衆議院

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第2号 平成17年2月28日(月曜日)

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平成十七年二月二十八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 石井 啓一君

      岡本 芳郎君    鈴木 淳司君

      中馬 弘毅君    森田  一君

      内山  晃君    奥村 展三君

      城井  崇君    神風 英男君

      田島 一成君    計屋 圭宏君

      原口 一博君    樋高  剛君

      山井 和則君    佐々木憲昭君

   兼務 楠田 大蔵君 兼務 小宮山泰子君

   兼務 中野  譲君 兼務 西村智奈美君

   兼務 遠藤 乙彦君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          小神 正志君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           金澤  悟君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  矢部  哲君

   政府参考人       

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         田中 久幸君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  森田  一君     岡本 芳郎君

  原口 一博君     計屋 圭宏君

  樋高  剛君     内山  晃君

  佐々木憲昭君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     鈴木 淳司君

  内山  晃君     城井  崇君

  計屋 圭宏君     田島 一成君

  石井 郁子君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     森田  一君

  城井  崇君     奥村 展三君

  田島 一成君     神風 英男君

  穀田 恵二君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  奥村 展三君     山井 和則君

  神風 英男君     原口 一博君

  吉井 英勝君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  山井 和則君     樋高  剛君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

同日

 第一分科員遠藤乙彦君、第三分科員中野譲君、第五分科員西村智奈美君、第七分科員楠田大蔵君及び小宮山泰子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

石井主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。内山晃君。

内山分科員 おはようございます。民主党の内山晃でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 質問に入ります前に一言申し上げます。

 H2Aロケットの打ち上げ成功に対し、国土交通省並びに関係各位の皆様の御努力に敬意を表し、心からお祝いを申し上げたいと思います。おめでとうございます。

 さて、本日、私の自宅近くを走りますつくばエクスプレス、常磐新線、及び国道十六号線に関して、時間の許す限り御質問をさせていただきたいと思います。

 首都圏最後の基幹鉄道として、混雑緩和や沿線開発の起爆剤として期待も大きいつくばエクスプレス、いよいよと申しますか、やっとと申しますか、八月の二十四日、水曜日に開業いたします。

 茨城県のつくば市と秋葉原を結ぶ全長五十八・三キロは、最速で四十五分と短縮され、例えば、つくば研究学園都市から都内まで、常磐線や高速バスを利用して一時間半程度だったものが半減をされます。しかし一方で、一兆円余りの税金を投入した国家プロジェクトに対し、計画の甘さ、五年もおくれておりまして、赤字の垂れ流しとの悪評もございます。

 沿線は、私の選挙区でもある千葉県北部の住人が東京へ通勤する、いわゆる千葉都民と称され、従来、住民の足となっている常磐線ラッシュ時の混雑率は、最高で二〇〇%を超えています。鉄道待望論は根強いものがございました。

 九一年につくばエクスプレスの運営会社となります首都圏新都市鉄道、MIRが設立されたわけでございます。同社の高橋社長は、全長五十八・三キロという長大路線の単一一挙開通は民営鉄道では例がない、これは未来への挑戦と胸を張っているようですけれども、東京駅までの二キロの延伸が実現してこそ言える言葉だと思っております。せっかく秋葉原まで来ているわけですから、これをなぜ東京駅まで延伸できないのか。

 ここに昭和六十年七月十一日に行われました運政審の東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画についての答申が出ております。それによると、常磐新線の新設について、東京―守谷町南部までは新設することが適当であるとされ、東京駅も含まれております。この時点では東京駅は俎上にのっておりました。ところが、平成十二年一月二十七日に行われました同審議会では、秋葉原―つくば間は、既に工事に入っているのは、新設する区間となっているのは当然でありますけれども、東京―秋葉原は今後検討すべき区間と、いわばトーンダウンしております。そもそも、当初から東京―つくばを結ぶ計画だったのがなぜトーンダウンしたのか、お伺いしたいと思います。

 東京駅直結と秋葉原どまりとでは、面整備した沿線自治体の土地の評価も違ってまいります。将来に及ぼす影響は大変大きいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 現在のつくばエクスプレスにつきましては、平成十二年の先ほどの答申に基づきまして、秋葉原とつくばの間で計画をし、現在整備を進めているところでございます。十二年の答申に当たりましては、関係の自治体あるいは事業者等、関係のところとよく相談をさせていただきました。

 御承知のとおり、つくばエクスプレスが当初検討されたときには、常磐線は非常に込んでいましたので、需要は相当あるというふうに見たわけでございます。したがいまして、相当大がかりな計画として構想されたものでございますが、御承知のとおり、その間、経済的ないろいろな事情が変わりました。需要その他を見てまいりましても、事業費との関係もございますので、当面秋葉原で整備をして、東京駅については将来延伸をしようということで決められたところというふうに考えております。

 私どもといたしましては、東京駅まで延ばすことについて断念しているつもりはございません。この点につきましては、今後、八月二十四日に開業されますけれども、この開業後の輸送の需要の動向だとかあるいは収支の採算性、それから財源あるいは事業の進め方、そういうようなものにつきまして課題が残っておりますので、こういう課題につきましてよく地元との間でも相談をしていただきたい。我々もその相談を見ながら、踏まえながら必要な検討を行っていくつもりでございます。

内山分科員 そうしますと、今の秋葉原―つくば間というのは第一期工事で、第二期工事が秋葉原―東京間というのがあるというふうに考えていいんでしょうか。

梅田政府参考人 一期とか二期とかいう意味合いはどういう意味合いか、ちょっと私にはわかりませんが、私どもといたしましては、秋葉原で当面整備をしておきまして、東京まで延ばすという点につきましては、先ほど言いましたように、そのようないろいろな条件、あるいは関係者間の合意、こういうのを見ながら対処していきたいというふうに考えております。そういう意味で、もう未来永劫秋葉原で終わりですよというようなつもりはございません。そういう意味では、もう少しこの需要を見ながらやっていきたいというふうに思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

内山分科員 お配りをしております秋葉原駅の構造についてですが、プラットホームが地下四階、深さにしますと三十五メートルの位置に位置しております。他の在来線に乗りかえるのに、JR山手線、京浜東北線、総武線、それぞれ八分程度かかると言われておりますが、これが朝夕のラッシュ時には何分程度かかるのか、試算をしておられますでしょうか。地上ホームまでのエスカレーターの所要時間等につきまして、お伺いをしたいと思います。

梅田政府参考人 つくばエクスプレスの秋葉原の駅につきましては、先生御指摘のとおり、これは地下四階のホームでございます。

 秋葉原の駅といいますのは、区画整理事業の一環といたしまして整備されました道路の下にこの駅部が整備されておりまして、何でこんな深くなったのかといいますと、ここに幹線下水が通っているんですね、地下三十メーターのところに。そういうのがございまして、どうしても駅を深く掘らざるを得なくなったという事情がございます。したがいまして、ホームから地上まで三十七メーターということで、かなり深い駅だということでございます。

 垂直で三十七メーターでございますから、山手線あるいは京浜東北線、これはJRの駅でございますが、その中心まで移動距離で四百十メーターございます。ピーク時で大体八分、オフピーク時で七分かかるということでございまして、そういう面では、他の駅に比べまして相対的に乗りかえ時間がかかる駅ということになっております。乗りかえはできるだけスムーズにしたいというのが私どもの行政の方針でございます。開業後の様子を見ながら、この乗りかえを、どうやったらもうちょっとスムーズにできるか、そういうところについて工夫できないか検討していきたいというふうに考えております。

内山分科員 現状の秋葉原どまりということになりますと、丸の内とか霞が関方面に仕事に出かけるサラリーマン、OLというのは、秋葉原で乗りかえの利便性を考えますと、当然、手前の北千住駅で千代田線や日比谷線に乗りかえることが非常に多くなるのではなかろうかと懸念をしているんです。そうすると、北千住―秋葉原間の利用者が少なくなって、思うような収益が上がらないんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがお考えでしょうか。

梅田政府参考人 御指摘のとおり、北千住で乗りかえる方がかなり多いと思います。トリップの目的地が秋葉原あるいは東京駅近辺にある方は、これは最後まで乗っておられるんじゃないかと思いますけれども、ほとんどの方はそこで地下鉄に乗りかえるということでございます。当然のことながら、そういうことを見込みまして収支、需要等をはじいておりますので、事業の面からいいますと、見込みどおりでございます。

 我々といたしましては、最終で乗りかえた方がいいのか途中で乗りかえた方がいいのか、乗りかえの利便の問題でございますので、先ほど言いましたように、秋葉原の乗りかえをもうちょっとよくするというのは、今後工夫する余地があるというふうに考えております。

内山分科員 秋葉原から東京駅間というのがこれからできるとしますと、その所要時間はどのくらいかかりますでしょうか。

梅田政府参考人 お答えします。

 距離にしますと大体二キロぐらいでございます。電車の時分にすると一、二分でございます。停車時間合わせてもせいぜい三分ぐらいだろうと思います。そういう面で、距離的には大したことはないんですが、御承知のとおり、ここは、やはり東京駅の近辺というのは地下が非常に錯綜しているところでございますから、ホームをどうつくるか、あるいはどこの位置にするか、そういうような問題は、いろいろ考えてやらないと、工事費に直結するような問題でございますので。

 駅等につきましても、内々に検討している部分はございますけれども、そういう面で時間的な問題というより、むしろ工事、工期、工事費、こういう問題が非常に大きな問題だろうと思います。

内山分科員 配付資料の中に、東京駅の乗りかえ、ピーク時という、議連の資料がございます。それぞれの、新幹線や何かに乗りかえる時間帯が表示されておりますけれども、やはり秋葉原―北千住は、その利用頻度が落ちる、そして秋葉原で八分以上かかる。こういったところを考えますと、早急に東京駅直接乗り入れというのを検討していただきたいと思うんですが、今お話しの工事費というところがちょっとございました。八月の開業に向けて、現在も工事は順調に進められているということを聞いておりますけれども、一たんやめるのではなく、継続して工事を東京駅まで進めた方が、延伸工事を再度再開するよりも費用が安く済むのではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

梅田政府参考人 先生御承知だと思いますけれども、東京駅のどこに入れたらいいのかというのは、いろいろな考えがございます。こういうような点、全く関係者間で合意があるわけでもございません。

 それから、先ほど言いましたように、需要面、収支採算面、それから工事のスキーム、事業のスキーム、こういうような点についても、関係のところとまだ合意を得ていないという現状でございます。

 工事費等につきましては、おっしゃるように、連続してやった方が得ではないかということでございますけれども、もちろんそういう面もございますが、我々としましては、まずは、やはり関係者間でよく相談をしていただく。とりわけ、つくばエクスプレスの会社は一都三県の会社でございます。よく一都三県で相談していただくというのが基本であろうというふうに考えております。

内山分科員 利便性を考えますと、当然、秋葉原より東京がいいということは最優先だろうと思うんですけれども、ただ、収益というようなことを考えますと、何も東京駅終着にこだわる必要はなかろうかと思うんです。例えば、東京駅からの先、羽田空港までつなげるとか、別のルートという選択肢も当然あろうかと思います。国と県と沿線地方自治体の取り組む問題でありますけれども、何か新幹線のような新しい方法でできないものか、こう考えるわけであります。

 そこで、常磐新線の事業予算について、昨年のこの分科会でも同僚議員がお尋ねをしておりますけれども、私も再度確認をさせていただきたいと思います。

 当初予算が八千億円、平成八年度の見直しでは一兆三百億円、平成十四年度の見直しでは九千四百億円となり、ことしの八月に開業を迎えるわけであります。今までは、工事の見直しとか施設の構造変化に伴いある程度の変動はあるでしょうけれども、しかし開業を目の前にした現状では、変動というのは、上に上がるのではなく、下に下がるのではなかろうか、安くなるのではなかろうかと思うのですが、仮に九千四百億円で決算をするとして、工事費に余剰が出た場合、その余剰金をプールするとか、そういう使い道というのは何かお考えになっておられますでしょうか、お尋ねをいたします。

梅田政府参考人 工事費の節減というのは、鉄道に限らず、事業においては当然必要なことで、大事なことだと思っております。したがいまして、現在の九千四百億円と見込まれているものにつきましても、その節減努力に努めているところでございます。

 ただ、工事そのものは、実は、開業はいたしますけれども、十九年度まで工事はかかります。これは残工事等が残りますので、その時点でどのくらいの工事額で済むのか、精査していく必要があろうかと思います。

 そういう面で、我々といたしましては、さらにその節減に努めながら、工事費につきまして、節減されたものが将来どういう格好で処理されていくのか、これまた関係者との間でよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。

内山分科員 鉄道整備も最終段階と伺っておりまして、運賃の認可申請も終えられたようであります。快速電車がどこにとまるのかというのは、それぞれの各自治体の非常に関心の高いところでありますけれども、快速電車の停車駅、そして各駅の見込み乗降客数というのを教えていただきたいんです。乗降客数、流山市の三駅で結構でございます。

梅田政府参考人 御指摘のつくばエクスプレスの快速の停車駅でございます。

 停車駅というのは、当然会社の運行計画にかかわるものでございます。運行計画は、鉄道事業法の十七条によりまして届け出制になっております。首都圏新鉄道株式会社におきましては、現在、走行試験をやっております。走行試験をやりながら、結果を踏まえた上で、利用人員の見込み、それから速達性、乗りかえの利便性あるいは沿線の面開発の状況、こういうものを総合的に勘案して、三月の末までには決定して公表するというふうに聞いております。

 私どもといたしましては、利用者全体の利便性が最大限発揮できるというような運行計画にしていただきたいというふうに思っておりますし、そう期待しているところでございます。

内山分科員 乗降客の見込み数というのは、わかりますか。

梅田政府参考人 済みません、今手元に各駅の乗降見込み数をちょっと持っていないものですから、別途また御連絡させていただきます。

内山分科員 わかりました。それでは、後ほど資料としていただけますでしょうか。

 それでは、次の国道十六号につきましてお尋ねをしたいと思います。

 一般国道十六号線千葉柏道路についてですが、国道十六号線は、言うまでもなく、千葉県内において非常に重要な幹線道路でございます。地域社会、地場産業を含む経済活動に不可欠な道路と言っても過言ではありません。特に柏市から沼南町の十六号、十六キロ内に四カ所の主要渋滞箇所が点在しており、交通渋滞が慢性的に発生をしております。これまで諸々の提案、要望が出されているところですが、千葉柏道路協議会のこれまでの経緯、経過を確認のためにお伺いしたいと思います。

 例えば、柏市から千葉市までは、普通に走れば、すいていれば三十分から四十分で行けるわけですけれども、これが渋滞すると二時間もかかるということであります。バイパスの計画があるようでありますけれども、その進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、一般国道十六号は全体三百三十キロメートル、起終点が横浜市ということになっておるわけでございますが、千葉県内における東葛地域と千葉市及び東京臨海部を連絡する重要な路線でありますが、御指摘のように、柏市の呼塚交差点を初めとする交差点等において交通渋滞が著しい状況にございます。

 このため、東葛地域の交通の円滑化、沿道環境の改善等を目的として、国道十六号のバイパスである千葉柏道路の調査を進めてきております。平成十一年十一月に野田市から沼南町に至る区間につきまして計画案を公表し、住民の方々への説明会を実施してきておるところでございます。

 現在、こうした規模の道路計画等の策定に当たりましては、国民に情報を公開した上で広く意見を聴取し、計画づくりに反映するパブリックインボルブメント方式、いわゆるPI方式といったようなことを取り入れさせていただいております。学識経験者のほかに、市民等により構成された千葉柏道路協議会をこれまでに十四回開催し、鋭意検討を進めさせていただいておるところでございます。今後、協議会での意見、要望を踏まえつつ、平成十七年度を目途に議論の結果を取りまとめられるよう努力してまいりたいと考えております。

内山分科員 三十分しか時間がありませんので、御丁寧な説明は結構でございますので、簡潔にお願いしたいと思うんですが。

 そうすると、バイパスが、めどが今立っていないということでしょうか。

谷口政府参考人 まず計画をきちんと決めるということが先決でございますので、先ほど答弁させていただきましたが、十七年度内に計画をまとめるよう鋭意取りまとめている、その上でできるだけ早く、早期に事業着手してまいりたいということでございます。

内山分科員 ありがとうございました。

 むだな公共事業なんということを盛んに言われたわけでありますけれども、首都圏に有益な公共事業というのはたくさん残っていると思います。特に十六号線の混雑緩和というのは非常に重要だと思っております。

 私も年じゅう使っておりますので、千葉まで車で行きますと全く当てにならないという道路でございます。ここに、例えば常磐道の柏インターから京葉道路の穴川インターまで十六号の上に高速道路があったらなとつくづく思うわけでありまして、そういう首都圏の、利便性が高い、費用対効果の高いところの公共事業をやはり検討していただきたいな、こう思うわけであります。

 時間もなくなってまいりますので、先ほどの常磐新線と絡みますけれども、常磐新線のわきには都市軸道路というものができるわけでありますけれども、今回、千葉柏バイパスがこの都市軸道路、茨城の方から来る場合に、どのようにジョイントをするのか。また、都市軸道路が既存の十六号線に続くとなりますと、さらに今の十六号線の状態ですと渋滞が増してしまう、こういうふうに思っておりますけれども、都市軸道路と千葉柏バイパス、そして国道十六号とのジョイントにつきましてどのような考えがありますのか、お尋ねをしたいと思うんですが。

谷口政府参考人 十六号のバイパスにつきましては、先ほど答弁させていただいたとおりでございまして、現在、ルートの確定に向けて鋭意検討を進めているところでございます。

 一方、今御質問のつくばエクスプレス鉄道と並行して計画されている都市軸道路につきましては、茨城、千葉、埼玉県の三県及び都市再生機構において鋭意事業が進められておりますが、千葉柏道路との交差が予定されている区間につきましては、県境に近いというようなこともございまして、事業主体が未定であり、整備が未着手の状況となっております。

 この都市軸道路と千葉柏道路との交差箇所における構造等につきましては、今後千葉柏道路のルート、構造等の概略計画がまとまった段階において、円滑な接続になるよう検討を進めさせていただきたいと思っております。

内山分科員 日本全国至るところでいろいろ渋滞があろうかと思います。私も小さな会社をやっておったりしますので、渋滞に挟まっている車、その営業損失といいますか、そういうものを考えますと、非常に莫大な損失があるんじゃなかろうか。

 国土交通省の方では何か渋滞損失という言葉があるようでありますけれども、例えば運送業とか営業車両、そういう営業損益、渋滞による人件費の浪費、労働者の例えば最低賃金などを使いまして、どの程度渋滞損失というのがあるのか。今後、参考のためにちょっとお聞かせをいただきたいと思うんです。

谷口政府参考人 委員御指摘のとおりでございますが、いろいろな時間尺度がございますが、渋滞損失時間で申し上げますと、野田市から沼南町までは八百九十二万人時間・パー・年ということになっております。沼南町から千葉市までは、同じく三百四十六万人時間・パー・年、年間当たり三百四十六万人時間ということになっております。

 金額で直しますと、一時間当たりどう見るかということでございますが、六百七十八円ということになっておりますので、それを掛けていただければと思いますが、今手持ちのデータでいきますと、野田市から沼南町までは、時間当たりになっておって恐縮でございますが、六十九万一千円、沼南町から千葉市までは二十六万八千円というようなことになっておりまして、合わせて九十五万九千円、時間当たりでございますが、そうなっております。

内山分科員 これが例えば十六号線の野田から千葉までの、この数字はもう少し精査しなければならないと思いますけれども、一時間当たりで九十五万円程度、この渋滞にはまっている車両の人件費とか営業損失とかというものがあるということですね。

 ですから、これは費用対効果を考えまして、有益な高速道路またはバイパスというのを早急に首都圏はつくるべきだろうと申し述べまして、時間になりますけれども、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

石井主査 これにて内山晃君の質疑は終了いたしました。

 次に、計屋圭宏君。

計屋分科員 民主党の計屋圭宏でございます。

 羽田空港の再拡張、国際化とそれに伴う神奈川口構想からのアクセスを中心にお伺いしたいと思います。

 航空輸送の特性として、早く快適に移動する、そして、航空サービスの低廉化に伴い国内航空旅客は順調に増加しており、今後も堅調な増加が見込まれております。また、アジアの経済の発展、世界観光交流の増加や経済のグローバル化に伴う高付加価値の製品を中心とする、日本の経済を支える国際航空貨物も増加をしているところでございます。

 羽田空港の再拡張、国際化は、このような航空輸送の需要にこたえるだけでなく、日本の経済の活性化、それに伴う経済効果、雇用の増大というものが期待されているわけでございます。

 また、神奈川県の、空港と多摩川を挟んだ京浜臨海部の活性化に伴う経済の発展、そして雇用の拡大というのが見込まれるわけでございまして、こういったふうな活性化ということにおいて神奈川口構想というものが検討されているわけでございまして、そこからのアクセスを中心にお伺いしてまいりたいと考えております。

 それでは、まず最初に大臣の方から、この羽田空港再拡張と国際化に関する考え方、そして概要について御説明いただきたいと思います。

北側国務大臣 今委員からもお話がございましたように、首都圏の航空需要というのはますますこれから増加していくと思います。それは、旅客だけではなくて貨物においてもますますふえていく。そういう意味で、首都圏の空港整備というのは、我が国経済の本当に基礎的な基盤を整備することでございまして、非常に大切である、重要であるというふうに認識をしておるところでございます。

 羽田空港の再拡張、これにつきましても、そういう意味で非常に重要な事業と考えております。四本目の滑走路を整備いたしまして、国内線だけではなくて国際線についてもそこで飛ばしていこうというわけでございまして、羽田の国際化というふうに今言われているわけでございますが、羽田空港に対する需要というのは、国内線につきましても大変需要が高いわけでございます。

 先般もこの委員会で議論があったわけでございますが、羽田の離発着の枠はもう今いっぱいになっておりまして、一方で新規の航空会社の参入を開いていかないといけないということで、大手の会社の、JALとかANAとか、そういうところの便数を減らしていただいて、そして新規の航空会社に分ける、こういうようなこともやっておるということでございます。それがために、地方のこれまで就航しておった羽田との便を民間航空会社の判断で減らさざるを得ないというようなところもありまして、そういう地元では、羽田に飛ぶ便がこんなにいっぱい入っているのになぜ減らすんだというふうな逆に御批判もちょうだいをしておりまして、日本国内の各地方空港から羽田へ就航したいというふうなニーズも非常に高い。

 また一方で、おっしゃったように、国際線についても、これは恐らく羽田空港に国際線、近郊の国際線だと思いますが、これを就航することができれば、これまた私は大変なニーズがあるんだろう、これは間違いないというふうに思っております。

 一方で、成田空港の方でございますが、成田空港の方は、今二本目の滑走路は暫定滑走路になっております。これをやはり二千五百メートルの本来の滑走路に早くしないといけない。成田の方ももういっぱいなんです。成田に対しても各国から、ぜひ成田に就航させてくれというお話をたくさんちょうだいしているんですが、残念ながら、成田がいっぱいなものでそれができない。私は、これは日本の経済にとってどれほどマイナスかということを言わざるを得ないと思います。そういう意味で、本来の滑走路を早くつくってその需要にこたえていかないといけないと思っておりまして、この両方をしっかりと進めていく必要があると思っているところでございます。

 そういう意味で、羽田空港の方につきましては、この成田の方の、本来の滑走路へ早く進めていく、その見通しをよく見た上で、一方で羽田の方についても国際化を進めていく、こうした成田と羽田の役割分担というものをにらみながら首都圏の空港整備を進めてまいりたいというふうに思っております。

計屋分科員 国内の航空輸送の需要が大変伸びているということで説明を受けたわけでございますけれども、この羽田空港の再拡張による国際化というのは、やはり日本の首都圏はもとより日本全体の経済の活性化、あるいは経済波及効果が大変大きいということで、やはりこれは国際化ということにおいて、これからアジアの時代でございます。

 アジアからの発着回数が再拡張の後は三万回を予定しているというふうに聞いているわけでございますけれども、この三万回というのは、見てみますと、香港―台北が一日百便ということで三万六千回、そして台北―成田も九十便で年間は三万二千回、北京―成田間だけでも八十回、二万九千回ということでございます。そしてまた、日本の国内の空港を見てみますと、熊本が三万三千回、年間でございますけれども、それから鹿児島が七万二千回、こういったようなことでございます。

 こういったことから考えてまいりますと、アジアの時代を迎えて、首都圏の基幹空港である羽田空港との接点というものをもっともっと持っていってもらいたい、こういうふうに考えるわけでございます。そういうことにおいて経済効果あるいは雇用の拡大というものが図れるわけですけれども、この三万回という根拠はどういうところで三万回になったのか、お尋ねします。

岩崎政府参考人 先ほど大臣が答弁いたしましたように、羽田を再拡張いたしまして、国内の潜在需要にこたえるとともに国際化にもこたえていかなきゃいけない、このように思っておるところでございます。

 今、羽田、約二十九万回の年間の発着回数がございます。再拡張いたしますと、それが約四十一万回弱になりまして、十二万回ぐらいふえるということになっております。そのうちの三万回を、先生御指摘のとおり国際に充てようかと今思っておるところでございます。

 私ども、国内線の方の需要予測もしております。国内線の需要予測をいたしますと、二〇一七年ごろには今の機材ベースで、それでも発着回数が三十七万回になるというような予想をされております。今の羽田空港、非常に大型機材が多いという前提での数字でございまして、これから小型化あるいはフリークエンシーを増していくというようなことになりますと、さらにふえることも考えられますので、その四十一万回弱のうちの三十七万回程度はやはり国内線の枠にとっておくのが必要か、こう思っております。

 したがいまして、国際線については、供用開始時においておおむね年間三万回程度とするというのが適当だ、このように考えているところでございます。

計屋分科員 成田空港と羽田空港ということで今まで機能分担をしてきている、成田が国際、羽田が国内線、こういうことでやってきたわけですけれども、羽田の方に国際線も設けるということでございますから、これはやはり羽田、成田の空港の路線配分が必要だと思うんです。成田でも一部国内線が入ってきて、乗りかえに大変便利になったということで大変好評をいただいているわけですけれども、やはりもっと国内線を成田の方に移して、そして路線の配分というものをしていく必要があると思うんですよ。

 ですから、将来は、国際線、国内線、こういったふうにしてきちっと分けていくのではなくて、やはり乗りかえその他ということで成田を国内線でも活用すれば、大変便利だという方も大変多くなってくる。そしてまた、羽田の場合もアジアとの接点ということで、特に神奈川の場合ですと、京浜臨海部ということでかつては日本の景気を牽引してきた、あるいは先導的役割を果たしてきたこの京浜臨海部というのは、やはり日本の経済にとっても大変大切な、空港から至近距離にあって、そして世界の国からどんどん、産業において便利な地域であるわけでございますから、成田と羽田の役割分担というよりは、同じような機能を持たせてやっていくということが大切であるわけでございまして、そういう点でやはり、三万回というのは私は大変少ない、こういうふうに考えているわけでございます。

 そういったようなことについて今後ちょっと検討をしていただきたいと思うんですが、この辺はどう考えますか。

北側国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本国内の地方空港から羽田空港の便を増便してもらいたい、また新設してもらいたいという需要も大変強いわけでございます。もちろん、成田にもどんどん国内線が入っていただきたいと思うわけでございますが、地方空港からしますと、やはり羽田へのニーズが非常に高いというのが今の現状でございます。そして、今枠がいっぱいでなかなか入れないという状況でございまして、そちらの方についてもしっかりと配慮していく必要がある。

 とともに、三万回という話でございますが、これは先ほど航空局長が答弁しておりますように、二〇〇九年の供用開始時においておおむね三万回ということでございまして、成田空港の方の状況も照らし合わせながら、その先々については、今委員のおっしゃったような視点というのもしっかりと重要視しながら、判断をしてまいりたいというふうに思っております。

計屋分科員 供用開始のときに三万回ということで、その後以降はさらに検討するということでございますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 それでは、それに伴って第三空港というのが首都圏に必要と言われてきて、これも、二〇一二年地点において満杯状況になってくるというデータも出ているわけでございますけれども、そういう点で、今この首都圏の第三空港というのは並行して検討していくのかどうか。

 国内状況あるいは国際化の中で航空輸送というのが大変需要が増している中で、この辺の検討をもう進めていかないと、今ここにデータがあるんですけれども、例えばニューヨークの大都市圏で人口が二千万人です。ここは三つの空港がございまして、ジョン・F・ケネディ、リバティー、ラガーディア、こういった三つの空港がありまして、ジョン・F・ケネディが二十八万回、リバティー空港が四十万回、それでラガーディア空港が三十七万回で、三つを合計しますと百五万回なんですよ。そして、成田、羽田の合計をしますと、成田が十七万一千回、羽田が二十七万八千回ということで、合計しますと四十四万九千回ということで、東京の首都圏では三千万人の方が住んでおられるわけですね。

 そうしますと、こういったようなところから比べても、日本の首都圏の空港の発着回数が大変少ないということが言えるわけなんですけれども、そういうことから考えても、やはり首都圏の第三空港というのは必要なんですが、どうなんでしょうか。

岩崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、現在、成田の本格滑走路を完成させること、それから羽田の再拡張事業をきっちりやり遂げること、これに今は全力を挙げているところでございますけれども、先生御指摘のとおり、やはり中長期的には首都圏の空港容量の不足が考えられますので、私どもも、中長期的な課題として首都圏第三空港の勉強を続けているところでございます。今後とも勉強していきたいと思っております。

計屋分科員 こういったような世界の首都圏と比べてみると、日本の首都圏の空港というのがいかにちっちゃいかということがわかるわけでございまして、やはりこれはぜひ、将来じきに、二〇一二年ではもう満杯になってくるということでございますから、もう早急に検討しておかなきゃいけないことだと思いますので、満杯になってから検討しても、これは日本の国の国益にプラスになるわけじゃなくてマイナスになっていくということになりますので、どうぞよろしくお願いします。

 それでは、次に質問を移らせていただきます。

 神奈川口構想に関する協議会がことしの一月十三日にございまして、北側大臣には前向きに御答弁いただいたということでございますけれども、羽田と多摩川を挟んだ隣接する神奈川の方のこの神奈川口構想、これは本当に、先ほどもお話ししましたように、日本の景気を牽引してきた地域でございますし、さらに、産業構造の転換によりまして研究施設あるいはまたアジア起業家村構想というものを持っておりまして、こういったアジアとの接点を設けていこう、そういったような川崎市の全面的な力を入れた取り組みでございますし、また研究機関というものを設けて研究開発型の企業を誘致していこう、そういったことをやっているところでございます。

 そういうことから考えてまいりますと、羽田空港の再拡張、国際化というのは、神奈川県にとっても経済効果が大変大きいわけでございまして、そういうことを考えてまいりましたら、今一番問題になっているのは、神奈川口構想からのアクセスの問題、連絡道の問題それから鉄道の問題でございます。やはりこのルートを早く決めていただき、そして、構造はどうするのかということがまだ決まっていないようでございますし、それによってさらに神奈川口構想というものを推進しなきゃいけないと思っておりますので、この辺については協議会以降どういったふうに動いているのか、お聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 私も、先般、神奈川口構想に関する協議会に出席をさせていただきました。神奈川県知事、横浜市長、川崎市長とも協議をさせていただいたところでございます。

 また、連絡道路につきましては、東京都も入りまして京浜臨海部幹線道路網整備検討会議というのが今開かれているところでございます。いずれにしましても、この連絡道路については、重要な道路であるというふうに認識をしておりまして、関係団体との間でしっかり協議をいたしまして、早急にルート等についても決定をしたいと思っております。

 神奈川県側の川崎殿町地区及び東京都側の羽田地区を結ぶということを基本として検討しようということで、今合意をしたところでございまして、早急に、事業主体、事業手法について決定ができるように精力的に取り組みをさせていただきたいと思っております。

計屋分科員 このルート、構造ということは早く決めていただいて、神奈川口構想を進めていかなきゃいけない、こういうふうに考えておりますので、ぜひひとつ、大臣の特段の配慮によって早急に決めていただきたく、お願いしたいと思います。

 それから、連絡路でございますけれども、これは、環状八号を経由して羽田アクセス、そして国道三五七号につながる道路でもございますし、そしてまた、この連絡路から殿町夜光線につながるわけでございます。産業道路、そして首都高速の神奈川一号横羽線というのは大変混雑して、やはり殿町夜光線も早急に進めていかなきゃいけない、こういうふうに考えております。連絡路の事業主体でございます神奈川県、川崎市、横浜市、三団体におきましても、羽田空港再拡張ということにおいて百億円ずつ無利息で貸し付けするということで、もう既にことしも予算に計上しております。

 そういったこともあって、連絡路は、こういったような日本の経済に大きく影響する京浜臨海地域につながっていきますので、そういうことを考えてまいりますと、私は、国直轄でぜひこれを整備していただきたいというふうにお願いするわけでございますけれども、この考え方にぜひ前向きに答弁いただきたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

北側国務大臣 国直轄でやってもらいたいというお話は、先ほど申し上げました会議でも要望として出ているところでございます。よく検討させていただきたい、協議をさせてもらいたいと思っております。

計屋分科員 ぜひよろしくお願いします。

 それから、鉄道連絡路でございますけれども、今、東海道貨物支線の貨客併用化ということで検討を進めているわけでございます。この件についてもぜひ、JRと相談して、鉄道の貨客併用化ということについても特段の御配慮を賜りたい、こういうふうに考えます。

 それから、もう時間がなくなってまいりましたので、首都高速湾岸線の通行料金の割引の問題でございますけれども、今、二十三区から羽田空港に行くのは七百円でございます。ところが、神奈川県からは、大変近いところであっても九百円ということで、今、社会的実験として、ETC車だけは七百円ということで、これもことしの三月三十一日までということで限定つき。ですから、これを恒常的に、一般車も含めて東京並みの七百円にしてもらいたいというふうに考えるんですが、どうお考えですか。よろしくお願いします。

北側国務大臣 これは今、社会実験として実施をさせていただいておりまして、その効果でございますが、ETC利用者が約二一%増加しているという効果が見られているところでございます。

 これは、決定するのは首都高でございますけれども、平成十六年度の実績がこういういい結果が出ておりますので、ぜひとも、十七年度も引き続きこのような形で実施ができますように、私からもお願いをしたいと思っているところでございます。

計屋分科員 ぜひよろしくお願い申し上げます。

 それから、観光でございますけれども、やはり国際線になってまいりますと観光客もふえていくということで、川崎、横浜は、神奈川県として観光名所が大変多くあるわけでございますけれども、観光名所に外国の人たちを誘導していくには、再拡張した国際ターミナルの場所に三団体の観光の案内所、こういうものも設置していただきたい、こういうふうに要望する次第でございます。

 また、川崎からですとバスということで、横浜市もそうでございますけれども、バスで羽田空港に行く。そういう点では、バスがスムーズに行けるように、そしてまた、バスのターミナルということで特段、神奈川県の方からのバスのアクセスという意味と、ターミナルにバスの流通がスムーズに行けるような、そういったようなターミナルを設けていただきたい。

 この二点について要望をしたいと思います。もう時間が来ましたので、お答えいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 羽田の再拡張事業に合わせまして国際線の新しい旅客ターミナルの整備をしなきゃいかぬ、このように思っております。これはPFI事業でやっていきたいと思っておりまして、国が選定した民間事業者に独立採算で運営をさせる方針でございます。

 このターミナルビルの整備に当たっては、今先生御指摘のバスアクセスも含めた旅客利便の確保や、あるいは観光情報センターのようなものの設置も含めた外客誘致の促進のための方策、こうしたものを考えていかなきゃいかぬ、このように思っておりまして、具体的な内容を検討しているところでございます。

計屋分科員 特段の御配慮をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石井主査 これにて計屋圭宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本芳郎君。

岡本(芳)分科員 自由民主党の岡本芳郎でございます。

 きょうは分科会でございまして、地元の話について少々お伺いしたいと思います。

 まず、吉野川の整備促進関係についてお伺いしたいと思います。

 昨年の台風、地震、津波等の災害の関係もありまして、最近、治山治水、海岸等の防災関係事業が非常に脚光を浴びておるところでございます。私も、その必要性あるいは重要性、十分理解している一人ではございますが、きょうは、治水関係について、その運用に関し一言言わせていただきたいと思います。

 吉野川は、何と申しましても、別名四国三郎と呼ばれる、利根川、筑後川と肩を並べると言われております日本の代表的な川でございます。この吉野川は、四国全体の人々の生活に大きな影響を及ぼしている大河川でもあります。

 昨年は、全国各地で台風、地震などたくさん起こったわけでございますが、とりわけ徳島県では九本の台風の影響を受けました。そのうち四個は中心が通るという大変な台風年だったわけでございます。そのたびに県内全域にわたって大災害が起きたわけでございますが、吉野川も例外ではなく、大変な被害を受けたところであります。

 一方、この地域は、東南海・南海地震が今後三十年以内に五〇%の確率で起こるというふうに言われております。これは大変なことでございまして、皆さん心配しておるところでございますが、それにも関連しまして、吉野川の整備というのが必要ではないかとみんな思っておるわけでございます。

 ところが、この吉野川の河川の堤防の整備率、計画断面にできているかどうかというのを、河川便覧によりますと四〇・七%しかできていない。これは、全国平均がどうも五八%らしいんですが、相当おくれておるわけです。徳島の場合、河川だけじゃなくて道路も下水道も日本最下位でございます。川の方も最下位ではないかと思うぐらい低くなっております。まだ河川便覧での暫暫定という堤防区間が三〇%以上もある。これはほとんど整備できていない区間じゃないかと思うんですが、そんな状態であるわけでございます。非常におくれております。

 そこで、予算を見ますと、平成十六年度で四十八億円、これは全国の直轄事業の一%程度でございます。あの洪水の大きな川で、たった一%の四十八億円しかついていない。ここのところずっとその程度でございます。

 ところが、また逆に言いますと、これは余り言いたくないんですが、大都市周辺で行っておりますスーパー堤防、これは毎年五百億円も使えるんですね。それで、このスーパー堤防が本当に今やるべき時期なのかどうか、非常に疑問を感じております。

 と申しますのも、スーパー堤防、今までの実施状況を見ましても、何か大きな台地をつくるようなものであって、決して堤防としての効果があるとは思えないわけですね。河川の堤防というのは、やはり川に沿って連続してつくられなければ河川堤防の意味をなさない。ところが、スーパー堤防は、ぽつぽつとつくっていくわけですね。何年たっても終わりません。そういうものに今金をつぎ込むのなら、私は、もうちょっと、おくれた地方の大河川に投入していただきたいと思うところでございます。

 今、三位一体を言われておりますが、どうもあの三位一体も、大都市優位、地方切り捨てというような感じがしないわけでもありません。河川の予算もそんな感じがしてしようがないわけであります。

 したがいまして、限られた予算をいかに使うかという点におきまして、ぜひそういった、スーパー堤防も結構ですが、それ以上に、急ぐ地方の河川に積極的に予算を投入していただきたいということで、まず国土交通大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

北側国務大臣 申しわけございません、私の地元でもスーパー堤防をやっておりまして。

 私の地元は大阪の堺なんですが、大和川という一級河川、これはすごい天井川でございまして、大阪市側の一番低いところから二十メートル近くも高い川なんですね。そういう意味では、この大和川が万が一破堤なんかしてしまうと、これは、大阪市側の方に、大阪市といいますか河内平野の方なんですが、大変な被害をもたらすことは間違いない。

 これはまた、利根川でも全く同様のことが言えまして、利根川が万が一破堤をするようなことがありますと、この首都圏に本当に大変な被害を及ぼすというふうなこともございまして、確かに、スーパー堤防についても効率的にやっていかなきゃいけないというのは全くおっしゃっているとおりだというふうに思います。

 ただ、地方の河川について治水対策をおろそかにしているかというと、それは決してそういうふうには考えておりません。昨年の台風でもあったとおり、地方の河川、中小河川も含めまして、しっかりと治水対策を、河川整備を進めていく必要があると思っておるところでございます。

 吉野川につきましては、私もお聞きしましたら、明治四十年から直轄事業として着手をしておるそうでございます。優先度の高いところから築堤事業をやるとともに、早明浦ダムの建設も実施をしてきたところでございますし、また、先般成立いたしました補正予算では、この吉野川の上流の無堤部の解消、それから内水対策を中心に、約二十三億円の投資がなされているところでございます。

 今後とも、限られた予算の中で、重点的かつ機動的に河川整備をしっかりと進めさせていただきたいと思っております。

岡本(芳)分科員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 スーパー堤防、いろいろ議論はあろうと思いますが、やはり連続した施設でなければ、大和川にしてもそれほど効果が出てこないんじゃないかと思います。やはりまず普通の堤防をちゃんと整備して、その後に超過流量みたいなものに対応していくというようなことも必要じゃないかと思っております。

 次に、吉野川の河川整備計画でございますが、第十堰等でがたがたなったわけでございますが、その後、やはりこれからの河川整備に当たってはその計画を早急につくっていただきたいと思っております。

 現在の段階でこの計画策定のスケジュールがどうなっているのか、教えていただきたいと思います。

清治政府参考人 吉野川水系の河川整備の基本方針と整備計画のお話でございますが、今お話がありましたようにいろいろな懸案を抱えていた状況もございますが、昨年は非常に大きい出水がございました。そういうようなデータも取り込みまして、早期に基本方針というのを定めてまいりたいと思っております。

 それと並行しまして、地域の方々の御意見でありますとか学識経験者の御意見、こういうものを聴取しながら河川整備計画の策定に向けて取り組んでいこうとしておりまして、スケジュールとしましては、基本方針につきまして、現在の作業スケジュールでまいりますと、できれば来年度中ぐらいには整備していきたい、このように考えております。

岡本(芳)分科員 今、基本方針をお伺いしたんですが、整備計画の方はその後どのぐらいを考えておるわけですか。

清治政府参考人 基本方針でいわゆる治水計画のもとになります計画高水が定められるわけでありまして、それに加えて、河川の持ち分でありますとか、ダムでどのぐらい調節するとか、あるいは遊水効果をどのぐらい見込んでいくかというようなことが定まるわけでありますが、それを受けまして、これから二十年、三十年かけてどのような整備をしていったらいいかということについて原案を作成いたします。それをお示しすることによりましていろいろな御意見をちょうだいしていくということになりますので、来年度、基本方針ができましたら、早期にその作業にかかってまいりたいと思っております。

岡本(芳)分科員 できるだけ早くお願いしたいと思います。

 それから三つ目は、昨年の災害に関連いたしまして、吉野川中流域の善入寺島の災害対策についてお伺いしたいと思います。

 昨年は、台風が随分来た影響もありまして、この善入寺島では三回水をかぶって野菜が全部流されてしまったわけでございますが、植えては流され、植えては流されが三回続いたわけでございます。そして、結局は、冬野菜は全然できなくなったということでございます。非常に農家の方々は落胆しておりまして、こういうことが起こったのは久しぶりなんですね。ずっとしばらく起こらなかったのが昨年どんどん起こった。

 その原因は何だと。いろいろ言われておりますが、当然洪水が大きかったというのも事実ではございますが、加えて、河川に物すごく土砂が堆積しているんです。それで、河床が相当上がっております。そのために、少々水が出てもすぐに善入寺島に越流してくるというような状況になっておるわけでございます。

 したがって、少しでも災害が起こらないように、このたまった土砂を取っていただきたいと思いますが、どのように考えておりますか。

清治政府参考人 善入寺島につきましては、委員も十分御承知だと思いますが、河口から三十キロぐらい上流のところにある広大な島でございます、中州になっているところでありますが。これは、大正時代に、治水事業の一環としまして、地元の方々に御協力いただきまして全地買収をしたところでありまして、現在は河川区域に全部かかっております。これは遊水効果を期待しているということがありまして、ここを全面的に水がつかない土地にするということは治水事業の計画からできないことであります。しかしながら、今、非常にいい農地として、河川の占用という形で利用されているという実態がございます。

 今お話ありましたように、水のつく頻度でございますけれども、昔は十年間に三回ぐらいついているような感じのところでございました。そういうところが、現在、全体としては河床が低下してきておりまして、昭和三十年代に比べると大体一メーターぐらい河床が低下しておりまして、その浸水する頻度というのは下がってきております。今お話ありましたように、昨年一年間に三回もついてしまった。そうしますと、それで十年に三回ということに実はなったわけでございます。

 こういう状況に対して、河道の堆積状況でありますが、これについては、川の中にあります樹木等が流れを阻害しているという面でありますとか、土砂の堆積を助長しているというようなことが予想されますので、この樹木の伐採等を実施したところでございます。

 これから、治水上支障があるのかないのかというような観点も含めまして、河床の状況を判断いたしまして、適切な対処をしていかなければならないというふうに考えております。

岡本(芳)分科員 私の見るところ、樹木が邪魔していることは当然でございますが、土砂がどう見ても相当たまっている。なぜたまったかと申しますと、川が、狭いところから、あの善入寺島のところで急に広くなるんですね。したがって、流速がとまる。そこで、流れてきて、土砂がどんどん堆積している。それが目で見てわかるのは、潜水橋が埋まってしまっておるんですね。潜水橋はもともと下に水が流れておったわけでございますが、今はもう土砂ばかりで、水は流れていないような状況になっております。これはよく調査していただきたいと思うところでございます。ぜひやはり、土砂の排除、これは大変重要なことだと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それから、同じく善入寺島の付近なんですが、上流部はそういうふうな感じで大変土砂が堆積しておるわけでございますが、中流部の、善入寺島でいえば、川でいえば右岸側、川島の方でございますが、そっちの方は、今度はみお筋ができて、えらい河床低下を起こしております。そして、その河床低下を起こしたところに麻名用水という大きな農業用水の取り入れ口がございまして、そこの水が、通常、水利権は七・一トンあるんですが、実際は四トンぐらいしかとれないぐらい厳しくなっております。みお筋がやはり下がったものですから、水量も当然減っておりますし、水がとれなくなった。

 これは、河川管理の一環としてぜひ直していただきたいわけでございますが、吉野川といいますと、すぐに吉野川総合開発計画が出てまいりまして、あの当時、あれができた時点でも、不特定用水には影響を与えないというようなことをずっと建設省は言ってきたわけでございます。今、河床低下が吉野川総合開発計画とどういう因果関係にあるかは不明ではあるわけでございますが、ぜひ河川管理者としての立場から、このみお筋の修正をお願いしたいと思いますが、どのようにお考えでございましょうか。

清治政府参考人 先ほどは堆積の話で、今の御質問は、侵食、河床の低下に対する話でございました。

 この善入寺島の周辺でございますが、全体的に長い期間で河床を判断してみますと、これは、いろいろな測量、調査結果等で判断いたしますと、大きな変化はございません。

 局所的な洗掘は、今委員がよく現地も御存じのところでありますけれども、川島、右岸側ですね、局所的な洗掘がございます。これらについては、河川管理施設に直接影響があるかないかということがまず第一義的な河川管理者の責務であるわけであります。これについては、今すぐ河川管理施設が危険になるというような状況にないわけでございますが、取水がなかなかうまくできないというような話も聞いておりますので、先ほどの堆積の話とあわせて、善入寺島周辺の河床の維持のあり方につきまして今後検討してまいりたいと思います。

岡本(芳)分科員 非常に前向きなお答えをいただきまして、ありがとうございます。あの周辺では善入寺島というのは相当いい農地になっておりまして、みんな期待しておりますので、ぜひ早目によろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、吉野川の支流であります飯尾川からの排水対策でございます。

 この飯尾川という川も、ずっと昔から、洪水というか、台風なり水が出るたびに問題になってきた川でございます。昨年も同じように水が出まして、付近一帯全部冠水するという大変なことになったわけでございます。

 余談でございますが、徳島の農業というのは大体冬野菜でもうけておるんですね。夏は水田をやるわけですが、それはもう土地の管理みたいなもので、実質的な農業収入というのは全部冬野菜でございます。あの一体はホウレンソウとかブロッコリーとかそういったものが主体になっておりますが、これもやはり植えた途端に水をかぶってしまって全部だめになりました。正月の野菜等に間に合わなくなってしまって大変なことになったわけでございます。

 あの川から吉野川に対する排水機場が一つもないんですね。大きな堤防に、樋門はあるわけですけれども、吉野川の水位が上がったときには全然水が外へ出ないというような状況になっております。そこで、ことしの予算で急遽調査費を見ていただいたわけでございますが、大変うれしく思っております。

 そのポンプ場をつくる調査費でございますが、これの今後の予定、いつごろ着工ができるのか、あるいは排水量、事業費はどのぐらいになるのか、そういった点についてお伺いしたいのですが、よろしくお願いします。

清治政府参考人 今お話のございました飯尾川でございますが、吉野川の右岸の、内水が非常に問題になっている地区でございます。非常に広大な面積がございますし、また、飯尾川自体の上下流の問題がございます。委員も御承知の加減堰のこともあるわけでございます。

 吉野川の本川に、その内水を途中で抜く排水機場、今一カ所ございますが、この排水機場のお話かと思います。

 飯尾川の中流といいますか加減堰の上流から抜くわけでありますが、現在、飯尾川の改修自体は、徳島県が河川管理者でありますけれども、広域基幹河川改修事業ということで取り組んでいるわけでございますが、この加減堰から下流の改修がまだ整備途上にございます。下流の河床掘削でありますとか橋梁のかけかえ、こういうものができないために上流側でよりはんらんしてしまうという状況になっておるわけでありまして、昨年の二十三号台風におきましても、家屋の浸水だけでも、床上浸水で三百十五戸、床下浸水で九百三十八戸という非常に大きい被害があったわけでございます。

 これらの状況を踏まえまして、国土交通省としましては、補正予算で予算を確保いたしまして、角の瀬排水機場でございますが、これについて増設をしようということで着手をいたしました。これは、全体計画が四十トンの非常に大きいポンプでございますが、暫定計画としまして十三トンという形になっております。これらにつきましては、吉野川全体が、今、内水問題が非常に重要な課題になってございますので、この角の瀬排水機場につきましては、早期に増量を図ってまいりたいというふうに計画をしてございます。

岡本(芳)分科員 具体的な着工予定年度は不明でございますか。

清治政府参考人 先ほど排水機場の話で、私が角の瀬排水機場について増設というお話をさせていただきましたが、これは新設ということでございましたので、訂正させていただきたいと思います。

 なお、この地区につきましては、平成十九年に徳島西環状道路の供用も予定されておりますので、流域内の開発ということも予想されますので、早期に暫定計画の十三トンまで完成に持っていきたいと思いますが、新年度には工事なりにかかっていけるような工程で進めていきたいと思います。

岡本(芳)分科員 大変ありがとうございます。よろしくお願いします。

 次に、東南海・南海地震対策でございますが、現地を見ますと、海岸堤防とか本川の河川堤防、こういったものは、かなり高さ的には立派なものができ上がっております。ところが、ちょっと裏口を見ると、どうも抜けておるんですね。この吉野川で見ましても、本川の堤防はかなりしっかりしているように見えます、河口付近ですね。ところが、その支川、昔は本川だったんですが、今切川の河口付近を見ますと、今切川は直接海に出ておりますが、それの堤防はかなり低くなっております。また、その支川の江湖川という川もありますが、これもまた低いわけでございます。

 そして、この今切川の河口堰というのは相当奥の方にあるんですね。したがって、それまでの間というのは、もし津波みたいなものが来たときには、裏口から入ってきて一帯が全部浸水してしまうというようなことが考えられるわけでございますが、こういった面について国土交通省としてはどういうふうに考えておられるのか、御意見をお伺いいたします。

清治政府参考人 委員冒頭に御指摘のように、東南海・南海地震の発生が危惧されているわけでございますが、お話のありました徳島県の河川、それから海岸もそうでございますが、それぞれ地震防災対策推進地域に指定されておりますので、早期に津波対策等に取り組まなければならないわけでございますが、現在、耐震改修とあわせまして、この高さの維持に努めているわけでございます。

 河川の高潮対策あるいは津波対策と、それから海岸の高潮対策、津波対策があるわけでございますが、河川の方につきましては、現在、耐震対策を平成七年度から着々と進めているところでありますが、補正予算におきましても、鳴門市の長江地先につきましてこの耐震対策を講じることにしております。今後は、津波の遡上に対する影響も検討しまして、引き続き耐震対策とあわせて実施をしてまいりたいという所存でございます。

 また、海岸堤防の方につきましては、高さはできているわけでございますが、耐震性に問題があるのではないかということであります。これにつきましても、調査をしっかり行いまして、海岸管理者であります徳島県の方がその対策に取り組んでいくというふうに聞いてございます。

岡本(芳)分科員 耐震性はいいんですが、先ほど申しましたように、今切川あたりの裏口入学、裏口から入ってくる分ですね、こういったものに対する考え方をお伺いしたいと思います。

清治政府参考人 河川の中につきましては、津波がどのように遡上していくのかということを、設定する津波という条件の違いもございますが、これらについて検討しまして、優先度の高いところから整備を進めてまいりたいと思います。

岡本(芳)分科員 よろしくお願いします。

 あと、最後に一つお願いしておきたいんですが、津波が起きた場合、一番重要なのは何かと申しますと、逃げることなんですね。それをとめようと思ってもなかなか無理なことは、先般のあの津波でわかったと思います。逃げるにしても、逃げる場所がないんですね、普通のところは。あるところはあるんですけれども、ないところが多い。そういう場所では、やはり海岸事業みたいな事業で避難所をつくるというようなことも今後考えていただきたいと思います。私、昔、海岸を担当していましたので、そういうのがないというのは知っているわけでございますが、やはり今急がれるのは逃げることでございますので、そういったことも今後ぜひ考えていただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

石井主査 これにて岡本芳郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井分科員 民主党の城井崇でございます。

 本日は、貴重な質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 この機会を利用いたしまして、本日は、これまでも国と地元自治体との共同作業で進めてきております北部九州の交通政策についてお伺いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、新北九州空港についてお伺いをいたします。

 この新北九州空港の整備促進について、特に地元からも要望が出ている点について順次質問をさせていただきます。

 まず、平成十七年度の開港に向けましての取り組みについてでございますが、事業費の状況を含めまして、現在の状況、そして今後の取り組みへの大臣の御決意をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 北九州空港につきましては、平成十七年度末の開港の方針でございます。

 この十七年度末に予定どおり開港ができるように、事業費の確保、また事業の実施につきまして引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。

城井分科員 予定どおりということで、大変力強い御決意をいただいたと思っております。ありがとうございます。

 御承知のように、この新北九州空港は、これから北部九州地域が、アジアとの都市間競争に勝ち残っていくためにどうしても欠かせない国際物流のインフラの一つでございます。今後も引き続き積極的な御支援をぜひよろしくお願いいたします。

 次に、東京国際空港、いわゆる羽田空港におけます発着枠についてお伺いをいたします。

 今後、航空輸送サービスの質やあるいは利用者にとっての利便性の向上を図っていくために、開港後の運用改善を常に図っていかなければなりません。地元自治体から見ましたときに、その取り組みの一つが、いかに東京国際空港との連携を図っていくかということであります。地元からも、羽田空港における発着枠の確保について強い要望があるのは御承知のことかと思います。

 この東京国際空港における発着枠の配分について、新規航空会社の参入時の対応もあわせまして、改めて現時点での国としての見解をお伺いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

    〔主査退席、中馬主査代理着席〕

岩崎政府参考人 羽田空港の発着枠でございますが、十五年の九月に見直しを行いました。現在三百八十七便、全体の枠がございますけれども、そのうち大手航空会社に三百二十便、新規の航空会社に六十七便配分をしております。

 ただ、新規の航空会社に配分される六十七便、新規の航空会社がすべて使っておるわけではございませんで、現在、新規の航空会社が使っているのはそのうちの三十九便でございます。この三月に、新規の航空会社、スカイマーク、エア・ドゥが、それぞれ四便ずつ使いたいという申し出がございますので、今年度末には三十九便プラス八便の四十七便が使われる予定になっております。したがいまして、あと残っているのは二十便でございます。

 なお、そのほかに、二十便の内数ではございますが、新規に参入する航空会社のためには六便、その二十便の中で留保するという措置をとっているところでございます。

城井分科員 ありがとうございます。

 御承知のように、今後、この新しい北九州空港におきましても、新規の航空会社の参入を予定し、今現在地元でも準備を進めております。

 各地域から多くの要望が上がっているということは承知をしているわけでございますけれども、ぜひ、この新しい取り組みにも御配慮いただきながら、今後の取り組みを進めていただければというふうに思っております。

 では、引き続きまして、この新しい北九州空港のいわゆる管制空港化の実現についてはいかがかという点についてお伺いしたいと思います。

 これから実現に向けて多くのハードルがあることは承知をしておりますけれども、この実現に向けて必要と考えられる条件というものは何か、この点も含めまして、現在の国のお考えをお伺いしたいと思っております。お願いいたします。

岩崎政府参考人 管制空港化でございますが、今の新北九州空港は、計器飛行で飛ぶ飛行機がおおむね年間三千機程度でございます。まだまだこのぐらいの便数ですと管制空港にする必要はないということで、まだ管制空港にはしておりません。

 新北九州空港でございますけれども、今、スターフライヤーという会社が新しく入ろうということでやっておられますけれども、その就航、最大を想定いたしましても、今の、現行の便と合わせまして約一万機強ぐらいのことでございます。運航時間にもよりますけれども、大体一万二、三千機を一つの目安にしておりまして、その機数の目安と実際の遅延状況等々を勘案しながら管制空港化をやっていくというのが現状でございます。

 したがいまして、来年、新北九州空港は開港いたしますけれども、開港当初に管制空港化する予定はございませんけれども、かなり一つの目安に近い数字にはなりつつありますので、その状況を見ながら管制空港化についても開港後検討していきたい、このように思っております。

城井分科員 ありがとうございます。

 一万二千から一万三千というのが目安だというお答えをいただいたと思っております。あともう少しというところでございますので、今後、地元としても、発着の便数の増加というところに取り組んでまいると思います。基準に達しました際には、できる限りの早急な対応ということで、今後、取り組みをぜひお願いしたいと思います。

 では、同様に、この新しい北九州空港の広域レーダー進入管制の導入についてはいかがでしょうか。

岩崎政府参考人 複数の空港を広域レーダーで進入管制をするというのが広域レーダー進入管制のシステムでございます。

 このあたりの空港としましては、新北九州空港、それから山口宇部空港、それから小月、防府の自衛隊の基地がございます。それらの空港を合わせましても、これも広域レーダーをやる一つの基準として持っております数字にまだ達するわけではございませんので、直ちに新北九州空港開港時に広域レーダーをやる予定はございませんけれども、今後の新北九州空港の運用状況を見ながら、それからもう一つ、この近くに築城という飛行場がございまして、自衛隊が進入管制をやっているところがございますので、それとの関連も見ながら、必要性等々について見守っていきたい、このように思っておるところでございます。

城井分科員 今お答えにもありましたけれども、今後の新北九州空港の運用状況、そして自衛隊の築城基地の状況を見ながらということでございましたけれども、もう少しだけ具体的な目安をいただくということは可能でしょうか。

岩崎政府参考人 数字で申しますと、広域レーダーをやりました一つが、道東広域といいまして、釧路、帯広等々の幾つかの空港を広域レーダーでやっております。これは年間三万五百機でございます。それから、今年度より東北広域というのが、秋田、青森、大館能代、このエリアでやっておりますけれども、これが二万一千七百でございます。

 新北九州空港が、最大、スターフライヤーが飛ぶ就航の想定をし、かつ、今の山口宇部空港、それから小月、防府、これを合わせますと一万八千前後でございますので、これもかなり近い数字にはなってきておりますけれども、まだ直ちに広域レーダーを導入しなきゃいけないというほどの数字ではない、このように認識しております。

城井分科員 ありがとうございます。

 これも、先ほどの管制空港化と同様に、ハードルの高さとしてはもう一息というところまで来ておるかと思います。ありがとうございます。

 それではもう一点、二十四時間化。この新しい北九州空港の二十四時間運用を視野に入れましたこの新北九州空港の運用時間の延長及びそれに伴います東京国際空港側の対応について、対応可能かどうかという点も含めまして、この点、いかがでしょうか。

岩崎政府参考人 現在の北九州空港の運用時間は十四時間でございます。

 私ども、管制官の人的配置の問題がありますとか等々ありまして、一定の時間までは延長はできますけれども、それ以上になりますと、さらに大幅な人員の増員がいるとか等々ございまして、十五時間というのを一つの目安にしております。したがいまして、十五時間までは新北九州空港の運用は可能だと思っておりますけれども、それを超えますと、繰り返しになりますけれども、大幅な人員増等々伴いますので、これは慎重にやっていかなきゃいけない、このように思っておるところでございます。

 なお、羽田国際空港につきましては、東京国際空港は二十四時間空港でございますので、そちらの方の対応は可能でございます。

城井分科員 ありがとうございます。非常に具体的な目安を多くいただいたと思っています。

 ここまでいただいたお答えの中から、今後、開港後の運営に力を尽くしていく上で、大変一定の目安をいただけたのではないかというふうに思います。ありがとうございます。

 では、続きまして、新北九州空港関連ですけれども、新北九州空港のアクセスについて、特に鉄道によるアクセスの推進についてお伺いをいたします。

 私は、現在増大をしております北部九州地域の航空需要に適切に対応していくためには、今ございます福岡空港、そして佐賀空港などと機能分担をしっかりと行う中で、新しい北九州空港が周辺地域の需要を確実に受けとめるということが必要だというふうに考えております。

 この需要の確実な受けとめというものを今後行っていくときに必要なことは何か。その一つが鉄道によるアクセスではないかというふうに考えるわけであります。時間どおりに着く、いわゆる定時性、そしてスピードがきちんと保たれる、高速性という面ですぐれ、そして導入効果が非常に高いと言われておりますこの新北九州空港アクセス鉄道構想の実現が地元においても強く望まれておるということは、私も耳にしておりますし、御承知のことかと思います。

 この推進に当たりまして、今後の国からの支援も含めました見解、現時点での見解で結構でございますので、お聞かせください。

梅田政府参考人 新北九州空港への鉄道のアクセスに関しましては、北九州市を中心といたしまして、新北九州空港アクセス鉄道整備検討委員会というものがございまして、これが平成十五年の七月に調査報告書を出しております。それによりますと、幾つかの検討したケースがございます。在来線を活用したりする方法でございますが、どこからつなぐか、あるいはどういう規格にするかというようなことで三つほどのケースがございます。そのいずれのケースも収支採算性は厳しいというような結論になっておりました。

 このため、平成十五年の九月に、福岡県が今度は中心になりまして、新北九州空港軌道系アクセス検討委員会というものができております。現在、アクセス鉄道の導入がどのような条件が整えば可能なのかについて検討しているやに聞いております。例えば需要面とか、あるいは資金の調達面、あるいは事業の手法面、そういうことで、十七年度までにその調査を取りまとめるということでございます。

 私どもといたしましては、このアクセスにつきまして、さまざまな問題、解決すべき課題があるというふうに理解しております。引き続き関係者の間において議論を深めていただきまして、その上で我々としても検討してまいりたいと考えております。

城井分科員 そういたしますと、今のお答えからすると、まずは、先ほど御指摘をいただきました北九州市を中心とした検討、そして現在行われております福岡県を中心といたしました検討委員会での結果を待って、国としての検討に入るということの理解でよろしいんでしょうか。

梅田政府参考人 鉄道アクセスといいますのは、当然のことでございますが、空港の需要と密接に絡んでいるわけでございます。したがいまして、北九州空港が、今後どういう需要になっていくのか、どういうようないわば発展あるいは需要面での見込みが立つのか、そういうようなものが非常に重要でございます。

 先ほどちょっと御紹介いたしました北九州市の出しましたケースにおきまして、三つほどのケース、鉄道系の整備でかかるお金が、見積もられたものでございますが、大体六百億から約一千億かかっております。私ども聞いております空港本体の整備は約一千億と聞いておりますので、アクセスというのは非常に高価なものでございます。こういうものでございますので、本当に、全体としてこのアクセス鉄道を賄えるだけの需要とか収支採算性が立つのかというのがポイントでございます。

 そういう意味で、まずは地元でよく議論をしていただいた上で、その事業採算性等につきまして、ある一定の方向性を出していただく必要があろうかと私どもは考えております。そういうものを見ながら、私どもとして検討できるものについては検討していきたいというふうに考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 事業採算性という点ではかなりハードルが高いというのは私も承知しておるわけでございますけれども、空港の活用というところは、若干鶏と卵というところがあるのではないかと思っております。例えば、アクセスの便利さが伴えばそこは人が集うだろうしというところがその一方であるというところも真実であろうというふうに思いますので、引き続き、今後の地元での取り組み、ぜひ国としても注視をしていただきながら、可能な限りの御支援をお願いしたいと思っております。

 続いて質問をさせていただきます。この新北九州空港周辺の道路網整備後の見込みについてお伺いしたいと思います。

 開港時の新北九州空港周辺の道路網につきまして、現在も渋滞が続いております国道十号線、そして同バイパス、並びに新北九州空港開港時に苅田インターのところまで完成するというふうに説明を伺っております東九州自動車道を含めまして、現在までに国及び地方自治体によって計画をされております事業内容が予定どおり実施された場合、周辺の混雑、そして車の渋滞がどの程度緩和をされると見込んでおられるのか。割合でいうと何%の緩和となると見込んでいるのか。できましたらで結構でございますけれども、具体的な表現でお伺いしたいというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国道十号線で、交通量四万八千台、日交通量でございますが、渋滞が著しいということでございます。期待の大きい新空港のためにも、アクセス道路と今御指摘のございました東九州自動車道が直結するということで事業を進めさせていただいております。

 東九州自動車道の小倉―苅田間につきましては、平成十七年度の新北九州空港の開港に間に合わせるべく事業の進捗を図っております。また、アクセスでございます東九州自動車道苅田インターチェンジから新北九州空港へのアクセス道路につきましても、空港の開港に合わせるべく、福岡県及び北九州市が重点的に整備を促進しておるところでございます。

 渋滞の緩和の割合でございますが、現在国道十号線では、先ほどお話ししました四万八千台という交通量でございますので、年間渋滞損失時間は、この間でございますが、四百万人時間強ということになっております。来年度、今お話ししました東九州自動車道の小倉―苅田間、新北九州空港のアクセス道路が整備された場合には、年間でございますが、三百万人時間ということになりますので、この渋滞は約三割程度解消されると予想をしておるところでございます。

 いずれにしましても、今後とも周辺道路網の整備に引き続き努めてまいりたいと考えております。

    〔中馬主査代理退席、主査着席〕

城井分科員 ありがとうございます。

 先ほどの私からさせていただきました質問でもわかりますように、鉄道アクセスの実現というところがかなりハードルが高い状況にある中で、道路のアクセスというところがいかに利便性をもって確保されるかというところが非常に重要だと思っております。三割程度の渋滞の解消ということでございますけれども、また実際の状況を見ながら、問題があればまた御指摘をさせていただきたいというふうに思います。今後とも一層の積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 以上の点を踏まえながら、今後もぜひ新北九州空港の活用に向けまして一層の御支援、改めてお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。

 次に、北九州港、いわゆる北九州の港におけます港湾施設の保安対策についてお伺いをいたします。

 平成十六年七月に発効いたしましたいわゆるSOLAS条約に対応した港湾施設の保安対策を万全に実施をしていくために、現在、北九州港としても懸命に取り組んでいただいております。しかし、この港湾区域は、ほかの港湾に比べましても非常に広く、そして外貿埠頭が全域にわたって立地をしていることから、保安対策の実施に当たりましては、ほかの港と比べましても、多額の費用が必要となり、財政上の負担が特に大きくなっております。この港湾施設の警備、監視に必要な経費に対する国による財政措置の拡充が必要だと考えますが、見解をお聞かせください。

鬼頭政府参考人 お尋ねのございましたSOLAS条約に対応いたしました港湾の保安対策についてでございますが、御案内のように、この条約、国際海上運送システムの信頼性あるいは安全性の確保を目的としたものでございますが、我が国に出入りする外国貿易貨物の九九・七%が港湾を経由するという状況にかんがみましても、我が国の経済の発展あるいは豊かな国民生活の維持向上にとって大変重要なことであるというふうに私どもも認識をしております。

 このため、港湾管理者が行いますフェンスあるいは監視カメラ等の埠頭保安設備の設置に対しましては、国としても一定の助成を実施しているところでございます。さらに、御指摘のございました警備あるいは監視などの保安措置を実施するための人件費等の港湾管理者、地方公共団体が要する経費につきましては、平成十六年度から普通交付税の基準財政需要額に算入することによる財源措置を講じているところでございます。

 今後さらに、保安性の向上と物流の効率化が両立をし得るような、ITも活用した出入り管理システムの構築などによりまして、港湾の保安対策に対する経費について、より低減が図れるよう努めてまいりたい、かように考えているところでございます。

城井分科員 ありがとうございます。現状認識はよくわかりました。

 その上でということになりますけれども、平成十六年から始まっておるということでございますが、現在の算定のルール、その算定のルールの陰で見落としている部分がないか、現場の声もぜひ耳を傾けていただきながら、今後も不断の見直しを行っていただきたいということをお願いを申し上げます。

 次に移らせていただきます。

 次に、九州運輸局について、特に九州運輸局の海事部門の福岡市への移転計画についてお伺いをいたします。

 九州運輸局の庁舎の統合にかかわります九州運輸局の海事部門の福岡市への移転計画が、平成十四年一月に九州運輸局から地元自治体に提示されたと聞いております。行財政改革そのものの必要性は私も賛成をするところでございますけれども、それも、本来果たすべき必要な機能、そして役割を担保してこそ意義あるものになるというふうに確信をいたしております。

 空港、港湾などの運輸基盤の整備や海運関連事業者の集積状況からわかりますように、北九州市は、今後一層、海運、そして陸運のかなめとしての役割を果たそうというふうにしております。そんな北九州市にこそ、運輸行政をつかさどります九州運輸局の企画立案部門の立地が必要だというふうに私は考えます。北九州市や海運関連企業などの今後のスムーズな運輸事業推進を応援していくためにも、移転計画についていま一度お考え直しをいただきたいというふうに思うわけですけれども、見解をお聞かせください。

矢部政府参考人 ただいま九州運輸局海事部門の移転についてのお尋ねがございました。

 九州運輸局の庁舎は、現在、主に陸運を所管している部門が福岡市に、そして海運を所管している部門が北九州市に分かれております。そのため、国土交通省といたしましては、平成十八年に予定されております福岡市の新合同庁舎完成にあわせまして、行政効率化の観点から、北九州市に所在します庁舎を福岡市内に移転することとしております。

 一方、先生御指摘がございましたように、北九州市からは、海事関連機関や企業が同市内に多く立地しておりまして、地域振興にも寄与していることもございますので、これを踏まえた移転計画とするように要望を受けております。

 私どもといたしましては、北九州市の要望も十分お聞きをしながら、今後、行政サービスが低下しないよう十分配慮して対応してまいりたいと考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 今、最後に言及をされましたけれども、まさに行政サービスの低下という点、非常に重要かと思っております。特に、御承知のように、これまで響のコンテナターミナルを含めましてこれだけの集積を図ってくる中で、逆に時代を逆行するような方向になっているというふうに受け取られかねないような改革というふうになっておることが、今地元でも言われております。ぜひこの点は肝にしっかりと銘じていただきながら、今後の取り組みを進めていただきたいと思います。

 最後に一点、バス路線の対策についてお伺いをいたしたいと思います。

 国の乗り合いバスの赤字などに対する補助制度、これが平成の十三年度から広域的路線や幹線的路線に限られて実施をされていると承知をいたしておりますけれども、多くの生活路線がその結果取り残されることになっています。私の選挙区でもございます北九州市におきましても、平成十五年四月から、西鉄バス路線が廃止された三つの地区におきまして、タクシー事業者などがジャンボタクシーやあるいはマイクロバスなどを代替交通として運行を行っておりますけれども、このような不採算路線の廃止はますますふえていくということが予想されます。

 広域的路線や幹線的路線以外のそのほかの路線について、市民の生活交通手段を確保するため、国と地方の共同によるバス路線維持対策の充実が必要だというふうに考えますけれども、現時点での見解をお聞かせいただきたいと思います。

金澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘の、生活交通路線の確保につきましての平成十三年の見直しは、平成十二年に道路運送法が改正されまして、それまで需給調整規制というものが前提となっておりましたことから、内部補助が制度的に担保されておりました、それを廃止したことから、新しい仕組みをつくるということが必要になったわけでございまして、そうした観点から見直しを行いまして、国は、広域的、幹線的な路線を主に維持する、地方は、それ以外の路線、あるいは委員も御指摘になったジャンボタクシーなどによる廃止代替輸送手段の確保、こうしたことを担当するという役割分担が行われたのでございます。

 しかし、私ども国土交通省といたしましては、地域住民の日常生活の足でございます地方バス路線の確保というのは、少子高齢化が進む中、大変重要な課題というふうに認識してございます。したがって、この観点から、総務省とも調整いたしまして、国の補助制度と地方財政措置を組み合わせて、できる限り支援措置を行うこととしたものでございます。

 具体的には、国の地方バス補助予算は、補助制度の改正後、非常に厳しいシーリング等のもとで、毎年七十二億ないし七十三億円程度の予算額を確保してまいりました。また、地方財政措置につきましても、事業費ベースで、平成十三年度の委員御指摘の見直しの後、七百億円程度であったものを、平成十七年度にはこれを七百五十億にまで拡充されるということなど、トータルとしては充実した支援制度を設けてきておるものでございます。

 国土交通省といたしましては、今後とも、このような国と地方の役割分担のもとで、都道府県や市町村の皆様と連携しつつ、地域が必要とする生活交通の確保に引き続き努めてまいりたい、このように考えております。

城井分科員 ありがとうございます。

 先ほど御指摘にもありましたように、三年余りがたちます中で、現在、地方でもかなりの努力をしていただいておるというふうに私は思っております。しかし、実際、現実に目を向けてみますと、地方、特に都道府県の審議会などで、地方の取り組みの調整、そして改善を行っていくにいたしましても、扱われておりますのはごく一部の路線、特に土地カンのないような路線を扱うことが多いというのが現状でございます。

 先ほどもシーリングの御指摘がありましたが、財政上の制約など、厳しい状況も重々承知をしておるわけでございますが、常に地域の現状に目を向けていただきまして、長寿化そして環境対策の一環として、裏づけを持って、各市町村の段階で、地域の足としてのバスの改善を行える、そういった体制をぜひ持っていただきますようにお願いをしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

石井主査 これにて城井崇君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)分科員 民主党の田島一成でございます。

 きょうは、国土交通省の所管の分科会、三十分のお時間をいただき、大臣以下、関係の皆さんに質問をさせていただきますので、明快な答弁をぜひともよろしくお願い申し上げます。

 今回質問をさせていただく内容、これは、都市再生街区基本調査事業に関してであります。

 事の発端は、昨年の十月でありましたが、ある測量関係の会社を経営されている方からのメールでありました。その内容というのは、今回の国土調査事業の重要性を考えて、余りにも進捗が進んでいないという背景から、全額国費で街区都市再生事業なるものを立ち上げて、昨年度百二億円の予算が計上された。その背景での、発注業務の問題点の指摘でありました。私も、この指摘をいただいてから、国交省、そして都市再生機構から資料を取り寄せるなど、調べさせていただいたわけであります。

 冒頭、この国土調査事業の内容ですけれども、申し上げるまでもなく、都市部の地籍調査を推進するための基礎的データを整備していくという都市再生街区基本調査であり、平成十六年度では約百二億円の事業の予算が計上されているものであります。国交省からちょうだいしておりましたこのパンフレット、「都市再生街区基本調査」、それと平成十六年度の都市再生街区の基本調査の予算執行の状況、この資料をいただいたんですけれども、残念ながら、これを拝見する限りではなかなかしっくりと理解をできない、実はそんな状況にございました。

 この事業の予算の内訳を見ますと、国土交通省が当初八億円でしたけれども、補正予算で減額されまして六億七千五百万円、そして国土地理院が五十九億九千六百万円、そして都市再生機構が三十三億八千九百万円という内訳でありました。

 ここでお尋ねしていきたいんですけれども、地籍調査とか街区の基本調査といった内容は、本来、国土地理院の仕事ではないのかなというふうに思っていたのですけれども、なぜ都市再生機構へ請負業務として三十四億円の予算が計上されたのか。業務内容を見ても、どこがどう違うのか、違いがないように思えるわけであります。国土地理院がすべて執行してもおかしくない、そんなふうに感じたんですけれども、できましたら、この業務の内容をわかりやすく御説明いただけないでしょうか。

小神政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員の方から、都市再生街区基本調査についてのお尋ねがございました。この都市再生街区基本調査は、委員も御指摘ありましたように、地籍調査、これは市町村が実施主体でございますけれども、都市部の地籍調査が非常におくれているということを踏まえまして、都市部の地籍調査を推進するために、前段階として、国において基礎データの整備をしようということで、本年度から三カ年間で実施することにいたしております。全国のDID、人口集中地区でございますけれども、これが一万二千平方キロあります。これを対象にいたしまして実施いたします。

 この内容についてのお尋ねでございますけれども、街区、町のブロックでございますけれども、街区の官民境界に関する資料、道路台帳ですとか、登記簿にくっついております公図ですとか、こういったものの収集と現地踏査、それから、測量のための基準点を整備する街区の現況測量、それに、公図を数値化、電子化するという内容になっております。こういった作業を経て成果を取りまとめて、全体としてデータベース化しようという内容でございます。

 また、実施主体についてのお尋ねもありました。必要な作業、測量については、御指摘のように、国土地理院と独立行政法人の都市再生機構が実施しております。この役割分担といたしましては、都市再生機構が街区の官民境界に関する資料の収集と現地踏査、それから三大都市圏におきます街区の角の測量を行います。国土地理院につきましては、街区の位置を測量するための基準となる点の測量と、三大都市圏以外における街区の角の測量ということで、両者で役割分担を行っております。

 また、特に都市再生機構について、なぜこの業務を行っているのかというお尋ねでございますけれども、この調査につきましては、今申し上げましたように、地籍調査の前段階の調査でございますので、当然のことながら、地方公共団体などと十分な調整を図る必要があります。また、現地におきまして実際に街区の状況を測量いたしますので、地域住民の方々等への十分な対応も必要になってまいります。そういたしますと、地方公共団体との連携体制あるいは信頼関係が相当程度構築されておりますし、また、都市部におきます市街地整備事業の豊富な実績もありまして、地元との調整も円滑に行っていただけるだろうということで、都市再生機構にもこの一翼を担っていただくということにいたしたものでございます。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 でも、最後の御説明を聞いていますと、随分取ってつけたような理由にしか私には聞こえてまいりません。地域住民との関係であるとか、調整を図りやすい、そういうようなことを理由にされるのであるならば、本当にこの都市再生機構がふさわしいという理由になるのかどうか、私は非常に疑問を感じるんですね。

 どうしてもうがった見方をしてしまうとおしかりをいただくかもしれませんけれども、都市再生機構がまずありきの中で、何かこの事業を予算化されてしまった、そんなふうに思うように私は感じるんですけれども、そもそも、都市再生機構がこの事業にかかわらなければならないという根拠は何なんでしょう。もう一度御説明をいただけないでしょうか。

小神政府参考人 今、都市再生機構について、もう少し具体的にという趣旨であろうかと思います。

 先ほども申し上げましたように、地籍調査の前段階の調査で、特に地方公共団体との密接な意見交換を行う必要がありますし、現に都市再生機構におきましては、市区町単位で連絡会議等々も持ちながら都市再生街区基本調査に取り組んでおります。

 そうしたときに、これまで三大都市圏の方におきましては都市再生機構が担当しているわけでございますけれども、三大都市圏において、特に、今申し上げましたように、都市再生機構におきましては市区町とこれまで非常に密接に連携体制をとりながら事業を進めておりますので、都市再生機構で都市再生街区基本調査も行っていただくことがより円滑に、特に三年間でやらなければならないものですから、スピーディーに地方公共団体との連携もとらなければいけませんので、そういった意味合いから、都市再生機構がふさわしいというふうに判断したものでございます。

田島(一)分科員 三年間というのは、本来を言うならば、もっと早くからやっておかなきゃいけない問題だったわけですね。見方を変えれば、結局、時間切れを前提に、大手のところしかできないような、そんな仕組みをつくられたように私には思えてなりません。

 例えば、昨年十月下旬の時点で、実は国土地理院から街区基本調査の受注結果の一覧、それと都市再生機構から都市再生街区基本調査に係る基礎資料の収集その他入札結果の一覧表というのを資料としてちょうだいいたしました。一体どういう会社がこの事業にかかわっているのかという内容であります。

 この資料をいただいた時点で見ますと、いわゆる測量業界の中でも大手または準大手と言われている数社が入札に応募されて受注をされている。とりわけ受注状況というのを見ますと、都市再生機構が東日本支社、中部支社、西日本支社そして九州支社、四つの支社に分けてそれぞれ発注をされているわけですから、大手の測量会社がそれぞれの支社に対して入札落札をやっているので、四つすべての支社が発注している業務を請け負っている、そんな落札業者も見受けられます。

 このことをわかりやすく言えば、これだけの予算規模の入札業務をやはり大手が相当占めているというふうに受け取れるわけであります。結局、都市再生機構が設定をした、有資格技術職員の数であるとか、いろいろな条件が非常にハードルが高くなり、三年間というお話も先ほどされましたけれども、地域の測量業務に当たっている業者の入札というものが非常に困難になり、実際ふたをあけてみれば、大手が全体の約四割を落札しているということが結果として出てきたわけであります。

 この今回の事業、恐らく地域の中小の測量会社は、公共事業の一端としてかなり地域の活性化につながっていくだろう、地元の企業を使っていただけるだろうと期待されていたというふうに思うんですけれども、残念ながら大手が占めた、大手がこの調査業務を持っていってしまったというような、そんな失望から、先ほど冒頭で申し上げたメールのようなものが私たちのところにも来たような結果ではなかったかというふうに思います。

 もう一度、この実績を踏まえていただくと、やはりもっともっと細分化をさせることも可能だったというふうにも思いますし、こうしたハードルを高くして、結局は大手に集中するような仕組みをつくってしまったという結果、これを踏まえて、なぜ、地域の企業が入札等に参加できる、そんな配慮ができなかったのか、その辺の評価等も踏まえてお答えをいただけないでしょうか。

小神政府参考人 まず基本的なことを私の方から申し上げまして、後に都市再生機構の方から具体的に御答弁いただきたいと思います。

 今先生の御指摘がありましたように、都市再生機構において大手が四割ということで、地理院に比べて大分違うんじゃないかという趣旨の御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、都市再生機構におきましては資料収集業務それから街区点測量、これをお願いしております。地理院の方におきましては街区基準点の測量と街区点測量ということでございますけれども、資料収集業務につきましては県単位でまとめて調べる必要がありますものですから、今先生御指摘いただきましたように、四割を大手の業者が落札しているということでございますけれども、地理院で同じく担っております街区点測量につきましては、これは都市再生機構におきましても八割が中小業者が落札をいたしておりまして、それほど地理院と都市再生機構において大きな差はないというふうに認識をしております。

 したがいまして、業務の違いがそういった大手、中小の方の落札比率の差にあらわれたというふうに理解をいたしております。

田中参考人 都市再生機構の業務についてお答えいたします。

 都市再生機構としましては、都市再生街区基本調査のうち、一つは基礎資料収集等の業務それから二つ目が街区点測量業務という二つの大きな仕事を請け負っております。

 一番目の基礎資料収集等業務につきましては、まず機構本体が関係者と協議、調整を行いまして、それを踏まえまして、調査対象となります三百二十四市区町の自治体と、関係する都道府県あるいは地方整備局等から土地の境界とか現況に関する基礎資料を収集、整理する、そしてこれらの資料の電子化を行う、そういう業務でございます。また、二番目の街区点測量業務につきましては、一番で申し上げました、その整理されました資料をもとに街区の角を測量する業務でございまして、機構は三大都市圏を対象として二十六市区で実施をしてございます。

 基礎資料収集等業務の業者選定でございますが、広範な専門知識が必要である、あるいは一定エリアを対象として複数工程を同時並行的に実施するということがございますので、技術者数等に一定の条件をつけまして公募を行ったところでございます。

 一方、街区点測量業務の業者選定に当たりましては、通常の測量業務でありますから、あるいは対象地域の地勢に通じていることが有利であるということから、対象工区が存する都道府県内に本店、支店、営業所等を有することを参加希望の条件としまして、業者指名に当たりましても、対象都道府県に本店を有する者を優先するなどして地元の業者の受注機会の確保に一定の配慮を行ったところでございます。

 その結果、先ほど局長から話がありましたが、基礎資料収集等業務につきましては受注業者の約四三%、街区点測量業務につきましては八〇%が中小業者の受注という結果になっております。

 以上でございます。

田島(一)分科員 まことしやかなデータを今ちょっとお示しいただきました。

 実際に今回この入札で設けられた制限の中の一つに有資格技術職員、これはたしか三十名以上という数字だったと思いますが、それは間違いありませんね。もううなずいてくださったら結構です。

田中参考人 今、三十名以上とおっしゃいましたのは、基礎資料収集業務につきましての要件でございまして、街区点測量の方は六名でございます。

田島(一)分科員 済みません、私の方が言葉足らずでした。

 その基礎資料収集の段階で、実際に有資格技術職員三十名が必要だということで今確認をさせていただいたわけですけれども、この三十人という有資格者、これを実際に業務に従事させる人ということで人件費をもし会社が計上したとしたならば、結局、周辺の応札者にとってみると、設計所の人件費を積み上げて諸経費として計上しなければなりません。そうなると結果的には落札者は赤字になってしまうということから、パートであるとかアルバイトで対応しなければならない、しないと無理ではないかというような矛盾点も出てきていたかと思うんです。

 そのあたりの問題を指摘する、三十人の業務従事者がいわゆる資格技術職員として確保できない問題点として、今回のこの入札に、はなから中小を相手にしないというような姿勢に受けとめられてきた背景があるかというふうに思うんですけれども、そのあたりについてどのように振り返っていらっしゃるか、教えてください。

田中参考人 三十人の有資格者につきましては、資格の確認をしておりますので、今おっしゃいましたようなアルバイトとかそういうものではないというふうに考えます。

 それから、先ほど申し上げましたように、基礎資料収集等の業務は大変複雑でございます。幾つか申し上げますが、まず、非常に膨大な資料を扱うことになります。全国の都道府県それから三百二十四の市区町、地方整備局、法務局、国土地理院、そういうところから得られます膨大な資料の収集をしまして、その資料の適合性を判断いたしまして成果品として電子処理をして格納する作業でございます。

 こうした資料の適合性を判断するに当たりましては、道路事業や区画整理事業、そういう事業に精通するとともに、国土調査法や不動産登記法等の土地境界に関する法律についても十分な知識と理解が必要でございます。

 二番目に、現地踏査、公図と現況重ね図の作成、それから測量指示図の作成といった業務がございます。

 三番目に、それらの業務が複数工程でありますが、これを同時並行的にする必要がございます。非常に多岐にわたる作業を同時並行的にやる、多岐にわたるといいますのは、先ほど申し上げた資料の収集、現地踏査、それから公図と現況図の重ね図の作成、それから測量指示図の作成、これを同時並行的にやるということから、一定の技術員の確保が必要である、そうしなければ、機動力が発揮できないということでございまして、そういう要件を設けさせていただきました。

 以上でございます。

田島(一)分科員 もっともな御答弁も一部確かにありました。

 しかし、やはり私が申し上げたいのは、今回の三年間という非常に限られた時間の中で、おっしゃるような理由を踏襲しようと思えば、ほとんどがこうして大手に集中してしまったという結果は否めない事実として受けとめていただいていると思います。もう少しもっと早くからこの事業に取り組むべきではなかったか、そんな反省も持ちながら、結局は、この受注した大手の下請、また孫請という形で地域の測量業者がかかわっている、そんな事実も一定以上把握をしていただいていることと思います。こうした構造の上下関係というものを、本来、できる限りなくしていこうとするのが民間活力の導入であり、できるだけその地域の経済に反映をさせていこうという部分も担っているのではないかというふうに思うわけであります。

 もちろん、おっしゃったように、非常に膨大な資料の取扱業務であるとか、数多くの業務内容、それから同時並行的にやらなければならないというような理由をおっしゃってくださいましたけれども、当然、中には各地域での協同組合等々で組織をされた、そういったところも受けていらっしゃるわけでありますが、より地域住民との密接な関係を深めていただくためには、こういった地域でのネットワークづくり等々にも本来国交省としては力を注いでいくことが並行的に行われてもよかったんじゃないかな、そんなふうに思ったりもするわけです。実際に入札結果の中で、こうした各都道府県単位でつくられている社団法人格、もしくは法人格を持たない協同組合等々においても、ごくわずか、四つほどしか上がってきておりません。

 こうした現状をちょっとお考えいただくと、どのような問題点があるというふうにお考えですか。

小神政府参考人 地籍調査、これは非常に重要な事業だと思っておりまして、これがなかなか都市部で思うように進んでいないという背景を踏まえてこの都市再生街区基本調査を実施するということにしているわけでございます。

 その中で、繰り返しになりますけれども、三カ年間という中で、限られた時間の中でやっていかなければならないわけでございますけれども、一方で、先生も御指摘のように、測量業者は中小業者が非常に多いものですから、業者の方々の方からもこの都市再生街区基本調査に対するいろいろな思いというのを私どももお聞きをしております。

 そうした中で、調査をお願いしております都市再生機構においても、先生の御指摘から見ると不十分だという御指摘でございますけれども、一定程度の配慮はしておるというふうに我々は認識しておりますけれども、そういった御指摘を踏まえて、また都市再生機構あるいは地理院ともいろいろと相談してまいりたいと考えております。

田島(一)分科員 今もお話しいただいた都市再生機構、今では独立行政法人として独立採算制を求められているわけであります。ですから、基本的に営利を求めていっても当然おかしくない組織であるわけですけれども、今回のこの事業を通して国交省の方から業務を請け負った予算すべてが入札、落札に使われている、こんなことはまずあり得ないとは思います。

 具体的に都市再生機構に相応の利益というものが上がっているんだというふうに思いますが、再生機構の今回の都市再生街区の基本調査に係る基礎資料収集その他の業務において、収支といいますか見積もりといいますか、そんなものを契約の段階で国交省と都市再生機構との間で交わしているのではないかというふうに思います。こんなことは社会の常識ですけれども、この事業において純粋に調査にかかる費用、それと都市再生機構の利益となる金額、大まかにお教えいただけませんでしょうか。

田中参考人 機構が請け負いました金額は、約三十四億円、先生が先ほどおっしゃいましたとおりでございます。それから、民間業者への業務発注が、基礎資料収集等が約十三億六千万でございます。街区点測量業務が約八億八千万でございます。残りの十一億五千万が機構の経費となっております。先生は利益とおっしゃいましたが、私どもの経費がかかっておりますので、利益というふうに認識はしておりません。

田島(一)分科員 利益ではなく経費だ、その御指摘は、当然機構としては訂正をきちっとしておかなければならないんだろうというふうに思います。

 しかし、この十一億円という金額は、本当に機構から見るとたかだか知れた経費かもしれない。本当ならば、もっと経費として確保していかなければならない、そんな立場にあるんだと思います。しかし、見方によっては、機構を通さなければ、十一億円安くこの事業が展開できたのではないかなというような、そんな見方が私どもはできてしまうわけであります。ただでさえ、このところの社会保険庁であるとか自治体の事業等にいろいろな不祥事がまつわったり、また非常識な姿勢というものが随分国民から厳しい目で見られてくる、そんな時代となってきております。

 こうした外郭団体、独立行政法人のあり方についても、小泉総理初め、今メスを入れていこう、スリムにしていこう、そんなお取り組みをしていただいているというふうに思うんですけれども、今回指摘をさせていただいた都市再生街区の基本調査などはごく一部でありまして、決してこれだけがすべてではないというふうにも私どもも思っております。しかし、何のために、まただれのためにこうした機構が存在しているのか、とりわけこの関係業者等からも疑問に持たれてしまうようなことがあっては、これはやはりきちっとした説明責任並びに透明な情報公開というものがなされていないのではないか、そんな反省に立たなければならないように私は思います。

 公共事業というならば、日本の北から南まで都市を再生していこうという、非常に壮大な事業でありますから、当然どんぶり勘定であってはなりませんし、特定の一部の大企業だけがもうけるような、そんな事業であってはならないというふうにも私は思います。経費だけをとやかく言うものではありませんけれども、やはりこうした詳しい収支並びに事業内容というものを今まで以上に公開をしていく必要があろうかというふうに思います。

 国交省としても、これからの事業の実施に当たって、できる限り、というよりも、もう最大限丁寧な情報公開、それと国民に対しての説明責任というものを果たしていかなければならないというふうに考えるんですが、最後に、大臣、どのようにお考えでしょうか。

北側国務大臣 限られた予算しかない中で必要な事業はいっぱいあるわけでございますけれども、優先順位をつけて事業を実施していかないといけないわけでございまして、貴重な国民の税金を使うわけでございますから、当然その公共事業の透明性というものは確保をされねばならない、非常に大切なことだというふうに思っております。

 平成十三年度から実施されております入札契約適正化法という法律がございまして、その法律に基づきまして、工事発注前に必要な情報は公表をしているところでございます。

 具体的には、四半期ごとに工事の名称、場所、工事の概要等について情報公開を行っているところでございます。また、個々の入札に際しましても、事前には工事内容等を示し、積算基準を公表するとともに、落札者決定後には、入札金額などの入札の過程とともに、積算内訳の公表も行っているところでございます。

 今後とも、国交省が発注する公共工事につきまして、事前、事後に必要な情報の公表を行うとともに、さらに透明性の向上に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

田島(一)分科員 では、最後にぜひお願いをしておきます。

 今回の都市再生機構、当然、独立行政法人ということでありますが、多くの国交省のOBの方々がいらっしゃるというふうに聞いております。今日、こうした天下りというキーワードで随分な批判を受けていらっしゃる、そのことは非常に片腹痛いであろうというふうにも私も思いますが、ただ、今回のこの事業ででも、三十四億円のうち十一億円、三分の一が経費として、本来の業務ではない都市再生機構の方に流れているという事実、これは本当に適当な数字なのかどうか等々も、まだまだ私どももこれは調べる必要があろうかなというふうにも思います。

 こうした時代だからこそ、国交省に関する独立行政法人等々のいわゆる内容の透明性等を今まで以上に図っていただきますようにぜひともお願いを申し上げて、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石井主査 これにて田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)分科員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 委員長、大臣、そして政府参考人、大変長時間御苦労さまでございますが、地域の再生にかかわる問題につきまして質問を進めさせていただきます。私の地元は栃木県でございますので、その例も引きながらお話をさせていただきたいと思っております。

 まず、地域の再生。

 日本は、ちょうど今、人口減少、急速な高齢化ということで、地域の再生が大変重大なテーマでございますけれども、私は、一番重要なポイントは、急速に発展する東アジアのダイナミズムをいかに日本の地域が直接取り込むかというところにかかっていると思っております。

 そういった中で、このビジット・ジャパン・キャンペーンは、大変時宜を得た計画であり、国土交通省が今全力を挙げて進めておられますので、これは非常に高く評価をしているところであります。例えば、特に東アジアが大きなターゲットだと思いますけれども、中国の例をとっても、二〇〇四年に二千万人が海外に旅行している、また、世界観光機構の予測によりますと、二〇二〇年には何と年間一億三千万人が海外に出るというわけでありまして、この一部なりとも日本に引っ張ってくれば大変な活性化になることは間違いないと思っております。ぜひ、そういった意味で、このビジット・ジャパン・キャンペーン、強力に進めていただきたいということでございます。

 実は、私ども地元栃木県におきましても、十六年度、国土交通省の御支援をいただきまして、中国からの誘客をターゲットにした栃木観光ルネッサンスフォーラムというのを立ち上げまして、地方連携事業として進めております。昨年九月には、中国全人代の常務副委員長を団長に三十人の代表団を呼び、また、十月には、市民を集めて百七十人のキャラバン隊を北京、敦煌に派遣しまして、大々的に観光宣伝をやってまいりました。

 その結果が既に出始めておりまして、この一月三十一日には、県にとっては中国から最初の修学旅行生、北京市から三十二名やってまいりましたし、また、二月の十一日、ちょうど春節に当たりますけれども、北京と天津、それから広東省、三つの地域合同で八十四名の観光客が参ったわけでございまして、着実に成果が上がっておることをまずは御報告したいと思っておりまして、この機会に国土交通省の御支援に心から感謝を申し上げます。

 そんなことで、やっと誘客のめどがつきまして、これから、一週間に一グループ、三十名、四十名程度の中国人観光客が必ず来るというめどがつきまして、多分、今後一年間に千五百人から二千人ぐらいは呼べるだろうと。この流れが一たんできてしまえば、母集団が極めて大きいものですから、間違いなく大きく発展することが期待できるわけでありまして、今後とも引き続き御支援をお願いしたいと思っております。

 そういった中で、ビジット・ジャパン・キャンペーン、全国で展開をされておりますけれども、多分、そのプロジェクトは玉石混交ではないかというふうに私は実は見ております。中には、イベントをやっただけでそのまま終わり、誘客につながっていないケースも多々見受けられる。あるいはまた、せっかく現地語の広報パンフレットをつくっても、エージェントにうずたかく積まれたまま国民の目に接しないようなケースも間々あるわけでありまして、これから予算を活用して有効なキャンペーンを進めるためには、ぜひとも、今まで行った事業を、特に費用対効果を精査していただいて、どのように具体的誘客に結びついているかとしっかりと精査し評価をした上で、いいものはさらに進め、悪いものは切っていく、そういう措置が必要だと思っております。

 そういう点で、次なるビジット・ジャパン・キャンペーンの施策を効果的に進めるためにも、ぜひともそういった視点で取り組みが必要かと思っておりますけれども、この点につきまして、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 これは、VJCだけではなくてすべての事業において、きちんと当初予定したような効果が出されているのかどうか、そこをきちんと検証することは本当に大切なことであるというふうに思っております。

 このVJCにつきましても事業評価はやっておりまして、例えば、事前の企画、マーケティングが適切かどうかだとか、それから、当初計画したとおりの成果が出ているのかどうかだとか、それから、最終的な外客数増加や日本に対する意識の変化につながったかどうかだとか、また、そもそも国がやる必要があったのかどうかだとか、こうした評価を総合的にさせていただきまして、それぞれ評価を具体的に、AランクからDランクまでランクづけもさせていただいているところでございます。

 今後とも、効果の高い事業への重点化をしっかりと図ってまいりたいと思っておるところでございます。

遠藤(乙)分科員 ぜひともその方向でお進めをいただきたいと思っておりますし、できればそういった評価は公表していただくのがむしろ効果があるんじゃないかと思っておりますので、ぜひともその点、お願いしたいと思っております。

 それから、やってみて、このビジット・ジャパン・キャンペーン、具体的に誘客に結びつけるポイントは二つあると私は実感しております。

 一つは、やはり広報活動ですね。日本の場合には、例えば中国なんかにおいては、まだ地方のことがよく知られておりません。東京や京都、北海道あるいは富士山とかディズニーランド等は有名でありますけれども、ほかの地域はほとんど知られていないというのが実情であります。そういった意味で、まずはそういった地方の広報宣伝が極めて重要なポイントだと思います。それも、特に映像を使った、テレビとかあるいはインターネットを使って映像でやっていくことは極めて重要、効果的と思います。

 もう一つは、その上で、具体的な仕事に有機的に結びつくセールスプロモーションですね。相手国のエージェントに乗り込んでいって、具体的な商品を説明し売り込んでいく、そういうセールスプロモーションが極めて重要であると思っております。

 今後のビジット・ジャパン・キャンペーンの施策の中では、ぜひともこの広報活動とそれからセールスプロモーション活動をさらに強力に支援するということが必要だと思いますけれども、これにつきまして、政府の見解をお聞きします。

鷲頭政府参考人 先生御指摘のとおり、私どもも同じラインで考えておりまして、やはりメディアを使って、映像を中心にと先生おっしゃられましたが、そういうPRをするということと、それから、相手国の旅行会社に対するプロモーションとか、あるいは旅行博に出展するとか、そのような形でやる、その二つが非常に有効だと思っております。

 それで、やり方としましては、先ほど先生もおっしゃられましたとおり、観光地としてまだ全然知られていないというところについては、例えば東北地方みたいに、割と、九州とか京都なんかに比べますと観光地としての認知度が低いというところにつきましては、積極的にメディアを活用して相手国政府に発信をするということをしておりますし、例えば、韓国からもたくさん来ておられる九州などでは、今度、旅行商品を多様化していくということが多分効果があるということでございますので、そのためには、海外の旅行会社を招請したり、韓国に乗り込んでいってプロモーション活動をしたり、こういうようなことで、日本の地域地域に応じて適切な対応をしていきたいと思っておりまして、自治体とか地方の観光協会などともよく相談しながら、柔軟に施策を展開してまいりたいと考えております。

遠藤(乙)分科員 ぜひその方向を進めていただければと思っております。

 もう一点、このVJキャンペーンを進めるに当たって、国によっても状況が随分違います。また、同じ国でも地域によって随分状況が違いますので、やはり一律の基準でやることは適切ではないだろうと思っておりまして、ぜひとも、しっかりマーケティングをやった上で、国別あるいは地域別のきめ細かな施策を、国土交通省としても、奨励しまた支援する施策をぜひ進めていただきたいと思いますけれども、これにつきましてもお答えをいただきたいと思います。

鷲頭政府参考人 ビジット・ジャパン・キャンペーン事業、二年目、三年目とだんだん年を重ねていきますと、御指摘のとおり、きめ細かな各国ごとのマーケティングというのをやっていかないといけないというふうに考えております。

 当面私どもが今考えておりますのは、基本的に、揺籃期の市場と言っておりますが、先ほども申し上げましたとおり、まだ日本が観光地として余り認識されていない中国とか米国、欧州につきましては、まず、観光地としていいところがあるんですよという意味での認知度向上をするとともに、来るお客さんは、基本的には、まず団体ツアーといったような、基本的なところを見ていただくというような旅行商品の充実に特化をしていきたいと思っておりますし、既に成熟期の市場となっております韓国とか香港、台湾につきましては、東京とか大阪だけではなくて、もっともっと地方への誘客を促進したり、ツアーの中身もいろいろな種類を多様化するとか、あるいはリピーターを確保するためにどうしたらいいかといったようなことを考えていくことだろう、こう思っております。

 具体的には、中国とか欧米につきましては、日本の伝統、文化、自然の広告宣伝とか、東京、京都を初めとする代表的観光地の紹介といったようなモデルコース的な旅行商品の造成支援ということに力を置いていきたいと思いますし、韓国、台湾、香港につきましては、幅広い観光資源の紹介と、温泉、ゴルフ、スキーといったような個人旅行商品を中心にリピーターを獲得するという点も含めて、多様な商品造成を中心に取り組むというふうにしております。

 今後とも、先生の御指摘もございますので、きめ細かな分析をしながら、適切なビジット・ジャパン・キャンペーンを展開していきたいと考えております。

遠藤(乙)分科員 ぜひ、きめ細かな施策をより高度化して進めていただければと思っております。

 続いて、北関東自動車道につきましてお聞きいたしたいと思います。

 北関東自動車道路は、現在まだ建設中でございますが、茨城県、栃木県、群馬県を横断してこの三県を結び、さらには太平洋岸と日本海側を結ぶ、日本列島を横断する極めて壮大な、また極めて重大な計画でございます。全長百五十キロの計画のうちまだ六十五キロぐらいしかできておりませんけれども、早急に完成が待たれるところでございます。

 特に、この場合は、採算性も非常に見通しがいいということと、それから何よりも、これが全線開通した場合には地域への活性化効果がはかり知れないほど高いということが言えるかと思っておりまして、地域からも大変期待を集めております。特に、常磐道、東北道、関越道、それから上越道、これを結びつけるわけでございまして、横の連携が極めてよくなるし、北関東地域の交通の最大の大動脈というふうにも考えられるわけでございます。

 特に常陸那珂港とも結びつくことは、いろいろな意味で流通面でのメリットもあるわけであります。ある業者さんから聞いたところでは、中国から宇都宮市に輸入をする場合、いわゆるコンテナ一個、これが上海から横浜まで、二日間、四万円で来る。ところが、横浜から宇都宮まで、何と一週間、十万円かかるということだそうでございまして、こういったことは極めて国際競争力をそいでいるということが言えるわけです。

 これが実際完成して、常陸那珂港から結ばれ、また日本海にも結ばれますと、時間的、それから費用的コストが大幅に下がって、全体的な国際競争力を大幅に改善する非常に重要な条件になります。したがって、さまざまな流通業、観光業あるいはハイテク産業等にとっても大変重大な環境整備になるわけでありまして、早期の完成が待たれるわけでございます。

 そういった意味で、ぜひとも、この北関東道路の早期完成、できれば一日も早い前倒しの完成をお願いしたいと思っておりますけれども、改めまして、北側大臣から、この現状と見通しにつきまして抱負をお聞かせいただければと思います。

北側国務大臣 道路は、特に首都圏でいいますと、どうしても東京への道路、これはもう早くから整備をされてきているわけですね。こういう放射線の、東京から地方へ、地方から東京へ、これは整備されているんですが、一方で、その横の、環状道路といいますか、そういうのは非常に整備がおくれておる。しかし、そこをしっかり整備していくことは、例えば首都圏の機能というものを本当に効率的に発揮をしていくためにも私は極めて重要であるというふうに思っております。

 この北関東自動車道につきましても、そういう意味で、今も委員の方から御指摘がございましたが、物流の効率化に資する路線であると考えておりますし、また、この北関東地域では、工業団地の誘致などさまざまな開発プロジェクトがございます。こうしたプロジェクトを強力に支援するという意味もございます。

 さらに、先ほど申し上げましたように、放射状の関越道、東北道等々と連結をしてネットワークを完成するという意味もございますし、さらには、これは、上信越自動車道、中部横断自動車道と一体となって、東京から百キロから百五十キロ圏の関東の大環状道路を形成する路線の要素にもなってくるわけでございまして、非常に私は優先順位の高い道路であると認識をしておるところでございます。

 今委員の御指摘にございましたように、早く供用ができますように、しっかり取り組みをさせていただきたいと思っております。

遠藤(乙)分科員 大臣から大変深い認識とまた心強い決意表明をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。一日も早く全面供用ができるよう、よろしくひとつお願いをしたいと思います。

 続いて、LRTの件につきましてお聞きをいたします。いわゆるライトレールトランジットというものですけれども、これは世界、特にヨーロッパ等で非常に今定着しつつあります。

 今、日本の人口が減少し、急速に高齢化が進み、中心市街地が衰退し、あるいはまた、いろいろな環境負荷が非常に大きくなっている中で、私は、このLRTのシステムの導入は、今後の日本の二十一世紀型のまちづくりのシステムとして不可欠なものだろうというふうに認識をいたしております。環境負荷の面、歩いて暮らせる町をつくる、また、本当に親しみやすいユニバーサルデザインの、そういった市民の足として、さまざまな意味でこれは重要なポイントだと思っております。

 ただ、やはり採算性の点で、なかなかこれはどの国でも独立採算をしているということはありませんし、非常に公的な負担が大きい。あるいはまた、市民の理解が十分でない面もまだ日本の場合には見られるわけでありますが、ぜひとも、しっかりと国民の議論を踏まえながら、また、認識をしっかりと定着させながら、早くこのLRTシステムの導入を進めていくことが、私は、日本のこれからの社会のシステムとしても重要な施策であると思っております。

 その意味で、国土交通省としても、このLRT導入につきましては非常に前向きであるというふうに理解をしておりまして、また、最近は、非常に優秀な人々によるプロジェクトチームを立ち上げたというふうにも伺っておりますが、国土交通省としてのこのLRT導入に向けての施策について、ぜひ御説明をいただければと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 次世代型路面電車でございますLRTは、都市内交通の円滑化に寄与するとともに、交通弱者に優しく、エネルギー効率にすぐれた公共交通機関でございますが、加えて、今先生御指摘のとおり、まちづくりの観点から見ましても、中心市街地の活性化でございますとか、環境と共生した持続可能な都市づくり、こういうものを進める重要な都市の装置として位置づけて、その普及を促進していく必要があると考えております。

 今御指摘のとおり、LRTの整備に当たりましては、初期投資、維持管理費など、採算性、コストの問題がございますし、また、地域住民を初めとした関係主体間の合意形成等が課題となっているところでございます。

 このため、これまでもさまざまな助成措置等を通じて支援してまいりましたが、さらなる整備促進を図るため、国土交通省では、平成十七年度から新たに、地方公共団体、LRT事業者等で構成する協議会が策定したLRT整備計画に基づくLRTの整備に対して、関係部局の補助制度を同時に採択するLRT総合整備事業を創設し、また、その一環として、低床式車両等に対する補助を拡充したLRTシステム整備費補助金の創設をこのたびの政府予算案に盛り込んでいるところでございまして、今後とも、これらの支援制度等を活用して総合的な支援を図ってまいりたいと思います。

遠藤(乙)分科員 国土交通省の非常に前向きな姿勢を私は高く評価いたしております。

 ただ、現実的に、これを日本の各地域で導入していくのにはまだまだ時間がかかるし、住民の間でそういった共通のコンセンサスをつくることが非常に大事だと思っておりますが、その上に、特に採算性、これがやはり何といっても大きな障害になるんだろうと思っております。現実的に、LRTだけで独立採算をすることは世界じゅうでも例がありませんし、どの国もかなり大幅な公的補助をしている。なぜ公的補助をしなきゃいけないか、そこら辺の説明というものは極めて重要であるかと思っております。そんな点も踏まえ、これから国土交通省のリーダーシップをぜひとも期待したいと思っております。

 そんな中で、私の地元であります宇都宮市も従前からLRT推進計画を検討してきております。宇都宮市の場合には、まだ過去において路面電車の経験がなかったわけでありますけれども、やはり急速な中心市街地の荒廃、あるいは自動車、モータリゼーションによる環境負荷の増大を踏まえまして、やはりLRTの必要性を認識して、今、市民の中でも徐々にそういった運動が高まりつつある状況にあります。従来も国土交通省が調査費を補助していただいた経緯があるわけでありますけれども、もう一度、二十一世紀の新しいまちづくりという視点から、ぜひともこれをさらに進めていきたいと地元では考えているところでございます。

 そういったことで、この宇都宮市のLRT計画につきまして、国土交通省はどのように認識をされ、また、今後どのように支援をしていただけるか、この辺につきまして国のお考えをお聞きしたいと思います。

竹歳政府参考人 宇都宮市は栃木県の県都でございまして、業務、商業の中心都市として非常に重要な役割を担っているわけでございますが、軌道系の交通機関が整備されていないということで、慢性的な交通渋滞を初めとするさまざまな課題を抱えております。このため、交通渋滞の緩和、環境に優しいコンパクトなまちづくり、さらに中心市街地活性化の観点から、LRTの新設計画が栃木県、宇都宮市において検討されているところでございます。先ほど先生御指摘のとおり、国土交通省としても調査費の補助を行うなど支援を行ってきているところでございます。

 県、市から具体的な事業化の要望はまだ来ておりませんが、今後地元において事業化の方向で検討がまとまれば、積極的に対応してまいりたいと思います。

 また、先ほど、コストの問題、公費の援助をもっとすべきだというお話がございました。一般会計のみならず、やはり道路特別会計からも支援をしまして、これがきちっと、市民の足として、また、まちづくりの観点から推進されるように、我々努力してまいりたいと思います。

遠藤(乙)分科員 非常に力強いお言葉をいただきまして、感謝をしたいと思います。ぜひとも、地元でもしっかりと考え方をまとめて、改めてまた国に支援をお願いしたいと思っておりますので、その際はひとつよろしくお願いを申し上げます。

 続いて、最後のテーマになりますが、水害対策の件ですね。

 栃木県には川もたくさんありますけれども、那珂川というのがございます。これは、栃木県それから茨城県にかかる大きな川でございまして、非常にさまざまな魚が生息し、美しい川であって、そういった意味では自然環境の上からも非常に重要なものでございますけれども、蛇行が非常にきつくて、そのために、豪雨となるとたびたびはんらんを起こして大きな被害を生じさせております。過去にも何度かそういった被害があり、栃木県だけではなくて茨城県の方でも、水戸の近辺等も大変な被害に遭ったことがありまして、かつて激甚災害の指定を受けたこともあるわけでございます。

 そんなことで、特に昨今、地球温暖化の影響でしょうか、非常に集中豪雨等が来ることが多くなりまして、そのたびに住民から不安の声が非常に寄せられておりまして、那珂川の水害対策はどうなっているんだ、どういう計画でいるんだということを、住民の人々から、各地からそういった不安の声が非常に寄せられております。

 国土交通省としましても、平成九年の河川法の改正によりまして、今後特に水害対策を計画的に、総合的に取り組むという視点から、基本計画と整備計画の策定が義務づけられているわけでありますが、那珂川の場合、非常におくれているんではないか。また、全国的にもそういった基本方針と整備計画の策定がおくれているという声があちこちから聞かれるわけでありまして、今、災害に強い国づくりというのが、大きな国民的、また国の課題になっておるわけでありますから、ぜひとも、これにつきまして一段の力を入れてスピードアップをお願いしたいということでございます。

 まず、この那珂川の件に限ってで結構でございますけれども、この整備方針、整備計画の策定についてどうなっているのか、どのようなスケジュールで進めるのか、国側から御説明を得たいと思います。

清治政府参考人 那珂川についてのお尋ねでございますが、今お話ございましたように、激特事業、昭和六十一年に採択されまして、主に水戸の方でございますが、改修をしております。また、平成十年八月、記憶に新しいところでございますが、那須の方で大変な集中豪雨がありまして、大災害があったわけでございます。これに対しまして、災害復旧助成事業でありますとか、復緊事業と我々呼んでいるような事業を組み合わせまして、上流の方につきましてはかなり改修が進んだところでございますが、御指摘のように、中流あるいは下流の方でまだ改修が進んでいない状況にございます。そういうようなことを踏まえまして、最近の豪雨の傾向も踏まえまして、現在、基本方針の見直し作業を行っているところでございます。

 現在持っております工事実施基本計画でございますが、百分の一の計画でございまして、基本高水のピーク流量が八千五百トン、野口という地点でございます。計画高水流量が六千六百トンということで、千九百トンにつきましてはダムあるいは遊水地等で調節をするということになっているわけでありますが、現在、このダムの事業につきまして、ダムがどの程度きくのかということでありますとか、それから、現地にどのような影響があるのか、また、事業を実施する地点について妥当かどうか、こういうようなことを検討しておりまして、主にダムの関係の見直しが懸案になっているわけでございます。

 現在、下流の方では、橋のかけかえ、それも、JRの水郡線だとか、それから国道六号の水府橋、こういう大きい事業にかかっているわけでありますが、中流域におきましては、無堤部の解消、それから遊水地の整備、こういうこともあわせて進めておりますが、計画との整合性という意味では、基本方針を早期に定めまして整備計画の策定にかかっていかなければならないというふうに考えております。

遠藤(乙)分科員 計画の策定、一生懸命やっていることは理解をしますが、現地の住民の人から見ると、何も方向性が見えない、一体これはどういう方針で、どういうことをやって水害を抑えようとしているのか、それが全く見えないというのが現地の不安のもとになっているわけですね。したがって、ちょっと行政側の、一生懸命努力はしていると思いますけれども、そのやり方と現地住民とは大きなギャップがある。

 特に、説明責任、行政の説明責任という点でこれは不備があるんではないかと私は思っておりまして、せっかく努力をしているのであれば、節目節目に住民に対して、多分全体的にはこういうことになるけれども、まだ検討中だけれども、このように進めていきたい、このように大体考えていますという中間的な説明をむしろきめ細かくやった方が、これはやはり住民の不安感を取り除く上で大事かと思うわけですね。

 そういった意味で、今後、そういった整備方針、また整備計画の策定をスピードアップするとともに、節目節目に、あるいは住民の側から要望があれば、きちっと親切な説明責任を果たすということも非常に重要かと思いますけれども、この点につきましてお考えをお聞きしたいと思います。

清治政府参考人 整備計画をつくるに当たりまして、地域住民の方々の御意見をお伺いすることは非常に重要だと思っておりますので、今実施中の工事につきましても、年度年度その事業の内容等について説明を申し上げましてその都度御意見等を賜るような場がございますが、なお、全体の計画がどうなっているのか、どういう方向に行くのかということにつきましては、説明責任を果たすことが重要だと思っておりますので、節目節目にそのような努力をしてまいりたいと思います。

遠藤(乙)分科員 今のお言葉を非常に私は評価します。ぜひ実行していただきたいということで、もし現地でそういった要望があれば、またしかるべく事務所にもつないでいきたいと思っておりますので、その際はよろしくひとつ対応をお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

石井主査 これにて遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。奥村展三君。

奥村分科員 奥村展三でございます。

 予算委員会のこの第八分科会で質問させていただける、光栄に存じているところであります。

 まず、第二名神の道路に着手をいただいて進めていただいておりますが、私の地元にも相当恩恵をこうむるところでございますので、この進捗についてまずお聞かせをいただきたいというように思います。

 谷口道路局長さんは近畿地建の局長もなされておりましたから、よく御存じのところであります。ちょうど名神高速道路ができましてことしで四十年、昭和四十年の七月に全線が開通をしたわけでありますが、産業あるいは文化、経済に大きな貢献をしてもらった道路でもあります。そうした流れの中に、日本の経済の急速な進展があったわけであります。当初の予期しないところで、交通量も増大をしてきているわけであります。

 思い起こせば、ちょうどオリンピックの年に新幹線もでき上がったわけですが、当時は河野一郎建設大臣でありました。我々はまだ高校生でありましたけれども、時の一声、ツルの一声で、一日も早く間に合わせ、道路を開通しろと、栗東―尼崎間を開通してもらったのが名神高速道路でありますが、そういうことも思い出しているわけです。本当に利便的にも、関西の経済圏にとりましても非常によかったと思いますし、その後、中部圏とのいろいろな経済の交流もできてきたわけであります。

 皆さんも御承知のとおり、現在の名神は、彦根から、北陸自動車道との接点、そして大垣の方に、岐阜の方に行っているわけなんですが、今も雪が非常に多いところ、新幹線もそうですが、名神高速道路も雪の多いところであります。去年だけでも一年間で千六百二十五回ですか、延べにして時間で二千六百九十一時間渋滞が発生をいたしております、これは吹田―関ケ原間なんですけれども。考えてみますと、時間的あるいは経済的な損失というのは相当なものがあるわけであります。

 こうした流れの中に、第二名神をお考えいただいて今着手をいただいているわけでありますけれども、やはり東名、第二東名との連係を密にしながら、人の交流や物の交流、流れというものに対して非常に、これは当然大動脈となるわけでありますから、一日も早い完成をみんなが願っているところでもあります。

 特に、最近地震が頻繁に起こっているわけなんですけれども、こうした災害時のときのいろいろな危機管理の観点からも、こうした道路網の整備というものが必要になってくると思いますし、名神とのダブルネットワークでこれが重要な幹線道路になっていくというように思います。医療の問題にもこうした問題が当然影響もしてきますし、高度の医療サービスにもつながっていくというようにも思います。ですから、ぜひこの早期実現ということで、みんなが期待をいたしております。

 大臣も関西、大阪の御出身でございますからよく御存じなんですけれども、滋賀県の経済、いろいろなものを考えますと、人の流れというとやはり京都、大阪、全部西へ向いて流れているわけですね。しかし今度、この第二名神をおつくりいただいて完成しますと、中部圏との交流が非常に密接になってきます。

 今はもう退任されておりますが、前三重県知事の北川先生、私は県議会当時からいろいろと御指導を仰いだんですが、知事の時代によく言われたことは、もっと滋賀県は東へ顔を向けよ、西ばかり見るんやないぞ、もっと東の方に、中部圏の方にも、その先には関東圏があるわけですが、もっと滋賀県は東へ顔を向けるべきだというようなアドバイスをいつもいただいておったんですが、なるほどそうだなというような思いをしています。

 後ほどいろいろ名阪についての連絡道のお話もお聞かせいただくわけなんですが、今度、中部国際空港ができました。おかげで、私が住んでおります、滋賀県の南部なんですが、関空へ行くよりも中部国際へ行った方が早いんですよね、大臣の地元の方へ行くよりも。相当、一時間半以上かかるんです、関空へ私のところから行きますと。今度の中部国際空港ですと一時間余りで行けるという、非常に利便的によくなったなというような思いもしておるんですが、そうした流れを考えまして、第二名神の進捗状況についてお聞かせをいただきたいというように思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、名神高速道路が我が国の高速道路として一等最初に供用して、四十年が経過しました。そういう意味では、御紹介ございましたように、大都市圏の著しい交通渋滞というようなものも生じているというようなことでございます。

 そういったことで、第二名神高速道路につきましては、名古屋市と神戸市を起終点とする全体延長百七十四キロメートルの高速自動車国道として計画がなされているわけでございます。中部圏、近畿圏を結ぶのみならず、第二東名と一体となって日本の三大都市圏を相互に結ぶ、文字どおり人の交流と物流を支える大動脈と認識をしておるところでございます。

 また、雪の紹介がございました。幸いに第二名神は、現在の関ケ原峠でなくて亀山を経由して大津に至るというようなことになっているわけでございまして、雪のみならず、そういった広い意味の危機管理、リダンダンシーを考えて、代替機能を果たす上でも重要な路線であるかと思います。

 また、中部国際空港のお話がございましたが、二月十七日にオープンになりまして、幸いに順調なスタートということでございます。先ほどお話しさせていただきましたけれども、近畿圏のみならず中部圏と一体となってというようなことでございまして、第二という名前がついておりますが、実際には、国土開発幹線自動車道では第二という言葉は、経過地も違って使っておらないということでございますが、近畿圏のみならず、我が国として考えた場合に、新しい世紀になって五年が経過しておるわけでございますが、文字どおり、新しい世紀にふさわしいような新しい近畿圏、中部圏、ひいては国土の新しい軸というような期待も大きいものであると認識をしておるところでございます。

 全体百七十四キロメートルございますが、供用をしておりますのは、飛島インターチェンジから四日市ジャンクション間十九キロメートルが供用しているということでございます。

 委員の御地元の滋賀県内区間として、鋭意事業を推進させていただいておりますが、亀山ジャンクション―大津間につきましては、四十一キロメートルございますが、用地買収がおおむね完了し、工事を全面展開させていただいておるところでございます。

 大津―城陽間二十五キロメートル、京都府に至る区間でございますが、これは、平成十五年十二月末の政府・与党申し合わせにおきまして抜本的見直し区間となっておりまして、将来の道路ネットワークや交通流動の観点からの路線の必要性の検討や、構造、規格の見直しによるコスト削減等の検討を鋭意実施させていただいているところでございます。

 また、名神高速道路と第二名神高速道路を結ぶ大津連絡路の草津ジャンクション―草津田上間につきましては、名神高速道路の追加インターチェンジとして、来月になりますが、本年の三月の十九日に供用させていただくということで、地域の出入り口、振興拠点が新たに一つ追加されるということではないかと思います。

 いずれにしましても、冒頭お話しさせていただきました認識のもとに、第二名神高速道につきましては、引き続き、地元の御理解と御協力をいただきながら、鋭意事業を推進してまいる所存でございます。

奥村分科員 ありがとうございます。

 後段にお述べをいただいた大津―城陽間、一昨年ですか、いろいろ議論があって、一応見直しというようなことになったようであります。私もちょうど去年の今時分は国土交通委員会の理事をさせてもらっておりまして、いよいよ高速道路等の道路公団の民営化のスタートをしたようなときであって、いろいろ議論をさせてもらったんですが、しかしやはり、必要なものは着実にどんどんと進めてもらわなければなりません。不要といいますかむだな高速道路はつくらないという基本であったわけでありますが、インフラ整備の根幹というのは特に私は道路だというように思いますので、今お答えをいただきましたように、着実に、一日も早く計画どおりお進めをいただくようにお願いを申し上げたいというように思います。

 それともう一つは、特に今お述べをいただいた流れの中に、四日市から亀山を越えて土山へ行くんですが、菰野から亀山の区間がまだ施行命令が出ていない現状なんですが、このことについてはどのようにお考えでしょうか。

谷口政府参考人 先ほどお話しさせていただきましたけれども、第二名神はつながって大きな効果を発揮する、つながらないと効果が半減以下だというようなことだと思います。

 抜本見直しの御紹介もさせていただきましたが、全体の整備の必要性につきましては、抜本見直し区間ともども、あわせて一体的に検討を進めさせていただいておりますので、今しばらく時間をいただきたいと思っております。

奥村分科員 全線つながらないと、これは道路としての機能はありませんので、その点はひとつよろしくお願いをいたしたいというように思います。

 第二名神が貫通いたしますと、いろいろ経済的にも、先ほど申されましたように大きくよくなっていくと思いますし、昨年、道路公団民営化の公聴会を滋賀で開いていただきました。そのときに公述人からお話がありましたのは、第二東名あるいは第二名神、この延長線上には、日本の経済の東アジアとの交流、物流というものが見えてくる、だから、ぜひこれは一日も早く完成をしていただきたいし、大津―城陽間を一時ストップするというような話があるんだけれども、これでは日本の経済が停滞をしてしまう、ぜひこれは計画どおり大津―城陽間もつないでほしいと、公述人がそのとき大きな声で言われておったことを今思い出しました。ぜひ、そういうこともまた、行く先お考えをいただきたいというように思います。

 それでは続きまして、地元のことばかりで申しわけないんですが、特に私が住まいをいたしておりますところは、家の前は旧東海道、あるいは北側は国道一号が通っているわけなんですが、いろいろ今日まで、国交省初め、以前の建設省も御努力をいただきまして、平成十三年の四月には、局長さんも御存じのとおり、ネックになっておりました横田橋の交差点改良をしていただきました。私は、平成七年に参議院にならせていただいて、一番お願いをしたのはこの横田橋の交差点改良であったわけであります。

 当時、補正予算で十二億円の予算をつけていただいて、調査をいただいて、それからお進めをいただいて、今立派に、交差点改良で多少の渋滞は緩和をしたように思っておりますが、御存じのとおり、従来の国道一号線が現在も二車線でございます。朝夕、私のところから普通でいきますと十五分ぐらいで栗東のインターにたどり着くんですが、朝の七時半から九時ごろまででございますと時間をはかれない、四十分かかるかもわからない、わずか十二キロのところが一時間かかるかもわからない、そういう状態が現在も続いているわけであります。一部バイパス供用をしていただいておりますが、まだそれだけの緩和には至っておらないわけでございます。

 そういうようなことを考えますと、国道一号バイパス、地域高規格道路の栗東―水口間一、二及び東の国道一号の水口道路の二工区について、促進そして関連についてちょっとお伺いをいたしたいというように思います。

 私どもは、甲賀郡というのは、忍者のふるさとでありますが、七つの町から甲賀郡を形成いたしておりましたけれども、その後いろいろな動きがありまして、昨年の十月一日に、湖南市と甲賀市ということで五町と二町が分かれてしまいました。ある意味では、ちょっと残念な思いをしているんですけれども、甲賀は一つというもので、いろいろな行政や生活等々、経済も一緒につくられてきたわけですけれども、しかし平成の大合併によって、いろいろな皆さんのお考えのもとにこういう形になったわけであります。

 考えてみますと、湖南市の方にも工業団地がありますし、甲賀市の方にもたくさん工業団地があります。甲賀市の工業の総出荷額、一昨年で見ますと約五千億あるわけです。そして、私の住まいをしております湖南市の方も、工業の出荷額で約四千六百億あるというような、国道一号やいろいろな現在の名神なんかの活用によって経済も非常に潤ってまいりましたし、日本で初めて、昭和四十年に、これも名神の開通と同じころでございますけれども、内陸の工業団地、湖南工業団地というものがそこに造成をいただき、今約六十社の企業がそこでそれぞれの事業を推し進めていただいているわけであります。

 そうした、経済的にも潤っているところでありますが、今申し上げましたように、国道一号が非常に狭隘で、どうしても渋滞が起こるということで、大変な皆さんの叫びが聞こえてくるような思いをしているわけでありますが、実は、私も県会議員をさせていただいておりました平成元年の四月に都市計画決定をして進めてきていただきましたし、また平成七年には用地買収に着手等々、かかっていただいてきたわけであります。

 そういう歴史の流れの中でいろいろ御苦労をいただいたわけでありますけれども、特に国道一号というのは、お江戸日本橋から、大臣がお住みになっています水の都大阪までをつないでいるわけであります。約七百二十キロと言われておりますけれども、昔の東海道五十三次よりも大阪まで延びてこの一号があるわけなんですけれども、考えてみますと、本当によくぞあの狭隘な二車線で、今なお交通頻繁に日々送っているわけなんですけれども、確かに事故数も非常に多いわけです。所轄の警察の方にもお願いをして、信号機を連動式にしてもらったり交差点に大きな水銀灯をつけてもらったり、いろいろなことをして事故撲滅のために努力してきたんですけれども、やはり今も追突事故だとか正面衝突、二、三日前もあったんですが、非常に事故が多いところであります。

 それと、国道一号がそうして込むものですから、局長さんも御承知のとおり、伊賀草津線という主要地方道があるんですけれども、そちらの方へ全部流れていくわけですね。そうすると、小学生あるいは中学生、高校生が朝通学のときに本当に危なくて、危険度が増して、保護者の皆さん方も常にそういうことを要望なされてきたわけなんですが、もう少しすればバイパスができますからということで、我々もそういうことを叫んできたわけなんです。

 まず、この国道一号バイパスについて、現在どのように推し進めていただいているのか、お聞かせをいただきたいというように思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、東海道のお話がございましたが、東海道の時代は人が往来する街道でございました。名神高速道路ができて四十年という御紹介もございましたが、我が国の産業、経済、国民生活のライフスタイルが非常に変化してきているということでございます。大阪に近いということで、人口の伸びも近畿の中で非常に高い地域だ、そういうようなもろもろが重なって、天下の国道一号の交通渋滞が残念ながら著しい、早期整備ということであろうかと思います。

 お尋ねの水口道路、栗東水口道路につきましては、地域高規格道路甲賀湖南道路の一部を構成する、国道一号の整備事業と位置づけをさせていただいております。

 地域高規格道路甲賀湖南道路は、名神高速道路などと連絡し、滋賀県の湖南地域の幹線道路ネットワークを形成する、甲賀市から栗東に至る延長三十キロメートルの地域高規格道路でございます。このうち、延長約二十キロメートルにつきましては、平成十年十二月に整備区間に位置づけさせていただいておりまして、事業を推進させていただいているところでございます。

 この整備区間のうち、水口道路につきましては、延長十一キロメートルの四車線の道路ということになっているわけでございますが、これまでに、甲賀市の土山町から水口町までの延長五・七キロメートルを完成四車線で供用、また水口町から湖南市岩根までの朝国交差点を含む延長一・七キロメートルにつきましては、暫定二車線という形で供用させていただいております。

 残る現道拡幅区間につきましては、現在、平成十九年度を目標にしまして、四車線化の工事を完了すべく、用地買収及び工事を推進させていただいているところでございます。

 もう一つの栗東水口道路につきましては、湖南市から栗東に至る側道を有する、地域高規格道路のフル規格というような形になっておりますが、延長十一・二キロメートルの四車線の道路でございます。このうち、湖南市から栗東市に至る延長四・三キロメートルを一期、湖南市内の延長六・九キロメートルにつきましては二期として、それぞれ平成元年度、平成十二年度から事業着手しているところでございます。

 現在、コスト縮減、早期整備効果発現のために、当面、側道を活用したネットワーク形成を図りたいということで、それぞれ平成十九年度の側道の部分供用という形で、全体が九・九キロメートルになるわけでございますが、用地買収、工事を推進させていただいております。

 この水口道路の関連事業としまして、県道等の関連も整備をさせていただいておりまして、既に主要地方道の彦根八日市甲西線につきましては平成十年度に、滋賀県の事業でございますが、補助事業として事業着手されておるところでございまして、昨年の九月に既に供用をさせていただいているところでございます。

 そのほか、主要地方道の野洲甲西線また竜王石部線につきましても、この側道供用にあわせて、それぞれ県の補助事業、単独事業として事業を進めていただいているところでございまして、地域の方々の、用地買収を初めとしてのいろいろな御理解と御協力をいただきながら、できるだけ早い供用に向けて事業を推進してまいりたいと考えております。

奥村分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、地域住民の皆さんの願いでもあります、特にこの国道一号バイパス、朝国から菩提寺、正福寺を通過しての道路でありますが、野洲川右岸、長年の懸案のバイパスでありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 最後でございますが、これも地域高規格道路の名神名阪連絡道路についてお伺いをいたしたいというように思います。

 これは実は、平成七年に私が参議院に当選させてもらったときに、当時の伊賀町長さんそして甲賀町長さん、土山町長さんがおいでになりまして、この連絡道路をつくりたいんだがということで、いろいろとお世話になって、平成十年の六月に指定をいただきました。当時私は、伊賀と甲賀ですから忍者街道ですなというようなことで言いまして、当時の建設省に陳情いたしましたときに、忍者道路です、忍者街道をつくってくださいというようなことを言いまして、ユニークな名前だなというようなことで当時の建設省の幹部の方々も覚えていただいて、十年に御指定をいただいたわけであります。

 実は現在、名阪と一号線までの工事をしていただいておりますが、それより北の方面、要するに現在の名神とをつなぐ道路なんですが、これは、滋賀県がびわこ空港をつくろうということで進めてまいったわけですが、びわこ空港の連絡道路として、南紀あるいは伊賀、そして甲賀と北陸とをつないでいく、名神とつなぐということで、びわこ空港に付随した道路を計画いたしたわけであります。

 御案内のとおり、びわこ空港については知事は、立ちどまってもう一度検討すると言われておりますので、ちょっとこれは難しいと思いますが、既存のそうした流れの中に名神と名阪をつないでいただく、そして、先ほどいろいろお述べいただきました第二名神とのそういう連係も出てくるわけであります。これは、先ほども申し上げましたように、三重県の南紀、伊賀、甲賀そして東近江、こういう一つの連係、縦軸の連係になって、大きな道路網として今後につながっていくというように思います。

 こういう道路があるわけなんですけれども、特に、現在の名神、蒲生町に、当時びわこ空港をつくるというときに、インターをぜひ滋賀県として設置をするという願いがありまして、蒲生町木村地域に、用地は既に地元の蒲生町が買収をいただきまして、確保をいただいているわけであります。

 そういうことを考えますと、私はやはり、この道路は、北陸自動車道あるいは伊勢自動車道、日本海から太平洋までというような南北軸を形成するわけでありますから、こういうことに今後も大きく力を注いでいただきたいというように思いますが、このインター、あるいはまた名神と名阪との連絡道路についてのお考えを進めていただいているわけでありますけれども、この早期ルートあるいはまた調査推進についてお伺いをいたしたいというように思います。

谷口政府参考人 委員の方から、名神名阪連絡道路の経緯等詳細にお話がございましたが、そのとおりで私も承知をしておるところでございます。

 この連絡道路は、滋賀県の蒲生町から三重県の伊賀市に至る延長約三十キロメートルの地域高規格道路の計画路線でございます。今お話のございましたように、東西交通は盛んでございますが、南北は少し道路が不足しているということで、この沿線地域の地域振興、これからの活性化という意味でも重要かと思っております。また、名神、第二名神、名阪とつなぐというようなネットワークの観点からも重要だと認識をしております。

 この路線につきましては、平成十三年度までに逐次、地域高規格道路の調査区間として指定をさせていただいております。

 現在、本道路につきましては、学識経験者、三重県、滋賀県に入っていただいて検討会を設置させていただいておりまして、投資効果を踏まえた路線のサービスレベルのあり方、また広域幹線道路、南北国土軸としての機能、整備効果などについて基礎的な検討を実施してきていただいているところでございます。

 今後は、これらを踏まえ、構造やおおむねのルートについて検討を進めてまいりたいと考えております。

奥村分科員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので終えさせていただきますが、ぜひ早期実現をお願いいたしたいというように思います。

 北側大臣、そしてまた蓮実副大臣におかれましても、インフラ整備の中で、やはり道路というのは大変重要なことであります。公共事業不要論もありますけれども、私はやはり、大事に残していかなければならないもの、あるいは改革をしてカットしていかなければならないもの、しっかりそこを見きわめていただいて、時のいろいろな皆さん方の知恵を絞っていただいて改革を進めていただき、インフラ整備をより以上進めていただきますこともお願いして、終えさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石井主査 これにて奥村展三君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野譲君。

中野(譲)分科員 きょうは予算委員会の分科会でお時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 私の方は、きょうは首都高速の料金と、あとETCについてちょっとお伺いをしたいと思います。

 まず、以前はたしか七百円だったと思うんですが、首都高の永福町のインターから中央道にかけての区間の料金が今三百円になっているかと思うんですが、いつからどのような経緯でその料金が変更されたのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 特定区間につきましては、一番最初は昭和四十四年四月からでございますが、実施をさせていただいております。区間は、一号横羽線の羽田―大師間でございます。

中野(譲)分科員 永福町から中央の高井戸の区間、これはいつから料金が改定されましたでしょうか。

谷口政府参考人 平成十五年の三月の二十六日だということでございます。

中野(譲)分科員 この区間の距離と、その料金が今三百円だと思うんですが、その三百円という算出の根拠というのはどのような経緯で決まったのかをちょっと教えていただきたいと思います。

谷口政府参考人 首都高速道路におきましては、料金所において大量の交通を効率よく迅速に処理する必要があるということから、均一料金制を採用しておるわけでございますが、路線の端末区間等につきましては、均一料金制ということでなく、当該区間のみの短距離の利用者の負担というような観点で、関連する街路の整備状況や当該区間の交通量等を勘案して、比較的低廉な特定区間料金を設定してきたところでございます。

 今お話のございました四号新宿線の永福から高井戸の区間につきましては、今答弁させていただいたとおりで、普通車で三百円の特定区間料金を設定させていただいているところでございます。

中野(譲)分科員 もう一つちょっと例を挙げたいんですが、東京外環自動車道から、今はあれは高速埼玉大宮線と呼ぶんでしょうかね、最初のインターをおりるところが浦和南インターというところがあるんですが、そこまでの距離が何キロぐらいで、これも三百円ということで、今御答弁なさったように短距離ということでこれは安くされていると思うんですが、これは美女木、いわゆる外環から浦和南までの距離が何キロぐらいあるのかということと、あと、先ほどの永福町から高井戸までの距離が何キロぐらいあるのか、ちょっとこれを教えていただきたいと思います。

谷口政府参考人 先ほどの答弁の追加、補足説明をさせていただきたいと思いますが、私が先ほどお話ししましたのは、ETCの活用について、上り線についてETC車を対象に導入したのがその年次でございまして、下り線につきましては、既に平成六年に三百円ということで特定区間の料金を設定させていただいておるところでございます。

 埼玉大宮線の浦和南から美女木ジャンクションの区間につきましては、一・五キロメートルの延長ということでございます。(中野(譲)分科員「永福―高井戸間は」と呼ぶ)三・二キロということでございます。

中野(譲)分科員 というのは、私、選挙区が埼玉でございまして、八潮という市がありまして、外環から八潮を通って、それで首都高の六号線、三郷線というところに入るんですが、これは、入るときは、いわゆる三郷線のスタートラインということで、七百円を払う料金所があるんですよ。逆に、では、八潮南から外環に乗ろうというときに、そこにも料金所があるんですが、料金所、乗ってすぐ外環なり常磐自動車道に入ってしまうんですが、これは現金で払うといまだに七百円なんですよね。

 今のお話ですと、短距離の区間に関してはちょっと料金を安くしていこうということで、今私は二つ、近くで例を挙げましたけれども、例えば外環から大宮線に入るとか、大宮線から外環に入るときに浦和南から乗ったりおりたりすると三百円だと。これは現金でもETCでも同じだと思います。今度、永福から高井戸の方に向かって中央道に乗るというときも、現金で払うと三百円で乗れる。八潮南から外環なり常磐に乗ろうと思って、あれは距離はまず大体どのくらいあるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

谷口政府参考人 四・一キロメートルでございます。

中野(譲)分科員 これは四・一キロ。皆さん多分高速をお使いになるのであれだと思うんですが、あっという間なんですよね、大臣、例えば四キロという距離は。

 七百円を現金で払うというのは、非常にこれは高くて、私も正直言って乗りません、高くて。下の道を四キロちょっと三郷の方に行ってから乗るんですね。八潮の方もほとんど利用されないんですよ。そうすると、この下の道が非常に込んでしまって。

 あと、今のその料金体系の関係からいっても、あそこは三百円だとか、高井戸のあそこというのは非常に象徴的で、あそこは安くなったというのが随分前からいろいろなところで話が出ているものですから、何であそこは三百円でここだけ七百円なのかなというので非常に大きな疑問と不満が地域の方々にあるものですから、七百円という料金設定はどうしてそのままなのかというのをちょっとお聞きをしたいんです。

谷口政府参考人 ちょっと質問が、少し細切れの答弁ということで、少し基本的な考え方をお話しさせていただきたいと思います。

 ETCの普及によりましてそういったことが可能になってきたということでございまして、従前の三百円の区間につきましては、全体十四区間あるわけでございますが、これにつきましては、三キロメートル程度の短い区間というようなことになっているわけでございます。現在、五キロメートル程度の区間につきましては、五区間あるわけでございますが、五百円の割引料金というようなことでございます。これにつきましては、ETC車対象の新たな特定区間というようなことに考えているわけでございます。

 いずれ平成二十年度に対距離というようなことで目標を掲げておるわけでございますが、そうした一環として、こうした短距離の新たな設定というようなことを導入させていただいておるということでございます。

 お尋ねの八潮南から三郷ジャンクションへの、我々下り方向と申しておりますが、そういうことはETC車でなくてもいいんじゃないかというようなことであろうかと思います。

 それにつきましても、いろいろな考え方がありますが、技術的には可能だということかと思いますが、人件費の削減によってこの十月から民営会社に生まれ変わるわけでございますので、ETCの普及と二足のわらじを履くというようなことも得策ではなかろうかというようなこともございますし、平成二十年度に対距離に移行するという目標を掲げておりますので、ETCの普及をいわば政策的に判断して、ETC車に限ってそうした導入をしているということでございます。

 現金でなくてETCになればそういった割引を受けられるということでございますので、御理解をいただいて、ETCの普及に努めさせていただきたいと考えておるところでございます。

中野(譲)分科員 お話を伺っていると、ETCを買え、ETCをつけろというようなお話に聞こえてくるわけですが、ETCの料金と、普通に現金で払う料金をちょっと分けてまずは論議をしたいんです。

 例えば、先ほどの、中央道に入るときは現金でも三百円なわけですよね。普通で払うと七百円の首都高の中で三百円であると。先ほどの大宮線のところも、現金で払うと三百円なんですよ。先ほど高井戸―永福町間が三・二キロ、八潮南から三郷ジャンクションが四・一キロで、これは九百メートルですよね。

 これは感覚的な問題かもしれませんが、大きな差はなくて、どうして、こちらは現金で払えば三百円でよくて、こちらは現金で払うと七百円だと。また、ETCをつけた場合でも、こちらは三百円なのに、こちらはETCをつけると五百円だというふうにそのまま料金の差が出てきちゃうこと自体が、サービスの面から、公正なサービスを提供するという考え方でいくと、まずその現金で七百円という部分はやはり高いんじゃないのかなというところをぜひもう一度答弁をいただきたいんですね。

 それと、一つ質問としましては、三キロ程度というお話がありましたが、これは三・二キロというのは、これは恐らく三キロ程度だと思うんですね。四・一キロというのは、これは三キロ程度なのか、五キロ程度なのか。四キロ程度といえばこれはわかりやすいんですが、ちょっとこの程度の定義がよくわからないので、三キロ程度というのはどういうふうに、これは首都高ですから、道路公団の方でどういうふうな内規の中でどういうふうに文章化されているのか、ちょっとその辺をあわせてお聞きをしたいと思います。

谷口政府参考人 御質問は二点あったかと思いますが、一点目の点につきましては、その区間において短距離区間が限定されているといった場合には、先ほど永福の話がございましたが、三百円ということでございますが、三郷のように途中で現金で払う場合に、短距離ということに限らない利用がある場合には、ETC車に限って割引をしていると。(中野(譲)分科員「八潮南から三郷に乗る場合は、出口がないんですよね」と呼ぶ)それは、先ほどお話ししましたけれども、平成十五年からはETC普及を前提にしてというふうなことで短距離を導入したということで、その考え方が少し変わってきているということでございます。

 二点目の問題につきましては、特に明確な基準があるということではございませんが、三キロ程度とおおむね五キロ程度というふうなことをお話しさせていただきましたが、四・一キロメートルということで、三キロを超えているというんですか、五キロに近いというふうな御理解をしていただければと思います。明確な基準はございません。

中野(譲)分科員 ちょっと私の理解力がちょっと不足をしていまして大変申しわけないんですが、永福―高井戸間は、平成六年に七百円から三百円に値段を下げたと。その下げた根拠は、短距離だから、それにちょっと七百円は取り過ぎじゃないかということで下げたということだと思うんですよ。

 その後、ETCという新しい技術が導入をされてやっているわけでございましょうけれども、私が聞きたいのは、例えば、ETCの普及を目的としてETCをディスカウントするという中で、この高井戸―永福間は、現金で払おうがETCで払おうがどちらも三百円ですよね。それで、例えば先ほどの浦和南と美女木の外環のところも、現金で払おうがETCで払おうが三百円は三百円なんですよ。

 ただ、ここの八潮南から三郷のところは出口がないわけですよ。八潮南から三郷方面に乗る人は、そのまま常磐道に行くか、あるいは外環の方に入るために八潮南を使うんですよね。そのときに、その四・一キロが短いか長いかというのは、これは程度の問題だというのは別途としまして、ETCだと五百円で、この五百円も私は高いとは思うんですが、現金だと七百円という、この七百円の現金を払ってこの短い距離を乗る人がなかなかふえないんですよね。

 そこのところを、例えば七百円を、ほかの三百円、三百円だったら、例えば五百円、五百円にするのか、ETCの五百円という値段が高いから、それを三百円にするのか四百円にするのかというところの検討も含めてお考えになるのかということで、それは、ETCを普及させるためにETCをとにかく買ってくれ、買えばあなた方安くなるからというのではなくて、普通に、払うときに七百円は高いんじゃないですかという話をまずさせていただいているので、その辺のところをもう一度ちょっと明確に御説明をいただければと思います。

谷口政府参考人 委員御指摘のとおり、短い区間で七百円を取るというのは高いということは私どもも理解しているところでございます。短い区間であるということが、三キロと五キロの話がございましたが、三百円と五百円という料金設定は別にして、考え方として、公平な観点で短い区間ということが特定できるということであれば、三百円なり五百円ということを導入してきているわけでございます。

 ただ、ETCによってしか把握できないという場合には、ETC車に限定してそういった短距離の料金を導入したということでございます。

中野(譲)分科員 多分、道路局長の認識がちょっと誤っていらっしゃるのかなという気がするんです。

 両方向の話をしているんじゃなくて、例えば、都心の方に向かう場合は、これは把握できないのはわかるんですよ。七百円払って、最初の出口が八潮南ですから、八潮南でおりるのか、そのまま六号線でずっと都心に向かうのか、どこでおりるのかわからないというので七百円取るという話はわかるんです。

 逆の方向の話をしていまして、八潮南から三郷方面に行くと、おり口がないんですよ。そのまま乗って四キロすると、常磐自動車道ないし外環自動車道にそのまま連結をしていくものですから、その距離を七百円払って乗る人はなかなかいないですね、四キロで七百円取るのは取り過ぎじゃないですかという話をしているわけです。

谷口政府参考人 それは私ども十分承知しているわけでございまして、委員の御指摘の問題もいろいろございます。全国でもそういうような御指摘の区間のところは、御指摘いただいた八潮南だけでなくて、いろいろございます。

 我々としては、それは、いろいろ民営化する中で、料金をどういう形に持っていくかという大きな中で、いわば政策的、先ほど御答弁させていただきましたが、政策判断としてそういうようなことを実施させていただいているということでございます。

中野(譲)分科員 そうしますと、これは検討をされるわけですか、今後。

谷口政府参考人 首都高速道路、阪神高速道路も同様でございますが、平成二十年度に対距離というようなことを目標として掲げさせていただいているというのは、先ほど御答弁させていただいたとおりでございますので、そういった一環の中で、短い区間の料金のあり方について、ETCの普及にあわせてということでございますが、多様で弾力的な料金設定というようなことを言わさせていただいておりますが、そういう中で検討を進めておるところでございます。(中野(譲)分科員「この区間は」と呼ぶ)この区間も含めてと理解していただいて結構かと思います。

中野(譲)分科員 四キロというと、これは信号がないわけですから、あっという間ですから。それで七百円。私は払いませんし、地元の方もなかなか皆さん払われないという状況でございますから、高いという認識はもうお持ちのようですし、御検討いただけるということでございましょうから、早期にこういった問題は解決をしていただきたいというふうに思っております。

 もう一つ、ETCについてなんですが、今のお話を伺っておりましても、昨今、大臣も御承知のとおり、とにかく偽造の回数券が出回ってしまいまして、首都高なんかもそうですし、あと外環自動車道も、ついこの間までは割引率の高い回数券を発行していたわけですけれども、ことしの六月から使えなくなるというふうな決定がなされました。

 その中で、ETCをつければとにかく割引をしますよとか、ETCをつけてくれればこういった問題を含めて少しは自分たちの財政的な負担が軽くなりますよということで、国交省を含めてETCをつけたいのはよくわかるんですが、ETC自体が今どのくらいの伸びで毎年ふえているのかというのを、大体の数で結構ですので、ETCの登録の台数、普通車とあとは大型車、大きく二つに分けてで結構ですので、ちょっと教えていただきたいと思います。

谷口政府参考人 セットアップ台数につきましては、二月の二十日現在でございますが、五百五十七万台ということになっております。利用率につきましては、全国で二百十二万八千八百台の方が二月の十一日から十七日の一週間で利用をしていただいております。首都高速につきましては三十七万一千八百台ということでございまして、全国のETCの利用率ベースで申し上げますと三〇・五%、首都高速では三四・四%ということになっております。

中野(譲)分科員 例えば、私も車を使うときはいわゆる業務の一環として使うのがほとんどでございまして、あとトラック運送とかタクシーとかを含めて、いわゆる業務上にETCを活用されている割合と、今三〇・五%ということ、十台に三台ぐらいということでございましたけれども、これは、業務上に活用されている割合と、あとは一般の方がごくごく自分のプライベートの用途としてETCをつけている割合というのは、わからなかったら結構です。もしわかれば、大体どのくらい、この三〇%の中で、仕事で使う人が何割ぐらいなのか、仕事で使わない人が何割ぐらいなのか、これはおわかりになりますか。

谷口政府参考人 残念ながら手持ちとして今お答えできるデータはございませんので、後ほどお届けさせていただきたいと思います。

 ただ、感覚的なことを申し上げますと、セットアップ台数と利用率という話をさせていただきましたが、多分、業務関係の方の方が利用する頻度は高いということで、大口・多頻度というようなことも含めて普及の方は多くなっているのではないかと思っております。

中野(譲)分科員 私も、恐らく高速を頻繁に使う方というのは、普段は皆さんお仕事をされていますから、業務上以外はそんなにいらっしゃらないのかなという感覚があるので、それはちょっとまたそういうデータがあったら教えていただきたいのですが。

 実は、首都高速を使いますと、この間もちょっとある同僚議員の方が、毎朝、首都高速をある地点から乗られて使われるんですが、料金所のブースが二つあるんですよ。一つがいつも閉じていて、一つがETCと一般というふうに併用している。そうすると、当然のことながら、前に一般の車が何台かいると、せっかくその車はETCがついているんですけれども、ETCを使おうと思っても乗れないじゃないか、何で二つあるのに閉めているんだという話を、この間私もたまたまちょっとある議員さんとしていまして、そういった問題というのは、これはどうしてそういうことが起きているのかというのを、ちょっと教えていただきたいのですが。

谷口政府参考人 首都高速の本線料金所が十八カ所ございますが、すべてETC専用レーンはございます。今御指摘の、二レーンある場合でも一レーンを閉鎖しているという箇所は三十一カ所ということになっております。

 そうしたことにつきましては、限られたスペースということでブースができているわけでございますので、線形が厳しいとか、料金所通過前後において速度の差のあるETC車と一般車が分合流する際に車両同士の交錯が生じる可能性があるというようなことでございますが、今後、ETCの普及というような大きな目標のために、いろいろな検討を進めながら、逐次改修しながら解消していきたいと思っております。

中野(譲)分科員 昨今、非常に高い率でこのETCの普及率がふえていると。私もこの質問をするときにいろいろと事前にお話を伺ったときにも、要は、とにかくETCを早くつけてくれよというような雰囲気が非常に強いんですよね。ETCをつけるとこういうメリットがあるよということでいろいろと言われるんですが、では、実際につけてみたときに、今のように構造上の問題がどこまであるかというのは別途としまして、結局、朝込んでいるときに乗ろうと思ったら、一般車が前にいてETCをつけているのに乗れないじゃないかと。

 利便性をとにかく追求をしているというのであれば、大臣、この辺を早急に、特に首都高なんかはもう慢性的な渋滞で、大臣も御存じでしょうけれども、特に朝の時間は非常に込んでいるものですから、こういった問題をちょっと集中特化して、なるべく早く改善をしていただければ、またETCに対する利便性というものを国民の方々が認識をされて、ETCを皆さん使われるのではないかと思うんですが、ちょっとその辺、所感で結構ですので、大臣、一言いただけますでしょうか。

北側国務大臣 私もよく高速道路を利用しておりますけれども、今委員がおっしゃったような感想を持つ場面がこれまでもございました。

 おっしゃっているとおり、ETCをますます普及をさせていこうとするわけですから、ETCを利用する方々にとって本当に便利だなというふうに思っていただけるような措置をしっかり取り組んでいく必要があると思います。

中野(譲)分科員 それとあわせて、先ほどの私の一番最初の質問で、ETCをつけると、ETCのカードなんかでも五万円分買うと八千円ぐらいクレジットがつくとか、得する部分というのはよくわかるんですが、その反面、先ほど申し上げましたように、例えば回数券がもう使えなくなるとか、現金で乗るとちょっと高いとかということで、これは今ちょうど過渡期だと思うんですよ。

 過渡期のときに、ETCを、大臣御存じのように、今経済が非常に厳しくて、では少し、八千円のクレジットをもらうために五万円前払いで払うだけの余裕がある人がどれだけいるかとか、あと、ETC自体つけるのでも、安くなったといってもまだまだちょっと値段が高い。それが業務用であれば頻繁に使うからいいんでしょうけれども、個人的に使うときに、年に何回使うのかわからないので、それだけの初期投資をするだけの余裕が今ないという部分の過渡期のところを、ぜひ政策の中で反映をしながら、どのようにこのETCを普及させていくかということを考えていただければと思いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

石井主査 これにて中野譲君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)分科員 民主党の小宮山泰子でございます。

 先般の予算委員会に引き続いて、北側大臣には質問させていただきたいと思っております。

 先日は、国土交通省も、そして大臣ももちろん重点を置かれております観光立国について質問させていただきました。また、そのときにも多少は指摘させていただいたんですが、観光する場所に行くにはやはり交通網が大切であるという観点は私自身変わりません。ということで、本日は首都圏の交通網につきまして重点的に質問させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初にですけれども、全国の自治体が大変興味を持っております御当地ナンバーの導入について、またそのメリットについて、大臣の御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 従来は、ナンバープレートというのは、自動車検査登録事務所が新設をされた場合に限って新たな地域名表示というものが創設されてきました。ところが、地方公共団体から、そういう新たな事務所ができたというのではなくて、自分たちの地域の地名を、地域振興や観光振興の目的のために、ぜひそういう新しい地域名表示がナンバープレートに創設できないか、そういう強い要望がかねてから寄せられておったところでございます。

 そして、技術的にも、コンピューターシステムの能力アップ等によりまして、そういうことも可能だということになってまいりまして、国といたしましても、地域振興、また観光振興等の観点から、ナンバープレートの地域名表示を弾力化いたしまして、自動車検査登録事務所の有無にかかわらず、一定の場合には新たな地域名表示を認めることとしたところでございます。

小宮山(泰)分科員 これは、今までの自動車に関する行政において非常に大きな転換点になるのではないかと思います。

 それはやはり、今大臣がおっしゃられたとおり、このナンバープレートの導入というものが、地域振興や観光の観点から、自動車登録所の新設とかを伴わないで、コンピューターシステムの能力アップによって可能になったということは、エリアを考えてもとても有効な、またその目的、趣旨は非常に高いものだと思っております。

 しかしながら、この要件の中におきまして、複数の運輸支局の管轄にまたがる表示は当面認めないというようなことが書かれているかと思いますけれども、これだけコンピューターシステムが能力アップされたということであるならば、これの意味するところは、縦割りはこれからも続けていってしまうのかということも推測できますので、この点をお伺いしたいと思います。

金澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の運輸支局の管轄区域を越える、そうした複数の管轄区域にまたがるような地域名につきましては、裁判管轄であるとか、さまざまな行政事務にこのナンバープレートというものは引用されております。また、検査登録に関するコンピューターシステム、先ほど大臣が御答弁申しましたように、これを改定したわけでございますので、こういったものに影響がないかどうか、こういった点を慎重に検討する必要がございます。

 その観点から、当面は、昨年の要綱においても、複数の運輸支局の管轄区域にまたがるようなものについては認めないということになっておりますが、私どもとしては、これは将来的な検討課題にさせていただきたい、このように考えております。複数の地域にまたがるようなナンバーをどうするかという問題については、将来の検討課題ということにさせていただきたいというふうに思います。

小宮山(泰)分科員 将来的な検討課題と今おっしゃられましたけれども、どのぐらいの将来なんでしょうか。

 御当地ナンバーは、当然、導入されれば順次変わっていくものでもありますし、実際には登録している住所というものは変更はないわけで、それによって今までの登録地区は変わらないということにおいても、実際には問題は少ないと思います。また、さっき裁判所の関係とか、いろいろ、警察の、治安の問題等も言われておりますけれども、この点を考えても、御当地ナンバーは、今のナンバーのところよりもエリアが現実には狭くなるということを考えれば、そのナンバーを付与しているところでは、もし何か犯罪とかでそのナンバーが見られた場合、それに対してはもう少しエリアを狭めて考えられるという意味においては、たとえ地区をまたがっていたとしても、捜査上も非常に有効なものにもなると思います。ですので、その点に関してもう一度、当分の間という、将来的な見込み、将来というのはどのぐらいなんでしょうか。最近、恒久的減税といっても五年もたないこともございますので、ぜひその点に対してお伺いをしたいと思います。

金澤政府参考人 この問題につきましては、御当地ナンバーを導入するのは十八年度からが初めてでございますから、十八年度どれぐらいの地域が御要望になり、またどれぐらいの地域において実施できるかということ、その成果を踏まえまして検討するということでございますので、今何年たったらこれを解決するという具体的な年月は申し上げられませんが、そう長期間にわたるものではないというふうに思います。

小宮山(泰)分科員 私の聞いているところでは、大分いろいろな各地が、やはり御当地ナンバーをつけて走りたいということで、申し出ていると思います。そして、平成十八年度といえばもう間もなくでございますので、現在のところ、国土交通省といたしましては、現実にどのぐらいの申込件数で、どのぐらいの見込みがあって、またその中でどのぐらい、最初だから全部はというような話も漏れ聞こえてまいりますが、現実的にはどのぐらいの規模でこの御当地ナンバーというものを認めていかれるのか、お伺いしたいと思います。

金澤政府参考人 この御当地ナンバーの具体的な要綱を発表いたしましたのは昨年の十一月でございますから、その要綱の条件を踏まえて各地で検討が、ちょうど今まさに進行中の状況にあるだろうと思います。

 私ども、その要綱では、ことしの五月までの間に運輸局を通じて私どもの方に要望を上げていただきたいというお願いをしておりますので、これで果たしてどれぐらいのものが上がってくるかということが、ちょっと現段階では我々まだ予測しかねるところがございますので、具体的にいつごろになるかということについても、その地域が幾つ上がってくるか、そしてそれを幾ら、どれぐらいの範囲で十八年度実施するかも、その数を踏まえて我々は最終的に決めたいと思っておりますので、そうした検討は、まだ具体的な御回答をさせていただくのは差し控えさせていただければと思います。

小宮山(泰)分科員 具体的にはとおっしゃいますけれども、それでも聞いていきたいところでございますので。例えば要件が幾つか出されております、その要件が見合っていれば認めていかれるのか、その点に関してお伺いしたいと思います。

金澤政府参考人 昨年の十一月の要綱にございます条件の中には、もちろん車両台数の件もございますが、大切な要件として、その当該地域自治体がどのように地域住民の合意形成に取り組んでおられるか、そういう点がございます。ですから、そうしたものがどの程度の進捗になっているか、具体的な進捗状況までは私どもは把握しておりませんので、その進捗が非常に進んでおる地域が多いということになれば、候補に挙がってくるものがふえるということになりますので、今の段階でちょっと数は具体的には私どもは把握できない状況にございます。(小宮山(泰)分科員「数ではなく、要件に合っていればという質問をしたのですが」と呼ぶ)

 要件に合っている地域が多ければ、もちろん候補がふえるわけでございますから、私どもの方としても可能な限りということになると思いますが、要件に合っているところが多ければ数をふやすということにはならないと思います。具体的に私どもの方で幾つぐらい受け付けるかについては、当面、十八年度については初年度でございますので、ある程度数を絞り込みせざるを得ないと思っております。したがって、その要件に合致するところが多い場合には、追加の検討も、さらにその十八年度の後、引き続き検討していくということになりますので、今の段階で、何件が今申請が上がってきて当確になるかというのは、ちょっと私どもは見通しを持っておりません。

小宮山(泰)分科員 そういたしますと、具体的な要件が合えば全部認めるわけではなく、それでは、そのための要件を出したのが現実的には何だったのか。さらなる絞り込みの要件があるならば、それは早くに自治体に教えてあげるということが、どんなに準備をしていても、あとはさじかげんですと言われたのでは、やはり地域の盛り上がりというものも出ばなをくじかれることになりかねないと思います。ですので、この点に関しては、要件がそろっていると認められるところに対しては、やはり初年度だからこそ認めていくという方向になることを御指摘させていただきたいと思います。

 そして、この問題については最後になりますが、北側大臣にぜひお伺いしたいと思います。

 これは、やはり観光立国という意味においても、また地域の宣伝という意味においても、御当地ナンバーというのは、先ほど大臣がこの導入のメリットで述べられたとおり、大変有効な手段だと思います。私の住んでいます川越、ここから大体有楽町線で直通で約一時間のところにございますけれども、こちらの方も川越ナンバーを今申請するということで、地域ぐるみ、また周辺の場所とも運動を広げております。こういった意味では、小江戸川越、本当に首都圏におきましては、ひとつ観光の、外国人も喜ぶような江戸の情緒あふれる町づくりをしておりますこの川越ナンバーというものが実現するように、ぜひ大臣に御要望させていただきたいと思います。

 何か大臣、御所見がありましたら、一言伺わせていただければと思うんですが。

北側国務大臣 実を言いますと、ほかの委員の方からも川越ナンバーというお話、この委員会で御質問を受けているところでございます。

 先ほど冒頭申し上げましたように、地域振興等の趣旨でこうした御当地ナンバーの導入を図ったわけでございますので、まずはともかく地元の方々の意見というものを集約していただく、合意を形成していただくということが一番大事だと思います。その上で、行政事務等に支障が生じない等々のところをやはり勘案する必要があると思いますが、おっしゃったようにできるだけ、こういう制度を設けたわけですから、御当地ナンバーが採用できるように努めてまいりたいと思っております。

小宮山(泰)分科員 大臣、ありがとうございます。こういう新しい試みでもありますし、新しく施設を建てるという施策ではございませんが、日本全国で恐らく御当地ナンバーをつけ、やはりこのときにスタートしたのがよかったと言われるような、広がりがある制度になることを期待しております。

 次に交通網でございますが、具体的には川越線の複線化について聞いていきたいと思っております。

 埼玉県の鉄道網を見させていただきますと、現状においては、高崎線や埼京線、東武伊勢崎線、西武池袋線や新宿線など、都県間を結ぶ南北方向の路線は比較的充実しておりますが、東西方向をつなぐ川越線や武蔵野線は、本当にこのぐらいで大変少なくなっております。

 また、川越線におきましては、昭和六十年度の電化以来、本数の増加や複線化の工事などの実施もなく、単線の区間が残るために、一時間の平均本数、基本的に三本となっております。大体二十分に一本でございます。

 そしてさらには、大宮は百万都市さいたま市になりましたけれども、大宮―川越間は所要が約二十分かかるにもかかわらず、単線区間があるために、停車駅での交換待ちやポイント通過のための減速、複線と比較しますと本当に時間的なロスタイムというものが大変大きくなっております。

 また、日進―川越間の複線化になりますが、実現されれば、所要時間が短縮されまして、埼京線の乗り入れます本数というのも増発が見込めるとは思います。

 また、新聞等で報道がありまして、これは、埼京線を使う方、女性の方にとっては特にショックが大きいことだとは思うんですが、埼京線というのは乗車率もありますし、また一区間の駅と駅の間が途中大変長いということで、実は痴漢の被害が多い路線でもあります。つまり、女性の痴漢の被害の届け出というのも多いわけですから、埼京線が乗り入れている線の複線化ということも、やはり本数を増加する、乗車率が低下する、つまり混雑が減ることによって、いろいろな面におきまして女性も安心して乗れる鉄道網が確保されるんではないかと思っております。

 もちろん女性政策的なものだけではなくて、埼玉県内だけではなく、千葉県や神奈川県との往来が可能になってまいりますので、交通ネットワークとしては、東西交通網の整備を促進するということは、首都圏の鉄道網を充実させるという意味におきましても重要な路線だと考えております。

 そこで、これは私が県議会議員になった約十年ほど前からの懸案でもございますけれども、川越線の複線化につきましては、埼玉県知事や関係市町村の首長さんからJRあてに要望書をもうずっと出し続けております。関係するところであれば、川越線、八高線、中央線、埼京線を利用した環状電車の運行という要望ももちろんございます。埼玉県北部と神奈川県南部を結ぶ湘南新宿線は、人の動きを新たにつくるものとして評価を受けているところでございます。この環状線構想も、人の動きや、そして地域経済効果、地域開発についての政策提言としては大変重要な点だと考えておりますが、このような提案を受けとめる仕組みにおいて、国土交通省としてはどのようなことを考えていらっしゃるのか。まずは、首都圏の環状線という意味におきましても、そして、男女共同参画にも、女性の政策や安全にも御理解のある大臣に、ぜひその点の交通網に対しての御所見を伺いたいと思います。

北側国務大臣 まず、鉄道の複線化につきましても、当然これはコストのかかる話でございますので、その必要性がどの程度強いのか、そしてそのコストがどの程度かかるのか、それによってどの程度の利益があるのか、そういうのをきちんと見ていかないといけないと思うわけでございます。その点につきましては、また後で事務方の方から答弁させていただきますが。

 地域の要望につきましては、交通政策審議会というのがございまして、その交通政策審議会で、地方公共団体または事業者、鉄道の利用者の方々から審議会で御意見を伺うという場がございまして、そうした地域の多様な御要望を答申に反映していくということになっているところでございます。

梅田政府参考人 川越線の川越―日進間の複線化の問題でございます。先生御承知のとおり、平成十二年の一月に当時の運輸政策審議会から答申されました東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画というのがございます。これは既存ストックの有効利用を図るという観点から、既設線の線増、改良等のあり方についても評価、検討を行いました。

 JR川越線の川越―日進間の複線化に関しましては、この基本計画の中におきまして検討がなされました。目標年次が平成二十七年度でございますが、その二十七年度におきましても、混雑率が、南古谷―指扇、ここが一番込むところでございますが、ここが八六%ということでございます。これは定員を一〇〇とすると、定員にまだ乗っていないというようなことでございます。したがいまして、輸送力に比べてまだ余裕があるということでございました。このため、目標年次までに複線化を図る必要はないというのが当時の審議会の判断だと承知しております。

 こういう状況の中で、これはJR東日本の線路でございますが、今後どのような投資を行っていくのか、これは基本的にはJR東日本が採算性、その他、地域との関係、いろいろ勘案しながら経営判断として行うべきものだと思っております。

 私どもといたしましては、当面は、今後の利用状況、あるいは地域のニーズ、あるいは地域開発の動向、あるいはJR東日本の対応、こういうものを注視しながら検討していきたいと思っております。

 もう一点、お話の中に出てまいりました川越線、八高線、中央線、埼京線を利用した環状線構想という要望があるという御指摘でございました。私ども、詳細については、この点について承知しておりません。

 一般的に申しますと、輸送需要の見通し、それから収支採算性、費用負担、こういうのが重要でございます。こういう基本的な問題について事業者あるいは関係の方々がよく議論をしていただくことがまず大事だろうと思います。その上で、私ども、こういう取り組みを見ながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

小宮山(泰)分科員 構想ではなくて、要望があると言ったんです。

 そういたしますと、まずもってこの答申についてですけれども、実際、十二年度の運輸審議会の答申で今のような答申が出たというのは存じてはおりますが、これから人口が減っていく、また、学生や働く人たちがどう考えても減っていくということを考えるならば、これから需要見込みというものは減る一方であるというのは明白だと思います。つまり、JRの採算を重視するということは、現実的には、これから人口がさらにふえて、そしてその土地、地域地域で大規模開発ができない限りは需要見込みが持てない、裏を返せばそういうことになるのではないでしょうか。ということは、どんなに全国で端の方まで新幹線ができたとしても、それにアクセスをする従来の在来線等が立ち行かなくなるということも簡単に想像がつくわけです。

 国土交通省といたしましては、これから高齢化社会におきまして公共交通網というものの重要性というのはさらに増してくると考えますが、民間がやっていることだから最後はそっちに任せればいい、そういったことだけでいいんでしょうか。今後、答申の基本的な考え、需要が見込める、私鉄の採算、そういったことだけを考え直していくおつもりがあるのか、ぜひ伺わせていただきたいと思います。

梅田政府参考人 平成十二年の運輸政策審議会の答申というものは、まず一つは、通勤通学時の混雑緩和等の課題が十分には解決されていないという認識のもとで、一方で、経済成長がこれから鈍化するだろう、少子高齢化が進展するだろう、それから、地球全体の環境問題、これが非常に重要だということで、大きく社会経済情勢が変化するという議論をしたというふうに承っております。そうした中で、二十一世紀にふさわしい、質の高い鉄道ネットワークの構築に向けて、長期的な展望に立った、望ましい姿をマスタープランとして示したと理解しているところでございます。

 そういう基本的な考え方の中で、先ほど言いましたように、混雑の緩和、速達性の向上、都市構造あるいは機能の再編への対応、空港、新幹線へのアクセス、あるいは交通サービスのバリアフリー、シームレス化、こういうような問題について整理されたというふうに聞いております。

 路線の選定につきましては、当然のことでございますが、幾つかのランクに分けまして、直ちに整備するもの、逐次整備するもの、それから今後検討するもの、幾つかのランクに分けて路線を選んだところでございます。

 今回の答申の選び方でございますが、個別に路線ごとに輸送需要見通し……(小宮山(泰)分科員「今回のはいいです。今後のでいいです」と呼ぶ)はい。答申の考え方でございますが、費用対効果、こういうようなものを分析いたしまして、それから、鉄道整備に係る熟度を総合的に判断したというふうに聞いております。したがいまして、私ども、この運輸政策審議会の答申の考え方は現時点においても十分妥当性があるものというふうに考えているところでございます。

小宮山(泰)分科員 平成十二年度においては妥当性があったかとは思います。しかし、急速な少子高齢化、厚生労働省の方の試算は、いつも人口が右肩上がりになるような、言っている割には、プランを組んでは少子化はとまらず、ずっとそれを何度も何度も繰り返しているのが現実であります。

 やはりこの答申について見ても、大分楽観的な試算を出しているようでもございますし、また、本当の意味で、私自身は、バリアフリーという言葉、答申にもよくありますけれども、駅の中とかの構内を動きやすくするという非常に福祉的な使い方をしておりますが、本来であれば、バリアフリーというのは移動の権利を確保する、そういった意味合いもございます。

 そういう意味においては、本当の意味でのバリアフリー、国民が自由に移動ができる、そういった権利を確保する、そういう視点を早急にこの答申につけ加えて、マスタープランも組み直す必要があると指摘させていただきたいと思います。

 この点に関して本当は大臣に伺いたいんですが、最後に、大きくは、やはり圏央道。首都圏の交通網というのは鉄道だけではございません。圏央道の道路整備についても伺っていきたいと思っております。

 先週の二十五日に政府の中央防災会議が公表いたしました首都圏直下地震の被害想定というのがあったと思います。国家予算をはるかに上回ります、損害は百十二兆円にも上るという想定が出て、私自身その報道に正直驚きました。しかし、当然、首都機能が集中している地域に直下型地震が来れば、日本の国力を考えれば、やはりこのぐらいの被害が出るのも当然かと思います。

 しかし、私自身、昨年の新潟中越の大地震、あのときの一週間後に炊き出しのボランティアで新潟に行かせていただきました。災害復旧におきまして物流や避難、そして、直後からの地域経済の立て直しをするためにも、被災直後から会社へ出勤する勤労者の方が大変いらっしゃることを現場に行って痛感いたしましたし、また物資の輸送ということにおいても、交通網の復旧というものの持つ生活、経済への影響の大きさというものを痛感しております。

 そういったことから考えますと、今首都圏において、けさから恐らく首都圏においての渋滞の緩和という問題が随分とこの委員会の質問でも出ているかと思うんですが、圏央道がつながることによって環状線というものが基本的に組み立てられていくということを考えざるを得ません。

 そこで、伺いたいと思いますけれども、まずは、圏央道と中央道がつながることで、経済的、環境への効果というものを簡単に御説明いただけないでしょうか。

谷口政府参考人 圏央道は、首都圏の外郭環状道路、首都高速中央環状と一体となっての三環状道路ということでございます。三環状が完成することによって、走行時間の短縮等による効果だけでも年間約四兆円というような効果があるのではないかと思います。

 今の、中央道までというお話でございますが、平成八年に開通しました青梅―鶴ヶ島インターチェンジ間の例で申し上げますと、並行する国道四百七号が、交差点で一番著しいところが半分ぐらいになったとか、路線全体では一一%減少になったというデータがございますし、生活道路の交通量も、市道でございますが、半分になったというふうな効果がございます。

 こうしたことで、日の出インターチェンジから中央道にかけて開通をしますと、同様の効果が期待されるものと考えております。

小宮山(泰)分科員 これも、私、県議会議員に当選させていただいて質問させていただいておりまして、早期の開通というものを夢を見るような状態で、何度も何度も延長延長と来ております。途中、環境問題にもこの整備に関しましては大変配慮をしていただいている、また技術革新があると聞いておりますので、ぜひ早期開通を期待させていただきます。

 本当に、埼玉県内、大体六割が交通網でいえば混雑をしているという現状でもございます。私も運転をすると、首都高の大宮線からずっと前がトラックで、渋谷を過ぎてもずっと同じトラックが目の前にいる、中央道に向かうという姿、何回か御一緒させていただいております。それだけやはり都心の環境負荷という意味においても、影響を考えれば、早急に開通すること自体が環境にも優しい道路づくりになると思っております。

 時間でございますけれども、最後に大臣、二十五日に出ました直下型被害につきまして、国土交通省、やはりこれだけ交通網を管轄する大臣といたしましての意気込みというか整備に対する思いをぜひ聞かせていただきたいと思います。

北側国務大臣 今、直下型地震はもちろんのこと、あと海溝型の東海地震や東南海・南海地震なんかも想定をされているわけでございまして、国土交通省の中にありましても、この減災対策、仮に地震が生じたとしても損害を本当に最小限にしていくための対策をしっかりとってもらいたいということは、私、今、年頭から訴えをさせていただいているところでございます。

 交通網につきましても、例えば橋の下に新幹線が走っている、橋の下に高速道路がある、そうした橋梁につきましてもまだまだ耐震化が不十分なところがございます。そうした橋梁の耐震化を含め、またさまざまな建造物等の耐震化も含めまして、この耐震化をしっかりと前倒しをして早急に進めていくように今検討しているところでございまして、委員の御趣旨のとおり、この減災対策に全力を挙げて取り組みをさせていただきたいと思っております。

小宮山(泰)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 ぜひ、国民の生命そして経済活動という生命財産を守る交通網、そして新しい国土交通省の御当地ナンバーという制度、これを大いに生かしていただき、そして整備をしていただくことをお願いいたしまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。

石井主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、神風英男君。

神風分科員 民主党の神風英男でございます。

 ちょっとインフルエンザにやられておりますので、お聞き苦しい点は御容赦をいただきたいと思います。

 きょうは、八ツ場ダムの建設の是非ということで、その必要性についてお伺いしたいと思うんです。

 私は、選挙区は現在、埼玉県の四区というところで、朝霞、志木、新座、和光が選挙区でございますが、生まれが茨城県の古河市でございます。茨城県の古河市というところは、埼玉県の栗橋町と利根川を挟んで対岸に位置するところでございまして、ちょうど昭和二十二年九月十五日のカスリン台風で栗橋の方が決壊をした、堤防が決壊をしたという話を子供のころからよく聞かされて育ってまいりました。そういう意味で、今回、八ツ場ダムの件でいつもカスリン台風の話が出てくるわけですが、私にとっては非常に気になるテーマでもございましたので、この機会に御質問をさせていただきたいと思うわけです。

 国土交通省の方で、二〇〇三年の十一月に、八ツ場ダムの事業費が、二・二倍、つまり二千百十億円から四千六百億円と、非常に大幅な増額になったわけでございますが、この四千六百億円という数字も、これは建設事業のみの数字でありまして、その関連事業、道路であるとかあるいはそういった砂防ダム、あるいはまた、国や自治体が起債を発行して、その利息まで負担しなければ最終的には国民の負担というのは追いつかないわけですが、そういった負担までを含めると、一体この四千六百億円が幾らまで膨れ上がるのか、その数字を教えていただきたいと思います。

清治政府参考人 八ツ場ダムにつきましては、従前、二千百十億という事業費で基本計画を持っていたわけでございますが、今お話ありましたように、四千六百億という改定を行っております。

 その中身でございますが、大きいものは、水没関係者の生活再建に要する要因ということでありまして、当時、原計画をつくっておりました時期に比べまして補償関係の調査が進んだということ、あるいは、地域の、地元の方々との協定ができたというようなことで、これらが確定した分の事業費の増というのが一千百億余でございまして、これが約四五%に相当いたします。

 また、前回の計画というのは、昭和六十一年にできた基本計画でございます。昭和六十年の物価水準で検討していたということでありますが、今回の見直しに当たりましては平成十五年度単価で全体を見直しているということと、それから、その間に消費税の導入等もございましたので、これらによる増分が七百三十五億、これが三〇%に相当いたします。

 両方合わせますと、これらで約四分の三になるわけでございますが、これらを合わせて四千六百億という改定をしたわけでございます。

 これらにつきましては、これから事業を進めるに当たりまして、あらゆる段階でのコストの縮減努力、それから、技術的な面では専門家のいろいろな御意見をいただきながら進めるとか、事業の進捗度合い等々につきまして、この事業への参画者、一都五県、それから利水者、そういう方々と意見を交換しながら、内容を御説明しながら進めていくということによりまして、この四千六百億の事業費で事業ができるように努力していきたいというふうに考えております。

神風分科員 いや、私が伺ったのは、四千六百億円になぜ上がったかではなくて、それでは済まないでしょう、最終的な国民の負担額としては。国とか自治体が起債を発行するわけですから、その利息まで含めると恐らくもう一兆円近い国民の負担になるんではないですかということをお聞きしたわけですが、その回答はもう結構です。

 それで、八ツ場ダムの計画によりますと、二〇一〇年に一応完成の予定になっておりますが、これは、実現のめどはどうでしょうか。

清治政府参考人 今、四千六百億に対する事業費ベースでの事業の進みぐあいでございますが、四〇%弱ぐらいの状況にございます。今、これから完成年度までに必要な事業費がかなりあるわけでございますけれども、これらに必要な予算の確保に努めまして、計画しております時点までに完成させる努力を続けてまいりたいというふうに考えております。

神風分科員 恐らく、二〇一〇年の完成は到底無理だと思います。そういう予算面から見ても、これから二〇〇五年以降、事業費が二千七百億円ですか、残っているわけでして、二〇〇五年度の予算としては二百八十億円に増額になっていますけれども、これが順調に毎年これから出たとしても十年はかかるわけですから、恐らく、順調にいっても二〇二〇年くらいになるんではないんですか。

清治政府参考人 この事業、非常に広範囲にわたる効果とそれから利水への需要に対応していかなければならないわけでございまして、一日も早く完成させたいということで事業に臨んでいるわけでございます。

 基本計画の中で目標にしております平成二十二年度完成を目指しているわけでございますが、これから、今実施しております内容は、御承知のように、用地の取得でありますとか代替地の造成、それから工事用道路、それから、水没します道路あるいは鉄道のつけかえ等を実施しているわけでございますが、早期に本体の建設にもかかれるような準備に入りまして、計画年度までに必要な予算の確保に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

神風分科員 大臣はこの完成の時期をどう見られておりますか。

北側国務大臣 今、率直に申し上げて、委員の御指摘のように、このままのペースだとなかなか、平成二十二年というのはそんなに簡単ではないなという感想は持ちます。

神風分科員 大変な財政的な負担も強いてこれから八ツ場ダムを建設するということであるわけですが、その建設の目的に、利水面と治水面と、ダムの場合ですから両面あるわけですけれども、その利水面から見ますと、八ツ場ダムの総貯水量は一億七百五十万トン、利根川水系のほかのダムと比較しても、全体の規模としてはかなり大きいダムであることは確かであると思います。

 ただ、肝心の渇水時期の夏場、七月から九月には、洪水の可能性があるという理由で、洪水調節容量として六千五百万トンは空にしておかなければならない。つまり、渇水時期、一番必要な夏場の利水容量というのは二千五百万トンにすぎないわけであります。

 これでは利根川水系ダムの利水容量が五・六%ふえるだけでありまして、ずうたいの割には本当にさほど役に立たないダムと言えるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

清治政府参考人 利根川は、これは太平洋岸に面しておりますので、雨の多い時期は、梅雨の時期、それから台風の時期になるわけでございます。また、冬季間は降雨が少ない、山地部で雪がある程度見込めるところはございますが。そういうような状況の中で流量の調節をしていくわけでございます。

 委員の埼玉県におきまして、例えば夏の間の用水については、農業用水全体を見直すことによって、夏の確保する流量については、計画を見直すことによってそこから生み出していくというようなことをやっているわけでございます。

 その分、通年で、一年を通じて必要になってまいります都市用水、例えば水道用水あるいは工業用水、こういうものにつきましては、冬の間の確保ということが必要になりますので、夏、冬、全体を通じて安定的な取水がなされるような計画を全体の見直しの中で行っているわけでございまして、年間を通じての安定取水が図れるように事業を計画して、現在進めている状況にございます。

神風分科員 今、お手元の方に資料をお配りしたわけですが、都市用水の需要を見ても、このグラフにあるとおり、これは六都県の都市用水の実績でありますが、一九九〇年ぐらいからもうほぼ横ばいから減少傾向になっている。一番最後のグラフの方も、水道の一人当たりの給水量ということで、一人当たりの給水量も減ってきている。それは、節水機器の発達等によって相当減っているわけですね。

 二ページのグラフもごらんいただきたいんですが、御案内のとおり、来年が日本の総人口はピークになります。二〇〇七年からは減少に転じるわけでありまして、この六都県に限っても、それは多少ずれるわけですが、二〇一五年が最高でありまして、二〇一五年以降はこれから人口が減っていくわけですね。

 先ほどのダムの完成時期と照らしても、この時期からもうどんどんどんどん水が余っていく、既に余りぎみであるわけですが、水不足の時代ではなくて、もうはるかに水余りの時代になってきているのではないかなと思うわけですけれども、この点、どのようにお考えになっていますでしょうか。

清治政府参考人 今委員からお話のございました水需要というのは、事業の見通しを立てる上、あるいは計画をつくる上で非常に重要なデータになるわけでございます。

 これにつきましては、そのもとになります人口でありますとか工業出荷額であるとか、そういうものの見通しを立てていかなければなりませんし、また、一人が使う水の量がどのように変化していくのかというようなこともあわせて検討していかなければならないわけです。

 これらについては、利根川、荒川、これを両方あわせて一つの計画になってございますが、利根川、荒川水系の水資源開発基本計画というのがございます。これについては、現在見直し作業をやっている最中でございまして、各利水者がどのようにその水需要を見込むかということが現在調整されているわけです。

 なお、今お話し中の八ツ場ダムにつきましては、現在、それらの計画との整合を図っているわけでございますが、今回の計画の見直しと同じ時期に、例えば鬼怒川の上流で事業を進めております湯西川ダム、それから利根川の水系の方で戸倉ダムというのがございますが、これらもあわせて今後の水の必要量というのを検討したわけでございます。その結果として、現在、二十二・二〇九トンの利水に対応していくという計画になっているわけでございます。

 なお、申し上げたいことは、需要と供給のバランスが問題になってくるわけでありますが、例えば、年間降水量それから積雪量、こういうものの傾向を見てまいりますときに、これは地球温暖化と一口で言えるかどうかは別としまして、渇水に対しては自然条件が厳しくなりつつあるということも一方であるわけでございます。

 したがいまして、計画しております渇水の安全度、実際にこれから確保していけるかどうかというような視点もあわせて、このフルプランの見直しの中で検討していかなければならないというふうに考えているわけでございます。

神風分科員 それでは次に、治水面について伺いたいわけですが、利根川の治水計画では、カスリン台風のときのような洪水が来れば八斗島に毎秒二万二千トンの水が流れると想定されておりまして、そのうち、堤防整備など河川改修で対応できるのが毎秒一万六千トンである、残り六千トンを上流ダム群で調整するとされております。

 しかしながら、その上流ダム群で調整するはずの毎秒六千トンのうち、既にある六つのダム、矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原、下久保と、そして八ツ場ダムで調整可能な流量というのはどのくらいになりますか。

清治政府参考人 今まで、利根川の基準点の八斗島というところですけれども、そこの洪水調節として機能を発揮できるダムが、今委員がお話しになりました六ダムございます。この六ダムがどのくらい洪水調節効果を発揮するかということと、それから、八ツ場ダムが完成した場合にさらにどのくらいの洪水調節効果が期待できるかというような検討をしているわけでございます。

 これは申すまでもございませんが、利根川のような、日本一の川でございますが、こういう大きい流域面積を持っている川につきましては、どこにどのくらいの雨が降るかということが流量に対しても影響を与えるわけでございます。

 流域の形としては、樹木の木と枝のような関係で本川と支川がある場合と、それから、羽状河川といって鳥の羽のような状況で河川がある場合とでは大きく違うわけでございまして、どの支川の流域に大きい雨が降るかということによってきき方が違ってくるわけでございます、申し上げるまでもございませんが。

 それらを押しなべて検討した結果で申し上げますと、戦後の大きい洪水、失礼いたしました、戦前のものも含めてでございますが、昭和十二年の洪水から大きい洪水を拾い上げまして、それらの洪水が、二百分の一の規模、これが利根川水系の治水計画のもとになっている超過確率でございますが、これにはカスリン台風のような降り方をした場合というものも含めてでございますが、それぞれの降雨パターンに対して検討したものがございます。

 これでいきますと、三十一洪水を扱いましたが、既設の六ダムで、平均で約千トンの効果があるという結果が出ております。また、八ツ場ダムにつきましては、同じく三十一洪水で、平均しますと六百トンの効果があるということでございますので、両方合わせると千六百トンぐらいの効果が発揮できるような計画になっているということでございます。

神風分科員 毎秒六千トンが千六百トンにすぎないというのは相当な大きな開きではないかなと思っておりますが、ちょっと時間がないものですから、次の質問に移らせていただきます。

 グラフの三ページをごらんいただければわかるように、本当に、カスリン台風というのは非常に異常な洪水をもたらした台風であったわけです。これに合わせて基本高水流量が毎秒二万二千トンに引き上げられたということでありますけれども、これの合理的な根拠があるんであろうか。

 つまり、カスリン台風が来たときには、戦争直後の疲弊し切った国土を襲って、山の保水力が非常に弱っているところに、また、加えて堤防整備がおくれているという悪条件の中で未曾有の大雨が降ったためにこれが発生した。その後、植林も進んで森林の保水力も大きく回復した今、カスリン台風と同規模の雨量があったとしても、恐らくこういった洪水流量が毎秒一万七千トンに達するとはとても考えられないわけですが、その上さらに毎秒五千トンを上乗せした毎秒二万二千トンという数字は実体がないと思うわけですけれども、これについてはどういう御判断でいらっしゃいますか。

清治政府参考人 利根川の基本高水でございますが、二万二千トンに定めております。これは、二百分の一の超過確率の雨でもって、いろいろなパターンの洪水を計算しているわけです。それのピークというのが二万一千二百トンでございますが、あわせて、カスリン台風の実際の雨が降った場合に今どのぐらいの流量が出てくるかということを計算した結果が、約二万二千トンでございます。これで決めているわけですが、昭和二十二年のカスリン台風の時点におきまして実際に八斗島で観測されております流量は一万七千トンでございますが、群馬県内でかなりの洪水はんらんがあったわけでございます。これらを勘案しますと、二万二千トンの洪水になるということでございます。

 委員が今御指摘になりました森林との関係について申し上げますと、昭和二十二年の時点で、群馬県内の森林面積というのが三千九百方キロございました。それに対して、平成十二年の時点で約四千七十方キロでございますので、森林の面積としては、若干ふえておりますが余り変わっていないという状況にありますのと、それから、カスリン台風の昭和二十二年九月の時点で山が荒廃していたかどうかということにつきましては、これも、そう大きく変わってはいないのではないかというふうに考えられているわけでございます。

 また、この利根川の流量を決めるに当たりましては、現在の森林の状況というのを織り込んだ計画になっているわけでございますが、森林の整備を進めることによってどのくらい洪水調節の効果があるかということにつきましては、委員も御案内かと思いますが、平成十三年の十一月に日本学術会議の答申がございまして、かなり強い雨で、計画の流量を検討するような雨の場合には、既に流域は飽和状態となっていて、降った雨のほとんどは河川に流出するような状況になっている、したがいまして、森林は、中小洪水時には洪水緩和機能を発揮するが、大洪水時においては顕著な効果は期待できないという報告がなされているわけでございます。

 もちろん、山の森林の保全というのは非常に重要なことでありますので、森林の保全と、それから必要なダムの整備、あわせて実施していかなければならないものだというふうに考えているわけでございます。

神風分科員 このカスリン台風の場合、国土交通省の計算結果では、八ツ場ダムが八斗島地点における洪水ピークを低減させる効果は一体どのぐらいなのですか。

清治政府参考人 カスリン台風のときの雨の降り方というのは、流域の中で、どちらかというと八斗島から上流の流域でありますが、その中の下流に主体的に降っている雨でございました。また、吾妻川、八ツ場ダムが建設されている川でございますが、こちらの方の流域に降った雨が、八斗島のそのときの一番流量の大きかったときよりもかなり早く降っていたということもございまして、カスリン台風のような雨の降り方に対してはこの八ツ場ダムの効果は余り期待できないということで計算結果も出ておるわけでございます。

神風分科員 カスリン台風の場合にはゼロですよね、ほとんど。

 それでまた、先ほどお配りした四ページの一番最後の方にありますけれども、キティ台風においても台風二十一号においても、ほとんど八ツ場ダムの効果、治水効果は発揮されないのが今回の八ツ場ダムの特徴だと思いますが、その点、いかがですか。

清治政府参考人 ダムの操作規則を一つの形に定めて計算をした結果でございますが、私は、IT技術の進歩であるとか観測技術の進歩、こういうものも踏まえて、利根川の上流に既に建設されているダム、それから今建設されつつあるダム、こういうものをあわせて、基準地点に最大限に効果を発揮できるような操作というものを検討していかなければならないというふうに考えているものでございます。

 したがいまして、八ツ場ダムがカスリン台風のパターンのときには余りきかないという結果に対して、八斗島の流量を眺めながら、八ツ場ダムを効果的に、効率的に使っていくという検討もいずれ必要になるというふうに考えておりますし、既設のダムの治水容量、利水容量、こういうようなものについても、効率的に、両方機能を発揮できるような操作の仕方はないものかというような検討を引き続きしていくことが重要だというふうに考えております。

神風分科員 ちょっとまだ何点か伺いたいことがあったんですが、時間がなくなってしまったものですから、最後に大臣にお伺いしたいと思うんですが、大臣は、吾妻渓谷の方は行かれたことがございますか。

北側国務大臣 まだございません。

神風分科員 私自身は、昨年の十一月の二十二日、二十三日と実際に行って、ダムサイトの建設予定地等も視察してまいりました。

 そこで旅館を経営されている方と何人かでお話をしたんですが、本当に、現地の皆さん方は大変な思いの中でこの五十年間を過ごしてきたんであるなということをつくづく実感いたしました。家族も、生まれたときから毎日、ダム、ダム、ダム、ダムで、話がいろいろ二転三転をしてきた、人間関係もそれでずたずたにされてきた。もう皆さん疲れ果てて、とにかく次の新しい生活を見切りをつけて発車したい、その思いが一番強いんですね。もうダムがどうなろうといい、とにかく自分たちの生活を早く再建したいというのが一番大きな皆さん方の希望でございまして、私自身は、この八ツ場ダムというのは非常に無用の長物だと思っておりますが、生活再建を皆様方にはぜひきちんとしていただきたい。

 その旅館の御主人がお話しされていた言葉に、ダムは岩の上にできるんではなくて人々の犠牲の上にできるんだ、だから、こういったダム問題にも心のケアというものを取り入れてもらいたいということをおっしゃっておりました。そういう面、八ツ場ダムに限らず、いろいろな面で公共事業の場合には出てくるわけですから、そういう点、大臣にぜひお願いしたいと思います。

 最後にお願いします。

北側国務大臣 ダムにつきましては、当然、社会情勢や経済情勢も変化しますので、その都度適正な見直しというのは必要だと思います。

 しかし一方で、治水面から見た場合には、これはもう本当にめったに来ないことがやってくるのが災害でございまして、やはりそういうことを想定して整備をしていく必要があるわけでございまして、それは恐らく、過去から、日本の歴史が始まって以来、治水というのはやはりそういうものなんだろうというふうに私は思います。

 ただ、予算というのは限られたものしかございません。そういう意味では本当に効率的に使わないといけませんし、また、ソフトの対策もしっかり充実をして図っていく必要があると思っております。

神風分科員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。

石井主査 これにて神風英男君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井分科員 民主党の山井和則でございます。これから三十分間、私の地元であります京都府南部、八幡市のボートピアについて御質問をさせていただきたいと思います。

 北側大臣におかれましては、きょう一日非常にお疲れかと思いますが、どうかよろしくお願いを申し上げます。北側大臣は金融関係の被害者の救済とかいろいろなことで御尽力されてきた人権派の弁護士であったということも聞いております。どうか住民の声をしっかり踏まえた、血の通った交通行政を期待しております。

 今、主査の方の御許可をいただいてパネルを持ってきましたので、何かと思われているかと思いますので、まずこの説明から入らせていただきたいと思います。

 大臣、見ていただきたいんですが、要は、八幡市に今ボートピアの計画が持ち上がっているわけなんですね。そんな中で、今お配りしております資料のように、反対運動が非常に出てきております。

 どういうことになっているかというと、ボートピアはここに建設を予定されているわけですが、当該地区が、この地域は見てのとおり住んでいる方が比較的少ないんですね。それで、住宅地がこの辺にあるわけです。このメートルを見てもらったらわかりますように、二百五十メートルぐらいのところから住宅地がある。ところが、現時点ではここは当該自治会ではないということで、住民説明も十分になされていないわけなんですね。そういう意味では、これを見てもらったらわかるように、一番近くに住んでおられる方々が反対署名をされるということも御理解いただけるかと思います。

 これは、地元の小学校のPTAの方々などが、本当に寒い中手分けをして、こういうものができるらしいと、その反対署名を集めて回られたボードなんですが、きのう、ぜひこれを国会で北側大臣や担当の方々に見ていただきたいということで、住民の方々から要望を受けまして持ってこさせていただいたんですが、ここ、ちょっと見にくいかもしれませんが、黄色い蛍光ペンで書いてあるところが住民署名で反対を表明されている方であります。

 競艇場で行われていることに対して、場外舟券発売場というのがこのボートピアでありまして、八幡の場合には駐車場が千五百台、年間三百日やろうという大きな計画が今持ち上がっております。ことしじゅうに着工して来年開設予定という話も出ております。

 多くの方が反対の署名をされておられます。きょうお配りした資料を見ていただきたいんですけれども、男山東中学校区子育てネットワーク、政治色も全くない純粋なPTAのお母さん方が、これは大変なことになったということで今署名活動などに奔走されているわけです。

 二ページ目にもありますように、今まで一万を超える署名が集まりまして、例えば南山小学校区という近隣の小学校区では、ボートピア反対が千二百三十八軒、九〇・二%、ボートピア賛成は七十一軒、五・二%、わからないが六三軒で四・六%、つまり、近隣の小学校区では九割以上が反対の署名をしている、そういうふうな状況になっておりまして、それを受けて、この二月四日の新聞報道にもありますように一万百十八人分の反対署名が提出されている、そういう状況になっております。

 市長は同意をしていますが、地元のPTAを中心とする住民から大きな反対運動が起こっています。その理由は、ここの資料にも書いてありますように、「子ども達への悪影響」「八幡市の土地評価額が下がる」「道路の渋滞」「ゴミの増加」「治安の悪化」「ボートピア収益の不安定さ」などなどが書かれております。

 私も小選挙区で当選をして議員をさせていただいておりますが、この八幡市在住の支持者の方々に聞きましたが、賛成意見はまだ私は聞いたことがありません。ほとんど、ほぼ全員が反対です。あるいは、そんなものできるの、まだ聞いていないよという声もあるぐらいです。今全国で二十四の競艇場があり、場外舟券売り場は十九カ所ですが、過去にも百カ所ぐらいこのボートピア構想というのが出てきたんですけれども、多くの場合が地元の反対によりとんざしています。

 それで、八幡市ではまだ正式な住民説明会は開かれておりません。十分な住民への説明が行われず、十分な住民同意がないままこの計画が進んでいることに私は非常に危惧を感じております。

 最初に私の立場を申し上げますが、影響を受ける地元住民への十分な説明が行われて、地元住民が同意し歓迎する形であれば、私はボートピア設置は問題ないと思います。しかし、十分な説明が行われず、十分な地元同意も得ずにボートピア設置を強行することは大問題であり、決してあってはならないことだと思っております。

 そこで、まず北側大臣にお伺いしたいと思いますが、このようなボートピアを設置する場合に、大臣として心がけられていることは何でしょうか。

    〔主査退席、中馬主査代理着席〕

北側国務大臣 ボートピアというのは、多くの人々が集まる施設であると思います。そういう意味で、その施設の周辺への影響を当然考慮する必要があるわけでございまして、設置に当たり、設置者は当然のこととして地元の住民の理解が得られるように努めないといけないし、また、地元調整が十分に行われることが必要であると考えております。

山井分科員 今大臣がお答えになりましたように、やはり地域に受け入れられる、喜ばれるものでなければ当然ならないわけでありまして、地元調整がその前提として当然一番重要であって、それが賛否を分けるというふうに思います。

 そこで、矢部局長に地元調整についてお伺いします。

 ボートピアの設置に当たっては、地元住民が十分に納得した上で行わねばならないと考えるが、地元調整の手続はどのようにすべきと考えますか。また、ボートピアを設置した場合に、地元自治体に支払われる環境整備費、金額はどれぐらいになりますか。

矢部政府参考人 ただいま地元調整の手続と環境整備費についてのお尋ねがございました。

 まず、ボートピア設置の地元調整の手続でございますけれども、設置をする場合には、当該設置場所の自治会の同意がとれていること、それから二つ目に、市町村の長の同意がとれていること、そして三つ目に、市町村の議会が反対していないこと、この三つの条件が必要でございます。

 それから、環境整備費につきましては、地元自治体の公共施設や地域活性化等のために、当該ボートピアの売上金額のおおむね一%程度が施行者から地元自治体に支払われております。平成十五年度のデータに基づきますと、約千三百億円の売り上げのうち、環境整備費十六億円が支払われております。

山井分科員 この地元自治体がどこかということ、また、一%という言葉が出ましたが、一%の環境整備費ということが重要なポイントだと思っております。

 そこで、そのことについてはまた後で触れるとして、地元調整においては、十分な時間的余裕を持って地元説明会を開き、地元住民に情報を十分に提供した上で、民意を反映した意思決定、つまり、住民の賛否を問うことが当然必要であると考えますが、国土交通省の見解はいかがですか。

矢部政府参考人 ただいま地元調整のあり方についてのお尋ねがございました。

 地元調整を行う場合は、十分な時間的余裕を持って説明会を開き、同意の取得に当たりましては、民意を反映した意思決定のプロセスを経ることが必要であると考えております。

山井分科員 そこですね、十分な時間的余裕を持って説明会を開き、民意を反映した地元同意が必要であると。地元同意といっても、形だけのものであってはならないわけです。

 そこで、では地元調整をどのようにしていくかということが非常に重要なことになってくるわけです。地元調整については、例えば国土交通省の行う公共事業について、ガイドラインの参加の手続というのも出ておりますが、これを見て、恐らくこれと同様なものではないかというふうに考えております。

 すなわち、私の理解を言いますので聞いていただきたいと思うんですが、地元説明会を開いて、事業の影響が及ぶ地域住民その他の関係者に対して、メリット、デメリットなど住民が判断する上で必要かつ十分な情報を積極的に提供し、その後、これに参加した班長などが地元に持ち帰り、十分な時間をかけて地域に情報を提供し、議論を深めた上で、個々に賛否を決した上で、再度これら班長などが集まり、民主的に地元自治会としての意思決定をすることが必要と考えますが、国土交通省の見解はいかがですか。

矢部政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、地元自治会としての意思決定の方法についてのお尋ねがございました。

 地元自治会としての意思決定の方法につきましては、地域ごとに、自治会ごとにさまざまでありまして、一概にこれでなければならないというものはございません。しかしながら、先生御指摘のとおり、地元自治会としての意思決定に当たりましては、住民の意見を集約した上で行うことが一般的であると考えられます。

山井分科員 これについてはまた後ほど議論をしていきたいと思いますが、とにかく住民参加の民主的な決定をせねばならないというふうに思います。

 それで、今回の八幡市のボートピアの場合は、まだ正式な住民説明会は開かれておらず、昨年十二月に、今ここでお配りをしております「「(仮称)ボートピア八幡」計画の概要」というものが配られて、市長がボートピア設置に同意しましたという形で、概要説明の記事が一度載っただけであります。多くの市民や地元住民も、ボートピアの詳しい内容がわからないという状況で、そんな中で、先ほどお見せしたように、地元のPTAの方などが反対署名を集められ、その数は一万を超え、また、地元のPTAの九割以上が反対に署名をしているという状況になっております。

 まずお伺いしたいんですが、八幡市に計画されているこのボートピアについて、地元住民に十分な説明をせずに、自治会の会長、役員などの一部の者で決定した同意は、自治会の同意とみなされますか。

矢部政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま、一部の者で決定した自治会の同意についてお尋ねがございましたが、地元説明会を開催しないで、一部の役員等のみの同意をもちまして当自治会の同意とみなすということは困難であると考えております。

山井分科員 ということは、この八幡市の場合、まだ地元説明会を開いていないということですから、まだ地元の同意は得られていると言えないということですね。確認します。

矢部政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

山井分科員 ということは、今後八幡市でも、この地元で地元住民の説明会を開いた上で、地元住民同意の賛否を問うということになるということですね。

矢部政府参考人 そのように指導していきたいと思っております。

山井分科員 ということは、今後八幡市の現地で行われる地元説明会は、こう決まりましたという事後報告の場であってはならないということですね。

矢部政府参考人 そのとおりでございます。

山井分科員 そこで、これから開かれる地元説明会というのが当然非常に重要になってくると思います。北側大臣も聞いていてお感じになっておられるように、当然、地元説明会もやっていないわけですから、地元同意がとられているわけではないわけですね。

 そこでお伺いしますが、今後八幡市の現地で行われる地元説明会には、満たすべき条件が二つあると思います。先ほどの質問と重なります。一つは、だれもが参加できる開かれた地元説明会である。当然、影響を受ける人たちが自由に参加できる地元説明会でなければなりません。これが一つ目の条件。それともう一つは、ここが非常に重要なところですが、その説明会に参加した班長さんなどがそのメリット、デメリットなどの情報を持ち帰って、地域に情報を提供し、十分な時間をかけて議論をし、個々に賛否を決定した上で、再度これらの班長が集まり、民主的な形で地元自治会の意思決定が行われるべきだということであります。

 この点について、先ほど何か意思決定は地域によりさまざまだということをおっしゃいましたが、やはりこれだけ重要な問題ですから、例えば区長一任とかそんなことで決められるはずがないわけですから。先ほども言ったように、地元では、話聞いていない、地元説明会いつあるの、私も行きたいという声が当然の声です。お母さん方からも強いわけですから、地元説明会を持つ、それには影響を受ける関係者が当然参加できる。そして、その場で、はい、これでいいですねということで決めるのではなくて、当然参加できる人間はごく一部なわけですから、その人たちがメリット、デメリットの情報をしっかりもらって、その班長さんなり役員さんが地元に戻っていろいろな情報を提供した上で、賛否を持ち帰って改めて議論して決める。これはごく普通のやり方だと思うんですが、こういう形で八幡市でも決めねばならないということでよろしいですね。

    〔中馬主査代理退席、主査着席〕

矢部政府参考人 地元の説明会、そして地元の同意といいますか合意をどのように形成していくかということについてのお尋ねだと思いますが、具体的なやり方につきましてはいろいろあると思いますし、地元の判断にゆだねるべきだと思いますけれども、いずれにいたしましても、実質的に地元によく説明をし、そして民主的なプロセスを経て同意の決定をするべきものと思っておりますし、またそのように指導もしてまいりたいと思っております。

山井分科員 そこが大事なところですよ。地元に任せるといって、今地元に任されていて十分な公報もされていないから、いろいろな不安が起こり、反対運動が起こっているんですから。

 今言ったように、別に私は難しいことは言っていないですよ。開かれた住民説明会をやって、その場ですぐにばっと決めるんじゃなくて、やはり地域の方々に、住民説明会はごく一部の人にしか日程の関係もあってできないわけですから、その方々が情報を持って地域に戻って、ある程度時間をかけた上でもう一回持ち寄って決める、これは当たり前のことだと思います。やはりこれぐらいのことはするということでないと、その決定ももう地域任せということでは、やはりこういう反対運動が起こって問題になってくるということになると思います。それぐらいのプロセスをしないと、何のために国土交通省が確認をするのかわからないということになってくると思います。

 今みたいなプロセスということでいいんですね。

矢部政府参考人 今先生の御指摘のありました点も踏まえて、これから地元を指導してまいりたいと考えます。

山井分科員 そこはきっちり、先ほど民主的に合意形成すべきだということをおっしゃいましたから、今のような手続でぜひとも指導していただきたいと思います。

 それで、再びこのパネルに戻りますが、今問題になっておりますのは、当該自治会というのはどこかという問題なんですね。先ほど北側大臣にも御説明させていただきましたが、ここは住民の方々は余り住んでいないんです、その直近のところは。それで、一番近い住宅地はここで、自治会の線がずれていまして、ここは当該自治会じゃないということになっているんですね。この距離は三百メートルです。

 だから、こういうふうな形でやるからそういう反対運動とか不安が広がってくるわけでありまして、当然、影響を受けるこの最も近い住宅地の方々も当該自治会に含めるべきだというふうに考えます。北側大臣、いかがですか。

矢部政府参考人 ただいま、同意をとるべき自治会の範囲につきまして御質問がございました。

 この自治会の範囲につきましては、私ども、原則として当該ボートピアの設置する場所が属する自治会というふうに考えております。

山井分科員 属するというけれども、これだけ近隣なわけですから、影響を受けるわけですよね、これは。やはりこういうところも当該自治会にきっちり含めてもらわないと、そんなことを言い出したら、空き地にボートピアをつくる、それでちょっと横に、町内は違うけれども住宅街が密集している、そこの人はこの決定に参画できないということになってしまうわけですよね。そうじゃないわけでしょう。やはり影響を受ける人たちに合意を得られないと、最初に北側大臣がおっしゃったように、これはいい施設になり得ないわけですよね。だから、影響を受ける近隣の方々にもやはりこれは合意をとるということにすべきだと思いますが、いかがですか。

矢部政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、原則として当該ボートピアの設置場所が属する自治会というふうに申し上げましたが、原則としてと申しますのは、基本的にはケース・バイ・ケースで、地元の地理的な状況等を見て判断すべきものという意味で申し上げたわけでございまして、今回のケースにつきましても、地元の状況を見て判断していきたいと考えます。

山井分科員 ぜひここは、ある意味で最も近い住宅密集地なわけですから、当該自治会に含めるべきだと思います。

 そこで、先ほどの決め方の議論に戻らせていただきますが、これはどういうふうにして地元合意をとるか、何を地元合意とみなすかというのは非常に重要なことですよ。一人の役人さん一任とかそういう形で決めても、後でうまくいくはずはないわけですよね。だから、そこのところをどういうふうに指導するのか、局長、もう一度ちゃんと答弁してください。

矢部政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども一度申し上げましたが、三つの条件を確認して、私どもとしては地元の調整がとれているというふうな判断をしております。一つ目が、地元自治会の同意が得られるか……(山井分科員「その地元自治会のことを今聞いているんです。あとの二つは聞いていません。地元自治会の同意のとり方です」と呼ぶ)地元自治会の同意につきましては、地元自治会として、先ほど来議論になっております民主的な手続を経て同意の確認がされたということをもって、私どもは地元の同意がとられたという判断をするつもりにしております。

山井分科員 これは、手続をきっちり踏まずにやって、こういう設置のことが進んで、混乱したり事故が起こったり、いろいろな問題が起こる危険性が当然出てくるわけですよね、そういう手続をちゃんと踏まなかったら。その際に、何らかの混乱や事故が起こったときには、その確認者である国土交通省が責任を持つということでよろしいですか。

矢部政府参考人 今の御質問は、ボートピアを実際に運営している段階で事故があった場合の話だと理解をしましたが、その場合は、その運営に責任を持っておりますボートピアの……(山井分科員「だから、その前の段階もです。設置を強引に推進して、そのプロセスです、できるまでの」と呼ぶ)はい。プロセスも含めて、基本的には、その最初の設置申請に至るプロセスは設置しようとする者が行いますので、その設置しようとする者が責任を持つべきものだと考えております。

山井分科員 国土交通省は確認するんですから、責任が当然生じるわけですよ。その確認するときの地元自治会の合意をどういうところで、これがやはり正当な民意を反映したものかどうか判断するその基準を説明してもらえますか、民意を反映した地元自治会の同意であるということの基準を。

矢部政府参考人 地元自治会の同意がどのようなプロセスを経てとられたのかということを、説明会の開催あるいは地元の同意を確認するための会合ですとか、そういったことを全部詳細にヒアリングいたしまして、そして、先ほどから申しますとおり、民主的な形でこれが進められたかどうかということを私どもとしては判断するつもりにしております。

山井分科員 大事なことなので、まさに今おっしゃったとおりであると思います、民主的に決められたかどうか。

 ということは、住民説明会を開いて、賛否両論がいっぱい分かれているにもかかわらず、もう決めますよというようなことで、その場で決めるというようなことではだめということですね。

矢部政府参考人 いろいろな仮定を置くと議論がややこしくなると思うんですが、通常、会合を開いて物事を決定するという場合には、過半数でやるのか三分の二でやるのか、いろいろあると思いますが、そういったものについて私ども、ルールがあるわけじゃございませんけれども、先ほどから申しますとおり、どういう人が参加をして、どのくらいの規模の人が参加をして、そしてどういう採決なりどういう決定方法をとったのかということは詳細に確認をいたしまして、全体的にそれが民主的であるという判断をして、最終的には我々としてオーケーするかどうかということにしたいと考えております。

山井分科員 まさにそこをぜひとも詳細にきっちり調べていただきたいと思います。

 そこでなんですが、そういうことをしようと思えば、地元説明会の性格上、先ほども言いましたように、一たん地域に戻さないと、結局、地域の人の声を来た人は聞いていないわけですから、その場で初めて地元説明会でこうですよと聞いて、はい、どうですかというのは民主的とは言えないと思うんですよね、地域の声を聞いていないわけですから。

 ですから、その場で話を聞いて、一たん持ち帰って地域の人の声を聞いた上で決めるということでいいんですね。

矢部政府参考人 地元住民に対してどのようにこの計画を周知せしめるかという方法についてはいろいろあるかと思います。いきなり会合を開いてその場で説明する、あるいは事前に何かほかのルートで情報を流すとか、いろいろあると思いますが、先生が申されたように、もし会合を開いてその場で説明をするということであれば、そこで採決をするとかその場で決めるということについては確かに不適当な部分もあろうかと思いますので、そういうことであれば、そういう方法をとるということにつきましては、先生の御指摘のとおりだろうと思います。

山井分科員 やはりここは丁寧に時間をかけてやっていくのが当然であって、その上で賛否を問うべきだと思います。

 それで、最初に一%程度という話があったんですが、今、地元では、一・五%、二億円ぐらいが入ってくるという話が広がっているんですけれども、このあたり、私が心配しますのは、一・五%と言っていたけれども開けてみたら一億円だったとか、交通渋滞の関係で規模が縮小されて二億円のつもりが七千万だったとか、そういうふうなことになると、誇大広告というか、だまされたということにもなりかねないわけであります。そのあたりの正確な情報提供をしないとだめだと思うんですけれども、そのあたり、きっちりと、誇大広告にならないように指導はしていただけますか。

矢部政府参考人 地元に配られます環境整備費につきましては、先ほど約一%ということで、今、ボートピアの数が十七カ所ございまして、十五年度十六億円ということですから、それから単純に計算しますと約一億円弱になりますが、実際に個々のボートピアが開設された場合にそこに幾ら落ちるかというのは、実際にやってみないとわからないというところがございます。ただ、先生御指摘がございましたように、こういう数字が出ているわけですから、それと余りにもかけ離れた誇大広告をするということはいかがなものかなというふうに思いますので、余りそういうことが行われているようであればしっかりと指導していきたいと思います。

山井分科員 それでは、北側大臣に最後にお伺いをしたいと思います。

 このボートピアの問題は、子育てをされているお母さん方の非常に心配事になっております。やはりそれを強行することがあってはならないと思いますし、今質疑させていただきましたように、しっかりと住民の方々に情報を提供して、それで、その上で民主的に時間をかけて決めるべきであろうかと思います。そのような形でボートピア推進本部を通じて現地に御指導いただくということで切にお願いしたいと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 今海事局長が答弁したとおりでございますが、いずれにいたしましても、地元の住民の方々の実質的な同意を得ることが必要。実質的な同意を得るためには、当然、大切な情報が広く住民の方々に周知されていないといけないわけでございますし、また、その地元住民の同意というのが、多くの方々の意向を反映していると言えるようなものでなければならないと思います。

山井分科員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

石井主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。

 次に、楠田大蔵君。

楠田分科員 民主党の楠田大蔵と申します。

 本日、私は、我が国の環境政策の観点から、国土交通省、そしてまた補助的に環境省の方に質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、国土交通省にお尋ねをいたします。

 建設発生土というものが、公共事業を中心に、工事が行われると発生をしておりますが、これは相当な量に、我が国の一般廃棄物と同じぐらいの量が出ているとも聞いておりますが、この有効利用に関する行動計画ということでまずお聞きをしたいと思います。

 この有効利用の行動計画、このように、各自治体の政令都市の首長さんや各県知事や、そうした方々に通知という形で今出ているようでございますが、この行動計画を策定するに至った経緯、背景とその目的というものをまず大臣にお尋ねしたいと思います。

北側国務大臣 少し古い資料でございますが、平成十二年度に建設発生土の場外搬出量というのは二億八千万立米ございました。このうち利用されているものは約三割でございまして、約七割は工事間利用されていないという状況でございました。一方、建設工事における土砂利用量は一億五千六百万立米であるにもかかわらず、その五割が新材の採取によるものだったという統計がございます。

 これを受けまして、首都圏を中心とした地域で、大量の建設発生土の放置によりまして、自然環境、生活環境に影響を及ぼすとか、また、新たに五割も新材を採取しているということでございますので、当然、森林の伐採等によりまして自然環境を破壊する、さらには、これは土の運搬をしなければなりませんから、トラックの排ガスによる大気環境への影響も無視できない。

 こうしたさまざまな情勢、事情がございまして、今委員御指摘のように、平成十五年十月に建設発生土等の有効利用に関する行動計画というものを策定したわけでございます。

楠田分科員 そのような背景と目的があると思いますが、この計画に応じまして利用土砂の建設発生土、今三割しか利用されていないというようなお話、少し古い状況でございますが、そのようなお話がありました。そして、目標として平成十七年度までに八〇%ということを今の時点で通知で出しておるようですが、今までの取り組みと目標達成見通しというものを聞かせていただければと思います。

丸山政府参考人 ちょっと補足させていただきます。

 大臣が申し上げましたのは、建設発生土を工事と工事の間で利用しているのが三割ということでございまして、工事間でなくても、いろいろなことを考えますと、平成十四年度の数字は六五%ということで、何らかの形で利用されているのは六五%というふうに御理解いただければと思います。

 それで、この計画ができましたのが平成十五年の十月でございました。したがいまして、平成十六年度が初年度という形で計画ができていまして、毎年度フォローアップをしていくということになるわけでございまして、平成十六年度の目標の達成状況につきましては、平成十七年六月、この六月を目途にしておるところでございます。したがいまして、年度ごとの行動計画はまだできていないということでございます。ただ、今申し上げましたように、平成十四年度で六五%まで来ております。

 それから、行動計画の中で八つの施策で取り組むということになっておりまして、例えば、まず土量をはっきり調査して、どれぐらい発生しているかということをちゃんとつかむとか、それから、指定処分といいまして、どこへちゃんと捨てるということを決めた処分を行う、それから、先ほど申し上げました工事間利用を促進する、それから、広域に利用できないかということを考えていく、それから、そもそも工事現場に余り出ないように工夫ができないかというようなことをやっていくとか、それから、汚染土壌へのマニュアルをつくりますとか、それから、廃棄物まじり土への対応マニュアル、これは今後ですが、検討していくとか、そのようなことを合わせまして、八〇%に向けて頑張っていくということでございます。十七年六月に取りまとめられます政策の実施状況に基づきまして、その結果を踏まえましてフォローアップを適宜行っていくというふうに考えています。

楠田分科員 行動計画、策定されてまだ日も浅いということで、この六月でまず中間的に結果というものが明らかになってくるのかな、そのようなことがわかりました。

 また、その先に、平成二十二年度までに利用土砂の建設発生土利用率の目標を九五%に設定しておる、このようにもお聞きしておりますが、この九五%まで上げていく根拠、これを十七年六月のめどなどを見て変更していくようなおつもりはあるのかどうか、この点をまた改めてお聞かせください。

丸山政府参考人 そもそも行動計画の基本理念といたしまして、「将来的には建設工事に必要となる土砂は原則として工事間利用でまかなう」ということになっております。これを踏まえまして、本行動計画におきましては、平成二十二年度の目標値を九五%というふうにしたわけでございます。平成十二年度が六二%、十四年度が六五%ということで、十七年度が八〇ということになっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような諸施策を着実に実施すれば、九五%という数字は決して実現不可能な目標ではないというふうに私ども考えております。

 ただ、十七年度がどうなっているかというのをまだ見ていない状況でございますので、今の時点で確たることは申し上げられませんが、行動計画の中では、「目標年度である平成十七年度の目標達成状況については、詳細な評価分析を行い、その結果によっては、計画の抜本的見直しを行う」ということにしておりますので、本行動計画の目標も、上にするのか下にするのか、いろいろあると思いますが、十八年度以降変更することもあり得るということを申し添えさせていただきたいと思います。

楠田分科員 そして今、通知という呼び名をすると聞きましたが、私、五年ぐらい前までまだ大学生でしたが、そのころ習っていたときは、通達というふうにたしか行政法で習ったと思います。この通達、今では通知というと聞いていますが、この目標達成のために出されている通知というものが、事実上の強制力というものがどれぐらい働いているのか、この点をちょっとお聞かせいただければと思います。

丸山政府参考人 先生御指摘の通知は、平成十五年十月三日付で、事務次官通知として、各都道府県それから政令指定都市などの地方公共団体に発出したものでございます。そこの中で、「建設発生土等の有効利用の推進につき、特段の御協力と御配慮をお願いする。」という文言になっています。したがいまして、本通知は、地方公共団体に対しまして強制力はございません。

 ただ、強制力はないから何もしていないのかということではございませんで、各ブロックごとに、地方公共団体、私どもの整備局、関係する公団、事業団などで構成いたします地方建設副産物対策連絡協議会というものを設置いたしまして、建設発生土等の工事間利用の調整でございますとか、あるいはこの行動計画に書いてございます諸施策の周知徹底などを行っているところでございます。

 したがいまして、強制ではございませんが、本行動計画の趣旨につきましては、地方公共団体におきまして十分御理解をいただいているものというふうに考えております。

楠田分科員 これまで、こうした行動計画の概要や通知の意義、学術的なことまでちょっと聞いてきたんですが、実は、これを聞いてきた一つの理由としまして、全体としては私も方向性は非常にいいだろうなと。今まで、僕の頭で考えましても、工事で使ったものをどこで使おうが勝手じゃないかという人が多分多かった中で、それを有効利用していくという、大変日本の国全体の中でリサイクルを図っている、壮大な計画ではあるなと。実効性も、それを上げてきているということは非常にすばらしいことである、そういう認識ももちろんしておるわけですが、その一方で、例外的な話を一つさせていただきたいと思っております。

 上水道の話ですが、水道管工事というものも公共工事の中で行われていると思いますが、私も知人に聞いて知ったことなんですが、この水道管工事の場合は、管の周辺にサンドクッションという部分がありまして、基本的に、砂のようなものを持ってきて、周辺にそうした包み込むような、ショックアブソーバーのようなものを入れて、壊れやすい水道管が壊れないようにするという部分があると聞いております。

 この部分、山砂が、つまり新材を持ってくる形になっていますので、確かに今申された行動計画にはもとるのかなという感じがしておりますが、しかし、現在の技術の中で、山砂のほかにも浄水汚泥、水道を浄水する際に出た汚泥を利用してサンドクッションに加工をするということが可能になっているとも私は聞いております。

 しかし、こうした新たなリサイクルの部分、リサイクル製品を使うにおいて、例えば十七年度の目標の八〇%という部分、また、平成二十二年度にはさらに上がって九五%になっていくかもしれないというときに、そうしたサンドクッションの部分がどうしてもやはり二〇%、三〇%という部分を占めてくるとすれば、こうした新たな技術が使えなくなるのではないか。実は、私もこのような相談を受けておりますし、懸念を持っておるところでございます。

 こうした部分が、実際にこうした新しい技術を使っても、やはりこの八〇パーもしくは九五パーに抵触すれば使えないものであるのかどうか、その点に関して見解を。

丸山政府参考人 先ほども申し上げましたが、行動計画では、「将来的には建設工事に必要となる土砂は原則として工事間利用でまかなう」ということを目標に掲げているということを申し上げました。これは、裏を返しますと、自然環境に影響を及ぼしております山砂の採取を行わないということを意味しておるわけでございます。

 先ほど、サンドクッションとして山砂にかわって浄水汚泥を使うお話が出たところでございますが、浄水汚泥を使うということになりますと、これは山砂の採取を減らす、山砂の使用量を減らすということになりますので、これは行動計画から見ましても問題はないということでございます。

 ただ、実際に水道管の工事の発注者が何を使うかということにつきましては、これは工事の発注者が、工事の仕様に照らして、自分でどちらを使うかということを判断されることになるんだろうというふうに思っております。

楠田分科員 もちろん、それに関してどの材料を使うかというか、それは私はもちろん自由だと思っておりますが、確認いたしますが、やはり新材の採取という形では認められない水道管工事でも、新材の採取では認められないけれども、新材の採取の形ではない、工事間利用ではないけれども、こうした新たな技術の場合だけ認められる、それとも、例外的に八〇%なりに抵触をしても全体の中でごくわずかな部分であるので、一部は抵触をしても全体として九五%なり八〇%が入ってくれば認められるという考えでよろしいですか。

丸山政府参考人 ぎりぎりした議論をいたしますと、建設工事に必要となる土砂は原則として工事間利用で賄う、原則として山砂の採取は行わないということでございますので、どうしても水道管について山砂を使わなきゃいけないということになれば、そこは認められるということになると思います。

 ただ、山砂にかわって浄水汚泥を使えるということになれば、それは山砂の採取が減るということですので、代替品として浄水汚泥が山砂にかわれるということであれば、それはそれで望ましいことだというふうに私どもは思っております。

楠田分科員 ありがとうございます。

 お聞きして大体わかったんですが、ただ、通知というものに強制力がないとしましても、やはり各自治体の受け取る側は、相当省令などに近いものとして受け取ってしまうというところも、実際上、力関係ではあるんじゃないかと私は思っておりますし、また、誤解であるとしても、そうしたそれが誤解であるという周知徹底が図られなければ、この全体の精神にももとるんじゃないかな、そのようにも考えます。

 また、工事間利用だけにとどまらず、やはり日本の国全体でリサイクルをしていくんだという新たな仕組みというものも、もちろんこの行動計画に関しては非常に緻密なものであると思いますし、私はこれに対して文句をつけることではないんですが、ただ、全体として新しい技術が出てきたときに、最初の目標であった新材の採取であるとか、運搬に相当なコストがかかるとか、そうしたことに、最初の目的に従うものであれば、私は工事間だけに限らず全体的な相互利用というものも必要ではないかなと思っておりますが、この点に関して、今までの議論をお聞きになられまして、大臣、どのようにお考えになりますか。

北側国務大臣 建設事業というのは多くの廃棄物が出てまいります。これは土だけではなくてたくさん出てくるわけでございますが、それをいかに再利用していくか、また、出てくるものをいかに抑制するかということは、循環型社会を形成するに当たって非常に重要な課題であるというふうに思っております。

 この土だけに限らず、コンクリート塊など建設廃棄物のリサイクルにつきましては、建設リサイクルということで推進を今進めておりまして、平成十四年には推進計画二〇〇二というのを策定して、今進めているところでございますが、ちなみに、アスファルト・コンクリート塊は九九%、コンクリート塊は九八%、建設廃棄物全体では九二%がリサイクルをされているというのが今の現状でございます。

 いずれにしましても、これを持続的に進めていく必要がある。そのためには今委員のおっしゃった技術開発も大切だと思いますし、また、こうした再利用をコーディネートするといいますか、それ自体は何か事業として成り立たせることが非常に大事なんじゃないのかなというふうにも思ったりもしております。

 ちょっと余談でございますけれども、きょう、京都の迎賓館というのができ上がりまして、国土交通省から内閣府の方に引き渡しが多分なされたんだと思うんですが、この京都の迎賓館、京都の御所の中につくらせていただきました。建設中に土をいっぱい掘り起こしたわけですね。その掘り起こした土をそのまま建物の壁として使わせていただきました。また、建設中に出てきた、あそこは鴨川の流域のところにありますので、鴨川の石がいっぱいあるんですね。その石を庭の池の石として使わせていただくというふうな形で、これは工事間利用というよりも、工事そのもので出てきたものを、廃棄物を利用させていただいたことを御紹介させていただきます。

楠田分科員 なるほど、実際にそうしたものに視点を置いて工夫をされているということは大変重要なことだと思いますので、やはり新技術の開発というものも促しながら、誤解なきように順調に進めていただければと思っております。

 そうした中で、今回は建設発生土から考えてリサイクルのことを質問してきたわけでございますが、うちの地元で産廃の問題というものがかなり前から議論をされておりまして、実は昨年、ちょうど一年ほど前、三月一日の予算委員会分科会において、私も初めての質問だったんですが、この問題を取り上げさせていただきまして、昨年の十二月二十四日、九カ月余りを経て、環境省の方にはるばる私の福岡の筑紫野市という地元まで視察に来ていただきました。

 これは、もともとのきっかけというものが、平成十五年の十二月十八日に、行政不服審査法の五条に基づいて、産廃処分場の中間処理業に関する中間処理の許可、これに対して不服申し立てがなされた、これがきっかけであったわけですが、その後、視察を実際にされた意義と、その結果といいますか、進捗状況をどのように考えておられるか、それをお聞きしたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、昨年十二月二十四日でございます。私ども行政不服審査の審査の一環といたしまして、本省から職員二名、さらに九州の事務所からの職員を追加いたしまして現地で状況把握を行ったところでございます。

 具体的な中身でございますが、最終処分場の排水処理施設、それから地下水の採取場所、さらにガス抜き管、また、中間処理施設でございます焼却施設と選別施設の構造、また、最終処分場の排水が排出される沢の状況で、具体的にはサワガニあるいはカワニナといった生息状況についてまで現地で見まして、十分な検証ができたというふうに考えているところでございます。

 この結果、その施設あるいはその周辺地域の状況は十分に把握できたというふうに考えておるところでございまして、それを受けまして、裁決に向けて、これまでに提出されておりますマニフェスト、委託契約書など多くの書類がございます、それと、今回の現地調査の結果を総合した解析を行っているところでございます。

楠田分科員 そうしたさまざまな過程を経て裁決がされていくということだと思いますが、私が知る限り、この不服審査に基づいて環境省が実際に視察されたというケースは余りないともお聞きしておりますが、過去にどれぐらいあって、なかなか言いにくいかもしれませんが、視察自体にプラスの意義というものがあるのか、どのような影響を及ぼしてくるのか、これを、一般論でも結構ですので教えていただけますか。

南川政府参考人 行政不服審査の場合でございますと書類審査が原則でございます。私ども、不服審査を出した方あるいは原処分を行った方から各種書類を出していただいて、それについて解析を行うということが中心なわけでございます。私が知る限りでも、最近で現場検証を実施したというケースは一件だけだというふうに承知をしておるところでございます。

 この場合でございますが、最終処分場の設置をめぐりまして、地域が二分されて大変な問題になったという中で、実際に、出された書類と現場でできたもの、あるいは起こっておることが隔たりがあるという御指摘が強くございました。そういう意味で、これは書類ではなくて現地を見た上で判断するということで、実際に現地に行ったわけでございます。

 したがいまして、一般的に、この行政不服審査の場合、例えば経理的基礎がないとされた場合とか、あるいはその人自身が例えば暴力団関係者であるとか、そういう場合についてはこれは書類審査で足るわけでございますが、やはり、書類と現場の突合が必要な場合には当然これからも実際に現地に行くということになると思います。

 まだどういう影響があるか、私も実はまだそこまではわかりませんが、いずれにしても、現地を見たことは、単に書類を見たことと違いまして、実際の現場の感覚がよくわかったわけでございます。そういう意味では、より社会の納得を得られるような裁決に結びつくというふうに考えておるところでございます。

楠田分科員 時間も迫ってまいりましたが、これはなかなかお答えもしにくいかもしれませんが、もう一年三カ月ぐらい、最初の申し立てからたっておるわけでございますが、大体どれぐらいで結論が出るものなのか、そして、この件に関してはどれぐらいで結論、裁決というものは出るものか、答えられる範囲でも結構ですので教えてください。

南川政府参考人 どれだけかかるかわかりませんが、だらだらやるものではございませんので、できるだけ早くまとめるように担当にも話しております。私は、常々、担当には、きちんと整理をしよう、第三者が見て恥ずかしくない裁決にしなければいけないということで言っておるところでございまして、その上で、できるだけ早く結果が出るようにしたいと思っております。

楠田分科員 わかりました。

 やはり住民も待っておる問題ですので、できるだけ早く出していただきたいと思いますし、やはり、実際に見ていただく、私も、決してどこかにくみするとかそういう形ではなく、実際に応じて結論が出るということに非常に望みを持っておりますので、また、今後、たとえ何らかの結果が出た後も、原状復帰を図っていく問題等、本当の解決というものはまだまだ先になるとも思っております。これからもこうした問題、ぜひとも環境省の方々に注目をしていただきまして、自分の目で確かめていただきたいなと思っております。

 それでは、本日、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

石井主査 これにて楠田大蔵君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木淳司君。

鈴木(淳)分科員 自由民主党の鈴木淳司でございます。

 予算委員会の分科会もいよいよ大詰めでありますけれども、質問の機会をいただきましてまことにありがとうございます。北側大臣におかれましては、きょう一日、本当に大変お疲れでございますが、あと少しでありますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、先週の第七分科会におきます愛・地球博の関連での私の質疑の際に国土交通省関係の分が積み残しになっておりましたので、冒頭、ここで触れさせていただきたいと思います。

 今回の博覧会の開催に際しては、極めて短い準備期間ではございましたけれども、会場並びにそれに至る広域のアクセスの整備に大変御尽力をいただきまして、本当にありがとうございました。先日も、北側大臣の御臨席をいただきまして、中部新空港、セントレアの開港式が行われましたけれども、博覧会の開催を間近に控えて、それにかかわるインフラも次々と竣工し、日ごとに開催の機運が高まってきたと思います。

 しかしながら、一方、必要最低限の広域アクセスはともかくとして、これまで博覧会の誘致に協力をし、開催を支えてきたはずの多くの地元近郊の市町村からのアクセスが実は容易ではないとの市民の声をよく聞きます。

 具体的に言えば、大府市や豊明市、東郷町などからの会場へのアクセスが難しく、これらの地域では、ここを通って会場へ直接乗り入れするバス路線、すなわち、開港したセントレアと博覧会会場を結ぶ乗り合いバス路線の運行を切望する声が地元議会や地域住民などに極めて強いところであります。

 過日、関係者が一堂に会しました推進議連の場で私が発言をしました際に、担当局長から前向きに検討する旨の御答弁がありましたけれども、その後の対応はいかがでございましたでしょうか。

 安定した需要が見込めないとか、機材の需要が逼迫して余裕がないとの否定的な意見も一部聞こえてまいりますけれども、潜在的需要が強いからこそ、さきのような声が市民の間で頻繁に聞かれ、またそれぞれの地方議会でも取り上げられているのですから、路線の設定に向けての努力を関係者が始めれば潜在的需要は顕在化するものと思いますが、その点、どのようにお考えでございましょうか。お尋ねいたします。

丸山政府参考人 まず、万博開催期間中のアクセスにつきましては、国際博覧会協会が中心となって作成いたしました輸送計画に基づきまして、関係者が協力して準備が進められておりまして、現時点で必要と思われますアクセス対策についてはほぼ完了したというふうに私ども思っております。

 特に、大府、豊明、東郷町からの万博会場へのバスの運行についてお尋ねがあったところでございますが、先生御指摘がございましたように、バス事業者から言わせますと、なかなか輸送需要が見込めない、それから車両、運転手に余裕がないというようなことで、まだ具体的な計画にまで至っていないというところが現実でございます。

 それから、都市によりましては、地方公共団体みずからバスを持ってそれを利用してのアクセスをやっているようなところもあるわけでございますが、それについても、大府、豊明などにつきましては、そういう自分が持っているバスなどを利用してのアクセスバスの運行を現時点では予定していない、こういう回答でございました。

 ただ、バスではなかなか需要がないんですが、ドア・ツー・ドアで少人数の旅客をまとめて機動的に効率的に目的地まで輸送することができます乗り合いタクシーにつきまして、一部、中部空港の周辺のタクシー事業者が導入に向けて積極的に検討を進めているというふうに聞いておりまして、私どもといたしましては、もしそういう動きが具体的に出てまいりましたら、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(淳)分科員 需要がないという路線会社の話でありますけれども、私は、地元で聞いていますと、やはり需要があるからこそそういう意見がたくさん出てくるのでありまして、ただ、難しいのは、民間の路線でありますので、国が強要はできません。やはりどこかしっかり音頭をとって、もう一度、関係自治体あるいは商工会議所、商工会、そのあたりを巻き込んだ形の協議の場所をつくる中で進めていけば、それが顕在化していく可能性があると思いますので、ぜひそれを具体的にお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。

丸山政府参考人 積極的に音頭をとるべきではないか、こういう厳しい御指摘でございますが、基本的には、関係交通事業者の経営判断というのが基本になるべきだというのが私どもの考え方でございます。関係交通事業者の経営判断につきましては、たびたび申し上げて恐縮でございますが、運行を計画しているバス事業者がないという状況でございます。

 そこで、鶏が先か卵が先かというようなお話になるかと思いますけれども、少なくとも、乗り合いタクシー、バスよりもちょっと小さい乗り合いタクシーについては、鶏のようなものが出てきておるようでございますので、私どもとしましても適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(淳)分科員 次に、博覧会の会場並びにそのアクセス等のインフラ整備と既存の市街地との連携についてお尋ねいたします。

 インフラ整備と博覧会の開催効果を既存市街地に引き継ぎ、一体となった地域整備を進めることは、博覧会を一過性のものにしないためにも極めて重要なことであります。博覧会の開催効果を既存市街地に引き継ぎ、その地域の活性化やまちづくりにつなげることを通じて、地域全体がその後も博覧会のテーマに沿った情報発信をしていくことは、後世からの博覧会の評価そのものにかかわる重要な要素であります。

 博覧会にあわせて地元自治体も関連のインフラ整備に鋭意努めてきたところでありますけれども、財政上の制約からいまだ未整備や未着工の事業も散見され、ポスト万博を心配する声も根強いところであります。ここは、絶対にうたげの後にしてはならないと思います。

 国による博覧会関連のインフラの整備効果を既存市街地に連動させるべく、地元としては、東海環状自動車道のインターチェンジと中心市街地を結ぶアクセス道路や、第三環状線、瀬戸環状東部線並びに瀬戸大府東海線等の地域幹線の整備促進を強く望んでおりますけれども、こうした地元の声に対し政府は、その現状をいかに認識し、地元要望にいかに対処していこうとされているのか、お尋ねをいたします。

 実は、先ほどのバス路線で想定するルート、瀬戸大府東海線は、名古屋東部丘陵地域の縦の重要幹線であります。政府は、来年度予算で、三大都市圏域の都市機能強化をうたい、環状道路の整備促進を打ち出しております。押しなべて都心に向かう放射状の道路網構成に特化をし、構造上、とかく環状機能が弱かった名古屋圏域にあって、名古屋市の第二環状線の一回り外側の環状機能を果たす本路線は、その整備が極めて重要な意味を持つものと考えます。

 しかしながら、本路線の整備促進期成同盟会の歴史は既に五十年を超えるものの、いまだ未整備の区間を一部残しており、名古屋東部丘陵地域の発展とも相まって、あるいはまたセントレアと博覧会を結ぶ直結ルートとなった以上、それも含めてこの路線の整備は、名古屋都市圏域全体から見てもいかにも地域の重要課題であると考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、万博の関係、また、二月十七日に開港しました中部国際空港のアクセスということで幹線道路の整備に重点的に取り組んできておりますが、これが万博のうたげの後ということにならないように、地域の安全で豊かな暮らしのために、これに関連する道路整備の必要性は私どもも十分認識しているところでございます。県、地元の市町村と連携を高めながら、整備推進に努めてまいりたいと考えております

 特に、今御指摘をいただきました三路線についての状況をお話しさせていただきますと、一点目の瀬戸環状東部線でございますが、これは二つの事業主体になっているということでございます。

 来月になりますが、三月の十九日に開通する東海環状自動車道せと赤津インターチェンジへのアクセスに関連する国道二百四十八号瀬戸東バイパスにつきましては、全体延長三・五キロございますが、東海環状道路の関連区間一・五キロメートルを同時供用する予定でございます。残る区間につきましても、用地買収を進めているところでございます。

 また、関連するもう一つの道路として、県の単独事業でございますが、主要地方道瀬戸設楽線のバイパス事業に平成九年から着手しているということで、九割ぐらい買収が済んでおるということでございます。

 二つ目の第三環状道路につきましては、瀬戸市中心部と尾張旭市、春日井市方面を結ぶ道路として計画されておりまして、これも愛知県の単独事業により一部用地買収に着手していると聞いておりますが、名鉄瀬戸線との交差部が非常に問題だということで、鉄道との協議について今検討を鋭意進めているというぐあいに聞いております。

 三つ目の瀬戸大府線につきましては、東海までというような委員の御指摘もございましたが、瀬戸市街地の渋滞緩和及び交通安全対策を目的とする同市菱野町における拡幅事業につきまして、愛知県が、これは補助事業でございますが、平成十二年度に着手しているということで、用地買収を実施しているということでございます。これに続く幡西町までの区間の拡幅事業につきましては、現在、用地買収を進めている区間の進捗を勘案して着手の時期を検討というぐあいに聞いております。

 いずれにしましても、鋭意、県と市町村と連携しながら整備を引き続き進めてまいりたいと思います。

鈴木(淳)分科員 開催地域の基盤整備に関しては、残る部分の多くが県事業でありますので、ストレートに国が関与できないということはよくわかります。しかし、地域全体がより大きな整備効果を発揮するために、それを全体から見通す視点がやはり必要だというふうに思いますので、ぜひ、国と地方の関係部局の連携によって、道路環境整備の投資効果を発揮するためにも、圏域再生の視点から国の積極的な関与をお願いしたいと思いますが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それから一点、瀬戸大府東海線の位置づけというのを、やはりこれは地域の縦幹線でありますので、しっかりこれはお持ちいただきたいというふうに思いますので、一言申し上げておきます。

 次に、インテリジェント踏切についてお尋ねをいたしてまいります。

 私の地元に名鉄瀬戸線という、瀬戸市と名古屋市中心部、栄町を結ぶ鉄道が走っております。この線は、名古屋市中心部においては地下乗り入れや高架化を済ませているものの、大曽根駅から東については、住宅密集地域を通り抜けて走る路線のために全線に七十二もの踏切がある関係で、道路は渋滞に悩まされて、それゆえ、かねてから連続立体化あるいは部分立体化というものが地域の要望でありました。

 しかしながら、連続立体化には瀬戸市関連分のみでも三百五十億とも五百億とも言われる費用がかかると言われ、また、連続立体にしようにも、それに必要な側道確保が事実上困難な箇所が多く、実際には、近未来におけるその実現はほとんど不可能に近い状況ではないかと思われます。部分立体も考えられるのですが、これまた同じく越えるべき課題が多いので、まだ時間がかかり、容易ではないと思います。

 そこで、当面の次善策として考えられるのが、インテリジェント踏切化の促進であります。

 インテリジェント踏切とは、従来の遮断機が、通過電車が踏切手前の一定距離になったらおりるものを、距離ではなくて、急行や各駅停車などの電車の接近時間に応じて必要な時間だけ遮断するものでありますけれども、それに要する費用は一踏切一方向当たり五百万円程度と、連続立体化に比べて圧倒的に低廉でありますので、費用対効果から見れば極めて有効な対策と感じられます。

 名鉄瀬戸線の場合など、各駅停車は踏切手前の駅で停車をして乗客が乗りおりすることがわかっているのに、遮断機はそれにお構いなしにその前にストップしてしまいますので、ドライバーなどはいつもいらいらしながら待つというのが日常の光景でありますが、その遮断時間を必要最低限にしてやれば、その間にかなりの車両が通行できるはずであります。

 事実、昨年少し調べていただいたところ、幾つかの踏切で、一開閉当たり二十秒から四十秒近い遮断時間の短縮が可能であるということがわかりました。この間に通過できる車両数を考えますと、一日当たり、それは大変な数に上るものと考えられます。

 私は思うのでありますが、住民が連続立体化という言葉で示すものは、必ずしも鉄道路線と道路の完全な立体交差を実際に願っているのではなくて、少しでもむだな遮断時間さえ少なくすれば、かなりの部分の不満が解消できるものと考えます。また、財政の厳しい昨今、可能な限り少ない費用で最大の費用対効果を上げなければなりませんので、これなどはある面画期的な対策に感じられるわけであります。

 思えば、瀬戸線のような例は全国各地で枚挙にいとまがなく、もし踏切のインテリジェント化が功を奏せば全国に展開できるはずでありますので、これは積極的に推進を検討すべき事業と思いますが、政府はいかに考えるか、お尋ねをいたします。

 また、名鉄瀬戸線は、一部既にインテリジェント化がなされたようでありますけれども、博覧会のアクセスの一つでもあり、一度具体的なテストケースとして、当該路線全線で本格調査を御検討いただけないかと思うわけでありますけれども、あわせて御見解を伺いたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 インテリジェント踏切、賢い踏切の関係でございますが、市街地に多数存在しております踏切は、交通渋滞の原因となるばかりでなくて、市街地を分断して地域住民の生活に大きな影響を与えるということで、従来より国としてもこの踏切対策というのを重点的に取り組んできております。

 踏切対策を進めるに当たっては、幅が狭い踏切を拡幅する等の速効対策を行いながら、順次連続立体交差化等の抜本対策を進めていくということで、速効対策と抜本対策、これを車の両輪として進めていくことが効果的であると考えております。

 今先生御指摘の、踏切の遮断時間を短縮するインテリジェント踏切も、速効対策として有効な方策の一つでございまして、設置を鉄道事業者に働きかけるとともに、普及を支援していくこととしております。

 御地元の名鉄の瀬戸線、御指摘のとおり、大曽根―尾張瀬戸間、七十二カ所踏切がございまして、交通渋滞を初め、さまざまな市民生活への不便がございます。

 今先生も御指摘になられたように、既に実は五十八カ所でこの賢い、インテリジェント踏切が導入されておりますが、実は上り下り片側だけというふうなことがございます。ということで、地元におきましては、この問題とあわせて連続立体交差化を検討していると伺っております。

 今御指摘のように、連続立体交差化、これはかなりの時間がかかるのではないかということになりますと、着手までの期間を考えながら、当面の速効対策として賢い踏切を増設するということについても、地元の県市、鉄道事業者と協議してまいりたい、このように考えております。

鈴木(淳)分科員 ぜひこれは積極的にお願いをしたいというふうに思います。

 さて、次に、昨年の夏にまとめられた道路関係の来年度の予算概算要求を見て、私は大変意を強くするとともに、うれしく思いました。と申しますのも、成果志向の道路行政マネジメントの理念、あるいは優先度明示方式の重点投資、既存ストックの有効活用などの方向性というものがこの中に色濃く反映をされていたからであります。

 渋滞緩和や沿道環境改善の公益重視の視点から、交通の流れを変えるために、高速道路料金の料金設定の工夫など、道路をつくるから効果的に使う発想への転換というのも、まさに時宜にかなったものと私は考えます。

 実は私も、地方議員当時より同様の問題意識を強く持っておりました。厳しい財源を効果的に集中投下して最大の効果を達成するためには、行政にも、そして我々政治の側にも、今後すべての分野においてこうした発想が必要不可欠である。また、そうした中、まさに政治あるいは国家行政の象徴ともいうべき道路関係予算の中に具体的な形でその先鞭をつけた道路局並びに都市・地域整備局、その姿勢に私は敬意を表したいと思いますと同時に、その理念が全府省に及ぶことを強く願うものであります。

 先日も、全国紙に、道路行政マネジメント研究会の意見広告が載っておりました。そこで紹介された事例はいずれも大変に共感できるものでありました。交通流シミュレーションというんでしょうか、交通の流れのシミュレーション、それに基づく道路の一部改良によって、新たな用地取得をしないで渋滞解消に成功した岡山の事例や、あるいは二つの交差点の大渋滞を連続立体化で解消した埼玉・熊谷の事例など、まさに道路行政の今後の方向性そのものを思わせるところであります。

 私もかねがね、日常的に激しい渋滞が発生をする交差点などにおいて、そこで失われている機会費用の損失やエネルギーロス、発生する温暖化効果ガスやあるいはNOx、SPMなどの負荷を数値換算して、それとその解消のために投下をする投資額を比較すべきものと思っておりましたけれども、その費用対効果を冷静に分析、検討する中で事業の効果性を判断していけば、巷間叫ばれているところの公共事業は悪がごときの風潮に対して、改めて数字の上からも公共事業の有用性が科学的に証明できるものと思います。

 課題の本質は何か、まずそれを見きわめること、そして、その解消のための費用対効果から見た最善の解決策とは何か、そんな観点から、科学的評価手法というものをしっかりと取り入れて今後の事業展開に当たるべきものと思いますけれども、ぜひ、御決意も含めて、政府の見解を伺いたいと思います。

 あわせてもう一点。

 今回の愛・地球博のテーマというものは環境共生であります。そして、その意義は、会場内のみがその理念に沿った整備になるだけにとどまらず、会場がある周辺地域全体、既存の市街地においても具体的な事例としてその理念に沿った改修整備が進めば、それこそがまさにその博覧会のテーマそのものにかなう、現実的な情報発信となるものと考えます。

 国が直接に関与する道路ばかりではありませんので、ストレートな実施は難しいかもしれませんけれども、政府としては、博覧会開催地エリア、既存市街地全体の道路環境の改善等、環境負荷の低減に向けての科学的評価手法に基づく実証展開にぜひ取り組んでほしいものと思いますけれども、そのあたりの御意向もあわせて伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、この国会で御審議いただいております十七年度の道路関係の主要施策五本柱の一つに、道路行政の改革を挙げさせていただいております。御指摘のございましたように、成果志向の道路行政マネジメントの実践、ストックの有効活用、ハイウエーだけでなくて、交差点改良、拡幅事業等を実施していきたいということでございます。

 成果マネジメントの方につきましては、平成十五年度より、達成度を事後評価する成果志向の道路行政運営を推進してきておるところでございます。具体的には十七指標ございますが、渋滞損失時間の削減、ETCの利用率等々でございます。

 道路事業を実施するに当たりましては、整備の必要性等の検討の中で、今お話しさせていただきました渋滞損失時間や、また死傷事故率を用いるなど、科学的評価手法を用い、現況把握、効果予測や効果測定に努めてきておるところでございます。

 また、もう一点の御質問の、万博会場だけでなくその周辺につきましても、万博の後も引き続いて、地域の活性化のため、まちづくりの魅力度を高めるために必要だという御指摘でございますが、地方公共団体と連携しつつ、今お話しさせていただきました科学的評価手法を用い、効果的で効率的な道路事業に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

 具体的に申し上げますと、瀬戸市道路交通問題研究会というようなものに私どもも入らせていただきまして、瀬戸市、愛知県、構成されます関係自治体と鋭意その研究会で引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(淳)分科員 行政マネジメントの理念と科学的評価手法というものが、具体的事業の中で本当に実証的に展開されていくことを強く望みたいというふうに思います。基盤整備関連でも先ほど述べましたけれども、博覧会のテーマに沿った地域全体の環境共生施策の具体的展開事例として、ぜひこの地域でしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 環境共生の博覧会の開催というものは、まさに我が国の行政がその理念に沿ってシフトする絶好の機会だというふうに私は思いますので、せっかく先進的な道路行政マネジメントをやっておられますので、ぜひ地域全体をとらえて、実証展開としてこの地域でやっていただきたいなと思うわけでありますし、そのあたり、私は最後に北側大臣にお尋ねをしてみたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

北側国務大臣 私も万博会場の方には視察に行かせていただきました。本当に自然との共生ということを一番大きなテーマとしてなされているということを、実際に見させていただきましてそのような感じをいたしました。

 ですから、今委員のおっしゃったように、万博会場だけじゃなくて、その周辺についても環境との調和、自然との共生、環境というものに最大限配慮した整備をしていくこと、それは非常に大事なことだというふうに思っております。国土交通省としても、できる応援はしっかりさせていただきたいと思います。

鈴木(淳)分科員 北側大臣、ありがとうございました。

 きょう述べました事業の多くは、国ではなくて、地方であったりあるいは民間なんですね。直接国が関与はできないことはわかります。しかし、全体を見る中で、国、県、市あるいは民間も含めた調整でありリードというものをやはり国に期待したいと思いますので、そのことを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石井主査 これにて鈴木淳司君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)分科員 民主党の西村智奈美でございます。

 予算委員会第八分科会、三十分ほどのお時間をいただきまして質問をさせていただきたいと思っております。

 私の選挙区は新潟一区でございまして、今回、新潟県は昨年本当に大変な自然災害に見舞われたことをまず冒頭申し上げたいと思います。夏の水害、台風被害、そして十月の新潟県中越大地震と大変な被害だったわけでございますけれども、激甚災害指定を早期にいただきまして、公共事業などの復旧については早期に着手させていただくことができたというふうに思っております。

 今回の補正予算でも四兆七千六百七十八億円、このうち災害対策費といたしましては一兆三千六百十八億円でしたけれども、ほとんどが公共事業と申しますか公共的な社会資本に対する復旧費用であったというふうに承知をいたしております。

 私といたしましては、この間ずっと現地を回らせていただいて、今また新潟は非常に大雪に見舞われておりますけれども、もう本当に私の身長の二倍ぐらいあるような雪の壁が被災地を覆っております。そして、雪のために倒壊した家屋ももう既に百棟を超えるというふうに聞いておりますけれども、こういうような状況を見るときに、そしてまた仮設住宅に入居されていらっしゃる皆さんのことを思うときに、被災者生活再建支援法のより積極的な改正、これがやはり必要なのではないか。

 公共的な社会資本というものは今回の補正予算、そしてまた新年度予算でも要求をされております。一定のところまでは復旧ができるというふうに思います。しかし、実際的に被災者の皆さんが何に一番不安を持っておられるかというと、壊れてしまった住宅をどうしようか、高齢者の方々はもうなかなかローンも組めない、若い世代も、子供さんを抱えたりして、年収の要件があったりして受けられないという声が本当にたくさん聞かれるわけでございまして、今回、野党の方で改正法案を提出させていただきましたけれども、与野党協力して、ぜひ政府・与党からも御賛同いただいて改正をなし遂げたいと思っております。

 国土交通大臣は住宅政策にも少なからずかかわりがあると存じておりますが、この件についてはどのようにお考えでしょうか。

北側国務大臣 本当に昨年は新潟県にとりましては大変な災害が続いた年でございました。今も豪雪で大変な状況であることはよく聞いております。

 先般もこの豪雪対策ということで、特に市町村道についての対策、これまでは交付金対策でやっておったわけでございますが、それでは足らないので道路財源を流用いたしまして市町村道についての豪雪対策費についても充てていこうというふうな判断もさせていただいたところでございます。

 また、これから新潟県は春になりますと融雪の時期がやってまいります。この融雪というのもまた大変な事態でございまして、そういう意味で、まだ新潟の、特に中越地震の被災地の復興というのは全くこれからでございまして、しっかり国土交通省としても取り組みをさせていただきたいと思っております。

 今お尋ねの被災者生活再建支援法につきましては、これはもう阪神の震災以降ずっと議論をされてきたところでございます。去年の臨時国会でも議論されましたし、この国会でも予算委員会で議論をされました。

 この被災者生活再建支援法についてどういうふうにしていけばいいのか、これは、これまでも与野党の議論の末、昨年、修正をして拡充をするというふうなこともあったわけでございますが、その際もそうした議論がなされた上でああした修正になっているということで、これはなかなか難しい課題であると思っておりますが、しかし、今後の大切な課題であることは間違いございません。しっかりと関係省庁と議論もさせてもらいたいと思っております。

西村(智)分科員 今の力強いお言葉に希望をつないでみたいという気持ちにさせていただきました。

 中越地震においては、直接住宅などで被害を受けたり、あるいは命を落とされたり、けがをされたりという、そういう方々の地域ばかりではなくて、実は間接的な被害というのも大変に大きなものがございます。地震を理由に廃業したり解雇された方々の数は、もう既に千人を超えました。心のケアの必要性が言われるほどに大きな精神的なダメージを実際に残しておりますし、風評被害も非常に大きなものがございまして、新潟県内では宿泊客のキャンセルが四十二万人に達して大きな打撃となったわけでございます。

 雇用の創出、そして宿泊客のキャンセルなどという観点からも、観光業の復興が新潟においては大きなテーマであるということは御理解をいただけることと思っております。

 ちょっと一般的な話になりますけれども、この観光業、人口減少社会の中で交流人口をふやしていくことは大切だ、これはどなたもがお認めになることだと思いますけれども、日本では、観光立国を目指して、日本を訪れる外国人旅行者を二〇一〇年に一千万人にする、こういう目標を掲げています。今や九人に一人が一年に一度は外国に旅行しているという状況ですから、もう観光というのは世界最大の産業に成長したと言ってもいいのではないかと思います。

 ところが、外国人旅行者の受け入れは、日本は世界で三十三位。一位、二位を占めるのはフランスとスペインでございます。この両国は、自分の国の国民の数よりも多い外国人旅行者を受け入れている、こういうことでございますが、スペインやフランスは欧州と陸続きでございますので、同じ条件で日本と比較することはできないと思いますけれども、ただ、確実に参考になることというのはあるわけでございます。

 つまり、スペインやフランス、ただ待っていて観光客がふえたというのではありません。積極的にやはり誘致をする、そして、一度来られた方が何度も何度もその国を訪れる、そのことによって外国人旅行者の数が多くなってきているという点でございまして、特にスペインでは旅行者の六割がもうリピーターであるということでございます。

 長期的に見たときに、これはどうしても日本でもリピーターをふやすことが必要だというふうに思いますけれども、所管では、このリピーターをふやすためにどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

 一千万人を達成することができるかどうか、これは未知数でありますけれども、その一千万人の中身そのものが重要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、やはり一千万人にするためには、もちろんヨーロッパとか初めて来ていただく人、日本を観光地としてまず認知されていないという部分がございまして、例えばヨーロッパとかアメリカなんか、中国もそうなんですが、まだまだ日本を観光に行こうという国として見ていただいていないということがございますので、そういう国に対して、日本にもいい観光地がいっぱいありますよというようなことというのも、やはり外客誘致の施策の一つとして重要なことであるというふうに私どもやっております。

 二点目が、先生おっしゃられたとおり、リピーターをふやす、こういうことでございます。

 リピーターに関して申しますと、現在リピーターで来ていただく方というのは周辺の方、韓国であり、香港であり、台湾であり、そういうようなところの方にリピーターとして来ていただく、こういうようなことを、現在もかなり来ておられますので、そういうことで、今来ておられる方も、今までは、一回目、東京に来て、東京と京都と大阪を見ました、でも二回目はもっと楽しんでみたいというようなことで、いろいろな体験をしていただけるようなツアーというものを具体的に民間の方に組んでいただけるように、自治体と協力をしながらやっているところでございます。

 例えば韓国なんかで申し上げますと、温泉とそれからゴルフのようなものが大変お好きであるということなので、そういうことも楽しめるようなツアーを組む。あるいは、台湾の方ですと、雪を見たことがないという方が多いというようなことでございますので、北海道、まあ新潟もそうかもしれません、そういうようなことをアピールするということにしておりますし、今まで余り有名でなかったのですが、東北の吹雪を経験するというのもすごく新鮮でいいというような声もありますので、そういうものも発信をして、具体にツアーをつくってもらう。

 こういうようなことを通じて、リピーターをふやして、一千万人につなげていこうというふうに考えております。

西村(智)分科員 ビジット・ジャパン・キャンペーンは、まず外国人の方から日本に行ってみたいという気持ちを持っていただく、そのためのキャンペーンだと思います。

 新年度予算案の中では三十五億円、要求額になっておりますけれども、実際、例えば小泉総理のキャンペーンビデオを見た、そして日本に行ってみたいと思ったときに、ではどこに行ったらいいんだろうかというふうな提案をしっかりしないと、つまり、呼び込む運動と、それから受け入れる運動がちゃんと軌を一にしないと、これはきちんと数値として出てこない、成果は生まれてこないわけでございますから、ぜひリピーターをふやすという観点から、いろいろな受け入れ側の対策というものは考えていただきたいというふうに思っております。

 世界的に名の知れた観光地というのは、今までですと、いつでもどこでもどんな状況でも集客力があるというふうに言われてきたかと思います。ところが最近は、いわばそういった物見遊山的なパックツアーではなくて、どちらかというと自由な、自由度の高い旅行がブームになってきているのではないかというふうに考えています。いわゆる名所旧跡を訪ねる旅行だけではなくて、グリーンツーリズム、エコツーリズム、ブルーツーリズム、挙げれば切りがないわけでございますけれども、そういうふうに旅行の形態は多様化をしてきております。

 先ほどお話しいただきましたように、韓国から、ゴルフですとか山登りですとか、こういった方々がたくさん日本に来られるということは、数年前は想像してみたこともなかったことでした。日本でも、スローライフ、スローフードなどというのがブームになっておりますけれども、つまり、私はこう考えるんです。日本には、いわゆる名所旧跡のほかに、たくさん観光資源というのは眠っているんだ、すばらしい観光資源というのは地方にたくさんあって、地方もそのすばらしさに気づきつつある。その効果だと思いますけれども、地方自治体の中では民間主導で観光地の再生に成功しているところも数多く出てきております。

 こういったようなやり方、地域と連携しつつ観光行政をとり行っていくということの必要性についてはどういうふうにお考えでしょうか。

鷲頭政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃられましたとおり、日本の各地域に、いろいろと掘り出すとすばらしい観光地であるものというのは大変たくさんございます。

 それで、私ども、ビジット・ジャパン・キャンペーンの中で地方連携事業というのをやっておりまして、そういうすばらしい、今まで海外に知られていない地方の資源について、自治体とよく御相談をしながら、これはいいというものをマーケット別に、例えば北海道で、先ほど申し上げましたように、台湾に雪祭りをアピールに行くとか、そういう形で、地方の現在ある資源というものをうまく海外に発信をするという事業をしております。

 もう一つ、やはり日本の中での観光地づくりそのものも、今先生がおっしゃられましたとおり、スペイン、フランス、ある意味ではスペインだとかフランスと競争して、国際競争の中で日本の観光地をよくする、来ていただけるようにするという必要があるわけでございまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンとはまた別に、来年度、観光ルネサンス事業という民間による観光地づくりを支援するような支援制度というものを創設させていただいているところでございます。

西村(智)分科員 やはり新しい観光ニーズに対応した観光資源の掘り起こし、地域にたくさん眠っておりますから、それを掘り起こすためには、やはり人材の育成が急務だろうというふうに思っております。この点について、いかがでしょうか。従来の名所旧跡ばかりではなくて、ちゃんと新しい観光資源に着目をした観光政策として取り組んでいただけるのかどうか。

 とりわけ新潟県のことでございますけれども、緊急的な事態に災害によって立ち至っております。その新潟には、スローフード、スローライフなどの本当に特色のある食、自然、人情、ホスピタリティーなどがございますし、また、積極的にお取り組みをいただいている復興支援でありますけれども、国が新潟を見守っている、新潟頑張れ、そういうメッセージを送るために、ぜひともこの分野において全力を傾注していただきたいと思いますけれども、所見はいかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 人材の育成に関しましては、おっしゃるとおり大変重要でございまして、私どもは二つの分野で取り組みをしております。

 一つは、観光カリスマといいまして、日本の観光地で先進的な成功者として活動しておられる方、新潟県にも村上にお一人おられますが、そういう方を全国に幾つか、百人ほどを観光カリスマとして選ばせていただいて、そういう方々の成功したゆえんというものを広く関心のある方に伝えるというんですかね、それを伝播していくというような取り組みをやっております。そういう意味では、カリスマの会議というのも新潟でこの間実施させていただきまして、復興支援の一環の中でそういうことをやらせていただいております。

 もう一つの取り組みとしては、やはり正確に情報が伝えられる、通訳ガイドでございますが、そういうことが、津々浦々にそういう方がおられるということが重要であるというふうに考えておりまして、今度の国会に通訳案内業法の改正案を提出させていただいておりまして、英語だけじゃなく周辺の言葉を、東京だけでなく地域できめ細かく語れるような仕組みづくりというのをしていきたいというふうに考えております。

西村(智)分科員 今の観光ガイド、通訳ガイドですか、そのお話などを伺ってきても、いよいよようやく規制改革がこの分野においても始まったのかという思いでおります。やはりこれからは、地域の中で眠っている資源を地域みずからの力で掘り出し、そしてそれをより多くの人にわかってもらう、そういう考え方を伝える努力もまたしなければいけないというふうに思います。

 ところが、地域が、地方自治体あるいは民間NPOなどが、では観光客の皆さんからたくさん来てもらえるような地域にしようというふうに一念発起したときに、実は大変な問題にぶつかってしまうわけです。御承知でしょうか、観光統計の問題ですね。

 実は、私もこの間ずっと、観光によってどのくらいの経済波及効果があるのか、あるいは、どの国から、どのくらい、どこを経由して入って、どういうルートをたどって、何を食べ、どこで何をして、そしてお帰りになっていっているのか、そういうことを調べてみたいと思って、あちこち探してみました。なかなかないんです。

 国土交通省総合政策局旅行振興課がおまとめになった調査研究が一本と、それから、これは別ですけれども、財務省が委嘱調査を行ったところの訪日外国人旅行者消費額等の動向という調査報告書、これが一本、これぐらいしかございませんで、あるいは、地方の自治体は、聞いてみましたら、みんなそれぞれに別のカウントの仕方でやっているんですね。つまり、共通のルールに基づいた観光統計がないということなんです。ほとんど推計であって、政策を立案するときにどうしても必要な、前提となる、信頼できる統計がないということなんですけれども、これを整備するお考えについてはいかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 先生御指摘のとおり、今の観光に関する統計というのは、それぞれの自治体が、はっきり申しますと、それぞれのルールでとっているものでありまして、その精粗、大変まちまちで、とっていない自治体もございますので、そういう意味では、それらを足し上げて我が国全体の統一的な統計にはなっておりません。

 そういうことで、現在私どもは、世界観光機関が決めておりますTSAと言っております、ツーリズム・サテライト・アカウントという、何を観光の消費として入れるかとか、そういうルールを国際的に決めたものがございまして、そのルールに従って自治体に、統計をつくってください、こういうお願いをしております。

 ところが、やはり自治体側から申しますと、今までの統計との連続性ということがございまして、今までの統計で多かったものがこの新しいルールにすると減っちゃうとか、そういうことでなかなか御了解いただけないところが多くて、結局、今私ども考えておりますのは、やはりそういう統計については別に、それは別なやり方で、オール・ジャパンで新しくそういうものをサンプリング調査なりなんなりしてとるというようなやり方しかないのかなというようなことで今内部で検討しておりまして、できれば来年度にもそういうものに着手をしたい、こういうふうに考えております。

西村(智)分科員 今、地方自治体の観光政策と申しますと、まだまだやはり、地方だけではなくて国もそうだと思いますけれども、問題点はあるんだろうと思っております。

 地域の持っている強みと弱みは何か、これをまず認識することが観光政策のスタートとしてどうしても必要だ。つまり、何が観光資源になるのか、どうすれば外国人の旅行者の方が来てくださるのか、そこにアピールをするのか、また、どうしたら同じ人からまた来てもらえるか、どうやったら旅行している方も、そして受け入れる側もともに楽しむことができるのかということを自発的に考える土壌が、恐らく観光統計のことがこれまで問題になってこなかったことと連動すると思いますけれども、やはりそういう自発的な土壌というのがまだまだ育っていないということだと思っております。にわかに観光立国宣言が出されて、観光立国行動計画が策定されましたけれども、私は、やはり大切なのは地域の自主性、自発性であろうと思っております。

 そういう意味では、いわゆる外客誘致法に基づいて整備された国際観光テーマ地区、これは私は順序が少し逆になったんではないかなと思っております。昨年末、観光立国推進戦略会議が報告書を出されました。ここでは、点から線そして線から面へと観光のありようは広がっていくんだというふうに指摘をされておりますけれども、国際観光テーマ地区は、これは最初から面をねらっていったものだなというふうに見ざるを得ない。いかにもやはりお役所的な取り組みであったということ、ぜひ認識を改めていただきたいと思います。

 さて、少し視点を変えまして、東アジア太平洋地域の国際観光のことについて御質問させていただきたいと思います。

 世界観光機関、WTOというんだそうでございますけれども、平成十二年に地域別の国際観光客到着数の予測伸び率というものを発表しております。ここにおいて、日本を含む東アジア太平洋地域の伸び率、年平均して七・七%と最も高くなっております。ちなみに、欧州は年平均三・〇%、米国は年平均三・九%というふうに推計されておりますから、これはやはり極めて高い伸び率が予測されている。この地域の観光地としての急成長が期待されているというふうに認識をいたします。

 さて、国連が一九六七年を国際観光年として定めた際の標語は「観光は平和へのパスポート」であったというふうに承知をしております。これは今日でもなお有効であって、とりわけこの東アジア地域においてはますます重要なテーマになってくるというふうに考えております。

 残念ながら、この東アジア地域、まだまだ国際政治情勢に人的交流も左右されることが多いわけでございますけれども、もちろんインバウンド、当地から日本に来ていただく、その政策、視点も必要だというふうに思いますけれども、まずはやはりこの地域においてはアウトバウンド、こちらの方を広げることも、広げるための努力もまた必要であろうかと思います。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

鷲頭政府参考人 お答えさせていただきます。

 今の現状を申し上げますと、海外を旅行した日本人というのは約千七百万人いるのに対して、我が国に来ていただける外国人というのは六百万人ほどだ、約四〇%ぐらいということでございまして、そういうこともあって、ビジット・ジャパン・キャンペーンで一千万人ということを目標にしてやっているわけですが、先生おっしゃるとおり、双方向に人的交流を拡大していくということは観光交流の拡大の基本でありまして、国際間の相互理解とか、今おっしゃられた政治情勢も含めた友好関係の強化の観点からも極めて大切であるというふうに考えております。

 観光の面で申し上げますと、例えば、ことしは日韓国交正常化四十周年に当たる年でございますので、日韓友情年、日韓共同訪問の年として、いろいろ、韓国であるいは日本でイベントを実施しておりまして、韓国との相互交流を拡大するための各種事業を実施するというようなことによってアウトバウンドもふえていく、こういうふうに思っておりますし、私どもの取り組みで申し上げますと、特にマーケットとして重要な国については、韓国、米国、カナダといった主要な国とは、二国間で相互の交流を拡大するための二国間協議という形で定期的に、一年に一回とかいうことで取り組みを行っておりまして、こういうことで、重要なマーケットには、来るだけじゃなくて行っていただくということも含めて、相互の交流を拡大していくということで取り組みをしております。

西村(智)分科員 ありがとうございます。

 最後の質問になると思いますけれども、観光立国を目指すときに、私はやはり、受け入れる側の日本人一人一人の気持ちの問題もまた勘案しなければいけないテーマだろうというふうに思っております。一面では、観光立国を目指し、一千万人の観光客の皆さんが来てくださることを望みつつも、実は、いろいろなアンケートをとってみますと、本心のところでは外国人観光客はふえなくてもよいと思っている方々が三人に一人、こういうことでございます。

 この気持ちの問題、これはまたキャンペーンの中でいろいろ解消と申しますか、取り組んでいくべき課題だろうと思っておりますけれども、もう一つ、犯罪者の問題と観光の問題とを時々一緒に語られることがあることを実は懸念しております。観光客の皆さん、旅行者の皆さんは、これはお願いをしてと申しますか、こちらからお誘いをして来ていただく方ですよね。観光客のそういう誘致と犯罪対策というのは別の観点で対応すべきであるというふうに思っておりますけれども、訪日ビザの改善措置などについては今後どのように取り組んでいかれるのか、それを最後にお聞きしたいと思います。

北側国務大臣 私も全く同感でございます。一部に、ある国の犯罪者が多いというその一点を取り上げて出入国管理、また治安等のことをおっしゃって、ビザの開放について消極的な意見がございます。私は、そうではないと思っております。大体、日本で犯罪を犯している方々というのは、そういう団体旅行で来られた方々では恐らく相当少ないんだろうというふうに思うわけでございまして、それはまた別次元の話であると私も思っているところでございます。

 ビザの緩和につきましては、これから御理解をいただきながら、これはやはり広げていかないといけないというふうに私は思っております。本来なら、もっと自由に人が国境を越えて交流できるようにすることが目標でございまして、そういう意味では、ビザというのは緩和する方向でいくのが国策として当然の話だと私は思います。ただ、さまざま、出入国管理、治安等の関係で一遍にはできないかもしれませんが、当然、そういう方向性を持ってビザの緩和は進めていくべき、また現に今進めさせていただいているというふうに思っているところでございます。

西村(智)分科員 終わります。

石井主査 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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