衆議院

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第1号 平成28年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十八年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      佐藤ゆかり君    関  芳弘君

      原田 義昭君    山本 幸三君

      福島 伸享君    高橋千鶴子君

二月二十四日

 関芳弘君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年二月二十五日(木曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 関  芳弘君

      大串 正樹君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    佐々木 紀君

      佐藤ゆかり君    中谷 真一君

      原田 義昭君    村井 英樹君

      山本 幸三君    阿部 知子君

      逢坂 誠二君    落合 貴之君

      菅  直人君    小宮山泰子君

      福島 伸享君    宮崎 岳志君

      高橋千鶴子君    畑野 君枝君

   兼務 大西 宏幸君 兼務 柿沢 未途君

   兼務 伊佐 進一君 兼務 濱村  進君

   兼務 真山 祐一君 兼務 伊東 信久君

   兼務 丸山 穂高君 兼務 小熊 慎司君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   経済産業大臣政務官    北村 経夫君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)

   (経済産業省大臣官房審議官)           中尾 泰久君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 繁広君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房政策評価審議官)       丸山  進君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井内 摂男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (経済産業省電力取引監視等委員会事務局長)    松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        藤井 敏彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (特許庁長官)      伊藤  仁君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            土井 良治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木暮 康二君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  原田 義昭君     大串 正樹君

  山本 幸三君     中谷 真一君

  福島 伸享君     落合 貴之君

  高橋千鶴子君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     神山 佐市君

  中谷 真一君     山本 幸三君

  落合 貴之君     宮崎 岳志君

  田村 貴昭君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     菅家 一郎君

  宮崎 岳志君     鷲尾英一郎君

  高橋千鶴子君     堀内 照文君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     佐々木 紀君

  鷲尾英一郎君     菅  直人君

  堀内 照文君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     村井 英樹君

  菅  直人君     逢坂 誠二君

  宮本 岳志君     島津 幸広君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     原田 義昭君

  逢坂 誠二君     福島 伸享君

  島津 幸広君     池内さおり君

同日

 辞任         補欠選任

  福島 伸享君     阿部 知子君

  池内さおり君     畠山 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     小宮山泰子君

  畠山 和也君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     宮崎 岳志君

  畑野 君枝君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  宮崎 岳志君     福島 伸享君

同日

 第一分科員大西宏幸君、小熊慎司君、第二分科員丸山穂高君、第三分科員濱村進君、真山祐一君、第四分科員伊佐進一君、第六分科員伊東信久君及び第八分科員柿沢未途君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

関主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。林経済産業大臣。

林国務大臣 平成二十八年度の経済産業省関係予算案につきまして御説明申し上げます。

 アベノミクスのもとで、企業収益が過去最高となるなど、年明け以降の原油価格の下落や、世界的な金融資本市場の変動にもかかわらず、経済の好循環は着実に回り始めています。他方、地方や中小企業を中心にいまだ実感がないとの声があることも事実です。この経済の好循環を揺るぎないものとし、国民に広くアベノミクスの果実を実感していただくべく、希望を生み出す強い経済を実現します。

 このため、平成二十八年度の経済産業省予算案は、一般会計三千三百七十一億円、エネルギー対策特別会計八千三百八十四億円、合計一兆一千七百五十五億円を計上しております。このほか、貿易再保険特別会計二千二百三十五億円、特許特別会計一千四百四十六億円を計上し、また、復興庁計上の東日本大震災復興特別会計のうち八百九十三億円が経済産業省関連予算として計上されております。

 平成二十八年度予算案には、五つの柱があります。

 第一の柱は、福島、被災地の復興加速です。

 来月十一日には東日本を襲った大震災から丸五年となります。今なお避難を余儀なくされている方々に寄り添い、被災地の復興再生に全力で取り組んでまいります。昨年九月には全町避難となっていた楢葉町の避難指示が解除されるなど、福島復興に向けた取り組みはこれからが正念場です。

 このため、経済産業省では、グループ補助金などを効果的に活用し、被災した施設設備の復旧や、新規の企業立地と雇用創出を着実に進めます。

 また、官民合同チームによる原子力被災事業者の事業再開支援、イノベーション・コースト構想の具体化など、福島復興に向けた取り組みを加速してまいります。

 第二の柱は、未来投資による生産性革命です。

 経済産業省としては、IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボットによる変革を推進し、未来投資を促して生産性革命を実現します。

 このため、次世代の研究開発の加速化や社会実証を通じた産業化、中小企業などへのロボット導入、サイバーセキュリティー対策などを推進してまいります。さらに、産業技術総合研究所などによる、技術シーズと事業化との橋渡し機能の強化などに取り組んでまいります。

 第三の柱は、中小企業の生産性向上と地域の付加価値創造力の強化です。

 日本経済の土台である中小企業、小規模事業者、中堅企業がアベノミクスの成果を実感し、生産性の向上や付加価値の創造に向けて、攻めに転じることが我が国の成長に不可欠です。

 そのため、中小企業が大学などと共同で行うものづくり・サービス開発や、知財や標準化の活用支援など、頑張る中小企業の支援を強化してまいります。また、よろず支援拠点を中心とした経営支援体制の強化に取り組むとともに、下請取引の適正化、資金繰り対策などについても万全を期してまいります。

 加えて、地域経済を引っ張る中核企業の新分野進出などの支援や、小規模事業者の販路開拓の支援、地域資源の活用、中心市街地や商店街活性化の推進、中小企業の人材確保の支援などに取り組みます。

 さらに、地域における健康増進、予防サービスのビジネスモデル確立に向けて実証事業を行うとともに、日本医療研究開発機構における研究開発を支援してまいります。

 第四の柱は、世界と一体的な成長の実現です。

 巨大な自由貿易圏を生み出すTPPを契機として、アジアを初めとする世界の成長の活力を取り込むため、中堅・中小企業の新興国市場の獲得や海外展開、インフラシステム輸出を支援してまいります。また、国際標準の獲得の支援や、コンテンツ、健康医療分野の海外展開の支援にも取り組みます。あわせて、ジェトロを活用して対内直接投資の呼び込みにも取り組みます。

 第五の柱は、エネルギーミックスの実現です。

 昨年七月に策定したエネルギーミックスの実現に向けて、省エネを徹底的に推進し、石油危機後並みの大幅なエネルギー効率の改善に取り組むとともに、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担抑制の両立などに取り組みます。

 また、水素社会の実現に向けて、燃料電池自動車の導入や、研究開発の推進などに取り組みます。加えて、世界的な資源安により開発投資環境が厳しさを増す中においても、中長期的な資源の安定供給に必要な国内外の開発事業を着実に進めるとともに、災害、有事に対する危機対応力のある強靱なエネルギーサプライチェーンの構築を目指します。

 原子力発電については、引き続き原子力発電の安全に万全を尽くす観点から、事業者の安全性向上などを促します。また、原子力立地地域への支援については、地域の実態に即したきめ細かな対応を行ってまいります。

 以上、平成二十八年度予算でただいま申し上げた各般の措置を講じることにより、我が国が直面する諸課題を解決し、この経済の好循環を揺るぎないものとし、希望を生み出す強い経済を実現してまいります。

 委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願いを申し上げます。

関主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

関主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串正樹君。

大串(正)分科員 おはようございます。自由民主党の大串正樹でございます。

 本日は、お時間をいただきましてありがとうございます。

 私は、この分科会で、主には平成二十八年度の税制改正の中で車体課税あるいは軽自動車といった分野についてお伺いしたいと思います。

 税制に関しては、恐らく財務省であったり総務省であったり、関係する省庁はたくさんありますけれども、経済産業省にお伺いしたいというのは、まさに税制が日本の自動車産業の育成をどういうふうにしていくか、そういう視点からお伺いしたいというふうに思っております。

 まず最初の質問といたしましては、今回の税制改正について、まさに経済産業省において、日本の基幹産業である自動車産業を育成していくという視点からどのように評価しているか、また、今後の自動車税制の課題はどのようなものがあるというふうにお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。

星野大臣政務官 大串委員の質問にお答えをさせていただきます。

 現在、国内で生産される自動車のうち、半分強が国内で販売をされております。国内の生産基盤の維持強化や地域経済の活性化を図る上では、国内自動車市場の活性化は極めて重要だと考えております。

 このため、経済産業省は、これまでも国内需要の喚起、国内市場の活性化のために、ユーザー負担の軽減や簡素化等を図るべく、車体課税の見直しに取り組んできたところでございます。

 平成二十八年度税制改正におきましては、平成二十九年度から導入される環境性能課税の税収規模を、廃止される自動車取得税に比べ、二百億円程度縮小する結果となりました。ユーザー負担の軽減が一定程度図られたと考えております。

 また、平成二十八年度与党税制大綱には、「平成二十九年度税制改正において、安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる。」と明記されました。

 平成二十九年度税制改正では、消費税の税率の引き上げを間近に控えておりまして、与党税制改革大綱等を踏まえ、さらなるユーザー負担の軽減が実現するよう最大限努力してまいりたいと考えております。

 以上です。

大串(正)分科員 ありがとうございます。本当にユーザーの負担を考えた税制になるようにということで、心強いお言葉をいただきましてありがとうございます。

 商品として競争力を高める上では、ユーザー負担を減らすということももちろん大切なんですけれども、自動車税制、今お話にもありましたけれども、平成二十九年度から環境性能課税ということで、新しく税の体系が少し変わってくるということでございます。自動車税の中でも、特に環境性能課税というのは、ある種のインセンティブが働くのではないか。技術開発に対するインセンティブが働くということで、まさにこれが日本の技術の開発の方向性にも大きな影響を与えるのではないかなということで、その点について次にお伺いしたいと思います。

 ですから、税制の制度設計を本当に上手に行っていけば、伸ばすべき技術を伸ばしていくこともできるし、その技術開発の後押しをするインセンティブに十分なり得るのではないかなというふうに考えておりまして、昨今、電気自動車であるとかハイブリッド自動車という新しいタイプの環境性能にすぐれた技術がどんどん出てきているわけでございます。

 ただ、原則的に、日本の自動車税というのは、排気量によって割り振られているという自動車税のあり方というのがあるわけでございますが、排気量という概念が徐々に、電気自動車やハイブリッドという新しい技術をもってどんどん変わってくるのではないかなということで、今後の税制においても、そういった電気自動車であったり、もちろん水素自動車というのもありますけれども、ハイブリッド技術、そうした先進技術をきちんと評価する視点が必要になってくるのではないかなというふうに思うんです。

 経済産業省といたしましては、新しく来るインセンティブをどのように与えていくかという点について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

糟谷政府参考人 御指摘のように、自動車の中でも、電気自動車、ハイブリッド自動車、それから燃料電池自動車というような環境性能の高い車、こうした車を普及させていくことが必要でございます。

 これまでも、自動車関係のさまざまな税制について、環境性能に着目した減税措置というものを講じてきておるわけでございます。自動車重量税のエコカー減税、それから自動車税、軽自動車税のグリーン化特例といったような制度でございます。来年の春から導入をするということに決定されました環境性能割におきましても、電気自動車や燃料電池自動車、ほとんどのハイブリッド自動車は非課税ということになるわけでございます。

 こうした環境性能に応じた税制上の区分は、いずれも、一定の期間ごとに税率区分や減免対象の見直しを行うということになっております。見直しを行うに際しましては、それぞれの時点における技術進歩の動向でありますとか自動車販売の状況を見きわめながら、環境性能にすぐれた技術が適切に評価されますように、また、その後の技術開発を促していくようなものとなりますように、要望内容を適切なものとなりますように工夫をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、これから新しく導入されるということでもありますので、様子を見ながら、将来的に見直しをしっかりと行って、よりよい方向に変えていっていただきたいというふうに思っております。

 ただ、基本的に、今回の税制の基準となっております燃費基準というのは国土交通省が管轄をしているということで、その燃費基準の基本的な考え方というのが、あくまでもCO2の削減であったり地球温暖化対策のためのインセンティブを与えるというのがこの燃費基準の主な趣旨であろうかと思います。ですから、車体の重量ごとの燃費基準ということで、特にそこに革新的な技術が入っているからどうこうといった視点が恐らくないと思われるので、できれば国土交通省ともしっかり連携をとりながら、本当に環境対策につながっていくような新しい技術がしっかりと評価される、そういった基準づくりについてもぜひ声を出していただければなというふうに思っております。

 また、もちろん、新しい燃費基準、厳しい燃費基準が達成されて低燃費の車がどんどん普及することは、これはユーザーにとっても燃料費の節約にもなるため、大変メリットが大きいわけでございますけれども、経済産業省といたしましても、ぜひ、さまざまなメーカーの先進技術、日本の先進技術は即世界の先進技術でもございますので、これをしっかりと後押しする立場から提言をしていっていただければというふうに思っております。

 また、次の質問なんですけれども、こういう排気量に応じて税制の基準が設けられているというところで、恐らく、大排気量の車であれば比較的まだまだ技術改善の余地があろうかと思うんですけれども、排気量が小さい車に関してはこれ以上の燃費の改善はだんだん難しくなっていくのではないかな、年々燃費基準は厳しくなっていくわけですけれども、千ccであるとか小さな排気量の車に関してはなかなか劇的な改善をすることが難しいのではないかなというふうに考えるわけでありますけれども、こうした自動車、特に小型車の分野は日本の強みの分野でもあると思いますので、環境性能割というのがこれから見直されつつ導入されていくというわけでございますが、そういった中で、排気量の小さい車が今後不利な取り扱いを受けるのではないかという懸念があるんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

糟谷政府参考人 排気量が小さいために燃費改善の余地が小さいということには必ずしもならないのではないかというふうに私どもは考えてございます。

 例えば、アイドリングストップですとかハイブリッドといったような燃費の改善につながる新しい技術は、排気量の小さい自動車にも導入をされてきております。今後もさらに導入が拡大していくものと見込まれております。

 また、排気量の大小にかかわらず、内燃機関の技術水準を向上させるための研究開発に産学官で連携して取り組んでおるところでございます。こうした取り組みが成果を上げることによって、燃焼効率の向上がさらに期待できるものというふうに考えております。

 また、環境性能割では省エネ法上の燃費基準の達成度に応じて税率が設定をされるわけでありますけれども、省エネ法上の燃費基準は、車両重量に応じて十五の区分ごと、また燃料ごとに燃費の改善余地を見込んで設定しております。

 こうした点を鑑みますと、排気量が小さい自動車であるからといって特に不利な扱いになる、そういう事態は生じにくいのではないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、経済産業省といたしまして、先ほど申し上げましたように、技術開発の動向を適切に踏まえ、今後の技術開発をさらに促すものとなるような税制となるように要望をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 排気量が小さな車にも新しい技術がどんどん導入されていくことが期待されるということで、小型車のさらなる燃費性能の向上というところ、また、それ以外の部分でもさまざまな技術開発にぜひ後押しをしていただけるようにお願いしたいというふうに思います。

 ただ一方で、小型車の中に新しい技術を導入するということは、当然重量も大きくなっていくということで、先ほど、重量に応じて燃費基準が決定されているという今の仕組みの中では、やはり軽量化という部分も同じく技術開発等の中に含まれるのではないかなというふうに思いますので、軽量かつ安全な小型車がこれからも普及されることを期待しつつ、そのインセンティブを与えるような税制をお願いしたいというふうに思っております。

 また、燃費基準を判定する一つの判断材料に運転の仕方というのがあると思うんです。現在は、JC08モードという基準で、エンジンの動かし方で燃費を判断されるということで、これが将来的には少し変わってくる可能性もあるというふうに伺っておりますけれども、大型車と小型車では、恐らく日常的な使い方が違うと思うんですね。

 長距離を高速で走る大型車に比べれば、日常的に使われる小型車というのは小さな路地をそれほどスピードを出さずに細かく動くような、先ほどお話に出ましたアイドリングストップみたいな技術が逆に効果的なのではないかなというふうに思いますけれども、そういった小型車特有の使い方ということも判断材料にぜひ入れていただけるような考え方ができればいいなというふうに思っておりまして、そういうところも期待をしているところでございます。

 それでは、次の質問ですけれども、小型車の中でも、特に軽自動車についてお伺いしたいというふうに思っております。

 軽自動車というのは日本独自の規格でありまして、六百六十ccという極めて小さな排気量、そしてコンパクトなボディーという特別な規格の中でこれまでさまざまな技術開発が進められてきたという意味では、日本が世界の中でも特殊な、ただ、特殊でありながら、極めて限られた規格の中で非常に高い技術が蓄積されてきた重要な工業製品ではないかなというふうに私は考えているわけなんですけれども、現在、海外からは、自動車税と軽自動車税の格差について、これが非関税障壁になっているのではないかという指摘がなされているわけでございます。

 その中で、ひょっとしたら軽自動車税を引き上げるのではないか、そういう不安もあるわけなんですけれども、そういう形での格差解消ではなく、冒頭、星野政務官からもおっしゃっていただきましたように、ユーザー負担ということを考えれば、現在の自動車税をしっかりと引き下げてその差を縮めるべきというふうに考えているわけなんですけれども、経済産業省の見解をお伺いしたいと思います。

糟谷政府参考人 軽自動車税の税率は去年の四月に引き上げになったわけでありますけれども、引き上げになった後、現在、軽自動車税の税率と自動車税の一番低い税率との間で三倍近い違いがあるという現状でございます。そういったことをもとに、海外の自動車関係団体などからは、軽自動車にかかる税が相対的に軽いので、輸入車の販売にとって不利になっているんじゃないか、そんな指摘があるのも事実であります。

 ただ、税制は、日本国が主権に基づいて決める政策でありまして、海外から言われたからといって、それだけを理由に変えるものではないというものでありますけれども、ただ、六百六十ccの上か下かで三倍近い自動車税、軽自動車税の違いがあるということに鑑みまして、ユーザー負担の軽減を図る観点から、経済産業省としては、自動車税の水準を引き下げることが必要だというふうに考えております。

 この観点から、昨年の夏に平成二十八年度の税制改正要望を出しましたときにも、ユーザー負担の軽減を図る観点から、自動車税の水準を引き下げて、なるべく軽自動車税の水準に近づけるべきだということで、自動車税の引き下げを要望いたしたところでございます。

 残念ながら二十八年度改正ではそういうことにはなっておらないわけでありますけれども、平成二十九年度税制改正においても、与党税制改正大綱などを踏まえまして、自動車税の引き下げを含めたユーザー負担の軽減策についてしっかりと議論をして、実現できるように働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 軽自動車という日本の本当に高い技術、本来であれば私はこれを、海外から言われる前に、日本から世界の規格にするぐらいの情報発信をしていっていただければうれしいなというふうに思っております。これだけの高い技術というのは世界のあちこちで恐らく需要が高いと思いますので、ぜひ世界の規格にぐらいの、それぐらいの意気込みでぜひ取り組んでいただければというふうに思います。

 先ほど、力強く、自動車税を引き下げてユーザー負担を軽減して、そして軽自動車の、特別な規格であり、軽自動車税の優位性というのもぜひ維持していただきたいというふうにお願いしたところ、心強い御回答をいただいたわけでございます。

 そもそも軽自動車というカテゴリーが、比較的低価格で、そしてコンパクトなボディー、使い回ししやすいという意味では、低所得者への配慮とか、現在では、いろいろな福祉サービス、訪問介護とか、そういう形で軽自動車が使われているのを我々も地元に帰るとよく見受けるわけですけれども、そういった意味では、日常の生活、あるいは社会保障の基盤を支えるような、そういった分野でも軽自動車というのが非常に重要な一定の役割を果たしているというふうに考えているわけでございます。

 このような軽自動車の本来の性格とか位置づけという点において、経産省としては軽自動車の果たす社会的な役割についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

糟谷政府参考人 軽自動車は、特に地方においては、通勤や買い物などに欠かせない日常生活の足となっております。一世帯で複数台数所有される場合もあるなど、広く普及をしておるわけであります。

 例えば、十万人未満の市町村、これは人口比率でいいますと三割なんですけれども、この十万人未満の市町村で軽自動車の約半数が保有をされております。それから、鉄道の営業キロ数が短い県ほど軽自動車の普及率が高いという傾向もあるわけでございます。

 また、軽自動車のユーザーの方を見ますと、三人に二人は女性の方でございます。また、高齢者のドライバーの中でも軽自動車の人気というのは高まっておりまして、この二十年間で、軽自動車ユーザーのうち、六十歳以上の方の比率が四倍になっております。

 それから、そういう日常生活だけではなくて、配達や営業、資材の運搬などの事業活動にも広く活用されておるわけでありまして、このように国民生活において非常に重要な役割を果たしているという認識をいたしております。

 今後、税制改正を含め政策的な対応を行うに際しても、こうした点を当然念頭に置いて対応していく必要があるというふうに考えております。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 本当にユーザーがいろいろな形で利用されているということが軽自動車については明らかになったわけですけれども、いわゆる登録車と言われる自動車の分野とこの軽自動車、ぜひ、軽自動車の特性、軽自動車が持っている本来の社会的な価値というものをしっかりと維持していただきながら、この価値を高めていくような、そういう政策にしていっていただければというふうに思います。

 それでは最後に、日本独自の軽自動車で培われた技術というのはたくさんあると思いますけれども、これをこれからどんなふうに世界に売り込んでアピールしていくかということを、経産省の見解を教えていただきたいと思います。

糟谷政府参考人 軽自動車は、先ほどから御議論ありますように、経済性、燃費性能にすぐれております。したがって、我が国の軽自動車メーカーには、リーズナブルなコストで低燃費の小型自動車を製造するノウハウ、知見、技術の蓄積がございます。

 海外のマーケットを見ますと、例えばアジアの新興国において、コンパクトで手ごろな価格の自動車が中間所得層から人気を得ております。そうしたマーケットにおきましては、我が国の軽自動車メーカーに蓄積された小型車製造のノウハウ、技術が生かされ、競争力のある車が投入されることで、我が国の自動車のシェア獲得につながるということが見込まれるわけでございます。

 実際に、小型の自動車が市場の大きなウエートを占めますインド、パキスタン、インドネシアといったマーケットを見ますと、日系メーカーのシェアが五割から九割程度という非常に高いものとなっておるわけでございます。

 経済産業省といたしましても、こうした軽自動車で培われた技術が海外市場の獲得に活用できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。これまでも海外連携協定などを通じて後押しを行ってきておるわけでありますけれども、近年、こういう伸びますマーケットでのさまざまな人材育成のニーズというのが、いろいろな企業、これは自動車メーカーだけではなくて部品メーカーなどからも寄せられております。こうした声に応えて、今後とも必要な支援に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

大串(正)分科員 ありがとうございます。

 今、部品メーカーのお話まで含めていただいて、本当に自動車産業というのは裾野の広い産業ということでもございます。また、軽自動車特有の小型のエンジンの中での燃焼技術であるとか、そういった車全体のパッケージとしての最適化の技術なんかも含めて世界にどんどんアピールしていって、日本の強みをどんどん売り込んでいくというのが我々の仕事ではないかなというふうに思っております。ぜひ、気持ちを新たにして、軽自動車をどんどん世界に発信していきたいというふうに思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関主査 これにて大串正樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、落合貴之君。

落合分科員 おはようございます。民主・維新・無所属クラブ、落合貴之でございます。

 早朝より、まことにありがとうございます。

 本日は、まず、経済閣僚のお一人である経済産業大臣に、消費税増税について御見解を伺いたいと思います。

 来年の四月一日に消費税を一〇%に引き上げるということを政府は決めております。この消費税増税を行うことについて、大臣は賛成でしょうか。

林国務大臣 二〇一七年四月に予定されております消費税率の一〇%への引き上げにつきましては、政府としては、リーマン・ショックのような重大な事態が発生しない限り実施する方針というふうに承知しております。

 日本経済は、雇用情勢や所得の改善が続いております。総じて言えば、景気は緩やかな回復基調にあるというふうに考えています。もっとも、新興国経済が減速し、年初から金融市場の変動も生じております。また、地域や企業規模によって景況感にはばらつきが見られております。

 このため、経済の好循環を拡大し、消費税率の引き上げを実施できる経済環境をつくり出すことが重要であるというふうに考えておりまして、中小企業、小規模事業者に対して、生産性向上のための支援や下請中小企業の取引条件の改善など、あらゆる施策を総動員して支援するとともに、平成二十七年度補正予算の速やかな実行、平成二十八年度予算の早期成立に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

落合分科員 今、両面のお話をされたと思います。全体としては回復基調である、改善している、しかし一方、地域や業種、業態、企業の大きさによってはばらつきがあるので、その支援をしていかなければならないということでございます。

 例えば、一九九七年四月一日に三%から五%に消費税が上がりました。あのときは、国民にも、目に見えて景気にブレーキをかけてしまったわけでございます。今、大臣がおっしゃった地域のばらつき、業種のばらつき、企業のばらつき、こういったのがまだあるということを大臣もお認めになっている上で、そして二年前の四月一日、五%から八%に上げたときも、マクロの数字で見ても、特に個人消費は確かにがくんと落ちてしまっています。それが完全には回復をしていない、ブレーキをかけることになりました。

 こういう状況でも消費税一〇%の増税に耐えられる、今はそういう経済であるという御認識でよろしいですね。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から申し上げましたけれども、現時点、総じて言えば、景気は緩やかな回復基調にあるところでありますが、やはり懸念材料もあるわけでございますので、しっかり中小企業対策などを進めまして、消費税が上げられるような環境をつくっていきたいということに尽きると考えてございます。

落合分科員 大臣、今局長は、そういう環境をつくっていきたいというふうに言っていましたが、今の状況は、先ほどの質問と内容は一緒なんですが、聞き方は違うんですが、消費税一〇%にも耐え得る日本経済の状況であるという大臣の認識でよろしいですね。それで、消費税も、リーマン・ショックのようなことが起こらない限りは上げても大丈夫だという認識でよろしいですね。

林国務大臣 先ほども答弁いたしましたけれども、消費税率の引き上げが実施できるような、そういう経済環境をつくるということが大事でありまして、そのために、先ほど述べたように、中小企業対策をきちっとやっていかなきゃならない、また、進めていきたいというふうに思っております。

落合分科員 これは、今のおっしゃった感じを読み取りますと、要は、今の状況では、一〇%に上げられる状況ではないというふうな認識なんでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、消費税率一〇%への引き上げについては、リーマン・ショックのような重大な事態が発生しない限り実施する方針でございます。

落合分科員 実施する方針ですが、今、この経済が消費税一〇%に耐えられる状況なのかということを、経済を担当する大臣のお一人として御見解を伺えればと思います。

林国務大臣 先ほどから答弁しているとおりでございまして、経済は動きます。

 現在においては先ほど申し上げたとおりでございまして、先行きのこともございますので、慎重に見きわめながら取り組んでいきたいと思っています。

落合分科員 先日、テレビのニュースを見ていてびっくりしたんですが、思った以上に国民の景況感はよくないのではないか。例えば、二月の日本テレビの世論調査では、アベノミクスがうまくいっていると答えた方が一三・三%。これは前の月の半分ぐらいに減っています。その前からもどんどん減り始めていました。うまくいっていると思わないが七一・九%ということで、これはかなり注目しなければならない数字だと思います。

 これは、またちょっとだけ違う聞き方ですが、安倍政権の経済政策、アベノミクスという名前がつけられていますが、その経済政策については、大臣は肯定的に捉えていますでしょうか。

林国務大臣 捉えています。

落合分科員 アベノミクスは肯定的に捉えている、現在の状況では回復基調、改善基調が揺るがない、ただ、一方でいろいろと見ていかなければならないポイントもあるというような認識だというふうに理解をしました。

 消費税増税というのは、中小企業にとっても、それから消費者にとっても、かなり大きな政策ですので、これは非常にインパクトがある問題だと思うんですが、現在の状況では、リーマン・ショックぐらいの大きなショックがなければ実行するべきだという御認識だというふうに捉えさせていただきました。

 それでは、アベノミクスの改革について、きょうはお伺いができればと思います。

 まず、商工中金の件についてでございます。

 今、大臣の御認識では、全体としては経済は景気がいい、ただ、中小企業等は目を配っていかなければならないということでございました。

 経済を自律的に成長させていくには、前のアベノミクスで言う第三の矢、成長戦略、既得権への改革が重要だということは総理もたびたび国会の答弁でもおっしゃっていました。安倍内閣は改革断行内閣であるということもおっしゃっていました。

 一方で、具体的に見てみますと、重要な改革が宙づりになっているものもたくさんあるというふうに私も感じております。先日、自民党のある若手議員から農林中金のあり方についても発言がありましたが、本日、私は経済産業省の管轄である商工中金について取り上げさせていただきます。

 商工中金は、九年前の法案の成立によりまして完全民営化が決まりました。しかし、先ほど話もありましたが、リーマン・ショックという大きなリセッションがありました。そして、東日本大震災という大きな天災もありました。この二つを機に、民営化が二回延期をされました。経済の状況が悪いので、危機対応を商工中金も担ってくれということで二回延期をされて、去年三度目の延期がされました。

 その延期の中身なんですが、リーマンと東日本大震災のときは、完全民営化は何年後に延期をしますというふうに年数を区切っていましたが、去年は明記をしませんでした。これは、特にリーマン・ショックがあったわけでもない、東日本大震災があったわけでもない、それなのに延期をすることを決めて、しかも期限も切らなかった。これは、完全民営化という言葉は法案にも残していますけれども、もう実質的にはやらないというふうな形で捉えてもよろしいでしょうか。

林国務大臣 商工中金の民営化につきましては、今委員御指摘のように、昨年の商工中金法の改正におきまして、将来的な完全民営化の方針を堅持しつつ、多くの民間金融機関が危機対応業務を行う指定金融機関となり、危機対応が十分に確保されるまでの当分の間、商工中金に危機対応業務を義務づけ、政府が必要な株式を保有するとされているところでございます。

 これは、現在の景況がよくなっているかどうかではなくて、あくまで、万が一、大規模な景気変動や自然災害などの危機があった場合に、中小企業、小規模事業者の資金繰りを支援する体制が整っているかどうかということを民営化の判断材料にするという趣旨であります。

 しかし、現時点においては、危機対応業務を行う指定金融機関となっている民間金融機関は存在していない状況でございまして、そのため、危機があった場合の資金繰り支援に万全を期すためには、政府系金融機関による一定の役割がいまだ必要だと言わざるを得ないと考えておるところでございます。

 いずれにしても、経産省としては、将来的な完全民営化の方針を堅持しつつ、関係省庁と連携して、できるだけ早期に商工中金を完全民営化できるような状況をつくっていきたいというふうに考えています。

落合分科員 今はそんなには必要性があるかわからないけれども、万が一起こったときに、危機対応業務をやる金融機関が必要である。それをやってくれる金融機関はそんなにはないので、商工中金に危機対応業務をさせるための体制は残しておかなければならないというようなことであると思います。

 二〇〇七年に完全民営化を決めた法案が成立した際は、リーマン・ショックもなかった、東日本大震災もなかった。でも、いつかはそういう不況が起きるということもそのときわかっていたわけですし、それから、いつかは大地震が起こるということもわかっていたわけです。

 これは、完全民営化を決めたときのあの法案というのは間違いだった、もしくは政府の方針が変わったということでしょうか。

林国務大臣 繰り返しになりますけれども、何よりも重要なのは、今申し上げたように、万が一、大規模な景気変動やら自然災害などの危機があった場合に万全を期すことが大事だというふうに考えておりまして、そういった意味で、他の民間金融機関が指定金融機関にまだなっていないものですから、当分の間、商工中金にそのまま進めていただくということにしているところでございます。

落合分科員 二〇〇七年に法案ができたときは、何年後に完全民営化をするということを明記していました。これは、そのときの法案が間違えていたということでしょうか。要は、指定金融機関になる民間企業が出てくると思っていたのに、出てこなかったからその方針が変わったというような話だと思いますが、二〇〇七年の考えていた想定が間違えていたということでしょうか。

林国務大臣 先ほどから述べているように、いつそういうことが起こるかわからないということもございまして、経産省としては、完全民営化の方針は堅持しつつ、関係省庁と連携して、できるだけ早期に完全民営化をできるような状況をつくっていきたいというふうに考えているんです。

 そのために、昨年七月には、多くの民間金融機関が危機対応業務を行う指定金融機関になることのできる環境を整えるべく、まず、指定金融機関になるための申請手続の簡素化をしています。また、指定金融機関の危機対応業務の実施要綱のひな形を公表するなどの業務内容の明確化をしておりまして、こういった取り組みを行ったところでございます。

 今後も、商工中金が地域金融機関へノウハウを提供する、そういった取り組みを進め、民間金融機関が危機対応を行えるような状況をつくってまいりたいというふうに考えております。

落合分科員 二〇〇七年に完全民営化を決めたときも、万が一のことは考えていたはずです。しかし、何年後には完全民営化をするというふうに明記をしていました。そして、そのときの議論を私はさかのぼって見させていただきましたが、こういうセーフティーネット機能というのは、ほかの政府系金融機関に持たせるということで一応一区切りがついていたはずです。しかし、リーマン・ショック、東日本大震災は、想定以上の大きな経済への打撃だったもので、二回の民営化は、まあいたし方ないところはあると思います。しかし、最初に決めた民営化を、この後、もうずるずると実行していかないというのは、やはり問題があると思います。

 何が問題なのか。いっぱいありますけれども、商工中金というのは組合金融です。ですから、全員に満遍なく機会が与えられているわけではありません。一部の人たちのための金融である。別に、その組合に入っていけないという決まりはないですけれども、そういう組合金融であるところに対してセーフティーネット機能を持たせるというのは、やはり本当の緊急事態のときだけにするべきではないですか。

 万が一のためにと言っていたら、いつになったらそれがオーケーになるか、基準も曖昧ですし、税金をどんどんつぎ込んでいく、そういうセーフティーネットの役割を組合金融が担うということ、これは健全なことなんでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御言及がございました過去のリーマン・ショックや東日本大震災の経験を踏まえましても、日本政策金融公庫の融資や信用保証協会による保証も最大限活用されたと認識しております。それでも中小企業、小規模事業者の資金繰りは十分ではなかったというのが現実だったと理解しております。

 今のお問い合わせでございますけれども、危機対応業務を行う指定金融機関となっている民間金融機関が今は存在しておりません。この現状下では、組合員以外も対象にし、しかも預金を扱うメーンバンクともなり得るこの商工中金が危機対応業務を担って、支援の業務を担うことが必要だと考えてございます。

落合分科員 済みません。組合金融になぜ税金を投入することが正当化されるのか、それは不健全ではないか、そのことについてはどう思いますでしょうか。

豊永政府参考人 これは、商工中金の歴史にもかかわりますけれども、中小企業の組合、それを構成する中小企業、またそこに加盟していない中小企業も含めて、戦前からそうした中小企業に対する支援を専門とする機関として重要性を認められ、国と合資するといいますか共同で出資する形で発足した、政策的な意味を有する機関であったという歴史に由来すると考えます。

落合分科員 ここが一つの大きなポイントだと思います。この組合金融に税金を多額投入し続けることが国民の納得することなのかということは一つの大きなポイントであると思いますので、ここはまた、私も改めて深めさせていただきたいと思います。

 それで、民間の金融機関が危機対応を行ってくれない、これは、民間の金融機関は国の子会社ではありませんので、独自の経営判断をするということであると思います。だからこそ、国が株を持っている金融機関に命令をするという形をとっていると思います。

 これは、会社法でいうと、この業務を決めるのは、主要業務の変更、定款の変更というのは三分の二以上の賛成が必要である。ですから、三分の一は危機対応業務をやらせるためには持っていなければならないわけですが、何で今四六%でとまっているんでしょうか。これはもっと売ってもいいんじゃないですか。危機対応をそれでもさせ続けることはできます。

 大臣、今こういう状況があることについてどう思いますか。これは改善するべきじゃないですか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお問い合わせのありました商工中金の株のどの程度を国が保有すべきかにつきましては、今後の業務の運営、また、中小企業の金融事情を踏まえて検討することとなってございます。

落合分科員 今までの大臣のお話では、危機対応の体制がまだ我が国の金融機関で整っていないので、完全民営化は難しいんだということでございました。

 いろいろと状況を判断してというふうに長官はありましたけれども、この最低限必要なレベル、危機対応業務を行うということを維持していくこと、それにプラスして、法案で、二〇〇七年ですから、自民党政権の意思として完全民営化を決めたという両方を実行していくためには、保有比率を下げていくということは全くおかしいことではありません。

 大臣、これに向かって前進していくべきではないでしょうか。

林国務大臣 中小企業庁長官が答弁したとおりでありまして、いろいろとこれからの状況も見きわめながら、そういう必要があるというふうになれば検討していきたいというふうに考えております。

落合分科員 必要があればというか、あるのではないでしょうか。国民に向かっては完全民営化をすると掲げています。しかし一方で、事情として、危機対応業務、そういった金融機関のセーフティーネット機能というのは重要です。両方重要です。

 しかし、株を四六%持っているという理由はない。だからこそ、別に人に聞くような話ではなくて、大臣の決断でやるべきではないですか。

豊永政府参考人 お答えさせていただきます。

 大臣からも繰り返しお話がありましたように、最も重要なのは、万が一、大規模な景気変動や自然災害などの危機があった場合に、中小企業、小規模事業者の資金繰りを支援する体制が整っているか、十分であるかということかと考えておりまして、そういった観点から、引き続き、先生の御指摘の株式の保有のあり方も含めて、完全民営化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

落合分科員 それは、セーフティーネット機能のために商工中金の役割があるということは私もわかります。だからこそ、そのためには三分の一は持っていなければならないという話になるわけで、四六%持っていなければならないという話にはなりません。これも先ほどのポイントと同じように納得できない部分です。

 それから、五四%は国以外が持っているわけですが、公的資金がどんどんつぎ込まれている銀行であるということで、今はセーフティーネット機能を果たす役割をしている、利潤を追求ばかりしているわけではないというような金融機関なわけですが、株の配当金を計算したら、一・九七%ぐらい配当しています。

 今、マイナス金利ですし、運用先がないという中で、限られた株主の人たち、しかも政府に守られている金融機関の株主が一・九七%をずっともらい続けられる、これもおかしいのではないでしょうか。どうですか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 配当のあり方につきましては、株式会社たる商工中金の組織内において適切に判断されていると承知しています。

落合分科員 それこそ、国が四六%持っていて、あと四%以上あれば過半数にいくわけです。配当金のあり方も圧力をかけようと思えばできるわけで、大臣、税金を入れている企業に関しては、所管する大臣として、こういうところはある程度厳しく見ていかなければならないんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、今申し上げましたように、株式会社が適切にその判断に基づいて行っている決定だと考えますけれども、私どもは、そうした手続その他に瑕疵がないか、株式会社商工中金法を所管する観点から、適切に対応してまいりたいと思っております。

落合分科員 法律どおりに言えばそうかもしれませんが、今これだけ財政事情にも余裕がないわけですから、各省庁にぶら下がっている、こういう政府が出資しているところは監視を強めていかなければならないと思いますよ。歴代のこの金融機関のトップを経済産業省の事務次官の方々が務めてきている、こういう点もあると思います。

 それから、セーフティーネット機能のことをたくさん言われていますが、資料の二枚目を見ていただきたいんですが、真ん中の右の方、リーマン・ショックと東日本大震災では、民間の貸し出しはがくんと減って、商工中金がふえたわけですけれども、今、民間はどんどんふえていて、商工中金はマイナスに突入しています。今の時点では、商工中金に対する資金需要は明らかに落ちている。

 それから三枚目、財務状況ですけれども……

関主査 質疑時間が経過しておりますので、御協力願います。

落合分科員 はい。

 不良債権比率は高い。

 そして一ページ目、自己資本比率は高いんですが、半分以上が税金が投入された結果です。もう既に自己資本に公的資金が投入されている。こういう状況の金融機関を、厳しい監視なく、野放しにしてはならないと私は考えます。

 きょうの質問はここで終わらせていただきます。ありがとうございました。

関主査 これにて落合貴之君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷真一君。

中谷(真)分科員 発言の機会をありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に移りたいというふうに思います。

 まず、最初の質問は、情報産業における構造改革について御質問を申し上げたいというふうに思います。

 私は、よく思うんですけれども、日本はこれから将来何で食っていくか、そういう大きな問題があるんだろうというふうに思います。

 日本のかつてトップランナーだった電機産業は、東芝またはシャープの件を見ても、非常に厳しい状況にある。こういうことを考えますと、今、トヨタさんを初め車業界が本当に頑張っていますけれども、それだけで本当にいいのか。今後はどこに力を傾注して、そして何で世界と戦っていくのかということをやはり考えていかなければいけないんだろうというふうに私は思います。

 私は元自衛官でございまして、自衛隊時代の先輩に、自衛隊をスピンアウトして今民間で活躍されている方々の中にITの方々が結構多くて、特に起業された方が多い。多分、その間、やはり非常にチャンスがあったんだというふうに思いますね。起業されて成功した人たちが結構多い。非常に成長産業だったんだというところもあるんだというふうに思いますけれども、そういった方々のいろいろな御意見を聞く機会がございます。

 また、情報産業は、私がちょっと調べますと、全産業の中で、実はGDPの中で一番大きな割合を占めているんですね。これは八・七%もあるんですね。ほかのものを見ますと、例えば、電気機械は二・九%です。また、輸送機械は五・三、建設は六・一、小売は四、卸は六・二とか、こういうものと比較しても非常に大きな割合を誇っている。これは一番なんですよね。

 そういう意味では、もう非常に大きな産業になっているという実態もあるんですけれども、私の先輩、そういうおつき合いのある方々からお聞きすると、非常に問題のある状況だということをお聞きするんです。これをやはり解決して、実は私は、情報産業というのは、我々がここに力を傾注して、世界と戦っていく上で非常にいい分野なのではないかなというふうにも思っています。

 総理はオリパラまでに車の自動運転をやれと言っていましたよね。これなんかは非常にICTが必要で、あらゆる情報を車が収集して、それをAIが処理して、そしてどう進んでいくか。これはラジコンじゃないですから、やはり自動運転をしていくという意味では、そういう意味でもこの情報ということについて総理は言及されているんだというふうに私は思います。

 また、その業界の話を聞きますと、ハードについては日本は非常に得意だったというところもありますけれども、ICTというとソフトが非常に重要になってまいります。業界の人たちは、ハードよりこれは百倍難しいというふうに言いますね。そういう意味では、私は、ここにしっかり力を傾注して、いわゆるトップランナーになることができれば、そう簡単に追いつかれない、いわゆる発展を今続けている国々に差をつけるという意味でも非常にいい分野ではないかなというふうに思っているところでございます。

 その中で、先ほども申し上げました、非常に問題があるというところを解決していかなければ、なかなかそういう発展が見られない。今までは国として実は余り手を入れてこなかった、結構任せていた分野ではないかなと。私は、今後、国としてある程度いわゆる方向性をリードしていくというようなこともしていかなければいけないのではないかというふうに思っているところでございます。

 まず、資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは非常に大きな分野であります。先ほども申し上げました、八・七%を占めているというところもあるんですけれども、ITにおいてICTを非常に日本は軽視しているんじゃないか、日本の企業と言った方がいいですね、軽視しているんじゃないかというデータがここにあるんですね。

 一枚目の一番右の棒グラフを見ていただきたいんですけれども、アメリカの場合は、ユーザー会社、いわゆるICTを使う会社の中に技術者が入っているわけです。七一・五%がユーザー会社の中にいるんです。これに対して、日本は二四・八%しかいないんですね。いわゆる抱えていないという状況にあります。これは何を意味しているかというと、ICTによって自分の事業を発展させようとか、こういうことをしようとしたときに何をするかというと、全部外注しちゃう、丸投げしちゃうんですね。こういうことが実は起こっています。

 二枚目を見ていただきたいんですね。そうすると、ピラミッド型の図があるんですけれども、これは何を意味しているかというと、産業構造がこのようになっているということなんですね。これは、いわゆる建設会社みたいになっているんですね。建設会社の場合は、国が誘導して、ある程度クラスを決めて仕事を振り分けていくという意味では、こういう形をとっているんですけれども、これは民間企業であるにもかかわらず、なぜかこういう形になっているんです。

 それで、プライムベンダーと言われる一部の企業が受注をするわけです。ほとんど丸投げですから、使う企業が丸投げしてくるのを、いわゆるプライムベンダーと言われているところが引き受けるわけです。そして、いわゆる中小ITベンダーと言われている企業が、二次下請、三次下請と言われているところが人を出して、そしてプライムベンダーのやろうとしていることを一緒にやっていくということをやっているんですよね。

 これは、一種の派遣業みたいになっていると言うんですよね。中小ITベンダーと言われているところはただ人を出すだけ。非常に労働環境も悪くて、私はこの話を聞いていると、まさに派遣業で、これは労働基準監督署を入れた方がいいんじゃないかというような状況に実はなっていると言うんですよね。

 このような状況では本当にただ人を出すだけで、私の知り合いの方が言うには、ある程度しっかりと考えて目標を持ってやれば、実は、第三次下請とか第二次下請からプライムベンダーになることはそんなに難しいことではないと言うんですよ。ただ、もう産業構造ができていて、この状態が居心地がよくなってしまっている、ただ人を出すだけになっているということを言っているわけです。なかなか目標がない、ただ人を出しているというような状況にあるんじゃないかということを言っております。

 これは非常に問題であって、しかも、成長産業として今後日本の戦略的な位置に置くべきだというふうに思っている一人として、私は、この構造はやはり変えていかなければいけないのではないかというふうに思うわけでございます。

 また、三枚目を見ていただきたいんですけれども、これは非常にたくさんの人が実は従事しております。八・七%ですから、非常にたくさんの人が従事しています。ところが、余りみんな行きたがらないという現状もあるんです。何でかというと、先ほど申し上げたような構造にあって、非常に労働環境が悪いからなんですよね。私は、やはり非常に大きな成長が見込まれるこの産業にいい人材が行かなきゃいけないというようなこともあると思うんです。

 ところが、日本の場合は、ソフトウエア工学と言われていたりとか、そういったICTをどう構築するか、またどう使っていくかという教育が実は弱いのではないかというふうにも私は思っております。

 この三枚目の数字を見ますと、非常に大きな数字なんですけれども、この中にどれだけそういうものを勉強した人たちが入っているのかという疑問もあるわけであります。私は、ほとんどいないのではないかというふうに思います。わからない人がわからない人たちに発注をして余りいいものがつくれない、このような状況があって、しかも、なかなか目に見えないものですから、それをそのまま放置しているという状況が生起しているということを言っている方々もおられます。

 このことについての状況認識をまずお聞きしたいということと、私は、成果物や技術者の能力向上を考えた場合に、このまま放置していいのかと。

 これはちょっと、建設業とかと比較すると、業界も違いますので語弊があるかもしれませんけれども、こういったシステムを構築するにはこの資格が必要ですよとか、そういう基準をある程度整備していく。これは、目に見えないものでも、経営のMBAとか、こういうものもやはり整備したりとかやっていますから、私はそれはできないことではないなと。

 そういうものがまた、一般のプログラマー、またそれを運用する人たちにとっても、私は、やはり一つの目標となって、スキルアップしていくことになるのではないかというふうに思います。また、その勉強したきっかけが、いわゆる提案する能力になったりとかして、プライムベンダーになっていくとか、私は、そういういい作用を起こすのではないかなというふうに思います。

 これについての見解と、あとは、これは文部科学省になると思いますけれども、必要としている技術者の数に対して、私は、本当にそういう教育を受けた人たちの数が足らないのではないかというふうに思っています。これについての状況認識と、その対策についてお伺いをしたいというふうに思います。

星野大臣政務官 中谷委員にお答えさせていただきたいと思います。

 あらゆるものがネットワークにつながりますIoTの浸透やビッグデータの活用によるビジネスの変革が従来にないスピードとインパクトで進む中、我が国IT産業の競争力を強化していくことは極めて重要な課題だと認識しております。

 IT産業の競争力強化のためには、能力、成果を適切に評価した取引を推進していくことが必要であります。経済産業省では、IT産業における下請適正取引等の推進のためのガイドラインを策定し、IT業界に周知を図っているところでございます。

 また、IT人材の能力に基づいて、処遇の改善を図るとともに、IT人材にキャリアアップの目標を持ってもらうための能力の見える化も重要だと認識しております。経済産業省では、ITスキルの標準化や、能力の客観的評価のための国家試験である情報処理技術者試験を実施しております。

 こうした取り組みにつきまして、IT技術の進歩や社会的要請の変化にも適合させるべく、不断の見直しを進めて、IT産業の競争力強化とIT人材の育成を推進してまいりたいと考えております。

 以上です。

松尾(泰)政府参考人 お答えさせていただきます。

 ITの利活用、先生の資料でいいますと、守りに加えまして攻めということになりますが、その利活用も含めまして、それを牽引する高度なIT人材の創出というのは我が国イノベーションの鍵でございまして、こうした人材を戦略的に育成することは極めて重要だと思ってございます。その旨、昨年六月に閣議決定されました世界最先端IT国家創造宣言にも記載されているところでございます。

 高度なIT技術人材を特に大学におきまして育成するに当たりましては、今先生御指摘のように、産業界と大学が一緒になって連携し強化をするということが重要でございまして、実践の中で技術を習得させることが重要だというふうに思ってございます。

 そのため、これはまだまだ十分ではないかもしれませんが、文部科学省におきましては、平成二十四年度から、情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業を実施してございます。

 ここでは、企業から提供される実際の課題に基づきますいわゆる課題解決型学習、PBL等の実践的な教育を推進してございます。本事業に参加する大学は、他の大学あるいは関連分野の企業と共同しまして事業を行っており、産業界のニーズを踏まえながら高度なIT人材育成に取り組んでいるところでございます。

 文部科学省といたしましても、IT技術の進歩、それから社会の要請等も踏まえつつ、今後とも、これら事業等を通じまして確かな知識を持ったIT人材の育成に取り組んでいきたいと思ってございます。どうぞよろしくお願いします。

中谷(真)分科員 ありがとうございます。

 百倍難しいと言われているんですけれども、やはり難しいことをやって、しっかりイノベーションを起こして、ほかのところがなかなか追いつけないという状況をつくっていかなければ勝ち残っていけない。そういう意味で、私はこの構造改革は急務だというふうに思いますので、ぜひ、所管されている経済産業省、また文部科学省もこれは大きな役割があると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 次に、企業立地促進法についてお伺いをしたいというふうに思います。

 これは、今、地方にいわゆる企業立地をできるだけしていきたいということでお願いをしているところでございますけれども、この中身を見ますと、支援措置の対象は製造業、運輸業など六業種に絞っておられます。また、不動産取得税に係る家屋や土地の取得価額要件は二億円以上。この二つの縛りが大きくある。

 これは、地元から聞きますと、なかなか厳しいという声も聞いています。例えば、ちょっと業種を拡大してほしいとか、環境にある程度配慮した天然ガスを使った発電とか、そういう業種をできるようにしたらどうかとか、あと、二億円だと、ある程度のサイズがないと、小規模なところはできないというところもあります。この要件をもう少し下げてもらいたいという声も聞いています。

 これに対して、本当にこの事業によって進んでいるのか。山梨県は結構厳しいという声を聞いています。ほかのところはどうなんだというところと、現状を踏まえた、今後どうされるかということについてお伺いをしたいと思います。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の企業立地促進法に基づく減収補填措置でございますけれども、この法律に基づきまして工場などを設置した事業者に対しまして、地方団体が不動産取得税または固定資産税の課税免除等をした場合に、減収の一部を普通交付税で補填する仕組みでございます。

 これにつきましては、雇用創出効果が大きい製造業を初めとする六業種で、取得価額が二億円を超える産業集積の中核となり得る比較的規模の大きな施設を対象としておりまして、平成十九年度の制度創設時から平成二十七年度までで、不動産取得税分で約九十六億円、固定資産税分で約九十四億円の減収補填を実施してきたところでございます。

 他方で、こういった減収補填措置につきましては、平成十年に閣議決定されました地方分権推進計画におきましても特例的な財政措置と位置づけられておりまして、措置の対象は必要最小限とされているところでございます。

 したがいまして、対象業種の拡充あるいは取得価額の引き下げにつきましては、こういった状況を踏まえまして慎重な議論が必要な状況ではございますけれども、先生御指摘のような地方における実態も踏まえまして、引き続き検討していきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

    〔主査退席、佐藤(ゆ)主査代理着席〕

中谷(真)分科員 ぜひ、地方の現状を見ながら、これはやっても余り進まないんじゃ意味がないと思いますので、要件についても不断の検討をぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、地域中小企業応援ファンドの再貸し付け、また貸付額の増額について御質問したいというふうに思います。

 これは地方創生ということで今やっていますけれども、やはり新しいビジネスを生み出すということで、これは非常にいいというふうに聞いています。

 それで、二十年から始められて、これは事業の一応の区切りを二十九年度から三十一年度に迎えるというふうに聞いています。やはり、さらにその先もやってもらいたいという声が非常に大きくて、これは再貸し付けという形になるんでしょうけれども、要望が来ています。

 また、あとは、今、貸し付けていただいた資金を運用しながらやっているんですけれども、マイナス金利になっていますから、ちょっと国債運用がきついということを言っています。そういう意味では、額を上げてもらいたいということも聞いています。

 これについて、いわゆる再貸し付けと、また貸し付けの増額について御見解をいただきたいと思います。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御質問のございました地域中小企業応援ファンドは、地域中小企業の新事業を支援するために、私の記憶では平成十九年度だと考えますけれども、創設されたものでございます。

 中小企業基盤機構が都道府県に無利子貸し付けを行い、地域金融機関等による拠出分と合わせて基金を造成し、その運用益により助成事業を行っているというものでございます。

 現在、実績としましては、全国で四十四都道府県に基金が造成されておりまして、創業や農商工連携などに約一万一千件、金額にしまして約二百八十四億円の実績がございます。

 先生が御指摘のように、このファンドにつきましては、二十九年度から順次返済期限を迎えますし、また最近は、御指摘のように、金利低下の傾向の中で運用益が減少しつつあるという声もございます。現在、全国知事会を初め、延長や増額要求についての御要望も承っております。

 私どもといたしましては、地域中小企業対策という観点から、このファンドのあり方についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。

中谷(真)分科員 ぜひ、前向きな検討をよろしくお願いいたします。

 次に、小規模事業者持続化補助金制度についてお伺いをしたいと思います。

 小規模支援法が二十六年六月に成立をして、それ以降、こういった補助金をつくっていただいたというふうに思っております。これは、やはり人的にも資金的にも厳しい小規模事業者にとっては非常にいいチャレンジの機会だと。

 また、小規模事業者というのは、結構目の前のことにとらわれてしまって、やはりもっと先を考えて事業計画を立てたいところですけれども、そのことに結構終始してしまっているというところもあります。そういった意味では、これは、伴走型で、非常にいいものだというふうに聞いています。

 ただ、これは補正で今は措置されていまして、二十六年には百六十六億あったんですけれども、二十七年は七十億ということで、浮き沈みが結構あります。ただ、小規模事業者の状況は今も昔も余り変わらないと思うんですよね、これからもと言ってもいいかもしれないです。そこからさらに事業を広げて、やはり体力を強化していくという意味では、私は、これはやはり安定的に欲しいなと。

 そういった意味では、これは補正ではなくて、ぜひ本予算で措置をしていただきたいと思いますけれども、それについての御見解をお願いいたします。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 小規模事業者は日本経済の基盤を支える大変重要な存在でございまして、その事業の持続的発展に向けてあらゆる施策を総動員すべきであるというふうに認識しております。

 委員御指摘の伴走型の支援という観点では、平成二十八年度当初予算の中で、商工会、商工会議所が策定した経営発達支援計画に基づき実施する伴走型の支援に対して予算を増額しております。加えまして、マル経融資などの予算も計上しております。

 他方で、御指摘の小規模事業者持続化補助金に関しましては、これは小規模事業者の販路開拓を支援する予算でございますけれども、その時々の経済情勢や政策課題に迅速に対応するという観点で補正予算に計上してきております。これまでの二年間で、約五万者の支援をしてきております。

 いずれにしましても、小規模事業者の持続的な発展の支援というのは極めて重要でございますので、継続的に取り組んでいく重要な課題というふうに認識しております。関連する予算措置に関しましては、関係省庁とも連携しながら、引き続き検討していきたいと思います。

中谷(真)分科員 全部とは言いませんので、一部でも本予算に加えていくとか、そういった検討をぜひお願いしたいというふうに思います。

 次に、地方の中小企業とか小規模事業者における人材確保について御質問をさせていただきたいと思います。

 山梨県は九九・九%が中小企業でございまして、山梨県内で中小企業に従事している人たちは八九・九%なんですね。これは全国で最も高いと言われているんですけれども、ほとんどの人が中小企業に従事しているというものであります。

 それで、よく声が聞こえてくるんですけれども、最近、人がいないと言うんですよね。これはアベノミクスの効果もありまして、非常に今有効求人倍率が上がっていまして、山梨も一を超えさせていただいて、これは非常にありがたいことなんですけれども、今、人がいないというふうに言っています。

 特に実業、いわゆる技能者、技術者がいないというふうに言っていますね。技術、技能がなくてもできるというところは、これもさまざまな問題があるんですけれども、技能実習制度とか、こういったことを使ったりとかしているようです。ところが、技能、技術者が結構不足をしてきている。中谷、左官工はいないかとか、トラックドライバーはいないかとか、バスはとか、こういうことも結構言われているところでございます。

 また、今、この間の軽井沢の件もございましたけれども、いろいろなことが起きると、どっちかというと規制を強めていくというか、この技術がないとできませんよとか、何歳以下じゃないとだめですよとか、こういったことは実は結構不断に行われているわけなんです。

 ただ、かといって、資格を取るということに関しては実は非常に厳しくなってきているんですよね。

 例えば、高校を見ても、工業高校がすごく減っていたりとか、商業高校もそうです。また、昔はよく自動車科というのがあったんですよね。今は自動車科というのもだんだん減ってきています。自動車科を出ると三級の資格が取れるんですよね。そうしたら、そのまますぐ工場に入ってとかということができたんですけれども、これもなくなってというところもある。自動車整備工に高校を卒業してすぐ入ってきてくれる子がいないとか、こういった問題もあるというふうに聞いています。普通科を志望する子が非常に多くて、この子たちというのは東京に行っちゃうんですよね。東京に出ていって大学に行っちゃうものですから、山梨に帰ってこないとか、こういう状況もあります。

 先ほども申し上げましたが、山梨はほとんど中小企業なんですけれども、実は中小企業というのは実業が多いんですよね。だから、実業を行ういわゆる技術者、技能者というものをどう確保していくかというのは、私は、やはり主管官庁である経済産業省さんが音頭をとっていくべきだというふうに思っています。

 これは、先ほども申し上げました学校の問題とか、こういったこともあると思います、教育をどうしていくかとかですね。これはほかの省庁も関係してくる。文部科学省だったりとか、あとは厚生労働省だったりとか、こういったものも関係してくるとは思います。ただ、私は、やはり主管官庁、経済産業省が音頭をとっていくべきだという意味では、経済産業省にお伺いしたいのは、今の地方における実業に携わる技能者、技術者の人材不足についての御認識とこれに対しての対策。

 また、私は、やはり関係省庁を集めて、一堂に会して、問題認識を共有してやらなければ、なかなか連携がとれないと。経済産業省は足らないと言っていて、文部科学省でそういうところを減らしているとか、こういったことではなかなかうまく手当てすることはできないんだろうというふうに思います。そういった意味では、私は、一堂に会する機会を設けたりとか、こういうことが必要だというふうに思います。そのことについての御見解を伺いたいと思います。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、中小企業、小規模事業者にとって技術人材は競争力の源泉だというふうに認識し、その確保と育成が重要な課題と考えてございます。ただ、お話にもありましたように、高齢化も進展し、その数が減少しているというのが厳しい現実かと承知しております。

 そういった観点から、経済産業省、中小企業庁では、ものづくり中核人材育成事業、またサービス分野にも目を向けまして、中小サービス業中核人材の育成支援事業を行っておりまして、これによって製造業やサービス業の中核人材、技術人材の育成に努めているところではございます。

 お話にもありましたように、こうした中核人材に限らず、人手不足が深刻だと認識してございます。したがいまして、最近は、さらに広げて、中小企業の人手不足感が強まる中で、地域の女性や若者、シニアも総動員して、中小企業、小規模事業者の活性化に関与していただくというような努力もしているところでございます。

 いずれにしましても、お話にありましたように、雇用関係助成金を所管している厚生労働省、また人材を育成しているところの文部科学省などともしっかり連携しながら、人材確保や育成支援の充実に全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。

中谷(真)分科員 これは各個に連携をとるのも私は重要だと思うんですけれども、そうじゃなくて、やはりみんなで共有する、これが私は非常に重要じゃないかなと思いますので、ぜひそういった会同とかを設置しなければ、結構厳しいですから、地元を見ても、ほかの地域でもそうだと思います。ですから、ここはぜひそういったところを前向きに御検討いただいて、これに対しての対策をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

佐藤(ゆ)主査代理 これにて中谷真一君の質疑は終了いたしました。

 次に、濱村進君。

濱村分科員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。

 私、朝八時から質問して、きょうはもう既に二つ目の質問になります。あともう一つ控えておりますが、しっかり努めてまいりたいと思います。

 ずっと予算委員会で委員として座らせていただいておりまして、アベノミクスの成果についてさまざま議論されたりもしているわけでございます。私、基本的には、金融緩和そして財政出動、さらには成長戦略、こうした取り組みを非常に評価しておりますし、二〇一二年、株価八千円台、そしてそれが倍増あるいは二万円台を行くようなそういう状況をつくれた、これは非常に評価されるべきである。そしてまた、円安の状況をしっかりとつくってきた、こうしたところも評価されるべきであろうというふうに考えているわけでございますが、どちらかというと、金融緩和というものは短期にきいてまいります。

 一方で、構造改革であったりとか規制緩和、こうしたものを長期に取り組んでいかなければいけないというところが、実は今の日本経済に求められているところなのではないかなというふうにも思ったりするわけでございますが、こうした取り組みとしても、TPPであったりとかあるいは働き方改革、こうした取り組みをしながら、非常に、現状を変えていこうとされておられるというふうには思うんですけれども、まず、今の日本経済の全体観について、どちらかというと需要に対して供給過多の状況であるというふうに考えているわけです。

 企業においても、内部留保はしっかりあるんだけれどもなかなか設備投資が進まない。なぜ設備投資をしないかというと、今の現状でしっかりと収益を保つことができる、そういう認識が企業の中に蔓延している。つまりは、なかなかそういう需要が国内にないんじゃないですかと。だったら、供給をどのように振り向けていくべきであろうか、そういう議論が必要であるというふうには考えるわけでございますけれども、まずは現状認識について、林大臣にお伺いできればと思います。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 日本経済、二〇一四年四月の消費税率引き上げによって二四半期連続でマイナス成長になりましたけれども、その後、消費あるいは設備投資といった国内需要は回復基調になってございます。これに伴いまして、需給ギャップも縮小してきてございます。

 内閣府の推計によりますと、日本経済の需給ギャップのGDP比は、二〇一四年七―九月期のGDP比マイナス二・五%から、二〇一五年七―九月期のマイナス一・三%まで縮小してきてございます。しかしながら、先生おっしゃいましたように、足元はなお需要が供給力を下回る状況になっていると認識してございます。

 安倍政権、自公政権になりまして、経済構造改革、法人税改革、TPPなど、投資機会を伸ばすような供給サイドの改革も進めてございます。今後とも、設備投資あるいは賃上げの後押しなどによりまして、経済の好循環に全力を挙げてまいりたいというふうに考えてございます。

濱村分科員 おっしゃるとおり、需給ギャップはまだまだございまして、供給においてさまざまな取り組みをしているというのが今の現状であると思うんですけれども、もっともっと加速をしていかなければいけないのではないかという立場から、さらに続けさせていただきます。

 今、企業においては、どんどんどんどんお金はたまっている、しかしながらそれをどう使えばいいかわからないという状況にもあるかと思うんです。企業側としてみれば、そのお金を使って次の事業の柱をつくっていこうというような取り組みも、先を見据えている事業者さんなんかは進めておられるなというふうにも感じるところではございますが。

 そもそも、アベノミクスで円安はしっかりと進めてこられました。この状況をつくったということで、日本の強みである製造業、こうしたところにおいてもしっかりと輸出がどんどんどんどん活発化していくんじゃないかというふうに考えられておったのですけれども、いまいち輸出が伸びていないというふうにも考えているところでございます。

 その原因、輸出がなかなか伸びていないなというところの原因についてはどのように評価されておられるのか、確認したいと思います。

林国務大臣 第二次安倍内閣発足以降、我が国の輸出額は着実に増加しておりまして、二〇一二年の輸出額は六十三兆七千億であったのですが、二〇一三年以降三年連続で増加しておりまして、二〇一五年の輸出額は七十五兆六千億円となっています。これは、リーマン・ショック以降では過去最大でございます。

 しかしながら、濱村委員御指摘のように、昨年後半以降は輸出伸び率がマイナスに転じておりまして、特に中国やASEANなど新興国向け輸出の減少幅が大きいわけでございます。これは、主として新興国などの経済減速が原因であるというふうに考えられるわけでございます。

 引き続き、世界経済の動向をしっかりと注視していきたいと考えております。

濱村分科員 大臣、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、新興国経済が今ちょっと不安定である。さらに言いますと、株価もこの二〇一六年、年内になってからどんどんどんどん落ちたりしておりました。こうしたところも、中国であるとかあるいは原油価格が原因だということもあるんですけれども、新興国経済、もちろん資源国も含まれるわけですけれども、こうした新興国の経済がちょっと不安定になっているというところも非常に大きな要因であるというふうには思います。

 いずれにしましても、それは恐らくほぼ直近の状況でございまして、輸出においてなかなか伸びていかなかった、これの原因として確かにそれはある、予兆がありましたのでということで、輸出の伸び率がマイナスであるという大臣の御評価はそのとおりだなというふうに思うわけでございますが、これをやはり変えていかなければいけないというのが今の日本経済の課題であろうかというふうに存じます。

 そのためには、TPPを通して、いわゆる大企業あるいは海外に打って出る力のある企業さんだけではなくて、中小企業の皆様にもそれに取り組んでいただきたい。それが今の日本経済がチャレンジしようとしていることであろうかというふうに思います。

 ちょっと話を中小企業の皆様の話に振り向けていきたいというふうに思います。

 今、私は地元におきまして、ある注目すべき取り組みを聞きました。AKRというのですけれども、オール小売市場連合会、オール、小売、連合会でAKRなんですけれども、こういう仕組みがございます。

 どういう仕組みかというと、共同組織なんですね、これは。複数の中小企業が集まって共同で仕入れを行います。そして、そうすることによって物流なども一本化して、発注ロットが確保できるわけです。そうなると、売れ筋商品を安定的に仕入れることができる、そういう商品力の向上につながるわけでございます。

 これは非常にいい取り組みだなと思って聞いておったんですけれども、さらに、このメリットとしては、取引先が複数束ねられることによって、決済窓口も一本化しようということで、金融の手続論としても取引円滑化につながるわけでございます。さらには、中小企業の事業者の皆さんから拠出金を募って、中小企業の皆さんも経営努力はされているわけですけれども、万が一、残念ながら破綻をするというようなことがあったとしても債務保証をしよう、みんなでそうやって拠出金を持ち寄りながら、損保会社から支払ってもらおう、そういう取り組みをしているわけです。こういうことによって、与信力を高めるようなことをされておられる。そういう共同組織としての取り組みについて伺うことがございました。

 国においても何にもやっていないかというと、実はそうでもなくて、中小企業基盤整備機構、中小機構の皆さんでも結構やっておられるというふうな認識ではあるんですけれども、私の地元、この共同仕入れの仕組みとかをやっている方々は、大阪とか兵庫県でやっているんですね。そういう方々が自前でそういう取り組みをやったというのは、それはそれで私は評価するべきだとは思うんですけれども、中小機構と恐らく違うんだろうというふうに思うんです。

 中小機構ではできなくて、民間の皆さんが創意工夫でこうしたやり方をしている。これの違いはどこなのか、そして、どうすみ分けておられるのか、こういった取り組みについてどう評価されているのか、確認ができますでしょうか。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 御紹介のありましたAKR、これは協同組合エイケイアール食品小売共栄会という団体でございまして、中小企業等協同組合法に基づきまして、中小企業組合制度を活用して、委員御指摘のような商品力の向上、取引の円滑化、与信力の向上というものに貢献する制度の活用をしておられるところと認識しております。

 こうした広範囲での共同事業体制というのは、相対的に体力の乏しい個々の中小企業、小売事業者が効率的または安定的に事業を行うために極めて有効な手段と評価しております。

 御紹介のございました中小機構に関しましては、幅広く中小企業、小規模事業者を支援する独立行政法人でございまして、中小企業等協同組合法に基づいて展開しているAKRの取り組みとは違う枠組みではございますけれども、いずれにしましても、中小機構の支援も受けこのような個々の中小企業または組合も活動しておりますので、その辺、いろいろな制度を活用して、中小企業、小規模事業者を支援していきたいというふうに考えております。

濱村分科員 中小企業協同組合法、しっかり活用されているということで、それ自体も評価するべきなんであろうかというふうに思うわけでございます。

 一方で、こうした取り組み、実はこういう共同仕入れの仕組みというのはほかにもやっておる方々はおられまして、そういう方々も、ある一定のレベルで加入する方々を募ったりして事業をやっている。そんなに何でもかんでも受け入れてしまうと、破綻してしまうような事業者さんをどんどんどんどん組み込むわけにもいかない、リスクが高くなるということで、そこはちゃんと見きわめているということはございます。

 ですが、こうした取り組みをすることによって中小企業の皆さんが生き残っていくということは、これは経営努力に当たるのであろうかというふうに思いますけれども、ぜひ、こうした取り組みを横展開していっていただきたいなと思うわけです。

 ただ、実は、このAKRさんへの加盟について言うと、年商でいえば大体六億円必要だと。結構ハードルが高いなというふうに私は思ったんです。さらに言えば、二期連続営業赤字だと対象外になると。結構厳しいな。二期連続で営業減益の場合は、コスト削減等々、業績回復の見込みがあるなという判断をできない限りは入れてもらえないと。こうした結構高いハードルを越えた方だけ、では、受け入れ可能ですねということでAKRさんは認めて、そうした方々については損保会社に照会をする、そういう仕組みになっておるようでございます。

 これをさらに小規模な事業者で生かせないかな、全国津々浦々でこういうことを起こせないかなというふうに思っておるんです。そうすれば地域の経済圏、生活圏を守ることができるんじゃないかなというふうに思っておりまして、ぜひ中小企業庁としても取り組んでいただけないかなと。

 横展開、活発化、こうした取り組み、どのようにお考えか、確認できますでしょうか。

土井政府参考人 委員御指摘のとおり、協同組合制度の活用に関しましては、とりわけ信用の乏しい小規模事業者にとってはより有効な手段ではないかというふうに認識しております。

 ただ、このような共同事業体制が全国津々浦々、小規模事業者まで広がっていくためには、その周知活動などが非常に重要であろうと思っておりますし、制度や、このような先進的な事例に関する情報提供が極めて重要だと思っております。

 中小企業等協同組合法の中には、全国の四十七都道府県に中小企業団体中央会というのがございます。それから、同じくその法律に基づいて全国団体が一つございますが、このような四十七都道府県の中小企業団体中央会及び全国団体と密接に連携しまして、この中小企業組合制度を幅広く積極的に周知していきたいというふうに中小企業庁としても思っております。

濱村分科員 ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。

 実は、東京の方でもこうした取り組みを、AKRさんの取り組みを聞いて、いいじゃないかそれということで、やろうとした事例がございます。ですが、うまくいきませんでした。なぜかというと、いいじゃないかと思って中心者として取り組み始めた方の事業、物流業だったんですが、大きな取引先を失ってしまって、その中心者の方の事業が破綻してしまったんですね。それで、その取り組みが頓挫してしまったというようなことがございました。

 これは個別のケースなので、非常に残念ではあるんですけれども、なかなか防ぎにくいなというのも私は実感しておるところですけれども、こうした取り組みは、恐らく今後人口が減って、地域の生活圏をどう守っていくのか、そういう商店主さんとかというのはいろいろ連携をしていかないと生き残っていけないのであろうというふうに思いますので、ぜひ、一緒になって、手と手を携えながらやっていっていただければなというふうに思うところでございます。

 一方で、こうした事業者さんがそもそも地域生活を支えているわけでございますけれども、さらに言うと、地方の雇用も支えているというふうに思うんです。

 日本は、事業者数でいえば九九%が中小企業の皆さんでございますので、中小企業が事業継続できるというのは日本の経済の底上げにも非常に大事であるというふうには思うんですが、中小企業の皆さんからすれば、何が一番困るかというと、お金を借りることができるかどうかなんです。

 お金を借りられないんですというような、そういう相談がたくさんありまして、結局、事業資金をどのように得ていくのか、これが経営をしていく中で最大の考慮事項。運転資金、どうすんねんということですね。そうしたところをしっかり地方の金融機関の皆様とともに変えていかなければいけないという意識は、地方金融機関の皆様にも非常に高まってきているなというふうに思うわけでございます。

 一方で、先ほど冒頭で申し上げたとおり、地域において需要が高まっているかというと、それはあり得ません。地方はどんどんどんどん需要が減っていく中で、それに対して細々と供給していくというのが残念ながら地域のあり方なんであろう、地域の現実感であろうというふうに思うわけですね。

 そうなると、それだけでは地域の事業者さんは生き残っていくのが大変ですよという話になるかと思います。地域の中小企業の皆さんも需要があるところに供給できる力を身につけなければいけない、これが恐らくこれからの道筋なんであろうかというふうに思うわけでございますが、であるがゆえに、TPPで中小企業も海外に進出するべきだという話は、私は非常に納得感はあるんです、納得感は。

 ただ、中小企業の皆さんが海外に出ていくためには、やはりそのための事業資金が必要です。この事業資金については、誰がどのように融資するというふうに想定されておられるのか、御所見をお伺いいたします。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 地域から海外展開を目指す中小企業の場合、その資金繰り支援は重要な課題と認識しております。

 そのための支援策について問われておりますけれども、まず、民間金融機関からの借り入れを通じて海外展開を目指す中小企業、小規模事業者に対しては、その借り入れを容易にするための信用保証制度が用意されております。

 また、民間金融機関からの借り入れが困難な場合でございますけれども、政府系金融機関において次のような取り組みが行われております。

 すなわち、まず、日本政策金融公庫で、海外展開を行う事業者に、海外展開に必要な設備資金、長期運転資金の貸し付けを円またはドルで実施しますとともに、海外の現地金融機関からの現地通貨での資金調達を可能としてございます。また、商工中金では、グローバルニッチトップ企業など国際競争力にすぐれた企業に対して、民間金融機関と協調した長期リスクマネーの供給がなされてございます。

 今後とも、中小企業、小規模事業者の海外展開のための円滑な資金繰りに万全を期してまいりたいと考えております。

濱村分科員 今、政府系金融機関ということで、金融公庫とかあるいは商工中金という話も出ました。しかしながら、そういったところに相談を持ちかけられるというのは、先ほどちょっと出たような、AKRさんに入れるぐらいの、年商六億とかある程度の規模を持っているところだと思いますよ。

 そういう規模を持っていないところにまで海外展開を求めるのかと言われると、よくわかりません。よくわかりませんが、そこの規模感については非常に私は疑義を持っているというか、いわゆる町の中小企業という方々はそこのレベルに達していない、つまり、なかなか政府系金融機関に御相談申し上げるというのはハードルが高いというようなところがございます。地域の信金さん、信組さんに相談するというのが私は非常に現実的な答えなんであろうというふうに思います。

 私も、地元でいろいろな信金さんとの対話を重ねてきました。信金の支店長さんとか社長さんとか、いろいろお話をするんですが、そういう方々にお金を貸せる状況があるなら貸したいというのは当然なんだ、今どちらかというと貸したい状況です、ですが、なかなか事業者の皆さんもそこまでリスクをしょってやろうとしていないよというのも事実だと。実感でしかないんでしょうけれども、そういうふうにおっしゃっておられました。それはそれで実感としては正しいんだろうなというふうに思うわけですね。

 その状況から見てみますと、お金を借りたいというような、事業を起こそうという状況には、中小企業の皆さんもなっていない。当座の運転資金についてはまあまあ何とか間に合っていますという状況なんです。そうなると、やはり中小企業の皆さんも事業存続ぐらいはできるんであろうなというふうには思うんです。

 そうなると、結局その段階でとまってしまって、それ以上お金が動くというようなことが起きないわけです。これを打開していくというのは、私は非常に大事なんであろうというふうに思っているわけでございます。

 さらに申し上げるならば、やはりちょっと事業を拡大しようということで、中小企業の皆さんがどんどんどんどん海外へ行きますといったときに、仮にですけれども、子会社のような形で出ていくのであればそれは日本の金融機関の皆さんがちゃんと融資できますよという話なんですが、現地で立ち上げますといったときに、その現地において立ち上げるときの事業資金を現地の銀行で調達したいんだけれども、現地に銀行があるかと。それはなかなか、新興国、東南アジアの国々に行ってそういった国々の言葉を日本の中小企業の方々がお話しできるかというと、そうではないと思います。

 そしてまた、日本の銀行、邦銀がそういった地域に展開しているかというと、限られているんですね。大体メガさんに限られているんです。メガさんといっても大分限られています。

 そもそも、中小企業の皆さんが海外に行って、事業するんやけど融資してくれへんと言ったところで、メガさんは相手してくれません。日本でも相手しないのに、そんなもの、リスクが高い海外に行っている状況でなぜ貸すんでしょうかという道理だと思いますが、そうなってくると、やはり海外で誰が融資してくれるのかというのは非常に大きな問題なんです。

 そういった趣旨で、地銀、信金さんが海外進出するんでしょうかというと、それもどうなんだろうかなというふうに思っているんですが、この地銀、信金さんの海外進出については、今、経産省さんとしてはどのように評価されておられるのか、お答えいただけますでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 地銀、信金の方々が、TPPの合意、署名を受けている中でどういうふうに海外をにらんでおられるか。

 この間、私、天草に出る機会がございましたけれども、天草信金の会長とお話をしておりましたときにも、地域の中小・小規模事業者、この方々が海外を向いておられれば我々もそこを意識せざるを得ないというふうなお言葉がありました。そうした観点からは、先生の御危惧にありましたように実際に行動力が伴うかどうかはわかりませんけれども、意識としては同じ方向性を向いているような感じがいたします。

 一方で、では、小規模事業者がそれを待たないと海外展開できないかといいますと、先般大臣と一緒に参りました小豆島とか、今私が申し上げました天草などの中小企業でも、十人前後の中小企業の方々、数人の方々でも海外に輸出をされています。投資まではいかないレベルではありますけれども、そういった形で海外のマーケットを実際に活用されている方も現実におられるので、そういう方々を多く紹介することも重要かと思っております。

 そうした中で、必要な資金につきましては、先ほど申し上げた保証の制度、これは現時点では年間十数件から二十件ぐらいしかございませんけれども、かなり小さな規模も対象にしているやに承知してございますし、あらゆるお手伝いをする形でそういう小規模事業者を、また、その際には金融機関にも協力いただくことも含めて支援してまいりたいと考えてございます。

濱村分科員 確かに、小規模の事業者でも海外輸出されておられるところはあります。私の地元兵庫県の丹波市で、新幹線のトイレとかそういうものをつくっておられる事業者さんがあるんですね。社員はそんなに多くありません、十名に満たないような状況ですけれども、そうした事業者さんが実は引き合いがあって、ワシントンでしたか、アメリカだったかと思いますが、アメリカで地下鉄をやる、地下鉄の内装の部分をちょっとやってくれへんかというような話があったという話もございました。

 つまり、そこは技術力があるんですね。その技術力があるものですから問い合わせがあるというような状況で、結構問い合わせが多くて、もう供給し切れません、生産し切れませんというような状況です。

 こうした取り組みは非常に活発化していっていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、そのための事業融資も円滑化していくことが必要であろうかと思います。しっかりと実効性を持った取り組みをぜひ中小企業の皆さんと一緒になってやってまいりたいと思いますので、どうかその点をお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤(ゆ)主査代理 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。

 次に、神山佐市君。

神山(佐)分科員 おはようございます。自由民主党の神山佐市でございます。

 質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 本日は、消費税の軽減税率についての中小企業、小規模事業者支援策について質問をさせていただくわけでありますけれども、軽減税率については、多くの事業者が不安に思っているわけであります。

 そういうことで、軽減税率導入に当たっては、一〇%税率と八%の商品が混在することになるわけでありますけれども、消費者はもとより、対応が必要となる事業者に対し支援を行うことが必要だと考えているわけであります。どのような施策を進めていくのかについて、詳しく教えていただければというふうに思うわけであります。

 また、今回の制度について、小売事業者への周知や対応サポート体制の整備についてお伺いいたします。

 情報の効率的な展開が望まれるわけでありますけれども、二〇一五年の小規模事業者の事業活動の実態把握調査では、小規模事業者の施策情報の入手方法について、複数回答でありますけれども、一番多いのが、日常的なやりとり、すなわち、仕入れ、販売先、顧客との会話などが六四・一%であり、次に、業界や地域の経営者等の会合が五〇・一%、そして、施策のチラシ、パンフレットが三九・八%となっているわけであります。

 今回の支援策は、いかに周知徹底できるかが重要だと思いますけれども、資料によりますと、相談窓口の設置、講習会の実施、巡回指導、専門家派遣などがあります。商工会議所、商工会、税理士、金融機関など、日ごろから事業者との接触がある機関も巻き込んで行っていくべきだと思いますけれども、周知方法についてお聞かせください。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁といたしましては、消費税軽減税率制度の導入時に事業者の現場が混乱しないように、関係省庁とも密接に連携し、影響を受ける中小企業、小規模事業者の準備に対する支援に全力で取り組んでいるところでございます。

 このため、まず、本年度の予備費九百九十六億円を活用いたしまして、中小の小売事業者に対しまして、複数税率に対応が可能なレジの導入を補助するとともに、電子的な受発注システムを使っている中小の小売事業者、卸売事業者などに対して、複数税率に対応するために必要なシステム改修を補助することとしております。

 御指摘のように、こうした情報の周知、また広報が極めて大事だと考えてございますけれども、この観点から、平成二十七年度補正予算百七十億円に基づきまして、軽減税率制度の内容やその導入に当たっての対応策について十分な周知、広報を行うこととし、中小企業団体とも一体となって、相談窓口の設置、パンフレットの配布、説明会、講習会の開催と、先ほど御指摘のありましたような取り組みを行っているところでございます。

 その際には、商工会、商工会議所、実は、ここの窓口設置で既に二千三百の窓口を協力いただいて設置してございますけれども、これ以外にも、日常的な接点のございます税理士さんなどいわゆる支援機関とも連携しまして、全国隅々に至るまで、中小企業、小規模事業者の方々にしっかり情報が届き、事業者が適切な対応がとれるよう尽力する所存でございます。

神山(佐)分科員 ありがとうございました。

 インボイス制度の導入についてのお尋ねをいたします。

 来年度予算については、今回、消費税軽減税率への対応のため、中小の小売事業者などに対するレジの導入、システム改修等支援に予備費として九百九十六億円を計上しており、複数税率対応レジの導入支援の対象者として区分経理などを行う必要がある中小の小売事業者とありますけれども、補助率が三分の二、補助上限が一台当たり二十万円となっておりますが、複数の事業所でレジを使用している場合の対応についてのお考えはいかがでしょうか。また、要綱発表から申し込みまでの期間が短いことが心配ですが、補助申請期間についてどの程度の期間を想定されているのでしょうか。よろしくお願いいたします。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘の点にも配慮いたしまして、補助制度の詳細につきましては、現在、詳細設計に努めているところでございます。

 お問い合わせの件につきましては、具体的には、複数の事務所でレジを使用している場合とありました。一企業当たりで複数の事業所という意味かと思いますけれども、一企業当たりの上限額は設定させていただきますけれども、この企業に複数の事業所があったときに複数のレジが導入される、これは支援対象とする方向で作業を進めてございます。

 また、公募期間についてのお問い合わせがありました。私どもは、事業者が随時申請できるようにすることが大事、その意味では、期限を公募期間という形で細かく切らずに、あえて言えば、二十八年度中は常に、常時申請を受け付けるということで対応してまいりたいと思っております。

 また、上限二十万円というお話がありました。この二十万円については、本体が二十万円ですが、レジの導入と同時に商品マスターを導入し、それを整備するという観点から、さらに二十万円の上乗せがあることを申し添えます。

 いずれにしましても、平成二十九年四月の軽減税率制度の導入に向けて、関係機関とも協力して、補助制度の周知また申請のサポートなどもしっかり行ってまいりたいと考えております。

神山(佐)分科員 ありがとうございました。

 資料からはレジ購入の場合の補助と読み取れるわけでありますけれども、レジをリース契約で使用されている事業者も多いと思うわけでありますけれども、リース契約の場合の対応策について教えていただきたいというふうに思います。

 また、先ほど、申込期間は随時、年度で区切ることの答弁があったわけでありますけれども、インボイス方式導入の課題として、適格請求書を発行できない事業者、いわゆる免税事業者からの領収書では仕入れ税額控除ができないことなどから、未登録事業者への仕事の発注が減少し、取引全体から排除される可能性も否定できないのではないかというふうに考えるわけであります。

 仮に、こうした事情も含め、免税事業者の方が、移行準備期間中、つまり締め切り年度を過ぎて適格請求書発行事業者登録をした場合については、既にこの支援策の利用ができないという事態が発生するのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、この辺について御説明をよろしくお願いいたします。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 既にリース契約を締結してレジを使用している事業者が複数税率に対応するためにレジの改修を行う場合、この改修費用につきましては補助対象とする方向で検討してございます。また、新たにリース契約を締結して複数税率に対応したレジを導入する場合につきましても、導入費用を補助対象としたいと考えてございます。

 次に、免税事業者についてのお問い合わせがありました。

 事業者間取引において区分記載請求書の発行を求められる可能性があることも、御指摘のとおりであります。

 ただし、課税事業者登録をするしない、これは確かに課税事業者が選ぶということですし、将来のインボイス制度の導入をにらんでの対応としてあり得るわけでございますけれども、本制度はそれとは無関係に、すなわち免税業者のままであってもこの補助制度の対象にしたいと考えてございます。複数税率への対応が必要となる免税業者であっても、インボイスとは無関係に、来年の四月の複数税率制度導入に向けて今から準備を進めていただけると考えてございます。

神山(佐)分科員 ありがとうございます。困らないようにしっかり対応していただければというふうにお願い申し上げます。

 それから、小企業、小規模事業者の支援についてお伺いいたします。

 小規模事業者の実態として、小規模事業者の従業者は親族依存度が高くなっているわけであります。特に、個人事業者では七割弱が親族によって支えられているのが現状であるわけであります。また、手取り年収は個人事業主で三百万円までが六〇%強というふうなことのようでありますけれども、家族や親族全体の収入で家計を支えているわけであります。

 こうした状況の中で、小規模基本法が制定され、小規模事業者の皆さんからは一定程度充実しているというふうな評価をいただいているわけでありますけれども、また一方で、支援メニューが多過ぎて用途が理解しにくいという指摘もあるわけであります。そして、小規模事業者に対しまして、これまで中小企業施策の周知が十分に行われてこなかったのではないかとも言われているところであります。

 商工会、商工会議所、中小企業組合等、既存の支援機関、認定支援機関などに協力をいただいて周知を図っていただいておるわけでありますけれども、一方で、商工会、商工会議所に加入していない二百万者をどう扱っていくのかということも課題であろうかというふうに思うわけであります。

 また、下請取引の正常化を推進することを目的とし、下請かけこみ寺が国によって設置されておるわけであります。平成二十五年十月一日に、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法が施行されたわけでありますけれども、かけこみ寺の相談者を取引形態別に見ますと、一般取引関係が七五・六%で、下請代金法関係は二四・四%となっております。相談件数は約五千件と認識しているわけでありますけれども、実際はこれよりも多い取引の悩みがある部分を抱えているというふうに想像できるわけであります。こうした相談窓口があることについても周知が必要であるというふうに考えております。

 支援策のさらなる周知徹底について、申請書類が複雑で多過ぎる、公募期間が短過ぎるとの生の声も聞いているわけでありますけれども、この点の改善策などについて、お考えをお聞かせいただければというふうに思います。よろしくお願いします。

豊永政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、小規模企業振興基本法の制定を受けまして、特に小規模事業者を対象とした施策の充実に尽力してまいっております。販路拡大を目的としました小規模事業者持続化補助金、また、商工会、商工会議所が伴走型支援を行います経営発達支援計画認定制度などもその例だと承知してございます。

 委員の御指摘のとおり、小規模事業者の支援を初めとした施策については、施策に関する周知や補助などの申請を小規模事業者がしやすいようにするということが大事だと考えてございます。こうした観点から、中小企業支援サイトであるミラサポ、未来をサポートするという意味のミラサポでございますけれども、ここで支援策の紹介をするとともに、補助金申請のノウハウや補助金活用事例の紹介などをわかりやすくタイムリーにお届けすることで、施策の利用に努めてまいっているところでございます。

 商工会、商工会議所の会員でない事業者への周知のお話がありました。関係機関と連携しながら、施策情報をきめ細かく届けるということが大事だと考えてございますけれども、こうした観点からは、二年前から整備してございます、よろず支援拠点の存在が重要かと思っております。このよろず支援拠点とミラサポなどの活動を通じて、施策の周知、普及に努めてまいります。

 それから、申請のしやすい工夫というお話がございました。実は、小規模事業者持続化補助金では、既に、申請書類を原則三枚以内とする、公募期間は逆に伸ばして三カ月程度の長期間を確保するということで、小規模事業者の声、期待に応えているところでございます。

 なお、下請かけこみ寺についての御指摘がございました。消費税転嫁につきましては、私ども中小企業庁と公正取引委員会にGメンを置くなり大規模な調査を行うなど、率先した取り組みを行っておりますけれども、下請かけこみ寺につきましても、その有力な支援策の一つだと考えてございます。

 このかけこみ寺でございますけれども、平成二十年度に全国四十八カ所の相談窓口を設置して以来、相談件数が徐々ではありますけれども確実に増加してきてございます。その背景には、新聞や雑誌での広報の掲載、ラジオのCMでの放送といった周知活動の効果もあると考えております。今後も積極的に周知徹底に努めてまいりたいと考えてございます。

神山(佐)分科員 ありがとうございました。

 中小企業そして下請企業がさらに収入がふやせるような施策、そしてその対応について、これからも御支援、御協力いただければというふうに思います。

 法人税減税について、平成二十八年四月より法人税を二九・九七%に引き下げることになったわけでありますけれども、法人税減税について林大臣にお伺いいたします。

 有権者からは、国民に消費税増税をお願いする中で、なぜ企業に法人税減税を行うのか、もうかっている部分についてなぜ優遇策を講じるのか、そういうふうな批判的な意見があるわけであります。もうかっている企業を優遇し、庶民には消費税で増税をする、こういうふうな印象が拭えないというふうなことで指摘もされているわけであります。大臣には、法人税減税の意義をわかりやすく御説明していただければというふうに思うわけであります。

 また、法人、特に大企業の内部留保についてお伺いいたします。

 事業投資額十七兆円となっておりますけれども、いわゆるMアンドAや海外子会社の設立などに充てられて長期保有株式は年々増加しているわけでありますけれども、国内の有形固定資産、つまり設備投資額はほぼ横ばいの状況であるわけであります。

 ここで提案いたしますが、大企業の内部留保が国内投資に回るように設備投資をしていただく、そして、下請等中小企業との取引条件が改善されることを確保することができるように、法人減税の恩恵が中小企業やその労働者にも広く行き渡るようにすることが重要ではないかというふうに考えているわけであります。

 この辺について、林大臣には多くの国民に、この法人減税とそして消費税のあり方について、大臣の御見解、御所見をお伺いできればというふうに思います。よろしくお願いいたします。

林国務大臣 今般の法人税改革は、もうかっている大企業に減税することを目的とするものではありませんで、企業が収益力を高め、投資拡大や賃上げに積極的に取り組むよう促すことで、経済の好循環を確かなものとするための改革であるわけでございます。

 御案内でしょうけれども、そういった意味で、神山議員を初めとする経済産業部会の皆様の御尽力によりまして、来年度からの法人実効税率二〇%台の実現という画期的な方針を決めていただいたことに、まずもって感謝を申し上げたいと存じます。

 企業収益の拡大に伴いまして企業の内部留保も増加しておりますけれども、過去二年間で見れば、企業はふえた内部留保以上に事業投資を行っておりまして、問題は、その事業投資の多くが国内ではなく海外の投資に振り向けられていることであります。我が国としても、海外に向かっていた投資を国内に振り戻すため、法人税改革を進めていく必要があるわけであります。

 実際、これまでの政策対応によりまして、設備投資はこの二年で約五兆円増加しております。また、賃上げも二年連続で二%以上と、二十一世紀になって最も高い水準になっております。経団連も、法人税減税を含めた国内の事業環境の整備を前提に、今後三年間で設備投資を七十兆円から八十兆円に拡大する見通しを示しております。

 こうした経済の好循環が形成される中で、中小企業の取引条件の改善にも積極的に今取り組んでいるところでございます。

 これまで、下請代金法に基づきまして、約二十四万件の書面調査、約一千件の立入検査、改善指導を行うなど、下請代金の支払い遅延や減額等について厳正な監視、取り締まりを行ってきました。

 さらに、昨年十二月に関係府省等連絡会議を設置いたしまして、現在、三次下請、四次下請などの取引上の立場の弱い中小企業を含め、大規模な調査を実施中でございまして、年度末までに結果を取りまとめます。これによりまして、取引条件の改善の状況や課題を細かく把握いたしまして、必要な対策を講じてまいりたいと思います。

 いずれにしても、今回の法人税改革をてこに、さらなる投資拡大や賃上げを働きかけ、経済の好循環を揺るぎないものとしていく。その果実が、神山議員御提案のように、中小企業にもきちんと行き渡るよう全力で取り組んでまいりたいと思います。

神山(佐)分科員 大臣、ありがとうございました。

 これからも、中小・小規模事業者がしっかりこれからの日本の経済の成長に寄与できるようによろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

佐藤(ゆ)主査代理 これにて神山佐市君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸山穂高君。

丸山分科員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、引き続きまして質問させていただきます。

 まず、万博についてお伺いしていきたいと思います。

 昨年行われましたミラノ万博、伺いたいんですけれども、日本館を日本としても出されて、非常に盛況だったと伺っております。記事を読んでいますと、イタリアの方が十時間以上日本館に並ばれて見ていただいたというふうに書いてある記事もありまして、盛況だったのかなというふうには思うんです。

 国として、経済産業省として、このミラノ万博に出された日本としての成果をどのように総括されて考えられているのか、お伺いしたいんですけれども、お答えいただけますでしょうか。

    〔佐藤(ゆ)主査代理退席、主査着席〕

住田政府参考人 ミラノの博覧会についてのお尋ねでございますけれども、ミラノ万博の日本館におきましては、食という人類共通の課題に対する我が国の取り組み、技術、文化というものを世界の人々に紹介させていただきました。その中では、伝統工芸品とかあるいは漫画、アニメーションなどの紹介をしましたり、食卓とか食器とか食材といった食文化に関連をするクールジャパンを発信することができました。

 今御指摘もございましたように、日本館には万博全体の来場者の約一割強に当たります延べ二百二十八万人の方が来館をされました。入館待ちの行列が絶えない非常に人気の、一番人気のパビリオンとなりまして、最終的には、博覧会国際事務局の方から大規模館の展示部門で金賞というものをいただくことができました。また、ジャパンデーというのが七月にございましたけれども、この際には、東北復興祭りのパレードでございますとか、あるいは文化的な公演なども行いまして、これも好評を博したところでございます。

 こういったぐあいで、ミラノ博への参加を通じまして、我が国の食を中心としたいろいろな魅力を発信することができて、世界の方々もそれに共感をしていただくことができたといったような意義があったものというふうに考えてございます。

丸山分科員 すばらしいですね。私も経産省にいまして、大先輩方が並んでいるので別に上げるわけじゃないんですけれども、非常にすばらしい成果を出されているなというふうに思います。

 これは一番人気だとおっしゃったんですけれども、一番人気であった理由について、分析が非常に大事だと思うんですけれども、これは役所としてどうお考えなのか、お聞きしたいんです。

住田政府参考人 これはいろいろな要因があったというふうに思いますけれども、やはりまず一つは、日本食というものについて非常に世界からの関心が高かったということがございます。健康ブームというようなこともございまして、日本食の健康にいいという部分が一つは大きく評価をされたわけでございます。

 それだけではなくて、やはり日本館の場合は、ほかの館よりもずっと展示の内容がある意味充実をしていた。食を紹介するというだけではなくて、まさに最先端のIT技術を使ったいろいろな展示でございますとか、あるいは、さらに最後のところでは、それぞれのテーブルを食卓のように見立てて、そこにディスプレーがあって、その中に自分が選んだメニューがどんどん出てくる、懐石料理のように出てくるといったような趣向を凝らしたものもありまして、単に何か高校の文化祭で展示がしてあるとかそういうのではなくて、自分も体験型で楽しめる、かつ技術と文化といったものが非常にいい形で融合していたというような点が評価をされたものだというふうに考えてございます。

丸山分科員 なるほど、しっかり分析もしていただいていると思います。食という人気のあるコンテンツを使ったということと、また、実際に展示だけじゃなくて体験型で参加いただける内容であった、そしてさらに、技術という点も含めて融合されたことでより人気が高まったんじゃないかというお話でございました。

 万博は五年に一回ということで、次はドバイで行われる二〇二〇年、日本はもちろんオリンピックがございますけれども、同じ年にドバイは負けじと今準備を進められておりまして、先日、財務金融委員会で視察に行ったときにドバイへ伺ったんですけれども、非常に準備を念入りにされております。

 世界一のものをそろえようということで、世界一のタワーだけじゃなくて、世界一の複合施設みたいなものをつくって、大規模なインフラの投資もして、何もない砂漠に突如都市が生じているような、そんな準備を念入りにしているドバイにおいてもしっかり日本の存在感を示していただきたいなというふうに考えるんですけれども、問題は、ドバイの次、二〇二五年にどこがやるかというので、いろいろな場所がしのぎを削っております。

 その中で大阪も、東京が二〇二〇年にオリンピックが決まった段階で、いつもどうしても東京、東京と、全てが東京に集中していく中で、やはり西日本の中心としての大阪の立場が今落ちていく中、なるべく復活させていきたい。そして何より、東京に何かあったときのためのバックアップ機能としての大阪、あらゆる意味で大阪自身もしっかり発展に向けて頑張っていこうという中で、この万博を何とか、東京が二〇二〇年にオリンピックをやるというのであれば、二〇二五年、しっかり大阪でもう一度、東京はオリンピック二回目ですけれども、万博は私は生まれておりませんでしたが、大阪も万博をして、月の石で非常に並んだというふうに両親から聞いているんですけれども、月の石かどうかはともかく、もう一度この大阪で、人が集まってくるような、しかも、それが世界じゅうから集まってくるようなものをやりたいという地元の強い声が出てきております。

 そういった意味で、日本に万博を誘致するときに、大阪だけ、もちろん大阪がしっかりやらなければ来るものも来ないと思いますけれども、国全体でもバックアップいただかなければ、なかなか一都市でできるものではないと思うんですけれども、このあたり、日本への万博の誘致、そして、中でも特に大阪は今声を上げていますけれども、この大阪への万博の誘致について、国として、経産省として、大臣として、どう考えていただいているのか、お伺いできますでしょうか。

林国務大臣 国内に万博誘致は、開催国の魅力を世界に発信する絶好の機会だというふうに認識をしておりますし、国民の皆さんが広く参加するということで、日本そのものが元気になる起爆剤となるというふうに考えております。

 万博誘致に当たりましては、御案内のように、国が博覧会国際事務局に対しまして開催の申請を行います。地元の支持の状況、テーマ、収支計画などについて審査を受けることになるわけでありまして、他国と競争できるよう、それらの内容を具体化することが求められているところであります。

 これまでの大阪府の検討におきましては、地元の機運の醸成やコンセプトづくりなどが課題とされているものと承知しております。

 ことし一月、大阪府知事が官房長官と面談されました。その後、経産省としても、大阪府から現在の検討状況などをお伺いするなど、連絡をとり合っているところでございます。

 今後とも、大阪府そして地元経済界からもよくお話をお伺いしまして、万博の開催計画の実現性を見きわめてまいりたいと思っております。

丸山分科員 大臣、つまり、前向きにバックアップをいただけるということでよろしいんですかね。

林国務大臣 先ほどの答弁のとおりでありまして、大阪府やら経済界といろいろ検討しながら進めていければというふうに思っています。

丸山分科員 ぜひともよろしくお願いします。

 オール日本で、東京だけじゃなくて地方都市でも声を上げていくところがありますので、ぜひ国としてもバックアップいただきたいと思います。

 そういった意味で、少し大阪の話を続けさせていただきます。

 私は、大阪の中でも、関西国際空港がある一番南の選挙区、大阪十九区でございまして、関空が今かなり活況で、成田を超えるんじゃないかという話まで出ているぐらい活況でございます。

 関西に来られるお客さんの玄関口としての泉州という地域なんですけれども、もともとタオルがよく生産されている地域です。タオルといえば今治も有名なんですけれども、泉州タオルも実は、大臣やもしくは政務官にもアピールさせていただきたいんですけれども、今治のタオルと違って、泉州のタオルというのは、後ざらしといいまして、少し製法が違って、例えば銭湯とかのタオルによく使われるような製法なんですけれども、かなり吸水性が高くて肌ざわりもいいということで、結構なシェアを占めている。恐らく一度は使っていただいたことが、知らずではあってもあると思うんです。そうした泉州タオルも、やはり、今現状を見ますと、中国とかほかの安い生産の国に押されて、どんどん厳しい状況になっているのが現状でございます。

 しかし、競争は非常に大事な部分もありますので仕方ないという声もあるんですけれども、一方で、どうやって守っていくかというのは、地元でもかなり自分たちで考えて、そしてそれは、ただ守るだけじゃなくて攻めよう、新たに日本製として、泉州ブランドとして、これをどんどん打ち出していくことで売り上げを上げていこうという取り組みを、タオルの組合さんを中心にやられております。

 そうした中で、繊維課さんに、去年かおととしかちょっと忘れてしまいましたけれども、委員会でも、この分科会でもお伺いしているんです。しかし、全体としては、産業は厳しい状況が続いています。

 泉州タオル、実は御努力をされていて、少しずつ上向きかけているので、泉州タオルとしては少しいい風が吹いてきたかな、もっと国としてもバックアップもいただきたいのですけれども、支援もいただきたいのですけれども、一方で、全体としても少し厳しいんじゃないかなという現状は変わらないんじゃないかと思うんです。

 まず、この現状についてどう捉えられているか、もしくはその中で、泉州タオルの位置づけも国としてどう考えられているか、教えていただければありがたいです。そして、政府として、この現状を捉えてどういう支援を今までされていて、これからどうされようとしているのか、そのあたりを詳しくお教えいただけますか。

糟谷政府参考人 委員御地元の泉州は国内のタオルの一大産地でありまして、数量ベースでいいますと、国内で生産されるタオルの半分以上を生産されている産地でございます。薄手で吸水性にすぐれたタオル、独特のソフトな風合いを特徴とするものでありまして、この品質の高さは認知度が国内の消費者に高まっておりまして、泉州タオルのブランドとして人気が高まっておるというふうに承知をしております。

 しかしながら、泉州の産地も含めて国内のタオル産業は、中国を初めとする新興国からの安い繊維製品の流入などによりまして、製造事業者の数はこの二十年間で約三分の一、生産量は約四分の一に減少をしておりまして、非常に厳しい状況にあるというふうに認識をしております。泉州タオルの産地におきましても、この二十年間で三百八社あった会社が百二社に、三分の一になり、生産量も三・三万トン生産されていたのが九千トンということで、一万トンを割り込むというところまで落ち込んでいるということでございます。

 他方で、日本製のタオルの品質、これについて、評価は国内外を問わず非常に高いものがあるのも事実であります。したがって、ブランド力を強化することで、国内だけではなくて海外需要の獲得が狙えるのではないかというふうに考えております。

 こういう観点から、平成二十七年度から大阪のタオル工業組合に対しまして、JAPANブランド育成支援事業に基づく支援を始めさせていただいております。この事業は、複数の中小企業が連携をして、素材とか技術の強みを踏まえた戦略を策定しまして、商品開発や海外展示会への出展などのプロジェクトを支援するという事業であります。これに従って支援を今年度から始めさせていただいておりまして、来年度も予算案において十億円の計上をさせていただいているところであります。

 それに加えて、今年度の補正予算で、ものづくりサプライチェーン再構築支援事業というのを始めることとしております。これは、産地内の事業の再編ですとか、産地間とか異業種との連携を通じて海外需要の獲得を目指すものづくり企業のビジネスモデルの検証を支援する事業であります。

 こうした支援策をぜひ積極的かつ有効に活用いただいて、国内だけではなくて海外の需要をしっかりと獲得をして、製造事業者数の減少それから生産量の減少に何とか歯どめをかけていただけないかなということで期待を申し上げております。

丸山分科員 JAPANブランドの件、地元の方にも聞いていますが、非常に助かっているというお話を伺います。

 そういった意味で、何も守るんじゃなくて攻めていこうと前向きにされている事業者さんに対してのバックアップというのは非常に大事だと思いますので、保守的にならず攻めよう、そういった事業者さんを手伝っていく、そんなバックアップができる経産省の姿勢をこれからも保っていただきたいと思いますし、また、何か御相談等がありましたときには、やはり事業者さんに寄り添って支援いただけますようお願い申し上げます。

 そうしたら、次に、報道に見ました件で、ちょっと事実ベースかどうかお伺いしたいんです。おおむね事実かどうかですね。

 石油備蓄目標について報道がなされておりまして、一九年度までの目標を今回、経産省さんが日数ベースに変えられて、これによって実質的に石油備蓄が減少するんじゃないかという報道の記事がございました。

 実質、今九十日分備蓄されているというふうに私としては理解しているんですけれども、これをもし減らすとかいう話になってくれば、逆に、エネルギー自体の需要の問題もありますけれども、そもそも安全保障上非常にこれは大事な点になってくるんじゃないかと思うんです。

 この報道にありましたことは事実でしょうか、お伺いしたいんです。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、石油備蓄目標の表現ぶり、これを数量ベースから日数ベースへと変更いたしました。これは、昨年七月の総合エネルギー調査会資源・燃料分科会報告書による、国家備蓄と産油国共同備蓄の二分の一を合計して九十日分程度の量を確保するべきとの提言を踏まえたものでございます。

 他方、現状の石油備蓄数量は、委員の御指摘にもございましたが、現在、我が国の石油輸入量の約九十七日分に相当いたします。九十日程度という範囲内にあるというふうに考えております。

 このため、今般の備蓄目標の表現ぶりの変更をもって直ちに備蓄量を減少させるということを意味しているわけではございません。

 今後も、海外からの石油供給途絶、災害時の供給不足に備えて、国民生活への深刻な打撃を回避するという石油備蓄制度の役割を堅持し、万全な構えを講じてまいりたいと考えております。

丸山分科員 藤井部長、確認なんですけれども、報道の記事によると、百十七日分が九十日分ぐらいに減るんだという書きぶりだったんです。今回、今の話だと、数量ベースで今まで考えていたのを日数ベースに変えたんですけれども、備蓄量としては九十七日分、日数でいえば九十七日分で、変えたことによって変わらないという理解でよろしいんでしょうか。

藤井政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 百十数日という報道がございましたけれども、実は、備蓄数量のカウントの仕方というのは幾つかございます。今回九十日程度としたもののベースで考えると、現在は九十七日分ということでございます。

 したがいまして、九十日程度の範囲内ということで、直ちに減少させるということではない。委員御指摘のとおりでございます。

丸山分科員 数量ベースにすれば同じままで、日数ベースにしたら変わるというのがちょっとわからないんですけれども、その辺のからくりとして、数量ベースでそもそも考えていたものを日数にした。それが、報道では百十七日分が九十日分程度になると言っているんですけれども、そもそも、この百十七日分だったというのが、こちらの方が間違えているという理解でよろしいんですか。

藤井政府参考人 やや技術的なことになりますので詳細は割愛いたしますけれども、ある計算方法をしますと百十七日分という計算もできるんですが、我々が答申で受けた九十日程度という計算方法、これは輸入量をもとにしておりますけれども、この輸入量をベースに計算すると、現状は九十七日分ということでございます。

丸山分科員 備蓄量自体は変わらないというお答えでございますので、了解しました。

 報道ベースだと、かなり、百十七日が九十日だと、一カ月分ぐらい減るんじゃないかというふうな誤解を与えかねない報道でございましたので、その辺を打ち消すような、きちんとした、IRではなくて、報道に対する国民の皆さんへの理解というのを広めていただけるようお願い申し上げます。わかりました。

 そうしましたら、次に、マイナス金利について経産省としてどうお考えか伺いたいんです。

 マイナス金利、今回、財務金融委員会でもかなり、日銀さんとも財務省さんともお話しさせていただいているんですけれども、今回マイナス金利で一番影響を与えるのは、恐らく、大銀行もそうなんですけれども、むしろ、地銀とか中小の小さ目の銀行が、特に今回のマイナス金利で大きな影響を受けるんじゃないか。もちろんプラスの影響もあるんですけれども、マイナスの点は非常に皆さん懸念をされていて、それで株価が乱高下するというのが経済の今の状況だと思うんです。

 このマイナス金利が、中小の、特に地銀に与える影響についてどう考えるか。特にマイナス部分、地銀がもし今回のマイナス金利によって、かなり、特に国債の金利、もしくは、貸したいけれども地銀さんの方でなかなか貸せないという状況になってしまって、体力がなくなっていって、それによってさらに貸し剥がしや貸し渋りみたいなものが起きて、結局、地方の中小企業さんに対する悪影響みたいなものが出るんじゃないかというのが一番の懸念の部分なんですけれども、その懸念も含めて、中小企業庁としてどうお考えで、もしその懸念もお持ちなのであれば、どういう対策をとられようとお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。

豊永政府参考人 お答えいたします。

 日銀が導入しましたマイナス金利施策によって、住宅ローンの借り入れ、これは報道でもされておりますけれども、あわせて、中小企業等への融資金利の低下がもたらされ、ひいては消費や投資の拡大につながるということが期待されていると認識しております。

 一方、一部では、御指摘のように、金融機関における貸し出し等の利息収入の低下、また、運用手段の減少などの金融機関自身への影響も指摘されていることは承知しております。

 マイナス金利が実際に中小企業の資金繰りにどういった影響をもたらすのかという御質問かと思いますけれども、現時点では、制度の導入後間もないこともあり、定見を有しておりませんけれども、中小企業庁としては、いずれにしても、円滑な中小企業の資金繰りに万全を期するという覚悟で見守っているところでございます。

丸山分科員 具体的に、今の段階で起きた場合に、どういうふうにやるかというのを想定されたりはしていますか。

豊永政府参考人 金融機関には、日ごろから、中小企業に寄り添っていただいて、事業性を評価するという方向でお考えいただけないかということを常々お願いしております。これは金融庁といった関係機関ともある意味で認識は共通しておりますけれども、それが徹底されることによって、いかなる影響であろうが、資金繰りについては、金利の影響にかかわらず、その融資が安定的になされる重要な要素になるんだろうと思っています。

 繰り返しになりますけれども、委員御指摘のような懸念が一部の報道でなされていることも承知しておりますが、中小企業庁といたしましては、中小企業向けの貸し出しの減少、縮小が起きないよう、引き続き、資金繰りに万全を期してまいりたいと考えてございます。

丸山分科員 お気持ちは十分伝わってまいりますし、しっかりやっていただきたいんですけれども、今のお話を聞いていますと、具体的ではないかなという気がします。

 目下、もうマイナス金利は導入されておりまして、十兆円という、少し幅は狭いですけれども、一方で、毎年日銀はこれからも七十兆と、量的緩和で買い足すわけですから、いずれにしろ厳しくなっていくのは事実だと思います。

 そうした中で、今の話だと、事業者に金融機関が寄り添ってほしい、それで万全を期すようにやっていくという話なんですけれども、具体的な対策としては何も出てこなかったかと思うんですけれども、何かないんですか。

豊永政府参考人 御質問のように、マイナス金利の導入を受けてということではございませんけれども、先般一月二十日に成立しました補正予算では、この金利低下状況の中で、中小企業、小規模事業者の方々の借りかえが容易になるように、保証制度の見直しや新たな制度の導入の措置を講じたところでございます。こうした措置の効果も見守っていきたいと考えてございます。

丸山分科員 何とかしたいというお気持ちはすごく伝わりますので、できれば後手後手にならず、先手先手で、経産省の優秀な皆さんがいらっしゃるので、打っていただきたいなと思います。

 今、財務金融委員会でも税の議論をしていまして、特に軽減税率の適用に伴ってインボイス制度が適用されるんですけれども、そのインボイスによって困る事態が起きていまして、今、いわゆる免税事業者と呼ばれる小規模の事業者さんが、インボイスの適用によって、結局、税の免除されているところが、いわゆるBツーBの、企業から企業に、免税事業者から次の企業に行くときに、そのインボイスが出せないがゆえに、事業者間の取引から省かれてしまう、のけものにされてしまうという問題が生じるんじゃないかという今議論をしていまして、これは大臣ともずっとやりとりをして問題だという話をしているんです。

 しかし、大臣からも御発言があるのは、なかなか役所の方が、今ウオッチしています、ウオッチして、何か起こったらすぐに対応できるようにやっていきますという御答弁なんです。それじゃだめだと言っているんだけれども、現時点ではできないんです、大臣、みたいなことを言われるんだという話をされるんです。

 もちろん、それも一つ、ウオッチはしっかりやっていただいて、何かあったときには対応いただかないといけないんですけれども、一方で、やはり先手先手に予想をいただいて、起こり得るのを何とか予防しようという、対症療法じゃなくて予防の部分というのは非常に大事ですし、事業者さんからすれば、何やおまえら、俺らが潰れてから対応するというんかいというふうに言われてしまいますので、そうじゃなくて、恐らくマイナス金利の影響の部分は非常に予想できる部分ですので、長官のお気持ちは十分伝わりますので、具体的に、ぜひ先手先手で打っていただきたいと思います。

 時間も参りましたので、最後の質問をさせていただきたいんです。

 今、徳島の方に消費者庁さんが仮移転をされるという話で、きのう夜、ちょうど消費者庁の方々と話していたんですけれども、若干難しいかなという話も考えております。

 しかし、地方から声が上がってきて、それぞれ独自性を出していって、その中で、今の東京一極集中じゃなくて、何か関東で大きな災害があったときに問題というのも事実ですから、地方にどう移転していくかというのは、一つの議論すべき問題だというふうに私は考えるんです。

 そういった意味で、中小企業庁と特許庁も、今般の移転の話、よく出てくるところだと思います。

 まず、事実ベースをお伺いしたいんです。

 設置法を見ていますと、どこに置くというのは全く書かれていないんですけれども、これは、どこに置くかどうかは法律上定められていない。つまり、総理や大臣が、では、一年後にここに移すと決めたら移せるものだという理解でまずいいのかどうか。そして、これは難しいのでお答えいただけるかわからないんですけれども、なぜ今の経済産業省のあの場所にあるのかというのはお答えいただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました中小企業庁、特許庁でございますけれども、これらにつきましては、ともに設置法においてその所在地が定められているわけではございません。

 一方で、これは設立以来両庁ともそうでございますけれども、東京に所在をしてございまして、そうした中で、全国のニーズですとか、あるいは、課題を踏まえた施策の企画立案、国会あるいは東京に集中的に立地をしてございます関係機関等との調整や連携、そうしたことを実現してございます。こうした観点から、これらの機関が東京に所在することの意義があるものというふうに考えてございます。

 一方、これも御指摘もございましたように、今般、まち・ひと・しごと創生本部において募集をいたしました地方からの移転提案というものが両庁について出てございます。これらを受けまして、もちろん、両庁の機能を低下させないということが大変大事な前提でございますけれども、そうしたことを考えながら、提案に対してどのような対応が可能かということについて、まち・ひと・しごと創生本部と現在調整を行っておりまして、本年末までに適切な結論を得たい、こういうふうに考えてございます。

丸山分科員 おっしゃるとおりでございまして、しかし、難しいという現状も私はすごくわかります。役所におりましたので、やりとりする上で、電話だけでいいのか、テレビ会議だけでいいのか、そういうものではないというのは事実で、現実的にお会いして、そこで話をするということが非常に大事です。そうすると、距離的な問題が出てきて、現時点でここにあるというのも理解するところです。

 しかし、だめだだめだで議論が終わってしまったら、もうそこで終わってしまうなと常に思っていまして、そういった意味で、地方が声を上げていく、中小企業庁、特許庁に関しては大阪も声を上げているんですけれども、そういった、問題点が何で、それに対してどうやったら解決できていくかと考える思考を非常に重要視したいですし、これを頭から潰してしまうというのはもったいないと思うんです。

 最後、大臣、これに対して会見では少し後ろ向きな発言をされていましたけれども、できれば、頭から潰すんじゃなくて、議論を進めていくというのは非常に大事だと思うんですけれども、そのあたりも含めてコメントをいただいて、終わりたいと思います。

林国務大臣 今ほど事務方からも答弁がありましたとおり、中小企業庁あるいは特許庁とも、移転についてはさまざまな課題があるというふうに認識しているところでございます。

 両庁に関してのものは時間の関係で割愛をさせてもらいますけれども、今ほど答弁したように、十二月のまち・ひと・しごと創生会議において、検討に当たっての重要な視点が三点示されております。

 まず、全国の中でなぜそこなのか、そしてまた、移転先での政策の企画立案をすることによる全体的なメリットがデメリットより大きいということ、三点目が、政策執行における効率性の維持向上があるということが示されているわけでございまして、年度末に向けまして、両庁の機能を落とすことがないことを前提に、まち・ひと・しごと創生本部と調整を行いまして、適切な結論を得てまいりたいと思っております。

 いずれにしても、今後とも、地方経済産業局を通じて、大阪を含む地方の実情を把握して、中小企業施策の企画立案を進めていきますし、また、全ての都道府県に設置した知財総合支援窓口などを通じて、知的財産の活用支援を進めてまいります。

丸山分科員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

関主査 これにて丸山穂高君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐分科員 公明党の伊佐進一です。

 本日、質問の機会をいただきましたので、きょうは、中小企業の現状、またそれに対する政府の支援というものを三十分間議論させていただきたいというふうに思っております。

 まず、企業の置かれた大方の今の現状はどうかということですが、大企業の経常利益というのは今も上昇し続けている。では、中小企業の経常利益はどうかというと、今横ばいという数字が出ております。ところが、売上高はどうかというと、中小企業の売上高というのは今下がっているわけです。売上高が下がっているのになぜ経常利益はずっと横ばいなんだというと、私も現場で声を聞くのは、例えば製造業の皆さんの声を聞くと、それは人を減らしているからだというお答えが返ってくるケースがあります。つまり、製造業のデータを見てみましても、今、実は従業員数というのは減っております。

 こうした状況の中で、何でこういう状況が起こるのか、経済状況は好転しているんじゃないかということですが、好転したとしても、結局、大企業と中小企業との間の取引条件、ここが変わらないと今の中小企業の状況というのはなかなか変わらないんじゃないか。つまり、大企業が、発注元がもうかったとしても、それがそのまま内部留保に化けてしまうとどうしようもない。下請企業の皆さんに、特に中小の製造業の皆さんに仕事を出すときに、例えば取引額、こういったものが上がらないと今の状況というのはなかなか変わらないんじゃないか。

 例えば、原材料の価格転嫁の問題も、確かに、エネルギーの部分、原油の部分は大分下がってきました。ただ、それ以外の原材料の部分、ここをなかなか取引の条件に転嫁できないという場合があったり、あるいは円高、こういうものが確実に中小企業の皆さんにとってはボディーブローのようにきいてきているというような状況です。アンケートをとると、原材料についても価格転嫁が受け入れられたというのは三割ぐらいしかないというふうに伺っております。

 下請の中小企業の皆さんが発注元と取引する際に、こうした原材料の価格転嫁の適正化、こういうものも含めて、取引条件の改善について経産省として積極的な取り組みを行っていただけますでしょうか、大臣。

林国務大臣 日本経済を持続的な成長軌道に乗せていくためには、過去最高を記録した企業収益を中小企業の業況の改善につないで、経済の好循環を確実なものにしていかなければならない。そのためには、中小企業の取引条件の改善を図ることが重要でございます。ここは委員御指摘のとおりでございます。

 原材料、エネルギーコスト増加分の価格転嫁につきましては、産業界に対して政労使合意に基づく取り組みを要請してきました。また、下請取引ガイドラインの改訂や下請代金法に基づく立入検査などにも取り組んできましたが、昨年実施した調査では、価格の協議ができない事業者もいまだ約二割存在しているということであります。

 こうした中で、原材料価格の転嫁も含めて、下請等中小企業の取引条件の改善に幅広く取り組むべく、昨年十二月、関係府省等連絡会議を設置いたしました。

 現在、三次下請、四次下請など、取引上の立場の弱い中小企業を含めて産業界に対する大規模な調査を実施中でございまして、年度末までに結果を取りまとめる予定でございます。

 これらにより、取引条件の改善の状況や課題をきめ細かく把握し、必要な対策を講じてまいりたい、このように考えております。

伊佐分科員 大臣から、これまでに行ってきたさまざまな取り組みと、そしてまた、いよいよ去年の十二月から、府省の壁を越えて、各縦割りを超えて、各省庁一緒になって取引条件を改善するんだという会議が始まったということを伺いました。

 これは、さまざまな手を打っていただく中で私が大事だと思うのは、どれほど本当に国が、政府が今の中小企業の置かれた現状を正確に把握しているか。この把握なしには正しい対策というのはなかなか打てないんじゃないかというふうに思っております。

 よく政府は、例えば賃金アップが大事だというような話で、賃金アップを目指して、そこから消費を喚起していく、その消費を喚起することによって好循環というものを生み出していこうというような努力を行っていただいておるわけですが、当然それが自公政権の目指すべき方向性ではあるわけですけれども、ただ、申し上げたように、中小企業の皆さんの取引額が変わらないままに幾ら賃金アップせいという話になったとしても、なかなか現場は難しいというのが状況です。

 私がやはり話を聞くのは、例えば、大手企業が賃金アップをするために、中小企業に対して、下請に対してコストダウンの圧力をかけていると。それだと本末転倒だというふうに思っております。

 だから、この取引価格を上げるという観点、そういう取り組みをしていただけるのは非常にありがたいと思いますが、そのためには、今どういう状況に現場がなっていて、そしてまた取引価格がどういう状況で、どういったところに問題があってというところをきめ細かく把握していただく必要があるというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣が触れましたが、関係省庁会議、この了解のもとに、現在、取引条件の改善を目的として、大企業であれば一万五千社、中小企業一万社といった大規模に取引条件改善に関する調査を行っております。これに加えまして、百社程度ではございますけれども、三次下請、四次下請など、とりわけ取引上の立場の弱い中小・小規模企業者の方々からの直接のヒアリングもあわせ行うこととしております。

 言及のございました取引価格でございますけれども、きめ細かく聞くことにしてございまして、例えば、数年前の円高時と比較して主な製品等のその後の取引価格はどう推移しているのか、それから、取引価格の引き下げが一方的にあったという話がありますが、その場合の理由は何だったのかといったようなことも調査することにいたしております。

 こうした一方的な引き下げ要求がなされることの間々ある取引価格以外にも、発注側事業者から不利な条件で受け入れを強要されたというような例も聞こえておりますので、こうしたことの聞き取り調査も行っております。

 こうしたことがなぜ起こるのかということでございますけれども、これはこの大規模な調査をもとに分析、検討するということかと思いますが、現時点でも、親企業側の購買窓口の一本化が一つの理由になっているとか、また、厳しい見積もり合わせというのが大分広がってきているということも言われておりますし、下請事業者側でいいますと、価格交渉ノウハウが意外と不足している、ちゃんと価格転嫁ができている中小企業もいらっしゃるのに、そうでない企業がかなり大多数であるとか、それから、商品、サービスの差別化がやはりできていない方々も少なからずいらっしゃるといったような、双方に課題があるようにも見受けます。

 いずれにしましても、こうした大規模な調査を通じまして、今のような分析、またそれを踏まえた解決すべき課題のあり方を検討してまいりたいと思っております。

伊佐分科員 先ほど、中小企業を対象にすれば一万件のアンケートを行うということをおっしゃっていただきました。これが本当にきちんとなされれば、私は一歩、二歩、三歩前進だと思っております。

 中小企業の皆さんにとってみれば、例えば、アンケートに正直に答えて、こんなひどいことを言われたというのを書いてしまうと、そのもらっていた受注元からはもう仕事をもらえなくなるんじゃないか、そういうような不安も懸念されるところでありますので、そういうのもしっかりと配慮していただきたいというふうに思っております。

 また、先ほど、双方にもそれぞれ課題があるんじゃないかというようにおっしゃいました。確かにそうかもしれませんが、アンケートでわからないところもあるかもしれませんので、経産省の職員が直接現場に出向いて、そこで声を伺っていくという、それぐらいの心構えでぜひ対応いただきたいというふうに思っております。

 次に、中小企業の皆さんへの融資、中小企業金融について伺いたいと思います。

 政府系金融機関の役割というのは民業補完性だというふうに言われております。つまり、いざとなったとき、本当に経済の状況、景気の状況が大変な状況になったときに、民間がもうなかなか貸せないような状況になったときにも政府系の機関だったら貸してくれるという安心感、そういうものが経営を支えていくことになるんじゃないかというふうに思っております。

 現状のこの日本の経済の状況、確かに、これまでの予算委員会の答弁でもありました、ファンダメンタルズは日本はしっかりと固めてきたという状況にあると思います。ところが、今、日本の置かれた環境自体を見てみますと、少し不安な材料もたくさんございます。例えば、米国の利上げの影響がどうなるかという話だったりとか、あるいは中国経済の失速というような話もございますし、また、原油は、原材料という意味では下がっていいかもしれませんけれども、暴落するとまたデフレの状況が復活してしまうというようなこともございます。

 何が起こるかわからないという不安の中で、経済の危機が万が一訪れたような場合には、民間金融機関がもし貸し渋るような状況になったときに、政府系金融機関が民業補完性と申し上げたこういう役割をしっかりと発揮していただいて、中小企業の経営を支えていただきたい、安心感を与えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 伊佐委員にお答えさせていただきます。

 リーマン・ショックや東日本大震災に際しまして、民間金融機関による貸出残高は減少をいたしましたが、政府系金融機関による貸出残高は逆に増加をし、補完的役割を果たしました。

 大規模な景気変動や自然災害といった危機時には、全国三百八十一万者の中小企業に対して十分かつ迅速な資金提供を行うことが必要でありまして、現時点では、政府系金融機関がこれを支えていくことが極めて重要だと認識をしております。

 危機時には政府系金融機関が中小企業の資金繰りを下支えし、中小企業金融に万全を期してまいりたいと考えております。

伊佐分科員 中小企業の皆さんにお話を伺いますと、企業の経営が大変になったときに政府系金融機関に駆け込んでいくという話もございますが、景気がたとえ状況がよかったとしても、政府系金融機関から一定の貸し付けはやはり継続して受けているという場合もございます。それは、つまるところ、やはり、いざとなったときにはしっかりと頼っていきたい、関係をずっとつないでおきたいという、その信頼感のあらわれだというふうに思っておりますので、ぜひそういった中小企業の皆さんの政府系金融機関に対する信頼感を大切にしていただきたいというふうに思っております。

 一方で、とはいいつつも、中小企業の皆さんに対する融資の状況、これは政府系の金融機関だけでは全体の一〇%以下だという状況です。やはり中心になるのは、民間の金融機関の役割というのは非常に大きい。民間の金融機関が資金提供の部分でしっかりと中小企業の皆さんを下支えしていただくというのも当然大事なことでございます。

 ところが、数字だけを見ておりますと、この十年間で、民間の金融機関から中小企業の皆さんへの資金提供、貸し出しというのは減っております。

 もちろん、どんな状況でも貸せばいいというわけではございません。当然、しっかりとしたリスク判断というのも必要なわけですが、民間の金融機関が適切な形で事業者に対してしっかりとコミットしていくということは大事なことだと思っております。例えば経営の改善であったりとか生産性の向上の支援であったりとか、こういうものを本気で民間の金融機関も中小の事業者に対して、ともに形づくっていくということが大事じゃないか。そういった連携できるような環境づくりというものを政府としてもしっかりと後押ししていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、近年、中小企業、小規模事業者に対する資金の貸出量は低減傾向にございます。二十年ほど前は三百五十兆円ありましたけれども、現在は二百三十兆から四十兆ぐらいかと思っています。

 ただ、依然として、中小企業、小規模事業者に対する融資の九割は民間金融機関からなされているわけでございまして、この民間金融機関の中小企業、小規模事業者に対する気づきの機会の提供、それから具体的な経営改善のアドバイスをするという役割は極めて重要かと認識してございます。

 このため、これまでも、経営革新等を支援する機関、認定支援機関と呼んでおりますけれども、この支援機関の中に四百八十五の銀行、信用金庫などが参画し、日ごろから中小企業、小規模事業者の経営改善の後押しや中小企業施策の利用の円滑化のお手伝いをしているというふうに認識してございます。

 また、民間金融機関がより事業性に着目した融資を行うということが望ましいと考えてございますけれども、そういった観点から、私どもは信用保証制度の見直しも今進めているところでございます。

 さらに申し上げれば、検討を進めておりますけれども、中小企業の生産性を向上させるための法的枠組み、これが法案の形になればと考えてございますけれども、この中でも、民間金融機関に中小企業の経営力向上のための取り組みを支援する役割を担っていただくというふうなたてつけにしたいと考えております。

 いずれにしましても、引き続き金融庁など関係機関と連携しまして、民間金融機関が中小企業に寄り添いながら中小企業の発展を支えていく重要な役割を担っていただけるよう尽力してまいりたいと考えます。

伊佐分科員 少しだけ、ちょっと一点補足させていただきたい、私の意見を述べさせていただこうと思うんですが、信用保証制度の話をちょっとされました。これは確かに、金融機関が中小企業と一緒に手を携えてやっていくんだと。そういう意味では、金融機関が背負うべきリスク、今大体二〇%というふうに言われておりますが、これをもう少し段階的に引き上げるという検討が今なされているというふうに私も伺っております。

 それは非常に大事なことだというふうには思っておりますが、ただ、御配慮いただきたいのは、本当に小規模の事業者にとってみれば、例えば金融機関がよりリスクをとらなければいけないという状況になったときに、こうした本当に小さい小規模の事業者に対して逆に貸し渋り、リスクを負わなきゃいけないんだったらもう貸せないよというような状況になると、私はこれは逆の効果があるというふうに思っておりますので、そういうことがないように配慮いただきたいというのをつけ加えさせていただきたいと思います。

 今、小規模の話をさせていただきました。この小規模零細事業者に対する支援というものの考え方についてですが、どういう方々がこうした小規模零細企業で働いているか。

 例えば職員の人数、規模というのを申し上げると、例えば一人から四人という本当に小さい事業所で働いている方々は、従業員の三割が六十代以上というふうに言われております。大企業で六十代というと、大体一割ぐらいなんです。

 そういう意味では、何が言いたいかというと、我が国の社会保障制度という観点からしても、本当に小規模零細企業の皆さんの果たす役割というのは非常に大きいというふうに思っております。八六・五%が小規模事業者というふうに言われておりますが、つまり、当然企業として、あるいは人を雇っているわけですから、こうした一人から四人、この八〇%以上の方々をしっかりと企業の数でもって社会保障を支えていただいているわけです。

 もしこうした小規模零細企業がなくなってしまう、あるいは倒産してしまうというようなことになってしまえば、逆にそうした方々の、雇用されていた方々の社会保障を国がまたその分も払わなきゃいけないというような状況になっておりますので、社会保障という観点からしても小規模零細企業の役割というのは非常に大きい意味があるというふうに思っております。

 そうした観点からしても、小規模零細企業の皆さんへの支援というものをしっかりと今後も充実していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

土井政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、全事業所数の約九割を占める小規模事業者は、地域の経済と雇用を支える重要な役割を担っているというふうに認識しております。したがいまして、小規模企業振興基本法制定以降、特に小規模事業者を対象とした支援策を充実しているところでございます。

 例えば、平成二十六年度に引き続き、二十七年度補正予算においても小規模事業者持続化補助金を計上いたしまして、小規模事業者の販路開拓を支援してきているところでございますが、今回、新たに正社員を雇用する場合または海外展開を目指す場合には、この持続化補助金制度の中の補助上限額を五十万から百万円に引き上げるというような新たな措置を導入しております。

 加えまして、ものづくり補助金、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金というのがございますけれども、これは、従来の一般型のほかに、今回の補正予算からは小規模事業者に配慮した小規模型というのを設けておりまして、設備投資要件の緩和など、メニューの多様化、柔軟化を図っているところでございます。

 今後とも、小規模事業者の事業の持続的な発展を強力に推進していきたいと思っております。

伊佐分科員 先ほど紹介していただいた持続化補助金、五十万から百万に上がるという話ですが、私がきのう、おとといと経産省の皆さんとさまざまお話を伺っていると、ちょうど公募があしたから始まるというふうに伺いました。私も地元でしっかりとこういった制度を宣伝して、しっかりと活用していただけるようにさまざまアピールしてまいりたいと思います。

 次に、よろず支援拠点について質問させていただきます。

 中小企業支援の一環として、このよろず支援拠点というものが全国に今四十七カ所設置されております。これは、中小の企業者あるいは小規模の事業者が今現在直面しているいろいろな課題に対して多角的な分析を行ってアドバイスをしてくれる、こういう拠点でございますが、これはなかなか金融機関ではできないようなところまでいろいろなアプローチをしていただけるというふうに伺っておりまして、例えば、このよろず拠点で専門家の紹介、あるいは官民連携、産学官連携の相手先の紹介というものをさまざま探していただいたりとか、あるいは企業のOBの支援専門家であったりとか、こういったいろいろな方々がチームになって対応していただける。これは地元では結構人気がありまして、非常に評価の声をいただいております。

 実際に、この一年半を伺ったところ、四万三千者に提供されて、二十八・八万件の相談を受けているという実績を伺いました。これは非常に私はいい取り組みだというふうに思っておりまして、こうしたきめ細かい対応というもの、これをぜひさらに拡大していただきたい。今、四十七都道府県でそれぞれ一カ所ずつという状況でありますので、これを各地域地域でさらに使いやすいようにきめ細かく対応していただけるような、こういう充実を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

土井政府参考人 お答えを申し上げます。

 よろず支援拠点についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、相談件数二十八・八万件、相談対応事業者数四・三万者に上っておりまして、今、これらの相談体制は全国に四百名以上の相談員を配置して対応しているところでございます。

 それらに対応するに当たりましては、市町村の商工会、商工会議所など地域の支援機関とも密接に連携して、中小企業者、小規模事業者からのさまざまな相談に対応しているところでございます。

 来年度の予算案においてはその予算措置は増額をしておりまして、こうした拠点の活動を強化するため、さらに拠点の相談員、コーディネーターの増員、それから出張相談会の増加、支部設置に関する予算増というようなものを盛り込んでおりまして、引き続きよろず支援拠点の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。

伊佐分科員 ありがとうございます。しっかりと充実を図っていただけるということでした。

 なかなか、もちろん、今四十七カ所あるものを、例えば、では各市町村に全部一個ずつ置けるかといっても、それはそれで人員も含めて大変なことだというふうに思っておりますので、ぜひ、大事な観点は、現場、地元、例えば各市町村一個一個置けないにしても、各市町村にはそれぞれの商工会議所というものがございますので、こうした商工会議所とも密に連携をとっていただいて、連携して一緒になって各企業企業に対応していただくという丁寧な対応を引き続きお願いしたいというふうに思っております。

 次に、まだまだ今厳しい状況にあるのが、各地域、地方のサービス業の皆さんです。これまで、製造業をさまざま質問させていただきましたけれども、特に例えば地方の商店街であったりとか、あるいはそれも含めたサービス業の皆さんの状況です。

 よく言われております、人手不足だという状況でなかなか今サービス業に人が集まらない、だからある程度給料を上げないと人が雇えないというような状況です。

 もちろん、給料が上がる、それ自体は好ましいことではあるんですが、サービス業の生産性が向上しないままに賃金だけ上げなきゃいけない、もうからないままにコストだけがかさんでしまうというのは、やはり非常に厳しい現状だというふうに思っております。

 そこで、サービス業の生産性向上、これはずっと昨年来言われていることではございますが、このサービス業の生産性向上のために政府としてより強力に後押ししていただきたいと思いますが、取り組みについて伺いたいと思います。

星野大臣政務官 お答えします。

 サービス産業は、我が国GDP及び雇用の約七割を占め、今後の成長の鍵となる重要な産業の一つだと認識をしております。人口減少下の地域経済再生という観点からも、生産性向上と新市場創出により雇用と所得の拡大を図ることが重要だと思っております。

 このため、昨年四月に日本経済再生本部におきまして決定されたサービス産業チャレンジプログラムに基づいて、優良事例の普及やサービス経営人材の育成等の取り組みを着実に進めているところでございます。

 こうした取り組みとともに、生産性を向上するための新たな支援の枠組みについて検討をしております。具体的には、各業種を所管する大臣が、業種ごとに生産性向上の優良事例を指針化し、わかりやすく示す。この方針に沿った取り組みを行う中小企業、小規模事業者に対して、固定資産税の軽減措置を含め、金融や税制等で支援をする。そして同時に、商工会議所、商工会、地域金融機関といった地域の支援機関が、事業者による事業計画の策定などを支援するというものでございます。

 日本経済を持続的な成長軌道に乗せていくためにも、地域の経済、雇用の重大な担い手であります中小サービス業の生産性向上のために、関連施策を総動員しながら今後も強力に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 さまざまな政策を総動員するという力強いお言葉をいただきました。引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の一問、具体的な業種を挙げて質問させていただきます。軽油を取り扱っている事業者の皆さんの現状です。

 私も現場でいろいろ声を聞いて、五十年以上ずっと軽油を扱ってきた、物流にも携わっていただいている方ですが、今の販売業の、例えばガソリン販売業の皆さんの経営状況というのは非常に厳しいというふうに伺っております。

 これはデータを見ればもう明らかでございまして、ガソリンの販売量自体がそもそも毎年減っています。営業利益率というのが大体〇・九%だと言われておりまして、小売業全体の営業利益率が二・二%ですから、半分以下なんです。こういう状況で今何とか持ちこたえていらっしゃる。小規模零細事業者の話もさせていただきましたが、石油販売業の皆さんは九八%が中小企業です。サービスステーションを一つしか持っていないというようなところが七割ぐらいなんです。

 その全国のサービスステーション、SSというのもどんどん減少しておりまして、特に問題になっているのは過疎地の方でして、そういう過疎地でも、特にSS過疎地というふうに言われておりまして、例えば冬場で灯油が必要だったりとか、あるいはガソリンを入れなきゃいけないというときにその地域で手に入らない、こういうような状況にもなっております。つまり、消費者が困るような現状にまで今なってきたと思っております。

 そのほか、今さまざまな課題というのはありますけれども、こうした日本のエネルギーというものを現場で支えてこられた、また物流を支えてこられたこうした石油産業の皆さんが安心して事業を続けていただけるように、政府のバックアップをお願いしたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、SS過疎地を含む全国津々浦々におきまして、人々の生活を支える石油、石油製品が日々安定的に供給されるという体制は必要不可欠なものというふうに考えております。

 他方、これはもう既に委員から御指摘がございましたけれども、地域の石油供給拠点でございますサービスステーションを運営する石油販売業者の約九八%が中小企業であり、他の小売業に比べても利益率も随分低いということで、生産性向上に向けた投資を行う体力といいますか、余力といいますかは限られているものというふうに認識をいたしております。

 このため、平成二十七年度の補正予算におきまして、石油販売業者が取り組むSS過疎地等における燃料配送コスト削減に資するタンクローリーの大型化、それから貯蔵用タンクの共同利用、もしくは省エネ型の給油設備等の導入といった取り組みへの補助金を盛り込み、生産性向上への支援の強化をいたしたところでございます。

 あわせて、現在御審議いただいております平成二十八年度当初予算案におきましても、SSの地下タンクの入れかえ、大型化や、地下タンクからの石油の漏えいによる土壌汚染を防止する対策工事への補助金を盛り込み、石油販売業者の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

 SS過疎地を含め、全国津々浦々におきまして地域に根差した石油の安定供給を支えている中小石油販売業者の皆様の生産性向上が図られるよう、こうした支援を今後とも強力に進めてまいりたいと考えております。

伊佐分科員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

関主査 これにて伊佐進一君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 林大臣、きょうはよろしくお願いいたします。

 東電福島第一原発事故から間もなく五年になろうとしていますが、原発事故は到底収束したとは言えません。昨日も、あの事故の際に、核燃料が溶け落ちる炉心溶融、メルトダウンの定義を明記したマニュアルが存在していたのにもかかわらず、使用されずに、発表が約二カ月おくれる原因になったとの報道に大変唖然といたしました。情報のおくれ、また情報隠し、これこそが国と東電に対する不信感を募らせ、その後の施策、対応にも大きく影響したのではなかったでしょうか。

 きょうは、やはり深刻な問題となった汚染水問題、廃炉の大前提であります、これについてまず伺いたいと思います。

 高濃度の汚染水がタンクから三百トン漏れていた、これが判明したのは二〇一三年の八月二十日でした。その一月前に、東電が初めて汚染水の海洋流出を認めたのでした。

 当時の茂木経産大臣は、東電任せでは解決は困難、国が前面に出ると発表いたしました。関係閣僚会議や、あるいは東電の中には廃炉チーム、また原子力損害賠償・廃炉等支援機構など、さまざまな体制もとって進めてきたことは承知をしておりますが、まず、汚染水対策の現状をどう見ているのか、簡潔にお答えをお願いいたします。

林国務大臣 福島第一原発の汚染水対策については、汚染源を取り除く、そして汚染源に水を近づけない、汚染水を漏らさないの三つの基本方針に基づきまして、予防的、重層的に取り組んできているところであります。

 昨年五月にタンク内の高濃度汚染水の処理をおおむね完了いたしました。昨年十月には、海側遮水壁が完成したことで、港湾内に汚染された地下水がほとんど流出しなくなりました。港湾内の放射性物質濃度が大幅に低下したことなど、着実な進捗が見られております。

 引き続き、国も前面に立って廃炉・汚染水対策に取り組んでまいります。

高橋(千)分科員 今、着実にというお言葉がございました。十月に海側遮水壁が完了したことで、海側の方には高濃度の汚染水がほとんど漏出しないという状況になったということをおっしゃったんですけれども、きょう問題にしたいのは、その逆なんですね。流出は大分防げているのかもしれないけれども、バックしているという問題であります。

 資料の一枚目。これは昨年の十二月十九日付の河北新報でありますが、タイトルが「汚染水の発生量倍増」という見出しであります。大変衝撃を受けました。アンダーラインのところ、「汚染水が一日三百トンから六百トン程度に増加していることが十八日、分かった。」「建屋周辺の井戸から地下水をくみ上げ、浄化後に海洋放出する「サブドレン」が九月に稼働。建屋に流れ込む地下水量は一日三百トンから二百トンに減ったが、地下水ドレンからのくみ上げ量が増え、汚染水発生量が二倍程度に増えた格好。」

 どういうことかというと、海側遮水壁は十月に完成して、地下水ドレーンと呼ばれる井戸でくみ上げた水、これが、本当は戻るのは五十トン程度だと見込んでいたそうでありますけれども、実際には、トリチウム、最大八千二百ベクレル、これは排出基準量を大きく上回っているわけですよね。これは高濃度であるということで、逆に、この絵の中にあるタービン建屋にバックする格好になっていて、結局、量がもとに戻ったんじゃないか、あるいはふえたんじゃないか、こういうことを言っているわけであります。

 なぜこのようなことになっているのか、簡潔にお答えください。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 日量四百トンがサブドレーン等の対策を講じる以前の段階で建屋に入っている地下水流入量としてあったわけでございますけれども、こういったものは、地下水バイパスやサブドレーンの稼働によりまして、日量約百九十トン程度に減少してきているという効果がございました。

 一方で、今先生の方からも御指摘がありましたとおり、海側遮水壁の閉合に伴って、周辺の井戸から高濃度のものが出てきたということで、これについてはタンクに適切に貯蔵しているところでございますけれども、この結果、汚染水の日々発生する量につきましては、昨年九月までの一年間の平均の数字として、約四百七十トンという数字がございます。これが、この一月以降、足元では約四百九十トンということでございますので、本来減るべきであったものが減ってはおりませんけれども、おおむね同程度という状況でも一方ございます。

 今後、舗装の徹底とか陸側遮水壁の運用開始など、さまざまな措置を講じながら、汚染水発生量の抑制に努めてまいりたい、そのように考えております。

 以上でございます。

高橋(千)分科員 一日四百トンの汚染水を処理しなければならないということが随分言われていたわけですけれども、それが今、四百七十トン平均から四百九十トン平均になっている。新聞で報道されているのは、六百トンまでいったということで、そのときのピークは多分過ぎていて落ちついているとおっしゃりたいんでしょうけれども、しかし、四百九十トンというのは、いかにもふえている。当初であれば、もっと、半分以下に減っているはずだったのに、こういう事態だということを御説明いただいたと思います。

 それで、二〇一三年七月のタンク漏えい問題が起こった際に、鋼板の接合部をパッキンで埋めてボルトで締めたフランジ型であったこと、そのパッキンの耐用年数が約五年しかなくて、全タンク約千基のうち三百五十基がそういう型であったこと、また水位計もなければ、防水のための堰も非常に低かった、排水弁も開いていたなどの管理体制が厳しく指摘をされて、そのために溶接型タンクに移していくということが確認されていたと思っております。

 そこで、現在、溶接型への移しかえがどのくらい完了して、解体済みは幾らなのか、またその残りはどうなっているのか、お答えください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年八月のフランジ型タンクから高濃度汚染水の漏えいという事案がございました。それを踏まえまして、フランジ型タンクから溶接型タンクへの切りかえを精力的に進めてきておりまして、現在までに約百二十基のフランジ型タンクを使用停止といたしておりまして、そのうちの四十基が解体済み、残りの八十基は解体中ないしは解体待ちということでございます。

 その結果、浄化処理を行った水を貯蔵しておりますフランジ型タンクの数でございますけれども、約百二十基、そのタンクの容量が約十万トンというのが現状でございます。

高橋(千)分科員 まだ百二十基、十万トンが残っているという答弁でございました。

 そこで、廃炉・汚染水対策関係閣僚会議、昨年六月十二日で、このときに、東電福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ、これが決定をされております。その中で、ここの部分、今の部分について、「高濃度汚染水を処理した水の貯水は、二〇一六年度早期までに、全て溶接型タンクで実施する。」というふうに書かれております。ところが、今、溶接型タンクの建設が汚染水の増加に追いつかず、結局フランジ型のタンクに処理途中の汚染水を貯蔵すると今月十五日の原子力規制委員会の検討会で東電が説明したと聞いております。極めて深刻な事態ではないでしょうか。

 結局、今、解体に向けて、報告がありましたけれども、併用を続けるのでしょうか。このような事態を大臣はどのように見ておられるのでしょうか。

林国務大臣 福島第一原発に設置されていますフランジ型タンクを溶接型タンクに置きかえる作業に時間を要していることは事実であります。一方で、日々発生する処理済み水のタンク容量を十分に確保する必要があることから、フランジ型タンクの使用を暫定的に継続するということにしております。

 貯蔵するのは高濃度汚染水を浄化処理した後の水であることに加えまして、万が一の漏えいにも備え、タンクエリアには既に二重の堰の設置や堰のかさ上げなどの対策を実施していることから、万一の流出時の危険性については大幅に低下しているというふうに考えております。

 溶接型タンクへの置きかえ作業につきましては、安全を最優先に、可能な限り早期に進めるよう東京電力に指導してまいります。

高橋(千)分科員 政府参考人でよろしいんですが、ちょっと確認をしたいと思います。

 今大臣が、浄化処理した後の水を入れているんだ、暫定的なものであるということでありました。まず、解体の目標を確実に持ち続けているのか。つまり、私が聞いたのは、併用を続けるんでしょうかと聞きました。大臣の答弁は、暫定的だとおっしゃったので、やめるという目標はいつまでなのか、あるいはちゃんと持っているのかを確認したいということと、浄化処理した後の水とおっしゃいましたけれども、規制委員会は、更田規制委員長代理が、処理途中の汚染水ではなくて、ALPSの処理水を移送するべきだという指摘をしているんですね。多分、今おっしゃった、処理した後の水というのは、セシウムの処理はできているけれども、ALPS処理水ではないというふうに認識をしておりますが、そこの確認をしたいと思います。

田中政府参考人 まず、溶接型タンクにフランジ型タンクを置きかえていくという作業については、方針としては全く変わっておりませんで、現時点で、ロードマップにあるような目標も、これは断念をしているということではなく、できるだけ早期にということで進めてまいりたいというふうに考えております。

 それから、今御指摘がございました、ストロンチウムの処理が終わっていない水の扱いということについては、御指摘のとおり、二月十五日に開催された原子力規制委員会の検討会でも議論があったということでございます。

 これにつきましては、規制委員会の方からも、当面、ストロンチウム処理水を受け入れることはやむを得ないけれども、ALPS処理水が、今現在、フランジ型タンクの方に受け入れられるような仕様に実は配管がなっていないものですから、その設備工事を進めるべきだという指摘があったというふうに承知をしておりまして、私どもといたしましても、溶接型タンクの容量の確保、それから汚染水発生量の抑制のためのさまざまな措置も含めまして、引き続き東京電力をしっかりと指導してまいりたい、そのように考えております。

高橋(千)分科員 この問題はここで言い切りにしますけれども、やはり大臣、今答弁がありましたように、本来であれば、ストロンチウムの処理ができてあった水でなければという指摘があったにもかかわらず、今、やむを得ないという形で処理途中の水を入れているんだということ、そのことをやはりきちんとお認めいただいて、非常に極めて深刻な状況だと思うんですね。二〇一六年の早期に全部溶接型に移していくというそもそもの政府の決定自体に到底間に合わない。諦めてはいないけれども、間に合わないということは明らかだと思うんです。そうしたことをやはりきちんと指摘をさせていただきたい。極めて深刻な事態ではないかと思っております。

 きょうはもうこれ以上はこの問題は言いませんけれども、東電は、本当は凍土壁が昨年から動いていればこの問題は解決してあって、タンクの不足も本当はなかったんだとおっしゃるんですね。だけれども、凍土壁の問題自体も規制委員会から繰り返し指摘をされてきた、そういうこともあったわけです。そうした点で、果たして国が前面に出ると言うだけの役割を果たしてきたんだろうかということを、私はちょっと一言指摘をしておきたいと思っております。

 そこで、次の問題に移りたいと思います。核燃サイクルの問題であります。

 林大臣は、昨年十一月に六ケ所村の再処理工場などを視察されて、核燃サイクル推進は変わらない、この立場を記者団に表明をされました。事故後経産大臣が同施設に入るのは初めてだと聞いておりますが、再処理工場は来年上期に稼働を目指すということで二十三回目の延期を発表しており、また、MOX工場はその翌年、二〇一八年上期を目指しているとされています。

 この間、核燃サイクルをめぐっては、「もんじゅ」に対する規制委員会の勧告や今国会提出の新認可法人をめぐっての問題など、何かと注目されていることがあり、大臣もこの施設を視察されたと思っているわけですけれども、私はやはり、核燃サイクル推進ありき、これはだめだということを最初に指摘をしておきたいと思います。

 私自身はもちろん地元ですので、建設当初、建設というのは、再処理工場ではなくて、低レベルの埋設の前のところから何度となく現地に入っているわけですけれども、昨年十月にも我が党衆参の経産部会の議員とともに行ってまいりました。

 そのとき、何より驚いたのは、使用済み核燃料貯蔵プール、これが、受け入れ容量が三千トンなわけですけれども、既に三千三百八十九トン、これは単位にウランをつけるのを省略しますけれども、入っている、受け入れていますということだった。ということは、既にあふれている、超えているじゃないかと思ったんですね。だけれども、実は超えている分は、四百二十五トン、アクティブテストで使用しているので、在庫量は三千トンを若干切っている、そういう説明でありました。

 その内訳を資料の二枚目につけておきましたけれども、これは各原発の使用済み燃料の管理容量と貯蔵量、そして何年の余裕があるかということと、そのうち六ケ所の再処理工場の使用済み燃料プールに入っている貯蔵量を書いております。ですから、どこの原発から六ケ所に来ているのかが一目でわかる仕組みになっておりますけれども、トータルで二千八百四十九トンということです。

 これを見ますと、もとの原発のところにもプールはあるわけですけれども、十年以上余裕があるというところもあれば、最短で二・三年など、逼迫状況がわかるわけですよね。

 そこで伺いますけれども、まず、六ケ所村の使用済み燃料プールはほぼ満杯なんです。これ以上受け入れることはないと思いますけれども、確認をしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ちょっと事実関係で何点か申し上げたいと思います。

 今先生御指摘の再処理工場、それからMOX燃料加工工場の竣工時期、何度か予定がおくれているというのは御指摘のとおりでございますが、六ケ所の再処理工場につきましては二〇一八年度上期、そしてMOX燃料加工工場は二〇一九年度上期というのが最新の竣工予定でございます。

 それから、今お尋ねいただきました使用済み燃料、六ケ所村の日本原燃が保有する使用済み燃料プールの状況でございます。

 お配りいただきました資料にございますが、二千八百四十九トンでございますが、これは恐らく、上に書いてございます九月末の時点。下に参考と二行ついておりますが、こちらの方に二千九百六十四トンという数字が書いてございます。こちらの方がより新しい数字となっております。

 そのことを申し上げた上で一言申し上げますと、ことしの一月に日本原燃が原子力規制委員会の方に届け出を行っております再処理施設の使用計画というものでございますが、この中で、二〇一六年度から二〇一八年度までに、さらに二十四トンほどの使用済み燃料を受け入れることとしているというふうに承知をしております。

 ただ、いずれにいたしましても、この使用済み燃料の貯蔵という問題が大きな課題であることは御指摘のとおりでございまして、政府といたしましても、昨年の十月六日でございますが、最終処分関係閣僚会議を開催いたしまして、使用済燃料対策に関するアクションプランというものを策定し、事業者に対しまして「使用済燃料対策推進計画」というものを策定するように要請をし、昨年の十一月にその報告があったところでございます。

高橋(千)分科員 年度を間違えていました。ありがとうございます。

 先ほど御紹介いただいた二千九百六十四トン、これは六ケ所再処理工場に行ったときにこの数字を確認しております。いただいておりますが、内訳で経産省からいただいたものがこれだったので使わせていただきました。お断りしておきます。

 それから、二十四トン受け入れるということで、多分、あきがある以上は受け入れるという意味なのかなと思って今聞いておりましたけれども、実は私、この質問は現地でもしているわけなんですね。普通、入れ物が満杯だったら受け入れませんと、シンプルなことを聞いたつもりだったんですが、絶対そういうシンプルな答えは返ってこないわけです。そのかわりに言われたことは、再処理の後、MOX燃料を使うプルサーマル計画、これが進むことを期待しているというものでありました。

 そこで、資料の三であります。電事連が二〇〇九年に発表したプルサーマル計画、これを十六基から十八基で進めていきたいというその内訳であります。そのいただいた内訳に私の事務所の方で少し細工をさせていただきましたけれども、今、新規制基準適合性審査申請済みの原発に青いラインを引いております。それから、プルサーマルの実績のある原発、これがいずれも偶然にも三号機なんですけれども、高浜の三号機、伊方の三号機、玄海の三号機、そして、事故に遭った福島第一原発の三号機だということであります。

 ただ、この実態からいきますと、計画はほとんど進んでいないということで、再来年、再処理工場が稼働する前に新しい計画を策定すると聞いてございます。

 そこで、資料の四を見ていただきたいんですけれども、核燃サイクルのそれぞれの過程で、保管中のプルトニウムがどのようになっているのかという資料であります。海外に再処理委託した分が三十六・九七四トン、これは分離プルトニウムの計算になっておりますけれども、国内が十・八三五、合わせて現在四十七・八トン。核分裂性プルトニウムで換算しますと三十二トン、先般大臣がお答えになっていた数字であります。こういう状況である。

 来年七月に日米原子力協定の期限を迎えるわけですが、利用目的のない余剰プルトニウムは持たないとしてきた約束から見ても、余りにも多過ぎると思います。

 再処理してプルトニウムを分離することはやめるべきと国際的にも批判が出ていることは、二月五日の予算委員会で我が党の藤野議員も指摘したところであります。大臣は、その藤野議員への答弁の中で、再処理工場から毎年四トン分離されるのに対して、これがまずフル稼働した場合という計算ですけれども、同じく全国の十六基から十八基の計画で使った場合は、五・五トンから六・五トン利用するので、着実に減っていく、このような答弁をされました。

 ただ、これは引き算しますと、一・五トンから二トンくらいが若干、要するに、消費が供給を上回るという部分はその部分ですよね。でも、残っている、今滞留しているプルトニウムを引き算していきますと、単純に計算しても二十年ぐらいかかるんじゃないかということなんですよね。だけれども、政府としては、利用目的があるんだからいいんだという立場なのか、それとももっと新設をしたり、あるいは今俎上に上っていない軽水炉をプルサーマルに転用する、そうしたことも念頭にあるんでしょうか。

林国務大臣 今、高橋委員が御指摘のとおり、十六から十八基の原子炉で、MOX燃料として年間五・五トンから六・五トン、核分裂性プルトニウムを利用することにしているわけですけれども、六ケ所再処理工場がフル稼働した場合、年間四トン強の核分裂性プルトニウムが発生するわけでありまして、この計画が適切に実施されれば、プルトニウムの利用量が発生量を上回る。現在保有しているのは三十二トンでありまして、これは着実に減っていくことになるわけです。

 そこで、そもそも核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではありませんで、中長期的な対応を必要としております。したがって、その一つであるプルトニウムの利用についても、核燃料サイクルの推進やその進捗の中で、中長期的な視点に立って着実に進めていくことが大切であるというふうに考えております。

 今後とも、我が国は、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則のもと、プルトニウムの適切な管理と利用を行っていきます。

高橋(千)分科員 そうすると、今の答えは、それでよいという立場かということに対してのイエスだったと思うんですね。結局二十年くらいかかりますよね、単純計算すれば。それでもよい、利用目的があるんだからとおっしゃっている。だけれども、十六基から十八基のめどが今全く立っていないわけですよね。だから、そこも含めてやっていくんだという表明だったと思いますので、大変遺憾に思っております。

 やはり、既に、プルトニウムをふやす路線からは撤退するべきだと国際的にも注目をされている中で、また、安倍総理が核セキュリティーサミットでも最小化を発言している中で、まだ依然としてこうした路線であるということは非常に残念だなと思っております。

 そこで、もう一つ、最終処分の問題なんですけれども、二〇〇〇年に制定された最終処分法によって、NUMO、原子力発電環境整備機構が設立されて、高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けて検討を進めてきたわけです。しかし、いまだ受け入れ自治体はあらわれておりません。

 昨年五月に、政府は、新たな基本方針を閣議決定して、国が科学的有望地を提示するといたしました。その一つとして、海底処分が俎上に上り、総合資源エネルギー調査会、放射性廃棄物ワーキンググループのもとに、沿岸海底下等における地層処分の技術的課題に関する研究会が一月二十六日から立ち上がっています。

 そのときの資料、資料といいますか記事が資料の五番にあるんですが、福島民報の一月二十七日付、「沿岸海底下処分のイメージ」ということで、三百メートル以上の深さであること。そうはいっても、地上施設があるわけですよね。そこから坑道を引っ張っていくわけですけれども、海岸から二十キロ以内の距離であるということをイメージされているということをるる議論がされたわけであります。

 そこで、その整理の中で、海底下処分の場合、土地利用に関する制約が小さいことが大きな利点という整理がありました。つまり、海は誰のものでもない、権利交渉が比較的容易という考えからなんでしょうか。

 ちょっと時間の関係で、二つ続けて質問します。

 権利交渉が比較的容易という考えからなのかというのが一点。そして、そういう理屈で、理論上でいいますと、青森県の六ケ所村の近傍、延長上の海洋、こうしたことも選択肢からは排除されないということなんでしょうか。お願いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 二点いただきました。

 まず、今回の沿岸海底下について研究会を始めたわけでございますけれども、先生御指摘のような観点から始めたものではございません。そこは明確に申し上げておきたいと思います。

 総合資源エネルギー調査会の中で議論を重ねる中で、廃棄物の輸送時の安全性確保の観点からは海上輸送が前提だろう、その海上輸送を前提といたしますと、港湾からの陸上輸送の距離ができるだけ短い方が好ましい、こういった御意見がありまして、沿岸部がより適性が高いといった議論がなされてきているところでございます。

 他方で、沿岸部は、個別の地点ごとに詳しく見る必要はございますけれども、一般的には地下水の流れが比較的緩やかである、あるいは隆起速度が比較的小さいといったことが期待できる面があります。

 しかしながら、その一方で、沿岸部の場合につきましては、長期的に海面のレベルが動くことをどういうふうに考えるか、それから、塩水の影響を考慮する必要がある、こういった課題も指摘されているわけでございまして、私どもといたしましては、幅広い選択肢を確保するといった観点から、専門家の方々によります研究会を設けて、そして、あくまで海底下を含みます沿岸部で処分を行う場合の科学技術的な課題とその対応策を検討していく、こういうことでお願いをしているところでございます。

 先生が御指摘いただきましたように、海底下の場合、土地利用に関する制約が小さいといった指摘も確かにあるわけでございますが、今申し上げましたように、今回の研究会は、選択肢を広げる観点から、あくまで沿岸部の場合の科学技術的な課題は何であるか、そしてその対応策はどうなのか、こういった点を検討するためのものでございまして、そうした趣旨であるということが一点。

 それからもう一点、青森県の六ケ所村の近傍、沖合ということはどうなのかという点でございます。

 私ども、海底下かどうかにかかわりませず、今回の科学的有望地の議論の中では、個別具体的な地点についての検討は一切行ってございません。

 ただ一方で、青森県との間におきましては、青森県を最終処分地にはしないという約束を歴代行っておりまして、これを遵守する考えに変わりはないということを申し上げておきたいと思います。

高橋(千)分科員 沖合だろうとそれは同じだということを確認させていただきました。

 時間が来ましたので、これで言い切りにいたしますけれども、これまでも手を挙げる自治体は全くなかったわけなんですね。それで、国が適地をこちらから提案するんだと。それに伴って、これまでにない、交付金とは違う新たな支援措置、例えば国立の何かとか、そういうこともいろいろ俎上に上っていると聞きました。

 しかし、私は、本当にこの問題は矛盾の先送りでしかないと思うんですね。やはり一つ一つ解決していかなければ、それなのに、再稼働をどんどん進めて、とりあえず当座のところを見えなくする、先送りするという考えは本当にやめるべきだと思っております。

 伊方原発の再稼働に当たって、安倍総理が、万が一事故があったときには国が責任をとるということをおっしゃいました。だけれども、万が一起こってからは、幾ら責任をとったって、今だってそうですよね、今だって福島の問題では、国が前面に出て責任をとると言っています。でも、取り返せないものがあるんだということを考えれば、この再処理、再稼働、そしてサイクル路線はきっぱりとやめるべきだということを御指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

関主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

関主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大西宏幸君。

大西(宏)分科員 自由民主党、大西宏幸です。質疑をさせていただきます。

 きょうは、林経産大臣並びに北村大臣政務官、お越しいただいておりまして、本当にありがとうございます。

 まずは、冒頭に大西の選挙区の話をやらせていただくのはちょっと申しわけないんですけれども、私の選挙区は、阪神タイガースが優勝すると飛び込む道頓堀も含めて、観光地がほぼ入っています。悲しいかな、USJだけは入っていないんですけれども。それ以外に、焼き肉やコリアンタウンの鶴橋、御幸森地域。四天王寺さん、そして今NHKの大河ドラマで有名な真田丸がある地域。あと、道頓堀に黒門市場、大阪城に通天閣、今宮戎に心斎橋エリアにアメリカ村、堀江地域に靱公園に海遊館。ここら辺が全て私の選挙区になっております。

 国内外から多くの観光客が訪れておりまして、インバウンドでもうかっている観光型の商店街、そして、中間商店街というんでしょうか、生活商店街というんでしょうか、そういう状況の中でも、生活商店街は特にそうなんですけれども、現下の経済状況を反映して、今厳しい状況にあるということは確かだと思っております。

 本来であれば一番の質問をさせていただきたいんですけれども、大臣の御予定の問題でちょっと飛ばさせていただきまして、平成二十七年度補正予算に盛り込まれております商店街・まちなかインバウンド促進支援事業について、それらの商店街の皆さんも大いに今期待をされておられますけれども、特に外国人観光客が多い大阪市中心部商店街では注目の施策ということでございます。

 それに伴って、平成二十八年度予算ではどのような特徴の施策を計画されておられるのか、大臣、よろしくお願い申し上げます。

林国務大臣 大西委員御指摘のとおり、地域に根差した商店街の活性化は重要な課題だというふうに思っています。

 外国人観光客が今相当見えているわけですけれども、そうじゃない地域もございまして、例えば、長野県佐久市の岩村田本町商店街では、長野新幹線の開通、あるいは駅近傍への大型商業施設、イオンの立地などによりまして、顧客が離れてしまっていました。この流れを変えるべく、病院や学校などが商店街の近隣に立地していることを踏まえて、学習塾や託児所などを開設しておりまして、地域住民の需要に根差した地域密着型の商店街活動を実施した結果、空き店舗数が減少するなど、成果を上げているわけであります。

 このように、各商店街が立地環境や顧客層などを踏まえて自立的に活性化を図ることが重要であります。このため、平成二十七年度当初予算の商店街支援から、商店街及び地方自治体間の連携により、先進的なモデルとなり得る商店街を重点的に支援することとしております。また、他の商店街の参考となる取り組みを収集して、その成功要因あるいは課題を分析して、見える化した上で、全国の商店街に周知する取り組みなども行っているところであります。

 こうした取り組みによりまして、引き続き、地域の経済社会とコミュニティーを支える商店街の活性化を支援してまいりたいというふうに考えています。

大西(宏)分科員 大臣、どうもありがとうございました。

 余り拘束し過ぎると与党としてはよくないので、もしお時間がなければ、どうぞ行ってください。

 大臣おっしゃるように、集積地域をよくチェックして、そこに適切な対応、対策がとれるように頑張っていただきたいと思っております。

 それでは、ちょっと一番に戻させていただきます。

 いわゆる経済というのは、往々にして歴史に大きく影響しているということも言えることがあります。大阪の歴史を顧みれば、大阪を発展させたきっかけというのは、豊臣秀吉、太閤さん、そして財産をはたいて道頓堀を通した安井道頓さんの存在がすごく大きいんですよね。その道頓堀開削四百周年の記念事業が、道頓堀商店街を含めて関係各地で多く開催されました。

 そのメーンイベントである道頓堀盆おどりインターナショナル二〇一五が八月十六日に開催されて、いわゆるギネスの認定をとるために認定員を呼んでやりました。二千二十五人が同じ踊りを踊ってギネスに登録されたということで、認定が決まったということを本当にありがたく思っております。その行事についても、経済産業省や近畿経済局の支援と連携をいただいたからこそ成功につながったと、地元の皆様は大いに喜んでおります。

 これらを踏まえまして、商店街が企画する行事についても積極的な支援を今後ともに拡大していくべきだと思います。この状況はいかがでしょうか。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 私、先週末、大阪に参りまして、道頓堀のそばを通ってまいりました。相変わらず大変にぎやかでございました。佐藤委員の御地元には行けませんでしたけれども、大阪を見てまいりました。

 委員も御承知のとおり、全国各地の商店街を取り巻く状況というのは、地域によってさまざまでございます。よって、商店街みずからが判断し、主体的に活性化に取り組んでいただくことが重要だと考えております。

 商店街が企画するイベントにつきましては、例えば、地域のコミュニティー施設や子育て支援施設の開所式等に伴う場合について支援を行っているところでございます。

 平成二十八年度予算案においても、同等の支援策を講じることとしており、商店街みずからが考え、商店街の自立を促すような先進的なモデル事例を生み出してまいりたいと考えております。

 委員御指摘の商店街が企画するイベントについては、こうした前向きな取り組みに対して行われるイベントについて、引き続き支援してまいりたいと考えております。

大西(宏)分科員 やはり地域というのは、目玉があって人が集まってくる。確かに、今大臣政務官がおっしゃいましたように、道頓堀というのは、何もしなくても人が集まってくるのではなくて、長い歴史の積み重ねの中で道頓堀というイメージをつくって、そこに人が集まってきて、人が集まってきた中で、インターネットの情報を踏まえて海外から人が集まってくる。

 この積み重ねというのが大切なので、積み重ねをしていく途中の商店街もあるだろうし、それを守っていく商店街もあるでしょうし、それを目指している商店街もあるので、それも含めて支援をしていただきたいと思っておる次第でございます。

 先ほど言いましたように、商店街にも何種類か種類があると僕は思うんですよね。いわゆる私の選挙区でいったら、道頓堀にしても心斎橋にしても黒門商店街にしてもそうなんですけれども、観光型の商店街、今、インバウンド、海外の方が多く集まってくる商店街です。黒門商店街なんかは、わざわざ海外の人が座れるような休憩の場所までつくって、たくさんの方が安心しておいしいものを食べて、その次の場所に行ってもらえるような休憩の場所までつくっていただいているということで、これはその方々の努力のたまものだと思っているんですけれども、実は、それ以外の商店街の皆さんから、いろいろな懸念の声が聞こえてきております。

 それは何かというと、インバウンドっていつまで続くの、インバウンドで仕事をやっていて、急にインバウンドがなくなったらみんな大変なことになるやん、どないしたらええんやということをよく言われます。

 確かに、それぞれの経済の足腰を強くするのは各商店街、各事業主の仕事でしょうけれども、経済産業省として、いろいろな成功例を含めて情報提供をしたり、地域の経済局と連携を行った支援施策等があるならば、お教えいただきたいと思っております。

北村大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、みずからが活性化に取り組む商店街を成功事例として取りまとめ、情報提供等を行うことは大変重要と考えております。

 このため、先ほど大臣から御答弁申し上げましたが、他の商店街の参考となる取り組みを収集し、その成功要因や課題を分析し、見える化した上で、全国の商店街に周知する取り組み等を行っております。

 また、関係団体、地方自治体からの推薦を受けたアイデアあふれる取り組みを講じた商店街を「がんばる商店街三十選」として取りまとめ、周知に努めているところでございます。

 今後も、こうした取り組みを進めることで、みずからの活性化に果敢に挑戦する商店街に気づきを与えていきたい、そう考えております。

大西(宏)分科員 今、観光型商店街の方々といろいろ話をすると、おもしろい状況が見えてくるんですね。

 例えば、心斎橋商店街にもうこれ以上店舗をふやしてほしくない種類があると。何かというと、薬局。薬局がこの半年間に四店舗か五店舗ふえた。なぜかというと、海外からのお客さんは薬局に行くという道筋ができてしまっている。今の海外のお客さんをゲットするために、商店街として多少の薬局さんは必要でしょうけれども、必要以上の薬局が来るとイメージが変わってしまう。

 その中で、よく言われるのは、海外のお客さんは大切だけれども、実は国内のお客さんに、観光客を含めて、買い物に来てもらったり観光に来てもらうのが第一前提であると。いつの間にか第一前提が海外からのお客様になってしまっているという恐怖心があるということを今おっしゃっておられますね。

 それと、やはり、道頓堀の回転ずしのお兄ちゃんに聞くと、今タイのお客さんがふえてきたり、中国、台湾、香港、ここら辺のお客さんから他の国のお客さんに変わっていっている。いわゆる爆買いと言われているお客さんが減ってきて、中間層、平均的に三万か四万ぐらいの買い物しかしないお客さんがふえてきている。

 方向的に見たら、一つ一つを見計らいながら状況を精査していかなければ、商店街として生き残っていけない可能性もあるということで、経産省を中心として、商店街の皆さんに情報提供していっていただきたいなと思うわけでございます。

 続きまして、商店街からの要望を第二弾として言わせていただくんですけれども、大規模小売店舗立地法第四条というものがありまして、大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき基本的な事項に関する指針をここで定めております。

 ここでは、小売業者の履行確保、責任体制の明確化などが明記され、義務化をしているということでございますけれども、実際には、地元商店街の方々からいうと、おざなりになっているんじゃないのと言われております。また、地域住民への適切な説明も丁寧に行われていないんじゃないかと言われております。

 これは声なので真摯に受けとめてお聞きいただきたいなと思うんですけれども、大規模小売店舗がオープンしてから、小売業者の履行確保や地域での交通渋滞、騒音等の苦情が出た事例について報告は今まであったでしょうか。あるとするならば、監督官庁としてどのような対応をしているのか、お聞かせください。

住田政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、大規模小売店舗立地法におきましては、大型店が出店をします際に、周辺の生活環境への影響につきまして事業者に配慮を求めております。出店前の地域住民への説明会の開催、これも法によって義務づけられているところでございます。

 実際、この説明会におきましては、地域住民に生活環境への影響について理解していただくという必要がございますので、これは省令で定めておりますけれども、来店をする自動車台数の予測あるいは騒音の予測といったような事業者が説明をすべき内容についても施行規則によって定めておるところでございます。

 今御指摘がございましたとおり、実際に大型店が開業されたという際に、交通渋滞が生じたとか騒音が発生した、こうしたケースがあるということは認識をしております。こうしたケースにつきましては、実際に法の運用を担っていただいている都道府県などにおきまして、事業者との間でしっかり対策を講ずるようにというふうな指導が行われているわけでございますが、この点につきましては、私どもといたしましても、地域経済産業局ごと、このブロックごとに県との連絡会議を定期的に開催いたしまして、そうした状況を把握しているところでございます。

大西(宏)分科員 今御報告があったとおり、いろいろある状況の中で、大臣も先ほど冒頭で言われたように、例えば、イオンが来て地域商店街がだめになる、逆に、大阪では商店街なんかにスーパーができて共栄共存しているところもあったり、状況判断というのは確かに必要です。大型店舗が悪いわけではなく、商店街自身も努力していないところも確かにありますので、そこのところは見計らいながら、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、多くの商店街が悩んでいるのが、これは北海道から沖縄までどこでもそうなんですけれども、いわゆる空きスペースの問題だと思います。

 空き店舗の有効活用の一環として、行政サービスステーションや公共施設の設置などの誘致に、地方行政と協力して、経済産業省が応援をしながらやっていくことができないだろうかということもちょっと投げさせていただいているんですけれども、どうでしょうか。

北村大臣政務官 今委員が御指摘されましたとおり、商店街における空き店舗の有効活用として行政サービスステーションや観光案内所などの公的施設を入居させることは、商店街機能を高める有効な方策の一つと考えられます。

 経済産業省としては、商店街内に公的な機能を代替するような施設を設置しサービスを提供した例を、過去、「がんばる商店街七十七選」にまとめ、平成十八年でございますけれども、周知する等の活動を行っております。

 一例を申し上げますと、札幌狸小路商店街では、交番の機能を代替するような施設、仮称狸小路都心民間交番を設置いたしまして、商店街職員が周辺のパトロールを行ったり、放置された自転車の整理を行うなど、民主体による公共的サービスを提供していることを取り上げております。

 今後とも、こうした事例を含め、広く周知してまいりたいと考えております。

大西(宏)分科員 いいことだと思います。いわゆる札幌交番ということで、地域の人たちも協力しながら地域の安全を守っていくというのは、これは経済産業省としても推進していくべきだなと私自身も思っております。

 続きまして、話がちょっとごろっと変わりますけれども、近年、民主党さんの時代からやっておる新エネルギーとかクリーンエネルギーのことなんですけれども、特にその中で、政府が推進してきた太陽光パネルというのがあります。そのかいがあって、一般家庭にも住宅用太陽光パネルが大きく普及してきております。

 それで、一般住宅や工業用太陽光パネルとかが多く設置されている反面、その中でやはりよく地域から聞かれるのは、火災とかが起こっているんじゃないのとか、太陽光パネルで事故をしているんじゃないのということをちょくちょく聞くんですけれども、この事例について、経済産業省は把握されておられますでしょうか。

住田政府参考人 御指摘の太陽光発電に関する件でございますが、電気事業法におきましては、感電による死傷事故、あるいは電気火災に関する事故、そして主要設備の損壊といったような事業用の電気工作物に関する重大な事故に関しまして、報告を求めておるところでございます。

 実際、平成二十六年度のケースで申しますと、今申し上げました事業用、これは五十キロワット以上の太陽光発電設備でございますが、こちらにおきまして、合計で十一件の事故報告があったわけでございます。

 電気事業法におきましては、住宅用からメガソーラーまで、全ての太陽光発電設備について技術基準を満たすということを求めておりまして、これに適合していない事業者に対しましては改善指導などを行っておるところでございます。

大西(宏)分科員 特に、レクのときに、一般住宅については把握していないという話も出ているんですよね。だけれども、ここまで普及させておいて、経済産業省として、工業用の太陽光パネルは事故等の情報収集、連絡義務を生ずると言っているけれども、一般の住宅の太陽光パネルの事故とか火災について把握していないということ自体がちょっとおかしいんじゃないのかなと思います。

 これはあくまでも要望ですけれども、一回ちょっと考えていただきたいと思います。これだけ全国に太陽光パネルを広げたんですから、それは政府としても責任あると思いますよ。

 続きまして、太陽光パネルを設置するに当たって、適切に設置できているかどうかの確認もやはりやっていかなきゃいけないと思うんですけれども、これはどうでしょうか。

住田政府参考人 太陽光発電設備の設置についてでございますけれども、この設置に当たりましては、電気事業法に基づきまして、技術基準を満たすということを求めておるわけでございます。これは、設備が損壊したりしまして、感電あるいは火災、その他人体に危害を及ぼす、あるいは物件に損傷を与えるといったおそれがないように、技術基準を満たすということを求めておるわけでございます。

 実際にこれを確保するために、出力が五十キロワット未満の太陽光発電設備のケースにおいては、電気工事士という方が工事をするということを義務づけております。

 一方、出力五十キロワット以上の太陽光発電設備につきましては、設備の保守管理方針としての保安規程を設置者が定めることを求めておりまして、さらに、保守管理を行う技術者でございます電気主任技術者のもとで、適切に工事、維持、運用というものが行われるように義務づけをしておるところでございます。

 さらに、電気保安上特に重要性が高い出力が二千キロワット以上の設備につきましては、工事計画の事前の届け出、それから運転開始前の安全性の検査を義務づけておりまして、これらが適切かどうかということについて国が審査をするというふうにいたしております。

大西(宏)分科員 設置の後にやはり一番問題になるのは、実は保守点検というのがもう本当にほったらかしになっているんじゃないのという話も、いろいろあちらこちらから聞くんですよね。さまざまなリスクを考えて、法的にここら辺を整備しなきゃいけないんじゃないのと思うんですけれども、その考えと、そして現在の状況をあわせてお教えください。

住田政府参考人 御指摘のとおり、太陽光発電設備が急増する中で多くの事故などが起きているということは、私どもも非常に深刻に認識をしております。特に、不適切な設備の設置による損壊事案が発生しているというのは事実でございます。また、昨年の例でございましたように、特に台風などの自然災害に伴って、パネルが飛んでいっちゃうといったようなことで公衆の安全に影響を与えるような重大な事故も生じ始めてきているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、太陽光発電設備の安全性の確保、そしてまさに今御指摘のございましたように、適切な維持管理といったものの徹底に向けた検討を行っておるところでございます。

 具体的には、台風十五号によります被害の実態調査などを踏まえまして、まず、技術基準の再検証そして取り組みやすい安全対策を提示するということ、運転開始前の安全性の確認を徹底するということ、それから事故の報告を強化するといった対策につきまして、現在審議会において検討いたしておりまして、年度内にも方針を取りまとめる予定にしてございます。

 また、この国会に提出しておりますいわゆるFIT法、再エネ特措法でございますけれども、こちらの改正法案の中では、電気事業法の技術基準を満たしていない場合を含めまして、FIT法以外の法令違反が判明をして事業を適切に実施していないといったような場合には、改善命令あるいは認定の取り消しといったようなことを可能としているところでございます。

 御指摘のとおり、太陽光発電の推進の上で、安全性の確保、特に維持管理の徹底といったことは大前提でございますので、こうした対策を通じて安全確保に努めてまいりたいと思います。

大西(宏)分科員 続きまして、地方再生法に盛り込まれた特例税制のことですが、地方に拠点を設ける場合に優遇税制をする場合と、東京二十三区から移転して地方都市に拠点を設ける場合に優遇税制をする二種類があります。いずれも大阪市は対象外で、東京都と大阪市以外は一部地域が区域に入っているんですけれども、大阪市だけがそんな状況にあります。

 話はちょっとずれるかもわかりませんけれども、平安時代の昔から有職故実という書物があります。これは、いろいろな物事、服装とかを春夏秋冬でどうするべきかということを書いているんですけれども、その中に長生きの秘訣という文言がありまして、長生きの秘訣は、遠くて近いものを食べろということが書かれているんですね。

 遠いものとは、すなわち、人より遠いもの。近いところからいったら、牛、豚の肉、鳥、魚、野菜。人より遠い野菜を食べろと。近いものとは何だというと、自分の住んでいる地域の土と水で耕された野菜を食べろということを言っております。

 これは京都の話でございますけれども、京都の大都市の食料を供給してきたのは近隣の村々なんですね。古来より持ちつ持たれつの関係にあるからこそ、京都の大都市というのは古代から大きな町々ができてきているわけです。

 これが、近代になって五大都市になって、横浜や名古屋、大阪、神戸、京都などの各政令都市にもかかわってきております。

 大阪でいえば、奈良や和歌山、京都、兵庫の一部が経済の一蓮託生になっていることはもう明々白々なんですね。経済圏の輪の中にあるんです。性急にでき上がった大都市や政令指定都市は、確かに多くの国民を吸収するので、よく自民党の部会でも政令指定都市は各国会議員の先生方から目のかたきにされたりするんですけれども、近隣地域を過疎化して人口を吸収してしまいます。

 しかし、大阪に代表されるような旧来の古都型の大都市はそれとは似ても似つかない状況であるということを我々は認識していかなきゃいけないんです。大阪圏を守るのは近隣県を守るに等しいことだと私は思っております。

 三年後にエリアを見直すと定められていますが、経済圏を守る観点からも御一考をいただきたいと思いますけれども、この見直しに当たっての御所見をお聞かせください。

中尾政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年の通常国会で成立しました改正地域再生法によります地域拠点強化税制におきましては、企業誘致に取り組んでおります地域に対しまして、できるだけ広く優遇措置が及ぶよう配慮いたしました。東京圏、そして御指摘のございました近畿圏中心部、それから中部圏中心部といったような既に人口や産業が著しく集中している地域につきましては、周辺の地域からその地域への移転が促進され得るおそれがあるということで、支援対象外というふうにいたしております。

 御指摘がございました見直しということにつきましては、昨年の検討を踏まえながら、地域再生法の附則第三条、すなわち、政府は、この法律の施行後三年以内に、新法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとの規定がございまして、この規定に基づきまして予断を持つことなく判断をしてまいります。

大西(宏)分科員 本当に、私が当選させていただいて、ほぼこの議論に参加できない状況でありましたので、諸先輩方が議論された中で大阪が抜けてしまったということは、全力を挙げて、だけれども、それでも抜けてしまったんやから仕方ないと思う気持ちと、腹立たしい気持ちとあります。

 何回も言いますけれども、大阪はやはり日本の中心の一つなんですよね。その中心の一つの経済がだめになると、日本の経済、ひいてはアベノミクスの足を引っ張ってしまうかもわからぬということを認識していただきたいと思っております。

 以上です。

関主査 これにて大西宏幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)分科員 林経産大臣とこういう形で質疑するのはたしか初めてだと思いますが、いろいろ経産行政さらには原子力に係る多くの仕事、大変御苦労いただいていると思っております。

 きょうは、主に二点に絞って質疑をしたいと思っています。

 一つは、ことしの四月の一日からいよいよ始まります電力の小売自由化の問題であります。

 私もできるだけ興味を持っていろいろな部会とか各役所の説明を受けているんですが、どうも一般の消費者にとって、この小売自由化がどういうことを意味しているのか、なかなかわかりにくいんですね。いろいろと書類をもらってみても、先日ももらいましたけれども、安定供給を確保するとか電力料金を最大限抑制するとか、いろいろ書いてあるんですが、個人個人の立場で見たときに一体どういうことになるのかなということを、できればわかりやすく質疑の中から明らかにしていきたいと思っています。

 そこで、私の方から資料を配らせていただきました、大臣のお手元にもあると思いますが。ちょっと長さがあるんですが、少し読んでみます。これが電力小売自由化の意味なのかなと私がつくってみたあれです。

 まず、モデルとしては、「A社 発電時に放射性廃棄物を出す電力を販売。」「B社 発電時にCO2を出す電力を販売。」「C社 発電時に放射性廃棄物もCO2も出さない電力を販売。」消費者は、このA、B、Cのどの会社かを選び、その会社の設定した料金メニューに従って電力料金を支払う。消費者に送電線を通じて送られる電力はA、B、C社の電力がまざったものになるが、料金は選んだ会社にだけ支払うと。

 まず、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の方から配付していただいた資料、私も今拝見をいたしました。

 大きな意味で、今回の四月一日から始まります電力の小売全面自由化が、消費者が自分の購入する電力会社を選ぶことができるようになるという意味において、こうした効果もあろうかと思います。

 他方で、「単純なモデル」とお書きいただいておりますA社、B社、C社、こうしたところについて、どのような表現といいますか、情報の開示といったものが伴っていくのか、これはまた別途ガイドラインとかで詳細に出させていただいているところでございます。今ここでは、その点はちょっと省略をいたしまして御回答申し上げます。

 なお、一点だけちょっと補足させていただきますと、例えば、A社というところに「発電時に放射性廃棄物を出す電力を販売。」とありますが、例えば、放射性廃棄物を出すけれどもCO2は出さない電力というふうにするのかどうか、こういったところは事業者の方がいろいろな判断をされるところかなというふうに考えるところでございます。

菅(直)分科員 せっかく私がこういった文書までつくったわけですから、もし間違っているところがあるなら、間違っていると言ってください。追加的にいろいろなことを言われるのは、答弁とはちょっと違いますから。

 私も事前に、実はレクの中でこれもお示ししているんです。これでいいんじゃないのと言われていますけれども、できたら大臣、これで何か間違っているのなら、いや、これでいいよというのなら、まずは上のところですね、「消費者」のところまで。ぜひお願いします。

林国務大臣 もう先生御案内のとおりでありますけれども、小売全面自由化によりまして、消費者の選択肢が広がりまして、電力会社や料金メニューを自由に選べるようになるということがあります。また、事業者間の競争が活発化して、電気料金が抑えられたり新たなサービスの提供が期待されるわけでございまして、そういった意味では、消費者の特性や多様なニーズに対応する事業者のいろいろな取り組みに期待していきたいというふうに思っています。

菅(直)分科員 そういう期待は大いに結構で、私も賛成です。

 ですから、そういうときは、具体的に、今申し上げたような形になると理解していいのかということをもう一回。

松尾(剛)政府参考人 今先生がおっしゃいましたように、小売事業者が契約をしております発電会社の方に、売られた方のお金が小売会社を通じて発電事業者の方に流れるという意味では、ここでおっしゃっていらっしゃるとおりだというふうに思っております。

菅(直)分科員 結局これで、この表現でいいということですね。

 では、こういう形に変わっていったときに、どういう効果が出るか。今大臣からも幾つかの効果がありましたけれども。ちょっとここでも追加で書きました。

 「効果」として私は考えたんですが、「例えば、放射性廃棄物もCO2も出さないC社を選ぶ消費者が多くて、C社の発電量以上に買いたい人があれば、C社は発電量を増やす設備投資を行うことが可能になる。」だろう。「逆に放射性廃棄物を出すA社を選ぶ人が少なくて、A社の発電量以下となれば、A社は発電量を減らすか、あるいは価格を下げてA社を選ぶ人を増やさなければならなくなる。」だろう。

 これについてはどうですか。これで認識として正しいでしょうか。

林国務大臣 多様な料金メニューが出てくる中で、電源構成など価格以外の要素にも着目して需要家が電気事業者や料金メニューの選択を行うことは、先ほども申し上げたように大変意義があると思っております。

 先生御指摘のように、送電線の中で電気はまざり合いまして、供給される電気の質は同じとなるわけでありますけれども、例えば、需要家が再生可能エネルギーから調達する事業者を選択する場合には、再生可能エネルギーへの投資が増加し、結果として電源構成に影響を与えることになる、こうした趣旨はエネルギー基本計画においても明記しているところでございます。

 こういった点を含めて、政府としても、全国各地の説明会などを通じて、積極的に広報に取り組んできたところでありまして、引き続き自由化の周知、広報をしっかりと行っていきたいと思っています。

菅(直)分科員 非常に積極的な答弁をいただいたと思っています。

 つまりは、太陽光とか風力とかバイオマスといった再生可能エネルギー、基本的には、もちろん放射能も出しませんし、CO2も出しません。ですから、そういうもので発電された電気を扱うとすれば、これでいえばC社になるわけですけれども、そうすると、多くの消費者がC社の電気を買いたいといった場合は、もちろん料金設定の問題もありますけれども、少なくとも、C社がそれまで用意した発電量が足らなければ、そういう人たちのお金で投資をして、それをふやすことができる。

 つまりは、電気がまざるまざらないということは、送電線の中での問題としてはそのとおりですが、しかし、経営という意味でいえば、A、B、Cは性格が違うわけですね。

 この議論、大分私もいろいろな機会にやりました。ここに詳しいのをもらいました。電力の小売営業に関する指針というものですね。これの十四ページの下の中に、「当社は、クリーンな電源で発電しており、地球温暖化対策に積極的に取り組んでいる」などと説明することは問題ないと書いてあるんですね。逆に、「クリーンな電源で発電しているためきれいな電気が届く」、こう言うとだめだと、それはまざっていくんだから。しかし、「当社は、クリーンな電源で発電しており、地球温暖化対策に積極的に取り組んでいる」というふうに言って、ではこの会社にしようと多くの人が言うのは、こういう表現は問題にならないと。

 これは経産省が出されているものですが、一応このことを大臣に確認しておきたいと思います。これでよろしいですね。

松尾(剛)政府参考人 今先生がおっしゃいましたように、クリーンな電源、どのようなものが該当するかというのはまたあれでございますけれども、クリーンな電源をもって発電していらっしゃる事業者の方がそのクリーンな電源を使って発電していますよということをおっしゃっていただくということは、問題はないということでございます。

 今先生がおっしゃいましたように、それがほかとまざっているにもかかわらず、きれいだとか汚いとか、安定しているとか安定していないということを言うのは問題があるという整理をいたしております。

菅(直)分科員 私は、この四月一日から始まったときに、百九十九社でしょうか、もう手が挙がっていると聞いていますが、多分かなりいろいろな問題が起きると思うんです。

 ただ、私は、やはりこれから世界の流れとしても再生可能エネルギーに向かう流れが進んでいますので、ぜひそれを生かして、もちろん直接的には宣伝をするのはそれぞれの電力会社というか販売会社ですが、そういったクリーンな電源で自分のところはやっていますよということをきちんと言える構造にしていただいたのは大変よかったなと、一応確認のために申し上げておきたいと思います。

 そこで、もう一点の話に課題を移したいと思っております。

 安倍内閣は、平成二十六年四月十一日に閣議決定したエネルギー基本計画で、資源の有効利用の観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針としていると述べておられます。林大臣はこの時点ではまだ経産大臣に就任される前かもしれませんが、閣議で安倍内閣が決められた中に書かれていることです。

 しかし、私が見るところ、今の状態は、かつて夢の核燃料サイクルと言われたシステムがなかなか稼働しないで、資源の有効利用という点では破綻をしているのではないかと思っております。

 そこで、一、二点だけまず具体的なことを申し上げて、大臣の見解をお尋ねしたいと思います。

 つまり、使用済み燃料を再処理して、そして取り出したプルトニウムを「もんじゅ」で燃やして発電する。プルトニウムを燃料として「もんじゅ」で発電する。それと同時に、「もんじゅ」で、ウラン鉱のうちで九九・三%を占めている通常は燃えないウラン、つまりはウラン238というものを周りに入れておくと、発電と同時にそのウラン238がプルトニウムに変わっていく、転換する。だから増殖という言葉がついているわけですね。

 そして、燃えないウランをプルトニウムに転換して使うことができるので、つまりは、ウラン鉱のうちの九九・三%を占める238を、使えないものをプルトニウムに転換して使うことができるので、それで資源の有効利用になる、こういうふうにされてきた。私だけじゃないと思うんですが、夢の核燃料サイクルということで、そういうふうにもてはやされてきたわけです。

 しかし、現実には、「もんじゅ」は一九九五年のナトリウム事故を起こして以来二十年余り運転できずに、再処理は今までのところは実はフランスとイギリスに頼んでいたわけですが、六ケ所もまだ動いていませんが、それに頼んで生まれたプルトニウムは「もんじゅ」で燃やせないので、どんどんたまっているわけですね。今たしか四十八トンぐらいあるんでしょうか。そして、核拡散防止条約の観点から、何で日本だけがそんなにプルトニウムを持っているんだと世界的に問題視されているわけですね。

 そこで、プルトニウムをMOX燃料としてプルサーマルで燃やすことを始めた。つまり、軽水炉でプルサーマルとして燃やすことを始めた。しかし、このMOX燃料というのは、通常のウラン燃料より数倍コストが高くつくというのが専門家の報告です。

 そういうことを言うと、つまりは、わざわざ外国に頼んだりして使用済み燃料からプルトニウムを取り出して、しかしそれを本来燃やそうとしていた「もんじゅ」は動かない、だからプルサーマルで燃やす、プルサーマルは一時的だという答弁もどこかであったようですが。しかし、プルサーマルで燃やすというのは、ウラン燃料よりももっと高くつく。これじゃ、わざわざ膨大な金で再処理工場をつくり、膨大な金で「もんじゅ」を建設し、それが稼働していない中で、資源の有効利用とどこが言えるのか。

 逆に言うと、非常に多くのお金をかけて、資源は有効利用されるどころか、プルトニウムという意味ではたまり過ぎて困っている。だから、わざわざ高いMOX燃料にかえて燃やそうとしている。まさに、有効利用どころか逆により高いものにかえて使っている。しかも、将来的な展望はない。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、大臣は、現在言われている核燃料サイクルは、今言ったような現実を見て、資源の有効利用だとそれでも考えられるのか。もし、それでも考えられるのなら、どの部分が有効利用になっているのか、その理由をお聞かせください。

林国務大臣 まず、先生御指摘の例のプルサーマルの前に、「もんじゅ」に関しまして話がございました。

 このプルサーマルを進める方針につきましては、原子力開発利用長期計画におきまして、古く、昭和三十年代に決定しておりまして、かねてから高速炉の開発と並行して取り組んできたものでございます。

 また、各電力会社は、一部の使用済み燃料について、従来から、英国やフランスに対しまして再処理やMOX燃料加工を委託してきております。これは、国内の原子力発電所でプルサーマルを行うことを念頭に進めているものでございます。

 したがって、高速炉の開発がうまくいかないから、余剰プルトニウムを消費するための手段としてプルサーマルを行っているということではございません。

 そこで、プルサーマルを含む核燃料リサイクルにつきましては、先生御指摘のように、相対的にコストは高くなります。

 しかし、プルサーマルは、ウラン燃料の一割から二割の節約効果をもたらすものでありまして、そういった意味での資源の有効利用に資するものというふうに考えておりまして、核燃料サイクルは、このような資源の有効利用はもとより、高レベル放射性廃棄物の量の減少、そしてまた放射能レベルの低減等に資するものでありまして、引き続き核燃料サイクルを推進していく方針でございます。

菅(直)分科員 今大臣は、たしか、プルサーマルはプルトニウムが余っているからやっているのではないということをおっしゃったように思いましたが、では、なぜやっているんですか。

 大臣から答えられたんだから、大臣が答えてください。大臣の答弁でしたから。

林国務大臣 先ほども答弁いたしましたけれども、核燃料サイクルは、原子力発電所で利用した使用済み燃料を再処理しまして、回収したウランやプルトニウムを核燃料に加工して原子力発電所で再利用する一連のプロセスでございます。この過程で、プルサーマルに必要なMOX燃料が製造されるわけでございます。

 先ほど申し上げましたように、コストは高くなりますけれども、資源の有効利用だけじゃなくて、高レベル放射性廃棄物の量の減少やら放射性レベルの低減に資するものというふうに考えておりまして、推進していく方針であるということを申し述べたところでございます。

菅(直)分科員 減容化のことはきょうは余り話題にしません。ですから、その量が減るとかというのは、効率的利用とはちょっと違うんですね。

 ですから、MOX燃料をもともとは「もんじゅ」で燃やす予定だったんじゃないんですか、軽水炉ではなくて。それができなくて、どんどんたまったわけですよ。「もんじゅ」が予定どおりいっていれば「もんじゅ」で燃やして、さらにプルトニウムをつくるとすれば、増殖するわけですから。

 だから、「もんじゅ」で使えないから、軽水炉で、プルサーマルで使おうとした。違いますか、大臣。

林国務大臣 先ほども答弁いたしましたけれども、もともと各電力会社がイギリスやらフランスに対して再処理やMOX燃料を委託してきていたのは、これは国内の原子力発電所でプルサーマルを行うことを念頭に進めているものでございまして、高速炉の開発がうまくいかないからといって、そのプルトニウムを消化するための手段としてプルサーマルで行っているということではございません。

菅(直)分科員 この答弁は若干残りますよね。

 つまり、もともとは「もんじゅ」で燃やすつもりではなかったんですか、もともとの計画は。プルサーマルが始まったのはたしか「もんじゅ」より後ですからね。もともとは「もんじゅ」で燃やす、MOX燃料を。どうですか、もともとの計画は。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど林大臣の方からも言及ございましたように、昭和三十六年の二月に決定されました原子力開発利用長期計画、この中で、使用済み燃料につきましては、国際協定に基づいて処理する、原子力発電の規模が増大した段階においては、我が国において、これは我が国自身において再処理を行う必要がある、こういったことを明言しているところでございます。

 その上で、前期十年の後半に完成を目標として原子燃料公社に再処理パイロットプラントを建設し、再処理の工業化試験を実施するといったようなこととともに、プルトニウムの燃料としての利用、これにつきましては、高速中性子増殖炉が最も有利だが、濃縮ウラン代替利用の研究開発を進める、それから、プルトニウム燃料の研究は、原燃公社及び原研にて特別の研究開発体制を設けて強力に推進、それから、七〇年代の前半に熱中性子炉への実用化を目標とする等々、全て決定をしておりまして、先ほど先生の方から御指摘ございましたけれども、「もんじゅ」で燃やすということのみを念頭にやっていたものということでは、当たらないと思います。

 なお、先生お詳しいところだと思いますけれども、「もんじゅ」、この高速増殖炉が年間に燃やせるプルトニウムの量といいますものは〇・三トンから〇・四トン程度、このように言われているところでございます。

菅(直)分科員 微妙な表現を今されましたが、「もんじゅ」だけを念頭に置いたのではないという。しかし、基本的には、「もんじゅ」が高速増殖炉という名前がついているのは、まさにプルトニウムを燃やして、燃やしながらプルトニウムをふやしていく、そういうところが夢の核燃料サイクルとされたわけですよ。

 実際にはその「もんじゅ」が動かないから、今の答弁をそのまま受けるとすれば、「もんじゅ」が動かないから「もんじゅ」では使えない、だから、プルサーマルは使えるからプルサーマルで使っていると。

 しかし、実際にプルサーマルで使っているということは、少なくとも、価格の面では物すごく高くついているわけですね。だから、有効利用というと、何かリサイクルで、有効なものをまたもう一回使えるように一般の国民には受けるんですけれども、必ずしもそうではないんですね。

 そこで、あと時間も少ないので、少しこの問題を進めてみたいと思います。

 今、原子力規制委員会が、「もんじゅ」を管理している文科省の大臣に勧告を出していますよね。どういう勧告かというと、いろいろな中身がありますけれども、「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を「具体的に特定することが困難であるのならば、もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと。」これが勧告文の二に入っております。

 つまり、どういうことかというと、発電用原子炉として「もんじゅ」が位置づいていたわけです。しかし、それの安全な運営ができないようなので、誰かそれにかわる人をちゃんと見つけろ、それが見つけられないなら、発電用原子炉の施設のあり方そのものを抜本的に見直すことというのが出ているわけです。

 どうですか。もちろん、直接にはこの勧告は経産大臣ではありません。文科大臣です。しかし、核燃料サイクルというところで占める「もんじゅ」の位置は極めて中心的な立場ですから、経産大臣としても、発電用原子炉施設のあり方としての「もんじゅ」を抜本的に見直す、そうすべきだと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 今般の原子力規制委員会の指摘は、そもそも、「もんじゅ」という個別のプロジェクトに関する日本原子力研究開発機構の管理体制に対するものだというふうに思っております。核燃料サイクルの政策のあり方そのものは論点ではないというふうに承知をしております。

 「もんじゅ」において研究開発を行っている高速炉は数十年先を見据えた研究開発を進める段階にありまして、現在進めようとしている、軽水炉でMOX燃料を利用するプルサーマルを進めるという方針に影響を及ぼすものではないというふうに考えています。

菅(直)分科員 先ほど読み上げたのは勧告文なんですよ。勧告文の中で、「発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと。」と。もちろん条件がついています。それは、ちゃんと安全に運営できる能力がある者を具体的に特定できなければ。ですから、決して別な話を言っているんじゃないんです。

 それから、もう時間がありませんのでつけ加えて言うと、先ほど来、減容とかいろいろなことを言われます。私もよく聞いています。最初の答弁の中でも、大臣は高速増殖炉という言葉を使われませんでしたね。高速炉という言葉を使われています。つまり、「もんじゅ」は、高速とか高速じゃないというのは、理屈は理屈で、中性子のスピードですから別の問題ですが、増殖するから夢の核燃料サイクルだったと私は思っているんですよ。

 なぜ増殖という言葉をやめたのか。つまり、どうもうまくいかないから別の目的に使おうと。つまりは、二万年とか十万年とかの半減期のものを三百年ぐらいに下げるのに使おうと。ということは、増殖じゃないんですよ。まさに、資源の有効利用とはちょっと関係が違うんですよ。廃棄物処理の問題なんですよ。いかがですか、最後に。

林国務大臣 直近のエネルギー基本計画におきましては、アメリカやフランス等と「国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組む。」と記載しておりまして、単に高速炉という言葉を用いているわけであります。

 なお、プルトニウムを増殖する高速炉もそうでない高速炉も、求められる重要な技術要素はいずれも共通である、高速炉の開発を継続することで将来のさまざまな可能性に備えることができるというふうに認識をしております。

菅(直)分科員 おわかりならいいんですけれども、まさに高速炉というのはそういう目的なんですよ。増殖はしないんですよ。少なくとも、増殖をするなら、増殖炉というのを従来どおりつけていればいいわけですから。

 だから、私が最初に言ったのは、資源の有効利用という観点からすると、増殖するから有効利用に、さらにふえると。経産省が資料を出してくれるかどうかは別として、文科省なんかでは、九九・三%を占める劣化ウランが燃料に変わるんだから、これで日本の事実上の自給ができるんだと。

 ですから、そこは若干別の問題だということを最後に指摘して、もうちょっと本質的な問題としてもっと積極的に見直しに取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。どうも。

関主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂分科員 民主党の逢坂誠二でございます。

 林大臣、きょうはお世話になります。

 高木副大臣には何度か私の地元のことをお話しさせてもらっておりましたけれども、林大臣に話をするのは初めてでありますので、少し地元の状況なども踏まえて話をさせていただきたいと思います。

 青森県に大間原子力発電所を現在建設中、工事の進捗は三七%程度と言われておりますけれども、これは青森県の原子力発電所ではあるんですけれども、この問題は実はまさに函館の問題、北海道の問題だと思っております。

 大間原子力発電所と函館市は二十三キロしか離れていない。それから、函館の市役所から大間原子力発電所が直接見えるんですね。そういうこともありまして、確かに青森県には所在はしているんですけれども、北海道の問題、函館の問題だろうというふうに思っております。

 大間については、もう釈迦に説法でありますけれども、全ての燃料をMOX燃料を使うということで、世界で初めてのフルMOXということ、そういう観点から、非常にこれは危険ではないかということを言われているわけであります。

 さらにまた、将来この大間原子力発電所を管理運営する会社、ここは今まで原子力発電所の運営に携わったことのない会社がやるといったようなこと、そうしたことも含めて非常にこれは危険ではないかというふうに言われております。

 しかも、万が一の事故が起きた際に、函館市周辺、人口がおよそ三十万余りおります、三十万人余り住んでおりまして、本州が南側にありますから、当然北側へ避難をしなければいけない。北側に避難する道路というのは国道五号一本しかないわけであります。三十万人もの方が北へ国道五号一本しかない中で避難をするというのはほぼ不可能だろうというふうにも言われております。

 さらにまた、函館と大間原発の間は津軽海峡を挟んであるわけですので、遮蔽物が何もないわけですね。万が一の事故の際には、風向きによっては直接的に影響を受けるということ。

 さらに、津軽海峡は国際海峡になっています。通常の海岸でしたら十二海里、二十二キロまでしか外国の船は近寄ることができませんけれども、津軽海峡は幅が狭いにもかかわらず国際海峡であるために三海里、約五・五キロまで外国の船も近寄ることができる。そうなりますと、テロ、こうしたことに対しても相当な不安があるのではないか。一説によりますと、津軽海峡の海底には他国の潜水艦も航行しているらしいという情報もあるわけであります。

 そして、この大間原子力発電所を建設しているすぐそばには活断層があるという指摘もありまして、さまざまな点から見て大間原子力発電所というのは極めて危うい発電所ではないかというふうに、多くの方が、特に北海道側、函館の側では不安視をしております。

 こうしたことを踏まえて、函館市では、国と電力事業者を相手取って、今、この大間原子力発電所の建設を凍結するための訴訟を起こしております。御案内かと思います。それから、一昨年の十二月から昨年の一月にかけまして、函館市の町会連合会、町内会の集まり、連合会ですね、こちらの方々が主導をして署名活動を行って、十万を超える署名を集めて、これも経産省などにも届けさせていただいたところであります。

 今、私の地元ではこういう状況になっているということでありますので、ぜひ大臣にも、この函館の実態、あるいは地域の思いを受けとめていただきたい、そう思います。私も、大間原子力発電所は稼働させるべきではない、そういう立場で今いろいろなところで活動させてもらっております。

 そこで、何点か大間のことやら核燃料サイクルのことについてお伺いをしたいんですけれども、まず最初に、今、現行法体系の中で、この大間原子力発電所の建設を中止する手だてというのはあるのかないのか。例えば、事業者が自分みずから、いやいや、大間はもう私どもの会社ではつくらないからやめますと言えば、それは当然やめられるんだとは思いますけれども、それ以外の手だてというか、何らかの場合には建設がとまるということがあるのかないのか。私などが考えるのは、例えば、原子力規制委員会の新規制基準、それに適合しない、どう考えても適合することは難しい、だったらやはり建設はできませんねなどということで場合によってはとまるのか、あるいは、もっと別の、何かこういうことが起これば法的には建設がとまるんだといったようなことがあるのかないのか、まずその点、お知らせください。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのございました大間原子力発電所に関しましては、平成二十六年十二月に原子力規制委員会に対して新規制基準適合性の審査、これは原子炉設置変更許可申請でございますけれども、そういったものが出されておりまして、現在、原子力規制委員会において厳格に審査をしているという状況でございます。

 お尋ねのございました建設工事でございますけれども、これを中止するとか停止するといったことにつきましては、事業者の判断によるものというふうに認識してございます。

 一方、事業者が設置の工事をするということにつきましては、原子炉等規制法の中では、工事に着手する前にその工事の計画について原子力規制委員会の認可を受けることが必要とされてございますが、御案内のとおり、原子炉等規制法は改正されました。改正された後にこの新規制基準が施行されたわけですけれども、この施行に当たりまして経過措置を定めておりまして、新たに工事計画の認可が必要となるような工事であっても、施行前に着手した工事については事前に認可をしなくてもよいという形になってございまして、現に着手している建設工事について原子炉等規制法に基づいて中止あるいは停止を命じることはできないというふうに考えてございます。

逢坂分科員 ということは、事業者みずからが何らかの事情によってこの工事は取りやめますと言わない限りは、この工事はとまらないんだということでございますね。はい、ありがとうございます。

 そこで、何点かお伺いをしますけれども、まず、エネルギー基本計画の中に、核燃料サイクルの推進を基本的方針とするということがうたわれている、さらにまた、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持するということが言われているわけであります。そして、この核燃料サイクルの推進というのは一体何かというと、具体的には、六ケ所の再処理工場のことだとか、MOX燃料の加工工場だとか、あるいはプルサーマルを推進するといったようなことが具体的内容として挙げられているわけであります。

 そこで、まず、現在、我が国には四十七・八トン、プルトニウムを保有しているというふうに承知をしておりますけれども、このプルトニウムというのは、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則ということでありますので、これは全て利用目的があるということで認識をしてよろしいんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました四十七・八トンのプルトニウムというお話でございましたが、そのうち、核分裂性のプルトニウムは三十二トンでございます。これらにつきましては、原子力委員会の方に毎年状況が報告をされておりまして、これらは利用目的のあるプルトニウム、このように認識されていると申し上げます。

逢坂分科員 三十二トンの核分裂性のプルトニウムということで、それは全て利用目的があると。

 具体的に、利用目的はどんな内訳になっているでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 これらにつきましては、恐縮でございますが、内閣府の方で資料をまとめております。その内閣府が昨年の七月にまとめた我が国のプルトニウム管理状況という資料に基づいて申し上げますと、分離プルトニウムの使用状況といたしまして、酸化プルトニウムの回収量、それから燃料加工工程での使用量、それから原子炉施設装荷量といったものをそれぞれまとめた上で、これらにつきましてどのような形で使うのかということにつきましては、個別に未照射プルトニウムあるいは使用済み燃料中のプルトニウムである等々の区分に基づきまして整理をされているというふうに承知をいたしております。

逢坂分科員 今の質問、必ずしも明確に通告していなかったかもしれません。大変失礼いたしました。

 基本的には、その三十二トンのプルトニウムは利用目的があるんだということ、そして、それぞれの事業者に帰属するものは事業者がそれを使うんだということのようであります。

 そこで、まず一点ですけれども、六ケ所に今再処理工場をつくっている。六ケ所に再処理工場をつくって、それがもし稼働するということになれば、今後発生するプルトニウムの量というのはどの程度を見込んでおられますでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 六ケ所再処理工場を稼働いたしますと、フルに稼働した場合でございますが、年間八百トンの再処理を行います。その上で発生するプルトニウム、これは非分裂性のものも含みまして八トン余り、そのうち核分裂性のプルトニウムは四トン強、年間でございますが、このように見込まれているところでございます。

逢坂分科員 それでは次に、現在、新規制基準へ適合申請がなされている原発というのは十基あるというふうに承知をしておりますけれども、この全ての原発が稼働した場合、どの程度のプルトニウムが消費されることになるのか、お知らせください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、先生御指摘のとおり、十基申請中でございまして、うち一基、高浜の三号機につきましては再稼働されております。

 これら十基の原発が全て再稼働した場合、電気事業連合会の方で公表しておりますプルトニウムの利用計画によりますと、年間三・九トンの核分裂性プルトニウムを利用される、つまり消費されるというふうになっている、このように承知をしております。

逢坂分科員 六ケ所の再処理工場が稼働する、そうすると分裂性のプルトニウムが四トンできる。そして、これが十基稼働した場合には三・九トンということで、トータル、ほぼゼロに近いわけでありますね。

 参考までに、この中で大間原発というのは一年間にどの程度のMOX燃料を使用するのか、そして、その量はプルトニウム利用に換算すればどの程度になるのか、お知らせいただけますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、三・九トン消費するという利用計画の中での大間原発の位置づけでございますが、これは年間利用の目安でございますけれども、年間一・一トン、このようになっていると承知をしております。

 それから、御質問がございました、その中でどの程度のMOX燃料を使用することになっているか、そこでプルトニウムがどの程度入っているかという御質問でございますけれども、こちらにつきまして、少なくとも、プルトニウムがどれだけ含まれるかという点につきましては、これは公表されておりませんので、私ども承知をいたしておりません。

 他方で、どの程度のMOX燃料を使うことにしているかといいますと、最大の量で、燃料集合体八百七十二体、約百四十三トン、このようなMOX燃料を使う、このような許可申請をしていると承知をしております。

逢坂分科員 すなわち、日本全体で仮に十基の原発が動いたら三・九トンのプルトニウムを消費する、そのうち一・一トンが大間で消費されるんだということになりますと、アバウトに四分の一強ということになる。その意味で、核燃料サイクルを考える上で大間原発は非常に重要な位置づけになっていると、以前、高木副大臣に答弁いただきましたけれども、この量だけを見れば、そういう判断なんだろうなというふうに思うわけです。

 そこで、もう一点お伺いしますけれども、まず、MOX燃料を製造するわけですが、通常のウラン燃料とMOX燃料の製造コストの違い、これについてはどうなっているでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ウラン燃料とMOX燃料の製造のコストについてのお尋ねでございますけれども、これらにつきましては、事業者間の契約で個別に定められておりまして、私ども政府としては承知をしていないところでございます。

逢坂分科員 事業者間の契約で定められているから政府としては承知はしていないということでありますけれども、例えば、一般論として、ウラン燃料に比べて何倍高いとかあるいは安いとか、そういうようなことというのはあるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、ウラン燃料よりもMOX燃料の方が割高である、このように申し上げられると思います。

逢坂分科員 次に、大間でMOX燃料を仮に使った、それで発電をする。当然、使い終わった後に使用済みMOX燃料というものが出てくるわけでありますけれども、この使用済みMOX燃料の処理方法というのは決まっているのでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 大間原発の使用済みのMOX燃料の処理方法ということについてお尋ねでございます。

 電源開発株式会社が原子炉等規制法に基づきます原子炉設置許可申請、この申請の中で書かれている内容でございますが、「使用済燃料は、原子炉等規制法に基づく指定を受けた国内の再処理事業者において再処理を行うことを原則とし、再処理されるまでの間、適切に貯蔵・管理する。」このようになってございますが、具体的にどういう場所でということについては記載はなされていないと承知しております。

逢坂分科員 今の申請書上は再処理をすることになっている。再処理をするということは、もう一回使うということに理解をされるわけでありますけれども、ただ、その具体的な方法はまだ決まっておらないということであります。

 私は、実はきのうからこの質問をしようと考えていて、ここまで質問をしてはたと気がつくのでありますけれども、今の話を聞くと、先ほどの四十七・八トンのプルトニウム、核分裂性で三十二トンあるというプルトニウム、これは一体どこで使うんですかね。この疑問は湧いてきませんか。使用済み核燃料を再処理して年間四トンのプルトニウムができる、そして、今予定しているというか申請されている原発十基が全て動いたとしても三・九トンしか使わないということになるわけですね。四トンできて三・九トン使う、それが回っていくわけですね。回っていくというとちょっと変かもしれませんが、実は回らないんですけれども、使用済みMOX燃料の再処理の方法はまだ決まっていないということですから、本当の意味でのサイクルにはなっていないのでありますけれども、今のお話は通告していないんですけれども、四トン生産して三・九トン使う、そうなれば、今既に手元にあるプルトニウムというのは一体どこで使うんですかね。これはちょっと質問の通告をしていないんですけれども、もしお答えになれるようでしたら、どうぞ。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、年間四トン、それから三・九トンという数字を申し上げました。ただ、この出てきますプルトニウムの粉末、これがすぐに燃料として使えるわけではございません。御案内のとおり、そこからMOX燃料に加工するという工程がございまして、そこにタイムラグがございます。したがいまして、既に存在しておりますプルトニウムの方をMOX燃料にしていく、こういう工程を……(逢坂分科員「何とおっしゃいましたか」と呼ぶ)既に存在しますプルトニウム、国内にあるもの、つまり三十二トンのもの、その中には既にMOX燃料になっているものがございます。そうしたものとして使っていくということになります。

逢坂分科員 仮にタイムラグがあるにせよ、全体量というのは減らないんじゃないですか。それはいかがですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、既に申請中の十基というものの数字として申し上げました。

 先生も御案内のとおり、電気事業連合会が出しておりますものは、これは震災前の計画でございますが、十六基から十八基、こういった形で計画を立てている。その場合、十六基から十八基といった場合には、プルトニウムにつきましては年間五・五トンから六・五トン消費をするということでございまして、これを実現できた場合に着実に減っていく、このように申し上げられるかと思います。

逢坂分科員 着実に減っていくという話をされましたけれども、先ほどの六ケ所の再処理工場、年間八百トン処理するわけですよね。それで、現在日本には使用済み核燃料というのは一万八千トンあるわけですね。これを単純に八百トンで割り算しますと、二十二・五年分になるわけです。二十二・五年分。だから、よそから供給されなくても、二十二・五年分のプルトニウムをつくるだけの原料と、私は言いたくはありませんけれども、言葉上はあえてそう言わせていただきますが、原料がもう既にあるんだという気がするわけですね。

 加えて、十基なり、あるいは今、多田部長がおっしゃった十五基なり十六基なりの原発を動かすということになれば、そこから毎年使用済み燃料も出てくるわけですね。そうなってくると、この一万八千トンという使用済み燃料というのは、今までのペースほどはふえないけれども、そこにもまた新たに供給されるということになりますから、これは今手持ちのプルトニウムというのは減らないんじゃないでしょうか。

 今の話を聞いて、大臣、どう思われますか。ちょっとこれは通告していないんですけれども。

多田政府参考人 大変恐縮でございますが、一点、先に補足をさせていただきたいと思います。

 私ども、エネルギー基本計画の中で、利用目的のない余剰プルトニウムは持たないという原則を堅持するということにさせていただいております。したがいまして、今後の計画実施ということに当たりましては、そうしたプルトニウムバランスというものを的確にとっていくというふうな考え方から、事業者自身、そして国、そしてこれは場合によっては、場合によってはといいますか協定が既にございますけれども、IAEAという国際的な監視の目、こういった中で実施されていくということで、適切にプルトニウムの利用については監視されていくというふうに申し上げます。

林国務大臣 核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではなくて、中長期的な対応を必要とするわけであります。したがって、その一つであるプルトニウムの利用についても、核燃料サイクル推進やその進捗の中で中長期的な視点に立って着実に進めていくことが大切であるというふうに考えております。

逢坂分科員 今大臣お述べになられましたのはエネルギー基本計画の中にある文言そのままですよね。「中長期的な対応の柔軟性」というところの冒頭の文言をお読みいただいたわけでありますけれども、今この短い時間の中でやりとりをさせていただいて、日本が保有しているプルトニウムは、今進めようとしている核燃料サイクルをやったところで、私はどうも、今のやりとりの中では減るとは思えないです。確かに四十七・八トンのプルトニウムは、利用目的、利用するんだということは言葉としてはあるんだけれども、実際それは減るというふうには思われないわけですね。

 さらにまた、コストについても必ずしも有利だというふうには思われませんし、国として、コストは、それは事業者がやっていることだから把握していないということなわけですね。

 それから、私が最も問題だと思うのは、核燃料サイクル、サイクルと言っていますけれども、サイクルにはならないわけですよね。一回使ってしまった使用済みMOX燃料は同じサイクルの中でもう一回使えるわけではない。今の六ケ所につくっている再処理工場、このところでもう一回その使用済みMOX燃料は処理できるわけではないということだと思いますので、サイクルにはなっていない。したがって、新たな使用済みMOX燃料という新たな厄介者がふえるということになるんじゃないでしょうか。

 だから、そういうことから考えてみると、私は、何のために核燃料サイクルをやるのかが全く理解できないんですよ。手持ちのプルトニウムも減らない、新たな対応をしなければならない厄介者も出る、そして、国民の皆様の中からも、世界で最も危険だと言われるような大間原子力発電所、これは建設しないでくれという声も、少なくとも私の地元では極めて強い声であり、自治体もそのことを訴えているわけですね。

 どこにこの核燃料サイクルを推進する理由というのがあるんでしょうか。私にはどう逆立ちしても理解できないんですが、この点、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 これも先生既にごらんいただいているかと思いますけれども、エネルギー基本計画の中で、核燃料サイクルの推進を基本的方針とするという文言があるわけでございます。

 その中で、政府といたしましては、資源の有効利用、それから高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減等の観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針とするとしているわけでございまして、何のためかという御質問に対しましては、この資源の有効利用から始まる大きな三つの目的を申し上げたいと思います。

逢坂分科員 資源の有効利用というのは、例えば、そこにある資源を使うことによって、既存の何かを使うよりもコストが安いとか安全性が高いとか、あるいはもっと別なメリットがあるというときに有効利用と言えるんじゃないでしょうか。危険度は高い、価格も高い、だけれどもその資源を無理して使うというのは、これは資源の有効利用と言えるんでしょうかね。私は、それは大いに疑問だと思いますよ。

 それで、六ケ所の再処理工場、今まだ稼働はしておりませんけれども、現時点で建設コストというのはどの程度と見積もっておられますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 これは建設をいたしますのは日本原燃でございます。日本原燃によりますと、六ケ所再処理工場の建設費用は約二・二兆円と見込まれていると承知しております。

逢坂分科員 重ねての質問です。

 この二・二兆円は誰が負担することになるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました費用二・二兆円につきましては、各電力会社と日本原燃との契約に基づきまして、電力会社が負担する、このように承知しております。

逢坂分科員 二・二兆円電力会社が負担をすると。電力会社というのは、電気を発電して、電気料金を納めていただいて経営をしているわけですね。最終的には電気料金に上乗せになるということで、そういう理解でよろしいでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の費用につきましては、電気料金で賄われるということになると承知しております。

逢坂分科員 大臣、改めてのお伺いなんですけれども、今の話をお聞きいただいて、本当に核燃料サイクルというのは合理性があるんでしょうかね。

 このエネルギー基本計画では、核燃料サイクルの推進、これがもう前提条件になっているわけですが、利用目的のないプルトニウムは持たないということもうたっているけれども、四十七・八トンのプルトニウムは、基本的には、今の話を聞く限りにおいては、これは減らないんですよ。少なくとも、劇的に減るとは思われないんですね。

 だから、あえて、減らないのに何で無理して核燃料サイクルをやるんですか。しかも、お金も高いですよ。しかも、さらに今、六ケ所の建設費用だけで二・二兆円。しかも、六ケ所だけでこれはやれないんですね、再処理工場だけでは。今度は、MOX燃料の製造工場というのもつくらなければいけません。まあ、これも今つくっているところですけれども。

 これをやる合理性というのはどこにあるんでしょうね。これは通告していないので大変恐縮なんですけれども、まともに考えたら、ちょっとおかしいんじゃないのと思うのが私は筋のような気がするんですが。別にこれは、ひっかけるつもりでこんな話をしたんじゃなくて、冷静に考えたら、ちょっと立ちどまった方がいいんじゃないと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 多田部長から既に答弁がありましたけれども、核燃料サイクルは、原子力発電所で利用した使用済み燃料を再処理して、回収したウランやプルトニウムを核燃料に加工して、原子力発電所で再利用するという一連のプロセスでございます。

 これにより、資源の有効活用はもとより、高レベル放射性廃棄物の量の減少、その放射性レベルの低下に資するものでありまして、こうした利点があることを踏まえて、核燃料サイクルについては、自治体や国際社会の理解を得つつ、推進することとしております。この方針は、エネルギー基本計画で閣議決定しているものであります。

逢坂分科員 これでやめますが、エネルギー基本計画をそのまま踏襲していくんだということですが、冷静に考えて、日本の将来のことを考えたら、私はここで立ちどまるべきだろうというふうに思います。

 それと、もう一点言わせていただきますと、私も学生時代、放射性物質を使って随分と実験などをさせていただきました。その際に、放射性物質というのは、その手続、いろいろな操作をする手順がふえればふえるほど、実は放射能汚染の可能性を高めていくわけですよね。だから、いろいろな手順をやればやるほど危険度合いが高まっていく、そういう性質のものでありますから、極力抑え込むということが私は大事ではないかなということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

関主査 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿沢未途君。

柿沢分科員 柿沢未途でございます。

 きょう、この前に菅元総理がどうやら御質問に立たれたようでありますので、私も、ちょっと通告をした内容がもしかしたら重なってしまうのかなという印象も持っているんですけれども、通告に従って質問させていただきたいと思います。

 きのう、御存じのとおり、驚くべきニュースがあったわけです。福島第一原発事故の発生当初、原子炉から放射性物質が外部に拡散している、このことはもう線量で確認できる状態であったわけです。しかも、複数のプラントが原形をとどめないほど、建屋が爆発をしてしまった。また、ERSSで事故進展予測をやっていたんですけれども、三月十一日の夜の時点では、このERSSの進展予測で炉心損傷というのがもう既に出ているんですね。ある意味では、これはもう、メルトダウン、炉心溶融という状況が起きていることはほぼ正確に予測できる状況であったにもかかわらず、東電も政府も、いつまでも炉心損傷という言葉を使い続けて、いわゆるメルトダウン、炉心溶融という表現を避け続けたわけであります。

 それどころか、炉心溶融の可能性がある、ほぼ進んでいるのではないだろうか、こういうふうに口走った当時の原子力安全・保安院の広報担当者は、発言した途端に、即座に広報担当から外されてしまっております。

 これは、抑えのきかない海外メディアでは、その間、トリプルメルトダウンとか言われてさんざん報じられて、そして、INESが、レベル7、史上最悪レベルの原発事故だというふうに認定をして、これは四月でしたけれども、その翌月の五月になってようやく東電は、解析の結果だとして、一号機から三号機までがメルトダウンしていた、こういうことを認めたわけであります。

 これについて、当時はメルトダウンと判断する根拠がなかった、こういうことを言っていたわけでありますけれども、今回、新潟県の技術検証委員会の申し入れを受けて調査をした結果、社内マニュアルには、炉心損傷割合が五%を超えていれば、炉心溶融、つまりメルトダウンだと判定すると書いてあったということがわかったわけであります。

 何と、事故後も五年間にわたって、このようなマニュアルが存在していたということを、東電の誰一人として、誰も気づきませんでした、マニュアルはあったんですけれども知りませんでした、済みませんでしたということになっているわけです。

 三日後の三月十四日にはセンサーが回復して、一号機で燃料損傷割合が五五%、三号機では三〇%ということになっていることが計測できているわけですから、少なくとも三日後にはメルトダウンということがはっきり対外的にも発表できるはずであった。しかし、結局、そうした事実を公表しないまま、屋内退避を求められたり、あるいは、屋内退避地域の外側にいて、外出していいのかと思って外に出たら高い放射線量にさらされてしまった、飯舘村なんかがまさにそういうケースですけれども、そういう方々も生まれたわけです。加えて、市町村長、まさに飯舘村の村長さんなんかは、もうどうしたらいいかわからない、こういう状況に置かれたわけです。

 私は当時東京にいましたけれども、翌日ですか、沃素が水道の蛇口から出てきて水道がとめられる、こういう状況も起きました。東日本のほぼ全国民が、このようなメルトダウンが起きたという事実を不正確かつ過小に表現したことで、混乱して大きな影響を受けることになった。私は、この罪深さははかり知れないものがある、こういうふうに思います。

 恐らく、もう既に答弁を求められていると思いますが、改めて林大臣に、東電のメルトダウンの定義がなかった、五年間わからなかった、こんなことをやってきたことについて、コメントをいただきたいと思います。

林国務大臣 東電が福島第一原発事故の反省と検証を不断に実施していくことは極めて重要だというふうに考えています。

 そうした中、今般、東京電力が実施した通報内容に関する検証の中で、福島第一原発事故をめぐる新潟県への説明において一部不適切なところがあったことは遺憾であります。

 東京電力に対しましては、立地地域との信頼関係なしに原子力は成り立たないという意識を持ち、新潟県に対して事実関係を丁寧に説明するとともに、今後、再発防止に向け、引き続き、当時の検証も含めて適切な対応を行うよう指導してまいりたいと思います。

柿沢分科員 新潟県に対して不適切な説明があった、こういうお話をされましたけれども、不適切なのは説明ではなくて当時以降の行動だと思うんですよ。こういう対応をしたことによって、まさに東日本の全国民と言ってもいいような方々が振り回されて、そして右往左往して、正確な情報を持たずに言い知れぬ不安にさらされ、場合によっては高い放射線量をそのことによって体に受けたかもしれない、こういうことになっているわけです。

 私は、ここはやはり、人間の言葉でと言ったらあれですけれども、林経産大臣がこのことを聞いてどう思ったかということをあえてもう一度お尋ねさせていただきたいと思います。

林国務大臣 一言で言えば、大変遺憾だと思っております。

 立地自治体の御理解なしに原子力は成り立ちません。東電に対しても、立地地域に真摯に向き合いまして丁寧に対応するよう、これまでも指導してきたところでございます。

 その中で、新潟県から東電に対し、事故当時、炉心溶融を判断する根拠はなかったのかと問われていたにもかかわらず、今回明らかになったマニュアルを十分に確認せず、結果として、新潟県技術委員会において炉心溶融を判断する根拠はなかったという誤った説明を行っていたことは遺憾であります。

 東電に対して、今回のことを反省し、立地地域に真摯に向き合い、信頼を得る努力をするよう、さらに徹底してまいりたいと思います。

柿沢分科員 泉田新潟県知事は、このことを受けてコメントを出されています。「社内で作成したマニュアルであり、事故当時にあっても、この定義は組織的に共有されていたはずです。 事故後五年もの間、このような重要な事実を公表せず、技術委員会の議論に真摯に対応してこなかったことは、極めて遺憾です。」「メルトダウンを隠ぺいした背景や、それが誰の指示であったかなどについて、今後真摯に調査し、真実を明らかにしていただきたいと思います。」東電の対応をメルトダウンの隠蔽だ、こういうふうに断じているわけであります。

 私も、そういう疑いを禁じ得ません。メルトダウンを判定するマニュアルが社内にあったのを事故後も五年間にわたって気づかなかった、ミスだった、おわびしたいというんですけれども、こんな説明が信じられるだろうかと私は思うんです。

 そもそも、事故の中核部分に関する最重要な社内資料が五年間も見つかっていなかったというのは、三・一一からこれまで、東電は事故の検証をまともにやってきたのかと大きな疑問が生じてくるわけです。

 東電はその上で新潟県の柏崎刈羽の原発再稼働を求めているわけですけれども、こんな反省のない、また、検証もどこまで行われたかわからない、今もなお隠蔽体質だと思わせるような姿勢で、原発再稼働が受け入れられるわけがないではないかと思います。

 今回の問題は、経産省としても、調査と検証、そして、それを受けた指導が東電に対して必要だと思いますけれども、いかがですか。

林国務大臣 今ほども答弁したとおり、大変今回の件に関して遺憾に思います。

 東電に対しては、信頼を得るよう、さらに徹底して指導していきたいと思っております。

柿沢分科員 経産省として、このことについて調査と検証を東電に対してみずから行う、そういうつもりはありませんか。

林国務大臣 東電そのものがそういう対応をするのではないかというふうに考えます。

柿沢分科員 この五年間にわたっていわば気づかない状態を放置していた東電が、しかも、メルトダウンという用語を事故の直後に、私に言わせれば、あえて使おうとせずに、いわば事故の過小評価をもたらすような状況をみずからつくり出していた、その原因あるいは意図を究明するに当たって、東電にお任せしますということでは通らないのではないかというふうに私は思います。

 原発再稼働について、続けて伺います。

 ちょうど、関電の高浜原発一号機、二号機について、規制委員会は新たな規制基準の審査に事実上合格したという審査書を取りまとめたと報じられています。運転開始から四十年以上たつ、いわば老朽原発の再稼働であるという意味で、ここまでの他の原発の再稼働に向けた動きとは大きく違う、根本的に違う意味があると思っています。つまり、四十年廃炉という原則があって、二十年延長を認めるのは例外中の例外だと言っていたのが本当なのか、政府に対する疑念を惹起させるものだからであります。

 高浜原発を再稼働させる、そしてそれは四十年廃炉の原則の例外中の例外、こういう認識なのかどうか、ぜひお尋ねをさせていただきたいと思います。

多田政府参考人 私の方からお答え申し上げたいと思います。

 先生御指摘の高浜一、二号機でございますが、法令上、四十年経過後、一回に限り二十年間延長は認められる、この法令に従って規制委員会が厳正な審査を行う、その審査が認められたものについて再稼働を進める、こういうのが私どもの考え方でございます。

柿沢分科員 私が今お尋ねをしたのは、この高浜に関して再稼働を進めるのか、それは例外中の例外、こういう認識なのかどうか、これをお尋ねさせていただいたわけです。

 今、部長に御答弁をいただきまして、それを大臣も聞いていただきましたので、それを踏まえて、林大臣にも御答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 世界最高水準の新規制基準に適合すれば、もちろん、原子力規制委員会によって認められた場合には原発の再稼働を進めるというのは、政策判断で決めていることでございます。ですから、それをクリアすれば再稼働は認めるということになりますけれども、当然、地元の了解、理解を得たりすることは必要だと思っております。

柿沢分科員 四十年廃炉が原則としてあるわけです。その上で、これまで、その運転延長を認めることがあるとしても、これは原則の例外中の例外だ、そういうふうに言ってきたわけです。

 申請があって、適合すれば認めますよということになったら、例外も何もないではありませんか。どういう御認識なのか、もう一度お願いします。

林国務大臣 新規制基準に適合すれば、四十年ということになりますけれども、一度に限り二十年を延長することができるということで、これは例外規定ではございません。

柿沢分科員 何か当初言っていたこととスタンスが経産省として変わってきているのではないかというふうに思います。

 先般、参議院の予算委員会で水野賢一議員からお尋ねがあったと思いますけれども、今後、新設やリプレースがないとすると、これは想定していないと林大臣は御答弁されているわけですけれども、しからば、その上で四十年廃炉を厳格に適用した場合、二〇三〇年の原発依存度を二〇から二二%とするいわゆるエネルギーミックスの数字は実現できるのかどうか。これは参議院で水野賢一議員に問われているわけですけれども、結局、四十年廃炉を原則どおりやったとすると、このエネルギーミックスの数字は、新設、リプレースがないとすると達成できない、そういうことなんじゃないですか。つまりは、これは原則四十年廃炉でも何でもなくて、基本的に運転延長は認めましょうという姿勢になってしまっているのではありませんか。

林国務大臣 三〇年段階で四十年未満の原発は二十三基でありまして、一〇〇%稼働すれば二〇%という計算になりますけれども、これは現実的な想定とは思えないのでありまして、一基も運転延長をしなければエネルギーミックスの原発維持を達成することは難しいというふうに考えております。

 なお、三〇年度の電源構成に占める原発比率二〇から二二%を達成するためには、新増設、リプレースは想定していませんが、先ほども話しているように、規制委員会の審査を経て、一部の炉については法令で認められた四十年を超える運転期間の延長を行い、震災前の平均の七割のところ、例えば八割程度まで稼働率を向上させるということによってエネルギーミックスの原発比率は達成可能であるというふうに考えています。

柿沢分科員 これはもう完全に逆立ちした議論になってしまっていると思うんですね。

 そもそも、安倍政権として何と言っているかといえば、可能な限り原発依存度を低減するということを総理も堂々と言われているわけです。今聞いていると、もともと例外であったはずの二十年運転延長を老朽原発について認める、認めることによってエネルギーミックスの二〇から二二%という数字を達成する。これは話が真逆になってしまっているではありませんか。

 これでは、可能な限り原発依存度を低減するという安倍政権の方針は、そうではないということになると思いますけれども、この点について、林大臣に御答弁をお願いします。

多田政府参考人 私の方から事実関係だけ申し上げます。

 先生御指摘のように、四十年延長の問題につきまして思い出していただきますと、昨年、この時期、電力会社は五基の廃炉を決めました。四十年延長の問題、これは、四十年を経過したものについて電力会社が全部延長しようということではなく、どれを延長できるだろうか、そして、どれを廃炉にすべきか、こういった判断をきちんと事業者の方でやりまして、規制委員会の方に限定的に申請を出し、その上で、安全性が確認されたものについてどうするか、こういう議論ではないかと思っております。

 したがいまして、原発の依存度を低減させるという全体の方針と矛盾するものではないと考えております。

柿沢分科員 今の御答弁も、ちょっと私自身は納得がいかないものがあります。原発依存度を可能な限り低減するという状況の中で、もし仮に電力需給の問題があって、その上で、例えば二十年延長が例外中の例外として認められる、この状況が起こり得ることを私は否定するつもりはありませんけれども、先ほどの大臣の答弁では、四十年廃炉の例外であったはずの二十年延長を認めていくことによって二〇から二二%を達成するという、全く本末転倒な議論になってしまっていると思います。

 御答弁を求めたいところではありますけれども、次に行きたいと思います。

 そもそも論でお尋ねをさせていただきます。原発再稼働はなぜ必要なのかということであります。さまざまな理由があると思いますけれども、政府として、今、原発再稼働が必要だ、あるいは、やむを得ない、こういうふうに考えているのはどういうところに理由があるのか、教えてください。

多田政府参考人 私の方から簡単に申し上げたいと思います。

 再稼働ということでございますけれども、先生御案内のとおり、私ども、エネルギー基本計画の中でスリーEプラスSという考え方をお示ししております。そのスリーEプラスSの実現のために、何かのエネルギーを捨てるわけではなく、全体をバランスをとってやっていく、その観点から、私どもといたしましては、安全性が大前提ではありますけれども、原子力も重要なエネルギー源の一つ、このように考えているところでございます。

 したがって、安全性が認められたものについては再稼働を進める、こういった考え方をとっていると申し上げます。

柿沢分科員 今の部長の答弁も、可能な限り依存度を低減するという言葉とは全く矛盾をしているように聞こえるんですけれども、林大臣、ここは基本的なところですので、今、我が国にとって、政府として原発再稼働が一定程度必要だと考える理由について教えてください。

林国務大臣 原子力については、先生御指摘のあるように、原子力依存度を可能な限り低減させることが基本方針です。同時に、資源に乏しい我が国が、経済性、気候変動の問題にも配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保するためには、原子力はどうしても欠かすことができません。

 そのため、国民の原子力に対する懸念に真摯に応え、その信頼を高めてまいります。安全性を全てに優先させて、原子力規制委員会によって新規制基準の適用を認められた原子力発電所に限り、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく、こういう基本方針でございます。

柿沢分科員 安定供給というお話をされました。つまり、原発再稼働が一定程度ないと、日本が、我が国が電力不足に陥ってしまう、そういう可能性がある、危険性がゼロでない、こういう認識ですか。

高木副大臣 委員御存じのように、三・一一のあの原発の福島の事故以来、まず原発が停止をいたしました。その間、この五年間近くの間、原子力のない電力供給というのをしてきたのは事実だと思います。

 しかし、そこには、例えば老朽火力、一旦とめてしまって廃止する予定であった火力等も今現在たいている現状がございます。何とかもっていますけれども、例えば、火力が一基とまった場合、事故が起きた場合には停電の可能性もございます。これがまず一つ。

 もう一つは、やはりこの五年間の間に、火力発電を含めて化石燃料で約九割、CO2を出すような形で日本のエネルギー、電力というのはもってきたというのは事実でございます。

 そういった観点も踏まえて、この原子力、先ほど大臣そして部長の方からもお話がありましたけれども、安全が確認された原子力発電については再稼働していく、そういった中でのエネルギーミックスをやっていく、これが安定供給の一番大きな問題だと思います。

柿沢分科員 多田部長、また高木副大臣に御答弁をいただきましたが、経産大臣も同じ認識だということでよろしいですか。(林国務大臣「結構です」と呼ぶ)結構ですということでございます。

 それで、これから紹介するような意見もあるんです。

 原発五十基を再稼働せず廃炉にすると、原発の廃炉費用の積み立て不足一兆二千三百十二億円と原発の残存簿価二兆八千億円の合計四兆円余りが電力会社の赤字になるので、経産省と電力会社は再稼働に必死なのだ。決して電力不足を心配しているのではない。

 そして、事故が多く稼働率が低い原発ほど、引当金が不足をして、減価償却もできないので、残存簿価が大きくなり、その結果、事故やトラブルが多い危ない原発ほど、引き当て不足を減らすために、電力会社にとっては動かさなければならないものになる。

 そして、四十年を超えて稼働させなければ引当金不足を解消できない原発が、現存する五十基のうち三十五基に上る。この中に入っていませんが、東京電力の柏崎刈羽二から四号機の引き当て不足が大変大きいものになっている、だから東電は柏崎刈羽を動かそう、動かそうとするんだ。

 つまり、原発の再稼働の問題は、電力供給の問題ではなく、電力会社の経営を助けようという話なんだ。

 こういう認識を披瀝されている方がいます。同じ見解ですか。

高木副大臣 それはかなりうがった見方だと思います。また、そういうような意見を持たれている方がいるというのも存じ上げております。

 しかし一方で、今現在、この日本の一億二千七百万人の国民に対して電気を供給している。新電力がこれから電力の自由化で生まれてきますけれども、基本的には電力会社が供給をしています。エネルギーをしっかりと安定させるということは、これは国としても最大限しっかりと守っていかなければいけない問題だと思います。

 一方で、経営の問題は、これはあくまでも電気事業者、電力会社がしっかりやっていかなければいけない問題ですけれども、例えば、私は今、福島の担当をさせていただいております。福島のこの復旧復興のために、例えば除染をやっている、または、賠償を被災者の方々に支払っております。それは、最終的には東京電力が求償、いわゆる国が一旦立てかえる形で原賠・廃炉機構を通じてお金を出しておりますので、それを最終的に電力会社が払わなければいけない。こういったこともあるということも、どうか御認識をいただきたいと思います。

柿沢分科員 かなりうがった見方だという御答弁を高木副大臣からいただきました。

 それを踏まえて、経産大臣も、これは考え方が違うということでよろしいですね、今紹介したような。

林国務大臣 高木副大臣が答弁したのと同意でございまして、私も、安定供給のためにはぜひともそういう形で必要だというふうに申し上げているところでございます。

柿沢分科員 今御紹介をさせていただいたのは、二〇一二年七月五日の河野太郎現行革担当大臣のブログ「ごまめの歯ぎしり」から引用させていただきました。

 原発の再稼働問題は、電力供給の問題でなくて電力会社の経営を助けようという話だと。これは、同じ閣内にいる林経産大臣は違う考えだということを明言されました。私は、これは一種の閣内不一致じゃないかなというふうに思いますけれども、御当人にもお聞きをしてみたいと思いますし、一致でないというなら考え方を変えるだとかということにもなるんではないかと思います。

 いろいろ御通告をさせていただいた質問があるんですけれども、最後に消費税の問題だけ、一つやっておきたいと思います。

 今、予算委員会また財金委員会で質疑が行われていますけれども、実は、私は、軽減税率導入、そしてインボイスの導入における最大の問題は、免税事業者、一千万円以下の零細商店、事業者が、このインボイスが発行できずに取引排除されてしまうという可能性が高い、こういう問題ではないかと思います。

 現実、これを問われて麻生財務大臣は、潰れる例が百か千か出てくる、こういうことを言って、後からそういう意味じゃないと訂正をされておられますけれども、しかし、この免税事業者、何と五百万事業者いますから、五百万事業者がまさに課税事業者に転換しようとすれば、今まで益税の反射的利益を得ていた、それがなくなって経営が悪化する、そうでなければ、インボイスを発行できないので取引から排除されてしまう。いずれにしても、百か千かで訂正を麻生財務大臣はされたわけですけれども、そんなものじゃ済まない。五百万者のうち一%潰れたり廃業するだけでも五万者の数になるわけです。

 これについて、何か経過措置があるとかなんとかいろいろなことを言うんですけれども、私はそんなことを言う前に、これは中小企業を担当されている経産大臣だからお伺いするんですけれども、まず、どれだけ影響が出るのかということについて、政府として、また経済産業省として、調査をしてみたらいいと思うんです。BツーBの卸をやっているような事業者が免税事業者と取引をやっている場合に、ではインボイスになったらその取引を続けますかと聞いてみて、一体どのぐらいの割合が続けるかということを調べてみれば、大体の影響は見えてくると思うんです。ぜひこの調査をやっていただきたいと思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。

豊永政府参考人 事実関係だけ御説明させていただきます。

 今の御質問に関しましては、消費税法の百七十一条に、消費税の軽減税率導入後三年以内を目途に、これはインボイスですけれども、適格請求書等保存方式に係る事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性等々を検証し、必要な措置を講ずるという規定がございまして、そうしたプロセスを経ていきたいと政府内では考えられていると認識しております。

林国務大臣 今後、中小・小規模事業者の事務負担の実態や準備の状況、事業者の影響などについて、さらに十分に調査、意見聴取を行いつつ、インボイス導入に当たっての課題やその解決策を検討し、必要な措置を講じていきます。

柿沢分科員 全く問題意識がない。大変なことになると思います。それだけ指摘をさせていただいて、終わります。

 ありがとうございました。

関主査 これにて柿沢未途君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部分科員 民主党の阿部知子です。

 初めて林経済産業担当大臣に御質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 きょうは、この分科会で、午後は、菅元総理が「もんじゅ」の問題、また、逢坂議員は大間原発を初めとするプルサーマルの問題をお尋ねになりましたが、私は、もともとその入り口でもあります再処理ということでお尋ねをさせていただこうと思います。

 今国会には、この再処理体制を見直すということで、閣法の提出もございます。そうした中でありますが、この間のこの法案の提出経緯というものを見ておりましても、そもそも再処理そのものの見直しということはどこでもやられていないように思います。

 資源エネ庁のワーキンググループでも再処理体制の見直しを検討したということですが、体制の見直しであって、再処理そのものの見直しはどこでもやっていないということで、まず大臣、よろしいでしょうか。

林国務大臣 再処理を含む核燃料サイクルにつきましては、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体や国際社会の理解を得つつ推進する方針に変わりはありません。

 なお、基本計画は、審議会において有識者に徹底的に議論いただくなど、必要な手続を経た上で取りまとめたものでございます。

 基本的方針を前提として、自由化が進展し、原発依存度が低減する環境下においても、引き続き使用済み燃料の再処理等の事業が滞りなく行われるために必要な手当てを行うものでございまして、自由化が本年四月より開始されることから、速やかに措置を講ずる必要がございます。

 この点につきましては、昨年の電気事業法第三弾改正の国会審議において、民主党も共同提案された附帯決議にも対応するものでございます。

阿部分科員 今、林大臣は、私の質問は再処理そのものを見直してはいないんですねということで、民主党も附帯決議に賛成したからそのものの見直しはしていない、もうそこはアプリオリだ、再処理ありきだという御答弁だったと思います。

 今、あえて附帯決議のことをお出しになりましたので、附帯決議の再処理体制を進めるというところの一項目前には、「制度的な選択肢や負担の在り方等も含め、十分な国民への説明と議論、理解のもと慎重かつ丁寧に行われるようにする」とございます。それがあって再処理体制というふうに入っていくので、もう一度大臣には見直していただきたいと思います。

 続いて、二問目でありますが、そうやって全く再処理そのものを問わない中で、エネルギー基本計画には、確かに核燃料サイクル政策を推進するとされておりますが、一方で、中長期的な対応の柔軟性、戦略的柔軟性を持たせるということも明記されております。

 ちなみに、大臣のお手元には資料として、最終処分に関する基本方針、二〇一五年五月二十二日の閣議決定もごらんいただけるように添えてございますので、ぜひお目通しをいただきたいですが、ここの中でも、「使用済燃料の直接処分その他の処分方法に関する調査研究を推進」となっております。恐らく、片方で再処理ということは進めながら、もう一方の直接処分ということも検討するということがここでは述べられておるわけです。

 ところが、最終処分法という法律があって、これは使用済み燃料の最終処分にかかわる法律ですが、この最終処分法という中においては、第一条において、原発の「運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等を行った後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分」となっておりまして、最終処分をするには再処理が前提となった構造をとってございます。これも大臣のお手元に資料として最終処分法というのをお目通しいただけるように準備して、またアンダーラインも引いてございますが、最終処分法では使用済み燃料の再処理等を行ってしか処分ができないということになっております。

 エネルギー基本計画においては再処理は進めながら他方で直接処分も検討項目に入っているのに、出口を決めた最終処分法の方では「再処理等」、再処理しかない。この「等」というのは再処理に付随する一連の作業のことでございますから、この法律があると直接処分等はできない、もしそうしようとしてもできない体制になりますので、まず、エネルギー基本計画にのっとってこの最終処分法を見直していただきたいが、いかがでしょう。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のとおり、我が国におきましては、核燃料サイクルを推進するという方針をエネルギー基本計画の中で明記しております。その方針の中で、使用済み燃料の再処理を行った後に生ずる高レベル放射性廃棄物の最終処分を着実に実施するための法律という形で、先ほど御指摘ございました最終処分法というものが二〇〇〇年にでき上がっているところでございます。

 御指摘のございました直接処分の調査研究といったものを行っていることは事実でございます。これは、核燃料サイクルというものが非常に中長期にかかわる長い事業であるということから、先生もお話しの柔軟性というものを持つということでございますが、当面、政府といたしましては、最終処分というものを再処理をしたものについて行うという方針をとってございますので、その中でこの法律を定めているということでございまして、このための法律改正が必要とは考えてはいないということでございます。

阿部分科員 多田さんはわかっておっしゃっているんでしょうが、最終処分に関する基本方針、大臣、これもお手元に資料、二〇一五年五月二十二日の閣議決定を添えてありますが、幅広い選択肢を確保する観点から、使用済み燃料の直接処分その他の処分方法を調査研究はしておると。

 ただ、今お答えがあったように、最終処分の方はもうがんじがらめ、それしかないということを決めておれば、それで見直す気もないのであれば、実は、直接処分とかを検討しても最終処分に結びつきませんよね。これは明らかに矛盾だと思います。

 ここに、わざわざなぜ最終処分に再処理という一言を入れる必要があるのか。中長期的であれ、直接処分も念頭にあるわけですよ。ところが、生じてくるごみについての最終処分は、常に再処理とパッキングされているんですね。おかしいと思われませんか。大臣、いかがですか。大臣にお願いします。

林国務大臣 御指摘のとおり、エネルギー基本計画等において、使用済み燃料の直接処分に関する調査研究を推進することとしております。

 これは、将来の幅広い選択肢を確保する観点から行うものでありまして、現時点で、直接処分を行うための法律が必要だとは考えていません。

阿部分科員 将来というのはすごく、タイム、要するに時間軸の、五年かもしれません、十年かもしれません、すぐ来るものかもしれません、そのときにあって、片一方、出口を閉めちゃったらできないじゃないですか。わかっていてお答えであれば、やはりそれは政府の、本当にこのごみ処理、特に核のごみの処理において、私は不誠実だと思います。

 百年後だからというのであればそのようなお答えもあり得るかもしれません。しかし、この間、「もんじゅ」も頓挫している、プルサーマルも、実はまだ六ケ所で再処理の工場は動いていませんから、やれるかどうかわからないという中で、直接処分も念頭に置こうとなっているわけです。時間軸と準備というものを私は重々お考えいただきたいと思います。

 さらに、再処理という問題は、では、入り口はどうなんだろう。これは、いわゆる原子炉等規制法というのがございまして、原子炉を設置するときに決めた法律であります。

 ここには、原子炉で使った使用済み燃料のその後の処分はどうするんだということも書いて、規制法として出さなければならないという構造をとっておりますが、ここには、特に再処理ということを、使用済み燃料の処分の方法を記載することだけを求めておりますので、これから新設の炉ができるかどうかわかりませんが、そこでもし事業者が直接処分と書きたいと思っても、今のように出口を閉められていたら、直接処分と書けないんですね。

 事業者としては、例えばMOX燃料などは、再処理にも物すごくお金がかかります。今度、拠出金で出すのも高いかもしれない。直接処分だってあり得ると国は言っている。では、この設置法のときに、再処理ということではない選択肢も法文上はあり得るんだと思うんですね。いかがですか。これは多田さんでもいいです。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、先生の言葉で申しますと入り口のときの問題でございますけれども、先生の御指摘のとおり、原子炉等規制法の中では、使用済み燃料の処分の方法というものをその設置許可を受ける際に書くことにしております。その内容に従って使用済み燃料の処分を将来やらなきゃいかぬと自分で宣言をするわけでございます。

 その中で、この原子炉等規制法を見る限りは、処分の方法として、再処理あるいは再処理以外の方法というものを選択することは禁じられていないというふうに考えられます。

 他方で、これは法令上の解釈とは異なりますけれども、というか、法令上に書いてあることではございませんが、今、法令上は、再処理をすれば、ガラス固化体というものをNUMOというものが実施主体としてやっていく、こういう仕組みになっておりますものですから、事業者が直接処分をやるということは、今度は自分でそれをやり抜くということを宣言することになるわけでございます。こうしたことを事業者は判断しているかと推察しております。

阿部分科員 今のお答えのとおりに、出口の方がもうそれ以外ない状態なんですね。NUMOに持っていくか再処理をしてやるしか最終処分場でも引き受けてくれないという体制を持っているから、入り口だってそれしかないということになっているということをよく大臣は認識していただきたいです。

 私は、法の不備だと思います。出口のところも可能性を設けて、入り口の選択肢も広げていくというのが、中長期的に見た、きちんとした体制を組むということであると思います。

 私がなぜそこまで再処理にあえて言えば反対をするのかと申しますと、やはり、先ほど逢坂さんの御質問にもあったかと思いますけれども、余剰プルトニウムの問題であります。

 先ほど大臣は、使い道のないプルトニウムは持っていないから、その意味で余剰ではないとおっしゃいましたが、しかし、処理過程がおくれておりましてだぶついているのは現実で、日本の持っている四十八トンの、外国に預けた分もあって国内は十トンだと思いますけれども、これについては核セキュリティー上も非常に問題があるものと思います。

 二〇〇九年の四月五日、オバマ大統領がプラハでやった核廃絶の演説はその後ノーベル賞にもなって、その後、一年置きにいわゆる核セキュリティーサミットが開かれまして、ことしも三月の末からワシントンにおいて開かれる予定かと思います。ワシントン、ソウル、ハーグ、そしてまたワシントンと戻ってくる、オバマ大統領の最終的な年度の一つの仕上げの仕事となります。

 この中においても、我が国の保有するプルトニウムの量についてはやはり過量であるという指摘も含めて、アメリカの国内からも、例えばジョセフ・ナイさんなどの指摘もあり、また、パグウォッシュ会議という科学者の会議からも、ぜひ日本はこれ以上余剰になるプルトニウムをつくらないべきで、他の方法も考えなさいよと、いろいろなアドバイス、指摘があるところであります。他の方法とは、日本が持っていないでイギリスに買い取ってもらいなさいとか、使用済み燃料を直接処分することでもうふやすべきではないとか。

 ところが、今お聞きしていると、我が国の方針は、とにかく再処理、再処理、再処理といって出てきちゃうプルトニウムというふうになっておりますが、経済産業担当大臣として、外務省なりあるいは政府内で、こういう核セキュリティーサミットに向けての我が国の対応、プルトニウムを少しでも減らす対応について何かお話をされておるのか、またお考えがあるのか、御答弁をお願いします。

林国務大臣 そういう話はしておりませんけれども、プルトニウムの利用につきましては、二〇〇三年八月に原子力委員会が、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」という決定を行っております。この決定において、利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないとの原則が示されております。この方針は現在も変わっておりません。

 また、この決定においては、電気事業者が策定するプルトニウム利用計画の妥当性を原子力委員会が確認することとしておるところでございます。

阿部分科員 もちろん、それは当然やらなきゃならない必要条件なんですね、そんなことは。このプルトニウムというのは、原爆の材料ですし、日本だけだって、四十八トンだったら六千発だと言われているんですから、そんなことは核セキュリティー上やらなきゃいけないんです。

 と同時に、とにかくプルトニウムは現実としてふえ続けているんです。とても追いつかない。そうなれば、逆に、消費できる量だけ処理していくとか、いろいろな考え方があるはずなんです。そこで思考停止して再処理ですと言っているから、私は、このプルトニウム問題が非常に世界からある意味で批判を受けているんだと思います。

 日本は、核拡散防止体制の先頭を走らなければならない国でありますから、きょう私が大臣に指摘しますから、ぜひ閣内でも、ワシントンの核セキュリティーサミットは多分、三月三十一、四月一日だと思います、それに向けて、日本が世界にしっかりとしたメッセージを打ち出せるようにお願いをしたいと思います。

 では、引き続いて、今回の、再処理、積立金方式から拠出金方式にしようという法律は、どう見ても、素直に読めば、電力自由化が来ると各電力会社が経営的に破綻することもあるやもしれないから、そうしたとき、ごみだけ残されちゃ困るから、最初から拠出金でもらっておきましょう、簡単に省略して言うとそういう法案に見えて、そんなにいわゆる原子力事業というのは市場の原理に合わないんだろうかと。自由化したら途端に揺らぎを考えなきゃいけないような産業というのは、やはり私はちょっと危なっかしいと思うんですが、そういう意味合いもあるんですか。

 今回の法案の見直しは、随所に、破綻した場合とかそういう言葉が出てくるんですね。ここまで御丁寧に破綻した場合の後づけの法律をつくっているのもないと私は思うので、それだけ市場原理に合わないんだったら、もともとやめたらどうですかと思うくらいでありますが、この点はいかがでしょう。

林国務大臣 電力自由化に伴いまして、地域独占及び総括原価方式による料金規制がなくなれば、電力会社が破綻する可能性も生じ得ます。電力会社が破綻する可能性はさまざまな要因によるものが考えられまして、原子力事業が原因になるとは限りません。原子力事業の競争力や収益性とは関係なく、破綻の可能性を想定しておく必要があると思います。

 また、原子力は他の電源と比較して遜色なく低廉な電源であると考えておりまして、原子力事業は自由化された競争環境下では立ち行かないという御指摘は当たらないと思います。

 なお、今般の措置は、エネルギー基本計画に示された核燃料サイクルを推進するという基本方針のもと、新たな環境下においても使用済み燃料の再処理等が滞ることがないよう必要な措置を講じるものでありまして、電力会社に対する支援を目的としたものではございません。

阿部分科員 今の御答弁から類推すると、国の核燃料サイクル推進のために、むしろ、電力会社は再処理も含めて押しつけられた道しかとれないんじゃないかと私には聞こえます。そして、押しつけているから、自由化したときに、これまで総括原価方式で乗せている電気代が取れなくなったらやはり破綻だってするかもしれないから、では、積み立て方式じゃなくて拠出金方式にしましょうと言っていて、むしろ、国ががちがちに固めて、電力事業者に対してこの道しかないと言っているようにも聞こえるんですね。

 今までの積み立て方式だと、MOX燃料についてはこれまで、どう処理するかわからないから、だって再処理のための工場もまだできていない、ありませんよね、それについては積立金をしていないんですよね。でも、今度拠出金になったら、まだどこでどう処理するかもわからないものまで拠出金でお金を取られるんですね。電力会社にとったら、幾らにつくかわからないものにお金を出していくというのは、これもまた市場原理に合わない。

 普通は、これをやる場合はこのくらいですからねというのがわかってお金をいただくんですよね、この商売というものは。でも、幾らかかるかわからない、いつやれるかわからない、だけれどもお金だけちょうだいななんというのは普通ないことだと思いますが、大臣、果たして、MOX燃料で、それを再処理した場合にかかる費用の算段は、経産省ではやっておられるんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の使用済みのMOX燃料、これの処理費用ということでございます。

 まず、今回提出しております法案の中では、使用済み燃料の再処理等を滞りなく進める、こういう観点から、普通の使用済み燃料も使用済みMOX燃料もどちらも含めまして、今後発生する全ての使用済み燃料につきまして、再処理等に必要な費用を電力会社から新法人へ拠出させる、こういうことを想定しております。

 それが一体幾らなのかというお尋ねでございます。試算をしているのかということでございますが、こちらにつきましては、今回の法案が成立した暁には、新法人におきまして、専門家等の外部有識者、私どもは運営委員会といったものを考えておりますが、そこにおいて必要な精査がなされるということを考えております。

 私ども政府といたしましては、こうした方針のもとで今後適切に対応していきたい、このように考えております。

阿部分科員 私は、今の御答弁は聞けば聞くほど、とにかくまずつくっちゃって、外部委員会でお金が幾らかかるか計算してみてやりましょうなんというのは、本当に普通の世界の商売じゃないですよね。おまけに、そこでは、国の責任というのは、この新しくできる認可法人について、国は財政的な健全性も含めてきちんと点検をしていかなければいけないわけで、一体、経済産業省の主体性というのはどこにあるんだろうと。

 新しい認可法人が外部有識者に聞いて、そこで試算して、それが妥当かどうかというのは、経産省としてどうチェックするんですか。できるんですか。大臣、お願いします。もう多田さんの答えは今伺いましたので、大臣にお願いいたします。

多田政府参考人 重ねて恐縮でございます。私の方から御説明させていただきます。

 今、先生御指摘のとおり、私も答弁させていただきましたけれども、私どもの今回の新法人では、外部有識者から成ります運営委員会において精査をする、そこで精査をいたしました総費用から各電力会社に求めます拠出金の単価を定める、このように考えております。その拠出金単価を定めるに当たりましては、経済産業大臣の認可を必要とする、このような形で法律上は提案をさせていただいております。

 私ども、これまでも積立金法のもとでこれらの事業につきまして一定の関与をしてきておりますけれども、これに私どものみならず外部有識者の力を使いました新法人でのチェック、それを私どもとしてダブルチェックをするという形で、今後の適正な、効率的な実施を確保していきたい、このように考えております。

阿部分科員 ダブルチェックということは、経産省自身も見積もるということを意味しているんですよ。それでなきゃダブルにならない。認可法人の方でもやりますが、経産省の方でも妥当性を幾らと出さなきゃダブルにならないんですね。自分たちもまた出すということですよ。

 もう一つ伺うと、六ケ所村の工場の費用見積もり。これまで十二・六兆円となっていますけれども、今度の新基準に適応するための費用や竣工時期が長引いていて、これだって経産省は一体幾らと見積もるのかということが出ていないんですね。余りにも主体性がない。

 この認可法人についても、本当はダブルチェックならみずからも見積もる。それは、まあそこそこの数値に収れんしたねといって考えるんですね。でも、MOX燃料の再処理工場、どこに置くかも決められない、幾らかかるかもわからない、何年先かもわからない。同じように、今の六ケ所の工場だって、十二・六兆円というのは従来の見積もりで、今後じゃないんですよ。

 この二つ、大臣、しっかり数値として、経産省として責任持って出していただけませんか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生もよく御存じのとおり、六カ所での事業、これは、これまで日本原燃という民間主体で、電力会社の共同子会社である日本原燃が実施してきたものでございます。事業主体は、あくまでもその株式会社たる日本原燃でございます。

 積立法という形で、私どもも事業者から情報を集める形で積立金額というものについての設定に関与してまいりましたけれども、あくまで主体は民間事業者であるというところは変わらぬところだと思っております。

 今回の法案の提案に当たりましても、新しい認可法人、これをどういう法人形態にするかというのを審議会でも議論させていただきました。やはり、従来から民間が主体としてやってきた、取り組んできた事業であるということを尊重し、あくまで民間の発意で設立がなされます認可法人、この形態がいい、ただ、国もこれまで以上に関与しなければいけない、こういった形でございます。

 国が試算をするというのは、国が事業主体になるということを意味することと近くなるかと思っております。

阿部分科員 そう言うと、さっきのダブルチェックじゃなくなるんだと思いますね。

 私は、原子力の推進とは、あるときは民間だと言い、あるときは国だと言い、そして今度の拠出金の法案は多分に、認可法人を経済産業省がその妥当性も含めて点検していくわけですから、国のコミットを強めることなんですね。でも、その一方で、数値については、民間だからとか認可法人がやるんだからと丸投げしているんですね。

 私は、きょうの先ほどの柿沢未途さんの質問の中でも、経済産業省の姿勢というのにすごく懸念を持ちます。

 というのは、福一で事故が起きて、三日目でメルトダウンですけれども、当時、原子力保安院、経産省がそれを管轄していたわけですよ。東電だけが見直せばいい、今は原子力規制委員会になったから私たちは関係ありませんなんて、あり得ないですね。自分たちの保安点検も問題だったんでしょう。マニュアルをつくっても、使わないマニュアルならマニュアルと言わないんですよ。事業者にも責任があった。ただ、経済産業省だって免れないんですよ。あれだけの被害を出し、そして今度はお金の負担の問題でしょうね、これから生じてくる。

 私は、林大臣にぜひお願いがありますが、経済産業省みずからも、きちんとコミットメントをするならば、その妥当性、そして数値的な検証も含めて、あるいは事故が起きたときの問題の保安管理、かつての保安院で起こったんですから、含めて、主体的にやっていただきたいですが、最後に決意を伺います。

林国務大臣 このたびの件につきましては、東電そのものが第三者委員会で検証するということでもございますので、そういったものも含めてきちっと指導していきたいというふうに思っております。

阿部分科員 私は、事故直後は随分、保安院の方に御説明に来ていただきましたよ。でも、同じ認識でしたね。マニュアルのことも御存じなかったし、メルトダウンだって後の後でありました。全てが事後で、その負担が全部国民に行くというのは、私は、この原子力事業がやはり非常に国民から不信を買っている大きな理由だと思います。

 きょうはもう少し質問がございましたが、残余のものはまたお時間をいただきまして行わせていただきたいと思いますので、終わらせていただきます。ありがとうございます。

関主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊分科員 改革結集の会の小熊慎司です。

 たくさん通告はしていたんですが、これまでも質疑の中で出たと思いますけれども、東電の「福島第一原子力発電所事故当時における通報・報告状況について」というのが、私の事務所にもきのう報告が来ましたが、またかという印象でありました。大臣を初め経産省の皆さんについても憤りを感じているところだとは思いますが、これまでいろいろな委員会でも東電の企業体質については指摘をしてきたところであります。その都度、改めますとか改善に努めますと言っていながら、本当にまたかという思いです。

 三年前の原子力特委でも御紹介した経緯が私もあるんですけれども、二〇〇〇年の初めに福島の東電の原発をとめていたというのは、データ改ざん、トラブル隠しでとめていて、当時、私は県会議員でしたけれども、検証していました。

 その当時、東電の社長は勝俣さんでありましたけれども、過去の委員会で私も県議会で検証したときの発言を紹介していますが、あり得ないことが起きた、これから、情報は隠すことも罪だけれども、不作為におくれることも罪だ、そういう意識のもとに、企業体質を変えてやっていきますと言い切ったんですね、十年以上前に。何にも変わっていない。経産省としても、ある意味ふがいない思いだと思いますが、結果が出ていない。

 これについて幾つか御質問しますけれども、今までも出たかもしれませんが、まず、この報告がおくれた事態に対して、大臣の御所見をお聞きいたします。

    〔主査退席、佐藤(ゆ)主査代理着席〕

林国務大臣 先ほども答弁させていただきましたけれども、東京電力がこのたびの第一原発事故の反省と検証を不断に実施していくことは極めて重要と考えております。

 そうした中、今般、東京電力が実施した通報内容に関する検証の中で、新潟県への説明において、一部不適切なところがあったことはまことに遺憾でございます。

 東京電力に対しましては、立地地域との信頼関係なしに原子力は成り立たないという意識を持ち、新潟県に対して事実関係を丁寧に説明するとともに、今後、再発防止に向け、引き続き、当時の検証も含めて、適切な対応を行うよう指導してまいりたいと思っております。

 東電そのものも、第三者委員会を立ち上げて検証をするということでございますので、しっかりと指導していきたいと思っています。

小熊分科員 今までどおり、いろいろなことが起きるたびに、それは検証しているんでしょうし、経産省としても何らか言っているんですけれども、直っていないんですよ、全然。この五年前の事故以前から変わっていないんです。五年前の事故だけじゃないんです。その前からこの体質が変わっていない。この認識をしっかり持っていただかなければいけません。

 まず初めに、このマニュアルの作成は、そもそもは東電の自主的なものなのか、行政の指導のもとにつくられたものなのか、ちょっと確認させてください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私の認識ということで御容赦いただきたいと思いますが、これは東京電力が自主的に作成したもの、このように認識しております。

小熊分科員 こういうマニュアルが東電にあるというのは以前から把握されていましたか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、私は資源エネルギー庁の職員でございます。当時の原子力安全・保安院のところまでは、今、私は情報を把握しておりませんけれども、私ども資源エネルギー庁としては、届け出を受けているという状況ではございません。

小熊分科員 では、このマニュアルがあると知ったのはいつですか。こういうマニュアルがあるんだというのを知ったのはいつなんですか。今回の件があって、マニュアルがあってそのとおりじゃなかったというのは今回知ったんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 資源エネルギー庁としては、そのとおりでございます。

小熊分科員 こういうマニュアルがあるというのを知らなかったということ自体も問題だと思うんですね。それについてはどうですか。知っておくべきだった、把握しておくべきだったんじゃないですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 こうしたマニュアルにつきましては、基本的に安全遵守という観点から設けられるものかと思っておりまして、私ども、その部分につきまして資源エネルギー庁としてどこまで把握しておくべきか、これは、今回のことも踏まえまして、しっかり考えてみたいと思います。

小熊分科員 原発政策というのは国が国策でやっているものでありますから、把握していなかったという点については、安全管理のためにそういうものがあって、それは国としても問題があるというふうに思いますけれども、これはお役人さんの方じゃなくて、大臣か副大臣のどちらか、どう思いますか。

高木副大臣 今、小熊委員から御指摘のように、東電がこのマニュアルをつくっていた、事故当時。法令に基づいたマニュアルであれば、これは監督官庁としてしっかり把握をしていると思います。

 しかしながら、今の段階、私も報道があって認識をしたんですけれども、経産省としてはそういったものがつくられていたという認識がなかったということで、そうなりますと、報告を受けなければいけないわけですね。

 そういった安全に対して、法令上は当然なんですけれども、それ以上に、それぞれの自主的な安全対策等についてしっかりと日常的にも報告を受けられるような、そういうシステムにしなければいけないというふうに私も思います。

 今現在は、あの事故以来、規制関係に関しましては第三者である原子力規制委員会が担当することになりましたけれども、所管の官庁としては、そういった各電力事業者の、特に原子力発電に関するさまざまな動きに関しては、できる限りしっかり把握していくように、努力もしてまいりたいと思います。

小熊分科員 できる限りというより、完全にやっていかなきゃいけないというふうに思いますし、事故当時、東電の本部にも政府の人間は入っていきましたよね、事故処理として。そのときも把握できなかったんですよね、確認しますけれども。

高木副大臣 私どもは、小熊先生もそうかもしれませんが、当時は野党でありまして、野党の立場としてこの事故をいろいろと把握しておりました。

 そういった中で、なかなか情報が錯綜していた、外から見ていてもそう思うんですけれども、多分あの当時、原子力保安院または経済産業省、もっと言えば官邸も含めて、東電と連携をとりながらやったと思いますけれども、そのマニュアルがあったかどうかという以上に、それどころではないような状況であったんだろうな、このようには認識しております。

 しかしながら、やはり国民の命の問題がかかわっていたわけでありますから、そういう部分では、あの当時、混乱があろうが、メルトダウンをしたのかどうか、もししていればそれなりの対応をしなければいけないということでもあったと思います。

 そういう部分では、この部分について、今、どういう形でこのマニュアルがあって、どういう形だったのかというのは東電自身が第三者委員会で検証するということになっておりますので、まずはその報告を受けた上で、その後の対応の仕方についても、経産省としてもしっかりと検討を重ねてまいりたいと思います。

小熊分科員 だから、その検証の結果を待たなければいけないんですけれども、単なるミスだったのか、作為的に隠していたのかでは大きく違うわけでありますし、そもそも、事故の混乱とはいえ、この会社は混乱の前からこういう体質があったわけです。今回も、これがミスだとしても、十年以上前にデータ改ざんがあったときに、当時の社長は、不作為に情報がおくれることも罪だという意識で改善していきますと事故の起きる前に言っているんですよ。

 変わっていないですよね。大臣もそういう印象じゃないですか。どうですか。

林国務大臣 体質そのもの云々よりも、マニュアルの件に関しましては、副大臣あるいは部長が答弁したように、今回のこれが出るまでマニュアルがあることを存じ得なかったということがございまして、これを機に第三者委員会の検証を捉えてよく検討していきたいと思っています。

小熊分科員 東電だけではなくて、ほかの電力会社もこういうマニュアルはあるわけですね。今回、それの情報収集は努めていますか、ほかの電力会社に関して、こうした内部のマニュアルについて。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点でまだ作業には着手できておりませんけれども、先ほど高木副大臣からもございましたように、各電力会社が自主的に安全を高めるためにやる取り組みについて、私どもとしてもそれを促していく責任を持っていると思っておりますので、そうした他の電力会社における取り組みについても、これを機会にしっかり調べてみたいと思います。

小熊分科員 これは全てのことを想定内に入れてやっていかなきゃいけない問題だったんですけれども、私も含めてだと思いますけれども、やはり安全神話に寄りかかっていたということの一端も今回の件はあるというふうに思いますから、これを機に、こうした社内マニュアルにしても、自主的にやるもの、また行政がきっちり指導していくもの、そういったこともあわせて検証すべきだと思いますが、いかがですか。

高木副大臣 今、多田部長からもありましたように、各電力会社の自主的なマニュアルについても、今後いろいろと調査もしてまいりたいと思います。

 その上で、東京電力の体質の問題、小熊委員が十年前の話をされました。その後、あの事故を起こして、私も一年半前に原子力災害の現地対策本部長になって、一F本体の廃炉・汚染水対策に取り組んでまいりましたけれども、例えば去年も、K排水路の情報を出さなかったということで県民の皆様方に大変不安を与えてしまった、こういう事象もありました。

 あのときも、一生懸命やっていたけれども、いわゆるデータを開示する必要性を余り感じていなかったと。これは感性の問題でもあり、そういったところについては、やはり私たち所管の官庁としては、東京電力を初め電力会社にしっかりと指導監督をしていかなければいけないと改めて感じております。

 特に今回の問題は、やはり事故当時のさまざまな検証が、国会または政府の方、そして第三者の事故調査委員会で報告されておりますけれども、そういった中にもこの部分というのは出ていないと思います。

 そういうところから考えても、この経緯というものを、まず第一義的には東電の第三者委員会の報告を受けた上でですけれども、しっかりと調べてまいりたいと思います。

小熊分科員 今、副大臣がおっしゃったとおり、いろいろな事故調査委員会がありましたけれども、これはもう調査を終わっているんですが、また根幹を揺るがすような事実だったというふうに思います。というのは、今回、単に報告がおくれた、間違った報告をしていたということの検証もさりながら、また全体的に事故の検証をする必要があるというふうにも思いますが、これを踏まえて、さらに全体の事故の検証をやるということに対してはどうですか。

高木副大臣 これはどういう経緯でそのマニュアルができ、そしてどういう経緯でそのマニュアルが無視をされたかということがはっきりしないと、それが直接的にあの事故の後の対応の仕方が変わるのか変わらないのかというのもございますので、そういった報告を受けた上でやらなければいけないと思います。

 ただ、一方で、政府の事故調も国会の事故調も、それぞれ膨大な方々に聞き取り調査等をやった上で、そこの経緯というものをやって、その中での報告でもあると思いますので、それを全部見直すという話ではないと思います。

 ただ、そのメルトダウンをした、またはしていたんだけれども、知っていた上でやったのか。それとも、そういう認定が、マニュアルを知らなくて、認識をしていなくて、現場でできていなかったのか。または、上の方がどうであったのか。それは東電の報告をしっかり待ちたいと思います。

小熊分科員 その検証の結果、作為的にやっていたのか不作為だったのかを見なければいけない、当然だと思いますけれども、どっちにしろだめですよ。作為的にやっていたら、とんでもない問題。不作為だとしても、単なる凡ミスじゃないですから、これは。大きなミスですよ。そんな会社にこんな原発というものを運転させているというのは、これは非常に問題だと思いますし、これまで五年間出てこなかった。さっき混乱と言いましたけれども、事故当時の混乱が五年間続いているわけではないわけですから。今や、作業員たちも手袋をしないように少し作業も変えましょうかとなっている時期ですよ。この五年もかかったという点も問題ですから、作為であろうと不作為であろうと問題である。

 まして、今回こういうことを起こした会社ではなくて、前々からこういうことを起こしていた会社だということもあわせて認識をした上で、経産省としてどうやって対応するのかというのが問われているんです。ある意味では、経産省の責任というのも非常に大きいと思いますよ、監督官庁として。

 そして、こういうことが起きるたびに、今、福島県においては、御承知のとおり、それぞれの関係各位、県民一人一人が、イメージ払拭のために、また原発事故からの復旧復興のために頑張っているときに、県のデータですけれども、ボルトの締め忘れとかそういう細かなトラブルを初め、大体平均すると三日に一遍、こういうネガティブな情報が発信されるんですね。明るい情報、ポジティブな情報を発信していながらも、こういうことで足を引っ張られるんですよ。

 これは、東電のこういう不信が福島県の不信につながって、まして、こうした電力業界全体の不信にもつながっている。信頼を回復するといっても、もともと失われていたんですよ、事故の起きる前から。そういう厳しい認識に立てるかどうかなんです、経産省。

 こういうことを何回もやっているんです、不作為であったとしても。不作為みたいなのが続くというのは、もう確信犯的じゃないかなと思いますよ。今回の件も、私はまただなと思いました。県議会で検証している最中も、その当日の朝ですよ、新たな事実が出てきましたと。うがった言い方をすれば、これは東電の得意わざです。後出し、罪の意識がない。おくれることも罪として頑張ると言ったんです、当時。そういう組織なんですよ。

 だから、単純なミス、もし不作為であったとしても、組織上問題がありますから、そこにメスを入れない限り、これが続きますよ、どういう検証の結果が出ても。これは再犯ばかりですよ。野球では三振、もうアウトですよ。

 そういった認識で対応していただきたいと思うんですけれども、もう一回、大臣にお聞きします。

林国務大臣 副大臣からよく答弁しておりますけれども、第三者委員会の検証を見た上で、今委員から御指摘のあったことを踏まえて、しっかりと対応していきたいと思っております。

小熊分科員 ここは、本当は大臣も怒らなきゃいけないんですよ、はっきり言って。大臣、きょうは分科会で一日あれですけれども、本当は東電の役員を大臣室に呼んで指摘をしなきゃいけないんじゃないですか。この件について役員を呼びましたか。不作為であろうと作為であろうと、今回起きたことは大きいわけですから。これは、大臣、直接呼んで厳しく言わなきゃいけないんじゃないですか。その予定はありますか。

林国務大臣 きょうは朝からここでの審議なものですから、まだ呼んでおりません。

 八時に審議が終わると思いますので、その後、ちょっと副大臣とも協議したいと思っています。

小熊分科員 これは経産省としての姿勢も問われていますから、起きた問題に対してどういうふうな姿勢で臨むかというのは。これは直接呼んで、検証の結果を待たずに呼んで、しっかり指摘をしていただきたいと思いますし、こういうことが福島の復興の足を引っ張っているというのも認識はされていますよね。

 この間の丸川大臣の発言もそうです。これは撤回しましたけれども、撤回するまで時間がかかったことによって、またマイナスイメージなんですよ。

 私たちは、決められた基準で、一ミリシーベルトを目指す。食品については百ベクレル以下を目指している。我々も本当は専門家じゃないですから、百ベクレルがよくて百一が何でだめなのかというのはわからないけれども、その数字をしっかり踏まえて努力をして、だから、百ベクレル以下だから安心ですよとか、一ミリシーベルト以下だから大丈夫ですよと言っているのに、根拠がないと言われたら、全て信頼を失っていくわけですよ。

 しかも、その責務を負うのは福島県なんですよ。福島の県民たちなんですよ。これは風評被害にもつながっていくという認識も、経産省としては持っていただかなきゃいけないんです。さまざまな支援もしていただいています。きょうは本当はもっとそういう具体的なことで質問したかったんですけれども。

 ですから、直接的な実害がある地域におけるいろいろな支援策もありますけれども、私の会津みたいに風評被害。ただ、実害もあるんですね、物によっては。キノコなんかは規制をかけられているわけです。大丈夫なんだけれども売れないというんじゃなくて、規制をかけられているんです。キノコは全県で規制をかけちゃいますから、実害も出ているんですね。ただ、実際の放射線量なんかを調べると、他県よりも低い地域がたくさんあるんですが、もう福島県は一くくりですから。

 今回のこういうことがあると、これは多分国際的にも発信されたニュースだと思うんですけれども、福島というだけで、また海外にもネガティブな印象だけが伝わってしまうということでありますから、こうした今回の東電の問題をしっかりやるといいながら、どういうふうに福島県内に影響を与えたのかということも、これもしっかり見ていただきたいというふうに思うんです。その上で、原発事故災害の対応の政策を打っていかなければいけないというふうに思いますが、細かなことには入れません。

 そういう方向性について、こういう東電の不祥事が福島県内のさまざまな活動に影響を与えるということは認識されていますよね。どうですか。

林国務大臣 風評被害の話もありました。私は千葉県ですけれども、同じように農産物あるいは水産物、やはり出ておりまして、いまだに福島、茨城、千葉は香港市場には入れないでいるという大変つらい思いをしておりまして、そういった意識は十分ございます。

 また、きょうは委員からいろいろ提言、提案がございました。そういったものを含めて、今後の対応に、しっかりと検討していきたいと思っております。

小熊分科員 禁輸措置の話も出ましたから、確かにそうなんです、福島県だけじゃなくて、近隣の県においても。特に政府、また外務省が努力をして、この五年間の中で科学的根拠のない禁輸措置、外れていった国が多いんですが、ただ、アジアの国が逆に残しているんですね、これから一番経済活動をやっていきましょうという。農業においても、攻めの農業といったって、一番売りやすい近隣諸国で、これははめられちゃっていますから。

 それで、一回、さきの国会のときに、農水委員会でも、攻めの農業といったって、そうやって禁輸措置がはまっているんだから、ハンディ戦なわけなんですね、そのはめられているエリアは。売り先が限られるんですから、また特別な措置が必要でしょうと言ったら、それはないと農水省は言われたんですけれども。

 逆に、大臣、御地元の実情も踏まえながら、ジェトロの運営費交付金とかでどんどん海外との経済交流をやりましょうというのがありますけれども、これは全国一律なんです。そうですよね。だけれども、今言ったとおり、ハンディがあるわけで、売り先がない、限られるんですよ、特に経済交流が活発化しているアジア地域においての禁輸措置ですから。これは、そういうはめられているエリアの支援体制についてメニューを変えなきゃいけないんじゃないですか。千葉県だって、福島県だって、茨城だって、今お話に出たとおり、ハンディを背負って海外と経済活動をしてくださいといったって、行けないんですよ。

 これは、げたを履かせるという言い方はちょっとおかしいのかもしれないけれども、別枠で支援策をつくらないと平等じゃないと思うんですが、そういうことについてはどうですか。

高木副大臣 被災をされた福島、そしてまた大臣の千葉も含めて、影響を受けている県、これは大変な状況だと思います。

 私ども経産省としては、とにかくこの風評被害をなくさなければいけないということで、全力を挙げて、これは経産省だけではできない、政府を挙げてやろうということで、今いろいろと検討を進めていく中で、まず一つは、科学的知見をちゃんと伝えなきゃいけない。農水省もやっていますけれども、私ども経産省としても、やはり映像で見せなきゃいけないということで、その英語版のDVD等をつくって、いわゆる世界各国の在外公館を通じながら、各担当者、私どもはG20のエネルギー大臣会合等でも各大臣に一枚ずつ渡して、今のこの福島の現状はこうなっている、例えば食糧についても、米は全袋検査をやっている、こういった映像も踏まえてアピールしています。

 しかし、まだ結果が出ない現実があるので、これは、EUのは大分これで変わりました。こういうことをさらにやって、まさにげたを履かせなくてもいいような形をつくるのが、まずは第一義的に大切なことだと思っています。

小熊分科員 いや、それはもちろんです。その段階まで行っていないんですよ、御承知のとおり。さきの予算委員会でもやりましたけれども、この首都圏、国内で、福島県というだけで買わないというのは、二〇%ぐらいの人がずっと固定化しています。海外においても、観光客が二千万人に迫る勢いですけれども、福島県は観光客が来るのが四十位以下ということです。

 だから五年間、民主党から自民党政権にかわっても、それぞれずっと努力してきましたよ。科学的、正しい情報を出して、違いますよというのをやってきたけれども、今までのやり方では買わないんです、固定化しているんですから。香港の吉野家が福島県のものを使っていないとポスターをつくって、一回、外務省を通じて撤去してもらいましたけれども、また一年後にそういうポスターを張っているわけですよ。科学的知見じゃないんです。これは、安全と安心が別のところにあるんですよね、全ての人が科学的知見で判断しているわけじゃないんですから、印象ですから。

 という意味では、もう少しこれは踏み込んで、真面目にこういうデータだけ出していて、大丈夫ですと言ったって、変わらないんです。変わっていないんです。固定化しているんです、どうしても理解のない人は。もちろん、禁輸措置はそうやって政府の交渉事ですけれども、そうした国内外の消費者向けは、今までどおりの努力の積み上げではもうどうにもならないのです、新たな展開が必要ですから。それまでには、もちろん我々も、そんな支援じゃなくて、おいしいから、いいものだから買ってもらいたいんですよ。それが当たり前ですよ。

 でも、それを取り返すまでにやはり時間がかかるんです、まして原発事故は収束していませんから。事あるたびにこういうトラブル、事故、事件が起きる。そのたびにネガティブな情報が出てしまうということであれば、副大臣が言っていることは理想ですけれども、そこへいくまでに時間がかかりますよ。だからこそ、やはり特別枠が必要じゃないですかという話なんです。ぜひそれを検討していただきたいと思いますけれども、大臣、どうですか。

佐藤(ゆ)主査代理 質疑時間が経過をしております。

林国務大臣 かなり幅広い議題になりましたけれども、今、まず官民合同チームで被災者に対して一つ一つ丁寧に対応しているところでございまして、そういった意味からして、アバウトではなくて、一つ一つ対応していけるよう、我が省で何ができるか、そういったものを含めて進めてまいりたいと思っております。

小熊分科員 どうもありがとうございました。

 報道で見ていますから、ぜひ近々に、先ほど言った東電の役員を大臣室に呼んでしっかり指導していただくことをお願いいたして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

佐藤(ゆ)主査代理 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。

 次に、真山祐一君。

真山分科員 公明党の真山祐一と申します。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私も、福島県在住の国会議員でございまして、福島の復興に関連することから取り上げさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 言うまでもなく、東日本大震災からもう間もなく五年の節目を迎えようとしているところでございます。さまざまな被災者支援であるとか、また災害公営住宅の建設であるとか、復興政策が進んでまいりました。しかしながら、福島県におきましては、やはり原発事故の影響もございまして、なかなか復興が進まない、そういった分野もあるわけでございます。

 そういったこともあるわけでございますけれども、福島県がまさに震災を乗り越えて、どういう福島県になっていくのか、こういったことが、ビルド・バック・ベターというふうに言いますけれども、やはり創造的復興、こういったことが重要である、これは言うまでもないわけでございます。

 そして、福島復興の夢と希望の柱として、福島・国際研究産業都市構想、いわゆるイノベーション・コースト構想がございます。このイノベーション・コースト構想は、きょうは高木経産副大臣がいらしていますけれども、前任の赤羽一嘉衆議院議員が中心となって取りまとめていただいた構想でございます。

 この構想の序文には、このように書いてございます。「「一番ご苦労された地域が、一番幸せになる権利がある」との固い信念で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催時に、世界中の人々が、浜通りの力強い再生の姿に瞠目する地域再生を目指し、」ということが書いてございます。

 そういう中にございまして、昨年は、楢葉町におきまして、遠隔技術開発センター、モックアップ施設というものでございますけれども、廃炉ロボット技術に非常に重要な施設が完成をしたところでございます。また、二十八年度予算案の中には、ロボットテストフィールドや国際産学官共同利用施設の整備、運営などの予算も盛り込まれておりまして、このイノベーション・コースト構想もいよいよ実行段階に入ってきたというふうに私は実感をしております。

 先日、予算委員会の地方公聴会が福島県郡山市で行われました。陳述人として、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元理事長に来ていただきまして、このイノベーション・コーストのことについても語っていただきました。このようにおっしゃっておりました。

 国が応援する予算措置も含めて、ソフトが継続的に人を集めて、このソフトというのは福島復興研究ということを理事長はおっしゃっておりましたけれども、ハードの整備だけではなくてソフトを充実させて、雇用をつくって、成果を上げて、それが地域の活性化につながるような、持続的な活動を支えるようなイニシアチブを国が発揮してほしいというような御発言を述べられました。

 このイノベーション・コースト構想は、福島復興の重要な柱であることは言うまでもございません。本構想の実現に当たっては、国の積極的、主体的な関与、また国家プロジェクトとしての位置づけが必要と考えてございますけれども、林経済産業大臣の御所見また御決意をお伺いできればと思います。

林国務大臣 イノベーション・コースト構想は、浜通りを中心とした地域の経済復興のエンジンとなるものでありまして、これまで国と県や地元自治体が連携しながら進めてきたものでございます。

 真山委員が御指摘のように、昨年九月には、モックアップ施設、楢葉遠隔技術開発センターが楢葉町で一部運用を開始いたしました。本構想の具体化は着実に今進捗しているところでございます。

 国としても、二十八年度予算案におきまして、ロボットテストフィールドやロボット技術等の共同利用施設の整備等に要する費用として百四十三億円を盛り込むなど、実現に向けて積極的に今取り組みを進めているところでございます。

 引き続き、構想全体の実現に向けまして、国が前面に立ちまして、県や地元自治体ともしっかりと連携して、関係者一丸となって全力で取り組んでまいりたいと思っております。

真山分科員 ぜひ、経済産業大臣のもと、イニシアチブをとっていただいて、この福島イノベーション・コースト構想を何としても早期に実現を、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを目指してということでもございますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 そして、このイノベーション・コースト構想につきましては、我が党内におきましてもプロジェクトチームを設けてございまして、福島県とさまざま意見交換をさせていただきながら、昨年十二月十八日には政府、官邸に申し入れをさせていただきました。

 先ほど言いましたロボットテストフィールド、また国際産学官共同利用施設の整備、運営に関する予算に関することはもとより、やはり国と県がしっかり協定を結んで、タッグを組んで推進していくことが必要であるということ、そしてまた、ロボット技術の最先端地域を目指すということであれば、ロボットの認証、認定制度といったことも必要ではないか、また、ロボットオリンピックの開催であるとか、さらにドローンとかそういったものもロボットの扱いになるわけでございまして、これは当然航空法の絡みもございますので、国家戦略特区も活用していくこと、こういったこともその要望の中には盛り込ませていただいたところでございます。

 具体的な研究、産業の集積につながるように、これはやはり地域の産業復興の大きな柱でございます。現在、官民合同チームということで、被災事業者八千者、八千事業者を回っていただいておりまして、高木現地対策本部長におかれましてはその陣頭指揮をとっていただいているところでございますけれども、そうした被災事業者の支援というのは、ある意味で短期的なビジョンでございますけれども、その先に大きな産業復興の柱としてイノベーション・コースト構想がある、私はそのように思ってございます。

 そういった意味で、我が党の提案も含めて、イノベーション・コースト構想実現に向けた政府の検討状況、取り組みについてお伺いをさせていただきます。

高木副大臣 今御指摘ありましたように、公明党からの要望もいただきまして、まず、予算案については、平成二十八年度の予算案において、ロボットテストフィールドまた国際産学官共同利用施設の整備等に要する費用七十三億円に加えて、ロボット認証制度等の創設に向けたロボットの性能試験方法の研究開発に要する費用十九・三億円の内数二億円も盛り込ませていただきました。

 また、本年一月には、ロボットテストフィールド及び国際産学官共同利用施設の確実な整備と安定的な利用を図ることを目的にいたしまして、御提案のありました、福島県と経済産業省が両拠点の整備、運営等に関する協定を締結させていただきました。

 この協定書では、経産省が、ロボットテストフィールドにおけるロボット国際競技大会、いわゆるロボットオリンピックの実施などを検討するということにもしておりますし、既に本年二月より、実行委員会等で競技内容や場所についての議論を開始したところでもございます。

 また、戦略特区についても、県としっかり連携をしつつ、対応してまいりたいと思っております。

真山分科員 ぜひ、実現に向けて、一つ一つの制度を整備していただいて、実効性のあるものにしていただきたいと思います。

 やはり、まだまだ地元では、このイノベーション・コースト構想が絵に描いた餅になるんじゃないかという空気がございまして、これを払拭していくためにも、実現をしていくためにお力添えをいただきたいとお願いをさせていただくわけでございます。

 そしてまた、イノベーション・コースト構想に関連することでございますけれども、東日本大震災の実態を教訓として後世に伝えていくこと、これもやはり国の責務であるというふうに考えております。

 イノベーション・コースト構想の国際産学連携拠点の一つに位置づけられておりますのが、アーカイブ拠点でございます。この整備について、動き出しているような状況だというふうに私は認識をしております。特に、東京オリンピック・パラリンピックが、二〇二〇年でございますけれども、やはりこの舞台が福島の復興を世界にアピールしていく絶好の機会、チャンスでありますので、そこまでにしっかり整備されるということが私は重要ではないかと思っております。

 このアーカイブ拠点、これもぜひ国の後押しで早期整備に取り組むべきと考えてございますけれども、政府の検討状況をお伺いさせていただきます。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 ただいま林大臣、高木副大臣からお答えございましたとおり、イノベーション・コースト構想の実現に向けまして、経済産業省は全力で取り組んでまいります。

 真山先生御指摘のとおり、東日本大震災の実態、教訓を後世に伝えるとともに世界との共有を図っていくということを基本理念といたしました、いわゆるアーカイブ拠点につきましても、イノベーション・コースト構想において具体化する国際産学連携拠点の一つとして位置づけております。

 この具体化につきましては、福島県におきまして有識者会議を設置し、昨年の九月に、アーカイブ拠点施設の機能、内容等に関する報告書を取りまとめていただくということで、具体的な検討を着実に進めていただいております。

 昨年の十月には、現地本部長の高木副大臣、内堀知事及び関係市町村長から成りますイノベーション・コースト構想推進会議というのを開催いたしまして、この報告書の内容についても御報告いただき、検討の進捗を確認しております。

 経済産業省といたしましても、この検討を踏まえまして、福島県庁はもちろんのこと、復興庁を初めとした関係省庁と連携しながら、二〇二〇年度の運営開始を目指しましたアーカイブ拠点の整備を含めまして、イノベーション・コースト構想の具体化にしっかり取り組んでまいります。

真山分科員 このアーカイブ拠点、これも重要施設の一つ、また研究になろうかと思いますし、また、こういったところから次の課題、教訓が生まれ、それが新たな災害防災の中に生かされていく、私は、そういった重要な研究拠点施設がまさにアーカイブ拠点の重要な役割であろうというふうに考えてございますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 そして、このイノベーション・コースト構想にも関連しますし、また、全国的な取り組みとも関連する話をさせていただきたいと思います。

 イノベーション・コースト構想においては、エネルギーの分野もプロジェクトとして入ってございます。福島県は、再生可能エネルギー大量導入と需給調整の両立や熱電併給など、エネルギーの効率利用を図るスマートコミュニティー構築、これを県のプロジェクトの中に位置づけて、そしてそれを国とも連携しながら進めていきたい、こんな要望をされております。

 そういった中におきまして、やはりこのスマートコミュニティーを実現していくためには、スマートグリッドの技術、そして蓄電システム、こういったことの確立も必要なわけでございます。郡山市におきましては、復興庁の「新しい東北」事業を使いまして、デジタルグリッドを実証実験の中で取り組みをしております。

 このデジタルグリッドというのは、ある意味、スマートグリッドの一つの技術というふうに私は認識をしておりますけれども、専用のルーターをかませることで電気を識別できるようになりまして、自由に電力の融通がグリッド間でできるという技術でございます。この技術に関しましては、環境省においても実証実験が取り組みとして始まろうとしているところでございます。

 これは一つの事例であると思いますけれども、こうした地域分散型のエネルギーシステムの構築ということに関しましては、当然、今御紹介したのは福島県の中での取り組み、話でございますけれども、全国各地、地方創生の取り組みの中でも、やはり自立的な地域の経済圏を築いていく上でも非常に重要なファクターがこの地域分散型エネルギーシステムの構築というふうに私は思っております。

 スマートコミュニティーを初めこうした技術をしっかり確立していくということが、また推進していくということが重要であると考えてございますけれども、経済産業省の見解をお伺いさせていただきます。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、再生可能エネルギーやコージェネレーションなどの分散型電源というのは、エネルギーの効率的な利用、それからエネルギーシステムの強靱化、さらにはエネルギーの地産地消によって地域を活性化していく、こういったものに寄与するということで重要なものである、これはエネルギー基本計画の中にもそういうふうに位置づけられているところでございまして、我々としてもそれを支援しているところでございます。

 これまで各種の予算事業で、再生可能エネルギー源あるいはコジェネといったようなものを導入、あるいはそれらの組み合わせといった分散型エネルギーシステムの構築を支援してきたわけでございますが、さらに、来年度予算におきましても、IoT技術を活用した分散型電源、あるいは需要家側の節電の取り組みとの組み合わせ、遠隔、統合制御といったようなことで、全体をあたかも一つの発電所のように運営していくといったような実証も新たに始めたいというふうに思っているところでございます。

 ただいま委員から御紹介ございました郡山での取り組みというものについても、分散型電源を有効活用していく一つの大きな試みであるというふうに考えておりまして、我々も、こういった取り組み事例から学びながら、分散型エネルギーシステムの構築というのを大いに進めてまいりたいというふうに考えております。

真山分科員 ぜひ、資源エネルギー庁の後押しというか、取り組みの加速をお願いしたいところでございます。

 地域分散型エネルギーを構築していくということは、先ほども言いましたとおり、地域の発展にも本当に大きな影響を与えるものでございますし、また、先ほど言いましたけれども、福島県は、イノベーション・コースト構想で、特にエネルギーを、再生可能エネルギーで一〇〇%を目指して取り組みを進めているところでございます。

 そういった再生可能エネルギーの普及促進をしていく上で、やはりスマートグリッドの技術はある意味必要不可欠、セットだというふうに思っておりますけれども、そういった意味で、こういったことが進んでいくことが重要であるということを申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、次の質問に入らせていただきますけれども、これもエネルギーに関する御質問でございます。

 固定価格買い取り制度の導入によりまして、再生可能エネルギーは急速に普及していると認識をしております。特に太陽光につきましては、やはり設置のしやすさというか扱いやすさから急速に普及してきたわけでございます。

 一方で、今国会でいろいろまた議論もされると思いますのでその点には触れませんけれども、この太陽光、設備認定したけれども設置をしないというのがいるのも事実でございまして、これはまた次の議論になろうかと思います。

 一方で、たくさんの設置が進んできたことによって太陽光のパネルのコストというのも下がってきた、これも事実でございますけれども、しかし、国際的に比較をすると、まだまだコスト削減の余地があるというような指摘もあるわけでございます。太陽光のモジュール本体はさることながら、そのフレームであったりとか、また、事業用の太陽光は当然地中にくいを打って基礎をつくって設置するわけでございますので、基礎と一体になったような架台といったものも非常にコスト削減の大きな要素になるのではないか、また、くいを打つための専用の機械といったものも非常にコスト削減の要素になるのではないかというふうに言われております。

 太陽光モジュールの設置の建設工事費が非常に高い、国際比較した場合に高いというのが日本の実態、そういった研究指摘でございまして、再エネ先進国であるドイツと比べると、この工事費価格は倍以上の開きがあるというような指摘もあるわけでございます。

 そして、そういった太陽光のモジュールの部分については、例えば産総研も、軽量化、また安価なモジュールになるような研究もされてございますけれども、こういった研究を当然進めていくとともに、建設工事費も含めたコスト削減といったことも研究開発を進めていって、業界全体のスキルアップをしていくことも非常に重要な視点ではないかというふうに考えてございますけれども、この点につきまして経済産業省の見解をお伺いさせていただきます。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ありましたように、我が国の太陽光パネルの設置費用は、海外主要国と比較して高いという現状にございます。

 今、工事費、架台の費用の話が出ました。民間調査機関によりますと、ドイツ、スペインに比較して約三・八倍、アメリカと比較しても約一・六倍という水準にあるというデータがございます。

 まさに再生可能エネルギーをできる限り多く導入していくというためにも、こうしたコストをできるだけ下げていく、その努力をしていかなければならないというのは御指摘のとおりでございます。

 そのためには、一つは、まず事業者側のコスト低減努力を引き出していくということでございます。このために、買い取り価格について、トップランナー方式で設定していく。

 あるいは、今回FIT法の改正ということで御提案させていただいておりますが、中長期的な価格低減の目標を示させていただく、さらには、大規模なものについては入札といったような制度も採用していくといったようなこともやっていかなければならないと思っております。

 また、今御指摘ございましたように、パネルの研究だけではなくて、例えば強度を担保しながら架台を軽量化していくといった取り組みを進めるとか、あるいは、周辺機器とか工事費を含めて発電システム全体をどう低コストにできるかといった研究開発、工事の手法に関する標準化といったような取り組みも重要ではないかと思っております。

 これは、経産省あるいは関係する業界も含めて、総合的に、こうした取り組みを含めてコスト低減を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

真山分科員 ぜひ、経済産業省として、こうした取り組みをイニシアチブをとって進めていっていただきたいというふうに思っているところでございます。

 次の質問は、テーマは全く変わりますけれども、中小企業支援について少しお聞きをさせていただきたいと思います。

 現在、政府におきましても、下請保護の観点からさまざまな議論がなされていると認識をしております。御承知のとおり、私の住む福島県では、これは環境省所管でございますけれども、除染が行われてございます。この除染の構造というのは非常に多重下請の構造になってございまして、いろいろな業者さんが間に入っているという中で、私のもとにもいろいろな相談が舞い込んでくるところでございます。

 そういう中で、残念ながら、第五次、第六次あたりにいらっしゃる下請さんから未払いの案件なんかも寄せられているところでございまして、そういった声がやはり一定数あるのが事実でございます。除染事業に関してここで議論はいたしませんけれども、やはり下請企業さんをしっかり保護していくということはさらに強めていかなければならない、そのことを私は実感しているところでございました。

 当然、下請保護のガイドラインがございまして、こういった対策はとられているように認識しておりますけれども、しかし、その下請保護のガイドラインもなかなか周知徹底が行き届いていないというような指摘もあるわけでございます。やはり下請保護のガイドラインの周知徹底をしっかりと進めていただくという大前提があって、その上で、そうした未払いとかに対してどういった下請保護ができるのか、こういった検討もやはりさらに深めていかなければならないのではないかというふうに感じているところでございます。

 特に、下請企業、中小零細企業にとりましては、やはり一つの未払いがその会社の命運を決すると言っても過言ではないわけでございまして、そういった意味で、そうしたセーフティーネット機能を、しっかり網を張りめぐらせていかなければならない、このように考えているところでございますけれども、この下請保護政策につきまして、政府の見解をお伺いさせていただきます。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 下請取引対策につきましては、これまでも、下請代金法に基づきまして、公正取引委員会と共同しまして下請代金の支払い遅延や減額等について厳正な監視、取り締まりを行ってまいりました。

 具体的には、平成二十六年度についてでございますけれども、親事業者、下請事業者双方から、合計約二十四万件の書面調査を実施しまして、違反の疑いのある情報を収集してございます。また、親事業者に対しまして約一千件の立入検査、改善指導も行っておりまして、法令に違反する事案については、違反行為の是正や再発防止に努めてきているところでございます。

 お話のございました下請ガイドラインでございますけれども、今、十六に及ぶ業種別のガイドラインが策定されてございます。これによりまして、適正取引の普及啓発や違反行為の未然防止に取り組んでいるところでございます。

 ただ、先生が御指摘のように必ずしも周知度が高くなくて、親事業者では六〇%、下請事業者ですと四〇%しか認識されていないというアンケート調査もございます。また、これら以外に、相談窓口としまして下請かけこみ寺を全国に設置しているところでございます。

 しかしながら、まだまだ、御指摘のように、中小企業、小規模事業者から下請取引に関するさまざまな問題や悩みの声が聞こえてまいります。除染の工事の代金未払いもその一環かと承知します。

 そうした声に応えるため、単に違反行為の是正だけではなく、下請等中小企業の取引条件の改善に幅広く取り組むことが必要との観点から、昨年十二月に、官房副長官をトップとします関係府省等連絡会議が設置されてございます。このもとで、省庁横断的な取り組みとして、現在、三次、四次の下請、はたまた五次の下請を含めまして、取引上立場の弱い中小企業を含めて、産業界に対する大規模な調査を実施中でございます。年度末までに結果を取りまとめる予定といたしております。

 以上です。

真山分科員 中小企業を取り巻く環境について、最後に一点だけ、手短に御質問させていただきたいと思います。

 賃金のアップということが言われているわけでございますけれども、そのためには中小企業も生産性の向上ということが必要不可欠であることは言うまでもないことでございます。また、中小企業の抱える課題の一つに事業承継がございまして、この事業承継に関しましては、非常に充実してきているものの、税制優遇を受けるに当たっての条件に対して制約が強く感じられて、尻込みする企業も少なくないというふうに聞いております。

 こうした中小企業の生産性の向上、そして事業承継のさらなる充実といいますか改善につきまして、見解をお伺いさせていただきます。

豊永政府参考人 簡潔にお答えさせていただきます。

 まず、生産性向上の取り組みでございますけれども、この通常国会に、中小企業、小規模事業者の生産性向上のための法案の提出を予定させていただいてございます。これは、業種別に生産性向上の優良取り組み事例を指針として政府が定めて、これに沿った取り組みを行う中小企業、小規模事業者に対して固定資産税の軽減その他の支援策を講じるものでございます。

 もう一つお話がございました事業承継の話でございますけれども、こちらにつきましては、事業承継税制を昨年の一月から改正してございまして、親族外の承継を対象としたり、雇用の要件、役員の退任要件などを緩和したところでございます。緩和後の昨年、平成二十七年の認定案件がその前の年の倍近くになっているということからしますと、徐々に効果が出ているのかなというふうに考えてございます。

 引き続き、生産性向上、事業承継の円滑化のために全力で取り組んでまいりたいと考えております。

真山分科員 では、質疑時間が終了いたしましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

佐藤(ゆ)主査代理 これにて真山祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅家一郎君。

菅家分科員 自由民主党の菅家一郎でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 まず初めに、商店街支援事業についてであります。

 地方の市町村の現状を見ますと、過疎化、少子化、高齢化が深刻で、後継者問題があったり、中にはシャッター通りになっていたり、商店が姿を消したり。そういう状況になりますと、大型店はあるんですが、高齢者になるとやはりなかなか行けないとかという、交通弱者、高齢者の買い物というのも課題の一つになっている現状があるわけですね。

 中心市街地活性化による地方創生という考え方も一方であって、やはり、例えば商店街の町並みを整備したり、あるいは魅力的な商店街を整備するということも地方創生にとっては極めて重要なことだ、このように思うわけであります。

 そこでお伺いいたしますが、過去にまちづくり補助金等のような商店街にとって使いのよい補助金があったかと思うのでありますが、何とか今後復活して商店街を支援すべき、このように思うわけでございますが、お考えをお示しいただきたいと存じます。

林国務大臣 菅家委員御指摘のまちづくり補助金や商店街にぎわい補助金は、平成二十四年度及び二十五年度の緊急経済対策の一環として、それぞれの年度の補正予算において措置したものでございます。

 これら二つの補助金では、全国約八千カ所の商店街に対し、地域の安全、安心に役立つ施設の整備等に対する支援を行ったところでございます。実績としては、約八割の商店街において歩行者通行量が増加したり、約四割の商店街において空き店舗数が減少するなどの一定の効果がございました。

 一方で、限られた財源の中でより効果的な支援を行う、そのために、まず、商店街を構成する店舗の売り上げを大きく増加させる取り組み、二番目として、商店街の集約、統合など構造的な課題への取り組み、これらについて重点的に支援することといたしまして、二つの補助金の見直しを行ったところでございます。

 具体的には、平成二十六年度の補正予算において、店舗の生産性向上などを支援するため、小規模事業者持続化補助金、ものづくり・商業・サービス新展開補助金等により支援を行うことといたしました。また、平成二十七年度から、商店街及び地方自治体間の連携により商店街の自立を促すような、先進的なモデル事例を支援しているところでございます。

 今後とも、商店街とそれを構成する店舗について、すぐれた取り組みを支援することで、商店街全体の活性化につなげてまいりたいというふうに考えております。

菅家分科員 ただ、地域商店街活性化事業とか商店街まちづくり事業、これらは二十七年度から実施されておりませんので、ぜひ御検討いただきたい、このように思います。

 中心市街地活性化法の改正が行われて、いわゆる市町村全て該当することになっているわけですね。ですから、二十六年度、二十七年度にかけて、各市町村における商店会が基本計画を立てて事業を進めていこうと、この時点であったわけですから、そういう今までにない前向きな取り組みをしてきている流れもあるわけですから、ただそういう形でなくなってしまうということは、私は非常に残念だと思っているんです。

 全国でも、今のように計画をつくって商店街の活性化のための事業を目指している商店街もたくさんあるわけでありますので、しかし、平成二十七年度に比べて、平成二十八年度の本予算が商店街限りにおいては減額されているわけでありますので、私としては商店街対策に力を入れるべき、このように考えるわけですが、お考えをお示しいただきたいと思います。

鈴木副大臣 平成二十八年度の本予算の金額は、前年度に比べて減額をしておりまして、約九億円のマイナスとなっておるのは事実であります。

 しかし、他方、一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策等を踏まえ、訪日外国人観光客の消費取り込みにより地域の稼ぐ力を強化すべく、商店街予算については、別途、平成二十七年度補正予算において十億円を計上したところであります。補正予算を含めた金額の対比で申し上げれば、平成二十七年度、二十八年度ともに同等の金額を措置しているということであります。

 なお、この補正予算におきましては、昨年では千九百七十三万七千人でありましたが、年間二千万人と言われている訪日外国人の消費を取り込むために商店街が行う免税手続カウンター、WiFiの設置等の取り組みを支援することといたしております。

 補正予算、本予算により、引き続き商店街の活性化の取り組みを支援してまいりたいと思っております。

菅家分科員 ただ、予算の中身は今説明があったわけですが、先ほどの繰り返しになりますが、商店街まちづくり事業、いわゆるまちづくり補助金等を踏まえた、商店街が計画を進めてきたものには該当しないわけですね。ですから、やはり私は、商店街のそういった、ソフトもあればハードもありますが、そういった点についてもぜひ御検討いただきたいという思いで御質問しているわけであります。

 ちょっと形を変えて、実は、商店街の町並みの整備とか、あるいは魅力的なお店を出店したり、あるいは広場をつくってイベントをやったり、にぎわいの創出に取り組んでいる商店街もあるわけです。地元のことを申し上げますと、例えば七日町通りのように、シャッター通りだったのが、今や、そういった意味では、市民はもちろん、町中観光にもなっている事例もあるわけですね。

 私は、そういった意味では、商店街というのは、経済活動の場だけではなくて、地域コミュニティーの担い手である、このような多角的な観点から重要な地域資源である、このように思うわけであります。

 国として、商店街の活性化をどのようにお考えなのか、お考えをお示しいただきたいと思います。

鈴木副大臣 菅家委員御指摘のとおり、商店街は、まさに地域経済を支える重要な存在でありますし、子育て・高齢者支援、町の安全を支える防犯活動など、地域コミュニティーを支えるまさにキーとなります、鍵となります重要な存在であります。

 このため、我々経済産業省としましても、予算措置によりまして、商店街及び地方自治体間の連携により自立的に活性化をする可能性が高い、先進的なモデルとなり得る商店街を重点的に支援することにいたしております。

 一例を挙げますと、商店街が地方自治体と連携して行う高齢者見守りサービスに対する支援を行っております。既に、福岡県の柳川市あるいは東京都世田谷区の商店街では、商店街が発行するポイントカードの来店情報をもとに、一定期間来店がない高齢者に対しましては安否確認を行う、こうした見守りサービスを実施しているところであります。

 今後とも、こうした地域コミュニティーを支える商店街の取り組みを創出、つまりつくり出して、応援をして、全国展開することにより、商店街全体の活性化に取り組んでいく所存であります。

 以上です。

菅家分科員 なお、地方創生という国策の中で商店街というものを考えたときに、もう高齢化して後継者もいない、極めて深刻な地域もあるんですね。そういったところはやはり、町並みを整備したり、魅力的な商店街にしていくことが観光につながり、後継者にもつながると思いますから、どうかひとつ前向きな御検討をいただきたい、このように思う次第であります。

 次に行きます。

 福島イノベーション・コースト構想、これは大きく期待しております。その中で、ロボットテストフィールド・研究開発拠点整備事業、これは私、非常にすばらしいなと思っているんです。

 資料を見ますと、イメージとして、アメリカのディザスターシティーのようなイメージもあって、災害の現場を整備して、それに対するロボットの開発に使える。これは大いに期待したいですね。これは陸、海、空ですか、災害対応ロボットの開発における施設として大いに期待したいと思っております。

 ロボットが開発された、だけれどもそれを動かすオペレーターが必要だ、各消防団でいろいろ、今消防でそういう戦略を持っているわけですが、やはりそういう意味では、それらロボットの開発だけではなくて、それを動かす人材教育的な、そういう訓練をする施設みたいな機能というんですか、いわゆる災害訓練機能としても、この施設を活用することによって相乗効果が図られる。アメリカのディザスターはあくまでも訓練だけを基本にした施設なんですけれども、日本の場合はロボットを開発する。これは非常に日本的ですね。

 ですから、それをうまく生かすべきだ、このように考えますが、お考えをお示ししていただきたいと思います。

高木副大臣 今御指摘ありましたように、このロボットテストフィールドにおける整備内容につきまして、まず、昨年の十二月に経産省と福島県が共同で検討委員会を設置いたしました。現在、そこの災害対応ロボット等の実証実験に必要となる瓦れき、市街地の災害模擬施設等を整備する、こういったことを検討しております。

 その一方で、本年一月に経産省と福島県で締結した協定書でも、ロボット自体の実証実験のみならず、ロボットを活用した災害対応訓練についても行えるよう、段階的な機能強化、拡充を視野に入れていくこと、これが記載されておりまして、引き続き整備内容を検討してまいりたいと思います。

 今御指摘いただいたように、このイノベーション・コースト構想というのは、ロボットテストフィールドや、また国際廃炉研究といった形で拠点をつくるんですけれども、拠点だけではなくて、そこで何を展開していくか、また逆に、どういった企業や人を集積していくか、それによって新たな町をつくっていくという考え方に立っておりますので、委員の御指摘をしっかりと踏まえて取り組んでまいりたいと思います。

菅家分科員 ぜひ日本版ディザスターシティーを目指して、いかなる災害においても、そういったロボットを活用して、迅速かつ的確な人命救助につながるようなロボット開発と人材育成の拠点になるよう、御期待を申し上げたいと思います。

 次に行きます。次は、いわゆるセルロースナノファイバーについてであります。

 これは、私もいろいろ資料を見まして、すばらしいですね。森林資源、農業廃棄物を原料とする高機能材料だ、鉄鋼の五分の一の軽さ、五倍以上の強度がある材料だ、また、植物由来のカーボンニュートラルな材料でもある、こういうわけですね。具体的にもういろいろ研究開発が進められて、自動車部材とか発電機、家電製品等の軽量化によって燃費効率が改善し、地球温暖化対策へ多大な貢献が期待できる、こう言われているわけですね。

 また、森林資源の活用による循環型社会の実現への貢献も期待をされているというわけでありますから、私はセルロースナノファイバーは将来世界の素材革命をもたらすものだと思いますし、日本再興戦略にもしっかりと位置づけされているわけであります。

 ですから、セルロースナノファイバーのマテリアル利用促進に向けて、まずは国としてどのような取り組みをされておられるか、また、今後どのようにされるかのお考えをお示しいただきたいと思います。

糟谷政府参考人 セルロースナノファイバーでございますけれども、木材などの木質バイオマスを原料としまして、植物しかつくり出せない結晶構造を利用した新たな高機能工業材料でございます。この利用の促進に向けまして、関係省庁や経済界との連携が非常に重要であるというふうに考えております。

 まず、関係省庁との連携、省庁連携につきましては、「日本再興戦略」改訂二〇一四の決定を踏まえまして、二〇一四年八月にナノセルロース推進関係省庁連絡会議を設置しております。

 この会議には、経済産業省のほか、農林水産省、環境省、文部科学省、そして国交省が参加をいたしまして、関係各省の役割に応じた取り組みについて情報共有を図るとともに、施策の連携を進めております。例えば、経済産業省の事業で開発をした技術を、速やかに環境省が、地球環境面でどういう効果があるかということを評価する実証事業を行っていただく、こんな連携を進めているところでございます。

 また、経済界との連携につきましては、二〇一四年の六月に、企業、大学、研究機関の研究者、関係省庁、自治体などが参加をするナノセルロースフォーラムを設立しております。現時点で百七十社以上の企業等が参加をいたしまして、研究開発、事業化、国際標準化を加速するため、セミナーの開催など技術交流やマッチングなどの取り組みを進めております。

 こうした取り組みを通じまして、単に材料を開発するということだけではなくて、社会のさまざまな分野で利用促進が着実に進むように進めてまいりたいというふうに考えております。

菅家分科員 大いに期待したい、このように思います。

 世界に先駆けて低炭素社会、循環型社会の構築を目指し、製紙産業の強みを生かしたいわゆる高度バイオマス産業を国が目指しているというわけでありますから、これは私も大いに期待したいと思っているんです。

 今答弁があったように、高度バイオマス産業の構築というのは、やはり農林水産省、経済産業省、環境であれば環境省を中心にされている。当然、川上の農林産業から川下の化学産業や自動車産業、電機産業等、日本の産業界全体によるオール・ジャパンで取り組んでおられるわけですから、やはり国の先導役というか、大いに期待したい、このように思うわけであります。

 とともに、セルロースナノファイバーは世界的に研究開発が行われておりますね。ですから、今後激しい競争が予想される。でも、やはり、私は、世界をリードして、セルロースナノファイバーの先進国を当然目指すべき、このように考えておるわけです。

 そこで、国際標準化に向けてしっかりと取り組んでいくべきだ、このように考えておりますが、いかがでしょうか。

糟谷政府参考人 セルロースナノファイバーのような新素材におきまして、今後の市場獲得を優位に進める上で、国際標準化活動が非常に大事であります。特に、日本の技術では非常に長い繊維のファイバーがとれるものであります。こうした強みをしっかりと評価されるような標準化が国際的に行われるように、我が国が世界の中で主導的な役割を果たしていくことが重要であると考えております。

 現在、我が国と同様に研究開発を盛んに行っておられる国としてカナダなどがありまして、こうした国が国際標準化に向けた取り組みを行っているところであります。

 日本におきましても、大学、研究機関や企業が協力をいたしまして、ナノセルロースフォーラムで標準化の加速を図っております。また、経済産業省の国際標準化推進事業の中で、産総研、東京大学、紙パルプ技術協会を実施機関といたしまして、国際標準提案に向けた検討ですとか、国際標準化に必要となる品質や特性の評価手法の開発などを進めているところであります。こうした取り組みを着実に進めてまいります。

菅家分科員 どうかひとつ、これからの世界の素材革命、ロボット大国もそうでありますが、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 そこで、どうか、今申し上げたように、このセルロースナノファイバー、これは本当に車の車体から透明なガラスから、ありとあらゆる製品の素材革命につながる、これは新たな成長戦略の大きな柱になる、このように思うわけでありますので、セルロースナノファイバーの利用促進に取り組む大臣の力強い御決意をお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 セルロースナノファイバーは、菅家議員が御指摘のとおり、高性能、高機能で環境に優しい新素材、日本が世界に先駆けて開発を進めているわけでありまして、将来の成長分野として大いに期待しているところでございます。

 引き続き、関係者と緊密に連携して、研究開発そして国際標準化、この取り組みを支援することで、セルロースナノファイバーの早期の実用化を進めてまいります。

菅家分科員 大いに期待してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと存じます。

 それでは、次に行きます。韓国における被災地食品イベント中止についてでございます。

 二月十九日から二十一日に、東日本大震災後、今なお水産物等の輸入規制や渡航制限を課している韓国のソウルにおいて、風評被害の影響を受けている複数の自治体である青森県、福島県及び鹿児島県と連携して、風評被害対策海外発信支援事業である「日本最新!新探索! Explore REAL JAPAN 旬な日本をみつけに行こう!」の開催を予定しておりましたが、残念ながら、韓国の放射能監視センターなどの団体の反対などにより、韓国当局から開催の許可がおりずに、直前中止になったわけであります。

 私は、これは極めて残念だな、こう思っております。関係者の皆様方の御尽力を積み上げてきて、ようやく予算もついて開催の運びになった。ところが、こういう結果になったわけですね。クールジャパンとか、今、海外に進出という大きな流れの中で、風評被害が五年たってもなかなか深刻だというわけであります。やはり直前になって、前の日ですか、中止。これも環境団体からの抗議、これが原因だということなんですね。

 ですから、こういうことは政府も重く受けとめて、各省庁と連携を図って粘り強い風評被害払拭の啓蒙活動をやって、やはりこのようなことのないような対策をしっかり講じていくべきだ、このように思いますが、お考えをお示ししていただきたいと思います。

黄川田大臣政務官 今回の事業中止について、我が省も極めて残念であるというふうに考えております。この風評被害払拭のためには粘り強く取り組んでまいる所存でございます。

 最近の我が国の動向を説明申し上げますと、韓国による日本産水産物等の輸入規制について、外相会談、次官協議、局長協議、また日韓ハイレベル経済協議等さまざまな機会を捉えて、措置の早期撤廃を求めてきたところであります。しかし、解決に至らなかったため、昨年九月、我が国の要請に基づき、WTOに小委員会、パネルが設置されたところでございます。

 我が国としては、韓国政府に対し、WTO協定のルールにのっとって対応するとともに、WTOにおける結論を待つことなく本件規制を早期に撤廃するよう、今後ともさまざまな機会を捉えて働きかけを行っていく考えでございます。

菅家分科員 私は、例えば、東京の環境放射線量の値、ソウルにおける環境放射線量の値がどうなのか、あるいは食料品においても、例えば、被災地におけるベクレルが、同じ機械を使って韓国における農林水産物の調査のベクレルとか、科学的なということを取り組んでいらっしゃるんでしょうけれども、やはり、より具体的にそういった情報の発信、そういう意味では大使館の役割とかが大きいと思うんですね。

 ですから、そういった意味での認識というか、積極的にそういう科学的なデータ、あるいはそういう比較、そういったものをしっかりと対応しながら、当局だけでやってきたけれども、環境団体がなかなか理解できないのでできなかった、やはり啓蒙していくというか、こういったことが今回大きな課題だと思うんです。

 大使館の役割というのは、もう少しそういった意味での役割を持って取り組んでほしいな、このように思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

大菅政府参考人 御説明させていただきます。

 まさに委員御指摘のとおり、さまざまな形での働きかけが必要という観点から、各国政府による我が国産品への輸入規制に関する働きかけ、それから、今回ソウルでございましたような風評被害、こういった対策としまして、大使館、在外公館を通じての各国政府への情報発信、こういったこともやってきております。

 さらに、各国の要人の往来の機会に、首脳レベル、閣僚等、こういったハイレベルでも強く申し入れをしているところでございます。

 さらに、今回のソウルでのイベントはうまくいきませんでしたけれども、こうした形でのPR事業、それから、各国の報道関係者を日本に呼んで実際に見てもらう、こういった形での招聘事業、こういったこともやってきておるところでございます。

 この結果、震災以降これまで、十六カ国において規制が撤廃されるという成果も上げておるところでございます。

 引き続き粘り強く、情報発信を含めて働きかけを強めてまいる所存でございまして、まさに科学的根拠に基づく対応、これが大事であるということを引き続き各国に求めてまいりたいと考えております。

菅家分科員 震災から五年たちました。しかし、現実がこうですね。やはり、最近報道された、「東電、マニュアル見過ごし」とか「判断二カ月遅れ 東電、基準見過ごす」と明らかになった。あるいは、汚染水の問題はどうなのか。

 やはり、五年たった、つまり、原発事故がブロックされて五年たったというのと、中間貯蔵の問題もそうだ、汚染水の凍土壁の問題とか、こういった東電の、信頼を失うような状態が続いているわけですよ。やはりこれが、国際的に見ると、国が安全だと言っても信頼できないことになっているのは、僕は明らかだと思うんです。

 ですから、やはりここは重く受けとめて、何年たったからではなくて、やはり私は、一日も早くブロックする、汚染水の問題から全てブロックして絶対漏らさないという、いろいろありましたね、そういったような、やはり経済産業省として最重点に位置づけして、それがあって初めて信頼が確保されて風評被害の払拭につながるかな、こんなふうに思うところであります。

 これは通告がありませんが、もしよろしかったら大臣から御決意をいただければありがたいと思います。

林国務大臣 菅家委員御指摘のとおりだと思いますし、我々も、福島の再建なくして日本の再建がないという、今、安倍内閣の中で我々閣僚は一人一人が復興担当大臣の自覚を持って対応しろということでございまして、そのつもりでしっかりと、今委員の御意見も参考にしながらしっかり取り組んでまいりたい、このように思っています。

菅家分科員 時間になったので、終わります。どうもありがとうございました。

佐藤(ゆ)主査代理 これにて菅家一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)分科員 おおさか維新の会の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 さて、私は外科医でもあります。医療の分野をずっとやっていたわけなんですけれども、医療もアベノミクスにおいて成長産業の一つと言っていただいているわけですけれども、例えば再生医療に関しても、再生医療の製品は経済産業省の所轄でありまして、ただ、それを患者さんに使うときには厚労省の所轄でありまして、しかしながら、それをつくる段階、研究の段階では文部科学省の所轄でございまして、それらのいわゆるシーズからニーズにたどり着くまで、それぞれにかつては大きな隔たりがあった。それが谷のように比喩されていまして、デスバレーとか言われたりしていましたけれども、私が経済委員会に所属をしているときには、ハイウエー構想といいまして、それをワンストップでやっていこうということでして、経済産業省の皆様も他省庁との連携が必要になってくると思います。

 さて、本日は、そういった観点から、地域経済の活性化、こういった関係で御質問させていただきます。

 どのように他省庁と連携して地域経済の活性化の取り組みを推進しているのか、特に、本日は、国土交通省との連携について、経済産業大臣のお立場からお話をいただければと思います。

鈴木副大臣 地域経済の活性化のためには、インフラ整備などのハード面に加えて、地域の継続的な取り組みなどのソフト面を一体的に推進することが極めて重要となります。

 こうした観点から、我々経済産業省としましては、国土交通省と連携をしながら、中心市街地の活性化を促進いたしております。

 具体的に申し上げれば、国土交通省を中心とする市街地整備、都市福利施設の整備及び町中居住の推進に係る支援と一体となって、中心市街地の核となり周辺地域へ効果が波及するいわゆる高度な商業施設の整備や、まちづくりを推進する上で必要となる専門人材の派遣などに係る支援をいたしているところであります。

 私どもとしましても、引き続き、まち・ひと・しごと創生本部あるいは国土交通省などの関係省庁と密に連携をとりながら、地域経済のさらなる活性化に努めてまいりたいと思っております。

 以上であります。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 鈴木経済産業副大臣から、中心市街地の事例も含めてお話をいただいたわけなんですけれども、それでは国土交通省さんにお伺いしたいんですけれども、地方創生という観点から、例えば大きな橋を新設した場合に想定される経済効果について、一般的なケースが前提で構いませんので、お話をお願いいたします。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、一般的に橋ということで申し上げれば、通常、橋梁が必要というケースを想定いたしますと、ある場所からある場所まで行くときに迂回をしなければ行けない、こういったケースが一つ想定されようかと思います。

 そういった場合に、我が国の都市の場合、河川が、ボトルネックのようになって、そこで渋滞が発生するというようなことになりますと、例えば通勤ですとか通学とかに支障が生じたりとか、あるいは経済関係で申し上げれば、産業の生産性、こういったことにもボトルネックになりかねない、こういったことがあろうかと思います。

 したがいまして、橋梁をかけるということでショートカットができるとか、あるいは渋滞が緩和されるということになりますと、一つは企業の生産性が上がるというようなこともございますし、また、そのことによりまして民間投資が促進されるというようなことになりまして地域経済が活性化する、こういった循環が生まれる効果が一般的には想定されようかというふうに認識してございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 それでは、少し個別のケースについてお伺いしたいんですけれども、私の地元、枚方市、交野市のうち、枚方市と高槻市の間に淀川が流れているんですけれども、現在は枚方大橋という橋が一本しかありません。そのため、枚方大橋に交通が集中して支障が生じているんです。橋はかかっているんですけれども一本だけなんですね。そういった場合、逆にどのような問題が発生しているのか、現在の認識をお伺いいたします。

青木政府参考人 今御指摘の枚方大橋の件でございますけれども、これは国道百七十号の淀川を渡る橋でございまして、大阪府が管理しております国道ということでございます。

 若干データを申し上げますと、一日当たりの交通量が約四万九千台ということでございます。また、混雑度が二・一六。この混雑度と申しますのは、混雑せずに通行できる交通量に対する実際の交通量の比でございまして、一般的には、一・七五以上ございますと慢性的な混雑状態を発生させるというふうに言われている、そんな状況でもございます。

 また、この枚方大橋に接します淀川両岸の京都守口線それから国道百七十一号線、こういったところでも渋滞箇所が存在してございます。特に休日の夕方などでは、枚方市役所から高槻市役所、ここまで大体通常ですと十五分で通過できるところが約二十五分かかるといったような、慢性的な渋滞が発生してございます。

 この枚方大橋周辺での渋滞によりまして、例えば、路線バスが、夕方はダイヤ所要時間が約五分ということで設定されている区間でも最大二十分の遅延が発生するというようなことになりまして、通勤や通学とかに影響している。あるいは、その周辺の企業さんにヒアリングをいたしますと、やはり渋滞ですとか事故ですとか、そういった問題が多くの企業から指摘をされるといったような課題が生じている状況にあるというふうに認識してございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 ちょっと確認なんですけれども、先ほどの話、枚方市役所から高槻市役所という感じでお話しいただいたのと、私の地元、枚方市、交野市のうちの枚方市を中心にお話ししたんですけれども、逆に高槻市からの交通も同じような感じの混雑状態、つまりは二・一六の指数は変わらないと考えてよろしいのでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 混雑度につきましては、道路の容量ということで設定をしている尺度なんでございますけれども、今おっしゃいましたように、例えば枚方から高槻ということでございますと、通勤の多い少ないというのがございますので、朝と夕で渋滞が、朝混むときには反対側は夕方に混むとか、そういったことがよく見られてございます。

伊東(信)分科員 わかりました。

 それでは、このような問題を解決するために、計画として新たに橋を建設する必要があると思うんですけれども、そういった計画の現在の進捗状況とか現状をお教えください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、淀川に新しい橋をかけるというような問題も含めまして、現在、私ども国土交通省の近畿地方整備局、それから大阪府との間におきまして、大阪北東部地域における道路ネットワークの整備のあり方につきまして意見交換をずっと行ってきている状況にございます。

 この意見交換におきましては、先ほど申し上げたような、周辺の道路の使われ方でございますとか、あるいは交通の流動の状態、それから、それに伴って現在の道路にどんな課題があるのか、こういったことを把握、分析するということで、問題意識を共有しながら、大阪北東部地域の道路ネットワークをいかにすべきかといったような検討を行ってきているところでございます。

 お話ございました淀川に新しく橋をかける、この件につきましても、今後、この意見交換の状況も踏まえながら、国交省といたしましては、大阪府とともに検討してまいりたい、このように考えております。

伊東(信)分科員 それでは、私、おおさか維新の会ですので、うちの代表が松井知事でもありますので、大阪における橋の現在の具体的な進行状況というのをお聞かせいただければ幸いです。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、淀川を渡る新しい橋も含めた大阪北東部の道路ネットワークにつきまして意見交換を行っているところでございまして、その意見交換の中で、最近ですと、先ほど申し上げました地域間の交通特性でございますとか、あるいは淀川を渡る部分においての道路交通の課題、これは先ほども申し上げました渋滞の状況、それから、万が一災害が起きたときにどう対応するかというような問題、それから、御案内のとおり、ここには新名神、これは今整備を急いでいるところなんでありますけれども、例えばその新名神の併設橋という選択肢もあるわけなんですが、こういった技術的な検討、そして課題の整理、こういったことを今進めている状況にございます。

伊東(信)分科員 新名神の併設橋に関して、技術的な問題はクリアしているんでしょうか。

青木政府参考人 お答えいたします。

 この意見交換の中で、新名神の併設橋ということになりますと、枚方市側がループでおりてこなきゃいけない、こういった物理的な問題もございますし、それから、牧野高槻線という都市計画が打たれているルートというのがあるんですが、そこと比べました場合、事業費がやはり新名神の方が高くつくということ、それから、先ほど申し上げた災害とか救急といったような整備効果ということで見てみましても、新名神併設の方が効果に劣るというような報告がなされてございまして、現在、大阪府といたしましては、今後は新名神の併設橋ということではなくて単独橋での検討を進めていく、そうしていきたいという御意向と伺っておりまして、今後、国交省といたしましても大阪府とともに検討していきたい、このように考えてございます。

伊東(信)分科員 済みません、質問の中で技術的と申し上げたのは、八幡から淀川に向かって、枚方の市街、京都のところを通るわけなんですけれども、その場合、住宅地及び町中を通るわけで、地下を潜っていくわけですね。地下を潜っていく上で、併設橋をつくろうと思えば、私は外科医なので、オープンの手術と言うんですけれども、上から切って開く、手術に例えますとそういった方法があるんですけれども、もう一つ、今、外科医でも内視鏡というチューブを通す手術があるんですね。同じように、八幡から川までチューブを通す場合、どうしても細い管の方が技術的にやりやすいはずなんですね。

 そう考えると、八幡から淀川まで向かうところで、中をドリルのようにトンネルを掘っていくやり方でやっていけば、そもそも併設橋は無理なのではないかなと思うんですけれども、いかがですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 意見交換会の状況を私どもが把握している限りでは、大変恐縮でございますけれども、今先生が御指摘されたような手法についての検討は行われていないというふうに伺っております。

佐藤(ゆ)主査代理 質疑者に申し上げます。

 本日は経済産業関係予算の審議でございますので、経産関係の質問をお願いいたします。

伊東(信)分科員 済みません。昨日レクをさせていただきまして、通告済みだと思うんですけれども。先ほど僕が申し上げたのは、国土交通省の方から御説明を受けたことを確認の意味でお話しさせていただいたんですけれども。

 それでは、新名神が、橋を渡るときに、その高さの上で、ちょうど新幹線及び京阪電車の上を通る、その上で併設橋は難しいと技術的な御説明も受けたんですけれども、そのことは正しいでしょうか。

青木政府参考人 併設橋ということになりますと、高いところからループでおりてこなきゃいけないという、済みません、先ほどの繰り返しで恐縮ですけれども、そういったことから大規模な用地買収が必要だとか、そういった課題が発生するというふうに承知をいたしております。

伊東(信)分科員 その報告に関していうと、大体いつぐらいにわかりましたか。ループであるがゆえに併設橋は不可能というのは、大体いつぐらいの時期に一応答えとしては出ていましたでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年の初めごろに枚方市さんの方からそういった御報告を受けて、意見交換会の中で議論をされたというふうに承知をしております。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 それでは、牧野高槻線の話は、昭和四十四年からぐらいでしたか、計画がなされて話を進めているということなんですけれども、橋だけじゃなくて、枚方側の道路は整備されていますけれども、牧野高槻線に至る高槻側の道路整備に至っては今進行途中という話をお伺いしましたけれども、そういった状況はいかがになっていますでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げた意見交換会では、牧野高槻線と、それから先ほどお話がありました名神を使う、この比較をいたしまして、まずは名神は課題が大きいということになりまして、それで単独橋で検討、こういうことになったわけでございます。

 現在、御指摘のございました、では実際に単独橋で、どういった形で、どういった場所で、それから、言われましたように、周辺の道路整備も含めてどのようにやっていくか、ここのところをこれからの意見交換の中で整理していきながら、国交省といたしましても大阪府さんと検討を進めてまいりたい、このように考えております。

伊東(信)分科員 それでは、この計画が実現した場合、経済的にどのようなメリットが出てくるのでしょうか。先ほど一般的な質問をお聞きしましたけれども、牧野高槻線で構いませんので、そういった場合、枚方の地と高槻の地を比較いたしましてどのようなメリットが出てきますか。質問二とかぶっても構いません。

青木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、現在、単独橋ということで方針をある程度定めまして、これからでは具体的にという段階でございますので、大変恐縮でございますけれども、御指摘がありましたような牧野高槻線ということを前提として、それ自身がどういったメリットがあるか、例えば数字ベースでこういったものがあるというようなところにつきましては、例えばほかのルートと比べるとかというような作業については、まだ意見交換会の中ではなされていないというふうに承知をしております。

 先ほど申し上げましたように、名神との比較では、整備効果が大きいというところにつきましては一定の整理がなされたわけなんでございますが、それはあくまでもモデルとしての整理ということでございますので、現実にどういった形で整備をするかというところまで及んでの試算というのはまだこれからというふうに承知をいたしております。

伊東(信)分科員 高槻市の話にまたちょっと戻るんですけれども、駅前整備事業などで地域経済の活性化が進んでいる自治体だと思います。枚方市も民間の力で努力しております。

 まず、先ほどの質問一に中心市街地の活性化法の話が出ましたけれども、高槻市の事業もほぼ終わったと思われるんですけれども、どのような進捗状況で、どのような経済効果があらわれたか、総括をお願いいたします。

井内政府参考人 お答えいたします。

 高槻市の中心市街地の活性計画でございますけれども、この三月で計画期間が終了すると聞いておりまして、経済効果を含めまして、その終了も待ちながら、また検討をしていくということになろうかと思っております。

伊東(信)分科員 高槻市だけが、大阪府内におきまして、駅前整備事業などで地域経済の活性化が進んでいる自治体だと思います。これは、中心市街地に関して手を挙げたところだというぐあいにお聞きしております。この場合、地方自治体も六割の負担をしなければいけないということで、自治体自体が手を挙げなければこの事業というのは進まないということなんですね。

 現在、枚方市も民間の力で駅前の活性化など努力をしておるんですけれども、うちの市長なんかが心配しているんですけれども、交通の便がよくなることで、逆に枚方市の人口が流出してしまう。経済の発展のために橋を建てたわけなんですけれども、そういったことで経済的にメリットがあっても、逆に人口が流出してしまうような問題もあるんじゃないかと指摘されているところなんですけれども、そういったところはいかがでしょうか。国土交通省の方、お願いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、地域の整備をして、そのことによって、何らかのアクセスがよくなったことによってかえって流出してしまうというようなこと、そういったことは一般論としては起こり得ることであろうかなというふうには思っております。

 したがいまして、私どもといたしましては、例えば道路を整備するときに、整備をしたならば、どういった使い方を地域の経済の関係者の方々とやっていくか。例えば、私どもストック効果というふうによく申し上げているんですが、こういったことを最大化するような、今言われましたような流出といった問題が起きないような手だてを、まさにインフラのハード施策とともにソフト施策一体として地域で御議論いただく、こういったことが非常に重要ではないかな、こういうふうに思っております。

伊東(信)分科員 わかりました。

 本当に、橋における経済効果というのははかり知れないのかなと思います。特に、枚方市におきまして、枚方市と高槻間の淀川に枚方大橋という橋が一本しかない、こういったことは非常に問題なんです。

 先ほど、青木道路局次長が、大阪府におきまして一定の、牧野高槻線の方針というのが決まったと私はお聞きしたんですけれども、例えば、これより北に行きますと鵜殿ヨシ原もございますし、先ほど他の橋の可能性の話もされましたけれども、他の橋の可能性の話も進行しているのでしょうか、また、具体的にそういった話があるのでしょうか、お聞きします。

青木政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと予断を持たせたような言い方をしたとするならば申しわけなかったと思いますけれども、大阪府の方からお伺いしているところでは、先ほど申し上げました、新名神の併設橋ではなくて単独橋とするということで今後の進め方について国と検討したい、今、こういう整理というふうに承知をしております。

伊東(信)分科員 もう時間になってきました。

 本日、林経済産業大臣にお越しいただいておりまして、冒頭申し上げたのは、医療の話を含めて、この後、厚労でも、分科会で質問させていただくんですけれども、ハイウエー構想の話をしましたけれども、やはり日本の再生には経済が必要だ、経済再生こそ日本の再生というところは、もう政権与党も我々野党も共通認識だと思っております。

 どうしても他省庁との連携が必要になっておりまして、できれば本当に、経済産業省、林経済産業大臣には、そのあたりのところを、他省庁との連携を引っ張っていただきたいと思うんですけれども、最後にちょっとそういったところの御決意とかをいただければありがたいんですけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 経済産業省としては、やはり新アベノミクスの三本の矢のまず第一本目の強い経済をつくるというのが使命かな、こう思っておりまして、そういった意味では、稼げる中小、あるいは小規模事業者に至るまで、経済活動が活発にできるよういろいろ指導していきたいな、取り組んでいきたいな、こういうふうに思っているところでございます。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 これで質問を終わらせていただきます。

佐藤(ゆ)主査代理 これにて伊東信久君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山分科員 民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、衆議院予算委員会第七分科会ということで、経済産業省所管のことについて質問をさせていただきますので、大臣初め皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、まず最初に、私自身、障害者政策に大変力を入れさせていただいております。障害者差別解消法が四月から施行されます。その間におきまして、経済産業省としての取り扱いについて、また、今後の計画、今までの準備、そういったことについて、まずは御説明をお願いいたします。

    〔佐藤(ゆ)主査代理退席、主査着席〕

柳瀬政府参考人 小宮山先生御尽力されました障害者差別解消法も、いよいよことしの四月に施行されます。それを控えまして、経済産業省におきましては、昨年十一月に、所管事業分野向けの対応指針を策定いたしまして、百貨店協会など三百三十の団体に周知徹底を図ったところでございます。

 この実効性を担保するということで、具体的には、小売の事業者の方が宅配を御自宅に届けたときに、障害者の方に御要望があれば、家の中のここに持ってきてくださいといえば届けるとか、レジも、聞こえない方もいらっしゃいますので、金額がわかるようなレジスターを置くとか、あるいは、ガソリンスタンドで今セルフサービスが多うございますけれども、障害者の方から御要望があれば御協力をするというようなこと。それから、経済産業省本体につきましては、多機能トイレ、あるいは床に点字のブロックで誘導をするとか、あるいは、受付でも筆談用のものを置きまして、筆談で受付ができるような対応をしてございます。

 こうした取り組みは、当省のホームページなどでも説明資料を掲載して、普及啓蒙に努めているところでございます。

小宮山分科員 ありがとうございます。着実に、ガイドラインや、また省内においての準備が進んでいるということでもございます。

 しかし、残念ながら、今現在、日本の社会において、障害者に対し、また、さまざまな障害がございますので、それに対して必ずしも理解が進んでいるとは言い切れないものがあると思います。

 ぜひこれからもこの問題について、二〇二〇年にはパラリンピック、世界じゅうから多くの障害をお持ちの方、そしてそれをサポートされる方、また、今までもう既に条約を批准した国々、そういう進んだ方々が日本においでになります。そういう意味においては、一層の評価、またチェック、そういったものをしていただきたいと思います。

 この点に関しまして、大臣の御決意を一言伺わせていただければと思います。

林国務大臣 障害者差別解消法は、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会」というふうに法律の目的にも記載されているわけでありまして、これを実現していく上で大変大きな意義を有しているというふうに考えておりまして、この分野における小宮山委員の取り組みに敬意を表したいと思います。

 経済産業省では、今政府参考人から述べたとおりでございまして、これらの周知徹底を図っているところでございます。

 障害者差別解消法が施行される四月以降、その運用が円滑になされるよう、引き続き本法の周知徹底を図ってまいりますし、内閣府など関係府省庁とも連携して、政府一体となって障害を理由とする差別の解消に取り組んでまいりたいと存じます。

 この取り組みが、障害や難病のある方々も、みんなが包摂され活躍できる社会、すなわち、一人一人が個性と多様性を尊重され、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれが生きがいを感じることができる、いわゆる一億総活躍社会の実現につながるよう、一層の普及啓発に努めてまいりたいと存じます。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 これから、例えば車椅子の方が複数人お店に入る。今ですと、バリアフリーというと、一人、二人が入れるまでぐらいしか考えていない。しかし、五人、六人、十人と団体さんで入られるというと、なかなか入れるお店がないということもあります。逆に言えば、これはビジネスチャンスを逃しているとも言えると思います。ですので、ぜひ、こういう障害をお持ちの方々に対しても、さまざまな観点から、産業分野、特にインバウンドもふえております、関係の業界団体等も含めて、経産省としても力を入れていただきますことを要望させていただきます。

 さて、引き続きまして、無電柱化の推進について質問をさせていただきたいと思います。

 私の地元川越市では、無電柱化への取り組みによって、先例、成功例としてよく引き合いに出していただいております。一番街や大正浪漫通り、さまざまなところで、バリアフリーであったり、また、観光客の方も、今、青空のときは本当に町並みとともに楽しまれて、多くの方が来られています。

 一月に私は成田市にお参りに行きまして、多分大臣のお膝元かと思います。ここも大分長いことかけまして町並みが相当きれいになってまいりました。そういえば、たしか電線も随分なくなったような気がいたします。すっきりとしたし、また、成田からも近いということで、多くの方が成田山新勝寺の方にお参りに来たり観光されたりということで、こちらの方は無電柱化ということによって大きな成果をやはりもたらしているということを実感させていただきました。

 全国の市町村の首長さん有志による無電柱化を推進する市区町村長の会、奈良県葛城市の山下市長さんが昨年十月二十日に市区町村長会を設立されました。現在までに全国二百五十三自治体の首長さんが参加されております。埼玉県内からも、川越市、所沢市、本庄市、春日部市、朝霞市、和光市、桶川市の七市長さんが加入されております。また、二月十六日には民主党無電柱化の在り方を考える議員連盟も発足させていただき、前田武志会長のもと、私も事務局長としてこの無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。

 さて、無電柱化が実施されますと、これまでの電柱が減少することになる。そして、工事のあり方、設置の基準なども変化していくことが推測されます。かかる費用は、国、地方、事業者で応分負担するなどしてきました。

 無電柱化への取り組みは、基本的には国土交通省道路局が中心となるものではありますけれども、電力事業所管の経済産業省、また通信所管の総務省、交通信号や標識所管の警察庁など複数の省庁がかかわっているものでもあります。

 そこで、無電柱化は、防災面やバリアフリー、また景観向上など多面的な効果がありますし、副次的には観光活性化や商業地などの利用価値向上などにより経済効果も期待されるところであります。これに対し、経済産業省としてはどのような認識を持ち、どのように推進をされているのか、省としての方向性、認識をお聞かせください。

林国務大臣 無電柱化は、委員御地元の小江戸と言われる川越市でも、NPOが中心で進められているというふうに聞いております。

 無電柱化に関しましては、電力の安定供給というエネルギー政策上の観点からも推進する意義があるものというふうに考えております。

 これにより、送電線を地中化することで、架空での送電線に比べて、自然災害が発生した場合の被害も小さく、外部からの接触などによる事故も発生しにくいという特徴があるというふうに思っていますけれども、その分費用がかかるというふうに認識をしているところでございます。

 無電柱化は、エネルギー政策上の観点のほか、防災、道路の安全性あるいは快適性の向上、良好な景観といった多面的な効果があるわけでありまして、低コスト化を進めつつ、関係省庁で連携して取り組んでいければというふうに思っています。

小宮山分科員 ありがとうございます。ぜひ連携をしていただきたいと思います。

 それでは、無電柱化推進には送電網を持つ九つの電力会社の協力が重要な鍵となるかと思います。この電力システム改革、電力自由化の進展により、電力事業者、エネルギー供給事業者間の競争が促されていくことと推測もしております。

 今後、敷設に対して、コスト削減につながる規制緩和や技術開発の推進、また、地方自治体に対する負担軽減策の検討も重要な課題かと存じております。

 電気事業、エネルギー産業を所管する経済産業省として、無電柱化推進への取り組みについて現在どのような状況か、お伺いいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、林大臣の方からもお話ありましたように、私ども、この無電柱化の推進、コストが課題である、ただ、これには前向きに取り組むという形で、これまでも規制緩和あるいは技術開発に積極的に取り組んでいるところでございます。

 例えばということでお話を申し上げますと、国土交通省さんのやっている技術検討委員会、こちらにも参加させていただきまして、コストを下げるためにどんな規制緩和が可能かといったことで議論をさせていただきました。

 一つの成果といたしまして、電力線とそれから通信線、これが三十センチ離れていなきゃいけない、こういう決まりが、電気事業法それから通信の方と二つ規制がありまして、これを検討の結果、措置を講ずれば接しても大丈夫だろう、こういった結論を得まして、これを早速パブリックコメントにかけて、実際の省令改正につなげる、こういった動きもやらせていただいております。

 また、技術開発といったことも極めて大事でございますので、低コスト化の技術のための実証というものを二十六年度から取り組んでいるところでございます。

 いずれにいたしましても、この問題につきまして、我が省といたしましても積極的に取り組み、電力会社の協力も得ていきたいと思います。

 一点だけ申し上げますと、今後自由化が進みますが、送配電部門を持っているいわゆるネットワークの部門、ここは、競争といいますか地域独占が残り、やっていくということでございますので、こうした事業者に対してしっかりと指導していきたいと思っております。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 そうはいいましても、欧米、アジアの主要都市と比較いたしましても、日本の無電柱化の率というのはまだ一%と著しく低い割合となっております。これはやはり推進するべきだと思います。また、その際には電線共同溝の整備に関する特別措置法に基づく措置など、さまざまな関係省庁との連絡も重要かと思います。

 ある意味、海外では一番ポピュラーな、普及しているやり方は直埋設かと思います。これも大変コスト削減という意味においては期待されているところでもございます。これに関しましては、安全性が確認されれば直埋設も大丈夫なのか、そういった方向でぜひ進んでいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 直埋設、いわゆる直接の埋設でございます。こちらにつきましては、私どもの技術基準の解釈上は、圧力に耐え得るならば、圧力に耐え得るような形で敷設をする、こういったことを求めているものでございまして、法律上絶対に禁止されているという状況ではございません。

 ただ、やはり安全性を確保するということは極めて大事だと思っていまして、今後、技術調査という形でしっかり確認をしていきたいと思います。

 これは、地方自治体の御協力も得て計画的に進めていくということが事業者にとっての負担の軽減にもなりますものですから、そうした形で取り組んでいきたいと思っております。

小宮山分科員 ぜひ計画的に、また首都直下型、そして南海トラフ、さまざまなところ、また今本当に観光客が海外から多く来られている、できるだけ速やかに、できるだけコストが抑えられるような形で、無電柱化、電線の地中化も含めまして、実現できるように努力をいただきたいと思います。

 さて、本日、私、着物を着てきた理由は、国内の伝統産業振興につきまして、昨年に引き続き、同じ課題で質問させていただきたいと思います。

 実は、そのとき、前の大臣のときにも、国会でもぜひお着物を着ていただきたいとお願いしましたら、にこやかに大きくうなずいていただきました。

 林大臣も、開会日にはお着物を着られて、大変お似合いでございますので、ぜひ、繊維産業発展のためにも、そんなこともしていただければなと最初にお願いをさせていただきます。いかがですか。(林国務大臣「着物、着たことないです」と呼ぶ)そうでしたっけ。

 では、まだであるならば、省内でも若手が頑張っているようですので、ぜひ大臣、率先してリードしていただければと思います。

 さて、昨年一月設置の和装振興研究会での検討内容など、和装の振興について、現在の取り組みの進捗状況と今後の市場規模も含めた経産省としての目標また見解など、現状どうなっているのか、ぜひお聞かせいただければと思います。

糟谷政府参考人 着物の市場は、ここ三十年の間に約六分の一になってしまったわけであります。ただ、他方で、最近若い方々の中で、着物を特別な日だけではなくて日常的に着ようという方々があらわれております。

 こうした動きを後押しし、和装の産業の振興、市場の拡大を図るという観点から、去年の一月から経済産業省で和装振興研究会を開催してまいりました。去年の六月に四つの提言を柱とする報告書をまとめて、具体的な取り組みを進めております。

 第一の提言は、新たなビジネスモデルの構築であります。

 これに向けまして、業界の情報交換、共有の場としての和装振興協議会を去年の十一月に設置いたしました。業界横断的な交流ですとか懇談が活発化したり、新たな市場開発に向けて意欲的に取り組む若手経営者の方がふえているというふうに聞いております。

 提言の二つ目の柱は、着物を着るシーン、場面の増加であります。

 これにつきましては、去年の九月に、代官山でカジュアル着物の二つのブランドを含む試着体験イベントを経済産業省が支援をして行いました。

 また、着物業界の会合、実は必ずしも全員の方が着物で来られたわけじゃありません。ただ、そういう会合であっても、最近、着物での参加がほとんどであるという会がふえております。こういう会に参加をする経済産業省の職員も着物を着て参加をいたしております。

 また、経済産業省は直接かかわっていないところでも、お酒の蔵元などのメーカー主催のイベントに、ぜひ着物で御来場くださいというような内容が書かれるようになったといったような話が聞こえてきております。

 提言の三番目の柱は、着物を活用した地域振興であります。

 委員御地元の川越市は、毎月十八日を川越きものの日として、市の博物館などへの着物での来場者の入場料を割り引くといったことをやられておりまして、観光客の誘致を兼ねた地域振興の取り組みを進めておられます。同様の取り組みが桐生市などでもあります。

 昨年十二月には、新たに富山県の高岡市で高岡着物フェスタというのが初めて開催をされまして、着物を活用した地域振興の動きが着実に広がっているなということを実感しております。

 提言の四番目の柱でありますが、国内外への発信であります。

 この観点から、和装振興に関する政策やニュース、イベント情報などを掲載したメールマガジンの配信を始めました。また、海外への着物文化の発信支援に取り組んでおります。

 具体的には、去年の夏以降、ロサンゼルスでのイベントを経済産業省の事業で支援いたしましたり、ミラノ万博のジャパンデーで着物のパレードを実現するということで現地との調整を行いましたり、また、今月はニューヨークのファッションウイークで初めて着物ファッションショーというのが実現をされました。これも、経済産業省、ジェトロが支援をしております。

 着物は和文化の象徴、日本文化の象徴であるとともに、重要な地域資源であります。地方創生の観点からも着物市場の規模拡大に向けて努めてまいりたいと考えております。

 市場規模の目標ということについてでありますが、正直言いまして、何年にこれぐらいということが立てられるほどの広がりがまだまだ不十分であるというふうに考えております。早くそうした市場目標、市場の拡大目標が立てられるように、これまで以上にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

小宮山分科員 本当に、呉服産業の市場でいえば、ピークのときは一兆八千億ほどの市場規模が現在三千億ぐらいに落ち込んでいるというふうに聞いております。

 私の地元埼玉県も養蚕業が大変盛んでありました。二十年前に県会議員になったときは、養蚕会館がまだございました。しかし、今もう既にそこは駐車場となっております。

 そういう意味においては、本当に純国産の着物というものもやはり目指さなければならないのではないか。ニューヨークでやった着物のファッションショーも大変多くの方が来られたし、また、純粋に伝統的な日本の着物そのままの形でファッションショーをしたということは画期的だったというふうに聞いております。

 また、二月の春節のころの新聞記事には、訪れた中国、台湾からの観光客で、西陣織会館での着物ショーには千人規模のお客様が来られ、大盛況であったという記事も見かけました。

 さまざまな形で着物のよさというものは見直されることでしょうし、また私も、きょうも母の着物ではありますけれども、さまざまな形での着物の流通というものはこれから目指すべきところなんだと思います。

 市場規模に関して言えば、実は古着などは大変安く売られるということがあります。かえってジーンズとかのビンテージものの方が高くなっているということを考えますと、経産省はリフォームの研究会などもされておりますけれども、こういう意味においてはリユースなど、そういった市場価格というものをしっかりと、物によって高く買えるようなものも含めて、もちろん普及するためには、安いノミの市だったりさまざまな会社の手ごろなものも含めまして、さまざまな価格帯でのリユースも含めての市場というものをさらに目指していただければというふうに思っております。

 ちなみに、おもしろいイベントというんでしょうか、企画がございまして、私の地元、小江戸川越の江戸の日というのが三月二十六日から始まります。春祭り、一カ月以上、火縄銃だったり、とび組合によるはしご乗りだったり、民謡流しだったり、さまざまな川越の町を楽しめるようなイベントが毎日のように、毎週のように行われます。

 初日の午後には、江戸の日というのが川越一番街商業協同組合の主催において行われます。ふだん、着物を町に着て行くというのは、お客の方が着て行くんですが、これは何と商店主らが本格的な、ちょんまげもいるんでしょうか、エキストラも含めてプロも入るようですけれども、江戸時代の服装になり、また、さまざまな姿で江戸時代にタイムスリップをするという企画があるそうです。

 ぜひ、大臣も、さまざまな地域おこし、また、そこに恐らく外国の方もレンタル着物で、本当に大勢の方が楽しまれております。そういう意味においては、商店街の活性化、若手が本当に頑張っている、そんな現場も見ていただければというふうに思いますので、これは要望させていただきます。

 ぜひ、そういう意味において、今の話を聞いていると着物が着たくなったんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、和服はまだ着たことがございませんし、着方もわからないものですから、また勉強させてもらいたいと思います。

小宮山分科員 大変似合うと思いますので、楽しみにさせていただきたいと思います。

 さて、着物や、私もお茶の方を教えたりと、さまざまな工芸品等に接するときに、実は伝統工芸品をつくるための道具というものをつくる職人が大変不足をしている。昨年は、しょうゆだるのたがをつくる職人がいなくなっている。今、しょうゆをつくっている若手の方々が工務店と一緒になり、その技術の伝承をし、自分たちでたるをつくり、木だるで本格的なしょうゆをつくるというようなことも頑張って、この一年されております。

 そこで、昨年、伝統的な工法を支える職人不足について調査を強化、内容を充実されるという答弁をいただきました。この結果を伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話がございましたように、昨年のこの分科会の場で、そのような大変重要な御指摘をいただきました。その後、私ども、二百二十二の産地の関係者の方、そして自治体の皆様方、こういう方々を含めた意見交換の場を十五回ほど設けさせていただきました。今御指摘のような課題を含めて、各産地の皆様方の現状の把握にしっかりと取り組ませていただいております。

 また、そういう中におきまして、指導を行う外部アドバイザーの派遣を求める声が大変強くございました。アドバイザー派遣を今年度から新たに開始をさせていただきました。

 今御指摘との関係でいきますと、例えば秋田県に川連の漆器というのがございます。大変原料の木地が不足しておられる、職人さんが不足しておられるということでございましたが、共同購入を始められたというような事例がございます。

 さらに、職人の不足の事態に対応するために、即戦力の人材を育成していく必要があると思っております。伝統的工芸品産業支援事業というものによりまして、伝統的技術、技法の記録の収集、保存、こういったものを行う事業を今年度は六十二件行わせていただきまして、来年度は増額をさせていただきたいと思っております。

 引き続き頑張ってまいります。

小宮山分科員 昨年から見ますと、本当にこの一年、さまざまな努力をしていただいたかと思いますし、また、ものづくりをしている地域に寄り添う、そういった流れができ始めているのではないかという答弁だったと思います。

 まだまだ、例えば友禅染のときに使うふのりというんですか、のりを置く先金というんですが、経済産業省は多分、先金というと別のことを考えるかもしれませんが、道具の方にもありまして、やはりそれがつくれる人が本当にいなくなっていたり、そんなことも伺いました。

 こういったところを考えますと、職人不足が結果として純国産の日本のものがつくれないということにつながりかねません。この対策に関しましてどのような施策があるのか。

 また、伝統技能士制度の活用、まだまだあれですけれども、ドイツのマイスター制度を参考にした技術者の地位向上、賃金確保というものがあってこそ日本のものづくりは進化をしていくし、強化されると確信をしております。

 この点につきまして、簡潔にお聞かせいただければと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、伝統工芸品の流通構造が大変複雑化ということで、職人さんの技術というものが消費者の皆様方にお伝わりにくい、こういった実態があるかと思っております。

 私どもといたしましては、若手職人の方がみずから情報発信をしていただく、あるいは販路開拓、ブランディングを行っていただいて、御自身の能力を世の中で評価をしていただく、こういったお取り組みに対して支援をさせていただきたいと思っております。伝産アカデミーと言っております。今年度に始めさせていただきまして、来年度からは全国にこれを展開させていただいて、職人の皆様方への処遇が改善されるように頑張ってまいりたいと思います。

小宮山分科員 ものづくり日本の基本は、物をつくる人を大切にする、ここから始まると私は考えております。日本のものづくりの根幹の職人の地位向上と、日本のものづくりに対して愛情、情熱を注がれる大臣の決意を最後にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 伝統産業は、長い歴史と我が国独特の風土の中で育まれた伝統的な技術や文化を今に伝える貴重な財産だと思っています。

 先日、小豆島に視察に出向いたときに、小さなしょうゆづくりがございました。本物のしょうゆをつくって伝えるんだということで、昔ながらの大きな木だるを使っていましたけれども、今はその職人がいないということで、自分が職人に化けて、自分で木だるをつくってしょうゆづくりをやっているというのをじかに見てまいりました。

 そういった意味でも、ことしはG7の伊勢志摩サミットもありますし、あるいは二〇二〇年東京オリパラもございまして、日本の文化に対する注目がどんどん高まるんじゃないかと思っています。

 伝統工芸品の工房や産地は、それ自体が貴重な観光資源となる可能性もありますので、インバウンド需要を取り込むべく、体験ツアーの企画や広報活動などの強化に努めていきたいなというふうにも考えているところでございます。

小宮山分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、純国産のもの、隅々までものづくりを支援することをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木紀君。

佐々木(紀)分科員 自由民主党の佐々木紀でございます。

 きょうは、質問の時間を賜りまして、ありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回、私は北陸新幹線を少し取り上げたいなというふうに思うわけであります。

 昨年の三月十四日、北陸新幹線が金沢まで開業いたしまして、もうじき一年がたとうとしているわけではございますけれども、この経済効果は大変大きなものがあるということでございます。

 例えば、これは一月三十一日までのデータでございますけれども、乗車実績が八百三十六万人、前年比の約三倍。これは、東北新幹線は約一・二倍で、九州新幹線のときは約一・六倍でございましたから、物すごい数であります。

 主な観光施設の入れ込み状況、四月から一月ですけれども、兼六園は二百六十五万人、前年比約一・六倍、金沢城公園は二百七万人で前年比が約一・九倍とか、とにかく物すごい観光需要があるわけでございます。これは観光客だけではなくて、ほかにも、企業誘致というんですか、こういったことも進んでおりまして、観光以外でも、ものづくり、そういった企業の本社機能の一部移転であるとか、あるいは企業の進出、こういったことも相次いでいるわけでありますし、観光業に付随する関連産業も大変盛り上がっているということでございます。

 そこで、この北陸新幹線の開業の経済効果について、経済産業省の感想というか見解をお聞きしたいと思います。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおり、北陸新幹線の開通によりまして、北陸と関東圏のアクセスが飛躍的に向上した、こういうことによりまして、さまざまな経済効果があったと承知をいたしております。

 例えば、北陸新幹線の開業以降、お地元の石川県では、今もお話がありましたけれども、観光客は順調に増加をいたしておりまして、昨年四月から十二月の間におきましても、兼六園には前年比五割増し、二百五十万人が来場と聞いております。また、昨年の北陸の主要温泉地の宿泊客数は前年比一五%増、すばらしいですね。

 加えて、東京圏へのアクセスが容易になることから、実際に小松製作所など、本社機能の一部を、これは教育関連でありますが、北陸に移転をする企業も出てきております。また、既に北陸に立地をする企業にとりましても、出張の利便性が向上し、商談面でも好影響があった、こういうことを聞いております。

 このように、北陸新幹線の開業は確実に地域経済に好影響を与えているという認識をいたしております。今後も、北陸新幹線を核としたさらなる地域経済の活性化を期待するところであります。

 以上です。

佐々木(紀)分科員 鈴木副大臣、ありがとうございました。

 新幹線というと、何か国交省の事業みたいな感じがあるわけでありますけれども、やはり地元経済にとっては、大変大きな期待とともに、実際、効果もあるわけでございます。新幹線の開業を経済の振興にもぜひ充てていただきたいというふうに思います。

 こういった経済効果がマスコミ等で漏れ伝わってくるものですから、佐々木さん、新幹線が来てよかったねと、よく県外の方から言われるんですけれども、私の地元は小松市でございまして、まだ実は新幹線が来ていないわけです。金沢以西に当たるわけでございます。地元小松にとっても、加賀市にとっても、あるいは福井にとっても、北陸新幹線ということですから、これまで北陸で一体となって取り組んできたわけでございますので、早く我が町にも新幹線が来てほしいということでございます。

 そこで、北陸新幹線の金沢以西についてお尋ねをしたいと思います。

 きょうは、国交省から鉄道局の皆様にもお越しをいただいているわけで、ありがとうございます。与党の会議等では、たびたびお越しをいただいて、本当にありがたいなというふうに思っております。

 金沢以西でございますけれども、福井まで早くつながらないことには北陸の魅力が輝きを発しないわけでありまして、まさに北陸新幹線「かがやき」が本当にその効果を十二分に発揮するためには、福井、またその先まで延びてこそ、北陸新幹線の経済効果が真の意味で発揮できるのではないかな、輝くのではないかなというふうに思うわけであります。

 そこで、昨年の一月十四日、政府・与党の申し合わせで、三年前倒しということを決めました。予定では平成三十七年度だったわけでありますけれども、それを三年前倒しして、平成三十四年度、二〇二三年三月末までに敦賀まで開業するということを決めていただいたわけであります。

 そこでお尋ねしたいのは、北陸新幹線の金沢―敦賀間の工事について、順調に進んでいるのかということです。特に、中池見付近がラムサール条約の関係もあってルート変更を余儀なくされたということもありましたし、飯山トンネルのような長大トンネルの完成はおくれたわけでありますけれども、新北陸トンネルというのも金沢―敦賀間にあるわけでありますけれども、難工事が予想されるのではないかということでございまして、現在の全体の工事の進捗状況について、お伺いをしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、全体的な状況でございますけれども、北陸新幹線金沢―敦賀間の状況でございますが、本年二月一日現在で、必要な用地が約百三十四万平米ということでございますが、そのうち二十三万平米、約一七%の取得が終わっておるということでございます。また、工事の発注状況でございますけれども、工事延長が全体で約百十四キロございますが、そのうち二十八キロ、これは全体から約二五%ということでございますが、既に契約済みということでございまして、こういったところにつきましては、工事及びその準備が進んでおるというのが全体の状況でございます。

 また、先生御指摘の中池見湿地付近のルートの問題でございますけれども、これは、自然環境への影響を低減すべきであるという専門家による提言でございますとか、あるいは御地元の福井県さんといったところからの御要望も踏まえまして、中池見湿地に与える影響、環境に与える影響を低減するために、従来のルートを変更するということを行いまして、そのための工事実施計画というのを平成二十七年の五月に認可したということでございます。現在、変更されたルートについて、用地取得に向けた設計の協議を行っているという状況でございます。

 あと、先生御指摘の新北陸トンネルでございますけれども、これは工区を六つに分けまして、そのうち四つの工区で契約済みという状況になっておりまして、残り二つの工区につきましても発注手続が行われているところでございます。

 先生御指摘のとおりでございまして、北陸新幹線、金沢までつくっておりましたときに、上越妙高駅と飯山駅の間に飯山トンネルという長大トンネルがございました。これは非常に難工事箇所でございまして、トンネルの五割弱ぐらいが膨張性のある地質でございまして、あるいは可燃性のガスが湧出する地質がトンネルの八割弱を占めるということで、非常に地質の悪い箇所が多うございまして、安全な工事を進める上で大変長期間の時間を要したということがございました。

 一方で、今回工事をしなければいけない新北陸トンネルでございますけれども、こちらも一部地質の悪い箇所があるということは想定されておるのでございますけれども、飯山トンネルほどの地質条件ではなさそうだということでございます。また、これまでのトンネル工事で培ってまいりました経験を踏まえまして、当初予定している工期、これは五年ないし六年程度と見込んでおりますが、それで何とか掘削できる見込みではないかなと思っておりまして、新北陸トンネルが全体工程のボトルネックになるということはないのではないかなというふうに考えております。

 全体の状況は、以上のようなことでございます。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 予定どおり、しっかりと進めていただきたいというふうに思うわけであります。

 線路というのはつながって初めて全体が開業できるわけでありますから、一部でもおくれると全体がおくれてしまうということになります。そういった意味では、金沢―福井間というのは、福井駅が既にでき上がっているということからわかるように、随分前から構想もあって準備もしてきたということですから、予定どおり、むしろもっと早く整備できるんではないかという期待もあるわけであるし、二〇一八年の福井国体なんかも考えたときは、地元の期待もやはり大きかったわけであります。

 そこで、準備が行き届いている金沢―福井間を先行的に開業させることができないかという検討委員会が与党の中で立ち上がって、御承知のとおり、与党整備新幹線建設推進PTの福井駅先行開業等検討委員会というものができて、そこで議論を重ねてきたわけであります。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックもありますので、できれば、それに間に合ってもらえばいいなとか、試乗だけでもいいな、さまざまな声があるわけでありまして、そういった期待に応えていくというのがこの委員会の大きな使命の一つだったというふうに思います。

 この委員会では、議論を重ねて、昨年の八月に福井先行開業の可能性はあるという結論を出して、それに応える形で、国土交通省は文書で回答を出しているわけであります。

 その中には、まず一つ目に、金沢―敦賀間の平成三十四年度末開業の確実な実施、二つ目に、敦賀までのさらなる前倒し開業の検討を含め、早期開業に最大限努力するということ、そして三つ目に、敦賀駅と福井駅の乗りかえの利便性を向上する、主にこの三つのことがこの文書で書かれているわけであります。平成三十四年度末の確実な開業を約束したという点については大変大きな評価ができるというふうに考えています。

 それでお聞きしたいのは、敦賀までのさらなる前倒しに向けて最大限努力するというふうにあるわけでありますけれども、具体的にどのようにするのかということ、例えば工程を見直して前倒しに向けて取り組んでいますよとか、何か具体的な取り組みがあれば教えていただきたいというふうに思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームに設けられました福井駅先行開業等検討委員会、こちらでの取りまとめを受けまして、佐々木先生にも大変御指導をいただきましたけれども、私ども国土交通省といたしましても、「まずは金沢―敦賀間の平成三十四年度末開業の確実な達成を図るとともに、今般のとりまとめ、及び、一年でも早い福井県内での開業への期待もあることを踏まえ、敦賀までの更なる前倒し開業の検討も含め、早期開業に最大限努力する。」ということとなっておる次第でございます。

 実際に早期開業を実現するためには、まず早期の用地取得、それと速やかな工事の発注、また円滑な工事の進捗というのが重要になってくるということでございます。

 現在、金沢―敦賀間では、鉄道・運輸機構におきまして、地元の石川県さんや福井県さんの最大限の御協力をいただきながら、早期の用地取得に努めておるということでございます。また、用地取得された箇所や取得のめどが立った箇所から、順次速やかに工事発注あるいは発注に向けての準備を進めているというところでございます。

 今後も、引き続き早期開業に最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございました。

 そのように、本当に少しでも少しでも詰めていって、全体として前倒しができるように、またお取り組みを引き続きいただきたいというふうに思います。

 続いては、敦賀駅と福井駅の乗りかえの利便性の向上ということについて、今後どのように取り組むのか、教えていただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 敦賀駅及び福井駅における乗りかえ利便性の向上策でございますけれども、現在、鉄道・運輸機構やJR西日本などと具体的な方策について検討を進めておるところでございます。

 どういったことかと申しますと、御利用されるお客様の移動距離の短縮を図ろうという観点から、まず、敦賀駅につきましては、新幹線のホームの下に在来線のホームを新設いたしまして、上下で乗りかえができる施設の整備でございますとか、あるいは新幹線と既存の在来線とを結ぶ連絡通路の整備を検討しておるということでございます。

 また、福井駅でございますが、これは新幹線も在来線も高架でございますけれども、乗りかえの際にお客様が地上階までおりないで、中二階で在来線と新幹線を乗り継ぐことができるような、そういった乗りかえ通路の整備を検討しておるという状況でございます。

 今後、これらの方策につきまして、具体化を図ってまいりたいというふうに考えております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 石川県に住む私どもにとっては、やはり敦賀駅の乗りかえの利便性というのは大変重要なわけであります。今御説明いただいたように、最低でも縦移動というか、上下移動だけで済むような形にぜひしていただきたいというふうに思います。

 北陸と関西・中京圏というのは、文化的にも、産業の意味でも、観光といった意味でも、大変結びつきの強いところでございますから、人と物の交流が大変盛んなところでございます。乗りかえによってそういった交流が途絶えてしまうということは、これは日常生活面においても大変支障を来すわけでございますので、乗りかえの利便性の向上、これは最大限気を配っていただきたいなというふうに思います。

 そこで、敦賀駅でこういった乗りかえが発生しないように、本来であれば、フル規格で整備されるまでの暫定的な措置としてフリーゲージトレーンの導入というものが予定をされておったわけであります。しかし、フリーゲージトレーンというのは開発がおくれているということで、ちょっと出口も見えてこないという状況であります。前倒ししたことによって、そしてまた開発のおくれも相まって、乗りかえが発生することはもう決定的なわけでありますから、これにどう対応していくかといったことを大変懸念されるわけであります。交流が断絶すると、本当に大きな影響が出ますので、ぜひその辺の御配慮をいただきたいなと思います。

 けさも、長崎新幹線の件もニュースになっておりました。ここもフリーゲージトレーン前提で計画が進んでいるわけでありますけれども、こういったことでフリーゲージがおくれていることによって、新幹線の経済効果どころか、ちょっと混乱までしている状況でございます。

 そこで、フリーゲージトレーンの開発についてお伺いをしたいと思います。

 予定より今どれくらいおくれているかということ、そしてまた、長崎新幹線についてはリレー方式で二二年度開業というふうに書いてありますけれども、本当にこれはどうなのかということ、北陸についてはどうなんだ、いつ完成させる予定なのかということについて、ちょっとお伺いをしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 フリーゲージトレーンの技術開発の状況でございますけれども、これは九州新幹線西九州ルートへの導入に向けた耐久走行試験というのを平成二十六年十月から行っておりました。ただ、これは平成二十六年の末にふぐあいが確認されまして、走行試験を一旦休止するという状態に至っております。

 その後、開発主体でございます鉄道・運輸機構においてふぐあいの原因推定や対策案を検討してきたところでございますが、その内容がまとまってまいりまして、昨年十二月に開催されました有識者から成る軌間可変技術評価委員会というところでその内容が了承されたということになっております。

 このため、鉄道・運輸機構におきましては、部品の改良などを行った上で、改めて耐久走行試験を再開する予定ということになっておりますが、その時期でございますが、今後の技術開発が順調に進むことを前提として、来年度後半にこの耐久走行試験を再開できるということでございますので、当初のスケジュールよりは残念ながら約二年程度おくれることになるということでございます。

 その結果、九州新幹線西九州ルート、いわゆる長崎ルートへの導入につきましては、当初は平成三十四年度を予定しておりましたが、今回のふぐあいへの対応を踏まえますと、今後の技術開発が順調に推移した場合、まず先行車というものを最初につくるわけでございますが、この先行車の導入が平成三十四年度、次に、本格的にたくさん車両をつくります量産車の導入は平成三十六年度末になる見通しかなということでございます。

 そうしますと、先生御指摘の北陸新幹線へのフリーゲージトレーンの活用ということはどうなるんだということでございますけれども、北陸新幹線におけるフリーゲージトレーンの活用につきましては、九州新幹線西九州ルートのフリーゲージトレーンの技術開発を前提にいたしまして、北陸の場合は豪雪地帯でございますので、冬季の軌間変換、冬季に車両の幅を変換するということを安全、確実に行う技術開発をさらにプラスアルファで行わなければいけないということでございますので、そういった技術開発などを行った上で、もともとは平成三十七年度末の導入を予定していたところでございます。

 そのため、ちょっと九州の方のフリーゲージトレーンのスケジュールが先ほど申し上げたような状態になってきておりますものですから、今回のふぐあい対策の結果等を踏まえて、北陸の方の具体的なスケジュールについても検討していくということになろうかと思っております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございます。

 九州新幹線長崎ルートについては、平成三十六年末ということで、大体の目標というんですかね、見通しがついているのかなというふうに思います。

 長崎については、本当に早く開発させてあげてほしいなというわけであります。いろいろ地元の声みたいなものも見ていますと、非常に困ったなというふうに思うわけでありますから、とにかく、長崎はフリーゲージトレーンの開発を急いでください。

 ただ、北陸は実は事情がちょっと違うんです。北陸のフリーゲージトレーンというのも、あくまでも暫定措置であったわけであって、フル規格整備を前提としているわけであります。つまり、一日も早く大阪までフル規格整備をすることができれば、今度はフリーゲージトレーンがおくれていても、別に問題ないわけでありますから。

 いずれにしても、敦賀の乗りかえの長期化を避け、かつ、早く敦賀―大阪間をフル規格整備するということが、北陸にとっては一番いい選択肢ということになるわけであります。

 そこで、与党では、敦賀・大阪間整備検討委員会というものをつくって、敦賀以西のルートを早く決めようということをやっています。とにかく、大阪までフル規格で整備しようと思っても、ルートが決まっていないのでなかなか決められない、だから早く決めてほしいということなんです。

 今、幾つかのルート案があるわけでありますけれども、五月までに数本に絞り込んで、国交省が調査をして、客観的なデータをもとに比較して、年度内にルートを決定するという方針なわけでございますけれども、この調査をいつまでに出すのかということです。年内にデータを出せるのか、御回答をお願いしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸新幹線の敦賀―大阪間でございますけれども、これは昭和四十八年に決定されました整備計画におきまして、主要な経過地が小浜市付近とされておるわけでございますが、ルートに関しましては関係者の間でさまざまなお考えがあるというふうに承知をしております。

 こうした状況を踏まえまして、先ほど先生の方からお話がございました、与党に設置されました北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会において、これまでに関係者の皆さんからの意見聴取が行われておりまして、今後、委員の先生方の間での議論が行われていくというふうになると承知をしておるところでございます。

 この与党の検討委員会では、五月ごろまでに調査対象となるルートを絞り込む方針であるというふうに伺っておりますけれども、私どもの調査に関しましては、調査対象となるルートの数でございますとか、あるいは調査をする項目などによりまして、調査に必要となる期間が異なってくるんだろうという面がございます。調査につきましては、内容や期間を含めまして、今後、総合的に検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

佐々木(紀)分科員 そのとおりだと思います。与党の委員会の中でその辺を精査した上で、ルート案が決まれば速やかに調査をしていただいて、結果を出していただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、ルートが決まればすぐにでも着工してほしい、これは地元の本当に強い要望であります。フリーゲージ、これはおくれていて、敦賀乗りかえが長期化するんじゃないかと本当に皆さん心配をしているわけでありますし、出口も見えていないわけでありますから、とにかく、そういった状況自体が敦賀以西のルート選定にもちょっと影響を与えているという状況でもございます。

 ぜひ国土交通省も重く受けとめて、本当にあらゆる手を尽くして、乗りかえの不便を解消し、財源を工面した上で、一日も早くフル規格で大阪まで行けるように整備をしていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、その決意というか見解をお伺いしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸新幹線の敦賀―大阪間につきましては、早期着工、開業するように、御地元において強い御要望があるということは私どもも承知をしておる次第でございます。

 一方で、着工につきましては、財源の確保を初めとするさまざまな課題がございまして、現時点で具体的な見通しが立っているというわけではございません。

 国土交通省といたしましては、与党での議論も踏まえまして、まずは事業費などの、ルート選定に係る検討に必要な項目につきまして調査を行ってまいりたいというふうに考えております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございました。

 そういったことも含めて、与党の委員会の中で国交省としての考えをぜひ述べていただきたいというふうに思います。

 今言われたように、財源がどうであるとか、いろいろ、やはりルートを決めてもその次の段階があるわけでありますから、どうやったら一日も早く整備できるかということを考えていく、提案もしていただきたいというふうに思うわけであります。

 北陸新幹線に対する期待は大きいものがございますので、経済効果等を考えれば、地元のみならず、日本国全体にとっても大変大事なルートでございますので、ぜひ引き続きお願いを申し上げたいと思います。

 北陸新幹線、今お話しいただいたように、大変大きな期待があって、観光客もふえて、関連産業への波及効果も大きいということであります。

 地元では人手不足がすごいんですよね。有効求人倍率を見ますと、昨年十二月の段階ですけれども、全国で一・二七でしたけれども、石川県では一・五。人手不足が成長の機会を失っているんじゃないかとか、経済成長や企業進出の足かせとなっているという声もあるわけであります。

 そこで、経済産業省にお尋ねを申し上げたいと思います。

 生産性の向上、特にサービス業の生産性向上に向けた施策、取り組みが必要だと考えるわけでありますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の四月でございますけれども、日本経済再生本部において決定をされましたサービス産業チャレンジプログラムというものがございます。三本柱でございまして、IT利活用の促進、優良事例の普及、そして人材の育成、こういったことでございます。宿泊で有名な加賀屋さんなどもロボットの搬送システムを入れておられますけれども、こういったITを利活用されるような試みを御支援させていただきたいと思っております。

 二十七年度の補正予算におきまして、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金を措置させていただきました。中小企業、小規模事業者の皆様方のための設備投資を最大限支援させていただきたいと思っております。

 また、中小事業者のこういったお取り組みを後押しするために、中小企業経営強化法をこの通常国会に提出する予定でございます。サービス産業の大宗を占めるのは、御案内のとおり、中小企業の皆様でございますので、こういった方々の生産性の向上を、地域の人手不足に対応していく形で対応させていただきたいと思っています。

 また、ベストプラクティス、優良事例でございますけれども、初の試みでございますが、内閣総理大臣賞である日本サービス大賞を創設させていただいて、ことしの四月に、間もなくでございますけれども、一回目の表彰を行わせていただきたいと思っております。

 また、人材でございますが、全国十七の大学と連携をさせていただいて、サービス経営人材の育成を進めてまいります。これを将来には三十大学ほどに拡大させていただいて、専門的、実践的な教育プログラムの開発を通じて、生産性の向上に頑張っていきたいと思っております。

佐々木(紀)分科員 ありがとうございました。

 北陸新幹線は、地元のみならず、日本全体の景気の浮揚にも便益をもたらすものでございますので、引き続きのお取り組みをお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

関主査 これにて佐々木紀君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)分科員 民主・維新・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 本日は、まず電力系統の関係について質問させていただきたいと思います。

 私は、地元は群馬県でございます。群馬県は、日照時間が大変長いということもありまして、いわゆる太陽光発電、ソーラーパネル等も盛んでありますが、昨今、昨今といってももう随分前からなんですけれども、そういうソーラー発電が集中することで電力系統の容量が埋まってしまうということで、新たな再生可能エネルギーが接続できないというような状況になっております。特に、メガソーラーみたいなものがありますと、その容量を埋めてしまうわけであります。五十キロ以下のものについてはオーケーだということにはなっておりますが、それ以上のものというのは今接続制限がかかっている、群馬県北部総じてそういう状況になっているわけであります。

 一方、例えばみなかみ町とか、水上温泉等で有名ですが、そういった地域では、過疎化が進み、産業も余りないということで、ソーラーではなくて、例えばバイオマス発電というようなものをやって地域活性化の一助にしようじゃないか、そういった動きも出ているわけです。

 周りには木がたくさん生えておりますし、中には、なかなか間伐ができないというようなところもある。そういうところの木を使ってバイオマス発電をすれば、いろいろな意味で、林業の振興にもつながるし、地域の活性化もできるというようなことでやっているんですが、大した大きさの施設ではないのに電力会社側の都合で接続ができないという状況になっていて、地域によって接続できるところとできないところがあるというのはある意味非常に不公平でありますし、固定価格買い取り制度、FITの理念にも反するのではないか、私はそのように感じるわけであります。

 特に、電力系統の空き容量が埋まってしまうという状況の主な原因は、いわゆる大企業、大資本の展開するメガソーラーを中心とした太陽光発電にある。もちろん中小のものも太陽光はありますけれども、これはパネルをつくれば、あとは基本的に大したメンテナンスは要らない、人手はかからないということですから、つくって放っておけば日々売れるということなんですが、バイオマスなんかだと、日々木を切ってそこに入れなきゃならない、そういったことであります。

 逆に、そういったことであるから、地元が活性化する、仕事が生まれる、産業になる。こういうことで取り組んでいる人たちがいるのでありますけれども、そういった大きな投資、巨大投資によるソーラーみたいなもののために、逆に、地元で本当に、中小企業や農家あるいは林業をやっている方々が手弁当でやろうとしている事業ができないというのは大変理不尽ではないか、私はそのように考えるわけであります。

 それで、まず、経済産業省の方に、現状認識、どういうふうに認識をしているか、また、この電力接続の問題についてどのような問題意識を持っているか、これについてお伺いしたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーは、固定価格買い取り制度のもとで、制度開始三年で導入が倍増ということで、大変大きく伸びているわけでございます。

 ただ、今委員御指摘ございましたように、太陽光を中心とした導入が急速に進んだということで、国民負担の上昇という問題があるとともに、送電線の受け入れ制約といったような問題が顕在化している状況にございます。特に、今委員御指摘ございましたように、もともと電力の需要が小さかった地域においては、送電線の容量が不足しているといったことがかなりはっきりしてきている、こういったような事態が生じているわけでございます。

 こうした再エネの導入拡大に伴って送電線の受け入れ制約が出ているといった問題を解消するために、一つは、送電線の増強を行う際の費用負担のルールを決めるということ、それから、一人だけでは負担を負い切れないというような場合においては共同負担で送電線を増強していくといったような方法を導入していく、また、そもそも、どの送電線が埋まっていてどの送電線にあきがあるのかという情報がわからないと発電事業者の方も立地のしようがないということがございますので、そういった情報の公開など、対策を進めているところでございます。

 また、さらに、根本的な問題として、今国会でもFIT法の改正をお願いしたく思っておりますけれども、まさに、未稼働案件というのが大量に発生して、これが後発の案件が入るのを妨げているといったような事態もあるわけでございまして、こういったものを排除、防止するような仕組みを入れていくといったようなことも必要になってくると思います。

 また、御指摘ありましたように、中小水力でございますとかバイオマスといったような電源というのは非常に貴重な、重要な電源だと思っておりまして、我々としても、さまざまな予算支援措置も含めて、応援をしていきたいというふうに思っているところでございます。

宮崎(岳)分科員 例えば、メガソーラーというものを導入しようとすれば、当然大きな送電網が必要になるということだと思うんですね。そういうものは到底受け入れられない状況ということは私もわかるんです。

 しかし、一方、例えば二百キロワットとか三百キロワットとか、そういう小規模な再生エネルギー発電、特にここではソーラーは除く、太陽光は除くというふうにいたしましょうか、こういったものは現実としても接続可能なケースというのは多いんじゃないか。五十キロワットの受け入れというのは今でもやっているわけですから、それをもちろん同じところにつなげるかどうか技術的な問題はいろいろあるとしても、二百、三百、そういった小規模なものをつなぐということは、現状でも実は可能なんじゃないかというような見方もございます。

 太陽光を認めてしまうと、今度はそういう小規模なものがどんどんどんどん林立してというおそれもあるわけでありますが、バイオマスなどというものは簡単にはできないわけです。木を切ってきてチップにしてそこに入れるとか、そういう作業が伴って、火を燃やし続けるということに人手も要ってということでありますから、つくってただ放っておけばそのまま何とかなるというものではない。だからこそ、地域の人は、そこに仕事が生まれるからやりたい、こういう話なのであります。

 太陽光は除いたとしても、それ以外の再生エネルギーについて、小規模なものについては、先ほどの御説明の中にも、本当に容量が足りないのかどうかそれぞれ細かく見ていく必要があるという話があったと思うんですが、こういったバイオマスあるいは小水力みたいなものについては、小規模のものについては、もう一回接続できないかどうか確認をして、できるものは認めるという方向でやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私は、電力の系統の方を担当しております。

 先生御案内のとおり、送電線には熱の容量というものがございます。つまり、その数字以上の送電を行いますと送電線が発熱してしまって、送電設備が故障する、こういった問題があります。これは我々は物理的な限界だと思っております。私どもは、この容量以下であれば、これは再エネであろうが火力であろうが、種別にかかわらず公平に接続の申し込みを受ける、こういうふうな形でやっております。先着優先というふうに申しております。

 こうしたルールがある中で、今先生御指摘のように、もし例えばバイオマスとか水力だとか特定の小さなものは優先して認めようじゃないかというふうなことにすると、どうなるだろうかということでございます。

 私どもは、小水力とかバイオマスの重要性を何ら否定するものではございませんけれども、やはり、後から接続を申し込んだものであっても小さいから押しのけていってもいいよというふうなことに仮にいたしますと、これは接続を既に申し込んでいる方々との公平性の問題が生ずるかと思いますし、また、そういうことでありますと、早く計画をつくってお願いすれば何とかなるかなといった方々との関係では、予見性の確保という点でも問題になろうかと思っております。

 したがいまして、私どもは、特定の電源を接続申し込みに関しまして優先するということはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。

 物理的に今の容量では難しいといった場合に、では物理的に設備を増強しようじゃないか、こういったことはまた別途考えられるかと思っております。その場合には、公平な公募のスキームなどを使うことによって設備の増強を図っていく、こうしたことで規模の大小を問わずにしっかりと再エネの導入拡大を進めていく、こういった考え方を現在はとっているところでございます。

宮崎(岳)分科員 今、電力会社によっては、私のところは東京電力の管内でありますけれども、入札制度を導入しまして、もし接続するのであれば設備の増強が必要である、その設備の増強に費用を負担してくれ、それを幾らぐらい出せるかということも含めて入札で決めようじゃないか、こういう話になっております。

 大きい事業者であればそれはいいと思うんですね。応益負担ということで自分たちがそのお金を出すということもできると思うんですけれども、本当に、二百キロワット、三百キロワットみたいなものは、その負担をしろというのは余りに酷であるというふうに思うんですね。

 ですから、そういったところに全く同じスキームを当てはめるのは、先ほどの接続の話もそうでありますけれども、先着優先とは言いつつも、五十キロ以下のものについては現状でも認めているわけですね。ですから、それは別のルールが当てはまれば何ら不公平ではないと思うんです。

 そもそも、メガソーラーと中小の、特に小規模のバイオマスや小水力とを同じ土俵に乗せること自体がちょっと理不尽なところもあるわけでありますので、優先して接続するとか、あるいは空き容量を見つけて、つまり、一万接続しようと思えばできないけれども二百だったらできるという地域もこれはあると私は思うんですね、本当に地域によりましょうけれども。

 そういったことを含めて、例えば、そういうあいているところでは認めるとか、あるいはその費用について行政の方で何らかの補助をするとか、そういったことについて考えることはできないのかというふうに思うんです。その支援についてはいかがお考えですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大前提といたしまして、先ほど多田から答弁いたしましたように、熱容量の限界があって、それを超えることはできないということでございますが、逆に言えば、そこまでの間については受け入れをしていくということでございます。

 先ほど来、五十というような話が出ておりますけれども、これはつなぎ先が違うということになりますので、今回のケースとはやや違う話ではないかというふうに思っております。またそこはよく吟味する必要があろうかと思っております。

 その上で御答弁申し上げますが、実際に系統容量を拡大しなきゃいけないということになった場合に、これは当然工事をしなきゃいけない、費用負担が発生するということになるわけであります。これは受益者が負担するということで、これまでの場合は、発電設備を設置される方が原則として負担するというのが基本的なルールであったわけでございます。

 これに関しまして、発電設備の設置者が費用負担をする部分と、送配電事業者の方で整備をして後々託送料金という形で広く需要家から回収するという一般負担、この二つを適切な割合で割って、それで負担をしていくといったような考え方をとろうということで、昨年十一月、特定負担と一般負担の割合を算定するために費用負担ガイドラインというのをつくりました。これによって、発電設備をつくられる方の負担というのは軽減されるのではないかと思っております。

 また、これとあわせまして、私ども、中小企業者等の再エネ発電事業者が発電設備、系統増強に係る費用の資金調達を円滑化するために、低利融資制度というのを設けてございます。この中で、バイオマス発電については特別利率を適用するといったような対応もとっております。今のは政府系の金融機関から借り入れをされる場合ですが。

 また、来年度予算案におきましては、民間金融機関から融資をされる場合には一定の割合で利子補給をするといったような制度も新しく設けたいというふうに思っておりまして、そういった中で、バイオマス発電について、より有利な条件でこれを適用していくといったようなことも検討してまいりたいと思っております。

宮崎(岳)分科員 今のところをもう一度改めてお願いしたいんですけれども、私は専門家ではないのでよくわからないところがあるんですが、例えば九千キロワット空き容量があるというところがあったとしますね。そこに、先着順でいうと一万キロワットの事業者が名乗りを上げている。そうすると、当然、九千空き容量はあるんだけれども一万は受け入れられない、こういう状況が発生するとして、その二番手、三番手に二百とか三百とか五百とか小規模なところが待っていたという場合、これは空き容量があっても受け入れられないという状況になっているんでしょうか。そういうわけではないんでしょうか。教えていただけますか。

藤木政府参考人 まず、申し込みの順番が、先に例えば一万の方が来られて、調べてみた結果たまたまあきが九千しかないということになりますと、これは電力会社の方から、あきが九千しかありません、したがってこの九千という条件でおやりになるかどうか、やる場合はこういう条件ですよというのを御提示して、それで、やりますということになれば九千は使われるということになりますし、いや、九千だったら私はやりませんということになりますと、申し込みは撤回されて、次の方が交渉のあれになってくる。先着優先ということですから、原則としてはそういう並びである。

宮崎(岳)分科員 とすると、やはり基本的には空き容量がないから今もとめていると。最初に、調査をもっときめ細かくやるんだということをおっしゃいましたので、調査をすれば空き容量が生まれてくるということなのか。そうでもなくて、ないものはないということなのか。これはどうなんでしょう。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に申し上げたのは、現状の空き容量について情報公開をしていただくということでございます。その中で、電力会社の方で把握されている情報を全部出していただくということでございますので、恐らく、今あきがないというようなお返事をされているものについて、実はよく調べてみたらあきがあったということはそう多くないのではないかというふうに思います。

宮崎(岳)分科員 それであれば、やはりここはもう一度よく御検討いただきまして、バイオマス、小水力、そういった地域の活性化に資するようなもので小規模なものについては、メガソーラー等と同じ枠組みではなく、一定の補助をきちんとやってあげるとか、そういう支援をしていただくことが望ましいのではないかというふうに私は思います。

 もちろん、FITという制度自体は、そういう補助をしないというのが原則でできた制度だというふうには思うんです。ただ、この場合は地域格差がありますから、ある地域ではできるのに、ある地域ではできない、こういう状態が生まれているわけであります。

 大手の事業者であれば、できる地域に行こうということで済むわけですけれども、地場の中小企業が集まって、農家が集まって、山持ちの方々が集まってやろう、自分たちの給料は要らないけれども、自分たちでお金を出し合って、せめてお小遣い銭程度お支払いをしてやっていこうというような形のときに、この人たちにだけ負担をかけるというのは私は公平さに欠けるというふうに思いますので、やはり、特定の地域でそういうことができなくなっているという現状のもとでは補助が必要じゃないかというふうに思っております。

 この点について、もう一度、参考人にお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点、先ほど御答弁申し上げましたように、例えば中小規模の事業者の方が送電線を整備せざるを得ないといったような場合については、低利の融資制度あるいは利子補給制度といったようなことでそういった資金負担を応援するといったような制度を、既にある、あるいは新しく始めるといったようなことに取り組んでまいりたいと思っております。

 それからもう一点、FITということになりますと、これはまさに全国大の系統につないでということになりますので、今申し上げたように、特定の者だけを、逆に申し上げますと、ひいきするということはなかなかやりづらいわけでありますが、一方で、地産地消、村でつくって村で使う、FITとは別の世界で地元で使われるといったようなものについては、我々は、別途、補助制度というのも用意しておりまして、そういった地産地消型の新エネルギー開発といったようなものについていろいろな形で応援するといったメニューも考えているところでございまして、ぜひまた御活用いただければというふうに思っております。

宮崎(岳)分科員 容量拡大のための費用を他の事業者と共同で負担するというような事業も冒頭紹介いただきました。そういうことについて、かつてより状況がよくなっているのかなという気はいたします。ただ、現実になかなか実現できないというのは大変な問題だというふうに思っております。

 私は、何もメガソーラーを敵視しようというわけではないわけです。しかし、ある意味で、非常にお金のあるファンドとか、外資系も含めて非常に資本力がある、お金のある人たちが山林やゴルフ場の跡地みたいなところを切り開いてやるということは、もちろん、CO2を削減するとか、あるいは原発への依存度を下げていくとかという点においては意味があるんだと思いますが、しかし、地域の活性化に結びつくものではないんだというふうに思うんですね。

 地域の活性化に結びつくのは、バイオマスであったり小水力であったり、形はいろいろであっても構いませんが、そこで仕事が生まれたり、物が動いたり、そういうことができるものというのが大切なんだと。特に、規模が小さくて、自分たちはもうけはなくてもいい、なくてもいいんだけれども地域の活性化のために何とかこういうものをやっていきたいという人たちの思いを生かすことが国の責務だというふうに思っております。

 そういった意味で、この送電の接続に支障が出ている問題については、やはり経産省が旗を振って解決をしていただきたいというふうに思うんです。

 今、細かいことについてはるる伺いました。しかし、政治主導でこういった問題については解決をしていただきたいというふうに思うんです。大臣の御地元はどうかわかりませんけれども、やはり全国で同じことで困っている村がたくさんあり、そして同じことで困っている中小の事業者の方々というのが本当にたくさんいるというようなことを踏まえて、大臣から、政治家としてのこの問題の解決に向けた決意を聞かせていただければというふうに思います。

林国務大臣 再生可能エネルギーは、国民負担を抑制しつつ、最大限の導入を進めていくという方針でございます。

 宮崎先生御指摘の送電網の容量不足の問題は、再生可能エネルギーの導入拡大を図る上で克服しなければならない大変重要な課題であるというふうに思っています。

 このため、参考人からも答弁させましたけれども、まず、送電線の増強を行う際の費用負担のルールを定めなきゃならない、それが一つ、それから共同負担により送電線を増強していく、三点目は送電網の空き状態の公開など、送電網の整備と活用を促すための対策を講じていきます。

 いずれにいたしましても、今国会に提出しました固定価格買い取り制度の見直しを初め、エネルギーミックスに示された再生可能エネルギー導入水準、つまり二二%から二四%でありますが、この実現に向けて取り組んでまいります。

宮崎(岳)分科員 力強いお言葉をいただいたというふうに理解をしたいと思います。

 最後にもう一度この件について申し上げますが、ソーラー、太陽光であれば、基準を緩めた途端に業者が殺到して、例えば電力を利用している方々の負担が重くなるということもあると思うんですね。しかし、例えば小水力であったりバイオマスであったりというものは、実際に木を切り出したり水利権を確保したり、そういうことも伴いますので、やりたい人が殺到するというものでもありませんし、実際に利益が出るというものでもないんだと思います。それでもこういうことをやりたいんだという地域の人々の思いを生かしていただく経済産業行政を期待させていただきます。

 もう一点質問をさせていただきますが、時間が大分なくなりましたので、簡単にさせていただきます。

 前橋市はこのほど、インキュベーション施設、前橋市創業センターを開設したりとか、あるいは、市と商工会議所、税理士会、社労士会、その他さまざまな団体と連携しまして、まえばし創業支援ネットワークを設立するなど、官民一体となって起業の拡大に力を入れております。

 その中でいろいろな課題も明らかとなっているんですが、まず、厚生労働省からも参考人に来ていただいておりますので、一点、アクティブシニアを対象にした起業支援というものについて、どのように取り組むかを伺いたいと思います。

 元気な高齢者ということでありますけれども、定年後、もう一つの人生を、起業によって会社を経営する、新しいビジネスをやるということでやっていただきたいと。一億総活躍を掲げている政府にとっても期待のできる分野なのかなというふうに思いますので、そのようなアクティブシニアへの起業支援という観点から、どのような取り組みを行っていくか、ちょっとお伺いできますか。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、企業に雇用される働き方以外にも、中高年齢者の起業によりまして、これまで培ってまいりました専門的な技術を生かして活躍することは重要であると考えてございます。

 厚生労働省におきましては、来年度予算案におきまして、中高年齢者が起業に際して従業員の新たな雇い入れを行う場合に、その採用や教育訓練などの雇用の創出に要した経費を助成する生涯現役起業支援助成金を創設することとしております。

 この助成金の支給に当たりましては、金融機関等からの融資を受けていること、雇用創出等の計画書を事前に提出していること、期間内に中高年齢者を継続して雇用する労働者として一定人数以上雇い入れることなどを主な要件としてございます。

 助成額につきましては、起業者の年齢区分に応じまして、雇用の創出に要した経費を助成することとしておりまして、例えば、六十歳以上であれば、二百万円を上限といたしまして経費の三分の二を助成、四十歳以上五十九歳以下の場合であれば、百五十万円を上限といたしまして経費の二分の一を助成することとしてございます。

 厚生労働省といたしましては、この助成金の活用促進を図ることによりまして、人材確保の面から支援して、その雇用機会を創出してまいりたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 では、次は大臣にお伺いしたいと思います。

 今、起業支援に国としても全力を挙げて取り組んでいるところだというふうに思うんですが、実際にこういう取り組みをやっている方からは幾つかの注文も出ております。

 例えば、最初の一回だけの支援であって、その後のチェックあるいはフォローが不足している、もっと、三年、五年、ある程度のスパンを持って、つまり立ち上げるだけじゃなくてそれが回転をきちんとしているというところもチェックし、フォローもすべきでないかという意見。あるいは、起業を促進するにはハードだけでなくソフト面のサポートが重要であって、例えば、講師を派遣したり、アドバイザーを雇ったり、あるいはセミナーを開いたり、そういうソフト面の支援が大切ではないか、そのための予算がハード面に比べて薄いんじゃないか、そういう御指摘もいろいろあるわけであります。

 そういうことも含めまして、総括的に、国の起業支援という立場から今後どのような方向で取り組んでいくのかということを大臣にお伺いできればと思います。

林国務大臣 平成二十五年の六月に閣議決定されました日本再興戦略におきまして、「我が国の起業・創業を大幅に増加させ、開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(一〇%台)になることを目指す」との目標を掲げています。

 この目標達成に向けまして、関係省庁、関係機関が一丸となって、包括的な創業支援に取り組むことが大事だというふうに思っております。

 経産省では、経営ノウハウや資金力の不足といった問題を乗り越えて、創業に果敢に挑戦できるように、まず、産業競争力強化法に基づきまして、各市町村が支援事業者と連携して、創業塾の開催、ワンストップ相談窓口を整備するといったような計画の策定を促進しています。

 また、創業者に加え、創業予定者を対象とする政府系金融機関の低利融資、あるいはエンジェル税制、創業促進補助金、創業スクールなどによる起業家への資金及びノウハウ面での支援などを行っているところでございます。

 我が国を起業大国とするべく、施策を総動員して、今後とも地域の創業を力強く支援してまいりたいと思っております。

宮崎(岳)分科員 ぜひ、この創業を起爆剤にするということでお取り組みをお願いしたいと思います。

 先ほど申し上げました、一回だけの支援じゃなくてチェック・アンド・フォローが大切である、また、ハードだけでなくソフト面のサポートが重要である、この点について最後にお伺いをして、質問を終えたいと思います。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 創業者が中期的に事業を発展させていくためには、創業時における支援だけでなく、創業後も引き続き、地域の創業支援事業者による継続的なチェック、フォローを受けるということが重要であるという委員の御指摘はごもっともであると思います。

 そのような観点で、全国の市区町村において、今大臣の方から御紹介がありました、継続的な創業支援体制の構築を図るという観点で、まさに産業競争力強化法を新法として制定し、環境整備に努めているというところでございます。

 具体的には、この法が施行されまして現在までにちょうど一千の市区町村が国の認定を受けるに至っておりまして、認定支援機関、地域の経済団体、金融機関と連携をとりまして、ワンストップ相談を初めとした継続的な支援を行っているというところでございます。

 今後とも創業者に対しきめ細かな、かつ継続的な支援を行うということを、引き続き、各市町村等における創業支援体制の整備を促進しながら、進めていきたいというふうに考えております。

宮崎(岳)分科員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

関主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑野君枝君。

畑野分科員 日本共産党の畑野君枝です。

 経済産業省が確認されているとおり、ことしに入って鉄鋼業では重大事故が多発しています。

 まず、二〇一〇年から二〇一六年現在までの鉄鋼業の労災死亡事故人数の推移について伺います。

    〔主査退席、佐藤(ゆ)主査代理着席〕

糟谷政府参考人 鉄鋼生産及びそれに付随する事業活動に伴って発生した死亡災害として、日本鉄鋼連盟から経済産業省が報告を受けている人数について申し上げます。

 二〇一〇年は四名、二〇一一年は十一名、二〇一二年は十五名、二〇一三年は七名、二〇一四年は十五名、二〇一五年は十一名、二〇一六年は現在までに五名でございます。

畑野分科員 お手元に資料を配らせていただきましたけれども、それが今お話のあったこの間の死亡者数の推移のグラフでございます。この資料によりますと、ことしですけれども、労災死亡人数は既に五人、ことしの二月十七日時点でこういうふうになっております。

 ことしの五人の死亡事故について、日時、企業名、事故の概要について伺います。

糟谷政府参考人 一つ目の事故でございますが、一月九日、新日鉄住金大分製鉄所におきまして、塗装補修中、補修用足場の架設作業時に墜落をされた事故でございます。

 二つ目は、一月十三日、JFEスチールの東日本製鉄所におきまして、クレーンの点検中、運転室の床が傾いて墜落された事故であります。

 三つ目は、一月十五日、共英製鋼の名古屋事業所におきまして、クレーンで鋼片を移動中、鋼片がマグネットつり具から外れて頭上に落下したことによる事故でございます。

 四つ目でございますが、二月十二日、新日鉄住金大分製鉄所におきまして、精錬設備の補修中、内部に残っていた高温の溶けた鉄が漏れ出して、それに触れられたという事故であります。

 五つ目の事故でございますが、二月十六日、新日鉄住金大分製鉄所におきまして、原料の荷おろし用のクレーンの清掃準備中に墜落をされたというものでございます。

畑野分科員 重大な事故が相次いでいるわけです。

 資料の二枚目以降につきまして、経済産業省より資料をつくっていただきました。この中では、新日鉄住金大分製鉄所でことし三人が亡くなっていらっしゃるということもあります。それで、私は、二枚目以降、二〇一六年、それからさらに三枚目、二〇一五年、そして四枚目は二〇一四年の三年分の労災死亡事故に関する資料を提出していただきました。

 このような鉄鋼業の労災発生に対して、この間、経済産業省としてどのような対策を行ってきたのか伺います。

糟谷政府参考人 鉄鋼業は、従来から重篤な産業事故が多い業種でございます。死亡者数は、一九八〇年代の前半に比べるとおおむね半減したとはいうものの、一進一退を繰り返してまいりました。

 このため、昨年六月、鉄鋼業における過去十年程度の取り組みと課題を踏まえまして、産業事故防止に向けて各社が取り組むべき十三の取り組みを取りまとめて、各社への普及啓発、業界や業種横断的な情報共有などを促してきたところでございます。

 にもかかわらずことしに入って立て続けに死亡事故が発生したことを、経済産業省といたしましては極めて重く受けとめているところでございます。

 このため、第一に、一月、二月の二回にわたりまして、日本鉄鋼連盟に対して注意喚起を行いました。

 第二に、新日鉄住金大分製鉄所でことしになって三件目の死亡事故が発生した直後の二月十七日には、現地へ担当管理職を緊急派遣いたしまして、事情の聴取を行うとともに、原因究明と再発防止の徹底を指示いたしました。

 三番目に、同じ二月十七日、日本鉄鋼連盟に対しまして、従業員が立ち入る全ての場所の安全性の再確認などの取り組みを文書で要請いたしました。

 本日の午前中も、日本鉄鋼連盟の主要各社の安全責任者に対しまして、厚生労働省とともに、改めて指導を行ったところでございます。

畑野分科員 ことしの死亡事故の件で、一月十四日付神奈川新聞の記事では、一月十三日のJFEスチール東日本製鉄所京浜地区の事故について報じております。三十九歳の社員の方が、クレーンの操縦室、高さ約二十メートル付近から転落、地面で頭を強く打ち死亡した、何らかの原因でクレーン操縦室前の床が抜けたと見て、調べられているということが言われております。

 私も、地元の労働者の方からお話を伺ってまいりました。現地にも伺いました。ある労働者からは、危険箇所を直ちに補修するようにしてほしいという要望の声が寄せられております。

 先ほどお話があった二月十七日の経済産業省の要請、これを周知徹底するとけさもおやりになったということですが、そのことを初め、直ちにこの危険箇所の対策などを講ずるべきだと考えますが、林経済産業大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 労災事故で亡くなられた方々への御冥福をお祈りするとともに、こうしたことが繰り返されることがないよう対策を徹底してまいりたいと思います。

 参考人からも答弁したように、鉄鋼業界に対しましては、本年二月十七日に発出した文書におきまして、屋外や、厳しい環境下に置かれている機械設備の周辺、通路等を含め、従業員が立ち入る全ての場所の安全性を確認することを要請したところであります。

 さらに、本日午前にも、厚労省とともに、鉄鋼各社に対して、安全性を確認した結果、安全対策を講じる必要性がある箇所については速やかに対策を講じるよう指示をしたところでありますし、各社に対しては、半年以内をめどに実施報告を提出するよう指示を行いました。

 今後、各社の安全対策につきましては、適切に進捗を確認したいと思っております。

畑野分科員 ぜひ、速やかに徹底をしていただいて、本当に労働者が安心して仕事ができるようにしていただきたいと思います。

 それで、三枚目、四枚目の、先ほどの経済産業省の資料によりますと、千葉県では、二〇一五年、四件の死亡事故が起きている。

 一月十一日、JFEスチール東日本製鉄所千葉地区では、ロールの手入れ中、ロールに巻き込まれた。七月十八日、JFEスチール東日本製鉄所千葉地区、クレーンの清掃中、転落。八月十八日、新日鉄住金君津製鉄所では、クレーンの解体中、切断した構造物が被災者の上に落下。十月十七日、新日鉄住金君津製鉄所では、切り板の積み込み中、切り板が被災者の上に落下した。こういう状況で、八月十八日の死亡事故は、千葉日報でも報道をされております。

 私は、川崎と千葉のそれぞれのところにも伺いまして、被災者の方の御冥福を心よりお祈りしたわけでございます。

 それで、経済産業省の資料には、さらに二〇一四年の千葉県での三件の死亡事故が記載されております。

 八月十九日、クボタ京葉工場船橋事業所、クレーン取りつけ中、頭部を挟まれた。十一月二十三日、JFEスチール東日本製鉄所千葉地区、ベルトコンベヤー補修中、挟まれた。十二月十五日、クボタ京葉工場船橋事業所、取鍋の位置がえ作業中、つりばりが被災者の上に倒れたと記載をされているわけです。

 製鉄所で働く労働者の皆さんからは、具体的な安全策について、次のような提言がされております。

 五点なんですが、一つは、ゆとりある要員配置、作業基準書を守って作業できるようにする。二、故障やトラブル発生時には、設備を停止して対処するようにする。三、労働者がミスをしたりうっかり手を出しても、設備が自動的に停止するなど、絶対にけがをしないよう本質安全化を図る。四、事故調査制度の再構築を行い、事故原因と背景をより正確に追求し、労働者の行動や安全意識の問題に矮小化しない。五、危険が多い関連企業の安全確保に向けて支援を強化する、などの要望が出されております。

 現場の声をよく聞いていただいて、具体的な安全対策を行うべきではないかと思いますが、林経済産業大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 事故の再発防止のために、現場の声にも耳を傾ける、具体的な安全策を速やかに講じていくことが大事だと思っております。

 経済産業省においても、異常、危険を察知した際に設備をとめる、それから、協力会社も含めた安全教育を実施するなど、産業事故防止に向けた具体的な安全対策を取りまとめ、各社に対して取り組みを呼びかけてきたところであります。

 畑野議員御指摘の内容を踏まえまして、現場の声も聞きつつ、同様な死亡事故が再び起きることがないよう指導を徹底してまいりたいと思っております。

畑野分科員 先ほど御紹介された、昨年六月十六日の経済産業省の文書でも、

  欧州においては、産業革命以降、安全への配慮の考え方が定着している。

と。

 一九八九年に制定された欧州機械指令においては、新規設備導入時における本質安全化が求められ、人と設備(危険源)との分離徹底が要求されている。そのため、欧州の製鉄所では、ベルトコンベアなど稼働物周辺には防護柵が設置されるなど、機械安全の対策が講じられている。我が国鉄鋼メーカーでも、順次、本質安全化(設備的対策)が行われているものの、統一的な行政指導はなく、個社の対応に委ねられており、

とあるんですね。

 同じ文書で、

 鉄鋼業において、災害防止・安全確保は、重要な経営課題の一つであるとともに、必要不可欠な社会的責務である。

というふうに述べているわけですから、ぜひ、大臣がおっしゃったように、現場の声、労働者の声を聞いて、昔は本当に現場からいっぱい会社に意見を言った、いろいろうるさいこともあったかもしれないけれども、それが安全やまた企業の発展にとっての力になったということを私もきょう現場で伺ってまいりました。ぜひ、鉄鋼各社に徹底をしていただいて、死亡労働災害を根絶して、労働者の生活と命を守っていただきたいと思います。

 次に、電機情報産業について伺います。

 日立製作所の労働者が繰り返し退職強要をされているということについて質問をいたします。

 東洋経済の二〇一五年十月三十一日付のホームページでは、日立製作所は、二〇一四年三月期と二〇一五年三月期に連続で過去最高の収益を更新したと報じられております。

 二〇一五年十月に発表した二〇一六年三月期上期、四月から九月の決算は、売上高が前期比六%増の四兆八千六十八億円、営業利益は四%増の二千七百四十億円と、上期では過去最高を記録したというふうに報道されているんです。

 同じ記事は、上期に情報通信部門の通信事業を中心に二千人を削減、うち四分の三を社外へ転出させ、残りをグループ内で配置転換した、下期にも約千人程度の削減を行う予定だというふうに報じられているんです。

 それで、日立製作所で働く労働者のお話をお聞きいたしました。

 ある方は、二〇一四年から退職勧奨の面談を十回以上も受けてきた、働き盛りの労働者です。初期面談では事業部業績の不振の説明だったが、すぐ退職強要が続くようになった。退職面談は、昨年で七、八回行われた。スキルを求めても、企業内スキルは他企業には通用しないので、転職や他企業では役に立たないのではないか。今の職場でとどまるしかない。家族を抱えてやめられない。これまでも何回も出向した経験があるが、今度はいよいよやめろと言われると納得がいかないとおっしゃっているというんです。また、別の労働者は、四回面談されて、精神的に追い詰められていると訴えておられます。

 このように、日立製作所の労働者から、繰り返し退職勧奨が行われているという訴えを伺うわけですが、こうしたことは違法な退職強要に当たるのではないかと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

大西政府参考人 退職勧奨に関しまして、個別の事案について直接お答えすることはちょっと差し控えたいと思いますが、一般論といたしまして、退職勧奨につきましては、最高裁判所の裁判例というものがございます。この内容でございますけれども、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であった場合には、当該退職勧奨行為は違法な権利侵害となる、こういう判例がございます。

 各企業におかれまして、そのような違法な権利侵害とならないように適切に対応していただきたいと考えているところでございまして、厚生労働省といたしましても、こうした裁判例をお示しして、企業に対する啓発指導を行うこととしておるところでございます。

畑野分科員 日立グループ人権方針というのが出されておりまして、次のように書かれております。

 「日立グループは、社会が直面する課題にイノベーションで応え、優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する中で、人権が尊重される社会の実現を支援していきます。その前提として、日立は人権尊重の責任を果たす努力をして参ります。」このように言っているんですね。

 そういう中で、黒字でありながら、利益を上げるために違法な退職強要が行われている、こういう訴えが出されているわけです。

 個別の労働者の実態をきちんと調査して、事実を把握し、労働者の生活を守るべきだと思いますが、いかがですか。

    〔佐藤(ゆ)主査代理退席、主査着席〕

大西政府参考人 企業が大規模な人員整理を行うなどの場合に、先ほど申し上げました裁判例に照らして、違法な退職勧奨が行われることのないように、都道府県労働局あるいは労働基準監督署におきましては、こういった人員整理の事実を確認の上、この裁判例を示して、企業に対する啓発指導を行うこととしておるところでございます。

 今後とも、こうした事実関係の把握に努めて、企業において適切な労務管理がなされるよう取り組んでまいりたいと考えております。

畑野分科員 企業のために頑張って働いてきた労働者とその家族の雇用と暮らしを守る、そういう点で、それができてこそ、電機情報産業、ひいては日本の産業の発展があるという立場で、ぜひ現場の労働者の声に応えていただきたいということを強く求めておきます。

 次に、建設労務単価の問題について伺います。

 二〇一六年二月から適用する公共工事設計労務単価が、再び引き上げられました。二〇一二年度との比較では、全国平均で三四・七%引き上がったと伺いました。

 しかし、全国の建設労働組合の賃金調査を伺いますと、職種などでばらつきがあるものの、日額で数百円、よくて微増の範囲にとどまっているという調査結果なんです。

 国土交通省では既に、建設業団体の長、各都道府県知事並びに各政令指定都市市長、そして主な民間発注者団体の長に対して、「技能労働者への適切な賃金水準の確保について」という通知を出して、技能労働者に係る適切な賃金水準の確保、社会保険加入の徹底等を要請しているわけです。

 つまり、元請企業から下請企業まで、この通知の内容がいまだ十分徹底されていないということで、労働者の現場の賃金上昇が微増にとどまっているのではないかと懸念をするんです。

 そこで、伺います。

 公共工事設計労務単価について、建設技能労働者の確保のためには、技能労働者の処遇改善、特に賃金引き上げは待ったなしの課題で、現場労働者の賃金が具体的に引き上がるように、下請企業との適正単価での契約、あるいは元請から積算された法定福利費等が適切に下請に払われて、雇用される職人、労働者に確実に支払われることを担保するような徹底した指導が必要ではないかと思うんです。

 技能者の処遇改善が進まなければ、担い手三法改正の趣旨が実行できないのではないかと思いますが、国土交通省、いかがでしょうか。

木暮政府参考人 まず最初に、建設労働者の賃金の動向でございますけれども、近年上昇傾向にございます。こうした市場の実勢を反映するという形で、今般、四回連続となります公共工事設計労務単価の引き上げを行ったというところでございます。

 この賃金上昇の動きが、今御指摘のように下請も含めた現場の労働者に行き渡るということは非常に重要なことだと考えておりまして、今月の十七日の日に、宮内政務官から直接、国土交通省に関係の建設業団体を呼びまして要請を行ったということでございます。これが今後とも現場に行き渡るよう、引き続き建設業団体に対して要請を続けていきたいと思っております。

 また、御指摘がございました社会保険の加入の促進、これも極めて重要なことでございまして、特に法定福利費が元請から下請、現場の労働者までしっかりと行き渡るようにということが重要でございます。

 このため、昨年の四月でございますけれども、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインというものを改定いたしました。これによりまして、元請企業が下請企業に対して法定福利費を内訳明示した見積書、こういうものの提出を求めるという旨の新たな規定を設けたということでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、担い手三法改正の趣旨をしっかり私どもも踏まえまして、適切な賃金水準の確保など処遇の改善に取り組んでまいります。

畑野分科員 ぜひ進めていただきたいんですけれども、あわせて、元請団体などへの要請や働きかけにとどまらないで、現実の賃金支払いの実態について職場レベルでの調査やヒアリングを行うことが必要ではないかと思いますが、いかがですか。

木暮政府参考人 私どもも現場の声というのは非常に重要だというふうに認識しておりまして、今般の公共工事設計労務単価改定後の実際の請負契約に関する情報も含めまして、あるいは担い手三法の関係も含めまして、建設業に関するさまざまな生の声を受け付けるため、各地方整備局に専用ダイヤルを設置しております。建設業フォローアップ相談ダイヤルという名前でございまして、全国一本の電話番号でございますけれども、各整備局につながるということで、現場の声を拾っているところでございます。

 また、労務単価の改定も受けまして、専門工事業団体やその会員企業を訪問して、技能労働者の処遇の実態を含めた現場の生の声を直接聞き取っているところでございまして、昨年も、労務単価の改定の後、私どもの職員が訪問をして聞き取りを行ったということがございます。

 今後とも、現場の声を聞きながら、処遇の改善に努めてまいりたいと考えております。

畑野分科員 賃金の引き上げなしには建設技能労働者の確保はあり得ないということで、さらに踏み込んで現場の実態を把握していただきたいと思います。

 公共事業の現場で働く全ての労働者に対して賃金の最低基準額を保障する公契約法の制定が必要だというふうに私は思いますし、ぜひそれも取り組んでいきたいということを申し上げておきます。

 最後に、箱根町のことについて伺います。

 大涌谷周辺では、二〇一五年五月六日に噴火警戒レベルが二に引き上げられましたが、現在は、十一月二十日に噴火警戒レベルが一に引き下げられておりまして、箱根町は、旅館やホテルや物産店、公共交通機関などはおおむね平常どおりの営業や運行が行われております。

 しかし、いまだに大涌谷周辺の観光施設やロープウエーの一部が営業できないという状況にあります。周辺の皆さんは、火山活動の活発化によって収入が減ったというふうに訴えられているんです。

 周辺は、現在、噴火警戒レベルは一ですが、立入禁止エリアにある観光施設が営業できないという状況がありますし、また、温泉供給の設備でも大変御苦労されておりまして、周辺の宿泊施設はボイラーの燃料費がかさむなど経営に苦しんでおられます。観光に関連する企業も風評被害の影響を受けていると伺ってまいりました。

 国として、具体的な支援はどのようなものがあるのでしょうか。火山国日本で、火山と共生し、地域経済振興ができるように、国として何らかの支援が必要ではないかと思いますが、中小企業庁長官に伺います。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 大涌谷の火山活動による地域の中小企業、小規模事業者への影響につきましては、経済産業省といたしましても、地元の商工会議所等を通じて情報収集に努めております。私自身も、昨年の九月の中旬に行って、業者の方々のお話も伺ってまいりました。

 今お話にありましたように、九月、十一月の噴火レベルの引き下げ以降、徐々に客足も戻ってきておりまして、おおむね前年の九割ぐらいの客足に戻っているようでございます。

 ただ、お話にありましたように、大涌谷周辺では、引き続き三百メートル立入禁止があるとか、団体客の戻りが遅いなど、いまだ火山活動による影響は存在していると認識してございます。

 こうした中で、公的金融機関には、依然として一部の方から資金繰りに関する相談が寄せられております。これまで六十五件、約三十億の融資を行っておりますけれども、引き続き、日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸し付けや、信用保証協会によるセーフティーネット保証四号の発動により、これらの方々の支援に取り組んでまいりたいと思っています。

 また、販路拡大とか新たな商品やサービスの開発といった他の局面で用意されているいろいろな支援措置がございますけれども、自然災害の影響を受けておられるこうした事業者の方々にも広く使っていただけるものと考えておりまして、広くその利用を呼びかけてまいりたいと考えてございます。

畑野分科員 ぜひ支援を強めていただきたいと思うんですけれども、例えば小規模事業者支援パッケージ事業、小規模事業者持続化補助金なんですが、これは神奈川県の業者の方に伺いますと、応募してもなかなか当たらない、専門家の援助を受けて、いい内容にしないとなかなか通らない、ですから、枠を広げて、また具体的な援助も強めてほしいという声も上がっております。ぜひ広く利用される制度にさらに進めていただきたいということを申し上げておきます。

 三月二日から、第一回火山観光サミット二〇一六イン箱根が開かれます。二月二十四日の経済産業大臣の所信で、観光産業の育成と地域経済の活性化について取り組む決意を述べられていらっしゃる林大臣として、ぜひ箱根など観光産業への支援を強めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 箱根においては、観光業が町の主たる産業になっておりますので、その振興はやはり地域経済の活性化に直結するわけでございます。

 観光業は、御指摘のように、宿泊業や小売業を含む裾野の広い産業でありまして、地域への波及効果が非常に大きい、こういうふうに思います。

 特に、最近急増する外国人観光客ですけれども、我が国経済の起爆剤となる存在でもありまして、こうした外国人観光客を地域に呼び込む取り組みも重要であります。

 あわせて、地域資源を活用した観光ツアーの開発などによって地域の魅力の再発見を促して、日本人による観光を盛り上げることもこれまた重要でございます。国内外の双方の観光客をふやすことが地域経済の好循環を生むための鍵となります。

 今後とも、まず魅力的な観光地づくりのためのクールジャパン機構の投資、そして観光地の魅力の積極的な情報の発信、多言語表示や免税カウンターの整備等買い物環境の整備、こういったものなどの取り組みを、まち・ひと・しごと創生本部や観光庁など関係省庁と連携しながら進めてまいります。

畑野分科員 ぜひ、現地の声をきめ細やかに聞いていただいて進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

関主査 これにて畑野君枝君の質疑は終了いたしました。

 次に、村井英樹君。

村井分科員 自民党の衆議院議員の村井英樹です。

 本日は、予算委員会分科会、質問の時間を賜りまして、ありがとうございます。

 そしてまた、きょうは朝八時からですか、林大臣、鈴木副大臣初め、役所の皆様方も本当にお疲れさまでございます。私が最後でございますので、あとしばらくおつき合いをいただけたらと思っております。

 きょうは、中小企業政策につきまして、金融の側面から幾つか質問をさせていただきたいと考えております。

 アベノミクスがスタートをして三年ほどが経過しました。その結果、マクロの経済指標につきましては明るい兆しが見られてくる一方で、地元の方に戻っていろいろ話を聞くと、なかなかその実感が得られないんだという声を聞き続けてきたわけであります。

 そういう意味で、地域経済の活性化、これがアベノミクスセカンドステージの大きな柱になってくるんだろうと思いますけれども、地域経済の活性化に当たって私が感じるのは、やはり地域金融機関、この役割が大きいのではないかなと感じます。地元でも、やはり地域の金融機関というのは、その地域の優秀な人材が集まっていたり、また情報も集まっていたり、もちろん資金も集まっているわけであります。そういう意味において、この地域金融機関に一肌脱いでもらって地域経済の核として仕事をしてもらう、金融仲介機能をより高めてもらうということが大切なんだろうと思います。

 ただ、地域金融の現状について少し内情を見ていくと、融資残高、これは伸びているんですね。ここ数年伸びているんです。なんですが、その内訳を見てみると、東京等の大企業向けだとか地方公共団体向け、また個人の住宅ローン等、優良貸出先への融資競争的なことが起こっているのではないかなと思います。

 もう少し金融機関の話なんかを聞くと、合理的に行動しているんですよね、各金融機関は。各金融機関は、合理的に融資のコストを下げる、そのために、担保、保証、また財務データなんかに依存をする形で融資の優良貸出先をぱっと見つけて、そこに貸し込んでいくということをやっているんだろうと思うんです。

 さまざまな金融機関、多くの金融機関が同じようにそういう合理的な行動をした結果、みんな同じような貸出先に飛びついて、それで、そこに行くと、うちの方が金利が何ポイント安いですからみたいな形で金利引き下げ競争になって、結果として、融資残高は伸びているんだけれども、そこから得られる収益は減ってしまうという形で、私は金融機関による合成の誤謬と呼んでいるんですけれども、といったような現状が起きているのではないかなと思います。

 そういう中で、やはり、金融機関にリスクマネーの供給だとかコンサルティング機能を望んでいる地域の中小企業、地域経済もございますから、そういったような機能をぜひ発揮していただきたいわけであります。この状況を打開して、地域の金融機関、地域の中小企業、また地域経済の三方よしの状況をつくるためには、地域の金融機関が一手間かける金融、経営改善、事業再生はもちろんですけれども、ビジネスマッチング、販路拡大、海外展開支援、また人材の紹介だとか、いろいろやることがあると思いますけれども、そういったような一手間かける金融を地域の金融機関に率先してやってもらうことが必要だと思っています。

 前置きが長くなりましたけれども、ここからが質問でございます。

 そういったような地域の金融機関が若干合成の誤謬的な状況になってしまっていることを打開して、一手間かける金融、これをやってもらう環境づくり、インセンティブづくりについて、金融庁としてお取り組みがあれば御紹介をいただければと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 地域金融機関においては、先生今御指摘の、いわゆる一手間かける金融が大変大事だと思います。これを組織全体として継続的な取り組みとして実践していくことが重要ではないかと考えています。

 具体的には、私ども、昨年九月に策定、公表しました金融行政方針においてもお示ししているんですが、地域金融機関においては、担保、保証に依存する融資姿勢を改めて、やはり、取引先企業の事業の内容とか将来性あるいは成長可能性などを適切に評価して、融資とかあるいは経営改善、事業再生支援の本業支援を通じて、地域の企業あるいは産業の生産性向上等の促進を図ることによって地域経済の活性化に貢献していく、こういうことが大変期待されていると思っています。

 このため、金融庁といたしましては、環境整備の一環として、例えば、事業性評価を踏まえた解決策の提案や実行支援、そのための金融機関の体制整備の状況などについて、各金融機関と議論しながらその積極的な取り組みを促すとともに、そういった議論の中で確認された好事例を公表するというようなこと、あるいは、融資先企業へのヒアリングというものを通じて、取引金融機関に対する顧客企業の評価を把握して、それをもとに金融機関との対話を進めること、こういった取り組みを今行っているところです。

 また、加えまして、目きき能力を発揮した無担保無保証の運転資金融資の円滑化を図るために、金融検査マニュアルの明確化を図ったり、あるいは、経営者保証に関するガイドラインの活用を促進する、さらには、地方創生等に向けた地域金融機関による金融仲介の取り組みを客観的に評価できるような多様なベンチマークの検討もしたい、そういった取り組みを現在進めているところでございます。

村井分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、今、さまざま既に行っておられる取り組みも御紹介をいただきましたけれども、金融庁には、不良債権時代の金融危機対応の、非常時の金融行政から攻めの金融行政に転換したことを明確にしていただいて、そうした取り組みを進めていただきたいと思います。金融行政が変わると、金融機関は正直ですから、すぐ行動原理が変わっていきますので、ぜひ、一手間かけて育てる金融の推進をお願いしたいと思っております。

 ここから、金融機関の行動原理に非常に大きな影響を与える信用保証制度について質問を移していきたいと思うんですけれども、この信用保証制度、経産省が持っている、ある意味では最大の政策ツールと言ってもいいぐらいかなと思います。

 信用保証制度ですけれども、基本が一般保証制度でありまして、二億八千万円まで八割の保証をつけるというもの、また、その一方で、一〇〇%保証というものがあって、別枠でまた二億八千万円、融資に対して保証がつくといったような仕組みでありますけれども、それぞれ幾つかの問題点も指摘をされているところであります。

 一般保証の二億八千万については、やはり、二億八千万、八割、画一的に保証がつくということが果たして妥当なのか。最初の数千万を借りるときの中小企業の状況と、既に事業が進んできて一億五千万円借りてくる中で次の数千万円を借りるというときに、同じような保証率であることが本当に妥当なのかどうか。もう少し中小企業のライフステージに応じて柔軟な保証割合にするようなことが必要なのではないか。また、それに応じて保証率の方も柔軟化をしていくことが中小企業にとっても大切ですし、また、金融機関の側もしっかりと融資先のコンサルティング機能を果たしてもらうためにも必要なのではないかといったようなことを我々として考えているわけであります。

 また、一〇〇%保証の方につきましても、その中にもいろいろなものがあって、創業期への一〇〇%保証だとか、構造不況業種を指定しての、いわゆる五号保証と言われるような一〇〇%保証、種類はさまざまありますけれども、やはり一〇〇%で保証してしまうと、金融機関としては、まあ、何かあっても一〇〇%だから大丈夫だなといったようなことにもなりかねなくて、事業再生だとかそういったようなものに若干のマイナスが出ているんじゃないかといったような指摘も出ております。

 そういう意味で、昨年末、自民党の中小企業政策調査会として、この信用保証制度改革について、改革の大きな方向性を取りまとめて、林幹雄経済産業大臣のところにも提言をさせていただいたところでありますけれども、その後の政府のお取り組み、また今後の取り組みの方向性について、あれば、鈴木淳司副大臣からいただければと思います。

鈴木副大臣 答弁の前に、まず、委員、日ごろから中小企業政策、小規模事業者政策に本当に御尽力賜りまして、まことにありがとうございます。

 信用保証制度は、中小企業者が金融機関から借り入れを行うときに、その信用力を補完することで資金繰りを円滑にする重要な制度であります。

 現在の制度は、今も御指摘いただきましたけれども、中小企業者の金融機関からの借り入れの一〇〇%または八〇%を一律に金融機関に対して保証する仕組みとなっております。

 金融機関には、本来、その融資先である中小企業者に寄り添ってその経営改善を支援する役割が期待されているところでありますが、一律の保証の存在がこうした支援に取り組む姿勢に水を差し、結果として、中小企業者も経営改善に取り組まないという事態を生んでいるのではないかという指摘はごもっともだというふうに思います。

 昨年十二月、委員も中心になって取りまとめていただきました、自民党の中小企業・小規模事業者政策調査会における信用保証制度の見直しに向けた提言も同様の認識だというふうに思います。

 経産省としましては、中小企業政策審議会のもとに金融ワーキンググループを設置し、昨年十二月十六日、中間的な整理として、「中小企業・小規模事業者の発展に資する持続可能な信用補完制度の確立に向けて」を取りまとめたところであります。この内容は、まさに自民党の提言と方向性が合致するというふうに思います。

 この金融ワーキンググループの中間整理におきましては、具体的には、一般保証につきまして、一律に八〇%にするのではなくて、金融機関と保証協会が企業のライフステージを踏まえて適切にリスクシェアをすることで、事業者と金融機関がともに経営改善に取り組むというインセンティブが働く仕組みとすること等が示されております。

 経産省としましても、この中間整理を踏まえ、今後、関係者の御意見を引き続き丁寧に伺いながら、中小企業者の成長、発展をしっかりと支える観点から、具体的な制度設計を進めていく方針であります。

 以上でございます。

村井分科員 鈴木副大臣、ありがとうございました。

 副大臣からもお話しいただいたとおりでありますけれども、やはり、この信用保証制度は改革が必要なんですけれども、その一方で、本当に中小企業の信用創造に大きな役割を果たしておりますので、改革に当たって慎重なお取り扱いをお願い申し上げたいと思いますし、また、提言を踏まえて、党とも連携をしながら、ことし、制度の詳細を詰めていきたいと思いますし、また御協力をいただければとも思っております。

 その中で、一点、深掘りをさせていただきたいと思います。

 ことしに入ってから、党の中小企業・小規模事業者政策調査会で、全国行脚、キャラバンをスタートしたところでありまして、出前調査会とかと呼んでいますけれども、熊本で一月やって、二回目を埼玉の私の地元でもある浦和でやらせていただいたんですけれども、そのどちらの回でも出た意見として、信用保証制度改革はわかる、確かに必要だ、なんだけれども、守るべきところは守ってほしいという意見なんですね。

 先ほど申し上げた一〇〇%の保証についても、やはり創業期の一〇〇%の保証のような、どうしても中小企業側に信用力がなくて、一歩前に踏み出したいんだけれどもどうしても信用創造できないといったような場合の一〇〇%保証については、これまでどおりぜひ存続をしてほしいといったような意見もありましたし、私自身そのとおりなのかなと思っているところでありますが、この信用保証制度改革についてはいろいろな臆測も飛んでおりますので、ぜひ、そういったような声に対して安心するような一言を中小企業庁からいただければと思いますが、いかがでしょうか。

木村政府参考人 創業期の事業者は、過去の財務データがございません。そういったことや、あるいは実績も少ないということでございまして、金融機関においてそのリスク判定がそもそも困難であるために、信用力に乏しく、十分な融資を受けることが難しいという状況だと思います。

 この点につきましては、先ほど御紹介ございました昨年十二月の審議会の金融ワーキンググループの中間的整理におきまして、市場原理だけでは十分に資金が行き渡らない創業期には、引き続き一〇〇%保証を維持すべきという方向性が明示をされているということでございます。

 この方向性も踏まえまして、引き続き、関係者の御意見を丁寧に伺いまして、具体的な制度設計を慎重に検討してまいりたいと考えてございます。

村井分科員 ありがとうございます。

 信用保証制度改革の難しさというのは、私も、二年近くですか、取り組ませていただいて感じるのは、なかなか現場の本音の声が出てこないところなんです。

 金融機関の方に平場に出てきていただいて、信用保証制度、どうですかと言うと、いやいや、うちは信用保証があるから融資するしないなんということではないんですということを必ずおっしゃるわけですね。なんですけれども、現場の融資担当の方にお話を聞いたり、また中小企業者の方に話を伺うと、また別の話も伺ったりして、どこに手をつけるというか、どこを制度改正するとどういう結果になるのかというのはなかなか見えづらいところもあって、ぜひ、私もやっていかなくてはならないと思っていますけれども、役所の皆様方にも、丁寧なヒアリング、それも金融機関や商工団体の偉い人じゃなくて、現場の人の声を聞いていただきたいなと思っております。

 次に、信用保証制度を支えております信用保証協会、これについて伺えればと思っております。

 信用保証協会は、戦前から順次地域ベースで全国につくられていって、現在では全国で五十一の協会が各都道府県にあって、信用保証制度の根幹を支えている。職員数が実は六千人もいるんですね。これは、日本政策金融公庫の中小部門と国民部門とほとんど同じということであります。さらに、学生の就職先としてもかなり人気なんですね。

 そういう意味で、職員さんの質も量もかなりのものといったようなところなんですね。なので、保証協会さんなんかに話を伺いに行くと、かなりプライドを持って仕事をされていて、自分たちは中小企業の町医者的な存在なんだといったようなこともおっしゃるわけであります。

 実際、中小企業の方なんかに聞いても、日々おつき合いがある中で、ちょっと困ったレベルであれば保証協会さんにいろいろお手伝いをいただくこともありますといったような声もあって、信用保証協会が、中小企業の経営にもさまざまな助言だとか、かなりプラスの効果をもたらしているんだろうなと思っております。

 そういう中で、何を申し上げたいかというと、全国三百八十万、中小企業がございます。これに対してさまざまな中小企業政策を行っていて、もちろん金融機関にコンサルティング機能をお願いするのもそうですし、よろず支援拠点というものをつくって、何かあれば来てくれといったような施策も打っているし、また、認定支援機関といったようなものをつくって、こちらにも相談に来てくれといったような、さまざま中小企業を応援するための施策というのはいろいろなところにあるんですけれども、その中で、実は、信用保証協会というのも若干盲点的だったなというか、信用保証協会が中小企業の経営改善とか事業再生にもっと積極的に乗り出していってもいいんじゃないかなということを感じています。

 単に債務の保証を行うということじゃなくて、そういったような中小企業のアドバイザーというか相談役として信用保証協会の役割を広げていくといったような考えについて、中小企業庁さんでどのようにお考えか、お答えをいただければと思います。

木村政府参考人 御指摘のとおり、信用保証協会は中小企業者の債務の保証人といった立場でございますので、中小企業者の経営状況に日々接し得る立場にございます。金融機関とかあるいは各種支援機関と協力をしながら、経営改善の支援、事業再生の支援に取り組んでいるものと認識はしてございます。

 信用保証協会はこれまでも、例えば、地域の金融機関あるいは商工団体、専門家などが経営改善あるいは事業再生の目線合わせを行う中小企業支援ネットワークを構築しておりまして、そこで事務局機能を担うといったことで、中心的な役割を果たしてきていると認識をしてございます。

 他方で、信用保証協会による経営支援の取り組み状況には、例えば地域によって差があるのではないかといった指摘もあるところでございます。

 経済産業省といたしましても、信用保証協会が果たす公的な役割に鑑みまして、中小企業者の経営改善支援により一層力を入れて取り組んでいただくことが重要だろうというふうに考えてございます。

 金融ワーキンググループでも、保証協会につきましては、これまでの収支の観点だけではなく、経営支援の状況、再生支援への対応等を含めて総合的に評価を行う仕組みを検討する、そういう見直しの方向性も頂戴しているところでございまして、今後、信用保証制度全体の見直しの中で、例えば全国レベルでこういう取り組みを充実させるような、そういう方策を検討してまいりたいと考えてございます。

村井分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、信用保証協会という資源を有効活用していただいて、中小企業政策をより骨太なものにしていただければと思います。

 最後に、昨年末、与党の方で決定をいたしました税制改正の話をして終わりたいと思います。

 この年末、与党の方で、中小企業向けの償却資産に係る固定資産税の軽減措置、これを決定いたしました。この措置は、機械だとか装置を中小企業者が新規で設備投資した場合には、年限が限られていますけれども、固定資産税を半減するといったような仕組みでございます。

 個人的にはこれはかなり画期的な仕組みだと思っていて、というのは、固定資産税の世界に政策的な政策減税が入ったということ、そしてまた、法人税減税だとかいろいろやってきましたけれども、赤字企業にきかないんだというのを言われ続ける中、この制度は赤字企業に対しても一定の効果があるという意味で、私自身、かなり大きな決定だったなと思っているわけです。

 ことしの四月以降、これを普及して皆さん方に使っていただかなきゃいけないんですが、私の心配は、この固定資産税の軽減制度が、別の計画というか、経営を革新するための計画を申請して、認定して初めてその軽減制度が使えるようになるといったような検討が進んでいるようでありますけれども、やはり施策というのは、期待値を高めておいて実は難しかったということになると、失望感が多い分だけ、結構厳しいんですね。

 これは、税の話だけじゃなくて、ものづくり補助金等を初めとする補助制度でも言えることなんですけれども、地元に帰って、こんな補助制度ができました、今回の予算でこんなことができました、かち取りましたみたいなことを言って戻っていって、実は申請をしてみると書類がこんなにあって、そんな申請書類はつくれないよと言われて、逆にひんしゅくを買ってしまったりもするわけなんです。

 そういう意味で、ものづくり補助金なんかは三枚に申請書類を簡素化していただいたり、進んでいるところでもありますけれども、ぜひ、この固定資産税の軽減制度についても、羊頭狗肉的にならないように、しっかりと使い勝手がいいものにしていただいて、そして、一年明けたら、あっ、思ったよりも減税額が大きかったなというぐらいにしていただいて、この国の設備投資をしっかりとふやしていく、その起爆剤にしていただければと思いますが、役所としての覚悟を豊永中小企業庁長官に伺って、きょう、約十二時間に及ぶこの審議の締めくくりとしたいと思います。長官、よろしくお願いいたします。

豊永政府参考人 宣言させていただきます。

 固定資産税の軽減措置につきましては、今通常国会に提出を予定しております、中小企業の生産性向上を支援するための法案の中で措置することと考えております。

 中小企業庁としましては、できるだけ多くの中小企業、小規模事業者に固定資産税の軽減措置は利用していただきたいと考えており、委員御指摘のとおり、申請の手続や様式を煩雑にしたり、認定要件を厳しくし過ぎることで、せっかくの減税制度を利用しにくくするようになってはいけないと考えてございます。

 このため、申請書自体の記載内容をできるだけ簡素なものとするとともに、作成に当たって支援機関からのサポートを得られるようにする、指針で示す生産性向上の優良事例を小規模事業者でも容易に取り組めるものを含めて豊富に示す、各業種で用いられることの多い固定資産税の対象の機械装置を幅広く紹介するといった工夫をしてまいりたいと考えております。

 固定資産税の軽減措置が、全国津々浦々の中小企業、小規模事業者に利用され、それらの方々の生産性向上に資するよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

村井分科員 豊永長官、覚悟を示していただきまして、ありがとうございます。

 予定していた質問はこれで終わりになったわけでありますけれども、この中小企業政策、三百八十万者を相手にしているわけでありまして、終わりがないと言ってもいいんだろうと思います。そういう意味で、我々政治家もそうですけれども、役所の皆さんも、ぜひ、全国津々浦々、中小企業の皆様方の声に耳を傾けていただいて、政策の企画立案を進めていただければと思っております。

 やはり政権が安定してよかったなと思うのは、私も役所の中にいて中小企業政策を横目で見ていて、総理大臣がかわるごとに新たな仕掛けで中小企業政策をやっていくということが続いていたようにも思いますけれども、ここで安定して、去年の中小企業政策、あの打った補正予算はどうだったんだということを確認しながら一歩一歩前に進めていけている感じがして、ぜひこの形で、全国の中小企業の方が、安倍政権になってよかった、アベノミクスの果実をとうとう手に入れることができたと言える日まで、役所の皆さん方とともに一緒に頑張っていくということを私も決意表明させていただいて、質疑にかえたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

関主査 これにて村井英樹君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時三分散会


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