衆議院

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第1号 平成22年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十二年二月二十三日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      打越あかし君    古賀 一成君

      畑  浩治君    若泉 征三君

      大口 善徳君

二月二十四日

 古賀一成君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年二月二十五日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 古賀 一成君

      石原洋三郎君    打越あかし君

      金森  正君    白石 洋一君

      玉木雄一郎君    野田 国義君

      畑  浩治君    若泉 征三君

      大口 善徳君

   兼務 森本 和義君 兼務 佐々木憲昭君

   兼務 柿澤 未途君

    …………………………………

   国土交通大臣       前原 誠司君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  本田  勝君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     白石 洋一君

  畑  浩治君     野田 国義君

  大口 善徳君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  白石 洋一君     金森  正君

  野田 国義君     石原洋三郎君

  稲津  久君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     玉木雄一郎君

  金森  正君     打越あかし君

  古屋 範子君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  玉木雄一郎君     畑  浩治君

  稲津  久君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  赤松 正雄君     大口 善徳君

同日

 第二分科員柿澤未途君、第六分科員森本和義君及び佐々木憲昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

古賀主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。前原国土交通大臣。

前原国務大臣 おはようございます。

 国土交通省関係の平成二十二年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算につきましては、所要の国土交通省関係予算を計上し、その歳出予算額は五兆五千八百四十七億円です。

 また、社会資本整備事業特別会計、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画については、当省関係の独立行政法人等分として二兆四千五百二十九億円を予定しております。

 現在、我が国は、急速な人口減少、少子高齢化及び長期債務の累積といった不安要因を抱えております。このような状況を踏まえ、平成二十二年度の国土交通省予算におきましては、既存予算を抜本的に見直し、施策の大転換を図るとともに、事業の効果や妥当性等を十分に吟味しつつ、マニフェストの実現など重要施策を推進するための予算を重点的に計上しております。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようにお願い申し上げます。

古賀主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま前原国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古賀主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が極めて限られておりますので、答弁は簡潔かつ明瞭にお願いをいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白石洋一君。

白石分科員 愛媛三区の白石洋一です。生まれて初めて質問させていただきます。どうかよろしくお願いします。

 前原大臣、昨年、国土交通委員会での予算に臨む所信、そして、ことしの新年のごあいさつにおいても、国土交通省の成長戦略として、第一に、海洋国家としての復権を果たす、こう力強くおっしゃって、決意を述べられております。私、本当にうれしく思います。

 と申しますのは、この海洋国家のゆえんであります造船そして海運、これは、私の非常に身近な、あたかも私のことのような産業であります。私の父親は海運業でありまして、商船学校を出て、そして機関士としてマグロ漁船に乗って、マグロ漁船は一回行ったらなかなか帰ってこない。太平洋に出ていたときに私が生まれて、そこから私の名前の洋一の「洋」がついたわけであります。その後、私は今治で育ちました。今治は、皆さん御存じのとおり、造船の町であります。まさに造船と海運というのは、私のことのような産業であります。

 その産業でありますが、心配なことがあります。

 この記事は、今月、二月十二日、地元新聞に大きく出た記事なんですけれども、「中国 造船受注量一位」、二〇〇九年は韓国を抜きシェア六割、日本と大差ということになっています。中国は六割、そして韓国は三五%、日本は何とたった二・一%なんですね。中国は、二〇〇六年に始まった五カ年計画で造船業の振興を打ち出し、上海市近郊に世界最大級の造船基地を建設するなど、大規模造船所を整備しているということであります。二〇〇九年というのは、世界の受注量というのは非常に落ちておりますから、その中で、価格競争の中で低いものをとるのはどうかというふうな意見もありますが、やはり甘く見てはいけないんだと私は思うんですね。

 そこで、この来年度予算でも、海事局関係予算として、三番目に、海洋環境イニシアチブとして、造船業の国際競争力強化、海上運送効率化のために革新的な船舶の省エネ技術の研究開発を助成するというのがあります。

 これも大事なんですけれども、私の地元の海運業、特にそのトップランナーの話を聞くと、やはり従来的なインフラ整備も大事なんだ、こう申すわけであります。水深二十メーター級の造船をするところで、今、防波堤があるのは当たり前。私の地元東予港ではそれがないんです。

 そこでお伺いすることになるんですけれども、インフラ整備事業採択で重視しておられますこのBバイC、費用便益比というものでございますけれども、この費用便益比、BバイCというのは国土交通省としてどのように定義されていますでしょうか。お願いします。

長安大臣政務官 白石先生にお答えいたします。

 私も大学時代から、私は造船学科におりましたので、造船業界に対してはある意味親しみを持っております。造詣が深いというほど知識はございませんけれども。そういった中で、先生が今治、東予港などの港湾に対して関心をお持ちであるということは理解しております。

 そういう中で、BバイC、これはやはり、国が公共事業を行っていく中で費用対便益というものをしっかりと見きわめて予算を執行していこうという考えに基づいてやっているわけであります。このB、これはよく言われますベネフィット、つまり便益がどれだけあるのか、一方でCの方は、どれだけのコストがかかるのか、この比率を見ることによって費用対効果というものを見きわめて、事業の優先順位というものを定めていこうという考えに基づいて、このBバイCを設けているわけでございます。

白石分科員 ありがとうございます。

 そのBというのは、やはり確実性というのが大事ではないかと思うんですね。つまり、私は金融の世界におりました。将来のキャッシュフローはどれだけ確かなのかということがまた一つ加味されるべきじゃないかなと思うんですね。

 この東予港の事業については、防波堤事業で、そして港湾で実際に事業しているというところで、非常に確度が高いと思うんです。ほかのBバイCのBの計算というのは、表現はあれですけれども、非常に雲をつかむような話であるのに対して、ここの事業というのは、実際にそこで事業をしていて、主体がもうはっきりとしていて、そしてここの防波堤、荒天時、波が荒れているときに対策を打たないといけない、それが省かれる費用。そして、損害が発生します、その損害を修復する費用、これが免れる。さらに、波が静かなことによる輸送コストの削減や稼働日数の向上、大体二週間ぐらいは向上するんですね。こういったことで、非常にかたい。かたいキャッシュフローというのは割引率というのは低利でいいんです。不確かなものというのは割引率が高い。そういったことも加味していただきたい。

 この東予港については、平成十五年、台風に被災して岸壁が壊れ、六千万円の補修費がかかっております。そして、ここの事業者は、それだけじゃない、その損害だけじゃなくて、これをもって非常に信用が失墜した、なくしたと言っております。ここに防波堤ができなければ、経営資源のほかの拠点へのシフトもあり得ると言っております。

 次に、そのBバイCのCの方でありますが、このC、コストの方は、ここはパブリック・プライベート・パートナーシップ、つまり、公共と、そこで受益を受ける主体が費用を折半するというやり方で進めようというふうにしております。そうであれば、このBバイCのCの方は、これは税金を投入するかどうかの物差しであるという政務官のお話ですから、であれば、そのCというのは、計算上、半分にしてもいいんじゃないか。公式の計算方式は変えないにしても、やはり我々は、採択のときに、Cは、実際の公費というのは二分の一でいいということも加味すべきではないかと思うんです。

 国直轄でのそういったプライベート・パートナーシップというのは、エネルギー港湾、鉄鋼港湾というのはもうできております。ぜひ造船港湾にしても第一号を推進していただきたいと思うんですが、そのパブリック・プライベート・パートナーシップ、この全体の制度の推進についてのお考えをお伺いしたいです。

長安大臣政務官 白石委員のまさに御指摘のとおりでございます。

 少子高齢化、人口減少、さらには莫大な借金を国が負っているというような状況にある中で、いかに民間の技術あるいは民間の資金というものを取り込んで今後公共事業に充てていくかということは、重要な観点だと思います。

 そういう意味で、国土交通省としても、これは大臣のかけ声のもとでありますけれども、PPPの取り組みということを今、国土交通省の成長戦略会議、さらには内閣府とも連携しながら議論を進めているところでございます。

 一方で、港湾のお話を申し上げますと、一般的には、係留施設、防波堤、航路、泊地、こういった主要な港湾施設というのは、国、港湾管理者であります地方公共団体が整備を行っております。

 そういった中で、今先生から御指摘のございました電力、石油、鉄鋼業等のエネルギー、鉄鋼関連産業の港湾施設については、我が国産業の国際競争力強化の観点から、受益者に一定の負担をいただいて、国と港湾管理者が整備費用を負担しつつ整備を行っておるわけでございます。これは、企業合理化促進法に基づいて行われている制度でございます。

 そういう中にあって、今お話のございました造船という業界は、この中に現状では含まれていないのが現実でございます。そういった中で、今お話のありましたPPPという取り組みでさまざまなインフラ整備をしていかなければならないという意味では、これから、事業内容、事業効果というものもしっかりお聞きして精査した上で、具体的な整備方法については検討してまいりたいと考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 次に、二番目として、今後の港湾政策についてお伺いしたいと思います。

 国土交通省は、直轄港湾整備事業の選択と集中を図るため、全国の百三港から重点港湾、仮称を約四十港選定し、新規の直轄港湾整備事業の着手対象を原則これに限る、これをもって平成二十三年度以降の予算に反映させるというふうにしております。

 それで、質問なんですけれども、であるならば、来年度、二十二年度の港湾事業の採択、特に新規事業についてはどのような予算策定をされておりますでしょうか。お願いします。

前原国務大臣 今委員からお話がございましたように、全国の重要港湾、今百三港ございますけれども、財政赤字、そして少子高齢化、また人口減少という制約要因の中で、公共投資額を抑制していかなくてはいけない、また、選択と集中をやらなければ、すべて総花的な予算をつけるということでは日本全体の競争力強化にならないということで、絞り込みをさせていただくということにしております。

 平成二十二年度におきましては、港湾整備事業の新規事業は行わない、こういうことにしております。

白石分科員 ありがとうございます。わかりました。

 それで、二十二年度というのは新規事業がない、このことは、我々愛媛県連としても非常に東予港の新規事業というのを願っておりまして、どうしてないんだということについてのお答えをいただいたと思います。これを踏まえるならば、我々としては、二十三年度以降、ぜひ重点港湾に選ばれて整備を進めるというふうに考えを向けなければなりません。

 そこで、評価項目、選定基準の策定について、取扱量と拠点性が大事であるというふうに書かれております。そして、具体的な物差し、取扱量と拠点性、特に拠点性についてはこれからだというお話でありますが、ぜひ今後の潜在力、潜在成長力というのを加味していただきたいなと思うんです。

 その港湾の後背地に多様な産業を控えていること、そして、旅客を取り扱うということだけではなくて、農業地帯を控えて、農産物の積み出し、輸出というこれからの国家戦略上の重要性、そしてそれに沿った地域の潜在力がある、こういったことをぜひ視野に入れて選定をしていくべきだと思いますけれども、その辺、お願いします。

前原国務大臣 白石委員の御地元の東予港については、現状においては、平成十九年でありますけれども、百三港のうち二十六番目ということであります。もちろん、その大事なポイントというのは、現在の貨物の取扱量というのが一つの大きな基準になりますし、また、委員が御指摘をされた、その背後の、どういった潜在力があるかということももちろん加味をさせていただきたいと思っております。

 また、我々としては、港湾の運営の仕方、先ほど委員から御指摘のありましたPPPをやって港の整備をしていきたい、こういうような民の力を使った取り組みというのは大変重要だと思っておりますので、そういったさまざまな創意工夫、いわばこれからの伸び代ですね、こういったものもしっかりと勘案する中で重点港湾の選定を進めていきたい、このように考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

 そして、この港湾政策の中で、これは私、ちょっと問題提起をさせていただきたいんですけれども、港湾運送事業法による指定港湾制度です。

 これは、主要な港というのはほぼ指定港湾になっているということなんですけれども、私の地元で、一つ、それが外れているところがあるんですね。どうしてそうなのかということ、これは、賛否の側から非常に私の方にお願いが入ってくるんです。

 そもそもこの港湾運送事業法というのは、制定が一九五一年、戦後直後であります。そこから社会環境とか経済環境はもう異なってきておるので、私は、これを見直して、日本の港湾運送を国際競争力があるものにするための法律にすべきじゃないかなと思うんです。

 現在の港湾運送事業法によって指定港湾になったら、貨物一トン当たり最大十五円の分担金が徴収され、年間一千万トン取り扱いの国内六十位程度の中規模の港の場合でも、最大で一億五千万円程度取られてしまう。この負担を荷主企業が負う計算になるんですね。加えて、タリフ制度があったりして非常に硬直的であるということ。

 当初は、港湾の秩序維持、悪質事業者を排除する、あるいは、港湾労働者の福利厚生、非常に劣悪な環境で働かされていた、そういった福利厚生を向上すると意図しておりましたが、今や港湾労働者というのはリフトとかクレーンを熟練して運転する、もう昔とは変わった形になっているんですね。企業もその熟練運転手の福利厚生に企業努力で努めているという中で、この指定港制度というのは日本の港湾事業のむしろ足かせになってきているところがあるんじゃないかなと思いますので、ぜひこれの見直し、日本の港湾運送事業の国際競争力、例えば隣の韓国であるとか中国と比べてどうかというような観点も入れて見直していただきたいなという問題提起をさせていただきます。

 これはそのまま述べさせていただきまして、次の質問でございます。

 高速道路の無料化についてでございます。私ども愛媛、そして大きく四国は、高速道路料金による地方活性化効果というのをこの無料化政策によって発揮できるものと大いに期待しております。例えば四国というのは、本州とのつながりということを九州と比較したら、九州は関門トンネル、四キロですけれども、普通車で百五十円です。ところが、四国の場合は、しまなみ海道で、尾道と今治、五十九キロはありますけれども、四千七百円と非常に高いということであります。加えて、四国には新幹線はありませんし、計画すらないんですね。

 そういった中で、やはり高速道路を無料化する、あるいは、そうならないまでも大幅な低額化、上限料金制ということも報道に出ていますけれども、いずれにしても、そういったことで、上にキャップをつけて、四国は、東京と比べて、例えば静岡、大阪と高速道路料金については同じであるというふうにする、もちろん時間とかガソリン代はかかりますけれども。やはり上限を決める、あるいは無料にすることによってハンディキャップを取り除く。不利な条件を均等にする方向でこの政策を実行するということは非常にいいことだと思っております。

 一方、JR、高速バス、さらに、島ですからフェリー、この辺への支援策というのを、来年度実行される社会実験と同時に考えていく必要がどうしてもあるんじゃないかなと思うわけであります。その支援策としては、では、どういう支援金にするのか。あるいは、そういう支援金、お金じゃないにしても、無料化の本格的な実行後、トラックとか公共交通、高速バスですね、これらを優遇する、先行実施するとか、こういったことをぜひ同時に考えていただきたい。

 そして、その社会実験のデータ、ETCだとか、あるいはETCがない人も、これはデータとしてあると思いますので、ぜひこれを公開して、そのデータをもとに皆でよい支援策を考えるということが必要だと思います。そして、それでよい料金体系。

 やはり地方活性化ということがこの政策の目的の一つでありますから、弱いところには厚くということもぜひ考えていただきたいんですけれども、現時点での二十三年度以降の本格無料化への見通しについてお伺いしたいと思います。

長安大臣政務官 まず、今、高速道路の料金制度というのは非常に複雑になっております。御存じのように、地域によって高い、トンネルなどというのは便益が高いという理由で特別な料金が上乗せされていたりというようなこともございます。またさらには、さまざまな割引制度が導入されております。大口・多頻度であったり、時間帯割引であったりというような制度もあります。またさらには、休日、土日祝日千円乗り放題というような制度もあって、果たしてここからここまで行くのに幾らかかるのかというのが明確でないという点がございます。また、今言いました千円乗り放題はETC限定でございます。そういった不公平感もあると私は認識しております。

 こういったさまざまな検討課題というものを整理した上で、国民の皆さんの幅広い意見をお伺いしながら、新たな料金割引制度というものを検討してまいりたいと考えております。

 さらに、今回、平成二十二年度の高速道路の無料化の区間というものを発表させていただいております。これはあくまでも社会実験でございます。この社会実験を行うことによって、地域経済への効果、また、渋滞や環境への影響、他の交通機関への影響というものをしっかりと検証していかなければならないと思っております。

 地域間の活発な交流を促す、さらには地域経済を支えるという意味でこの無料化というのは重要ではございますけれども、社会実験をしっかりと踏まえ、国民の皆さんの理解を得ながら、段階的に進めてまいらなければならないと思っております。

白石分科員 ありがとうございます。

 いろいろな影響はあるんですけれども、やはり基本は、無料化あるいは大幅な低額化によって地域を活性化させるんだ、この大局的な目的を見失わないように進めていただければと思います。

 最後に、この高速道路の無料化に伴って、やはりサービスエリアを有効利用したいというふうに思います。今でも、千円乗り放題で、例えば四国の外から観光客が来る。観光客は目的地があるんですけれども、私のところなんかは大体通り過ぎていくんですね。でも、サービスエリアが魅力的なところは必ず寄ります。

 そこで生もの、地産地消のものを地産外商にしたいというふうに思うならば、ここの生もの、いろいろな野菜だとか果物とか、私の地元は果物のテーマパークと言われる背後地があるんですね。こういったものを売っていきたい。行きしは買えない、一泊してまた戻るときに腐ってしまうから。だから、帰るときにまた立ち寄りたい。そういったときに、道ですから、私のところでいえば、下りで道後温泉に行っても、上りでまた寄ったら、橋でその店に行けるという、橋を使って、もっと利便性を高めて、しっかりと地産外商をしてもらう。そして、売り上げに対するいわゆる上納金、その割合ももっと低くしていただきたいなと思います。

 以上でございます。

 少し時間は余りましたけれども、これにて終わりたいと思います。

古賀主査 いいですか、答弁は。

白石分科員 では、その辺の答弁をお願いします。

前原国務大臣 貴重な御提言、ありがとうございます。

 高速道路会社がサービスエリア、パーキングエリアについては管理をしておりますので、今委員がおっしゃったようなさまざまな取り組みをしているところもたくさんございます。そういう意味では、つないでというようなお話がございましたけれども、そういった委員からの御提案があったということについては高速道路会社にも伝えて、できるだけ活性化をする中で、地産地消のみならず地産外商ですか、そういったものが進んでいくように我々もバックアップをしていきたい、このように考えております。

白石分科員 ありがとうございます。

古賀主査 これにて白石洋一君の質疑は終了いたしました。時間厳守、ありがとうございました。

 次に、野田国義君。

野田(国)分科員 おはようございます。福岡の野田国義です。

 国土交通省前原大臣を初め皆様方におかれましては、国家国民のために日夜御尽力をいただいておりますことに対しまして、心から敬意と感謝を表したいと思います。そしてまた、きょうは一成先生が目の前でございます。

 きょうは福岡七区の公共工事について、御案内のとおり、ある意味では全国で一番注目された選挙区かなと。それは、私が有名ということじゃなくて、相手の方が有名であったということであろうと思います。そういう意味におきまして、福岡七区の公共事業をどう仕分けしていくかというようなことで、私は今、地元をずっと回らせていただいておる、活動させていただいておるということでございますので、よろしくお願いをしたいと思っております。

 まず、大臣に御質問させていただきたいと思いますが、今回、政権交代をいたしました。そして、どういう考え方のもとに新予算を組まれたかということをお話しいただけたらと思います。

前原国務大臣 野田委員にお答えをいたします。

 今回、政権交代がありまして初めての予算案でございましたけれども、二〇〇四年をピークに日本の人口は減っていっております。そして、現在は、六十五歳以上の人口比率は二二%ぐらいでございますけれども、これからどんどんどんどんそれがふえていって、二〇五〇年には四〇%ぐらいにまで上がっていくのではないかと言われておりますし、また、生産年齢人口が少子化によって減っていく。また、現在GDPの一・七倍ほどの長期債務を抱えているという中で、今までどおりの税金の使い道ではこの国というのはもたないだろうと、これは我々民主党の議員を含めて選挙でお訴えをし、国民の共感を得て政権交代が実現をしたと思っております。

 ですから、それを前提として予算を組み替えていくといいますか、税金の使い道を変えていくということが、我々鳩山内閣に求められた大方針だと思っております。それの代表的な事例というのが、コンクリートから人へという言葉にあらわれているんだと思います。公共事業は減らさせていただきましたが、子ども手当、それから農業の所得補償、そして高校の無償化、あるいは地方交付税の増額といった形で、税金の使い道を変えたということでございます。

 ただ、必要な公共事業はやっていかなくてはなりませんので、透明性、客観性を高めて、集中と選択ということを一つのテーマにし、真に必要な公共事業についてはしっかりとこれからもやっていくということで、事業の選択というものを民主党政権ではしっかりとやらせていただきたい、このように考えているところでございます。

野田(国)分科員 どうもありがとうございました。

 私も、今回衆議院の方に出馬を決断したのも、今まさしく前原大臣がおっしゃったことなんです。

 御承知のとおり、私も、十六年間、四期、市長を地方の方でやらせていただきました。そういう中で、本当に地方は乾いたぞうきんを絞るかのように努力をしてまいりました。そして、私は、リーダーの条件としては、いわゆる憎まれ役をいかにできるかということ、これは非常に大切なことじゃないかなということで、本当にみんなで痛みを伴いましょう、そういう改革をやってきたつもりであります。しかしながら、国の方においては公共工事一辺倒の事業が行われるということに、私も深い疑問を持ったということでございます。

 それで、私は、その十六年間の経験でしか物は言えないのかもわかりませんけれども、地方という観点から少し述べさせていただきますと、公共工事、約一五%ですか、マイナスということでございます。しかし、私が市長になった後、小渕内閣あたりだったと思いますけれども、バブルがはじけて、経済対策だ、経済対策だということで非常に公共工事が行われました。現に私のところにも、省庁やあるいは県から、事業をしてくれないか、そういう依頼もあったということでありました。しかしながら、私は、やはり財政再建をしていかなくては、未来の子供たちにツケを残すことはできない、ですから我慢してくださいと、説明責任を果たしながらやってきたつもりであります。

 ケインズ理論というんでしょうか、公共工事をふやせば経済がよくなる、経済対策になるという理論、私はちょっと外れたと思うんですね。決してよくならなかった。地方も疲弊の一途をたどっていったということでありますので、私は、今こそ、今大臣がおっしゃったようなパラダイムシフトをしっかりした中で、これからの国のあり方、あるいは地方のあり方をどうしていくかということを考えるべきではなかろうかと思っておるところでございます。

 そして、今も論議をやっておりましたけれども、マニフェストのことでありますが、私もローカルマニフェストということで北川先生なんかと一緒にいろいろやらせてもらいましたけれども、マニフェストというのは、国民の声あるいは市民の声を聞きながら、変えることはできるんですよね。これが当たり前であります。

 ですから、高速道路の無料化については、私も福岡七区の選挙区を回っていますと、やはり一番おっしゃるのは、全部やるのはちょっと無理よというような話をよくお聞きいたしますので、このあたりのところはしっかり考えていただいて、今回は一千億の予算ということでございますが、しっかり実験をしながら、そして国民の声をしっかりと聞きながら進めていただければ大変ありがたいなと思っておるところでございます。

 そして、地方にとっては、いわゆる生活道路、側溝行政とでもいいますけれども、そういうものが非常に大切なんですね。一番喜んでいただけるんです。大きな公共工事をしてもなかなか賛同をいただけない部分はあるんですけれども、しかし、やはり選挙区を回ってみますと、恐らく日本どこもだと思いますが、生活道路とか側溝が非常に悪い。この予算は、地方におきましては一般財源から充当しなくちゃいけないということでございまして、地方の声としては、そういうところを何とかならないだろうかと。一括交付金などでできるような仕組みができてくるのかなと思いますけれども、そのようなことを思っております。

 四十平方キロメートルぐらいしか八女市というのはございませんでしたが、何と市道が四百五十キロ。こんな小さな面積の市であっても四百五十キロを管理していかなくちゃいけない、そういうことであったということでございますし、今回大きく方向転換された道路とか橋の補修、このことも、私、地方にとっては非常にありがたいことだなと思っております。

 やらなくちゃいけないというのはよくわかるんです。そうでしょう、四十年も五十年もたてば、それはいつ事故が起こるかわからない。しかし、やはり財源が厳しい厳しいということでなかなかできなかった。そういうところに目を向ける行政というのは、私は非常にいいことではなかろうかなと賛同をする一人であります。

 それで、本題の方に入らせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、私、「プレス民主」をつくっているんですが、地元の公共工事、たくさん、御承知のとおり、恐らく日本で一番公共工事的には恵まれたところなのかもわかりません、住民の要望が通ったところなのかもわかりませんけれども、そういう中で、幾つか、既に終わったのと、今進行中、それから、これから計画されておることについて、話をさせていただきたいと思います。

 まず、上陽町というところに朧大橋というのがございます。それで、これは菅さんも見えましたね、財務大臣も、代表のときだったでしょうか。それから、岡田幹事長も、当時幹事長としておいでいただいた。ある意味では、そういう公共工事の象徴と言われているところでございますけれども、橋だけで約四十三億、それから、今まで使ったお金が大体百億なんです。

 あれは夏でございましたでしょうか、昨年、前原大臣も黒木町の方においでいただきましたが、あそこよりももっともっと山の奥というところに突如としてかかっておるんですけれども、これは、なぜこういう橋が必要であったかということをちょっと国土交通省の方にお聞きしたいと思います。

長安大臣政務官 この朧大橋につきましては、この間さまざまな議論があったというのは先生御存じのとおりであります。

 これは、そもそも、八女市道下横山東西線事業ということでございます。これは、過疎地域活性化特別措置法に基づく過疎代行事業として、福岡県の事業として行われているものでございます。

 過疎地の活性化というのが常々言われているわけでありますけれども、平成六年に過疎地域活性化方針及び計画というものを策定していただいております。

 この方針の中におきまして、主要幹線道への基幹集落からのアクセス、さらには、広域性、緊急性、重要性が高い道路については、県の過疎代行事業として整備推進をすることとされております。また、今申し上げた計画においては、この下横山東西線が定められているということでございます。

 こういった中で、事業効果の早期発現の観点から二区間に分割して、今お話のございました朧大橋の四十三億円の区間、さらにはもう一区間ということで整備を行ってきまして、この一期区間の二・一キロメートルにつきましては、平成十六年に供用をしております。これは、平成二十一年度、本年度でございますけれども、地域活力基盤創造交付金を活用して、現在、二期区間につきましては改良工事を推進しているところでございます。

 いずれにいたしましても、この事業というのは福岡県が主体になっている事業でございまして、福岡県と八女市の今後の御意見もお伺いしながら進めてまいらなければならないと考えておりますと同時に、この事業に関しましては、事業の終了後、福岡県においてしっかりと適切に事業評価というものが行われるものと考えております。

野田(国)分科員 ありがとうございました。

 それで、この問題につきましてはいろいろなことが言われておりますけれども、私は吸収合併をこの上陽町とさせていただいたんですね、市長時代に。上陽町の方々は本当にこれを望んでいるのかなと、隣の市の市長であったときに不思議だったんです。合併しましたから当然聞けますよね。そうしましたら、いや、もうあんなの必要じゃなかったんだと。いわゆる生活道路、バスなどが離合できないような狭隘な県道などがございまして、そういうところをもっと早くしてほしかったんだというような話がたくさん寄せられたということであります。

 何でこれができたかと申しますと、今ちょっと論議されております、ここにも行き着くのかなと思うんですよ。ちょっと大臣とは違うかもわかりませんが、いわゆる橋下知事が言っておられる負担金の問題、これをなくしてくれと。これも国と県のお金で、地元が負担しなくてよかったんですね。だから、つくっちゃえ、つくっちゃえというような陳情というか要望になっていったのかなと思います。

 私は、一つの事例として、やはり地元も、本当に欲しいということを言っておるならば負担をしてもらう、これは大切なことじゃないか。そうしませんと、無駄な事業というものが非常に、もちろんその前にBバイCとかパブリックコメントとかいろいろなことはしっかりやっていかなくちゃいけないんですけれども、そういうことが今回はこの事業についてはあったのではなかろうかということを私は思っております。

 それで、救急医療とかのためにつくらなくちゃいかぬ。今現在、何台通っているかというと、本当にほとんど、恐らく計画より全然通っていなくて、トラック、いわゆる軽トラですね、あるいは、これをおもしろがって見物に来られる方、そういう方しか通っていないのが今の現状。ちょっと通勤のときに久留米の方に行かれる方が使われるかと思いますけれども。

 そして、新たな問題として、これは非常に日本全国の課題だと思うんですけれども、こういう田舎にこういう立派なものをつくると、まず、騒音が起こっているんですね。いわゆる暴走族が走りに来るんです。走りやすいですよね、立派な橋、道路ができましたから。ですから、夏場は特にうるさいというようなことでございました。

 それからもう一つが、久留米から入りやすくなる、いわゆる大型車が入れるということになりますと、産廃を積んだトラックが入れるようになるんですね。ですから、産廃問題が新たに生じておるというようなことでございまして、非常にそういった問題を抱えておるということでございますので、やはりこういった事業をやるときには慎重にやっていかなくちゃいけないのではないかなということを思っておるところでございます。

 それから、二点目が、今度は今工事中でございますけれども、有明沿岸道路、これが大牟田市から佐賀の鹿島までつながる予定であるということでございます。

 それで、国土交通省に聞きましたところ、既に使ったお金が一千三百六十億ということで、では事業予定はどのぐらいなのと。福岡県側だけで二千三、四百億円ということになるんでしょうか。だから、これは佐賀の方まですればすごい金額になるのかな。今、長崎新幹線が二千七百億円でいろいろな論議が起きておりますけれども、ですから、すごい事業費ということになるわけであります。

 そこで、今ちょっと、私、事業仕分けと申しますか、現場に行って、そしてまた地元の方からはいろいろな話が出てきておりますのは、いわゆる高架でこれはいっているんですね。ですから、橋脚あるいは盛り土という方式でやっているんですけれども、地元の駅周辺というか柳川駅の周辺の方々からは、結局、高架で道路が完成すると地域を分断する、町を分断することになるというような話が来ております。

 こういう問題など、私、この間からもちょっと、国土交通省福岡国道事務所ですか、行かせてもらって意見交換もしたところでありますけれども、一回計画したからといってそのままやる。これも行政の悪いところですよね、これは国も地方もそうだと思うんですけれども。どうしても行政は一回計画したからと、なかなか曲げようとしません。だから、このあたりのところはやはり要望を聞きながら柔軟に対応する、そういう国土交通省であってほしいなということを思っておるところでございます。

 そしてまた、ここは佐賀空港、今注目を集めておりますけれども、あそこにもつないでほしいとか、いろいろな意見が出ております。しかし、今の佐賀空港の状況では、つないでも、また無駄遣いというようなことを言われるでしょうから、もっともっと本数がふえるとか、そういうことになったときには必要になってくるでしょうけれども、そういうことを思っております。

 ですから、ぜひとも、計画を柔軟に変える発想、こういうことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 有明沿岸道路につきましては、今、二十三年度開通予定で、例えば三池港から大牟田までの事業をやらせていただいておりまして、これについては高架でやらせていただいておりますけれども、コスト縮減であるとか早期開通の面から、例えば徳益インターから柳川西インターでございますと、高架構造ではなくて、とりあえず平面構造を先に開通させるというやり方をやらせていただいております。

 計画として高架構造がその横にあるではないかというのは委員御指摘のとおりでございますが、これについては、交通状況であるとか地元の状況であるとかそういったものを踏まえて、地元とも相談して柔軟に対応させていただければと思っております。

野田(国)分科員 どうもありがとうございました。

 本当にちょっと聞きますとびっくりするのは、あの支えている一つの橋脚、あれが三千万から八千万、九千万ぐらいするということなんですね。家が何軒も建っちゃうということでありますので、そういった、大体幾らぐらいでできるんだというようなことを地元に聞いても、全く知らないんですね。私が今言いました数字、事業費としては二千四百億ぐらいかかるそうですよと言うと、みんなびっくりしちゃってね。

 ですから、鳩山総理も大牟田においでいただいたときだったでしょうか、ではそれを何に使うかということをもっと考えたら、もっと地元で、医療に使ってほしい、福祉に使ってほしいとか、いろいろな論議が起こるんじゃなかろうかというような話でございました。ですから、もっともっと事業をオープンにしていく、そしてもっと説明責任をしっかりとしていくというようなことでお願いできたらなと思っておるところでございます。

 それでは、次に移らせていただきたいと思いますが、次は、みやま市というところに道の駅が今計画をされておるということでございます。

 この道の駅というのは、登録という形をとられておるわけでありますけれども、ある意味では国土交通省の成功事例だと思うんです。私は農林水産委員会にも所属しておりますが、本当に農業の六次産業化とか活性化のために、非常にこういった道の駅の直売所が貢献をしておると私は思っております。

 ただ、ここでちょっと今問題が起こっているのは、二〇九という国道が通っているんですが、そこは非常に交通量が多いですよね。しかし、ここに今できようとしているところは、インターが開通いたしました。昨年の三月か四月ぐらいだったでしょうか。そして、県道なんですけれども、それが柳川の方に向かっていくというところに計画をされております。現在の交通量は、その国道と県道を比べますと十分の一ぐらいなんですね。だから、もっとやはり交通量の多いところの方がいいんじゃないかとか、地元の方でそういった論議が起きておるという状況であります。

 それで、私も市長時代、こういう形で直売所なども経営してまいりました。おかげさまで、私思ったのは、みんな箱物を建てるとそれで終わりと思うんですね。しかし、そういった箱物を建てていかに運営、経営をしていくか、このことが大切なんです。そうしませんと、ずっとお金を、税金をそこに投入していかなくちゃいけないということになるわけでありますので。

 それで、この地元の方々も、福岡県内あるいは九州の道の駅をいろいろと調査されたそうです。そして、意外と黒字になっているところは少ない。福岡県内の何カ所かだそうです、たくさんできておりますけれども。

 ですから、私が言いたいのは、いわゆる経営という部分も含めて、ソフトの部分になるわけでありますけれども、ハードだけじゃなくてソフトの観点を、ぜひとも国土交通省、入れていただきたいな。当然、それは地元、自治体がやるべきだというような話になるとは、もちろん地元の市町村長もしっかりやらなくちゃいけませんが、やはり国としてもそういう観点が必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

金井政府参考人 お答えいたします。

 道の駅でございますが、現在、みやま市が、御指摘のとおり国道四百四十三号沿いに計画をしているということでございますが、まだ道の駅として登録をされていないもので、私ども十分な情報は持っておりません。

 先生御承知のとおり、道の駅につきましては全国でそれぞれ創意工夫をされておりまして、例えば生産者の顔が見える農産物を販売するとか、地元の特産品を売るとかいうことで、地域の方々、遠方の方からも非常に多く利用されているような運営をされて成功している例もたくさんございます。

 私どもとしましても、お尋ねの道の駅について、そういった情報提供であるとか、協力して何ができるかとかいうことを地元と一生懸命協議いたしまして、ぜひスムーズな運営ができるように御指導を申し上げたいというふうに考えております。

野田(国)分科員 どうもありがとうございました。しっかりそのあたりのところをそういう観点で指導していただくということ、大切なことじゃないでしょうか、これから。

 それからもう一つ、今度は計画がされておるということでございます。恐らく、政治的にも動かれて計画なされているんだろうなという気がぷんぷんとにおっておるところでありますけれども、国道三号線に歩道橋設置の要望があったということでございます。それで、いろいろな諸事情から今日までできてこなかった。しかし、また恐らく、政治家に頼んで一発でできるようになったんじゃないかなと推察をされるところでございます。

 この歩道橋、私はある意味では建設省時代からおやりになっておるんだと思いますけれども、非常に難しい問題を含んでいるんじゃないかな。あの周りを私ずっと回ってみましたところ、いわゆるバリアフリーというか、高齢者とか身障者は歩道橋をつくっても渡れないというようなことなんですね。ですから、現に日本全国でも何カ所しかできていないし、福岡県でもこの一カ所ということでございますが、こういった歩道橋の政策についてどのようなお考えなのかということをちょっとお聞きできたらなと思っております。

金井政府参考人 委員御承知のとおり、国道三号でもいろいろ横断歩道橋の計画があり、地元と相談をさせていただいている場合がございます。これにつきましては、地元の方々の行動のパターンであるとか、それから、安全の問題でありますので公安委員会がどうお考えになっているか、そんなことも含めて、いわゆる歩道橋をつくるよと我々が決めるのではなくて、地元の方々と相談をさせていただきながら、その必要性も含めて相談をさせていただいているところでございます。

 歩道橋については、バリアフリーの歩道橋も最近幾つか例が出てきております。エレベーター、エスカレーターをつけた例もございます。それから、逆に、既設の歩道橋で機能がもうなくなった、必要がなくなったということで、撤去した例もございます。

 そんなことも含めて、我々の方で答えを出すのではなくて、地元と御相談をして、地元に望ましい形になるようにいろいろ相談をさせていただければなと思っております。

野田(国)分科員 どうもありがとうございました。

 それで、歩道橋一つといっても、国土交通省から見れば少ない金額かもわかりませんが、今計画されているところは二億というんですね。二億というのは結構大きな金額です。今、バリアフリーにすればという話がありますが、エレベーターまでつけたら、恐らく五、六億ぐらいかかってくるんじゃないですか。だから、そのあたりのところをしっかりやっていかなくちゃいけないと思っております。

 それから、最後になりますけれども、私は市長時代に一つ取り組んでまいりましたことがございます。それは、これは建築の方なんですけれども、建物ですね。余りにも日本はこれまで右肩上がりで来た、スクラップ・アンド・ビルドをやり過ぎてきたんじゃないのかなということを感じておりました。

 それで、コンバージョンあるいはリファインといっていいんでしょうか、そういう言葉がありますけれども、基礎あるいは躯体を残して、そしていろいろ用途も変更できるんですけれども、そういう工法でやれるということ。そうしますと、環境負荷、ここの資料だと八〇%ぐらいCO2の排出を抑えることができる。しっかりと土台のところがお金がかかっているというか、それで、コンクリートが包んで、鉄筋もということになっております。それから、経費的にも半分から六割ぐらいでできるというようなことでございます。

 私も、市の方で二つの実験をしてみました。確かに、そういうふうにした方がお金が高くなるんじゃないかというような固定観念が一級建築士にもあったんですけれども、やりましたところ、その一級建築士も納得しまして、非常に今市民にも愛されて、活用されておるということでございます。

 ですから、今後、当然民間のそういった支援もしていただかなくちゃいけませんけれども、やはり国土交通省初め中央政府というか、そういう各省庁が率先的に取り組んでいくということが今求められているんじゃないでしょうか。そういったコンバージョン、リファイン、あるいは今回農林水産省の方から木造建築、公共施設の法律が出るようでございますが、これも当たり前のことなんですね。

 ですから、そういうところをぜひとも国土交通省としても積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、前原大臣、最後にお願いいたします。

前原国務大臣 委員が八女市長のときに取り組まれた事例というのを我々も調べさせていただきました。福島中学校の屋内運動場ということで、大変うまくやられたという話を伺っております。他にも取り組んでおられると。

 今委員がおっしゃったことは非常に大事な観点だと思っております。あるストックをどう持続可能でできるだけ長く使っていくのか、しかもコストを安くしていくという観点で、そういったテーマについては、今後とも、改修等を通じた既存建築ストックの有効活用を積極的に推進してまいりたいと思っておりますし、また、市長として取り組まれたさまざまな観点でのアドバイスをいただければありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。

野田(国)分科員 どうもありがとうございました。

古賀主査 これにて野田国義君の質疑は終了いたしました。

 次に、金森正君。

金森分科員 民主党の金森正でございます。初めてこういった機会をいただきまして、大変ありがたく思っております。お礼申し上げたいと思います。

 質問は数点でございますが、どうぞひとつ、意のあるところをお酌み取りいただきましてお答えいただければありがたいと思っております。

 それでは、前段は少し前原大臣にお伺いを申し上げたいと思っております。

 大臣におかれましては、鳩山内閣の初代国土交通大臣として大変難しい時代のかじ取りを連日おとりいただいておりまして、その一つ一つを拝見しながら、大変敬意を表しておるところでございます。二〇一〇年の予算の審議も、昨日公述人の意見を聞くということで、大詰めの段階に入ってまいりまして、大変重要な時期だろうと思っております。

 また、前原大臣におかれましては、厳しい財政状況のもとで、当初から、新しい時代の公といいますか、そういった言葉をよく引き合いに出されますけれども、新しいものを追求していく、時代が求めているところにやはりシフトするんだという思いを前面にお出しいただきまして、公共事業の大幅な削減という状況はあるにいたしましても、新しい挑戦をされているということについては重ね重ね心強い限りでございますので、その感想をまず申し上げておきたいと思います。

 同時に、予算書の一部の中にもございますが、例えば義務的経費をマイナスとする、これは時代の流れだと思います。しかし、一方では裁量的な経費の大幅な増額といった部分もちらりと散見されるわけでございまして、ここに前原大臣の思いが原点としてあるのかなという感じを実は受けた次第でございます。あわせまして、事業の展開につきましても、大変めり張りを出していただいておりますので、これまた期待を寄せているところでございます。

 ただ、心配なところは、今日の財政事情の中で、今後一段とその状況が厳しくなるであろうというところで、地方の期待にどうこたえていくのか、その上で国づくりを、国民の期待する部分とあわせまして、どうこれから国交省として対応いただくのかというところが私自身きょうはぜひ聞きたいな、こう思った次第でございます。

 今後どうなっていくのかということを含めて、スタンスといいますか、一つの考え方をぜひお聞かせいただければありがたい。私一人じゃなくて、多くの議員もそういったことを望んでいると思いますし、知りたいと思っていると思います。あわせまして、これからの国土づくりにかける大臣の思いもお聞かせをいただければありがたいと思っております。ちょっと言い過ぎた質問かもしれませんけれども、ぜひ本音の部分を伺っておきたいと思います。

 あわせまして、このところで、国力の回復という視点から少しお願いもしたいと思うんですが、例えば下水管がかなり老朽化しているとか、あるいは耐震にたえないとか、いろいろな状態が起こっておると思います。それから橋梁の部分でもそのことが言えると思います。あるいは住宅の耐震という部分もございましょう。そういったものにやはりもう少し光を当てていくことが今の時代だからこそ必要ではないかなということを、予算書から拝見しながら承ったところでございます。苦しいけれどもこれだけはやはりやっていかなきゃならない、そういう思いをここで御提示させていただいた次第でございます。

 確かに予算書の中にもいろいろな部分が散見されるんですけれども、例えば特に都市整備の関係では、対前年比、かなり数字的にも下回っておる部分もございます。これはやむを得ないといえばそれまででございますが、そういった面も考えますと、国力を回復する、国力を上げるための一つの素地として、例えば橋梁あるいは住宅の耐震化というのは今の時代に避けて通れないんではないかなという思いをいたしておりますので、少しくどいようでございますが、申し上げた次第でございます。

 大臣のよく言われる選択と集中、そういった中で、大変申しわけない言い方でありますけれども、生活に直結する部分、あるいは国民が安心を享受するという部分では大切な視点でございますので、その意味を含めて、大臣の所感をまずもってちょうだいしたいと思います。

前原国務大臣 金森委員にお答えいたします。

 委員は、四日市の市会議員また三重県議を長らく務められて、地域のことは本当によく御存じな方でございますので、そういった方にむしろアドバイスをいただきながら、今後の国土交通行政というものも進めてまいりたいと考えております。

 多岐にわたって御質問いただきましたので、若干絞って私の思いというものをお話ししたいと思います。

 日本の置かれている制約要因というのは、人口減少社会であるということ。今は一億二千七百万人余りですか、このままの出生率でいきますと、二〇五〇年には九千万人から九千五百万人に減っていくということでありますし、現在の六十五歳以上の人口比率は二二%ぐらいでありますが、二〇五〇年には四〇%を超えていくということであります。

 また、現在日本が抱えている借金というのは、対GDP比において七倍という莫大な借金でございまして、そういった社会情勢を考えるならば、公共事業というものを抑制し、子ども手当、少子化対策、社会保障、医療、年金、介護あるいは教育、こういったものによりお金を使っていかなくてはいけないということが、我々に課された使命だろうというふうに思っております。

 ただ、その中にありまして、必要なインフラ整備はやっていかなくてはなりません。先ほど委員に引用していただきました選択と集中というのも、その大きな観点でございます。したがって、真に必要な整備においては、しっかりと客観的な判断基準を設けて、大事なところにはお金を投じていくということであります。

 例えば、委員に関係するところで申し上げると、この間、名古屋港の視察に行ってまいりました。今、スーパー中枢港湾ということでございますが、今度は戦略港湾ということで、長安政務官を筆頭に今選定作業を行っているわけでございますけれども、私が名古屋港に行って申し上げましたのは、お隣の四日市とコンビを組み、そして今ばらばらの港湾の運営というものを一体化し、また民営化をさせていくというようなことで伸び代をしっかりとつくっていただきたいと。そしてまた、民間の資本も入れる中で、すべて税金やあるいは借金に頼るようなインフラ整備ではなくて、民間の知恵と資金を活用するようなものにしていっていただきたいということも申し上げたわけでございます。

 したがいまして、選択と集中と民間活力の導入というものの中で、真に必要なものはやっていかなくてはならないと思っております。

 また、先ほど、下水道や橋梁、住宅の耐震化ということを委員が御指摘されました。これは民間の資本になじまないところがございます。こういったものは、しっかりと公的な資金でやっていかなくてはいけません。

 これはまさに、委員は地方自治の専門家でいらっしゃいますけれども、地域のことは地域に任せるということで、民主党の考え方は分権でありますので、これからは財源、権限をできるだけ地域にゆだねていくということで、直轄事業の負担金の廃止も行っておりますし、御議論いただいている予算の中では、社会資本整備総合交付金ということで、将来は一括交付金というものにしていきたいと思っておりますが、できるだけ地域が地域のニーズに合わせて使い勝手のいいような交付金というものを創設せていただきました。

 したがって、そういったところも大きなポイントとしてお考えをいただき、限られた予算の中で、地域がニーズを持っている点に集中して、地域の独自性の中でやっていただくということをお願いしているところでございます。

 とりあえず、そういったところでお答えとさせていただきたいと思います。

金森分科員 御答弁ありがとうございました。

 新たに創設いただきました交付金二兆二千億ですか、これも鳩山内閣あるいは前原大臣のもとで築かれた大きな功績でございますから、私は評価しております。そういう時代の流れがしっかりと私どもの足元に来ているということは私も否定しません。お互いに知恵を絞らないと、ないものはないわけでございますので、そういう時代にどう我々がくみしていくかということはお互いに考えていきたいな、こんなふうに思っております。

 これ以上この辺は追及しないで、次に入りたいと思います。

 二番目ですが、新名神高速道路の関係と東名阪国道の渋滞、相関連するところでございますので、お伺いを申し上げます。いずれも、新しい名神高速道路のいわゆる四日市―亀山間の事業推進ということが一つにあります。それから、一つは東名阪国道の渋滞対策ということになります。

 前原大臣も一遍ここを通られたかどうかわかりませんけれども、休日になりますと大変な渋滞でございまして、単に地域の皆さんがそこを通るというだけではなくて、遠方からいらっしゃる皆さんも非常に、何だこれというような感想をお持ちだし、いらいらが募る、こういう路線ではないかな。例えば、道路事情といってテレビなりラジオで言われますよね。一番最初に出てくる場所なんですよ。これぐらい有名になりまして、私どももうんざりしております。私どもが例えば伊勢へ行こうと思っても、休日はとてもそこは通れない、こういう状況でございます。

 したがって、新しい名神高速道路の構想が既に立てられておりますけれども、こういう時代であります、先ほどの議論からいくと言いにくいですけれども、本当にどうなるのというのが、私だけじゃなくて、皆さんの率直な声だと思っております。何とか一日も早くということで願ってまいりましたけれども、こういう財政事情の中で、非常に皆さんが疑心暗鬼に駆られているというのは事実でございますから、何とか知恵を絞りたいな、こんなふうに思っておるところでございます。

 平日もそうですけれども、休みはもっとひどいという現象もございます。平成三十年の完成というのでは今から十年かかりますし、それとて多分見込みがないのかなという感じもいたします。どうぞその辺をひとつしんしゃくいただいて、少し現状認識と今後の対応についてお触れをいただければありがたいと思っています。

 伊勢道の無料化というのが恐らくこの渋滞に拍車をかけるだろうなと。だから無料化しない、そんなこと言っていないですよ。何とか、そういった側面もあり、うれしさの中にまた非常に悩みも尽きない、こういう事情を踏まえての答弁を、これは政務官からでしたか、よろしくお願いします。

長安大臣政務官 今、東名阪の渋滞のお話がございました。

 私も、若いころから、私は大阪南部に住んでおりますので、そこから東京に行くときに、西名阪から名阪を通って東名阪というルートで車で何度も東京に行きましたし、今も、新名神の一部区間、亀山―草津が平成二十年二月に開通したことによって、亀山からの流入があることによって東名阪が大渋滞を起こしているというのは理解しております。

 そういう中で、先ほどもお話がございましたけれども、四日市ジャンクションから四日市北ジャンクションは平成二十七年度、また四日市北ジャンクションからその先の亀山西までは平成三十年度の供用を目指して、現在、設計さらには用地買収に向けた準備を行っているところであります。今後も、地元の協力を得ながら事業の推進を進めてまいりたいと思っております。

 今ございました渋滞対策につきましては、付加車線というものを七カ所設置を行っておりますし、今後、情報提供などソフト対策にも取り組んで、さらにこの新名神高速道路の整備を進めてまいりたい、そうすることによって渋滞の解消に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

    〔主査退席、若泉主査代理着席〕

金森分科員 ありがとうございました。

 多分それは今の計画をおっしゃったと思うんですね。それはそれで私ども理解をしておりますけれども、例えば新たに車が入ってくる、その辺に対してソフトの部分で少し操作をしていかないと、非常に困る事態がさらに進むのではないかなという思いがございます。私、地元流に言えば、そういうことがあります。いらっしゃる車を、来るなとは言えません。でも、やはりどこか少し考えをめぐらせてみるという一策があっていいのかなと思います。私も妙案はありませんけれども、頭脳明晰な国土交通省の皆さんで一遍考えていただきたいし、地元ともよく連携をとっていただければありがたいな、こんなふうに思います。

 では、次に進ませていただきます。

 立て続けに道路問題で恐縮でございますが、一般国道一号にかかわる北勢バイパス、これは四日市市でございます。それから、国道二十三号に関係いたします中勢バイパス、いずれも幹線道路の補完ということで計画をされてかなり年月がたっておりますが、ここ数年、進みぐあいも少し頓挫しているのかなという感じもいたしておりまして、期待と同時に、非常に困っているということがあります。これは北勢地域の物づくり産業のいわゆる補完というか環境づくりの一環でもございまして、そんなことを考えますと、少し寂しい状況が続いているのかなというふうに思っております。

 しかし、一気にこれも解消できるものではありません。恐らく二十二年度の予算の関係でも大臣の心遣いが少しあったような気もしておりますので期待もしておるわけでございますが、もう少しやはり進むことを期待申し上げながら、私も、そこから出てきている人間として、ぜひひとつここでお願いを申し上げないかぬなというふうに思った次第でございます。

 整備区間の関係はもちろんでございますが、未着工区間につきましても、ぜひひとつ知恵を絞っていただくようにお願いを申し上げたいと思っております。とりわけ、湾岸道路ができまして、みえ朝日インターから国道四百七十七号、そして同四百七十七号から国道一号、この部分については早急に必要な路線だというふうに思っておりますので、御配慮いただければありがたいと思っています。

 少し現状と今後の展望についてお触れいただければありがたいと思います。

長安大臣政務官 金森先生におかれましては、本当に御地元の道路でございますので、先生は市議、県議とされておられますので、この間、地域の事情には本当に精通されているんだと思います。そういう意味で、北勢バイパス、また中勢道路の重要性、先生のおっしゃることもよくわかるわけでございます。

 現在、先生の御指摘のとおり、みえ朝日インターチェンジから国道四百七十七号までの九・四キロの区間につきましては、用地買収また改良工事等を実施しているところでございます。

 この中で、みえ朝日インターチェンジから市道の大矢知富田線までの区間、さらには主要地方道でございます上海老茂福線から市道垂坂一号線までの間の二・五キロにつきましては、平成二十一年度内に供用を図る予定をしております。

 残っております国道四百七十七号から中勢道路までの区間、約十五キロございますけれども、前後の区間の進捗を勘案しながら、今後、整備時期について検討してまいりたいと考えております。

 また、中勢道路についての御指摘もございました。これまでに約十六キロメートルについては供用済みでございますけれども、残る区間については調査設計、用地買収、工事等を進めておりまして、国道百六十五号線から県道嬉野津線までの間の延長約三・九キロにつきましては、二十三年度中に供用を図る予定をしております。

金森分科員 ありがとうございました。

 提示した質問があと残っていますので、次に進ませていただきたいと思います。

 三重県の最南端でございますが、熊野市の海岸線、七里御浜の侵食対策について少しお考えを伺いたいと思っています。

 御承知のとおり、熊野灘というのは大変景観のいい海岸線でございます。数年前に侵食で侵されるということになりまして、自来、この海岸を守るという意味で、相当県あるいは国補事業の一部も入れていただき今日までまいっておりますけれども、なかなか根本的な解決に至っていないというのが実情でございます。

 伺っていますと、人工リーフの話も含めてですが、相当高度なテクニックでこの工事をやらないと根本的にうまくいかないんじゃないかという指摘もございます。あわせまして、残事業の概算を見ましても、八百億を少し超えるという話もあります。

 ですから、やはり地域だけで物事が進んでいくとはとても思えません。その速度とか、あるいは根本的な手を加えるということを含めて、直轄的な発想を少し進めていただくことができないのかな、こんな思いがございまして、あえてこの席で触れさせていただいたところでございます。

 時節柄、財政的な面もというと難しいことでございますが、やはり国土を守るという意味で、ぜひひとつ知恵をかしていただき、力をかしていただければありがたい。感想、所見でもあれば少し伺いたいと思います。

三日月大臣政務官 金森先生、ありがとうございます。

 滋賀と三重で、大変日ごろからお世話になっておりまして、また御経験豊富で、三重を津々浦々御存じの先生の御質問を興味深く、大変勉強しながら拝聴いたしておりました。

 熊野灘に面する七里御浜は、外海に直接面している浜であるということもあって、物すごく侵食が激しいそうですね。調べてみますと、過去五十年間で最大百メートルも砂浜が後退するという状況だと伺っております。したがって、海岸侵食対策が急務の海岸、砂浜である。かつ、ここは海岸と並行して国道四十二号線がずっと並走しておりますので、それが迫っておるという地域でありますので、海岸侵食対策を行っていただいています。

 現在、三重県において、井田海岸と御浜海岸、木本港海岸において国の補助事業として高潮対策事業が行われ、今先生からも御紹介のあった人工リーフを含めて対策が講じられておるわけですが、今回、こういう国の補助事業は、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、地方にとって使い勝手のいい、自由度を高めた社会資本整備総合交付金という形で衣がえをさせていただきます。

 したがって、今まで行っていただいていた極めて重要なこうした補助事業がどういう形で今後県と一緒に行っていけるのかということについて、きょうのこういう先生からの御指摘もありましたので、しっかりと県のお話を伺いながら進めてまいりたいというふうに存じます。

金森分科員 ありがとうございました。

 難しい取り組みだと思うんです。だけれども、やはり確実に進めていかなければいけないわけでございます。私ども、聞けば聞くほど難しい発想なんですね。例えば、先ほど三日月さんから話があったように、海岸の侵食というのは予想以上の速度で進んでいるというふうに聞いています。ですから、その砂を確保するだけでも、どこかの河川から持ってこなきゃならぬ。本当に二度手間、三度手間の話がどうもあるようでございまして、ぜひひとつお力をかしていただきたいと思っております。

 それでは、次に移らせていただきます。

 時間雨量百ミリ対応プランというのを挙げさせていただきました、別に意図するところはないわけでありますが。

 近年の状況を見ていますと、全国各地で百ミリを超える豪雨に見舞われ、大変な被害が出ているというのが実情でございます。今般、国交省は、河川整備の目安としてきた時間雨量五十ミリを大きく上回る百ミリに備えるという意味で、国民が安心して暮らせるよう、河川管理者に加え、下水道、道路等の関係者が行うべき地域ごとの集中的な対策を策定するというふうにうたっていらっしゃいます。

 これは何かをよくするという意味ではなくて、こんな百ミリに耐え得るものをつくろうと思ったら数年分の税金を全部使ってもできるわけがありませんから、それはよくわかっているんですが、やはり連携作業ですよね。いわゆるそれぞれの責任分野で、そして国民の安全を少しでも守ってやるというシステムをどうつくるかということだと思っています。

 だから、一日も早くプランを制定いただいて、皆さんがそれを享受して、その中から安心を深めていけるようなシステムにしていただきたいな、こんなふうに思いまして、あえてここで取り上げさせていただきました。ぜひ、それに向けてのプロセスについて一言触れていただくとありがたいと思います。

三日月大臣政務官 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、時間雨量百ミリを超える、かつ局地的に降る大雨というのがこれまでふえてきています。

 紹介させていただければ、平成二年から平成十一年の十年間では時間当たり百ミリ以上の降雨というのが一千地点当たりで平均一・九回だったものが、平成十二年から平成二十一年の十年間では平均三・一回という形でふえてきておりまして、このような状態にいかに対応するのかといったことも大変重要な取り組みになっています。

 とりわけ、先生の先ほど御指摘にあった熊野とか尾鷲、このあたりは、一九六八年に一日当たりの最大降雨量八百六ミリを記録しているという地域でもあり、このような問題意識を私たちも同じくしながら、今対策を進めさせていただいております。

 先生から御紹介がありましたように、時間当たり百ミリ安心プランという仮称の取り組みを定めまして、ソフト、ハード、あらゆる面から一体となった取り組みを進めようと。

 具体的に申し上げれば、気象庁と河川局が一緒になって雨量の観測を行い、解析をし速やかに予報するといった取り組みですとか、下水道部局と一緒になって都市内、地域内の雨水を貯留する施設をつくったり、また道路ではそうした雨量の情報を速やかに伝達したり、都市や土地の部署と一緒になって、土地区画整理の時点で例えば学校などを利用した貯水といったものができないかということを、ソフト面、ハード面両面から一体となってプランを策定することを国としても応援してまいりたいというふうに思っています。

金森分科員 ありがとうございました。

 あと二分半しかありませんので、六つ目の伊勢湾スーパー中枢港湾、四日市港につきましては、白石さんの質問の中で考え方は大臣から触れていただいていますので省略をいたしますけれども、要は、名古屋港とセットで四日市港は進んでまいりました。そして今、世間の大勢は二大港の集約に向かっておると思います。何とか名古屋港と接点を持って、その一角に入っていきたいという願いが私どもの願いであります。

 営々と培ってきた今日までの歴史でございますので、何とかひとつ思いをずっと持ち続けてこの港の存続を図っていきたいな、こんな思いで申し上げたところでございます。その趣旨はぜひ酌んでいただければありがたいと思います。

 最後に、少しまとめますけれども、三重県は、例えば愛知県、岐阜県、あるいは大臣のお住まいの京都もそうですし滋賀県もそうでございますが、やはり大阪圏と中部圏そして紀州に囲まれておりますから、すべて道路問題がネックになってまいります。どこまで行っても道路、道路でございますが、ぜひひとつ気持ちを持ち続けて国づくりに取り組んでいきたい、私の思いはそうでございますので、これからも御指導をいただきたいな、こんなふうに思います。

 もう一つ申し上げるなら、最近の流れを見ますと、地域と国というのが、いかに知恵を絞り、いかに連動していくか、お互いにその連動の中から何かを見つけて進んでいかないと、限られた財政の中で何もできない、こういう時代に入ってきたなと思います。ぜひひとつ、国の出先機関、あるいは県、市というものがきちっと結ばれていくような、そういうシステムをおつくりいただくことをお願い申し上げて、また今後とも御検討いただくことをお願い申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

若泉主査代理 これにて金森正君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤分科員 みんなの党の柿澤未途でございます。連日本当にお疲れさまでございます。

 きょうは、公共事業について、むしろやめるという観点から御質問をしようというふうに思っております。個別のことについてお伺いをすることになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、スーパー堤防についてなんですけれども、いわゆる高規格堤防として、国の事業として進められているものでありますが、堤防から住宅地側に大体二百五十から三百メートルぐらい盛り土をするという形で、堤防と同じ高さの住宅地をつくる。そこに住宅を建設して、洪水に備えようというものであります。

 この事業の概要について確認をできたらお尋ねをしたいと思いますが、いかがですか。

前原国務大臣 今、柿澤委員がおっしゃいましたように、スーパー堤防計画というのは、首都圏の人口、資産が高密度に集積したゼロメートル地帯などを洪水や高潮から守ることを目的として、計画規模を上回る洪水でも破堤による壊滅的な被害を回避するために、幅広い堤防をまちづくりと一体的になって整備をするものでございます。

 概要を申し上げますと、五水系六河川ということで、ほとんどが東京でございます。利根川、江戸川、荒川、多摩川。そして大和川と淀川ということで関西もございますけれども、要整備延長というのは八百七十二・六四キロメートルでございまして、現在は四十七・六五で五・五%ということでございます。そして、昭和六十二年から平成二十一年度の補正までに先ほどの五水系六河川でかかった費用というのは、約六千七百九十億円でございます。

 もしもう少し詳しい話ということであれば、お尋ねをいただければと思います。

柿澤分科員 今お話がありましたとおり、全国の六河川で、昭和六十二年から平成二十一年度まで、今まで二十三年間事業が行われてきたわけです。

 洪水時の破堤に備える、こういうことでありますけれども、計画総延長八百七十二キロのうち整備されたのは、今でも五・五%に当たる四十八キロ弱でしかありません。それに六千七百九十億円がかかっている。これは、単純に計算をすると、このペースで工事を進めるとすれば、完成まで四百年かかる、そして総事業費は全部合わせて十二兆円に計算上なってしまうということが言われております。

 この総事業費について、国土交通省としては、どうなるかということについては正確な計算をしていないというような御答弁だと思いますけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。

前原国務大臣 はい。すべてやると幾らになるかというのは計算しておりません。

 なお、委員には御説明をさせていただいていると思いますけれども、五水系六河川で八百七十二・六四という計画がございますが、まずは重点区域として二百キロメートル強を整備させていただきたいと考えております。

柿澤分科員 具体的なところをちょっとお伺いしたいと思います。

 私の選挙区は江東区なんですが、隣の江戸川区で、荒川そして江戸川のスーパー堤防の計画が行われております。

 江戸川区は、東京湾と荒川、江戸川に囲まれて、区内の七割がゼロメートル地帯ということで、こうした洪水に対する備えということが一般論として必要だということは言えると思います。私の地元の江東区も、かつては台風で浸水、洪水の被害が大変あって、外郭堤防という堤防をつくって、ようやく今、住民の皆さんはまくらを高くして寝られる、こういう状況になったわけでありまして、そういう意味では水防対策ということが重要であることは論をまたないというふうに思います。

 この江戸川区の江戸川沿いにスーパー堤防を整備する方針というのが打ち出されたのが六年前のことになります。水害対策のための国の事業として行われることになる、江戸川右岸のいわゆる北小岩地区二・二キロなどが対象で、整備したスーパー堤防の上に、区は区画整理事業という形で住宅の配置、区画整理を進めていくということになっております。

 これは、江戸川区と葛飾区の境の、JR総武線の線路が走っているんですけれども、そこまでの二・二キロの区間。先ほど申し上げたように、幅三百メートルぐらいの堤防というか、河川のところから盛り土を十メートルもして、その上に住宅を移転するという計画であります。規模は大体五十ヘクタール前後ということになりまして、この事業を進めていくと、一時立ち退きを迫られる住民は一千八百棟、そして六千七百人に上ると言われております。また、事業費については、わずか二・二キロの区間ですけれども、これを行うだけで一千七百億円がかかるという計算になっております。

 これに対して、今、地元の住民の皆さんが、スーパー堤防構想の撤回、見直しを求めるという請願を出されております。この請願の紹介議員には地元の民主党の代議士も名前を連ねておられますけれども、住民二千九百二十一人分の署名とともに国会に請願が提出をされ、また、去年の十月末のアンケートでは、北小岩十八班という、まさにこれから事業が開始をされる直前の段階になっているこの地域の住民のアンケートでは、六割近くの方々が反対の意向を示しておられるということになっております。

 この事業について、今後の計画についてお伺いをいたしたいと思います。

前原国務大臣 御指摘の北小岩地域につきましては、江戸川区が実施する土地区画整理事業と連携をして、現在、測量や地元説明を実施しているところでございますけれども、事業の推進について、今委員が御指摘をされたように、さまざまな御意見があると承知をしております。今後とも十分な合意形成を図っていく必要があると認識をしております。

柿澤分科員 それは、解釈としては、十分な合意形成のもとに前に進めていくという解釈でよろしいんでしょうか。

前原国務大臣 これは、今回の場合は江戸川区でございますけれども、やはり地元の協力、理解がなければできない。まちづくりと一体の事業でございますので、そういう意味では国土交通省河川局がやるんだと言ってできるものではないと認識しておりますので、江戸川区からは区の行政としては進めるという話でございますけれども、その点、地元住民の方々のさまざまな御意見をどう調整していただいていくのかといったところが大きなポイントになるかと思います。

柿澤分科員 よくわかりました。

 このスーパー堤防の計画、江戸川に関してもそうなんですけれども、基本的に、大規模な洪水被害をもたらした六十数年前のカスリン台風を想定しております。八ツ場ダムの問題でもこのカスリン台風というのは一つのキーワードみたいになっておりますけれども、カスリン台風のときに、では江戸川が決壊をして浸水被害が広がったということであるかというと、そうではありません。地元の住民の方々に伺うと、カスリン台風でもキティ台風でも、一度もこの地域は河川の決壊で浸水被害が生じたことなどないんだ、私が生まれてからこの方ないんだということをおっしゃられております。

 しかも、江戸川は、私も現地を見せていただきましたけれども、都内で最も広い河川敷が広がっている河川でありまして、こんな写真がありますのでちょっとお渡ししたいと思いますけれども、ごらんください、河川敷が物すごい広くて、野球のグラウンドが何個もつくれるような河川敷なんです。これは、ちょっとやそっとの豪雨やあるいは水かさの増水で堤防を越えてあふれ出すなどということは全く想定ができないというものであります。

 また、ことし、メディアのアンケートというか質問に対して国土交通省も御返答を返されているようですけれども、今まで浸水被害はこの地域には起きていないということをお答えになられていると聞いております。

 そういう意味で、確認をしておきたいんですけれども、この江戸川のスーパー堤防の計画というのはどのような洪水被害を想定して計画が進められているものなのかをお尋ねできますでしょうか。

前原国務大臣 政権交代が起きまして、八ツ場ダムの本体工事の中止というものを発表させていただきました。利根川水系全体で申し上げますと、今委員が御指摘をされた一九四七年のカスリン台風というものが、これは計画高水として計算をされているわけであります。

 委員の御指摘のように、今写真を見せていただくと、非常に広い河川敷でございますけれども、私どもは、この河川行政を預からせていただく立場として、やはりカスリン台風のときの雨の降り方というのは尋常じゃない降り方でございます。例えば、過去六十年ぐらい、カスリン台風を含めて、年間の降雨量というもの、それから集中的に三日間で降った水とを見ますと、あの台風はやはりとてつもない降水量でございまして、江戸川ではありませんでしたけれども、東京の下町に浅間山のふもとの死体が流れ着いて、それが無縁仏としてお祭りされているというようなところもあるやに伺っております。

 そういう意味では、我々としては、河川の基本計画そのものはどうしていくのかということを見直ししておりますし、委員と同じ視点で、今までの公共事業のあり方、ダムだけではなくて堤防も含めてあり方を見直していかなくてはいけないと思っておりますけれども、やはり、特に首都圏というものが洪水被害に遭った場合には、相当大きな影響が日本全体で起きるわけであります。つまりは、経済やあるいは政治の機能が集中をしているところでございますので、そういう意味から、かなり注視をしながら河川整備はしていかなくてはいけないところだというふうに思っております。あらゆる観点を想定して、見直しをすべきかどうなのかということは、公共事業全体、河川行政全体でやっていくことは大事なことだというふうに考えております。

柿澤分科員 あらゆる観点から再検証をしていくべきかどうかということを考えることは大事だ、これは一般論だと思いますけれども、お話をいただきました。

 このスーパー堤防の計画において、地元自治体である江戸川区などの説明では、二百年に一度の洪水に備えるんだというお話をされております。二百年に一度、この堤防が決壊する、あるいは水高が越えてしまうというようなことが果たしてあり得るのかどうかということについては、ぜひ本当に再検証をお願いしたいというふうに思います。地元の方々に聞いても、またさまざまな専門家の御意見を伺っても、そんなことはあり得ないんではないかというような意見をおっしゃられる方も多く存在するのも事実でございます。

 さらに、事業スキームのことをお伺いしたいと思います。

 同じ江戸川区で、平井七丁目のスーパー堤防事業というのがあります。これは、荒川の右岸の延長百五十メートル、川からの幅は百十メートルを今申し上げたような形でかさ上げして区画整理を行った。これは、平成六年から事業計画が進められて、平成十六年に事業が終わっております。この総事業費、八十二億円かかっておりますけれども、うち河川事業費、盛り土、地盤改良等が四十七億円、そして区画整理事業費が三十五億円。そのうち国土交通省、国の負担が、河川事業費四十七億円の全額、区画整理事業費の三十五億円のうち三十一・二億円を国が負担しております。

 事業スキームに関しての紙が私の手元にありますので、これもちょっとお渡しいたしますけれども、ごらんをいただければわかるとおり、この総事業費八十二億円のうち区が負担をしたのはごく一部、三・八億円だけなんです。わずか四・六%。五%に満たない区の負担で国の事業費七十八・二億円を引っ張ってきて、しかも、スーパー堤防ということを名目にして地域の区画整理事業を行うことができるということになるわけです。まさに区にとっては、このスーパー堤防事業と区画整理事業をセットで行うことが、大変区の負担が少ない形で事業費の大きな規模の事業を行うことができる、区にとっておいしい事業になってしまっているんです。

 こういう事業スキームそのものが、ある意味では、こうした過大な洪水想定とも言えるようなものに基づいた事業を進める要因に、また地元区市が進めていきたいというふうに考える要因になってしまっているんではないかというふうに私は思いますが、御見解はいかがでしょうか。

前原国務大臣 資料を見せていただいて、ありがとうございます。確かに、区の負担は四・六%ということで、非常に低いわけであります。

 一般論からすると、私も委員と同じような問題意識をずっと持っていました。例えば、私は京都府議会議員、委員は東京都議会議員をされておりましたけれども、地域で下水をやるということになれば、まず地元負担がどれだけになるか。つまりは、国の負担が幾らで、そして、地方の負担が当初は生まれるわけですけれども、後は交付税措置として戻ってくるわけですね。そうすると、真水での地域の負担はどれぐらいになるかというところを考えながら事業を引っ張ってくるということはありますし、そういう意味では、これから、これはみんなの党さんも同じだと思いますが、分権を進めていって地域が創意工夫をする中で、国のお金が出てくるから、では事業をやろうかということで、トータルとして無駄遣いがふえないような仕組みは考えていかなくてはいけないと思っております。

 ただ、同じ発想でいながらも、私もこの仕事につかせていただいて、例えば飛行機とか鉄道の大きな事故がないということが一番大事なことでもある。そして、大雨というのは必ず来るわけですね、それが百年に一回なのか二百年に一回なのかわかりませんけれども、そのときに備えて、特に都市機能が集中した地域をどのように守っていくかというのは、これはまさに国の事業だというふうに私は思っております。したがって、分権がこれからどんどんどんどん進んでいくと思います。しかし、河川の、しかも大事なところの事業というのは、やはり国がしっかりと地域ともちろん相談をしながらやっていくというものであると思います。

 大事なことは、先ほどおっしゃった、無限にお金はないわけです、予算は。だからこそ、八ツ場ダムの見直しとかもやらせていただいているわけでありますけれども、過大な事業であるのかないのか、あるいは、スーパー堤防にしても、例えば高さ掛ける三十ぐらいの幅でやっているわけですけれども、果たしてそれだけ要るのかどうなのかとか、こういうようなことの計画の見直しをしっかりと限られた予算の中でやっていくということは大事なことだと思います。

 繰り返しになりますけれども、やはり、こういった大都市の首都機能を守るということは国の責務なんだということの中で、万が一の大雨が降ったときにどう守るかというところのことはしっかり考えていかなきゃいけない。破堤というのは一番これはあってはならないことでありますので、委員のアドバイスもしっかり承りながら、守るべきところは守る、しかし見直すべきところは見直していくということで臨ませていただきたいと思います。

柿澤分科員 ありがとうございます。

 この北小岩地域スーパー堤防事業については、平成二十二年度の国土交通省予算の少なくとも概算要求にはこの事業の調査費が計上されております。これについて、真っ先にこんな部分については事業仕分けをすべきだというような意見もあるやに、他党の方の言葉ですけれども聞いておりますし、また、本当に今おっしゃられたような、事業規模としてどうなのかという観点からの検証もぜひしていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたように、機械的に計算をすると四百年かかって十二兆円だ、二百年に一度の洪水に備える事業が完成するまで四百年ということでは、これは用をなさないではないかというふうにも思えますので、そういう意味で、何が適切な事業の進め方であるのか、必要性の有無も含めて、ぜひ再検証をしていただきたいというふうに思います。

 一つ付随をしてお伺いをします。

 この北小岩地域の財源の負担についての資料を拝見したんですけれども、スーパー堤防事業の河川事業費が一千億円、そして、まちづくり事業費、区画整理ですね、これが七百億円、合わせて一千七百億円というスキームになっております。そして、そのまちづくりの事業の七百億円の中で、河川事業費の負担金三百五十億、国庫補助金が三十五億、都市計画交付金が五十三億円、財調交付金が二百六十二億というようなことが書かれているんですけれども、考えてみると、これからまさに先行して直轄交付金の見直し、廃止ということが行われるわけですが、先ほど申し上げたように、国の直轄事業に乗っかる形で地元自治体の負担を極力少なくする、こういう制度に乗って事業を進めようというインセンティブが基本的に地元の自治体にはあります。

 そこで、直轄負担金も国が負担をすべきだ、ぼったくりバーはいけないということで直轄負担金を廃止するということになると、国の事業として採択をされて直轄事業にのせると、都道府県も含めた地元自治体の負担割合はなおさら軽くなるわけであります。そういう意味で、国への陳情合戦を誘発して、国事業として採択をするというインセンティブがこの直轄負担金の廃止によってますます強まるということも解釈としては成り立つわけですけれども、この点はいかがでしょうか。

長安大臣政務官 今、柿澤委員からお話のございました、直轄事業負担金をなくしてしまうと陳情合戦になってしまうんじゃないか、そういった御懸念でございます。まさにそのとおりでございます。今までは、地方に負担があったから、地方がその負担ができる範囲でしか事業の要望ということはできなかったということであります。

 今般、平成二十二年度から、維持管理分についての直轄事業負担金を廃止させていただきました。そういう中で、今後、直轄事業の新規事業についても直轄事業負担金を廃止していこうということ、我々民主党といたしましては、この四年間で廃止するということをマニフェストの中でお約束しているわけです。今申し上げた直轄事業負担金を廃止しても、廃止することによって、当然、事業量も減ってくるわけです。

 そういった中で、補助事業については、社会資本整備総合交付金という交付金形式に持っていくことにしました。今までの直轄事業のあり方というもの自体を根本から見直していかなければならない時期に来ているんだと思います。つまり、国がどこまでの事業をやるのか。一方で、財源は地方に移譲して、地方が主体的で必要な事業というものを見きわめて行っていくということを議論していかなければならないと考えております。

 今、直轄事業負担金の維持管理分を廃止したと申し上げましたけれども、その議論を皮切りにこれから進めてまいりたいと考えておるところでございます。

柿澤分科員 大変いい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、残された時間で、沼津市の鉄道高架化事業についてお伺いいたします。

 JR東海道線と御殿場線が沼津市の中心部を横断しておりまして、沼津市は駅と線路によって中心市街地が南北に分断をされています。駅構内に南北に行き来できる通路がなくて、駅の反対側に出るためにJRの入場券を百四十円出して買っている人もいるというふうに聞きます。

 この沼津市の南北交通を改善して、中心市街地活性化の名のもとに、沼津駅周辺総合整備事業を昭和六十年度、二十五年前から進めてきました。このうち、沼津駅と線路を五キロにわたって持ち上げて踏切十三カ所を解消するというのが鉄道高架化事業であります。平成十五年に鉄道高架化事業の都市計画決定がなされていますが、現状、進捗状況は一・八%ということで、ほとんど進んでおりません。

 今、この鉄道高架化事業をめぐって、沼津市は賛成派、反対派の市を二分する状況になってしまっております。反対派の住民が言っているのは、費用がかかり過ぎるということであります。沼津駅周辺総合整備事業の事業費は一千七百八十二億円。うち、国負担は大体九百億円で、沼津市の負担が六百二十五億円、市の一般会計総額より若干少ない額に相当いたします。一方、市の借金は一千二百七十六億円ということになっておりまして、これは沼津市としては事業費が過大なのではないかと反対派の方々は指摘をしている。

 もともとは、二十年前、バブルの時期に計画をされたものですけれども、国の連続立体交差事業の要件を満たさずに、一たんは頓挫をしていた。しかし、二〇〇〇年ごろ国が連続立体交差事業にいわゆる例外規定を設けたことによって国庫事業の道が開けて、バブル時代の巨大な計画が息を吹き返して、市民は仰天をした。これは、週刊ダイヤモンドにこのように報道されております。

 これに対して反対派の住民が、橋上駅にしたらどうか、橋上駅にして、連続立体交差をしないで自由通路を駅の中につくる、それなら歩行者は南北に自由に行き来ができて、そして工期も費用も五分の一ぐらいで済むんじゃないかというような試算をいたしております。自由通路を選択した、橋上駅型で駅を整備した小田原駅では百六十九億円、清水駅では三十一億円という費用でこの工事が完成をしていますので、総事業費千七百八十二億円そして沼津市の負担が六百二十五億円ということと比べると、確かに合理的な計画なのかなというふうにも思えます。

 そもそも、昭和六十年から二十五年が経過をしていて、完成は二〇二五年という計画でありますので、工期も大変長い期間がかかる。まさにこれはもう時のアセスを一度入れなければいけないような事業ではないかというふうにも感じられますけれども、この点について、国の補助が今申し上げたとおり入る事業でもありますので、御見解をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 委員の御指摘は、さっきのスーパー堤防も含めて、私の問題意識とかなり似通っております。やはり時間がたってできていない事業は一たんアセスメントを加えるべきだというのは、まさにそのとおりだろうと思います。時代が変わって、必要な公共事業、必要でなくなる公共事業もあると思います。今のは一般論でございます。

 今の御指摘の事業というのは、これは静岡県の事業に国が補助をつけるということでございますので、あくまでも静岡県が沼津市と御相談をされてどういう結論を出されるのかといったところを我々はしっかりと見きわめていきたい、このように考えております。

柿澤分科員 静岡県の川勝新知事がこの問題について、賛成、反対の両者の調整に乗り出されているということを伺っております。そういう結果として今両者の話し合いが持たれて、そこで、川勝知事は、この計画に付随をする貨物駅の移転の計画を白紙に戻したらどうかという提案をされているというふうにも聞いております。これからいろいろな議論が地元で進んでいくと思いますけれども、静岡大学の川瀬憲子教授の日経新聞でのコメントでは、「財政が厳しいなか、事業を進めれば市の財政は危機的な状況に陥る」、こんなふうにも論評されているような事業であります。

 そういう意味で、国も先ほど申し上げたような大変大きな規模の負担をするわけでありますので、県と市に任せているというだけではなく、今後の推移を見詰めながら、事業の必要性について踏み込んだ判断をこれから県、市とあわせて行っていっていただきたいというふうに思っております。

 時間も参りました。二つの質問をさせていただきました。この分科会は、どちらかというと、地元の事業についてぜひ推進をというような観点のものが多いんですけれども、今回は、公共事業について本当に必要かということを問わせていただきました。ぜひ、もしお時間ありましたら、最後に、そういう観点から、前原大臣、今まさに国土交通行政を総ざらえで見直しておられると思いますので、御決意をお伺いして、終わりとさせていただきたいと思います。

前原国務大臣 大変いい観点での御議論をいただいたと思っております。今のままの公共事業を進めていけば国が破綻をするのは目に見えておりますし、必要な公共事業もありますので、選択と集中というものをキーワードにやっていきたいと思っております。

 したがいまして、きょういただいた二つの案件についてもしっかりと精査をさせていただきたいと思いますし、これからも具体的な事業を例にとって、事業のあり方について厳しく精査をするような御提案をいただければありがたいと思いますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。

若泉主査代理 これにて柿澤未途君の質疑は終了いたしました。御苦労さまでございました。

 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時五十八分開議

古賀主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行します。石原洋三郎君。

石原(洋)分科員 民主党の石原洋三郎でございます。

 当初予定より大分時間が遅くなってからの質問となりまして、私自身、このような機会をいただいたことに、ただありがたく感謝申し上げるところでございます。大変ふなれなところがあるかと思いますけれども、ぜひ御指導のほどをよろしくお願いいたします。

 早速、質問に入らせていただきます。

 十三号西道路南伸についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 地方都市におきましては、道路と都市整備は密接な関係があります。道路が新しくできることで、その周辺地域は開発が進み人口増加につながったり、あるいは逆にデメリットとして、旧中心部の空洞化が進む、渋滞が起きたり、渋滞の解消が進むなど影響はさまざまあるところでございます。

 一般国道十三号線西道路は、その交通需要は非常に高く、また、通過交通排除による中心市街地の渋滞緩和に対しても、有効な環状道路として重要な役割を担っております。また、経済や物流に大きく寄与する道路として商工業関係者の関心も極めて高く、福島のさらなる発展に欠くことのできない道路であります。

 そのため、本路線が環状道路としての本来の機能を十分に発揮し、慢性化している市街地南部の渋滞緩和や、高次救急医療機能を有する県立医大病院への緊急輸送路確保のためには、南伸により福島市松川町地内で国道四号と接続することが必要不可欠でありまして、地域では喫緊の課題となっているところでございます。

 一般国道十三号西道路バイパスの今後の事業計画、実施時期についてお伺いいたします。

長安大臣政務官 石原委員の御質問にお答えさせていただきます。

 福島市の西部の環状道路でございます国道十三号福島西道路につきましては、平成二十二年の三月に、都市計画道路小倉寺大森線と同時に全四車線化の供用を予定しております。

 また、福島西道路の南伸となる都市計画道路の小倉寺大森線から一般国道四号までの区間につきましては、現道の渋滞緩和、交通事故の低減などを目的として、現在、都市計画決定に向けた環境影響評価の手続を進めているところでございます。

 今後も県、市等の関係機関としっかりと調整をさせていただいて、必要な手続を進めてまいる所存でございます。

石原(洋)分科員 ありがとうございます。

古賀主査 石原洋三郎君、挙手をお願いいたします。

石原(洋)分科員 はい。ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、引き続きまして、霊山道路、阿武隈東道路についてお伺いをさせていただきます。

 東北中央自動車道相馬―伊達―福島―米沢間は、常磐自動車道、東北縦貫自動車道と連結し、南東北中枢広域都市圏、阿武隈地域などの発展を促していく極めて重要な区間でございます。

 自動車道の整備により、山形県南部地域を含む経済圏の物資流通の拠点港湾である相馬港や全国有数の規模で進められている相馬中核工業団地を抱える相馬地域と、伊達、福島、米沢など先端産業の集積が進みつつある南東北内陸地域との連接が強化され、重要港湾の酒田港と相馬港が連結することにより、環日本海と環太平洋の経済圏の交流を担う二十一世紀のグローバルな経済活動の基軸となることが期待されます。

 東北中央自動車道が整備され、このような機能を発揮することは、南東北の集積を西東北の開発につなげる極めて戦略的な意味を持ちまして、東北の均衡ある発展を推進するものであります。

 自動車専用道路一般国道百十五号阿武隈東道路、霊山道路の今後の事業計画、実施時期についてお伺いいたします。

長安大臣政務官 石原委員の御質問にお答えいたします。

 阿武隈東道路につきましては、平成十六年度に直轄権限代行として福島県にかわりまして国が事業に着手し、現在、用地買収、改良工事、橋梁工事及びトンネル工事を進めており、引き続き早期の供用に向けて事業を推進してまいる所存でございます。

 また、霊山道路につきましては、平成二十年度に同じくこれは直轄権限代行として国が事業に着手し、現在、調査設計を進めております。平成二十二年度から用地買収に着手する予定でございます。

石原(洋)分科員 地方におきましてはさまざま必要な道路もございますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。

 次に、地方経済と市場経済原理主義についてお伺いをさせていただきます。

 GDPの昨年十月―十二月の実質成長率が年換算四・六%成長と発表されました。今回の成長内容におきましても、輸出、外需に頼る部分が多く、住宅投資、公共投資など内需は冷え込んでおります。

 以前より、外需は外需として大切であるが、外需が落ち込んでもなお強い日本経済を維持するためには、内需を拡大していくことが大切と叫ばれております。そのためにも、内需拡大、内需拡大と昔から叫ばれておりますが、特に内需においては、GDPの約六割近くを占める個人消費を強化していくことが大切ではないかと考えます。

 それでは、この個人消費を伸ばしていくためにはどのような政策がよいのでありましょうか。農業の戸別所得補償制度や子ども手当、非正規労働者の待遇改善、雇用の安定化による賃金アップなど、さまざまな方策がございます。すなわち、国民一人一人の可処分所得をふやしていく政策です。

 しかしながら、十年前と比べてそれほどGDPは変わっていないのにもかかわらず、国民一人当たりの可処分所得はここ数年大きく減少をしております。

 この要因は、何といいましても、市場経済原理主義が導入され、一人一人の賃金アップよりもむしろ企業の利益優先、あるいは地方より都市、低額所得者より高額所得者への優遇措置といった政策が行われ、格差が拡大していったことによります。特に、大店舗が都市部より地方に進出、稼いだ利益は地方から中央に還元されます。チェーン店も同様です。また、工場が都市部から地方に進出してくれたとしても、地方労働者はパート労働などが多く、工場の利益は都市部にある本社に吸い上げられてしまいます。地方に発注された公共工事も、ここ数年、都市部の大企業が落札してしまいます。地方と都市との格差を是正する地方交付税も、ここ十年ぐらい減額されてまいりました。

 これらの都市部偏重となってしまった一極集中的な構造を変えていく、今そのことが求められていると考えます。

 一昔前は均衡ある国土の発展が宣伝されておりましたが、しかしながら現在、地方経済は疲弊をしております。市場経済原理主義がもたらした地方に対する影響、都市部有利の構造を変えていく産業構造改革、国土形成についての御所見をお伺いいたします。

長安大臣政務官 石原委員の御指摘のとおりでございまして、現在の日本は、東京圏への人口あるいは諸機能というものの一極集中が見られております。その結果として、過疎化の進展、さらには災害に対する国土条件の脆弱性という問題が惹起をされているところでございます。

 東京圏のみに人口が集中するということは、国土の適切な利用という観点からも、また災害発生時の危機管理の観点からも、好ましいものではないということはもう委員御指摘のとおりであります。国土全体で機能の分担及び連携を図りながら、過度に人口や諸機能が集中するという現状を是正していかなければならないと考えております。

 このためには、各地域がそれぞれの地域資源を生かしつつ、特色ある地域戦略を描く、さらには地域全体の成長力を高めることによって、各地域が自立的に発展する構造へと転換することが重要であると考えております。

 今回、平成二十二年度の予算の中におきましても、今までの御批判のありましたひもつき補助金というものをやめて、地域の社会資本整備総合交付金という形で、地域が独自の考えで地域のインフラ整備を行い、地域の発展につなげていただこうという趣旨で設けさせていただいた交付金がございます。こういったものを活用され、地域が元気を取り戻していき、地域の発展に資するのではないかと考えております。

石原(洋)分科員 ぜひ、地方重視の政策で、今後ともよろしくお願いいたします。

 次に、内需拡大策についてお伺いをいたします。

 格差が広がれば広がるほど不景気となります。お金が回らなくなるためです。

 例えば、十人の経済で考えてみます。十人のうち、一人だけが所得二千万円、残り九人が百万円の所得であれば、個人消費は進まなくなってしまいます。九人が百万円全部使い切ったとしても、所得二千万円の人はお金を全部使い切ることが難しいからです。所得二千万円のうち仮に五百万円使ったとしても、十人の所得の合計額二千九百万円のうち、個人消費は千四百万円ぐらい程度にしかなりません。一千五百万円は停滞をしてしまうわけであります。一方で、十人が平等に、一人当たり二百九十万円の所得であれば、みんなが大体同じくらいの消費、二百九十万円の消費をすると思います。所得合計額二千九百万円のうち、個人消費は大体それに近い二千九百万円になるのではないかと思います。

 ですので、格差が広がるような政策は、基本的に、不景気やGDPの需給ギャップを生みます。逆に、格差を是正するような政策は、内需拡大、景気回復、GDPの需給バランスを生むものと考えます。

 今、東京都と地方との格差が広がっております。我が県、福島県においては、一人の可処分所得が大体二百六十万円平均。それに比べて、東京は約四百六十万円平均となっております。約二百万円もの差が既にあるわけです。

 民主党マニフェストの多くは、地方に住む方の所得がふえる政策、都市と地方との格差是正の政策です。中小企業重視、農林漁業重視、雇用者重視、地方重視、格差が是正されてこそ、内需拡大、景気回復は実現いたします。

 都道府県別の国土交通省の公共事業配分額を比較いたします。平成十五年、六・九兆円のうち、東京五千四百億円、福島は一千二百億円でした。平成二十一年、五・六兆円のうち、東京五千七百億円、福島八百七十億円。国土交通省の総額がこの六年間で一・三兆円も減る一方で、東京は三百億円も増額しております。福島は一方で三百三十億円も減額されております。公共工事の発注額の推移を見ただけでも、都市部偏重が判明されます。

 私は、総額として公共工事が減るのは、厳しい財政事情を考えれば確かにやむを得ない面もあると思います。しかしながら、地方に住む方々が所得を得るためには、公共工事は欠かせないところも事実あるんではないかと思います。地方の従事者が困らないようにしていくためにも、都市部の大型公共事業を減らしたとしても、その分を中小規模の生活インフラ工事事業に予算を振り向け、大多数の地方の中小地場会社が潤うような政策、地方重視、中小企業重視、生活重視の公共工事配分を展開するべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

長安大臣政務官 石原委員にお答えいたします。

 公共事業につきましては、先般、前原大臣の所信にもございました、日本が少子高齢化、人口減少、さらには多額の財政債務を抱えているという状況にあるわけであります。そういった中にあって、今までのような予算の配分ではこの我が国が立ち行かなくなっているというのは御存じのとおりであります。今までのように、湯水のごとく公共事業にお金を使っていくということではなくて、やはり、まずは年金、介護、医療といった社会保障制度、さらには教育といった分野にお金を重点的に振り向けていかなければならないという現状にあるわけであります。

 そういう中で、真に必要なインフラ整備を戦略的かつ重点的に整備していかなければならない。これは限られた予算でありますから、当然のこととなっていくわけであります。そういう意味では、地方重視の観点から、地域の自立、活性化に向けた施策についても、着実に国土交通省としては取り組んでまいりたいと考えております。

 先ほど答弁させていただきましたけれども、今般、平成二十二年度の予算では、社会資本整備の総合交付金というものを新たに創設させていただきました。この交付金を利用して、地域のニーズに合ったインフラ整備を選択していただいて実行していただく、そうすることによって地方が元気を取り戻す、こういったことがこれからのあるべき都市と地方とのあり方ではないかなと考えております。

 今申し上げた交付金を活用していただいて、生活インフラ整備にも取り組んでいただきたいと考えております。

石原(洋)分科員 大変ありがとうございます。

 重なるところもあるかと思うんですけれども、改めて、公共工事に関しての認識についてお伺いをしたいと存じます。

 高度経済成長時代、日本が躍進しました理由はさまざまございます。当時は人口増加の時代でありまして、人口構成もピラミッド形で、働き盛りの人が多かったところです。また、工業立国として輸出が拡大されていく中で、人、物、金の移動が急拡大、インフラ整備が急成長、大型公共事業についての投資が行われ、それが相乗効果となって物資流通が拡大し、地域経済が拡大していったものだと思います。

 都市と都市との交通、あるいは地域地域が結ばれることで経済は密接につながり、新たなものが建設されることで飛躍的な高度経済成長を実現したことは間違いではないと思います。まさに、一昔前の公共事業は、産業の進展、成長に大きな一翼を担ったところでございます。

 しかし、いつの間にかその性質にも変化の兆しがあらわれました。少子高齢社会、人口減少社会に突入し、また、各地方自治体の財政状況が厳しくなる中で、維持管理費などの財政負担も重くのしかかってきております。

 このように、時代の変化が大きく変わる中で、今後の公共事業のあり方について御所見をお伺いいたします。

長安大臣政務官 石原委員にお答えいたします。

 先ほど申し上げましたような、人口減少、少子高齢化、多額の財政債務という三つの制約条件がございます。こういった中で、真に必要な公共事業を見きわめることが重要だと私ども考えております。

 そういう意味では、昨年九月十六日に発足いたしました鳩山内閣、そのもとで我々、国土交通行政を担っているわけでありますけれども、事業評価というものをしっかりとしたものにしていかなければならないということで、この間、見直しを進めておるところでございます。従来ですと、三月三十一日の実施計画の段階で事業評価が出てきた。それをやはり予算の審議に資する形で出したいという思いで、先般、私ども、事業評価も公表させていただいたわけでございます。

 我が国が国際競争力を強化する上で必要な空港、港湾、道路の整備、さらには災害等に備えるための防災のインフラ整備、こういったインフラ整備については重点的に行っていかなければならないと考えております。

 さらに、先ほど冒頭申し上げましたように、財政に限りがある中でございます。民間の資金、あるいは経営ノウハウ、さらには技術力、こういったものを取り入れながら、官と民がお互いパートナーシップを築きながらインフラ整備をしていくPPPという取り組みについても、今、我々国土交通省、さらには内閣府と協力、連携をしながら、検討しているところでございます。

石原(洋)分科員 大変ありがとうございます。

 それでは次の質問に移らせていただきます。

 人を大事にする適正な競争入札価格についてお伺いをしたいと存じます。

 公共工事の予算が縮小されていくことは、同業種間の競争の激化も生んでおります。限られた財源の中で競争原理を有効に活用していくことは求められますが、しかし行き過ぎますと、工事の安全性が失われ、建築物の信頼性も失われがちとなってしまう懸念もございます。

 発注をする際、積算単価を根拠として予定価格が見積もられますが、入札の場合、その予定価格から大きくダンピングされた形での受注が十年前ぐらいから大きく目立つようになってまいりました。予定価格の大体八割が最低保障価格であるにもかかわらず、五割、六割で低入札受注をしてしまうわけであります。激しい競争の中、企業としては最初は材料費や経営面などでコストの縮減努力をいたしますが、それが行き詰まると、最終的には、人件費を削ることとなったり、あるいは下請の価格をたたくという現象につながってしまいます。二次、三次の下請、さらにはその下請の会社の労務費などは、非常に厳しい日当となってしまいます。

 入り口として、本来ならば適正な予定価格に近い金額で工事が受注されるような対策が求められたり、あるいは、最低保障の部分として、人件費が適正に支払われるような公契約法の制定を求める動きも今出ておりますけれども、その点についての御所見をお伺いいたします。

長安大臣政務官 公共工事のダンピング受注につきましては、これは委員御指摘のとおりでございまして、下請や資材業者に対するしわ寄せ、さらには工事品質の低下や労働者の労働条件の悪化といった弊害が懸念されるところでございます。そういう意味では、ダンピング受注の排除を徹底しなければならないと思っております。

 国土交通省といたしましては、昨年の四月に低入札価格調査基準価格の引き上げを行ったところでございます。

 また、これは国土交通省としては取り組んだわけでありますけれども、地方公共団体には、いまだそういった取り組みがおくれている団体もございます。総務省と現在連携をとりながら、今申し上げた低入札価格調査基準価格及び最低制限価格の引き上げ、さらには予定価格等の事前公表の取りやめ、総合評価方式の拡充など、ダンピング対策の徹底を図るよう地方公共団体に要請をしているところでございます。

 今後も、ダンピング対策の徹底のために取り組みを促進してまいりたいと考えております。

 またさらに、公契約法についての御質問がございました。建設労働者の賃金、労働条件の安定、公共工事の品質の確保、こういった観点から、重要な課題であると認識しております。

 この公契約法の制定に関しましては、労働条件というものは労使間で自主的に決定されるべきという大前提ではございますけれども、国による賃金規制、規制する賃金水準の設定、建設企業への影響など論点があり、注意深く議論をしていかなければならないと思っております。さらには、この問題というのは多方面に大きな影響が及ぶテーマであると考えております。

 まずは、冒頭申し上げましたように、実効あるダンピング防止対策の徹底、また、元請、下請関係の適正化等、総合的な取り組みというものをしっかりと実施してまいる所存でございます。

石原(洋)分科員 この件に関しましては、市民から、国民からお預かりした税金を有効に使っていくというために、競争が激しくなってしまうというのも一部やむを得ないところもあったり、あるいは別の面から見れば、やはり工事に携わる方が安心して働けるような環境をつくっていくという、その二つのぶつかり合いといいますか、そういう性質があるかと思います。その点、非常に難しい御調整の部分もあるかと思いますけれども、だれもが安心して働ける、一方で国民の税金がきちんと有効に使われる、そういったベスト、ベターな方策が見つかればいいと思いますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。

 空港整備に関しましてお伺いをいたします。

 日本には多くの……

古賀主査 そろそろ時間が来ておりますので、それを踏まえての質問等をお願いします。

石原(洋)分科員 はい。

 日本には多くの空港がございます。しかしながら、その地方管理空港の大多数は基本的収支が赤字でございます。この原因は、特別会計を舞台とした空港整備に関する国と地方自治体の無責任、需要予測の現実との乖離、国土全体を考慮した航空行政の戦略の欠如などがあります。

 空港問題、航空行政に関しては、本来ならば、地方だけにとどまって考えてはいけない、地域主権、お任せ地方自治としてはいけないんじゃないかなと考えます。当然のことながら、隣の県で空港ができれば、自分の県にも空港が欲しいという心理が働き、広域行政の視点は失われまして、パイが限られているにもかかわらず新たな空港建設を要望してしまいます。その繰り返しで、結果、現状といたしましては、少子高齢社会、人口減少に突入していく中で、限られたパイの中で、航空、鉄道、バス、車、船などの利用客の争奪戦が繰り広げられております。

 膨れ上がってしまった空港に関しまして、本来、再編成を行うなどの大胆な国主導の政策も必要であったり、あるいは、その空港に対する駐車場、道路などのアクセスを整備し、利用客拡大に努めるなど、航空行政の見直しも求められると考えますけれども、ただ、やはり地方管理空港でございますので、交通政策の中における、我が県にある福島空港も含めた上での航空行政全般についての今後のあり方について、御所見をお伺いいたします。

長安大臣政務官 今お話のございました、空港整備をいかにしていくか、非常に重要な観点でございます。

 先ほど来申し上げておりますように、国の現在の状況を見たときに、空港整備に湯水のようにお金をつぎ込んでいくということができない時代になっております。

 一方で、この間の航空行政、空港行政というものを見てみますと、おらが村に空港が欲しいという声を受けて、空港を全国各地につくり続けてまいりました。これはそもそも、全国の空港をどんぶり勘定でやる空港整備特別会計というシステムがあったからつくられてしまったという問題もございます。現在では、社会資本整備事業特別会計の中の空港整備勘定としてこの空港整備特別会計は変わっているわけでありますけれども、仕組みとしては全く同じであります。

 今、我々国土交通省の成長戦略会議の中でも、この空港整備勘定のあり方、さらには航空行政のあり方というのを検討している真っただ中でございます。この六月の結論に向けて、鋭意議論をしてまいりたいと考えております。

石原(洋)分科員 どうも大変ありがとうございました。

古賀主査 これにて石原洋三郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口善徳でございます。

 前原大臣には、海洋基本法、基本計画等で一緒にいろいろと勉強してきたわけでございますけれども、命を守るという総理の理念というのはだれも反対する人はいない、そういうことで、その視点からきょうは質問させていただきます。よろしくお願いします。

 昨年八月十一日、駿河湾を震源とする最大震度六弱の地震は、静岡県下各地で、ライフラインへの被害を含め、人的、物的各種被害をもたらしました。静岡県の調べでは、昨年十一月二十四日現在で、死者一名、負傷者三百十一名、家屋への被害八千三百九十二戸余りとなっています。犠牲者の御冥福と負傷された方々へお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回のこの地震は、予想される東海地震につながる前兆すべりはないと地震防災対策強化地域判定会の結論は出されていますが、マグニチュード六・五の今回の地震でも、東名高速道路は、のり面の崩壊と路面の段差により二カ所にわたって交通どめとなり、特に牧之原地区においては、のり面の崩壊で、お盆期間中の道路交通において大きな支障を来しました。また一般道でも、路肩決壊や斜面崩壊等で、五つの道路で全面通行どめを含む交通規制が行われた。ちょうど選挙の真っ最中でしたよね。そんな状況の中でありました。

 公明党は、この地震発生当日に、党本部に、駿河湾を震源とする地震災害対策本部を設置しまして、私、本部長になりまして、そして早速崩壊現場にも行きました。また、被災者の方々のところへもお見舞いに行きました。

 崩落現場では、中日本道路株式会社や地元建設会社が夜を徹して、それこそお盆の真っ最中でありますので、仮復旧へ向け、懸命の作業をしておられた姿を見ました。そして、仮復旧の工法の途中変更もちゃんと記者会見をして、さすが会社組織にしたということで公団とは対応が違うなと思ったんですが、地震発生から四日後の八月十五日には、日本の大動脈である東名高速道路の通行どめを解除できた。このことについて、私ども本当に、努力された方に対して敬意を表したい、こういうふうに思っております。

 この通行どめ期間に、この影響で特に混雑が著しい大井川という川がありまして、その渡河区間において建設中の新東名、ここの大井川橋を地域の住民の方々を対象に緊急通路として開放し、地域住民の皆様が本当に安堵されたということでございました。

 私は、これらの視察だとかあるいは被害者のお宅のお見舞い等にお伺いしまして、八月十三日、駿河湾を震源とする地震災害対策本部として、東名高速道路の早期復旧や地震対策の要望をまとめて、当時の内閣府の林防災担当大臣や国土交通省に要望させていただいたところでございます。

 ついては、今後想定される東海、東南海・南海地震を視野に入れた対策として質問したいと思うわけです。

 まず、今回の被害箇所については、関係各位の御努力によって応急処置による早期復旧ができたわけでありますが、今後、本復旧に向けた取り組みとなると思います。これはやっていただいているわけですね。この本格復旧工事の進捗状況と完成時期の見通しについて、局長にお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、八月十一日、のり面崩落が起きまして、八月十五日までに一応仮復旧をさせていただきました。その後、専門家から成る委員会を設置させていただいて、今回の一番の教訓はやはり水位の管理が一番大事だということでございますので、現在、本復旧の工事をしております。

 主な内容は、詳細は省略いたしますが、例えば、水抜きのための集水のボーリングであるとか、水抜きのための井戸の設置であるとか、それから現在やっておりますのは、特に地盤改良、排水管の設置、その他の工事を今鋭意やっておりまして、ことしの梅雨の前までには、確実にこういった本格復旧を終えて、本格的な復旧をしたいというふうに考えているところでございます。

大口分科員 梅雨の前ということだから、六月の早い段階でということですか。ちょっと明確に。

金井政府参考人 おっしゃるとおり、梅雨で、六月は雨が降りますので、その前までには本復旧をするという予定で鋭意工事をいたしております。

大口分科員 今局長からも話がありましたように、このことについては、東名高速道路牧之原地区地震災害検討委員会が発足をしたわけですね。そして、この検討委員会では、地形、地質、周辺の震度、降雨状況等から当該のり面崩落の原因分析、本復旧対策工、そして条件が類似した盛り土箇所の抽出とその対策工というのを検討する、そういうことで、社外有識者をメンバーとしてやっているわけです。

 その報告書を見ますと、馬の背状に盛り土を施して、水がたまりやすい地形、地質、何か竹がたくさん植わっているところだそうですが、あるいは地下水位が高い。盛り土上部は良質な砂れきが使われているのですが、下部には風化しやすい泥岩が使われているなどの悪条件が重なり崩落が起きたということでございます。

 このような類似箇所は、机上調査で私はお伺いしましたが、中日本道路株式会社だけで全国三百八十六カ所、うち東名高速道路だけで八十六カ所存在している、二月二十二日の段階ではそういうことだと聞いております。

 全国高速道路六会社、直轄国道で類似箇所はどれぐらいあるのか、国土交通省は把握していますか。

 また、今後、現地踏査、これは盛り土ののり面の湧水の有無、平常時及び降雨時の確認、そして二段階目として簡易現地調査、これは湧水確認の盛り土、それから盛り土の強度、地下水位の確認、そして詳細調査、これはボーリング等をするわけでありますが、こういう各踏査、調査の完了のめど、いつごろなのかお伺いしたいと思います。

金井政府参考人 御指摘いただきましたとおり、全国で類似の箇所、例えば地質が細粒化しやすいとか、沢の埋立部で水が集まりやすいとか、盛り土高が十メーターを超えるとか、そのような条件を先生御指摘のとおり机上で拾わせていただきまして、大体、高速道路で約二千七百カ所、それから直轄国道で約二千カ所、そのような箇所がございます。

 そのような箇所につきまして、現在、通常時の点検と、それから特に水の問題でございますので、たくさん雨が降った後の点検が重要でございますので、そのような調査を実施しておりまして、現在、約半数ぐらい完了いたしております。

 来年度に入りましたらすぐ、問題が指摘された箇所について、最終的に、例えば土の強度であるとか水位の確認を行って、さらなる詳細な調査を実施する、それは来年度に入ったらすぐ行う予定で、現在準備を進めさせていただいております。

大口分科員 地震はいつ発生するかわかりませんので、本当にしっかり調査をしていただきたい、こういうふうに思っております。

 それで、今回の地震はマグニチュード六・五の地震だったんですね。ところが、想定される東海地震、これはマグニチュード八、それから東南海・南海地震、マグニチュード七とか八ですね。そのエネルギーは、マグニチュード八の場合は今回の地震の百八十倍、こういうことでありまして、緊急対応が急がれている類似の箇所についてどのような補強や改修等を国交省として考えているのか。これはもちろん、六の高速道路会社がやる、また直轄国道については国交省がやるということでありますが、予算措置も含めて、どう進めていかれるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 当日、私も選挙の応援で三島に宿泊をしておりまして、大変揺れて、飛び起きたのを覚えております。

 今委員おっしゃったように、また金井道路局長もお答えをさせていただきましたけれども、高速道路で約二千七百カ所、そして直轄国道で約二千カ所ということで、これは我々、直轄国道については国土交通省で、コスト縮減もしっかりやりながら、しかし、委員おっしゃったように、いつ地震が起きるかわかりませんので、できるだけ早急に対策を講じていきたいと思っております。

 高速道路につきましては、これは高速道路会社がやっていただくことでございますので、必要な支援、支援といいますのはお金ではなくて、いろいろな意味での技術的な支援を含めて、国土交通省としてバックアップできることはやらせていただきたい、このように考えております。

大口分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 その上で、この地震で東名高速道路の盛り土の部分が崩落したわけでありますが、高速道路の盛り土部分の土構造物について、新聞報道では、どこでも明確な耐震基準がない、こういう報道であったわけであります。聞きますと、のり面、斜面安定工指針というものがあるようでありますけれども、果たしてこの指針で今後こういう大きな地震等ということも想定の中に入れて十分なのか、この指針の改定ということを考えておられないのか、大臣にお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 委員御指摘のように、「道路土工 のり面工・斜面安定工指針」というのは、土工構造物に関する産学官の専門家の委員会により策定された指針でございまして、最新の知見や技術を踏まえ、盛り土の設計、施工方法等を規定しているものでございます。

 したがいまして、本指針については、今回の東名高速道路における被災経験により得られた知見についても新たな指針に反映させるべく、見直しを進めているところでございます。

大口分科員 では、今後ちゃんとしっかり見直しをしていくということでございますね。できるだけ早く見直しをして、今調査中でありますから、ちゃんとそれを発表していただきたいと思います。

 次に、東名高速道路というのは日本の大動脈ですね。それが、震度六弱、マグニチュード六・五でああいうことになるということからいきますと、やはり東海地震に備えたリダンダンシー、代替機能の確保、これは非常に必要だなということを今回痛感いたしました。

 また、現東名の渋滞緩和とか事故の減少等々もございますし、新東名高速道路それから中部横断自動車道の整備ということをやはり私ども、これはもう日本の背骨ですから、整備を推進していくべきだ、これは真に必要な高速道路だ、こう考えておりますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 今おっしゃった新東名高速道路及び中部横断自動車道の整備につきましては、地元からも強い要望をいただいているところでございます。

 今後の高速道路整備のあり方については、これまでの経緯や国民の幅広い意見も踏まえつつ、必要な事業をできるだけ効率的に進めることができるように検討を行っていく予定でございます。

大口分科員 本年六月ごろを目指し、高速道路無料化の社会実験が実施される。平成二十三年度より段階的に無料化を実施すると聞いています。しかし、真に必要な高速道路の整備というのがあるし、また、今長寿命化という、もう東名の場合は四十年たっていますから、そういうこともやっていく、耐震強化等のメンテナンスもやっていく、あるいは更新等もある、それにも財源が必要だ、こういうことであります。この無料化の方向性と、また、こういう整備やあるいは更新、メンテナンス等の両者の関係についてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

前原国務大臣 今委員が御指摘をされた維持管理費、高速道路会社だけで年間千七百億円ぐらいの維持管理費がかかっております。また、高速道路のいわゆる有利子負債と言われるものは約三十五兆円でございます。したがって、仮に完全無料化をした場合には、この一千七百億円そして三十五兆円については公費で賄っていかなくてはいけないということになるわけであります。

 ただ、我々は原則無料化という言い方をしておりまして、首都高やあるいは阪神高速道路についてはこれからも料金を取り続けてまいりますし、今回、社会実験をさせていただく大きなポイントというのは、渋滞、環境負荷、そしてまた逆の意味での利便性向上、あるいは経済効果、こういったものをすべて社会実験によって精査させていただきながら、最終形をある時期に決めていかなくてはいけないなというふうに思っております。

 そういう中で、今おっしゃったような維持管理費のあり方についても、社会実験を通じて、最終形の中できちっと結論を出していかなくてはいけない問題だと考えております。

大口分科員 特に維持管理費とか更新とか、そういう金額はどんどんこれから大きくなってくるわけですから、しっかりそこら辺のバランスを考えていただきたいと思います。

 次に、ことしの二月十五日の夜、JR高円寺駅で二十歳の女性が転落し、幸い、目撃した男性がよく救助をしていただいたと思います、無事であって、非常に胸をなでおろす思いであるわけです。

 このような鉄道ホームからの転落事故が全国で後を絶たない。不慮の事態でとうとい命を落とす、危険にさらすという問題であって、その鉄道を利用する多くの国民にとっては、交通の足に支障を来すことでもあるわけでございます。ですから、対策が急がれる。

 この十七日の新聞によりますと、JR東日本が、山手線各駅で可動式ホームさくの設置の準備を進めている、それに対応するために六扉車を廃止して四扉車に取りかえていく、そういう記事も掲載されています。鉄道関係者も努力している姿勢は感じるわけであります。

 実は、昨年三月三十日、公明党国土交通部会として、当時の大臣である金子大臣に対し、交通バリアフリーの早期整備と鉄道ホーム防護さく、ホームドア設置推進を要請いたしました。ホームドア、可動式のホームさくの設置に関しては、これまで、地下鉄の東京メトロ南北線や丸ノ内線の全駅を初め新しい駅に設けられていて、視覚障害者のバリアフリー化を初め、転落事故や自殺の防止に顕著な効果を上げていることを見ても、やはり国民の安全、安心、命を守るという意味から非常に大事だと思うんですね。

 この要望書でも私ども書かせていただきましたように、こういう真に必要な公共工事を実施するということは、非常に経済効果も期待できるし大事なことである。この十年間で、一日利用者五千人以上の駅、これは大都市を中心に全国では約二千八百駅あるわけでありますが、その主要駅のすべてにホームドアを設ける目標を政府として掲げるよう要請をしたわけでございます。

 そして、三年間の集中取り組み期間で、地方自治体の負担や鉄道事業者の負担の軽減のための特例措置も講じながら、乗降客の多い都市部の主要駅から設置を進め、同時に車両の改良についても対策を講じるよう、こう昨年三月三十日に求めたわけであります。

 そこで、鉄道局長にお伺いしたいんですが、プラットホームからの転落事故は年間どれぐらい起きているのか。そのうち、障害者や高齢者の方の転落事故はどれぐらいなのか。また自殺はどれぐらいなのか、また、統計として事故の多い駅はどのような駅なのかについてお伺いしたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 旅客の方がホームから転落をされて列車等と接触したことによりますいわゆる人身障害事故でございますが、平成十七年度から平成二十年度までに二百二十三件発生をいたしております。また、転落はされておらないものの、ホーム上で列車等に接触してしまったといった人身障害事故がこの期間に四百九十四件。合わせまして、七百十七件発生いたしております。

 高齢者についてという数字はちょっと持ち合わせておりませんが、障害者の方について、今の内数として合計七件が計上されております。

 また、こうした人身障害事故の約九割が、一日当たりの平均的な利用者数五千人以上といった駅で発生しております。

 また、自殺ということでございましたが、自殺に関連した人身障害事故の数値がございませんので、参考といたしまして、自殺を原因とした輸送障害、運休あるいは三十分以上の遅延でございますが、平成二十年度で六百四十七件発生しております。

 以上です。

大口分科員 バリアフリー法の基本方針である、ホームドア、可動式ホームさく、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止するための設備の整備の進捗状況、これはどうなっておりますか。

本田政府参考人 現在のバリアフリー法に基づく目標でございますが、一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上の鉄軌道駅にホームドア、可動式ホームさく、あるいは点状ブロックといった設備を設けることにしておりますが、点状ブロックを含めた施設整備の状況は、平成二十一年三月末でございますが、合計二千八百十六駅のうち二千七百七十七駅、九九%でございます。ただし、今御指摘のホームドア、可動式ホームさくにつきましては三百七駅、一〇・九%というのが実情でございます。

大口分科員 大臣、まとめて聞きますけれども、こういうことで、実は、私の地元のJR藤枝駅、これは大体一日一万人を超える乗降客があるわけですが、昨年末、残念ながら、五十代の男性、これはJRの職員の方で勤務中ではなかった方ですが、とうとい命を落とされたわけでございます。

 今ありましたように、ホームドアとか可動式さくについては一〇・九ということでありますので、五千人以上の駅で一〇・九しか進捗率がないということでございます。平成二十二年末の基本方針の改定に合わせて、ホームドアや可動式ホームさくの設置に関する目標達成計画を策定すべきではないか。

 それから、これが進まない原因の一つとして、やはり補助率が三分の一というその補助率の低さにあるのではないかな。予算措置を含め、命を守る政治を標榜する鳩山内閣の一員である前原国交大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 今委員御指摘のように、いわゆるバリアフリー法の基本方針では、平成二十二年までに原則としてすべての鉄道駅及び軌道停留場についてホームドア、可動式ホームさく、点状ブロックということで書かれているわけでございますけれども、点状ブロックは九九%達成で、ホームドアと可動式ホームさくについては、先ほど鉄道局長がお答えしましたように、一〇・九%にとどまっているということでございます。

 これは幾つか理由がございまして、委員御承知のとおり、いろいろな鉄道の乗り入れというものがありますと、ドア、扉の数とか車体が違った形態の列車が来ますと合わないとか、あるいは、きっちり停止をするためのATOという自動列車運転装置、こういうものをつけなきゃいけないとか、あるいは、さまざまな、そういった重いさくを設けるということになれば、またその土台の補強をしなきゃいけないとか、かなりお金がかかるわけでございまして、それが進んでいない理由でございます。

 今委員が御指摘のように、では、もうちょっと予算措置をちゃんとしたらどうかということでございます。

 今二つございまして、地下高速鉄道整備事業費補助と、それから交通施設バリアフリー化設備等整備費補助金制度というのがございます。地下鉄についてはかなり利用されているわけでありますけれども、後者の方については、先ほど委員が御指摘のように、三分の一、三分の一、三分の一しかないために、なかなか使いでがうまくいっていないということでございます。

 とにかく、安全というものは何事にもかえがたいということで、鉄道事業者にもできるだけこういった仕組みを使ってもらって、まずは今の現行制度を使って、そして整備をしていただくように働きかけをさせていただきたいと考えております。

大口分科員 昨日二月二十四日、新介護ビジョンを公明党は出させていただきました。これは十万件のアンケート調査をもとにして、鳩山総理にお渡しいたしました。

 ここで、高優賃とか高専賃等の整備の充実とともに、公共の住宅や空き学校などを活用してケアつきの高齢者住宅の大幅拡充を求める、それから、公的賃貸住宅の建てかえ時に、医療、介護、生活支援などの機能を備えた多機能支援センターの整備拡充を求めたわけであります。

 昨日の予算委員会の中央公聴会でも、これは高橋紘士さんという立教大学大学院二十一世紀社会デザイン研究科の教授の方が、前原大臣は住宅と介護の連携ということをしっかりやっている、これは公明党の推薦の先生なんですが、そういう評価もありました。

 そういうことで、ケアつき住宅をしっかりつくる、また、医療、介護の拠点整備をするということをしっかりやっていただきたいということと、あと、都道府県では大阪府と群馬県だけが、本年度末、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づき高齢者居住の安定確保計画というのを定めている。これをもっと全国に広げていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

前原国務大臣 今委員が御指摘をいただいた点は大変重要でございますし、きょうはここに川本住宅局長も同席をさせていただいておりますけれども、川本住宅局長とそれから厚労省の老健局長で協力をしながら、今委員が御紹介をされた事業について打ち合わせをし、進めていく作業をしておりますので、さらにこういった、今委員が御指摘のような観点での取り組みを進めさせていただきたいと思っております。

 今のところは大阪府と群馬県だけ、今年度でございますが、来年度は東京都など九都県で、先ほどおっしゃった高齢者居住安定確保計画というものを策定されると聞いておりますので、今後も、住宅局、老健局と連携をして、地方公共団体にそういったものを促すように、私もしっかりと長妻大臣と話をしながら、努力をさせていただきたいと考えております。

大口分科員 昨年十月一日より、住宅瑕疵担保責任の履行を確保する法律が新しく施行されたわけであります。

 住宅事業者はこの法律に基づいて、保険法人による保険に加入するか、あるいは、保証金の供託により必要な資力の確保が義務づけられています。保険に加入するには、地盤調査をして、軟弱地盤の場合は補強しなければ加入できない、このようになっている。

 ただ一方、地盤保証をインターネットで検索しますと、同じ保証限度額なのに、保証料が二、三倍くらい開きがある。中には、住宅瑕疵担保履行法では地盤部分は免責だとうたい、地盤保証への加入を勧めるところもある。保証というのは保険ではない。ですから、法律による管理監督を免れている。これは保険だと金融庁が監督するわけですね。

 そこで、住宅の建設の際に地盤調査や地盤改良が適切に行われないと、地震のときの倒壊など、居住者に危険が及ぶおそれがあるわけですね。一方で、悪質な地盤調査会社や地盤改良会社が不当に、安価な費用でいいかげんな業務を行い、さらに、そうした会社を地盤保証会社が保証することで、さも信用力を有するかのような誤解を与えています。こうした地盤保証会社は、行政の監督を受けておらず、事故が発生したときにきちんと保証金を払えるかどうか不明確である。このため、地盤調査会社や地盤改良会社、地盤保証会社を適正に規制すべきである、こういうふうに考えますが、国交省としてどう考えるか。

 それと、私、もう一つは、保証ということでいえば、富士ハウスとかアーバンエステートの問題がございました。ですから、住宅完成保証制度について、これは住宅瑕疵担保責任保険法人による住宅完成保証制度への加入を義務づけることについてどう考えるのか。

 そして、昨年四月二日、消費者問題特別委員会で私が、完成保証制度の広報を徹底するとともに、社団法人住宅生産団体連合会が発表したガイドラインに従い、請負代金の前払いを受けるとき、できるだけ工事の出来高に応じた前払いをするよう徹底すべきである、法的な拘束力を持たせるべきではないか、こういう提案をして、当時の金子大臣は、相当の強制力を持てるようなものができないか検討してみたい、こう答えています。これについて住宅局長にちょっとお伺いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず一点目の、地盤保証会社の問題の関係でございます。

 先生がお話しのとおり、住宅の設計、施工に当たりましては、地盤状況に応じた基礎の設計、施工というものが非常に必要でございまして、これをちゃんとやりませんと、いわゆる不同沈下と言われるような状況が生じます。この不同沈下につきましては、住宅自体の瑕疵として扱われますので、これは当然、瑕疵担保保険の対象になります。

 お話のように、昨年の十月一日から、特定瑕疵担保の履行の保証、この法律が完全施行いたしておりまして、多くの業者がこの瑕疵担保保険に加入をいたしております。これは、保険を掛けるときに保険法人が現場検査をやりますので、その中で確認を行っておりまして、こういった保険法人の確認、検査によりまして、地盤調査や地盤改良工事についても適正化が促進されるというふうに私ども期待をいたしておるところでございます。

 また、保証会社の関係につきましては、これは住宅瑕疵担保保険法人もこの保証を法律上の業務としてやれるということにいたしておりまして、既に一法人はこれをやっております。こういった瑕疵担保保険法人の取り組みといったものを十分に周知させることによって、地盤調査や地盤改良の適正化というものを図ってまいりたいと考えております。

 それから二点目、完成保証の関係でございまして、お話のように、住宅を購入される方、払い込んだ代金が業者の倒産によって返ってこないという事案が生じたわけでございます。そのために、完成保証を義務づけるとか前払い金の支払い方法を規制するといった考え方は当然あろうかと思っております。

 ただ一方で、これをやりますと、大変また事務が煩雑になるという問題がございますし、それから、特に財務状況が悪い業者の場合は完成保証を受けられないといったような問題も出てくるというふうに考えております。

 したがいまして、なかなかこれは一律に義務づけるということは難しかろうと思っておりますが、お話がありました前払い金の支払い方法のガイドラインといったようなものもございます、こういったものを周知徹底しまして、あらかじめ余り大量の金を一番最初に払ってしまうということがないようにしていただく。また、瑕疵担保責任保険法人も完成保証制度をやっておりますので、そういったものをできるだけ使っていただくということで、消費者の保護を図ってまいりたいと考えております。

大口分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

古賀主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、森本和義君。

森本(和)分科員 民主党・無所属クラブの森本和義です。こんばんは。こんな時間になってしまいました。

 私は一年生議員でございまして、このような機会をいただいたこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。また、前原大臣初め政務三役、そして国土交通省の皆さん、国土交通行政に関しまして日ごろから本当に努力をされているということで、敬意を表したいと思います。

 それに加えまして、私、予算委員として、ここ最近、ほぼ毎日、朝から晩まで審議に加わらせていただいておりまして、本当に光栄だなと思う反面、ほぼ毎日のように前原大臣は大変に出番が多くて、本当に大変だなというふうに思います。また、私もそういうわけで、いわゆる地元になかなか帰れないということで、たまに地元に帰りますと語る会というのをやっておりまして、地元の方と本当に忌憚なくお話をさせていただいております。

 その中で出てくるのが、いろいろな話題を提供している民主党政権でございますけれども、何が変わったのか、何が変わっているんだということをよく聞かれます。私、いつもそのときに事例として出すのが、港の話なんです。

 今までの港に対する投資というものが、これまでの政権はどちらかというとばらまき的に、満遍なくやっている。そのために、そこそこ横並びなんですけれども、もっと力を入れて、もっと早くやらなきゃいけないことがどうしても遅くなり、逆に無駄なことも出てくる。これが、今回、前原大臣のリーダーシップで絞り込みをする。これはこれまでの政権だったら多分あり得ないんじゃないかということを私は強調させていただいておりまして、このことはやはり政権交代をしたから変わったんだということを申しますと、みんな、そうか、そうだなと納得をしていただけます。

 ただ、残念なことに、なかなか港の話というのは新聞に取り上げていただけないものですから、余り目立ったニュースになりづらいということがあります。しかしながら、地域の産業政策、将来の日本の産業を支える、そういった部分で考えますと、これは非常に重要なことだと思っております。

 ちょっと前振りが長くなりましたけれども、そういう意味で、最近の港の投資の絞り込みについてお伺いさせていただきます。

 まず、スーパー中枢港湾の絞り込み、これが、公募がもう始まっているかと思いますが、そういう意味で、公募で手を挙げて選ばれるポイントと所見をお伺いしようと思ったんですけれども、それはなかなかお答えしづらいんじゃないかと思いますので、実は、先日、二月十四日に名古屋港を見学していただきました、その感想を、新聞報道に一部出ておりましたし、また予算審議の中でもお答えをいただいておりますので、ある意味重なってしまうかと思いますけれども、改めてここで感想をお聞きしたいんですが、よろしくお願いします。

前原国務大臣 森本委員にお答えをいたします。

 さまざまな制約要因の中で、公共投資額を減らしました。そのことによって、選択と集中というものをやっていかなくてはいけない。

 港のお話で申し上げれば、重点港湾が百三ございますけれども、これを大体四十ぐらいにこれから絞り込んでいこうと思っておりますし、スーパー中枢港湾にいたしましても、さらに戦略港湾として、コンテナについては一つもしくは二つに絞り込んでいく。つまりは、国際競争力がつかないと、ばらまき的に総花的に整備をしても、全部釜山とかあるいは高雄とか香港とか上海に行って、そしてローカルのフィーダーで日本に来るということで、完全に日本が取り残されてしまう。こういう危機感の中で、限られた費用でどこかやはり国際競争力を持つところをつくらなきゃいけない、それが今の政権の中での港湾の取り組みの趣旨なんだということをおわかりいただきたいと思います。

 名古屋港を視察させていただきまして、非常にポテンシャルがあると私は思いました。例えば飛島埠頭で、あれはトヨタの技術を使っているらしいんですけれども、民間会社ですね、飛島埠頭の株式会社。無人でコンテナを輸送しているという仕組みがあります。

 ポイントは、先ほど遠慮されましたけれども、私はどんどん答えていますけれども、やはり三百六十五日、二十四時間これがちゃんとできるかどうか。人もちゃんとそろえなきゃいけない。でも、これからどんどん働き手が少なくなってきますので、ああいう無人の仕組みを持っているというものは極めて優位性が高いというふうに私は思いました。

 それから、これは港湾管理者として河村市長にも申し上げたんですが、ばらばらなんですよ、いわゆる区域区域で管理をしている、運営をしているところが。これは一体的に、しかも民の力でやってもらうということが大事だと私は思います。無駄が多いんですね。隣同士で、バースで運営主体が違ったら、こっちは満杯で人が足りない、そして詰まっている、こっちがあいている。これを一体管理すると人の融通とかトラックの融通とかが簡単にできるのに、それができない。これが国際競争力をそいでいる要因になっています。

 そういう意味では、民の視点で一体運用を三百六十五日、二十四時間運営をしてもらえるようなところがあれば、今の取引量はもちろん重視をしますけれども、伸び代を見て我々は戦略港湾に指定をしていきたい、このように考えておりますので、どうかそういう観点で名古屋、四日市、一体的に申し込んでいただいて、そういった点をアピールしていただければというふうに考えております。

森本(和)分科員 大変勇気が出る答弁、ありがとうございました。

 名古屋そして四日市、一つに取り組みということなんですが、私、個人的には、本当は、名古屋港、四日市港、そしてまた三河港、衣浦港、こういった港も一体化して手を挙げるといいんじゃないかということを早くから申し上げていたんですが、現時点ではなかなか難しいのかなと思っておりますけれども、公募に際してはぜひ新しい観点で見ていただきたいなというふうに思っております。

 今お話が出ましたコンテナですが、それとバルクということで、二分をされているかと思います。ただ、通常、コンテナだけとかバルクだけというような港というのがあるのかなと。実態は、両方備わっている。特に名古屋港なんかそうだと思います。

 そういう意味で、地域産業の政策という視点から、今の議論の中で、私どもの愛知県というのは御存じのとおり自動車産業が盛んでして、コンテナに自動車は、部品は入っていますけれども、自動車完成品は入っていない。片や、バルクというものが、穀物、鉄鉱石、あるいは石炭と、重量のかさばるもので三大バルクということで、自動車の完成品に対する扱いというか見方というのがまだちょっと明確になっていないかと思うんですけれども、日本の経済産業、地域の産業集積、そういった点からいってこの自動車完成品というのは非常に重要かと私は思っておりますので、この自動車完成品に対する考え方をぜひお伺いしたいと思っております。よろしくお願いします。

長安大臣政務官 森本委員の御質問にお答えさせていただきます。

 まず、今前原大臣からお話ございました港湾の選択と集中ということで、今回、国際コンテナ戦略港湾、さらには国際バルク戦略港湾と二種類に分けて考えさせていただいております。

 そもそも、今おっしゃられましたように、荷姿が違うというポイントがあるのと同時に、それぞれの置かれている環境が違います。つまり、コンテナの場合ですと、基本的には荷姿は同じになります。このコンテナ、日本国内のコンテナを一カ所ないし二カ所にいかに集めるかということに我々力を注いでいかなければならないと思っております。

 なぜならば、御存じのように、韓国の釜山港は、アジアから荷物を集めてトランシップ港として、つまり積みかえて、そこから欧州あるいは北米への基幹航路に乗せるという港になっております。今では瀬戸内、北九州、あるいは日本海の港の日本の貨物が釜山に集められ、釜山でトランシップをされて海外に出て、基幹航路に乗っているという現実があるからです。

 日本がこれからも基幹航路を維持さらには増加させていくためには、日本のコンテナ貨物というものをいかに集約していくか、そのための国内フィーダーの充実である、さらには港の選択と集中ということをしていかなければならないという考えに基づいているわけです。

 一方で、バルク。今このバルクの議論をしておりますのは、今御指摘のございましたように、穀物でいいますとトウモロコシ、さらには鉄鉱石、石炭といった三つの品目について、ユーザーの方々から御意見を賜っております。このそれぞれの品目についても、現状は違います。バルクの場合は、その品目を輸入する港の後背地に、すぐに企業なり産業というものがあるわけです。

 例えば、簡単に御説明申し上げますと、鉄鉱石の場合ですと、その背後に製鉄所があるわけであります。そういった製鉄所が、これからパナマ運河の拡張が行われてくる中で、大型の貨物輸送船というものが出てくるわけです。大きい船で運べば、当然、単価、輸送コストというものを下げることができる。そういう中で、今全国に散らばっている鉄鉱石を輸入している港というものを全国数カ所に絞って、その絞った港に重点的な投資をすることによって、泊地の深度、航路の深度というものをしっかりと維持した形で、大型船の入港できるような体制をとりたいと考えているからです。

 一方で、先般来、政策会議でも御質問いただいたりしておりますけれども、自動車もバルクじゃないかという御意見をいただいておるわけです。しかしながら、自動車の場合は、港と自動車の生産拠点というのはもう拠点化されておりまして、これ以上集約することはなかなか難しいのではないのかなという観点がございます。そういう意味で、今、鉄鉱石と石炭とトウモロコシという三つの品目についての集約、選択と集中を行おうと考えているところでございます。

森本(和)分科員 御答弁ありがとうございます。

 そういう観点でいきますと、自動車というのは、最初に自動車ということを重視していなくて落ちているというか取り上げていないということではなくて、とりあえず今急いで集約をしなければいけないものではない、ただ重要なものであるという認識と理解してよろしいでしょうか。

長安大臣政務官 言葉足らずで申しわけございませんでした。

 自動車産業というものの重要性というのも当然我々は認識をしておりますし、日本の重要な基幹産業であると考えております。今申し上げましたように、自動車は、これ以上集約を図ったから物流コストを下げられる、あるいは競争力を高めるということには資さないのではないかという意味で、自動車が出ている港の選択と集中を今のところ検討していないということでございます。

森本(和)分科員 ありがとうございます。

 今の御答弁と関連をするんですけれども、港というのは物流ネットワークの拠点だというふうに私は思っておりますが、今回の例えば絞り込みと、これは港湾の絞り込みということなんですが、道路、鉄道網の整備というものと、当然関連してくるかと思います。

 やはり、荷物が動くということ、それは内航フェリー等を使った海の上で国内の移動もあれば、道路、鉄道を使った陸上での移動というものもあるわけですけれども、例えば高速道路のインターチェンジまで港から四十分もかかる、そんな港が現実にございます。

 先ほどの御答弁の中で、車の完成品については港はもう集約している、これ以上、ある意味、慌てて投資云々ということが必要ないのではないかと。ちょっと私の誤解だったら訂正していただきたいんですが、そういうようなニュアンスにもとれたんですが、実際には、港からやはり陸上のアクセス、ネットワークのミッシングリンクまで行きませんけれども、非常に不合理性がまだ残っているという点では、逆に言うと、そういうものを解消していくという意味での投資集中ということをぜひ明らかにしていただけるとありがたいなと思っておりますが、いかがでしょうか。

    〔主査退席、若泉主査代理着席〕

長安大臣政務官 先ほど来申し上げております港湾の選択と集中、これは、前原大臣の所信にもございました、日本が人口減少社会、さらには少子高齢化、大幅な財政赤字という中にある中で、公共事業の投資というものを絞っていかなければならないという一面がまずございます。それと同時に、日本の成長力にいかにつなげていくかということで、この選択と集中も行ってまいりたいと考えております。

 つまり、今回は国が一方的に選択と集中を行うということではなくて、それぞれの港の皆さんから提案をしていただこう、つまり計画書を出していただこうと考えているわけです。これは、提案していただく中で、今後このようにコストを削減していくんだ、先ほど大臣からも御指摘がありましたように、民の視点の経営をすることによって、どれだけ荷主の皆さんに提供するサービスのレベルアップを図っていくのかということもはかれるのではないか、そういうことも考えているわけです。

 また、先生御指摘のように、港だけやっても、道路あるいは鉄道で荷物が運べないじゃないかというような現状もあります。先ほど私が申し上げました内航フィーダー、国内の港から港へ荷物を運ぶということで荷物を集めるということも重要ですし、さらには、鉄道あるいは陸送、これは道路ですけれども、こういったものを使って、物流全体のネットワークをしっかりと整備しながら、荷物を集荷して、日本の競争力を高めていきたいと考えております。

森本(和)分科員 ありがとうございます。

 もう一つ、それに関連してなんですが、例えばですけれども、今公募がされておりますが、新しく社会資本整備総合交付金という形で、地域が頭を使って、これに使うんだという形で使えるお金をたくさんつくっていただいているかと思いますが、そのお金を使うという前提に立って、この港をそういう内容で、例えば高速道路へのアクセスを改善するということまで提案に含んで、その港全体のPRをするということは可能なんでしょうか。

長安大臣政務官 お答えいたします。

 今お話がございましたように、今回、平成二十二年度の予算で創設させていただきました社会資本整備総合交付金を使って、このような整備も組み合わせることによって港のアクセスを改善していくんだということも、当然これは計画として盛り込んでいただければと思っております。

 さらに、それだけではなくて、今後いかに集荷を図るのかというのは、これはアクセスだけの部分ではなくて、先ほど申し上げましたように、いかに内航フィーダーを引っ張ってくるのか。内航海運のフィーダーの皆さんのお話を聞きますと、外航船が入っているときには、内航船はいつも港に入るのを待たなきゃいけないんだというような問題があります。また、内航船には燃料にも税金がかかっております。そういう意味で、韓国の釜山に持っていける外航船とは、価格競争力という部分ではなかなか厳しいんだというお話もあるわけです。

 そういったさまざまな提案をしていただく中に、今ある法制度、規制というものを改めれば、このような競争力が高まるじゃないかというような提案もさらに織り込んでいただければ、我々、今後の施策に生かしていきたいと考えております。

森本(和)分科員 ありがとうございます。プレゼンテーション能力が非常に問われるということなのかなというふうに思っております。

 それでは、さらに、百三の重要港湾の四十への絞り込みについての、今のお話で大体、そちらの方も同じような考え方ができるのかなというふうに思っているわけですけれども、それは違いというものがありますでしょうか。

    〔若泉主査代理退席、主査着席〕

長安大臣政務官 全国に百三ある重要港湾を四十港に、新規事業採択というものを今後限っていこうじゃないかということを今検討している真っ最中でございます。この選択と集中ということに関しましては、基本的には、その港湾の背後圏や地理的な位置関係等の地域拠点性というもの、さらには現在の貨物の取扱量の実績などを踏まえて、総合的に判断してまいりたいと考えております。

 今、三河港というお話がございましたけれども、三河は貨物の取扱量という意味でも非常に多い港だと認識はいたしております。

森本(和)分科員 加えて、同じ県内には衣浦港という港もありますので、どうぞ覚えておいていただけたら幸いです。

 続きまして、ちょっと話題がかわりますが、道路についてでございます。

 地域の主要都市間の幹線道路の整備が必要であることは間違いないわけでございます。ただ、本当に必要としている、大都市と大都市を、中都市でもいいんですが、結ぶ道路がまだまだ整備されていないというのも現状、実情でございます。

 例えば、国道二十三号線のバイパス、通称名豊道路、名古屋の名に、東三河の中心地、豊橋の豊、合わせて名豊道路という道路がございますが、これも、つながっていないわけではないんですが、非常に町中を走ったり、完全にスムーズに整備ができていないということなんですけれども、こういった道路を早急に整備していただきたいと思いますが、この点、いかがお考えでしょうか。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘の名豊道路でございます。国道二十三号線は、御案内のように、知立バイパス、岡崎バイパス、蒲郡バイパス、豊橋バイパス、豊橋東バイパス、この五つのバイパス区間から構成されておりまして、既に知立、岡崎では暫定二車、供用されております。また、蒲郡はまだ供用はされておりませんが、豊橋バイパスと豊橋東バイパスも一部供用されております。

 こうした状況の中で、御指摘のように、市街地を通り、また大変重要な工業地域、さらにその地域の商業活性化のための道路であるといった観点から、今後の整備ということにつきましては、これは当然ながら進めてまいらねばならないという位置づけにおきまして、現在、先ほど申し上げた部分におきまして、総延長の六四%に当たります四十七キロが開通しております。

 今後は、残る区間につきまして、まだ供用されていない部分に関しましては暫定二車化、そしてさらに、暫定二車化でも渋滞を発生しているところに関しましては四車化立体といったことの工事等も進めておるところでございまして、今後も、一大物流拠点をつなぐという意味におきまして、高い効果を発揮する道路整備を進めてまいる所存でございます。

森本(和)分科員 大変勇気の出る御答弁、ありがとうございます。

 それに関連しまして、道路予算のつけ方に変更があったのかなと私がお聞きしたいのは、例えば、前年までは、二十三号バイパス蒲郡インターというところがありまして、その西部地域では平成二十年代前半完成に向けて、そして東部地域では用地買収という項目が出ていまして、それで予算がついていたわけでございます。しかし、昨年の十一月に発表された事業計画では、この用地買収というものがなくなっておりました。

 それで、地元の報道機関がちょっと熱くなりまして、これは凍結ではないかというような報道が一気にされたんですけれども、これの御説明というか、結局のところこれはどういう意味なのかということをわかりやすく御説明いただけるとありがたいなと思っております。

 現在の仮配分での状況も踏まえてお答えいただけると幸いです。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘の地元の報道というものにつきましては、蒲郡バイパス凍結というものかと承知しております。

 まず、私どもとしては、昨年の十一月、概算要求の段階で事業計画を公表させていただきました。その公表させていただいたところの部分を御指摘された部分だと思いますが、そもそも、昨年十一月の段階では、開通時期が近いもの、そして事業年数全体が短いもの、供用開始がいち早くできるものについて優先をしていくという観点から、地元の皆さん方、地方公共団体等の御意見などを調整する、その前提に立って事業計画を公表させていただきました。

 その段階において、確かに御指摘のとおり、平成二十一年度に記されておりました東三河インターチェンジの部分が概算要求時の提示の中では抜けておりましたが、これは、私どもが機械的に事務的に整理した段階のものでございます。そして、その後は、実際に仮配分を進めていく、これも予算委員会の中でも再三指摘をさせていただいておりますが、進めていく中で、地元の要望ということで自治体との協議を重ねていく中、当然必要とされる部分につきましてはそれを勘案するということでございます。

 平成二十四年度の供用に向けてということで、蒲郡インターと幸田芦谷インターの間につきましては、用地買収、改良工事を進めるということでございます。お尋ねの部分、東三河インターチェンジと蒲郡インターチェンジの間につきましては、調査設計を進めておりますが、これは、自治体、特に愛知県からの強い要望等もございまして、これを勘案させていただいた上で、二十二年度の事業内容としては、用地買収に必要な用地調査を予定しているところでございまして、今回、この仮配分という形でお示しをさせていただいた中で、平成二十一年度と変わらぬメニューとして御提示をさせていただいたということでございます。

森本(和)分科員 ありがとうございました。

 次に、高速道路無料化についてお聞きをします。

 前政権が実施した休日千円という政策により、地元というか地域の私鉄、例えばの例ですが、公共交通機関の一つの例として、私鉄が影響を受けているという事例がございます。お手元にお配りをさせていただいているかと思うんですが、こちらの表を見ていただきたいと思います。

 ちょうど真ん中辺に、昨年の四月、高速道路千円の政策を導入した後に、これを見ますと、前年比、定期券を使っている人以外の利用人員が下がっております。季節によって当然利用人員は変わるわけでございますが、軒並み平均して下がっているなと。これは明確に出ているんじゃないかなと思います。

 これは、やはり、特に休日、鉄道を利用して行く人よりも、そもそも車で高速道路のインターチェンジまで行ってしまう、そして利用してしまうということで影響が出ているのではないかなというふうに推測をされるわけでございます。このことそのものをどうかということではございません。

 今度、高速道路無料化が推進されれば、こういった形での影響というのが当然出てくる可能性は十分あると思いますが、この辺を含めまして、こういったことに対してどう対策をしていくかという意味で、環境問題とかさまざまな要因もありますが、この高速道路無料化とあわせました意味での公共交通政策についての方向性というものをお示しいただきたいと思っております。

馬淵副大臣 委員の御指摘の私鉄、これは特定の路線ということでないので、どこを指しておられるかというのはちょっと明らかではございませんが、御指摘の懸念される部分というのはよく理解をしております。私どもも、高速道路無料化あるいは新たな料金の見直しは、当然ながら公共交通機関への影響というものを十分考慮しなければならないと考えております。

 その上で、今回、この無料化に関しましては、これは社会実験という位置づけでございますので、公共交通機関への影響というものを十分に配慮する実証実験だという位置づけでございます。

 また、その上で、公共交通機関に対する公共交通政策についての考え方でございますが、私どもとしては、この公共交通機関に対しては、交通基本法というものも一つの政策としてまた新たな取り組みを進めておりますし、今後としては、少子高齢化の進展の中で、極めて重要な課題であるという認識をしております。

 今後、地域に係る公共交通をしっかりと守っていくという意味で、本年五、六月をめどに、交通基本法についての考え方、また関連施策のあり方についての検討結果を取りまとめてまいりたい所存でございます。

森本(和)分科員 時間がなくなってまいりました。

 最後に、ダムについてですが、地元に設楽ダムという多目的ダムがございます。

古賀主査 時間はほぼなくなりましたけれども、よろしゅうございますか、手短に。

森本(和)分科員 はい、ちょっと一言だけ、済みません。

 治水、利水、流水量維持、環境保全ということで、それぞれ、基準や今後の検討スケジュールについて、簡単で結構です、お答えいただきたいと思います。お願いします。

馬淵副大臣 時間がございませんが、ダムにつきましては、これは、前原大臣のリーダーシップのもと、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を設置しておりまして、ここで改めて、この治水、利水、環境等の観点から評価軸等を検討し、夏ごろをめどに中間取りまとめをさせていただく予定でございます。今後のダムの検証ということにつきましては、これをもとに進めさせていただくということでございます。

 以上でございます。

森本(和)分科員 これは、治水、利水、環境保全すべてに対して基準を決めていくということでよろしいでしょうか。

古賀主査 最後の答弁といたします。

 馬淵副大臣。

馬淵副大臣 治水、利水、環境等の観点から評価軸等を決めてまいりたい、このように考えております。

森本(和)分科員 ありがとうございました。

古賀主査 これにて森本和義君の質疑は終了いたしました。

 次に、打越あかし君。

打越分科員 民主党の打越あかしでございます。

 県議会で十五年間、随分一般質問をやってまいりましたけれども、九時半からの質疑というのは初めての経験でありまして、張り切って頑張っていきたいと思います。

 ここにはきょうはそんなにたくさんの方はおりませんけれども、随分連絡していますので、インターネット放送を通じて、離島の住民七十万人ぐらいがこの質疑を注目していると思いますので、どうぞひとつ油断をしないように、答弁をよろしくお願いしたいと思います。

 私のふるさと鹿児島県は、御案内のとおり、離島に住む人口最大の県でありまして、また、私の選挙区には特措法で支援を受けている奄美群島があります。きょうは、国土交通省に、離島、奄美の予算を一括計上している省であるということも踏まえて、離島や奄美のことについて、地元大島つむぎをしっかりと締めて質問をさせていただきたいと思います。

 まず早速、奄美については、昭和二十九年の振興特措法を定めて以来、五十六年間、既にさまざまな投資が行われてきたという状況であります。また、全国の離島、約七十万人の住む三百余りの島については、昭和二十八年の離島振興法の支援を受けながら、今日までその振興に携わってきたという歴史があります。

 まず、この奄美の特措法については、五十六年間にわたって、これまで一体総事業費がどのくらいかけられてきたのか、どのくらい投資をされてきたのか、あるいは、その中で国費ベースではどのくらいの資金が投入されてきたのかということをお伺いしたいと思います。そして、その間、この五十六年の間に、一体奄美の人口はどんなふうに推移をしてきたのか、あるいは、奄美の方々の所得はどうなってきたのか、産業の成長とか雇用の拡大とかあるいは新規学卒者の就職とか、そういったさまざまな指標についてどんなふうに推移をしてきているのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 事実関係ということでございますが、奄美群島振興開発事業に投入された国費ということでございます。

 まず、昭和二十九年度の全体事業費の実績でございますが、これは九億円、うち国費が七億円であったものが、その推移ということでございますが、昭和五十年度以降これが急速に伸展し、平成十年度が約一千三十二億、国費は約六百六十七億、これはピークを迎えました。その後徐々に減少し、平成十九年度は五百二十六億円、うち国費三百五十五億円となっておるところでございます。

 こうした状況で、人口の推移でありますが、国勢調査によりますと、昭和三十年には二十・五万人だったものが減少をたどり、平成十七年は十二・六万人と、五十年の間に約三八%の減少となりました。

 また、奄美群島における一人当たりの所得額の推移でございますが、県の調査によりますと、昭和二十八年度、約二万円であったものが、全国一人当たり所得額の伸びに合わせて増加いたしまして、平成五年度に約百九十一万円、全国の伸びと同様ほぼ横ばいとなり、平成十七年度は約二百万円となっているところでございます。また、奄美群島の一人当たりの所得額を全国のそれと比較してみますと、昭和二十八年度は〇・二八倍だったものが、平成十七年度には〇・六九倍となっております。

 またさらに、こうした中で、就職という形で産業にかかわる方々ということでいいますと、新規学卒者の奄美群島内就職率につきましては、平成九年以降の数値でしか把握しておりませんが、平成九年度高校新卒者千六百六十八人のうち就職者数は五百六人、うち群島内の就職者数三十八人、これは七・五%でございます。平成十八年度高校新卒者千三百四十一人のうち就職者二百七十二人、うち群島内就職者十八人、これは六・六%となっているところでございます。

 以上でございます。

打越分科員 これは総額で見ますと、奄美の特措法で投入されてきた総事業費というのは多分二兆円を超えている。これは、昭和二十年代、三十年代の時点での金額も入っていますから、現在の価値に直せば、恐らく数兆円の投資が行われてきたという状況の中で、少なくとも、奄美復帰二十八年のときの人口二十四万人から見て、昨年はついに十二万人を切った。大体半分に人口が減ってきました。

 そして、今副大臣からもお話がありましたとおり、一番大事なことは、そこに人が残る、そこに人が残って自分の人生にチャレンジをしていくということから見ると、この数年間、地元に残る新規の学卒者というのは一割もいないという現状であります。多くの若者は、大体毎年千人と言われていますけれども、奄美の中の一つの村ぐらいのサイズの若者が毎年島を後にしていく。それは、もちろん就職のためであったり、もっと高等教育機関に進学をするためであって、その高等教育機関も島にはないという状況が続いているということであります。

 こういう状況を踏まえて、これまでの五十六年間の奄美の振興特措法の目的というのは本当に果たされてきたのか、役割を担ってきたのか、この評価をきちっとしなければならないだろう。

 政権がかわりました。我々は、島で一生懸命演説をしながら、政治を変えれば必ず生活が変わるということを訴えてきて、多くの島の皆さんから、打越さん、本当に政権をかえれば我々の島の生活は変わるのかというふうに問われてきて、必ず変えるんだということを言ってきました。我々の政権は、格差の是正を訴えてきた政権でもあります。そういった意味では、この政権の中で、必ずいつかは島の生活が明らかに変わったという実感を持ってもらわなければならない、そういう宿命を背負って私は出てきているんだというふうに思っています。

 副大臣の方からひとつ、これまでの推移等を踏まえて、これまでの投資の成果、奄振の成果、そしてこれまでの手法というのは本当に適切であったのかということも踏まえて御答弁をお願いします。

馬淵副大臣 委員御指摘のとおり、平成十九年度末の累計で事業費が二兆五百七十七億円でございます。うち国費が一兆三千百五十七億。これだけのお金を投じながら、どういう成果があったのか、そして課題の解決にしっかりと適用されているのかということでございます。

 私どもとしては、この振興計画に基づいて、自立的な発展あるいは住民の生活の安定という意味におきましては、道路、港湾あるいは空港、水道、農地といった生活や産業関連の社会資本整備、これは着実に進行した、このように評価をしているところでありますが、一方で、御指摘のように、経済面、生活面、とりわけ可処分所得を含めた給与水準等いわゆる格差の問題につきましては、島外への人口流出などを見れば、これは明らかに課題として大きく残っているのも事実でございます。

 こうした中で、私どもとしては一定の評価をしながらも、今まさに目の前に抱えている生活の問題ということについての課題の解決には十分ではないということも十分認識しながら、今後、雇用機会の拡充を図るといったこともあわせた施策が必要であるとの認識を持っておるところでございます。

打越分科員 これまでの評価、本当はもっと厳しい評価が僕はあっていいというふうに思っています。

 では、ここで政権がかわりました。ことしの予算を見ると、実はその奄振について見れば、一括計上していますのでよくわかると思いますが、劇的に今回は公共事業費は削減をされております。約三割トータルでは削減をされている状況の中で、一体これからどういう手法でもってやっていくのか、これまでの奄振とこれからの奄振は一体何が変わっていくんだ。あるいは、奄振ではなくて離島の振興という立場から考えても、これからどういう方針が我々の政権のそういう、日本の格差の一番いろいろなものを背負っているような地域でありますから、そこへの整備方針といいますか支援の方針について、大臣からひとつお聞かせいただきたいと思います。

前原国務大臣 打越委員にお答えをいたします。

 今お話をされましたように、昨年の三月に奄美特別措置法が改正、延長されたのを受けまして、各産業振興の促進を中心とした奄美群島振興開発基本方針を策定したところであります。

 そして、それを受けて、鹿児島県で奄美群島振興開発計画を策定されて、今回は、これを見ていますと、施策、事業の効果を評価するための目標ということで、農業産出額、認定農業者数とかあるいは企業立地、宿泊観光客数、スポーツ合宿、クルーズ船入港、こういう計画を立てられて五年間で目標を達成するんだという新たな取り組みをされたところであります。

 予算は減りましたけれども、我々は、先ほど来から御答弁をしておりますけれども、例えば民間の知恵や力というものをかりる中で、例えば、我が省の所管でいいますと、インフラ整備だけでなくて、観光というものも大きな役割を担っているところでございます。必要な公共投資というのは、減らされている中で効率的に、そして必要なところには、奄美群島の特殊事情によります不利益性を克服するためにしっかりとやってまいりたいと思います。

 また、先ほどからお話をさせていただいておりますように、観光に関するところですね、宿泊観光客数とかあるいは合宿とかクルーズ入港とか、こういったものについては、ぜひ鹿児島県とも相談をさせていただきながら、観光庁と一体となって、どうやったらこれが実現できるかということをきめ細かく相談をさせていただき、先ほど打越委員がおっしゃったように、政権交代をして変えるということをおっしゃって当選をされてこられたわけでございますので、できる限りの連帯をして実行してまいりたい、このように考えているところでございます。

打越分科員 昨年の奄振の延長のときに、私ども民主党の方の強い申し入れによって附帯決議をしていただいていますね。これは両院で、全会一致だというふうに伺っていますけれども、この中に、一番大事なことは、最後の六項目めに、この奄美、小笠原両地域の自立的発展に資する効果的な事業が推進されるよう、事業について評価する仕組みを検討し導入を図っていくことというふうに決めました。

 これまでのさまざまな投資の中で、何を物差しにして投資をしているのかということが明快ではなかった。立派なものはたくさんできたけれども、結局人は住まなかった、結局産業は振興されてこなかったということがあります。この自立的な発展、自立的な振興とは一体何なのか、何をもって自立的であるというふうに言い切るのか、この価値観を決めることはその政権の特徴をあらわすというふうに私は思っています。

 ことし初めて、新たな計画の中に、それぞれの市町村や鹿児島県の方でもいろいろな目標をつくりました。その目標、物差しが本当に正しいのかどうか、僕もまだわかりません。わかりませんけれども、金を投資するときに、予算を投資するときに、その結果をどういうふうに追求していくのかということは極めて大事なことでありますから、そのことを一つは申し上げておきたい。

 それで、もう一つは、実は国交省の皆さんを目の前にして申し上げるのも恐縮ですけれども、やはり生活や振興を支援していくときには、どうもハードではない。今離島を支えているさまざまな団体の方々と議論をしていても、ハードのことを一生懸命語る時間が減ってきました。それ以外のさまざまなものを通じて島を振興していこう、離島を振興していこうという意見がふえてきました。

 外国でも同じようでありまして、皆さんも御存じのとおり、例えばフランスのコルシカ島、ここをウオッチングした方のレポートによれば、「そもそも、政府主導の公共工事は民間の依存心を増長させ、一部の官僚や業者の腐敗の温床ともなりかねない。コルシカ島における公共事業政策は五七年から四十年間つづいたが、離島振興にはつながらなかった。」そして、九五年からは税制による民間刺激策を中心に大きくかじを切ったのであると。

 ここでは、交通の便であるとかあるいは税制という面からいわゆる民間に刺激を与えて、観光の政策をマッチングさせてうまく振興を図ったという事例として書いてありますが、これは日本でも同じことが言える。さまざまなことを組み合わせて離島の振興をやらなければ、何か立派なものをつくって、それを政治的な成果として、それが振興であるというふうに勘違いをするような、そんな政権であってはならないというふうにも思っています。

 そこで、全国の離島の皆さんと実は今一番話題になるのは、何といってもやはり交通の便ですよ。交通の便の中で、今日的な心配について二つ聞いておきたいと思います。

 一つは、まず空の便。空の便、いろいろな課題はありますけれども、今離島の皆さんが一番心配しているのはJALの問題です。JALが再建に入ってきた。多くの離島、大半の離島が、このJALあるいはJALの子会社一〇〇%で運航されている飛行機です。この再建によって、離島の航空便の利便性が落ちるのではないか、減便されるのではないか、利用料金が高くなるのではないか、いろいろな心配をされています。

 このことについて、国交省としてどんなふうに対処をしていこうというふうに考えているのか、お示しをください。

辻元副大臣 今御指摘のJALの問題、離島で暮らしている皆さんや関係者の皆さんは、どうなるんだろうと多く声も届いております。そんな中で、離島の航空路線に対する補助は、引き続き国交省としては続けていきたいというように考えております。

 今、離島の航空路線、五十五路線なんですけれども、そのうち三十六がJAL関係なんですね。これに対して、今まで行ってきた補助は国交省としては続けていくということも含めて、今、更生計画を会社更生法のもとで、企業再生支援機構のもとでつくっていくわけですけれども、総合的に考えて更生計画をつくっていただきたいと思っております。

 といいますのも、先ほどおっしゃいました住民の皆様の交通の便だけではなくて、離島の活性化ということの一つの大きな柱に人の行き来があると思うんですね。それは、多くの方にやはり来ていただく、文化に触れ合っていただいたり、そして多くの人たちが行き来することが一つの地域振興につながると思いますので、そういう意味でも、ナショナルミニマムといいますか、非常に大事な航空路線だというような観点から支援をしてまいりたいと思っております。

打越分科員 ありがとうございました。友愛を感じる答弁でした。

 大臣がよく口にするような無駄な飛行場、無駄な飛行機を飛ばすという部分も国内にはあると思います。しかし、離島の多くの場合には、これは最後の一人になるまで飛ばしてあげなくちゃいけないという面がありますよ。そのために、本当にみんなに心配をかけないように、空についてはよろしくお願いします。

 実は、空の便を持っている離島はまだちょっといい方でありまして、空の便も持たない、唯一の手段は海である、船であるというところが大半の離島であります。そして、実は、そういう離島の場合には、当然教育機関もほとんどない、あるいは総合病院もない、先端的な医療も受けられない。本当にいろいろな意味で、船を頼って生活をし、教育を受け、医療を受けているという島がたくさんあります。

 昨年は事業仕分けで、この海についての、離島の航路補助についてもテーブルにのりましたけれども、これについては絶対必要だろうということで満額認めていただいたという経緯もありますけれども、実は、それぞれの離島、相当高齢化が進んでいる、あるいは過疎化が進んでいる、どんどん利用客が減っているという中で、村営、町営であっても民営であっても、相当苦労しているというのが実態です。そして、船を小さくしていく、あるいは減便していく、共同運航にしていく、もうどうやって維持をしていくかということで精いっぱいだという海の便はたくさんあります。

 そういう現状をどんなふうにとらえているのか、そして、これからこの海の便についての離島への向き合い方、それをひとつお伺いしておきたいと思います。

辻元副大臣 空と海の交通網を守っていくということは、おっしゃるとおり、非常に重要だと思います。特に海の場合は、物資を運ぶというような側面もございますので、そういう意味では、命を守っていくというような観点もあるかと思います。

 御承知のように、今まで離島航路整備法に基づきまして、欠損補助ということをずっとやってまいりました。しかし、欠損補助だけでは不十分だろうということで、二十一年度からこれを見直しまして、新たに構造改革を含めた制度に、ちょっと進化させようというように進めております。まず予算の額でいいますと、欠損補助は四十・五億円、それから構造改革補助、これは七・二億円を計上させていただいております。

 この構造改革補助といいますのは、ただ単に、赤字になったら何とかその足しになるように埋めさせてもらおう、支援しようというだけではなくて、国と自治体の皆さん、それから事業者の皆さん、そして地域の住民の皆さんなどの声も入れながら、協議会を設置して、この航路の改善計画を皆で、関係者が寄ってつくっていこうというようなことを創設したり、あと、公設民営化に対する補助を明確にしていこうという観点や、それから、これは環境にも配慮していただくということもあって、省エネ船等の建造促進などにもしっかり、航路自身の構造も変えていく、そして持続可能にこの離島航路を守っていくというような制度も二十一年度からつくらせていただいております。

 ですから、地元の皆さんもこの協議会等で活発にお声をいただいて、そしてまた制度をさらに進化させていきながら、ただ単に経済的に苦しいから補助しようというだけじゃなくて、離島航路のこれからのあり方そのものも新しい視点で変えていく、そんな離島航路の守り方をしていきたいなと思っております。

打越分科員 航路の場合は、例えば、同じだけ医療保険を払っているのに、病院にかかるために船に乗らなければならない、余計な費用がかかる、あるいは宿泊をしなければならない。例えば、子供を高校に出す場合には、今無償化の話を議論されていますが、離島の人にとっては授業料よりも子供たちの下宿代の方が高い。こちらを何とかしてほしいという声がある。その真ん中にあるのが、やはり運賃なんですね。

 実は、日本の船の運賃というのは、例えば同じ距離を走る鉄道、JRと比較をすると約二倍だと言われています。二倍の料金を払って同じ距離を移動しなければならない。その離島の方々の平均の所得で、本土の平均所得を超えている島はありません。すべてそれより低い所得の中で高いコストを支払わなければならないという状況であります。

 先ほどのレポートの中にもコルシカの話がありましたけれども、ここもまずはそのことから着手をしています。その背景は、公共運賃のハンディキャップは同じ国土、同じ国民が公平に負担するべきだという考え方のもと、JRの運賃と同じような料金設定をさせて、その上で自由に行き来をしてもらおうということが基本にあったということであります。

 離島にとっての生活を支える船は、今内地で高速道路をただにしようかとかどうしようかとか言っている間に、彼らの生活の足はいつになってもただにはならないという宿命を背負って頑張っているわけでありますから、本当にいろいろな意味で考えていただきたいなと思います。

 少し時間がないので、あと一問だけにいたします。

 大臣は海洋基本法づくりにも非常に熱心に取り組んできて、今海洋国家日本の復権を目指しているわけですが、その中で、海洋資源というものがやはり離島の方々にとって一つの大きな励みになって、これをいろいろな形で活用する拠点になれば、離島にとってはまた非常に大きな光が差すのかな、そんな気持ちも実はあります。

 この海洋資源に対する今後の可能性あるいは技術開発、事業化への道筋について大臣はどう考えているのか、あるいは、そこで離島をどう活用できるのかということも含めて答弁をしてください。

前原国務大臣 海洋基本法というのが平成十九年にできまして、そして昨年の三月に海洋エネルギー・鉱物資源開発計画というものがまとまりました。そこの中に入っておりますメタンハイドレートそれから海底熱水鉱床というものについては、去年の三月からの時点で十年先に商業化する、十年かけて商業化するということで、あと九年ですね、九年かけて商業化するということで、取り組みを今しているところであります。

 打越委員がおっしゃったように、日本は海洋国家であります。陸地面積でいうと世界第六十一位でありますけれども、排他的経済水域等を入れますと世界第六位になります。そういう意味では、離島というものが基点となって二百海里の排他的経済水域というものを守ってもらっているという意味で、私は離島の皆さん方にはそれだけ感謝をしなくてはいけない、このように思っております。

 離島によっても地域性がございますけれども、例えば、先ほど話に出ていた奄美大島というようなところでいいますと、海底熱水鉱床が近くにあるということが言われております。そうなると、そこを基点として、例えば海底熱水鉱床の探査をし、商業化できるということになれば、そこがまたベースになるということもあり得るわけでございますので、そういう意味では、あと九年間、どういうところで商業化するかということの調査をさせていただきながら、資源がない国だと言われておりましたけれども実はあったんだ、何とか、メタンハイドレートとか海底熱水鉱床というものの商業化に向けて努力をしていき、またその地域の発展につながるような夢のある施策として取り組んでまいりたい、このように考えております。

打越分科員 もう一問は、準備をしていましたが、この次に持ち越しをしたいと思います。

 やはり日本の大きなアキレス腱は、僕は食料とエネルギーにあるというふうに思っています。その中で、やはり海洋資源というのは、このエネルギーの大きな可能性を秘めている。そういった意味でも、日本のアキレス腱を一つ解消できる可能性がある。その上で、やはりいろいろな意味で海洋国家日本の可能性を引き出すという仕事でありますから、ぜひひとつ、これについては熱心に取り組んでほしいと思います。

 実は、離島については、国交省以外のかかわりの中でもたくさんの支援策が考えられます。税のこともあります。そしてまた、例えば、今全国千九百余りの市町村の中で、ベストトゥエンティーの中に奄美での出生率、高いところの一位と二位と三位は奄美ですよ。そして、ベストトゥエンティーの中に七つの市町村が入っています。

 そのベストトゥエンティーの中に入っている出生率の高い島々で、この四月から沖永良部では産科がなくなる。そして、島を出て島外出産をしなければならない。その島外出産のための支援を求める産声を守る会というお母さんたちが、今動き始めております。

 あるいは、日本海側では、とにかくもうめちゃくちゃ流れてくる漂着物について、小さな財政の自治体ではこれに随分難儀をしている。この費用に苦労しながら、そのもとを断つという作業がなかなか進んでいない。このもとを断つ作業は、外務省のことであり、また環境省のことであり、いろいろな分野の方々が協力してもらわなければならない。

 さまざまに離島というのは日本の課題が凝縮されている地域であります。「島の振興」議員連盟というのを議員の中で立ち上げています。私はその事務局を預かることになっています。今期、とにかく離島、島の振興のための大きな応援団の一員として頑張っていきたいということを皆さんの前で誓って、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀主査 これにて打越あかし君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木(雄)分科員 皆さん、こんばんは。民主党・無所属クラブの玉木雄一郎です。

 私は四国の香川県出身でございまして、きょうは、瀬戸内海、瀬戸内の交通に関することについて質問させていただきたいと思います。

 まず、今夜、通常国会で私は初めての質問でありますけれども、それが十時を超えての質問ということで、きょうは人生忘れ得ない一夜になりそうな気がしますし、また、鳩山政権で本当に活躍をされておられます前原大臣そして馬淵副大臣、長安政務官、皆様に御質問できることを大変光栄に思っております。

 まず初めに、先般、地元の案件でもありますけれども、香川県の高松港と岡山県の宇野港を結びますフェリーの国道フェリー、四国フェリーの二社が、来月、三月二十六日をもってその航路を廃止するということを発表いたしました。

 本件については、先般、前原大臣また辻元副大臣のところに、香川、岡山両県の県知事、また高松そして玉野両市の市長さんが陳情に行きました。お時間をいただきましたことを、私からも改めて感謝申し上げたいと思います。

 さて、この航路の廃止の件についてでございますけれども、民主党の高速道路無料化の政策によって航路の廃止を余儀なくされたということをよく言われます。しかし、私はこれは若干正確ではないなというふうに思っています。

 といいますのも、これは多分計数を見ても明らかなんですが、平成二十年九月の大型車のETCの深夜割引、あるいは昨年三月から始まっております週末の上限千円の割引、こういったことがそういったフェリーに影響を大きく与えているなと思いますし、実際、この四月から始まります無料化の社会実験につきましても、瀬戸大橋、本四についてはその対象から外れております。

 その意味では、先ほどの質疑者への馬淵副大臣の答弁にもあったように、いろいろな他の公共交通機関に対して配慮しながら政策を進めているということだと思いますけれども、改めて、今回の廃止の発表に至った原因につきまして大臣としてどういうふうにお考えなのか、まず御所見を伺いたいと思います。

前原国務大臣 玉木委員にお答えをいたします。

 四国フェリーそして国道フェリーの方も国土交通省に来られまして、お話を海事局で聞かせていただきました。そのときに、両フェリーの方が、前政権の国策によってということをおっしゃっておりました。それは、今、玉木委員がおっしゃったような、夜間割引そして土日のETC千円上限制というものが大きな打撃となってお客の数が激減したということでございます。また、今回の無料化の実験につきましては、これも、委員が御指摘のように、本四架橋については適用はされておりません。

 そういう意味では、今回の直接的な原因というのは、前政権におけるそういったものであったというふうに思っております。

 しかしながら、人口減少とか少子高齢化が進んでいく中で、フェリー業界の構造的な問題というものも私は大きく起因をしているのではないかと思います。

 これは、辻元副大臣を中心に、今、交通基本法というものを我々考えております。移動する権利というものを国民に与えていくためには、今まで自民党政権で、港はつくり整備新幹線はやり、国道はつくりそして高速道路をやってきたということの中で、これからは、できるだけそれを抑制し、維持管理に力を置く中で、総合的にうまく活用していく中で、環境、高齢化社会を迎える日本が移動の権利をどう確保していくのかということもしっかり考えていかなくてはいけないと思いますし、その中でのフェリー業界のあり方というものも我々提示をしていきたいと考えております。

玉木(雄)分科員 ありがとうございます。

 私が高校を卒業したときに、浪人したんですけれども、そのときに初めて瀬戸大橋ができて、夢のかけ橋だったんですが、私は渡れなくて、その後大学に受かって東京に行ったんですけれども、もう二十二年前になりますかね、あの橋ができたのは。非常に夢を持ってあの橋の開通を迎えたことを覚えております。

 ただ、今回のフェリーの航路の廃止の問題というのは、実は、橋ができたときに、供用を開始したときに本来、本質的に解決をすべき問題だったのではないかなと思います。

 その後、併存する形で今日まで来ているのは、実は瀬戸大橋の通行料金を、最初はたしか五千円程度だったと思います、通常の高速道路よりも高い値段を設定して、よくやゆしていたのは、あそこは関所だというふうに言っていて、本州と四国をつなぐ夢のかけ橋でありながら、なかなか通れないということがありました。ただ、その結果、フェリーも今日まで続いてきたのかなと。それが、前政権の最後になりまして、さまざまな料金割引制度を導入することによって、むしろ隠れていた潜在的な問題が表面にあらわれてきたというのが、実は今回の問題の本質なのではないかなというふうに思っております。

 実際、あの当時、議事録も読み返しましたけれども、やはり内航海運に対しての補償をどうしようか、あるいは漁業補償をどうしようか、そういう議論は非常に国会でも長い時間をかけてやられております。当時、航路の廃止あるいは縮小を前提に一定の補償が行われたと思います。たしか特別措置法までつくって行ったと思いますけれども、その実態について少し教えていただければと思います。

前原国務大臣 今、玉木委員おっしゃったように、本四特別措置法というものをつくりまして、架橋後残存する航路に対するお金、それから廃止をする航路事業者に対する交付金というものが出されてきているわけでありまして、これは、平成十四年五月の交付を最後にするまで続けられたところでございます。ちなみに、今までずっと払われていたお金というのは、合計金額約七百四十四億円でございます。

玉木(雄)分科員 七百四十四億円というお金がこれまで払われてきた、これはやはり歴史的な経緯としてしっかり押さえた上で、これからの政策を考えていくことが必要だなというふうに思います。

 そして、今回の問題は、先ほど大臣が御指摘になったように、これまでの政権というものは総合的な交通政策、交通体系を持っていなかった、そのことのツケがあらわれているという側面もあると思います。

 これは香川県に限らず、確かに、空港が欲しい、港が欲しい、新幹線が欲しい、橋が欲しい、フェリーもバスもだということでやってきて、いわゆるフルメニューを求めてきて、フルメニューがそろったことによってそれぞれが逆に厳しい状況に置かれているということをやはりこれから、我々民主党政権になって、そこはしっかりと考えていくことが必要だなというふうに思います。

 また、地方自身も、あらゆる個別のメニューをそれぞれに要求するのではなくて、地域においてどういった交通体系を、彼ら自身が欲しいんだということをみずから考えた上で予算要求するなりということが求められてくる、そんな時代になってきたのかなというふうに思います。

 そして、国土交通省という役所が中央省庁の再編でできてから、やはり今回ぜひやっていただきたいのは、旧建設省が所管していた道路行政、そしてまた旧運輸省が持っていた空や海の世界あるいは鉄道の世界、こういったものを、省庁の垣根を越えて、本当の意味での総合的な交通体系をどうするのか。これは、今回、政権交代を機に、本当に国土交通省なんだというものをぜひ見せていただきたいなというふうに思います。そうじゃないと、今回のケースがいろいろなところで頻発をしますし、それに個別にこたえていたのでは財政負担も、もうもたないと思います。

 その意味では、総合的な交通政策の必要性、またそれぞれの事業主体に一定の予測可能性を与えていく、そういったことがスケジュールやロードマップを示すことによって必要だと思いますけれども、この点について、改めて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 さすが旧大蔵省、財務省出身の玉木委員の質問だと伺っていました。

 残念ながら、政権交代をしてまだ初めての予算編成でございまして、社会資本整備総合交付金というものをつくりました。先ほど委員が御指摘をされたように、できるだけ地域が使い勝手のいいものにしていこうということで、それぞれの補助金制度を一括して総合交付金というものにしたわけでありますが、これはまだ旧建設省の枠を超えていません。

 したがって、次に予算をつくるときには、まさにそういった、国土交通省として使い勝手のいいもの、旧運輸省、旧建設省という垣根を取っ払って、そして最終的には国土交通省という垣根を取っ払って、一括交付金という形で地域が自由に使っていただけるようなものにしていかなくてはならないというふうに思っております。

 そのためにも、先ほどからお話をしておりますように、今までつくったものは仕方がない、しかし、それをどういうふうにうまく使っていくかという総合的な交通体系の指針というものを民主党政権でつくる。今までの自民党政権は、指針をつくるんじゃなくて、すべて総花的に箱物をつくってきた。それを我々は、これから維持管理に中心を置いていく、もちろん必要なものはやっていきますけれども、どう使っていくのかということをしっかりと提示させていただきたい、このように考えております。

玉木(雄)分科員 ぜひそういった総合的な交通体系を民主党政権でつくり上げていっていただきたいというふうに思います。

 あわせて、フェリーの話に戻しますけれども、他方で、当面これが廃止になってしまいますと、通勤、通学また通院に使っておられる方が実際いらっしゃるということ、またその現場で、雇用の問題として、働いておられる方も現にいらっしゃいます。こういった具体的に短期的に生じる問題については、きめ細かくまた対応していくことも必要だというふうに思います。

 先般、知事、市長が大臣に陳情して、そしてその場で大臣から非常に速やかに連絡協議会の設置という形で一つの方向性を示していただきましたけれども、それを踏まえて、今後の具体的な対応策、支援策の見通しについて、三月二十六日までですから、これはもうあと時間が限られておりますので、現時点で言える範囲で結構ですので、お答えをいただければと思います。

前原国務大臣 玉木委員がおっしゃったように、現に使われている方がおられます。全体で大体三千百名ぐらいでありますが、我々が今知り得た範囲でいいますと、通院が大体千六百人、それから通勤が八百四十人、通学が四百三十名余り、買い物が百六十名余り、習い事や研修、試験が七十名ちょっとということで、全体で三千百名余りの方が、現に日常の足として使われているということでございます。そして、これも委員おっしゃったように、今働いておられる方もおられますし、その方々の声をどうするのかという問題があります。

 先般、委員が同席をしていただきました両県知事の御要望におこたえする形で連絡協議会というものをつくり、あしたが初回の会合でございます、二月二十六日に初回の会合をさせていただくということで、その会合に出すべく幾つかの案を国交省海事局で今つくっております。最終的には、国道フェリーさんと四国フェリーさんがどう御判断をされるのかということとあわせて、岡山県、香川県、両県、あるいは玉野市、高松市、何らかの負担をしたいというふうにおっしゃっております。これがどのようにうまくできるかどうか。

 残された時間が短うございますので、あしたから始まる連絡協議会において、我々が案をしっかり示しながら、どこまで自治体の御協力をいただいて意見をまとめることができるかということでございますけれども、しっかりと対応していきたい、このように考えております。

玉木(雄)分科員 ここは、きめ細かな対応を国としてもぜひやっていただきたいなというふうに思います。

 そして、このフェリーの問題に関係しまして、高速道路政策について少し話を移したいと思います。

 現在、上限千円の週末の割引制度が行われております。総額五千億円程度で行われておりますこの利便増進事業なんですけれども、来年度においてもこれをいわば引き継いでやっていくということで聞いております。

 ただ、漏れ聞こえるところによりますと、軽自動車千円、普通車二千円、大型車が五千円というような形になるやに報道ベースでは聞いておりますけれども、現在の検討状況につきまして、馬淵副大臣にお答えいただきたいと思います。

馬淵副大臣 玉木委員にお答えさせていただきます。

 高速道路の料金制度見直しに関しましては、前原大臣から抜本的な制度の見直しを図りたいという発言のもとに、現在検討しているところでございます。

 先ほど来申し上げていますように、高速道路の無料化、これは社会実験として、一千億円規模の路線、区間を設定させていただきました。また一方、これら無料区間に当たらない部分につきましては料金制度を見直す必要がある。

 今御指摘のあったように、上限千円という割引がございます。これは旧政権でつくったものでありまして、五千億程度とおっしゃいましたが、これにつきましては、いわゆる利便増進事業として割引制度が設定されたものでございます。

 また一方で、各高速道路会社がそれぞれのコストダウンを図りながら行っている割引、これは時間帯別割引であったり、あるいは環境ロードプライシングのようなものを含めたいわゆる会社による恒久割引、こういったものが非常に複雑な形で料金体系としてでき上がってしまっています。

 これをまずは抜本的に見直す必要があるということから現在検討を行っているところでございまして、報道に上がるような千円、二千円、五千円といったものにつきましては、今現在検討中であるということから、国土交通省として正式に公表させていただいたものではございませんということは、改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 以上でございます。

玉木(雄)分科員 検討中であるということはよくわかりました。ただ、具体的な姿をぜひ早目に示していただきたいなと。

 といいますのも、今回、フェリーのことに関して言うと、連絡協議会を設置して、どういった運営をしていくのか、あるいは事業を残すのか、例えば二社を一社にするのか、公的な負担を入れるのか入れないのか、こういうことを考える際には、瀬戸大橋の料金が一体幾らになるのか、あるいはどういう体系のもとで行われるのか、今のような別建ての料金体系なのか、それとも瀬戸大橋も他の高速道路と同じ体系の中に溶け込ませていくのかというようなことによっては、そのフェリーの方で考える案もまた変わってこようかなというふうに思います。

 先ほど申し上げたように、三月二十六日にやめるということで今進んでおりますので、そういうのを、少なくとも瀬戸大橋だけでもいいので、それが一体どれぐらいの料金、あるいはどういった料金体系のもとでなるのかということは、内々でもいいので、その検討の場に出していただきたい。そうじゃないと、一体幾らになるかわからないと協議の進みようがないので、そこは、大臣、副大臣、いろいろお話をしていただいて、連絡協議会が実のあるものになるように、ぜひ御協力をいただきながら進めていただければというふうに要望だけ申し上げたいと思います。

 続きまして、実は私、選挙のときに、大臣にも副大臣にも坂出市という私の選挙区に入っていただいたんですが、公示日をどこで迎えたかといいますと、普通、公示日といいますと、皆さん、選挙をやるとわかるんですが、なるべく人の多いところに行って人に触れ合おうと思うので、人の多い中心部でやるんですけれども、私は、最も岡山県に近い、瀬戸大橋がかかっている櫃石島というところであえて公示日を迎えました。

 それは、私は選挙中、光の当たらないところに光を当てていく、そんな政治をやりたいし、自分はそんな政治家になりたいということを訴え続けて四年間活動してきましたので、公示日の一番スタートの日は、人口はたしか二百十何人しかいないんですよ、その島で私は最初の第一声を上げたわけです。

 落選中も何度も入った島で聞かされたのは、島の人も、安くなったとはいえ、実は瀬戸大橋の通行料金を払っているわけですね。彼らにとってみれば、非常に立派な道なんですが、生活道なんですよ。あれを通らないと病院にも行けない、買い出しにも行けないということですね。さっき打越さんが離島の話をしていましたけれども、つながってはいますけれども、ある種陸の孤島的なところがあるわけですね。移動には通行料金を払う。

 こういうことの結果、例えば、もし通行料金が安い、あるいはただであればお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんと島にずっとい続けたのに、仕事で坂出市内に行くために料金を払って毎日行くのだったら、市内にアパートを借りて住んだ方が安いからといって島から出ていく若い息子さん、娘さんがいる。あるいは、実際に話を聞いて、ああそうだなと思ったのは、御主人が病気になられて倒れて、毎週一回リハビリも兼ねて岡山の方の病院に行かなきゃいけない、ただ、それは一回一回料金を払う、しかも年金生活者になっている、少ない基礎年金の中から病院の治療代そして通行料金を払うのは大変生活に厳しいと。二十数年前に橋ができたときに、島民については無料化してほしいということをずっと言ってきたんだけれども、自民党政権ではこれが全くできなかった、それが、民主党が出てきて高速道路の無料化を言い始めた、我々はこれにすごく期待したんだということを選挙中も随分言われました。

 それで、前半に言ったことと矛盾するかもしれませんけれども、全部が全部無料化するなら、やはりいろいろなことを考えて、そんなに簡単にはできないと思いますね。ただ、せめて、政権交代をし、そして高速道路の無料化を掲げた政権が、あの小さな島に住む人たちにはその政権交代の恩恵を、本当に政治が投票によって変わるんだという具体的な姿を、本当に何百人ですよ、あの島の人たちにはぜひ味わってもらいたいというふうに私は思っています。

 そして、鳩山総理は施政方針演説の中で、命を守る政治を実現するということをおっしゃいました。この小さな島々の皆さんにとって瀬戸大橋を本当の命の橋にすること、命の道にすることをぜひ実現していきたいというふうに思っておりますけれども、この島民の皆様に対する高速道路、瀬戸大橋の無料化について、馬淵副大臣の思いと決意をお伺いしたいと思います。

馬淵副大臣 玉木委員にお答えをさせていただきます。

 私も、選挙中に玉木委員の応援に入らせていただきまして、途中、私は鉄道で参りましたので島におりることはできませんでしたが、島を通って見たのを覚えております。

 櫃石島、岩黒島、与島、この三島の島民の皆さん方にとって生活道路であるということ、これは本当に選挙中のときにもお話を伺いました。大変悲痛な叫びであるということもよく理解しております。

 現状は、これはよく御案内のとおりでありますが、島民の方々は、島民割引ということで、本四会社、地方、島民それぞれの負担割合が、本四が三五%、地方自治体が四五%、島民の皆さん方が二〇%、つまり総額の中でいうと二割の負担で通行していただいているということでございまして、これが、平成二十一年度、年間で、三島合わせて、総額支払いでいうと一千四百五十万円となっております。

 こうした状況で、今現実には島民の皆さん方には割引をさせていただいているところでありますが、この割引の扱いを無料化にという今の御指摘であったということであります。

 私どもとしては、無料化につきましては、社会実験を行って、そしてその上で、渋滞そしてCO2の発生量、さらには公共交通機関への影響等をかんがみながら進めてまいるという所存でございます。その中で、島民の生活の安定、福祉の向上を観点に、関係機関と協力しながら、料金体系の見直しというところも含めて、具体的な検討を今後は進めさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、どこか一部を先行的にということはなかなか、いろいろなところからの要望もいただいております。私どもとしては、公平公正な観点で、御理解をいただける形で進めていくことが必須だというふうに考えておりまして、御要望は十分に承らせていただくということだけお伝えをさせていただきたいと思います。

玉木(雄)分科員 ぜひぜひもう一歩踏み込んだ答弁が欲しいなと思うのが正直なところなんですが、ただ、島民の人を無料化しても渋滞はしません。他の公共交通機関も競合するものはありません。ですから、政権交代の本当に一つの象徴としても、ぜひ前向きにこれは実現に向けて御努力いただきますことをお願い申し上げたいと思います。

 時間があと数分ですので、最後に、観光についてお聞きをしたいと思います。

 今、フェリーのこと、瀬戸大橋のことを話してきました。いずれも瀬戸内海の問題であります。

 私は、小さいころから瀬戸内海を見て育ちました。その後、外国で勉強したり仕事をしたりして、いろいろな海を見てまいりましたけれども、そんな中でも瀬戸内海は、非常に島の多い、いわゆる多島美の美しい、世界でも一番の海だと私は思っております。あのイギリスのトーマス・クックも、世界の海の女王というふうにたたえているほどであります。

 この瀬戸内海で、実は、ことし七月十九日、海の日から十月三十一日までの約百日間、瀬戸内国際芸術祭というものを、瀬戸内海の七つの島を舞台に行うことになっております。私は、瀬戸内海は必ずこれからホットな地域になると思いますし、ホットな地域にしていきたいというふうに思っております。

 今、政府は、成長戦略の中で観光というものを一つの成長産業の一環として位置づけられていると思いますけれども、この瀬戸内海の観光資源としての潜在力をどうお考えになっているか。今、平成二十二年度の観光圏の認定を、香川県から香川せとうちアート観光圏というものを申請して、先ほど申し上げた芸術祭も絡めまして地域の活性化につなげていこうというふうに思っておりますけれども、この瀬戸内の観光資源としての潜在力、またその振興策につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 瀬戸内の多島美というのは、私も、非常にすばらしいと思いますし、観光資源に必ずなり得ると確信をしております。

 ただ、海外からの観光客、これは四国というくくりにさせてもらいます、中国地方も入っているわけでありますが、日本に来ている外国からの方で、それを一〇〇%で考えると、例えば韓国からですと、関東に来ている方は二〇〇九年で四八・四%なんですけれども、四国は何と〇・六%。中国地方も二・七%。だから、四国、中国を入れてもたった三・三%。関東は四八・四%。台湾や中国、香港もほぼ同じ傾向でありまして、外国からのお客さんにどのように魅力ある地域と認識してもらうかということが大事だと思っております。

 観光圏の指定というものはこれから手続を進めさせていただきますけれども、ビジット・ジャパン・キャンペーンの中でどのようにプロモーションしていくのかということ、また地域選出の委員とも御相談をしながら、しっかりと売り込みを、すばらしい多島美の瀬戸内海を海外の方々に見ていただけるような、そんなプロモーションも含めて、努力をしていきたいと思いますので、またお知恵をいただければと思います。

玉木(雄)分科員 ありがとうございました。

 時間が来たのでこれで終わりたいと思いますが、例えば、今、直島という島がありまして、三千三百人の島民に対して、年間の訪れる客が三十四万人います。百倍です。そのうち三割が実は外国人です。ですから、全体で見ればまだまだあれなんですが、工夫しているところには必ず外国人が来ていますので、そういった努力するところに対してはしかるべき支援を行って、やはり瀬戸内をぜひ活性化していただきたいとお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 もう夜の十時半を過ぎておりまして、大変遅くまでお疲れさまでございます。私が最後ですので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、前原大臣に確認をしたいんですが、高速道路、高規格道路、こういう大型の公共事業を進める場合に、地域の住民の命と安全を守るあるいは環境を守る、これは非常に重要なことだと思います。

 大臣は、国交委員会の所信表明でこのように述べておられます。「公共事業については、これまでのしがらみを断ち切り、まず、歳出の中身を徹底的に見直していく必要があります。その上で、コンクリートから人への考え方に基づき、これまではつくることを前提に考えられてきたダムや道路、空港や港湾などの大規模な公共事業について、国民にとって本当に必要なものかどうかをもう一度見きわめてまいります。」こう所信で述べられていますが、このことをまず確認しておきたいと思います。

前原国務大臣 佐々木委員にお答えをいたします。

 人口減少、少子高齢化そして莫大な財政赤字、こういった中で今までのような公共事業というのはできないと思いますし、また、これは共産党さんとも同じ認識に立てると思いますけれども、社会保障、教育、こういった人への投資というものがまだまだ足りないという状況でございます。税金の使い道を変えるといって政権交代を果たさせていただきましたので、それを実際に平成二十二年度の予算案では実行させていただいた。

 しかし、大事な事業については、例えば、ミッシングリンクでも、命の道というような観点も含めて、単なる費用対効果のみならず、そういったことも勘案しながら、必要なインフラ整備はしっかりとやっていくということでございます。

佐々木(憲)分科員 私がきょう取り上げたいのは、岐阜県岐阜市を通る予定の高規格幹線道路、東海環状自動車道の問題であります。

 もとの計画では岐阜市の御望山という里山をトンネルを掘って抜けていく、こういう構想であります。

 配付した図を見ていただきたいんですが、この計画は点々の赤いルートになっておりまして、もともとは上の大きな丸のところが一つの案として検討されたことがあるそうです。流れを見ますともとの赤い丸の方が自然なルートなんですね。ところが、それをわざわざ下の方に曲げまして、トンネルを掘って抜ける、こういう案になっているわけです。

 御望山というのは標高が二百メートルほどなんですが、過去に何回も大規模な崩落、崩壊を起こしたことがあります。古くは一五八六年に発生した天正地震、この崩壊が有名ですけれども、昭和四十一年から四十六年にかけて、山の南側に第二千成団地の宅地造成というのが行われたわけです。この団地造成後も、大きな石が転落をしてきたり、豪雨で山の上の山林に亀裂が発生したり、台風によって山崩れで小学生が死亡するという非常に痛ましい事故も起きているわけです。二枚目の写真が、岩盤の崩壊で死亡事故が起きた一九七六年の写真でございます。

 確認をしたいんですが、岐阜県が急傾斜地崩壊危険区域にこの地域を指定していると思いますが、それはそのとおりでよろしいですか。

金井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、昭和五十二年の六月に岐阜県が急傾斜地崩壊危険区域に指定をしております。

佐々木(憲)分科員 こういう危険な地域だからこそ、トンネル計画の都市計画決定に当たって、県の都計審で旧建設省あてに附帯意見というのが出されました。安全性について地域住民に十分説明することと明記されたわけです。

 この附帯意見に基づきまして、国交省によって、行政それから専門家、住民、この三者の御望山調査検討会というのが設置されたんです。この三者の構成による検討会というのは非常にすばらしいものだと私は思います。これは、国交省がこういう形で設置したんですね。この行政というものの中には国、県、市が入っております。

 この検討会は、三者が同じ資格の委員として参画をして、傍聴者も発言が保障され、議事と議事録が公開される。そして、日本を代表するコンサルタント各社による表層地質調査、各種の物理探査、そういうものに四年の歳月をかけました。その上二年を費やしてまとめたものが発表されたわけです。計六年かけてですね。それが、「御望山の安全性は確認されない」「計画を再検討する」、こういう結論が満場一致でまとめられたわけです。

 この検討会の結論について、歴代の大臣であります石原大臣も冬柴大臣も、調査検討会の結論は尊重する、こういうふうに述べてきたわけです。このことは事実だと思いますが、確認をしたいと思います。

前原国務大臣 平成十六年三月一日に当時の石原大臣は、「御望山検討会がどのような結論を出すのか見守る。もちろん、見守る中で重要な要素としては安全性。地質学上、そこに坑口を開くことに危険があるというような結論になれば、その意見は十分に参考にさせていただくということは言えるんだと思います。」とおっしゃっています。

 また、冬柴大臣は、平成二十年三月十三日に、報告書の結論を守るのかという質問に対して、「しっかり守ってまいります。守ってまいります。」「今八か所にも及ぶ地質ボーリング調査をやっているわけでございます。したがって、それが結論を得次第そういうものを整理して、皆様にこれを公表をして、そして決めていくべきもの」と答弁をされております。

佐々木(憲)分科員 検討会の結論は、「御望山の安全性は確認されない」という結論です。ですから、当然、別のルートを検討する。道路をつくるなというんじゃないんですよ、つくる場合のルートを変更してほしいというのが結論だと思うんですね。

 私は、別なルートを検討することになるんだろうと思っておりましたが、昨年三月二十七日に国交省は、優位と考えるルート帯という案を公表して、七月にこの案に基づいて事業者計画案というのを発表したんです。

 これによりますと、御望山トンネルを掘る当初の都市計画ルートとほぼ同じBルートというのを選定して、これはトンネルを掘る計画なんです。見ていただけばわかりますように、次の次の四枚目の資料ですが、これを見ますと、この赤い太いルートがBルートということなんですが、もとの案はこの点々の案です。ですから、ほとんど同じルート。わざわざここを選定して、このルートが望ましいと。

 なぜこの安全でないと言われた御望山を通るルート、トンネルを掘るという案になったのか。その理由について、ここで端的にお答えをいただきたいと思います。

    〔主査退席、若泉主査代理着席〕

金井政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の検討会の後、私どもとして、いわゆる事業予定者としてさまざまな検討をさせていただきました。その中でいろいろなルートを検討させていただいたわけでございますけれども、例えば地元に御提示申し上げたのは、今先生御指摘のBルートのほかに、Aルート、Cルート、例えば南側の市街地を通す案、北側の市街地を通す案、そのようなものも提示をさせていただいて検討させていただいたわけでございますけれども、南側、北側のルートにつきましては、移転が必要な家屋が非常に多くなる、市街地を通過する延長が非常に長くなるということで、地元からもかなり大きな反対をいただいたということでございます。

 一方、さっき先生も御指摘のBルートでございますけれども、都市計画の原案を基本としつつ、ルートを少し御望山の中で北の方にずらしまして、山を直接改変する区間の延長を都計ルートより小さくする、それから、前も御指摘いただきましたけれども、オグラコウホネ、こういった自然への影響を都計ルートより小さくする、このようなことを基本としたBルートを提示させていただき、さらにその段階で地元の御了解もいただきましてボーリング調査を新たにやらせていただきました。

 検討会では安全性は確認されないという御指摘をいただいたわけでございますけれども、ボーリング調査の結果、一応専門家から基本的にトンネルが安全に施工できるのではないかという御指摘もいただきましたので、そのような趣旨で、繰り返しになりますけれども、現地調査の結果、専門家の意見、いろいろ私どもの方で検討した結果、それからアンケートの結果、そんなものを中心といたしまして、Bルートを、これは都市計画ということではなくて事業者の原案ということで作成をさせていただいて提示を地元に申し上げた、概略そのような経緯でございます。

佐々木(憲)分科員 いろいろ長い説明がありましたが、要するに、地元にアンケートをとりましたと。その中で比較的Bルートが多かった、それから安全性の検討をした、これはボーリングをやったとかそういうことなんですが。

 ここでアンケートということなんですが、本来、アンケートというのは、誘導質問とか、あるいは偏った情報だけ提供して、それでとるというようなことは、これは一般論ですけれどもやってはならないと私は思うんですが、大臣はアンケートのとり方についてはどう思いますか。

    〔若泉主査代理退席、主査着席〕

前原国務大臣 あくまでも一般論でございますけれども、誘導をして、意図的に何らかの結論に導くようなアンケートのとり方はすべきではないと思います。

佐々木(憲)分科員 それで、具体的な資料を見ていただきたいんですが、次のページに「道からの手紙」というものがあります。「計画の再検討について、あなたの声をお聞かせください。」アンケートがこれでとられたわけです。もともとは少し大判のこういうものであります。

 そして、この中にこういうふうに、今のルートなど、皆様にもお配りしてあります、そういうものが入っておりまして、ここにアンケートの回答、これは手紙、はがきになっておりまして、この裏側にこういうふうになっているわけですね。

 それで、このアンケートを私見て、これはちょっといかがなものかと思いました。六枚目を見ていただきたいんですが、ここにBルートのみ書かれておりまして、都市計画ルートより「より安全と考えられます。」というふうに書いているんですね。都市計画ルートより「より安全」と書かれていますが、なぜBルートのみしか書いていないんでしょうかね。これは都市計画ルート、もともとのルートと比較するなら、Aルートはどうなのか、Cルートはどうなのか、そういう評価が書かれなければいけないのに、それと比べてBルートだけ安全ですよ、そういうふうに書いているんですよ。

 私は、専門家から聞いた限りでは、BよりAはさらに安全だ、Cはもっと安全だと。それを、AとCを外して、わざわざBだけが安全であるかのような書き方をしている。これは私は非常に誘導的だと思いますね。

 それから、もう一枚をあけていただきますと、絶滅危惧種に分類されているオグラコウホネという植物がありますが、「Bルート帯では、池の湧水量に与える影響が小さくなると考えられます」と。一体、この文章はどなたがつくったんでしょうか。どなたが書いたんでしょうか。

金井政府参考人 先生御指摘の「道からの手紙」につきましては、国土交通省の、現地の岐阜国道工事事務所、そちらで作成をさせていただいております。

 なお、御質問の内容でございますが……(佐々木(憲)分科員「いやいや、この質問の内容は、どこが、だれが書いたのか」と呼ぶ)それは、岐阜国道工事事務所で作成をいたしております。

佐々木(憲)分科員 結局、岐阜国道事務所が書いたものであると。何でこういう書き方をするのか。全く客観性がないですよ。

 それで、Bだけが安全であるかのように書いていますが、AとCについては何も書いていない。Aはもっと安全で、Cはさらに安全だ、そういう専門家の意見を聞いております。

 それからもう一つは、このページですね。このページは、ここに記入する欄があるわけです。そのページの一番最初のところと、一番目につくところにこれが書いてあるわけです。これを見ながら回答すれば、どうしてもBに誘導されてしまうわけですね。

 それから、いや、ほかのものも書いているんだと。裏を見ますと、確かに検討会の報告書の要約が書いてありますが、そっちの方はえらい小さい活字だし目立たない。こういうアンケートのとり方というのは、私は、これはだれが見てもBを選ぶように、ついうっかり私なんかも書きそうな、そんなやり方ですよ。

 この点については、平成二十年三月十三日の参議院の予算委員会、ここで民主党の平田議員がこう言っているんです。国交省は費用のかかるトンネルをつくることがよっぽど好きだと見えて、トンネルを掘るBルートに世論を誘導しているかのようにしか読めないと指摘して質問しております。私も本当にそう思いますよ。

 こういうA、B、Cというものを、これは地元の岐阜国道事務所でつくり、そしてBルートが一番いいんだと。しかし、これは第三者の目から見たものではなくて、国交省の出先機関の考えなんですよ。どこか別な機関からこういう評価が出たんですか、Bが一番いいという。

金井政府参考人 お答えいたします。

 この資料につきましては、先ほども御説明いたしましたが、事業者としていろいろ検討結果を取りまとめて、都市計画権者である県であるとか市に提出を最終的にさせていただくという前提でやらせていただきましたので、あくまで事業者の素案として作成をさせていただいております。

佐々木(憲)分科員 これは第三者が見て評価してBが一番いいと言ったのじゃなくて、国交省の出先機関でそういうふうに判断をし、そういう角度からアンケートをつくった、こういうことがはっきりしました。

 さあ、それでは、このアンケートの結果なんですけれども、その後の報告によりますと、ともかくBが一番多い回答があったというんですが、この危険性を感じている地元の第二千成団地の方々が住んでいるのは、黒野地域という地区なんですね。この地区の回答が、一番関心が高いのでしょうか、多いわけです。その黒野地域の回答者の中で、このアンケートはどういう結果が出ているか、ちょっと報告をしていただきたいと思います。

金井政府参考人 お答えいたします。

 アンケートにつきましては、平成十九年九月に実施をいたしまして、全体で約千五百ぐらいの回答をいただいておりまして、全体としてまとめて報告をさせていただいております。

 したがいまして、黒野地区という限定でアンケート結果を把握はしてございませんが、若干お時間をいただければ、原票はございますので、オリジナルから拾い出して黒野地区のアンケート結果を取りまとめることは可能でございます。

佐々木(憲)分科員 一番危険性を感じている黒野地域の方々の結果がどうかというのは、私はぜひ出していただきたい。それはできるというわけですから、後でここに、ここでいいのか、私自身にも報告をしていただきたいと思いますが、いかがですか。大臣、どうですか。

前原国務大臣 地区ごとにまとめて提出をさせていただきます。

佐々木(憲)分科員 この調査は、アンケートと、もう一つ調査をやったというわけです。その調査は、ボーリングも含めてやったというんですけれども、三者構成で参加をしていた専門家がいますよね。そして、その専門家も含めて三者全体で、御望山は安全性は確認されないという結論が出ていた。

 その専門家の意見を聞いてボーリング調査を例えば国交省がやる、少なくともその計画段階でそういう方々の意見も参考にして調査するというのは当然だと思いますが、そういうことはやりましたか。

金井政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、地元の御了解をいただきまして、検討会の後に新たにボーリングをさせていただきました。その場所については、例えば、検討会で指摘をいただいた、坑口で断層があるのではないかと言われたところのボーリングをいたしまして、それについては応用地質学会、専門家集団にお願いをいたしまして中身を見ていただいて、トンネルを掘ることには影響がないというような結論を得ましたので、そのような形で最終的に報告をさせていただいているところでございます。

佐々木(憲)分科員 結局、この検討会の専門委員の意見を聞いていないんです。その専門委員の方々は怒っているわけですよ。再調査をするならば、なぜ我々検討会専門委員の意見を聞いて調査計画を立てなかったのか、多額の税金が無駄かつ不当に使われたと言わざるを得ない、こう言って怒っているわけですね。

 このボーリング調査をした業者は株式会社ダイヤコンサルタントということらしいんですが、その委託費というのは一体幾らかかったんですか。

金井政府参考人 平成十九年の十月から二十一年の三月まで、ダイヤコンサルタントに委託をいたしまして、企画競争方式で契約をいたしております。契約金額につきましては、約一億四千万程度でございます。

佐々木(憲)分科員 一億四千万かけてやったわけです。

 もともと、この御望山は安全性は確認されていないんですから、したがって、別なルートを検討するというのであれば、わざわざこのボーリングをもう一回やる必要はないんです。だから、無駄にお金をかけて、しかも、その間、道路建設そのものもおくれてしまうわけです。全く無用だと私は思いますね。

 御望山調査検討会の委員長は、こういうふうに言っているんです。将来的に崩壊を起こす要因となる断層は確実に存在する。特にK1断層は、再調査によって得られた各種のデータによって、ますます疑うべくもないものとなった。再調査のデータを見たらやはり崩壊を起こす要因となる断層というのは確実に存在する。こういうふうに言っているんですね。

 このような山というのは、ソフトで均質な地盤とは全く異なり、トンネル掘削には甚だ不都合である。その最も大きな問題は、地山の不均質性にある。幾らかたいところがあっても、破砕されたところや軟弱なところと複雑に入りまじっていれば、トンネル掘削に際しても、その後のメンテナンスや周囲の影響に関しても、はるかに軟弱だが、均質な地盤よりはるかに厄介である。御望山の場合、その予測がつきがたい。特に、水の動きにかかわる地山状況の把握と経時的変化予想はほとんど不可能と言わざるを得ない。

 難しい言葉を使っていますけれども、要するに、再調査をやったデータを見ても、危険だというのは変わらないと言っているんですよ。

 大臣、最初にやった専門家の地質調査を含めた非常に危険だという見解、それから、国交省の専門家に依頼した結果はそうではないという見解が出ているわけです。私は、少なくとも、それぞれ専門家なんですから、これだけ意見が違うのであれば、やはり一堂に会していただいて、そしてそれぞれの見解を述べていただき、この際、一層突っ込んだ検討というのを行うべきだと思うんですよ。

 何か、あっちの専門家の意見と違うものは、国交省がやったんだからこっちが正しいんだといって突っ走る。しかし、それに対して地元の住民や専門家からごうごうたる非難が起きるような、そんなやり方はおかしいと私は思います。アンケートのとり方にも疑問がありますし、それから、専門家に依頼したというんですけれども、違う結果が出ている。

 そういう状況で、しかも、税金が一億円以上無駄に使われた、そういう指摘もある中で、この際やはり、前の政権がやったものでありますが、新しい政権になりまして前原大臣にかわりましたから、こういうものをもう一度精査して、そして、専門家の検討を、それぞれ違う意見があるのはいいと思います、あるのはあり得ると思います。したがって、両方の意見をしっかり聞くような機会を設ける、少なくともそういうことをやるのが新しい政権の役割ではないかと私は思いますが、前原大臣の御意見を伺いたいと思います。

前原国務大臣 前政権のもとでやられたことでございますけれども、さまざまな再検討、あるいは現地調査、専門家の意見、安全性の検討結果などを総合的に勘案して案がつくられて、現在その案が岐阜市と岐阜県に渡されている。あくまでも、この事業を採択するかどうかの決定は地元の岐阜県そして岐阜市が行われるわけであります。

 ですから、今、都市計画変更に向けた検討がなされているところでございますので、岐阜県や岐阜市がさらに何らかの形で国土交通省に発言を求めるとか、そういうことがあれば我々としては協力をしていきたい、このように考えております。

佐々木(憲)分科員 ちょっと歯切れの悪い答弁だったんですが。

 要するに、計画を出していると言いますが、その計画自身は今までやってきた検討会と違うものが出ているわけですよ。検討会は、安全性に疑問がある、そういう結論を出したわけです。国交省は、独自に何か別な調査をやって、安全性は大丈夫ですという結論を出して、それを出しているわけですね。

 ですから、三者協議でやった結論と違うものを国交省が出している状況ですので、これはもう一度洗い直すということを大臣のリーダーシップのもとできちっとやってもらいたいと思います。どうですか、最後に。

前原国務大臣 繰り返しになりますけれども、検討会の報告書の取りまとめでは、今先生がおっしゃったように御望山の安全性は確認されないという報告書が出ている。ただ、その後にルートを少し奥に変えて、そしてまたボーリングをして、そして安全性については問題ないということで、その結果として今岐阜県と岐阜市で都市計画見直し、変更に向けた検討がなされている。

 先生がおっしゃるように、もし岐阜県、岐阜市がやはりその中身に疑問を感ずるということであれば、岐阜県や岐阜市が戻されるということになると私は思いますよ。そのときには我々また、そういったことが仮にあれば、検討をさせていただきます。

佐々木(憲)分科員 このBルートというのは、かえって危ないと言われているんですよ。トンネルの中で曲がりぐあいがもっと激しくなるんですよ。専門家に言わせると、トンネルの中でカーブがこんな急カーブなトンネルはかえって危険であるという指摘もあるんですよ。

 こういう指摘があるのに、国交省はどんどんこのトンネルの案を進めたいという立場に立っていると私は思います。しかし、それを政治家である大臣がしっかりと監視して、こういう指摘をここでやりましたから、それを頭に入れて今後対応していただきたい。最後にそのことを確認したいと思います。

古賀主査 皆様の御協力で、ちょうど時間になりました。最後の質問でよろしゅうございますか。

前原国務大臣 政権もかわったことでありますので、委員の御指摘もありましたので、一度岐阜県、岐阜市の意向確認をさせていただくということでよろしゅうございましょうか。(佐々木(憲)分科員「もっと積極的に言ってください」と呼ぶ)

 もう十一時になりましたので。

佐々木(憲)分科員 それでは、ともかくもう一度確認をして、これだけ私がはっきりと具体的な事実を指摘しましたので、大臣のリーダーシップでやっていただくということを要請して、質問を終わりたいと思います。

古賀主査 これにて佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。

 長時間御苦労さまでございました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後十一時二分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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