衆議院

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第2号 平成15年2月28日(金曜日)

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平成十五年二月二十八日(金曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 栗原 博久君
      高鳥  修君    三塚  博君
      森岡 正宏君    大島  敦君
      鍵田 節哉君    原口 一博君
      平野 博文君    米澤  隆君
      斉藤 鉄夫君
   兼務 葉梨 信行君 兼務 石毛えい子君
   兼務 金子善次郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            薮中三十二君
   政府参考人
   (財務省主計局主計官)  石原 一彦君
   政府参考人
   (文化庁文化財部長)   木曽  功君
   政府参考人
   (国土交通省国土計画局長
   )            薦田 隆成君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 古屋 雅弘君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 中田 雅資君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  三塚  博君     森岡 正宏君
  米澤  隆君     鍵田 節哉君
同日
 辞任         補欠選任
  森岡 正宏君     三塚  博君
  鍵田 節哉君     平野 博文君
同日
 辞任         補欠選任
  平野 博文君     大島  敦君
同日
 辞任         補欠選任
  大島  敦君     米澤  隆君
同日
 第二分科員葉梨信行君、第三分科員金子善次郎君及び第五分科員石毛えい子君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――
栗原主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子善次郎君。
金子(善)分科員 保守新党の金子善次郎でございます。
 早速でございますが、質問をさせていただきます。
 まず最初に、地下高速鉄道関連について御質問をさせていただきます。
 まず最初にお伺いしたいと思いますけれども、運政審の答申にもございますけれども、高速鉄道の整備の推進、これについてはメジロ押しと申しますか、これからのいろいろな整備の方針が示されているわけでございますけれども、大都市における地下高速鉄道の整備の推進、これについての基本的な認識をまずもってお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 おはようございます。きょうもよろしくどうぞお願い申し上げます。
 今のお尋ねの地下鉄ですけれども、少なくとも我が国の大都市、特に首都圏における地下鉄のラッシュどきの混雑ぶり、一番込んでいるときで二〇〇%という混雑ぶりです。二〇〇%といいますと、もう体がまさに触れ合って、大変、身動きできない、新聞が読めるのはとんでもないというような、そういう混雑ぶりでございましたけれども、この混雑ぶりをどう緩和していくかというのが一番大きな問題であろうと私は思います。
 また、輸送力等々も問題がありますけれども、お客様が減ることがない、なおふえ続けている、この状況の緩和というものが一番大きな問題だと思っています。
金子(善)分科員 ありがとうございました。まさに、大臣おっしゃるとおりだと私も思っているところでございます。
 そこで、総務省の方にお伺いいたしますけれども、経営主体が公営、地方公共団体直接ということだと思いますが、あるいは準公営、ということは第三セクターというようなことになると思いますけれども、この財務の状況ですが、現状を概略で結構でございますのでお答えいただきたいと思います。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 地下鉄を初めといたします大都市交通体系の整備は、大都市における大量の輸送需要に対応するとともに、都市機能を維持向上させるために大変重要な事業であると私どもも認識いたしているわけでありますが、その経営は大変厳しい状況下にあるものと認識をいたしております。
 お尋ねの財務状況でございますが、現在、公営地下鉄事業は全国九団体で運営されているわけでありますが、平成十三年度の決算におきましては、九事業者全体で一千五百六億円の純損失が出ております。この結果、平成十三年度決算におきます累積欠損金は、九事業者全体で二兆三千三百四十九億円に達しておりまして、実質的な資金不足をあらわす不良債務も総額で一千八十六億円となっているところでございます。
 一方、第三セクターによって運営されております地下鉄といたしましては、平成十三年三月に開業いたしました埼玉高速鉄道線がございますが、運営主体であります埼玉高速鉄道の平成十三年度決算によりますと、単年度で八十八億円、累積で百十四億円の欠損が生じております。
 このように、公営地下鉄、第三セクター地下鉄とも、非常に厳しい経営を強いられている状況下にございます。
金子(善)分科員 大変な財政状況になっているというのが基本的なところだと思います。
 そこでお伺いしたいと思いますが、埼玉高速鉄道、今、単年度で八十八億ほどの損が出ているというようなお話がございました。これはおかげさまで、平成十三年の三月二十八日、地下鉄七号線として浦和美園という駅まで開通をいたしております。
 さらに、運輸政策審議会、運政審でございますが、平成十二年の一月二十七日の答申によりますと、その浦和美園から岩槻を経由して蓮田市まで、二〇一五年、平成二十七年になりますか、二〇一五年を目標年次として開業することが適当である、いわゆるA1の路線として位置づけられております。
 そんなことで、これは、沿線住民はもとより、各方面におきまして、地域の交通混雑の緩和、それだけではなくて、やはり地域の開発、発展のためにも大変大きな期待が寄せられているところであります。
 私が承知しているところでは、これを受けまして県の方では、平成十二年から十三年にかけまして、埼玉県鉄道新線整備検討調査、これは収支の採算、整備方策等の課題を整理するための調査というふうに承っております。さらに、平成十四年からの三年間で、地下鉄七号線延伸基本計画調査、これは現在実施中ということでございますけれども、地下鉄七号線延伸につきまして、先行区間として浦和美園から岩槻間、この概略の設計、事業手法等の基本計画策定に向けた調査を実施中ということを聞いております。さらに、平成十四年からは、七号線延伸線に係る戦略的環境影響評価ということで、環境問題等の方からの調査を行っているというふうに聞いているところでございます。
 そこで、地下鉄の建設整備ということになりますと、国だけではなくて、経営主体となるそれぞれの地方公共団体、埼玉県につきましては地下鉄七号線の埼玉高速鉄道という経営主体になってくるわけでございますけれども、いろいろな関係するところがこれからいろいろな検討を行われて、そして国の方でもそれなりの関与をしながら実現していくものというふうに思っているところでございますが、いずれにいたしましても、こうした大事業については、国の関与というものが大変重要なキーポイントになるのではないかというふうに思うところでございます。
 そこでお伺いしたいと思いますが、今後の展開、国の方ではどう見ておられるかということにつきまして御質問したいと思います。
石川政府参考人 地下鉄七号線の延伸についての御質問でございますが、今先生お話がございましたように、平成十二年の運輸政策審議会の答申で、いわゆるA1路線になっておるわけでございまして、現在、先生先ほどお話がございましたように、埼玉県を中心に整備の検討が行われております。
 この路線は、現在幾つかのルートの案も検討されておりますけれども、一つの試算では、浦和美園と蓮田間約十三キロでございまして、総事業費が約千六百億円、地上方式で千六百億円とされているところでございます。
 このような非常に大きな額の事業費を、どのように、だれが負担するか。あるいは事業主体のあり方。埼玉高速の話もございました、先ほどお話がありましたように、今、単年度で八十八億円の赤字という会社でございますが、事業主体をどうするか、だれがつくるか、だれが運営するかという問題。
 それから、輸送需要の予測の問題でございます。需要予測につきましても、実は、現在開業いたしております埼玉高速の輸送人員につきましては、構想があった段階では一日当たり約二十三万人乗るだろうと言われたわけでございますが、現実には今一日当たり四万七千人と非常に、まだそんなにいないという問題もあります。
 そういう意味での事業採算性等々、いわばこれを事業化するために必要な、あるいは解決すべき課題というのがまだたくさんあるというふうに認識しておりまして、そういうことにつきまして、現在、埼玉県を中心に検討が進められていると伺っております。
金子(善)分科員 現状はよくわかりました。
 ただ、私も埼玉県に住んでいるわけでございますが、浦和美園地域というのは、ごらんになったかどうかわかりませんけれども、あの辺はそもそも今の段階では客は余り期待できない、そういう地域だと思います。やはり延伸することによりまして、これはたしか昭和四十年代から、岩槻市とか蓮田とか、あの辺のところで鉄道が欲しいというようなことでの運動が始まったと承知をいたしております。
 これから埼玉県あるいはさいたま市の方におきましても、この地下鉄七号線沿線の開発ということは、いろいろなことを考えておられるように承知をいたしているわけでありますが、これを延伸することによって、少なくとも岩槻まで、あるいはその後はまたともかくといたしまして、乗客がかなりふえる可能性は、建設費はかかるわけですからそのままそれが収益になるということではございませんけれども、乗客の数ということだけから考えた場合にはかなり期待できるんではないかという線だと思います。
 ちなみに、御承知だと思いますけれども、埼玉県のさいたま市を中心とする交通事情、先ほど大臣からも大変な力強い、地下鉄整備というか鉄道整備の必要性についてお答えいただいたわけでございますけれども、大変な混雑なんですね。埼京線あるいは東北線、高崎線、それで東寄りになりますと東武伊勢崎線と、東京に向かうあれがあるわけですが、私も乗ってみてびっくりするぐらいの混雑、通勤通学の時間帯ではございますけれども。何とかこの線を延伸することによって、御案内だと思いますけれども、東武野田線あたりまで行けばかなり分散された人の流れになってくるんではないかなというふうに思われる地帯でございます。
 そこでお伺いしたいと思いますが、先ほど総務省の林財政局長さんの方から、今地下鉄経営は大変な状態にあるというようなお話がございました。一方におきまして、先ほど大臣がおっしゃられましたとおり、必要性は非常にあるんだというような認識だというふうなお話でございます。とすれば、どうやってこれをやっていくんだろうか、ここが課題になってくる問題だと思います。
 私は、何とか、大量輸送機関と申しますか、しかもこれはサラリーマンあるいは学生、そうした方々の通勤通学の利用に供されるものでございますから、また地域の発展のために非常に役に立つものであるとすれば、何とかやれる方法をやはり行政が、国、県あるいは市ということになりますけれども、考えていかなきゃならないだろうというふうに思われるわけであります。
 そこでお伺いするわけでございますけれども、今の地下鉄あるいは鉄道の建設の前提条件として、常に計画を立てます。そのときは、どこどこを開発してやっていきますよというようなことで、将来の期待を重点に置いて、それで建設が始まっていくというのがこれまでの方式だと思います。そうなってきますと、今のこのデフレの経済状態の中で、ひところと違って、直ちにそれぞれの地域が大幅に発展するというようなことが期待できにくい、あるいは計画上も見込みにくい時代になってきているんではないかというふうに思われるわけです。
 そこで、こうしたデフレ経済下と申しますか、現下の経済情勢、これからの景気の回復も図っていかなきゃならないわけでございますけれども、こうした財政が非常に厳しいような状態、それから民間の積極的な出資とか投資というものも大きくは期待できない状態において、これをどうやっていくのかということは、地下鉄をつくるための財政の仕組みというものをある程度変えていかなきゃならないんではないかというふうにも思うわけでございます。
 そうした観点から、今の現状において国交省としてどんな、運政審の方では将来これだけのものをつくるべきですよというようなことも言っておられるわけですから、その辺どのようにお考えか、局長さんの考え方をお聞かせください。
石川政府参考人 地下鉄整備に限りませんが、鉄道整備をしていく場合に、その需要をどういうふうに見ていくか、あるいはその地域の開発計画をどう見ていくか、要するに、鉄道が先か、地域の開発が先か、卵が先か鶏が先かという議論は必ずいつでも出てまいります。鉄道は巨大な投資がかかるわけでございますので、そのリスクをどういうふうにだれが負担をする、負っていくかという極めて難しい問題があろうかと思います。
 そういう中で、先生御指摘のような時代の変化もございます。時代の変化は、デフレという経済の変化もございますが、一方で少子高齢化が進むということで考えますと、輸送需要が大幅に伸びていくという考え方は必ずしもとれない、むしろ輸送需要は頭打ちになるだろう。一方、運賃も、大変高い運賃を取っていくわけにはいかないという中で、どういうふうな整備をしていくかということはまさに難しい問題だろうと思っております。
 私どもとしても、今まで、どちらかといえばいろいろな形で工夫をしてまいりました。償還型上下分離方式の導入とかさまざまな形で補助制度の拡充あるいは所要額の確保ということを努力してまいりましたけれども、今申し上げたようなかなり根本的なところで今後の世の中をどう見ていくかということを考えますと、なかなか課題の解決が難しいというのが現状だろうと思っております。
金子(善)分科員 なかなか現状の課題をどう解きほぐしていくかは難しい状態だということを言われましたが、国政として、あるいは地方行政といたしましても、そこに住む住民のために何が一番大切か、役に立ってくるのかというようなことで、資源の、簡単に言えば予算の配分ということになるわけでございますけれども、どういう使い道をしていくかということについてよく検討していただきたい、強くこれは要望しておきたいと思います。
 総務省の方にもお伺いしますが、この地下鉄の問題というのは国の問題であり、また地域の問題であるという側面が非常に強いと思うんですけれども、地域の問題としても、特に地方団体の財政も非常に厳しい状態になってきている。こういう中で、一段の、地方に対する、この分野でのそもそものパイが非常にきつい状態でございますけれども、そこの再配分というものをどうしていくのかということが課題になってくると思うんです。
 そこで、何とか、私の地元であるさいたま市という周辺、埼玉県の事情等々を考えるとどうしてもこの辺に力を入れてもらいたいという気持ちが私は非常に強いわけでございますが、その辺の総務省としての考え方を、前向きな答弁をひとつお願いしたいと思います。
林政府参考人 地方団体の財政状況も大変厳しい状況下にあるわけでございまして、地下鉄事業につきましては、今後とも、巨額の建設費に伴う資本費負担を軽減し、また採算性の向上を図るために、事業者としても今まで以上の努力を払ってまいらなければならない状況にあると考えております。
 地下鉄整備は、御指摘のように都市機能の維持向上を図りますために大変重要な事業であるという認識を私どももいたしておりますし、また、関係地方団体もそのような認識のもとに、その経営に大変重大な関心を持っていると思います。
 そういうこともございまして、これまでも数次にわたりまして国及び地方公共団体による財政措置の充実を図ってきたところでありますが、今後とも、御指摘の点を踏まえながら、関係省庁とも連絡を密にいたしまして、十分研究させていただきたい、こう考えております。
金子(善)分科員 この地下鉄問題に対しまして、大臣のひとつ決意をお聞かせ願いたいと思います。
扇国務大臣 地下鉄は、ただ輸送機関というだけではなくて、私は、車のこれだけの混雑ぶり、そしてCO2の排出量等々考えますと、京都議定書で日本が率先して環境対策というものに取り組むというこの関係上も、どうしてもCO2の排出量を減らさなければならない。
 それにはどうすればいいかということで、今建築中のところ、御存じだと思いますけれども、首都と営団、この両地下鉄で、今少なくとも二百九十二キロという、おおむね首都圏に関してはネットワークが張りめぐらされたかなと思ってはおります。御存じのとおり、旧六号環状線、環六という言葉で言われておりますけれども、池袋から渋谷まで、この混雑ぶりが大変なものですから、これが今十三号線として建築中でございまして、十三号線ができることによって、あの車の渋滞緩和というものが図られて、CO2の排出量が減らせるのではないか、そういう面もございます。
 私、初めて地下鉄を利用するようになりまして、基本的になぜ地下鉄が張りめぐらされていることがわかったかといいますと、都営地下鉄というのがありましたので東京都内だけにしか行っていないというのが感覚的にあったんですけれども、選挙のおかげと言ったら変ですけれども、選挙のおかげで、埼玉とか神奈川とか川崎に行くのに、あるいは八王子に行ったり、そしてまた千葉県に行くのにも、全部地下鉄が東京都外に出ているということを如実に私は知ったわけでございます。
 これによって、金子議員がおっしゃいますように、埼玉県に対しても、今後より利便性の高い、できれば経済的に黒字になるような路線に育ってほしい。それが二十一世紀の環境にも期する地下鉄の大きな役割であると私は思っていますので、それを実行していきたい。何とか赤字解消で皆さんに喜ばれる地下鉄が張りめぐらされることを望んでおります。
金子(善)分科員 扇大臣の大変力強いお話、本当にありがとうございました。どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告をさせていただいております、これも埼玉県、さいたま市周辺にございます見沼田んぼについての質問をさせていただきたいと思います。予定していたよりも時間がちょっと足りなくなりましたので、ポイントに絞りまして御質問させていただき、いずれ別の機会にもまた取り上げさせていただければというふうに思います。
 この見沼田んぼでございますけれども、これは、首都圏に残されました千二百六十ヘクタール、ほとんど開発がこれまで抑制されてまいりました地域でございまして、私が思うには、恐らく首都近郊で最後に残された貴重な空間じゃないかなというふうに思っております。それと同時に、災害の問題とかいろいろなことを考えますと、そういう意味での大変な活用、それから、首都圏で、さいたま市周辺の発展ということを考えた場合にも、何とか保存とそれから活用と申しますか、さいたま市あるいは埼玉県当局におかれましては保全、保存ですか、それからいわゆる活用、そして創造というようなところまで、今いろいろな動きがあるようでございます。
 さいたま市当局におきましては、既に見沼グリーンプロジェクト研究会というものができまして、そこでいろいろな提案もなされておりまして、具体的な事業としては、セントラルパーク構想というようなことも示されているわけでございます。
 そういう中で、実は国におきまして、都市再生プロジェクト、大都市圏における都市環境インフラの再生ということで、そのうち、まとまりのある自然環境の保全というようなことを具体的に推進することを目的として、いろいろなことが議論されまして、これまで来ていると思います。その取りまとめが、中間ではございますが、昨年七月ですか、出されております。
 どんな議論がされまして、この見沼田んぼについてこれからどんな方向に行くというふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
薦田政府参考人 お答え申し上げます。簡潔に申し上げます。
 見沼田んぼにつきましては、先生おっしゃられましたように、都市再生プロジェクトの一環ということで、首都圏で選んだ二十五の地域の一つ、そして、その中でより先行して具体化を図るべき六つの地域の一つという位置づけで今取り組んでいるところでございます。
 見沼田んぼにつきましては、生物多様性の観点、それから人と自然との触れ合いの観点、景観というような観点について、いずれも高い機能を有している、市街地にくさび状に入り込んでいるまとまりのある貴重な自然環境であるということで、抽出されておるわけでございます。そして、先行的に検討する地域として選定いたしまして、関係する、私どもも含めた国の機関、埼玉県、それからさいたま市等で構成するワーキンググループで具体的な施策の検討を行っております。
 先生まさにおっしゃられましたとおり、保全すべき自然環境と申し上げましても、単に現状維持ということだけではなくて、自然環境を再生、創出するという機能、要するに地域全体の自然環境がより良好なものとなるよう整備を進めるということが重要だと考えておりまして、各分野の先生方の知恵もおかりしながら取り組んでいるところでございます。
金子(善)分科員 局長さんの御答弁では、自然環境を創造するという、そういうような感じで、そこに重点を置かれた話をされたわけですが、恐らく、埼玉県あるいはさいたま市のいろいろな文書を見ていまして、また関係者と話をしますと、単に自然を残す、あるいはつくる、木を植えて自然をあれするということではないんです。例えば、そこに建物、ビルをどんどん建てるというようなことではなくて、公園とか、人がそこで憩うことができて楽しむことができる、そしてあるいは、ほかの地域からも人々が来る、そういう地域にするというような発想で恐らく構想が練られつつあるのではないかと思います。
 そういうようなことで、国の方でも今、調整池、第七までつくるというようなことで、もともと見沼田んぼの開発が抑制されてまいりましたのは治水のためでございますから、調整池を七つつくるというような構想もあるようで、今のところは完全に完成したのは一つでしたか、今二つ目にかかっているということのようです。
 いずれにしましても、大臣にぜひお願い申し上げたいと思いますのは、私も実は、大分昔でございますが、埼玉県庁におきましてこの関係の仕事を直接担当しておりました。見沼田んぼというのは、今の形になりましたのは、徳川吉宗の時代になりまして初めてなったというふうに聞いております。昭和三十年代前半の狩野川台風でございますか、大変な水害が川口一帯に起きて、それからこの開発というのはさせないということで、これまで首都圏では唯一、本当に住宅地の真ん中の、千二百六十ヘクタールの土地があるんです。
 私はもともと山形県の出身なんです。だから、あそこの自然そのものはそうすごいとは思わないんですけれども、物すごい空間があるな、ここを何としてもと。結構みんなも大切にする気持ちが非常にございます。そんなことで、これは国としても、あの地域をどういうふうに位置づけるかというようなことをよく考えていただければなというふうに思っているところでございます。
 それで、大臣にも、ぜひ中をよくごらんになっていただきまして、強い関心を持っていただければと思います。そんなことで、ちょっと御答弁をお願いいたします。
扇国務大臣 今お話を聞いていて、少なくとも、徳川幕府第八代将軍の吉宗のときにつくられたというこの見沼田んぼ、私は拝見したことがございませんので、金子先生にまた一度御案内していただいて、見るべきものだと思っております。
 それはなぜかといいますと、宅地開発というものが近年本当に進んでまいりまして、自然が壊されているとよく言われますし、また、全国回っておりまして目にもいたします。けれども、この見沼田んぼのできたときの状況も、私も今回いろいろ見てまいりましたけれども、少なくとも、首都圏の水と緑のネットワークをつくろうというこの構想があった事実があるんですね。それがいまだに達成できていないという現実を見るときに、金子議員がおっしゃいますように、この緑と水のネットワークというものを、住宅街の中に憩いの場として、いやしの場として残すことがいかに大事かということで、私は、今お話しになりましたように、これを保存していく。また、宅地開発の圧力が強まれば強まるほど貴重感が出てくるということでございますので、国際的にも魅力のある都市になるためにもこれを再生し、なおかつ保存していく、そういうことが大事だと思っています。
 今後も、少なくとも地方公共団体と地元の皆さん、また関係者と協力してこれを残し、なおかつ発展させて、緑と水のネットワークに一歩でも近づくということにしていきたいと思いますので、一度伺えるのを楽しみにしています。
金子(善)分科員 力強い御答弁で、まことにありがとうございました。これで質問を終わります。
栗原主査 これにて金子善次郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、石毛えい子君。
石毛分科員 おはようございます。民主党の石毛えい子でございます。
 本日は、公団の賃貸住宅の家賃の決定ということを中心にお伺いさせていただきたいと思います。
 申し上げるまでもございませんけれども、この国会では、都市基盤整備公団を独立行政法人化するということで、大変重要な法案の審議がございます。公団住宅の居住者、賃貸住宅の方、全国七十五万世帯というふうに伺っておりますが、分譲にお住まいの方なども含めまして、この法案の審議にはかたずをのんで見守っていることと思いますので、ぜひ、居住者の方が安心できるような内容になるように十分な審議を尽くしていただきたいということをまず最初に御要請申し上げたいと思います。
 そこで、公団賃貸住宅の家賃に関してでございますけれども、まず最初に、現状で公団賃貸住宅の空き家がどのような状況になっているかということを簡便に御答弁いただきたいと思います。
古屋参考人 公団賃貸住宅の空き家の現状についての御質問でございます。
 いわゆる広い意味で、入居者がおられないであいているという意味での住宅の中には、近年、住戸の設備水準を向上させようということでリニューアルをやってみたり、あるいはバリアフリー化して高齢者向けの優良賃貸住宅に住戸改善を行っていくというふうな工事を行っている住戸がふえてまいっておりまして、こういったものは、いわば事業上あるいは施策上の必要性から、補充を一たん停止させていただいております。
 こういった事業上、施策上必要なもの以外のものとして、入居者を募集しているにもかかわらず一定期間空き家となっているものに着目してみますと、これは、同じ一年間の間でも時期の変動が大変激しゅうございます。したがいまして、月々一定ではございませんが、便宜上、十四年三月末現在で見てみますと、全国で空き家は三千六百八十五戸ということでございまして、管理戸数七十五万戸に占める割合は〇・五%、いわば、約二百戸当たりに一戸といった空き家の割合の水準になっております。
 いずれにしましても、この空き家は早期に解消しなければならないと、私ども強い問題意識を持っておりますので、いろいろな募集体制を強化するなり、入居促進キャンペーンを行うなり、あるいは応募者の方々に便利なインターネットによる申し込みといったような工夫なども行うことにより、早期解消に努力を傾注しているさなかでございます。
石毛分科員 空き家が多いか少ないかということの議論は多様にあると思いますけれども、この点はおきまして、次の質問でございます。
 今御答弁いただきました中にも少し触れられていたと思いますけれども、公団賃貸住宅で、現在建てかえ対象戸数は十五万戸、そのうち九万戸は既に建てかえに着手をされているというふうにお聞きしております。
 容積率の緩和ですとか、あるいは、これまで公団は主として中層だったと思いますけれども、高層化するなどということで、私の表現では空き地という表現なんですけれども、いろいろな表現の仕方があるようですが、その新しく生まれました公団所有の土地につきまして、これからどのようにそれを活用されていくのかということにつきまして簡単にお答えをいただきたいと思います。
中田参考人 建てかえ事業につきまして御説明いたします。
 建てかえ事業は、居住水準の向上と敷地の適正利用というふうなことを目的として進めております。その実施に当たりましては、まちづくりの視点に立って、地方公共団体との連携を図りながら、従前居住者の方々の居住の安定あるいはコミュニティーの維持ということに配慮して進めているところでございます。
 今御指摘ありました土地の譲渡につきましては、地方公共団体と協議の上で、周辺の市街地の整備に必要な公共公益施設用地、公営住宅の用地、それから少子高齢化のためのいろいろな社会福祉施設等の用地、こういうものを優先した上で、多様なニーズに対応するために、民間住宅等の敷地として一部敷地を譲渡し、全体として良好な市街地住宅の整備ということを目標に努めているところでございます。
 今後とも、地方公共団体との連携に努めながら、居住者及び周辺の住民の理解を得ながら、土地の譲渡を含めた建てかえ計画について十分な説明を行い、進めてまいる所存でございます。
 ちなみに、これまでの土地譲渡の実績でございますが、平成十三年度末の時点で五十六件の譲渡をしておりまして、面積としては十三ヘクタールでございます。そのうち、公共団体等へ譲渡したものが四十一件、十・八ヘクタールというふうになっております。公共団体へ譲渡した土地の主な用途は、公営住宅あるいは道路用地、それから図書館、社会福祉施設の整備、こういうものに使っているということでございます。
石毛分科員 まず、公益、公共、少子高齢社会を前提にという御答弁をいただきましたことに関しては、私も評価をさせていただきたいと思います。
 それで、せっかくでございますので、おわかりになりましたらごく簡単にお答えいただきたいと思いますが、これまでに売却いたしました実績で、五十六件中四十一件は、広い意味での公共的な利用の仕方を目的として活用されているということでございますけれども、残り十五件に関しまして、もしおわかりでしたら、どんな状況なのかということを御説明いただければと思います。
中田参考人 それ以外の用途としましては、公益事業者、これはいわばガスの基地とかいろいろなことがありますが、ガスガバナーの用地、こういうものに七件、それから商業施設に一件、それから分譲住宅として一件、その他隣接の土地所有者に、いわばその端地のようなことになっていて、今までその周辺にいろいろ迷惑をかけていた、そういうふうなところの整備をしたというふうなことで六件でございます。
石毛分科員 ありがとうございました。
 私は、東京都町田市が選挙区で、町田市が居住なんですけれども、私の住んでいる町、町田は、一時代、団地の町と言われたほど団地がたくさんございまして、既に、あそこは売却されるのではないか、どういうことなんだろうとか、いろいろと住民の方は心配をされております。御答弁で、お住まいになっている住民の方たちの意向をよく受けてというふうに御答弁いただきました。その方向性をきっちりとこれからお持ちいただけますよう、改めて要請をさせていただきます。
 それでは、賃貸住宅の家賃に関連してでございますけれども、公団法で、申し上げるまでもございませんが、継続家賃に関しまして、変更は「近傍同種の住宅の家賃の額、変更前の家賃の額、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めなければならない。」というふうにされております。
 きのうも担当の方から御説明をいただきましたけれども、質問時間が大変短うございますので余り詳しい御説明は省いていただきまして、この中で私は一つ大変注目しましたのが、「経済事情の変動等」というのは実際にはどういう中身を指すのかというふうにお尋ねいたしました。そのことも含めまして、ごく簡略に御説明いただければと思いますが、お願いいたします。
古屋参考人 公団賃貸住宅の家賃の改定の考え方は、先生御指摘のとおり、公団法にそのような記載がございまして、これを具体的に運用しておるわけでございます。
 簡潔に申し上げますと、公団賃貸住宅を、近傍の民間事例の取引事例等を参酌いたしまして市場家賃を評価いたしまして、これを上回っているものについては下げよう、それから、それを下回っているものについてはその格差の是正を公平な見地から行うという趣旨で行っておるものでございます。
 それで、特に引き上げのところにつきましては、格差是正のところにつきましては、この四月一日から相応の負担のお願いをしておるところでございますが、急激な負担増とならないように、その格差の全部をいきなり埋めるということではなくて、一定部分について負担増をお願いするという形で緩和措置を講じておるところでございます。
 それで、「経済事情の変動」というのは具体的にどういうことかということでございますが、公団の賃貸住宅はいわば市場家賃を基準として定めるということでありますから、市場家賃の動向が直接間接に公団賃貸住宅の家賃設定に反映されるような仕組みとなっております。
 先ほど申し上げましたように、いわば公団賃貸住宅の近傍同種家賃、市場家賃を評価して、それとの格差を縮小するという考え方でやっておりますので、そこに市場の動向が反映されてまいりますし、それから、格差の埋め方でございますけれども、おおむね格差の三分の一程度を埋めるという考え方でやっておりますが、格差の絶対額と同時に、民間の賃貸市場の賃料動向がどうなっているかといったようなスライド率も加味いたしまして格差の埋めるべき額を算出するといったような形で反映をさせていただいているところでございます。
石毛分科員 大変テクニカルな話でございまして、一度さらっと教えていただいたのではなかなかわかりにくいという感じがするんです。
 私はきのう資料をいただきまして、これは昨年の十二月二十六日にプレス発表をいたしました「公団賃貸住宅の家賃の改定について」という説明でございますけれども、これで近傍同種の住宅の家賃の額ということで、よくよく拝見していますと、自分の地域での経験といいますか実感からしまして、おやっと思うようなところがあるわけなんですね。
 例えば、ある地域に公団住宅がありまして、その近傍の民間の賃貸マンションの家賃が今市場でどれぐらいなのか。それの格差の埋め方が、今御説明いただいたということで、さきの住宅公団法の改正の中で市場家賃を基準としてというふうになったわけで、それで市場家賃をどのようにとらえるかということになるわけです。
 その近傍家賃との比較のために事例住宅を選ぶそうなんですけれども、その選ぶ要件といいましょうか、ここに簡単に説明文書があるんですが、「その構造の違い、」これはわかります。次に「面積の大小、」これも非常に量的な話で大変わかります。次に「築後年数、」それから「駅までの距離等の立地条件の違い等について比較考量して、選択」というふうに記載されてございます。
 こういうふうに読みますと、なるほど、大変整合的である、合理的であるというふうに思うのですが、実態を思い浮かべてみますと、築後年数というのはそんなに簡単に、同じような地域で、公団住宅と比較考量になるような民間の賃貸マンションを選ぶことが、全くできないというふうに申し上げるつもりはありませんけれども、そうそうどの団地に関してもできるんだろうか。
 住宅公団の団地は、御存じのように、特に多摩地域の場合、多摩丘陵を開発しまして、駅からそれこそバスで何十分というようなところに広大に開発してつくられて、そこが一つのコミュニティーになっておりますので、その近傍の地域に築後年数を、全く同等にするのかということはあると思いますけれども、比較できるようなというのは、私はそう簡単には見出しにくいのではないかというふうに思っているんです。
 どうも、この近傍同種の類似住宅を選定するというのに無理があるのではないか、そういう、それこそ生活感からした、あるいは地域感からした実感を思うのでございますけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。
古屋参考人 近傍同種の住宅の家賃の算定の仕方についてのお尋ねでございます。
 近傍同種家賃につきましては、公団賃貸住宅の近隣地域に存します民間賃貸住宅の取引事例を収集いたしまして、これと当該公団住宅との床面積の違い、年代の違いあるいは立地の違い等について相互に比較考量し、補正を行っていく。まさに委員御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、具体の事務は不動産の鑑定機関にお願いをしておりまして、不動産鑑定評価基準に基づく賃貸事例比較法という客観的、合理的な方法によってその算定を行っていただいておるところでございます。
 それで、近傍同種賃料を算定する過程におきましては、比較対象とする民間の賃貸住宅はできるだけ同種のものを選んでくるということは当然でございますが、当然ながら、全く同じものがあるということは物理上あり得ないわけでございまして、そこで、例えば築年数の補正も含めた補正を行うということでございます。これは、築年数の差についても当然そういう中で考慮されておるわけでございまして、鑑定評価の実務上、一般的に行われているものだと聞いております。
 したがって、経年的な古さに差がありましても、近傍同種の家賃につきましては、そのような補正を経て適正に算出されているというふうに考えております。
石毛分科員 ですから、申し上げましたように、方式自体を外形的に理解すれば、合理性があるように聞こえますという表現はいささか過ぎる、過激かもしれませんけれども、実際、住宅公団の賃貸住宅の住まいと比較考量に本当にたえ得るというような証明というのは、し得るか、し得ないかというのを実証を抜きにすれば水かけ論になるということは私もわかりますけれども、ただ、多摩のいろいろな町の団地の実態を見ましても、そこの近傍に比較考量に該当するような民間住宅、特に築後何年というようなことでいいますと、実態的にはそういう民間住宅というのはなかなか見当たりにくいのではないか。そうしますと、そこに何らかの理論的な操作がされているんだろうというふうに思うわけです。
 その理論的な操作が適切であるのかどうかにつきまして、情報公開をされて、そして住民の方が納得し得るようなところまでいっているのかどうかという、確かに、いただきました資料で、センターで調査結果の最後のアウトプットについてはされているんだと思いますけれども、そういうふうに思います。
 時間の関係がございますので、この点はこれからもっと詰めさせていただきたいと思いますけれども、どうもこの近傍同種の住宅の家賃との比較というところは、やはりもっと考え直すべき中身があるのではないかということだけを御指摘させていただきたいと思います。
 もう一点、この家賃の決定ということに関しまして、私は、先ほどこの中で「経済事情の変動等」の中身につきましてお尋ねいたしました。
 これはどうやら家賃の物価指数を勘案しているということでございますけれども、私は、結論的に申しますと、そこに入居している方の経済力、家賃の負担能力ということもぜひとも勘案条件の中に加えていただきたい。実際的には加わっている部分が全くないというふうには言えないと思いますけれども、もっと積極的に加えていただきたいということをこれから少し申し上げさせていただきたいと思います。
 私の手元に、東京多摩公団住宅自治会協議会が昨年の九月時点での団地の家賃ですとか居住環境につきましてのアンケートをされました、その結果がございます。恐らく、整備公団の方もお持ちでいらっしゃると思います。
 これを拝見しますと、住宅公団が大量に日本の社会、特に大都市部で建築されましたのは、何しろ昭和暦でいいますと三十年代から四十年代、五十年代ということですから、この東京多摩地域での三十五団地の調査結果ですけれども、現在お住まいになっていらっしゃる方は大変もう高齢化が進んでおりまして、世帯主ですけれども、六十歳以上の方で五三・一%ということで、半数以上が六十歳以上。六十五歳以上の方で三七・五%、こういう実情。
 それから、これは今度は世帯の収入ですけれども、世帯の収入でいきますと、年額四百六十九万円未満が五九・五%、六割が四百六十九万円未満ということで、これは、ほぼ、公営住宅の入居の所得制限と同じラインで収入を比較考量しますと、それより下の方が既に六割ぐらい入っていらっしゃる、こういう実情ですよね。
 ですから、一方で、日本の住宅政策の中で、公営住宅法に基づきまして公営住宅の供給が法定されているということですから、住宅政策全体とすれば、一〇〇%日本の住宅政策は民間持ち家制度あるいは民間賃貸住宅制度で動いているわけではない、実施されているわけではない、やはり厳然と住宅政策の一翼に公営住宅というのが位置づいていて、公営住宅法が現に機能している。今、住宅供給はなかなか難しい実情はあるにしても、機能している。そこと、経済力からいえば実質的に同等の方が、公団住宅居住者のほぼ六割に近い方がいらっしゃる。
 そうしますと、その方たちがどれだけの負担ができるのか、あるいは負担をしていただくべきなのかということをもっと綿密に詰めていって、市場家賃をと言いつつも、市場家賃を基準にですから、やはり公団住宅の家賃は政策家賃の部分があるわけですから、その政策性の中で負担力ということにつきましてもっと勘案すべきだというふうに私は申し上げたいのですけれども、いかがでございましょうか。
 ちなみに、もう時間がだんだんなくなって、最後に大臣にお尋ねしたいんですけれども、いただきましたこの資料で、七十五万戸中、今回の値上げになる方、二十三万戸。その値上げ額は、確かに勘案していますから、市場家賃は五万四千五百円で、値上げは五万五百円にとどめますという御説明になるんですけれども、これで計算しましても、総収入に占める家賃割合は約二〇%です。ですから、消費支出に占める割合は恐らく二五%を超えることになるだろうと思いますし、私の友人は実に総収入の二九・七%、三割が家賃で占められている。もしこれが高優賃、省略してしまいますけれども、高優賃に移動できるんだったらば、その負担は恐らく二七%ぐらいに下がるんだろうけれども、なかなかそれも実現できないというふうに言われているわけです。
 いろいろ申し上げましたけれども、家賃の決定のところで、経済事情のところに関しまして、あるいは総体の考え方としまして、負担能力、入居者の方の経済力をもっと注目した家賃の決め方、公営住宅とも比較考量をしながら家賃の決め方をとっていただきたいということでございますけれども、いかがでございましょうか。
古屋参考人 公団賃貸住宅は、中堅所得者層を主たるターゲットに、広く国民の需要に応じて供給をしておるわけでございまして、その家賃のあり方につきましては、その住宅の便益に応じた御負担をお願いする。ただ、その際に、居住の安定ということにも当然配慮しなければなりませんので、そういったものに十分な配慮を加えつつ、運用をさせていただいておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、今回の家賃改定におきましても、低所得でかつ高齢者の方々につきましては、家賃の上昇を抑制するような配慮をさせていただいておりますし、それから、物価スライドの凍結が解除されまして公的年金が十五年から下がるというような状況も踏まえまして、個別の事情に応じて支払い額を据え置くといったような配慮も加えさせていただいておるわけでございます。
 収入に応じた家賃水準の設定をすべきではないかという御指摘につきましては、公団住宅のそのような性格というものとの関連において考えなければなりませんが、基本的には、公営住宅という制度があり、それとの連携を強めることによって居住の安定を総合的に図っていくという対応が必要ではないかと考えております。
石毛分科員 もう時間がありませんので、大臣に最後にお尋ねしたいと思います。
 公団住宅に居住されている方のかなりの方が、先ほども御紹介しましたように、中堅所得という概念からはもう外れておられる。事実上は公営住宅の居住者として位置づけられてもいい方でいらっしゃるだろうというふうに、全部とは申し上げません、そういう方がかなりいらっしゃる。
 そうしますと、住宅公団の家賃の決め方に関しましても、公営住宅法との関連で、むしろミックスして、わかりやすい、普通の生活感覚の表現をとりますと、あいている、あいているというか、個別個別の方の住宅に関しましては、住宅全体は公団住宅の賃貸住宅であっても、個別の居住者に関しましては公営住宅入居と同等の扱い、そういうミックスのあり方が考えられていいのではないか。
 そうした新しい家賃負担のあり方ということを考えていくために、今回、この四月の家賃の値上げというのは一遍据え置いていただきまして、はっきり申し上げれば、とどめていただきまして、凍結していただきまして、一戸当たり三百円ということで御説明を受けましたので、凍結していただいてもそんなに大きな金額の変動はないと思いますけれども、それで新しい家賃政策の体系を国として検討していただきたいというふうに私は大臣に申し上げたいのでございますけれども、いかがでございましょうか。
扇国務大臣 今、理事とのやりとりを伺っておりまして、御存じのとおり、私たちは今回のお話を、先ほど、きのうからも続いているんですけれども、少なくとも市場において民間による供給が不足している、そういう中堅ファミリーの皆さん方を対象にして公団住宅というものの建設を進めて、また供しているというところですから、その家賃の水準について、先ほど理事が言っていますように、民間住宅の家賃と均衡のとれた水準にするということで、例えば一つ例を挙げますと、東京都内のある公団で、年収が大体、今四百八十万とおっしゃいましたけれども、約五百万というふうにしまして、四人世帯の場合、公営住宅の家賃は約五万九千円になりますね。そうしますと、近傍同種の家賃、民間では十万六千円ということで、少なくともこれは国費による助成をもって家賃水準を低く抑えているという現状でございます。
 今石毛委員が仮に公団住宅を公営住宅並みにしたらどうだというようなお話もなさいましたけれども、そうすると、多額の国費を要するというのは当たり前のことでございます。そういう意味では、民間の賃貸住宅に入居していらっしゃいます中堅の所得者層との不公平感が逆にもっと広がってしまうということも、ある意味では考えられる。
 そういう意味で、少なくとも、建てかえのときには公営住宅の皆さん方に併設をして、何とか公営住宅に入っていただいて、入居者の希望によって公営住宅への優先入居というものを配慮しているというのも公団がやっておりますので、そういう意味では、公営住宅の事業主体と綿密な連携をとって、国土交通省としても指導もし、なおかつ、御存じのとおり、今お話が出ました子供がいたり高齢化、そういう世帯の方もたくさんいらっしゃいますので、三人以上の子供がいる世帯とか、あるいはお年寄りがいる世帯とか、そういう方には少なくとも優先入居制度というものをとっていますし、十三年度の実績では、こういうところへ、五千六百世帯の皆さん方がこれを利用していただいておりますので、家賃を下げどめるということですべてが解決するのではない。そうすると、もっと国費の投入ということもあるので、また一般に入っていらっしゃる中層のファミリーの皆さん方との格差が逆に生じるということも配慮しながら、今後も図っていきたいと思っています。
石毛分科員 時間が参りましたので終わらなければいけないのですが、一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 新しく入られる方には、新しく入られる方の経済層としての所得と家賃負担のマッチングがあるわけです。古くから入られている方は、中間所得層とはいいつつも、過去の市場で入ってこられて、そして、現在は低い所得という意味で、現在の市場に合わせて需給がマッチングする関係というふうには理解し得ないのではないかということを申し上げさせていただきまして、時間が過ぎましたことをおわびしまして、終わります。
 ありがとうございました。
栗原主査 これにて石毛えい子君の質疑は終了いたしました。
 次に、鍵田節哉君。
鍵田分科員 民主党・無所属クラブの鍵田でございます。
 私は、二〇〇五年に開港を予定しております神戸空港の問題につきまして、平成十三年の八月に質問主意書を提出させていただきました。九月に答弁書をいただいたわけでございますが、そのときにまだ明確になっておらなかった問題が幾つかございますので、それらを確認する意味で航空局長にお答えをいただくということにして、質問を通告させていただいております。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 具体的な飛行経路の問題につきまして質問をいたしましたけれども、「今後、国土交通省において検討の上、設定する予定であり、現時点において成案を得るに至っていない。」というお答えでございました。これにつきまして、その後一年半経過をしておるわけでございますが、この具体的な飛行経路が決定を既にされておるのか。もしされていないといたしますと、二〇〇五年の開港ということで、もう時間も迫っておるわけでありますから、そういう中において、安全性の確保とかそういうものがちゃんとできるのかどうかということにつきまして、まずお聞きをしたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 神戸空港に係ります飛行経路の成案はなされているのかという御質問に対しましては、まず結論から申し上げますと、まだ成案を得るに至ってございません。
 神戸空港の具体的な飛行経路につきましては、神戸空港だけではございませんで、関西空港やその周辺の空港、さらには中部空港とか、そういったものも視野に入れて、全体の空域におきます航空交通の安全の確保を全体として目的として、私どもの方で設定するということで今準備を進めているところでございます。
 さらにもっと具体的に言いますと、現在、関西圏の空域についても、今、実際の空域の飛行ルートというのがございますけれども、これをさらに、交通量がどんどん伸びていきますから、安全で円滑な飛行経路のあり方ということについてさらに改善の余地はないかというので、見直しの作業というのを、今も実はやっているわけでございます。
 神戸空港に係ります出発、進入方式の飛行経路もこれと非常に関連してくるわけでございまして、このような全体の検討の結果を踏まえまして、まさしく関西空港の飛行経路との関係の精査であるとか、効果的な管制実施体制のあり方といいますか管制方式といいますか、具体的な管制のやり方等の検討を行いながら素案をつくって、そして、さらにもっと言えば、経路上の関係の無線施設の電波の受信状況などなどについて、実際に飛行検査等を行って安全性を確認する必要がございます。また、その前の段階におきましても、いろいろなシミュレーションとかそういったものをやって評価を行いつつ、改善しつつ、一歩一歩、案を固めていくわけでございます。
 そういう意味で、最終的な神戸空港の飛行経路が確定いたしますのは、開港の半年ぐらい前になって初めて確定してくるということになるわけでございますけれども、素案としては、素案といいますかその前の段階としては、一歩一歩固めている作業を今やっているというところでございます。
鍵田分科員 確かに、関空の二期も、開港が若干時期がずれるとかずれないとかという議論もありますし、そういうことも含まれて、そして、全体の空域の管制について議論されることはよく承知をしております。しかし、二〇〇五年の開港ということでございますから、そういうことから考えますと、早急なルートの策定ということが必要になってくるわけでございまして、半年前までにはもう既に成案ができて、さらに、それに基づいた各種のシミュレーションなども必要になるんではないかというふうに思っておるわけでございます。
 これらにつきまして、一般にそういう成案されたものについては公開される予定があるのかどうか、それらにつきまして。
洞政府参考人 ここで申し上げております成案というのは、まさしく確定したといいますか、そういう案でございます。もちろん、環境アセスメント等をやる際に、素案という形で、先生御存じのとおり、西から入って西の北域へ出ていくというようなルートが示されておりますけれども、そういったものをベースに、より細かく、高度とか間隔とか、ほかの空港に離発着する航空機の経路との関係等々、それこそ精度を高めてそういうのをやっているわけでございます。
 その過程でシミュレーションもやるし、実際の管制官にやってもらってその評価をし、必要に応じて、例えば、細かい話ですけれども、そのルート専用の管制卓を設けて、それに専用の人間を張りつけていろいろ手分けしてやるとか、そういう実際の管制のやり方等々も入れながら一歩一歩詰めていっている。
 当然のことながら、これで必ずできるとなった場合には、それは当然表に出して、これでやらせていただきますということを発表させていただきたいと思います。
鍵田分科員 それで、管制につきましては、関空の二期工事も含め、そして大阪国際空港との一元的な、ターミナルレーダー管制業務というんですか、そういうもので管制を行っていく、それで問題がないというふうに答弁書ではいただいておるわけでございますが、現在でもたくさんの航空機が離発着しておりまして、大変ふくそうしておるわけでございます。この神戸空港が完成することによりましてさらに便数がふえてくるということになりますと、現在でさえ離発着にいろいろな制限を設けたりしまして管制をしておるわけでありますから、さらにそれに対して複雑な運用を余儀なくされるのではないかという気がいたします。
 一元的な管制につきまして取り組まれておる空港というのが、海外でも幾つかのそういう地域があるということは知っておりますけれども、例えば、六甲山であるとか生駒山系でありますとか、そういう山岳を周辺に持った中で、二十キロぐらいの範囲で三つの空港があって、それを一元的に空域の調整をするということを言われておるわけでありますけれども、実際にそういう事例が海外などでもあるのでしょうか。そういうことでちゃんとこなされているのかどうか、そういうことも検証されているのかどうかということがまず一点。
 そしてもう一つは、一元的な管制を行えば、ニアミスなどの危険性というものが高まることはないのかどうか。そして、管制官の負荷というものが現状よりも高まるのかどうかという問題。
 それから、神戸空港は西から東に入るといいますが、これもやはり風向きにもよるわけでありまして、逆の離発着も考えられるわけでございます。そういうことも含めまして、実際の航空交通の安全性というものが確保できるのかどうか、そういうことをちゃんと確信を持って言われているのかどうかということにつきましてお答えをいただきたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 広域的に一元管制を実施するのが適当かどうかということにつきましては、山岳等の障害物といいますか、そういったものの存在に大きく左右されるということよりも、むしろ、関連する空域であるとか、その関連する空域全体の中の飛行経路等の設定条件等々によって、安全性の確保の観点、空域の有効利用の観点あるいは管制業務が効率的にそれこそできるかどうか等々の観点から、こういう一元管制を実施した方がいいか、それとも、単独にそれぞれ空域を分離してやった方がいいか等々を決定されるべきもの、そういう性格のものではないかと考えております。
 それで、先生御指摘のとおり、こういう山岳、三方を山に囲まれた広域的な一元管制をやっている事例が外国にあるかという御指摘については、正直申し上げまして、山に囲まれているか、具体的な地形がどうなっているか等というところまでは今確認しておりませんが、御指摘のとおり、アメリカが広域管制を一般的にやっているところでございまして、アメリカ全土で、正確な数は把握しておりませんが、二十以上の広域管制をやっている状況がございます。
 いろいろなところがございます。例えばニューヨーク・エリアというのがございますが、これは広域管制で一元的に進入管制をやっているわけでございますけれども、このエリアの中には空港が六つございます。それから、サンフランシスコとかそういうところもいろいろやっておりますけれども、むしろそうやって一元的にやった方が、例えば、それぞれの空域を設定して、狭い空域を無理して飛行ルートを設定するとか、それぞれの管制機関同士のやりとりであるとか、そういったこと等々を考えると、こういうふうに一元的にやった方がいい。
 先生御存じのとおり、現に今、伊丹と関空は一元的にやっておりますけれども、これに神戸が入ってくるわけでございますが、関西のそういう限られた空域の中で別々にやるということよりも、同一の管制機関においてターミナルレーダー管制業務をした方が安全性の確保がむしろ達成されるというふうに考えております。
 さらに、管制の安全性の確保については、環境の問題といいますか、飛行ルートというのは環境の問題等もございますけれども、そういったものも考慮に入れながら、関係空港の出発、到着経路の間で所要の安全間隔が確保され得る飛行経路を設定できるかどうかということ、それから、それぞれの経路の中でも、前後の間隔あるいは水平の間隔を、目視でやる場合あるいはレーダーでやる場合、それから、上下の間隔等をどれくらい離すか等、管制の実際の運用方式というものをきちっとそれぞれ決めて安全性を確保するわけでございますけれども、今までの段階で、いろいろな検討を行っておりますけれども、関西圏の三空港についてこういう広域管制をやるということについて、特段の支障があるとか致命的な問題があるとかということはございませんで、むしろその詳細を、今後、より安全性を高める方向で詰めていくということで検討しております。
鍵田分科員 私が申し上げているのは、決して、広域な管制をすることに問題があると言っているわけじゃないんです。広域な地域での管制をやることが全体のスムーズな運営には必要なことは認めておりますし、また、ニューヨークやサンフランシスコでもそういうことがやられているのはよく承知をしておりますが、要は、やはりそういう狭い地域の中で広域管制をやることによって、全体の空港の活性化に影響するんじゃないか、運航にも影響するんではないかということを懸念しておるわけであります。そういう面では、管制官なり、それから実際のパイロット、運航しておる人たちの意見を十分聞いてこれらの広域管制がされているのかどうかということには非常に疑問を持っておるわけです。
 そういう関係者からは、非常に狭い地域で広域の管制をすることによって危険性も高まる、さらには、これからちょっと質問いたします需要の問題ですね。ニューヨークだとかサンフランシスコの場合は大変な乗客がおって、その需要を賄うためにそれだけのたくさんの空港があるわけですけれども、今は、関空と大阪国際空港でもお互いに便の取り合いをする。さらには、こちらの羽田や成田の空港との便の調整をしたりしてやっておるというふうな状況の中で、さらに神戸をつくって、三つも空港が必要なのか。三つの空港をつくることによって、逆にお互いの足の引っ張り合いみたいな形になって、空港の運営に支障を来すのではなかろうか。
 そういう意味では、神戸市として独自でつくると言われながらも、やはり国費も投入するわけでありますから、そういうものが、現在の経済の状況なり、またはその需要の状況から見てきまして、必要性があるのかどうかということにつきましてお答えをいただきたいと思います。
洞政府参考人 先ほどの管制のお話の関連の御質問に対しましてまず申し上げますと、神戸空港が加わることによって、例えば関空とか伊丹の発着能力とか、そういったものが制約を受けるというような考え方はとっておりませんで、三空港のそれぞれの機能を最大限発揮できる。関空は本来、一本なり二本の滑走路ができた場合に、期待される滑走路の処理能力というのがあるわけでございます、伊丹は伊丹でございますけれども。
 そういったものとの調和を図りながら、神戸空港の離発着がスムーズにできるような飛行ルート、飛行ルートの設定によって、当然のことながら、先生おっしゃるとおり、発着能力とか機数というものが場合によっては限られて制約を受けるということは当然考えられるわけでございますけれども、その辺が調和ができるような形で飛行経路なり管制方式というものをいろいろ検討しております。
 ただ、それによっていろいろ、管制官の負荷とかそういったものが増す、あるいはパイロット等のあれが増すということがないように、それを軽減するためにはどういうやり方があるか。それから、先ほど申しましたような、管制所の中で、例えば神戸は、神戸専門の管制卓といいますか、そういうセクションを設けて特定のところを監視する人を配置することによって、その辺のところがうまくできるかどうか、負荷が軽減できないかどうか等々を含めて、いろいろ検討しているということでございます。
 それから、後段の御質問の方で、三つの空港が必要なのかどうかという御質問につきましては、先生御存じのとおり、近畿圏は二府四県で、人口が二千万以上、経済規模にしても八十三兆円という非常に、諸外国に比べて、スペインやカナダに匹敵するような集積がございまして、今後とも航空需要は増大していくと考えられておりますし、国際線の関空の二期にいたしましても、早晩パンクするということが予想されて、二期事業というのを今推進しているところでございます。
 まさしく神戸空港に関して限定していろいろ申し上げますと、神戸空港は、やはり神戸市の後背圏、三百万人を超える航空需要あるいは神戸市以西に対しての大変な需要というものがあるわけでございます。また、伊丹空港の空港制約といいますか、伊丹空港は、諸問題、環境問題とか発着時間であるとか、いろいろな制約があるわけでございますけれども、そういう制約を緩和して、利便性の観点から、需要もあるし、そういう意味で必要であるというふうに考えております。
 そういう意味で、大阪湾内に三つの空港が必要なのかということについては、必要であるというふうに考えて、その整備を推進しているということでございます。
鍵田分科員 質問主意書の答弁では、その需要予測というのは平成七年に神戸市において実施されたものだ、したがって、航空局というか国としては、詳細については承知しておらないという答弁であったはずなんです。それが十分な需要があるのだと言われることは、ちゃんと需要予測を国としても承知をしてやっておるというふうにこちらとしても承知してよろしいですね。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の、先生からいただきました質問主意書に対する答弁の中では、神戸市が実施いたしました神戸空港の需要予測につきまして、その基本的な内容は聞いているけれども、詳細は承知していないというお答えを差し上げたわけでございます。
 この詳細という意味は、多少細かくなりますけれども、需要予測作業、私どもが実施しているわけではございませんから、コンピューター等で処理される膨大なデータ、それから、細かいいろいろな、データの細部はどうなったかというところまで、全容を全部承知していないという意味でお答えしたものでございます。
 しかしながら、神戸市が実施いたします需要予測の適否にかかわります重要なポイント、例えば経済成長率の設定でありますとか、あるいは地域間の流動量、他の交通機関、新幹線であるとか、あるいはほかの空港を含む公共交通機関を含む交通ネットワークの想定の考え方、それから、そのポイントのアクセス時間であるとか運賃であるとか時間価値であるとか、そういった基本的なポイントにつきましては、私どもとしてはこれを把握して、そしてその結果、その予測は適切に行われたというふうに確信しているところでございます。
 そうやってはじかれた需要予測、その当時、例えば二〇一〇年で四百二十万近い数字が出てございましたけれども、そういうことで神戸空港は必要だということで、補助事業として採択して実施をしているものでございます。
 事実、その後、私どもは、この需要予測の精度をさらに向上すべく、需要予測の向上のガイドラインというのを十三年の暮れに公表いたしまして、先生御存じかと思いますけれども、神戸市は、これを受けて、さらに需要予測の見直しをやって、その結果が昨年の十二月末に出てございます。
 それは当然のことながら、経済成長の数値につきましても、かた目の数字と、さらに、他の輸送機関との分担率等々についても、例えばほかの空港等に結果としては流れやすいような結果になるわけですけれども、そういう、より精度を高める手法を使って需要予測をやっております。
 それによりましても、二〇一〇年度の神戸空港の需要予測というのは、先ほどの四百二十万人から三・六%の十五万人減というぐらいの数字が出ておりまして、これはとても大変な数字でございます。そういう意味で、神戸空港の必要性というものは揺らぐものではないのではないかと考えております。
鍵田分科員 それでは、それらの資料もいただければと思いますが、また再検討を私たちもしたいと思います。
 それでは、次の質問に入りますが、この神戸空港の事業費の資金計画のことについてでございます。
 建設事業費が三千百四十億円。そのうちの二千百八億円が市債。さらには、それの土地売却をして六百七十七億円が入ってくる。さらには、国からの補助金が三百二億円ということでホームページでも出ておるわけでございます。これらにつきましては、市税を使わずに建設して、そしてまた空港開港後は、経済波及効果などによって増収があって、年間約三百億円ぐらいが見込まれて、福祉や教育、文化などの事業に生かされますというふうなことが書かれておるわけでございます。
 まさに、どこの空港も、開港のときにはこういう何かバラ色の予測をいたしまして、資金も余り要らないし、また、後の運営も非常に順調にいくんだ、こう言われておるんですが、実際の全国のいろいろな地方空港の運営の状況などを見ておりましても、大変苦戦をされておるということが言われておるわけであります。
 実際に土地を売却して資金をつくるというふうなことも言われておりますけれども、これらにつきましても、今、不動産が非常に動きづらい、そういう経済の環境の中で、実際のこういう資金計画などにつきましてうまくいくのかどうか。
 むしろ、国からの資金にしましても、三百二億円と言われながらも、これがさらに増加をしてきたり、また、土地が売却できない場合にはそこに国の機関とかそういうものに入ってもらいたいとか、いろいろな働きかけがこれからも出てくるのではないかというふうに思いますけれども、それらにつきまして、認可官庁としての、実際にそういう問題が起こってきたときの責任をどういうふうに考えておられるのか、それらにつきましてお答えをいただきたいと思います。
洞政府参考人 神戸市は、神戸空港のために、空港島といいますか、埋め立てているというよりも、全体の埋立計画の中、そういう事業を推進している立場がございます。その一部を利用して空港を建設するという、空港の設置者、管理者としての両方の立場がございます。そして、先生が今おっしゃったホームページの三千億円云々というのは、そういう全体の空港島の事業の話、空港島といいますか、島の埋め立ての話と思います。
 私どもが関与しますのは神戸空港に係る部分でございまして、埋め立てた土地の取得も含めまして、神戸空港の事業費というのは五百三十億円でございます。それに対して、私どもは、空港整備法の規定等によりまして国費の二百八十億円を充てる、こういう立場でございます。
 でございますから、お尋ねの神戸空港の、例えば整備に充てる費用というのは、これは国が所定の費用負担を行いますけれども、開港後、いろいろな問題が起こって負担を求められるという可能性につきましては、神戸空港に関して、滑走路の大規模改修とか、空港整備法に基づいて国が補助しますよというもの、あるいは、空港保安施設というのは国が直轄でやりますから、これの更新とかそういったものは国がやることになりますけれども、それを除けば、維持管理等については、すべて神戸市の責任で賄われるということになります。
 余談でございますけれども、先生御指摘の三千億円とか、残りの土地を売却する云々かんぬんという問題につきましては、いろいろ市債等でそれを整備されているんだと思いますけれども、その償還の問題等につきましては、まさしく、空港の問題というよりも地方財政の問題になるわけでございまして、国土交通省として、これに対する負担といいますか、そういったものはあり得ないというふうに考えております。
鍵田分科員 時間が参りましたので、まだ幾つかお聞きしたいことがあるんですが、要は、やはり今の伊丹の空港、それから関空の二期工事、これらの整備をすることによりまして十分将来の需要にも応じていけるというふうに私は確信をしておりますし、地元にも大きな反対運動もまだあるというふうに聞いております。将来にわたって、無用の公共投資であったと言われることのないように、今がやはり見直しをするのであれば最後のチャンスだというふうに思います。それらのことも踏まえて、十分な御検討をいただきますことをお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
栗原主査 これにて鍵田節哉君の質疑は終了いたしました。
 次に、平野博文君。
平野分科員 民主党の平野博文でございます。
 きょうは、限られた三十分でございますが、特に地元の課題を中心に、御質問なり御要望なり、また大臣を激励したり等々で、三十分おつき合いをいただきたいと思います。
 四点について聞きたいと思いますが、第一点は第二名神の高速道路の状況について、第二点は第二京阪道路、さらにはそれに連関する国道一号線の問題、最後に関西空港の問題についてお聞きをしたいと思います。
 第二名神高速道路ということで、今、民営化推進委員会というところで御議論をされておるわけでありますけれども、実際に現場で頑張っていただいている道路事務所、国土交通省、さらには公団の皆さん方は、もともとの計画決定に基づいて工事を実行していっているわけでありますが、私、今ずっとその関連のところの現場を歩いていますと、現場の地権者なり都市計画決定をされている土地の所有者は、非常に今、戸惑いを持って見ているわけであります。
 現実には、もともとの、当初の計画から見ますと約二年ぐらいおくれている、こういう状況で、これが本当に将来どうなるんだろうか。計画決定を打たれていますから、その所有者は何もせずにじっと置いている。そうしますと、将来本当に、民営化推進委員会の結論によっては中止、こういうことになったときに、この地権者との関係を、どういうふうに理解、納得させるのか。この問題は、かかっている範疇の土地の所有者が非常に迷惑がっておるわけであります。せっかくつくるんだから協力しようと言っている地権者と、国が進めてきた道路計画じゃないか、それが民営化委員会という名のもとに、東名もそうですかね、東名も第二名神も一応休止、棚上げ、こういう状況になっています。
 大臣、今後このことについてはどういう方向に進むのでしょうか。その点、所見を聞きたいと思います。
扇国務大臣 国土交通委員会でも、本会議場でも、民営化委員会のことが随分議論になっております、御存じのとおりですけれども。少なくとも、民営化委員会の答申を尊重することというのは小泉総理の御発言でございますし、私ども閣議でもそのことを言われて、それを尊重しながら、なおかつ与党とも話し合って、私に後を処理することという御下命が出ております。
 だから、もちろんあの七人の侍と言われた皆さん方が、あらゆるところへいらしたり、また時間をつくって検討していただいたことに対しては、私は、大変参考になる資料であるし、また真剣に御討議いただいたことには感謝しています。
 また、さかのぼれば、一昨年の十二月に私自身が、国土交通相として、私は自分で私のもとに委員会を設置して、四公団のあり方というものを検討しました。そのときには、四公団ではなくて本四を外して、本四の負債は、本四はもうでき上がっているわけですから、本四だけを外して、あとの三公団をどうするべきかということで、諸井さんに座長になっていただいて、私自身は、一昨年の十二月に国土交通相としては意見を既に集約して、本四だけは別にするということをまとめました。その後で今の民営化委員会ができたものですから、両々相まって、両方の御意見があるということは私はいいことだと思うんです。
 そして、民営化委員会の皆さん方の一番のメリットというのは、公開されたということです。そのことによって、連日テレビ、新聞等々で報道されて、国民の皆さん方が初めて、ああ、こういう状況だったのか、こういう財政状況の中で我々のところはつくっても通行量が満たないなと、経済効果があるのかないのか、そういうことを皆さんが実感して、オープンにされたことは私はメリットであったと思うんです。
 ただ、デメリットもなきにしもあらずです。それは、テレビで公開して、専門家の皆さん方は、自分の意見を曲げてしまうということでは専門家として入った意味がないものですから、最後まで自分の意見を主張されたということで、最後の合意が得られないで委員長がおやめになるというような事態になった。これは私は大変残念なことだと思っています。
 ですから、私はそれを、いただいたものを、総理がおっしゃるように与党とも連携をし、なおかつ、八条委員会としてあの民営化委員会ができた、その八条委員会の前の列車が御存じのとおり国幹会議というものがあって、これも総理が座長で、一万一千五百二十キロというのは決まっているわけです。ですから、後で行った列車、前の決まったものをどうするかということを整理しなければ、これは電車同士が追突します、はっきり申し上げて。そういうことも私に整理をしろという御下命でございますから、大変私は難しいことであるとは思います。
 正直申し上げて、全国、アンケートをとったというマスコミがありました。六〇%の人がもう高速道路はいいじゃないかと言っていると書いてあるんですね、新聞には。けれども、御存じのとおり、一万一千五百二十キロの中で、全国の高速道路の中で、でき上がっているのが六〇%なんです。だから、できているところの人は、もう要らない、こう言うわけですね。そして、四十七都道府県の知事さんたち、あるいは市長さんたちも、あるいは国会議員の先生方、与党野党を問わず、自分のところへは持ってきてくれと必ずおっしゃいます。
 そういう意味では私は、果たして今の財政上でできるかということなので、第二名神も含めて、コストダウンを図って集中的にすることによって、この部分はどうしても経済的あるいは国際的にも物流で必要だという部分を全国の地方自治体で選んでいただく。
 幸い、国土交通省は全国を十のブロックに選んで懇談会をつくっています。それは、知事さんあるいは政令指定都市の市長さん、経済界、この懇談会で、そのブロックで何が一番早く欲しいか選んでください、こういうことも言っていますので、私は、その上で、その地方の一番重要なもの、要求はたくさんありますよ、一般国道を大きく拡張しろとか、高速道路、あるいは新幹線、飛行場、要望はありますけれども、そのうちを選んでいただきたいというふうに考えて、今後それを図っていきたいと思っております。
栗原主査 大臣、簡潔に御答弁してあげてください。
平野分科員 三十分しかないものですから、私三分で、大臣八分ぐらいお答えいただいていますから……(扇国務大臣「大事なところですから」と呼ぶ)いやいや。ところが、では第二名神はどうなるんですかということで、わあっと言われて、何となくわかるんですが、それであれば地元の地権者に、こういう状況ですからということをやはりしっかりと御説明、経過説明をしてあげないと、どうなるのかとずっと待っている。
 こういう、今までの計画決定をしたところが、ひょっとしたら、今大臣がおっしゃるような協議会、懇談会で、これはもういいやといっちゃうと、一番困るのは土地を提供している地権者でありますから、そこの整理をやはりもう少し、今おくれているけれどもこういう状況ですということはやはりしっかり説明をする責任が私はあるように思うんですね。これはぜひ説明をしていただきたいと思う。
 もう一つは、第二名神について考えますならば、一部、もう部分供用をしているところがあるんですね。それを、今大臣がおっしゃるように、何が最適かどうかと言っていますが、道路形態の中で一部もう部分供用しているところがありますから、最悪のケース、これがもしおかしくなると、全体の道としてどんな道路形態になるのかなという心配があります。
 ただ、大臣おっしゃるように、これから考えていく、総延長何キロという、これについては費用対効果を含めて何が一番ふさわしいかということを再検討されることは、財政事情、もろもろのことで結構だと思うんですが、既に計画決定をして工事を進めているところについてもそういう発想でやられると、今までのお考えのもとに賛同いただいている国民に対して混乱だけが起こるのではないでしょうか。これを起こさないようにぜひお願いをしておきたいと思います。これが要望でございます。
 いま一つは、第二京阪道路の状況についてお願いでございますが、今現実的に、第二京阪道路は高速道路でありませんから、着々と既定の計画どおりにおやりをいただいているんですが、ことしの三月末に国道の三〇七号線までが部分供用開始ということで、三末に一応供用が始まるわけでございます。
 そこで私、少し道路事情の交通流量をとってみたわけです。第二京阪道路というのは、まさに国道一号線の渋滞を解消するという大きな大義のもとにやっていただいておりまして、今のところ、平成十九年度に近畿自動車道まで開通させるということで関係部署で御努力いただいているわけで、心から敬意を表したいわけでありますが、部分供用開始ということは三〇七号線まで来るんですが、三〇七号線というのはもともと大渋滞を起こしている道路であります。
 部分供用開始で大体一日一万台ぐらいの車がそこに合流するものですから、バイパス道路ということを今一部、一号線に目がけてつくっていただいて、進行中でございます。これはよく承知しておるんですが、特に平成十九年度までの進行の過程で、今まで、一号線の大渋滞があるから第二京阪をつくろう、こういうことでやっていただいておりますが、ところが今度、この三末で途中まで部分供用開始をする。そうすると、また一号線にじょうごのように流れてくるんですね。そうしますと、そこのところが今まで以上に渋滞が起こってくる可能性があるんですね。開通するまでこれから五年ぐらいの中で当然起こってまいります。
 ところが、我が地域の枚方というところは、交通渋滞とともに交通事故が非常に発生をしておるわけでございまして、その点についてのやはり整備をぜひお考えいただきたいと思いますし、そういう観点での考え方を持っておられるのかどうかをお聞きしたいと思います。
佐藤政府参考人 先生ただいま御指摘の問題は、多分三つぐらいに分けてお答えするのが適当かと思います。簡単に申し上げます。
 第二京阪道路は、延長二十七・四キロ、全体事業費約九千七百億円の京阪神地域の広域幹線道路で、一号のバイパスとして機能するものであります。先ほどお話しのように、平成十五年の三月末に、巨椋池北インターから枚方北インターまで十・五キロ、部分供用を図るということにしております。
 この場合に、これと同時に、先生御指摘の国道三〇七号は、現況で一日当たり約二万台という、二車線で二万台でございますので大変交通量の多い道路でございます、ここが渋滞するのではないか、こういう観点から、この国道三〇七号に並行する市道の枚方藤阪線と府道の枚方東部線を、第二京阪道路の整備とあわせまして、平成十五年、ことしの三月二十四日に供用するということで分散を図りたい、これが一点でございます。
 それからもう一つ、分散した場合にも、国道一号の大阪側がさらにやはり渋滞が激しくなるのではないか、こういう御指摘でございます。
 そういう意味では、国道一号の交通量自体は、従前よりはむしろ多少の緩和が図り得るかという点はございますが、大阪側へは渋滞が続くといいますか、そういう状況になる可能性はある、こういうことでございまして、それにつきましては、例えば、第二京阪道路が直接接続する国道三〇七号に、大阪府で右折レーンの新設であるとかあるいは五百メーターにわたって歩道を設置するとかいうような対策を講じるとともに、平成五年に大阪府渋滞対策協議会というものが設置されておりますが、ここの中で、国道一号などにつきましても、大阪府警の警察本部や道路の管理者同士が連携していろいろな交差点改良を実施してきたところであります。この協議会を活用しながら、関係機関と協議して、今後引き続き対策を検討していくということにしております。
 また、事故対策につきましては、大阪府の道路交通環境安全推進連絡会議、これを平成十三年に設置していただきまして、また、あわせましてかたがた事故対策も引き続き検討しながら、必要な対策を講じていくということにしております。
 いずれにしましても、抜本的な対策としましては第二京阪道路の早期全線供用、これがまた大事なことでございますので、そちらを全力を挙げて努力してまいるということにしております。
平野分科員 道路局長が言われたところがポイントでございますが、ただ、引き続き検討をしていきますというより、明らかに起こっている実態は、接合部分、一号線に接合する部分の事故。特に、側道的に膨らませますと、違法駐車が、トラックの違法駐車がかなりふえて、結局その側道が本来のように生きてこない。こういうことで、地元の住民の皆さん方は、警察の方に取り締まりを強化してもらいたいとかいろいろやっているんですが、そうならないような道路行政上でのディフェンスというんでしょうか、通行しながらディフェンスできるようなものをぜひお考えいただきたいと思います。
 私が調べたところでは七カ所ぐらいのところで事故の危険性がかなりございますし、流量的に言ったら、今局長が言われたけれども、大阪府の所轄の国道の交通量のワーストワンというのを調べておられますね、そうすると、必ず一号線の、私の地元なんですね。ずっとそうなんです。あるところで言ったら、旅行速度という言い方をしておられるんですか、これで見たら、平成十一年度ですよ、あるポイントをとりましたら時速三・三キロしか動かない、これが延々と続く。こういうことですから、それが今度、部分供用開始になってきたときにどんな実態になるかというのはもう目に見えて明らかですし、当然その接合点に事故の起こる可能性が多分にございます。
 そういう意味合いで、ぜひ局長、私に対する答弁もそうですが、一番苦労しているのは現場の国道事務所なり所轄の警察なんですよ。中央からしっかりやるようによく言っておいてくださいよ。それだけ、要望でいいです。決意を述べられますか。
栗原主査 佐藤道路局長、かたい決意を聞かせてください。(扇国務大臣「予算通してもらわなくちゃ」と呼ぶ)
佐藤政府参考人 先生御指摘のように、国道一号は大変な交通量でございまして、約八万台から九万台、大変な渋滞の状況であるということでございます。
 警察、関係機関と一緒になりまして、しっかりと対応するように、また、事務所の方にも私から、大臣からもそういうお話があったと、必ずそういうお話があるものですから、ということで、ちゃんと伝えます。
平野分科員 大臣、予算通してもらわなくちゃという言い方をしていましたけれども、必要なものであれば、私の感覚で必要なものであればぜひ賛成はしたいと思うんですが、もろもろ合わせますといろいろもっと費用対効果で考えなきゃいかぬということで、最終結論はまだ決めておりませんけれども、考えたいと思います。
 さて最後に、私は持ち時間もう七、八分しかないんですが、関西空港の問題についてお聞きしたいと思うんです。
 私は、空港行政というのは、少し考え方が違うかもわかりませんが、やはり国際空港というのはもともと国策としてやるべきものだ、第一種空港についてはそう思っています。ただ、運営形態で、民営化という議論のもとにやってきたわけですが、これは余りにもバブルのときの発想でやられたことだと思うのであります。しかしながら、今、現実的にそういう格好でやられておりまして、関空の二期問題、先ほど同僚議員もお話があったかもわかりませんけれども、やはり、関西空港というのはもともとアジアのハブ空港なんだ、こういう発想であそこにでき上がりました。
 でき上がる過程はいろいろ紆余曲折あったわけでありますが、一応でき上がって、今、実際、第一期は一本滑走路で運航しているわけであります。今、二期工事に鋭意御努力をいただいているわけですが、いろいろな課題があるように私は思います。
 今、大臣の方でお考えいただいていますのは、いろいろな意味で民営化だ、こういうことを御指摘され、そういう中でどう経営改善問題を取り上げていくのかということになっているわけでありますが、そういう視点で、私は二、三御質問をしたいと思うんです。
 関空の経営改善問題ということで、財務大臣と扇大臣のもとで議論を深めていかれるというふうに聞いております。特にそういう中で、今関空会社という会社が実はやっておられるわけです、株式会社でありますが、実際に職員の数を見てみますと、大体五百人弱ぐらいの職員ベースでやられている会社であります。国並びにその関係機関から、天下りという言葉が妥当かどうかわかりませんが、出向形態を含めて、この関西空港株式会社に下っておられる方というのは今何人おられますか。
洞政府参考人 関西空港の職員の国からの出向の人数でございますが、国土交通省ほか他省庁も入れまして百八十名でございます。
平野分科員 プロパー職員が百八十名ですね。地方公共団体あるいは公団含めて、合わせますと、プロパー百八十名で、二百名近い人が、あるいは公共団体を入れますと二百五十名ぐらいの方が出向され、天下っている、こういうことなんですね。一方では民営化、株式会社だといいながら、ほとんどが、その大半が、公共団体、国が関係者の出向元なんですよ。
 加えて考えますと、役員と称する方々がおられるんですが、経営トップの方が九名で構成されていますが、九名のうち、民間で入っておられる人が二人、一人は大阪府、あとの方は全部中央から役員構成で入っている。これが実態的に経営をしているんです。そうすると、民間株式会社といいながら、事実上、国の役人の受け皿の会社になっているんじゃないでしょうか、こう思っているわけであります。
 加えて、あと主な関係部長を見ますと、約十三人おられますが、幹部ですな、ほとんど国の役人の方が出向され、もしくは天下っておられると私の調べた資料ではなっていますが、間違いございませんか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございます。
平野分科員 こういう実態の中にあって、大臣、民営化で、株式会社で進めていこうという前に、もしそれであれば、少なくとも天下りをしている方々をとめることの方が先じゃないでしょうか。どう思われますか。簡潔にお願いします。
扇国務大臣 コストを縮減するというのは当然のことですし、関西国際空港、二期工事をするときに覚書を交わしておりますけれども、今後三十年間で有利子負債を減らしていくということと、それから、私が聞いておりますのは、コスト縮減の中で五十人の人員の削減、三十億円の削減をするということで、三カ年特に集中的に改善しようということになっております。私は民間を入れるのが当然だと思っていますので、そういう体質は改善するべきだと思います。
平野分科員 当然だという大臣のお言葉でございますから、ぜひとも、やはり民間の社風を取り入れて、民間の感覚で経営をし、やっていくことが大事ですから。
 しかし、今の実態、役員構成、おられる面々を見ると、とても民間的発想になり得るとは私は思いません。これは給与明細を私はとっておりませんけれども、給与をとったら、これだけの赤字会社になっておる、それに対する危機感をいろいろあおっておられるけれども、では役員の皆さん方の給料明細、一体どうなっているんだと。民間の感覚から見たら、何でこんな高給を取っているんだということになってくるというふうに私は思うのであります。これは私、調べて、また改めて御質問をしたいと思います。
 いま一つは、もう時間が参っておりますので、予算の考え方なんですが、民間にしろといいながらも、一つは国の補助をいただく仕組みになっておりますけれども、空港整備の特別会計というのがあるんですが、昔と違って今はまさに飛行機の時代であります。昔は船の時代でありました、今はもうまさに航空機の時代であります。そういう意味において、今空港特会の持っている比率からいきますと、全く低い比率であります。
 改めてそれぞれのいろいろな意味の予算配分の中での支援のあり方で見たときに、港湾も大事でありますが、今、港湾以上に空の便が経済の大きな仕組みの中に大きく組まれているわけでありますから、もう少しそういう財政のあり方と、さらに言えば、もっと一般財源から空港に対する支援策をすべきだと考えておりますが、その点についてはどうお考えになりますか。
扇国務大臣 冒頭におっしゃいましたように、空港は国が責任を持ってつくるべきだという考え方は、私も基本的には同じです。国がつくって民間に開放して、さあどうぞというのが私は原則だろうと思いますので、空港特会自体を考え直すように、また見直すことを、ぜひ私は国会の中でも御論議いただきたいと思います。
平野分科員 時間が参りましたからこれで終えたいと思いますが、いずれにしても、決めたところについては混乱のないようにやはり進めていただきたいと思いますし、空港行政についても、やはり日本というのは島国ですから、湾港と同時に、やはり空港の行政のあり方によって国の栄枯盛衰まで大きく変わってくるわけであります。お隣の国の空港の実態を見ますと、先進国である日本が一本の滑走路で、さらには真っ赤な赤字をして着陸料を上げておるようでは、なかなかアジアのハブ空港には到底なり得ないと思いますから、そういう意味で、集客でき得るような空港にしていただくことを切にお願いし、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
栗原主査 これにて平野博文君の質疑は終了いたしました。
 次に、森岡正宏君。
森岡分科員 私は、自由民主党の森岡正宏でございます。
 きょうは、私の選挙区であります奈良県を通る高規格道路、京奈和自動車道の問題につきまして、国土交通省と文化庁の皆さん方にお尋ねをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 奈良県民にアンケート調査をとりますと、何に一番不満を持っているのか、こう聞きますと、道路だという答えが返ってくるわけでございます。
 高速道路の延長が全国都道府県の中で四十七番目、ということは、びりということでございます。また、一般道路の改良率四十三番目、また整備率も四十三番目、こういう事態でございまして、中馬副大臣のいらっしゃる大阪と奈良の間、こういうふうに東西の間の幹線道路というのは何本か整備されているんです。ところが、京都から奈良、和歌山に抜ける幹線道路、二十四号線というのがあるんですが、これがもう大変な渋滞でございまして、とてもとてもこのまま放置しておくことができない。二十年も三十年も前からの懸案でございますが、これがなかなか進まない、そんな状態であるわけでございます。
 国土交通省がおつくりいただいたパンフレットにも、今、京都市から奈良を通って和歌山市まで抜けるのに二百二十分かかる、こう書いてございます。京奈和自動車道が完成をいたしますと七十分に短縮される、こう書いているわけでございまして、特にこの二十四号線の渋滞がひどい。私も毎週、選挙区へ帰っているわけでございますが、特に土曜日、日曜日の渋滞がひどい。
 そんなことから、私も同僚議員と一緒になって、京奈和自動車道、早くやってくださいよ、そういう運動を一生懸命やらせていただいているわけでございますが、特に私の選挙区であります奈良市の部分、ここは文化財との関係があるものですから非常に難しい。大和北道路と言われているわけでございますが、まだルート決定もできないという状態でございまして、私も選挙区へ帰りましたら、政治家は何をやっているんだといっておしかりを受けるものですから、大変肩身の狭い思いをしているわけでございます。
 この京奈和自動車道というのは、近畿地方全体にとりましても大変重要な環状道路だと私は認識しているわけでございますが、国土交通省は現状をどのように認識しておられるのか。私は、国土交通省の応援をしたいと思うぐらいの気持ちで、早く進めてもらいたい、そう思っているわけでございます。
 中馬副大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
中馬副大臣 森岡委員が今御指摘されたとおりでございまして、この京奈和道路のいわゆる奈良市街、そしてまた世界遺産にも指定されました平城宮址、そこを通るところがまだ未決定でございます。
 今まで、奈良は本当に静かな山村でもございました。しかし、大阪のベッドタウンとして学園前等がずっと開発されて、そこがかなり宅地化してまいっております。もちろん、京都の北の方もそうですし、滋賀県の方には工場団地ができまして、この人口も急増いたしておりますし、自動車交通も大変なものだということは御指摘のとおりでございます。
 それがために、二十四号線が大変交通停滞をしてしまう。私もよく行きますと、もうとまってしまうんですけれども、それだけではなくて、その周辺のところまで全部入り組んできまして、あっちこっちのそれに沿った県道だとか村道が本当に渋滞して、そこでいろいろな交通事故も起こっております。近畿全体の交通事故のそのところだけをとりますと、九倍とか言われておりますが、そのような状況を何としてでも解消しなければいけない、私どもは強く認識をいたしておるところでございます。
 しかし、先ほどお話がありましたように、ここは市街地を通る、そしてまた世界遺産の文化のあるところを通るわけでございまして、これはただ単に地域の方だけの文化ではなくて、日本の一つの大きな文化遺産でもございましょうし、世界遺産にも指定されているわけですから、かなり慎重でなければならないと思っています。
 しかし、そのやり方等につきましては、今、後で報告をさせますけれども、大和北道路有識者委員会というのを設置いたしまして、ここが主体となって地域の方々の御意見等をいろいろと聴取もいたしておりますし、また、方法等も検討されているようでございます。この間の二月十六日には大和北道路シンポジウムも開かれまして、地域の方々の意見を聞いていただいておりますが、やはりそういうことが私は必要だと思います。
 道路のつくり方自体にしましても、従来のような形ではなくて、私は、ヨーロッパとか中国でもそうですが、農村地帯に非常に風景に溶け込んだ道路がたくさんありますよね。何か、日本のように少し地域の中で目をむいたような道路じゃなくて、地域の中に、ちゃんと街路樹も並べて、本当にすばらしい道路もたくさんあるわけでございますから、そういったことをひとつ地域の方々とも、また私たちも考えますが、ルートを含め、そしてその規格のあり方も含めまして、早くつくることが私どもは必要だと認識をいたしております。
森岡分科員 今御答弁いただきましたように、奈良には、奈良市のど真ん中に百三十ヘクタールもの国有地、平城宮跡があるわけでございまして、今、京奈和自動車道の京都の部分、木津のインターチェンジから大和北道路の南の端だとされております名阪道路の郡山インター、ここを直線で結びますと平城宮跡の東側の端っこにひっかかるわけですね。
 そんなこともございますから、大変な議論を呼びつつあるということになっているわけでございますが、奈良市はどこを掘り返しても、道路をつくるだけじゃなしに、家を建てるときも、もう何をするにしても文化財の調査、文化財の調査といって、余計な金も時間もかかるわけでございます。
 私は、常に開発と保存、文化財の重要性はよくわかりますし、だれよりも、文化財というものを大切にしていかなければいけない、世界遺産でもあるわけでございますから大切にしていきたい、その気持ちはあるわけでございます。しかし、今生きている我々が大変な不便をこうむる、これでは困るわけでございまして、やはり、現代に生きている者と、そして私たちの先輩が残してくれた数々の遺産、これとがうまく共存していけるように、共生していけるような、そういうまちづくりをしていかなければならない、そのためにはやはり幹線道路の整備も大事だ、こんなふうに私は思っているわけでございます。
 重ねて、国土交通省は、文化財に対してどういう配慮をしながらこの大和北道路の建設に対応しようとなさっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 先生御指摘のように、大和北道路の計画予定地域として、奈良北部地域では、世界遺産の平城宮跡を初めとして重要な文化財が大変たくさんございます。
 このため、この大和北道路の調査に当たりまして、特に木簡などの埋蔵文化財保護というような観点から、地質や地下水の状況を把握し、これを計画に反映させるため、平城宮跡周辺においてボーリング調査を平成九年度、十一年度、十六カ所にわたり実施してきたところであります。
 また、平成十三年七月には、地下水や土質などの専門家から成る地下水検討委員会を設置しまして、蓄積された地質データや地下水観測データをもとに、地下水の現況分析や、道路建設と地下水挙動の関係について、予測、評価を行っていただいたところであります。
 さらに、昨年三月、平成十四年三月には、文化財の専門家などから成ります文化財検討委員会を設置していただきまして、地下水検討委員会の結果をもとに、平城宮跡を初めとする文化財保護の観点から道路建設への配慮事項について提言をいただいたところであります。
 現在、平成十四年九月に設置いたしました大和北道路有識者委員会の方で、文化財の専門家の皆様にも御参画いただきながら検討いただいておるところでございますが、今後とも、貴重な御意見をいただきながら、文化財の保存と調和のとれた大和北道路計画の具体化に早急に取り組んでまいりたいと思っております。
森岡分科員 ありがとうございます。
 次に、文化庁の文化財部長にお伺いしたいと思います。
 国土交通省が、今おっしゃったように、大和北道路のルート決定について、PIプロセスという方法を導入しておられます。すなわちパブリックインボルブメントという手法でございますけれども、計画段階から情報公開そしてまた意見聴取、住民の意思をよく聞くということを積極的に行いながら、第三者機関にも加わっていただいて、そして方針を決めていく、透明性や客観性を重視するというやり方をやっていただいているわけでございますけれども、これだけ重要な文化財に配慮しつつ進めていただいておると思うわけでございますが、このやり方を文化庁はどういうふうに眺めておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
木曽政府参考人 文化庁といたしましては、これまで、国土交通省に対しまして、文化財の専門家等からの意見聴取を行うことによって、慎重な検討をお願いしてきたところでございます。それを受けまして、国土交通省では、現在、文化財関係の専門家を加えた有識者会議を設置し、文化財に配慮すべき事項を含めて慎重に検討していただいているものと承知しております。そういう意味で、今回のPIプロセスは非常に我々としても評価をしているところでございます。
 なお、国土交通省によるこのような検討手続において、最終的に適切な判断がなされるものと考えております。
森岡分科員 PIプロセスを評価しているという、今文化財部長さんのお話でございました。
 しかしながら、私のところへも、文化財に関係しておられるいろいろな団体の労働組合とか、それから木簡学会とか、そういう人たちから、もう何度も何度も反対のファクスそして意見書が届くわけでございます。おまえは文化財を大切にしない国会議員だというような言われ方を地元でもされるわけでございまして、私はだれよりも文化財を大切にしたい、そういう思いで、しかし、現代生きている人たちとこの文化財とをうまく共存させていかなければならない、そういう思いで取り組んでおるにもかかわらず、そういうことを言われる。大変残念だな、そういうふうに思っているわけでございます。
 文化財とか世界遺産の保全のために、こういう念入りな配慮をしながら、こうして大和北道路に対応していただいているわけでございますが、文化庁でほかにこのようなやり方で道路建設を進められた事例があるのかどうか、その辺を聞かせていただけませんか。
木曽政府参考人 文化財保護法による史跡等の文化財指定地域において道路建設とかあるいは建造物の建設等の計画がある場合、その事業者に対して、一般的に、埋蔵文化財に重大な影響を与えることがないよう、事前の例えば発掘調査を行うこととか、随時相談及び指導を行っておるところでございます。
 ただ、本件につきましては、世界遺産レベルの文化財でございまして、いわば初めての事案ということでございます。そういうことでございますので、計画策定段階におきまして、文化財検討委員会等特別な委員会を設置して、特別に慎重に対応していただいているというふうに考えております。
森岡分科員 先ほど中馬副大臣がおっしゃいました大和北道路に関するシンポジウムというのが先日奈良で開かれました。私もこっそりそこへ出席させていただいて、参加してまいりました。
 そこで、地下水検討委員会の大西先生とおっしゃる方が座長でございまして、この方がこんなふうにおっしゃいました。道路建設による地下水の変動は最大でも二センチ程度にすぎない。一年間の水位の変動ですね。最大でも二センチ程度にすぎない。むしろ、雨が降る、降雨の量によって水位が二十センチから二メーター九十センチも変動するということがわかりましたという報告でございました。
 また、文化財検討委員会の笹山先生、笹山委員長は、地下埋蔵物に対する影響を最小限に抑えて道路を建設することは、平城宮跡直下をも含めて技術的には可能だ。しかし、平城宮跡の世界遺産としての意義を考えて、道路建設に対する反響を考慮すると、道路の建設は特別史跡の指定範囲についてはこれを避けた方がよろしいと思う。世界遺産条約において定められている緩衝地帯、いわゆるバッファーゾーンと言われる地域においては可能だ、道路建設も可能だ、しかし、できるだけ離すことが望ましい。こういう報告でございました。
 私は、これを聞きまして、ルート決定、今国土交通省のつくっていただいているパンフレットには四つのルート案が示されております。しかし、私は、そのシンポジウムの先生方のお話を聞いて、これでもう落としどころが見えてきたんじゃないか、そういう気持ちを持たせていただきました。
 大和北道路有識者委員会というのが、先ほどお話ございましたように昨年九月から動き出しております。PIプロセスに沿って審議していただいているわけでございますが、現状、国土交通省の方はどう見ておられるのか、どういう方向へ行きそうだと見ておられるのか、ずばり、どのルートが望ましいと思っておられるのか、できればお答えをいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 先生御指摘の大和北道路有識者委員会は、平成十四年九月の二十日に、第三者機関として六名の学識経験者の先生方にお集まりいただいて御審議をいただいているところであります。現在までに五回の委員会を開催いたしまして、PIプロセスの進め方や候補となるルート構造、市民等の意見把握のためのアンケート内容及びその実施方法等について御検討いただいてきたところであります。
 二月十六日には、先ほど先生お話しのシンポジウムを開きまして、専門的かつ公正中立な立場から、精力的に御審議、御助言をいただいている、こういう状態でございます。
 したがいまして、この委員会の先生方のいろいろな御提言をいただきながら、地域のニーズを踏まえながら、貴重な文化財の保存と調和のとれた大和北道路計画はいかにあるべきか、これにつきましても速やかに御提言がいただけるものと期待しております。それをいただきながら、また、総合的に勘案して速やかなルート決定を図ってまいりたい、そういうふうに思っております。
森岡分科員 道路局長さん、なかなか慎重な言い回しでございますけれども、シンポジウムを私聞いておりまして、四つのルートがある。東側をうんと迂回する案、そして西の方へうんと迂回する案、そして中央の、奈良の市街地を通る中央エリアというのが二つございます。平城宮跡のちょっと東側を通る案と、それから旧奈良の市街地のど真ん中を、特に地下を通す案だと思うんですけれども、この四つが示されているわけでございます。
 私は、東も西も、これは論外だと思います。国土交通省も本音ではそう思っておられるんじゃないかな、そう思うわけでございますが、この中央エリアを通る一案と二案、示されております。どちらがいいと思われますか、お答えをいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 さっき先生、それ自体が、この四つのルート、大まかな幅で示させていただいておるわけでございますが、この中で、どういう観点からいかなるルートを基本的に採択していこうとするかという点についていろいろ御審議をいただいておるさなかでございますので、そうした御提言があればそれを踏まえながら検討をしてまいるというのが、私どもとしての現時点で申し上げられる内容かと存じます。
森岡分科員 なかなか慎重でございますね。
 それじゃ、道路の構造について、地下ルートがいいのか、また、上を高架化した道路がいいのか、両案示されておりますね。もし中央エリアを通るとしたら、地下案がいいと思っておられますか、地上の高架の方がいいと思っておられますか。それぞれ一長一短あると思いますが、国土交通省が今考えておられる考え方をお示しいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 過去の例でございますと、例えば千葉県の千葉市内に加曽利貝塚というのがございまして、京葉道路が通っております。これにつきましては、ごくごく薄い地下構造にいたしまして、これは大変な、土壁の薄い工事でございますから難工事でございましたが、これは上の方に貝塚が、遺跡があったからということで、その下を掘らせていただいた。現状、供用しております。
 それから、例えば、遺跡をそのままにして、後で、後代の分析にお任せするということで、とりあえずそっと盛り土をして、そして将来遺跡の調査の知見が上がってきた段階で本当に必要ならまたお掘りいただくというようなことで、とりあえず仮に盛り土をさせていただいた、そういう例もございます。
 それから、同じ加曽利の貝塚では、片一方を五十一号のバイパスが通してあるのでございますが、これにつきましては、低い橋梁でやはり遺跡を保存した、こういうような形もございます。いろいろなやり方があろうかと思います。
 そういう意味で、先生方のいろいろな御審議と、それから住民の皆様のPIということで、いろいろな御意見をいただきながら検討してまいりたいというのが現状でございます。
森岡分科員 私は、地下水検討委員会の報告、また文化財検討委員会の報告、それらを総合いたしますと、やはり地下を掘るのが望ましいんじゃないか、そういうふうに思っております。
 奈良の場合は、先ほども申し上げましたように、上につくるのだってやはり同じように文化財調査が要るわけでございまして、大変な時間がかかる。そして、先ほど申し上げましたように、地下水に対しては、道路を三十メーター、四十メーター下を掘ったら地下水に対する影響はほとんどないんだという報告もあったわけでございまして、私は、バッファーゾーンと言われております、直接平城宮跡の地下に当たらない、ちょっと東の部分、今の二十四号線、二十四号バイパスの下あたりを掘って、そして京奈和自動車道ができるだけ真っすぐ和歌山に抜けていけるようなルートが望ましい、そういうふうに思っておるわけでございまして、そういう意味では、中央エリアの一番、こういうことに、私なりにそう考えているわけでございます。
 以上、いろいろなお話をさせていただきましたけれども、大和北道路では、中馬副大臣、ほかの道路建設のいろいろな場合がございますでしょうけれども、随分、文化財に配慮した進め方をやっていただいているわけですね。
 これだけ住民の意見を早い段階から聞いたり、そして、早くから慎重に、丁寧に取り組みをやっていただいているということを見ておりますと、いつごろ大和北道路のルート決定をしていただけるタイムリミットが来るのかなと私は楽しみにしながらも、しかし、これは、役人任せにするんじゃなしに、やはり政治家がいずれかは決断しなければいけない、そういういろいろな検討をしていただいた材料をもとに、いつかは政治が決断をしなければいけないときが来る、そんなふうに思います。
 昔、美濃部さんが言われたように、百人が百人とも賛成しなければ動けないんだ、そんな姿勢では道路建設なんてできっこないと思います。
 私は、ある程度大方のコンセンサスがこういうところにあるんだという方向が見えてきたら、決断してもらわなければならないときが来る、その決断のタイムリミットはいつと思っておられるか、お答えをいただきたいと思います。
中馬副大臣 先ほど申しましたように、文化財等に対する思い入れの方ももちろんいらっしゃいますし、また、現実に文化財そのものの重要性の問題もあります。
 本当の政府の中枢でありました平城宮跡の真ん中を通るわけじゃありませんから、そうしますと、その周辺のところでですと、かなり、文化の遺跡を早く調査するのであれば、地下であれ上であれ、調査するのであれば調査してしまうとか、あるいはまた固定してしまうとか、あるいはそのままごっそりとどこかにちゃんとしたところに保存するとか、方法は幾らでもあろうかと思います。
 そういうことで、文化庁の方にも急いでもらうと同時に、地域の方々にも御理解を得まして、今森岡委員がおっしゃいました、どのルートを通るかは別にしまして、それを早くしなければ近畿全体の交通停滞の問題にもかかわってくる問題でございますから、いつまでとは、なかなか日を切ることは難しいと思いますけれども、できるだけ速やかにということで私どもはやってみたいと思っております。
森岡分科員 最後に、扇大臣がおっていただけるものですから申し上げたいわけでございますが、道路というのは、どこの道路だって、真ん中ができていない、一部ができていないということになりますと、ほとんどその目的の用を達しないわけですね。
 まさに、この京奈和自動車道はそういう状態でございまして、京都の部分はもう供用開始されている。大和北道路の南側はもう道路の買収や建設がどんどん進んでいる。南の方は先に供用開始されると思います。ところが、大和北道路の部分だけはルート決定も行われていない。
 そういう状態の中で、せっかく高規格道路としての京奈和自動車道をつくろうとしていただいておる、それなのに経済効果はなかなか発揮できない。そういう状態は放置してはならないと私は思うわけでございまして、国土交通省の責任を担っておられる大臣として、ちょっと御決意のほどを最後にお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。お願いします。
扇国務大臣 先ほどから森岡委員との論議を拝聴しておりまして、まさに、文化を大事にするか、あるいは現実どうするかというはざまに立って苦しんでいるのは文化庁も国土交通省も同じでございます。
 人間の体に例えて、大動脈が全部通っているけれども、静脈がなければ手足の先まで血液が行きません。それと同じことだと思いますので、部分的にどこか切れていればその先は壊死するわけですから、そういう意味で道路も同じだと思いますので、一日も早い解決方法を両省相まって探っていきたいと思っております。
森岡分科員 どうもありがとうございました。
 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
栗原主査 これにて森岡正宏君の質疑は終了いたしました。
 次に、大島敦君。
大島(敦)分科員 扇大臣とは、昨年の七月に、圏央道、上尾道路の問題につきまして決算行政委員会の分科会で質問させていただいてから、ちょうど八カ月ぶりになるかと思います。
 きょうは、まず、荒川の旧流路の再生事業、ビオトープについて質問させていただきたいと思います。
 今回、国土交通省さんの方から「水と緑のネットワーク荒川」という小冊子をいただきました。これを見ると、私が子供のころ釣りをした川とか、昨年の夏に地元の青年会議所のサマーキャンプで子供たちと一緒に歩いた荒川ビオトープなどが掲載されておりまして、非常に懐かしくこの小冊子を読ませていただきました。
 ことしの一月一日から、自然再生推進法が施行されております。先ほど述べましたとおり、私の地元の荒川流域においても、自然再生事業、いわゆるビオトープ計画が進められております。ビオトープというのは、ドイツ語で、ビオというのが生物、トープというのが場所、生物がすむ場所ということで、その計画が進められております。地元では認知度はまだ低いように思えます。
 そこで、まず、既に整備が済んでおります北本の荒川ビオトープと上尾市の三ツ又沼ビオトープの概要について教えていただければ幸いでございます。
鈴木政府参考人 ただいまの両ビオトープの概要ということでございますが、北本の方が荒川ビオトープ、上尾の方が三ツ又沼ということでございます。
 これは、荒川の、もともとの旧河道でございます。今は新しい川に切りかわっているわけでございますが、大変広い荒川という用地の中に旧河道がございまして、そこのところが大変良好な環境になっています。その部分を復元しながら、多様な生物がすみ、その多様な生物がすむことによって、それをえさとする、例えば猛禽類などもふえていくというような、非常に豊かな環境を再生していこうということでこのビオトープ計画を進めているところでございます。
大島(敦)分科員 今、局長の方から御説明がありましたこの再生事業というのは、これまでの国土交通省さんの行政の手法とは違っているものだと思います。私は、これまで日本の国土整備のための、どちらかといえばファストフード的な事業から、スローフード的な事業に変わっているのかなと思っております。
 もちろん、この荒川のビオトープですと、地元の住民、市民の方の活動によりまして、蛍が戻ってきております。夏になると蛍が飛ぶまで自然が回復している現状がございまして、この事業について、住民、そしてNPOの方あるいは学識経験者の方、多くの方を巻き込みながら、ゆっくり着実に進んでいく。期限を決めない事業というのは、自然な感じ、自然な手法だと思っておりまして、やはり自然と共生するためには、このような手法もこれからは必要となってくると考えております。
 そうしますと、今申し上げました北本の荒川のビオトープ、上尾市の三ツ又沼のビオトープ、そして、北本と上尾に挟まった真ん中に、桶川という、これも古い宿場町なんですけれども、ございます。桶川の事業について、特に学識経験者の方のお話を伺いますと、カールスルーエのドイツの例も挙げられて、このビオトープというのは、一個一個独立しているのではなくて、つながっていた方がより効果的だというお話がございます。
 それでは、こちらのちょうど真ん中にあります桶川市のビオトープ計画の取り組みについて、国土交通省さんのお考えを伺わせていただければ幸いです。
鈴木政府参考人 桶川のビオトープについてのお尋ねでございました。
 委員御指摘のとおりでございまして、今ある先ほどの二つのビオトープの間を、桶川のところも含めて水と緑のネットワークで結ぶということが、自然環境と申しますか生物の生育環境と申しましょうか、そういったものに大変有効だということで、私ども、基本的な考え方は、旧河川が昔ながらの状況で残っているところは、これは保全していく。そして、残念ながら乾燥化が進んでいる箇所もございます、旧河川でございますので。そういったところは、逆に今度は掘削して、水面や湿地を再生するというようなことを基本に進めさせていただいております。
 そして、この事業の実施に当たっては、自然再生法もつくっていただいたわけでございますが、地元の地権者あるいは関係の住民、河川利用者など、いろいろな方々の広い御意見、御理解、御協力を得ながら進めていくということが大変重要だと認識しておりまして、いろいろな意味でそういった協議会も活用しながら進めていこうというのが私どもの考え方でございます。
大島(敦)分科員 ありがとうございます。
 このような事業の場合、道路でもやはり地権者の方がいらっしゃいまして、この利害関係人の方の合意形成を図っていくというのが非常に大切だとともに、納得感ですか、反対する人もいれば賛成される方もいまして、そこの合意形成を図っていくに当たって、国土交通省さんの取り組みのお気持ちというのをもう一度お聞かせいただければありがたいです。
鈴木政府参考人 先ほども申し上げたと思いますが、事業を実施するところについて、おっしゃるように、地権者の方もおられます、いろいろな方がおられますので、ぜひ事業説明会を実施し、必ずしも事業用地だけではなくて、そこに隣接する用地の方々などもいろいろな御意見を持っていらっしゃいますので、そういった方も含めて、事業者が適宜事業説明を実施するなど、真摯に事業への理解と協力を求めて進めていくというのが私たちの考え方でございます。
    〔主査退席、高鳥主査代理着席〕
大島(敦)分科員 もう一つ、関連なんですけれども、現在深刻になっている不法投棄の問題がございます。
 河川についても不法投棄が非常に見受けられまして、地元ではもちろん大きな問題となっております。それにつきまして、国土交通省はどのような対策を行っているのか、御説明をお願いいたします。
鈴木政府参考人 不法投棄についての国土交通省の取り組みという部分のお尋ねでございました。
 これにつきましては、平成六年から荒川クリーン協議会というのが設置されまして、幅広く活動されております。この協議会は、埼玉県、地元の自治体、警察署あるいは産業廃棄物協議会、それに国土交通省の荒川上流工事事務所、こういうもので構成される協議会が、それぞれの地域で五つございます。そして、荒川本川、入間川等々、支川も含めた不法投棄物の一斉撤去あるいは夜間パトロール等を実施しているところでございます。
 国土交通省は河川管理者として何をやっているかということになりますと、河川巡視員によるパトロールの実施のほか、河川敷への大型車両の進入防止用ゲートの設置、あるいは、頻繁に不法投棄をされる箇所への立ち入り防止さく、注意看板の設置、監視カメラの設置、こんなようなことをやりながら不法投棄防止に努めているところでございます。
 今後とも、良好な河川環境維持のために、不法投棄対策に向けて、関係機関と連携しつつ進めてまいりたいと考えております。
大島(敦)分科員 扇大臣に伺いたいんですけれども、今回の自然再生推進法が施行されて、新しい形の国土交通省さんの事業だと思いますので、その点についてお考えがございましたら、御発言いただければ幸いでございます。
扇国務大臣 今、大島議員がおっしゃいましたように、二十世紀はどんどんハードのものをつくってまいりました。けれども、二十一世紀は、まさに環境とバリアフリー。老齢社会を迎えますし、お年寄りが憩える場所も欲しいということで、今おっしゃったように、水と緑、これを大事にしていくというのが基本姿勢でございまして、政策の転換というよりも、一歩進んで、ハードの上にソフトをかけてというのが国土交通省の姿勢でございますので、まさに、水と緑というものを活用しながら、なおかつ安全と安心をそこへプラスするということでやっていきたいと思っております。
大島(敦)分科員 ありがとうございました。
 続きまして、今度はまた違うテーマなんですけれども、武蔵水路の治水対策について伺わせてください。
 今、私たちが飲んでいる東京都の水というのは、半分以上の部分が利根川の利根大堰、これは、熊谷から東の方に走ったところにある利根大堰でとめて、それを荒川まで武蔵水路で運んできて、そして埼玉県の南部、都民の水ということで供給していると伺っております。これは昭和三十九年だと思うんですけれども、東京オリンピックのときの治水対策として、非常に速い工期で完成したものと聞いております。
 今の現状は、利根大堰の部分は非常に大きな水たまりになっておりまして、水上のスポーツ、モーターボートとかウインドサーフィンなどができるぐらいの水たまりになっています。ちょうどこの冬の季節ですと赤城おろしが非常に強いものですから、ウインドサーフィンの場所としては非常にいいと伺っております。そして、私も小さなころは、自宅からこの武蔵水路までが大体七キロ、十キロぐらいですから、自転車で武蔵水路沿いに上っていくと、そこにはさきたまの古墳群がありまして、非常に風光明媚なところです。
 この利根川と荒川を結ぶ武蔵水路は、その老朽化が進んでいると伺っております。改修が必要であるということなんですけれども、その計画はどうなっているんでしょうか。
鈴木政府参考人 武蔵水路の改築事業についてのお尋ねでございます。
 御指摘のように、この施設は、周辺地域の地盤沈下の進行などによりまして老朽化が大変進んでおりまして、導水機能そのものが低下してきております。それから、この施設自体が地域を分断しておりまして、地元の内水排除機能という点で逆に御迷惑をかけているというような面もあるわけでございます。
 そういった点を踏まえまして、水路周辺地域の内水排除機能を確保、強化するということを、先ほどの機能の回復とあわせて実施するということで、平成四年度から水資源開発公団が事業に着手したところでございます。
 現在、具体的な事業化に向けて、現水路の改築内容、内水排除機能の強化方法につきまして、水資源開発公団において詳細な検討を進めているところでございまして、今後、できるだけ速やかに具体的な計画を定めまして事業を進めてまいりたい、このように考えております。
大島(敦)分科員 具体的には、武蔵水路の改修計画というのは、いつごろまでに改修するとか、あるいは改修工事の内容について、今の既存のものを修復していくのか、新たに新しい水路を地上あるいは地下につくっていくのか、その点についてお考えを伺わせてください。
鈴木政府参考人 まさに委員御指摘のそういった点あたりについて、早く改築をするという意味では、とりあえず現水路だけを直して、そして内水排除機能を強化するという案がスピード的には大変速い案だ。あるいは抜本的にということになりますと、これは時間もかかりますし、お金も大変かかるということで、その辺を含めて関係都県と現在調整中ということでございます。
大島(敦)分科員 今のお話で、局長の方から、地域を分断しているというお話が一つと、水がたまりやすい地域であるというお話がございました。
 確かに、この武蔵水路というのは南北に走っておりまして、川は東西に流れますから、この武蔵水路があるとなかなか高いところから低いところに水が流れにくくて、もちろん幾つかの川では、サイホンといって、武蔵水路の下にトンネルを掘って水を流しているということもあるんですけれども、それでも、非常に豪雨があったときには水がたまってしまいます。今手元に、なかなかどのくらいたまっているかというのがわからないものですから、私も地元の方から、大雨のときの状況について、こうやって写真を見せていただきました。武蔵水路のぎりぎりのところまで水が来てしまっている。もうちょっと武蔵水路の方にこの水がはけると、この地域、武蔵水路の北側の部分なんですけれども、問題が解決すると思うんです。
 この武蔵水路沿いに、今のところ二カ所、排水口ですか、水を受け入れるための口があると聞いているんですけれども、ほかの部分についても、大がかりなものでなくていいと思うんです、小さなものをつくっていただければ、大分この地域に対する、地域の大雨のときの不安というのは取り除かれると思うんですけれども、その点のお考えをお聞かせください。
鈴木政府参考人 ただいまの、地域の内水排除の問題についてでございますが、具体的に申し上げますと、地元の野通川流域、忍川及び元荒川流域があるわけでございますが、今、追加的にというようなお話かと存じますが、ここから内水を排除して地域の内水被害を軽減する、これが大変重要になってきておりまして、行田市、鴻巣市、吹上町等の周辺地域の内水被害の軽減を図る、今までこの部分については十分でなかったので、そういったことを図るということをこの事業の中で実施していくということで、関係機関とも協議を進めながら、先ほど申し上げましたように、具体的な計画を早急に策定して事業を進めてまいりたいと考えております。
大島(敦)分科員 現在、雨水の排水経路を分断している武蔵水路に排水接続を行う事業というのは、金額的には膨大な事業じゃないはずなんです。これは、武蔵水路に対して、一つ一メーター五十とか一メーターかわかりませんけれども、口をつければいい話でございますから、それほど難しくない事業であるとすれば、周辺住民の不安感を取り除くためにはぜひ進めていただきたい事業だと思っております。
 特に、昭和三十年代、四十年代というのはまだまだ官が強かった時代なものですから、ここにつくるということですぐにできてしまって、地域の住民の方の合意も、得られたとは思うんですけれども、本当に十分に得られているのかなとか、そして、埼玉県というのは人口が急増しておりますので、この近辺にも多くの方が今住み始めております。ですから、問題点は大分深刻化しておりますので、ぜひ取り組んでいただくことをお願い申し上げます。
 そして、武蔵水路というのは、多分、関西の大震災があったとき、そして、関東でも震災等の自然災害があると、この武蔵水路が分断されると、埼玉県の南部あるいは東京都民の水の供給ができなくなるものですから、この武蔵水路の改修及びどうするかという御検討もぜひ鋭意進めていただければ幸いでございます。
 この点に関して、扇大臣としては、何か御所見があれば、御発言いただければ幸いでございます。
扇国務大臣 御希望どおりに一日も早くと思うことですけれども、とにかく、その部分だけではなくて、国土交通省は全体的なことを考えていますので、その部分部分については、今局長が答えましたように、なるべく早く、また、理解を得ながらという方向に間違いはございません。
大島(敦)分科員 ありがとうございました。
 最後の質問なんですけれども、この質問は、昨年の七月の圏央道、上尾道路の質問の続きでございまして、その後の現状がどうなっているかについて、具体的に一つ一つお答えいただければ幸いでございます。
 まず、昨年の七月二十三日の決算行政監視委員会第四分科会で今の問題について質問いたしました。その後の圏央道とか上尾道路の状況について、用地取得の進捗状況はどうなっているのか、お答えいただければ幸いでございます。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 圏央道と上尾道路の用地取得についての進捗状況、こういうことでございました。
 圏央道の埼玉県区間、入間から幸手まで約五十九キロ、これは全体事業費で約九千五百億円という大変な事業でございますが、鶴ケ島ジャンクションから川島インターの延長約八キロにつきまして、平成四年度から用地買収に入っております。十五年一月末現在の統計で申し上げますと、面積ベースで九八%完了したところでございます。
 川島インターから埼玉、茨城県間の延長約三十一キロにつきましては、平成十二年度から順次用地買収に着手しておりまして、これも同じく一月末現在で、面積ベースで、川島インターから東北道の間は約三七%、東北道から埼玉、茨城県境間で約五%を完了しているという状態でございます。
 それから、一般国道の十七号の上尾道路の方は、さいたま市から鴻巣市に至る延長が約二十キロでございます。全体事業費は三千億円と見込んでおりますバイパスでございまして、さいたま市の宮前町から桶川市の川田谷間、延長約十一キロにつきまして、平成七年度までに事業化いたしまして、九年度から用地買収に入っておりますが、これも一月末現在で、面積ベースで約三四%を完了している、こういう状態でございます。
 今後とも、積極的に御理解と御協力をいただきながら用地買収を進めてまいりたいと思っております。
大島(敦)分科員 続きまして、整備における環境保護とか環境対策は現在どうなっているのか、お答えいただければ幸いです。
佐藤政府参考人 圏央道の埼玉県区間につきましては、昭和五十九年に閣議決定されました環境影響評価実施要綱などに基づいて環境影響評価手続が実施されておりまして、都県境から川島インター間につきましては昭和六十一年の三月、それから、川島インターから茨城県境間につきましては平成八年四月に都市計画のアセスメント手続が完了しております。
 また、上尾道路につきましても、平成元年の十二月に都市計画のアセスメント手続も完了しております。
 問題は、これらの事業の実施に当たってでございますが、継続して進めておりました環境調査の中で、計画路線周辺におきまして、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律で国内希少野生動植物に指定されておりますオオタカの生息が確認されました。
 環境庁が策定しております猛禽類保護の進め方や、埼玉県が策定しました埼玉県オオタカ等保護指針に基づきまして、事業が、オオタカの生息、繁殖に及ぼす影響とその保護対策について検討を行うことを目的といたしまして、平成十四年五月に、専門家から成る埼玉圏央道オオタカ保護対策検討委員会を設立したところでございます。
 委員会の先生方に今いろいろ御指導いただいているということでございますが、調査の進め方や保護対策あるいはまた公表の仕方等につきまして、委員会の指導、御助言をいただきながら、適切に進めてまいりたいと思っております。
大島(敦)分科員 環境保護とか環境対策というのは大分時間がかかるものでございます。これは上尾道路の問題ですと、川田谷まではできても、その上の部分、北本―鴻巣の区間というのがこれからだと思います。
 この環境対策について、これはちょっと指摘なんですけれども、前広にやった方がいいかなとは私は思うんです。その点、局長は、今お考えがあれば伺わせていただければ幸いなんですけれども、いかがでしょうか。
佐藤政府参考人 お使いになる利用者の皆様、あるいはまた沿道の住民の皆さん、それから地権者の皆さん、それぞれにとりまして環境の保全というものは大事なことでございまして、できるだけ御理解いただく、こういう観点から申し上げますと、プロセスも大事でございます、それから、実際に実施する環境対策の内容も大事な問題でございます。両方あわせまして、積極的に進めてまいりたいと思っております。
大島(敦)分科員 続きまして、まず一つは、取得済みの用地における雑草等による近隣地への影響とか、あるいはごみの不法投棄の問題、これについて、取得済みの用地の管理がどうなっているかの問題。もう一つが、圏央道、上尾道路の用地の取得については今後どのようなスケジュールで行われていくのか、そして、建設のスケジュールがどうなっているかの問題を、手短にお答えいただければありがたいんですけれども。
佐藤政府参考人 取得済みの用地につきましては、境界くいやさく等を設置しまして民地との境界を明らかにして適切に管理する、こういう方針でございます。
 ネットフェンス等で囲いながら、不法投棄や立ち入り防止、こういった観点からも、パトロールしながら努めているところでございます。
 また、除草作業あるいは害虫の発生、こういうものに対する対策として、通常、年二回ぐらい除草作業をやっておるということでございます。
 適切な管理に努めてまいりたいと思っております。
 また、用地の取得の今後のスケジュール、こういうお話でございました。
 先生、特に問題なのはということだと思いますが、先ほどのオオタカの発見された周辺、上尾市、桶川市等で、用地の買い取り要望の皆様が大変たくさんおられます。この場合には、戸別訪問でそれぞれ希望の強い皆様の買い取り請求対応、こういう形で十分に対応してまいりたいと思っているところでございます。
 全体のこれからのスケジュール、目標につきましては、大臣の方から御答弁させていただくということにしております。
扇国務大臣 局長が答えればいいのに、こっちへ振ることはないと思いますけれども。
 時間になっているので、大急ぎで御答弁させていただきたいと思います。
 圏央道、御存じのとおり、首都圏にとっても、交通の円滑化ということと、今の渋滞、そして経済効果等々、もう必要性は昨年も申し上げたとおりでございます。
 これまで、延長三百キロ、この中で、二百六十六キロメートルの事業化がされております。そして、御存じのとおり、三十キロメートルの供用中でございますけれども、あと約百七十キロメートルの区間において、用地買収、工事、すべて、先ほど局長が申しましたような事態で進んでおりますけれども、用地買収の方も、着々とは言えないという、私にとってはちょっと遅いなと思っておりますけれども、これでも、やはり皆さん方の御意見を聞くということですから、万やむを得ないと思っております。
 それから、圏央道に関しましては、十九年度の完成、これを目指しておりますので、そのとおりにやっていきたいと思います。
 それから、もう一つの上尾道路というお話でございましたけれども、これも、一般国道十七号等の慢性的な交通渋滞、これはもう御指摘のとおりでございまして、また、安全の確保、そして沿道の環境の改善というもので、延長約二十キロメートルのバイパスでございます。事業中の区間の延長約十一キロメートルについては、圏央道の供用に合わせて平成十九年度中には供用したい、そのように思って事業を促進しております。
 また、投資の重点化によって、やはりスピードアップをするということによってコストの削減も図られますので、十九年度を目指して、迅速に、また地元の御理解を得ながら、渋滞緩和、安全の確保に資していきたいと思っております。
大島(敦)分科員 では、最後に……
高鳥主査代理 大島君、時間が来ておりますので、御協力願います。
大島(敦)分科員 はい。
 ありがとうございました。
高鳥主査代理 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。
 次に、葉梨信行君の質疑に入ります。葉梨君。
葉梨分科員 私は、十二月五日に茨城県の日立港で起きました北朝鮮船舶の座礁事故のことにつきまして、国土交通大臣初め関係者の皆様に御質問をし、また、御要望申し上げたいと思います。
 この事故につきましては、既に昨日も同僚議員から御質問申し上げまして、大臣初め皆様よく御存じだろうと思います。県当局、日立市あるいはひたちなか市、それから周辺の市町村、それと茨城県漁業協同組合が、それぞれの立場で必要な措置を講じてまいりました。しかも、大変な、五億円を上回る膨大な費用を費やしまして、その事故の収拾に充てておるわけでございます。
 そこで、これは県としましても漁業活動や港湾の管理運営上の問題がありますので、引き続きいろいろな対策をとっておるところでございますけれども、私、調べてみますと、実は、日立港だけでなくて、その直前かその後ぐらいに、鹿島港を出ました船が、これは北朝鮮船籍と伺っておりますが、出たところで、いかりがおかしくなりまして、これを切って母国へ帰ったというような話も聞いたりしております。
 ということは、私も、お話を聞いたり、書いたものを読んで、報道によりまして、大変驚いたのでございますけれども、老朽化船舶や無保険船舶など危険性をはらんだ外国船舶につきまして、入港拒否をしたいというような声も茨城県当局では申し上げておりますが、そういうことはなかなかできないということで、このような船舶が座礁事故を引き起こした場合には被害の補償もなされない。船舶が放置され、港湾の管理上、運営に支障が出るおそれがあるにもかかわらず、現在何らの対応策も講じられていないという状況であるわけでございます。
 そういう状況の中で、国におきまして事故対策がとられないということ。海上汚染の防止、漁民の生活や港湾活動を守るために、やむを得ず地元自治体や漁業関係団体において対応してきた次第でございますが、事故対策のための経費を県民が負担すべき理由は全くないわけでございます。
 また、この船は北朝鮮船籍でございますけれども、外交関係がないために、その費用、損害賠償の請求をしておりますけれども、極めて困難な交渉となりつつあると聞いておりまして、一地方公共団体、これは県であり、市であり、その他の漁業関係団体等でありましょうが、対応に大変苦慮しているということを申し上げたいと思うわけでございます。
 日本国というか、国には国民の生命と財産を守るべき責務があるわけでありまして、地方公共団体において、相手国との交渉ルートがない今回のような座礁船事故につきまして、もっと国が主体的に対応すべきものであると考えるわけでございます。
 そういうことで、交通大臣いらっしゃいますときにお願いしたいことは、一茨城県の日立港並びに周辺の問題としてだけでなくて、日本の周辺においてそういう、きちっと整備されない船が出入港して、また航行をして、そして国内の各港湾におきましていろいろ障害、支障を生じさせている、このことにつきましても国としてきちっとした対応をとっていただきたいし、どのような考え方で今臨んでおられるか、そのことを一つお伺いしたいと思います。
 特に、最初に申し上げましたように、財政的に、地方団体がこういう、もらい火でございますね、もらい火につきまして、茨城の場合には、とりあえずは六億円以上の費用がかかっているということでございますが、これらにつきましては、国として速やかな財政措置を行っていただきたいと思います。例えば、ナホトカ号の原油流出事故の際に、当該事故の対策のために創設しました交付金のような支援措置を行うべきであると思うのであります。
 これらの措置につきましては、できるだけ早く行うために、私は、今年度の予備費を活用し交付金等の支援措置を創設し、特別地方交付税の措置とあわせて、地方公共団体の負担をできる限り生じさせないようにしていただきたい、こういうことを申し上げる次第でございます。
 時間がなくて、大変簡略、簡潔に申し上げたつもりでございます。私の申し上げた意義が十分に大臣に通じたかどうか、国土交通大臣、扇大臣の御所見を伺いたいと思います。
扇国務大臣 近年、日本じゅうで、放置された船は今全国で十二隻に及んでおります。しかも、国籍の不明のもの、例えば来るまでに既に船主も国籍も不明のものもございます。いわゆる幽霊船的なものもこの十二隻の中には含んでおります。
 そういう意味で、私は、本来は船舶というものの座礁事故に関しましては船主が費用を払うというのは基本的に決まっておりますけれども、船主もいない、しかも、日本の十二隻の中には、御存じのとおり、船長も乗組員も、船だけ置いて違う船に乗ってまた帰ってしまう、飛行機で帰ってしまうなんという、船長らしからぬ責任放棄の形も既にテレビで国民の前に放送されております。
 そういう意味では、本当に私は残念だと思いますし、葉梨先生がおっしゃいましたように、保険も掛けていない船は入港させるべきではないのではないか、そういう話も出ておりまして、これは閣僚懇でも話題になりまして、鋭意検討して、関連省庁で検討してみようではないかということも今話し合っております。
 それから、大事なことは、撤去した費用について、数千万から数億に及ぶ費用を負担しておるところが過去にもございます。今現在では、少なくとも財政措置ということで、一般には、財政上の支援措置で、港湾の区域で、自治体が撤去した放置外国船の最近の例もございますけれども、基本的には、港湾区域で所有者不明のものに関しての撤去は、沈没事故等々もございますけれども、国庫負担の補助率が三分の一、あるいは、特別地方交付税の交付で、都道府県は五割の補てん、市町村では八割の補てんというのが一応今の原則としては決まっております。
 今おっしゃったように、余りの金額の大きさと、また今後もないとは言い切れない、そういうことを考えますと、費用の負担のあり方については少なくとも関係省庁間で十分に、特別交付税の措置というものはあるにはあるんですけれども、十分今後検討して、適切に対応できるように、御要望も含めて地方自治体にお返事ができるような体制をとっていきたいと思っています。
葉梨分科員 どうもありがとうございました。
 大臣には、次の会議がおありということでございますから、これで御退室いただいて結構でございます。
 今、私、大変簡単に申し上げました点につきまして、順次御答弁を願いたいと思います。国土交通省、総務省、財務省、外務省、四省庁の皆様に答弁をお願いいたします。
鷲頭政府参考人 大臣が基本的に今お答え申し上げましたので、補足的に御説明申し上げさせていただきますが、先生御指摘の、まず、保険に入っていない船舶あるいは無保険の船舶については、そもそもそういうふうに入ってきてもらうのは迷惑であるというようなこともございまして、そういう船舶を入港規制といったような規制ができないかどうかということを、私ども、省内に検討委員会を設けておりまして、具体的な対策について検討を行っているところでございます。
 それから、費用負担の件でございますが、基本的に先ほど大臣が御答弁申し上げましたので、そのラインでございます。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の座礁事故に関しましては、茨城県ほか地元の地方団体、緊急避難的な措置として多額の経費の支出を余儀なくされております。また、今回の事案がかなり特殊な性格を持っておりますために、この負担につきましては、結果的に、最終的に負担が残る心配を地元がされていることを私ども承知いたしております。
 ただ、この負担につきましては、御指摘いただきましたように、余りにもそれが多額であること、それからまた、地元におきましては、果たしてこういう事案に対して県が県民の負担で対処しなければならない性格のものだろうかというような議論もなされているようでございまして、国の方に対しましては、制度的な国による対応、あるいは財政面における国による支援策を要望されている状況にございます。その中で、私どもに対しましても、特別交付税による支援の要請があるわけであります。
 この点につきまして、私ども、地元の事情をお聞きしながら適切に対応させていただきたいと思っておりますが、ただ、申し上げるまでもなく、特別交付税自身は地方団体の共有の財源であるという性格を持っておりますし、地方団体の負担とされました特別の財政需要に対しまして交付されるものであると考えております。したがいまして、今回の事案の経緯あるいは性格に応じました国と地方の適切な責任の分担、役割分担に基づきまして、国が講じられます措置とあわせて、地方の負担とされました部分について対応を考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
 いずれにいたしましても、地元の事情をよくお聞きいたしまして、財政運営に支障が生じないよう御相談に乗ってまいりたい、こう考えております。
石原政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回のような事故に係ります船舶の撤去等の費用につきましては、まずは原則的に、その原因者たる船主が責任を負うのが当然ではございますけれども、やむを得ず地方自治体等が負担をした場合につきましては、現在、利用可能な制度といたしましては特別交付税等の制度があるものと承知しておるところでございます。
 今回の事件を契機に、新たに国が何らかの財政負担をするという制度を創設すべきかどうかにつきましては、現在、国土交通省におかれまして、今後、無保険の船舶等危険船舶の入港規制等の制度を創設するか否かといった問題ともあわせまして鋭意検討中であるというふうにお伺いしているところでございます。財務省といたしましても、国土交通省のこのような検討結果を十分踏まえまして、今後適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
葉梨分科員 制度の創設ということを今おっしゃいましたけれども、こういう、本当に思いがけないときに、もらい火的な災害といいますか災難を受けたわけでございまして、国には予備費があるわけです。その予備費を活用して総務省の特別交付税ですかの措置を、先ほど林財政局長から御答弁ありましたが、あわせて、国としても支出するということをひとつお約束いただきたい。もう一度答弁してください。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど先生が御指摘になりました中にナホトカ号の案件がございましたけれども、確かにナホトカ号のときは予備費を打ってございまして、どのような経費で打ったかと申しますと、一つは、油の除去に直接要した額を国と地方が折半をいたしておりまして、これに対しまして十九億円、それから、海上災害防止センターというところが油の除去等に当たったわけでございますけれども、そこが一時的に要する資金につきましてつなぎ融資といたしまして予備費で対応いたしまして、これが約九十億円対応したところでございまして、これは、平成九年の三月に対応してございます。
 ただし、この前提といたしまして、このナホトカ号の事件が災害対策法上の災害に当たるということが認定されてございまして、予備費の使用につきましては閣議決定がございまして、限定列挙的に、かくかくしかじかの経費につきましては国会開会中においては予備費が打てるということになってございますけれども、その中に「災害」とございまして、「災害に基因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費。」ということがございます。
 したがいまして、今回のそういうケースにつきましても、今回の事案が災害に当たるかどうかということがまずは十分に検討をされなければならないと存じておるところでございます。
葉梨分科員 この十二月五日の事故でございますけれども、これは、操船の不手際というだけでなくて、やはり何か天候上の状況の中で避難をしながら座礁したと聞いておりまして、一つ、これは私は災害に該当すると思います。
 その点につきまして、主計官にそのことを聞いても、これは国土交通省でしょうかね。国土交通省、この場合どういう状況であったか、御答弁いただきたい。
鷲頭政府参考人 本件が災害に当たるかどうかという点につきましては、基本的に海洋汚染防止法で船舶を放置してはならないということになっておりまして、その船舶があることによって、ただ、海洋汚染防止法では放置してはならないというところまででございまして、それによる影響が災害と言えるほど重大であるかどうかという点について今検討をしているところでございまして、それを、検討結果によってまたそういう意味ではお願いをするというふうになると思いますが、ちょっと今現在のところは検討させていただいているというところでございます。
葉梨分科員 十二月五日にこの事故が起きたわけでございまして、既に三カ月になりますね。これから検討するなんというのは、いかにも、海事案件についての主管省として私は怠慢な答弁だと思うんですね。もう一度答えてください。
鷲頭政府参考人 漁業被害の状況あるいは流出油の状況、それが港湾、あの周辺海域に与える影響等を考慮して検討しているところでございまして、遅いという点については、大変申しわけございませんが、現在検討させていただいているところでございます。
葉梨分科員 先ほど私申し上げましたように、日立港だけじゃなくて全国でこういうケースが時々起きているわけですね。整備の不良な船が航行している、こういうことでございますので、やはり船舶の航行安全、あるいは港の保全、いろいろな面におきまして、国土交通省として真剣に対応していただきたいということをお願い申し上げておきます。
 それから、先ほどちょっと触れましたけれども、これは北朝鮮船籍で、損害は、国というよりはむしろその船主に責任があるわけでございますから、そういう連絡をしたけれどもどうもはかばかしい返事が来ないという事実がございます。
 これは北朝鮮だけでなくて、十何隻の座礁船につきまして国籍を聞いてみますと、韓国もありましたかね、中国もあったかな、それからアメリカかどこかあちらの方の、南米でしたかどこかの船籍の船もある。ということで、全世界的、大げさですけれども、単に一国の問題ではないわけで、こういうようなときにしっかりその損害賠償が取れるような措置をとっていかなければならない。
 これは外務省の仕事だと思いますね。外務省と国土交通省、両省がよく相談をしまして、これはまた一つの外交案件と申しますか、海事関係の外交案件として取り上げていただきたいと思うのでございます。国土交通省、外務省から御答弁を願います。
鷲頭政府参考人 先生御指摘のとおり、今現在ある十二隻は、パナマ、ロシア、ベリーズという中南米の国、それから北朝鮮、韓国などの船がございます。これらは、先ほども申し上げましたとおり保険に入っていない、あるいは入っていても大変保険額が少ないというような船でございますので、こういう船につきましては水際で入れないようにすることができないかということで、入港規制を検討しておるところでございます。
 ただ、海洋法との関係もございますので、国際条約との関係をにらみながら早急にその対応を、法制化も含めて検討していきたいというふうに考えております。
薮中政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国沿岸において座礁し放置されている外国船舶ということで、関係省庁と十分協議いたしまして、私どもも船籍国の政府に申し入れを行う等の対応をとっていきたいと思っております。
 特に、この茨城県の日立港における座礁事故につきましては、北朝鮮の船籍であるということで、日本側の関係者と北朝鮮側との交渉が必ずしも容易ではない、大変困っておられるということを私ども外務省も十分承知しております。私自身も茨城県の関係者からお伺いいたしました。
 そうしたお話をもとに、私どもといたしましては、北朝鮮側に対し、まず第一に、茨城県との交渉に応じること、第二に、これまで茨城県及びその他関係者が実施した流出油の回収等にかかる費用を弁済すること、第三に、座礁船舶を早期に撤去すること、これを北朝鮮側の関係者に指導するようにということの申し入れを行ったわけでございます。
 残念ながら、なかなか今日に至るまで北朝鮮側からの回答というのは、あるいは具体的な措置というのはございませんけれども、引き続き外務省としても努力してまいりたいというふうに思っております。
葉梨分科員 今御答弁いただいたことは、もちろんしっかりやっていただかなきゃなりません。
 同時に、私が申し上げましたことは、そういうことが全世界的にあるんじゃないだろうか、そういうことにつきまして、船を出している各国につきまして、保険に入っていないとかいろいろな、我々にすれば欠陥船舶を航行させないというようなことを国際的に申し合わせをする、あるいは警告を出す、規制をする、そういう措置をとったらどうかということを申し上げているわけでございます。もう一度御答弁ください。
薮中政府参考人 まさに先ほど申し上げましたように、一つは、船籍国の政府に対しての申し入れというのは全体的なこういう事件について行っていきたいと思っておりますし、今委員御指摘の点につきましては、国際的にどういう形での対応が可能か、我々におきましても国際的な関係国との話し合い等々で検討を進めてまいりたいというふうに思います。
葉梨分科員 今御答弁いただきましたが、これから検討するということは、私は、いかにも手ぬるい。こういう問題は既に、例えば我が国の沿岸にも十数隻座礁した船があって、みんな迷惑しているわけですね。恐らくそれは全世界的にそういうことがあると思うんですね。当然手をつけていなきゃいけない。これから考えますというお話は、私としては大変残念に伺った次第であります。
 ぜひ、これは外交、いわゆる実務的な外交でございましょうけれども、こういうこともしっかり取り上げて、ちゃんとやっていただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
高鳥主査代理 これにて葉梨信行君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の御協力によって、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後零時三十一分散会


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