衆議院

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第2号 平成13年3月2日(金曜日)

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平成十三年三月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 小林 興起君

      丹羽 雄哉君    牧野 隆守君

      小林  守君    原口 一博君

      伴野  豊君    松野 頼久君

      山谷えり子君    山村  健君

      鈴木 淑夫君    井上 喜一君

   兼務 北川れん子君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長

   )            今村  努君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務

   流通審議官)       杉山 秀二君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境

   局長)          日下 一正君

   政府参考人

   (経済産業省原子力安全・

   保安院長)        佐々木宜彦君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  原口 一博君     小林  守君

  松野 頼久君     山村  健君

同日

 辞任         補欠選任

  小林  守君     伴野  豊君

  山村  健君     山谷えり子君

同日

 辞任         補欠選任

  伴野  豊君     原口 一博君

  山谷えり子君     松野 頼久君

同日

 第一分科員北川れん子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)




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     ――――◇―――――

小林主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川れん子君。

北川分科員 社民党・市民連合の北川れん子といいます。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、私、二月九日、大阪でありました蒸気発生器細管検査装置に関する説明討論会という、核燃料サイクル機構と市民との間で持たれた会に参加をしていたのですが、そこでいろいろ「もんじゅ」について議論がなされました。

 九五年の事故から六年ほどたつわけなんですが、今再開に向けての準備が、福井県議会それから敦賀市議会において、重点施策の一つとして、重大事故として現地受け入れ地域での議論が始まったということもあり、一つの再開に向けての山場が迎えられているということでお尋ねしたいと思うんです。

 その議論の経過を聞いておりまして、新聞にも載りましたので一部御存じだと思いますが、この問題は、内部告発が、温度計のさや管の設計ミスの点、それともう一つが、蒸気発生器細管の渦電流検査装置、NRCという部分に関する情報がありました。それが割と重点事項として審議されていったわけですが、その中に、当局というか核燃料サイクル機構の方も、一部ノイズが高いところがあった、実用上問題はないというそのときは御説明だったのですが、一部ノイズが高いところがあったということはお認めになりました。

 結論から言うと、今の検査装置の精度では、細管の外側と内側の部分のちょっとした傷とかピンホールを見つける機械なわけですが、ごく小さいものとか想定外のものというのか、そういうものに関してはやはり見つけられないという説明をされたわけなんですけれども、サイクル機構の説明を聞いていましても、漏れても大丈夫ということを何度も念押しをされました。わずかな漏れをキャッチしてすぐとめる、安全装置があるというふうな御説明が終始一貫でしたが、規制当局ですね、省庁再編になりまして今度から保安院制度といいますか、研究サイトなども持たれてされるということなんですが、規制当局としてもこの考え方を踏襲されるのかどうかをまずお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今先生からの御指摘の、今後の原子力安全・保安院としての「もんじゅ」の安全についてお答えいたします。

 この「もんじゅ」の運転再開に向けた動きといたしまして、核燃料サイクル開発機構と地元自治体との間で締結されております安全協定に基づきまして、平成十二年十二月八日に核燃料サイクル開発機構が、福井県知事及び敦賀市長へ事前了解願いを提出したことは承知いたしております。

 原子力安全・保安院といたしましては、原子炉等規制法に基づき「もんじゅ」に関する原子炉設置変更許可申請等が提出されました場合には、厳正に安全審査を行ってまいる所存でございます。

北川分科員 院長、済みません、今のは、私がお伺いした点には答弁されていないというふうに思うんですね。

 私は、設置そして運転をしているサイクル機構自身が、漏れても大丈夫、わずかな漏れをキャッチしてすぐとめます、安全装置があるから大丈夫ということを言っているが、この出発点を規制当局はどう受けとめられるのかということをお伺いしたので、今のお答えは、ちょっと私の質問に対するお答えではないというふうに思うんですが。

佐々木政府参考人 安全審査におきましては、今先生の御指摘の点も含めまして、「もんじゅ」の安全全体について確認をしたいと考えております。

北川分科員 では、もう少し端的に聞けば、以前は、漏れることはないという前提で八〇年の申請を出されて、九五年まで時間が経過したわけですね。今二〇〇一年になりまして、漏れても大丈夫ということを前提でお進めになるということを今お答えの中に含まれたというふうに理解していいのでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 漏れても大丈夫とか大丈夫でないという話ではないと思います。

 まず、漏れても公衆に被害を及ぼすような安全上の問題がないことを安全審査で十分に確認するとともに、また、漏れない対策が十分であるかということも安全審査の中で十分確認をしていくということでございます。

北川分科員 これで今三回ですか四回、答弁に立っていただいたのですが、今のを私が理解するには、漏れても大丈夫というサイクル機構と同じ視点に安全規制当局が立ったというお答えであったということで、次の質問に行きたいのです。

 私たちは、よく多重防護という考え方を原子力施策の中では言われていましたが、多重防護ではなくて、そのもっと深いところに、深層防護という精神があるというふうに把握いたしました。その中には、まず第一段階で、異常を未然に防止するというのがありますよね。そして次が、異常の拡大を防止する。三番目が、放射能を封じ込める。もうこれは皆様よく御存じであろうと思いますので、先ほどの答弁は、この一の、異常を未然に防止するというところを省くということだとお受けとめしてよろしいんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 異常の未然防止という対策も、安全上の観点からいろいろな事態を想定して、それに、安全確保策が十分であるかということも当然安全審査の中に含まれるということでございます。

北川分科員 九五年に事故が起こった、あのときに、安全審査自身が余りにも形式的というか、そういう批判も、あの九五年十二月八日の事故の後の検証において、今裁判なんかでも言われているところであろうと思いますし、よく自覚を……。それは、保安院の皆さんは御存じであろうと思うんですが、それであっても今の御答弁だということは、ちょっと私としては心もとない御答弁だなという気がいたします。

 八〇年代までの、絶対に漏れないというあの時点になぜ戻ることができないのかというところを――では私は、逆に言えば、高速増殖炉、原型炉に対しましては後退をしたという見方で再開に至るんだというふうにお受けとめを、極端だとおっしゃるかもわからないですが、今の御答弁は、説得力が素人にとってもないというふうな気がするんですが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 私どもは、これから核燃料サイクル開発機構が提出いたします設置許可の変更申請については、従前の科学技術庁時代からの安全上のいろいろな点検、あるいはその対策もすべての経緯も詳細に、十分に把握をいたしまして、「もんじゅ」の運転再開に向けてのトータルとしての安全性を十分に、厳正に確認をしてまいりたいというふうに申し上げているわけでございます。

北川分科員 先ほどから、全体とかトータルというお言葉をかなり意識的にお使いなんですが、科学、それも一番最先端の科学においては、トータルという考え方は危険であるというのは前提ではないでしょうか。特に安全規制という観点からは、トータルで考える中では抜け落ちる点がある。だから、安全規制の段階では、トータルではなくて一つ一つ事象を一つ一つ論破する考え方というのが実際必要なのではないでしょうか。ですから省庁再編において保安院という、一部独立した機能を持ったところを再編されたというふうに理解しているんですが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 ただいま先生の御指摘のとおり、一つ一つ確認をし厳正に安全審査を行う、その結果、設備全体としての安全を十分に審査するという御趣旨で申し上げたわけでございます。

北川分科員 「もんじゅ」の再開になぜ私がこだわるかというと、議会というところは、これを再開することに関して何ら作用を及ぼすことができない仕組みになっているというところが一つあるんですね。

 それと、先ほど申し上げたように、核燃料サイクル機構自身が市民向けの説明会で、漏れるんだ、漏れても大丈夫ということを証言されたということをもう一度ここで改めてお伝えしておきたいと思います。

 それで、これはもうあれかもわかりませんが、一つは、圧力開放板や水・蒸気急速排出装置、弁と言われるもの等々なんですが、これが作動しなかった場合、そういうことは、核燃料サイクル機構が出してくる安全審査の中にそれをどういうふうに解決する項目を立てていたか、そこから始まるんだというふうにおっしゃるかもわかりませんが、出してくる前にやはり保安院としては、もう既にこれぐらいの想定のものは出してくるであろうということはお考えであろうということでお伺いしたいと思います。

 それと、もう一つは、イギリスの事故で、四十本の細管が破断したという高温ラプチャー現象というのがあったそうですが、「もんじゅ」の安全審査で高温ラプチャー現象を検討された事実はおありになりますか。

佐々木政府参考人 今御指摘の高温ラプチャー問題は、「もんじゅ」の安全確保上極めて重要な点だと思っておりまして、私どもも、過去のいろいろな研究成果、あるいは科学技術庁時代におきます安全上のいろいろな論点、こうしたものを十分勉強し、また、私どもの方に申請書が提出されました際には、ある意味で従前の経緯も十分踏まえながら厳正に審査をしていきたいというふうに考えております。

北川分科員 では、今のお答えは、安全審査で検討された事実が、八〇年ですよ、今回ではなくて、まだ出ていないわけですから、あったというふうに見ていいのかというのと、その前にお伺いしました圧力開放板や水・蒸気急速排出装置がもし作動しなかった場合、そういうことも御検討になった経過があったのかどうかお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 原子力安全・保安院といたしましては、申請書が出てきた段階で私どもの審査が開始されるわけでございまして、過去に、いろいろな問題の点につきましていろいろな検討がなされていたものについては、私どもも十分にこれをまた勉強し、対応していきたいというふうに考えておるのでございます。

北川分科員 今、保安院の方から勉強とか対応という言葉が出てくる、そんなときではないと思うんですね。事故からもう六年とまっていまして、この間に、次に再開するまでには、こういうことは予想されるというのはもう既にあったであろうし、もう勉強も対応もお済みになっていて、今度申請書が出てきたときには、さあ、見てやるぞという気構えといいますか、そういうものが必要であろうと思うんですね。

 それで今の、八〇年代に申請書ができたときに高温ラプチャー現象は検討されたというふうに見ていてよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 科学技術庁時代に、安全委員会も含めましていろいろな検討がなされていることは承知しております。

北川分科員 次に、新長期計画の中には、「研究開発を進めるに当たっては、「もんじゅ」事故及びその後の一連の事故や不祥事によって国民の原子力に対する不信感と不安感が著しく増幅されていることを重く受け止め、研究開発段階にある原子炉であることを認識し安全確保に万全を期すとともに、徹底した情報の開示と提供を行うなど、国民及び地域住民の信頼確保に格別に留意する必要がある。」という部分が、去年策定された新長期計画はかなりいろいろな方面に波紋を呼ぶぐらい、これが最終段階で三十七ページだか三十八ページだかに入れられたということは御記憶に残っていらっしゃると思うんですね。

 今まで長期計画の中にいろいろな、双方向、そして公聴会的なもの、また、市民の意見等々が幾ばくか反映されたというのは少ないわけですし、一番最終段階でこの文言が入ったという重みはあると思うんですが、そうしましたら、今のところ、もし疑問が出れば即座に規制当局も対応をとるお気持ちというかお考えがあるのか。また、それはどのような対応か。

 例えば市民から、疑問を感じた、今回の内部告発を受けての二件の件に関して即座に市民が反応したのもそういうことであったろうと思いますし、今後以降、疑問が出た場合の対応については、現段階でどのような対応をとろうとされているのかお教えください。

佐々木政府参考人 私どもの安全審査に関しまして、いろいろ技術的な検討については、これを公開もしているところでございまして、一次行政庁での安全審査の結果をもちまして、ダブルチェックとしての原子力安全委員会における審議も公開をされているものでございます。いろいろな御意見、従前御指摘されているようないろいろな問題については、こうしたものを十分踏まえて一つ一つ確認し、またこれを公表し、また、それに対して御意見がある面については、行政庁として審査をした以上説明責任があるわけでございますので、十分にこの責任としての説明を果たしていきたいというふうに考えております。

北川分科員 では、それは、専門家や利害関係者ばかりではなく、市民に対しても徹底した説明責任を負っていただくという御発言であったというふうにお受け止めしてよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 私どもは、当然国民の皆様にひとしく説明責任を負っているというふうに考えております。

北川分科員 それはどうも本当にありがとうございます。これから起こる問題だろうと思いますので、今のお言葉は重く受けとめさせていただきたいと思います。

 先ほど、高温ラプチャー現象等、少しあいまいではあったのですが、検討していると感じさせる、推測でき得るようなお答えだったのですが、では、過去のデータを公開していただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えしましたが、高温ラプチャーに対する対策は、「もんじゅ」の安全審査上、非常に重要な点だと認識をいたしておりまして、既に科学技術庁の時代に「もんじゅ」の安全総点検が実施された中でも十分にこの問題が議論されていることを承知しておりますので、この点については既に資料もオープンになっていると思いますが、これは当然公開も対象になるわけでございます。また、私どもも、これから安全審査をしていく上でこうした高温ラプチャーに対しての検討というものも当然公開していくことになります。

北川分科員 では、八〇年十二月に申請許可がおりているわけですが、そのときの、許可をする範囲に及んだ書類やデータの公表はしていただけるというふうに今のお言葉でお受けとめしたいと思います。

 では、次の質問に行きますが、九五年の「もんじゅ」の事故はすべて想定外ということだったのですね。なぜ想定外が起こったかということは、素人の目から見ても、細かい実験がされていなかったからで、想定する範囲の細かい実験をしなかったから想定外が起こったのではないかという前提でちょっとお伺いをしてみたいのですが、「もんじゅ」は今、裁判、訴訟もやっておりますよね。その中で証人に立たれた佐藤安全委員長は、最新の知見に立てば今の「もんじゅ」は審査は通らないだろうと証言されていますね。

 「もんじゅ」に与えた許可を一たん取り消して改めて一から検査をし直す、私の立場ではそういうふうに思うんですが、保安院の立場はいかがなんでしょうか。

佐々木政府参考人 いずれにいたしましても、私どもの方に申請書が出てきた段階で厳正に審査をしてまいりたいというふうに考えております。

北川分科員 ということは、八〇年に与えられた許可それ自身がもう二十年たって通用しなくなった。通用しなくなった安全審査の検査でもって許可されたわけですから、今の時点で一たんは不許可にするというような発想というかそういう議論は全然、以前でしたら多分、科学技術庁と原子力安全委員会等々での議論になったのかもわかりませんが、今保安院とされて、独立された中で、そういう意見があったとか、そういうことの引き継ぎみたいなことは全然されていないのでしょうか。それは、多分あの時点で世界にもかなりの反響を及ぼした事故であったわけですから、幾ばくかの議論があっただろうと予想されるんですが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 従前の許可そのものに対しまして今原子力安全・保安院としてどうこうという話はないわけでございまして、私どもは、これから申請書が出てきますれば、「もんじゅ」の安全を一つ一つ確認し、またシステム全体としても安全の確認を厳正にやっていくと申し上げているのでございます。

北川分科員 行政というのは連続性の中においてのみ有効に役立ち得るというのが最低条件だろうと思いますし、過去、現在、未来、今なぜか現在の保安院としての出発点のみに重きを置いていらして過去は消したいという、そういう意欲の方に今のお答えは感じたのですけれども、それは少し違うのではないでしょうか。

 それに対してのお答えをいただくというよりは、次にお答えをいただきたいのですが、スーパーフェニックス、今、もうあと十数年ですべてが解体されるというのが二月二十八日の新聞に出ていました。これが原型炉の次の実証炉ですよね。「「夢の原子炉」解体中」というふうに新聞記事も大きく出ているんですが、実証炉がこれで、ここにも、技術者はもう戻らないだろうし、次の実証炉をつくることももう無理だという意見が出ているわけですが。

 そんな中で、スーパーフェニックスの場合は、フランスの法律では、停止期間が二年間継続した場合は許認可が取り消しになるという法律があるというふうにお伺いしました。日本の場合は、もう六年間停止している「もんじゅ」、まあ今回、敦賀と福井県議会がどうお受けとめになるかはわかりませんし、地域住民の合意というのを県議会と市議会が二十一世紀に向けてどういうふうに判断されるのかは、これは三月議会にかかっている面がありますし、市民の動きもあろうと思います。

 日本には、ちょっとひっくり返してもそういう法律はないように思うのですが、日本というのは、一たん事故を起こして、停止期間が経過、経年している場合に関しての何物をも持ち得ない今の状況なんでしょうか。

佐々木政府参考人 今おっしゃいました、設置許可の取り消しでありますとかあるいは事業の取り消しということは法的にはあるわけでございますけれども、いずれにしましても、今先生御指摘の、地域の皆様方にもあるいは国民の皆様方にも、この「もんじゅ」の安全性については、一次行政庁であります原子力安全・保安院のこの審査の結果の説明責任を十分に果たしていきたいというふうに考えております。

北川分科員 それでは、きょう来ていただきました文部科学省の方にお伺いをしたいのですけれども、これもまた新聞記事に出ておりました。これは二十七日の新聞に出ていますが、プルサーマル計画、プルトニウムを使う計画ですね、MOX燃料で。これを福島県知事は、当面受け入れずというのが出ました。ですから、どんどん出てくるプルトニウムを使う先がなくなったわけです。

 そして、皆様もう御存じのように、高速増殖炉が撤退した理由というのは、すべて事故が原因なんですよね。事故に対しての対策が立たないということが撤退原因なわけですが、文部科学省といたしましては、この福島県知事の、当面受け入れずをどのようにお受けとめになったのか。そして今、安全審査について保安院のお答えを数十分聞いていただいたわけですが、旧動燃、サイクル機構は、費用対効果として一兆七千億円ぐらいの累積赤字が出ているわけですね。そして、この再開に向けての予算も、出てからしかわからないということで、予測では二百億から三百億、もしかしたらそれを超えるかもわからないというお金を費用対効果としても使うものとして存在するわけですが、文部科学省としてはなぜ「もんじゅ」こだわられるのか、その点を二つあわせてお答えいただきたいと思うのです。

今村政府参考人 お答え申し上げます。

 プルサーマルについての最近の状況については私どもも新聞等で承知をいたしております。

 しかしながら、「もんじゅ」は、これは高速炉のサイクル技術ということでございますけれども、昨年十一月に策定されました原子力研究開発長期計画におきまして、これはプルトニウムを利用し、ウランの利用効率を飛躍的に高めることができるということで、将来のエネルギーの有力な選択肢を確保する、そういう観点から着実にその開発に取り組むことが重要、このような位置づけになっておるわけでございます。

 その中で、特に「もんじゅ」は、高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核という位置づけのもとに、プラントとしての実証あるいはナトリウム取り扱い技術の確立という極めて重要な研究開発上の課題を担っておるわけでございますので、文部科学省といたしましては、着実にその開発を進める、そういう考え方でございます。

 しかしながら、申し上げるまでもございませんが、「もんじゅ」の運転再開に当たりましては、もちろん地元の御了解も必要でございますし、これまでの事故の教訓を踏まえまして、ナトリウム漏えい事故対策等につきまして万全の措置を講じ、安全の確保を大前提として取り組んでいくようにサイクル機構を文部科学省の立場から指導してまいりたい、このように考えております。

北川分科員 もう終了したということなんですが、今文部科学省はサイクル機構を指導するというふうにおっしゃいましたが、その指導されるサイクル機構が、ナトリウムは漏れても大丈夫というような深層防護思想をかなぐり捨てたような段階で今再開に向けて準備している。そこのところは、文部科学省がそういうふうにサイクル機構を指導されたというふうにしか私には聞こえないところが、再開に向けて準備が不足している。

 もっと言えば、やはりもっといろいろなデータを、内部告発などという形ではなくて、ちゃんとしたものが出て、本当にこの実証炉が、動かすことが有効で、安全性が確保できるのかということをあらゆる見地から検討したものを表に出してから、市民も含め、公開の場で、なぜ九五年の事故が起こったかの解析も含めてやるべきだというふうに思うんですよね。

 質問時間が来たのでもうお答えはいただけないのかもわかりませんが、やはり「もんじゅ」再開に向けて、議会というものが関与でき得ないというところの点をお含みおきいただいて、深層防護の思想をかなぐり捨てないということをもう一度サイクル機構と御検討し直していただきたいということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

小林主査 これにて北川れん子君の質疑は終了いたしました。

 次に、山村健君。

山村分科員 おはようございます。民主党の山村健と申します。

 今回、初めて予算委員会の分科会で質問させていただくというより、予算委員会で質問に立てるということでわくわくとさせていただいた次第なんですが、テーマといたしましては、愛知万博についてちょっと私聞いてみたいな、そう思っておりましたら、二月の末に愛知万博についての新聞記事が出てしまいまして、非常にタイムリーというか、先に回答をいただいてしまったなということで、非常に設問に対してちゅうちょをしたわけなんです。

 まず、大臣にちょっとお伺いしたいんですが、イベントという言葉、ちまたにはんらんしておるわけなんですけれども、イベントという言葉の定義づけといいますか、日本の国民が皆それぞれ、一億二千万人の人間がイベントという言葉、イベントに限らずなんですが、最近特に片仮名の言葉について勝手な解釈をしている。その中でも、愛知万博にかかわるイベントという言葉の定義づけについて、まず一度大臣の所見をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 イベントと一言で言いましても、条約に基づいて実施される国際博覧会、あるいは企業の見本市、商店街の催し物等さまざまな形態があります。多様な意味合いを持つ言葉だと私どもも思っています。

 昭和六十一年に通商産業省に設置されたイベント研究会は、翌年三月に報告書をまとめております。そこでは、イベントとは主として地域振興、産業振興、国際交流等の目的を達成するための手段として行う行催事、こういうふうに定義をいたしております。

 価値観の多様化や高度情報化が進展した現代社会の中で、イベントは人々の心と心を通い合わせる上で極めてすぐれた特性を有している。あらゆる行政活動、企業活動、社会活動に欠かせないコミュニケーションメディアとして、その重要性は大変高いものだ、このように認識しております。

山村分科員 まさにおっしゃるとおりなんですけれども、実は、旧通産省におきまして、九四年度になると思うんですが、イベント業務管理者資格というような資格制度を設けていただきました。

 私ごとで恐縮なんですが、四百八十人の衆議院議員の中で、その資格を有する人間というのは多分私一人。先日も、その業務管理者協会のパーティーの席で、イベントのことは私に任せておけ、イベントについては四百八十分の一だよと言おうと思ったら、ひな壇を見たら堺屋太一さんが座っていたので、二番目に詳しいということにさせていただいたんですが、それは冗談といたしまして。

 やはり、今大臣御答弁いただいたといいますか、報告書にある非常にかたい言葉、難しい言葉というよりも、イベント業務管理者試験に問題としてあるといいますか、簡単な言葉で言いあらわしますと、イベントとはある目的を達成するために手段として行う行催事という定義づけをさせていただいております。

 この一言で、正直言いまして、私どもその業界で働いてきた人間、いろいろなコンサートイベントだ、商店街のイベントだ、村祭りだと、おまえのところ、イベント屋やろというような形の中でいろいろなお仕事をいただいたときにも、その一言の定義づけで、イベントとはということで、まずその企画に際して目的を明確にするということから、何のためにするイベントなんだということを常にクライアントさんといいますかお客さんに問いかけ、ディスカッションの中で目的を明確にし、この催事はこのためにお客を集めるために、いわゆるファミリー層を集めるためにというような形の企画を練り込んでいくという作業をしてきたのが私どものいわゆる業界の仕事といいますか、その指標としても非常にその定義づけの言葉というのはありがたかったわけなんです。

 今回の愛知万博について、こちらの「経済産業ジャーナル」、私が愛知万博について質問に立つということで、その後に経済産業省の方からいただいた資料だと思いますが、これに「愛知万博のめざすもの」というようなことで書いていただいているんです。自然の叡智というテーマのもとに進められる、二十一世紀最初の博覧会であると。

 ただ、これは、私どものいわゆる業界の仲間といいますか友達の中でいろいろ話が出るんですが、愛知万博はこれまでの博覧会とはまるっきり立脚点が違う。率直に言いましたら、今までの二十世紀型の博覧会というのは、旧通産省を基軸としたといいますか、産業の発展とともに、技術の発展とともにという形で、夢を常に提供していこうという気概のもとに進んできた。

 ただ、二十一世紀最初の愛知万博は、まさに環境というものをテーマに置いた上で、今までの手法、考え方では、まずこれはまるっきり日本だけでなく世界のどこにもない価値観を見出そうとしていく博覧会を、自分たちもそれにかかわっている仲間としても、一体我々にできるのであろうか、昔ながらの博覧会を変にわかってきた人間にできるのであろうかというような問いかけを常にさせていただいております。あくまでも私見ですけれども、端的に言えば、今回の博覧会は、経済産業省、旧通産省主導のイベントじゃなく、これは環境省が主になるようなイベントに発想をかえないとちょっと問題じゃないかなということを危惧していたのです。

 それが、いわゆるBIEの指摘といいますか、新聞等マスコミで、昨年いろいろと皆様には御苦労されたと思うのですが、他人事であるのであればそれ見たことかということだけで我々は終わっているんですが、幸か不幸か、私、こういう立場をいただきまして、大臣にはおしかりを受けるかもわかりませんが、昨今の政局の状況を見ておりますと、あえて二〇〇五年に我が民主党が政権をとっているとは言いませんが、政界の大混乱といいますか、再編成等々いろいろ言われておる今日の状況で、二〇〇五年の時の政府が、我々が今このときに立てた計画のもとにもし仮に遂行していかないと、国際的な恥をかく。

 そういう意味からすると、特にこの愛知万博というようなテーマは、これは与野党問わず超党派で応援団をつくり、みんなで歩んでいける、それこそ政治だけの世界じゃなく、政治も経済も、まさに国民そのものが、一致したテーマのもとに、二十一世紀の指標というものはこういうものなんだと、ITと環境と言われておりますけれども、そういう形のものを今の段階で、計画段階でしっかりと固めてつくっていかなきゃならないんじゃないかなというふうに思う次第です。

 そういう折に、先ごろ、最高顧問なのか総合プロデューサーなのか、これまた言葉の定義があいまいなところでもあるのですが、堺屋太一さんが一応決まったというようなことなんですが、その業務範囲も含めて、堺屋さんに決まった経緯というものを教えていただきたいと思うのです。

中山副大臣 堺屋さんが最高顧問に就任された経緯についての御質問が今あったわけでございますけれども、今回、協会の最高顧問として、堺屋太一さんに御就任いただく内諾を得たというふうに聞いております。

 堺屋先生には、大所高所の見地から、幅広く、博覧会事業全般について御助言をいただくということになっているわけでございまして、当面、堺屋氏からは、本博覧会のコンセプト、ストーリーづくりなどに関して御指導いただくということになっております。

 堺屋氏は、御承知のように、一九七〇年の大阪万博を皮切りに、数々の博覧会に関与されておりまして、博覧会事業につきまして高い識見を持っておられます。また、最近におけるIT革命を初め、未来の文明、文化や社会の見通し等についても卓越した識見を有しておられます。こうした観点から、協会の方で、本博覧会事業を高い見地から御指導いただくにふさわしい方として最高顧問に御就任いただいたというふうに考えております。

 また、堺屋氏のような経験豊かな方が上にいていただければ、まさにこれから、二十一世紀の初めての博覧会ということで、プロデューサーなどに思い切って若い方々を登用していただいて活躍していただくということもできるのではないか、こう思うわけでございます。

 今後、堺屋先生が御指導されます本博覧会のコンセプトの策定を受け、事業の実施計画が早急に具体化していくのではないか、このように考えておるところでございます。

山村分科員 堺屋太一さんが最高顧問というような立場で、いろいろな、アドバイザーといいますか、コンセプトづくりをしていく、これも新聞等の記事で、私どもも非常に立場を超えて安心できるなということは一つ事実としてあるのです。

 ただ、先ほど申しましたとおり、今回の博覧会、二十一世紀の博覧会というのは、今までの価値観の延長線上ではちょっと御し切れないぞというような、ある意味の不安感といいますか、これはイベント業界にかかわらず、今の日本経済はまさにその全面において苦労している。株価にしろ何にしろ、それはよその世界の話と言ってしまえばよその世界なんですが。

 ただ、この記事の中に、事務総長の坂本さんと林真理子さんの対談というのを見させていただきますと、どうも二十世紀型の博覧会のイメージというのが払拭されていない。いわゆる完全なリセットボタンを押した中で、どういう博覧会にしていくんだといいましても、従来型の、すなわち大阪万博を原型とした博覧会というイメージから脱却していないんじゃないかなというような不安を抱いているわけです。

 一つのおもしろい発想といたしまして、私どももどうなるのかと思って横から眺めていたのですが、ことし、インパク、インターネット博覧会という概念で、概念といいますか実際にやっているわけなんですけれども、バーチャルの世界、いわゆるITの世界を利用した博覧会というようなものに果敢に挑戦されたわけです。ただ、そのインパクの評価、まだまだ評価が出るような状況ではないのかもわかりませんが、せっかくこの時期に、インパクという形で、同じ省庁の管轄下で進められているんだと思うのですが、そこに、愛知万博のフォーラムにしろ何にしろ、イベント関係者が一番関心を持っているインパクにおいてできていない。

 ということは、広く意見を聞くといいましても、失礼な言い方になりますが、この林真理子さんじゃないですけれども、世界の食器を集めてみたらとか、世界の食べ物といいますか食文化を、いわゆるソフトとして展示して体験してみたらという、そのさまざまなアイデアは、確かに国民それぞれ、世界各国の人から出てくるとは思うのですが、ある意味でプロと言われる人たちが情報交換する場というのが正直言ってないのです。

 だから、これは、端的に言ってしまえば、電通さんの周りにみえるイベントプロデューサー、博報堂さんの周りに集うイベントプロデューサー、例えば私、山村なら山村の周りに集まってくるメンバー、個々に、みんなそれぞれ、昼も夜もたがわず、あるときは飲み屋で、あるときは会議室でそういう話題にはなるのです。ただ、それをぶつける場がない。それで、悶々としている状態の中で、この人に伝えれば伝わるなというような、本当にクローズされた世界で大きなものが動いてしまっている。だから、これを政策とするのか企画とするのかは別にしまして、決定過程ということを見せていくということが、愛知万博を啓発していく意味でも非常に大事じゃないかなと思うのです。

 だから、早速にお願いしたいのは、私どもは、堺屋さんがいいのか悪いのかという判断は別にしまして、悪いということはまずないと思うのです、堺屋さんにかわる人はそれは数人いるとは思うのですけれども、この日本の中で。ただ、堺屋さんという最高顧問、実質的にはいわゆる総合プロデューサーだと思うのですけれども、そういう立場の人が決まった、では、その堺屋さんと、現状の経済産業大臣との位置づけ、立場はどういう位置づけにあるんだ、博覧会協会はどういう位置づけだということが明確になった上で、それぞれのポジション、それぞれの位置づけの中で意見を聞いていく、そういうようなスタイルにこれは早速変えていただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 山村先生から、非常に貴重な御指摘をちょうだいしたと思っています。

 経緯は、委員もよく御承知だと思うのですけれども、当初、海上の森というところをメーン会場にしよう、こういうことでございましたけれども、やはりテーマが自然の叡智、そして海上の森という自然、そういう中で、BIEの方から変更をしろ、そういうようなことがございまして、そして計画自体を大幅に変更して、むしろメーン会場を青少年自然公園に移した。そういうことで、地元の皆様方との、市民の方が入っていただいた、そういう会合も何回も重ねました。そういうことでスケジュール的に若干おくれていることは事実であります。そういう中で、ようやく地元の検討委員会の意見もまとまりまして、ちょうど私が昨年七月に就任したときにようやくまとまった段階で、いよいよゴーサインを出さなきゃいけない、こういうことで始まりました。

 確かに、御指摘のように、二十世紀の万国博覧会というのは、古い言葉を使いますと、ある意味では殖産興業、こういうものが一つのコンセプトだったと思うんです。たまたま私は、通産大臣の時代、ちょうど閣議の前の控室の席が堺屋さんと隣同士でございました。そういうことで、大変万国博覧会に対しては経験をお持ちの方ですから、よく私もいろいろお話をしてまいりました。そういう中で、堺屋さんの御認識も、もう二十世紀型のいわゆる工業化社会、こういったものをメーンテーマにする時代は過ぎた、だから、やはり二十一世紀型のそういう万博にしなきゃいかぬ、こういう基本的な考え方をお持ちでございました。

 そういう中で、今、山村委員御指摘のように、やはり二十一世紀は環境の時代だから、そういうことで自然の叡智という一つのメーンテーマがありますから、環境でありますとか、そして今、インパクでなかなかそこのところが、今申し上げたようなそういう準備段階がありましたから、まだインパクの中に登場していないということですけれども、まだインパクはこれから続きますので、そういう形でITというものも主体にする。それから、二十一世紀はバイオテクノロジー、ナノテクノロジー、こういった問題もある。これはやはりみんな非常に関心があるし、そういうものを使いながら、二十一世紀にふさわしい幾つかのコンセプトを、柱を立てていこうじゃないか、こういうことも堺屋長官といろいろ話をさせていただきました。

 そういう中で、博覧会協会も、堺屋さん以外、余人をもってかえがたい、こういうことで御内諾をいただいたようなことでございます。そういうようなことで、これからやはり幅広い、そういう方々に参画をしていただかなければいけない、これは私は事実だと思います。

 そういう中で、ちょっと余談めきますけれども、若い感性の作曲家で、非常に人気者の、旧X―JAPANのYOSHIKI氏も、私はたまたま、彼がITに対して非常に危機感を持って、そして当時の通産省に提言をしてくれた、そのときに、あなたみたいな感性もぜひひとつ参画してもらいたいと言ったら、ぜひ私も御協力できる面があったらやりたいというようなこともありました。そういった幅広い方たちに参画をしていただいて、そして二十一世紀にふさわしい、これからですから、二〇〇五年ですから、これから堺屋さんのもとでそれをどんどん発信していかなきゃいけない。それはおっしゃるとおりでございまして、ぜひ山村先生も、イベントのいわゆる資格を持っておられる方だし、お仲間もたくさんいらっしゃると思いますので、しかも三重県、隣でいらっしゃいますから、そういうことでぜひ力を出していただく、そういうことは私から逆にお願いをしたいと思っています。

 そして、やはり万博協会を主体として、通産省ができ得る限り、幅広く世界の方々から参画していただかなきゃいけませんから、そういった働きかけだとか、あるいは、やはりいかに環境の時代といっても、アクセス等のインフラもやらなきゃいけない、そういったところは関係省庁と我が省が責任を持ってやっていく。そういう形で、一つは、最高顧問に就任していただいた堺屋さんを中心としたコンセプトづくりとプログラムづくり、それから万博協会、そして我々は所管の官庁として、あらゆる面でそれがいいように機能するようにサポートしていく、こういう形でやらせていただきたい、そういうふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、ぜひ御協力はいただきたい、こういうふうに思っております。

山村分科員 もちろん、先ほども言いましたとおり、二〇〇五年の時の政府がどうなっているかということも含めて、できたら早目に参画といいますか、できる範囲での力は発揮させていただければと思うんです。今、大臣のお言葉にありましたとおり、例えて言われたX―JAPANのYOSHIKIさんを初めとして、いろいろな世界で感性のすぐれた人材というのはまだまだこの国に眠っているんです。

 ただ、一つの、足切りと言ったら失礼なんですけれども、旧来型の博覧会のイメージにとらわれると、またちょっとその辺問題があるにしましても、せっかく今の経済産業省にそのまま引き継いでいただいているイベント業務管理者というプロとしていわゆる言葉をまず統一しようじゃないかということが、一つの運動の根本にあったと思うんです。

 個人に対して資格を与えているわけですよね。今二千人弱いると思うんですが、その仲間たちといいますかその人たち、せっかく資格をとったのに、年間会費を払っているだけで、あと雑誌が来るだけで、では何のためにこの資格をつくったのということで悶々としている人間がいるんです。それよりも、資格を持つよりも、大手の代理店なり大手の制作会社へ勤めていて、おもしろい仕事に行く方がよっぽど気が楽だしやりがいがある。ある日決まってみたら、過日の長野オリンピックの場合ですと、いわゆる高名な演出家の方が総合プロデューサーを務めるとか、今仮の話であったとしても、ではYOSHIKIさんが愛知万博の総合プロデューサーを務めるとか。我々にしてみたら、タレントのプロデューサーのもとで、果たして、用語が、共通の言葉がしゃべれるのかというような危機感もやはりあったわけですよね。

 十年前にそのようなことを、通産省主導なのかどうかわかりませんが、せっかく博覧会ブームのときにつくっていただいた立派な資格制度というのがあるわけですので、その辺を活用していただいて人を生かしていくというようなことを、ぜひとも実施していただければと思うんです。

平沼国務大臣 幅広い方々に参画をしていただくということが非常に重要だと思います。

 ですから、そういう意味で、そういう資格を持った方々の代表が、これから具体的にどういう形でなっていくかわかりませんけれども、最高顧問の中にいろいろな分野の方々に入っていただいて、そこで総合的にいろいろ検討していただく。ですから、そういうイベントの管理者の資格を持っておられる方々が代表で入っていただいて、そして、皆さん方の意見を集約していただくということは、私は非常にある意味では大切、ありがたいことだと思っております。ですから、そういう問題意識は持たせていただきます。

 また、議員連盟も、五年後政権がどうなっているかというお話ですけれども、可能性としてはいろいろあると思います。ですから、議員連盟というものは、これはずっとどうなろうともあるわけです。今、もう御承知だと思いますけれども、海部俊樹先生が御地元で超党派の議員連盟もできています。ですから、そういう中で問題意識を持った方々が、地域選出の方々を中心に集まっていただいて、その場からの意見も反映するということが非常に大切でございますから、そういう意味では、議連というものが既にありますので、そういう中で、政局がいかに変わろうとも、そういう一つの議員の支援団体というのはずっと続いていくわけですから、そういう機能はフルに活用しなければならない、こういうふうに思っています。

山村分科員 大臣のお言葉にあった、それぞれの代表者といいますか、最高顧問のもとに代表者が集まっていただいて、一番それがいい形なんですけれども、せっかくのIT時代ですし、私は、本籍と言ったらおかしいんですが、総務委員をさせていただいていて、旧郵政省からそのまま総務委員に配属されたんですが、総務委員会、いわゆる旧郵政省が進めてきたITというのは、いわゆるインフラ整備であり、端的に言えば、ハードの部分を担当するのが郵政省、ソフトの部分を産業化して生かすのが通産省の役割なんだなということを国会に来て知ったんです、せっかくIT時代ですので、ITの一番のすばらしいところというのは、地位もそういったものも一切関係なしにダイレクトで個人的につながる、個人が個人としてネットワークを形成できるという特性があるわけです。

 先ほど言われた、それぞれの業務管理者なら業務管理者のいろいろなグループの代表者が集まってといいますと、自民党さんも、今、我々民主党も言われていますけれども、人が集まると、どうしても派閥の弊害というのが出てきます。色眼鏡なしで、どんないい意見でも、あいつはこのグループだからというような色分け、特に、これが産業界におきますと、それがすなわち仕事につながるというようなこともありまして、仮にの話でいえば、あの人嫌いだから、あの人はこっちの色だからということで、どんないいアイデアを持っていてもここでは言わないでおこうというような、会議でどれだけいい人たちを集めても、そういうことがあるわけです。

 それよりも、本当にフラットな状態で、いわゆる透明性の保てる状態でITというバックボーンを使っていただければ、今ならまだ間に合うと思いますし、ここでそのままの形で市民参加という博覧会になっていく。その中に、やはり一般の市民とプロの領域で活躍してみえる人とでは、アイデアというのは全然違ったものであると思いますし、それを集約していくのがやはり博覧会協会なり経済産業省なり、担当チームといいますか、いわゆる透明性が本当に保てるところがその事務局的な役割をしていけばきっと成功すると思うんです。

 そういったことで、今後とも推進していただければ、また一方、議員として、超党派としてというような形であれば、私どもも本当に立場をかえてまたお手伝いさせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 時間ちょうどですけれども、私は、以上できょうは終わらせていただきます。

 どうも本日はありがとうございました。

小林主査 これにて山村健君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林守君。

小林(守)分科員 民主党の小林です。

 早速質疑に入らせていただきます。

 私は、計量行政について、特に環境計量証明事業について、具体的な問題事例を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の十月二十日、栃木県の計量検定所は、宇都宮市内の環境計量証明を行っている、ある会社を立入検査いたしました。そして、その後、十二月の七日付で、県の計量検定所は、その計量証明事業者に対して警告書を出しました。

 これらの事実と内容について、計量検定行政をつかさどる経済産業省はどのようにその事実と内容を把握されているか、お示しをいただきたいと思います。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月に、先生御指摘のように、栃木県の計量検定所が宇都宮市の環境計量証明事業者に対して立入検査を実施したことにつきましては、当省としても、栃木県と連絡をとっており、十分承知しております。

小林(守)分科員 承知をしているということですが、その内容についてはどのように概要を把握しているでしょうか。

日下政府参考人 一部、正確な分析及びその結果に基づく計量証明書が発行されていないなどの計量法違反事実について、速やかに改善措置を講ずることを警告された事例だと承知しておりますが、この計量証明事業者に関する事務は都道府県知事の自治事務でございまして、また、個別の事業者にかかわる事例でもございますので、ここで立ち入って申し上げることは差し控えさせていただきます。

小林(守)分科員 確かに、昨年の四月から自治事務に変わったことでありますけれども、問題の事例そのものは、少なくとも機関委任事務の中で、通産省所管行政の中で行われていたことであります。そういう点で、この問題を、自治事務になったということで今差し控えるというようなお話でございましたが、わからないことではないんですけれども、しかし、みずからの行政責任というのは問われるのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

日下政府参考人 私どもは、計量行政を預かっている立場でございます。そういう面では、自治事務にはなりましたが、都道府県、特定市の計量行政を預かっている部局、それから私どものところにございます計量教習所、私どもの行政当局、これらが集まりまして、計量行政、計量法の施行に遺漏がないように努めているところでございます。

小林(守)分科員 警告書の内容について、県の方では情報公開条例に基づいて出すか出さないかを判断するというようなことでございましたが、私、その警告書を手に入れることができました。

 違反の内容について、警告書によりますると、幾つかあるんですけれども、どう読んでも計量法百十三条の事業者登録の取り消し、または一年以内の期間を定めて事業停止にさせることに該当する、このように読めてなりません。確かに、この文面だけでは、計量証明事業の中で、その検査の体制が本当に、一部というような言い方がされていますが、私の調査によるならば、少なくとも、データの改ざんとか、サンプルなしで証明書を発行しているというようなものがかなりの部分行われていたというような事実でありまして、これらに対して、ごく一部にそういうものがあるから改善をしなさい、そして、もし改善命令を無視するならば罰則が適用されますよというような警告なんですね。

 私は、この警告を見て、極めてずさんであって、極めて甘いのではないか、このように思えてならないわけですけれども、それらについてどのようにお感じになりますか。

日下政府参考人 計量法上、都道府県知事は、計量証明事業者が登録要件を欠く事態になれば、登録基準への適合を命ずることができることになっております。また、事業規程を実施していないときなどにつきましては、登録の取り消しや当該事業の停止を命ずることができることになっております。しかしながら、個別の事例についての措置につきましては、自治事務として都道府県知事の判断に基づき行われることになっているところでございます。

 いずれにしましても、御指摘ございましたように、計量証明事業者において適正な業務が行われるよう、都道府県において適切な法施行が行われることが重要でございまして、適切な運営に向け、都道府県との間の密な連携に努めてまいりたいと考えております。

小林(守)分科員 先ほども申し上げましたけれども、通産省所管下のときに機関委任事務として行われていたという事実、なおかつ、この警告書の内容は、そこで働いていた人のお話を聞くならば、とんでもない事実誤認というか、違反の内容の認定が極めて甘いと言わざるを得ないわけでありまして、そういう点で、計量法の百十三条に間違いなく該当させなければならない事例だろう、私はこのように思えてなりません。

 計量証明書の信頼性あるいは権威、そういうものを著しく失墜せしめたものだと思いますし、また、その間、環境への負荷や環境汚染を助長してしまっているというふうにもなろうかと思いますし、当然やらなければならない検査をやらないで証明書を出して金をもらっていたわけでありますから、極めて、詐欺行為というか、不正、不当な利得を得ている、このような営業行為であったろう、このようにも思えるわけであります。

 特に、関東広域にわたって、神奈川県横浜市あたりの大規模なマンション、団地、あるいは埼玉県などにおいて学校、そういうところの飲料水の水質検査を、ある業界ルートの中でかなりの量を検査している。しかし、サンプルなしでとにかく問題なしというか、その検査項目については全部クリアするような数値をでっち上げるというか、改ざんしているというか、とにかく検査なしでもやっちゃうわけですから、とんでもない実態が明るみに出ているわけであります。

 さらに、工場の排出水あるいは産廃処分場の浸出水というんでしょうか、実際に砒素が検出されているのに、ないという証明書を出しているという事実も明るみにされております。さらに、大規模な集客施設というんでしょうか、観光地などにおける集客施設においては浄化槽の定期的な水質検査が求められるわけでありますけれども、これについても、過去にさかのぼってとにかく証明書をくれというふうになれば、はい、来たということで証明書が出されてしまう。こんな実態も明るみに出てまいりました。

 このような反モラル的な、そして環境への負荷を、汚染を助長して恥じない計量士、国家資格であります。これを国が認定して、事業を進められるような体制をつくってきているわけでありますが、国の資格、そして国民の信頼、それを著しく失墜せしめる反社会的な問題に対して、要は、立入検査をして、一部にそういうのがあったというだけの認定、それに対する警告、これでは極めて不十分だと言わざるを得ないわけであります。

 私は、助言という立場にあるべき、あるいは情報提供の立場にあるべき現在の経済産業省、国は、県に対して相当厳しい立場で臨まなければならないのではないかと痛切に感じるわけですけれども、いかがでしょうか。

日下政府参考人 私どもの局は、今、技術と環境を担当する産業技術環境局でございまして、先生御指摘のように、計量制度に対する信頼を確保するのは計量行政上一番大切なことでございますし、環境行政ということでも、不適切な、不正な計量によりまして関係住民の方の健康なり安全に被害があってはいけないわけでございまして、正しい計量が行われることを確保するのは最も大切なことだと私どもも考えているところでございます。

 そういう面では、都道府県、自治事務にはなりましたが、しっかりとした法令の施行体制に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

小林(守)分科員 なかなか踏み込んだ、個別事例ですから具体的な会社名を挙げたり、計量士の名前を挙げたりして議論するわけにはいきませんけれども、一般論としてお聞きしまするけれども、このようなデータ改ざんあるいは虚偽の証明書が出されていたということは、社長そのもの、計量士そのものも認めています。認めていますよ。こういう状態の中で、今の法律体系では改善命令しかできないんですか。

日下政府参考人 一般論として申し上げますと、計量法におきましては、計量証明事業の適正な実施を確保するために、事業者は業務の方法を記載した事業規程を知事に届け出ることになっております。この事業規程によらないで業務が行われている場合には、知事は登録の取り消しや当該事業の停止を命ずることができるわけでございます。

 したがいまして、計量証明書の改ざんを行わないということについて、明確にそのような趣旨の記載があり、事業規程によらないで行われている場合につきましては、登録の取り消しなどを行うことができるわけでございますし、また、行政当局の方で、この事業規程が不十分であるということでございますと、変更命令をかけることができることになっているわけでございます。その変更命令なり適合命令に違反をしますと、またこれは登録の取り消しなどの段階に進める。このような法令の立て方になっておることもありまして、多分、県の当局におかれましては、まず是正措置を講じろという判断に至ったのではないかと推察いたします。

 以上です。

小林(守)分科員 どう見ても、実態からするならば甘いと思いますし、また、こういう事例に踏み込んだものが少ないんではないかというふうに思いますけれども、実態とその認定の仕方が、私はどう見ても甘いというふうに言わざるを得ません。ただ、この問題については、県政の問題でもあろうかと思いますから、県議会での取り組みとか、あるいは国と県の協力関係の中で相当厳しい対応が求められるということの今後の対応を期待したい、こういう形しかないんだろうというふうに思います。

 いずれにしても、やり得というか、見つかったら、改善命令が出たら直せばいいんだ、計量行政というのはとにかく大したことは行政はできないんだ、これを逆に計量士そのものが知っていて、わかっていてやっているんですよ。これだけ社会的な不信行為というか、背信行為を私は見逃すわけにはいかない。わかっているんですよ、どうせ大したことはできないはずだ、言ってこないはずだ、言ってきてもそれに従えばいいんだ、それまではやり得、もうけ。こんなことが許されていいのか。腹立たしい思いを払拭することはできません。

 そういう点で、計量証明事業について信頼性を確保するために法改正を準備されているというようなことをお聞きしておりますが、今後、今日も、極微量物質、いわゆるダイオキシン等の計量の必要性、ニーズが大変高まっておりまして、件数も非常に多い。ある意味では、大きな市場が形成されるとまで言えるんではないかと思うんですが、ここら辺についての正確な、公正な計量を確保して信頼性にこたえる。

 だれも一般国民は、これが本当なのかどうかということはわかりません。目で見えないものをはかるわけでありますから。あるいは、味とかにおいとかそんなものが全くない、一兆分の一レベルの微量物質をはかるわけでありますから、これは計量証明事業所の責任において、国家資格の責任においてやってもらう、そして、行政の監督機関がその不正や過ちが絶対に起こらないようなシステムをつくっておく、こういうことしかないんだろうというふうに思うんです。

 そこで、虚偽の証明書の発行などというでたらめな、不正な行為は絶対に排除する、このような措置が求められているというふうに思いますし、現行法では、極めてざる法というか、業者そのものがもう完全に甘く見ている、それを悪用して不当な利得行為を行う、こんなことを容認している法律だと言わざるを得ません。それらについてどのような法改正の措置を考えているのか、お聞きしたいと思います。

日下政府参考人 御指摘のような計量行政の強化の必要性を踏まえまして、経済産業省は今国会に計量法の一部を改正する法律案を提出しているところでございます。

 その中で、計量証明事業の信頼性向上を図るために、まさに計量証明書を法律上位置づけるということにいたしまして、また、虚偽の証明書を発行するといった不正な行為に対しましては、都道府県知事が計量証明事業者の登録の取り消しや当該事業の一時停止を命ずることができる措置を設けることとしているところでございます。

小林(守)分科員 登録の取り消しとか一年以内の営業停止という現在ある百十三条、この法律の適用に、虚偽の証明書を発行した場合には適用させますよということを追加したいということですね。

 その県でそういう登録の取り消しがあった、しかし、その方が、そこでは一年間仕事ができないからちょっと住所を移したり、どこかの違う県の証明業者の方へ行って、例えば計量士という資格を使いながらやることについては、今度の法改正の中ではどう対応しようとしていますか。実際のところ、その県ではだめでもほかの県に行ったらばやれるんじゃないですか。

日下政府参考人 今回の計量法の改正におきましては、計量証明事業の特性といいますのが、計量士一人一人の問題だけではなくて、やはりサンプルをちゃんととって、それを適正に計量を分析して証明していくという全体の事業そのものが的確になされることが大切だという観点から、計量士個人ではなく、最終的に証明をし責任を負うのは計量証明事業者でございますので、計量証明を担う計量証明事業者に対する措置を通じて適切な計量を確保していくという法律の立て方になっております。

 もちろん、計量士につきましては、本来これは、はかり、計量器の検査業務のところが中核でございまして、計量器の検査業務などにつきまして違反がありました場合には、直ちに計量士につきまして登録の取り消しなどの処分ができるようになっているところでございます。

 ただ、計量証明事業はまさに、普通のはかりでございますと、先生御指摘のように、お肉を買ってきても家に帰ってきてはかり直して、あそこのはかりは少しおかしいのではないかということで確認できるわけでございますが、専門的な計量証明につきましてはなかなか外部から担保しにくいということで、証明事業者の事業が適切に行われることをねらいとしているところでございます。

小林(守)分科員 いずれにしても、システムを強化するんだというようなお話。それから、とにかくごく微量の計量証明については、確かに重さをはかるような肉だ何だというようなはかりのレベルの問題ではない、特殊な器械設備を持たないと分析もできない、そういうことでありますから。

 要は、計量士の検定業務がどれだけシステム的にきちっとしたものであり、そしてそれを行う人の倫理意識も問われることなんだろうというふうに思うんですね。だからこそ国家資格なのではないか、このようにも思うのです。

 先ほども言ったように、その県で登録抹消、登録を取り消されて営業停止を食らっても、ほかの県へ行って潜ってしまえばほかの県ではやれるんですよ。そういう現状はやはり許されないということを法改正の中で考える必要があるのではないか、私はこのように思えてならないのです。

 それから、もちろん、計量士というのには、お話があったように、そういうごく微量のものまでかかわってくるということになるならば、高い環境倫理意識、まずこれが求められると思いますし、科学的な知識や技術、そういうものがもちろん要求されるわけであります。当然のことながら、不正な行為や違反行為については、現在の事業の登録、業者登録の都道府県に対する取り消しあるいは営業停止、これだけでは不十分であると私は考えます。

 当然、氏名を公表する、そして計量士そのものの資格を剥奪する、取り消しをする。お医者さんではそういうのがあるんだろうと思います。人の命や将来の世代に対する環境の問題でありますから、それをないがしろにしてきた今日までの環境行政の弱さというか不十分さというか、国民の環境意識というか、それが今日非常に高まってきているわけですね。そういう点では、環境汚染というものがすぐには見えてこない、時間がかかる、しかし、見えてきたらとんでもない、こういう代物なんですね。

 例えば、ある工場でいろいろな水質検査をしていたはずです。ところが、ある時点でとんでもないダイオキシンの排出水が含まれていた。砒素が入っていた。それがぽっと出てくる。しかも、それは、検査業務の中で定例的に行っている中では発見されなかった。ある民間NGOとかNPOの皆さん方が、あるいは住民団体の皆さん方が、おかしいという形で、魚が死んだとか何かが出てきて初めて、検査してみたらとんでもないものがわかってきた。当然、そういうものは工場の通常の定期検査の分野でわかってこなきゃならないはずですよね。潜っちゃっている。これは何だということなんですね。

 要は、計量証明業務そのものが極めてでたらめ、あいまい、そういうものではないか。そういう点で、システムそのものをきちっとさせていく、そして環境計量士の資格をもっともっと権威のある厳しいものにする、これが求められているのではないか、私はこのように思います。

 環境犯罪に対してはより重罰の制度で、ほかのいろいろな資格については横並びという意識はあろうかと思いますが、少なくとも産業廃棄物の不法投棄とか不適正処理に対しては、ほかの問題よりも重罰をかけています。それだけ環境に対する負荷というのを許さないんだという意識が高まっているわけでありますから、環境計量士はほかの一般的な資格のレベルのペナルティーよりも厳しくあってしかるべきだというふうに私は思いますが、いかがですか。

日下政府参考人 御指摘の、厳格に対処すべきであるという考え方、まさにそのとおりだと考えております。ただ、計量証明事業そのものが、計量士個人個人ではなくて会社としてなされていくところに着目いたしますと、計量士だけに責任を課すよりも事業者自身を厳しく罰するという方がより実効がある、計量証明事業者に対する措置を通じて適正な計量という考え方でこのたびの法改正を準備しているところでございます。

 御指摘のように、不正な行為がございましたら、都道府県知事が直ちに計量証明事業者の登録の取り消しなどが行えるように今回しようとしているところでございますし、また関係事業者の専門性の向上、また倫理面が大変大切でございます。

 事業者の団体としまして、社団法人で日本環境測定分析協会というのがございますが、証明事業の信頼性を図るために研修などについて事業者団体としても取り組んでいるところでございますし、また悪質業者がほかのところでまた登録をするのではないかという御指摘の点につきましても、先ほどちょっと申し上げました全国計量行政会議、都道府県、特定市、私どもの国、計量研究所、これらの四者の行政会議におきまして、悪質な事例などにつきまして十分な情報提供をすることによって、そのようなことが起こりにくいように努力していきたいと考えております。

小林(守)分科員 時間が参りましたので、幾つかお話ししておきたいと思います。

 会社の方を厳しく見ていくんだというお話でございますが、会社そのものは、計量士の資格がなかったらその事業はやれないわけでありますから、私は、やはり計量士の責任、権威の高さ、厳しさ、そういうものがまずは問われてしかるべきだと思います。

 会社と言いますけれども、例えば浄化槽の管理会社がその検査会社をつくっちゃうんですね。資本参加して、計量分析会社をつくる。ビル管理会社がつくっちゃうんです。あるいは浄化槽の管理会社がつくるわけですよ。そうすると、どういうことが起こるか。これをもっと安くしろ、これをただでやってくれ。そうなったらば、証明書の中身というのは、おのずから不正が行われるような土壌をつくってしまうんじゃないか。

 ですから、会社に対して厳しくやると言いますが、会社そのものがそういう経済原理で動くことになりまするから、これは経済原理を優先させてはならない、このように私は考えていきたいと思います。そういう点で、先ほども言ったように、計量士に対する厳しさが求められる。もちろん会社そのものも当然それは厳しく問われなきゃならないのは当たり前だと思います。

 そういう点で、都道府県の自治事務でありますから、都道府県の監督指導能力、これを高めなきゃならないんだろう、このように私は思います。

 機関委任事務からそういうふうになりましたけれども、残念ながら、栃木県の計量検定所には、ある会社に立ち入りましたけれども、みずからの力で、どういう問題があるのか、どういうことをやっているのか、科学的な能力は、問題を指摘できる能力のある方はいません。いないんだけれども、自治事務で権限はそっちへ行っちゃったんです。どこにあるかといったら、通産省所管だった製品評価技術センター、これは通産省の出先機関ですね。そこにはあるんです。だから、都道府県がやるときには、そちらに一緒に来てくれという形でやる。

 ところが、問題があるからといって、国が、製品評価技術を持ち、能力のある製品評価技術センターがしゃしゃり出ていくわけにはいかない。県の要請がなければ出ていけないという仕組みになっちゃったわけです。そこに私は今後の大きな問題があるだろうと思いますし、都道府県の検査監督機能を高めるための人材の確保、これらが経済産業省の大きな役割でもあるんだろう、このように思うんです。

 単に法改正しただけではどうにもならない実態があるということをつけ加えまして、終わりにしたいと思うんですが、大臣、最後に御感想を。

平沼国務大臣 小林先生が御地元の具体的な例を挙げて、そしてその問題点を鋭く御指摘になられた、このことは非常に重く受けとめなければならないと思っています。

 特に、二十一世紀は環境の世紀と言われておりまして、そしてその検査のずさんさが、もし間違った検査で、そしてそれが人間社会の生活に大変な悪影響を及ぼす、そのおそれは多分にございますので、そういう観点からも、今度計量法を改正するところでございます。

 今先生が幾つか、いわゆる通産省の手を離れて都道府県の手に入った、だからそこのところの人材の問題、こういったことも、我々はよく各都道府県と連携をとりながらその機能強化に努めなければいかぬと思っておりますし、また罰則の問題もお触れになりましたけれども、私も同様の考え方でございますので、そういうお考えを盛り込んで、これから計量行政もちゃんと進めていかなければならないと思っております。

小林(守)分科員 終わります。

小林主査 これにて小林守君の質疑は終了いたしました。

 次に、山谷えり子君。

山谷分科員 民主党・無所属クラブ、山谷えり子でございます。

 今閉塞感に包まれている日本で、これまでのような経済産業政策では立ち行かないということで、本当に構造改革が求められているわけでございますけれども、そのような意味で大臣のお働きに期待したいわけでございますが、私は、本日は、エネルギー政策について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私の小さいころ、昭和二十年代の後半でございますけれども、母の姿を思い出しますと、井戸端まで水をくみに行きまして、金だらいに水をためて弟のおむつを一枚一枚洗って、食事は、しちりんにぱたぱた火を起こしてつくるというような状況でございました。

 当時、日本の主婦は、大家族でもございましたし、今私たちが当たり前のように、ガスをひねれば火が出る、それから水道の栓をひねれば水が出るというような生活ではなくて、水を確保するために、あるいは火を確保するために、その準備段階で時間を使った、エネルギーを使ったということがございまして、昭和二十年代の後半、女たちは十三時間半ぐらい家事に時間を費やしていたのですね。今、パートの奥さんで三時間半ぐらいでございます。

 つまり、一日十時間、エネルギーのおかげで私たち女性は時短ができたということで、非常にエネルギーが安定確保できてきたこの何十年というのに感謝しておりますし、それからまた、これから高齢社会になっていったり、あるいは単身家族がふえる傾向にございますし、これからもそうでございましょう。そのような時代にあって、エネルギーというのが、かなり質のよいエネルギーが日本は供給されているということは、大変にありがたく思っております。

 しかしながら、きのうの国連の人口の推計もありましたけれども、現在六十一億人の人口が、二〇五〇年には最大で百九億人ぐらいになるのではないか。開発途上国がその中で九〇%ぐらいを占めていく。その方たちは、恐らくこれからエネルギーを使ってよい生活をしていきたいと思われる。しかしながら十分な、工場にも例えば脱硫装置をつけたり、そういうこともできないでしょうし、あるいは安価な石炭とか、どうしてもそういうようなものに依存しながらやっていくということで、環境負荷が非常にかかっていくであろうということも世界的に懸念されるわけでございます。

 未来の予測というのはなかなか難しいのでございますが、今後五十年の予測でほぼ確実だろうと言われているのが、人口がふえること、エネルギーの消費量がふえること、したがって環境が悪化していく、深刻化していく、問題が深刻化していくということだろうというふうに思うんです。そういう意味で、エネルギー問題というのは本当に環境問題と切り離せない。そして、資源の有限性ということを、世界じゅうのみんなが知恵を絞っていい形で解決していくという方向に持っていかなければいけないというふうに考えていますけれども。

 九七年十二月、COP3で合意されました温室効果ガス削減目標を踏まえまして、各国、目標達成に向けてそれぞれいろいろな政策的措置や自主的な取り組みなど行っているわけでございますけれども、一方で、COP3で決められました排出権取引、クリーン・ディベロップメント・メカニズム、CDMと言われておりますが、京都メカニズムのそのような制度の利用というものが我が国の削減目標あるいは先進諸国の削減目標のために不可欠であるわけでございますけれども、そうした合意実行のための枠組みが、COP6で行われた会議を見ますと、まだまだスタートラインにすらついていない。COP3から一体どれだけ進んだのかと。

 日本は、いきなり森林吸収三・七%、えいやなんというふうな形で出しまして、まあ却下。それから、原子力の他国への技術協力、私は、これはまともに考えていいことだというふうには思っているんですけれども、ヨーロッパによって却下。私は、もっと大きな枠組みで、アジアの方たちとか別の枠組みで、CDMの中で、原子力もクリーン開発メカニズムとしてどのような位置づけをしていくかというのは、もう少し冷静な議論がこれからもあっていいんだろうというふうに思うんですけれども、却下された。

 アメリカなどは、牧草地を入れろとか、そんなだったら牛のげっぷはどうするんだみたいな、何だか本当に私は、COP6を見ていて、まだちっとも基準方程式、コンセンサスづくりが進んでいないということに失望いたしました。

 今後のこのような国際的な、あるいは国際交渉に対して、経済産業省として大臣はどのように取り組もうと、あるいはお考えをお聞かせいただきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 地球温暖化防止に向けた国際交渉に関するお尋ねでございますけれども、確かに委員御指摘のとおり、COP6はCOP3から余り進歩しませんでした。私どもも非常に残念だと思っているわけです。

 経済産業省といたしましては、地球温暖化問題に対する国際的な熱意が失われないように、また幅広い国々の参加により、今御指摘になられましたけれども、国際的に実効性のある取り組みがなされるように、引き続き関係諸国との交渉に積極的に取り組まなければならない、このように思っています。

 御指摘のCOP6、この再開会合につきましては、一昨日プロンク議長から、御承知だと思いますけれども、本年の七月十六日から二十七日にかけてドイツのボンにて開催するとの発表がなされました。

 今後は、それまでの間の交渉機会も最大限活用して、我が国を含む関係国による京都議定書締結を可能とするべく、京都メカニズムの効率的な機能の実現を目指すなど、諸課題の解決に全力で取り組んでいかなければならない、このように思っています。

 このような取り組みの一環として、四月には、外務省及び環境省とともに、各国の交渉担当者を招きまして、約三百名が集まる予定でございますけれども、京都メカニズムに関する国際シンポジウムを東京で開催する。そういったときに、今原子力のこともお触れになりましたけれども、そういったことを含めて、やはり幅広くこの機会を通じて合意ができる、理解が増進できるように私どもは努めてまいりたいと思っているわけであります。

 また、シンクのことについてちょっとお触れになられましたけれども、前回のCOP6では、川口長官も非常に頑張られまして、いいところまでいったのですけれども、最終段階でそれが覆りました。確かに、森林の吸収率ということに関してはいろいろ議論のあるところだと思っております。これは、例えばアメリカなんかは非常にハッピーな形になります。それが実際に実現性はどうかという議論はまた別途あると思いますけれども、そういったことを含めて、これから積極的に私どもとしては国際的な理解を得るために頑張らせていただきたいと思っています。

山谷分科員 いろいろな国がいろいろな研究をして数字を出したりいろいろしているんですけれども、それをまとめるような場における何か政治的なリーダーシップのつくり方というのが、まだみんなどこも本気じゃないな、アメリカが一番本気じゃないからそういうふうになっているんだろうと思うんですけれども。

 日本でも、地球温暖化対策推進本部の年に一度の報告、私も読ませていただいているんですけれども、例えば、研究なんかでも六千億円ぐらいが使われていて、環境庁、もちろんこちらの旧通産省では三十六件研究調査が行われている。それから、大臣が以前なさっていらした運輸省でも四十二件と、本当にいろいろなたくさんの研究とそこそこのお金は使われているんですけれども、本当にそれをこれから評価していって、これは使えそうだということに重点的に何かお金をつけて整理していって、しかもそれを総合的な政策として国際連携の中で生かしていくというような、もうそろそろ次のステップに当然入っていい時期だというふうに、これは平成八年から始まっておりますので、そういうような整理と政治的な行動力というのを発揮していただきたいというふうに思います。

 エネルギー資源に乏しい我が国におきましては、エネルギー問題というのは、経済的な、できれば安価の方がいいけれども、しかし環境問題もございますし、安定供給という意味でエネルギー源の多様化ということもございますし、いろいろな面がありますけれども、日本の国を考えた場合、エネルギーセキュリティー、安全保障の観点からの取り組みというのが非常に重要であるというふうに考えております。

 そこで、本当にアジアのエネルギー需要がこれから増大していく、特にアジアというのは、今石炭と石油が一次エネルギー供給の八割を占めているということで、原油の調達が、日本対中東産油国からアジア輸入国対中東産油国というような形に変わっていくんだろうと思います。

 そして、今の石油市場を見ておりますと、本当に投機資金の影響を受けやすくなっておりまして、戦略商品化、以前もそうでしたけれども、いっときそうではなくなってまた今戦略商品化してきている。安定化機能のためにも、アジア諸国のエネルギー確保、エネルギーの政策のための何か前向きな国際協力というものが本当に必要だというふうに思っております。

 日本が中心となりまして、アジア地域において、エネルギー安全保障に関する多国間協力あるいは環境的枠組み、あるいは環境やいろいろな政策に対する技術移転、資金、人的移転なども含めて、何かそのような方向がどうしても必要だと思うんですが、今もばらばらにやっているのは存じていますし、それからAPECなんかの枠組みでやっているのも私は存じております。

 私はいっときAPECの、産業と学者とジャーナリストたちの集まりのPECCというところのエネルギー部会の委員に入っておりまして、アジアで国際会議とかいろいろなところに出席もさせていただきました。そんな場所を見ますと、石油のメジャーの人が走ったりとか、とにかく皆さん、もう本当にビジネスと国益をかけて走り回っておられるのに、日本の場合はいかにも、余りにも貴族的過ぎるというんですか、何かちょっと頼りない印象を受けまして、大丈夫かなと。

 ですから国際的な連携、あるいはさまざまな国益、その他の世界益も含めて、やはり本当に枠組みの中でリーダーシップを発揮する必要があるというふうに思っているんですけれども、今やっているのはわかっているんですけれども、もう一つ先に進めるとしたらどのような方向性でやっていくのがよろしいかとお考えでございましょうか。

中山副大臣 委員御指摘のように、これからの日本を考えますと、やはりエネルギーの問題は本当に大事なことだ、こう思っておるわけでございます。

 その中で、特に日本を取り巻きますアジア地域におきましてエネルギー消費量が非常に増大しておりますし、またこれからも増大していくことは見込まれるわけでございまして、エネルギー輸入依存度の高い我が国としてもこれは本当に無関心ではおれない、まさに委員御指摘のとおりだろう、こう思っておるわけでございます。

 そうした中で、今お話もございましたけれども、APECとかあるいはASEAN等の多国間協議とか、特にまた、これから消費量がふえるであろう中国とかインドといったところとは、二国間協議等を通じまして、エネルギーの安全保障に関する意見交換、協力を今進めているということでございます。

 また、御承知でございますけれども、総合資源エネルギー調査会におきまして、エネルギー安全保障確保に向けていろいろな方策を今検討しているところでございまして、まさにこれから、そういったことにつきまして、アジア地域全体におけるエネルギー安全保障の強化につきまして積極的に取り組みを充実していかなきゃいかぬ、こういう考えのもとに今検討を進めているところでございます。

山谷分科員 中国なんかでいいますと、二酸化硫黄の放出量が日本の約二十倍ということで、アジア全体の約六割。世銀関連の報告なんかでは、一九九七年から二〇二〇年までに大気汚染により約二十万人死亡の可能性もというようなデータも出ております。また、通産省のレポートを読ませていただきましたらば、放出量が多いのは、脱硫率が七%である、これは九六年の統計ですが。日本は六七%ぐらいということですね。

 例えば、中国に対する脱硫装置をつけていくなんということを、ODAとかいろいろな形で、もうちょっと環境等そのような視点に特化したような形で整理していって、それをきちんと提供した国に理解していただくというようなことでアジアの中で信頼感を高めて、また、これからは天然ガスとかいろいろなものでも、ただ輸入すればいいというのじゃなくて、開発の段階から絡んでいかなければとても安定供給はできないと思いますので、そういう意味でも、深くかかわりながら、安全保障の観点からエネルギー政策を進めていかなければならないというふうに考えております。

 続きまして、省エネルギーの関係なんですけれども、COP3が出まして、旧通産省の総合エネルギー調査会では、五千六百万キロリットルの省エネ、これは一九九六年、全家庭が消費したエネルギー量だと。私は、よく講演なんか以前しておりましたときに、一年間の全家庭が消費したエネルギー分を省エネしなきゃいけないんですよなんと言うと、主婦から、はあなんという声が、それがいかに大変なことかということが実感されて、はあというような声が上がるわけでございます。

 その後の進み方を見ておりますと、産業部門はまあ優等生というふうに言えるのではないかというふうに思います。経団連が地球温暖化防止のための自主行動計画というのをつくっておりまして、これは年に一回報告するんですが、非常に細かくて、どこの工場のどこをどう直したらどのぐらい成果があったとか、あるいはアドバイスしたりとか、かなり細かいデータの公表と皆さんの批判、それからアドバイス、ノウハウの共有化というのがその場所で行われているんですね。このノウハウなんというのは、私、非常にもったいないなと思いまして、本当にもっとアジアの諸国に輸出できるもの、あるいは東欧なんかもそうかもしれません、輸出できるものがあるというふうに考えております。

 産業部門はなかなかよくやっているというふうに私は思っているんですが、問題は、民生と運輸部門でございまして、特に民生の、ビルのような業務部門ですね。九〇年度比で一六%の二酸化炭素の排出量増ということで、やはり本当にビルとかの業務部門での効率が非常に悪いし、また、このような分野というのは、経団連のようにびしっとまとまることができないので、要望とか数値目標を出させてそれをやっていく、実行していくということがなかなか難しい分野であることは非常によくわかっているわけですが、しかし、この伸び率を見ると、放置しておいていいというわけにはいかない状況だというふうに考えます。

 アメリカなんかでは、ESCO、エネルギー・サービス・カンパニーというのがございまして、ビルとか工場とか公共の建物、もう全米五十万の政府所有ビルはこのESCOによる節約見合い払い方式だと。つまり、資金の調達から機器の設置、検証、メンテナンスまでずうっと一貫してエネルギー診断あるいは実行させていくというようなことで節約をさせていく、そのようなESCOと呼ばれる事業者がいるわけです。日本でも何社かできているのは存じておりますけれども、公的部門を初めとする大きな業務用ビルにおいては、このESCOの活用ということを図らせるためのインセンティブを与えるような何かが私はもう少し必要ではないかと思っているんですが、その辺いかがでございましょうか。

中山副大臣 今お話ありましたように、最近のエネルギー関係を見ていますと、産業は本当に優等生ですけれども、運輸部門と民生部門ですか、本当に恐ろしくなるような伸び率でございまして、本当に何とかしなきゃいかぬ、こう思っております。

 しかし、まさに委員御指摘のように、特に家庭の主婦が家事労働から解放されたのはエネルギーのおかげだということもあるわけでございまして、それこそみんなでいかにして省エネに取り組んでいくか。また、おっしゃいましたように、余り無理なく省エネができるようなそういう環境をつくっていくということは非常に大事なことだろう、こう思っているところでございます。

 そこで、今御指摘のようにESCO事業でございますけれども、これは、省エネルギーに関する診断とか設計施工、事業資金調達等の包括的なサービスを提供する、そして顧客の省エネによる経費削減の一部を報酬としてもらうという新しいビジネスでございまして、今後、市場メカニズムを活用した省エネ対策として我が国での発展を大いに期待しているところでございます。

 経済産業省といたしましては、ESCO事業の普及を支援するため、平成十一年度より、同事業の成果評価のためのガイドライン作成に向けて調査研究を実施するとともに、平成十二年度には、ESCO事業を対象とする低利融資制度を設けたところであります。

 また、平成十三年度には、事業者による省エネ技術、設備の導入に対する補助事業につきまして、補助金額を大幅に増加させました。これは全体で九十一億円、対前年度比七八%増と、ふやすとともに、補助対象として新たにESCO事業者を追加する等の拡充を行うこととしております。

 さらに、地域におけるESCO事業の一層の普及啓発を進めるために、地方公共団体の取り組みに対しましても、補助事業の活用や情報提供等により積極的に支援を行っていく、そういう考えでおります。

山谷分科員 もうちょっと頑張って、さらに数字を進めていただきたいというふうに思うんです。

 民生の家庭部門も、経済産業省の総合資源エネルギー調査会、今度新しくできた審議会ですね、それの資料によると、九〇年度比三一%の増加ということで、業務部門よりはまだいいけれども、でもやはりここにも厳しい何か政策を入れていかないと、CO2削減は難しいのではないかというふうに思っております。これは、トップランナー機器の普及、住宅のエネルギー効率改善等が進むこと等によりというふうに書いてあるのですが、私は、これはちょっと楽観的な見方過ぎやしないかというふうに考えております。

 確かに、トップランナー機器というのは、ここ一、二年大変な勢いで開発されておりまして、私も、カーペットから掃除機から洗濯機からがどのぐらいエネルギー効率が高まったかというのを、各メーカーに調査に出向いて、実際に使ってやったことがあるんですが、それは本当に、物によると三、四〇%、五〇%エネルギー消費が少なくて済むような機器が開発されていて大変なものなんですね。

 ですから、今はそれが出回り始めたということでこのような楽観的な書き方になっているんだと思うんですが、そのうち、子供たちが一人一人テレビを持ち始めるとか、今は一家にクーラーは多分一台とか二台だと思うんですが、そのうち三、四台、五台、すべての部屋にクーラーをと、バブルのときには物置にまでクーラーを入れていた人がいるというような感じで、所有の数が、それから一人一人が個人家電を持ち始めたら、とてもこのような楽観的な数字というのは、楽観的でもないんですけれども、現行対策ケースに対してほぼ横ばいという評価なんですが、これはそうはならないのではないかというふうに考えております。

 それから、住宅のエネルギー効率改善等が進むこと等によりというのがあるんですが、これも断熱材を入れるとかなりエネルギー、光熱費は四六%ぐらいカットできるんですけれども、今現場の建築業者さんたちを取材してみますと、やはり断熱材をどういうふうに使ったらいいのかというノウハウがまだまだ行き渡っていないんです。ましてや複層ガラスの使い方といったらまだまだなんですね。それは一流建築メーカーでもそういう状況でございまして、やはりそこはもうちょっと、それは国土交通省の分野だと言われればそれまででございますけれども、やはり本当に現場はまだまだそのノウハウと、いかに、どの場所で、どう物を使ったらいいかということが行き渡っていないというような現状を認識していただいて政策をつくっていただければというふうに思います。

 ほかにも、省エネに取り組む条件というのを調べたことがあるんですが、簡単にできればいい、エネルギー資源がなくなることが実感できればいい、生活習慣を変えなくていいならいい、得ならいいという、なかなか正直というかわがままな、これはなかなか難しいなというようなことを感じます。ですから、広報活動なんかしてもなかなか難しいと。民生部門でも、産業部門のように技術力を駆使して、そんなに無理しなくてもできるようなメニューをどんどん開発していくということが大事だろうというふうに思います。

 ITなんかを利用して、最近広まり始めておりますけれども、センサーが取りつけられていて、そこで使わなくなった照明が自動的に消えるとか、あるいはエスカレーターなんかも人が前に立てば動き始めるとか、いろいろなことが始まっておりますけれども、そういうようなシステムの導入に対しても政府は積極的に支援していったらいいんだろうと思います。

 実際にエネルギーがカット、節約されるということもさりながら、歩いていて、自分が通った廊下の後ろが電気がぱたぱたと消えていくと、常に、ああ、エネルギーというのは生もので、こうやって消費されていてというのが実感できるわけですね。そういう意識改革の面でも非常に私はこれは大きな影響があるんじゃないかと思います。

 フランスなんかに行きましても、私は大して立派なホテルに泊まらないせいか、廊下なんかでも歩き始めるとぱっと電気がつく、駐車場も入ると電気がつく、駐車場の中でもたもたしていると消えてしまう、ちっちゃなレストランなんか、トイレに入ればつく、もたもたトイレの中にいると消えてしまう、そういうようなシステム。いっとき、今はちょっと知りませんが、フランスなんか電気料金が非常に細かく季節とか時間帯によっていろいろ違っていたりするというようなこともありまして、そういうようなさまざまなプログラムをやっていくことによって恐らく意識改革というのはできてくるんだろうなというふうに思います。

 最後に、現在、総合資源エネルギー調査会というのがまさにエネルギー政策の検討をしているわけでございますけれども、エネルギーセキュリティワーキンググループとか天然ガス小委員会、これは新しく設けられたワーキングチーム、委員会だというふうに思います。一緒になったのでたくさんの部会ができて、これはなかなか大変だなというふうに思っているんですが、エネルギー政策全体の検討をこのような場所でしながら、しかしながら、今後資源エネルギー問題、環境制約というのは先鋭化していくというふうに思っておりますので、本当に政治の出番、総合的なエネルギー政策を構築して、多元的で戦略的な政策を打ち出して実行していく必要があるというふうに、政治の出番だというふうに考えております。

 これは国際的な視野でできるだけ長期に考えていくべきプログラムではありますし、それから、ただお金で買ってくるというだけではなくて、相手国との信頼感を高めながら開発からかかわったり、その他、新しい技術の移転によってその国のためになるような形とか、多元的な協力関係をつくりながら進めていく問題だというふうに思っております。

 その際に、やはり国民への説明とか信頼関係というのが大事だろうと思うんですね。COP3の後、たしか二〇一〇年までに原子力発電所の設置、二十一基とか言っていたのが、今、電力会社のいろいろなデータなんかもあって、いや、十三基とかもじょもじょと、じゃ、いいんじゃないの、要らないんじゃないとか、数字は、だから森林三・七%、何か笑われちゃって、日本のエネルギー政策どうなっているんだろうということがございますので、やはり複合的な視野を持って説明していくということが大事だろうというふうに思います。

 原子力発電所に関しては、もちろん安全とかさまざまな影の部分がまだ解決されておりませんので、その部分をしっかりと念頭に置きながらも、しかしながら、どう考えていったらいいのだろうかということは、政治的なリーダーシップで多元的な視野、複合的な視野から論じていっていい課題ではないかと思います。

 最後に、時間が参りましたけれども、何か全般的なエネルギー政策に対する御決意がありましたら、一言、大臣の方からお願いしたいと思います。

平沼国務大臣 大変貴重な、有益な御意見を承ったと思っております。

 冒頭、委員から御指摘のありましたエネルギー安全保障、特にアジアがこれから大変エネルギーの消費国になる、ですから日本がリーダーシップを持ってここをしっかりとしなければいけない、それは御指摘のとおりでございまして、私どももいろいろな形でそのことをこれから考えて、そして実行していきたいなと思っております。

 また、省エネに関して貴重な御意見をいただきました。

 この省エネに関しましても、二十一世紀、先ほど御指摘のとおり、まさに人口爆発の世紀、そういう中でいかにエネルギーを少なくし、また日本が蓄積した技術をそういった発展途上国に、それを押しつける形ではなくてうまく利用していただいて全体の環境破壊を防いでいく、こういう視点に立った取り組みも必要だと思いますし、また、国民一人一人が省エネの意識を持ってこういう大きな難問題に立ち向かっていく、こういうことも大切なことだと思っておりまして、きょう御指摘いただいたことは大変重要なこととして受けとめさせていただいて経済産業行政に反映をさせていただきたい、このように思っております。本当に御貴重な意見、ありがとうございました。

山谷分科員 ありがとうございました。

小林主査 これにて山谷えり子君の質疑は終了いたしました。

 次に、伴野豊君。

伴野分科員 民主党の伴野豊でございます。本日は、こうして平沼大臣を初め副大臣、政務官の皆様方と直接真摯な意見交換ができる場をいただきましたこと、主査、各委員に心から御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 とりわけ、私、テレビでしか今まで拝見することがなかったんですが、子供心に、故中川一郎先生、私は少年時代テレビで見ていたときに、この方は必ずや総理大臣になられる人だろう、少年の夢を語る中で非常に印象に残っている政治家のお一人でございまして、そういった意味では、その薫陶を受けていらっしゃる平沼大臣、前向きな、創造的な、子供たちに夢を語っていただけるような経済産業省であっていただきたいという思いできょうは幾つか質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 できるだけ質問が重複しないように工夫してきたつもりでございますが、幾つか重複した場合はお許しいただきたいと思います。

 まず冒頭、これはいろいろなところで質問があろうかと思いますが、通商産業省から経済産業省に変わって何が一番ポイントなのか、国民も非常にここは注目しているところでございますし、期待しているところでもございますが、私個人的にも押さえておきたいところでございますので、そのあたりからちょっと質問させていただければと思います。

 きょうも改めて経済産業省さんのこのパンフレットを見せていただきました。冒頭にある言葉、ミッション、私も非常に好きな言葉でございまして、政治家も心しなければいけない概念の一つではないかと思うんです。通商産業省、昔の通産省ですね、これが経済産業省、こういう略の仕方があるかわかりませんが、ケイサン省とも読めないこともない。言ってみれば計算しよう、日本株式会社のためにしっかり計算をして前を見ていこう、そういうふうに略すこともできるんじゃないかと思うんです。やはり何といっても日本のここまで戦後復興を支えてきたのは技術と人だと思います。技術力、人材育成、文部科学省さんとの連携も必要かと思いますが、そういった意味で二十一世紀の経済産業省はどうあるべきか、そんなところを教えていただければありがたいなと思います。

    〔主査退席、丹羽主査代理着席〕

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 冒頭、私の政治の師である中川一郎先生のことをお話しいただきまして、私も委員と同じように、中川一郎先生が日本のかじ取り役になると日本も大きく変わるな、こういう認識を持っておりましたので、大変ありがたい気持ちで拝聴させていただきました。

 今回、中央省庁の再編がございまして、御承知のように一月六日から、従来、通商産業省と言っておりました我が役所が経済産業省になりました。やはり経済立国、経済大国の日本として、昭和二十四年に商工省から通産省に変わって以来、今の経済産業省の職員は、その頭に経済をつけることがある意味では悲願だったわけであります。

 したがいまして、二十一世紀を踏まえて、経済立国、経済大国のこの日本の経済運営、そして、今御指摘になられましたけれども、その裏には人材、技術、こういったものをやはり総合的に生かしていく。ですから、この日本の経済活動の中で主体的な地位を占めていく、まさにリード役に徹して頑張っていくということが新しく生まれ変わった経済産業省の基本的な、中心の柱だと思います。それには、民間の経済活力を向上させるということが二十一世紀にふさわしい行政のあり方だ、それをいかに引き出すかということがやはり経済産業省の最大の使命ではないかと私は思っています。

 こういった任務を立派にやり遂げていくために、一つは、我が国経済が将来にわたり安定的に発展するための中長期的な、しっかりとした経済成長のシナリオを描くこと、これが我が省に課せられた使命の大きな一つだと思っています。それから、先ほどの山谷委員の御意見の中にもありましたけれども、二十一世紀というのは、環境そしてエネルギー、こういった制約をいかに克服していくか、このことも我が省に課せられた大きな課題で、ここに果敢にチャレンジをしていかなければならないと思っています。それから、技術のことを委員おっしゃいましたけれども、経済産業の発展を支えるイノベーション、これがわき起こるような環境を構築すること、このことも重要な柱だ。このことに挑戦することが、名前が生まれ変わった二十一世紀の経済産業省のコンセプトだ、こういうことで頑張らせていただきたい、私はこのように思っています。

伴野分科員 大臣の、心強い、本当に前向きな御答弁、ありがとうございました。

 まさにそうでございまして、この日本の二十一世紀を語る上で、この経済産業省さんの活躍といいますか、特に優秀な職員さんもたくさんいらっしゃるわけでございますが、そういう方たちがいつまでも夢を持って本当に国のために尽くしていただける、そういう姿勢を大臣みずからお見せいただきまして引っ張っていただければありがたいかと思います。

 では、次に行かせていただきたいと思います。

 先般私も、大臣も御存じかと思いますが、ニューヨーク市立大学の霍見先生といろいろとお話をさせていただく中で、外で活躍している日本の方々がやはり今一番心配していらっしゃること、日本の外にいる方ではなく、国内の人も随分、健全な危機意識を少しずつ持ち出したのかなという気はしているんですが、失われた九〇年代と言われるぐらいここ数年の日本の国際競争力というのは、残念ながら、どんどん下がってきてしまった。我々も口惜しいですが、外から見ている人はもっと口惜しくて、例えば駅伝でいうと、先輩たちがたすきをやっていたときは一番、二番だったのに自分たちのところに来たとき本当にどうなっちゃうんだろう、せっかく諸先輩たちが培ってくださったこのたすきを次に渡せないというようなことになれば、我々の子供たちや子々孫々まで禍根を残すようなことになるんではないか。

 そういった意味で、こういう考え方があるのかどうかわからないんですが、技術安保という考えもあるんではないか。

 今回、タオル業界のセーフガードの申請、大臣も紡績会社にいらっしゃったので今のその業界のいろいろな実情をよく御存じだと思うんですが、確かに、日本的な処理の仕方、本当に、話し合ってうまくいけばいいというのは、一つ、和をもってとうとしという考え方もないわけではないと思います。中国に対してはそういうやり方が一番ベストだという考え方もわからないわけではないですが、しかし、伝家の宝刀は抜かなければさびついちゃうこともありますし、オオカミ少年の話ではないですが、来るぞ来るぞと言っていてやはり何もなければ何だという話にもならないわけではない。

 ですから、国益を守る意味で、継承しなきゃいけない技術あるいはその技術システムが崩壊するときには、ここぞというときにはやはり伝家の宝刀を抜いていただかなければいけないんではないかという気がしているわけでございますが、今回のタオル業界の云々だけではなく、一般的なお話でも結構でございますので、セーフガードに関して、どんなお考えをお持ちであるかお聞かせいただければありがたいと思います。

平沼国務大臣 委員御承知のように、この二月二十六日に日本タオル工業組合連合会、そちらから我が省に正式に繊維のセーフガードの発動要請がありました。

 これは、輸入の浸透率が六四%、こういう高いことになりまして、特に、タオル業界というのは産地が集積をしておりまして、今御指摘の、伝統のある、そしてそこで技術を培ってきた、例えば四国の今治でありますとかあるいは大阪の泉州、そういったところが大変な打撃を受けている。そういう中で、実はタオル工業会の中にも、中国に進出をして、そこで製造させてそして会社を経営している、そういう組合員の方々がおられましたけれども、しかし、工業会の中で、そういう伝統ある、培った技術をやはりこれは守っていかなきゃいけない、こういうことで正式な要請がございました。

 そのほかにも、御承知のように、例えばこの繊維関係でもほかの業種も今検討に入っておりますし、あるいはまたその他の、水産加工物ですとか、そういった問題でも具体化になる、こういうような状況になっています。

 私どもは、繊維のセーフガードというのはWTOの繊維協定で認められているルールでありますから、やはりそのルールにのっとって的確かつ迅速に対処しなければならない。今の規則では、調査に入るかどうかということを二カ月以内に決める、そして、調査開始ということが決定できましたら六カ月以内に発動する。調査をして発動する、こういう形で最長八カ月もかかることに相なります。ですから、私は事務方に、これはスピードが必要なんだからスピードを持って対処すべきだ、こういうことで指示を出しました。

 ですから、もちろん自由貿易体制という中、それから、ある意味では消費者やユーザー、そういったことを総合的に勘案しなければいけませんけれども、この調査をした結果、本当に日本の、いわゆる安保という言葉をお使いになられましたけれども、そういう観点の中で、これはやる必要がある、こういう調査結果が出たら、私は、諸外国の例を見るまでもなく発動をする、やはりこういう決断もしなければならない、そういうふうに思っておりまして、今、迅速な調査を待っているところでございます。

伴野分科員 迅速な御対応ということで、心強く思わせていただきました。ぜひともそういう迅速かつ柔軟な発想でいろいろ御対応いただければありがたいと思います。

 確かに、経済の基本原則としまして市場原理に任せる、それが国民にとって、安くいいものを手に入れたいという願望、それを満たすという一方の価値観もあるのと同時に、また一方で、確かに目先はそうかもしれませんが、十年後、二十年後を見たときに、そのときの判断が結果として、目先はよかったかもしれないけれども、その守るべきメイド・イン・ジャパンを守れなかったために、後々かえって国益を損ねる、国民一人一人の経済活動を損ねるというようなことがあってはならないと思いますので、どこかに最適解があろうかと思いますので、ぜひともその御判断を迅速によろしくお願いいたします。

 では、次に行かせていただきたいと思います。

 技術立国日本ということが叫ばれてかれこれということでございますが、今回の省庁改編に伴いまして産業技術環境局というのができたかと思いますし、また、この四月からは独立行政法人ということで、産業技術総合研究所というのができた。やはり日本はもっと基礎研究といいますか、そこから、応用することばかりではなくて、基礎的なこともしっかり詰めていただく、またそこに価値を見出していただくためにもこの二つの、局と一つの研究所、これに関しましていろいろなお考えがあろうかと思いますので、思いを伝えていただければありがたいと思います。

中山副大臣 委員御指摘のように、産業技術力、まさにこれが経済大国日本を支えてきているし、これからもまた支えていかなければいかぬ非常に重要なことであろう、こう考えているところでございます。

 そこで、当省といたしましては、社会的ニーズに機動的に対応する研究開発体制を構築すること、産学官の連携の促進等の研究開発システムの改革、ライフサイエンス、情報通信等の重要分野に対する研究開発の重点化等に、総合科学技術会議とも協力しつつ、全力で取り組んでおるところでございます。

 そのために、今委員も御指摘になりましたけれども、本年四月に、電子技術総合研究所を初めとする旧工業技術院関係十六機関を、独立行政法人産業技術総合研究所として統合しまして、民間では行い得ないような分野融合的かつ戦略的な研究開発の推進を行う体制を構築することといたしました。

 また、今国会に基盤技術研究円滑化法の一部を改正する法律案を提出しておりまして、民間において行われる基盤技術に関する試験研究を促進する体制の強化に取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。

伴野分科員 今まで産業と環境という概念は対立軸でとらえがちになっていたかと思います。ぜひとも、そうではなくて、やはり共存といいますか、どちらも助け合うといいますか、あるいは情報交換してさらにいいものをつくっていく。例えば、概念的に言いますと正反合みたいな感覚で、産業と環境一つになっていただく意味で、産業技術環境局には私なりに期待をしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それからもう一つの、産業技術総合研究所。研究所において、二番目、三番目というのは研究所の意味をなさないんですね。やはり、やっていただく以上、その技術がさらにベーシックなものであればあるほど、世界一であってもらわなければ意味がないわけで、この産業技術総合研究所が世界に冠たる研究所になっていただくよう心から期待いたしますので、よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、国際競争力というところへ観点を移させていただきたいわけでございます。

 先ほどもちょっと、一九九三年には二位か三位であった日本のいわゆる競争力が今十何番目に、いろいろな指標がありますので、いろいろな見方があろうかと思いますが、二けたになっちゃったことは確実なようでございまして、私、個人的にも非常に口惜しいところでございます。いろいろな意味で、総合政策として国際競争力を高めていっていただかなければいけない。

 そういった意味で、日本の公共料金が高い、国際的に見て非常に高いと言われている観点もございます。余り具体的に申し上げますと、いろいろな業界に申しわけないところもあるわけでございますけれども、一つ、例としまして、例えばアメリカのカリフォルニアのようなことになってもらっては困るんですけれども、例えば水道でも、絶対においしく飲みたい飲料水から、これは例えばレストランで買ってでも、高くても買ってでもいいから飲みたい水から、蛇口をひねればいい上水、それから中水、最後は下水、そういうようないろいろなランクがあるわけでございますよね。要するに、ニーズに合わせて多様性が出てきているということだと思います。

 だから、例えば電力の自由化というのをとった場合に、私は、自由化の根本的な意味というのは、選択権をユーザーに与えることだと思います。これしかないという自由化はないんじゃないかと思うんですね。

 ですから、これも発想、思いつきで申しわけないんですが、電力なんかでも、最初は二段階ぐらいにして、多少コストはかかってもいいから、絶対に安定的で信頼性が高く供給できる。これは、例えば日本丸が沈没しない限り絶対にシステムダウンしない。例えば病院とか、それから大型コンピューターとかそういうようなところ、そんなところには、高規格という言い方がいいかわかりませんが、高規格の非常に質のいい電力を供給する。そこは多少コストがかかってもしようがない、値段が高くてもしようがない。一方で、そうではない電気の使い方。多少システムダウンしてもしようがない、でも安く手に入る。

 こういう二段階的な考え方、あるいはそういう柔軟な発想で自由化を進めていくことはできないか。そんなようなところ、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。

中山副大臣 委員御指摘がありましたけれども、二段階で、絶対に供給が途切れない、そのかわり高い。一方は、途切れたりするけれども、安い。こういうふうな形で電力を使い分ける、そういう技術的なことができればいいかなと思うんですけれども、まだ私の知識では、そういったことが果たしてどのような形で実現できるのか、ちょっとまたこれから検討しなきゃいけないところじゃないかな、こんな感じがしておりますけれども、ある意味では、本当に弾力的な柔軟な思考でもって、これから高コスト構造の是正ということに取り組んでいかにゃいかぬ。一つの提言をいただいたものと受けとめたいと思います。

伴野分科員 いずれにしましても、国内のそういう公共料金の高さが日本のつくるいわゆるメード・イン・ジャパンの国際競争力の足を引っ張ってもいけないと思いますので、ぜひともそういう観点で、いろいろな柔軟な発想で、技術的な限界というのもあろうかと思いますが、柔軟に迅速に御対応いただければありがたいかと思います。よろしくお願いいたします。

 では、時間が来ておりますので、次に行かせていただきたいと思います。

 家電リサイクル法、この四月一日から施行されるわけでございますが、その産みの苦しみといいますか、多分いろいろな御調整があったやに聞いております。これから、四月一日以降、施行してみないとなかなかわからないという部分もあろうかと思いますし、環境省さんといろいろな連携をとっていっていただかなければいけないというようなこともあろうかと思いますが、四月一日の施行前を迎えまして、この家電リサイクル法に対する課題と今の率直な御見解をいただければありがたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 現状における課題についてのお尋ねでございますけれども、我が国においては、国民生活の向上に伴い、御承知のように、家庭等から排出される家電製品に係る廃棄物の量が増大しております。例えば冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ、年間一千八百万台で、これが六十万トンになっております。廃棄物の最終処分場が逼迫しつつある、そういう問題もございまして、廃棄物処理をめぐる問題が深刻化してきています。

 その一方で、主要な資源の大部分を輸入している我が国にとりましては、これらの廃棄物から得られる資源をいかに有効に使うか、このことも大きな課題になっております。

 このような状況において、生活環境の保全と持続的な経済成長をしていくためには、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済システムを転換して、循環型経済社会を実現することが重要です。

 このような認識の中で、廃家電をリサイクルするために、金属、ガラス等の有用な資源を多く含み、リサイクルによる廃棄物の減量に効果あるものとして、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビについて、小売業者に収集、運搬の義務を課しました。製造業者にリサイクルの義務も課しました。適正かつ円滑なリサイクルが実施される仕組みを構築することといたしまして、御指摘のとおり、本年四月の本格施行に向けて、関係省庁、そして自治体、消費者、小売業者、製造業者等と連携をして、今鋭意準備をしております。

伴野分科員 先ほど大臣のお話にもございましたように、循環型社会を形成する上でコストがかかるということは、住民の方もだんだん御理解いただいてきているのではないかと思うんですが、やはり、ただではできない、コストがかかるんですね。そのコストをどこで持たせるか。入り口論と出口論があるかと思います。

 いわゆる素材原料から製品にして、製品から消費をして、消費で使い終わって、またこれをできるだけ素材に近い形に戻す。それをどこでコストを持たせるかだと思うんです。入り口であるいは出口でということは、いろいろあろうかと思いますが、出口で取るということになりますと、やはり不法投棄という問題が必ずや出てまいります。このあたり、環境省さんとはうまく連携をとっていただいて、これは結果としていい循環になるように工夫していただければ、そんなふうに思います。

 時間がどんどん迫っておりますので、最後に少し、私の地元で行われる愛知万博についていろいろお聞きしたいと思います。

 これは二〇〇五年に、改めて言うまでもなく、国を挙げてやっていただく博覧会でございます。テーマは自然の叡智ということでございますが、ここへ今回登録するに当たりましていろいろ紆余曲折があったことは、大臣、十分御認識の上だと思います。

 私自身、谷岡さんがおやりになった検討会議の経緯、非常に評価させていただきたいと思いますし、今まで文句だけを言ってきた人たちが、文句を言った以上のことはやろうという雰囲気をつくっていただいた意味では、すごく評価させていただいているわけでございます。

 しかし一方で、本当に県民のところまで行っているかどうか、これが非常に危ういところでございまして、そのためにいろいろこれからも工夫をしていっていただかなければいけない。

 新聞報道で見ますと、堺屋太一先生もいわゆる最高顧問としていろいろお助けいただけるみたいでございますが、やはり成功された方というのは成功のイメージを追われるという危惧もございますので、そのあたり十分認識いただきまして、そういう力強い方が入っていただいて、バックアップしていただくことは非常にありがたいんですが、いずれにしましても、私どもの地元の神田知事をぜひとも助けていただいて、国を挙げてやっていただきたいと思うわけでございます。

 それで、一つの提案なんですが、お客さんが来ることを心配するのも非常に重要なんですが、お客さんを誘発する工夫、そんな考え方もやはりあっていいんじゃないか。

 例えば、これも思いつきで申しわけないんですが、子供に企画から運営まで全部させるゾーンというのを仮につくったとしましょう。そうしたら、これは愛知県下、あるいは東海圏下でもいいんですが、交代交代でその小中学校の生徒さんにボランティアで運営をしてもらう。これはイギリスのあるちっちゃな鉄道でもあることなんですよね。自分の子供がそこでボランティアで働いているといえば、親は絶対見に来るんですよ。そういう誘発の仕方もありますので、一つの提案をさせていただきましたが、愛知万博を国家事業として盛り上げていただく工夫等々が何かございましたら、御意見をいただければありがたいと思います。

中山副大臣 この前、私も現地に行かせていただいたのでございますけれども、地元も大分盛り上がってきているな、そんな実感を受けました。ただ、もっともっとこれを本当に全国民的なイベントにするためには、さまざまな工夫が必要だろうと思っていまして、そういう意味で、堺屋先生が最高顧問になられた、大所高所から御指導いただくというのは非常にすばらしいことだと思いますが、やはり二十一世紀最初の、それこそこれまでと違う万博にしたいということで、いろいろな方々の意見を広く取り入れたそういったものにしなきゃいかぬ、こう思っているわけでございます。

 今委員御指摘のように、子供たちだけに任せた、そういったものも本当にそういう意味ではすばらしいことだ、こう思うわけでございまして、それでは、ぜひいろいろな御意見を我が省とかあるいはまた協会の方等にぶつけていただいて、あるいは、前に別の委員の方も言われましたけれども、インターネットを利用していろいろなことを公募したらどうかというふうな話もございましたけれども、それこそ、成功させるために私たちもいろいろなことを考えていきたいと思っていますので、ぜひまたいろいろな御指導、御支援をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

伴野分科員 いずれにしましても、本当に、日本の環境を初めいろいろな技術をここから情報発信していただく非常にいい機会でございますので、これはもう成功しかあり得ないと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 そういった意味で、やはり万博だけがよければすべていいかというわけではないと思うんですね。周辺の整備、特にアクセスの問題があろうかと思います。

 例えば、道路アクセス一つとってみましても、会場に行く道が非常に渋滞しちゃって、環境万博だと言っている割に排ガスでもくもくしてしまって、周辺に迷惑ばかりかけてしまうというようなことになってはいけない。また一方で、ここの地には、その開設に合わせて中部新国際空港ができるわけでございます。外から来るお客様というのは空港がその入り口であり、会場の入り口であるというような感覚もぜひとも持っていただければ。ですから、中部新国際空港の出口におりられた方はそこから愛知万博、成田におりられた方もそこから愛知万博、関空におりられた方もそこから万博だ、そういういろいろな工夫もしていただきたいと思いますが、何か交通アクセス等々の御意見がございましたら。

西川(太)大臣政務官 委員はその方面の御専門家でございますから、大変すばらしい御提案をお持ちだと思います。これからもぜひひとつ助けていただきたいと冒頭お願いを申し上げながら、ただいまのお尋ねにお答えをしたいと思います。

 主会場でございます青少年公園、海上地区に向けましては、名古屋の中心部、例えば駅でございますとか栄等、五つの場所からシャトルバスを、最大運行時には一分に一台ぐらい出したい、こういう計画があると伺っております。

 また、もう一つ大きな問題は、高蔵寺から岡崎に抜けます愛知環状鉄道に、先生のかつての古巣でございますJRの中央線から直接乗り入れを行うことによりまして、名古屋駅等から会場最寄り駅まで直行列車を運行できるようにするというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、一般車両等につきましては、会場に近接する場外駐車場から会場まではシャトルバス等を活用していただきたい、こういうことを博覧会協会を初めとする関係者が協議をいたしておると承知をいたしておりまして、ただいま御指摘の点を十分配慮しつつ努力してまいりたいと思っております。

伴野分科員 いずれにしましても、繰り返しで申しわけないんですが、この万博は成功させる道しかございません。ぜひともいろいろなところに御配慮をいただきまして、一過性のもので終わらず、頑張っていただけるように御配慮いただきたいと思います。

 そういった意味で、一つは、今も申し上げたように、この万博が一過性のイベントに終わらないためにも、その後の町づくりにどう寄与していくかというところも非常に地元では関心があるところでございます。いろいろな計画変更があったこともございまして、難しい点もあろうかと思いますが、そのあたりが一点と、最後に、やはり環境省さんとうまく連携をとっていただいて、これは日本からしか発信できない万博であったというような結果に終わるよう、大臣から一言、御決意のほどをお聞かせいただければありがたいと思います。

西川(太)大臣政務官 恐れ入ります。前段の御質疑につきまして、私から答弁をお許しいただきたいと思います。

 おっしゃるとおりでございまして、特に海上の森につきましては、地元愛知県におきまして、森全体を、里山学びと交流の森というふうに整備をされることを御検討中だと承っております。また、青少年公園におきましては、同様に御地元愛知県におきまして、文化、レクリエーション機能の充実を図って、今世紀初めを飾る国際博覧会にふさわしい跡地利用を、いろいろな機能を盛り込んで充実を図られるというふうに承っておりまして、当省といたしましても、そのことにつきまして大いに御協力をさせていただきたいと思っております。

平沼国務大臣 二十世紀の万博というのは、古い言葉で言えば、殖産興業的な要素がありました。しかし、二十一世紀第一弾の愛知万博でございますから、やはりそれにふさわしいコンセプトでやらなきゃいかぬと思っています。

 今、環境省とよく連携をとるように、こういうお言葉がございましたけれども、まさに二十一世紀は環境の世紀、ですから、そのメーンテーマも、いわゆる自然の叡智、こういうことになっておりますので、その辺は十分配慮しながら、あと、ITでございますとか、あるいはバイオテクノロジーですとか、あるいはナノテクノロジー、そういった形で、幅広い方々が新しい一つのコンセプトの中で本当に楽しんで、そして学んで、そして大いに成果がある、そして絶対成功する、こういう形でやらせていただきたい、こう思っております。

伴野分科員 冒頭、故中川一郎さんのことに触れまして大変恐縮かと思いましたが、そういう偉大な政治家を見て政治家を志す少年もいると思いますし、また、平沼大臣を見て政治家を志す人間も必ずやいると思います。

 二十一世紀の経済産業省さんに心から期待いたしまして、そして皆様方に感謝して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

丹羽主査代理 これにて伴野豊君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木淑夫君。

鈴木(淑)分科員 自由党の鈴木淑夫でございます。

 大臣や副大臣、大変御苦労さまでございます。また、日下局長、事実関係をちょっと御説明いただきたいのでお呼びいたしました。

 改めて申すまでもないんですが、戦後の産業政策の中で、製造業を対象にした産業政策というのは、他の分野を対象にしたものに比べて比較的うまくいったと私は思っております。私の専門の金融行政なんかは一番自由化がおくれて、はっと気がついたらすっかり競争力を失って今日のていたらくでございますし、農業についても私は必ずしも満足をしておりません。

 それに比べますと、製造業を対象とした産業政策は、貿易の自由化とか資本の自由化とか、あるいは為替相場をフロートしちゃうとか、外からいや応なしに追い込まれた点もございますが、以前の通産省は、よく思い切って、自由化して競争力をつける方向、最初はうまく幼稚産業保護をやりながら、比較的早目早目に外の風に当てて競争力をつけるというやり方で成功した方だと思っております。

 今日、マクロ経済はひどい状況でありますが、しかし、その中にあって、製造業の技術はやはり分野によっては世界最高水準を維持しているところがあるし、さらにそれをもっともっと発達させなければいけない、それが産業政策の非常に重要な使命だと思います。

 そういう観点で、この百五十一常会に提出されております経済産業省の法案を拝見していて、私は一番興味を持ちますのは、基盤技術研究円滑化法の一部を改正する法律案でございます。きょうは、これについて質問をさせていただきたいと思います。

 最初は事実関係の確認でございますので、局長さんのお答えで結構でございますが、まず第一に、これまで基盤技術研究促進センターを中心にしたやり方で来ている。経済産業省が準備したペーパーを見ると、結構成果を上げているんだと。世界的に評価の高い研究所を輩出したぞとか、学術論文に二万四百件、特許が二千二百件などの知的ストックもつくったぞ、ベンチャー企業も七社創出したぞということでありますので、そんなうまくいっているなら、何でここで直すのかと。何かやはりまずいことがあったんでしょう。どういうことから直そうという話になってきたのか、御説明いただきたいと思います。

日下政府参考人 今回見直すこととした理由についてのお尋ねでございます。

 少し振り返りますと、基盤センター制度は、欧米の基盤技術を利用して日本が製品、商品化をして黒字を積み上げているのではないかという、基盤技術のただ乗り論というのが米国などからございまして、昭和六十年に民間の基盤技術研究を促進するために創設されたわけでございます。そういう面で、これらの支援を受けて、ATRと呼ばれる国際電気通信基礎技術研究所でございましたり、BERIと言われる生物分子工学研究所などを初めとして、先生御指摘のような形で、有形無形の研究成果、実績を上げてきたのは、私どももまさにそのとおりだと認識しているところでございます。

 ただ、今般、見直すことといたしましたのは、現行制度が、国から基盤技術センターを経由して、出資ということで研究の主体をつくっていることもございまして、その研究の成果による特許料収入により金銭的リターンが期待できるのではないか、その金銭的リターンを期待する前提となっていることが一点ございます。もう一点は、近年の企業会計基準の変更によりまして、出資をする民間企業にとりまして、研究開発費は出資、資産という形ではないという整理になってきておりますので、研究開発費を出資形態で負担することが困難になってきているという民間側の事情、両方の事情をもちまして、この出資形式での基盤技術研究の促進が困難になってきたためのものでございます。

 一方、我が国の産業技術力の低下が先生御指摘のように懸念される中で、将来の競争力の源となります民間での基盤技術研究の促進の必要性は、ますます増していると考えているところでございます。このため、平成十一年に成立させていただきました産業活力再生特別措置法というのがございますが、いわゆる日本版バイ・ドール法でございますが、この産業活力再生特別措置法によりまして、委託制度におきましても研究成果としての知的財産権を受託者に帰属させることができるバイ・ドール方式が可能になりましたことを踏まえまして、これまでの出資制度を委託制度へと見直すこととしたものでございます。

鈴木(淑)分科員 そうすると、簡単に言っちゃうと、今まで特許料等の収入による出資金の回収をねらっていたけれども、これはうまくいかなかったということですかね。赤字になっちゃったということですか。それから、あとの、ほかの理由はよくわかりますね。資産として会計上計上できないんだとかいう話はわかりますが、最初のところは、要するに、これはやってはみたんだけれども、うまくいかないや、赤字になっちゃった、こういう話かね。

日下政府参考人 先生御指摘のように、取り組んでいるところが応用研究、実用化研究でございませんで、基礎研究でございますので、なかなか研究の成果は上がっても、また特許がたくさんできましても、その特許をもって産業化、実用化されて、特許の使用料が国に、センターにどんどん入ってくるという事態に立ち行かないことが判明したわけでございまして、大変、実社会で期待され、使われている特許もあるわけでございますが、特許料収入をとりますと、今まで二十五億円にとどまっているわけでございます。

 そういう面で、非常に短期間の間で、特許料収入で費やしたお金のかなりの分を賄うということに相ならないことが判明したわけでございます。

鈴木(淑)分科員 わかりました。最初に御説明ありましたように、これをつくったのが昭和六十年だという話ですね。そのころ確かに技術ただ乗り論みたいなのがあったかもしれませんけれども、今振り返ってみれば、このときにはもう完全に日本はキャッチアップを終わって、先進国と並んでいるわけで、ここから先は自前の技術を開発しなきゃいかぬ、そういうことだったんですね。

 ですから、これは、技術ただ乗り論に対抗してということよりも、堂々と胸を張って日本の自前の技術をつくるためというふうに切りかえなきゃいけない。ですから、今度の切りかえも、遅きに失したということはあっても、大変結構だと私は思っております。

 それで今度は、特許権は受託者、開発に成功した受託者に帰属させるんだ、こういう方式にするわけですね。これは一つの解決策として出てきたと思うんですが、さあ、こうなってくると今度の仕掛けは、このスキームに乗っけてもらった企業にとっては大変なプラスになりますね。大変なプラスになる。うまくいけば、特許権まで自分のものになっていくわけですね。

 ですから、非常に強力な促進策にはなるが、同時に、いわば新しく技術開発してやろうとしている企業にとっては、官僚が、あるいは、オーバーに言えば、経済産業省が生殺与奪の権を握っちゃう、非常に強い立場になってくると思うんですね。平沼大臣は、当然私と同じお考えを持っているということはよく存じ上げておりますが、我々の産業政策の方向、特に製造業を対象とした産業政策の方向というのは、官僚の過剰介入をできるだけ排除して、自立した、しかし創造力に富んだ企業を応援するという形でいかなければいけないわけですので、これは一つ間違えると過剰介入になりかねない仕掛けだと私は思います。うまくいけばいいんだけれども。

 そこで、大臣にお伺いしますが、これが過剰介入にならないような仕掛け、それは当然大臣が一番ポイントとお考えだと思うんですが、どういう手を打って、過剰介入にならないように、そして公平に、力のある企業にチャンスを与えることになるのか、その辺の基本方針をお聞かせいただきたいと思います。

    〔丹羽主査代理退席、牧野(隆)主査代理着席〕

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、行政が過剰に介入して生殺与奪の権を握って、本来、自主的にやらなければならないことに制約を加える、こういうことはあってはならないことだと私も思っております。

 具体的に申し上げますと、経済産業省や、その系列にございますNEDOによる過剰介入、そういうことが心配されるわけでありますけれども、これまでの基盤センター制度におきましても、研究プロジェクトを民間から公募することによって、民間の発意を尊重する制度となっておりました。新たな制度におきましても同様に、民間から研究プロジェクトを公募することとしており、引き続き民間の発意を十分に尊重していくことにしております。

 また、プロジェクトの評価につきまして、これまでの基盤センター制度におきましても、八分野、計八十五名の大学教授等の有識者による外部評価を踏まえて基盤センターが判断してまいりましたけれども、新たな制度におきましても同様に、的確な外部評価を行うとともに、ルールとプロセスを可能な限り公表していくことにより、評価の公平性、透明性を確保して、今委員が御指摘のようなそういったことが起こらないように、我々としてはそこのところをしっかりと踏まえてやっていかなければならない、このように思っております。

鈴木(淑)分科員 民間の発意に基づいている、民間のイニシアチブを尊重している、大変結構だと思います。

 ただ、その場合でも、やはり官僚側が評価をして選ぶわけですから、そこにおける事前のルールの明示、それから透明性、だれが見てもこれは公平だと思えるような仕掛けが非常に大事だと思います。

 その意味で、外部の人を入れる、それは一つ一つの工夫だと思いますが、外部の人を入れて委員会をつくれば必ず公平だとは限らないというのは大臣もよく御存じのとおりでございますので、重ねてしつこく聞くようで恐縮でございますが、透明性、ルールの明示、だれが見ても公平だ、この三点、どういう仕掛けで確保しようとしておられますか。細かい話だから局長でもよろしゅうございますが。

日下政府参考人 今回の制度改正に伴うNEDOでの新しい委託制度をどういうふうに実施するかというのは、これは法案の審議を踏まえまして具体的な設計に入っていくわけでございますので、本制度そのものについてまだ具体的にお答えできる段階にございませんが、私ども、競争的研究資金の制度というのはほかにございます。つまり、提案をしてきて、何人かの競合する形の中で、どの方の研究を採択するかということが、やはり産業の実用化のところの研究の助成制度でございます。

 そこにつきまして、私ども、今、制度をさらに改善していこうとしている事例をちょっと御説明させていただきたいと思います。

 やはりNEDOが担当しているわけでございますが、これは大学の先生、研究者などが計画をお出しになるわけですが、そのときに、NEDOの方に九百五十名ぐらいの外部の評価者がいらっしゃいます。これは申請をされる研究者の方で、利害関係がある評価者を、この先生とは自分は教え子であるとか、いろいろな形でかかわり合いがあるということをみずから宣言してもらうということによって、研究のプロポーザルを、提案を出された方と評価者との間の利害関係が絡まないようにという工夫を例えばしているところでございます。

 そういう面で、外部の評価者にお願いする場合にも、公正な評価ができるような工夫というのを取り入れるように努力しているところでございまして、本制度におきましても、研究面、アカデミックな面での公正な評価ができるように、また、私ども、学問的評価だけではなくて、やはりそれが産業の競争力強化につながらないといけないという、政策サイドの方の要請ももちろんございます。

 これは、新しい制度におきましては、総務大臣及び経済産業大臣が、どういう分野のどういう研究が大切であるかということについて、大きな方針を示すことになっております。そういう分野の選定でございましたり、評価制度などをあわせまして、先生御指摘のような懸念が払拭され、まさに研究としても実りがあり、日本の産業の競争力の強化になるような研究を助成できるようにしていきたいと考えているところでございます。

鈴木(淑)分科員 今の説明について重ねてお伺いしますが、師弟関係があってはいけないとか、何か利害関係で結びついてちゃいけない、そういうことは排除する、大変結構ですが、それは透明性を高めるために公告して、ほかの人がそれを見て、いや、あれは実はつるんでいるぞと言えるような仕掛けになっているんですか。

 つまり、透明性というのはそういうことなんですね。あなた方官僚が、評定する人と申請してきた企業は関係ないと判定したから大丈夫だ、それはだめなので、透明性を高めて、だれが見ても公平だと思わせるというのは、それはやはり公示して、皆さんこれでいいですかとやらないといけないんじゃないか。どうですか。

日下政府参考人 私、先ほど例を引きましたのは、実はアメリカにNIHという、アメリカでいろいろな、大学であったり研究機関の研究を助成している機関がございます。そこでのいろいろ評価の手法を、選択の手法などに学んで制度設計を考えているところでございます。

 今ちょっと申し上げましたように、九百五十人ぐらいの評価者ということでございますと、実際にどの評価者に当たるかというのは、評価をされる側にとっては一応ブラインドというか、わからない形になっているわけでございます。つまり、千人弱なり二千人なりの評価者の母集団があるということについては公表しているわけでございますが、だれが採点をしたかということになりますと、やはり学者の、大学の先生方の間のお互いの気遣いがあったりいろいろなことがあって、厳正な、厳しい評価がしにくくなるという方の懸念もございまして、評価者を公表するということと、特別の利害関係を排除するという中の二つの制度設計をどうやってやっていくかというところは、なかなか工夫が要るところでございます。

 この新しい制度につきましても、御懸念のような点が払拭できるようないい制度をこれから考えていきたいと思いますので、よろしく御指導いただきますようお願いいたします。

    〔牧野(隆)主査代理退席、主査着席〕

鈴木(淑)分科員 確かに難しいところだと思うんですね、公表しちゃうと、逆に。

 だけれども、僕は、平沼大臣や中山副大臣は清廉な政治家でいらっしゃいますから、そういうことがあると言うつもりは全然ないんですが、これはうっかりすると、やはり政官業癒着のいい種にされるおそれがありますよね。自分の大事な支援者が、実はこういう申請を出すんだ、こう言ってくる。そうすると、政治家がちょっとのぞく、どんな人がいるのかのぞく、その中にも知っている人がいる、口ききのいい種になると思うんですね。おまけに成功報酬でももらっちゃったら、もう大問題。そういう可能性を含んだ仕掛けですよ、これは。だから十分注意していただきたいですね。

 それは、あなた方官僚がしっかりしていれば大丈夫だというよりも、仕掛けとしてそういう政治家の介入が入ってこないような。政治家がリードしなきゃいけない、政治主導でなきゃいけない、官僚主導を排すという意味は、政策の立案過程のことを言っているのであって、立案して動かしていくときには政治家が入ってこられない仕掛けにして、それを官僚がしっかり守る、それを政治家である大臣や副大臣がしっかり監督するということでなければいけないと思います。

 近ごろ、政治主導、政治主導と言われるので、官僚の諸君、シュリンクしているところもあるかもしれないけれども、あなた方の使命は物すごく重大なわけでして、企画の過程で政治家の大臣や副大臣に主導権をとっていただくということは大事だと思いますけれども、でき上がった仕掛けとしては、政治家が介入できないように、しかもそれを守っていける、あなた方の官僚の力で守っていける、あるいは大臣、副大臣をいただいた官僚の力として守っていける、そういう仕掛けにしないといけないと思います。

 そういう点では、今御答弁を伺っただけではまだ不安です。この法律、非常に大事な法律だと思いますね。ですから、不安だからやめちゃえと言う気は全然ございませんが、最後に大臣としてのその点についての信念をお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、牧野(隆)主査代理着席〕

平沼国務大臣 鈴木先生から大変貴重な御指摘をいただいたと思います。御指摘のように企画立案までは政治主導、これは正しいことだと思います。でき上がったものの運営に関して過度に政治家が介入するような、そういう余地は残してはならないと思います。ですから、御指摘をいただいた点は担当大臣としてそのとおりだと思いますので、その御意見をよく踏まえてこれからの運営を期していきたい、このように思っております。

鈴木(淑)分科員 大臣の決意をお伺いして、私も大いに御期待申し上げたいと思います。

 十二時で、時間が押しているので、私、まだ時間があるようでございますが、私の方の時間が押して、ないのでありまして、この後、予定がございますので、十二時で失礼させていただきます。

 どうもありがとうございました。御健闘を期待しております。

牧野(隆)主査代理 これにて鈴木淑夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上喜一君。

井上(喜)分科員 保守党の井上喜一でございます。

 きょうは分科会でありますので、今、経済産業大臣というんですか、平沼大臣の率直な御意見をお伺いいたしたい、こういうことで質問に立たせていただきました。

 きょう取り上げますのは、私の地元と非常に関係がありますと同時に、またこれは全国的な問題でもあろうかと思います。昨年の臨時国会で私、予算委員会だったと思うのでありますけれども、繊維の輸入が急増いたしまして、輸入浸透率というようでありますが、輸入浸透率が高まりまして繊維の産地が大変苦況に陥っているということでございます。大臣は繊維会社にお勤めになったということをお聞きいたしておりまして、よく御存じでありますけれども、私の方にも播州織物というのがありまして、輸出の産地でありました。今は最盛時の大体三分の一ぐらいに落ちてきていると思うんです。

 繊維産業といいますのは、私の地元だけをとりましても、織物に至るまで、撚糸をするとか、あるいは染色をする、あるいは成形をする、織物をつくり、それから織物を加工するわけですね。非常にすそ野の広い、大きい産業でありまして、したがいまして、ある規模を切りますとばたっといってしまうんですね。最後の一人まで残るというようなそういう産業じゃないと思っておりますので、私は、ある一定のところでやはりしかるべき対策が必要だろう、こんなふうに思っております。

 そういったことで、昨年の臨時国会では、大臣の方で、繊維の輸入につきましてのセーフガード等の措置について前向きに取り組んでいくんだ、こういうような趣旨の御答弁をいただいたと思っております。その後の取り組みの状況につきましてお聞きをいたしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 昨年の臨時国会の予算委員会で先生からいわゆるセーフガードについてのお尋ねがございまして、私も答弁をさせていただきました。

 先生の御地元が播州織物の産地、これは日本の織物の中で今二〇%を占める大変重要な役割を担っておりまして、また、非常にすそ野も広い、そして伝統的に大変技術を培ってきて、承るところによると、江戸時代からずっと続いている、こういうことも承知をしております。それが最近、特に中国を中心とした輸入の急増で、皆様方が大変苦境に立っている、こういうことは十分認識をしております。

 そういう中で、いわゆるWTOの繊維協定の中で繊維のセーフガードというのは認められていることでございまして、私どもといたしましても、やはりそのセーフガードを発動するに当たって、関係の皆様方が発動しやすいような条件づくりをしなければならないということで、従来、実は構造改善の策定という要件がありましたけれども、これも削除をいたしまして、しやすい、そういう国内体制の整備をいたしました。したがいまして、こういう厳しい状況の中で、私どもといたしましては、業界の皆様方から正式な要請があれば、これは遅滞なくその発動に向けての作業を進める、こういうことでございます。

 また、委員も御承知だと思うんですけれども、タオル工業組合が二月二十六日に正式に発動要請がございました。これを受けて今、WTOのルールでは、調査を開始するかどうかを決めるまで二カ月、そしていよいよ調査開始ということになったら六カ月以内、ですから最長でも八カ月かかることでございます。しかし、それでは今の状況の中で非常に長過ぎる。ですから私は、タオル工業会の正式発動要請に関しては、事務方に、迅速に、的確に対応する、これが必要だ、こういうことで指示をさせていただきました。

 ですから、そういう繊維産業の置かれた厳しい立場、このことは私十分承知をしておりますから、要請がございましたら遅滞なく私どもは作業に入らせていただきたい、このように思っています。

井上(喜)分科員 業界といいますのは、何といってもやはりお役所の方の顔を見ながら行動する、そういう癖がまだまだ強いと思うんですね。特に繊維の関係の人というのは、とりわけそういう性癖じゃないかと思いますので、ぜひとも積極的なお取り組みをお願いいたしたいと思います。

 しかし、そういう協定に基づく措置がありますけれども、私は中国との関係というのは、日中関係、まあまあこれは良好と見ていいと思うんですね。確かに部分的にはいろいろな問題がありますが、経済的には無償援助もする、あるいは経済協力もするということでありますし、中国にとりまして日本は大きなマーケットでありますので、大変良好な関係だろうと思うんです。そういうことで、私は、この繊維のことにつきまして中国と十分な話し合いができるんだろうと思うんですね。それは、特別に協定に基づくということではなくても、事実上二国間で話し合いができるんじゃないかと思うのでありまして、そういう話し合いも積極的に進めていただきたいと思うのでありますけれども、大臣のお考えをお伺いいたします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御承知のように、繊維セーフガードは、先ほども申しましたように、WTO上のルールに基づいて決められている規則でございます。今後、調査が開始されて、調査の結果、措置が発動されたとしても、今御指摘のように中国との関係がございますから、中国と、たちどころに二国間関係に重大な悪影響が出る、そういう性格のものではないと私どもは認識しています。

 また、この話し合いによって自主規制の道を選択する、こういう方策もあるかと思いますけれども、確かに現段階では、中国は今一生懸命加盟に向けての作業をしておりますけれども、WTO加盟国ではないという点には留意をしていかなければならないと思っています。他方、WTOルール上、協定に基づかない輸出規制は禁止されている、こういう点もやはり留意点だと思っています。

 いずれにいたしましても、中国との話し合いについては、日本タオル工業組合連合会からの発動要請を受け取ったばかりでありまして、まだその案件についても話し合いが始まっておりません。まだ検討しておりませんけれども、私どもとしてはそういったことは十分できると思っておりますし、また、今後中国側より申し入れがありましたら、その時点では私どもとしては積極的に対応しなければいけない、このように思っています。

井上(喜)分科員 我が国は、WTOの条約上に基づくセーフガードの発動というのはやらないわけですね。アメリカなんかはもうしょっちゅうやっている。どうかなと思うようなことまでやっておりまして、そういう意味では、私はもっともっと積極的に日本も発動していっていいんじゃないかと。仮にそれが間違いであるということならばその時点でこれは是正すればいいわけでありまして、やはり輸入で問題になっている業界というのは、体質の弱いといいますか、伝統産業で弱い分野でありますので、ぜひともそういうような態度でお願いしたいと思うのです。

 同時に、それだけにまた、つまりWTOに基づくセーフガードの発動がなかなかできないということであれば、積極的に二国間協議というものを活用していただきたい、こんな趣旨から申し上げた次第でございます。

 私の地元は地場産業の地帯でありまして、金物も大きな産地でありますし、それからそろばんなんかもあるんですね、きょうはそろばんの話はいたしませんけれども。

 金物、これは豊臣秀吉のころからの産地でありまして、徳川時代を通しましても大変保護されてきた産地なんですね。四百年余の歴史があるということであります。主としては大工道具なんですね。ですから、かんなとかのみとか金づちだとかきりだとか、それからのこぎりだとか、そういうような産地なんですね。これも中国からの輸入で非常に大きな打撃を受けている地域なんですね。いわゆる小さなかじ屋さんですから、繊維みたいにまとまってどうこうというのはなかなかできにくい業界なんですね。

 だから、経済産業省としては、これをこのまま放置していく、それはもうやむを得ないんだというような態度なのか、その辺の基本のお考えを私はお伺いしたいと思うのです。

中山副大臣 お答えいたします。

 大工道具等の金物に係る御質問だったと思いますけれども、大工道具に関しましても、他の日用品と同様、国内の景気が低迷しておる中で、一般家庭用、業務用ともに生産販売が減少をしてきております。工具の種類によって若干の差異はございますけれども、ここ数年、金額ベースで毎年数%程度ずつ減少してきているということを認識しているところでございます。

 一方、輸入については、ここ一年、特に中国等からの低価格の輸入品が増大してきておりまして、金額ベースでの輸入浸透率はまだ一%に満たっておりませんけれども、しかし数量ベースでは、二〇〇〇年において前年対比約二倍というふうに大幅に輸入がふえているということでございます。

 しかし、そういったところで、先ほども大臣の方から話がありましたが、では、中国からの輸入をどうしたらいいのか、いろいろな話もございますが、これは答弁がありましたように、輸出自主規制のための取り決めを行うというようなこともできないということでございまして、我が省といたしましては、現在、大工道具製造業につきましては、中小企業信用保険法の対象にするなどの支援を行っているところでございますけれども、今後、このような動向を見ながら適切な取り組みをしていくことがどうしても必要じゃないか、このように考えておるところでございます。

井上(喜)分科員 私は、こういう金物につきましても、二国間協議の場というようなものを活用しましてぜひ取り上げていただきたい、こんなふうに思います。

 金物は、織物もそうでありますけれども、要するに名工と言われるような人がいるんですね。本当に立派ないいものをつくるんです、かんなでありましても、小刀みたいなものにしましても。こういうのがもう年寄りの人になってしまっていまして、いずれこれはだめになってしまうと思うんですね。

 ですから、一般の金物のほかにそういう名工たちがつくっているそういうものを、このままにしておく、いずれこれがなくなっていくというのは、いわゆる産業としてだけではなしに、大げさに言いますと日本の文化といいますか、その保存にも関係するようなことじゃないかと思うのでありますが、そういう部分につきまして何か対策が今通産省にあるんですか。

中山副大臣 まさに伝統的工芸品といいますか、そういったものは、我が国の伝統的な技術とか文化を今に伝える我が国の貴重な財産である、このように認識しておりまして、このことにつきましては最大限振興を図っていかなければいかぬ、このように考えておるところでございます。そこで、事業者にとってより利用しやすい支援制度を整えるべく、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部改正法案を今国会に提出しております。

 また、法改正とあわせまして、来年度の予算につきましても大幅に拡充するといったことで、まさに委員御指摘のような考えのもとにやっているわけでございまして、このような施策によりまして、産地自身の主体的な取り組みと相まって、何とか伝統的工芸品産業が今後発展していく、そういった方策を考えていかなければいかぬ、このように認識しているところでございまして、全力を挙げていきたいと思っております。

井上(喜)分科員 繊維につきましての振興対策はかなり長い間続けられてきているんですね。私どもの播州の産地におきましても、かつては香港なんかで、海外で展示会を開いたということでありますが、最近では内地に中心を移しまして、東京で展示会なんか開くんですね。それについての助成なんかはいただいているようでありますが、そういうことだけでは元気が出てくるようなことになかなかなっていないと思うんですよね。

 大変熱心な産地なんですね。古い産地でありますから、いろいろなことを考えていろいろなことを試みるのでありますが、いま一つ有効な対策が出てこない、こんな状況だと思うのでありまして、通産省におきまして、十三年度からこういうことも考えているんだというようなことがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

中山副大臣 お答えいたします。

 平成十三年度予算におきまして、地場産業等活性化補助金のうち、事業費ベースで約六億円を繊維中小企業特別対策枠として確保するということにいたしました。これらの地場産業の活性化のために、組合や中小企業グループが行う新商品の開発、人材育成、販路開拓等の事業に対して、国と地方自治体が事業費の半分ずつを出し合って、原則として全額補助ということでございます。

 この補助金につきましてでございますけれども、繊維産地のための特別枠を確保したというのは初めてのことでございまして、予算が無事に成立いたしまして、産地におきましてこの特別枠を有効に使っていただけるように期待しているところでございます。

 そのほか、国と県の共同負担によりまして設けられております繊維産地活性化基金の活用を初めとした従前からの繊維産地活性化対策、不透明な商慣行の是正、あるいはアジアなど海外消費市場への展開の支援、物づくりと消費者のニーズの双方に目配りできる人材の育成など、繊維産地の競争力を強化する対策を引き続き行ってまいりたい。

 委員も御指摘ありましたけれども、何といってもこれからの若い後継者の方々に、夢を持って繊維産業を支えていただけるような環境をつくるために、経済産業省としても全力を傾注してまいりたい、このように考えております。

井上(喜)分科員 繊維産業あるいは金物等々、しっかりした対策をお願いいたします。

 次に、野菜の輸入についてのセーフガードの発動の問題であります。

 今農林省の方で、ネギ、生シイタケそれから畳表、この三品目につきまして、セーフガードの発動を前提にして調査をしているということでありまして、これは経済産業省あるいは財務省とともにやっているとも思うのであります。したがいまして、これは農林省の方が中心になってやるべきだと思うのでありますけれども、経済産業省の意向というのもこれは大変大事だと思うのであります。

 従来、ややもしますと、旧通産省は、やはり格好のいいことで、余り輸入制限みたいなこういう泥臭いことはやらないというような態度だったと思うんです。しかし、現実に大変困っているわけですね。

 私、これを見ましても、中国からの輸入が非常に今ふえておりまして、例えば平成八年から平成十二年まで、昨年までのこの五年間の経緯を見ましても、トマトが二十五・九倍、ネギなんかが四・六倍とか、ピーマンが四・一倍とか、タマネギが一・四倍とか、それからナス、ニンニクなんかもずっと増加してきているんですね。

 その結果、価格の方につきましても、ニンジン、白菜、キャベツ、ホウレンソウ、ネギ、トマト、バレイショ、タマネギなんかはもう軒並み傾向的に下がってきておりまして、非常にこれは影響が大きいと私は思うんです。

 ということで、経済産業省におかれましても積極的に、前向きにといいますか、余り否定的じゃなしに肯定的に取り上げていただきまして調整の方をやっていただきたい、こんなふうに思うのでありまして、大臣のお考えをいただきたいと思います。

中山副大臣 私ども、経済産業省、当時は通産省でございましたが、政務次官になる前は、自民党の部会におきまして盛んにこの野菜について発言していたわけでございます。宮崎県でございまして、ピーマンとかトマトだとかキュウリとか、本当に大変な状況になっていたわけでございまして、早くセーフガードを発動するための準備をやれということで、毎日のように実は議論していたわけでございます。

 昨年の十二月二十二日に、ネギ、生シイタケ、畳表の三品目について、御承知のように、セーフガードに係る調査を開始するに足る十分な証拠があるということで調査を開始したということでございまして、現在、セーフガード発動の要件であります輸入増加の事実及びこれによる国内産業に与える重大な損害等の事実の有無を客観的に認定するために三省で調査を行っているというところでございます。

 経済産業省としては、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、WTOセーフガード協定等に定められた国際ルール及び国内法等に基づきまして、透明かつ公正、厳正に調査を進めていく、こういうことになろうかと思います。

 繊維も大事でございますが、やはり農産物というのは、これは御承知のように、国内の自給率を、今の四〇%を切っている状況から何とか四五%に上げたい、そういうふうな方針も決まったばかりでございますから、そういったことで、より前向きに取り組んでいかなきゃいかぬのかな、こんな認識を持っているところでございます。

井上(喜)分科員 最後に、経済の動向についてお伺いをいたします。

 鉱工業生産が伸び率がダウンをしてきている、あるいは輸出にブレーキがかかってきているとか、あるいは設備投資の方もかなり伸び率が落ちてきているようなことが言われておりまして、全体として景気の見通しが従前ほどじゃない。スローであるけれども着実に景気が回復してきているというような見方だったと思いますが、今は若干それよりも弱気の見通しになってきていると思うんですね。

 そこで、この対策としては、やはり予算を一日も早く成立させて、一日も早く実行していくようなそういう準備をしていくということだと思いますけれども、それはそれとして当然でありますけれども、大臣として、あとどんなようなことが必要なのか、考えられるのか、景気対策をお聞かせいただきたいと思うんです。

 従来、旧通産省はいろいろなことを大胆に言う役所として霞が関でも有名だったのですね。ところが最近は、余りクリエーティブな提案というのは少なくなってきているように思うんですね。何か、元気がなくなってきたのか、あるいはアイデアがもう枯渇してきたのかよくわかりませんが、今こそそういうアイデアを出して実行していくことが大事だと思うんですね。

 予算との関連等々がありましてお答えは難しいところがあろうかと思うのでありますが、ぜひともこれは大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

平沼国務大臣 今の景気判断については、私は井上委員と同じような判断でございます。

 緩やかな回復基調にある、こういう形で、その根拠になっておりましたのは、企業の設備投資が好調である、あるいはまた企業の収益性がよくなってきた、こういうことが一つの背景にありました。御指摘のとおり、ここに来まして、下方修正をする、こういうような状況に相なってきまして、私どもとしては、委員と同じ認識を持っております。

 御指摘のように、今一番やらなければいけないことは、今まさに分科会でこうして審議をしておりますけれども、やはり八十二兆を超える平成十三年度の予算を一日も早く執行する、こういうことが大切なことだ、これも同じ認識であります。

 そこで、どういったことをやるのか、こういうことでございますけれども、私どもといたしましては、まず第一に、もうこれは委員御承知だと思いますけれども、昨年十二月に、実は経済構造改革のための行動計画、これは企業関連の制度の見直しや雇用システム改革等を揺るぎなく進めていくこと、こういうことで行動計画をつくりました。

 行動計画は、全部で二百六十ございます。今、時代が速く進んでおりますので、その二百六十のうち百三十は三年以内に達成をしよう、しかしその百三十のうちの百はことしじゅうに全部クリアしよう、こういうことで今、この通常国会におきましても、雇用関連法制やIT革命の推進などのための法律案を提出します。そういうことで、この早期成立には全力を尽くして、やはり経済活力にインセンティブを与えていかなければいけないと思っております。

 それからまた、IT、今申し上げましたけれども、医療、福祉、こういった分野もやはり力を入れることによって成長エンジンに変えることができる、このことも経済産業省として一生懸命に取り組んでいかなければならないと思っています。

 それから、最近、経済産業省、元気がないじゃないか、こういう御指摘でありますけれども、私どもは、言い続けてきていることは、やはり金融システムの健全化、安定化を図るために不良債権処理というものを、これは避けて通れない道だ、これをやらなきゃいかぬ、こういうことで、実は私も経済財政諮問会議のメンバーでございますから、既に何回か会合がありましたけれども、その都度発言をさせていただき、これもお耳に入っていると思いますけれども、柳澤金融担当大臣それから扇千景国土交通大臣、これはいずれも不良債権に非常に関係をしている分野でございますので、ここで、審議官クラスが出て定期的に会合を持って、そして不良債権処理の具体的なシミュレーションをつくっていこう、こういうことで、今一生懸命に汗をかいているところであります。

 それから、これも私ずうっと主張をしていることでございまして、一部報道にも取り上げられておりますけれども、今までいわゆる財政の面あるいはまた経済政策の面、税制の面でいろいろアプローチをしてきましたけれども、しかし、ここまで来ますと、やはり金融面からの積極的な対策を講じていかなきゃいけない。ついせんだっても日銀は、そういう中で公定歩合とオーバーナイトコール、これを〇・一%下げました。

 しかし、それよりも何よりも、私は、資金供給がこの年度末を控えて潤沢に行われるような、そういうこともやっていかなきゃいけない、こういうこともやはり必要だと思いますし、今低迷をしている株に対しても、今いろいろ与党三党の間でも検討が進んでいるわけでございますけれども、ここの中で、例えば確定拠出型年金の法案の早期成立だとか自社株の保有関連規制の緩和、そういったことまでどんどんやっていく、こういうことで我々は思い切った対策を講じていかなければいけない、そういう事態に来ている、こういう認識を持っております。

井上(喜)分科員 どうもありがとうございました。

 それでは質問を終わります。

牧野(隆)主査代理 これにて井上喜一君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会




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