衆議院

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第1号 平成13年3月1日(木曜日)

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本分科会は平成十三年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

三月一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      栗原 博久君    小島 敏男君

      中山 正暉君    三塚  博君

      金子善次郎君    中田  宏君

三月一日

 栗原博久君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十三年三月一日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 栗原 博久君

      小島 敏男君    中山 正暉君

      三塚  博君    金子善次郎君

      小林 憲司君    津川 祥吾君

      中田  宏君    伴野  豊君

      三村 申吾君    山田 敏雅君

   兼務 後藤 茂之君 兼務 後藤  斎君

   兼務 前田 雄吉君 兼務 松本 剛明君

   兼務 石井 啓一君 兼務 上田  勇君

   兼務 若松 謙維君 兼務 東  祥三君

   兼務 小沢 和秋君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    今村 雅弘君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長

   )            今村  努君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 岩村  敬君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整

   備局長)         板倉 英則君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  川島  毅君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  小島 敏男君     森岡 正宏君

  金子善次郎君     伴野  豊君

  中田  宏君     山田 敏雅君

同日

 辞任         補欠選任

  森岡 正宏君     小島 敏男君

  伴野  豊君     小林 憲司君

  山田 敏雅君     三村 申吾君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 憲司君     金子善次郎君

  三村 申吾君     津川 祥吾君

同日

 辞任         補欠選任

  津川 祥吾君     中田  宏君

同日

 第一分科員後藤茂之君、第三分科員前田雄吉君、石井啓一君、上田勇君、若松謙維君、第四分科員松本剛明君、小沢和秋君、第五分科員東祥三君及び第七分科員後藤斎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)




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     ――――◇―――――

栗原主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。扇国土交通大臣。

扇国務大臣 いよいよ皆さん方に御審議いただくときが参りました。よろしくどうぞお願いしたいと存じます。

 国土交通省関係の平成十三年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十三年度一般会計予算に計上いたしました国土交通省関係予算額は七兆八千九百二十億円であります。

 このほか、自動車損害賠償責任再保険特別会計への一般会計からの繰り戻しとして所要額を計上するとともに、自動車損害賠償責任再保険特別会計、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、自動車検査登録特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計及び特定国有財産整備特別会計について、それぞれ所要額を計上しております。

 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、当該地域の総合開発の推進を図るため、農林水産省関係予算等他省関係の予算を含めまして、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画については、当省関係の公庫公団等分といたしまして十二兆七千三百二十八億円を予定いたしております。

 国土交通省といたしましては、以上の予算によりまして、我が国経済を自律的回復軌道に確実に乗せるとともに、豊かで活力ある二十一世紀の経済社会を構築するための基盤となる国土政策、社会資本整備、交通政策の推進等を図っていくことといたしております。

 よろしく御審議のほどお願いいたしたいと存じます。

 なお、時間の関係もございまして、お手元に配付してございます印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますよう御配慮を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

栗原主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま扇国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

栗原主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

栗原主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。

山田(敏)分科員 民主党の山田敏雅でございます。どうぞよろしくお願いします。

 まず第一に、大臣の所信表明についてお尋ねいたします。

 六ページ、「美しく良好な環境」という題で所信がございます。この中で大臣は、美しく良好な環境を保全、創造するために、循環型社会の構築に向けた施策を強化します、さらに、健全な水循環系の確立を目指した政策展開を行います、さらに、渇水に強く、水と緑豊かな潤いのある社会の実現を図りますということを述べられております。

 また、大臣のいろいろな発言から、二十一世紀の国土交通省はとにかく自然を大切にするんだ、そして自然を保全する、あるいは日本の豊かな自然を戻すことが非常に重要であるということをあちこちでお聞きいたします。

 大臣、この所信について決意表明をお願いいたします。

扇国務大臣 今、山田議員から所信に対しての御質問がございました。細かいことではなくて大きなことを言って失礼ですけれども、二十世紀はハードの社会であったと私は思っております。けれども、二十一世紀は、いかにそのハードを持続するか、あるいはつくったものを大事に保存するかということに加えて、私は、環境を加味したソフト、これを二十一世紀の我が国の国土づくりの基本にしていきたいというふうに考えております。

 今おっしゃいましたように、とにかくヨーロッパにおきましてもアメリカにおきましても、大々的に自然に戻そうということが今世界の潮流になっておりますので、私は、二十一世紀、日本も、世界じゅうと足並みをそろえた、そういう循環型の、自然を大事にした国土づくりに励んでいきたいと思っております。

山田(敏)分科員 どうもありがとうございました。私と同じ意見で安心いたしました。

 ところで、その所信表明で、もちろん言葉だけでは何もできませんので、それに関する予算というのはいかほどございますでしょうか、お答えください。

扇国務大臣 今のお尋ねで、予算と言われますとたくさんございまして、全部言うと長くなりますので、一、二、ぜひ御理解いただきたいものと思いまして、一つは、環境に限って少し例を挙げますと、生態系を保全して水環境を改善するための事業としまして二百十億円というのがございます。また、自然豊かな河岸あるいは河川等々を回復するための事業といたしまして、これも五百五十億円というのがございます。もう一つ言わせていただきますと、自然豊かな湿地の整備のための事業として三十一億円等々ございます。全部挙げておりますと長くなりますので、大体そういうものを計上させていただいております。

山田(敏)分科員 どうもありがとうございました。

 ところで、二十世紀、今おっしゃったハードのことでたくさん仕事をされましたので、二十一世紀に向かって課題が残ってまいりました。

 私が生まれました福山、広島県でございますが、ここに中国地方の一級河川がございます。芦田川という川です。これが、二十七年連続水質ワーストワン、連続最下位ということで、なかなか珍しい記録がございます。この原因が、今から二十五年前に日本で初めて、一番古い計画なんですが、河口堰。川と海を完全に隔ててしまうというものがつくられまして、下水道の整備のおくれもあるんですが、水をためるということで、どんどん悪くなりました。

 私が子供のころは、そこではヤマトシジミとかアユとか、たくさんとれました。子供たちはみんなそこで、川で遊ぶというのが普通のことでございました。

 先週、川へ行ってまいりました。立て看板がございまして、よい子は川で遊ばないという看板が出ております。要するに、この川は、今言いましたように水質が二十七年連続最下位。海水浴の水質をはかるのに、百ミリリットルに大腸菌が幾らあるかというのがございます。十五匹以上いると海水浴は不適。この河口堰の水質検査では、百ミリリットルに八万個大腸菌がいるということになりまして、原因不明の皮膚病が起きたり、子供は川に近づくなということでございます。

 確かにその当時、工業用水が足りませんでした。それから、渇水の対策が必要でありましたので、河口堰は確かに大事な役目を果たしたと思います。ところが、近年大きく情勢が変わりました。川の上流に八田原ダムという、六千五百万トンという大規模なダムが完成いたしましたので、ことしは雨が少なかったんですが、渇水が起こりませんでした。これはダムのおかげでございます。ですから、そこでとめるということはなくなりました。

 さらに、計画では、十七万トンの工業用水を毎日とりましょうということだったんですが、既に平均では六万七千トンと、今日、水需要が大きく下がっております。

 この二つの点を考えて、私は、多少無理があっても河口堰を開放するということによってどうなのかということをやりました。市の方で取り組みました。ことしの一月に一回だけ、二時間だけ河口堰をあけました。そうしますと、河口堰の水質は、COD、BODの数値は倍ぐらいよくなりました。ということで、河口堰をあけるということは水質に大きな影響があるということが立証されました。

 ここで、今申し上げましたように、いろいろな手だてがございます。先ほど大臣のお話もありましたが、ライン川とかドナウ川では、河口堰は生態系に大きな影響があり過ぎるということで既に撤退を決めております。日本ではまだその例はございません。この日本で一番古い河口堰を、どうか最初のケースとして、そして国土交通省が新しい行政の姿勢を示す例としていただきたいと思っております。

 その点について、大臣、後で詳しいことは申しますが、一言、今申し上げたことに御感想がございましたら、どうぞ。

扇国務大臣 今先生おっしゃいました芦田川の河口堰の問題は、御存じのとおり、昭和五十六年から国土交通省が管理しております可動の潮どめ堰でございますけれども、今おっしゃいましたように、本来の目的である、これをせきとめたために、工業用水が供給されている地域では、この水によって少なくとも一万二千人の雇用を生み出しましたし、また年間七千五百億円の製造品の出荷額を生み出したという、今まで地域あるいは産業にとっての大きな基盤になっていたという事実だけは先生もお認めいただいているだろうと思います。

 少なくとも私は、こういう産業経済にとって欠かすことのできない重要な水資源の開発施設であるということだけは御理解いただき、なお、今おっしゃいましたように、今後の細かい点につきましては、いろいろ河川局も案を練っておりますので、局長からもお聞きいただきたいと存じます。

山田(敏)分科員 そこで、私は、地元の建設省福山所長初め、福山市長それから中国建設局長にヒアリングをさせていただきました。結論は、現在この堰からとっている日量平均六万七千トン、この水がどこかで確保できれば今河口堰というのは開放しても大きな問題はないと。市長に確認しましたら、どこか水源がある、あるいは費用はだれか出してくれる、そういうことがあれば私は反対しませんと。ぜひ開放していただきたい。

 それから、私、住民の方をずっと歩いて回りました。ほとんど、恐らく九〇%ぐらいの方がぜひこれをあけていただきたいと。と申しますのも、近年、水質の悪化によって、ユスリカという昆虫ですが、蚊みたいなのですが、これが大量に異常発生します。これが近所の家に全部入ります、恐らく数え切れない数ですが。それがぜんそくの原因になるということがわかってまいりました。市は大急ぎで川の両岸に二十メートル置きに誘ガ灯をずっと延々と、二キロ、三キロにわたってユスリカが出ないようにということでやりました。

 吉野川の河口堰に反対された方、御存じだと思いますが、その方が写真を撮られました。それを徳島の方に見せて、河口堰をつくると川にこういうふうにユスリカが異常発生する、そして市民の健康を守るためにこのような景色にしないといけないということで、びっくりされて、河口堰というのはどういうものなのかという原点になったという風景でございます。

 もちろん、私が子供のころ遊んだ川の自然な風景はもう全くございません。そして、皆さんにお聞きしましたら、ぜひ今の子供たちを昔のように川で遊べるようにしてほしい、こういうことでございました。

 そこで、具体的にお話をお伺いしますが、この六万七千トンをどこからとってくるかという選択肢がいろいろございます。

 一つは、大臣が申されましたように、良好な循環型社会を構築しましょう。この河口堰のすぐ近くに能力五十万トンという大きな下水処理場がございます。現在は十七万トンを処理しておりますが、この処理をもう少し高度処理すれば、この十七万トンの水はすぐ近くの工場に使うことができます。このコストの計算、処理コストその他を計算しております。これが一つの選択肢。

 もう一つの選択肢は、水利権の話をもう一度やり直して、河口堰があいた後、上流から持ってくる。これも管を引いてまいりますので、費用がかかります。

 第三の選択肢は、福山という地区は昔から雨の少ない、水の少ない地区でございますが、岡山県や隣の尾道は水が余っております。既に岡山の高梁川からは、十何キロにわたってパイプを引かれて水が県境まで来ております。ほんのすぐ近くなんですが、この水を使えるようにするということ。それから、尾道の方から、約二万トン水が余っておりますので、それを持ってくる。

 このように選択肢がございます。いずれも大体のコストは出ておりますけれども、国として予算措置が必要になってまいります。この点について、御意見をお伺いしたいと思います。

竹村政府参考人 ただいま芦田川河口堰関連の水需要につきまして、さまざまな御意見がございました。

 芦田川河口堰は、先ほど大臣がお話ししましたように、この地域の過去の経済の発展、生活の向上に大変大きな寄与をしたものでございます。そして、委員はただいま、日量平均取水量は六万七千立方メートルに落ちたんじゃないかというような御指摘がございました。

 確かに日量平均、日平均は六万七千トンでございますが、日平均と申しますのは、多くの工場の中で日曜日、祭日休んだり、または点検で休んだりしたものも含めての平均でございまして、実績を見ますと、最大取水量は十一万立方メートルに達してございます。そして、平成十一年のデータ、つい直近のを見てみましても、大体日量十万トンに近い取水がされて、現在でもその地域の力強い経済の発展の源になっているという認識に立ってございます。

 このように、芦田川河口堰の海からの潮をとめて安心して真水を使うという役目は、今でも厳然として活躍しているという認識に立ってございます。

 なお、さまざまな御意見がございました。例えば、下水浄化の水を使ったらどうかというお話がございました。確かに、下流で下水を処理したものを約十八キロ上流へ持っていって、そこで放流するという案がございます。建設費百三十億程度、年間管理費、毎年毎年六億円ぐらいを投入しなきゃいけないという金目のことは横に置きましても、実はこの下水処理水の重要な問題がございまして、どんなに処理してもその放流水の窒素量はリッター当たり九ミリグラムという大変大きな数字でございまして、現在の芦田川の数値は、窒素量は二から四ミリグラム立方メートルでございまして、その三倍から二倍までの大変な窒素量の下水の処理水を放流せざるを得なくなってしまうということから、生態系に極めて大きな問題を与えるということで、なかなかこれは、金も大変かかりますけれども、水質上、生態的にも問題だという技術的な判断を私どもしてございます。

 そして、八田原ダム、新しいダムができましたということで、その水の、八田原ダムのやりくりをどうかという御指摘もございましたが、現在八田原ダムに開発された水は、神辺町、福山市の水道の水利権でも許可されておりますし、福山市の工業用水としてもまた許可されておりまして、確かにまだ府中市の六千トン、新市町で四千トン残ってございますが、これも各市町村に聞きますと、将来の大事な、貴重な水資源として確保しておきたいということでございます。

 なお、隣の県または地方から、他流域から持ってくるというのは大変難しい問題がございまして、私どもこれは慎重に、大変難しい問題と認識して、これからも長期的な課題として考えていきたいと考えております。

山田(敏)分科員 議論があることはよく承知しております。私も大学で水処理をやりましたので、難しいということは承知しております。

 それから、岡山県の事務所に既に連絡をとりました。今おっしゃったように、非常に難しいと。非常に難しいんじゃなくて、県境を挟んで水のやりとりをするのは、県同士で話し合いをして契約をすればできる。そして、やっている例もあります。ですから、私が申し上げたいのは、一回根本的な検討をする場所をつくって、そして今、コストを下げるなりいろいろな方法があるわけでございますから、例えば、今六億円維持費がかかりますという推定でございますけれども、現在の河口堰の維持費には約五億円かかっておりますので、そういったことを一緒にやっていけばいいんじゃないかと思います。

 ただ、私は、大臣に本当に議論をしていただきたいのは、川と海を仕切るということが環境にどれだけの影響があったかということをしっかり検証していただきたいと思うんですね。

 確かに、今言いましたように、渇水の役割はもう終わりました、これは八田原という大きなダムができましたから。それから、工業用水をどこかからとってくればと。これも終わりました。そういうことを踏まえて、なおかつ自然環境にどれだけの影響があったか。

 例えば、汽水域、川と海がまじるところは魚の産卵場でございますので、今瀬戸内海の鞆とか、そういうところは漁獲高が激減しております。トラフグというのがとれておりましたが、現在十分の一になりました。フグは汽水域の砂に産卵をする。それがなくなりましたから、どんどん減っていって、もうほとんどゼロになった。それから、今申し上げたシジミが全部死に絶えました。

 そして、河口堰の外、海にヘドロがどんどんたまってくるんですね。これは、海水と真水がまじり合わなくなったために、海のヘドロが現在一メートルぐらい。入りますと体が沈んでしまう。ヘドロに海が埋まってしまいました。

 昔は、そこがノリの養殖場であり、それからアサリ、ハマグリがたくさんとれたわけですが、もちろんそういうものはすべて死滅してしまいました。そして、この地区に八つの漁協がございます。その一つは走島というところでございますが、イワシをたくさんとっておりました。イワシはいろいろな魚のえさになるわけですけれども、これもほとんど漁獲がなくなってしまいました。

 生態系の変化というのは人間の生活にとっても非常に大きな影響があるということ、やはり、そのコストを正しく考えて、本格的な検討の場を、今言いましたように、県を挟む問題とか水利権とかいうような、堰の管理は国土交通省がやっておりますので、そこを国土交通省として、国として積極的な役割を果たしていただきたいということでございますが、大臣、いかがでしょうか。

扇国務大臣 私も、担当になりましてから、全国のことがまだよくわからない部分もございましたけれども、今先生がおっしゃいました芦田川流域のことも、全部地図を見てみんなに教わって、しかも、わからないところも聞いたりなんかしながら地元の理解を深めようと思って今拝見していたんです。少なくとも、今山田議員がおっしゃいましたように、私は、水質というものの大事さと、また、それが使える環境というものがいかに大事かというのは実感しております。

 それは、この間もオランダの子供たちが大臣室へ大挙して来てくれました。そして、私のところへ来る前日に、みんな靴を脱いで多摩川に入ったんですね。そうすると、オランダの子供たちは、あの水の都オランダと言われながら、自分のところはコンクリで囲まれた水なので足で入ったことがなかった、多摩川の河川で遊んだのが忘れられないと言ってくれました。そのように、私は、川というものと人間のつき合い、そういうものがいかに今後課題になってくるかというのは認識しているつもりでございます。

 今、差し迫った、山田先生のお話等々を伺っておりますと、水質の悪化が著しいと言われておりますけれども、上流にあります高屋川には、国土交通省が建設を進めてきました河川浄化施設、これはことしの春、十三年の春には完成して、河口堰の貯水池内におきまして水質の悪化の大きな要因になっておりますものを排除する、その原因となります燐の濃度を約三〇%低下させることに貢献することになっております。

 これができますと、今おっしゃったような、今後、芦田川の水質等々もこれに沿って私たちは監視していかなければいけない。施設をつくったから、どの程度燐の濃度を下げることができるのか等々ということも私たちは見守っていきながら、できれば皆、おっしゃったような自然の川にしていきたいという基本的なものはありますけれども、地域の活性化、産業との取り組み、あるいは利水、治水両面から今後も検討しながら、よりよい方法をとっていくためにも絶えず私たちは努力していきたいと思っております。

山田(敏)分科員 時間が参りましたので、最後に。

 今のお言葉、よく私理解いたしました。ただ、検討いたします、前向きにやりますということだけでは、やはり行政に対する信頼感というのは生まれてまいりません。これは、一つ芦田川の問題ではなくて、日本全国の問題だと思います。大臣みずからこのことについて、特に川の自然を守ること、それについては、ぜひ陣頭に立ってそういう検討の場を設けるということを一言おっしゃっていただけませんでしょうか。

扇国務大臣 先ほど申しましたように、今御質問ございました芦田川の水質、今後注意深く見守っていきながら、河川環境の配慮というものは、河口堰の管理、保全、そしてどの程度に汚れているのか、きれいになったのか、これは万全を期して私たちは監視してまいりたいと思っています。

山田(敏)分科員 ちょっと私の質問に答えていただけなかったんですが、私の質問は、大臣みずからこの問題について陣頭指揮される御意思がありますかどうかということでございますが。

扇国務大臣 一河川のみならず、日本は全国にこれだけあるわけですから、私が申していますことは、全国のグランドデザインを出したいと私は就任早々から言っておりますけれども、河川もそして港湾も、そして道路も鉄道も、陸海空が国土交通省なものですから、すべての、陸海空を含めた日本全土のグランドデザインというものをぜひ考えていきたい。日本人にとってどれだけ何が必要なのか、そういうことを、全部データを集めてさせていただきたいというふうに思っております。

山田(敏)分科員 どうもありがとうございました。

栗原主査 これにて山田敏雅君の質疑は終わります。

 次に、後藤茂之君。

後藤(茂)分科員 民主党の後藤茂之でございます。

 省庁再編成によりまして、非常に大きな力を持った国土交通省が発足したわけでありまして、初代大臣に扇大臣が就任されました。国民は大変大きな期待を持っておりますので、大きなリーダーシップを発揮していただきますようにお願いを申し上げます。

 さて、きょうは幾つかの点についてお話をさせていただきたいと思いますけれども、まず、公共投資についてちょっと話をさせていただきたいと思います。

 公共投資の見直しについては、いろいろ最近言われているわけでありまして、見直しの議論が盛んになっております。端的に申し上げまして、私自身は、社会資本整備として必要な公共投資はしっかりとやっていかなければならない、それも、世代がどんどん高齢化、成熟化していく、こういう流れの中にあって、やらねばならないことはやらなければならないというふうに思っているわけであります。しかしながら、今、納税者の目は非常に厳しくなっております。タックスペイヤーが理解のできないような、例えば非効率ないろいろな仕組みがあるとすれば、そういうことについてはしっかりと見直しをしていく必要があるわけでありまして、執行の効率化を図ることは当然のことであります。

 それからもう一つ、景気対策としてのばらまき型の公共投資を見直すという議論があるわけであります。今、国債を大きく発行して、一時的にばらまき型の景気対策をやっても効果がないということについては、私は国民の間でも相当に大きく理解をされてきているのではないかというふうに思っております。

 もちろんそれだけの公共投資をやればそれだけの効果がある、すなわち、カンフル剤として、少なくともしばらくの間きくことは当然でございます。政府の窓口から金が出ていって、それが数カ月間、さまざまな会社、企業、個人の手を渡りまして、最終的に個人のところへ行き着く、あるいは内部留保のできる会社のところへ行き着くということになります。

 しかし、今の現状では、もうこれは言い古されていることでありますけれども、将来に対して不安を持っている国民は消費をすることができない。一部、IT関連の企業等、特に投資意欲のある分野を除いて一般に法人が投資をするということができないような、そういう、将来への展望がはっきりしない状況になっている。そのことでどうなるかというと、基本的には、個人の金、企業の金は金融機関に積み上がることになる。

 金融機関は、例えば、新たな消費や投資があれば貸し出しをすることができるわけでありますけれども、貸し出しについても、実を言うと前向きな貸し出し先がない。そして、一方で、金融の改革をしていかなければならないということで、貸し渋りならぬ貸しはがしというような事態が銀行の体質保全のためにもなされるということになる。では、その余った金をどうしているかというと、最初の、一番の出発点に戻って、銀行が国債を買っている、こういうぐるぐる回りになっています。

 ですから、生きた金が回るような、そういう仕組みをつくっていかない限り、はっきり言って経済がよくならないということを国民は一番肌でわかっているのではないか。私は、地元のいろいろな中小企業の皆さん、商店街の皆さん初め大企業の経営者も含めて、皆さんがそういう認識にきていると思います。

 では、そのためには、消費や投資がどう出ていったらいいかということは、今まさに皆さんがおっしゃっているところの、構造改革をやれるかやれないかということだろうと思います。足元も苦しいわけですから、構造改革をやるということは、本当に、それ以上に苦しいということになるかもしれませんけれども、そういうことに対して、やはり勇気を持って臨んでいく必要があるだろうというふうに思っているわけであります。

 さて、ちょっと駄弁を弄しましたけれども、ともかく、社会資本の整備として、必要なことについてはやっていかないとならないと思っているわけでありますけれども、だれがどのようにしてその必要性の判断をしていくかということが問題になるだろうと思います。

 私は、最近こんな例をいろいろなところでよく話しているわけでありますけれども、これは例であります。ですから、特に具体的な話じゃないですけれども、基幹道路とつながりがないような地方の道路があります。そして、その道路が狭い谷に差しかかりまして、そこに橋をかけようという話になる。どんなに小さな、狭い道路でありましても、深い谷に橋をかけるとなれば、七十億とか八十億とかという金がかかる。しかし、谷を迂回して、谷の根元まで回ってきて五、六分である、そういう局面を想定していただいて、一体この橋は、要る橋なのか要らない橋なのかという議論になるわけであります。そのときに、もしここであきらめても、これと同じような橋がほかのどこかの地区でできるというのであれば、地元の人たちは、これは絶対に自分たちの地域にとって要る橋だと頑張るに違いないというふうに思います。そして、予算も何としてもとってもらいたいという話になっていくだろうというふうに思うわけであります。

 しかし、もしこの金が、例えば七十億とか九十億とか、そういう金が、もしその地域で自由に使えるとしたら、本当にこの橋はつくるだろうかという話になると、実を言うと、今のような局面を想定すると、ほとんどの人たちが、これは地元で、例えばそれに似たような局面を思い浮かべるような場所の人たちに話をしても、いや、それなら考えた方がいいだろうなという話になるわけでございます。

 ですから、逆に言えば、それだけ冷静な議論が行われるようになってきているわけであります。もちろん、地方主権というものの枠組みがしっかりできて、受け皿があるかとか、そういう議論は技術的にはあるだろうと思います。しかし、例えば、補助金が一括して地域に交付されて、公共投資の要不要ということをきちんと自分たちで議論するということができる、そういう仕組みが確保できるとすれば、受益と負担を明確にして、国民参加型のいろいろな意思決定ができるのではないかというふうに思うわけであります。

 そこで、大臣に伺いますけれども、今すぐの話ということではないにしても、将来、地方主権の仕組みが確立するということを前提として、一括して地域に補助金を交付する、そういう形をとることによって、公共事業の必要性の議論を、受益と負担を住民が明確に意識しながら、国民参加で決めていく、そういう国民本位のものとするような方向に考えていくということについて、どういうお考えでございましょうか。

扇国務大臣 今、後藤先生がおっしゃいましたように、私、保守党を立ち上げます前から、地方分権ということはずっと言ってまいりましたし、また実行もしようと思っておりました。今でも私の党の政策の一つであることは、先生と同じ意見でございます。

 けれども、それをどのようにしていくかという手だてがまだできていなかったということで、まず御理解いただきたいことは、私が国土交通省を担当するようになりまして、御存じのとおり、全国、陸海空なものですから、全国の地方整備局、全国八つのブロックに分かれておりますけれども、それにプラス北海道、そして、余りにも関東の地方整備局が大きいものですから、関東を南と北、半分に分けさせていただきまして、要するに十の地方を、私、先週からですけれども、土日をかけて、全国を回って地方整備局に行くことにしている。

 それはなぜかといいますと、先生は大蔵省出身ですからもう既に御存じだと思いますけれども、我々は、補助金を少なくとも三割は地方に回す。地方に回しますと、地方整備局がそのブロックの、四県なら四県の知事さんあるいは県会さん、財界の皆さん方と、今、後藤先生がおっしゃるように、そのブロックの地方ではどういう公共工事が必要なのか、まず必要であることの選択、そして順序はどうするべきか、そして予算はどう位置づけていくか、それは各ブロックでしていただくということで、少なくとも今回の国土交通省になりましてから、地方整備局に権限も委譲するし金も行くということで、百十一名を受け皿として全国に配置しました。

 そういう意味では、今先生がおっしゃいましたように、まさに地方分権で、権限移譲だけではなくて、金額もつけていくんだ、補助金も皆さんに権限ですよと。今、全額ではありません、国の、私たちの国土交通省の予算の三割ですけれども、これでも初めてのことでございますから。

 やはり私は、地方の受け皿が大事である、その受け皿が大事だけれども、今言われるように、必要ではないと言われる中に丸投げだとかあるいは談合だとか、そういうことが地方に行けば行くほど、パイが小さくなりますから、起こりがちなものですから、それをなくすために、国土交通省出発までにということで、昨年の臨時国会で、公共工事に関する入札と契約に関する適正化法を通していただきましたので、これは四月一日から施行されますので、今申しました地方分権の権限と金額が相乗して地方の分権の確立がいくというふうに、ぜひ御理解いただき、また御協力も賜りたいと存じます。

後藤(茂)分科員 受け皿というのは、やはり練習しながらみんなができるようになっていくわけで、最初からど真ん中に直球を投げて大エラーというわけにはいかないかもしれませんけれども、ちょっとずつちょっとずついろいろな分野で勉強して受け皿をつくっていくような、そういう努力が必要だと思います。

 また、ナショナルミニマムということも必要ですから、最低限国がやらねばならない領域の問題というのもあると思います。そういう意味では、ナショナルミニマムというのは一体どういうものであるのかという基準をはっきりと今後はつくっていく必要がやはりあるだろうというふうに思います。

 さて、次に話は移りますけれども、大臣は、長野県の木曽谷は御存じでいらっしゃいますでしょうか。木曽谷という場所です。非常に狭い谷でありまして、旧中山道の旧宿場町が連なっている、簡単に言えば山の中であります。

 そこに木曽川が流れておりまして、両わきは本当に山があって、見上げると空は半分しかないという谷がずっと、七十キロほど続いているわけでありますけれども、そこに国道十九号線というのが通っております。これは木曽谷にとっては生活道路になっております。旧宿場町跡に十一町村ほどの集落がありまして、その部分については、国道十九号線のバイパス的な迂回路となるような旧道、市街地の道路があるわけですけれども、その間を結ぶ道路というのは、実を言うと国道十九号線しかないわけでありまして、迂回路がない状況になっております。ですから、十九号線が事故でストップしたりしますと、完全に交通がストップしてしまう。

 しかし、イメージを間違っていただくと困るので申し上げると、決して狭い道路とか規格の低い国道では当然ありません、十九号ですから。車はびゅんびゅん通りますし、例えば伊那谷を通っております中央高速道路の恵那トンネルが、長大トンネルということで高い特別料金を課しておりますので、トラックも、中央道のその部分を走らずに国道十九号をびゅんびゅん走ります。ですから、トラックの混入率も五〇%近くなっているわけであります。ですから、そういう意味では、山の中ではあるけれども、決して狭い小さな道であるというわけではないということであるんです。

 去年、事故による通行どめの実態というのをちょっと調べてみましたら、去年一月から十二月、ちょうど十二月末日ということだったので、年度ではなくて年のベースですが、一年間に四十七回通行どめが起こっております。延べ通行どめ時間が百五十三時間三十七分、平均時間は一回につき三時間二十分。死者が、一年間で、その七十キロの間で十三人出ております。

 また、雨量規制等による通行どめが、木祖村のところで六時間十五分、山口村で七時間四十分、土砂災害、大雪とかということになるとしょっちゅうとまるということになっておりまして、今申し上げたとおり、十九号がとまりますと、木曽谷の交通は完全にストップしまして、生命や日常生活に非常に大きな困難が生まれる、そういう非常に特殊な、特別な国道であるわけであります。

 もちろんこれまでも、十九号線について言えば、防災対策として、防災点検箇所、危険な箇所に手を入れたり、交差点の改良をするとか、あるいは路肩を広くするとか、三車線にして、通行が遮断されたようなときにせめて片側通行だけでもできるように、いろいろな措置を講じているわけでありますけれども、ほかの、十九号以外にも国道と呼ばれているものの中でも、やはりすれ違いに非常に困難があったり、そういう国道というのが非常に地方の場合は多いわけであります。私は、そういう意味では、こういう一般国道について、例えば相当に修復の必要なものも出てきているというふうに思っているわけでありまして、こうしたものにもう少し対応をしていかなければならないのではないかと思っております。

 十二月には、同じ地域で地域高規格道路の調査区間化の採択もいただいておりまして、決して高規格道路やネットワーク型の地域高規格道路、そういうものが要らないとか不要だとか言っているわけではありません。非常に高規格道路も重要であるとは思いますけれども、生活に密着した国道などの一般道路の整備にもう少し重点を置いていった方がいいのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。

扇国務大臣 後藤先生は、今基本的な社会整備、また必要なところには必要にという大変高度な判断で御判断いただいていますので、公共工事も、私は今先生がおっしゃったような意に基づいた、むだのない公共工事をするというのが原則でございますから、それを御理解いただいているようで、ありがたいと思っているんです。

 今おっしゃいました地域の細かいことに関しましては、局長にお尋ねいただいたらいいと思いますけれども、一般論で申しますと、一般の御存じのとおりの国道等々の整備に関しましては、大変問題があるというのが私の認識でございます。それは、全国にあります国道あるいは一般道等々、御存じのとおり、少なくともまだ整備しなければいけないこと、それがたくさんあって、今おっしゃったような地域だけではなくて、全国規模で、これはまだまだ、二十一世紀初頭まで一万四千キロという目標は立ててございますけれども、それを達成するべく、私どもは最大の努力をしていかなきゃいけない。

 それで、その一万四千キロを達成したらそれですべて日本の道がよくなったかというと、なかなかそうではございませんで、先ほども前任者に申し上げましたように、二十世紀につくったものをいかに二十一世紀型にしていくか。今おっしゃったような一般道に関しましても、少なくともまだ、幹線の道路網を形成するという一般国道につきましては、御存じのとおり、その整備率がまだ全国では五〇%しか達成できていません。それも私は本当に恥ずかしいことだと思いますし、また、世界のレベルからしましても、これはまだまだ日本が社会資本整備としては整備しなければいけないということで、今おっしゃった個々の細かいことに関しましては、どうぞ局長にも答弁をさせてやっていただきたいと思いますけれども、基本的には五〇%ということが恥ずかしいことであるので、前向きにやっていきたいと思っております。

後藤(茂)分科員 個別のことについての答弁はまた後日いただくとして、先ほどの木曽の十九号線について、ちょっともう一言つけ加えて言えば、迂回路として木曽川の右岸道路をつくろう、これは前々から地元の大変な要望でもありますし、確かにその必要性は、さっき言ったみたいに十九号がなかなか拡幅等ができない状況であれば、そういうことを考えていかなきゃいけないわけであります。

 ちょうどくしくも、長野県の知事になりました田中康夫新知事が積極的にその右岸道路に取り組むという発言をしているわけであります。国としてもできる限りの知恵は出したいところではありますけれども、しかし、仮に今の枠組みの中の県の単独事業で木曽の右岸道路をやるという場合であるとしても、国の十九号の整備と、その木曽の右岸道路というのを非常に連携してうまくやっていくということは、その地域のその七十キロの間の迂回路をつくるという意味では、非常に重要になってくるというふうに思うわけであります。

 そういう意味では、管理主体である国と県がよく連携を図っていくということが必要であるというふうに思います。そしてまた、国として、一般国道その他の整備をしていくときに、周辺の地方道と連携を緊密にしていく、そして緊密に連携を図りながら整備を進めるべきであろうというふうに思っておりますけれども、その辺の連携についていかがでございましょうか。

大石政府参考人 先生御指摘のとおり、道路はネットワークとして機能するものでございますから、一般国道の整備におきましても、地方道等他の道路との連携を図りながら整備をしていくということが基本であろうというように考えております。

 道路整備を行います際に、交通渋滞の解消あるいは隘路区間の解消、防災、震災対策、交通安全等々の観点があるわけでございますが、これらの観点で道路を整備する上で、当該道路の緊急性のみならず、関連する道路あるいは代替機能のある道路等の整備状況に配慮しながら重点的に整備を推進していく、こういう考え方でございます。

後藤(茂)分科員 きょうは割合に利用者の立場になって話しているようでありますが、私はよく新宿から、歌でも有名になった「あずさ」に乗って、中央東線によく乗るわけでありますけれども、この中央東線というのがよく揺れて昔から非常に有名で、なおかつ、JR東日本にとっても幹線鉄道であるわけでありますけれども、非常に時間がかかるわけであります。

 地方の幹線鉄道について、やはり安全性を高めたりあるいは高速化をしていくために高規格化は進めていかなければなりません。そのときには、線形の悪い部分についていえば、新線をつくらなきゃいけない部分もあるかもしれませんし、線形改良に相当大きな基盤の改良を必要とする場合もあります。あるいは、複線化を図るとか、踏切との平面交差回避のための立体交差をつくるとか、相当大きな改良がいろいろ必要になってまいります。

 例えば、今の中央東線などは複線がずっとできておりますけれども、長野県の諏訪の地域に入りますと単線になります。そして単線になった中央東線は、例えば上諏訪駅の両端で国道二十号線の踏切を二回横切る、つまり交差するという形になっております。安全性あるいは高速性を高めるために高規格化が必要だろうというふうに思うわけでありますけれども、JRを含めて、地方の民間鉄道には大きな改良のための投資余力は、正直言って、ないというのが現状であります。

 幹線鉄道活性化のための仕組み等も今あるわけでありますけれども、やはり基盤の整備を例えば国などが行って、それを民間鉄道に貸し付けをする、そしてその実際の鉄道の業務の運営等については委託運営か何かで、というか、貸し付けをして経営するというような形で、整備をしながら地方の民間の幹線鉄道にやはり手を入れなければならない。JRが民営化をした後、少し投資がおくれて、そのまま後倒しになり過ぎているのではないかというふうに思う点があるわけであります。

 そういう意味で、投資余力がない中で、中央東線など幹線となる鉄道の線形改良あるいは高速化のための基盤整備について何らか公的な助成システムが必要と考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

扇国務大臣 今、中央東線のお話が出てまいりましたけれども、国土交通省としまして在来幹線の鉄道は、いわゆる都市間の輸送ということで、本当に公共の交通機関として大事なことであろうと私は思っています。

 また、先生御存じだと思いますけれども、運輸政策審議会答申が昨年出てまいりまして、今回は在来線の鉄道の高速化につきましては、少なくとも支援の見直しが提言されておりますので、私どもは、その答申に従って、本年度ということで今作業をしたところでございますけれども、その答申を受けて、十三年度の予算案におきまして、先生もお目通しいただいたかもしれませんけれども、従来の幹線鉄道等活性化補助制度、これを頑張っていきたいというふうに、新しいまちづくり事業、これと連携してやっていこうということで、在来の幹線鉄道の高速化事業を創設し、三分の一でございましたけれども、ことしは特にそれを二割に引き上げるということで、これも新しく十三年度としては前向きな姿勢を御配慮いただき、また、御協力賜るのではないかと私は思っております。

 ただ、問題は、高速化の実現に当たりましては、御存じのとおり、これは沿線の自治体が主体でございますので、この助成制度の活用に関しては自治体の皆さん方とよくお話し合いをいただきたい、その上で、新しい補助制度を活用したらこういうことになるというのをぜひ見せていただきたいと私は思いますし、また、御存じの中央東線におきましてもその成果が上がるように、ぜひ先生も地方自治体にお働きかけいただいて、この制度が活用できるようにしていただきたいと思います。

 ごめんなさい、ちょっと、二割から三分の一にと訂正させてください。

後藤(茂)分科員 そういうことで、地方の幹線鉄道の整備について、より一層前向きな対応が求められると思います。

 最後に、交通体系について少し申し上げたいと思うんですけれども、道路、鉄道、航空など、国土交通省ができまして、実を言うと、非常に幅広い戦略的、機能的交通体系を考えるだけの権限を持った一人の大臣のもとに一つの役所が出てきたわけです。特に、道路もさることながら、大量交通手段としての鉄道とか航空とか、そういうものについても連携を図っていく必要があるだろうというふうに思うわけであります。

 例えば、これは一つの例として申し上げますけれども、大量交通手段としての鉄道等については、それは利用者の多いところに限って重点的に投資していく、高速道路の道路網については、これはナショナルミニマムとして全国に整備をしていくというようなことは考えられるんだろうと思います。

 それから、一つ、中央リニア新幹線というのもあるわけですけれども、東京と大阪、都心と都心、本当に都心の地下、大深度の地下と地下を一時間半で結ぶということがもしできるということになれば、実を言うと、今東京と大阪の空港の発着枠がいっぱいな中で東京―大阪間の航空輸送というのが非常に多くの部分を占めている、その東京―大阪間の航空輸送を中央リニア新幹線などで振りかえることができるのではないかというふうに思うわけです。

 東京、大阪の空港はどうするかというと、それは国際線や地方の空港との連絡に使える。空港整備が経済性や利便性や空路の問題でもし大都市周辺で可能であるというのであれば空港整備でもよろしいかと思いますけれども、そういった面でもし空港整備が難しいということであるとすると、中央リニア新幹線の問題というのは、中央リニアの単発の経済性の問題だけではなくて、トータルとしての経済性で考えるということができる。だから、そういう意味でいえば、これからは、もちろん規制緩和という自由化の流れもあります、それぞれの違う分野の経営体の問題もありますけれども、総合的な、戦略的、機能的な体系をというふうに思います。

 持ち時間がなくなりましたので、最後に、リニアの技術開発の状況についてちょっとお話をいただきまして質問を終わりたいと思いますけれども、省庁の再編成がこの一月で始まりました。単に省庁の再編だけだったら行革の意味はありません。そういう意味では、行政サービスの内容を見直すとか、従来の縦割りの行政を直すという意味では、国土交通省がちゃんとやれるかどうかということは、今回の省庁再編成の成功、失敗の分かれ目になると思います。どうぞ御健闘いただきたいというふうに思います。

泉副大臣 総合交通体系の問題は国土交通省の最大の課題であると思っております。自由市場の中で自由に選択をしていただくという面と、それから、誘導する部分と、両方をどうマッチングさせていくかという大きな課題を抱えながら私どもは取り組んでまいりたいと思います。

 特に、今お尋ねございましたリニアの技術開発については、平成九年から今日まで着実に進めさせていただいておりまして、有人による最高速度が五百五十キロ、あるいは相対速度約千三キロの高速のすれ違いが可能という、実用化に向けた成果を上げておるところでございます。

 しかし、先ほど先生おっしゃられましたような、例えば、本当に実用化いたしますまでには、さらに長期的な耐久性の問題でありますとかコストの問題、こうしたところを詰めなければならないことになっておりまして、これからも、十二年度からおおむね五年間の予定で山梨の実験線を使わせていただきまして、コストの低減、そしてまた、さらに技術的に残された分野を進めてまいりたいと思っておるところでございます。

 御報告させていただきます。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいました行革の成果、今回の省庁再編、国土交通省がどうなっていくか、これによってこの行政改革の成果が分かれるというお言葉をいただきまして、身の引き締まる思いをしておりますけれども、私は、少なくとも縦割り行政というものを国土交通省はなくしていく、そのために私は全国回るという決意をしておりますので、この国土交通省の縦割りをなくす努力に、ぜひ先生もお力をおかしいただきたいと存じます。

栗原主査 これにて後藤茂之君の質疑は終了いたしました。

 次に、東祥三君。

東(祥)分科員 東祥三であります。

 大臣、質問させていただきます。幾つかあるんですけれども、三十分という限られた時間内で全部消化できるかどうか疑問なんですけれども、一つ一つ簡潔にいきたいと思います。

 まず第一点目でございますが、旧有明貯木場埋め立て問題について質問させていただきます。

 九州有明海ではノリの不作が大きな問題となっており、先日も漁業関係者が行政に対して抗議行動を行っていました。諫早湾の干拓事業が原因との指摘がありますけれども、今後具体的に原因究明がなされると思います。

 翻って、ここ東京の臨海部に位置します有明地域、私の地元でもございますが、この有明地域でも埋立事業による環境問題が発生しようとしているわけであります。東京湾に残る数少ない浅瀬であります地域を東京都が事業主体として行う埋め立てでありますけれども、約三十五ヘクタールの土地に約九千戸の住宅を建設する計画と聞いております。平成十二年八月十七日に認可され、九月より工事が開始されています。

 NGOであります財団法人世界自然保護基金日本委員会、WWFジャパンは、埋め立てに関して厳しい意見を述べておりますけれども、国土交通省はなぜ埋立申請を認可したのか、簡潔に理由を教えてください。

川島政府参考人 東京港有明北地区の埋め立てについてでございます。

 議員御指摘のとおり、本件埋め立てにつきましては、平成十一年八月に東京都に対し免許申請がなされております。東京都はこれを受けまして、埋め立ての必要性、環境面への影響等の審査を行うとともに、告示縦覧、地元区長の意見聴取等、公有水面埋立法による審査及び諸手続を進め、免許し得るものと判断し、平成十二年三月、当時の運輸大臣に対し、認可申請を行っております。

 当時、運輸省としましては、これを受けまして、本件埋め立てが東京港の港湾計画に沿ったものであるかどうか、また埋め立ての必要性、あるいは環境上の問題点等につき、東京都の審査が適切に行われたかどうかをチェックした上で、平成十二年八月に認可したものであります。

東(祥)分科員 基本的には手続に瑕疵はなかったという判断で認可されたという御指摘なんだろうと思います。

 私が申し上げたいのは、実際、東京都が行う事業であるとはいえ、他県にも影響があると考えるならば、国としてかかわることは、とりわけ自然保護という観点から重要だと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

 手続としては瑕疵がない、したがって判断したと。僕の論点というのは、事業主体が東京であったとしても、その内容それ自体が他県にまたがることであるとするならば、手続上何ら問題がなかったとしても、それなりにかかわっていく必要性というのは生まれるのではないのか。いかがでしょう。

扇国務大臣 あえて御指名でございますから、細かいことは後でお聞きいただきたいと思いますけれども、少なくともこの埋め立てにつきましては、東京都の環境影響評価条例につきまして、これも完全に環境影響評価の手続を終えてこれを着手したと私は聞いております。また、埋立免許手続等々に関しましても、東京都の環境保全局の審査が行われている。それらによりまして許可したということも、適切な審査が行われたということは、東京都のことでございますけれども、そのように聞いております。

 なお、私が入ってきましてから、運輸省の人たちの説明によりますと、やはりこれは少なくとも当時のハゼだとかエドハゼとか、私余り詳しいことはよくわかりませんけれども、そのエドハゼ等々の生態問題も、環境保全の措置等々につきましても東京都に必要な説明を求めてこれを認可したというふうに私は報告を受けていますので、これ以上の細かいことは、ぜひ局長にもお聞きいただきたいと存じます。

東(祥)分科員 環境省に質問します。

 当事業について、環境影響評価法によりまして、五十ヘクタール以下の開発事業に対して意見具申する立場にないと、許可当時おっしゃっておりましたけれども、現在も同じ見解でありましょうか。

中川政府参考人 環境影響評価法の制定に際しましては、既に地方公共団体におきましても環境影響評価制度が整備されていたことにかんがみまして、規模が大きく、環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業を対象としたところでございます。したがいまして、制度的には先生御指摘のとおりになっております。

東(祥)分科員 私は、環境影響評価法、五十ヘクタール以下だから各地方自治体にすべて任せよ、これの改正を訴えているわけであります。五十ヘクタールであろうが数ヘクタールであろうが、自然環境に対して重大な影響を与えることが考えられる案件については、環境省として積極的に意見を具申すべきなのではないのか。

 各地方自治体の事業は、それぞれが環境アセスメントを行い申請していることは十分承知しております。しかしながら、その地域だけでおさまるならともかく、周辺地域まで影響が及ぶと考えられるならば、申請者のみのアセスでよしとするのは疑問があるわけであります。この件でいえば、東京都のみならず、千葉県、神奈川県にも及ぶのではないのか。また、動植物の種の保存の問題も、一地方自治体だけではおさまらない問題なのではないのか。

 九二年にいわゆる環境サミットというのがブラジルで起きました。ここでのまだ解決できない問題ですけれども、ブラジルのアマゾンの問題というのはどういうふうにとらえるのか。そのように言われたときに、これは、ヨーロッパやあるいはまた日本やアフリカから見るならば、アマゾンのあの熱帯雨林というのは地球全体の問題だと。ブラジルの人に聞いたらどうなるのか。あれはブラジルのものだと。ところが、アマゾンに住んでいる人々にとってみれば、とんでもない、あれは私たちが住んでいるところなんだから、あれをどのようにしようが勝手ではないか、ちゃんとした手続を踏んでやるならば問題ないではないかと。環境問題というのはそういう側面を含んでいるだろうというふうに思います。

 この問題に関して環境省に、当時環境庁でありましたけれども、環境省が環境省としての存在意義を持つとするならば、五十ヘクタール以下であろうが五十ヘクタール以上であろうが、それなりのちゃんとした視点、問題に関与していく視点をちゃんと突き詰めた上で、そしてその上で、先ほどちらっとおっしゃいましたけれども、五十ヘクタール、規模が小さい、そしてまたそこに環境省として関与する必要性がないということで、この問題に対して東京都の環境アセスにすべてを任せた、こういう理由ならわかるわけですけれども、そもそも五十ヘクタール以下だから私たちは意見具申する立場にない。であるとするならば、環境省が、我々も環境省にするために一生懸命努力したわけですけれども、その意義それ自体がなくなってしまうんではないのかというふうに思うのですが、いかがですか。

中川政府参考人 私どもに対して応援をしていただいて大変ありがたい御質問だと思いますが、一つは、やはり地方分権の流れがあるというふうに思います。そしてまた、地方公共団体におきましてもその環境影響評価制度は長年の実績を持っておりまして、また、環境影響評価法の制定を受けましてその制度の改正や条例化を図りまして、現在までにすべての都道府県、政令指定都市で条例が整備されておりまして、各地方公共団体におきましても、まさにこの法制定を契機に、新たな条例として再スタートしたというところだと思います。

 環境省といたしましては、環境影響評価の内容の充実を目指して技術手法の研究や普及に努めておりまして、もちろん国、地方を通した環境影響評価制度全体に目配りをするのが私どもの責務でございまして、環境研修センターにおきまして、地方公共団体の職員の方の研修や、また、私どもと地方公共団体の環境事務をやっております方々との定期的な情報交換なども行いまして、地方公共団体と環境省とが連携をして環境影響評価の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

東(祥)分科員 環境政策局長とはまた別の機会にいろいろ議論したいのですけれども、私の論点は、それぞれの地方自治体が環境問題に関して一生懸命頑張ることはいいことですよ、それに対して水を差すようなことを言っているのではなくて、なぜ環境省になったのかといえば、それぞれの自治体は別の問題をいろいろ抱えているわけですから、環境面において、環境のその重要な課題については環境省というのがあるわけだから、これは地方分権をどんどん進ませると同時に、そこで全国的また地球的な観点に立たなくちゃいけないところですよね、そういう意味においては、規模の問題ではないんじゃないですかと。

 五十ヘクタール以下であったとしても、例えばアフリカの有名なサファリがあるところは五十ヘクタールより小さいところだってありますよ。しかし、それはそこで任せておいていいんですかということを言っているわけです。そうじゃない問題が環境問題というのには含まれているんではないですかと。

 だから、そういったときに、ちゃんとした別の切り口で基準というものをつくって、意見具申できないということじゃなくて、何か問題があるならば意見具申できるという形で、自分たちが問題がないというならいいわけです、僕は、そういう答えをいまだかつて聞いたことがないわけです。東さん、五十ヘクタール以内だから私たちは意見具申する立場にありませんと言っているわけですから。そこには問題があるのかないのかというのは環境省の角度から考えていないから、そういうことができるようにしたらどうなんですかということを申し上げておきます。

 ここで議論すると次に行けなくなっちゃうので、申しわけありません、また後ほど議論させていただきたいというふうに思います。

 次に、別の問題に移ります。住宅性能表示制度について質問いたします。

 平成十二年四月一日に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づきまして、住宅性能表示制度が同年、平成十二年十月より本格的に運用が開始されました。

 この法律の施行に関する意見公募で、空気環境につき、いわゆるシックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒド対策として無垢材を評価対象として組み入れるべきとの主張を当事務所からもさせていただきましたが、現在、その制度にどのように反映されているのか、この点についてお聞きしたいと思います。

高橋副大臣 東委員の御質問にお答えします。

 今御質問にありましたように、この制度は、十月に性能評価を行う第三者機関を指定しまして、制度運用を開始したばかりでございます。

 御指摘のとおり、昨年二月に公表いたしました基準の素案につきましては、ホルムアルデヒド対策に関する性能表示の方法として、内装に使用される無垢の木材の表示が盛り込まれていませんでしたが、パブリックコメントとしていただいた多くの方々の御意見を踏まえまして、無垢の木材を使用している旨を特に表示するものへと変更したものでございます。

 そして、今後とも、国民のニーズを反映した基準となるように、必要に応じ点検、見直しを図ることといたしてまいりたいと存じております。

東(祥)分科員 国民のこの問題に対しての積極的な、またポジティブな意見がちゃんと受け入れられて、すぐ採用していただいたことに対して感謝申し上げる次第であります。

 この点に関しまして、また現在、品確法の室内空気環境の基準見直しを検討していると伺っておりますけれども、その対象の化学物質の中に、木材がもともと持っているアルファピネンやリモネンなども含まれていると聞いております。これらの化学物質について逆に今度は規制が行われますと、木の香りのする家はそのまま汚染住宅であるという、本来目途としているものとは違う非常に矛盾した法律になってしまうのではないのかと私は危惧しているわけでありますが、本法律の改正に、改正するのかどうかも含めた上でのまだ検討段階なのかわかりません、その点につきまして十分な御配慮を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。

高橋副大臣 住宅性能表示制度の効果についての問題でございますけれども、今おっしゃられましたように、内装に使用される無垢材の件につきましては、ホルムアルデヒドの放散の少ない建材の表示ということで、消費者が住宅を選びやすくなった、こういうふうに理解しておりますし、住宅生産者におけるこうした建材の使用が促進されるものと期待しております。

 木材から発生するホルムアルデヒド以外の化学物質についてどうかと問われますと、やはり広く国民の意見を踏まえて、適切な表示となるように検討してまいりたいと存じております。

東(祥)分科員 よろしくお願いします。

 この住宅性能表示制度についてさらに質問させていただきたいのですが、ここに、第二項目めに火災時の安全に関することについて記述があるわけでありますが、先般、私の地元江東区の都営住宅で火災が発生いたしました。新築の住宅で、新建材を使用した気密性の高い住宅での火災であり、あたりには有毒ガスの鼻をつく異臭が漂っていたという報告が入っております。

 現行の住宅性能表示制度では、安全に関する評価基準としては耐火の項目はあるのですけれども、有毒ガスの発生による逃げおくれの危険性を評価する項目がない。火災によって人体に危険を及ぼすものは炎だけではないのではないか。燃焼による有毒ガス発生等級の設定などが必要なのではないのか、このように私は思うんですけれども、この点についていかがお考えでしょうか。

高橋副大臣 今御質問の火災時の有毒ガスを発生する建材の表示という問題につきましては、先生が今御指摘のせんだっての火事によらず、前々から、新建材の使用ということで煙に巻き込まれたり、あるいは地下のショッピング街での火災でもそういう傾向が見られたのは御承知のとおりでございます。

 建築基準法におきましては、台所など火気を使用する部屋に用いられます内装材等については、不燃性とあわせて、有害なガスが発生しないものであることを確かめるよう義務づけております。

 なお、こうした内装材以外の建材につきましては、現在有毒ガスが発生するかどうかの評価や表示が行われておりませんことから、現状では実施することが困難なんです。あえて申し上げますと、経済産業省のJISとか農水省のJASとか、こういう問題ではまだ指定されておりませんので、今後の研究課題でございます。

東(祥)分科員 次に、小名木川の貨物線の問題について質問させていただきたいと思います。これまで何度となく質問させていただいております、東京都江東区にありますJR貨物の越中島線についてお尋ねをします。

 臨海副都心を有します江東区は、現在、地下鉄東西線、有楽町線、都営新宿線、先ごろ開通いたしました都営大江戸線など東西に延びる線と、西側の深川地区と言われる交通網は非常によくできておるんですけれども、東側の一般に城東地区と言われる地域の南北交通網がなかなか整備できない状況であります。したがって、既存のJR貨物線の旅客化が長年の夢でもあるわけであります。しかしながら、今日までいろいろな角度から検討をしてきておりますけれども、最後には採算性の問題だとか事業主体の問題でなかなか実現に至らず、今日に至っているわけであります。

 ところが、先ごろJR貨物側から、小名木川貨物駅の廃止に伴う跡地開発が発表されました。十ヘクタールに及ぶ、住宅とショッピングセンターや映画館などが併設する大規模開発と聞いております。

 そこで、質問なんですが、この大規模開発によってJR貨物越中島線に付加価値がついてくるわけでございますが、そのことによって旅客化の問題について少し状況が変わってくるのではないかと思われるんですけれども、再度旅客化の検討ができないかどうか、お尋ねしたいんです。

安富政府参考人 先生お尋ねのJR貨物小名木川駅の再開発に伴う貨物線の旅客線化でございますが、おっしゃるように、再開発によって住宅あるいは商業施設といったようなことができることによりまして需要が想定されるわけでございますが、この貨物線の旅客線化を実際にやるとなりますと、この部分は非電化でございますので、例えば電化をする、あるいは信号保安設備を設ける、駅施設を設ける、さらには亀戸のところでどういう連絡施設をつくるのかといったような幾つかの検討課題がございます。

 こういうことをやりますと、実際問題として非常に多額の投資が必要になるということで、実はこの線は、JR貨物が使っているわけですけれども、JR東日本が所有しているところでございまして、現在の段階では、東日本が、実際問題としてそれだけの多額の投資がある場合に、周辺の需要等の関係での採算性、そういうことについて余り多く期待できないということから、旅客線化については極めて消極的な状況でございます。

 ただ、今後地元と具体的に、再開発した結果どういう需要が出てくるのかということは、もう少し将来的な点について、需要あるいは採算性といった問題について基本的な事項を検討していく必要があるかと思いますが、そういう地元と、あるいはJR東日本との検討状況というのを見ながら、我々としても適切に対応していきたいというふうに考えております。

東(祥)分科員 将来にわたってはまだ出口が閉まっていない、積極的でもないし、一〇〇%消極的でもない、そういうふうに聞きます。

 そこで、お聞かせ願いたいんですが、近年ヨーロッパを中心に新たな都市内公共システム、LRTというのでしょうか、ライト・レール・トランジット、これが話題を呼んでおります。床が低くて乗りおりが便利で、地下や高架でも走行できて、かつ建設費が地下鉄や新交通システムに比べ低廉であるものと聞いておりますが、例えば、この越中島線の旅客化にこのLRTの導入の可能性はないのかどうか、いかがでしょうか。

安富政府参考人 先生今御指摘のとおり、通常の列車を運行するよりも、このLRTという形で低床式の車両を運行するというのは、かなりコスト的には有利ではないかというふうに考えます。

 ただ、この場合も同じことでございまして、LRT、通常電車だと思いますが、電化施設であるとか信号保安設備とか、そういう問題についてはやはり何らかの投資が必要でございますので、そこら辺を含めて、全く私も可能性がないとは言いませんが、その可能性に向けてやはりこれから検討していく問題ではないかと思っております。

東(祥)分科員 局長は、どこかで検討してもらって、それを踏まえて対処したい、多分そういう意味なんだろうけれども、どこかで検討するように鉄道関係者といいますか、鉄道事業者を含む関係者間、この検討を促していただくようにイニシアチブをとっていただけないでしょうか。

安富政府参考人 この問題、鉄道事業自体の基本的な問題でございますが、鉄道事業の実際の運行をどうするかということについては、基本的には各事業者に任されている話でございますが、ただ、地域開発という観点から、地元として今後鉄道自体とあるいはまちづくりをどういうふうに考えていくのかということは重要な観点だと思います。

 そういう意味で、我々としては、やはり地元からぜひそういう声を起こしていただいて、我々としてもそれについてJRを含めた鉄道事業者の指導という点では努力していきたいと思いますが、やはりまちづくりと一緒になってこの鉄道をどう再生するのかというような観点から、ぜひ地元で御検討いただきたいと考えております。

東(祥)分科員 とてもいい答えだと思います。地元では今むんむんしておりまして、そして、地元の人たちは何とかしてもらいたいという声があるんです。それはこちらで収れんさせますから、では、それをどこに持っていったらいいのか。

 皆さん極めて頭がいいですから、そういう検討があったら、それを踏まえた上で、ではその検討を具体的に進めていかなくちゃいけませんから。そうすると、鉄道事業者、これは我々はほとんど関係を持っていません。それは御専門でございますので、局長のところに陳情を持っていきますので、後、それを踏まえた上で、ぜひ検討していただきたい。こういうふうに理解してよろしいでしょうか。

安富政府参考人 先ほどから私申し上げていますように、いろいろな問題があることはぜひ先生にも御理解いただきたいと思いますが、我々としては、地元としてそういう形でいろいろな検討をなさったことに対して、鉄道事業者に対していろいろまた側面的に努力していく気持ちはございますので、その点を申し上げたいと思います。

東(祥)分科員 先ほど局長の方からもお話ありました。ここでの最大のポイントというのは、やはり大規模再開発が行われて、そして、そこで何年も前から歴史的に商店を営んでいる商店街がこの地域にはあるんですけれども、その方々にとってみると最大の関心というのは、いかにその町を再活性化するか、そこに集中しているわけなんです。別の言葉で言えば、どのようにすればお客さんをその商店街に集めることができるか、その一点に尽きるわけで、その実現のために本当に想像を絶する努力を彼らはしているわけであります。

 そこで、またお尋ねしたいんですけれども、旅客化の過渡的手段として、例えば貨物線を余り事業や構造物を変更することなく、観光列車といいますかあるいはまたイベント列車のようなものを一時間に一、二本走らすことも考えられるのではないのか。先ほど申し上げましたとおり、新交通システム、物すごいお金がかかる、LRT、これもまだ検討していかなくちゃいけない。第三段の可能性として、単発でイベント列車みたいなもの、こういう可能性というのはどうなのか。僕は一度食いついたら放しませんので、可能性をとことんまで追いかけていきますので。

安富政府参考人 先生の方からいろいろなアイデアが出てくるということで、私も非常に感心しているわけでございますが、ある意味ではこのイベント列車は、当然、この貨物線は現在臨時的に一日三本ぐらいの運行というような形でやられていますので、施設的な余裕はあると思います。そういう意味で、イベント列車を臨時的に使うということについては、もちろんその際にも、では旅客をどう取り扱うのかとか、だれが具体的にその運行主体になるのかとか、費用負担をどうするか、技術的な可能性も含めていろいろあるかと思いますが、そういう問題について、やはり鉄道事業者とも、我々も地元と一緒になってできるかどうかについては、可能性を含めて検討していきたいというふうに考えております。

東(祥)分科員 ありがとうございます。

 それでは最後に、亀戸交差点歩道橋のバリアフリー化について質問させていただきます。

栗原主査 端的にやってください。端的に質問してください。時間がありません。

東(祥)分科員 昨年の五月に成立しましたバリアフリー法の施行に伴って、国土交通省においてさまざまな事業が実施されていると聞いております。

 そこで質問したいんですが、東京都江東区亀戸に、国道京葉道路と都道明治通りの交差点、亀戸交差点というのがあります。そこに、都内でも渋谷、上野に次ぐ極めて交通量の多い歩道橋があります。一日の利用者数が約三万人と言われる有名な歩道橋でありますが、このたびの補正予算に亀戸交差点のバリアフリー化事業が推進されていると聞き及んでいるんですが、その進捗状況は時間がありませんから割愛していただいて、要望をさせていただきたいんです。

 地元の地域住民の強い要望といたしまして、現在、二基の設置だけは認めていただいているんですけれども、二基だけではこの大きな交差点を確実に渡り切ることができない、利便性に欠けて、バリアフリー事業としての意味を余りなさないのではないか、このように思われるわけです。したがって、もう二基の設置を新年度予算で追加できないか、四基そろうことによって初めてバリアフリー化された歩道橋と言えるのではないか、これは歴史的なものになると思うんですが、そういう意見があります。国土交通省として前向きにお考えいただけますでしょうか。

大石政府参考人 今委員御指摘のように、平成十二年度の補正予算で、利用者の多い二カ所の階段について、優先的にエレベーターの設置をすることといたしております。

 エレベーターの増設につきましては、歩行者等の利用実態、エレベーターの設置方法、地元の要望等、事業の可能性を総合的に勘案した上で検討を進めてまいりたいと考えております。

 なお、この残る歩道橋の階段はZ形になっておりまして、極めて空間制約が厳しいというような状況も聞いてございます。そういうことを総合的に勘案して検討を進めてまいりたいと考えております。

東(祥)分科員 今の、僕は役人用語というのはわからないんです。それはやる可能性を五〇%以上含めているのか、そうじゃないのか、それだけ聞きたい。

扇国務大臣 最後になるでしょうから、東先生の御熱心な御質疑に、今、亀戸の話が出ましたけれども、少なくとも私どもは、二十一世紀そして今年度予算の中にも、あらゆるところでのバリアフリー化というものを盛り込んでおります。

 先ほども話が出ましたけれども、日本の中でも、低床のバスだとか電車でありますとか、あるいは上りだけのエスカレーターに下りもつけようとか、そして、今度の亀戸のこのことに関しましても、エレベーターの昇降装置、またスロープを整備するというようなことも亀戸では行おうとしておりますし、今までにも三回、地元の説明会を開いております。まして、この地元の皆さん方の御要望があり、また地元の理解が得られれば、必ずこれは事業を進めてまいりますことを明言いたしておきたいと思いますので、地元の皆さんの御協力をぜひ賜るように御指導いただきたいと存じます。

東(祥)分科員 ありがとうございました。

栗原主査 これにて東君の質疑は終了いたしました。充実した答弁でございました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)分科員 十一月の八日、まだ建設省時代でしたが、扇大臣初め関係の局長にお伺いした事項について、まず、その後のフォローアップ状況について御質問したいと思います。

 まず、中小零細ゼネコンの受注機会の確保についてであります。

 十一月のときには、大臣の方から、中小企業向け契約目標を毎年設定しており、平成十二年度は国全体の四四・一%である、さらに分離分割発注も推進していくというふうな御答弁を賜りました。ただ、平成十二年、確かにそういう数字で四割強の受注機会が確保されておりますが、さかのぼってみますと、八八年当時は五割を超える受注機会があったというふうに記録には残っています。

 現在の大手ゼネコンと中小零細ゼネコンの受注機会のいろいろな推移を見ますと、一億円以上の会社、五十七万建設業と言われるところの一%に満たない建設業者が、現在では公共事業と称する受注機会のうちの五三%以上を占めている。それを何とか制度的に、もちろん競争条件を高めるということは当然のことでありますが、委員会の後に建設省の方からも四つの受注機会の確保の対策というのをいただいたのですが、なかなか抽象的過ぎて、制度として成り立っているのかどうか、まだよく理解ができません。

 今後も中小零細ゼネコンをきちっと制度的に、政策的に支援していくんだというのは、昨年委員会で質問した以降、大手、中堅と言われているゼネコンには、債権放棄を銀行に要請し、下支えをするということを支援策として対応しています。中小零細ゼネコンにはそのような支援策は全くありませんし、きょうの天気のように、本当に冷え込んでいるような地域の中小ゼネコンの状況であります。その点について、大臣に、冒頭、これからの中小ゼネコンについての対応の方策をお伺いいたします。

扇国務大臣 昨年も先生に御質問をいただきました。少なくとも、中小企業業者、今の社会資本整備という観点から考えましても、雇用あるいは経済、そしてまた中小企業者の振興そして育成等々、それが今の日本の経済にとっても大変重要な位置を占めているというのは、去年も先生から御指摘があったとおりでございます。

 私ども、国土交通省に一月六日からなりまして、ダブることになるといけませんけれども、公共工事の発注に当たりましては、中小建設業者の受注機会の確保、それを必ず図っていこうというふうに努力もしておりますし、中小企業者に対する国等の契約の方針というのが、昨年度も言われましたけれども、私お答えしましたけれども、毎年、年ごとに、所管事業の執行に関する通達に基づきまして、それを必ず入れるようにいたしております。また、先生御存じのとおり、可能な限り分離分割しようというようなことで、経常JV制度の活用、これも昨年私、先生にお答えしたところでございます。

 私どもは、新しく国土交通省になりまして、先ほども私ちらっと申し上げましたけれども、本年四月から施行されます公共工事の入札と契約に関する適正化法、これを施行する場合におきましても、事業の着実な実施を図りつつ、なおかつ、私は、中小建設業者がより広範囲に受注機会が恵まれるようにというようなことに努めてくださいということも言ってございますので、私は、この入札・契約の改善によりまして、少なくとも、技術と経営にすぐれた企業が発展をして、皆さん方の中小企業としての十分な役割を果たしていただけるように今後も努めてまいりたいと存じております。

後藤(斎)分科員 大変力強いお話で、ぜひそんな形でお願い申し上げます。

 ただ、一点つけ加えてお話をさせていただきますと、分離分割発注、JVの活用という点についてはそのような形で進めていただきたいと思うんですが、実際、工事金額が一億円以上の工事が、八八年にはそれ以下のものが六割であったのが、逆転をして、一億円以上のものが六割以上になっている。五億円以上の事業も、八八年には一九%程度だったものが九八年には三割を超えているというふうなことで、必ずしも今大臣がお答えになったようになっていないところもあるかもしれません。その点につきましては、ぜひ大臣のリーダーシップの中で、先ほど答弁をいただいたような形で促進をしていただければというふうに思っております。

 次に、昨年の十一月にも大臣、関係局長にお尋ねをしました、建設業の保証株式会社の件でございます。

 当時、大臣からも、参入したい方にはできるだけ積極的に門戸を開く、ただ、その中では、公共事業の安全性確保という点をきちっと理解していただいた方について入れていくんだというふうな趣旨のお答えがございました。その後三カ月しかたっていないんですが、多分三社独占の、寡占の状況はなかなか変化をしていないと思います。

 あわせて、料率の問題についてもお尋ねをしましたが、冒頭お尋ねをしたように、今、中小零細、大手もそうかもしれませんが、建設業全体、コストをどうやって縮減し、公共事業をできるだけ国民の目から見てもきちっとした形でやっていくかという企業努力をなさっている企業もたくさんございます。そんな中で、料率が寡占状態の中で変動していないというのはどう考えても納得ができませんし、そして、公共事業の事業費の総額自体は、昨年の補正も含めるとかなり増加をしていると思います。

 その点で、昨年の十一月以降、この三社の建設業保証株式会社からプラスアルファでいろいろな新しい申請があったのかどうか。そして、PR活動にもできるだけ努めるというような趣旨のお話も局長の方からございましたが、その後の関係者に対するPR活動について、まずお尋ねをいたします。

風岡政府参考人 まず、前払い保証事業、前の国会でも御答弁をさせていただきましたけれども、これは前払い法の要件に適合する限り登録するという考え方でありますので、その意味では従来から広く門戸を開いてきたところでございます。

 こういった考え方をできるだけPRということでございますけれども、その後の私どもの取り組みとしましては、そういった考え方について、いろいろな取材とか問い合わせとか、そういった機会に我々の考え方というものは明らかにしてきたところであります。今後、私ども、いろいろな問題点につきまして、マスコミの方々と懇談するような場もありますので、建設業に関する話題、テーマとして、こういったことも取り上げて、いろいろな機会を使いましてその考え方を進めていきたい、このように思っております。

 また、現実の動きでございますけれども、昨年の十二月とことしの一月、実は新たに二件の新規の登録申請というのが出てまいりました。これにつきましては、現在申請者の方からヒアリングをしている最中でございますので、まだ取り扱いの結論は出ていないわけでございますけれども、法律の要件を満たすものと言えるかどうかについて、現在、慎重に審査をしているところであります。

 それから、保証料率の御指摘でございます。保証料率につきましては、これは建設業をめぐる状況が非常に不透明、すなわち保証事故というのがかなりふえてきております。そういったこともありますし、また、公共投資の先行きということを考えると、保証料率をどのようにすべきか、あるいは自己資本の水準をどのようにすべきかという極めて大きな問題があります。

 しかしながら、現在、建設業者の置かれた環境というのは非常に厳しいというのも事実でございますし、また、各社の最近の収支状況というものを勘案して、昨年の秋には三社から保証料の引き下げ申請というのが出てまいっております。これにつきましては、既に国土交通省におきまして審査をしまして、ことしの二月でございますけれども、東日本保証会社につきましては二月の九日、西日本と北海道につきましては二月の二十一日に、申請のありましたものを受けて保証料率の引き下げの承認というのを行っておりまして、平均的に一五ないし一六%の引き下げというものを行ったわけでございます。

 いずれにしましても、今後とも経営体制の合理化とか経費の節減とか、そういったことに努めながら、適宜、保証料率のあり方というものについても適切にするように指導していきたい、このように考えております。

後藤(斎)分科員 今のようなお答えの中で、収支というのが、十一月のときもお話をしたんですが、なかなかPR誌を見ても、どういうふうな収入、支出の関係になっているのか。決算書を見ればわかるというふうなお答えでしたが、もう少し今のIT化という中で、ホームページを見ればほとんどわかるというふうなことや、そして三社の寡占状況から、今のようなお話ですと、二社、十二月と一月にいろいろな相談があって、これからの対応かもしれませんが、私は、この三社の寡占が戦後四十年近く続いたということが、きちっと仕事はなさっているんでしょうけれども、あらぬ誤解を招くようなことは厳に慎んでいただきたいと思います。そんな意味で、収支状況につきましても、内部検討だけじゃなくて、その結果は、出せるものは積極的に国民の目に広げていくということが、きちっとやっている会社でしょうから、何か悪いことをして後ろめたくて出せないというようなイメージになってはいけない。

 そして、建設省のOBの方も何人かいらっしゃると思いますが、それは、専門性や経験という中で、私は必ずしもそういうものを否定するものではありませんけれども、まあ人事院とは協議をしていると思うんですが、それもきちっと出していくという情報の開示のあり方というのがこれからますます重要になってくると思いますので、ぜひその点、これから二社の検討、そして料率を引き下げたということも、幅広くきちっとホームページ等で国民の皆さんにも明らかになるような御努力をこれからもお願いをしたいというふうに思います。答弁は結構です、あと三つほど質問がありますので。

 次に、リニア中央新幹線の問題であります。一九九〇年からですから、もう十年近くにもなる実用線化の事業が私の地元であります山梨で今行われております。

 実験線の総延長が四十二・八キロ、そのうち実験線として今稼働している部分が十八・四キロというふうなことで、なかなか用地買収が進まないというところも若干あります。そして、一番問題なのは、これからの事業の計画が具体的にどうなっていくんだということで、これから利用されるであろう地域の方、東京―大阪間が一時間でつながる、夢のような十年前が、今若干地域の方の認識もトーンダウンをしているのかなと。それは、社会保障やいろいろなことに、よく言われることですけれども、将来に対する展望が見えてこないし、将来に対する目標が、十年前に国家プロジェクトと大きく位置づけて、当時の運輸省さんが大きな旗を振り、地元の自治体、そして地域住民の方、産業界も交えた大きな運動が、少し緩やかになっているのかなという気がしてなりません。

 ですから、これからのリニア中央新幹線、今、現状を国土交通省としてどうおとらえになり、そして、いろいろなコストの問題が、十兆円という大きなプロジェクトになるというふうに計画当初言われておりますが、それをどう予算的に仕組み、今後具体化をしていくのかということについて、お尋ねをいたします。

安富政府参考人 リニアの実験については、先生よく御承知のように、現在技術的なめどはほぼ立って、具体的な長期耐久性であるとか経済性について、今後引き続き、五年以内で先行区間において実施していくということで、現在、そのための、長期耐久性の確認であるとかコスト低減といったようなことについて、鋭意試験を継続しているところでございます。

 特に、先ほどお話がございましたように、コスト低減、本当の意味の実用化ということになりますと、今のリニアの建設コスト、新幹線が一キロ当たり平均六十億ぐらいでできるかと思いますが、リニアは現在の段階でやりますとそれの二倍、三倍といったようなコストがかかる。そういう意味では本当の意味での実用化という状況になっていないので、我々としては、このリニアをなるべく新幹線のコストに近づけるという努力をして、コスト低減を図ることが第一義であるということで現在実験を続けているところでございます。

 今後中央リニア新幹線をどう進めていくかということについては、現在、中央新幹線ということで地形、地質調査等を実施しておりますが、今後の社会経済状況であるとかそういう調査自体を見ながら、中央リニア新幹線をやる際に今後具体的にどういうスキームで検討していったらいいかということについては、長期的な検討課題ということで考えております。

後藤(斎)分科員 もう一点この中央リニアエクスプレスを考えるときに忘れてはならないものがあったと思います。

 当時、一九八〇年代の後半には、いろいろな地震が起こり、特に東海道に大地震が起こるという予知がございました。今でも東海道新幹線の二百数十キロの部分が危険区域に指定をされているはずです。その災害の危険分散という点を考え、東海道新幹線のバイパス化ということで対応してきたはずです。

 今の御答弁のように、確かに五年間かけて評価をし、実用化に向けての手順を今踏んでいるということはよくわかります。ただ、それが十年、二十年、三十年先でいいかどうかということもあわせて今考えていく必要があると私は思っています。

 ことしに入ってから、いろいろな地震の問題が、いろいろな科学雑誌、そしていろいろな週刊誌にも書かれております。そんな中で、私は、三十年以上たった東海道新幹線、今東海道新幹線の抱える災害時の危険分散と輸送力の逼迫という二つの課題を解決していくには、余りにも遠い将来過ぎて現実味が本当にないような感じもしますので、もう少し具体的に、今の現実であれば、いつをこの目標にして、そして仮にリニアがたくさんの時間を要するということであれば、中央新幹線的なものを並行的に考えていく時期がいずれ来るのかなというふうな認識を私は持っておるんですが、その点いかがでしょうか。

安富政府参考人 先ほど私の方から申し上げましたように、リニアのまさに実用化を図るための克服すべき技術的課題というのがございます。そういうことからしますと、先生おっしゃいますように、東海道新幹線の輸送余力がどのくらいまでもつのか、あるいは地震等のいわゆる安全保障的な意味での代替路線としてどう活用していくのか、そういったことも当然検討課題になっていくかと思いますけれども、まず何よりも、リニアとして実用的に、できるだけのいわゆる長期耐久性、コスト低減といったことを我々としてははっきりと実用化に向けて確立していく必要があるだろうというふうに考えております。

 一方では、当然、中央リニアということを、具体的に中央新幹線にリニア方式を採用するか否かということを検討する際に、我々としては、基礎的な資料を作成するという観点から、いわゆる中央リニアをやることによる社会経済的な波及効果であるとか、あるいは大都市部分については大深度で抜いていかなきゃいけない、この場合の大深度の地下利用調査であるとか、そういったような基礎的なものについてあわせて検討しておりますけれども、まだ具体的にいつリニアを建設しなきゃいけないというふうなことを申し述べる段階ではございません。

後藤(斎)分科員 地元の方は、地域住民の方は、これは山梨ということだけじゃなくて、中央リニアの沿線、そして東海道新幹線の沿線の方の一番大きいリニア中央線への要望は、七割を超す方が、災害時への対応がバイパス化によって図られるという趣旨のアンケート結果が以前に出されていると思います。

 これからの国土交通省さんがメーンで取り扱われる公共事業の対応につきましては、本当に今私たちが政治家として、そして大臣が行政の長としておやりになっていただかなきゃいけないことは、国民の生命財産を真に守るんだという視点が私は一番必要だと思いますので、ぜひともそんな視点の中で、これからも検討を、早急に対応していただくようにお願いを申し上げます。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、二十一世紀の交通網のあり方等々を含めて、大きな問題であろうと私は思います。だれしも、表向きには反対とおっしゃっても、中では賛成して、ぜひお願いしますという陳情をいただいたりいたしますので、あえて政党が与党だから野党だからということを抜きにして、皆さんの陳情をいただいて、皆さんの声を聞いて、そして日本の国土交通のあり方というものを総体的に考えるべき時期に来ていると私は思います。

 リニアの問題をおっしゃいましたけれども、この間も中国の首相が来てリニアにお乗りになって、下手をしますと中国の方が早くリニアが計画できるというようなことにもなりかねないような現状であるということを踏まえつつ、先ほどから局長が申しましたように、安くすることがいかにできるか、せめて新幹線の倍では困るというふうに、それも研究しながら、早急に、日本に要るべきか要らざるべきか、できるべきかできないのかというようなことも含めての検討はぜひ続けさせていただいて、明快な二十一世紀型の交通網のあり方を、基本を考えていきたいというふうに私は思っています。

後藤(斎)分科員 大臣、ありがとうございます。

 それに関連する事項でもあるんですが、中央新幹線、リニアの問題と、一方で、今私たちは、JR東日本の中央線の高速化の問題について県庁初め県議会の皆さんと議論をさせてもらっております。今、新宿―甲府間が一時間半から一時間四十分かかっております。私は、以前東京に住んで、今通勤をしている一人として、これが一時間に何とか短縮できないかということを考えています。

 私の二歳上の兄は千葉の稲毛のちょっと奥の方から通っておるんですが、一時間四十分、在来線で立ちっ放しで通っております。少なくとも私は、甲府―新宿間が今一時間半から四十分かかっても、座ってほぼ新宿まで通うことができます。

 私は、山梨だけではなく、今東京の置かれた住環境のあり方、そして自然との触れ合いも含めて、これから早期にJR東日本の中央線の高速化をしていただく中で、東京に今住んでいる方も、適切な人口移動の中で自然を楽しみ、そして土日には余暇も楽しめるというようなこと、そして山梨という一つの地域を見ても、いろいろな経済の波及効果がある。

 山梨県の、平成十一年度中央線高速化基礎調査という報告書がございます。その中の一部だけを数字的に見ても、大体二十分程度時間を縮めるのに概算費用が一千六百六十億、その中で、産業連関モデルを使って計算すると、間接効果がいろいろな業界に三千三百億、そして直接効果、建設後三十年間で四千三百億というふうな数字が出ています。これはミニマムの数字だというふうに私は思っています。先ほど大臣、これから適切な国土のあり方の中で鉄道や道路の問題を考えていきたいというふうなお答えでございました。

 私は、日本国としてこれからも東京が中心になってかなりの時間経済活動がやられていくのを前提にして対応していくという中では、ぜひ、何としても早期に中央線の高速化をしていただきたいというふうなことをお話をし、国土交通省の方に現在の検討状況、そして今後の見通しについてお答えをいただきたいと思います。

安富政府参考人 中央線の高速化の状況でございますが、新宿―甲府間で、施設の改良であるとか「スーパーあずさ」といった新型車両の導入によって、昭和六十一年当時に比べまして十分以上の短縮を実現して、速いものでは現在一時間二十五分になっているところでございます。

 ただ、先生おっしゃいますように、新宿―甲府間一時間運転化ということをやる際には、具体的に申しますと、特に山岳区間の高尾―塩山間、この部分について短絡新線を建設して、当該区間を最高速度二百キロぐらいで走るということをやらないと非常に難しいのではないかと言われております。また、この短絡新線をつくるとなりますと、いろいろな施設改良も含めまして約二千億以上金がかかるんじゃないかという状況でございますので、新たな車両開発とか、あるいは現在線の沿線都市の問題その他いろいろな問題があるかと思いますが、長期的な課題として我々としてこの計画を認識しているものでございます。

 先ほど大臣の方からもお話がありましたように、今後は支援的なものとして、先ほどございました在来線の鉄道活性化補助制度というものを従来の二割補助から三分の一補助という形でやっておりますので、まず沿線自治体それからJR東日本というところで、高速化による輸送需要の動向とか、この助成制度を含めた投資採算性というものをこれから検討していく必要があるかと思っております。

後藤(斎)分科員 今お答えいただいたように、先ほど別の質問の中で、大臣は、できるだけその地域の方からの要望を踏まえて、それが実現可能であれば、もちろん限られた予算なのかもしれませんが、積極的に対応していただけるというお答えをいただいておりますので、ぜひ局長の方におかれましても、これから、地元自治体そして関係の産業団体を含めて、いろいろな角度から国土交通省の方に陳情をお願いしたいというときには、ぜひともその節はよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、新山梨環状道路というのが甲府をぐるっと回るように取り囲んで、今対応をしつつあります。まだ一部の区間しか実用開始になっておりませんで、これも先ほどもお話ししましたように、平成六年度、今から七年ほど前に全体が計画路線に指定をされてから、七年たって一部しか完成をしていない。これもだんだん近年の環境との問題も含めて建設が進みにくいということももちろんございます。

 そして、実現をしていただくときには、環境の問題も含めて配慮をしていただくことはもちろん当然なんですが、新山梨環状道路の現状と今後の見通しを具体的にお答えをいただき、私の質問を終わらせていただきます。

大石政府参考人 新山梨環状道路は、中部横断自動車道と一体となって甲府市域の環状道路を形成するものでございます。先生御指摘のように、平成六年に地域高規格道路として計画路線に指定をいたしております。このうち、北部区間につきまして、国土交通省において調査を進めてまいりましたが、平成十一年度に山梨県が設置いたしました新山梨環状道路懇話会におきまして、自然環境の保全、遺跡や文化財の保護等の観点から、四回にわたりましてさまざまな御意見をいただいたところでございます。

 さらに、懇話会での議論を踏まえまして、平成十二年十一月でございますが、専門家の御意見を伺いながら、オオタカなど猛禽類の現地調査に着手したところでございます。猛禽類の調査には一定の年数がかかるわけでございますが、都市の環状道路が果たすべき都市構造を形成する機能や交通の円滑化、あるいは環境負荷の軽減などの機能を考えながら、早期に計画の具体化が図られるよう努力してまいりたいと考えております。

後藤(斎)分科員 どうもありがとうございました。

栗原主査 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 次に、三村申吾君。

三村分科員 無所属クラブの三村申吾でございます。何点か質問させていただきます。

 「道は生きている」と彫られた石碑が、八甲田山を貫く国道一〇二号線の傍らに建っております。これは、自分の行政の師でございました斎藤喜栄治さんという旧建設省出身の方が選んだ言葉なんですが、私は、青森の小さな町の町長経験者として、その在任中から現在に至るまで、いつもこの言葉を胸にまちづくり、地域おこしを展開してまいりました。また、その理念は、道をつくり、町をつくり、暮らしをつくるでありました。

 それは、よく工夫し、考えた、いい道のネットワークをつくる中で、町のゾーニングを図り、町中に居住する快適性を高めることで空洞化を抑えていく、暮らしそのものを自分の町で楽しめるコンパクトな町をつくっていきたい、そんな思いでもございました。

 町村長とは、この国に生きる人たちに最も近く接する立場にございます。町政というものには何でもございます。産業、税、保険、戸籍、教育、文化、すべてのことを取り扱い、決断し、実行することとなってまいります。そして、町村長というものは、みずから扱う仕事の本当に多くのものが道の整備によって左右されるということに気づくことになります。

 例えば、農産物をいかに早く消費地に送り込めるかで一次産業者の収益というものが全く変わってきますし、それは税収に反映してきます。また、ああ、高速道路網がつながっていたら、三次医療が施せたらば、あと三十分あればあの人この人の命を救えたのに、そう悔やむこともあります。そこまでいかなくとも、在宅ケアのヘルパーや看護婦やドクターやPTを何回転できるかということで、福祉の高サービス化と低コスト化ということが図られることになります。こういったことなどを町村長は次々と気がついていきます。

 大都市圏はよく存じませんが、地方においては、少なくとも私ども青森においては、町村長だけでなく、住民の切なる願いは、最も基本的なインフラであり生活そのものの基盤である道の体系整備というところにございます。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。

 私たち地方に生きる者にとりまして、適切に維持されることが実に重大であると私は考えますが、道路特定財源につきまして、三省庁が合同した今、大臣としていかがお考えでございましょうか。そしてまた、一万一千キロの高速道路網整備、その必要性について大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

 もう一点ございます。その際、最近不評のようではございますが、財源の裏負担に乏しい田舎町長の経験者の観点で言わせてもらえば、長々期的な展望に立てば、結局は少ない元手で、つまり、より少ない税の投入で高速道路づくりを行うことのできる点で、実にうまく工夫された制度であると考える料金のプール制、そのことについて大臣はどう評価しておいででしょうか。まず、この三点についてお答えいただければと存じます。

扇国務大臣 たくさんの御質問をいただきましたので、一度に答えられるかどうかわかりませんけれども、まず、一番最初におっしゃいました道路整備ということ、そして、災害のときも含めまして、昨年もたまたま災害がたくさんございました。私、有珠山初め三宅、新島、神津そして名古屋、鳥取と回ってまいりましたときにも、まず皆さん方が危機のときに一番早くおっしゃることは、扇さん、道が通れるようにしてよ、食料にしろ何にしろまず道を、そして自分たちの安否を知らせる方法も、とにかく切断された電話、電気等々からすれば、道を一番早く直してほしいという御要望を私は多く受けてまいりました。あるいは、産地直送というのがこのごろはやっておりまして、大都市圏も産地の皆さん方と契約しまして、お米だけではなくて野菜も果物も産地から直送していただくというのが、今、都会の主婦の新しい生活体系でございます。

 そういうことから考えますと、今おっしゃいましたように、僕は青森の小さな町でとおっしゃいましたけれども、それが一番大事でございまして、私は、この産地直送、あるいは都市の皆さん方も今は無農薬野菜でありますとか無農薬果物でありますとか、自然を大事にした、自然の食料というものに今の都会人は一番神経を使っていると思います。そういう意味におきましても、道路整備というものが、いかにそれらの生活、あるいは人間の今の健康とそして感覚、そして生活の楽しさというものを実感してくださるか。

 そういう意味においては、道路整備というものがなくてはならない、また政策としては、国土交通省としては欠かせない政策の根幹であると私は認識しておりますので、一地方のというふうにおっしゃらないで、日本全土、一時間以内に大都市に食料が配れるようにしたい、それくらい私は思っておりますけれども、悲しいかな財源が全部ございませんので、本来であれば、いろいろ産地直送で、一時間ぐらいで大都市圏にそのものが配られる、配送できるというふうになれば、皆さん方も勇んで農業にあるいは果物の生産に頑張っていただけます。また、都会の皆さん方も、そういう進んだ、そして自然に親しんだ生活ができると私は思います。

 先ほども後藤先生のお話であったんですけれども、通勤を一時間にしてくだされば都会の人も山梨に来てもらえるとおっしゃいましたけれども、そのとおりでございまして、パリの人たちも、町中の狭いアパートに住んで、週末は必ず郊外の、自分のうちというのはみんな郊外にあるわけですね。そして、月曜日から金曜日まではあのパリの町の中の狭いアパートに住んで仕事をして、週末は必ず、自分の広大な土地のある、自然の中へ帰る生活をしているのがフランスの人たちの知恵でございます。

 それと同じことが、先ほども鉄道の話で後藤先生はおっしゃいましたけれども、今三村先生がおっしゃるように、道路もそうだと私は思っておりますので、今おっしゃいました道路特定財源が道路だけつくるのではなくて新幹線にも使えるようにしろとかいろいろおっしゃる方も先生方にありますけれども、私はまだこの道路特定財源というものを、目標の一万四千キロというものにはほど遠うございますし、また、必ずしも日本の物流の制度がまだ完備していないということで、今私が申しましたように、荷物を送る物流が、道路整備ができていないために高コストになっている。例えば、いつも言うんですけれども、岩手から百キロのものを横浜へ陸送したら千四百九十円、その同じものを横浜から北米へ送ったら千百円。なぜそれが千百円でアメリカまで行っちゃうのか。これではやはり、日本が、いかに日本人が物流の中で高コストで生活しているかということの基本がここにきていると思いますので、できれば、今先生がおっしゃいましたような道路特定財源は、むだだと言われることではなくて、ただ私は、少し二十一世紀型に変えたいと思いますことは、二十世紀、政府が言ってまいりましたことは、均衡ある国土の発展という言葉が、もうどの省庁が言っても公共工事のまくら言葉のように使われたと私は思っております。私、もうそれはやめてくださいとお願いしているんです。

 均衡ある国土の発展というのは、いつまでが均衡ある国土の発展なのか。私は、均衡ある国土の発展は二十世紀でおしまい、二十一世紀は新しい目標に向かって、二十世紀につくったものを良質に保全しながら、二十一世紀は一段と、今おっしゃった環境問題等々も、産地直送ができるような道路整備に道路特定財源も使っていって、なおかつそれを整備することによってコストを安くするということでなきゃ日本の物流なんて成り立ちません。ぜひそのことも、私はまとめてお答えしたつもりでございますけれども、プール制度も貴重な知恵だと私は思うんですね。あの二十世紀の、戦後の一番苦しいときに、プール制度でもいいから道路をつくっていこうといったあれは知恵だと私は思いますので、ぜひその知恵を今度、二十一世紀型に変えていきたいというふうに考えております。

三村分科員 大変懇切な御答弁をいただき、ありがたく思う次第でございます。

 さて、公共事業に何かと意見のある時代でございます。私ども政治家も、景気浮揚につながる投資のあり方等、工夫していかなければならないと考えるわけでございますが、産地直送議員である私は、地方は、食料もエネルギーも水も空気も、あるいは人間をも、とにかく一生懸命つくっては、教育しては大都市に提供している、その気持ちでございます。

 さて、そこでまたお尋ねしますが、道路特定財源やプールされた財源というものは、用地費が圧倒的な割合を占める大都市圏よりも、実工事費として真水効果が上がり、また実施工距離もはるかに延びる地方それぞれにこそ傾斜配分、思い切って地方を助けていただきたいんですが、そうされるべきと考えるんですが、大臣の御見解を求める次第でございます。

扇国務大臣 今もお答えしましたけれども、私は、このプール制度というものは本当に日本型の知恵の塊だなと思って先ほど申し上げたところでございます。少なくとも高速道路というもののあり方も、二十一世紀型といいますと、国土交通省の人間はみんな困っているんです、私に言われまして。新幹線を新しくするときには補助道路を全部つけなさい、そこは公害の防波堤にもなるし、緊急のときには新幹線のそばのその道路を使えばいいし、そういう意味で、コストはかかっても二十一世紀型で、新幹線をつくるときに予備の道路を一本なぜ並行してつくらないのと言って、みんな頭を痛めていますけれども。

 私は、プール制度というものも、今後、全路線に一本化されるということではないように――一体的な機能というものは必要だと思いますよ。けれども、一体的な機能の中でも、道路のプール制というものは審議会が少なくとも昭和四十七年に採用したものでございますので、このサービスが受けられるようにという、あるいは一般の生活の、電気、ガスだとか水道とか、そういうものと違って、多くの人たちが通る道路というものに対しての、特に高速自動車道の料金のプール制というものは、どこまで行ったら安くなるか。全部敷き終わったときには安くなるんですかと私もしょっちゅう言っているんです。

 ですから、私がグランドデザインと言っていますのは、二十一世紀にこの全国の高速自動車道を全部敷き終わったときには順次料金を安くしていくんですか、後は、プール制ですから、維持費だけで、受益者負担というのは当然ですけれども、維持費だけで、安くなっていくんですか、それを示しましょうよと。全国の高速道路を何年に敷き終わる、あるいはそれが五十年先なのか二十一世紀の終わりかもわかりませんけれども、それを示すことによって、余分な陳情型ではなくて、国民のみんながひとしく、あっ、ことしは九州なんだな、九州中心にやるんだな、いや、来年は北海道中心なんだなということが国民のみんなの認識の中でわかるように公共工事の順位性、それは、地域の皆さんと経済効果をはかりながらバランスをとってしていくことがグランドデザインの基本だと私は思っていますので、今のプール制というものによって、いつ、どこまで、何年で、幾らでできるか、そういうこともぜひ明示するようなグランドデザインをつくりたいと私は念願しております。

三村分科員 委員長、ちょっと図面を広げてよろしいですか。

栗原主査 はい、どうぞ。

三村分科員 ありがとうございます。

 大臣、実はここに、ローカルな話でございますが、青森の道路図を持ってまいりました。どこもここも現実に点線だらけでございまして、実線が入っておりません。道は生きている、まさしく地方にとりましては、いい道をつくることはいいあしたをつくることになります。何とぞ地方の暮らしを守っていく道づくりに格段の御配慮をお願いする次第でございます。

扇国務大臣 私は、先ほど言いましたように、均衡ある国土の発展という言葉を使わないようにと言いましたけれども、今のその地図を拝見していますと、まだ均衡ある国土の発展という言葉が必要かなと思って――いや、よくわかっております、今度東北、北陸の方面も行きますから。そういう意味では、私は、青森の順番がいつ来るかというのも、地元の皆さんと、そして県民の皆さん、地方自治体の皆さん、知事さん、あるいは選出の国会議員等々の意見をトータルして、先ほど言った全国での国土づくりのグランドデザインの中にぜひ入れさせていただきたい、努力していきたいと思っております。

三村分科員 大臣から大変ありがたい御答弁をいただきました。

 さて、整備新幹線に関連いたしましてお尋ねをいたしたいと思っております。

 新幹線となりますと、ともすれば東京と地方とを結ぶものという、中央から地方へという感覚があるわけでございますが、今後、地方主権の時代、真の地方の時代を目指すときに、新幹線には、地域と地域をより短時間で連結することで地域間交流を大いに促進するという観点も大切と自分は考えております。

 例えば、八戸―函館、四時間弱今かかっているものが一時間強になる意義は、交流という点で大きなものがございます。しかし、首長経験者として、今並行在来線という問題がございます。並行在来線を三セクで経営する状況というものを考えたとき、大きな不安にとらわれるのでございます。

 局長にお答えいただきたいと思いますが、東北線の青森分の鉄道施設の管理は県に移管されるわけでございますが、そこで設立される第三セクターの経営見通しについてお知らせ願えればと思います。

 また、あわせて、東北線には、北海道と本州を結ぶ物流の大動脈として、一日五十本の非常に重量があり編成の長い貨物列車が運行されております。この区間の三セク路線を通ることによって、現在五億円いただいているという使用料が大幅に上昇するものと予想されるのでございますが、CO2その他のガスも出さない、鉄道貨物輸送という環境に非常にすぐれたものに対しまして、国としてJR貨物支援の必要があるものと考えます。産経新聞に十億追加云々との記事がありますが、現時点では具体的な数字は挙げられないと思いますので、支援強化策につきましてお知らせいただければと存じます。

安富政府参考人 まず第一点目の、東北新幹線の盛岡―八戸間の並行在来線についての、青森県が設立を予定しております第三セクターの経営見通しでございますが、これはもう先生御承知のとおり、第三セクターの設立、運営に当たりましては、並行在来線の経営分離を行う際に県が中心となって対処していくということで表明されておるところでございます。

 これを受けまして、昨年十一月に青森県より第三セクターの経営計画概要が発表されたところでございます。これによりますと、第三セクターにおいて徹底した経費節減を図る、それから、これは非常に青森県の大英断だと思いますが、初期投資の負担軽減を図るために、鉄道事業用の資産を県が保有する公設民営といったような方式を採用するといったようなことで、できるだけ経費を節減することによって、青森県を中心として自主的な取り組みを図り、経営の安定化を図っていくというようなことになっておるところでございます。

 それからもう一つの、JR貨物に対する線路使用料の支援ということでございますが、従来から、線路使用料のあり方につきまして、青森、岩手、それからJR貨物と協議してまいりました。この間、我々も関係者間の調整に努めてきたわけでございます。

 それと並行しまして、今後、経営分離後の並行在来線で貨物列車の走行比率が非常に上がってくる。そういう意味では、従来のアボイダブルコストという考え方では第三セクターの経営を圧迫するおそれがあるということで、昨年十二月の政府・与党申し合わせにおきまして、線路使用実態に応じた適切な線路使用料を確保することとして、これに伴ってJR貨物がこうむる損失については、必要に応じ、これに係る、これは新幹線に係るという意味ですが、新幹線貸付料収入の一部を活用して調整する措置を講ずる旨が了承されたところでございます。

 これによりまして、具体的に、第三セクターがJR貨物から線路使用実態を反映した合理的な線路使用料を収受するということができることになりまして、それによって、その差額、いわゆる従来払っていたアボイダブルコストとの差額については、JR貨物に対して新幹線貸付料収入の一部で補てんするという措置を講じているところでございます。

三村分科員 局長、大変適切な御答弁をありがとうございます。

 時間が多少ありますので、大臣、よろしくお願いします。

 さて、省庁再編ということで国土交通省という形になりました。まさしく道路も鉄路も空路も海路も一元化してプランニングできるという状況になられたと存じ上げる次第でございます。

 地方分権、地方主権ともいいますが、真に進むためには、地域間の競争と交流の基本的基盤でありますそれぞれの交通手段の平等、適正なネットワーク構築が重要であると考える次第でございます。それらが国民財産として国民の評価の高いネットワークとなるよう、大臣には今後とも奮闘くださることを願っておるわけでございますが、この点につきまして御決意をお伺いいたしまして、質問を終えたいと存じます。

扇国務大臣 日本の交通網整備に大変御理解をいただく御意見をいただきまして、私どもも、より二十一世紀型の国土交通網の確立に邁進していきたいと思っておりますけれども、少なくとも今の日本の現状というものが、社会資本整備そのもの自体もまだまだ欧米諸国にはおくれている、もうこれで十分だというものが何一つないというのは情けない限りだと私は思っております。二十世紀、我々の先輩が努力して、やっとここまで来たというのが今実感でございますけれども、二十一世紀の幕をあけたときに、私たちお互いに国会議員として、国民の代表としてこういうところで御審議いただくことによって、私は、より日本が世界に伍していける二十一世紀の日本づくりのグランドデザインをまずつくるということから始めたいと思いますので、ぜひ御協力もお知恵も賜りたいと存じます。

    〔主査退席、小島主査代理着席〕

三村分科員 大臣からは大変大きな決意を伺うことができました。また、ともに汗を流していこう、知恵を出し合っていこうというお言葉を賜りました。今後とも、私も一国会議員として、あるいはふるさと青森を後ろに控えておりますが、日本国の全体の交通ネットワークの完成というものが、いろいろな意味におきまして、二十一世紀型の交通体系と大臣おっしゃいましたが、この国をよりよくしていくものと存じます。ともにまた頑張っていければと思う次第でございます。

 若干早うございますが、御休憩でもおとりいただいて、質問を終わらせていただきます。

小島主査代理 これにて三村君の質疑は終了いたしました。

 次に、前田雄吉君。

前田分科員 民主党の前田雄吉でございます。

 私の地元は、東海豪雨の最大の被害地であります西枇杷島を含みますところでございます。きょうは、こうした観点から、まず第一に災害の被災地における公園復旧について、これは枇杷島を取り上げまして御質問いたします。そして第二に、公共事業の削減の問題と私の地元の国道百五十五号小牧春日井バイパスの問題について、二点御質問させていただきます。

 先ほど申し上げましたように、私の地元の東海豪雨の最大の被災地の枇杷島、大臣も、昨年の災害特別委員会で質問させていただきまして、本当に激甚災害指定等、災害復旧に私どもの意を酌んでいただきまして、御尽力賜りまして本当にありがとうございました。地元の枇杷島の近藤勝美町長を初め、役場の皆さんも必死になって復旧の仕事にいそしんでおりますけれども、被災地の社会資本整備、あるいは社会資本の復旧についての御質問でございます。

 私は、月曜日二月二十六日の日でございますけれども、枇杷島のお母さんたちから、これは未就園児、ですから一歳とか二歳の本当にちょろちょろ走り回るころでございますけれども、そのお母さん方から、ちょっと来てという御連絡を受けまして、地元に行ってまいりました。

 まず、いまだになかなか情報交換の場がないということで、枇杷島町内の西方寺というお寺で炊き出しをやっておりまして、そこでお汁粉等を出して、地元のお母さん方あるいはおばあちゃん方が集まられて、いろいろな情報交換をする。どう、あなたの家は直りましたかとか、家屋を直すのにどんな修復の補助をいただいているとか、そんな情報交換がなされておりました。

 それから、私が次に行きましたのが大和公会堂というところでございまして、ちょうど床上一メーター二十ぐらいまで水についたところにあります公会堂でございます。そうしましたら、そこは、先ほど申し上げた未就園児のお母さん方が、自分でお金を払われて子供たちに公会堂を開放しておられた。私は入ったとたん何事かと思いましたけれども、子供たちが走り回っているんですね。

 と申しますのも、枇杷島の公園が十あります。そしてちびっ子広場が十五あります。そうした公園あるいは児童館とか、まだまだ使えないままになっておるのです。確かに、復旧で、瓦れきの山もどかされまして、もう消毒も済み、この四月にはすべて開園できるというところまでこぎつけておりますけれども、そこで承ったお母さん方からの御意見ですけれども、本当に被災地のお母さん方からすれば、何カ月たっても利用できないのか、子供たちがストレスがたまっちゃっているのではないか、国は子育て支援とはいうものの、こうしたときに何もしてくれないじゃないか、とにかく一日も早く公園を子供たちに返してと。私はその言葉が非常に印象的で、きょうはそのことについて伺いたいと思います。

 被災地の子供たちあるいはお母さんたちの精神的なケアという観点からも、被災地における公園復旧、早期の復旧の実現について、今後、大臣が自治体に対してどのように御対応されるのか、まずお考えをお聞かせください。

扇国務大臣 本当に昨年九月の十日、十一日、十二日のあの集中豪雨で、本当に大きな被害を受けられました。私は、翌日の十三日にお邪魔をいたしまして、先日も前田先生からいろいろなお話を伺いましたけれども、あのときの集中豪雨によってあの地区の人の受けられました、いわゆる死者が十名も出ました、また負傷者が九十八名、そして金額に換算しましたら八千五百億円の損失があったというような計算も出てまいりました。

 今先生がおっしゃいました、西枇杷島町の公園の話が出ましたけれども、私は、公園というものは、少なくとも先日の災害のときも、本来は都市内のいわゆる貴重な被災者の避難場所でもあるべきものであり、また、廃棄物を集めましたときの一時の集積場所にもなりました。そういう意味では、私は、公園というものの避難場所ということに関しては、重要な避難場所である、位置を占めていると思っております。

 現段階では、私、今手元にも持っておりますけれども、公園の災害の査定実施というものがございまして、先生のお手元に役所から行ったと思いますけれども、これは少なくとも八カ所の指定をいたしまして、これを助成といいますか、皆さんで、町単独のものもございますけれども町単独だけではなくて、私たちも皆さん方とともに、皆さん方のところの一日も早い、以前の生活に戻れるようにと。

 また、今先生がおっしゃいましたように、子供さんたち、しかも未就園児、そういう子供たちが遊び場所がないというようなことでストレスがたまり、あるいは心身ともに疲れていらっしゃる。また、先が、楽しむ笑顔がないというのが一番悲しいことでございますので、そういう意味では、現段階では既に八カ所の公園の査定が完了しております。ですから、そういう意味では、より皆さん方に希望の持てる復旧復興がなされるだろうと思って期待しております。

前田分科員 大臣、ありがとうございます。

 今、大臣の今現在のお言葉をいただいたわけですけれども、では、具体的に、これまでに被災から復旧をなされるまで、特にこの公園に関して、国としてどんな対処策をとられてきたのか。御当局の方から伺いたいと思いますけれども、順次どのような段階を踏んでこられたのか、お願いいたします。

板倉政府参考人 愛知県西枇杷島町の公園の災害復旧の手順についてのお尋ねでございますが、昨年の九月十二日のいわゆる東海豪雨が発生した後、御案内のとおり、ごみの一時集積場所として大量の廃棄物が搬入されまして、そのごみの搬出が終わりましたのが九月ということでございます。その後、災害復旧の準備にかかっていただいたわけでございますが、町役場の人手不足もございまして若干手間取りまして、先生御指摘のような、地域住民の方に御不便をおかけしたような面もあろうかと思いますが、地元との調整を精力的にやりまして、十二月十四日には災害査定を実施するところに至った次第でございます。これを受けまして、地元では、復旧工事につきまして一月中に発注を終えているというふうに伺っている次第でございます。

前田分科員 ありがとうございます。

 では次に、こうした被災地の公園復旧に対して国からどのような御援助がなされるのか。できれば、例として枇杷島を挙げていただいて、具体的な数字等を伺えればと思います。

板倉政府参考人 公園に対する災害復旧でございますけれども、私ども、先ほど発注された復旧工事につきまして、三月末完成を目途に鋭意復旧工事を急いでいただいているわけでございます。

 私ども国土交通省としましても、工期がおくれることのないように、地元の愛知県とも協力しまして御支援を申し上げたいということと、それから、具体的にこの復旧工事を国の補助対象として考えているわけでございますが、その詳細を申し上げますと、西枇杷島町の公園復旧工事費は約五千四百五十万円でございまして、これに若干の事務費が上乗せされるわけでございますが、国庫補助としましてこの三分の二を対象にしたいというふうに考えております。

前田分科員 ありがとうございます。

 今、枇杷島を取り上げておりますけれども、これは、これからいつどんなときに災害がどこで起きるかもわからない、そこでの公園復旧ということで伺っております。今いろいろと伺いましたが、豪雨などの災害後の公園復旧をできるだけ早期に、短期間にできるようにお願いしたいと思いますので、扇大臣に、少しその辺の、早期に社会資本整備の復旧に当たるその御決意等を伺えたらと思います。

扇国務大臣 今、先生がおっしゃいましたように、一日も早くと願うのはだれしも思いは同じでございますけれども、どういうところが国の補助対象になったかということ、先生もお地元でいらっしゃいますので、ちょっとその事業対象等々お聞きいただきたいと思いますけれども、少なくとも、公園に関します今回の災害復旧工事の国庫補助の対象、それは八つございますとさっき私申しましたけれども、枇杷島公園、それが一つでございます。それから庄内川の西枇杷島緑地、そして上新公園、また宮前公園、前並公園、芳野公園、城跡公園、それから瀬部田公園、以上の八カ所が今度の国庫補助の対象公園として、これは査定が完了しております。

 そういう意味では、私はより早く、しかも私がなぜ翌日に行ったかといいますのは、本来は翌日に行くのは交通機関等々で無理があると思われましたけれども、生々しいものを見て、いかに早く対策本部を立ち上げて、国として何ができるか、また、近隣からどうできるか。

 この間のときにも、この西枇杷島町が準備なさったポンプ車が全部水浸しになった、食料も、備蓄食料が全部水浸しになった。そういうのを現地に行って初めてわかりまして、全国から旧建設省の持っておりますポンプ車を、夜を徹して走って現地に届けて、そのポンプ車によって排水を行ったということも、現地の人には大変喜んでいただけましたので、絶えず即どう対応するかという、判断と決断と行動力、これが私は災害のときの三原則であろうと思います。

 ただ、その前には、申し上げれば、地方自治体がまず、おのおのの皆さん方が自助、自分でどの程度のものに耐え得るかという自助が第一でございます。その次が共助、ともに助けようという共助。最後が公の公助であろうと私は思っていますので、日ごろからのそういう災害に対する心構えとマニュアルというのを各地方自治体で完備していただきたい、それが私の願いでございます。

前田分科員 大臣、ありがとうございました。本当に、今まで大臣にやっていただいたことは、私ども枇杷島の人も感謝しております。これからも、いつどこで災害があろうとも、早急に御対応いただければと思います。

 では次に、公共事業の削減の問題と、私どもの国道百五十五号小牧春日井バイパスの問題について御質問をいたします。

 最初に、総論といたしまして、公共事業の削減問題、これについての御意見を伺っていきたいと思います。

 我が国及び地方の借金は、昨年の私どもの衆議院選挙の六月には六百四十五兆円より、今度は六百六十六兆円と肥大化していく。ますます子供たちへのツケ回しが拡大した予算編成になってしまうんではないかと危惧されます。このばらまきによる景気対策は無策であると私は思います。政府・与党におかれましても、我が民主党が主張しました公共事業の削減に、いよいよ昨年の八月に見直しに着手されたという点から見て、私どもの意を酌んでいただいたのではないかとも思いますが、この公共事業の見直しが、政府がいよいよ財政構造改革にも着手されたことになったと私どもは受けとめてよろしいのでしょうか。御当局の方で結構ですので、お伺いいたします。

岩村政府参考人 公共事業の見直しと財政構造改革との関連のお尋ねでございますが、先生よく御承知のように、公共事業の見直しを従来から進めているわけでございます。

 その視点というのは、公共事業の効率性、また実施過程の透明性の向上、これが一つポイントでございまして、具体的には、政策課題に対応した予算の重点化、また、予算の費用対効果分析や再評価システムを活用すること、またコスト縮減、こういった取り組みに当たってまいったわけでございます。

 その中で、今先生から御指摘のあった公共事業の抜本的見直しということで、より一層効率的な事業実施を進めていくという観点から、抜本的見直しを行ったわけでございます。与党三党から示された基準に従いまして百六十三件の事業について、また扇大臣の指示のもと、独自基準に従いまして三十四件、合わせて百九十七件の事業について見直しを行いまして、うち百八十七件について中止を決定したところでございます。

 今後とも、過去の経緯、そして前例にとらわれず見直しを進めまして、真に国民のためになる公共事業の実現に精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 なお、財政構造改革につきましては、現在の財政状況にかんがみまして、これは必ずなし遂げなければならない今後の課題であるというふうに考えますが、このためには、新世紀においての我が国経済社会のあり方をまず展望する、そして、望ましい税制の構築、さらには社会保障制度の改革、さらには中央と地方の関係まで幅広く視野に入れて、その実現に向け議論を進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

前田分科員 ありがとうございます。

 削減をして、また新たな公共事業に着手する、そうなれば、当然それは財政構造改革に有効であったというわけではないと思います。何とか子供たちへの将来のツケ回しが少なくなるようにお願いしたいと思います。

 私は、この公共事業というものに関して私が調べた中で、クリントン政権下で開墾局の総裁だったビアード氏が、二十一世紀の公共事業の大事な観点ということでいろいろな柱を挙げておられました。一つは財政再建への配慮、一つは環境への配慮、一つは住民参加等々でございました。政府・与党の公共事業の見直しの中にも、ぜひこうした観点を入れていただきたいと思います。私は、何も必要なものまで削れということではないとは思いますが。

 私は、そうした意味から、私どもの地元の国道百五十五号バイパス、これは名古屋の周辺にあります道路でございまして、第三環状と言われております。今度、私どもの愛知で行われます環境をテーマとした愛知万博への重要なアクセスラインともなります。もともと、この百五十五号バイパスの建設の目的は、私どもが承知しておりますのは、大都市の名古屋圏への交通渋滞の緩和、それに伴う大気汚染の軽減、そういう都市部の住民の健康被害の軽減に当たるということであると思いますが、御当局の方で、このバイパスを当初着工されたときの必要性を一応伺いたいと思います。お願いします。

扇国務大臣 今、たまたま前田先生から公共工事の話をなさいましたので、細かい部分はお答えさせますけれども、公共工事というものの基本線だけはぜひ私は先生方と共有の認識を持っていたい。先生も公共工事がすべてむだだとは思わないとおっしゃいましたけれども、そのとおりでございまして、私ども少なくとも、野党の先生方にもばらまきだ、談合だ、丸投げだ、むだ遣いだと言われるんですけれども、それをなくすために初めて戦後、公共工事の契約と入札に関する適正化法というのをつくっていただきまして、四月から施行されますと、そういう丸投げもできなくなりますし、あるいは談合もできなくなります。そういう意味では、その中に電子入札とも書いてございます。ですから、四月一日からは、すべからく入札というものが透明性を増して、そういうことができなくなる法案を全会一致で通していただいたということは、公共工事に関する共通の認識が持てた、二十一世紀型の第一歩になると私は思っています。

 ぜひその点も、先生も今後御協力をいただき、みんなで、私、野党四党からの組み替え要求、今度提出されたものも拝見させていただきましたけれども、組み替え要求の中にあるもの一つ見ましても、今後、少なくとも日本の社会整備というものを全部むだだとは言わないと前田先生おっしゃいましたので、どの点を一つとってみましても、先ほども御質問ございましたけれども物流の問題一つとってみても、空港と港と、そして主要都市に通じる高速道路に十分以内に入れるのはどの程度かという話でお聞きいただいたと思いますけれども、アメリカの場合には空港から十分以内に入れるというのは九八%達成できています。ところが、日本は四六%、ヨーロッパは七八%。しかも、港というものも、今までは運輸省と建設省がばらばらだったものですから、港は港でつくっていったので、その連結道路が、港湾道路はありますけれども主要道路とつないでいない。今までアメリカは港湾から九三%達成できていますけれども、日本の場合はまだ三三%にしかすぎない。

 こういうことを考えてみましても、国土交通省になったからできることというのがありますので、公共工事の予算は変わらなくても、私は、今までばらまいてという言葉が言われましたけれども、別々の立地条件なり政策をしていたために結合していなかった。今回は、国土交通省になって陸海空が連結して政策を進めていく、一体になって早く政策ができるものですから、そういう意味では、政策が促進されることによってスピードアップをすればコストダウンもできるということで、野党の見直しということも出していただいていますけれども、我々もそういう枠を超えて、公共工事というものの効率性を図っていく二十一世紀型にしたいということだけは一言申し上げておきたいと思います。

大石政府参考人 一般国道百五十五号は、愛知県の常滑市から海部郡弥富町に至る百六十一キロメートルの道路でありますが、本道路は、名古屋市周辺部におきましては東海市、豊田市、春日井市、小牧市、一宮市などの諸都市を連絡し、広域交流を促進するとともに、名古屋都市圏の環状道路としても機能する重要な幹線道路でございます。先生御指摘のように、名古屋二環と東海環状の間にある第三環状という機能を持っておる重要な路線でございます。

 その中で、春日井小牧バイパスは、一般国道百五十五号の愛知県春日井市から小牧市間の交通混雑緩和、交通安全確保等を目的に計画されました延長九・八キロメートルの四車線の道路でございます。

前田分科員 私は、実際に現地も歩いてみまして、着工状況を見てまいりました。今おっしゃられましたように、この小牧春日井バイパス、全長九・八キロ、春日井の土地区画整理事業待ちの一・六キロを除けば八・二キロ、その中で供用済みが五・七キロですから、供用済みはもう七〇%あります。それから残りの二・五キロ、未着工の部分ですね、このうち国道四十一号に接する二・一キロについては、片側二車線にもう既になっております。また、残りの〇・四キロにおいても、買収も二件のみ残してすべて終わっております。ですから、九割方は買収のめどももう既に立っているというところでございます。

 先ほど触れました四十一号、これは名古屋に入る南北道でございます。そのまた西に国道二十二号名岐バイパスというのがございますので、これも南北道でございます。名岐バイパスが高架工事に入り、四十一号に車両が集中するその折の、東西道であります百五十五号が渋滞して、今非常に皆さん困っておられます。また、四十一号の上には、平成十四年三月に名古屋高速の村中口が開設されますし、さらに百五十五号への車両の集中が考えられるわけでございます。

 九割方めどが立っているこうした路線でございますので、ことしは無理でも、平成十四年度に再度の限定した形での計画を申請いたしたいと思いますので、御検討のほど御当局の方でよろしくお願い申し上げます。

大石政府参考人 本道路につきまして、先生から御指摘がございましたように、もう既に五・七キロメートルを供用させていただいております。その五・七キロの中では二万二千台も使っていただいているというような状況でございます。地域に大変貢献いたしております路線となってございます。

 しかしながら、平成六年度以降は、本道路と同時に施行する予定でございました春日井インター周辺の区画整理事業の遅延や用地買収が難航したということから、事業が進まなくなったという状況に立ち至ったわけでございます。

 そのため、昨年の十一月に実施いたしました公共工事の抜本的見直しにおきます旧建設省の独自基準のうち「事業採択後二十年以上経過して継続中の事業で、当面事業進捗が見込めないもの等」に該当したため、補助事業としての支援を中止したものでございます。

 しかしながら、一般国道百五十五号春日井小牧バイパスの重要性につきましては、先ほども申し上げたとおりでございます。事業主体でございます愛知県から、投資効果が早期に発揮できるよう事業計画の見直しや地元調整を行っていると聞いているところでございまして、今後、事業計画の見直しや地元調整が完了した後、補助事業採択の要望がなされるのであれば、計画の内容や補助採択基準等を勘案いたしまして、採択について前向きに検討してまいる所存であります。

前田分科員 どうもいろいろ御答弁ありがとうございました。扇長官におかれましては、また災害地への対応あるいはこうした一般国道への御配慮のほどをよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

小島主査代理 これにて前田君の質疑は終了いたしました。

 次に、小沢和秋君。

小沢(和)分科員 日本共産党、九州・沖縄ブロックの小沢和秋でございます。

 私は、熊本県の川辺川ダム建設問題について、国土交通大臣に質問をいたします。

 この川辺川ダムは、三十五年前の計画で、公共事業のむだ遣いの典型と、熊本県民だけでなく広範な国民から批判されております。国民の多くは、次の世代に緑豊かな山々ときれいな川の清流を残したい、それだけではなく、国の財政が本当に苦しくなっている今、大手ゼネコンをもうけさせるだけのむだな公共事業はもうやめるべきだ、子供たちにむだな借金を残したくないと、本当に真剣に考えております。

 ところが、大臣、あなたは、この国民の声を聞かず、昨年の十二月末には、このダム計画を強引に進め、何とか年度内着工にこぎつけようと、漁業権を含む強制収用の事業認定を行いました。あなたの部下である川辺川工事事務所は、この強制収用をちらつかせながら、球磨川漁協に補償契約の締結を迫りました。

 その結果、球磨川漁協執行部は、少しでも多い補償金をもらう以外にない状況に追い詰められ、水産業協同組合法に定める組合員の総会開催要求を拒否し、さらに監督権限を持つ県知事の再三の勧告さえ無視し、法を無視して、昨日、漁業補償契約の締結のため総代会を開きました。現ナマも飛び交ったと報じられております。

 ところが、その結果は、漁業補償契約の締結の議題は、賛成五十九、反対四十となり、三分の二以上の同意を得ることはできず、否決されてしまったのであります。漁民の心を金で買うことはできませんでした。

 ここに現地のけさの新聞のコピーを持ってまいりました。ごらんのとおり、どれもトップ記事で川辺川ダム補償否決などと報じております。そして、各紙は、これで年度内着工は不可能になったというふうに報じております。大臣もそういうふうに判断しておられるかどうか、まずお尋ねをいたします。

竹村政府参考人 事業の具体的な進め方でございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 今委員御指摘のように、昨日の総代会におきまして、過半数以上の賛成は得られたものの、三分の二の賛成が得られませんでしたので、この総代会においては漁業補償の賛成可決がされませんでした。私ども、川辺川ダムの早期完成を願う多くの流域の方々のことを思うと、大変残念に思いますが、今後、この事業の進め方につきましては、九州地方整備局がよく地元の現状を把握した上で決めることとなります。

 いずれにしましても、いつ訪れるかわからない大洪水から流域の方々の生命財産を守るため、今後とも、川辺川ダムの早期完成に向けて、私ども、鋭意努力していきたいと考えてございます。

小沢(和)分科員 私の質問したことにちゃんと答えていただきたい。

 大臣にお尋ねをしますけれども、年度内着工については、大臣は不可能になったというふうにお考えか、今の状態についての大臣の感想も含めてお尋ねします。

扇国務大臣 今、地元の新聞をお広げになりましたけれども、私、残念ながら、まだ地元の新聞を取り寄せることができませんでしたから、今ちらっとだけ拝見させていただきました。

 現実的に、昨日球磨川漁協の総代会におきまして三分の二の賛成が得られなかったということは、もう既に私も報告を受けておりますけれども、まだ直接地方整備局から報告が来たわけでありませんで、報道を通じてのということで、きのう速報をいただきまして、夜、三分の二が得られなかったということを伺いました。

 もともと、これは昔からの話でございますから、先生もよく御存じでお話しになっているんだろうと思うんですけれども、少なくとも過去三十年間で九回も大きな水害に見舞われました。先ほども、先日の名古屋の水害の話がたったさっき終わったところでございまして、先生、お聞きになっていたかどうかわかりませんけれども、西枇杷島町の大水害の話をいたしました。

 私は、川辺川ダムの工事というものは、もともと、その九度の大洪水によって、やはり必要なんだ、国民の生命財産を守るということがまず一義的なものなんだ。それでは、漁業権と命とどうするんだ、どっちも命なんだ、どっちが先かと言われると、これも私も返事に窮するところでございますけれども、私たちは生命財産を守るために、少なくとも昭和三十八年に死者四十六人、四十年には六人、そして四十七年には二人、そして床上浸水を言いますと、もうこれ時間がたちますからやめますけれども、八十年に一度だから要らないということであれば、あしたが八十年目に当たるかもしれません。そのときには、だれが責任を持ってそれを、申しわけなかったという言葉だけで済むのでしょうか。

 ある人が私に言いました。扇さん、百年に一度というのであれば、九十九年間知らぬ顔をしておいて、もし何かがあったときに補償すればいいじゃないかと私に言った人がいるんです。もし何かあったときに補償したらでは、補償する相手が生きていればいいですけれども、命を落としたら何にもなりません。ですから……(小沢(和)分科員「年度内に着工できると判断しているかどうかと聞いているんです」と呼ぶ)

 まだ地元からそういう報告を聞いておりませんので、地方整備局から聞いてきたら、今の段階ではどう考えても無理にならないかなと思っていますから、私は無理やりにこれを執行しろというようなことを申しません。ですから、地元からの正式な結果がわかりましたら、年度内着工が無理であれば、無理強いするということは、私はできないだろうと思っています。

小沢(和)分科員 この際もう一つはっきりさせておきたいんですが、国が無法集団を助長するようなことはやめていただきたいんです。

 国土交通省は、熊本県当局が水協法を守れとたび重なる指導をしているのに、それを無視して暴走するような無法集団、球磨川漁協の推進派の執行部とは今後一切交渉しないということをここではっきりお約束をいただきたいんですが、いかがでしょうか。

竹村政府参考人 私ども、事業に当たりましては、水産、今回内水面でございますが、その補償に当たってございます。そのときには、水産業協同組合法という法律がございます。この法律の中できちんと、補償のときのプロセス、交渉委員会の設置等が規定されておりまして、なお、その臨時総代会ではどの程度の票でやらなきゃいけない、そして、もし総会を開くのならこのようなシェアで賛成を得なきゃいけないと、かなり詳しく水産業協同組合法で規定されております。

 私ども、行政でございますので、行政は、水協法に基づきまして、法に基づいて漁業補償をやっている次第でございます。

小沢(和)分科員 いや、だから、水協法を一つも守らないで勝手なことばかりやっているような集団を国が相手にしていたら、そういう集団の無法を助長することになるというふうに私は言っているんです。

 次の質問をしたいんですが、二年連続して本体の着工ができないことは事実上決まったことだと私も思うんですが、それでは、国土交通省が漁業権の強制収用手続を行うのかどうかということをお尋ねしたいんです。

 これは、やれば問答無用ということであって、これまでの、とにかく交渉によって決着しようという路線よりさらに悪くなります。しかも、この強制収用の手続は、同じ、当時の建設省九州地方建設局長が身内である建設大臣に申請して認められたものですから、こんな手続で事業の公共性が認定されたなどとはだれも考えないんじゃないでしょうか。

 ここで、今後強制収用はやらないということを約束していただきたいんですが、いかがでしょうか。

竹村政府参考人 私ども、この事業、大変長時間かかっておりますが、過去の経過を見ていただきますとわかりますように、誠意を持って流域の方々に対して御説明をし、合意を得て事業を進めてまいりました。そして、今委員御指摘のように、事業認定等の手続を済ませましたが、現地の土地収用の状況が、もう九〇%以上私ども用地をいただき、補償が進捗した段階で、共有地等まだ持ち主が確定できない、または確定しにくいというような部分の土地が必ず山林などでは残ってございます。そのような山林をきちんと法的に私ども国の財産にするためには、しかるべき法律が用意されてございますので、特にダムのような大規模な事業につきましては、そういう手続で私ども土地を取得していくというのが通例になってございます。このダムだけではなくて、ほかのダムでも通例になってございます。

 このようなことで、私ども法に基づいてやっているわけでございますが、今お尋ねの漁業補償につきましても、私ども、丁寧に、しかるべく皆様方に御説明し、同意を得ながら漁業補償にも当たっていきたい、現在そのように考えてございます。

小沢(和)分科員 いや、だから、私がお尋ねしたいのは、そういうふうに話し合いでまとめたいとあなた方は言っているんですけれども、まとまらない場合どうするのか、あなた方が言う伝家の宝刀に手をつけるのかどうかとお尋ねしているんですよ。

竹村政府参考人 今、私ども、九州整備局と打ち合わせをしておりますが、九州整備局は、誠意を持って皆さん方に御説明し、納得していただきたい、そのような方針でやっているというような報告を受けている次第でございます。

小沢(和)分科員 では、少なくとも、当面そういうようなことは考えていないというふうに言われたと私は受け取ります。

 次の質問ですが、川辺川ダムに対する不安の声がますます広がっております。球磨川流域を中心とする十四名の議員が川辺川ダムの再評価を目指す超党派の議員の会を結成し、人吉市議会では、十二月議会で改めて環境影響評価などを求める決議を採択いたしました。また、諫早湾干拓工事による有明海の魚介類、ノリの大被害を目の当たりにした八代海沿岸三十七漁協が、川辺川ダム建設の八代海に及ぼす影響について、環境影響評価を国に求めることを県に申し入れております。八代郡千丁町の八十六人の農民も、影響や被害の予測説明を求めて動き出しております。

 これらの動きに国土交通省は早急にこたえるべきではありませんか。少なくとも、こういう調査をきちんと行い、その結果について、流域住民はもちろん、全八代海沿岸住民の理解、合意が得られるまで着工しないと約束していただきたいが、いかがでしょうか。

竹村政府参考人 このダムは事業が長くかかってございまして、今委員御指摘の環境影響評価法が施行される以前から事業がスタートしてございます。

 私ども、この環境影響評価法ができる以前でありますが、昭和五十一年の動植物の調査を開始して以来、水質調査、クマタカ等猛禽類の調査等を、私どもだけではなくて、専門家にお願いいたしまして、検討委員会を開き、その専門家による調査の御指導を得ながら実施してまいってきてございます。私ども、それらのすべての調査結果を取りまとめまして、去年、熊本県知事に御報告をし、熊本県知事からその内容について質問があったところは再度お答えしというようなことで、透明性のある中で実施しておりますので、環境影響評価法の対象にはなりませんが、きちんと環境影響評価をやっていると思ってございます。

 なお、最後に御質問のございました八代海に関してでございますが、御承知のように、ダムというのは、洪水時に水をため、渇水時に水を補給する施設でございまして、ダムそのもので水を消費するということはございません。ダムは一滴も水を消費しません。ダムでは、豊富な水をため、そして少ないとき出すということでございますので、年間の出す量は全く変わってございません。

 なお、水の量だけではなくて、その中に溶けている栄養塩類、つまり、栄養塩類と申しますと、植物、生物の海域に入って、それがさまざまな水産関係に影響があるわけでございますが、その栄養塩類はほとんどが水に溶けているものでございまして、砂とかそういう重金属は沈殿しますが、この栄養塩類はダムから下流に流れていくという知見を持ってございます。

 このようなことで、私どもは、ダムによって八代海の漁業に与える影響はないものと考えておりますが、現在、九州地方整備局におきまして、八代海の漁業関係者には誠意を持って説明をしているところでございます。

小沢(和)分科員 いや、だから、漁協の関係者の人たちは、もう一度環境評価をやってくれというふうに言っているんです。あなたの方は水質なんか全然影響ないようなことを今言っているけれども、ダムができたことによって水質が実際悪くなったというような訴えはあちこちであるわけでしょう。あなた、知らぬはずはないんですよ。だから、そのことを八代海の人たちは心配して、もう一遍ちゃんと調査してくれと言っているんです。するのかしないのか、一言で言いなさいよ。

竹村政府参考人 ダムの築造は千四百年前から日本人は行っておりまして、私ども、最近の知見でも、ダムをつくることによって水質が変化するという知見は持っております。

 そのために、自然の水質にするためのさまざまな近代的な手法、具体的に言いますと、ダムの選択取水、そして清流バイパス等の施設を設けまして、この川辺川ダムにおきます水質の変化、全くないとは言えないかもしれませんが、この川辺川ダムの水質は従来とほぼ同じような水質を保てるというような技術的な検討から、対策に万全を期してまいりたいと考えてございます。

小沢(和)分科員 いや、改めて調査するのかどうかと聞いているんだよ。もう一遍答えなさいよ。

竹村政府参考人 現在、九州地方整備局が八代海の漁業関係者に誠意を持って私が今述べたようなことを、私は本省の人間でございますので抽象的なことしか言えませんでしたけれども、細かいデータを持って九州整備局の人間が現地に入ってございまして、八代の漁業関係者に御説明をしているところでございます。私ども、現在、九州地方整備局がそういう誠意のある対応をやっていると認識しておりますが、それを見守っている段階でございます。

小沢(和)分科員 これだけ聞いても要するに調査をすると言わないということだけは、私は確認しておきます。

 さて、この機会に私は、改めて、このダム建設計画そのものが、治水、利水、発電、どこから見ても破綻しており、根本的に再検討しなければならないということを指摘いたしたいと思います。

 まず治水でありますけれども、いつも問題になるのは六五年の人吉大水害を二度と繰り返さないということなんですが、九五年七月には、この六五年の雨量三百六十五ミリをはるかに上回る四百七十七ミリも降っておりますが、大きな被害はありませんでした。これは、実は政府が想定している八十年に一度の降雨量四百四十ミリを超えているわけであります。それを超えた量が降っても大した被害がなかったということは、このダムは要らないということがむしろ実際によって証明されているということじゃありませんか。

竹村政府参考人 細かい数字が出ましたので、私も丁寧に答えさせていただきます。

 今先生お話しの一九九五年の洪水は四百四十七ミリでしたが、先生、二日雨量ということをおっしゃいませんでしたが、これは二日間の雨量でございます。そして、この二日間四百四十七ミリよりはるかに低い、同じ二日間雨量で三百六十五ミリを出した一九六五年、昭和四十年では、雨は少なかったのにはるかに洪水流量が大きい五千トンを記録しております。これは何かと申しますと、雨の降り方は、二日間だらだら降る、そういうパターンと、三時間または数時間で一気に降るパターン、さまざまな気象条件によって違います。

 私ども、この人吉盆地は日本で最も危険な盆地だと思っております。三百六十度山でございまして、三百六十度の山から一気にあの盆地に水が押し寄せてくるということで、大体三時間雨量が勝負のポイントだと思っています。

 そうしますと、今先生御指摘の一九九五年、平成七年の洪水は、三時間雨量六十九ミリでございましたが、一九六五年、昭和四十年のときは、その三〇%増しの三時間雨量九十二ミリを記録してございます。

 ですから、私ども、このとき大変大きな洪水が出たわけでございますが、ただ二日雨量だけで比較するのではなく、その雨の降り方、その空間的な、時間的な降り方を見ながら、一番危険な、または危険であることを想定しながら計画を立てている次第でございます。

小沢(和)分科員 いろいろ言われましたが、八十年に一度の計画降雨量を超えておっても水害が起きなかった理由として、多くの学者の人たちが指摘しているのは、球磨川水系上流部の山林の成長による保水力の向上であります。六五年当時、山林の三五%が植林後十年以内でしたが、九一年には十年以内は五・三%に減少しております。だから我々は、山林を大事に育てれば、緑のダムの役割を果たせるというふうに言っているわけです。

 もちろん、建設省による球磨川水系の環境の整備も我々は評価しております。人吉市民の話では、人吉市内の特殊堤防、これは大変頑丈な堤防のようですが、完全にでき上がってからのここ二十年くらいはほとんど水害がなくなったと言っております。だから、ダムよりもこういう山林や堤防の整備などの方が有効ということではないかというのが多くの学者の意見であります。

 私は、これ以上論争しようとは思いませんけれども、もう一つこの機会に問題にしたいのは、六五年の水害が、球磨川本流の市房ダムの異常な放流によるダム災害だったのではないかということであります。

 当時、既に人吉市内では浸水が始まっておったんです。これにダムの大量放水が決定的に追い打ちになったのではないか。水害の被害者たちは、このときは、それまでのようにじわじわ水位が上昇するのではなく、一気に水位が上昇したと、ダム災害だったことを裏づける証言をしております。市房ダムの大量放水がなければ、先ほど人吉では五千トン一気に水が出たというような話がありましたけれども、人吉の水害はずっと小さくて済んだのではありませんか。

竹村政府参考人 何点かお話がございました。

 まず第一点、山林でございますが、山林は大変重要な空地でございまして、この山林を守るということでは全く同じ御意見であり、私ども、河川行政は、そのようなことでやってございます。

 ただし、昭和三十五年、四十五年、五十五年、平成二年と、ずっと過去の熊本県の統計をとりますと、この川辺川流域の山林は九〇%でございまして、もう既に九〇%の山林が保有している地域でございまして、その間、さまざまな多くの方々が死に、多くの財産が失われた水害が次々と起こったということも事実でございます。ですから、私ども、この山林を守りながら、大きな洪水に対処しようということでございます。

 第二点目、市房ダムの件で御心配のことがございました。

 昭和四十年の大洪水では市房ダムで急なダムの放流をしたのじゃないかということでございますが、この結果を見ますと、市房ダムには当時八百六十二立方メートルの水が流入してまいりました。そして、四〇%の三百四十一立方メートルをこのダムはカットして、下流には五百二十一立方メートルだけを安全に流しました。

 この私どものデータによりますと、市房ダムでは極めてスムーズに流況が変化しておりますが、それ以外の流域、特に市房ダム以外の流域、例えば、現在川辺川ダムを考えています川辺川流域等からの一気の水が重なり合いまして人吉地点で大きな洪水になったと認識してございます。

 ですから、市房ダムによる人工的な大きな洪水があったのではないかということについては、私ども、全く違った考え方を持ってございます。

小沢(和)分科員 私は市房ダムの話だけしましたけれども、全国的に、ダムの運用を誤ったために、逆に災害を大きくしたという事例は幾らでもあるんですよ。そのことを一つ指摘しておきたいと思うんです。

 それで、ダムは運用を誤れば水害を発生させるとかあるいは環境破壊などをするというので、今、日本全国でダム計画が住民の反発を受ける状況にさま変わりしてきているんじゃありませんか。それを象徴しているのが、あの長野県の田中知事の脱ダム宣言だと思うんです。

 大臣、あなたにこのことをお答えいただきたいんですが、この際、川辺川ダムだけではなく、日本じゅうのダム計画について再検討すべきではないかという点について、あなたはどうお考えでしょうか。

扇国務大臣 今、今後の、多くのダムがむだではないか、それよりも、脱ダム宣言ということに対してはどうだということでございましたけれども、私、何もしなくていいのならこんなありがたいことはない、そう思っています。

 それと、ちょっと先生もさっき新聞をお出しになりましたので、川の自然回帰等々、ダムをつくらないで川自体を自然に回帰して、そして木を植えてコンクリートでないものにしていこうという、この多自然型川づくりということも、今度国土交通省の二十一世紀の大きな政策の転換といいますか、これが二十一世紀型である、これが一つだと私は思っております。

 ですから、脱ダム宣言とおっしゃいましたけれども、この間の長野県の田中知事の例をたまたま先生今お挙げになりましたけれども、あのダムをもともと決定しますまでの経緯、地方自治体の議会でも賛成され、なおかつ私の方で事業許可の届けもされ、あらゆる手続を通じてダムをつくる計画を決定されたわけでございます。今度それを中止するのであれば、議会の、長野県の承認はどうなるんであろうか。一人が中止と言って全部中止できるのであれば、議会も要りませんし、何も要りません。例えば、私が首都機能移転問題を言ったときに、その話でも、国会の中で議会軽視だとおっしゃいました。ですから、私一人が首都機能移転反対と言って全部通るのであれば、これはむしろ民主主義ではないと私は思っています。

 ですから、長野県の脱ダム宣言というものも、あるいは、地元の事情、そして地元の審議会にかけられたこと、またそれらすべてを逆戻りして、事業許可をしたと同じ、逆戻りの手順をして私の手元まで来れば改めて私は考えられると思いますけれども、そういう手続を全部無視して、今いろいろなことで答弁もいたしておりましたけれども、いろいろなお話をなさいましたけれども、すべからく私どもは、手続を手抜きしようと思っていません。必ず住民の皆さんの意見、そして今おっしゃったように、脱ダム宣言すれば全部それでやめてしまうんだというようなことでは、私は、今までの一生懸命努力した皆さん方の労はどうするんだと。

 やはり、ダムにしろあるいは堰にしろ何にしろ、地元の皆さん方の意見を尊重して、地元が決定されたものを上げてきてくださる、ボトムアップをしていこう、そういうふうに私は思っておりますので、脱ダム宣言については、私は決定したときと同じ逆の手順をとっていただきたい。宣言したら全部やめてしまえるんだ、そんな乱暴なことではないということだけは、先生は御理解していらっしゃると思いますけれども、重ねて、私はそういうことをしないと思っております。

小沢(和)分科員 もう時間が来ましたけれども、一言だけ言っておきますが、私は田中知事の代理人じゃありませんから、田中知事がやっていることを全部私が正しいだとかなんとか、そんなことを言っているわけじゃないんですよ。

 ただ、今までどういう民主的な手続を踏んだか知らないけれども、仮に状況が変わったら、それに対応してダムについても違うアプローチがあってしかるべきだ、私はそういう立場から、もう一遍見直すことを考えるべきだということを言っているんです。

扇国務大臣 今言いっ放しですので。

 中止する場合も、私たちは、昨年、与党三党で公共工事の事業を中止するということを決定されまして、百八十七の事業を中止いたしました。けれども、私にしてみれば、これは全部中止と言ったのではなくて、御存じのとおり、第三者機関である審議会に全部振り分けまして、そして、これを中止するに関しては、昨年来、全国で延べ三百回の審議会を開いて、延べ百日の時間を要して事業中止をしましたので、今おっしゃったように、脱ダム宣言をすればすべて決定するというような言い方は、議会ですので、先生、ぜひ御理解賜りたいと思います。

小沢(和)分科員 言っていないのにそういうようなことを言ってもらっては困るとだけ言っておきます。

小島主査代理 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。

 次に、伴野豊君。

伴野分科員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、扇大臣初め副大臣の諸先生方とこういう時間を持たせていただきましたことに、まずもって感謝を申し上げたいと思います。主査の先生方、各委員に心から感謝申し上げたいと思います。

 きょう、朝出てくるときに、おふくろから電話がありまして、実は、うちのおふくろは扇大臣の宝塚時代からのファンでございまして、きょうもよろしくお伝えくださいということでございまして、この場を私的なことで申しわけないのですけれども、私も「三時のあなた」をよく子供のときに見ておりまして、時空を超えてこうやってお話しできることを、本当にきょうは朝から楽しみにしてまいりました。よろしくお願いいたします。

 最近にはないと言うと大変失礼なんですが、歯切れのいい大臣の回答をきょうも期待したいと思うわけでございますが、きょうは中部国際空港に限っていろいろお話をさせていただければと思っております。

 私の地元でもございまして、非常に地元の関心の高いところでございます。ぜひとも前向きな、創造的な御回答をいただければと思うのでございますが、冒頭、中部国際空港の現状といいますか、工事の進捗状況につきまして、二〇〇五年三月の開港を目指してぜひとも、何が何でも推進していただきたいと思っている一人でございますので、創造的な御回答を期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

泉副大臣 中部国際空港につきましては、先生御承知のように、昨年の六月までに環境アセスメント、漁業補償交渉及び公有水面埋立法等の手続を終えさせていただきまして、八月に現地に着工させていただきました。本体工事の着手は当初の予定よりも若干おくれておりましたけれども、その後、関係者の御努力、地元自治体のお力添え等もございまして順調に進んでおります。

 まだ予定よりもおくれておりますが、今先生がおっしゃいました二〇〇五年の三月の開港を目指して、これからも全力で取り組んでまいりたいと思っております。

伴野分科員 泉副大臣の力強いお言葉、ありがとうございました。二〇〇五年の三月の開港、ぜひともよろしくお願いいたします。

 扇大臣もよくおっしゃることの中に、ノード、いわゆる結節点のお話、モードの違う乗り物、それができ上がっても、結節点のところでうまくいかなければ速い乗り物をつくっても意味がないですし、空港もしかりでございます。幾らいい空港をつくっていただいても、これが海に浮かぶぽつんとしたものでは全く意味をなさないわけでございます。

 何を言いたいか、もうおわかりいただいたと思うのですが、ここからはアクセスのお話とバックヤードのお話に入らせていただきたいと思います。

 地元の新聞でももう毎日のように報道されております。一つ気になるのが知多横断道路、これの見通しといいますか、非常に用買がおくれているというようなことで、地元では非常に心配をしております。

 一つには、用買にかかる職員の数が十分ではないのではないか、やはり用買にかかるときにはフェース・ツー・フェースの信頼関係を、一対一の人間関係を築いていかなければならない。成田を初めいろいろな公共事業を行うときに、その知恵というのは今までも建設省さんや運輸省さんでも培われてきたと思うのですが、やはりここでもぜひとも発揮していただきたい。この知多横断道路の現状と見通しにつきまして、また前向きな御回答をいただければありがたいかと思います。よろしくお願いいたします。

高橋副大臣 今、伴野先生から知多横断道路の御質問がございましたが、この道路は、知多半島道路及び南知多道路と一体となって名古屋都心地域から中部国際空港へのアクセスを確保する、御高承のように、延長八・五キロメートルの地域高規格道路でございます。

 このうち、知多半島道路と接続する半田常滑インターチェンジから国道百五十五号を経て常滑インターチェンジまでの区間につきましては、平成十二年度より国庫補助事業として新規に事業化しまして、用地買収を行っております。

 また、平成十三年度より有料道路事業の新規事業化を図ることとしておりまして、平成十六年度末の中部国際空港の開港、これは二〇〇五年でございますが、に向けて事業の促進を図ることとしております。

 なお、常滑市域においては、一部住民による土地トラスト運動が行われているなど、用地買収が難航しているのも事実でございますが、道路の完成を開港に間に合わせるためには、用地の明け渡し及び補償物件の収去を平成十四年度中に完了することが必要ですので、愛知県並びに常滑市等が総力を挙げて今取り組んでいるところでございます。

伴野分科員 伝家の宝刀は抜かないにこしたことはないと思うのですが、やはりそれは公共性と、それから個人の権利とのバランスのお話もあろうかと思います。このあたりは悩まれることもあろうかと思いますが、いろいろなことをおはかりいただいて、あるときは住民サイドに立っていただいたり、あるときは国家プロジェクトというお立場もあろうかと思いますので、このあたりは御留意いただきまして、アクセス道路の非常に重要な道路の一つである知多横断道路がおくれるようなことがないように、ひとつよろしくお願いいたします。

 続きまして、そのアクセス道路に関連しまして、あと国道百五十五号線の整備とか、それから西知多道路の構想とか、いろいろあろうかと思うのですが、今の時点では申し上げられないというようなこともあろうかと思いますが、今の時点でおっしゃっていただけるようなことがあれば、おっしゃっていただければありがたいのでございますけれども。

高橋副大臣 今の中部国際空港への主要なアクセス道路として、知多半島道路、知多横断道路、中部国際空港連絡道路等について空港開港に間に合わせ供用するように計画的に整備を進めております。

 このうち、知多半島道路及びこれに接続する南知多道路につきましては、平成十一年度までに自動車専用道路として全線四車線拡幅が既に完了しておりまして、愛知県からは平成十二年度において海水浴シーズンの交通渋滞は大幅に緩和されていたと喜ばれております。

 また、交差点の容量不足等に起因するボトルネック、これにつきましては交差点の改良、バイパスの整備等の対策を鋭意進めております。空港への円滑なアクセスを確保するため、これらの整備を計画的に進めてまいりたいと存じております。

伴野分科員 いずれにしましても、空港と同じぐらいアクセス道路、アクセス交通というのは重要でございますので、よく最近は公共事業云々というお話がございますが、やるべきものはきっちりとやっていただく姿勢が必要かと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、アクセスの中でも鉄道の方へ入らせていただきたいと思いますけれども、鉄道アクセスということで、地元の名鉄電車というのがあるのですが、常滑線の高架化事業に伴う住民の心配もいろいろございます。

 一つの心配事としまして、ある一定期間バス代替輸送が行われるわけでございますが、私も現地を見てまいりましたけれども、決して広い道路ではございません。しかも、いろいろな交通がふくそうします。歩く人もいれば、それから自転車で行き交う人、それからマイカーで行く人もございます。

 そんなような観点で、先般も十一月十五日の運輸委員会で質問させていただきましたが、その後少し何か進展したようなことがあればお話しいただければありがたいかと思います。

泉副大臣 鉄道の問題は伴野先生御専門でございますが、御承知のように、常滑線を高架化しようということになっております。

 このことについては、地元の皆さんに工事期間中どうしても御不便をおかけする、代替輸送機関としてバスを使わざるを得ないということでお話を進めさせていただいておりまして、現在も調整をさせていただいている状況だと伺っております。

 道路事情等につきましての影響については、これまでの交通量調査等を踏まえて、道路管理者、地元の警察署とも協議を進めていきたい。発生交通量的に見ますと、バスの運行が恐らく一時間二、三十台ぐらい発生するかなという予想をしておりますが、道路自体の容量としては一時間当たり千二百台ぐらいのキャパシティーを持っておりますので、十分注意してやれば交通に障害を与えず、あるいは御不便も何とかしのいでいただけるんではないか、このように思ってやっております。

伴野分科員 私は性格的に余り悲観的に物を考えるタイプの人間じゃないものですから。ただ、このバス代替輸送によって、例えば中学生なり高校生が自転車交通でやっていたときに事故に巻き込まれて悲しい事件が起きたら、これはやはり非常に悲しい事件になってしまいますので、そのあたり重々御配慮をいただきまして、また現場の方も御指導をいただければと、そんなふうに思っております。

 では、またこのアクセス等々につきまして質問を続けさせていただきたいと思います。

 私の地元でございますが、知多半島というのは風光明媚なところも多く、また海岸線に面しているということもありまして、夏場に非常に交通が集中するといいますか、旅行でいらっしゃる方もいますし、私自身も若いころはデートスポットなんかをよく利用させてもらったんです。女房と行ったことにしてほしいんですけれども。そういうようなことが発生するものですから、ここ特有の、いわゆる夏シーズンに非常に渋滞が今でもあるんです。先ほど幹線道路なんかも整備しつつあるということで、多少は緩和される嫌いもあろうかと思いますが、また、空港ができたということで一層その傾向というのは強くなる可能性もあります。このあたりの御配慮、何かお考えがありましたら、お聞かせいただければと思います。

高橋副大臣 中部国際空港へのアクセス道路整備につきましては、名古屋都市圏南部地域、知多半島部ですが、その円滑な道路交通及び中部国際空港への道路アクセスを確保するため、半島部の名古屋都市圏自動車専用道路を初め幹線道路について計画的に整備を進めるように基本方針として決めております。この基本方針に基づきまして、主要な幹線道路については空港開港時までに供用するように鋭意整備を進めております。また、主要な幹線道路を補完する主要地方道や都市計画道路についても、幹線道路と整合をとりながら整備を進めているところでございます。

 空港への円滑なアクセスが確保されるよう、幹線道路と都市計画道路等がネットワークとして一体的に機能するよう計画的に整備を進めてまいりたい、こう思っております。

伴野分科員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 そしてまた、そのアクセスに関連することで、幹線道路もできました、それから一般道路もそれなりに整備をしていくと。そうすると、確かに線の整備というのはできていくと思うんですね。しかし、では、面的な整備はどうか。わき道もたくさんございますし。

 これは余り地元の話で、具体的な例で申しわけないんですが、例えば知多半島の西側に産業道路というのがございまして、これは常滑の手前でとまっているんですね。確かに高速道路を使われる方もいらっしゃるんですが、高速道路はお金がかかる、物流コストを下げたい。よく大臣もおっしゃるように、この中部新国際空港というのは物流が一つのポイントでございます。コストを下げたいということで、高速道路を使わずに産業道路を来て、その後いわゆる町中の普通の道路をトラックが突っ走ってくるということも考えられるわけで、もっと言うならば、抜け道ばかりを通ってくる。御案内のようにこの知多半島というのは狭隘な道路が非常に多うございます。そういうドライバーだってふえてこないとは限らない。

 そういった意味で、幹線道路の整備も大事なんですが、面的な、これは信号制御も必要になってくるかと思うんですが、例えば、この工事に本格的に入る時点から工事車両をひとつ実験として、ITSによる交通量の管理なんかを一回実験的にやってもらうとか、それ以外に実際に現場を専門家がごらんになって、そういった狭隘な、狭い道路を使うことによって、いわゆるトラフィックジャム、交通渋滞が発生することによってそれが幹線の方へ影響してこないか、ひいては高速、高規格の道路の方の入り口に影響してこないか、そういう観点からもぜひチェックをお願いしたいと思うんですが、そのあたりいかがでしょうか。

高橋副大臣 もう先生御高承のように、西知多道路は、平成十年六月に、地域高規格道路、高速道路に準ずる道路として計画路線に指定しております。同年十二月には、東海ジャンクションから南側の区間約二キロメートルについて調査区間に指定したところでございます。現在、国土交通省、県、協力しまして、ルート検討等の調査を既に実施しております。今後とも、中部国際空港の整備状況、周辺プロジェクト動向及び関連する道路の交通需要等に配慮しつつ、先生がおっしゃられますように計画的に整備を進めたいと考えておりますので、今後とも着実に調査を進めてまいりたい、こう思っております。

伴野分科員 中部新国際空港は、大臣もよくおっしゃるように、物流がポイントでございまして、物流の国際基点空港になるべく、そういった意味で物流のポイントはコストとスピードだと思います。アクセス、特にノード、結節点の御留意、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、そのアクセスの話から、やはり新しい空港ができるということは、この空港ですと、十万から二十万人ぐらいの都市規模の新しい都市が生まれるんだという感覚、視点があってしかるべきじゃないか、そんなふうに思います。空港のバックヤード対策、これがどうなっているのか、非常に心配でございます。これは常に地方の方も、国から何かをしてもらえるという感覚ではなく、自分たちみずからつくり上げていくんだ、自立していくんだ、国に何ができるんだという感覚も非常に重要かと思うんですが、ただ一方で、コーディネーターがいないとできるものもできなくなってしまいます。

 そういった意味で、今後の上下水道のあり方、ごみ処理のあり方、ひいては医療体制のあり方、国際空港をきっかけにして新たな地域づくりをどうしていくかという、国土交通省として、やはり建設省と運輸省が一つになったという、一つのいい実験材料じゃないかと思います。前向きなお考えがあれば、お聞かせいただければありがたいんですが。

泉副大臣 空港はまさに旅客と貨物の、陸と空の結節点ではありますけれども、それを中核にしてまちづくりを進めていかなきゃならないという先生の御指摘は、私どもも同じ認識でございます。特に、お尋ねがございましたバックヤードの整備につきましては、これは、地元自治体の御協力をいただきながら進めざるを得ない面がございます。しかし、あくまで中部国際空港株式会社が調整の主役で進めるべきものだということも私どもは認識しております。

 上下水道につきましては、会社が常滑市に負担金をお払いして施設整備を進めるという方向で今話が進んでおりますし、ごみ処理につきましては、常滑武豊衛生組合所有のクリーンセンター常武という既存施設で一応対応が可能だということでございます。医療体制につきましては、既設の病院等により対応するということでございます。

 なお必要な調整を進めながら、二〇〇五年の開港には万全を期したいと思っておるところでございます。

伴野分科員 いずれにしましても、こういう言い方をすると地元の人にちょっとしかられるかもしれないんですが、私の選挙区のこの地域というのは、いい意味でも悪い意味でもまだまだお上の力が非常に通用するところでございます。いい意味でのお上の力を発揮していただいて、いいコーディネートをしていただければ、そんなふうに思っています。よろしくお願いいたします。

 中部新国際空港の建設等々にかかわる事柄として、もう一つどうしても最近気になることとして、だれしも事故なんというのを望んでいるわけではないわけでございます。国土交通省さんしかり、それから実際にやっている中部国際空港、それから請け負っている建設会社、そこで働いている人々というのは、いずれも皆そうだと思います。しかし、現在、数えますところ十四件ほど、小さいのも、若干不可抗力のようなものもあります。自然発生的なものもございます。確かに講習会も何度となくやっていらっしゃいますが、ちょっと気になっております。

 このあたり、どう懸念されているのか、あるいは、やはり現場を見ていただくということも非常に重要かと思いますので、そういう観点からもお答えいただければありがたいかと思います。

泉副大臣 空港工事にかかわりなく、輸送に関することは安全が第一であるということで私どもは取り組んでおるところでございますが、御指摘のように幾つかの事案が指摘されております。会社を通して、安全確保になお努力するように指示をいたしておるところではございますが、こうしたことが起きないで完成できますように、さらに努力をしてまいります。

伴野分科員 いずれにしましても、本当に安全というのは重要な案件でございますので、くれぐれも御留意賜りますよう、また現場の方を御指導賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 続きまして、新しくできる中部新国際空港の特質について、何点か大臣とお話をさせていただければと思っております。

 よく大臣もその特徴を御認識いただいているようでございまして、航空貨物の国際的な基点にすべく、この空港を御配慮いただいているんじゃないかと思うんですが、今、中部新国際空港の特徴づけといいますか、期待すべきあり方というもので何かお考えがございましたら、御披瀝いただければありがたいかと思います。

扇国務大臣 冒頭に伴野議員からいろいろ私のことを言っていただいて、お母様によろしく言っていただきたいと思いますし、私の子供と同じような年齢の伴野議員でいらっしゃいますので、どうか二十一世紀をしょって立つ国会議員としてこれからも御研さんいただきたいと思いますし、ともに知恵を出し合っていきたいということを、まず冒頭に申し上げさせていただきたいと思います。

 また、中部国際空港に関しましての特徴づけといいますか、どういうことだとおっしゃいました。

 要するに、いつも名古屋の皆さん、日本列島のへそだというふうにおっしゃいまして、名古屋の位置づけというものを愛知県の皆さん方は大変強調なさいます。私は、そういう意味でも、名古屋の位置的な有利性、また位置的な特異性、そういうものを生かしていく、ぜひ特徴ある、名古屋におりれば西へ行くのも東へ行くのも便利なんだと言われるような国際空港でなければならないと思っています。

 けれども、そういう意味では、路線とかあるいは便数の確保等々考えますと、空港はできたわお客はあるかという大変大事な、それは諸外国に比べまして――四千メートルの滑走路が二本できる仁川という空港が三月の二十九日に開港するわけですね。では、中部国際空港は、できたときに果たしてお客があるんだろうか。これも私は大事なことだと思っておりますので、私どもといたしましては、精力的にエアポートセールスというものを行っております。

 ちなみに、先生に申し上げさせていただきたいと思いますけれども、これは行っております現状を認識賜りたいと存じますけれども、昨年の九月にアメリカにおきまして、社長ほか皆さん方にお願いをいたしまして、これはノースウエスト航空、エアカナダ、それからアメリカン航空及びフェデラルエクスプレス等々に、九月二十日から二十九日にわたってセールスをいたしました。

 また、十月の二十九日から十一月の八日にかけまして、ヨーロッパでございますけれども、これも社長ほかでございますけれども、英国航空、KLMオランダ航空、ルフトハンザ航空、スイス航空及びサベナ航空、これらにセールスを行っております。

 三番目といたしましては、二月の十八日から二十八日、これもヨーロッパでございますけれども、オーストリア航空、トルコ航空、アリタリア航空及びエアヨーロッパと交渉いたしました。

 今後の、今月の下旬の計画といたしましては、アジアに赴いて、シンガポール航空、中国南方航空、エバー航空、中華航空及びフィリピン航空、これらと事前に、もう開港してからでは間に合いませんので、何としてもエアセールスというものを、日本は今までこういうことが下手な部類でございますので、内向きといいますか内気といいますか、商売に関しては消極的でございましたけれども、今後は二十一世紀型のエアセールスをやって、二十一世紀、中部国際空港ができ上がったときにはお客が満杯で悲鳴を上げるというくらいな空港にしたいと思っております。

伴野分科員 熱心に御努力いただいてみえるみたいで、ありがとうございます。

 実際、おっしゃるとおりでございまして、地元の方も、お客が来ないことを今から心配しているのではなくて、お客を呼ぶんだ、お客になるんだという視点も必要だと思います。しっかり我々も地元の方でやらせていただきたいと思いますので、また御指導、御鞭撻賜りますようよろしくお願いいたします。

 それで、地元の方がもう一つ気にしていることでございまして、これはもう簡単にお答えいただければ結構かと思うんですが、中部航空定期路線の一元化ということでございます。ひょっとしたら現存のいわゆる小牧空港といいますか、名古屋空港にも定期路線が残ってしまうんじゃないか。そうしますと、二兎を追う者は何とかということになってしまいますので、そういう懸念もございます。このあたりのところのお考えをお聞かせいただければと思います。

扇国務大臣 私は、空港に限らず、今の時代、スクラップ・アンド・ビルド、この精神は必要であろうと思います。そういう意味では、今おっしゃいましたように、今の名古屋空港、そういうものに関しては、定期の航空路線につきましても、中部国際空港の事業採択時におきます、大蔵大臣とその当時の運輸大臣でございますけれども、この間におきまして確認による、中部国際空港開港時には、同空港への集約ということで、一元化することにしてあるわけでございますので、これを前提として中部国際空港の整備を進めるというのは、私はそれがもとになっている、また、その認識をぜひ御理解賜って、今後の事業の推進に努めていかなければならないと思っています。

 先ほどのエアセールスに対しましても、何よりも地元の財界、あるいは関係自治体の協力なくして、これはできないことです。私は、今の一元化も含めて、ぜひ地元の財界、自治体、そして選出の国会議員、特に先生方にこれを確約していただいて、御協力賜りたいと存じます。

伴野分科員 本当に力強い御回答、ありがとうございます。

 時間も迫ってまいりましたので、次の質問で最後にしたいと思うんです。

 中部国際空港ができるということで、もう一つ期待したいのが、中部財界による航空会社の設立。せっかく自分のところに国際空港ができるわけですから、名古屋しかできないような定期路線、例えばアジア路線を中心にした、ボーイング767を使った週一、二便のことを専門にやるような中部からの航空会社、資本金五十億ぐらいあれば十分できるんじゃないかという勝手な試算も持っているところなんですが。将来、扇大臣が社長に来てくれれば、そんな心強いことはないわけでございますが、やはりそんなような夢も語れるような地域じゃないとだめかと思います。

 このあたりのところ、感想だけでも結構ですので、お聞かせいただければありがたいと思います。

扇国務大臣 今おっしゃいましたように、中部国際空港ができ上がって、それをどのように活用していくかというのが、私は、これをつくったものと、そのつくったものに魂を入れるということに関しては、一番重要な部分であろうと思っています。

 そういう意味におきまして、地元におきまして新規の航空会社を設立するという積極的なお気持ちがあるということは、地元としては大いに盛り上がっていいことだというふうに私は受けとめております。少なくとも、そういう御要望があり、地元の皆さん方がそういう積極的な処置をとって、私どもの国土交通省にもしもそういうことをおっしゃられた場合には、航空法に基づいて、今先生がおっしゃったように、一番大事な安全面を重視しながら、所定の条件を備えるものであれば、大事なことではないかと思っておりますので、航空運送事業の許可を行うということも検討に値すると私は存じております。

伴野分科員 重ねてのお力強い御支援のお言葉、ありがとうございます。

 時間も押し迫ってまいりましたので、最後にちょっと要望を一つ申し上げさせていただきたいと思います。

 やはり地元のこの中部新国際空港に対する期待というのは大きゅうございます、言うまでもないと思うんですが。それで、いま一度、地元の活性化という意味でも、このプロジェクトの信頼性を高める意味でも、超党派で一回、扇大臣に地元へお越しいただいて、一緒に現場を見ていただいて、そこでいろいろな意見も聞いてもらったり、いろいろな夢を語っていただくことも必要じゃないかと思いますので、お忙しいと思いますが、ビッグプロジェクト、国際プロジェクトでございますので、扇大臣を先頭にまた超党派で現場を見ていただければ、そんな思いがいたしているところでございます。

 おかげさまで、皆さん方の御協力をもちまして、非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。おかげさまでおふくろにいい土産ができました。ありがとうございました。これにて失礼させていただきます。

小島主査代理 これにて伴野君の質疑は終了いたしました。

 次に、津川祥吾君。

津川分科員 民主党の津川祥吾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、扇大臣、いろいろなところでもう既にはっきりと御表明されておりますが、改めて御確認をさせていただきたいのですが、公共事業の見直しについて、確認の意味も含めてお伺いいたします。

 いわゆる必要のない、むだな公共事業というものは論外にしたとしても、時代の変化等により明らかにその必要性が低下してきた事業あるいはその効果が見込めなくなってきた事業、あるいは環境破壊などが予想されて弊害が特に大きいと客観的に判断されるような事業については、たとえ工事などの作業が始まっていたとしても中止や凍結をして計画の見直しをすべきであると私は考えますし、また、そのことについては、大臣を初め与党の先生方も異論のあるところではないと思います。

 まず、公共事業の見直しについて、改めて大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

扇国務大臣 公共工事に関しましても、昨年も与党三党で見直しをさせていただきました。中止したものもたくさんございます。けれども、中止するについては、少なくとも私は審議会にかけてきちんと三百の、審議会を経て、皆さんの今まで御協力いただいたことも加味しながら、断腸の思いで中止をさせていただきました。

 けれども、私は、公共工事の必要性というものは、今まで、予算が同じでも集中的にどこに投資するかによって公共工事の性格も随分変わってくると思います。そういう意味では、我々は、日本は、社会資本整備の充実ということから考えれば、欧米諸外国に比べてまだまだ社会資本整備ができていないという現状でございますので、国民の皆さんがひとしく、私たちはもうこれでいいのよ、下水道一つとってみても、いや、私たちは要らないのよという地域もなきにしもあらずでございます。けれども、私は、先ほども申し上げたんですけれども、二十世紀は、我々の討論しますときに、必ず皆さん、均衡ある国土の発展というまくら言葉をつけて、全国をひとしく、皆さん方に共有していただこうということで発想したことの中には、今おっしゃったようなむだがあったということもなきにしもあらず。

 それで、私は、今の二十一世紀、改めて、一月六日国土交通省になりまして、今厳命しておりますことは、私たちが国土交通省になって新たに手をつける公共工事は、十年後、これを見直すようなみっともない事業は一切手をつけるな。そうではなくて、公共工事に着手する場合は、十年後に必ず、あれはすばらしく私たちのためによかったなと国民に喜んでいただけるような公共工事でなければ、私は手をつけるべきでないというふうに思っておりますので、その辺の公共工事のあり方、二十一世紀型については先生方と同じ意見だろうと思いますけれども、その辺も伺わせていただければ、私の方もありがたいと思っております。

津川分科員 ありがとうございます。

 今大臣のお話しになられたとおり、私どもも、二十世紀型の公共事業から二十一世紀型の公共事業に変えていかなければならない。必要なものは当然あるし、そういったものについては早急に整備をしなければならない。特にまた、今大臣がおっしゃった、集中的に物を進めていくということが重要であろうかなというふうに思っております。これからもぜひ大臣には、従来の前例といいましょうか、そういったものにとらわれずに多くの御決断をいただきたいというふうに思います。

 私は、実は、そもそも政治家を志したのは、日本に総合的な交通政策というものがない、であるから総合的な交通政策をつくらなければならないと考えたことが政治家を目指した動機の一つでもあります。交通死亡事故は減らない。あるいは渋滞も減らない。また、かつては国鉄のローカル線が赤字を生み続けるというような問題もございました。また、現在でも、ほとんど使われないような高速道路があるですとか、必要なものが不足している一方で、不要なものもある。そのアンバランスを解消するということは、まさに政治の仕事であろうと考えたわけであります。そういうわけで、今回、大臣、副大臣の先生方に直接交通政策についてお伺いさせていただくという機会を持たせていただいたことに、心から感謝を申し上げます。

 今回は、特に航空行政に絞って質問をさせていただきます。

 まず、少し具体的な事例を取り上げて質問させていただきますが、近年の地方空港の現状というものにはかなり厳しいものがございますし、その認識は大臣もお持ちであると思います。そのような状況の中で、現在、静岡県の中部に静岡空港というものが建設中であります。この静岡空港の建設に当たりましては国からも補助金が出ているかと思いますが、平成十三年度予算の中で静岡空港建設にかかわる金額が幾らになるのか、建設開始当初からの累計と、今後開港までの予定額も含めてお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

泉副大臣 静岡空港は、いわゆる静岡県が設置管理いたします第三種空港でございまして、二千五百メーターの滑走路を有する新空港として建設中でございます。

 この空港の総事業費は五百六十億円として平成六年度に事業採択し、平成十二年度まで投資額は事業費で約百九十七億円、国費で九十九億円というところでございます。今後の投資予定は、事業費で、十三年度の三十億円を含めまして三百六十億円余りを予定しておるところでございます。

津川分科員 ありがとうございます。

 東京の方などには、静岡は交通至便の地域だから空港は要らないのではないかというようなことをよく言われます。素朴な疑問と言えるかもしれませんが、平成七年十二月、静岡県から空港設置許可申請がなされまして、翌八年の七月に設置許可がかつての運輸大臣から出されております。この県からの申請に対してなぜ大臣が設置許可を出されたのか、その理由をお答えいただければと思います。

深谷政府参考人 静岡空港につきましてのお尋ねでございますが、静岡空港につきましては、先ほどお話がございましたように、静岡県の設置管理する第三種空港ということで一定の要件、航空法上の要件に合致し、かつネットワーク形成上も需要が見込まれるということから、航空法の手続にのっとりまして設置許可をいたしました。

津川分科員 条件というのは、多分航空法三十九条の一項五号の用地取得が、平たく言えば一〇〇%可能であるというのがまず条件。それから、需要予測が満たされるというようなことだと思います。ただ、このときに用地取得に関して、県からの確約書が大臣あてに提出されていると聞いておりますが、どのような内容で、なぜ提出を求めたのか、お答えいただければと思います。

深谷政府参考人 設置許可に際しましては、先生御指摘のとおり、航空法に基づきまして一定の審査をさせていただくわけですが、その審査の項目の中に「飛行場にあつては、申請者が、その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められること。」という要件が航空法三十九条の一項にございます。

 これが一つの要件になっているわけでございまして、そういったことから、静岡空港の設置許可に際しましては、御指摘のように知事から確約書が提出されておりますけれども、これは、地権者の同意がその時点で得られていない空港用地について、設置管理者でございます静岡県が、その責任においてすべての用地を取得するということを確約されておるという筋合いの性格のものでございまして、飛行場の敷地の使用の権原を申請者でございます静岡県が確実に取得できるかどうか、こういうことの判断の資料として提出されておるというものでございます。

津川分科員 この件に関して、地元では実は裁判も起こっているんですが、静岡空港に限定して言えば、用地取得は土地収用法の適用も前提としているというふうな裁判の判断もございました。

 それで、見解に間違いないと思いますが、土地収用法は、公共の利益が個人の私権、私の権限を制限するものでありますから、その適用については、公共の利益について厳密に精査されなければなりません。それが大前提でありますし、決して乱用されてはならない法律でありますが、改めてお伺いいたします。

 この静岡空港建設による公共の利益がどの程度のものなのか、大臣としても精査をされたのかどうか、大臣のお答えをいただきたいと思います。

泉副大臣 土地収用法のことにつきましては、先生御指摘のように、その事業の公益性が十分担保されておることが前提であることは申し上げるまでもございません。

 この空港について、静岡県からの申請がなされた段階で、その必要性については国土交通省、当時は運輸省でございますが、十分検討し、我々としてその公益性を認めた上で、整備に着手したわけでございます。

津川分科員 運輸省あるいは大臣なりにしっかりと精査をされたということをお答えだったかと思うんですが、今、静岡空港の建設が地元で問題になっております。

 一つ具体的に出てまいりますのが、開港予定年度が、もともと平成十五年度だったのが平成十八年度ごろになるのではないかと県が言っております。最近では、さらにその十八というものにもこだわらないというふうに言っておりますが、なぜ開港予定年度がおくれているのか、御存じでしょうか。

泉副大臣 当初の同空港の供用開始予定は平成十五年度というふうに伺っておりましたが、用地買収がおくれたために、その時期が後ろに延びておると承知をいたしております。

津川分科員 確かに反対地権者の方々がいらっしゃるというのも事実です。ただ、地権者ではなかったとしても、空港建設予定地、建設地の付近の住民の方々にはこういう方々もいらっしゃいます。自分には空港はなくてもよいし、うるさいから迷惑だ、しかし、公共のために必要性があるならやむを得ないと思う、ただし、この静岡空港に関しては、本当に必要性があるとはなかなか感じられないという方が多くいらっしゃいます。

 先ほども出ましたが、県の需要予測というものについて、私はその数字を大変懐疑的に見ている者でありますが、国土交通省としては、県が提出した需要予測、これを是としたということだと思いますが、それはなぜか、お答えいただければと思います。

深谷政府参考人 静岡空港につきましての需要の予測に対しましてのお尋ねでございますけれども、静岡県につきましては、北海道でございますとか、九州、沖縄でございますとか、そういったところとの交流に当たりましては、どうしても鉄道や道路、こういったものを利用して長い時間を要する地域、こういうことかと思いますけれども、他方で、実際はそういった地域とも交流が大変多い、こういう実態であろうと思います。

 また、静岡の空港の背後圏、事業採択以来、最大路線であります北海道との間の旅客流動、お客さんたちの流れ、流動というものもかなり順調に推移しているのではないかということから、我々としましては、静岡空港の航空ネットワークとしての意義というものを十分認識しておるところでございます。

 こうした中で、静岡空港の設置管理者でございます静岡県とされましては、空港建設の前提となります需要予測、これにつきまして、中長期的な視点に立ちながら、旅客流動というのが順調に推移しているというふうなことを踏まえ、需要予測というのをお立てになっているということで、私どもといたしましても、こうした旅客流動状況等を注視しながら、県の需要予測を尊重してまいる、かように思っております。

津川分科員 ちょっとこちらからも言わせていただきますが、非常に科学的な手法を使ったというふうに言われております。

 直観的には、地方空港でありながら、羽田路線あるいは関空路線、こういったものがない地方空港が本当に維持できるのかというような直観的な問題意識もあるかと思いますが、それに対して、三段階推定法と言われるものを科学的に使いましたというようなことを県から言われております。

 しかし、これと同じ方法であの、あのと言うと失礼かもしれませんが、大館能代空港あるいは佐賀空港というものも需要予測をいたしております。しかし、実際、開港後は、その予測が外れまして、大きく割れ込んだということがございます。

 その原因調査につきましてももちろんされていると思いますし、結果としてはいろいろな事情、特殊事情があったということであろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、同じような手法でとられた予測が外れている、大きく割り込んでいるという状況がございますが、静岡空港についてもやはりこの需要予測について見直しをするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

深谷政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたけれども、静岡県の方では、先生御指摘のような考え方を踏まえながら需要予測をされ、静岡と例えば新千歳の間あるいは福岡の間、それから鹿児島、那覇、そういったそれぞれのところを結んだ路線についての一定の需要見通しというのを立てながら、設置のために今建設を進めておられるわけでございまして、私どもといたしましても、先ほど申し上げましたように、静岡県のその需要予測というものを尊重しておる、こういう状況でございます。

津川分科員 見直しをされるおつもりはないというお答えだったかと思うんですが、しかし、この科学的な手法と言われるものも、このものは大変すばらしい、すぐれたものだと私は思いますが、ただ、静岡に関しては、その運用の仕方が明らかに問題があった。

 静岡県民がすべて静岡空港を使うという前提を置いた場合、どのくらいの方が飛行機を利用されるか、そういうときに、そこでその科学的な手法を使いました。しかしながら、実際には、例えば静岡空港ができても、余り飛行機が飛ばなければ、使いたくてもなかなか使えない。そういった方は、やはり羽田に行かれる。例えば静岡県東部、沼津ですとか三島ですとかあるいは伊豆半島の方は羽田に行かれる。あるいは西部の浜松のような方は、先ほどもお話ありましたが、中部国際空港ですとかそちらの方に行かれる。そういうようなことを考えますと、実は県が言っているほどの需要はないのではないかというふうによく指摘をされるところであります。

 また、平成十一年の会計検査院の報告で、地方空港について赤字のものが多い、それにつきまして、まず精度の高い需要予測を実施した上で、これに基づく費用と事業効果の評価を適切に実施することが重要であるというふうに言っております。

 しかし、そこで県が提出した需要予測の精度に問題がありそうだとするならば、やはり需要予測の見直しを県に求めるか、あるいは国土交通省自身が独自に見直しをされる必要があるのではないかと思います。

 また、同時に、時のアセスメントの話から見ても、平成十一年の十二月に一度、運輸省として見直しの対象とするかどうか検討をされましたが、当時は、用地買収が九三・五%まで終了している、再評価の検討対象となるような事業のおくれはないというふうに言われました。

 しかし、今日でも、この用地取得はほとんど進んでおりません。一〇〇%になっておりません。結果として、工事は現在おくれております。時のアセスという観点から見ても十分に見直しの対象となると思いますが、いかがでしょうか。

深谷政府参考人 先生既に御指摘のように、静岡空港につきましての評価を私どもとしましてもさせていただきましたが、時のアセスの関係、現時点で御指摘のような必要性はないだろうという判断に立っておりました。

津川分科員 もう一点、具体的な問題を指摘させていただきます。

 静岡空港は、その予定地の直下を東海道新幹線が走っております。県の計画では、そこに空港新駅を建設する、それを結べば首都圏第三空港としての利用価値もあるんだというように説明をされております。しかし、JR東海は新駅はできないと何度も明言しておりますし、現場が勾配のあるトンネルでございますから、そのトンネルの勾配をならして、なおかつ営業をとめずに新駅を建設するということは、技術的にも大変困難であります。

 県の需要予測に、新幹線新駅ができた場合とできていない場合というものを出しておりますが、国土交通省としてもそのことを御存じでしょうか。もし御存じなら、首都圏第三空港として静岡空港を想定しているのかどうか、お答えをいただければと思います。

泉副大臣 地元から、新幹線の新駅を空港周辺にということは、我が省としても承知をいたしております。

 御承知のように、これは、JR東海がどう判断するか、自己の経営上の考え方あるいは技術的な問題から最終的には判断をしていくことになると思っておりますが、現在のところは、新駅の設置が難しいとの認識を持っておるというふうに私どもは聞いておるわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、JR東海も含めた関係者間で、この新駅の設置が可能なのかどうか、そうした詰めをなさって、結論が出るのではないかと思っております。

 先生お尋ねになられました首都圏の第三空港というお話については、今、航空局長をヘッドにしまして国土交通省で議論をしておるところでございます。その過程でございますので、静岡空港がその対象になっているとか、なっていないということをこの場で申し上げることは遠慮させていただきたい。少し早過ぎるのではないかと思いますので、御理解をいただきたいと思います。

津川分科員 ありがとうございます。

 ただ、最初にもお話しいただきましたが、公共事業の見直しというものは、建設段階であったとしても、その需要予測に大きな疑惑があるのであるならば、やはり国土交通省としてもぜひ精査をしていただきたいというふうに思います。

 引き続き、航空行政についてお伺いをいたします。

 今も触れましたが、首都圏第三空港について若干お伺いしたいんですが、これもお答えできればで結構ですが、羽田空港の国際化ですとか再拡張というような問題、もし多少でもお話が進んでいるようであれば、御説明をいただければと思います。

扇国務大臣 今、たまたま航空問題に集中して御質問いただいております。

 東京の羽田の空港についてはどうだというお話がございましたけれども、首都圏、本当に羽田の今の状況を考えておりますと、私の手元に来ておりますデータによりますと、二十一世紀の初頭ですけれども、二〇一五年には能力がもう限界に来るというふうな、手元に国内空港旅客数の実績及び将来予測というのがございまして、二〇一五年にはロードファクター、いわゆる座席利用率が完全に満杯になるというふうな予測が出ております。私はそういうことから考えましても、特に来年、御存じのとおりワールドカップが行われまして、世界じゅうから日本にお客様が来てくださいます。その人たちに、特に来年は、日本にワールドカップを誘致したあのときの迫力から考えれば、韓国と共催とはいうものの、十の開催地で競技されるということでございますので、では鹿島に行く人たちはやはり成田におりたいとおっしゃるし、しかも、韓国からはシャトル便にしてくれという要望が来ているんですね。横浜の競技場に行く人たちは羽田におりたい、あるいは、早く静岡ができていれば静岡からも行きたいという人も多くなったわけですね。

 ですから、そういう意味で、そういうワールドカップもさることながら、二〇一五年には今の羽田空港が、許容量がもう限界に来ているということから考えても第三空港が必要であるということは、御存じのとおり、私はここに手元にありますけれども、平成八年、第七次の空港整備七カ年計画の中でも閣議決定されているんです。もうこれは必要ですよと。

 「東京国際空港の将来における能力の限界に対応し、首都圏における新たな拠点空港の構想について、事業着手をめざし、関係地方公共団体と連携しつつ総合的な調査検討を進める。」ことと決まっているのに、私はそれを考えないという方がむしろおかしいので、国民の利便性あるいは国際性等々を考えれば、これは一刻も早く、皆さんの英知を結集して、学者あるいは関係者等々と協議を進めているところでございますけれども、私は、この調査検討委員会というものの重要性と結論を早く得たいと思っています。

津川分科員 ありがとうございます。

 この件に関しまして、マスコミ報道などでよくハブ空港という言葉が聞かれます。マスコミあるいは有識者と言われる方々が、アジアの経済的リーダーたる日本にもハブ空港が必要である、もし持てないようであるならば、アジアの一小国に成り下がるのではないかというような御意見も見受けられます。

 ちょっと飛ばしますが、私は、実はハブ空港は日本に要らないと思っております。大臣もどういうお考えか、本当は御確認したいところなんですが。

 ハブ空港の言葉の定義にもなりますが、ハブ空港というのはそもそもトランジット空港である。羽田ですとかあるいは成田というように、東京に用事がある方のためにたくさんの路線が入っているというようなところではございません。そのハブ空港の最低の必要条件というのは、まず広いこと、滑走路が複数あること、それから空域が確保されている、気象条件がよい、そういったようなことがありますが、日本の中にはなかなかそういった用地はございません。先ほども仁川のお話がございましたが、もし近くにそういったものがあるならば、そういったものをもし有効に使うことができるならば、そちらの方がお金もかからないし、効率的ではないかというふうに考えます。

 むしろ、より現実的な話としては、私は、先ほど大臣のお話の中にもありましたが、国内の既存の各空港をネットワーク化するという方がより現実的ではないか。国内の拠点空港であります新千歳、羽田、関空、福岡、那覇、あるいはこれに中部国際も入るのかもしれませんが、そういったものをネットワークする、一カ所に集めるハブをつくるというのではなくて、ネットワーク化するということの方がよいのではないかな。

 ただ、実は、中部国際空港に関して、PFIを導入するなど大変画期的な空港であると思いますし、私も大いに期待をするところでございますが、一方で、先ほどもお話がございましたが、跡地となる名古屋空港、小牧空港はどうなるのか。今述べたネットワークの考え方からすると、果たして中部圏にあのような国際空港があることが本当に有効であるのか。例えば、関空の二期工事を進めて、中部からも関空に行きやすくする方がよりよかったのではないかというような考え方もあるのではないかと思います。私は別に中部国際空港の建設に反対しているわけではありませんが。

 つまり、国全体の航空行政を考えて、その方針で、何が必要で何が不要か、そういったビジョンが大変重要だと思うわけであります。例えば、関空をつくったのに伊丹が残ったとか、中部国際をつくったのに名古屋空港がどうなるか明確になっていないというのは、やはりちぐはぐな感じは否めないというふうに思います。そういった意味で、総合的な政策をぜひつくっていただきたい。

 実は、静岡空港もそういった全体的なビジョンのもとで判断をしていただければ、設置許可はなかなかおりなかったのではないかというふうに思います。御存じのとおり、静岡は確かに交通至便なところでありますし、JRで言えば東海道線、東海道新幹線、あるいは国道一号線、東名高速道路、さらには第二東名、たくさんございます。しかし、ある意味でそういったものがあだとなりまして、空港に対してはアクセスが悪いというのも事実であります。

 静岡の方々が、これまでのように与えられるというもので満足するのではなくて、みずから全国や世界に対してアクセスをしたいと望む、その気持ちは大変大切にしたいと私も思います。しかし、例えば、静岡の事業だから静岡の方々の気持ちを尊重したいというふうに大臣もおっしゃいますが、多くの静岡県民の方々が静岡空港の需要予測に対して懐疑的であるということに対しても、ぜひ誠実に対応していただきたいと思います。

 ぜひ、鉄道や車、歩行者あるいは自転車といったすべての交通システムを含めて、人、物、情報の国際的、国内的流通をどうしていくか、そういった総合的な交通政策を作成していただくことをお願いするとともに、静岡空港に関して言えば、今後も国の予算をつけるのであるならば、需要予測の精査、見直しをぜひ進めていただきたいということを改めてお伺いいたしますが、大臣の見解をお願いします。

扇国務大臣 今おっしゃいましたように、グランドデザインをつくるというのはそういう意味でございまして、私は、滑走路一本で国際空港と、国際というのをつけるのはおこがましいと思っております。一本しか滑走路がないのであれば、ただ空港であって、それは国際空港とは言えない。世界じゅうどこへ行っても、首都で、滑走路一本で、しかも三千メートル一本とかで国際空港なんというのはありません。

 ですから、そういう意味では、今までの日本の戦後の政策の中には、まだ後進国だと言われても仕方がないような政策があったということは、私は残念だと思いますけれども、その当時はお金もなかったし、皆さん方の賛成も得られなかったし、つくるとなったら反対運動で延々と今でも、開港して何年たちましたか、一九七八年に開港して今日までまだ一本の滑走路ですから。

 これを見ても、やはり私は、民主主義の難しさ、あるいは主導性の腰の弱さ等々も含めて、今日までかかった費用とその対効果というものがどこまで上がったかということを考えれば、我々は改めて二十一世紀型の公共工事あるいは社会資本整備というものも考えなければいけないと思っています。

 そして、今、重ねて言えば、羽田空港の話が出ましたけれども、おかげさまで二月の十六日、やっと、夜間でございますけれども十一時以後、あいているところはどうぞということがあって、二月の十六日に初めてチャーター便を飛ばしていくということを考えて許可をいたしました。そのときに五つ申請が出ました。私は、夜十一時以後に羽田から、チャーター便とはいえ五便も申請があって、お客様があるのかなと思ったら、わずか十五分でこれは申し込み殺到でございます。そして、私、十六日の夜、十一時から十分おきに、サイパンが一便、韓国の済州島が二便、ホノルルが二便、十一時から十分おきに五便、まあ御祝儀ということで五便一度に飛ばさせていただきました。

 これとても、国民の皆さんがどこへ行ったら何をしたい、どこからしたいという、国民の一番利便性に富んだ行政というものが、私はあってしかるべきだと思います。千葉県は千葉県の県益だけ、静岡は静岡の県益だけ、私はやはり近視眼的になってはならない。

 そういう意味では、国土交通省は全国を網羅したグランドデザインをすることが、国土交通省の新しい政策決定の大事な要点であると私は認識しておりますので、国土交通省の政策を二十一世紀型に変えていき、国民の皆さんの御理解をいただく、やはり二十一世紀のグランドデザインをどうしても早くしなければいけないという気持ちに駆られております。

津川分科員 ありがとうございました。

小島主査代理 これにて津川君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林憲司君。

小林(憲)分科員 民主党の小林憲司でございます。

 本日は、まず、首都機能移転問題につきまして御質問させていただきたいと思います。

 首都機能移転候補地の一つであります岐阜・愛知地域は、私の選挙区である愛知七区に隣接しておりまして、地元の方々の期待も大変大きなものになってきております。

 そこで、扇国土交通大臣にお伺いしたいと思います。大臣には、いつも大変わかりやすくはっきりと御答弁いただきまして、私も大変勉強させていただいておりますが、大臣はこれまで首都機能移転に対しまして否定的だと言われておりました。しかし、二月二十三日、衆議院国土交通委員会での所信表明の折に、大臣は、国会での論議を活発にしていただき、国民の理解を得られるよう、これは推進していかなければならないと、原稿にはなかった推進という言葉を加えられましたと報じられております。これは、大臣は、首都機能移転の推進論に転換されたということでよろしいのでしょうか。見解をお伺いさせてください。

扇国務大臣 推進の言葉がついたから前向きになったとか後ろ向きになったということではなくて、私は、基本の、国民の皆さんの活発な論議がなければならないということを申し上げたんです。

 皆さん方御存じのとおり、首都機能移転特別委員会を設置されても、開かれた回数、去年衆議院と参議院で二回やりましたかしら、また、いつも、そこへいらっしゃる方は候補地の先生方ばかりが推進しろ推進しろという御質問に立たれるんですね。ある先生も、私名前は出しません、国会議員です、扇さん、あれまだあったの、首都機能移転なんてもうとっくに消えちゃったんじゃないの、そうおっしゃる方もいらっしゃることは事実でございます。あえて名前は言いません。

 そういうことで、予定候補地が三本に絞られました。三地域の皆さん方は御熱心ですけれども、それ以外の皆さん方は、今の財政状況でできるとは思っていないという御判断の先生も、これは陰の声として、私はあえて名前は言いませんけれども、いらっしゃるんですね。

 そういうことから考えますと、私は、推進というのは、国民の多くの皆さんの意見を判断して、やめるかやめないか、促進するか促進しないかということを、積極的に、二十一世紀に、なるべく早い時点に結論を出していただきたい。国会がきちんと、委員としての役割を果たしていただきたい、賛成の皆さんがための意見ではなくて、全国的な国民の世論の形成をしていただきたいということが、積極的という意味でございます。

小林(憲)分科員 今のお話によりますと、大臣、これは要するに、移転をするしないということをまず積極的にやりましょう、そういう推進という意味でありまして、決して、首都移転をやりましょう、頑張ってやりましょう、みんなでやりましょうという意味の推進ではないということでよろしいでしょうか。

扇国務大臣 そのとおりでございまして、国会でせっかく委員会をつくっていながら、活発な意見がない、一方的な意見ばかりあるというのは、私は公平ではないと思います。

小林(憲)分科員 大変わかりやすい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 そして、首都機能移転につきまして、もう一点御質問させていただきたいんですが、今まさしく扇大臣がおっしゃられたとおり、まずは、あったのないのと言うような先生方まで見えるという中で、今首都機能移転の問題が国会の論議の場に移っておりますが、政府としてはどのような取り組みをしているのか、お答え願えますでしょうか。

扇国務大臣 政府としての取り組みは、もうとっくに委員会に権限が行っております。政府がこれをするとかしないとか言うと大騒ぎになりまして、私が一言質問に答えて言っただけでも、もう大騒ぎになりまして、国会軽視ではないか、こう怒られましたけれども。

 人のことを言って申しわけないんですけれども、長野県の田中知事がダム中止とおっしゃったことの方がよほど問題だろうと思って、私は、手続があるから、あえて皆さん方の手続を活発にしてくださいと申し上げているので、手続無視をしていいというのであれば、とっくに、今の経済状況では、財政事情ではとても今できないという状況にあると思いますけれども、皆さんの議論を活発化してくださいとお願いしています。

小林(憲)分科員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 今、政府の方としては、まずは、国会に議論の場が移っておりますので、これを見守りながら、どういう状況であるか、資料などを整えながら進めていきたいということであろうかと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 地元の問題で、具体的に入りますが、現在、私の地元の主要地方道であります瀬戸大府東海線は、ほとんどの区間が事業が完成に近づいておりますが、まだ数カ所、工事中ないし計画中ということでございます。

 瀬戸大府東海線は、名古屋東部地域の南北交通機能として不可欠の路線でありまして、同時に、愛知県に来ます国際博覧会が開催された時点では、駐車場へのアクセスルートとしても大変重要な路線となっております。

 主要地方道瀬戸大府東海線のうち、数カ所の工事中の区間、また長久手町内の未着工区間の状況と、全線開通に向けての今後の見通しについてお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

大石政府参考人 主要地方道瀬戸大府東海線は、先生今お話ございましたように、瀬戸市から東海市に至る延長約三十九キロメートルの重要な路線でございます。名古屋市の東部、名古屋二環の東側、かつ万博会場に非常に近接しているという地域を南北に結ぶ幹線道路でございます。

 これまで、愛知県におきまして、交通混雑の緩和及び交通安全の確保を目的に、国庫補助事業及び県単独事業によりまして積極的に整備を推進してきたところでございまして、平成十一年度末で、暫定供用も含めまして、約二十七キロメートル、七〇%が整備済みとなっているところでございます。残る約十キロメートルの区間におきまして、引き続き整備を推進しております。国土交通省としても、引き続き支援をしてまいりたいと考えてございます。

 ちなみに、瀬戸市におきましては街路補助として、日進市におきましては地方道補助として、東郷町におきましては同じく地方道補助として、豊明市におきましても地方道補助として、それぞれ事業を推進いたしておるところでございまして、平成十二年度四車線完成から平成十六年度四車線供用を目標といたしまして、鋭意整備を進めているところでございます。

小林(憲)分科員 ありがとうございました。

 次に、九月の東海豪雨の災害復旧状況についてお伺いいたします。

 この集中豪雨では、河川の堤防が七カ所で決壊、約六十カ所で危ない状況になったということでございます。これは扇大臣にもお越しいただきまして視察をしていただきまして、本当にありがとうございました。

 また、これらの工事の現在の進捗状況についてですが、これは西枇杷島が大変クローズアップされましたが、実は豊明市、大府市と、大変同じような被害を受けております。その進捗状況について詳しくちょっと御説明をいただきたいので、お願いいたします。

竹村政府参考人 お答えいたします。

 平成十二年九月の東海豪雨におきまして、今お尋ねの境川水系におきましても大変被害が出まして、六十九カ所の河川施設災害が生じました。支川の石ケ瀬川、皆瀬川、正戸川、井堰川の破堤箇所におきまして直ちに応急復旧をいたしまして、九月の二十一日までに、すべて応急復旧工事を実施完了いたしました。

 本復旧につきましては、十二月の二十二日までにすべての箇所の査定を完了しまして、災害復旧工事費約二十二億円を決定し、現在、鋭意工事を実施中でございまして、ことしの出水期までに工事を概成させたいというようなことで進めさせていただいております。

小林(憲)分科員 今、境川のお話が出ましたが、境川は昭和五十七年度に治水対策特定河川事業に採択されておりまして、水系の整備が進んでおるというふうに思っております。その事業の一環として、平成十三年度より、長年の懸案でありましたJR東海道線の境川橋梁の改築工事が始まる予定と聞いておりますが、その状況は今どのようになっていますでしょうか。

竹村政府参考人 JRの東海道本線境川橋梁が、実は非常に洪水のボトルネックになってございます。計画で四百十立方メートル流すところを、約半分の毎秒二百立方メートルしか流下能力がございません。治水上重要な箇所になってございます。

 私ども、つけかえ工事としましては、六つの橋脚を二つに減らすというようなことと、逢妻川の川幅と合わせまして百六十三メートルから百八十メートルに拡幅し、河床も一・五メーター掘り下げます。このようなことで、平成十一年には、愛知県とJR東海の間で協定が締結されまして、平成十八年度の事業完成を目標として、現在、平成十二年度は詳細設計を実施しております。用地取得も平成十三年度には着手したい、このようなことで考えて、鋭意事業を進めてまいりたいと考えてございます。

小林(憲)分科員 どうもありがとうございます。

 河川の問題も、なかなか進まないと、これから本当に大きな問題になってしまう。百年に一度の大水であったと言われておりますが、今、次から次へといろいろな天災が起こっておりますので、どうか手早な政府の対応の方をよろしくお願いいたします。

 私、愛知県出身でございますが、今、万博、空港と大きなプロジェクトが進んでおりますが、これはまさしく交通アクセスの問題が大きな問題だと地元でも言われております。

 新交通システムであります東部丘陵線、この問題が今大変話題になっておるのでございますが、運輸政策審議会におきましては、二〇〇八年をめどに整備するのが適当であるという答申が出ておりまして、現在、準備が進んでおると聞いております。

 この東部丘陵線でございますが、国際博覧会に間に合わせようというような動きが今ありまして、これは日程的にかなりきついのではないかと思われていますが、東部丘陵線の計画の概要、また、本当に万博に間に合うことができるのでしょうか。このあたりを御説明願いたいと思います。

板倉政府参考人 お尋ねの東部丘陵線でございますが、東部丘陵線は、この地域の道路混雑の緩和、あるいは交通の利便性の向上を図るために計画された中量軌道の輸送システムでございまして、先生御指摘のとおり、平成四年の運輸政策審議会の答申におきまして、二〇〇八年までに中量軌道系の交通システムとして整備すべき路線として位置づけられている路線でございます。

 地下鉄の藤ケ丘駅から愛知環状鉄道八草駅の間約八・九キロでございますが、これを磁気浮上式システム、HSSTを導入する方向で、現在、地元の愛知県と名古屋市が、都市計画そして軌道法の手続を進めているところでございまして、実はあした、都市計画の案を縦覧にかけるというふうに伺っているところでございます。

 それで、このインフラ部の整備主体でございますが、地元の愛知県、名古屋市が当たることになりますが、インフラ部以外の車両や駅の電気施設等につきましては、平成十二年二月に設立されました第三セクターの愛知高速交通株式会社が整備することといたしております。

 当該路線につきまして、国土交通省としましては、平成十一年度に着工準備採択をしておりまして、先ほど申しました都市計画の手続等に必要な準備作業を御支援申し上げていきたいと思っております。

 そこで、この路線が万博に間に合うのかというお尋ねでございますが、東部丘陵線が本格着工するためには、用地買収とか工事着手、そういうことにかかっていくわけでございますが、その前提として、都市計画とか軌道法の手続が完了することが必要になってまいります。現在、愛知県等におきまして、平成十三年度中の完了を目途に、鋭意、都市計画及び軌道法の手続が進められているところでございます。

 また、この都市計画の手続の後におきましても、先ほど申しました用地買収とかいうことに加えましてインフラ部の工事等の課題がございまして、私ども、大変厳しいスケジュールではないかというふうに思っているわけでございます。

 しかし、愛知県それから名古屋市が、万博開催前の開業に向けましてとにかく最大限の努力をするというふうに言っておられますので、これらの地元の取り組み状況を踏まえつつ、私ども国土交通省といたしましても、引き続きできる限りの支援をしてまいりたいと存じます。

小林(憲)分科員 今御答弁いただきましたが、これは二〇〇二年の三月ぐらいまでに環境アセスを終わられるということで、十三年度ということだと思うんですけれども、それから二〇〇五年までですと三年間でございまして、HSSTですか、これはリニアモーターカーみたいなものですね、これをまず走らせるためには、とにかく試運転も数カ月間しなければいけないというふうに聞いております。そうしますと、半年間の試運転がありましたとしても、二年半という工期になると思うんです。

 そして、今の計画の、藤ケ丘駅から八草までの道というのがメーン道路になっております。長久手の青少年公園へ続く道でございまして、ここの青少年公園に、大臣も行かれて見ておられると思うんですが、そこにパビリオンとかいろいろ建つということでございますけれども、そこに行く道が、もし工事を始めてそれが終わらないとなったら、これは大変なアクセスの問題が起こるんではないかと思うんです。

 これ、もし間違っていたら直していただきたいんですが、その試運転の時期まで入れて、いろいろ考えて、本当に三年間で、厳しいというお話は今聞きましたが、可能なのかどうかということの見解を少々教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

板倉政府参考人 大変厳しいスケジュールだということを申し上げたわけでございますが、先ほど、平成十三年度中に都市計画等の手続を完了することが前提だと申しましたが、そのためには、秋ごろまでには都市計画決定をいたしまして、それで十三年度中には都市計画事業の認可を得る必要がございます。そして本体工事にかかるわけでございますが、本体のインフラ工事を終えましてから、先生御指摘のとおり軌道工事、レールとか電気設備とかそういうものが必要でございますし、さらに、少なくとも数カ月の試運転期間というのが必要でございますので、そういうことを全部ひっくるめて考えましたときに、ぎりぎりのタイミングであるということでございます。

小林(憲)分科員 大変ありがとうございました。

 ぎりぎりのタイミングでできるのではないかということでお話をお伺いしました。これは愛知県のことではございますが、国の方の補助を出していただいて、愛知県と国と民間と一体化して万博をやろうということでやっておりますので、今、愛知県の住民の方々、本当にこのアクセスの問題だけ大変懸念しております。万博に対するいろいろな問題等、まだなかなか進まない中で、いろいろ紆余曲折しましてBIEの認可につながったこの万博でございますが、国家プロジェクトである以上、必ずやいい万博にしなければいけない。

 そのためにも、このアクセスの問題、きょうはもう時間になりましたので質問はしませんが、JRの名古屋駅からずっと高蔵寺を通りまして八草に来るルートもございますが、先ほど大臣からもハブ空港というお話がありましたが、滑走路一本で国際空港ではないのと同じように、本当に何万人という方々が来る万博をやろうという駅の様相を呈しておらぬわけでございます。しっかりとした計画を国の方も国家プロジェクトとして進めていただいて、前向きに検討していただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

小島主査代理 これにて小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本剛明君。

松本(剛)分科員 大臣には、そしてまた副大臣には、連日の予算審議でお疲れのところを、お時間をいただいて三十分の質疑をさせていただきますことを大変ありがたく、お礼を申し上げたい、このように思います。

 国土交通省は、公共事業にかかわってくる分野が大変大きい、このように考えます。私自身も、そして民主党も、社会資本の整備というのが不要であるということはこれまでも一度も申し上げたことはない、このように思うわけでありまして、要るものをやる、要らないものまた時代にそぐわなくなったものはやめよう、この点では認識は共通であろうというふうに思うわけでありますが、残念ながら、今公共事業というものに対しては大変風当たりが厳しい部分があるというのも事実だろうというふうに思います。改めて、政治の部分が何をやるのか、そして公共事業をどうやるのか、この二点についてきちっと押さえていき、本来、公共、つまり本当に多くの人の、国民の幸せになる事業になっていくように公共事業も改めていっていただけたらな、このように思うわけであります。

 本日は、何をやるか、どうやるかを全般的に議論している時間はないかというふうに思うわけでありますが、どうやるかという部分では、ぜひこれからも、建設業というのが確かにかなり多くの人たちの雇用の場になっているという現実も政治の場からは踏まえていかなきゃいけない、このように思うわけでありまして、入札の適正化、そしてまた地域の中小企業である建設業の振興、一方で厳しい環境の中で建設業の業者さんがふえてきているという現実の中で、不良、不適格の業者の排除という問題がこれまでも言われてきたか、このように思うわけであります。本当に一生懸命働いている人はサポートする形になっていきながら、きちんとした形をおつくりいただくように御要望を申し上げて、どうやるかという話から何をやるかという話に移らせていただきたい、このように思います。

 事業の方も大変多岐にわたってあるわけでありますが、きょうは空港、飛行場について取り上げさせていただきたい、このように思います。

 と申しますのも、後ほどお伺いをさせていただこうと思っておりますが、私の地元でも、播磨空港計画というのが今進められております。平成三年からの第六次空港整備五カ年計画に欄外記載という形でなされました。実は、この平成三年の六次空整に掲載をする直前までかなり、場所をめぐって、そしてまたやり方をめぐって議論があったわけでありますが、とにかく計画に載せなあかん、載せなあかんのでとりあえずこれにしよう、こういう形で決まって、また、計画の中で載せていただいてからおいおい考えていけばいいではないかという形で載せていったわけでありますが、今度、載ったら、国の計画にお載せをいただいたんだからこれでいかなあかん、こういう形で前へ進み出しているのが今の実情であります。

 改めて、空港整備計画、長期計画を立てることがいいか悪いかという議論もあるわけでありますが、きょうはそこまで踏み込んでいきますとあれだと思いますので、現在のこういった長期計画、とりあえず空港整備計画の位置づけ、そしてまた、これはどういったものを縛っているのかということについて、御確認をさせていただきたいと思います。

泉副大臣 空港整備そのものは大変大きなお金が要るわけでございまして、また時間的にもかなりの時間を要するということから、計画的に進めていく必要がある、私どもはそのように考えております。このため、ほかの社会資本整備の計画と同じように、投資規模、整備方針、重点的な投資の考え方、そうしたものを示す空港整備計画を閣議決定させていただいておるところでございます。

 現在の七次空整は、平成八年度から十四年度まで、三兆六千億という規模で決定をさせていただいておりますが、この空港整備計画は、先ほど申し上げましたような計画的な整備を進めていくという一つの性格を持っているものでございまして、実際の整備に当たりましては、社会あるいは経済の状況等をよく考えて、また今日では財政の状況等もよく判断をした上で、弾力的に実施していくものだと私どもは位置づけておるところでございます。

松本(剛)分科員 社会の情勢に合わせて弾力的に実施をいただけるということでございます。

 確認をさせていただきたいと思いますが、現在、実は、先ほどお話をさせていただいた播磨空港でも、地元姫路市で、今定例市議会の真っ最中でありまして、来週には、現行計画をこのまま推し進めるかどうかということもかなり白熱をした議論が展開されるというふうに予想をされているわけであります。その際、今お話をしたように、ネックになっておりますのが計画でありまして、せっかく計画に書いていただいているんだからということがかなり強く出ているわけであります。

 弾力的にという話で、現段階ではしばらく見直しの必要がある、また財政状況、そして地域を取り巻く状況が整った場合にはさらに整備に改めて名乗りを上げたい、こういったことが計画に直接記載がなくても弾力的に可能なのかどうか。これまでの計画では、計画の中に記載がなかった空港は、具体的な記載が載るようになってからは途中から入ってきたりというケースはないというふうにも仄聞をしておりますけれども、改めてその点について御確認をお願いしたいと思います。

 と申しますのも、平成十四年で今度の七カ年計画は終了、次の第八次計画の策定に間もなくお入りになるだろうというふうに思いますが、また七カ年ということになると、地域の考えとしては、これにまた乗りおくれると七年チャンスがないんじゃないか、こういう発想になりかねないかというふうに思います。その点について、改めて御確認の御答弁をいただけたらありがたいと思います。

深谷政府参考人 お答え申し上げます。

 空港整備、現在は七カ年計画でございますけれども、これにつきましては、先ほど副大臣の方から御答弁申し上げましたように、考え方としましては、計画的な整備のための一つの目安といった性格の筋合いのものでございます。

 その中で、先生御指摘のように、これまで、空港、この計画の中に具体的に載ってなかったものにつきましては計画期間中手がついたということはございませんけれども、この計画自体は、先ほど申し上げましたように、社会経済動向、財政事情等を勘案しながら弾力的にその運営をしていくべきものだ、こういうふうに考えております。

松本(剛)分科員 計画といったものが目安である。これまでは前例がないわけでありますが、時代が変わりつつあるわけで、弾力的に御運用をいただけるということを確認させていただいたということで、先へ進んでまいりたい、このように思います。

 現在の長期計画の中で、特に地方の空港というものについて着目をしていきたいと私は思っておるんですけれども、例えば、現在の長期計画は総投資額というのが出てきておるというふうに思いますけれども、どのように組み立てて金額をはじいておられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

深谷政府参考人 現在の第七次空港整備七カ年計画におきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、七カ年間で全体で三兆六千億円という投資規模を設定しておるわけでございますけれども、これにつきましては、空港の整備、その中には、大都市圏拠点空港の整備でございますとか、一般空港等の整備がございます。これにつきまして、空港の整備全体で二兆二百二十億円、それから民間出資関連事業の推進、これは具体的には関西国際空港の関連になりますが、これは五千七百四十億円、それから空港周辺環境対策事業の推進ということで、これは三千三百七十億円、それから航空保安施設の整備ということで四千六百七十億円、調整費を二千億円見ておりまして、トータルで三兆六千億、そういうふうな整理をした結果の投資規模見通しということでございます。

松本(剛)分科員 一般の空港について計画の中に具体的な空港名が挙がっているかと思いますけれども、先ほどの一般空港の総投資額というものの内訳というのはおつくりになっていないんでしょうか。

深谷政府参考人 それは全体で整理しておりますので、個別の内訳はございません。

松本(剛)分科員 当時は運輸省であっただろうというふうに思いますけれども、省内の数字としてもないということでございましょうか。数字がたしか五千八百二十ですか、どういう形で出てくるのか。常識的には積み上げて出てくるのではないのかなというふうに思われるんですが、いかがでしょうか。

深谷政府参考人 事務的な作業の過程におきましてはいろいろな整理をいたしますけれども、最終的に七カ年計画トータルとしては三兆六千億で、その大きな項目としてそういう整理をするということで、最終的には個別の張りつけという意味ではございません。

松本(剛)分科員 恐らく、事務的にはいろいろな数字を積み上げて、またそこに調整が入るんだろうというふうに思いますけれども、最初にお話をさせていただいたように、公共事業の信頼をもう一度かち得るという意味では、ぜひこれからはそういったものも公開をしていただくという形を今後お願いさせていただきたい、このように思います。

 時間が限られておりますので、お願いをさせていただいて、先へ進めさせていただきたいと思います。

 現在の我が国の地方の空港のネットワークの現状をどのように認識しておられるのか、そして、今後地方の空港の整備といったものを国としてどのように取り組んでいかれる御方針なのか、お願いをしたいと思います。

深谷政府参考人 空港のネットワークづくりにつきましては、私ども、空港整備法という法律がございまして、その中でのルールに基づきまして空港整備を進めておるわけでございますけれども、中長期的な観点につきましては、先ほど申し上げましたように、空港整備計画、現在は第七次の七カ年計画でございますが、こういうものを定めまして、それに基づきまして計画的に整備をするという考え方でございます。

 現時点におきまして、二大都市圏、こういったところと地方を結ぶ航空ネットワーク、これにつきましてはその空港整備、これは概成しつつあるのではないか、こういう認識を持っておりまして、その中で、一般空港の整備につきましては、現在の整備計画に沿いまして、継続事業を中心といたしまして整備を進め、それから需要への対応を基本としながら、既存空港の高質化を図って、内容的には滑走路の延長というふうなものが中心になろうかと思いますが、そういった施設整備を進めていく、こういう考え方でございます。

松本(剛)分科員 ネットワークとしては概成しつつあるということであれば、おおむね国としては、地方の空港の整備、新規については一段落をしたという理解でよろしいんでしょうか。

深谷政府参考人 無論、現在でも新規に整備中の空港もございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、現在の整備計画におきましては、考え方としましては二大都市圏と地方を結ぶ、そういったネットワークにおけるところの空港整備は概成しつつあるのではないか、こういう認識でございます。

松本(剛)分科員 それでは、その地方の空港の整備でありますが、実際に整備をするに当たってどのぐらいの費用がかかるのか、そしてまた、国と地方の費用分担を、近年の例、そしてまた幾つか既に整備に入っているものがあろうかというふうに思いますけれども、お教えを願いたいと思います。

深谷政府参考人 具体的なケースについてのお尋ねでございますので、最近のを例にとりまして御説明をさせていただきますが、近年開港した第三種空港につきましては、例えば大館能代空港でございますとか佐賀空港というものがございます。大館能代空港につきましては、全体事業費が三百八億円、うち国費は百六十八億円ということでございます。佐賀空港につきましては、全体事業費が二百八十億円、うち国費が百五十五億円という状況でございます。

 また、これは近年開港した第三種空港でございますけれども、コミューター空港というものもございまして、これは天草飛行場が最近の例でございますけれども、これは全体事業費六十二億円、うち国費は二十五億円ということでございます。

 なお、現在整備中のいわゆる地方空港もございまして、神戸空港あるいは静岡空港、能登空港、これがございますけれども、これは基本的に、空港整備法に基づきまして、国、地方公共団体それぞれ二分の一という考え方で整備を進めております。

松本(剛)分科員 やはりかなり巨額のお金がかかるという空港の整備なわけですが、さらに、地方の空港ですが、維持をしていくのにはかなりの費用がかかる、このように理解をしております。

 私自身も、着陸料を初めとする収入とそれから維持費用というのが全く黒字でなくてはいけないという考え方をとるつもりはありません。空港そのものがもたらす地域への効果というのも考慮するべきであろうというふうに思いますが、一方で、やはりそういった採算を把握した上で、どれだけの効果と見合いであるかなという見通しは立てる必要があろうかというふうに思いますが、地方の空港のそういった採算の状況について、国土交通省として把握しておいでであるのかどうか、お聞きをしたいと思います。

深谷政府参考人 御説明申し上げます。

 先生御指摘のように、空港は、直接の収入あるいは支出という面以外のいろいろな意味合いでの効果がございますが、いわゆる航空におきます高速ネットワークの基盤となる公共施設でございます。

 無論のこと、旅行あるいは運送時間、こういったものの短縮効果、あるいは周辺地域への経済波及効果などなど多様な便益をもたらすものではないだろうかというふうに考えておりますので、空港自体の評価につきましては、なかなか、単に直接的な収支のみで云々するというのはいかがかなというふうに考えております。

 特に、地方空港の管理、これは地方公共団体にやっていただいているわけでございますけれども、この地方空港の運営に対する評価、これをどのような観点で行うか。これにつきましては、やはり基本的にはそれぞれ地方公共団体がいろいろお考えの中で整理をされているんだろうと思いますが、地方空港に係る収入、支出、これにつきましては、一般的には各地方公共団体の財政全体の中で取り扱われているという状況でございまして、したがいまして、個別の収支を区分して経理しているというのは一般的にはないというふうに承知をしております。したがいまして、我々といたしましては、個別空港の収支、これにつきましては、それぞれ具体的に把握しているという状況にはございません。

松本(剛)分科員 結論としては、把握をしていないという御回答であろうというふうに理解をいたしますが、やはり、先ほどお話があったように、空港整備計画というものを国土交通省が御所管で進めていかれる。当然、つくるのにもお金がかかるわけでありますが、動かしていくのにもお金がかかるということでありますから、地方に関与をするということと実態を把握するということは別の次元の話だろうというふうに思いますので、ぜひこれはきちっとやはり把握をしていただきたいと思います。

 また、地方それぞれの会計の事情というのはあろうかというふうに思いますが、恐らくそれぞれの地方公共団体においてもこれからそういった部分は把握をしていかれる方向に間違いなく行っておるというふうに思いますので、その点もお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 新規の整備の際に、需要予測というのをされておられるわけでありますが、率直に申し上げて、当初の希望的需要予測と、開港後、乖離があるケースが多いように拝察をいたしております。こういったことが、いろいろな事情があるのかもしれませんが、結果としてはずさんというような言葉を生みかねない部分があるわけでありまして、ひいては、先ほどお話をさせていただいた公共事業の信頼にもつながってこようかというふうに思います。

 一、二の需要予測と開港後の結果、そしてまた国土交通省としてこれだけ乖離をした背景というのをどう把握しておられるのか。時間も限られてきましたので、大変恐縮ですが、簡潔にお願いをしたいと思います。

深谷政府参考人 地方空港につきましての需要予測と実績との乖離の点についての御指摘でございますけれども、需要予測につきましては、予測を実施しました時点におきますところの知見などを踏まえながら、それぞれ適切に行おうということだとは思うんですが、結果的に利用実績がいわゆる需要予測値を下回っている、こういうものも御指摘のとおり少なからずある。これも事実でございます。

 利用実績と需要予測値が異なる要因、それぞれ個別のケースによって事情は違うかとは思いますけれども、例えば、予測した時点以降、経済情勢が変化するでございますとか、規制緩和の流れの中で、その時点では予測しなかったような安い運賃での運航がされるでありますとか、いろいろ事情はあろうと思いますが、そういった事実は事実として受けとめまして、今後は、より精度の高い、そういった需要予測になるように努めなければいけないというふうにも考えております。

松本(剛)分科員 需要予測は、ビジネスで言うならば売り上げ予想ということになろうかというふうに思いますけれども、五割以下というだけで、もうかなりビジネスの予想としては論外ということになるわけでありますが、私の聞いている限りでは、五割どころか三割近い、つまり七割減というようなケースもあるように聞いておるわけであります。

 これは、航空需要ということであれば、やはり全国的なレベルで国土交通省できちんとおつかみをいただいて、地方とも調整をいただく部分が出てこようかというふうに思いますので、今後よろしくお願いをしたい、このように思います。

 さて、私の地域の播磨空港の計画についてお伺いをさせていただきたい、このように思います。

 近畿においては、御案内のとおり、既に関西国際空港、大阪空港が稼働をしておりますし、神戸空港も埋め立て許可から着工へと推移をしておる。さらに、現在の計画の中では、滋賀県のびわこ空港に、私が今お話をさせていただいた播磨空港。和歌山県の方には申しわけないんですが、南紀白浜は近畿ではあるといたしましても、かなり隣接した地域にこれだけの空港があるわけでありますけれども、近畿圏全体の需要の見通し、そしてそれぞれの空港、神戸空港の整備まで含めて、どのぐらいカバーをされるのか。そして、まだ着工に至っていないびわこ、播磨といった空港をどのように位置づけておいでになられるのか、お伺いをしたいと思います。

 また、あわせて、播磨空港計画、現在第六次から七次ということで名前を載せていただいてきているわけでありますけれども、国として現状をどのように認識されておられるか。今後、この播磨空港計画についてどのようにお取り組みになるのか。あわせてお伺いをしたいと思います。

深谷政府参考人 近畿圏の航空需要等についてのお尋ねがございました。

 近畿圏の航空需要につきましては、日本全体の航空需要の趨勢と同様、伸びているところでございまして、現在、近畿圏の伊丹、関空、これにつきましては、最近五年間で、発着回数で二・四%、旅客数で四・五%、貨物量で一三・五%という毎年の伸び率を示しておりますが、こういった需要の伸びに適切に対応していくためには、これからの話としましては、神戸空港の整備と関空の二期事業、これが必要だろうということで現在進めておるところでございます。関西国際空港につきましては国際線、国内線、それぞれの基幹空港としまして、また、いわゆる大阪国際空港、伊丹につきましては国内線の基幹空港という考え方、それから、現在整備を進めております神戸空港につきましては、神戸市それからその周辺のいわゆる国内航空需要に対応した空港というふうに、それぞれの機能を分担しながら近畿圏の需要に対応していくことになるのかなという考え方を持っております。

 なお、具体的に御指摘をいただきましたびわこ空港でございますけれども、これにつきましては、現在の第七次空港整備計画の中でも、前五カ年計画、六次のことでございますが、期間中の未着手の事業として継続的に対象事業とはされておるところでございますが、地元の滋賀県の方で、先般、本事業についてはしばらくの間立ちどまって実現方策を見出していきたいというふうなお考えを表明されました。これも一つの滋賀県さんの御判断であろうというふうに考えておるところでございます。

 なお、もう一つ御指摘の播磨空港でございますが、これは先生御案内のとおり、兵庫県が小型ジェット機によります地域の航空需要あるいはビジネス航空等の多様な航空活動に対応する飛行場として計画をされている、こういうことでございますが、現在の第七次七カ年計画におきましても、先生御案内のように、一定の取り上げ方をされておるわけでございます。ただ、この空港につきましては、地元におきまして現在いろいろな御議論あるいは検討はされている段階というふうに私ども認識しておりまして、その結果、今後兵庫県の方からいろいろな具体的なお話があればその上で、対応を考えたいというふうに考えております。

松本(剛)分科員 時間が大分押し迫ってまいりましたけれども、一つ確認をさせていただきたいと思いますが、立ちどまって考えるということになった場合、間もなく第八次整備計画の準備が始まろうかというふうに思いますけれども、立ちどまって考えるが、引き続き計画には入るのでしょうか。

深谷政府参考人 現在の空港整備計画は十四年度までの計画でございまして、十五年度から新しい計画を整理せにゃいかぬなというふうに考えておりますが、これから勉強を始めるところでございます。その勉強過程の中で、御意見なりを伺いながら考えていきたいと思います。

松本(剛)分科員 推移を見守っていきたいと思います。

 既にお聞き及びだと思いますが、先に申し上げるべきだったかもしれません。私も、播磨空港の現行計画には疑問があるということを地域でも表明をさせていただいておるわけでありますけれども、そこで、この空港の計画に対して、先ほど申しましたように、推進をされる方の一つの論拠は、お国の計画に書いてあるのだからということでありますが、もう一つは、実は、空港がないと新幹線がとまらない、こういう理屈であります。

 実際に、私の兵庫県では神戸と姫路という二つ、新幹線の駅はさらにあるのですけれども、大きな町が二つあるわけでありますが、私どもの気のせいか、しかしダイヤを見てみるとどうもそういうようであります。神戸空港計画が具体化されてくると、神戸にとまるひかり号がふえる、のぞみもふえる。JRにお問い合わせをさせていただくと、民間企業としては、今後予想される競争の中で乗客を確保するために、当然にそのことについては今から手を打っていきたいということであります。

 ある意味では、民間の企業としては当然の行動であろうというふうに思うわけでありますけれども、交通というものの持つ公共性、そしてJRについても、事実としてやはり税金がつぎ込まれているということになろうかと思います。

 また一方で、空港も税金によってつくられているわけでありまして、たまたま広く集めた税金がつぎ込まれた地域がさらに有利になっていく、それが当たらなかったところは大変交通が不便になってくるということでありますと、これまでと同じように、だから何とか国会議員に頼んで地域に持ってこなければいかぬ。持ってきた議員はいいけれども、持ってこなきゃだめだ、こういうことになってこれまでの繰り返しになるような気がしてならないわけであります。

 その点で、一つは交通体系ということで、JRに対してその公共性、どのように料金やダイヤを指導されているのかということ、そしてもう一点は、さらに広い視点でこれからそういった国民の移動の需要を鉄道、航空、そういったもので、道路まで含まないのかもしれませんが、どのようにカバーをされていくのか、そういった総合的な視点での政策展開、国土交通省という形になられたわけでありますし、お考えになっているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

扇国務大臣 今、松本先生からいろいろなお話がございまして拝聴しておりまして、私も兵庫県の出身なものですから、興味深く御意見のやりとりを拝聴させていただきました。

 けれども、私は、先ほども申し上げましたように、やはり地域の、その県の県益だけを考えていたのでは我々は沈没していくと思いますので、今、最後におっしゃいました、道路、鉄道、航空を全部合わせたグランドデザインというものをしなければいけない、これが基本的な姿勢であるということは御理解いただけるところであろうと思います。

 また、今御質問ございました、公共交通機関でございます利用者の利益と保護をどうするのか、その健全性というものをどう図るのかということ、また運賃や料金、ダイヤの決め方はどうするんだというお話がございましたけれども、具体的には、運賃あるいは料金に関しましては上限の許可制ということ、ダイヤについても届け出制という、この制度がある限り、私は、皆さん方に御迷惑をかけることもないし、公平な判断を今までしてきたと思っていますし、また、今後もこれは堅持していかなければならないと思っています。

 さらに、利用者の利便性あるいはその地域の公共性等々を考えていきますと、そういうものを阻害している事実がある、そういうものを認めたときには、私は運賃・料金や列車の運行計画の変更等を命じることができるというのが私どもの範疇でございますので、もしそういうことがいささかでもあるとすれば、私は今後も指導していかなければならないと思っています。

 また、鉄道の輸送サービスの提供につきましては、鉄道の事業者が輸送の需要等に応じて自主的判断に基づいて行うことが理想的だと私は思っていますし、むしろ事業者がそれだけの良識を持って国民の公共性を意識した利便性というものは今後も図っていくだろうと私は思っています。

 それで、最後におっしゃいました、利便性といいますか、総合的な交通網というものを考えますと、私は今までも、きょう午後からもお答えしておりますけれども、やはり高規格幹線道路あるいは整備新幹線あるいは高速体系等への取り組みというものは、私は、やはり国際競争に立ち向く、あるいは外国人が日本へ来てくださる、そういうことが必要である。

 今の日本の現状では、日本人が外国へ行って使うお金は世界三位、世界じゅうから日本へ来てくだすってお金を使うのは世界二十四位という、私は、国際的に見て本当にそれだけのものがあるかどうかということは大変難しい、今の現状では国際性に欠けている面がるるあるというふうに認識しております。

 そういう意味において、二十一世紀型の道路、鉄道、空港、港湾等の連携強化によります物流の円滑化、そして、交流の円滑化を図るいわゆるマルチモーダル的な施策を推進していく、これが私は二十一世紀型であると思っておりますので、どうか松本先生、お父様の代から私たちも御指導いただいておりますので、ぜひ、二十一世紀型の知恵を出した交通体系のあり方というものは、県益だけによらない、総合的な国土全体のことを考えたモデルをつくることに御協力賜ればと思っております。

松本(剛)分科員 もう既に質疑の時間が終了しております。父がお世話になったことをお礼を申し上げなければいけないと思いますし、先日も、財務金融委員会で宮澤大臣にも御指摘をいただきましたところですが。

 あえて整備新幹線まで含めてこの議論を始めれば、さらに三十分必要になってくると思うので申し上げませんが、それぞれ事業者が競争される、また選択肢を国民のためにふやすということが大変重要であるということは、私も認めるのにやぶさかでないわけでありますが、一方で、それぞれ交通網というのは、先ほどあえて申し上げましたように、税金をつぎ込んでいるという部分もある。率直に申し上げれば、先ほどの播磨空港、あえて地元の空港を出させていただいたのも、今八百九十億かかると一応言われておりまして、言うなれば、ひかりをとめるために八百九十億つぎ込めというような議論になりかねない部分があるわけでありますので、そういった部分での、限られた我々の財政の効率的な配分という点からの視点もぜひ御留意をいただいて、交通政策をお進めいただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

小島主査代理 これにて松本君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田(勇)分科員 公明党の上田勇でございます。扇大臣初め国土交通省の皆様、大変遅い時間まで、まことに御苦労さまでございます。

 きょうは私の方から何点か御質問をさせていただきますけれども、特に我が国の、私の地元も横浜市で大都市なわけですけれども、大都市の交通、生活のインフラの整備というのは諸外国に比べて大変おくれていて、都市住民が本当に不便な思いをしているというのが現状でございます。平成十三年度の予算案では、日本新生プランの重要四分野の一つに都市基盤整備が位置づけられて、まだまだ必ずしも十分とは言えませんけれども、そうした都市インフラに重点整備が図られているということは、大変評価すべき点ではないかというふうに思っております。

 大都市のインフラといいますと、公共交通、道路、そのほか下水道などの生活関連などさまざまありますけれども、きょうは、その中で踏切の対策についてお伺いしたいというふうに思います。

 あかずの踏切というのは、国土交通省の資料を拝見いたしますと、東京都内の踏切のうち四割が、何とピーク時間に一時間のうち三十分以上、半分以上閉まっているというデータを拝見いたしまして、実際に私の地元の横浜市でも、見ているとそれに近いところが非常に多いなというのが実感するところでありまして、こうしたいわゆるあかずの踏切のところで、特に朝晩のラッシュ時には交通渋滞の大きな原因になっております。

 平成十三年度の予算では、こうした踏切道の改良のための予算が前の年に比べて一・三四倍ですか、非常に大幅に増額になっているということは、大変いいことだというふうに思うんです。そこで、こうした大都市の大きな問題になっています、このあかずの踏切の改良、今後の整備目標、それから平成十三年度の事業としてどういうようなことを計画されているのか、お伺いをいたします。

大石政府参考人 踏切は全国に約三万二千カ所存在いたします。そのうち、特に交通遮断の著しい、いわゆるあかずの踏切は約一千カ所存在いたしておりまして、都市活動、交通活動に著しい支障を生じているところでございます。このため、従来から、踏切道改良促進法によりまして、改良の必要な踏切を指定し、道路整備五カ年計画に基づきまして、踏切道の立体交差化等に取り組んできたところでございます。

 今後は、特に、あかずの踏切対策を緊急的かつ集中的に実施することが必要であると考えてございまして、この一千カ所のあかずの踏切のうち約半分を、今後十年間に改良改善することといたしたところでございます。

 このために、平成十三年度予算におきまして、踏切関連道路事業費として二千九百六十三億、先生御指摘のとおり対前年一・三四、三四%増の大幅増額を要求させていただいております。連続立体交差事業等のスピードアップを図るための新たな支援制度を創設することといたしております。

 なお、今後、第七次踏切事故防止総合対策、これは平成十三年度から平成十七年度までの計画におきまして、あかずの踏切対策を含む踏切道改良の整備目標を設定することといたしておりまして、これらの措置を通じまして、今後とも踏切対策を積極的に推進したいと考えております。

上田(勇)分科員 非常に積極的な目標を立てて整備をしていただくということでありますので、これは東京でも、そういう踏切のところで大渋滞が起きているという箇所は幹線道路でも本当にたくさん見受けられますし、ぜひ積極的な推進をお願いしたいというふうに思います。

 その中で、私の地元では特に、相模鉄道というのがあります、相鉄線と言われておりますけれども、この踏切、これがほとんど地上を走っておりまして、この踏切による交通渋滞というのが大きな課題になっております。

 横浜市の保土ケ谷区の天王町、星川付近とか西谷の付近、鶴ケ峰の付近、希望ケ丘の付近など、本当に改良を必要としている地点というのは非常にたくさんあるんですけれども、その中でも、保土ケ谷区の天王町、星川の地区については、地元の方々の本当に長年にわたります熱心な取り組みがございまして、平成十二年度には初めて国の調査費が計上されまして、ようやく事業実施に向けてスタート、動き始めたというところであります。平成十三年度の予算では、新規着工地区として採択になる見込みもあるというふうにも承知しているところでございます。

 そこで、この連続立体交差の天王町、星川地区について、現在のところの事業の進捗状況、それから今年度、平成十三年度の事業の概要について御説明をいただければというふうに思います。

板倉政府参考人 お尋ねの相鉄線の天王町それから星川駅周辺の状況でございますけれども、これは先生も御案内のとおりでございまして、保土ケ谷区役所等が立地します横浜の地域拠点に当たる地域でございまして、御指摘のように、朝夕のピーク時には一時間の中で四十分以上が遮断されている踏切が八カ所も存在しているということで、この地域の交通渋滞解消、あるいは鉄道により分断された市街地の一体化の問題というのが大きな課題になっておりまして、連続立体交差事業の実施がまちづくりに極めて大きな効果を発揮することが期待されている地区だというふうに私ども認識している次第でございます。

 先生御指摘のとおり、平成十二年度におきまして連続立体交差事業補助調査を実施いたしまして、鉄道高架施設の概略設計や関連事業計画を検討しているところでございます。また、これも御指摘のとおり、平成十三年度予算におきましては、新規着工準備の採択箇所として計上をさせていただいておりまして、今後、平成十三年度中に都市計画決定のための本格的な調査を行い、事業化に向けた作業を進めていきたいということでございます。

 国土交通省といたしましても、同事業につきまして事業の促進が図られますよう、できる限り御支援を申し上げたいと存じている次第でございます。

上田(勇)分科員 本当に地域の方々が長年にわたってお取り組みをされて、推進に努めてきている事業でありますので、ひとつ特段の配慮をいただければというふうに御要望したいと思います。

 十二年度には、連続立体交差事業、ボトルネック踏切を重点的に取り除いていこう、あるいは過度に続いた、連担したという言葉を使っているんですか、踏切も除去していこうというようなことで、事業の採択要件を大きく緩和いたしまして、交差している道路の要件などの部分について緩和されたわけでありますけれども、そういう経緯がありまして、先ほど申し上げましたこの天王町、星川の地区も事業実施に向けて動き出したということでございます。さらに、ここだけに限らず全国的にも、これまでは要件に該当しなかった地区がたくさんこれでできるようになったというふうに承知をしております。

 しかし、さらに、この連続立体交差事業について、いろいろ地方公共団体の方々とかから、事業をぜひともやりたいんだけれどもなかなか財源が足りないとか、なるべく計画的に行うために早く用地の手当てをしたいというような御要望がずっと寄せられていたというふうに思っております。これについても、今年度、十三年度で事業推進のために幾つか新たな施策を予定しているというふうに伺っておりますけれども、御説明をいただければというふうに思います。

板倉政府参考人 連続立体交差事業、先生御案内のとおりもともと事業規模が極めて大きいということで、工事のピーク時に大規模な集中投資を必要とするという特性がございまして、それで、連続立体交差事業を国庫補助事業として実施する場合に、その事業費がピークに差しかかったときに、地方公共団体の財政事情によりまして非常に負担が大きくなって大変だということがございまして、そういったことが原因となりまして工期が長期化するというような状況が多く見られるところでございます。

 そこで、十三年度の予算案におきまして、事業の一層の促進を図るため、地方公共団体の事業費の負担をできるだけ平準化しようということと、それから同時に、あわせて集中投資を可能にするような手法を考えまして、一つは、鉄道事業者が地方公共団体にかわって工事を施行する立てかえ制度、それから鉄道事業者が必要となります資金につきまして鉄道事業者に対して低利で融資する制度を、実は昨年の暮れの予算折衝で、大臣にも大臣折衝としてお認めいただいたものでございまして、私どもといたしましても、今後、この制度を十分に活用いたしまして、連立事業の推進に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

上田(勇)分科員 それでは、次に、首都圏第三空港の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 もう御承知のとおり、今の羽田空港というのは全国四十七カ所ですかの空港と結ばれていて、利用者も、また取り扱いの貨物量も全国の中でも半分以上を占めているという、本当にハブ空港であります。現在でも大変な混雑となっておりますし、これはやはり遠からず能力の限界に達するということはもう目に見えているんじゃないかというふうに思います。そういう意味で、首都圏に羽田、成田に次ぐ第三番目の空港の建設が必要になってきている、このことは私も全くそのとおりだというふうに思っております。

 昨年の秋ごろから、この首都圏第三空港調査検討会が当時の運輸省に設置されまして、新空港の候補地の選定も含めて検討が行われているというふうに伺っております。現段階でどういうような検討状況になっているのか、お伺いをいたします。

深谷政府参考人 首都圏におきます空港の能力につきましては、先生御指摘のとおり、将来に向かって大変逼迫してくるという状況にございます。羽田につきましても、御指摘のように二〇一五年ごろにはその限界に達するのではないだろうかというふうに私どもも考えております。

 そういったことから、首都圏の第三空港、この候補地の抽出と比較評価、こういうことをやっていきたいということで、航空局におきまして、学識経験者あるいは関係地方公共団体、そういった方々に参加をいただいて、昨年の九月から勉強をスタートいたしております。これまでその検討会そのものは三回ほど開催してきておりますが、将来に向けての空港能力の拡大の必要性、候補地評価の考え方、あるいは御提案のありました羽田空港の再拡張のことなどにつきましてこれまで議論を進めてきております。

 なお、候補地につきましては、羽田の再拡張も含めまして周辺の自治体などからいろいろな提案がございまして、これまで十六件ほどの提案が出ておりますが、これらの提案につきましては、それぞれ個別にお聞かせをいただきながら、これらの候補地も含めまして、今後、需要でございますとか、騒音でございますとか、環境でございますとか、事業費でございますとか、空域等々、そういったいろいろな技術的課題につきまして調査、評価をして、候補地の絞り込み、これをなるべく速やかにやっていきたいというふうに考えております。

上田(勇)分科員 今、羽田空港の再拡張の案について言及がございましたけれども、調査検討会では、定期航空協会ですかの案として、羽田空港の再拡張案が、具体的な図面が提示されているというふうに承知しております。また、これは国土交通省のホームページを拝見させていただいたら、今月、いろいろなところからパブリックコメントを求めて、その案についていろいろな候補地から意見を求めているようでありますが、今、ちょっとその辺についてもお話があったんだというふうに思いますけれども、本当にさまざまな提案があるようでございますが、幾つかの団体などからは羽田の再拡張案が提案されているのを拝見いたしました。

 私も、自然条件やそれからアクセスの問題とかを考えますと、この案が最適なんではないかというふうにも思うんですけれども、現段階で羽田空港の再拡張案というのが最有力というんでしょうか、最も多くの支持を得ている案というふうに、これまでの検討会の資料とかあるいはそういうパブリックコメントだとかの結果を見ると、そういうふうに感じるんですけれども、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

深谷政府参考人 先生には、ホームページもお開きいただいてごらんいただいた、大変ありがたいと思います。

 私どもといたしましては、首都圏の空港容量を拡大していく、羽田の再拡張も含めまして、適地はどうであろうかということにつきまして、なるべく透明性のある民主的なプロセスの中でいろいろな御議論をいただきながら、速やかに整理をさせていただきたいというふうに基本的に考えてございます。

 御指摘の羽田の再拡張案につきましては、定期航空協会あるいは東京都さんの方からの具体的な御提案がございました。なお、先ほど申し上げましたようなその他の自治体などからの御提案の中にも、全体で十六件ございましたが、その中でもさらに三件が、羽田の有効活用または再拡張、こういう御提案をいただいております。

 いずれにしましても、この有力な御提案である羽田の再拡張も含めまして、先ほど申し上げましたような空域の問題でございますとか、羽田の再拡張の場合、河川あるいは航路の関係、他方で、それぞれ御指摘いただいておりますように、羽田の場合についてはアクセス等を含めまして大変利便性が高いというふうな点も指摘されておるわけでございます。どういう整理がつけられれば最も容量がふやせるか等も含めまして、具体的な御提案を羽田以外もいただいておりますので、先ほど申し上げましたようなポイントをなるべく速やかに整理して、絞り込みをしたい、かように考えております。

上田(勇)分科員 羽田空港について、ちょっと国際化の問題についてお伺いしたいというふうに思うんですけれども、扇国土交通大臣は、羽田空港国際化について、そうすべきであるというような意見をお持ちであるというふうに伺っております。

 成田空港は都心からのアクセスがやはりどうしても悪いし、とりわけ私の地元の神奈川県からいうと、本当に遠いというのが実感でありまして、最近はそれでも鉄道とか道路の整備が相当進んだのでありますけれども、依然として、大変遠くて不便であるということには変わりがありません。海外に行くのに、成田で飛行機に乗るまでに半分以上時間を費やすというようなのが現状であります。

 その意味で、私も、国際線で羽田から搭乗できれば非常に便利になるという意味で、国際化には賛成なんですけれども、これはちょっと報道等を見ていますと、若干異なった御意見もいろいろ伺っております。

 そこで、改めて、この点についてどのようなお考えなのか、また、今後、羽田の国際化について具体的に御検討をされていくお考えがあるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

    〔小島主査代理退席、主査着席〕

扇国務大臣 先ほどから皆さん方からこの件に関してるる御質問もございましたので、重なる点もあろうと思いますけれども、私は、日本全土の中で国際空港と看板をつけるものが幾つ必要なのか、この基本的な国土のグランドデザインを今まで明示できなかった、また、ここが必要だ、ここが必要だといって部分的にやってきたことがこういう結果になっていると思います。

 少なくとも、我々は今の成田というものを決断したときには、私は、これは政治決断であったろうと思います。それで、今、御存じのとおり、国際空港といいながら一本の滑走路で、しかも外国からは乗り入れの申し込みが多々あるにもかかわらず、一本の滑走路のためにそれがさばき切れない。そういうことを考えたときには、私は、やはり国際空港としての機能を十分に満たしていない。

 少なくとも、我々が外国に行ったときに、国際空港というものが複数の滑走路を持ち、しかも、とにかく空港と主要高速道路との連結、あるいは主要都市へ搬入するための道路に直接十分以内に入るということでなければ、今上田先生がおっしゃったように待ち時間の方が長いとか、あるいは韓国から成田へ来て、成田から東京都内あるいは横浜にお帰りになるのには、韓国から成田へ来る時間の方が短くて、成田から横浜へお帰りになる時間の方が長いという。これでは、少なくとも日本が国際空港と言えるようなものを持ち得ないというのが私の認識でございます。

 政治判断が間違っていたとすれば、今度は政治判断で変えるしかないというのが、皆さん方とともに政治家である以上は、政治決断というものは、必ずそういうときに政治決断があるべきであろうと私は思っています。

 ですから、私は、もしも今現在、成田が国際空港としての役目を果たし得ていないと判断するのであれば、ではどうすればいいかというのが考えられてしかるべきだ。しかも、二十一世紀の初頭ですから、私はそういうことも含めて、今御報告がございましたように、羽田をどうするのか。第三空港はさることながら、羽田がもう少なくとも二〇一五年には満杯になるという数字が出ていながら、それまでに、二〇一五年までに手を打たないというのは、これは私、怠慢であろうと思っていますので、国土交通省になってからは、少なくともそういうことがないように、国民の皆さんがより利便性を考え、また国民の皆さんに喜んでいただけるような空港をつくっていくことが我々の大きな任務であろうと思っています。

 ただ、今、羽田というお話が出ましたけれども、羽田の今の現状ではもう満杯に近い状況でございますし、国際便を飛ばすというと、千葉県からやんやの、扇千景を何とかしろというような声まで出てくるぐらい、一斉に集中砲火を浴びました。

 けれども、私は、一県の県益を考えるのではなくて、日本じゅうからどうあるべきかという日本のグランドデザインを考える上で、国際空港が滑走路一本でいまだに二本目がつくれないという状況では、世界じゅうから飛んでこようと言っている人たちに対して申しわけない気持ちでいっぱいなんです。

 ですから、羽田の第三空港の建設ということもやっと皆さん方の議論の上にのっかってきて、国民の皆さんが、これが必要ですよという認識があったということは、本当に二十一世紀の初めに喜ばしいことだと私は思っていますし、今までそういう声が上がらなかったのは、むしろ運輸省当時、怠慢であったのかもしれません。けれども、国土交通省になったから、道路と一体の空港を考えられるという点では、一歩前進した二十一世紀の幕あけだと感じています。

 ただ、るる問題はあります。今やっと、夜の時間だけでも羽田からチャーター便を飛ばそうといって、二月の十六日に飛ばさせていただきました。それもやっと五便だけ、これも特別の御祝儀で五便を飛ばしたということも、恥ずかしいといいますか、情けない状況であるのは御存じで、しかもこの五便があっという間に、十五分で申し込みが殺到して満杯になってしまった。それは国民の需要がそれだけあるという証拠でございますので、もっと広い考え方を持って、この羽田の第三の空港問題というのも、二度と政治決断が間違っていないというように、一般の皆さん方の意見も聞いたわけでございますから、なるべく早い時期にこの決断をしなければならないと私は思っております。

上田(勇)分科員 大変力強い御決意、ありがとうございます。

 多くの市民が本当に期待をしている点であろうというふうに思いますので、ぜひよろしく御検討をいただければというふうに思います。

 最後に、ちょっとまた話題が変わるんですが、高齢者などの住宅の問題について、一つお伺いをしたいというふうに思います。

 特に都市部では、高齢者あるいは障害者の方が家を借りよう、アパートを借りようとしてもなかなか貸してくれない、断られてしまうというケースが非常に多いのが現実であります。こうした方々が本当に安心して住める、しかも、やはり良質な住宅を供給していかなければいけない、これは国として本当に重要な責務の一つではないかというふうに考えております。

 私も、ちょうど平成十一年に、これは議員立法で、良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法というものの制定に関与させていただきまして、その際にも、高齢者等のいわゆる住宅困窮者へいかにして良質な賃貸住宅供給促進を図っていくのかというようなことを、いろいろと当時の建設省の皆様と御議論させていただきまして、法律の中でも、それは努力規定でありますけれども、そういった規定も設けさせていただきました。

 このときは、いわゆる公共住宅を中心とした考え方でいろいろと議論してきたんですが、やはり賃貸住宅の多くというのは民間住宅もあるわけでございますので、こうした公共住宅の供給、それから高齢者や障害者の方々にもどんどん貸してくれる、そして安心して住むことのできる賃貸住宅供給促進というのが大変重要なテーマであろうというふうに思います。

 それで、平成十三年度から、新たにこういった対策で、御説明いただいた中で、幾つかの施策が予定されているというふうに承知しておりますけれども、ひとつ最後に、予定されている主な施策、どういうものがあるのか御説明をいただきたいというふうに思います。

三沢政府参考人 高齢者、障害者に関する施策についてのお尋ねでございます。

 まず、高齢者のための施策でございますが、高齢者のためといたしましては、やはり住宅のバリアフリー化を推進する、それから、これから非常に急速なスピードで増加してまいります高齢者世帯が円滑に入居できる賃貸住宅供給というのが非常に大きな課題でございます。

 このため、十三年度の新たな施策ということで、今国会におきまして高齢者の居住の安定確保に関する法律というのを提出させていただきまして、この中で高齢者の居住の安定確保のためのいろいろな政策を総合的に推進していくということを予定させていただいています。

 特にその中で、お尋ねの賃貸住宅に関連するものを申し上げますと、一つは、できるだけやはり民活型で、かつ既存ストックの活用も図りながら高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進するような事業制度の創設、いわゆる高齢者向け優良賃貸住宅制度と呼んでおりますが、そういう制度の創設。

 それからもう一つは、先ほどの、高齢者が民間の賃貸住宅でお断り傾向がある、拒まれる傾向があるということがございますが、高齢者の入居を拒まないような賃貸住宅を登録し、これとあわせてセットでこれに対する家賃保証制度を創設するといったようなこと。

 それから三つ目でございますけれども、生涯にわたって高齢者の方が安心して住まえるような、いわゆる終身借家制度と申しますか、終身建物賃貸借契約制度を創設する、こういった内容の法案を現在国会の方に提出させていただいているところでございます。

 それから、障害者の関連につきましては、これは公営住宅等における対応が中心になりますけれども、やはり車いすでの生活に対応するなど、障害者の身体特性に配慮した設計によるものの供給をより一層促進するということとあわせまして、倍率優遇とか、あるいは障害者向けの戸数枠の設定ということで、優先的に障害者の方が入居をいただけるような、こういった施策について引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

上田(勇)分科員 どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

栗原主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。

 次に、若松謙維君。

若松分科員 閣僚の皆様、お疲れでしょうけれども、済みません、あと一時間よろしくお願いします。

 大臣が今ちょっとお休みですので、実務的な話をさせていただきますが、まず上尾道路、ちょっと道路の問題に行かせていただきます。

 道路局長または副大臣、どちらでも結構です。上尾道路の延伸。今、御存じの大宮、与野あたりまで、ここから、霞が関から乗ってそのまま埼玉まで高速。それがずっと大宮を通って川田谷、桶川のところですね、そこまで行きまして、そこは圏央道とのジャンクションになっております。それが平成十年代中に供用開始ということをたしか昨年の私の質問で教えていただきました。ということで、この上尾道路についての現在までの整備状況、そして十三年度の事業内容がどうなるのか、ちょっと御説明いただきたいんですけれども。

大石政府参考人 上尾道路につきましては、今先生からお話がございましたように、一般国道十七号の大宮市から鴻巣市間の慢性的な交通混雑の緩和、交通安全の確保及び沿道環境の改善を目的といたしました延長約二十キロメートルのバイパス事業でございます。一般部四車線と自動車専用部四車線を併設する構造となってございます。

 平成元年十二月に全線を都市計画決定し、一般部につきまして、平成二年度に大宮市宮前町から主要地方道川越栗橋線間の約九キロメートルを事業化、さらに平成七年度には圏央道の計画に合わせ、主要地方道川越栗橋線から圏央道と連絡する間、約二キロメートルを事業化しております。合わせて延長約十一キロメートル、総事業費一千七百億円の事業として、平成九年度から一部区間の用地買収に着手いたしております。

 平成十二年度予算におきまして、用地の先行取得分を含めまして、全体で七十六億円をもって事業を推進しておるところでございます。平成十二年度末におきます用地買収の進捗率は、面積ベースで約一五%の見込みでございます。平成十三年度以降、残事業費は約一千五百億円ございますが、今後とも皆様の御理解と御協力を得て、事業化区間の平成十九年度の供用を目指し、平成十三年度におきましても、地元の御協力を得ながら引き続き用地買収に努力してまいりたいと考えております。

若松分科員 やると言っているんですから、ぜひ上尾道路、当面事業化決定して、かつ進めております川田谷ジャンクションまでの早期の開通、よろしくお願いいたします。

 そこで、今度は川田谷から鴻巣、そして小島先生が頑張っていらっしゃる熊谷があるわけですけれども、ここまでいきますとかなり首都圏の、特に北関東における道路が整備されます。ここがまだ事業化が未決定であります。いわゆる未事業化区間というんでしょうか。特に鴻巣の馬室地域の皆様が、ちょうど自分のところが通るんじゃないかと、今の家を建てかえるかどうかで個別の話をされて、私は本当に困っちゃうんですよね。ですから、とりあえず五カ年計画は平成十四年度で終わるわけですけれども、事業化の決定がいつごろまでだと、それだけちょっと見込みを教えていただけると大変ありがたいんです。まず、事業化の決定の時期、教えてください。

大石政府参考人 上尾道路につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、大宮市から圏央道に至る区間を早期供用するために重点的に整備を進めておるところでございます。それに接続する北側の区間につきましては、これは一体となって上尾道路として機能するわけでございますので、残る区間九キロメートルにつきましても事業の早期着手に向けて努力していく必要があると考えてございますが、現在事業中の区間の進捗状況、周辺の交通状況等、周辺の開発動向等も勘案する必要があると考えてございます。

 きょう現在の段階では、何年度に事業化が見込めるかにつきましてお答えできるだけの用意はございませんが、南部区間の事業進捗の状況と周辺の状況を勘案しながら、早い機会に事業着手できるように諸準備を進めたいと考えております。

若松分科員 そうしますと、一つ確認ですが、先ほどの上尾道路七十六億というのは、今までの累計ですよね。

大石政府参考人 平成十二年度、単年度の事業費でございます。

若松分科員 そうすると、大分盛り上がってきましたね。

 それで、先ほどの未事業化区間の答弁は、昨年のこの答弁と全く同じなんです。ですから、ことしは一年間たったんですから、例えば、平成十四年度までで五カ年は終わるわけですよね。次の五カ年計画に入るとか、そういう話はぜひ言っていただかないと、さっきの沿線に想定される住民の方、この古い家を雨漏りがする中我慢するかとか、そういうところに、我々現場にいるわけですから、ちょっと幸せを与えてください。

栗原主査 大石道路局長、いい回答してやってください。

大石政府参考人 先ほど申し上げましたように、南部区間の進捗状況等を見る必要があると考えてございますが、現在の五カ年計画、先生御指摘のとおり平成十四年度まででございます。十五年度からは新しい五カ年計画を発足させていただきたいと考えておりますが、できれば、次の五カ年計画内に事業化ができるような準備ができればと考えております。

若松分科員 わかりました。おかげさまで、委員長の名さばきで去年より前向きの答弁をいただきました。また来年も引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、今度は圏央道、これは建設省にとっては極めて重要視している道路で、これは平成十二年度、予算は幾らでしたでしょうか、たしか二百億前後と考えているんですけれども、もしわかれば教えていただきたい。

 あわせて、北本市の二ツ家という地域がありまして、特に高崎線の下に掘り割り区間というんですか、ここについて、新駅設置も今議論されているわけですけれども、ふたかけ構造、こういった構想があるんです。これにつきましては、ふたかけ構造にかかる費用が十億円ですか、そのうち環境対策として遮音壁四億円なんですけれども、ほかの六億円は結局全部地元負担。ところが、今、御存じのように地方財政も厳しいし、六億円じゃかなり厳しいんですよ。北本市の市役所が、もう建てて四十年以上、実は雨漏りがしているんです。感動的な市役所で、その建てかえも十年間やらないと決意してまでいろいろな市の行政をやっているわけなんですね。

 ですから、少なくとも本当に市街地の、特に高崎線の付近というのはマンションが多いところなんですね、そういったところぐらいにでも、まさに地域コミュニティーを守るという観点から、国の負担ができるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

大石政府参考人 まず、圏央道の事業費についてお尋ねでございます。

 圏央道につきましては、全体といたしまして、平成十二年度一千二百六十億の投資をさせていただいておりますが、埼玉県におきましては、うち二百二十三億を入れさせていただいておるところでございます。

 それから、北本のふたかけのお話でございますが、当該区間につきましては、環境保全を主として配慮いたすことから、地形条件等に合わせまして、遮音壁、環境施設帯が併設できる掘り割り構造として計画いたしておるところでございます。

 この計画に合わせ、北本市において、JR高崎線の新駅設置とそれに合わせた開発構想があると聞いております。このふたかけ構造につきましては、北本市とともに、新駅周辺の土地利用計画の進捗に合わせた整備方策、つまり費用負担のあり方や、進度の調整等について、ともに検討していくべき課題であると考えております。

若松分科員 ということはあれですか、いわゆる四億円で終わりよ、そういうことじゃなくて、状況に応じて、また配慮していただけるということですね。

大石政府参考人 具体の構造、それから北本市それから道路サイドがそれぞれ受けるメリット等を勘案して、北本市と道路管理サイドで協議していくべき課題であると考えてございます。

若松分科員 ぜひ前向きに、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど言いましたように、雨漏りの役所、もう四十数年使って頑張っているところですので、扇大臣も、また私ども陳情に行きますので、そのとき会ってください。よろしくお願いいたします。小島先生と一緒に行きますので、よろしくお願いします。

 それで、先ほど同僚の上田議員が成田の話もされたんですけれども、私も、これはちょっと別の観点になろうかと思うんですけれども、実は埼玉の荒川のいわゆる河川敷のところに、桶川と川島にまたがってホンダエアポートというものがございます。一方、今、首都圏の第三空港構想ということで、恐らく来年ぐらいにでも結論を出すんですね、埼玉は残念ながらその候補地として挙げていないんですけれども。

 実は、ここの河川敷を含めた面積というのは、伊丹空港よりやや広いぐらいなんです。かつ、荒川沿いですから騒音問題も極めて影響が少ない。ということで、恐らく埼玉県内でもこれほど恵まれた地域はないと思うんです。かつ、御存じのさいたま市という百万都市が生まれます。かつ、埼玉だけで七百万、群馬で三百万、この二県だけで一千万人。これらが恐らく三時間ぐらいかかって成田とか羽田に行くんですよ。さっきの第三空港が本当は埼玉にできればいいんでしょうけれども、なかなかそこまで踏み込めないということです。だったら、ホンダエアポート、これをコミューター空港として整備していくということも一つのあり方ではないか、そう思うんですね。

 そういうことでお聞きしたいんですけれども、まずは北関東地域から成田空港、羽田空港を利用している航空利用者、たしか埼玉と群馬、平成九年で成田に対しては二百万、羽田に対しては四百万、年六百万人、こういう話がありましたが、これは状況は同じでしょうか。変わっていなければそれで結構です。では、とりあえずこれだけお願いします。

深谷政府参考人 先生がただいま、埼玉、群馬にお触れになりまして、その地域での羽田、成田利用者の状況はいかがか、こういうお尋ねかと思います。

 当省におきましては、二年に一度、国内線あるいは国際線、それぞれ航空旅客動態調査というのをやっておりまして、こういった統計から推計いたしますと、平成十一年度の調査をもとにいたしますと、埼玉県それから群馬県関連で、一年間に成田空港、羽田空港を利用した航空旅客数、これは国内、国際の両方、合計でございますが、それぞれ二百万人、四百五十万人、こういう推計をいたしております。

若松分科員 後で私の事務所に、県別のさらにもっと詳しい情報があると思いますから、お届けいただければと思います。

 いずれにしても、二年間で羽田については五十万人ふえているんですね。それがわかりました。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、私はずっと海外に、ヨーロッパにいたんですけれども、先ほど言いました埼玉と群馬だけで一千万人、いわゆるオランダぐらいの人口なんですね。オランダにはスキポールという、恐らく全世界で数番目、五番か六番目ぐらいにスロットが多いところ。何で一千万人もいるのに飛行場がないのかなと。

 ですから、本当は二千メートル級があればいいんでしょうけれども、それは求めないとしても、コミューターでも結構ですので、やはりそういった機動力のあるもので、かつ大きな投資をしなくても、これからは、拠点空港というんですか、そういったコミューター型、地域のコミューター空港整備、これを国としても考えてもいいんではないかと私はずっと思っているんです。いわゆる農道空港じゃなくて、人口が多いところ。これはホンダエアポートの関係者はみんな、需要はあります、必ずもうかりますと言っております。どうでしょうか、大臣。

扇国務大臣 何でも、安くて速くて利便性があれば、それにこしたことはないというのは多くの国民の一致した気持ちであろうと私は思います。

 今おっしゃいましたように、若松先生いつも、私も去年の分科会の議事録も拝見させていただきましたけれども、やはりコミューターに関しての御意見も出ておりました。私は、このコミューター空港というのは、空港へのアクセス等々で大変不便な地域というものが拠点空港との連結をするという意味では、我が国の航空ネットワークを補完するものという考え方からすれば、大事なことであったと思います。少なくとも地域の皆さんにはわかっていらっしゃるんですけれども、全国版になるとなかなか皆さん方、コミューター空港、どこにあるのかというのを御存じない方が多いんですね。

 私、若松先生にも御理解いただきたいためにちょっと申し上げさせていただきたいと思いますけれども、今まで我が国の中のコミューター空港として整備された飛行場というのがございます。全部で五つ、とりあえずは出ております。これは農道空港ではありません。それは、広島西飛行場、これは路線が、新潟、小松、南紀白浜、鳥取、出雲、高知、鹿児島、これだけ結んでおります。これは今供用中でございます。また、但馬飛行場、兵庫県でございます。これは、大阪と連結しております。これも供用中。あるいは枕崎飛行場、これは鹿児島でございます。これは使用中でございますけれども、遊覧飛行だけでございます。また、天草の飛行場、これは熊本県でございますけれども、福岡―熊本を結ぶということで、使用中でございます。これは三十九人乗りでございます。また、調布飛行場がございますけれども、これは大島、新島、神津島ということで、十九人乗りで、三月の三十一日に供用開始をするという計画でございます。

 このように、全国のコミューターとしての空港の役割、あるいは規模は別といたしましても、重要な空港と地域を結ぶというこの補完的な役割を果たしているということだけはございます。

 いざ、先生が今おっしゃいました、なぜ上尾にないんだというお話でございますけれども、上尾だけではないでしょうけれども、埼玉ということでございましょうけれども、空港にかわる利便性というものが多く走っているということからこれが話題になっていなかった、また俎上に上らなかった。また、大都市圏に近いということで管制等々の空域の問題というものもあるいはまだ俎上に上らないということの大きな要因であろうと思いますけれども、今後も、そういうことに関しては、ぜひ他の交通の利便性も考えていきたい。特にそれを残したわけではないということだけは申し上げておきたいと思います。

若松分科員 コミューター間のニーズというんですか、特に成田とか羽田。では、例えば東北の方はどうするかというと、海外に行きたい人は恐らく、青森空港から羽田に行って、電車に乗って成田へと、こういったこともあるんでしょうけれども、御存じのように、羽田もいっぱいなんですよ。だから首都圏の第三空港という話もあるのでしょうけれども、それも恐らくすぐいっぱいになるのかなと。

 埼玉的には、やはり二千メートル級ということで、平成元年とか六年とか何度か検討して、どうもジェット機は厳しいという県の方針なので、だからこそ私は、そういうコミューター間の、かつ、やはり大都市近郊のところにニーズがあるというのが関係者の見方ですから、そういう意味でまさにこのコミューター、そこでこのホンダエアポートを使っていただいて、そこからまた羽田なり成田なり、また大宮というのは鉄道の町ですから、そういったところに使っていければなと。また、そのときにも、もう国とか県が全部出すんじゃなくて、まさにPFI方式ができればなと。かつ、こういった形というのは、名古屋にかなり利益が出ているコミューター、会社があります。こういったことを参考にしながら、唯一それができるのがこのホンダエアポートかなという認識を持っていただければなと。

扇国務大臣 今、コミューター空港の利便性に関しての先生の御見解がございました。私もそのとおりだと思いますけれども、地域的な空港の需要に関しまして、これは地域の皆さん方の対応というものがまず出てこなければなりません。これは地元が最も主体性を持って取り組むことでございますし、またそれに取り組まれることが一番望ましいというふうに考えておりますので、今後、私ども国土交通省としましても、そうした取り組みのもとに、地方自治体からの御要望というものが現実的に、具体的に上がってきましたときには、おっしゃるように誠意を持って検討させていただきたいと思っています。

若松分科員 そういう答えを待っていました。実はすぐできるんです。会っていただけますね。そういうお約束だと思いますので、楽しみがふえました。よろしくお願いします。

 それで、今度はJR高崎線の話に移らせていただくんですけれども、分科会ですから、きょうは遠慮しないで、いつも行革ばかり、嫌われる仕事ですけれども、たまには地元にも好かれたいのでこういう質問もさせていただきます。

 上尾駅、これは人口二十万人で、本当は特急ぐらいとまってもいいんでしょうけれども、大宮から在来線で二つ目で、十分間で着く駅なんです。この上尾駅と北上尾駅と二つあるわけですけれども、一日の乗降客が五万二千人ということなんですね。さらに、埼玉新都心の完成とかで人口もふえていますし、また二〇〇四年は第五十九回国民体育大会の埼玉での開催に合わせた新県立武道館の利用客増とか、そんなことでふえてきます。

 ところが、この上尾駅に通勤快速というのがとまらないんです。アーバンというのはとまるんですけれども、通勤快速というのがとまらなくて、私も、これから帰るとどうなんでしょうか。通勤通学の帰宅時間の夕方の五時五十一分もしくは六時五十一分、少なくともこの二つ通勤快速が出ます。私は上尾に住んでいますから、これは乗れません。その次の電車がめちゃくちゃ込むんですよ。

 だから、二十万都市ですから、これはJRだから民間だと言わないで、ぜひこの意向を伝えていただきたいわけです。ぜひこの通勤快速を上尾に、この二本のうち一本でもいいですからとめていただくように御努力いただけませんか。

安富政府参考人 JR高崎線の通勤快速の上尾駅停車問題でございますが、実は、昨年も先生から同じ質問を受けまして、同じ答えをするのは非常に心苦しいのでございますが、いわゆる通勤快速、どちらかというと遠距離通勤者の速達性の確保を目的として設定されているということで、基本的には、鉄道事業者がみずから経営判断をして、利用状況、利用動向を勘案して運行ダイヤというものについては決めていくわけでございます。

 先生おっしゃるように、上尾駅の乗降客数が非常に多いということは我々もよく認識しておりますし、そういうことで、昨年もJR東の方にもそういう先生の意向を伝えておりますけれども、今のところまだ上尾駅に停車するという意向を我々は聞いておりません。

 私ども、またこれから利用者全体の利便性の向上が図られるようにいろいろ事業者を指導していく必要があると考えておりますので、先生のお申し出の件、またJR東の方によく伝えたいと思います。

若松分科員 上尾市としては、この通勤快速をとめようということで、何度か署名運動をやりました。どうでしょうか、ちょっとアドバイスをください。どのくらい署名が集まればとめてくれますか、JRの社長はちゃんと決意をしてくれますか。

安富政府参考人 先生からの御要望も我々も重く受けとめて、私の方からまたJR東の方に、そういう意向があって、地元ともいろいろ調整していただきたいということをぜひお伝えしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

若松分科員 では、本当によろしくお願いします。署名運動はいつでもできますから、言っていただければ市長、市民一体となってやりますので。夕方五時五十一分、六時五十一分に何でこんなに一生懸命こだわらなくちゃいけないか。そのくらい利便性を図ってもらいたいんですよ。株主はまだ国なんですから、よろしくお願いしますよ。

 それで、同じく、これはやや重いんですけれども、高崎線と宇都宮線、これが今、御存じの上野でとまっております。ああ上野駅ですね。これを東京駅に乗り入れるということです。ここでとまっていることでやはり大変不便をこうむっております。ですから、私もこれも何度も取り上げてきたんですけれども、東北線、いわゆる宇都宮線ですね、それと高崎線、この始発、終着駅を上尾から東京駅にぜひ延伸していただきたいということなんですけれども、今どういう状況になっているか。

 少なくとも二〇一五年までにということに運輸政策審議会の答申ではなっているそうですけれども、これはちょっと長い。もっと何とかなりませんかね。長年建設関係の官僚の方は頑張っていらしたと思うんですけれども、ぜひ前向きの答弁を、委員長の応援もいただきながら、期待したいと思います。

扇国務大臣 先生がおっしゃるまでもなく、私は全国区でございますから、回りますときに上野でとまっているのは本当に不便だというのは私も実感しております。

 そこで、乗り入れということは、乗りかえの利便性とか時間の短縮等々、これは少なくとも前向きに検討しなければならないと私は思っておりましたけれども、今度、国土交通省では、平成十一年度と十二年度、この二カ年で事業の具体化に向けた調査を行ってまいりました。その結果が出てまいりまして、これによりますと、本事業は、建設費が約三百三十億円、工期が八年を要するということです。一日二十五万人に利用され、効果が高い事業であるということがわかったわけでございます。ただ、収支の採算性の面からは、一定の公的な支援が必要である、そうでなければできないとの取りまとめがされました。

 そこで、私ども国土交通省では、この調査の結果を踏まえまして、早期に事業化が図れるように、関係機関と調整を図って、実現できるように私も先生と同じように前向きに臨んでいきたいと思っています。

若松分科員 すごくチャーミングな笑顔で、本当に意を強くした次第でございます。JRの社長、会長とは会う機会が多いと思いますので、ぜひこの点につきまして、三百三十億円、大きな金額じゃないのに何とかならないのかな、宇都宮線、高崎線の沿線がそれぞれ少しずつ負担すればすぐできるんじゃないかな、そんなことも提言をさせていただいて、ぜひ早期の開通を願って、質問を終わります。

 ありがとうございました。

栗原主査 これにて若松君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)分科員 公明党の石井啓一でございます。

 きょうは、大臣、一時から連続で大変御苦労さまでございます。きょうは私が最後でございますので、どうぞよろしく前向きの御答弁をお願いいたします。

 きょうは、私は地元の茨城県の事業についてお尋ねをいたしたいと思いますが、まずロードプライシングからお話をいたしたいと思います。

 来年度からいわゆる環境ロードプライシングが始まる。これは、有料道路のネットワークを使って、環境問題が起きている有料道路から、湾岸地域といいますか人家の密集していない方に料金抵抗等を低くして交通を転換していく、そういう事業だというふうに理解をしております。

 きょう取り上げたいのは一般道路と高速道路の関係でございまして、一般道が交通渋滞をする、また沿道環境がそのことによっていろいろ問題があるといった場合に、高速道路の料金割引をしまして、一般道から高速道路の方に交通を転換することによって問題の解決を図ろう、こういったことについてきょうはお話を伺いたいと思います。

 具体的な事例があるというふうにお聞きしておりますので、その概要、それから渋滞の解消の効果、どんな効果があるのか、この点についてまず御説明をいただきたいと存じます。

大石政府参考人 先生御指摘のような料金割引につきましては、現在、秋田自動車道、山形自動車道の一部区間につきまして、渋滞緩和や利用促進を目的として料金割引を実施し、一般道路から高速自動車国道への交通の転換を図っている事例がございます。一般道路の渋滞緩和等、一定の効果があったところでございます。

 ただ、この場合には、地元自治体等の負担により、減収分を補てんしていただいているところでございます。

 秋田自動車道につきましては、平成十二年度約一千百万円の御負担をいただきそのような措置をいたしておりますが、導入前に比べまして利用台数が約三%増加しておるというような実績がございます。また、山形自動車道につきましては、平成十二年度一千五百万を御負担いただき、利用状況といたしましては約七・九%の回数券利用台数がございまして、全体の利用台数の中に占めるこのような割引利用者のウエートが占められております。

 一般道路に対するこの割引効果でございますが、渋滞ポイント上の変化といたしまして、幾つかの交差点で三分ぐらいから十分程度の交差点通過時間の短縮があったり、全体として利用速度が十分程度短縮されるといったような効果があると聞いてございます。

石井(啓)分科員 三%とか七・九%という、数字だけ聞くと何か小さいような感じがしますけれども、恐らくそれは朝夕の通勤時間帯等に集中しているというふうに理解をいたします。それから、主要交差点でも三分から十分程度の時間短縮効果があったと。道路は、その容量をわずかでも超えると非常に大きな渋滞が発生する、逆に言うと、交通量が少しでも低減すると、その交通容量を超えるかどうかぐらいの境目では非常に大きな効果があるというふうに私は理解をしております。

 そこで、実は地元で具体的な要望がございまして、茨城県の北の方に日立市がございますけれども、これは東側が太平洋、西側が山地でございまして、その幅の狭い南北の平野に市街地が連憺をしているわけでございますが、そこに一般国道六号がこの市街地の真ん中を走っております。これが朝夕非常に渋滞をしておりまして、また、二車線の現道でございますので大変な渋滞を起こしております。

 今、海側にバイパスをつくっておるのでございまして、実はことし、間近に部分的に供用します。ただ、本当にごく一部分でございまして、市内を完全にバイパスするまでにはまだかなりの時間がかかるということで、地元としましては、たまたま国道六号と並行して山の中を常磐高速道路が走っておるものですから、この常磐高速道路をうまく利用して一般道の交通を常磐道の方に転換して、その現道の渋滞緩和あるいは沿道環境の改善を図っていただきたい、こんな要望が出ております。

 現在実施している事例によりますと、地元負担等があれば可能という感じがしておりますけれども、実現のための要件あるいは可能性について、ぜひ大臣から前向きな御答弁をいただきたいと存じます。

扇国務大臣 今おっしゃいましたように、常磐自動車道等々の緩和、しかも料金も含めてということであろうと思いますけれども、私ども、高速道路の料金というのは、御存じのとおり、先生が一番御理解していらっしゃいますし、あるいは先生がお決めになった部分もあるのかもしれませんけれども、全国の高速自動車の国道網を一体として収支を合算して全国の料金のプール制というものを採用しているというのは、もう御存じのとおりでございます。少なくとも全国画一的な料金を採用するという現状を崩すわけにいかないというのは、今正式に国土交通省として答えろとおっしゃれば、そう言わざるを得ないというところでございますけれども、料金の割引等々も考えまして、やはり減収となったときには、それでは、どこにそれを持っていくのかというのが問題として起こってくるものですから、少なくとも私は、他の道路の収入からこれを持ってきてそれを補てんしてということになれば、公平性というものが損なわれるということに関しましても考えなければならない。

 けれども、料金割引の導入ということを考えますと、あるいは利用者間の負担の公平と採算性の確保という、いろいろな面から考えましても、総合的にこれは検討していく必要があると思っておりますので、渋滞緩和ということの問題に関しては思いは同じでございますけれども、どういう形が一番有効になるかということは今後も考えていきたいと思っております。

石井(啓)分科員 ありがとうございます。

 今、山形道あるいは秋田道でやられている事例が、料金の割引制度を使って、なおかつ地元負担でそれを上乗せしてやっている、その中には自治体のいろいろな協力体制等があるようですけれども、やはりそういう地元の協力体制がしっかりとれれば、私はこれは十分可能性のある話だなというふうに思っておりますので、もう一言、大臣、よろしくお願いをいたします。

扇国務大臣 こういうところで、可能性の話でいいかげんなことを言っては、空手形になっては申しわけございませんので、いいかげんなことは言えませんけれども、私は、そういうことも、総合的な渋滞緩和というのはそこだけではない。さっきもお話がございましたように、全国での渋滞箇所、あるいは通行していらっしゃる皆さん方がお互いに、安くいいところを通れればそれにこしたことはないわけでございまして、全国の自動車道のあり方という基本的なことも含めて今後検討させていただき、また、ぜひ皆さん方の御要望にもこたえ得るような私は検討をさせていただいて、どっちをとるかというのは別としましても、考えさせていただきたいと存じます。

石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、ちょっときょうは環境省さん、お越しいただいて、中川局長、よろしくお願いします。

 霞ケ浦の水質浄化にかかわる話なのでありますけれども、実は河川局の方で霞ケ浦のしゅんせつ事業等をやっていただいていまして、水質浄化、それなりに進んでおるんですけれども、ただ、最近になりまして、ちょっと気になる事例の報告が幾つかございます。

 一つは、霞ケ浦に生息するヒメタニシという貝、これの雄貝と雌貝の比率が非常に変わってきている。雌貝が雄貝の倍生息しているという報告がございます。あるいは、これも人口調査によりますと、霞ケ浦流域で男児の出生率が低下をしている。女性百に対して男性百五ぐらい生まれるのが通常でありますけれども、要するに女性百に対して男性、男児が百以下という町村が幾つか見られる、霞ケ浦流域で。

 これは原因が特定されているわけではないんですが、一般に環境ホルモンというのが、いわば男性ホルモン、女性ホルモン、こういう生体ホルモンに非常に影響する、こういうことによって出生率の性比が大きく変わってくるというような問題がございまして、霞ケ浦の環境ホルモン問題というのは、私は非常に重要な問題としてとらえなきゃいけないなというふうに思っております。

 ところで、霞ケ浦に近接いたしますつくば市の国立環境研究所において環境ホルモン総合研究棟が今建設中であり、実は先日、私視察に行ってきたんですが、この四月にも供用する。それは、我が国における環境ホルモン研究の中核的な施設として運用されるというふうにお聞きしておりますので、近接する霞ケ浦を調査研究対象地域といたしまして、ぜひ霞ケ浦の環境ホルモンの実態解明を進めていただきたい、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。

中川政府参考人 先生に国立環境研究所を御視察いただきまして、大変ありがとうございました。

 国立環境研究所では、平成十一年度より始めました内分泌攪乱化学物質総合対策研究の一環といたしまして、霞ケ浦流域における環境ホルモンの存在量、存在形態の分析も行っているところでございます。また、霞ケ浦の底泥中の濃度分析や、魚の雌化に関する研究についても着手したところでございます。

 今先生からお話ございましたように、国立環境研究所は本年四月から独立行政法人となるわけでございますが、御指摘の環境ホルモン総合研究棟が三月に完成する予定でございます。今後とも、霞ケ浦及びその流域における環境ホルモン研究につきましては、今先生から御指摘がございましたヒメタニシの性比の異常などを含めた底泥中の貝類の生息状況や、底泥中の汚染物質のモニタリング、魚の雌化に関する研究などを幅広く実施いたしまして、環境ホルモン研究が一層充実するよう努めてまいりたいと考えております。こうした研究につきましては、平成十四年度に結果を取りまとめる予定にいたしております。

石井(啓)分科員 ありがとうございます。しっかりよろしくお願い申し上げます。

 それでは、具体的な事業箇所について申し上げたいと思いますけれども、まずJR常磐線の取手駅、藤代駅のバリアフリー化でございます。

 取手駅については、駅のホームから橋上の通路までのエスカレーターについては、もう整備を二基やっている、十三年度もやる予定だというふうに聞いておりますけれども、西口にペデストリアンデッキがございまして、そこから歩道に至るまでのバリアフリー化がまだ十分できていない。そこに関するエレベーター設置の要望がございます。

 また、藤代駅については、ホームから橋上の自由通路、あるいは自由通路から歩道への階段、いずれもエレベーター、エスカレーター等の設置が行われておりませんで、これは両方とも要望が非常に強くございます。

 ちなみに、取手駅は一日乗降客数が九万八千四百人、約十万人弱、藤代駅が一日当たり一万七千五百人。結構な乗降客数でございますので、今交通バリアフリー法によりますと、少なくともホームから自由通路に関するバリアフリー化というのは、この十年間で乗降客が一日五千人以上の駅については全部クリアするというふうに基本指針で定められているというふうにお聞きもしておりますので、早急にお願いをいたしたいと存じますが、この点について、いかがでございましょう。

板倉政府参考人 お尋ねのJR常磐線の取手駅西口のデッキから歩道へのエレベーターの件でございますが、私ども国土交通省といたしましては、迫りつつあります高齢社会に備えまして、交通結節点など多数の市民が利用する公共空間におけるバリアフリー化を極めて重要な問題として認識し、推進しているところでございます。

 JR常磐線の取手駅西口におきましては、現在、取手市が土地区画整理事業を施行しているところでございまして、この事業とあわせまして、駅西口の既存のデッキの改修がされる予定となっているところでございます。

 昇降施設を含めましたデッキの改修計画の詳細につきましては、現在、市が検討を進めていると聞いておりますので、私ども国土交通省といたしましては、エレベーターあるいはエスカレーターの設置につきまして、市から具体的な要望をお伺いした段階で適切に支援してまいりたいと存じます。

 それから引き続きまして、お尋ねの藤代駅の、まず一つは駅ホームへのエレベーター、エスカレーターの設置の問題でございますが、JR東日本では、利用者数あるいは障害者等の利用の多い駅、あるいは自治体からの要請の強い駅等から順次バリアフリー化を図っているところでございまして、現時点では具体的な計画を持っていないようでございますが、今後、地元藤代町と協力しながら整備計画を検討していきたいというふうにお伺いしております。

 続きまして、北口、南口への昇降施設の整備につきましても、地元藤代町からの具体的な要望があった段階で、私ども国土交通省といたしましても適切に支援してまいりたいと存じます。

石井(啓)分科員 よろしくお願いいたします。

 続いて、常磐新線でございますけれども、つい最近、これは愛称を募集しまして、つくばエクスプレスという非常に格好いい名前、格好いいといいますか、すばらしい名前が決まったようでございます。

 この常磐新線というのは、そもそも宅地開発と鉄道整備を一体的に進めるということで、旧建設省と運輸省が手を携えてやるという大変珍しい事業でございまして、国土交通省になって、これは象徴的な事業であるというふうに私は理解をしておるのであります。

 この常磐新線につきまして、平成十七年度開業目標に向けて、今鋭意御努力をいただいているというふうに理解をしておりますけれども、非常に地元の期待も高いところでございまして、進捗状況、それから十七年度という開業目標に向かっての取り組みにつきまして、これは大臣の方からお伺いをいたしたいと存じます。

扇国務大臣 今お話がございました、つくばエクスプレスという、ニックネームといいますか愛称といいますか、常磐新線の言葉をおつけになってつくばエクスプレスということで、皆さん方、地元の期待が大きいということですけれども、少なくとも、常磐新線は、JR常磐線の混雑の緩和、あるいは首都圏における良好な宅地の供給、または沿線の地域の活性化を促進するという重要な役割を果たしてくださっていると私は思っております。そのためにも、東京都から茨城県にわたります緑地の期待にも、あるいは東京と茨城を結びます沿線の皆さん方も大変これを期待していらっしゃいますし、また大きな成果が上がるものだと私も認識しております。

 今石井先生がおっしゃったものと同じものでございますけれども、例えば、秋葉原―つくば間の全線五十八キロ、これに関しましては順次工事に着手いたしておりますし、また事業が進められているところでございますし、現在、工事着手率は六四%にまで達しております、先生御存じのとおりだろうと思いますけれども。残る未着工区間につきましても、工事着手に向けて、関係者間で準備が進められているというところでございます。これも期待の持てることでございます。

 平成十七年度の開業に向けて、地元の、少なくとも一都三県の皆さん方を初めとして、関係機関が一丸となって事業の推進に努めていく、そういうことで目標を達成するということで、そのつもりで、関係省庁事業の着実な進捗を図るべく、少なくとも最大限の努力をしていくということを私はお約束したいと思います。

石井(啓)分科員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それから、きょうは文部科学省、お越しいただいて、ありがとうございます。

 ITER計画についてお話を申し上げたいと思います。国際熱核融合炉でございますね、夢の核融合を推進していこうという計画でございますけれども、このサイトをどこに設置するか、これは国際的にこれから競争が行われるわけでありますけれども、まず、国内誘致に向けて今どういう取り組みが行われているのか、御説明いただきたいと思います。

今村政府参考人 お答えいたします。

 我が国へのITER、国際核融合実験炉誘致の是非につきましては、現在、原子力委員会のITER計画懇談会を中心にいたしまして、我が国の将来のエネルギー見通し、あるいは技術的実現性、あるいは国際関係など、幅広い視点から御検討をいただいているところでございます。

 このITERの建設地につきましては、国際的には、ことしの夏ごろを目途に、国内誘致の是非をそれぞれが表明していくというスケジュールが想定されているところでございまして、我が国への誘致の是非につきましては、こうした国際的なタイミングなども念頭に置きながら、ITER計画懇談会の報告書などを踏まえまして、国として検討を行っていく、こういう段取りでございます。

石井(啓)分科員 では、続きまして、茨城県の那珂町が、今、原子力研究所の施設がありまして、そこで誘致希望をしているわけでございますけれども、国内における候補の選定方法、それからどういう要素を重視して選ぶのか、この点について確認したいと思います。

今村政府参考人 ITERのサイトの要件に関しましては、現在進められておりますITERの設計活動の概要報告書の中に、サイトの用地面積、あるいは核融合の建屋を支えるために必要な地盤、地耐力、あるいはITERの運転に必要な電力、大型機器搬入のための輸送道路の基準等の項目が定められております。

 我が国におきましては、こうした報告書も踏まえつつ、国内の候補地の状況などを的確に把握いたしまして、我が国における誘致の適地の有無を判断するために、サイトの選定方法、あるいは国内の調査条件につきまして、文部科学省において目下検討を進めているところでございます。

 先ほども申しましたように、ITERの我が国への誘致の是非について、現在ITER計画懇談会において御検討いただいているところでもございますが、そうした結果も踏まえつつ、サイト選定方法、要件につきましても決めてまいりたい、このように考えているところでございます。

石井(啓)分科員 そういたしますと、まだ国内誘致の是非が出ていないので、まだはっきりしていないという段階でございましょうか。はっきりしましたらぜひ教えていただきたいと思います。いずれにいたしましても、北海道、青森、茨城と、三県で希望が出ているようでありますから、どういう要件を重視して選んだのか、その選定過程、あるいはどういう理由で選ばれたのか、外れたのか、それをオープンにしてお願いしたいと思いますけれども、一言お願いします。

今村政府参考人 今御指摘のとおりの進め方で、オープンでこの選定については進めたい、このように考えております。

石井(啓)分科員 よろしくお願いいたします。

 それでは、時間がなくなってきましたので、まとめてちょっと二問ほど道路関係についてお尋ねをしたいんですけれども、北関東自動車道とそれから圏央道でございます。

 北関東自動車道は、おかげさまで、太平洋の常陸那珂港から常磐道、東北道、そして関越道を結ぶ、今ひたちなかインターから常磐道までは結ばれまして、今そこから西の方に向かって整備が進められているという状況でございまして、これは高速道路間をネットワークで結ぶと、関東の外環状といいますか大環状といいますか、非常に大きなネットワーク効果を発揮するということでもございますし、整備が進められているところでございますので、その進捗状況と今後の整備のめどをぜひお聞きしたいと思います。

 それから、あわせて圏央道。これも一生懸命おやりいただいていますけれども、茨城県内の進捗状況と今後の整備のめどについて、あわせて御説明いただきたいと思います。

大石政府参考人 北関東自動車道は、今先生おっしゃいましたように、いわゆる三大環状の中に入れておりませんけれども、いわば関東大環状といったような機能を有しておる路線でございます。極めて重要な路線だと考えております。

 友部インターチェンジ以西につきましては、現在、全線にわたりまして整備を進めておりまして、昨年七月二十七日に栃木都賀ジャンクションから宇都宮上三川インターチェンジ間十九キロメートルを供用し、今月三十一日には高崎ジャンクションから伊勢崎インターチェンジ間十五キロメートルが供用する予定となってございます。

 残りの区間につきましても、現在、地元との設計協議、用地買収及び工事を進めているところでございますが、先ほど申し上げましたように、本路線の重要性にかんがみ、現在で、全体といたしまして約三千七百億を投資させていただいておりますが、残念ながら、残事業費が約四千六百億といったような状況でございますので、平成十年代末くらいには新たな供用が始められるよう、早期整備に努めてまいりたいと考えてございます。

 続きまして、圏央道でございますが、圏央道は、都心から約四十キロないし六十キロに位置する外縁の大環状道路でございまして、三大環状の最外縁部に位置するものでございます。

 全体として三百キロメートルございますが、このうち茨城県区間は七十キロメートルございます。七十キロメートルのうち、常磐自動車道から茨城、千葉県境間の延長約二十九キロメートルにつきましては平成六年に都市計画決定をし、うち常磐道から国道六号牛久土浦バイパス間の延長一・六キロメートルにつきましてはおおむね用地買収が完了いたしましたので、本五カ年内、十四年度供用を目標に工事を進めておるところでございます。

 続く国道六号から江戸崎インターチェンジ間の延長十四キロメートルにつきましては、現在、用地買収を促進しておるところでございます。

 また、埼玉、茨城県境から常磐自動車道間の延長約四十一キロメートルにつきましては、平成七年に都市計画決定をし、このうちつくばインターチェンジから常磐自動車道間につきましては、平成十二年度より用地買収に着手したところでございます。

 さらに、つくばインターチェンジから江戸崎インターチェンジの間約二十四キロメートルにつきましては、整備の促進を図るため、平成十三年度政府予算案において、日本道路公団による一般有料道路事業として新規事業化を要求しておるところでございます。

 おくれております首都圏の環状道路整備は喫緊の課題だと認識いたしておりまして、今後とも、地域の御協力、御理解を得て、早期供用が図られるよう整備促進を急いでまいりたいと考えております。

石井(啓)分科員 いずれもよろしくお願い申し上げます。

 最後でございますけれども、百里飛行場、茨城県に今航空自衛隊の百里基地がございまして、これを民間共用化していこう、これが十二年度から始まっております。この民間共用化も非常に地元の期待の高いところでございまして、この進捗状況、それから今後の整備のめどについてお伺いをしたいと思います。

深谷政府参考人 百里飛行場につきましては、先生御指摘のとおり、平成十二年度、今年度からの予算で民間共用化の事業化がされたところでございますが、現在はその詳細な計画の策定あるいは環境アセスメントの準備、これを行っているところでございます。

 なお、十三年度につきましては、用地買収あるいは土木施設、照明、無線施設等の基本設計に係る所要の予算額を、現在御審議いただいております政府予算案に盛り込ませていただいているところでございます。

 国土交通省といたしましては、現在御審議いただいております十三年度予算案が成立いたしますれば、先ほど申し上げました環境アセスメントを進めるとともに、用地買収、基本設計を行いまして、できる限り早期に供用開始できるよう私ども取り組んでまいりたい、かように思っております。

石井(啓)分科員 ありがとうございました。

 質疑時間が終了いたしましたので、以上で終わります。ありがとうございます。

栗原主査 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時三分散会




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