衆議院

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第2号 平成16年3月2日(火曜日)

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平成十六年三月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 中馬 弘毅君

      笹川  堯君    中山 成彬君

      二田 孝治君    梶原 康弘君

      玄葉光一郎君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    辻   惠君

      永田 寿康君    長浜 博行君

      長安  豊君    鉢呂 吉雄君

   兼務 和田 隆志君 兼務 赤羽 一嘉君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   経済産業副大臣      泉  信也君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房技術総括審議官)         鬼頭 達男君

   政府参考人

   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           内藤 邦男君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          杉山 秀二君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            林  洋和君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     柴生田敦夫君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          豊田 正和君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      寺坂 信昭君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  二田 孝治君     松島みどり君

  永田 寿康君     辻   惠君

  鉢呂 吉雄君     長安  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     萩生田光一君

  辻   惠君     梶原 康弘君

  長安  豊君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     二田 孝治君

  梶原 康弘君     長浜 博行君

  小宮山泰子君     下条 みつ君

同日

 辞任         補欠選任

  下条 みつ君     鉢呂 吉雄君

  長浜 博行君     永田 寿康君

同日

 第三分科員赤羽一嘉君及び第五分科員和田隆志君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

中馬主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算及び平成十六年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽分科員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。本日は、朝早くから大変御苦労さまでございます。

 きょうは、限られた時間でございますが、FTAに関することを主要なテーマとして御質疑をさせていただきますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず、我が党内にも遅まきながらFTA推進プロジェクトチームというものをつくらせていただきまして、北側一雄政調会長、うちの政調会長は昨年の通常国会予算委員会の総括質疑でも、このFTAを国として推進をするべきだというような質疑もさせていただきながら、党を挙げてこのメキシコとの交渉の大詰め段階、またこれからアジア諸国との段階において連立与党の一角としてもしっかり応援をしていこうと、FTAに関するプロジェクトチームじゃなくて、推進プロジェクトチームという名前をつけて立ち上げをさせていただきました。

 その観点からも、私自身も、世界の地域主義的な趨勢が強まる中で日本もFTAに取り組まなければいけない段階であるという思いの中で政治活動をしている一人でありますが、まず最初に質問させていただきたいのは、日本の戦後における経済成長の過程を振り返ってみると、日本というのは一貫して多角的自由貿易体制の受益国であった。そして、日本の通商政策というのは、無条件の最恵国待遇を原則とするガット並びにWTOの体制を基本として、地域統合とか自由貿易協定といったものについては、八〇年代後半から世界がそういったものが進んでいく中においても消極的な態度をとってきた、こういうふうに認識をしておるわけでございます。

 それは恐らく、アジア諸国というのは大変な経済発展の段階で、協定を結ばなくても実質的にそれぞれがまさに自由な貿易の中でネットワークができていたとか、アジア諸国というのはそれぞれが発展段階も違いますし、政治体制も違うという中で、なかなか自由貿易協定ですとか地域統合というものがしにくかったといった半面もあったと思いますし、また、日本の場合、農林水産業の自由化というか、特に米の自由化については大変厳しい状況があって、これはガットの第二十四条の規定に整合的な地域貿易協定を締結することは現実的に難しい、こういった状況があったがゆえに消極的であったということはよくわかります。

 その通商政策をとってきたこの日本が、今経済産業省としてどのような基本的な立場でこのFTAを推進されようとしているのか、どのようなことにメリットがあるのかということを、まず基本的な立場をお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 おはようございます。

 今の御質問は、まさに日本の基本的な、生きる道といいましょうか、基本的な部分にかかわる大変重要な御質問だと思っております。

 日本は明治の近代化以降、資源が余りない、輸出産品としてはお茶とか生糸とかそういったものを輸出して、そして欧米先進国の工業品を輸入するというところからスタートしたんだろうと思いますし、また、第二次世界大戦、これはブロック経済化の一つの大変悲劇的な結末になってしまったわけでありますけれども、その後立ち上がっていくときに、やはり繊維とか軽工業品を輸出しながらなけなしの外貨を稼ぎながら頑張っていかれた、先人たちが頑張っていかれた。その結果、世界の中でも大変な貿易立国、経済大国になることができたわけでありまして、やはり資源の少ない日本においては、世界じゅうから輸入をし、そして日本人の技術と知恵でいいものを世界じゅうに輸出をしていく、これは選択というよりも、もうそうせざるを得ない国になっているんだろうと思います。

 他方、WTO体制という、ウルグアイ・ラウンド、WTO、ガットというのは、先ほど申し上げた戦前のブロック経済の一つの反省に立ってグローバライゼーションというものが大事だということになっているわけでありますが、現在世界じゅうで締結され、またされようとしているFTAというものは、二国間でよりメリットがあるような協定を結んでいこうということでありますが、これは決してグローバライゼーションに対抗するブロック経済であってはならないということが一つ大きなポイントだろうと思っております。

 したがって、今委員御指摘のように、ガット二十四条で、あくまでもガット体制の中でのFTAと、ほとんどすべての分野について一定の期限を区切って協定を結ぶことができるというふうになっているわけでありますから、これは決して矛盾してはなりませんし、また整合性をとっていかなければならないと思っております。

 そういう中で、日本は、御指摘のように、貿易立国でありながら、FTAに関してはおくれてきたということは事実だろうと思っております。主要な国としてはアメリカあたりも大分出おくれたわけでありますけれども、ここ十年ぐらいの間に急激にアメリカのあのダイナミックな動きが、FTAを数多く締結しているわけでございまして、日本が非常におくれてしまっているわけでありますが、貿易立国として、そしてまた韓国、東アジアといった大事な隣国との関係、それから今、御承知のようにメキシコをやっておりますけれども、メキシコといえば、NAFTAという、アメリカ等々、カナダという非常に日本と近い国のメンバーでありますメキシコと今交渉をやっているわけでありまして、これは今後の二十一世紀型の、ある意味では一つの貿易立国日本の生きていく上でのWTOの原則に基づいた新分野の貿易協定として、積極的に進めていくことが我が国にとってメリットがある。

 もちろん、どのFTAにおいても、みんな丸裸にして痛みをそれぞれつっつき合うなんということはないわけでありまして、守るべきところは守りながら、お互いの、一足す一が五にも十にもなるような形の、両国間の国益のプラスという方向に向かってやっていくことが大事だろうというふうに考えております。

赤羽分科員 どうもありがとうございます。

 日本はシンガポールとFTAを初めて協定を締結したわけでありますが、恐らくシンガポールと日本が結んだということは、日本もいよいよ、何というか通商政策の基本を変えてきたな、クローズと思われている日本がオープンな自由貿易協定を始めたなという意味でのメリットというかがあったというふうに思いますが、どうもこの一年間を振り返ってみると、数字としてはなかなか具体的なものが出てきていないのではないか。

 シンガポールとFTAというのは、相当、鳴り物入りというか、期待もされて、結構、FTAをやる、自由貿易協定を初めてやる、大変ないいことが起こるんじゃないか、こういう大きな期待感の割に、どのような、まあ一年で評価をするというのはなかなか難しいかもしれませんし、去年はSARS騒ぎもありまして、いろいろな意味で条件も悪かったかと思うんですが、このシンガポールとのFTAに対する現状の評価というものをどう認識されているのか、これは事務方でも結構でございますが、御答弁いただきたいと思います。

泉副大臣 委員御指摘いただきましたように、発効して一年という期間の中での評価は必ずしも適切ではないかとは思います。また、SARS等の問題もございまして、平均的な動きが総括的な評価だと思います。

 ただ、そういう中で、日本とシンガポールの間で、日本からのビールが七%増加しておる。しかも工場を、中国から日本にシンガポール向けの生産拠点を移しておるというような事柄が起きておりますし、逆にシンガポールから日本へは、プラスチック製品が五三%、揮発油が八三%というふうに、貿易面でも確実に成果が上がっておると思います。

 また、一方では、ソフトな部分でありますが、電気製品分野などの相互承認、いわゆる基準の相互承認、あるいは投資促進のためのビジネスサポートセンターというものを両国に設けまして、事業進出の容易性を確保するなどの成果が上がっておるものと我々は評価をしておるところでございます。

赤羽分科員 実は、私、三井物産に勤務していたときに、シンガポールにジョイントベンチャーの工場をつくろうとしたときに、案外、規制が結構きついんですね、工場を立地するに当たってとか。何か自由な国というイメージがあったんですけれども、なかなか難しいところもあるんだなということで、結構苦労したことがございまして、今おっしゃられたようなソフト面でのメリットというのが多分あるんだと思うんですが、我々においてもなかなか理解しにくいというか、見えにくいので、このFTAのメリットみたいなことを、なかなか大手を振って言えるほどの成果が出ていないのかもしれませんが、そういったこともぜひ盛り上げていく、広報していただけることが大事なんじゃないかというふうに、私はそう考えておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 次に、メキシコとの交渉が、この二月二十五日から、聞くところによると三月五日まで次官級のレベルでも交渉がされる。いよいよ最終局面を迎えているというような状況と認識をしておりますが、その中でも、農産物の五品目の取り扱いをめぐって、なかなか交渉も難しい状況になっている。

 交渉中でございますので、なかなかその見通し等は御答弁しにくいかと思いますが、今のこの状況と現実の問題点、それがクリアできるのか、何がネックとなっているのかということを御答弁いただければというふうに思います。

泉副大臣 メキシコとのFTAにつきましては、経済産業省の試算ですと、年間四千億円ほどの輸出機会が失われているという我々は試算をいたしておりまして、何としてでも早く締結をいたしたいという努力をしておるところでございます。

 経緯につきましては、フォックス大統領がお見えになったときに合意に至らなかったというのは大変残念なことでございますが、現在、十四回目の実務者レベルの協議を精力的に東京で続けていただいておるところでございます。

 交渉事でございますので、軽々に見通しを述べることはできませんが、とにかく早期に実質合意に向けて努力しようということは両国の思いでございまして、これからも精力的に協定の締結に向けて努力をさせていただきたいと思っておるところでございます。

赤羽分科員 メキシコとシンガポールというのは随分国の事情も違いますし、メキシコとのFTAが締結をできれば、また形としてもかなり違ったものができると思います。

 まさに、損失の部分だけがクローズアップされますよね。どうしても、農産品五品目が入っていることに対するネガティブな、負のイメージみたいなこと、懸念だけが喧伝されるわけですけれども、まさに経産省が今算出をされている四千億円の輸出機会の損失みたいなことは、案外国民に知られていないというふうに私は思います。

 三年前ぐらいでしたか、中国のネギとかシイタケ、あと畳の、四品目のセーフガードを発出するかどうかというような問題があったとき、私は、こんなばかげた話はないと個人的にはいつも発言をしておりました。この農産品の一部の、そういった野菜類のセーフガードの発動で、見返りとして、自動車だったと思います、自動車とか電気機器類の日本からの輸出に対する関税が物すごく上げられた。損得でいうと、国益としては、もうこんな大きな損失はないというふうに私はそのときに思いましたが、なかなかそういった損失の部分というのは世の中知られていなくて、日本の農業を守るんだ、こういうようなことしかなかなか報道をされない。

 私は、経済産業省が本気でこの四千億円の輸出機会が損失されているんだということを思うならば、もっとこの部分というのは構えて言うべきではないかというふうな強い決意と強い姿勢がないと、なかなか国内の問題もクリアできないのではないかということを思いますので、ぜひお願いをしたいというふうに思っております。

 それで、メキシコの中でも問題だと思いますが、タイとかフィリピンとか、アジア諸国とのFTA交渉において、農業の問題、あと人の移動の問題、こういったことが問題点となっているというふうに聞いております。

 ただ、もちろん、先ほど大臣の答弁にもありましたように、すべて丸裸にして自由化すればいいという問題じゃなくて、農業はもちろん基幹産業でありますし、農業はそのまま国の根幹的な食料安全保障という意味でも大事にしなければいけないというのはもちろんでありますけれども、しかし、それを理由にずっとクローズをしているということは、まさに通商政策という意味では大きな損失があるわけでありまして、ここの農業問題をどうクリアしていくのかということがすごく大事なことだというふうに思ったんですね。

 きょう、農林水産省の方も来られておりますし、まず農林水産省として、このFTAに関して賛成なのか反対なのか、そのことについてまずはっきりさせていただきたいということと、そのことを踏まえて、FTAに関する国内的な農業としての問題点というものを、どんなところがあるのか、また、どうクリアされようとしているのか、されようとされていないのかということも踏まえて、答弁をいただければというふうに思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省といたしましては、WTOを中心とした多角的貿易体制の維持強化を基本としながら、これを補完するものとしてFTA交渉に積極的に取り組んでいるところでございます。

 FTA交渉に当たりましては、農林水産業が果たしております多面的機能に配慮する、それとともに、我が国の食料安全保障の確保、農林水産業において進めている構造改革の進展ぐあいに十分留意しながら取り組んでまいりたいと考えております。

赤羽分科員 僕はどうも頭が悪いせいか、お役人の答弁というのは日本語がよくわからないんですけれども、大体、今みたいなことを聞いていると、積極的に見えるけれども、ただし書きの条件がかなりついていて、国内の構造改革の進捗を見ながらという、ここがすごく実は重くて、それはやらなければいけないけれども、構造改革ができる、でき上がってからオープンにしますよという態勢なのか、そういうことなのかどうかということですね。私は、それでは、なかなか日本の農政の構造改革というのも進まないんじゃないかと。

 これまで、日本の農業の構造改革ということが言われて、株式会社化とか大型化とかと言われながら、なかなか現実にはそういった方向に進んでいないのではないか、多少荒っぽいかもしれないけれども、競争にさらされないとなかなか日本の農業の構造改革も進まないんではないかという意見も出てくると思うんですね。

 ですから、そういったことで、確認をしたいんですけれども、構造改革、今基本計画の見直しとか用意されているわけだけれども、基本計画の見直しが用意されていて、それから構造改革を進めていこうという、かなり構造改革自体も時間がかかる話なんじゃないかと思います。一方では、FTAの交渉というのは、メキシコはもう間近だと、アジアに対しても、ASEANの会議では、二千何年かまでにやるというような小泉総理も約束をしている。こういった中で、農水省としてどう考えていらっしゃるのか。

 本気で推進しようとする、最初は推進するという御答弁があったけれども、そういったことの部分で、二十年先に推進しますよという話なのか、今のタイミングとして、農水省も呼吸を合わせて構造改革を本当に進めて、一緒にやっていきますよということなのか、もう一度、申しわけないけれども、答弁いただけますか。

内藤政府参考人 今委員御指摘がございましたように、FTAを積極的に推進していくということが必要なわけでございますけれども、他方、農業の構造改革、立ちおくれております。FTAを始めまして、グローバル化が進んでおります。そういう中で、農業の競争力強化などに向けた農政全般にわたる改革が必要であると私ども考えているところでございます。

 このため、昨年八月から着手しております現行の食料・農業・農村基本計画の見直しの中で、品目別の価格・経営安定政策から、諸外国の直接支払いも視野に入れた、意欲と能力のある担い手経営を支援する品目横断的な政策への移行、それから、望ましい農業構造、土地利用を実現するための担い手・農地制度の改革、環境保全を重視した施策の一層の推進と、農地や農業用水等の資源の保全のための政策の確立、この三点について本格的な検討を進めているところでございます。

 また、私ども、今まで守りというふうに言われておりますけれども、農政も攻めへ転換していかなければいけないと思っておりまして、高品質な我が国農産物の輸出の拡大にも力を入れてまいりたいと思っております。

 こうした検討につきましては、食料・農業・農村政策審議会の企画部会において議論が進められているところでございます。国民に開かれた透明性のある議論というものを進めまして、来年三月ごろに新たな基本計画を策定する。それから、できるものから十七年度概算要求、制度改正に反映していくというスピード感を持った改革を進め、農業の構造改革を加速化し、国民の期待にこたえられる農業を実現してまいりたいということで努力しているところでございます。

赤羽分科員 今御答弁ありましたように、本当に、受け身の農業というだけではなくて、輸出が可能になれるように、農業にとってもFTAがプラスになるような方向でぜひ進めていっていただきたいと思いますし、中川大臣は日本の農政について大変お詳しいというふうに思っておりますので、ぜひ相談をしながら、経済産業大臣に呼吸を合わせて、ぜひ農水省も挙げて頑張ってほしいなというふうに強く要望いたしたいと思います。

 フィリピンとタイの交渉において、相手側から看護師、介護士などの受け入れ要求がある、フィリピンなんかは、もっと単純労働の、ベビーシッターとか、単純労働としての看護婦というような要求があるというふうに聞いております。

 厚生労働省は、日本の現行資格を取れれば参入を認める、平成十一年度の閣議決定もあるから、それに合わせてそういった態度をされているようでありますが、なかなか、フィリピンの方が日本のこういった制度の資格を取るというのはそんな簡単じゃないんじゃないかな、現実にはなかなか進まない現状が出てくるのではないかなというふうに懸念をするところであります。

 私も、党の国際局の仕事をしていて、フィリピンの大使とかタイの大使と話すと、必ずこの問題はメーンテーマに出てきて、外務省なんかも、それは交渉に当たられていて強く思われているというふうに思いますが、この点についてどのように問題をクリアしていくのか、外務省の御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

佐々江政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が申されましたように、フィリピンとタイからは、看護師あるいは介護士などの受け入れにつきましては、FTA交渉を開始する前の段階におきまして作業部会等行われたわけでございますが、そこで強い関心が表明されているということであります。

 しかしながら、現時点においては、交渉がまだ開始されたばかりということで、正式な形で、これが具体的な形で交渉上来ているという段階にはないわけでございます。

 そこで、政府といたしましては、この問題はFTA交渉を進めていく上で極めて重要な分野である、そういう認識のもとで、今、政府部内でどういう具体的な対応をすべきかということを検討している、あるいは議論している段階にあるということでございます。

 したがいまして、今後の方針につきましては、まず、先方の具体的な要求がどういうものであるのかということ、今後の交渉において恐らくこの作業部会で出てきたのと同様の要求が出る可能性は当然あるわけでございますが、それを見きわめながら検討を加えていくということになるかと思います。

 すなわち、先生の申されましたようないろいろな個別の要求分野につきまして、分野ごとに、あるいは国によっても違うと思いますけれども、日本の現在の資格等の状況はどういうふうになっているのか、あるいは実情がどうなのかということもあわせて、いろいろな角度から検討していく必要があるというふうに思っておりまして、日本の現行資格の取得を前提にするというのは一つの考えであろうというふうに思いますが、そのことを含めまして、政府部内で検討していきたいというふうに思っているわけです。

 また、これは交渉事でございますから、相手側がどの程度これに納得するかということも当然あるわけでございまして、そういうことも勘案しながら、今後検討を加速化して進めていきたいというふうに考えております。

赤羽分科員 ぜひ実質的な人の流れが出てくるような、それからリーズナブルな条件というのを設定できるように努力していただきたいというふうに思います。

 ちょっと話が脱線しますが、最近、外国人の不法滞在者が多いとか犯罪がふえているとかということで、大変法務省とかは、水際で厳しくする、そういう傾向が強いと思いますが、FTAの交渉でも、多分法務省なんかは大変そういった点で強く主張されるんじゃないかと思うんですけれども、私は、水際で絞っているがゆえに不良外人という人たちがふえているという側面もあるんだと思うんです。

 留学として日本に来たけれどもなかなか生活が大変だ、仕事ができないから、変な話ですけれども水商売に走る、そこでシンジケートとかマフィアみたいなことの悪の温床ができてくる、こういったことでまともな外国人が入ってきにくくなる。

 私は、門戸をあければ、あければいいということではないけれども、あけることがもっと悪い外国人がふえるとか犯罪がふえるということに必ずしも通じないというふうに思いますし、そういったこともこれからのFTAの交渉の中で問題が出てくると思いますので、ぜひそういった側面もあるんだということを御勘案していただいて、交渉に臨んでいただきたいというふうに思います。

 このFTAの交渉を進めるに当たって、今こう質問しても、経済産業省の御答弁をいただく、外務省も御答弁いただく、農水省も御答弁いただく、まだ法務省もある、警察庁もある、厚生労働省もある、それぞれの利害もあるでしょうし、いろいろな調整が大変だと思うんですね。

 なかなか、今の体制でこの難事業をやっていくのは本当にしんどい話なんじゃないかというふうに思いますが、一方で小泉総理は、FTAを進めるんだ、こういうふうに言われていて、何か、丸投げじゃないけれども、経済産業省ちゃんとうまくやれみたいなことを言われると、このままの体制でなかなかこの交渉を仕上げるのは大変なんじゃないかと思う。

 もうちょっと、総理直轄のところに新しい体制をしくとか、今頑張られている大臣にこのようなことを聞くのはおかしいんですけれども、そういった、政府が官邸直轄の本当に強い権限の中で進めていくようなことも必要なのではないかというふうに思いますが、その点も踏まえて、今後の交渉に臨まれる決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

中川国務大臣 先ほど委員御指摘のように、シンガポールとやりましたけれども、シンガポールというのはいわゆる農業の分野がほとんど外れておりましたので、それでも、私、党でこの作業をやっているときに結構いろいろあったんです。つまり、初めてのことでしたから、大変わからない部分もあってということでありましたが、今後、メキシコそれから韓国それから東南アジアということになると、ますます関係の深い国々ですから、今御指摘のような、新たな非常にセンシティブな分野が出てくるんだろうと思います。

 だからこそ、各省がよく連携をとって、そしてまた、公明党さんにもこの対策の各省横断的なチームが鋭意御議論されているというふうに聞いておりますし、自民党の中にも特命委員会というものもあるし、ほかの政党にもこれから熱心に御議論をいただけるんだろうと思います。

 政治ですから、当然各省的なところを超えて戦略的な御議論をいただけると思いますし、また、政府におきましても、例えば去年の十月の我々が交渉をしたときには、文字どおり官邸主導の交渉をやったというふうに思っております。残念ながら、あの場でまとめることはできませんでしたけれども、それが今につながっているというふうにも思っております。

 そういう意味で、総理を中心に、各閣僚が連携を密にとり、折に触れて総理の御指示も仰ぎながら、そして関係各省の事務方も、緊張感を持って、よく連絡をとりながらやっていくことが必要だろうと思っております。

赤羽分科員 時間も参りましたので、もう終わりにしたいと思いますが、最後、アメリカのビーフ、USビーフのBSE問題について、大臣、一月七日にアメリカでベネマン農務長官ともお会いされたということもありますし、農政に対して大変見識もあられる大臣でありますので、ぜひお願いしたいのは、私は、今の国内のBSEの問題、大変ヒステリックな議論になっているんじゃないか。

 というのは、安全というのは物すごく大事ですけれども、では、日本の今言っている、全頭検査じゃないと安全が保たれないのかどうかということは、やはり冷静に考えた方がいい。今世界じゅうで、二十五カ国の国で、去年も千二百頭のBSEが出ているんですね。おととしは二千頭のBSEが出ているんです。その二十五カ国も含めて、世界じゅうの人が牛肉を食べているわけですね。別に全頭検査しなくて食べているわけです。それは、命がけで食べているわけじゃなくて、特定危険部位を除去するとかそういったことで安全を担保しながら、食品として出ているわけですね。

 これは、私は、アメリカだって別に、今回出ましたけれども、クロイツフェルト・ヤコブ病にかかっている人というのは、大昔、脳みそを食べていたような時代はかかった人はいますけれども、数年、牛肉を食べてそういう病気にかかったという事実はないわけですし、確率論としては、極めて低い確率論のところで安全性とか安心とかということを議論する中で、一方で、牛肉が入ってこないことによって、約二万軒ある焼き肉屋さんというのは、六割がUSビーフを使っている。牛どん屋は軒並み豚どんとかカレーどんにかえている。地元の私たち、こてっちゃんという、エスフーズという食品会社がありますけれども、あれもUSビーフが原材料で、もう大変な経営難になっている。このことによって、事業がうまくいかなくなってつぶれていくところとか失業者が出ること自体の方が、私は政治的な問題としては大きいのではないか。

 こういった、どっちがどうとかという話じゃなくて、そういった側面が今全く言われていなくて、消費者団体と称する人たちが出てきてきゃんきゃん言って、何かちょっと、日本の今の状況というのは、少しそういう意味で冷静さを欠いているんじゃないかな、ヒステリックな議論になっているんじゃないかなというふうに私は思うんです。

 ですから、もちろん食品の安全を担保するということは大事なんですけれども、全頭検査が食品の安全を担保するという日本の主張が国際的な常識なのかどうかということを、やはり言い出すのは言い出しにくいんですけれども、これは通商問題でもあるし、国内の中小企業政策にもかかわることですから、セーフティーネット保証の対象にしていただいたのは大変ありがたいんですが、見通しがつかないと、融資を受けても、金を借りるだけで返せないとやはり深刻な問題をより生んでしまいますので、そういったことも、経済産業大臣であり、農政にお詳しい中川大臣にぜひ口火を切っていただけるように。

 それは、大臣のお考えもあるとは思いますけれども、きょうはもう時間も来ているようでありますので、所管ではないし、国会の中ではなかなか答弁しにくいかと思いますが、ぜひそういったことも、思っている政治家もいるということを心にとどめていただきまして、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

中馬主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻惠君。

辻分科員 民主党・無所属クラブの辻惠でございます。

 私の地元の大阪は、太閤秀吉以来、天下の台所として日本の経済の中枢を担ってきた町であります。その大阪が今、沖縄県に次いで失業率が全国で第二位と言われております。また、若年層の失業率が一五、六%、六人に一人の若者が就業する機会を現実には保障されていないという事態にもなっております。大阪の経済の地盤の低下ということが何ゆえに、その原因は何なのかということを真剣に考えなければいけない。

 東京一極集中の現在の構造が、人、物、金、情報がすべて東京に流れ込むということが、大阪を中心としてやってきた会社の本店機能が東京に移るとかいうこともその大きな原因となっておると思います。産業構造の転換によって、大阪に特有な、卸業を中心とした大阪の中小企業が軒並み閉鎖を強いられていく、このような構造にもあるわけであります。そういう意味におきまして、東京一極集中の構造、そして産業構造の転換にどう対応していくのか、このことを戦略的に考えていかなければならない、こういう問題意識を持っております。

 本日は、そのような観点を踏まえて、中小企業の対策につきまして、経済産業大臣に対しまして、どのような中小企業の振興策についてお考えになっておるのかを二、三お尋ねしたいというふうに考えております。

 まず、大阪の中小企業を見ました場合、確かに、もうキャッシュフロー的にも成り立っていかない、そういう事業体もございます。潜在的にポテンシャルが十分にある、そして技術力等もある、しかしながら、金融機関の貸し渋り、貸しはがしによって資金調達がままならないということで倒産に追い込まれてしまう、このような中小企業もたくさんあるわけであります。

 大阪は、大和銀行や福徳相互や兵庫銀行や金融機関のそういう破綻等を通して、非常に中小企業にとっては資金調達の道が困難にされている、このような事態があります。私は、まずこのような中小企業の現状に対して、産業再生的な観点から、経済産業省としてはどのような施策を講じておられるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 委員の御地元の大阪、近畿は非常に厳しいということは、私もよく認識をしております。

 たまたま先週省内で、全国千二、三百社でしょうか、ヒアリングを行いましたけれども、お互い自慢するつもりは毛頭ございませんが、我が北海道と近畿が非常に厳しい。近畿の場合には、有効求人倍率がもう全国よりもはるかに低いということ、私の北海道なんかも、若年失業率、男性がもう二〇%近いという状況で、これを何とかよくしていかなければならない。

 全体として明るさが見えてきたということをよく言われますけれども、私は、決してそういう判断は、私としては発言する気にならない。なぜならば、地域によって大変なばらつきがありますし、特に、日本の経済を支えております中小企業が大変頑張っているにもかかわらず依然として厳しいという状況ですから、こういうところが本当に元気になってこそ日本の経済は着実に回復しているということでございまして、そのためにも、今経済産業省は、政府系金融機関、あるいはまた自治体、あるいはまた地方の商工会議所、商工会等と密接な連絡をとりながら、きめ細かい、地域の特性に合った再生策というものをとっているわけでございます。

 その典型の一つが、中小企業再生支援協議会というものが全国四十七都道府県に設置をされまして、ここが今言ったようないろいろな組織を糾合した形で、一つの情報センターみたいな形にして、資金相談、あるいはまた販売の相談、人材の相談等々についてきめ細かくやっていこうということで、ここを大いに活用しながら、より実質的な再生支援策を実行していきたいということで今頑張っているところでございます。

辻分科員 日本の破産の件数が一万件を超えている等と聞き及んでおりますけれども、そのほとんど多くが中小企業だと思います。やはり倒産の事態になる前に何とか再生をする、活性化をさせていくということが政策的にはより重要なことだろう、このように考えます。

 そういう意味におきまして、今大臣がおっしゃられた、中小企業再生支援協議会が発足をして機能しているということでありますが、この運用の実態につきまして、もう少し具体的に御説明をいただければと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 約一年前に、順次、全国にこの協議会を発足させましたけれども、これまでに三千二十四の企業から相談に応じております。そのうち、相談だけで済むものも結構ございますけれども、手づくりの再生計画をつくって支援をしようということの対象になっておりますのが、現時点で二百五十三ございます。二百五十三の企業についての再生計画をつくろうとしております。うち、四十五の再生計画策定が完了いたしまして、新たに再生の道へ金融機関とともに踏み出しておりますが、この結果、その四十五件の再生計画策定に伴いまして、三千五百四十六名の雇用が確保されたということでございまして、そういった意味で、私どもとしてはこの成果に期待をしているところでございます。

辻分科員 インターネットで検索いたしましたが、中小企業再生支援協議会の完了案件についてもいろいろ具体的に報告がなされております。

 少し内容について具体的に伺っていきたいと思いますが、まず、金融機関からの持ち込み案件が多いというふうにも書いてありますが、今御紹介のあった相談件数なり、再生計画を策定した金融機関からの持ち込みの割合とか、そういうことについては掌握されておられますでしょうか。

望月政府参考人 四十五件の完了案件のうちの二十二件が金融機関からの持ち込み案件でございまして、徐々に金融機関がこの活用に積極的になっておりますので、ますますその比率は高まってくるのではないかというふうに思っております。

辻分科員 金融機関からの持ち込み案件ということは、つまり事業主体に対して債権者の立場にある金融機関が持ち込んでいるということだと思うんですね。確かに、中小企業、規模からいうと千差万別でありますから、十分な戦略的な経営の志向を持っていない。いろいろなアドバイザーが必要である。どのような再生の組み立てができるんだろうとか、いろいろな知恵をかりなければいけないというふうには思います。しかし、再生していく視点、方向が、確かに金融機関もアドバイザーとして立ちあらわれてくるのは当然かとも思いますが、ある意味では債権者と債務者であるという利害が対立しているわけであります。

 そういう意味におきまして、四十五件のうち二十二件金融機関側からということは、むしろ、中小企業本体の側というよりは、債権者の立場でこの協議会が機能している、そういう側面もあるのかなというふうにちょっと考えたりするもので、その点はいかがでしょうか。

望月政府参考人 今、金融機関が不良債権処理をするに当たって、単に回収するだけではなくて、むしろ再生させて、最終的には債権保全を図るというのが一つの大きな再生に向けての動きでございます。

 その中で、金融機関がなぜこれを使うかといいますと、一つ大きな理由は、複数の金融機関がその企業に債権を持っていたときに、金融機関の横の調整ができなくて、やはり客観的な第三者がそこに調整役として入ってくるというようなことが非常に期待される場面がございまして、その点、この協議会が、第三者で、地元の有力者が構成して、地元としてぜひこれを再生させたい企業であるという観点から、調整者としての役割を望んでいるのというのが一つ。

 それから、ほかによく見られますのは、企業についての技術的なアドバイス、つまり、新商品を開発していくにはどうしたらいいかとか、あるいは工場の生産性をもっと上げるにはどうしたらいいかというようなことを、今金融機関自身が十分にアドバイスする能力がないというような場面がよく見られまして、そういった場合に、この再生支援協議会に集まっておられます技術関係の能力のある方とか、特に県なんかで、公設試の方などにも御参加をいただいてそういうアドバイスをするというような場面が幾つか見られまして、活用されているのではないかというふうに思っております。

辻分科員 私は、二十数年間、弁護士として活動しておりました。企業の再生に関連して、任意整理とか民事再生の申し立てとか、数多く手がけてきたわけでありますが、金融機関と交渉するときに、銀行団を編成していただいて、協調融資をしていただけないだろうかとか、また支払いのリスケジュールについて調整していただけないだろうかということをお願いしても、なかなか進展しないという状況がありました。

 これは後でも少し伺いたいと思いますが、債権回収機構のかかわり方というのは、どちらかというとやはり債権回収が主軸で、一部では非常に怨嗟の声も聞かれるような事態も生まれている、そういう認識も私は持っているわけであります。ですから、協調をするという立場で銀行が関与されるというのは、当然、筋としてそのようなお立場で考えておられるんだろうと思いますが、やはり利害が対立する、そういう側面も否めないところであると思うんですね。

 ですから、協議会の運用の仕方、例えば専門家に参加していただくということになっていると思いますが、その専門家の選定の仕方とか協議会の運営の仕方について、十分中小企業の立場に立って、もちろん銀行の利益もきちっと位置づけなければいけないと思いますが、どの立場に立って調整していくのかということを、やはり専門家の選定の手続というのがそれを担保する重要な要素なのではないかと思うのですが、そういう点について、運用の実態はどうなっておられますでしょうか。

望月政府参考人 中小企業再生支援協議会は、基本的には、地域の自主的な活動を私どもとして支援したいということで発足いたしております。

 したがいまして、地域で、県あるいは商工会議所、商工会あるいは中小企業の関係の支援機関の方々が集まりまして、多くは商工会議所がリーダーシップをとることが多うございますけれども、県と相談をして、中小企業の側の代表みたいな方を比較的多く中心に据えて、金融問題等々ございますから金融機関のOBの方ももちろん入っていただきますけれども、あと腕ききの公認会計士さん、弁護士さん、それから中小企業診断士さん、そういう方を選定していただいてやっているということでございますので、どちらかと申しますと中小企業サイドに立った方が中心ではないかというふうに思っております。

辻分科員 今おっしゃられたことに関連してですが、多くは企業再建の経験が豊かな銀行出身者や中小企業診断士、さらに弁護士、公認会計士、税理士等も選任する場合があるというふうに書いておりますが、確かにその道の専門家がよりわかるという意味においては、銀行出身者の方が造詣も深いという意味においては、適任な場合もあるかなというふうには思いますが、やはり銀行出身者ですから、銀行の利害に同情的である可能性もあるのかなというふうに思いますので、その点の選任手続につきましては十分配慮していただくようにお願いしたいというふうに思います。

 それで、協調融資や、中小企業に対して再生支援協議会で、その結果として融資を実現したとか、そういう例がいろいろ紹介されておりますけれども、具体的には、どういう金融機関がその場合の融資の主体になっていただいたりしているんでしょうか。

望月政府参考人 ケースはもちろん区々でございますけれども、既融資機関が集まって、場合によっては融資条件の改定をしてみて、少し返済期間を長くするとか、そういう協調関係をするというのが一つございますし、加えまして、やはり、ニューマネーを入れたいというときに、政府系金融機関の商工中金であるとか中小公庫等が参加をしておりますので、ここに追加融資をお願いするというようなこともございます。

 それから、あと、特に信用補完の観点から、借りかえ保証制度等々、新しい公的信用保証制度を創設いたしておりますけれども、こういったものも活用されて、信用保証協会が保証して民間がニューマネーを入れるというようなこともございます。

辻分科員 私の経験上は、都市銀行が債権者に入っていて、商工中金とか中小企業金融公庫とか政府系の金融機関も債権者に入っておられるときには、どうも遠慮がちである。都市銀行が主導権をとって再建策なり債権の回収の方途を考えるという場合が結構多くて、商工中金や政府系金融機関の影が薄いというか、リーダーシップがなかなか見えないというような例を多く私は体験しているのでありますが、その辺について、従前そのような傾向があったという認識がおありなのでしょうか。また、もし認識がおありだとして、この協議会の中では、その辺を変えていこうということで新たにお決めになっておられることとか、打ち出された方向性なりがおありなんでしょうか。その点はいかがでしょう。

望月政府参考人 先生おっしゃるとおりであると思います。特に、メーンバンクであるところが他の金融機関に範囲を広げるというようなことはなかなか難しいことだと思います。特に、政府系金融機関で今までお取引がなかったようなところに対しては、特にそういうことがあると思います。

 したがって、この協議会は、各県に置かれているほとんどすべての協議会に、政府系金融機関の担当者が委員として入っております。したがって、そういうことに関与し得るような、やりやすい状況ができているということもございまして、比較的新たに、今までおつき合いがなかった政府系金融機関がここに参画するということが、例として多く見られるということではないかと思っております。

辻分科員 確かに、おっしゃられるように、長年取引関係にあったメーンバンクが利害も深いものがあるだろうし、長いつき合いがあるわけですから、それだけ会社とのいろいろな経緯を含めて、ある意味ではより的確な再建策を提案できるような立場にいるから、政府系金融機関としてはなかなか、いわばしゃしゃり出ていくということができないのが一般だと思うんですが、中小企業再生支援協議会をより実際活用できるような、そういう運用をしていくためには、やはり政府系金融機関がもう一歩しっかりとした役割を果たすような、そういうことが期待されるのかなというふうに思っております。

 協議会に今委員が入っているからというお話でありますが、委員が入っていれば即うまくいくというわけでもないでしょうから、その辺については、今後の運用についてより掌握をよくしていただいて、改善すべき点は適宜改善していっていただきたいな、このように思う次第であります。

 この協議会と産業再生機構なり債権回収機構との関係について、相対的に役割はそれぞれ別だと思いますけれども、何らかの関係性なり役割分担なり、そういうようなことはございますでしょうか。

望月政府参考人 先生おっしゃいましたように、それぞれ別の経緯ででき上がった組織でございますから、もちろん役割は違います。

 ただし、相手になっている案件が、そういう、再生しなきゃいけない企業であるとか調子の悪い企業であるということでございまして、関係は非常に深いものがございまして、例えば、再生支援協議会の方に再生機構の方から扱ってくれないかといって持ち込まれた案件、あるいは、一たん、取引先の銀行がつぶれたので債権が売られてしまって、整理回収機構が債権を持っている企業に関して、この再生支援協議会で何とかしたいということになって、そことお話をして、整理回収機構が持っている債権を民間金融機関が買い取って再生したケースであるとか、いろいろなケースがございます。

 したがって、横の連絡は大いにとってやるということになろうかというふうに、実態はそういうふうに動いているところでございます。

辻分科員 整理回収機構、RCCに絡んでの話ですが、このインターネットの紹介でも、RCCが中小企業に対する債権を買って債権者の立場にある、そのRCCと交渉して、地元の金融機関ないし政府系金融機関がこれを引き受けて再生に向かうという、そういう例があるんだという紹介がどうもありますけれども、その場合、RCCは、従来の取引銀行が恐らく破綻するか不良債権化したということで、その債権をかなり安く買っているわけですよね。それをさらに地元金融機関なり政府系の機関がさらに譲り受けをして、そして再生に関与していくという、こういう構造なんだろうと思いますけれども、どうなんでしょうか、むしろ、RCCに不良債権だというふうに債権譲渡する以前に、この協議会でむしろ協議をして再生を目指すべき事案もあるのではないかなというふうに思ったりしますけれども、その点はいかがでしょう。

望月政府参考人 今先生が例示に挙げられましたRCCに行った債権のケースは、金融機関が破綻をいたしまして、自動的にそちらへ行ってしまったというものについて、企業を見ればぜひ再生をしたい企業であるということで買い戻したということでございます。

 ただ、私どもの所管ではございませんけれども、RCCも、実は、再生を手がけている、あるいは手がける責務もあるわけでございますけれども、ただ、若干、RCCは、物すごいたくさんの債権を抱えて、一遍にいろいろのことができないということもございますので、こういったケースの場合には、再生支援協議会が買い戻すというようなことが起こったということでございまして、そういうケースというのも、もちろん、RCCに売られる前に再生支援協議会が何とかするというケースも恐らくあり得ると思っておりますけれども、例示に挙げたケースはさようなケースでございます。

辻分科員 産業再生機構、RCCの役割なりその機能については、また今後、私も一つの主題としていろいろかかわり、質問もさせていただきたいと思います。

 時間の関係もありますので、先に進みます。

 やはり中小企業のポテンシャルをはかるということが重要だと思うんですね。新たに資金調達を受けるにしても、その中小企業がどのような技術力があるのか、本当に今後再生していく力のある中小企業なのかどうなのかということを、企業評価をすることが必要だと思います。

 先ほど長官が言われましたけれども、そういう意味で、既存のというか、従来の都市銀行なり地方銀行が、なかなかそういう企業評価をできないような状態になっているということを述べられたように思いますが、この点については、どのようにすべきであり、どういう施策を講じようというふうに考えておられますか。

泉副大臣 委員御指摘のように、従来の金融機関は、いわゆる計量的な、財務諸表等を見た上での融資を図るということが主体でございました。このことが、御指摘のソフトな部分、技術力あるいは経営力等をかなり重視しなきゃならない今日の状況からしまして、今経済産業省としては、関係省庁とともに、そういうことを重点的に民間金融機関に指導をさせていただいておるところでございます。

 民間金融機関につきましては、金融庁が昨年三月のリレーションシップバンキングの機能強化に対して公表しましたものを受けまして、審査担当者が中小企業診断士の資格を取得する、いわゆる目ききの能力を上げるということに取り組んでもらうことになっておりますし、金融庁がさきに改訂しました金融検査マニュアルにつきましても、経済産業省の意向を組み込んでいただきまして、企業訪問をする、あるいは経営指導等を通じて実態を把握する、成長性を有する経営力等を把握するというような事柄ができた場合には、金融検査でその評価を尊重するという事柄になっておりまして、我々としては、民間金融機関にそうしたソフトな面の評価を高めるような努力をしておるところでございます。

辻分科員 これは経済産業省の所管ではないのかもしれませんけれども、新聞報道では、日本政策投資銀行が地方のMアンドA支援ということで、事業再編を促す取り組みとして一つの機能を果たしている、企業についても評価をして、資金調達や情報交換や情報提供や、そういうような機能を日本政策投資銀行が現に果たしているという報道もなされております。

 そういう意味におきまして、政府系金融機関においても、そのような役割を果たすということが求められているのではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。

泉副大臣 全く御指摘のとおりでございまして、政府系金融機関におきましても、融資の判断に当たって、各支店の担当者が実際に企業を訪問する、そして経営状況をしっかりと把握する、技術関連、販売ルート等の将来像につきましても具体的に見通しを立てるように、聞き取り調査を行っておるところでございます。

 私どもとしましては、経営者の人格とか識見とか、そういうことも踏まえまして、あるいは外部の信頼性等の評価も踏まえた上で、中小企業金融が円滑に進むように関係機関に指導をしておるところでございます。

辻分科員 時間も参りましたので、最後に一点御質問させていただきたいと思いますけれども、中小企業といっても、規模、程度はさまざまであります。これは日本に特有の制度だと言われているように思いますが、中小企業が融資を受けたときに個人保証を必ずとられるということがあります。そういう意味で、事業が破綻をしたときに、社長の家屋敷まで全部取られてしまって、その事業家としての再生を図っていくための根拠すら失ってしまうような事態になるということが、これは一律にそのようなことがなされる傾向があったように思います。やはりこの点は改善していかなければいけないのではないかというふうに思います。

 包括根保証を制約すべきだという議論も法制審議会の方であると報道されておりますし、民主党は、中小企業対策の一つとして、代表者の個人保証については、これはなくする方向に制度を変えていくべきなんだというふうに主張しておりますが、この中小企業の代表者の個人保証の点についてはいかがでしょうか。どのように改善する施策をお持ちでしょうか。

中川国務大臣 今の経済状況、そしてまた、これから頑張っていこうという、今委員御指摘のあった技術だとか熱意だとかそういうものを応援していくという上で、過去におきまして、特に中小企業に対しては、有担保、土地中心の有担保、そしてまた本人保証、第三者保証というものが取引の通例であったということは事実でございます。

 その結果、きちっとした担保があるにもかかわらず本人保証とか第三者保証をとるということが随分と重荷になり、万が一のときには担保だけではなくて本当に身ぐるみ。そしてまた、包括根保証なんかになりますと、一体幾ら保証すればいいのかわからないという状況でございますから、今の厳しい状況から脱却するためということももとよりでございますけれども、さらに、日本を今まで支えてきて、これからも支えていく中心的な役割である中小企業がさらに活性化し、頑張っていくために、政府系金融機関でも一部もう既に無担保無保証という制度は導入しておりますけれども、さらに拡充をして、包括根保証、破産法の世界へも踏み込んで、各省庁とよく連携をとりながら、このがんじがらめの担保それから保証といった制度からできるだけ、まあ無条件で貸すということもなかなか難しいことでありますけれども、別のリスクヘッジというものも柔軟に考えながら、今委員御指摘のような方向で政策を転換していかなければならないというふうに考えております。

辻分科員 きょう伺いました中小企業に対する国の施策を十分踏まえまして、現に大阪では、市も府も中小企業の再生のために頑張ろうとしております。東京一極集中の現在の構造を変えて、大阪の中小企業の再生のために私も頑張ってまいりたいと思いますので、経済産業省としてもぜひ今後とも御支援をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

中馬主査 これにて辻惠君の質疑は終了いたしました。

 次に、長安豊君。

長安分科員 民主党の長安豊でございます。

 まずは、この予算委員会の場におきまして御質問させていただく機会をお与えいただきましたこと、まず中川経済産業大臣初め関係者の皆様にお礼申し上げたいと思います。

 私、昨年の十一月に初当選させていただきまして、地元の大阪、泉州を代表して、今回質問をさせていただきます。

 私の地元泉州では、昨年の五月二十日に熊取町で小学校四年生の吉川友梨ちゃんが行方不明になって、これは誘拐か神隠しかわからない。もう九カ月以上が過ぎているけれども、いまだに行方がわからないという状況にあります。私、昨年選挙を控えておりましたので、政治の道具にするのはいかがと思いまして、発言を控えておりましたけれども、私、家が近いということもございまして、友梨ちゃんが一日も早く出てきてくれるように、または見つかるように努力していきたいなと思っておる次第でございます。

 このような事件が起こりますと、地元のお子さんをお持ちの親御さんからしますと、学校の行き帰りに何かあるんじゃないかというような不安を持たれて、心配が多いかと思います。そういった意味でも、そういった治安を守るための政策をしていかなければならない。一義的には、例えば警察を増員する、そういったことも必要ですけれども、警察だけでは見張り切れない、見ることが、目が届かない、そういうこともございますので、例えば地域がみんなで治安維持のために協力していく、そのために地方自治体がそういった地域に対して資金的な協力もしていくということも必要じゃないかと思っております。

 しかしながら、地方自治体、今、財政もかなり厳しい状況にございます。そういった意味では、国が地方自治体と手を組んで、地域で治安を守っていくということに尽力しなければならないのではないかと思っておる次第でございます。

 また、ことしの一月には地元の泉州で、また岸和田で、中学三年生の男子が両親に虐待されるという事件もございました。むごたらしい事件ばかりで、私の地元を代表しておりますので、ぜひこれは国として取り組んでいかなければならない問題だと思っております。この中学三年生の件におきましては、児童相談所とまた学校サイドの連携がやはりちょっと足りなかったのではないかと私は思っておりまして、そういった意味でも、児童相談所の位置づけまた権限を見直すような政策を国としても打っていかなければならないのではないかと私、思っておる次第でございます。

 また、ここ数日、鳥インフルエンザの報道も多くなされておりますけれども、京都の丹波で鳥インフルエンザが発生して、多くの鶏がばったばったと死んでいっているにもかかわらず出荷されていたという事件がございました。これも昨日の朝刊では、私の地元泉佐野にその鶏肉が流通されていると、いまだにどこに行ったかわからないという状況になっておりまして、食の安全ということにおいても問題が生じているわけでございます。

 中川大臣は農水分野にも造詣がお深いとお伺いしておりますので、こういった食の安全ということに対してもぜひ取り組んでいただきたいなと思っておる次第でございます。

 さて、今食の安全ということを申し上げましたけれども、この食のトレーサビリティーということでICタグという分野が今注目されておりますけれども、まず大臣にお伺いしたいんですけれども、このICタグ、実物自体をごらんになられたことはございますでしょうか。

中川国務大臣 何回か見たことあります。経済財政諮問会議あるいはまた私のところに説明に来られた役所の方から拝見したことあります。

長安分科員 私、中川大臣にきょうプレゼントしようと思いましてICタグの方をお持ちしたんですけれども、ぜひプレゼントさせていただきます。

中川国務大臣 ありがとうございます。

長安分科員 これはICタグの、右側がICタグの裸のものでございます。その左が、これは大阪のシーリング印刷という会社がございまして、この会社は、食品であったり、また繊維の分野において印刷を行っている会社なんですけれども、紙と紙の間にそのICタグを挟み込んでシールにして、これを張りつけることによってさまざまな情報をとれるようにしようということで技術開発をされている会社のものでございます。

 最近、このICタグとかRFID、ラジオ・フリークエンシー・アイデンティフィケーションという単語をよく目にします。御存じのとおり、これはJR東日本のスイカであったり、また西日本のイコカであったりにも現在利用されております。この技術というのは世界的にもかなり注目されておりまして、私は日本が世界のリーダーになるべく努力する必要がある分野だと思っております。

 この技術を利用すれば、先ほど申し上げました食のトレーサビリティー、また製造現場におけるSCM、サプライ・チェーン・マネジメントにおいても十分利用できると私は思っておりまして、こういった適用をいかに早く進めて、日本が世界においてリーダーとなっていくということが必要だと思っておる次第でございます。

 実際、IT革命という言葉が昨今叫ばれて、結果どうなったか。確かにITの一部の企業は繁栄しました。しかしながら、今の現状をとってみると、アメリカのマイクロソフト・インテル連合がその根幹を牛耳っているという状況です。これは、何を隠そう日本がやはり一歩二歩出おくれてしまった結果だと思っております。

 その轍を踏まないためにも、このICタグの分野においては、日本はリーダー的な存在になれるように頑張っていかなければならない、それが日本の経済の復活のために欠かせないと私は思っておる次第でございます。それが本来の意味での小泉首相の言うe―Japan構想ではないかと私は思っておる次第でございます。

 ICタグの活用は、これはユビキタス社会の実現のためには極めて大きなインパクトを持つと思いますけれども、現在の経済産業省、また総務省のお取り組みについてお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 ICタグは、日本の先端、目指すべき技術の三本柱のうちの、ナノテクそれからIT、ひょっとしたら今委員御指摘のようにバイオにも応用できるのかな、まさにそれをすべて包合した極めて大事な技術であり、しかも、委員御指摘のように、これをいわゆる世界標準にしていくことが世界に対する大変な貢献にもなっていくだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、今委員も大変御熱心にこの問題にお取り組みいただいておりますけれども、政府といたしましても、経済産業省を初め各省庁、それからこれは電波の世界にも関係しますので総務省とも十分連携をとりながら、先ほどの食品のトレーサビリティー、安全性の問題のトレーサビリティーあるいは冒頭お示しいただいた本当に悲惨なお子さんをめぐる事件、事故が続発しておりますけれども、万が一にも、例えばランドセルにとか、何でしょうセーターにとか、そういうものにICタグがきちっとついていればということを考えると、早くこういうことが実用化されれば少しでもこういう事件、事故が防げるのではないかと思っておりまして、こういう大事な技術はスピード感を持って実用化していくことが大変大事でございますから、我々も全力を挙げて、経済産業省のみならず各省連携をとりながらやっていきますので、どうぞ委員におかれましても引き続き御指導よろしくお願いいたします。

鬼頭政府参考人 ICタグにつきましては、商品等に張りつけることで電波により離れた場所からその商品の情報を読み書き可能となるもので、議員御指摘のとおり、食品、医療、教育と多様な分野でその利用が拡大すると期待されているものでございます。

 このため、私ども総務省では、このICタグの円滑な普及促進のため、昨年四月から調査研究会を設けましてその高度利活用方策の検討をしていただいております。現在、最終報告書の意見募集を行っているところでございますが、その中では、今後取り組むべき施策といたしまして、一つには、ICタグをやはり安全に利用していただくということが大事かと考えておりまして、暗号セキュリティー技術、これの確立が重要かというふうに考えております。

 また、ICタグの利用につきましては、米国等で一部消費者団体等から反対運動なんかも起きておりますので、利用について社会的コンセンサスを醸成するということが重要かと考えております。このため、利用者参加型の実証実験ということが重要かと考えております。

 それから、多様なICタグの利用が可能となりますように、新しい周波数帯、九百五十メガヘルツ帯等、こういった新しい周波数の利用ができるようにすること、それから、プライバシー保護のためのガイドラインですとか、財政支援策、それから戦略的な標準化、そういったものがこの調査研究会で御指摘されているところでございます。

 私ども総務省としましては、この調査研究会の提言を踏まえながら、関係省庁あるいは地方公共団体、産業界、大学等と連携しながら、来年度から電子タグの高度利活用技術の研究開発に着手するほか、実証実験、標準化、利用環境整備等積極的に取り組みまして、ICタグの利便性を国民がいち早く享受できるように努めてまいりたいと思いますので、引き続き御指導お願いいたします。

長安分科員 昨年の十二月の四日ですか、経済産業省の方でUHF帯を使った実証実験を行うというマスコミ報道がされましたけれども、その進捗状況についてはいかがでしょうか。

豊田政府参考人 電子タグに用いる電波の御質問でございますけれども、これまでは私どもは短波あるいはマイクロ波などの周波数を使っていたところでございます。

 しかしながら、遠くまで届くかどうか、あるいは食品などに使うときに水に強いかどうか、そういったことを考えた場合には、先生御指摘のUHF帯の周波数の電子タグへの開放が非常に重要だということで、私どもも要望を総務省に対してさせていただいておりました。

 こうした中で、従来携帯電話に使われておりましたUHF帯の周波数を電子タグに回していこう、開放していこうという方針ができまして、そして、ようやく実証実験を実施することができるようになった次第でございます。

 そして、昨年の末、先生御指摘の十二月四日前後でございますけれども、その実証実験を始めることになりました。これまで短波帯を使っておりましたが、この短波帯と新たに認められましたこのUHF帯両方を比較するような形での実証実験を行っております。

 二つの段階がございまして、第一の段階では、妨害電波が入らないような実験室、電波暗室というふうに呼んでおりますが、そういったものを用いまして、まさに十二月四日から、我が国初めて、実証実験を始めております。結果は、今のところ、高い読み取り精度が得られているという状況でございます。

 第二段階でございますが、今度は現場で実証実験をしようということでございまして、例えば家電産業に関しましては、量販店の店舗ですとか、各メーカーの物流倉庫ですとか工場においてですとか、そういった段階において、まさにUHF帯の電子タグを張りつけまして実験を行ってみる。加えて、書籍ですとかアパレル、食品流通の各分野において同じような実験を行うことを予定しております。

 現在、総務省に対しまして、これら事業の実施主体が無線免許の申請を行っておりまして、認可がおり次第、実証実験を開始したいというふうに思っております。

長安分科員 ただいまの実験の進捗状況、お伺いしたわけですけれども、この実験というのは、民間企業にとってみれば、やはり一日も早くその結果が知りたいという状況だと思います。実際、民間企業でもう既に独自で実験をされているところもございます。

 私が申し上げたいのは、恐らく、実験されてICタグの読み取り精度自体が一〇〇%になってこないといけない、信頼性がないという意見もよくございます。しかしながら、では今までどうだったのか。バーコードを使った場合に、バーコードは当然リーダーを持って人が読み取っていたわけですね。では、人が読み取り損ねた場合は、それがあたかも読み取ってないというか在庫にないかのような認識をされていた。そういう歩どまりがもともとあったわけですから、ICタグになったからその精度が上がらなければならない、もちろん上がるのはベストなわけですけれども、一〇〇%じゃないから普及できないということでは私ないと思っています。それは人間がまた補助をする形で、いかに一〇〇%に近づけていくかということが必要だと私思っておる次第でございます。

 ICタグに関しましては、今お話ございました電波の問題がございますので、総務省の所管する部分と、また経済産業省の所管する部分があると思いますけれども、この点、両省庁間で権益争いすることなしに、協力関係というのは、うまく協力関係が保たれているのでしょうか。これは私思いますけれども、省庁間がお互いの縄張りを守るということで権益争いしてしまいますと、時間がどんどんどんどん過ぎていく。気がついたら外国の企業勢はもう導入してしまっているという事態になってはいけないので、ぜひ省庁間の争いがないようにしていただきたいと思いますけれども、現在、その協力関係についてはいかが考えていらっしゃいますでしょうか。

豊田政府参考人 電子タグに関しましては、まさにタグ自身のコストダウンのための技術開発ですとか、それから電波や技術そのほかのものの標準化の問題でございますとか、電波それ自身の、先ほどの御質問の帯域の問題でございますとか、普及のためのいろいろな実証実験でさまざまなことをクリアしていかないといけないわけでございます。

 特に電波の部分については総務省が御担当ですので、総務省と一緒になってその帯域を広げるための作業をしておりまして、例えば電波について標準をとるという観点においては、私どもが代表してISOとも議論をする。そんな形で、政府一体となって作業を進めている状況でございます。よろしくお願いいたします。

長安分科員 私は民間企業におりましたので、協力といいますと、例えば人的の交流であったり情報の共有化、また共同のプロジェクトの実施等というのが本来の意味での協力だと思いますけれども、そういったものは行われておりますでしょうか。

豊田政府参考人 私どもが開きます研究会、委員会に総務省からも出ていただき、総務省のみならず、例えばICタグでございますと、まさにユーザーとしての農水省、それから国土交通省、それぞれの方にも参加をしていただく。私どもも同じような形で総務省のいろいろな勉強会にも参加をさせていただく。

 人事交流については、小泉総理が御方針を出されましたので、それを踏まえて今後検討していくことになろうかと思います。

長安分科員 先ほどお話ございましたけれども、ICタグについては、プライバシーの問題というのが、プライバシーを保護するというのが大きな課題となっております。この点について、どのような対策を講じられているのか。また、必要な法整備、また具体的なスケジュール等、ちょっと御説明いただきたいんですけれども。

江田大臣政務官 今先生御指摘のとおり、電子タグというのが、その性質上、まだ多くの国民の皆様に十分認識されていないというのが現状でございます。

 したがって、消費者が商品に電子タグがついているというその意識がないままにこれを所持して移動して持っていかれますと、消費者の気づかないうちに消費者が望まない形で読み取られるというおそれが十分に将来的に予想されるわけでございます。

 例えば、これはもう個人情報ではございませんので個人情報の侵害にはならないと思いますけれども、やはりプライバシーの侵害にはなる。例えばかばんの中のものとか、着ているものとか、そして家の中にあるものとかが読み取られるおそれがあるわけでございます。

 現段階で、実際にプライバシーの侵害が起こっている、まだ本格的にも普及しておりませんのでそういう状況ではないわけで、立法措置が必要という認識には今はまだ至っておりませんけれども、後手に回ったんでは遅いということで、当省といたしましては、例えば電子タグがついていることの表示をするとか、そしてまた、望まない人にはそれを使えなくする方法を教えるとか、そういう電子タグに関するプライバシー保護ガイドラインを制定して、関係事業者団体に徹底することといたしております。

 具体的には、経済産業省が中心となりまして、農林水産省、国土交通省、厚生労働省が参加いたしました商品トレーサビリティの向上に関する研究会におきまして、この標準化にしても、またプライバシーの保護にしても検討をいただきまして、既に昨年の十二月二十二日に取りまとめをいただいたところでございます。現在、パブリックコメントの付議を終えて修正を行っているところでございまして、整理を終え次第公表を行いたい、そのように思っております。

長安分科員 ありがとうございます。

 ICタグの導入に際しましては、業態によってはかなりの設備投資と、設備投資というか設備投資にお金がかかるという今現状にあるのかなと思っております。そういった意味でも、経済産業省さんでは、タグを三円から五円の値段に、廉価なものをつくるということで、響プロジェクトというのを今年度、十六年度行われるということも聞いておりますけれども、そういった意味で、そういう導入企業に対して経済的な支援をするということを今のところお考えでしょうか。御説明いただけますでしょうか。

江田大臣政務官 電子タグの導入におきましては、この電子タグそのものの購入のみならず、もう先生も御存じのように、ハード、ソフト両面でこの情報化投資が必要になってくるという状況になります。

 中小企業を含めました企業の情報化投資につきましては、平成十五年度の税制改正で、企業が行うハード、ソフト両面を含むIT関連の投資に対しまして一〇%の税額控除を認めるIT投資促進税制、それを創設したところでございます。

 また、融資につきましても、政府系中小企業金融機関におきまして、中小企業のIT関連の投資を対象として、情報技術導入促進資金等の低利の特別融資制度、これを設けているところでございます。

 電子タグの導入につきましては、これらの税制、そして融資制度、これを活用していただくということで、中小企業におきましてもその利用が進むことを期待しております。

長安分科員 きょうは、ちょっと時間にも限りがございますのでICタグはこれぐらいにさせていただきますけれども、引き続き、このICタグをいかに早く普及させるかということに皆さんの御協力をいただきたいと思っておる次第でございます。

 続きまして、今政府系金融機関のお話もございましたけれども、中小企業の支援というのが大切だと私は思っております。

 これは、昨年の十月―十二月期のGDPの成長率が年率換算で七%という数字が出て、政府ではちょっと景気が底を打ったというような発言もございましたけれども、我々、地元の中小企業を見ておりますと、まだまだそのような情勢にないと思います。失業率自体も、大体約五%前後を推移しておりますけれども、私の地元では恐らく一〇%を超えているんじゃないかというような現状が続いているわけです。

 私の地元の一番の大きな産業といいますと、繊維産業、タオルの名産地でございます。タオルのセーフガードについては、昨年いろいろなマスコミでも報道されましたけれども、セーフガード発動かというような話もございましたけれども、現状についてお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 委員御指摘のように、十―十二が実質七、年率換算七、それから名目で二・六ですか。高いといえば高いんですけれども、実質と名目の乖離が非常に大きいということ自体、まだ健全な回復基調にはなっていないと思いますし、また、御地元の近畿、また私の北海道のようなところは依然として厳しい状況にあるわけで、ただ、一部いいということも事実で、一部が全体を引っ張っているという感じですから、我々、中小企業という観点からは、全国の数多くの中小企業、それぞれ頑張っておられるわけですから、何としてもそれに対して、先ほどから御議論あるようなさまざまな対策をとっていきたいというふうに考えております。

 そこで、御地元の本当に長い歴史を持つ大事な産業でありますタオルに関しては、現在セーフガードの調査をしているところでございまして、四月の十五日を調査期限として今やっているところでございますが、依然として国内タオル産業が生産及び企業数、雇用者数等が徐々に減少する傾向にあるわけでございまして、この調査の結果を見なければなりませんけれども、日本の大事なタオル産業というものについて、今後引き続きよく見守っていきたいというふうに考えております。

長安分科員 ここで、日本という国を見渡したときに、欧米諸国に比べると、起業、会社を起こすということが極めて最近は少なくなっている、廃業の方が起業よりも多いという現状になっているわけであります。

 また、日本は、一度会社をつぶしてしまう、事業に失敗してしまうと、経営者の再起が難しいと言われております。これは、先ほど同僚委員の方からもお話ありましたけれども、金融機関が融資の際に求める個人保証というのが、やはり原因になっているんじゃないかと思っております。

 そもそも、本来、株式会社というのは有限責任、資本金までは責任を持ちましょうという会社の制度であります。しかしながら、ここで個人保証まで求めて、事業に失敗したときに身ぐるみまではがれてしまうということになると、無限責任になっている。こういう制度になっていると、なかなか、いざ事業を起こそうと思う方が、余りにもリスクが大き過ぎる、そう言って起業をちゅうちょしてしまう、そういう今悪循環に入っているのではないかと私は思っているわけであります。

 私は、実際、中小企業の経営もいたしましたし、また起業にもかかわりました。その中で、やはり金融機関の個人保証をとるというのは大きな問題だなという意識を持っております。そういった意味で、こういう金融機関の個人保証というのは、まずは政府系金融機関から撤廃していくべきじゃないかと思いますけれども、御意見はいかがでしょうか。

中川国務大臣 過去の日本の金融というのは、土地を中心とした有担保であり、そして、特に中小企業においては約八割が担保をとりながら保証もとっているということでございまして、こういう御時世、あるいはまた、いろいろな金融のシステムの多様化、スピード化という中で、やはり見直していかなければいけない時期に来ているんだろうというふうに思います。

 アメリカなんかは、そういう第三者保証はとらないなんというシステムになっているようでもございますし、したがいまして、現時点におきましても、政府系金融機関の一部には無担保無保証制度がございますけれども、さらにそれを拡充していって、無限責任、特に保証、本人保証、第三者保証を含めた保証、それから包括根保証、こういったものによって、本当に身ぐるみ、どこまで責任を負えばいいんだろうというような大変悲惨な状況もあるわけでございますから、融資の多様化、さまざまな融資の多様化のために、今委員御指摘のように、政府系金融機関を一つの突破口にして、柔軟に対応できるように、この後いろいろと国会でも御議論をいただきたいというふうに思っております。

長安分科員 私としては、経営者の例えばやる気であるとか企業の将来性、技術力、そういったものを見て、保証があるないにかかわらず、もうちょっと柔軟に中小企業に対して融資をするということを金融機関が行っていかなければならないと思っております。

 そういった意味でも、経済産業省所管の金融機関、商工中金等ございますけれども、そういったところ、民間金融機関をサポートするという意味で、何かしら施策は打たれておりますでしょうか。

望月政府参考人 今大臣御答弁されたような御方針で、政府系金融機関におきましても、例えば無担保融資の拡大に努めております。

 商工中金において、貸し渋り対応の無担保融資制度を導入したり、あるいは、中小公庫において、最大七五%の担保徴求免除特例といった対応を図っている。加えまして、民間金融機関における無担保貸し付けを支援するために、中小公庫に証券化支援業務を追加するというなどのことを内容といたしました中小公庫法の改正案を今国会に提出させていただいている。

 また、いわゆる第三者保証やあるいは経営者本人の個人保証を免除する融資制度の拡充というのも積極的に行っておりまして、まず第三者保証につきましては、中小公庫と商工中金では原則として徴求いたしておりません。また、国民公庫では、本年の四月から、無担保で第三者保証も本人保証も要らない新創業融資制度を拡充して、貸付限度額を五百五十万から七百五十万に引き上げる、あるいは、国民公庫の第三者保証人を不要とする融資の限度額というものを一千万から一千五百万に引き上げるというなどの拡充を行っております。

 また、経営者などの本人保証につきましては、ことしの四月より、中小公庫、商工中金の創業・新事業向け融資におきまして、財務制限条項の締結とかあるいは若干の金利の上乗せによりまして、経営者本人の個人保証を免除する制度というものを発足することといたしております。

長安分科員 時間が参りましたのでこれで終わりにさせていただきますけれども、日本が経済的に世界のリーダーとなるためには、先ほど申し上げましたICタグのような分野に重点的に施策を打っていく、また、中小企業が頑張れるような環境をつくっていく、これが大切なんだということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

中馬主査 これにて長安豊君の質疑は終了いたしました。

 次に、和田隆志君。

和田分科員 民主党の和田隆志でございます。国会議員になりまして初質疑に臨ませていただきます。よろしくお願いします。

 まず、具体的な質問に入らせていただく前に、私自身、国家公務員として、実はきょうお集まりの方々と御一緒に、中小企業施策について真剣に考えてきた立場もございます。そのときの経験や思い出も含めながら、大臣、副大臣、大臣政務官率いられます中小企業施策を考えるすべてのスタッフの方々と、どういうふうにやったら一番日本の主力の中小企業をさらに活性化できるのか議論させていただければと思います。建設的な議論をよろしくお願いいたします。

 そこで、まず最初に、ここで議論する中小企業を取り巻く現状について、やはり共通の認識を持ちたいと考えます。

 最近、中小企業庁におかれては、いろいろ各地に職員を派遣されて現場の声も聞かれているとお聞きします。そして、さらには、各政府系金融機関や経済産業局の調査を活用しながら現状把握に努められておられるとお聞きしております。

 そんな中でも、経済全体がだんだんと上向きかけているという報告がなされている中で、中小企業についてはまだまだであるという認識も、恐らく大臣もお持ちだと思います。そのお持ちだということを反映して、先日の予算の概要説明のときには、中小企業の部分についてはまだまだであるという趣旨のことを御発言されたと思います。

 この部分について、もう少し詳しく現状について御報告いただければと思います。

坂本副大臣 今の景気は、御承知のように、設備投資や貿易によって幾分回復基調にあると言われております。しかし、民間消費に大きな影響を受ける中小企業は、なかなか容易じゃありません。そんな中で、大企業が設備投資や輸出で支えられている、一方、中小企業は大変だという状況は続いております。

 例えば、生産に関する指標について、景気の谷間とされております二〇〇二年一月の水準から今日まで、ことしの一月まで、大企業では一五%増と大きく回復しているんですね。ところが、中小企業では七・九%とその回復幅が小さくなっております。

 経済産業省といたしましては、引き続き万全の注意を払って中小企業の景気動向に臨んでいく所存であります。

和田分科員 今、概要の御説明はありましたけれども、もう少し中身に入っていきたいと思います。

 まず、いろいろな景況調査におきましてよく活用されているDIというものがございます。大臣以下よく御存じだと思いますけれども、いわゆるこれは景気がよくなったか悪くなったかの実感をそれぞれの当事者に聞いて、よくなったと思う人と悪くなったと思う人の差をとっております。ということは、その差の中にあらわれてこない中に、変わらないと思っている人がいるわけです。

 こういったところが多数に上っているはずなんですが、このDIの動向について、今表面的にはまだマイナスです。マイナスが幅が小さくなっている。要するに、よくなった人と悪くなった人との差が小さくなってきている。ただ、悪くなった人の方が多いということなんですが、この現状認識について、経済産業省サイドでどのように見ておられますでしょうか。

 特に、いろいろな指標においてそれが見られておりまして、景況感全部、もしくは設備投資動向、もしくは雇用、資金繰り、それぞれいろいろあるんですけれども、今経済産業省サイドでどこをどういうふうに見られているか、御紹介いただければと思います。

中川国務大臣 DIは景況感の調査ですから、いろいろな数字があるんでしょうけれども、何か最近のDIを見ていると大分よくなってきたみたいなことが時々報道されておりますが、これはあくまでも景況感の、まさに、データが間違っているとは決して申し上げませんけれども、委員も多分同じ認識だろうと思いますが、依然として私は厳しいところが多いと思います。

 つまり、七%、二・六%という数字も極めて一部の、御承知のように、自動車とかデジタル家電とかITとか関連の輸出並びに設備投資ということでございますから、一説によると、一部上場の二割の会社が六割の利益を上げているということを考えても、非常に全体として底がたいという状況には依然としてないんだろう。

 特に、我々経済産業省から見ますと、企業ごとに見ますし、地域ごとに見ますし、きめ細かくミクロの積み上げで判断をするわけでございますから、それから雇用の問題もございますし、総賃金の問題とか、いろいろなものを考えていくと、私は、いわゆる景況感としても、なかなか、まだまだ回復しているというふうには私の立場からは申し上げられないのが実情でございます。

和田分科員 ありがとうございます。

 よく政府の中で景況感について表現ぶりを調整していくときに、全体の動向と中小企業を取り巻く動向との中で、非常に表現に、調整に苦しむところでございます。大臣おっしゃってくださったように、今はまだまだ中小企業の方には、我々、厳しいという判断を下さざるを得ない情勢だと思われます。

 そんな中なんですが、当然そういう前提を置きながら経済産業省としては中小企業施策に相当の重点を払われているというふうに思いますし、その成果を出していただきたいと思いますが、この議題となっています平成十六年度予算案の中で、どのようなところが今の中小企業がもっともっと活性化するのに不十分で、その不十分な点をどういうふうに対策をとろうとして予算を組まれているのか、簡単に御紹介いただければと思います。

中川国務大臣 まず、十六年度予算は、総理も申し上げていらっしゃるように、これだけの緊縮予算の中で、福祉それから科学技術と並んで中小企業対策は厳しい中で重点的に予算を組んでいますということで、我々も一生懸命頑張らなければいけないなというふうに思っております。

 具体的には、今申し上げたように、真の意味の産業の再生、経済の活性化のために、一つは、中小企業の皆さん方が頑張っているんだけれども、あと一押しというところをどうやってお手伝いをするか。

 先ほどもやりとりをさせていただきましたが、資金の多様化であるとか、無担保無保証の制度であるとか、そういった資金の多様化、あるいは証券化、こういった問題。それから、単に資金だけではなくて人材でありますとか、あるいは販売、技術面も含めて、トータルとしてお手伝いをしていく。

 これは、何もあと一頑張りのところだけではなく、むしろ大学発ベンチャーとか創業支援。御承知のように、一千万円以下でも今、企業が一万数千社ですか、どんどんできる。一円でも今は株式会社をつくることができるというような、非常に思い切った、ダイナミックでスピード感のある施策でもって、本当に困っているところにもセーフティーネットを、あるいはまた産業再生、と同時に、頑張りたい、頑張れるんだというところに対して積極的に応援をしていきたいというような、非常に雑駁な表現で恐縮でございますけれども、そういう形で今回の予算の重点をとっていきたい。また、知的財産権とか技術の支援なんかも重要なポイントだと思っております。

和田分科員 今大臣のお言葉にもありましたが、私なりに中小企業庁、経済産業省が提出されているこの予算案を読み下してみますと、大体こういったところに集約されるのかなと思うんです。

 つまり、今中小企業というのは、日本全国にあります企業数でいうと九七%ぐらい、額にしても七割ぐらいを占めますでしょうか、それぐらいの比重を占めているわけなんですが、それだけに内容は千差万別だ。それなりに、そのカテゴリー分けした中小企業に対して適切な措置を打たなければ、なかなか経済力を担保するだけの勢力にならない。

 そうであれば、私なりに解釈してみますとこんな感じになるのかなと思います。今の中小企業を三つぐらいの視点で見てはどうかと思います。

 一つには、やはりまず前向きにとらえたいと思いまして、将来の日本の成長力を担保するだけの新しい力があるか。これは、経済産業省がつくられた予算案の表現の中では「潜在力」というようなところにつながるのかなと思います。

 次に、この企業が現在やっている事業があるんだけれども、その事業が引き続き日本のために役に立って、経営健全、健全な経営が行われるのかという視点、これが二つ目。これは、現在を担っている人たちが引き続き担えるかということですね。

 三つ目として、よくこれが最近話題になりますけれども、現在は苦境に陥っているんだけれども、今手を入れてあげると、次には、再度立ち上がって、やる気を出して自立した企業に育てるかというような視点。

 こういう三つの視点に集約されるのかなというふうに考えています。

 そこで、私なりの整理に基づいて質問させていただきますが、最初の、新しい力を持っているかどうか、これを見た上で、また、もっと言えば、その力を育てるという政策視点も持った上で、経済産業省としてどんなことに取り組まれておられましたでしょうか。

中川国務大臣 私も大体委員と同じような仕分けで頭の整理をしているつもりであります。

 まず、日本の経済をこれから引っ張っていくんだ、今は小さいけれども、やがては第二の何とかという気概を持ってやっている企業はいっぱいあると思うんですけれども、あると同時に、やりたいと思っている人がおりますから、典型的な例としましては、大学発ベンチャーでありますとか産業クラスターとしてよく言われているようなところ、つまり、産学官の連携とか、あるいはまた、最後は私は人材に行き着くんだろうと思いますから、その人材の能力をフルに生かせるような、さっき申し上げた資金面、あるいはまたネットワークの面とか、そういうところでやっていきたいと思っております。

和田分科員 ありがとうございます。

 そうした視点で施策を打っていくときに、私も実務を担当させていただいた一員として感想を持ったんですけれども、大臣の御指導のもとに予算額を確保していくことには、結構表面的な焦点も当たりますので随分力が払われるんですが、最後に、本当にどういう運用をするかというところについて、まだまだといった実感を実務者として持ちました。

 つまり、新しい力を育て、また育った力を判断する、そして、そこの企業に対しては公的予算を注ぎ込んでさらに力をつけさせる。そういった過程の中で、その新しい力をどのように自分なりにそしゃくしながら、相手となる中小企業に対して、育て、判断するという人材を育てるか。すなわち、行政当局の中での人材育成が大事ではないかという視点を私は持ちました。

 こんな中で、政治家になってみて、地元でのお話を聞いておりますと、やはり、この中央で組み立てた予算の中で、実額として相当大きな規模を用意しているにもかかわらず、末端の、例えば御省におかれましては経済産業局がございます。また、地方での自主的組織としては商工会議所もございます。そういった中におられる人材が、もっともっとこの新しい力をより育て、しかも判断できる、そういったところの視点を持つべきだと思います。

 そういった中で、これからの施策展開におかれては、今重点となっているのは相手に対する実額の支援だと思いますが、さらに言えば、内部における人材支援においても、ぜひ大臣のリーダーシップのもとに予算を獲得していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。どんなにすばらしいものでも、それが海のものとも山のものとも判断ができない、したがってそこに資金を投入できないということになっては全く趣旨に反するわけでございますから、全国の経済産業局、あるいはまた、場合によっては専門家の皆さんのいろいろな評価なり判断もおかりをして、いわゆる我々の方の目ききというものもきちっと充実をしていかなければならないというふうに考えております。

和田分科員 ありがとうございます。

 先ほど三つの視点というふうに申し上げましたが、あとの二つの視点についての議論に移らせていただきます。

 真ん中で述べましたのは、現在、企業が経営健全な状態にあるんだけれども、これが引き続きこの日本を担っていくにふさわしいかどうか。そして三つ目は、今苦境に立っているんだけれども、立ち直って自立できるかどうか、申し上げました。

 こんな中で、私も実は実務担当者、本当の担当者だったんですが、政府系金融機関を使った中小企業への支援策というのは、この数年、随分大きな規模を確保して、真剣に取り組んできております。しかし、そんな中でも、やはり実務の面から見たときに、幾つかの問題点があるのではないかと思いながら過ごしてまいりました。それについて、幾つか議論させていただきたいと思います。

 まず、今現在、民間金融機関も含め、中小企業への融資について、どういう状況になっているか。もう皆さん、釈迦に説法ですので余り深くは申し上げませんが、中小企業に対する融資残高は、この数年、とにかく減少傾向を続けております。その内容は、いろいろな人がいろいろな分析をしております。一つには、今までの融資規模がやはり過大だったのではないか、そういった反省もございます。しかし、一つには、やはり言葉で言う貸しはがしのような現象が起きまして、必要以上に融資が減っているのではないか、そういったことも言われます。

 そういった中で、今、民間金融機関の貸出残高が減っている。政府系金融機関の貸出残高は横ばいぐらいだと思います。この現状について、今、どういうふうにとらえられて政府系金融機関の貸し出し姿勢についてこれから御指導されようとされているのか、これについて御答弁いただければと思います。

坂本副大臣 中小企業金融に関連する指標を見ますと、資金繰りとか貸し出し姿勢については最悪期を脱した、こう思っております。しかし、足元ではまだ、落ちつきつつあるものの、依然として水準は低く、厳しい状況にあることも事実でございます。

 先生おっしゃったように、中小企業の貸し出しの内訳を見ますと、政府系はまさに横ばいなんですが、民間金融機関の方がかなり落ち込んでいるということになります。二〇〇三年、これはずっと減少傾向にあって、今なおそれは続いておるものと思っておりますが、今後は、経済産業省としては、こうした金融環境の中で、やる気と能力のある中小企業に対しましてはその資金供給が円滑に進んでまいりますように、セーフティーネット対策、これに万全を期してまいりたい、こんなふうに考えております。

和田分科員 副大臣に今御答弁いただいた中で、政府系金融機関に引き続ききっちりと役割を果たしてほしいと考えている、そういう趣旨の御答弁としては私も同意見でございます。

 しかし、今ちょっと、御答弁の中で、もしかしたら混乱があったかもわかりませんが、政府系金融機関が担保している役割の中で、セーフティーネット貸し付けの部分については、私もいろいろ担当させていただきましたけれども、やる気と能力がある中小企業に対して支援する、それそのものはおかしくはないと思うんですが、どちらかというと、今現状、相当苦しい立場にあって、何か、外的要因もしくは自分の置かれた業種の要因、そういった中で、今、たちまちの資金繰りを何とかすれば、少なくともきちんとした企業であるという認定のもとにやっている貸し付けだと思います。

 今おっしゃっていただいた中のやる気と能力のある企業というのは、もう少し広くとらえてもいいのかなと。いわゆる、今おっしゃったやる気というのは、苦境にあるんだけれども、やる気を出して頑張って立ち直るぞというような企業のように私には受け取れたんですが、もっともっと、今、何にもないんだけれども、アイデアの段階なんだけれども、やる気とアイデアとを振り絞ってこれから頑張っていくんだというような企業にも、やはり政府系金融機関、公的金融機関の役割として出動していってもいいのではないかなというふうに思いながら仕事をしてまいりました。

 そんな中で、よく政府の立場として経済を維持し活性化させていくために、補正予算等を年度内に打ってまいります。そんな中でよく議論になるんですが、中小企業対策についてもっともっと額を上積みすべきじゃないか、そういうようなことを議論してまいります。

 ただし、そんな中で、本当に実需のある部分について額を張りつけそれを支援していくということは大切なことでありますが、残念ながら、実務を担当してみて、そればかりでもなく、それがないとは申し上げません、そればかりでもなく、ただ今までの貸付枠に対して上積みをするということも、正直申し上げて起きていると思います。

 そこで、政府系金融機関を中心とした資金を中小企業に流し込む仕組みの中では、もっともっと政府全体としてリスクをとって、新しいところ、危ないんだけれども、こいつにはお金を、この企業にはお金を注ぎ込めば日本の経済の成長に役立つ、こういったものを開拓していただきたいと思います。

 先ほど、前に質問に立ちました同僚議員の質問の中で、幾つも施策を打っていらっしゃる様子は十分うかがえます。私も、その幾つかに携わりました。そんな中でも、これがまた同じように、確保した予算を実際にはかせていくための過程で、やはり現場サイドに随分困難が生じております。

 例えば、国民生活金融公庫が実施しております第三者保証を不要とする貸し付け、そのようなものも始めてまいって、実績が徐々に上がってきておりますが、現場で聞く声として、支店長さんの責任が大きくなる、いわゆるリスクをとる分だけ支店長さんの首にかかわるといった声も聞こえてまいります。

 これは実際上、ある程度やむを得ないことではありますけれども、こういったところを全体として検討していただきながら、どうしても新しい力にはお金をたくさんつぎ込んでいただきたい、そういった気持ちを持っておるんですが、そういった実務、運用面における大臣、副大臣、政務官以下の御指導をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 先生おっしゃるとおり、融資判断にある程度の裁量性なり定性性みたいなものを盛り込めば負担がその判断する者に高まるのは事実でございます。しかしながら、そういうことが国民の要請であるとすれば、その支店の融資担当者は、小まめに現場に行って、そういう情報を集めてきて判断をしていくということは不可欠だろうというふうには思っているところでございます。

 ただ、そのときに、単にそういう努力だけでは済まないものもございますので、これから私どもとしては、今、民間金融機関で盛んに行われておりますスコアリングシステムとかいうことで、融資判断をする技術が向上しつつあるわけでございます。私ども自身もCRDというあるシステムに関与しておりますけれども、こういったものも大いに活用しながら政府系金融機関の融資技術を高めていくということも、そういったリスクを下げていく上で必要ではないかというふうに考えております。

中川国務大臣 長官から申し上げたとおりですが、私も昔金融機関にいたことがあるんですけれども、やはりこれはリスクが伴う、しかし、それがうまくいけばとても満足感があるということです。

 特に中小企業向け金融機関ということになりますと、やはり地場といいますか、よく足を運んで、地域なりその企業の情報をとると同時に、リレーションシップバンキングじゃございませんけれども、いろいろなところと連携をして情報をとりながら、これは一つの手法としてはなかなかリスキーだけれども、でも、ひょっとしたらとてもいい案件かもしれないぞみたいなところを、やはり日ごろから担当者、特に政府系金融機関の担当者が今まで以上に頑張るということが必要なのかなと思っております。

和田分科員 いみじくも、大臣が今おっしゃったところへ私も議論を進めていこうと思ったんですが、中小企業に対してまだまだ、よりきめ細やかな担当者なりそれから施策なりが必要ではないかと思っておるわけです。

 そんな中で、地域金融について、経済産業省としてもいろいろ御努力を払われ、施策を打っておられます。

 先ほど来、幾つか質疑の対象になりましたけれども、いわゆる中小企業再生支援協議会、こういったものが各都道府県に少なくとも一つは設けられて、今、再生企業を見つけ出す作業をされているかと思います。私自身もこのアイデアに携わった方ですので、これが着実に実績を上げていくことを心から期待しておりますけれども、現場で、現場というのは各地域で、それぞれ対象となっておられる企業や、その企業を取り巻いて相談している人たちのお話を聞きますと、音頭を取られている協議会のリーダーシップが各都道府県によって幾分熱意に差があるように感じられます。

 御省の出身者で岡山市長がおられますが、萩原市長が率いられているせいなのか、岡山県では相談件数が随分たくさんに上っています。相談をすれば実績が上がるかというと、実績件数はまだそんなには伸びておりません。ただ、たまたま私が地元としております広島県の福山市は岡山県に隣接していまして、企業がその県境を挟んでどちらででも操業しておったりします。

 そういった中で、両県にまたがる企業、もしくはそれぞれに移転し合う企業、そんな中から聞こえてくるのは、協議会へ相談しに行く敷居の高さであると。それからもう一つは、その協議会で協議するメンバーとなる地場の金融機関の姿勢であると。さらに言えば、一たん相談に乗った上で、その後どのような施策を講じるかということについて、いわゆる査定になっておって、一緒に蘇生していく側に立っていない、そういった御批判を耳にしてまいりました。

 これは、当然、個々のケースに応じていろいろなことがありますので、そういったことがあったからけしからぬというのではなくて、もっと前向きに、どうやったら、全体の協議会の姿勢が、もっともっと中小企業に対して相談しやすく、ひいては実績が上がる効果につながるのか、こういった面で取り組む今後の取り組み姿勢について、御決意をお聞かせいただければと思います。

望月政府参考人 先生おっしゃいますように、携わっておられる方のやり方、意欲等々によって実績も変わってくるのも事実だろうと思います。

 したがいまして、私どもとしては、これは本来、全体として自主的な活動を支援するという立場でございますけれども、それぞれの地域における経験を他の地域にもぜひ参考にしていただきたいということもございまして、なかなか個別企業情報を流通させるわけにまいりませんものですから困難はきわめておりますけれども、手法等について、こういったことをやったらうまくいったケースがあるとか等々をできる限り分析して公表して、他の支援協議会の参考にしていただきたいというふうに考えて努力しているところでございます。

 加えまして、年に数回、東京に各協議会の代表に大臣のもとに集まっていただきまして、そういう経験をお互いに交換し合う、あるいは共有し合うというような努力を深めることによって、この自主的な活動というのがよりレベルの高いものになっていくのではないかというふうに期待しているところでございます。

和田分科員 時間もなくなってまいりましたので、最後に、こういったもろもろの、最初に申し上げた三つの視点を大事にしながら中小企業施策を打っていく、これについては先ほどから大臣からも同趣旨のことを御答弁いただきました。

 今後とも、よりきめ細やかな視点で精緻に中小企業に対する施策を打っていただきたいと思います。

 例えば、業種ごとにまだまだ中小企業の実情は異なっております。また、地域によっても相当隔たりがございます。そんなところに、この東京におりますと、総額幾らという議論が先にありきというふうにともするとなりがちでございます。そこを何とか、中川大臣以下のリーダーシップによってさらにきめ細やかな施策展開をしていただければと思います。

 最後に、大臣の御決意を聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。

中川国務大臣 今委員の御指摘のとおりだと思います。

 と同時に、と同時にといいましょうか反論ではございませんが、もう少し自由に、思い切ってやれるということに対しても、我々はフレキシブルに対応していかなければならないと思いますが、地域によって、業種によって、また経営者のいろいろな意味での個人差によって、六百何十万社ある中小企業、零細企業も含めまして、できるだけ精緻に対応していきたいと思っております。

和田分科員 ありがとうございました。

中馬主査 これにて和田隆志君の質疑は終了いたしました。

 次に、梶原康弘君。

梶原分科員 民主党の梶原康弘でございます。

 ここでは、商工会議所も含めて商工会と申し上げたいと思いますが、商工会と町づくりというようなことをテーマにして質問をさせていただきたいと思います。

 私は、兵庫県の丹波篠山というところで、十五年以上にわたって小企業の経営を営んでおります。大手電機メーカーの下請の会社で、精密部品をつくっております。

 空洞化の危機感というのは常に感じておりますし、融資も大変受けにくくなってきた。また、雇用の問題であるとか技術を持った人材の不足であるとか、さらに、もちろん経営の面ではコストと品質問題。品質も、かつては不良をパーセントで表示しておりましたのですが、今ではppm表示をしている。小さい企業ではありますけれども、本当にさまざまな経営課題を抱えている、こういう状況でございます。

 そしてまた、やはり十年以上にわたって地元の商工会の役員をしておりまして、今篠山市の商工会の副会長という立場でございます。

 そういう意味では、自分の責任も大きいわけでありますけれども、今商工会が果たして商工業者の期待に十分こたえておれるのかどうか、そういったことをいつも考えてきたわけでありまして、もちろん商工会に対する愛着がありまして、今、しっかりと商工会が力をつけていかなければ地域の経済というのが衰退していく、そういう危機感を持っておりまして、そうした観点で質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まずは、商工会が昭和三十五年の商工会法の成立によって誕生したわけでありますけれども、それを必要とした時代背景とともに、その目的をお伺いしたいと思います。

菅大臣政務官 お答えをいたします。

 今委員言われましたように、三十五年に制定をされたわけでありますけれども、当時というのは、まさに我が国が社会的にも経済的にも戦後復興の途上にあったわけでありますね。そういう中で、やはり大企業と小規模企業の格差というものが非常に顕在化をしてきた、そういう中で小規模事業者の指導のための体制を確立しなきゃならない、そういう中から商工会法が制定をされた、こういうふうに思っております。

 当時、また、都市部においては既に商工会議所が整備されていましたけれども、町村部においては任意団体でありましたので、いち早くそういう状況のもとに法的な位置づけを与えて、商工会のもとに小規模企業を充実させていこう、そういう目的によって制定をされたというふうに思っています。

 その主な業務としては、私が申し上げるまでもなく、委員の方がよく知っていらっしゃると思いますけれども、あえて言わせていただくならば、小規模事業者等に対する相談、指導の実施、商工業に関する情報の収集や提供、講演会の開催、行政庁等への意見具申、こういうことを行っておるわけでありますけれども、まさに地域の活性化にはなくてはならない団体である、こういうふうに理解をしています。

梶原分科員 今お尋ねしたとおり、商工会を取り巻く状況というか、発足当時と今とは随分変わってきているのではないか。

 当時は、経済がどんどん伸びていって、ただ、商工業者のレベルも大変低かったと言えるのではないか。帳簿さえつけていなかった、そんな業者もあったというふうに聞いております。今では、パソコンが普及して、簡単にだれでも記帳ができる。あるいは、税務のことについては税理士がいますし、社会保険のことについても社会保険労務士が各地に今いるようになった。また、金融機関も、今は本当に全国津々浦々に店舗を張りめぐらしている。そういう状況の中で、商工会に求められる、中小事業者が力がないからそれをまとめるんだというところから、さらにレベルアップをしていかなくちゃいけない、こういうふうに思っているわけです。

 もちろん、今でも、零細な事業者に対しては、お役所からの情報を提供したり相談に乗ってもらったりということがあるわけでありますけれども、経済構造、社会構造が大きく変化してきた中で、地方の経済が本当に厳しい状況にある。商工業者の願いとするところ、期待するところは別のところにあるんじゃないかな、そういうふうに思っております。

 私どもの商工会でも、二月に一回理事会がありまして、このところ欠席しているわけですけれども、毎回のように離脱者が出て、報告がある、こんなような状況なんですけれども、商工会の組織率なり、仮に下がっているとすれば、その原因というのがどんなことなのか、お願いをしたいと思います。

菅大臣政務官 発足当初と比較をして、経済も当時は八%成長の時代でありました、現在はこのような状況でありますので、新たなということも、これは極めて大事なことであると思っています。

 平成十五年七月時点の商工会の組織率は六三・二%でありまして、近年、おおむね横ばいに推移をいたしております。

梶原分科員 昨日は、株価も一万一千二百円台だったでしょうか、回復したということでありまして、景気は大企業を中心に回復している、こう言われております。また、大都市というか首都圏を中心に、ますます一極集中が進んでいるのではないか。集積の利益というか、強いものはますます強くなってまいりますし、弱いものはますます弱くなっていくのではないか。特に、地方においては、少子高齢化、人口の流出、産業の空洞化、さらに地方財政の窮迫というような中で、ますます大都市との格差が広がっているという現状にあろうかと思います。

 大都市においても、確かに、過当競争のような中で、小売とかサービス業とか大変厳しい状況にあると思いますけれども、地方では、商店街そのものが壊滅をする、あるいは製造業にとっては、中国へ行くか廃業するか、どちらかの選択しかないというような、極端に言えばそんな状況にあるのではないかというふうに私は思っております。

 こんな中で、町村部の唯一の経済団体である商工会が十分機能していないのではないかなというふうに思っております。このまま放置するということになりますと、雇用の機会が減少する、あるいは商工業の撤退によって住民の利便性が損なわれていく、また税収の落ち込みということもあるでありましょうし、地方そのものが成り立たない。それこそお年寄りだけのそういった町になっていって、これは大きな社会問題になっていく、少子高齢化の中でそういうふうに言われておりますけれども、本当に地方にそういったものが失われていくんではないか、そんな危惧を持っているわけであります。

 商工会というのは、そうした地方経済なり中小企業というのを支える、そういった役割が与えられていると思いますけれども、まずその中で重要な要素として、人材というのがあろうかと思います。商工会にも、補助金を出して経営指導員というのを設置しているわけでありますけれども、どういうふうに機能しているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

坂本副大臣 商工会の組織の問題あるいは経営指導員の問題、まことにどちらも重要な問題だと思っております。

 商工会の組織強化といたしましては、中小企業施策に対するニーズの多様化あるいは地域経済活動の広域化に伴いまして、経営指導の高度化や商工会活動の広域化が一層必要となってきていることを考慮して、商工会の事業実施体制の強化及び広域的な実施のための体制づくりを可能とするために、平成十三年に商工会法を改正いたしまして、合併規定等の見直しを行っております。

 また、経営指導員の資質向上を図ることも重要であるということで、中小企業大学校における中小企業支援協力機関職員研修や、商工会連合会における金融、税務等の基本能力研修、マネジメント、マーケティング等のテーマ別に実施する専門スタッフ養成研修などを実施しているところであります。

 さらに、平成十六年度予算においては、経営指導員の資質向上を図るための抜本的な対策として、全国統一のカリキュラムによるイントラネット上での経営指導員の継続的な能力開発、達成度のチェックシステムを構築するとともに、経営指導員の研修評価試験を実施することといたしております。

 今後とも、このような施策を通じて、商工会の組織強化や経営指導員の資質向上による指導体制の強化に努めてまいります。

梶原分科員 経営指導員といいますと、私にとっては仲間でありますし、皆本当に危機感を持って頑張っているわけでありますけれども、確かに、そうした資質の向上であるとか教育というのがなされていることは事実であろうと思いますけれども、今、大変高度化した経済の中で、あるいは地方というのは、人口が減少していく中でもう商売そのものが成り立たない、多少店舗をよくしたって何したってお客さんがいないという中で、新しい業種、業態とかサービスというものを考えていかなくてはいけない、そういう状況にあると思うんです。

 むしろ、その中で知恵を出せばいいものができてくるかもしれない、そういう面もありますけれども、それには、大変な努力であったり、知恵であったり、発想であったり、あるいは業者間の連携であったりというものが必要ではないか。今、それを担っていく人材が僕は地方に必要なんではないかなというふうに思っています。さまざまな情報、発想、事業連携、そうしたことを、その地域の中でなかなかそれだけの人材がいない、育っていないというのが実情じゃないかなというふうに思っておりまして、そういった点について、ぜひ重点的にというか、充実を図っていただきたいなというふうに思っております。

 今、組織の問題にも少し触れていただいたんですが、これは私たち自身が常日ごろ感じていることなんですが、商工会の意思決定機関というのは理事会というのがあるんですが、果たして機能しているのかなという思いであります。

 それぞれの役員は皆、商売をやっておったり、業種もさまざまでありますから、本当にまとまりがない。そうなると、勢い事務局主導の運営になってしまいます。実際、商工業者の意思が反映されるというよりも、商工会事務局の主導の運営ということになる。また、事業にも、地域総合開発事業というのを予算もつけてやっていただいているわけでありますけれども、これまで、自分自身、反省として振り返ってみても、一過性のイベントで終わってしまう。ですから、本当に業者が求めているということでなくて、予算消化と言っては大変ちょっと語弊があるんですが、一過性のイベントで終わってしまっているという嫌いがあるんではないかなというふうに思います。

 せっかく補助金をつけていただいて、地域活性化のためにそうした措置を講じていただいているわけですから、ぜひとも生きた事業をしていかなければいけないというふうに思っています。要は、地域の唯一の経済団体であろうと思いますので、強い商工会をつくっていかなければいけないんじゃないか。

 先ほども申しましたけれども、新しいビジネスチャンスを提供できるとか、あるいはその地域の特性を生かして、よそにないような、その地域なり資源を磨いていくというか、そういったことが必要なんであって、それができる、それを担い得る商工会をつくっていくということでなかろうかというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。あえてもう一度、お願いします。

菅大臣政務官 現場で実際に商工活動をされておられる委員がおっしゃるとおりなのが、全く私はそれが実態であると思っていますので、私どもとしても十分に配慮していきたいと思います。

梶原分科員 続いて、創業支援、新事業支援について伺いたいと思います。

 バブル崩壊以降、廃業率が開業率を上回るという状況の中で、支援策の充実を図ろうとしていただいておりますけれども、どういう成果が上がっているのか。もし具体例でもあれば、それに触れてお答えいただきたいと思います。

菅大臣政務官 創業促進のために資金と人材両面から行っておるわけでありますけれども、国民生活金融公庫を通じてのこの事業計画、新創業融資制度、内容がよければ無担保無保証という形で五百五十万円まで融資する制度でありますけれども、今日まで八千九百件、二百八十億円の実績を上げております。その中で、新規開業者は約四割おります。さらに、本年の四月一日から五百五十万を七百五十万に引き上げをして、この事業の推進を図っていく予定であります。

 さらに、この人材確保のための創業塾、これは昨年度は七千人の受講実績を上げております。

 いずれにしろ、先ほど委員が言われましたように、こうした事業を展開するについて、商工会が極めて重要な役割を果たしておられるわけでありまして、強い商工会をつくるというお話がありました。私どもも、そのことを十分肝に銘じて頑張っていきたいというふうに思います。

梶原分科員 創業支援について、本当に要望なんですけれども、大都会のような条件のよいところでは、一概には言えませんけれども、成功するチャンスも高いんではないかなと。先ほども申しましたけれども、本当に地方の人口が減少している、条件の悪いところでは一生懸命頑張ってもなかなかうまくいかない。ただ、そういう条件の悪いところでこそ、知恵を出して努力をすることによって新しい業態をつくって、住民にサービスを提供できるということであろうと思いますので、ぜひ、本当に地方の状況を考慮して、そういった創業支援についても新事業についても、その新しい知恵であるとか発想というものを提供しつつ支援をいただきたいなというふうに思っております。

 続いて、TMOの取り組みについてお伺いしたいと思います。

 先ほど来同じようなことを言っておりますが、大都市やほんの一部を除いて、商店街というのが壊滅状態というか、衰退の危機にあるわけでありますけれども、そこで、TMOということで、全国各地から数多くのTMO構想が出ていると聞いております。しかしながら、なかなか実効が上がらないということと聞いておりまして、その問題点がいかなるものか、お答えをいただきたいと思います。

坂本副大臣 全国で三百十六カ所のTMOが設立されまして、積極的に事業展開を行っている事例もありますが、中には、まだ成果を上げるに至っていないというTMOもかなり存在いたしております。

 中小企業庁では、タウンマネジャーなどを構成メンバーとするTMO懇談会を設置いたしまして、課題や対応策について報告を取りまとめました。この中では、TMOを推進していく上において四つの大きなポイントが出ているんですが、一つは、行政のイニシアチブ。これは、市町村が本気にならないとなかなかうまく進まないという。もう一つは、TMO事業推進を担う専門人材の確保。これは、大手スーパーの支店長経験者であるとか、いろいろなそういう専門的な方々に見てもらうと大変早く進んでいく要素が強いと、今までの事例から挙がっています。それから、商工業者等の理解と協力。これが、実はTMOをやろうとするエリア内の方々が全然理解をしていない、こんなもの関係ないじゃないかという人もいると、なかなか進んでいないという。さらには、TMO事業の重点化とコンセンサスの形成。これは、やりたい希望事業がいっぱいあるんですね。どれもこれもやっているとまとまらなくなっちゃうという例が多々あるらしくて、やはり重点的に、一つなり二つなり重点化をしていく、コンセンサスをしていく、こういうことが大事。この四つがポイントである、こう言われております。

 経済産業省としましては、このTMOが成功するには、商工業者、あるいはTMO、地方自治体、それぞれが役割をしっかり果たすことだ、こう思っておりますので、その取り組みの支援を通じて、一つでも多くの成功事例をふやせるようにこれからも取り組んでまいる所存でございます。

梶原分科員 今おっしゃられたとおりだと思います。私もそういったことにかかわってまいりまして、そのとおりだと思うわけですが、私の出身の篠山でもTMOをつくっておりまして、先ごろサポート事業に指定をされたということを聞いております。そのサポート事業というのはどういうものなのか、御説明をいただきたいと思います。

坂本副大臣 事業団の専門家が現地に入って、専門的にそれを指導していく、そういう制度でございます。

梶原分科員 篠山がたしか全国五カ所の一つとしてサポート事業を強力に推進しようということだと聞いておりまして、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 これまでは、地域振興、私たちもいろいろな補助金をいただいて事業をやってきたわけでありますけれども、今までは、反省も含めて言えば、補助金をいただいて地元の事業を進めていくということであるわけですが、どうしても生きたお金の使い方というのができていない。これからは、もうそういった甘えとかは許されないで、成果をきっちりと出していかなければいけないというふうに思うわけですが、町づくりというのは、物産とか景観とか、あるいは人材とか住民の協力とか、いろいろなものを総合的に力をつけていかなくちゃいけない、こういうことだろうと思いますので、ぜひとも御支援をいただきたいというふうに思います。

 篠山の問題で例に挙げて申し上げたいと思うんですが、担当者に聞きますと、やはり今の悩みとして、地方交付税がカットされて市の協力というのがなかなか得られないということであるとか、運営や計画策定のための常勤職員の人件費が対象外になっているということであるとか、あるいは篠山の場合は空き店舗を利用したでかんしょハウスの整備というもの、あるいはJRバスの跡地を利用した観光客誘致のための拠点の施設をつくろうとしておりますけれども、いずれにしても資金が不足をしているということでありまして、そういった点についても前向きにぜひ考えていただきたいなと思っておりますが、そういった点についてはいかがでございましょうか。

坂本副大臣 今いろいろな要望が委員からありましたが、今後とも、地域の要望をいろいろ拝聴しながら支援充実に努めてまいりたい、こう思っております。

梶原分科員 また、ジャパン・ブランドについてもお伺いしたいと思うんですが、商工会、商工会議所に委託をして事業を進めるということで、地方や中小企業に目を向けていただいているというのは大変ありがたいことだと思っているんですけれども、具体的にどういう事業になるのか、教えていただきたいと思います。

菅大臣政務官 このジャパン・ブランドの育成支援事業でありますけれども、既にある地域の資源や、能力はあるけれども埋もれている技術、そうしたものを活用した製品を全国や海外のマーケット、ここに通用する高い評価を得られるように、製品等の価値の向上や新市場の開拓、こういうものを総合的に支援していく事業であるというふうに考えております。

梶原分科員 冒頭から申し上げているように、商工会の役割にしても、創業支援とか新事業の支援にしても、あるいはTMO、もうすべて共通することだと思いますけれども、最も重要なのはやはり人材ではないかなというふうに思います。

 今、地方分権というのが政治課題になっておりまして、私ももちろんそうあるべきだと思いますし、今の三位一体の議論というのは異論はありますけれども、地方分権の方向に行く、権限なり税源なりというのを移譲していこうとしている、その方向にあろうかと思います。しかし、人材の分権というか、地方に一番枯渇しているのが人材である。もう一つ、資金というのももちろんあるわけでありますけれども、せっかくのいろいろな手だて、施策も、人材がないことによって十分に機能していないということがあるのではないかな。

 地方分権の中で、中央の仕事を地方に持っていっているわけですから、当然地方で仕事がふえる、あるいはまた中央の仕事というのが軽減されていっているはずでありますし、ぜひ情報にたけた、技術を持った、ノウハウを持った優秀な人材ができるだけ地方に行く、それで、その地方で経済基盤を養うことに力を出していただければ、これは本当に大きな効果というのが生まれるんではないか、このように思っておりまして、優秀な人材を地方に配置してその地域の活性化を図るということをしなければ、周辺がもういずれも過疎化して、将来とんでもないことになるというふうに私は思っておりまして、ぜひ人材の分権を進めていただきたいということを申し上げ、最後に大臣からお伺いできればありがたいと思います。

中川国務大臣 委員の御出身地は日本の典型的な中山間地帯だろうと思います。私のところも、中山間ではありませんけれども、積雪寒冷地帯ということで、そこが活力を得るためには、今御指摘のように、やはり夢を持った人材が集まる。そのためにはどうしたらいいかということになりますと、人づくり、教育の問題がありましょうし、また、一次産業、二次産業、三次産業含めた産業といいましょうか、企業の集積ということになりますから、今お話をお伺いしておりましても、今全国十何万集落あるのかわかりませんけれども、それぞれの地域がそれぞれの特徴が生かせるように、やはり主役はそこに住んでいる方々だと思いますので、そこの夢なり知恵なりをどうやって我々がバックアップをさせていただくことができるかということだろうと思います。

 上からお仕着せでぱっと、これをやりなさいという時代はもう終わったんだろうと思いますので、ぜひ、地方の、その御地元のパワーを我々が後押しさせていただけるように頑張っていきたいと思っております。

梶原分科員 ありがとうございました。

中馬主査 これにて梶原康弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)分科員 民主党埼玉七区の小宮山泰子でございます。

 中川大臣におかれましては、二日間、さまざまな質問があり、大変だなとは思いますけれども、本日午前中最後の質問をさせていただくようでございます。また、経済産業省の問題、景気回復や経済環境の活性化においては大変注目を浴びる分野だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、金融の分野にも大変精通していらっしゃると思います中川大臣に、経済活性化のための産業金融機能強化について質問させていただきたいと思います。

 この強化策におきましては、現状、そして対応の方向、さらには具体的な対応と、とてもわかりやすく分類されておりますけれども、大臣の具体策の実現への工程につきましてぜひお聞かせいただきたいことと、そして、この方針にて経済の活性化をしていくということは大変重要なことだとは思うんですけれども、しかし、現内閣が景気回復の宣言をされている割には、まだまだ地方の中小企業においてはその実感というものは伝わってきておりません。つきましては、この強化策を何年ほど、そして継続的に見直しをしながら実行していくのかということについてもお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。

中川国務大臣 多分、お手元に、産業金融強化策という一枚紙が、できるだけわかりやすくということでお示ししていると思いますが、今の経済の現状をどうやってよりよい、真の意味の回復にしていくかという観点から、やはり金融の役割というのは非常に大きいんだろうと思います。必要な資金が適時適切にといいましょうか、できるだけ速いスピードでニーズのあるところに供給できるということが必要であって、そのために金融機関あるいはまたその他、いわゆる新しい資金供給セクターを含めて多様な手段でお金が供給できるということが経済再生にとって一番大事なポイントの一つだろうと思っております。

 そういう意味で、さまざまな手法を利用して、できるだけスピード感を持ってやっていくことが大事だということでございまして、総論的な話で恐縮でございますけれども、そういう観点からこの産業金融の強化策というものを全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

小宮山(泰)分科員 具体例などを挙げていただくと大変うれしかったんですけれども。

中川国務大臣 例えば、金融機関ということになりますと、今までですと、有担保、土地中心の有担保で、しかも中小企業に対しては担保のほかに保証とかいろいろなもの、本人保証それから第三者保証も含めてやっていく。これではもう時代のスピードに合っていかないであろうということで、これから委員会でいろいろ法案を御審議いただきますけれども、例えば、金融機関が無担保でお金を貸すことができる、それを証券化することによって、いわゆるリスクをマーケットで判断をしていただくというような手法、あるいはまた、企業が持っている売り掛け債権とかあるいは在庫資産とか、そういうものも証券化をして、それを担保にしてお金を融通することができるとか、あるいはまた、いろいろな民間の、さっきちょっと申し上げましたけれども、いわゆる金融機関ではない、民間のいわゆる事業組合がファンドを形成して、そして出資なり融資なりをするというようなことも含めまして、これは中小企業に限らずですけれども、特に中小企業向けには、先ほどから何回も申し上げておりますが、有担保あるいは保証等にこだわらない形の資金供給というものも検討をして、これから法案を提出して御審議をいただきたいということでございます。

 適時適切にお金を供給すると同時に、万が一のときの再生支援策というものも迅速にやっていく。仮に破産ということになったときには、その破産から二度と立ち上がれないのではなくて、スピーディーにきちっと整理をして、もう一度経済的な復活ができるということも含めて、総合的にやっていきたいということでいろいろと対策を考えているところでございます。

小宮山(泰)分科員 非常におもしろいと言ったら失礼なんですけれども、非常に可能性のある分野だと思います。

 金融とまた経済というのはどんどん動いておりますので、こういったプランに関してはまた随時見直しが必要かと思うんですけれども、その時期をぜひ、時期というか、どのぐらいの頻度で見直しをされていくのか、その点も教えていただければと思います。

中川国務大臣 先ほどから御答弁申し上げているように、今の経済状況というものを考えたときに、頑張っているところは頑張っている、それから、もう少し頑張りたいんだけれども、資金面、技術面あるいはまた人材面で少しみんなの協力が必要だねというところに対しても対策をとる、あるいはまたセーフティーネットなり再生ということで、大きく分けて、先ほどのやりとりじゃございませんけれども、私も大くくりで三つぐらいの仕分けで考えていった方がわかりやすいのかなというふうに思っております。

 それが効果があれば、また次の対策というものを考えていかなければなりませんし、もっと必要なことがあれば追加的にどんどんやっていきたいと思いますが、いずれにしても、今のこの経済金融状況を打破するための最善の施策を今やっていくということで、景気がよくなれば、今申し上げたようなことはまた新たな段階に入っていくだろうというふうに思っております。

小宮山(泰)分科員 ぜひまた、先ほどお話のあった点のうちなんですけれども、無担保の件はいろいろな問題をはらんでいるかと思います。私も県会議員のときに、現実に無担保と行政が言ったものに対して、最終的には信用保証協会の方で担保をとるという、全く無担保ではなかったり、そういった問題もあります。やはり景気回復には、多面的にまた随時見直し等はしていっていただきたいということをつけさせていただきます。

 続きまして、リスクへの対応の多様化問題につきまして質問させていただきます。

 在庫担保等の制度整備、また売掛債権担保制度の普及促進や、そして企業経営者の再起促進制度整備などを、具体策としても今回取り上げていらっしゃると思うんですが、もう少し具体的にこちらの方も、実行プランと実現時期につきまして御説明いただければと思います。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御質問のございましたリスクへの対応の多様化でございますが、御高承のとおり、現在の銀行の融資というのは、不動産担保とかあるいは保証人というものに過度に依存をしているわけでございまして、こういった状況の中で、中小企業を中心に企業側では、新しい形態の融資を導入してもらいたいという期待が大きいわけでございますし、また金融機関の側でも、多様な資産を活用した新たな取り組みというものを求めたいという状況にあるわけでございます。

 こういった中で、先ほど中川大臣の答弁にありましたように、中小企業金融を中心にしたリスクへの対応の多様化につきましても、今回の強化策の中で、一つの大きなテーマとして取り組んでいるわけでございます。

 今先生から具体的に幾つか論点がございましたので、それにつきまして御説明を申し上げます。

 まず、在庫担保の制度整備でございますが、これは、土地にかわる担保として、在庫などを担保としてうまく使えないかという問題意識がございまして、これは現在、法制審議会で登記制度の整備といったようなものを検討いたしております。この二月に中間報告がまとまっておりまして、今、各方面から意見を聞いているという状況でございます。

 それから、売り掛け債権の担保融資保証制度、これは平成十三年の十二月に始まったものでございますが、逐次、これの利用促進を図るために、各方面に、例えば譲渡禁止特約を解除するというようなことについて協力を強く要請してまいりましたけれども、昨年の十一月にも改めまして、関係業界とかあるいは地方公共団体に対しまして、その積極的な取り組みというものを強くお願いしたところでございます。引き続き、この利用促進に当たって最大限の努力をするということだと思います。

 それから、企業経営者の再起促進制度についてお尋ねがございました。

 今国会におきまして、法務省から、一つは、破産者の手元に残る財産、これの範囲を拡充するための破産法の改正、それから再生手続に関しまして、個人事業者の方が簡便に使える手続がございますが、その対象者の範囲を拡大するということを内容といたします民事再生法の改正案を今国会に提出させていただいているというふうに承知をいたしております。

小宮山(泰)分科員 ありがとうございます。

 今お話、少しあったようですけれども、担保や人的保証に過度に依存しない金融について質問させていただきたいと思います。

 この問題につきましては、相当長い間さまざまな方面からも論議がされているかと思いますが、努力はされていますが、余り現実的には進展を見ていないように感じられています。

 今、日本経済の低迷、脱し切れませんけれども、最大の理由として、金融機関の破綻や合併吸収、事業統合、中小企業事業者が経営の失敗など、いろいろな理由がありますけれども、それとは異なる問題にて、今まで築き上げてきた資産など、本当に打撃を受けるということがあります。

 私のいます川越市、埼玉県でありますけれども、こちらの方、どうしても中小企業、零細企業が多く、また、海外への生産拠点の移転などによっていろいろな破産のケースや、そして事業展開、いろいろなこともあります。また、小川信用金庫がつぶれたことによっての、地元金融機関がなくなったということによっても大きな打撃も受けておりまして、また中核市や業務核都市という行政の変化もございました。そういう意味ではいろいろなケースが耳に入ってまいります。

 事業者は本来、事業者が持っている資産というもの、先ほど、再生をするための拡大をされるということもされていますけれども、それまで本当に努力して築いてこられた資産なども、また事業拡大を本当に戦後頑張ってしてきたのも、本当に、雇用調整を行ったり、自分の給与を場合によってはカットをして頑張ってこられています。血のにじむような努力をされてきていますけれども、第三者保証によって家族が住んでいる自宅も担保にとられ、また個人保証とかそういった形で血縁や、そして従業員、知人などにも、金融機関にいわば人質をとられたような形、大変あります。

 本日、新聞の方にも載りましたけれども、衆議院の経済産業調査室が出した実態調査の中においても、中小企業に著しく厳しい資金状況があるというふうにありました。その中にも、追加担保の要求など担保条件の強化ということが三四・三%、実際に貸し渋りを受けた中で要求された。実際に、優良の企業ではあるし、ずっと返し続けたそこそこの財政状況の会社が、このままでは貸せないから、次に借りるときには金利を上げてくれということを言われている。今まで何の問題もないのに、逆にここからなら取れるということで取っていく、そういった金融機関の状況がある。しかし、実際には、借りなければ次の操業ができないということでそれをのまざるを得ない、そういう本当に苦しい状態が続いています。

 また、私自身、青年会議所のメンバーであるんですけれども、数年前に提言書、日本青年会議所、この日本青年会議所というのは、御承知のとおり、地元の中小企業や零細企業、そういった人たちが、多くは二代目であったり、もちろん創業者もいます。大手ではありません。そういった企業や事業主、若手の事業主の集まりでもあります。ここのつくりました「自立立国」という提言書の中にも書かれておりました。連帯保証人など第三者保証の問題、ここをやはり解決していかなければ、本当に全国的な景気の回復に向かうとは思えません。この点に対して、いかが大臣もお考えになるのか。

 また、現行制度を利用して、一部の消費者金融などが悪用をしている、最初から第三者保証人をねらうというような悪用もされていると聞いております。この問題には迅速なる解決というものが望まれていると思いますけれども、所管の問題もあるとは思うんですが、大臣が率先して関係省庁とともに問題に取り組まれているのか、ぜひ御所見も伺いたいと思います。

中川国務大臣 担保あるいは保証の問題は、今杉山局長から具体的に答弁いたしましたけれども、先生の御地元が地方と言っていいのかどうかわかりません、都市圏だとは思いますけれども。だけれども、全国のさまざまな地域の企業、特に中小企業が依然として、まだまだ一部の大企業に比べると厳しい状況にあるという認識は私も強く持っております。

 どうしたらいいのかということになると、かなり個別具体的なケースというものがあるんだろうと思います。今のお話ですと、設備資金が回らない、つまり、設備意欲はあるんだけれども、金利が少し高いから借りたくても借りられないというケースもありますし、そもそも運転資金が回らなくて、給料も払えないというような中小企業もあると思いますし、いずれにしても困っているわけですけれども、そういう個別具体的なところに対して、いろいろな施策、先ほど私も、杉山局長からも申し上げましたが、とにかく、相談に乗ってくれたらどういう適切なアドバイスなり、その後どこかに紹介してくれるかということが大事だろうと思うんですね。その一つが、中小企業再生支援協議会が四十七都道府県にございますし、先ほどの御質問にもありましたが、商工会議所、商工会等がきめ細かい相談をいたしますし。

 これはよく御質問を受けますけれども、いろいろな制度があって、一体どこに行ったらいいかわからないという現場の声も確かにあるんだろうと思いますから、パンフレットをつくっていますとか、インターネットでやっていますといっても、一々パンフレットを十何枚集めなきゃいけないとか、そういうことでは、行政サービスあるいは公的金融機関のサービスとしてはちょっと不十分ではないかと思いますので、ここに一カ所行けば大体のことはアドバイスが受けられる、そして、自分にとって今一番ベター、ベストな処方せんはどういうものなんだろうかということをきちっと対応できるようにしていくことが大事だと思います。そういう意味で、きめ細かなこういう中小企業対策、中小企業金融対策をとっていくことが大事だろうと考えております。

小宮山(泰)分科員 ありがとうございます。ぜひそのきめ細やかなサービスというものを拡充していただくことをお願いしたいと思います。

 次に、商工会議所法及び商工会法の一部改正する法律について伺わせていただきたいと思います。

 今回の法改正において、商工会の合併をスムーズにし、また実態ニーズに応じた法案とされるということでございますけれども、巨大化した合併後の商工会で、旧商工会同士の派閥化や、同業他社のライバル化などを発端としたいろいろな争いというもの、中では当然お金が絡みますので、問題点が生じるんではないか。実際、市町村の合併においては、直前になってだめになったり、また合併後も、もともとの市町村においてはいろんな勢力争いみたいなことも聞こえてまいります。

 この点についてどのように対処されていくのか、また指導方針などありましたら、想定されているのかもあわせて、よろしくお願いいたします。

望月政府参考人 商工会は、地域の商工業者によって設立、運営される自主的な組織でございますので、商工会同士が合併を行うかどうかということは、地域の商工業者がみずからの意思で自主的に判断を行うという基本的考え方になってございます。

 したがいまして、商工会の合併に当たりましては、各商工会の会員による総会によって合併の決議が必要になるということでございます。加えて、実際上、合併予定の商工会の幹部を初めとして、都道府県、市町村、都道府県連合会などの関係者によって事前協議が行われるということなど、会員事業者のみならず、関係行政機関も含め、十分な意見調整が行われた上で合併の判断がなされるというふうに考えております。

 御指摘のような事由によって、合併後の商工会の運営がスムーズに行われにくくなるような事態というのは、私どもとしては余り想定をしていないということでございます。

小宮山(泰)分科員 想定はしていないということですか。できればそういった問題が発生しないということを、また、もちろん自主的な組織な部分がありますので、そのあたりは、問題があった場合にはぜひ速やかに対応をしていただければと思います。

 自主的なところである分、またいろいろな問題もありまして、公平であるべき商工会議所や商工会において、一部のいろいろな圧力というんでしょうか、特定行動、例えば選挙応援などを本当に強要する行動が実際、地域においてはまだまだ見られております。その点に関しまして、やはり商工会議所や商工会の性質といたしまして、公平に聞き、そして公平に判断する、そういった部分も当然、一定の政党等に属しないというか、加担をしないということももちろん法律上にも書いてありますが、その点に関して、また商工会の中に事務局を置いている関連の連合会など、そういったことに対しても公平に扱われるべきか、また、そういう意味では、そういったことを、特定の圧力というものに関して、対応等、どのようになっているのかお聞かせください。

杉山政府参考人 商工会議所とか商工会というのは、地区内の商工業の総合的な改善発展を図るということでできている組織でございます。したがいまして、そういった性格を逸脱いたしまして、例えば特定の政党に利用されるとか、あるいはこういう目的に反するようなことを行うということ、そういうことがあってはいけないわけでございまして、法律上きっちりと、そういうことはしてはいけないということが明記をされております。

 仮にこういった規定に反しまして、例えば商工会議所が政治的中立を損なうというようなことがあれば、これは法律に基づきます報告聴取等の実情把握行為を行った上で、必要な是正措置を講ずるということに相なります。

 今最後にお触れになられました、商店街の連合会などのいわば事務的な業務を商工会議所がやるというような場合もございます。これは、商工会議所がその地域の総合発展を図るという観点で商店街の発展を図るための任意組織、これの活動を支援するということでございまして、その限りにおいてはそういう例もあると思います。

 ただ、その場合に、その商店街連合会が政治活動を行う、商工会議所が受託業務の一環としてその活動にかかわるというようなことがありますれば、そのことによって政治的中立を損なうというような事実があれば、これは先ほど申しました法律にのっとりまして、実情に応じた是正措置を講ずるということに相なろうと存じております。

小宮山(泰)分科員 ありがとうございます。

 やはり、いろいろな人がいて商業や経済というのは成り立っていると思います。また、身近な支援してくれる場所として、商工会議所や商工会の役割というのは大変大きくなってきていると思いますので、この点に関してぜひ中立であり、公正であり、そして公平であっていただきたいと思いますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 次の質問に行かせていただきます。

 日中の貿易の重要性というものは、先ほど私も、地域のものが、工場等がやはり海外に移転する、その中でやはり中国に移転する、また中国からの輸入であったりとか、日中の関係というのは切っても切れないものがあると思います。

 その重要性の中におきまして、中国との経済交流の発展というもの、実際に目覚ましいものがございますけれども、将来どのぐらい発展をし、そしてどれほどの成長を予測されているのか。また、その数値というものは日本の対外貿易の何%ぐらいまで、アメリカからはよく日本は言われるんですけれども、占めていくのか、考えているのか。また、数値の目標を妨げる可能性を持った問題点などがあるのか。その点について御説明いただければと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 御承知のように、中国経済、一九八〇年代後半以降の改革・開放、それからWTO加盟に向けての構造改革などによりまして目覚ましい発展を遂げ、現在、GDP規模では世界第六位になっております。また、貿易総額では二〇〇三年に約八千五百億ドルと、我が国の貿易総額にほぼ匹敵する金額でございます。

 さらに、日中関係でございますが、日本にとって中国は第二位の貿易相手国、中国にとって日本は第一位の貿易相手国でございます。特に二〇〇二年には、中国は米国を抜いて我が国にとって最大の輸入先となりました。そういう意味では、日中経済関係、貿易関係の相互依存はますます深まっていると思います。

 中国政府は、今後、GDPの規模を二〇一〇年には二〇〇〇年の二倍にしたい、また二〇二〇年には四倍にしたいという目標を掲げてございます。

 ただ、他方、中国経済にも過剰投資のリスク、これは中国の国務院自体が鉄鋼とかアルミとかセメントについては投資が過熱ぎみであるという指摘もしております。また、その裏の問題としての不良債権の問題もございます。あるいは、沿海部と内陸部との大幅な所得格差の問題。そういう意味でのリスク、問題というのは多くあるというふうに認識しております。

 したがいまして、そういう意味で今後の成長可能性、しかも、定量的にということはなかなか一概には申し上げられませんが、趨勢としては今申し上げたようなことで、中国経済のウエートは引き続いて大きなものになっていくのではないかというふうに思ってございます。

小宮山(泰)分科員 大変中国との問題は、うちの方も工業関係等、埼玉もたくさんございますが、恐らくこれからは、また特許や知的財産の分野に関しても、経済産業省のそういう意味では大変努力、また法務省もそうでしょうけれども、海外に対してのこともあると思いますので、頑張っていただきたいなと思っております。

 時間があと二分になりましたので、最後になるかと思いますけれども、この日中関係におきまして、小泉総理の靖国参拝について中国政府が不快感を表明していることというのは、周知の事実だとは思います。このことをもとに、中国対日政策に微妙な変化というものも聞こえてきておりますけれども、その中で、中国国内での上海―北京間の新幹線の建設について質問させていただきたいと思います。

 長年、日本サイドとしても、新幹線技術の輸出というものに、台湾のは決まりましたけれども、努めてきていると思います。先日、フランスのTGVが選考されたという報道もあったり、いろいろな、ある意味流動的な、微妙なところではあるかと思いますけれども、この件について、靖国問題の是非は問わないで、単純に、発注を受けない場合の日本のスタンス、この分野は非常に大きな経済効果も見込めるとは思うんですが、日本のスタンスについてお答えいただければと思います。

坂本副大臣 我が国の新幹線システムが導入された場合、これは日中協力の新たなシンボルとなります。そのために、我が国の政府は、早くから首脳レベルで中国政府に再三にわたって協力の意思表明をしてきているところでございます。

 また、この新幹線計画は中国初の高速鉄道システムでありますから、我が国の新幹線システムが導入されると、今後、技術面あるいは人的交流面で非常に幅広い協力関係ができるものと思っております。さらに、今回導入されるシステムが前提となって、これから約一万キロ整備されるだろうと言われる中国の高速鉄道、これが前提になりますから、将来にわたってあらゆる面で協力関係が継続されるということが期待されております。さらに、日本のシステムですと環境にも非常にいいということがあります。

 こんな観点から、経済産業省としては、国土交通省あるいは産業界等も、官民一体となってこの実現のために取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山(泰)分科員 ぜひ日本の技術というものが、やはり技術立国日本というものを輸出できる、そしてこれに関しては、今までの既存の産業、またこれから起きてくるエネルギーの問題等もそうですけれども、新しい産業をぜひ育成することが日本の経済、そして地域の経済の活性化につながると考えております。その分野において経済産業省のやはり役割は大変大きいと思いますので、頑張っていただく。私の方も、ぜひ、いずれは政権交代をして頑張れるようになりたいと思いますが、そのことを申させていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中馬主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中馬主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長浜博行君。

長浜分科員 長浜博行でございます。

 午前中、環境委員会がやっておりまして、そして、きょう、私、三十分、経産の分科会でお時間をいただけることを光栄に存じております。

 エネルギー問題が主題でありますが、それに入る前に、例の青色発光ダイオードの発明の対価に関して、私自身もびっくりした一人でもございます。私も会社員生活をずっとしていたものですから、昔はこの種の話題は余りなかったな、少なくとも表の場といいますか裁判にまでなるということは非常に例外的なケースではないかなと思っていたんですけれども、昨今はそうでもない。ある大企業の社長さんなどは、支払った報酬がちょっと少なかったんじゃないの、要するに、けちったのかな、しかし、訴訟の判決金額はちょっと高過ぎるんじゃないのと。両方とも僕は、不思議と素直に聞けちゃったんですけれども。

 今日本が、いわゆるキャッチアップされつつ新しい産業分野を見つけていく、その中に高度の技術的なものを集約していかなければならない、そのためには世界にないものを、つまり特許がとれるような技術を取得していかなければならないというような状況の中において、会社としてはどんどん特許をとっていってほしいけれども、それを、今回特に特許法等の一部改正等があるやに伺っておりますけれども、それとの絡みにおいて、そうすると、その後に、変な言い方ですね、後に生ずるであろう社員とのトラブルの額をコストに算入しながら製品製造単価というものに乗っけていくような経営手法になっていくのか。

 あるいは、十分に使用者側と技術者側、いわゆるアメリカ型の企業と個人の事前契約をするとか、あるいは今まで日本のこういう、私が古い体質なのかもしれませんけれども古い世代のサラリーマンからすると、日本の文化の中に、相対して経営者と技術者が、これを発明したら幾らぐらいくれますか、払いますよ、こういう文化が根づいていくのかちょっと疑問なんですが、将来の経済産業といいますか、産業行政を図っていくためにも、単に個別企業の、プライベートカンパニーの問題だけではなくて、実はこの判決の及ぼした効果というのは経済界にかなりの影響を与えていると私自身は感じているわけです。

 象徴的にこの中村さんの青色発光ダイオードが出ますけれども、例の味の素さんでしたか、アスパルテームの製法特許の問題も出ておりました。これも二十億円の支払いを求めて一億八千万強というような判決が出たようで、これも相当な対価。この場合なんかも、会社側の訴訟の過程の中でのやりとりを見てみますと、いわゆる特許報奨金としても少なくない額、一千万と言っていましたが一千万を払っているとか、あるいは人事面でも同期入社の中においては一番、二番ぐらいの優遇をしていた。

 つまり、その会社における環境の中での相当の対価を、絶対的価値じゃなくて相対的な価値の中でどう判断するのか。これができないとすると、すべての案件を司法の場にゆだねなきゃならないということであれば、一刻一秒を争うビジネスの社会の中においては時間と金のロスをかなり、さっきも申し上げましたように、企業経営の中のコストとして入れ込んでおくのが難しいのではないかな。

 また、東京地裁じゃなくて今度は高裁の方ですけれども、日立製作所の外国特許にも及ぶとしたような判例、海外特許分の請求権も発明者に認められるというような状況の広がりの中において、大臣といいますか経産省の皆様方は、こういった判例が立て続けに出ていく、これからも出てくるんでしょう、そういった中における経済産業省の方針と言ってはなんですけれども、改正特許法が出てくれば、その中の一部はこれに関するものだと思いますからより明らかになると思いますが、ちょっと御説明をいただければと思っております。

中川国務大臣 今長浜委員御指摘のように、高額の特許使用料というのでしょうか、特許の評価、発明者の評価、職務発明の評価の判決が次々と出ておりまして、私も率直に申し上げて委員と同じような疑問といいましょうか、疑問というのは疑いという意味じゃなくて、わからない部分が正直言って多々ございます。

 そもそも、こういう議論を今まで余りしてこなかったということもあるんだろうと思いますけれども、この後経済産業委員会で特許法の改正の御審議をいただくわけでありますが、答弁としては、できるだけ発明者と企業との間で事前に、公正に、誠心誠意話し合いをして、そしてきちっとルールを決めてください、万が一それができない場合には、いわゆる裁判、司法手続の中で結論を待ちましょうということでございますけれども、どうも、せっかくつくってくれた事務方の答弁ではございますけれども、決してそれだけで、個々のケース、それぞれ違うと思いますから、なかなかこの答弁だけで私自身もすべてがうまくいくのかどうか正直言って疑問でございまして、これから裁判、あるいはまた社会的ないろいろな、経営者また発明者の方々、そしてまた国会での御審議を通じて、こういうものはどうあるべきなのかというコンセンサスを詰めていく必要があるんだろう、率直にそういうふうに思っております。

長浜分科員 まさに、逆に大臣というお立場であるからこそ言いづらい部分もあるのではないかなと私自身は感じているんですが、確かに、司法の判断に関して政治家が異議を挟むというようなことは、三権分立の建前からしても常識として意識はしております。

 しかし、先ほど来申し上げておりますように、それだけの企業文化といいますか、産業界の新しい流れなのか、あるいは、技術を担当される社員の方々自身が、いわゆる昔のすべて会社の中での滅私奉公が補償された形での終身雇用というものはもはやないんだ、そういった中においての、野球のプレーヤーと言ってはおかしいんですが、フィールドなりマウンドなり借りている間に、もちろん会社にも貢献するけれども自分もそれ相応の報酬を得ることができるんだというような形での文化の違いなのか。こういったもので実は今かなり産業界は悩んでおられる状況にあるように思うわけであります。

 もちろん、そういう問題が生じたときに偶然社長になっちゃった、しかも、どういうふうにお払いになるか、まだ支払われていないですから、この青色ダイオードに関して言えば、請求した金額よりも多く技術者の方の金銭的価値を認めておりますから、その後この裁判が続いていくのかどうかわかりませんけれども。

 私などは、それをコストとしてどういうふうに企業収益の中に毎次決算をして発表をしていって、しかし、こういった、昔ですと、なかなか表現が難しいんですが、この種の突発的な多額の費用が生ずる場合というのは公害が想定をされるわけですね、突発的に公害の補償が出てきたから払わなきゃいけない。これはある意味でネガティブな面でありますけれども。

 これも新しい技術で会社に貢献したんですけれども、ポジティブと考えたいわけでありますが、経営サイドからすれば、これだけの多額のものを次年度の企業経営を圧迫しないような形でどう捻出をされていくのか。これが、それぞれの発展型の、特に国際競争力を維持するようにお上から言われながら、自分たちも将来の飯の種のために頑張らなきゃいけないという企業にとっては頭の痛い問題になってきているのではないかなと思いますので、政治の判断ではないですけれども、こういった一つの流れの中において、昔から、昔は通産省でありましたけれども、そういった通産行政の中での新しい流れを半歩先につかんで、世の中の流れをつくっていくという役割も政治家なり役所にはあるのではないかなというふうに思って、この判決を見ておりました。御丁寧な答弁をありがとうございました。

 それから、個人情報保護の問題があります。

 このごろ、情報流出、流出された情報のさらに目的外使用、こういったもので、来年の四月一日から個人情報の、懲役とか罰金等を含む完全実施がされていく中において、こういうのは大企業ばかりかなというふうに普通の方々は思っているし、あるいは、別に悪いことをする人をかばうつもりはありませんけれども、少なくともこんなことをやっているのは個人情報取扱事業者とは認定されないだろうなと。法律を十分読むこともなく、そういった形で軽い気持ちで、愉快犯ではありませんけれども情報流出をして、それをある金銭的対価にかえて、短期的な喜びに浸っている。

 それどころか、もう来年からは懲役なり罰金なりという、きっちり個人情報取扱事業者と認定をされた者に関しては強い処罰が与えられるわけですが、もう一度、この個人情報取扱事業者は大企業だけではないというようなことを御説明いただければと思いますが。

豊田政府参考人 長浜委員おっしゃるように、民間事業者全般でございますので、規模を問わずということで対象にさせていただくことにしております。個人情報保護に係る現在の取り組みを、そういった事業者に周知徹底を今しているところでございます。

長浜分科員 いや、今申し上げたのは、いわゆる資本金幾ら以上の大企業というような意味合いではなくて、いわゆる個人、名簿でいえば例えば何件以上持っている、こういった者がその事業者として認定されるか、そういったことについてのお答えをお願いしているわけでございます。

豊田政府参考人 委員御指摘の点でございますが、より詳細に申し上げますと、六カ月を超えない時点で五千人以上のデータを扱う者ということでございまして、中小企業も含まれるということでございます。

長浜分科員 それから、エネルギーの問題に移らせていただきます。

 昨今、東電あるいは関電等が風力発電の会社に資本参加をしたり買収をしたりというようなことで、いわゆるRPS法とか、それから電力大手十社によるところの自主的な、環境に優しいと言ったらいいのか、自然環境に配慮をしたような環境適応型エネルギーを使用するという方向に進んでいるようでございますが、経産省としても、この風力発電の会社、あるいは風力発電の、まだまだ発電量としては低いわけでございますが、こういったものに関して、その進捗状況と言ってはおかしいんですが、こういった法案とか自主的な規制を業界団体がすることによって、どのぐらい風力発電の、とりあえず風力発電に限定しましょう、自然エネルギーとは言わないで、風力発電の需要ないし供給体制がふえていると認識されているか、御答弁をお願いします。

江田大臣政務官 済みません、答弁がおくれました。

 風力発電についてということでございます。

 二〇〇〇年度の現状ということで、二〇〇〇年度の実績からしますれば二十三倍、二〇〇〇年度が五・九、それに対して二〇一〇年度で二十三倍を目標として進めているところでございます。

長浜分科員 今申し上げたその法律的な規制でいえばRPS法になるわけでありますが、大手十社によるところの、寄附金方式と言ってはおかしいんですが、グリーン電力制度で寄附金を集めて、そして、これはいわゆる自然に優しい電力ですよ、エネルギーですよということを理解を求めながら、いわば基金運用によるところの自然エネルギーをより国民の皆さんに認知してもらう。

 これが、大きな企業は簡単でありますけれども、一般の家庭までこれを認知することは大変だというふうに思いますが、実際、管轄をすると言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、こういった大手電力会社の自主的な努力によるところのグリーン電力制度、特に寄附金方式の基金運用によるところのアカウンタビリティー、そのシステムにおける説明責任において、一般の国民の皆様や何かからお問い合わせ等、そういった問題は現在あるのかどうか。いや、そういうことではなくて、もうそんな問い合わせはなくて、大変いい制度だというふうに評価をされているという認識なのか、お願いします。

江田大臣政務官 例えば、グリーン電力基金におきましては、一般消費者や企業から基金を集めて、この新エネルギー等による発電を支援するものでございますが、非常にいい評価を得ているものでございます。

 グリーン電力証書というのもまたございますけれども、これは新エネルギー等からの発電量に応じて民間団体である日本自然エネルギーが発行する証書でございまして、購入を希望する需要家等に電気と別に販売されるものでございます。この需要家の方は、間接的に自然エネルギー電力購入に貢献していると評価されておるところでございます。

長浜分科員 環境省の方でも一生懸命取り組んでいるとは思いますけれども、大変厳しい状況になってきているところのCO2の削減、こういった問題に関して、ぜひ経産省の側からも国民に対しての周知徹底を図っていただければというふうに思っておるわけでございます。

 それに関連をして、原子力発電所の問題でございます。

 一九九七年の十二月に京都議定書が、京都においてCOP3で議論されたことは御承知のとおりでございますが、その六カ月後、半年後の一九九八年の六月に、二〇一〇年までに原発を二十基新設というような総合エネルギー調査会の報告等が出された後、現在に至るまでの原発の新規建設予定といいますか計画というか、その数の推移をちょっと教えていただければと思います。

寺坂政府参考人 新しく原子力発電所がスタートしたという意味におきましては、二〇〇三年に一つ稼働してございます。

 それで、地球温暖化対策大綱におきまして、二〇一〇年までに、二〇〇〇年度と比較いたしまして約三割増、原子力発電を増加させる、そういう目標を掲げているところでございますけれども、二〇〇〇年度以降、先ほど既に運転を一つ開始したと申し上げましたけれども、それを含めまして、二〇一〇年度までに運転開始が見込まれる原子炉は八基というふうに考えているところでございます。

長浜分科員 ということはでございます、先ほど来申し上げているように、京都議定書の問題で、九〇年比六%削減、こういった問題が生じている中における原発の、原発がいいとか悪いとかいう議論をここでするつもりはないんですが、原発一基当たり、大体〇・六から〇・七%のCO2の削減効果があると言われておりますけれども、そういった、一九九八年をベースとすると、二十基から八基というような形での新設計画の減数といいますか減少というか、こういったものを、地球温暖化を防止するための計画を策定するに当たってのこの影響はどのようにお考えになっておられるのか、御答弁をいただければと思います。

寺坂政府参考人 原子力発電所が、原子力発電が石炭火力発電、これに代替した場合、先ほど委員御指摘のように、〇・七%程度のCO2削減効果があるというのはそのとおりでございます。

 それで、先ほど申し上げましたように、三割増という目標を掲げまして、原子炉、新しく動くものは、既に動いたものを含めまして八基ということでございますけれども、こうした原子力といいますか原子炉の増設に加えまして、原子炉で発生する熱を一定としつつ電気の出力を増加させる運転形態、定格熱出力一定運転というふうに呼んでいるわけでございますけれども、そういったものの導入等によりましても原子力の利用率が上昇するということを期待しているところでございます。

長浜分科員 その期待しているところというのは、単純な計算ですが、二十が八になるということは、要するに五〇%以下に当初の計画よりは減るわけでありますが、その効率が二倍以上アップをするということでございますか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 まず、二十基との関係で申し上げますと、二〇一〇年度までに新しく原子力発電をふやすという現在の地球温暖化対策大綱との関係で申し上げますと、二〇〇〇年度との、三割増でございますけれども、これは十基から十三基を想定して置いたものでございます。それが、先ほど来申し上げておりますように、原子炉が新しく動くものは八基ということでございまして、そこに先ほどの定格熱出力一定運転の導入ということが入ってございます。

 これからも、地元の理解を得つつ、新増設が円滑に進められるよう努力していくこととあわせまして、昨年のエネルギー政策の見直しにおきましても、既存の原子炉の安定的な運転に着目して、運転段階での地域への支援策等を拡充する、そういった措置を講じてきているわけでございまして、引き続き原子力による発電量の増加に注力をしてまいりたいと考えてございます。

 いずれにいたしましても、現在、二〇三〇年ごろをにらみつつ、二〇一〇年度の長期エネルギー需給見通しの見直しを進めているところでございまして、その中で、電力分野におきますCO2削減につきましても大切な視点としつつ、原子力についての検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

長浜分科員 直接の答えにはなっておりませんけれども、いずれにしましても、今の問題に関しては、地球温暖化対策推進大綱のちょうど見直しの年にも、あえて言いますが入ってきてしまっておりますので、そういった問題をお考えになりまして、原子力発電所の新規、計画が減るというよりは、どこに新しく原子力発電所をこれからつくることができるのか、かなりの困難が伴うと予想されておりますけれども、化石燃料によるところの発電に伴うところのCO2の増加、こういったものが、現状の中においても既に、六%削減どころかトータルでいえば五%強のCO2の増加が見られているわけでありますから、別にこれが電源にだけ全部原因しているとは思いませんけれども、そういったことを頭に入れながら、ぜひ経産省と環境省とこの問題のすり合わせをしていただければというふうに思っております。

 LNG、実は、この液化天然ガスの問題も、サハリン1、サハリン2、三十年来やっている商社もあるようでありますけれども、こういった問題もお聞きをしたいと思いましたけれども、時間の関係上、チャンスがあれば、本来の委員会の方でお時間をいただいてやらせていただければというふうに思っております。

 最後にお聞きしたい点は、サマータイム制度の問題でございます。

 この間、予算委員会でもこの問題に関して質疑をされている方がいらっしゃいました。私も、あの議連はいつできたのか、随分古い時代に関係をさせていただいたような記憶もしておりますが、たまたま電車の中で本を読んでいたら、大臣が子供さんとサッカーの話を書いておられました。スポーツを通して感情をセルフコントロールすることを学んだ、経済活性化のためには人づくりの重要性を痛感している、そんな内容だったというふうに思っております。今は大臣はそういうお時間もないと思いますが、私自身も小学生の男の子がいる人間でございますが、なかなか遊ぶ時間は正直言ってございません。

 このサマータイムを実施することによって、特に、あえて申し上げますが、小杉先生、熱心でございますが、小杉先生のお話などを伺いますと、そうやって子供と遊べる時間がふえるんだよというような話を聞くにつけ、これはかなりいい制度ではないかな、こういうふうに思うわけでありますが、以前、環境庁とそれから経企庁と通産省ですか、この問題に関してはこの三つの主体の中でいろいろお話し合いがされていたという経緯もあるようでございますが、今時点の御省の考え方をちょっと拝聴できればというふうに思います。

坂本副大臣 どうも、長浜先生、御質問ありがとうございます。

 御承知のように、サマータイムは、夏の長い日の日照時間を活用するものでありまして、省エネルギー効果やあるいは余暇需要拡大効果などが期待されております。

 また、CO2排出量削減の観点から、平成十四年度に地球温暖化対策推進本部で決定された大綱におきましては、サマータイムの導入についての国民的議論を展開し、合意形成を図ることが盛り込まれたところであります。

 一方、サマータイム導入についての懸念の声もございます。一つには、コストがかかる。例えば、信号機の組みかえを全部やらなきゃならぬとか、パソコンソフトを変えなきゃならぬとか、いろいろあるようでございます。あるいはまた、労働強化につながるんじゃないかという心配もあるし、農業への影響、農業の場合は、朝の出荷時間が短縮、短くなってしまうということですね。

 そういったいろいろなことの御指摘もあるわけでございますが、いずれにしても、経済産業省といたしましては、導入に際して期待される点あるいは懸念される点、これを両方を踏まえながら、国民的理解の増進のため、きめ細やかな議論を進めてまいりたい、こう思っております。

長浜分科員 これも、法律というよりは、ライフスタイルの転換、このごろはやり言葉のようですけれども、パラダイムの転換と、それから一人一人の国民に対してはライフスタイルの転換をしようということでございますが、一番最初に申し上げた会社と研究者との関係等々を含めて、日本の社会の中においても、個人と組織との関係、あるいは個人の幸せ、ゆとりとは何なのか、こんな議論が複雑に関係するような世の中になってきたようでもございますので、ぜひ丁寧な国民的議論を喚起していただきたいことをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中馬主査 これにて長浜博行君の質疑は終了いたしました。

 次に、下条みつ君。

下条分科員 民主党の下条みつでございます。大臣、よろしくお願いします。

 きょうは、中小企業、商店の予算の配分と現状について、ちょっと、私見を踏まえて御質問させていただいた中で、お答えをいただければというふうに思います。

 まず、事前にいろいろな数字をいただきました。それについてちょっと述べたいと思います。

 まず、平成八年から平成十三年までの間、中小企業、商店の総数の推移が、これは三年置きなんですが、平成八年では約五百七万、平成十一年で約四百八十五万、平成十三年で四百六十七万と、非常に多く減少してきております。もちろん、中では新しくいろいろな法制によって創設された企業の数は含まれているんでしょうけれども、全体としては大きく数字が落ち込んできている。これは、私のもとに寄せられる現実としては、もっと厳しい悲鳴が聞こえてきております。

 また、これに関連した参考の数字もいただいておりまして、ちょっと、非常に言いにくい数字なんですが、同じ期間、みずから命を絶った方の理由として、経済生活問題とか勤務問題に関しての理由で命を絶った方が、平成八年には四千二百八十二人、十一年には八千五百八十二人、約倍とここになっていますけれども、十三年には八千六百一件、そして十四年には九千七百四人と、一万人近く、みずからの命を絶った方がふえてきている。これが数字上の現実ではないか、非常に悲しい結果になっていると私は思います。

 実際苦しんでいる人々にとっては、厳しいという言葉だけでは到底言いあらわせないような状態ではないかと思います。このように多くの方が深刻な状態になっている社会全体の根にあるのは、やはり大多数を占めている中小と零細企業を何とか救済する対策が早急に講じられなきゃいけないのではないかというふうに思います。

 この問題に対して、今まで非常に御省として御努力なさっているとは思いますが、私はちょっと、若干これまでの方法に私なりの疑問を持って、十分ではないのではないかとは思っておりますけれども、この辺について、まず効果とその対策について、恐縮でございますがまず大臣に御意見をいただければというふうに思います。

中川国務大臣 いわゆるバブルが崩壊してもう十数年になるわけですけれども、そういう中で、最近では一部景気回復の兆しが見えてきたということでございますが、経済産業省として地域、マクロを見たときには、まだまだということでございまして、いろいろな中小企業対策、地域活性化対策をとっているところでございまして、もちろん、その政策的効果というものが出ているわけでございますけれども、まだまだトータルとしては、最終的な目標に向かってやるべきことが多々あるというふうに考えております。

下条分科員 ありがとうございます。

 数年かけて、非常に不景気になった中で御省の御努力なさっている実態は、私も大変評価はしておりますけれども、例えばベンチャーの出資制度であるとかエンゼル税制であるとか、それから、最低資本金特例とか、たくさんの企業をつくったりとかいう情勢については、それなりに御努力があるんじゃないかなというふうに思います。

 ただもう少し、現状ある制度をもっと手広く広げていくには、何かもう少しアクションが必要なのではないかなというふうに思いますが、その辺何かお考えになっているものがあれば、ちょっとお聞かせいただければというふうに思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 中小企業は、ここのところ、全体景気が悪い中で特に苦しい局面をずっと過ごしてまいりまして、その間私どもとしては、何としてでも、先ほど来ちょっと答弁で申し上げておりますけれども、やる気と能力のある中小企業までもが外的要因でつぶれていくのは、これはもう忍びないということで、一生懸命セーフティーネットを質量ともに維持して支えてまいっております。

 幸い、全体が少し上向いている中で、もうしばらく私どももこの努力をしていけば、中小企業にとっても、この景気の少しよくなったのが広がってくるのではないかというふうに期待しているところでございます。

 ただ、セーフティーネット自身は、いってみればつぶれそうなところを支えていくという基本になっているわけでございまして、経済の中で中小企業の本来果たすべき前向きな役割というのがあるわけでございまして、そういったものにも、私ども、こういった時期にあっても光を当てていかなきゃいけないということで、今おっしゃいましたベンチャーを含めた創業対策だとか、前向きの施策について資源を注入していっていくというのも中小企業政策の大事なところでございまして、この間におきましても、その努力をしながら、何とか新しい中小企業の芽というのを育てていきたいということを考えているところでございますし、本件についてはさらに一層努力をしてまいりたいと思っているところでございます。

下条分科員 ベンチャーとか創業の支援に対しては、非常に、今お話しいただいたとおりで、いろいろな政策があるというふうに思いますが、私は、もう一つ踏み込まなきゃいけないのが、現在苦しんでいる既存の中小企業の方々に対する政策がどうなっているのかなというふうに私は思っています。

 例えば、これもいただいた数字なんですが、信用保証協会というのがございます。もう大臣も私と同じ元金融マンですので、ばりばりで御存じだと思いますけれども、例えば、その数字だけ見ると、平成十年で二十九兆あって、それが十五年に十二兆に落ちている。十五年、十二兆です。つまり、ほぼ三分の一に近く落ち込んでいるわけです、保証協会の数字自体が。これは、やっぱり資金需要がないのではなくて、民間の金融機関が貸しにくい状態になっているんじゃないかなというふうに私は思っています。

 例えば、中小企業の関連法案では、金融機関にとって貸し出しやすい条件という名のもとに、債権の証券化をして、売り飛ばして身を軽くするとかというのがありますけれども、ただ、そういうものを上げていったとしても、実態の数字が、保証枠の総計が三分の一に落ちている、また中小企業の数が、どんどん倒産がふえて減っているという実態を見ると、やはり中小企業が借りやすくなっていないんじゃないかなという感じは私はしております。

 そこで、ひとつ御質問したいのは、その保証の条件というのが、審査の中で、見えないところで若干厳しいものがあるんじゃないかなというふうに一つは思われます。このハードルをともかく低くして、かつ金融機関にもメリットがあるような状態を進めていかない限り金融機関もなかなか、幾ら身を軽くしても、返してくれない、当てのないところには貸さないということになります。

 そこで、私もちょっと海外におりましたのであれなんですが、海外では、日本的な担保を優先するような貸し出しよりもむしろ、一つの、既存の企業で、これからこういう事業をしていく、そしてこういう情勢で将来設計ができているということに対して、プロジェクトファイナンスの名のもとにお金を貸し出していく。興銀さんでも大変よくやられていましたけれども。そういう方向で政府が指導することによって、民間金融機関というのは担保を中心にやっていますから急には無理でしょうけれども、ともかく、そういう将来性の部分に対して目を向けて、そこに貸し金をしたらどうだという指導を、みずから、国自体がしていくことがあってもいいんじゃないかなという感じはしていますけれども、この辺、もし御意見があれば、いただければというふうに思います。

中川国務大臣 前向きに中小企業を支援するというのは、もう委員御指摘の、全く同感でございまして、その典型が、さっき委員からも御指摘ありました最低資本金以下の企業をつくることができるとかあるいは大学発ベンチャーなんというのは、まさにプロジェクトファイナンスの典型だろうと思うんですけれども、こういうものも非常に順調にいっておりますし、また我々も政策的に応援をしていかなければならないというふうに思っております。

 要は、先生と私とは非常に生い立ちが似ておりますけれども、やはり元気の出るところにいかに資金なり技術なりを提供していくかということが、今こそスピード感を持って、必要な時期ではないかというふうに思って今委員の御意見を拝聴させていただいたところでございます。

下条分科員 ありがとうございます。

 まさに大学発ベンチャーもそうだと思いますけれども、私は、もう一度申し上げたいのは、新規の企業と同時に、やはり既存の中小の方の苦しみに対して、もう少し入り込んだ融資制度が必要かなということです。

 それで、結局は、金融というのは、言い方、わかりにくいかもしれませんが、簡単に言えば、サラリーマンの人がサラリーマンの評価の中で貸し金をしているということですから、支店長も行員さんもやはり何か怖いわけですね。保証協会に入ったって倒れるところに貸せない。それと、では、おまえ、これ引っ張ってきて、何がこの銀行にメリットがあるんだということになってくると、幾ら資本金や自己資本比率が上がろうが何しようが、結果的には危ないところには貸さなくて、結局、優秀な優良な企業のところや、もしくは、例えばでかい商社の分裂したベンチャー企業に対して、後ろ盾が、では、あそこは商社が入っているから貸していいじゃないか、エクイティー部分とか組合のベンチャーのがありますから、そういうふうになってきちゃうんじゃないかと思うんですよ。

 そこで、これは私の全くの試案なんですけれども、例えば政府の保証の枠を、一つの民間が、もしか、既存を含めて中小に貸した場合は、保証枠を設けて、その保証枠を設けた融資をした金融機関には、すごく言いにくいけれどもスプレッドを少し落としてやろうというような形で、おまえがこうやって引っ張ってきて、実際の働いているサラリーマンの部分について、金融機関は自分の金融機関にちゃんとメリットが落ちた。

 つまり、保証協会から何か来て、こっちのを監査してぶち込むだけじゃなくて、ちゃんと中小企業を育成したり、既存の中小企業を育成することに手を携えた民間金融機関に対して、言い方、すごく言いにくいんですけれども、御褒美を少し上げるというふうな、実際にサラリーマンの評価、決定するのは結局、融資課長と融資課長代理と、最後は支店長になるわけですけれども、おまえ、ちゃんとこの支店にメリットがあるのを持ってきたじゃないか、では決裁してやろうじゃないか。その後ろ盾は、収益も落ちるけれども、貸し金のスプレッドはもちろん落ちますけれども、それ以外に、それを優先してやった民間金融機関に対して何かしらの特典を与えるのはどうかというふうに私は思うんです。

 そうすれば、サラリーマンである行員は、まあ同じ時間使ってやるんだったら、優良でいいところばかりをつく稟議をつくるのか、それとも、もう少しで何か芽が出そう、もしくはもう少しで、つないでいって、新しい事業の運転にしろ設備にしろ、何か加えられるところに生き血を注げるんじゃないかという可能性が出てくると僕は思うんですよ。

 実際、私は民間に二十年おりましたので、僕の周りの友人は、ほとんど貸しはがししていますよ。ほとんどしています、現実は。言いにくいですけれども、一応。やはり自分の生活を守るためと、自分の傷をつくらないで、転勤していく間の数年間はなるべく優良な貸し金を実行して、危ないところには触れるなと。危ないところは、金利を書きかえのときに上げて、返せなくして、借りかえてもらって、うちからは、金融機関としては債権上バイバイする。これは現実、やはり表に出ているか知りませんが、私の周りでは非常に多くなってきているのが現状で、その数字がさっき言った倒産にも比しているし。

 だから、私は、ただ懐を豊かにすれば、友達にお金を貸すというより、むしろ、その友達にお金を貸すけれども、そのかわり、少しその貸した分のうちメリットが自分に残るんだというような何か部分を政府が、もう一度申し上げますけれども、中小企業、既存を含めた中小企業に対して積極的に民間が入り込んで、そして、それについて貸し金を実行することになった場合に、何か特典を与えてあげるということがもしできるのであれば、サラリーマンの民間の金融機関の方々はもう少し積極的に入り込んでいくんじゃないかと思うんですが、この辺、私の私論でございますけれども、もしか御意見あれば、ぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。

中川国務大臣 今こういう経済状況ですから、みんなで何か危険を冒さないようにしよう、一部ベンチャーの人とか、非常に元気なところがありますけれども、特に、私も地方ですけれども、地方の経済、中小企業は、とにかく石橋をたたいても渡らないみたいな、これはやはり何とか元気になってもらいたいな。

 そのためには、どこかが導火線になって火がつけば連鎖的によくなっていくのではないかという私の期待ですけれども、その役割を今こそ、政府なり我々経済産業省が、今国会でいろいろと御審議をいただきたいということで法案を準備させていただいているわけでございまして、その一つが無担保の貸出債権の証券化であったり、あるいは在庫資産や売り掛け債権の証券化であったり、あるいはまた民間のファンドと組んで中小企業向けにいろいろな資金や何かを提供するであったり、あるいは有限責任組合をつくって融資や保証をするということ。

 これは、お互い十年ぐらい前に金融機関にいたときには、そんなことやったら大変なことになるぞというぐらいのことを今思い切ってやっているわけでございまして、そういうことが、ある意味では導火線といいましょうか一つのきっかけになって、地域の民間金融機関も含めてそういう形で一緒にやっていこうということになっていけば、地域の経済そのものの活性化につながっていくのではないかということで、下条議員の御提案に満足にお答えできていないかもしれませんけれども、そういう意気込みでいろいろな法案を準備させていただいているということでございます。

下条分科員 非常にお答えにくい部分の質問だったものですからあれですけれども、私もまだぺいぺいでございますので、これから、何かそういうサラリーマンの人たちの本音の部分が政策に徐々に反映できれば、本人たちの保身も含めて、結局、企業戦士たちの心得というのは、やはり企業だけがよくなるんじゃなくて、自分が持ってきた案件によって、自分の成果として、一人一人が評価が出るというのが、私はサラリーマンたちの、企業戦士たちの何か自己評価につながるというふうに思いますので申し上げましたので、ぜひ、今後とも私も考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、同じ中小、商店の部分に関連していくのではないかということで、町づくりの関連についてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 今、大型店をめぐる法制度については、私の地元では随分大型店が出てきまして、商店街では非常に積極的に望んでいるところもあれば、やはり、郊外の駐車場が配置されているところについては、旧来の商店街が非常にダメージを受けてきているというふうに思います。

 大規模小売店舗立地法の中で、地元市町村や地元住民によく意見を聞くのが、たしか(四)かなんかでありましたけれども、その部分について、本当にどこまで地元の方に御意見を聞いて、そして、その聞いた意見のキャップというのはどこまでこの立地法について影響力があったのか、もしくは、その意見によってこの話がだめになってしまったということの事例があったのかどうか、まずはちょっとお聞かせいただければというふうに思います。

江田大臣政務官 委員も御存じのように、大店立地法というのは、大規模小売店舗が出店していく場合において、その周辺の生活環境の保持の観点から、平成十年に制定されたものでございます。

 委員の御質問にダイレクトではないかもしれませんけれども、この大店立地法では、やはり、生活環境の保持という観点から、交通、騒音、廃棄物問題など、周辺の生活環境の保持に配慮せよという法律でございます。

 ですから、大規模小売店舗が出店される場合においての歯どめということにつきましては、大店立地法の制定とあわせて改正されました都市計画法等のゾーニング的な手法によって、その立地を認める地域であるかないかというのは自治体で判断をしていくということになっていくかと存じます。

 さらなる質問があれば、お答えしてまいりますが。

下条分科員 時間もありますので、今の御質問に対してちょっと、逆にあれさせていただきたいんですが、今言った、交通渋滞とか産廃とかそれから騒音さえクリアしていれば、郊外には逆にどんどん大型店舗が出ていってしまうということが、この立地法のある意味で逆の盲点になっていると私は思うんですが。

 そこで、これは御省にはちょっと余り、私が委員に属している国土交通省の方の所管になるとは思うんですが、都市計画法による土地利用規制というのが、簡単に言えばかなり甘くなっていて、例えば、私が国道沿いに土地を持っていれば、今言った立地法にクリアしていれば、早く言えば大規模な金持ちの会社に売りたいわけですね、農地転用を含めて。どんどんどんどん、そういうことによって国道沿いに大型店舗ができると、本当に昔からその近くの商店で細々とプラス・マイナス・ゼロぐらいで暮らされている方の商店がつぶされていってしまうということにつながっていくのではないかと思うんですが、この辺の規制の甘さがあったのではないかなと私は思うんですが、その辺、もし御意見があれば、お聞かせいただければというふうに思います。

江田大臣政務官 先生御指摘のように、大店立地法というのは、先ほども言いましたように、大型店舗の立地に際しまして、生活環境を保持するというところが中心になってきますので、その結果として郊外に大型店舗が流出するのではないかというようなところを規制していくためにも、もう一つ、先ほど申しました都市計画法というのがございまして、この都市計画法のゾーニングというのは、先ほども言いましたように、地方公共団体が判断するわけでございますが、昨年の十一月に、我々の所管ではございませんけれども、国土交通省の方から、中心市街地の機能回復、都市計画運用指針というものを地方公共団体あてに発出されております。

 その中で、こう概略されますが、「商業開発や公益的施設等の立地は、適切な用地が確保できる場合は中心市街地を最優先とし、その次に、自動車を持たない人でも歩いて行けるか公共交通機関を利用しやすい中心市街地の外縁部が望ましく、郊外部には立地を認めないといった措置も必要になると考えられる。」と都市計画法で定めていると承知しております。

 ですから、大型店舗の問題につきましては、先ほど言いましたように、大店立地法と今述べました都市計画法によって大型店の適正な立地を実現させていくという方向を、地方自治体、国ともに判断をしていただきまして、そして進めていくというのが適切ではないか、そのような方向でいっている、そのように認識をしているところでございます。

下条分科員 ありがとうございます。

 自分が属している国土交通委員の方の問題でもありますので、私も、この面を含めて、少しだけでも規制が、スピードが緩められれば、少しだけでも商店街に体力がつくのかなという感じはしておりますので、今後も、いろいろ含めて議論していきたいというふうに思います。

 お時間だんだん迫っているんですが、次に、今おっしゃった中心市街地活性化の方の話なんですが、これは非常にメリットがあって、平成十五年で四十六億円の実績が出ている。一方で、平成十六年度の予算では四十二億円の予定がなされている。ただ、規模的には、日本全国を対象にしてみると、やはりまだまだ非常に数字が小さいんじゃないかなというふうに私は思っています。

 その要因として、中身は、国の負担が三分の一、都道府県、市町村がそれぞれ三分の一、そして地元が三分の一というふうにお聞きしておりますけれども、地元としては、そういうふうに、中心市街地活性化ということで商店をその地区にまとめてアーケードをつくったりしたい、しかし、自分が割合を三分の一も負担しなきゃいけないということになれば、これだけ不景気な時代に、非常に地元としては負担が強いのではないかな。

 そういう意味では、その部分について、例えば、今三分の一の国の負担分をもうちょっとふやして、半分ぐらいの負担で対応するようにしたら、もう少し地元の商店街は予算が少ない中で、確かにやる気はあるんでしょうけれども、問題は、先立つものとかありますので、その部分について、御省として、今後の話として、これを三分の一から二分の一に引き上げて、少し地元負担分を軽めてあげたいというふうに私は思っているんですが、この辺は、御意見はいかがでございましょうか。

望月政府参考人 先生、予算のことでございますから、多々ますます弁ずみたいなところはあるわけでございますが、私どもとして運用の実態を見てまいりますと、国が三分の一で地方が三分の一、事業者の方々が三分の一ぐらいを負担するという場面では、やはり相当真剣に事業者の方が設備なりなんなりの必要性を検討されて、それで、かつ設備は、設備だけで商店街というのは復活するわけではございませんで、そこに集客するためのいろいろな知恵を、よく言われるタウンマネジメントの人たちと一緒になって生み出すわけでございまして、そういった熱意等々を考えますと、やはり現在の自己負担の三分の一というのは、ある意味では、商店街間の競争の時代でもあるわけでございますけれども、私どもとしては適正なレベルではないかなと今現在は思っているところでございます。

 それで、この予算につきましても、そういう現在の仕組みの中でも、今四十二億円と申し上げましたけれども、その予算枠を超える要望と意欲が全国から寄せられているわけでございまして、当面、私どもとしては、そういう考え方でやっているということでございます。

下条分科員 ぜひ、私としては、二分の一に持っていってあげた方が地元の方には入りやすいなというふうに思います。

 時間が参りましたので、最後に御質問させていただきたいんですが、大変、御省の御努力含めて、私としては敬服をいたしておりますけれども、やはりもうちょっと、サラリーマンそして地元の方の気持ちに近づけたらなというふうに思っています。そのもとになるのはやはり中小企業対策の予算ではないかなというふうに僕は思っています。

 十五年度では千二百九十五億円で、この平成十六年度の予算では、前年対比十億の千三百五億円ということでございますので、全体の予算が一兆八千億ということの中で、もう少し、私どもが思うのは、予算の組み替えをしながら、中小企業に対して、また商店の零細企業に対して温かい予算の組み直しをお願いできたらなということを最後に大臣に申し上げて、御意見を拝聴したいというふうに思います。よろしくお願いします。

中川国務大臣 全体がまことに厳しい経済財政状況である中で、小泉総理が絞りに絞った中で、三つほど目立って、いわゆるめり張りをつけた中の一つが中小企業予算だというふうに総理はいつも答弁しているわけでございます。

 もちろん、我々やりたいことがたくさんございますから、いろいろ、多いにこしたことはないんでありますけれども、ぎりぎりの中で、先ほどから下条委員おっしゃられているようなことも含めまして、最大限効果が上がるように努力をしていきたいと思っております。

下条分科員 ぜひ期待をしておりますので、中小の立場に立った予算の取り組みをしていただけるというふうに思います。よろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

中馬主査 これにて下条みつ君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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