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第1号 平成18年2月28日(火曜日)

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本分科会は平成十八年二月二十三日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      園田 博之君    野田  毅君

      三原 朝彦君    古川 元久君

      上田  勇君    桝屋 敬悟君

二月二十八日

 上田勇君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十八年二月二十八日(火曜日)

    午後二時三十七分開議

 出席分科員

   主査 上田  勇君

      赤澤 亮正君    小里 泰弘君

      木原  稔君    近藤三津枝君

      園田 博之君    長島 忠美君

      野田  毅君    三原 朝彦君

      古川 元久君    高木 陽介君

      桝屋 敬悟君

   兼務 大口 善徳君 兼務 糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 春田  謙君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            小神 正志君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  鬼頭 平三君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  園田 博之君     小里 泰弘君

  野田  毅君     赤澤 亮正君

  桝屋 敬悟君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     木原  稔君

  小里 泰弘君     近藤三津枝君

  高木 陽介君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     野田  毅君

  近藤三津枝君     長島 忠美君

  斉藤 鉄夫君     桝屋 敬悟君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     園田 博之君

同日

 第五分科員大口善徳君及び第七分科員糸川正晃君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

上田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算及び平成十八年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。北側国土交通大臣。

北側国務大臣 国土交通省関係の平成十八年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算につきましては、所要の国土交通省関係予算を計上し、その歳出予算額は六兆二千五百四十五億円です。

 また、自動車損害賠償保障事業特別会計、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、自動車検査登録特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計及び特定国有財産整備特別会計に所要の予算を計上しております。

 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画については、当省関係の独立行政法人等分として三兆六千五百七十六億円を予定しております。

 国土交通省におきましては、厳しい財政状況のもと、限られた予算で最大限の効果の発現を図る観点から、重点四分野に予算全体の約四分の三を配分するとともに、防災・減災対策、公共交通の安全の確保、少子化、高齢化への対応、地域再生、都市再生の推進、国際競争力の強化など、当面する課題に対応して各事業分野でもきめ細かく重点化を行っております。

 また、政策評価等の結果を踏まえ、コストの縮減を図りつつ、事業、施策の総合化、PFI手法の活用等により、成果目標の達成に向けて効率的な施策の実施を図ります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

上田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま北側国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

上田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里分科員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 私は、耐震強度偽装事件について、特に再発防止策を中心にお伺いをしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回の事件を契機として、はしなくも制度上の多くの問題が浮き彫りになっております。これらの問題にいかに対応して再発防止を図っていくか、そして、国民の皆様が安心をして住宅を取得し居住できるその環境をいかに確保していくか、これが今、私ども国会と行政に与えられた最大の責務であると心得ます。

 そのような観点から、昨年十一月の国土交通委員会におきまして幾つかの質問をさせていただいたところでございます。その中で、建築基準法における設計者らに対する罰則強化の問題、建築確認の法定処理期間のあり方について、確認申請書等の保存期間のあり方について、そして建築士資格の更新制度の導入について、その後の検討状況をお伺いいたします。

山本政府参考人 閉会中の去る十一月三十日の国土交通委員会におきまして委員から御指摘いただきました、基準法上における設計者らに対する罰則の強化、建築確認の法定処理期間のあり方の問題、確認申請書などの保存期間のあり方、それから建築士資格の更新制度の導入など御指摘いただいたわけでございますけれども、国土交通大臣から十二月十二日に社会資本整備審議会に建築行政の見直しについて諮問をいたしまして、その後、二カ月余りにわたって基本制度部会において御審議いただいてまいりました。

 基本制度部会においては中間報告を取りまとめていただきまして、去る二月二十四日、先週の金曜日でございますが、建築分科会で了承されまして、国土交通大臣に報告されたところでございます。この検討の中で、御指摘いただきました諸点につきましてはしっかり御検討いただいております。

 中間報告の中で、御指摘をいただきました点のうち、早急に措置を講ずべき施策といたしまして、まず、建築基準関係規定の違反を行った設計者などに対し、懲役刑の導入も含め罰則を大幅に強化すること、建築確認時の審査が厳正に行われますように建築確認の法定期間を延長すること、それから、指定確認検査機関、特定行政庁、建築士事務所の確認申請書などの保存期間を延長することが盛り込まれております。これらにつきましては、早急に基準法それから建築士法の改正案をまとめまして、今国会に提出させていただく所存でございます。

 それから、御指摘いただきました点のうち、建築士資格の更新制でございますが、これにつきましては、建築技術の高度化、複雑化に的確に対応し、建築士の能力の維持向上が図られるための一つの方策として、建築士免許を更新制とすることが考えられるが、期間の経過を理由に資格を喪失させるということとなりますので、ほかの資格制度とのバランスも考慮し、必要性について検討する必要があると中間報告ではされております。

 今後、引き続き社会資本整備審議会で御審議をいただきまして、夏ごろまでに取りまとめる最終報告の中で方針を決めていただきたいというふうに考えております。

小里分科員 ありがとうございました。

 今、罰則の強化について、検討中であるということでございました。今後、偽装の再発を防ぐ上で、大きな抑止力として期待をするところであります。

 一方でまた、今回の問題の本質は、業者のモラルの問題であると認識をいたします。すなわち、建築士らが誇りを持って、社会に信頼される、いい仕事をしようという意識を涵養して、責任ある職務遂行に向けた環境を整備することが大事な課題であると思いますが、いかがでありましょうか。

 例えば、建築士資格の更新制度、その是非につて今検討中であるということでございました。導入するとすれば、肝心なことは、その中身の運用の仕組みをどうするかという問題であろうと思います。技術の向上とともに、ルール遵守、モラル向上に向けた、それに資するものであれば導入価値は高いと思いますが、いかがでありましょうか。

 また、構造設計に携わるほとんどの建築士が元請設計事務所の下請に甘んじて、その名前は設計図や構造計算書のどこにも出てこないという実態があります。設計の分業化が避けられない現状にありまして、専門分野別の建築士制度の創設が望まれるところであります。

 特に、高度な技術を要して、そして人命にかかわる仕事をする構造設計に携わる建築士について、構造設計士として国家試験資格を設けるべきであるということは先般も質問したところであります。構造設計に携わる建築士をいわば日の当たる位置に引き上げて、誇りと責任を持って仕事に従事することにつなげる、これが求められるんじゃないかと思いますが、その後の検討状況を伺いたいと思います。

 あるいはまた、姉歯氏は、建築士関係のどのような団体にも所属をせず、したがって、講習や研修にも恐らく出席したことのない、一匹オオカミ的な存在であったろうと思います。そのため、相談相手もなく、仲間もなく、効率至上主義の波にのまれていったと推察をするところであります。何らかの団体に所属することを義務づけて、そこで行う研修会や講習会などを通じて、技術の向上とともに、安全な建物をつくるその強い意思とモラルを涵養する機会を供することも考えるべきであろうと思います。また、大学など教育機関における教育課程の見直しも検討すべきであろうと思います。いかがでありましょうか。

 以上のような要素も踏まえて、建築士のモラル向上と資質の向上、そして、責任ある職務遂行体制の構築に向けて、全体としてどんな方針をお持ちであるか、大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。

北側国務大臣 今委員がおっしゃったように、建築士の方々に誇りを持っていただく、また社会的責任をしっかりと自覚をしていただく、こうしたことを通じて職業倫理意識の向上を図っていくことが、二度とこうした事件を起こさないためにも私は大変重要な点であるというふうに考えておるところでございます。

 先ほど住宅局長が答弁いたしましたように、社会資本整備審議会で今建築士制度についても御論議をいただいているところでございまして、中間報告では、早急に講ずべき施策として、設計等に関与したすべての建築士の名称をきちんと計算書類等に明示をしていく、それは構造設計士であろうと、しっかりと名前を明示していく、さらには、違反設計行為等を行った建築士に対する処分を強化しよう、こうした提案をいただいているところでございまして、この通常国会に所要の改正法案を御提出してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 それ以外、今委員の方からおっしゃった資格の更新制の問題、専門分野別の資格制度の導入の問題、さらには職能団体への加入義務づけ等の問題、これらも今後の検討課題ということで社会資本整備審議会で御論議をいただいているところでございます。

 資格の更新制につきましては先ほど住宅局長が答弁したとおりでございますが、専門分野別の資格制度の導入についても、その社会的必要性を明らかにすることというふうにおっしゃっていただいております。

 また、職能団体への加入を義務づけすることにつきましては、例えば弁護士会とか税理士会の場合は、同じ士業でございますけれども、これは強制加入、義務づけになっております。会に入らないと活動できないわけでございますが、設計士の場合はそうはなっておらない。ここのところの義務づけをすべきではないか、こういう御議論も今していただいているところでございますが、一方で、これは建築士に対する参入規制となってまいります。そこの社会的必要性を明確化する必要があるということで、今御論議をいただいているところでございまして、引き続き検討を行った上で、夏ごろまでには方針を取りまとめて所要の改正を行わせていただきたいと考えております。

小里分科員 ありがとうございました。

 指定検査機関制度でありますが、平成十年の法改正におきまして、民間にできるものは民間にとの、官と民との役割分担の見直しによりまして、それまで行政が行っていた建築確認業務を民間機関が行えるようにしたものであります。いわば規制緩和による民間開放のはしりであると認識をしております。

 これによりまして、より効率的な執行体制が創出をされまして、民間活力の導入で建築確認が民間機関に大きくシフトをされました。そして、中間検査や完了検査の実施率も大きく上昇をしているところであります。また、行政にありましては、古い建物の改善や違反指導、あるいはまちづくりなど、従来の懸案であった分野によりシフトできるようになった、そういう効果もあらわれております。規制緩和によるこのような効果を考えるときに、その方向性は間違っていなかったと認識をいたします。

 一方で、規制緩和が目指すところは決して自由放任の無責任社会ではありません。民間の活力の喚起とそれに伴う自己責任の原則を確立する、そこに目的とするところがあります。今大事なことは、足らざるを補い、改善すべきを改善して、責任ある職務遂行体制を再構築して、制度に対する国民の信頼を取り戻すことにあると考えます。

 大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。

北側国務大臣 私も、今委員の御指摘と全く同様の認識をしているところでございます。

 平成十年の改正、この時点では、年間八十万件以上の建築確認件数がございました。特定行政庁だけでは十分な建築確認検査ができない、そういう状況にあったわけでございます。そういう中で、民間の専門機関を活用していこう、こういう制度の導入をさせていただいたわけでございまして、今委員の方からお話がありましたように、その効果はあらわれてきているというふうに考えております。

 ただ、今回、指定確認検査機関においてだけではございません、特定行政庁も含めまして、建築確認の場面で、大幅な、姉歯元建築士の偽装物件を見逃してしまった、こういう事実があるわけでございます。これは極めて遺憾なことでございまして、その実態というものをよく総点検をさせていただいて、どこに問題があったのか、しっかりと改善をしていかねばならないと考えておるところでございます。

 指定確認検査機関におきましては、一つは特定行政庁、これは指定している機関ではないわけでございますけれども、特定行政庁においても、指定確認検査機関に対して立入検査の導入などができるような指導監督の強化を図っていくべきではないか、このような御提言を中間報告でもちょうだいしておるところでございますし、また、特定行政庁であれ民間機関であれ、建築確認の構造計算の部分については一定の要件のもとでダブルチェックをしていく、これはやはり建物の安全性にかかわるところでございますから、そういう御提言もいただいているところでございます。

 こうした見直しについては早急に実施をさせていただきたいと考えているところでございまして、それ以外のものにつきましても、先ほど申し述べましたように、今、社会資本整備審議会で全体の議論をしていただいておりますので、夏ごろまでに取りまとめていただいて所要の改正をさせていただきたいと考えております。

小里分科員 どうもありがとうございました。

 従来、建築確認制度上、建築士の故意に、悪意による偽装は想定されておりませんでした。これが裏切られたのが今回の事例であります。こういった悪意による偽装を含めて、設計ミスや違反を見逃さない仕組みを確立することが今必須の課題であります。

 そこで、若干今大臣もその中でお触れになったことであろうと思いますが、審査体制強化のためのダブルチェックと申しますか、特に第三者機関の導入が検討をされていると伺っております。

 有益なものと考えますが、前提として、既存の検査機関におけるチェック機能をどこまで求めるのか、そして第三者機関の組織のありようと職務をいかにするのか、明確にする必要があると思います。その中身を詰めないと屋上屋を架すことになりかねない、あるいはまた既存の検査機関の責任があいまいになりかねないという問題があります。

 例えば、検査機関の検査員において、実際に自分で建物の構造計算を行ってきた経験のある人は少ないと伺っております。今の計算書に追随できているか疑問視をする向きも少なくありません。まず、建築主事や確認検査員のその能力の向上をいかに図ろうと考えておられるか、あるいはまた、適正な人員体制がいかにあるべきと考えておられましょうか。

 また、検査機関で一から十まで構造計算をし直すとなると、これは大変なことでありまして、処理能力の限界があります。また現実的ではありません。一方で、例えば今回のような極端に鉄筋量の少ない配筋図を見たときに、これがおかしいということは必ずわかると聞きます。不審に思ったときは再計算をするとか、あるいは構造設計者にフィードバックをして疑問を呈することもできるはずであります。厳格かつ効率的に検査を行うべく、具体的なチェックポイントに基づく検査マニュアルを構築することが望まれると思いますが、いかがでありましょうか。

 また、特定行政庁には、建築工事現場への立入検査や、場合によっては工事中止命令等を行う権限があります。中間検査に限らず、必要に応じてさらに積極的な現場への関与が求められると思います。いかがでありましょうか。そしてまた、同様に、指定確認検査機関にも同じような権限を与えることも考えられなくもないと思います。あわせてお伺いしたいと思います。

 以上のような観点を含めて、まずは、特定行政庁及び指定検査機関のそのチェック機能を高めて、その責任を高めた上で第三者機関のありようを考えるべきと思います。あわせて政府の見解をお伺いいたします。

山本政府参考人 建築士さんの設計の段階、それから施工の段階における確認検査の仕事を的確に行うために、大事なポイントを幾つか御指摘いただきました。

 まず、適正な人員体制の整備でございます。

 平成十年の基準法改正後、指定確認検査機関は着実に増加しておりまして、今現在、百二十四機関が指定を受けております。建築確認事務の全体のおよそ六割がこの民間機関で行われているわけでございます。

 そうした中で、まず、公共団体で建築行政を担う職員の数、それから建築主事の数を、平成十年以降の動向を見ますと、ごく直近、若干わずかに減ってはおりますけれども、大体同じレベルを維持しているという状況でございます。

 ただ、地方における行政改革の流れの中で、確認検査業務を民間開放したということを取っかかりにして建築行政職員の定数を削減する動きがあるということについては、私ども問題意識を持っておりまして、特定行政庁でなければできない建築行政上の仕事も山積みであるわけでございますので、的確かつ効率的な建築行政が執行できるような体制整備、充実を図る必要があると考えているところでございます。

 先週の金曜日にいただきました審議会の中間報告におきましても、まず、構造計算書の内容についてガイドラインを作成して、それについて建築主事とか確認検査員を対象とした研修を実施することによって審査能力を向上させるということ、それから、適正な業務が実施できるよう、確認検査員などの建築確認検査業務を行う人員体制の要件の強化、特に民間機関について人員の原単位を定めておりますけれども、これをもう少し要件を強化すべきだといったようなことを指摘していただいております。

 そのほかに、特定行政庁において厳正に構造設計図書を審査する体制を強化するために、構造専門の職員を増員すべきであるということ、それから、構造専門の確認検査員の資格要件やその養成方法についても検討すべき課題であると指摘をいただいております。

 それから、中間報告で御提言いただきました第三者機関のあり方につきましても、現在の官民の執行体制によって対応可能かどうかを十分に吟味した上で、専門知識あるいは審査能力を備えた人材の確保について検討する必要があると考えております。

 次に、審査基準の明確化でございます。

 これにつきましては、国土交通省において実施いたしました建築確認事務の総点検の結果も踏まえまして、制度の徹底的見直しを行ってきたところでございます。

 中間報告におきましても、まず、構造設計図書の審査を、法令上の審査基準として定めた上で審査を厳正に行うということ。それから、一定の高さ、一定規模以上の建築物などについては、第三者機関の構造の専門家などが計算方法、計算過程を厳格に審査することとする。ただし、このうち、大臣認定構造計算プログラムを用いた再計算による場合は、構造の専門家などがプログラムの適用範囲とか入力内容の考え方に重点を置いて審査を行う、簡易なやり方で審査できるというようなことを御提案いただいております。それ以外の比較的小規模な建築物については、冒頭言いました法令で定めた審査基準に従って、建築主事、指定確認検査機関が厳正に審査を行う、第三者機関の審査の対象外とするというような枠組みを御提言いただいておりまして、これを踏まえて制度の見直しをしたいと思います。

 それから、工事期間中の中間検査、完了検査はもちろん的確にやっていく体制を整備することは大事でございますけれども、特に、今御指摘いただきました立入検査、それから工事中止命令の実施でございます。

 これは最も公権力の行使のきつい部分でございますので、今現在、私どもは、この部分の仕事は特定行政庁でなければできない事務であるというふうに考えております。民間確認検査機関に開放するというのはなかなか難しいと思っております。したがって、その余の確認検査事務について、民間開放によって公共団体の執行体制の効率化が促進される、その中で、行政は違反対策などに重点を置くことができますので、そういう形で重点を絞って仕事を進めていくべきだと考えております。

小里分科員 ありがとうございました。

 最後に、被害者の救済のあり方、補償のあり方についてお伺いをいたします。

 今回、政府においては、多岐にわたる被害者救済策がとられつつあります。これは、本来、確認審査業務が公の事務であるということ、あるいは、居住者あるいは近隣住民の皆さんの安全を確保すべき緊急避難的な要素があったということ、あるいはまた、責任者らの民事、刑事両面からの責任追及が徹底される、そのことを前提にして考えた場合、今回の措置は必要なものであったと思慮いたします。

 ただ、本来的には民と民との問題であることを考えるときに、今後の被害者補償のあり方がいかにあるべきか、多くの問題が提起をされたと認識をしております。売り主らの瑕疵担保責任、建築士事務所における設計ミスに対する損害賠償責任、指定検査機関における審査ミスに対する損害賠償責任、これらの責任を確実に履行させるための制度設計が望まれます。

 強制的な保険制度を活用するということが考えられますが、既存の保険では免責事由となるところの悪意による偽装や重過失の場合をどのように扱うのか、また、引き受け手の問題もあります。あるいは、保険がついているからといって、いいかげんにやっていいというようなモラルの低下、すなわちモラルハザードの問題にも留意をする必要があると思います。

 保険制度の活用を含め、関係者の瑕疵担保責任、損害賠償責任の確実な履行に向けた制度設計について、見解をお伺いしたいと思います。

 また、あわせて、関連いたしますが、今回の偽装問題の責任は、本来、建築主らにあることは言うまでもありません。司法手続は進められているところでありますが、関係者に対する行政処分は厳格に行われるべきであります。また、民事面からの責任追及も最後まで徹底して行われるべきであります。政府の取り組み方針をあわせてお伺いいたします。

山本政府参考人 御指摘いただきましたように、住宅取得者の保護の観点から、住宅事業者、それから建築士事務所、指定確認検査機関がそれぞれ瑕疵担保責任、損害賠償責任をしっかり果たすということは、最も大事なことだと考えております。

 社会資本整備審議会におきましても、この観点から御議論を進めていただいておりましたけれども、中間報告では、住宅取得者の保護の観点から、瑕疵担保責任保険への加入など、住宅の売り主などによる瑕疵担保責任の履行の実効を確保するための措置を講じる必要があるという指摘をいただきました。また、損害賠償責任保険への加入など、建築士事務所の責任履行の実効の確保、それから、指定確認検査機関の賠償能力等に関する要件の強化の必要性についても御指摘いただいております。

 この場合の保険の活用でございますが、今御指摘いただきましたように、事業者のモラルハザードの問題、故意、重過失への対応の問題など、難しい課題もありますけれども、中間報告を踏まえて、これらの問題について関係機関それから団体とも調整した上で、早急に取りまとめを行いたいと考えております。

 それから二番目の、関係者の責任の問題でございます。

 今回、多くの方々がかかわっているわけでございますけれども、法的責任につきましては、事件の全容が解明された後、最終的には司法の場で明らかになるものと考えておりますけれども、個別の法令違反につきましては、厳正な処分を行う方針で臨んでおります。

 まず、指定確認検査機関につきましては、関係する機関への立入検査を行いまして、偽装物件に関与した建築士からの事情聴取も行いました。それから建築士事務所への立入検査、それから建築主、売り主ですね、それから施工者の事情聴取といったことも進めてまいっておりまして、これらの結果、確認した事実関係に基づきまして、昨年の十二月七日には姉歯元建築士、それから、ことしに入りまして一月二十四日には、偽装物件にかかわりました元請設計者八名について、建築士資格の取り消し処分を行っております。

 さらに、今後、偽装を見逃しましたその他の元請建築士、指定確認検査機関などにつきましても、確認された事実に即して、基準法それから建築士法に基づき、順次、厳正に処分を行ってまいる所存でございます。

小里分科員 以上で質問を終わります。本当にありがとうございました。

上田主査 これにて小里泰弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤澤亮正君。

赤澤分科員 自由民主党の赤澤亮正でございます。

 鳥取二区選出の新人でございまして、きょう質問させていただくことを大変ありがたく思っております。本日は、国土交通分野につきまして、地元の問題も多く含め、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、道路整備について伺います。

 一言で申し上げて、道路整備の効果は絶大でございます。鳥取県で最近の例を挙げれば、私の選挙区外になりますけれども、青谷羽合道路のアクセス部、こういった県民が待ち望んだ道路が供用開始されれば、大変な効果が実感され、感謝をいたします。この道路は、実は、鳥取県の西部、私の選挙区から県庁所在地である鳥取市に到達するにも非常に効果がある道路でありまして、大変地元も喜んでおります。

 また、私の選挙区でいえば、米子道路の淀江大山―米子東間、これは五キロで今二百円という料金を取っておりますけれども、これが無料化されることで、これまで、たった二百円の料金ではありますが、大型トラックがすぐに米子道路を迂回して九号線に入るということで大きな渋滞の原因になっておりました、そういった点も解消されてまいります。

 道路について言えば、本当に通貫ででき上がるということが、未供用の部分があったり一部料金を取ったり、そういうことが本当に効果を台なしにするということがよくわかると思います。

 以上、本当にこれまでの整備について大いに感謝をするところでございますが、総じて申し上げれば、地元の実感としては、長らく待ち望んでいる道路整備がこれまでのところ遅々として進んでいるという感じ、これが実感でございます。

 これからの時代は、地方が自立して競争することを求められます。小さな政府の裏返しということでありますけれども、もし自立して競争しろというのであれば、ぜひ競争条件はそろえてほしいという思いを強く持っております。

 鳥取県は、例えばインターチェンジから三十分で行ける人口の割合、インターチェンジ三十分カバー率と一応通称しておりますけれども、これだと四十七都道府県で四十七位でございます。また、高速道路の供用率、これも四十七都道府県の中で第四十七位という大変名誉ある地位を占めております。このままでは、幾ら境港の港湾整備をしていただいても、米子空港の滑走路延長を進めていただいても、道路交通の便が悪いために、十分に観光振興、物流事業振興を図ることができないという極めて苦しい状況にございます。

 最近、地方においても必要な道路は概成している、大方できているという誤った事実認識のもとに、今後要るのは高度医療施設へのアクセス道路とか災害時の代替道路ぐらいだろうというような議論が散見されるところでありますが、私は、これは全くの事実誤認であるというふうに思っております。まず、最低限の経済の動脈、生活道路を整備していただきたい、切なる願いでございます。

 鳥取県においては、いまだに、県内主要都市を結ぶ道路、それから県内外の主要都市を結ぶ道路が完成からほど遠い状況になっております。最低限の道路整備もまだまだこれからというのが偽らざる実感でございます。

 そこで、地方道路整備の基本的考え方について伺います。

 先ほど申し上げましたように、これから新しい道路整備は余り必要ないとか、あるいは、今後道路整備特会の見直しも行われますが、道路整備を求める地方の声が非常に切実である、非常に強いということを踏まえれば、財源問題の結果のいかんにかかわらず、特に必要最小限の道路整備もできていない山陰などの地方において、今後とも必要な道路は着実に整備するということをぜひともお願いしたいと思いますが、今後の地方道路整備についての大臣のお考えを伺います。

北側国務大臣 道路が既に現在において概成をしているというふうな見解をおっしゃる方というのは、恐らく地方の実情というのをよくわかっていらっしゃらない方の御意見である、私もそう思います。

 私も地方に行くことが多いわけでございますが、私に対する一番の要望は、何といっても道路の整備を早くしてもらいたいという要望が圧倒的に多いわけでございまして、また、現に道路というのは、ネットワークとして完成することによって、つながることによって初めてその本来の機能を発揮するわけでございます。地域経済の振興、地域間の連携、また物流の効率化等々を考えましても、まだまだ道路の整備を進めていかなければならないと私も考えているところでございます。

 これから、本格的に道路特定財源の見直しについて議論が始まってくるわけでございますが、この道路特定財源の議論の結果がどうあれ、私は、必要な道路は、もちろんコスト縮減はしっかりやっていかねばならないわけでございますけれども、道路整備は着実に進めていかねばならないというふうに考えております。

赤澤分科員 大変心強いお言葉をいただきまして、安堵をいたしました。

 私自身、今月の二十四日に、八十三人の自民党新人議員の中で二十五人の有志を募って、地方を語る会というのを立ち上げたところでございます。私の前に質問した小里先生も、これから質問される長島先生も、その世話役をしていただいております。国土交通分野について、本当に地方出身議員の関心が高いということのあらわれであると思います。私自身、もとより微力でございますけれども、できる限り多くの同志と意思疎通しながら、国土交通省の取り組みを応援させていただきたいというふうに思っております。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 その流れで国道九号について伺いますけれども、国道九号の渋滞は大きな問題になっております。道路整備が進めば米子市と鳥取市は大体一時間で結ばれるであろうものが、通常でも米子―鳥取間は二時間半から三時間近くかかります。また、片側一車線の対面交通のために事故も多く、一たび大型トレーラーが事故を起こすと簡単に不通になります。迂回すれば、米子―鳥取間が例えば七時間かかるといったような状況もたまに起きてしまいます。

 鳥取県内の国道九号について、渋滞緩和、交通事故減少、地域連携強化などを目的に現在整備が進められておりますけれども、未整備であります大山町名和―中山間について、今後の見通しを伺います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国道九号の早期整備に対するニーズは非常に大きいものがあるということで、その必要性につきましては十分認識をさせていただいているところでございます。

 鳥取県内の国道九号の延長は百二十三キロメートルあるわけでございますが、これまでに約二十九キロメートルがバイパスとして供用がなされているところでございます。現在、残りの区間のうち約四十八キロメートルにおいて事業を推進させていただいております。事業中の箇所のうち、名和淀江道路につきましては平成十九年度の供用予定、東伯中山道路につきましては平成二十年代前半の供用を目指して、鋭意事業を進めさせていただいているところでございます。

 御質問のございました大山町名和―同町八重間につきましては、平成十年三月に、名和淀江道路、東伯中山道路と一体的に都市計画決定が行われているということでございますし、また、先ほど大臣の答弁にもございましたが、高速道路はつながらないと大きなネットワーク効果が発揮できないということでございますので、これら前後の事業中区間の状況及び周辺の道路状況を勘案しつつ、早期の事業化について検討してまいりたいと考えております。

赤澤分科員 続きまして、地域高規格道路、江府三次道路についてもお伺いをいたします。

 鳥取県西部と広島との経済的結びつきが必ずしも強くない現状については、道路の未整備も要因の一つではないかと思うところでございます。生山道路の供用開始については地元も大喜びで、大変感謝をしているところでございますが、鳥取県内の江府三次道路の今後の整備の見通しを教えてください。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 江府三次道路は、高規格幹線道路ネットワークを補完する地域高規格道路ということで、非常に重要な路線ということで考えております。

 鳥取県内におきましては、今委員の方から御指摘ございましたように、日野郡日南町生山から日野町福長の生山道路につきましては、平成十七年の七月に全線供用されたところでございます。また、日野郡江府町内の五キロメートルにつきましては、江府道路として平成十七年度より鳥取県において事業着手されたところであり、現在、測量、設計を進めておると聞いておるところでございます。

 また、県境部の鍵掛峠道路、延長十二キロメートルでございますが、これにつきましては、直轄の権限代行として国が平成十七年度より事業着手し、現在、調査、設計を進めているところでございます。

 こうした重点的な整備区間の事業中区間につきましては、できるだけ早い時期に完成するということが肝要かと思っております。その上で、残る区間につきましても、鳥取県と協議しつつ、引き続き、現道の課題も踏まえた整備方針について調査を進め、できるだけ早い機会に計画をまとめて、事業着手に移行していきたいと考えておるところでございます。

赤澤分科員 ありがとうございました。国道九号名和―中山間につきましても、江府三次道路につきましても、本当に地元の期待は大きいところがございます。ぜひ引き続き全力で取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げて、次のテーマに移らせていただきます。

 引き続きまして、港湾整備についてお伺いをいたします。

 境港についてでございますけれども、平成十六年十月に供用開始をされました江島大橋の整備については、大変感謝をしております。地元も喜んでおります。私自身も、非常に景観上もこれは美しい橋だなということで、通るたびに、あるいは見かけるたびに大変気分がいいということで、本当に感謝をしております。

 境港は、木材関係の荷役などを行う山陰最大の港湾として機能しております。これまでの整備についてはもちろん感謝をしているところでございますが、近年、境港において、新しくリサイクル物流のニーズが高まってきております。そういった中で、既存岸壁における係留施設不足のために、効率的な荷役が困難な状況が出てきていると理解しております。

 リサイクル物流のニーズを円滑かつ効率的に満たすために、境港の港湾計画におきまして循環資源を取り扱う地区と位置づけられております竹内地区の岸壁の早期整備をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

鬼頭政府参考人 お答えを申し上げます。

 重要港湾の境港は港湾区域が二つの県にまたがる全国唯一の港湾でございますが、この境港では、両県を結ぶ動脈となる江島大橋、今委員からお話のありましたとおり、平成十六年の十月に開通をいたしました。大型車の通行が可能になるとともに、通行車両台数も、需要予測にほぼ沿った一日一万五千台程度で推移している状況でございます。私どもといたしましても、境港の山陰地区の物流拠点港としての重要性はますます高まってきているものと認識をしているところでございます。

 お尋ねのありました、港湾計画に位置づけられました竹内地区の循環資源取り扱い用の水深九メートルの公共岸壁でございますが、この岸壁は、背後に立地をしております製紙会社の燃料転換に伴う廃プラスチックや廃タイヤなどのリサイクル物流の需要増を受けて計画をされたものでございます。今後、港湾管理者であります境港管理組合より整備要請をいただいた段階で、物流の需要動向に照らし具体的なニーズが明確なものとなれば、その整備について検討をしてまいりたい、かように考えているところでございます。

赤澤分科員 ニーズがあれば整備をするというありがたいお言葉をいただきました。ニーズについては自信を持っておりますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 引き続きまして、バリアフリーについてもお話を伺います。

 いわゆる交通バリアフリー法それからハートビル法という、我が国のバリアフリー化に非常に大きな効果、役割を果たしてまいりました二つの法律を統合いたしまして、新しく、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案というのを本日閣議決定されたと承知しております。

 今後の我が国のバリアフリー化を推進する、その点についての大臣のお考え、決意をお伺いしたいと思います。

北側国務大臣 交通バリアフリー法は旧運輸省が提出をした法律でございました。ハートビル法の方は旧建設省が提案をした法律でございましたが、国土交通省に一本化されましたので、この交通バリアフリー法とハートビル法を統合化、かつ、さらに拡充強化をしていこうということで、今回、この法案、本日閣議決定をさせていただきました。

 これから我が国は本格的な高齢社会が到来するわけでございます。障害者の方々はもちろんのこと、多くの高齢者の方々もできるだけ自由に移動ができるようなまちづくりをしていくということは、これからの非常に大事なまちづくりの視点であるというふうに私は考えておりまして、この法律案をぜひ通させていただきまして、これを精力的に前に進めさせていただきたいと考えているところでございます。

 これまでは、交通バリアフリー法の方は駅を中心として、そしてハートビル法の方は多くの方々が利用される建築物を中心としてバリアフリー化を促進していくということでございましたが、さらに面的な拡大をいたしまして、例えば一定の道路とか、それから公園とか駐車場についても一定の基準に適合させることを求めていくというふうなことを内容としておりますし、また、これまでは、どうしても駅等の旅客施設を中心とした地区でせいぜい面的なバリアフリー化を進めていくということでございましたが、それ以外の、駅以外の地区でも面的整備を図ることができるようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

 こうしたことを内容としておりますが、この法律案によりまして、バリアフリー化が一体的かつ総合的な形で進めることができますよう、一層このバリアフリー化を促進させていただきたいと考えているところでございます。

赤澤分科員 大変心強く頼もしいお言葉をいただきました。ぜひ、そのお考えを発揮していただきたい件、お力をかりたい件がございます。それは、米子駅のエレベーター、エスカレーター整備でございます。

 これは、私、自分では地元で山陰の七不思議と呼んでおりますけれども、鳥取駅、松江駅にもエレベーター、エスカレーター整備がされております。倉吉駅にももうつくというような状況のようでございます。浜田にもある。山陰の中で、本当に商都米子といって胸を張りながら、米子駅の状況というのは大変困ったものでございまして、いまだにかなり急な階段、私でも荷物を持っていれば下りが怖いようなそういう階段であります。本当に地元でも、主婦あるいは高齢者の方、国政報告会を開けば、一番要望が出てくるのはこの件でございます。

 これについてもぜひお伺いをしたいと思いますが、ちょっと時間の関係で鉄道局長に、恐縮ですが、通告の二問を一問にまとめて伺わせていただきたいと思います。お許しください。

 一日当たりの利用客数五千人以上という基準を満たす鉄道駅の中で、エレベーター、エスカレーターなどによる段差解消がなされていないものの数、割合を御教示いただくとともに、今後、私自身一生懸命汗をかいて、地元自治体であります米子市やJR西日本など関係者と本格的な話し合いを進めたいと考えておりますので、米子駅のエレベーター、エスカレーター整備事業のための国費補助について前向きに御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

梅田政府参考人 簡潔に御説明いたします。

 一日当たり利用者五千人以上の駅、これを平成二十二年までに段差解消してバリアフリーをしようというのが私どもの政策目標でございます。現在、十六年度末の時点で、全国で二千七百五十八駅ございます。この対象駅の中で、四九%、千三百四十三駅が既に目標を達成しており、まだ達成していないものは五一%、千四百十五駅ございます。

 今御指摘の米子駅でございます。米子駅は一日の乗降が八千四百人の駅でございます。御指摘のとおり、重要な拠点の駅でございます。私どもといたしましては、駅のバリアフリーにつきましては、御地元の自治体、それから、この場合JR西でございますけれども、西でよく相談をしていただく必要があろうかと思います。

 こういう地元の相談が、どんな構造にするのか、負担はどうするのか、こういう点について十分協議をしていただきましたならば、私どもといたしましては、できる限りの支援策を講じて、バリアフリーになった立派な駅にしていきたいというふうに考えておるところでございます。

赤澤分科員 地元の努力次第で御支援いただけるということのようですので、頑張って努力をしていく所存でございます。

 引き続きまして、米子空港の滑走路延長についてもお話を伺いたいと思います。

 四月十三日から米子空港の運用時間が拡大をされます。今後の二千五百メートルへの滑走路延長と相まって、観光振興あるいは物流事業振興に大いに資するものとして大変感謝をしております。

 米子空港の滑走路延長でございますけれども、既に環境影響評価の手続は終了したものと承知をしておりますけれども、現在の事業の進捗状況について教えていただきたいと思います。

岩崎政府参考人 米子空港の滑走路二千五百メーター延長事業についてでございますけれども、平成十三年度に新規事業として事業化が認められ、その後、滑走路延長に伴うJR境線の切りかえ方法の協議も調いまして、環境アセスメントの手続を進めてまいりましたが、御指摘のとおり、本年の一月二十六日に手続をすべて終了したところでございます。現在、用地買収、用地造成等の手続を進めているところでございます。

 滑走路延長に伴うJR境線の切りかえ方法の調整に時間を要したことから二年程度のおくれは生じているところでございますけれども、今後も早期供用に向けて鋭意取り組んでまいりたい、このように思っているところでございます。

赤澤分科員 国土交通分野、本当に全力で取り組んでいただいております。その点理解しておりますので、多くは申し上げません。本当に、この滑走路延長も、これが開けば非常に富裕層の多い中国の上海方面とかからも観光客を冬場も安定して呼べるとか、あるいは、旅客便よりはるかに重い貨物専用便も招聘できるんじゃないかとか、地元の期待は大いに高まっております。ぜひ、できる限り早く供用開始にこぎつけていただきたいという御要望だけさせていただきます。

 それから、滑走路延長後の米子空港とJRのアクセスについてですけれども、JRのアクセスがよくないとなかなか空港利用客の増もままならないというふうに思っております。この点についての御認識と、滑走路延長後の米子空港とJRのアクセスの現在の検討状況について教えていただきたいと思います。

岩崎政府参考人 空港のアクセスの改善は大変重要だろうと思っております。先生御指摘のとおり、ちょうどこの米子空港の近傍にJR境線が走っておりますので、それとうまく連携をとっていければ大変いいかと思っております。

 滑走路延長事業を機に、JR境線の駅も空港ターミナルに近接する場所に移設される予定になっております。このため、本年度より、国、自治体等から成る検討会を設置いたしまして、移設される新駅と空港ターミナルの間、少々距離はございますけれども、そのアクセス方策を含め、アクセス改善策について検討を進めているところでございます。

赤澤分科員 ありがとうございました。ぜひ、アクセスについてもよく御検討いただきまして、滑走路延長後、十分効果が発揮されて、いい形になるようによろしくお願いをしたいと思います。

 引き続きまして、観光振興についてお話を伺います。

 ビジット・ジャパン・キャンペーン、この取り組みは外国人観光客の誘致に極めて効果的であります。本当に私としても高く評価をしているところでございます。なお一段の強化を期待しているというところでございますが、ビジット・ジャパン・キャンペーンの受け皿として、いざ外国人観光客を多数呼んできても、国際競争力のある観光地ができていないと、なかなかうまくいかないといったことがあると思います。これが今後の大きな課題になってくると考えておりますけれども、国土交通省の御見解を伺います。

柴田(耕)政府参考人 先生御指摘のように、ビジット・ジャパン・キャンペーンの受け皿となる国際競争力のある観光地づくりというのは非常に重要なことでございまして、地域みずからが主体となりまして、各地域の持つ美しい自然や景観、また、歴史、文化、伝統などの個性を生かして、魅力ある観光地づくりを進めていくことが大変重要だというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、平成十七年度から、観光地づくりに関する基礎調査を行う観光地域づくり実践プランや観光ルネサンス事業を創設したところでございまして、今後とも、これらを活用し、市町村によるまちづくり交付金を活用した事業などとも連携し、地域の官民が一体となって行う魅力ある観光地づくりを積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。

赤澤分科員 続きまして、もう一つ、観光振興について伺いたいと思います。

 実は、鳥取県、「ゲゲゲの鬼太郎」という漫画がありますけれども、あるいは「名探偵コナン」という漫画がありますけれども、その作者である水木しげる氏や青山剛昌氏といった作家を輩出しております。それ以外に、すべて私は承知をしておりませんけれども、多くの著名な漫画家が輩出されているという鳥取県でございます。大体三十人ぐらい、数え上げればいるというふうに伺っております。

 特に、私も境港に行きますと、実は、「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターでありますありとあらゆる妖怪のブロンズ像がありまして、水木しげる館とか鬼太郎茶屋とかいろいろなものがあって、とにかくグッズも多く用意をされております、妖怪のそれぞれのキャラクターのピンとか。非常ににぎわっております。周りの地区と比べても、これは非常に、そのキャラクター、漫画、アニメを使ったいい市おこしになっているなと感じるところでございます。

 そういったこともあって、今、鳥取県は、マンガ王国鳥取というのをテーマとして、地元としても力を入れて観光を振興しようとしているところでございます。来年度予算で、たしか、私の記憶が間違いなければ四千万かそこらの予算を手当てして、やろうというふうに理解をしております。

 そういった中で、特に「名探偵コナン」は、実は、日本でも当然人気があるんですけれども、台湾などで非常に人気があるというふうに聞いております。アジアで大人気であると。今後、マンガ王国鳥取などの地元の取り組みで外客誘致をしていこうという思惑もあるところでございますけれども、国土交通省はそういった方面での外客誘致支援についてどのようなメニューを持っておられるか、教えていただきたいと思います。

柴田(耕)政府参考人 ビジット・ジャパン・キャンペーンにおきましては、事業を効果的に行っていくため、それぞれの国における旅行者の嗜好や市場の特性を十分に踏まえた上で事業を実施することが必要だというふうに考えております。

 こういう観点から、最近、外国でも大変人気がございます漫画とかアニメだとか、それからポップカルチャーとか、こういうものにつきましても、それぞれの市場の特性に合わせていろいろな取り組みをしていくということが重要だというふうに考えてございます。

 そういった意味で、今年度でございますが、先生御指摘のコナンのふるさと、マンガ王国鳥取というんでございますか、この取り組みにつきましても、ビジット・ジャパン・キャンペーンの一環といたしまして、鳥取県を含む中国地域観光推進協議会と連携いたしまして、二月二十七日から三月三日までの行程で、台湾から二十四名、韓国から二十三名の旅行会社、マスコミ等を招聘するような事業も考えてございまして、こういった地元の取り組みを生かした外客誘致の支援に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

赤澤分科員 最後になりますけれども、これまで大きな事件、事故といったものも、卓越した御見識それから果敢な決断力で本当に安定感抜群の対応をされてきた北側大臣におかれまして、さらに、私は国土交通省にいた身でございますので、御就任後、河川行政とか物流行政といった、本当に日本にとっては重要であるけれども、ある種、通好みの、裏方というか陰の力持ちのような分野にも大変な脚光が当たってきたというふうに感じて、非常に私としては尊敬を申し上げているところでございます。今後、本当に超激務が続くと思いますけれども、お体に気をつけられまして頑張っていただきたいというふうに思います。

 また、私自身、大分、きょうの質問をしましたことで国土交通省の先輩、同僚、後輩にいろいろと御負担をかけたかと思いますけれども、私自身の思いといたしましては、国土交通省というのは、インフラ整備といったハードから、観光もそうですし、まちづくりといったソフトも含めて、地方にとってはなくてはならない本当に頼りにしている役所でございます。

 私自身の思いというのは、地方の繁栄こそが国の礎であるという思いを強く持っておりますので、今後とも、本当に国土交通省にはいろいろな御配慮をいただきまして、自立して競争しろと言われながら不利な競争条件で大変苦しい思いをしている、鳥取県を含む山陰地方を初めとする日本全国の地方に温かい御配慮をいただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

上田主査 これにて赤澤亮正君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)分科員 近畿ブロック比例の近藤三津枝でございます。

 きょうは、質問をさせていただきます機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、国土交通省所管について、ビジット・ジャパン・キャンペーンを中心とした観光政策及び近畿圏を中心とした国土形成計画の二点について質問をさせていただきます。

 まず第一点目、観光政策についてお伺いさせていただきます。

 観光の語源、これはもうよく言われていることかと思うんですが、中国の古典をひもときますと、国の光を見ることだそうです。一国を治める為政者が、みずからの領地を旅して人々の暮らしぶりを見聞することによってよい政治が行われているかを確認し、そしてほかの国々にも自国の光、すなわち生き生きとした民の暮らしぶりを示すという意味も込められているそうでございます。

 とかく我が国では、観光はいろいろなところをゆっくりと見て回ってくるという物見遊山ととらえられがちでしたが、この観光の語源に立ち返りますと、それぞれの地域の人々の暮らし、培われてきた歴史、文化などをみずからの光として国内のほかの地域、そしてほかの国々に示していくという視点に立った観光政策が大変重要かと思われます。

 そうした意味からも、国土交通省が中心となって平成十五年から取り組んでおられます観光立国を目指したビジット・ジャパン・キャンペーンは、単に観光資源を世界に示すだけではなく、世界の人々とより近づこう、そして、国際的な文化交流を促進し、互いを理解し尊重することを通じて国際貢献を果たしていこうという意気込みが感じられます。このような省を挙げた、また関係府省庁とも連携したさまざまな取り組みをなされていることに対しまして、敬意を表させていただきます。

 その取り組みの成果の一つとして、昨年、平成十七年の日本を訪れた外国人旅行客、過去最高の六百七十三万人に達したと聞いております。そうした中、ビジット・ジャパン・キャンペーンが開始されて四年目となる平成十八年度予算では、どのような点に重きを置かれて観光立国の実現に向けてキャンペーンなどをさらに推進されようとしているのか、お伺いいたします。

柴田(耕)政府参考人 先生から大変ありがたいお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 私どもといたしましても、ビジット・ジャパン・キャンペーンを通じまして、日本のよいところ、そして日本としてさらに発信すべき情報等について一生懸命発信をし、磨きをかけてまいりたいというふうに考えてございます。

 二〇一〇年まで訪日外国人旅行者を一千万人とするという目標を立てて進んでございますが、先生御指摘のとおり、昨年は六百七十三万人という過去最高の実績を達成いたしました。ことしにつきましても、これをさらに大幅に超えるべくいろいろな形で施策を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 具体的には、昨年は中国、韓国については若干、対日感情の悪化等による交流の減少が見られたところでございますが、今後、こうした国々との草の根ベースを含む多様な連携を深めながら、近隣アジア諸国を初めとする外国からのお客様に多数来ていただくことを中心に取り組みを進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 まず、ことしにつきましては、昨年七月に訪日団体観光ビザ発給対象地域を全土に拡大いたしました中国との間で、日中観光交流年というふうにしておりまして、中国各地で訪日キャンペーンに取り組むほか、友好姉妹都市交流や教育交流拡大など、双方向の交流拡大に向けた各種事業を展開していきたいというふうに考えております。

 また、本年夏には、日本におきまして、日本、中国、韓国三カ国の観光大臣会合を初めて開催することとしておりまして、これを契機に、日中韓三国の交流を促進していきますとともに、観光当局間の連携を一層深め、欧米などから日中韓三国への旅行者の増加を図っていくこととしております。

 また、将来にわたり訪日リピーターとなる可能性が極めて高い旅行者を育成するという観点から、また国際相互理解をさらに深化させようという観点から、次世代を担う青少年の交流ということについても重点を置いてございまして、特に、教育団体旅行の促進という観点からは、昨年十二月に、関係省庁と連携いたしまして、文部科学省とかそれから総務省でございますが、訪日教育旅行促進全国協議会というのを設立いたしました。こういった取り組みを通じまして、海外からの教育旅行の誘致や学校交流の受け入れ促進というのを図っていきたいというふうに考えております。

 また、若者の訪日旅行を促進するため、低廉な日本旅行のアピール、ウエブサイト等による情報発信の充実、また外国人対応観光案内所の充実などの施策にも取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。平成十八年度予算を有効に活用し、大きな効果を上げていただきたいと思います。

 ただいま御答弁いただきましたように、二〇一〇年までに一千万人の訪日外国人の誘致を目指す。この数を達成するためには、この目標を達成するためには、諸外国に対するPRが大変必要かと思います。何と申しましても、地域の魅力をいかにわかりやすく伝えていくか、また、魅力の中身、すなわちコンテンツをいかに発信していくか、充実していくかが大変重要かと思われます。

 私が選出されております近畿ブロックは、京都、奈良、神戸、近江に熊野古道、天橋立などなど、まさに我が国を代表する魅力的な観光資源の宝庫でございます。この数々の日本の宝を国際観光にも生かしていくためには、周遊観光やリピーターの拡大などを視野に置いて、民間と行政などの幅広い連携により、地域ブロックなど地域に軸足を置いたキャンペーンを効果的に推進することが重要だと考えております。

 こうした面から、近畿ブロックを中心としたこれまでのビジット・ジャパン・キャンペーンのお取り組みの成果、これを踏まえた十八年度の新たな展開についてお伺いいたします。

柴田(耕)政府参考人 先生御指摘のとおり、近畿地区は、関西国際空港から百キロメートル圏内に五件の世界遺産を初め歴史的文化財、自然、都市など魅力的な観光資源が集中しておりまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンにおきましては、こうした近畿地区の観光的な魅力を踏まえまして、地方公共団体を初めとする地域の主体とも連携しながら、対象国の国別のニーズに対応した事業を展開することとしております。

 平成十七年度につきましては、韓国、台湾等の近隣諸国を中心に三十件のビジット・ジャパン・キャンペーン事業を展開しているところでございまして、昨年の関西国際空港からの外国人入国者数も、最新のデータでございます十一月までの実績で百二十四万人となり、前年比約七万人の増加というふうになっておりまして、着実に成果が上がっているものというふうに考えております。

 平成十八年度におきましては、先ごろ開港いたしました神戸空港の開港による国内アクセスの改善なども踏まえ、韓国、台湾等に加えまして、日中観光交流年である中国や欧米についても力を入れていくこととしております。

 具体的には、日中観光交流年でございます中国については、ショッピング、新幹線、USJ等のテーマパークなどの人気の高いことを生かした、これらを組み込んだ都市型観光を中心に展開したいというふうに考えてございます。韓国、台湾、香港につきましては、リピーター需要の増加を図るため、特に富裕層をターゲットにグルメや美容等を組み込んだ付加価値の高い旅行のPRに力を入れていきたいというふうに考えてございます。欧米につきましては、日本の歴史、文化の人気が高いことから、世界遺産を活用した外国人誘致に重点化することとしております。

 このほか、教育旅行による若年層の交流促進や、アジア諸国との大規模文化交流イベントでございます「OSAKA ASIAN BEAT」、昨年は韓国のみを対象としてございますが、ことしは、韓国も含めまして、中国、香港、台湾、こういったところに拡大いたしまして事業を実施していきたいというふうに考えております。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 近畿ブロックでのお取り組み、さらに期待させていただきたいと思います。

 そして、ここで一つ御提案をさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたとおり、昨年日本を訪れた外国人旅行客、過去最高の六百七十三万人でございました。この六百七十三万人のほかに、乗り継ぎ、すなわちトランジットで成田国際空港を利用する外国人の方、平成十六年度で年間およそ三百三十五万人、関西国際空港では年間およそ三十六万人、合わせますと三百七十万人余りにも達していると伺っております。この三百七十万人という数は、先ほど六百七十三万人という数字を申し上げましたけれども、年間の訪日外国人客の半数以上に匹敵するという数でございます。大変な数の外国人客が、日本の地を踏まずに、次の目的地に向かい飛び立っているということでございます。大変もったいないなと思っている次第でございます。

 これに対しまして、昨年の二月、ようこそジャパンウィークスはおよそ一カ月間と期間限定ではございましたが、成田、関西国際空港、両空港で、トランジット客を対象に周辺トランジットツアーを実施したというふうに伺っております。とてもすばらしいお取り組みだったと思っております。これをさらに推し進めて、次の機会にはぜひ日本を訪問しようという動機づけとなるような、恒常的な、すなわち年間を通じた取り組みを行っていただけたらと思っております。

 ロンドンやパリからオーストラリアなどに向かうトランジットの外国人旅行客を対象に、空港の中で、日本の魅力をアピールする映像や、先ほどもお話に出ましたグルメ、着物の着つけ、茶道の体験など、日本の文化や歴史に触れていただくサービス、そして空間のしつらえがとても有効的だと思っております。

 日本の歴史、文化が周辺に数多く集積します関西国際空港は、わずかな時間の余裕がありますと、例えば、堺市の大仙公園、これは片道一時間で訪れることができます。日本庭園のたたずまい、本当に実感することができるすばらしい場所でございます。さらに、先般、北側国土交通大臣が検討を進めることを公表されました関西国際空港と神戸空港の間の高速船が就航いたしますと、短時間での大阪湾クルーズも実現することができるわけでございます。夢ではないということでございます。また、一泊しますと、京都、奈良などを観光でき、歴史的な魅力を実感する、体験することも可能なわけでございます。

 短時間で、またわずかな日数で手軽な関西観光ができるということを、トランジット客に対して空港の中で積極的にPRしていくことが入り口となり、徐々に日本の魅力に理解を深めていただき、多くのトランジット客がリピーターになっていただけるのではないかと考えております。

 このような、年間を通じた、トランジット客をターゲットとした、関西国際空港などの空港の中の施設、サービス、イベントなどを充実していくといったお取り組みの可能性について伺わせていただきます。

岩崎政府参考人 トランジット客をふやしていく、あるいはトランジット客に日本の文化に触れていただくというのは大変大事なことだろうと思っております。関西国際空港内におきましても、トランジットエリア内にリフレッシュルームを設置するとか、あるいは、昨年七月からは、ビジット・ジャパン・キャンペーンと連携いたしまして日本のお土産ショップをオープンするなど、努力をしているところでございます。今後とも、先生今御提案のあったことも参考にしながら、いいイベントをできるようにしていきたい、このように思っております。

 それから、空港の外に出ていただくということで、トランジット客に、御指摘ございました、トランジットツアーというのを試験的に実施をしているところでございます。去年の十月から始めまして、必ずしも現在そう多くの方が利用されているという数字ではないんですけれども、来年度どういう形でやっていくのか、いろいろ工夫をして検討していきたい、このように思っているところでございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、トランジット客をあすの我が日本の観光客にという政策、よろしくお願いいたします。

 次に、国土交通省を初め、関係機関の御尽力で二月十六日に神戸空港が開港いたしました。空港の利用率、搭乗率も八〇%を超え、多くの方々に御利用いただいているというふうに伺っております。神戸が、海の港、空の港として、両輪として地域間の交流を促進し、近畿全体の発展に大きく寄与することを私も願っておる一人でございます。

 北側国土交通大臣におかれましては、二月十二日に開港記念式典に御出席いただきまして、新空港が関西圏に果たす役割などについて力強いごあいさつをいただきました。私も式典に参列させていただきましたが、その際、ターミナルビルの天井、そして床に埋め込まれましたICタグからの利用客への搭乗案内、視覚障害者の誘導のための情報を携帯の端末機器でキャッチする最先端のシステムを体験させていただきました。

 日本で開発されました最新のユビキタスネットワークの技術であり、空港では世界で初めてのサービスだというふうにお伺いいたしております。この技術を、空港の案内や障害のある方々の移動支援だけではなく、ビジット・ジャパン・キャンペーンの一環としても活用していただくことは、言葉に壁があると言われています日本の国際観光にとても有効だと思っております。

 また、観光を通じた我が国の先端ITの世界への発信にもなりますので、u―Japan戦略にも寄与すると考えますが、この点について、国土交通大臣の御所見をお聞かせくださいますでしょうか。

北側国務大臣 神戸空港をぜひ私は世界初のユニバーサル空港にしてもらいたいということを、昨年来、神戸市の方にもお願いをしておりまして、国土交通省としてもしっかり支援をさせていただきたいということを申し上げているところでございます。

 高齢者や障害者の方々はもちろんのこと、外国人の方々が当然空港を利用されます。その際に、案内表示板に、英語、中国語それから韓国語、これは最低だと思うんですが、そうした表示をするとともに、このユビキタスネットワーク技術というものを活用いたしまして、将来は、ぜひこれは、今実証実験しているんですが、携帯電話を持っていればいろいろな情報が自分の母国語で入ってくる、そうした機能をぜひ普及していきたいというふうに思っているところでございます。

 これまでも、実証実験は、浅草とか、それから昨年の愛知万博のときに愛知万博の会場でもやらせていただいておりまして、ぜひこの実証実験を成功させていただいて、ターミナルはもちろんでございますが、日本のあちこちの外国人が訪れる観光地にもそうした機能が活用できるようにぜひさせていただきたいと考えております。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 これまでの御答弁をお伺いいたしまして、観光立国に向けた国土交通省の並々ならぬ取り組みがうかがえました。ぜひ、観光政策の面からもユビキタスネットワーク技術のお取り組みを期待いたしております。ありがとうございます。

 また、国際交流の一環として観光立国を考える場合に、それぞれの地域が日常生活の中に溶け込んでいる生活様式、食文化、祭り、原風景などの中に国の光、地域の光を見出していく、地域再発見の活動も重要だと考えております。グリーンツーリズムなどを通じた体験型の観光を深めていくことは、海外の方々へのおもてなしの方法などについて地域ぐるみでの取り組みも必要かと考えております。このような地道な地域の取り組みに対しましても、ソフト面、ハード面での支援体制をさらに充実されることを期待いたしております。

 さて、二点目でございます。

 国土形成計画、特に広域地方計画について質問をさせていただきます。

 アジア諸国の経済的な台頭は目覚ましいものがあります。一例を挙げますと、日本からの輸出、地域別のシェアは、平成十五年に初めて、アジア向けの輸出額が対北米、ヨーロッパを上回りました。その後も、日本とアジア諸国との貿易依存関係は深まるばかりでございます。これまで中心であった北米、ヨーロッパとの貿易関係は、国対国の関係に依存した面が多かったのではないかと思いますが、我が国と比較的距離の近いアジア諸国との関係につきましては、貿易、金融などの経済面でも、そして先ほど取り上げました観光の面でも、アジア諸国と域内ブロックとの交流、連携や、競争関係、ますます高まるものと考えております。

 このような状況に的確に対応していきますためには、それぞれの地域ブロックの特性や地理的優位性などを生かした自立した地域ブロックを形成していくことが大変重要であり、そのためのビジョンを立案していくことが今とても求められていることだと思っております。

 こうした中、御案内のとおり、昭和三十七年以来五回にわたって策定されてきました全国総合開発計画の根拠法であります国土総合開発法が昨年改正され、新たに国土形成計画法が制定されました。特に、国土形成計画は、全国計画と広域地方計画の二本立てにより構成されることになりました。このことは、地域ブロック単位での戦略的な広域地方計画づくりを推し進めることを意味し、まさに時宜を得た改正であったと考えております。

 現在、広域地方計画の圏域の設定のあり方、全国計画並びに広域地方計画の計画内容について国土交通省において検討が進められているというふうに伺っておりますが、その進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。

小神政府参考人 国土形成計画についてのお尋ねでございますけれども、先生お話がございましたように、国土形成計画につきましては、全国計画とブロックごとの広域地方計画と二本立てでつくることになっております。現在、国土審議会におきまして、二つの部会と五つの専門委員会で広範な観点からいろいろと調査審議を進めていただいているところでございます。

 計画の内容といたしましては、まず、全国計画をつくって、それから広域地方計画をつくるという手順になっておりますので、国土審議会におきましても、全国計画の内容について今調査審議が進められております。

 また、広域地方計画につきましては、今御指摘にもございましたように、まず、計画の対象区域といいましょうかエリアを決める作業が前提として必要でございます。そのための圏域部会という特別の部会で今御審議をいただいているところでございまして、この六月を目途に政令で圏域を、区域を決めたいということで今審議会で審議をお願いしているところでございます。

 全国計画につきましては、この秋に中間的な取りまとめを部会でいただいて、翌年、来年の中ごろを目標に、最終的に閣議決定まで持っていきたいというふうに考えております。広域計画につきましては、全国計画を基本といたしますので、そのまた一年後ということを考えているところでございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 特に、近畿圏などの広域地方計画区域を定める際、幅広い議論がなされています道州制のあり方との関係も深いと思いますので、地域の意向などをよくお聞きいただき、区域決定していただくことをお願いしたいと思います。

 広域地方計画の単位となる地域ブロック、国際的にも認識できる規模となり、自立した地域として発展していくためには、それぞれの地域ブロックに国際ゲートウエー機能を保持していくことがこれまで以上に重要になってくると思われます。

 この点から近畿圏の国際物流を考えてみますと、その中核をなす神戸港、阪神・淡路大震災で大きな被災を受け、一方、香港、シンガポール、上海などアジアの主要港は強力に機能を増強しております。神戸港の相対的地位が低下してきており、その機能の充実が強く望まれております。

 また、近畿、関西の対アジアの国際物流を考えた場合、地理的優位性を十二分に生かしたアジア戦略を実行していく上からも、神戸港、大阪港などに新たな機能を付加していく必要があると考えております。

 これに対しまして、平成十六年七月に、神戸港、大阪港が連携した阪神港がスーパー中枢港湾に指定され、地域の期待が現実のものとなってまいりました。こうした変化に呼応する形で、昨年、関西経済連合会の秋山会長を本部長とする国際物流戦略チームが組織され、産学官が連携し、国際物流の効率化を通じた関西経済の活性化を目指した広域的な取り組みも開始されました。

 広域地方計画区域の一つである近畿圏の国際ゲートウエーの機能の強化に向けて、このような取り組みを確かなものとしていくための阪神港、スーパー中枢港湾プロジェクトの推進に対する平成十八年度予算のハード面、ソフト面での重点事項、そして期待される施策の効果についてお聞かせくださいませ。

鬼頭政府参考人 阪神港についてのお尋ねでございます。

 阪神港につきましては、申すまでもなく、関西圏のみならず西日本地域の経済を支える重要な国際海上物流拠点、いわゆるゲートウエーでございます。さらに、今委員からお話のありましたように、アジアの急激な経済発展がございますが、これまでも、中国を初めとするアジア地域と阪神港につきましては経済的なつながりが大変強くあります。そういった特徴を生かしながら、スピーディーでシームレスかつ低廉な、国際、国内一体となった物流を実現することにより、我が国産業の国際競争力の強化及び国民生活の安定と向上に寄与することが求められております。

 このため、今委員の方からお話のありましたとおり、一昨年の七月に、京浜港、伊勢湾港と並びまして阪神港、神戸港と大阪港を一体としてスーパー中枢港湾に指定をいたしました。コンテナ船の大型化への対応、二十四時間フルオープンサービスの提供、港湾諸手続の電子化等の取り組みを進めるとともに、大阪港、神戸港両港の連携を深めながら、阪神港の競争力強化のため、官民が連携してハード、ソフトの両面から総合的に施策を推進しているところでございます。

 このスーパー中枢港湾につきましては、十七年度予算から本格的な取り組みを開始しております。今、十八年度予算についてのお尋ねがございましたが、十八年度は、神戸港のポートアイランド第二期におきまして、今世界で最も大きなコンテナ船が就航できる、寄港できるような施設について新規着工が認められてございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 神戸港、大阪港の強みを生かして、一体化されたすばらしい阪神港として機能するように期待いたしております。ありがとうございます。

 さて、近畿圏について考えてみますと、大阪湾を囲む地域と日本海側とのネットワーク、また、経済活動などの面で結びつきがますます強まってきています中部圏との連携などが重要でありまして、安定性と信頼性の高い高速道路ネットワークの形成が、自立した発展性のある地域ブロックの形成にとって大変不可欠なインフラと考えております。

 こうした観点から、近畿圏の高速道路ネットワークの果たすべき役割と、役割を担うために持つべき機能、そして早期のネットワーク形成に向けた施策についてお伺いいたします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 大きな質問をいただいたと思っております。

 近畿圏の再生が、国土形成の観点からも、日本全体の経済社会発展のためにも、私は重要な我が国の大きな課題ではないかと思っておるわけでございます。そういう意味では、近畿圏の一体的な発展というふうなことが不可欠かと思っておりますが、そういった面で、高速道路ネットワークの信頼性、安全性を高めるということは、十分我々も認識するべき問題だと思っております。

 具体的に申し上げますと、三点あるわけでございますが、近畿圏には個性のある都市があるわけでございます。中でも、大阪、神戸、京都という政令都市があるわけでございまして、まず、その中のネットワークをきちっと強化するということではないかと思っております。大阪で申し上げますと、阪神高速大和川線、淀川左岸線等の環状道路をきちっと整備するというものが一点でございます。

 二点目は、先ほど来、国際物流、また国際観光というようなお話がございました。そういう意味では、関西国際空港、阪神港等の国際拠点を強化するというようなこととあわせて、そうした国際的な拠点と主要都市とのネットワークをきちっとしていくということが重要かと思っております。そういう意味では、具体的に申し上げますと、京奈和自動車道、第二名神自動車道、大阪湾岸道路西伸部、第二京阪等の整備が重要かと思っております。

 さらに、先ほどの観光の面で申し上げますと、日本海、紀伊半島に、自然環境豊かな、風光明媚な世界遺産もあるわけでございますので、そういった地域の自立的な発展の基盤として、ネットワークをきちっと大都市圏と、役割分担の中であるわけでございますが、きちっとしていくということでございます。具体的には、近畿自動車道紀勢線や北近畿豊岡自動車道の整備を進めることが肝要かと思っております。

 以上でございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 最後に、北側国土交通大臣に、アジアとの関係が深まる中で、少子高齢、人口減少社会にきちんと対応できる戦略的、効果的な広域地方計画としていくために、どのようなことに配慮をされ、お取り組みをなさろうとしておられるのか、お考えをお聞かせくださいませ。

北側国務大臣 例えば関西の例でいいますと、先ほど来委員がおっしゃっているように、関西というのはもともと歴史的にもアジアとのつながりが深いわけでございます。ましてや、今世界の中で一番経済が発展しているのは東アジアでございまして、この東アジアと我が国との間というのは、今、例えば企業でいいますと、水平分業といいまして、日本から素材を渡して、そして向こうで生産をして、そして生産されたものがまた返ってきて、そして組み立てられるだとか、こうした非常に経済の一体化がこれからますます進んでいくだろうというふうに思います。やはり、ここの東アジアの経済圏の一体化というものを関西においてどう活用していくのか、そういう視点が極めて大事でありまして、広域地方計画の中で、そうした視点の中でどうそれを具体化していくかということが今後大きな課題になると思います。

 また、少子高齢化、人口減少の話、これは全国的な問題ではありますが、これから人口減少、少子高齢化がますます進んでくるという、持つ意味というのは、大変大きな意味があると思います。従来のようにどんどん開発を進めていくような時代は、私はもう終わったと思います。既存のさまざまな社会資本のストックをいかに有効に活用し、再生していくか、そういう観点に立って広域的な地方計画をつくっていかねばならないと思いますし、また、これから過疎地とか中山間地の荒廃とか、これも全国的な大きな課題ですから、そうした問題も進んでまいります。国土をいかに維持保全していくかという観点からも、こうした問題にどう対応するかも大事な問題だと考えております。

 こうした問題について、もちろん全国計画の中でもしっかりと決めさせていただきたいと思いますが、各論は広域地方計画の中でぜひ具体化をしていただきたい。この広域地方計画につきましては、関係地方公共団体また国の地方支分部局もございますし、そして各地域地域の経済団体がございます。一緒になって、広域地方計画協議会をつくりまして、こうした全国計画を基本としながら、広域地方計画の策定に具体的な検討を進めさせていただきたいと考えております。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたように、ぜひぜひ、計画の策定に当たりましては、地域の意見をよくお聞きいただき、地方部局を挙げてお取り組みいただくことを期待いたしております。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて近藤三津枝君の質疑は終了いたしました。

 次に、木原稔君。

木原(稔)分科員 自由民主党の木原稔でございます。

 本日は、分科会においてこのような貴重な質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。私の選挙区は熊本一区でございまして、地方の中でも都市部という特殊な環境にありまして、きょうは、予算委員会の分科会ということもありまして、多少個別具体的な質問、熊本市にまつわるさまざまな質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、鉄道局に対しまして質問をいたします。九州新幹線鹿児島ルートの事業推進についてでございます。

 九州を縦断する新幹線鹿児島ルートの完成というものは、ビジネスや観光に欠かせない移動手段として、熊本市のみならず九州全域にとって経済活性化の起爆剤になり得るものだと考えております。一昨年の平成十六年三月三日に鹿児島中央―新八代間、ここの一部分が開通をいたしましたが、熊本駅を含む新八代―博多間というものは、いまだ開業を待っている状況でございます。そういった中で、現在の進捗状況及び完成までの今後の日程について御教示いただければと思います。

梅田政府参考人 御指摘の九州新幹線鹿児島ルート博多―新八代間の現状、今後の見通しでございます。

 先生御承知のとおり、整備新幹線は、地域間の移動時間を大幅に短縮させまして、地域開発あるいは経済の活性化などに大きな効果をもたらすものでございます。私ども、従来より、政府・与党申し合わせに基づき着実に整備を推進してきているところでございます。

 御指摘の九州新幹線博多―新八代間につきましては、平成十六年十二月の新たな政府・与党申し合わせにおきまして、それまでの完成時期が平成二十四年度の完成でございましたけれども、二年前倒しいたしまして、平成二十二年度末の完成を目指すということとされました。現在、用地買収あるいは高架橋、トンネル等の土木施設の建設を中心に工事を進めているところでございます。

 九州新幹線鹿児島ルートの全線開通というのは、九州地域の一体的活性化に極めて大きな効果をもたらすものであるというふうに考えているところでございます。この申し合わせに基づきまして、平成二十二年度末の完成を目指し、着実に整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 前倒しの日程、そして、既に完成までの予算をいただいておるということですが、滞ることなく、日程どおりに事業計画が進むように、引き続きお願いをいたします。

 次に、完成後の話になるんですが、熊本駅を出まして、博多駅、新大阪、名古屋駅を通過しまして、東京駅までの直通便というのは、運行が事実上可能なのでしょうか。仮に博多駅で乗りかえるということになれば、利用者の利便性を損なうことになるという観点から質問をいたします。

梅田政府参考人 現在建設中の御指摘の博多―新八代間の開業、これは平成二十二年度末の開業を目指すものでございますが、その運行形態につきましては、御指摘の東京駅への直通化などを含めまして、基本的には、営業主体でございますJR九州、JR西日本、東海、こういうJR各社の経営判断によるものでございます。

 今後、開業までの間に、輸送需要、採算性、こういう問題がございます。それから、車両あるいは施設の問題、要員の問題がございます。こういうようないろいろな問題につきまして関係のJR間で総合的に検討され、経営上の判断がなされるものというふうに考えております。

 ちなみに、東京―鹿児島の間、一千三百二十五キロ程度になろうかと思います。現在の新幹線で運行するとしたら、多分六時間半から七時間ぐらいの時間がかかると思いますけれども、現在の航空その他の競争条件等の問題もあろうかと思います。こういうものを含めながら関係主体間で十分協議がなされていくものというふうに考えているところでございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 現時点では、営業上の問題、非常に時間がかかるということもあって、利便性、お客様も実際に使っていただけるかどうかわからない。確かに、東京―熊本間、一時間三十分、四十分で到着するわけでございますから、事実上、営業の観点からいえば難しいなという部分がございます。

 しかしながら、それでは次の質問ですが、仮に熊本駅と新大阪駅というものは、これはどのような分析をされておるんでしょうか。一説によると、構造上の問題、車両の編成の問題とかというのもあるというふうに聞いておりますが、お願いいたします。

梅田政府参考人 御指摘の新大阪駅への直通化につきましても、基本的には、これは、営業主体となりますJR九州それからJR西日本の経営判断によるものでございます。

 今先生御指摘の構造上の問題でございますが、現在の九州新幹線は六両編成でございます。博多まで通りましたら八両編成になる予定でございます。例えば、現在の新大阪―博多間、これはひかりレールスターというのが通っておりますけれども、これも現在八両編成で運行されているところでございます。仮に、これは仮にの問題でございますが、ひかりレールスターを九州新幹線の中に直通させるということは、構造の問題はございません。同じ両数でございます。

 したがいまして、問題は、そういう問題もさることながら、輸送需要、採算性、あるいは先生御指摘の他の交通機関との関係、こういうようなものを踏まえながら、JR九州、JR西日本の間の経営上の問題として判断されていくものと思われますし、こういう問題につきましては、私どもも、JR間の協議状況をよく注視しながら調整してまいりたいというふうに考えているところでございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 構造上は直通運行は可能という理解をいたしました。

 確かに、営業の観点からいえば、JRの判断、JR九州、西日本、東海、その判断ということになるのでしょうが、利用者の利便性の確保という視点に立ち、鉄道局の方からも、何とぞ、JR各社に対しまして、ダイヤですとか車両編成について引き続き御指導していただくようにお願いをいたします。

 では、次の質問に参ります。

 都市・地域整備局に対しまして、大規模集客施設の出店について質問をいたします。

 現在、熊本市では、都市部近郊に相次ぐ大規模集客施設、これがもう本当に乱立と言ってもいいような状況になっておるわけでございます。売り場面積が一千平方メートルを超える大規模小売店、それが、新設八カ月前までに県に届けた件数というのが、二〇〇〇年には一件だったんですが、二〇〇一年には五件、二〇〇二年度には七件、二〇〇三年度には十七件、そして二〇〇四年度には十三件というふうに、着実にこれはふえてきておる。はっきり言って、過剰ぎみということでございます。熊本の中心部の売り場面積とほぼ同じ面積の売り場を持つ大型集客施設が、もう既に郊外にできておる。ここ数年で二倍になったという状況でございます。

 そういった観点に立って、もう御存じのとおり、地域の商店街がシャッター通りとなり、また、中心市街地の疲弊化というものが進んでおるわけでございます。加えて、現在、熊本市、これは比較的市街地に近いところではございますが、空港へのアクセスの途中でございます佐土原というところに、新たな大規模集客施設の出店計画がなされております。

 実は、ここの用地というものは、市街化調整区域というふうになっております。まちづくり三法、中でも都市計画法の改正案では、この市街化調整区域についてはどのような扱いになっておるのでしょうか。

柴田(高)政府参考人 市街化調整区域でございますが、この地域は、保全すべき区域といたしまして、無秩序な開発を抑制する一方、将来的に必要となる市街地の拡大に備えまして、当分の間、市街化を留保するという性格を持つことから、大規模な開発でございまして、計画的な市街化を図る上で支障がないと認められるものにつきましては、許可できる制度というぐあいになってございます。

 人口が急激に増加する時代にございましては、本制度は、大規模住宅開発等の推進に一定の役割を果たしてきました。しかし、近年では、住宅開発の需要が鈍化する一方で、御指摘のような大規模商業施設等が本制度を活用して市街化調整区域に立地する事例も増加しております。本制度が広域的都市機能の拡散を後押ししている面が見受けられます。

 こうした観点から、与党における議論、社会資本整備審議会の答申等を踏まえまして、今国会に、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案を提出させていただいてございますが、この中で、市街化調整区域内の大規模開発を許可可能といたします現在の制度を廃止することといたしてございます。今後は、地区計画に適合することにより許可可能とする基準に一本化することで、大規模開発につきまして、都市計画の手続を通じた地域の判断を要することといたしてございます。

 なお、現行でも、市街化調整区域におきます開発許可というのは、市街化区域と異なっておりまして、許可権者の一定の裁量のもとに許可の適否を判断し得るものでございまして、御指摘の案件につきましても、許可権者でございます熊本市において慎重に検討されておるというぐあいに伺ってございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 地方自治体の判断で、法的にもこの出店を回避できるという理解でよろしいでしょうか。再度お願いいたします。

柴田(高)政府参考人 ただいま御答弁いたしましたように、現行の話でございますけれども、市街化調整区域におきます開発許可というのは、許可権者の一定の裁量のもとに許可の適否を判断し得るものというぐあいに法律上なっております。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 今後のまちづくりのあり方というものを考えるに当たって、やはり、人口減少に転換してしまったこの現代、そしてまた超少子高齢化社会というものがますます進んでいく中で、それになじんだ、ふさわしい、コンパクトで潤いのあるまちづくりというものが今後望まれるんだというふうに思います。

 先ほどは市街化調整区域のお話でございましたが、それにとらわれず、市街化区域の出店に対しても、ある一定の規制が今後は必要になってくるんではないかなというふうに私は考えておりますが、その点について考え方を教えてください。

柴田(高)政府参考人 御指摘のとおり、郊外部におきますさまざまな都市機能の無秩序な拡散に伴いまして、特に地方都市におきましては中心市街地の空洞化が顕著となっておりますが、今後、人口減少社会、超高齢化社会を迎える中で、コンパクトなまちづくりを推進することというのが非常に重要になってまいります。

 二月一日に提出をいただきました社会資本整備審議会の答申の中でも、広域的な都市機能が無秩序に進む拡散型の都市構造を見直し、多くの人にとっての暮らしやすさを確保するという観点から、既存のストックを有効活用し、都市運営にかかるさまざまな負担をよく管理する観点に立って、集約型の都市構造を誘導することが必要というぐあいにされております。

 御指摘の大規模商業開発の問題につきましても、都市の広い範囲に大きな影響を及ぼしておりますから、今国会に提出いたしてございます都市計画法等の改正案におきまして、郊外部への自由な立地を一たん制限した上で、立地の可否を、都市計画という手続を通じまして、住民参加のもとで判断できるようにしていくようにいたしてございます。

 このような取り組みを通じまして、都市機能の無秩序な郊外拡散に歯どめをかけまして、集約型の都市構造の誘導に努めてまいりたいというぐあいに考えております。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 今は、この大型集客施設の乱立というものを防ぐためにある程度規制をかけなければいけないという話をさせていただきましたが、私は、中心市街地も、みずから再生への推進を図る必要があるというふうに考えております。

 甘えるばかりではなく、みずから、どうやればこの疲弊化がとまるのか、地方への流出、それがとまるのかという、足腰をみずから鍛えていくための振興策というものを、それぞれの地方の中心部が考えなきゃいけないし、そしてまた、国交省の都市・地域整備局の方々も、国の振興方策というものを考えていかなければいけないというふうに思いますが、その点に関して何かございましたら、よろしくお願いします。

柴田(高)政府参考人 中心市街地の活性化の関係でございますが、今国会に提出させていただいております中心市街地活性化法の改正案におきましても、中心市街地活性化基本計画について、いいものであれば国が認定をしていきたいと考えてございますし、やる気を持って取り組む市町村に対しまして重点的な支援を行っていきたいと考えてございます。御指摘のように、やはり地域がやる気を持って取り組んでいくということが非常に重要であるというぐあいに考えております。

 国土交通省といたしましても、多様な都市機能の集積を図るために、支援といたしましては、来年度、平成十八年度に、公益施設を含む建物の建てかえや新規立地、空きビルの改修等を支援する暮らし・にぎわい再生事業や、町中居住の促進を図る中心市街地共同住宅供給事業の創設等を行うとともに、まちづくり交付金を大幅に増額、さらに、市町村の提案に基づく事業に対する支援制度も拡充していきたいと考えてございます。

 このようなさまざまな支援策を活用いたしまして、中心市街地の活性化に積極的に取り組んでいきたいというぐあいに考えております。

木原(稔)分科員 大規模集客施設も、実は、一方では、短期的に見れば、雇用の面とか、あと税収の向上、そういった面からは、経済効果がある一部ではやはりあるというふうに認めざるを得ません。そういった観点から、アクセルとブレーキをうまく使い分ける、そのような施策が必要になってくるんではないかと思います。

 しかしながら、具体的な話、熊本市の佐土原の出店に関して言えば、商店街の空き店舗の増加の状況、余りにもひど過ぎるということからも、また、高齢者の生活不便、第二空港線という道路沿いにできるということで、その混雑に伴うマイナスの経済効果、こういうものをかんがみて、自治体の判断とはいえ、これは開発許可は見送るべきではないかなというふうに私は考えております。

 それでは、続きまして、航空局、お願いいたします。熊本空港になりますが、二十四時間空港への実現に向けての質問でございます。

 現在、政府は、小さな政府というものを目標に掲げて、地方への税源移譲を初めさまざまな方針を打ち出しているわけでございます。その行き着くところはやはり道州制というところになっていくんではないかなというふうに思います。さまざまな道州制の案というものが出てきておりますが、九州が仮に一つの州になった場合には、私は、二十四時間空港というものが九州には必要になってくるというふうに思います。

 先般、熊本空港の夜間貨物便の就航が問題となりました。その現状と今後の展開、想定というものを教えてください。

岩崎政府参考人 日本航空それから熊本県におきまして、物流の活性化を図るために熊本空港で深夜貨物便を飛ばせないかということで、平成十六年ごろからでございましたけれども、お話がございました。騒音の問題がございますので、地元でデモフライト等も行われた経緯がございますけれども、現在に至るまで、地元住民との間の調整がついていないという状況でございます。

 昨年の七月一日に、日本航空及び熊本県から、当初そのころからやりたい、こういうことでございましたけれども、就航を延期するという旨の御報告をいただいているところでございます。

 今、引き続き、日本航空、熊本県、それから地元の方々で調整を行っておられると聞いております。今後とも、この動きを注視してまいりたい、このように思っているところでございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 熊本は、国交省の許可は出たものの、残念ながら、地域住民の理解をなかなか得ることができず、日本航空の方から一たん撤退するというような表明がなされておるということで、引き続き地域住民と十分に話し合いを進めているという状況でございました。

 それでは、九州の例をとってみて、ほかの九州の各県、各空港の深夜便、貨物でも旅客でも結構ですが、その状況はどのようなものになっていますでしょうか。

岩崎政府参考人 一つは佐賀空港でございます。平成十六年の七月から、全日空が羽田空港の間で貨物便を就航させております。一日一往復からスタートいたしましたけれども、二月二十四日からは、新たに中部空港との間で貨物便をふやしまして、一日一往復追加しているところでございます。

 それから、三月の十六日に新北九州空港が開港いたします。この新北九州空港で、スターフライヤーが羽田空港との間で一日十二便運航予定になっておりますけれども、そのうちの四便でございます、これは旅客便でございますけれども、夜の二十三時以降、朝の六時前に離発着する四便がございます。

 それから、まだ計画段階でございますけれども、この新北九州空港から、ギャラクシー航空という新しい会社を設立いたしまして、貨物便を運航したい、このような動きもございます。

木原(稔)分科員 地域住民と十分に話し合って、うまく円滑に進めば、先ほどお話があったような佐賀や北九州など、実際に、貨物、旅客問わず、深夜便の運航が可能だという事例も出ているようでございます。引き続き、やはりこれは住民等の理解というものが必要であるという認識を得たわけでございます。

 それでは、将来的に、熊本空港が二十四時間空港、その条件が整った場合に、実際に、二十四時間空港というものは昼間運航する一般空港に比べてどのような違いがあるか、その要件というものを教えていただきたいというふうに思います。

岩崎政府参考人 私どもも、空港をできるだけ活用していただこうということで、そういう二十四時間、実際に深夜飛ぶというダイヤが計画されている場合で実現可能性がある場合、できるだけ協力していきたい、このように思っております。まず、何といっても地元の騒音に対する理解が必要でございますので、そこを解決していただくというのが前提でございます。

 私どもの方としても、二十四時間空港にいたしますと、管制官等所要の人員の手当て等が必要になってまいります。繰り返しになりますけれども、実際にダイヤが実現可能性があるかどうかを踏まえながら、そうしたことについて、私どもの方でも協力していきたい、このように思っているところでございます。

木原(稔)分科員 ありがとうございました。

 九州という地域ですが、道州制後には、私は、東アジアのハブ空港が存在する必要があるというふうに思います。二十四時間空港を持つ都市こそが、これはどの州にも言えると思うんですが、将来的な州ですね、二十四時間空港を持つ都市が州都になり得る都市だというふうに私は考えております。二十四時間空港にたえ得る空港整備、これは今の時点からそれを念頭に進めていく必要がある。将来的には、必ず二十四時間空港、はかり知れない経済効果があります。今まで使っていなかった時間を使うわけでございますから、これは未知数でございますので、そういった観点から空港整備をしていくように心がけていただきたいというふうに思います。

 最後になりましたが、道路局、お願いいたします。国道三号熊本北バイパスに関しまして質問をいたします。

 現在、道路特別会計の一般会計化というような話が議論されている中、現在着工中の国道、さまざまな、熊本にもたくさんございますが、その中でも、とりわけ交通渋滞が甚だしい国道三号熊本北バイパス、この整備状況、現状と完成までの日程というものを教えていただければと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 熊本北バイパスは国道三号のバイパスでございますが、交通混雑の解消のみならず、熊本市の都市再生のかなめである重要な事業と認識しておるわけでございます。これまで、全体七・六キロメートルございますが、四・二キロメートルが四車線供用ということになっておるわけでございます。

 現在、麻生田交差点から須屋交差点一・六キロメートル区間につきまして、平成十九年度の四車線供用を目指し、高架橋工事等を推進させていただいているところでございます。

 残る一・八キロメートルにつきましては、平成十七年度から地元協議、用地測量を実施し、一部地区の用地買収に着手をさせていただいたところでございます。

 道路特定財源のお話もいただきましたが、今後とも、地元の皆様方の御理解と御協力をいただき、鋭意事業を推進、できるだけ早い時期に完成が図れるよう努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

木原(稔)分科員 熊本北バイパスは、熊本市及び周辺地域の交通混雑の緩和と主要幹線道路としての交流、連携を確保するために着々と進められているわけでございます。国道三号と国道五十七号が接続して初めて意味のある道路、これはどの道路にも言えるんですけれども、つながって初めてその意味をなす、威力を発揮するという典型的な道路でございますので、早期完成を求めたいというふうに思います。

 最後になりましたが、北側大臣初め国交省の各局の皆様方の常日ごろの御尽力と、そしてまた各地域隅々にわたる温かい御配慮、これに敬意を表しまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

上田主査 これにて木原稔君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口でございます。

 きょうは、地元の諸課題について、大臣並びに局長の皆さんにお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、沼津駅周辺鉄道高架事業についてお伺いいたします。

 沼津市は、静岡県東部の拠点都市にふさわしい魅力と活力ある町の実現を目指して、沼津駅周辺総合整備事業の推進に取り組んでおります。本事業は、鉄道を一定区間連続して高架化し、道路との立体交差化、踏切除去と、高架下の土地利用を図ることにより、踏切の事故防止、都市内交通の円滑化、都市機能集積を図る土地利用の促進、周辺市街地との一体的、総合的な都市基盤整備などを実現することを目指しております。

 そして、事業の中核となる、貨物駅、車両基地を含む沼津駅付近鉄道高架に伴う都市高速鉄道の決定、これらに関連する高架側道の追加、公園変更に関する都市計画案については、縦覧、沼津市都計審、そして県の都計審の審議を経て、平成十五年一月十日に都市計画の決定及び変更がなされました。

 さらには、鉄道高架に先行して必要となる新車両基地造成事業について、平成十五年度に事業認可を取得し、本年三月末には、約九割を超える用地の取得を目指しているところでございます。また、新貨物駅造成事業についても、十六年九月に事業認可を取得し、本格的な用地取得を開始するなど、大きな進展が図られているところでございます。

 そこで、御要望させていただいておりますけれども、この沼津駅周辺鉄道高架事業は、鉄道事業者の協力を得ながら、県、市一丸となり、平成十八年度の連続立体交差事業の認可取得と今後の安定財源確保を望んでおり、国としても積極的に推進していただきたい、こう考えておりますが、北側大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、三原主査代理着席〕

北側国務大臣 この沼津駅周辺の連立事業につきましては、委員からも、また沼津市長からも直接御要請をちょうだいしているところでございます。

 この沼津駅周辺における連立事業におきましては、JRの東海道本線と御殿場線の延長約五・三キロメートルを高架化することによりまして、十三カ所の踏切を除却して、市街地の道路交通円滑化とともに、踏切事故の解消を図るということでございます。

 さらには、土地区画整理事業などのまちづくりと一体となって、鉄道によって分断されています中心市街地の一体化を図るものということでございまして、静岡県東部地域における拠点市街地の形成を図る上で極めて重要な事業であると私どもも位置づけをさせていただいているところでございます。

 今、委員のおっしゃったように、十五年度に着工準備採択をしておるところでございますが、現在、十八年度中の都市計画事業認可に向けて地元調整中の状況でございまして、国交省といたしましては、引き続き、この事業の促進が図られるよう、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

大口分科員 大臣から大変力強いお言葉をいただきました。ありがとうございます。

 次に、政令指定都市になりました静岡市にとりましても、多彩な交流と連携が図られる便利な交通体系を構築し、各交通網と都市拠点とを結ぶインフラを整備し、災害対策の観点からも道路のネットワーク化をすることが重要な課題でございます。

 第二東名自動車道及び中部横断自動車道の早期開通や、静岡空港の平成二十一年度開港、さらには地域高規格道路である静岡東西道路、静岡南北道路、静岡環状道路などの社会資本の整備が静岡市の魅力あふれるまちづくりに不可欠である、こう考えておるわけでございます。

 そこで、幹線道路の整備促進の今後の見通しにつきまして、具体的にお伺いをしたいと思います。

 まず、地域高規格道路静岡東西道路、静清バイパスの路線をどう整備し、それをいつまでにやるのか、見通しをお伺いしたいと思います。そして、静清バイパスのうち、現在、平面四車線区間の清水区横砂東町から同区八坂西町間の高架化の見通しはどうか。

 この二点につきまして、道路局長にお願いしたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。二つ御質問いただきました。

 国道一号静清バイパスでございますが、国道一号の交通渋滞の解消のみならず、政令市になりました静岡市の環状道路の一部として大きな役割を期待されているということでございます。

 全体延長二十四・二キロメートルの大きなバイパス事業でございますが、これまで順次整備を進めてきておりまして、平成九年三月までに全線暫定二車線で供用を図ってきたところでございます。その後、渋滞の激しい地区について四車線化及び立体化を進めてきておるところでございまして、平成十六年度末で四車線化になっておりますのは六・五キロメートル、また、六分の四でございますが四車線になっているところが〇・二五キロメートルということになっております。

 現在、千代田上土・唐瀬地区の平成十七年度末、今年度末の四車線供用を目指し、鋭意、最後の仕上げをしているところでございます。また、八坂・鳥坂地区の四車線化及び昭府地区の暫定二車線での立体化につきましても、鋭意、工事を進めさせていただいておりまして、平成十九年度供用を目指しているところでございます。

 賤機山トンネルの四車線化につきましては、こうした前後区間の整備状況等を勘案し、整備着手の時期を検討させていただければと思っておる次第でございます。

 また、静岡市清水区横砂東町から八坂西町間の高架化の見通しについてお尋ねがございました。

 この区間につきましては、平面四車線で昭和四十九年十一月に都市計画決定が行われて、それに基づいてこれまでに平面四車線で供用を図ってきたところでございますが、その後、当該区間におきまして、清水港への交通などの増大により渋滞が激しくなってきたことから、平成十三年度より、地元自治会、関係行政機関等と一体となって、立体化に向けた調査検討に着手させていただいたところでございます。

 平成十六年度には、地元自治会等からの提案を専門的立場から公正に整理、分析するため、第三者機関の清水立体有識者委員会を設置し、平成十七年七月に、望ましい整備のあり方について提言がなされたところでございます。この提言を踏まえまして、現在、都市計画変更に必要な予備設計、二千五百分の一で調査を実施させていただいているところでございます。

 引き続き、関係機関等との調整を進めさせていただきまして、できるだけ早い時期の都市計画変更を目指して調査を推進させていただきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

大口分科員 さらに、中部横断自動車道、第二東名から中央道の整備の見通し。これも、先般の国土開発幹線自動車道会議で、静岡市については有料方式ということでございますけれども、その整備の見通し、それと、東名から清水港へのアクセスとなる道路計画の方針についてお伺いをしたいと思います。

北側国務大臣 中部横断自動車道は、静岡市を起点といたしまして、長野県の佐久市に至る高速自動車国道でございますが、東名、中央そして上信越自動車道とネットワークを形成することによりまして、広域的に経済振興等に非常に資する路線というふうに考えております。

 しっかりとこの高速道路がネットワークとして早くつながるように、早期完成に向けて、地元の御理解、御協力を得ながら、事業を推進してまいりたいと考えているところでございます。

大口分科員 あと、清水港への……。

北側国務大臣 済みません、一つ忘れまして。

 清水港との連携というのは、物流を効率化していくためにも極めて重要であると考えております。この高速道路網、東名とこの清水港とのアクセスをどうしていくのか、地元とよく調整しながら検討を進めさせていただきたいと考えているところでございます。

 地元におきましては、清水港関連道路網協議会の準備会というのが既に設立されておりまして、もう既に御議論も始まっていると聞いております。しっかりこの準備会の御議論を見守らせていただいて、このアクセスがいかなる形になるか、これは今後の議論でございますが、国土交通省といたしましてもしっかり支援をさせていただきたいと考えております。

大口分科員 近年、集中豪雨が頻発し、都市部での浸水被害が増大しております。その背景には、かつての農地や山林などが宅地や道路などに変わり、雨水が地下に浸透しづらくなり短時間で一気に河川に流出してしまう、こういう状況があると思います。

 平成十五年の七月と平成十六年の六月に甚大な浸水被害に見舞われました静岡市(特に長田地区など)では、このたび浸水対策推進プランを発表しました。これは、一に、浸水対策施設整備計画ということで、浸水常襲地区四十一地区に対して重点投資による対策の推進をする。そして、総雨量の五%分、これは雨水の流出抑制対策でやるということで、流出抑制対策重点地区実施計画ということで、重点地区として、巴川流域、下川原、登呂の三地区を指定し、市所管施設へ貯留浸透施設を計画的に整備、国、県、その他の公共団体の施設への協力依頼、大規模民間施設への指導、各家庭への貯留浸透施設の設置促進。そして三番目に、超過降雨における事前情報提供による自助の促進。こういうことが盛り込まれているわけでございます。

 そこで、河川局長にお伺いしたいんですが、一つは、国として総合的な治水対策を推進すべきではないかということと、これらの浸水被害に対応するために、下水道による都市浸水対策も積極的に進めるべきではないか、この二点、お伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 静岡の市内におきましては、平成十五年の七月の豪雨、また十六年六月豪雨で大変大きな被害が発生いたしました。今委員のお話にあったとおり、平成十八年の二月に静岡市で、静岡市浸水対策推進プランというものを作成いたしまして、河川や下水道の施設に入る前に一時的に雨水をためたり、また、地下に浸透させたりする、そういうような流出抑制施設を、巴川流域、また下川原流域地区、そして登呂地区において重点的に実施するというふうに伺っております。

 このうち、巴川につきましては、昭和四十九年七月、いわゆる七夕豪雨で大変大きな被害がありましたので、昭和五十四年度から、総合治水対策特定河川ということで、河川改修と雨水貯留施設を組み合わせて対策を実施しているというところでございます。

 大口委員の御指摘のとおり、河川改修と雨水貯留施設などの流域対策を一体としてやるということは大変重要なことだというふうに私ども考えておりまして、今お話のありました下川原地区の丸子川、また登呂地区の浜川等につきましても、静岡県、静岡市の進めます総合治水対策を積極的に支援していきたい、こう考えております。

 あと、もう一点につきましては、都市局長の方から。

柴田(高)政府参考人 御指摘いただきましたように、都市の浸水対策につきまして、下水道も非常に大きな役割を果たしてございます。

 御指摘の静岡市の浸水対策推進プランの中でもきっちり位置づけられているわけでございまして、本プランでは、下水道によります対策といたしまして、九地区のポンプ場、一地区の貯留施設と、これに関連する雨水管渠等の整備を推進することとされております。これは、巴川流域、下川原地区、登呂地区でございます。

 また、十八年度予算におきまして、下水道総合浸水対策緊急事業の創設を今お願いいたしているところでございまして、多発する都市型水害の現状を踏まえまして、安全かつ安心な社会の実現に、ハード対策にソフト対策や自助を加えた総合的な対策をとることによりまして重点的かつ計画的な対策をとっていきたいというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、静岡市のお考えを十分お聞きしながら、下水道総合浸水対策緊急事業などを活用いたしまして、雨水管渠やポンプ場、貯留浸透施設などのハード整備に加えまして、内水ハザードマップの作成、情報提供などのソフト対策、各家庭への貯留浸透施設の設置などの自助による総合的な都市浸水対策を積極的に支援してまいりたいというように考えております。

大口分科員 本当に、夏、集中豪雨があると、雨が降り出すともう眠れなくなる、そういう住民の思いをぜひとも受けとめて、対策をお願いしたいと思います。

 去る二月の二十一日、北側大臣に静岡県の富士市の鈴木尚市長から説明をさせていただきましたように、富士市は、交通体系の将来像を構想する中で、公共交通を動く公共施設と位置づけ、公共交通の基軸としてDMV、デュアル・モード・ビークルの導入に取り組み、一、早期の実用化に向けた支援の充実、二、DMVの新しい活用方策を視野に入れた技術基準等の整備などを要望しております。

 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。

 JR北海道が開発中のDMVに試乗されたと聞いておりますが、大臣として、まちづくりへの活用を含め、このDMVの将来性をどうとらえておられるのか、お伺いしたいと思います。

 二点目に、大臣が札幌でDMVを視察された後、記者会見で、早期実用化を踏まえた関係法令の改正について、一番大事な安全確保ができる仕組みをつくりながら、できるだけ早く検討したい、こう表明されています。早期導入のための環境整備をどう進めていくのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います

北側国務大臣 このデュアル・モード・ビークルでございますが、わかりやすく言いますと、マイクロバスが鉄道の上も走る、そして道路も走る、鉄道と道路を両用できる車両でございます。

 現在、JR北海道が独自に開発を進めておるところでございまして、今委員がおっしゃったように、私も先般乗せていただきました。意外に速度も速くて、乗り心地も決して悪くありませんし、私の第一感で感じたのは、これから過疎化していく地域においてこれは公共交通機関として非常に有用であるなということを感じました。地域の鉄道、バスの交通ネットワークをやはり維持していくためにも、また、公共交通の活性化に資する新たな地域の足としても、非常に私は期待ができるところというふうに考えているところでございます。

 やはり公共交通機関でございますので、何よりも安全の確保を十分に図って実用化を図っていくことが必要でございまして、JR北海道の方は平成十八年度に開発を終えたいという目標でございます。可能な限り早期に実用化できるように、安全面からの技術的な課題等につきまして、しっかりと私どもも支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

 また、実用化に向けましてはさまざま課題がございます。今年度は、国土交通省といたしましては、実用化に向けまして、安全運行のために解決すべき技術的課題の整理を進めているところでございます。

 こうした整理を受けまして、今後は、事業者における安全上必要な事項の確認や導入に向けた社内基準の検討、これも進めていく必要があるわけでございますが、国におきましても、制度面の対応などにつき、鉄道局それから自動車交通局の連携のもと、速やかに検討を進めさせていただきたいと考えております。必要な環境整備を早く進められるように頑張ってまいりたいと考えております。

大口分科員 北海道の場合は地方路線の存続。ただ、この富士市の場合は公共交通の基軸、まちづくりの基軸としていきたいということで、過疎地ではなく都市部においても非常に大事である。そこをもう一度、大臣、お答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 JR北海道の場合は、そういう意味では過疎化に伴う公共交通をきちんと維持していくために非常に有益な取り組みである。

 今おっしゃったように、富士市においてはそうではないということは承知しております。新幹線とつなげていこうという非常に大きな、地域の中の主要な公共交通機関として活用していこうという取り組みであることは、私もよく承知をしておるところでございます。

大口分科員 次に、浜松市の中田島砂丘の保全についてお伺いしたいと思います。

 この浜松市南部の太平洋側に広がる中田島砂丘は、日本三大砂丘の一つと数えられ、東西約四キロメートル、幅五百メートルの規模があり、美しい風紋に魅せられて、毎年百万人以上の観光客が訪れています。また、国際希少野生動物種に指定されたアカウミガメの産卵の北限地として、観察や子ガメの放流会に訪れる親子や環境保全のボランティアの団体や市民でにぎわっております。

 しかし、昭和三十年代に天竜川に多数のダムが築造された結果、遠州灘への流下土砂量が激減し、最大二百メートルも海岸が侵食され、かつて雄大な景観を誇っていた砂丘は消失しつつあり、台風などの高潮に脅かされる状況になっております。さらに、予想される東海大地震を前に、津波などの海岸災害に対する防護機能の大幅低下による沿岸住民の生命や家屋、農地への被害などが懸念されるに至っております。遠州灘の海岸全体の侵食対策が喫緊の課題となっておるわけでございます。

 そこで、国の天竜川ダム再編事業において、侵食の激しい遠州灘海岸への環境保全及び治水事業に十分配慮しつつ安定的な土砂供給を図るべきである、こう考えますが、国はどう考えておられるか。そして、海岸事業としても侵食対策に取り組むべきではないか。この二点、河川局長にお伺いします。

渡辺政府参考人 今委員の方から、遠州灘海岸の侵食対策、そして中田島砂丘の対策ということで御質問がございました。

 天竜川ダムの再編事業につきましては、天竜川の沿川ではこれまでもたび重なる洪水被害、また土砂災害に見舞われている、あわせまして、下流河道におきます河床低下、また、れき河原の減少、遠州灘海岸におきます侵食の発生など、大変さまざまな問題を抱えているところでございます。

 この天竜川ダム再編事業は、このような諸課題に総合的に対応するために、既設の佐久間ダムを活用して洪水調節容量を確保するとともに、上流から下流海岸まで総合的な土砂の管理を行って、治水安全度の向上、自然環境の改善、海岸の侵食防止等を目指す事業でございます。この事業は、平成十六年度に実施計画調査に着手して以来、事業計画の策定と早期の建設事業着手のために、佐久間ダムを管理します電力事業者と連携して、土砂に関するさまざまな調査を進めてきたところでございます。

 本事業は、天竜川沿川の諸課題の総合的な解決を目指す重要な事業であり、これによりまして、天竜川下流域の安定的な土砂供給を早期に実現し、遠州灘海岸の侵食の防止にも役立てていきたいと考えているところでございます。

 また、中田島砂丘につきましては、日本を代表する美しい砂浜海岸ということで、委員のおっしゃったとおり、三大砂丘といいますのが鳥取と九十九里と中田島、こういうふうに認識しておりますけれども、この砂浜がなくなるということは大変大きな問題だというふうに考えております。

 景観、利用面だけではなくて、高潮の問題等も生起するということでございますので、早急に侵食対策を講じる必要があるというふうに考えているところでございます。具体的には、県とよく調整しながら、進め方について考えていきたい、こう思っております。

大口分科員 今、海岸事業について局長から大変前向きの答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、平成十一年四月十六日、私は、衆議院の当時は建設委員会におきまして、汀線測量それから深浅測量の全国調査、それから安倍川をモデルにした総合土砂管理計画の策定、海岸堤防が老朽化している問題から海岸堤防の総点検等について質問をいたしました。その後の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

 まず、安倍川の総合土砂管理計画の途中経過と今後の事業計画への取り組みについてお伺いをしたいと思います。

 そして、静岡・清水海岸の侵食対策について、以前の砂浜幅の七十メートル以上まで回復するのに四十年ぐらいかかる、当時こういうふうに答弁されたわけですが、現在の海岸侵食対策の取り組み状況と砂丘回復の見通しについてお伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 安倍川の総合土砂管理及び静岡・清水海岸の侵食対策につきまして、回答申し上げたいと思います。

 安倍川の総合土砂管理につきましては、平成十年七月の河川審議会総合土砂管理小委員会からの報告を踏まえまして、総合土砂管理計画の策定を目指して、洪水時から平常時まで土砂移動の量と質をとらえるために、モデル河川において調査に取り組んできたところでございます。

 安倍川におきましても、このモデル河川の一つといたしまして、これまでに十四カ所の雨量観測、七カ所の水位・流量観測等を毎年実施するとともに、十二年度からは出水時及び平常時の流砂量の観測を開始しまして、現在七カ所で実施しているところでございます。また、十六年度からは、レーザープロファイラー計測によります河床変動調査を実施するとともに、れきに低周波発信器を埋め込むことによる土砂の移動追跡調査等を行っているところでございます。

 今後とも、大きな石は捕捉しますが細かい土砂は流すようなスリットダム、こういうものの整備等を進めながら、現地における観測等の土砂移動モニタリング等を行い、精度の高いモデルを構築して、総合的な土砂管理計画の策定を目指していきたいと考えております。

 もう一点でございますけれども、静岡・清水海岸の侵食対策につきまして、これは、抜本的な対策としては、安倍川から海岸へ供給する土砂を増加させるということかと思っています。

 このために、昭和五十五年に骨材採取等を目的とする土砂採取を禁止したところでございますけれども、これだけではなかなか回復ができないということから、安倍川から供給される土砂が砂浜を回復する効果を発揮するまでの間の措置として、安倍川に堆積した土砂を海岸に人工的に搬入する養浜対策、またヘッドランド等の整備を実施してきました。これによりまして、最も侵食が進行した時期は一部区間で全く砂浜がなくなったという状況ですけれども、今は全区間で四十メーター以上の砂浜が戻ってきたという状況にあります。

 委員に御答弁した平成十一年当時の予測では四十年を要するという見通しでありましたけれども、現時点の回復状況は、おおむね順調に回復しているところだというふうに考えております。

大口分科員 また、静岡・清水海岸における堤防の津波に対する安全点検の結果はどうなのか。

 それから、平成九年の河川法の改正に伴って、これまでの治水、利水に加えて、河川環境の保全が法の目的として追加されたわけです。安倍川は冬場に表流水がかれ、自然環境に深刻な影響が出ている、こういう心配の声も寄せられておりまして、河川環境の保全の観点から、安倍川を今後どう整備していくのか、お伺いしたいと思います。

渡辺政府参考人 二点御質問がございました。

 一点は、静岡・清水海岸におきます堤防の安全性の点検結果でございます。

 これにつきましては、海岸堤防や護岸が津波に対して、また地震に対して所定の高さを確保しているのか、安全度を確保しているのかということで、平成十六年度に全国的な点検を実施したところでございます。

 その結果によりますと、東海地震を想定した地震また津波に対しまして、静岡・清水海岸の堤防延長十七キロのうち、地震についてはすべての堤防で満足しているという結果が出ております。また、高さにつきましては、一部百十七メーターですけれども、津波高よりちょっと低い状況にありましたけれども、ここの箇所につきましても、背後地に堤防より高い道路がございまして、これを考えますと、おおむね必要な安全性は確保されている、こういう結果になってございます。

 もう一点、安倍川の問題でございますけれども、これにつきましては、今、委員の御指摘のありました安倍川の水の問題がございます。これにつきましては、今、河川整備計画の策定を進めているところでございまして、これは平成十六年六月に河川整備基本方針を策定して、整備計画の策定に向けた今作業を進めているところでございます。

 これに当たりましては、安倍川流域委員会の学識経験者の先生方から御意見を伺うとともに、地域の方々の意見を踏まえまして必要な措置をとっていきたいと考えております。現在の見通しでは、十八年中には河川整備計画を策定して必要な対応をとっていきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

大口分科員 どうもありがとうございました。

三原主査代理 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木陽介君。

高木(陽)分科員 公明党の高木陽介でございます。

 昨年もこの予算委員会の第八分科会で、多摩地域の、特に鉄道のバリアフリー化について御質問させていただきました。その際、平成二十二年を目指した交通バリアフリー法における、乗降客一日五千人ですね、その駅、特に私の地元の立川、昭島、日野では十九駅ございまして、このうち十駅がバリアフリー化されている。しかしながら、その後の進捗状況、なかなか思わしくない部分もございますので、まず最初にその部分について伺いたいと思います。

 今回、交通バリアフリー法、さらにはハートビル法を一緒にいたしまして、特に私ども公明党が推進してまいりましたバリアフリー化の問題というのは、国交省の方もしっかりと受けとめていただいて、法案として今回提案をされている、そういった状況もかんがみまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 その上でまず最初にお伺いをしたいのは、現在のJRの立川駅、日野駅、豊田駅、それぞれの乗降客というのはどれぐらいあるのか、伺いたいと思います。

梅田政府参考人 お尋ねの駅の乗降客数の現状でございます。

 平成十六年度のデータでございますが、立川駅につきましては一日当たり二十九万一千三百九十四人、日野駅につきましては一日当たり五万二千五百八十二人、豊田駅につきましては一日当たり六万二千八百五十四人となっております。

 このうち立川駅につきましては、JR東日本の中央線の駅の中でも、新宿駅、東京駅、中野駅に次ぎまして四番目に乗降客数の多い駅でございます。

高木(陽)分科員 今、立川駅のお話がございました。中央線の中で、新宿、東京そして中野に次いで四番目の乗降客、一日約三十万人ですね。これだけの乗降客がある駅なんですけれども、実は、現在、改札が一つしかないんです。そういう状況下で、実は中央線だけではなくて、南武線、青梅線等々乗り入れておりまして、そういった部分では、かなりの混雑状況、特に朝夕のラッシュ時では大変な混雑状況で、改札に入るところでもかなり、混雑どころかラッシュになっている。

 こういう状況下で、やはり地元の自治体を含め住民も、ある意味では安全の部分、これもかなり気にされておられます。そういう部分で、バリアフリーというと、どうしても障害者の方または高齢者の方、こういう部分に光が当たるんですけれども、そうじゃない。普通の健常者でも危険を感じるような、そういった駅の状況下にあってようやくここを改修しようと。

 あそこの立川の駅というのは、南北にそれぞれモノレールが、北駅と南駅というのがございまして、それも乗り入れているということで、そこから改札一つに入っていく。その改札が二つに今度分かれるという形で改修工事を行う予定となっております。

 その改修工事、これはJRが主体となってやっているようですけれども、そのさらに中には、駅中という形、またはホテルをつくるという形もございますが、その概要について伺いたいと思います。

梅田政府参考人 先生御指摘のとおり、立川駅は、現在、駅の改札口が自由通路の片側、これは東側にしかございません。したがいまして、ラッシュ時にはコンコース、ホームが混雑しております。本年度より、JR東日本におきまして駅舎の増築工事を進めているところでございます。

 具体的には、平成二十年度中を目途に、自由通路の西側に人工地盤を建設いたしまして、新たな改札口、コンコースを設置いたします。これによりまして、利用者の安全性、利便性を向上させる計画だと聞いております。

 あわせまして、新設するコンコースの上層及び駅南側に、商業あるいは宿泊等の機能を有する複合施設の開発を進めていると聞いているところでございます。

高木(陽)分科員 今、鉄道局長からお話がございましたけれども、今の改修工事、これはJRが主体となってやっておりまして、行政の方、いわゆる自治体も国の方も、それについてはある意味では支援する形にはなっていません。

 これはもちろんJRが主体的に考えてやっている部分なんですけれども、やはり今のコンコースがちょっと広がって、さらに、東側にしかなかった改札が西側にできる。しかしながら、コンコースに人が集まるのは変わりがないわけですね。

 ここで、やはりこれも地元の方々が望んでいるのは、ある意味でいうと、モノレールの北の駅、ここから出てすぐに入れる改札ができないだろうか。もしくは、南側に、モノレールの立川南駅がありますが、そこからすぐに入れる改札口ができないか。それができるだけで大分コンコースの混雑度が緩和される、こういう現状がございます。

 実は、地元の立川市、自治体の方も、この部分についてはJRと鋭意話し合いをしてきて、改札口の増設、またはせっかくの工事をするわけでありますから、そこの部分は何とかならないか、こういう交渉をずっとしてまいりました。しかしながら、JRも民間会社でございますから、なかなか改札の増設、さらには工事の拡大、こういった部分がかなり厳しいというか、なかなか合意に至らなかった部分もございました。

 しかしながら、地元の要望がございますので、そういった部分では自治体も何とかしたい、こういう思いが強い中で、先ほどの御説明では、平成二十年中にこの工事が完成をする、では次の段階で何とかならないかというのが、実は地元の自治体も考えているところでございまして、その場合には、ただ単に改札を増設するだけではなくて、自由通路をさらに西側につくったらどうか、自由通路をつくって改札をつくるだけではなくて、やはり全体のまちづくりという観点から、北側、ここは今再開発等がなされまして、南側も再開発がなされているんですが、さまざまな、駅広の問題、駐輪場や駐車場の問題等もございますし、そういうところもあわせてできないものか、これは検討に入っている段階でございます。

 しかしながら、ここでやはりネックとなるのが財政の問題でございまして、どうしても自治体だけではこれをすべて賄っていくことができない、幸いにも国交省の方が、さまざまな形でまちづくりに対してはバックアップ体制というスキームがあると思います。その上で、例えば、自治体の方がしっかりとした絵をかいていく、その設計等々もしっかりとする、そういったまちづくりの構想をきちっとする、そういった場合での、例えばまちづくり交付金等を使ってそういうバックアップ体制をしていただきたいと思うんですけれども、その点について伺いたいと思います。

柴田(高)政府参考人 JRの立川駅につきましては、既に地元の立川市によりまして、JR及びモノレール駅周辺の立体遊歩道等が整備中でございますとともに、駅舎の増築とあわせまして、自由通路の設置や改札口の新設につきましても、現在関係者間の協議が進められているものと伺ってございます。

 これらの事業につきましては、今後周辺のまちづくりと一体的に行うことが効果的というようなことも考えられますが、このような場合でございますと、委員御指摘のように、例えばまちづくり交付金制度を活用することも考えられます。

 まちづくり交付金におきましては、市町村が、自由通路、駅前広場等の公共施設の整備とあわせまして、市町村の提案に基づく事業といたしまして、改札口新設などの駅舎整備を行う場合、交付されます国費全体の一定割合を限度としてその整備費に国費を充てることも可能となってまいります。

高木(陽)分科員 今、柴田局長の方から、まちづくり交付金の概要を含めて、しっかりとした絵ができていれば、それはしっかりとバックアップできるというような御答弁であったと思います。

 これは、今後とも、国の方と自治体が連携をとり合ってやっていただきたいと思いますし、私も地元の方で首長さんを初め各議会または地域の方々といろいろ今検討を進めさせていただいておりますので、ぜひともそういったバックアップ体制をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 もう一つ、これは、JRの日野駅と豊田駅。

 まず、日野駅についてお伺いをしたいと思うんですが、実は、昨年のこの場でも申し上げた多摩地域というのは、すごくおくれているというか、人口三百八十万にもかかわらず、これは後ほど道路のことで申し上げたいと思うんですけれども、なかなか社会資本整備がなされていない。

 それはどういうことかというと、どうしても、東京都がしっかりと連携をとってやるわけでございますが、他の道府県の場合にはしっかりと市町村と連携をとる、東京都というのは、都道府県ではあるんですけれども、一方で政令市、二十三区の政令市、そういう意識がかなりございます。そういった部分では、二十三区の部分はかなりさまざまな社会資本整備は充実しているんですが、多摩地域になりますと、そういった点がおくれている。

 その一つの端的な例として、駅舎もあると思うんですけれども、その中で、日野駅というのは、先ほど、乗降客が約五万人強、まあそこそこの駅であると。しかし、実はホームが一つしかないんですね。大臣も中央線に乗られたことがあると思うんですけれども、新宿方面から西へずっと行きますと、複数のホームがある駅ですね。ずっと来まして、日野駅だけが一つしかホームがないんですね。

 これが実はバリアフリー化されまして、エレベーターが設置されました。しかしながら、ホームが一つしかなくて狭いために、エレベーターがあるところからおりてわきを通っていこうとすると、今は白線じゃなくて黄色い線、そこから下がってくださいと言われるところですね、そこのところを踏んでいかないとホームを歩けないんですよ。ですから、朝のラッシュ時、そこに立っておりますともう通行ができない。エレベーターからおりてもう身動きがとれないというのが、朝夕のラッシュの状況でございます。

 もう一つは、ここは土盛りの駅でございまして、吹きっさらしの駅なんですね。そうしますと、雨のとき、雪のとき、風雨が強いときは、乗降客の方はホームにいないんです。ホームの下、改札に入って、ずっと下で待っていて、駆け足で上っていくわけですよね。これはまた危険な状態でございまして、そう考えると、この駅舎を何とか改修してもらいたい、こういうような願望がとにかく地元にはありました。

 しかしながら、実は、日野市では革新市政というのがこの二十四年間続いておりました。その結果、なかなか社会資本整備に力を入れられなかったのかなと思うんですけれども、ようやくそれが変わりまして、社会資本整備もしっかりしようということで、現在、京王線の高幡不動駅の改修工事をやっております。これも財政の問題になるんですけれども、実は、これは市長さんともお話をさせていただいたときに、これが十九年度にめどがつく、そうすれば、次は中央線に力を入れていきたい、こういうような御発言がございました。

 さあ、ここで問題は、先ほどの立川駅の問題と同じように、駅舎の改修。これは、駅舎の改修だけですとなかなか難しいと思うんです。やはりここは、駅広の部分。実は、ここは、国道二十号、甲州街道が下を通っておりまして、もう一つは都道も下を通っておる、こういう道路が下に二つ通っている駅でございます。こういった道路の問題も含めて、さらには駅広の部分も含めて、または駅周辺の商店街の活性化の問題も含めて、こういった全体像をしっかりと自治体の方もつくっていかなければいけないと思うんです。

 ここで、そういったものがつくられるという前提で、この支援体制ができるかどうかということも含めて、伺いたいと思います。

柴田(高)政府参考人 日野駅のように、市街地の中心に位置いたします鉄道駅というのは交通上の拠点でございまして、駅及びその周辺のまちづくりを一体的に行うことによりまして、公共交通の利用利便性の向上やにぎわいの創出などに大きな効果をもたらすことは、委員御指摘のとおりでございます。

 国といたしましても、従来より、駅周辺の拠点整備については重点的に支援いたしてございます。例えば、さいたま市浦和駅周辺地区におきましては、これも御指摘のまちづくり交付金でございますが、これを活用いたしまして、再開発、道路、東西自由通路の整備といった公共関係のものと駅施設の改修とを一体的に実施する事業などを促進いたしております。

 いずれにいたしましても、国といたしましては、駅及びその周辺の整備について、地元日野市から要望が出れば、その要望を踏まえまして対応してまいりたいというぐあいに考えております。

高木(陽)分科員 今、最後に、日野市から要望があればという前提をいただきましたので、しっかりと地元の方とも協議を重ねながら、そういった流れを確立させていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 もう一つ、駅の問題で、今度は豊田駅という駅がございまして、ここはバリアフリー化がなされました。改札口からホームに至るまで、エスカレーターができたんですけれども、エレベーターを何とかつくりたいというもう一つがあります。これは、当初は改札からホームまでという考え方でございましたが、実は、ここの駅も特殊な駅でありまして、北口と南口がかなり高低差がある駅であります。北側から改札口に行くまでに階段が必要なんです、そこは自由通路になるんですが。逆に、南側から来る場合には、今度は上らなければいけない。特にこの南側の方が階段の高低差がたくさんあるということで、やはりこれは、高齢者も含めて障害者も含めて、せっかくエスカレーターはできたんだけれども、まだまだ大変なんです、こういった現場の声も聞いております。

 そういった中で、やはり駅のバリアフリー化という観点、これは従来の交通バリアフリー法のスキームの中で、三分の一、三分の一、三分の一ですね、国と自治体とそして鉄道事業者。こういう観点から、まずは、主体者であるJRと地元の日野市がしっかりと話し合っていただかなければいけないと思うんですが、先日、私もJRの方からお話を伺ったときに、この問題についてJRも認識はしっかりしておられるという話でございました。そういうことから考えると、ここは、JRと市がまとまれば、このスキームに基づいてしっかりと国も速やかにバックアップ体制をとっていただきたいと思うんですが、この点についていかがでしょうか。

梅田政府参考人 豊田駅につきましては、先生御指摘のとおり、非常に高低差のある駅でございます。改札の中にはエレベーターはまだ設置されておりません。改札の外におきましては、南北両側の出入り口とも、これは自由通路の部分でございますけれども、エレベーター、エスカレーターが設置されていないという状況でございます。

 まず、御地元の日野市とJR東日本の間で、どういう形でこの高低差をなくして円滑な移動ができるのか、十分協議をしていただきたいというふうに考えております。

 私ども、地元での協議がきちんと調いましたら、またバリアフリーについての御要望等がございましたら、できる限りの支援措置を講じてまいりたいと思っております。

高木(陽)分科員 今鉄道局長からも、市とJRの話がまとまればという前提でございましたので、地元の方として、この問題に取り組みながら、しっかりとスキームをつくった上で国への要請をやってまいりたいと思いますので、その節はよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、以上のようなバリアフリーの問題で質問させていただきましたけれども、自治体は財政的に厳しいということで、きょうの分科会はかなり地元のお話が多いと思うので、大臣もずっとそういった話ばかり聞かれていると思うのですが、そういった中で、特に今回、冒頭に申し上げましたバリアフリーの問題で、交通バリアフリー法、そしてハートビル法、それを一体化しながら、とにかくこのバリアフリーという問題、もう少し言えばユニバーサルデザインという問題で取り組んでいこうという大臣の姿勢もあると思います。特に、昨年来から強調されている安心、安全、特に先ほどの立川駅の問題、または日野駅等々の問題も、バリアフリーは重要でございますし、さらに、その上での安全という部分でも重要な部分だと思うんです。

 そうした部分で、先ほどから、局長の方からも、そういったスキームを生かして地元でまとまればバックアップできる体制はある、こういった発言もございましたので、国としてもしっかりと支援をお願いしたいというふうな思いなんですが、大臣の御所見を伺えればと思います。

北側国務大臣 私も学生時代には八王子に通っておりましたので、立川、日野、豊田というのはよく知っているつもりでございますが、立川駅、あの本当に大きく変わった立川駅周辺で、駅に改札が一個しかないというのは今初めて知ったわけでございます。

 駅というのは、やはり鉄道、交通の結節点であるということはもちろんなんですが、これは町のまさしく顔、中心でございます。したがって、鉄道駅の整備と、そして周辺のまちづくりとを一体的に行うということは非常に大きな相乗効果を伴いますし、また、今私どもが志向しておりますコンパクトなまちづくりということを考えても、非常に大きな効果があるというふうに考えているところでございます。

 既に全国の五十三の地区におきまして、バリアフリー化、また駅舎の改築等を行う事業を支援している実績もあるところでございまして、今後とも、特に三多摩における立川、日野、豊田、ともに本当に多くの方々が利用されている駅、また地域でございますので、駅を軸とするまちづくりについて積極的な支援をさせていただきたいと考えております。

高木(陽)分科員 大臣の力強いお言葉をいただきましたので安心いたしましたし、やはり地元が一番大事だと思うので、ここも地元の方で頑張ってまいりたいと思います。

 それでは、続いて、道路の問題を伺いたいと思います。

 実は、立川の都市計画道路で立川三・一・三四号、これは今、立川基地跡地に昭和記念公園と自衛隊の基地等々がございますが、そこの東側を走っております、通称、新南北道路といいまして、広路一号というふうに地元では言っているんですが、この都市計画道路が、これは東京都がしっかりと延伸をしていかなければいけないのですが、現実は、青梅線の踏切とぶつかってしまっておりまして、ここでぴたっと都市計画道路がとまってしまっております。

 この踏切をどうしていくのか、ここがやはり重要な課題となっておりまして、今回また、法案で、踏切道の改修の法律、これは安全の部分も含めて、きょうも大臣が本会議で趣旨説明を、また質問を受けられておりましたけれども、そういった観点から見ても、この踏切の問題を早急に解決していかなければいけない、このように思っております。

 この青梅線の踏切の立体化の可能性、例えば東京都も、昨年ですか、踏切道の解消計画をいろいろ立てていると思いますけれども、この点についてどのようになっているか、伺いたいと思います。

柴田(高)政府参考人 御指摘の立川の都市計画道路三・一・三四号線とJR青梅線が交差いたしております踏切というのは、一日に通行する自動車交通量が一万五千台、遮断時間五時間となっており、地域の大きな渋滞ポイントというぐあいになっております。このため、二〇〇四年に策定されました東京都の踏切対策基本方針におきまして、二〇二五年までに、この道路につきましては、重点的に対策を実施し、検討すべき踏切として位置づけられております。

 この踏切をどのように立体化し、解消するかにつきましては、道路と鉄道の交差方式がいろいろございまして、多くの課題も抱えてございます。東京都におきまして、これらの課題について検討を進めまして、鉄道事業者などの関係機関との調整を行っていく予定になっておるところでございます。

高木(陽)分科員 なぜこの質問をしたかというと、これも昨年申し上げました。実は、三百八十万の多摩地域に片側二車線の南北道路というのがない。東側というのは環状八号線でございますから、実はこれは二十三区になってしまいます。それから、三十キロずっと西に行くと、一本も片側二車線の南北道路がないまま国道十六号に行くんです。今圏央道も一生懸命つくっていただいておりますが、そういった部分では、南北道路の充実というのは、立川だとか昭島、日野、そういった地域だけじゃなくて多摩全体、または東京、埼玉、神奈川、こういった部分でも大きな、重要な観点なので、この都計道路というのはしっかりとやっていかなければいけないと思うんです。

 その上でまず、ネックのこの踏切なんですけれども、今都市・整備局長からお話があった、都の方が二〇二五年までにどうするかという、これはちょっと時間がかかり過ぎると思うんですね。そういった部分では、これは東京都がしっかりとやらなきゃいけないんです。その中で、例えば、単独で道路の方を上げてしまう、またはアンダーパスにしてしまう、こういった角度もあると思うのです。

 いずれにしても、東京都がこういうふうにやると決定した場合に、その支援ということ、国として踏切道の支援ということでどのような形があるのかを伺えればと思います。

柴田(高)政府参考人 当該踏切のようなボトルネック踏切を初めといたします踏切対策というのは、喫緊の課題というぐあいに我々も考えてございます。

 踏切を解消する抜本対策につきましては、道路を立体化するということもございますし、鉄道の連続立体交差事業というのもございます。踏切の形態、地域の特性に応じた支援策によりまして、スピードアップしてやっていくということが必要であろうと考えてございます。

 本路線というのは、都市内の道路交通の円滑化とともに、防災機能の向上に必要な路線といたしまして、国としてもその重要性を認識いたしておるところでございます。都からの要望があれば積極的に支援を行ってまいりたいというぐあいに考えております。

高木(陽)分科員 今局長が重要な一言を言われました。防災上の拠点。

 防災基地がございまして、そう考えますと、踏切があってあかない、防災基地から出たけれども、どこにも行けない、こういう現状もございますので、その点も踏まえて、東京都が決断をした場合のバックアップ体制をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さらに、この道路が都計道路としてさらに南の方に延伸しますと、多摩川を渡りまして国道二十号につながるわけですね。そうなりますと、国道二十号の近くには実は中央高速の石川パーキングエリアがございまして、ここも中央高速のインターチェンジの手前。東側は国立府中インター。今は二十号バイパスができて、石田大橋ができて、日野から八王子の方に延伸していただいておりますけれども、逆に、ここにスマートインターができるとなかなか便利になるというだけではなくて、さらに、災害のときに物資が運ばれて、さらにそれを防災基地に持っていける、こういったことも考えられます。まずは、スマートインターの現状について伺えればと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、スマートインターチェンジの効果は、いろいろな効果があるわけでございますが、非常に期待の大きい施策でございます。ETC技術の進化、普及によりまして、ETC専用のスマートインターチェンジの導入を検討させていただいているところでございまして、平成十六年度から社会実験をやらせていただいておりまして、現在、全国三十二カ所のサービスエリア、パーキングエリアにて実施をさせていただいております。

 そうした社会実験の検討結果を踏まえまして、平成十八年度中の本格導入に向けまして、運営方法等につきまして関係機関と調整を図りつつ、検討を進めさせていただいているところでございます。

高木(陽)分科員 十八年度中に本格的導入を検討されているということで、やはり本格的導入が決まったとき、それぞれの地域からいろいろな要望等があると思うんですね。そのときに、スマートインターがそのパーキングエリアにできる、やはりその後のアクセス道路も重要だと思うんです。

 もちろん、これは地元の自治体が主体性を持ってやっていかなければいけないと思いますが、やはりそういったところの連携の中で、地元の自治体として、そういう計画もしっかりした、財政措置もしっかりできているとやって手を挙げた場合に、これは今は実証実験ですから、十八年度中に本格的導入への道筋ということですので、これは実は、スマートインター、石川パーキングエリアというのは八王子市になってしまいまして、ただ、利用するのは多分日野市も利用しますので、これは自治体同士もしっかり連携をとってやっていかないとと思うんですが、ここも、地元の自治体がしっかりと計画を立てて手を挙げた場合、このときの状況としてどうなっていくのか、最後に伺って、終わりたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 地元でしっかりと協議が進むよう、私どももしっかりと支援させていただきたいと思います。その上で、関係機関と鋭意調整させていただきたいと思っております。

高木(陽)分科員 時間が来ました。

 最後に一言だけ申し上げたいのは、先ほどから申し上げている、多摩地域、三百八十万人、県でいいますと静岡県と一緒なんですよね。そういった中で、中央高速のインターチェンジが、調布、そして、稲城ができて、国立府中なんですけれども、やはりここだけでも大変な、さらに西は八王子になってしまうということで、このスマートインターの利用をしっかりとやっていっていただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三原主査代理 これにて高木陽介君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島忠美君。

長島(忠)分科員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは、貴重な時間を賜りまして大変ありがとうございます。また、日ごろ大変お世話になっておりますことに、重ねてお礼を申し上げたいと思います。

 私は、震災地を抱える立場で、きょうは少し地元のことに関してまずお聞かせを願いたいと思います。

 十月二十三日に被災をして、十月二十四日の早朝、川の中に山ができたという報告を受けて、私は信じられませんでした。見るまで信じられなかったというのが本当のところでございます。幅三百五十メートル、厚さ三百メートル、まさに山が百五十メートル動いて川を閉塞してしまっておりました。その日から芋川の河道閉塞ということで対策を迫られることになり、当時、住民から毎日毎日、きょうは一日十センチ埋まった、二十センチ埋まったという涙ながらの訴えに、私も、河道閉塞対策検討委員会のメンバーとして、大変失礼なことを言ったことも今思い出しております。

 住民の願いは、とにかく早く土を取り払ってほしい、そして、自分たちのうちのあるところを水の中から救ってほしいというところからスタートをいたしました。でも、余りにも多い土砂の量、そして、土砂を取り去ることでさらに危険を増すという現状の中で、住民はやはりもとのところの生活をあきらめざるを得ない。そして、さらに、河道閉塞に対する安全対策が必要だということで、それ以来、国交省河川局さんには大変な御尽力をいただきながら今日まで過ごしてまいりました。

 昨年の十月二十三日、私どもの小中学生が、国土交通省湯沢砂防事務所の案内で、国道二百九十一号線の災害復旧の現場と芋川河道閉塞、東竹沢の現地の工事箇所を見せていただくことができました。災害は、私たちにとっては非常に悲しいものでありましたけれども、でも、国土交通省さんの取り組みが、私たちの子供たちにもやはり一筋の明かりと勇気を与えてくれました。こんなに悲しい現実の中だけれども、国土交通省さんは、私たちのふるさとを取り戻すために懸命な努力をしてくださっている、私たちはそのことの中に希望を見出したというのが、当時、子供たちの私への報告の言葉でありました。

 でも、私は、そんな中、住民がさらに希望をつないでいただくために、あえて、芋川の河道閉塞箇所を含む芋川流域の砂防対策について、総合的な災害の復旧の状況と今後の見込みについてお聞かせを願いたいと思います。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 新潟県中越地震によりまして大変多数の土砂災害が発生いたしました芋川の流域につきましては、新潟県が実施いたします災害関連緊急砂防事業に加えて、新潟県知事から要請を受けまして、直轄砂防事業によりましてその対応に当たっているところであります。

 今委員の御指摘のありました中でも一番大きな河道閉塞を起こしました寺野、東竹沢地区につきましては、本年秋の完成を目指しまして、現在、砂防堰堤の建設及び崩壊斜面ののり面対策等を鋭意進めているところであります。

 さらに、平成十八年度からは、地すべりの多発地域であります芋川流域におきまして、新規に直轄地すべり対策事業に着手しまして、当該流域におきます集中的かつ迅速な対策を講じることとしております。

 いずれにいたしましても、被災地の一日も早い復旧復興が最も重要だというふうに考えておりますので、地域の復興計画と調整を図りつつ、新潟県とも連携を図り、しっかりと対応していきたいと考えております。

    〔三原主査代理退席、主査着席〕

長島(忠)分科員 大変力強いお答えをいただきまして、まさに勇気につながるお答えでございます。

 私は、被災地の中で、生活をしていければ四メートルぐらいの雪だったら何とかしのげるという気持ちで参りましたけれども、今、生活のできない状況の中で、昨年が十九年ぶりの豪雪でございました。そして、ことしが二年続きの豪雪でございました。私たちは、雪国に暮らす者にとって、覚悟はできていますから、生活さえできていれば四メートルぐらいの雪には負けないつもりでございました。でも、災害地の中で、現地に住めない状況の中で、私たちの気持ちの中で、やはりあの雪は深刻な影を落としたことも事実でございます。

 さらに、非常に傷んでいる山や川の中で、春になって、この雪がともすると融雪災害を引き起こしてしまうんではないかな、そうしたときにまた再び一から災害復旧をやり直さなければいけないんではないかなという心配を、今被災地の住民はいっぱいしているところでございます。

 私は、あの地域を見てきた者として、何でもないときであれば、こんな雪には負けないし、きちんと自分たちが管理をして山を守ってまいります。でも、ダメージを受けた状況の中で、二年続きのこの雪は非常に深刻でございました。まして、六カ月、雪の下で被災地は水を含んでいる状況です。春、あってはほしくないけれども、想定される融雪災害が起きるとすると、やはりいち早く対応を願いたいという住民の声が起きてくることは必至だと思います。

 そのことについて、もしそんなことがあった場合にいかなる対応をしていただけるのか、お考えをお聞かせいただければありがたいと思います。

渡辺政府参考人 昨年に続きまして、ことしの冬も大変記録的な大雪となっております。国土交通省では、新潟県を初め、豪雪地域の道府県に対しまして、雪崩災害に関する警戒に万全を期するように注意喚起をしているところであります。

 特に、これから暖かくなってきますと、斜面の積雪全体が崩れる、いわゆる全層雪崩というものが起きやすくなってきますために、引き続き雪崩に対する警戒に努めるとともに、融雪に伴う地すべり等の土砂災害につきましても一層の警戒が必要になるというふうに考えております。

 特に、新潟県の中越地震の被災地におきましては、地震によって地盤が緩んでいるというおそれがありまして、融雪により崩壊の拡大、また新たな地すべりが発生することが懸念されるところでございます。

 私ども国土交通省では、新潟県と連携いたしまして、融雪期を迎えます三月から五月にかけまして、雪崩危険箇所及び土砂災害危険箇所の実地点検、また、これらの予兆となるクラック等の調査のために、去年も実施しましたけれども、ヘリコプターによる上空からの監視等を重点的に進めていきたいと。これによりまして、まずは災害を防ぐことに万全を期すとともに、また、災害の端緒をできるだけ早くつかまえる、それによって対応を図っていくというふうに考えているところでございます。

長島(忠)分科員 今もやっていただいているようですけれども、ヘリによって監視をしていただいたり、その都度対応していただいているようでありますけれども、春、現実に災害が起きるとしたら、地すべり工事、砂防工事を国の直轄にしていただいた観点から、いち早く乗り込んでいただきたいという思いが、災害を最大限にしないで最小限のうちに食いとめて対策を練ってほしいというのがやはり私どもの願いでございます。

 その辺は、国が直轄にすることによって、もちろん、県の方からの発信という部分は残るんでしょうけれども、発信をした場合にはいち早くということは可能でございましょうか。

渡辺政府参考人 芋川の流域につきましては、大体二十カ所ぐらい地すべり地区がございまして、これを十八年度から直轄でというふうに今考えておりますので、今委員の御指摘のように、ここでいろいろ問題が起きた際につきましては危急的に対応するということで、地域ともよく協力しながら進めていきたいというふうに考えております。

長島(忠)分科員 ありがとうございます。

 そのことで、あってはほしくないと私は思っていますけれども、融雪災害がもし発生した場合には、力強い御支援をお願いしたいと思います。

 次に、私も被災を受けた立場として、去年いろいろな被災地を別な角度で見させていただく機会がありました。台風十四号の後、宮崎県にも寄せていただきましたし、一昨年の台風二十三号で傷ついた豊岡も見せていただくことができました。私の目で見て、やはりいろいろな問題が受け取られました。そのことについて少しお聞かせを願いたいと思います。

 特に、土砂災害という部分で、谷筋の土砂災害によって要援護世帯が孤立をしてしまったり危険な目に遭うというような事例がかなり見られたような気がしますし、また、山の崩落による流木災害によって被害が広がったり、場合によっては、そのことが河道閉塞を引き起こすことによって大きな水害につながるというような事例も見受けられたようでございます。

 全国的な防災の立場で、そんなことに対する対応とか検討の状況についてお聞かせをいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 委員が昨年、台風十四号の被災地を御視察されたということを伺っております。

 昨年九月に九州に上陸した台風十四号につきましては、大分、宮崎、鹿児島等々で連続雨量が一千ミリを超えるという大変大きな降雨をもたらしました。土砂災害も数多く発生いたしまして、亡くなった方、行方不明の方々が二十二名に上っております。このうち、六十五歳以上のいわゆる高齢者が十五名ということで、全体の七割を占めているという状況にございます。

 国土交通省におきましては、従来より、例えば特別養護老人ホーム等の災害時要援護者がいらっしゃるような関連施設に対しては、重点的な土砂災害の防止対策を実施してきたところでございますけれども、これとあわせまして、災害時要援護者の避難が円滑に行われますように、情報の伝達、また避難体制の確保等につきまして対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、今委員の方から御指摘のありました、土砂とともに森林等から発生した大量の流木の問題がございます。これが下流の集落などに被害を与えるという事例が出てきておりますので、一つは、発生源対策として、まず森林側で、林野庁でいろいろ対応していただく対応、それとあわせまして、連携を図りながら、私ども国土交通省といたしましても、下流部の砂防堰堤における流木の捕捉工、そういうものの整備を一層促進してまいりたいと考えております。

長島(忠)分科員 今局長からもお答えいただきましたように、山の構造によって流木被害が広がったという部分も随所に見受けられたようです。これはまた林野庁の課題でもあるでしょうけれども、やはり単層樹林が雨による土砂災害には非常に弱かった。産業としての効率という問題は残るんでしょうけれども、山の安全と災害に対する安全という観点からは、ぜひ複層樹林という形で山を守る、川を守るということを、私の立場からこれらをお願いしていきたいと思いますので、国土交通省の立場からも、そんな観点でぜひ林野庁と協議を願えればありがたいかなと思うところでございます。

 また、要援護者に対する配慮については、きめ細かやな対応ということで、弱い立場の人が、それでなくても困っている人たちがこれ以上犠牲にならない観点で、これからもぜひ御協力いただければありがたいと思います。

 そんなことを受けて見てまいりますと、芋川の天然ダム、そして宮崎県鰐塚山の大規模崩壊、そして、つい最近、フィリピンの地すべり等の大規模崩壊による土砂災害が非常に大きなものとなって、被害が大きくなるということが現実のものとなってまいりました。

 私は、この際、これらの対策について、国として、きちんと日本の森林あるいは中山間地をどんな観点で守っていくか対策を立てていくべきだと思いますけれども、その辺の対処についてお考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 今委員の方から、大規模な土砂災害に関する対応につきましてのお尋ねがありました。

 豪雨や地震に伴いまして発生する大規模な斜面崩壊は、今お話のありましたフィリピンのレイテ島の地すべりのように、直接人家とか人命に影響するもの、それから、河道閉塞により芋川のような湛水を生じたり、また、もしこれが決壊した場合には下流に非常に大きな被害を与える、こういうような問題を抱えているわけでございます。

 御指摘のありました芋川の東竹沢地区のいわゆる河道閉塞の起きました地すべりにつきましては、全体で約百三十万立方メーターの土砂が崩壊したというふうに見られております。また、昨年の台風十四号で宮崎県の鰐塚山で発生した大規模な土砂崩壊につきましては、渓流の六カ所合わせまして約五百万立方メーターという非常に大きな規模の土砂が発生しております。

 それから、フィリピンのレイテ島につきまして、詳細は、私どもの方の専門家が現地に今JICAの専門家として派遣されておりますので、今現地で調査をしているところでございますけれども、一報によりますと、やはり五百万立方メーター以上の土砂が崩壊したというような崩壊量と推定をされているところでございます。

 これらの大規模斜面の崩壊につながる地すべりのうち、現に地すべり活動が今現在見られている、そういうところにおきましては、やはり具体的な対策が必要であるということで、地下水の排除等の対策工事というものを行っているところでございます。

 また、現在地すべり等の活動が見られないところにつきましては、芋川等で得られた教訓を生かしながら、地方公共団体、また関係機関と連携しながら、応急対策等の危機管理体制の構築、それから、実際にもし起きた場合に、その後どういうふうに被害につなげていかないような対応をするのか、そういうことにつきましても積極的に対応を図っていきたいというように考えております。

長島(忠)分科員 ありがとうございます。

 多分災害というものの特性の中で、被害が起きてから復旧をするということには時間とお金が大変かかるということで、私は、災害を未然に防ぐ方法がもし可能なんだとしたら、土砂災害に対して、調査あるいは県から等の聞き取りの中で、対策のとれるところを優先的にやっていくことが、国としても、最終的には、費用という部分で対策費の方が随分安く終わるのではないかと。そして国民に対して、安心、安全という意識を与えるには、やはり対策でやっていく方がうんと大きな気持ちにつながるのではないかと思いますので、これから具体的に検討なさる際に、ぜひ安心、安全を事前に与えると、国交省の立場で御検討願えればありがたいと思います。

 次に、少し視点を変えて、海岸侵食の問題について、新潟県も非常に長い海岸線を有しておりますので、そのことについて少し聞かせていただきたいと思います。

 御多分に漏れず、日本海側の新潟県でございますので、冬になるとやはり季節風が吹いてまいりまして、高い波に海岸線が洗われます。そして、それによって海岸侵食という深刻な事態が過去数十年にわたって繰り返されてまいりました。そのことに対しては、国交省さんから積極的に取り組んでいただいて、対策も少しずつ少しずつみんなのところに行き渡るような状況でございますけれども、やはりまだ、今、平成四年度までのデータを収集すると、毎年六ヘクタールほどが海岸侵食によって面積を消失してしまっているという現実があります。

 そしてさらに、侵食の進むところで、道路が直近に迫ってきたり、家屋が直近に迫ってきて、やはり安心、安全という見地からも心配が広がっているところもございますので、私は、地盤の沈下や冬季の風の影響ということだけではなく、やはり対策が極めて重要なことではないかなというふうにとらえております。

 そこで、新潟県における海岸侵食対策について、国交省の観点でお聞かせをいただければありがたいと思います。

渡辺政府参考人 今委員の方からお話がありましたように、新潟県は大変長い海岸線を持っております。その中で、今お話がありましたように、やはり冬の風浪、それから昭和三十年代の前半から進んできております新潟市周辺の地盤沈下、こういうものによりまして海岸侵食が大変進んでおりまして、海岸侵食対策の必要性また緊急性というのは非常に高いものになっているというふうに認識しているところであります。

 このため、国の直轄の海岸事業といたしましては、昭和五十二年から新潟海岸におきまして、また昭和六十一年からは新潟港海岸におきまして、海岸保全事業に着手いたしまして、これまでに離岸堤、ヘッドランド、また人工リーフ等の整備のほか、養浜工を実施しまして効果を上げているというふうに考えているところでございます。

 また、直轄だけではなくて、新潟県の実施します補助事業につきましても、国土交通省所管の補助事業につきまして、平成十七年度におきましては十七カ所の海岸で侵食対策事業等を実施しているというところでございます。

 しかし、現在、事業を実施していない海岸におきましても、近年の侵食の進行によりまして、波浪が高いときにおきましては背後地への被害のおそれ等も増大している海岸もありますので、今後の実施すべき対応につきまして、海岸管理者であります新潟県ともよく調整して対応を図っていきたい、こう考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

長島(忠)分科員 大変ありがとうございます。多分、その答えを聞いたら、新潟県の海岸に住む人たちは随分大きな勇気をもらうことだと思います。

 ただ、事業の性格上、着手したところと着手しないところと差が出ていて、住む人にとっては、着手をしていないところはやはり取り残されてしまうんではないかなという心配がいっぱい残って、このままでは私たちの地域はどうなるんだろうかというところもあります。あえて申し上げるとすると、私の仲間がいっぱい住んでいる竹鼻というところも、何か随分待ち望んでいるところでもあるようでございます。もし御視察の機会があったら、ぜひ一回見ていただけると、侵食の状況がおわかりいただけるんではないかな、そんなふうに思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、大臣にということは言っておりませんでしたけれども、災害地からいろいろな意味で大臣に感謝を込めながら、一言だけコメントをいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 二回目の冬を迎えました。災害地はやはりスピードが必要だということで、私も国会議員として仕事をさせていただこうというふうに思っています。もちろん、災害発生当時から、大臣初め国交省の皆さんから大変お世話になりながら、最善の努力をしていただきながらここに至っていることは事実でございます。

 でも、三回目の冬を仮設で迎えなければいけない人たちもいるということが多分想定をされるところまで来てしまいました。その人たちに勇気を与えていくためには、やはり国土交通大臣が現地に、春になったらもう一回来ていただいて、被災地を見ていただいて、被災地の住民に声をかけてくれることが私たちにとって大きな勇気につながるということをお願い申し上げて、ぜひそのことに対して力強い答弁をいただきたい、そんなふうに思います。

北側国務大臣 私も、一昨年の十月二十三日、中越の地震があって、その翌日、現地に行かせていただきました。確かに、今委員のおっしゃっているとおり、二回の冬を越されて、原状に戻すにはまだ時間がかかるというふうな状況でございまして、被災に遭われた方々の心情を察すると、本当に大変だということを私も委員のお話を聞きながら改めて痛感をしているところでございます。

 私も、機会があったら被災地にぜひ行かせていただいて、今の現状がどうなのか、現場の状況、声を聞かせていただければありがたいと思っております。

長島(忠)分科員 力強い答弁をいただいて、大変ありがとうございます。ぜひ大臣、副大臣から被災地の住民に勇気を与えていただきたい、あえてそのことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて長島忠美君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川分科員 国民新党の糸川正晃でございます。

 大臣には、一般質疑で何度も質問させていただいておりますが、再度、分科会の方で質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、これは昨年の予算委員会でも質問させていただきましたが、整備新幹線についてお伺いしたいというふうに思います。

 整備新幹線の整備につきましては、北陸新幹線を初め各線区で、いつごろから着工が始まり、現在どこまで進んできているのか。現在の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせいただけますでしょうか。

梅田政府参考人 整備新幹線につきましては、これまで、政府・与党申し合わせに基づきまして、着実に整備を推進してきているところでございます。

 まず、北陸新幹線でございますが、平成元年に高崎―軽井沢間を着工いたしまして、約八年後の平成九年に高崎―長野間が開業いたしました。現在は、長野と金沢、これは白山総合車両基地まででございますが、その間について、平成二十六年度末の一体的な完成を目指しまして整備を進めているところでございます。

 また、北陸新幹線でございますが、これは平成三年に盛岡―八戸間を着工いたしまして、約十一年後の平成十四年に盛岡―八戸間が開業しております。現在は、八戸―新青森間につきまして、平成二十二年度末の完成を目指しまして整備を進めているところでございます。

 九州新幹線でございますが、これは平成三年に新八代―西鹿児島間を着工いたしまして、約十三年後の平成十六年に新八代―鹿児島中央間が開業しております。現在は、博多―新八代間について、平成二十二年度末の完成を目指しまして整備を進めているところでございます。

 北海道新幹線は、平成十七年に新青森―新函館間を着工し、平成二十七年度末の完成を目指しまして現在整備を進めているところでございます。

 以上でございます。

糸川分科員 今、私の聞き間違いかどうかあれなんですが、北陸新幹線というのを二度おっしゃられたようなんですが、再度、そこだけ確認をさせていただけますでしょうか。

梅田政府参考人 済みません。言い間違いをいたしました。二度目の北陸新幹線、平成三年、盛岡―八戸間、これは東北新幹線の間違いでございます。済みませんでした。

糸川分科員 北陸新幹線の長野―金沢間というところまでは平成二十六年度というところを目途にということでございますが、ぜひ、その先の福井の方まで引っ張っていただきたい。今、福井駅はもう着工が決定しているわけでございまして、例えば福井駅前の再開発をするときのためにも、福井への早期の延伸を望みたい。

 北陸新幹線につきましては、福井駅部を初め、最近の動向なんかもちょっとお尋ねしたいなと思いますので、福井駅周辺のことにつきまして、最近の整備、それから新規着工の動きと今後の完成見通しというのがどのようになっているのか、お尋ねします。

梅田政府参考人 先ほどの北陸新幹線でございますが、平成十六年十二月の政府・与党申し合わせにおきまして、富山―石動、それから金沢―白山総合車両基地間の新規着工が決定され、昨年六月に着工したところでございます。先ほど申しましたように、現在、平成二十六年度末の一体的な完成を目指しまして、長野―金沢間、着実に整備を進めております。

 また、この申し合わせにおきまして、福井駅部の新規着工が決定されまして、同じく昨年の六月に着工したところでございます。現在のところ、平成二十年度末の完成を目指しまして着実に整備を進めております。着工一年目の事業費は十億円でございましたが、着工二年目となります平成十八年度は三十億円に増額することとしております。

 なお、南越―敦賀の間につきましては、政府・与党申し合わせに基づきまして、昨年十二月に鉄道・運輸機構から工事実施計画の認可申請が行われたところでございます。

 今後とも、政府・与党申し合わせに基づきまして、整備新幹線の着実な整備を図ってまいりたいと考えております。

糸川分科員 この駅を平成二十年末までに完成させるということでございますが、幾らいい駅ができても、やはり新幹線が、金沢までが平成二十六年末、それからまた計画をして、何十年もかかってからということでは、いい整備だなというふうに言うことはなかなかできないのかなと思いますので、しっかりとそこを取り組んでいただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。

 福井駅周辺の連続立体交差事業を積極的に推進していくべきではないのかなと今思っておりまして、政府の見解というのが今現在どのようになっているのか、また、福井の顔づくりとしまして、関連するまちづくりも重要と私は考えているんですが、そこにつきまして、今現在の取り組み状況はいかがなるものでしょうか。

柴田(高)政府参考人 福井駅周辺におきます連続立体交差事業でございますが、JR北陸本線で三・三キロメートル、えちぜん鉄道の勝山永平寺線で二・〇キロメートル、同じく三国芦原線で〇・七キロメートルの合計六・〇キロメートルを高架化することによりまして、ボトルネック踏切二カ所を含む五カ所の踏切を除却いたしまして、市街地の道路交通円滑化とともに踏切事故の解消を図る事業で進めております。

 当該事業は、昭和六十三年度に事業採択をいたしておりまして、平成十七年の四月にはJR北陸本線の高架切りかえを終えてございます。現在、平成二十一年度の完成を目指して鋭意事業が進められております。

 さらに、駅周辺では、連続立体交差事業と一体となりまして、土地区画整理事業、市街地再開発事業、まちづくり交付金を組み合わせまして、駅前広場、自由通路、図書館、公民館、商業・業務施設の整備が行われておりまして、県都の玄関口にふさわしいまちづくりが着実に進められているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、同事業及び周辺まちづくりにつきまして、事業の促進が図られますよう適切に支援してまいる所存でございます。

糸川分科員 この立体交差も含めて、再開発というのを積極的に取り組んでいっていただいて、新幹線が通ったときにはもう既にいいまちづくりができているというようなところに、しっかりと取り組んでいただければなと思うんです。

 今のそのまちづくりにつきまして、今度は電車とは違うんですけれども、先日、地盤の陥没が発生した足羽山というところがございまして、足羽山西墓地公園につきまして、これは恐らく確認をされているかなというふうに思うんですが、そこの支援が災害認定はされなかった。これを何とか復旧させなきゃいけないんですが、そこで、まちづくりの一環として、政府は何らかの支援をすることができないのか、お尋ねしたいと思います。

柴田(高)政府参考人 昨年の八月十六日に足羽山公園の一部が陥没いたしました。これは、笏谷石の採掘坑道が崩落したことにより発生したものでございますが、その後、福井市におきまして、応急対策、恒久対策の両面から検討し、その結果、まちづくり交付金を活用してその整備を図ることになってございます。

 具体的には、平成十八年度より、公園内に墓石の移転代替地を整備するとともに、トレッキングコースや小規模な運動公園の整備、そして問題になっております陥没部の充てん処理と陥没上部の緑化、それから笏谷石の採掘坑道を観光資源として活用するための検討調査、これらに一体的に取り組む計画になってございます。

 国交省といたしましては、今後も引き続き、福井市からの要望を踏まえつつ、本地区の整備を支援してまいります。

糸川分科員 この坑道というのは千五百年前の坑道なわけですよ。千五百年前の坑道なんというのは、もう今ではなかなか確認できないわけですね。今回、災害認定はされませんでしたけれども、私はこれは災害認定してもよかったぐらいの問題じゃないかなと。やはり千五百年前といったら、その当時の情報なんというのはもう今は残っていないわけで、どれだけ坑道が長いのかも今はわからない。ですから、そういう調査に関しましても、ぜひこれは国としても取り組んでいただければなと思います。

 地方というのは、なかなか財政的に厳しいから、自分独自にできないというのが現状としてあるわけなんです。今、市町村がまちづくりを進めようとしても、財政が厳しいからということで、地方都市においてこそ、市町村の創意工夫を生かして、活性化の起爆剤となるようなまちづくりが必要だというふうに考えております。

 このような状況のもと、平成十六年に創設されましたまちづくり交付金に期待している市町村も多いというふうに思いますが、まず、現在、まちづくり交付金が全国においてどのように活用されているのか、現状をお聞かせください。

柴田(高)政府参考人 まちづくり交付金でございますが、市町村の自主性、裁量性を高めました、従来の補助金とは全く異なる財政支援措置として平成十六年度に創設されております。同年度には三百五十五地区、平成十七年度には三百八十七地区をそれぞれ採択いたしまして、平成十七年度は全国約五百市町村、七百四十二地区におきまして、市町村の創意工夫を生かしたまちづくりに活用されております。

 これらの地区におきましては、中心市街地の活性化、観光振興など、地区の特性に合わせた目標が設定されておりまして、道路、公園、公営住宅などの従来型の公共事業だけではなく、空き店舗の活用事業、子育て支援施設の整備など、市町村の提案による事業を組み合わせまして、地域の創意と工夫を生かしたまちづくりが進められております。

 また、本制度を活用いただいております多くの市町村より、使い勝手がいいということを言われております。すなわち、従来の事業メニューにとらわれずに支援が受けられる、事業の進捗管理が自治体の裁量により自由にできる、そして自治体内部でも組織横断的にまちづくりを考えるきっかけとなっているなど、大きな評価を受けております。

 さらに、今般、地方公共団体のまちづくり交付金制度活用のノウハウを高めていくことを目的に、まちづくり交付金情報交流協議会が設立されたところでございます。国といたしましても、情報の交換や優良なプロジェクトの顕彰、例えばまち交大賞などを出していくことにいたしてございます。

 これらの活動を積極的に支援いたしまして、市町村による本制度の活用を促進してまいりたいというふうに考えております。

糸川分科員 地方都市の経済再生に向けて、まちづくりの交付金というのを積極的に支援して交付していただければなというふうに思います。

 そういう一環の中で、今、福井県の嶺北地域というところに、地域経済の活性化ということに関しますと、物流の円滑化というのが必要不可欠だというふうに認識しているんです。そこで、嶺北地域を背後圏とする物流拠点である福井港の現在の利用状況と今後の振興策、整備というものについてお聞かせいただけますでしょうか。

鬼頭政府参考人 まず、福井港の利用状況についてでございますが、平成十五年の取扱貨物量を見てみますと、港全体で百七十九万トンという数字になってございますが、特に外国貿易貨物が大変好調でございまして、対前年比で約三割増を記録してございます。こういったことから、福井県の物流拠点としてその経済活動に重要な役割を果たしているというふうに私ども認識をしてございます。

 また、外国貿易船の入港隻数も近年大変大きな伸びを示しておりまして、昨年の四月には関税法上の開港に指定をされておりまして、外国貿易船が直接入港できるようになったことで、同港のさらなる利用促進とそれに伴う物流の円滑化が期待されるというところでございます。

 さらに、同港の三国港地区におきましては、歴史的な港湾施設や港町の町並みを活用した、港を核とした地域のにぎわい創出に向けた取り組みが行われているとも伺っておりますので、私どもといたしましても、港湾管理者である福井県とも連携をしながら、福井港の利用促進に向けて支援をしてまいりたい、かように考えているところでございます。

糸川分科員 その福井港というのは、石油なんかも備蓄をしているわけで、この防災機能とか防護機能というものを確保することというのが重要ではないかなというふうに思っておりますが、そこへの取り組み状況についてお聞かせいただけますでしょうか。

鬼頭政府参考人 福井港海岸の重要性につきましては今委員が御指摘されたとおりでございます。

 当海岸の護岸につきましては、冬期間の高波浪にさらされるなど大変厳しい環境のもとで、護岸本体の沈下等により、機能が著しく低下しつつあります。

 したがいまして、その抜本的解決策として、前面に離岸堤を整備するとともに、耐震性の強化を目的とした護岸本体の改良工事に平成十六年度から直轄事業で着手をしたところでございます。

 この事業に対する地元の強い要請を踏まえまして、今後とも事業の推進を鋭意図ってまいりたい、かように考えております。

糸川分科員 しっかりとそういう防災対策には取り組んでいただければなと思います。

 質問が変わりまして、今度は道路についてお尋ねしたいと思います。

 先日、私も地元の福井に帰りましたら、国道八号線というのが走っていまして、三車線道路なものですから横断するのが困難だということで、国交省さんの方で建築費約二億円ぐらいかけられてでしょうかね、地下通路というのをつくったわけです。ところが、そこが地元の少年によって中の蛍光灯がすべて割られるとか火がつけられる、こういうような状態があって地元の人たちが利用しにくい、逆に怖いんですと。そういう、女性が安心してその地下通路を渡れないという状態になっていまして、地下横断歩道における安全防犯対策として、今、国交省としてどのような取り組みをされているのでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の地下横断歩道につきましては、平成十六年四月時点のデータでございますが、全国で約三千三百カ所で設置されておるということでございます。

 地下横断歩道の整備に当たっては、歩行者等が安全に安心して利用できるよう照明施設を設置するとともに、現地の状況に応じて、死角をなくすミラーや非常警報装置等の防犯施設について、公安委員会とも連携を図りながら設置をさせていただいているところでございます。

 今後とも、警察や地元等と十分連携を図りながら、防犯上の安全対策について、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

糸川分科員 実際にはそこにも非常ベルなんかはついているわけです。それから、当然蛍光灯もついている。だけれども、中の状態が見えないわけですね、外の人が。中に入ったらそういう状態になっていたら、やはりそれは恐ろしいなと。私でも中に入ったときには非常に気持ちが悪いなというふうな雰囲気がありました。ですから、ぜひ、そういうところに外からモニターか何かで中の状態が見えるような工夫をしていただくとか、そういういろいろな取り組みをしていただければなと思います。恐らくこれは、全国的にそういう地下通路というのは怖いというふうに思っていらっしゃると思いますので。

 今福井県では、近畿自動車道の敦賀線ですとか、それから中部縦貫自動車道ですとか、そういう整備が行われている最中なんでございますが、この二つの道路の今後の整備の見通しと、それから今現在の進捗状況につきましてお答えをいただけますでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 二つ御質問いただきました。まず一点目でございますが、近畿自動車道敦賀線の現在の整備状況、今後の見通しについてお答えさせていただきたいと思います。

 近畿自動車道敦賀線は、全体延長は、兵庫県の三木市を起点として敦賀市に至る百六十二キロメートルの延長がございます。そのうち中国道と接続する吉川ジャンクションから小浜西間、百十二キロメートルにつきましては既に供用済みということになっております。現在事業中の小浜西―敦賀間の五十キロメートルにつきましては、二月七日の国幹会議の議を踏まえ、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社が引き続き有料道路方式により整備を行うこととなったところでございます。

 このうち小浜西―小浜間十一キロメートルにつきましては、用地買収がおおむね九割程度完了し、逐次工事を推進させていただいているところでございます。残る小浜―敦賀間につきましては、用地買収中であり、一部区間で工事を着手をさせていただいたところでございます。

 京阪神を経ず迂回路として阪神・淡路のときにも大きな効果を発揮したということでございますので、できるだけ早く完成できるよう両会社において推進されるものと期待をさせていただいておりますし、私どもも支援させていただきたいと思います。

 もう一つの中部縦貫自動車道でございますが、これは福井市から高山市を経まして松本市に至る全体延長百六十キロメートルの高規格幹線道路ということになっております。これまでに、七十三キロメートルについて事業に着手をし、油坂峠道路など二十八キロメートルについて供用させていただいているということで、四十五キロメートルにつきましては、現在鋭意事業を推進中ということでございます。

 福井県内につきましては、このうち永平寺大野道路二十六・四キロメートルということで事業を推進させていただいておりまして、これまでに越坂トンネルを含む永平寺町内の延長一・八キロメートルを供用したにすぎないところでございます。

 現在、残る区間の用地買収、改良、橋梁工事等について推進をさせていただいているところでございまして、一昨年、平成十六年七月の福井豪雨による被災を踏まえまして、災害に強い道路整備に対する緊急性が高まったという認識で、永平寺西インターチェンジから永平寺東インターチェンジ間一・六キロメートルにつきまして、平成十八年度の暫定二車線での供用を図る予定ということで考えさせていただいております。

 また、大野インターチェンジと油坂峠道路の起点を結ぶ大野油坂道路につきましては、平成十六年十二月におおむねのルート案を公表させていただきました。これをもとに、今後、より詳細なルート、構造や道路計画が環境に与える影響の分析や、その対応策を取りまとめていく所存でございます。

 いずれにしましても、つながらないと大きな効果は発揮できないということで、地元の皆様方の御理解と御協力をいただきながら早期に計画策定に努めてまいる所存でございます。

糸川分科員 道路は、本当に今おっしゃられたように、つながらなければ意味がないわけで、ぶつぶつとつくっていってもこれはなかなか利用しにくいということでございますので、ぜひ早期の完成をお願いしたいというふうに思います。

 また、そういう道路というのは、今地震対策なんかも、いろいろ耐震化なんということもやっていますので、ぜひ道路の耐震化にも取り組んでいただければなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 もう残り時間も少なくなっておりますので、ことしの冬の豪雪についてお尋ねしたいと思います。

 これから融雪期ということで、だんだん雪崩があちこちで多くなっているというふうに思います。道路の雪崩対策につきまして、先日私も大臣に御答弁いただいたわけでございますが、今の取り組み状況というのをお答えいただけますでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 ことしの冬は例年より早く雪が降り始めたということでございまして、その量も大変多いということで、記録的な降雪状況になっているということでございます。道路の雪崩災害が既に現在までに四十五件発生しているということでございまして、こうした雪崩対策をしっかり進めていくことが重要だと思っております。

 このため、雪害等に関する道路管理の徹底についてということで各道路管理者に対して通知し、専門家を活用した点検チームを編成するなどにより、重点的な点検及び雪庇処理作業等の対策を行わせていただいております。また、必要と認めるときは速やかに事前通行規制の措置をとるなど、適切に対応させていただいてきております。また、改めて、雪崩対策が心配だということで、近々通知をさせていただきたいと思っておる次第でございます。

 いずれにしましても、適切な道路管理とか、また雪崩の危険箇所に対する雪崩防止さくやスノーシェッドの整備などの対策を推進し、安全な道路交通の確保に最大限努めさせていただきたいと考えておるところでございます。

糸川分科員 それは、やはり安全な道路づくりというものをしていただければなと思います。

 除雪費用、今回大変かさんだということを聞いているわけでございますが、そこで、その除雪費を支援する判断基準と今後の国の支援の考えというのをお聞かせいただけますでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 国県道につきましては、いわゆる雪寒法に基づきましてしっかりとした補助制度がございます。

 市町村につきましては、交付税が基本だということでございますが、昨年もことしも既に緊急配分をさせていただいておりますが、その時々の降雪状況を踏まえまして、例えばことしの場合でいきますと、積雪量の累計が平年の一・五倍以上となる市町村のうち、除雪費の不足が著しい市町村や豪雪による被害が著しい市町村を対象として、去る二月の三日に二十二道府県の百九十七市町村に、事業費ベースで約五十五億円、国費ベースで約二十八億円を緊急措置させていただいたということでございます。

 これで十分、これで終わりということでなく、しっかりと再度調査をさせていただいておりまして、今月中といってもきょうで二月は終わりでございますが、そうした調査を踏まえまして、できるだけ早い時期にしっかりとした対応ができるようにということで、対応させていただきたいと思っております。今現在、関係省庁と鋭意調整をさせていただいておるところでございます。

糸川分科員 例えば、雪崩が起きそうなところを除雪するですとか、そういうことにもまだまだ費用がかかりそうでございますので、そういう安全対策についてもしっかりと取り組んでいただければなというふうに思います。

 最後に、大臣にお答えいただきたいんですが、ことしの冬の記録的な豪雪ということを踏まえまして、道路の雪害対策が今後ますます重要になってくるなというふうに思います。先日、私が予算委員会で一般質疑の際に大臣に融雪水の話なんかをしたかなと思うんですけれども、そういうことも踏まえて、今後の取り組みと、それから、今後の御見解というのでしょうか、大臣の御見解というものをお聞かせいただければと思います。

北側国務大臣 私、この冬に豪雪の地域に、幾つかの地域に行かせていただいたんですが、御地元の福井の方にも行かせていただいて、福井の勝山の方ですね、大変な豪雪の状況でございまして、三メーター五十ぐらいの降雪量がありまして、本当に雪の壁の間に道路がある、そういう中の現地を行かせていただきました。豪雪地域の方々が、毎日毎日屋根からの雪おろし、そして道路の除雪、本当に大変な御苦労だということを改めて痛感したところでございます。

 今、道路局長の方から答弁をさせていただきましたが、現在、降雪状況等につきましては再調査を行っておりまして、取りまとめをいたしまして、いずれにしましても、市町村道の除雪作業に支障を来すことがないよう予算措置はしっかりと関係省庁と調整を図りながらさせていただきたいと考えているところでございます。

 また、そもそも恒久的には、冬の間はできないんですが、降雪の時期を過ぎまして、その時期に、雪崩危険箇所の雪崩防止さくの設置だとか、それからスノーシェッド、道路に屋根を設けるスノーシェッドの整備など、こうした恒久的な対策もしっかりと推進をさせていただきたいと思います。

 また、道路における、特に市町村道における除排雪のことについても、やはりこれから高齢化が進んでいくわけですし、また過疎化が進む地域もございます。そういう中にあって、やはり円滑にそうした除排雪が少しでもできるようなインフラ整備等々についても、ソフト面、ハード面にわたりましてしっかり対策を検討してまいりたいと考えております。

糸川分科員 ありがとうございました。

 今はヒューザーの問題ですとかいろいろな問題がございまして、国民の皆さんが恐らく安全で安心な町というものをかなり求めていると思います。ですから、そういうことに関しまして、政府としても、ぜひ安全、安心なまちづくりに取り組んでいただければなというふうに思います。

 ありがとうございました。終わります。

上田主査 これにて糸川正晃君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日水曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十九分散会


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