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第1号 平成25年4月12日(金曜日)

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本分科会は平成二十五年四月九日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      大塚 高司君    金子 一義君

      若宮 健嗣君    辻元 清美君

      重徳 和彦君    石田 祝稔君

      柿沢 未途君

四月十一日

 石田祝稔君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十五年四月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 石田 祝稔君

      大塚 高司君    大西 英男君

      永岡 桂子君    橋本  岳君

      若宮 健嗣君    辻元 清美君

      重徳 和彦君    鈴木  望君

      柿沢 未途君

   兼務 玉木雄一郎君 兼務 伊佐 進一君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (観光庁長官)      井手 憲文君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    北村 隆志君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     大西 英男君

  辻元 清美君     篠原  孝君

  重徳 和彦君     鈴木  望君

  柿沢 未途君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     橋本  岳君

  篠原  孝君     寺島 義幸君

  鈴木  望君     重徳 和彦君

  井出 庸生君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     永岡 桂子君

  寺島 義幸君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     大塚 高司君

同日

 第四分科員伊佐進一君及び第六分科員玉木雄一郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

石田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。太田国土交通大臣。

太田国務大臣 国土交通省関係の平成二十五年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算の国費総額につきましては、五兆七百四十三億円です。

 また、国土交通省の関係事業として復興庁に一括計上した予算を含め、東日本大震災からの復旧復興対策に係る経費として東日本大震災復興特別会計に五千四百三十八億円を計上しております。このほか、社会資本整備事業特別会計、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として三兆二千八百三十一億円を予定しております。

 それでは、平成二十五年度の国土交通省予算の全体方針につきまして、御説明申し上げます。

 まず、東日本大震災からの復興に総力を挙げて取り組みます。

 また、大規模災害の発生の懸念、インフラの老朽化の進行に伴い、国民の命と暮らしを守るインフラ整備が大きな課題となっております。このため、本年を社会資本メンテナンス元年と位置づけ、これら課題に適切に対処し、地域の再生を図ってまいります。

 こうした考えのもと、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化の三分野に重点化し、各分野の施策を一体的に実施することによりこれら課題の解決を目指します。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

石田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま太田国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西英男君。

大西(英)分科員 おはようございます。

 私も新人でございまして、こうした分科会では初めての質問でございますので、行き届かない点も多いと思いますが、どうぞ御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。

 今、ちょうど北朝鮮が、相も変わらず騒ぎまくっております。いつミサイルが飛んでくるかわからないような状況の中で、国土交通省におかれましては、太田大臣を先頭にして、日本の安全、国民の命を守るために大変な御努力をいただいておりまして、敬意を表するわけでございます。

 国土交通省の航空局あるいは海上保安庁におかれましても、いつ飛んでくるかわからないミサイルに備えて、恐らく不眠不休で体制を組んでおられると思いますが、ぜひ一層の御努力を、まず冒頭に、心からお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 国の有識者会議が三月の十八日に発表いたしました南海トラフ大地震、これは国民に大きな衝撃を与えました。被害予想は二百二十兆円、死者予想は三十二万人と発表されたわけですね。

 しかし一方で、私どもにとって今一番大事なことは、防災・減災のための施策をしっかりと推進していけばこれらの被害予測は半減できるという、そうした有識者会議での発表もあるわけでございまして、私どもとしては、いつ来るかわからないこうした巨大地震に備えて、東北大震災の教訓を受けて、しっかりとした防災・減災対策をしていかなければならないのではないかと思うわけでございます。

 私ども自由民主党としても、国土強靱化法案をここで提出する予定でございますし、友党である公明党さんにおかれましても、防災・減災ニューディールということで、さまざまな角度から御提言をいただいているわけでございます。

 そして、こうした折に、耐震改修促進法の改正について、いよいよ国会で本格的な論議に入っていくわけでございます。もちろん、これは先ほど太田大臣からもお話がありましたように、老朽化したインフラの改修であるとか、国がなすべき道路や港湾などの耐震対策、防災対策、これも大切でございます。これも積極的に進めていかなければなりません。

 しかし一方では、民間の建物の耐震化であるとか、そして、仮に地震が来た折に火災が起きないような、そうした対策も積極的に進めていかなければならないわけでございます。

 そうした中で、今回の耐震改修促進法の改正については、旧耐震基準の全ての住宅や建造物を耐震診断、改修の努力義務の対象としているわけでございますけれども、大規模な特定建築物や災害対策上重要な建築物については耐震診断を義務づけるものでもあるわけでございますけれども、これによって耐震診断が進むことは私どもも大いに期待をしているわけでございますが、耐震診断を行って、目的は、耐震の改築をどう進めていくか、それによって震災に強い町をどうやってつくっていくかがあくまで基本になるのではないかと思うんですね。

 そこで、耐震診断をする、それに対して補助金も出る、そして耐震診断の結果、耐震改修を進められるような仕組みをこれからつくっていかなければならないわけでございまして、これに関して幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 その中で、大事なことは、民間の建物については所有者の財政的な支援が必要になってきます。補助制度も今回の改正にあわせて充実をしていくことにはなっておりますけれども、あくまでこういった補助制度というのは地方自治体を通しての補助制度になるわけでございまして、全国の地方自治体、財政状況の中で、独自負担もありますから、こういった補助制度を導入できないような自治体も決して少なくないと思うんですね。

 そこで、国が所有者に直接補助が出せるような、こうした制度設計をしていくべき必要があるのではないかと思いますけれども、これについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、耐震改修、診断に基づく改修を進めていくということは非常に重要な課題だというふうに思っております。

 このため、これまで、耐震改修法に基づきます規制措置、それから地方公共団体を通じました耐震診断、改修に対する補助、さらに税制、融資などで支援を行ってきたところでございます。この場合の補助につきましては、御指摘いただきましたように、地方公共団体による補助制度の整備というのがこれまでは前提となっておりました。

 今般、より一層の耐震化を促進するために、不特定多数の方が利用する大規模建築物等に対しての耐震診断を義務づけるなどを内容としました耐震改修法の改正案を、今国会に提出させていただいております。

 この改正案とあわせまして、二十五年度予算案の中で、義務づけ対象となる建築物に対して、これは二十七年度までの時限措置でございますけれども、補助率の引き上げなどの補助制度の充実を図るということで盛り込ませていただいております。

 具体的には、地方公共団体の補助制度を前提とする場合には、通常、社会資本整備総合交付金で行っております補助、例えば耐震診断に関しましては三分の一なんですけれども、これをさらに上乗せするということで、二分の一に補助率を引き上げる。それから国の補助でございますが、耐震改修の方は原則一一・五%、これを三分の一に引き上げるというような措置を盛り込んでおりますが、それとともに、どうしても公共団体の方が助成ができないという場合には国だけで今の三分の一ないしは一一・五%の補助を単独で行う制度も、これは特例的でございますけれども、盛り込ませていただいております。限定的ではありますが、こういう取り組みをさせていただいております。

 公共団体にはできるだけ補助していただくとともに、こういう制度の周知をしっかりしてまいりたいというふうに思っております。

大西(英)分科員 ぜひ、地方自治体が補助できない所有者に対しても国が積極的に補助が出せるように、御努力を要望しておきたいと思います。

 次に、耐震診断の補助金ですけれども、これは、例えば地方自治体と国があわせて補助をしていくわけでございますが、その際に、工事が完了しないと補助がおりないというふうに伺っているわけです。

 今、厳しい財政状況の中で頑張っているそうした多くの所有者の方々がこの制度を使いやすいようにするためには、何らかのやはり、工事が、診断が終わってから補助が出るんですよ、それまでは自己負担しなさいということではなくて、もっと一歩踏み込んで、こういう診断をする際にはしっかりと、例えば融資制度をあっせんするとか創設するとか、そういう形で耐震診断を受ける人たちの負担をできるだけ軽減していくことが、この施策が展開をしていく大きな原動力になっていくんじゃないかと思うんですけれども、この点につきましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 補助金の適正な執行を図るという観点から、公共団体では、工事の完了後に、御指摘のように、工事代金の領収書などを添付した実績報告を公共団体の方に出していただいて、その内容を審査された上で補助金が払い込まれる、こういう仕組みになっているところでございます。

 建物の所有者の方が一旦工事費全額を用意していただく必要があるということでございまして、御指摘は大変ごもっともだというふうに思うわけでございますけれども、一方で、こうした問題の対応は耐震診断に限ったことではなくて、いわゆる補助事業全般にわたる問題にもなろうかと思いますので、ちょっとこの制度だけですぐお答え申し上げるのはなかなか難しかろうというふうに考えております。

 ただ、公共団体でこういう問題意識をお持ちのところも多くございまして、実績報告を受理してできるだけ早くこの事務処理を行って、例えば一カ月程度で補助金を払い込むというような実例もございます。こういう観点、所有者の負担を軽減する観点から、できるだけ公共団体にもこういう取り組みをまずは要請してまいりたいというふうに思っております。

大西(英)分科員 これは、一般の補助事業と違って、いつ来るかわからない大災害に備えて耐震性を強化していこうという大事な社会的な課題なんですから、特例的なものであったとしても、やはり何らかの補助制度が円滑に運用できるようなシステムづくりを、所有者の方々が積極的にできるような流れをつくっていくべきだと思います。今後とも、この事業は法改正が成立した後は継続していくわけでございますから、ぜひ今後御検討をいただくように要望しておきたいと思います。

 次に、昭和五十六年以前の旧耐震基準の建物というのは、築三、四十年経過しているんですね。そして、建てかえ更新時期も迎えていることもこれは事実なんですね。この際に、建てかえを検討しているオフィスビルやテナントビルのオーナーも少なくないんじゃないかと思うんです。

 こういった際に、住宅については固定資産税や都市計画税の減免の制度があるんですけれども、事業用建物についてはこういう制度がないんですね。したがって、良好なストックを形成するためには、事業用建物についても、耐震化した場合にはこうしたさまざまな補助制度が適用されるような仕組みをつくっていくことが大事じゃないかと思うんですね。

 よく、事業用はみずからの利益に奉仕するものだから、それはこういった優遇措置をとるわけにはいかないと。住宅だってそうですよ。住宅だって建てかえによって個人の利益に供するわけで、そして住宅を建てかえる、あるいは事業用のビルを建てかえる、これは、ただそれらの所有者の個人的な利益に帰一するだけじゃないんですよ。地域の安全性や防災・減災の施策にとっても大事なことなんですから、住宅と事業用建物を分けないで、同じような補助制度を事業用の建物にも適用すべきだと思うんですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震診断及び耐震改修の必要性という観点で、倒れると非常に危険だということでは、住宅であろうと事業用の一般の建物であろうとこれは等しいところだと思います。

 一方で、財源等の観点から、何を優先すべきなのかということがございまして、住宅については広く国の補助制度の対象とし、また住宅以外のものにつきましては、不特定多数の方、あるいは避難弱者の方が使われるような、例えば病院でありますとか、店舗でありますとか、学校でありますとか、老人ホームでありますとか、こういうものにつきまして、国としては補助制度を住宅と同じように整えてきたところでございます。

 御指摘の点、ごもっともだと思いますので、優先順位と財源をこれからどういうふうに考えるかという観点で、よく検討させていただくべき課題だと思っております。

 また一方で、公共団体の方も、そういう観点で、住宅だけの補助制度を創設しているところが多うございます。事業用といいますか、不特定多数の方が使う建物であっても、非住宅についてはまだまだ制度の整備がおくれているところでございますので、これについては、よく公共団体の御理解をいただくように、私どもも懸命に努めてまいりたいというふうに思っております。

大西(英)分科員 大変心強い御答弁をいただきました。

 それこそ、長い不況によって、事業者の人たちもビルを更新したい、あるいは建てかえたいと思っても、なかなかできないで今日まで来ているわけで、こうした時代的な背景の中、いつ来るかわからない巨大地震に備えて、ここで事業用の建物を改修しようと思っておられる方もいるけれども、しかし、一歩足が踏み出せないところもあるわけです。

 今、まさにアベノミクスによって、地域経済がこれから活性化しつつあります。そのときに、一気にこうした耐震のための建てかえが行われるような、そういう誘導的な施策も必要なのではないかと思いますので、今後とも、鋭意御努力を心からお願い申し上げたいと思います。

 次に、これは東京や大阪や何かの大都市特有だと思うんですけれども、木造密集地域が数多くあります。例えば、さすが永田町の周辺にはありませんけれども、六本木のヒルズの裏にまだ木造密集地域があったり、西新宿にそびえ立つ都庁のすぐ真裏に木密住宅があったり、こういったことは大阪でも指摘できることですし、名古屋だってあります。

 これをやはり解消していかないと、どんなに周りに耐震、耐火、すばらしい近代的な建物ができたとしても、木密地域から火が発生すれば、それは地域に燃え広がるおそれがあるわけでございまして、木密解消のためには、今までさまざまな施策が行われてきていることは高く評価するものでありますけれども、例えば、木密の建物を取り壊すための費用であるとか、そういう補助制度はあります。あるいは東京なんかは、防災のための避難道路を確保するために、特別の優遇制度を独自に確立をしているところもあります。

 しかし、個人の建物を建てかえをする際、例えばそこが更地になった、さあ家を建てよう、そういった際の補助制度というのがないんですね。ですから、せっかくそこまで進んできているわけですから、個人の住宅、戸建ての建てかえについても、しっかりとした補助制度をつくっていくべきじゃないかと思うんですね。

 今、木密に住んでいる人たちというのは、私たち東京の周辺で見ていますと、もう本当に高齢者なんですね。そして、もういいのよ、そんな、新しい家なんか建てかえたってさ、私たち何年生きられるかわかんないのよなんて言っておられる方が多い。そうすると、そこはいつまでたっても木密のまま残ってしまう。そういうお年寄りの方々のためにも、建てかえるときにはこんな補助制度があるんだ、そして、それによって子供たちと二世帯住宅、三世帯住宅をつくることもできるんだ、そういうインセンティブを与えて、この木密の解消の流れをつくっていくべきではないかと思うんですね。

 これについて、どのようなお考えかをお聞かせいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、東京都では、都の計画の中では七千ヘクタール、それから、国の著しく危険な地域という考え方では千六百八十三ヘクタールの木造密集地域があるというふうなことでございまして、これの整備をしっかりやっていくということは、特に、震災時の市街地大火の防止という観点では極めて重要だというふうに思っているところでございます。

 御指摘の戸建て住宅の建てかえについては、おっしゃいますとおり、共同化というような形での建てかえをこれまで重点的に助成してまいりました。

 したがいまして、戸建て住宅の不燃化のための建てかえの補助制度というのは今はないというのが現状でございますけれども、これは余り知られていないかもわかりませんが、一方で、耐震性がない建物、これは木造の古いものが多いですから、実は不燃化の必要な建物とかぶさると思いますけれども、これにつきましては、耐震改修工事費相当分ということで、額は大したことになりませんけれども、改修工事費相当分までは建てかえの場合であっても補助できることとさせていただいております。

 そのほか、社会資本整備交付金の中で、いわゆる効果促進事業というものがございまして、公共団体独自の取り組みを支援する仕組みがございますので、こういうことをしっかり周知しながら、戸建ての建てかえについても進みますように努めてまいりたいというふうに思っています。

大西(英)分科員 やはりこの木密解消のキーワードは、個人の老朽化した建物をどうやって建てかえさせる意欲を持っていただくかということなんですね、住民に。そのために、ぜひ今後とも、あらゆる角度から、地方公共団体とも協力しながら促進ができるようにお知恵を出していただき、施策を打ち出していただき、これも木密が早期に解消できるように御努力を心からお願い申し上げたいと思います。

 さて、最後の質問になりますが、太田大臣におかれましては、東日本大震災の発災直後から現地を訪れられて、そのときは、大変恐縮ですが、国会議員のバッジはなかったわけでございますけれども、やはり命と暮らしを守るために献身的に御努力をいただいたということを、私も公明新聞をとっておりますので、あのころから、すごいなということで、敬意を持って、よく読ませていただいていたわけでございます。

 我が日本におきましても、特に、南海トラフで二百二十兆円、あるいは首都直下型で百十兆円。我々が想像もできないような被害を想定している中で、いよいよ国土交通大臣に御就任をいただいて、我々は大きな期待を持っているわけでございますけれども、今後、国土交通大臣として、我が日本の安心、安全、防災・減災を進める決意のほどを伺って、私の質問を終えたいと思います。よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 ありがとうございます。

 特に、大西先生、この首都直下地震というのは、どちらかといいますと阪神大震災型に近い。津波というよりも、火災ということが一つ大事な対策。そこに、今先生がおっしゃった木密住宅があるということだと思います。

 建物の倒壊、そして火災、密集市街地への対策。鉄道ということからいきましても、もし八時ごろ巨大地震が首都直下を襲った場合に、どこに逃げるとかいうこと以上に、道路は既に渋滞をしており、そして、鉄道に乗っている人が約二、三百万いるということからいきますと、想像を絶する状況、混乱ということになるというふうに思います。

 加えて、ビルが大きいですから、長周期地震動ということもあり、そして、先生の御地元のところからいいますと、液状化というようなことが非常に心配である上に、ゼロメートル地帯というのも多々ある。

 あるいは、海岸のところにコンビナートがあって、そこから火が出てと。私がそこを心配したもので、それが低い津波であっても川を遡上するというようなことを心配したものですから、東日本大震災では気仙沼にまず駆けつけて、そこのところの援助をするということについてどうなのかということを研究したりということをしてまいりました。

 想像力というものを持つということが災害対策は大事ということが一つ。そして、地震の態様に即応したものをやるということが極めて大事。と同時に、災害対策というのはどこまでも、いわゆるミサイル防衛というようなことは中央の危機管理の一元化、統制が極めて重要なんですが、しかし、中央というよりも、災害は現場で起きている。

 そして、災害は実務である。そして、目の前の臨機応変な対応を、責任を持って各地域で行っていかなくてはならない。川も非常に多いわけですから、自衛隊を初めとする人たちが、もし橋が壊れたとするならば、これは全く動きがとれないということになって、そのときの指令系統は、完全な一元化というよりも、各地域で責任を持ってなし遂げていかなくてはならない。

 この首都直下は首都直下、そして、南海トラフの津波を中心に、そういうことはそういう対策。一つ一つめり張りをつけて、想像力をしっかり発揮して、その想像力の広がりの中で想定外というものをなくしていくということが私は大事なことだというふうに思っているところでございます。

 きょうは先生から、現場の木密住宅、そうしたことについて、特に東京ならではという御指摘をいただいて、そして、高齢社会になっている上に、そうした、少しでも住宅を強化していくということのインセンティブを与えることはできないかというのは、本当に、私も、密集市街地の場合非常に大事で、ある意味では、建物をつくったり道路を広げるということをやりながらも、それまでに地震が起きたらということで、消防バイクというような、そういうことをやったり、緑の木を植えていくというようなことの防火帯をつくるというようなことも含めて、あらゆる手段を総動員して、何としてでも、一万何人死にますよというデータを科学的に出してもらうのはいいんですが、絶対に我が区からは一名たりともそういうことにならないようにということが私は政治家の役割であるというふうに思いまして、各施策を総動員して対応に乗り出したい、このように決意をしております。

大西(英)分科員 ありがとうございました。

石田主査 これにて大西英男君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐分科員 公明党の伊佐進一でございます。

 本日は、大臣、副大臣、政務官、お忙しい中で御出席をいただきまして、このように質問の機会をいただきましたこと、まず心より御礼申し上げたいと思います。本日は、大臣初め、皆様方の胸をおかりするつもりで伸び伸びと質問させていただきたいと思っております。

 まず最初の質問ですが、取り上げたいのは、建設業の社会保険未加入問題について質問させていただきます。

 今この建設業の就業者の方々、どのような状況にあるかということですが、建設業に対する投資、このピークは平成四年でした。それが平成二十三年になって半分になっています。また、建設業の就業者の数は、そのピークであった平成四年、六百十九万人です。それが平成二十三年には四百九十七万人になったんですが、ここで投資額がピークの時代から半分になった。にもかかわらず、就業者は実は二割しか減っていないんです。

 これはどういう意味かというと、その分のしわ寄せが就業者一人一人に行っているということじゃないかと私は思います。この一番立場の弱い方々のところにしわ寄せが行っている、その一つの社会現象としてあらわれているのが、今回私が取り上げている社会保険の未加入問題であると思っております。

 年金と医療と雇用保険、この三つの社会保険、これを三つともきちんと対応されている企業、これは当然企業の義務ですが、三つとも加入している企業というのは、労働者別でいいますと、まず元請で七八%です。一次請になると五五%になる。二次請以下になると四四%まで低下するんです。つまり、半分が義務を守れていない状況というのが現状であります。

 この厳しい経済状況の中で、また民主党政権のもとで、コンクリートから人へというような政策のもとでどんどんどんどん状況が厳しくなっている。社会保険に必要な法定福利費と言われるもの、この企業の義務すら履行できない、払えなくなってしまっている、これは末端に行くほど状況がシビアになっているということでございます。

 この請負契約において、建設業法で実は一つの規定がありまして、不当に低い請負代金で契約すること、つまり社会保険に充てる法定福利費すら払えないほどの低いお金で契約をする、これは建設業法第十九条の三によって禁じられているということでございます。

 そこで、まずお伺いをしたいのは、不当に低い請負代金を禁じるために、この十九条の三を積極的に運用していくべきだと私は思いますが、国交省の見解を伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお話のありました建設業法の第十九条の三でございますけれども、これは、元請企業などがその地位を利用いたしまして、下請企業などに不当に低い請負代金を強いることを禁止したものでございます。この規定に違反した場合には、建設業法第四十二条に基づきまして、国土交通省がまずは公正取引委員会に対しまして請求を行いまして、それを受けまして、公正取引委員会が独禁法に基づく勧告または排除措置命令を行う、こういう仕組みになっております。

 しかしながら、この仕組みを発動するに際しましては、規定違反となる行為が、例えば、一下請企業のみならず多数の下請企業に対して行われ、市場を極めて大きくゆがめている、こういったことで公正取引委員会が判断した場合でないとなかなか適用されない、こういうこともございまして、この仕組みが今まで発動されたことはございません。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 こうした本当に厳しい状況の中でも、先ほど参考人から御意見をいただいたとおり、実は発動されたことはないというのが現状でございます。

 こういった状況の中でこれから何が起こってくるかということですが、平成二十九年度から、保険加入が確認できない企業であったりあるいは作業員の方々は、現場から排除されるということになります。今の状況のままであれば、先ほど申し上げた三つに加入しているのが四四%という二次請以下の企業の方々にとっては、こういう一番厳しい環境に置かれている方々を締めつけるだけの結果になってしまう可能性があると思います。何らかの措置が必要だと思います。

 こうした問題を解決するためには、まず、元請企業がしっかりと法定福利費というものを見積もりの中に明示するということが大事じゃないかと思います。

 国交省においても、さまざまこれまで御努力をされてきたと伺っております。例えば、ガイドラインをつくって、いろいろとこの普及啓発をやるというようなことをされておりました。

 ところが、このガイドラインを見てみましても、何が書かれているかというと、例えば、下請である専門工事業者の方から法定福利費が内訳明示された見積書が提示された場合、これを尊重すると。あくまで尊重するだけなんです。またあるいは発注者に対して、法定福利費が着実に確保されるよう見積もり・契約等の際に配慮すると。これも配慮なんです。えらく弱いんです。

 私が大事だと思うのは、本当にこういう問題の解決を図ろうと思うのであれば、この法定福利費をきちんと書き分けるということが大事じゃないか、もっと強い形での制度をつくっていく必要があるんじゃないかと思っております。

 まず、少なくともできることは何かというと、国が発注する公共事業、この公共事業の内訳くらいには、法定福利費をきちんと別建てで明示するということをすべきじゃないか。まさしく隗より始めよということではないかと私は思っております。この公共事業で書き分ける件についての国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省が発注する工事の予定価格には、法定福利費が含まれております。

 具体的に申し上げますと、予定価格を算出する際、事業者が負担すべき法定福利費については現場管理費の中、また、労働者個人が負担するべき額につきましては労務単価に含めております。

 一方で、ただいま委員の方から御指摘がありましたように、計上した法定福利費が下請まで適切に支払われていないのではないかというような御指摘もいただいております。このため、入札公告段階において、予定価格に法定福利費がきちっと含まれているという旨を、改めて入札参加者には徹底、周知してまいりたいと考えております。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 本当に国土交通省においてもさまざま御努力をされているというのは、私もそう伺っておりますし、認識もしております。その上で、今の状況をさらに改善していくにはどういったことができるかということについて、ともに知恵を出し合っていければと思っております。

 最後になりますが、この保険の未加入問題も含めまして、現在の建設業の就業者の置かれている環境の改善に向けて、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 大変大事な問題だというふうに思っておりまして、それは建設業界がある意味で非常に疲弊してきている、急激な削減ということが予算上ありましたものですから、そこによって、これまでいた人が事業から離れていく、また、結構この予算が乱高下しているということがありましたものですから、見通しがきかないという中で、若い人を採用しない、人件費にしわ寄せをせざるを得ないというような状況もありました。

 私は、この大事な公共事業、そして国の安全、安心というものを担う業界というものが、適正に、そして魅力ある企業として若い人が入ってくる、そして、なかなか現場の職人さんが育たないということがありますから、そうしたことを育てていくという形にしなくてはいけない。

 予算がずっとある、そして誇りがこの業界に戻ってくる、そして若い人が入ってくる、そして職人さんが育っていく。育つには時間がかかりますから、そういう点では、まさにその福利厚生という点、保険加入ということが私は極めて重要なことだというふうに思っているところです。

 労務単価を三月の終わりに、全国平均一五%、そして被災地では二一%上げさせていただきました。その中には、今答弁にありましたように、この福利厚生部分というものが明確にございます。ここがしっかり入って、そして働いている人たちが安定して、また見通しがあって働けるようにということを、メッセージとしてそれぞれ周知することに今懸命になっているところでもございますし、さらに、近々、業界団体の代表にお集まりいただいて、私からも直接、そのことについてはぜひとも実行していただきたいという強い要請をしたい、このように思っているところです。

伊佐分科員 大臣の力強いお言葉、本当にありがとうございます。

 この建設業の就労問題といいますのは、今、自公政権で進めております防災・減災、安全に強いまちづくりの中でも本当に重要な一つの課題であると思いますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 次の質問ですが、共生社会の実現に向けたまちづくり、いわゆるバリアフリーについてお伺いしたいと思います。

 現在、我が国の高齢化の進展に伴って、高齢者が自立できる町をどうやってつくっていくか、あるいは、高齢者の方々が社会参加できるまちづくりをどうやって行っていくかということが非常に重要である。また、障害のある方も、障害を持っていらっしゃらない方も、ともどもに同じように生活をして、また互いに尊重し合って、支え合って生きていく、こういう共生社会をつくっていくことが今求められていると思っております。

 その中で、一定の役割を果たしてまいりましたのがバリアフリー法。平成十八年に現行のバリアフリー法ができました。この中で、市町村が住民の参加を得て作成する基本構想というものがございます。これに基づいてバリアフリーの推進を図るということになりました。

 これまでもさまざま取り組みをしていただいているところですが、まず最初の質問は、これまで政府が行ってまいりましたバリアフリーへの対応についてお伺いしたいと思います。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、平成十八年十二月に施行されました高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、これはいわゆるバリアフリー法と呼んでいますが、これに基づいて、高齢者、障害者等のまず円滑な移動と、それから建築物等の施設を円滑に利用する、そういう確保するための施策をやっております。

 具体的に申し上げますと、まず、法に基づく基本方針で整備目標を設定した上で、そういう公共施設とか建築物等のバリアフリー化を推進することと、それから、今御指摘がございました、市町村が作成する基本構想に基づきまして、重点整備地区内において重点的かつ一体的なバリアフリー事業を推進すること、さらには心のバリアフリーというふうなことも推進しているところでございます。

 平成二十三年の三月には基本方針を改正いたしまして、対象の鉄道駅を一日五千人以上から三千人以上へ拡大するというふうなことで、平成三十二年度までの新しい目標を設定したところでございます。

 それから、法施行後五年が経過したということで、関係の団体とか有識者の方から、検討会をつくっていただきまして、今後の取り組みの方向性をまとめていただいておりますので、可能なものから順次具体化を図っていくということとしております。

 いずれにしても、高齢者、障害者等の御意見を十分聞きながら、バリアフリー化というものを着実に推進してまいりたいというふうに考えております。

伊佐分科員 ありがとうございます。

 本当にさまざまな形、さまざまな方向からバリアフリーを進めていただいているところでございますが、ところが、実際はまだまだ手が届いていないところがある。もちろん、予算の制約もあると思います。

 そこで、一つ例を挙げさせていただきたいのは、私の地元の守口市に大日駅の交差点というのがあります。この大日駅の交差点、これは交通の結節点と言われるぐらいの大きな交差点なんですが、例えばまず鉄道でありますと、この交差点のところに地下鉄谷町線の駅があります。大阪モノレールの駅もあります。この交差点は、旧国道一号線と近畿自動車道、そして大阪中央環状線、これがクロスしているところなんです。物すごい大きな交差点なんですが、ところが、この交差点には、余りにも大きい交差点であるために、横断歩道がまずない、陸橋もないんです。どうなっているかというと、地下に潜ってそれぞれ移動をして、また地下から階段で上がってくるというような構造になっています。

 この交差点の四つの隅、物すごい大きい四つの隅の二つにはエレベーターがついているんです。ところが、残り二つにはついていないんです。実は、ついていないところに病院があるんです。高齢者の方とかあるいは体に障害を持たれている方は、わざわざこのエレベーターのあるところから上がって、数百メートルずっと歩いて横断歩道があるところまで行って、そこでやっと渡って、また数百メートル戻ってくる。真夏の中でも、こうやって移動されていらっしゃるんですね。

 この残りのエレベーターの設置について、平成二十三年度、国交省の近畿地方整備局そしてまた事業者の参画を得まして、守口市が先ほど申し上げた基本構想というのを策定しました。受理もされているんです。この中で重点事項として位置づけられています。先ほど局長の方から、交差点、基本構想のハードルとして三千人とおっしゃっていただきました。この交差点は一日に三万人利用しているんです。ところが、重点項目になったにもかかわらず、まだ着工すらされていないというような状況です。

 質問としてお伺いしたいのは、こうした、せめて基本構想を受理しているようなところについては、できるだけ前向きに、積極的に対応を進めていただきたいと思いますが、こうした対応も含めて、国土交通省の御決意をお伺いしたいと思います。

赤澤大臣政務官 委員の問題意識、全くごもっともだと思います。

 御案内のとおり、バリアフリー法に基づく基本構想は、高齢者、障害者等が生活上利用する施設が所在する一定の地区において、公共交通機関、建築物、道路などのバリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するために市町村が作成をする構想ということで、この構想に事業が位置づけられた公共交通事業者、道路管理者等の施設設置管理者はバリアフリー化を進める事業計画をつくり、事業を実施することが求められているということでございます。

 御指摘の、国道一号大日地下道におけるエレベーターの整備については、これも委員御指摘のとおり四基のうち二基設置しており、利用状況を踏まえ、残る二基の設置を検討しているところでありますが、委員の本日の御開陳されました大変な御熱意もしっかりと受けとめて、できる限り前向きに取り組ませていただきたいと思います。

 国土交通省としては、バリアフリー基本構想に位置づけられた事業については、この大日地下道に限らず、支援措置の実施などを通じて、施設設置管理者の積極的な取り組みを今後とも促してまいりたいと思います。

伊佐分科員 前向きな御答弁、本当にありがとうございます。ぜひ、共生社会の実現に向けて、積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。

 次の質問ですが、次は河川公園の整備計画について伺いたいと思います。

 現在、一級水系と言われますものは全国で百九あります。その河川整備というのは、まず国土交通大臣が河川整備についての基本方針というのを定めます。その後で、これに基づいて河川整備計画というものを、それぞれの管理者が定めることになっています。管理者というのは、例えば近畿地方整備局とか、こういう管理者が定める。この計画で、具体的な整備計画において個別の事業をどうするか、具体的な河川の整備をどうするかというものを規定していくということになっております。

 ここで難しいのは、バランスをどう保つかということです。つまり、一つ大きな課題として、例えば、河川を住民に開かれた場所として地域住民の方々に使っていただく、利用させてくださいという声が一つあります。またあるのは、環境保全という観点からできるだけ自然のままに河川を置いておく、こういう観点もあります。ここをどういうふうにバランスをとっていくかということが大事であると思います。

 そこで、まずお伺いしたいのは、一級河川の河川整備計画、一般的にどういう点を考慮して策定されるのかということについて伺いたいと思います。

足立政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のありました河川整備計画でございますけれども、委員御指摘のとおり、水系の長期的な整備の基本方針と計画高水流量など、河川整備の基本となるべき事項について、水系ごとに国土交通大臣が定めた河川整備基本方針というものがございまして、それに基づきまして、地方整備局長、淀川の場合ですと、先ほど御指摘のとおり近畿地方整備局長でございますけれども、洪水、高潮等による災害の防止または軽減、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持、河川環境の整備と保全、こうしたことを総合的に考慮して定めることとしております。

 その策定に当たりましては、学識経験を有する方々、関係住民、関係府県知事、関係市町村の意見、こうしたものをお伺いすることとしておりまして、その際には、治水、利水のみならず、自然環境、景観、河川敷利用、水辺の活用、スポーツや環境教育の場としての利用、地域の歴史、文化、伝統行事など、幅広く御意見をお伺いし、委員御指摘のとおり、そういった御要望に対しては、バランスが必要ではございますけれども、総合的に考慮しまして、河川整備計画を策定するということとさせていただいております。

 以上です。

伊佐分科員 さまざまな考慮する観点があるというのを理解させていただきました。

 少し、ちょっと一例を挙げさせていただきますと、大阪の淀川というのがあります。この淀川、平成二十年の三月に河川整備計画というものが改定されました。この改定の方向性が、自然環境の保全とか保護、どちらかといえば、こちらに重点を置いた改定内容になっております。そこで実は書かれたことが何かといいますと、グラウンド等のスポーツ施設、これらは地域と川とのかかわりを踏まえながら縮小していくというような書きぶりがございます。この計画、あるいはこの計画に基づいた河川整備に対して、地元の方々からたくさんの心配の声というのを伺っております。

 どういうことかというと、例えば、今、子供たちが外で遊べる場所というのはどんどんどんどん減ってきていると思います。キャッチボールできる場所がなくなっているんですね。私が小さいころであると、キャッチボールはいろいろなところでできたと思います。でも、今、学校の中でも時間制限があって、公園の中でも、この公園の中ではボール遊び禁止というのがほとんどなんですね。限られたこの河川敷というオープンスペースの中で、子供たちは遊べれば、遊ぶような場所があればいいんですが、こういう場所についても、こうしてどんどん制限をされていく方向にあるんじゃないかと思っております。

 そういう意味で、確かに、自然環境を保全するという観点はもちろん大事なんです。大事ですが、だから、こういった、例えばアシが生えるのをそのまま自然のままで置いておく、これも大事です。でも逆に、そのままに放置して、自然のままに放置して、例えばアシがぼうぼうに生えてしまっているというような状況になるのであれば、これは都会の死角になるわけです。夕方になると危なくて歩けないというような状況になっていくわけですね。これであれば、全く逆じゃないかと私は思います。

 これは、実は河川によって計画が違うんです。例えば東京の江戸川、この基本計画に類する管理計画というのを見てみますと、河川空間というのを三つのゾーンに分けています。このゾーンの一つの整備ゾーンというのはどう規定されているかといいますと、広場、公園、あるいは階段護岸などの整備を行い、各種レクリエーションやスポーツ活動に利用する、非常に前向きな書きぶりになっているんですね。つまり、同じ一級河川であるにもかかわらず、河川によって全く重視する観点、方向性が違っているという状況です。

 もちろん、先ほど局長がおっしゃっていただいたとおり、地域の実情に合わせて策定されているというのも理解しております。しかし、いずれにしても、地域住民に慕われる河川というものを目指していただきたいと思っております。

 そこで、大臣にお伺いさせていただきます。

 この一級河川の整備、環境の保全も図りながら、住民が利用しやすい河川、親しみの持てる河川を整備していただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 よく理解します。

 それで、私たち政治家は、野球のグラウンドも河川敷ということで多く使っていたり、サッカーとかいろいろなことがありまして、場所をとってくれというような要望もいっぱいあるわけですね。それで、地元でありますと、花火大会とか、そういうことで、水辺空間を生かしてというような営みが盛んに出てきたりということもあるんですね。

 そこのところは、地元とよく、それぞれの河川には事務所が国交省としては設置されていて、荒川では荒川上流と荒川下流ということがあります。そういうことを全体的に、今度は国交省としては、河川をその場所その場所と区切って見るのではなくて、何といっても治水ということと利水。特に治水というのは、何が何でも国交省がきちっと守っていかなくちゃいけない任務ともいうべきものを担っている。

 だから、こうした大変豪雨が多いというようなことの中から、それをコントロールするためには、日本の河川工学の伝統は、川をコントロールするとか制御するというんじゃなくて、川をなだめるという思想性のもとで来ていて、自然とかそういうものとの共生という概念が実は国交省の中の伝統であり、河川局の伝統であり、河川法は、そういう川をなだめるという観点から成っています。

 川幅を広げるか、堤防を上げるか、そして遊水地をつくるか、そしてまたダムを適正に配置して治水をするか、あるいは新しい放水路をつくるのか、さまざまなものを組み合わせて、その中の一環にダムというものがあって、水系全体を我々としてはコントロールするということについては、これは変わりがないわけで、地元といっても、その地元の場所が欲しいというだけの観点ではありませんが、しかし、そうしたことの、先ほど水管理・国土保全局長が言いました、水辺の利用、スポーツ、レジャー、イベント、環境教育、舟運、地域の歴史、文化、それを総合的に常に考えながら、地元の人たちと水辺で共生するということについては配慮を一層していかなくてはいけないときに来ている、私はそのように認識をしています。

伊佐分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 ちょっと、もう時間がなくなってまいりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 最後に取り上げたかったのは、トラック業界の課題について御質問させていただきたいと思います。

 現在、トラックの輸送というのは、まさしく日本経済の再生に向けて非常に重要な役割を果たす。ところが、今、非常に厳しい状況に置かれておりまして、トラック業界の事業者の九九%が中小企業なんです。ずっと赤字が続いている。その状況の中で、一つは原油価格の高どまりであったりとか、あるいは円安であったりとか、一番この弱り目にたたり目でありますのが、高速道路料金の先行きです。

 高速道路料金についても、本来であれば平成二十九年度まで適用されていた割引料金だったんですが、これは民主党政権のもとでの大盤振る舞いで、結局前倒しして全部財源を使っちゃいまして、今年度でその割引料金が終わってしまうというような状況になっております。

 こうした高速道路料金についても何らかの配慮をお願いしたいという点と、また、もう一つは、特に小規模事業者のトラックの企業の方々です。この方々は、荷主から下請に行って、二次請に行って、三次請に行ってと落ちていくに従って、どんどんどんどん抜かれていっているわけです、賃金が下がっていくわけです。

 このいわゆる多層構造の弊害というものが長らく指摘されてきたわけですが、こうした弊害解消のために大事なことは何かといいますと、一番末端の実運送と言われている方々、この方々がきちんとした料金をもらえるように、実態に合った料金をもらえるように、適正な料金をもらえるようにすることが大事です。

 そこで、最初のステップとしては、契約を口約束にするんじゃなくて、きちんと書面に残すということだと思います。書面を義務化して、高速道路料金をしっかりその中に明示するとか、燃料サーチャージを明記するとかということだと思います。こうした義務化も含めまして、今後の小規模なトラック事業者の方々に対しての環境改善に向けた御決意を最後にお伺いしたいと思います。

鶴保副大臣 前半部分、高速道路料金の割引のことにつきましては、今後の料金制度のあり方等につきまして、現在、国土幹線道路部会で、全日本トラック協会などの関連団体からのヒアリングも行いながら、幅広く検討を進めさせていただいております。

 また、後半部分、多層構造に向けての御懸念でございますけれども、確かにこういった懸念が多いことも承知をしておりますので、トラック事業者、有識者、荷主団体等から構成される検討会を設置いたしまして、御指摘の、多層構造の弊害の解消等に向けた具体的措置を速やかに実施すべく議論を行っております。

 具体的には、この議論を踏まえつつ、適正取引の観点から、年度内施行を目指しまして、運送契約に係る書面化の義務づけを図ろうということを目指しております。また、それを実効的に担保するためにもガイドラインをつくりまして、企業者及び各事業者に対して、その双方の協力要請を図りたいと考えております。

 以上です。

伊佐分科員 終わります。ありがとうございました。

石田主査 これにて伊佐進一君の質疑は終了いたしました。

 次に、橋本岳君。

橋本(岳)分科員 おはようございます。

 自由民主党の橋本岳でございます。

 昨年十二月の衆議院の選挙で二期目の当選を果たさせていただきまして、こうして国会に戻ってくることができました。前回は、一期目の当選のときは比例代表だったんですけれども、今回は岡山県第四選挙区という小選挙区の当選ということで、地元を代表する立場ということにならせていただきまして、御支援いただいた皆様に感謝を申し上げたいと思うとともに、そうした思いを持って国会でも頑張っていきたいなと、気持ちを新たにしているところでございます。

 きょうこうしてお時間をいただきましたのは、私の地元、岡山四区というのは、岡山県の倉敷市と、あと早島町というところがあります。主に、その中の倉敷市の持っている課題について、きょうは太田大臣、また赤澤政務官もおいでいただけますか、ぜひ聞いていてください。ぜひ、しっかりお伝えをいたしまして、いろいろな課題が前に進んでいくようにお願いをしたく、御要望させていただきたく三十分のお時間をいただいたところでございまして、しっかりお聞き届けをいただけますようにお願いを申し上げます。

 国土交通省関係で、私どもの地元、倉敷市からお願いをしている要望というのはいろいろございます。

 例えば、一つは、倉敷川及び児島湖の水位を低下させるようにという対策を申し上げている、また地元の方からも陳情が行こうと思いますけれども。

 岡山県の県南に児島湖というのがございます。ここが締め切り堤防で湖になっているんですけれども、集中豪雨が降ると全部水がそこにたまりまして、潮位の関係で排水できないとこれが逆流してまいりまして、一昨年の九月の台風で浸水被害が結構広範囲で出ております。そうしたものの対策でありますとか、県南に水島港という、この後で触れますけれども、その港の整備の促進、特に臨港道路でありますとか、航路の増深のお願い、これも実際取り組んでいただいておりますけれども、さらにというようなこと。

 それから、先ほど国道一号線の話が出ておりますが、こちらは国道二号線でございます。こちらの整備、拡幅。ここも、いつも渋滞しているんですわというような話。

 あるいは一級河川の高梁川、あるいは小田川という川がございまして、こちらの方についても堤防など、あるいは流路の改修などを御要望申し上げている。

 あるいは瀬戸内海の沿岸での高潮の対策、これも既にいろいろ取り組んでいただいておりまして、そのことには御礼を申し上げたいと思っておりますが、さらにいろいろな要望ということで上がってこようと思っております。

 言い出せば切りがございませんので、きょうは二点に絞ってお願いをさせていただきたく、またいずれ、今申し上げたようなことについても御要望に伺うと思いますので、その節はよろしくお願いいたします。

 さて、まず、きょう取り上げる一点目でございますけれども、JR山陽本線などの倉敷駅付近の連続立体交差事業について取り上げさせていただきたいと思っております。これをぜひ早期に着工し、完成をさせていただきたい、こういう立場で質問をいたします。

 御案内のこととは思いますけれども、この事業は、九カ所も踏切を除く、あるいは二十四路線の道路との立体交差を一挙に行うという、恐らく、連立の事業の中では大変大規模な事業の方だと思います。そうしたことによりまして、今は逆に、倉敷駅前の中心市街地が山陽本線及び伯備線で全くぶった切られた状態になっておりまして、そうしたことの一体化を図りたい。

 今、一体化と申しましたけれども、駅の北側には最近大規模なショッピング施設ができましたし、あるいは駅の南の方には大原美術館を初め、倉敷の観光資産であるところの美観地区がございまして、やはりそこのところを一体的に動いていただいて、あちこち楽しんでいただけるようにして、倉敷の四十八万都市としての顔をさらに磨き上げていきたい。

 そのためには、四十八万都市の顔の上にこんな感じで、ブラック・ジャックじゃありませんが、割れ目が入っているようなものでございまして、ぜひこれを取り除いていただきたいというのが地元の大きな悲願でもあるわけでございます。踏切の慢性的な渋滞ですとか、そうしたこともあるわけでございますので、ぜひお願いを申し上げたいと思っているわけでございます。

 まず一つ御質問いたします。

 連続立体交差事業というスキームを国土交通省として所管されておられるわけでございまして、倉敷に限らずあちらこちらで、既にいっぱい実施をされておりますし、まだ計画中のところもあろうと思いますが、まず一般論として、この事業についてどのように考えておられるか、大臣から教えていただきたいと思います。

太田国務大臣 この連続立体交差事業、極めて大事だという認識をしています。

 東京等では、とにかく踏切があかない、一時間のうちに三分ぐらいしかあかないというようなこと、また、幾つも線が通っていたりすると、あいたらなだれ込むように行ったりする、中には深刻な事故が起きるということであります。事故でも起きないと本当に動いてくれないという声が出るほど、そしてまた、真ん中をぶった切られていますから、一体化した都市開発というものがなかなかできない。

 倉敷の美しい町並みと美術館等も、行ったこともありますからよくわかっているんですが、そうしたさまざまな観点から、立体交差事業というものは極めて重要だというふうに思っておりまして、主体が一体、どこが担っていくのかというようなことや、東京の場合では区の施行なんということにしたところもあるわけでありますけれども、どこがどう負担をしていくかというような具体的問題というものをどういうふうに詰めていくか。合意を形成する作業を少しでも早くということに我々としては協力をしたいというふうに思っております。

橋本(岳)分科員 ありがとうございます。極めて大事という大変力強いお言葉をいただきまして、勇気百倍と思っているところでございます。

 それでは、この倉敷の事業につきまして、残念ながら、今のところ計画でとまっていて、なかなか具体的な着工というのに進んでおりません。私としてはぜひ進めてほしいというふうに思っているわけでございますけれども、この事業についてどのように考えておられるか、政府参考人からお伺いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のJR山陽本線等連続立体交差事業、これは倉敷駅付近の事業でございますが、七・一キロの区間を高架化しまして、九カ所の踏切を除却する。それによりまして、都市内交通を円滑化するとともに、分断された市街地を一体化するということで、市街地が一体化いたしますと、地域の人の流れ、物の流れが変わってまいりますので、地域の活性化にも大変大きな効果があるというふうに私ども認識をいたしております。

 この事業は岡山県が事業主体になるということを予定しておりまして、倉敷市や鉄道事業者と調整しながら事業の推進を図っていただきたいというふうに私ども考えておりまして、効果の高い事業でございますので、事業のやり方、それから例えばコストの縮減の仕方など、技術的な面も含めて私ども支援をしてまいりたい、このように考えております。

橋本(岳)分科員 重ねてお尋ねをいたしますけれども、今、少し次の問いの答えに踏むところもあったとも思いますが、改めて、やはり何で進まないのかというところと、国土交通省として、それに対してどう取り組みたいと思っていらっしゃるのか、今後の見通しを教えてください。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 この事業、先ほども申し上げましたように、七・一キロということもあって、総事業費が六百億円にも上るということから、地元でも、地域のまちづくりというものと一体となって、整合性をとって推進していく必要があるというふうにお考えだと私どもも伺っております。

 そのために、岡山県が全体のまちづくりというのをこの事業を機会にどう進めていくのかということについて、倉敷市と鉄道事業者も含めて調整を進めておられまして、その調整がなかなか進んでおらないというようなこともあって、なかなか事業化に至っておらない状況だというふうに認識をいたしております。

 私ども、地元の意向というのがちゃんとまとまるように御助言等をするとともに、最初に申し上げました、事業費が非常に大きいということについては、例えば技術面でいろいろ御助言をしまして、コストを縮減していくといったことについても応援をしていきたいと思っております。

 いずれにしましても、まちづくりの面で非常に大きな事業でございますので、早く進みますように多面的に支援をしてまいりたいと考えております。

橋本(岳)分科員 二点、今課題として言われたと思います。県、市それからJRなど関係者の調整ということと、コストが大きいということで、当然ながら、その主体それぞれが負担をしていただく、やはりそれなりに重たいということは現実問題としてあろうと思うわけであります。

 その主体の一つである岡山県というか、事業主体者である岡山県が費用対効果の算定をしております。前回、平成十九年に試算をしたときは、費用対効果一・六八ということで、大変便益の方が大きい、ぜひやるべきだと受け取れる試算をしました。ところが、昨年試算をやり直して更改したところ、〇・八五ということになりまして、事業費の方が上回っているね、コストの方がかかっているね、こういう結果になってしまっておりますが、この理由は何ででしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 事業者であります岡山県が、この事業の費用対効果の算定を行って、先ごろ発表されたというふうに伺っておりますが、これは、平成二十年に改定をいたしました国の費用便益分析マニュアルの中で、便益を算定する際に使用いたしております時間価値の原単位、これは連続立体だけというわけではございません、道路事業全体のものではございますが、それを実態に即して引き下げたということが一つの要因でございます。

 加えまして、県の行っております将来交通量の推計値が大幅に減ったこと、こういったことによって費用対効果の算定の結果が大きく変わったというふうに聞いております。

橋本(岳)分科員 今、二つの点を挙げられました。マニュアルの算定基準が引き下げられた、それから県の将来交通予測が大分変わったというようなことでございましたが、費用便益分析マニュアルというのは国土交通省で定められているものだと承知をしております。既にそれは、前に改定されたのは平成二十年のことでございまして、五年たっているわけですね。

 そのときに、経済状況だとかそういうことというのも変わっている、あるいはアベノミクスだということで、これから安倍政権が力を尽くして日本経済を取り戻すんだということで頑張っている中で、今後、その状況というのも変わってくるであろうということもございます。

 また、倉敷としても、それこそショッピングセンターができたのがつい先ごろのことでございまして、そうしたことまで含んでいるのかどうかとか、そうしたことも思いとしてはあるわけでございます。

 また、算定基準の単価だけではなくて、算定される項目として入っているのが、移動時間の短縮便益、これは自動車、歩行者・自転車それぞれ。それから走行経費減少便益、交通事故減少便益、そういう三項目になっておりまして、もちろん数字で算定できるのがその三つなのだろうというふうにも思うわけですけれども、先ほど私が申し上げました、そして大臣にもお触れをいただきましたように、大きな事業でございますから、単に道路が通りやすくなりましたねというだけではなくて、そこから生み出すいろいろな相乗効果がこの事業についてはもっと期待できるであろう。

 要するに、単に何カ所かの踏切のあかないものを通れるようにしました。もちろんそれも、例えば東京の都心部などでは物すごく深刻な問題だということは理解をするわけですが、倉敷の場合、そこまで踏切は閉まるわけではありませんけれども、ただ、その踏切を通らなきゃいけない、そこに車がつかえて渋滞をするのだ、そしてそれが面的に広がっているのだ。

 だとすると、例えばそこに観光客の人が来にくいよねとか、せっかく駅北のショッピングまで来たけれども、できれば美観地区まで足を運んでほしいよねとか。その逆もありますね、美観地区に来た方が、ついでに駅北にも寄って買い物をしていってくれればいいのになとか。そうしたことの、観光客がもしかしたら、もっと便利になったらふえるかもしれないよねとか、そのことで地元の商業だとか雇用だとかに対してもいい影響が出るかもしれないよねとか、極めて大きな事業ゆえに、面的に、またいろいろな幅広い便益の広がりというのがあり得るんだと思っております。

 ですが、そうした面についてまでこのマニュアルでは広げられていない。先ほど言った三項目の便益のみの計算というふうに承っております。もし僕の思い違いだったら、済みません、訂正していただきたいと思います。

 ですから、そうした面も含めて、今マニュアルについて取り上げておりますが、これは倉敷だけの話ではなくて、国土交通省さんがお決めになったことですから、そうすると全国で、いろいろな事業をやりたい、まちづくりをやりたい、いい町をつくりたいと思っておられる方々にとって同じ問題がかかわってきているわけでございまして、再度試算をしてみたら、えっ、こんなに便益が少なくなっちゃったの、それで事業が前に進まなくなるというようなことが、倉敷のみならず全国の自治体からも言われているというふうにも承知をしております。

 だから、今申し上げたような点も含めて、マニュアルの改定というのをぜひお願いできないかと思っておりますが、そのことについての御見解をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 長い道路自体の渋滞等と、それからこういう場所の渋滞ということ、また状況が違うし、それから、その箇所の、道路ができたおかげで産業が立地してきたというようなことが計算に、三便益の中には入っていないんですね。分断された都市との一体化というようなことの効果というようなもの、まちづくりとの一体化というようなものがこの三便益という形では入っていない。ここは、このマニュアルというものの充実を、現実に合ったものにしていかなくてはいけないなというふうに私は思っているところなんです。

 現状は、今までそういうようなことを主軸にして、一・幾つだったのが急に落ちたとかいうのはどういうことかなと、私自身がきょうお話を聞いて思うんです。マニュアルの具体的な適用とこれからの充実ということについてはちょっと事務当局からお答えいただきたいと思いますが、私はそんな気持ちを持っております。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今大臣の方から、マニュアルを充実するという方向の御指示をいただきましたので、私ども、そのように取り組んでまいりたいと思っております。

 この便益マニュアル、事業主体が事業をやる際に参考資料としてつくってもらうということでお使いをいただいているものでございますが、その中にも、実は今先生がお話しになった三便益以外にも、事業の内容によって、あるいは地域の状況に応じて項目や手法を追加してくださいという記述がございます。ですから、典型的な三便益以外にも、恐らくもっと加えることが本来あったのではないかと思っておりますが、その点について、まず事業主体の方にちゃんと徹底をする、これがまず第一です。

 その上で、大臣からもお話がございましたように、幅広い効果を持った事業でございますから、その事業の趣旨に沿った評価手法でありますとか評価項目といったものについて検討しまして、マニュアルの充実というものを図ってまいりたいと考えております。

橋本(岳)分科員 今大臣からも、そして政府参考人からも大変前向きなお答えをいただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 そしてなお言えば、政府参考人から、事業費の削減についてもアドバイスをしていきたい、助言もしていきたいということもございました。

 やはり岡山県も決して余裕があるわけではないという事情も、それはそれであるわけでございますから、費用のできるだけかからない、そしてきちんと効果の上がる事業というものを目指していきたい、いかなければならないと思いますし、国土交通省としても、そうした面も含めてバックアップを全面的にお願いしたい、このように申し上げさせていただきます。

 さて、では、もう一つのテーマに移らせていただきます。

 次は、備讃瀬戸航路のこませ網漁による航路閉塞問題というのを取り上げさせていただきたいと思います。

 水島港の整備というものについて、冒頭少し触れさせていただきました。倉敷の南の方に水島というコンビナート地域がございまして、そこには、製鉄、自動車、石油精製、石油化学、食品、造船などなど、大きな工場の集積がございます。いわゆるコンビナートです。

 そのコンビナートの海の玄関口になりますのが水島港でありまして、その重要性によりまして、国土交通省からは、平成二十三年には国際バルク戦略港湾の選定もいただいておりますし、また、冒頭申し上げたように、航路のしゅんせつでありますとか、臨港道路でありますとか、そうしたことについてのサポートもいただいております。なお一層、これからアベノミクスだというところで、やっと円安に振れてきて、そうした輸出の企業も元気になりつつあるところでございまして、元気になったら、今度は港が使えぬということになるとボトルネックになってしまいますので、あわせてサポートをさらにお願いしたいと思っているんです。

 なお、港の整備をしていただきました、港を整備すると大きな船が入れるようになるし、そうすると輸送コストも下がっていいよねということでありますが、今度は、港に来る前の航路の問題でございます。

 やはり巨大船、タンカーなどがスムーズに往来できることが望ましいわけでありますが、備讃瀬戸の航路において、漁業者の方も当然、漁をされるわけでございまして、こませ網漁というのが代表的にされるようでありますけれども、その網をばっと張っておくわけですね。そうすると、航路がそれによって塞がっている、船が安全に通れる幅がないので、その場合は、今は泊まって待たないといけない。かつ、水島港、それから備讃瀬戸航路の狭さとか潮流の関係とかいろいろなことがございまして、大きな船というのは一日に一回、一時間しか動けるタイミングがございません。

 そのときに網が張ってあって行けないねということになると、またあしたの満潮の時間を待たなきゃいけないということで、場合によっては、もう五日間ぐらい、きょうも行けないな、あしたも行けないなといって、小豆島の沖の辺でタンカーが待っていて、やっと行けるようになったといって水島港に入ってくる、こういうような事態というのも起こっています。

 ことしは大変多いようでございまして、二月、三月だけでコンビナート企業各社が負担した滞船料、船が待っている間にかかった費用が二・二億円というふうに伺っておりますし、さらに、では小さい船に移しかえて運ぼうとか、あるいは船を待っている間は工場の方もちょっと操業を調整しますので、そのためにかかった費用だとか、そういうものもあるわけでございます。そういう問題もこの水島港は持っているんだということは十分御認識をいただきたいと思うわけでございます。

 その上で、これは海上保安庁さんの問題になろうかと思いますので、この問題に対してこれまでどのように対策をしてこられたのか、教えてください。

北村政府参考人 お答えさせていただきます。

 備讃瀬戸の海域、今先生おっしゃいましたように、こませ網の漁業の好漁場であります。イカナゴだとかイカだとかがよくとれまして、こませ網というのはすごく広げて、航路を塞ぐような漁法でございます。

 一方、そういう好漁場であるとともに、今先生おっしゃいましたコンビナートに行く船、さらに言えば瀬戸内海を行き来する航路でもありまして、日本有数の海上交通の要衝でもございます。

 そういう意味では、昔から、こませ網の漁と航行する船舶が競合するのを、どうやって共存共栄を図っていくのかというのが長年の課題でございまして、いろいろこれまでも努力はしてきておるわけでございます。ただ、先生おっしゃいましたように、昨今、こませ網の漁によって航路を閉塞しまして、結果的に待機する、航路付近でなかなか中に入れないような船が増加するような問題が顕在化してきているということはよく承知しております。

 我々海上保安庁としましては、これまでも、漁業と海運関係者による定期的な会合の場を設けて、そして両方の調整を図るとともに、特に備讃瀬戸の海上交通センターからこませ網の漁船の操業状況というのを示す図面を、変わる日ごと、定期的に提示して海運の方に便宜を供するとか、それから、巡視船艇も現場に出まして、できるだけ両方が共存するような現場の指導とか協力要請を行うなど、対策を講じているところでございます。

 我々としましては、両方とも大切なものですから、漁業者、海運事業者など当事者間の調整役として、何とか今の航路の閉塞問題に改善が図られるように、さらに一層の努力を重ねていきたい、こう思っているところでございます。

橋本(岳)分科員 両方が両立しなきゃいけないというのは本当にそのとおりでございまして、やはりそれは漁業者の方の生活というのも、きちんと我々としてもそこは考えなきゃいけない。と同時に、企業の方々も、そこがクリアされないと、こんな不便なところからもう外に行っちゃうよという話になっても困るわけでございます。

 これに関連して、海上交通安全法というものがございまして、これが成立をしたとき、昭和四十七年になりますけれども、衆議院と参議院でそれぞれ附帯決議がついておりまして、その中で、例えば衆議院の方での附帯決議の二項目めを読み上げますと、「将来法指定航路におけるふくそうの増大化によりいかにしても船舶の航行安全と漁業操業とが実態的に両立しがたい場合においては、国の責任において漁業者に対する補償の制度を確立すること。」このようになっております。

 今、その両立のために、企業の方々が大変な負担をコストとして持っていただいているという現状があるわけでございますが、ある意味で、この附帯決議で指摘しているような状況にもなるのではないかというふうにも思うわけでございまして、国の責任において漁業者に対して補償する制度を、どうしたって今はないわけでございますから、ただ、それについて、もうこの附帯決議で指摘しているような状況になっているのではないかと思うわけでございまして、その制度についてぜひ御検討をいただけないでしょうか。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、附帯決議にございます補償制度につきましては、確かに、航路におけるふくそうが増大化して、いかにしても船舶の航行安全と漁業の操業とが実態的に両立しがたい状況となった場合において、関係省庁とも協議して検討していくべき課題と考えております。

 我々としましては、いずれにしましても、この競合問題、まずやはり、いま一度双方の努力によって共存共栄が図られるような改善を図るべきことが基本でございますので、海上保安庁としては、引き続き、両方の事情をもっとさらに十分に踏まえて、できる限りの協力、努力を重ねて、一層の改善に努めてまいりたいと考えております。

橋本(岳)分科員 もちろん、協力によって共存共栄ができるのが最も美しいシナリオだと思います。しかし、先ほど申し上げましたような金額が実際にかかっていて、それに協力をしている方の立場というのもあろうかと思いますし、それをこのまま協力していてくださいねというのも私はどうなのかなというふうにも思うわけでございますので、ぜひ、そうしたことも含めて御検討いただきたいと思っております。

 もしよろしければ、最後に一言、今の問題について感想などをいただければありがたいと思います。

太田国務大臣 なかなか、両方が合意するという結論が現場だけではできないかとも思いますので、今どうしようかということについては、私自身、具体的な案がありませんけれども、問題は受けとめさせていただきたいと思います。

橋本(岳)分科員 ありがとうございます。

 しっかりと受けとめていただきまして、いい方策を、例えば、航路の迂回なんというのも平成二十年度まではできていたということもございます。そんな方法もございますし、いろいろ御検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。以上で終わります。

石田主査 これにて橋本岳君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木望君。

鈴木(望)分科員 日本維新の会の鈴木望と申します。

 私は、遠州灘の津波対策について質問をさせていただきたいと思います。

 天竜川右岸、これは天竜川の西側、浜松地域でありますけれども、この右岸で、この四月から民間の御寄附を受けて防潮堤が建設されようとしているわけでございます。

 申すまでもございませんけれども、静岡県民にとって最大の懸案事、心配事は東海地震でございます。今後三十年間に八九%、これは昨年の確率でございますけれども、今はどうなっているのか。いずれにしても、九〇%前後の確率で今後三十年間に巨大地震の東海地震が起こる、これは政府の公式見解でございます。

 そういう意味合いでは、少しでも被害のリスクを減らさなければならない、当然でございますけれども。私は、そういう観点から、震源域の真上にある浜岡原発はリスクが大き過ぎる、安全に一〇〇%ということはありませんので、浜岡原発はやめる、やめてほしいということを主張しているわけでございますけれども、その話はきょうのテーマではございませんので、横に置いておきます。

 東海地震につきましては、今から三十年以上前からその発生が予測をされておりまして、学校等の建物の耐震化とか、避難訓練であるとか、そのほか、いろいろな対策がずっと地元の静岡県では続けられておりました。私も、そんなことで、地元の一首長としていろいろとやってまいったわけでありますが、振り返ってみますと、一方で、津波対策は余りやられていなかったんじゃないのかなというふうに思うわけでございます。

 ところが、三・一一の東日本大震災を受けまして、政府の公式予想でも、津波の高さなどが従来よりも大きく修正をされております。三・一一の東日本大震災を目の当たりにしますと、次は我々の番だと。やはり、三・一一の貴重な教訓を最大限生かして対処をしていかなきゃいけない、官民そろって対応をしていかなきゃいけないというふうに県民がひとしく考えていると言っても、これは過言ではないというふうに思うわけでございます。

 その観点からしますと、今回の防潮堤の建設は、私どもにとりまして非常に喜ばしいことでございます。安全が津波対策について一歩前に進むという意味で、非常にありがたいなと思うわけであります。しかも、民間の大手の住宅建設会社、これは新聞等でもいろいろと公表もされておりますし、大々的に報道もされておりますので、特定名を申し上げても全く問題ないと思いますが、大手の住宅建設会社の一条工務店さんの三百億の御寄附、それをもとに建設が進められているということは大変ありがたいことでございます。官民協力してみんなで対処をしていくという一つの大きな方向性に合致したものであるというふうに思います。

 るる申し上げましたけれども、防潮堤の建設は進めていくべきだとの観点から、繰り返して申し上げますが、防潮堤の建設は進めていくべきであるという観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、天竜川右岸、これは右岸というと西側、浜松側でございますけれども、西側で建設をされる防潮堤の概要について、また、どのレベルの津波に対応するものとしてこれは建設をされるのか等について、質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

足立政府参考人 防潮堤についてお答えをさせていただきます。

 まず、防潮堤の整備の基本的な考え方について御説明を申し上げます。

 防潮堤の高さにつきましては、中央防災会議の専門調査会の報告に基づきまして、比較的発生頻度の高い津波、いわゆるL1津波を対象といたしまして、防潮堤などの施設により対応する考えで整備を行うことといたしております。

 次に、比較的発生頻度の高い津波を上回る最大クラスの津波に対しましては、災害には上限がない、何としても人命を守るという考え方で、地域ごとの特性を踏まえまして、ハードとソフトの施策を柔軟に組み合わせる多重防御により対応することといたしております。

 このような考え方につきましては、委員御質問の遠州灘沿岸の海岸管理者であります静岡県も同様の考え方だというふうに承っております。

 天竜川右岸側の浜松市の遠州灘におきましては、浜松市内の民間企業から先ほどお話がございました寄附金を受けまして、L1堤防の整備に加えまして、海岸保全区域の背後でL1よりも高い防潮堤の整備を行うこととしていると聞いております。

 なお、防潮堤の高さにつきましては、今後、地元や学識経験者、寄附者の意向を聴取するとともに、今後行う試験施工の状況や被害軽減効果の検証結果などを踏まえて最終的に決定されるというふうに聞いております。

 以上でございます。

鈴木(望)分科員 ありがとうございました。

 浜松の方で、地元に説明する資料の中にも明確に書いてあるわけでございますけれども、もうちょっと詳しく説明していただきたかったんですけれども、高さは十三メートルということですね。これは東日本大震災のレベルに対応するものとして建設をされている、今、レベル1、レベル2のお話がございましたけれども、レベル2に対応する防潮堤として建設をされているというふうに理解してもよろしいんでしょうか。お尋ねいたします。

足立政府参考人 御承知のとおり、先ほどお話を申しましたように、最終的な決定はこれからいろいろ検討を踏まえて行われるというふうに承っておりますけれども、基本的な考え方については、L1を超えるものでございますので、そういうお考え方で結構かと思います。

鈴木(望)分科員 L1じゃなくて、L1を超えるレベル2で防潮堤が建設をされる、東日本大震災のレベルに対応するものとして建設をされるというふうに理解をさせていただきます。

 また後でお尋ねをさせていただきたいと思うんですけれども、昨年、内閣府が公表した資料に基づきますと、一番高いところで十四メートルから十五メートルぐらいの津波が来る。防潮堤の高さは、地元に対する県の説明資料、もちろんこれは浜松市も一緒にということですけれども、十三メートルということですね。十三メートルの高さで防潮堤が建設をされているということについて、実際の高さは、津波の予想されるものが、内閣府の発表したもので十四メートルから十五メートルということでありますけれども、そこについて若干補足の説明をしていただければというふうに思います。よろしくお願いします。

足立政府参考人 津波の高さについての御質問でございました。

 平成二十四年八月に内閣府が公表しました、南海トラフの巨大地震による津波高、浸水域等の被害想定、これによりますと、天竜川の右岸側の浜松市南区、こちらの最大クラスの津波高は十六メートル、そして、左岸側の磐田市における最大クラスの津波高は十二メートルというふうに承知いたしております。

鈴木(望)分科員 ありがとうございました。もう少し御説明していただければありがたいなと思っていたわけですけれども。

 にもかかわらず、防潮堤の高さが十三メートルでいいというのは、三・一一の東日本大震災の一つの経験を踏まえると、浸水の深さ、浸水深が二メートルを超えるかどうか、浸水した深さが二メートルを超えない場合には、津波による被害が大幅に小さくなる。地元に発表された資料によりますと、防潮堤の高さを十三メートルにする根拠については、被害が急に大きくなる水深約二メートル以上の浸水域が、高さを十三メートルにすれば約九割減らせるとの分析結果があるというふうに言われている、だから十三メートルにしたと。私は、そういう意味では、合理的な根拠があるなというふうに思うわけであります。

 そういう意味では、今も確認をさせていただきましたが、浜松側につくる防潮堤は、東日本大震災のレベルに対応するものとして、レベル2の水準で建設をされているわけでございます。確認をさせていただきました。

 次に、天竜川左岸、これは天竜川の東側でありますけれども、この防潮堤の建設についてであります。

 天竜川を挟みまして東側にも人は当然住んでおります。歴史的に見ますと、東側の方に江戸時代は掛塚港というような港がございまして、むしろ西側より東側の方がにぎわっていた。人の命にもちろん差はございません。橋を通じて生活圏もほぼ同じという状況のところでございます。合併をするかどうかというときも、どちらに入るのか、浜松側に入るのか、磐田側に入るのか、地元の竜洋町というところはそんな議論が起きた地域でございまして、西も東も同じ生活圏、同じ文化圏で生活をしている。

 それが、天竜川の西側に住んでいる人と東側に住んでいる人に安全上の差があっていいはずがございません。右岸と同程度の防潮堤を左岸、東側にも当然建設すべきと考えますが、建設をするとしたらどの程度の工事金額となるのか。問題を単純化するために、天竜川の河口から御前崎の岬のところまで同程度のものを建設するとしたらという非常に大ざっぱな計算で結構ですので、お答えをいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

足立政府参考人 防潮堤の建設の工事費についての御質問に対してお答えをさせていただきます。

 浜松市の側の防潮堤につきましては、民間企業からの寄附金三百億円を使用しまして、浜名湖の入り口の東岸、そこから天竜川右岸までの約十七・五キロメートルの区間で防潮堤を整備すると、海岸管理者である静岡県から聞いております。

 浜松市の防潮堤の整備延長と事業費の関係から試算をさせていただきますと、天竜川の左岸から御前崎までの間の要整備区間約三十五キロ、これを整備した場合に必要となる事業費は約六百億円と、概略ではございますけれども計算されます。

 以上でございます。

鈴木(望)分科員 ありがとうございました。

 約六百億円、私どもの感じでも大体そんなものかなと。むしろ、東側の方が開けていませんので、もう少しお金は安くいくのかなというふうに思っておりますが、そんなことを踏まえて、命に差はないという観点からもありますけれども、国交省としては建設を御支援する気はあるのかどうか。静岡県が建設をするといったら、補助等の支援をする考えがおありでしょうか。ぜひ、そこら辺のところをお聞かせいただきたいと思います。

足立政府参考人 天竜川の東側について建設する予定はあるのか、そして、仮に県が施工する場合に、それに対して何らかの支援をするのかという御質問だったかと思います。

 まず、国土交通省、国としての立場でございますけれども、静岡県内では、富士海岸だとか駿河海岸、こちらの方で直轄の海岸事業を実施いたしております。委員御指摘の遠州灘の沿岸につきましては、これは静岡県管理の海岸であり、国土交通省として施工するという予定はございません。

 また、県が施工する場合に何らかの支援ができるかということでございますが、国土交通省といたしましては、全体の限られた予算の中で津波対策を進めるため、政府の津波対策に関する基本的な考え方を踏まえまして、いわゆるL1津波までの海岸堤防の整備に交付金等による財政支援を充てるという基本的な考え方でおります。

 なお、今回の天竜川右岸側におけるL1よりも高い防潮堤の整備は、先ほどから何度かお話がありますとおり、民間企業による寄附により整備が可能となったものというふうに認識をいたしております。

 以上でございます。

鈴木(望)分科員 はっきり言いまして、納得が全くできないということでございます。なぜ納得できないかについて順次質問させていただきたいと思います。

 天竜川左岸、東側に、右岸と同程度のものを建設できないということでございますけれども、それでは、予測される津波の高さに右岸と左岸で差があるんでしょうか。申しわけありませんけれども、天竜川を挟んで西と東に分けて、どういう御認識でいるのか、聞かせていただければと思います。東の方は、磐田、袋井、掛川、御前崎と市がずっと並んでおりますが、そこら辺について、西側と比較してお示しいただければと思います。

足立政府参考人 津波の高さについてお答えを申し上げます。

 先ほども少しお話をさせていただきましたが、平成二十四年八月に内閣府が公表しました「南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等及び被害想定について」によりますと、天竜川の右岸側の浜松市南区における最大クラスの津波高は十六メーター、それから、左岸側の磐田市におきます最大クラスの津波高は十二メートルというふうにされてございます。これは、主に海底地形等の要因で四メーターの差が生じたというふうに受けとめてございます。

 以上でございます。

鈴木(望)分科員 大体そんなもので、御前崎の方へ行きますともうちょっと津波の高さは大きくなるということで、基本の御認識は同じだと思うんですけれども、東海地震による津波の高さに右岸と左岸で差はない。これは当たり前の話で、同じような地域ですので、差はない。

 次に、質問して確認をさせてもらいたいんですけれども、右岸に防潮堤ができたことによって、かえって左岸、東側の津波の脅威が増すのじゃないのかなという懸念も出ております。常識的に考えると、一方が津波をせきとめる、そこで、押し寄せた水が、どちらの方といったら、すぐ隣の東側の方に海水が押し寄せて、被害は東側の方がもっと大きくなるというのが素朴な考えじゃないかなと思いますが、それについてはどういう御見解でしょうか。

足立政府参考人 天竜川右岸側の防潮堤の建設により、左岸側の方に影響があるのではないかという御指摘でございます。

 一般的には、遠州灘は直接太平洋に面しておりまして、湾のような構造ではないので、反射波だとかそういうような影響は考えにくいんですけれども、先ほども申しましたように、海底の地形だとかそういったものによりまして津波の高さというのは変化いたしてまいります。

 静岡県の方からは、右岸側に防潮堤を建設することによりまして左岸側にどんな影響があるのかということにつきましては、今後シミュレーションを実施して確認するというふうに承っております。

 以上でございます。

鈴木(望)分科員 こういった大きなこと、未知のことについては、専門的な見解より、素人の健全な常識の方がむしろ正しいんじゃないのかなという感じも一方でいたします。専門的な見解をもちろん否定するわけではありませんが、まだわからない、調べてみるということですが、ぜひ調べて、せっかくいいことをやったということで防潮堤を建設した、その波及効果でマイナスのものがほかに及ばないかどうかというのは、きちんと検証していただきたいなというふうに思います。

 私、そういう意味では、三百億円の差で、川を挟んでお隣同士の右岸、浜松側と左岸、磐田側で安全上の差ができていいんだろうかと。今御答弁がありましたように、同様な津波が襲うわけであります。また、地域は一体的に安全を確保すべきというふうに私は考えているわけですが、その一体的な安全性の確保ということで、県がやるということでしょうけれども、国交省としては、どういうふうにこの事業について考えているのか。一体性の確保という観点で、御当局の考えをお伺いいたします。

足立政府参考人 防潮堤の整備についての御質問にお答えをいたします。

 何度か申し上げておりますけれども、この遠州灘の区域につきましては、海岸管理者は静岡県で、静岡県が整備を実施されるというような基本的な役割分担となってございますけれども、静岡県からは、津波対策につきまして、基本的考え方を聞いております。津波を防ぐ施設に関する当面の対応として、レベル1の津波を防ぐ施設高の確保等を基本に、全県的に、早期の完了を目指して整備を進めてまいります、中長期的には、レベル2の津波に対して、ハード、ソフトの対策を組み合わせた多重防御によるまちづくりを基本とした対応を図りますというふうに聞いております。

 また、御指摘のレベル1を超える津波に対する施設整備につきましても静岡県の見解を承ってございますけれども、地理的条件や地域特性を考慮し、地域の実情を踏まえ、既存の防災林や砂丘のかさ上げ、補強等による静岡モデル、背後の防災林や砂丘のかさ上げ、補強等を行って安全度を高めるのを静岡モデルというふうに呼んでいらっしゃいますけれども、これについても検討し、津波に対する安全度の一層の向上を図ってまいります、そういう基本的な考え方だというふうに承ってございます。

鈴木(望)分科員 全く納得できないわけでありまして、先ほどからるる質問をして、御答弁をいただいているように、差はないわけですよね。差はないのに、たまたま三百億円のお金があった、そこへつくる地域とつくらない地域によって安全上で大きな差が出るというのはいかがなものかということを質問させてもらっているわけであります。

 ちょっと観点を変えまして、実は、四月五日付の地元紙、具体的には静岡新聞と中日新聞でございますけれども、その報道によると、静岡県知事は、天竜川左岸、東側にも右岸、西側と同様な防潮堤をつくる旨の発言を、今の御答弁とは違って、しているわけであります。

 記事によりますと、知事は、これは東側の市ですけれども、磐田市内の会見で、沿岸部の防潮堤について、「浜松だけと思われがちだがとんでもない。県全体で一体的に取り組んでいく」と。あとはいろいろ書いてありまして、「安心してほしい」と。地元の磐田市の市民の方にそういうふうに言っている。今読んだのは静岡新聞ですけれども、同様の趣旨のことが中日新聞にも書いてあります。

 こういう発言をする以上は、当然、国に対して事前に連絡や相談、アドバイスを求めていると思いますが、この点についてはどうでしょうか。私は、非常に重要な発言だなと思っております。

足立政府参考人 防潮堤の整備についての御質問でございます。

 御指摘の新聞については、私も見させていただいております。

 先ほどの答弁の中で、レベル1を超える津波に対する施設整備、これに対する静岡県のお考えを申し上げましたけれども、もう一度申し上げますが、地理的条件や地域特性を考慮し、地域の実情を踏まえ、既存の防災林や砂丘のかさ上げ、補強等による静岡モデル、これが既存のL1レベルよりもさらに付加的な要素を指しているというふうに思われますけれども、これについても検討して、津波に対する安全度の一層の向上を図ってまいりますという基本的な考え方だというふうに承っておりまして、そういう考え方に基づいて知事さんが御発言されたのではないかなというふうに私どもでは認識させていただいております。

 以上でございます。

鈴木(望)分科員 地元の方々は、三・一一のあの津波の状況を見まして、大変に、また真剣に今、心配をしているわけでございます。静岡県知事の単なるリップサービスであるとしたら、また、具体的な防潮堤の建設案もなくて安心してくださいというようなことを言っているとしたら、これは見過ごすわけにはいかないんじゃないのかなというふうに、私自身、思います。

 天竜川の浜松側では、東日本大震災の津波に対応できるような、御答弁があったような防潮堤が築かれて、河口を挟んで東側は多重的に対応する、つまり、津波が来たらいち早く逃げるようにするだとか避難タワーをつくるとか、そういったものを組み合わせて対応しろということだろうというふうに思いますけれども、実際、私も九十六歳の母親を抱えておりますけれども、避難タワーまで連れて逃げられるのかな。これは地元の人間は真剣に考えているわけですね、単に言葉で言うだけじゃなくて。

 もう一つ質問をさせてもらいたいんです。一体で取り組むというふうに県知事は言われているんですが、この一体とは具体的に何なんですか。もし御答弁ができるんだったら答弁していただきたいと思います。

足立政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、県では、L1レベルの津波に対しては施設で対応し、L2については、今お話がございましたように、ハード、ソフト対策を組み合わせた多重防御によるまちづくりを基本とした対応を図りますというふうにおっしゃっておられますが、さらに、それに加えて、L1レベルを超える津波に対する施設整備について、先ほど申しました、L1の施設の背後の既存の防災林や砂丘のかさ上げだとか補強等による静岡モデルについて検討されるということでございまして、それを全県的に検討されておられるというふうに承知をいたしております。

鈴木(望)分科員 繰り返し言っておりますのでもう言いませんけれども、浜松側ではL2レベルで対応する防潮堤が築かれようとしているわけですね、民間の御寄附によってということもございますけれども。一方の東側は、L1レベルで、多重的防御で、地震が来たらいち早く逃げろとか、避難タワーをつくってそこに登れとかというレベル。これはちょっと、それをどういうふうにするのかということについて具体的な考えもなく安心してくださいという知事の発言は、私は問題だというふうに思いますが、ここは県会でも何でもありませんので、この席ではこのぐらいの指摘にしたいと思います。

 天竜川右岸、西側と同じレベルの防潮堤を、左岸、東側にも国の支援でつくっていただきたいというのは、これは地元の切実な願いでございます。

 どうしてかといいますと、きょう繰り返し御質問させていただきましたが、天竜川の両岸、お隣同士に、津波の大きさは差はない、命の重さにも差はない。また、今回、三百億で西側に防潮堤が、L2レベルのものに対応したものができるわけですけれども、私は、東側に同程度のものをつくるということは、その御寄附をいただいた民間の寄附者の御好意にもかなうんじゃないのかな、また、国の国土強靱化の政策の方向とも合致するということで、最後に、大臣のそこら辺についての御所見をお伺いして、質問を終わりにさせていただきたいと思います。

太田国務大臣 先生の疑問そして指摘は、私は、多くの方がそのようにお思いになっていらっしゃると思います。

 私が豊橋なものですから、そうした地域、磐田、掛川、土地カンもありますし、学校で耐震工学を専攻したものですから、地震ということについても、津波等についてはよく承知をして、地形によってもかなり違ったり、東海地震がどういう形で起きるのかというシミュレーションもいろいろあると思います。

 東日本大震災では、二時四十六分、マグニチュード九・〇ということだけでなくて、それ自体が非常に滑って、そこ自体から波がどう起きるかということと同時に、三時八分に青森沖で起きまして、そして三時十五分に茨城沖でマグニチュード七を超えるものが起きまして、東京等ではこれが一番大きかったわけですが、そして三時二十五分に九・〇の沖合で起きてきているという、それぞれが起きまして、それが恐らく津波の波高ということにお互いに影響し合う。地域によって、津波が一体どのくらいの高さということを研究する必要があると思います。

 同時に、こちらに堤防が高いものができた、こちらには低いもの、その影響ということについては、これは本当に専門的に調査をする必要があると思います。

 いずれにしましても、科学的知見というものを明確にした上で、そして、川勝知事が磐田に行って、一体的に、差があってはならないということを発言したようでありますので、静岡県が対応するということがこれは基本的なことになっておりますものですから、静岡県のお考えも聞きながら、必要な支援を行っていきたいと思っております。

鈴木(望)分科員 ありがとうございました。

 防災対策が一歩でも二歩でも大臣の在任中に前進することを御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて鈴木望君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木分科員 民主党衆議院議員の玉木雄一郎です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。太田大臣を初め政務三役の皆さんにも、お忙しいところ、ありがとうございます。

 きょうは、本四架橋、瀬戸大橋のことについて幾つか御質問をさせていただきたいと思っております。

 実は先日、四月十日、昭和六十三年に瀬戸大橋がかかって、ちょうど二十五周年になりました。昭和三十年に紫雲丸の大変痛ましい沈没事故が起こって、そういったことを踏まえて、本州と四国を結ぶ橋をつくるというような中で橋がかかり、そして四半世紀が過ぎたわけであります。

 ただ、その間さまざまな、料金が高い、あるいは、非常に多額の建設コストをかけたことによって、その償還をどうしていくのか、いろいろな問題が出てきております。

 そういう中で、きょうは幾つか御質問をさせていただきたいと思うんですが、まず料金についてであります。

 これは、民主党政権下でも、この料金の問題をどうするのかというさまざまな議論が行われてきた経緯がございまして、寺島先生を委員長とする高速道路のあり方検討有識者委員会というもので議論が行われ、これは平成二十三年十二月九日に中間取りまとめということが行われて、それを受けて、平成二十四年二月に今後の本四高速料金の基本方針ということが公表されまして、この中にこういうふうに書いています。全国共通料金を「平成二十六年度より導入することを目指す。」また、「具体的な実施方針については、平成二十四年度末を目途にとりまとめるよう検討を進める。」となっております。

 もう平成二十五年度に入りましたけれども、この本四高速道路の料金の見直し、とりわけ全国共通化に向けた検討の現状について教えていただければと思います。

鶴保副大臣 御指摘のとおり、平成二十四年度末をめどに本四高速料金の全国共通化に向けた具体的な実施方針を取りまとめるということになっておりますが、現在のところ、やや延長戦に入っておりまして、昨年十一月より七回ほど開催をさせていただきましたが、国土幹線道路部会で丁寧な議論を重ね、検討をまだ進めさせていただいておるところでございます。

 道路部会の審議状況を踏まえ、早急に取りまとめるよう、今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。

玉木分科員 今申し上げたように、一応、もともとは二十四年度末までに結論を得るということだったので、選挙もあって、ずれているということだと思うんですけれども、できるだけ早く結論を知りたいなというふうに思っているんです。

 というのは、どれぐらいの料金になるのかなというのが、四国島内の皆さんもそうですし、例えばJRの方とかフェリーの方とか、他の公共交通機関を運営されている方も、二十六年度からの料金体系がどうなるのかというのは経営を決めていく上でも非常に重要なので、早目にそれを知りたいというニーズはあるんだと思います。

 ただ、検討されているということなので、これ以上はなかなか、きょうは出てこないと思うんですが、仮に本当に他のNEXCO並みの全国共通料金になった場合、たしか私の理解だとキロ二十四・六円で今計算されていると思うんですが、こうなった場合に、本当に全国と完全に同じという料金体系になったときの瀬戸大橋の料金、陸上部と海峡部を含めた、全部通ったときの料金は一体幾らになるのかを教えていただきたいと思います。

赤澤大臣政務官 現在の瀬戸中央自動車道の割引を含まない普通車全線利用料金は、御案内のように四千百円ということで、今、鶴保副大臣からもお話がありましたように、国土幹線道路部会で検討中ということがございます。

 いろいろと期待が高まっているとか、いろいろな経営の判断のというようなお話がむしろあったればこそ、検討をちょっとお願いしているところなので、現時点において仮定のお話を申し上げることは、時期として適切ではないのではないかなというふうに考えております。せっかくお尋ねですので、答えたいのはやまやまなんですが、そういうことで御理解を賜りたいと思います。

 いずれにしても、NEXCOの料金水準を参考に、他区間と著しく大きな料金差とならないよう配慮しつつ、検討してまいりたいと思います。

玉木分科員 政務官、ぜひ、それは機械的計算なので、お答えいただきたいなと思うんです。

 では、陸上部、海峡部を合わせて、キロ数は何キロありますか。

赤澤大臣政務官 キロ数については、手元の資料で今足しましたけれども、三十八・三キロかと思います。

玉木分科員 そうすると、三十八・三キロに二十四・六を掛けると出てくるということでよろしいんでしょうか。

赤澤大臣政務官 済みません。私が今足し算を間違えたようで、三十七・三キロだそうであります。手元の資料の陸上部、海峡部、陸上部を足し上げて、三十七・三キロというのが正しいようでございます。

 それで、今お話の二十四・六円を機械的に掛ければ幾らになるかというのは、ただ掛け算をすれば、千百円ということかと思います。

玉木分科員 幾つかのパターンが考えられると思うんですね。これまでの検討の中でも、海峡部のところは建設コストが高かったということで、ほかよりも少し高くなるのは仕方ないけれども、余りにもほかと比べて高くなり過ぎるのはちょっと勘弁してくださいというような話だったと思うのです。

 例えば、NEXCOの中でも、伊勢湾岸道路というのは建設コストが非常に高かったわけですね。ですから、下げるにしても、伊勢湾岸道路並みにするというようなことも一つの方策だと思います。あれはキロ百八・一円だったと思いますけれども、そういうふうになった場合、どういうことになるのかというようなことについての具体的な数字を出すのは何ら問題ないのかなと私は思います。

 国民的な、いろいろな人の関心が高いですから、先ほど言ったようなJRとか、ほかの経営に影響を与えるところもあるので、そこは政務官、ちょっとお答えいただけませんか。

赤澤大臣政務官 伊勢湾道路を前提に御議論などが過去あったことも承知をしておりますが、私の承知するところでは、地元自治体が出資をずっと続けてくださるのかとか、その辺のことも含めて、いろいろな前提条件があって最終的に決まってくるものであって、その辺も含めて、先ほどお話のありました国土幹線道路部会で結論が出てくるということであります。

 今まさに我々は検討をお願いしているところでありますので、先ほどと同じような答えで恐縮ですけれども、現時点において、先ほどの仮定を置いて計算して二十四・六円を掛けて出せと言われれば千百円ということは申し上げましたけれども、仮定の話を申し上げることは、私どもは時期としては適切ではないというふうに思っております。

玉木分科員 答えてもらいたいですね、それは計算すれば出る話なので。

 そういうことがあるので、では、ここまで下がるんだったら出資はどうしましょうかとか、やはり十分な情報の中で、地方公共団体にしても、他の公共交通機関を運営されている方も判断をされていくということだと思います。

 ここで挙げるのは適当じゃないかもしれませんが、TPPも同じで、やはりいろいろな情報をできるだけ国民に開示した中で、国民的議論をしながらいろいろなことを進めていく。やはり負担と受益の調整の話なので、そういったことについては十分情報を出してやるのは何らおかしくないというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

赤澤大臣政務官 せっかくのお尋ねでありますが、先ほど御紹介のあった基本指針を拝見すれば、「全国共通の水準とすることを基本とする。」ということで、その上で、やはりもろもろの条件をきちっと踏まえて最終的に決定していくということで、やはり幹線道路部会の結論を待って、しっかりとしたものを御提示させていただきたいと思います。

 今の時点で予断を与えるような、出した数字がひとり歩きをするようなことは必ずしも適切ではないだろうと思っております。

玉木分科員 もうこれ以上水かけ論みたいなことはしたくないんですが、ただ、機械的に計算したのは、私は今これを計算して出せるんですけれども、やはり幾つかのそういった情報は、例えば、全国共通料金を一応目指すというふうに書いているわけですから、そういったことについても、もちろん幅があっていいと思いますけれども、どれからどれの幅なのかということについては、もう少し政府としても情報を開示して建設的な議論を進めていっていただきたいなというふうに改めて要望しておきたいと思います。

 いずれにしても、早目の結論を得て、今後の関係者のしっかりとした議論ができるような情報公開もあわせてお願いしたいというふうに思います。

 では、次にちょっと移りますが、先般、これは予期せぬとあえて申し上げますけれども、十一カ所の亀裂が生じていることが、瀬戸大橋にあるということが報道されました。このことについての事実関係と、今後の補修の見直しについて教えていただければと思います。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 本四高速におきましては、橋梁の長期にわたる健全度を維持するため、定期的な点検の実施に加えまして、専門家から技術的なアドバイスをいただくことによりまして、通常管理を行う中で、構造物の変状を早期に発見し、適切に補修を行っているところでございます。

 今回報道されました十一カ所の亀裂は、こうした一連の通常管理の中で、平成二十一年度と二十二年度に確認されたものでございます。この亀裂につきましては、発生した箇所が直接車両の荷重を受ける部材ではなく、橋の安全性に直ちに影響を与えないことから、応急措置を実施して、その後は経過観察ということで措置をしているところでございます。

 本四高速といたしましては、定期的な点検を確実に行うとともに、引き続き、専門家の知見も参考にしつつ、適切な維持管理に努めていくと聞いております。

玉木分科員 済みません。建設時にはこういった亀裂が生じることは予想されていなかったということでよろしいんでしょうか。もしそうだとしたら、どういった理由で今回こういった亀裂が生じているのか、その点についてもう一度教えていただけますか。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回報道のありました亀裂が見つかった橋については櫃石島橋と岩黒島橋でございまして、車の通行に伴う桁のたわみが部材に伝わり、局部的な変形が繰り返されたことによる疲労亀裂が発生したものと考えております。

 道路橋の設計において、五十年代後半までは疲労に関する配慮がされていなかったというのが原因だというふうに思っております。

 現在の道路橋示方書におきましては、平成十四年から、疲労の影響についても規定をされ、対策を講じることとしたところでございます。

玉木分科員 一定程度管理された中で、こういった、予測された亀裂であればいいんですけれども、最初の設計のときには予測されていなかったとか、特に重大な事故につながり得るということであれば、点検のやり方とか、あるいは基準とか、そういったものを見直していく必要があるというふうに思うんですけれども、そういったことについては今は必要ないんでしょうか。

前川政府参考人 先ほども申し上げましたが、亀裂が見つかった部材は直接荷重を受ける部材ではないということから、安全性に直ちに影響を与えないということで応急措置をしたところでございます。

 本四高速といたしましては、そういった疲労損傷が見つかったということで、専門家のアドバイスもいただきながら、これからの点検の中で、そういったアドバイスを踏まえた対応策をやりながら点検を進めていきたいというふうに聞いております。

玉木分科員 直接荷重を受けない部材がなぜ壊れるのかが聞いてもよくわからないので、ここは本当に安全性に影響がないかどうか、しっかりと、見過ごすことなく、より厳しいチェックをしていただくことを、国としてもこれは責任を果たしていただきたい、改めてそのことをお願いしておきたいと思います。

 次に、瀬戸大橋も含めた、償還主義ということについて少し議論をさせていただきたいと思うんです。

 私は、予算委員会でも、太田大臣もよくお答えになっておられるように、維持補修、笹子トンネルのことがよく出てきますけれども、これから、この間整備してきたインフラの維持補修のお金がかかっていくということはそのとおりだと思います。

 私は、問題は、そういった維持補修の、インフラのまさにメンテナンスのコストをどうやって安定的にしっかりと確保していくのかということを考えていかなきゃいけないと思っているんですね。少子高齢化が進む中で、社会保障のお金は広がっていく。では、いつまでも財政出動を続けられるか、補正で毎年こういうことを手当てしていけるかというと、財政的にも限界があります。そういう財政制約とか、我が国の経済社会の制約の中で、どうやって維持コストのお金を安定的に確保していくのか。これはまさに、もう与野党を超えて議論していかないと、大変なお金が必要になってくると思っています。

 その意味で、私は、大原則は利用者負担だと思うんですね。やはり使っている人が払うというのが極めて明確です。その意味では、私は、民主党政権下で出してきた無料化の政策についても、今凍結されていますけれども、あれもやはり見直すべきだと思っています、これは反省を込めて申し上げますけれども。

 その意味で、現在の高速道路体系も償還主義になっていて、借金でつくって、償還が終われば基本的に無料にするという前提であらゆる仕組みがつくられていますね。ただ、これが当初、三十年で償還が終わりますというのが、四十年になり、四十五年になり、五十年を上回らないとか、また四十五年になったりとか、こういうふうにずれてはずれて、いまだに無料になった道路は見たことがないわけですね。そこだけ切っていけば、東名高速なんかは、多分とっくに償還は終わっているはずですね、物すごいドル箱路線ですから。ただ、全国プールの中でやっていくという仕組みで、実際、いまだに無料になっているところはないんです。

 ちなみにお聞きしたいんですが、瀬戸大橋ができた当時、あれをつくろうといったときに、まさに同じように償還主義をとっていますけれども、あれをつくった当時、もともとはいつ無料になる予定だったんでしょうか。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 本四架橋につきましては、昭和五十年に一ルート三橋を先行的に整備するということが決まりまして、一ルートでございます瀬戸大橋が開通いたしましたのが昭和六十三年でございます。その当時の償還計画によりますと、料金徴収期間は平成三十五年までの計画でございました。

玉木分科員 平成三十五年ですね。今、平成二十五年ということで、当初の予定だと、あと十年で無料になるということで間違いないですよね。でも、あと十年で無料になるとはとても思えないですよね。

 私は何を申し上げたいかというと、こういう償還主義、お金を返し切ったら無料にしていきますということ、このことは、私はフィクションなんじゃないかと思っているんですね、それで全てのいろいろな体系が構築されていますけれども。

 例えば、では、償還が終わって無料になったら、その後の、まさに今回亀裂、破裂が生じたようなメンテナンスコストは、一体誰がどうやって捻出するのかという問題が出てきますね。こういう償還が終わった後のメンテナンスコストはどうするのか、どういうふうに予定されているんでしょうか。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 高度経済成長時代に集中投資した道路、橋梁等がたくさんございます。それらのものが一斉に更新時期を迎えているというのも事実でございまして、御指摘のとおり、高速道路におきましても、将来の維持更新費をどうするかということが大変重要な課題になっていると思っております。

 このため、現在、国土幹線道路部会におきまして、適切な維持更新の枠組みについて検討を進めていただいているところでございまして、早急に取りまとめて、適切な方策について検討をしてまいりたいというふうに考えております。

玉木分科員 全く答えていないんですよ。これは、実は決めていないんです。償還が終わって無料になった後の、壊れていきますよね、維持補修が必要なんですけれども、それをどうするのかということについては、実は明確な取り決めがなく、これまで高速道路はつくってきたんです。多分、それは税金でやるということの前提なんでしょうけれども、これから高齢化も進んで社会保障のお金が要るという中で、さらにまた一般財源から持ってきて、全国の高速道路の維持、メンテナンスのコストを賄えますか。私は、そろそろこのことを正面から議論する時期に来ていると思っているんです。

 逆に言うと、これは利用者に御負担を求める話なので、ある種、増税と同じように、つらい話ではあるんですけれども、やはりこのことを正面からきちんと議論して、維持補修のための安定財源を確保するということをきちんと議論をやっていくことが必要だというふうに私は思っています。

 そういうふうな財源を確保する中から、例えば、NEXCOは今は民間会社になっていますけれども、利便増進事業が終わった後の、少しサービスを拡充するための財源に使ったりとか、いろいろなことに、少し安定財源が入ってきたらそれでやっていく。もちろん、野方図にそういう追加でふえた財源を使って採算性の悪い道路をつくるようなことは防ぐ仕組みが必要ですけれども、やはり安定財源を確保した上で、サービスの向上につながるようなさまざまな施策の財源にしていく、これは大事だと思っているんですね。ですから、維持補修にしっかり回していく安定財源を確保する。

 そういう中で、仮にそういう財源が確保できるような仕組みになれば、私は当選以来ずっと言っているんですが、瀬戸大橋は、実は三島、三つの島にかかって成り立っているんですね。もともとは橋のかかっていない島だった櫃石島、岩黒島、与島という三つの島がありますけれども、ここの島民の皆さんというのは、あの立派な立派な瀬戸大橋が生活道路なんです。あれを通らないと病院にも行けない、特別養護老人ホームに入っているお父さん、お母さんをお見舞いに行くこともできないんです。その意味では、これはつくってからの長年の願いなんですが、島民については無料化してくれないかという意見がずっとあるんです。

 今、いろいろな工夫をいただいて、八割削減して、二割ぐらいに抑えているんですが、計算だと、年間三千万ちょっとあれば、三千億じゃないですよ、三千万円あれば無料化はできると思うんですが、二十六年度にかけての料金の抜本的な体系見直しの中では、島民の皆さんの無料化については、そういう安定財源も確保する中で、ぜひ実現する、私はこれはすべきだと思っているんですが、この点についてお考えを伺いたいと思います。

赤澤大臣政務官 委員の問題意識は、もちろん理解をいたします。

 本四高速沿岸線の離島住民の方々に対しては、御指摘がありましたように、現在、島民生活の安定、福祉の向上といった観点から、本四会社と地元地方自治体の協力のもとに住民割引を実施しているということで、島民の料金を無料とするためには、現在、地元御負担をいただいているということを前提にすれば、本四会社と地元地方公共団体でさまざまな方法を検討していただく必要があると考えております。

玉木分科員 私は、一期目の三年間と、また二期目になって、四回目なんですけれども、いつもつれない返事なんですね。

 何とか、多分二十六年度の料金見直しが最後のチャンスかなと思っているんですが、こういうときに、まさに政治決断で、これはもう党派を超えてやったらいいと思うんですよ。自民党の手柄でもいいと思うんですよ。それでも、やはり、島民の皆さんが生活に困っている。高齢化が進んでいます。全部が全部やらなくていいので、離島振興法の対象になっているところについてはやるとか、一定の制限をかけて、それでもやっていくことが、四半世紀たってしまいましたけれども、橋の建設に協力をしてくれた島民の皆さんに報いる大きな一つの手段だというふうに私は思っています。

 最後に一つ、これも安定財源を確保するということが必要なので、そのことを前提で話をします。

 私もよく利用するので感じるんですが、橋を渡ってきて、坂出北インターチェンジというのがあるんですね。ここは、実はフルインターチェンジ化されていなくて、例えば南海地震が起こって、徳島で空港が沈んだとかいろいろなことが起こって、高知もそういう被害を受けやすい、そういう中で、香川県から支援の手を伸ばしていくというときに、番の州工業地帯というのがありますね、あそこにいろいろな物資とか生産拠点もありますから、そこから、北インターチェンジから徳島に物を運ぼうとしても、北インターチェンジから乗って、それで徳島の方に行けないんですよ。北インターチェンジに乗って岡山までは行けるんですが、実はあそこで乗って徳島方面には行けないんです。

 非常にそこは不便なので、今の北インターチェンジをフルインターチェンジ化して、そういった防災対策にも役立つようなインターチェンジの拡充といったことを、これもぜひ私は二十六年度の一つの区切りをめどに進めるべきだと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

赤澤大臣政務官 委員は、地元の状況もよく御案内でお尋ねのことと思います。

 御指摘の坂出北インターチェンジは最も本州寄りのインターチェンジでありますけれども、御案内のとおり、二・六キロ南側にフルインターチェンジの坂出インターチェンジが隣接をしているということで、坂出北インターチェンジのフルインターチェンジ化については、地元自治体が中心となって、坂出インターチェンジとの利用の分担や整備効果などを、もう一度必要性を検討していただく必要があるだろうと私どもは考えております。

玉木分科員 つれない返事で、寂しいなと思うんですけれども。

 もちろん、地元がその必要性をしっかりと検証して、その上で、一定程度の地元負担も覚悟しながら国にもお願いしていく話だとは思うんです。先ほど申し上げましたけれども、私は、これは二十五年、橋ができて四半世紀たっていて、やはり当時想定されたものと、例えば、インターチェンジの周りだといっぱい発達して町もできてくるということで、いろいろなことがイメージされていたんですけれども、実は今は北インターチェンジの方が、いろいろな商業施設とか、そういった物流倉庫の近くにあって、逆に言うと、北インターチェンジの方の近くに物流倉庫なんかが後で立地したところも結構多いんです。そういう今の現状を踏まえると、近くにもう一つありますからだめですよというのじゃなくて、新しいインターチェンジをつくれと言っているのじゃなくて、フルインターチェンジ化してほしいということなので、そこについてはぜひ進めていただきたいなと思うんですね。

 もう終わりますけれども、たしか利便増進事業の中にも、〇・三兆円ぐらい、スマートインターチェンジのためのお金が入っていたと思うんですよ。利便増進は、これは自民党政権時代に補正なんかでやられたものですけれども、その中に、ほとんどは料金の値下げのために使うということだったんですが、たしか三千億円分ぐらいはスマートインターチェンジのためのお金が入っていたと思うんですね。

 ですから、安定財源を確保した暁には、料金値下げとか維持補修に使うということにあわせて、こういう利便性の向上、こういったことにも財源を使って、今に合わせた体制に少し拡充していくようなことにもぜひ使ってもらいたいんです。

 その意味で一つ、地域からぜひということで、今、赤澤政務官からお答えをいただいたので、スマートインターチェンジのときにもあると思うんですが、その設置に当たっては、地域協議会ということを設けて、地方公共団体や関係団体を巻き込んで、では、どういうことにしましょうかということの協議の場を設けますね。

 仮に、こういうフルインターチェンジ化をするために、まさに地方公共団体、地元は坂出市になりますけれども、坂出市とか地元の商工会議所とかがそういう協議会をつくった場合には、本四の方あるいは国交省の方、道路局の方も、そういったところに少し参加していただいて、その地域協議会を進めていくことについては御協力いただけますでしょうか。これは、大臣、お答えいただけますか。

太田国務大臣 協力します。

 それで、きょうの発言はずっと、それぞれ現状を踏まえて慎重に、料金の問題もお話をして答弁をしているわけですが、例えば、生活ということでいうならば、フェリーの存続というようなこともなんです。

 私は、地元でよく協議体をつくって合意を形成してくれ、全部国でやってよというのじゃなくて、負担も含めてやってくれといって、ある航路では三月の終わりに立ち上がりました。そういうことをやる。

 あるいはまた、しまなみ海道のあたりのことをどういうふうにしていくか。自転車だけだと、結構高いところなものですから、生活というのを、そこで使うというわけにはなかなかいかないというようなこともあって、全体的な高速道路の運賃体系ということについては、寺島先生の委員会で、できるだけ早くとは言いませんが、私は、これは重大問題だから、十分論議してくださいと。三月の終わりというふうに言っておりましたけれども、いや、先生、十分論議してください、非常に大きな影響を与えることだと。

 また、高速道路のあり方についても、ETCとかそういうもので、料金所自体の問題についても、シームレスな新しい形の全国の道路網の体系というようなことを模索する必要があるし、また、きょう指摘のありました維持更新費というものも、冷静に、幾らぐらいかかるのか、極端な論議ではなくて、その中で技術水準を僕は上げたいと。

 世界的にこうした、僕はメンテナンスエンジニアリングという学問が日本の中に巻き起こるところまで持っていきたいと思っていますが、技術水準を上げて、少しでも安く修理、修繕ができて、さらに長寿命化を図ることによって、山をなだらかにしていく。財政難の中でどうやって維持更新費と修繕というものをなだらかにして持っていくか。

 また、世界の都市間競争の中で、都市は強化しなくてはならないという局面もあります。何でも新規はいけないなんという話じゃなくて、修理、修繕だけで終わるだろうという論議もありますが、何とか日本が、修理、修繕もしっかりやるが、新しい、後世に残るインフラというものを残すために改造しなくてはならない部分もある。これを冷静に私は計算をしたいと思っているし、寺島委員会は大きな役割を担っていただいているので、できるだけ早いというよりも十分論議をしていただいて、料金体系というものも考えてもらいたい、こういうことを私は申し上げているところです。

 生活の、そうしたスマートインターについても、申請ということの中で、今回もやるところがいっぱいありますものですから、ぜひとも、地元の協議をといって突っぱねているわけじゃなくて、協議をしていただいて、そこには協力していきたいと思っています。

玉木分科員 本当に、大変積極的な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 地元もしっかりと私はまとめていかなきゃいけないと思うんですが、その際には、ぜひ国土交通省としても御協力をいただく、そのことを確約いただいたということで感謝を申し上げますとともに、今、瀬戸内海では瀬戸内国際芸術祭というのをやっていまして……

石田主査 玉木君、もう時間が過ぎていますから。

玉木分科員 はい。

 バッジをつけていますけれども、また、ぜひ瀬戸内海にもお越しをいただければと思います。

 きょうは、ありがとうございました。

石田主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、永岡桂子君。

永岡分科員 こんにちは。自民党の永岡桂子でございます。

 本日は、第八分科会、本日最後の質疑者になりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、初めに、建築物の耐震改修の促進についてお伺いしたいと思っております。

 東日本大震災の経験を踏まえまして、今後の大地震の発生に備えて、事前に対策そして予防策を講じていくことは本当に大事なことだと思っております。先日も、被災三県を伺わせていただいたんですけれども、二年たちましてもそれを痛感しております。

 国交省の推計資料によりますと、二〇〇八年時点での住宅の耐震化率、これは七九%にとどまっております。内閣府の発表しました被害想定などを見ますと、建物の崩壊による人的被害、この予想が相当高くなっているようでございます。

 昭和五十六年の建築基準法の改正前の住宅、これの現在の耐震基準を満たしていない住宅が千五十万件存在しております。また、同じく現在の耐震基準を満たしていない学校ですとかデパートなどの大規模の建物、これも八万件ございまして、それぞれ、全体の約二割近くが耐震性が不十分である状態ということでございます。これを放置しておくわけにはいかないと強く思っております。

 そこで、国交省にお尋ねしたいと思います。

 従来から耐震化を促進してきたものの、進んでこなかった理由、原因は何だとお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅及び多数の方が利用する建築物について、地震防災戦略などで、平成二十七年の耐震化率をそれぞれ九〇%とする目標を定めているところでございます。委員御指摘のように、ちょっと古いデータで恐縮でございますけれども、平成二十年、二〇〇八年現在での耐震化率は、住宅が七九、多数の者が利用される建築物が八〇ということでございまして、目標達成のためには、この時点で既に二%程度マイナスという状況だというふうに考えております。

 その理由でございますけれども、耐震化というのは、建てかえを含めます建物の除却、ないしは今ある建物を改修する、いずれかになるかと思いますが、特に住宅については、建てかえの見込みが三に対して、改修の見込みが一というふうに目標設定のときにも見込んでございまして、平成二十年のリーマン・ショックを受けまして、目標設定当時百二十万戸程度であった新設着工戸数が、大体三分の二程度、今はちょっと上がっておりますが、八十万戸台で推移しているということで、建てかえが進んでいないというのが、一つは大きな理由に特に近年はなっているというふうに思っております。

 それから、耐震改修の方でございますが、これが進まない要因としては、改修に多額の費用がかかるということ、特に所有者のお考えとしても、費用負担が非常に過重だというふうに受け取っておられるのではないか、それから、耐震化に対する所有者の認識が必ずしも十分ではないのではないか、それから、区分所有建物については合意形成が難しいのではないかなどの理由が考えられると思います。

 これらについては、一層の取り組みの強化が求められているというふうに認識をいたしているところでございます。

永岡分科員 ありがとうございます。

 いろいろお話しいただきまして、建てかえ、改修、そして持ち主の認識、本当に耐震化に向けての認識が低いということでございましたけれども、これまで進んでこなかった今のようなお話の原因、これを除去していくためには、今回法律を改正するということになっているようでございますけれども、やはり予算ですとか税制面からの後押しというものも必要かと思っております。

 二年後の二〇一五年には耐震化達成目標九〇%というふうに掲げていらっしゃいますので、その二年後の九〇%の耐震化率の達成に向けまして、今回の法律改正と予算措置ですとか税制改正、これは十分なものとなっているのか、これをお伺いしたいと思います。

鶴保副大臣 委員御懸念のとおり、政策一般論として、一本の法律、一本の施策で十分なものと断言できるものはあり得ないというふうに私は考えております。ただ、先ほど局長の方からお答えを申し上げたとおり、さまざまな施策を、でき得る限り、考え得る限りの努力をさせていただき、総動員をしてやっていくということが肝要であろう、そういった文脈の中で御理解をいただきたいと思います。

 この耐震改修促進法でございますけれども、さまざまな努力をさせていただいております。特に重点、重きを置かなければならないと考えておりますのは地方公共団体等との連携でございまして、各ブロックごとに今現在、協議を重ねさせていただいております。

 先ほど御答弁させていただいたとおり、地方団体との協力は不可欠でございますから、この九〇%目標の達成のために、その趣旨をしっかりと徹底させていただきたい、生かさせていただきたいと考えております。

永岡分科員 耐震化を加速するための施策というのは、本当に喫緊の課題でございます。東日本大震災で、大変私たちもその予防の重要性がわかっているわけでございますので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、ダムについてお伺いしたいと思います。

 ダム事業につきましては、民主党政権下におきまして、検証がなされてきたところでございます。治水対策の手段として、私なんかは、ダムだけを排除する姿勢というのは相当疑問に感じていたわけなんですけれども、例えば八ツ場ダムにつきましては、検証の結果、事業継続となったわけでございます。

 いろいろその後あったようでございますけれども、今年度の、二十五年度の予算案につきましては、改めて、本体ではないですね、本体の関連工事が計上されているということでございます。現政権下におきましては、着実に八ツ場ダムの早期完成に向けた取り組みが進められている、そういうふうに私は思っておりますし、また、八ツ場ダムについては、早期完成を目指していただきますように、よろしくということでお願いしてまいりたいと思います。

 実は私、茨城県の古河市に住んでおりますが、その古河市も、治水も当然でございますが、利水もしておりますので、早期完成、これは非常に重要だと思っております。

 そして、もう一つ、私の地元の古河市、そして五霞町というところがあるんですが、この二つの町は、水道事業が南摩ダムに参画しております。南摩ダムにつきましては、独立行政法人の水資源機構が事業を担当しているわけでございますが、いまだに検証中というところで、地元では、一体南摩ダムはどうなっちゃうのか、そういう不安を感じているところなんですね。

 ぜひ、南摩ダムについての現在の検証はどのような状況か、そしてどういう方向性を持って話し合いが進められているのか、そういうことをお聞きしたいと思います。

足立政府参考人 南摩ダムについてお答えを申し上げます。

 南摩ダムにつきましては、栃木県鹿沼市の利根川水系の南摩川におきまして、一都四県の治水に加えまして、委員の御地元の古河市、五霞町を初め、関東四県の七つの水道事業者に水道用水を供給するために計画されておりまして、思川開発事業として独立行政法人水資源機構が実施してきております事業でございます。

 この事業は、委員御指摘のとおり、ダム検証の対象事業の一つとして、平成二十二年以降、検討主体である水資源機構及び関東地方整備局において検証を進めているところでございます。

 平成二十二年十二月の二十日に思川開発事業の関係地方公共団体からなる検討の場というものを設置して以降、これまでに三回、検討の場の幹事会を開催し、総事業費、工期の点検、利水参画者に対する継続の意思及び開発量の確認を行うなど、現在、検証作業を進めているところでございます。

 以上でございます。

永岡分科員 ありがとうございます。

 これまでも、公共工事につきましては、平成十二年には、当時の自公保政権において、公共事業の抜本的見直しに関する三党合意に基づく見直しに取り組んでいましたし、また、さきの自公政権下においても事業評価を行うなど、適時適切に見直しをしながら必要な事業を進めてきたものと私は考えております。

 南摩ダムにつきましても、そのような経緯を踏まえながら、地元の不安の解消のためにも、速やかに検証を進めて結論を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鶴保副大臣 御指摘がございましたので、しっかりとこの事業の検討を進め、結論を得るように努力をしてまいりたいと思います。

永岡分科員 よろしくお願いいたします。また、いいお返事を待っておりますので、頑張って検証の方を進めていただきたいと思います。

 次に、利根川の支流であります女沼川、これも私の地元にありますけれども、その女沼川の釈水樋管の改築に向けましての調整状況についてお伺いしたいと思います。

 私の住んでおります茨城県の古河市内を、利根川の支流でございます女沼川が流れております。その女沼川は、市内の工業用地ですとか住宅地を経由いたしまして、国道三百五十四号線をまたいで、水田を通り、昭和三十八年に完成いたしました古い古い釈水樋管から利根川に自然排水をしております。その釈水樋管の断面が非常に狭いわけですね。ちょっとした雨が降りますと水が川からあふれ出してしまう、そういうことが毎年毎年起こっております。住宅地ですとか農地の浸水被害、また道路の冠水によります通行どめなどございまして、非常に地元の方々も、また県も、農地の土地改良の方々も、本当に早くこの樋管の改修を待ち望んでいるわけなんでございますが、この流域の半分以上を占めます東部排水路合流点までの区間が完成間近となっております。利根川への新設の釈水樋管の早期事業化が地元にとっても喫緊の課題になっている、そういうことになっております。

 この釈水樋管の新設につきましては、平成十二年まで、その前、十年も前から、私たち、地元市長さんを初め、土地改良区、また地元住民などが、本当に国土交通省に要望してまいりました。しかしながら、いまだに事業化はされていないというふうになっております。ことしこそは、ことしこそはと、もう毎年毎年の思いで、この十年間、要望活動を続けてきたわけですけれども、もうそろそろいいんじゃないか、そういうふうに私は思っております。十年一昔でございますので、ぜひ、この釈水樋管の改築につきましては、着工の見通し、改築の工事の着手の見通し、本当に重要でございますので、いつごろになるか、ぜひ教えていただきたいと思います。

足立政府参考人 女沼川の釈水樋管についてお答え申し上げます。

 女沼川は、茨城県の境町塚崎地先で利根川に合流する、茨城県管理の一級河川でございます。利根川との合流点に釈水樋管が設置されてございます。

 女沼川の改修が完了していないこと、それから、委員から古い古いと御指摘ございましたが、現在の釈水樋管の断面が不足していることから、近年では、平成二十年に時間最大五十ミリ弱の大雨が降った際に、農地や宅地の内水被害が生じております。そのため、茨城県におきまして女沼川の改修を進めますとともに、国土交通省において利根川に新たな樋管を設置するということにいたしておるわけでございます。

 現在、国土交通省におきましては樋管の詳細設計等を実施してございますけれども、茨城県では平成二十八年度末までに女沼川下流部の改修を完成させる予定というふうに承ってございまして、その進捗状況等、バランスをとりながら、適切な時期に工事に着手する予定というふうに聞いております。

 以上でございます。

永岡分科員 茨城県との調整を行いながら、できれば早いこと完成にこぎつけていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、首都圏氾濫区域堤防強化対策事業、つまり強化堤防のことでございます、その進捗状況についてお尋ねいたします。

 国土交通省では、利根川、江戸川の右岸側の堤防を強化するということでこの事業を進めていらっしゃるわけですけれども、私の地元の五霞町のあたりも含めましてこれが実施されているわけでございますが、この区間の堤防が決壊した場合、その氾濫が東京まで達してしまう、首都機能が壊滅的な被害を受けるおそれがあります。

 非常に古いことなんですけれども、昭和二十二年、カスリーン台風が来ましたときに、現在の加須市の利根川が決壊いたしまして、本当にこれが、三百五十メートルにわたって利根川の右岸が決壊いたしまして、その濁流は埼玉を越えまして、東京の葛飾区、江戸川区、足立まで達したということでございます。この台風によります悲惨な水害を忘れることはならないと思っておりますし、また、二度と惨劇を起こさないように、右岸、もちろん重要でございます、強化堤防でやっておりますが、左岸もしっかりと対応していかなければならないのではないかと思っております。

 昨年の九州の豪雨災害では、矢部川の堤防が決壊いたしまして、都市部に大きな災害を与えたことも記憶に新しいところではございますが、最近ではゲリラ豪雨の多発などもございまして、気象状況、気象環境が変わってきたということもあります。これは本当に肌で感じられるわけなんですけれども、利根川の左右両岸の堤防強化の問題、これはしっかりとやっていただかなければならないと思っております。

 昨年は、分科会にちょっと自民党は出なかったのかなと思って、記憶しているんですが、その前も、その前の年も、私、いつも、右岸も忘れないでよろしくねとお願いしているんです。もちろん、東京は大変重要でございますが、左岸の私たち茨城県側、境、古河付近が決壊いたしますと、中央防災会議の報告によりますと、そのまま逃げないでいくと、大雨が降った場合、決壊した場合、六千名以上の死者が出る、そういう報告もいただいているわけでございます。

 そんなこともありまして、左岸の要望もしてきたわけでございますけれども、今回の補正予算では随分御配慮をいただいたということで、感謝しているところでございます。この強化堤防の進捗状況がどうなっているか、国交省からお聞きしたいと思います。

鶴保副大臣 御指摘のとおり、過去の災害、大災害の反省のもとに、今般、首都圏氾濫区域堤防強化対策事業を鋭意進めさせていただいておるところでございます。

 常磐自動車道付近までの約四十キロ区間が先行実施されておりまして、平成二十五年三月末現在で約九〇%の用地を取得済みであるとともに、約七キロにおいて対策を完了させていただいていると聞いております。

 また、先生御指摘のとおり、左岸についても、これは言うに及ばず、しっかりと頑張っていかなければならない事業だと認識をしておりますので、鋭意努力をさせていただきます。

永岡分科員 ありがとうございます。副大臣、ぜひぜひ左岸も忘れずにお願いいたします。

 次に、新四号国道の四車線化の見通しについてお伺いしたいと思います。

 四号国道は、日本橋を起点といたしまして、埼玉県、茨城県、栃木県、福島県、宮城県、岩手県を通って青森市に至る、我が国でも最長の国道でございます。昔は奥州街道と呼ばれていたようでございますけれども、私たちにしてみれば、四国(よんこく)というものが非常に耳になれているなというふうに思っております。

 日本の経済発展に伴って、四国(よんこく)の機能も、本当に渋滞がひどくなって、満杯になりましたので、この解決策として新四号国道が計画されまして、昭和四十年度より調査、そして昭和四十五年度より事業に着手をいたしているようでございます。

 平成四年度には、越谷より宇都宮市に至る全線八十・五キロメートルが、二車線の供用が開始されました。その後は順次四車線化が図られてまいりまして、平成十七年四月には栃木県内の新四号国道が全て四車線化をされ、また、埼玉県内もほぼ四車線化されております。

 現在、茨城県の五霞町の幸主から古河市の柳橋、ここのところが二車線、片側一車線なのでございます。平成二十三年度末の進捗状況は、この地域は二〇%にとどまっております。

 この新四国(よんこく)バイパスは、古河市内におきまして国道三百五十四号線と立体交差でつながっております。交わっているわけですね。この交差する地点が二車線であるために、本当に朝夕と、上り、下りもそうなんですけれども、大渋滞が引き起こされます。それは非常に危険なんですね。片側三車線のところから急に一車線になるということで、非常に事故も多いわけなんでございますが、早期の四車線化をお願いするものでございますので、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

前川政府参考人 お答えを申し上げます。

 新四号国道につきましては、暫定二車線で全て供用した後、混雑状況を勘案して順次四車線化を進めておりますが、御指摘のように、利根川を挟みまして、埼玉県の春日部市から茨城県の古河市に至る十七キロの区間が、まだ暫定二車線で残っております。

 二十六年度の全線四車線化に向けまして、現在は利根川を渡る新利根川橋の工事、また五霞地区並びに古河地区の改良工事を実施しておりまして、早期整備に向けて引き続き推進していきたいというふうに考えております。

永岡分科員 ぜひぜひ、完成のめどが立ちます日付などもしっかりと教えていただきますように、早期に教えていただきますように、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、圏央道、これの全線早期開通に向けましての見通しについてお伺いしたいと思っております。

 御承知のように、圏央道というのは、都心を通らない、都心から四十キロから六十キロメートルの位置に計画されております、全線で約三百キロメートルの一般国道、自動車専用道路でございます。東名高速とか中央高速、関越道、それから東北道、常磐道と、都心に入らないでも高速道路がつながれまして、非常に便利な道路になると思っております。

 このうち茨城県の区間は、埼玉県境の五霞町から千葉県境の稲敷市までの七十・五キロになっております。

 これは、平成二十四年度に開通しますよという目標宣言プロジェクトというものが、実は平成十七年十一月に、圏央道、これは国土交通省の重点施策で発表になっております。宣言されたわけでございますね。

 ところが、着々と工事が進行しているということはあるわけでございますが、なかなか私たちの地域におきましても、非常に道路の開通というものが重要になっております。民生用にしましても、またこれは地域の活力の源ですね、経済基盤としても非常に重要な道路である、そういうふうに思っております。

 しかしながら、民主党政権下の平成二十二年の十一月には、これは今まで自公政権下におきまして、平成二十四年度には完成しますよという目標が、これが今度、次は、完成は平成二十六年度以降になりますよということを国土交通省は発表されております。

 以前は平成二十四年度と本当に明確に決まっておりましたので安心しておりましたが、二十六年度以降となりますと、いつ完成が見込まれるのかも全くわからないということでございますので、ぜひ全線早期開通を実現させるために、大臣から一言お願いしたいと思います。

太田国務大臣 圏央道の重要性というのは、誰の目から見ても明らかだと思います。

 円滑な物流、また首都直下地震に対してのリダンダンシー、救援、あるいはまた、現実に圏央道が通って、周辺に大変工場が建ったりというような効果もあります。

 今月二十七日から、木更津から東金の区間四十三キロが開通するということになりまして、三百キロのうち約百七十キロ、これが開通することになりますが、引き続き力を注ぎたいと思っております。

 五霞―つくば中央インターチェンジ間の問題は、これは、全体に切れているところはいろいろあるんですが、なかなか土地の買収ができないとかいうこともございますものですから、用地取得の時期が不透明ということから、なかなか何年度に完成ということは言えないという状況にあります。地元の期待も大きいものですから、引き続き、自治体の協力もいただきながら、早期供用に向けて取り組んでいきたいと考えております。

永岡分科員 ありがとうございます。

 用地買収につきましては、茨城県の地元関係市町村におきまして、しっかりとスクラムを組んで、それに対応しております。九〇%、そして九五%はもう既に用地買収の手続などももう始まっておりますし、これは強制執行に向けた取り組みなども視野に入れながらの用地買収について、しっかりとさせなければいけないのかなと実は思っている次第でございますが、本当に大臣のおっしゃるとおり、日本の国にとりましても非常に重要な道路でございますので、これから一層の国土交通省の関与、ぜひ、早くということも国土交通省から言っていただければありがたいと思っております。

 終わります。

石田主査 これにて永岡桂子君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日月曜日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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