人もなかなか踏み出すことができないということになります。効果がある、有効であるということであれば、これはある意味安上がりな一つの対策ツールということになりますので、これは、普及をさせていくということが必要になるかもしれません。

 ぜひ、客観的な検証、評価というものを農水省として、御要望があればということでありますが、ある意味、御要望がもう既にある、そういったニーズがあると私は思っておりますので、取り組んでいただければと思います。

 今のところ農水省としては、このEMに対してある意味ニュートラルといいますか中立的といいますか、そういったことで、決して肯定的でも否定的でもないということのスタンスであろうと思いますが、これはぜひ一歩踏み込んで、どうかということを科学的に検証する作業を進めていただければと思います。

雨宮政府参考人 試験研究の立場でお答え申し上げます。

 EMは、生産性の向上などに効果がある場合とない場合があるということでございますし、現在のところ、その効果が科学的にも明らかにはなっていないという状況でございます。

 一般的に、EMのように人工的に培養、増殖しました微生物菌体を物理的、化学的あるいは生物学的な性質が多様な農地土壌に普遍的に定着させるということは、なかなか難しいとも考えております。

 このような状況でありますので、現時点で当省としてその検討を行う予定はございませんけれども、生産局長の方からも御答弁ございましたように、研究機関からEMの効果に関する有用な研究計画がある場合には、提案公募型の研究資金でも応募が可能であるということでございます。

中根(康)分科員 時間が来ておりますが、最後で一言申し上げて終わりたいと思います。鳥獣被害の話でありますけれども、これは通告しておりませんので、申し上げて終わります。

 猟友会の方が鉄砲を撃ってパーンと音がする。そうすると、近所から警察に通報されて、そうすると警察が飛んできて、作業をどうしても中断せざるを得ないというようなことがよくあるということで、今、鳥獣被害の深刻な状況から見れば、猟友会の方々に御活躍をいただかなくてはいけないわけでありますので、そういったさまざまなことで作業といいますか活動が妨げられるということがないように、鉄砲の音がすれば心配になるのは御近隣の方にとっては当然の感情ではございますが、そういったことについてぜひ自治体、農水省、徹底的に周知、広報をしていただいて、そういう活動も展開されている、そういう音が聞こえたら、もちろん犯罪かもしれないけれども、そういう狩猟活動の一環であることも御理解いただきたいというようなことを地元からも聞いておりますので、大臣にお伝えだけ申し上げて、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて中根康浩君の質疑は終了いたしました。

 次に、中田宏君。

中田分科員 中田宏でございます。

 きょうは、大変親しくさせていただいております林芳正農水大臣でもございますから、TPPを含めて、日本の将来の農業のあり方というようなことについての議論を本来ならばいたしたいというふうに思っているのは常々でありますが、そうではない中身で質問させていただきたいと思います。

 林大臣、頑張ってください。応援をしております。特に、TPPを機に、やはり攻めの農業にしていかなきゃいかぬと私は思いますよ。今までの日本の農業というのは、農水省の批判をするつもりはありませんけれども、国民を食わせる、食べさせるというところに主眼を置いてきた。だから、食べられるという状態になったら、では削減をする、すなわち減反をする、こういう状態ではなくて、どうやったら外に出していけるのかという攻めの農業、産業として輸出できるような農業をしていくということを、ぜひ林大臣には、商社マンの経験もございますし、やっていただきたいというふうに思っております。

 さて、きょう質問させていただくのは、今般大変に雪の被害がございましたから、ここら辺についてなんです。

 実は、私は横浜市長も務めましたし、地元神奈川県も広いわけですけれども、もちろん農業が盛んなエリアもありますけれども、一方では、いわゆる都市部、横浜、川崎、こういうエリアでも農業は盛んでございます。現在のところ、神奈川県全体で二万八千戸、横浜市は四千二百二戸、川崎市には一千二百五十七戸の農家がありまして、お米を初めとして、特に露地物の野菜とか、それから果物、梨なんかは特にそうですね、こういったものなどをつくっております。

 私が横浜市長をやっているときに、コマツナは全国一の生産量だったんですよ、横浜市は。そういう意味では、我々が例えば東京近郊でこの時期に鍋を食べたりして、出てくるコマツナはほとんど横浜のものだった、そういう事実もございますから、きょうはちょっと、都市農業の話も含めて、この降雪被害についてのお話を幾つかさせていただきたいというふうに思っております。

 この国会周辺も、まだ雪が道端に片づけられて残っている風景もきょうこの時点でもあるわけでありますけれども、まず、この被害を受けられた、特にお亡くなりになられた方もいらっしゃいますし、御冥福をお祈りして、そして被害を受けられた方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回、この豪雪災害でありますけれども、農業に大変に大きな影響を与えました。この被害と、そして今回の豪雪に対する支援、農水省としてどんなメニューがあるのかということについて、まずお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 中田先生におかれましては、市長になられる前の時代から長いおつき合いをいただいておりまして、たしか最初は捕鯨の問題で御一緒する機会があったなと今思い出しておったわけですが、また引き続きの御指導をいただければ、こういうふうに思います。

 この冬、十一月以降からまとめて申し上げますと、やはり雪がふだん余り降らないところに降ったということがありまして、ハウスの倒壊、それから、今コマツナのお話もしていただきましたけれども、野菜や果樹、こういうものが損傷する等、かなりの被害が出てきておりまして、これは二月二十四日時点でございまして、まだこれから積み上がる可能性があるということですけれども、ハウスの倒壊だけ見ても、各県からの報告で一万六千六百三十五件。二十四年の被害が一万四百三件でございましたので、もう既にかなりこの時点で上回っているということでございます。

 特に、申し上げましたように、ハウスを建てられる方というのは、ハウスに設備投資をして、露地でやるよりもさらに付加価値をつけて、例えば早く出すとか、いろいろな工夫をされておられる担い手の方が多いわけでございまして、こういう方が被害を受けているということでございます。

 したがって、被災された農業者の方が、当初は、もう俺そろそろ年だし、せっかく設備投資でつくったばかりのがなくなっちゃったからもうやめるかみたいな声が出るということも懸念されたわけですが、意欲を持ち続けてもらうということが非常に大事だ、こう考えまして、通常、被害がこういうふうに起こると、全部把握をして、こういう被害が出たからこういう対策をということになるんですが、今回は、まだ全容が把握をされておりませんけれども、今の時点で決められることは早く打ち出して、こうやってサポートするから続けてくれ、こういうことをしようと思いまして、日曜日、私も山梨に行ってまいりましたが、その次の月曜日に、正式にまずの対策を決定させていただきました。

 もちろん融資、農業共済というのがまずあるわけですが、これに加えて、農林漁業セーフティーネット資金の災害関連資金ですが、これを利子を五年間無利子にするということ。

 それから、ハウス、棚、これは再建、修繕をしなきゃいけません。その前に、まず倒壊しちゃったハウスを撤去しなきゃいかぬ。この撤去に要する経費と、それからハウス、棚の再建、修繕の費用を経営体育成支援事業ということで助成しよう、こういうことにいたしました。

 それから、強い農業づくり交付金の中に別枠を設けまして、果樹の選果場、共選場など皆さんが共同で使う施設がございますが、別枠の中でこの整備を優先的に支援をしようということを決めさせていただきました。

 それから、よく桃栗三年柿八年、こういいますが、果樹は植えかえると何年か実がならないわけでございまして、こういう期間、未収益期間に要する経費を支援するとともに、棚を設置するための資材導入に要する経費等々、これも支援しようということにいたしました。

 それから、法人の方の場合は、雇用もされている方がいらっしゃいます、家族だけという方もいらっしゃいますが。雇用されている方の場合は、施設が復旧して雇用が再び必要になるまでの間、従業員の方をほかの農業法人等に研修目的ということで派遣していただいて、その場合の必要な経費を支援する、こういうこともやって、できるだけ続けていただけるようにしたいと思っております。

 さらに被害状況を把握して、現場のニーズを伺った上で、追加対策も検討していきたい、こういうふうに思っております。

中田分科員 ありがとうございます。

 今、補助のいろいろなメニューをおっしゃっていただきました。

 その中身についてはちょっと後ほどもお聞きしたいと思うんですけれども、まず、このメニュー等について、より多くの人たちが活用をせっかくですからしていけるようにしていくというのは大事だと思うんですけれども、なかなか知られていないなというところも、実は声を聞いていて多く感じるところです。

 先ほど申し上げたように、神奈川県も農業は大変盛んでありますし、被害も受けました。例えば、私の地元でもある川崎市の宮前区でありますけれども、トマトやキュウリ、ナスの温室栽培を手がける農家でありますけれども、ビニールハウスがもうこれは完全に雪の重みで倒壊をしてしまいました。かつては保険ということにも入っていたんですが、これはもちろん今回を教訓にしてもらわなければいけないんですけれども、なかなか大きな被害に見舞われることがなかったから、保険に入っていないというケースが非常に多いんですね。

 そうなると、保険には入っていない、それから市や県というのはなかなかメニューがない、そうなると国しかないというような、こういう状況にも、実は最後のとりでとしてなっているわけであります。

 先ほど大臣が御説明をいただいた支援のメニュー、幾つもありましたけれども、今申し上げたような川崎の温室栽培農家は、恐らく、支援策でいうならば、農業用ハウス等の再建、修繕への助成、この中から幾ばくか支援を受けられるのではないだろうかというふうに思うわけでありますけれども、申し上げたとおり、なかなかこれは十分に知られていないということもありますから、ここら辺をしっかりと、せっかくの、メニューはあるんですよ、あるいはつくったんですよということを知らしめていくことに力を注いでもらいたいと思うのでありますけれども、いかがでありましょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、二十四日に支援対策を決定させていただきました。

 いろいろな方が御要請に来られるときにこれをお渡しするということも当然しておりますが、二十四日の同日に記者発表を行いまして、まずは報道各社に対して積極的な報道をお願いいたしたということと、それから、地方の農政局がありますので、ここから都道府県を通じて関係市町村に速やかに周知されるようにいたしました。それから、農林水産省から直接、農業法人協会、これは直接御要請も来ておりますが、こういう団体を通じて、その団体に入っていらっしゃる会員に周知されるようにお願いをいたしました。

 さらに、うちのホームページにも掲載をいたしまして、農家に情報が、せっかく早く決めたのでございますので、行き渡るように努めていきたい、こういうふうに思いますし、これからは、個別の、今言ったような、うちのトマトのこれがこうなったのでということが出てくる、こう思いますので、そういう現場からの個別の問い合わせにきちっと丁寧に対応していきまして、農家に寄り添った支援が適切に行えるようにしてまいりたいと思っております。

中田分科員 いろいろと私も今次質問するに当たって調べてみますと、例えば全壊でなくても補助を受けられるということも聞きました。部分的な損壊も対象になって、下限はないということで、例えば千円からでも支援の対象になると。そういう意味ではきめ細かくつくっていただいているというふうに思いますから、ぜひ、被害に遭った農家の皆さんで、今後に本当に意欲を持つ皆さんには御活用いただきたいと思うわけです。

 一方で、補助率が十分の三だというふうにもお聞きをしました。何でもかんでも国が面倒を見るとか自治体が面倒を見るとかというのは、これはだめなんですね。これは自立に反するわけであって、私はそうした論にくみしないんですが、ただ、今回のような予想もできないような降雪というのは、これは一方では考える必要があるというふうに思います。

 農林水産業の被害というのは、これは神奈川県内だと三十年ぶりということでありますし、何よりも雪自体が、横浜市は四十四センチメートル積もったわけで、これは過去三番目という、大変に、本当に名のとおり豪雪だったということでもあります。温暖化と言われて、本当に、私が子供のころと違って、横浜だって雪が降らなくなったんですね。そういう中で過去三番目ですから、よほど大変だったということがおわかりをいただけると思うわけであります。

 そういう中で、申し上げたとおり、三〇%の補助ということだと、例えば、大臣が先ほどお触れいただいたとおり、農業を続けたいけれどもどうしようかというふうに考えてしまう農家も出てきてしまう。

 都市部の農業の重要性というのは、これはまたいろいろな意味があるわけで、そのことはもし時間があればという話にしたいと思いますけれども、そういう意味では、都市部の農業という観点からも、あるいは、もっと言うと、当然ですが、広く国内農業を守っていくという観点からも、こういう非常時における十分の三というのは補助率として今後検討されるべきではないか、こう思いもするわけでありますが、ここら辺はいかがですか。

林国務大臣 今の十分の三のところも、具体的な御要請の中で今出てきておるところでもございます。

 今、中田先生から大変本質的なお話をおっしゃっていただいて、ふやせばいいというものじゃない、やはり自助が前提にあるべきであってというお話がありました。

 そのことを大前提にしながら、農家の目線に立つと、国であろうと、地方であろうと、どういう制度であろうと、最後はどうなるのか、こういうところも非常に関心の高いところだろうというふうに思っております。

 融資や地方公共団体の補助と組み合わせることを前提に今十分の三になっておりますが、今まさにおっしゃっていただいたように、今後も意欲を持って農業を継続していける。私が視察したところも、撤去だけで一棟当たり百万、建てかえると一千万、三棟あるとその三倍、こういう話。かつ、四月から消費税が引き上げになりますので、その前にいろいろなことをやっておこうというのでやったばかりのところにこれが来たというのも結構あったようでございます。

 そういうことをいろいろ加味しながら、農家にとって最終的なでき上がりがどうなるのかというような視線を持って、さまざまな角度から支援策を検討していきたい、こういうふうに思っております。

中田分科員 ありがとうございます。

 今回は、例えば、今ビニールハウスの話なども出ましたし、私もその課題を出しているんですが、ビニールハウスの撤去も対象になるというふうにもお伺いもしました。

 そうなると、例えば、撤去後に同じようにハウスをやっていくという形態でなければ支援の対象にはならないのかとか、これを機に別の作物をやっていこうという農家もこれは当然あるわけですけれども、そういう点に関しては補助としてどうなるのか。

 また、次の世代にこれを機に引き継いでいこう、前向きな意味で引き継いでいこうというふうに考える人もいると思いますね。そういう意味では、意欲ある若者に貸し出そうという農家もあると思いますけれども、そうした農家に対しては、対象という意味ではどうなるのかという点などはいかがでございますか。

小里大臣政務官 ハウスに対するいわゆる経営体育成支援事業の中身についてのお尋ねであろうと思います。

 この事業は、大臣がお答え申し上げましたように、意欲を持って再建をしていこう、農業を今後とも続けていこうということを支援するために、復旧等に要する経費を国が支援を行うものであります。

 したがって、まずハウスの撤去をしないと復旧も進まないわけでありまして、これは大震災における瓦れき撤去等と同じような発想でありますけれども、その撤去についても、今回新たな支援の対象にするというのがまずあります。その前に、お尋ねにありましたように、再建をすることが大事な目的でありますから、その再建あるいは修繕の費用等もこれで見ていくというのはもともとあるわけであります。

 あと、中身として申し上げれば、昨年の十一月からの、この冬の豪雪被害を受けた全国の農家が対象になります。そのためには、市町村から被災証明を受ける、あるいはまた、十分の三についてのお尋ねがありましたが、その補助残の部分をどうしていくのか、ここも、地方単独事業による支援を受けるとかあるいは融資を受けるとか、そういったことが必要になってまいりますが、とりあえず、そんな農家が助成対象になります。

 また、この補助率は十分の三となっております。これをどう考えていくかは、先ほど大臣が答弁申し上げたとおりであります。なおまた、その助成の限度額はないということであります。

中田分科員 今私がお聞きをしたように、これを機にという点において、次の世代にとか、あるいは別の作物にとか、ここら辺はいかがなんですか。

林国務大臣 まず、撤去は、次に何をするかにかかわらず、撤去しなきゃ何にもできませんから、これは出る。

 その次に、ハウスを復旧して、今までは例えばブドウをつくっていたけれども、別のものをつくろうと。そうすると、同じハウスですから、これも対象になるわけですね。逆に、この機会にハウスはやめて露地の野菜にしよう、こうなるとハウスが建ちませんので、ハウスに対する助成というのは、当然のことながら論理的になくなる。こういう整理だというふうに考えております。

中田分科員 ぜひ、使いやすい制度とわかりやすい説明ということを重ねてお願いしたいと思います。

 農業の再建という観点で考えれば、当然、何事もという意味でも、スピードというのが大事になってまいります。

 すぐにでも損壊したハウスを撤去して、そして農業を再開していきたい、こう思っておられる意欲ある農家も多いと思うんですね。一方では、支援については、実際にそれが執行されるまでは時間がかかったり、あるいは、支援のメニューの細目については、まだこれからも詰めていかなければいけないというものも、中にはこれはあるというふうに思います。

 そういう意味では、そういうことを待っていると時間だけがたっていってしまうわけで、再建が進んでいかないわけでありますけれども、支援策に先駆けて、どんどん、ある意味で余裕のある農家には先に再建策を進めていってもらいたい、こう思うわけです。

 そういう意味では、みずからどんどんそうした再建というものを進めていった場合、これから先、支援メニューが出そろったりした中で、そうした農家もさかのぼって支援を受けられるようにしてもらいたい、こう思うわけですが、ここら辺はいかがですか。

林国務大臣 それもやりたい、こう思っております。

 ハウス等の被災施設の復旧を支援する被災農業者向け経営体育成支援事業、災害が発生してから事業の発動前に、今まさに中田委員がおっしゃっていただいたようなケースですが、農業者が取り組んだ施設の復旧も、今までも支援の対象としてまいりました。今回の大雪被害についても、既に撤去作業等を行っている方も含めて助成の対象にすることにしております。

 我々も紙を配ってお願いしているんですが、施設の被害状況や撤去の作業を行った方、それから日付、費用の額がわかるような書き物とか写真、それから、撤去作業をもし外注した場合は発注書、納品書、請求書などの書類、こういうものを保存しておいていただいて、この二十四日に公表した支援対象とあわせて、こういうものを保存していただくようなことも周知徹底をしておりますので、中田委員からも、もしそういうお問い合わせがあれば、ぜひそういうふうに申し添えていただければというふうに思います。

中田分科員 今大臣が丁寧にお答えをいただいたとおり、そうした書類を残しておくことや、あるいは被害状況を写真できちっと撮っておいて残しておくことなど、とにかく意欲ある方々には早く再建をしてもらうということを私も後押ししていきたいと思いますし、農水省の皆さんにおかれては、大臣を挙げてまたお願いをしたいと思います。

 先ほども触れましたけれども、今後のことをちょっと考えたときに、豪雪の災害ということについては、特にふだんそうしたことについての備えがない地域においては甚大なものになってしまったということがあります。

 例えば北海道だとか東北だとか北信越だとか、こういったところは冬になったら雪が降るということが前提になっていますから、もうこれは、雪がかなり深いというふうに天気予報等々を聞けば、雪が降る前にビニールハウスからビニールを外してしまうというような、こうした対応などもしているわけなんですね。

 ところが、都市部の農家は全くそういう対策というものがとられなかったというのは、ただ単にこれは当事者の認識が甘かったというだけではなくて、やはり、何十年に一回という話になっちゃいますから、そういう意味では、農業を始めて以来初めての経験ですという、こうした農家も出ているわけであります。

 そういう意味では、しっかりと、これから先は、雪が降っても、雪の場合は今回を大いに教訓として、やはり告知をしていくことが大事だと思うんですね。すなわち、被害を少なくしていくということが大事だと思うんです。

 数十年に一度の豪雪だ、降雪だとわかっている場合は、ただ単に天気予報というだけではなくて、やはり都市部の農家の被害というものを防いでいくということについて、これはひとつ農水省でも今後工夫していく必要があるんじゃないかなと。雪だから対策をということについての周知ということを考える必要があると思いますが、この点はいかがでありますか。

林国務大臣 今回の経営体育成支援事業、今般の豪雪によって被害を受けた方が今後とも意欲を持って、支援していこうということでございます。

 まず、都市も農村も、どこであってもこれはやるということでございますが、都市と農村というよりも、例えば山梨の農村部でも群馬の農村部でも、ふだん雪がどれぐらい降るか、過去平均値を少し安全をとってということで、多分いろいろなことを考えてやっておられる。それを二倍も三倍も超えるようなことが起こったというのが今回の事象である、こういうふうに思っております。

 したがって、同じぐらいの雪がいつも降っているところであれば、そもそもハウスの建て方も変わっていただろう、こういうふうに思うわけでございまして、今後これをどうしていくか。今回起こったことが常態的に起こるということまでいかないにしても、一度起こったことですから、今度やるときは同じようなことが繰り返されないように、きちっといろいろなことを考えておくということは非常に大事なことだ、こういうふうに思っております。

中田分科員 残りの時間もわずかでありますから、少し大臣の所感をお伺いしたいなと思います。話はそういう意味では一区切りつけまして、TPP等に絡んで、冒頭申し上げたように、本当に攻めの農業に転じていってもらいたいというふうに思っています。

 私は林大臣に本当に期待しています。ある意味では、同志、仲間としても本当に期待をしておりまして、やはり日本の農業というのも、これは日本全体に言えることですけれども、何か刺激がないと変わっていかないんですよ。そういう意味では、これは大いに変わっていくチャンスだと捉えていただきたいと思っておりますし、間違いなく林大臣はそう考えていると思うんですね。

 やはり、日本の農業を強くしていく、そして輸出としてやっていけるような産業にしていく。輸出していれば、食料自給率というのも、当然ですけれども、いざというときには我々は食料の確保ということにもつながるわけでありますから、ここは長期的戦略に立ってと言いたいところですけれども、余りだらだら長くやっていてもしようがないですから、中期的ぐらいな実践論でやってもらいたい、こう思っているわけです。

 特に、一つは土地、農地法の問題がやはりあると思いますね。新規参入において、この農地法は高い障壁でもあります。

 それから、農業法人の設立ですけれども、これも、御案内のとおり、役員の過半数が農業に年百五十日以上の従事、それから、株式を議決権ベースで四分の三以上農業関係者が、地元の農業関係者というのが中心ですね、保有するというような義務づけなどがあるわけですけれども、やはりもっと新規参入をしていけるような農業にしていくことが、私が申し上げたこれからの攻めの農業にとっては重要だと思うんですね。

 ここら辺を本当に私は林大臣に期待しておりまして、当たり前ですけれども、これは農業を潰すためじゃないです、農業を強くして、やはり、若い人たちが、よし農業で働いていこう、こう思える、そうした環境をつくっていくことにもつながると思うわけでありますが、ひとつ、大臣の自由な所見というものをお聞かせいただければ幸いであります。

林国務大臣 就任以来、攻めの農政ということで、産業政策としての農政とそれから地域政策としての農政、きっちりと両輪としてやってきまして、昨年の十二月にまとめたものも地域政策としての一つの柱に加えて、産業政策の方はやはり三つあるだろうと。これは何の産業政策でもそうですが、サプライサイドとディマンドサイド、これをつなぐ、バリューチェーンと言っておりますが、ここをどうつないでいくか。これを等分にきちっとしていくということが大事だろうと。

 したがって、生産法人の要件ですとか農地中間管理機構というのはサプライサイドの改革なんですが、一方で、どんなにいいものをつくっても、誰かが買ってくれる、それもなるべく高い値段で買ってくれなければ産業政策としては完遂しませんので、輸出戦略ですとか、それから、国内の、例えば介護食品をどうする、薬用作物をどうするという、国内にもまだニーズがある、こういうふうに思っておりますので、やはり、そこを両々相まって、需要と供給がお互い引っ張るような形で強い農業をつくっていく、こういうことをしっかりとやっていきたい、こういうふうに思っております。

中田分科員 これで終わりにしたいと思いますけれども、林大臣には本当に期待をいたしております。やはり、農業があの林大臣のときから、大きくターニングポイントを見事にかじを切って、そして力強く新しいステージに入った、こう言われるような、そうした施策を進めていきたいと思います。

 内閣改造とか言われていますけれども、かわらないでくださいね。農水大臣はそのままやっていただきたいということを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

宮路主査 これにて中田宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)分科員 先週の委員会に引き続きまして、分科会でも発言をさせていただく機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 いつも同じことを繰り返し繰り返し言っているような感じなんですけれども、私のところも私が幼少のころまで農業をやっておりましたし、私のところは、お話ししたかもしれませんけれども、小カブの産地だったんです。金町小カブというカブをつくっていたんですけれども、亡くなった祖父が口癖のように言っていたのが、一番矛盾を感じるのは、農家で、自分で一生懸命つくった作物に自分で値段をつけられないことなんだというふうに、私は小さいときからそうやって育ってきたものですから。

 裏返して、衆議院議員にお世話になって、その仕組みを、明治維新の前からずっとやってきた中で、これだけ人間の英知を結集する時代になってきているにもかかわらず、なぜ農産物だとか漁業に関しては市場の相場という形になってしまうのか。そこを変えない限り、やはり基本的な農業政策だとか水産業も変わっていかないのではないかと思うんです。

 弱い立場だから、大変だから、先ほど中田先輩からも質問がありましたように、天変地異が起きたときに助けてあげなくちゃとか、燃油代が上がったから助けてやらなくちゃ、それを補助金とか助成金だとか共済制度でというふうな形でずっとやってきたんだと思うんですけれども、やはり、そうじゃない仕組み、コストをきちっと価格に転嫁できる仕組みをとっていかなければ、この問題をずっと、あと十年議論しても二十年議論しても変わらないんじゃないかというふうに思って、質問をさせていただければと思います。

 消費税のことはもう論外の話かもしれませんけれども、四月から五%から八%に上がるのはもう御承知のとおりだと思います。

 私も時間があったときにスーパーをちょこっと見て歩いたりデパ地下を見て歩くのが、趣味じゃないんですけれども、どこで何が幾らで売っているのかなというふうに見させてもらうのが一つ社会勉強になるものですから。

 大体、いいところで値段を切っているんですね、千九百八十円とか二千九百八十円。それは何かといったら、消費者心理をつかむために、たかが二十円なんです、二百円なんですけれども、パーセンテージにすれば一%か二%値下げをしただけで実際お客様はそれをいいよなといってプライスの方で買っていってもらえる。そういった価格構成をしているのが私たちの身近なスーパーだとか小売店だと思うんですね。

 そうすると、四月から消費税が上がったときに、今回も議論が中途半端だったなと思うんですけれども、インボイスにするとか何にするとかいろいろ議論はこれからされていくんだと思うんですけれども、内税もオーケーな形にとったりもしていますよね。そうすると、やはりおのずと、お客様がお求めやすいような価格で内税でかけていったときにそのしわ寄せがどこに行くのかという話になってくるんだと思うんです。

 そこで、農産物と消費税についてというようなお尋ねなんです。

 昔、あるスーパーの店長と一杯飲む機会があったんですけれども、その店長が、鈴木さん、あれですよ、日本人というのは意外と買い物好きな民族で、毎日買いに来る人もいれば二日に一回来る人もいるし、平均すると三日に一回なんだそうです。今も余り変わっていないと思うんですけれども。

 生鮮食料品だとか日用雑貨、それをお客様である消費者の方がお買いになるんですけれども、今お話ししたように、九十八という数字が今後も、来年一〇%に上げるか上げないかは別として、商売をやる方、小売の方から、消費者に一番近いところからすれば、やはり価格の構成を一つとるだけでも売れる売れないというのは出てくる。

 極端には、昔ネギは五本で一まるきしていたのが、お客様のニーズで、市場の方から生産者側に二本でまるってくれとか三本でまるってくれというようなオファーをかけて、私どもの方はそんなの昔から五本でまるっているんだから嫌だよという産地もあれば、いや、そうだよな、ちょっとうちの方で手間をかけて、二本でも三本でもまるき直して市場に出荷したり量販店に出していたという話も聞いたことがあります。

 それと同じように、低価格が売りなスーパーがそこらじゅうにあるんですけれども、ある意味では、量販店は値段を決めてそれで広告を打ちます。ということは、それに引きずられた価格しか農家の方はもらえないということなんですね。わざと、例えばサンマがたくさんとれたといえば、サンマの安売りじゃなくて、イワシがとれないよといったらイワシが一匹四百円するところを百円とか二百円でセールをかけるんです。それがスーパーのやり方。

 それと同じように、この四月から消費税は上がるんですけれども、それは内税にして、なおかつ九十八というのが一つのキーワードになって、ある意味では、そのしわ寄せは誰に行くのかといったら、最終的には農業生産者に行くんじゃないかということなんです。そこについて、消費税の増額分を価格に転嫁できないんじゃないかという懸念が出てくると思うんです。

 先日の委員会のときにもお尋ねしたんですけれども、消費税の話はそのときには申し上げなかったんですが、生産コストの転嫁がきちっとされない中で、競りによる市場のプロセス、先日も局長から答弁いただいたんですけれども、やはり世の中の価格帯というのは、生鮮食料品に関しては、中央卸売市場の取引価格が幾らで取引されているからうちの方は幾らにしようというようなプライスのつけ方を大体しているんだと思うんです。

 四月から消費税を上げたときに、生産者にはやはりしわ寄せが行くんだと思うんですけれども、今のお考えで結構でございますので、大臣の御所見をいただきたいと思います。

林国務大臣 これは大変大事な問題だと私も思っておりまして、要するに、まず、消費税の転嫁の手前の話ですね。そもそも論で言うと、一次産業に携わっている人の、生産者の価格支配権、これをどう強めていくか、こういうことが大変大事なことだ、こう思っておりまして、まさにいろいろな支援の仕組みをやることによって、それは道具立てをしてあげることなんですが、一番大事なことは付加価値をつけて高く売るということだ、こういうふうに思っておりますので、やはり価格支配権をどう高めていくか。

 私の地元で、漁連の方で、市場に出さずに、たくさん揚がった場合は加工場をつくって加工の方に持っていく。競りにかかる、要するに競りの方は需要と供給で決まってしまうので、供給を減らしてとっておくとか、鮮度があるので加工のものに回すとかいうことを自分でやる。そこから「しーまーと」という直売所みたいなのが出てきてという展開で、これは結構お客がたくさん来ておるんです。宅配、インターネット、道の駅等々いろいろ使って、生産者が自分で価格を決められる、それにはブランド化とか付加価値とかいろいろなことをしなきゃいけないところもあると思いますが、やはりこれをどうやってふやしていくか。

 そういうオルタナティブを持っていると、とったものは全部市場へ出すということであればまさに先生おっしゃるように供給と需要で決まってしまいますので、供給をある程度コントロールするためのこちら側のものをいかに確保するかということが非常に大事なことであるし、こういうところをどんどんどんどんやっていけるような環境整備というものをしていかなければならないと思っております。

 その前提の上で、今回は消費税という、四月にそういうことが起こるわけですので、適正な転嫁ということをやらなければいけない、こういうふうに思っておりまして、競りの場合は、競り等で決まった取引価格に消費税率に相当する額を上乗せした価格を卸売価格、いわゆる外税的なやり方をやっているところでありますので、今後もこの方式を堅持するということが大事だ、こういうふうに思っております。

 御案内のように、五%から八%の引き上げに向けて、消費税転嫁対策特別措置法、これができておりますので、各種の措置を講じて、政府一丸となって、きちっと転嫁が行われて、誰かがその分をのむということのないように、しっかりと対応していきたいと思っております。

鈴木(義)分科員 ぜひ、市場の監視というのができるかどうかはわかりませんけれども、きちっとやはりそこのところを監督官庁が指導していただかないと、これはずっと繰り返していくことになるのかなというふうに思っております。

 漁業も同じだと思うんですね。昨年の五月の終わりぐらいだったと思うんですけれども、日比谷公会堂で、燃油が高いからというので全国の漁業関係者の方が大会を開いて、何とかせいというような話もあったと思うんです。

 円安だとか円高だとかといって、飼料だとか資材なんかも、燃料も同じだと思うんですけれども、百二円になり、百三円になった。これがもっと上がっていって、円安になっていくのか円高になっていくのかは別にして、結局それでいつも、前にもお尋ねしたことはあると思うんですけれども、燃油代が高くなっちゃったから漁に出られないとか出るとかという以前の話の仕組みをやはりきちっと確立してやった方が、私は安心してお仕事していただけるんじゃないかなというふうに思っています。

 そうはいいながら、今、林大臣からも御答弁いただいたんですけれども、消費税自体の納税義務者というのが実は事業者というふうに記載されていて、担税者の規定がないんだというふうにも言われています。

 誰がきちっと最終的には払うのか。消費者だけが払っているんじゃなくて、消費者と事業者、事業者同士の立場や、今お話しいただいたように、力関係で負担が決まってしまうところもあるんですね。そうじゃないと取引しないよと言われちゃえばそれで終わってしまうわけです。それはきちっと政府側で監視をしてもらいたいなというふうに思うんです。

 平成十五年なのか十九年なのかちょっと忘れてしまったんですけれども、税制改正のときでも、円滑かつ適正に転嫁するものというふうにうたってあっても、転嫁という言葉自体が消費税法にはないんだというふうに言われています。公共料金のように独占的に価格を決められるものであれば消費者の負担となるというのは、これは御案内のとおりなんですけれども、農産物のように価格競争下にあるものがスムーズに転嫁できるような状況にはなっていない。売れなければ仕方がないので、売ってみて初めて、値下げをして増税分をこうむることになってしまう。

 繰り返しの話になってしまうんですけれども、弱い立場の者にしわ寄せが行かないような、監視でいいのか、規制、法律はできたとしてもそれをどうやって運用するかというところが一番問題になってまいりますので、そこのところだけもう一度、再度御確認だけしたいんです。

林国務大臣 先ほど申し上げました消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法ですが、ここにおいて、大規模小売事業者、それから特定供給事業者、小さい方ですね、から供給を受ける者を特定事業者として、これに納める方を特定供給事業者と位置づけて、減額、買いたたき、それから、商品購入、役務利用または利益提供の要請、本体価格での交渉の拒否、報復行為、こういうことをしてはならないということを明示的にやりまして、報告、検査、それから指導助言、措置要求、勧告、公表までする。公取、それから中小企業庁長官と主務大臣ということでやる仕組みをつくりました。

 したがって、これに基づいてしっかりとやるということと、公表というのは私は結構きくんじゃないかなというふうに思っておりますが、こういうことをきちっとやるということと、それから、これをやりますよということをきちっと知らしめる。既に農水省として、団体と連携して説明会、研修会も、二月二十五日まででございますが六十回ほど開催をしております。

 こういう制度があるということを周知させるということは、抑止効果があるということと、そもそもこういうことをしてはいけないということをしっかりと皆さんに認識をしてもらうということが大事だと思っておりますので、今後もしっかりとこういう制度を使って対応していきたいと思っております。

鈴木(義)分科員 これから、いろいろな搬入先が、小売店ばかりじゃなくて加工所だとかそういったところで契約をしていこうという時代、というよりロットがふえていくんだと思うんです。

 そこで一番問題になってくるのは、契約をしたんだからこの値段で納めなさいといったときに、どうしても作付がよくなくてできなかったというとペナルティーを科すという話に、やはり通常だったら取引の中ではなってくるんだと思うんですね。それで、フランチャイズの飲食店なんかは特にそうなんですけれども、大量に使うというところはリスクもそこにあるわけですから、契約で縛ろうとするときに、どうしてもやはり弱い立場のところにしわ寄せが行ってしまうというのは通常の商行為の中でもあります。

 実際、JAさんが市場を経営していて、地域から野菜を集荷してもらって契約をするんですけれども、実際にその地場の周りで野菜が思った以上に集まらないときはよその産地から買い入れなくちゃいけないんですね。それで、私どもの地元のJAさんは撤退を余儀なくされたということも実際ありました。消費税とか云々じゃなくてですね。だから、その辺はやはり、契約をしたから全ていいような言い方で済んでしまうというのもなかなか難しいのかなと思っています。

 だから、高値で契約してくれれば誰だって一番いいんですね。そこの中に契約してもらったとき、きちっと人件費なりコストを見てもらうような契約をしているかどうかというのは、なかなか民民の取引の場合行政が口を出していいのかというのはあるんだと思うんですけれども、そこをきちっとできない限り、いろいろな形態の取引を活発化させようと思っても、やはり最後は農家が泣いてしまうのかなというふうに思っています。

 ぜひ、今回の消費税のことも含めて、農家も含めてこれからの日本の農業の位置づけと、食料をどうするかというのは、やはり方向が定まらなくちゃならないんだと思うんですね。農業政策だけの話じゃないんだと思うんです。その辺、もしお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 今委員がおっしゃったことは、契約をするときに、契約当事者同士の話が第一義的にはあるわけですけれども、これは独禁法の世界になるのかもしれませんが、優越的な地位の濫用というのがございます。したがって、この値段じゃなきゃもう契約はありませんよというようなことを余り優越的な地位の濫用というようなことでやることになれば、独禁法自体が発動ということになると思います。

 やはり私は、その前の段階として、冒頭申し上げたように、いや、そんなことならもういいです、私にはこっちがありますから、やはりこういうこともあわせていかないと、常に、つくったものは全部市場に出してこの値段になってしまいました、スーパーにはもうこれしかやらないと言われたのでこれでやってしまいましたということだけでは、なかなか前に進めないのかな。

 実際にこういうことを活用して、独自のルートでやっていらっしゃる方というのも随分例も出てきております。それから、まさに六次産業化を展開することによって、自分が小売までやる、直売的なものや農家レストランということもやっていく。

 六次産業化を見た場合に、農業そのものの生産額がたしか九兆、十兆、こういうことでございましたが、流通、食料、レストランまで入れますと、これは九十兆、百兆になるわけでございますので、やはりこの九十兆、百兆をどうやって生産者のところに取り込んでいくか、これがやはりマクロでいうと大変大事なことになると思いますので、六次産業化等々、先ほど申し上げたこともあわせてやっていくということが、これは消費税あるなしにかかわらず大事なことだというふうに考えております。

鈴木(義)分科員 続きまして、ちょっと時期を逸しているんですけれども、二十五年度補正予算の中の基金について何点かお尋ねをしたいと思います。

 私たち維新の会として、二十五年度の補正予算については反対を表明したんですけれども、総額五・五兆円の予算が可決をされました。その中で、基金として積み立てられているものが農林水産省関係で十六件見受けられたんですけれども、その中で幾つか金額がすごく大きいものを御質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、異常補填積立金という名目で基金が積まれているんです。今回百億円ぐらいここで積み立てをされているんですけれども、農林水産省の方で行政事業レビューシートというのを見させてもらいました。この中で、自分たちで自分たちのことをきちっと指摘しているんだから大したものだなと思ったんですけれども、今後の配合飼料価格安定制度、特に異常補填制度のあり方について検討が必要だというふうに述べられているんですね。

 その中の、四つぐらい項目があったんですけれども、結局、「畜産関係の経営対策においては、配合飼料価格を織り込んで毎年度の畜産物価格の保証水準を決定している」んだ、それと「各畜種の経営実態に応じた経営安定対策と配合飼料価格安定制度を講じることにより、経営安定に努めている」んだ、「通常補てん基金の補てん財源として市中銀行から九百億円、農畜産業振興機構から二百九十二億円の借入金があり、二十二年度から二十九年度にかけて返済する必要がある」んだというふうにうたっているんです。それと、四項目めが「畜産・酪農所得補償制度について、現行の畜種別の経営安定対策の実施状況等を踏まえつつ、そのあり方や導入時期を検討していく方針であること等を踏まえた上で、畜産・酪農所得補償制度のあり方等の検討と並行して検討することが必要。」というふうにされているんですね。

 これは二十五年度のレビューシートで、私が書いたのでも何でもないんです。行政側が、農水の方で出してきているシートなんですけれども、それが二十五年度の補正予算で百億積み上がっているんです。

 大臣がずっと見られているということは初めて目にされたのかなと思うんですけれども、それは内部で検討されて補正予算で基金として積んだのかどうかということを、まずお尋ねしたいんです。

林国務大臣 配合飼料価格安定制度の異常補填基金については、平成二十二年度、この行政事業レビューの公開プロセスがございました。これは毎年やるわけですが、したがって、この二十二年度の公開プロセスで、まず基金の適正水準の検討をしなさい、それから基金の運用益を適正化しなさい、こういう指摘を受けております。

 したがって、こうした指摘を踏まえて、二十三年度の当初予算においては新たな積み増しは実施しない、それから、運用益の事務・人件費への使用については、公益社団法人の配合飼料供給安定機構の人員削減等を行って事務・人件費の大幅な削減を行いました。一億七千万から二十三年度には九千四百万ということで、こういうことをやって運用益の使途を明確化する、こういう対応をしたところでございます。

 その後、輸入穀物の価格が高騰をしたということもあって、今度は逆に異常補填基金が不足をしたということでございまして、平成二十三年度の当初予算では積み増しをしなかったわけですが、その補正で九十七億、それから二十四年度の予備費で百四十八億、それから平成二十五年度の補正で百億、所要の額の積み増しを行ってきたというところでございます。

 今後とも、適切な運用、二十二年の指摘も踏まえながら、そもそもの政策の目的である畜産経営の安定、これに努めてまいりたいと思っております。

鈴木(義)分科員 時間がないんで、もう一点だけちょっと御指摘をさせていただきたいんですけれども、幾つか本当は用意したんですけれども、新規就農・経営継承総合支援事業、これは二つの基金に分かれていて、トータルで九十九億円計上されております。これも事業レビューの中で、公募した結果、一者応募の全国農業会議所というところがこれを事業として受けているんです。

 この全国農業会議所の中で、いただいた資料しか私どもは入手できないんで、ここで不思議だなと思ったのは、農業法人等の助成金を十億、あとは基金造成額として四十六億支出しているんですね。だから、基金として出しているんだ、私が見間違えていないのであれば、一度基金から全国農業会議所の方に出しているお金の中から、助成金として農業法人等への助成金が約十億、それと、基金造成額といって次年度の繰り越しで四十六億、全国農業会議所が受けた事業で送っているんですね。これは何なのかなと思うんです。

 だって、基金で積み立てて事業を起こすのであれば、その事業をやりますよと言った分だけ支出をして、また違う使い方があればそれはまた違うときに基金から取り崩して使えばいいにもかかわらず、なぜこれを一括して全国農業会議所に支出して、なおかつその会議所の中で繰り越しを四十六億もできちゃうのかというのが不思議でならないんですけれども。もし御答弁いただければと思います。

小里大臣政務官 新規就農・経営継承総合支援事業につきましては、入札によりましてこの基金の管理をどこがやるかということを決めるわけなんですね。そこから今度は、例えば青年就農給付金という形で、全国のそれぞれの実施主体にこれが渡っていくわけであります。

 そういった中で、農業会議所だけが応札をしておるとかそういった御指摘であろうと思いますが、その公募に当たりましても、ホームページで公示するなどして広く周知をしております。かつ、応募になった中から選定審査委員会が審査を行って決めておるわけであります。

 たまたま一者が応札ということでありますけれども、本来、なるべくたくさん応募してもらいたいわけでありますけれども、事業の特殊性とか現場をいかに知っておるかとか、いろいろな特別なノウハウが必要なんだろうと思います。そういうことで、一者の応札というようなことにもなっておるんだろうと思います。

鈴木(義)分科員 もう時間がないので。

 農水省の担当の方にお聞きしたときに、基金を一度積んで、国から基金の方に一度出したお金に関しては、ほとんどその課なり局なんでしょうね、そこが管理をしているだけで、今、小里政務官から御答弁いただいたんですけれども、そのお金が、基金として出しちゃって誰もチェックがきかない。

 それは会計検査院がチェックするんだと言えばそれまでなんですけれども、農林水産省として基金の管理をする部署をきちっとした方がいいんじゃないかと思うんですね。それは大臣官房なのかどうかは別としても。そうしないと、何の事業にどれだけいつ使って、チェックをするかしないかというのは、それは会計検査院が最終的にチェックすればいいんでしょうけれども、そうじゃなくて、やはり内局できちっと統括するところがあってしかるべきだと思うんです。

 だから、十六基金を農水の方で積んでこれから事業を二十六年度に向けてやっていくんでしょうけれども、それが大臣の方で、報告まで上げるかどうかは別としても、やはり統括して管理をする部署をきちっと決めた方がいいんじゃないかと思うんですけれども。その辺、もし御答弁いただければと思うんですが。

林国務大臣 当然の御指摘だと思いますので、まずは、農水省の中にそれぞれの基金を所管している部署がございますので、そこがきちっと見る。もう出しちゃったら後はというわけにはいきませんから。やはり、きちっとそこで適正に、基金というのは目的を持ってやるということで、予算の単年度主義に陥らないようにするというツールでございますので、逆に言えば、もう出しちゃったら終わりということにならないような管理をきちっとその仕事を所管しているところがやるということでございますし、その上で、省内では予算課がございますので、ここで横断的に見る。

 それから、会計検査院の一歩手前に財務省主計局というところがございますので、重層的にきちっと見て、私も党の行革をやっていましたときに、全部の基金を網羅的に見るということを党でもやっておりましたけれども、とかく使い勝手のいい財布になりがちでございますので、そこに積んであるということ自体が安心感につながるというメリットも一方であるんですが、それがどのぐらいの基準でなくてはいけないかというさっきのお話、この辺もあわせて見ながら、きちっと見てまいりたい、こういうふうに思っております。

鈴木(義)分科員 ありがとうございました。

 また今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

宮路主査 これにて鈴木義弘君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮路主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。石原環境大臣。

石原国務大臣 平成二十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明いたします。

 まず、予算の基礎となっている環境政策の基本的な考え方について御説明いたします。

 東日本大震災の発生から、この三月で三年を迎えます。除染については、今後とも、復興の動きと連携し、加速化、円滑化のための施策を総動員して事業を実施します。除染を進めるために必要不可欠な中間貯蔵施設の整備や、汚染廃棄物を処分するための処分場の確保についても、政府一丸となって全力を尽くします。また、災害廃棄物の処理、住民の健康管理対策を着実に進めます。さらに、三陸復興国立公園やみちのく潮風トレイルを整備いたします。

 世界各国の地球温暖化対策に大きな影響力のあるIPCC総会が三月に初めて横浜で開催されるのを機に、地球温暖化対策を一層強化します。原子力発電による削減効果を含めずに設定した、二〇二〇年度の温室効果ガス排出量を二〇〇五年度比で三・八%削減するという現時点での目標の達成に加え、長期的に温室効果ガスを大幅に削減するため、民間資金を呼び込む環境金融の拡大、大幅な省エネにつながる効率的な設備導入の加速化等により、再生可能エネルギーを中核とした自立分散型の低炭素エネルギー社会を構築します。また、我が国のすぐれた環境技術を海外に展開し、地球環境の保全に貢献するとともに、国内経済の活性化につなげます。

 循環型社会を実現するための取り組みとして、老朽化した廃棄物処理施設の更新、PCB廃棄物の早期処理に向けた体制の確保などを進めます。また、人と自然が共生する社会の実現に向け、鹿やイノシシなどの野生鳥獣による被害対策の強化、国内の希少野生動植物種の指定拡大などに取り組みます。さらに、国民の健康と良好な環境の確保のため、PM二・五による大気汚染への対策などを進めます。

 また、原子力規制委員会については、独立行政法人原子力安全基盤機構を統合するとともに、原子力規制のさらなる高度化、原子力防災対策等のさらなる充実強化、原子力規制人材の育成などに取り組みます。

 これらの施策を実行するための平成二十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算については、一般会計予算では総額三千四十三億四百万円を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に総額一千六百九億六千六百万円、東日本大震災復興特別会計に、復興庁所管予算として総額五千四百六十八億五千三百万円を計上しております。

 なお、委員の皆様のお手元に配付されております環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策については、お許しを得て説明を省略させていただきます。

 よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。

宮路主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま石原環境大臣から申し出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮路主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮路主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮路主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲津久君。

稲津分科員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 今、大臣からも予算についての御説明をいただきましたが、その中にもございます野生鳥獣対策、一つは、北海道では鹿はエゾシカと言いますけれども、このエゾシカ対策について、それから、北海道の日本海側の方にございます天売島、この天売島における海鳥、鳥獣の保護対策についてということで、対応を二点伺ってまいりたいと思います。

 まずエゾシカ対策です。今、全国で、鹿あるいはイノシシといった野生鳥獣の個体数が増加をしているということで問題になっております。これも環境省さんからの事前の説明をいただきましたけれども、二〇一一年の時点で鹿は、本州に生息しているニホンジカ、これは二百六十一万頭、北海道のエゾシカというのは六十四万頭いたというふうに聞いております。

 この北海道のエゾシカについてなんですが、農業被害、これは二〇一二年度で六十三億円に上るというふうに言われております。農業被害といっても、最近では冬の農業被害も大変深刻な状況で、例えば、鹿の侵入を防ぐ電気柵というのがございますけれども、この電気柵も積雪で機能しなくなる。リンゴなどの果樹の新芽ですとか樹皮を食べて、春から夏、秋、そして冬も、いわゆる通年での被害も見受けられるという状況です。

 さらに、こうした農業被害以外にも、列車あるいは車の衝突などによる通行障害も多くなりまして、これはJR北海道の報告ですけれども、二〇一二年度で、エゾシカの衝突などによる列車停止などの通行障害は二千八百五十八件あった、こういう状況です。これは二十年間で十倍になった。

 こうしたことから、現在まで、捕獲数の制限緩和ですとか実施隊と言われている新たな捕獲組織体制の編成、それから、さらなる電気柵の増設などの対策が講じられてまいりました。しかしながら、今日まで効果的な抜本的対策というのができずにいるというのが実際の状況でございます。

 このたび、環境省における鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正、これが検討されているというふうに承知をしておりますが、私は、一日も早い、こうした法の改正が速やかに成案できることを望んでいる一人でもございます。

 そこでまず伺いますが、この北海道のエゾシカの個体数の増加ですとか農林業に対する被害の状況、環境省としてはどのような御承知があるか、この点についてお伺いしたいと思います。

星野(一)政府参考人 エゾシカの推定個体数は、平成十二年度の約三十二万頭から、十年後の平成二十二年度には約六十五万頭に倍増しております。その後は、捕獲の強化等によりまして個体数はわずかに減少しているものの、平成二十四年度には約五十九万頭が生息しているというふうに承知しております。

 また、エゾシカの増加に伴いまして農林業被害額も、平成十二年度の約三十六億円から平成二十四年度には約六十三億円に増加していると承知しております。

 さらに、知床世界自然遺産地域等におきましても、鹿の食害により植物が激減する等、生態系被害も発生しているところでございます。

 また、先生も御指摘されましたけれども、交通事故等による生活環境への被害も発生しているということでございます。

 エゾシカによるこれらの被害は深刻な状況でありまして、個体数を低減させることが重要な対策であるというふうに認識しております。

稲津分科員 今、個体数の制限に向けての課題があるということを御答弁いただきました。

 私の地元北海道のこれは芦別市という、ちょうど北海道の真ん中あたりにある、富良野市の隣の町なんですけれども、人口が一万六千人ぐらいしかいない小さな市です。ところが、この市は周りを国有林等が占めておりまして、ここにおける農林業被害というのが年々増加をして、水稲被害だけでも、これはエゾシカ被害ですけれども、年間約二千万円程度の被害があります。先ほども申し上げましたけれども、電気柵などの対策を講じてはいるんですけれども、有効な手だてとしては不十分であるということ。それで、この捕獲ということで地元猟友会などが御努力いただいているんですけれども、有害駆除での捕獲頭数、年間約七百頭でございます。

 ただ、問題は、この七百頭を、実際はもう少しふやしていかなきゃならないというのもあるんですけれども、狩猟時間帯というのが日中のみであるというこの制限が大きな障害になっております。

 もちろん、夜間のそういう捕獲、例えばライフルで撃つとかは、これは非常に危険というリスクも伴うわけですから慎重にしなきゃいけないのは当然なんですけれども、鳥獣保護法の三十八条一項の、狩猟時間は日没から日の出までの間は狩猟禁止、この時間制限の緩和などを早急にこれは検討して実施すべきだ、私はこのように思っておりますけれども、この点についての所見をお伺いしたいと思います。

星野(一)政府参考人 日の出前及び日没後は、捕獲の対象となる野生鳥獣をはっきりと判別することが困難であり、銃の発射により人に危害を生ずるおそれがあることから、鳥獣保護法第三十八条において夜間銃猟を禁止しているところでございます。

 一方、最近の海外の事例では、夜間に銃による捕獲等を行うことが効果的な場合もあるということが指摘されているところでございます。

 近年、鹿等の個体数が著しく増加して被害が拡大している、こういう状況も踏まえまして、現在検討中の鳥獣保護法改正案において、都道府県が実施する捕獲等の事業であって、厳格に安全管理ができることが確認された場合には夜間銃猟の規制を緩和する、こういったことを検討しているところでございます。

 安全の確保と鳥獣管理が両立できるよう、適切な制度設計を考えていきたいと思っております。

稲津分科員 ありがとうございました。まさに、早く改正法の提案を出していただいて、そして速やかな審議を願いたい、私はこのように思っております。

 それで、その際やはりもう一つ大事なことは、この法を改正するのとあわせて、やはり適切な予算措置もしっかり伴っていただきたい。先ほど大臣からも触れていただきましたけれども、そのことを重ねて要請をさせていただきます。

 それで、もう一つのポイントとして、法改正と施策の実施、これは大事なんですけれども、あわせて、例えば農林水産省所管の鳥獣被害対策、これは先ほども触れさせていただきましたけれども、実施隊という組織あるいは電気柵等々ございます。それから、現行の狩猟免許におけるライフルの免許ということになるとこれは警察庁ということになりまして、このエゾシカ対策については関連する省庁が幾つもあるわけでして、環境省としてこれらの省庁との連携を強化すべき、このように考えておりますが、この点についての所見をお伺いしたいと思います。

星野(一)政府参考人 全国的に鳥獣被害が拡大していることから、被害防止等を総合的かつ効果的に実施するため、環境省、農林水産省、警察庁等から成る関係省庁連絡会議を随時開催しております。

 昨年十二月二十六日に開催した会議では、環境省と農林水産省が共同で取りまとめた鹿とイノシシの抜本的な捕獲強化対策について、関係各省庁に協力を呼びかけたところでございます。

 また、本年一月十六日の副大臣会合におきまして、北川環境副大臣と農林水産副大臣から関係省庁の副大臣に対しましても、協力の要請がなされたところでございます。

 環境省では、この抜本的な捕獲強化対策を踏まえまして、鳥獣保護法の改正等を検討しているところでございます。

 引き続き、被害対策を効果的に進めるためにも、関係省庁としっかりと連携を図ってまいりたいと考えております。

稲津分科員 ぜひ関係省庁との連携を強化していただいて、さらにこうした対策の実効性を上げていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 次は、北海道の天売島における海鳥の保護対策ということについて順次伺います。

 まず、北海道の天売島には、大変珍しい、希少価値の高いウミガラスという鳥が今繁殖を始めております。

 この北海道の羽幌町の天売島というところなんですけれども、これは羽幌港からフェリーで大体一時間ぐらいで着く島なんです。一周約十二キロ、だから、スクーターとか自転車でも軽く回れるようなそういう面積なんですけれども、人口は三百五十人。ここは、人と鳥が共生する島、よくこう言われております。私も年に一度は必ずこの島に行っているんですけれども、大変美しい、すばらしい島です。できれば、大臣にもぜひ一度はお伺いしていただければなと思っているんです。

 ここには、ウトウという鳥もいるんですが、ウミガラスとか繁殖に来るんですね。そのほかに、後ほどお伺いしますけれども、ケイマフリ、こういった海鳥が、八種類、およそ大体百万羽繁殖している、こう言われています。

 この島は切り立った断崖もありまして、この切り立った断崖のところに、日本で唯一、ウミガラスが繁殖をしております。さらに、ウトウの繁殖としてこれは世界最大で、六十万羽ぐらいはここで繁殖すると言われております。さらに、世界の中でもオホーツク海周辺にしか分布しないと言われているケイマフリ、これは世界最大級の繁殖地、こうなっております。そこで、先ほど私が申し上げましたように、人と鳥が共生する島ということなんです。

 絶滅危惧種に指定されているこのウミガラス、五十年前には約八千羽、これが島の断崖のところを埋め尽くして繁殖していました。ところが、いっときはほとんどゼロという状況だったんですが、いろいろな努力がありまして、現在は島で繁殖するのは二十羽前後、こう言われています。私たち関係者というか知っている者としては、トキと同じような道をたどらせてはいけない、こういうことで、島の有志の皆さん中心に保護に乗り出しております。

 それから、その後、環境省それから北海道からもいろいろな方々にかかわっていただいて保護対策を打ってきた、このように承知をしております。手探りの保護活動を展開しながら、さまざまな情報等を蓄積して今日まで来ている。

 私は、このウミガラスの保護というのは、これは我が国にとっても非常に大事なことですけれども、世界的にも今後やはり大変関心が高まってくるだろうと、こう思っておりまして、このウミガラスの繁殖に対する取り組み、どのように行われてきたのか、このことをまずお伺いしておきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま稲津委員から御指摘いただきましたウミガラスですが、私は写真でしか見たことがないんですけれども、カラスというよりも、どちらかというと、もうちょっとかわいい感じがする鳥だと思います。

 環境省としては、種の保存法に基づきまして、国内希少種、絶滅危惧種の1A類に指定して、その保護、増殖をこれまで図ってきたところでございます。

 具体的にどんなことをしているかということを若干説明させていただきたいと思いますが、先ほど稲津委員の御説明にあったとおり、岩場の岩棚みたいなところで繁殖するということでございますので、そこに、ウミガラスをこちらに来てもらうためにおびき寄せるためのデコイ、ウミガラスの模型ですか、こういうものをいろいろ設置させていただいたり、カラスのくせに天敵がカラスだそうでございまして、天敵のカラスを島で捕獲する。島民の皆様にもいろいろ御尽力をいただいているんだと思います。さまざまな保護対策を工夫を重ねてきたところでございます。

 そして、委員の御指摘にございますように、トキにしないために、今これだけの数が確認されておるわけでございますので、しっかりとこの保護対策というものをこれからも進めていかなければならない。

 昨年は九羽の巣立ちも確認されたという朗報も久しぶりに入ってきておりますので、また先生の御指導をいただきながらしっかりと取り組ませていただきたい、こんなふうに考えております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 このウミガラスの天敵というのは、まさに今御答弁いただきましたカラスなんですけれども、それから今度は、先ほど申し上げましたように、ウミガラスのほかにウトウとかさまざまな鳥がここで繁殖しているんですが、その他の鳥にとっての天敵は何なのかなということなんですが、実は猫なんですね。この天売島で実際に野生化した猫が、ウトウを初めこうした野生の鳥の天敵になっているという実態がございます。

 それで、キツネだとかイタチとかこういうことをよく聞くんですけれども、まさか猫が天敵になっているなんというのはおよそ想像がつかないと思うんです。実は、一九九〇年ぐらいから、ペットの猫を島に持ち込んで、その猫が人間から離れて、それで繁殖していった。そして、ウトウですとか、それから、これは結構凶暴なんですけれども、ウミネコなども捕食するようになったんですね。野生化した猫というのは、私たちが想像しているよりは大変凶暴だというふうに聞いております。私もこの島に行って実際に野生化した猫を見てまいりました。およそ、簡単に捕まるような状況じゃないです。

 そこで、実は地元の島の有志の方々が働きかけて、一九九二年から五年間、町あるいは獣医師の協力を得て、飼い主のいない猫の捕獲、要するに野生猫の捕獲、そして、捕まえた後に不妊去勢手術、これを始めたんです。ところが、なかなか効果が十分に上がってこなかった。そこで、申し上げましたような、野生の猫が今でも繁殖している状況なんです。

 このことについて大変島の方々も熱心に取り組んでいただいて、中心となったのは、この島に住む自然写真家の方、この方が、島の自然、人、それからペット、猫ですけれども、これが何とか調和できるようなことはできないのかということを真剣に、真面目に考えて、粘り強い行動をこの十数年間展開してまいりました。そしてついに羽幌町は、二〇一二年の四月から、天売島ネコ飼養条例、こういう条例を施行いたしました。

 島の中でペットとして猫を飼う場合には、飼い主の責任あるいは行政の責任、これを条例に明確にしました。それから、条例では、猫を飼う場合は登録申請をして、登録のためのマイクロチップも埋め込む、それから、放し飼いにする猫、放し飼いにする猫というけれども、猫は普通はつないでおかないと思うんですけれども、それは不妊去勢手術を義務づける、実はこういう条例をつくりまして、そして、これに関する費用についても町が一部補助をするという制度を盛り込んだわけでございます。

 こうした取り組みが始まってもう二年になろうとしておりますが、環境省としてもこの点について若干御承知おきをいただいていると思います。どういう効果があったというふうに見ていただいているのか。それから、私の個人的な見解ですけれども、こうした町あるいは島を挙げての取り組みに対して何らかの支援ができないものか、こう思っているんですけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。

星野(一)政府参考人 天売島では、近年、野生化した猫によるウミネコやウトウの捕食が目立つようになりまして、また、ウミガラスの繁殖地の近くでも猫が確認されるなど、その影響が懸念されている状況と環境省でも認識しております。

 羽幌町では、先生今お話しになりましたように、平成二十四年に天売島ネコ飼養条例を制定して、天売島における飼い猫の登録やマイクロチップの埋め込みなどが義務づけられたと承知しております。

 こうした取り組みは、海鳥等野生生物の保護の観点から極めて重要な取り組みでありまして、羽幌町が熱心にかつ積極的に取り組んでいらっしゃるというふうに環境省でも認識しているところでございます。

 この問題につきましては、環境省としても、シンポジウムを開いたり企画展示などを行うなど普及広報に努めてきたところではございますが、今後とも、羽幌町を初め関係者とともに、どのような取り組みが効果的なのか、可能なのか、そういったことを話し合いながら、協力して取り組んでいきたいと思っております。

稲津分科員 今、シンポジウムの話をいただきました。これに関連して触れておこうと思っておったんですけれども、これは、平成二十四年の九月に環境省が、北海道地方環境事務所それから北海道獣医師会の主催で、ペットの適性飼養シンポジウム、これを開催したわけです。そういう意味では、非常に画期的なことをしていただいたというふうに認識をしております。

 そこで、ちょっと目を変えて小笠原諸島の方に目を向けたいと思うんですけれども、小笠原諸島では、猫の補食による、ある海鳥の繁殖地が消滅してしまったというそういう事例がございました。シンポジウムの中では、ペットの適正な飼い方とは何か、それから、人と猫と海鳥の共生のためには何ができるのか、それから小笠原や沖縄での取り組み事例、これについての紹介があって議論があった、このように承知をしております。

 それで、天売島ではこうした取り組みをもとに、ペット登録をしていない猫、これを捕獲して、獣医師の協力のもと、ペットとして飼育可能な性格にして、性格にしたというのがちょっとみそだと思うんですけれども、猫の里親を探してそれを渡すことができないか、こういうことを今模索しております。

 これは本当に地味な話かもしれませんし、ある意味、そこの地域独特なものだろうと言われたらそれまでかもしれませんけれども、しかし、環境省としても、これはシンポジウムを開いたということを踏まえた上で、やはり今後どうしようと考えているのか、何らかの支援ができないのか、この点についても確認をしていきたいと思います。

星野(一)政府参考人 平成二十四年秋に環境省が北海道獣医師会と共同で開催したシンポジウムにおきましては、先進的な取り組みを進めている他地域の事例の紹介や関係団体への協力の呼びかけなどを行ったところでございます。

 先生が御指摘された、野生化したペットを順化して飼養を推進するということは、移譲先の確保などさまざまな課題があります。このため、羽幌町及び北海道獣医師会と今後の対策について議論を重ねているところでございます。

 今後とも、羽幌町、北海道獣医師会等とともに、どういった対策が可能なのか、効果的なのか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

稲津分科員 ぜひまた検討を重ねていただいて、何か具体的に御支援いただけるものがあれば、それをまたとり行っていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 最後になりますが、もう一度今度この天売島の海鳥について戻って、一点お聞かせいただきたいと思います。ケイマフリです。

 この鳥は、日本とロシアのオホーツク海周辺にしか生息をしていないという希少な海鳥で、北海道でも生息数は減少をしております。環境省では、レッドデータブックでも絶滅危惧の2種に分類をしている、このように承知をしております。

 先ほど来申し上げておりますけれども、天売島、鳥と人が共生する島ということで、この天売島のケイマフリは国内最大の繁殖地であるということ、それから、一九六三年には三千羽と推定された個体数は一九七〇年に入りますと四百羽に激減をしているんです。北海道の希少海鳥保護計画、この計画におきましては、この天売島のケイマフリの繁殖地の消滅というのを非常に懸念をして、繁殖地の位置、それから繁殖数のモニタリング、これを行いまして、保護措置をとった上で繁殖数を増加させる、こういう必要性が提言されております。

 天売島におけるこのケイマフリについて、環境省としてはこれまでどのような調査を行って、そして、増加に向けて今後どういう取り組みを行っていこうとしているのか、この点についての所見をお伺いします。

北川副大臣 稲津委員御指摘のケイマフリでありますが、私も今回初めてこのケイマフリという鳥の名前を聞かせていただいたわけでありますが、委員御指摘のように、このケイマフリは、カムチャツカ半島周辺またはオホーツク海、我が国においては天売島や知床半島など、北海道の各地で繁殖をする海鳥であります。

 天売島ということを聞きまして、平成二年に暑寒別天売焼尻国定公園に指定をされた地域でありまして、実は私、その当時、政務の秘書官をしておりまして、指定の記念式典が札幌であり、そちらへ寄せていただいた後、この暑寒別の方まで視察をさせていただきまして、なおかつ、増毛でお昼もごちそうになった、そういうことを思い起こしながら、すばらしい自然が残っているところだなと。また、小学校にも寄らせていただいて、純朴な子供たちとも接しさせていただきまして、すばらしいところが国定公園に指定をされたなということを感じたのが平成二年でありまして、それから二十数年たって、改めまして委員の方から、ケイマフリのこれからの保護、そして今後の増殖についての取り組みの質問をいただきました。

 改めてそういう御縁を感じながらも、今委員の方から御指摘がありましたように、レッドリストにおいてこのケイマフリは絶滅危惧2類に選定をされておりまして、生息状況の変化を慎重に把握することが必要と我々は認識をいたしております。

 その一環として、今後、今申し上げましたように、国定公園でもあり、国指定の天売島鳥獣保護区における管理の一環としてケイマフリの繁殖状況について調査をしており、近年は百巣以上の営巣を確認いたしております。平成二十四年度調査では百二十三巣の営巣を確認いたしておりまして、今のところ危機的状況との認識はないわけでありますが、しかし、委員御指摘のように、以前三千羽がいたのがもう四百羽まで減少しているというような状況もあります。

 当面は、このような繁殖の状況を見きわめながら、必要があれば保護対策の実施を検討していきたいと考えております。

稲津分科員 ありがとうございました。

 この天売島、一周十二キロの島、お隣には焼尻島という島もありまして、大変風光明媚な、すばらしい、そして水産資源も豊富で、隠れたというか、実は、知る人ぞ知る、大変有名な観光地にもなっております。

 それで、このわずか周囲十二キロ足らずの天売島にこれだけの、要するに希少価値のあるという鳥が我が国の中ではここを繁殖地にしているということ自体が大変すばらしいことかなと思っています。もう一つすばらしいのは、この海鳥の保護のために環境省と北海道と羽幌町と島民の皆さんが一緒に取り組んでいるということが、これまたすばらしいことだと思うんです。

 これから、このウミガラスそれからケイマフリ等の海鳥の保護がしっかりされて繁殖がされていきますと、これは、むしろ国際的にも我が国が自慢のできる、誇りに思えるそういう取り組みにもなっていくんじゃないだろうかな、こんなことを思っておりまして、きょう質疑をさせていただいたことをぜひまた具体的に環境省としてもお取り組みいただくことをお願いさせていただいて、私の質問を終わります。

宮路主査 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉城デニー君。

玉城分科員 生活の党の玉城デニーです。

 きょうは、予算委員会第六分科会で、農林水産省関連、環境省関連の件について、農水省へは豪雪災害に関する件について、そして環境省へは生物多様性に関する件と世界自然遺産に関する件についてをお尋ねさせていただきたいと思います。

 さて、私は、四十七都道府県の最も南西の地域にあります沖縄県に住んでおります。先ほどは稲津委員から、北方の貴重な種に対する保存やその生息環境への手厚い保護などについての御意見、御質問があったかと思いますが、南西地域、南に住んでおりますと、沖縄県民の方々は、沖縄県から他府県に旅行やあるいは仕事などで移動したことがない限り、沖縄県では、いわゆる生活上の、何と申しますか、雪へのなれですとかあるいは雪の怖さというものはなかなか感じないなというふうに思います。

 しかし、本日二月二十六日時点でも、国会周辺ではさきに降った雪がまだ解けずに氷のような状態で固まって残っているのを見ると、ああ、やはり気温が違うとこれだけ生活環境が違うんだなというふうにしみじみと思うものであります。

 さて、そのような中ではありますが、今二月十四日から十六日にかけて降った記録的な大雪の影響で、特に東京、埼玉、山梨ほか関東甲信及び東北地方では、公共施設の屋根部分の全面崩落、自動車など車両の立ち往生、道路交通網の寸断による物流等の欠品、住宅地域の孤立化、あるいはビニールハウス倒壊等による農作物の被害など、相当かつ甚大な害をこうむっております。

 まず初めに、この大雪で亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、被害に遭われた方々へのお見舞いを申し上げますとともに、一日も早くこの状況から生活環境を立て直していただくために、国及び関係する行政機関も総力を挙げた対応についてしっかり連携し、迅速に行っていかなければならないのは、論をまたないところであります。

 本第六分科会では、この件について、対応、対策について、農林水産省関係からお話を伺いたいと思います。

 さて、我々生活の党では、十七日に豪雪被害についての対策本部を設置いたしました。関係する県連及び総支部との連携の上、各地における被害状況を把握し、政府に対して必要な措置をしっかり求めていくという方向で、翌十八日に、内閣府、国交省、気象庁から、この事態についてのヒアリングをまず行っております。

 次いで十九日に、鈴木克昌本部長代理、生活の党代表代行兼幹事長が古屋内閣府特命担当大臣に面談をいたしまして、地方自治体への財政措置や集落の孤立防止の支援等、計八項目の豪雪災害に対する緊急対策に関する要請書を提出させていただき、早急な対応を要請した上で、二十三日には、埼玉県富士見市及び川越市において現地視察を行い、市長を初め行政関係者、教育委員会関係者並びに農家の方々から、深刻な状況を立て直すための支援に関する意見をじかに承ってまいりました。

 以下、政府、省庁、農林水産省の取り組みについて伺いたいと思います。

 まず、農水省に関係する分野におけるこの豪雪被害、各県、各地域の被害状況、内容及び被害額等はどのようになっているのか、お尋ねいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 この冬、これは昨年十一月以降と捉えておりますが、大雪は、通常降雪量の少ない地域を中心に、甚大な被害をもたらしております。二月二十四日時点の被害は、農業用ハウスの倒壊だけを見ても、今冬の各県からの報告は一万六千六百三十五件となっておりまして、これも大雪でありました平成二十四年、一昨年の被害、こちらが一万四百三件、これを大幅に上回っております。

 また、被害金額でございますが、今冬の豪雪による全国の農作物の被害額及び農業ハウス等の施設被害額として、これまでに三十三都道府県から報告があり、二月二十四日時点、その総額は六百八十六億円となっております。

 このうち、特に関東甲信の地域でございますが、被害額の報告がありました一都七県の被害額については、これは本年二月以降の豪雪によるものでありますが、合わせて六百五十億円となっております。

 なお、これらの被害については暫定的な数値でありますので、引き続き被害状況の的確な把握に努めてまいります。

玉城分科員 かように本当に甚大な被害をこうむったという雪の害なんですが、この六百五十億円という被害が一都七県から二月の段階で上がっているということではありますけれども、農家への支援対策について農水省でどのような取り組みをなさっていらっしゃるでしょうか。

 また、時価評価額の八割までしか補償しないというこの災害補償制度について、それ以降の再建についてどのような形で取り組めるのかもあわせてお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、今週二十四日に支援対策を決定いたしました。その今冬の豪雪による被災農業者への支援対策におきましては、融資、農業共済での対応に加えて、以下の五項目の対策を実施することとしております。

 一つ目が、災害関連資金、この貸付利子を貸し付け当初五年間無利子とします。

 二つ目に、農業用ハウス、棚などの再建、修繕、それから再建の前提となる倒壊したハウスなどの撤去に要する経費、これに対する助成を発動いたします。補助率は十分の三でございます。

 三つ目に、雪害を受けた産地に対し、強い農業づくり交付金という事業に別枠を設けまして、果樹の共選場など共同利用施設の整備を優先的に支援いたします。

 四つ目に、被害果樹の植えかえ、それからこれに伴う果樹棚の設置に必要な資材導入、これに要する経費、それからこれにより生ずる未収益の期間、この間の経費の支援を行います。

 それから、最後に五つ目、被災農業法人などの雇用維持のための支援といたしまして、施設の復旧までの間、従業員を他の農業法人などに研修目的で派遣する場合に必要な経費を支援いたします。

 重ねて、お尋ねの、園芸施設についての共済以外の支援ですが、今二つ目に申し上げました農業用ハウスの再建、修繕、それからその倒壊したものの撤去、これに要する経費の補助というのがまず考えておる追加的な支援策でございます。

玉城分科員 ありがとうございます。

 被災された農業者の損失を掛金方式で補償する共済制度以外には、今のような五項目の救済措置をとらせていただくということで今答弁をいただいたものと思います。

 実は、今回のこの豪雪の被害によって、農業はもはや不可能と考えていらっしゃる農家の方々、それから廃業したいという農家の方々など、被害に遭われた農家の約三割近くがそのような声であるという報道も聞こえてきております。

 先般、生活の党が現地に行きましてお話を伺いました農家の方々からは、やはり、しかるべき救済をしてもらわないと農家を今後続けていけないという声ですとか、あるいは、倒壊したハウスを片づけたらもうハウスは建てたくないという声。あるいは、これからが出荷時期なのに、ハウスが倒壊して採取できないため、お客様に申しわけないという、お客様の立場に立っても、この雪の被害は本当にいかんともしがたいなという思いがあると思います。

 そして、実は、市の農業関係部局の方々は、農家の方々は、気を落としながらも、自然の災害であると、誰のせいにすることもなく、災害の現状を見ながら、片づけたいのですが手をつけることもできずに、じっと耐えていらっしゃる被災された農家も多数見受けられますというふうな声もあります。

 つまり、やはり、この国の対策については、しっかりと、かゆいところに手が届くと申しますか、望んでいるところに行政が一致協力をしてしっかり手を差し伸べていくというふうなことをあわせてお願いするものでありますが、そのような悲嘆に暮れる農家の方々に対して、先ほど挙げられました、いわゆる対処的な措置が中心になっている支援策のみならず、今後の継続的な支援をどのように考えているのかについてもあわせてお伺いいたします。

横山大臣政務官 お答えいたします。

 今冬の大雪は、通常降雪量の少ない地域を中心に、農業用ハウスの倒壊や果樹、野菜の損傷等、甚大な被害をもたらしております。二月二十四日時点の被害は、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、農業用ハウスの倒壊だけを見ましても、今冬の各県からの報告は一万六千六百三十五件ということで、平成二十四年を大きく上回る、そうした数字になっているところでございます。

 私も、先週の木曜日に埼玉県の吉見町のイチゴ農家、そして、その翌日の金曜日には群馬県の前橋市の酪農家、またキュウリ、トマトのハウス農家をお訪ねいたしまして、被害の実態をつぶさに伺ってきたところでございます。

 今回の雪害では、このような、私もお会いした経営者がそうでございましたけれども、創意工夫をもって経営を発展させてきた担い手が各地におります。そしてまた、そうした方たちが多大な被害を受けている現状がございます。被災農業者が今後も意欲を持って農業を継続していけるように、万全の対策を講じていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 そのため、今回の被害に対しましては、融資、農業共済での対応に加え、先ほども申し上げました五点にわたる対策を実施することとしているところでございます。

 また、今後、詳細な被害状況を把握し、現場のニーズを伺った上で、追加対策を検討することとしております。

玉城分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、我が国の農家の方々がやはり農業を続けていけるという自信を持っている、その下支えをしっかりと政府にもお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

 農水省関連の質問は以上とさせていただきます。ありがとうございます。

 続いて、環境省関連の質問をさせていただきます。

 沖縄県では、一九九九年、自然環境の保全に関する指針を策定いたしまして、地域ごとあるいは島ごとの多様な生態系が健全な状態で維持されるよう保全すべきものであることについて調査、公表しております。また、二〇一〇年の沖縄二十一世紀ビジョン、二〇一三年の生物多様性おきなわ戦略におきましても、自然環境の保全を最重要課題の一つとして掲げ、沖縄本島北部、山原地域の自然環境の保全について、世界自然遺産登録に向けた重要な取り組みであるとして位置づけています。

 山原地域といいますのは、私は沖縄本島の中部、沖縄市に住んでおりますので、その中部あるいは南部の住民の方々は、名護市以北の地域を山原というふうに尊敬を込めて呼ばせていただいております。山原は心のふるさとという言葉もあるくらい自然がやはり残っておりまして、その自然に触れ合うということが、都市地域に住んでいる私たちからも、非常に重要な自然、自然遺産を残していくべきだということに対しては常日ごろから関心を持っているところであります。

 さて、この生物多様性おきなわ戦略で五つの地域に区分をいたしました。その五つの地域を紹介いたしますが、沖縄島北部圏域、沖縄島中南部圏域、沖縄島周辺離島圏域、そして宮古圏域と八重山圏域、五つに分かれております。

 そして、自然環境の保全に関する指針から見た場合、実は、原生の自然地域、傑出した自然景観等、多様な生物種を保存しており、厳正な保護を図る必要がある区域をランク1、そして、自然の均衡を維持する上で重要な役割を果たすなど、適正な保護、保全を図る必要のある地域をランク2というふうにしております。

 このランク1の最も厳正な保護を図る必要がある区域は、やはり八重山圏域が二八%と一番高いんですね。次いで、沖縄島北部圏域が八%となっています。ランク2の適正な保護、保全を図る必要のある地域は、八重山圏域が二九%ですが、沖縄島北部圏域は三二%というふうになっているわけですね。

 ですから、そこから見ても、やはりいずれも、この山原地域の自然度の高さ、評価が大きいということがこの数値からも見られるというふうに思います。

 そこで質問をさせていただきますが、この自然度の高い山原地域の保全に関して、環境省は、陸、河川、海域のそれぞれに対してどのように評価しておりますでしょうか。

星野(一)政府参考人 環境省におきましては、奄美・琉球の世界自然遺産登録を目指した取り組みを進める中で、専門家で構成される奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会を設置し、科学的、専門的見地から推薦候補地域の検討を行ったところであります。その結果、国頭村、大宜味村、東村から成る沖縄島北部を初めとする四地域が選定されました。

 山原地域の陸域、河川、海域は、豊かな生物多様性を有する地域であります。しかし、世界自然遺産の候補地という観点からは、特にヤンバルクイナ等の希少な固有種が生息、生育する陸域の生態系が世界的にそこにしかない貴重な価値を有すると評価されたものと認識しております。

玉城分科員 今答弁の中にもありましたが、陸域のヤンバルクイナですとかさまざまな動物、ヤンバルテナガコガネなどなど、やはり沖縄本島の北部には原生の森が残っているということで、陸域は、確かに今おっしゃるように、希少生物などが生息している非常に重要な地域であります。

 一方、やはり、海域を見てみますと、例えばジュゴンなどの生息の北限域でもあるわけですね。

 そういうことを考えますと、貴重でかつ多様な自然種を育んでいるこの海域、特に辺野古、大浦湾海域における環境破壊につながると危惧される普天間基地の埋立建設については、これは到底看過できるものではありません。

 自然保護の視点から、環境省は、この辺野古及び大浦湾海域における点に関してどのような見解を持っていらっしゃいますでしょうか。大臣にお伺いいたします。

石原国務大臣 ただいま玉城委員と私どもの星野局長の議論を聞かせていただいておりまして、沖縄北部の山原地域、陸域に原生林が大変残っている、これと同じように、やはり生物の多様性の保全というものは重要課題であると認識をさせていただいております。

 今委員御指摘の大浦湾、辺野古地区の埋め立てに関する環境影響についてでございますけれども、これは、事業主体である防衛省が環境影響評価書を作成し、これを沖縄県が審査して、もう既に手続が終了しているところでもございます。

 事業の実施に際しては、環境影響評価書に基づき、事業者が十分な環境保全上の配慮をされなければならないものと考えております。

玉城分科員 沖縄県議会において二十四日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋立承認を検証する調査特別委員会、いわゆる辺野古百条委員会の参考人質疑の中で、稲嶺進名護市長は、名護市の総合計画や景観計画には自然環境の持つ意味、役割を記述している、環境基本条例も制定しており、県の判断は不本意であるという意見を述べられています。

 また、同じ日の百条委員会において、環境影響評価、アセスメントを担当した県環境影響評価審査会の宮城邦治会長は、政府の埋立申請内容を沖縄県、この場合は県知事ですが、県知事が適合と判断した点について若干違和感があると述べ、移設工事については自然環境保全は不可能であるという、その見解を改めて示しております。

 この宮城審査会会長の自然環境保全は不可能であるとの意見について、やはりこれは責任省庁ですから、国における環境保全という責務の立場から環境省の見解を伺うものであります。大臣、お願いいたします。

石原国務大臣 先ほど御説明をさせていただきましたとおり、環境影響評価上の環境省側からの関与というものは法律上ないわけですね。

 それに対しまして、さまざまな見識のある方々がさまざまな立場に立ちまして、これは首長さんもそうです、学識経験者もそうです、そういうふうにいろいろ御発言をされているということは伺っておりますが、そのことについて私がコメントをするということは差し控えさせていただきたいと思います。

玉城分科員 さまざまな専門家がさまざまな知見でもって環境影響を評価する、判断をする、その手続そのものは、私は否定するものではありません。

 しかし、やはり国民が、自然の保全、豊かな自然を未来の日本の後々の方たちに、つまり自分たちの子孫のために残しておきたいという気持ちは、それは県の東西を問わず、どこの地域でも同じような思いがあると思います。

 環境省の中でも、里山を保全する、あるいは山を保全する、さまざまな取り組みがあるのと同じように、環境を保全する立場においては、環境省のその取り組みというものが国民から大きく期待されているのではないかというふうに私は思料いたします。

 さて、独立行政法人宇宙航空研究開発機構、通称JAXAが、二〇一二年十二月二十七日に、ホームページ「地球が見える」というコーナーの中で、生物多様性の保全、名護市大浦湾のサンゴ礁という特集を掲載されています。

 この独立行政法人JAXAは、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省がそれぞれ共同して所管する独立行政法人なんですが、その中で、ALOS、アドバンスド・ランド・オブザービング・サテライト、陸域観測技術衛星、日本名「だいち」とつけられていますが、そのALOS、「だいち」から撮影した二〇〇七年十二月と二〇一〇年九月とを比較する鮮明なカラー写真を紹介しております。

 この「だいち」は、地震や津波、台風などの災害状況の観測や防災分野のほか、森林監視や自然環境の保全、農業分野での活用、二万五千分の一地形図の作成に利用されるなど、幅広い分野で「だいち」の観測データがこれまで活用されてきております。五年間で全世界を約六百五十万シーン撮影いたしまして、二〇一一年に発生した東日本大震災では、被災地を四百シーン撮影し、各関係機関に情報を提供し続けておりました。

 このように、大変鮮明で、そしてその分析もしっかりと行うことができる精度の高いALOS、「だいち」ですが、この写真をもとに観測した内容、このホームページ「地球が見える」に掲載されています内容は、外洋に面した深場の泥地、サンゴ礁、海草や藻場、湾奥の大浦川、汀間川河口のマングローブ林とその干潟からV字型に大きく切れ込んだ深い湾の奥までの多様な環境が、アオサンゴ群やジュゴンなどの希少な生物を育み豊かな生態系をつくり出し、生物多様性が高いと言われる様子が見られると丁寧に紹介しているんですね。

 さらに、沖縄本島の沿岸海域でも、赤土流出や埋立地、オニヒトデの大量発生やサンゴの白化現象などの影響により、サンゴ礁が失われてまいりました、そのようなサンゴ礁への影響が広がる中でも大浦湾の海では、沖縄県内の他の場所ではほとんど見られない独特な地勢と自然の営みにより、多種多様な生態系が育まれる希少な場所と考えられるというふうにはっきりここで紹介をしているわけです。

 この湾、この地域こそ、残すべき自然遺産であるということの証明にほかならないと思います。それは写真を見ていただければ、大臣及び関係の皆様にも、もちろん国民の皆さんにも、すぐおわかりいただけると思います。

 さて、琉球・奄美諸島の世界自然遺産登録に向け、沖縄本島北部の国頭、大宜味、東の三村を含む四島が選定され、暫定リストに掲載されております。先ほど答弁にあったとおりです。そこからわずか十キロ程度しか離れていない、この生物性の豊かな大浦湾の海域を含めて、世界自然遺産への登録は当然進めるべきものである、そのことも重ねて思われます。

 環境省の積極的な取り組みについて、ぜひこの海も追加して取り組みたい、あるいは、追加してそのリストに入れることはできないかという積極的な対応については、どのようにお考えでしょうか。大臣にお伺いいたします。

石原国務大臣 これはもう委員御承知のことだと思いますが、奄美・琉球世界自然遺産の候補地四地域は、専門家で構成されます奄美・琉球世界自然遺産候補地科学委員会において、ユネスコの世界遺産委員会が定めた評価基準を踏まえて、科学的、専門的に選定されたものであります。

 すなわち、奄美・琉球は、この地域だけに残されているアマミノクロウサギやイリオモテヤマネコなどの固有種、さらには国際的希少種が陸上に多く生息、生育している、また、生態系及び生物多様性の基準が満たされている、この基準にのっとって、そういうものがいるところ、生活しているところを専門家の委員の方が設定したということなんだと思います。

玉城分科員 その暫定リストに挙がっていた経緯を私も十分承知しているところであります。

 しかし、その海域は、これだけ紹介しておりますとおり、実は、陸域に最も近く、そして深く切れている湾の形状、さらには、浅瀬と隣接しているサンゴ礁の豊かな、アオサンゴの群生などなどを見ると、前段に稲嶺名護市長の意見陳述でも紹介しました、そして影響評価審査会の宮城会長の話も紹介をさせていただいたのは、もしそこに米軍普天間基地の移設基地がつくられるようなことになると、この保全されるべき環境はもう守れないんだ、埋め立てによる環境保全は不可能だと断じているわけですね。

 であれば、その世界自然遺産リストに掲載されないまでも、それはもう既に手続によって進められていることであれば、この海域を守るために環境省には積極的に働いていただきたい。これは恐らく、自然を愛する国民でしたら、どなたでもそのとおりだなと御納得いただけるのではないかというふうに思うんですね。

 生物多様性の保全を世界各国と協調して取り組むことこそ、その責任に対して将来までの高い評価を、環境省はもちろん、我が国も環境保全、自然保全に対しては得ることができると思います。その各国との協調あるいは取り組みについての姿勢を大臣に改めて最後にお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 生物多様性の保全が重要であるという玉城議員のお気持ちは大変わかるのでございますが、ユネスコのルールにのっとって、先ほどもお話をさせていただきましたけれども、生態系は、生物の進化の過程を代表する世界的な見本、あるいは、生物多様性は、学術上、保全上、世界的価値を有する絶滅危惧種の生息地というところを世界遺産にする、そういうものがあるならばユネスコに言っていらっしゃいよというシステムで、そういうふうになっていますので、守るべきそういうものがいないところを政治的な問題として後から加えるということは環境省としては考えていないということは御理解をいただきたいと思います。

玉城分科員 最後の大臣の答弁は、まさに、リストに至る経緯とその中身について最後に確認をさせていただいた答弁だと思います。

 私が先ほど聞いたのは、あるいは意見をさせていただいたのは、この世界自然遺産のリストに挙がらないけれども、先ほども紹介したランク1、ランク2の、重要な生育海域であるこの大浦湾あるいは陸上について、では環境省は手をこまねいて見ているんですかというふうなことを聞いたつもりですね。そこまできつく聞いたことではないんですけれども。

 私はやはり、守るべきものは守る、保存するものは保存して、そして子孫に渡す、それが今の私たちに課せられた責任ではないかと思います。そのことに関しては、大臣、どのようにお考えですか。ぜひ御所見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 私は環境行政を預かる立場でございます。環境行政の観点から言わせていただくならば、委員がおっしゃるとおり、生物の多様性の保全というものが最重要で考えておりますが、これを政治問題とくっつけて当委員会でコメントをすることは立場上控えるべきだと考えております。

玉城分科員 わかりました。また別段、しっかり議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

宮路主査 これにて玉城デニー君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは予算委員会の第六分科会ということでお時間を頂戴しておりますが、環境省、それから農水省、林野庁に加えて、国土交通省にもお越しをいただいております。

 石原大臣におかれましては、こういう機会をいただいてありがとうございます。今申し上げたように、きょう私が取り上げます土砂の問題は、ひとり環境省の問題ではない。むしろ、今実際に法令等に基づいて取り扱っていただいている主たる官庁は、砂防法であれば国交省、森林法であれば農水省ということでございますが、後で申し上げますように、この問題は、土砂の位置づけ、その定義、その扱い、それらがやはり役所の間で、省庁の間ですき間に落ちてしまっていて、しっかりとあるべき対策がとられていないのではないかという問題意識から、きょうは三省の方にお集まりをいただいて、ぜひこの時間の間に一定の方向性を見出してまいりたいと思っております。

 まず、お配りをしている資料でございますが、これは、私、このテーマをこの第六分科会で扱わせていただくということで通告をさせていただいた後、きのうの夜、ちょうど私の地元の豊能町の木代という地域で、まさに私も去年の十月に自分も視察に行きまして、これはしっかりと、国土交通、農水は当然として、地元の自治体、あるいは場合によっては環境省にもお力をかしていただいて、何としても道筋をつけていかなくてはならない、こうした思いで昨年の十月に視察をいたしたまさにその場所で、きのうの夜土砂が崩れました。今も大変な事態で、今、警察と消防が、被害に遭っている車がないか、人がいないか、懸命に捜索、調査を進めてくださっているところであります。

 土砂が物理的に崩れたわけですが、私は、場合によってはこれは人災だと言わざるを得ないような厳しい事態がこの事案のみならず全国で起こっている、こう考えています。

 まず、こういうことが起こりましたので、ちょっと通告どおりにはなかなかきれいに入りませんが、国土交通、そして農水の方で、出先の皆様、あるいは大阪府、地元の豊能町、今も私、ここに来る前に豊能町の田中龍一町長と電話で話をしてまいりましたが、今懸命に消防、警察でやっていただいているということであります。

 この事案を含めて、この問題について今どのように評価をされているか、端的にで結構でございますので、まず二省から、国交省と農水省から、この事案をどう受けとめていらっしゃるか、端的にお教えいただければと思います。

大野政府参考人 昨夜十九時四十分ごろ、大阪府の府道でございます余野茨木線沿いの民有地の残土置き場より土砂が崩落いたしまして、府道約三百メートルの区間の通行どめ、それから、一部世帯では停電が発生いたしました。

 昨夜二十一時ごろより土砂の撤去等を実施いたしておりますが、二次災害の可能性もございますため、一時半に作業を中断いたしました。本日九時より作業を再開いたしまして、現在も土砂の撤去、道路復旧に向けて作業中でございます。今のところ、人的被害は報告されてはおりません。

 今回の土砂崩落の箇所でございますけれども、これは、行為者が、平成二十四年十月に砂防指定地の管理条例に基づく砂防指定地内行為許可を得て民間残土の受け入れを実施してきた箇所で発生した事案でございます。

 許可後、府道の汚損やそれから許可地外への土砂の搬入等許可範囲を逸脱した行為が確認されましたこと、また、当該地におきまして、平成二十五年五月、七月、九月と小規模な土砂崩壊が確認されたことから、これまで複数回にわたりまして、土砂搬入行為の中止をする旨の勧告書の手交を行っております。また、早急に是正工事を行うよう指導も行ってきたわけでございます。行為者が是正指導に従わないことから、砂防指定地内の行為許可の取り消しを手続中であったというところ、今回の災害が発生いたしております。

 国土交通省といたしましては、土砂災害防止の観点から、砂防指定地の管理が適切に行われますよう、大阪府に対して助言等も行ってまいりたいと考えております。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども林野庁の関連で申し上げますと、こういった場合につきましては、森林法に基づく林地開発許可制度というものがございまして、一ヘクタールを超える開発行為を行う場合は都道府県知事の許可を受けなければならないというふうにされているところでございます。

 ただ、今回発生いたしました豊能町の木代、番地は十六の四とかそういう場所と伺っておりますけれども、これは当初、森林法に基づいて伐採届け出を豊能町に提出した箇所というふうに承知をしておりますけれども、その後、どんどん伐採届の内容と異なる行為をしていることが明らかになったというようなことで、大阪府と豊能町が合同調査をして、まさに各種の行政指導をしている最中であったというふうに承知をしているところでございます。

 私どもとしても、今回こういう事態に至ったというのは極めて問題があるのではないかというふうに思っておりますので、また大阪府、豊能町と密接に連絡を図りながら適切に助言等を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

足立分科員 今、大野砂防部長と沼田林野庁長官に状況を報告いただいたわけでありますが、今ありましたように、砂防法あるいは森林法の枠組みの中で、それぞれ大阪府あるいは豊能町と連携をして取り組んでいただいているところであります。

 私、端的に申し上げて、これは私も視察に行っていますのでよくわかります、地元の土木事務所あるいは林野庁の関係の部署、これまでも、私も意見交換させていただいて、一生懸命これに取り組んでいただいています。この昨夜の事案についても、消防、警察も一生懸命これに取り組んでいただいています。

 恐らく現場の方々は懸命にこれまでもやっていただいているし、これからもやってくださると思っていますが、それでもこれ、全くこういうことがもう想定される、想定されるというかこういうことが起こるかもしれないということで、私はずっとこれは問題視をしてきたわけでありますが、実際に、残念ながら、こうして取り上げる前にこういう事件が、事案が起こってしまったことについては、本当に私も悔やんでおりますし、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思っています。迅速に調査を進めていただいて、警察、消防に対応していただいて、また復旧を進めていかなければならない、こういうふうに思っています。

 ただ、これから調査をして復旧をする、これが今最も大切なことなので、こうして国会で取り扱うことによって逆に地元に負担がかかってはいけないという心配も実はしながら、丁寧にきょうこの時間を迎えたつもりでありますが、この場で我々がなさねばならないことは、現場で今調査復旧をやってもらっています。我々にとって大切なことは、この事故はなぜ起こったかです。まだ調査が終わっていない段階で取り上げるのは私も若干気持ちが引けるところもありますが、今の国会の、行政の仕組み上、我々野党がこうして政府に問いただすことができる場は限られていまして、きょうのこの場を活用して、何としても、地元の被災者の、被害に遭われた方に報いるためにもこの時間を使っていきたい、こうした思いでおります。

 今砂防部長と林野庁長官に御答弁をいただきましたが、事件が起こったということは、少なくともそれぞれが所管されている法令の法益が十分に達成されていない、その結果こういうことが起こったわけであります。

 これは何に課題があったと思いますか。結論を先に申し上げれば、私の思いを申し上げれば、これはやはり役所の縦割り、そして、国と都道府県と市町村、やはりこの役割分担がうまくいっていないのかな、私はこう思わざるを得ません。

 それぞれ今御答弁いただいた林野庁長官と砂防部長、さっき大阪府、豊能町と連携してというお話がありましたが、これはそれぞれつかさつかさでこの事案を取り扱っている府や町に問題があったということか、どのようにお考えですか。私は、制度に一定、何らかの不備があるんじゃないか、こう指摘をしているわけでございますが、その点どうお考えか、ぜひ御答弁ください。

大野政府参考人 砂防法におきましては、土砂災害の防止が目的でございますので、土砂災害等の防止のため、一定の行為、これを禁止もしくは制限する必要がある区域につきまして、国土交通大臣が砂防指定地の指定を行い、都道府県が管理を行っているところでございます。

 砂防指定地におきます具体的な禁止行為、制限行為等につきましては、これは都道府県の条例に委任されております。土砂の掘削、盛り土、切り土、その他の土地の形質を変更する行為、また、土石の採取、鉱物の採掘、またはこれらの集積もしくは投棄、これらの行為を規制し、これらの行為を実施する場合には都道府県知事の許可を必要としているところでございますので、土砂災害等を防止するためには、こういった指定地の管理というのが一定の効果を発揮しているというふうに考えております。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘もあるわけでございますけれども、私どもとしても、林野庁は森林をきちんと保全するという立場でございますので、そういった意味で、こういった地域の森林のいろいろな諸機能を高度に発揮させるという観点から、さまざまな活動をさせていただきたいというふうに思っております。

 この事案に関しまして申し上げますと、それぞれつかさつかさ、役割役割はあるわけでございますけれども、双方連携してよく意思疎通を図りながら、問題が起きたわけでございますので、そういった問題をいかにしてこれからきちんと前に改善していくかということで、いろいろな形で御相談をさせていただきながら、また御相談を受けながら対応させていただきたいというふうに思っているところでございます。

足立分科員 今おっしゃられたように、私もそれはわかっているつもりです。それぞれのつかさつかさでしっかりと取り組んでいただいている。特に、現場でずっと勧告あるいは命令、さまざまな枠組みの中で、若干そのスピード、現場で被害に遭われている方々からすれば、その勧告がもうちょっと早く出なかったのか、あるいは命令は出せないのか、そういった思いはあるかと思いますが、その細部に入る時間的余裕がありませんので、きょうはもう少し根本のところから確認をさせていただきたいと思います。

 そもそもこの土砂、建設の残土ですね、これは環境省にぜひお答えをいただきたいんですが、これは無価物か有価物か、廃棄物かそうじゃないのか、この辺を簡潔明瞭に解説してください。

梶原政府参考人 廃棄物処理法に基づきまして廃棄物になるかならないかでございますけれども、これは、平成十一年の最高裁の決定がございまして、それによりますと、物の性状、排出の状況、通常の取り扱いの形態、それと取引価値の有無、占有者の意思を総合的に判断して決めるということになってございます。

 それで、実際この土砂というものが廃棄物処理法の廃棄物になるかならないかということにつきましては、土砂につきましては通常こういったものに該当しないということになりますので、廃棄物処理法上の廃棄物の対象にはしていないということでございます。

足立分科員 環境省が今回の事案をどれぐらい把握をされているかわかりませんが、この事件が起こって、きのうの夜崩れたこの土、これは全て廃棄物ではないと言えますか。

梶原政府参考人 先ほどいろいろな定義のお話を申し上げましたけれども、廃棄物の考え方は先ほど申し上げましたとおりでございます。

 土砂に関しましては、通常は、土地造成でありますとか、そういったように使われるということでありまして、廃棄物処理法上の廃棄物から外しているということでございます。

 本件の土砂につきまして、何らかの形で廃棄物が混入をしていればまた別でございますが、通常の土砂ということでありますと廃棄物には該当しないというものだと考えております。

足立分科員 抽象的な整理は定義の問題ですからそれはいいんですが、一般に、いわゆる建設発生土、建設工事に伴って発生する土砂ですね、この事案に限らず、全国でそれが流通をするあるいは捨ておかれている、捨てというと無価物になるのかもしれませんが、置かれている。

 これは、全国の事態は、都道府県あるいは市町村が制定をしてきた条例も含めて環境省は認識はされていると思います。今現状、そうして、廃棄物の扱いではない形で、廃棄物としてではなく置かれている建設残土というのは、全てこれは廃棄物ではない、そういう実態だと理解されていますか。

梶原政府参考人 建設残土と言われるものについては、廃棄物処理法上の廃棄物といたしておりません。これは、本件だけに限らず、廃棄物処理法全体の運用としてそういう形にさせていただいておるところでございます。

足立分科員 一方で、いわゆる汚泥、これは産廃ですね。

梶原政府参考人 建設汚泥につきましては、例えば建設汚泥というのは、工事に使いやすいように物を加えたりしております。例えば化学物質なんかも加えたりしております。そういったようなことがありますので、基本的には、建設汚泥は産業廃棄物として位置づけておるところでございます。

足立分科員 その線引きは明確ですか。規定上は明確だと思いますが、現場から見たときに、これは明確に線引きはできるとお考えですか。

梶原政府参考人 建設汚泥につきましては、その発生工程が異なりますので、単純な掘削等々のものとは、いわゆる掘り起こしたものとは大分違いますので、できると考えております。

足立分科員 私は認識が違うわけでありますが、いわゆる建設の土砂、残土であるのかあるいは産廃すなわち汚泥であるのか、これは法令の解釈ということもありますが、現場においてもそれはなかなか峻別されないで、実際はこれをできるだけ土砂として解釈しようというインセンティブが現場には相当働いていると私は思っています。

 産廃として扱えば、要すればさまざまな物質をわずかでも含んでいれば、当然それは産業廃棄物として位置づけられ、産廃のさまざまな規制に服するし、あるいは処分地についても、非常に限られた処分地がそこに対応していくということになって、それはそれで非常に難しい問題を生ずるわけであります。

 一方で、この事案は土砂だと位置づけて動いてきたわけでありますが、その場合には、いわゆる不法投棄と私は思っていますが、本来産廃であるべきものが土砂として扱われて不法投棄が横行する、そしてその不法投棄されたものがまた出回れば、それは不良な土として出回る、昨夜の事案の背景にはそういう実態があると私は認識しています。

 環境省は実態がおわかりにならないかもしれませんが、国土交通省砂防部長は、今私が申し上げたような実態がないとお考えですか、あるとお考えですか。

大野政府参考人 それにつきましては、実際の状況等を調査してみないことにはなかなかわからないことではなかろうか、このように考えます。

足立分科員 大野部長、これは実際に調査というか、今実際に日本じゅうでこういう実態があるわけですね。それは御理解をされていると思います。そして、これではいかぬということで、それぞれの所管されている法律とは別に、それぞれの自治体がまさにこうした事態に対処するためのさまざまな条例をつくっています。

 環境省、都道府県で幾つ、市町村で幾つあるか、条例の現状、一言で結構です、端的にお願いします。

小林(正)政府参考人 環境省の観点で調べているものでございますので、その限りでございますが、いわゆる土砂の堆積、埋め立てなどによる災害の発生ですとか土壌汚染の防止を図ることによりまして生活の安全の確保を目的とするような条例あるいは要綱が、都道府県などにおいて制定をされているというふうに承知しております。

 私どもの知っている限りでございますと、平成二十四年三月現在でございますが、都道府県で十五、土壌の関係の政令市で十九、それ以外の市町村二百一、合計二百三十五の自治体がこういったものを持っているということは承知しております。

足立分科員 こうして、こういう条例は国でいえば一体どこが見ているんだ、こういう条例の取り扱いについて、国でいえばそれはどこが見ているんだというと、いや、それはどこも見ていませんということで、三省はそれぞれ、うちではありませんとなるわけであります。

 砂防部長、ちょっとこだわって恐縮ですが、先ほど、調査しないとわかりませんということですが、こういう条例が全国で、都道府県で、そして市町村でつくられる。そこに網をかけると、そこでこういう行為をしていた方々は、そこに網がかかるものだからほかに逃げるわけです。結局、網をかければまた横に逃げるということで、どうしても都道府県、市町村の取り組みでは限界があると私は思っています。

 大事なことは現状認識なんですが、こうした実態を踏まえても、国土交通省は、今私が申し上げたような不法投棄と言わざるを得ないような事態、私は、これは建設事業にとっても問題だと思いますよ。また、それが仮に流通すれば、不良な土が出回ることになる。そういう問題が起こっているという認識はありませんか。

大野政府参考人 不法投棄が今現在日本全国で起こっておるというようなお話でございましたけれども、我々は、やはり許可を受けたところについてはしっかりと適正に行っていきたいと思っておりますし、許可が出ていない案件につきましては、まず、それぞれの法律を所管する立場でしっかりとそれを管理、監視していく、そういう立場ではあるかと思っております。

足立分科員 もう時間がありませんので、きょう大臣にもお越しいただいていて本当に恐縮でございますが、私は、これはやはり何らかの立法が要る、こう思っています。

 現場の感覚からいくと、これは建設省の世界ですが、土砂災害防止法というものが制定をされておりまして、急傾斜地の規定、急傾斜地については非常に厳しく管理されているんです。自然の傾斜地については管理されているんです。でも、その傾斜を超えるような傾斜地が人工的に、あるいは、ある意味で合法的にそれが行われ、こうしたことに結びついている。

 私は、それが環境省であれ国交省であれ農水省であれ、連携して何らかの対策が要る、こう思っていますが、大臣、何か一言いただけないでしょうか。

石原国務大臣 足立委員と砂防部長等々の議論を聞かせていただきまして、地方自治体が取り組んできた経緯というものは、やはりないがしろにするわけにいかないわけですね、地方自治で、自分たちでしっかりやっているところも現にあるわけですから。

 こういうものを踏まえて、きょう委員の御指摘もありましたように、国として対応すべき制度上の課題が本当にどこにあるのか。結局、法令違反をやっているものは幾ら言ったって言うことを聞かないわけですから、そういうものなのか、法律にのっとってやっているのにこういう事故が起こったのか、そういうものを十分精査して、必要があるならば、委員がおっしゃるとおり関係省庁で協議して、どこでどういうことになっているからこうなるということを、もう少し整理をしていかなきゃならないんじゃないかというのが感想でございます。

足立分科員 大臣、これは環境省しかないと思うんですよ。これから、やはり環境省が衝になっていろいろな役割を果たしていく中で、本件のような事案については、環境省がリーダーシップをとって、少なくとも調査、整理、そして検討をぜひしてください。検討するということでお願いします。

石原国務大臣 個々の事案、また、自治体がこれまで取り組んできた経緯というのを十分踏まえた上で、必要があらば検討すべきだと思います。

足立分科員 もう時間でございますが、最後に、きょう、砂防部長、そして林野庁長官においでいただいています。この豊能のきのうの事案、被害が最小にとどまることを私も祈っていますが、迅速に復旧され、この問題が解決されるように、それぞれのつかさつかさ、立場として、しっかり全力を挙げていただけるようお願いをしたいと思います。

 最後に一言だけ、その点、しっかりやるということでおっしゃっていただいて、私の質問は最後にしたいと思います。お願いします。

大野政府参考人 国土交通省といたしましても、今回のこういった災害につきましては、全力で大阪府を御支援申し上げたい、このように考えておりますし、今後、こういった事案につきまして、できるだけこういったことが起こらないように、指定地の管理等もしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

沼田政府参考人 お答えを申し上げます。

 この箇所の隣接地でも既に開発行為の中止命令を出したところもございますし、また、私どもとしても、きちんと大阪府そして豊能町とよく連携をして対応させていただきたいと思っているところでございます。

足立分科員 ありがとうございます。

 もう時間になりましたので終わりますが、私も、しっかりこの分野、引き続き、取り扱いというか注視をしてまいりたいと思います。三省におかれましても、何とぞ検討、そして適切に対応いただくようお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、石関貴史君。

石関分科員 日本維新の会の石関貴史です。

 環境大臣もこの前お出ましをいただいて、十九日の予算委員会で鉄鋼スラグというものの問題について質疑をさせていただきました。時間が限られていて尋ね足りないところがございますので、きょう、引き続きこの問題をまず最初にお尋ねをしたいと思います。

 この前、大臣にも御紹介いたしましたけれども、名古屋に本社のある大手の特殊鋼メーカーの大同特殊鋼株式会社、私の地元の群馬県渋川市に大きな工場がございます。ここの工場が鉄鋼の廃材を違法取引していたということで県の立入調査を現に受けている。この件についてでございます。

 この事件の概要について環境省としてはどのように把握をされているのか、まずお尋ねをいたします。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグが逆有償、大同特殊鋼側から申しますと、お金がトータルとしては出ている形で取引がされているのではないかということで、本年一月二十七日に、大同特殊鋼の渋川工場に対して、群馬県が廃棄物処理法上に基づく立入検査を実施したと。それに引き続きまして、さらには、関連子会社の大同エコメット、あるいは群馬丸太運輸等についての立入検査をしたという案件でございます。

 廃棄物処理法上の観点からはそういうことでございますけれども、先般の国会での御質疑にも私はおりまして、その際に先生の方から詳しく御説明もございましたけれども、その鉄鋼スラグがさまざまな形で使用されている、そういう案件だというふうに理解をしております。

石関分科員 では、重ねて、今御説明もいただきましたが、逆有償取引というんですね、私もこの事件を知って初めてこういう用語は知ったんですけれども、いろいろなコストの部分を合わせて、売った方が例えば管理費とかそういうものでまた払っているということがこの逆有償取引というものだと思うんですけれども、これ自体は、こういう取引をしても、奇妙には見えますけれども、法に触れることはないということでしょうか。

梶原政府参考人 さまざまな取引形態があるかと思いますが、それぞれの取引形態について、これが違法であるとかこれが適法であるとかといったような判断をするものではございません。

石関分科員 ただ、取引自体は違法ではないということなんですが、本来廃棄物として処理しなければいけない、相応のコストがかかるものを、再生資源だとこういうふうに偽って、偽装して売っていたということが結果としてこの逆有償取引という形になっているんですけれども、これ自体は、廃棄物であるべきものを再生資源として偽って売っていた、このことは、産業廃棄物の処理法とか、あるいは、関係するような法律に抵触をするということにはならないんでしょうか。

梶原政府参考人 廃棄物の有効利用につきましては、現在、廃棄物処理法上におきましても、スリーRということで、これを推進しているところでございます。

 それで、今、リサイクル物が廃棄物処理法の適用になる廃棄物になるかならないかというところにつきましては、先ほど来から御指摘の、当該物の取引の状況が逆有償であるか否かというような観点、それに加えまして、物の性状、排出の状況、それと、通常の取り扱いの形態、それに、占有者の意思というものを総合的に判断をすべきものという判断が平成十一年の最高裁の決定で示されているわけでございます。

 したがいまして、逆有償であるかどうかといったようなことのみで判断することではないという整理にされております。

 今回の鉄鋼スラグにつきましては、今、群馬県におきまして、大同特殊鋼株式会社並びに関連子会社等について立入検査を実施して、そういったこれらの取引状況についても総合的に調査をいたしているところであるというふうに聞いております。

 したがいまして、現時点におきましては、その県の整理を踏まえて、廃棄物処理法の適用になるのかならないのかといったようなことを判断されるものというふうに考えております。

石関分科員 この鉄鋼スラグですけれども、大臣はこの前答弁もいただいていますからよく御承知だと思うんですけれども、浮島政務官はこの鉄鋼スラグはどんなものだか御存じですか。

浮島大臣政務官 詳しくは存じ上げてございません。

石関分科員 多分知らないだろうと思って聞いてみたんですけれども、私も知りませんでした、この事件で。

 この鉄鋼の大同特殊鋼さん、これは大変大きなメーカーで、鉄鋼メーカーとしては大変評判のいいところだと承知しています。ただ、廃棄物について再生資源ということで売っていたものですが、これが今回の事件を引き起こしているということです。

 実際、鉄鋼スラグがどういうものかというと、砕石、小石みたいなものになっているんです。鉄鋼のいろいろ製造過程から出たものがそういうものになっていて、道路の路盤材等に今回は使われている、こういう事件です。ぜひ政務官も今後御承知おきをいただきたいと思います。

 この鉄鋼スラグから今回は、有害な六価クロムですとか弗素、六価クロムは発がん性がありますし、弗素というのは、中国で有名になった事件では、何か歯が破壊をされたとか骨がうんとかたくなっちゃう病気とか、こういうものが弗素の被害としては大変有名なものがあります。

 環境省が設けている六価クロムですとか弗素の基準というものがどうなっているか。特に、これが道路の路盤材として鉄鋼スラグが使用されている場合、どういう基準があるのか。あるいは、川とか池とか水道水、こういったところの六価クロムそれから弗素、環境省でそれぞれの、川はこうだとか、路盤材で使われていた場合は鉄鋼スラグがどうだとか、こういう基準をお持ちなのかどうか。あるのであれば、その基準を教えてもらえますか。

平岡政府参考人 お答え申し上げます。

 六価クロム、弗素等の有害物質でございますので、これによる環境汚染を防止するという必要がございます。環境基本法に基づきまして環境基準というものを定めております。水質汚濁及び土壌汚染等についての、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準というものでございます。これらの基準を満たすような規制を行っていくということにしてございます。

 具体的に申し上げますと、これは六価クロムでございますが、土壌の環境基準としては、溶出基準ですけれども、〇・〇五ミリグラム・パー・リットルでありますとか、〇・〇五ミリグラム・パー・リットル以下ということで水質の環境基準を定めたりといったことをしております。

石関分科員 私が知っている知識で事前に先ほど御説明しましたけれども、六価クロムや弗素というものが今の基準を超えて大量に摂取されたり触れたりするとどういうことが起こりますか、人体にということですけれども。

平岡政府参考人 先ほど先生の方からもお話しございましたように、六価クロムにつきましては、発がん性があるということで、グループ一、人に対する発がん性というものが毒性としてあるとされております。

 また、弗素につきましては、軽度の歯に対する斑状歯ということですとか、骨への弗素沈着による骨折のリスクの増加とか、そういったことが懸念されるということとされております。

石関分科員 私が承知しているものと同じようなそういった害があるという御説明でよろしいですよね。

 ただ、今度は農水省の方にお尋ねしますけれども、群馬に群馬用水というのがあって、これは、管理しているのは独立行政法人水資源機構です。この群馬用水で、私も現地を見ましたけれども、用水があって、その横の人が歩ける道路というかバラス道、こっち側は田んぼ、畑になっているというところに、未舗装のバラス道ですけれども、このスラグ材と思われるものが敷き詰められているということです。歩いて、舗装されていませんから、子供も含めて当然手に触れることもできますし、当然、雨が降ればその水が用水路の方に入っていくというような状態になっています。

 農水省として、この実態について報告を受けていてちゃんと把握をされているのか、どういう把握をしているか、教えてください。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、群馬用水で汚染物質を含む鉄鋼スラグが使用されている状況についての把握ということでございますけれども、お話にございましたように、独立行政法人水資源機構が管理している群馬用水で、平成十六年度から十八年度にかけて、大同特殊鋼株式会社の鉄鋼スラグを用水路の管理用道路の舗装材として使用した実績がある。その延長は、榛名幹線で〇・一キロメートル、赤城幹線で一・五キロメートルの計一・六キロメートルということであると承知をしております。

 水資源機構におきましては、早急に当該管理用道路に使用されました鉄鋼スラグ及びその道路の周辺の土壌について調査を行って、直近で聞いたところによりますと、三月下旬までに、判明する結果を踏まえて適切な措置を講じていく考えであるというふうに承知をしております。

 それから、先生のお話にございました農業用水との関係でございます。現場の形状ということでございますけれども、群馬用水の水路につきましては、まず水路自体がコンクリートで遮水された構造であるということ、それから、水路の側壁が管理用道路の路面より高くなっているということ、それから、管理用道路の勾配が水路の外側に向かって低くなっているという構造になっておりまして、一般的には、汚染物質が地下水あるいは雨水を通じて水路に混入するということは考えにくいという形状になっていると認識しております。

 ただ、農業用水につきましても、先ほど御説明になった環境基準に照らしまして確認していくということを念には念を入れてやるということが重要ではないかと考えておりまして、水資源機構におきまして必要な調査を早急に行って、その結果を踏まえた適切な対応をとるように求めてまいりたいと考えております。

石関分科員 さすが役人だから一般的にとおっしゃいましたけれども、ここを現地に行ってごらんになりましたか。

三浦政府参考人 申しわけございません。図面、写真によって確認をしておりますけれども、私自身、現地には赴いておりません。

石関分科員 何で行かないんだと言うつもりはないんです。

 ただ、一般的にとおっしゃったように、現に、例えば人が歩けば、むき出しですからそれをさわることもできるし、子供が遊びに行ってそこでごろごろしたらどうするのか、心配すれば切りがないし、非常に強い雨が降った場合には、今のような形状になっていたとしてもどういうことで水が入るかわからない、用水路ですから。コンクリートで遮蔽されていても、本当にそこに浸透していないのかどうか。

 下流で飲料水も含めてこの用水路を使っている皆さん、こういう皆さんにとっては、今の説明をされても、本当に大丈夫かと、こういう気持ちになるのが当然だと思いますし、また、これは今、計測を三月末までにするということでしたっけ。ちょっと正確にもう一回言ってください。

三浦政府参考人 説明が若干不十分で失礼いたしました。

 私が三月下旬までと申しましたのは、既にこの管理用道路それ自体に使用された鉄鋼スラグですとか、それからその道路周辺のスラグなり土壌、これについての調査を行って、これはもう三月下旬までに結果を出すということであると聞いておりまして、それが、先ほど申しました、三月下旬までに、判明する結果を踏まえて適切な措置を講じていく考えであると聞いているということを申し上げたところでございます。

 それで、農業用水の方はそういった調査にまだ入っておりませんので、先生の御指摘のような御懸念もあるということも十分踏まえまして、農業用水につきましても、この環境基準に照らして確認をしていくという、必要な調査を早急に行って、その結果を踏まえた対応をするように求めていくということとしたいということでございます。

石関分科員 その調査を踏まえてこれは至急やっていただきたいということなんですけれども、調査の結果、基準を超えて危ないということになった場合、あるいは、何らかのものが検出されたけれども基準は超えていませんという場合、この敷き詰められているスラグというのは、それぞれの場合にどのように扱っていく、どうするつもりなんですか。

三浦政府参考人 調査の結果を踏まえてということになりますけれども、まず、緊急の措置としては、人が通らないような状態にするといいますか、通行どめにしてスラグに触れられないようにするといった対応をとる必要があるのではないかと考えておりますけれども、一部市道として使われているところもあるやに伺っておりますので、関係の自治体との協議、調整といったことも必要になるかと思いますけれども、そういった所要の手続を経た上で、そういった鉄鋼スラグに触れるおそれのないような措置をとるというようなことが、緊急の措置としては、仮に調査結果がそういうものを求めるようなものが出た場合の措置としては、考えられるところではないかと思っております。

石関分科員 これは基準値を超えなければ大丈夫だということで、今お尋ねした中で後者の場合、その場合、そのままほっておかれてしまうんですか。それとも、誰かの責任で、そうはいってもこういういろいろ問題が見られる鉄鋼スラグというものなので、誰かがここを剥がして処理しようということになるのか。基準より下回っていれば、別に全然大丈夫ですということになってそのままになってしまうのか。どうなんでしょうか。

三浦政府参考人 現段階におきましては、調査がこれから結果が出てくる、あるいはこれから調査に入るものもあるという状況でございまして、今、それを踏まえた対応としてどうするということを決めているという状況ではございません。

 いずれにいたしましても、水資源機構を所管する国土交通省、あるいは、私ども農業用水を所掌しておりますけれども、水道水を所掌している厚生労働省、そういった関係機関と相談をいたしまして、適切な対応を検討していくということになろうと考えております。

石関分科員 もともと普通の砂利でやっていればこんなそもそも心配もなかったし、調べる必要もなかったということです。用水路の横の道でこれを使っているわけですから、住民の皆さんの心配というのも考えた上で、いずれにしても、適切に、十二分に対処をしていただきたいというふうに思うということ。

 また環境省に戻って御質問いたします。

 今それぞれ御答弁もいただく中で、この事件の概要と、それからスラグがどういうものなのかとか、こういうことについてはよく把握をお互いにできたと思います。

 これはこの前の予算委員会でも同趣旨のことを質問していますけれども、まず、スラグに限らず、再生資材の汚染を直接に防ぐ、こういう法律は今のところ日本にはないのかな、こういうふうに承知をしていますが、こういう理解でいいのかどうかということ。

 例えば、水質汚濁ということになれば水質汚濁の防止法、土壌汚染ということであれば土壌汚染の対策法、廃棄物であれば廃棄物の処理法ということですが、今回のように、リサイクル製品です、再生資源ですということになれば、これが改めて廃棄物だという認定を受けるか、あるいは、今お話をして答弁をいただいているように、水や土への汚染というものが確認をされなければ規制の対象にはならないんだ、こういう私の理解で正しいかどうか、教えてください。

梶原政府参考人 廃棄物をリサイクルしたものということになりますと、実際にそれによって環境保全上の問題が生じないかといったようなことも含めて、廃棄物から卒業しているかどうかというのを判断することになりますけれども、一旦廃棄物じゃないといったようなもの、それは通常の製品そのものでございます。

 どういったような材質を使って、どういった材料を使って製品をつくるかというのは、これはある意味事業者の自由なところでございますので、そういうプロダクツといったような概念になるものにつきましては、そういったような規制が今のところはないのではないかと思っております。

石関分科員 今の御答弁によると、今回のまさに鉄鋼スラグのような、廃棄物として処理すべきものではないかと思われるんですが、今回はそのプロダクトになっているということで、今回のまさに鉄鋼スラグのような場合には、事前にプロダクトなんだということになれば、こういうふうに汚染されているものでも防ぐ手だてはない、こういうことですよね。

梶原政府参考人 済みません、言葉足らずだったかもしれません。

 基本的には、廃棄物から卒業したものにつきましては、それはプロダクトとして概念するものでありますから、それについては廃棄物処理法からの外になりますということでございます。

 今回の件につきましては、先ほど答弁させていただいたところでございますけれども、群馬県が大同特殊鋼渋川工場並びに関連の会社に立入検査をしてございます。それで、その結果を今精査をしているというような段階だと聞いております。

 したがいまして、本件が廃棄物になるのかならないかについては今精査中で、まだ判断が出されていない段階であるということでございます。

石関分科員 今回のように、立入調査をして実際廃棄物だということになれば対処ができるけれども、さっきおっしゃったように、最初からプロダクトなんです、再生資源なんですということになっちゃうと、だから事前に防ぐものはないんですね。これはこれでいいわけですね。

 それで、今おっしゃったように群馬県が調査をしているということなんですが、アメリカの例でスーパーファンド法というのがあるので、これについてお考えをお聞きしたいと思います。

 このアメリカのスーパーファンド法、非常によくできた法律だなと思うんですが、日本の場合は、今のように、今回は群馬県ですが、調査をします。汚染が見つかったら自治体が調査をするという仕組みになっている。汚染の浄化というのは、見つかった場合には、基本的には地権者が行って、その費用、コストについては汚染の原因者に請求することができる、こういうふうに日本の法律ではなっています。

 これと違ってアメリカのスーパーファンド法というのは、連邦政府の環境保護庁、ここが強制的に調査を実施できる。汚染土壌の浄化もここが行います。そして、その費用を原因を発した人に請求をする。まず、誰の責任なんだという前に国の責任できれいにして、そして、その後の費用は請求をする。こういう仕組みだというふうに思っています。日本の今の法律、制度に比べると、非常にスピーディーで、まず危ないものを除去する、これができる法律なのかなというふうに思います。

 今回の場合は、地権者が業者に対して、汚染の原因が再生資材でありますよということをまず認めさせた上で、そして、賠償金額についてもその人が争わなければいけないということになるというふうに思います。

 この日米の法律、制度の違いというのは、私の今お話ししたような認識で正しいのかどうか、教えてください。

平岡政府参考人 米国の連邦スーパーファンド法でございますけれども、一九八〇年に制定されていまして、先生御指摘ございましたように、国が区域を指定し浄化をするということで、汚染原因者が負担して実施するということは基本でございますが、汚染原因者が不明等の場合には、環境保護庁自身が費用を基金から用いて汚染の除去等を行うというような仕組みでございまして、我が国の場合は、責任については同様だとは思いますが、一義的には、必要な措置については都道府県知事が事業者に対して指示をするという形でございます。それに対して、事業者に対する助成というものの制度は持ってございます。

石関分科員 大臣にお尋ねをします。

 今、やりとりも、改めてこの前の予算委員会に引き続いて分科会でも聞いていただきましたけれども、被害を受けた人の立場に立ってみたら、どういう言葉が適切かわかりませんけれども、日本の場合には随分まどろっこしいし、時間もかかるし、大変だなというふうに印象を受けます。

 アメリカはこのスーパーファンド法というものがあって、とにかく迅速だし、わからない場合も、この法に基づいて連邦政府の方がまず手を下すということですが、今御紹介をしたようなこの鉄鋼スラグの事件、同種のものが恐らくいろいろあるんだろうというふうに思います。新しい法の整備をして、アメリカをまねしろとは言いませんけれども、参考にしながら、迅速な手だてが講じられるような、そして、被害をこうむった人の立場に立ったような新しい法制度の仕組みをつくる、こういったお考えはございますでしょうか。

石原国務大臣 アメリカの場合は、信託で、税を特別な有害物質を出すところから最初のうち取ったんですね。それで根っこのお金ができた。今、日本の中で、残念ながら、そういう目的税をつくるような産業はないと思います。そうしますと、一般財源から補填しなければならない。ということは、信託をする意味というのは日本の場合はないんだと思います。

 委員の御指摘は、やはりグレーのときですよね、グレーのときにどうするかというお話だと思います。黒だと決まれば、間違いなく日本の今の法律体系で処理することができます。

 今回の事例に限って言うならば、汚染者負担の原則を最後まで貫くことはできるわけですね、上場企業でありますので。ただ、日本の法律も、調べてみますと、まだ決まっていないうちに都道府県知事が先に指令をして、有害であるということで除去して後から求償するという仕組みも、実は法律の中に入っています。しかし、日本はすぐ原因者が特定できていますので、原因者の側に言えば大体の場合払っているというケースがあります。

 今回のケース、調査をするということでございますので、それを見まして、どの程度の環境影響があるのかないのかを見きわめて、問題の推移を慎重にしっかり見守っていきたいと思っています。

石関分科員 大臣、ありがとうございます。

 最後に、雪の被害について農水省にお尋ねをいたします。

 その後、十四日の大雪で、僕は群馬県ですけれども、ビニールハウスの被害、八割から九割ぐらい、地域によっては倒壊をしています、雪の重みで。雪が降った後にまた雨になって、雨の重みで潰れたというのがほとんどのようでありましたが。これを機に、もうやっていられないから、また借金してやるのはできないとやめてしまう人も随分いるというふうに聞いています。

 ただ、もう一回頑張ろうという人が、またパイプを買ってこのビニールハウスを再建しなきゃいけないということなんですが、これはもう既に消費税アップを見越して随分買い占めをされていて、頼んでもいつ入るのかわからない、こういう現実があるということも聞いていますし、何か急に高くなったとか、そういう不届きのような話も聞こえてきます。

 こういったことをどこまで把握をされているのか、また、ほっておいたらやる気のある人ができなくなってしまうということになりますので、何らかの対策とか、指導がどこまでできるかわかりませんが、新しい資材を購入できる枠組みとか、何かお知恵があるのであれば、この実態の把握と、それからどういう対策を考えておられるか、教えてください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今回のあの大雪によりまして、これまでに、ビニールハウスでございますが、二月二十四日現在でございますが、全国で一万六千六百三十五件の被害が報告されております。

 今回の災害を受けまして、営農に必要なビニールハウス用のパイプ等の需要というものが、これが今先生御指摘のように集中するといったことが懸念されますことから、二月二十四日付で、当方から国内の主要パイプメーカーに対しまして、骨材の円滑な供給について協力要請を今行っているところでございます。

 また、この際どのぐらいの量が必要になるかといったようなことを、営農上の必要が出てまいりますので、現在、各県の普及組織等も活用しまして、パイプあるいはビニール等の資材のその必要な時期そしてまた量、これを把握しまして、これをパイプメーカーの方にフィードバックしていくというようなことを考えておりまして、各地で資材の不足が生じないよう、円滑な供給ができるよう、メーカーと連携してしっかりここの円滑な供給に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

石関分科員 ありがとうございます。

 やる気のある人がやめないで済むように、全力で取り組んでください。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて石関貴史君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

宮路主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井出庸生君。

井出分科員 結いの党、信州長野の井出庸生です。本日はよろしくお願いいたします。

 私からは、私きのう災害対策特別委員会の方でも二月十四日以降の大雪に対する対策を伺ってきたんですが、きょうは、その部分、農水省のかかわりのある部分について特化して伺いたいと思っております。

 まず、農水省のホームページをこれまで拝見してきたんですが、二月二十四日に五つの項目の対策を立ち上げていただきましたことを大変感謝しております。今まだ被害の把握ですとか、なお大量の除雪をやっている地元の人にとっては、一つの励みの材料になったと思っております。

 きょう私、そのホームページを印刷して持ってきたんですが、その五つの項目のことをやるということはわかりました。ただ、しかしながら、例えば、いつからいつまでにどれだけのことをやっていくのか、もっと言えば、こういった五つの項目が、どういう要望、どういう被害を受けて、それに応える形で始まったのかということを説明していただくことが、今回の補助事業には限らないんですけれども、行政の取り組みに対して、対象にかかわってくるような人たちが利用しやすい、調べやすくなってくるのではないかと思っております。

 ですから、まず、きょうは、この二月二十四日にお示しをいただいた五つの項目について、今の段階で御説明いただける具体的な設計を御説明いただきたいと思っております。

 まず一つ目、災害関連資金の無利子化、農林漁業セーフティーネット資金等の災害関連資金の貸付利子を貸し付け当初五年間無利子とする、この件について御説明を伺います。

奥原政府参考人 お答えをいたします。

 二十四日に決定いたしました支援策におきまして、融資につきましては、災害関連資金の貸付利子を貸し付け当初五年間無利子にするという措置を講じることにしたところでございます。

 具体的な無利子化の対象資金でございますけれども、一つは、日本政策金融公庫のスーパーL資金でございます。これは、認定農業者が経営改善に必要な投資を行うための資金でございます。それから、同じく公庫の経営体育成強化資金。これは、認定農業者以外の農業者につきましても利用可能な資金でございます。それから、農林漁業施設資金。これは、被災をしました施設ですとか果樹の復旧を図るための資金でございます。それから、農林漁業セーフティーネット資金。これは、経営を維持するために運転資金を融通するものでございます。それから、農業基盤整備資金。これは、災害によりまして流失、埋没をした農業基盤施設等の復旧を図るための資金でございます。それから、農業近代化資金。これは、民間資金を原資といたしまして経営改善に必要な資金を融通するものでございます。

 こういった資金が対象でございまして、被災農業者の利用ができるいろいろな資金をカバーしているところでございます。

 今回の被災農業者の方が、災害に遭ったという罹災証明書の発行を市町村の方から受けまして融資機関に申し込めば、この無利子資金の利用が可能になるという仕組みでございます。

 それから、この無利子化の措置につきましては、被災時までさかのぼって適用するということでございますので、決定をして発表いたしましたのはおととい、二月二十四日でございますが、この支援策の決定前に対象資金を借りた方であっても、この罹災証明書があれば無利子化が適用されるということになります。

 それから、無利子化の対象となる災害につきましてはこの冬の大雪ということで考えておりますので、この二月に入ってからの大雪というだけではなくて、昨年の十一月以降、各地で大雪の被害が出ておりますが、そういった被災された農業者も対象になる、こういうことでございます。

井出分科員 今、被災のときにまでさかのぼってというお話で、昨年十一月までさかのぼっていただくと。

 もう一つ、各地域ということで伺いたいんですが、そうしますと、各地域は、今回の関東甲信に限らず、雪害がこの冬見られた、雪の降った地帯ということでよろしいんでしょうか。

奥原政府参考人 そのとおりでございます。

井出分科員 もう一点、貸し付け当初、無利子を五年間にするという決定の経緯といいますか、そこのところを伺いたいんです。

 事前に伺ったところですと、過去の台風ですとかそういった災害に対して五年という期間というのは、それなりに御配慮をいただいたというようなお話も聞いているんですが、今回、本当に場所によっては観測史上例を見ない、類を見ないような大雪ということで、この五年間というところの決定のいきさつ、根拠を改めてお願いいたします。

奥原政府参考人 資金の無利子化措置でございますが、これまでも、激甚災害になるですとか、あるいは過去に前例のないような災害が起きたときにはこの無利子化の措置を発動しておりまして、そのときから当初五年間という設計になっております。

 それは、やはり、災害に遭われた当初はなかなか資金繰り等が難しいわけでございますが、五年程度たてばだんだん回復して軌道に乗ってくるということもございまして、当初五年間という設計で、従来から大きい災害に遭ったときに発動しておりまして、それを今回も発動したということでございます。

井出分科員 ありがとうございます。

 私の地元では、この五年について、もう少し長い目で見てくれないかというような声もありまして、そういった声もあることをここでお伝えして、次の、農業用ハウスの再建、修繕への助成、先ほど石関委員からも御質問あった件ですが、これについて伺います。

 この農業用ハウスの倒壊については、その撤去から経費を助成する。特に、先ほど石関委員からも質問のありました、私も、結局、資材の確保と、ハウスを建てる人、その人員の不足も懸念をしているんですが、このあたりは、特に国の方で何か関係機関とかに呼びかけをできるようなことというのはございますでしょうか。

奥原政府参考人 この経営体育成支援事業そのものはそういったことが対象になっているわけではございませんが、実際にこの事業を使いましてハウスを再建するということになれば、御指摘のとおり、資材をきちんと調達する、それから、その作業のための人員の確保も必要になる、当然そういうことになりますので、そこは、いろいろな業界との関係もございますが、働きかけをしまして、復旧のための事業がきちんとできるように措置をしていきたいというふうに考えております。

井出分科員 もう一点、こちらのハウスの方は、この二月十四日からということでよろしいんですか。この冬ということではなくて、二月十四日ということでしょうか。

奥原政府参考人 この経営体育成支援事業も、先ほどの無利子化と同じでございまして、この冬の大雪による被害について適用されるということになります。

井出分科員 では、この冬、既に壊れて建て直したものについては、何かそれなりの証明ができればということですね。わかりました。

 あともう一つ、このハウスの関連で伺いたいのですが、その中にある苗ですね。

 私の地元では、ハウスが壊れていることは遠目から見られるんですが、まだ畑に雪が多くて近くまで立ち寄れない、実際に中は入ってみないとわからないという声もあります。また、春の野菜ですとか、これから、例えば四月に入ればお米の苗を育てていくような時期にも入って、そこまでにハウスは何としても再建したいと。苗も、通年であれば、苗を育てるところから農家の皆さんは作業に入るようなんですけれども、苗を育てるのはもう間に合わない農作物もある。だから、苗は既存のものを調達するというような声も聞いているんです。

 この苗の確保ですとかそのあたりの面について、ハウスの事業とは恐らく別になるのかと思うんですけれども、何か議論、御検討があれば伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今、井出先生の方からお話しございました点でございますが、二つに分けて考えようかと思っております。

 一つは、先ほども出ておりましたが、ビニールハウスにつきましても、これまで一万六千を超えるものに被害が出ておりまして、これにつきまして、パイプメーカーに対しまして、骨材の円滑な供給についての協力要請を今行っております。

 そうしますと、一遍に集中しますものですから、先ほど先生の方から御質問ありましたように、本当にこの三月、四月、育苗に必要なものと、またそうでないもの、ちょっと時間的な余裕のあるものというような分け方もできるかと思っておりまして、実は、そういうことを今、県の普及組織を活用しまして、量と時期の把握を行っておるところでございます。

 その上で、なかなかこのようなマッチングをしても間に合わないものについては、そういう見込みがなさそうなものについては、これから播種の時期になりますものですから、何とか苗を用意しなきゃいけないと思っておりまして、これについては、関係県、いろいろなところと相談いたしまして、連携を図りながら、苗の円滑な供給にどのようなことができるか、今いろいろと関係方面と相談しておる、こういうような状況でございます。

井出分科員 今、関係県と相談をしていただいているということで、恐らく雪が解けてからわかってくる被害が大きいかと思いますので、対応できることがあればぜひ対応していただきますようにお願いをいたします。

 次に、三項目めの共同利用施設への助成。雪害を受けた産地に対して、別枠で集出荷貯蔵施設等共同利用施設の整備を優先的にやっていく。

 私は、今回、雪害で被害を受けたそういった共同施設、どういったものを想定しているのかも含めて、ちょっと御説明をいただきたいと思います。お願いいたします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今回の対策で発表いたしました強い農業づくり交付金という事業がございまして、これは、今先生の御質問がありましたが、選果場でありますとか処理加工施設でありますとか、そういった共同利用の施設を整備する事業でございまして、補助率二分の一以内で、都道府県向けの交付金として扱っておるわけでございます。

 先ほど経営局長の方から話がございましたように、今般の大雪によりましてこの共同利用施設が大きな被害を受けているといったような実態に鑑みまして、強い農業づくり交付金、いろいろな要望が上がってくるわけですが、まずは、雪害を受けた産地が安心して整備計画が検討できるよう、平成二十六年度の強い農業づくり交付金、予算額二百三十四億円を予算案として計上しておりますが、この一部につきまして留保しまして別枠で執行する措置、こういうことを考えているところでございます。

 雪害でございますので、まだまだ雪が深くて、どのくらいの被害になったのかわからないといったような状況がございますので、具体的な被災地域向けの交付のスケジュールあるいは運用方法、こういったものにつきましては現在検討しているところでございますが、とにかく、雪害を受けた産地がしっかり事業に取り組めるよう、できる限りのいろいろな工夫をしていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。

井出分科員 お金を、もともとあった二百三十四億円を一部留保して使っていく、そういうお話は大変理解できたんですが、今回の雪害で大きな被害の実態があることに鑑みてと。

 私の地元で聞いて回っているところだと、今回は、ハウスだったり、車を入れておくようなカーポートだったり、あと、簡易に建てた倉庫。逆に言えば、例えばしっかりした住宅ですとか、そういったところまでは全壊、半壊などの被害も少なかったと私は思っているんですけれども、何か、そういう貯蔵施設とか共同施設、選果場、処理場、今お話があったようなものでかなり被害がもう上がってきているということですか。そこをちょっと教えていただきたいんです。

佐藤政府参考人 山梨県あるいは群馬県の方から、こういった被害があったといったような報告を受けているところでございます。

井出分科員 わかりました。

 少し時間の兼ね合いもありますので、四項目めと五項目めの、果樹への助成、また被災農業法人等の雇用維持のための支援について、二つまとめて御説明いただければと思うんですが、お願いをいたします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず果樹関係でございますが、今回の大雪によりまして、先生の地元の長野県におきましては、これまで五千二百三十九棟の園芸作物のハウス等が倒壊するといったような甚大な被害が発生しているところでございまして、特に果樹では、ハウスの倒壊等に加えまして、倒木等の被害が出ている、このように承知しておるところでございます。

 この倒木等の被害を受けた果樹農家に対しまして、改植に必要な苗木代あるいは樹体の撤去費用等の経費、ブドウ、桃につきましては二分の一を補助するといったことを考えております。

 また、改植により生じる未収益期間、どうしても植えてもすぐ収益は出ませんものですから、未収益期間に要する肥料代や農薬代等の経費がかかってまいりますので、これにつきまして補助するということで、四年間、五万円ということで、十アール当たり二十万円を補助するといったような支援を考えているところでございます。

 これだけではなくて、今回、新たな対策として、改植を行う場合、果樹棚の設置等に必要な資材導入費、こういったものも要することになりますので、これにつきましても二分の一を補助するといったようなことで、園地の復旧に努めていきたい、このように考えておるところでございます。

奥原政府参考人 続けて、五項目めの雇用の関係でございます。

 今般の豪雪被害を受けた農業法人がかなりございまして、法人の場合には、従業員を雇われておりますので、この方々を解雇しないで雇用を維持していくということも必要でございます。このために、農の雇用事業により支援を行うということを決定しております。

 この事業の支援対象は、自分が雇用している職員の方をほかの農業法人の方に、あるいは異業種の法人に対して研修生として派遣するということをやった場合に、その法人に対して助成が行われます。

 この事業の支援期間は、被災後、研修を開始した日から当然始まることになりまして、支援の中身でございますけれども、派遣元の農業法人の方に対しまして、月最大で十万円、それから期間としては三カ月から二年間の間、この間助成金が支給をされる、こういう仕組みでございます。

 それから、今回被害を受けました法人の方からの御要望がいろいろございまして、従来の農の雇用事業ですと、これでやる場合には一つの法人からは一人ということになっておりますが、今回、被災を受けた場合には、これに限定をせずに、同時に複数の方を研修生として派遣することができるようにするといったこともやっておりますし、それから、派遣元の農業法人が受け入れ法人の方に支払う研修生の指導に要する経費、これも支援の対象に加えるといった見直しを行っているところでございます。

井出分科員 今、五つの項目について詳しく御説明していただいたと思っておりますが、御説明いただいたもの、後ほどまたお伺いをしますけれども、それが農業関係者、被災した地域に伝わらなければ全くそういった制度がうまく使えないわけであって、そこのあたりをしっかりやっていただきたいと私の方から今この段階でもお願いをさせていただきます。

 そして、冒頭にも申し上げたんですが、今回の雪害は、まだ雪がかなり残っている。きょうこの時間だって除雪をやっている方、かなりたくさんの方が連日、もう一週間、十日近くになりますがやっておりますし、そうした中で、雪が解けて初めて被害の実態がわかってくる。

 そういう意味では、私は、今回の大雪の被害というのは、これからが本当にわかってくることが多いと思っているんですが、被害の実態調査、把握を今後どのようにやっていくのか、また、これからどんどん被害が、私は大きい数字が出てくると思っておりますが、そういった認識、同じような認識をお持ちであるかないかを伺います。よろしくお願いします。

奥原政府参考人 二月二十四日の時点で各都道府県から報告をいただいております数字を集計いたしますと、ビニールハウスの損壊が三十二都道府県で一万六千六百三十五件、それから農作物等の損傷が二十五都府県で四千四百二十三ヘクタールというのが現在の報告の集計数字でございます。

 ただ、御指摘がございましたように、雪解けが進めば当然被害がさらに明らかになってくる、そういう話に当然なってくると思いますので、今後とも、都道府県とは連携を密にいたしまして、この被害状況は逐次できるだけ正確に把握をして、その数字も定期的に公表もさせていただきたいというふうに考えております。

井出分科員 こういう大きな災害がありましたときは、発生直後は緊急対応に追われますけれども、その後、そういった物的被害、また、農業関係を離れれば、本当に大きい災害のときに、人的な被害ですとかそういったものを、各市町村、都道府県が、毎朝ですとか夜ですとか、定期的に集計をするかと思うんです。

 今回は、その集計の時期を、ある程度長い目で、台風とかそういったものより、被害の把握の集計をとって発表する時期を少し長目に考えていただきたいと思っておりますが、そのあたりのお考えはいかがでしょうか。

奥原政府参考人 その点も含めて、十分配慮をさせていただきたいと思います。

井出分科員 くれぐれもよろしくお願いをいたします。

 次に、今回、五項目の対策をやっていただいた、ただ、しかしながら、印刷をしてみても、こういう状況ですと、ちょっと字が小さいぞ、そういう思いを持たれる方もいらっしゃると思って、その周知の部分、これを大臣にも伺いたいのです。

 今それぞれ御担当の方から御答弁いただきまして、もっと農水省として、ホームページですとか、自治体、農業関係者向けにわかりやすい資料をつくったりですとか、周知の仕方が、もう今の段階でもすぐにできることがあるのではないかと私は考えておりますが、大臣のお考えをお伺いします。

林国務大臣 今回は、今御質問していただいたように、月曜日に決定をさせていただきました。

 この場でも申し上げておきたいんですが、月曜日に決めたことがこれで終わりではなくて、これは被害の全容が、先ほどやりとりしていただいたように、まだ全部が見える前に早目にまずできることを決めよう、そのことで営農を継続してもらおうという気持ちをやはり支えていきたい。私も日曜日に山梨に入りまして、ぜひそういうことをというお声が大きかったものですから、やっていただきました。

 したがって、今後も、被害状況がさらに明らかになると同時に、追加的なものも検討する、このことをまず申し上げた上で、今度決まったことについては、記者発表を行って、報道機関を通じて積極的に報道してもらおうということ。それから、今お話しいただいたように、地方農政局から都道府県経由で関係市町村に周知をされるように依頼をしたということ。もう一つ、例えば日本農業法人協会というのがありまして、今回被災された方は法人の方も随分いらっしゃるので、実はそこからもこういうことをやってくれという御要請をいただいていたわけですが、その日本農業法人協会等の団体を通じて、その傘下の会員の皆さんに通知をしていただく、こういうことも依頼をしております。

 ホームページも、今お話があったように、もう少し大きい字になるように、拡大コピーすればいいのかもしれませんが、やっていかなければいけないと思っておりまして、農家の方がさてどうしようかというときに、どこかに行けば必ずわかるということに努めていきたい、こういうふうに思っております。

井出分科員 今大臣からお話がありましたように、まずやるべきことを決めて発表していただいてということは、非常に農業関係者にとって心強いことだったと私も思います。雪害、災害の対応に追われているときに、国や市町村が何をやってくれるのか、それをまず今回示していただいた。

 そうしたら今度は、いつからいつまでにどのぐらいのをというようなことをさらにわかりやすく、その利用の方法ですとか、例えば、現場の状況を写真に撮っておいたり、先に支払いをしたら領収書とかそういったものが必要になるとも聞いておりますけれども、全てを難しく専門用語で書くというよりは、ふだんの簡単な言葉でも結構ですし、ホームページにかかわらず、今いろいろほかにもインターネットの媒体もありますし、話すような口調のものでも結構ですから、とにかくわかりやすいものを出していただきたいと思っておりますが、そのあたりの御認識をもう一度お伺いします。

林国務大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、農家の方が見て、ああなるほど、これを使おうということがわかりやすくなるように、QアンドA方式にするとか、それから、どこかに相談に行って、そこであなたの場合はこういうことがありますよみたいなことが、先ほどの団体経由になるのか、いろいろなことを工夫しなければいけない、こういうふうに思っております。

 ここまでのメニューを用意して、また追加的にメニューがふえていくこともあろうかと思いますので、なるべく利用者から見てわかりやすいような周知それから説明の仕方というのを心がけていきたい、こういうふうに思っております。

井出分科員 ありがとうございます。

 通告をさせていただいた質問は以上なんですが、一つ私の方から問題を提起させていただきたくて、今回、被災地を回っている中で聞いた声の中で、こういった財政的支援も非常にありがたい、そういう声も多かったんですが、そうした中で、これから農業の部分の防災、減災。

 雪が降ったときに、今回、雪かきを物すごくやってハウスを守った方も、私の知っている中にいるんですね。十四日の夜から二時間置きに十回ぐらいやって、それを何かインターネットで発信していたものですから、私はたまたまそれを見ていたんですけれども、ハウスが近かったということもあるでしょうし、若い方だったのでできたということもあるんですが。

 一つ、私のところに来ている声として、やはり、潰れたハウスを建て直すことも大事なんですが、リスクを管理できる農業について、被災した地域はもちろんなんですが、災害地域以外の農業者または消費者も含めて向き合う機会にしてほしい、こういう声をいただいております。

 本当に大きな災害、今回もそうですが、この緊急対策をやっていくということは非常に大事だと思いますし、ただ、そうした中で、では今度同じようなことがあったときに常に減災、防災できるというような検証ですとか、防災の面も一つ考えていただきたいんですが、大臣にお考えをいただきたいと思います。

林国務大臣 大変大事な御指摘だと思いますし、今委員からお話があったように、一生懸命雪かきをして何とか守ったという方もいらっしゃるということです。

 今回の場合は、ふだん余り雪が降らないところに想定外の雪が降ったということですが、一度こういうことが起きたわけでございますので、今後はどういうふうにすれば、同じようなものが来る可能性がどれだけあるのかというところもありますけれども、こういうことがもう一回起こった場合に、ちゃんと、こういう大きな被害につながらないようにどういうことができるのかということは、今回の経験を教訓にしてしっかりとやっていかなければいけないと思っております。

井出分科員 では、時間になりましたので終わります。本日はどうもありがとうございました。

宮路主査 これにて井出庸生君の質疑は終了いたしました。

 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)分科員 民主党の黄川田徹であります。

 本日は、農林水産省の中でも林業について、通告に従い順次質問していきたいと思います。

 まずもって、御案内のとおりでございますが、我が国は世界でも有数の森林国でありますし、そしてまた、戦後造成した人工林、これは充実期、伐期を迎えておるところであります。

 そこで、林業については、本当に取り巻く環境は厳しいわけでありますけれども、その現状をどのように認識しておられるか。そしてまた、戦後からの木材の自給率、木材の価格の推移、これまで取り組んできた政策についてもあわせて言及していただきたいと思います。

林国務大臣 今、黄川田先生がおっしゃっていただきましたように、先輩方のおかげで、今森林が充実して伐期に入ってきているということでございます。

 振り返ってみますと、戦後間もないころは大変木材需要が旺盛であったわけで、これに対応して供給を行ってきたわけですが、その後、昭和五十五年以降は木材価格が長期低迷する、こういうことがありまして、林業生産活動が低迷し、結果として、平成十四年でございますが、木材自給率一八・二%まで低下をしたということでございます。

 こういう背景の中で、農林水産省としても、まず地球温暖化の防止にも貢献をする間伐等の森林整備、これを進めるということ、国産材に対応した木材加工技術の開発、それから流通、加工体制の整備、こういう施策を講じてきたところでございまして、その成果もあって、木材自給率は近年は上昇傾向にございまして、平成二十四年には二七・九%ということでございますので、一番低かった十四年からおよそテンポイントぐらい戻してきたということでございます。

 これでいいというわけにはいきませんので、冒頭申し上げましたように、戦後ずっと造成した人工林が本格的な利用期を迎えてきておりまして、豊富な森林資源、これを循環利用して林業の成長産業化を実現することが重要な課題だと考えております。

 森を守るというと切らないというふうになりがちなんですが、切って使うことが、循環を促すことによって森を守っていく、こういうふうになるということもいろいろなところで発信をさせていただいているところでございます。

 昨年の十二月に官邸の本部で農林水産業・地域の活力創造プランを決めさせていただきましたが、これに即して、例えばCLT、クロス・ラミネーテッド・ティンバーという直交集成板、こういった新たな製品や技術を早期に実用化することによりまして木材の需要をつくっていくということ、そしてサプライサイドでも、国産材の安定的かつ効率的な供給体制をつくっていく、両面で総合的に取り組んでいきたいと思っているところでございます。

黄川田(徹)分科員 大臣が今お触れになったとおり、天然林と人工林は違いまして、これは手を入れないと循環型社会は到来しないということであります。そしてまた、政策も、山、植林の部分、伐採の部分から、川でいえば上流から下流まで、製材、加工そして流通と、しっかりと満遍なく取り組んでいかなきゃならない、こう思っております。

 そしてまた、戦後は、本当に山は宝の山といいますか、例えば、当時は財政も厳しかった基礎自治体にあっては、学校林といいますか、山に木を植えて、それを伐採して、そして教育施設に使うとか、あるいはまた、昭和の合併、昭和三十年前後でありますけれども、市町村合併の際に、負債を抱えた市町村とは合併したくない、うちらは山を持っている、自分たちで使うということで、特別地方公共団体という形ですか、財産区という形をつくってきたということ、それから、生産意欲もありましたので、生産森林組合というもので組織立てをして、みんなで頑張ってきたということであります。

 しかしながら、現状は、生産森林組合も解散してしまったところ、あるいはまた学校林はどこへ行ったんだというところ、あるいはまた財産区、それぞれ独自で拡大造林からそして再造林と一生懸命頑張ってきたんですけれども、結果とすれば、その市町村の、例えば市であれば市有林、町であれば町有林に変わっていったということだ、こう思っております。

 いずれ、昭和三十九年の木材の輸入自由化ですか、五十五年のときには一番木価が高かったんですかね、杉であれば四万近く、今は一万ぐらいですか、大体、杉もヒノキも四分の一ぐらいになっておるはずであります。いずれ、市場原理ですから、外国の丸太と日本の丸太、大体どっこいどっこいやれるかなというところの中での自給率が上がってきたというところがあるかもしれませんが、素材で輸入されるというだけじゃなくて、加工したものとしてまたうちにも入ってくる。これはもう市場原理ですから。だから、そういう中でもしっかりと体力をつけていかなきゃならない、こう思っております。

 それからまた、お触れになりましたけれども、地球温暖化に対して、やはり森林の多面的機能というんですか公益的機能というんですか、そういう意味合いの中でもしっかりと国としても支援をしていかなきゃならない、こう思っております。

 そこで、山はまず頑張っているんだけれども、そこの担い手の部分はどうなんだというところを次にお尋ねいたしたいと思います。

 山村地域は高齢化そしてまた過疎化ということで大変厳しい状況にあるのでありますけれども、それを支える森林組合あるいはまた森林従事者の方々の状況、これをどのように考えているか。しっかりと支援していかなきゃならないと思うわけでありますが、お答えいただきたいと思います。

小里大臣政務官 私のうちも実は林業経営者の一人でございますが、御指摘のとおり、これをいかに担っていくか、大変大きな課題であります。

 森林の育成、林業の成長産業化を実現していくためには、その担い手の確保というのが大きな課題であります。そういった中で、森林組合の果たす役割というものは非常に大きなものがあると認識をしております。その森林組合数が七百程度で推移をしております。また、経営基盤が脆弱な森林組合も目立つところでありまして、その立て直し、あるいはまた施業の集約化などをどう進めていくか、大変大きな課題であると認識をしております。

 林業従事者を見てみますと、長期的には大きく減少をしているところでございますが、近年は五万人程度で下げどまっていると認識をしております。

 農林省としましては、施業集約化を担う人材の育成、高性能林業機械の導入への助成、そして、何よりまた、緑の雇用事業による現場技能者の育成等を進めておりまして、今後とも、こういった施策を総動員して、しっかりと担い手の育成を図ってまいります。

黄川田(徹)分科員 小里政務官は九州の方ということで、私は東北の人間ということで、日本でいえば九州、そして東北、北海道、しっかり林業施策に基づいて頑張っていかなきゃならない、こう思うわけであります。

 先ほどお話しのとおり、林業従事者は五万人、海、浜の方は大体二十万人ということでございますか、なかなか個人で山を経営するというのは大変厳しい時代になってきまして、やはり森林組合の果たす役割は本当に大事だと思っていました。

 それから、やはり、小さな森林組合ではなくて、体力のある森林組合というふうに変わっていかなきゃならないとも思っておりますし、そしてまた、緑の雇用ですか、もうこれも十年近くになりますか、森林組合にしっかりと根づいて働く人たちも出てきましたし、やはり担い手の本当に大きなところを占める方々だ、こう思っております。あとは、現場で働く人たちの技能向上のためにもさらなる政策が必要だと思っていました。

 ちょっと通告していないのでありますけれども、山でちょっと心配なのは、市町村に住んでいない不在山林所有者といいますか、こういう方々の山が結構ふえてきているのではないかと危惧しているんですよ。平均するとどうなるかわかりませんけれども、何か四割近くまで行っているんじゃないのかという話もあるものですから、不在者の方々がいる中で、どうやって地域とともに山を守っていくか、整備していくか、利活用していくかという課題があるんですが、その辺の認識はどうでしょうか。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘いただきました不在村の森林所有者でございますけれども、その地域に住んでいない、その市町村の中に住んでいらっしゃらない森林所有者ということになりますと、二割強ぐらいだというふうに記憶しております。やはり、すぐ自分の山に行けない森林所有者という方になりますと、なかなか、自分の山の管理がおろそかになりがちだという傾向にはあろうかと思っております。

 ただ、そういった中にありましても、今先生御指摘の、それぞれの地域の森林組合、そういった方々が不在村の方々にもお知らせをしたり、例えば、森林組合として、こういった山、まだちょっと手入れ不足のところがありますけれどもいかがでしょうか、そういったあっせんをやることによりまして地域全体としての森林整備を進めていく必要があろうかと思っておりまして、そういった意味でも、地域の森林組合というのは重要な担い手だというふうに認識しているところでございます。

黄川田(徹)分科員 山の整備は、個々の林家がやるというよりも、やはり団地化といいますか、まとまってやることによって効果が出てきますので、その辺、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。農業でいえばよく耕作放棄地と言われますけれども、林地の方も何か放棄地みたいな林地にならないように、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 それで、具体的に、森林整備の実績といいますか、基本的には除間伐が大事だと思うのでありますけれども、この十年間、人工林の整備、どのような手を加えてきたか、その実績も含めてお尋ねいたしたいと思います。

沼田政府参考人 間伐を初めとした森林整備の実績の件でございますけれども、私ども、ここ十年ほど、いわゆる間伐を重点的にやっていく必要があるだろうというようなことがございまして、取り組ませていただいているところでございます。

 最近十年間の間伐の実績でありますが、合計で四百五十万ヘクタールを超えておりまして、年平均にいたしますと四十五万ヘクタールということになっております。

 ただ、京都議定書の第一約束期間が始まりました平成二十年度以降でございますが、ここからは年平均五十五万ヘクタールということで、我が国が目標としております数値を達成することができる見込みだというふうに考えているところでございます。

 私どもとしても、間伐等の森林施業を積極的に推進して、森林の多面的機能の発揮を図ってまいりたいと考えているところでございます。

黄川田(徹)分科員 山を育てるというのは人を育てるようなもので、植林の前に準備、地ごしらえ、それから、植林しますと保育、つる切り、除伐、間伐と本当に手がかかるわけでありますし、間伐も一回やればいいというわけじゃなくて、美林となるためには本当に手間暇をかけなきゃならない、こう思っております。

 それから、生産意欲といいますか、大きくない土地といいますか、林家として規模の小さいところはみずからやるというのも大変なので、やはり国、自治体からの補助をいただきながらやっていかないとそのままの山になっちゃうということで、補助率とか大分よくなっている部分もありますけれども、いずれ、先ほど言ったとおり、団地化する中、計画をしっかりさせる中で取り組んでいただきたいと思います。

 それから、先ほど大臣からも、整備に関してはやはり機械化とかあるいはまた路網の整備ということで、民主党として総理をされた菅さんも、路網の整備が大事だということでオーストリアとかドイツを見てきたわけであります。やはり、路網といっても、林道というんじゃなくて作業道、これをしっかりと整備していくということ。それから、高度な林業機械をしっかりと導入して、若い担い手が力を発揮できる、そんなふうなところで頑張っていただきたいと思います。これは要望にしておきたいと思います。

 それで、次は質問になります。

 林業公社といいますか、森林公社と言うところもありますか、都道府県に大体一つぐらいあったわけでありまして、しかしながら、御多分に漏れず、山の維持管理が大変だということで、かつて、全国合わせるとたしか一兆円近くの負債といいますか債務があったような気がいたします。

 この公社の問題なんですけれども、厳しい経営状況でありますけれども、これの認識といいますか、どういう形で農水省としても対応してきたか、お尋ねいたします。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 林業公社でございますけれども、現在三十一都道府県で三十三の公社がございます。その三十三の公社の債務残高というのは、約八千七百億円という状況になっております。

 この林業公社の経営でございますけれども、木材価格の長期にわたる低迷、それから借入金残高の累増によりまして、全体として厳しい状況にございます。一部の林業公社におきましては、存廃を含む抜本的な経営の見直しを行ってきているところでございます。

 私どもといたしましては、やはり林業公社、きちんとした役割を果たしていただいておりますので、公社の経営の健全化を図るために、分収林の契約を変更して伐採時期を延期できるよう契約者に働きかけを行う取り組みに対する支援、分収林契約適正化事業と申しておりますけれども、そういった事業でありますとか、あるいは、日本政策金融公庫によります長期かつ低利の資金への借りかえによる償還期間の実質的な延長等の措置、こういったものを講じさせていただいております。また、林業公社に利子補給等を行う都道府県に対しましては、別途、特別交付税措置が講じられているところでございます。

 私どもとしても、林業公社の経営の健全のために必要な支援策というものをきちんと果たしていきたいというふうに考えているところでございます。

黄川田(徹)分科員 林業公社の中で大部分は、分収林の契約といいますか、もう伐期は来たので早く切って、大体六、四とかですか、お金を下さいということなんでしょうけれども、しかしながら、売ってもなかなか現金として届いてこないというか思ったほどの収益が上がらないというところがあって、長伐期契約ですか、例えば三十年ぐらいで契約したのは五十年とか、五十年は七十年とか、そんな形でやっている。

 実は、私は常任委員会は総務なものですから、総務委員会ということで、公社も含めて、第三セクター等改革推進債、地方債を発行して早目の対応ができるんじゃないのかということで、実はこれは平成二十一年度から五年間ということで二十五年度までなんですけれども、今回、三年延長するということで、総務省の方でも支えてもらうというような形になっていると思います。

 それで、次に、残り時間も少なくなりましたので、バイオマス利用の推進についてということでお尋ねいたしたいと思います。

 森林・林業の再生には、木材需要の拡大、これが不可欠でありまして、木質バイオマスの利用も有効と考えるわけでございます。このバイオマス利用の現状、推進に向けて、その取り組みをお尋ねいたしたいと思います。

 分科会でありますので、岩手県に関係した部分でも触れていただければと思います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、毎年伐採される立木の約半分に相当いたします約二千万立方メートルが林地内にそのままになっておりまして、実質的に未利用となっている状況にございます。

 このように利用されていない間伐材等の木質バイオマスを有効利用していくということにつきましては、森林整備やエネルギーの安定供給、さらには、地域における雇用の確保を通じた産業の振興に寄与するというふうに認識しているところでございます。

 そういったことで、私どもとしては、発電施設の整備に必要な資金の融通等の支援、それからボイラー等の熱供給施設の整備に対する支援、さらには木質バイオマスの利用促進に必要な調査等の支援も行っているところでございます。

 先生の御地元の岩手県でございますけれども、私どもの支援措置も活用していただいておるわけでございますけれども、宮古市旧川井村でございますけれども、未利用間伐材等を主燃料とする五千キロワット級の木質バイオマス発電施設が竣工したところでございまして、間もなく本格的な運転開始予定というふうになっております。また、釜石市でも、石炭火力発電施設の中で間伐材等をいわゆる混焼していただいているということが行われております。

 そういった意味で、非常に熱意を持って取り組んでいただいている地域でございますし、私どもとしても、そういった木質バイオマスを積極的に活用していただくことは、繰り返しになるかもしれませんが、地域の雇用にも大きな効果が出ているだろうというふうに思っております。

 私どもとしても、こういった岩手県の取り組みを含めて、全国各地の事例を参考にしながら、木質バイオマスの利用を積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。

黄川田(徹)分科員 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートいたしましたので、木材利用の機運も高まっておると思います。

 長官がお話しのとおり、岩手・川井村、合併して宮古市なんでありますが、ウッティかわいといいまして、川井村は当時三千、四千の小さな村でありましたけれども、林業経営で黒字になるというのはなかなか大変なんでありますけれども、優良企業としてこれまでも頑張ってきましたし、そしてまた、今度はバイオマスということで、いい事業を導入したな、こう思っております。

 それから、釜石市の方は、製鉄所、釜石製鉄なんでありますけれども、鉄をつくるだけじゃなくて発電もということで、もともと石炭発電なんでありますけれども、これにコークスと木材を混焼しながらやっていきたいということだと思っております。

 いずれ、言うはやすし、やってみて黒字だとか、なかなかすぐさまならないところがあるかもしれないけれども、やはり国土の三分の二以上は森林という、初めにお話ししたとおり、世界の中でも有数な森林国でありますので、利活用の進捗、しっかり進めていただきたい、こう思います。

 それでは、もう時間になりましたので、最後であります。

 東日本大震災発災から来月十一日で三年となります。被災者は、発災直後は避難場所ということで学校とか体育館におったのでありますけれども、応急仮設住宅の建設ということで、もちろんプレハブメーカーのさまざまな仮設住宅もありましたけれども、地元材を使った形での仮設住宅、地域密着型の応急仮設住宅ということで、岩手や福島でつくられました。

 私は陸前高田市というところなんでありますけれども、広域でいえば気仙広域というところであります。陸前高田市の隣には住田町というところがございまして、日本一の森林の町にしたいということで町長を筆頭に頑張っておるわけでありますけれども、そこで集成材工場、プレカット工場、さまざまございまして、実は戸建ての集成材の応急仮設住宅をつくったりもいたしました。

 そういう中で、やはりこれから応急仮設住宅から災害公営住宅、あるいはまた、被災者一人一人が住宅を再建していくということの中で、木材を使って、特に国産材、地域材を使って、森林整備と一体となって頑張っていくことが本当に大事だ、こう思っているわけであります。この災害公営住宅、あるいはまた住宅を再建する中で、この木材の利活用についてどのように農水省として対応しているか、お尋ねいたします。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地の住宅再建に当たりまして、その地域の木材、地域材を利用することは、被災地の森林整備でありますとか、雇用の確保による経済活性化に大きく貢献するものと考えております。

 このため、林野庁では、被災地の地方公共団体等に対しまして、災害公営住宅における地域材の利用促進、こういったものを働きかけさせていただいたところでございます。被災三県の災害公営住宅の整備計画がございますが、その計画の中で、戸数全体の四分の一、約五千八百戸でございますが、木造となっております。昨年十二月までに完成したものについての半分が木造ということになっている状況でございます。

 また、私どもとしては、さらに、被災地における木造住宅の推進という観点から、木材利用ポイント事業におきまして、ポイントのかさ上げを行っております。また、地域の協議会が実施する地域材で建設された住宅の見学会、こういったものに対する支援といった取り組みも実施させていただいているところでございます。

 また、被災三県におきましては、それぞれ独自に、一定以上地域材を住宅に使用した場合に県単の支援措置というようなことも講じていると承知しているところでございます。

 今後とも、関係省庁でありますとか地元自治体と連携いたしまして、被災地における地域材を活用した住宅建設、こういったものを積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。

黄川田(徹)分科員 長官がお話しのとおり、さまざまな取り組みがされておるようであります。いずれ、国、県、市町村が一体となって取り組んでいただきたいと思います。

 それから、一つ、懸念じゃないんですけれども、要望なんであります。

 実は、本格的な復興でありますけれども、津波被災地は、阪神・淡路大震災であれば瓦れきを片づければそこに住宅再建ができたんでありますけれども、津波が来ないところ、高台をしっかりつくってそこに再建でありますので、本格的な土地造成、これが来年度、二十六年度であります。

 ですから、二十六年度にさまざまな支援も大事なんでありますけれども、実は、二十七年度以降にそういうさまざまな需要が出てくるということであります。もちろん、予算でありますので、単年度主義といいますか、その都度その都度なんでありますけれども、いずれ、五年間の復興集中投資をやるということでありますので、それを見据えてしっかりと農水省としても支援されることを心から望みまして、時間でありますので、終わります。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて黄川田徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)分科員 衆議院議員の大島でございます。

 きょうは、三十分間の時間をいただきまして、何問か、主に今回の積雪被害を中心に質問をさせていただきます。

    〔主査退席、今村(雅)主査代理着席〕

 政治というのは私は土着だと思っていまして、それぞれの選挙区があって、そこに根づいて衆議院議員あるいは参議院議員の皆さんは政治をしていると思っています。この土着のそのものが農業だと思っています。今回も、積雪の被害を受けまして、二月十四日から東京では雪が降り始め、もちろん関東全域で雪が降り始めて、十五日の未明ぐらいに、これから質問するハウスを中心に大きな被害が出ています。

 私も関東で五十七年間生きているんですけれども、こんなに雪が降ったことはないんです。五十七年の人生でこんなにたくさん雪が降ったことはなくて、ほとんど埼玉県の公共施設もこんなにたくさん雪が降るという前提でつくっていないものですから、最近できた大きな体育館の屋根が落ちちゃったり、想定外の、余り想定外というのはよくないですね、想定を超えた積雪があったということをまず御理解ください。

 ですから、私もびっくりしています。天気予報ですと、前回降った雪の半分ぐらいかなというのが最初の天気予報で、安心していたんです。でも、十四日から降り始めて、特に関東では、十四日の夜ぐらい、要は深夜に雨に変わりまして、雨に変わると、降った雪が五十センチとか一メートルぐらいあったとすれば、この雪の中に雨の水がたまるわけなんです。相当な荷重がかかって、未明、夜中の大体三時とか五時ぐらいから、ハウス、ハウスでも二つありまして、ビニールハウスとガラスでできているハウスがあって、特にビニールハウスについてはぐしゃっと潰れてしまったり、これから写真で説明するんですけれども、ガラスのハウスについても、残ったところもあるんですけれども、ガラスが割れたり倒壊してしまったガラスのハウスもあって、結構な被害がその未明に起きています。

 私の知り合いも、大変だということで夜中の三時とか四時ごろ、ガラスハウスの中に入っていろいろと対応をとっていたところ、重みで雪と一緒にガラスが降ってくるわけですよ。そうすると、至るところにガラスが刺さるわけです。怖くなってすぐにハウスから出て、けががなかったということです。

 私の選挙区というのが、大宮の上でして、あと熊谷との真ん中で、長細い選挙区ですから、埼玉県の真ん中の選挙区でも気温の差があります。上尾というところはそれほど寒くない。徐々に北に向かっていくと寒くなって雪が多く積もり、そして、ハウスが倒壊したり被害がある。ですから、県北はもっと被害があって、大臣御承知のとおり、群馬県とか、群馬県はもともと空っ風ですから、冷たい雪は大体新潟で落ちてしまって空っ風として三国峠を越えて来るから、ほとんど雪が降らない群馬県、埼玉県、そして雪の余り降らない甲府盆地、ここに降ったことが、多きに面的にハウスが倒壊しているというのが今の実態だと思います。これは、日々、雪が解けてくるとともに被害額は大きくなってくると思います。

 埼玉県でも最初の被害額よりも今の被害額の方が相当大きくなっておりまして、お手元の資料の一ページ目を見てほしいんですけれども、ハウスの全景一、二、三とありまして、この一とか二というのが、専門用語だとパイプハウスというそうです、普通の用語ですとビニールハウスというこのハウス、これを建てかえるとすればどのくらいの値段がかかるかというところに着目してください。

 ハウスの全景一とか二のこのパイプハウスですと、大体、私たちが農家の人と話すときには一反とか一町歩という単位で話します。一反というのが三百坪です。ハウスの一とかハウスの二ですと大体坪二万ぐらいです。ですから、一反分ハウスを全部新しくすると、新しくするだけで、暖房機を入れて六百万ぐらいかかります。ハウスの三、こちらのハウスはしっかりとしたガラスのハウスですから、これは坪七万かかる。坪七万ですから、三百坪では二千百万かかります。ですから、一反当たり六百万から二千百万ぐらい、ハウスを新しくすると。そして、ビニールハウスとガラスのハウスの真ん中に、鉄骨なんですけれども、ガラスではなくてビニールで覆うという、ちょうど中間的なハウスがあって、それが坪五万ですから、新しくすると一反当たり一千五百万です。

 この値段です。六百万、一千五百万、二千百万ぐらい新たな投資が一反当たり必要だというところが、まず着目してほしい点なんです。

 次の、これはキュウリ農家です。キュウリ農家は、今A重油が大分上がってしまってきているので、前は暖房機でたいてできるだけ早くキュウリをつくっていたんですけれども、今は、苗をちょうどハウスの中で植えて、これから六十日間ぐらいかけて収穫に臨むという苗を植えた段階で雪でハウスが倒壊してしまった。

 次のページを見てください。この梨農家はなかなかやる気のある梨農家でして、四人から五人で梨農家の皆さんが集まって、二十年ぐらいかけて新しい梨の品種を、農事試験場ではなくて個人で新しい品種をつくって、今、農水省で二つぐらい新しい品種を認めていただいておりまして、そういうやる気のある農家なんです。

 埼玉県は、甲府とかとは違って、それほど一メーターを超えた雪は降っていないものですから、ちょうど棚の上ぐらいでとまっていて、ハウスは使い物にならなくなったんですけれども、どうにか棚までは傷んでいない状態。

 トマトについては、次のイチゴについても、この二つは十一月からボイラーをたいているわけです。十一月から十二月、一月と三カ月間ボイラーをたいて、A重油が今上がっていますから、一リッター九十円ぐらいのボイラーをずっとたき続けて、ようやくなんです。ようやくトマトも一つの房が出荷するところ、イチゴもようやくこれから出荷するところでハウスが倒壊してしまいましたから、出荷できなくなってしまったんです。

 要は、イチゴというのは、一つの苗から五月ぐらいまでとることができます。トマトは、一つ枝が出ると、これがずっと二十段ぐらい出て、大体夏の終わりぐらいまで収穫できるのがトマトです。

 ですから、これから五カ月間とか七カ月間かけて、これまで投入した苗代とかA重油の代金を回収するところで壊れてしまったので、これらの農家は当座の運転資金に今非常に困っている状態なんです。

 前回は、内閣委員会で先週の金曜日、質問させていただいたときには、金融庁に、その点の借りかえの条件変更については柔軟に対応してくれというお願いをさせていただきました。これが一つ。こういう状況なんです。

 設備投資で六百万、一千五百万、二千百万するときに、では、一反当たりどのくらいの収入があるかというのも、それぞれの農家でヒアリングをさせていただきました。農家を営んだことがないと、どのくらいの収入になるかわからないんですよ。トマト、イチゴ、キュウリの野菜ですと、売り上げが大体一反当たりキュウリだと五百万ぐらい。手元に残るのが百五十万ぐらいです。結構いい農家です、一反百五十万。

 ですから、野菜をつくっているところは、総売り上げ引くことの総コストで人件費を含めた粗利益というのかな、人件費を含めたものは一反当たり大体百万から二百万ぐらいです。花農家だと、二百万を超えて三百万ぐらいまでいくところがあります。大体これが、人件費含めて農家の売り上げです。ですから、しっかりやっていれば、一反やっているところは大体百五十万ぐらいかな、二反で三百万だ、三反やっていれば四百五十万で、一家族がちょうど食べられているというのが今の農家の実態です。

 ですから、今回の例えば一千五百万の設備投資をしようと考えたときに、一千五百か、そうすると、十年返済だと百五十万ずつ返済しなければいけませんから、売り上げが全て飛んでしまうわけです。六百万ぐらいの一番廉価なパイプハウスでも六十万の十年間の返済ですから、百五十万ぐらいしか残らないものですから、返済を六十万ずつしても、農家の収入としては大分落ちてしまうというのが今の現状なんです。

 その現状を踏まえて、今、農家は大分迷っています、どうするのか。

 やる気のある農家、やる気があるというのは後継者がいるところです、後継者がいるところは結構早く割り切って、壊れたパイプハウスは業者さんに頼んでどけていただいて、新しくパイプハウスをもうつくり始めています。でも、これは特殊な、本当にやる気のあるところです。ほかのところは、まだ手つかずのところが非常に多いのが実態なんです。

 もう一つは、やる気があるというのかな、若い人たちがやっているのはリーマン・ショック後だと思います。今の農家、こうやって私も何十軒各農家を訪問させていただいてヒアリングさせていただくと、四十歳前後の息子たちが継いでいるんです。皆さん、サラリーマンをやめて継いでいらっしゃる。恐らく、リーマン・ショック後に会社をやめて農業大学校に入って、一年か二年農業を勉強しておやじの農業を継いでいるという方が結構多くて、結構やる気があります。民間企業で鍛えられた計数処理とか、結構マーケティングとかできますから、本当にやる気がある人たちなんです。

 やる気あるその気持ちをなえさせないようにしなければいけないなというのが今回の私の質問の趣旨でして、こういう農家とともに、もう一つタイプがあるんです。

 それは、六十五歳以上、七十歳以上の方で、息子が継いでいない農家。関東の私のところでも大体一割から二割ぐらいいらっしゃると思う。県北の方、埼玉県でも北部に行くともっとそれが五割を超えてきて、恐らく、地方に行くと結構多いかもしれない。六十五歳、七十歳を超えて、今回の災害によってやめようかなというふうに思っていらっしゃる方も多いのも事実なんです。

 ですから、ここを切り分けながら対策について議論しなければいけないなと考えておりまして、きょうは環境省さんにも来ていただいて、農水省さんにも、大臣を含め政務三役の方あるいは局長の方に質問させていただくんですけれども、まず、ハウスが倒壊して、それに対する補助、助成制度があるかどうかということなんですよ。

 この間聞いたら、十分の三はしっかり農水省が見ていただけるよということだったんですけれども、手短にその点についてお答えください。

奥原政府参考人 二月二十四日に今回の大雪に対する特別支援対策を発表させていただいておりますが、この中で、被災者向けの経営体育成支援事業、こういうものを発動しておりまして、この中で、倒壊したハウス、これがある場合に、撤去費用、それからそれを再建するための費用、これを補助率十分の三で補助するという仕組みでございます。

大島(敦)分科員 局長、一点だけ、ここがポイントだと思うんですけれども、今回、農業をやめてしまう人もいるわけですよ。先ほど言っていた六十五歳以上、七十歳以上の方で、設備投資で少なくとも一反六百万はなかなかしんどい、一旦農業を閉めてしまおうという方に対してこの助成は使えるんでしょうか。

奥原政府参考人 この助成事業は、基本的に、農業を継続する方、この方の経営の再建を支援するという目的でございますので、農業をこの際やめるという方については支援の対象にはなりません。

大島(敦)分科員 林大臣、農業をこれから続ける方においては十分の三助成してくれる、ただ、ここでもう六十五、七十を超えていて、息子もいないから農家をやめてしまうという方については出ないそうなんですよ。

 それと、私も環境省さんに伺ったら、災害等廃棄物処理事業費補助金というのがあって、これは通常だと二分の一。通常の場合、あるいは、阪神・淡路大震災、東日本大震災ということで環境省さんが、これは市町村に対してそういう瓦れき処理をした場合には助成する制度があって、阪神・淡路とか東日本のときには九割ぐらい、九五%ぐらいかな、助成できたというのがあるので、今回農業をやめてしまう方、ハウスがそこにあるわけですから、そこの撤去というのが結構必要だと思うので、その点について、環境省さんとしてのお考えをお聞かせください。

浮島大臣政務官 今、大島委員の方からるるお話を伺っていまして、一番大切なのは、被害の実態に合わせて、関係省庁としっかりと連携をして支援を行っていかなければならないと私は考えているところでもございます。

 今お話にございました災害等廃棄物処理事業費の補助金ですけれども、この財政的な支援を、環境省として、市町村が主体となって行うものにさせていただいているところでもございますけれども、今回の大雪により倒壊してしまった農業用のハウス等の撤去を含む一連の処理につきましては、事業者自身が処理をする場合と、あとは、被害の実態に応じて市町村が主体となって処理をする場合も考えられると思っております。

 このため、しっかりと農水省さんとも連携をとりながら、円滑な支援ができるよう調整を行ってまいりたいと思っているところでございます。

大島(敦)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、農水省さんと連携をとって、できるだけ一〇〇%に近い形で市町村に助成をしていただきたいなと思っています。

 農家の方、蓄えがあるところもあるし、蓄えがそんなにないところもあると思います。ここのところがしっかり整わないと壊れたハウスがそのまま残ってしまうということになるものですから、農家をもしもやめようと考えている方に対しても環境省さんで対応をとっていただいて、プラスアルファそのほかにも、御承知のとおり、関東一円ですと、カーポートが壊れてしまって、自治体がそれを自主的に回収しているところもありますから、その点も踏まえて、農業プラスアルファのところで今回の災害について御対応いただきたいと思いますが、これは要望させていただきます。よろしくお願いいたします。

 農水省さんに伺いたいんです。経営体育成支援事業というのは、これは平成二十三年から始まった事業であるという確認と、もう一つは、十分の三なわけですよ。いろいろと農水省から聞いてみて、最初は、十分の三政府から補助金としていただいて、残り七割を借りればいいかなと思っていたわけです。

 いろいろな制度融資、さまざまなものがありまして、一個一個私も細かく勉強してみまして、農業経営基盤強化資金、経営体育成強化資金、農業近代化資金、農林漁業セーフティーネット資金、農林漁業施設資金とか、この五つぐらいが大体主なものなんですけれども、使い勝手がいいところと悪いところがありまして、おおむね、認定農業者じゃないと使い勝手が悪いというのが一つ。

 もう一つは、主業農業者でも使えるんだけれども、主業農業者というのは粗利益が二百万円以上なければいけないわけです。二百万というのは、さっき言ったとおり、一反当たり百万から二百万ぐらいですから、かかる人もいるし、かからない人もいると思う。

 一番あまねくみんなに使っていただくのが農林漁業施設資金、これは災害復旧で、農林漁業を営む者ですから、営んでいれば誰でも借りられるかなと思っているんですけれども、上限が三百万円しかないとか、結構借り入れの制度は大変です。

 私も、この借り入れの制度を、法律を変えようかなと思うと結構大ごとになるものですから、一つには借り入れの制度がある。七割借りた場合に、一千万借りるとして、七百万は二十年とか二十五年のロングタームで要は返済をして、その利子についても補填していただければ、六百万のハウスで十年で返すとすれば、年六十万の返済が三十万ぐらいになれば何となくやっていけそうな感じがします。一千五百万のハウスで、一千五百万だと百五十万の半分で七十五万ですから、やっていけるかもしれない。

 もう一つは、聞くところによると、私の地域もひどいんですけれども、さらに雪深いところはもっと被害をこうむっているというお話も聞いています。その補助率を十分の三ではなくて十分の五ぐらいまで上げて、かつ、認定農業者とか主業農業者というこの足かせをちょっと横に置いて、要は、農林漁業を営む者ということにすると関東一円の農業というのは大分助かるのかなと思うんですけれども、まずは局長から概略についての御答弁をいただいてから、大臣から御所見をいただきたいと思います。

奥原政府参考人 まず、被災者向けの経営体育成支援事業、これをいつからやっているかということでございますけれども、経営体育成支援事業、被災者向けではない、もともとの事業は前からございましたけれども、これを、重大な災害、激甚災害ですとか過去に前例のないような災害のときにその災害の復旧対策として活用するということを始めましたのは、二十四年の五月でございます。

 この二十四年の冬にかなり雪が降りまして相当な被害になりましたので、そのことを踏まえまして、二十四年の五月に、災害対策として経営体育成支援事業を発動するということを決めております。

 この仕組みでございますけれども、被災者向けではないもともとの経営体育成支援事業もそうですが、基本的に、融資をまず受けていただいて、その前提の上で一部を補助するというのがもともとの仕掛けでございます。

 これが災害対策の場合には、融資を受けるか地方の助成を受けるか、どちらかを前提とした上で国が十分の三を補助するという仕掛けにしているということでございます。

大島(敦)分科員 大臣、今の点が結構大変なんです。融資を受けるか、これは町からの助成がないといけないわけですよ。農家がたくさんある町ですと助成制度をつくるかもしれないけれども、農家がそれほどいない都市部においては、そういう助成制度をつくらない町もあるかもしれない。

 ですから、ここの点、融資を受けるかあるいは町からそういう助成をいただくかという条件として十分の三を出すのではなくて、一つには、ここのところを弾力的に運用してもらいたいと思っているんです。これが一つです。

 もう一つは、先ほど言っていた認定農業者、あるいは主業農業者、そして農林漁業を営む者という三段階に農水省は分けていらっしゃるのかな。ですから、農林漁業を営む者というようにそこも緩和していただいた方がいいと思うんです。

 これはやはり、ハウスをつくって、設備投資をして、要は回収も含めてやっていくという決意を持って臨みますので、ここの点についてはぜひ柔軟に対応していただいて、補助率も、銀行の借り入れというのが、いろいろと制度を勉強してみるとなかなか大変だなと思うので、補助率の十分の三を十分の五にしていただいて、そして、先ほどの対象者を柔軟に拡大していただいて、かつ、借り入れるときの条件も臨機応変に対応していただきたいなと思っています。

 実は、今回、今ちょうど大学が春休みですから、私の事務所にも大学生のインターンシップ生が来ておりまして、そのうちの一人の実家が農業で、ハウスをやっていまして、半分ぐらいハウスが倒壊してしまったんですよ。埼玉県の県北に住んでいる。きょう傍聴に来ていただいているんですけれども。

 ですから、やはりこういうやる気のある農家の方が多いので、ぜひその点について農水省としては、役所から話を聞くと結構かたく捉えがちなんですけれども、政治としての決断を大臣としてしていただけると関東一円の施設園芸農家が非常にやる気が出てくるものですから、よろしくお願いいたします。

林国務大臣 大島先生から詳しく状況も御説明いただきましたし、また、農業者の目線に立っていろいろお話をしていただきました。

 私も日曜日に山梨に入りまして、現実を見てまいりまして、こうやって写真で見せていただいたのと同じような状況があったわけです。

 何よりもやはり、気持ちがなえて、もうやめてしまうということがなるべくないようにという思いから、被害状況を全部把握してからこういう対策ということではなくて、もう今の段階で決められることはまず打ち出して、そして、それをもとに気持ちを持続させていただいた上で、さらに被害状況を詳細に把握して追加的に必要なことをやっていこう、こういうことにいたしまして、月曜日にその第一弾を発表させていただいたわけでございます。

 既に、連日、大臣室にも来ていただいておりまして、今言っていただいたところの、十分の三のところも随分御要請があるところでございます。どうやったら使いやすくなるのか、農家の目線に立てば、国のお金であっても地方のお金であっても、融資は御自身でお借りになるわけですが、自分の御負担がどうなるのかというところが一番大事なところでございますし、ハウスをやられている方は、今お話があったように、露地よりも、設備投資をして付加価値をつけるということでやっておられる先端的な方、担い手でございますので、そういう意味では、さきの主業者何とかというところは、かなり大きな規模でやっていらっしゃる方は多いとは思いますが、そういういろいろなところにカバーができるように検討してまいりたいと思っておりますし、また、この十分の三についても、多面的にいろいろな角度から、ここまではもうやるということは決まっているわけでございますので、さらにどういう工夫ができるか、しっかり検討したいと思っております。

大島(敦)分科員 前向きの答弁、ありがとうございました。

 やはり現実を見ると、各農家、大臣がおっしゃったとおり、タイムリーに政府としてしっかり農業、施設園芸農家を支えていくよというメッセージが、折れそうなやる気、皆さん潰れたハウスの前で茫然としていますから、その気持ちをまずなえさせないようにするのが一番で、それから、タイムリーに農業に沿った政策を出していただけると助かります。

 それで局長に確認したいんですけれども、先ほどの経営体育成支援事業、これは今回の災害対応の分なんですけれども、前に設備を早急に対応をとっている農家も多いんです。

 この間私もヒアリングした、エコファーマーの資格を取って、お父さんもエコファーマー、そして息子もエコファーマーで、うちのキュウリというのは安全なキュウリで、市場に持っていくと皆さんがもう待っていらっしゃる、これはぜひキュウリをつくらなくちゃいけないということで、先週中には撤去して、ハウスをもう一回つくり直してやり始めている農家もいるんです。群馬からこれまで苗を買っていたんですけれども、群馬の苗屋に電話したら、そこは全部倒壊しているので苗はもうない。したがって、四国の方から苗を買ってやり始めると言っているわけですよ。

 ですから、そういう早目の対応をとった農家に対しても不利益がないようにしてほしいと思うんです。その点について局長からの答弁をお願いいたします。

奥原政府参考人 後継者がいらっしゃって、担い手と言われるような法人ほど、やはり、一日も早く経営を再開したいというふうにお考えだろうと思います。そういう意味では、倒壊したハウスをすぐに撤去して再建に臨むということも当然ございます。

 そういう意味におきまして、今回の大雪の被害につきましても、既に撤去作業等を行っている方を含めて助成の対象にすることで考えております。

大島(敦)分科員 ありがとうございました。

 特に撤去作業の費用について十分の三を、農水省と環境省さん合わせていただいて、できるだけ一〇〇%に近い形で撤去作業が進むことを最後にお願いさせていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。

 どうもきょうはありがとうございました。

今村(雅)主査代理 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田分科員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、林大臣、これからもまた長丁場でございますが、大変に御苦労さまでございます。

 きょう、私の方からは、都市農業の振興、また都市農地の保全、そうした問題について幾つか、大臣並びに農林水産省の皆さんに御質問をさせていただきます。

 都市農業は、平成二十二年に食料・農業・農村基本計画が策定をされましたけれども、その中に都市及びその周辺地域における農業の振興というのが位置づけられました。これを受ける形で都市農業の振興に関する検討会が設置をされて、平成二十四年八月に中間取りまとめが公表をされました。

 この中では、都市農業、それから都市農地についてさまざまな課題やこれからの進むべき方向なども示されてはいるんですけれども、改めて大臣に、都市農業、そして都市農地、その重要性についての御認識を伺いたいというふうに思います。

林国務大臣 都市農業、これは、新鮮な食料の供給、それから緑や農業体験の場の提供、防災空間の確保など、多様な役割を果たしているというふうに認識しております。

 また、都市の住民の方を対象にした各種のアンケートにおきましても、やはり都市農業や都市農地の保全を望む回答が多数を占めておりまして、都市農業、都市農地を評価する声が高まっている、こういうふうに承知しております。

 昨年、世田谷に呼ばれまして、都市農業フォーラムというのをやるから来いと言われて、現地の方といろいろお話をする機会もあったわけですが、やはり消費者に近いということもあって、非常に機動的な営農をされておられる方が印象的でございました。

 また、時代の変遷といいますか、どんどん都市においては人口がふえて開発が進んで、農地がどんどん住宅地等になっていくという時代から、日本全体では人口が減少期に入ってきたわけでございますので、そういう大きな流れの中で、都市農業というものを、緑の中で快適に暮らすというような観点も含めてどう考えるかということは非常に大事なことである、こういうふうに思っております。

 したがって、農林水産省としても、都市農業の振興を重要な課題と位置づけまして、国土交通省などとも連携をして、今後その振興に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

上田分科員 ありがとうございます。

 今大臣の御答弁にもありましたけれども、都市の農業、私の地元もそうでありますが、農地自体はもう随分と減少してきたし、農家も減っておりますけれども、それでもやはり地域社会の中で非常に重要な位置を占めております。今答弁にあったように、消費地に非常に近いということから、新鮮な食料を提供していく、これが一番重要な役割であるというふうに思います。それ以外にも、今お話にもありましたけれども、特に大都市部では非常に貴重なオープンスペースでもありますので、防災を初めとする多様な役割も担っているわけであります。

 そういう意味で、今後とも、都市農業、それから都市農地の保全、これはまあ農業政策全体、食料政策全体から見ればさほどの重みはないのかもしれませんけれども、やはり随分都市化が進んできているこの国の中にあって重要な政策の柱だというふうに考えております。

 そういう意味で、今非常に重視をしていただいているという御答弁でもありましたので、ぜひこれからもさらに力を入れて取り組んでいただきたいというふうにお願いをいたします。

 今申し上げました都市農業の振興に関する検討会中間取りまとめ、この中では、さまざまな課題について述べられ、また講ずべき施策については触れているんですが、そこから先、具体的な施策の内容とか実施スケジュールというところまでは十分議論が尽くされていないのではないかというふうに思っております。

 とはいっても、今、農林水産省としてさまざまな施策も実施をしていただいているんですが、この中間取りまとめを受けて、農林水産省として実施している施策の内容について御紹介をいただきたいというふうに思います。

三浦政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年八月に公表されました都市農業の振興に関する検討会の中間取りまとめにおきましては、早急に施策を講ずべき事項といたしまして、国民的理解の醸成に努めること、それから、予算要求への反映等を通じて、都市農業の振興等のための取り組みを具体化していくことが挙げられております。また、さらに検討を深めるべき事項といたしまして、土地利用や税制に関する制度面での検討が挙げられております。

 農林水産省におきましては、この中間取りまとめを受けまして、早急に講ずべき施策の具体化を進めてきておりまして、まず一つ目の予算面でございますけれども、平成二十五年度予算に都市農業の振興を図るための「農」のある暮らしづくり交付金という事業を創設いたしまして、平成二十六年度予算案におきましては五億八千万円を計上しているところでございます。

 それから、二つ目の税制につきましては、まず、平成二十五年度に、相続税等の納税猶予制度につきまして、いわゆる営農困難時貸し付けという制度がございますけれども、その要件緩和を行ったところでございます。また、平成二十六年度には、相続税等の納税猶予が適用された農地が公共収用等のために買収されたという場合におきまして、他の農地で引き続き納税猶予を継続できるように、継続対象の拡充を要望して、認められたところでございます。

上田分科員 ありがとうございます。

 今、いわゆる都市住民の、生活の触れ合いの中での農業振興ということについての御説明がございましたけれども、ただ、都市農業の振興、そして農地を守っていくということを考えたときに、課題は本当に山積みでありますし、必要な対策というのはそれにとどまるものではないんだろうというふうに思っております。

 特に、やはり農業従事者の高齢化、それから後継者不足というのが深刻な課題であります。それに伴う形で耕作放棄も多い。そして、計画されていないというか、無秩序な転用というのも多く見られます。非常にいい立地条件にある優良農地が資材置き場だとか駐車場になっていたり、それでも使われているところはいいようなもので、全く荒れ放題になってしまっているというようなことも現実としてあるわけであります。

 今、検討会においていろいろと課題については議論がされ、そしてまた、当面やらなきゃいけないことについても報告の中に盛り込まれているんですけれども、やはりこれからますます検討すべき課題は多いんじゃないかというふうに思っております。

 ところが、そうした中で、検討会は中間取りまとめを発表した以降一回も開かれていないわけでございます。

 これからどういう場でそういう議論を続けていくのか、もっと政策を具体的にし、さらにスケジュールも含めて議論していく場が必要だというふうに思いますけれども、今後どういう形で検討を進めていくのか、お考えを伺いたいというふうに思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、平成二十四年八月の検討会の中間取りまとめを受けまして、予算面、税制面から、先ほども申しましたような対応の具体化を進めてきたところでございます。

 中間取りまとめにおきましてさらに検討を深めるべきであるとされた制度面の論点につきましては、これは、都市農業につきましては、市街化区域で行われる農業等がございまして、都市計画制度と密接な関連がございます。この都市計画制度を所管する国土交通省におきまして、実態調査等が行われているといったところでございます。

 一方で、都市農業に関しましては、与党内において都市農業に関する議員連盟等が組織されていると承知しておりまして、そこの場におきまして、制度面での対応を含めて議論が行われているというところであると承知をしております。

 農林水産省といたしましては、引き続き、国土交通省と連携を図りまして、また、与党内での御議論といったことも十分注視をいたしまして、都市農業の振興に向けた検討を深めてまいりたいと考えております。

上田分科員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 やはり、私の地元などでも、農業者の方々は、この基本計画に都市農業が位置づけられたということについては非常に前向きに捉えたんですけれども、この中間取りまとめが発表された後、その動きが非常に鈍いんじゃないかということに不安を持っております。そういう意味で、ぜひさらに議論を深めていただきたいというふうにお願いをいたします。

 そして、今いろいろと答弁でも言及があったんですけれども、都市計画にかかわる制度であるとか、あるいは都市の農地にかかわるさまざまな制度、これは税制面の制度もございますし、やはり、そうした制度がつくられたときというのが、都市部にどんどん人口がふえてくる、都市的な、住宅であるとか工業用地、商業用地としての土地の需要が非常に高かったときが前提でありまして、どうやってそういう農地を効率的に、必要なところを宅地に転用していくのかというような視点が非常に強かったというふうに考えています。

 ただ、これはもう現状に全然適合していないわけでありまして、今は、私の地元の横浜にあっても、人口の伸びはもう既に鈍化をしている、ほとんど変わらないという状況であります。むしろ、宅地でいえば空き家の方が問題になっているというのが現状でありまして、それはいろいろな局地的な需給バランスというのはありますけれども、全体から見れば、もう土地は余っているという状況になってきています。

 今や、そうした農地とか空間、空き地を、転用するということではなくて、農地をどうやって保全していくのか、営農されて管理された状態で保全をしていくのか、そのことが重要な政策課題になってきているわけであります。

 そういう意味で、もう既にそういった諸制度が今の人口減少が始まっている日本の社会に適合しなくなっているということを踏まえた上で、これはもうさまざまな制度の抜本的な見直しが必要な時期に来ているのではないかというふうに考えています。

 もちろん、これは先ほどからのお話にあるように農林水産省だけのお話ではないんですが、やはり、土地のあり方、それから農地のあり方、そういった諸制度の抜本的な見直しについても議論に着手をしていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでございますでしょうか。

林国務大臣 冒頭少し触れさせていただいたように、人口がふえてどんどん都市化が進んでいる時代と今はその様相を異にしてきているというところに着目しなければならない、申し上げたとおりでございます。

 都市計画制度ができたのが、昭和四十三年の都市計画法に基づいてできた、こういうことでございますので、当時の市街化区域内の農地はどう位置づけられているかというと、十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき、農地から市街化しろ、こういうふうになっていたわけでございまして、当時の状況を考えれば、なるほどそういうことだったんだな、こういうことでございます。

 まさに今、上田先生がおっしゃっていただいたように、人口の減少、高齢化は進行している、こういうふうに社会経済が大きな変化をしているところでございますので、こういうことが背景になって、市街化区域内の農地の位置づけについて見直しをしよう、こう求める声が高まっているということであろうというふうに思っております。

 一方で、従来どおりの開発ニーズもまだあるところもある、こういうことでございまして、したがって、規制、税制といった土地に関する諸制度は、国民の多くのいろいろな方の利害にかかわるものでございますので、なかなか一方向にすっといくものではないということは認識をしておるわけでございます。

 しかし、先ほどお話があったように、大きな流れが変わってきたということも踏まえて、国土交通省が都市計画制度を担当しておられますので、よく連携をしまして、また、先ほど局長からもあったように、与党において御議論が動きつつある、こういうことでございますから、そういうことを踏まえて、都市農業の振興等に向けて検討を深めていきたい、こういうふうに思っております。

上田分科員 よろしくお願いしたいというふうに思います。

 本当に、このままだと、優良な農地がありながら、そこがどんどん荒廃をしていってしまって、むしろ、そこはきっちり営農する人につなげてちゃんと管理をしていく、営農することによって土地が管理をされていくということが地域社会にとっても必要なことだろうというふうに思っております。

 残念ながら、ちょっと今の諸制度、これは、市街化区域内もさることながら、その周辺の調整区域も含めてうまく機能していないというのが現状認識だと思っておりますので、ぜひここは、従来の制度、それも一定の役割を果たしてきましたけれども、抜本的な見直しが必要になってきている時期であるというふうに考えております。

 具体的な課題が先ほどちょっと答弁の中にも幾つか出てまいりましたけれども、伺いたいというふうに思います。

 やはり、都市部で営農を継続していく上で、これはもう以前からですけれども、大きな障害となってきたのが相続税の問題でございます。

 昨年度の税制改正で、平成二十六年から課税が強化されるということになった。これは多くの農家が不安を感じております。現在の農地の所有者が亡くなった場合に、後継者が営農を継続できなくなってしまうんじゃないか、どうしても相続税を納めるために農地を切り売りしなければならない、そういうような不安があります。

 もちろん、農地については非常に低い評価額で、負担の軽減があるんですが、農家の場合には、農地だけじゃなくて、やはり自宅の敷地も広いんですね。その中には、自分が住んでいるというところだけではなくて、営農に必要な倉庫があったり、また車庫があったり、選果をする場所があったり、そういう意味では、事業、農業に使われている敷地も兼ねているわけであります。当然、宅地だと課税額が高くなりますので、それを相続するために、自分のところの、いわゆる屋敷の敷地はなかなか売るわけにいかないので、農地を切り売りしていく、そういう現象が起きているわけであります。

 昨年度の改正においても、そうした農家にとって過度な負担とならないような、宅地についてもそういう配慮が盛り込まれておりますけれども、その内容について財務省の方から御説明いただけますでしょうか。

星野(次)政府参考人 お答え申し上げます。

 都市部で農業を営まれている方は、農地のほかに、居住用の宅地ですとか、あと農機具置き場、それから先生の言われた倉庫、作業場などの事業用宅地を持っておられるわけでございますが、これらの宅地は、一定の面積まで課税価格が八〇%軽減される、いわゆる小規模宅地の特例の対象となります。

 平成二十五年度改正におきましては、相続税の見直しとあわせて、今申し上げました小規模宅地の特例について、居住用宅地の適用限度面積を二百四十平米から三百三十平方メートルに拡大するということを行うとともに、居住用宅地、事業用宅地、これを併用するときに、それぞれの完全併用を認めることといたしまして、都市部で営農されている方にもきめ細かく配慮しているところでございます。

上田分科員 ありがとうございます。

 今御説明にあったとおり、随分、相応の配慮が行われているわけであります。

 とはいっても、やはりそのことが十分に知られていないという面もあるのと、それから、果たしてその面積で、平均的な農家の宅地の部分からすると十分カバーできるのかというような不安もあります。やはり、これから、もう既に決まったことでありますので、これを実施していくわけでありますけれども、都市部での営農の承継、それが円滑に行われているのかどうかということは、これからも、税制改正後も十分調査をしていただいた上で、必要があれば見直しも検討していただきたいというふうにお願いをいたします。

 続いて、さっきちょっと局長の方からの御答弁にもあったんですけれども、本年度の、平成二十六年度の税制改正において、相続税納税猶予適用農地について公共事業等の用地として収用が発生をした場合に、営農の継続に配慮した措置が講じられております。

 もちろん、これは自分の都合で農地を転用するということではなくて、公共の目的のために転用というか売却をするわけでありますから、もちろん利益が発生した分については課税をされるということでありますけれども、それなりの配慮が必要である、当然のことだというふうには思います。

 そういう意味で、そういう措置がとられているんですけれども、制度の内容について御説明をいただきたいというふうに思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 三大都市圏の特定市におきまして、相続税納税猶予の適用を受けている農地につきまして公共収用の対象となった場合でございますが、従来は、その対価で新たに生産緑地等を取得した場合に限り、納税猶予の継続が認められていたところでございます。

 しかしながら、大都市におきましては、代替地として生産緑地等を見つけるということはなかなか大変でございまして、この結果、公共収用によって都市農家の経営規模の縮小につながるということが生じていたところでございます。

 このため、平成二十六年度の税制改正の要望におきまして、譲渡の対価で新たに取得する生産緑地等以外の農地、それから、農業者が所有している、相続時に納税猶予の適用対象としていなかった農地、これらにつきましても、一年以内に生産緑地地区の指定を受ければ納税猶予の継続が認められるように要望を行いまして、認められたというところでございます。

上田分科員 それからあと、今、利子税の免除という措置もあわせてとられているわけでございまして、そういう意味では、まだまだ公共事業等に土地需要というのはあるわけでありますので、そういった措置が講じられていることは多とするものでございます。

 最後になりますが、今度は話が全く異なることでございますけれども、私の地元横浜には、国際熱帯木材機関、ITTOという国際機関がございます。国内に本部を置く数少ない国際機関の一つであります。熱帯林の適正な利用と再生産を通じた持続可能な森林経営を促進することを通じて、途上国における貧困の撲滅、また気候変動対策や生物多様性の保全などに資する重要な役割を担っているというふうに考えております。

 外務省の分担金、それから外務省と林野庁から任意拠出金が提供されております。もちろん日本が最大のドナーなんですけれども、林野庁においても、平成二十六年度の予算には約八千万円の任意拠出というふうに伺っております。そういう最大のドナーではあるんですけれども、やはり近年減少傾向にございます。

 先日は外務委員会で外務省に対しても、一つは国際機関の果たしている重要な役割、それから、やはり、日本に本部を置いている、そういう数少ない機関であります。大体、国際機関というのはジュネーブであるとかウィーンにある。その中でも日本に置いている数少ない機関でありますので、我が国として最大限のバックアップが必要なんじゃないかというふうに考えております。

 これからも、林野庁としても、ここのところ、ちょっとそういう不安もあるところでありますので、しっかりとバックアップをしていただきたい、支援を強化していただきたいというふうに考えますけれども、御所見を伺いたいというふうに思います。

林国務大臣 さすが上田委員、着目点がすばらしいなと思って聞いておりましたが、この国際熱帯木材機関、インターナショナル・トロピカル・ティンバー・オーガナイゼーションでございますが、熱帯林の持続可能な経営の促進、また合法的に伐採された熱帯木材の貿易の発展を目的とする国際機関で、お地元の横浜に本部があるということでございます。

 我が国は、ホスト国としてその運営に貢献するとともに、この活動の重要性に鑑みまして、熱帯木材生産国において環境に配慮した伐採方法の普及を図る、こういったプロジェクトなど各種プロジェクトに拠出をするなど、積極的な支援を実施してきております。

 また、公募ポストであったわけですが、事務局次長に林野庁のOBの方が就任をしているところであります。

 農林水産省としては、今後とも、持続可能な熱帯林経営、違法伐採対策、こういうものの推進のために、外務省などともしっかりと連携をしながら、本部運営、それからこの国際機関の世界各地での活動に対しまして、できる限りの支援を行っていく考えであります。

上田分科員 ぜひよろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

今村(雅)主査代理 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩田和親君。

岩田分科員 自由民主党の岩田和親でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、農地中間管理機構について質問をしてまいりたいと思っております。

 昨年の臨時国会におきまして、農地中間管理機構関連二法が成立しました。これに係る予算として、二十五年度補正予算で四百億円、二十六年度予算に三百億円、計約七百億円を計上されています。担い手への農地集積、集約化、担い手の育成等による構造改革の推進のために、農地中間管理機構による事業運営をなされると説明されているところです。

 まず、そもそもなぜ農地の集約化を図るべきなのか、確認したいと思います。また、今までも農地集積、集約化のための取り組みが実施されてきたわけですが、その内容がどうであったのか、そして、その成果についてどのように認識されているのか、お示しください。

林国務大臣 現在の我が国の農業構造、これを見ますと、十年間で、担い手が利用している農地面積の割合が農地面積全体の三割から五割まで増加をしてきたということでございますが、農業の生産性を高めて成長産業としていくためには、担い手へやはり農地集積、集約化をさらに加速する必要がある、こういうふうに認識をしております。

 これもよく言われる話ですが、農業者のうち六十五歳以上が六割を占めるというように高齢化が進んでいるということがございますので、リタイアする人の農地をきちっと担い手に集めていくことを意識的にやっていかないと、ほっておくとそのまま耕作放棄地になってしまうということがあるわけでございます。

 したがって、都道府県段階に公的な機関として農地中間管理機構を整備することといたしまして、関係法案を昨年の臨時国会に提出して成立をさせていただいたところでございます。

 この農地中間管理機構、農地を借り受けて、必要な場合には、機構が大区画化等の条件整備も行った上で、法人経営体や大規模家族経営あるいはリース方式で参入する企業などの担い手に対して、その規模拡大や利用する農地の集約化の意向に配慮して転貸するスキーム、こういうもので業務を行っていくこととしております。

 今お尋ねがあったように、今までもいろいろなことで取り組みをやってきて、それなりに三割から五割まで来たわけでございますが、さらにこの中間管理機構において今までと違うのは、予算をきちっとつけて、そして、この機構自体がまず借りたものを集約化して、そして土地改良などをやって大きくしてから転貸ができるようにするということ等、いろいろな組み合わせをいたしまして、予算上、それから、人・農地プランというのをずっとやっておりますので、誰に集約化していくかというのも人・農地プランがあるところではできてきているわけでございますので、この人・農地プランと予算と法律、この組み合わせによって、今まで以上の農地集積、集約化を加速して、三割から五割にやってきましたけれども、今後十年間でこれを八割まで持っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

岩田分科員 もう一点、総論的なところをお伺いしたいと思いますが、政府のただいまの農政改革のグランドデザインと言えるようなものに、日本再興戦略、農林水産業・地域の活力創造プランなどがあります。これらの大きな戦略等の中において、この農地中間管理機構の位置づけや役割はどのようになっているのか、お聞きします。

奥原政府参考人 昨年の六月十四日に閣議決定されました日本再興戦略におきまして、農地中間管理機構につきましては、次のように記述をされております。

 「農地中間管理機構が、市町村や民間企業等に業務委託を行い、地域の総力を挙げた体制を構築しつつ、法人経営、大規模家族経営、集落営農、企業等の担い手への農地集積・集約化に配慮して貸し付ける農地再配分スキームを確立する。」これにつきまして、「本年秋までに具体化、速やかに法制化を含む措置を実施」ということまで書かれております。

 その後、この戦略に従いまして、昨年秋の臨時国会に関連法案を提出し、これが成立をしたところでございます。

 それから、昨年の十二月の十日に決定されました農林水産業・地域の活力創造プラン、これの中におきましては、「農地中間管理機構の活用等による農業構造の改革と生産コストの削減」、こういう項目の中で、「都道府県ごとに農地中間管理機構を整備し、地域内に分散・錯綜する農地を整理して、担い手ごとの集積・集約化を推進する。」という記述がなされているところでございます。

岩田分科員 お答えいただいた点、簡単に整理をさせていただきますと、本当に大事な課題であります農地の集積、集約化について、お答えいただいたように、一つには、やはり農業のさらに競争力の強化、効率化というふうな点、そしてまた、今いよいよ待ったなしとなってきております耕作放棄地に係る課題、こういうふうな点について取り組みを進めていただいてきたわけでございますが、今のところ三割から五割というふうな状況であるということであります。

 今取り組みをされておられます地域の活力創造プラン等において、八割という大変力強い目標を持ってこれから取り組んでいかれるということでありまして、私としても大変期待をしているところでございます。

 そこで、この機構が実効あるものとなるためには、配慮すべき点というのも何点かあるのではないかと私は考えております。

 まず、今日まで農業を営んできたそれぞれの地域に対して、どのような配慮をするのかという点であります。

 今回の制度設計においては、政府の規制改革会議や産業競争力会議でも大いに議論がなされたことでもありますし、貸付先を決める手続は公募を前提としているとのことであります。私も、日本の農業の未来を考えたときに、法人や企業といったものが担い手の一部になることは十分理解をしております。しかし一方で、この制度によって農地を貸し出せば、その地域に縁もゆかりもない法人がやってきて営農をするというイメージが先行しますと、ただでさえ進展が鈍かった農地集積がまた停滞するのではないかと思います。

 また、最近でも、人・農地プランにおいて、地域の中で将来の農業を考える取り組みを話し合う機会もあったところです。こういった政策が立ち消えになって急な方向転換をするとなると、要らぬ不安感を農業関係者に与えることになりかねません。

 これらのように、今日まで集約化がなかなか進まなかった現状や農業と地域とのつながりなどを考えますと、一定の配慮が必要だと考えております。今日まで進めてきた人・農地プランなどの取り組みも含め、どう考えるのか、お聞かせください。

奥原政府参考人 御指摘の点は、農地中間管理機構から誰に対して農地を貸し付けていくのか、こういうお話だと思いますが、この機構の農地の貸付先の決定ルール、これにつきましては、機構が作成をいたしまして、都道府県知事の認可を受けるという制度になっております。その際、借り受けの希望者のニーズを踏まえまして、公平、適正に調整をするということと、地域農業の発展に資するものとしてやっていくということが法律の中にも明記をされているところでございます。

 具体的には、それぞれの都道府県におきまして、農業の実情を踏まえてこのルールを作成していただくということになりますけれども、農地の借り受けを希望されている方の規模拡大あるいは経営耕地の分散錯圃の解消に資するものであることですとか、あるいは既に効率的、安定的に経営を行っている農業者の経営に支障を与えない、これも大きなポイントだと思っております。それから、中には担い手が十分いらっしゃらない地域もございますので、そういうところは当然、新規参入ということにもなりますが、新規参入された方が効率的、安定的な経営を目指してきちんと経営していける、これも一つのポイントでございます。それから、希望者のニーズを踏まえて公平、適正に調整する、こういったことが基本の原則であるというふうに考えております。

 具体的にどなたに貸し付けるかにつきましては、地域の農地利用を最適化するという観点から、機構が、この事業の決定ルール、これに即しまして判断することになりますけれども、その際、既にその地域で効率的、安定的な経営を行っていらっしゃる担い手の方々がいらっしゃる場合、その場合には、その方々の経営発展を阻害しないようにするということが非常に大事であるというふうに考えております。

 それから、御指摘ございました人・農地プランでございますけれども、これは、議員修正の中で、法律の中にきちんと位置づけていただいたところでございます。この人・農地プランは、農地、農業政策の基礎でございまして、今後とも、この作成、それから定期的な見直し、これは継続的に推進をしていきたいというふうに考えております。

 この話し合いの中で、地域の農業者の方々やあるいは市町村がこの農地中間管理機構と連携を密にして、このスキームをうまく活用するということでお考えいただくのが一番大事であるというふうに思っております。

岩田分科員 このような、中間で管理をするというふうな仕組みの場合に、当然ながら公平性がまず第一に原則であるというのは、もう本当に言うまでもないことであろうと思います。

 ただ、繰り返しの部分もありますけれども、農業、農地というふうなものを考えたときに、やはり土地に対しての思い入れ、これは後からもまた述べさせていただきたいと思っておりますが、もしくは地域の中で農業を、まさに村という形で共同で営農をやってきた今日までの歩み、やはりこういうふうなものをきちんと配慮していただくということが、この集約化にとっての大事なハードル、課題を越えていくということだろうというふうに私も認識をしておるところであります。

 公平性と地域性ということをぜひしっかりと両立していただいて、そしてまた、それが実効的になられるようにということをぜひお願いしたいというふうに思っております。

 次に、出し手側の抵抗感について、これもやはり配慮すべきだろうというふうに考えております。

 私の地元の佐賀県においては、各地域での集落営農というものはかなり進んでいるというふうに認識をしておりますが、これが次の段階の法人化というふうになりますと、その進展率というのが極端に低くなっている現状であります。

 その原因は、根源的には、農地への強い思い入れであるというふうに思われます。農家の皆さんに意見を伺ってみても、農地の所有と利用の分離という考え方がうまく理解をされていない、貸し出してしまうと先々農地を取られてしまうような不安感や不信感というものがあるといった感じを私は受けとめております。

 やはり、このように、農地の出し手側に抵抗感が強いことが大きな課題であるというふうに考えた場合に、このような実情を踏まえて、出し手の背中を押す施策というものをどのように行われるのか、お示しください。

奥原政府参考人 農地の流動化を促進するためには、出し手が安心して農地を提供できる環境を整えていくということが必要だというふうに考えております。今回整備をいたします農地中間管理機構、これは県の第三セクターでございますので公的な機関ですから、ここに貸せば安心である、要するに、地代は確実に払われますし、貸している間に耕作放棄地になることもないという状態でございます。そういう意味では、機構を整備すること自体が農地の出し手に対する一つのインセンティブというふうに考えております。

 これに加えまして、農地の出し手への支援といたしまして、機構にまとまった農地を貸し付ける地域に対して、機構への貸し付けの割合に応じまして地域に交付する地域集積協力金、それから、機構に対する貸し付けによって、この際、農業からリタイアする、あるいは経営を転換するという方に対する経営転換協力金、こういったものも用意しているところでございます。

 今後は、機構の法制度、それから予算上の措置、それと地域の関係者の話し合い、人・農地プランでございますが、この三つをセットで取り組むことによりまして、今後十年間で担い手の農地利用が全農地の八割になるように努めてまいりたいと考えております。

岩田分科員 さまざまな支援策はもちろん私も了解はしておりますけれども、非常に力強いといいますか思い切った形での施策であるなというふうに思っているところでございます。

 ただ、申し上げましたように、現状としてやはりなかなか進んでこない、しかも、それの原因というものが、思い入れといいますか、そういうふうな心の部分であるということも考えますと、やはり論理的なだけでは済まない部分というのもかなりあるということ、これは繰り返し申し上げさせていただきますが、そういった点をぜひ踏まえて、本当にこれも実効がある形にやっていただきたい、本当にそれをお願いするところでございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 この機構には、整備されて農業に適した農地を集約化することで生産性を向上させる役割がある一方で、耕作放棄地対策としての役割も期待されていると考えます。

 今後さらに農業従事者の高齢化が進むことは避けられない現状の中、急な病気で働けなくなる、農地の相続があったが相続人は遠くに住んでいる、結果的にその農地がもう耕作はされないというふうな理由で耕作放棄地が増加することを防がなければなりません。私は、特に中山間地域で耕作放棄地の問題がさらに深刻化すると危惧しているところであります。この放棄地の受け皿づくりという点に関して、機構ではどのように機能するのか、お尋ねいたします。

奥原政府参考人 耕作放棄地の問題につきましては、平成二十一年の農地法の改正によりまして、遊休農地に対する措置が整備をされております。指導、通知、勧告、協議、調停を経まして、最終的には都道府県知事の裁定によって利用権を設定できるといった制度も整備をされておりましたが、この利用権の設定までに段階が六段階もございまして、使い勝手が非常に悪いという御指摘もございました。

 このため、昨年の十二月に成立をいたしました農地中間管理機構の関連二法の中で、農地法についても改正が行われているところでございます。

 この農地中間管理機構を活用して、耕作放棄地の発生防止あるいは解消を図るということでございまして、何点かございますけれども、その中では、まだ耕作放棄地になっていなくても、賃貸借の終了等によりまして耕作をする者がいなくなった農地、これにつきましては、耕作放棄地の予備軍として遊休農地対策の対象にするということが一つ。

 それから、農業委員会は遊休農地の所有者に対していろいろ指導するわけですけれども、中間管理機構が整備をされましたので、中間管理機構に貸す意思があるかどうか、こういったことを農業委員会が調査をいたしまして、極力機構に貸し付ける方向で誘導していくといった措置も入っております。

 それから、遊休農地の所有者が自分の意向どおりにきちんと実行しない、耕作をしないというような場合には、都道府県知事の裁定によりまして機構が農地の中間管理権を取得できるという制度もございまして、これに至る手続を六段階から三段階に縮小しております。

 それから、所有者が不明の耕作地、こういったものにつきましても、公告制度を使いまして機構が中間管理権を取得できるといった制度もさらに整備をしているところでございます。

 御指摘がございましたように、特に中山間地域、ここでは耕作放棄地の問題が非常に重要になってまいります。耕作放棄地の中でも、木が相当生えていて再生不能のところ、ここは機構は借りないわけでございますが、それ以外の再生可能なところであれば、耕作放棄地についても機構は借りるということになってございます。

 ただ、中山間地域の場合には、機構が借りた後できちんと転貸する先、要するに受け手がいるかどうかということが非常に重要な問題でございますので、機構は、公募だけではなくて、具体的な受け手をいろいろな形で発掘する努力をしていただくということも必要なことと思っておりまして、それができれば、耕作放棄地の解消にこの機構が相当な役割を果たせるのではないかというふうに思っております。

岩田分科員 もちろん前向きな答弁だというふうに受けとめたくはありますけれども、やはり、この機構の制度設計に当たって、どうしても、非常に整備されて農業に適した土地、これをとにかくきちんと集約化して、より競争力を上げていこう、そういう面が強くなったのかなという印象を私は受けているところであります。

 中山間地域を初めとしての耕作放棄地がふえていく、これはほぼ間違いない今の現状でありますから、これを受け皿としてどういうふうにやっていくのかということ、今はそれをしっかりやっていきますという答弁だというふうに受けとめさせていただきますけれども、しかし、制度の仕組みの中で、受け手がいないと貸し出すことができない、やはりここのところはちょっとひっかかる部分でもあるわけなんですね。

 山里にあるような、そういうふうな農地であっても、何らかの形でその後をそのまま引き継いでいただける方ができてくる、また、その橋渡しをこの機構がきちんと役割を担っていただける、そういうふうな実効性をぜひ望むところであります。

 次に、例えば農地集積協力金について、出し手側の要件に、原則として遊休地を保有しないことにされているというふうにも聞いております。ここで御理解いただきたいのは、これら遊休地については、農業従事者の高齢化によって、栽培条件の悪いミカンなどの樹園地などが遊休化しているという実態があるということであります。

 担い手確保がより厳しい中山間地域の現状を見ますと、こういった要件を緩和する必要があるのではないかというふうに思いますが、御所見を伺います。

江藤副大臣 岩田委員、大変機構のことも十二分に御理解されていますし、問題点も的確に把握されていらっしゃると思います。非常に条件のいい土地については機構は極めて効果的にワークすると思いますが、中山間地域での問題点、私も実は同じように思っております。

 しかし、この要件緩和については、急に答えづらいことになったら私にお鉢が回ってきたような気がしますけれども、やはりここは厳しくしなきゃいけないと思うんですよ。例えば、中山間地であっても、私がこの土地については機構に貸します、だけれどもこの土地は耕作を放棄してほっておきます、これはやはりだめですよ。ちゃんと耕作できる土地であれば中間管理機構が受け入れるという意思があるわけですから。

 ですから、先ほど局長が言ったように、完全に林野に戻ってしまったような、耕作放棄地といってももうほとんど再耕作不可能な土地についてはこの要件に入ると思いませんけれども、耕作可能であるにもかかわらず耕作もしない、そして中間管理機構にも出さないという土地を持っている場合については、やはり私は、モラルハザードの点から、国民の理解を得なければ農業政策はこれから実行できませんから、御理解をいただきたいと思います。

 ただ、ことしの八月に、中山間地域直接支払い制度のレビューの年にいよいよなりました。ですから、これから我々の党内で、これまでの政策の有効性、そしてこれまでの要件でいいのか、それから支払い単価もこのままでいいのか、こういった制度設計についていよいよ議論を始めなきゃならないわけですよ。ぜひ先生も御参加をいただいて、それぞれの地域で要件が違いますから、これについて努力をしていきたいというふうに思っております。

 そしてまた、今回の国会で日本型直接支払い制度を取り入れるに当たって、我々は今度、法案の中にこの中山間地域直接支払いもきちっと書き込んで、予算措置ではないんだ、根拠法をもとにしてこの制度を恒久的にやっていくということも担保します。

 御参考までに、ちょっと用意をさせていただいたんですけれども、農業競争力強化基盤整備事業というのがございまして、補助率五〇%なんですが、今までは、中山間地域の面積要件は二十ヘクタールだったんですよ。これを十ヘクタールに緩和をいたしました。それから、その中の、今言われた農地集積促進事業の点ですけれども、これについては、五〇%補助に加えて、県が二五%、市町村が一二・五%やっていただいて、集積率を頑張って上げていただくとさらに一二・五%かさ上げをしますので、そうすると農家の負担が結果的にはゼロになるというようなスキームをつくってあります。後ほど、これ、このまま差し上げますので、ぜひ参考にしていただければいいと思います。

 いずれにしましても、ことしは大事な年ですので、ぜひ一緒に制度設計を頑張ってやってまいりましょう。

岩田分科員 大変温かみのある御答弁をいただいたというふうに感謝をしているところでございます。

 私ももちろん与党の国会議員の一人でありますから、今回の農業政策の大転換、さまざまな施策においてモラルハザードがないようにというふうな点が極めて大事な原則としてあるということは十分に理解をしております。

 そういうふうな中でありますし、全体的な政策の中で、私も本当に地元の農業関係者の方とお話をしていて、何か中山間地域が置いていかれたかのような印象を受けられている方が少なからずおられるような感じをしておりました。そういう方には、いよいよ中山間の直接支払い制度を初め見直しの時期がこれから来るんだから、そういうところでまたしっかり見ていきますというふうなお話を私もさせていただいているところであったわけです。

 もうこの議論に関してはここまでにしたいと思いますけれども、十分御理解だとは思いますけれども、この中山間地域の農地の集約化は、より厳しい現状があるために特段の配慮をいただきたいということを重ねてお願いだけしておきたいと思います。

 最後に、このスタートを間近に控えての決意ということでお聞きをしたいと思っております。

 機構が期待をされている農地の集積、集約化という役割を果たして、結果を出してほしいというふうに強く望んでおります。そのためには、今回御質問をしてまいりましたように、農地の今日までの流れや実態を踏まえて運用されるというふうなことが重要であるというふうに考えております。

 また、きょうは議論をいたしませんでしたけれども、集落営農から法人化に向けての取り組みであったり、もしくは農業委員会がこの機構の役割の中でどのような役割を果たしていくのか。制度的なことはできていると思いますけれども、これが本当に実効性があって運用される、本当に重ねて申し上げていますけれども、そのことが重要であるというふうに私は考えております。

 この農地中間管理機構の運用について、どのように取り組まれていかれるのか、その決意のほどをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 先ほど中山間地のお話がありましたけれども、私のところの山口県もどちらかというと中山間地が多いところでありますが、今度、中山間地払いに上乗せして、農地維持支払い、資源向上支払いというのが出てくる。

 ですから、先ほどミカンの果樹園なんかの話がちょっとありましたけれども、中山間地でそれをやっていらっしゃる場合は、今までの米の一万五千円というのはそもそもなかったわけですから、そこに農地維持、資源向上、こういうふうに乗ってくるということで、そういうところにもバランスよく我々は考えておるということをぜひお地元でも言っていただければ、こういうふうに思います。

 その上で、今までずっと農地の流動化ということをやってきた長い歴史があるわけですが、今回の農地中間管理機構、先ほどちょっと申し上げましたように、予算の規模にしても、法律ということを通していただいたということから見ても、いわば担い手への農地の集積、集約化を進めるための究極の手段である、こういうふうに考えておりまして、これを最大限に活用して、十年かけて農地利用を最適化して、農業の構造改革、これを実現したい、こういうふうに考えております。

 この機構という制度だけではなくて、先ほど申し上げましたように、予算、人・農地プランという組み合わせによってこの施策を進めていきたい、こういうふうに思っております。

 さらに、各都道府県に一つずつ置くということでございますので、これはこの三月ぐらいから各地でできていくわけですので、例えば山口県はこうなっているとか、副大臣のところの宮崎はこうだ、岩田さんの佐賀県ではこうだと、これはみんなある意味では競争状況になるし、それからある意味では、あそこでこういうやり方をしているから、別にそれは特許があるわけじゃありませんので、ああ、あのやり方をこっちでもやろうという横展開、こういうこともあるのではないか、こういうふうに思います。

 やはり、全国一律というよりは、各都道府県で、その地域地域に合ったものをやっていっていただけるのが望ましい、こういうふうに思っておりますので、そういうところを踏まえて、国、県、機構、この連携を密にしてしっかりと取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

岩田分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

今村(雅)主査代理 これにて岩田和親君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤洋明君。

斎藤(洋)分科員 新潟三区選出の斎藤洋明でございます。よろしくお願い申し上げます。

 まず、昨日、海外留学あるいは海外勤務をする若手の官僚の方の壮行会というのを行いました。そこで、農林水産業を含めて日本全体に今漂っているこの閉塞感というのを打破するのは、私は、新しい知恵、新しい発想に基づく行政であろうというふうに思っております。ですので、これから海外留学あるいは海外勤務をされる官僚の方には、ぜひ新しい知恵を日本に持ち帰っていただきたいというふうに思っておりますので、改めて、この場をおかりしてエールを送りたいというふうに思います。

 まず、先般の豪雪災害で多くの方が亡くなりました。心からお悔やみを申し上げますとともに、また、発生しました人的あるいは物的な被害の救済につきまして、与党の立場から全力を尽くすことを私もお誓いをしたいと思います。

 その上で、豪雪被害では、農業分野でも、施設園芸を中心に大きな被害が出たというふうに理解をしております。この大雪による農業被害の現状と農林水産省としての今後の対応についてお尋ねいたします。

奥原政府参考人 今冬の大雪は、通常降雪量の少ない地域を中心といたしまして、農業ハウスの倒壊ですとか果樹、野菜の損傷等、甚大な被害をもたらしております。

 二月二十四日時点の被害は、農業ハウスの倒壊だけを見ましても、今冬の各県からの報告によりますと一万六千六百三十五件というふうになっておりまして、平成二十四年の被害、このときは一万四百三件でございました。これを大幅に上回っております。

 また、今冬の豪雪によります農作物それから農業ハウス等の被害額として、これまでに三十三の都道府県から報告がございまして、二月二十四日時点で、その総額は六百八十六億円というふうになっております。

 今回の被害に対しまして、融資、農業共済の対応に加えて、次の対策をとることにしたところでございます。

 まず一点目は、災害関連資金の貸し付けの利子を貸し付け当初五年間無利子にするということ。

 それから二点目として、農業ハウスあるいは果樹棚等の再建、修繕、あるいは、その再建の前提となります倒壊したハウス等の撤去に要する経費、これを助成する被災農業者向け経営体育成支援事業を発動するということ。

 それから三点目といたしまして、この雪害を受けました産地に対して、強い農業づくり交付金に別枠を設けまして、果樹の共選場など共同利用施設の整備を優先的に支援するということ。

 四点目といたしまして、被害果樹の植えかえとこれに伴う果樹棚の設置に必要な資材の導入に要する経費、それから、これによって生ずる未収益の期間に要する経費を支援するということ。

 それから五点目といたしまして、災害を受けている法人の方もいらっしゃいますので、この法人の雇用の維持のための支援といたしまして、施設の復旧までの間、従業員をほかの農業法人等に研修目的で派遣する場合に必要な経費を支援するということ。

 こういった対策を二十四日に決めて発表しているところでございます。

 今後も、詳細な被害状況を把握いたしまして、現場のニーズも伺った上で、追加対策を検討することにしております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 今回の災害で改めて農業というものが、天候という、個々の農家あるいは農業者の方の努力を超えたその脅威にさらされているということを認識いたしました。しっかり対応をお願いいたします。

 次に、農林水産業全体につきまして、国民生活に占めるインパクト、特に、経済的な側面もそうですし、そこを超えた、いわゆる多面的機能についての評価も含めてお考えを伺いたいと思います。

江藤副大臣 大臣がお答えになった方がいいのかもしれませんが、私なりにお答えをさせていただきます。

 もう委員もお感じになっていらっしゃると思いますけれども、農林水産業なくして日本の国はありません。我々は六十数年前に終戦を経験いたしました。あのときに、大きなダイヤモンドもリュックサック一個の芋と交換した時代があったわけですよ。そんな昔の話じゃありません。食べるということがいかに大変なことなのか。国民の生命と財産を守るということが国家の責任であるとするならば、我々は、食料自給率、自給力をきちっと確保せねばなりません。これは国家に対する責任だと思っています。

 ですから、その意味で、決してばらまきだとかそんなことではなくて、最低限の能力を持っておかなければなりませんし、これは国防力と同じだと私は思っています。

 そういう意味で、農地と、そして、農業に従事する方々は技術者だと私は思っております。私には農作物をつくる能力はありません。誰にでもできるような仕事ではないと思っています。そういったプロの農業者を育成し、担い手を育成し、農地を守っていく、それによって日本の伝統と文化も守られていく。これは、国の守っていくそのものが農業政策全体だというふうに理解をしております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 まさに、終戦後の食料不足という経験を我々は忘れてはならないというふうに思います。おっしゃるとおり、政府は、国民の生命あるいは身体を守るというのが最大の任務でございますので、ぜひ、その食料安全保障というところも含めて、しっかりと国益の中で農林水産業を位置づけた行政をお願いしたいと思います。

 農林水産業の価値を国益の中で位置づけるという文脈の中で現在行われておりますTPPの交渉の中で、五品目を守るということを今交渉姿勢として打ち出していただいておりますが、単に、守るべきは守り、攻めるべきは攻めるということだけではなしに、農林水産業が国益に占める位置ということを位置づけた上で交渉にしっかり臨んでいただきたいというふうに考えておりますので、御所見をお伺いしたいと思います。

江藤副大臣 総理はそういったお気持ちを十二分にお持ちだと私は思います。

 国内的には余り評価をされていないかもしれませんが、昨年の二月にオバマさんと一緒に出した共同声明の中に、日本には一定のセンシティビティーが農産物にはあるんだという文言が入りました。これはすごいことなんですよ。アメリカという、あれだけ自分たちの、ストレートに言えばエゴも通してしまうような国が、交渉に入っていない国に対して、日本に対しては、特別にセンシティビティーを認めた。この安倍総理の外交力、そしてそれは、総理の国に対する思い、農業に対する思いがあるからこそなし得たことだというふうに思っております。

 御当選されて総理の所信表明演説その他をお聞きになったと思いますが、その中には必ず、日本の伝統文化に触れられる言葉とか、美しい山村の風景を守るであるとか、そういう言葉が必ずその文節の中に織り込まれています。

 所信やそういう言葉の中に総理が込めた言葉というものは、ここに、横におられる林大臣がしっかり受けとめられて、我々のトップに立たれて行政をされているわけでありますから、その中でのTPP交渉も、総理の思いが決してうそではないという形で成るように、そういう非常にタフな交渉をした結果、今回合意に至らなかったということでありますので、私は、その姿勢は今後も貫いていただけるものだというふうに考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 ぜひその姿勢を貫いていただきたいというふうに私も考えております。よろしくお願い申し上げます。

 次に、農業政策についてお尋ねをしたいと思います。

 日本の戦後の農家所得あるいは就業人口、平均年齢といった主な統計の推移について、前提としてお尋ねをしたいと思います。

坂井政府参考人 お答えいたします。

 農家の生産活動等によって生み出された付加価値を合計したいわゆる農業所得でございますが、これは、推計を始めました昭和三十五年度は一・三兆円でございました。その後、平成二年度には六・一兆円、これがピークでございますが、その後減少いたしまして、最新のデータがある平成二十三年度は三・二兆円となっております。

 次に、農業就業人口、これにつきましても、データをとり始めた昭和三十五年の一千四百五十四万人、これから減少いたしまして、平成二十五年には二百三十九万人となっております。

 また、平均年齢につきましては、平成七年から集計、公表を始めまして、そのときの五十九・一歳から、平成二十五年には六十六・二歳となっております。

 最後に、耕作放棄地でございますが、データをとり始めた昭和五十年の十三万一千ヘクタールから、平成二十二年には三十九万六千ヘクタール、かような状況でございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 さまざまな統計、特に、従事者の平均年齢が大きく上昇しているということから、日本の現在の農業をめぐる環境は持続可能な状況にないのではないかという危機感を持っております。ぜひとも農林水産業が後継者のいる産業になるように、私も応援をしてまいりますので、ぜひ取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 そういった持続可能な環境を実現するために、今般の四つの農政改革というものが打ち出されていると理解をしております。その意義と各改革の問題点についてお伺いをしようと思っておりましたが、きょう既にいろいろ分科会で議論が出ておりましたので、済みませんが、ここは割愛をさせていただきます。

 その上で、米の直接支払いが十アール当たり一万五千円から七千五百円になったことなどについて、正直、賛否は相当あると思っております。しかしながら、いずれにせよ、今のままでは日本の農業は立ち行かないという認識は関係者が共有できているというふうに思っておりますので、ぜひ、この四つの改革を成功させていただきたいと思います。

 次に、四つの改革の中で、水田フル活用について特にお尋ねをしたいと思います。

 この水田フル活用に関して、飼料用米への主食用米からの転換ということが十分に行われることが米価が適切に維持される前提となるというふうに認識をしておりますが、二十六年度産米の需要をどの程度と見込んでいるかということと、日本全体で将来的に飼料用米の潜在的な需要はどの程度見込まれるのかということについてお尋ねをしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 餌米につきましては、平成二十五年度の生産量の実績でございますが、十一万五千トンと相なっておるところでございます。

 他方、配合飼料の原料にトウモロコシを輸入しておりますが、これが一千万トンとなっておるわけですが、この輸入トウモロコシと遜色のない価格での供給ができれば、この餌米については、潜在的には四百五十万トン程度までの需要というものが無理なくあるというふうに見込んでいるところでございます。

 二十六年度はどうなるかということでございますが、現在、餌米につきまして、いわゆるマッチングといったものをやっております。地域で畜産農家が直接供給してほしいという要望が出てきておりまして、これが、我々が把握しておりますところ、新たに六万七千トンの希望数量が寄せられておりまして、この希望数量に対しまして、耕種農家との結びつきの活動を今は行っておるというような状況に相なっているところでございます。

 また、これ以外に、畜産農家というのは配合飼料工場から餌を受け取りますものですから、その中に飼料用米といったものを供給するといったことが可能でございまして、今、全国生産者団体が地域の飼料用米を集荷して、配合飼料原料として飼料工場へ広域的に供給する仕組みが確立されてきつつありますので、こうした各地の配合飼料メーカーと調整しつつ、受け入れ体制を整えるべく、現在、いろいろと情報提供といったものをやっている、こういう状況に相なっているところでございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 飼料用米の需要の拡大ということにつきましては、現実に個々の農家が直接配合するということよりも、配合飼料メーカーとの協力のもと、いかに農家に使っていただける環境をつくるかということだと思っておりますので、引き続き取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、条件不利地の農業について何点かお尋ねをしたいと思います。

 まず、そもそも中山間地域、あるいはそれより奥の山間地域になりますと、集約化あるいは機械化、大規模化というのが困難というふうに認識をしておりますが、そういった条件不利地の農業の現状と、それに対する農業振興施策の現状についてお尋ねをいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 中山間地域の農業は、我が国の農業産出額の約四割、農地の約四割を占めておりまして、今後とも、その振興、発展を図っていくことが重要であると認識しております。

 一方で、中山間地域は、地勢等の地理的条件から、大規模集約化を迅速に進めることが難しい地域も多くなっておりまして、一戸当たりの経営耕地面積も一・二五ヘクタールと、平地の一・七八ヘクタールに比べて約七割となっているなど、中山間地域農業をめぐる状況は厳しいものとなっております。

 このような中山間地域では、豊かな自然環境といった特性を生かした、地域特産物の生産ですとか加工、販売、あるいは都市住民との交流など、多様な活動に対してきめ細かい支援を行っていく必要があると考えております。

 また、これに加えまして、新たに導入いたします日本型直接支払いにおきまして、平地地域との生産条件の格差を是正することを目的として従来から行っております中山間地域等直接支払いの基本的な枠組みは維持しながら、農業、農村の多面的機能の維持、発揮のための地域の共同活動に対する支援である多面的機能支払いを創設することとしているところでございます。

 これらの施策を組み合わせて推進していくことによりまして、中山間地域における農業の維持発展を図ってまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 農林水産省設置法第三条の設置目的にも「中山間地域等の振興」ということが明記をされております。いかに農林水産業が中山間地域の振興と密接に関連しているかということだと思っております。引き続き応援をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、条件不利地の農業ということに関しまして、鳥獣害被害も大変大きな問題になっております。特に私の地元の新潟県でも、主に猿、イノシシの被害が深刻でございます。鳥獣害被害の現状とそれに対する対策についてお尋ねいたします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、農山村におけます過疎化あるいは高齢化の進展によりまして、耕作放棄地の増加あるいは野生鳥獣の生息分布域の拡大等によりまして、鳥獣被害といったものが深刻化、広域化しているところでございまして、御指摘の中山間地域等を中心といたしまして、地域経済の存続を脅かすような重大な問題と認識しているところでございます。

 農作物の被害でございますが、近年、被害金額は約二百億円を上回る高どまり傾向で推移しておりまして、平成二十三年が二百二十六億円でありますが、二十四年は二百三十億円というような状況になっておりまして、こうした鳥獣被害といったことが営農意欲を失って耕作放棄につながるといったようなことで、被害金額として数字にあらわれる以上に深刻な状態になっているというふうに考えているところでございます。

 今先生の方から御指摘ございました、特に、イノシシだとか鹿といったほかに猿の被害といったものも出てきておるわけでございますが、猿につきましては、二十四年度の農作物被害につきましては約十五億円でございまして、これは、野菜や果樹、こうしたものを食べるといったような被害でございます。

 また、イノシシにつきましては、田んぼでの泥浴びによりまして稲を倒伏させる等の水稲被害、あるいは野菜、果樹の食害等により約六十二億円といったものが報告されておるということで、非常に深刻な状況にあるものというふうに考えているところでございます。

 こうした鳥獣被害の防止に向けましては、やはり、捕獲による個体数の調整、あるいは、鳥獣の餌場や隠れ場所の除去などの生息環境管理、あるいは侵入防止柵の設置、追い払い等の被害防止の対策を地域ぐるみで行っていくことが重要であると思っておりまして、特に猿につきましては、群れごとの追い払いや電気柵などの侵入防止柵の設置、あるいは果樹をほったらかしにしないようにするといったこと、イノシシにつきましては、個体数増加に対応した捕獲の強化あるいは侵入防止柵の設置といったことが有効でございまして、農水省におきましても、今回の二十六年度予算概算決定におきましては九十五億円を今度措置させていただいておりますとともに、二十四年度の補正予算でございますが、百二十九億円を計上いたしまして、例えば、イノシシの捕獲数に応じて一頭八千円を出すといったような支払い方法を行っておりまして、地域における対策の充実強化を今後とも図っていきたいというふうに考えているところでございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 ハンターの不足ですとか、さまざまな問題がありまして、鳥獣害被害、なかなかこれを阻止するという手が見当たらないというのが現状でございます。引き続き御支援いただきまして、ぜひ地元の取り組みを応援していただきたいと思います。

 次に、酪農について、あるいは畜産についてお尋ねをいたします。

 まず、飼料価格の高騰というものが畜産農家あるいは酪農家の経営を圧迫しているというふうに認識をしております。

 飼料高が農家の経営に与える影響ということと、それから、飼料高となるそもそもの要因についてお尋ねをいたします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 畜産物の生産コストでございますが、主に飼料代や素畜費の物財費と労働費で構成されておりますが、このうち、畜産につきましては、餌代、飼料費が占める割合が非常に高くなっておりまして、具体的に申し上げますと、平成二十四年度の生産コストに占める飼料費の割合でございますが、各畜種ごとに異なりますが、粗飼料を給与する牛では四割から五割が餌代、濃厚飼料中心の豚や鶏では六割から七割、これが餌代というように相なっているところでございます。

 それで、配合飼料価格に与える影響の要因というものがどんなものかと申しますと、やはり、この配合飼料の中心となります原料が輸入穀物でございまして、その調達価格というものは、トウモロコシや大豆油かすといったような穀物相場に左右されるといったほか、海上運賃、フレート、あるいは為替相場に影響されるといったような状況に相なっているところでございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 酪農家あるいは畜産農家のコストに占める飼料の比率が非常に高いということで理解をいたします。

 その上で、輸入飼料が飼料の大宗を占めるということが飼料価格高騰の一つの遠因になっているというふうに理解をしておりますが、としますと、飼料の国内生産をふやすことがこの飼料価格を安定させる一つの方法ではないかというふうに考えますが、そのための取り組みについてお伺いをしたいと思います。

佐藤政府参考人 今先生が御指摘していただきましたように、我が国の畜産というのは、その飼料の大宗を海外に依存しておりますので、先ほどからお話しありましたように、いわゆる餌米あるいは稲のWCSの利活用の推進、あるいは国産飼料の増産といったものが極めて重要だというふうに考えておるところでございます。

 このため、このたびの二十六年度の予算案におきましては、餌用米あるいはWCSの生産、利用拡大、あるいは草地基盤整備の推進、飼料作物の優良品種の導入等による草地の改良、こうしたもろもろのものを要求しておるところでございます。

 また、やはり畜産農家につきましては、作業といったものが非常に大変になってきておりますものですから、この畜産農家を助けるコントラクターといったものの育成、あるいは、TMRセンターといったような給与の場を整備するといったようなことが非常に重要になっているというふうに考えているところでございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 酪農家の離職率あるいは廃業率というのは非常に高くなっておりまして、そういったことのないように、飼料価格の高騰ということへの対策も含めて、ぜひ総合的な政策をお願いしたいというふうに思います。

 次に、JA改革についてお尋ねをしたいと思います。

 現在、規制改革会議でJA改革に関する議論がなされているというふうに認識をしておりますが、JAが地方におきましてはインフラ機能の供給の一端を担っているという場合が多々ございます。そのようなことも踏まえた、地に足のついた議論が必要ではないかというふうに私は認識をしております。

 御紹介をしたいんですが、私の地元の新潟日報紙で、二月十一日付朝刊のコラムでJA改革について取り上げられております。

 要点だけかいつまんで申し上げますと、要は、農協改革の議論について、地方から見ていると違和感があるということでございます。改革論議では、JAの金融事業の肥大化が指摘されて、本業への回帰ということを言われるけれども、都市部と異なり、地方ではJAがさまざまな機能を果たしている。例えば病院経営ですとか、そういったことを踏まえず、一面的な視点で改革が進むようでは困るという御指摘でございました。

 こういったことも踏まえて、いわゆるJA改革については、慎重といいますか、現実を踏まえた対応が必要ではないかというふうに思っておりますが、この点について認識をお尋ねいたします。

林国務大臣 農協は農業者の協同組織であるということでございますので、担い手農業者のニーズに的確に応えて農産物の販売等を適切に行って農業者の所得を向上させる、そして地域農業を発展させていく、これが本来の姿であり、何よりも重要である、こう思っております。

 現在の平均的な農協の姿は、今申し上げた農産物の販売等のいわゆる経済事業部門、これが赤字で、これを金融事業で、信用、共済の黒字で補填する構造となっておりますが、金融事業が黒字であるということに安住して、農産物を有利に販売するというような経済事業の改善に向けた努力を怠ることなくやってもらわなければいけないということでございます。

 一方で、今先生からお話があったように、農村地域社会においては、地域住民の医療、福祉サービス、金融サービスなどのライフラインとしての役割を果たしているのも事実であります。

 したがって、こうした農協の農業、農村における役割をどのように果たしていくかについては、農協は、会社と同様、民間の組織であります。国が何かつくれとか、公社のように一つだけある、こういうのではないわけでございますので、農業者の協同組合、農業者の皆さんが一緒になってつくったという原点に立ち返って、まずはやはり自己改革、自分で農業者のためにどうするのか、これが基本であるというふうに考えております。

 したがって、農林水産省としても、農協に期待されている役割を踏まえて、現場の農業者を初めとする関係者の皆さんの御意見をお聞きしながら検討していきたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃったとおり、原点回帰ということと、まずは自己改革ということが重要になってこようと思っておりますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 済みません、いただいたお時間が少なくなってまいりましたが、あと、できれば三点か四点お伺いをしたいと思います。

 まず、農政改革との関係で、農政改革が農業法人経営に影響を与えるというふうに認識をいたしておりますが、農政改革によって農業法人経営にどういった影響を及ぼすと考えておられるか、済みませんが、簡潔に認識をお尋ねしたいと思います。

奥原政府参考人 農業法人でございますが、この十年間で二倍以上にふえておりまして、現在、一万二千五百の法人がございます。このうち約四分の一は売上高一億円以上というようになっておりまして、こうした法人経営の安定的な発展を図っていくということが非常に重要であるというふうに考えております。

 今回の農政改革、四つの柱から構成をされておりますが、これらの四つの政策は相互に密接な関係を持っておりますけれども、全体として、経営者マインドを持った農業経営体の育成、それから、こういった経営体が自分の経営判断に基づいて経営を展開していく環境を整備するというものでございまして、基本的に、法人経営の発展に資するものというふうに考えております。

 具体的には、農地の中間管理機構、ここは農業法人が使いやすい形で農地を転貸していくということになりますので、農地利用の集積、集約化につながる。

 それから経営所得安定対策の見直しでございますが、これは、構造政策と矛盾しない形の政策に転換することによりまして、法人等の担い手に対して安定した経営安定対策を講ずるということになります。

 それから米政策の見直しでございますが、これも、農業法人等が自分の経営判断でどういったものをつくるかということを決めていける方向で環境整備を進めていくということ。

 それから日本型の直接支払いにつきましても、地域政策という側面もございますが、規模拡大に取り組む農業法人の負担軽減にも資するということになっております。

 こういった政策を総合的なパッケージとして進めることによりまして、法人経営などの担い手のさらなる発展を図っていきたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 もう何点かお伺いしたかったんですが、時間の関係がありますので、ちょっと私の方から問題意識をお伝え申し上げたいというふうに思います。

 まず、農業の関係ではもう一点、土地改良事業、これが、基盤整備づくり、強い農業づくりという観点から非常に重要と認識しておりますので、特に土地改良というのは、非常に長期的な視野を持って取り組むことが重要な分野と認識をしております。補正予算だけではなくて、ぜひ、当初予算ベースで安定した財源を確保していただきたいと思います。

 二点目に、林業につきまして、国産材の価格の低迷による荒廃ですとか林業者の高齢化など、さまざまな課題があるというふうに認識をしております。昨年の税制の議論の中でいわゆる森林環境税も取り上げられましたが、そういったことも含めて、財源の確保ということについて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 最後に、水産業につきましても、漁港の整備ですとか、それから、私は個人的に未利用魚の活用ということに取り組んでいるつもりでございますが、引き続き、水産業の振興にも十分な予算の確保と施策ということをお願いしたいと思います。

 最後は駆け足になりまして失礼いたしましたが、これで質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

今村(雅)主査代理 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 諫早湾干拓事業について質問します。

 報道でも、赤潮発生で有明海の養殖ノリに色落ち被害が広がり、佐賀県有明海漁協は二十一日、県内の漁業者に対して段階的なノリ網撤去を促すことを決めた、福岡、熊本との三県漁協・漁連ノリ養殖協議会でも確認、こういう報道がなされております。

 私も、去る二十二日、佐賀県西部の太良町のノリ漁場の実態を調査してまいりました。現場では、中学生の子供と夫婦、三人でノリ網の撤去作業をしているところでありました。平年なら四月まで頑張ってきたのに、これ以上残していても採算はとれない、もっといいノリがとれるときに見に来てほしかった、こんな惨めなところは見せたくない、このように話しておられました。

 大浦のノリ漁民は、一月十五日以降色落ち、八年連続で赤潮被害に遭っている、一月末に網は全て撤去した、五百万円の減だ、三年に一回とか四年に一回の被害であっても回っていかないのでやっていけない、共済金に頼るしかないが足りない、アサリは平成十六年以降収穫はゼロだ、このように訴えておられました。

 ことしのノリ養殖の現状について、大臣はどのように認識しておられますか。

林国務大臣 今漁期の有明海のノリのこれまでの生産量は三十一億枚ということで、平年の同時期と比較をいたしますと一一〇%ということになっております。また、生産金額は三百三十三億円、一枚当たりでございますが単価は十・七円、それぞれ平年の同時期と比較すると一〇四%、それから九四%、こういうふうになっております。

 有明海の沿岸の各県によりますと、今漁期は、二月に入ってノリの色落ちが顕著となりまして、色落ちが激しい海域では平年より早くノリ網の撤去が始まっているということでありますので、最終的な生産状況がどのようになるか、推移を見守ってまいりたいと思っております。

赤嶺分科員 ノリの入札は、今、六回目なんです、五回目が終わったと思うんですが。十回ある中で、もうノリ網の撤去が始まってしまう。

 今後の入札の見通し、あるいは、今後のノリの、今の時点でこれ以上伸びないかもしれない、そういう認識はお持ちじゃないですか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、二月になってノリの色落ちが顕著となって、平年より早く撤去が始まっているということでございますので、今後どうなるか。今先生がおっしゃったようなことも可能性としてあり得る、こういうふうには思っておりますが、実際にどうなっていくか、しっかりと推移を見守っていかなきゃいけない、こういうふうに思っております。

赤嶺分科員 五回目の入札までは辛うじてもっていたけれども、各地の漁民のお話を聞いても、本当に撤去が始まっている、いわば二〇〇〇年以来のノリの大凶作だ、このように言っておられます。

 ノリの不作の原因は珪藻の発生による赤潮だと言われておりますが、何で有明海でそういう事態が起こっているのでしょうか。

本川政府参考人 今回の色落ちの原因でございますけれども、佐賀県有明水産振興センターによりますと、今漁期においては、一月後半の日照時間の増加によりまして、例年より一カ月近く早く珪藻、ユーカンピアによる赤潮が発生したために、ノリの色落ちが早まって、例年より早くノリ網の撤去が始まっている状況と聞いております。

 ただ、このユーカンピアという珪藻につきましては、大体三月末ぐらいからあらわれてくる、二枚貝のアサリなどの餌になる珪藻でありまして、そういうものがことしについてはたまたま早く発生をした、そういうことで色落ちが進んでいるといったような状況でございます。

 いずれにいたしましても、今大臣がおっしゃったように、ことしのノリ生産にこのことがどのように影響するか、注視してまいりたいと考えております。

赤嶺分科員 餌にする二枚貝、アサリも衰退している状態であるわけですから、赤潮がどんどんどんどん発生してきている。ただ、気象条件だけなのかと。

 南北排水門から調整池への、調整池から海への放水があります。ちょっと調べてみたんですが、一月一日から二月十五日までの間、十回にわたって、大体、調整池の水が千百六十三万立米、これは北部排水門だけであります。南部排水門は三百三万立米です。

 私たちが行った現場でも、ノリの生産者のお話を聞きますと、必ずこの調整池からの排水が問題になってまいります。私が行った現場では、北部排水門からの汚水の影響を受けている、原因は排水門からの汚い水、毒素が含まれている水がこっちに流れてくる、何が含まれているかわからない、このようにおっしゃるわけですね。

 調整池から出される汚染水、そして赤潮の発生、ノリの不作の関係、これらについて農水省はどのように認識しておられますか。

江藤副大臣 排水につきましては、先生も御存じのように、九州農政局が毎月、水質調査をいたしております。

 本調査によりますと、調整池の水質は例年と同程度であるということでありまして、諫早湾央部の水質につきましては例年と同程度でありまして、このことからすると、水質の面からも、調整池からの排水が今年度の有明海のノリの生育に大きな影響を及ぼす原因とはなっていない、そういうふうには考えづらいというふうに考えております。

赤嶺分科員 これが全然、皆さんとノリ漁業者との認識の食い違いというか大きな違い、このように思うんです。

 現場で、長崎の瑞穂漁協の方から伺いました。以前は、十二月末で二百万から三百万円の水揚げがあった、今季は十九万円だ、救援を受けて冷凍ノリを張って年が明けて百万円、一昨年の凶作のさらに半分だ。この方も、調整池からの排水が災いしている、排水される水そのものが被害を出していると。このように、調整池から排水される汚染水と赤潮の発生について、漁民は口々に大きな関連があるということを訴えているわけであります。

 いずれにしても、今回、ノリを生業にしている漁民にとっては大きな打撃であります。今後、どのような対策をとっていくんですか。

本川政府参考人 ノリ養殖におきまして不作による減収が生じた場合には、先ほど委員御指摘もございましたが、漁業共済の加入者に対しまして、基準となる収入の原則八割まで補填がされる。この地域は、ほぼ一〇〇%に近い皆さんが加入をしておられます。福岡県では一〇〇%、佐賀県では九九・六%、熊本県でも九五・六%といったような共済の加入をしておられますので、まさにこういう形で八割の補填がなされる。

 さらに、漁業者が資源管理・収入安定対策、いわゆる積立ぷらすに加入していただいている場合には、原則九割までの補填がなされるといったようなことでございます。これをきちんと運用してまいりたいと思います。

 また、金融支援といたしましては、経営再建に必要な長期運転資金であります政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金の活用が可能となっております。

 こういうものを周知するとともに、地域の御要望を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

赤嶺分科員 被害が出たら、被害補償があるから、それが対策だという答弁には納得できません。

 海を相手になりわいを維持して日々頑張っている漁民にとっては、有明海の環境が改善されることが大事であります。その環境がどのように悪化しているか。いや、共済が出るからもういいんだよということではなくて、農水省自身が現場に行って調査し、確認し、漁民とも話し合う、そういうことが必要だと思いますが、農水大臣、いかがですか。

林国務大臣 今、対策ということで御質問があったので、共済のお話を長官からいたしましたけれども、ノリの生産は、各年で変動はございますが、平成九年に潮受け堤防を締め切った後、引き続き増大をしている傾向がございまして、この干拓事業がノリの生産に悪影響を与えているとはなかなか考えにくいわけでございます。

 平成二十年に佐賀地裁の判決がございましたが、そこでも、諫早湾干拓事業によって諫早湾及びその近傍部に所在するノリ養殖の漁場において漁場環境の悪化が生じているとは認められない、こういうものも出ているわけでございます。

 平成十二年度にノリの不作があったわけでございますが、これの原因について、有明海特別措置法に基づき設置されている総合調査評価委員会、この報告書が十八年の十二月に出ておりますが、平成十二年度のノリ不作については、十一月に集中豪雨がありまして、その後、極端な日照不足で小型珪藻が発生せず、十二月初旬に栄養塩を多量に含む高塩分海水が持続する条件下で、高い日照条件が重なって、大型珪藻が大量発生して赤潮を形成し、栄養塩を吸収してノリの色落ちの被害につながったと考えられる、こういうふうな報告になっております。

 したがって、特異な自然状況のもとでこれが発生した、こういうことだというふうに考えておるところでございます。

赤嶺分科員 まるで、天災だからこれは避けられない、そういうノリの不作だと言わんばかりの答弁であります。

 福岡の柳川のノリ漁民は、毎年色落ち、毎年毎年同じことを言いたくない、言いたくないけれども腹が立つ、昔はノリがだめでもアサリやタイラギなどがあった、今は全部だめ、子供に後を継げとは言えない、国はもっと誠意ある態度を見せてほしい、このように言っております。長崎・島原の、この方は漁船業ですが、実際に船に乗って海の現場を見に来てほしい、話の始まりになるのでは、このように言っております。

 皆さんが、諫早湾干拓事業の締め切りによって引き起こされた有明海の異変、漁業被害、これを認めないことがどれほど多くの漁民を追い詰めているか、苦しめているか、そして自殺者まで出しているか。このことについて、やはり政府はきちんと、干拓事業と漁業被害の関連、ノリの被害についてもそうですが、現場に行って調査をする、こういうことを強く求めておきたいと思います。

 それで、きょうは、あと一つテーマを持ってまいりました。離島農業と自衛隊配備の問題について質問をいたします。

 今月の二十三日から二十四日にかけて、沖縄の地元二紙が、現在防衛省が検討を進めている南西地域の島嶼部で初動を担任する警備部隊の配備先について、石垣島の具体的な候補地名を挙げて報道をいたしました。石垣港の新港地区や、「あかんま」というサッカーパーク、大崎牧場、新旧の石垣空港周辺などが挙げられております。「あかんま」の隣には底原ダムという農業用ダムがありますが、そこを海上自衛隊のUS2という救難飛行艇が使用することまで報じられております。

 小野寺防衛大臣は、二十三日、全く事実ではないと報道の内容を否定しましたが、きのうの記者会見では、沖縄の先島諸島及び鹿児島の奄美諸島の有人島を中心に調査業務に着手している、このように述べております。

 まず、報道の内容についてではなく、防衛省の調査業務について伺いますが、候補地の選定に向けて、先島諸島と奄美諸島の有人島を対象に調査を進めている、これは事実ですね。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 私どもで取りまとめをさせていただきました新たな中期防におきまして、委員御指摘のとおり、南西諸島島嶼部の部隊の態勢を強化していかなければいけない、初動を担任する警備部隊の新編を行うことといたしておるところでございます。

 このための部隊配置の候補地につきましては、今陸上自衛隊の配備に空白が生じている島嶼部として、委員おっしゃるように、沖縄の先島諸島及び鹿児島県の奄美群島の有人島を中心に、平成二十五年の九月から土地等の状況を調査いたしておる状況でございます。

 具体的な調査の内容につきましては、既存の文献等の資料をもとに、地形から得られる地籍、自然条件、それからインフラ整備の状況など、状況を把握いたしまして、整理をし、取りまとめているところでございまして、現在、委託業者が作業している最中でございます。

赤嶺分科員 候補地の調査を行っているということであります。

 そこで、初動担任部隊、これはどういう部隊なのですか。

 二月五日の参議院の予算委員会で、防衛大臣は、部隊編成や規模については対馬警備隊が参考になる、このように答弁をしております。対馬警備隊は五百人規模と聞いていますが、それくらいの部隊規模を考えているということですか。

若宮大臣政務官 新たな中期防におきましては、南西地域の島嶼部において初動を担任する警備部隊の新編等を行うことによりまして、南西諸島の島嶼部の部隊の態勢を強化する、これを主目的といたしてございます。

 初動を担任する警備部隊につきましては、委員おっしゃるとおり、陸上自衛隊の配備に空白が生じている島嶼部におきまして、これは災害を含む各種事態が生起した際、迅速な初動対処を行うために必要最小限の態勢を整える、そういった方向で検討を進めているところでございます。

 先ほど御指摘にもございました長崎県の対馬駐屯地に現在配置されております対馬警備隊、これも参考にいたしまして、引き続き、部隊の編成や規模について検討を進めてまいるつもりでございますが、今後、さらなる詳細については、今後の年度予算の編成を通じまして、しっかりと検討してまいりたいと思っているところでございます。

 また、ちなみに、対馬警備隊の概要でございますが、常備の自衛官の定数は約三百五十名ほどでございます。主要な部隊といたしましては、普通科中隊と後方支援隊ということでございます。

 以上です。

赤嶺分科員 その初動担任部隊は、先島諸島、奄美大島の中で、一カ所だけではなく複数の島に置く方向で検討を進めている、このように聞いておりますが、それで間違いありませんか。

若宮大臣政務官 委員おっしゃるとおり、配備に現在空白が生じている島嶼部への配置、そういった観点からいたしまして、複数の島への配置の可能性も念頭に検討させていただいているところでございます。

赤嶺分科員 小野寺大臣は、現在、委託業者が調査をしていると。今政務官も述べられたわけですが、私が聞いたところでは、二月上旬にも報告書が提出されるということでありました。

 提出がおくれている理由はどういうことでしょうか。そして、提出時期はいつかという点についても説明をしていただけますか。

辰己政府参考人 現在、委託業者の方で作業中でございまして、業者の方がいろいろなところを調査していると承知しております。

 そういう関係で、調査が引き続き続いているという状況で、これは二十五年度予算でございますので、まだその期間があると思っております。

赤嶺分科員 当初、私たちへの説明は、二十五年度予算との関係でいっても、二月中ということでしたが、手続として工期を延長したというお話もありますけれども、それはどういうことでそうなったのか、ちょっと説明していただけますか。

辰己政府参考人 現在、委託業者の方が調査をしておりますが、その中で、いろいろなところを調査しなくちゃいけないということで、量的な規模がふえているのではないかというようなことでございますが、今年度の予算で執行する調査でございますので、まだ期間があると思っております。

赤嶺分科員 そうすると、三月中にはこの報告書は出されるわけですね。

辰己政府参考人 基本的には年度予算なのでそういうことになるかと思いますが、まだ、現時点でいつまでということは、決まっているわけではございません。

赤嶺分科員 これは、来年度は基本構想を作成するとしております。候補地を特定して、地元への説明を行った上で作業を始めるのだ、このように思います。

 候補地の特定と地元への説明、これはいつごろを考えているのでしょうか。

辰己政府参考人 現在、二十五年度予算において調査業務を調査会社がやっている状況でございます。まだその報告が上がってきている状況ではございません。

 今後、その報告が上がってくれば、その結果を踏まえて、候補地を含めた部隊配置の概略を決定し、基本構想というのを策定していきたいと思っておりまして、これについては、二十六年度予算で必要な経費を計上しているところでございます。

 いずれにしましても、防衛省としては、部隊の配置場所については、関係自治体の御理解を得ながら決定していきたいと思っております。

赤嶺分科員 そこで、報道との関係について聞きますが、報じられている新港地区や「あかんま」、大崎牧場、新旧の石垣空港周辺、底原ダムのうちで、委託業者の調査において検討の対象に挙がっていないところはありますか。

辰己政府参考人 先ほども申しましたように、現在、委託業者の方が作業をしておりまして、その状況についてまだ我々の方に報告が来ておりませんので、今の段階で、どこが調査対象地になっているかということをお答えできる段階にはございません。

赤嶺分科員 報告書作成を任せているけれども、防衛省の側は見たことがない、知らないというのはちょっと奇異な感じがするんですが、知っているんじゃないですか。

 さっき言った場所は、候補地として挙がっていないところはありますか。

辰己政府参考人 繰り返しになりますが、まだ委託業者が作業をしている段階でございまして、防衛省の方に報告が上がってきておりませんので、我々としては、どこを調査しているかということについては、今の段階で答えることができないということでございます。

赤嶺分科員 要するに、まだ報告書を受け取っていないからわからないというだけであります。

 「あかんま」は、子供たちのサッカースクールやプロサッカーチームも利用する施設で、二〇一二年にその宿泊所を自衛隊の通信訓練の一環として使用しようとして大問題になりました。自衛隊の配備先にするなどということは、絶対に許されません。

 そこで、大臣に伺いますが、隣接する底原ダムについて、底原ダムは、どういう経緯で設置されたものか、現在どれくらいの利用があるのか、そして、それが目的外利用ということでどういう手続が必要なのか、答えていただけますか。

林国務大臣 今お話のあった底原ダムでございますが、沖縄県石垣市の石垣島中央部以南に広がる約三千五百ヘクタールの耕地を対象といたしまして、農業用水の安定的な供給を図ることを目的として、国営土地改良事業により建設した農業用のダムでございます。

 本地域では、降雨のほとんどが梅雨と台風の時期に集中して、河川も短いために、降雨の大部分が利用されずに海に流れる、こういう条件にございます。特に昭和四十六年には大干ばつに見舞われたということもあって、安定的な水源の確保について地元からの強い御要望がございまして、昭和五十年度に国営事業に着手し、平成四年度に完了したものでございます。

 本ダムの設置によりまして安定した農業用水の利用が可能となり、サトウキビを中心とした農業に加え、多収益性作物の花卉や熱帯果樹の生産など、亜熱帯気候の特性を生かした多様な農業が展開されている、そういうものでございます。

赤嶺分科員 一九七一年、復帰前ですよ、大干ばつと台風があって、かんがい施設をつくってほしいという大きな運動や取り組みが起こり、そして、国営のかんがい施設として沖縄につくられた第一号のダムが底原ダムであるわけですね。私は当時、その石垣島に勤務しておりまして、台風や大干ばつ、そしてかんがい施設をつくれという運動にも参加してまいりました。こういう貴重な施設は、防衛省から目的外利用の申し入れがあっても、絶対に使わせてはいけないと思います。

 最後に、きょうは、防衛大臣がいませんけれども、防衛省に一言申し上げておきたいと思いますが、報道のあった日が石垣市長選挙の告示日と重なっていたことから、防衛大臣は、「何らかの意図が感じられ、新聞として、社会の公器としていかがなものか」とまで言っております。

 しかし、今の答弁を聞いていても、根も葉もない報道ではなく、十分に根拠のある報道だという印象を持ちました。来年度には候補地が選定され、地元への説明を開始するということでした。

 自衛隊の配備が計画されているのであれば、島の将来にとっても大きな問題です。そのことを報じた報道機関に対して、社会の公器としていかがなものかという強い態度で威圧するような、こんな発言は厳に控えるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

今村(雅)主査代理 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

    〔今村(雅)主査代理退席、主査着席〕

宮路主査 次に、加藤寛治君。

加藤(寛)分科員 自民党の加藤寛治でございます。

 今後十年間の農業政策のあり方について、お尋ねをしたいと思います。

 政府におかれても、農林水産業・地域の活力創造プランということで、農業所得の倍増に向けて、これから新たな農業、農村政策が始まろうといたしておるわけでございます。

 そこで、私が常々考えておりますことの一つ、農は国家の大もとなりということはもう古くから言われて久しいわけでございますけれども、しかし、このことは、いかに時代が変わろうとも、未来永劫変わることのない真理であろう、私はこのように考えております。そうした観点に立って、これからの問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 また、政治の眼目というのも、私は、国民への安定的な食料の供給と、そしてまた安全で安心な生活を送ることができるように供することが政治の大きな眼目であろう、このように考えておるわけでございます。

 そこで、まず、安定的な食料の供給の原点には、食料自給率というのが国家として果たさなければならない大きなものの一つであろう、私はこのようにも考えておるわけでございますけれども、最近は、食料自給率の考え方に、カロリーをベースにする考え方と、また生産額をベースにというような、いろいろな考え方をされる人がおられます。

 もちろん、どちらも重要な問題であろうとは思いますけれども、しかしながら、食料というのは、我々国民の生命をつないでいくということがまず第一義的な重要な問題であろうと私は考えております。そういうことから考えますと、やはりカロリーベースというのが、自給率の一番の原点に置かなければならない問題であろうと私は考えております。

 生産額が大事ではないかというような発言をされる方もたまには耳にしますけれども、それは、農業も産業として、成長戦略の一環として捉えていく中では、やはり生産額というのもある意味では大事なことではあろうかと思いますけれども、やはりベースに置くのはカロリー、カロリーで人間は生きておるわけでございますから、カロリーベースで自給率何割ということを原点に置いて取り組んでいかなければならないという思いが私はいたしておるわけでございます。

 そこで、大臣の思いというのを、どのような考えを持っておられるのか、まずお伺いさせていただきたいと思います。

林国務大臣 まさに加藤先生今おっしゃっていただいたように、農は国の基ということでございまして、国の基本的な機能、すなわち国民の身体、生命、財産を守るという中で一番大事な食料生産、そして国土や自然環境を守る、そして田舎の中心に集落機能を維持する、こういう大事な多面的機能の発揮を通じて、国民の暮らしに重要な役割を担っているわけでございます。

 したがって、昨年十二月に政府でプランをまとめさせていただいたときも、構造改革と成長産業化を促進する産業政策と、構造改革を後押ししつつ美しく伝統ある農山漁村を守る地域政策、これは車の両輪でなければいけない、こういうことを掲げさせていただいて、このプランを踏まえて、食料・農業・農村基本計画、まさに今後十年程度を見通した農政の中長期ビジョンを示すこの計画の見直しに着手をしたわけでございます。

 そこで、食料自給率及び食料自給力の取り扱いもやっていただくことになるわけですが、今先生がおっしゃったように、食料安全保障ということを考えていきますと、やはりカロリーということになります。産業ということであれば生産額、こういうふうになるんですが、では、果たして今、花や野菜をつくっているところが、カロリーではなかなか加算をされないわけですが、いざというときに、花や野菜をつくらずに生産放棄地になっていることと、花や野菜をつくっていて土地と農業者がいるということをどう見るか。こういう問題意識で、食料自給力という新しい、新しいといいますか前から言われてきたことですが、それをあわせて考えていこう、こういうふうになったのではないかと思っております。

 通常、市場で取引をされて、普通に植樹をしているときに、カロリー自給率を上げていこうとしても、花をつくるな、野菜をつくるな、全部芋を植えろ、こういうことにはなかなかならない。一方で、そういうところを農地として維持して農業者にずっとやっていていただいているということの意味が、一旦何かあったときにはカロリーをたくさん供給するものに変わり得るという意味で、この食料自給力というものをどう見ていくか、これも非常に大事ではないか。

 したがって、生産額とカロリーベースと自給力というのは、いわば三つがきちっと三位一体となって今おっしゃったような目的に対応していかなければいけない関係にある、こういうふうに思っておるわけでございます。

 こういうことに加えて、所得倍増を党でお決めになっていただきましたので、これに向けた道筋や農業構造の改革、こういうことについて、有識者に御議論をいただくとともに、党でも御議論をいただいてしっかりと検討を深めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。

加藤(寛)分科員 それぞれ、食料自給率の捉え方についての大臣の考え方というのもお伺いをしたわけでございます。やはり通常のカロリーベースももちろんでありますけれども、先ほど大臣がお触れになりましたように。食料自給力というのも、今後、非常に基本に置いていかなければならぬのではないかなという思いも私はいたしております。やはり一旦緩急あるときには、国民の生命を守るためには自給力というのが非常に大事な問題であろうと私は思います。

 そこで、自給力を高めるためにはやはり農地というのを継続して確保していかなければならないし、農地を確保するためにはやはり農業後継者というのを育成していかなければならない、大きな問題であろうとも思います。そういう中で、新規就農者に対しての助成金等々も準備をして予算化されておるわけでございますので、私は心を強くしておるわけでございます。

 そういう中で、やはり自給力を高めていくためには、今、新たな農業、農村政策の中で四つの改革というのが大きく取り上げられておるわけでございます。この四つの改革については、それぞれ重要な問題であるということは私は十分受けとめております。

 その中で、農地中間管理機構というのが、これから各都道府県に設置をされて、機能していくべく始まるわけでございます。しかし、この農地中間管理機構の十分なる運用というのがなされて初めて、これからの食料自給力についても十分な力が発揮できるのではないかという思いが私はしております。

 その中で、まず耕作放棄地の解消ということが挙げられておるわけですけれども、約四十万ヘクタール今現在ある中で、これをどうした形で解消されようとしておるのか。

 この耕作放棄地が生じた一つの大きな原因というのは、もちろん農業後継者がいなくなったということと同時に、その農地自体が優良農地でなかった、非常にせまちの悪い、使い勝手の悪い農地であったから近隣の皆さんの借り手がなかった、そういうことから耕作放棄地になったのではないかということを、私は周囲の状況を眺めてみて強く感じております。

 そういう中で、やはり耕作放棄地を解消するに当たりましては、農地を優良農地に圃場整備、基盤整備してやる、これが喫緊の課題であろう、このように私は考えておりますけれども、放棄地を解消するに当たって、どのような方策で対策を打とうとされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。

奥原政府参考人 耕作放棄地の問題でございますが、耕作放棄地の調査につきましては、市町村と農業委員会がやっております客観ベースのものと、それから農林業センサスによります主観的な調査のものとございます。主観的な調査の方でいいますと、これは年々ふえてまいりまして、二十二年の数字で三十九万六千ヘクタール、十年前に比べまして五万三千ヘクタールふえているという状況でございます。

 こういった耕作放棄地が発生している原因でございますけれども、農業者の高齢化の進展によりまして農地の適正な管理が難しくなっている、そういうことが一つございますし、相続によりまして、農業を行わない方が農地を所有するというものもだんだんふえてきております。いわゆる土地持ちの非農家ということでございますが、ここの農地がきちんと管理をされない、こういったことが主な原因であるというふうに考えております。

 平成二十一年の農地法の改正によりまして遊休農地対策はかなり強化をされておりますが、その中で、指導、通知あるいは勧告、協議、調停を経まして、最終的には都道府県知事の裁定で利用権を強制的に設定するという制度ができておりますけれども、その利用権の設定に至るまでに六段階の手続がございまして、使い勝手が悪いといった御指摘もいただいているところでございました。

 このために、昨年十二月に、農地中間管理機構の関連二法の中で農地法の改正をしていただきまして、その中では、この中間的な受け皿であります農地中間管理機構も活用する形で、耕作放棄地の発生防止それから解消を図るということにしたところでございます。

 具体的には、耕作放棄地になっていなくても、賃貸借の終了等によりまして耕作をする方がいなくなった農地につきまして、耕作放棄地の予備軍として、遊休農地対策、指導等の対象にするということ。

 それから、農業委員会は、遊休農地の所有者に対しまして、農地中間管理機構に貸す意思があるかどうか、こういったことを確認するところから始めまして、機構に貸し付ける方向に誘導していくということ。

 それから、遊休農地の所有者の方が自分で耕作するといった場合になかなか実行しない場合には、農業委員会が最終的には協議をした上で、都道府県知事の裁定によりまして機構が農地中間管理権を取得できる、こういった手続を整備し、手続も三段階に圧縮をしております。

 それから、所有者が不明の耕作放棄地等につきましては、公告制度によって機構が農地中間管理権を取得できるといったものもさらに整備をしておりまして、こういった措置によりまして、耕作放棄地の発生の防止それから解消を図っていきたいと考えております。

加藤(寛)分科員 答弁はいただきましたけれども、やはり耕作放棄地が発生する大きな要因は、借り手がないということなんですよ。借り手がないということは、使い勝手が悪い、機械化できない。圃場整備、基盤整備さえしてやれば、近隣の農家の皆さんが規模拡大のためにほとんど間違いなく借りてくれる。これは周囲を眺めてみて間違いのない事実であるわけですから、やはり圃場整備をしっかりやってやるということが耕作放棄地の解消につながると私は思いますので、ぜひそういう対策を打っていただきたいと思います。

 それと、政策の中で、これまで、担い手による耕作面積というのは全農地の五〇%、これを十年間をもって八〇%に持っていこうという計画がされております。

 全農地約四百五十万ヘクタールの五〇%は二百二十数万ヘクタールになるわけですけれども、この二百二十数万ヘクタールというのは、今、統計上で考えてみました場合に、現農地、圃場整備された農地が、水田の二百五十万ヘクタールの六五%で百六十万ヘクタール、畑の二百万ヘクタールのうちの二五%で五十万ヘクタール、約二百十万から二十万、これはちょうど全農地の五〇%、担い手が今耕作をしておる農地とほぼ一致するわけですね。ということは、やはり圃場整備が済んでおるから、担い手の皆さん方が機械化しながら耕作をしておるということが言えるのではないかと私は思います。

 そこで、これを八〇%に上げるということは三百六十万ヘクタールになるわけですから、残り百五、六十万ヘクタールが恐らく不足しておるわけですね。そういう中で、機械化でやっていくためにはやはり圃場整備をしなければならない。

 それと、またもう一つ言えることは、これまでの二十年間の中で、農業者が三百六十万人から百八十万人に半減した。これは二十年間ですけれども、今度は、これから十年間でまた半減をして、九十万人になるであろうということが推測をされております。ひょっとすれば、十年かからずに半減するかもしれません。そのような状況の中で、今現在、百八十万人で農地を耕作されておられる。

 今、日本の平均的な耕作面積というのは一・五から二ヘクタールと言われておりますけれども、しかし、農業者が半減をすれば、その倍、三ヘクタールから四ヘクタールの耕作をしなければ食料自給率の維持というのはできないわけですね。農業者が半分に減るわけですから、残った人が倍耕作をしなければ自給率の維持はできないわけですね。

 そうなった場合に、少なくとも、三ヘクタール、四ヘクタールを耕作する場合には、やはりすきやくわだけで耕作するわけにはいかないわけです。やはり大型のトラクター、まあ中型なのか大型なのかは別にして、機械化をしなければ三ヘクタールも四ヘクタールもというのは耕作できないわけですから、機械化するためにはやはり圃場整備をしなければ、この規模拡大というのは不可能になるわけです。

 そこで、先ほど申し上げました、現在、圃場整備された農地が二百二十万ヘクタール、八〇%を担い手に耕作してもらうという計画であるならば三百六十万ヘクタール、残の百五、六十万ヘクタールの圃場整備を完成しなければ、なかなかその計画というのがままならないという思いがするわけですが、どういうふうなお考えをお持ちか、お伺いしておきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、機械化、大型機械の導入ですとか、担い手への農地集積を図っていく上で、圃場整備や農地の大区画化といったことを図っていくのは大変重要であると認識しております。

 これも先生のお話の中にありましたように、今後十年間で全農地の五割から八割に担い手の利用する農地面積の割合を拡大していこうという場合にも、担い手は当然農地の条件のよいところということを求めていくわけでございますので、基盤整備、なかんずく圃場整備の実施ということが大変重要であると考えております。

 一方で、これまでに集積されている農地におきましても、その全てで基盤整備が行われている、了しているというものではないということ、あるいは、今後集積すべき、約三割に相当するということになりましょうか、その農地の中には、既に基盤整備がなされている農地も含まれているということ等からいたしますと、今後集積すべき農地の全てで基盤整備、圃場整備を行わなければならないということではないのではないかと考えております。

 ただ、一方で、基盤整備を実施した地区において、事業実施前と比べまして担い手への農地の集積率というのが大幅に向上しておりますし、また、そういったことを踏まえますと、担い手への農地の集積を強力に推し進めていくためには、基盤整備を契機として農地集積を推進していくということが重要であると考えております。

 したがいまして、今後とも、現場のニーズに対応できるように基盤整備にかかる必要な予算の確保を図るとともに、農地中間管理機構とも連携しまして、基盤整備の円滑な推進を図ってまいりたいと考えております。

加藤(寛)分科員 具体的な方策というのは聞けなかったわけでありますけれども、私は、当初申し上げましたように、十年間で農業所得の倍増を図る、そうした力をもって、農林水産業・地域の活力創造プランということで、産業化を図っていくんだという強い思いというのは十分期待もしますし、また認識もしておるわけでございます。

 それを実現するためには、やはりこの農地中間管理機構をいかにスムーズに有効的に運用を図っていくかということが鍵であろう、私はこのように考えておりますし、また、この農地中間管理機構が有効に運用をされるには、先ほども申し上げましたように、三百六十万ヘクタール、全農地の八割を担い手に託すのであれば、やはり残された未整備である圃場整備を仕上げるということがまた大きな鍵であろう、私はこのように捉えておるわけでございます。

 この農地中間管理機構というのは、考え方としては、これまでにない大変すぐれた考え方であろう、私はこのように理解をいたしております。私のこれまでいろいろ農業に携わってきた中でも、なるほどこれはすばらしい考えだなということで高く評価もいたしておりますし、また、小里政務官が記されたあの書物について私も十分精読をさせていただきましたし、非常に新しい、目からうろこが落ちるようなことを感じることもできました。

 その中で、一つ、もう少し力を入れてもらいたいところがあったなというのは、圃場整備についていま少し力を入れてほしいなという思いがいたしておりましたので、御所見をお伺いできればと思います。

小里大臣政務官 農地集積、そして基盤整備との関連をお尋ねでございます。

 まず、農地中間管理機構がみずから基盤整備をして、農家に負担がなるべくかからない形で再配分をするという方策がございます。

 あわせて、中間管理機構を経ない場合でも、農地集積型の圃場整備、基盤整備につきましては、農地集積促進費という制度がございます。これでもって農家の負担を和らげる。この単価というか、補助率を今度引き上げます。土地改良費の一二・五%まで農家に対して助成をする、そのことによって農家の負担は実質ゼロになるという方策でございます。

 さらにまた、定額助成ですね。簡易な基盤整備については、反十万とか反二十万という定額の形で助成がありますが、これも一律二割、十万のものは十二万、二十万だったところは二十四万。さらに、その対象についても、例えば暗渠排水とか、あるいはあぜの除去とか、従来の対象だけでなくて、周辺の農地かんがいであるとかスプリンクラーの設置等々でございますが、そういった対象も広げまして、なるべく農家の負担のかからない形で基盤整備をしていくという方策も今度かなりとっております。その要件もかなり緩和しております。従来であれば四町歩以上の認定農家でなければいけなかったけれども、中心経営体であればいい、地域で決めてください、そういった要件の緩和も行っております。

 したがって、委員の御要望に応えるとすれば、予算の確保とともに、農家の負担をなるべく和らげるといったことも含めて、制度面でも大きく拡充を図っているところでございまして、そういったところを駆使して農地集積を図ってまいりたいと思います。

加藤(寛)分科員 再度申し上げますけれども、これからの日本の農業のあり方というのはこの農地中間管理機構の運用にかかっておると私は思いますし、また、農地中間管理機構の有効な運用に当たっては、やはり優良の農地、圃場整備のされた農地が一番肝心な鍵であろうということを思いますので、ぜひともその点を踏まえて取り組んでいただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 それと、時間は来ましたけれども、一言だけ申し上げておきたいことは、TPPについてであります。

 大筋で合意に至らなかったというきょうの報道、新聞記事を見たわけでございますが、このことは、当初、衆参の農水委員会での決議でもありましたように、日本の国益を守るということをやはり強く主張された、その結果、合意に至らなかったのではないかなという思いもしておりますので、ぜひとも、最後までそうした気持ちを崩すことなくTPPについては取り組んでいただくように強く御要望を申し上げさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

宮路主査 これにて加藤寛治君の質疑は終了いたしました。

 次に、池田道孝君。

池田(道)分科員 自由民主党の池田道孝でございます。

 まず最初に、先般の大雪で大変な被害、とりわけ農業関係には大きな被害が出ました。その方々に対しましてお見舞いを申し上げます。

 また、本日も農業の問題でございますが、実際は所属する委員会で質問させていただければいいんですが、その機会が余りめぐってまいりませんので、きょうこの場で質問させていただきます。林大臣、そしてまた小里政務官、農水省の皆様方には、お手数をかけますが、よろしくお願いをいたします。

 もう南の方では田植えが始まった、あるいは苗代の準備がされておると思いますが、ことしの二十六年産米、いわゆる水稲の作付からは大きな変化がございます。

 先ほどもお話が出ておりましたが、中間管理機構の設置、そしてまた水田フル活用、あるいは日本型直接支払い制度、とりわけ、半世紀にわたりまして国策として行われました減反政策、そしてそれに伴う生産調整の見直しもこれから行われてまいります。

 そうした中、美しい棚田、そしてまた美田を残すという総理の御意思もございますし、また、攻めの農業ということで、もうかる農業、その二本立ての政策をとっていかれるわけでございます。

 たまたま私どものところの岡山県でも、一戸当たりの耕作面積というのは七十アール、まして一ヘクタール、二ヘクタールという、農家にとりましては大規模農家でございます。しかしながら、ちょうど今、申告時期でございますけれども、申告の時期には、当然赤字の申告がなされます。兼業農家でございますから、当然ほかの所得でもってコンバインを買うとかトラクターを買うとか農業機械を買った中での兼業農家、それがまた地域の水田を残し、そして地域の水路等を残してきたわけでございます。

 そうした方々がこれから高齢化とともに離農をしていくわけでございます。そのためにいろいろな施策がなされるわけでございますが、これからのいわゆる攻めの農業、もうかる農業ということに対しまして、改めて、林大臣の御決意、そしてまた抱負等について冒頭にお尋ねをいたします。

林国務大臣 農政は、やはり、その時々の農業を取り巻く状況、こういうことに応じてその都度必要な施策を講じてきた、こういうことでございましょうが、近年、生産者の所得の減少、それから農業従事者の高齢化、あるいは耕作放棄地の増加、こういう環境になってきたところでございまして、こういう課題を克服して攻めの農林水産業を展開していくために、昨年十二月に農政のグランドデザインとなる農林水産業・地域の活力創造プランをまとめたところでございます。

 今、池田先生から四つの改革というふうに言っていただきましたけれども、経営所得安定対策の見直し、水田フル活用と米政策の見直し、農地中間管理機構の創設、それから地域政策にも欠かせない日本型直接支払い制度の創設、この四つの改革、ことしはその実行元年であるというふうに思っておるわけでございまして、こういう施策をフル装備といいますか総動員することによって、しっかりとこの実行元年を進めていきたい、こういうふうに思っております。

 よく猫の目農政と言われますが、政権交代がありましたので、ある意味では、我々と民主党、それから民主党と我々、こうかわるのは、当然政策を掲げて戦っているわけですから仕方がないところはあると思います。しかし、農家の方から見ると、やはり安定的に将来を見通していろいろな投資をするなり、こういうこともあるということでございますので、民主党時代は予算措置でやっていたところが多かったわけでございますが、今回、こういう制度の安定的な実施に資するように、決めた改革を法律の形できちっと位置づけようということで、関連法案をこの国会に提出することにしておるところでございます。

 総理もおっしゃっておられるように、強い農林水産業とそれから美しく活力ある農山漁村、両方を実現する、これが非常に大事でございますので、地域政策と産業政策を車の両輪として政策を推進していきたい、こういうふうに思っております。

池田(道)分科員 ありがとうございました。

 私も地元では、農業に対して改革元年だ、そしてまた猫の目行政はなくなるんだということを申し上げておりますので、ぜひその点は先ほどの御答弁のようによろしくお願いをいたします。

 そして、新しい制度となります、先ほども加藤代議士の方からお話がございましたが、中間管理機構についてお尋ねをいたします。

 私も、この制度は非常にいい制度だと思っております。十年間で八割の農地を担い手に渡す、そうした中間管理機構の法案ができたわけでございますが、それに対する、いわゆる今後の中間管理機構が持つ意義あるいは抱負というものと、もう一点、これは昨年の十二月十三日に公布をされたわけでございますが、それ以来、後で小さいことをお尋ねいたしますけれども、四月一日から事業開始ということで、余りにも性急なやり方ではなかろうかなというのが実際の担当者の方から上がっている話でございまして、以前の農地・水・環境保全のように、ある程度の周知期間を置いてされる方がよりよかったのではなかろうかなというふうにも思えるんですが、その点についてのお考えをお尋ねいたします。

小里大臣政務官 担い手に農地集積を図っていく、そのために農地中間管理機構という制度を、これもまた池田委員の御指導もいただきながらつくったわけであります。この機構に十分な予算を持たせる、強力な権限を持たせようということで、画期的な機構になっていくと思います。

 理想的には、地域の農地、これは、できれば、耕作放棄地に限らず担い手のいる農地も含めて一旦全部出していただく、そして基盤整備までして、それを再配分していくというのが理想であります。ただ、高齢化の進展とともに農地は徐々に出てくるであろう、そういうこともにらみ合わせながら、地域の実態に合わせて、十年間かけて農地集積を図っていこうということであります。法制度としての仕組み、予算上の支援措置、そして地域の関係者の話し合い、こういったセットでしっかり取り組むことでやっていこうということであります。

 性急ではないかとお尋ねでありましたが、御案内のとおり、農業、農村の現状を見ますときに、その活性化、構造改革というものはもはや待ったなしでありまして、そういった思いから、皆さんの御協力をいただいて、全体の戦略、プランを含めて策定をした、そういう経緯であることを御理解いただきたいと思います。

池田(道)分科員 あわせて関連でございますが、先ほど申し上げました、十二月十三日に公布をされて、都道府県の方に説明をされたのが年末、二十六日のように聞いておりますが、まだいまだに、法律は公布されましたが、政令であるとか省令であるとか、取り扱いあるいは解釈、そうした通知、いつごろ出されるのかわかりませんが、四月一日から事業開始というのは決定しているわけでございます。

 つくるのは県が中心となってつくるわけでございますが、とはいいながら、市町村、農業委員会あるいはJA等にいろいろな説明会をしていると思うんですね。それを説明するのにも、極端に言うと何もわからずに説明をしておるわけでございますが、その辺の流れというものはどういうふうになっておるのか、お尋ねをいたします。

奥原政府参考人 農地中間管理機構の関係でございますが、実は、本日、この中間管理機構に関する政令が公布をされておりまして、その中で、施行日につきましても本年の三月一日ということが定められております。

 この機構につきましては、これまでも、特に制度設計の段階から関係の都道府県あるいは県の農業公社との意見交換をかなりやってきておりますし、それから、法案を閣議決定して国会にお出しをした際にも、都道府県に対しては制度の説明をやっております。

 さらに、法案が成立をし、予算案が決まった後、これも各都道府県には相当丁寧な説明をしておりまして、実際にどういう形でこの中間管理機構を運用するかとか、かなり詳細にわたっての説明を昨年の段階でやっているところでございます。

 それから、政省令の案につきましても、昨年のうちから県にお示しをしておりますし、三十日間のパブリックコメントもやっているところでございます。

 この制度を円滑に動かすためには、やはり末端まできちんと御理解いただくことが必要でございますので、今後とも、QアンドAを農林省のホームページに載せますとか、あるいは、要請があれば市町村にまで農水省の職員がきちんと出向いて説明をして、末端まで周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。

池田(道)分科員 ありがとうございます。

 今の御答弁は若干現場とのずれがあるようでございますが、ついでに申し上げますと、これだけの新しい制度でございます、先ほどの御答弁からいうとちょっと無理かなとは思いますが、実際には、農水省のいわゆる法案ができた段階から、四月一日の事業開始ということでございますから、現場とすれば、地方の地域センターであるとか農政局の方々が指導助言の上に現場に一緒に入って、実動部隊としてやってもらいたい。

 せっかくのいい法案でございますので、スムーズな運用、活用をするためにという意見も現実にはあるわけでございますが、いかがでございますでしょうか。

奥原政府参考人 御指摘のとおり、地方農政局ですとか地域センターも含めまして、その人材も使って、この制度の周知徹底と末端での円滑な制度の運用に努めてまいりたいと考えております。

池田(道)分科員 ありがとうございました。

 次に、いわゆる機構そのものでございますが、中間管理機構が市町村と委託契約を結ぶ。その委託契約というのは、例えば、一つのパターンがあって、それを全部の市町村と同じように結んで、あとは運用でやるような制度になるのか、それとも、極端に言うと、一つの県に二十の市町村があれば二十通りというのが、平野部もあれば山間部もあるわけでございますから、それの契約を結ぶ方法。

 そしてまた、実際に一番よく現場を、土地の形状であるとか質であるとかを知っているのはJAでございますから、JAとの再委託というのができないのであれば、機構とJAが委託契約を結んだときに、機構、そして市町村、JAとの関係というのがまたスムーズにいかなければこの法案も活用できないわけでございますが、その点についてのお考えをお聞かせください。

奥原政府参考人 農地中間管理機構は、都道府県知事の承認を受けまして業務を委託することができるという規定が入っております。

 実際には、機構は、人・農地プランの作成主体でもあります市町村に委託することを基本に考えておりますので、ほぼ全ての都道府県におきまして市町村への業務委託が行われるということになるかと思います。

 ただ、実際にどういった業務を市町村に委託するかは、これは県によってもちょっと濃淡があるかと思います。あるいは、一つの県の中でも市町村によりまして少しばらつきが出るかもしれませんが、そこは県と当該市町村がよく御相談いただいて、どの範囲を委託するかということを決定いただく、こういうことになるかというふうに思っております。

 それから、市町村以外の農協等の組織につきましても、業務を適正、公正に行うことができるということをきちんと審査した上で委託をすることができるようになっております。

 それから、機構の業務委託を受けた方は再委託はできないという制度になっておりますので、市町村と農協がともに機構から業務委託を受けるということは、これはあり得るわけでございますが、その場合には、再委託の形ではなくて、機構からそれぞれ市町村も農協も業務委託を受けていただいて、この双方が連携をとるということになるというふうに考えてございます。

 以上でございます。

池田(道)分科員 中間管理機構を使いますと、出し手、借り手、今は相対でやっておるわけでございますが、借り手の方々は、極端に言うと出し手の顔もわからなくても耕作ができる。非常にいい制度でございますが、御承知のように、いわゆる賃料というのが金銭でやる場合と物納でやる場合がございます。

 金銭の場合は、それが、十アールが一万円、あるいは違う田んぼは一万二千円、別に構いませんけれども、物納の場合に、機構が同じように、それも、出し手と毎年のように相談というのか、連絡をとりながらやっていただけるのか。もしそれがなければ、水稲作付、どこも田舎でございますが、の方々は、出し手として、もう物納がないのなら、中間管理機構を通さずにそのまま今の担い手の方に渡そうということも十分考えられると思うんですが、その点はいかがでございますでしょうか。

奥原政府参考人 農地中間管理機構が出し手に対して支払う地代あるいは受け手から受け取る地代、これにつきましては、機構が決定をして、徴収、支払い事務を行うということになります。当該地域の同程度の条件の農地の賃料、これを基準として、適正な水準になることを想定しております。

 この地代の支払いにつきましては、一部地域では米などで物納している実態はあるというのは承知をしているところでございますけれども、機構の地代の徴収、支払い事務を効率的に行うという観点から、現金、銀行振り込みだと思いますけれども、これにより対応することを基本として考えているところでございます。

池田(道)分科員 その点につきましては、当初でございますから、どこがするにしろ、できるだけ柔軟に対応をしていただきたいと思います。

 それから次でございますが、この中間管理機構というのは、農地を中心とした非常にいい制度でございます。

 一方、山林についても同じように言えるわけでございますが、戦後、杉であるとかヒノキであるとか植林をしてもう五十年、六十年という年月がたった中で、間伐あるいは枝打ち等がされずに放置されているのが現状でございます。

 すぐにとは申し上げませんが、この山林についても同じようにこうした制度をつくっていただきたい。今の法律の中でそのままというわけにいきませんが、法律を改正するなり新しい法律をつくるなり、同じようなことができれば、山林の場合にはどうしても対象が森林組合中心になろうかとは思いますけれども、そうした地域の要望もございますので、その点についての、管理機構ができたばかりに山林までというのは、それこそ性急過ぎるかもわかりませんが、お考えをお聞かせ願います。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 山林は農地と異なりまして、既に立木が存在ないしは生育しておりまして、農地のように土地の利用権を集約するというのではなくて、森林組合を初めとした経営体が間伐等の施業について集約化を図っていくということが効率的ではないかと考えております。

 このため、林業分野におきましては、現在、一定の広がりのある森林を対象とした森林経営計画制度の普及、定着、そして、施業集約化と森林経営計画作成を担う、森林施業プランナーと呼んでおりますけれども、そういった者の育成、さらには、都道府県職員等による森林経営計画等に関する指導助言、こういったものによりまして施業の集約化を推進することとしているところでございます。

 ただ、さはさりながら、先生御指摘のように、管理不十分な森林、条件が極めて不利でございまして、施業の集約化だけでは必要な森林整備が困難な場合があるということは認識しております。このような場合、例えば地方公共団体が森林所有者との協定に基づいて森林整備を実施する事業、こういった事業も実施させていただいているところでございます。

 こういったことも活用しながら、適切な森林整備でありますとかあるいはしっかりとした林業経営がなされるように、私どもとしても努力させていただきたいというふうに考えているところでございます。

池田(道)分科員 ありがとうございました。

 ちょっと無理のようでございますが、後半に御答弁いただきました、森林組合あるいは市町村が山林所有者と契約を交わしながら整備をやっているところも当然御存じだろうと思いますので、そういう制度を広めていただくと同時に、ある程度の手厚い補助の方もよろしくお願いをいたします。

 続きまして、日本型直接支払い制度についてお尋ねをいたします。

 この制度も、この制度というよりか農地・水・環境保全でございますが、始まって大分になると思いますが、非常にいい制度でございます。当時、できたばかりの時分には県議会議員をしておりまして、我々の地域にもそれを、私が言ったところは適用してもらえましたけれども、なかなか設置の率が悪いようでございまして、何で悪いのかなというのがよくわからないんですけれども、もう非常にいい制度なので。

 それが今度新しい制度になるんですけれども、やはりその点についての国あるいは県の方からのPRが足らないのではなかろうかなというふうに思いますし、もう一つは、今度はいいようにしていただけるんだろうと思いますが、事務手続の簡素化。最初できたときには、農水省さんには非常にもうびっくりしましたけれども、その年度内に非常に簡素化していただくという、中央省庁がそれぐらいのことをすぐやれるのかなというぐらいしていただきましたけれども、その二点についてまずお尋ねをいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、制度のPRに関することでございますけれども、今回の日本型直接支払い、なかんずく新しく行います多面的機能支払いのPRにつきましては、昨年十一月に制度設計の全体像が決定された後に、農村振興局で十一月末から一月上旬にかけて、全都道府県四十七カ所で説明会、意見交換会を開催したところでございます。

 それに引き続いて、多面的機能支払いを含む農政の四つの改革について、一月上旬から二月上旬にかけて、ブロック別、都道府県別説明会を実施して、全国六十カ所で説明会を開催したというところでございます。

 これらに加えまして、説明会での質問や意見等を踏まえまして、QアンドAを作成して、県、市町村、JA等の担当者にお配りすることとあわせて、ホームページに掲載するといった形で周知いたしますとともに、問い合わせ窓口を設けて質問への随時の御対応を図っている、あるいはDVDを作成して地方公共団体に配付するといったことを行っているところでございます。

 また、現在、市町村レベル、集落レベルの制度の説明会というのが進められておりますけれども、職員を派遣して丁寧でわかりやすい説明を行うよう努めるといったことによりまして、多面的機能支払い、日本型直接支払いの普及に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、手続の簡素化についてもお尋ねがございました。

 先生のお話の中にありましたように、農地・水保全管理支払いにつきましては、手続の簡素化というのを御意見を踏まえて図ってきているところでございます。

 今回の多面的機能支払いに関しましても、手続の簡素化について大変多くの御意見、御要望等をいただいております。

 これも踏まえまして、例えば、現行の農地・水保全管理支払いでは二ルートの交付ルートがありますけれども、これを一本化する、そして交付手続、書類の簡素化を図るということをいたしますし、また、多面的機能支払いは農地維持支払いと資源向上支払いというふうに二つに分かれておりますけれども、これらの協定と活動計画書を一つの様式にするとか、あるいは、書類に書き込むというよりも該当項目をチェックすればいいというような様式にして、極力簡素化を図っていくこととしております。

 また、集落等における経理や活動の実施状況の報告ですとか市町村による活動の実施状況の確認ですとか、そういった事務もございますけれども、これらにつきましても簡素化を図るという方向で検討を進めまして、できる限り使い勝手のよい制度となるように努めてまいりたいと考えております。

池田(道)分科員 その点につきましては、もう御承知のように、実際やっておられる組合等につきましては、現職の若いばりばりの方が事務をするということはまずありません。高齢になられた方で、なおかつ地元の市であるとか役場であるとかに勤務をされておられる方がやられるわけでございますので、スムーズな事務手続ができるような、いわゆる簡素化された手続でよろしくお願いをいたします。

 最後に、水田フル活用のことと米政策のことでございます。

 新年度から、いわゆる飼料米につきましてマックス十万五千円の補助ということで、それには多収性の専用品種ということが言われておりますが、実際の農地中間管理機構を使って生産団地等ができれば別ですけれども、今の状況のままで田んぼにぱらぱらぱらとその品種を植えたときに、例えば隣にコシヒカリを植えて品種がまざるとか、あるいは、もう一つは、せっかく多収性の品種を植えたときに、JA等がやっておられるような、個人でなくて、ライスセンター、乾燥調製施設への持ち込みがまず拒否をされるのではなかろうかなという危惧があります。個人の場合には自分でコンバインであるとか乾燥機を掃除すればいいわけでございますが、そういう危惧でなかなかすぐには作付をしないのではなかろうかなと。

 それともう一つは、もう間もなくでございますが、事前の種もみの購入というのが非常に難しいのではなかろうかなと。農家の方々は、通常は、昨年の取り入れが終わった段階で次年度の種もみを予約注文いたします。全てがJAを通して予約注文するわけでございますが、すぐこれから作付ということに入っていくわけでございますが、その点につきましてのお考えをお尋ねいたします。

佐藤政府参考人 池田先生の御質問にお答えしたいと思います。

 まず、餌米の種の問題でございますが、これにつきましては、都道府県がまず需要を把握して供給しているといったほか、その分では不足する部分については、一般社団法人日本草地畜産種子協会というものがありまして、これが補完的に供給しておりまして、現在、私ども、各県そしてこの団体と連携しまして、どのぐらい供給が可能かといったような情報共有をしております。

 それと、二十五年では餌米が十一万トンというふうにとれておりまして、そのうち多収穫米もとれておりますので、それを餌米として使うんじゃなくて、もみを種として転用するといったような手続を今とっておりまして、この点については、各県の農産担当課あるいは先ほどの種子協会といったところに問い合わせしていただければ、いろいろな対応ができるかというふうに考えているところでございます。

 それと、先生また一つの御指摘でございますが、コンタミの防止といったもの、これは非常に大事だと思っております。

 これも、先ほども申し上げておりますように、数年かかりまして餌米というものの生産をやってきております。まさに今先生の御質問の中にもありました、いろいろな工夫といいますか注意といったものが必要になってくるかと思っておりまして、今回、それにつきまして、飼料用米栽培マニュアルといったものを作成しました。

 これを今、各県の普及組織を活用しまして、農家段階におりるように、そういうようなことをやっておりまして、こうしたものを活用しながらしっかりとコンタミ防止の普及の徹底を図っていきたい、こんなふうに考えているところでございます。

池田(道)分科員 ありがとうございました。

 新しい制度でございますので、特に種もみ等につきましては、生産者の方々が、せっかく新制度になって、それを取り組もうかな、でも種もみもないんじゃないかなというようなことにならないように、よろしくお願いをいたします。

 ありがとうございました。

宮路主査 これにて池田道孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷真一君。

中谷(真)分科員 こんばんは。自民党の中谷真一でございます。

 私、選挙区は山梨県でございまして、まずは、この今回の大雪被害において命を落とされた方々、また今も雪害によって不自由な生活をされている方、また大きな被害に見舞われた方々に対しまして、心からのお悔やみと心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 また、大臣、先週の日曜日、早々に山梨に入っていただきまして、ありがとうございました。県民の農業者の中においては、本当に暗闇の中に一筋の光が差したと言っている方もおられまして、本当に県民に勇気を与えていただいているというふうに思っております。

 そこで、まずは、今回の雪害対策、特に農業分野について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 大臣も御視察をいただきました。ビニールハウスを中心としまして、非常に大きな被害が出ております。この状況、これは、自分の足で立て、自助努力でやれと言うには余りにも厳しい状況でございます。そういった意味では、ここは、政府、国の支援をいただきながら何とか立ち上がる体制を整えていかなければいけないというふうに考えております。

 そこで、まず最初に御質問でお聞きしたいのは、激甚災害指定についてでございます。

 きょうの日本農業新聞を見ても、JA群馬さんが大臣に対して激甚災害の早期指定を求めるという記事が載っております。また、これは私の地元紙でございますけれども、一面に大きく「激甚災害指定求める」というふうに載っているところでございます。

 そこで、本当にこの激甚災害指定をとれば、今回直面しているような問題、これは特にビニールハウスの大規模な倒壊と、あとは畜舎、こういったものが倒壊をしているところでございます、こういったものに対して、撤去やまた再建に本当に補助、助成、こういったことをかさ上げするような制度なのかというところをお聞きしたいというところでございます。

 聞くところによると、これは実は農業インフラ、こういったものにしか適用されない。例えば、水路であったり、ため池であったり、また農道であったり、こういったものにしか適用されないというようなことも聞いております。本当にこのビニールハウス、また畜舎、こういったものの撤去もしくは再建、こういったものに対して、支援のかさ上げ、こういったことになるのかどうか、これについて御質問をしたいと思います。内閣府、よろしくお願いします。

佐々木政府参考人 激甚災害制度は、基本的に地方公共団体が行います災害復旧事業による地方財政の負担を特別に軽減することを目的としております。対象となる施設は、道路や河川等の公共土木施設、農地、農業用施設などでございます。

 この農業用施設につきましては、具体的には、公共事業の対象となる、今お話がございましたが、ため池ですとか水路、農道といったものが含まれますが、営農用のビニールハウス等は、今のこの激甚制度の趣旨からいいまして対象とならないというふうに考えております。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 この激甚災害指定をとっても、実は、今回の出ている農業被害に対しては、これは大きな支援とはならないというふうに思っております。何を求めていって、そして復旧また復興、こういったことをしていくのかというところは、やはり明確にしていかなければいけないというふうに思っております。

 そこで、今回農水省さんが補助策として出していただいておりますのが、経営体育成支援事業の融資主体補助型という制度を使って補助しようということで、これは三割補助というふうに聞いております。

 これは、三割なんてことでは、とてもではないですがこれは撤去さえままならない。ここで農業をもう一回再建してやり直そうというふうに思っている方はお金を出してでも撤去しようとするかもしれませんけれども、今回のこれで、ではもうというふうに思っている方が今度三割補助なんということで撤去するかというと、私はこれは撤去さえしないのではないかというふうに危惧をしているわけでございます。

 そして、再建をしようとした場合に、やはりそこを一回更地にしないと、撤去をしない限り私はこれは促進をしていかない。また、潰れかかったハウスの中に人が入ってまた二次災害、こういったことも起こるのではないか、安全性の問題もございます。さらには、やはり山梨県は観光県でもありまして、これは景観にも大きな影響を及ぼしかねないというところでございます。

 そういった意味では、私はこれは、あなた、このビニールハウスを撤去しますか撤去しませんかというような問いかけ、これぐらいの補助をしますがというものではなくて、自治体まとめて、ここのビニールハウスは全部撤去するんだというようなことをやっていかなければいけないというふうに思っております。

 そこで、環境省に災害等廃棄物処理事業補助金というのがありまして、今回のビニールハウスを災害廃棄物とすれば九割補助が出るという制度があるというふうに聞いております。そういった意味では三割よりはやはり九割の方がいいわけでございまして、だったら、私は、撤去については環境省のこの制度を使って、そして再建については農水省さんの制度を使うというのがいいのではないかというふうに思っております。ここで、大臣と、また環境省さんの御意見をいただきたい。

 また、撤去を促進するためには、私は、産業廃棄物についても一々洗って分別をしてなんということをやっているとこれは遅々として進まないというところもあります。そういった意味では、基準の緩和も必要だ。ここもあわせて環境省さんにはお答えをいただきたいというふうに思います。

梶原政府参考人 環境省におきましては、災害から発生いたします、住宅等を起因とします廃棄物、いわゆる瓦れきにつきましては、市町村が生活環境保全上の観点から行うその収集、運搬、処分の一連の行為に関しまして、今先生御指摘の災害等廃棄物処理事業費補助金というものにより財政的な支援を行わせていただいておるところでございます。

 今回の大雪によりまして倒壊いたしました農業用ハウス等の撤去を含む一連の流れの処理につきましては、事業者自身の方々が処理をされる場合のほか、被害の実態に応じまして市町村が主体となって処理する場合も考えられると思ってもおります。このため、私どもといたしましては、農水省と連携を図りながら、処理が円滑に進むよう調整を図ってまいりたいというふうに思っております。

 また、災害廃棄物の処理でございます。これについては、廃棄物処理法に基づきまして処理を行っていただくということになっておるわけでございますけれども、その処理方法につきましては、例えば、できるだけ私どもは有効利用を行っていただきたいと思っておりますけれども、迅速に処理をする観点から、各自治体の判断によりまして、中間処理を行わずに直接埋め立てを行うといったようなこともできる、自治体の判断で柔軟な対応ができるということでございます。

林国務大臣 まずは、この間、私が山梨県に入りましたときに中谷委員にも御同行いただきまして、一緒に現場を見ることができたわけでございます。

 そういう意味で、あのときも私申し上げたんですが、営農を継続してもらう気持ちをなえないようにしなければいけないし、我々もできる限りのことをするということを申し上げて、そして、こういう場合は、通常、災害の被害の査定というのが行われた後、ではこういう対策を打とうか、こういうことになるわけですが、それを待っていますと気持ちがどんどんどんどんなえていく。こういうことではいかぬと思いまして、今決められることはもう先に決めて、まずこういうことをやるからぜひ再建に向けて頑張ってもらいたいという意味も込めて、この月曜日に対策を決定させていただきました。

 再建の前提となる倒壊したハウス等の撤去、これは今まで助成対象に加わっていなかったんですが、あそこであれだけのものを見せていただきましたので、これを加えようということにもいたしたわけでございますし、さらに、今回の対策の中の最後のところに、今から被害状況がさらに明らかになってくるので、それに応じて追加対策も検討するということにしたところでございます。

 従来の、今までのこの事業の補助率というのは事業費の十分の三でございますから、今環境省からお話がありましたように、別途の、事業の十分の九というのもあるということでございますので、よく連携して、結果として農業者の負担が少なくなるようにしっかりやってまいりたい、こういうふうに思っておりますし、また、きょういろいろな先生方からもお話がありましたけれども、撤去した後の復旧、この事業費についても金額がかなり張るものですから、やはり十分の三、もう少し引き上げられないかという御要請もあったところでございますので、これについても、国の助成分、それから県や市町村がおやりになる分、それに加えて融資や、出資というのがあるかどうか、こういうことも含めて、でき上がりの、農家目線で見た場合に負担がいかに軽減できるか、これを検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 これも非常に厳しい状況でございます。できるだけ農家の負担を軽減していただけるよう、調整のほどをよろしくお願い申し上げます。

 また、早い段階で打ち出していただければ、また農業者の安心感につながるというところもございます。ぜひ早期の打ち出しの方をよろしくお願い申し上げます。

 また、我が県は果樹地帯でございまして、これは少し、ちょっと性格が違うというところもございます。ハウスの中に入っていたいわゆるブドウの木とか、こういったものも同じくして今回廃棄物になってしまったというところでございまして、これはやはり育てるまでに長い時間がかかるというところでございます。そういった意味では、長期の御支援を何とかいただきたいというふうに思っております。

 もともと改植に対して、これは一反五万円、そして四年間という補助がございます。また、この間の利子補給、こういったものもございますけれども、これは平時、何もなかった場合、計画的に改植した場合の補助でございまして、ここを何とか今回はさらに厚い補助をお願い申し上げたいというふうに思います。

 特に私の支持者でも、十日前につくったハウスがやられたとか、八百万円全然未回収のまま潰れてしまったとか、こういった方々もおられます。こういった方々は二重ローンになっていくということもあります。こういったものに対する対策、こういったものも今回は何とかお願いをしたいというところでございます。

 これに対しての御所見を、大臣、よろしくお願いします。

林国務大臣 この間も見せていただいたところは、ブドウがちょっとだけできていたりとか、芽が生えかけていたところでハウスから外へ出てしまったというか寒気に当たったということで、もうこの木はだめです、こういうふうにおっしゃっておられました。

 山梨、長野等は果樹について大きな被害が発生しているということで、改植に必要な苗木代、樹体の撤去費用等の経費、これをブドウ、桃については二分の一を補助、それから、改植によって生じる未収益期間に対する肥料代や農薬代等の経費、大体桃栗三年柿八年、こういうのでそれぐらいの年数がかかるわけでございますが、五万円掛ける四年間。これに加えて、今回新たに、改植に伴って果樹棚を設置するのに必要な資材導入等に要する経費、これの二分の一を補助しよう、こういう支援等を加えることによって、園地の復旧に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

 また、今回の大雪では、農家が収益性の向上を期待して導入したブドウの品種が倒木する、こういうことがございましたし、それから、今お話があったように、ハウスにしても、この間ペンキを塗ったばかりだとか、この間建てかえたばかりだと。これは、一つは、四月から消費税が引き上げられるということもあって、その前にやっておこうということもあるいはあったのかなと思ってお聞きをしておりました。

 したがって、改植に対する支援に当たっては、こういった被害を受けた農家が意欲を持って園地の復旧に取り組めるように、産地の振興品種であれば改植をできる仕組みとしてまいりたい、こういうふうに思っております。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 本当に力強い御支援を引き続きお願い申し上げたいというふうに思います。

 さらに御質問をさせていただきます。

 今後、ハウスを大規模に復旧していこうとすると、やはり大量の資材が必要になってまいります。この資材がもう既になくなっているという声も地元から聞こえてまいります。これを農業者個人また山梨県だけで確保するには余りに厳しい状況になってくるんではないか、また、資材の高騰、こういったことも起きてくるんではないかというふうに思っております。

 苗棚、苗については四月には再建をしないと間に合わない。また、野菜についても、秋作に間に合わせようとすると七月ぐらいまでにはハウスを再建しなければいけないということで、これは時期もかなりばらつきがあるんですが、そういったところの優先順位、こういったものも必要になってくるんではないかというふうに思っております。

 そういったところを、何とか政府の指導また支援、こういったものをいただきながら、そこの交通整理を何とかしていただきたいというふうに思います。この点に関して大臣の御所見を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今般の大雪によりまして、これまでに、ビニールハウス崩壊の被害については、二月二十四日現在でございますが、一万六千六百三十五件ということになっているところでございます。

 今回の災害を受けまして、営農の再開に必要なビニールハウス用のパイプ等の需要がかなり集中するといったことが懸念されますことから、私どもの方といたしましては、国内の主要なパイプメーカーに、二月二十四日付で、パイプ等の骨材の円滑供給について協力要請を行ったところでございます。

 現在、各都道府県の農業普及組織を活用いたしまして、パイプ、ビニール等の資材の真に必要となる時期とか量、これの把握を行って、こうした情報をパイプメーカーにお伝えするといったようなことを今やっておりまして、各地で資材の不足が生じないよう、メーカーと連携して円滑な供給に努めていきたい、こういうふうに考えております。

 いずれにしましても、先生の方から今お話しございましたように、苗の確保といったものが大事でございますので、ハウスのパイプの供給とそれ以外の、今後春先の苗需要に応じるための苗の供給が円滑になるよう、関係県あるいは関係機関とも連携を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 国内だけでは賄い切れない可能性も出てくるんではないかというふうに思います。そういった場合、やはり海外にも目を向けていただいて、韓国なんかにいいハウスがあるなんという話も何か聞いております。そういった意味では、国の力がないとそういった調整もなかなか進まないというところもありますので、また、海外にも目を向けて、対応のほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、次の質問に移りたいというふうに思います。雪害についてはこれで終わりにして、ちょっと違う質問に移ってまいりたいというふうに思います。

 一つは、農地中間管理機構というものがありまして、今後農地集約を行っていくというところでございますけれども、我が山梨県は、先ほども申し上げたとおり、果樹が非常に多い県でございます。そういった意味では、果樹の農地集約というのをどうやってやっていくのかというイメージがなかなかつかない。地面だけではなくてその上物にも価値があるという状況において、どのようにして農地集約をしていくのか、これは県民もなかなかイメージが湧かないというところでございます。

 これは農水省さんから、大体こんな感じだというイメージをお伝えいただければというふうに思います。

奥原政府参考人 農地中間管理機構は、農地を借り受けまして、必要な場合には、機構が条件整備もやった上で、法人経営体ですとか大規模経営体、こういった担い手に対しまして、その規模拡大ですとか農地の集約化に資する形で転貸をする、こういうスキームでございます。

 この条件整備の一環として、果樹の場合であれば、この借りた農地につきまして、そこに植わっている果樹について改植を行うということも考えられるところでございます。機構は果樹の改植の補助事業の実施主体にもなれるという制度になっておりますので、場合によっては、機構が改植をやって、その上で担い手にお貸しをする、こういうことも十分考えられるところでございます。

中谷(真)分科員 改植も含めて補助事業としてやっていただけるということで、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 また、この農地中間管理機構、今回、災害があって、これは下ばかり見ていられませんので、前を向いた場合に、実は農地集約のいい機会になる可能性もあるというふうに思っております。これは、山梨においては、何とかスケジュールを早めて導入をしていただいて、その規模拡大にも何とか寄与していただくことができればというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、林野庁にお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 私の山梨県、これは八〇%が山でございまして、この山を宝に変えなければ我が山梨県の再生はないというふうに思っております。特に私の選挙区、本当に山が多いところでございます。

 そこで、やはり、林業をもう一度なりわいとして復活させるためにさまざまな整備を行っていかなければいけないというところでございますけれども、なかなか、私、この仕事をし始めてやっとわかったんですけれども、林野庁の予算が非常に補正予算が多かったりとかという、そういうこともありまして、こんなんじゃ大胆な政策はなかなかできないなというふうに思うところでございます。まずは、私は、この予算確保を林野庁としてはしっかりやっていかなければいけないんではないかというふうに思っております。

 そういった意味では、今後、この予算確保のためにどういった戦略を描いておられるのかというところをお聞きしたいというふうに思います。お願いします。

林国務大臣 山梨県は八割が山ということで、昔、子供のころ、山があるのに山梨県なんと言ったことをちょっと思い出しておりましたが、それはどうでもいいのでございますが。

 やはり、財源の対策というのは大変に大事でございますとともに、なかなか苦労するところでございます。今補正でというお話もありましたけれども、当初の予算で枠をとるということの難しさというのは、いろいろやっていけばいくほどこの難しさに突き当たるわけでございまして、そういった意味で、林野庁の予算という意味で、森林吸収源対策ということで、地球温暖化対策において重要な役割を果たしているので、これを着実に推進していく上で安定的な財源の確保が大事である、こういうことで、従来から、農林水産省として、森林吸収源対策に活用できる環境税、地球温暖化対策税、こういうものをずっと要望してきたところでございます。

 平成二十六年度の税制改正要望においても、地球温暖化対策のための税の使途拡大、この林野庁の予算にも使わせてくれ、こういうことでございますが、それに加えまして、既に地方では三十三県でこの森林環境税をやっておられる。これの国税版をつくろうという創設を要望させていただいたところでございます。

 党でも税調で随分御議論いただいたというふうに思いますが、与党の平成二十六年度の税制改正大綱、これが昨年の十二月十二日におまとめいただきました。ここにおいて、森林吸収源対策については、安定的な財源が確保されていないということで、財政面での対応、森林整備等に要する費用、これを国民全体で負担する措置等、新たな仕組みについて、早急に総合的な検討を行うということを書いていただきました。

 したがって、この森林吸収源対策を推進するための安定的な財源の確保、この二十六年度の税制改正大綱も取っかかりにして、引き続き取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 今回、与党にPTをつくって、そしてこれを具体化していくというような文言が入っております。これは、何とかやはり具体化しないとなかなか進んでいかないというところもございます。これは、政府・与党一体となって進めてまいりたいというふうに思いますので、またぜひ政府の方でも、これを進めるようによろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、林業においては、私はやはり出口戦略が重要であるというふうに思っております。この出口戦略、やはり、どうやって木材需要を喚起していくかというところが重要なんではないか。特に、最近は洋風の家がふえまして、なかなか木材を使って家を建てないとか、こういったところもございます。ここで、どのようにして木材需要を喚起していくのか。私はやはり、これから建てる公の建物については、ある一定の量の木材を使うように強いそういう要請をしていく、またそれを実行してもらうとか、こういったところからやっていかなければいけない。

 特に、学校にこれを入れていただいて、そして、子供が小さいころから木に触れる、そうしたら、やはり木の価値というものが、大人になってそういうものが花を開いて、自分の家を建てるときに木をたくさん使おうとか、こういったことにつながっていくんではないかというふうに思っております。

 こういった、出口戦略である需要喚起について、林野庁、今考えておられることがあれば御説明をお願いします。

沼田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の森林は、戦後造成された森林が本格的な利用期を迎えております。豊富な森林資源を循環利用いたしまして、年末に取りまとめられました農林水産業・地域の活力創造プランでも明らかにされておりますように、新たな木材需要の創出を図る、こういうことが極めて重要だというふうに認識しております。

 そういったことで、農林水産省におきましては、中高層建築での活用が期待できるCLT、直交集成板でございますけれども、こういったものを初めとした新たな製品、技術の早期実用化に向けた支援、そして、ただいま御指摘ございましたように、学校でありますとか幼稚園でありますとか、そういったものを含めました木造公共建築物の整備に対する支援、それから、木造住宅の建築等に対してポイントを付与いたします木材利用ポイント事業の実施、さらには、木質バイオマス利用施設の整備等、こういった施策に総合的に取り組ませていただいているところでございます。

 今後とも、これらの施策を通じまして、新たな木材需要、こういうものの創出を図ってまいりたいと考えているところでございます。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 今回、実は我が県でもハウスが結構潰れたんですけれども、ハウスにおいて、木質バイオマス系のいわゆる暖房器具、こういったものも私は実は、今入れる、そういうときではないかというふうに思っております。ぜひこの推進についても、また農水省さんを挙げてやっていただきたいというふうに思います。

 最後の質問でございますけれども、私、なかなかいわゆる林業が発展していかないのはなぜなのかなということで、これはやはり現地を見ないとわからないということで、実はこの間、農水省さんにもお手伝いをいただいたんですけれども、自分の地元の林業の状況を見てまいりました。

 そして、私、やはりなかなか進まない理由は所有権の問題なんではないか、山の所有権が誰のものであるかとか、こういうことがわからなくなっていることが問題なのではないかというふうに思いながら、ここでそういう議論をして、そういうふうに思っていまして、それで現地に行ったところでございます。

 そうしたら、私は、問題はそこではないのではないかというふうに思ったところです。現地は一生懸命、そういった、所有者を確認して森林をまとめるということはやっているんですね。ただ、やはりなかなか進まないのは、そこに問題があるのではなくて、やはり安く木を引き出してこられないというところに問題があるんだというふうにこの間視察をしてみて思ったわけです。

 そういった意味では、私は、やはり路網整備をしっかりやって、そして機械化をしていかなければ、やはり木材を安く出してくるということはできません。杉一本一万円から一万五千円と言われていますけれども、これをやはり五千円ぐらいで出してこないとなかなかなりわいとならないというふうに聞いております。

 今、日本は、一ヘクタール当たり十三メートルの路網しかない。これに対して、ドイツは六十メートルとかこういうふうになっています。林野庁さんも百メートルにするんだということで打ち出されております。そういった意味では、私は、路網整備、これを促進していかなければいけない、また、機械化の促進、ここに私は国の大きな資金を向けていかなければいけないんではないかというふうに思います。

 それに対しての御所見、こういったものをお伺いできればというふうに思います。

沼田政府参考人 ただいま先生から御指摘いただきましたように、林業を活発化していく、成長産業化していくというためには、やはり立木を効率的に伐採、収穫して、生産された丸太を適切に運搬する体制を整備して、要は、いわゆる生産コストを下げていくということが必要不可欠だと認識しております。

 こういったことで、農林水産省といたしましては、現地の実情に応じた簡易で丈夫な林道を初めとした路網の整備、こういったものに対して森林整備事業等を通じまして支援をさせていただいております。また、こういった路網の整備とあわせまして、高性能林業機械の導入に対する支援といったことも実施しているところでございまして、こういったものをうまく組み合わせる形で、ぜひ生産性を上げていって林業の成長産業化につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

中谷(真)分科員 ありがとうございました。

 山梨県、頑張ってまいりますので、大臣、引き続き山梨県に対しましての御高配をよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

宮路主査 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井比早之君。

藤井(比)分科員 きょうは、このような時間で林大臣初め皆さんお疲れのことだと思いますけれども、農水省の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず酒米でございます。

 清酒の消費量はずっと下がってきておったのですけれども、平成二十二年度以降はほぼ横ばい。吟醸酒とか高級な日本酒はむしろ上がってきている、輸出もすごく伸びてきているというような状況でございまして、今後は、輸出を含めた需要の拡大というのが必要となってくるのかというふうに思います。

 そこで、酒造好適米、酒米でございますけれども、これの増産というのが必要になってくるかと思うのですが、こちらにつきましては、酒米は、主食用米と同じように、生産数量目標の枠内、減反の対象という制約がございます。

 この点につきましては、地元の安田加東市長からずっと何とか外せぬかというふうに言われてきたところなんですけれども、一方で、何でもできるという形になったら、価格が落ちてしまったら生産農家も困る、また、それでは、いつまでも輸出がふえるかどうかわからぬといって生産農家も不安だったりするというところがありますので、こういった点も踏まえて、酒造好適米、酒米の生産数量目標の枠外での、減反の枠外での増反、増産といったものについて何とかお願いできないかというふうに考えておるんですけれども、こちらにつきましての制度改正の方向性についてお伺いをさせていただきます。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方からお話しありましたように、酒造好適米については、主食米よりも高価格で取引され、また、当時、日本酒の需要量というものが減ってきているということから、主食米と合わせまして生産数量目標の範囲のものというような運用を行ってきたところでございますが、最近、二十二年度以降、ほぼ横ばいに日本酒の出荷量というものが転じるといったようなことになってきたところでございまして、今後、輸出を含めた需要拡大への取り組みもかなり期待されるんじゃないかというふうに考えてございます。

 このため、平成二十六年産米からですが、日本酒メーカー等における日本酒の生産増に対応した酒造好適米の増産部分については、これはもう主食用米の生産数量目標の増減に左右されることなく生産できるよう運用を見直すこととしたところでございまして、今後とも、需要増に応じた生産拡大が円滑に行えるよう取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

藤井(比)分科員 ありがとうございます。本当に地元は喜ぶと思います。

 また、今回の制度改正では、蔵元さん、酒造メーカーさんへどれだけ必要ですかというのを聞いて、その範囲内で減反の枠外でも生産してもいいですよというようなことを仕組んでいただいておるようでございますので、そうなりますと、生産農家の方におかれましては、価格が下がらぬで増反できる、増産できる。また、蔵元さん、酒造メーカーさんにとっては、自分たちの必要とする酒米がいっぱい手に入る。そして消費者の皆さん、これは海外の方も含めてですけれども、大好きなすばらしい日本酒を堪能できる。三者にとってすばらしい、まさに三方よしの制度改正ではないかというふうに思っていますので、本当にありがとうございます。

 ちょっと念のために確認なんですけれども、現場を回っておりまして、加工用米扱いになるのかというちょっと誤解があったりするので、そうではありませんよねということが一点と、あと、産地交付金がありますけれども、この産地交付金は生産数量目標の枠外となる酒造好適米への支援が可能なのかどうか、この点をお伺いさせていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず第一点でございますが、やはりこの酒造好適米は、主食用米を超える価格で取引されているといったようなことになりますものですから、全国一律の助成対象となる加工用米とするようなことは、ちょっとこれはなじまないんじゃないかというふうに思っております。

 ただ、二つ目の点でございますが、先生おっしゃった産地交付金の取り扱いでございます。これについては、地域の創意工夫を生かした産地づくりを進められるよう、今度地域で策定する水田フル活用ビジョンの中で、あらかじめ定められた各県の上限額の範囲内で、生産数量目標の枠外となる作物に対する支援単価を設定することができる仕組みとなっておりますものですから、生産数量目標の枠外となる酒造好適米に対しては、地域の裁量によって、産地交付金による支援を行うことは可能というふうに考えているところでございます。

藤井(比)分科員 ありがとうございます。

 加工用米ではないということと、あと、これは現地でいろいろとあったんですけれども、産地交付金も地方の裁量でできるというすばらしい答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 こういった形で酒米をお伺いさせていただいておったんですけれども、実は私の選挙区、兵庫四区なんですけれども、まさに、酒造好適米、酒米の王者、山田錦の発祥の地でもあり、最大の産地という形になります。

 兵庫県が山田錦全国シェア七割以上、そのほとんどがうちの選挙区ということになりまして、この山田錦でつくったお酒は、地元の神結や葵鶴、富久錦だけじゃなくて、兵庫県の誇る灘五郷、剣菱、白鶴、白鹿、菊正宗、大関、沢の鶴、白鷹、そういったものだけじゃなくて、実は全国に広がっています。大臣の地元の山口県の獺祭もそうですし、新潟県の八海山、越乃寒梅、本当に全国ですばらしい銘酒と言われるお酒を生み出してきているんですけれども、これがニューヨークとかパリとか、世界で非常に高く評価されている。非常にありがたいことだなと思っております。

 また、兵庫四区は神戸ビーフや黒田庄和牛の本場ということもございまして、先日、香港の方からちょっと問い合わせがありまして、ぜひ神戸ビーフを本場で食べたい、一番ええところを紹介してくれへんかと言われて御紹介したら、おじいちゃん、おばあちゃんもお孫さんもそれを食べるためだけに家族総出で香港から来られて、帰っていかれた。

 そのような状況でございまして、和食がこのたびユネスコの無形文化遺産に登録されましたけれども、今こそこの日本のすばらしい農林水産物、加工物を世界に輸出していく、打って出る、今ではないかと思うんです。

 その際に、例えばパリとかニューヨークとかでしたらすしとか日本酒、香港とか中国だったら神戸ビーフとか、それぞれの地域によってこれが必要なんじゃないかなというようなものがあるかと思うんですけれども、そういったマーケティングも含めた輸出戦略について大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

林国務大臣 先ほどから日本酒の名前や神戸牛の話をずっとお聞かせいただいて、もうこの時間でございますので、大分腹が減ってきたなと、こう思いながらおいしそうなお話を聞かせていただいたわけでございます。

 まさに今お話があったように、このマーケティングの観点、要するに、輸出といっても物を売るわけですから、どうマーケティングをしていくか。世界じゅうが同じ市場ではありませんので、今委員がおっしゃったように、その地域地域に合わせてマーケティングをやるという観点が非常に大事だ、こう思っております。

 これをやるために、平成二十五年度から、ジェトロ、これが国内外にずっと幅広いネットワークを持っておりましたので、こことの連携強化を通じまして、一つは、海外で実際にビジネスを行っている方を海外コーディネーターということで主要な海外事務所に配置して、中小企業からこういうものはどうだろうかという相談、この対応を行うこととしました。二十カ所に二十六名ほどこういう方がおられます。

 それから、商社のOB等を輸出プロモーターとして国内に配置して、有望事業者の発掘、育成等を行う。これは十一名でございます。こっちは、例えば、獺祭のようにもう既にパリに行くぞというような人の手前のところで、国内ではまああるけれども、輸出をまだ考えていないというようなところで行けそうな人を発掘する。

 これを両方相まってやっていければいいなとこう思っておりますし、それから商談会の開催、海外で見本市をやっていますので、こういうところに出ていく。こういうことをあわせて総合的にビジネスサポートの体制の構築をやるということが大事でございますし、いわゆるマーケティング調査、こういうものも実施をしておるところでございます。

 大きな戦略として、FBI戦略と言っておりまして、これはアメリカのFBIが調査に来るわけではなくて、メード・フロム・ジャパン、メード・バイ・ジャパン、メード・イン・ジャパン、この頭文字を取ってFBIということにしております。

 それで、メード・イン・ジャパンは日本でつくったものを輸出するということですが、メード・バイ・ジャパンは、まさに今言っていただいたように、ユネスコで日本食文化が無形文化遺産に登録されました。この日本の食文化を展開するということ。そしてメード・フロム・ジャパンは、さらに、フランス料理で最近星がついたようなレストランで、パリではやっている食材はユズだ、こういうことがあるそうでございますし、中華料理でも古くからナマコですとかフカひれなんかが使われていたということで、日本食材が世界の料理で使われる。これをばらばらにやるのではなくて、FとBとIを一体的に、戦略的に展開をするということが大事であろう、こういうふうに思っております。

 こういう戦略のもとに、先ほど申し上げたように、例えば水産物はどこどこの地域を重点地域にして目標額幾ら、これを水産物、野菜、果物、米、関連食品というように、全部品目別に細かくつくって、品目別のマーケティングのあり方、それから輸出の取り組みの検証、それから、産地がそれぞれやっておられるところもありますので、オール・ジャパンでジャパン・ブランドとしてまずは輸出促進をやるということで、産地の皆さんに集まってもらって、みんなで戦略を考える。

 こういうようなことを戦略として決めまして、これを実行に移すことによって、目標の一兆円に向けて頑張ってまいりたい、こういうふうに思っております。

藤井(比)分科員 目標一兆円、またFBI、そして品目別というのは本当にすばらしい取り組みだと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 今はパリの獺祭という話がありましたけれども、昨年、フランス共和国オランド大統領が来日された際に、日仏議員連盟の関係でちょっとフランス大使館に伺わせていただいたんです。その際に、フランスの国会議員の有志の皆さんが日本酒友の議員協会を発足させたい、もうぜひやってくださいということなんです。我が国でも、國酒を愛する議員の会、私もメンバーに入らせていただいていますけれども、発足したところです。フランスでこれだけ日本酒を高く評価していただいている。非常にありがたいことだなと思っております。

 その際に、日本酒も地理的表示をしてはどうかということを大使の方がおっしゃっておられました。確かに、シャトー何がしとか、ここのシャトーだったら一本ウン十万円とかそういうのがあったりするんですけれども、日本酒もやはりそういう可能性があるんじゃないかなと思うんです。

 そういった地理的表示といったもので地域ブランドを育成、強化していく、その取り組みについて、また、日本酒の場合は、先ほど申し上げましたように、原材料をつくっているところと蔵元、酒造メーカーが違っていたりする、そういった原材料の地理的表示はどうなるのか、そういったところについてお伺いしたいと思います。

山下政府参考人 地理的表示の関係の御質問でございますけれども、地理的表示保護制度は、長年培われた特別の生産方法などにより高い品質と評価を獲得するに至った地域特産品につきまして、その名称が生産地を特定するようなつながりが認められる場合に、これを地理的表示として保護することで、ブランドの価値を守り、生産者が本来得るべき利益を確保することを目指すものでございます。

 農林水産省といたしましては、食品及び農林水産物の地理的表示の保護制度の創設につきまして、今通常国会に所要の法案を提出すべく、検討を進めているところでございます。

 この地理的表示制度の対象となる品目につきましては、生鮮品、加工品を問わず、消費者が直接手にとるような最終産品を想定しているところでございますけれども、主として原材料として利用されるような産品であっても、その名称が生産地を特定するようなつながりが認められる場合には、本制度の対象とすることを考えているところでございます。

 また、対象品目につきましては、その産品の生産、製造、加工の一部がある地域で行われていれば足りる方向で検討しているところでございますが、加工品につきましては、地理的表示として登録されるためには、その産品の特性が生まれる生産過程が加工地において行われるかどうか、こういったことを、登録される産品の特性と加工地との結びつきで判断することになると考えております。

 したがいまして、原料の産地と加工品が離れている場合でも地理的表示の対象となり得るものと考えているところでございます。

藤井(比)分科員 ありがとうございます。

 地理的表示、今国会ということを答弁いただきまして、本当にありがとうございます。また、原材料の方も対象となるということでございますので、本当にすばらしい制度を構築していただきたいというふうに考えております。

 次に、平成二十五年度補正予算そして二十六年度予算に、次世代施設園芸導入加速化支援事業、これが創設されておりますけれども、この創設の趣旨と目的について大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

林国務大臣 攻めの農業、農林水産業ということで、産業政策として農業、農村の所得の倍増を図る、これは非常に大事なことだと思っております。

 今御指摘いただいたこの次世代施設園芸導入加速化支援事業、私がいろいろな方から言われまして、去年の五月にOECDの閣僚理事会がございましてパリに出張があったんですが、そのときに、林さん、オランダを一度見てみた方がいいですよといろいろな方から言われて、少し近いものですからパリからオランダまで行ってまいりまして、この施設園芸を見てまいりました。

 一つのガラスハウスが四、五ヘクタールぐらいあって、高さが八メートルあって、全部同じパプリカをだあっと植えて、それを四、五人の家族だけでやっている、全部自動化されてというようなものを目の当たりにして、こういうことをやっているから、日本よりも面積の小さいオランダが世界で第二位の輸出国になっているんだなということを痛感はしたわけですが、そのまま日本に持ってくるわけにもいきませんので、例えば、この間も雪害がございましたし、台風の多い日本でやるにはどうしたらいいか。

 それから、オランダの場合はたしかロッテルダムから二酸化炭素をパイプで引いてきてやったりということをやっておりましたが、日本の場合は、木質バイオマスなどで熱供給と二酸化炭素の供給ができればと。

 いろいろな日本流にアレンジをする必要もあろうかと思いますが、やはり、脱化石エネルギーに着目してICTを活用した高度な環境制御を行うという意味で、こういう新しいタイプの施設園芸産地の育成を図ろうということでございまして、今おっしゃっていただいたように、二十五年度補正と二十六年度当初、合わせて五十億円計上させていただきました。

 補正の方は今まさに箇所づけに入っているところでございますが、高い生産性を確保するためには、ICT等他産業の知識やノウハウの活用も必要でございまして、先般、次世代施設園芸の推進に向けて、農業界と経済界の関係者が集まっていただいて全国的なセミナーを開催して周知を図ったところでありまして、こうした産地を全国的に展開することによって、産地の構造改革もあわせて進めていきたいと考えております。

藤井(比)分科員 ありがとうございます。

 次世代施設園芸、すばらしい取り組みだと思います。大臣がみずからオランダに行かれてのこちらの制度と理解させていただきますけれども、私の地元の加西市の鶉野でも、モデル事業として四ヘクタールのハウス、トマトですけれども、予定しておりますので、これが地元雇用の創出や所得の向上、地域経済の活性化につながればと期待しております。

 なお、先ほど大臣がおっしゃっておられましたけれども、木質バイオマスの利用ということで、宮路議員連盟会長を筆頭に、私も議連で大臣に御要望をさせていただきました。木質バイオマスの活用、まさにこれこそ、地域の雇用増や持続的な経済の活性化、森林、林業、地域再生の切り札になる再生可能エネルギーの中でも、雇用とかそういったものに一番効果的だと思うんですけれども、こちらの木質バイオマス、発電だけじゃなくて、熱利用も含めたエネルギー利用の積極的な推進について、大臣の御見解をお願いします。

小里大臣政務官 まず、我が国におきましては、伐採される立木の約半分に当たる量が林地内に放置されている、そういう現状があります。

 このように利用されていない間伐材等の木質バイオマスを、先ほど御指摘をいただきましたような次世代型の園芸施設等にしっかり利用を図っていくということが、エネルギーの安定供給、地域の活性化、あるいはまた森林の活性化に寄与すると認識をしているところであります。

 そのため、農水省としましては、ボイラー等の熱供給施設の整備に対する支援、発電施設の整備に必要な資金の融通等の支援、また、木質バイオマスの利用促進に必要な調査、全国的な相談、サポート体制の構築、技術開発等の支援を行っているところであります。

 今後とも、こういった支援をしっかりと行いながら、木質バイオマスの利用促進を図ってまいります。

藤井(比)分科員 ありがとうございます。

 本当に、木質バイオマスで何とか森林がよみがえればというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今、森の話になりましたけれども、本当に鳥獣害は大変なんですよ。先日、地元を回っていましたら、一晩で五回ぐらい鹿に通せんぼうを受けて、数えたら二十六頭です。そういうような状況でございますので、鳥獣害、これは本当にもう待ったなしだなというふうに考えておるんです。

 まさに、鹿柵も必要です。それから食肉加工施設、できればその場で血抜きできりゃええんですけれども、食肉加工施設も必要。それと、やはり若手の猟友会の方、ハンターの育成です。射撃場の整備とか、そういったさまざまな施策が必要だと思うんですけれども、鳥獣被害対策についてお伺いさせていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方からお話しありましたけれども、これまで、捕獲した鳥獣の多くは、通常、捕獲現場での埋設や焼却によって処理されてきておるわけですが、こうした処理にかかる費用あるいは労力というものが今非常に負担となっているというような一方で、最近ですと、ジビエ料理とかいったようなことで、地域の資源として有効活用しようという関心もかなり高まってきております。

 こうした現場の声を踏まえまして、これまで農林水産省におきましては、鳥獣被害防止総合対策交付金といった交付金によりまして、捕獲鳥獣の処理加工施設の整備でありますとか、それだけじゃなくて、それの商品の開発なり販路の拡大のための取り組みを強化するといったようなことを支援してきているところでございます。

 平成二十四年七月現在ですが、こうした処理加工施設、この事業だけじゃございませんが、ほかのいろいろな事業も合わせまして、百十九施設が全国に設置されているというような状況になっているところでございます。

 この処理加工施設、つくったら終わりというわけじゃございませんで、やはり衛生管理やなんかもしっかりやらにゃいかぬということで、この交付金によりまして、鳥獣肉を利用する事業者あるいは市町村担当者を対象といたしまして、鳥獣肉の衛生管理や品質管理に関する研修会、こういったものを毎年全国で開催してきているところでございまして、こうしたことについて今後ともしっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。

 それとまた、鳥獣被害のときに一番大事なのは、やはりハンターといいますか、捕獲者の確保でございます。

 これにつきましては、非常に高齢化しておるといったようなことで、何とか捕獲の担い手を確保していくことが必要だということで、特に若手の方の確保といったことが大事かというふうに思っております。

 これも、先ほど申しました鳥獣被害防止総合対策交付金の中で、狩猟免許講習会の開催でありますとか箱わな等の捕獲機材の導入等について支援を行っているわけでございますが、このたびの平成二十五年度の補正予算そして二十六年度の交付金の予算の中で、捕獲者確保と技術向上のための捕獲技術高度化施設、こういったものの整備に支援を新たに行うこととしたところでございまして、これらの支援策を通じまして、引き続き地域の若い捕獲者の担い手の育成確保に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

藤井(比)分科員 ありがとうございます。

 鳥獣被害対策、平成二十二年度は二十三億円といったところが、安倍政権発足後、二十四年度補正予算、二十五年度予算で二百二十四億、二十五年度補正、二十六年度予算で百二十五億と随分やっていただいておりますけれども、現場は困っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、安倍政権になって何と言っても予算がきっちりとれたなというのは、やはり土地改良、農業農村整備事業なんですけれども、民主党政権の平成二十四年度の二千百八十七億円に比べて、二十四年補正、二十五年当初で五千九百二億円、二十五年度補正予算、二十六年度予算案で四千二百二十四億円ということでございます。

 実際に平成二十三年台風十二号で地元の加西市ではため池が四カ所決壊、私は現場も行きましたけれども、下に民家があって、これが被害を受けておる。民家に近いところでため池があるので、やはりそういった老朽化したため池の維持修繕とか防災、減災対策、これは絶対必要だなと。

 また、先ほど山田錦の話をしましたけれども、増産しようと思ったら、やはり水が必要だと。東播用水というのはあるんですけれども、水の確保、それと維持修繕、そういったものが必要だと思うんです。そういった農業農村整備事業予算の増額確保についてお伺いさせていただきます。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 農業農村整備事業につきましては、農業の競争力強化と国土の強靱化の両面において非常に重要な事業であると認識しております。

 この事業の予算につきましては、先生のお話にもございましたけれども、平成二十一年度には五千七百七十二億円であったものが平成二十二年度に関係予算全体で二千九百八十一億円と、大きな削減となりました。これが、今般の予算編成で、平成二十六年度当初予算では三千四百二十四億円を計上しておりまして、また、平成二十五年度補正予算では八百億円確保したというところでございます。

 これらの予算によりまして、お話のございました老朽化したため池につきまして、点検、ハザードマップ作成等のソフト事業と補修、耐震補強等のハード事業を組み合わせて防災、減災対策を総合的に講ずるということとしておりますし、また、ダム、堰等の大規模な農業水利施設につきまして、国営かんがい排水施設、東播用水二期地区を初めといたしまして、補修、更新を適時適切に実施するということとしておりますなど、現場のニーズに的確に対応して事業を推進できる、そういう予算の確保に努めていくこととしております。

藤井(比)分科員 東播用水二期、明確に名称も言っていただきましてありがとうございます。また、兵庫県は全国一のため池王国でございますので、この防災、減災、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後にお伺いさせていただきたいと思います。

 アベノミクス、輸出戦略やこれから攻めの農林水産業をやっていくんですけれども、これにやはり影をつくってはいけないと考えます。アベノミクス自体は決して円安誘導というためにやったわけじゃないんですけれども、金融緩和によって、やはり、その円安というのはアベノミクスの結果だと言われても仕方がない側面があるんじゃないかというふうに考えます。

 このため、漁業者の皆様は円安による燃油の高騰に苦しんでおられるということになるんですけれども、やはり、日本の誇る漁業を守るために燃油高騰対策が必要だと考えますけれども、燃油高騰対策についてお伺いさせていただきます。

本川政府参考人 御指摘のとおり、漁業用燃油につきましては、円安の影響と国際的な原油価格の高騰、こういったものも影響しまして、非常に高い水準で推移をしております。

 こういうことを踏まえて昨年七月から、特別対策といたしまして、一定水準を超える部分につきまして国が四分の三を負担するといったような制度の運用改善をしますとともに、平成二十五年度の補正予算それから二十六年度の当初予算で必要な基金を造成する、積み増すといったような対応をしております。

 それに加えまして、漁業者の方々が省燃油活動を行う、そういう活動に対する支援でありますとか、省エネ機器の導入、さらには、省エネの漁船、こういうものを建造する、そういう経費に対して支援を申し上げているところであります。

 今後とも、燃油価格の動向に十分注意しながら、漁業者の経営が安定していけるように対応してまいりたいと考えております。

藤井(比)分科員 燃油高騰対策につきましては、水産庁の皆さん、本当にお世話になりましてありがとうございます。

 また、攻めの漁業をやるためにも、先ほど地理的表示という話もありましたけれども、やはり、地域ブランドといったところで魚価を何とか上げていくような工夫もできないものかなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まさに地域の復活なくして日本の復活はない。地域の復活は、やはり農林水産業、これが元気にならないと地域の復活はあり得ないわけです。私も汗を流してまいりたいと思っておりますので、農林水産業の振興に向けてぜひ御指導、御鞭撻をこれから賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 本日はまことにありがとうございました。

宮路主査 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地分科員 公明党の浜地雅一でございます。

 私が最後の質問者になります。林大臣を含めまして農林水産省の皆様、大変にお疲れさまでございました。また、宮路先生、今村先生、主査、副主査を務めていただきまして、また、事務方の皆さんも大変お疲れさまでございます。

 なるべく短く簡潔に終わりたいと思いますけれども、私の方は、食品残渣の再利用についてまずはお聞かせいただきたいと思っています。

 食品リサイクル法が食品残渣の再利用について定めておるわけでございます。当然、こちらは農水省だけではなくて、環境省、また経産省も絡んでおりますので、私の質問の中で、農水省の管轄の中で答えられる範囲で結構でございます。

 この食品リサイクル法は、正式名称は食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律ということで、平成十二年に成立をしまして、平成十九年に改正をされました。その平成十九年の改正時に基本方針というのが示されたと思うんですが、平成二十四年度の食物残渣の再利用の数値目標が設定されたというふうに伺っております。

 具体的には、食品製造業が八五%を目指し、食品卸売業は七〇%、また食品小売業は四五%、そして外食産業は四〇%の再利用を目指そうということであるんですが、五年たって、平成二十四年度の数値目標に対してその達成率と、もしそれを下回ることがあれば、業種ごとにその主な原因について聞かせていただければと思っています。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 食品循環資源の再生利用等実施率についてのお尋ねでございますけれども、食品リサイクル法に基づき策定された基本方針においては、食品関連事業者が食品循環資源の再生利用等を実施すべき量に関する目標といたしまして、業種別に実施率で数値目標が定められているところでございます。

 この業種別の実施率目標に対する、これは平成二十三年度の実績でございますけれども、先生おっしゃいましたように、食品製造業におきましては、実施率目標八五%、これに対しまして実績は九五%でございます。それから、食品卸売業においては、先生おっしゃいましたように、実施率目標が七〇%、これに対しまして実績が五七%でございます。また、食品小売業におきましては、実施率目標四五%に対しまして実績が四一%。それから、外食産業におきましては、実施率目標が四〇%に対して実績が二三%になっておりまして、食品関連事業者全体の再生利用等実施率は八四%となっております。

 このように、食品流通の川下に位置する食品小売業や外食産業におきましては、再生利用の支障となる異物が混入し分別が困難であることなどから、再生利用実施率が低いというふうに認識しております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 今の数字を見ますと、いわゆる川下の方に行きますと、食品残渣の中にいろいろな異物がまじっているということで、私、農水省の方に聞きましたら、基本的には、肥料とか飼料に対しては異物があるとどうしても利用しにくいということもあるように聞いております。ですので、やはり、外食産業から出る食品残渣については、今主力であります再生の対象といいますか、それが肥料、飼料には不向きということなんです。

 そこで、平成十九年の改正では、再生利用に係る製品として新しく政令で追加をされたものがございます。それが炭化製品、いわゆる炭、またはメタンなど、燃料としてこれを再生利用製品に使えないかということで追加をされたわけでございます。

 大体、外食から出る残渣については、先ほど申し上げましたとおり、やはりなかなか肥料等には向かないので、燃料に使いたいという民間のアイデアが多くございまして、私、地元は福岡でございますけれども、福岡の業者さんでもいろいろな研究をされている方がいらっしゃいます。

 しかし、例えばメタンガスにしますと、これは生成の過程でエタノールが排出されるそうでございまして、メタンをつくるためには、自然とメタンガスが出ますからそんなにお金はかからないんですが、このエタノールを処理するのに費用がかかるということで、採算性が合わないというふうに聞いております。

 一方、炭化製品、いわゆる炭をつくるということなんですが、炭化の定義というのは、四百度以上の高熱処理をする必要があるというふうに言われております。しかし、民間には実際に四百度以上で炭にする設備がそもそもない、また、設備をつくろうとしても、コストがかかるということで二の足を踏んでいる業者が多いというふうに聞いております。

 そこで、今は新炭化燃料として、いわゆる亜炭化といって、先ほど四百度以上という話をしましたが、大体百五十度から二百度ぐらいで熱を加える方法を提案するいろいろな研究者がおります。

 この亜炭化にするとどういったことがいいかといいますと、塩分濃度が下がるそうでございます。炭にしてしまうと塩分濃度が大体四、五%残って、これをいろいろな施設で燃やしますと、やはり施設に対してダメージが大きい。しかし、この亜炭化にしますと塩分が大体一%以下になるので、燃やす機械に対してはダメージが少ないというふうに聞いております。それと、最後に残る保有エネルギーの量としても、炭にするよりもこの亜炭化状態の方が保有エネルギー量が多いという意見がございます。

 民間の中では、これが再生製品として食品リサイクル法の対象になれば、これに対して投資をしたい、しっかりこれに工場をつくったり、またいろいろな業者が入ってきて、いわゆるベンチャー等もつくって、投資をして活性化させたいという議論があるんですが、なかなか炭化ということに当てはまらないようでございまして、資金がなかなか出ないということでございます。

 そこで、今後、当然これは検証も必要でございます、今私が申し上げたのはいわゆる民間のデータでございますので、これが正しいかどうかは検証が必要なんですが、外食の残渣についてはどうしても再生利用率が低いという中で、これを燃料製品として再生利用を促すという意味で、今後の外食産業の残渣についての対処について農水省としてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 食品リサイクル法を所管する農林水産省と環境省の合同会合におきまして、食品リサイクル法の前回改正から五年が経過していることを踏まえまして、現在、この法律の施行状況の点検を行っているところでございます。この中で、昨年七月に論点整理が取りまとめられたところでございます。

 この論点整理において、食品流通の川下に位置する小売業ですとかそれから外食産業において、食品廃棄物の分別の困難性等から再生利用等が十分に進んでいない、こういうことが課題として指摘されているところでございます。

 このような中でも、現在までに、分別が比較的粗くても対応可能なメタン発酵の技術が実用化されておりまして、また、メタン化に伴って発生する消化液を液肥として利用する取り組みも見られるようになってきている、こういう状況でございます。

 このような状況を踏まえまして、農林水産省、環境省合同会合におきましてこの夏ごろまでの取りまとめに向けまして、有識者等の意見も伺いながら、川下をも含めた食品リサイクルの取り組みが進むよう、必要な方策を検討しているところでございます。

 先生御指摘の亜炭化につきましてですが、技術の詳細を承知しているわけではございませんけれども、さっき先生がおっしゃいましたように、二百度程度で加熱するなど、四百度から九百度程度に加熱する一般的な炭化とは異なるものと認識しているところでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘の亜炭化の技術、これを再生利用製品として位置づけるかどうかにつきましては、技術の詳細や製品の特性などをさらに詳しく伺いながら、物資を所管する経済産業省やそれから食品リサイクル制度を共管する環境省とも連携をして検討してまいりたいと考えております。

浜地分科員 詳しい説明、ありがとうございます。

 亜炭化につきましては、当然私も、しっかりと炭にするためには乾燥以上の状態にしなきゃいけないということはわかっております。こういう質問をしたのは、いわゆる民間の資金がこれに出したいというような需要があるものですから、そういう意味では、成長の分野で、いわゆる環境ビジネスというもので成長していければという思いで質問させていただきましたので、引き続き、検証を加えながら、いわゆる炭化やまたメタンガスについてはコストの面もございますので、審議会等で議論をしていただければ大変幸いでございます。

 次に、ウナギの話をさせていただきます。

 午前中も一件あったと思うんですが、私は九州比例区の選出でございます。先ほど福岡というふうに申し上げましたが、御存じのとおり、ウナギの取扱量は九州が非常に多うございます。特に宮崎、鹿児島、熊本が多いわけでございまして、きょうも小里先生いらっしゃいますが、非常に多いわけで、また、福岡でも、柳川ウナギといいまして、ウナギをせいろ蒸しにするという手法がございます。

 私も出前等をとると、以前せいろ蒸しは千四百円だったんですが、今千九百八十円に上がっていまして、なかなかこれは出前をとるのをちゅうちょするという状態なんです。ですから、最近では、非常にシラスウナギが少なくなって値段が高騰しているというのは、大体世の中の常識になりつつあると思うんですが、ことしのシラスウナギの状況、少し回復してきているというふうに聞いております。ことしのシラスウナギの状況をお聞かせください。

本川政府参考人 ことしのニホンウナギの稚魚、いわゆるシラスウナギの池入れ量についてでございますが、二月三日現在で、業界団体からの聴取によりますと、十一・七トンというふうに承知しております。同時期で比較をいたしますと、一昨年五・四トン、それから昨年が三・三トンということでありますので、約二倍から三倍ぐらいの池入れ量でございます。昨年の池入れ量全体が十二・六トンでございますので、もう十一・七トン、昨年を超えることは明らかな状況でございます。

 先ほど御指摘あった価格でありますが、池入れ量の減少に伴って、昨年はキログラムで約二百五十万ぐらいといったような価格がつけられたようでございますが、ことしは、このような数値の上昇を反映いたしまして、正確にはあれでございますが、キログラム当たり百万円を切るような水準、そのような水準で推移しているというふうに承知しております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 そうなりますと、ことしは豊漁というようなデータなんですが、二〇一〇年から三年間、不漁が続いております。先ほどもお話しありましたが、昨年が十二・六、その前が十五・九、その前が二十二。これは大体、ふだん二十トン以上とれるときに比べるとここ二、三年少ないわけでございますが、そうなると、三年間不漁が続いていた原因は何だったんでしょうか。

小里大臣政務官 御指摘のように、近年不漁が続いております。

 原因につきましては、明確な因果関係はわかっていないのでありますが、指摘をされておるのは、シラスウナギや親ウナギの過剰な漁獲、あるいは生息環境の悪化、そしてまた気候変動等による海流の変化等が挙げられているところであります。

浜地分科員 ありがとうございます。

 今、いわゆる過剰漁獲、乱獲、環境整備、そして海洋の変化という三つの要因があるというふうに聞かせていただきましたが、では、ことしとれているということは、それは、この三つの要因で変わったものはあるんでしょうか、十一・七トンとれているんですけれども。

本川政府参考人 正直申し上げて、ウナギの生態というのはまだ不明なところが非常に多うございますので、ことしのこの少しの回復がどういう原因によるものかというのは定かではございませんが、今政務官が答弁されたように、やはり、構造的に乱獲であるとかそういったようなものが減少の原因になっているとすれば、ことしやや好漁であったとしても、直ちにニホンウナギの資源が回復したと判断すべきではないというふうに考えております。

 引き続き、国内外での資源管理対策や生息環境の改善の取り組みを進めていく必要があるというふうに認識をしております。

浜地分科員 今、本当に、ウナギというのは生態系がまだよく解明されていないところがあるというのは、いろいろなテレビ等で、またいろいろな資料等で見受けられるんですけれども、そうなりますと、環境が改善したかどうかも、因果関係もよくわからない状態でございますので、やはりこれまでどおりシラスウナギは養殖をしていく。

 しかし、シラスウナギ自体は、いわゆるもともとのシラスウナギ自体を人工的につくることはできずに、天然のものをとってきてそれを養殖していくしかないんですが、私も勉強不足なんですが、人工的にこのシラスウナギをつくる技術は開発されたとかまだされないとかいろいろ聞くんですが、今の現状はどうなんでしょうか。

本川政府参考人 シラスウナギの人工生産につきましては、平成二十二年に独立行政法人の水産総合研究センターが、委託プロジェクト研究の成果として、いわゆる実験室レベルでの完全養殖に成功しております。親を育てて、卵を産ませて、シラスウナギまで成長させて、さらにそれを親にする、そういうサイクルが完成するということでございます。

 ただ、私も現地でちょっと見せていただきましたが、十リットルぐらいの水槽に、スポイトで餌をやりながら何とか飼育しているといったような状況でございまして、これを大量に飼育できるような環境に持っていくのが急務となっております。

 そういうようなことで努力をしてきた結果、平成二十五年度、ことしには、新たに開発した大型水槽、これは千リットル程度の水槽でございますが、こういう中でシラスウナギの生産に成功したといったようなことでございまして、今後とも引き続き技術開発を着実に進めてまいりたいと考えております。

浜地分科員 そうなると、実用化に向けての取り組みにまだ入っていない段階というふうに認識をさせていただきますので、今実験段階で、今後これが実用化になって実際に食卓に上るには少しやはり時間がかかるということを私は理解をさせていただきました。やはりこれまでどおり、天然のシラスをとって、これを養殖なり、または、それがしっかり育って、天然物として育てる必要が現在はあろうかと思っています。

 そうなりますと、先ほどの三つの要因ということで、乱獲や環境、これは河川の環境だと思います、それと海洋の変化。海洋の変化というのは、やはり日本では技術はなかなか難しいと思いますけれども、例えば乱獲防止について、いわゆる資源管理ですね、この点について、農水省または水産庁として、具体的な取り組み、これが行われているかどうかを聞かせてください。

本川政府参考人 資源管理の側面から、取り組みは二つ行っております。

 一つは、国際的な資源管理対策でございます。

 ニホンウナギにつきましては、中国とか台湾、そういったところの沿岸でもシラスウナギがとれまして、そういうところで養殖が行われております。そういう国際的な、東アジア地域における資源管理の枠組みをつくっていくということが非常に重要でございまして、具体的には、平成二十四年九月より、中国、台湾などと、ウナギの国際的資源管理に向けた議論を進めるために四回協議を開催しておりまして、この三月には第五回目の協議を開催して、資源管理の具体的な枠組みなどについて議論を進めていきたいと考えております。

 それからもう一つは、国内における資源管理でございます。

 国内におきましては、ウナギに関しまして、シラスウナギをとっている方、親ウナギを河川でとる方、それから養殖をされる方、この三者のプレーヤーがおられるわけでございまして、こういう方々にそれぞれ資源管理を三位一体として進めていただくということで取り組んでおります。

 具体的には、シラスウナギの採捕につきましては、採捕の許可を都道府県が行っておりますけれども、その都道府県に対しまして、採捕期間の短縮、短くするとか、採捕者に対して採捕量あるいは出荷先の報告を義務づける、このようなことをお願いしておるところでございます。

 それから、親ウナギに関しましては、資源管理に向けた地域ごとの話し合い、一定の期間、親ウナギを採捕しないようにしようじゃないかとか、そのような話し合いを地域で行っていただいております。

 それから、養殖業者の方々に対しましては、シラスウナギの池入れ数量でありますとかあるいは入手先の御報告、こういったものを要請している。

 そのような形で国内で資源管理を進めている、そんな状況でございます。

浜地分科員 国外での取り組み、また国内での取り組みを資源管理について聞かせていただきました。

 やはりこれは、親ウナギをとる人とかシラスウナギをとる人では、一部もしかすると利害等が相反する部分もあろうかと思うんです。私も九州が選挙区なんですけれども、鹿児島等では、何とかその話を水産庁がつけられて、乱獲防止に向かって努力をされているというふうに聞いておりますので、さまざま、水産庁としても、恐らく地元の調整は大変だと思いますけれども、また努力をしていただければと思っております。

 次に、河川環境、いわゆるウナギがすむ環境についての取り組み、川の中での環境を改善するという意味では、どういった取り組みを具体的にされているか、聞かせてください。

本川政府参考人 御指摘のように、やはり、ウナギ資源の回復のためには、親ウナギがすんでいます河川の環境づくりというのが非常に重要であります。

 そういう中で、水産庁といたしまして、まさに、なかなかまだわかっていないウナギの生態やあるいは生息環境の調査研究、こういったものをまず進めております。

 それからもう一つは、ウナギのすみかとなって、エビ等の餌をふやす効果も期待される石倉、石を積み上げた簡易な工作物でありますが、こういうものも設置をして、それを推進しているところであります。

 今後とも、ウナギ資源の回復に向けて、そのような必要な施策を進めてまいりたいと考えております。

浜地分科員 河川の生態系を研究するということと、今、ウナギのすみかとして石倉を積み上げてやるというふうに聞かせていただきました。

 実は私、この石倉の取り組みについても話を聞いたこともあって、これは、河川をコンクリートで固められていますので、本来は、河川の環境を戻すためには、コンクリートを取るとかいろいろなことがあるんですが、これはやはりお金もかかる問題でございますし、長期的な取り組みになると思います。そうなると、やはり、すみかとしての部分、また餌が育つような石倉を河川にしっかりつくっていただくことになりますと、これは短期でかつそんなにコストもかからず、ウナギだけでなく、河川のいろいろな生態系の環境整備に資するというふうに私自身も思いますし、また、それについて水産庁が取り組んでいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 最後に、ぜひ、河川環境の改善という意味での石倉等の設置やそれについての予算もまた来年度もしっかりととっていただきたいと思いますし、また、ウナギに限らず河川の環境整備ということに対して、最後に大臣の所見をお聞きしまして質問を終わりたいと思います。

林国務大臣 ずっとウナギの話を聞いていて、ますます腹が減ってきたな、こう思っておりますが、今言っていただいたように、これは大変大事なことでありまして、石倉の設置というのは非常に大事なあれですから、ちゃんと予算を確保してやっていきたい、こういうふうに思っております。

 それから、先ほどウナギ全体の話のときに、実験室でできたということで、そこまでは来て、一方で、これをさらに商業化していくということもやっていかなければいけない、こう思っておりまして、この大量生産システムの実証化のための予算で二十六年度予算案には二億五千万を計上しまして、給餌システムの改良や飼育水の効率的な交換等で、大量生産システム、これも早期実現をしていきたい、こういうふうに思っております。

 このシラスウナギがもし養殖でできれば、こちらのルートと、それから天然の方と、そこから先が養殖と天然と広がっていくということでございますので、こういうこともあわせてやってまいりたいというふうに思っております。

浜地分科員 ありがとうございます。

 私が注文するウナギがまた千四百円に下がる日を夢見て、私の質問を終わらせていただきます。

 皆さん、本当にきょうはお疲れさまでした。ありがとうございました。

宮路主査 これにて浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後九時一分散会


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