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第1号 平成17年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成十七年二月二十二日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      中馬 弘毅君    森田  一君

      原口 一博君    樋高  剛君

      石井 啓一君    佐々木憲昭君

二月二十四日

 石井啓一君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年二月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 石井 啓一君

      井上 信治君    木村 太郎君

      中馬 弘毅君    中西 一善君

      早川 忠孝君    森田  一君

      高井 美穂君    原口 一博君

      樋高  剛君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君

   兼務 城内  実君 兼務 谷川 弥一君

   兼務 中野  清君 兼務 萩生田光一君

   兼務 三ッ矢憲生君 兼務 太田 昭宏君

   兼務 高木 陽介君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  下川眞樹太君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部施設調査官)          櫻井 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小井沼紀芳君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局水資源部長)      仁井 正夫君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           金澤  悟君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  森田  一君     木村 太郎君

  原口 一博君     楢崎 欣弥君

  樋高  剛君     高井 美穂君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     中西 一善君

  高井 美穂君     西村智奈美君

  楢崎 欣弥君     津村 啓介君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 一善君     早川 忠孝君

  津村 啓介君     原口 一博君

  西村智奈美君     樋高  剛君

  赤嶺 政賢君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     井上 信治君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     森田  一君

同日

 第二分科員城内実君、第三分科員太田昭宏君、高木陽介君、第四分科員谷川弥一君、萩生田光一君、第五分科員三ッ矢憲生君及び第七分科員中野清君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

石井主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いを申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。北側国土交通大臣。

北側国務大臣 国土交通省関係の平成十七年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十七年度一般会計予算に計上しました国土交通省関係予算額は、六兆五千六百五十六億円です。

 このほか、自動車損害賠償保障事業特別会計、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、自動車検査登録特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計及び特定国有財産整備特別会計について、それぞれ所要額を計上しております。

 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画につきましては、当省関係の公庫公団等分として四兆一千百七十一億円を予定しております。

 国土交通省におきましては、厳しい財政状況のもと、限られた予算で最大限の効果の発現を図る観点から、重点四分野に予算全体の約七割を配分するとともに、各事業分野においても事業の目的、成果に踏み込んできめ細かく重点化を行っております。また、政策評価等の結果を踏まえ、コストの縮減を図りつつ、事業間連携の強化、PFI手法の活用等により、成果目標の達成に向けて効率的な施策の実施を図ります。

 国庫補助負担金改革につきましては、税源移譲や、小規模事業の廃止等によるスリム化とあわせ、地方の自主性、裁量性を高める交付金化に取り組みます。

 また、住宅金融公庫及び都市再生機構について、業務の見直しにあわせ、経営改善と財務基盤の強化を行うなど、特殊法人等の改革を推進します。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

石井主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま北側国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石井主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石井主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木陽介君。

高木(陽)分科員 おはようございます。

 予算委員会の第八分科会ということで、国土交通省所管の問題について質問をさせていただきます。大臣も、大変な中ありがとうございます。

 早速、バリアフリー、交通バリアフリーのことについて最初に質問をさせていただきたいと思います。

 交通バリアフリー法、これができまして、鉄道駅のバリアフリー化が飛躍的に伸びている。これはまさに、私ども公明党が連立政権に参画をする際にこの問題について積極的に取り組ませていただきまして、北側大臣も政調会長時代にこの問題を推し進めていただきました。また、私も、国土交通省の政務官を一年九カ月やらせていただき、さらに党の国土交通部会長もやらせていただく中で、この問題に積極的に取り組んでまいりました。

 そこで、まずお伺いをしたいのは、平成二十二年までに、一日に五千人以上の乗降客のある鉄道駅はバリアフリー化をする、一〇〇%を目指す、そういう基本方針での目標がございます。その現状についてお伺いをしたいと思いますが、全国、そして東京都、さらには、私の地元でもございます多摩地域の鉄道駅のバリアフリー化の現状についてお聞かせ願いたいと思います。

梅田政府参考人 鉄道駅のバリアフリー化についての御質問でございます。

 平成十六年三月末におきまして、一日当たりの利用者が五千人以上の鉄道駅等につきまして、全国では約四四%の段差の解消ができております。また、東京都内の鉄道駅につきましては、同じく三九%でございます。御指摘の多摩地区を含む東京二十三区以外におきましては、五五%となっております。

高木(陽)分科員 全国と比較しますと、東京都全体は三九%とちょっと低い、多摩地域になりますと五五%と、逆にこれは全国平均より上であるということで、特に二十三区内におきましては、これもちょっと伺ったところ、地下鉄ですね、東京メトロとなりましたけれども、この地下鉄のバリアフリー化、なかなか構造的にも問題があるというところもございますので、こういったところも知恵を絞りながらしっかりやっていきたいんですけれども、多摩地域は、全国平均より高いとはいえ、やはりまだ半分強というところでございます。

 ここで問題なのは、今回のバリアフリー化率、順次進んでいるにもかかわらず、交通バリアフリーの基本構想、これを各自治体が策定する、こういった方針がある中で、現状はどうなっているのか。この点について、この策定状況、これも伺いたいと思います。

丸山政府参考人 基本構想の策定状況につきましてお尋ねがございました。

 東京二十三区を除きますと、利用者数が五千人を超えます旅客施設がある自治体は二十六市町村でございます。このうち、既に基本構想を策定している市が五つでございます。具体的に申し上げますと、平成十四年に羽村市、十五年に武蔵野市、八王子市、三鷹市及び府中市が作成をいたしました。また、現在、日野市におきまして、基本構想を作成するための協議会が設置されておるところでございます。

 このほか、調布市が平成十七年度に基本構想を策定する予定でありまして、そのほか七市で、時期は未定でありますが、基本構想を策定する予定があるというふうに聞いております。

高木(陽)分科員 私も、今度地元が、立川、昭島、日野という三市、これを抱えることになりまして、今伺ったところ、多摩地域という、東京二十三区以外ですね、三十の市町村がある中で、五千人以上の乗降客のある駅を持っている自治体というのは二十六、そのうち基本構想ができているのが五つ、そのほか、日野市も今策定中ということでございますし、そのほか七市が検討中ということでございますけれども、やはりイメージとして少し少ないのではないかなと。

 もちろん、自治体によってそれぞれの状況、事情等があると思うんですけれども、この基本構想策定が少ない理由というか原因についてどのように分析をしているのか、これも伺いたいと思います。

丸山政府参考人 基本構想を策定する予定がないと回答した市町村が、二十六のうち十二ございます。

 作成しない理由でございますが、これは、ネガティブな理由とポジティブな理由と二つ問題がある。既に旅客施設、それからその周辺のバリアフリー化が実施されている、計画をつくる前にもう実施をしちゃったという理由を挙げているところが九つございます。それから、駅前で区画整理事業ですとか再開発事業を計画中または実施中というところが五市ございます。したがいまして、この十四市につきましては、実態が先行しているので構想をつくる予定がないというふうなことで、我々としてはつくってほしいのですが、ポジティブな理由で、実態先行でつくらないとお答えになっています。それから、残りの四市につきましては、関係者間での調整が非常に困難だという理由を挙げておられるところでございます。

 国土交通省は、従来から、基本構想策定促進セミナーの開催でございますとか、バリアフリープロモーターの派遣などをやってまいりました。今年度中には、各都道府県のバリアフリーの状況を取りまとめましたバリアフリー指標の公表を予定しておるところでございまして、引き続き、基本構想の策定に向けまして、各種の取り組みに努めてまいりたいと思っております。

高木(陽)分科員 今、バリアフリー基本構想の少ない理由、ポジティブとネガティブ、両方お話しいただきました。

 ある意味で言うと、ポジティブな部分、実態が進んでいる、これはいいと思うんです。例えば、多摩都市モノレールというのが立川を基点としまして南北に広がっておりまして、これは最近できた鉄道でございますので、こういったところは、つくる段階でもうしっかりとできているわけですね。そのほか、それぞれ個別で、自治体、そして鉄道事業者等が話し合いの中でうまくバリアフリー化が進んでいる、現実に進んでいるということで、わざわざ策定する必要がない、こういうのもあるんですが、例えば、拠点の駅がしっかりしているところは、それはつくりましょうと。しかしながら、駅が分散をしていると基本構想というのがなかなかつくりづらい、こういった部分はあると思うんですね。

 もう一つは、これは自治体の関係者にもいろいろと話を伺ったところ、現実問題として、やはり基本構想をつくるということは、そのとおりにやっていくわけですね、バリアフリー化をどんどんやっていく。そこにはどうしても財政的負担がかかわってくる。まさにこの交通バリアフリー法によって、鉄道駅のバリアフリー化、三分の一は国が負担をする、三分の一は鉄道事業者、三分の一は地元の自治体が負担をするという、本当に国がしっかりと応援をするシステムができている。とはいえ、やはりその三分の一の負担を、結構厳しい財政状況の中で、自治体としてはなかなかできない。さらに、駅にも構造上の問題があって、ただ単にエスカレーターやエレベーターをつけるだけだったら簡単にできるんですが、駅全体を改修しないとできないというのもあるわけですね。そうなってくると、けたが一けた違ってくるというような財政状況が出てくる。そうなってきますと、基本構想を立てるのはいいんだけれども、立ててしまうとやらなければいけない、だれが負担するのか、こういった切実な問題というのを抱えているんですという話も伺いました。

 そうなってくると、では、今の三分の一、三分の一、三分の一という、国と鉄道事業者、自治体のその割合を変えるというのはなかなか難しいと思うんです。難しいんですけれども、逆に、この基本構想を策定した場合に、策定した方がバリアフリー化にとってはプラスになりますよ、そういう何かインセンティブを働かせればどうかなと。また、そういうのがありますと、やった方が、これはどんどん、財政的負担だけではない、いろいろなプラスアルファがあるんですよ、こういう形で各自治体が認識をすれば、この構想というのもさらにより一層進むのではないかなと思うんですが、その点についていかがでしょうか。

丸山政府参考人 基本構想策定にインセンティブが必要になるのではないか、こういうお尋ねだと思います。

 既に基本構想を策定した自治体などに聞いてみますと、例えば、基本構想を策定する過程で、公共団体の関係部局間だけではなく、交通事業者ですとかNPOなどの関係者との緊密な意思疎通を図ることができたとか、あるいは、住民参加などの手続を十分に経て策定したことで事業の必要性について関係者の合意形成を図ることができ、その意義を明確化することができたというような積極的な評価をいただいておるところであります。私どもとしましては、まず、既に策定した自治体が策定してよかったというメリットを広く周知していくということを考えていきたいと思っております。

 それから、実利的なメリットというのを見ていますと、例えば、鉄道駅でエレベーターをつくるというときには補助を採択するわけでございますが、その前提としまして、鉄道事業者と地元自治体の協議が調っているということが前提になるわけでございますが、基本構想を策定するということは、その協議を円滑に進めるという意味で非常に重要な契機になっているというふうに考えております。

 それから、十七年度の予算案におきまして、人にやさしいまちづくり事業というものを、これは住宅局の方でつくっていただいておりますが、これは、鉄道駅周辺でバリアフリー化の施設を整備する際の自治体への補助制度でございます。この補助要綱によりますと、人にやさしいまちづくり整備計画というものをつくっていただくこととなっているんですが、基本構想を策定した場合には人にやさしいまちづくり整備計画の作成を要しないということを盛り込んでおるところでございます。

 基本構想を策定するとこんな金銭的なメリットがありますよというのはなかなか難しいところがございますが、基本構想の策定促進に向けましていろいろな取り組みを推進してまいりたいというふうに思っております。

高木(陽)分科員 今、十七年度の人にやさしいまちづくり事業の話もありました。そういったソフトの部分も含めて、現場、特に自治体の担当者に、しっかりと、こういうものですよというのを、整備局また運輸局を通じて、地方局を国土交通省は持っておるわけですから、これをしっかりと伝えていただきたいと思うんです。

 どうしても、お役所仕事になりますと、ペーパー一枚で発信をする。パンフレットをつくるまではいいんですけれども、パンフレットというのは余り読まないわけですね。やはり足で稼いでというか、こういうものなんだというのを説明する。ただ、地方局の職員というのは人数が多いわけではありませんから、なかなか現実は難しいかもしれませんけれども、やはり国の方針としてこの交通バリアフリーをやっていくというような方針があって、基本構想、構想を策定するのが目的じゃなくてその後のまちづくりが大切なわけで、そこまで持っていくための努力というのを惜しまないで伝えていっていただきたいな、このようにも思います。

 そこで、今度はより個別具体の問題に入ってまいりますが、立川と昭島と日野、三市、これは鉄道駅がかなりあるんですね。多摩地域というのは、本当になかなか交通網が、特に道路が大変な状況の中で、特に、通勤圏ですから都心にみんな通勤していくわけです。ですから、各駅、駅自体は小さいんですけれども、かなり乗降客が多い、こういう現状の中で、この立川と昭島、日野、ある意味では東京のベッドタウンでもありますし、この鉄道駅におけるバリアフリー化の現状について、これを伺いたいと思います。

梅田政府参考人 交通バリアフリー法の基本方針におきましては、一日の利用客数が五千人以上の鉄道駅につきまして、平成二十二年度までに原則としてすべてバリアフリー化するというのが目標でございます。

 御指摘の立川、日野、昭島の市内におきましては、一日当たりの利用者の数が五千人以上の駅は十九駅ございます。このうち十駅につきましては、既にエレベーター等のバリアフリー施設を整備するということで段差が解消されているところでございます。

 残りの九駅につきましては、例えば、既にエレベーターの整備等の駅舎改修工事に着手している京王線の高幡不動駅を初めといたしまして、いずれも事業者と地元自治体との間で協議が進められております。また、二駅ほど、まだ事業者において中で整備方法を検討しているというような状況でございます。

 いずれにいたしましても、バリアフリーに向けた取り組みが進められるよう、私どもとしても注意をしていきたいと思っております。

高木(陽)分科員 今、十九駅ある。本当に、三つの市で十九も駅がある。これは、関西圏、大臣のところも堺で、かなり人口も密集しておりますので、駅も多いと思いますし、選挙をやりますと、その駅にずっと全部立つとなると、十九駅全部立つとなりますと三週間に一回しか立てないというなかなか厳しい現状もございます。

 そういった中で、十駅、これはもう既に段差解消がされている。残る九駅、これも鋭意地元の自治体と鉄道事業者がそれぞれ協議を進めている。ここが問題なんですね。やはり協議が調った段階でさあやるぞとなったときに、この三分の一の、残る国の部分ですね、ここがすっと出てくる。これは、バリアフリー化、国でいいますと四四%までいっておりますから、残る五〇%強、これをこれから二十二年までにやっていかなければいけないわけですから、どんどん手を挙げていく。そうなると、ぶつかるわけですね。なかなか難しいわけですけれども、そういったときに、残る九駅のうち二駅は今検討ですけれども、それ以外は、どんどんどんどん進捗して、協議が調い次第、国の支援、これが速やかに行われるということが大切だと思うんです。

 これがやはりなかなか、協議は調いましたけれども、国が、ちょっともう少し、多いので、額は少ないけれどもこれでどうだとか、そういうこともあるかもしれません。しかしながら、ここら辺のところは、私どもも、この交通バリアフリー法策定においては全力を挙げて支援をした、そういう与党の思いとしても、予算的にもしっかり確保していただく中で、自治体が本当にやる気がある、鉄道事業者も頑張っている、ここで、よし、ぱっとすぐに、この協議が調うと国の支援が速やかに行われるということが最も大事だと思うので、この辺のところは、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 いよいよこれから我が国社会は本格的な高齢社会に入ってまいります。もちろん、高齢者だけではなく、障害者の方々にも優しいまちづくりをしていかないといけないわけでございます。そういう意味で、駅のバリアフリー化はもちろんのこと、また、多くの方々が利用される建物、建造物、建築物についてのハートビル法がございますが、そうしたバリアフリー化もやっていかにゃいけない。

 また、先ほどございましたように、人にやさしいまちづくり事業というのもございます。こうした事業を、これは旧運輸省と旧建設省が一緒になりましたので、私は、ぜひ発展的にこれを拡大していくべきだというふうに思っておるんです。面的な形でバリアフリー化を進めていくためにそういうことが大事であると思っておるんですが、今おっしゃったように、駅のバリアフリー化に関しまして、地元の市町村と鉄道事業者との間で協議が重ねられ、そこで合意を得たという場合には、それは本当に国としてしっかり支援ができるように、それもできるだけ早く支援ができるように努めてまいりたいというふうに思っております。

高木(陽)分科員 大臣の力強いお言葉をいただきましたので、地元の方にも、しっかり協議を早急にまとめていくように、話を進めてまいりたいと思います。

 さらに、今大臣も言われたハートビル法を含めて、面的な面の広がり、これはまさに必要なことだと思うんですね。どうしても、鉄道駅というとそのエリアだけ、そうじゃなくて、生活をするところというのはもうあらゆるところに広がっているわけですから、こういった面では、交通バリアフリー法の見直しというのもあると思いますし、そういった点でしっかりと御検討いただきたいと思います。

 もう一つ、この地元の駅で、西武拝島駅、そしてJRの拝島駅というのが二つございまして、これが実は乗り入れているんですけれども、北口と南口、自由通路がないということで、では、一般の方々はどうしているかというと、切符を買うんですね、切符を買って北口に行く。入場券を買って行くわけですね。こんなばかな話があるかと。踏切も遠いところにある。

 こういったところから、実は、これは私、政務官時代にこの問題を伺って、これは協議をしっかりしなさいということで、JR、西武、そして地元の昭島市、福生市、さらには東京都、国も絡みまして、同じテーブルで話し合いをしたらどうでしょうか、こういうふうに提案をさせていただいて、それが進んで、現在、駅舎整備というような形になっておりますけれども、これの現状及び今後の見通しについて伺いたいと思います。

梅田政府参考人 JR及び西武の拝島駅の整備についての御質問でございます。

 現状は、福生市とそれから昭島市、これはたまたま両方の境界のところにある駅でございますので、それぞれの交通結節点の改善事業によりまして、南北の自由通路の整備が進められております。これにあわせまして、鉄道事業者におきまして駅舎の橋上化を行うということで、その際に、エレベーター、エスカレーターの整備を行って駅のバリアフリー化を図るということでございます。

 現在のところ、設計を進めております。平成十七年度中に工事に着手いたしまして、十九年度末には完成するという予定でございます。

高木(陽)分科員 十九年度完成、これはしっかりとやっていきたいと思いますし、また、いろいろな支援もお願いしたいと思います。これは、地元でしっかりやっているということで、国が知恵を授けてあげた、こういうことになると思います。

 もう一つ、これは、中央線のJR日野駅というのが、これはホームが上になっている、半分高架なんですけれども。これが、エレベーターはついています。しかしながら、冬、多摩川の近くでありますので、きのうからの雪もありましたけれども、冷たい風が吹く、雨も吹きっさらしになる。そうなると、通勤の人たちがホームにいないんですね、階段の下にいる。電車が来ると階段を駆け上がっていく。何のためのエレベーターか、こういうような現状がございまして、これはなかなか、駅舎を改修するしかないんだろうなと。そうなってきますと、地元にかなり負担がかかる、駅広の部分もございますし。ただ、JRの方も、駅舎改修となると、わかりましたというふうになかなかならない。

 バリアフリーは、エレベーターはできていますけれども、では、こういった問題について国はどんな支援ができるんだろうか、こういったことをちょっと伺いたいと思います。

竹歳政府参考人 鉄道の駅はまちづくりを進めるに当たって重要な拠点でございまして、周辺のまちづくりとあわせて駅舎等の整備を行うということによって、大きな相乗効果が期待されます。

 平成十六年度に創設されましたまちづくり交付金におきましては、道路、公園等の整備にあわせて、市町村の提案による事業として駅舎整備を行う、そうしますと、交付される国費全体の一定割合を限度といたしまして、その整備費に国費を充てることが可能となっています。既に十九地区で、こういう周辺まちづくりと一体となって、バリアフリー化とか橋上駅化等、駅舎改築を行うことが行われております。

 したがいまして、市町村の創意工夫を生かしたまちづくりを支援するためにつくられたまちづくり交付金でございますから、地元の盛り上がりの中でぜひ御活用いただければと思います。

高木(陽)分科員 駅舎改修十九駅、まさにまちづくり交付金が生きている形だと思いますが、これも先ほど申し上げたように、自治体によっては、なかなか使い勝手がいいんですけれども、よく理解していない自治体というのも多いわけですね。こういったところも、私の方もしっかり地元を回りながらこういった知恵というものを伝えていきたいと思いますし、整備局等を通じながらも、しっかりと自治体の方にも周知徹底をしていただきたいな、これを要望したいと思います。

 時間があと五分となりましたけれども、最後に、国道の話についてお伺いをしたいと思います。

 実は、多摩地区というのは、二十三区以外、人口がもう三百八十万人おりまして、都道府県の規模でいいますと十番目、静岡県と同じ規模になるんですね。ところが、東京都というのはどうしても二十三区を意識しておりまして、これは国会の話じゃないんですけれども、石原東京都知事も、知事という立場よりも、二十三区政令市長という立場で動いておられる。東京都庁の職員も、大半の方々が、政令市東京都、こういうような意識で動いているという部分がございまして、なかなか、多摩地域というのが置いてきぼりになっている、こういう現状がございます。

 一つの例を挙げますと、道路です。というのは、三百八十万人もいる、密集しているこの地域にあって、南北道路が全くできていないという中で、実は、片側二車線、四車線の道路というのが、東端が環八になります、環状八号線。杉並区のところを通っていますね。ここから三十キロ、国道十六号まで、いわゆる片側二車線の道路が一つもないんですね、全部一車線。そこの間は都道なんです。これは東京都の問題なんですけれども、そういうような中で渋滞している。放射線は、国道二十号等がある中で、または中央高速という形で、少しは充実はしているんですが、まだまだその人口規模からいうとかなり厳しい。物流の渋滞をしているというところもございます。

 そんな中で、この多摩地域、国道というのが、国道十六号、二十号という、これは幹線道路なんですけれども、ところが、この国道十六号も、幹線道路でありながらなかなか狭い、一車線のところも多々ございまして、これは、実は昭島・松原地区。拡幅の予定も計画として進んでいる状況でありますが、この進捗状況及び今後の見通しについて伺いたいと思います。

谷口政府参考人 委員お尋ねの現道拡幅につきましては、八王子―瑞穂拡幅事業の一環として事業を進めております。

 特に、渋滞ポイントが二カ所ございます。

 小荷田交差点の左折専用レーンでございますが、一車線を既に十五年二月に供用させていただいております。用地の関係で残件が完了しましたので、左折専用レーンの二車線化を、平成十七年夏ごろの完成を目指し、工事を推進させていただいております。

 残りの武蔵野橋かけかえにつきましては、現在、調査設計、用地取得を推進させていただいておりまして、JR等の関係者協議を進めさせていただいております。

 いずれにしましても、今後とも、東京都と精力的に調整しながら事業を推進してまいりたいと思います。

高木(陽)分科員 圏央道ができますとかなり渋滞の解消にもなる、だから圏央道も進めていただきたいんですが、それと並行して走る十六号、これもまさに重要な幹線でございますので、この拡幅については鋭意積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 さらに、もう一つは国道二十号。これは、日野バイパスというのが今進捗しておりまして、これが、この二十号というのも、ずっと東京から来ますと、多摩川を渡る日野橋のところでいつもとまるわけですね。それが、この日野バイパスができることによって大分緩和される。

 こういう現状の中にあって、この日野バイパスの進捗状況と今後の見通しについても伺いたいと思います。

谷口政府参考人 委員お尋ねの国道二十号日野バイパスにつきましては、全体延長八・一キロメートル、四車線の計画でございます。四十八年度に工事着手しまして、五十三年度から逐次供用しておりまして、現在まで、九割に当たる七・三キロメートルが四車線及び暫定二車線にて供用させていただいております。

 今後は、残る八百メートル区間及び暫定二車線区間の四車線化工事を推進し、平成十七年度内に全線四車線で供用するように努めてまいりたいと考えております。

高木(陽)分科員 今、九割方できている。残る一割が重要なんですね。というのは、先日も、国立府中インターをおりまして、そこから、日野の満願寺という今できているところまで、わずか七分で行けるんです。これが、今までの二十号でずっと行きますと、もう渋滞が絡みますと一時間ぐらいかかっちゃうという、これがわずか七分で行ける。まさに、本当に渋滞解消のための切り札になっている。これを最後きっちりとやることが大切でありますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう時間も参りましたので、最後に一つだけ。

 この日野バイパスで、これが完成しますと、これはこれでいいんですが、もう一つ、これが十六号にまで延びていくような形のバイパスを、実は地元の日野市が国交省の方に要望させていただいております。西平山地区のところの延伸を何とかしていただきたい、こういう御要望なんですけれども、これについて、この見通しについて伺えればと思います。

谷口政府参考人 先ほどお答えさせていただきましたように、日野バイパスが、平成十七年度全線四車線で完成するわけでございます。しかしながら、現道の国道二十号の交通渋滞はまだ著しいものがあるかと認識しております。延伸部につきましては、現在、区画整理事業が進んでおるということでございますので、東京都や地元の日野市などから強い要望を受けているところでございますので、早期の事業化に向けて検討を進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

高木(陽)分科員 今最後に、早期の事業化に向けて努力していきたいというお話でしたので、ぜひともこれをお願いして、大臣を筆頭に頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

石井主査 これにて高木陽介君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村太郎君。

木村(太)分科員 北側大臣、中野政務官初め国交省の皆さん、まことに御苦労さまでございます。私も三十分の時間をいただきましたので、質問させていただきたいと思います。

 私も少し地元的な話になるんですが、ただ、こういう例が全国的な広がりを見せてはならない、そういう思いでも取り上げさせていただきますので、御答弁のほどよろしくお願いしたいと思います。それは、私の地元の青森空港と羽田空港間の輸送力の維持という思いで質問したい、こう思っております。

 私の地元の青森空港というのは、国土交通省の皆さんの御支援もいただきながら、また県の方も数年前から努力をしてまいりまして、ことしの四月から三千メートルの滑走路の供用開始ということが予定されております。また、空港アクセス道路の充実も順調に進んでおりまして、さらには、立体駐車場の整備というものも具体的に進んでいこうとしております。また、ありがたいことに、二年後にはカテゴリー3の供用が予定されておりまして、空港として、関連する機能というのがここに来てかなり充実強化されてきているということで、我々、本当にいいな、また一層みんなで努力しなきゃいけないなというふうに考えているところであります。

 その背景というのは、青森―羽田間の年間の利用者数というのが約八十万人という数に達しております。また、利用率というのが六五%を確保しておりまして、国内の路線の中でも比較的ドル箱路線というふうになっていると私は考えておりまして、そういう路線も持つ青森空港でありますから、利用者へのさらなるサービス向上を目指す、そういう思いで、先ほど言った機能充実強化というのが今まさに進んでいると認識を持っております。

 ただ、ここへ来て、羽田空港発着枠の見直しに伴いまして、来月からJALが一往復減便を予定しているということになっております。青森―羽田間というのは、かつてはANAも就航しておりましたが、撤退しました。その後引き継いだスカイマークエアラインズも一昨年に、短期間の就航でありましたが、運休しております。ここへ来て、JALの減便が実施されようとしているということであります。

 今、青森空港を利用する県民の皆さんの声として、ひとしくまた大きな憤りというものが広がっております。それは、ダブルトラックからシングルトラックになり、ここへ来てJALさんがやりたい放題をしているんではないかという声が広がっております。

 まずお伺いしたいのは、国内路線の中でシングルトラックの数というのはどのぐらいあるのか、また、その中で、かつてはダブルトラックであったものの路線というのはどのぐらいなのか、お聞きしたいと思います。

岩崎政府参考人 羽田の発着路線の運航事業者数の推移について申し上げます。

 平成十年度に四十五路線ございまして、そのうち、シングルトラック、一社だけの路線が二十二路線でございました。平成十六年度でございますが、全体の路線は一路線ふえておりまして四十六路線でございますが、シングルトラックの一社の路線は二十二路線と、平成十年度と変わりません。路線によって、シングルがダブルになったり、ダブルがシングルになったり、若干入れかわりはございますけれども、総体的な傾向は変わっていないという現状でございます。

 なお、ちなみに申し上げますと、平成十四年度のJALとJASの合併の前は三社の路線というのが相当多かったわけでございますが、平成十四年にJALとJASが合併をいたしまして、今、三社以上の路線というのは少し少なくなってきておりまして、二社の路線というのがふえているというのが現状でございます。

木村(太)分科員 そこで、この羽田空港の発着枠の見直しというのは、国交省として、航空会社に対し新規の参入を促進させまして、そこに競争原理を働かせ、そしてあくまで利用者へのサービス向上、これを一番の目的にしていると私なりには認識しておりましたが、発着枠の見直しは、今の青森空港と羽田間の減便というのは、むしろその目的に逆行する結果を生むことになるのではないかな、こう思うんですが、どう御認識されているでしょうか。

岩崎政府参考人 先生御指摘の、今回の羽田空港の発着枠の見直しでございますが、航空法の規定にございます競争の促進、多様な輸送網の形成等を通じて利用者利便に適合する輸送サービスを実現しようということで、競争促進を図るために、混雑空港であります羽田空港の発着枠は五年ごとに見直すという規定が航空法にございます。それに沿いまして、昨年その作業をやったわけでございます。

 これまでも羽田空港は新規会社に対して枠を与えておりますけれども、C滑走路というのを沖合展開したり、あるいは管制とパイロットの努力によって枠をふやしたりという中でやってまいりましたが、今回の発着枠の見直しについては、空港容量の制約から増枠のない中で、いわゆるゼロサムの状態で見直しを行ったところであります。新規会社に対して発着枠を優先配分することによって競争促進を図りたい、それに伴う大手航空会社のネットワークへの影響を勘案もしなきゃいかぬということで、大手航空会社から既存の発着枠を回収の上、二十枠を新規の航空会社に優先配分した、こういうことでございます。

 その結果、新規航空会社の事業拡大によりまして、新たに競争の促進が実現される路線がある一方、大手航空会社が現に使用している発着枠を新規航空会社に与えるということになりますので、大手航空会社は既存のネットワークの一部を縮小せざるを得ないということは、限られた発着枠を前提とすればやむを得ないものと考えているところでございます。

木村(太)分科員 そうしますと、先ほど私が言いましたとおり、あくまでも利用者のサービス向上という大きな大義名分があるんですが、一方ではやむを得ない状況が生まれても仕方がない、こう航空局長は思うんですね。それを県民の前できちっともう一回言ってください。

岩崎政府参考人 平成十二年に航空法を改正いたしまして、基本的に事業者の発意、競争促進により全体としてのサービスの向上を図っていこうということで、個々の路線のことについては、基本的にエアラインの方に任せていくということで法律の改正をしたところでございます。

 発着枠を拡大するような努力をこれからもいたしますけれども、今の羽田空港の発着枠の制約の中で、こうした新規の会社を育成していくということと大手の既存のネットワークを維持していくということ、バランスを図りつつやっておりますけれども、繰り返しになりますが、新規の発着枠がなかなか生まれない中での再配分でございますので、こうしたことが起こるのもある程度やむを得ないものと考えているところでございます。

木村(太)分科員 ですので、あくまでも利用者のために発着枠の見直しをしているわけでしょう。しかし結果的に、青森空港を利用する利用者から見ると、不便性が増しているという大きな憤りを生んでいるわけですね。結果的にそういうことを生んでいることがいいことなのかどうか。

 発着枠の見直しは見直しで私は否定しませんが、結果的に利用者は困っているわけですね。そういう結果を生んでいることに、あくまでも航空会社の判断というふうに置きかえると、何のための発着枠を国交省がやっているのかということ、ここをきちっと県民の皆さんに説明してほしいんですよ。

岩崎政府参考人 個別の路線でそうした事態が起こるということは決して望ましいことだと思っているわけではございませんが、繰り返しになりますけれども、限られた発着枠の中で競争の促進を図っていくということで、こうした結果が生じるというのもやむを得ないものと考えているところでございます。

木村(太)分科員 やむを得ないでは済まされないという思いで私も今この場に立っておりますし、私だけでなくて、県選出国会議員も、また県サイドあるいは経済界等々いろいろな方々が、いいのかいいのか、このままでという危機感を持って、今いろいろと皆様方に努力のお願いをしているわけであります。

 今局長さんの答弁いろいろありましたが、大臣にお聞きしたいと思います。

 実は、去る九日、私は地元の県議会の皆さんと一緒にJALの方へ、そして国交省の方にも赴きまして、今言ったようなことでいろいろお願いをしてまいりました。要望活動をしてまいりました。そのとき、JALの幹部から言われたのは、私たちも減便したくてしようとしているのではない、あくまでも国交省の発着枠の見直しの中でやむを得ない対応である、こう答えた部分がありました。また、国交省にお伺いしたときには、今局長さんの御答弁にもありましたが、どの路線をどうするかはあくまでも航空会社の判断であるという答えでありました。その要望活動を終わりまして県議会の皆さんの声を聞きましたら、何かお互いに責任を押しつけ合っているのではないかというふうに印象を持ったということだったんですね。

 今の局長さんと私とのやりとり等を聞きながら、今大臣として、航空会社を指導する立場でもありましょう国交省として、JALにどう対応すべきかということをぜひお答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 今の御質問をずっと聞いておりまして、これは青森に限らず、東京に行く足ですよね、これまで六便ですか、これが一便減るということは、その地域にとりまして大変な大きなマイナスの影響を与えていくわけでございまして、委員のおっしゃっていることは非常によく理解をできます。

 委員はもうすべて御存じなのであえて申す必要はないのかもしれませんが、この問題の最大の問題点は何かといいますと、要するに羽田空港がもう枠がいっぱいになってしまっている、こういう状況なんですね。青森だけではなくてほかの県からも、ぜひ羽田便をという強い要請が全国からある中で、一方で、羽田は枠がもういっぱいになってしまっている。早くこの状況を打開しないと、この問題は解決できないんですね。

 御承知のように、羽田空港につきましては、根本的には四本目の滑走路をつくろうということでこれから始めてまいります。そうしたら、大きくまた枠がふえてくるわけでございますが、ただ、そうはいってもそれは、今目指しておりますのは二〇〇九年ということでございまして、それまでまだ時間が大分あるじゃないかということだと思います。

 そういう意味で、この羽田の発着枠につきまして、もちろん根本的には羽田の拡張でございますが、それを待たずに何とか羽田の発着便の枠を少しでも拡大できないのか、今勉強をしているところでございまして、ぜひそれを進めさせていただきたいと思っているところでございます。

木村(太)分科員 それから、県民にはこういう声も一つあります。さっき冒頭言いましたとおり、かつてはダブルトラックの路線であったわけでありますが、現在JALのシングルトラックになって、以前と比べた場合、ダブルトラックのときの旧JAS、今はJALさんと、今シングルトラックになったJALさんの運賃について、何か高いんじゃないか、あるいは、割引の種類あるいはその率というのが少なくなったんじゃないかというようなお声が大変もう一方であります。

 料金にも、通常料金や各種の割引料金もあるだろうし、またパック料金というものもあるだろうし、その点、通告してありましたので、かつての料金体系と現在シングルトラックになってからの料金体系に変化があるのかどうか、また距離的に考えた場合に、羽田と青森間と大体同じぐらいの距離で他の路線と比較した場合に差があるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

岩崎政府参考人 青森―羽田間の運賃の推移でございます。

 平成十五年の四月、このときはまだANAが撤退前でございましたので、JALとANAの、正しく言いますとJASでございますが、JASとANAの二社が飛んでおったときは、普通運賃でございますが、二万三千円でございました。ANAが撤退をいたしましてスカイマークが入ってまいりましたので、そのときはJALとスカイマークの二社の体制になりました。その際、JALは二万三千円のそのままでございましたが、スカイマークはそれより二千円安い二万一千円ということで運賃を設定しておりました。

 その後、JALとスカイマークの二社体制の中で、JAL及びANA、これは全国的でございますけれども、当時はやはりイラクの戦争でありますとかSARSでありますとか、いろいろなことで大手エアラインの経営が大変厳しくなってまいりましたので、これは青森だけというわけではなくて、全国的にJALとANAが運賃の見直し、値上げをやったところでございます。その結果、JALが二万五千五百円、スカイマークはそのままで二万一千円、こういうことでございました。その後、長くなりますけれども、スカイマークが撤退をいたしました。撤退をいたしまして、今JALの二万五千五百円という運賃が残っている、こういうことでございます。

 したがいまして、スカイマークが撤退してシングルトラックになったからという問題ではなくて、JALの運賃だけ申し上げますと、ANAと一緒だったときに二万三千円であって、それから経営が大変厳しくなったので全国的に値上げをした、その一環で青森も二万五千五百円になった、こういうことでございます。

 それから、割引運賃でございますけれども、これも当時と比べまして、現在を含めて、割引運賃の種類あるいは割引率、こうしたものについて、これは割引でございますのでいろいろ見直しをやっておりますけれども、そんなに大きな変化はない、このように承知をしているところでございます。

 それから、ほかの路線と比べてどうか、こういう御質問でございますが、羽田と青森は六百九十キロございます。今申し上げました二万五千八百円でございます。似たような規模の路線で似たような距離の路線といいますと、例えば羽田と岡山、これが六百八十五キロでございますが、二万五千八百円でございます。羽田と三沢、これも六百八十五キロでございますが、二万五千三百円ということでございまして、この辺から見てみますと、青森―羽田の運賃が他の路線と比較して極端に高いという状況にはないと考えております。

木村(太)分科員 確かに、調べてもらいますとなるほどなとは思いますが、ただ、全日空さんやスカイマークさんがあって競合していたときは、やはりそれなりの安い値段があったと思うんですね。そこがやはり県民から見た場合に、運賃についても不満というのが一つの大きな声としてあると思うんですね。やはり競争原理というのは大事だと思うんです、この運賃のことをとってみても。

 今、新幹線もおかげさまで八戸まで来まして、新青森までめどが立ってまいりました。多分、JRとの競合というのも出てくると思います。私は、仮にこのままシングルトラックでいっても、新幹線が新青森まで来ますと、多分運賃の面でJALさんは一つのアクションを出すと思うんですね、あるいは割引とかそういうことを含めて。やはり利用する立場の国民の皆さんのことを考えれば、正しい競争原理をいかに生んでいくのかということが本当に大事なことだと考えているわけであります。

 大臣にもう一度お聞きしますけれども、先ほど言ったもろもろのこと、また今言った運賃のことも含めて、県民にはJALに対して大きな不信感というのが広がっているんですが、行政の立場から、大臣としてどうこの不信感に対応していくのか、決意があればお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 航空会社というのは公共交通機関でございます。国民の、県民の貴重な足となっているわけでございます。また、経済活動のまさしく基盤になる機関でございまして、そういう意味では、公益性という観点からはやはり当然一定の使命というものを果たしていただかないといけない、地元の県民の方々の利便性をいかにして向上させるのかということをやはり常に考えていただかないといけない、そういう使命を持った企業であるというふうに私は思っております。

 わかりませんが、シングルトラックであるということに乗っかって、そうした努力を仮に怠っているところがあるとしたら、それはやはり私は問題であるというふうに思います。

 きょうの委員の御質問を聞いていまして私の思ったことは、今回、羽田便、羽田の枠がいっぱいで、一方で新規航空会社の参入を図らないといけない、そういうことで、大手の航空会社の便を切らざるを得なかった。その結果、今おっしゃったように、逆に、そういうシングルトラックであるから、あそこだったらほかとの競争もないし減らしてもいいかというふうな判断が仮にあったとしたら、そういうことは私多分ないと思いますが、あったとしたら、それはやはりとんでもない話だというふうに私も思います。

 その辺、そういうシングルトラックのところについて、そういう意味では、国民、県民の利便性向上のためにしっかり働いてくれているのかどうか、そこはしっかり見ていきたいというふうに思っております。

木村(太)分科員 青森―羽田間に限らず、一番の目的である利用者のことを考えた場合という大きな大義に即したときに、ダブルまたそれ以上のトラック化を目指すためにも、この発着枠のあり方ということをもう一回点検してみてはどうかな、こう思います。

 つい最近のことでありますが、地元紙の報道で、夏にも発着枠の見直しがあって、復活する可能性もあるような報道が大きくあったんですが、そういうことはあり得るんですか。

岩崎政府参考人 羽田空港の発着枠でございますけれども、今一時間に二十九便、これが発着枠でございます。この一時間二十九便の発着枠でございますが、これまでも見直しは何回かやってきておりまして、それが二十八便だったのですが、一昨年から二十九便とふやしているところでございます。

 抜本的には、先ほど大臣が述べましたように、羽田の再拡張を待たなければいけませんが、こうした二十八便から二十九便に枠をふやしましたように、何とか少しでもふやせないかということで今勉強しているところでございます。ハード、滑走路はふえませんけれども、滑走路の運用をうまくすることによって、効率的にすることによってふえないかということについて勉強しているところでございます。

 ただ、この問題につきましては、やはり安全とかかわってまいります。本当に、発着枠をふやす、つまり具体的には発着の間隔を縮めるということでございますので、それをすることによって安全上の問題がないのかどうかということも十分検証しながらやっていきたいと思っておりまして、今先生がおっしゃったような形で、ことしの夏とかそんなことでできるかどうかというのは、まだそこまで結論は至っておりませんけれども、我々としてもできるだけ早く、できることなら発着枠がふえるように勉強をしているところでございます。

 まだ、具体的なめどが立っているという段階ではございません。

木村(太)分科員 今の御答弁を聞くと、夏までということはあり得ないような感じに私は印象を受けました。

 できるだけ早くということでありますので、その見直しというのを、もちろん安全というのは今お話あったとおり大事なことでありますが、ぜひ進めていただきたいと思います。

 まだ時間がちょっとありますので、通告していないんですけれども。

 どうでしょうか、大臣。一度、定期的にそういうことがあるのか私はわかりませんけれども、JALに限る話ではありませんが、ただ、今回私はJALのことを取り上げていますが、航空会社と大臣あるいは幹部の皆さんと時に意見交換しながら、もちろんこの発着枠の見直しは見直しでその場でやることでしょうけれども、大臣お話あった、いわゆる公的な企業としての航空会社と指導する立場である国交省の幹部の皆さんとの、あくまでも国民の皆さんのことを踏まえての意見交換等をしてみてはいかがでしょうか。どうですか。

北側国務大臣 航空会社の持つ公共的な使命ということを考えたときに、航空行政をこれからどのような方向に進めていくかということでは、やはり連携をよくとること、またよく呼吸を合わせていくことというのは非常に大事なことだというふうに思います。よく検討させていただきたいと思います。

木村(太)分科員 では、必要であるならば、大臣、会っていただきたい、こう私はお願いしておきたいと思います。

 いずれにしましても、安全ということが一番大事でしょうし、先ほど四本目の滑走路の話がありましたが、二〇〇九年ということであります。それができると、大分またいろいろな意味で違ってくるんだと思いますが、ただ現実に、もう目の前に迫った減便ということを、県民の不便性につながるという不信感、これをどう打開するのか。

 四本目の滑走路をつくる、つくらない、できる、できてからの話ではなくて、今まさに来月減便されようとしている中で、県民の航空に対しての不信感をどう払拭するのかという現実の問題が今大きくあるということを、ぜひ大臣初め幹部の皆様方に御認識していただきまして、必要であるならば、大臣みずからリーダーシップを発揮されまして、航空会社とも率直な意見交換をしていただきたい、また、大臣が忙しいということであるならば、大臣の親書を持って中野政務官がぜひパワーで行っていただきたいな、こう思います。

 以上申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

石井主査 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川分科員 おはようございます。日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、きょうは八ツ場ダムについての質問をさせていただきます。

 八ツ場ダムは、事業費が二千百十億円から四千六百億円に倍増、大きく膨らんだということで、全国一高いダムとなりました。来年度の予算案を見ても、すべてのダム計画の中で最も大きな予算である二百八十億円がついております。関係都県などの負担も当然大きくなってまいります。

 この事業費倍増の報道に接した首都圏の住民の皆さんにとっては、改めて、八ツ場ダムというのは何なんだ、この八ツ場ダムが本当に必要なのかという声が広がっているわけであります。政府は、この国民の声に真摯に耳を傾けることが求められております。

 そこで、お聞きしますが、今全国的にも水余りでもあるわけで、需要に応じて水資源開発計画をつくり変えなければいけないときであります。時代のニーズに合わせた、利根川水系の新たな水資源開発基本計画、フルプランは今どうなっているのか。新たな計画の今後の見通しですけれども、お答えください。

仁井政府参考人 利根川水系フルプランの改定の見通しについてのお尋ねでございます。

 お話ございましたように、水資源を取り巻く諸情勢が変化してきているということに対応するため、水資源部におきましては、現在フルプランの改定、これは利根川水系だけではなくて全国七水系六計画でございますが、これに取り組んでいるところでございます。このため、利根川水系につきましても、私どもの方から関係都県に対して、将来の水需要の見通しなどについての調査をお願いしているところでございます。

 一方で、フルプラン、全体的に改定をするということのためには、私どももそうでございますし、それぞれの都県におきましてもそうでございますが、基礎資料の収集、整理、あるいは関係者との調整、合意形成といったいろいろなプロセスが必要でございます。最終的には国土審議会での調査審議といったような段取りを経て手続を完了させるわけでございますが、そういったことを考えますと、どうしても所要の時間を要するということについては御理解を賜りたいと思います。

 私どもとして、フルプランの改定、できるだけ早く終えたいというふうに考えております。現在、関係省あるいは関係都県との間での情報収集、意見交換、必要な調整といったところに努めているところでありまして、極力早期に改定に持っていきたいというふうに考えているところでございます。

塩川分科員 まだできていない。まだまだかかりそうな話ですが、前の計画そのものは切れてしまっているわけで、水需要の見通し、下方修正が実際行われるようなときに、新たな計画がいまだないわけであります。

 もう一つ、九七年の河川法の改正で、河川整備基本方針、河川整備計画をつくることになりました。環境保全を目的に加えて、計画段階からの住民参加の手法を強めたことが特徴であります。

 八ツ場ダムを含む利根川水系に係る河川整備基本方針及び河川整備計画は、今どうなっているでしょうか。お答えください。

北側国務大臣 利根川水系の河川整備基本方針及び河川整備計画につきましては、これは利根川の治水計画の基本となる計画でございますので、できるだけ早期に策定する必要があると考えております。

 現在、利根川水系では、近年の降雨資料の整理、解析を含めまして、必要な調査、検討をしているところでございます。私からも、早期の策定に向けてその作業を早く進めてもらいたいというふうにお願いをしておるところでございます。

 利根川水系というのは、委員も御承知のとおりに、大変流域が大きくて、流域の都県、関係市町村また関係機関、大変多いわけでございます。これらの関係機関との事前の協議、調整をしっかり行いまして、できるだけ早期に策定してまいりたいと思っております。

塩川分科員 河川法改正のときの当時の亀井大臣の提案理由でも、自然環境保全等の時代の要請から、利水、治水目的に環境の保全を加え、地域の実情に沿った計画をつくるために学識経験者、住民等の意見を反映する仕組みをつくるんだと言っているわけですから。新たな時代の要請もあるわけですから、それらにこたえるという点では、改正されてから八年であるわけで、そういう意味では、直ちにつくるべきものが実際にはできていないわけであります。

 そういう点では、今フルプランもなければ河川整備計画もないわけで、あるのは昔のままのダム計画だけであります。時代に合わせた新たな計画のないままに、昔のままの計画でダム計画を進めるのは極めて問題じゃないか、このように考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

北側国務大臣 昔の計画といったって、それは今生きているわけでございます。昔の計画が無効になったわけではございません。また、現実に、治水の必要性というのは昨年一年間を見てのとおりでございまして、治水の必要性というのは大変高いわけでございまして、新たな河川整備計画ができていないから、そうしたら、治水について、できない、してはならない、そういうことではないということは委員も当然御承知のところでございまして、かつて決めた計画に従って今進めているというところでございます。

塩川分科員 水需要も変わる中で、改正河川法で時代の要請に応じた計画が求められているときに、昔のままの計画でいいのかということが問われているんだと思うんです。

 八ツ場ダムについては、既に関係都県に対して住民の方から監査請求が行われ、また続いて、支出差しとめの提訴も相次いでおります。もちろん、ダムは必要ないという方と同時にダムは必要だという方もいらっしゃるとは思いますけれども、そういう意味でも、この改正河川法の趣旨にのっとった対応が必要じゃないかと考えます。

 学識経験者の意見や住民の意見などを整備計画に反映することとなっているわけですが、この作業をしないまま、五十年以上も前につくられた八ツ場ダムの建設計画を推し進めるということは、改めて聞きますけれども、改正河川法の趣旨に反するんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

清治政府参考人 八ツ場ダムにつきましては、目的がいろいろあるわけでございますが、現状に合わせた計画の内容の充実といいますか、そういうようなことは意識してやってきているわけでありまして、昨年もダムの基本計画につきまして事業費の改定のお話がございましたが、そういう話の中で、全体の見直し、調整ということはやってきておりますので。

 ただ、本当のもとになるところのフルプランあるいは河川整備の基本方針、整備計画、これにつきまして、まだ十分な現状を反映した形の見直しが行われていないというのは御指摘のとおりでございますので、これについては早急に計画の見直しが行われますように、各般と調整を重ねてまいりたいと思っております。

塩川分科員 立ちどまって考えるべきときにあるんじゃないかということを私は言いたいんですよね。

 その上で、やはり住民の声も聞いて計画をつくっていく上で、整備計画には学識経験者や住民の声を反映するということがうたわれておりますし、現に、直轄の百九水系を見れば、整備計画をつくっているのはわずか十一ですけれども、流域委員会をつくって住民や専門家の声を反映するというところは今二十五水系に上っているわけです。その中に、この八ツ場を含むような利根川水系というのは入っていないわけですよね。一番大規模な計画でありながら、なぜ専門家や住民の声を聞かないのか。これこそ直ちに行うべきじゃないか。

 淀川水系の流域委員会のように、専門家と関係住民も参加をしたきちっとした協議機関、これこそ、すぐつくるということを国としても整備局に対してきちんと求めていく必要があるんじゃないですか。

清治政府参考人 今、百九水系、一級水系の進捗状況について数字のお話もございましたが、利根川の水系につきましては、大臣からお話ありましたように、非常に重要な水系であるという認識をしておりますし、ただ、関係者が非常に多いということがあります。例えば流域の関係の方々とか学識者の意見を聞くに当たりましても、水系全部で一つの形でいくのがいいのか、もう少し地域ごとに分けて対応していくのがいいのか、そういうことも含めて今検討しているところでありますが、とにかく早い機会にそういう意見を聴取できるような体制をとって、計画の見直しを進めたいと思っております。

塩川分科員 ぜひ利根川水系でも流域委員会をつくってもらいたいと思うんですが、その点、改めて、いかがですか。

清治政府参考人 今お話がありました流域委員会は、これは法的に位置づけられたものではございませんが、学識者あるいは流域のいろいろな関係者、そういう方々の意見を聞くために、それぞれの水系に合った形で聞く場を設けているわけでありますが、その一つの形態が流域委員会というふうに我々考えておりますが、利根川の場合にも、十分意見聴取ができるような形で、流域委員会のような形のものを考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。

塩川分科員 ダムの事業費で一番大きいのは八ツ場ダムですから、そういう点では、残っている残額が一番多いのも八ツ場ダムになるわけですよね。これから負担をする住民の皆さんにとっても、負担する住民の声を聞くのは当然なんじゃないかという点でも、私は流域委員会などをきちっとつくった対応こそが求められていると思いますし、住民の声を聞くことなしに事業を進めること自身が問題だということを申し上げたいと思います。

 その上で、治水の問題について伺います。

 利根川水系の治水にかかわって、基本高水流量、ピークの流量が二万二千立米パーセクと言われておりますけれども、その算定根拠はどのようになっているのか、お答えください。

清治政府参考人 利根川水系の治水の基本になります流域基本高水、今委員からお話ありましたように二万二千立米パーセコンドという形で決まっているわけでありますが、これは一般的な、それぞれの水系について流量を決めていく手法についてお話ししたいと思います。

 利根川の水系につきましても基本的にはそういう方法でやっておりますということでありますが、まず、水系ごとの重要性を判断いたしまして、この水系は何分の一の確率の安全度を目標にするということを定めます。例えば二百分の一とか、そういう形で決めていくわけでありますが、その二百分の一の確率に相当する雨量がどのぐらいになるのかということを算定いたしまして、その雨量に基づいてそれぞれの河川の流出計算を行います。

 その流出計算を行った結果としていろいろな数字が出てくるわけでありますが、それらを総合的に判断して定めることになりますが、利根川の水系の二万二千トンにつきましては、この二百分の一の雨量によりまして算定しました流量というのが二万一千二百でございます。

 それに加えまして、実際に降った雨としまして、昭和二十二年九月のカスリン台風がございますが、その実績降雨によりましても流量の算定を行っておりまして、この算定した流量が二万二千でございます。

 これらを勘案いたしまして、利根川につきましては、基準地点の八斗島におきまして二万二千ということで定めているわけでございます。

塩川分科員 ダムに治水効果があるということは否定しないわけですけれども、そこでお聞きするんですが、この二万二千のピーク流量ですと、今後、幾つの治水ダムをつくることになるんでしょうか。二万二千のピーク流量、これに対応するために、ダムでの治水効果ですよね。そうすると、どれだけのダムを今後つくるようなことになるんでしょうか。

清治政府参考人 先ほど基本高水のお話をさせていただきましたが、利根川の水系につきましては、この八斗島の基準地点で、河道への配分流量というのを一万六千トンということで計画しておりまして、その差の分ですので、六千トンを何らかの方法で調節していくということになるわけでございます。

 今委員の御指摘のありましたダムというのも一つの方法でありますし、また遊水池等、そういうようなものの可能性もあわせて考えていかなければならないわけでありますが、これからダムを幾つつくらなければならないかということについては、詳細なダム地点の検討とかそういうものを経ていくことになりますので、数字が幾つというものは持ってございません。ただ、六千トンを何らかの形で調節していかなければならないということになりますので、八ツ場ダムのあとのダムについてもこれから検討していかなければならないというふうに考えております。

塩川分科員 既設のダムと、八ツ場ダムも含めてですけれども、それで実際に幾らカットできるという数字になっているんでしょうか、六千トンのうちの。

清治政府参考人 今数字を持ち合わせておりませんが、六千トンのうちのまだ比率としては三割とかそのぐらいにしかなっていないのではないかと。今数字を持ち合わせておりませんので詳細には御説明できませんが、そのような現状にございます。

塩川分科員 六千トンの洪水調節必要量のうち、既設のダムが六個と八ツ場ダムを含めて千六百トンですから、残りは四千四百トンなんですよね。そうしますと、単純計算で、八ツ場ダムを含めて七ダムで千六百トンということでいえば、残りの四千四百トンの確保のためには同規模のダムが二十近く必要になってくるという計算なんですよ。これから二十近くもダムをつくるということは本当に可能なのか。

 大臣、こういう見通しについて、現実的だとお思いになりますか。いかがでしょうか。

北側国務大臣 今も河川局長が答弁しておりましたが、すべてをダムでやろうということではございません。さまざまな方法があるわけでございます。一番いい方法を地元との協議のもとで決めていかないといけないというふうに考えております。

塩川分科員 いや、これは、遊水池とかはダムですから。要するにダムなんですよ。ダムでこれだけの流量をカットするような対応が必要なわけですから。

 そういう点でも、これから二十近くもダムをつくるようなそういう見通しというのは本当にあるのかどうかという点で、私、そこをそもそも考え直す必要があるんじゃないのかなと。そういう点では、私、やれ河川改修とか河川の修繕ですとか、そういうところに直ちに取り組むということが改めて求められているんじゃないかと思うんです。

 その上で、この八ツ場ダムについてですけれども、カスリン台風洪水に関する国土交通省の計算で、八斗島地点における八ツ場ダムの洪水調節効果、資料もいただきましたけれども、三十一の過去の洪水ということで出ている。カスリン台風洪水に対応するときの八ツ場ダムの洪水調節効果というのはどの程度あるのか、お答えいただけますか。

清治政府参考人 八ツ場ダムにつきましては、吾妻川という支川に建設されるダムでございますが、その流域にたくさんの雨が降る場合とそうでない場合とがあるわけでございまして、カスリン台風のときのような雨の降り方においては、八ツ場ダムの効果というのは、八斗島地点について大きいものは期待できないというふうに計算結果も出ております。

 ただし、利根川水系のような非常に流域の大きい川になってきますと、いろいろな雨の降り方があるわけでございまして、そういうものを幾つも検討した結果では、平均的には、八斗島地点で六百トンぐらいの調節効果が、大きいものでは千五百トンとか、そういう効果が見られますけれども、御指摘のカスリン台風の形のものについては、大きい効果は見込めないという結果になっております。

塩川分科員 もともと八ツ場ダムをつくる理由の一つとして、治水の問題についてはカスリン台風の話がさんざん言われてきたわけですよ。ですから、カスリン台風みたいなものが来れば八ツ場ダムが大きな役割を果たすんだと言われていたのが、実際、国土交通省からいただいた資料を見れば、カスリン台風洪水に対応しての八ツ場ダムの洪水調節効果はゼロなんですよね。私、そういう点では、今までのそういう論拠というのは何だったのか、理由は何だったのかということがそもそも疑われるわけであります。

 治水効果があるといっても、水位で見れば全体の中でわずかなものですし、もともと吾妻渓谷そのものが天然のダムとなるような渓谷の地形をなしていますから、洪水調節作用を果たすわけで、私、思うのは、ダムにこだわることがかえって河川改修などをおくらせることになっているんじゃないか、このことを思わざるを得ません。

 そういう点でも、私、こういう問題について、洪水調節効果についても再検討する必要があるんじゃないか、このことを改めて思うわけであります。再検討が必要ではないかなと思っておりますけれども、改めて、いかがでしょうか。

清治政府参考人 委員、冒頭でお話しされました河川整備の基本方針それから整備計画の検討、こういう手続の中で、今御指摘のありましたようなダムの効果でありますとか、それから、これからダムがどのくらい必要になるのか、こういうようなこともあわせて検討してまいる所存でございます。

塩川分科員 ダムにこだわることがかえって被害を大きくしたというのは、私、昨年の新潟県の水害で、経済産業委員会で現地に視察に行って、現場の方からお話を伺いました。三条市の中小企業の社長さんがお話ししていたのが、もともとダムがあるから水害はないということを思って、水害の保険に入っていなかった、入っていない人がもう大半だったと。

 結局は、河川改修が必要だったのにそれを怠ったということが被害を大きくしたわけで、ダムにこだわることがかえって対策をおくらせることになるんだと。そういう点でも、私、この点での見直しが強く求められていると思うわけです。

 そこで、利水についてお伺いします。

 特に、埼玉県にとって農業用水の合理化事業の問題があるんですが、その水利権が暫定的なもので、非かんがい期の水源を別のダムにより手当てしないと安定した水利権とはならないとされております。しかし、現実には水は供給をされているわけですが、安定した水利権として認めない理由は何なのか、この点をお答えください。

清治政府参考人 農業用水の合理化事業についてのお話がありましたけれども、農業用水は、かんがい用水は大体夏季に必要な用水でありまして、夏の間の用水を合理化するようにして生み出される新たな水源というのは、その見直しの中で出てくるわけでありますが、冬期間につきましては、そもそも農業用水の水利権がもともとないようなところについて生み出すという形にならないわけでございます。

 したがいまして、冬期間の流況、現在の流況に対して安定した水利権が与え得るかどうかということにつきましては、実際の流況、例えば、これは平成八年とか九年とかには冬期間の取水制限等が行われるような渇水が起こっております。

 そういう中で、安定的な水源とするためには、例えば、今の八ツ場ダムの新たな水源開発に乗らなければ水利権を付与することができないということになっておりまして、現在与えられている豊水暫定水利というものにつきましては、ダムが完成した時点で安定水利になるという、そういう性格のものでございます。

塩川分科員 しかし、もともと冬場というのは農業用水を使っていないわけですから、農業用水の取水の大半がなくなるわけで、河川の流量が夏季に比べて全体として小さくなるとはいえ、都市用水の取水が困難になることはないわけです。

 九七年、九八年のお話もありましたけれども、取水制限のときも余裕があったわけですよね。冬場に取水制限が行われた九七年、九八年でも、実際には給水圧の調整もなかったわけですし、過去二十年間困難になったことはないですし、流況を調査したデータを見ても、現実には余裕があるということが示されているわけです。

 この暫定水利権の問題については、本当にこれは暫定ということが言えるのかということが今問われているわけで、またこれは機会を改めて議論をしたいと思うんですけれども、暫定水利権の扱いを含めた水利権の許可制度について抜本的な検討が必要じゃないかというふうに考えているわけです。

 その上で、最後に大臣にお伺いいたします。

 水については、首都圏では、水道事業者はそれぞれありますし、水利権者はそれぞれあるわけですけれども、水そのものは一つのものであって、それをどう切り分けるかというのは人間の都合であるわけです。そういう点でも、こういった水の融通ということについて、もっと現実に即した対応をすることが必要なんじゃないかと思っているわけです。

 例えば、水利権の転用についても、ハードルが高いというふうに言われています。工業用水から上水等への転用が円滑に行えるような制度見直しを求める声もあります。

 日本工業用水協会のまとめた今後の工業用水事業のあり方に関する研究会報告書では、上水等への転用が円滑に行えるよう、例えば、転用に伴い、返還する工業用水事業補助金と新たに交付される上水道事業補助金との相殺や、一定の要件を満たした場合の工業用水事業補助金の返還免除など、制度の見直しの検討を求めています。

 これは、所管は経済産業省ということもあるでしょうし、また農林水産省が対応するということもあるでしょうし、そういう点でも、こういう転用の問題を含めて、水利権者の間での調整や水道事業者相互の水融通などについて、もっと時代に合わせた柔軟な対応が必要ではないか、このように思いますが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 水利用の合理化というのは、私も必要だというふうに思っております。水利権の転用を初めといたしまして、水道施設における漏水の防止、工業用水における回収利用の向上、それから、下水処理水の再生利用、また雨水の有効利用等々、水利用の合理化はこれからもしっかりと推進をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 ちなみに、利根川水系における水利権の転用でございますが、実績は、昭和四十年度から二十六件ございます。そのうち、転用先は二十四件が上水というふうになっているところでございます。

塩川分科員 利根川流域の実情に合わない水需要計画や治水対策を見直して、住民の声を反映した水計画をつくること、そういう中でも、八ツ場ダム計画の中止を改めて求めまして、質問を終わります。

石井主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷川弥一君。

谷川分科員 長崎三区、自由民主党、谷川弥一です。よろしくお願いします。

 きょうは、こういう機会をいただきまして、感謝申し上げます。三点お尋ねしたいんです。一点は離島振興について、二点目は入札制度のあり方について、三番目は建築基準法、品確法の見直しについて、一つずつお尋ねしていきます。

 まず、冒頭、大臣並びに関係者に御理解していただきたいのは、離島は要るんですかということです。日本に要らないんですか、要るんですか。要るとするならば、その評価は、ある国に国境を接している、そのことによるいわば二百海里水域の問題を含めて、日本にとって必要な面積というか、部分じゃないかということが一つと、要らぬとするならば明確にしていただきたい。

 なぜこんなことを言うかというと、あるときに、私が県会議員時代に大蔵省に行ったら、離島に住んでもらわなくていいんだよと言いましたよ。頭にきましたけれども、そのときは県会議員ですから文句も言えません。今国会議員になったんだから、腹いっぱい文句を言わせてもらおうと思っているんですが、まず、それをしっかり考えていただきたい。そして、理解していただいたら、それならどういうことになっているんだと。要するに、人間が住むためにはある一定のことが必要なんですが、住むということに対して、どういうハンディを抱えているんだということをまず御理解していただきたい。

 その件について若干触れさせていただきますけれども、人が住むためにはある一定の収入が必要です。その収入を得るために、太古の昔からつい最近まで、最近といったって昭和の四十年の頭ぐらいですが、ある人は海に出て、わずかな田畑で収入を得たり海で収入を得たりしておったんですが、足らざる部分を山に行って、まきをとってきたり、炭を焼いたりして、いわば日本社会のエネルギーを担っておったわけです。

 それが、御存じのような状況になりまして、全く売れなくなりました。そこで、本当は路頭に迷う、そこで首くくって死ぬか、もしくは、意を決して海の外に出ていくかすべきだったんですが、高度成長という時代が来て、離島振興法によって公共事業をどんどんどんどん持ってきていただきまして、その公共事業の日当をもらって働く、そういういわばビジネスモデルができ上がったんですね。

 それで何とかかんとかしのいでおったんですが、それであっても、高校を卒業したら九七%は島外に出るんですよ。島内に仕事場がないから、島外に出て、そのまま働くか、もしくは大学に行く。大学に行ったら、その大学があるところで就職する。実はこのパターンで、どんどこどんどこ高齢化していったんです。ちなみに、私が出た学校は、長崎県南松浦郡岐宿町立川原小中学校なんです。同じグラウンドに一年生から九年生までおりました。そこで八十何人おったんです。昭和十六年生まれですからね。ところが、この間は四人ですよ、その学校は四人です。

 そういうふうに過疎化したので、普通なら、何とかしてやろうと、こう考えるんです、普通なら。そういう状況の中に、首を絞めに来ましたね、国策によって。どういう首の絞め方をするかというと、町村合併する、まずこう言うんです。漁協も合併する、農協もする、そして、スーパーが出てきて、商店街がばたばたばたばたつぶれている。それなら、残りの三%はどこに就職するんですか。漁協に行ったり、農協に行ったり、銀行に行ったり、役場に勤めておったのが、合併して要らなくなったんですから、どこに就職するんですか。

 そういうことになってきたときに何をやったかというと、公共事業のカットです。どばっと、構造改革という名のもとに、四五%カットしているんですよ。とんでもないことをするんですよね。国が実は三七%カットしているんですが、長崎県は、離島の公共工事、ピーク時の八百十三億から、ことしの予算は四百四十七億です。何を考えているのかな。

 もう一遍原点に返りますよ。もう瀕死の重症のような状況になってきたときに、首を絞めに来た、なおかつ、その絞めた首の縄を上につるし上げてきた、こういう状況が公共事業のカットなんです。ですから、一律にカットしなきゃならぬという理由も僕はよくわかっているんですよ。だから、やるなとは言いません。それは構造改革、必要ですからね、孫子のために。しかし、みんな一律にばあっとやるんですか。消費税を上げるときには、例えば食料はやめようとか、医療費はやめようとかいうのがあるじゃないですか。それなら、首に縄がかかっている離島はカットはやめようよというのが当然の理念というのか、優しさというのか、じゃないですか。なぜ一律に首を絞めるんだ。御答弁を願いたいと思います。

竹歳政府参考人 離島の役割、重要性につきましては、先生先ほど御指摘のように、平成十五年の法律改正で、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担っているということで、政府として特別の措置を講ずる、今後とも離島は必要だということで支援していくということが法律上はっきりしているわけでございます。

 それで、今の、なぜ一律に首を絞めるのかという点でございますが、政府全体の政策ございますが、離島については、公共事業費の補助率のかさ上げとか税制上とかいろいろな、できる限りの支援はさせていただいているということでございます。

谷川分科員 できる限りの支援はしているという言葉はいただきました。言葉として受けとめて帰ります。しかし、結果的に、長崎県の場合に八百十三億の予算が四百四十七億になっているということは事実ですから、この事実と、さっき言った抽象論との間の落差というのはどこから出てくるのか。私はあなたが好きよ、好きよ、嫁さんにせぬよ、着物も帯も買うてやらぬよと言われたときに、どういうふうに好きよということを理解したらいいのか。どういうふうに理解したらいいんですか。離島は大事ですよ、だから積極的に云々ですよ、しかし予算は切るよ。これはどこの外交方法にあるんですかね、こんな方法が。何か昔歴史で勉強したような気がしますよ。言いませんけれどもね、国のことですから。どこかがよく言うですよね。どう理解したらいいんですか。わかりますか、私の言わんとすることが。

竹歳政府参考人 離島の問題につきましては、谷川先生が、機会あるごとに国会等の場におきまして強く訴えてきておられまして、私たちもその問題認識を全く共有するところでございます。

 先ほど御指摘ございましたように、公共事業の予算は、国の予算は確かに三七%減っております。それから、人口につきましても、平成七年から十二年を見ますと、人口が七%減って、就業者数はさらにそれを上回る九%減っているということで、大変厳しい状況になっております。

 ただ、一方で、やはり観光の問題とか、幾つかの地域、数は少ないんですが、幾つかの地域でいろいろな努力をされた結果、観光業とか農林水産業の雇用を実際にふやしておられる例も見られます。

 例えば、屋久島は、平成五年の世界遺産登録後、観光関連のサービス業、こういう方が二二%ふえて、島全体でもプラスになっておりますし、兵庫県の坊勢島というところでは、漁業協同組合が主体となってさまざまな努力をされて、ここも人口がふえているということで、確かに公共事業、厳しい状況にあるということですが、いろいろな、また観光とか、そういう離島の特性、価値ある地域差、こういうものを生かしながら島民の方は努力されておりますので、そういう面からも、我々、支援をさせていただきたい。公共事業を切ったらもうあとは何もないということではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

谷川分科員 般若心経に「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空」というのがあるんです。どういうことかといったら、あなたが人間として生まれて幸せになりたいなら般若波羅蜜多をしなさいということなんです。般若波羅蜜多というのは、般若というのは知恵であります。波羅というのは彼岸であります。蜜多というのは行くであります。幸せな世界へ行くということなんです。どうすれば幸せな世界へ行くんですかということなんです。それは、目の前に来た問題から目を離すな、一生懸命やれということなんですよ。

 私が離島のために一生懸命やるためには、あなたがどんなに御託を並べようが、結果として、高校を卒業した子供がこの会社に就職する、あの会社に就職する、そういうことが結果として出てくるようなことをするのが私の仕事なんです。あなたから抽象論を受けて、私は、それを帰って国会報告するわけにいきません。私は一生懸命当局にお願いして、ほら、これをつくったよ、ここに就職できるよ、こういうことをするのが私の務めなんです。そうしなかったら、私はお釈迦様の教えにも反するんです。そうなると、おやじに申しわけありません。

 ですから、もう一回僕はここで頑張って言わせていただくんですが、ヒントがあるんです、ヒントが。明治政府が私の長崎にドックをつくりました、国防のために。殖産興業、富国強兵ですからね。そうすると、それはどうなったかというと、ある一定の船をつくる技術、まず国の金で土地を買った、国の金で箱物をつくった、国の金で機械を入れた、国の力で技術者を雇ってきた、ヨーロッパから。そして、つくって、船はこうしてつくるのよと見せた、ああそうか、こんなにしてつくるのか、注文はこうしてとるのよと、して見せた。そして、軌道に乗るようになったら、どんと民営化しましたよ。土佐の人が買いましたよ、岩崎弥太郎という人が。それをヒントにできないかと、こう言っているんです。国の金で、五島で土地を買うんです。国の金で建物をつくるんです。国の金で機械を入れる。国の力でバイオ、ナノテク、環境技術、もしくはそういう技術者を雇ってくる。そして、商社から退職したマーケティングに詳しい人を雇ってくる。やってごらん、こんなふうにしたら五百人の工場ができるのよとやってみせる。明治政府がやったことが、我々が今できないことないでしょうが。

 もう一遍、論点を整理しましょう。離島は要るんですか、要らないんですか。要りますと言いました。それなら、要るためには、ある一定の人間がそこに住めなければならない。魚をとっても田畑を耕しても、なかなか飯が食えない、公共事業はどうしても諸般の事情によって切らざるを得ない、さあ観光でと言うけれども、観光で食えないじゃないの、現実的には。私も、やせても枯れても、これでも県会議長をした男なんだよ。会社も、ゼロから二百億の金をつくったんです。何をどうすればどうなるか知っているんです。あなたが言ったことぐらいで何にもなりません。一人もふえない、こんなことでは。やっていますよ、観光ぐらいでやれるんなら。抜本的に、私が今言ったようなことを本当に、ハードを切るならソフトでもってやりましょうよ。

 もう一つは、今、安全、安心という時代ですから、何か伊勢丹で二百円のケーキが千二百八十円で売れるそうです。今の消費者は、これは安全だ、安心だ、これは体にも健康にもいいとなったら買いに来るんです。そうすると、五島で、壱岐で、対馬で何をつくったら、どこに持っていったら、どういう流通コストに乗せたら物になるかということを僕は模索したい。

 幾ら提案しても乗ってこない、農協も、漁協も、役場も。それなら私が精いっぱい関係当局に東京でお願いして、そういう土づくりから、流通から、販売先の開拓からやってみたい。そういうことをしないと私は生きがい、やりがいがないんです、政治家として。これができなかったら僕はもう次、出ないんです。

 出たいやつが出るからいかぬのよ、政治家は。歴史上必要な人間が出る時代なんだ、今は。迷惑なんだよ、わけのわからぬ政治家が出てくると。それをしいきらぬならやめるんだよ、おれは。

 進退をかけて僕は、大臣でも、どっちだって結構ですよ、何とかまともな話をしてくださいよ。今のを議事録に書いて読んだら、全然答弁になっていない。

竹歳政府参考人 お答えになるかどうかわかりませんが、いずれにしろ、ソフトの対策についても、政府としていろいろ努力をしているところでございます。今、先生からも幾つか貴重なヒントもいただきました。我々は、こういう中で、さらに一生懸命勉強していきたいと思います。

谷川分科員 何ぼ言っても、時間がないから次に行きますけれども、全く私は、副大臣、同じ村の仲間ですからお願いしておきますが、話になりませんからね、頭に入れてくださいよ。

 次は、港と漁港の交付金についてですが、平成十七年度から、地域再生の観点から、地域にとって非常に使い勝手のいい、各省庁連携の交付金が予算化されているんですが、これは離島は外しているんです。それは離島振興で使えという意味なんでしょうよ。ところが、今言ったように、離島振興が半分近くになっているんですからね。これはぜひ離島も入れていただきたい。これはもう先輩方の政治力で、役所じゃないんですから、大臣、副大臣のお力でぜひやっていただきたい。そういうことを強くお願いしていますが、コメントだけで結構ですから、先に行かないと時間がないので、ちょっとだけで結構ですから、努力するとかなんとか。いや、だめだよ、あなたじゃ。努力するとかなんとか、何かなりませんかね。

中野大臣政務官 谷川委員からは、先ほど来、離島が抱えますいろいろな問題、課題につきまして、本当に率直に、心からのお叫びをお伺いさせていただきました。

 私も、宮城県でありますけれども、塩竈を初めといたしまして、離島地域を抱えまして、それぞれの地域の実情は、生でも、また直接お伺いもいたしておりますから、私なりに承知もいたしておるところであります。

 先ほど来、ハード面あるいはソフト面のお話もございましたけれども、とりわけソフト面につきまして、改めてまた谷川委員からいろいろなお話もお伺いをし、同じ政治の立場で、私たちが国交省サイドでどんなお手伝いをさせていただくことができるか御協議をさせていただきたいな、そんな気持ちであります。

 また、ただいま港整備交付金の問題についてもお話をお伺いをいたしました。問題ではないか、このことにつきましても、現にある仕組みはそうでありますけれども、御指摘の点も踏んまえながら、なお港湾整備につきましてはまたしっかりと対処をさせていただきたいと思っておりますので、またいろいろ御用命を賜りたいとも考えておるところであります。

 ありがとうございます。

竹歳政府参考人 一点補足をさせていただきますと、今回のこの港整備交付金、これは本土の港湾の予算を切ってつくりました。ということで、これは離島が外れているわけではございませんで、離島の予算は予算として確保した上で、この交付金も離島の方も使えるという仕組みになっております。

谷川分科員 あと二点、どうしても聞きたいので、もうまとめていきます。時間がなかったら困るので。

 一つは、入札制度の改革についてですが、御理解を賜りたい。これはもう現状認識をしていただきたい。

 というのは、マイクロソフトは上がりが九割ありますよ。もうかりますよね。それから、有名なユニクロは粗利が四八・数%あります。コンビニが二五・八あるんです。ところが、私どもに関係ある建設業は、それがたとえ粗利が五%であっても、話し合ったらひっくくられるんです。おかしいと思いませんか。

 話し合って、五%が一〇%、一五、二〇、三五、四〇、五〇と上げていって、そして、とらぬぞ、とらぬぞというなら談合として、私はよう理解できます。しかし、天下のプロ、国交省のプロが設計して、プロが見積もって、それで、これだよと値段まで決めて、話し合ってそれ以下で、半分でとっても、談合といってひっくくるんですよ。おかしいと思いませんか。何でこんな悪法がまかり通っていくんですか。悪法ですよ、明らかに。

 大津地裁、松山地裁で、談合というのは罪じゃないよという判例もあります。地裁ですけれども。もう一遍真剣な気持ちで、国交省はこれをぜひ見直していただきたい。

 例えば、今盛んに問題になっているでしょう、子供がいじめをするとか、けんかするとか。素手でけんかするときは、親はにこにこ笑っていいんですよ。ああ、たくましくなるんじゃ、やれと。ところが、相手が刃物を持ってきたら、鉄パイプでけんかしたら、親として、自分の子供がかわいかったら、とめに入るべきですよ。入るべきですよ。刃物じゃありませんか、この談合罪というのは。鉄パイプじゃありませんか。

 かわいそうですよ。建設業者というのは苦労しているんだから。雇用に貢献し、田舎では町の中核になってその町を支え、そしてお祭りでも、人よりも先に出て、汗を流してやっているじゃないですか。この建設業者の役割というものを本当に考えるならば、三%でも五%でも、たとえ赤字になっても、話し合ったらひっくくるというのは、おかしいよ、こんな法律は。ぜひ変えるような努力をしていただきたい。

 次に、建築基準法と品確法なんですが、防火地域という指定をしたら、建築基準法によって壁に杉が使えません。しかし、火事になったときに、杉を張った壁板の家と、それから、皆さん国交省の住宅課が非常に好きで好きでたまらない、無味乾燥な鉄を張って全くアメリカ文化されたプレハブと。プレハブだけの家を見たことがありますか、あなた方は。死んでいますよ、その町は。そういうのはいいよ、こっちはだめだよ、何の根拠があってそんなことを言うんだ。ぜひこれは見直していただきたい。

 国交省の住宅課がつくった建築基準法というもので、外に杉で壁を張れない。昔は壁板は全部杉でした。だから、杉は売れたんです。ここはだめだよ、あそこはだめだよ、こうやってくるから、売れなくなったんだよ。

 それから、品確法というものなんですが、壁にクロスを張ったり、こんな集成材のベニヤを張ったり、これはベニヤですよね、張ったりするのがアメリカ文化の影響で流行になりました。そういうのが格好いいとなりました。結果として、杉を張っていた壁板が、今言ったようになったわけだから、売れなくなったんです。

 それでいいですよ、国交省の立場はそれでいいんだから。

 ところが、今度は別の立場になって、山が売れないんです。特に品確法になって、含水率を下げろというから、立米一万二千円かかるんですよ、含水率は。

 ちょうど同じことが今起こっております。鉄鉱石が倍になりました。原料炭が倍になりました。日本全体で一兆円ふえるそうです、コストが、原料が。これをかぶったらつぶれるんだよ、新日鉄でも何でも。ところが、幸いにして、トン一万円上げる、こういう力がトヨタにあるんです。

 残念ながら、杉はその力がありません。買わないよ、ああそうですか、それなら下げますと、身銭を切って下げたわけですね。そうしたら、立米二万五千円の杉が、品確法ができたことによって半値になったんです。半値になったから、山を買って木を切って運んでくる、これで、ひいたらゼロなんだよ。ただでもらっても合わなくなった、山が。品確法のおかげで。ただでもらっても合わないんだから、だれも買わないよ。結局、切っては捨て切っては捨て、たたき売って、山がどんどんどんどん荒れているんです。これは、国交省の皆さん、関係者の皆さん、国交省がつくった法律によってこうなったんですよ。

 だから、国交省は自分の立場は立ったでしょう。しかし、国交省のおかげで日本じゅうの山が荒れ放題になってしまった。京都議定書で三・九という割り当てが二・六になっております。そうしたのも国交省の法律なんです。

 ですから、がんを撲滅せんばいかぬ、これは。がんを撲滅しようとして、すばらしい人が東大に行って、すばらしい会社と提携して、がんの薬を開発しましたよ。やった、これでがんは撲滅だと。副作用があって全部死んでしまいました。こういうことになっているんだから。薬の場合は、これは法律によって、薬が効くか効かぬか、その副作用はどうか検査するシステムはあるけれども、ここにはないんだよな、国交省の法律には、影響を調べるシステムがないんだ。ないから、結果として、だだあっと大変なことが起きているんです。これは林野庁に幾ら言っても聞かない、わからない。今、私は大げんかしているんですよ、部会で。

 そういうことを踏まえて、日本の山が、こんなのがあるんですよ、大臣。「旅人の宿りせむ野に霜降らばわが子羽ぐくめ天の鶴群」。国交省の皆さん方が、瀕死の重傷になっている林野関係の人たちを、こうして、我が子のようにはぐくんでくれるつもりはありませんか。コメントがあったらお願いしたいと思います。

丸山政府参考人 前段、先生からお尋ねがございました建設業について、不当な利益を上げないのであれば、調整といいますか、許されるのではないかということにつきましてお答え申し上げます。

 地域の建設業、非常に厳しい状況にあるというのは私と先生の認識は同じでございます。それから、地域の中小、中堅の建設業が、社会資本の担い手、それから、地域の基幹産業といたしまして雇用の受け皿となっているということも全く認識は同じでございまして、地域の経済社会の発展に欠かすことができない重要な役割を果たしているということにつきましても同じ認識でございます。

 結局、今先生が言われたような話といいますのは、地域の建設業の利益率が急速に下がっている、そこをどうするかということでございまして、それはダンピング受注ということに帰着するのではないかと私どもとしては思っています。安かろう悪かろうということで、公共工事の品質にも悪い影響を及ぼすというふうに思っております。それから、下請へのしわ寄せ、労働条件が悪化する、それから安全もないがしろにされるというふうなことが起こりまして、建設業の健全な発展にも悪い影響を与えるということであります。

 そこで、ダンピング受注をどうやって防いで、利益が上がっていくようにするかということに帰着するわけでございますが、特にダンピング受注の疑いがあります低入札価格の入札をしたという企業につきましては技術者の増員を求めますとか、それから下請の履行保証の割合を上げますとか、前払い金を四割から二割に減少するというようなことをいたしまして、ダンピング受注の排除を私どもしておるところでございます。それから、官公需についての中小企業の受注の確保に関する法律に基づきまして、中小建設業の受注機会の確保を図っているところでございます。

 いずれにいたしましても、ダンピング受注をどうやって防止するかということでございますので、この点につきましては、今申し上げましたような対策に加えまして、入札契約制度も改革いたしまして、技術と経営にすぐれた企業が生き残っていくような環境整備をするために、私どもとして最大限の努力をさせていただきたいというふうに思っております。

山本政府参考人 住宅生産の現場に我が国の大事な木材資源をきちんと活用していくという観点から、建築基準法それから品確法についての問題点の御指摘がありました。

 まず建築基準法でございますけれども、特に市街地で火災が延焼していく、市街地大火が起きないようにするという観点から、外壁とか構造について最低の基準を設けていることは事実でございます。

 これにつきましては、実は、我が国、まず関東大震災で大正十二年に町中が四千町歩焼けるという経験をしまして、その復興に七年かけました。昭和五年に皇居前広場で帝都復興祭をやったわけですが、そのわずか十五年後に戦災で、東京大空襲で同じ規模の市街地大火を経験しているわけでございます。それから大阪でも空襲がありましたし、そのほかの工業都市、皆やられております。この建築基準法をつくって市街地大火を何とかして防止したいというのは戦後の住宅都市行政の悲願でございまして、住宅建築物について不燃化を進めるというのは非常に大きな課題であったと思います。

 今この時点で、その悲願を先輩たちが追求していく中で、特に従前の建築基準法のもとで、不燃材料で建築物、住宅をつくらなきゃいかぬということで木材の使用が減ってきたということは、私は事実だと思います。

 これは、平成十二年に基準法を抜本改正しまして、従来の材料を中心に仕様で最低基準を定めるというやり方から、性能規定、耐火の性能、構造についても、性能を定めることによっていろいろ工夫すれば、木質材料でもその不燃性能を確保できるということが確認できれば使用できる形になってきました。いろんな技術基準について、これからさらに改善していかなきゃいかぬところはたくさんありますので、御指摘いただいたことをきちんと肝に銘じて、その分は努力してまいりたいと思います。

 それから、品確法についての御指摘がありました。

 品確法は、これは平成十二年に制定した法律でございます。実は、それより何年か前から、木造住宅について欠陥住宅問題が非常に大きく取り上げられるようになりまして、その欠陥住宅問題が論じられる中で、住宅生産事業者がお客様からのクレームを避ける必要があるという観点から、木材のうち含水値の高い製材、例えば三〇%水を含んでいる製材と一五%含んでいる製材では、例えば十二センチの製材でも五ミリぐらい縮まるそうでございます。そういうことですので、縮まりますと、ひび割れが起きましたりひずみが起きたりしますので、クレームのもとになるということで、生産現場で含水率の高い製材が使われなくなりまして、乾いた集成材を使う、そっち方向に動いてきていたことは事実でございます。

 そういう流れの中で品確法を制定しているわけでございますけれども、品確法では、国産材、外材、無差別に住宅性能をきちんと規定しておりまして、お客様が望むきちんとした住宅を供給したいという観点からこれを運用しているわけでございますけれども、御指摘いただいたようなことで問題が生じないように、瑕疵担保の問題も含めまして、的確に運用したいと思います。

 国土交通省としましては、建築物における木材の利用が拡大するように、性能が確保されたものにつきましては、技術基準の見直しを検討するとともに、地域材を活用した木造住宅の生産体制の整備等に対しまして引き続き支援しますことを通じて、我が国の森林の活性化と整備にも寄与していきたいと考えております。

谷川分科員 ありがとうございました。どうも。

石井主査 これにて谷川弥一君の質疑は終了いたしました。

 次に、中西一善君。

中西分科員 自由民主党の中西一善でございます。

 格式の高い予算委員会分科会で質問をさせていただきますこと、心から感謝を申し上げ、始めさせていただきたいと思います。

 私は、日本の空の玄関であります羽田空港よりの選挙区から参りました者でありますが、この羽田空港、大変な歴史を持っております。かつて、日本が敗戦をした一九四五年九月の二十一日に、進駐軍、GHQが、四十八時間という大変短い時間で地元の住民を強制的に退去させた。民主主義の世の中では考えられない事態でありますが、そういうことを六十年前に経験しているわけであります。穴守町、鈴木町、江戸見町という三つの町の一千三百二十世帯、三千人の方々が、それこそ手押し車であるだとか、担げるだけの荷物を担いで、自分の家を追い出され、その後、町はダンプカーでどんどん家が壊され、そして平らにされた。そういう歴史の上に羽田というものが存立して現在国益に資しているということを、私はこの委員会で申し上げたいところであります。

 実を言いますと、今から約二十年前、これも予算委員会の分科会で、政党は異なりますが、上田哲代議士が質問に立ちまして、当時の山下運輸大臣が答弁をされております。この羽田が沖合展開をずっと続けてまいりました。そして、二〇〇九年には第四滑走路が完成をし、国際化ということに方向性がなっておりますが、その過程で、沖展、沖展といく中で、跡地というものが発生するわけであります。この跡地について、昭和六十年の三月八日の質問で、跡地の利用に関しては地元に配慮せよというような趣旨のことを上田委員が質問したところ、大臣答弁としては、「この問題も残された戦後処理の一つだと理解いたしております」「羽田沖展開に伴う跡地の利用につきましては、一つの戦後処理の節目だと私は思っております。二度と来ない節目かもしれません。」というようなことを述べております。

 地元と共存をするような跡地の開発というものが私も必要であると思いますが、ちなみに、地元からも、例えば東京商工会議所の大田支部の懇談会で、跡地利用に関する要望というのが出ています。これはメモという形ではありますが、地元産業界としては、大きく三点、地域の発展にしっかりと寄与する、自然豊かな水辺空間の創出、そして三つ目には、地元自治体大田区のイメージアップにつながるような集客的な施設、例えばセントレア空港がそれこそ浴場施設をつくって、観光客が非常に、空港のみ、交通手段のステーションと考えるのではなくて、一つの観光拠点ともなり得るような、地元自治体のイメージアップにつながるような開発をしてくれないかという要望が上がっております。

 また、観光拠点と同時に、地域の中小零細企業が極めて大田は集積をしていまして、金属加工においてはやはり日本一であり、日本一であるということは世界一であるわけであって、しかし、この長引く不況の中にあって、そういう産業集積ですか、クラスターというものが非常に今弱まっているというのが現状であります。そういう産業集積というのは、一度崩壊をすればサンゴ礁と一緒で復活をさせるのはなかなか難しいと私は思うわけでありますが、こういうRアンドD拠点のようなものも、地元の中小企業に仕事が回るような跡地開発というものも必要ではないかなと思っております。

 大臣にお聞きしたいんですが、水の都ベニスというのがあります。大臣も恐らく羽田空港はしょっちゅう御公務で使われると思いますが、今は移転をしましたが、かつての羽田東急ホテルというのがあって、その辺が跡地になるんですね、二十ヘクタールぐらいですか。ある方が、ヒラメの縁側のような土地、ちょうどヒラメの縁側のように水辺に細長く跡地が発生するのですが、これは、ヒラメの縁側といっても、実を言うとウオーターフロントなんですね、また別の言い方をすると。

 ということは、今、例えば東京都にしても、恐らく国土交通省にしても、かつて川であるだとか運河というものは、ふさぐような、ふさいで川を見せなくする、その上に公園をつくっちゃうようなことをやっていたのですが、やはり大変な資産ですよ。こういう水辺、いわゆる親水性のある開発、まさに水の都ベニスをほうふつさせるような。かつて、江戸というのは水の都でしたよ。こういう親水性のある、ベニスのような、本当に水に親しめるような開発というのも一つのやり方だと私は思っております。

 また、商工会議所の方から、おもしろいな、この意見はと思ったのは、例えば、神奈川県側とケーブルカーを通して、そして、非常に眺望がいいわけですよ。その眺望のいいところが、一つ、向こうからアクセスするのにケーブルカーのみではありませんよ、これはいろいろこれから意見が出ますが、ケーブルカーを通すであるだとか、私は、国土交通省がやっている来日外国人をふやすということにも生きてくるのかなというふうな形で思っております。

 そこで、やはり地元には地元の歴史があるわけであって、私は、地元選出の国会議員として、当然国益が国会議員としては第一でありますが、しかし、地元という、そういう歴史というものにも配慮をした跡地の開発というものをやっていきたいのです。こういうケーブルカーであるだとか、水辺空間を生かす、江戸の水の都を復活させる、そういう跡地開発、こういうことについて大臣の御見解をできれば伺いたいと思います。

北側国務大臣 羽田空港は我が国最大の空港でございますし、また、その果たしている経済的な役割を考えますと、それはもう本当に大きな役割を果たしていただいております。これも、地元の皆様の長年にわたる御理解、御協力があってこの羽田空港があるわけでございまして、それは心から御礼を申し上げたいというふうに思っておりますし、今お話がございました跡地の問題、五十三ヘクタールございます。これをどう活用していくのかということにつきましても、当然これは、地元の方々の御意向をしっかり尊重して進めさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 今、親水空間といいますか水のお話をしていただきました、ウオーターフロント。私も全く同感でございます。これまでの、経済がどんどん発展しているころは、私どものまちづくりというのは、川をどちらかというと背の方にしてまちづくりをしてきた嫌いがあると思います。それをやはりこれからは変えていかないといけない。これからは、やはり日本の社会というのは成熟社会になって、心の豊かさだとかゆとりだとか、そうしたものが非常に大切になってくる時代だと私は思います。

 そういう中で、まちづくりに当たって、水というものをまちづくりの大切な要素としてどう活用していくかというのは大事な大事な視点であるというふうに思っておりますし、この跡地の問題は、まさしく前が本当に海なわけでございますので、当然それを活用した利用をしていかないといけないのではないのかなというふうに思っているところでございます。

 いずれにしましても、この跡地活用につきましては、東京都はもちろんのこと、地元大田区の皆様の御意向というものを尊重しながら進めさせていただきたいと思います。

中西分科員 大変前向きな御答弁をありがとうございました。

 話は変わりますが、先般、中部国際空港、セントレア空港が開港いたしました。報道でも、これは産経新聞ですか、出ておりましたが、民間の経営感覚を入れて、今回民間は五〇%出資しておりますが、一千二百五十億のコスト削減と、工期を四年半に短縮したというようなことが書かれておりました。こういう形で社説に出ること自体、やはり民間の知恵というものはすばらしいものがあります。私自身も民間の会社で十数年働いていた者でありますが、民間のコストダウン感覚というのは、やはり行政が考える以上の知恵が出てくる。それで生き抜いていくわけでありますから、大変評価をしたいんです。

 今回、羽田空港の第四滑走路、全部で総工費が六千九百億であると思っておりますが、今、国際的に鋼材価格が非常に上がっているんですね。私、聞くところによりますと、何百億か鋼材価格が上がって、総工費がはね上がるというようなうわさ話を聞きました、うわさであればいいわけでありますが。

 このような形でセントレアが努力をしたにもかかわらず、羽田空港でコストが何百億も上がるなんということは絶対に許せないことでありまして、その辺のところ、ぜひとも、今回ハイブリッド工法ということで大変高等な建造物をつくるわけでありますが、御努力はどうなっているのか、国土交通省さんに伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 羽田の再拡張事業につきましても、中部国際空港と同様、コスト縮減をちゃんと図っていくということが極めて重要、このように思っております。

 当初、七千七百億円と試算をしておったところでございますけれども、十六年度の予算編成過程におきまして、一〇%のコスト削減、六千九百億円に削減したところでございます。今先生おっしゃいましたハイブリッド工法のほか、メガフロート、桟橋という三つの工法が提案されましたけれども、その提案工事費を参考にするとともに、滑走路の高さを見直す、あるいは滑走路の敷地面積を少しでも小さくするというようなことも工夫をいたしまして、一〇%の削減をいたしまして、六千九百億としたところであります。

 また、今回、入札契約方式には、設計・施工一括発注方式というのを採用しております。それから、工事費だけが安くなっても後の維持管理費が高くなるといけませんので、そうしたライフサイクルコストも比較した予定価格の作成等、いろいろな試みをしているところでございます。

 さらに、現在、有識者から成ります第三者委員会を設置いたしまして、どうしたコスト削減ができるのかということを伺っているところでございます。それから、三月末に入札をする予定になっておりますが、その入札前にも、民間事業者から技術提案を受ける、バリューエンジニアリングと言っておりますけれども、そうしたことを受けてコスト縮減を図るということについて努力をしておるところでございます。

中西分科員 ぜひとも局長、コーディネーターとして力量の見せどころでありますので、まず総工費をしっかり抑える、そして、工期を短くしてより国益に早く資する、この二点、強力に申し上げておきたいと思います。

 空港というのは、空港単体では生きられません。当然アクセスというものがありますが、今、羽田空港を利用する方々の圧倒的大多数は、公共交通機関を利用すると思うんです。通常のルート、これは、浜松町からモノレールで行くルート、そして京浜急行を通って羽田空港の地下まで入るルート、そしてタクシーであるだとかバスというルートがありますが、非常にこのアクセスルートに今偏りがあります。都心方面からは入れますが、例えば渋谷であるだとか埼玉の方から羽田空港にアクセスする際、極めて不都合が生じている。

 そして、今地元からも要望が上がっているのが、東急線と京浜急行を連結させる、通称蒲蒲線と言われているのでありますが、これが連結をされて完成をすれば、渋谷方面、ひいては埼玉方面から乗客が直接羽田空港に乗り入れられるという画期的な路線になり、これは、地元というよりは、首都圏全体、日本の経済、そして国益に資するものであると私はずっと思っております。ちなみに、私は都議会出身でありますが、ずっとこのことも申し上げてきたわけであります。

 局長に伺いたいんですが、進捗状況はどうなっていますでしょうか。

梅田政府参考人 京浜急行電鉄の空港線と東急電鉄の多摩川線、これを連絡する路線でございます。今先生御指摘のとおり、いわゆる通称蒲蒲線と言われているものでございます。

 この整備につきましては、平成十二年の一月に、当時の運輸政策審議会、現在の交通政策審議会でございますが、東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画というものがございまして、この計画の中に、二〇一五年、平成二十七年までに整備に着手することが適当である路線と位置づけられているところでございます。

 御指摘のように、この路線を整備いたしますと、蒲田地区の都市機能の向上が図られるというのは当然でございますが、東急沿線はもとより、現在建設中の東京メトロ十三号線、これと相互直通するということになりますので、東武東上線あるいは西武池袋線、こういう方面からの羽田空港へのアクセスというのが向上するということが期待されているところでございます。

 この路線の整備につきましては、現在、輸送需要あるいは費用負担、こういう問題につきまして、事業化に当たりまして解決すべき課題がございます。こういう問題につきまして、現在、関係の事業者の間でさらに検討をしていただいているところでございます。私どもは、この検討をさらに深めていただきまして、こういう取り組みを踏まえながら適切に対処してまいりたいと考えております。

中西分科員 ぜひとも局長に申し上げたいのは、関係自治体のコーディネーターとして国土交通省がしっかりと責任を持って旗を振って、空港だけ孤島のようにできても、これは一〇〇%の能力は引き出せません。羽田空港の能力を、先ほどの跡地でも申し上げましたが、本来の機能を一二〇%、一三〇%と引き上げるところがまさにこれから行政に求められる能力の一つではないか、私はこのように思っております。ぜひとも、蒲蒲線の実現方、これからもよろしくお願い申し上げたいと思います。

 質問は次に移らせていただきますが、今回、中部国際空港が開港をして、羽田にも、二〇〇九年、あと四年で四本目の滑走路ができて、年間三万回というふうに言われておりますが、国際化ということで言われております。かつての七次空整、今、この空整というのはなくなりましたが、かつての七次空整で、成田、関空、中部、羽田、大都市圏拠点空港と位置づけられておりますよね。こうした中で、羽田空港、この三万回という発着回数の根拠と、また、石垣島まで羽田から飛んでいるからということで、一千九百四十七キロ、いわゆるペリメーター規制ということで距離に枠がはめられている。私自身としては、極めてナンセンスに感じるわけであります。

 ちなみに、米軍と日本国政府が、トランスフォーメーションということで、将来的には、横田基地、東京都は軍民共用化というものを今訴えております。将来的に、横田基地の空域が返還をされ、我が日本に戻ってくる可能性が非常にあるわけですよ。横田の空域が日本に返還をされて、例えば軍民共用化というものが実現をすれば、ある部分の国内線が横田に行くかもしれませんし、また、飛行ルートその他の問題で、一年間の離発着数が四十・七万回にふえるわけでありますが、もう少しこれは技術的にアップできるという話も私は専門家の方から聞いております。たかだか三万回という枠をはめるということが極めてナンセンスであるというふうに私は思いますが、何を根拠にこれを三万回という枠にしているのか、これは三万回が限度なのか。

 それで、国際線のターミナルをPFIでおつくりになると言っておりますが、もし三万回に固定して、後で、その施設じゃ足りなくなったからまた新たに増築しなければいけない、改装しなければいけない、コスト増になります。ぜひとも、ある程度のバッファーを持たせた形で、三万回というものは最低限のレベルだ、私はそのように主張したいわけでありますが、航空局長、どのような御見解か、御答弁ください。

岩崎政府参考人 羽田空港を再拡張いたしますと、先生御指摘のとおり、今、年間二十九万回弱でございますけれども、十二万回枠がふえまして、四十一万回弱になると考えております。

 その枠をどう使うかという問題でございますが、我々、成田空港、羽田空港、両空港を抱えておりますけれども、基本的に、羽田空港が国内線の、成田空港が国際線の拠点空港であるという考え方のもとで、首都圏の国内、国際、この航空需要はどんどんこれからも伸びていくだろう、こう思っておりますけれども、この両空港をそれぞれの特性を踏まえながら総合的に有効に活用して、伸び行く国内、国際の需要に対応することが重要である、このように考えております。

 国内の需要でございますけれども、これも、今現在まだ伸びておる状況でございます。私どもの需要予測でまいりますと、二〇一七年には国内の発着回数だけで三十七万回程度に達するという需要予測をしておるところでございます。このように考えますと、やはり国内線の潜在需要に対応するということも大変重要だろうと思っておりますので、やはり国内の枠というのを確保しておくということが必要だろうと思っております。

 国際線につきましては、供用開始時においておおむね三万回程度の発着回数とすることが適当であると考えておりますが、供用開始をした後、先生今御指摘の、例えば管制の工夫なんかによってさらに枠がふえるとか、いろいろな条件が変わってくることは当然予想されますので、将来的に見直すことはあり得るというふうに考えております。供用開始時においてはおおむね三万回ということで進めさせていただきたいと思っておるところでございます。

中西分科員 今の岩崎局長の答弁を聞いていますと、供用開始時の三万回ということですから、あくまでも最低三万回以上というふうに私は解釈していいと思いますが、そういうことでございますね。よろしいですね。

 いずれにいたしましても、国益を第一に考えた、羽田空港、羽田が生きるような開発、そういうものをしていっていただきたい、このように思います。

 それで、続いて局長にお聞きしたいんですが、ペリメーター規制、これはありとあらゆるところで私も訴えておりますが、これは非常にナンセンス。石垣島に合わせて一千九百四十七キロメートルということになれば、これは、北京も入らなければ、香港も台北も入らないんですね。これは技術的な問題じゃないですよ。つい先ごろまで台湾の中華航空が、ホノルルですね、ホノルルは三千キロどころじゃないですね、五千キロか六千キロぐらいありますよね、平気で往復していたものが、石垣島でペリメーターをかける。これも、極めて羽田の潜在性に手かせ足かせをはめる。

 私は、ペリメーター規制というものをぜひとも撤廃していっていただきたいと思います。路線の需要がある北京であるだとか台北だとかが入らない、当然ソウルだとかそういうところは網羅されておりますが、同じ三万回以上飛ばすにしても、極めてナンセンスなペリメーター規制と言わざるを得ない、断ぜざるを得ないと私は思うんですが、局長、どのように考えておりますか。

岩崎政府参考人 繰り返しになりますが、開港当初、国際線三万回、そのような目安の枠で、おおむね三万回で考えておりますけれども、そうなりますと、やはり何らかの形で就航路線の基準を設定せざるを得ないと思っておるところでございます。羽田が都心に近いというような特性、それから、諸外国でも、同じ都市圏で複数の空港を抱えているときに距離規制をやっている例が多く見られます。そういう意味で、このペリメーター規制というのを導入していきたいと思っております。

 その範囲でございますけれども、羽田発着の国内線の最大距離が、今、羽田―石垣の千九百四十七キロでございますので、それを一つの目安と考えてやっていきたいと思っております。

中西分科員 一つの目安だから、本当に目安ぐらいにしていただかないと、局長、国土交通省の行動いかんによって日本の国益が大きく左右されるということを、ぜひとも時の局長は認識しながら仕事をしていっていただきたいと思います。

 最後になりますが、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、今の局長に対しての質問にも通じますが、日本は将来、EU経済圏、そしてNAFTA、いわゆる北米自由協定を包括したアメリカ経済圏、そして、日本は東アジアの中でやはりリーダーシップをとり、しっかりとその構築に努力をしていくというのが二十一世紀のこれからの流れであると私は思いますし、そういう外交戦略を当然大臣もお持ちであると思います。国会議員は、そういう戦略のもと、国内の、例えば行政の政策一つをとっても戦術を打っていく。戦略なきところに戦術なしです。戦略がなけりゃ、幾ら戦術を打ったって、そんなものは意味がないと思います。

 例えば、これは千葉の成田空港には十分配慮をして私も発言をしたいと思いますが、先ほどのペリメーター規制でも私は申し上げましたが、東アジア共同体をにらんで、ある部分、近距離のアジア便は羽田空港、そして、例えば八時間、十時間、例えば一晩飛行機に乗らなければ行けないような長距離は、これは、成田空港まで都心から二時間、三時間前に行っても余り時間のむだにはならない。アジアと欧米路線というものをある程度分けていく。そして、日本の外交戦略の中で、日本が東アジア共同体というものを意識してこれからやっていこうという戦略の中で羽田空港の再国際化という一つの戦術を打っていくべきであり、当然、航空行政というもの、航空政策というものも、その外交戦略の文脈の中の一つとしてとらえるべきではないか、そのように私は思っております。

 こうした中において、大臣の御所見をお伺いしたいわけでありますが、それによっては、先ほど局長が答弁された三万回であるだとかペリメーター、それは、やはり専門家として、技術的な問題として当然あると思いますが、大臣、政治家として、この戦略の中、日本の二十一世紀がより明るいものになるために、日本が東アジアのリーダーとして、そしてその地域の発展に寄与をしながらより日本の国益を増進させていく、この航空政策についてどのような御所見か、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 大切な御指摘をちょうだいいたしました。

 ますます経済はこれからもグローバル化していくと思います。また、人と人の交流もますます広がってくる。その中でも特に私ども日本が意識をしないといけないのは、おっしゃっている東アジアだというふうに思います。今、東アジアは、特に中国を中心としまして、日本の企業が水平分業という形で本当に拡大をしていっております。この流れはこれからも変わらないというふうに思います。

 そういう中で、私は、日本のこれからの経済の発展を考えても、こういう基盤となる国際空港については、おっしゃったとおり、戦略を持って整備を進めていかねばならないというふうに思っているところでございますし、また、これは急がないといけないというふうに思っておるところでございます。

 きょうずっと御質問ございました羽田空港の国際化、再拡張の問題もしかりでございます。また、成田空港の問題も、今、暫定滑走路の状況です。これも、このままの状態でおいていていいとはとても思いません。成田に対するニーズも極めて高いものがございます。これまでの経過、歴史はもちろんございますが、それを踏まえた上で、私は、暫定滑走路ではなくて、きちんとした平行滑走路にしていく必要がある、それも早くしていく必要があるというふうに思っております。

 中部国際空港、おかげさまで開港になりました。関西国際空港も、二〇〇七年度に二本目の滑走路が供用開始になります。人の交流、また物流を考えましても、私は、国際空港の持つ意味というのはこれからの日本の経済にとっても大変大きな意味がある、非常に優先した課題であると思っております。きょうの御指摘につきましても重く受けとめまして、今後、空港の整備に努めてまいりたいと思います。

中西分科員 大変すばらしい答弁、ありがとうございました。ぜひとも国土交通大臣の強いリーダーシップをお願い申し上げまして、私の質問を終了いたします。ありがとうございます。

石井主査 これにて中西一善君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井美穂君。

高井分科員 民主党の高井美穂と申します。本日は、お時間をいただきまして、大変ありがとうございます。このとおり、少々身重の体でございますが、実は地元で、規制緩和と地方のユニバーサルサービスの維持をどうするかという大事な問題が起きておりまして、ぜひともお聞き届けいただきたいと思ってお時間をちょうだいしました。どうぞよろしくお願いをいたします。

 高速バスの関係の問題でございます。

 平成八年に国土交通省は、それまでの競争制限的な規制政策を見直して、需給調整規制を廃止することといたしました。これを受けて、平成九年に、乗り合いバス事業に係る需給調整規制についても十三年度までに廃止するということが閣議決定されたということでございます。国土交通省として政策転換をして、今行われていると思いますけれども、その後の評価、地域の交通実態についてはどのように把握しておいでになるか、評価をしておられるか、教えていただきたいと思います。

金澤政府参考人 お答え申し上げます。

 乗り合いバス事業につきましては、今委員おっしゃいましたとおり、平成十四年二月の改正運送法の施行におきまして需給調整の廃止を中心とする改正を行いましたが、今年度の初めまでに全国で七十六社の新規参入がございました。これは、全バス事業者四百八十五社のうち一六%に当たる数字でございまして、その七十六社の新規参入のうち、異業種からの参入が二十五社ございました。こうしたことを見ますと、規制緩和をしたこの法改正の効果が、少しずつではありますが、あらわれているのかなというふうに私ども認識をしているものでございます。

 また、サービス面におきましても、いわゆる百円バスと申しまして、初乗り百円に値下げする料金、あるいは全線フリーの環境定期であるとか、高齢者向けのこれまた定期、こうしたものが、事業者の方々の工夫によりまして多様な形で申請がされ、認可をされているところでございます。

 現時点で、まだ施行後三年でございますので、総合的に規制緩和の功罪について明確な評価をするということは行い得る段階ではないというふうに考えております。しかし今後、委員おっしゃいましたとおり、バスは日常生活に欠かせない交通機関としての公共性を持っておりますので、このさらなる振興、発展に向けて、関係者の意見、事業の実態を十分に精査しながら適切に対応を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

高井分科員 ありがとうございます。

 私も、民主党としても、規制の改革には取り組んでいるつもりでございます。しかしまた、規制改革、規制緩和自体はやはり、先ほどお述べになられたとおり、消費者の利便を向上させるものであるはずであって、市場において今まで力を持たなかった者でも、知恵とアイデア次第で大きな土俵に立ち向かって参入していける、消費者の支持を得られた方が勝っていけるという、チャンスや夢のあるものを提供するということが多分本来の趣旨であっただろうと思います。

 ただ、ここで私が申し上げたいのは、今、実はその逆の面と申しますか、規制緩和の弊害と言ってもいいぐらいのことが地元で起こっておりまして、一つ御紹介をしたいと思います。

 実は、徳島県の西部、三好郡というところ、私が生まれた地区なんですけれども、本当に過疎の山間部がほとんどでございます。このあたりを営業のエリアとしている四国交通という小さなバス会社がございます。

 同社は、公共交通の生活路線として祖谷線、新宮線、西谷線、井内線、廃止代替路線として池田町の漆川線、白地線、猪ノ鼻線、貞光町、一宇村における一宇線と貞光―半田を結ぶ八千代線というところを運行しておりまして、過疎化とか自家用車の普及の中で大変厳しい経営を強いられているところでございます。合理化をして一生懸命努力はされておりますけれども、第三種生活路線補助金というんでしょうか、国や県、町村からの補助金を受けても経常損失が発生して、これを、池田という地区から阪神とを結ぶ高速道路の運行の収益で補い合ってやりくりしているというのが状況でございます。

 ところが、何とかうまく軌道に乗り始めたときに、ことしになって、四国交通から比べれば大手のJR四国というバスが、今松山、高知から大阪、阪神へ向けて高速バスを一日七・五往復運行しているんですが、四国交通が運行していた県内の八カ所の、これは徳島県内なんですけれども、徳島の八カ所のバス停のうち利用者の多い四カ所にのみ停車するという計画で、高松の運輸局に届け出が出されました。高速バスの利用者にとりましては、増便をするということで利便性が発生して喜ばしい話だとは思います。ただ、この裏側に、地域の社会の交通ネットワークが危機的な状況になりかねないという現実がございます。

 というのは、四国交通はこれまで、生き残りをかけて、平成十一年度から阪神へ向けて高速バスの路線新設に向けた取り組みを一生懸命展開して、会社の働きかけによって地元の市町村も協力をして、停留所と無料の駐車場の整備によってパーク・アンド・バス・ライドというふうなものを一生懸命つくりました。利用者もこれを受けてだんだん増加しまして、共同運行も含めて、今大阪、神戸へ行く便が一日六往復運行となっています。

 実は、直近の九カ月で空席の割合が、大阪線が四三%、三宮線が六六%と、まだ決して楽ではない状況ではあるんですけれども、ここへ、四国交通が今まで頑張っていたところへJR四国のバスが、松山、高知から阪神へ向かうという今までの経路を、徳島県内の四カ所のバス停にとめるようにしてくれないか、今収益が多いところにとまってお客を得たいというふうな申請がなされたわけでございまして、これははっきり言いますと、同社の経営を、四国交通の方の経営を直撃するのは火を見るより明らかでございます。

 私は、この会社を何とか守ってほしいと言っているのではないんですが、端的に言えば、四国交通という会社が高速バスの収益で何とかやりくりしていたものを、四五%の収益が高速道路バス収入であった、もし仮に二割ダウンすることになったとすれば倒産の危機に瀕してしまう、大変切実な訴えが労使挙げてございました。

 確かに私も、数字を見てみまして、その懸念は大いにあると感じています。このことに対して大変心配を持ちまして、きょうこうした質問をさせていただいているんですが、過疎で高齢化率が高いこの地区では、自家用車を利用できないお年寄りも多うございます。もちろん子供も、減ってはいるんですが、子供さんにとっても大変バスの存在は必要でありまして、死活問題であります。

 四国交通が仮につぶれたとして、四国交通のかわりに自治体が主導してバスを運行させるということも理論上は可能でございますが、契約をしたりバスを実際に買ったりといろんな費用が大変かかります。この三好郡という地区では今週の二十三日に、危機感を感じた郡内の八町村の町村長が集まって、一致して、JR四国のバスに運行計画の変更を求め、大臣あての陳情書を出すということをお決めになられたようであります。

 大きなバス会社が体力に物を言わせて、これまで地域に貢献してきた弱小、本当に弱小バス会社を駆逐するということが現実に起こってしまう可能性があるわけでございますが、バスの利用者がより便利になることを否定するものではないんですけれども、一方で、生活交通路線や廃止代替バス路線の利用者の、少ない利用者ではありますが、切実な声を切り捨ててもいいという話にはまたならないのではないかと思います。

 そこで、お尋ねしたいんですけれども、四国交通の表現をかりれば、小さな会社が不毛の荒れ地を開墾し、肥料を与え、種をまき、水を与え、やっと緑が育ち、花が咲き、実が熟す高速バスの環境整備がほぼ整った段階になって、申請書のみで、何も労せずに既存業者に攻勢をかけてくる経営姿勢というのは、クリームスキミング、つまりいいとこ取りに近いのではないかというような陳情書がございました。

 在来の事業者が幹線での収益をもとにローカル線ネットワークを維持しているという現状の中で、新規参入組が収益の高い部門のみにつまみ食いのように参入するということは、今までいた在来組の皆さんは低収益事業を切り捨てていかざるを得なくなって、地域の少ないバス路線、ユニバーサルサービスを維持するということが困難になるというのは当然のことであります。

 こういう状況をぜひ国土交通省としても認識していただきたいと思いますし、このようなことにどういうふうに対処する方針があるか、教えていただきたいと思います。

金澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員おっしゃったとおり、以前、運輸行政が運輸省において担当された時代、免許制の時代には、需要というものを役所の方が想定いたしまして、その需要を賄うに足るサービスを一定の事業者に免許として与え、そこの事業者がさまざまな関係者の御助力を得て運行をしておるという時代が長うございました。

 しかし、先ほど前段の問いにございましたように、平成十四年二月の改正道路運送法の施行によりまして、現在のところは路線バス事業につきましては基本的に需給調整規制が廃止されたものでございまして、現在では輸送の安全確保や事業遂行能力、こうしたものを許可の際に私ども見せていただきますが、それが満足された者につきましては、基本的に新しい事業への参入あるいは路線の新設、こうしたものが認められるという、いわゆる規制緩和の時代になっておるわけでございます。

 ただ、今委員から御質問のございました指摘の事案に関しましては、本年の一月、先月でございますが、JR四国バスが従来持っております路線の上で事業計画の変更申請を出してこられ、停留所の新設を行いたいという計画が申請として出されてまいりました。現在の制度では、停留所の新設については、基本的には事業者の自主的な判断でこれが行えるということになっております。

 しかし、そういう現状ではございますが、今委員るるお述べになりましたとおり、地域住民の生活交通の確保ということについては、社会的にも関係者の皆さんの関心が極めて高い事項でございますし、この事案につきましては多くの懸念の声が上げられているということもまた事実でございます。ですから、私ども国土交通省といたしましても、そうした地元の利用者の声、二十三日付で陳情が出てくることが決まったということですが、まだ私どもその陳情に接しておりませんが、関係自治体の皆さんの声などにも十分私ども耳を傾けながら、本件につきましては状況を注視してまいりたいというふうに考えております。

 また、生活交通の確保が大事だという御指摘ございましたけれども、私ども、そうした確保の方策につきましては、地元の運輸局等におきまして十分に相談を受け、対応に万全を期してまいりたい、このように考えておるところでございます。

高井分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、何とか一生懸命話し合いを積み重ねて、できるだけ前向きな検討をお願いしたいというふうに思っています。

 本当にしつこいようですけれども、規制緩和はやはり、消費者の利便性の向上に資するものであって、地域の疲弊に貢献してはならないはずだと思います。大きなバス会社がこういうふうに体力に物を言わせて、今まで地域のために一生懸命汗をかいてきた弱小バス会社を駆逐するというようなことになって、過疎地区の利便性がさらに低下するということになったら本当に大変でございます。規制緩和と地域の再生は、本来なら完全に相反するものではないはずですし、生活交通路線、廃止代替バス路線利用者を初め、地域の切実な声にぜひともよく耳を澄ませていただきたいと思います。

 大臣は、政治姿勢として、今までも常に弱い立場の方の声に耳を澄ませてこられたというふうに思います。ぜひとも、御協力のほどお願いしたいと思います。一言でも決意をいただけたらと思います。

北側国務大臣 経済的な規制の緩和というのは今ずっと進めてきているわけでございますが、きょうお話しのバスの話だけではなくて、ほかのところでも同じような問題はたくさんございます。お酒もしかりでございます。そういう意味では、規制緩和、規制改革がすべて正しいと私は思いません。

 もちろん、規制改革をすることによって経済を自由化していくということは非常に大事なことではございますが、それが弱肉強食になってしまって、結果として、消費者、またそこの市民にとってマイナスになるようなことになってはならないわけでございます。

 また、規制というのは、経済的な規制の側面だけではなくて、ある場合は社会的な規制という場合も当然あるんですね。これからは、環境面からの逆に規制、また、昨年、国土交通省では景観法という法律が通ったんですけれども、我々国民の価値観というものも変わってきております。そういう意味では、やはりそういうものも重視した政策をとっていく必要があるわけでございまして、経済規制というものはすべて自由化されないといけないんだ、また、規制というものは外していかないといけないんだ、それが当然なんだ、それが善なんだというふうな考え方というのは、私はそうではないというふうに考えております。

高井分科員 ありがとうございます、大変力強い御答弁をいただきまして。

 小泉首相や竹中大臣はアメリカ型の市場万能主義がすばらしいと思っておられるかもしれませんが、今お答えいただいた北側大臣の御趣旨をぜひとも今後も反映していただきたいというふうに思います。本当に、規制緩和という大変な市場主義の間から漏れていく敗者とか弱者とか、苦しい立場の人を救うということにこそ政治の立場を見出していただきたい。また、大臣の御活躍に御期待を申し上げたいと思います。

 次に、別の課題に移らせていただきたいと思います。吉野川上流地区の堤防の整備の関係でございます。

 この地区、まだ無堤地区が多く、昨年、徳島県内にも九個という史上最高の数の台風が上陸をいたしまして、大変な被害が発生した地区でございます。住民の皆さんの多くが不安を抱えている中で、吉野川上流の改修については、日ごろから国土交通省の方も御尽力をいただいている、着実に事業が進んでいるということをお聞きしておりまして、大変感謝を申し上げますが、さらなる進捗状況と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

清治政府参考人 四国で一番大きい吉野川でございますが、今お話ありましたように、昨年、台風が四国にたくさん上陸いたしまして、この吉野川につきましても、台風十号、十六号、二十一号、そして二十三号、中でも二十三号台風では大変な被害が発生いたしました。床上浸水が吉野川全体で千二百戸、床下浸水が二千九百戸という大変大きい被害をこうむったわけでございます。

 今お話のありました吉野川の上流につきましても、十三カ所の無堤地区で浸水被害が発生しておりまして、現在、この無堤地区の解消に鋭意取り組んでいるわけでありますが、吉野川の治水対策の最重要課題という認識で、国土交通省も整備を進めているところでございます。

 ただし、この無堤地区の延長が非常に長いということもございますし、逐次整備を進めておりますが、長い時間と予算を要することになりますので、優先順位をよく考えた上で、その促進にこれからも努力してまいりたいというふうに思っております。

高井分科員 ありがとうございます。

 地元の町村長からも、できるだけの協力をしたいので、ぜひとも前向きに早く進めていただきたいという要望書をいただいております。どうぞ今後ともよろしくお願いします。

 特に、三加茂町で現在実施中の加茂第一堤防というところの早期完成、それから加茂第二堤防の早期着工、三野町における芝生堤防の早期完成について、地元の要望も大変高まっておりますので、どうぞ特段の御配慮をお願いいたします。

清治政府参考人 今お話のありました地区でございますが、現在、無堤地区の解消で事業を進めている箇所が四カ所ございます。お話のありました加茂第一、それから脇町の第一、それから西村中鳥、それから芝生というこの四カ所で現在事業をしているわけでございます。

 その中の美馬町の西村中鳥堤防でございますが、これにつきましては、ことしも、被害を受けたということがありまして、十六年度の補正予算でしっかり対応することにいたしまして、この補正予算をもちまして完了の見込みでございます。

 なお、加茂第一堤防とか芝生堤防でございますが、これらはかなり長い期間実施しているわけでありますが、まだしばらく事業を継続していかなければならない状況にあります。

 その後、無堤地区で残っているところについても、逐次整備を進めることが重要というふうに考えておりまして、地元の町それから地元の住民の方々の御協力をいただきながら、これからも鋭意促進してまいりたいということで考えております。

高井分科員 ありがとうございました。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 少し早く終わりましたけれども、私のお聞きしたい質問は以上でございます。本当に貴重なお時間、ありがとうございました。

石井主査 これにて高井美穂君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。萩生田光一君。

萩生田分科員 自由民主党の萩生田光一でございます。

 大臣、政務官、大変御苦労さまでございます。

 私は、ちょうど当選して間もない昨年のこの分科会、国土交通分科会に出席をさせていただいて、きょうのテーマであります圏央道を含めた三環状道路についてお尋ねをさせていただく機会をいただきました。ある意味では、一年ぶりの成果と続きをお尋ねしたい、こんなふうに思っているところでございます。

 都市機能と人口が集中する首都圏において、人と物の流れを円滑化することは日本の再生に欠かせないことであり、首都圏の道路ネットワークづくりが急務であることは申し上げるまでもございません。特に首都圏におきましては、放射線道路の整備率が九割に達しているにもかかわらず、環状道路の整備はわずか二割と、大きく立ちおくれをしております。

 都市再生プロジェクトと位置づけをされている首都圏中央連絡道路、通称圏央道でございますけれども、この道路は、首都圏三環状の一翼を担う大変重要な道路であり、その整備効果は、都区部に流入する通過交通をさばいたり、あるいは、物流の新しいうねりを起こし、経済発展に寄与したり、ひいては都市の環境にも大きな効果をもたらすものと認識をしております。

 昨年も私、この分科会でこの圏央道に触れ、とりわけ本線の整備も重要でありますけれども、同時にアクセス道路の整備も大変重要で、都内六路線のうち最後の一路線、新滝山街道の残り二・六キロ区間の地域高規格道路としての認定というのを委員会で強く求めましたところ、後日、指定をいただきまして、事業にも大変弾みがついたというふうに感謝を申し上げたいと思います。また、ちょうど昨日は川口トンネルの貫通式にも私参列をさせていただきまして、これで中央道までの四つのトンネルがすべて貫通したことになり、その環状機能を発揮するためにも、関越や東名やあるいは中央道に早期に連結することが急務でありますが、東京区間ですら供用開始の見通しはいまだ不透明なところもございます。

 そこで、改めて、この圏央道の都内区間の供用の見通しとアクセス道路の整備状況についてまずお尋ねしたいと思います。

北側国務大臣 大都市圏における環状道路、これは、道路整備の中でも最も優先順位の高い道路であるというふうに私は思っております。この圏央道もその大事な一つでございます。

 今も委員の御質問の中にありましたとおり、この三環状道路、圏央道も含めます三環状道路が完成をいたしますと、都心部を通る必要のない車がこの環状道路を使えるわけでございまして、東京都心での渋滞がほぼ解消されまして、また走行時間が短縮もするわけでございまして、大きな経済効果があるわけでございます。

 御承知のように、この圏央道に関しましては、八王子から青梅市までの二十五キロにつきましては、これまでに日の出インターチェンジから青梅インターチェンジまで開通をしておるところでございますが、来る三月二十一日にあきる野インターチェンジから日の出インターチェンジ間が開通する予定でございます。さらに、平成十七年度の開通を目指しまして、今、中央道の八王子ジャンクションまで工事を推進しているところでございます。

 いずれにいたしましても、全線が早く開通ができますように、全力で取り組みをさせていただきたいと思っております。

萩生田分科員 大変心強い御答弁、ありがとうございます。

 ただ、大臣、平成十七年度というと、残り十二カ月ですよ。間もなくあきる野インターが開通をするといっても、これから先、本当に高尾のジャンクションまで残り一年でやれるのか。これは、私は国交省の努力に期待をしたいというふうに思いますし、また、あえて申し上げれば、毎回毎回、完成年度を後ずらしをしてきた。もう地域住民は余り信用していないんですね。どうせまたおくれるんだろうという、こういう感覚になってきてしまっているのは、私は、国交省としても、あるいは国としても、これはいかんともしがたい事態だというふうに思います。やはり、残り、この区間までは、年度を明言するんだとすれば、何としてもそれは貫通させるんだ、開通させて供用させるんだという、こういう強い決意で今後の整備に臨んでいただけるように要望しておきたいというふうに思います。

 圏央道工事に関しては、自然環境への配慮というのが随所になされ、まさに都市型土木工事のお手本だというふうに私は評価をしたいと思います。道路緑化の推進やビオトープの設置に加え、この地域にはトウキョウサンショウウオですとか、あるいはホトケドジョウといった大変貴重な動植物も生息をしている関係で、その継続を図るために多くの手間と時間をかけて工事が進められてきました。

 とりわけ、昨日貫通をした仮称川口トンネル付近や、現在工事が進む宝生寺トンネル、最近では天合峰トンネルというふうに国交省は呼んでいるようでございますけれども、この付近、あるいはこれから工事の進む八王子城跡トンネルの付近には、オオタカの営巣地ということで、開口部に緩衝ネットを施したり、また、繁殖の時期には飛しょう状況を常に専門家と称する人がモニタリングをして、信号機が設置をされておりまして、オオタカ飛来時には車を、工事車両をとめたり、なぜか車の泥の汚れを洗車させる施設まで整備をし、対応してまいりました。

 私は八王子の市議会、東京都議会の出身でございまして、何度もこの現場の視察を繰り返し行ってきましたけれども、我々でさえ現場で何度も足どめを食った経験がございまして、所管をする相武国道事務所に聞きますと、何と、年間百日以上も工事が中断をすることがあるんだということでございます。

 幾ら自然環境のためとはいえ、余りにも過剰な対応と私は思えるわけですけれども、このオオタカ対策については、これまでどのような対策を講じ、一体これまでに幾らの費用を費やしてきたのか、また、今後のオオタカの対策についてどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 オオタカは、環境省レッドデータブックの絶滅危惧2類に指定されるとともに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の国内希少野生動植物に指定されております。

 圏央道の東京都内区間では、平成八年に圏央道建設予定地である八王子市下恩方地区においてオオタカの営巣が確認されたため、同年、平成八年十一月に学識経験者等から成る圏央道オオタカ検討会を設立し、検討会の御意見を伺いながら、具体的なオオタカと道路の共生を目指す方策を取りまとめるとともに、検討会で示された対策を講じつつ慎重に工事を進めてきているところでございます。

 具体的には、低騒音・低振動型の建設機械の使用、工事現場におけるモニタリングの実施、トンネル坑口におけるドームの設置等を着実に実施しながら工事を進めており、その費用は、平成九年度から平成十六年度の計八年間でございますが、約十億円程度を投入してきております。

 今後も、圏央道東京都内区間の早期整備を図るため、オオタカ検討会等の御意見をお伺いしながら、自然環境に配慮し、慎重に工事を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

萩生田分科員 根拠は、環境省のレッドブックに、このオオタカという鳥が大変な希少動物で絶滅のおそれがあるからということを根拠に、国交省は大変慎重な対応をしてきたんだというふうに思います。

 そこで、きょうは環境省においでをいただいておりまして、改めてこのオオタカの生態についてお尋ねしたいというふうに思います。

 今、国交省から答弁がありましたとおり、この圏央道整備には、オオタカの生息地への配慮から、かなりの経費、今十億円と聞いてびっくりしたんですけれども、その対策費を使ってまいりました。

 お聞きをしますと、その十億円のうち約四億円はモニタリングの人件費等々にも充てられてきたということでございますし、先ほど私が申し上げた緩衝帯、いわゆるオオタカドームという開口口にわざわざまた新たな突起物をつくって工事に細心の注意を払う、そのことがいいか悪いかは、私、素人にはよくわからないのでありますけれども、結果として、当初予定以上の工期を費やすことにもなってきたんじゃないかというように思います。オオタカにはいい結果だったのかもしれませんが、周辺住民には、工期が延びるということは当然のことながら生活に悪影響を与えたんだというふうに思っております。

 そもそも、私どもの地元にしてみますと、オオタカという鳥は、山林のみならず多摩ニュータウンの市街地の上にも幾らでも飛んでいますし、また、営巣といいますけれども、かなりの頻度で巣は引っ越しをしているというふうに地元の野鳥の専門家の皆さんからは指摘をされております。毎年ひなの育成も私たちの八王子市内でも確認をされておりますが、本当に絶滅のおそれのある希少動物だったのか。最近のオオタカの生態とレッドブックに記載された根拠を教えていただきたいというふうに思います。

 あわせて、私は、このオオタカは、当時から圏央道建設に反対をされていた方々のいわば政争の具として使われてきた感がしてならないわけでありまして、裁判を引き延ばしたり、あるいはハンカチ一枚、はがき一枚の地権者として収用審理に時間稼ぎをしてきた人たちがそのツールとしてちょうどいい存在がオオタカだったのではないかというふうに思います。その証拠に、モニタリングしている鳥類の専門家と称する方々も何をもって専門家としているのか、その根拠は極めて希薄でございまして、そういう方々がオオタカの生態についてどれだけ精通し熟知しているのかを環境省は承知しているのか、お尋ねをしたいと思います。

 もし、今後の圏央道工事あるいは首都圏で行われる公共事業でこういった行き過ぎとも思われる同様の対策が必要であるということであれば、結果として住環境や経済環境、経済活動にも甚大な影響を与え続けることになるのではないかというふうに危惧をしているところでございますし、本来、環境への影響を考えれば、できるだけ工期を短くして、その上でさまざまな環境対策に新たにその予算を講じるべきではないかというふうに考えます。

 環境省としては、オオタカの生息への適切な配慮がなされるよう的確にアドバイスをするべきではないかというふうに思いますが、所見をお聞かせください。

小野寺政府参考人 オオタカの生態につきましては、カラスよりもやや大きい程度の猛禽類で、森林内、森林に隣接した草地、農地でハト、小型の哺乳類などを捕らえて食べる鳥であります。繁殖は年一回、三月に針葉樹などに営巣するということになっております。

 オオタカにつきましては、絶滅のおそれのある野生生物のランクの中で、全部で四ランクあります、そのうち、三番目に絶滅の危険が高い絶滅危惧2類として環境省のレッドデータブックに掲載されているところであります。この絶滅危惧2類については、成熟個体数が一万羽未満であると推定されることが一つの目安になっておりまして、オオタカの成熟個体数は、我々が今専門家と議論しているところでは、この一万羽ははるかに下回っているということからレッドデータブックに記載した根拠とされております。

 環境省では、各種事業を実施する際に、オオタカを含めた猛禽類保護のためのガイドラインというのを、平成八年に猛禽類保護の進め方ということでまとめております。これによりまして、各種事業の実施の際にこの猛禽類保護の進め方に沿った配慮が事業者によってなされることが必要と考えているところでありまして、そのガイドラインに従ってお願いをしているところでありますが、事業の実施に際していろいろなデータが実績として上がっております。この事業を収集、検証して、今出しております八年のガイドラインをよりよいものにしていくために必要な調査検討を進めてまいりたいと思っております。

萩生田分科員 例えばイヌワシのようになかなか人目につかないという鳥と違って、今局長御答弁いただいたように、山林に住むといいながらも市街地にも飛しょう、飛来をして、ハトや何かを捕まえて食べるんですよね。私は、極めて都市型のたくましい鳥だというふうに思うんですよ。

 ですから、レッドブックに記載したその根拠として一万ないし二万という数字は、それはきちんとした調査に基づいたことだというふうに思いますので、そのことは否定をしませんけれども、例えば、若干騒がしくなれば自分たちの判断で幾らでも居場所を変えているんじゃないかというふうに思うんですね。現にこれだけの長い間、工事の期間中配慮してきたにもかかわらず、営巣地から姿が見えなくなってまた違うところで発見されるということが繰り返し行われてきているではないですか。それは環境省に言ってもいけないんだね、国交省に言わなきゃいけないんですけれども、そうなんですよ、政務官。

 ですから、オオタカ様にドームをつくったり信号機で車をとめたり、冒頭御答弁いただいたように、音や振動の少ない機械を使うということは私は評価をしたいと思いますけれども、だからといって、モニタリングをしている工事に直接責任のない方の判断で工事がとまったりというようなことが今後も続くとすれば、これは絶滅状態にあるオオタカのために私たち都民が絶滅しちゃいますよ。これは一日も早く開通させて経済の活力を取り戻していかなきゃいけない。そういうことを考えますと、若干優先順位が違うんじゃないかなというふうに思うんです。しかも、工事区域内には洗車場というのを設けてタイヤからボディーまで全部一々一々洗って外へ出すんですよ。そんなにデリケートなんですか、オオタカ様は。

 私は、ちょっとその辺は、環境省は環境省なりにオオタカの生態は承知をしているわけで、これは国交省は知らないわけですから、知らない国交省がどの程度の配慮をすればいいのか、そういうことを今後の公共事業に対してもう少し連携をとってアドバイスをきちんとして差し上げるというその仕組みをぜひつくっていただきたいなと。あたかも、この八王子の圏央道の工事が前例になって全国に波及をするような、そういうことは私は結果として望ましいことじゃないというふうに思っていますし、オオタカの皆さんもそんなに御迷惑を感じているようには私は見えないのでありまして、この点はぜひ、環境省として、よいアドバイザーとして国交省と連携をとっていただくように強く要望して、どうぞお忙しいでしょうから、お引き取りいただいて結構でございます。

 さて、道路公団民営化に向けて内部作業がいろいろ進んでいるというふうに思われますけれども、最近、三社に分割される現在のJHが、西日本と中日本の営業区分の分割点が何とこの圏央道のあきる野インターチェンジあたりだというお話が漏れ聞こえてまいりました。管理上の利便性ですとか、ニュータウンができるとかできないとか、あるいは道路の機能的問題があるんだろうというふうには思いますけれども、もしこれが事実だとすれば、何と東京という行政区の中には三つの道路会社が混在するという極めて複雑な状況が生み出されることになってしまいます。

 国は、民営化議論の中でも、会社が分割されても道路は一体につながったものであって、利用者には会社が分かれても不利益は生じないということを繰り返し説明をしておりましたが、民営化をするということはそういう単純なことではなくて、いずれそれぞれの株主が誕生して各社の経営方針は変わって当たり前だというふうに思いますし、また競争も発生しなくてはならないはずであります。すなわち、国が各社のスタンダードは法律で保つことはできていても、いずれ違う性格の会社になっていくことは自然の流れだというふうに思うんです。

 顕著な例として、JRの東日本と西日本は線路の上では何の区別もなくつながっております。東日本から西日本に入りましても、急に振動があるわけでもありませんし、一々アナウンスがあるわけでもありません。すっと移行はできますけれども、しかし、それぞれの企業が企業努力の中で導入をして販売をしたあのスイカというカードとイコカというカードは整合性がなくスタートをして、昨年の八月ですよ、やっとそれぞれの相互利用が可能になりました。

 そこで、民営化後の営業区分で、料金の取り扱いなどで利用者の不利益が生じないように、また、例えばその工事や管理を望む地元企業などが、片や東京、片や名古屋に営業をかけなくてはならないというような不測の事態が発生しないように配慮が必要だというふうに思いますが、分割案の現状とこれらの危惧について対応をどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 二点あったかと思いますが、一点目の具体的な事業範囲でございますが、高速道路の建設、管理の現況を熟知している日本道路公団の考えも十分に踏まえつつ、権利、義務の承継等に関する基本方針を策定する前に国土交通大臣が指定するものでございます。

 各会社の具体的な境界につきましては、利用者の利便性、代替路の確保、各会社のバランス、現行の道路管理体制等を勘案し、検討を進めているところでございます。

 委員御指摘のもう一点の点でございますが、私ども、既にハイカ、ETCの前納等につきましては、今御心配の懸念のないように進めさせていただいているところでございますし、また、四月からはマイレージ制度というものが始まりますので、各公団、今は公団でございますが、そういった利便性を考えて営業をするというようなことを構築しているところでございます。

 御指摘のような会社の営業区域の境界につきましては、本線バリアを設けることなく、利用者にとってスムーズな高速道路の利用の確保、営業区域のいかんにかかわらず、圏央道の利用促進のため、利用者が利用しやすい料金の設定が行われるように努めてまいりたいと思っております。

萩生田分科員 どこで分かれるかは御答弁がなかったんですけれども、今局長に答弁いただいたように、ぜひ不合理のないようにしていただきたいなというふうに思います。

 私は昨年、この分科会で、東京という一つの行政区に首都高とJHの二つの会社が存在する不合理性についてただしたわけですけれども、今の御答弁を聞くと、二つどころか、どうも三つになりそうであります。

 中央道の八王子―高井戸間は、今日まで首都高と一体の役割を果たして、ある意味では首都高の一部として機能を果たしてきたことは、私は公然の事実だというふうに思います。後に埼玉線や横浜線が首都高によって延伸整備されたことと、歴史的な背景は違うとはいえ、首都機能の補完をしてきたことは、東京選出の石原前大臣も、八王子で学生時代を過ごした北側大臣も、だれよりも御存じいただけるというふうに思います。

 昨年は、首都高公団を解体して、分割されるJHに含めて利便性を高めるべきだというふうに私はこの分科会で主張したんですけれども、かないませんでした。逆に首都高が対距離料金制への移行が検討されるようになって、これがこのまま現状の中央高速につながったりすれば、多摩の皆さんの不公平感は、全く払拭されないどころか、さらに高まるというふうに思われます。

 昨日、民主党の議員さんも国土交通委員会の中で指摘をしておりましたけれども、今、三多摩の各市議会が中央高速八王子―高井戸間の料金そのものの撤廃を求める動きが活発に行われておりまして、内閣や大臣のもとにも多くの意見書が届いているものと認識をします。

 東京都は、首都高公団の設立当初より今日まで、出資で千八百二十二億円、あるいは無利子貸し付けで二千六百四十五億円という費用を拠出しておりまして、首都東京の一翼を担う多摩地域の住民の皆さんの税金も投入をされていることとなります。

 また、永福や三鷹の料金所の存在そのものが渋滞の原因になっていることも現実でありまして、加えて、JHの平成十五年の資料によりますと、中央道は既に債務償還は終わっておりまして、何と償還率は一六〇%を超え、全額で二千二百六十二億円のオーバーというふうにもお聞きをします。当初の路線別採算性がもし継続されていたとすれば、とっくに無料化をされているのがこの区間だというふうに思います。

 ここではあえて無料化の是非はお伺いをしませんが、少なくとも、民営化の料金設定には日本で一番配慮が必要な路線が八王子―高井戸間だと言っても過言ではないというふうに私は思います。

 割高感や不公平感の解消に向けて、国の取り組みを確認したいと思います。

谷口政府参考人 今の御質問にお答えする前に、先ほどの御質問で、答えが不十分だったということでございますが、補足をさせていただきたいと思います。

 先ほど手順のお話をさせていただきましたが、現在、日本道路公団の提案されております案でいきますと、あきる野インターで会社の営業区域が分かれるということでございますが、先ほど御答弁させていただきましたように、今、国土交通大臣が指定するというようなことで、いろいろな観点で検討を進めているということでございます。

 続きましては、ただいまの御質問でございますが、それぞれ、高速道路、首都高速道路というのは考え方が少し異なって、いずれも有料道路でございますが、それぞれ、時間がない中で、現在の体系を基本に、新しい会社として十月一日に生まれ変わるという前提でお答えさせていただきたいと思います。

 今御指摘の高井戸―八王子間につきましては、地元住民の方々との意見調整の結果、出口料金所の制約による渋滞や沿線地域の環境悪化を回避するため、昭和五十四年より均一料金制を導入してきているものでございます。

 割高というようなお話かと思いますが、高速自動車国道の料金につきましては、民営化に向けたコスト削減等の成果を幅広く利用者を初め国民に還元するものとして、ETCを活用した割引制度により平均一割以上の引き下げを実現することとし、既に昨年十一月一日より深夜割引、ことしの一月十一日より早朝夜間割引及び通勤割引を実施させていただいております。また、ことしの四月一日よりマイレージ割引制度を導入するというようなことで考えておるわけでございまして、この時間帯割引とマイレージ制度を組み合わせることにより、最大半額以上の割引を受けることが可能になるということでございます。

 今後、民営化後におきましても、利用者の利便の観点から、きめ細かな料金設定を行うことは重要と考えておりますので、新会社による民間の経営センスを生かした、さらなる多様で弾力的な料金設定に期待をしているところでございます。

萩生田分科員 時間がございませんので、最後に、圏央道の整備が進んで供用開始後の対応について大臣にお尋ねしたいというふうに思います。

 ただいま議論をしてまいりましたように、今回の民営化に先駆けて、あたかも走行距離に応じた対距離料金が最も公平性が保たれるかのような議論が、今いわば支配的になっているというふうに思います。要するに、走った距離に応じて料金を払えばそれが公平なんだ、こういうことなんだというふうに思いますけれども、例えば航空運賃や鉄道運賃は、ある意味ではこういう考え方でよろしいんじゃないかというふうに思います。ところが、高速道路、有料道路は、今局長が道路のできる生い立ちにもそれぞれ社会的な、あるいは歴史的な背景があって、さまざまだという御答弁があったのと同時に、でき上がった後もそれぞれ機能に違いがあってしかるべきだというふうに思います。

 例えば、この圏央道は、冒頭申し上げたように、首都機能を高めるさまざまな整備効果があるわけですけれども、第一義的な目的は何かと聞かれれば、大臣がお答えいただいたように、都心の渋滞解消だ、それが経済の発展につながるんだ、これが圏央道の大きな整備目標なんだというお答えをいただきました。

 ところが、例えば、東北道や関越道を走ってきて横浜に荷を運ぶトラックの皆さん、こういう皆さんには、ぜひ圏央道を回っていただいて、首都圏に入るのをやめてもらいたいわけです。やめてもらいたいんですけれども、今申し上げたような公団の分割・民営化の中で、会社も三つに分かれる、それぞれ不合理のないように料金体系をつくる、もちろん安くするのは大きな目標だけれども、不公平感をなくすためには、等距離、距離に応じた料金設定が必要なんだということがもしこの圏央道で踏襲をされるとすれば、圏央道を回れば、燃料も消費する上、高い通行料を払わなくてはならない、こういう事態が起こるというふうに思います。すなわち、利用者増は必ずしも見込めないというふうに危惧をします。

 この場合は、遠回りをしていただくことが首都機能を高めて、結果として国力を高めることにつながるわけですから、ただ単に距離に応じた料金を設定するのでは極めて愚策と言わざるを得ないというふうに思います。

 総理は一円たりとも公費は入れないということを主張しておりますけれども、私は、これは間違いで、民営化に当たっては、その路線路線の果たす役割、政策的な役割があるんだというふうに思います。民営化に当たって、国がきちんと路線ごとのその役割、意味というものを精査して、国益につながる高速道路政策をつくらなくてはいけないというふうに思います。

 稼げるところで稼いでとか、みんな平等とかという感覚では、まさに政策なき道路行政だと言わざるを得ないと思います。

 必要があれば、採算を度外視してでも弾力的な料金設定を行う。結果として違う分野で国益につながるなら、堂々と国費を投じていくようなことも民営化論を進めていく上では必要なのではないかというふうに思います。

 公団以上の料金と公団以下のサービスを万が一提供するようなことがあるとすれば、この民営化は失敗と言わざるを得ません。ぜひ、こういった危惧を含めて、大臣の御所見を最後にお聞かせください。

北側国務大臣 大事な御指摘だと思います。

 今おっしゃったように、この圏央道につきましては、都心部への流入をできるだけ避けてもらおう、必要のない車についてはというところが一番大きなねらいでございます。それによって大きな経済効果をもたらすと我々は考えているわけで、それで圏央道を早急に整備すべしと。

 ところが、でき上がった時点で、バイパスをしようとする車の方が料金が高くなってしまうということであっては、本来のそうした分散機能を果たすということができなくなるわけでございまして、そこの点は、単に対距離だけで料金を設定するというわけにはいかないなということは、今の委員の御指摘でごもっともだというふうに考えておるところでございます。

 きょうの委員の御指摘を踏まえまして、また、これから日本道路公団は三つに分割するわけでございますが、会社が違ってしまうことによって、結局利用者の方に負担が来ることがないように、利用者の方に不便が来ることがないように、それはよく配慮をしなきゃならないというふうに考えておるところでございます。

 きょうの御指摘を踏まえまして、今後整備を進めてまいりたいと思っております。

萩生田分科員 ありがとうございました。

石井主査 これにて萩生田光一君の質疑は終了いたしました。

 次に、早川忠孝君。

早川分科員 自由民主党の早川忠孝でございます。

 きょうは、昨日の憲法調査会における議論を踏まえながら、日本のこれからのあるべき姿、国際社会における日本の姿ということで、国際貢献の件について外務省にひとつお伺いをしたい。あわせて、災害に強い国土づくりという観点から、具体的な問題について国土交通省にお伺いをしたいと思っております。

 二〇〇〇年からちょうど五年かけて憲法調査会での審議を終えまして、昨日取りまとめを行いました。日本国憲法についていろいろ改定を要する事項がたくさんあるわけでありますが、私は、日本国憲法の前文の中で、これは残しておくべき文章がここに秘められているということに改めて気づいたわけであります。

 総理もかつて引用されました。「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」こういう文言が日本国憲法の前文に記載されているわけであります。

 そこで、本年は阪神・淡路大震災から十年がたちました。去る一月の十八日から二十二日まで国連の防災世界会議が開催をされました。私は、インドネシア・スマトラ島沖地震による津波災害に対して、我が国がどういうことをやっていくか、災害先進国と言われ、災害列島と言われる我が国が国際社会の中で高い地位を占める、そういうことのためには、こういった地球規模の歴史的な災害の際に大きな貢献を率先して果たすことが極めて重要であると考えております。

 会議では、地球規模での早期警戒システムの創設が決定され、国連機関を中心に国際早期警報プログラムを発足させたと伺っております。その中で、日本はどのような役割を果たすことになっているのか、外務省にお伺いをしたいと思います。

小井沼政府参考人 委員御指摘のとおり、先月神戸で開催されました防災世界会議におきましては、我が国といたしましては、小泉総理の提案を踏まえまして特別のセッションを開催いたしました。その結果、地球規模ということでは必ずしもございませんが、「インド洋のための効果的で持続可能な津波早期警戒システムの構築を呼びかける。」といった共通の声明が発出されたところでございます。

 この声明を踏まえまして、政府全体といたしまして、国連、これは国連国際防災戦略、ISDRと称しておりますが、こちら、もしくはいろいろな知見を有しておりますユネスコと協力をいたしまして、インド洋における津波早期警戒システムの構築へ向けた検討が行われているところでございます。

 具体的には、我々日本政府といたしましては、津波早期警戒メカニズムの構築強化に関するISDRのプロジェクトに対しまして四百万ドルの拠出を行いました。また、我が国が持っておりますノウハウ、知見等で協力を行うため、昨日まで三日間にわたりまして、本邦におきまして被害国の防災担当のハイレベルの行政官に対するセミナーを開催いたしました。また、三月にはJICAによる研修も予定しているところでございます。

早川分科員 このたびのインドネシア・スマトラ島沖地震に対しての政府の支援でありますけれども、これは五億ドルなのか五億四千万ドルか、報道で二つあったものですから、よくわかりません。具体的にどの程度の規模の支援を決定し、これからどのように行っていくのかということについてお伺いをしたいと思います。

 あわせて、小泉総理は物的な支援あるいは人的な支援などできる限りの支援をしていかなければならない、こういうことを表明されております。私は極めて当然のことだと思っておりますが、現実には、政府から被災国の政府機関に対する支援だけでは決して十分ではないと思っております。外務省では、ジャパン・プラットフォームを通じて日本のNPOやNGOへの支援等も考えておられるし、現実に実行されていると思います。

 息の長い支援活動をすることが、結果的には国際社会の中での日本の高い評価につながっていくことであると思います。まして、食料の六〇%を海外からの輸入に頼らざるを得ない、エネルギーの恐らく八〇%以上も海外からの輸入に頼らざるを得ないという海洋国家であり資源少国家であるという我が国にとって、国際社会との安定した協調関係をこれからも継続していくことは極めて重要な国是になると思っております。

 これからの日本国の、日本国政府としての支援の具体的な内容についてお聞かせをいただきたいと思います。

西宮政府参考人 我が国は、このたびの未曾有の災害を受けまして、アジアの一員としての責任を果たすべく、資金的、人的、知的貢献、この三分野で最大限の緊急援助を実施してまいっております。

 資金面でございますが、委員お尋ねの五億ドルか五億四千万ドルかという点でございますけれども、小泉総理がジャカルタで表明しましたのは五億ドルでございますが、これに加えまして、世界銀行、アジア開発銀行より我が国の信託基金を通じた支援の要請がございまして、これに四千万ドルを支援いたしましたので、合わせまして五億四千万ドルということでございます。

 五億ドルの緊急無償支援の支出につきましては、既に一月二十一日までにすべて完了しておりますが、委員お尋ねの息の長いということの観念、あるいは相手国政府だけではないということの観念で申しますれば、一つの特徴だと思いますけれども、今回の災害のある意味で最大の被災者だと思いますけれども、子供のための津波被災子ども支援プランと称しておりますが、これの一環といたしまして、国際機関、NGOなどとも協力をいたしまして、人身取引防止対策、あるいは離散家族の再会支援などなどを実施しておるところでございます。

 それから、人的貢献の面では、当初、国際緊急援助隊においでいただきまして、救助であるとか医療、それからDNA鑑定などの面で大変御活躍いただきました。また、現在陸海空の自衛隊により輸送、医療、防疫活動を実施しておるところでございます。

 知見面では、先ほど同僚が御説明いたしました、津波の早期警戒システムの分野で培ってまいりました経験、知見を活用するということでやっておるわけでございます。

 なお、現在進行中のものでもう一つございますのは、地方自治体あるいは企業から食料あるいは医薬品、衛生品などの無償提供の大変温かいお申し出がございました。これらにつきまして民間の倉庫業者の方あるいは民間の航空会社の方々の御協力を得まして、成田からバンコクまで運び、それから、バンコクのすぐ近くでございますけれども、ウタパオの基地からバンダアチェまで自衛隊機で運び、さらにバンダアチェから先を国際機関及びNGOとの協力で被災者の方々にお届けする、俗称でございますけれども、官民リレー輸送と申しておりますが、こういったことも恐らく初めての試みだろうと思いますが、実施中でございます。

 より中長期的には、今後だんだん緊急対処から復旧さらには復興という段階に入ってまいるかと思いますけれども、これらにつきましても、それぞれの国において事情とか状況が少しずつ異なりますが、そういったそれぞれの国の事情、状況を踏まえつつ、関係国、さらに国際機関とも協調しつつ、最大限の支援を行っていく所存でございます。

早川分科員 ありがとうございます。

 自由民主党では、三月の三十一日まで全国会議員がさまざまな機会を通じてインドネシア・スマトラ沖地震に対しての義援金の募金活動を行っております。私のおります埼玉県の朝霞、志木、和光、新座の四市の市議会議員の皆さんと一緒に駅頭に立って、一月の十一日から連日、朝、わずかな時間でありますけれども募金活動を行っております。政府による支援だけでなく、さまざま民間団体あるいはその他の団体の支援活動というのは、やはり被災地の復興にとっては極めて大事であると思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは国土交通省にお伺いをいたします。

 あの阪神・淡路大震災から十年が経過をいたしました。財団法人阪神・淡路大震災記念協会で「翔べフェニックス 創造的復興への群像」という書物が出ております。私は、この書物に記載されたさまざまな経験、教訓、反省あるいは提言を十分踏まえながら、災害に強い国土づくりをしていかなければならない、改めてそのように思っている次第であります。

 昨年の十二月十五日に、中央防災会議の方から首都直下地震による被害想定結果というものが公表をされております。東京を中心とした首都圏での大地震あるいは南関東直下地震、さらには東海沖地震など、多くの地震の発生が予測されているところであります。

 そこで、具体的なことについてお聞きしたいんですが、災害時に道路を復旧するための資機材のストックあるいは建設業者との提携、こういったことが災害の発生した直後には極めて重要な役割を果たすというふうな話を伺っております。この点については、どのように国土交通省の方では対処をされているんでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、阪神・淡路、また昨年の十月二十三日の新潟県中越地震を考えてみましても、道路を使っての復旧というのが極めて重要であると考えております。国土交通省におきましては、災害対策基本法に基づき防災業務計画を定めており、災害応急対策として災害対策用の資機材等の確保を図ることとしているところでございます。具体的には、土のう、防水用シート、鋼矢板等の資機材をストックするとともに、災害対策本部車、照明車等の災害対策用機械や応急組み立て橋等につきまして国道事務所等に保管をしているところでございます。

 また、建設業者等との間で事前に道路の災害応急復旧に関して協定を締結し、発災後直ちに応急対策を行うよう要請できることとしております。さらに、協定を締結した建設業者は、建設機械、資材、労力を確保し、災害時の応急対策に備えることとしているところでございます。

 被災地における復旧及び住民生活の確保に当たり、道路の早期復旧は必要不可欠でありますので、災害時の道路の迅速な復旧体制の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

早川分科員 私が持っております平成十六年十二月十五日付の首都直下地震対策に係る被害想定結果についての中間報告によりますと、東京湾北部地震、マグニチュード七・三のときに、瓦れきの発生量が約八千三百万トン、あるいは多いところでは九千六百万トン、こういう極めて大量の瓦れきが発生をする。これを速やかに除去するというためには、道路網が整備されていくことがどうしても必要になります。

 しかしながら、各地での交通の寸断も予想されるわけであります。陸上交通ができない場合には舟運を活用するなど、災害発生時における交通の確保に関して、国土交通省ではどのようにお考えでありましょうか。

清治政府参考人 災害時の緊急対応それから復旧に向けて、交通の確保というのは非常に重要な役割を果たしているわけでございます。国土交通省におきましては、防災業務計画を策定いたしまして、複数の輸送手段を有機的に連携させまして、災害時においてもできるだけ早期に、救助部隊の移動でありますとか緊急物資の輸送を確保できるように努めているところでございます。

 道路交通におきましては、緊急輸送道路の確保を最優先にしまして応急復旧等を実施することとしておりますし、また、鉄道につきましても早期に復旧を図りまして、緊急輸送の確保に努めることとしております。

 また、今委員御指摘のありました舟運でございますが、港湾施設の被害状況の早期の把握と応急復旧にあわせまして、河川の舟運の活用も含めまして交通手段間の連携を図り、各交通機関のネットワークを最大限に利用することによりまして緊急輸送の確保に努めてまいりたいと思っておりまして、災害廃棄物、瓦れき等につきましても、ネットワークを十分活用して対応できるようなことを事前に検討しておくことが重要というふうに考えております。

早川分科員 都営十二号線、地下鉄大江戸線でありますけれども、自衛隊の早期派遣を可能とするとともに、また備蓄庫も併設されていると伺っております。このような災害時における他の鉄道あるいは地下鉄の活用についても検討していく必要があると考えておりますけれども、いかがでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 災害復旧時に鉄道を活用するということのためには、まず鉄道そのものが地震に強くないといけません。したがいまして、私どもは、鉄道につきまして、従来から高架橋あるいは地下鉄のトンネル、こういうところに耐震補強を進めるよう指導してきているところでございます。まだすべてではありませんが、かなり進展してきております。

 それから、災害復旧時の輸送の問題でございますが、一つは、今おっしゃいましたように、災害のときには地方公共団体の要請等がございます。そういうときには、国土交通省として、当然のことでございますが、関係の鉄道事業者に対しまして十分協力するような要請を行う、それで円滑な輸送に努めたいと思います。

 さらに、高架下あるいは地下の空間を備蓄庫として活用するという問題でございますが、御指摘のように、東京都におきましては地域防災計画の中にそれを書いております。これからこういう問題につきまして、関係のところでもこういう議論が起きてくるかと思います。そういう地域防災計画の中にこういう策定がございました場合、私どもといたしましては、その関係事業者に対して、これに適切に対処するように指導していきたいというふうに考えております。

早川分科員 首都直下地震による被害の状況を想定しますと、どうも環状七号線の内部に大きな被害が発生をする。結果的には、首都圏ということからすると、この周辺部に当たる、直撃されない可能性が高い、私どもがおります和光市あるいは朝霞市、志木市、新座市、こういった地域が首都圏の災害時において災害活動をする拠点として非常に有効な地域になるのではないかなというふうに考えております。都営地下鉄十二号線の大泉から以北への延伸問題等がありますが、ぜひともそういった観点から、首都圏防災の観点からぜひこの整備を進めていただきたいなというふうに思っております。

 そこでまた、首都圏の防災性を高めるために、緊急時の輸送体系の確保が必要だと考えております。そのためには、何といっても道路ネットワークの整備が重要であります。この骨格となる東京外郭環状道路、環状八号線、国道二百五十四号バイパス、これらの道路についての整備の現状と今後の見通しについて御説明をいただきたいと思います。

谷口政府参考人 委員御指摘のとおり、防災拠点、また緊急輸送路等で、道路のネットワークは大変重要なことかと思っております。

 阪神・淡路のときにリダンダンシーという言葉がもてはやされたと思いますし、昨年の中越地震におきましても、ネットワークの代替性の確保といったようなことが重要だと再認識されたのではないかと思います。

 委員御質問の三点の道路でございますが、一点、東京外郭環状道路でございますが、これは首都圏の三環状の一つを構成する非常に重要な路線と位置づけさせていただいております。緊急時のみならず、ふだんの渋滞緩和、生活環境の確保のために非常に重要な路線でございます。

 既に、埼玉県内を通過する区間二十九キロメートルにつきましては供用中でございます。千葉県を通過する湾岸道路から常磐道の二十キロメートルにつきましては、鋭意事業を進めさせていただいております。東京都内を通過する関越道―東名間につきましては十六キロメートルでございますが、調査中ということで、今後幅広く住民の意見を聞きながら、計画の具体化に向け検討を進めさせていただく予定でございます。

 二点目の環状八号線でございますが、全体四十四キロメートルございます。既に四十キロメートルが整備済みということになっておりますので、残りの四キロメートルにつきまして現在東京都が鋭意整備を推進しているところでございますが、十七年度の開通に向け努力しておるということをお聞きしております。

 国道二百五十四号バイパス、三点目でございますが、全体二百八十四キロメートルございます。このうち、既に東京外郭環状道路と一体となって緊急時に重要な輸送路となる和光富士見バイパスにつきましては埼玉県が、全体七キロメートルでございますが、事業を進めているところでございます。東京外郭環状道路から六百メーターでございますが、これにつきましては既に供用させていただいているところでございます。それに続きます和光市新倉から主要地方道朝霞蕨線間、二キロメートルでございますが、平成十九年ごろの供用を目途に用地買収、橋梁、改良工事を推進しているところでございます。

 以上でございます。

早川分科員 ぜひ首都圏災害に対応できるようなネットワークとしての外郭環状道路、環状八号線、さらには災害活動拠点となるだろうと思われます国道二百五十四号バイパス道路の早期の完成のために御努力を賜りたいと思っております。

 震災時に道路あるいは鉄道などの陸上の輸送路の確保ができない場合には、河川を利用しての人あるいは物資の輸送も重要になろうと思います。特に荒川などの河川が極めて首都圏にとっては重要なものになろうと思いますけれども、具体的にはどのように、災害時には、対応をお考えでしょうか。

清治政府参考人 河川は都市の中で非常に貴重な空間、オープンスペースになっているわけでありまして、河川自体が避難場所等に役立つというふうに思っておりますが、今御指摘のような緊急時の物資輸送等につきましても重要な空間として活用していくべきだというふうに考えておりまして、河川の中では、緊急用河川敷道路というのを河川の高水敷の部分に通していこうという計画を持っております。また、緊急用の船着き場もこれらとあわせて整備をしていくことによりまして、緊急時の対応がしやすいようにということと、それから、河川防災ステーションというようなことで、ヘリポートであるとか物資の輸送拠点にしていくというようなことを組み合わせて対応しようとしております。

 先生御案内の荒川でございますけれども、荒川につきましては、この緊急用の船着き場、これは荒川リバーステーション整備計画というのを持っておりまして、現在までに九カ所の整備ができてございます。また、緊急用河川敷道路につきましても、荒川におきましては七十八キロの整備ができておりまして、これらを組み合わせていくことと、それから、先ほど来御指摘のありました主要幹線道路、これは都のネットワークも重要な位置づけにしておりまして、例えば朝霞市の場合、秋ケ瀬、それから彩湖、荒川第一調節池の彩湖でございますが、そういうところの緊急用船着き場と、お話のありました一般国道二百五十四号バイパスあるいは一般国道の二百九十八号、こういう主要幹線道路とのネットワーク形成に努めているところでございます。今後とも、地域との連携を図りながら、河川の空間を首都直下型地震等の災害時に十分活用できるような連携施策を講じてまいりたいと思います。

早川分科員 まことに災害に強い国づくり、国民の安心、安全を確保するというのは重要な課題であると思っております。

 国土交通省におかれては、いろいろな施策を遂行いただいております。国の財政が厳しい状況の中でも、国民の安心、安全を確保するというのは極めて重要な課題であると思いますので、ぜひこれからも集中的に、国道二五四和光富士見バイパス等については、これはいつ完成するかもわからない。せっかく富士見川越有料道路が完成をし、さらには朝霞から和光の外環までのバイパスは整備されても、残念ながらその富士見川越有料道路からその朝霞―和光間までの間がいつまでたっても完成をしない。これは非常に首都圏全体の災害対策の面からも大きな欠陥になるのではないか、その可能性を秘めていると思います。

 これまでのような方式でなくて、場合によっては直轄方式でもって実施をする等のこともぜひこれから御検討いただきたいという要請をして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

石井主査 これにて早川忠孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢分科員 自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 北側大臣、中野大臣政務官、大変御苦労さまでございます。また、これは以前の仲間でございますが、国土交通省の皆さんには、国民生活に密着した大変幅広い分野で御苦労をいただいておりまして、心から敬意を表する次第でございます。

 本日は、この第八分科会で質問の機会を与えていただきまして、大変感謝しておるところでございます。せっかくの機会でございますので、地元の関係で、私の地元は実は空港は全くございませんが、航空の関係、それに関連して観光の問題、さらには道路整備、それから災害対策ということで、これに関係して河川また港湾の問題について質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 最初に、先般開港いたしました中部国際空港の関係で、大臣にお伺いいたしたいと思います。

 実は、このプロジェクトに関しましては、私、あそこの会社の初代の企画部長をさせていただきました。三年間あの空港の企画に携わった関係者の一人として、先般、開港式にも出させていただいて、感慨ひとしおでございました。個人的に思い入れの深いプロジェクトでございます。それだけに、先般、当初の予定を前倒しして開港にこぎつけていただいたということで、非常に関係者の方々、大変な御尽力をいただいてここまで来ていただいたんだなというふうに心から敬意を表したいというふうに思っている次第でございます。また、御承知のとおり、事業費も、当初予定されておりました額を千二百億円も下回るということで、平野社長初め、本当に関係者一丸となって取り組んだ結果だと思っておりまして、この点に関しましても非常に感銘を受けておる次第でございます。

 それから、開港いたしまして、普通、最近新しくできました空港は初期の段階で大体トラブルを起こす。特にバゲッジハンドリングシステムで、これまでの例を見ますと、コロラド州のデンバーの空港でございますとかあるいは香港のCLK、仁川はそれがあったかどうかちょっと定かに記憶しておりませんが、新しい空港はどうしても初期トラブルがあるという前例があったと思いますが、幸い中部国際空港の場合はそういう初期のトラブルもなく、順調に運用が開始された。余りにも混雑してどうも飯が食えないとか、ふろに入れないとか、そういう苦情はあるようでございますけれども、それ以外、空港の機能としては全く正常に機能しているということでございまして、大変安心をしておるところでございます。

 ところで、この中部国際空港の開港によりまして、いよいよ我が国も、成田、関空、そして中部国際空港を合わせまして三大国際空港時代に突入したわけでございます。よく我が国には国際ハブ空港がないというふうに言われます。私は、個人的には、日本はこういう国土の狭いところでもございますし、国際ハブ空港というのが本当に必要なのかという気もいたしますが、この三つの空港、さらに二〇〇九年には羽田空港の国際化も予定されておりますし、言ってみれば、その四つの空港を合わせまして国際ハブ的な機能を果たせればいいのではないかなというふうに思っておるところでございます。もちろん、それぞれの空港は、それぞれ地域の特性といいますかバックグラウンドが違いますので、それぞれの地域の特性があると思いますし、また、機能としましても、完全にそれらの空港が同じ機能を果たさなきゃいかぬというわけでもないというふうに思っております。

 そういう意味で、いい意味でのこれらの空港間の競争、現に、中部国際空港の開港に伴って、着陸料を一部下げようとか、あるいは貨物の施設を充実させようとかという動きも出てきておるようでございますけれども、この競争と、言ってみれば相互補完性というんでしょうか、これらをうまくマッチングさせて、国際ハブ機能を果たしていただければなというふうに思っているわけでございますが、競争と相互補完、これをどう折り合いをつけて、これからの我が国の国際航空ネットワークを発展させていくのか、これは航空政策の基本にもかかわる話だと思います。大臣から御所見を伺えればというふうに思う次第でございます。

北側国務大臣 まず、私も先般、中部国際空港に行かせていただきまして、本当に立派な空港をつくっていただきました。この空港ができるまでに本当に多くの方々の御努力があったわけでございまして、心から御礼を申し上げたいと思います。

 今委員の御指摘の課題は、非常に重要な課題であると思っております。私は、国際航空需要というのは、これからも、人も物流の面でもますます高まっていくことは間違いないと思っております。逆に、本当に、そこが日本の経済の発展のための障害にならないように機能を果たしていかないといけないというふうに思っておりまして、国土交通省は多くの社会資本整備を担っているわけでございますが、その中でも非常に重要な社会資本の整備であると私は思っておりまして、しっかりとこれは進めていきたいと思っているところでございます。

 おっしゃっているとおり、中部国際空港が開港になりました。それで、次には関西空港が、御承知のように二〇〇七年に二本目の滑走路が供用開始になります。さらには、御指摘の羽田空港につきましても、これから再拡張いたしまして、そして二〇〇九年には第四本目の滑走路からは国際便も飛ばそうというふうなことでございます。さらに、成田空港につきましても、今、暫定滑走路があるわけでございますが、これでは極めて不十分でございまして、本来のきちんとした平行滑走路をどうあれ早く完成させないといけないというふうに私は思っておりまして、そういう意味では、まだ道半ばでございます。道半ばでございますが、これから数年かかるわけでございますが、しっかりとこの整備を着実に進めさせていただきたいと思っております。

 その上で、それぞれの機能をどのように考えていくかでございますが、これは、これから国土交通省の中でよく議論をしたいと思っているんですけれども、例えば関西の場合は、私はやはり、地理的な位置からしましても、対アジアとの関係での玄関口になっていくということが大きなねらいではないのかなというふうに思いますし、また、中部の場合は、国内線と国際線とのアクセスが非常にいい空港でございます。中部国際空港におりていただいて全国の地方空港につながり、多くの日本の国内空港とつながっているという意味で、非常に国内とのネットワークがいい空港でございまして、この持ち味を発揮していくことが大事じゃないのかなというふうに思っております。成田につきましては、これはやはり日本の一番の、首都圏を抱えた国際空港でございますので、そういう意味では、本当にオールラウンドの空港としての機能を果たしてもらう必要があるのかなというふうにも思っております。

 いずれにしましても、今おっしゃいました国際空港、三空港時代になりました。もう少しで四空港かもしれません。そういう時代の中で、それぞれの、いい競争をしていただきながら総合力を発揮していくということが大事だと私は思いますので、その機能をそれぞれ特性に応じて明らかにしながら連携をとっていくということが非常に大事だと思っております。今後、しっかりと検討をさせていただきたいと思っております。

三ッ矢分科員 まだまだ解決すべき問題もたくさんあろうかと思います、御苦労さまでございますけれども。ビジット・ジャパン・キャンペーンの方も順調に進んでいて、外国人の観光客が日本に一千万人到来する日も近いと思われますので、ぜひ国際的にもほかの国の大空港と遜色のない国際的な機能が発揮できるような航空ネットワークを構築していただきますようにお願い申し上げておきたいと思います。

 次に、観光関係でお伺いをしたいと思います。

 今申し上げた中部国際空港は、観光ビジネスあるいは物流の面でも、地元の期待も非常に大きいわけでございます。特に、私の地元でございます三重県の南部では、観光の面での期待が高まっておるわけでございます。

 実は、この伊勢志摩地域というのは、十年前と比べますと入れ込み観光客の数がもうほとんど半分になっています。たしか私の記憶では、十年ぐらい前、千九百万ぐらい入れ込み観光客数があったんですが、今はもう一千万を切っているというような状況でございます。もちろん、一部おかげ横丁とか、部分的には元気な部分もあるんですが、非常に落ち込んでおる。

 これはいろいろ原因があろうかと思われます。一つは、ちょうど十年前に阪神大震災が起こりまして、関西方面からのお客さんがどうもそれを境に激減いたしまして戻ってきていないというようなこともございます。それから、地元の対応としましても、観光のパターンが団体客からグループあるいは個人の旅行に変わってきているにもかかわらず、どうもうまく対応できていないのじゃないかというような指摘もあるわけでございますが、いずれにしましても、この中部国際空港の開港と三月二十五日から始まります愛・地球博、これを機会にぜひ観光客をもう一度呼び戻したいというような期待が高まってきておるわけでございます。

 そこで、中部国際空港と言いますが、私はこれは実は、伊勢湾空港だというふうに言っていまして、せっかく伊勢湾の中にできた空港でございますので、これまでのように点としての観光地を訪ねるということではなくて、特に外国の方々に日本の多様な面を知っていただくというようなねらいも込めまして、例えば伊勢志摩だけではなくて、昨年世界遺産に登録されました熊野古道、あるいは場合によっては奈良、京都それから岐阜の高山あたりも含めて、環伊勢湾の広域の観光ルートといいましょうか、そういうものをぜひビジット・ジャパン・キャンペーンの一環として御考案いただけないか、ついては関係の自治体とか観光業界の方とも連携をとっていただいて、国土交通省が協力してそういう新しい観光ルートの開発をしていただけないかということで、その点についてお伺いしたいと思います。

鷲頭政府参考人 ただいまのビジット・ジャパン・キャンペーンについての御指摘でございますけれども、私ども、ビジット・ジャパン・キャンペーンで、地域の取り組みと連携しながら、やはり外国の人に日本の観光地を知ってもらう、正確に知ってもらう、あるいはそれを具体的な旅行商品としてつくってもらうということを事業としてやっておりまして、例えば、特に中部圏、今おっしゃいました三重県の南部につきましては、伊勢志摩など国際的な観光資源がございますので、二月十七日に開港しました中部国際空港によって海外からのアクセスというのが大変便利になったということから、重点的にキャンペーンを実施してきております。

 具体的には、例えば中国の蘇州市の観光関係者あるいはプレスの記者さんなどをちょうど今週二十日から二十三日まで招請いたしまして、伊勢志摩の観光資源と愛知万博会場とセットで視察してもらうとか、あるいはこれは昨年の十月の話でございますが、伊勢志摩地域のプロモーションのために、観光展示会、商談会を上海市などで開催するというような事業を具体的にやってきております。

 それで、ことしは空港の開港のほかに愛知万博がありますので、まさにそれは二つの大きなきっかけになるわけでございますので、単に来た方が愛知万博だけ見て帰るというのは、やはり大変私どもの行政から見るともったいないということがございますので、伊勢志摩を初めとする中部圏の観光地とか、今おっしゃられた熊野古道までつなげるとか、あるいは高山へ行くとか、あるいは中部空港を利用して別の国内線を乗り継いで見てもらうとか、そういうような、中部空港あるいは愛知万博会場を核としてその周辺の観光地に広域的に行ってもらうように、海外の旅行関係者、旅行会社ですけれども、主にそういう方にできるだけたくさん来てもらって、コース別にいろいろ見てもらって、それを商品化してもらうというようなことで取り組みをしていきたいと思っております。

 そういう意味では、ことしは中部圏というのは大変我々観光行政からしてもやりやすい非常にいい年でございますので、これをできるだけ成果のあるように、具体的にビジット・ジャパン・キャンペーンの中で実施していきたいというふうに考えております。

三ッ矢分科員 ありがとうございます。ぜひ前向きに取り組んでいただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 それにいたしましても、実はこの三重県の南部というのは、非常に高速道路を初めとして高速交通体系の整備がおくれておる地域でございます。昨年二十一号台風の影響を受けまして、この地域にとりましては唯一の足でございます国道四十二号線が一部崩落いたしました。幸い関係者の大変な御尽力によりまして、たしか三日間だったと思いますが、片側開通復旧していただきまして、本当に皆様方の御努力に対しては感謝を申し上げているところでございますが、これは観光がどうのこうのという以前の問題で、住民の生活、安全、安心にかかわる話でございます。

 その関連で、今近畿自動車道紀勢線、これは勢和多気から大宮大台インター、さらに紀勢町まで工事を進めていただいておるわけでございます。さらに尾鷲―紀伊長島間につきましては、先般新直轄方式で御決定をいただいておりまして、さらに直轄方式で整備をしていただいております尾鷲熊野道路、これらとあわせて、やっとこの地域にも高速道路がやってきそうだという大変住民の期待が高まってきておるところでございます。

 そこで、高速道路の関係、まだ手がついておりません紀勢町と紀伊長島の間の区間も含めまして、今後の見通し等についてお聞きしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、紀勢線というのは大阪府の松原市を起点として、三重県の多気郡勢和村に至る全体延長三百三十六キロメートルの高速自動車国道でございます。紀伊半島を一周ぐるっと回るというような道路でございます。先ほどお話がございました観光面でも非常に重要でございますし、昨年世界遺産に十二番目だったと思いますが登録されたという意味でも脚光を浴びている地域ではないかと思っております。

 また、昨年の台風の御紹介がございましたが、台風のみならず近々起こるであろうと心配されております東南海・南海地震といったような面でも、リダンダンシーというような言い方、危機管理というような言い方もできるのではないかと思っておりますが、住民の生活の安全確保、安心確保のために重要だと思っております。

 ことしの十月に四公団が民営化、六つの民営化会社になるわけでございます。また、一つの独法もできるわけでございますが、その民営化の議論の中で、これまでの有料道路方式のほかに新直轄方式というのができました。この改善された有料道路方式と新直轄方式の両輪で、着実に高速道路ネットワーク、高規格幹線道路も整備していくという基本的な考え方でございます。

 御指摘の勢和多気ジャンクションから紀伊長島間三十四キロメートル、みなべ―白浜間二十キロメートル、計五十四キロメートルにつきましては、日本道路公団による有料道路方式で、また、紀伊長島から尾鷲北間二十一キロメートルにつきましては、新直轄方式により整備を図っていく考え方でございます。

 このうち、委員御地元の三重県内のことを少し補足させていただきますと、勢和多気ジャンクションから大宮大台間十四キロメートルにつきましては、十七年度の供用に向けて工事を全面展開中というようなことで、全力を挙げておるところでございます。大宮大台から紀勢間十キロメートルにつきましては、用地買収が完了しましたので、工事を順次着工していきたいということでございます。残る紀勢から紀伊長島間十キロメートルにつきましては、用地買収に向け、地元設計協議を実施中ということでございます。

 また、熊野尾鷲道路につきましては、全体十八・六キロメートルございますが、一般国道の四十二号の自動車専用道路として、平成十四年度に用地及び工事に着手したところでございます。特に、尾鷲南インターチェンジから三木里インターチェンジまでの延長五キロメートルの区間につきましては、平成十九年度の供用というようなことで、トンネル及び改良工事を推進しているところでございます。

 今後とも、引き続き地元の方々の御理解と御協力をいただきながら、また、コスト縮減にも取り組みながら、できるだけ早い供用開始というようなことで事業を推進してまいりたいと考えております。

三ッ矢分科員 どうもありがとうございます。

 紀伊半島にネックレスをといいますか、実は、先ほどお話を申し上げました四十二号線、崩落した部分と平行して熊野古道の馬越峠というのがございまして、これは全くびくともしなかったのですね。それで、救援にこの山道をリュックをしょってみんなで行ったというような話もございます。ぜひ、熊野古道ならぬ熊野新道を一日も早く完成させていただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。

 道路関係でもう一つお伺いしようと思っていたんですが、だんだん時間がなくなってきましたので、これは要望にとどめたいと思います。

 もう一つ、海岸線沿いに実は国道二百六十号線というのがございまして、これは志摩地域からリアス式海岸、あの辺は非常に複雑な地形でございますが、その海岸線を通って紀伊長島に至る国道でございます。一部未改良の部分が残っておりまして、自分の町の中学校に行くのに隣の町の中学校の前を通っていかないと行けないというようなところでございます。これについても、生活道路、あるいは先ほど局長の方からお話もございましたが、地震、津波の被害も想定されるところでございますので、そのためにも非常に重要な道路でございます。これにつきましても、ひとつ一日も早い工事の完了をお願いしたいというふうに思います。

 それから、続きまして、災害に関係してでございますが、先ほども申し上げましたが、二十一号台風で大変な被害を受けました。その中で、伊勢市、それから海山町というところを初めとする東紀州地域は特に被害が大きかったわけでございます。宮川、それからその支流の横輪川、さらに東紀州の方に参りまして赤羽川、船津川といった河川ではんらんが起こりまして、数百戸に及ぶ床上浸水の被害が出たような状況でございます。幸いといいますか、大変な御尽力をいただきまして、補正予算でも一部復旧の手当てをしていただいておるわけでございます。

 実は、特にこのうち宮川、伊勢市の中でございますが、宮川には堤防のない地帯がございまして、私も実は、自分の地元でありながら、こんな長い区間、堤防がないのかというのを知らなかったんですが、四キロほどにわたりまして無堤地帯がございます。さらに、その河口付近の堤防というのが、伊勢湾台風のときにできた堤防でございまして非常に古いということと、高さも低いということもございまして、亀裂が入っているとか、あるいは一部崩落しているというような状況も見られるところでございます。

 特にこの宮川の河川改修につきまして、今後の見通し等をお聞かせいただければと思います。

清治政府参考人 昨年九月の二十一号台風では、三重県下、大変な水害がありました。中でも今御指摘の宮川、上流では宮川村で大変な土砂害、悲惨な土砂害がございましたし、また、中流部、下流に近いですけれども、伊勢市では、無堤地区で、そこだけで百五十九戸の浸水を見ております。

 これらにつきましては、緊急な対処ができるような予算措置を講じてまいりましたが、中流の無堤地区につきましては、今御指摘ありましたように、四キロ弱の区間につきまして補正予算で七億五千万措置できましたので、これをもって着工したいと思っております。今現在、伊勢市あるいは地元の方々とお話をしながら、測量、調査、設計に入っているところでございます。無堤地区の解消に努めてまいりたいと思います。

 それから、河口部付近の古くなっております高潮の堤防でございますが、これは、地震、津波の問題もございますし、平成七年に耐震点検をしたわけでございますが、いずれも耐震対策強化が必要ということになっておりまして、現在、右岸の地区からかかっておりますが、これらについても早急な整備がなされますように取り組んでまいりたいと思います。

三ッ矢分科員 ありがとうございます。

 私の選挙区は大変災害の多い地域でございまして、しかも、地震、津波も大きなものが予想される。昭和十九年に東南海地震がございまして、その折にも六メートルから十メートルというような津波が襲来した地域でございます。住民の安全、安心のためにぜひお力添えを賜りたいというふうに思う次第でございます。

 最後に、港湾の関係でございます。

 尾鷲港という港がございます。ここの港湾計画の見直しが予定されているというふうに聞いておるんですが、若干その作業がおくれているやにも伺っております。

 この中でちょっとお願いしておきたいのは、陸路が寸断されますと、ここは本当に陸の孤島になってしまう。高速道路ができればまた別な話でございますが、現在の状況では、四十二号線は非常に脆弱な部分もございますので、大きな災害が起こった場合に陸の孤島になる可能性もあるということで、できれば、その見直しの中で尾鷲港に耐震岸壁をお願いできないかなということ。

 それからもう一つ、宇治山田港の海岸侵食対策で、これは工事をしていただいておるんですが、地元から言わせますと進捗がどうも遅いんじゃないかというような話もございます。

 この二つあわせて、現在の状況あるいは今後の見通しについてお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

鬼頭政府参考人 二点、お尋ねがございました。

 まず、尾鷲港の港湾計画についてでございますが、平成十五年の十一月に尾鷲港長期構想検討委員会が設置をされました。津波対策や地震に強い港湾のあり方、あるいは先ほどもちょっとお話の出ておりました観光を含めました地域の産業振興に資する港づくり、こういった点を港湾計画というよりも少しスパンの長い形で、今後の港湾のあり方について御議論がされているところでございます。

 ただ、その後、平成十六年の三月に中央防災会議におきまして、東南海・南海地震防災対策推進基本計画というものが策定をされました。これを受けまして、防災体制に関する検討をさらに深めるということになりまして、現在、三重県あるいは尾鷲市において、これを受けた防災体制の抜本的な見直しを検討中ということでございます。

 したがいまして、港湾管理者である三重県におきましては、地元でのこういった検討を踏まえて、これを港湾計画に反映するという作業をこれからすることになりますが、できるだけ急ぐということで、早ければ十七年度中の改定ができるように鋭意作業を進めたいという意向を持っておられるというふうに伺ってございます。

 もう一つの耐震強化岸壁についてでございますが、既に今ある港湾計画の中に、林町地区というところに七・五メーターの岸壁が新規に位置づけられております。ただ、まだ現在までのところ、整備に未着手ということでございます。

 南海・東南海地震の発生の切迫度が高まっているという状況にございますので、早期にこの耐震強化岸壁が整備されるためにはどういうやり方がいいかということについて、例えば既存の岸壁を改良するということによって手っ取り早くつくるという方法もございます。そういう意味で、そんなことも視野に入れながら、さらに避難緑地の配置計画、そういったことも含めまして今後の港湾計画の改定作業の中で検討していかれるというふうに聞いています。

 いずれにしましても、私どもとしても、今申し上げたようないろいろな尾鷲港に対する要請にこたえた適切な港湾計画になるように、またそれに基づく耐震強化岸壁等の整備のあり方について、いろいろな形でアドバイスをしたいということで、協力をしていきたいというふうに思っております。

 もう一点の宇治山田港海岸につきましては、堤防の高さが低いとか、前面の海浜が砂がとられてしまっているということで、波を消す機能が低下をしていて、たびたび越波被害が生じているということについては、今御指摘のとおりであります。

 そのために、堤防の改良と養浜による海浜の回復とを組み合わせた、いわゆる面的防護方式と呼んでおりますが、この侵食対策を平成十二年度から着手しております。ただ、全体計画のうち優先度の高い南側区域から事業を始めていますが、まだ進捗率が一割ちょっとという状況にございます。

 一方、委員も御承知のとおり、港湾、海岸事業予算については全体としてやや厳しい状況にありますが、今お話のありましたように、当事業に対する地元の大変強い要請がございますので、そういったことも踏まえながら、可能な限り早期に事業の効果が発揮できるように、海岸管理者である三重県とも協議をしながら事業の促進を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。

三ッ矢分科員 ありがとうございます。

 東海地震につきましてはもういつ起こってもおかしくない、それから、東南海地震につきましても、この三十年以内に発生する確率は六〇%以上というようなことも言われております。一たびこの地震、津波が発生いたしますと、三重県のみならず、紀伊半島地域あるいは静岡、さらに南海地震の関係ですと四国まで含めて数万人に及ぶというような被害が想定されておるわけでございまして、ぜひ地震、津波対策、これは避難路、避難場所の確保、さらに、特に海岸部につきましては消波堤、防波堤、防潮堤、こういった面の確保を、公共事業批判もいろいろございますけれども、必要なものはきちんとやっていただくということで、国土交通省の皆様方の御健闘をお祈りいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石井主査 これにて三ッ矢憲生君の質疑は終了いたしました。

 次に、城内実君。

城内分科員 自由民主党の城内実でございます。

 本日は、北側大臣、そして中野政務官、お忙しいところをお越しいただきまして、ありがとうございます。そしてまた、大臣、政務官及び国土交通省の関係者の皆様方が国民に本当に身近に密着した国土交通行政に積極的に取り組まれていること、本当に感謝と敬意を表します。

 さて、私は昨年、第百五十九回国会における予算委員会国土交通分科会で、地元の社会資本整備にかかわる問題点について質問をさせていただきました。本日も、あれから約一年たったわけですが、同じような質問をさせていただきます。ただし、御答弁についてはぜひ昨年よりも前向きな御答弁をいただきたいというふうに思っておるところでございます。

 やはり地域を回りますと、私の選挙区は静岡県西部でございますけれども、特に中山間地域、もっと道路をよくしてほしい、そういう声をもう毎回毎回聞くわけでございまして、その地域の声が私の魂に乗り移って、私としても何とかしたい、そういう思いでおりますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そして、一点、実はことし七月一日に浜松市が合併いたします。そして二年後に政令指定都市になるということでございますけれども、私の選挙区の、十三市町村で構成されますが、そのうちの十一市町村が隣の春野町というところと合併する。十二市町村が合併して大浜松市になる、そういうことでございますが、都市部の人はよいんですけれども、その周辺の、川上の中山間地域の人たちは、合併すると我々の声がどこまで届くのかな、道路はどうなるのかな、そういう大変な心配をされているわけでございます。

 そういった観点から、きょうは中山間地域における社会整備の問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、三遠南信自動車道路でございます。これも昨年質問させていただきましたが、御案内のとおり、三遠南信の三というのは東三河、これは愛知県でございますし、遠の遠州は静岡県西部、そしてまた南信の、これは南信州、長野県でございます。静岡、愛知、長野と広域にわたる地域の道路整備促進でございますが、御案内のとおり、東海道線、東海道、東西の道路はできているわけですけれども、縦の線、南北の縦の線が不十分でございます。

 私の地元の細江町というところに松田不秋さんという文化の研究者がございます。この三遠南信、これは県を越えていますけれども、五穀豊穣の祭り、例えば花の舞とか田楽、そういったものがございますけれども、これはその三県に共通の文化、共通のものがあります。そういったことから、もっともっと交流を進めたい、しかし道路が悪いからなかなか文化交流もままならない、そういうような声を先般聞いてきたわけでございます。

 静岡県内におきましては三遠道路、そしてまた佐久間道路、青崩峠道路とございますけれども、ぜひとも地域住民の悲願ともいうこの道路の建設、早期着工、早期供用開始をお願いしたいと思いますが、現状はどうでしょうか。

    〔主査退席、中馬主査代理着席〕

中野大臣政務官 城内委員におかれましては、常日ごろより国土交通行政に大変御支援をいただいておりまして、感謝申し上げております。

 ちなみに、衆議院の一期生の皆さんの中で国土交通省に足しげくお出かけをいただくトップクラスの議員さんであろう、そのように承知をいたしております。もちろん、教育を初めいろいろ、オール・ジャパンの問題についても大変熱心に御提言いただいておりますけれども、とりわけ社会資本整備の問題を含めて地元課題についてもしっかりお取り組みをされておりますことは、私たちも大変心強い限りだと思っております。

 はてさて、ただいまの三遠南信自動車道の進捗状況ということについて、また今後の見通しについてお答えを申し上げたいと思っております。

 委員おっしゃられますように、三河、遠州、南信州ということで、大変に歴史と文化に満ちあふれた地域だ、古来より大変心豊かな、また文化の薫り豊かな地域だということも地域の皆様方から、もちろん城内さんからもでありますけれども、お話をいただいて承知をいたしております。

 今この自動車道路は延長約百キロメートルの高規格幹線道路ということで、中央道あるいは第二東名を有機的に連絡し、申し上げましたような地域相互間の連携強化、そしてまた沿線市町村の合併支援、あるいは地域の秩序ある開発、発展に大きく寄与する重要な道路だという認識をいたしております。御存じのように、平成七年度までに延長六十九・一キロメートルを順次事業化をいたしまして、現在までに延長七キロメートルについて供用いたしております。

 静岡県内では、二十一キロメートルの三遠道路、六・九キロメートルの佐久間道路、そして十三・一キロメートルの青崩峠道路の事業を推進いたしておりまして、特に十三・九キロメートルの三遠道路の鳳来から引佐においては、平成十九年度の供用に向けて、厳しい財政事情ではありますけれども、城内委員やらあるいは地元の熱心な要請をしっかりと受けとめまして、平成十七年度予算についても十六年以上に何とか獲得できますように最大限の努力を続けてまいりたいと思います。ちなみに、三遠トンネル工事、四・五キロメートルという大変長いトンネルでありますけれども、頑張りたいと思っております。

 今後とも、地元の皆様の御理解と御協力をいただきながら、しっかりとこの事業を整備推進し、早期完成が図られますように努力を続けてまいります。どうぞまた折々御相談を賜りたい、御協議を賜りたいと存じます。

城内分科員 中野政務官の前向きな御答弁ありがとうございます。いつも地元の首長さんあるいは議員の先生方、お忙しい中、お連れしてお会いいただきまして、本当にありがとうございます。また、道路局長さんにも、谷口局長さんにも御礼申し上げます。

 実は、私の選挙区の北遠、水窪町と隣の長野県の南信濃村の若者の間で、毎年峠の国盗り合戦という綱引き合戦があるんですが、これはまさに青崩峠道路の早期着手を祈っての、若者たちの悲願である。南信州とこの北遠を結びつける、そういう行事でございますので、こういうこともやっているんだよということをちょっと御紹介させていただきたいと思います。

 そして、次の質問に移らせていただきますが、第二東名高速道路の進捗状況でございます。

 静岡県の由比―蒲原間は、本当に、そこの短い区間に道路、鉄道が集中しておりまして、まさに東海道の大動脈となっておるわけでございます。そうした観点から、渋滞の緩和、そしてまた、起きてほしくはないですけれども、もしかしたら起きるかもしれない東海沖大地震の発生、防災の観点からも、第二東名高速道路を早期に供用開始していただきたいと思います。

 また、第二名神高速道路と一体となった人と物の交流、経済圏の拡大、これは、私ははっきり言ってはかり知れない乗数効果がある、雇用創出効果があるというふうに思っております。極めて優先順位が高いというふうに思っておりますが、進捗状況についてお伺いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 第二東名高速道路は、議員御案内のように、東京と名古屋市を起終点とする延長三百三十キロメートルの高速自動車国道でございます。静岡県はもちろんでございますが、第二名神高速道路と一体となって三大都市圏を相互に結び、人の交流、物流を支える、文字どおり日本の大動脈となる路線でございます。東海沖地震、東南海・南海地震等のリダンダンシーの確保というようなこともございますが、新しい世紀の新しい背骨となる国土の幹線道路であるかと思います。

 委員お尋ねの事業の進捗状況等でございますが、海老名南ジャンクション―秦野間二十一キロメートル、また御殿場ジャンクション―豊田東間二百四キロメートルの計二百二十五キロメートルにつきまして、日本道路公団による有料道路方式により整備を進めておるところでございます。

 このうち、御殿場ジャンクションから長泉沼津インターチェンジ間十四キロメートルにつきましては、おおむね用地買収が完了し、工事に逐次着工を進めておるところでございます。長泉沼津インターチェンジから引佐インターチェンジ間、百三十三キロメートルございますが、地元設計協議、用地買収はかなり進んでおりますので、工事を順次進めておるところでございます。引佐インターチェンジから豊田東ジャンクション間五十四キロメートルにつきましては、地元設計協議及び用地買収を進めておるところでございます。豊田東ジャンクションから豊田東インターチェンジ間三キロメートルにつきましては、東海環状道路と一緒に、来月の三月十九日の供用開始に向け、最後の詰めを行っておるところでございます。

 いずれにしましても、日本の新しい世紀の新しい国土の骨格となるという認識のもとに、コスト削減を図りつつ、引き続き早期完成に向けて皆様方の御理解と御協力をいただきながら事業を進めてまいりたいと考えております。

城内分科員 ありがとうございました。

 第二東名高速道路の事業の一層の推進をお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 現在、静岡空港建設中でございますけれども、ビジット・ジャパン、まさに観光立国日本を推進するという観点から、今ではマウント・フジ・エアポート、富士山空港という名前をつけようというような動きもございます。富士山というと、本当にこの名称を知らない者は外国人ではほとんどいないというぐらい知名度の高い、すばらしい観光資源でございます。アジアからの集客も十分見込めるというふうに私は考えております。

 先般、十八日ですけれども、土地収用に向けての公聴会が静岡県の島田市で開かれました。私がいろいろ得た情報によりますと、もちろん反対の方もいらっしゃるんですが、何といっても、これからの空の大交流時代そしてまた国際競争力に静岡県の企業が勝っていくためにも空港はもう絶対必要である、そういう意見が大勢を占めたというふうに伺っております。経済効果そして雇用創出効果はもう甚大なわけでございます。そしてまた、防災という観点からも非常にこれはプラスの効果があると思います。静岡県も、石川知事のもと、環境対策も大変きめ細かく行っているところでございます。いずれにしても、県勢発展のためにこの静岡空港の建設をどんどん進めて、早く使えるようにしていきたいというふうに思います。

 ちなみに、公聴会におきまして、日本航空の関係者の方も、潜在需要はかなり高い、そういう評価をいたしたところでございますが、今後の早期供用に向けてのお立場についてお伺いしたいというふうに思いますが、どうでしょう。

岩崎政府参考人 静岡空港につきましては、静岡県にまだ空港がない現在においても、静岡県を出入りする百二十六万人の方が羽田空港等から空港を利用されております。それから、今先生御指摘のとおり、幾つかのエアラインも静岡県の空港としてのマーケットに魅力を評価しているという状況でございます。私どもとしても、この事業の必要性を認識し、空港整備事業の補助金を交付してきているところでございます。現在、建設事業は、今年度末現在で約六割程度まで進捗しております。静岡県からは、平成二十年度末の供用を目指すと聞いております。

 私ども国土交通省といたしましても、引き続き計画的かつ着実な推進ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。ただ、あえて一言申しますと、空港をつくりましてもそれはやはり積極的に利用していただかなきゃいけない、こう思っております。県や地元経済界も一生懸命に頑張っておられますけれども、より一層地元での御努力、取り組みに期待したいと思っているところでございます。

城内分科員 静岡空港、マウント・フジ・エアポートの早期開港に向けてぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきますが、天竜川ダム再編事業でございます。

 この事項につきましては、昨年の予算委員会の国土交通分科会でも質問させていただきました。簡単に申しますと、佐久間ダムに貯水池の総容量の約三五%に当たる土砂が堆積している。これは東京ドームで換算すると九十一杯分、東京ドーム九十一個分の土砂が堆積しているという状況でございます。

 と同時に、天竜川の河口部において、ダムが幾つかあるわけですから、侵食が進んでいる。要するに、上の方から石が流れて、普通ですと砂になってそれが海岸に堆積するはずなんですが、そうはならないということで、海岸の侵食が進んでいる。アカウミガメの産卵も非常に問題になっております。

 こういう現状を踏まえて、国土交通省におかれまして、十六年度は一・二億円、そしてまた十七年度の政府原案では四億円の予算をつけていただきまして、本当に感謝申し上げます。この天竜川ダム再編事業の現況について、国土交通省の方から進捗状況についてお聞きしたいと思います。

清治政府参考人 天竜川ダム再編事業につきましては、今委員からお話ありましたように、今年度から事業の実施計画調査に着手することができました。現在、施設計画の早期策定に向けた諸調査を実施しているところでございますが、来年度の予算四億というお話がございましたが、この予算の中で早期建設事業着手に向けましてさらに調査を促進したいというふうに思っております。

 この事業は、もう委員十分御承知のことかと思いますが、既存のダムを活用する、既存ストックを有効活用して、しかも流域の全体にわたる総合的な土砂管理を改善していくというような役割を持っているものでございまして、先駆的な非常に重要な事業というふうに国土交通省は考えているわけでございますが、技術的にいろいろ詰めていかなければならないことが残っておりますので、この点につきましては、いろいろな民間の技術力等も活用しまして早期に事業実施に向けて取り組んでまいりたいと思っております。地元の方々の協力あるいは佐久間ダムの管理者であります電力事業者等との協力も必要でございますので、引き続き、御支援を賜りまして積極的に事業を推進してまいる所存でございます。

城内分科員 国土交通省におかれましても、電源開発と一体となって技術面での研究の推進、そしてまた早期事業実施に向けて積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 電線類等の地中化の問題でございます。

 実は、私、幼少時を含めて約十年ほどドイツで生活したことがあるんですが、例えば昔の首都ボンでは、電線というのは私は見たことがないんです。調べてみたら一〇〇%地中化されているということでございますし、またベルリンも、今のドイツの首都ですけれども、九九・二%地中化されている。それでは、日本はどうかというと、東京二十三区で六・六%、政令指定都市で、ばらつきがありますけれども、大体一から三%。もっとびっくりしたのは、ドイツを含めていろいろな外国のこの数字は一九七七年の調査の数字である、三十何年前にこれだけ達成している、本当に驚きました。

 やはり、きれいな町並みをつくって、あるいは歩行者等の事故防止、防災の観点から、私は、この今国土交通省が推進されておられる無電柱化の事業はぜひとも地方自治体と一体となって進めていただきたいというふうに思います。

 聞くところによりますと、今技術開発も進んでおり、照明と一体化した、普通は道路に大きなトランスがありますけれども、照明の方、上の方に小型の柱状型トランスをつける、そうすると歩道が当然広くなるわけです。あるいは、浅層埋設方式というよりコストが低い形で地中に埋めるということもできるそうでございますが、ぜひともこの無電柱化を町の活性化のためにもやっていただきたい。

 私は、むだな公共事業は廃止すべきだと思いますが、こういう無電柱化というのは、これは本当に有益な、そしてまた経済的にも乗数効果の高い、そしてまた雇用創出の高い事業であるというふうに思っておりますので、ぜひともお願いしたいと思いますが、現状についてお聞きしたいと思います。

    〔中馬主査代理退席、主査着席〕

谷口政府参考人 委員御指摘のとおり、私どもも、無電柱化は安全で快適な歩行空間の確保のみならず、道がよくなれば町がよくなる、都市景観の観点からも非常に重要な施策と認識しております。

 昭和六十一年から四期にわたりまして電線類地中化計画を策定し積極的に推進してきたところでございますが、平成十五年度末現在の無電柱化率でございますが、市街地でわずか一・七%ということで、委員御地元の浜松市におきましても三・一%というようなことでございます。幹線道路では九・〇というようなことでございますが、ドイツの例を御指摘いただきましたが、依然として欧米主要都市と比較しても非常に立ちおくれていると考えております。

 このため、昨年四月に新たに関係事業者等と連携して、これまでは電線類地中化というような言葉を使わせていただいておりましたが、改めて、無電柱化推進計画というようなことを、五カ年でございますが、策定させていただいております。

 この計画におきましては、委員御指摘のとおり、コスト縮減が非常に重要だということで考えておりまして、例えばでございますが、コンパクトに埋設する方式、浅層埋設方式でございますが、それによりまして事業費を約二割削減するというほか、都市部のバイパス事業、拡幅事業等と原則同時施工というようなことも進めたいと思っておりますし、ただいま御指摘のございましたように、トランスが一様に高価である、これらの方は、道路管理者の費用負担ができないというようなこともございますので、特に電力事業者さんの御理解が必要だというようなことでございますので、照明等のポールと一体となってコンパクトで安易なコスト縮減というようなこともこの計画の中に盛り込ませていただいております。

 そうしたことによりまして、この五年間の計画によりまして、市街地の幹線道路の無電柱化率を九%から一七%、ほぼ二倍に相当するような形に持っていきたいというようなことでございます。また、歴史的町並みを保存すべき地区などにつきましても、面的に無電柱化をこの計画によりまして実施することとさせていただいております。

 以上でございます。

城内分科員 ぜひとも無電柱化計画を推進していただきたいというふうに思っております。御答弁ありがとうございます。

 それでは、次の質問でございますけれども、観光立国日本の実現のためには、やはり地方の、特に中山間地域の観光地の振興も私は重要ではないかというふうに思っております。

 私の選挙区に天竜市熊という地区があるんですけれども、そこに道の駅がございまして、くんま水車の里。これはNPO法人夢未来くんまという、女性の人たちが中心となってそばを自分たちでつくって、打って、これが大変好評でして年間何億という売り上げがございます。今度そば文化交流のために三月にスロバキアに行くというくらい本当に積極的に活動している方々がいらっしゃいます。けれども、こういった例というのはどちらかというと少ない、ほかの方々はいろいろ観光資源をうまく活用できずに苦しんでおるということでございます。

 ただ、聞くところによると、観光カリスマという方がいて、いろいろなサクセスストーリー、それを国土交通省におかれても持っておられて、それをもっともっと苦しんで観光振興を頑張っておられる方々に披露していただきたいと思いますが、こういった点について御見解をお伺いしたいと思います。

鷲頭政府参考人 ただいま先生がおっしゃいました地域の観光振興につきまして、私ども大変重要なことだというふうに考えておりまして、実は、全閣僚が入ります観光関係閣僚会議というところで観光立国行動計画というのを決めておりますが、その中で、各地域がそれぞれ持つ魅力を自主的に発見して、高め、競い合うという意味で一地域一観光ということを掲げてございます。それの具体的な発露として、自主的に取り組む意欲のある地域を国土交通省としても支援してきております。

 一つは、現在ある仕組みでございますが、地域の意欲のある方々が、例えば、広域的に連携するとか、ハードとソフトを組み合わせるとか、そういうことで観光を核とした地域づくりを進めようという場合にその取り組みを支援いたします観光交流空間づくりモデル事業という制度がございます。それから、さらに十七年度からは、これらの施策を発展させまして、観光地づくりに関する基礎調査をしたり、地域ブランドの構築、人材育成、情報発信など民間組織による地域観光振興の取り組みに対する補助金による支援といったようなものを内容とします観光ルネサンス事業というものを新たに創設いたしました。さらに、そういう事業と市町村によるまちづくり交付金というものを活用して観光地づくりというものを魅力あるものにしていくように支援をしていきたいというのが一つでございます。

 もう一つは、先生今おっしゃられました観光カリスマという先行事例を皆様に紹介するということにも取り組んでおりまして、例えば、先生の御地元の静岡県ですと、小笠町に西下はつ代さんという方がおられまして、ブルーベリーで大変成功をさせたというようなカリスマの方もおられます。

 私どもとしては、十六年度から、本年度から、そういう観光カリスマの人が直接講師となって、その現場にその人に来てもらって講義を行う観光カリスマ塾というものを開催することによりまして、ノウハウの伝播というものを進めていきたいと思っております。

 以上、申し上げたような施策を推進することによりまして、国際競争力のある観光立国ということを強力に推進するとともに、観光を核とした地域づくりにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

城内分科員 ありがとうございます。

 こういった観光振興のための各種施策、十分活用したいと思いますし、また、さらなる施策の拡充に努めていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になりますが、冒頭申しましたように、中山間地域における社会資本整備が非常におくれている。私の選挙区、日本のど真ん中であるにもかかわらず、山間地に行くと道路が本当に改良整備促進が進んでいなくて屈曲蛇行している。一車線半どころか一車線を、さっき言った佐久間ダムのしゅんせつをしている土砂を積んだ大型ダンプトラックが行き交いしている。いつ事故が起きてもおかしくないような、そういう箇所が多々ございます。

 今本当に過疎化している地域の方々の声を聞くと、小中学校、子供たちが少なくなって、遠いところの小学校と吸収合併されてしまう。そしてまた、病院に行くにしても道路が悪いから時間がかかる。何といっても、若い人たちを中山間地域に引きとめるためにも、道路が一番重要なかぎになるということを本当に毎回聞かされているわけでございます。

 また、今観光振興の話がありましたけれども、幾らよい観光資源があっても、道路がきちんと整備されていないとなかなか人も集まらない、そういうジレンマを抱えているわけですけれども、採算性が高い低いという観点ではなくて、もう少し、過疎化を食いとめる、そういう観点から評価していただいて、中山間地域の道路事情の改良をぜひお願いしたいと思います。この点について、できましたら大臣から御答弁をいただきたいと思います。

北側国務大臣 日本はやはり山国でございまして、日本の国土の約七割が中山間地域でございます。全国の森林の約八割が、そして農地の四割が、中山間地域にあるわけでございます。そこで果たしている機能というのは大変大きいものがありまして、農産物の生産はもちろんでございますけれども、国土の保全、水資源の涵養等々、都市部に住む私どもにとりましても、非常に大きな機能を果たしている、大切な地域であると考えております。

 しかしながら、今委員が御指摘のように、過疎化、高齢化が急速に進んでおる中で、一方では、生活をするにも、また、農業、農林業等の経済活動を営むにも、自動車が不可欠でございます。自動車がないと、実際、生活も経済活動もできない、そういう地域が中山間地域でございます。また、今御指摘のございました救急病院へのアクセス改善のためにも、やはり中山間地域での道路整備というのは非常に必要性が高いというふうに考えているところでございます。

 少し余談になるかもしれませんが、最近は、U、J、Iターンといいまして、昔の自分が生まれ育った田舎に帰る人、また、都市で生まれた方々も、自分は地方で中高年は過ごしたいと思って行く人、非常に多くなってきております。そういう意味では、そういう地域の地方の魅力を高めていくことが非常に私は大事なことだと思っておりまして、その基礎的なインフラになるのがまさしく道路でございます。県や市町村とよく連携をとらせていただいて、中山間地域での道路整備に努めてまいりたいと思います。

城内分科員 大臣からの、中山間地域における道路、これは必要性が極めて高いという話、本当にありがとうございます。これからも、この地域の道路事情の改善に向けて積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

石井主査 これにて城内実君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田昭宏君。

太田分科員 日暮里・舎人線というのが東京の足立区とそして荒川区の間にございまして、十九年度開通ということで大変地元が待ち焦がれているという状況にございます。

 これまでも何度も質問をしたり、あるいは国土交通大臣に申し入れをしたりというようなことをしてまいりましたが、きょうまずお聞きしたいことは、現状からいいまして、平成十九年開通ということについて間違いないのか。十七年度になりましたから、十九年度といいますと、四月も十九年度、翌年の二十年の三月も十九年度ということになりますから、少しでも早い方がいいんですが、現時点ではかなり見通しが立っているのではないかというふうに思います。

 まず、十九年度開通を死守していただきたいことと見通し等についてお聞きをしたい、このように思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 新交通日暮里・舎人線につきましては、平成九年度に工事着手し、現在までに必要な用地の九七%をおおむね取得済みでございまして、用地については今年度末までに完了する予定であります。また、工事については、昨年十二月時点で支柱が約七六%、けたが約四五%進捗しており、駅舎は四駅が工事中であるところでございます。

 今お話ございましたように、地元の方から大変な御熱意のもとにこの事業が推進されてまいりました。ということで、平成十九年度、十九年中というのは工程等の関係でなかなか難しそうでございますが、二十年年明け早々にでも開業ということで全力で取り組んでおるところでございます。

太田分科員 大臣から答弁を、一言だけで結構ですが、十九年度死守ということについては間違いないということだけは大臣からお願いいたします。

北側国務大臣 都もそして地元の区の皆様も、非常に情熱を持って推進をされておられます。整備も着実に進んでおります。予定どおり十九年度中に開業ができるように、国としても全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと思います。

太田分科員 それで、私の地元の足立やまた荒川の人たちに聞いてみますと、荒川の人にとりましては、乗る人というよりもむしろ、最後の地点でございますものですから、駐輪場というようなこととか、あるいは商店街ということの関連性とかというさまざまな要望があるわけなんですが、全体的に、やっぱりそれに付随した料金設定というのも余り高くしないようにという強い要請がございます。

 多くの人たちがこの日暮里・舎人線を利用できるようにしていかなくちゃならないという上での料金設定ということから考えますと、ゆりかもめと同じだとしますと、初乗り二百四十円か二百六十円。しかし、バスは二百十円。この料金面での工夫というのが検討されているのかどうか。あるいは、お年寄りに対するメリットとして、高齢者の割引というのはどうなるのか。乗る人にメリットがあるような工夫というのをぜひしていただきたいと思いますし、その辺の検討状況がありましたら御報告をお願いします。

梅田政府参考人 この新交通システムにつきまして、これは先生御指摘のとおり、地域の方々にとりましても、またその地域を訪れる普通の方々にとりましても、極めて重要な公共交通機関でございます。したがいまして、できるだけ大勢の方に利用されることが必要であるというふうに考えております。

 ただ、運賃設定につきましては、現行の法制度のもとにおきましては、まず事業者が考えることになっております。これは当然、経営の安定、あるいは便利な輸送のサービスというような観点で検討していくことになろうかと思います。

 十九年度の開業でございますので、通例のやり方からいいますと、まだ建設費あるいは輸送需要、こういう点について確定していない状況かと思います。したがいまして、これから事業者において詳細な検討がなされるというふうに私ども思っております。そういう面で、御指摘のような運賃水準の問題、あるいは高齢者、身障者に対する割引等利用の促進の問題、こういうような問題につきましては、事業者において十分検討がなされると思います。

 私どもといたしましては、せっかくできる公共交通機関でございますので、皆様方から喜ばれるように使っていただきたいというふうに思っておりますので、これからも必要に応じ指導してまいりたいと思っております。

太田分科員 強い要望があったということで、強い指導をお願いしたいというふうに思います。

 二つ目は、駅周辺の環境整備の問題です。

 大事なことは、地域の活性化につながらなければならないということだろうと思います。足立区では、日暮里・舎人線沿線開発計画を昨年の三月に作成して、景観のすぐれた都市空間の創造とか沿線開発を計画的に誘導するとかいうことを企画していますが、沿線まちづくりの方針ということにおきましては、住みたくなる、住み続けられる町をつくるということで、定住人口の増加、あるいは何度も訪ねてみたいというような昼間人口の誘致であるとか、あるいは駅の近くに駐輪場の整備をするとか、また他の町との連携とか、さまざまなそうしたことが必要かというふうに思っております。

 交通結節点の整備という観点からも、まちづくり交付金の利用ということからも、国が後押しすることが必要ではないか、このように思いますが、ぜひとも善処をお願いしたいと思います。

竹歳政府参考人 日暮里・舎人線の開業とあわせまして周辺のまちづくりを進める、このことは、利用者の皆様の利便性の向上のみならず、地域の活性化、都市の健全な発展ということで、非常に重要な課題であると認識しております。

 このような観点から、国としても、平成十六年度に創設されましたまちづくり交付金によりまして、駅の名前はまだ仮称のようでございますが、江北駅から足立小台駅にかけましての沿線エリアを含む日暮里・舎人沿線地区において、駅前広場、アクセス道路等の整備及び区画整理事業による周辺市街地の整備を一体的に支援しているところでございます。

 まちづくり交付金におきましては、今後とも所要の予算確保を行って、地域の皆様方の創意工夫を生かしたまちづくりを積極的に推進することとしておりまして、地元からの要望も踏まえて、引き続き御支援してまいりたいと思います。

太田分科員 荒川等では、自転車置き場とか駐輪場の整備ということをしてほしいとか、あるいは、新線が走りますとどうしても車道というのが狭くなるとかいうようなこともありますので、そうしたことへの対応ということをぜひともお願いしたいとか、中央分離帯にはできるだけ緑地帯をつくってほしいとか、商店街になるべく人が流れるような工夫というのが欲しいとか、さまざま要望がありますので、そうした地元の声をしっかり聞いた対応を、十九年度開通という前にできるだけ早くそうしたことの手を打っていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 新交通システム自体、道路渋滞の緩和でございますとか都市交通サービスの充実等のいろいろな効果を持っております。このような環境に優しい新交通システムの整備にあわせまして、十三のすべての駅におきまして自転車駐輪場の整備を進め、自転車利用者の利便性の向上とともに、放置自転車のない快適な歩行者空間を確保する予定となっております。

 また、都におきましては、中央分離帯におきます植栽でございますとか電線類の地中化など、町の景観整備にも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、国土交通省としても、御指摘にございましたような町の環境整備を積極的に支援してまいりたいと思います。

太田分科員 東京の北区の田端に大変難しい踏切及びガードがありまして、これは私から見ても難しいから、きょうどういう答えになるかということについて、なかなか難しかろうというふうに思いますが、これはJRに行けばJRが答えるとか、都ですよとか、これは国ですよ、これは何ですよとぐるぐるぐるぐる回って、もう二十年もたっているわけですよ。そうしたことから私は、国会で取り上げさせていただいて、現状が一体どうなっていて、何が難しいのか、どうすれば打開策があるのかということを整理する作業をしてもらいたいと思って、あえて質問をさせていただきたいと思います。

 場所は田端駅で、足立とかあるいは荒川区から人が大勢、要するに地元の北区から田端駅の方へ行くんですが、まず明治通りを越えていきますと、こうした東北線が走っているいわゆるガードがございます。そこのところに、ここの写真にありますが、出っ張りがあるわけです。こちら側の道路が広くなり、そして田端に行く向こう側の道路も広くなってきて、整備をされてきているわけですが、ここに東北線のガードがあるものですから、そこがボトルネックの形になります。しかも、この東北線とその向こうに貨物の引き込み線がありまして、車両の線路がありまして、この向こうには今度は線路がある、そこにまた遮断機等もあるというようなことなものですから、完全にここがボトルネックという形になっています。

 ところが、幹線で交通量が非常にふえてきて、ほかのところを広げてきている、整備もされてきているということなんですが、歩道の部分だけでも、ここにございますように非常に、一メートルちょっとしかないぐらいの狭さです。そこに自転車が一台入れるぐらいのものです。そうしますと、朝なんかは通勤客が、バスで行っても動かないものですから、おりて無理やり歩いたり走ったりする。また、学校へ行く生徒がここを通るとか自転車が走るとかいうようなことで、今度はここで自転車と人が接触したり、自転車がここでは走れませんから車道に入って走るとかいうようなことがありまして、さらに渋滞がひどくなるというようなことなんです。

 これは、JRとそれから東京都、また全体の国も目配りをしなくちゃいけないということなんですが、とにかく地元にとりましては、荒川区も、足立区そして地元の北区も含めまして、この踏切そしてガードというのは何とかならないものだろうかというような悩みが物すごくありまして、かなり切迫した状況にございます。これは向こうから入ってきますと、ここに遮断機があったりしまして、そしてこちらに来てやっとここで広がってくるという状況なんですが、バスが走ったり東北線が走ったりするというような、そうしたことになっています。

 そこで、難しいところなんですが、このところを何とかしなくちゃいけないわけですが、この辺の危機感の現状認識はどの程度されているのかということについて、お聞きしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えさせていただきます。

 今委員の方からわかりやすい写真で状況の説明をしていただきまして、ありがとうございます。

 現在の状況は、御紹介にございました写真でもおわかりのように、第二下田端踏切及びガード部分につきましては、都道白山小台線とJR東北本線が交差する箇所でありまして、JRの引き込み線部が平面踏切、JR本線部分が立体交差、いわゆるガードとなっておる状況でございます。

 当該箇所におけます歩道の幅員につきましては、写真にもございますが、踏切及びガードの前後区間では両側それぞれ三メートルずつございます。平面踏切部では歩車道の分離がなしというような状態、全体幅員十メートルという状況でございます。また、ガード部につきましては、両側それぞれ一・八メートルというようなことになっているということで、真ん中のJRの旧来部分が少し出っ張っておるというようなことではないかと思いますが、そういう状況になっております。

 踏切部につきましては、都が策定しました踏切道あんしんプランにおける踏切拡幅予定箇所となっているということでございまして、現在、歩道の拡幅をすべく東京都がJRと協議を重ねておるということでございますが、協議が完了次第、事業に着手の予定と聞いておるところでございます。

 また、ガード部につきましては、JR東北線の橋梁の橋台が道路両わきにあることから拡幅が難しいというような状況でありまして、東京都が当面の対策として、昨年の七月に歩車道境界の従前のガードレールをガードパイプ、今の写真にございますようなパイプに交換し、多少でございますが歩行者空間の拡幅を行ったところと聞いております。

 今委員の方から、二十年来の懸案というようなことが御紹介ございました。一義的には東京都の問題かと思いますが、東京都、JR、私ども道路担当部局が三すくみにならないように、切なる地元の願いを真摯に受けとめまして、円滑な交通の確保、安全な歩行空間確保の方策という面では当然でございますが、道がよくならないと町がよくならない、町の魅力度を高めるというような新しい視点に立って、関係の方々と鋭意協議を進めてまいりたいと考えております。

太田分科員 東京での踏切対策基本方針の中では、重点踏切として三百九十カ所ありまして、それで二百二十が立体化なんですね。立体化以外というものが百七十ありまして、その中にこれが入っているわけですが、都の踏切道あんしんプランというのは、これは踏切のところの歩道を広げるとかいうようなことで、一番の根本的なネックはここの東北本線のガードということに結局なります。

 そこで、今一・八と言いましたが、実際、ここの走っている歩道は一・三メートルしかないんですよ。それで、本当に二台通るのは無理な状況です。その辺の、これは技術的にここを広げる、空間を広げるということが難しいのか、お金がかかるから難しいのか、横のところに人とか自転車だけが通れる小さなトンネルみたいなものをつくるというのは果たしてどうなのかというようなことも、こういう場合、こういう場合、いろいろなことを考えて、こう手を打たなくちゃいけないというようなことを、ある方向に向かって進んでいただきたいというのが地元の要望だし、僕もそういうふうに感じます。

 その辺で、どこに何を言っていったらいいのかわからない。そして、何が一番大変なのかがよくわからないというまま二十年も来てしまっているというところに私は大きな問題があると思いまして、ぜひともここは、今答弁にありましたように三者でよく話し合って、大体問題点は地元の人に聞いてもよくわかっているわけですから、どうするかと。ここのガードレールをパイプのようにしたというのは、もうほんの一センチか二センチの問題なんですよ。

 そうしたことについて私は、ぜひともここはリーダーシップをとったり、あるいは相談をかけたり、そして地元に、かくかくしかじかだ、そしてどのぐらいたてば、こういうことでやろうとすればできるんだ、お金がどのぐらいかかるんだというようなことも含めて、A案、B案とかいうことを整理するとか、そういうような善処の仕方というのが大事だというふうに思いますが、重ねていかがでしょうか。

谷口政府参考人 詳細な経過につきましては、私、今時点で承知はしておりませんが、委員御指摘のように、技術的にもかなり日本は高度な技術を持っているということでございますので、JRの鉄道の安全確保という観点で多少慎重に、お金がかかるという面はあるかと思いますが、技術的にはフィージビリティーのあるいろいろな案が可能だと私は思います。

 ただ、具体的な案について、費用が通常の場合より高価になるということになっているんだと思いますし、だれがどういう形で負担すればいいのかというようなことも重要なことであろうかと思います。

 そういったもろもろの事情があって、先ほど来御指摘のございますように、二十年間いわばたらい回し的に扱われたということではないかと思いますが、きょうの御指摘を踏まえまして、先ほどお話しさせていただきました東京都、JR、私どもの方で、住民の方々に納得していただけるような、アカウンタビリティーと言われるような説明ができるように努めてまいりたいと思っております。

太田分科員 大変いろいろなパターンがあって、立体にしなくちゃいけない、あるいは交差が大事だ、あるいはトンネルをやってとかいろいろなことがあるんですが、ここはちょっといろいろなことが重なって、そして窓口もいろいろわからないというようなこともあるものですから、ぜひとも、今お答えいただいたようなしっかりした話し合いをして提示をするというのが、これは都だとかこれはJRだとかなんとかということをまとめてやるということもまた、私は極めて大事なことだというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 大臣から何かございますか。結構ですか。答えづらいですかね。

北側国務大臣 最後の御質問につきましては、JRそして都、また関係の区の皆様としっかり協議をさせていただきまして、知恵を出して、いい方法でこの長年の課題を解決できるように、私どもしっかりと取り組みをさせていただきたいと思います。

太田分科員 大変すばらしい答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 終わります。

石井主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上信治君。

井上(信)分科員 自由民主党の井上信治でございます。

 きょうは、この分科会でお時間をいただきましたので、少し地域の課題、それも単なる地域の課題ではなくて、我が国の国益にもかかわるような重要な地域の課題について御質問させていただきたいと思います。

 まず、私の地元でありますけれども、東京の最も最西端でございまして、西多摩地区というところでありまして、非常に美しい自然、水や緑の豊かな地域であり、あるいは長い歴史に培われた伝統文化に恵まれた、そんなすばらしい地域であります。本当にここが東京かと思うような美しい地域でありますので、ぜひ大臣にもまたお越しいただきたいと思っております。

 しかし反面、同じ東京都、首都でありながら社会資本整備が決定的におくれているというような、そんな問題が非常に強くあります。ですから、これを何とかしたいというふうに非常に私も強く思っております。

 そんな中で、我々地元の待望久しい事業が圏央道の開通であります。この圏央道の開通、来月二十一日にはやっとあきる野インターチェンジが開通するということで、これは非常にうれしく思っておるところであります。

 今、道路事業や公共事業の必要性ということで大変議論が盛んでありますけれども、この圏央道については、私、別に地元だから言うわけではなくて、やはり国家の基幹道路、東名や中央や関越といった基幹道路を連結していく、そして首都圏の三環状の一つ、この首都圏の渋滞をどのように緩和していくのか、そのことによって大きな経済効果と、そして環境負荷の軽減を図っていくということで、大変重要な事業だというふうに思っております。

 まず、大臣のこの圏央道事業に対する、開通に係る力強い決意をお聞きいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 大都市圏における環状道路の整備というのは道路の整備の中でも最も優先順位の高い道路整備の一つだというふうに私は考えております。中でもこの圏央道はそうだというふうに思っております。

 圏央道が整備されることによって、本来都心部に行かなくてもいい車がこの圏央道を利用して目的地に行けるわけでございまして、そうした車がたくさんございます。圏央道が整備されることによる渋滞の解消等々、経済効果は極めて高いということは委員の方がよく御承知のとおりでございまして、この圏央道だけに限らず都の三環状道路につきましては、できるだけ早く整備ができるようにしっかりと進めさせていただきたいと思っております。

井上(信)分科員 大臣、どうもありがとうございました。大臣も学生時代を三多摩で過ごされた経験があるわけですから、この重要性というものを強く認識していただいていると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 そして、次は具体的に、あきる野インターが来月オープンということでありますけれども、あきる野インターまでオープンしても経済効果はまだまだ小さいものでありまして、やはり何といっても中央道につなぎ、東名につないでいく、これが大変重要なことだと思っております。

 あるいは、最終的には全面開通ということでありますけれども、今までの経緯を見ますと、圏央道総延長約三百キロというふうに言われておりますけれども、これが今約三十キロほど開通をしている。ですから、一割にすぎない。しかし、その一割の開通に実は十五年ほど期間がかかっている。ですから、単純計算しますと全面開通まで百五十年かかるのかな、もうそのころ生きていないな、そういうような話が地元でまことしやかに言われております。

 中央道あるいは東名、そして全面開通の具体的な予定といったことについてお聞かせいただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 大臣の答弁にございましたように、圏央道は首都圏の三環状の一路線でございまして、首都圏の経済社会活動のみならず、住民の方々の生活の快適の面、安全性確保の面でも非常に重要かと思っております。

 しかしながら、全体三百キロあるわけでございますが、供用延長が三十キロというような状況でございます。現在、二百六十六キロメートル、九割近い区間につきまして全面的に事業を展開させていただいておりまして、平成十六年度の予算でございますが、一千五百億円と、道路予算も非常に厳しい中でございますが、対前年比一・〇七という予算で事業を推進させていただいているところでございます。

 特に、東北道、関越道、中央道、東名などの国幹道を結ぶ西側区間、横浜横須賀道路から東北道間百三十キロメートル、既供用区間の三十キロも含むわけでございますが、このいわゆる西側区間につきましては、東京外郭環状道の東側区間、中央環状線の三号線以北の区間とともに、三環状それぞれの既供用区間も含めまして、いわば、例えますと暫定的な環状機能をこの三つの供用がなされることによって果たすというようなことでございます。これらの区間は、そうしたことから、都市再生プロジェクトにおきまして、平成十九年度までに供用が必要な区間と位置づけられております。現在、そういうことで、非常に厳しい環境でございますが、重点的に整備を推進させていただいているところでございます。

 当該区間のうち、先ほど委員の方の話にもございましたが、来月の、三月の二十一日には日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジ間が供用の予定というようなことでございます。

 全線開通につきましては、今後の残事業が約二兆円程度というようなことが見込まれております。道路予算、非常に厳しい中ではございますが、コスト縮減にはもちろん引き続き努力させていただくつもりでございます。地元の状況、周辺状況にもよりますが、できるだけ目標年次に近いような形で、できるだけ早い期間内に供用が果たせるよう事業推進に鋭意努めてまいりたいと考えております。

井上(信)分科員 圏央道、東名につながるまで平成十九年度ということで、本当にできるのかなという気が非常にするところでありますけれども、これは実現すれば大変すばらしいことですから、一刻も早い開通に向けての努力をお願いいたしたいと思います。

 しかし、他方で、本当に圏央道も、あきる野までも当初はたしか平成十二年度開通予定ということで言っておりましたので、それがやはり四年も延びてきている。地権者の問題あるいは環境保護の問題、いろいろな問題があることはもちろん承知しておりますけれども、やはり地元といたしましては、これはもう開通予定何年というふうに言われれば、それを期待し、あるいはそれに向けてさまざまな経済投資をしている方もいらっしゃいます。ですから、そういう意味で予定が狂ってしまうというのは非常に困るものですから、一刻も早い、しかし現実的な予定を設定して、そしてそれに向けて実現への努力を図っていくということが大切だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それと、道路の問題でいいますと、この十月から道路公団がいよいよ民営化ということで、効率的な道路行政の運営がなされると大変期待をしているところであります。しかし、この道路公団が三つの株式会社に分割をされるということで、それがどのような分割になるのかということを大変関心を持って今見ているところであります。

 伺うところによりますと、分割、特段その基準といったものはないけれども、例えば道路管理の体制、あるいは収支の状況などを勘案して、三つの会社がギャップが出ないようにしていく。あるいは、具体的に地域間の結びつき、あるいは警察の行政管轄区域の違い、そんなことを考慮に入れて考えていきたいというようなことを伺っております。しかし、これは考えてみますと、すべて会社側の事情、論理なのかなというのを非常に懸念しております。やはり道路でありますから、これは利用者の事情というものをまず第一に考えていただきたいというふうに思っております。

 これも伺うところによりますと、このあきる野インターチェンジで東日本と中日本の会社が分割されるような話も伺っております。しかし、そうしたときに、圏央道という同じ一つの路線でありますから、これが真ん中で分断されることによって利用者に不都合が生じないかどうか、これを非常に懸念いたしております。

 例えば、これはないと思いますけれども、分割されたところに料金所がどかんと置かれたら、それだけで大変なわけであります。あるいは、多様で弾力的な料金制度をつくっていくというようなことをおっしゃっておりますから、さまざまな割引制度などもつくられると思うんですけれども、そういったことで、分割されることによって不利がないかどうか。こっちの会社はこっちの会社でこれだけ取るよ、こっちはこれだけ取るよということになれば、これは割引率ということも余り考えられなくなってしまいますから、そういったことで非常に心配をしております。

 やはり、何といっても利用者の利便性という観点からぜひ考えていただきたいと思っております。この点について御見解を伺いたいと思います。

谷口政府参考人 まず事業区分でございますが、御案内のように、日本道路公団が三つの民営化会社に十月一日に移行するわけでございます。具体的な事業範囲につきましては、高速道路の建設、管理の状況を熟知している日本道路公団の方から案が出されておりますが、そうした考え方も十分に踏まえつつ、権利義務の承継等に関する基本方針を策定する前に国土交通大臣が指定するということでございます。

 三社のそれぞれの事業範囲は、会社法において、所管する都道府県名が現在明記をされているところでございます。複数の会社の管轄が重複する都県における具体的な会社境界につきましては、委員御指摘のとおり、経済・生活圏域や交通特性を踏まえた利用者の利便性のほか、非常時における代替路の確保、収支状況、組織規模、事業延長などの各会社の間のバランス、現行の道路管理体制等を勘案し、検討しているところでございます。

 道路公団の案では圏央道のあきる野インターチェンジで事業範囲が東、中に分かれるという御懸念でございますが、今言ったような手順で今鋭意検討を進めているところでございまして、しかるべき時期に国土交通大臣の方から指定をしていただくということでございますが、御懸念の心配のないように、例えば本線バリアを設けることなく、利用者にとってスムーズな高速道路の利用の確保、また営業区域のいかんにかかわらず、圏央道の利用促進のため、利用者が利用しやすい料金の設定が行われるよう努めてまいりたいと考えております。

井上(信)分科員 次に、道路も開通するとその次に利用者が気になるのは、何といっても料金の問題であります。便利で、かつ安く道路を利用したいというのは共通した思いであると思います。

 我々三多摩の方は、そもそも中央道の六百円の区間というものがございまして、これ自身おかしいんじゃないか、同じ東京都の中で、首都高速ではなくて中央道になっていて、その分割高な料金を払っている、そういった不満がもともとあるわけであります。これについては、先ほども仲間の議員が質問したようなので重ねて質問はいたしませんけれども、今後、これから中央道に連結したときにこの料金設定をどのように考えていくか、これをぜひよく弾力的に検討をしていただきたいというふうに思っております。

 先ほども申しましたように、この圏央道というものは、そもそも首都圏の交通混雑の緩和ということで、ある意味、地域の方は真っすぐ都心に行くんじゃなくて迂回をして利用する形になるわけでありますから、それだけいろいろな費用を払っている、ガソリン代もそうですし。そして、高速をなるべく距離を乗ってしまう。これが単純に距離単価で料金を設定するようなことになれば、やはりちょっと不公平なのではないかなと私も思っております。これは利用者側としての事情でありますけれども、逆に会社側としましても、やはり何といっても割高であれば当然利用者数が減るわけでありますから、そういった意味では、合理的な料金設定をしてもらいたいというふうに思っております。

 具体的には、あきる野インターから八王子インターも、今後、新滝山街道などが整備されれば下の方の道も非常に便利になるんですね。これはこれでありがたいことで、ぜひやっていただきたいんですけれども、他方で、中央道の連結は大分西の方に振ってありますから、そういう意味では時間も距離もかかってしまう。それであれば、お金が高いのであればもう乗る必要ないよ、そういう利用者が続出しては、会社としてもやはり経営の収支が成り立っていかない。これは過去もいろいろ、アクアラインでありますとか本四架橋について同じようなことがあって批判を受けたわけでありますから、そういったことの再現にならないように、ぜひそこを検討していただきたいというふうに思っております。

 ちなみに、私も青梅というところに住んでおるんですけれども、これは今、圏央道を使って関越から回っていくのと、それから中央道ができれば南回りになっていくのと両方のルートがあるんですけれども、正直言いまして、関越ルートで約三千円かかるわけですね。この関越ルートで都心に向かうという人はほとんど一人もいないというのが現状でありますから、そうしたことにならないように何とか料金設定を弾力的に考えていただきたいと思いますけれども、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

谷口政府参考人 委員御指摘のとおり、首都高速道路、また全国の高速道路、また圏央道のように一般有料道路ということで、いずれも有料道路事業で整備をしているわけでございますが、それぞれ仕組みが少し異なるということでございますが、いずれも、民営化のときに議論されましたように、四十五年できちっと、負の遺産にならないように償還するというのが大前提でございます。

 そうした意味で、いわば制度にも異なる経緯等もあるということであろうかと思いますが、圏央道は先ほどの大臣の答弁にもございましたように三環状の重要な路線ということでございますので、首都圏に入る、都心に入る交通の分散機能というようなものが果たせないと機能が発揮できないということでございますので、委員の御懸念にならないように、ネットワークが形成された時点で、高速国道と一体となって機能する環状道路として適切な交通分散が図られるよう、料金水準や弾力的な料金設定に十分配慮していきたいと考えております。

 幸いに、ETCの普及に努めさせていただいておりますが、ETCの普及によりまして、多様で弾力的な料金設定というのが大いに実現可能性が見えてきたというようなことでございますので、ETCの普及促進とともに、多様で弾力的な料金設定につきまして、利用者の方々、国民の方々の御理解がいただけるように、納得していただけるような料金設定をしていきたいと考えております。

井上(信)分科員 次に、もう一つ地域の本当に国家的な大きな課題としては、横田基地の問題があります。この横田基地について質問させていただきたいと思います。

 御承知のように、今横田基地は、軍民共用であるとかあるいは米軍再編、トランスフォーメーションということで大変話題になっております。ですから、地域としましても、大変な関心を持つと同時に、いろいろ心配をしているわけであります。

 私自身は、個人的には、この横田基地というものはやはり全面返還すべきなのが筋なんじゃないのかなというふうに思っております。東京の真ん中、住宅街の真ん中に危険な基地が、米軍の基地があるということはいかがなものかということを強く感じております。

 しかし、他方で、日米安保でありますとか、あるいは横田基地自体の米軍における戦略的な重要性、こういったことも当然理解をしておりますから、それであれば、少なくとも有効に活用をしてもらいたいという思いを強く持っております。そして、そのときには、この横田基地のさまざまなメリット、デメリット含めていろいろな影響を受けるのは何といっても地元の地域でありますから、この地元の理解と協力、これは不可欠だというふうに思っております。

 そういったことで、昨年も分科会で質問させていただいたんですけれども、今、国と東京都、この間で、軍民共用などに関する連絡会というものを設置して、そして鋭意開催をしている。昨年十二月三日に第四回が開催されたということであります。

 この連絡会については、昨年の私の質問に対して当時の佐藤政務官は、とにかく連絡会の内容については東京都を通じて、あるいは、場合によっては必要に応じて政府、関係省庁を通じて地元自治体へ説明したいというような御答弁をいただきました。

 ですから、この御答弁をもとに、昨年十二月三日の第四回の連絡会について、地元への周知、連絡体制についてはどのようにやられたか、これについて伺いたいと思います。

下川政府参考人 委員御指摘のとおり、横田飛行場の軍民共用化につきましては、平成十五年の日米首脳会談においてその実現の可能性について日米両政府が共同で検討していくこととなったことを受けまして、政府関係省庁と東京都との実務的な協議の場として連絡会が設置されてきたところでございます。

 委員御指摘のとおり、第一回が平成十五年の十二月に開催されて以来、第二回が十六年一月、第三回が四月、そして第四回が十二月三日に開催されたところでございまして、この連絡会におきまして、横田飛行場の軍民共用化に関連するさまざまな事項につきまして意見交換すると同時に、情報の共有化を図ってきたところでございます。今後とも、連絡会のもとで政府関係省庁と東京都との実務的な協議を行っていくことを考えているところでございます。

 委員から御質問のございました十二月三日の結果でございますけれども、御指摘のございましたとおり、この連絡会の実務的な協議の結果につきましては、地元の都道府県である東京都を通じて、あるいは必要に応じて政府の関係省庁を通じて、地元自治体への説明についても取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、周辺自治体への周知ということについては、基本的には東京都が対応するという役割分担となっているところでありまして、東京都から周辺自治体に適宜説明を行っているというふうに承知しているところでございます。

井上(信)分科員 実は、この十二月の第四回については、東京都の方に確認したところ、二日間地元説明をしたということでありますけれども、場合によっては国の方からもぜひ、これから第五回目以降もあると思いますので、地元への周知をお願いしたいと思います。

 そして、そういった意味では、あとトランスフォーメーションの関係で、先般十九日にもいわゆる2プラス2が行われたということで、その2プラス2の中でいろいろな議論がされたことだと思います。これもなかなか、新聞報道もいろいろなことがされておりますので、実際、その真実がどこにあるか私もわかりかねるところはあるんですけれども、一説によりますと、とにかく数カ月の間に集中的に協議をするということで発表がなされたわけであります。

 これに対しても、当初、アメリカ側は三カ月ぐらいでというような発言があった、しかし、それを日本側は、いや、地元との協議に時間がかかるので数カ月ということにしてほしいということで落ちついたというような報道も聞いております。もしそういうことであれば、まさにそこで言っているとおり、地元との協議というのを大事にしていただきたいと思います。

 そうはいっても、数カ月の間に本当に地元との協議を終了した後に一定の方向性を出せるのかどうか、非常に厳しいとは思いますけれども、そこのところをしっかりお願いいたしたいと思います。

 このことについて、見解をよろしくお願いいたします。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先週末に2プラス2、日米安保協議委員会を開催いたしまして、その結果を踏まえて、今後、自衛隊及び米軍の役割、任務、能力、それとあわせまして、在日米軍の再編について日米間で協議を行っていくということでございます。それにつきましては、日米間でいろいろ話をした結果として、数カ月をめどに集中的にまずは協議を行うということで意見の一致を見ておる次第でございます。

 この数カ月というのは、御指摘のとおり、最終的にすべて数カ月の間に結論が得られるかというと、これはこれから始める協議でございますけれども、おっしゃるとおり、なかなかそうすべてが数カ月の間におさまるかというのは楽観できない、そう簡単ではないというふうに思っておりますけれども、この数カ月でとりあえず、まずは集中的に協議を行う。もちろん、その間に地元自治体とのいろいろな意見交換、御意見も拝しながら行う。そして、最終的な枠組みができるまでにはさらにその先に時間がかかっていくというようなことで考えておる次第でございます。

井上(信)分科員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 いつも、この横田の問題については、新聞報道が非常に先走るんですね。実は、きのうの読売にも、米軍再編については「横田・グアム統合先行」というような記事、これは一面にどかんと載っておりまして、早速照会をしましたところ、外務省としてはそのような合意はしていない、事実無根だという答えをいただきました。これがたびたび繰り返されているんですね。こんなことで本当にいいのだろうかと非常に疑問を感じております。

 これは外交や安全保障ですから、機密保持というのは一定の理解は示します。しかし、地元には話せないけれどもマスコミには話せるよということであれば、これは本当にいかがなものなのかなというふうに思っております。公務員の守秘義務違反みたいな話も当然出てくると思いますし。ですから、こういったことについて、やはり火のないところに煙は立たないのかなということを思ってはおりますけれども、これは本当に事実無根ということでありましたら、そんなでたらめの情報漏えいということは何としても防止していただきたいというふうに思っております。

 それから、最後になりますけれども、この横田について騒音対策区域を縮小するという、これもまたきのうの新聞に出ておりました。この騒音対策区域の縮小ということに関しましては、なぜ今の時期にという思いがやはり非常に強くあります。

 記事によりますと、昭和五十二年に百二十回だった大型ジェットの発着回数が平成十五年には六十回、二十数年で半減したということで、騒音が抑えられているから、それで区域も縮小するんだということでありましたけれども、これは通常の民間空港と違いまして軍事基地でありますから、何かさまざまな政治的な軍事的な要因によってジェット機の離発着回数なんというのは大いに変わるわけでありますね。そうしたときに、安定的にそんな推計もできないのに、単純に縮小していいのかどうか。あるいはまた、騒音以外にも、例えばテロの恐怖であるとか、あるいは軍用機が墜落するかもしれない、そんな恐怖も地元は抱えているわけであります。

 そして何より、本当にこの時期に、これから横田基地の今後について語り合おうと言っております。米軍がもっとたくさん来るのか、あるいは自衛隊が来るのか、軍民共用するのか、これはこれから議論することでありますけれども、いずれにしたって、騒音のレベルもそれによって大きく変動するわけですから、少なくとも今の時期に縮小するというのはやはりおかしいのではないかと思っておりますけれども、この点について見解をお願いいたします。

櫻井政府参考人 横田飛行場の住宅防音工事の対象区域の見直しについてのお尋ねでございます。

 本件につきまして、若干経緯を含めまして申し上げますと、まず、今の住宅防音工事の対象区域の指定というものは昭和五十九年三月に最終指定告示がなされておりまして、その後二十年が既に経過しておるという状況がございます。その間に航空機の騒音状況に変化がありましたし、また、この間に、対象地域におられる方々から希望者に対しまして防音工事をしてきたわけですけれども、それが平成十三年度までには完了しております。

 こういった状況を踏まえまして、平成十五年に騒音度調査を実施いたしました。その結果なんですが、配備機種の変化等ございまして、全体的に、おっしゃるとおり騒音区域が変化、縮小しておるわけです。こういったことを踏まえまして、現在の騒音状況に合わせた形で区域の見直しを行うという考えを持っております。

 御懸念の、一たん縮小してしまったらもう拡大は難しいのではないかという御懸念でございますが、これにつきましては、区域の見直し後におきましても、騒音状況に変化がありましたら、また直ちにその状況を踏まえまして改めて騒音度調査を実施することになります。その結果、騒音の状況に変化がございますれば、必要に応じまして、再度区域の見直しをしていこうというふうに考えております。

 そういうことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

井上(信)分科員 もう時間が終了ということで、最後に、本当にこの騒音対策区域の縮小に関しては地元は非常に反対をしております。もし今回縮小されることになったとしても、今おっしゃったように、今後弾力的なさらなる見直しということも検討をいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

石井主査 これにて井上信治君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野清君。

中野(清)分科員 自民党の中野清でございます。

 きょう最後の質問でございますが、私は、国土交通省が提出している今回の法案、また、いろいろの最近やっている事業については、比較的細かいところについてよくやっているという認識を持っておりますけれども、きょうは特に地元の問題を中心にお伺いをしたいと思います。

 まず、観光のまちづくりということで、小泉総理が観光立国の実現を国の重要施策として掲げまして、具体的な目標としては、二〇一〇年にいわゆる外人の旅行客を一千万人にするという決意を出しまして、ビジット・ジャパンのキャンペーンが取り組まれました。これは、大臣を初め皆さんの御努力に敬意を表しますが、今日観光にとって必要なのは、良好な景観の形成や地域環境の整備などの日本の魅力や地域の魅力の確立と、来客者への情報の発信とか来たときの温かいもてなしとか、そしてまたキャンペーンとか、また地域観光地へのルートづくり、そういうようなものが大事だと考えております。

 国際的に魅力のある観光地をつくるためには、自治体による取り組みとともに地道な民間の取り組みも大変重要でありまして、国土交通省として景観や環境整備など地域のまちづくりを官民共同で強力に進めるにはどのような施策を考えているか、これはまた後で大臣にお答え願いたいと思います。

 私の地元の川越市では、現在、まちづくり総合支援事業といたしまして、中心市街地の交通渋滞の解消とか歴史・文化空間の形成というので、特に、今最近、鏡山酒造さんの跡地に歴史的な蔵が明治、大正、昭和と残っておりまして、これを再生と活用するために、まず用地の確保を目指した事業を進めているところでございますけれども、国の立場から見て、この事業の評価と、またこれについての支援策がもしおわかりならば教えていただきたい。

 また、それと一緒に、大臣御承知と思いますけれども、東京では、観光といえば、ディズニーランドとか秋葉原へ行っていろいろ買ってくるとか、それから浅草へ行くとかというように、定番の観光地とか観光名所がたくさんありますね。ところが、関東地方といいましょうか東京周辺になってくると、非常に観光ルートの開発とか、それからPRが進んでいない、これは事実だと思いますよ。

 私どもの川越市は、おかげさまでまちづくりが進みまして、ことしは川越のお祭りが国の重要文化財に指定をしてもらいました。また、蔵づくりの町並みとか菓子屋横丁とか、古い徳川家光の関係の喜多院とか歴史的な施設も多くて、近年やっと、初め二百万ぐらいが四百万までになりました。そういう観光地になってきたんですけれども、国際的に考えると、これはあくまでも無名でありますし、国内的にもまだマイナーだと私ども思っております。

 国が、ビジット・ジャパン、本当に結構だと思うんですよ。こういう中に、広告宣伝とか旅行商品というかルートの確立とか開発の対象にそういう余り目立たない地域について入れるべきではないだろうか。特に国内については、関東地方においては川越を初めいろいろなところがありますから、それについても、東京周辺の観光開発として国として何らかの機関を含めて対応ができないかどうか。

 この三点をまずお伺いします。なるべく簡単で結構でございますから。

北側国務大臣 後で事務方からも答弁をしていただきますが、今、全国で地域再生ということがテーマになっておるわけでございますけれども、その地域再生の非常に重要な手段として、これはもう本当にどこの地域でも観光ということに力を入れております。

 今、委員から御指摘ありましたように、観光振興というのは、成功しているところというのは、やはり上からじゃないんですね。地元の本当に民間の方々が自発的、自主的にこういうふうにやろうというように、地元の市町村が支援をし、またさらに、できれば国も支援していく、こういうところはやはり成功しているわけでございまして、ぜひそういう民間の努力を応援していく、そういう観光の振興策でなければならないというふうに思っているところでございます。

 それで、これまでも観光には力を入れているわけでございますが、観光立国行動計画におきましても、地域の観光振興を図るために一地域一観光というふうに重要な分野として位置づけをさせていただいておりまして、十七年度予算におきましては新たに観光ルネサンス事業というものを創設させていただきまして、これまた大きく拡充をさせていただきましたまちづくり交付金の活用などとあわせまして、地域の民間とそして自治体が一体となった魅力ある観光地づくり、まちづくりの取り組みを支援させていただきたいと思っておるところでございます。

 こうした施策を通じまして、観光を核とした地域づくり、まちづくりに積極的に支援をしてまいりたい、取り組んでまいりたいと思っております。

竹歳政府参考人 川越におきますまちづくりへの評価はどうかということでございます。

 川越におきましては、従来より非常に熱心に歴史的な町並みを生かしたまちづくりを継続的に進めてきておられます。先ほどおっしゃいましたように、現在では年間四百万人もお客さんが来られるということで、商業の活性化等、地域振興に大きく貢献していると思います。

 その中で、まちづくり総合支援事業で整備されました大正浪漫夢通りとか時の鐘周辺には多くの観光客が訪れておりまして、本地区の成果は全国における歴史、文化を生かした街なか再生に向けた取り組みのモデルとしても高く評価されるものと考えております。

鷲頭政府参考人 ビジット・ジャパン・キャンペーンの関係で申しますと、現在でも、地方の魅力というものを海外に発信するために、地方自治体や観光協会が行う海外向けの広告宣伝活動を、効果の高いものについて国も一緒に事業を実施する、共同事業をやるというような形で地方の支援というのをやってきております。

 川越につきましても、先生おっしゃられたとおり、蔵づくりの町並みとか喜多院、大変発信すべき資源というのはたくさん持っておられるところでございますので、今後、海外に向けた広告宣伝とかあるいは旅行商品、外国から来てもらうようなパック旅行をつくるというようなことをお手伝いするために、地元と相談をしながら、先ほど申し上げましたとおり、地方連携事業というような形で相談しつつ積極的に支援をさせていただきたいというふうに考えております。

中野(清)分科員 大臣、ぜひこの点よろしくお願いしておきます。

 さて、新地域ナンバー、私どもはいわゆる川越ナンバーと言っているんですけれども、これについてお伺いしたいと思うんです。

 従来、御承知のように、自動車のナンバープレートというのは、運輸支局や自動車検査登録事務所ごとに地名が記されておりまして、もう車検場をつくらなきゃだめだというのであきらめていたんですけれども、今般、事務所の所在地とは別の新たな地域名表示を認める施策に踏み切られたことにつきましては、先ほど言った観光振興とか地域振興、そういう観点からも私は大臣の決断を高く評価しておるんですよ。

 まず第一に、十八年の実施を目指して昨年の十一月に導入の要綱が公表されまして、五月末までに国に要望というか申請をしろとなっておりますね。今まで準備されたところはこれでいいと思うんですけれども、去年の十一月に言われまして、わずか半年で議会の同意を得たり、住民や関係者の意思確認のためのアンケートを行わなければならないので、期間が余りにも短いということで、急に実施を希望する市町村は、一生懸命やっておりますけれども、不安があるということだけは間違いないと思う。希望している市町村がもし多少おくれても、多少というのは弾力的という意味ですよ、五月三十一日だということじゃなくて、多少の運用が考えられないか、これが第一点。

 第二点は、複数のいわゆる登録検査事務所にまたがっている地域については、今までの制度からいっても、すぐに一遍にできないということは私どもも理解しておりますけれども、例えば要綱の基準には、広く認知された地域というと、これは必ずしも今までのナンバーの地域と一致している場合だけじゃないわけですね。その点についてはどういうふうにこれを考えるかということは一つ考えていただきたい。

 それから、同じ地区でも、半年間というと、とにかく地方自治体で一つの町ならいいけれども、周りの市町村について説得するとなると、近隣との関係が完全に理解が得られるかどうかというのはなかなか難しいんじゃないか。この救済策をどうしようか。

 そういう意味で、もし今回できなかった地区、または導入に入れない地区については、やはり私は、第二次、第三次という実施時期についてもある程度目安をつけていただいて、もし今回できなければゆっくり地域の関係者のコンセンサスを得た方がいいだろうというような姿勢、体制をとるべきだろうと思っておるんですよ。

 それから三つ目としては、具体的な内容でいいますと、例えば、御当地ナンバーというか、この中には軽自動車は入るかどうかというところ、入るのなら入るというふうに言っていただいた方がいいだろう。

 それから、ユーザーにも特別な負担があるのかというようなことですね。例えば、ナンバープレートは車検のときは払いますから、そういうものだけでもっていいんだというのなら、それはそれでいいと思います。

 それから、例えば市町村が税金なんかを徴収するシステムというものは当然変えなきゃならない。これは市町村の負担として、これについてはやむを得ないと思うんですけれども、このほかに市町村自体の負担があるかどうか。

 こういう点は、やはり今後こういう制度をやる以上は、わかりやすく、それぞれ一言で結構ですから、あるとかないとかで結構ですから言っていただきたい。

 最後に、私がさっき言いましたように、今度の措置というものは、町おこしとか、地域を誇りとする、そういう連帯感とか、それから観光の面からすると、私ども川越なんかについては、実は二十年前に所沢に持っていかれちゃったというので、いまだにそのことが日常の市民の話題になっているくらいでありまして、私はすばらしい努力だと思うんですよ。

 ただ、いろいろ大変ですね、事務的には。ですから、そういうところでもって、今の、さっきの複数の管轄の地域の問題とか、それから今回初めてですから、恐らく担当者も、地域のいろいろな要望について必ずしも全部こたえられるとは私は思えないですね。それは無理もないときもある。しかしながら、やはりこれは大臣のお立場として、庶民の味方であると長年頑張っていらっしゃる大臣のお立場として、そういうときには役所として大臣が指導して、地域のために政治の原点に立ってそういう点はやるよという一言をいただいてと思うんですけれども、いかがでしょうか。

金澤政府参考人 御当地ナンバーに関してさまざまな御質問をいただきました。私から簡潔にお答えさせていただきます。

 まず、これは大変国民の皆様の関心も高くて要望も強いということがございまして、平成十四年の十二月に懇談会をつくりまして、一年余にわたり検討の結果、昨年の五月に国としての案を公表させていただきました。これに、国民の皆様の意見を募集した結果に基づいて、昨年、御指摘のとおり十一月に要綱として発表させていただいたところでございます。

 このように大変長期間にわたって熱心に運動しておられる地域も多いものですから、ぜひ十八年度に導入をしたいと私どもも考えておりまして、そのための準備に必要な期間を勘案いたしまして、御指摘のように五月までに要望をお出しいただきたいということにさせていただきましたが、今後、御懸念のとおり、導入を希望される自治体がスムーズに準備を進めるということができますように、私ども、導入の基準や具体的手続内容につきまして運輸局を通じて広く周知をして、十八年度からの導入が円滑に行われるように最大限の努力をしてまいります。

 二点目の、支局をまたがるような地域についてどうだということでございますが、この点につきましては、さまざまな行政事務がこのナンバーに関連してとられておりますし、コンピューターシステムへの影響の有無もございますので、私どもとしては、当面は、これはちょっと検討させていただきますが、今御指摘のとおり、将来的にこういう問題がないということを見極めれば、検討課題として取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 住民のコンセンサスに時間がかかって、今回は残念ながらもし見送られた地域を第二段どうするんだという御質問でございますが、私どもといたしましては、まず十八年度から導入をさせていただいて、それがどのように地域のユーザー等の評価が下るか、あるいは定着していくか、また問題は起こらないか、こういったことを見極めまして、関係の機関とも調整を行った上で、追加的な受け付けといったことを行うことも検討させていただきたい、考えてまいりたい、このように考えております。

 最後に、細かな点として、軽をどうするのか、あるいはその料金はどうだという御質問でございますが、軽自動車につきましても、私どもといたしましては、普通自動車と連携して、同時に導入する方向で今検討していきたいと考えております。連携して対応してまいりたいと思っています。

 それから、負担につきましても、御指摘のとおり、申請手数料やナンバー交付手数料が必要になりますが、これは、いわゆる御当地ナンバーが導入されたとしても、この点については特に変わるものではございません。

 最後に、関係者の費用負担の問題でございますが、地方公共団体はもちろん、自動車税、軽自動車税といった徴税のシステムを運用しておりますから、これは地方自治体の負担で直していただく必要がありますが、そのほかに、関係しておるナンバープレートの団体の発行のシステムの改修などが必要になってまいります。これらにつきましては、それぞれシステムを運用する関係団体の負担で改修していただくということにしておるわけでございます。

北側国務大臣 今局長の方から答弁をさせていただきましたが、各種行政事務だとか、また自動車ユーザーに混乱を生じないようにすることも大事でございます。そうしたことに留意をした上で、しかしながら、今回の趣旨というのは、あくまで町おこし、また地域振興等にぜひ貢献をしたいというふうな趣旨もあるわけでございますから、地方自治体の皆様、また地域住民の意見というものにしっかり耳を傾けて、円滑な導入を図ってまいりたいと思っておりますし、今回だけで十分満足がいかないところは、またこの次、しっかりと改善するなり、また御意見を賜るなりして、検討していきたいというふうに思っております。

中野(清)分科員 大臣のその言葉を本当に期待いたしていますので、よろしくお願いします。

 次に、川越市の三駅連結についてお伺いしたいと思うんですけれども、国土交通省は、今国会に都市利便増進法案を提出の予定と聞いておりますが、これは既存のストックを活用しつつ、都市交通のネットワーク機能を高度化する施設の整備を目指したものとして、私どもは評価をし、期待しておるものでございます。

 さて、私の地元の川越市の中心部では、JRと東武の川越駅、それから東武の川越市駅及び西武鉄道の本川越駅に分かれておりまして、鉄道により町が分断されているばかりではなくて、相互の連結が悪い、連日通勤者の皆さんの乗りかえには大変長時間歩くというようなことで皆さん苦労をしておりまして、古くから三駅の有機的なつながりが求められておるんです。

 ところが、国鉄川越駅が開設された昭和十四年に、当時から三駅合同駅案というのが提唱されまして、四、五回この計画について、今度こそ大丈夫だ、今度こそ大丈夫だとやりました。

 ところが、新しい駅がだんだんと川越駅とか本川越ができてしまいまして、なかなかできませんで、その後、昭和四十四年ごろと思いましたけれども、合同はもう無理だということで、じゃせめて三駅連結にしたらどうかと方針が変わりまして、これも恐らく四回ぐらい、もう本当にいろいろな公的な機関をつくってやってきた。ところが、現在に至るまで方針が何も進展していない。

 私は、国土省が今回の都市利便増進法案、これを出されたというのは本当に、そういう意味で高く評価しておりまして、やはり現場のいろいろな細かい話というのが実際できなかったんですよ。川越の場合には六十五年にわたりましてできなかったんだ。これについては、今度の制度を何とか利用させていただいて解決にしたいというのが私どもの本当の気持ちなんです。

 そこで、三点だけお伺いしますと、県が何か中心となって、関係市町村とか鉄道事業者とか駅周辺の関係者とか、そのほかいろいろな方がいらっしゃると思うんですけれども、その関係者が参加しての協議会が整備計画を策定するスキームになると言われておりますけれども、では、だれが事業主体の中心になり、またこの協議会の主体となって、またどのような費用分担をやり、国はそれに対してどのような支援をしていくか。私は、いろいろな意味で支援が必要と思っております。その点でお伺いしたい。

 それからもう一点は、今までの川越での経験からいきますと、はっきり言って、関係者の利害の対立とか関係者のエゴと言ってはおかしいけれども、せめてこれは一緒になってやってもらいたいというのがあったわけですよ。特に各鉄道事業者間の利害調整というのが非常に難しかった。これは、だれが今後これについてやるか、また、説得をするかとか、まとめるとか、そういう手法を、どういう手法があるか、これもぜひこの際お伺いしたい。

 例えば、私どもは、川越の市役所を中心にして、会議所とか皆さんが今回のこのスキームといいますか、協議会とかスキームを利用して、川越の六十五年にわたるところの三駅連結を実現したい。その場合には、地元として国土省の方に御指導願いたいのは、どんな手順でもってこれを進めていけばいいのか、何にもわかっていないということで、わかる範囲で結構でございますので、御指導を願いたいと思います。

 以上です。

梅田政府参考人 簡潔にお答えさせていただきます。

 都市鉄道等利便増進法案におきましては、都道府県が構想を作成した上で、市町村、あるいは鉄道事業者、あるいは駅周辺の整備主体、こういうところを集めまして協議会を組織するということになります。したがいまして、推進主体は一義的には都道府県であります。

 実際の協議会に当たりまして、ここで交通結節機能高度化計画をつくっていただきます。その際には、参加していただいた構成員の方々が協議をしていただきまして、施設の位置とかあるいは規模、あるいは費用の負担等を決めていただくことになります。

 この計画を国土交通大臣が認定いたしましたら、作成された計画の内容に応じまして、都市鉄道利便増進事業、あるいは鉄道駅総合改善事業、あるいは都市再生交通拠点整備事業、さまざまな補助制度がございますので、これを活用しながら支援を行っていくということになります。

 この作成に当たりまして、協議が不調になった場合はどうするんだということでございます。だれがどういう調整をするのかということでございます。

 これは、基本的に、協議会はできるだけ各主体の自主的あるいは主体的な取り組みが大事でございます。これを尊重する観点に立っていることは間違いございません。したがいまして、自主的にまず協議が調うというのが望ましいわけでございます。

 しかしながら、構成員の間でどうしても意見が対立する、あるいは計画の作成が進まない、こういうことがあろうかと思います。法案におきましては、構成員の求めに応じまして、大臣が計画の作成に関し必要な助言あるいは勧告を行うことにしております。特に、鉄道事業者間で協議が調わない場合は、とりわけ国土交通大臣が場合によっては裁定を行うというようなことも考えておるわけでございます。そういう格好で、この計画の作成についてできるだけ円滑に進むようにしたいというふうに思っております。

 ついては、では、地元は今後どういうふうにこのプロジェクトを進めたらいいのかということでございます。

 先生御指摘のように、さまざまな計画があるというふうに聞いております。いずれにいたしましても、実際にこれからどういう計画をつくるのか、どういう費用負担をするのか、基本的な課題は何か、こういうようなものにつきましては、まず県を中心として、関係の市町あるいは事業者間、こういうところの間で十分に議論を深めていただくことが大事だというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

中野(清)分科員 時間が少なくなりましたので、バリアフリー化の推進についてお伺いしたいんですけれども、今の話とも関係するんですけれども、大臣、今、橋上駅をつくろうというと、お金がかかってしようがないわけですよ。これもぜひ必要だからやりたいんですけれども、恐らく今、国の制度は非常にまだ弱い、これだけは申し上げておきます。

 その中で、例えば東急なんかがやっておりますのが、対面式のホームのとき、片っ方はいいですね、片っ方はそこから無人の改札というんでしょうか、これは今コンピューターなんかがありまして、人がいなくても大丈夫だというのがいっぱいある。大体、コストが橋上駅化の十分の一以下だろうというんですよ。

 その点について、私どもの川越なんかの場合でも、当然、今の改札がありますでしょう、またつくるというんじゃまずだめだと思うんですけれども、そういう意味で、私どもは、これはちょっと時間の問題がございますので、本当はもっと論理的にお話ししたらいいんですけれども、今言ったような、低コストでもってできるような無人の改札口のバリアフリー化、それをやはり国土交通省として鉄道事業者にこの方式の採用を推奨して、支援策を出すべきだろうと。はっきり申し上げて、鉄道によって、熱意があってどんどんやっているところと、余りやっていないところの差が大き過ぎるんじゃないか。それも含めまして何か、簡単でいいですから、あともう一問あるから、簡単に御答弁を願いたいと思います。

北側国務大臣 駅をどのように整備するかというのは、これは鉄道事業者、そして地方自治体等でよく協議をしていただいて、整備計画を策定していただきたいと思います。

 確かに、いろいろな駅があるようです。御指摘のありました対面式ホームの駅でそれぞれのホームに改札口、スロープを整備する方式につきまして、そうした方式を採用している駅も確かにございます。ただ、どのような方式で整備した方がいいのかというのは、やはりこれは駅の特性によって異なってくると思いますので、ぜひ地元の方々、そして鉄道事業者との間でよく協議をした上で最善の方式を決めていただきたいと思っているところでございますが、国土交通省といたしましても、必要に応じて適切なアドバイスはしっかりと行ってまいりたいと思っております。

中野(清)分科員 大臣が庶民派の大臣として、そういう点で実情をよく御存じでいらっしゃるから、ぜひ、今のお話のとおりなんですよ。やはりバリアフリーについての、私は別に役所の味方をするわけじゃありませんけれども、どうも、予算が少ないからなるべくいろいろなことで壁をつくっちゃっているような気がするんですよ。ぜひこれからは、バリアフリーについての施策については特に重点を置いていただきたい。そのことがきっと、特に鉄道を利用する市民にとっては大きな利益になると思いますので、これはお願いしたいと思います。

 最後に、時間がないので、先ほど井上議員から圏央道についてのお話がございました。私、もう時間がございませんから、なるべく簡単に幾つか御質問をさせていただいて、これについては御答弁をなるべく簡単にしていただきたいと思います。

 それは、一つは、実は私どもの地元の川越に鶴ケ島ジャンクションからいわゆる仮称川島インターチェンジまでについては、土地買収も完了して、実は大臣、この委員会で五年前に、川島からやった方がいいと御提案して、それで工事を少し早めていただいたんですよ。地元の人たちが一日も早く供用を熱望しておりまして、いつだいつだと言うのでしようがないものですから、なるべく、今後、何月にはできますよというような御答弁を、供用開始については教えていただきたい。

 それから、二つ目として、供用開始になりますと、当然、いわゆる川越市周辺について、二五四を中心にいろいろ混雑が予想されておるんですけれども、これに対する対策はどうだろうか。

 それから、三つ目としては、名称について、私は川越川島インターチェンジが一番いいと思うんですけれども、こういう点はこれからどういう手法で決めていくのか、お願いしたい。

 それから、ついでに、この川島インターから東北道までの進捗状況とか、先ほどあきる野インターの話がありましたけれども、今度、西の方は、あきる野インターからいわゆる中央道まで、これも裁判なんかで皆さんもいろいろな御苦労をしていますけれども、私は積極的にやってもらいたい。そういう立場で、なるべく簡単で結構ですから、御答弁を願いたいと思います。

谷口政府参考人 時間の押し迫った中で、幾つか質問がございました。

 まず、鶴ケ島ジャンクションから川島インターチェンジ、仮称でございますが、これにつきましては、オオタカの問題がございましたが、検討委員会を設置して、平成十九年度の供用という目標に向かって鋭意事業を推進してまいりたいと思います。

 インターチェンジが供用したときに、アクセス道路の問題がございました。委員御案内のように、既に平成二年までに川島バイパスが四車線化で整備済みでございますが、残るアクセスにつきましても、県道等の整備を進めてまいりまして、圏央道の供用に支障のないようにしていきたいと思っております。

 インターチェンジの名称でございますが、川越川島インターチェンジが地元でもなじみやすいんじゃないかという御意見をいただいております。

この名称につきましては、地元の意向を踏まえて、道路公団が、供用の一年前ぐらいが多いかと思いますが、決定してまいりたいと思っておる次第でございます。

 また、川島インターチェンジから東北道までの区間につきましては、これはオオタカが、さきの区間と比べまして、非常に厳しいというぐあいにお聞きしておりますが、これも、目標を十九年度というようなことで掲げさせていただいております。

 また、日の出インターチェンジから中央道まででございますが、来月の二十一日に日の出インターからあきる野インター間については供用ということでございますが、残る区間につきましては、非常に厳しいということでなってきておりますが、今のところまだ、これまで申してきております平成十七年度内の供用という目標に向かって鋭意努力を重ねておるところでございます。

 以上でございます。

中野(清)分科員 一つだけ申し上げますと、仮称川島インターチェンジについては十九年度中というんだけれども、十九年度というのはいつごろか、それだけ一言だけ言ってくださいよ。もうちょっと、地元が待っているんだから、大体このぐらいという話は、ただ十九年度でございますと言ったんじゃ、とてもこれでは帰れませんから、それだけで結構ですから、よろしくお願いします。

谷口政府参考人 まだ十七年度の予算案審議中でございますので、具体的な供用時期につきましてはもう少し時間をいただきたいと思います。鋭意頑張っておるという決意だけをお伝えいただければと思います。

中野(清)分科員 どうもありがとうございました。質問を終わります。

石井主査 これにて中野清君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十八日月曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十三分散会


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