衆議院

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第1号 平成21年2月19日(木曜日)

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本分科会は平成二十一年二月十七日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      大野 功統君    木村 隆秀君

      小島 敏男君    葉梨 康弘君

      川内 博史君    糸川 正晃君

二月十九日

 小島敏男君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年二月十九日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 小島 敏男君

      大野 功統君    木原  稔君

      木村 太郎君    木村 隆秀君

      永岡 桂子君    葉梨 康弘君

   兼務 近藤三津枝君 兼務 大口 善徳君

   兼務 古屋 範子君

    …………………………………

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大森 雅夫君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   高杉 重夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官) 小澤 敬市君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官) 関  克己君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長) 川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長) 松井 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  北村 隆志君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長) 本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  伊藤  茂君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  須野原 豊君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 森谷  賢君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  大野 功統君     木村 太郎君

  木村 隆秀君     井澤 京子君

同日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     木原  稔君

  木村 太郎君     永岡 桂子君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     木村 隆秀君

  永岡 桂子君     大野 功統君

同日

 第五分科員大口善徳君、古屋範子君及び第七分科員近藤三津枝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

小島主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。金子国土交通大臣。

金子国務大臣 国土交通省関係の平成二十一年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算につきましては、所要の国土交通省関係予算を計上し、その歳出予算額は六兆三千五百七十三億円です。

 また、社会資本整備事業特別会計、自動車安全特別会計及び特定国有財産整備特別会計に所要の予算を計上しております。

 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画については、当省関係の独立行政法人等分として二兆六千七百四十九億円を予定しております。

 現在、我が国の経済は非常に厳しい状況にあり、とりわけ地域の疲弊は深刻化し、雇用情勢も急速に悪化しつつあります。国土交通省におきましては、このような状況を踏まえ、限られた予算で最大限の効果の発現を図る観点から、地域の活力と成長力の強化、地球環境時代に対応した暮らしづくり、安全、安心で豊かな社会づくりなどの課題に対応するための事業、施策を重点的に推進してまいります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようお願い申し上げる次第であります。

 以上です。

小島主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま金子国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小島主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小島主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、私の地元横須賀市の追浜に現在展示をされております海堡の保存問題、また、三浦半島地域におけます広域幹線道路建設の促進につきまして質問してまいります。よろしくお願いいたします。

 私は、昨年の十二月になりますけれども、地元のまちづくりを進めている方々の要望で、現在、横須賀追浜展示場に保存されております東京湾第三海堡を視察してまいりました。

 海堡と申しますのは、海上に築城した砲台という意味でもございます。日本におきましては、明治から大正にかけまして、東京湾海堡、これは第一海堡、第二海堡、第三海堡というものがつくられました。そのうちの第三海堡が崩落をいたしまして、船舶の航行に危険を及ぼすということから、撤去をして、その一部がこの横須賀に保管をされております。

 この東京湾海堡建設工事は、日本の近代史における歴史的な大事業であったわけでございます。その結果、建設された東京湾海堡は、国際的技術交流、あるいは、伝統技術から近代技術へ、また、第三海堡の海洋港湾技術史上の大きな意義を有しているとされております。

 そして、地元の皆様からも、これを移転して、歴史遺産として市民が見学できるようにしたいとの要望をいただいております。地元から、いろいろな形で保存を求める声が高くなってきております。

 当時としては大変堅固なコンクリートで建造されておりまして、私たちも、コンクリートが古くなったといいますと、黒っぽく変色をしたり、海の中にあったものですので青くなったりなどを想像するんですが、比較的白っぽく、きれいな形で残っておりまして、まさに当時の土木技術の高さというものをうかがい知ることができます。

 この地元追浜での保存につきましては、海側に、貝山地下壕、夏島地下壕、予科練誕生地の碑その他戦争遺跡がありまして、これらを平和学習に生かしていきたい、また、夏島貝塚、明治憲法起草の地の碑等歴史的遺産もあり、これを地域資源として、市民ガイドツアーなど、まちづくりに生かしたい、また、第三海堡遺跡の維持管理につきましても、地元住民ができることは自分たちでやっていこうという意識も持っていらっしゃり、これを担うNPO法人も現在認可申請中ということでもございます。

 こうしたことから、この第三海堡遺跡の保存並びに追浜に存在する歴史遺産の活用、いわゆる野外博物館構想としてありのままに公開をしていってはどうかということで、新たに箱物を建設するということではないという要望でございます。地域の人々がその維持管理、活用に積極的にかかわることで、地域の活性化にもつながるものと考えます。

 以上のことから、追浜での保存について大きな意味があると考えておりますけれども、この第三海堡保存の意義について、御認識をお伺いいたします。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の第三海堡でございますけれども、これは明治二十五年から大正十年まで三十年かけてつくられたものでございまして、神奈川県横須賀の観音崎と千葉県富津岬の間にある浦賀水道の西側に、当時といたしましては世界最高レベルの海洋建設技術を駆使して建設されましたけれども、残念ながら、大正十二年の関東大震災で崩壊して暗礁化しました。このため、先ほどお話もありましたように、東京湾を出入りする船舶の海上交通上のボトルネックとなったところでございます。

 このため、国土交通省におきましては、安全な海上交通を確保するために、第三海堡の撤去などを行う東京湾口航路整備事業を実施してきまして、昨年度完了したところでございます。現在、この事業により海中から引き揚げました第三海堡の大型の構造物のうち、比較的健全な状態のものを暫定的に陸上保管しているところでございます。

 これらの構造物の建設は、大水深、強波浪に耐える最近の港湾建設技術の基礎となったものでありまして、長年の間、海中の波の力に耐えた鉄筋コンクリート大型構造物としまして、歴史的かつ学術的に価値のある貴重な遺構だと考えておりまして、その保存は非常に大事だというふうに思っているところでございます。

古屋(範)分科員 大変貴重なものであるというお答えでございました。

 追浜に四つの遺構がございまして、それぞれ百八十八から九百七トンの重量物であるということで陸上輸送ができないということで、設置場所の条件が大変厳しく、なかなか条件に合うものが見つからないというのが現状でございます。

 現在、恒久的な保存の候補地といたしまして、その近くにございます横須賀市のリサイクルセンター隣接地への移転が検討されております。そこには、グリーンバンク、木を一時的に植えているところもありますし、また、公園などもあの周辺にございます。しかし、このリサイクルセンターの隣接地、将来、ごみ焼却場建設の予定があるとのことで認められてはおりません。現在、この再考を求めておりますけれども、時間をかけて交渉が必要だという状況でもございます。私たち公明党の市会議員も今力を入れて進めているところでございます。

 また、昨年の夏、国交省東京湾口航路事務所から、平成二十二年以降は借地が困難になるとの通告を受けまして、この借地の費用がかなりかかっているということでもございます。本年度中の方針確定が求められ大変に困っていると保存連絡会議の方々から御相談を受けております。今後どういう方向でいくことがベストなのか、方針の確定にはいま少し時間が必要かと思います。

 そこで、国交省にも地元の皆様とともにこの遺構保存への知恵をぜひ絞っていただきたいというふうに考える次第でございますが、今後どういうお考えなのか、さらにお伺いいたします。

須野原政府参考人 撤去しました大型構造物につきましては、その一部を横須賀市のうみかぜ公園で保管しておるほか、工事作業用にお借りしております民有地に暫定的に今置いている状態でございます。

 先ほどお答え申し上げましたとおり、遺構の歴史的、学術的重要性は十分認識しておるところでございまして、このため、今御指摘がありましたように、地元の自治体でありますとか、保存を望んでおられます市民団体などとも協議をしながら、適切な保存先あるいは管理方法も含めて検討して、できるだけ早く結論を出していけたらというふうに思っているところでございます。

古屋(範)分科員 私たちも地元の皆様と知恵を出していきたいと思っておりますので、ぜひ前向きな推進をよろしくお願いいたしたいと思っております。

 次に、港湾における低炭素社会構築に向けた取り組みについてお伺いをしてまいります。

 東京湾口航路整備のおかげで大型船の通航も可能となりまして、東京湾内の港湾活動もますます活発化することと思われます。一方で、港湾では、停泊中の船舶や物流活動などから温室効果ガスの排出が行われているわけでございます。公明党は、マニフェスト二〇〇七におきまして、船舶版アイドリングストップへの支援、また、埠頭内オフロード車の電気自動車導入などによるCO2排出削減対策を進めるということを掲げております。いわば船舶版のアイドリングストップ、この発生源対策を進めるべきと考えます。

 低炭素社会の構築が急がれる中で、港湾ではどのような取り組みができるのか、これについてお伺いいたします。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 港湾は、物流の結節点であるとともに、産業空間等としての機能を有しておりまして、港湾におきましても、CO2の排出削減によりまして地球温暖化対策を効果的に実施していくということは非常に大事だと思っています。

 こうした中、今後の取り組みといたしましては、まず、物流の中心でありますコンテナ物流の総合的集中改革プログラムとしまして、物流の効率化によりましてCO2を削減していけたらと思っています。

 具体的には、内航のフィーダー輸送網の強化でありますとか、海上コンテナの鉄道輸送ルートの充実、さらには、インランドデポの活用によりまして内陸部のコンテナの新しい流通システムの確立等のモデル事業を実施していけたらと思っています。

 また、フェリー等を対象としまして、接岸中の船舶に対して陸上電力を供給して、運航している船舶において、CO2等の削減でありますとか、それに伴う技術的課題等について検討するための実証実験を進めていけたらというふうに思っております。

 さらに、経済産業省とも連携しまして、荷役機械の省エネルギー化を進めるために、コンテナ等を扱うトランスファークレーンのハイブリッド化でありますとか、あるいはフォークリフトの電動化に対して支援をしていけたらと思っています。さらに、太陽光発電などの再生可能エネルギーの港湾地帯での積極的な導入も進めていけたらと思っています。

 さらに、港湾におきます中長期的な地球温暖化対策としましては、地球温暖化に起因する気候変動に対する港湾政策のあり方ということを、現在、交通政策審議会におきます港湾分科会の防災・保全部会におきまして御審議をいただいています。

 今後、地球温暖化対策につきましては、これまでの施策とともに、この審議会の答申等を踏まえまして、積極的に取り組んでいけたらと思っているところでございます。

古屋(範)分科員 今のお答えの中でも、積極的に港湾におけるCO2排出削減を進められていると存じます。中でも、やはり、フェリーの岸壁における電力供給ですか、これは非常に画期的な実証実験かと思います。ぜひ成功させて、全国に普及をさせていただきたいというふうに願っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、道路問題に移ってまいります。

 三浦半島地域における広域幹線道路建設の促進についてお伺いをしてまいります。

 初めに、平成二年三月に佐原インターチェンジまで開始をされました横浜横須賀道路、これが本年三月二十日、やっと馬堀海岸、国道十六号までの区間が開通をいたしまして、昭和五十四年に日野から朝比奈間が開通して以来、約三十年の歳月を経まして全線開通することとなりました。関係者の皆様に深く感謝を申し上げたいと思っております。

 また、三浦市民にとりましては、長年待ち望まれておりました三浦縦貫道路の一期区間でございますけれども、平成十二年三月に、これも衣笠インターチェンジから横須賀の林五丁目というところまで開通になりまして、三浦市民や道路利用者の皆様からは次のような喜びの声が上がっております。私も非常にここはよく使っている道路でもございます。

 三浦市から横浜、首都圏方向が大変便利になったことで、ここは漁港がございます、三崎漁港や油壺などの観光地がとても身近になった、あるいは、通過交通が少なくなり、周辺の道路がスムーズに流れるようになった、また、走行速度が上がったため、排気ガスに含まれる汚染物質が大きく減少する、救急車の横須賀市民病院への搬送時間も約五分短縮など、交通の円滑化で沿線住民の生活が非常に快適、安心になったという声が寄せられております。

 この三浦縦貫道路につきましては、首都圏と三浦市を連絡する交流機能の強化が期待されておりまして、三浦市の経済、社会活動の活性化に大いに寄与する経路でもございます。また、三浦市は半島の先端に位置をしておりますので、大地震等災害のときの孤立化を避ける意味でも、防災対策の上でも非常に必要な道路でもございます。

 そこで、引き続いて本道路について、地域高規格道路の候補路線から計画路線への早期昇格とともに、三浦縦貫道路二期区間についても、地域高規格道路の計画路線、さらに調査区間、整備区間への早期指定を行うなど、早期整備に向け御尽力をいただきたいと思いますけれども、将来の見通しについてお伺いいたします。

金井政府参考人 お答えいたします。

 三浦縦貫道路、約五キロの区間、有料道路として開通をさせていただいておりまして、今委員御指摘のとおり、観光その他に大変有効に活用されているところでございます。残りの区間、約四・四キロございますが、そのうち約半分の区間、市道にタッチするまでの区間でございますが、神奈川県が平成十六年から事業を進めておりまして、現在、地方道路整備臨時交付金、単独事業、合わせて、ことしでいいますと約五億円の予算で鋭意事業を進めておるところでございます。

 この区間につきましては、平成二十七年度までに開通するということで県の方で事業を進められているというふうに承っておりますが、今後とも国として積極的に御支援申し上げたいというふうに考えております。

古屋(範)分科員 整備計画については今お答えのとおりでございます。ぜひとも国の側からの強力な推進をよろしくお願いいたしたいと思います。

 次になりますけれども、横須賀市内の道路整備についてお伺いをしてまいります。

 横須賀市は、三浦半島の中心的な役割を果たすとともに、地域の重要な部分を占めている米軍施設、米海軍がございます。また、防衛省施設もございます。こうした国家的な要請として、市民の理解と協力を得ながら、重要港湾を持つ産業都市として東京湾臨海部の首都圏機能に重要な役割を担ってまいりました。近年は、YRP、横須賀リサーチパークといいまして、ここに情報通信関連の研究機関の集積地をつくったりということで、ICTの分野で新たな活路を見出そうとしている都市でもございます。

 しかし、近年では、急速な人口減少、高齢化、市内企業の相次ぐ撤退など、地域の活力維持に非常に窮しているところでもございます。

 さらに、三浦半島には数多くの活断層帯が存在をしております。大規模地震発生の切迫性や災害時の道路交通網の脆弱さが指摘をされておりまして、市民の安全、安心な暮らしはもちろん、国家的要請であるこうした防衛省関係の機能をも阻害する要素も潜在しております。災害時等の安全性を確保することが最重要となっているところでもございます。

 こうした状況を踏まえまして、横須賀市では、官民一体となった企業誘致などの地域活性化策、災害対策などに積極的に取り組んでおります。しかし、半島という地形的制約、広域的、基幹的な一般道路が、急傾斜地のがけ沿いでトンネルも多く慢性的な交通渋滞が発生している国道十六号線のみという道路事情の悪さが、産業活動、地域間交流などの地域活性化、安心して暮らせる市民生活に大きな支障となっております。

 そこで、国道三百五十七号の都市計画決定区間、夏島区間までなんですが、この早期整備、また横須賀市中心部へのさらなる南下延伸の具体的な早急な取り組みをお願いしたいと考えております。この点、いかがでございましょうか。

金井政府参考人 国道三百五十七号線、二つの区間についてのお尋ねであると思います。

 まず最初に、金沢区の八景島から夏島まで約二・三キロの区間、都市計画決定済みであるという御指摘でございます。この区間、実は御承知のとおり干潟がございまして、ハゼの稚魚の生息地であるということでございます。私どもとしましても、環境保全とあわせて進めたいと思っておりますので、今、干潟への影響が少ない橋梁の構造をどうしたらいいか、いろいろ検討させていただいておりまして、それを踏まえまして建設への準備を進めたいというふうに考えております。

 それから、まだ都市計画決定がされていない横須賀市の夏島以南でございますが、御承知のとおり、米軍それから自衛隊の基地がございます。そういうことで、地域と連携をしまして、横須賀地区交通問題検討会、関係機関の皆さんに入っていただきまして、既に昨年の八月から検討会を二回開かせていただいておるところでございますが、こういったところの検討結果を総合的に踏まえて、私どもの方でも建設へ向けてまた検討を急ぎたいというふうに考えております。

古屋(範)分科員 三百五十七号、夏島までは、今そうした環境保全の面からも調査をしていらっしゃるということでもございます。また、その先の延伸につきましても、横須賀においては、国道十六号のみでは今交通渋滞に非常に悩まされているのが現状でございます。ぜひとも早急な道路整備をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 また、交通事故対策、道路のバリアフリー化、渋滞対策、環境対策など、市民の安全、安心と生活環境向上のために、大変老朽化をしております国道十六号線のトンネル拡張改良など、既存道路ネットワークの機能強化もしっかりと図っていかなければいけないと考えておりますけれども、これにつきましていかがお考えでしょうか。

金井政府参考人 国道十六号についてのお尋ねでございます。

 横須賀市内の国道十六号、御承知のとおり、十六カ所トンネルがございまして、一番古いものですと八十年以上経過したものもございます。それから、昔、海軍が掘ったと言われるトンネルもございまして、いずれも幅員狭小でございまして、高さ三・八メートル以上の車両が通行できないというようなことで、緊急輸送路としての機能にも非常に問題があるということでございまして、私どもの方でも従来から検討してございます。

 抜本的な対策が必要と考えておりますトンネルが、今のところ四つあるかなと思っております。新浦郷トンネル、新船越トンネル、新田浦トンネル、新吉浦トンネル、これについては平成十八年から事業に着手をいたしておりまして、できるだけ交通を通しながらトンネルを広げられるように、事業のやり方を今検討しているところでございまして、準備が整い次第事業に着手して、できるだけ御迷惑をおかけしないような形でトンネルを広げられるように進めたいというふうに考えております。

古屋(範)分科員 トンネルの改修は、既に四つのトンネルについては始められているということでもございます。本当に、幹線道路がないために、工事をしていただきたいんですが、工事をするとまた渋滞ができるというジレンマもございますけれども、ぜひこのトンネルの改良、改修をよろしくお願いいたします。

 次に、大きな道路の問題でございますけれども、房総地域と三浦半島地域を結ぶ東京湾口道路構想の具体化についてお伺いをしてまいります。

 房総半島と三浦半島地域を結ぶ東京湾口道路は、現在の東京湾岸道路、東京湾アクアラインなどとともに東京湾の環状道路網を形成して、東京湾をさらに有効活用する社会資本になるのではないかと考えております。

 産業、経済面において、既存集積を有する地域との機能連携、機能分担が図られるとともに、先端技術産業分野においても連携が生まれて、新たなプロジェクトを誘発するものとも思われます。また、生活面では、首都中心部への一極依存構造の是正が図られるとともに、新しいライフスタイルに応じて地域間相互の機能分担と連携、交流を行う分散型ネットワーク構造が構築され、首都圏各都市へのアクセス時間の短縮による観光の発展や、渋滞に伴う排気ガス、CO2の削減、緊急災害時にも幹線道路の代替路線として広域ネットワークならではの重要な役割を果たすのではないかと考えております。

 この東京湾口道路は、房総地域と三浦半島の活性化にとどまらず、東京湾域、さらに広く首都圏全域のさまざまな分野に波及効果を及ぼすのではないかと考えられます。

 そこで、多面的かつ多大な波及効果を持つ東京湾口道路構想の具体化についてお伺いいたします。

金井政府参考人 お答えいたします。

 海峡横断プロジェクトにつきましては、さきの国会での御指摘もございまして、個別プロジェクトごとの調査というよりは、一般的な、共通的に必要な技術研究を中心に今進めているところでございます。

 特に東京湾口道路でございますが、大規模なプロジェクトということで、国民のコンセンサスをいかに得るかということが重要でございまして、技術的には、特にいかにコストを安くできるかということが一番重要ではないかと思っておりまして、今その辺の検討を鋭意進めさせていただいております。

 例えば、オープングレーチングといいますが、風が吹き抜けられるような床版の構造でいわゆる風への安定性をよくするとか、損傷制御設計と言っておりますが、物すごい強風が来たら少し揺れてもしようがないけれども、基本的には構造は損傷しないということで、少し補修すれば使えるというようなことで、従来よりも大幅な、格段コストを縮減することが一番必要かなと思っております。

 そういう観点で、今調査を進めさせていただいておるところでございます。

古屋(範)分科員 これまで、地元道路整備についてるる述べてまいりました。国道三百五十七号線による新たな道路ネットワークの形成、既存道路ネットワークの機能強化など、真に必要な道路整備については、やはり国が策定する中期計画にしっかり反映させていただきたいと思っております。そして、道路特定財源の趣旨に反することなく、道路整備費の財源をしっかりと確保していただきたいことをお願いいたします。

 最後に、必要な道路整備の着実な推進について、大臣の御決意を伺いたいと思います。

金子国務大臣 三浦三崎は、たしかマグロの日本有数の水揚げ港だったと思います。三崎で揚がってくるマグロ、食品加工、食品会社がいっぱいある。これを整備して、そしてまちづくりをやろう、あるいは、それとあわせて三崎を整備して、東京の子供たちに来てもらって触れ合いをしてもらえるようにしようといったような様々な取り組みが行われている地域だと思っております。

 それだけに、今、トンネルをつくるとまた渋滞が起こるんだよねというお話もありましたけれども、難しい地域ではあるんだと思いますが、道路財源、一般化するとはいえ、こういう地域にとって必要な道路、小さいものあるいは幹線のものも含めて必要な道路はきちんと対応できるように、全力を挙げてやってまいりたいと思っております。

古屋(範)分科員 大臣、ありがとうございました。

 半島という特殊性もございます。幹線道路が突き抜けているような地域と違い、ちょっと走ればすぐ海という半島でもございます。また、ペリーが来航した浦賀がございますように、直下型の天然の良港があるということは、そのまま、非常に急な土地柄でもあり、山坂が非常に多いという特殊性もございます。ぜひ必要な道路の整備をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小島主査 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、葉梨主査代理着席〕

葉梨主査代理 次に、木村太郎君。

木村(太)分科員 金子大臣を初め皆さん、毎日御苦労さまでございます。質問の機会をいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 早速ですが、私、去る十三日でありましたが、当予算委員会の地方公聴会が大分と私の地元青森県で行われまして、私も参加をさせていただきました。その際、御協力をいただきました意見陳述者四名の方がいらっしゃいまして、この方々に私もいろいろと御意見をいただいたわけであります。

 そのうちお二人の方が、無駄の見直しというのは大事でありますが、地方はまだまだ社会資本の整備、公共事業は重要であるということを御意見として堂々とお述べになっておられました。そのうちのお一人は県を代表して副知事さん、もう一人が連合青森の事務局長さんでありました。その事務局長さんは、建設業も大事な産業であり、また雇用の場である、よって、この予算を早く成立を図っていただきたいということを公聴会の場でおっしゃっておられまして、まさしく、政局ではなく、今日の世界的なこの経済の状況、日本の状況を踏まえての正論を堂々と述べておられました。

 私は、大変ありがたい御意見であったなという印象を持ったわけでありますが、私のこの話を聞いて、大臣、どう御認識されますか。

金子国務大臣 地方で連合の事務局長からそういう御発言を公聴会でいただいたというのは、国会としてもきちんと、与野党挙げて受けとめる必要がある御発言だと思っております。

 特に、地方へ行きますと、雇用の場として大事な役割も担っておりますし、同時に、やはり今、仕事が端境期に来ている、少なくなってきているという状況であります。

 私たちは、予算が通りまして、なるべく早く発注をさせていただきたい。通常、発注手続に予算が通りましてから七週間ぐらいかかるんですけれども、手続等々、なるべく書類も少なくして簡略化して、三週間ぐらいで、できるだけ年度内に発注をさせていただくというようなことで、やはり雇用を確保していただくということも、地方の、今の連合の方の声におこたえするためにもやっていきたい。そのためにも一刻も早く予算を成立したい、させていただきたいと思っております。

木村(太)分科員 大臣の御答弁、私も全く同感であります。やはりお金を、予算というものを、もちろん目的のために使うに当たっても、最大限効果の上がる執行というものも大事でありますので、ぜひ大臣、これからも自信を持ってリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それでは、地元のことを取り上げてまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、新幹線の建設のことであります。

 最近、地元負担の増額要請というニュースがクローズアップされておりますが、私の地元、新青森開業が目の前に迫ってまいりましたし、工事も順調に、目に見えて進んでおります。

 そこで、東北新幹線八戸―新青森間、また北海道新幹線新青森―函館間についてはこういったことがどうなっているのか、お聞かせください。

北村政府参考人 お尋ねの東北新幹線につきましては、平成二十二年の十二月を今目標として工事が順調に進められておりまして、現在のところ、進捗率はもう八七%となっております。

 また、もう一つの函館までの北海道新幹線でございますけれども、平成二十七年度末完成を目指して工事が始められております。現時点では進捗率は八%ということで、いずれにしましても、その目標年度に向かって確実に工事を進めていきたいというところでございます。

 以上でございます。

木村(太)分科員 それで、この二つの区間でありますが、地元負担の増額ということがあり得るのかどうか、お聞かせください。

北村政府参考人 お答えいたします。

 北海道新幹線につきましては、建設物価の上昇や青函トンネルに係ります補強工事などがございまして、当初予定よりも九百億円の増額が見込まれております。

 また、平成二十二年十二月に完成する予定の東北新幹線につきましては、建設物価の上昇はもちろんあるんですけれども、こちらは、先ほど申しましたように、工事が非常に順調に進捗しておりまして、さらにコスト縮減が図られたこともありまして、増額はございません。そういう見通しでございます。

木村(太)分科員 そうしますと、北海道新幹線の方は九百億ということでありますが、これは地元自治体に要請しているんですか。

北村政府参考人 地元自治体には、二十一年度予算の事業費の予定が予算額としてめどがつきましたので、それに伴います地方負担額を今お願いしております。

 ただ、先ほど申しました増額は、これからの計画を、二十二年、北海道の場合ですと二十七年度が目標でございますから、そうしますと、今現在の計画額の範囲内で行いますのは、二十一年度工事まではそれでございますので、直接二十一年度予算としては増額はございませんが、これから、先ほど申しました九百億円の増額というのはいずれ出てまいりますので、地元によく御説明して、御理解をいただいて対応させていただきたいと思っております。

木村(太)分科員 では、要請はしているということでありますが、額まで言っているんですか。

北村政府参考人 建設費の増額につきましては、今までの額は、十五年の四月の単価に基づいて行われました額は、新しい建設費の上昇等によって見込みますとこれぐらいの額になりますという説明はさせていただいています。

 今要請をしておりますのは、額の説明は額の説明でしておりますが、今具体的に要請をしていますのは、二十一年度の予算に伴います地方負担額をお願いしておりまして、北海道につきましては、ここは十五年の四月の額の範囲内で地方の負担をお願いしています。また、東北の方は増額はございませんので、これまでどおり、同じ考え方に基づきまして、必要な額のお願いをしております。

 以上でございます。

木村(太)分科員 私、ちょっと理解できないんですが、何を言っているのか。

 全体で九百億、今現時点でプラスになるということなんでしょう。何年度からどうこうではなくて、全体の事業費の中で九百億プラスになるということですから、それを単年度に直すとどうなるか、それはわかりませんが、それに対して、北海道はこのぐらいお願いしますよとか、また、北海道新幹線部分でも青森県にも幾らとお願いしているのかということを聞いているんですが。

葉梨主査代理 北村鉄道局長、整理して。

北村政府参考人 申しわけございません、わかりにくい説明で。

 まず、順番に申します。

 東北新幹線は、先ほど申しました、結果的には増額はしておりません。したがいまして、先生の今御指摘の北海道新幹線の方でございますが、函館までの総工事費は、従来、四千七百億と見込まれておりました。これにつきまして、今回、この四千七百億というのは平成十五年の四月の建設物価等に基づきましてはじかれた額でございます。それが、その後五年間、建設物価が上昇しましたり、さらに工事をしますとこれからの上昇の見込み等がございまして、二十年の四月の時点でもう一度見直しますと、その価格が五千六百億円と上昇する見込みだというふうに我々は考えております。したがいまして、その五千六百億と四千七百億の差で九百億、見込みとしては上昇いたします。

 それで、今この上昇額は、実は、新幹線の計画額が幾らかというのを地元と協議し、同意を得て初めて計画額の改定というのを行います。したがって、それは、計画額がオーバーするようなときには当然計画額を改定しなきゃいけないわけですが、今新幹線の北海道の場合は、まだ進捗率が先ほど申しました八%でございますので、まだ十五年の四月の計画額のぐっと枠内でございます。

 そういう意味で、その枠内は従来から御了解いただいている範囲内でございますので、我々としては、二十一年度予算に伴う地方負担はお願いをしたい、こう今言っていまして、増額の話は、これから計画額を改定しますときにまたきちんと協議をさせていただいて、御理解をいただくようにしたいと思っているということでございます。済みません。

木村(太)分科員 ということは、額まではまだ算定というか、自治体には明示していない、こういうことですね。しかし、これからはあると。また、北海道新幹線であっても青森県側にも負担を求めるということになるわけですか、そのことを確認させてください。

 それからもう一つ、一般的に地元負担三分の一というルールがありますので、基本的にはそういう考え方で明示されていくというふうに考えていいんですか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 北海道新幹線も、言うまでもございませんが、新青森から新函館でございますので、青森県内のエリアがございますから、青森県にもそのエリアの部分については応分の負担をお願いするということになりますし、御負担をお願いします割合は二対一ですから、全体の三分の一ということになります。

木村(太)分科員 そうしますと、九百億のうち三分の一を北海道と青森県が負担していくことが予想される。ということは、三百億。三百億のうち、距離ではかるのかわかりませんが、いわゆる地図的に青森県側と北海道に分けて負担額を示していく、こういう考え方でよろしいですか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 基本的には先生おっしゃったとおりでございます。

木村(太)分科員 年度年度というお話もありましたが、その基本的な考え方で負担をお願いしていくとすれば、いつごろそれを自治体の方に明示していく、要請していこうとしているんですか。

北村政府参考人 計画額の改定につきましては、今年中に各自治体といろいろ御相談をさせていただいて、今年中にできるだけ早く改定はしたいと思っております。

木村(太)分科員 一方で、東北新幹線のことを考えますと、並行在来線の問題や、あるいは北海道からの貨物列車が青函トンネルを通って首都圏に走ってくる、こういったことを考えますと、私の地元青森県などは、いろいろな意味でもう地元負担が限界に来ている、これ以上はだめだみたいな、むしろもっと圧縮できないかという議論をさせてもらっているわけです。やはり、そういったこともきちっと踏まえながらの慎重な対応というのが必要ではないかなというふうに思いますが、どうですか。

北村政府参考人 新幹線の地方負担につきましては、今現時点でルールが決まっておりますし、かつ、整備しましたときと、今先生がおっしゃいました並行在来線等の最後の、できてから、維持の問題もございます。

 これにつきましては、新幹線につきましては、最後は政府・与党のワーキンググループなり会議できちっと決めることとなっておりまして、昨年の政府・与党ワーキンググループの合意事項におきましても、地方負担のあり方だとかそういう項目についてきちっと議論をすることになっておりますので、ことし、きっちり時間をとって、また地元の御意見もよく聞きながら、納得のできる議論をこれから重ねていきたい、こう思っておるところでございます。

木村(太)分科員 ぜひ納得のいく議論をお願いしたいと思います。

 では、道路の問題に入っていきたいと思います。

 私の地元に津軽自動車道というのがありまして、浪岡のインターチェンジというところから五所川原東インターまで供用されております。平成十九年、終点であります鰺ケ沢町川尻地区に事業費がつきました。私は、終点に事業費がついたということは、もちろん必ず完成しなきゃいけないというふうに考えるわけでありますが、この津軽自動車道の今後の建設促進、タイムスケジュールを教えていただきたいと思います。

金井政府参考人 津軽自動車道は、先生御指摘のとおり、十五・七キロが開通しておりまして、あと平成十六年度に五所川原西バイパスの区間、それから平成十九年度には鰺ケ沢道路の区間を事業化いたしまして、現在、事業を進めておるところでございます。

 残るつがる市内の区間でございますが、一部、規格がいいバイパスのところもございますので、当面、そこはまだ現道として活用させていただくということも含めて、ともかく全体を一定の規格で早くつなぐということが一番重要であると思っておりますので、早く全線をつなぐという観点から、積極的に事業の推進に努めたいというふうに考えておるところでございます。

木村(太)分科員 もう少し具体的にお示しできないものですか。

 例えば、私が言いましたように、終点の川尻地区に事業費がついたという意義はどうなのかとか、よって平成何年を目標にとか、もうちょっと具体的に答えられませんか。

金井政府参考人 御指摘のとおり、終点の鰺ケ沢道路を事業化いたしました。これは、その手前のつがる市の区間に比べますとやはり現道が悪くて、早く整備する必要があるだろうという観点で、真ん中の区間を飛ばして事業化させていただいたということは、先ほど申し上げましたとおり、早くともかく走れるような道路をきちっとネットワークとして完成させたいという意味で、現道が悪いところから先に事業化をさせていただいたというふうに御理解いただければと思います。

 したがいまして、さっきも申し上げましたとおり、鰺ケ沢道路については、まだ二億円で設計をしておる段階でございますが、一定のネットワークを早く形成できるように最大限努力していきたいというふうに考えております。

木村(太)分科員 その津軽自動車道と、それから、日沿道が能代から小坂ジャンクションに向かって今工事が進んでいるんですが、私みたいな素人的に地図を広げて考えますと、能代まで整備してきて、津軽自動車道が鰺ケ沢まで行きますと、そこをまっすぐつなげることが一番道路としての機能が高まるのではないかなと思うわけであります。

 これまでも地元もお願いしてまいりましたが、青森県の日本海側というのは、道路が一本しかない、生命線になっておりまして、行政の皆さんの考え方としては、候補路線ということで、点線なのか何なのかわかりませんが、この候補路線なるものを、日沿道をずっと北上して津軽自動車道のゴールと結びつける、この考え方、具体的に検討されているんでしょうか。

金井政府参考人 先生御指摘のとおり、能代から日本海沿岸東北自動車道、東の方へ参りますので、いわゆる五所川原から能代の間をさっと見ましたときに、約九十キロの区間が高規格のネットワークとして欠落しておるということでございます。この区間につきましては、今も御指摘ございましたとおり、約九十キロの西津軽能代沿岸道路ということで、地域高規格道路、高速道路ほどの規格はないけれども、六十キロとか八十キロとか一定のスピードで走れるというネットワークでつなごうということで、今計画を進めさせていただいておるところでございます。

 大変進捗が遅くて御迷惑をおかけいたしておりますが、今まで、鰺ケ沢バイパスであるとか田野沢バイパス、追良瀬バイパス、その他バイパスが開通しております。それから、追良瀬の二期とか須田バイパス、その他事業を実施しておりますので、今やっている道路につきましては、こういった地域高規格道路となるべく整合がとれるような形で事業を実施させていただいて、将来使えるようにしようと。

 抜けている区間については、できるだけ早く計画を確定いたしまして、これは県の事業になると思いますが、私どもの方で御支援をさせていただいて、さっきも申し上げたとおり、抜けているところをできるだけ早くつなぐということが一番大事だと思いますので、そういう視点で、できるだけ早くできるよう努力をしてまいりたいというふうに考えております。

木村(太)分科員 ぜひお願いしたいと思います。

 もう一つ、道路のことをお聞きしますが、国道七号線の弘前市街から弘前大鰐インターチェンジまで、石川門外バイパスという四車線化の工事が進んでおりますが、全通四車線化利用できるまで、今後の見通しをお聞かせください。

金井政府参考人 御指摘の四車化の工事でございます。

 委員御指摘のとおり、青森から弘前市門外のところまで四車線で整備が進んでおりまして、その先、東北縦貫自動車道の大鰐弘前インターからいわゆる弘前市の門外まで、約五・九キロの区間につきましてまだ二車線で残っておりまして、早急に、インター関連ということできちっと整備をする必要がありますので、今、四車化の工事をやらせていただいております。

 弘前市の門外から堀越までの一・三キロについては、平成二十二年度開通をするということで、今改良工事を進めております。残りの区間についても、今、下部工工事等着手しておりますので、引き続き、開通できるように努めていきたいというふうに考えております。

木村(太)分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 では次に、河川局の方にお聞きしますが、先日も、局長さんのところへ、私の地元、世界遺産のある、白神山地のある西目屋村というところの村長さんと村議会全員が陳情でお伺いしましたが、津軽ダムの建設ということで、いよいよ昨年秋に本体工事着工ということになったわけであります。記念式典がありまして、私もその場に同席させていただきました。

 平成二十八年完成目標を明示している津軽ダムということでありますが、今後の建設促進の決意というものを語っていただきたい。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 津軽ダムは、岩木川の洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水の補給、水道用水の供給、工業用水の供給、発電を目的といたしまして、西目屋村に建設中の特定多目的ダムでございます。

 このダムは、地域の方々の大いなる御理解と御協力を得まして、昨年の十月に本体工事に着手いたしまして、現在、本体の掘削工事を施工中でございます。完成予定年度は平成二十八年度としておりますけれども、今後とも、コスト縮減を図りながら、一日でも早くダムを完成させて、早期に効果を発現させるよう努力してまいります。

木村(太)分科員 一日でも早くということでありますから、二十八年よりも早く完成することを目標に頑張るということでよろしいですか。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申しましたように、地域の方々が非常に熱望されているダムでございますので、おっしゃるとおり、二十八年度、一日でも早く完成できるよう努力してまいりたいと考えております。

木村(太)分科員 秋の本体工事着工の一つの式典に私もいたんですが、つい一昔前までは、公共工事、社会悪、その代表がダムというような雰囲気が、国会の中でもまた報道の中でもあったわけでありますが、津軽ダムの場合はそういうことはないと私も思います。その式典のときも、私が祝辞をさせてもらった後にごあいさつに立った他党の方は、国会では私たち反対ですが、津軽ダムは大事です、こういうようなあいさつをしているんですね。

 だから、局長、自信を持って、ぜひ一日でも早く完成していただくよう、現場の皆さんとも協力し合っていただきたい、こう期待したいと思います。

 では、河川局にもう一つお伺いします。

 私の地元の津軽平野には、岩木川、平川、浅瀬石川という一級河川が流れておりまして、また合流するわけであります。この合流地点のところが特に頻繁に洪水が発生するという歴史を繰り返してまいりました。

 昨年の夏なんですが、青森工事事務所の皆さんの御協力をいただきまして、付近の住民の方々、また農家の方々、リンゴ園地が広がっているものですから、おいでいただいて、直接、今の河川改修の状況の説明会というものを開いていただきまして、皆さんに大変評価していただきました。

 今後、この岩木川の安心、安全確保のために、その取り組みの方向性をお示しください。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 岩木川では、岩木川本川、浅瀬石川、平川が合流します中流部の藤崎町、弘前市、板柳町等で相次いで浸水被害が発生しております。このため、洪水時の水位を抜本的に低下させる先ほどの津軽ダムの建設に加えて、中流部の安全度向上のための施策に重点的に取り組んでおりまして、無堤部の解消のための築堤、堤防の拡幅による堤防強化、洪水時の水位を下げるための河道掘削等を実施しております。

 予定でございますが、ことしの三月までに藤崎町の白子地区の築堤を完成させる、さらに出水期までに、弘前市三世寺地区の青女子地区で一連の無堤部を解消するという予定にしておりまして、まだ残っているところもございますので、さらに引き続き、安全、安心確保に努めてまいる予定でございます。

木村(太)分科員 よろしくお願いします。

 最後に、桜島や浅間山の噴火ということがニュースになっておりまして、私の地元には、活火山というふうに定義づけられている岩木山という山があります。活火山とは、過去一万年以内に噴火の記録のある山を活火山と定義づけているということを教えていただきましたが、私の地元の岩木山は現在どういう状況と分析し、また、調査、監視体制は万全であるのか、噴火する可能性は今ほとんどないととらえていいのかどうか、教えていただきたい。

平木政府参考人 お答え申し上げます。

 岩木山につきましては、過去数度の噴火の記録がございます。最も新しいものでは江戸時代、これは一八六三年でございますが、その噴火でございまして、それ以降、噴火の発生はございません。

 気象庁では、弘前大学など、関係機関の御協力を得まして、二十四時間体制で岩木山の火山状態を監視しております。現在、データに異常はなく、静穏な状態でございます。先ほど先生がお話しされましたように、一万年以内に噴火した火山につきましては、今後噴火しないとは限らないので、二十四時間体制で監視してまいりたいと考えております。

木村(太)分科員 終わります。ありがとうございました。

葉梨主査代理 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口でございます。

 静岡県のことを中心にお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、静岡市の巴川流域では、昭和四十九年の七夕豪雨を契機として総合治水対策を推進しているわけでありますが、その結果、被害は劇的に軽減されてきたわけであります。ただ、平成十五年、十六年の集中豪雨では大きな浸水被害が生じました。平成十七年の六月に、当時でありますが北側国土交通大臣においでいただきまして、巴川の遊水地である麻機遊水地を視察し、巴川総合治水計画の説明を受けたわけであります。

 今回、巴川が特定都市河川浸水被害対策法の適用を受けることになり、県管理の巴川の整備と静岡市管理の下水道の整備が連携して浸水被害対策に取り組むことにより大きく事業が推進され、流域住民が一日も早く安心して安全に暮らせる生活環境整備が整うことを期待しているわけでございます。

 そこで、今後の巴川流域の浸水被害対策について、麻機遊水地第二工区の整備の見通し、さらに、静岡市の貯留浸透施設設置への国の支援が必要であると思いますが、金子大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 巴川の浸水対策につきまして、この流域の件については、冬柴大臣にお話を伺いまして、状況も経緯もお話を伺いました。河川と下水道が一体となって浸水対策を進めておるところであります。現在、特定都市河川浸水被害対策法の適用に向けて手続を実施しているところであります。

 麻機遊水地第二工区は、早期完成を目指して、静岡県が平成二十年度から用地買収に着手しております。また、静岡市の雨水貯留浸透施設についても、従来から補助事業で支援をしておりますが、国としても引き続き強力に支援をしてまいります。

大口分科員 力強い御答弁をありがとうございます。

 これもまた、十五年、十六年と集中豪雨があって、とにかく雨が降ると床上ということで畳が浮いて眠れない、本当に恐怖を味わった、こういうこともありまして、実は十八年、十九年と、分科会でこの浸水対策についての質問をさせていただきました。静岡市が浸水対策プランというものを策定しておりまして、これについてのお考えを十八年、十九年の分科会でもお伺いしたところでございます。

 このたび、下川原排水区の雨水処理について、国道百五十号の地下に一万トンの貯留施設を設置する計画案、これを市が今策定に向けていろいろ準備をしているところであるわけです。貯留施設が稼働すれば、一時間当たり七十二ミリメートルの雨が降っても床上浸水被害についてはなくなる見込みである、そういうことで、非常に効果的なものになる、こう考えておるわけです。

 現在、静岡市と中部地方整備局で詰めているようでありますけれども、地域住民の不安を一日も早く解消するために、本省に上がってきましたら速やかに、積極的な対応をお願いしたい、こう思いますけれども、よろしくお願いします。

松井政府参考人 お答えいたします。

 先生御案内のとおり、静岡市では十五、十六年、大水害をこうむりまして、市では浸水対策推進プランを策定して、我々も支援を申し上げているところでございます。

 御指摘のありました下川原地区につきましては、私どもが平成十八年度に創設いたしました下水道総合浸水対策緊急事業というものがございまして、これは、貯留事業であるとかそういうハード整備と、住民の方に危機情報を伝えるようなソフト整備、それらをあわせて行うような事業を起こしてございます。下川原地区のこれまでの浸水状況を勘案しますと、その事業の採択は十分可能である、該当するものと我々は考えてございます。

 静岡市の方から当該地区の事業計画が提出されてまいりましたら、その計画内容を十分お聞きしまして、総合的な都市浸水対策が早急に進みますように、我々も支援してまいりたいと考えているところでございます。計画の協議等につきましては、先生の御指摘を踏まえて、迅速に対応するよう心がけてまいりたいと思います。

大口分科員 これは年度内ということを目指してやっているわけですので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、狩野川というのが天城山系を源流に、来光川、大場川等を合わせて駿河湾に注ぐ幹川流路延長四十六キロメートル、流域面積が八百五十二平方キロメートルの一級河川であります。

 この川では古くから洪水被害が発生しておりまして、特に、昭和三十三年の狩野川台風では、死者・行方不明者八百五十三名、家屋の全壊、流失、半壊が八千二百十九戸という未曾有の大災害をもたらしました。

 また、近年で最も内水はんらんによる被害が大きかったのは平成十九年九月の台風九号で、床上浸水二百九十一戸、床下浸水四百十二戸、浸水面積五百五十ヘクタールの被害が発生しました。

 そのほか、平成十年八月、平成十年九月、平成十四年十月、平成十六年十月、平成十七年八月も広い範囲で内水被害が発生しておりまして、地元の県会議員と連携しながら、私も現場に何回も行かせていただいております。

 国交省を初め、県、市、町でも排水機場の増設、支川の河川改修等を行い、内水を排除するよう対策を行っているわけでありますが、下流部及び中流部田方平野のほとんどの区間で洪水時に内水排除ができず、内水はんらんが頻発している、こういう現状でございます。

 狩野川を視察すると、河川区域に農地や畑が多くあり、雑木も生い茂っています。河床も土砂が堆積し、河道断面も狭められ、流下能力も低下しているのではないか、こう思えるわけであります。

 一方、田方平野の浸水被害の状況を調査すると、支川の雨水が狩野川本川に排出できないため内水はんらんを起こしている、こういうことで、地元からも、狩野川改修促進期成同盟会が毎年のように国へ要望活動を行っており、この要望書にもあるように、排水ポンプの増設また能力アップ、狩野川のさらなる土砂のしゅんせつについて、お伺いをしたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 狩野川につきまして、昭和三十三年の狩野川台風で大被害を受けたわけでございます。その後、狩野川放水路を初めとする工事を実施しまして、狩野川からのはんらんはかなり防止されてきたわけでございますが、先生おっしゃるように、近年の地球温暖化等の影響もございまして、連年のように内水被害が頻発しているところでございます。

 現在、国では、平成十四年並びに平成十六年の災害を契機といたしまして、床上浸水対策特別緊急事業をもちまして、四日町排水機場の増設を平成二十年度に完成させる、さらに、小坂排水機場の増設を平成二十一年度に完成させる予定でございます。

 しかしながら、先生がおっしゃったように、平成十九年も大きな内水被害が発生しております。また地元からも早期内水被害解消の要望がございます。

 このため、平成十八年度から、国、県、市によります内水対策勉強会を設置いたしまして、総合的な内水対策について検討を進めているところであります。実施内容と役割分担を明確にした上で、国としても、排水機場の増設や、さらなる流下能力確保のための樹木伐採並びに河床掘削を実施してまいりたいと考えております。

大口分科員 次に、伊豆縦貫自動車道についてお伺いしたいと思います。

 これは、静岡県の沼津市から下田市に至る延長約六十キロメートルの高規格幹線道路であります。伊豆半島は、年間四千四百万人が来訪する日本でも屈指の観光地であります。休日には観光交通が集中し、交通量が急増する傾向にあります。また、半島内での渋滞ポイントが二十五カ所と多い上、自動車への依存度が五八%と高く、幹線道路に交通が集中する状況で、日常生活、救急医療等に影響を及ぼしております。

 そこで、半島を南北に縦断する自動車専用道路として伊豆縦貫自動車道が計画され、伊豆への高速サービスを提供し、地域の道路網を強化するとともに、観光資源に恵まれた伊豆地域の発展に大きな役割を果たすものと期待されているわけであります。

 近年は、毎年のように豪雨により山腹崩壊や地すべり等の災害が発生し、そのたびに交通網が麻痺し、市民生活は大きなダメージを受けています。大規模災害時等の緊急輸送や救急医療施設への患者の搬送など、災害にも強い、伊豆半島の基軸となる道路整備は長年の悲願でございます。

 現在事業が進められている区間は、伊豆市修善寺から伊豆市の矢熊間の延長約六・七キロメートルの天城北道路であります。この中伊豆地域も観光で栄えてきましたが、西伊豆地域、南伊豆地域、東伊豆地域へ向かう交通の分岐点として通過交通や域内交通が集中するため、交通渋滞が慢性化し、地域生活や地域経済に大きな影響を与えております。平成二十年四月十一日に修善寺インターチェンジ―大平インターチェンジ間の延長一・六キロメートルが完成し、供用を開始されたわけであります。

 天城北道路が開通すると、交通の分散が図られ、交通渋滞の緩和が期待されます。渋滞ポイントである出口交差点の最大渋滞長、これは現況の下田方面で一千五百メートルあるわけでありますが、整備後には七十メートルになる、渋滞がほぼ解消される、こういうことが予測されているわけでございます。また整備後は、第三次救急医療施設である順天堂大学医学部附属静岡病院へのアクセスの時間短縮が図られます。

 残り、大平インターチェンジから天城湯ケ島インターチェンジ間、延長五・一キロメートルの一日も早い整備促進が必要でありますが、その必要性についての認識を道路局長にお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 伊豆縦貫道路についてのお尋ねでございます。

 伊豆縦貫道路全般、用地取得のおくれその他から大分開通がおくれまして、大変御迷惑をおかけしております。

 今、天城北道路についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、修善寺インターから大平インターまで、去年の四月十一日に開通をいたしました。残る大平インターから天城湯ケ島インターまでの区間、約五・一キロの区間でございますが、今約九割ほど用地買収が済んでおりますが、まだ二十件ほど用地の難航している箇所がございます。ぜひ地元ともまた調整をとりまして、一刻も早く用地買収の難航箇所をクリアいたしまして、工事着手、完成へ向けて速やかに努力をしてまいりたいというふうに考えております。

大口分科員 昨年ですか、観光庁ができまして、本当に観光立国ということを進めているわけですし、静岡空港も開港が近くなってまいりました。そういう点では、この地域はこれからさらに観光として発展いたしますし、またそれだけでなく、生活道路や緊急道路として、あるいは医療に向けての道路ということで、非常に地域からも待望されております。いろいろ地権者の関係で困難な問題があるわけでありますけれども、そこをぜひともまた局長にも力を注いでいただきまして、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、静清バイパスでございます。

 これは、静岡市清水区興津東町から静岡市の駿河区丸子二軒屋に至る延長二十四・二キロメートルの主要幹線道路であります。静岡市における通勤、通学、買い物などの日常生活の利便性の向上、そして交通混雑の緩和、交通安全の確保を図るとともに、静岡市を核として放射線状に延びる幹線道路と接続し、静清都市圏の経済発展と都市整備に欠かすことのできない重要な路線でございます。

 平面構造区間の静岡市葵区昭府二丁目から葵区平和二丁目間の慢性的な渋滞を解消するため、昭府立体事業がようやく平成二十年三月二十四日、皆さんの御尽力で完成し、この区間での慢性的な渋滞は緩和されたわけでありますが、清水地区、瀬名地区、牧ケ谷地区では慢性的な渋滞が発生しております。

 現在の重点箇所は、唐瀬インターチェンジから羽鳥インターチェンジまでの四車線化を平成二十三年度内に完成させることである、これが一番重要である、このように見ておるわけでございます。

 静岡市は、直轄負担金を五十億円用意します。今、直轄負担金は用意しないというところもあるわけでありますけれども、静岡市はしっかりこれを用意させていただきまして、これに見合った整備を国に要望していきたい、こう思っております。

 金子交通大臣の御見解を、またその決意をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 この道路は本当に、静岡の駅前から清水に向かう重要な産業道路でもある、生活道路でもある、大変な渋滞をされているということでお話も伺いました。また、静岡市長も、静岡市も直轄負担金も用意するぞと、大変厳しい財政事情の中でこの道路にかける大変な御熱意を意思表明されたんだと思っておりまして、私も、国土交通省道路局にその意向を、ちゃんと意思を体してやるように指示をさせていただきます。

 平成十八年度から四車線化工事を実施しており、今トンネル、橋梁工事などを実施している最中、平成二十三年度までに当該区間を供用させるべく、静岡市を初めとする地元の御協力、御支援をいただきながら、事業を今全力で実施しているという状況であります。その御期待にこたえるようにさせていただきたいと思います。

大口分科員 大臣から大変前向きの、また決意のこもった御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、国土審議会の計画部会第四回国土基盤専門委員会の資料に二〇〇三年実績の道路交通死者数の国際比較がありますので、これを見ますと、我が国は歩行者と自転車の交通事故死が非常に多いということでございます。

 その原因は、これは歩道と車道の分離ができていない道路が多く、路側帯も狭く側溝もあり、自転車にとって通りにくいという道路が多い。その反面ではありますが、多くの自転車が歩道の中を走り、歩行者が危ない目にも遭っています。特に朝の時間帯、高校生が大変なスピードで走るというようなこともあって、身の危険を感ずることがしばしばあるわけでございます。自転車は、道路の左右関係なく走り、なおかつかなりのスピードで歩道や横断歩道を走り抜ける、こういうことで、歩行者や自動車の運転者にまで危険を感じさせるような面を見受けられます。

 国土交通省と警察庁は、全国で九十八カ所のモデル地区を選び、車道と歩道の間に自転車専用道を整備するなどの対策事業を昨年からスタートさせておりまして、静岡県内でも実証実験が実施されております。

 自転車道の整備促進を要望するとともに、整備をするに当たっては、利用者の目線、例えば母親が子供を自転車に乗せて利用するというような、そういう利用者の視点に立った設計をしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

 国交省の御見解をお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 先生御指摘のとおり、現在、歩行者と分離された自転車専用の走行空間は約二千八百キロほどしかございません。ヨーロッパ各国に比べて大変おくれた状況でございます。

 これも先生から御指摘いただきましたとおり、現在、全国で九十八カ所をモデルといたしまして、例えば静岡市の清水駅前が入っておりますけれども、分離された自転車走行空間の整備に取り組んでおるところでございます。

 その際、今も御指摘ございましたとおり、利用者の観点というのは非常に重要であると思っておりますので、地元の方々、PTAの方々に入っていただいて、ちゃんと点検をして、正しい整備をするというようなこともいろいろ試行させていただいておるところでございます。

 なお、今のモデル地区、まだ線としての取り組みでございまして、やはり都市の中を自由に走れるという面としての取り組みがなお必要と思っておりますので、そういった面で重点都市を今後また選定をさせていただいて、ぜひ積極的に安全な自転車道の整備に取り組んでいきたいというふうに考えております。

大口分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、国道百三十九号の件についてお伺いしたいと思います。

 実は、二〇一〇年の夏に若人の祭典であります第十五回の日本ジャンボリーが富士宮市朝霧地区で開催されます。富士宮市では、一九七〇年、昭和四十五年に第五回大会が開催され、四十年ぶりの二度目の開催になるわけであります。

 二〇〇六年、第十四回石川大会、これは石川県の珠洲市であったわけでございますが、二万一千人の方が国内外から集まり、キャンプを通じながら、数々の体験や交流を通じて相互の理解と国境を越えた友情がはぐくまれ、さらに地域住民との交流もあり、生涯の思い出に残るすばらしい大会であった、こういうふうに聞いております。

 静岡大会も同じくらいの規模になるようでございますが、多くの参加者は、開会日の前日にバスで朝霧高原に集結し、数百台のバスが国道百三十九号の、これは静国の管理でありますが、これを通過するということが予想されます。国や県の施設を使ってバスを待機させ、時間差をもって会場へ誘導する計画のようでありますが、途中の交通アクセスは果たして大丈夫なのか、心配でございます。

 国交省におかれましては、二〇一〇年の日本ジャンボリーが事故なくスムーズに運営できるよう、これはいろいろ地元の要望がなされているわけでありますけれども、これに対してしっかりと対応をしていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。ぜひとも世界の青少年のために対応をしていただければ、こう思っておりますので、そのことにつきまして国交省の見解をお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 第十五回の日本ジャンボリーの関係でございますが、富士宮市の方からいろいろ交通渋滞を避けるための対策について御要望をいただいております。

 特に、重点として、国道百三十九号の麓地区の交差点に右折レーンというようなことも要望していただいておりまして、この右折レーンについては設計は完了をいたしました。年度が改まればすぐ工事に着手できるように準備をしております。

大口分科員 そのほか、これからさらにいろいろな中で要望が出てくると思いますので、ぜひともまたよろしくお願いをいたします。

 さて、我が国の旅客船輸送の実情を見ますと、年間一億人の旅客と一千五百万台の車両を積んでおります。公共交通機関として大きな役割を果たしているわけでありますが、本年の三月二十日ごろ実施される予定で、今一生懸命準備をしソフトの対応に追われておられるわけでございますが、高速道路料金の大幅な引き下げがあります。

 これはこれで非常に大事なことであって、一月十三日に送ってもう一カ月以上もたっているわけですが、まだ財源の法案がいまだに通っていないわけでありますけれども、いずれにしましても、このソフト開発ということで三月二十日までに一生懸命今準備をしていただいています。

 ただ、この道路の輸送と選択関係にあるフェリーなどに大きな影響を及ぼすことも十分予想されることでありまして、落ちつきつつあるとはいえ、昨年の燃料高騰が船会社の経営を大きく圧迫し、高速料金の大幅な引き下げがそれに追い打ちをかける事態が予想されます。国内の旅客船の経営が本当に維持できない、こういう切実な声を聞くわけでございます。

 そこで、これは要望もあるわけでありますけれども、やはり入港料あるいは岸壁使用料等の大幅な引き下げをすべきではないか。それからさらに、航路事業者が保有する船舶や陸上設備の公的機関による買い取り、これについてもやはり積極的に考えていただきたい。

 さらに、人や車両、貨物の荷主などが旅客船やフェリーを利用する際の負担軽減、これも必要と考えられます。特に、トラック事業者等が陸上輸送から環境負荷の低い海上輸送へ転換するのを促進するためのモーダルシフト促進の政策も必要ではないかと思うわけです。さらに、国内海上輸送の活性化や効率化等の推進についても、これは今いろいろやっていただいておるようでございますけれども、これらの諸点につきまして、金子国交大臣にお伺いをしたいと思います。

金子国務大臣 フェリー事業の活性化、効率化問題につきまして、平成二十年度第一次補正予算、ここでは四十億円を計上し、もう既に使わせていただいております。

 これは、既存船の省エネ性能向上に資する改造等を支援するとともに、第二次補正においても四億円を計上させていただき、省エネ化あるいは運航コスト削減の実証実験、船の運航の仕方によってどうすればコストが下がるかといったような実証をしてもらうというケースでございますけれども、これらの計画をさせていただいております。

 また、フェリー等へのモーダルシフト促進のために、荷主とも連携しましたグリーン物流パートナーシップ会議というのがございますけれども、ここにおきまして、これまでに効果の高い取り組みをされた全国で三十件のケースを認定しまして、支援を行ってきたところでありまして、さらなる推進を図ってまいりたいと思っております。

 今委員から御指摘の港湾使用料の軽減、航路事業者の保有設備の買い取りにつきまして、どういう方法がとり得るのかということにつきまして港湾管理者あるいは事業者とも連携して検討しているところであります。

 高速料金の引き下げがフェリー事業者、物流にもたらす具体的な影響、これはいろいろな面で私ももとより心配しております。こういう影響を見きわめながら、必要な支援措置について検討を進めてまいりたいと思っております。

大口分科員 この件については、原油高で経営が相当大きく傷つき、さらにこういう事態になってくるということで、船会社もできるだけコスト削減ということで努力をしてきて、それでも今回厳しい、こういうことでございますので、今大臣からもいろいろと御検討していただいているということでございますから、何とぞよろしくお願いをしたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

葉梨主査代理 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、木原稔君。

木原(稔)分科員 自由民主党の木原稔でございます。貴重なお時間をいただきまして、本日は大きく三問の質問をさせていただきたいと存じます。では、早速始めさせていただきます。

 まずはビジネスジェットの利用促進についてということでございますが、ビジネスジェットといってもなかなか、聞きなれているようで、その定義は一体何なんだろうなというところでございます。私、調べましたけれども、これは公的な定義というのはございませんでした。一般的には、ビジネス目的で飛行する小型航空機のうち、座席が十九席以下の固定翼機で双発以上のジェットエンジンを有する航空機のことをいうということでございました。

 調査したところ、我が国では、欧米諸国や、また発展途上国と比較しても、このビジネスジェットの利用というのは実は極めて少ないということがわかりました。実は、ビジネスVIPと言われている、それぞれ民間の企業の方のトップによるそのトップセールスであったり、またハリウッドの映画が完成したときのキャンペーンであるとか、またはプロスポーツ選手が世界じゅうを飛び回ったりするときであるとか、ビジネスジェットの利用というのは先進国であれば今は極めて常識になりつつあり、そのビジネスチャンスを逃しているような状況。そのマイナスというのは、数値にあらわすことはできないですけれども極めて大きいのではないかというふうに私は分析をしているわけであります。

 グローバル化した経済において国際競争力というのを引き続き日本が維持して、さらに強化していくためには、やはりこのビジネスジェットの利用がしやすい環境を今後つくっていく必要があるのではないか、そのように思っておりますが、国交省航空局の認識というものをまずお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、我が国においては諸外国に比べてビジネスジェットの利用が少ないのが現状でございます。これは幾つか理由があると思います。我が国は国土が狭いこと、あるいは高速道路あるいは高速鉄道網、こういったものが発達しているということ、さらには我が国ではビジネスジェットを保有している企業が少ない、いろいろな理由があるかと思いますが、また一方で、海外からのビジネスジェットを受け入れる体制が十分に整っていないというのも理由の一つであるというのも事実でございます。

 先生がビジネスジェットの意義をいろいろおっしゃいましたが、我が国がアジアのビジネス拠点としてその力を十分に発揮していくために、今後ビジネスジェットの利用が促進されることが重要であるということは私どもも認識しているところでございます。それから、こういったビジネスジェットの利用によりまして、国際企業の誘致でありますとか、ビジネス、観光の交流というものが拡大されて、ひいては我が国の国際競争力、国際的地位の向上が実現されるということも事実であると認識しております。

 このような観点から、私ども国土交通省としましても、昨年度、ビジネスジェット利用を促進するための調査というのを行いまして政策課題を整理させていただいたところでありますし、それから、昨年末には空港法という新しい法律に基づく空港の運用に係る基本方針を策定いたしましたが、この中で、空港管理者などに対してビジネスジェットの利便性向上のための取り組みを求めたところでございます。

 今後も、こういった具体的な課題に取り組みながら、引き続き、ビジネスジェットが利用しやすい環境整備を行っていきたいというふうに考えております。

木原(稔)分科員 今、ビジネスジェットの普及が進まない理由というのを幾つか挙げていただいて、国内で進まない理由と、あと諸外国からの受け入れが進まない理由というのがあるということでございましたが、私もそのように思っております。

 幾つかの理由のうち、まず一番大きいのが、利用希望がある首都圏、やはり首都圏が一番、国内からも、また諸外国からも要望が多いと思うんですけれども、どうしても空港の混雑が著しくて発着枠の確保が難しいということだと思います。次の理由は、やはり専用の受け入れ施設が普及していない。そういったCIQの問題であるとかというのが二番目だと思いますね。三つ目は、やはり諸外国に比べると日本国籍の航空機が航空運送事業を行うに当たって要件が厳しいということもあると思います。そして、外国籍の航空機が飛来するに当たっては、やはり事前の申請が必要になっていますね。商用の場合には三日前ということになっておりますけれども、今このスピード感が求められる時代に三日前から商談の日程が決まるとか、またはアポイントをとるというのは、民間レベルでは今ではもう少なくなってきているのではないかと思うんですね。

 そういうことから、やはりさまざまな理由、課題が多いと思います。一つ一つ検討していただけたらなと思うんですが、二〇一〇年には羽田空港そして成田空港の容量拡大が予定をされておるわけであります。それ以外の首都圏の空港、幾つか考えられると思うんですけれども、今後、首都圏におけるビジネスジェットの利用というのを、全般的に首都圏に限ってどのようなことを今想定しておられるのかということの見解を伺います。

前田政府参考人 先生の御指摘のとおり、我が国の首都圏の空港において、ビジネスジェット乗り入れの要望は非常に高いものがあるということは承知しております。ただ、これも御承知と思いますが、羽田と成田、この二つの大空港の発着枠というのは定期便でほぼ満杯の状態が続いておりまして、ビジネスジェットの利用という要望には残念ながらこたえられていないというのが現状でございます。

 先生からもお話がございましたが、二〇一〇年には羽田で四本目の滑走路が完成し、それから成田では二本目の暫定滑走路の延伸の工事が完成することによって、発着枠の増加というのが実現いたします。この有効活用については、定期便との関係に配慮しながら十分に検討を行っていきたいというふうに思っております。

 それから、羽田、成田以外の首都圏の空港に関してでございますけれども、これらの空港については、何とかビジネスジェットのために利用することができないかという観点で、これについてもその可能性について検討を重ねてまいりたいというふうに思っております。

木原(稔)分科員 民間だけでなくて、政治、行政も比較的、利用する頻度というのは高くなってくると思うんですね。先般のG7であったり、またサミットであったり、昨年、TICADなどでも、諸外国は政府専用機という大型のジャンボを使うほどでもない出張にはビジネスジェット利用というのは非常に多いわけでありまして、日本が諸外国の要人を受け入れる、また、世界会議を受け入れる、そういう土壌、東京オリンピックがあるかどうかわかりませんが、そういったさまざまな角度から、ビジネスジェットの利用の促進については前向きに考えていただきたいと思います。

 ニューヨークにはティータボロー空港というビジネスジェットの専用空港がございまして、極めて有効に利用されておって、ニューヨークの経済発展に一役も二役も買っているというふうに思います。

 ぜひ今後とも、いろいろな諸課題を検討し、そして解決し、いち早くこのビジネスジェットの利用というものが十分できるような環境づくりをしていただきたい、そういうふうに要望して、この質問は終わらせていただきます。

 続きまして、二つ目の質問でございますが、タクシー事業をめぐる状況についてでございます。

 タクシー事業は、近年、もう不景気になる前から、実は需要の減少というのがあったり、または供給の増加、これは規制緩和もございました。全国的に大変厳しい状況ということを聞いておりまして、私の地元熊本でもそのような声を業界からも聞きますし、また、実は利用者からもそういうことを聞くわけであります。

 国交省は最近のタクシー事業に関する状況をどのように認識されているのかというのをまずはお伺いしたいと思います。

本田政府参考人 お答えをいたします。

 タクシーについてでありますが、長期的に輸送需要が停滞しております。その中で、今御指摘のとおり、地域によってはむしろ車両が増加するといったいわゆる供給過剰の影響もありまして、総じてその収益基盤は大変悪化しておるというふうに思っております。特にタクシー運転者の賃金体系が歩合制ということもございまして、その労働条件はほかの産業と比較しても著しく低い水準に置かれているといったことで、極めて厳しい経営環境あるいは労働環境にあるものと思っております。

 先生ただいまお話しになりました熊本県のデータを調べさせていただきましたが、やはりタクシーの日々の水揚げが減少しておりまして、その結果、平成十九年の熊本県の運転者の方々の年間賃金は二百二十八万円。ちなみに、熊本県の全産業平均で四百四十五万円という調査が出ておりますので、その五一%といった水準でございます。

 その意味で、大変厳しい状況に置かれておると思いますし、私どもとしても、やはり地域の公共交通の中での重要な役割をタクシーは担っておると考えますので、消費者の皆さんとの関係におきましても、輸送の安全を初め、タクシーの重要な機能にやはり何がしかの障害を与えているというふうに認識しております。

木原(稔)分科員 本来であれば、利用者のための規制緩和であったはずであります。しかしながら、台数がふえた、不景気になった。台数をふやすということは運転手さんもふやすということで、運転手さんの質の低下といいますか、実は交通事故もふえたんです。タクシーが絡む交通事故もふえました。また、道を知らない運転手さんもふえた、そういう利用者の声もあります。

 また、一台当たりの収入が減少するという、今局長からのお話もありましたが、二百二十八万円というような年収でありましたけれども、実は、最低賃金を割った地域があったり会社もあります。そういうことから、初乗り運賃はもう上げざるを得ないということであります。利用者のための規制緩和であったのに、運賃も上がるということで、これでは何のための規制緩和だったんだろうということであると思います。

 また、町中に行くとタクシーの渋滞。夏は暑いし、冬は寒いわけですから、ずっとエアコンをつけっ放しなので、排気ガスがずっと出っ放し。環境にも悪いということで、これは結局いいことは何もない。

 事業者のためにも利用者のためにも、また環境にも悪いということで、これは何らかの改善をしなければいけないというふうに常々思っていたわけでありまして、こういったタクシー事業にまつわるあらゆる状況を、私ども自民党議員連盟の中で、事業者からのヒアリングをさせていただいたりしながら、昨今、そういった取りまとめを出させていただいたわけであります。

 また、昨年一年間は、交通政策審議会でタクシー事業をめぐる諸問題について審議が行われたということも聞いておりますが、その交通政策審議会ではどのような議論がなされ、どのような答申があったのかということの概略をお尋ねいたします。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年、ほぼ一年をかけまして、交通政策審議会、正確に言いますと、そのもとにタクシー専門のワーキンググループを設けていただきまして、タクシー事業をめぐる諸問題、そしてその原因は何か、また、それらへの対策としてどういった対策が有効でかつ必要かということについて御審議を賜りました。

 とりわけ、全国各地域の方々にお越しをいただき、多様な関係者から、地域の実情に即した状況説明を各委員にも聞いていただいた上で御議論を賜り、その結果として、昨年十二月十八日に、国土交通大臣に対しまして、「タクシー事業を巡る諸問題への対策について」との答申をちょうだいいたしました。

 答申の要点を申し上げますと、タクシーは地域地域の重要な交通機関だという位置づけのもと、やはり安定的に維持、活性化していく必要があるという基本認識のもとに、さまざまな対策の御提言をいただきましたが、その中でやはり中心的な問題は、供給過剰の問題にどう立ち向かっていくかということでございます。

 供給過剰は、タクシー事業の収益基盤の悪化あるいはタクシー運転者の労働条件の悪化といった、タクシーをめぐる諸問題の背景に存在する根本的な問題であるという指摘のもとで、供給過剰が進行している地域においては、問題の解決に向けて、供給の抑制とともに、地域の多様な関係者による総合的、一体的な取り組みが重要である、こういった御提言をいただいたところでございます。

木原(稔)分科員 交通政策審議会の今おっしゃった答申と、そして、我々自民党の議員連盟が取りまとめた提言、そういったものを踏まえて、今国会にタクシーの適正化、活性化のための法案が提出をされております。その法案の概要をお伺いいたします。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般政府から、今国会に、特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適性化及び活性化に関する特別措置法案を提出させていただきました。法案の概要、要点、四つの項目について御説明申し上げます。

 まず第一は、供給過剰等により問題が発生しております地域を特定地域として国土交通大臣が指定するということでございます。

 また、その特定地域におきましては、新規参入に際しての審査を厳格化するとともに、既存のタクシー事業者が増車を行う場合は国土交通大臣の認可を受けなければならないということにいたしております。

 三番目といたしまして、特定地域において、地域の関係者が協議会を組織し、その地域のタクシー事業の適性化、活性化のための計画、地域計画と呼んでおりますけれども、これを作成する。

 四つ目でございますが、その地域のタクシー事業者が、タクシーの適正化、活性化の取り組みをする際に、国土交通大臣による認定制度を設けて、その認定をされた計画にのっとって減車が行われます場合には、国土交通大臣が公正取引委員会と調整を行うことによって、その地域におけるタクシー車両の減車が円滑に進められるような仕組みも導入することといたしております。

 以上でございます。

木原(稔)分科員 法案としては今後の議論を待つ部分があると思いますが、現段階においては、今の答弁をお伺いする限り、タクシー事業の正常化に向けてよくまとめていただいているのではないかな、そのように思います。

 内容の話ですけれども、特定地域という単語がございました。その特定地域は、どのような地域が特定地域として指定されるのか。特定地域では、私は、今想像するに、供給拡大に歯どめをかけなければいけない、また適正な台数へ減車を進めざるを得ないというような地域が特定地域、そのように認識をしているわけでございます。

 そこで問題となってくるのは、先ほども少しお触れになりましたけれども、やはり自由主義経済における独占禁止法上の問題が発生するというふうに思われます。公正取引委員会との調整が必要である、そのあたりがやはり一番心配になってくるわけでありますけれども、具体的にどのようになっているか、法案の中身についてお伺いいたします。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一に、特定地域にどういった地域を指定するかということでございますが、法案での考え方は、供給過剰が進行している、それによって問題が生じているということでございますが、現在、私ども、運用で実施いたしております特定特別監視地域制度というのがございますけれども、この制度を参考としながら、今後の国会での御審議あるいは御指摘を踏まえて、最終的な基準を固めていきたいと考えております。

 次に、新しい車両の増加の抑制でございますが、法案におきましては、特定地域で新規参入の許可に関しては他の地域に比べて厳格な審査を行う。あるいは、既存事業者による増車については認可制という制度が導入されております。

 特定地域自体は、現に供給過剰といったことで問題が生じて、タクシー事業の適正化、活性化を推進することが特に必要な地域ということでございますので、御指摘のとおり、こうした地域については安易な供給の拡大が厳に抑制されるような、そういった運用が必要であると考えております。

 そして、既に過剰となっております車両をどう減車を図っていくかということでございますが、審議会の場で行政による強制的な減車命令といったものはどうかという御議論がございましたが、これについてはやはり法制的にさまざまな問題がございました。

 したがって、複数の事業者の方が協調して減車を行います場合に、独占禁止法との関係で問題が生じませんように、国土交通大臣と公正取引委員会が事前に調整を行わせていただくという仕組みを今回導入させていただきたいと考えておりますし、その運用に当たりましても、ただいまの御指摘を踏まえ、減車が現実に円滑に促進されるよう努めてまいりたい、かように考えております。

木原(稔)分科員 今国会での前向きな審議を期待するものであります。

 では、この質問の最後、大臣に、法案提出に当たって、我が国のタクシー事業の正常化、活性化、これに向けての大臣の決意をお伺いいたします。

金子国務大臣 木原委員には、自民党のプロジェクトチームでいろいろ御議論、御審議、また御提案もいただいてまいりました。

 タクシーは我が国の地域社会にとってもとよりなくてはならない重要な交通機関でありますけれども、そのタクシーが、目下、供給過剰の進行などによりまして、運転者の労働条件の悪化を初めとしまして多くの問題を抱えていると我々も認識しております。

 地域におけるタクシーの重要な役割にかんがみれば、タクシー事業の適正化、活性化を図っていくということは緊急の課題であります。国土交通省として、今回国会に提出させていただいた法案を含めまして、昨年末、交通政策審議会の答申で示されました対策及び与党の、委員初め皆様方の御提言、これを反映させまして、適時適切に講じていくことが極めて重要な政策課題であると思っております。

 そのために、今国会におきまして、ぜひとも早期の成立をお願いし、法案を可決させていただくように努力を、全力を挙げてまいりたいと思っております。

木原(稔)分科員 大臣、ありがとうございました。

 三番目の質問、時間が許す限り続けさせていただきますが、次世代自動車についてでございます。

 地球温暖化防止のための低炭素社会の実現というのは、日本を初め先進諸国の共通の認識であるということは言うまでもなくて、アメリカもオバマ政権になって大きくかじを切ったわけでございます。世界一人当たりのCO2の排出量というのは年間約四トンで、日本人だけをとってみると実は年間約十トンであり、二倍以上ということであります。

 CO2を世界じゅうから半減しようということであれば、日本に課せられた必要削減率というのはマイナス八〇%というふうに言われておるわけでございます。そうなれば、一番CO2を排出するガソリン自動車から転換をしていかなければいけないということは、近い将来避けられないことであろうというふうに考えます。

 低炭素社会の実現、そして次世代自動車の関係というものをまず環境省はどういうふうに認識をしているか、お伺いいたします。

森谷政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十年七月に閣議決定いたしました低炭素社会づくり行動計画におきまして、次世代自動車とはということで、ハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル車、CNG自動車などが定義されているところでございます。

 環境省といたしましては、その普及につきましては、今委員御指摘のとおり、我が国の温室効果ガスの排出量の約二割を占める運輸部門からの二酸化炭素の削減が必要であるということで考えてございます。とともに、こういったものが我が国の自動車産業の技術力、競争力の強化にもつながるものという認識をしているところでございます。

木原(稔)分科員 私は、今いろいろな次世代自動車のメニューがあると思うんですね、ハイブリッドとかプラグインハイブリッド、または電気自動車、また水素自動車であるとか。その中でも、私は電気自動車というものに大変注目をしているわけであります。

 リチウムイオン電池というのがございますね。かつての鉛の電池に比べて重量別にも取り出せるパワーとエネルギーが非常に大きくて、寿命も長いということであります。一九九五年ごろから、携帯電話とか、またはパーソナルコンピューターなどでも非常に使われておりまして、実績も積み上がってまいりました。また、二〇〇〇年以降は、電気自動車のためのリチウムイオン電池というものも開発をされ、または貯蔵用のリチウムイオン電池というのも今もう実用されているわけであります。

 次世代自動車として最も実現可能性が高いというふうに私は考えておりますが、経済産業省はこのリチウムイオン電池について、またはリチウムイオン電池を使用した自動車についてどのような認識をされておりますでしょうか、お伺いします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、次世代自動車の中でも、とりわけリチウムイオン電池を搭載した電気自動車というのは大変有望なものでございます。それを早期に開発あるいは普及せしめるということが、地球温暖化でありますとか、あるいは、ひいては我が国の自動車産業の競争力強化という観点からも大変重要なところだと認識をしております。とりわけ、御指摘のとおりでございますが、電池の性能をいかに向上させるかというところがキーポイント、肝でございます。

 経済産業省といたしましては、長距離走行を可能とする、改良型あるいは先進型と言っておりますけれども、リチウムイオン電池の性能アップ、あるいは低価格化を図る、こういうための技術開発を行ってきております。

 さらに、あわせてでございますけれども、将来はもっと飛躍的な走行距離が実現できるような、我々は、リチウムイオン電池の次世代の革新的蓄電池、リチウムイオンを超える、そういう電池を開発したいというふうに考えておりまして、官民学でいろいろ研究開発を進めさせていただいております。

 それから、あわせて、普及を図るという観点からは、電気自動車等の購入についても一定の支援をするというための予算、あるいは税制上の措置も講じさせていただいております。委員御指摘のとおりでございまして、こういった技術開発とか促進、普及を図るという施策を通じまして、できるだけ性能のすぐれた電気自動車がたくさん使われるということについて、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

木原(稔)分科員 一つの時代、そして一つの社会において、私は一つの目的を持った技術が生き残るのはたった一つだと思うんですね。何が言いたいかというと、限られた財源の中で、限られた時間の中で、投資の対象というのはやはり一つに絞るべきではないかなと思うんです。ハイブリッドもあります、水素自動車もあるでしょう。しかしながら、私は、電気自動車というものに特化して、そしてガソリン自動車からの転換をやはり一日も早く促進していくこと、これが重要じゃないかなと思うんです。

 言ってみれば、このリチウムイオン電池自動車というのは破壊的な技術。既存の大手のメーカー初め、これは当初は極めて後ろ向きになっていくだろうと思います。イノベーションのジレンマといいますか、なかなか転換は急速に進まないと思うのですが、やはり選ぶのは、最終的に選択をするのは国民であり、利用者であると思います。

 かつてレコードがCDになったように、またはフィルムカメラからデジタルカメラになったように、また固定電話も今もう携帯電話になりました。いざ転換が進めば、あっという間に変わってしまいます。約七年間ぐらいで大きな、すべての転換が完了するというふうにも言われております。

 きっかけが大事だと思うんです。一日も早く、こういう転換のための政策、そのためには、税制の改正もあるでしょう、法改正もあるでしょう。そういった投資を分散させないような後押しと、また国会はそういったあらゆる改正の作業を迅速に進めなければいけない、そういうことは私自身も自戒の念として取り組ませていただきたいと思います。

 では、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

葉梨主査代理 これにて木原稔君の質疑は終了いたしました。

 次に、永岡桂子君。

永岡分科員 金子大臣、そして西銘政務官、本当にきょうはお疲れさまでございます。永岡でございます。こういう機会を与えていただきましたことを大変感謝申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ではまず、圏央道について大臣にお伺い申し上げます。

 御承知のとおり、圏央道は、首都圏中心部から半径大体四十キロから六十キロぐらいの位置に計画されております、延長が三百キロメートルの高規格幹線道路でございます。これは、全線が開通いたしましたならば、首都圏の大動脈として大きな期待がかけられているわけでございますが、圏央道は、首都圏、南関東地域の環状道路として、産業そして民生部門を初め、経済社会活動や観光立国の推進に大きく貢献するものでありまして、その早期完成に強い期待が寄せられております。

 私の地元茨城県でも、全長三百キロメートルのうち約七十一キロメートルが走ることになっているわけでございます。調査を始めました昭和五十四年度から随分たちましたけれども、平成十二年には本格的に着工になりまして、事業は着実に進んでいると思っております。

 また、おかげさまで、この茨城県のところも、常磐道から東側ですね、この三月の二十一日に開通予定の稲敷インターまでを含めまして、つくばジャンクションから二十キロメートルも供用になりまして、成田空港までの所要時間が本当に短縮されるとともに、工業団地の立地も進んでおりますし、またアウトレットモールの進出もありまして、地域振興にも大きく期待がかかっております。

 しかしながら、常磐道から東北道に接します西側部分につきましては、現時点では全くまだ供用されておりません。道路の建設の場合ですと、用地買収が一番大変でして、このことが解決されれば、あとはお金をいっぱい出していただければ、これは集中的に工事が進みまして、対応が早く進むということになっていると思うんですね。

 圏央道は、平成二十四年度までには全線開通を目標とします国土交通省の目標宣言プロジェクトに位置づけられているということは承知しております。私たち茨城県民挙げまして、宣言どおり、平成二十四年度までの全線開通を本当に楽しみにしております。改めまして、大臣の御決意のほどをお聞かせ願えればと思っております。

 よろしくお願いいたします。

金子国務大臣 茨城県内では、現在、つくばジャンクションから阿見東インターチェンジ十三・五キロが供用されております。阿見東インターチェンジ周辺では、今委員お話しのとおり、開通以降、六社の工場が工場団地に立地することが決まっている、あるいはアウトレットモールが、ことしの夏ですか、開業するという予定でもありまして、圏央道の整備の効果というものが目に見えてあらわれてくるんだと思っております。

 本年三月二十一日には、茨城県内の阿見東インターチェンジから稲敷インターチェンジ、この間約六キロでございますが、新たに開通の予定であります。御指摘の残りの区間のうち、埼玉、茨城県境からつくばインターチェンジの間の三十七キロについて、現在、全面的に用地買収を進めております。特に、県境から境インターチェンジ間について橋梁工事を進めるなど、平成二十四年度の茨城県内の全線開通に向け、整備を進めているところであります。

 今後とも、永岡委員、そしてきょう分科会委員長を務めていただいております葉梨委員長、本当に両委員とも、先頭に立ってお進めいただいております。その期待に沿うよう、開通目標が確実に達成できるように、計画的に事業を進めてまいる所存であります。

永岡分科員 大臣、力強いお言葉、本当にありがとうございました。

 では次に、新四号国道の四車線化についてお伺いしたいと思います。

 国道四号線というのは、日本橋から青森まで全長七百五十キロにも及びます、東京から本州北端にまで及びます、本当に幹線国道でございます。

 この四号国道のバイパスとして大きく役割を果たしていくのが新四号国道であると思います。これは埼玉県の越谷から栃木県の宇都宮に至ります八十キロほどの道路なんですけれども、この四号国道も私の地元を通っておりますが、新四号バイパス、これも古河市にありまして、私の地元なんですけれども、幹線道路としてその役割は本当に大きく大きく期待されるわけなんです。

 この新四号バイパス、これは実は二車線、二車線の四車線化が大きく進んでおりますけれども、これはどういうわけでしょうか、栃木県と埼玉県はもう四車線化が進んでおりますが、茨城県だけ一車線、一車線の二車線なんですね。非常にこれが、たった十一キロメートルだけなんですけれども二車線でして、首都圏に行ったり、また東北地方への幹線道路でございますので、朝夕は本当に込みます。もうひょうたんのウエストのようなところになってしまいまして、私の地元の古河地区のところは物すごく込みますし、また一般道路との交差というものがありますので、事故が大変多いんです。何名の方が亡くなられたかというのは、本当に地元におりましてもよく聞くんですね。

 そういうこともありますので、ぜひ、この四車線化が実現すれば本当に周辺の一般道路の渋滞の解消にもつながりますので、これは計画的に着々と、早期実現を地元も望んでおります。

 この四車線化、新四号バイパスの四車線化の早期実現につきまして、国土交通省の見通し、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

金井政府参考人 御指摘の新四号春日部古河バイパス、全長二十一キロございますが、御指摘のとおり、十八年度から四車線化の事業に着手をいたしまして、本年一月三十日に、約二キロ区間を四車線で供用させていただいたということでございます。

 現在、一番時間がかかります新利根川橋、橋が一番時間がかかりますので、その部分の工事に着手をいたしております。また、圏央道の五霞インターが開通目標がありますので、それに合わせなければいけないと思っておりますので、連携をとって、ことし約九億円の予算で事業をしておりますが、着実に進むように努力をしたいと考えております。

永岡分科員 局長、ありがとうございます。そのとおりなんです。圏央道が平成二十四年度までに開通ということで、この新四号バイパスも交差しておりますので、ぜひ圏央道開通までにはこれを早期に完成ということに持っていっていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは次に、治水対策についてお伺いいたします。

 昨年の三月二十五日でした。内閣府の中央防災会議で、昭和二十二年にありましたカスリーン台風並みの大雨が関東地方を襲いますと、利根川の堤防が決壊した場合、最悪六千三百人が水死をするといった被害想定が発表されました。

 これは、二百年に一度の確率とされます三日間で三百二十ミリの大雨が降った場合の被害を想定したものなんですけれども、私の地元、渡良瀬川と利根川の合流地点の近くなんですが、そこに私も住んでいるんですけれども、そのところの堤防が決壊した場合、これは随分とすごい想定なんですが、排水施設が全く稼働しなかった場合で浸水地区外に避難した人がゼロ%の場合、これは私が住みます古河市では二千人、お隣の坂東市では千四百人、境町では二千八百人の人が水死する、つまり、合計六千三百人の人が亡くなるという想定で中央防災会議は発表したんですね。それがまた地元の新聞で大きく報道されまして、本当に私たち、また地域の人たちは、大変な衝撃を受けたわけです。

 最悪な場合とはいえ、やはり実際に起こり得る可能性があるということですので、このような災害を未然に防止するには、国土交通省は常日ごろから治水対策を着実に進めることが大事だということと、また、関係市町村などでは、災害の被害を最小限にとどめるために洪水ハザードマップ、こういうものを作成したりしておりますし、また、防災訓練などは定期的に行っております。

 国民の生命財産を守るのは政治に課せられた最大の責任でありますので、二百年に一度でも三百年に一度でも、災害は未然に防がなければいけないと考えます。そのためには、国土交通省におかれましては、こうした国民の不安を解消するべく、利根川の治水対策には万全を期すべきと考えますが、国土交通省のお考えをお聞かせ願えればと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、利根川の堤防が決壊した場合、特に左岸側の古河市地先でございますけれども、瞬間的に水深が増加いたしまして、深いところで水深が五メートルに及ぶということで、最大で約六千三百人の死亡という最悪の事態が想定されております。

 このため、国土交通省といたしまして、現在建設中の八ツ場ダムを初め、上流ダム群の洪水調節により洪水時の水位を低下させるとともに、左岸、右岸ともに堤防を拡幅いたしまして、切れにくい堤防を現在つくっているところでございます。特に左岸側につきましては、先ほど申したように急激に水深が増加いたしますので、避難のための高台を確保するなど、地元自治体と調整して推進しております。

 また、そういうハード対策とあわせまして、先ほど先生おっしゃいました、市町村でのハザードマップ、それから防災訓練等も行っておりますし、また、国土交通省といたしましても、それを支援するために、平成二十一年度からでございますが、各地方整備局単位に、仮称でございますが水災害予報センターを設置いたしまして、雨量、水位あるいは危険の状況等を的確に関係機関、市町村に連絡してまいりたいというふうに考えておりまして、引き続き、万全を期していきたいと考えております。

永岡分科員 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、小型飛行機によります安全飛行についてお伺いさせていただきます。

 最近では、個人が楽しみのために小型飛行機をみずから操縦しまして、飛行を楽しむ方が多くなっているということを聞いております。飛行に当たっては、周囲に対しまして安全条件を含めていろいろな条件があるそうですけれども、実は、最近、私の地元の農業者の方から伺ったことなんですけれども、空を飛ぶ飛行機が恐ろしくて、安心して農作業ができない、そういう苦情が寄せられております。

 これは、飛行している方は、法律を守っているとは思うんですけれども、農家の方々は外で仕事をなさいますし、ほとんど、明るくなっているときは、雨が降っていないときはずっとお外での作業が一般的ですので、頭の上を低空で飛行ということでは本当におちおちと仕事も手につかない、そういう話がありますので、その方々の安心のためにも、また安心して仕事ができるよう、そういう小型飛行機などの業界を指導していただけないかと思っております。

 国土交通省のお考えをお聞かせいただければと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空機の運航に関しましては、航空機の搭乗者だけではなくて、地上にいる方々あるいは地上にある物件、こういったものについても安全を守らなくてはいけないということで、最低安全高度、これは一定の高さ以上を航空機は飛ばなくてはいけないという法令上の規定でございますけれども、こういった法令の遵守も含めまして、航空機運航の安全の確保に万全を期すようにということで、運航者あるいは業界団体等、指導監督を行っているところでございます。

 今後とも、運航者、業界団体等に対しましては、安全関係の会議などが開催された折、あるいは事業者に対しては監査なども行いますので、そういった監査の機会などを通じまして、引き続き、指導監督に努めてまいりたいというふうに思っております。

 それから、仮に違法な低空飛行、こういったものが行われた場合には、これは当然の話でございますが、操縦者への行政処分等も含めて、厳格な対応を図ってまいりたいと思っております。

永岡分科員 ありがとうございます。またこういう地元からの声が寄せられました場合には、よろしく対応のほどお願いいたします。

 次に、建設業対策についてお伺いいたします。

 我が国の建設業者数は約五十一万社、就業者は約五百五十万人と言われておりますが、ピーク時に比べれば、それぞれ一五%、二〇%と減少しております。建設投資額は、ピーク時の平成四年度におきましては八十四兆円でございましたものが、平成二十年度におきましては五十兆円と、ピーク時に比べますと約四〇%も減少しております。このうち、政府の投資につきましても、平成七年度の三十五兆円に比べまして、平成二十年度は約十七兆円と半分になっております。

 現在では、世界同時不況の中で、住宅投資を初めとします民間投資の大幅な増加というのも期待することはなかなかできないわけでして、建設業者、建設業というのは、我が国の社会資本の整備を初め、産業用、民生用の建設設備に重要な役割を果たしているわけです。特に、地方におきましては、雇用の面からも極めて重要な役割を果たしていると考えられますので、建設事業費が増加しない中で、建設業の将来、これをどうするかは、本当にこれからの大きな課題であると思っております。

 産業政策としてどのようにするのか、国土交通省のお考えをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

小澤政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の建設業は、今御指摘ございましたように、急速かつ大幅な建設投資の減少、それからダンピングなどによる価格競争の激化、あるいは金融機関の融資姿勢の厳格化といったような課題に直面してございます。また、昨今の景気後退による影響などを受けまして、その経営環境というのはかつてないほど厳しい状況にあるというふうに認識しております。

 一方、我が国は今、本格的な人口減少、高齢化社会の到来、あるいは急速なグローバル化、地球環境問題の深刻化という大変な転換期にあると思っておりまして、こういう時代だからこそ、安全、安心の確保、成長力の強化、地域の自立、活性化、地球温暖化への対応といった、将来の発展につながるようなさまざまな事業が行われることが必要だと思っています。建設産業は、その実現に当たりまして、しっかりとその役割を果たしていくということが期待されているというふうに思っているところでございます。

 そういう役割を果たしていくためには、やはり、最近の厳しい経済状況に対応いたしまして、資金調達の円滑化、あるいは地域企業の適切な評価、ダンピング対策の強化といった入札契約制度改革を進めていくこと、あるいは農林業や観光などの異業種と連携しながら、地域の活性化に資するような事業の立ち上げを支援するといったような取り組みを今後とも進めてまいりたいと考えているところでございます。

永岡分科員 どうもありがとうございます。

 今、資金繰りなどのお話もございましたけれども、それについて、ちょっとまたお伺いさせていただきたいと思います。

 地方におきましては、建設業者というのは本当に大変厳しい状況に直面しておりますけれども、当面の対策としては、今、審議官もお話しいただきましたように、この年度末の融資面、金融面での対策というのが本当に重要であると考えております。

 政府は、暮らしの安全を守るために景気対策に全力投球しているところでございますけれども、このために、既に補正予算において、中小零細企業の資金繰り、これを支援するために、現在は六百九十八業種、近く拡充されまして七百六十業種を対象といたしました緊急保証の制度やセーフティーネット貸し付けなど、総額三十兆円ほどの資金繰りの対策を講じていただくところでございますが、この制度は大変有効なものでございまして、地元でも本当に評価されております。

 けれども、一方では、この制度を利用するにつきまして、市町村から適格であるとの認定を受けて、またさらに、県の信用保証協会においても大丈夫と言われても、また、残念ながら銀行の方で融資が難しいです、そういうふうに言われてしまいまして大変がっかりしている、本当に困ったという声が少なからず聞こえてくるわけです。これは紛れもなく貸し渋りではないかと思うわけですけれども、一定の資格を得ました方には、この世界同時不況の中できっちり対応していただかなければ本当に大変なことになると思うわけでございます。

 民間調査会社が発表いたしました一月の全国企業の倒産状況によりますと、件数は、前年同月比一五・八%増の千三百六十件で、八カ月連続の増加となっております。一月としては、これは六年ぶりの高水準となっておりますし、建設業や不動産の倒産というのも高水準と伺っております。

 こういうような状況にありまして、資金繰りの対策というのは本当に重要でございますので、政府を挙げて対応すべきと考えておりますが、建設業、不動産の方の利用がこういうものは多いと伺っております。これらの業界の担当官庁でございます国土交通省としての金融対応ということについて、ちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

小澤政府参考人 建設業、不動産業を取り巻く状況は、非常に今厳しゅうございます。その中で、それぞれの企業が必要な資金を調達して経営基盤を強化していくということは、大変大事なことだと思っております。

 国土交通省といたしましては、建設業、不動産業に対しまして円滑な融資が行われますように、金融庁と緊密な連絡をとらせていただいております。また、先ほど委員御指摘ございました、中小企業庁が実施しておられます緊急保証制度におきましては、建設業、不動産業の全業種が対象業種に指定されておりますので、中小企業庁とも連携をしながら、その制度の活用について努めているところでございます。

 また、中小、中堅の建設企業につきましては、公共工事の請負代金を活用いたしまして、地域の金融機関から融資を受けることができるような融資制度を昨年十一月につくりまして、本年一月末までに五百件、百三億円の融資を得ているところでございます。

 こういったものを活用しながら、今後とも、年度末に向けまして建設業、不動産業の資金需要というのは一層高まると考えられますので、円滑な資金調達の支援に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

永岡分科員 どうぞよろしく、お取り組みをお願い申し上げます。

 では次に、工事の発注条件についてお伺いいたします。

 農業では、よく地産地消という言葉が使われます。地元でとれた農産物を地元の方に消費していただく、そういう取り組みがもう大分長いこと続いておりますが、この地産地消、本当に、地域の学校や福祉施設、病院などの給食、そして外食産業も、随分その地域の、地元の農産物を使っている。これは農業振興であり地域振興であるということで、取り組みはすばらしいものがあると思っております。

 建設業は、今言いましたように、地域の基幹産業でございますし、地域経済や雇用の面でも本当に大きな役割を担っております。近年は公共工事も本当に減少しておりますし、ところがどっこい、公共工事は地域にとってはそれでも命の綱ということでございます。本当に減ってしまった建設業者をめぐる環境は厳しいわけでございますが、その中で、地域の工事も地産地消、地域の業者が施工するのが本当は一番いいのではないかと私は考えております。地元の業者の方々も、また、それを本当に大きく期待しているわけでございます。

 入札の条件といたしましては、地域業者が優先できる方法、これができないものかなというふうに考えております。国の直轄事業はもちろん、地方公共団体の発注工事におきましても、事業規模また技術水準から見て、地元業者の能力では施工が困難という場合はありますが、普通の一般的な工事の場合は、地域振興、産業振興という観点からも地元優先ということを考えるのが今、一番重要なことではないのかと思いますので、そのお考え、ちょっとお聞かせいただければと思っております。

小澤政府参考人 地域の建設業といいますのは、御指摘ございましたように、基幹産業として雇用を支えるなど、その地域にとっては不可欠な存在だというふうに思っております。したがいまして、公共工事の発注におきましても、そういう地元企業の地域で果たしている役割が適切に評価されるように入札契約制度を構築していくことが大事だと考えておりまして、特に、地方公共団体の取り組みの促進が喫緊の課題だと思っております。

 私どもとしましては、経営事項審査におきまして、防災協定などを締結していただいているような社会性といったものを優遇すること、あるいは競争の資格審査が行われる際に発注者が評価点をつけますが、そういったところでも地域の雇用の社会性といったことを積極的に評価すること、あるいは入札参加条件で地域要件を適切に設定すること、あるいは総合評価方式で地域貢献や近隣の施工実績など、地域に精通している度合いを積極的に評価している、そういったような取り組みを進めておるところでございまして、こういったことを推進することにより、地域の企業の受注機会の確保といったことに努めてまいりたいと思っております。

永岡分科員 どうぞ、地域振興のためにも、地元の業者も一般入札ができるような方式でお願いしたいと思います。

 次に、工事の発注方法についてお伺いいたします。

 現在、工事を発注する場合、建物、設備、電気等、すべて一括発注になっているというのが一般的であると伺っております。この方法ですと、大企業はそれなりに対応ができます。けれども、中小企業の場合は、なかなかその対応が難しい面があるのではないかと思っております。

 一括発注が効率的にも経済的にも非常にすぐれているし、建物は建物、電気は電気、設備は設備というふうに分離発注でも、経済合理性に反しない限りは、それこそ地域の中小企業の方々の地域振興のためにもよろしいかと思います。この分離発注を進めるべきなのではないかと思っておりますが、それについて国土交通省のお考えを聞かせていただきます。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま中小建設業者に配慮した発注ということで、委員の方からございました。国土交通省におきましては、いわゆる官公需法に基づきまして、コスト縮減の要請あるいは市場における適切な競争性というものが確保される範囲内におきまして可能な限りの分離分割発注を進めるなど、中小あるいは中堅建設業者の受注機会の確保に最大限配慮しているところでございます。

 このため、平成二十年度におきましては、中小企業向け工事発注の契約目標を過去最高の五二%ということとし、その達成に向け、現在、鋭意努力しているところでございます。特に、本年度の一次、二次補正予算には、堤防強化などの防災対策、あるいは通学路の歩道整備といった交通安全対策など、地域の実情に精通した地元中小・中堅建設業者を対象とした工事が多く含まれているところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの発注に際しまして、地元建設業者の受注機会の確保に最大限配慮するとともに、補正予算の効果が速やかに地域の経済や雇用へ発揮されるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。

永岡分科員 どうもありがとうございました。

 大臣、もうあと一人です、頑張ってください。どうもありがとうございました。

葉梨主査代理 これにて永岡桂子君の質疑は終了いたしました。

    〔葉梨主査代理退席、主査着席〕

小島主査 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)分科員 近畿ブロック、自由民主党の近藤三津枝でございます。

 国民生活そして経済活動にいたしましても、海洋を含む日本の国土を舞台として、さまざまな営みがなされております。その舞台でありますインフラ、社会基盤がしっかりしていなければ、経済活動も環境政策もうまくまいりません。私は、日ごろは経済産業委員会そして環境委員会などで議員活動をしておりますが、このようなことから、政策別の予算を審議する予算委員会分科会では、この第八分科会で四回継続して質問をさせていただいております。今回もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、私が選出されております近畿ブロックの重要課題であります東南海・南海地震などに対する防災力の強化の一環であります広域防災拠点の整備につきましては、昨年、一昨年と二度、この分科会で取り上げさせていただきました。その中で、堺市の港湾、堺泉北港に、災害時の緊急物資の搬送などを目的とした広域防災拠点を二十年度に新規着工していただきました。国土交通省港湾局を中心として、現在鋭意整備が進められておりますこと、冒頭に感謝申し上げます。ありがとうございます。

 広域防災拠点を設置する考え方は、申すまでもなく、平成七年一月十七日に起こりました阪神・淡路大震災を教訓としております。首都圏を見ますと、川崎港の東扇島に、堺泉北港に当たります緊急物資用の拠点が既に整備されております。さらに、災害時に国、地方自治体が一体となった現地対策本部を設置できる場所、すなわち司令塔、ヘッドクオーター機能を持つ広域防災拠点につきましても、東京湾の有明地区に既に整備済みです。残念ながら、関西圏につきましては、広域的な災害を国、地方自治体が一体となって行います現地対策本部、ヘッドクオーター機能につきましては、その位置そして整備時期が定まっていないという状況でございます。

 中央防災会議からも発表されましたように、大阪直下型地震の被害想定は、東京直下地震を上回るものでございます。東南海・南海地震の発生も懸念されております。昨年の当分科会でも、内閣府からは、大阪の大手前合同庁舎付近と梅田北ヤードの二つの候補地に絞られ、そして引き続き内閣府としても整備に向けて検討をいただくと御答弁をいただいております。

 国がリーダーシップを持って課題に取り組むべきだと考えておりますが、昨年以降の検討を踏まえ、関西圏の大規模災害に対応できる司令塔機能の位置、整備手法及び今後の整備スケジュールの見通しについてお聞かせください。

大森政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、関西圏における基幹的広域防災拠点の整備につきましては、国、地方公共団体などから成ります京阪神都市圏広域防災拠点整備協議会におきまして具体的な検討が進められ、平成十九年の七月には、司令塔機能の候補地として、先ほど先生おっしゃられました大手前合同庁舎付近または梅田北ヤードというものを掲げたところでございます。

 現在、引き続き当該協議会などにおきまして具体の整備手法や整備スケジュールについて検討が行われているところでございます。具体的に申し上げますと、内閣府におきましては、現地対策本部の業務に必要となるスペースとか、また情報通信設備等について検討を行うとともに、大手前合同庁舎付近において、既存の国有資産を活用して用地取得費を抑えた効率的な整備を行うことなどにつきまして、関係者間で整備に向けて具体的な検討を進めているところでございます。

 今後とも、関係省庁や関係地方公共団体などと十分に調整を図りながら、整備の実現に向けてさらに検討を進めてまいりたいと思っております。

近藤(三)分科員 大阪府庁の移転問題など、大阪の土地活用に関しましてはまだ流動的な部分もありますが、引き続き国家プロジェクトとして前向きなお取り組みをお願い申し上げます。

 さて、堺泉北港の広域防災拠点につきましては、着実に事業の進捗を見ておると思っております。ですが、完成予定時期及び平常時と災害発生時の国、大阪府そして堺市などの役割分担についてどのようになっておるのか、お答えいただけますでしょうか。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 堺泉北港堺二区におきます基幹的広域防災拠点につきましては、京阪神都市圏におきます大規模地震発生時の災害対応力向上のため、平成二十年度から事業化されておりまして、平成二十二年度の完成に向けまして、現在、災害時に緊急物資の中継あるいは分配等の機能を発揮する緑地、また、耐震強化岸壁と緑地を結びます臨港道路の整備を進めているところでございます。

 完成後につきましては、平常時は通常の港湾緑地と同様で、港湾管理者であります大阪府によりまして管理されまして、堺市を初めとしました地域の皆様に広く御利用いただくということをしております。また、大規模災害が発生した場合には、緊急物資輸送でありますとかあるいは広域支援部隊の拠点といたしまして、一時的に国土交通大臣が管理するということになります。

 災害発生時の具体的な運用等につきましては、平成二十二年度の整備完了に向けまして、関係者と連携しつつ、詳細を詰めていくこととしています。

近藤(三)分科員 一日も早い完成を願っております。よろしくお願いいたします。

 次に、国土形成計画についてお伺いいたします。

 御案内のとおり、全国計画につきましては昨年七月四日に策定されまして、これに基づきまして、現在、全国八ブロックごとに広域地方計画が策定中でございます。私が選出されております近畿圏につきましても、広域地方計画の検討に向けて鋭意検討が進められております。

 広域地方計画は、全国一律ではなく、地域の特性を生かして、ブロックを一単位として欧州一国並みの経済圏をつくり、自立的に発展を目指していくことにポイントがあると考えております。そうした意味から、現在の近畿圏の広域地方計画の策定に当たりましては、近畿圏ならではの特色ある戦略を描く必要があると考えております。

 特に、私は、二府四県を中心とする近畿圏が、成長するアジアとダイレクトに結ばれていくことが大変必要であると思っております。この点で、太平洋側と日本海側を有機的に結ぶ道路ネットワーク、太平洋側、日本海側のバランスのとれた港湾整備、そして関西国際空港の機能の充実とアジアとの航空ネットワークの強化が必要と考えております。近畿圏の広域地方計画の策定に当たりましては、陸海空の総合的な交通ネットワークの形成について、これまでにない、ハード、ソフト一体となった戦略的な取り組みを位置づけていく必要があると思います。

 この点につきまして、近畿圏広域地方計画に位置づけられようとしております陸海空の交通ネットワーク整備に関する主要プロジェクトと、広域地方計画策定後のプロジェクトに対する政府の支援方策についてお答えいただけますでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生お話のございましたように、国土形成計画の全国計画、昨年七月四日に閣議決定をいたしました。これを受けまして、近畿圏でも八月には、関係の府県、経済団体、それから地域の国の各機関が入りました広域地方計画の協議会が設置をされまして、広域地方計画の策定作業を本格化させているところでございます。

 今お話がございましたように、この協議会では、近畿地域の特色、資源というものを生かして将来の展望を切り開いていくということで、さまざまなプロジェクトの検討が行われております。中では、特に近畿については、歴史、伝統を生かして本物を育てるような文化首都圏のプロジェクトをつくっていくとか、あるいは、次世代をリードするような産業を創造するために、人材を集め、そして育てるような知の拠点プロジェクトというようなものも挙がっているところでございます。

 こういった各プロジェクト、今十一検討されておりますが、その中でも、陸海空の交通のネットワークの整備というのは非常に大事だということで、各プロジェクトの中でも必要な事業の検討が行われているわけでございますが、とりわけ、この十一本の中では、アジアのゲートウエーを担う物流機能を強化するというものも地域戦略の一つとして挙がっておりまして、お話がございましたような関西国際空港の最大限の活用でありますとか、阪神港等の国際的な港湾機能を向上させていくでありますとか、さらには、ゲートウエーと物流、生産拠点を結ぶ基幹ネットワークをどうつくっていくのかといったような中身が議論されているところでございまして、引き続き、私どもも参画をいたしまして、地域の皆さんと一緒に充実した計画の策定に努力をしていきたいと思っております。

 また、この計画に具体的に位置づけをされましたプロジェクトにつきましては、プロジェクトの熟度を上げていくということで支援を行っていきますとともに、事業の具体化に向けては関係各省とも連携をして取り組んでまいりたい、このように考えております。

近藤(三)分科員 ぜひ、これまでにはない、未来に夢の持てるプロジェクトにしていただきたいと思います。

 さて、今のお答えの中にもありました近畿圏の広域地方計画協議会の会長は、以前国土審議会の会長でありました関西広域機構の秋山会長です。関西広域機構は、関西の府県、政令都市及び経済団体などが、ともに関西圏の自立的発展に向け考え、行動することを目的として活動しております。さらに、関西広域機構は、来年度には、地方自治法に基づく関西広域連合として、地方分権の受け皿を目指しております。

 今後、近畿圏の広域地方計画が策定され、十年後を見据えた近畿圏の広域的な将来像を具体的な形としていくためには、関西広域機構との連携が不可欠と考えております。

 そこで、近畿圏の広域地方計画の実現に向けた今後の関西広域機構との連携のあり方についてお伺いいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員お話がございましたように、計画の協議会につきましては関西広域機構の会長にお願いをいたしておりまして、そこでは、近畿圏の広域地方計画のあり方、そして近畿の将来像につきまして議論のリードをいただいておりまして、私どもも、常に関西広域機構といろいろ意見交換をしながら、具体的な事業のあり方についての検討を行っているところでございます。

 今後とも、この計画の策定に当たっては、当然この機構、それから機構を通じて、あるいは機構と一緒になって、経済団体でありますとか地元の意見というものを十分吸い上げて計画の策定に当たり、さらにその具体化、その中身を実現していくということについては取り組んでまいりたいと考えております。

 来年度予算におきましては、計画に盛り込まれた事業というものの熟度を上げていくための調査費等も用意をいたしておりますが、そういった調査を行うに当たりましても、こういった機構等の意見も聞いて、一体となって取り組んでいくように努力をしてまいりたいと思っております。

近藤(三)分科員 引き続き関西広域機構との綿密な連携をよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨年、この第八分科会におきまして、二百年住宅についても質問させていただきました。その後、長期優良住宅普及促進法が昨年十一月に成立しました。これは、自治体が、分譲事業者が提出した新築住宅の計画をもとに、住宅の構造や設備が長期間の使用にたえられると認定した場合には、建設費が従来の住宅に比べ二割程度高くなることから、固定資産税などに優遇措置や、今回の住宅ローン減税の優遇策が講じられようとしております。

 もちろん、住宅投資を促すためにも、長期間の耐久性がある新築住宅を政策的に誘導していくことは大変重要なことだと考えております。しかし一方で、既存の住宅をバリアフリー化などのリフォームに合わせて長期の耐久性を有する構造に改築する場合におきましても、資源循環型社会としていくために長期優良住宅普及促進法の制度が活用できるよう検討を進めるべきだと私は考えております。

 この点について、国土交通省の見解を伺います。

和泉政府参考人 今委員御指摘のとおり、長期優良住宅、この本来の目的は、住宅に関して資源循環型社会をつくる、それを通じて環境に対して負荷の軽減とか消費者の負担の軽減を図るということが目的でございますので、おっしゃるとおり、ストックの有効活用は非常に大事なところでございます。

 したがって、制度的には新築のみならず増改築も対象になるのでございますが、今回は新築からスタートする。その原因でございますが、既存住宅の性能とか増改築後の性能を客観的に評価して、長期優良住宅であるかどうかというようなことを判断する技術的な知見あるいは実績、体制、これが十分でないものですから、新築からスタートするということでございますが、なるべく早くそういった技術的知見についての蓄積を含めて、増改築を含めて認定できるように頑張ってまいりたいと思っております。

近藤(三)分科員 ぜひ、リフォームに当たりましても長期優良住宅の精神が反映されますことをお願い申し上げます。

 二百年住宅政策の推進などによりまして、我が国の住宅をヨーロッパのように次世代につなげていくことができる本格的な資産としていくことが必要だと考えております。その点では、法隆寺を最古とする古来からの木造建築物の技術の継承が重要です。

 私は、議員になる以前は、関西を中心にジャーナリスト活動をしておりました。その中で、薬師寺の金堂の再興などに当たられました西岡常一棟梁から多くのことを学ばせていただきました一人です。

 西岡棟梁はいろいろなことをおっしゃいましたが、今でも心に残っている言葉が幾つかあります。その中の一つに、木と話し千年先を見通す力が必要だ、こんな言葉をおっしゃっていたのを今も覚えております。昨年は西岡棟梁生誕百年であり、改めて西岡棟梁の口伝、すなわち言づての重みを関係者と分かち合いました。

 そのような中、薬師寺東塔、すなわち薬師寺で現存する木造建築物の中で最も古い三重の塔がことしから調査、解体そして修復されると聞いております。

 七三〇年に建立されたと言われる薬師寺東塔の解体修復は、薬師寺、文化庁そして奈良県が連携して行うと聞いておりますが、今回の解体修復に当たり、どのような調査検討委員会などをつくられ、これから千年に受け継ぐことができる修復をしようとしておられるのか、文化庁にお伺いいたします。

高杉政府参考人 今先生御指摘のとおり、薬師寺東塔、我が国最古の三重の塔の一つでございます。奈良時代を代表する建造物として、国宝に指定をされているということでございます。

 薬師寺の東塔につきましては、明治三十一年に大規模な修理が行われ、以降、もう百年たっております。そして、柱などの腐朽が進み、また破損が見られるということから、所有者であります薬師寺として、今度解体修理をしようということを計画いたしまして、私ども文化庁としても、平成二十一年度からこの事業に対する国庫補助を行うということを予定しておるところでございます。

 このような重要な建物、こういうものの大規模な修理活動を行うに当たりましては、文化財所有者が、文化財の建造物の修理とか、それから建築史、美術史、建築構造等を専門とする学識経験者等による修理検討委員会というのを設置するのが通例でございます。そして、その修理方針を決定するために助言を得て、修理を進めていくということになります。

 この薬師寺東塔の修理、これに当たりましては、所有者であります薬師寺において、今後この修理検討委員会、これを設置する方向で現在作業を進めておるということを聞いております。

 私ども文化庁といたしましても、この当該委員会において適切な検討が行われまして、保存修理事業にそれが生かされていくよう、今後とも指導助言をしてまいりたいと思っております。

近藤(三)分科員 ぜひこれまで薬師寺の金堂それから西塔の再興にかかわってこられた方々の参加を得て、また、解体に当たっての調査の状況、そして新しい建築方法についての発見などもあるはずです、国民や薬師寺を参拝される方々に伝える努力をぜひしていただきたいと思います。

 すなわち、何が言いたいかと申しますと、薬師寺東塔プロジェクトの見える化をぜひお願い申し上げたい。調査が終了し、解体修復方法が決まりますと、工事の発注になると思います。事は、次の千年を見通した、たくみの技術を生かした修復をしなければならない。

 今後文化庁では、国宝薬師寺東塔の解体修復について、文化庁、薬師寺、奈良県などがどのような費用負担のもと、次の千年を視野に置いたプロジェクトにふさわしい、たくみの技術を生かした工事発注を行おうとしておられるのか、御説明ください。

高杉政府参考人 今先生御指摘のとおり、国宝、重要文化財の建造物につきまして、その修理に多額の費用を要するというような場合、その国宝、重要文化財の所有者がその負担にたえないという場合につきましては、私どもでその事業の経費について補助をするという制度を設けております。

 この補助金、これは事業規模と所有者の財政状況にもよりますけれども、事業費の五〇%から最大八五%、これを国が補助しております。通常、これに加えまして、県とか市町村、そこにおきましても補助を行い、所有者の負担を軽減するという場合が多うございます。

 現実に、奈良県、奈良市におきましても、そういう制度を持っておるということでございまして、この薬師寺東塔の修理につきましては、国それから奈良県、奈良市、所有者、この四者が一体となって協力して進めていくものになっていくのではないかと思っております。

 具体的に申しますと、薬師寺の東塔、これは薬師寺の今持っております計画によりますと、総額二十一億円ほどかかりまして、平成二十一年度から三十年までの十年間で実施をするという計画であるというように承知しております。

 具体的な補助金額とかその補助割合というのは、今後正式な補助金の申請を受けたその後に出てくるというものでございますけれども、平成二十一年度の政府予算案におきましては、この薬師寺の事業が、二十一年度は、まず調査用の足場を組んで建物を実測してはかっていく、そして破損状況を調べるというようなことで、おおよそ一億一千万ほどの事業があるのではないかと見込まれております。それに対しまして、私ども、現在、国庫補助として約七千万円というのを計上しておるということでございます。

 また、先生先ほどもおっしゃいましたように、やはり文化財、こういうものを修理するということは極めて専門的なものでございまして、その知識とか工事の質というのを確保するということは大事なことでございます。

 特に奈良県におきましては、国宝、重要文化財の件数が多いということから、専門の大工それから文化財の修理技能者というのを県の職員として実は雇用しております。そして、所有者の委託を受けて、奈良県みずからが工事を受託して行うという体制がとられておると承知しております。今回の事業についても同様な形で行われると思っております。

 私ども文化庁といたしましても、これからやはり、薬師寺、貴重な文化財でございます、今後とも適正な保存修理が行われるよう、指導助言に努めてまいりたいと思っております。

近藤(三)分科員 公共工事につきましては、品質確保の促進に関する法律に基づき、従来の価格だけではなく、品質を確保していくための技術力なども評価し、工事の施工者を決めていると聞いております。文化財の修復に当たりましても、たくみの技術の粋を生かした、千年先に禍根を残さない工事施工となりますように、どうぞ御配慮いただきますようお願い申し上げます。

 さて、本日取り上げました薬師寺東塔の修復は、文化庁の事業でございます。歴史的町並みの保存、再生、平城京遷都千三百年プロジェクトにも対応されているのは国土交通省です。

 宮大工を初め、伝統的な木造建築技術を継承してきた方々が減っております。そして、高齢化が進んでおります。もちろん、二百年住宅のように、これから二百年を見通した、長期に利用できる建築物をふやしていくことは大切ですが、一方で、既存の木造建築物の修復、再興を担うたくみの技術集団を絶やしてはならないと痛切に感じております。美しい白川郷の合掌づくりも京都などの町並みなどのたたずまいも、やはりきっちりとたくみの技術が継承されていればこそ次の世代に引き継ぐことができるんだと思っております。

 国土交通省が認定したたくみの技術者を、例えばの話、国家公務員としてはどうか。安定した技術継承環境を整えて、全国各地に、町並み保存プロジェクトに派遣する、このようなことも考えられるのではないかと思っております。

 最後に、金子国土交通大臣から、たくみの技術の継承に向け、国土交通行政としての今後の取り組みの可能性について、御所見をお伺いさせていただきたいと存じます。

金子国務大臣 近藤委員から大変貴重なアドバイスをいただきました。奈良県がそういうたくみの技術者たちを県の職員で雇って、やっているというのは、私、文化庁から今御質疑の中で初めて伺いましたけれども、一つの行き方だなと。

 私の地元の大工さんが京都の桂離宮に行きたがるんですよ、見せてくれと。何しに行くんだと言いましたら、あの技術を見るとわかると言うんですよ。宮大工、私は飛騨高山なんですけれども、やはり昔からそういう大工さんたちがいるんですね。そういう人たちがやはりそういう昔からのものを見て学びたいと。

 全建総連という大工さんのグループがあるんですが、会館を建てたんです、自分たちで。自分たちの会館ですね。そうしましたら、私のところへ来て、建築に関する本を寄贈してくれと言うんですよ。私は政治家だから寄贈できないけれども、国交省に頼みまして、建築に関するいろいろな技術の本、昔は大工も棟梁からこうやって手習いで教わっていたんですけれども、今は若い人たちがそういう本で新たに勉強するといったようなことも結構やっておられるんです。

 それだけに、話が長くなりましたけれども、今委員御指摘のように、歴史的な町並みの保存、再生等々ができる技術の継承をしてもらえるように、人材の育成というのは極めて大事なことであると思っております。

 これまでも、木造軸組みの担い手であります大工技能者の育成ですとか、伝統的な技術の継承、向上のための研修ですとか、伝統的木造住宅を建てやすい環境の整備、あるいは地域の町並み景観の保存、形成に向けた活動あるいは整備等への支援を進めてまいっておりますけれども、今御提案をいただきましたようなものも含めて、さらに前に進められるように取り組んでまいりたいと思っております。

近藤(三)分科員 大臣、お心のこもった御答弁、本当にありがとうございます。

 ぜひ、伝統的な技術の継承を国土交通行政の一つの柱としていただくことを願いまして、私の質疑を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。

小島主査 これにて近藤三津枝君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十日金曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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