衆議院

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第1号 平成27年3月10日(火曜日)

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本分科会は平成二十七年三月五日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

三月九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      金子 一義君    長坂 康正君

      山本 有二君    馬淵 澄夫君

      松木けんこう君    上田  勇君

三月九日

 上田勇君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十七年三月十日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 上田  勇君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      金子 一義君    斎藤 洋明君

      島田 佳和君    津島  淳君

      長坂 康正君    山本 有二君

      大島  敦君    田島 一成君

      武正 公一君    中島 克仁君

      福島 伸享君    馬淵 澄夫君

      伊東 信久君    上西小百合君

      河野 正美君   松木けんこう君

   兼務 玉木雄一郎君 兼務 丸山 穂高君

   兼務 大口 善徳君 兼務 斉藤 鉄夫君

   兼務 高木美智代君 兼務 真島 省三君

   兼務 宮本  徹君

    …………………………………

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   国土交通副大臣      西村 明宏君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   国土交通大臣政務官    青木 一彦君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   会計検査院事務総局第三局長            須藤  晋君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           伊藤 明子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     北崎 秀一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福本 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉野 恭司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房物流審議官)         羽尾 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            本東  信君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         毛利 信二君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  小関 正彦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        池内 幸司君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 田端  浩君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  森重 俊也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  大脇  崇君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (観光庁長官)      久保 成人君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  金子 一義君     津島  淳君

  山本 有二君     加藤 鮎子君

  馬淵 澄夫君     武正 公一君

  松木けんこう君    河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     島田 佳和君

  津島  淳君     斎藤 洋明君

  武正 公一君     馬淵 澄夫君

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  斎藤 洋明君     石崎  徹君

  島田 佳和君     今枝宗一郎君

  馬淵 澄夫君     武正 公一君

  足立 康史君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     鬼木  誠君

  今枝宗一郎君     山本 有二君

  武正 公一君     田島 一成君

  小熊 慎司君     水戸 将史君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     金子 一義君

  田島 一成君     中島 克仁君

  水戸 将史君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  中島 克仁君     大島  敦君

  足立 康史君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  大島  敦君     福島 伸享君

  河野 正美君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  福島 伸享君     馬淵 澄夫君

  伊東 信久君     上西小百合君

同日

 辞任         補欠選任

  上西小百合君     松木けんこう君

同日

 第一分科員真島省三君、宮本徹君、第二分科員玉木雄一郎君、第三分科員高木美智代君、第六分科員丸山穂高君、大口善徳君及び斉藤鉄夫君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)


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     ――――◇―――――

上田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算及び平成二十七年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。太田国土交通大臣。

太田国務大臣 国土交通省関係の平成二十七年度予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算の国費総額につきましては、五兆七千八百八十七億円です。

 また、国土交通省の関係事業として復興庁に一括計上した予算を含め、東日本大震災からの復旧復興対策に係る経費として東日本大震災復興特別会計に六千九百六十六億円を計上しております。このほか、自動車安全特別会計及び財政投融資特別会計に所要の予算を計上しております。

 北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算につきましては、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。

 次に、財政投融資計画につきましては、当省関係の独立行政法人等分として二兆一千五百四十二億円を予定しております。

 それでは、平成二十七年度の国土交通省予算の全体方針について、御説明申し上げます。

 まず、東日本大震災の被災者の方々が早く復興を実感できることが大切です。また、大規模化、激甚化する水害、土砂災害や大規模地震等に備えるための防災・減災対策に加え、高度成長期以降に整備されたインフラの老朽化対策が喫緊の課題となっております。さらに、内閣として取り組んでいる地方の創生や、成長著しいアジア諸国との都市間競争への対応などが重要な課題となっています。

 こうした認識のもと、東日本大震災からの復興加速、国民の安全・安心の確保、地域の活性化及び成長戦略の具体化の四分野に重点化し、各分野の施策の進展を実感していただけるよう効果の早期実現を目指します。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります印刷物を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

 以上です。

上田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま太田国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田主査 以上をもちまして国土交通省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

上田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島分科員 おはようございます。自民党の津島淳でございます。

 本日、予算委員会第八分科会、このような機会をいただきまして、本当に、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

 また、太田大臣、北川副大臣、うえの政務官におかれましては、これから夜八時までのロングランということで、関係者の皆様あわせまして、大変お疲れさまでございます。私自身は、なるべく皆様の御負担にならないような質問ということで、簡潔に質問させていただきたいと思っております。

 今大臣から国土交通省関係の予算の概要についてお話がございましたけれども、まず、国として地方創生、そしてアジア地域を初め総合的な物流を初めとする、つまり交流を深めていく、そしてさまざまな都市間競争にも勝っていく、そういったインフラ整備をしていかなければならない、また、防災・減災含めインフラの老朽化対策をやらなければいけない、そういうお話がございました。

 本日、私は、その国の方針にも沿った形で現在私の地元青森県で進めております戦略について、質問させていただきたいと思っております。

 私の選挙区は青森一区と申しまして、青森一区というのは青森市を中心に二市七町村で構成されております。青森といえば、皆様、すぐ歌で思い出すのは津軽海峡冬景色ではないかと思うんですが、その津軽海峡に面した地域といえば、大体地理的な感覚がおわかりいただけるのではないかと思います。

 その青森県ですけれども、海上物流とともに発展してきたと言っても私は過言でないと思っています。中世には日本海側に十三湊、近世には深浦、鰺ケ沢、八戸等、北前船の寄港地が重要な役割を果たしてまいりました。明治から昭和にかけては青函連絡船が北海道と本州の物流を担い、現在もフェリーの青函航路が大動脈として機能しております。この歴史は、青森県が地政学的に重要な物流拠点であるということを私は物語っていると思っております。

 そこで、青森県では、先ほど申し上げましたように、平成二十六年一月、青森県ロジスティクス戦略を策定し、今後、産学官一体となって国に御提案申し上げ、国と共同で研究していくこととしております。本日は、この戦略について質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、そもそものところで、ロジスティクスについての基本認識をお伺いしたいと思っております。ロジスティクスとは、私なりにこのように考えます。原材料の調達から産品、製品の販売までの物流及びそれにかかわる情報などを総合的なシステムとして動かすというふうに私は理解しております。

 物流の最適化を図ることにより、これから申し上げますような効果が期待されます。

 まず、ロジスティクス機能が連携することで、産品や製品をより広いエリアに短時間で輸送可能になり、市場拡大の可能性が開ける。

 一回の出荷量が少ない産品や製品であっても、小口混載サービスを活用することによって効率的かつ低コストでのコンテナ輸送が可能になる。

 海外との調達物流、製品物流を抱えているグローバル企業にとっては、充実した港湾や物流施設を活用することが在庫、流通加工、配送などの最適化につながり、今後、モーダルセレクトにより消費者に便益をもたらすことができる。

 さらには、温度管理を行いながら短時間で輸送することができるシステムが構築されれば、遠隔地の産品を付加価値の高い生鮮品として市場に供給することができます。

 ロジスティクスにかかわる種々の課題を克服し、さきに述べました効果を発揮することが、我が国経済のみならず、特に地方経済にも好影響をもたらすと私は考えますが、御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

羽尾政府参考人 お答えいたします。

 物流は、農業、水産業等の生産者、メーカー、卸売、小売、物流事業者などの多様な担い手が関与するプロセスであり、産業競争力の強化や豊かな国民生活の実現を支える経済社会にとって不可欠の構成要素でございます。このような物流の最適化は、物流に直接携わる関係者にとってはもちろんのこと、企業、生産者、一般国民、ひいては我が国全体にとっても重要な課題と認識しております。

 このため、政府としても、平成二十五年六月に閣議決定されました総合物流施策大綱や先月閣議決定されました交通政策基本計画に基づき、物流の高度化・効率化、環境負荷低減、安全、安心な物流の三本柱のもと、国、民間事業者、地方自治体などと連携し、一体となって物流政策に取り組んでいるところでございます。

 物流を最適化し、物流のスピードアップ、コストの削減、サービス水準の向上など、さまざまな効果を発揮させることにより、委員御指摘のとおり、我が国経済にとっても、各地方の経済にとっても好ましい影響が生じるものと考えております。

津島分科員 ありがとうございます。

 国としても、関係団体、特に地方自治体との連携をもとに、物流というものの充実強化を図っていく、大変心強い、力強いお言葉をいただいたと思っております。

 それでは、青森県ロジスティクス戦略について話を進めてまいりたいと思います。

 まず、その趣旨でございますが、今急速に進んでおります少子化、高齢化による人口減少に伴う生産力の減少や、グローバル経済のもとでの競争など、青森県を取り巻く経済状況は厳しさを増しております。全国の地方、同じような状況にあるかと思います。そういった中で、地方創生のためには、元来の強みを生かした産業の育成、強化とそのための戦略的発想が必要だと思います。

 青森県には、元来の強みとして、多くのすぐれた産品、製品があります。特に農林水産物ですが、これらを生かし、時間、距離、コスト、情報の壁を乗り越えて、需要、すなわち消費者と、供給、生産者とが円滑につながる環境づくりを主体的に進めていく必要があると考えます。

 青森県ロジスティクス戦略は、この環境を実現する基盤を中長期的な視点のもとに育成、整備し、国内、世界との経済交流の拡大を目指して策定するものであります。

 この策定に至った背景ですが、まず一つ目が、あすは三月十一日でございます。東日本大震災の発災から四年になります。青森県も、震災で太平洋岸を中心に被災をいたしまして、物流拠点である八戸港が大きな被害を受けました。しかし、青森港は被災を免れ、本州最北端大間港などと連携して、被災地への物資供給基地として機能いたしました。その後、八戸港も早期に機能復旧され、青森県の港湾が全体として被災地への物資輸送の拠点となりました。

 こうした震災の経験から、青森県の港湾は、太平洋、日本海など全方位的なアプローチのよさから、我が国国内におけるサプライチェーン寸断へのリスクヘッジを担える力を持っていると私は考えますが、その点についてお伺いしたいと思います。御所見をお願いいたします。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

 青森港は、陸奥湾の最奥部に位置する天然の良港でございまして、太平洋側や日本海側の港湾と比べて波浪や津波による影響を受けにくいなどの地理的な特徴がございます。

 例えば東日本大震災の際には、太平洋側の港湾が地震や津波で壊滅状態となったため、青森港が北海道からの自衛隊の救援車両や重機、人員を受け入れ、被災地に輸送する拠点となりました。

 国土交通省といたしましては、今後発生するおそれのある巨大災害に備え、災害時におきましても物流機能の確保を進めていく必要があり、青森県の港湾についてもその重要な拠点と考えております。

 このため、港湾管理者、物流事業者などと連携し、大規模災害発生時の代替輸送ルートの想定、代替港湾利用のための体制構築などについて検討を進めているところでございまして、引き続き、災害に強い物流ネットワークの構築を図ってまいりたいと考えております。

津島分科員 ありがとうございます。

 青森県の港、特に青森港の地理的特性を十分に御認識いただいた上で、国土全体の防災・減災に資する、そういった仕組みの中で位置づけていただける。そういった部分で、逆に青森県サイドとしても全面的に、防災・減災、サプライチェーンをしっかり確保していくために今後努力してまいるものと思っております。ありがとうございました。

 そして、背景のもう一つは、青森県は、海上交通のみならず鉄道、道路といった陸上交通、また、青森空港、三沢空港と二つの空港による空の交通がありまして、いわば陸海空の交通の要衝であるわけです。

 また、世界から青森を見てみますと、津軽海峡には大陸と北米を結ぶ国際貨物の三割が集中しております。将来的には、地球温暖化により北極海航路の実現可能性が見込まれております。つまり、津軽海峡には北米や欧州と大陸をつなぐゲートウエーとなる可能性を秘めておりまして、そこに最も近いところに位置するのが青森県ということが言えると思います。

 ここで、お尋ね申し上げます。

 私は、日本海を取り巻く経済圏を構築していこう、そういうふうに考えておりますが、その上で物流網の整備が不可欠であると考えております。この点について国としてどのようにお考えか、また、青森県の地理的な位置づけについてのお考えもあわせてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

太田国務大臣 おっしゃるとおり、近年、日本海の対岸国の国々が非常に経済成長著しいものがありますし、また、御指摘ありました北極海航路、いよいよ動き出しているという状況にございます。

 そういう意味では、またここがちょっと海とか港とは違うんですけれども、函館の新幹線が青函トンネルを通っていよいよ北海道まで行くということで、人流も大きく活発化してくると思います。

 また、青森港と函館港との間にフェリーが就航して、本州と北海道を結ぶ物流拠点ということもありますし、また、アジアから北米に行くというのはみんな津軽海峡を通る。余り知られていない人もいるというわけですが、全部あそこを通る。

 いろいろな意味でここは非常に大事なところの上に、東北のクルーズ船の寄港実績も地域の活性化にも貢献しているわけでありますけれども、私も昨年ねぶたを見に行きましたら、クルーズで来ている人と隣り合わせで見させていただいたりということがありまして、青森の港のクルーズ船というのはますます大事だなということを痛感しました。

 青森港は、アジアと北米を結ぶ船舶が航行する津軽海峡の近傍に位置しているわけでありまして、非常に重要だと思います。

 この特徴を生かして、世界的な経済動向を踏まえた港づくりをしていくという認識のもとで、国交省と青森県と青森市、こうしたことで地域関係者が連携して、二十年、三十年後を目指した長期的な戦略である青森港ビジョンが策定されたところでございます。

 国交省としまして、よくその重要性を認識した上で、地元の関係者とよく連携をとり合いながら活性化に努めてまいりたい、このように思っております。

津島分科員 ありがとうございました。

 大臣がおっしゃられた青森港ビジョン、私もその参画にかかわっている民間の方といろいろ交流がございまして、港の将来についていろいろ語り合っているところでございますが、広く視野を持って、日本海、北米、そして欧州、そこをつなぐ。そして、その航路に何を載せるのか、そういうところはやはり青森県のすぐれた持ち味というものを生かしていく、そういった発想で地域が一体となって、また、国と連携しながら進めていく必要があるのではないかと日々話しているところでございます。ありがとうございました。

 それでは、次に、配付いたしました資料に基づいて戦略の概要をお話し申し上げた上で、何点か質問させていただきます。

 資料にございますけれども、このロジスティクス戦略ですね。

 まず第一に、産業力強化の面から、農林水産品の流通拡大を目標に、ロジスティクス課題の改善による農林水産品の国内展開支援と海外展開支援の二つの目的のもと、五つの取り組みを行ってまいります。

 取り組みのまず一番目として、物流・流通事業者などによる小口混載共同物流のための輸送プラットホームの構築、二番目として、活ヒラメの無水空輸試験や活ホタテの輸送期間短縮試験など各種輸送トライアルによる物流課題の改善と新たな流通経路の確保、三番目として、地域における共同輸配送に向けた取り組み支援、四番目として人材育成、企業支援、五番目として、消費者へのドア・ツー・ドア輸送など輸出における最適な輸送手段の検討と具体化の支援を行ってまいります。

 現在、策定後、一年余りでございますが、実現した取り組みとしましては、全日空、物流大手のヤマト運輸と県が協定を結び、西日本へ、九州、関西、そういった地域に、農水産物の物流をより迅速に提供できるように、鮮度を保ちながら送れるように、そういうトライアル、実験を行っている、そういった取り組みがございます。

 第二に、物流拠点化の面から、港湾の利便性向上による貨物の集積と北米航路、北極海航路を意識した本船寄港の検討の二つの目的のもと、先ほど申し上げました産業力強化の取り組みの一番目と二番目に加えて、ここで三つの取り組みを行ってまいります。

 取り組みの一番目として、高速道路網など物流インフラの整備、二番目として、他港湾との戦略的連携による効果的なポートセールスの実施による定期航路の充実、三番目として、北米航路や北極海航路の本船寄港可能性の継続的研究を行ってまいります。

 ここで、二点お尋ね申し上げます。

 まず、県内各港湾へのアクセスの改善のため、日本海沿岸東北自動車道、三陸沿岸道路、上北自動車道、下北半島縦貫道路、津軽自動車道、そういった道路インフラの早期整備というのがやはり不可欠だと思うんです。この点についての御所見をまず賜りたいと思います。

 そして、もう一点は、先ほど太田大臣少しお触れになりましたが、北極海航路についてでございます。この航路が実用化すれば、アジア―欧州間の距離は、従来航路が二万一千キロであったのに対して一万三千キロと、三分の二になります。この航路の現状と将来性についてどのように御認識されているか。

 以上、二点お伺いさせていただきます。

深澤政府参考人 今委員の方からお尋ねありました御質問のうち、道路インフラの整備につきましてお答え申し上げたいと思います。

 物流を戦略的に強化する上では、海上輸送の玄関口である港湾と国内の生産拠点や消費市場とのアクセスを円滑にすることは非常に重要であります。とりわけ、高速道路を中心とした道路ネットワークの重要性につきましては認識しているところであります。

 青森県におきましては、例えば三陸沿岸道路は、復興道路、復興支援道路の一つとしても全力で整備を進めておりますけれども、物流の観点からも、北東北を代表する港湾である八戸港へのアクセス改善の効果がございます。

 また、東北縦貫自動車道八戸線、これは上北自動車道も含まれますけれども、下北縦貫自動車道、津軽自動車道等につきましても、津軽地方、南部地方等、各地から青森港へのアクセス強化の観点からも重要な道路だと考えております。

 こうした観点を踏まえながら、青森県とも連携し、主要な港湾と生産拠点、それから消費市場を連絡する道路ネットワークの強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

滝口政府参考人 委員御指摘の、二点目の北極海航路についてお答え申し上げます。

 委員がお話をされましたが、北極海航路は、現在のスエズ運河経由と比較いたしまして、航行距離といたしましては約六割というようなことになるわけでございますが、これは、当然のことながら、時間短縮が図られるということ、そしてまた、燃料費といったような運航コストの削減が図られるといったようなメリットがございます。

 また、スエズ運河経由というのは、海賊多発地帯と言われておりますインド洋を通るわけでございますが、こういったところを回避できる、こういったようなメリットが多々ございまして、欧州と東アジアを結ぶ新たな選択肢となるということで、私どもも、多様化をするために、これに対して期待をしているところでございます。

 一方で、北極海航路は、当然のことでございますが、使えるのが今のところでは六月下旬から十一月といったことがございまして、冬期には氷で閉ざされるということがございます。また、夏の間でも、氷の状況によりましては、ロシア側による砕氷船の航行支援料といったような問題が実は出てくるわけでございまして、私どもとしても、安定的な運航を確保するために、収集すべき情報、あるいは解明すべき課題も多々あるというふうに認識しているところでございます。

 このため、私ども国土交通省が中心となりまして、海運会社など民間事業者、そしてまた関係行政機関が集まりまして、官民連携協議会というものを開催いたしまして、情報の収集あるいは課題の整理、あるいは対応策などについて協議をしているところでございます。

 今後とも、北極海航路の利活用に向けまして環境整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

津島分科員 ありがとうございます。

 道路網を整備するとともに、いわゆるモーダルシフトというんですか、効率的にトラック輸送と、それからまた鉄道の輸送も組み合わせて最適な組み合わせをすることで物流の効率化、これによって、生産者レベル、そして消費者にも恩恵が及ぶのではないか。このモーダルシフトを進めていく上でも、最小限度の道路インフラというものはやはり必要だ、そういった部分で大変力強いお言葉をいただいたと思っております。

 また、北極海航路については、通年航行できるようになるかというのはまだ大分先の話だと思いますし、航行可能な期間においても砕氷能力のあった船というものが必要である。これは、いろいろな業界の皆さんとの関係というものなくして進められない。しかし、可能性は大いにあるわけでございまして、継続的に私も注目をしてまいりたい、そのように考えております。

 そろそろ質疑の持ち時間が残り少なくなってまいりました。最後の質問に入らせていただきます。

 今お話し申し上げてまいりましたこのロジスティクス戦略ですけれども、これは青森県庁内でも組織横断的に連携をいたします。そのほか、産業界、学識経験者等の意見を継続的に取り入れる枠組みを構築して進めております。また、国や近隣道府県との連携による戦略的な活動も当然進めてまいります。さらに、津軽海峡エリアの戦略的重要性について継続的な研究を重ねながら、随時国の方に提言を申し上げていく、提案型、協働型の戦略でございます。

 ここで、この戦略全体に対する太田大臣の御所見をいただければと思っております。

太田国務大臣 津島先生おっしゃるように、青森県ロジスティクス戦略につきましては、二〇三〇年をターゲットにして、非常に野心的といいますか、すぐれた産業分野横断的な戦略として策定されたものと承知しています。

 青森県の産業構造や地域の特性を踏まえて、産業力の強化や物流の拠点化、こうしたものが戦略の中心となっているという状況でございますが、例えば、青森県の強みを生かして、農林水産物、食品の輸出促進や北極海航路をめぐる動向等のグローバルな物流環境の変化も念頭に置いて策定された、このように認識をしております。

 非常に前向きで、意欲的な内容であると私も高く評価をしているところでありまして、委員からの御指摘も踏まえて、青森県とも連携しながら、我が国経済及び地方経済の成長に向けて、物流の最適化にしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

津島分科員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

上田主査 これにて津島淳君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤鮎子君。

加藤(鮎)分科員 山形県第三選挙区選出の自由民主党の加藤鮎子と申します。

 きょうは、太田国土交通大臣初め政府参考人、国土交通省の関係者の皆様方に貴重なお時間をいただきまして、心から感謝を申し上げます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 昨年末、多くの有権者が期待を寄せる地方創生総合戦略が閣議決定をされました。ことしは、地方自治体がみずからの地方総合戦略を策定する重要な年となっております。地域の未来は地域みずからで描く、地方創生の要諦は人づくりと私は考えておりますが、その人づくりと並んで、同じくらい地方創生にとって重要なのがインフラの整備であります。

 本日は、私の地元の山形三区にかかわる道路と港湾の整備、加えて除雪対策に関して、幾つか質問をさせていただきます。

 まず初めに、高規格幹線道路についてお伺いをいたします。

 全国の高規格幹線道路は、現在、合計一万四千キロの整備計画がございます。現在の進捗状況は、平成二十六年度末までに開通するもので七九%強、裏を返すと、残りの二一%弱はいまだ開通には至っておりません。その未開通部分の多くは、県境をまたぐ、いわゆるミッシングリンクと呼ばれるものであります。

 私の選挙区の山形県も例外ではありません。日本海沿岸東北自動車道、いわゆる日沿道の南北県境部分、そして東北中央自動車道の秋田県境部分は未開通となっております。

 そこで、お伺いをいたします。

 日沿道の山形―秋田県境区間、山形―新潟県境区間及び東北中央自動車道の山形―秋田県境区間の整備の状況と今後の整備の見通しについてお聞かせください。よろしくお願いいたします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 山形県のさらなる発展、地域活性化を図るため、日沿道や東北中央道の県境区間のミッシングリンクの解消は大変重要であると認識しております。このため、道路ネットワークの早期整備に努めているところであります。

 山形県内の高規格幹線道路、延長でいきますと全体で三百四十五キロありますけれども、これまでに約六割の二百六キロメートルが開通して、現在、八区間、延長約百二キロメートルで事業を推進しているところです。

 委員御指摘の中で、特に日沿道の新潟、山形県境付近の朝日温海道路、これは四十キロぐらいありますけれども、それと山形、秋田県境付近の遊佐象潟道路、約十八キロメートルにつきましては、平成二十五年度に事業化し、現在、測量、設計を行っているところであります。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、県境区間のミッシングリンクの早期開通に向けて努力してまいりたいと思っております。

 以上です。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 この日沿道の県境部分の早期完成は、地域住民の切実な願いであります。搬送時間短縮による救命救急医療体制の充実、そして広域観光圏としての魅力向上、災害時の代替性の確保を図るということももちろんですが、地元の漁業そして製造業の物流の促進といったさまざまな意義がございます。

 これを一日でも早く完成させていくべきかと考えますが、それに当たりまして、もちろん、用地買収など地元の方で努力しなければ早まらないものもあることでしょう。しかし、それに加えて、国としても何とか工期の短縮の後押しをすることはできないものでしょうか。

 例えば、近くの温海トンネルの事例のように、トンネルの掘削をするときに、片側から掘り進めるだけではなくて、反対側の山腹からも掘り進めて、倍速でトンネルを完成させる。技術的には不可能でないというふうに聞いてございます。

 そういった早期完成に向けた設計上あるいは予算上の工夫等を積極的に講じるべきと考えますが、そのようなことを進める検討の余地があるかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願いをいたします。

深澤政府参考人 ただいま委員から御指摘がありましたように、平成二十四年三月二十四日に開通しました日沿道の温海―鶴岡間の温海トンネル、これは延長が約六キロという大変長いトンネルでございますけれども、御指摘のように両側から掘削いたしまして、工期の短縮を図ったところです。

 これに加えまして、朝日温海道路の山形県では、工事の施工に当たって、現場でコンクリートを打つということではなくて、工場で製作されたコンクリート製品を有効に使うなど、いろいろな工夫をしながら工期の短縮にこれからも努めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。ぜひとも早期完成に向けた前向きな御検討のほどをよろしくお願いいたします。

 それでは、日沿道に関して、最後に太田国土交通大臣に、今の参考人の皆様の御答弁を受けて、早期完成に対する御見解をお聞かせください。よろしくお願いをいたします。

太田国務大臣 道路はつながってこそ機能する、このように思っておりまして、また、災害時に、特に東日本大震災以来、リダンダンシーという観点で、災害時の代替道路というものが大事だということが認識をされています。

 この日沿道を早くという声を随分聞いておりまして、平成二十五年五月でありますけれども、日本海側の物流や観光交流に大きな役割を果たすということで認識をしまして、この日沿道、最後の未着手の区間でありました朝日温海道路の事業化を公表させていただきました。

 山形県からも、また先生御地元の方々からも、また平田牧場の新田会長も私のところに駆けつけてきまして、本当に進めてくれて、生きていたかいがあったなどというような表現で言っていただきました。

 これは早く完成させなくてはいけないな、このように思っておりまして、今般、二月二十五日には、東北中央道のミッシングリンクとなっております新庄金山道路、横堀道路の二区間について、新規事業化に向けた評価手続に着手をしたところでございます。

 地元の方からいいますと、徐々に徐々にということになるかもしれませんが、その気持ちにお応えできるよう、極力、今、工事方法のお話もありましたが、しっかり取り組んでいきたい、必要な道路ネットワークの一日も早い開通に向けて全力で取り組んでいくという決意を表明させていただきます。

加藤(鮎)分科員 太田大臣から大変心強い御決意を伺わせていただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、道路の除雪対策について質問を移らせていただきます。

 豪雪地域に対する除雪費用の支援について、国としての取り組みを伺いたいのです。

 昨年の十二月、東北地方内陸部は例年まれに見る豪雪に見舞われました。その影響で、私の地元、新庄最上地域の市町村では、除排雪の費用が膨らみ、市町村の財政を逼迫させているという現状になっております。

 ぜひ、国としてのさらなる支援を求めたいところであり、例えば昨年の国交省としての除雪費補助の臨時措置、そういった対応と御同様の御検討をいただければ幸いであります。政府の現在の御検討状況などをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

深澤政府参考人 除雪に関して御質問がございました。

 この冬の降雪は、豪雪地帯を中心に例年を上回り、例えば今お話ありました山形県新庄市では、例年の一・五倍を超える降雪量となっております。このため、各自治体の除雪予算が非常に厳しい状況にあることは、私ども国土交通省としても認識しております。

 これまでの例でいいますと、積雪地域における自治体の除雪費用に対しては、年度当初に社会資本整備総合交付金により措置し、さらに、全国的な豪雪の場合には臨時特例措置を講じてきたところであります。

 この冬の臨時特例措置につきましては、現在、自治体の除雪費の執行状況等の把握を行っているところでありまして、その結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 市町村の除雪対策費をきめ細かい場所に安心して充てられるように、ぜひ国道の部分に関しては国からの手厚い援助をお願いいたします。

 次の質問も引き続き雪に関することですが、山形県の内陸部の豪雪地帯では、近年、流雪溝というものの導入がふえております。渓流から水をポンプアップいたしまして、幅のある側溝に水を流し、生活者や企業の方、施設の整備の方々がそこに雪を投げ入れて除雪をするという非常にシンプルな仕組みなのですが、導入した自治体では、ローコストの割には非常に効果的であるという大変評判がいいものになっております。

 こちらを幅広く整備するべきだと考えておりますけれども、流雪溝に関する御省の方の今後の整備の御検討状況をお知らせください。よろしくお願いいたします。

深澤政府参考人 流雪溝に関しまして御質問がございました。

 今委員がおっしゃったように、流雪溝というのは、道路上の除排雪のみならず、地域の除排雪活動においても、作業の軽減とか円滑化に資する大変重要な施設だと認識しております。

 全国の豪雪地帯を中心に、平成二十四年度末現在で二千四百十三キロメートルが整備されております。ちなみに、山形県におきましては三百二十七キロメートル整備されております。

 流雪溝の整備、管理には、委員御指摘のように、流水の確保や地域住民の方々の協力が必要であります。自治体等からの要望や関係機関との調整状況を踏まえ、整備が推進されますよう、社会資本整備総合交付金により国土交通省としても支援してまいりたいと考えております。

 以上です。

加藤(鮎)分科員 どうもありがとうございます。

 整備に、ローコストでありますが、ポンプアップするための電力は少しかかってくるということで、運営面に対してもぜひケアをよろしくお願いいたします。

 次に、国の重要港湾である酒田港の整備についてお伺いをいたします。

 整備状況や計画を伺うに当たりまして、まず初めに、さきの東日本大震災、間もなく、あすで四年がたとうとしておりますが、あの震災の折、太平洋側の港湾が壊滅状態となった状況下で、酒田港がどのような役割を果たしたのか、お聞かせください。よろしくお願いをいたします。

大脇政府参考人 東日本大震災に際しましては、地震や津波で壊滅状態となりました太平洋側の港湾の代替として、日本海側の港湾が重要な役割を果たしたところでございます。

 特に、石油製品につきましては、太平洋側の製油所などが被災をし、燃料供給能力が激減しましたところから、西日本の製油所で増産された石油製品が酒田港などを経由して被災地に輸送されたところでございます。

 また、家畜の餌となります配合飼料につきましても、被災地周辺の飼料工場が操業を停止しましたことから、北海道や西日本の飼料工場で増産されました配合飼料が、これも酒田港などを経由して被災地に供給されたところでございます。

 このように、酒田港を初めとする日本海側の港湾が、石油製品や家畜用飼料の被災地への供給というところに大きく貢献したところでございます。

 以上でございます。

加藤(鮎)分科員 ありがとうございます。

 お聞きのように、酒田港は災害時にバックアップ機能を果たしたという実績を有しております。

 一方で、平常時の酒田港は、対岸諸国との経済交流拠点として、また、リサイクル関連貨物の取扱拠点としても大変高い機能を発揮しております。

 平成二十五年度はリサイクル関連貨物の取扱量が過去最高を記録しておりますし、また、それに伴いまして、リサイクル関連企業の集積も進みました。また、港内に立地しております紙おむつ工場からは、中国やロシアに向けた輸出が大変好調でありまして、国際海上コンテナ取扱量が過去最高を記録しております。加えて、火力発電所も立地しておりまして、日々、大量の石炭の積み込みなどを通じて地域エネルギーの供給や雇用の創出にも貢献をしております。

 そこで、時間がたくさん余っておりますが、最後の質問に移らせていただきたいと思います。

 先ほど御答弁がありましたように、酒田港は、災害時におけるバックアップ機能を発揮するとともに、また平常時も民間の投資や雇用につながるストック効果なども発揮しておりまして、物流拠点としての重要性は明らかであります。

 この重要性に鑑みまして、今後の港湾整備をいかに進めていくのか、その計画等について状況をお示しください。よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 五月雨を集めて早し最上川、もう長く、また北前船、いろいろなところで、酒田、また背後地の最上とか鶴岡というところがいかに歴史的にも大事かということがわかった上で、東日本大震災ということがありまして、酒田港から物流が東日本のところに行くというようなことも随分ございます。

 太平洋岸を車が走るというよりも、関西の方から行きますと、実際、距離を考えてみますと、日本海側を通った方が早いという状況もありまして、防災という観点でも極めて酒田港は大事だというふうに思っております。

 最近の傾向で、東日本を初めとする太平洋岸の物流拠点の港のコンテナを初めとする物流の取扱量というものの伸びと日本海側の伸びというものを比較しますと、大体三%から四%、伸びが日本海側の方が多いということがデータで出ておりまして、ますます、ロシア・ファクターと言う方もいらっしゃるんですけれども、中国やあるいは韓国そしてロシア、北極海航路の前進ということもありまして、日本海側の拠点としての港の役割というものは極めて大きいと思っています。

 そういう中での、伝統もある、そしてまた歴史もある酒田港ですから、さまざまな意味でますますここが充実していかなくてはならない、このように強く思っています。

 最上川の河口に位置する酒田港は、そういう意味で非常に大事で、昭和二十六年に重要港湾の指定を受けるなど、山形県唯一の重要港湾として重要な役割を担っているわけですが、平成十五年にはリサイクルポートの指定を受けまして、リサイクル関連企業の集積などが進んでおり、また、平成二十三年十一月から日本海側拠点港湾に指定されるなど、さらなる発展が期待をされております。

 この酒田港、ただし防波堤が未完成であるということもございます。冬の厳しい波浪の影響で、港内の静穏度が確保できないという状況もありまして、荷役の障害が生じています。また、港湾への砂の流入、堆積によりまして航路が埋没し、船舶航行に支障を来すなどの課題があります。

 このため、酒田港では、港内の静穏度の確保及び船舶航行の安全性向上を図るため、国直轄事業として、防波堤の延伸、かさ上げや埋没した泊地のしゅんせつを実施しているという状況にございます。

 国交省としましては、今後とも引き続き、酒田港は非常に重要であるという認識を持っておりますものですから、必要な港湾機能の確保に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 きょうは、大事な御質問をいただきまして、私も毎年のように酒田に行きまして、冬場におりますと、ぐるぐる上でおりるかおりないかというようなときも随分ございまして、道路網の整備、先ほどからありましたように日沿道の整備とか、そうした港湾の整備等に尽力をさせていただいて、そしてさらに、お地元の酒田やあるいは鶴岡、こうした地域が発展するということは私は日本全体にとりましても大きな意味がある、このように思っておりまして、協力して頑張ってまいりたい、このように思っているところでございます。

加藤(鮎)分科員 まことにこの地域に対する深い御理解と、そして心強い御決意をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 おっしゃるとおりの酒田港の重要性ということを地域代表の私としましても十分に鑑みながら、政府の皆様方とも、そして地元地域の皆様方ともしっかり連携を図って強化を進めていく一翼を担ってまいりたいと思います。今後とも、何とぞよろしくお願いをいたします。

 どうもありがとうございました。

上田主査 これにて加藤鮎子君の質疑は終了いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

長坂主査代理 では、速記を起こしてください。

 次に、斎藤洋明君。

斎藤(洋)分科員 おはようございます。

 私は自由民主党の斎藤洋明と申します。選挙区は、先ほど質問に立たれた加藤鮎子代議士と県境を挟んで新潟側の新潟三区でございます。ですので、私も加藤先生と問題意識が共通している部分が多々あるかと思います。よろしくお願いいたします。

 私の前職は公正取引委員会の職員でございましたので、公共工事も含めて、この分野に関心を強く持っておりますので、質問させていただきたいと思います。

 大きく分けて三点、第一に基幹交通網整備、それから公共工事の発注についての改善、最後に、ちょっと新しい考え方としましてグリーンインフラについて、大きく三点質問させていただきたいと思います。

 まず、基幹交通網整備ということで、私も、ミッシングリンクの解消、特に新潟―山形県境区間中心に、日沿道、日東道の早期開通について、まず質問させていただきたいと思っております。

 先ほど加藤代議士からも質問がありましたので、少し当地の状況をお話しさせていただきますと、もともと、この新潟―山形県境区間というのは大変に地形の険しい場所でございます。山が海岸まですぐ迫っておりますので、新潟と山形の県境、つまり、先ほどの加藤代議士と私の選挙区の境目は鼠ケ関という集落の真ん中に引かれておりますが、この鼠ケ関というのはネズミの関という字を書きまして、それはネズミ一匹通さない関所という意味であります。これは、警戒が厳重というよりも、ネズミですらそこしか通れない、あとは山と海でというぐらいに険しい場所でございます。

 ですので、一般道路の建設も最後まで残りまして、現在、国道三百四十五号というのが通っておりますけれども、この道路を建設したのは、建設事業者さんではなくて、自衛隊の当時の北海道の駐屯地から建設大隊という方々に来ていただきまして、工事演習という名目で道路を啓開していただいたというほどの難所でございます。

 救命救急の空白地帯というお話も先ほどございましたけれども、私の母がその地域の出身ですけれども、当時は、砂浜が点々とありまして、そこに漁村集落だけが数珠つなぎになっておりまして、ですので、当時は、村落を出るときは嫁に行くときか手おくれになったときというふうに言われたぐらい、交通網の整備がおくれた地域でございます。

 そういった地域であるということもございますし、もう一つ、新潟県、現在、北陸新幹線の開通ということで大変ににぎわっておりますけれども、一方で、北陸新幹線の反対側、この新潟―山形県境区間の高速道路の工事がまだ完成しておりませんことから、袋小路になってしまう、あるいは、新潟の北部の地域が、よく言えば奥座敷なんですが、半島化してしまうというふうな危惧を我々は強く持っております。

 ですので、この日本海沿岸東北自動車道の新潟―山形県境区間の早期開通ということを私ども強く要望しておるところでございますが、今現在の取り組み状況についてお話しいただきたいと思います。

太田国務大臣 日本海沿岸東北自動車道、日沿道でございますが、新潟、山形、秋田を結んで、東北縦貫自動車道等と一体的に機能することによりまして、企業立地や観光振興を支援するとともに、防災機能の強化を図る重要な道路だと認識をしております。

 二十五年の五月にこの事業をやるということを決めさせていただいて、先ほどの質問にもあったわけでありますけれども、大変喜びが山形からも新潟からもあって、先生からお話がありました非常に難所であるということは、また、鉄道でありますと、忘れられない、冬場の雪の期間に風が吹いて大変な事故が起きるというようなこともあり、また、海岸が侵食をされがちであるというようなこと等も私は聞いているところでございます。

 いろいろな意味で、リダンダンシーという点でも非常に大事な道路であり、確かに、新幹線が走るというようなことだったら、自分たちはもっと、まだ道路すらというふうに思っていらっしゃるということの気持ちをよくわかって我々としては対応しなくてはならないと、改めて先生の今の御指摘を聞いて、思ったところでございます。

 こうした点も踏まえまして、日本海沿岸東北自動車道の早期整備を進めておりまして、現在、七区間、延長約百一キロで事業を推進中でございます。このうち、朝日温海道路四十・八キロにつきましては、平成二十五年度に、先ほど申し上げましたように、事業化をいたしまして、今年度予算額二十二・三億円により測量、設計を実施しているという状況にございます。

 引き続き地域の皆様の御協力を得ながら、早期開通に向け全力で取り組んでまいりたいと思いますが、きょうの御質問を聞いて、難所であって一日一日お待ちになっているということをよく受けとめて、一日でも早くそういう形が見えるように努力をしていきたい、このように思っておるところでございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 大臣から力強いお言葉をいただきまして大変ありがたく思っておりますし、一日も早い開通に向けて我々も精いっぱい協力していきますので、どうかよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

 次に、引き続きまして、公共工事の発注改善について何点かお伺いをしたいと思います。

 まず第一に、いわゆる歩切りの根絶につきまして、現在、国土交通省におかれまして、品確法運用指針に基づきまして実態調査をしていただいているというふうに理解をしております。発注者になる地方公共団体に対しては、抜本的な解決をぜひ求めていっていただきたいと思いますが、現在の取り組み状況を教えていただきたいと思います。

毛利政府参考人 歩切りについてお尋ねがございましたが、御承知のとおり、昨年六月に改正されました品確法におきまして、発注者の責務として、予定価格を適正に定めることが明確に位置づけられたところでございまして、これを受けて、昨年九月の閣議決定におきまして、予定価格の設定に際し、いわゆる歩切り、適正な積算に基づきます設計書金額の一部を控除すること、これにつきましては、改正品確法第七条第一項一号に違反すると明記されたところでございます。

 現在の取り組み状況でございますが、御指摘ございましたように、歩切りの実態につきまして、改正品確法に基づいて全ての市町村に対して実態調査を行ったところでございますが、それ以外にも、昨年十月には、文書をもちまして歩切りの見直しについて公共団体に要請をいたしております。

 また、歩切りとは何であるかということがわかりにくいという声もありますので、わかりやすく記載したり、禁止の趣旨について記したリーフレットにつきましても全国市町村事業者に配付をしております。

 この間、県の積極的な取り組みによりまして、市町村が主体的に見直しを行うといった動きも出てきております。

 加えまして、今後さらに、実態調査を踏まえまして、公共団体に対する個別のヒアリングも実施したいと考えておりまして、これに基づいて、歩切りの撤廃に理解をいただけないということがありましたら、発注者名の公表まで必要に応じて考えたいと思います。

 さらには、建設企業から現場の生の声を聞いて対応する相談窓口も設置する予定でございまして、こういったきめ細かい対応を行って、歩切りの根絶に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 実際、改善できない公共団体の名称の公表というようなことまで含めて、踏み込んだ対応を考えていただいているということで、ぜひお願いをしたいと思います。合理的なコストカットであれば、それは取り組んでいただきたいと思いますが、一律にカットしていくというような不合理な歩切りというものについては、ぜひこれを根絶していただきたいというふうに思っております。

 あわせまして、相談窓口を設置していただけるということではありますが、ぜひ国交省の側からも踏み込んでいく形で、個々の事業者さんは話をしにくいかもしれませんが、例えば事業者団体の方にヒアリングを行っていただくですとか、こちらからぜひ話を聞くような取り組みも御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 引き続きまして、設計労務単価、累次上げていただきまして、業界の健全な発展に非常に力になっているというふうに思っております。感謝をしております。

 あわせて、歩掛かりでございますが、この歩掛かりにつきまして、ある程度の規模の標準的な工事を前提に歩掛かりというのはつくられているものだと思います。ですので、例えば、工事のセットアップとそれから撤収に経費や人員がかかるような小規模工事であったりですとか、何か特殊な工事でありますと、標準的な工事を前提とした歩掛かりが実態に合わないのではないか、そのために建設事業者さんの採算性の悪化を招いているのではないかというふうに思っていますし、また、そういう声もいただいております。

 この歩掛かりの改善ということにつきまして、国交省の認識、取り組みを伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 予定価格の算定に用います歩掛かりは、小規模工事も含めまして、施工の実態を的確に反映したものとなるように、現場の実態調査、これに基づいて今制定をしているところであります。

 より一層、現場の施工実態を的確に反映させるために、平成二十六年度におきましても、橋梁のコンクリートに生じましたひび割れなどを補修する小規模の工事について新たに歩掛かりを制定するとか、あるいは、アスファルト舗装を補修する場合の小規模施工の歩掛かりを別途追加するといったような措置を講じたところでございます。

 今後も引き続き、小規模工事も含めまして、現場の実態を的確に反映した歩掛かりとなるように努めてまいりたいと考えてございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 この歩掛かりが現場の実態に合ったものになっていくことによって、工事事業者さんの採算性がより適正なものになっていって、業界が健全に発展していただきたいというふうに思っておりますので、引き続き改善をよろしくお願いします。

 また、あわせて、この歩掛かりの改善につきましても、ぜひ事業者の方の生の声を伺っていただくような取り組みもお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 引き続きまして、今度、公共工事の発注の時期の平準化についてお伺いをしたいと思います。

 公共工事が時期によって偏りが生じがちである、そのために、しわ寄せがさまざまなところに行っているというような声は以前からございます。そのために、国土交通省におきましても改善の取り組みをしてきていただいていると思っております。

 一方で、例えば、余り我々の方から早期発注、早期発注とばかりお願い申し上げますと、概算発注が多くなりますと、今度、実際の工事の着工に至るまでの時間が長くなりまして、受注した事業者さんが技術者をとられてしまうというような問題がありますので、余り我々の方も早期発注とばかり、それだけお願いするというわけにはいかないというふうに思っております。

 ですので、早期発注というよりは、発注時期、そして施工時期の平準化、年度内でバランスよく発注していただくということをお願いしたいと思っております。

 特に、雪国ですと、年度初めの比較的気候のいい時期に仕事がどうしても少ない、そして、一月、二月の一番雪が多くて仕事がしづらい時期に工事が集中するというような話が出てきておりますので、ぜひ、その観点からも、平準化についてお伺いをしたいと思います。

太田国務大臣 歩切りとか歩掛かりという、そしてまた工事の平準化ということについて、非常に建設の現場の状況をよく察知して御質問いただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 御指摘のとおり、四月から六月にかけての年度初めにおいて公共工事の稼働が少ない状況であるということは認識をしております。

 国交省としましては、品質管理やあるいは現場の生産性向上などの観点から、より適切な工期の設定に努めた上で、年度をまたぐ工事について複数年度契約とすること等により、施工時期を平準化する取り組みを進めているところでございます。

 現場の方の話を聞きますと、工事をとると、その後に、人とか人工をどう確保するかとかいろいろなことがありますから、ちゃんとめどが立つ、国の仕事、県の仕事、市の仕事、それぞれのところでも全部一緒になって見て、そして仕事がとれるように願っているということを十分わかっていかなくてはならないというふうに思っています。

 これまでも、雪解けの時期に速やかに現場に着手できるよう、ゼロ国債の活用などに取り組んできたところでありますが、これらに加えまして、国交省直轄工事におきましては、二十七年度当初予算におきまして、これまで単年度で要求することの多かった築堤・護岸工事や舗装工事などのうち、年度をまたぐ適当な工事では二カ年国債を設定しまして、平準化に取り組もうとしているところでございます。

 また、地方公共団体に対しましても、二月六日付で施工時期等の平準化について要請をしています。

 情報を提供するということも非常に大事なことでありますので、それぞれの事業ということの情報提供も含めて、我々としては施工時期の平準化に取り組んでまいりたい、このように思っているところでございます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 この平準化の取り組み、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、同じ平準化の考えの一環なんですけれども、国の補助事業であります公共工事が地方自治体から発注をされております。この公共工事の繰り越しについて、現在も手続上認められているものではありますが、より認められやすいようにしていただけないかと思っておりますが、これについてお話を伺いたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 施工時期あるいは発注の平準化という観点からいたしますと、先ほど申しましたような早期発注それから複数年度契約に加えまして、やはり繰り越しですとか、あるいは翌債工事と申しまして、これも繰り越しの一つでございますけれども、そういったような観点も非常に重要だというふうに考えております。

 現在、先ほど委員も御指摘ございましたように、補助事業につきまして工事の繰り越しというのを制度的に認めておりますけれども、これは、できるだけ手続等につきましても我々の方で簡素化できるような努力をこれからも進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 設計変更のような手続もそうなんですけれども、制度上認められるものであっても現実にはなかなか難しいというような話を聞く手続も多々ございますので、ぜひ実質的に認められやすいような仕組みにしていただきたいというふうに思っております。

 発注時期の平準化についてちょっと申しますと、我々は、今ほど申し上げましたように、積雪地でございますので、年度末、極めてタイトなスケジュールで仕事をしていただいていますが、本当の三月末まで工事ができるかというと、そうではなくて、完成検査の日数もございますので、三月中旬、今年度ですと三月十四日ごろまでには工事が終わらなきゃいけないということで、かなりタイトなスケジュールで作業しておりますので、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。

 続きまして、人材の有効活用という観点からお伺いをしたいと思っております。

 安全確保、安全施工、あるいは品質確保の観点から、現場代理人ですとか主任技術者など、いろいろな制度をつくっていただいておりますけれども、これらの縛りが、中小零細工事事業者さんですと、今、人材が払底しておるという状況で、なかなか仕事がとりづらくなるというような指摘をいただいております。

 ですので、経営業務管理責任者が現場の技術者を兼任することでありますとか、あるいは現場代理人、主任技術者、監理技術者などの兼任、現在も一定の要件のもとで認められてはおりますが、もう少しハードルを下げていただけないかという指摘をいただいております。

 もちろん、安全施工などの課題もあるかと思いますので、現在の国交省の認識と取り組み状況を教えていただけますでしょうか。

毛利政府参考人 人材の有効活用という観点からの御指摘でございますが、御承知のとおり、建設業者は、単品受注の生産現場を適切に管理していかなきゃいけませんので、建設業法におきまして、役員に経営業務の管理責任者を配置するとともに、現場に主任技術者または監理技術者を配置することを求めているところでございます。また、公共工事におきましては、通常、契約約款で工事現場に現場代理人を置くことを求めているところでございます。

 これらにつきましては、原則として兼任することは可能でございまして、例えば、御指摘の経営業務の管理責任者につきましても、法人については、常勤役員であることを求めておりますが、現場に配置する主任技術者、監理技術者との兼任を禁止しているわけではございません。

 ただ一方で、建設業法におきましては、一定規模以上の工事では、現場に配置する主任技術者、監理技術者は原則として専任制を求めておるところでございます。

 逆に言えば、この兼務の制限に当たりますこの現場の技術者の専任制につきましては、現在、技術者制度全般につきまして有識者検討会で議論を行わせていただいておりまして、御指摘がありましたように、幅広く現場の意見も聞かせていただいた上で、見直しも含めて検討を進めてまいりたいと考えております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 今現在進めていただいております有識者の方々の検討会議の中で、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。もちろん、緩和すればいいというものじゃありませんので、それは実際にどのぐらいの縛りが必要なのかということを踏まえた上でのぜひ御判断をお願いしたいと思います。

 続きまして、工事書類の簡素化ということについても、既に取り組みを進めていただいておりますけれども、改めてぜひお願いをしたいという部分でございます。

 これは正確な表現かどうかわかりませんが、国の直轄工事を受注すると段ボール二箱分の書類を生産しなければならないというふうに言われております。実態がどうかわかりません。言われております。もちろん、必要な書類は当然必要なわけでありまして、一方で、工事書類を作成するという作業が余り積み重なってまいりますと、本来安全施工に砕かれるべき事業者の努力が書類の作成に費やされるということになっては、これもまた本末転倒でございます。

 工事書類の簡素化ということについての国交省の現在の取り組み状況を教えていただきたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、工事関係書類の簡素化につきまして、土木工事につきましては平成二十二年の九月に受発注者の業務効率化の推進にかかわる通知等で見直しを行ったところでございます。また、建築工事につきましても平成二十六年三月から同様な取り組みを進めているところであります。

 この通達では、発注者が求めます工事関係書類の明確化、どんな書類が必要かということを明確化することにより削減を図るというものでございまして、その後のアンケートにおきまして、一定の効果があったというふうに承知をしているところでございます。

 さらに、現在、受発注者間のコミュニケーションを図ることを目的といたしまして、工事関係書類等の電子化を進めることによりまして業務の効率化を図っているというところでございます。

 また、このような取り組みにつきましては、これまでも地方公共団体等に対して周知をしているところでございます。今後とも、建設業界の方々の意見も聞きながら、書類削減に向けた取り組みをより一層図ってまいりたいと思っております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 ただただ簡素化というかけ声をかけているだけではあれなので、これもぜひ専門家の方々の御意見や事業者の方々のお話を伺いながら進めていただきたいと思っております。

 私が聞いております範囲ですと、例えば工事書類に含まれます施工計画書などは、特殊工は別にして、一般的な施工であれば既に発注者から示される標準仕様書の内容を丸写しにするような作業も含まれておるという話もございますので、丸写しをすれば済むような書類が本当に含まれているのであれば、ぜひそういうものは改善を考えていただきたいと思います。

 また、例えば出来形管理資料というものは、既に写真の添付を義務づけられている中で、わざわざ図面に起こす必要は、もちろん、特殊な工事であればそれは必要だと思いますが、一般的な工事で写真を見れば一目瞭然のものを図面を起こす必要が本当にあるのかどうかというような観点から、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 最後に、大きく分けて三つと申し上げました最後でございます。

 いわゆるグリーンインフラということについて問題意識を私は強く持っております。

 自然が本来持つ多機能性を生かしてインフラ整備をより精緻にしていくという考え方でございますけれども、具体的に申しますと、例えばダムの保水機能というものと、それから、そのダムが立地する後背地の森林の保水力も組み合わせて計算をするとか、そういった考え方でございます。

 昨日公表になりました新たな国土形成計画案の中間取りまとめの中におきましても、「社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能」「グリーンインフラに関する取組を推進する。」というふうに記載をしていただいております。

 まず第一点目のお願いとしましては、この国土形成計画の内容も受けまして、次期の社会資本整備重点計画を定めていただくものと思いますが、次期の社会資本整備重点計画の中で、グリーンインフラの積極的な意義でありますとか導入目標、あるいは具体的な取り組み手法、特に、このグリーンインフラというものにつきましては、環境省ですとかあるいは農林水産省との共同が不可欠な性質のものでありますから、他省庁との連携や関係者の合意形成ということにつきまして明示的に盛り込むべきではないかと私は考えますが、御見解をお聞かせください。

滝口政府参考人 委員御指摘のグリーンインフラでございますが、欧米で先行してこの考え方が示されて、いろいろな取り組みが行われているというふうに承知をいたしております。

 定義をするのが現時点においてはなかなか難しゅうございますが、私ども、今の段階では、社会資本整備や土地利用などのハード、ソフト両面において、多様な生物の生息場所の提供、あるいは良好な景観形成など、自然環境が有する多面的な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるためのものである、このように考えているところでございます。

 こういったグリーンインフラにつきましては、まず、我が国における自然条件などを踏まえた、我が国におけるグリーンインフラのあり方というものを整理する必要があるだろうと思っております。そして、その上で、今御指摘がございましたけれども、多くの関係者との合意形成であるとか知見を反映するといったことも含めまして、どういうような導入手法を進めていくのかということについて検討する必要があるだろうと思っております。

 こういったような検討を踏まえつつ、次期社会資本整備重点計画の策定の中において十分考えてまいりたい、このように思っております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 先ほどお話がありましたとおり、グリーンインフラというのは人に説明するのが、一言で説明するのがなかなか難しくて、そして、自然環境という言葉が先に出てくると、まるで従来型のインフラ整備と対立する考え方のように言われてしまうという不毛なことがありますので、ぜひグリーンインフラの考え方を社会資本整備重点計画にも盛り込んでいただきたいと思いますし、また、先行事例、国内のすぐれた事例を紹介していただくことによってこのグリーンインフラというのが促進されるということが望ましいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 その先行事例をつくるという観点からは、まず何カ所かですぐれた事例をつくり上げるということが非常に重要だと思っていまして、特に、一つの市町村内で完結するような水系というのが日本国内にございますけれども、そういった一市町村内で完結するような水系でグリーンインフラのモデル事業をやっていただきまして、成果ですとか課題を検証して、共有して、かつ宣伝をしていくということが私は重要だと思っておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

滝口政府参考人 社会資本整備に当たりましては、必ずしもグリーンインフラということを明確に意識しているものではございませんけれども、これまでも、生物の多様性であるとか景観といったような観点から、自然と調和しながらということを考えながら社会資本整備が進められてきている例はございます。

 今回、グリーンインフラということで、もう少し考え方を整理し、幅広いアプローチをするということが必要なんだろうと実は思っておりますが、先ほども申し上げておりますが、考え方を整理し、具体的な取り組み方法を検討する必要があるだろうと実は思っておりまして、二十七年度においても、そのための予算計上をさせていただいております。

 こういった予算を活用しながら、具体的な考え方の整理、あるいは進め方について、しっかり勉強して進めてまいりたいと思っております。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 このグリーンインフラにつきましては、今後、インフラの整備と維持管理というのが非常にタイトになってくると予測されている中で重要な考え方だと思っておりまして、例えば、コンクリの構造物は必要ですし重要でありますが、どうしても経年劣化が避けられないものであります。これに対して、グリーンインフラで、例えば、あえてコンクリで固めずに、もともと強固な岩盤があるところであれば、岩盤むき出しのままの擁壁をダムにつくってもいいわけでありまして、これは経年劣化を基本的にしないものであります。

 こういう手法を組み合わせていって、必要なところには人工構造物をつくっていくというふうな組み合わせでいかないと、日本国のインフラは維持できなくなるときが来るのではないかということを思っておりますので、最後に、済みません、大臣、グリーンインフラにぜひ前向きなコメントを一言いただけますでしょうか。

太田国務大臣 私も、道路構造物等についてもそうしたことは必要だ、このように思っています。

 河川法改正が九七年ぐらいであったと思いますが、そのときも、自然の中での、どう共生するかというような観点が加わったり、全体的にそうした考え方がずっと伝わってきて、また、鹿児島なんかではそういう事例が現実にはあったりするんですが、さらに努力をしていきたい、このように考えます。

斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 グリーンインフラも含めまして、ぜひ、国土交通省は、本日御質問申し上げたことにつきまして、前向きな取り組みを引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正分科員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 きょうは、国土交通省また総務省ということで、大臣初め政務三役にお伺いをさせていただきたいと思います。

 まずは、ちょうど今週の土曜日でしょうか、北陸新幹線開業ということで大きくニュースに取り上げられておりますが、実は、私の選挙区であるさいたまにとっては上野と東京が結ばれるというのが非常に、特に私の住んでおります浦和にとっては大きなニュースでございます。

 ミッシングリンクの解消は政府が取り組んで久しいわけですが、やはり、つながっていない路線をつなげていく、これが大変大事なことというふうに認識をしておりまして、この後触れます埼玉高速鉄道の延伸も、そういった趣旨からの質疑を昨年も当分科会でもさせていただいたところでございます。

 大臣、ぜひ、この上野―東京が結ばれることに、ちょっと質問通告にはないんですが、東京にお住まい、北区ということもございますので、御関心も強いというふうに思いますが、これについて何か御見解があればお聞かせいただきたいと思います。

太田国務大臣 金沢新幹線ということで大変喜びに沸いていることはテレビ等では出ますが、地元を歩いたり、東京近辺あるいは埼玉に行ってみますと、上野―東京が結ばれるということがいかに大きな要素を占めるかということを強く感じます。

 また、大宮駅ということからいきますと、まず、埼玉にとりましてこれは非常に大きなことであるし、金沢新幹線と、それから来年の三月には函館に新幹線が行きます。そうすると、大宮から函館まで三時間四十分で行くということで、大宮の新幹線の位置づけというものは、東京の二十三区にそのふえた線が全部入るというだけの容量がございませんものですから、上野―東京ということと同時に、大宮がますます、また埼玉県が非常に大事なことだなと思っております。

 きょうの御質問全般、いろいろいただくと思いますけれども、埼玉県の道路網あるいは鉄道、そして駅の位置づけというものがいよいよ大事になってくるときに今来ているなという感をいたします。

武正分科員 埼玉の上田知事初め県選出の国会議員も、今の力強い大臣のお言葉に感激をしたというふうに思います。

 ちょうどあしたで震災から四年でございますが、四年前、私も、衆議院の第二議員会館の地下通路を参議院の地下通路から民主党の本部の方にちょうど歩いているときに地震に遭遇しまして、地下通路が非常に揺れて、間の仕切り戸がばたんばたんと閉まった、そういったところでありましたので、震災当夜は、なかなかさいたまには帰れないな、宿舎に泊まろうというふうに思っていたんです。

 この後御質問をする南北線、埼玉高速鉄道が夜十時半から、埼玉県内で一番早く動き出しまして、やはり地下鉄というのはそういう意味では災害に強い路線だなということを認識しました。

 ただ、通常五十分ほどで浦和美園の終点まで帰るんですが、やはり、各駅で何度も何度もいっぱい乗客が乗りますので、ドアが閉まったりあいたりということで、通常の時間よりも四十分ぐらいかかって到着をいたしました。ただ、駅に着けば、二百人ぐらいがタクシーを待って、しかも国道四百六十三号線は数珠つなぎということでありました。

 多分、首都圏の中で、今、大臣御指摘の、埼玉県がやはり、東京、千葉、神奈川の公共交通に比べると、どうしても脆弱性は否めないところがありまして、帰宅困難者が数あるいは割合でいえば一番多かったのではないのかといったところからいきますと、今回の、上野と東京が結ばれて、品川への乗り入れ、東海道線との高崎線、宇都宮線の相互乗り入れは、そうした帰宅困難者対策にも大きな影響がある、効果があるというふうに思っております。引き続いて、埼玉県、あるいは東京との連携、そして首都圏の中での埼玉の位置づけに御配慮をいただければというふうに思っております。

 それではまず、お手元資料を用意してまいりました。去年も、この埼玉高速鉄道延伸についてこの場で質疑を行わせていただきました。

 お手元、一ページ、二ページ、三ページということは、もう既に御承知のとおり、埼玉高速鉄道の概要。そしてまた、今はもうありませんが、P線制度ということで、六割を自己資金でということで、一番最後の制度にこの埼玉高速鉄道も当たっているということでございます。やはりこれは自治体にとっては巨額な初期投資、財政負担を伴うということで、その後、いわゆるつくば新線、つくばエクスプレスのようなやり方に変わって、国がやはり主体的にこうした公共交通の整備にというふうに変わる。一番最後の制度でありますので、この間も埼玉高速鉄道は巨額な財政負担そしてそれの返済、これに大変苦しんできたところでございます。

 そこで、四ページにありますように、国交省資料と書いてありますが、これは埼玉県の資料でございますので御訂正をいただきたいんですが、昨年、千二百億の負債を半分に圧縮いたしました。

 どういうふうに圧縮をしたかというと、県とさいたま市初め地元自治体が、金融機関からの借金については、三セク債を財源に肩がわりをするというようなやり方。また、県、市も債務を持っておりますが、これを出資に振りかえて、しかもこの出資を圧縮して、これも肩がわりするというような形で、この長期債務について、鉄道・運輸機構と、また金融機関、県、川口市、さいたま市もリスケということで、鉄道・運輸機構にあっては三十年の返済を五十年にリスケジュールというような形で、結果、右下にありますが、経営再構築後の将来損益の改善ということで、二十七年度、新年度では〇・二億円の経常利益黒字化ということを実現できるといったところまで来ました。

 こういったことを埼玉県、さいたま市などは取り組んでおりますので、やはり昨年来お願いをしておりますが、国にあっても、先ほど大臣からもお話がありました、いよいよまた、ちょうど場所は、さいたま市の要望にありますように、東京オリンピックの会場である埼玉スタジアムも通る場所でもございますので、この高速鉄道七号線の延伸促進について要望があるわけでございますが、こうした埼玉県、さいたま市などの昨年の取り組みについてどのように国交省として評価をされるか、御見解を伺いたいと思います。

北川副大臣 今委員の方からるるお話がありました。地元に対する思いというか、大変感じるものがございまして、また、大臣の方からも埼玉県の位置の重要さ、これからの大宮を中心とした埼玉のあり方、非常に意欲的にお話しいただいたというように思います。

 今お話しの埼玉高速鉄道の延伸ということについてでありますが、これは、平成二十六年から埼玉県とさいたま市が地下鉄七号線の延伸検討会議というものを設置していただいておりまして、需要予測などの調査を今進めていただいておるというように承知をいたしております。

 事業の推進に当たっては、御承知のとおり、需要の予測、それから収支の採算性、あるいはまた費用対効果などについてしっかりと見きわめていただく必要がある、これはもう当然のことだろうというように思います。これらの調査を踏まえて、地元での検討というものをさらに深化していただきたいというように考えております。

武正分科員 あわせて、今御紹介した県の資料ですが、まず、金融機関の借金は県と市が肩がわりをした、三セク債の発行ですね。それから、県と市の借金は、これを出資に振りかえて、しかもその出資金を減資して、これも肩がわりしたということで、六百億近い埼玉高速鉄道の借金を、要は県、市が肩がわりしたわけです。ですから、これは当然、県民、市民の税金をもとにしております。

 もともと、やはりこのP線というのは大変な、六割も自治体がまずは出資をして、お金を出してという、なかなか厳しいフレームの中でのスタートでありましたので、これはもう、こういった枠組みは難しいということになっているわけですので、この県、市の取り組みについての評価を今国交省としてどうお考えかを伺ったわけでございますが、いかがですか。

北川副大臣 埼玉高速鉄道に対する地元のいろいろな努力を御披瀝いただきました。

 同社については、一月の二十九日、経営再構築に係る事業再生のADR手続において、事業再生計画が成立したわけであります。このような中で、沿線自治体などの支援にあわせて、国土交通省においても、機構に対する債務の償還期間を二十年間延長するということといたしました。

 今回の事業再生計画に基づく取り組みは着手されたばかりでありますから、まずは、こうした取り組みが着実に実施され、同社の経営が安定するということに対して期待をいたしておるということでございます。

武正分科員 期待をいただきまして、ありがとうございます。

 そこで、さいたま市の要望、五ページ、六ページにございますが、「都市鉄道等利便増進法における国の補助割合の拡大等を行うこと」ということと、「交通政策審議会における次期答申においても、引き続き、高速鉄道東京七号線の延伸を計画に位置付けること」などが盛り込まれておりますが、特に、五ページでは下から六行目から、「同法における国の補助割合の拡大や許可要件の緩和などを行うことを要望するものである。」と。

 「国の補助割合の拡大」は見てのとおりでありますが、「許可要件の緩和」は、これまで三十年の事業としていたところを、やはり三十年では事業の償還はなかなか難しい、検討会で四十四年かかるんだということが出ておりますので、何とか三十年をもっと延ばせないかということがこの「許可要件の緩和」に含まれているわけなんです。

 これは、国会でも、他の路線でもやはり三十年では難しいので延ばせないかという話もあったやに聞いておりまして、幾つかのこうした路線については、やはり地元自治体の巨額な負担をもとに設計がされておりますので、なかなか三十年での償還というのは難しいといったこともあるんですが、こうした要望について御所見を伺いたいと思います。

北川副大臣 地方公共団体が主体として経営に責任を持つ場合には、状況に応じて四十年以内とすることも認められておるところであります。

 安定的な鉄道経営の観点からは、現在のところ、このスキームを変更することはなかなかちょっと考えにくいということでありますが、いずれにしても、地元関係者において事業計画の検討を深めていただきたい。

 地元の公共団体がどこまで責任を持っていただけるのかというような、四十年にするということについては、これはまさしく例外というか、そういうような状況でありますので、それをそのまま今の時点で適用するということはなかなか考えにくいなというふうに思っております。

武正分科員 三十年を四十年に延ばす前提は、その運営主体、ここでいえば埼玉高速鉄道がその償還ができないとか、あるいは、そうした債務超過などに陥った場合には自治体が損失補償をするというのが条件だというふうに聞いておりますが、既に六百億円ぐらい自治体が肩がわりを今回もしている。さらにまた、これは延伸についての事業認可ですけれども、延伸については、さらに自治体が肩がわりを約束しなければ、三十年を四十年には延ばせないよと。

 まして、検討会では四十四年ということもありますので、なかなか、そこまで過度に自治体に負担を負わせるということが、当初、P線の発想のときには、日本経済も非常に順調な、右肩上がりのときの制度設計だったと思いますが、この二十年間は大変厳しい経済状況の中で、埼玉高速鉄道も必死に経営努力をしてきて、そしてまた、昨年、県、市がこれだけの努力をしているわけですから、やはり何らかのさまざまな検討の余地があるのではないのかなというふうに思うんですね。

 この後幾つか聞きますが、ここでちょっと大臣に、ここまで聞いておられて、また何か御所見があれば伺いたいと思います。

太田国務大臣 私は、いわゆる南北線については地元なものですから、それが延びるということは、今後の埼玉ということを考えると恐らく重要なことだろうと。

 先ほど、あの三・一一、南北線で帰られるという話。実は私、三・一一のときに、党本部にすぐ駆けつけまして、それで、帰ろうと思って、車で行きましたら全く動かなくて、南北線が動いていたものですから、夜十一時半ごろ、神保町に行くまでに党本部から五時間ぐらいかかりまして南北線に乗って、満員でありましたけれども行ったということがあります。

 ここは、単なる採算性ということだけの範疇ですと今の答弁ということになるんですが、首都直下地震というようなことも考えるとなるとどう考えたらいいかということも含めて、さまざまな角度で検討というものは必要かな、こういうふうに思っています。

 今までの論議ということの中では副大臣が答弁したとおりでありますけれども、首都直下地震の話とかそういうことからいってどう考えるかということは、一つ考える要素としては大事な要素かなという感じはしておりまして、これから研究をしたい、このように思います。

武正分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 地元でも、さきおととしに、清水さいたま市長が四十三のプロジェクトを行って五年後の着工を目指すということを既に表明しておりまして、例えば、昨年からは、この延伸予定の東武野田線の岩槻駅と浦和美園を結ぶシャトルバスというものも運行して、需要を喚起するようなこともやっております。また、地元でもいろいろな形で外からお客様を呼ぶような仕掛けをして利用客をふやす、そうした取り組みも、四十三のプロジェクトをやっておりますので、ぜひ御研究、御検討をお願いしたいというふうに思います。

 そこで、先ほどの表でいいますと、一番前、表紙を見ていただきますと、鉄道・運輸機構に対する償還、利払い額というのがございます。二十五年度でも債務残高が四百七十七億九千万円、利払いが七億四千三百万円というふうに書いておりますように、残すところはこの約五百億円の鉄道・運輸機構に対する債務でございます。

 それで、伺いたいんですが、鉄道・運輸機構自身が他のいろいろな民鉄線に同じようにお金を貸していたり出資をして、それを返してもらうということをやっているんですが、やはり金利が高いときのそうした出資や融資もあるものですから、繰り上げ償還というものを認めているという話を伺っているんです。

 繰り上げ償還の実績を幾つか御紹介いただければと思います。

北川副大臣 鉄道・運輸機構の民間鉄道事業において、各事業者から機構への未払い金について、元利償還額を軽減するために、毎年度一定の範囲内で事業者から機構に繰り上げ償還を行うという仕組みを、おっしゃるとおり、設けておるわけでございます。

 その実施に当たっては、毎年度、機構が各鉄道会社に対してその意向を確認の上、実施しているところであります。埼玉高速鉄道に対しましても、これまで、繰り上げ償還実施の意思を確認しております。同社からはその意向が今のところ示されていない、こういうことであります。

 なお、同社については、一月の二十九日、経営再構築に係る事業再生ADR手続において、事業再生計画が成立しました。このような中で、沿線自治体などの支援にあわせて、国土交通省においても、機構に対する債務の償還期間を二十年間延長することといたしました。

 今回の事業再生計画に基づく取り組みは着手されたばかりであることから、まずは、こうした取り組みが着実に実施され、同社の経営が安定化するということに期待をいたしておるところであります。

武正分科員 他の民鉄線の実績などを御紹介いただければと思うんですが、お願いします。

太田国務大臣 繰り上げ償還の実績としまして、東京モノレール、そして関西高速鉄道、東葉高速鉄道、京都市交通局、こうしたところで、二十四年度、二十五年度、二十六年度の実績がございます。

 東京モノレール等では、平成二十六年度、二千七百六十七万円というようなことで、それぞれには数字が出ておりまして、またお届けしたいというふうに思います。

武正分科員 東葉高速は年間二十億ぐらいのあれでしたでしょうか。

太田国務大臣 そのとおりでございます。

武正分科員 ありがとうございます。

 そうした繰り上げ償還なども含めて、ぜひ、特に機構については、より積極的にこの埼玉高速鉄道に対するお取り組みをお願いしたいというふうに思っております。他の鉄道路線がもう既に完成をしている、一方、こちら、地元では延伸といったことも含めての取り組みということでありますので、格段の取り組みをお願いしたいと思います。

 そこで、きょうは総務大臣政務官もお見えでございますが、固定資産税についてでございます。

 市街化区域内のトンネルなどについては固定資産税の免除ということが地下鉄についてあるというふうに伺っているんですが、市街化調整区域を本路線も走るんですけれども、市街化調整区域内でやはり地下鉄に対して毎年固定資産税が課税をされている、こういったことについての御見解を伺えればと思います。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、一般的には、トンネル、これは償却資産として課税されております。

 その中でも、市街化区域内のトンネルは、主として都市計画上の要請から地下トンネルによらざるを得ない、こうした事情、こういう観点から、市街化区域内において直接事業の用に供するトンネルについては非課税というふうにしております。

 一方で、市街化調整区域等その他の区域においては、こういった事情、これが乏しいということから、原則のとおり課税対象というふうになっているものであり、JRその他鉄道事業者が敷設したトンネルについても同様に課税がなされている状況でございます。

 以上です。

武正分科員 この路線が走っているところは、地下鉄ですから地下部分を当然走るわけで、トンネルの部分が市街化調整区域だと課税をする、市街化区域だと課税を免除するといったことがどうも解せなくて、ましてや埼玉の県南部ですから、調整区域もこれから市街化区域への編入が当然期待をされる、そういう意味での公共交通をこれは今整備しているわけですので、何か、やはり経営にとっては、調整区域内のトンネルについて、市街化区域と同様の非課税措置があってもいいのではないかというふうに思うんです。

 ちょうど私が県議会のときに、この地下鉄、埼玉高速鉄道南北線の延伸、ちょうど県議会で県の出資やあるいは予算措置の議論があって、また工事も始まったわけなんですが、やはりトンネル部分の工事ということで、非常に軟弱な地盤も通るということもあって、当初の工事費よりもたしか四百億円ぐらい増額をするといったことも実は巨額な一千五百億もの投資の一つの要因になっております。

 ですから、地下鉄トンネル工事、これは経営にとっては大変な初期投資の要因になっているわけなんですが、それが調整区域だと課税で、市街化区域だと非課税だというのが、やはり地下鉄を引いていくというのは、市街化調整区域から市街化区域への編入、そういったことも想定してのものでありますので、何か工夫ができないのかなと思うんですが、再度御答弁を伺いたいと思います。

あかま大臣政務官 委員おっしゃることについては理解をいたしますが、JRその他鉄道等も同様な措置という中でいけば、根幹にかかわる部分でございますし、固定資産税というもののあり方自体にも影響する部分もございます。

 ただ、一方で、今委員おっしゃるとおり、今後において市街化調整が市街化区域内に編入も想定されるということであれば、またそういったところを見きわめながら考えていかなければならない課題でもあるかもしれませんが、いずれにせよ、現段階においては、課税、非課税の区分はそのようになっております。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

武正分科員 先を急ぎたいと思います。

 続いて、首都高速埼玉新都心線の延伸、それから東西交通大宮ルート構想実現について、これも、いずれも地元の要望が出されておりまして、この点について、それぞれ国交省の御見解を伺いたいと思います。

北川副大臣 首都圏におきましては、圏央道あるいは外環道の間にさいたま市、千葉市などの大都市が存在しております。これらの相互の連絡を強化する観点から、首都圏整備法に基づき決定した首都圏整備計画において、核都市の広域幹線道路の構想が位置づけられているところであります。

 御指摘の首都高速埼玉大宮線と東北自動車道の間の区間につきましては、この構想を踏まえたものと認識しておりますが、首都高速埼玉新都心線の延伸につきましては具体化が図られていない状況にあります。

 さいたま市周辺については、国道十七号を初め、非常に多くの箇所で渋滞が発生しているという現状にあります。昨年七月に、埼玉県中央地域の渋滞ボトルネック対策についてワーキンググループを設置して、渋滞状況の検討に着手したところであります。

 今後、並行する圏央道の開通後の効果を勘案しつつ、埼玉県及びさいたま市などと協力しながら、首都高速埼玉新都心線の延伸の必要性について整理をしてまいりたいというように思っております。

武正分科員 ありがとうございます。

 東西交通大宮ルートも聞いたんですが、あわせて。

北川副大臣 これは、平成十二年にまとめられた運輸政策審議会の答申第十八号においては、大宮―県営サッカースタジアムを結ぶ中量の軌道システム、東西交通大宮ルートの新設について、今後整備について検討する路線として位置づけられております。

 現在、本路線については、さいたま市において、平成二十五年度から沿線状況の現況把握や整備の必要性などに関する調査を行っているところというように聞いております。

 本件につきましては、まず地元において、導入空間や輸送需要、それから事業主体、採算性の確保などについてさらに調査検討を進めていただく必要があるというように考えております。

 以上でございます。

長坂主査代理 質疑時間が経過しておりますので、御協力願います。

武正分科員 はい。

 ありがとうございます。

 やはり、今地元では、首都高が第二産業道路から東北道まで延びて結ばれれば、その側道も含めて、今のLRTの延伸も、さらにその背中を押すだろうという期待が強いものでございます。

 中央環状線も開通をしたばかりでございますので、ぜひ本路線、それぞれ延伸についてもお取り組みをお願いしたいというふうに申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて武正公一君の質疑は終了いたしました。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

上田主査 次に、丸山穂高君。

丸山分科員 維新の党の丸山穂高でございます。

 いよいよ予算委員会も佳境に入ってまいりまして、本日は八時までの長丁場ということで、大臣におかれましても、そして政務の先生方におかれましても、本当にお疲れさまでございます。また、事務方の方も大変だとは思いますけれども、最後の最後で、きょうはもう佳境に入っているということで、最後までよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず第一にお伺いしたいのは、新関空会社、いわゆる関空と伊丹の運営権の売却、コンセッションのお話を最初にお伺いしたいと思います。

 この関西国際空港におけるコンセッションの一次入札を、今般、締め切りを三カ月おくらせる、延期させるという報道も出ましたし、発表もされております。その点で、今、目標として置かれている二十八年一月の事業開始を見越してスケジュールを立てられている中で、かなり窮屈なスケジュールになり始めているところなんですが、まず端的に、国交省さんとして、今、このコンセッションがおくれている現状についてどのように認識されていらっしゃるのか、そして、どのように御対応されるのか、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 新関空会社は、二月十日に関西空港、伊丹空港のコンセッションのスケジュールの変更を発表しました。

 新関空会社は、代表企業候補等から募集要項等につきまして多数の質問を受けて、回答を行っております。その中で、第一次審査書類作成のために新関空会社との直接対話の時間をより多く確保してほしい、直接のやりとり、説明というものをもう少し確保してほしいという声が多数寄せられている、こういうふうに聞いています。

 このために、これまで二月十六日ということを予定しておりました第一次審査書類の提出期限を五月二十二日に変更いたしました。そして、それまでの間、新関空会社と代表企業候補等との直接対話を前倒ししまして、拡大して実施をするということです。順番を決めて対話をするという、その対話を前倒しする。その審査自体を延ばす。単なる延ばしたとは違いまして、そういう中身の変更をさせていただいて、直接対話を前倒しして、拡大して実施するということといたしました。

 この直接対話の実施によりまして、企業のリスク分担などに関する不安や懸念というものを払拭して、最終的には、当初の予定からおくれることなく民間への運営委託が開始されるものというふうに期待をしているところでございます。

丸山分科員 大臣、ありがとうございます。ぜひおくれることなくやっていただきたいんです。

 ちょっと細かい話なので事務方の方のお答えで構わないんですけれども、今回この一次入札の締め切りを三カ月延期するというお話は、恐らく新関空会社の方から話が入ったと思うんですけれども、かなり唐突感もあったのかなという気もするんですが、国交省さんの方に大体どれぐらい前から相談等が入ったという認識でいらっしゃるんでしょうか。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 この代表企業候補等の動向につきましては常に新関空会社が把握をしておりまして、その報告というのも上がってまいりました。そういう意味では、正確には覚えておりませんけれども、かなり前からこのスケジュールの変更に関しての御相談というものがあったというふうに記憶しております。

丸山分科員 対話の時間が欲しいという会社さんの方の要望に応えるというのは非常に大事だと思いますので、そういった意味では、この点は非常に大事なことですので、やっていただいて結構だと思うんです。

 一方で、会社さんの方から、検討されているところからのお話を伺っていると、例えば、一つは、関空自体が負債を一兆円超えて持っているので仕方ないという声もありながらも、一方で、四十五年で二兆二千億の運営権の対価というのはちょっとどうかというお声だとか、経営悪化時の途中契約解除を何とか認めてもらえないかという声もあったりしますよね。このあたりについては国交省さんはどのようにお考えでしょうか。

田村政府参考人 巷間いろいろ言われていることは私どもも承知しております。特に、金額あるいは期間というものについていろいろな御意見があるということも承知しておりますけれども、実は、この金額、期間というものは、かなり長い期間をかけて内外の投資家等の意見を聞きながら決定をしたという経緯がございます。そういう意味では、この基本的な条件というものについては御理解がいただけるものというふうに考えております。

 他方で、後段御質問をいただきました官と民のリスク分担の話といいますか、どういう場合に解除ができるのかといったような問題については、これから直接対話の中でいろいろ御意見も伺いながら柔軟に対応していくというふうに新関空会社からは聞いております。

丸山分科員 一方で、ほかの海外の事例を見ていますと、この途中の解約というのは余りないというふうに伺っているんですが、それは事実でよろしいですか。

田村政府参考人 やはり、公共インフラの案件でございますので、仮に民間側が、経営がちょっと悪くなったからやめたとみずから勝手に解除するということは、世界的にも認められておりません。

 あとは、委託をする側の公的な方と、それから民間の間の協議の中で、解約をする条件のようなものを話し合うということだと思います。

丸山分科員 ぜひ、世界的に見ても、笑われないと言ったら変ですけれども、協議の中できちんとしたものにしていただくようにお願いをしたいと思います。

 大臣からは、おくれがないようにやっていくというお話を伺いましたけれども、一方で、今回これだけ延びると、特に、二次DDの、二次審査が少し窮屈になるんじゃないかなという気もするんです。そのあたりについて、ちょっと御見解を伺いたいんですけれども。

田村政府参考人 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、事前にかなり濃密な意見交換、直接対話というものをやりますので、そういう意味では、この二次審査の期間がある程度短くなっても、全体のスケジュールはおくれないでいけるのではないかというふうに期待をしております。

丸山分科員 よくわかりました。ありがとうございます。

 全体のスケジュールの最終目的地の二十八年一月というのに向けて、ここをおくれないようにするために、今しっかりと協議の時間を確保することで、二次審査の時間が少し短くなろうともいけるんじゃないかという御答弁で、非常にわかりやすく、また大臣も御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。

 これは地元の大事な案件でございまして、特に、関西国際空港が一兆二千億円の負債を抱えていることで、いろいろな経営上の問題が生じておりますので、そういった意味で、ぜひ国交省さんの方も、この目標の、計画の達成に向けて御尽力いただけますようにお願い申し上げます。

 そうしましたら、次の質疑に入らせていただきたいと思うんですけれども、次も航空関係ではあるんですが、スカイマークの経営破綻の問題についてお伺いしていきたいと思います。

 まず、今般、スカイマークの破綻の話が、市場でもニュースでもいろいろなところで出ておりまして、また、二月末に一回支援の募集の締め切りをしているので、そのニュースも幾つか出ているんですけれども、一方で、これに対して国交省さんの認識がどういうふうな形でいらっしゃってというのが、余り市場の方に話がないのかなというのが率直な感想です。

 予算委員会で、大臣がたしか、公的な支援はされないというお話をされたというのを議事録等で拝見しているんですけれども、そういったものも踏まえまして、このスカイマークの経営破綻の問題を国交省さんはどのように捉えられていて、航空行政全体にも大きな影響を与えるところだと思うんですけれども、まずは国交省さんの認識をお伺いしたいと思うんです。

田村政府参考人 スカイマークにつきましては、超大型機エアバスA380の導入など、企業体力を超える大規模投資等によりまして財務状況が大きく圧迫された結果、経営破綻に陥って、本年一月二十八日に東京地裁に民事再生法に基づく手続開始の申し立てを行ったところでございます。今後は、裁判所の監督のもとで、民事再生法に基づく手続を通じて事業の再生が図られることというふうに思います。

 国交省といたしましては、まずは輸送の安全が確保されるように同社を指導監督するとともに、この民事再生手続がスムーズにいくように、その推移を見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。

丸山分科員 事実かどうかお聞きしたいんですけれども、報道ベースで見ていますと、今回の件、スカイマークにANAホールディングスさんも手を挙げられていますけれども、スカイマークへの出資は五年の期限を切って容認する、いずれは出資を引き揚げるように迫っているんじゃないかみたいな報道が、国交省さんがそういうふうな見解だというふうなのが出ていますけれども、このあたりについてはどうなんでしょうか。

田村政府参考人 これまでスカイマークに関しましてはいろいろな報道がございましたけれども、必ずしも正確な報道がなされているとは言いがたい状況もございます。

 今の御質問の件に関しましても、現在こちらの方に申請も出ていない状況でございますから、私どもが何かを判断を下したりしたということは一切ございません。

丸山分科員 申請が来るのは最後の最後でございますので、それまで内々に、先ほどの新関空会社さんのコンセッションの話も、もちろん国交省さんも踏まえた上での協議があって最終的に表に出てくるところがありますので、やはりそういった意味での動向というのは、もちろん企業側も気にされますし、報道にも出てくると思うんですけれども、今の御回答だと、今のところそういったことは全くないということでよろしいんですよね。

田村政府参考人 これまでのところ、そういうことはございません。

 国交省としては、やはり航空会社間の健全な競争環境の確保というのが大事なので、その点を重視して今後の推移を見守りたいと考えております。

丸山分科員 ありがとうございます。しっかりやっていただきたいと思います。

 次に、少し話題はかわってしまうんですけれども、和歌山の海南市のお話をしたいんですけれども、津波に備えた浮上式の津波防波堤を和歌山に今般つくる計画を国交省さんの方でされてこられたと思うんですけれども、この話についてお伺いしたいと思います。

 これも何度かお話は伺っておりまして、いわゆる南海トラフの大地震に備えて、それをどうやってできる限り被害を抑えていくかという観点から、この津波の防波堤をおつくりになるという計画をされていたということです。

 ただ、一方で、これも報道ベースでここは知ったところなんですけれども、今般、内閣府さんの方で被害想定を見直して、震度が通常より上がった、それに対応できるようにこの計画を見直すには、当初の額二百五十億円を見込んでいたものが、七百七十億までかなり膨らむということになることから、少し計画を、白紙撤回とまで言うのかどうかは言い方かもしれませんけれども、やめて、別の方向で、護岸の方のかさ上げに変更するというふうな形になったと聞いております。

 まず、ここに関しまして、現状として、国交省さんの担当者の方から、この点どういう状況なのか、率直にお伺いしたいんです。

大脇政府参考人 委員御指摘の和歌山県海南市における直立浮上式津波防波堤の件でございますけれども、和歌山下津港海岸で整備を計画してございました浮上式防波堤につきましては、御指摘のとおり、平成二十四年八月に内閣府が公表しました南海トラフの巨大地震の地震動等の見直し、これを踏まえて設計外力を再検討いたしました。その結果、周辺地盤の改良などの追加対策が必要ということがわかりました。

 このため、近畿地方整備局におきまして、浮上式防波堤の追加対策のほかに、港内の護岸のかさ上げ案も含めて検討をしてまいりました。その結果、浮上式防波堤に地盤改良などの追加対策を講じるよりも、港内護岸のかさ上げによる対策の方が事業費の増大を抑え、かつ早期に完了できるということがわかりました。

 こうした検討結果を踏まえまして、先月、地元関係者に整備計画の見直しにつきまして御説明を申し上げたところでございます。今後とも、地元関係者の理解を得た上で、和歌山下津港海岸における津波対策に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

丸山分科員 これに関してお伺いしたいんですけれども、まず、これまでにも一応予算がつけられてお金がかかっていると思うんですけれども、これに関して、これまで、白紙撤回されるまでにどれぐらいの予算がかかっているのかというのをお伺いしたいんです。

大脇政府参考人 今、この再検討の見直しに当たって幾らかかったかということの御質問でございましょうか。(丸山分科員「いや、これまでにということです」と呼ぶ)

 これまでに、この浮上式防波堤につきましては、当初の計画では二百五十億円という先生先ほど御指摘をいただいた予算でもって取りかかり始めましたけれども、現状のところは、この一部の護岸のかさ上げまでができておる状況でございます。

 今のところまでかかった費用につきましては、今ちょっと手元にございませんけれども、その計画の範囲内で取りかかり始めたという状況でございました。

丸山分科員 要は、私も、これもお話を聞いたところ、ちょっと細かい数字を忘れてしまったので、再度お伺いしたいんですけれども、わかりますか。

大脇政府参考人 これまで九十億を投資したところでございまして、これは護岸のかさ上げを行ってございます。このことは、先ほど計画を見直したというふうに申し上げましたけれども、この中でも、無駄でなくて、そのまま生かされるという状況でございます。

丸山分科員 九十億というのはせっかく大きなお金でございますので、無駄にならないようにしていただきたいんです。とはいえ、例えば調査費用だとか、億単位かどうかは別にしても、かかった費用があるというのは間違いないところだと思います。

 何を申し上げたいかというのは、別に、これだけお金がかかったじゃないか、しかも計画が甘くて、だめじゃないかということを申し上げたいというよりは、むしろ、今回は、これは英断をされているなというふうに感じております。私も役所におりましたので、もともと立てた計画に対して、それを間違っていたと変更するのが非常に難しい組織だということを重々存じ上げております。そうした中で、特に、こういうふうな形で、ややもすれば批判を受けかねない内容に関して、きちんと、やはりおかしいものはおかしいとして直して、なおかつきちんと御地元にも説明されるという意味では、私は非常に大事な点だと思います。

 どういう形で国交省さんの中での議論をされて最後の決断をされたかどうかというのはわかりませんけれども、こういった点はきちんとやはり見ていただいて、恐らく、これ以外にも、ほかにもあると思いますし、なおかつ、防災の観点はこうなりがちだと思います。つまりは、想定外ということに関して、なりがちだと思います。

 そういった意味で、国交省さん、今回の件だけじゃなくて、我々野党としても、そういう変な形での追及をしたいとは全く思っておりませんので、もっとしっかりとしたものを、現実的なものをつくっていただくという点においては、我々は気をつけて、批判だけの批判にならないようにしたいと思いますので、ぜひこの観点を忘れずにやっていただきたいと思います。ただし、やはり一回訂正されるということは、しっかり検証していただかなければならないので、今回お話をさせていただいたんです。

 なぜ、今回のずれが、どう見ても内閣府の試算が変わったということが大きいとは思うんですけれども、一方で、そもそも、想定外になるということを考えた上でされていなかった、そのときの議論はどうだったのかとか、もっと上になることは全く考えずにされていたのかどうかとかも含めまして、今後、同じようなことが起こりにくいようにしていくということ。そして、変わったからこそ、今回こそ、また変更となれば、住民の皆さんもまたかというお話になってしまいますので、この辺の御説明をきちんとしていただいて執行いただきますようにお願い申し上げます。

 時間もあれですので、最後、もう一つお伺いしたいことに移らせていただきたいと思います。

 先般、一月分の住宅着工動向を国交省さんの方で発表されていると思いますけれども、これに関しまして、私も拝見していて、住宅は残念ながら弱いかな、少しずつ戻ってはいるんですけれども、弱含んでいるなというのを非常に感じます。

 またちょっと詳しい数字をお伺いしますけれども、一月が、私が聞いたところでは、着工数は六万七千七百十三戸で、前年同月比は一三%減になる。これは、去年の場合は消費税が上がる直前だということですので、その需要というのはあるとは思うんですけれども、一方で、前々年の同月と比べても二・三%減っているということで、ちょうど私は財務金融委員会所属でございますので、今、住宅関係の減税の話をしているところなんですけれども、今回、減税、いろいろな措置をやっている中にもかかわらず、消費税の影響が非常に大きくて戻りが弱いというのを常に問題意識を感じているんです。

 まず、この動向に関しての国交省さんの見解と、あと、今後どのように政策的にお考えなのかというところをお伺いしたいと思うんです。

橋本(公)政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅着工戸数は、今委員御指摘のとおり、昨年三月以降、消費税率引き上げによる駆け込みの反動減から、前年同月比で減少が続いておるところでございます。

 一月の着工戸数は、御指摘のとおり約六万八千戸でございまして、前年同月比で一三%減でございます。ただ、前々年は既に消費税の駆け込みが起きておりましたので、比較するのは、消費税率引き上げの影響を受けていない平成二十四年一月と比べて二・六%増ということではないかと考えております。

 特に影響の大きかったのが戸建ての注文住宅、いわゆる持ち家と呼ばれるものでございまして、これにつきましては、残念ながら、平成二十四年と比べても受注減が引き続き続いておるところでございます。

 ただ、住宅着工の先行指標となります展示場への来場者数がここのところ回復をしてきておりまして、少し明るい兆しが見えてきたのではないかというふうに考えております。

 こういう中で、足元の住宅着工を下支えするために、経済対策の一環として、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充、あるいは、補正予算によりまして、住宅金融支援機構によるフラット35Sの金利引き下げ幅の拡大、あるいは、本日から申請を受け付けております省エネ住宅に関するポイント制度の実施等といったことを講じたところでございます。

 今後とも、このような施策を通じまして、住宅市場が元気を取り戻すように取り組んでまいる所存でございます。

丸山分科員 今のお話であれば、前々年も駆け込みが始まっているところだということで、その前と比べると二・六%ほど戻っているという認識で国交省さんはいらっしゃるということですか。

 そうすると、今後の見通しをもう少しお伺いしたいんですけれども、現行は戻ってきているという認識でいらっしゃる。一方で、次、消費税を延期するので、二十九年四月前までに恐らくまた駆け込み需要が生じると思うんですけれども、その先の対策、先ほど税制上のお話をされましたけれども、また同じような波を生じさせないために、それ以外に何か考えられているもの、税制上のもののみですか、お答えください。

橋本(公)政府参考人 まず、今後の見込みでございますが、先ほど申し上げましたとおり、住宅展示場への来場者も少し戻っております。そういう意味では、痛税感が少し和らいできた一方で、実は、消費税の引き上げが先に延びたことで、急いで住宅を買わなくてもいいと思われる方もいて、そこはやはりさまざまな要因があろうかと思っております。

 なお、一〇%に引き上げ時の対策につきましては、現在のところは、先ほど申し上げました住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置、これが、現在は千五百万に戻しまして、来年、千二百万に少し減額されますが、二十九年四月の前後六カ月ずつ合計一年間については、今までの数字からいうと異例でございます三千万の非課税措置枠を用意するということで、特にその部分については税制上の強化をしております。

 今後、現在とっております経済対策、フラット35Sの金利引き下げ、あるいは省エネ住宅ポイント制度等につきましては、当面の対策ということでございますので、また今後の住宅市場を見ながら必要な施策は検討して講じてまいりたいと考えております。

丸山分科員 重ねてお伺いしたいんですけれども、先ほど持ち家の話をされましたけれども、ここが低い理由というのは、国交省さんではどのように原因分析というか、どうお考えでしょうか。

橋本(公)政府参考人 持ち家が低い理由は、やはりマインドの問題が一番大きいと思っております。特に、一生に一度の買い物と言われる高額の買い物で、消費税率が上がるときに、ここで今住宅を買う必要はないのではないかというふうに思われる方がやはり多かったと思います。

 一方で、住宅はそれ以外に貸し家というのがございます。アパートでございます。これにつきましては、ことしの一月から相続税の課税強化がございましたので、これはある意味、課税強化に向けて駆け込みをされたということでございます。逆に言うと、それの反動減が今来ております。これは消費税とは基本的に関係ございません。

 それから、分譲の戸建ての家につきましては、これは売る方が仕様と価格を決められますので、消費税が上がった分は若干仕様を落としたりして調整をされましたので、この部分は着工に余り響いておりません。

 それから、分譲マンションでございますけれども、これは、そもそも売るのが一年先、二年先でございますので、消費税云々とは関係なく、都心なり、いいところに土地が出るかどうかでございまして、これについては、正直言って、消費税とは関係なく着工が乱高下をしておるような状況でございます。

 したがって、やはり消費税がマインドに一番影響した戸建て住宅の部分が足を引っ張られたという状況ではないかと考えております。

丸山分科員 今おっしゃっていただきましたけれども、注文住宅、持ち家がマインドの影響を一番受けるということで、つまり、やはり今の消費税の影響における着工件数というのは鈍いんじゃないかというのを私は強く思っています。

 国交省さんも鈍くないとは思っていない、逆説の逆説で変ですけれども、これでいいと思っているわけではもちろんないと思っていますし、甘い認識であるとまでは申し上げないですけれども、このあたりに注目いただいて、やはり地元でも声を伺っていますと、何かバックアップするような、税制はもちろんなんですけれども、国交省さん、税制以外もないかなというのは常におっしゃっています。

 この点、持ち家のところのマインドの冷え込みの話をきっちり言っていただきましたので、ここをきちんと見ていただいて、バックアップできるような、住宅の着工数というのが一番景気の色が、特に持ち家は出やすいと思いますので、注意して見ていただいてバックアップいただきますようにお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて丸山穂高君の質疑は終了いたしました。

 次に、真島省三君。

真島分科員 日本共産党の真島省三です。

 JR九州が三月十四日のダイヤ改正時から実施します民営化後最大規模の駅の無人化について、質問いたします。

 無人化される三十二の駅は、一日当たり約五万人が乗りおりしております。

 まず、太田大臣にお聞きしますが、鉄道駅の公共性、バリアフリー化の必要性をどのように認識されておられますか。

太田国務大臣 我が国は本格的な高齢社会に入って、誰もが安心、安全ということで暮らせるというユニバーサル社会実現への要請が高まっていると思います。

 そのような中で、高齢者、障害者の自立した日常生活及び社会生活を確保するためには、地域の拠点であり、まちづくりの観点からも重要な施設である鉄道駅のバリアフリー化の推進は重要であると思っておりますし、駅は、従来のように乗りおりするだけでなくて、そこに大きな店ができるというようなことが、非常に人が集まる場所、ある意味ではコンパクトな、そうした拠点でもあるというふうに考えています。

 現在、平成三十二年度までに、一日当たりの利用者数が三千人以上の駅につきまして原則全てバリアフリー化を達成することを目標に、バリアフリー化に向けて取り組んでいるところでありまして、平成二十五年度末現在、段差解消率は八三%ということになっております。

 二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックがあります。パラリンピックということが極めて重要だと考えておりまして、ここで世界に誇るようなバリアフリーという町をつくるということも、駅が一番大事なところだ、このように思っています。

 先ほど障害者と高齢者ということを申し上げましたが、お子さんを抱えている方たち、あるいはベビーカーを持っている方たち、ベビーカーに子供を乗せて一人抱えているというような方たちにとりまして、駅のバリアフリーとかエレベーターということは極めて大事なことで、それぞれ、地方自治体との、また企業との連携のもとで、バリアフリーというのを進めていきたいと強く思っております。

真島分科員 今、鉄道駅のいわゆる公共交通機関の骨格をなすという位置づけを国交省でもされておりますけれども、この鉄道駅の無人化には、私は四つの懸念があると思います。

 第一に安全の問題です。無人化対象駅では、構造上びっくりするような危険な状態が放置され、車両もワンマン運転です。

 筑豊本線東水巻駅で、昨年十一月に、車両からホームにおりるのをちゅうちょしている間にドアに挟まれたという七十八歳の男性にお会いしました。乗り合わせた女子高生たちが総出でドアをあけてくれて助かったそうですが、一歩間違えば命にかかわりました。

 この駅は、ホームがカーブしているため、下り線のホームは段差もすき間もそれぞれ三十センチ以上、上り線のホームでも段差は二十センチぐらいあります。現在は朝七時前後から十九時過ぎまで駅員さんが一人いるんですが、ホームの安全確保まではできません。

 また、無人化対象駅で一番多い、一日当たり四千四百八十四人が乗りおりする香椎線宇美駅は、駅周辺の線路と道路の間にフェンスがなく、駅員さんも無人化で安全が心配だと言っていました。

 沿線住民でつくっているJR香椎線の各駅無人化を考える会の皆さんの、転落事故などにどう対応するのかという問いに対して、JR九州は、転落はどの線区でもあり得ると無責任な回答をしております。

 駅のこんな危険な状態を放置したまま無人化などあり得ない。むしろ、こうした駅では、緊急に複数の駅員を配置する、あるいはワンマン運転を見直すことこそ緊急に求められていると思いますが、ちょっと大臣いなくなりましたけれども、どう考えておられるでしょうか。

藤田政府参考人 駅を無人化した場合においても安全が確保されなきゃならない、これは大前提でございます。

 例えば、列車の出発時には、乗客が乗降扉に挟まった状態等になっていないか確認する必要がございます。御指摘のワンマン運転の場合は、ホームミラーあるいはモニター装置などを設置することによりまして、運転士が乗客の乗降状態を確認するといったことになっております。

 こうした措置を徹底しまして、安全の確保を図ってまいりたいと考えております。

真島分科員 運転士さんが確認していなくて挟まれたんですね。その方がJRに抗議しますと、挟まれたのはあなたの責任だというふうにJRは言ったんです。

 第二に、バリアフリー化に逆行します。

 無人化対象駅には、バリアフリー化が義務づけられる一日当たりの平均利用者数、先ほどおっしゃった三千人以上の駅が三つもあります。

 その一つ、香椎線の和白駅は、改札からホームに行くのに階段があります。駅員の方に話を聞きますと、車椅子のお客さんがいて、家族の方と一緒にいつも持ち上げるそうです。筑豊本線の浦田駅も、ホームに行くのに階段しかありません。日田彦山線の添田駅では、駅舎とホームの間が百メートル離れていて、踏切を渡らなければいけません。しかも、ホームに上がるのにスロープがありますけれども、かなり急で、車椅子の方には本当に大変です。

 無人化駅は、前日二十時までに指定駅に予約をしないと介助が受けられないということになるんですね。駅の無人化は、このように、障害者など介助が必要な人が利用したいときに自由に利用できないという新たなバリアをつくることになる。

 太田大臣にお聞きしますが、こんなバリアフリーに逆行すること、いいんでしょうか。また、国として、無人化する前にバリアフリー化を急ぐようにJR九州と市町村に働きかけるべきだと思いますが、どうでしょうか。太田大臣に。

藤田政府参考人 JR九州におきましては、これまでも、無人化された駅につきましては、車椅子利用者等につきまして、乗降に際して駅員の介助が必要な場合は、前日までに御連絡をいただいた上で必要な駅員を確保するといった対応を原則としております。

 ただ、急遽当日の御利用の方がいらっしゃって連絡を受けた場合には、できる限りその場合も対応するという方針をとっているものと承知しております。

 今後も、できる限り柔軟な対応をとって、高齢者、障害者の方々が移動可能な環境が提供されることが重要であると考えております。

 それから、バリアフリー化設備、施設の件でございますけれども、まずは御利用の人数の多い駅から優先的に施設整備をするということを方針として、現在取り組みを進めておるところでございます。

 それ以外の駅につきましては、有人無人を問わず、車椅子利用者の方々等につきましては、駅員の介助が必要な方は駅員を確保して対応するということを基本としております。

 そういった、いわばソフト面の対応も含めて、移動可能な環境が提供されるということが重要なことであると考えております。

真島分科員 無人化対象駅では、今申し上げたように、バリアフリー化できていない駅がたくさんあります。車両もほとんどがワンマン運転で、そういう駅では、人がいることこそ唯一のバリアフリーなんですよ。そういう立場で対応してほしいと思います。

 第三に、明らかに利便性が損なわれます。

 無人化しますと、新幹線や特急の切符、百キロを超える切符、定期券を買えません。我が党が行いました利用者アンケートには、よその駅まで自己負担で買いに行けというのかという怒りの声が寄せられております。

 JR九州が無人化対象駅のある各自治体に出した文書を見ますと、切符の販売、改札、駅舎清掃等、一部の駅業務について、弊社との業務委託契約締結を御検討くださいと書いてあります。つまり、本来こうした駅業務が必要だと認めながら無人化しようとしているわけですね。

 十二駅を無人化する香椎線では、人口が増加している福岡都市圏の東側のベッドタウンを南北に走っているんですけれども、JR九州は、無人化駅にインターホンを設置して遠隔で専属のオペレーターが対応する、遠隔管理システムを導入すると言っております。

 このシステムには、一日当たり二万八千四百五十人の乗降客がこの香椎線の無人化駅であるんですけれども、これにオペレーターが遠隔で対応できるのか、無人化に伴う点字案内や点字ブロックは整備されているのか、インターホンを使えない聴覚障害者はどうするのか。安全対策として列車接近を知らせる放送装置を導入すると言っているんですが、聴覚障害者の人は大丈夫なのか。必要に応じてサポートスタッフが数分で駆けつけると言っているんですけれども、わずか三人しかいないスタッフでそれができるのか。多くの懸念がございます。

 駅の無人化は明らかに利便性を後退させると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 駅の無人化に当たりましては、できる限りサービスの水準を確保しながら無人化を進めるということが大事であるというふうに思っております。

 JR九州におきましては、今般の無人化に際しまして、あらかじめ利用者の方々に周知あるいは御利用の方法を案内すると同時に、営業体制の変更について駅頭掲示等で周知を行っております。

 また、今御指摘のございましたように、自動券売機、あるいは遠隔放送装置、列車接近装置、防犯カメラ等を設置するとともに、障害者の方々には駅員をなるべく確保するといったことで、できる限りサービス水準を確保していくという方針であるというふうに理解をしております。

 こういった対応を通じまして、サービス水準の確保のために、国交省としても適切な指導をしてまいりたいと考えております。

真島分科員 サービス水準をできる限り確保していくとおっしゃったということは、サービス水準が後退するというふうに認められていることだと思います。

 JR九州は、遠隔管理システムは始発から終電まで対応できるのでサービス向上につながると言っているんですが、もともとの無人駅ならそうでしょうけれども、利用者が多い時間帯を新たに無人化してサービス向上になるとは誰も思いませんよ。

 四番目に、駅周辺住民や利用者は、犯罪などがふえるのではと治安面を心配しています。

 これまで無人化された駅舎では、人の目を逃れやすく、落書きやごみの散乱で構内が不衛生になり、最終的に、駅舎もトイレもなくなって、ホームだけになってしまったところがたくさんあります。

 筑豊本線の無人化対象駅で我が党の市会議員が行ったアンケートでは、高校生や学生から、明かりも人通りも少なく、駅員さんがいなくなると夜は怖いという声が寄せられております。

 香椎線の宇美駅の駐輪場の管理人の方に聞きましたら、駅周辺には夜中にたむろしている者もいる、駅員がいるかいないかで随分違うとおっしゃっていました。

 私の地元のことで、大変不名誉なことですけれども、福岡県の犯罪発生率は全国三位で、無人化対象駅がある九自治体のうち六自治体が県の平均の犯罪発生率を上回っています。

 防犯カメラをつけるとか言っていますけれども、窃盗を減らす効果は認められておりますけれども、衝動的な暴力犯罪の予防効果はいまだに明らかになっておりません。二十四時間出入りできる駅を無人化して監視カメラを設置しても、人の存在と目を超えるほどの犯罪の抑止力はありません。

 〇三年の防犯まちづくり関係省庁協議会の取りまとめというのがありますけれども、その中で、公共施設等の整備や管理等のハード面の取り組みを推進する防犯まちづくり推進の基本的な手法の第一に何を挙げておられますか。

伊藤政府参考人 防犯まちづくり関係省庁協議会は、御指摘のとおり、平成十五年に、当時の内閣官房都市再生本部事務局、それから警察庁、文部科学省、国土交通省の四者で組織された協議会で、その中で、防犯まちづくりについての基本的な考え方などについて小冊子にまとめさせていただいております。

 その中では、基本的な手法として、人の目の確保、それから犯罪企図者の接近の防止、地域の共同意識の向上、こういったことを挙げておりまして、このうち、人の目の確保につきましては、「多くの「人の目」を自然な形で確保し、犯罪企図者に「犯罪行為を行えば、第三者に目撃されるかもしれない」と感じさせることにより犯罪抑止を図る。」ということを記載しております。

真島分科員 人の目の確保というのがやはり犯罪抑止にとって大事だということで、そういう方向で地方でもいろいろな努力がされております。

 福岡県警が出している「防犯に配意したまちづくり 環境設計に基づく防犯対策」というパンフレットの中にも、「管理の行き届いていない空き地や老朽化して長期間放置された空き家は、犯行の場になる場合がある。」と指摘して、同県警のホームページでは、企業の防犯CSR活動として、事業所に「子ども・女性の一一〇番の店」のステッカーを掲げ、子供や女性が不審者等からの被害に遭いそうになった際の避難場所づくりの活動を紹介しております。

 実は、JR九州もその活動の推進企業、団体に名を連ねておりまして、有人駅には「こども一一〇番の駅」というステッカーを張っております。ところが、駅を無人化すれば、この子供や女性の避難場所が犯罪発生のホットスポットになってしまいます。

 以上のように、駅の無人化は、安全、バリアフリー、利便性、治安の面で重大な懸念があり、地元の自治体だけではなく、住民、全ての利用者にとって重大な問題です。

 鉄道駅は、公共交通機関の骨格、国民生活にとって大変重要な社会基盤。その無人化に当たっては、関係自治体、JR九州、住民、利用者がよく協議して進めるべきだし、それを国が促進すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 御指摘のとおり、鉄道駅の公共性を踏まえますと、無人化を進める際には、鉄道事業者におきまして、地元自治体等の関係者と協議を行いながら理解を得るとともに、例えば観光案内所や公共施設への転用といった活用策についても関係者とともに考えていくことが重要であると考えております。

 国土交通省といたしましても、そのような協議が丁寧に行われるように、鉄道事業者を指導してまいりたいと考えております。

真島分科員 なかなか大臣に答えていただけないんですけれども。

 福岡市で最大の行政区、人口三十万を超える同市東区で無人化されます六駅、この一日当たりの乗降者数は一万六千三百十二人です。この数というのは、東区の区役所の繁忙期の来庁者数の二・三倍、通常期の来庁者数の約四倍です。粕屋町で無人化される二つの駅があります。この一日当たりの乗降者数は二千六百二十人で、町役場の来庁者数の十倍なんですね。須恵町で無人化される三つの駅の一日当たりの乗降者数は五千三十四人で、人口の約一九%です。宇美町で無人化される宇美駅の一日当たりの乗降者数四千四百八十四人は、人口の約一二%です。このように、それぞれの駅というのは、その地域では屈指の公共施設です。

 ところが、先ほどちゃんと協議しなきゃいけないとおっしゃいましたけれども、JR九州とそういう関係者間できちんと協議が行われているんでしょうか。どのような協議が行われているんでしょうか。

藤田政府参考人 今般の無人化に際しましては、昨年の夏から、JR九州におきまして、無人化対象駅のある地元自治体等への事前の説明を行い、無人化への理解を求めたほか、今後の対応についても協議を進めてきたというふうに承知をしております。

 協議の中で、例えば観光案内所や公共施設といった施設としての活用についても検討された事例もあり、また、現実に、自治体が乗車券の販売を受託するということで無人化を回避するに至った事例もあったものと承知しております。

 駅のあり方を含めて、関係者とともに考え、協議を進めてきたものと承知しております。

真島分科員 JR九州は、協議どころか、周知徹底や説明責任さえ果たしておりません。

 JR九州が昨年九月一日に北九州市に出した駅営業体制の変更についてという文書があります。その中には、駅営業体制を変更いたします、駅係員が常駐しなくなります、こういう一方的な内容なんですね。そういう文書を受け取った自治体はどこでも、それは調整ではなくて一方的な通知だというふうに受けとめていると自治体の市町村の皆さんはおっしゃいました。

 福岡県内だけで、無人化される三十二の駅のうち、二十駅があるんですが、その一日当たりの乗降人員は三万五千五百九十人です。筑豊本線は、六駅が無人化して、二十三駅中十一駅が無人になります。日田彦山線は、二つの駅が無人化して、二十二の駅のうち十五が無人になります。香椎線は、十二の駅が無人化して、十六の駅中十四駅が無人になります。

 県民全体が、JRを使って日常的に市町村を越えて移動しているわけです。ところが、JR九州は、二月になっても福岡県にさえこれを全く伝えておりませんでした、どの駅を無人化するか。そして、三月十四日から無人にする駅名を公表したのは一週間前の今月六日ですよ。

 JR九州は、昨年の八月二十六日に、香椎線の十二の駅を無人化するということを福岡市に伝えています。そのときに、福岡市から、実施の前には地域住民にサービス内容を十分に説明してくださいと求められているんです。ところが、福岡市東区の自治協議会に説明したのは、その半年後の二月二十三日ですよ。しかも、説明時間はたったの五分ですよ。

 また、同社は、十二月にプレス発表した、二月二日に駅にポスターを張った、二月十四日からチラシを各駅に置きましたと言っておりますけれども、余りにも遅過ぎます。実際に駅に行ってみますと、ポスターは張っていないんですよ。

 そして、きょうお配りしております資料の3と4、これが駅に置いてあるチラシなんですけれども、このチラシの中には駅が無人になりますと一言も書いていないんです。JR九州は、香椎線の各駅無人化を考える会、沿線住民の皆さんにそのことを指摘されて何と答えたか。無用に不安をあおる表現はしたくないからだと、驚くべき回答をしています。

 協議もしない、周知徹底もまともにしないで駅の無人化を進めているJR九州に対して、国交省として適切な指導をすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 地域と丁寧に協議を進めながら対応していくということは大変重要なことであると思いますので、そういった方向で今後とも指導してまいりたいと思います。

真島分科員 今言ったような対応をしているわけですから、きちっと指導していただきたいと思います。

 昨年の七月一日から、糸島市の筑肥線福吉駅と一貴山駅が無人化されました。昨年の十一月上旬に、障害一級でシニアカーを使っている七十一歳の男性が、糸島市の隣の福岡市内から電車に乗って、福吉駅の無人化を知らずにおりたんですね。そうしたら、いつも使っていたスロープに鍵がかかっていた。仕方がなくて、警察に電話したんです。警察官が来て、若い男性と一緒にシニアカーを抱えて階段を上がろうとしたけれども、重くて抱え切れない。諦めてホームにシニアカーを置いたまま用事を済ませて駅に戻ってきたら、JRがシニアカーを別の場所に移動していて、ヒッチハイクで帰ったというふうに話を聞きました。

 JR九州は、先ほども言いましたように、車椅子の利用のお客様には前日の二十時までに予約をしてほしいとネットでお知らせしておりますので問題ないと言っているんですけれども、本当にこんなことで周知徹底と言えるでしょうか。鉄道駅は、駅がある市町村の住民だけが利用するわけじゃありません。全国民の移動の足であり、無人化の実施までに本当に広く周知徹底すべきだと思います。

 分割・民営化で切り捨てられたローカル線を第三セクターとして維持するために、福岡県と沿線十五市町村が投じた公費の総額は、平成筑豊鉄道と甘木鉄道を合わせて約三十五億円。また、九州各県と市町村は、ローカル線沿線の連絡会をつくって、利用促進と沿線地域の活性化のために努力しております。また、在来線の駅の建設、改築費用、九州新幹線の建設費用も大きな負担をしてまいりました。

 JR九州は、駅や線路の固定資産税や都市計画税の減免措置を年間約六十億円受けております。自治体の中には、これだけ赤字のJR九州を支えてきたのに、今回の無人化での同社の姿勢は余りにも一方的だと不満が渦巻いております。

 今後の駅のあり方について、関係自治体や住民、利用者としっかり協議するようにJR九州に促すべきではありませんか。大臣。

太田国務大臣 お話を聞いておりまして、具体的なその辺のことについて私は十分各駅を承知しておりませんので、答弁をいたしませんでしたが、私の地元でも、これは二十万人ぐらい乗る駅なんですが、JR東なんですけれども、こちらの改札はあるが、こちらは閉めるとか、いろいろなそういうことで、経営ということの上から判断をしているというようなこともあります。

 今お話のあったようなところは全く無人になるというところの御指摘だと思いますが、また時間帯によっては、朝と夕方、少ないときに無人にするとか、いろいろなことはあろうかと思いますが、いずれにしても、大事なのは、安全ということが大事であるし、そして、それを利用する方が困るというようなことがあってはならないというふうに思いますので、よく調べさせていただいて整理をさせていただきたいというふうに思っています。

真島分科員 ぜひ調べて適切な指導をしていただきたいと思います。

 粕屋町の因清範町長は、二月議会の所信表明で、香椎線の駅の無人化については、乗客の安全性や周辺地域の防犯の見地から関係町で協力し、撤廃の要望を行ってまいりますと言われています。

 JR九州篠栗線・筑豊本線整備連絡協議会が二月六日にJR九州宛てに提出した要望書では、過度の採算性重視や経営効率化により、地域の貴重な交通手段であるJR九州篠栗線、筑豊本線の複線化やバリアフリー対策等について、いまだに実現できていないとして、公共性の高いJR九州篠栗線、筑豊本線は地域にとって貴重な交通手段であり、採算性を重視する余り、単に輸送需要が低いという理由のみで安易に路線の無人化等を推進することは絶対に行わないことと要望しております。

 この連絡協議会には、沿線十一自治体の首長、議長、商工会議所、商工会の会長、会頭が名を連ねております。顧問は福岡県知事です。ここには、麻生大臣の弟さんである九州・山口経済連合会会長麻生泰さんも、飯塚商工会議所会頭として名を連ねております。

 大臣にもう一度お聞きします。

 こうした地方の声を踏まえ、今後の駅のあり方について、JR、市町村、住民、利用者が真摯に協議をすべきだという認識をお持ちでしょうか。

太田国務大臣 地元との連携、また説明というのは、私は当然必要なことだと思っておりますので、取り組みができるように後押しをしたいというふうに思います。

真島分科員 今いろいろ申し上げましたけれども、本当に事故が起こってからでは遅いんです。

 先ほども質問の中で言いましたけれども、国土交通省鉄道局が出しております「鉄道駅のバリアフリー化の推進」という冊子があります。この表のページのど真ん中に一番大きく書いてあるのは、「バリアフリー化の円滑な推進のためには、「国」「地方公共団体」「鉄道事業者」による三位一体の取り組みが必要不可欠です。」と書いております。

 私は、JR九州に対して、駅の無人化を一旦とめて、地方自治体や住民、利用者との真摯な協議を実行するように促すことこそ国の責任だと思います。

 そして、今見てきましたように、JR九州は、上場や完全民営化のために利益を最優先にして、一方的に安全性、利便性、公共性を投げ捨てております。

 分割・民営化から四半世紀たちました。JR北海道、JR四国、JR九州、JR貨物は、経営安定基金からの運用収益で辛うじて経営を維持しているというのが実情です。完全民営化ではなく、分割を見直すしか国民の足を守ることはできないということを強く指摘しまして、私の質問を終わります。

上田主査 これにて真島省三君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木分科員 民主党の玉木雄一郎です。きょうはよろしくお願いいたします。

 まず、毎年質問させていただいております、地元の坂出北インターチェンジのフルインターチェンジ化について伺いたいと思います。

 機構法、法律の改正によりまして、いわゆるスマートインターチェンジの予算をインターチェンジのフルインター化にも活用できるようになったというふうに理解しておりますけれども、それは正しい理解なのか、また、その場合に、地元負担なくランプの内側については整備ができるという理解でいいのか、この点、まず事実関係を教えていただけますか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の法改正によりまして、道路予算によるスマートインターチェンジの補助制度が創設されました。既存のハーフインターチェンジのフルインター化に当たっては、スマートインターチェンジ制度を活用していただくことも可能であると考えております。

 なお、この制度におきましては、アクセス道路を除き、基本的に地方の負担はないということで整備することが可能でございます。

 以上です。

玉木分科員 ありがとうございます。

 これは太田大臣とも何度も法改正の前からやりとりをさせていただいて、要望申し上げておったんですけれども、こういったことができる方向で法改正していただいたことは、改めて感謝を申し上げたいと思っております。

 毎年大臣にもお願いしてきた一方で、地元の市、県、商工会議所といった民間団体での協議がまだ最終的に整っていないということは、これは要望させていただいた中で非常に申しわけないなと思っておるんですが、そのことについては、再度、地元調整が進むように、県や市や商工会議所などにも働きかけを続けていきたいと思いますけれども、こういったことが整えば、今説明があったように、このスマートインターチェンジの予算を使って坂出北インターチェンジのフル化をぜひ進めたいと思っていますので、ぜひ、大臣としても国としても、後押し、応援をいただきたいなと思いますので、その点、大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 玉木先生にお会いするたびに、この件について進んでいるかなということをずっと心配もし、地方整備局にも、また知事にお会いしたときにも、私はそういう話をこちらの方からさせていただいている経過がございます。

 ことしの二月二十三日に、坂出市、香川県そして国、整備局で今後の進め方について打ち合わせが行われた、こう聞いております。地元において検討がいよいよ本格的に始まったというふうに承知をしています。

 そこでは、坂出市が具体的な設計等を行い、香川県、国と調整する形で検討を進めていく方針と聞いています。その検討を踏まえて、国交省としましては、引き続き必要な協力を行っていきたい、応援は惜しまないということを申し上げたいと思っています。

玉木分科員 大臣、ありがとうございます。

 私も財務省出身なんですが、要求なければ査定なしという言葉があって、求めないと出てこないんですけれども、求める前から大臣から知事にもお話をいただいたというのは大変感謝をいたしておりますし、そういったことに我々も地元として応えていかなければいけないなと改めて思いましたので、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 続きまして、これもあわせて地元の案件でございますが、JR四国への支援策についてであります。

 これは、我々が与党だった時代に、経営安定基金の積み増しであるとか設備投資の資金、特定業務勘定からこういった支援をした経緯があるんですけれども、先般、二月二十六日に、たしか日本経済新聞だったと思いますが、JR四国に追加支援策、安全対策として二百億円講じるということが報道されておって、かなり詳細な記事だったもので、こういった新たな二百億円の支援をJR四国にする用意があるのかないのか、まず事実関係を教えていただけますか。

藤田政府参考人 御指摘のとおり、JR四国の安全対策につきましては、平成二十三年度から鉄道・運輸機構の特例業務勘定を通じまして設備投資支援等を行っておるところでございます。

 鉄道の安全をめぐりましては、一昨年以来、JR北海道におきましてさまざまな問題が明らかになりまして、昨年の一月にはJR北海道に対して事業改善命令、監督命令を出した、こういったことになってございます。

 こういったことを受けまして、現在、JR四国におきましては、改めて全般的な安全対策の見直しを行いまして、安全のために必要な投資について社内で検討を行っている、こういう段階でございます。

 国土交通省といたしましては、JR四国からその検討結果の報告を受けた後に、その内容を精査の上、支援の必要性、あるいは支援を行う場合の範囲、方法等について検討を行いたいと考えております。

 したがって、現段階ではまだJR四国から報告を受けておりませんので、支援を行うかどうかについて申し上げられる段階にはございません。

玉木分科員 今現在の段階では、二百億の支援ということは決まっていないということですね。

 では、逆に言うと、何か決まって出れば、そういった二百億ぐらいの規模の支援の余地はあるということでよろしいのでしょうか。

藤田政府参考人 あくまでも、JR四国の検討結果を踏まえまして、それを私どもで精査をして、その必要性をきちんと確認した上で、その内容あるいは範囲、額等について検討してまいりたいと考えております。

玉木分科員 ありがとうございます。

 JR四国としても、いろいろ安全対策、あるいは老朽化した車両、レール、そういったものをかえていくというようなことは引き続きやっていく必要があると思うので、もしそういうことが出てくれば、これも前向きに御検討いただければなと思います。

 その上で、私はJR四国の財務諸表なんかもよく見るんですけれども、結局、経営安定基金からの運用益が結構予想より出て、最近株価がいいわけですから、そこで随分助けられているなというのは財務諸表上もうかがえるんですけれども、やはり鉄道会社なので、本来の旅客収入が安定的にふえていかないとだめだなというふうに私は思うんですね。ただ、四国の島内も随分人口減少が、これはこれからだんだん激しくなっていくので、その意味では、外から引き込んでこないと安定的な旅客収入は得られないというふうに思います。

 その意味で、今までの守りの姿勢から少し攻めの姿勢にJR四国も変わっていかなければいけないという中で、これは一つ質問と提案なんですが、今、実は、瀬戸大橋がありますね、大臣も通られたと思いますけれども、あれは陸上と鉄道がともに併用できる世界的にも珍しい橋なんですけれども、JR四国の中では、あそこを通っている瀬戸大橋線というのがいわゆるドル箱路線で、あそこの稼ぎが非常にいいわけですね。ですから、これからJR四国の収益が安定するためには、瀬戸大橋線をもっと活用してもらうような仕掛けが必要だと思います。

 その意味では、瀬戸大橋の根元、四国側の根元である宇多津町という小さな町があるんですが、そこに今、四国最大級の水族館をつくって、四国島内はもちろん関西方面からもお客さんが来て、瀬戸大橋線を使っていただいて旅客収入をふやしていくというのは、JR四国にとっても非常に大事だと思っているんです。

 今、民間の地元の企業やあるいは金融機関が協力をして、こういった仕組み、ストラクチャーを組んでいる最中なんですけれども、ぜひJR四国も、これは自分たちの収益にも非常にプラスになると思うので、出資者の一人としてこういった事業に積極的に参画していく、具体的に言うと数億円出資をするというようなことも、これから私はJR四国の攻めの戦略の一つとして重要だと思うんですね。

 ただ、こういうまちづくりに関するような事業に対して、国からいろいろな支援をいただいているJR四国がそういう出資が法的に可能なのかどうなのか。この点については、多分JR四国さんも鉄道局や国の顔を見ながらでしかできないと思うんですけれども、まずこの点、法的に可能かどうか、この点について教えていただけますか。

藤田政府参考人 JR四国につきましては、いわゆるJR会社法に基づきまして国土交通大臣が監督をしております。

 JR四国が他の事業に出資を行う場合、特に個別に例えば認可を求めるといったことは制度的にございませんけれども、JR四国による適切かつ健全な鉄道事業の経営を確保するという観点から、必要な指導監督を行うこととしております。

玉木分科員 ありがとうございます。

 ちょっと整理しますと、できますね。国の認可とか、箸の上げおろしみたいな感じですけれども、ここに出資するとかしないとかということを、きちんとした、経営の安定にしっかり資するというような、しっかりとした基盤というか計算ができていれば、特段それは国として問題とするものではないという理解でよろしいですね。

藤田政府参考人 法律上、例えば禁止されているとか、そういったことではまずございません。

 その上で、経営に与える影響あるいは適切性等を判断しながら、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

玉木分科員 その必要な指導というのがちょっとよくわからないんですけれども、基本的には、認可制になっているのではなくて、JR四国さんの判断でできるということでよろしいですね。

藤田政府参考人 まずはJR四国が経営の判断をすべき事柄だと思いますけれども、その判断につきまして、例えば必要な安全投資を損なうことがないかとかあるいは事業経営を損なうことがないかといった観点から、私ども必要なチェックはしてまいりたいと思っております。

玉木分科員 大臣、こう言われると、やはり多少なりとも予算とか税制で支援を受けている事業会社としてのJR、びびるんですよね。

 私は、これは別に悪いことをしろと言っているんじゃなくて、やはり旅客収入をふやすための事業をまちづくりの一環としてやろうとして、もちろんこれは銀行とかいろいろ出資する人もいますから、マーケットの目で、ちゃんと残るものしか多分お金を出さないと思いますから、そういうものに一環としてJRも、やはり地方のある種公共的な会社としてJR四国さんが少しでも出資に協力してくれれば、その事業自体の信頼性もすごく高まると思いますし、まちづくりに具体的にJR四国も関与していくというのは、まさに今安倍政権も掲げている地方創生の観点からも非常に意味があると思うんですね。

 ですから、何かちょっと水をかけるような感じの局長のあれでしたけれども、そこは大臣、ぜひ、むしろ応援してあげてほしいんですよね。要するに、変なことにならないようにもちろんちゃんとチェックはする前提で、指導するといったら、何か学校の先生が出てきて、あれはだめ、これはだめみたいな感じになるんですけれども、基本的には、こういうまちづくり、そして旅客収入が安定的にふえるというような事業についてはJR四国の自主性を認めて、こういったことはやはり可能だというふうに背中を押してあげたらどうかなと思うんですが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 正確に鉄道局長が答弁をしたんだと思います。

 要するに、一般論で言いますと、さっき、鉄道の車両とかレールとか枕木がどうだとか、そうしたことに力を注ぎなさいよということが全て基本なんですが、必要な安全投資に支障がないかということも当然あるわけですが、鉄道事業経営の健全性を損なわないかどうかということが、指導監督という場合の判断基準のもう一つの大きな柱だと思います。

 その意味では、あくまでこれはJR四国が出資ということについては判断すべき事柄ですが、我々が見るところは、必要な安全への投資なのか、また鉄道事業経営の健全性を損なうことがないかという角度で私たちは見させていただくということは、これはある意味では当然のことではないかと思いますが、何をもって見る基準、指導監督の基準かというと、そういうことです。そういうことを私たちはさせていただきますが、JR四国が判断すべき問題だ、このように思います。

玉木分科員 もちろん、鉄道事業会社なので安全性というのは最優先されるべきものだと思いますし、それに対する投資をしっかり確保する。その意味でも、これまでもさまざまな支援策が講じられてきたんだと思いますから、私も、逆に言うと、そういったことが確保された中においては、それで旅客収入をふやすような積極的な投資というのはしっかりと認めていくべきだと思いますし、今の大臣のお答えはそういった趣旨だと私は理解しましたので、ぜひそこは、やはり攻めの戦略も必要だと思いますので、しっかりとした安全対策を講じながら次への投資をやっていく、余力の中からそういったことをしていくということも、ぜひ応援をいただきたいなというふうに思っております。

 逆に、では安全性がしっかり確保されれば、それで余力があれば、その分については投資をするというのは特に問題ない、逆に言えばそういうことでよろしいですよね。大臣、もう一度。

太田国務大臣 逆に言えばというよりも、鉄道経営ということにプラスをもたらすということについてはいいことだと。しかし、何から何までそうじゃないかということで、ばくちみたいな形でやるのは、これはチェックしますよということです。よく、地域全体が盛り上がるということ、そして、鉄道会社がそれによって、それを推進する側でもあるし、また恩恵を受ける側でもあるといういいプラン、まだプランの段階だと思いますので、いいプランをつくっていただければな、このように思っているところです。

玉木分科員 いいプランをつくれるように私もいろいろな形で応援したいと思うんですが、そういったときにはぜひ前向きに見ていただきたいなと思っております。よろしくお願いいたしたいと思います。

 もう一つ、JR四国に関係しますけれども、これも去年質問させていただきました四国新幹線。

 間もなく北陸新幹線の開業ということなんですが、四国は新幹線の空白地帯なんですね。整備新幹線スキームが唯一ないということで、なかなか寂しいなと従来思ってきたんですけれども、基本計画に今とどまっているという理解なんですけれども、これを整備計画に拡充すべきではないかという声が四国の中では従来からあるわけですね。

 国としても、調査費を計上して、こういったことを、やはり空白地帯をなくそうということで、四国にも少し目を向けていただけないかなと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

藤田政府参考人 四国新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、昭和四十八年に基本計画決定された路線の一つでございます。

 この四国新幹線につきましては、この法律の五条の調査指示に基づきまして、昭和四十九年度から平成十九年度まで調査を実施しておりました。ただ、当面早期に着工の見込みがなく、直ちに調査を進める必要性が薄いということから、平成二十年度に調査を中断することとしたところであります。

 中断した平成二十年度以降、このような状況に変化はないというふうに認識しておりまして、現在のところ、再開すべき状況にないものと認識しております。

玉木分科員 去年も大変厳しいお答えをいただいたことを明確に覚えておりますけれども、実はあのときから少し、一つだけ状況が変わっていることがありまして、私が質問した直後だったと思うんですが、去年の四月に四国の鉄道高速化検討準備会というところの調査結果が出まして、三つぐらいのケースを調査したんですけれども、ケース三というある一つのケースでは、BバイC、いわゆる費用対効果の分析において一を超えるケースもあったというふうに報告が出ております。

 こういう報告が出たので、箸にも棒にもかからないということではなくて、ある調査によれば費用対便益の効果が一を超えるということになりましたので、この点について改めてそういった出た調査も少し分析をしていただいて、調査費をすぐに計上することは難しいかもしれませんけれども、既に出た検討準備会での分析を分析していただくということぐらいは少しやっていただけませんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

藤田政府参考人 全国新幹線鉄道整備法に基づきます基本計画、これは、全国的な鉄道ネットワークを形成する、こういう観点から基本計画路線が定められております。

 四国に関しましては、大阪市を起点として徳島市付近、高松市付近、松山市付近を経過して大分市に至る四国新幹線、それから岡山市を起点として高知市に至る四国横断新幹線、これが定められております。

 四国の方、今御指摘のございました鉄道高速化検討準備会の調査結果について、私ども詳細な説明は今のところ伺っておりませんけれども、基本計画を前提にしまして、全国的な高速鉄道ネットワークをどのようにつくるかという観点から検討されることが必要であると考えております。

玉木分科員 局長、ぜひ一度、四国から説明に参りますので、説明ぐらい聞いていただければ。

 大分とか和歌山までトンネルを掘ってつなげるというのが当初のあれだったんですが、さすがにそういうところまでするとBバイCが合わなくなるので、四国島内でやるのと、あとは、岡山から高知の縦の線を結ぶというような十字になっているようなケースだと、ケース三だったと思いますが、BバイCが何とか一を超えるという計算になっているので、その計算の前提とかも含めて厳しくチェックをしていただければと思うんですが、お話ぐらい聞いていただければなと思いますので、いかがですか。

藤田政府参考人 もちろん、お話は伺ってみたいと思います。

玉木分科員 なかなか難しいのは、私もそう簡単にはいかないなとは思うんですけれども、四国に住んでいますと、やはり何か夢が欲しい。

 九州新幹線が通ったのを見ていると、最初はどうなるのかな、トンネルばっかりだなと思っていたんですが、できたらできたで少し元気が出てくるのも確かだし、JR九州さんだと上場ということも見えてきたし、やはり鶏と卵のところがあるんですけれども、人口が少ないからつくらないというのもそうかもしれませんが、ある一つの大きな交通網ができることによって、新たに人が住んだりふえたり経済活動が起こってきたりすることもあると思うので、そこは、はなからだめよというのではなくて、少し四国にも目を向けていただければなと思いますけれども、大臣、感想はいかがでしょうか。

太田国務大臣 四国には大変愛情を持っています。各県四県にそれぞれ古くからの友人もいたり、そして私の女房も徳島出身であったりして、いろいろな知り合いが随分います。

 津波が高いとかいうことがありますから、特に防潮堤をどうつくるかとか、去年二千ミリの雨が降ったということで非常に心配をして、そこの新規の着工をさせていただいたりとか、8の字の道路をまず結ばなくてはいけないとか、あるいは宿毛とか土佐清水のあたりから行きますと、そこをどういうふうにバックアップしたらいいかということで、宿毛のあたりはタイが非常にとれるものですから、道路をつくると全国一のタイがもっと全国一になるんじゃないかというように、いろいろなことで応援をしようと思っています。香川県についても、早明浦ダムが渇水が多いものですから、小さいダムでもというようなことも考えたりしております。

 四国が夢を持っていける。そして、夢というのは、現実の問題としてそれが延長線上でなければ夢は消えていくものですから、少しでも前進するというきょうの一歩も非常に大事なことだと私は思っています。

 新幹線の話も、かねてからこういう話があるということなので、まだ新幹線全体では、整備新幹線の問題は、札幌までの延伸と、長崎と、そして敦賀までということにまず全力を尽くしたい、こう思っているところでありますが、きょうの御指摘ということについては心の中にとめておきたいと思います。

玉木分科員 四国に対する温かい思いを語っていただきましてありがとうございます。

 ちなみに、このケース三のケースでいうと、この調査結果によると、大臣の奥様の御出身の徳島と新大阪は七十八分間短縮されるというような調査結果も出ておりますので、ぜひ前向きに御検討いただければなと思っております。

 最後に、陸路の話をしたので、今度は海路の話を少ししたいと思うんですが、宇野と高松を結ぶ宇高航路についてであります。

 これは、高速道路の料金体系の見直しによって、高速道路が安くなると今度は船の利用が減るとか、高速道路料金が高くなると今度は船を使う人がふえるとか、ある種、トレードオフの関係になって、総合交通体系を考えていく上で、いつもこれはある種の悩みの種ではありますが、実は先般、この宇野と高松を結ぶ宇高航路、さらなる減便が決定をいたしました。今の法律の中では減便はたしか届け出だけでできますので、国がだめだとかいいだとかというものではないので、もうこれは減便しますということであればそのまま減便してしまって、今、便数が減っております。

 ただ、私、交通手段の多様化というのは、東日本大震災のときのさまざまな航路を生かした支援といったようなものも大変重要な役割を果たしたことを考えれば、この多様性の確保ということは一定程度やはり担保しておくべきだというふうに思っております。

 ただ、なかなか現行の仕組みの中では、倒れた会社を支援するときにはさまざまな国の支援もあるんですけれども、今運航している、いわば生きた会社で、しかも非常に航路が採算が合わなくなって厳しいというときに、それを支援する仕組みは必ずしも今の制度の中ではなかなかないということです。

 もちろん、それは地元の香川県や岡山県や高松市が支援するのが筋なのだとは思いますが、ただ一方で、やはり国土全体の交通体系あるいは交通手段の多様性ということを特に瀬戸内海の中で確保していくことは、私、非常に国策としても重要だと思っていますので、これは何らかの国としての支援、航路維持のための国としての支援策を講じることができないかどうか、この点について、最後、御所見を伺いたいと思います。

太田国務大臣 宇高航路は、本州と四国を結んで、地域住民の生活物流、こうしたところを支える重要な役割を担っていると思います。これが減便をされるということで、何となく不安というか寂しい気持ちになっていくということはよくわかります。

 この維持、存続ということにつきましては、まずは事業者によるコスト削減等の創意工夫、これはされていると思います。そして、地域全体で地域の交通を支えていくこと、この努力ということを一層やっていかなくてはならないということだと思いますが、その上で国もバックアップするということだと思います。

 そういう意味では、岡山県、香川県、玉野市、高松市、そして運航事業者に加えて国が事務局として参加する協議会で、利用実態等を踏まえた、路線をどう維持していくかという検討が進められているというふうに思います。まずは、ここの協議会で議論を具体的に練り上げていって、何らかの結論をそこで早急に出していただいて、その中で一歩踏み出すということの支援が見出せれば、このように思っているところです。

玉木分科員 ありがとうございます。

 これで終わりますけれども、これは私、何年も地域の交通機関のあり方については質問をさせていただいていて、これをとるとこれがだめになって、あれをとるとこれがだめになってと、相互の連携が非常に難しくて、よく言われるいわゆる総合交通体系ということをきちんと中長期的なものをつくった上で、何を支援するのかしないのか、このことをやはり地域を巻き込んでしっかりと議論する。決めたらその方針で、私は一定の財政支援も入れながらやっていくということが大事なのかなと思っていますので、今大臣がおっしゃっていただいた協議会、ここで一定の結論が出れば、またそういった方向に沿ってぜひ国としてもできるだけの支援策を講じていただくことを心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。

 東京外環道の関越―東名間について質問いたします。

 私は、武蔵野市、三鷹市で党の地区委員長を八年務めてまいりました。計画の中止を求める運動にもかかわってまいりました。

 計画は、練馬、杉並、武蔵野、三鷹、調布、狛江、世田谷の合わせて七区市にかかわりますが、どの地域でも、立ち退きやコミュニティーの分断、大気汚染や振動、騒音、地下水や湧水への影響など、住民の不安は強く、強引な事業の進め方にも厳しい批判の声が上がっております。きょうは沿線住民の方も傍聴にいらっしゃっております。

 まず、事業のスキームと事業費についてお聞きします。

 この事業は、有料道路事業を基本に、税負担による直轄事業を組み合わせた方式で整備を行うとされております。事業費の総額と、有料道路事業、直轄事業、それぞれの負担額は幾らでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 東京外環事業、関越―東名間につきましては、当初、全体事業費は一兆二千八百二十億円、そのうち、直轄事業費は一兆三百五十七億円、有料事業費は二千四百六十三億円であったところです。

 現在のところ、全体で一兆三千七百三十一億円と見込んでおり、そのうち、直轄事業費は変更はありませんが、有料事業費は三千三百七十四億円を見込んでおります。

 以上です。

宮本(徹)分科員 大臣、税金による負担が八割近くに上っているわけであります。これで有料道路事業が基本と言えるんでしょうか。

太田国務大臣 東京外環につきましては、一般道路事業、高速自動車国道法と、有料道路事業、道路整備特別措置法と組み合わせた合併施行方式で整備をしています。

 東京外環を含め、地方部より事業費の高い大都市、この大都市部の高速道路においては、利用者負担による有料道路方式での整備を基本としつつも、足りない分については税負担もするという合併施行方式で整備をしております。これはほかにも例はあることです。

 また、維持管理費は、税負担ではなく、有料道路として全額利用者負担により賄っているというところです。税は入れないということです。

 このような方式は、昨年六月に開通をいたしました、近くでいえば、圏央道、相模原愛川と高尾山の間が六月二十八日に開通しましたが、こうしたものを初めとして、大都市部において一般的に採用しているという形でございます。

 今後とも、適切に採用することによりまして、必要な道路ネットワークを効率的、効果的に整備してまいりたいと考えています。

宮本(徹)分科員 足りない分といいながら、税金の方が多いわけですよ。七割ぐらいですかね、さっき八割と言いましたけれども。こういうのは本当におかしいというふうに思います。

 結局、外環道の練馬―世田谷間というのは、有料道路方式を基本にしては本来つくれない、不採算の高速道路に莫大な国民の血税を投入してつくろうというものです。今財政が大変だといって介護報酬まで大幅に引き下げる中で、こういう赤字の道路に一兆円もの血税を投入していくことは、私は許されないというふうに指摘しておきたいと思います。

 もう一つお聞きします。

 大規模修繕や更新の費用は幾らと見込んでいるんでしょうか。その財源はどうなっているでしょうか。

深澤政府参考人 高速道路の大規模更新、大規模修繕につきましては、NEXCO三社が、平成二十六年一月に大規模更新・大規模修繕計画を公表したところであります。その後、精査を行った計画について、平成二十七年一月には国土幹線道路部会においてその内容について審議を行っていただきました。

 この計画では、開通済みの路線の立地の環境や、あるいは建設時の状況、開通後の使用環境から、通常の修繕のみでは、致命的な損傷に発展し、通行どめ等が発生するおそれがある箇所を、大規模更新、大規模修繕を実施する箇所として選定しております。

 一方、現在整備中の東京外環については、この計画において大規模更新、大規模修繕を行う箇所の該当はなく、その費用は見込んでおりません。

 以上です。

宮本(徹)分科員 検討もされていないということでございます。

 大臣もよく御存じのように、今日本じゅうでインフラが維持できない、更新できないと大問題になっております。

 昨年の財政審に財務省が提出した資料があります。ここに持ってまいりましたが、新規投資は、社会資本の整備水準の向上や将来の人口減少の現実を見据えれば、これまでのような大きなニーズはなく、これまで以上に厳選していく必要と指摘されております。また、社会資本整備総合交付金等の問題点として、将来の維持管理・更新費用を踏まえた事業を選別する仕組みがあるのか、こういう提起もされております。

 新たに事業に着手する際には、将来の更新費用や大規模修繕、その財源を見据えて行うべきだ、財政審でさえこのような指摘がされる時代になっております。

 大臣も、この財政審の指摘はそのとおりだと思いませんか。

深澤政府参考人 平成二十四年の笹子トンネルの事故を教訓といたしまして、道路法を改正し、道路管理者の責務を明確にするなど、インフラの老朽化対策を進めてきており、引き続き、安全、安心な社会の構築に取り組むことが重要であると考えています。

 御指摘の東京外環につきましては、現時点で最新の交通量や便益の算定手法等に基づく事業の効果について、維持管理費を含めて確認した上で、審議会において御議論いただき、また、都道府県知事の意見もいただきながら事業化したものでございます。

 今後とも、最新の知見をもとに、コスト縮減も図りながら整備を進めてまいりたいと思います。

 以上です。

宮本(徹)分科員 維持管理費の日常的なものは見積もっているけれども、更新費用まで含めて検討すべきだということを財政審は指摘しているわけですよ。先の見通しもないまま新たな事業を進めていくというのは、未来世代に対して極めて無責任だということを指摘しておきたいと思います。

 さらにお聞きします。

 先日、東名ジャンクションの立て坑工事現場を視察してまいりました。この施行区分はNEXCO中日本になっております。NEXCOは、この立て坑工事は、当初工事費は七十億円の予定だったとしておりましたが、増大すると言っておりました。NEXCOの施行区分での工事費が増大し、全体として予定されている、先ほどでは三千三百七十四億ですか、それを超えた場合は誰が負担するんでしょうか。NEXCOが負担するんでしょうか。

深澤政府参考人 平成二十三年十二月の高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめにおきましては、東京外環などの大都市部の高速道路は、利用者負担による有料道路方式の整備を基本とすべきとされているところであります。

 東京外環につきましては、大深度地下を活用した初めての道路工事であることに加え、大都市部の用地買収が必要であるなど不確定要素も多いことから、事業を進める中で事業費が増大することも想定されます。

 仮に、東京外環の事業費が増加した場合においても、あり方検討有識者委員会の中間取りまとめの考えに従い、コスト縮減など高速道路会社の経営努力を活用しながら、できる限り有料道路事業費により対応してまいります。

 以上です。

宮本(徹)分科員 できる限り有料道路事業方式ということをおっしゃいますけれども、それを超えた場合は税金による追加の負担は生じないということで理解していいんでしょうか。

深澤政府参考人 繰り返しになりますけれども、できる限り有料道路事業費により対応してまいりたいと考えています。

宮本(徹)分科員 結局、できる限りといって、それ以上になったら税金を投入するという話じゃありませんか。工事費がふえればふえるほど国民の税金投入がふえていくというのは、これはけしからぬ話ですよ。

 そして、今、当初予定を変更して、地中の一部を大きく拡幅する都市計画変更手続が進められております。

 東名ジャンクション付近の断面は、止水領域を含めると、高さ五十四メートル、幅九十八メートルという巨大な構造物となります。この計画変更をやれば事業費は当然ふえると思いますが、幾らふえると見込んでいるんでしょうか。

深澤政府参考人 委員御指摘のことにつきましてお答え申し上げます。

 大深度地下での本線のシールド、それからランプ部、これを接合する工事、いわゆる地中拡幅と言っておりますけれども、国内でもこれまでほとんど実績のない難工事であります。より確実で安全な方法で施工すべく、有識者の意見を聞きながら検討を進めてきたところでございます。

 これらの検討結果を踏まえ、接合部の断面につきましては、それまで形状を馬蹄形ということで考えておりましたが、より確実な安全性、健全性を確保するため、これを円形という形にしまして、都市計画変更を行ったところであります。これによって、断面がふえますので、事業費の増大も可能性はあります。

 今後とも、地中拡幅につきましては、工事の安全性の確保、早期整備、コスト縮減などのさまざまな角度から、施工方法の検討、検証を重ね、現場条件などを踏まえ、適切な方法を選定した上で事業に着手してまいりたいと思っております。

 具体的な工法を現在検討、検証中でございますので、現時点で事業費を確定させることは困難でございます。

 以上です。

宮本(徹)分科員 結局、現在検討中で、どれだけふえるかというのもまだ明らかにもなっていない。そういうままで、工事だけは実際は立て坑工事がどんどん進んでいるというのは極めて無責任だと思います。

 大体、今、施工方法の検証、検討を行っているといいますが、事業着手している段階でいまだに検証を行っているというのは、結局、当初の計画が拙速で、検討も極めてずさんだったということじゃありませんか。しかも、地下水対策については今も検討のさなかということになっております。安全対策も地下水対策も検討が終わらないまま工事を進めるというのは許されないというふうに思います。

 外環道は、先ほどもお話ありましたように、一兆円という桁外れの税金を投入する巨大事業です。人口も交通量もこれから減少していきます。その中で本当に必要な道路なのかということをよく検証することが必要だと思います。

 もともと、外環道の整備効果は、二〇一三年の七月の国の評価でも、環八がわずか四分、環七がわずか二分だけ短縮される程度の効果しかありません。しかも、この数字は二〇〇五年の交通センサスをもとにした推計です。その後も沿線の交通量は減っております。しかも、先週、中央環状線も開通しました。圏央道も二〇一五年度中に大部分が完成いたします。

 大臣、ここは立ちどまって、三つも環状高速道路が必要なのか、改めて検証すべきではありませんか。

太田国務大臣 首都圏の道路ネットワークの骨格をなす首都圏三環状道路というのは、今御指摘もありましたが、都心に集中する通過交通を分散させて、都心部の渋滞を解消するための切り札になる重要な道路であります。

 先般の中央環状ができた開通式におきましても、東京都知事が、世界では、大都市では、パリにおいても、上海においても、ニューヨークにおいても、現在ですら渋滞で大変な状況の国際都市がある中で、今回のことで相当渋滞が緩和される、三環状ができるということの中で、初めて世界で渋滞のない国際都市ができる、その世界一を目指したいんだということを舛添知事が言っていましたけれども、渋滞を解消するということは私は大変大事なことだと思います。

 首都圏三環状道路が一体で機能を発揮するということになりますと、渋滞解消とともに、物流や企業活動が効率化いたしまして、東京、首都圏の国際競争力は飛躍的に強化されます。

 昨年六月二十八日に圏央道が相模原のところから通りましたけれども、一気に関越道と結ばれて、富岡製糸場を初めとして観光客が非常に急増するというようなこともあり、喜びの輪が現実には広がっており、圏央道の周りには、既に埼玉県等では工場が非常に多くなるという現象が現実に起きています。

 私は、地域の皆様の御理解と御協力を得ながら、この三環状については早期開通に向けて着実に整備を進めたい、このように考えています。

宮本(徹)分科員 先ほどの大臣のお話でも、舛添知事も中央高速道の開通式で、これで渋滞は大分緩和するんだと言っているわけですから、改めてその時点に立って検証することこそ必要だと思います。そういう検証もせずに、一兆円も税金を投入して道路建設に邁進していくというのは全く無責任だと思います。

 もう一つ、この事業は、住民の意向を無視して強引に進めようとしている点でも極めて問題です。

 練馬区の青梅街道インターチェンジの予定地では、町会長を先頭に、町会ぐるみで猛烈な反対運動が起きております。きょうは資料で、私の撮影してきた写真もお配りをしております。

 外環は、もともとインターチェンジなしを基本に検討が進められてきたものであります。国と東京都が設置した東京環状道路有識者委員会の二〇〇二年の最終提言には次のようにあります。「今後の議論においては、移転家屋数を出来る限り少なくして、地元住民への影響を軽減化することが、もっとも重要視すべき観点である。」「したがって、今後、外環計画の議論を進めるにあたっては、インターチェンジ無し地下化案を検討の基本において、議論を進めるべきである。」これが出発点だったわけです。

 大臣、国として、青梅街道にハーフインターをつくる必然性というのはもともとないんじゃないですか。

西村(明)副大臣 委員御質問の青梅街道インターチェンジにつきましては、ほかのインターチェンジと同様に、平成十九年の四月に都市計画決定がされておりまして、平成二十五年九月に道路区域の決定をするなど、事業を進めているところでございます。

 御質問のように、青梅街道インターチェンジをつくる必然性、これにつきましては、このインターチェンジの設置によりまして、周辺地域から外環へのアクセスがよくなるということ、そしてまた、現在の関越道練馬インターチェンジや外環大泉インターチェンジに集中します交通を分散して、生活道路に入り込む交通が排除されることなどの効果が見込まれているところでございます。

 事業への御理解とそして御協力を賜りながら、青梅街道インターチェンジを含めた東京外環につきましても、計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)分科員 今のお話は後づけの理由なんですよね。

 このインターは杉並区との区境に計画されておりますが、杉並区では住民アンケートも行われて、住環境破壊に反対する住民の意見を踏まえて、杉並側はインターはつくりませんでした。その結果、練馬側だけのハーフインターになりました。この経過からいっても、ここに絶対インターがなければならないというものではないはずなんですよ。

 先日、私も現地で町会長さんや住民の方からお話を伺ってきました。こう言っていました。環境破壊を理由に杉並側でやめたものを練馬側だけつくるというのは、自分たちは人間扱いされていないと大変憤っていらっしゃいます。町会が当時取り組んだアンケートでは、九〇・六八%がインターは不必要と答えております。

 そして、この地域では、沿線各地域で開かれた国と都による地域課題検討会も開かれておりません。区の提案で始まった国と都と区と住民による話し合いも、一方的に打ち切られたままになっております。

 国は今事業を進めようとしておりますが、今、この写真をお配りしていますように、測量も住民の拒否でまともにできない状況です。そして、昨年十一月、インターの事業認可の取り消しを求める裁判も始まりました。つくる必然性がなかったものをつくろうとすることで、ここまでこじれているわけであります。

 二〇〇七年に地下方式に都市計画が変更される際に、当時の冬柴国交大臣は国会でこう言っております。「経緯を重く受けとめて、これまでと同様に地元の方々との話し合いを続け、一歩ずつ計画の具体化を図ってまいりたい、」と答弁しております。

 大臣、こうした経緯を踏まえるなら、インターの事業は強行すべきでないと思います。大臣自身、ぜひ、現地に行って、状況を見て、住民の意見に耳を傾けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

深澤政府参考人 委員御指摘の青梅街道インターチェンジにつきましては、地元練馬区からの設置の要望もいただき、平成十九年に都市計画決定がなされたものです。

 国土交通省としては、東京都とも連携し、青梅街道インターチェンジを含めた東京外環について、これまで五百回以上の説明会を開催するなど、地元住民に丁寧な説明を実施するよう努めてきたところであります。

 これからも引き続き、地元の御理解、御協力をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。

宮本(徹)分科員 今、私の話の何を聞いていたのかと思いますけれども、丁寧な説明も何もやられていないという状況になっていて、裁判になっているわけじゃないですか。

 大臣、ぜひ現地の状況を、行くなり住民の意見に耳を傾けるなりしていただけないでしょうか、この問題で。裁判にまでなっているわけですよ。

太田国務大臣 適切に判断をさせていただきたいと思います。

宮本(徹)分科員 もう一つ、「外環ノ2」と呼ばれる地上部街路についてお聞きします。

 外環本線が大深度地下を利用することになった理由は何でしょうか。

深澤政府参考人 東京外環は、首都圏の渋滞緩和、環境改善や円滑な交通ネットワークの形成や災害時の広域交通ネットワークの強化を図る上で重要な路線として、早期整備効果の発現が求められております。

 特に、高度な土地利用が図られている東京都内の既成市街地部を通過することから、用地取得や区分地上権設定範囲を極力小さくし、早期整備を図る手法として、大深度地下の使用を図っております。

 以上です。

宮本(徹)分科員 もともと住民に迷惑をできるだけかけないということで始まったわけであります。

 二〇〇六年六月に関東地方整備局と東京都が出した文書ではこう言っております。「外環は環境への影響や移転や地域分断への影響を考慮し、大深度地下構造としたことから、地上部の利用が可能となりました。 大深度のシールド工法を活用した区間では、移転の必要がなくなることから、これまで通りの生活が可能です。」と言っております。

 外環本線が地下方式になって、建物の移転の必要はなくなった、これまでどおりの生活が可能、国もこうした認識を当時持っていたということですね。

小関政府参考人 二〇〇六年六月に国土交通省関東地方整備局及び東京都都市整備局が、「東京外かく環状道路(関越道〜東名高速間)」に関する「これまでに頂いたご意見・ご提案と計画の具体化の検討等における考え方」という資料を公表しております。

 この資料は、外環本線についての計画を具体化するに当たって取りまとめたものであり、地上部街路「外環ノ2」については今後の検討事項として整理しておりました。

 このため、この資料において、外環本線を地下化する区間の一般的な事項として委員御指摘の記載もある一方、今後の検討事項である地上部街路「外環ノ2」については、「外環を地下化しても、外環ノ2の計画は残るため、今後、取り扱いについて検討する必要があります。」と記載されております。

 このため、外環本線を地下化するからといって、必ずしも地上部街路「外環ノ2」を廃止するとは当時から考えておりませんでした。

宮本(徹)分科員 全然違うんですよ。当時の石原都知事は、二〇〇六年に、現地を視察した後の記者会見で、そういう御迷惑をかけないように、とにかくあの下をくぐる、そういう工法でやりますので、その点は御安心いただきたいと思っておりますということで、地上部の人たちには迷惑をかけないためにこうやったんだということを言っているわけですよ。

 ところが、東京都は、地下化された外環本線の真上の地上部にも「外環ノ2」という道路をつくろうとしております。

 東京都は、二〇一二年に、練馬区の大泉ジャンクションに近い約一キロの区間を国の認可を受けて事業化し、都は、さらにそこから南の約三キロメートルの区間について都市計画変更して事業を強行しようとしております。

 太田大臣、そもそもこの「外環ノ2」は、外環本線が高架だったことを前提に、その下部に計画されていたものです。本線を地下方式にする際、地上はこれまでどおりの生活が可能ですと言ってきたんですから、本線の地下化に伴い当然廃止されるべき道路であります。地上部道路をつくるなら、これまでどおりの生活が可能ですという言明に反します。

 「外環ノ2」は廃止すべきですし、事業も認可すべきでないと考えますが、いかがでしょうか。

小関政府参考人 平成十九年に外環本線が高架方式から地下方式に変更された際、地上部街路「外環ノ2」の計画については、今後、取り扱いを検討することとされております。

 このため、東京都は、沿線の自治体等から出された要望を踏まえ、平成二十年三月に地上部街路「外環ノ2」の必要性やあり方等についての「検討の進め方」というものを公表し、これに基づき、広く意見を聞きながら検討を進めているところでございます。

 こうしたことから、現時点における「外環ノ2」の必要性については、都において判断すべきものと考えております。

 このうち、地上部街路「外環ノ2」の練馬区区間につきまして、都は、平成二十二年に地域住民との話し合いの会を設置し、その後、平成二十五年に三案の具体的な整備イメージを公表するなど、広く意見を聞きながら検討を進め、昨年十一月に都市計画を変更いたしました。

 今後、東京都から都市計画法に基づく事業認可の申請が行われた場合には、その申請内容に応じて、都市計画法に基づき、適切に対応してまいります。

宮本(徹)分科員 いや、都においてやっていると言いますけれども、国にはやはり政治的責任があるわけですよ。何のために外環を地下にしたんですか。四十年以上凍結されていた外環を、地上部には迷惑をかけないから認めてくれといって地下にしたわけですよ。そういう経過があるのに、これは東京都で検討してもらって、それで認可の申請が来たら結論を出すんだ、こういう傍観者の立場は許されないというふうに思います。

 交通ネットワークということを東京都は言いますけれども、今、「外環ノ2」について、杉並区と武蔵野市での住民との話し合いでは、これは廃止も含めて話し合いが行われております。三鷹市ではこの話し合いの会すら設置されていないのは御存じのとおりだと思います。

 練馬だけ認可したって、東京都が言っているような交通ネットワークなんてできないんですよ。しかも、杉並区や武蔵野市でのこの話し合いの会の正規の構成員に国もなっているわけであります。

 国は、廃止も含めて話し合っている最中に、交通ネットワークもできる見込みもないまま、一部だけ強行するのはおかしい、そういうふうに大臣は思いませんか。

小関政府参考人 地上部街路「外環ノ2」の練馬区区間につきましては、東京都から、当該区間のみであっても、東京の骨格幹線道路を南北に結ぶ広域道路ネットワークを形成するとともに、災害時の安全な避難路の確保や、生活道路に流入している通過交通の抑制など、地域が抱える課題解決に必要な道路だというふうに聞いております。

 地上部街路「外環ノ2」の他の区間につきましては、東京都において、引き続き広く意見を聞きながら検討を進めているところであり、国土交通省としても、このような動きを見守ってまいります。

宮本(徹)分科員 住民の話を聞いてと言いますが、住民は要らないと言っている道路なわけであります。

 大体、当時の石原元都知事も、こんな道路がいまだに都市計画道路として残っているのかということを二〇一一年の段階でもおっしゃっているわけであります。本当に何のために外環本線を地下にしたのかと改めて言いたいというふうに思います。

 最後です。

 外環本線の大深度地下の使用認可について、昨年、住民から一千件を超す異議申し立てが起こされております。

 ところが、これに対して大臣は、昨年八月に、「異議申立ての補正について」というとんでもない文書を出しておられます。一部読み上げます。

 「不服申立てができる者は、」「違法又は不当な処分により自己の権利若しくは利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者であるので、平成二十六年九月二十二日までに事業区域に係る土地又は物件に関する権利を有することを証する資料を提出願います。 なお、上記期限までに提出がなされない場合は、」「異議申立てを却下することがある」というふうに書かれております。

 異議申し立てができるのは、土地、物件の権利を持っている者に限るとしか読めない文書であります。行政事件訴訟法九条では、二〇〇四年の改正で二項が追加され、原告適格は拡大されております。道路拡幅工事などでも、環境悪化の影響を受ける付近住民も対象になる可能性があるとされてきております。これに伴い、異議申し立ての申立人の適格も拡大が図られております。

 この法の趣旨からいっても、今回のこの大臣の補正命令は、異議申し立て者を所有権、地上権を持つ者に限るものであり、明らかに不当であって、撤回すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小関政府参考人 御指摘の補正命令は、各異議申立人が違法または不当な処分により自己の権利もしくは利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者であるかどうかの確認の一環として、事業区域に係る土地または物件に関する権利を有することを確認したものにすぎず、撤回の必要性はないと考えております。

宮本(徹)分科員 時間が来ていますから終わりますけれども、日本語はそうは読めないですよ。

 「外環ノ2」も外環本線も廃止を求めて、質問を終わります。

上田主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口でございます。

 きょうは、太田大臣初め、よろしくお願いいたしたいと思います。

 東駿河湾環状道路の西側延伸区間の一日も早い事業化ということで、私も、平成二十年、二十五年、二十六年の二月二十六日、この分科会で質問をさせていただきました。そしてまた、二十五年には二回、また、ついことしの二月十六日、知事や市長とともに太田大臣のところに直接陳情をさせていただきました。

 ありがたいことに、今回、二月二十五日に、この東駿河湾環状道路の沼津岡宮インターチェンジ以西の区間の整備について、これは全体区間が七・九キロあるわけでありますが、愛鷹までの二・六キロ区間が平成二十七年度予算に向けた新規事業採択時評価に着手する、こういう発表がなされました。大変感謝をしているところでございます。

 本区間を整備することによる効果について大臣にお伺いするとともに、また、そのような整備効果を最大限発揮するには、沼津市原までの全区間の整備が必要であると思います。今後の整備の見通しについても大臣にお伺いします。

太田国務大臣 東駿河湾環状道路の沼津岡宮インターチェンジ以西の区間は、沼津市街部の国道一号の渋滞の緩和、そして沿道環境の改善に大きな役割を果たすと思います。今後想定される大規模地震時にも、避難や救援、また物資の輸送に極めて重要な道路であると認識をしております。

 この事業化につきましては、何回にもわたりまして大口委員から御質問を受けて、また申し入れにも来ていただいて、沼津岡宮―愛鷹間の延長二・六キロについて、調査が進捗をしまして、準備が整ったということから、今般、二月二十五日に新規事業化に向けた評価手続に着手いたしました。

 今後、第三者委員会での審議及び国会での予算審議等を経て、新規事業化が決定されることとなりますが、残る区間の必要な調査を進めるとともに、道路はつながって初めて効果が発揮されるということからいきまして、しっかりと努力をしてまいりたいと思っております。

大口分科員 大変力強い答弁、ありがとうございます。

 また、昨年二月十一日、伊豆縦貫自動車道の一部である東駿河湾環状道路の三島塚原インターチェンジから函南塚本インターチェンジの間が開通し、東名、新東名から伊豆半島の中央部の伊豆市まで走行性の高い道路でつながり、渋滞緩和による所要時間の短縮など直接的な効果に加え、企業進出、観光客の増加、高速バス路線の拡充などの間接効果もあらわれています。

 伊豆半島の中央部の天城北道路は、平成三十年度の開通目標が示され、半島南部の河津下田道路についても、先ごろ、二月二十一日に起工式が開催されたわけでございます。

 伊豆縦貫自動車道の整備は着実に進められていますが、伊豆市から河津町までの天城峠を越える区間については、いまだ基本計画の段階で整備ルートが決まっておりません。伊豆半島の地域の活性化に加え、災害時に緊急道路として、命の道としての重要な機能を担う伊豆縦貫自動車道の早期全線開通が切望されています。伊豆市から河津町までの天城峠を越える区間の今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

深澤政府参考人 伊豆縦貫自動車道についてお尋ねがございました。

 伊豆縦貫自動車道は、静岡県沼津市から下田市に至る延長約六十キロメートルの道路でございます。このうち、全体の約三割、十五キロメートルが開通しております。

 委員御指摘のように、伊豆市から河津町までの間、これは現在調査中でございますけれども、整備方針等の検討を実施しております。今後とも精力的に調査を推進してまいりたいと思っております。

 今後とも、伊豆半島の活性化や防災・減災に役立つ道路ネットワークの強化に取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

大口分科員 地元は期待しておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、浜松市の中山間地域に位置する天竜区佐久間町川合地先の国道四百七十三号原田橋は、昭和三十一年に一級河川天竜川に架設されたつり橋です。

 平成二十四年四月、主ケーブルの一部に損傷が見つかり、国土交通省を初め関係機関からさまざまな技術支援、御助言もいただき、河川内の仮設道路の設置、旧橋の補修及び新橋へのかけかえ工事などに取り組んでまいりました。

 ところが、ことしの一月三十一日午後五時八分、原田橋の右岸側に隣接する山の斜面が崩落し、旧橋のケーブルが断たれ、現場警戒中の浜松市の職員お二人が巻き込まれ、お亡くなりになられた。本当にお二人の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の悲しみいかばかりかとお察し申し上げる次第でございます。本当に、この職員の方々も、地域の住民の安全、安心の生活環境を守るために最前線で職務を遂行されてきた方々でございます。

 私も、発災の翌日、二月一日、浜松市の小倉篤市会議員とともに災害現場を視察しました。浜松市からの要請によって、国土交通省の中部地方整備局から、TEC―FORCE、緊急災害対策派遣隊を迅速に派遣していただき、また、河川内仮設道路の設置許可に当たっては、中部地方整備局長の柔軟かつ早急な御対応のもとに、速やかに地域住民の生活の支えとなる仮設道路を設置することができたことについては、感謝を申し上げます。

 しかし、これから雨季を迎えるに当たって、川の増水、佐久間ダムの放流のたびに通行どめになる、地域が分断される。迂回路が約七十六キロ、約二時間半かかっていますので、住民の生活に多大な影響を及ぼすことになっているわけでございます。

 つきましては、この地域住民の唯一の生活道路である国道四百七十三号の原田橋の一日も早い復旧復興を目指すため、国交省に要望いたしたいと思います。

 まず、この原田橋のかけかえ事業についてお伺いします。

 今後、浜松市が主体となって調査検討し、決定していくことになると思いますけれども、橋梁、のり面等の専門家派遣、旧橋及び新橋の撤去方法並びに土砂崩落等の対応に関する技術的支援、これについてお願いしたいわけでございます。

 もう一つは、応急復旧を実施するための支援ということでお願いしたいんですが、旧橋及び新橋の撤去に係る支援、河川内の仮設道路の通年使用に係る支援等について、国交省のお考えをお伺いしたいと思います。早期復旧に向けた予算措置についても、特段の御支援を賜りますよう要望したいと思います。いかがでございましょうか。

深澤政府参考人 委員御指摘のように、国道四百七十三号原田橋は、平成二十四年四月につり橋のメーンケーブルの損傷が発見され、補強工事を実施し、新橋へのかけかえ工事を実施しておりましたけれども、平成二十七年一月に土砂崩落が発生し、旧橋、新橋とも落橋したものであります。

 その結果、通行どめになりましたが、現在は、浜松市が二月十二日に河川区域内の仮設道路を設置し、普通車、緊急車両、スクールバスなどの通行が可能となっているというふうにお聞きしております。

 委員御指摘のように、国土交通省では、事故直後からリエゾンやTEC―FORCEの派遣、照明車等の機材の支援等を行ってきたところでございます。

 お尋ねの技術的支援につきましては、浜松市が副市長をリーダーとする原田橋関連土砂崩壊対策プロジェクトチームを設置しておりますので、国土交通省としても、職員を参加させるとともに、さらに高度な橋梁、のり面等の技術的助言ができる体制をとっております。

 今後とも、浜松市の検討状況を踏まえながら、国土交通省としましては、必要な技術的支援あるいは必要な機材の派遣等を実施してまいりたいと思います。

 また、予算措置についてもお尋ねがございました。

 旧橋及び新橋の撤去、河川内仮設道路の設置、早期復旧に向けた予算措置については、今後の浜松市からの具体的な要望を踏まえまして、防災・安全交付金等により適切に支援してまいりたいと思っております。

 また、河川内仮設道路につきましては、浜松市からの占用申請と同日付で許可を行っております。出水期を含めた一年間の通年使用が可能となっております。

 以上でございます。

大口分科員 国総研等、やはり研究所からもしっかり派遣をしていただきたいと思います。

 次に、三遠南信自動車道の整備促進についてお伺いします。

 愛知県から静岡県において、三遠南信自動車道の鳳来峡インターチェンジから浜松いなさジャンクションまでの区間が開通し、沿岸地域の観光振興、地域活性化に寄与しています。このたび国道四百七十三号原田橋の崩落事故も受けまして、やはりこの三遠南信自動車道の必要性を改めて認識したところでございます。

 現在、平成三十年度の開通に向けて佐久間道路の(仮称)佐久間インターチェンジから(仮称)東栄インターチェンジの間の整備が進められ、また、青崩峠道路において、(仮称)青崩トンネル工事が着工されています。また、(仮称)水窪インターチェンジから(仮称)佐久間インターチェンジの間についても、今年度から環境影響評価手続に着手するなど、着実に事業が進められているわけでございますけれども、整備中の区間である三遠道路の(仮称)東栄インターチェンジから鳳来峡インターチェンジについては、開通目標が公表されていません。

 浜松市北部の地域活性化に加え、災害時には緊急輸送道路として命の道となり、重要な機能を担う三遠南信自動車道の早期全線開通が切望されております。(仮称)東栄インターチェンジから鳳来峡インターチェンジの間について、開通の見通しについて要望したいと思いますが、いかがでございましょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 三遠南信自動車道は、全体の延長が約百キロメートルございます。これまでに約三割に当たる二十六キロメートルが開通しており、現在、約三十五キロメートル区間、三区間での事業を実施しております。

 お尋ねの東栄―鳳来峡インターチェンジ間、約七キロメートルでございますけれども、議員の御発言のように、大変重要な区間であると認識しております。現在、用地買収、工事を実施しておりますけれども、用地の進捗率が約六割ということで、開通時期については、今後の用地買収の進捗状況を踏まえながら、できるだけ早く公表できるように検討してまいりたいと思っております。

 引き続き、地域の皆様の御協力も得ながら、三遠南信自動車道の早期開通に向けて努力してまいりたいと思っております。

 以上です。

大口分科員 次に、浜松三ケ日・豊橋道路についてお伺いしたいと思います。

 昨年の四月十九日、太田国交大臣は、愛知県の東三河方面を視察されたわけであります。東名を含む高速道路網と名豊道路をつなぐ縦軸としての浜松三ケ日・豊橋道路の調査について、国直轄で行う、こういうふうに発言をしていただきました。この道路は静岡県側でも要望が強く、大臣の御発言に大変期待をしているという状況でございます。

 まず、この浜松三ケ日・豊橋道路の重要性について、大臣から御認識をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 浜松三ケ日・豊橋道路につきましては、昨年四月十九日ですか、現地に行って、そのときも大口委員とは御一緒させていただきました。現地で、この道路の重要性を私はまた改めて感じたところでありまして、直轄で調査を行うんだ、県市の連絡会にも国として参加するんだという、国も積極的にサポートするという指示をいたしました。

 この地域は、豊橋、三河湾ということからいきますと、外国の自動車が揚がるというところもありますし、また、浜松関係のいろいろな、自動車産業だけじゃない、数多くの企業が立地する工場の集積地でありますし、また、三ケ日ミカンを初めとして、農業という点でも非常に大事なところでありますものですから、この道路が、こうしたポテンシャルの高い地域と高速道路ネットワークを連絡する計画として極めて重要だ、このように認識をしています。

 今後とも、地元の静岡県そして愛知県、これらと連携しながら、地域の産業競争力の向上に役立つ道路ネットワークの強化に取り組んでいきたいと考えております。

大口分科員 今、三ケ日ミカンということに言及していただきましたけれども、大変おいしいミカンで、三ケ日ミカンの農家からもこの道路を切望しております。大臣がそういうことまで言及していただいて、感謝申し上げます。

 この浜松三ケ日・豊橋道路に関しては、既に静岡県、愛知県、浜松市で静岡・愛知県境道路に関する連絡会を立ち上げていて、昨年の七月三十一日、第二回連絡会に国交省も参加していただいたということでございます。

 この連絡会において、これからの課題、それから検討状況、さらに調査の結果の取りまとめについて見通しをお伺いしたいと思います。

深澤政府参考人 ただいま委員の方から御指摘がありました連絡会につきましては、今御発言がありましたように、昨年の七月から国土交通省としてもオブザーバーとして参加させていただいています。

 現在、国においては、東名、新東名などの広域道路ネットワークの形成を踏まえた将来の交通需要等の調査を進めております。他方、静岡県、愛知県、浜松市においては、ルートの具体化等の調査をしているということであります。

 今後、静岡県、愛知県及び浜松市による早期の調査結果を踏まえながら、並びに浜松三ケ日・豊橋道路の早期の具体化に向けて、国としても必要な調査を積極的に推進してまいりたいと思っております。

大口分科員 次に、国道一号静清バイパスの清水立体についてお伺いしたいと思います。

 国道一号静清バイパスは、静岡県の中心である静清都市圏の交通混雑の緩和、国際拠点港湾である清水港へのアクセス向上を目的とした道路であります。

 本年一月二十四日、羽鳥インターチェンジと牧ケ谷インターチェンジがフルインターチェンジになり、三月一日、私も参加させていただきましたけれども、鳥坂インターチェンジから千代田上土インターチェンジの四車線が開通しまして、興津インターチェンジから牧ケ谷インターチェンジまでの二十・七キロが連続四車線になったわけでございます。長年にわたる関係者の皆さんに心から感謝申し上げたいと思います。

 残り二車線区間は、牧ケ谷―丸子インターチェンジ間で三・五キロ、これはトンネルでございますけれども、これは平成三十年度の供用開始に向けて、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 まず、そういう中で、いよいよ国道一号静清バイパスの清水区の横砂東町から八坂西町までの立体化についてお伺いしたいと思うんです。

 二〇一〇年の調査で、この区間は一日に約五万台が通過する慢性的な交通渋滞箇所であります。太田国交大臣にも大変なお力を賜って、中部横断自動車道が平成二十九年度の供用開始予定で事業が進んでいるわけであります。山梨県と静岡市が高速、高規格道路で結ばれて、横砂東町から八坂西町の区間へ流入する車両はさらに増加し、慢性的な渋滞がさらに長時間にわたって発生することが予想されるわけであります。

 この問題を解決するにはこの区間の立体化しかないということで、国交省においても進めていただいているわけでございますけれども、大臣にこの推進についてお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 国道一号線静清バイパス、延長二十四・二キロは、東西交通の動脈であります国道一号の渋滞緩和や、国際拠点港湾であります清水港へのアクセス向上を目的とした道路になっています。

 その中でも、もう何度も御指摘もいただいたんですが、清水区間では唯一立体化が完了しておらず、信号交差点が連続することから著しい渋滞、五万台というと相当なものになりますし、これから横断道ができますと相当なことになってしまうと思います。

 このため清水立体の事業を実施していますが、これまで七五%の用地買収が完了しております。開通がいつかということは、望まれていると思いますが、この用地取得がもう少し進んだ段階になれば、いつまでということをお示しできると思いますが、さらに一層、用地取得に御協力をいただきたいというふうに思っています。

 引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、早期完成を目指していきたいと考えています。

大口分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 次に、清水港の新興津地区の小型船だまり、それから人工海浜、緑地整備についてお伺いしたいと思います。

 この清水港新興津地区で、港湾整備等で失われた海浜にかわって、人工海浜を核とした人工海浜、緑地の整備を進めています。当緑地は、平成十二年度から整備に着手し、平成二十六年七月までに四ヘクタールを部分供用したわけであります。

 港湾開発により港内に点在している漁船等の集約を図る小型船だまりについては、隣接する人工海浜、緑地とあわせて、海洋レクリエーション拠点、観光交流拠点を目指して整備を推進しているわけでございます。

 もともと、同じく新興津地区で整備中の新興津国際海上コンテナターミナル第二バースが平成二十五年の五月二十五日に供用されたわけでございますけれども、これと小型船だまり及び人工海浜、緑地は同時期の完成を目指していました。コンテナターミナルについてはもうそういうことで供用されていますし、そういう状況の中で、小型船だまり整備事業と人工海浜、緑地整備事業の整備は大幅におくれています。

 興津地区に再びにぎわいを取り戻すためには、このコンテナターミナル、小型船だまり及び人工海浜、緑地を一体的に整備し、早期完成させることが重要である、こういうふうに考えております。

 そういうことで、今後、この小型船だまり整備事業と人工海浜、緑地整備事業の一日も早い完成について強く要望するとともに、事業の見通しについてお伺いしたいと思います。

大脇政府参考人 先生御指摘の清水港におきましては、新興津地区の国際海上コンテナターミナルでの耐震強化岸壁の整備や、防波堤の粘り強い構造への補強、こういったものを国の事業として進めているところでございます。

 お話のございました新興津地区におけます小型船だまりや人工海浜、緑地の事業につきましては、社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金によりまして静岡県が整備を進めてございますが、平成二十六年七月には、新たに約二・八ヘクタールの多目的広場が供用を開始されたというふうに伺ってございます。

 私ども国土交通省といたしましては、地元からの御要望も踏まえつつ、小型船だまりや人工海浜、緑地の整備を、これらの交付金を活用いたしまして、引き続き支援してまいりたいと考えてございます。

大口分科員 次に、火山の観測体制についてお伺いをしたいと思います。

 それこそ、富士山のある静岡県においては、昨年九月に発生した御嶽山噴火は本当に深刻な問題である、こう思っております。

 静岡県は、昨年十月の十九日に、国土交通省を初めとした国、山梨県、神奈川県、関係市町村などと合同で、富士山火山三県合同防災訓練二〇一四を実施したわけでございます。これは、噴火警戒レベルが適切に発表されることを前提に、地域住民も参加して実施したものと聞いております。

 噴火の前兆に関する情報がないまま噴火に至ると、夏場の登山者が大変多い時期であれば、御嶽山の事例をはるかに上回る甚大な被害となる可能性があります。特に、火山噴火予知技術の向上、観測監視体制の充実強化など、また情報の提供等が非常に重要であるわけですが、これについてどのように気象庁はお考えなのか、お伺いしたいと思います。

西出政府参考人 富士山は、全国に四十七ある常時観測火山の一つでありまして、東京にあります火山監視・情報センターにおいて二十四時間体制で火山活動の監視を行っております。

 具体的には、気象庁では、富士山に地震計を七カ所、空振計を二カ所、傾斜計を一カ所、遠望カメラを一カ所、GNSSを三カ所など多数の観測機器を設置しております。加えて、東京大学や防災科学技術研究所等の研究機関が設置している観測機器のデータも活用し、監視を行っているところです。

 また、昨年九月の御嶽山の噴火を受け、気象庁では、常時観測火山について観測体制を強化してまいります。富士山についても、今年度の補正予算で、さらに傾斜計を増設し、一層の観測体制強化を図ることとしております。

 気象庁では、今後も、富士山を初めとする全国の活火山について、大学や研究機関との連携のもと、噴火予知技術の向上や観測体制の充実強化に取り組んでまいります。

大口分科員 これは昨年も大臣にも御答弁いただきましたが、富士山静岡空港について、これは首都圏空港機能強化ということにおいて非常に富士山静岡空港というのは大事だ、こういうお話でございました。

 そこで、具体的な活用方策として、東京オリンピック・パラリンピックの際に増加が見込まれるビジネスジェットの受け入れ、また災害発生時の緊急物資の拠点としての活用が挙げられますが、首都圏空港機能強化における富士山静岡空港の役割についてお伺いします。

田村政府参考人 首都圏空港機能強化につきましては、学者、専門家で構成する技術検討小委員会におきまして、羽田、成田以外にも首都圏周辺の空港の活用について検討を行ったところでございます。

 その中間的な取りまとめの中で、富士山静岡空港につきましては、空港アクセスの改善により首都圏の航空需要の一部を分担する可能性が考えられる、そして、当面は、例えば東京オリンピック・パラリンピックの際のビジネスジェットの受け入れや災害発生時の緊急物資の拠点としての活用可能性が見込まれる、こういうことが言われているところでございます。

 これらを踏まえまして、これから、私ども、具体的な活用方策につきまして、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

大口分科員 よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、富士山静岡空港の周辺地域のレーダー管制化についてお伺いしたいと思います。

 今、富士山静岡空港というのは、いろいろな面で、上空の空域は日常的に混雑しております。災害発生時には大規模な防災拠点として活用される富士山静岡空港に飛行方式の異なる多数の航空機が飛来するため、隣接する浜松・静浜両飛行場を含む空域を一元的に航空管制することが有効だ、こういうふうに地元も考えているわけです。

 国交省内でターミナル区域の統合などの空域の再編について検討されているようでございますけれども、この富士山静岡空港の周辺空域の再編やレーダー化についてお伺いしたいと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 ターミナルレーダー管制を実施しているところというのは、相当航空交通量が多いところの空港でございまして、そういう意味では、現状の交通量だけ見ますと、富士山静岡空港については、ターミナルレーダー管制業務を実施する必要まではないというふうには考えております。

 今後の交通量の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと思いますけれども、今、私どもが空域の再編というのを検討しておりますのは、最近我が国をただ上空通過するだけの航空機というのが増大をしておりますので、管制処理能力の向上を目的として航空路管制空域の上下分離のようなものを考えて効率を上げていきたい、そういう意味での国内空域の抜本的な再編について検討しているところでございます。

大口分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

上田主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)分科員 田島一成でございます。

 きょうは三十分時間をいただきましたので、太田大臣以下国土交通省、また関係する役所の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まずは、一昨年末成立そして公布されました交通政策基本法についてお尋ねをしたいと思っております。

 一昨年の十一月二十七日成立をした交通政策基本法は、我が国の交通体系を充実させていくことに加え、さまざまな施策を推進していく土台となる重要な法律であり、私も、その成立を喜んでいる一人であります。

 この交通政策基本法の理念にのっとって、今後、さまざまな施策の推進、また交通体系のより一層の充実を図っていくことが非常に重要と思われます。今や、人口減少社会に突入をし、これまでのような右肩上がりの経済発展が見込めない状況の中にあっては、インフラ整備の中にあっても、とりわけ交通政策の重要性は増していくものと考えられるところでありますが、今後、この体系の充実でありますとか施策の推進について、法律の成立を受け、また施行を受けて大臣はどのようにお考えなのか、まず、その覚悟と決意をお伺いさせていただきたいと思います。

太田国務大臣 交通政策基本法を一昨年の十一月、民主党の皆様方からも御支援をいただいて、成立をさせていただきました。

 人口減少、高齢化、そして都市間競争の激化、災害の緊迫度が増している、そうした中において、グランドデザインとして、昨年の七月四日に、コンパクト・プラス・ネットワークという理念を出させていただいて、グランドデザイン二〇五〇として、対流促進型国土、こういうことを言いました。このグランドデザインと、そしてこの交通政策基本法というものを基本にしながら、これからの国土、そしてまた地方との関係性、都市と都市が生き抜いていく、こういうことについての基本を定めたと思います。交通が豊かな国民生活の実現、国際競争力の強化、地域の活力の向上へ寄与するということが規定をされて、大変重要な考え方がまとまったと思います。

 そして、これに基づきまして、先月十三日に交通政策基本計画を閣議決定させていただいて、前進をさせていただいております。

 この計画におきましては、法の理念を踏まえまして、豊かな国民生活に資する使いやすい交通の実現、生活交通ということ、そして経済成長を支える交通ということ、そして安全、安心な交通ということ、この三つを、基本的方針を立てまして、交通に関し政府が講ずべき施策を取りまとめたところでございます。

 今後、国土交通省が先頭に立ちまして、関係省庁やあるいは関係事業者とも連携をとって、適切なフォローアップを行いつつ、計画の内容を着実に実施していきたい、かなり道筋ができ上がってきつつある、このように思っておりまして、それに基づいてしっかり推進をさせていきたい、このように思っております。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 計画の中に新たに三つの方針をお立ていただいて、そして具体的に施策を推進していこうというその姿勢、私も大変大きな期待を寄せているところであります。

 その三つの方針の中の一つに、使いやすい交通というのを今大臣の方からもお示しいただきました。現状はどうなのかをしっかりと分析した上で、使いにくいものであれば、やはりそこに光を当て、また施策を展開していくということが何よりも大事なのではないかというふうに思うわけであります。

 我々が移動手段として利用する交通手段にはさまざまなものがありますが、とりわけ鉄道網の旅客サービスについても使いやすさが年々進化もしてきておりますし、またさらに、国民からのニーズも大変高まりを見せているところでありますが、残念なことに、都心部における旅客サービスと地方におけるサービスの実態を比較すると、まだまだその格差なるものは非常に大きいと言わざるを得ません。

 とりわけ、私は琵琶湖の東北部、滋賀二区というところを活動エリアにしておりまして、かつては北陸線の終着点、また連絡駅でもあります米原駅という駅を抱える、その米原を中心とした選挙区エリアでありますが、この米原駅は新幹線がとまる滋賀県下の唯一の駅ではありますが、その駅の周りにも幾つもの在来線の駅があります。

 きょうは、ちょっとその駅の実態を実例として挙げさせていただきながら、また後ほど質問をさせていただきたいと思うのでありますが、国鉄が分社・民営化されて、もう早いもので四十年近くが経過されるわけでありますけれども、その当時から運賃の据え置きでありますとかサービスの改善が図られて、随分経営努力もなされる中で、輸送量自体は伸びてきているところでありますが、残念ながら、分社化されたことによってのさまざまな弊害や問題点も今なお残っていることも事実であります。

 例えば、同一会社であったとしても、路線によって、また乗降客数の違いによってサービスの格差というのも非常に大きいところがありまして、同じJRでありながらこの違いはという疑問の声がやはり地域住民からもたくさん上がっているのも事実であります。

 例えば、駅舎に目を向ければ、バリアフリー対策も徐々に進んできております。しかしながら、バリアフリーはおろか、駅舎自体も昭和の時代の古いままで、本当に、災害が訪れたときに大丈夫だろうかという心配な跨線連絡橋等々もまだまだ存在をしています。

 改修などの目に見えるようなハード整備の格差に加えて、利便性、使い勝手のいい、使いやすい交通政策の中の最近の大きな柱ともなっています、例えば交通系のICカードの対応、また、駅員がいるかいないかという非常に原始的なサービスの違い、利便性の格差というものが非常に大きくなってきているというふうに思われますが、このあたりについての御認識、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

藤田政府参考人 鉄道あるいは駅においてどういうサービスが提供されるかということでございますけれども、基本的には、鉄道事業者が、路線の利用者数、あるいはニーズ、コスト等を勘案して決定をしております。

 したがって、地域ごとあるいは駅ごとに旅客サービスの内容に違いが出ているというのはそのとおりでございますが、重要なことは、地域の実情等を踏まえながら、できるだけ多くの利用者が良質なサービスを享受できるということであろうと思っておりまして、国土交通省としても、そういった方向で取り組みを進めておるところでございます。

 例えば、具体的には、駅のバリアフリー化ということにつきまして言えば、平成二十三年三月から、整備目標の駅の基準でございますけれども、一日当たりの利用者数を五千人から三千人の駅に拡大いたしました。これによって地方への展開も進むものと考えております。あるいは、ICカードシステムの導入につきましても、地方鉄道を中心に、地域公共交通確保維持改善事業という事業におきまして支援を行っているところでございます。

 こうしたことを通じまして、引き続き、旅客サービスの向上に必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

田島(一)分科員 今、具体的な基準の数字もお示しをいただきましたし、最終的には事業者が決定をしてやられること、これが民営化をされたあかしでもありますので、国土交通省としての回答の限界は一定認識をしているところでもあります。

 しかしながら、利用者にとってみれば、今回、交通政策基本法ができて、使いやすい交通を一つの大きな方針の柱に立てて、いつ利便性の高い駅が用意されるのかと心待ちにされているところも正直ありますが、残念なことに、例えばバリアフリー化についても、今、一日当たりの利用者数の目標五千人という目安が三千人に下げられたという点で、一定の前進ではあろうかというふうに思いますが、まだまだ三千人以下の駅はあまたございます。

 私が先ほどもちょっと申し上げかけた、米原駅の近隣にある東海道本線の三駅、醒ケ井、近江長岡、柏原駅は、滋賀県における一番東に位置する三つの駅でありますが、岐阜県と隣接する駅でありますが、この三駅はそれぞれ、乗降客数は、三千人はおろか千人にも満たないという駅であります。もうその段階でバリアフリー化は諦めなければならない。どんなに体のぐあいの悪い方がいらっしゃっても、駅は利用できないという実態にございます。

 駅員がしっかりと管理をしている駅でありますならば、駅員さんのサポートで、車椅子や、障害をお持ちの方々も電車に乗ることも可能でしょうが、残念ながら、今申し上げた三駅は一種の無人駅でありまして、隣、岐阜県にあります大垣駅が管理をする駅で、早朝そして夕方以降、また臨時でいらっしゃる駅員さんが昼食休憩をとられる昼間は切符すら買えない状態であります。みどりの窓口もなければ自動の改札も設置されていない。おまけに、切符の券売機すら設置されていない。

 まさにこういう状態が乗降客数をどんどんどんどん減少させていくことに拍車をかけているのではないか、悪循環のきっかけになっているのではないかとさえ思うわけであります。

 最近でこそ、多くの方々、とりわけ都心では交通系のICカードで乗りおりされるのがもう当たり前のようになってまいりましたが、お隣、岐阜県の関ケ原駅まではこのICカードの自動改札機は設置されているものの、滋賀県に入った途端、この三駅だけは全く設置もされておらず、ある意味では、利便性どころか不便を来している。

 そして、観光でお越しになられた方がおりるにも、駅員さんもいらっしゃらず、そのまま素通りをしなければならないと、会社側にとっても大きな損失のきっかけをつくっているのではないかとさえ思うわけであります。こうした不便を来している中で、ひいては町のイメージまで損なっているということが私は心配をするネタでもあります。

 基本法の中で、十六条から十八条では豊かな国民生活の実現、そして、適切な役割分担と連携をすること、その役割分担の相手としては、観光であるとかまちづくりであるとかさまざまな地域の課題、そして、関係者と連携、協働をしていかなければならないとうたわれているわけでありますけれども、こうした三駅を初めとして全国各地にある無人駅、また、利便性を高めるさまざまな機器の設置等々、今後どのような、使いやすい交通という大きな方針を立てられた中で施策展開をしていこうと考えられているのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

藤田政府参考人 まず、事実関係でございますけれども、御指摘の醒ケ井駅、近江長岡駅、柏原駅、これらはいわゆる委託駅でございまして、確かに、残念ながら利用者数が少ないということで、ICカードシステムあるいは自動券売機等の導入がされておりません。時間帯によっては人がいないといったこともございます。

 これらも含めて利便性を向上させるということは、交通基本法の趣旨も踏まえまして、大変大事なことであると思っておりますが、そのためにも、やはりまずは、先ほどのお話にもございました、まちづくりあるいは観光といった観点を含めて、地域と鉄道事業者がよく協力をしながら利用者をふやし、それによってサービスが改善され、さらに利用者がふえる、こういった好循環をどうやって達成するかといったことが大事であろうかと思っております。

 国交省としても、そういった取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。

田島(一)分科員 これは鶏と卵の議論と非常に似ておりまして、不便だから、利用者は便利な米原駅まで車を使ってでも行ってしまうという要因もやはり考えられるわけであります。便利だったら近い駅を利用したい、誰もが思うことだと思うんですね。この悪循環を断ち切るには、では、無理してでも、不便さを我慢してでも、まず利用客数、乗降客数をふやすことが先決なのかどうなのか。

 とはいえ、その知恵を、どんなにソフト事業等々を展開されたとしても、やはり限界はあります。観光資源に着目されて、観光客を誘致、鉄道を使っての誘致等々も、自治体も相当頑張ってきていますが、残念なことに、大阪や京都から交通系のICカードで入ってこられた方はおりるにもおりられない。駅員さんもいらっしゃらない。こういうことが事実としてありますので、乗降客数をふやせというのは、お役所としては当然おっしゃりたい話でありましょうが、自治体としては、僕は、そこそこもう限界に来ている。

 これは、お互いが、せっかく五千人から三千人にバリアフリーの条件を緩和されたりだとか、努力はされているわけでありますけれども、もう少しそこのところの条件緩和、もしくは、乗降客数という物差しではない、それ以外の物差し等々で私は対応を考えていく必要があるのではないかと考えるわけであります。どうしても、乗降客数という物差しだけであれば、一定、人口減少社会に突入している今、対応にも本当に限界があるのではないかと思うわけであります。

 もう少し、この法律、そして計画をお立てになった上での前向きなお答えをぜひいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。

滝口政府参考人 先ほど大臣の方から、先月の十三日に交通政策基本計画を閣議決定いたしましたという御説明を申し上げました。その中で、生活交通について一つの柱が立っておるわけでございます。さらに、この計画の中では、この生活交通の関係の具体的な目標といたしまして四つ挙がっておりますが、このうち三つは今委員が御指摘になっている内容でございます。

 一点目が、まちづくりと一体となった地域公共交通ネットワークの再構築ということ、それから二点目が、地域の実情を踏まえた多様な交通サービスの展開ということ、三点目が、バリアフリーのさらなる推進と、この生活交通関係で三つの目標というものを置いております。

 具体的な施策の展開につきましては、今委員がまさにお話しになったように、鉄道を使われるのか、あるいは車を使われるのか、これは実は、町で、地元でしっかり考えていただく必要があるんだろうと思います。例えば、駅を使いやすくするために、今は付近の山間地帯から駅に向かう道がないとした場合に、それは路線バスなのか、あるいはコミュニティーバスなのか、あるいはディマンド交通なのか、どういった手段があるのか、こういったこともあわせて考えないと、単に鉄道だけの問題と考えることはできないんじゃないだろうか、こういうふうに考えております。

 このために、私どもといたしましては、地域公共交通の活性化再生法という法律で、地方公共団体が交通網の形成計画というものをつくっていける、いわばこれはマスタープランでございますが、こういったことで地元の交通ネットワークについての合意形成を図っていく、こういったようなスキームを用意いたしております。こういったものを活用しながら、まさに市町村にとりまして玄関とも言えるような駅をどのように活用していくのかということについて、いろいろ御検討いただきたいと思います。これについては、私どもも、あるいは地方運輸局も御相談に十分乗らせていただきます。

 それから、なお、先ほど鉄道局長から、目標は三千人ということを申し上げましたが、実は、私どもの方で用意をいたしております助成制度では、例えば、駅の付近に老人ホームがあるとか、あるいは身体障害者の方の施設があるとかいったような場合には、これは地元の方の負担もいただくということになろうかと思いますので、地元と相談しながらやっているというケースもございます。したがって、そのあたりは弾力的に、地域の状況に応じて対応してまいりたいと思っております。

田島(一)分科員 さまざまな事情に柔軟に対応されているというお話も今いただきました。

 利用者がたとえ一人であったとしても、駅として存続され、存在している以上は、やはりその利用者の利便性を高めていく、これが恐らく交通政策基本法の一番大きな、根底にあるんだろうと私は思います。

 移動する方の思い、そして利用者に対してのサービスについて、もちろん、投資効果であるとかさまざまなハードルもあることは承知をしておりますが、この置かれている事情というものを勘案しながら、ぜひ、自治体からのさまざまな声に適切なる助言と、また力添えがいただけるように、私の方から強くお願いをしておきたいと思います。

 さて、駅は、その三駅だけではなく、先ほど申し上げた米原駅は、北陸本線そして東海道本線の連絡駅、また終着駅となっている駅であります。この中で、米原市にあって、行ってちょっと相談を受けたテーマが行旅人に対する対策の問題点でありました。

 例えば、駅を利用される方の中で、それこそ、行く当てもなく帰るところもなく、鉄道、電車に乗って、そして行きずりでそのまま流れ着かれるケースというのも過去非常に多かったと聞いております。

 こうした中で、行き着いた先、終着駅米原駅では、これまで、行旅病人であるとか行旅死亡人に対する対応を自治体の方でやってまいりました。これは、米原駅に限らずどこの駅であっても、全国の自治体が駅での行旅病人や死亡人の対応というのは当たってきたところであります。しかし、終着駅を抱える自治体にあっては、やはりかなりの数、対応しなければならないという問題があります。

 実際に、米原市にあっても、行旅病人対応で六百万円以上の予算を毎年計上して立てられているわけでありますが、例えば、病人であれば病院をあっせんしなければならない、そして、お金を持っていらっしゃらない方であればその分を立てかえなければならないなどなどのさまざまな問題点も抱えております。朝と夜とを問わず、とりわけ夜であれば、人を設置し、そして福祉対応の職員がその対応に従事をする。

 鉄道を利用されていたからといって鉄道事業者の責任ではなく、その該当する自治体の負担となっている事実について、これは果たして本当にフェアなあり方なのかなと私自身も実は疑問に感じたところであります。

 もちろん、今や、生活保護であるとか老人介護、福祉といった、さまざまな切り口での対応もメニューが非常に豊富になってきて、行旅病人また行旅死亡人に対する対応というのも充実をしてきている中だろうとは考えますが、もう少し、こうした、地元で実際に行旅人対策に予算をつぎ込んでいる実態、また行旅病人や行旅死亡人に対してどのような対応をしているのかというのを厚生労働省なり国としては把握されているのかどうか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づく事務につきましては、この法律自体、明治三十年代に制定されたものでございますけれども、その当時から地方自治体の自治事務として行われているところでございます。

 議員御指摘の実態ということでございますけれども、厚生労働省としましては、適用状況の調査の実施につきましては、今のところ、調査の必要性及び地方自治体の作業の負担を考慮して慎重に検討する必要があると考えておるところでございまして、全国的な調査は行っていないという状況でございます。

田島(一)分科員 数字を把握されていらっしゃらなければ、自治体がどれほど現場で苦労されているかということも当然御存じはないと思います。

 ましてや、明治三十年代につくられた法律が今なお生き、そして、その対応ではなく、隣接する生活保護やさまざまな法律での対応も可能になってきた今となっては、その法律自体も非常に色あせているところがあろうかというふうには思います。

 実際に、鉄道だけではなく、道路であっても空路であっても海路であっても、行旅病人や行旅死亡人はあるわけでありますから、米原だけに偏ったわけではありませんけれども、残念なことに、自治体規模にかかわらず、この行旅病人対策、行旅死亡人対策というのは、背負わなければならない自治体の負担であります。市民サービスであれば、どんなにつらい仕事でも頑張っていただけるのでありましょうが、残念ながら、市民ではない方に対するサービスについて、非常に表現の仕方が難しいですけれども、自治体として判断に非常に困られているのが事実ではないかと私自身も考えるところであります。

 こうした明治の時代からの法律が今なお生き、そして見直しされることもなく、そして実態が把握されることもない中で、一度、こうした点についての御検討であるとか、また財政負担について交付税措置をするであるとか、実態をまず把握し、そして、もう少し対応を考えていくということが大事なのではないかと思うのでありますが、お考えはいかがでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、行旅病人及び行旅死亡人取り扱いの財政支援でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、地方自治体の自治事務として行われているところでございまして、この事務に係る費用につきましては地方交付税措置がなされているところでございます。

 また、所在地市町村が費用を支弁された後でも、例えば引き取り者がいない場合とか救護費用の弁償を得ない場合は、救護を行いましたその地の都道府県の負担ということで、その負担が市町村から都道府県に振りかえられるという仕組みになっておりますので、そういった点も御理解いただければと思っております。

田島(一)分科員 鉄道は、それこそ県域をまたいで他府県からも来ることが可能ですね。しかしながら、事故、または病気になられた、亡くなられた、その自治体が背負わなきゃならないというのが実態ですね。つまりは、大阪に住民票を持っていても、鉄道で行旅病人また行旅死亡人と認められたのが滋賀県であれば、最終的には滋賀県が責任を負うということになるわけでありますが、これは果たして本当に適切な判断なのかなと私は思うわけであります。

 もちろん、考え方の基本には、いろいろと、その当時のこの法律がベースにあるわけですから変えることもできないのかもしれませんけれども、私は、もうそろそろ見直しに入ってもいい、十分にいい時期ではないかなと考えるわけであります。

 ぜひ、自治体等々で、とりわけ終着駅等を抱え、行旅病人や行旅死亡人対応としてまずどれぐらいあるのかの把握ぐらいは私は、一定、やはりやっていただく必要があるのではないかと思うわけであります。

 本来ならば、名神高速道路の伊吹サービスエリアにおけるスマートインターチェンジの設置であるとか、米原における交通網の充実等々でお伺いをしたいことも山ほどありましたが、時間が参りました。また質問主意書等々でお尋ねするかもしれませんので、その折にはぜひ明快な答弁をいただくようお願いを申し上げて、時間が参りましたので質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島克仁君。

中島分科員 民主党の中島克仁です。

 以前所属しておりましたみんなの党時代も含めまして、国交分野は初めての質問となりまして、基本的なことも含めてお尋ねをさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず航空行政についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私、地元が山梨県でございまして、空港はないところではございますが、富士山の世界文化遺産登録や、昨年六月には南アルプスのエコパーク登録承認と、近年、観光客は非常に増加しておりますし、これからもどんどん受け入れ体制を整えていきたいというふうに地元でもなっておりますし、私自身も非常に関心があるということでございます。

 さらに、二〇二七年にはリニア中央新幹線の開通の予定も決まっております。そういった意味で、航空路との連携の問題は今後課題でもあり、非常に重要な観点ではないかなというふうに思います。

 さらにさらにというわけではございませんが、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック開催も予定されておる中で、我が国としても、たくさんの外国からの観光客を受け入れる体制、観光客の誘致というのは国内の経済の活性化にもつながるという観点からいくと、昨年、二〇一三年は海外からの外国人観光客が一千万人を突破して、二〇一四年度は一千三百万人。フランスなどからいくとまだまだ八分の一ぐらいの数ではございますが、先ほど申し上げましたように、経済活性、景気対策としても、これからたくさんの外国の方が日本に来ていただけるということ、その整備ということは非常に重要ではないかなというふうに思っております。

 たくさんの外国人の観光客を受け入れるための大前提となります国際空港の評価というか、今後の整備について、今現在の状況と、今後具体的にどのように取り組むつもりなのか、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。

太田国務大臣 二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックの開催ということで、二〇二〇年に二千万人の高みを目指す、こう言っていたんです。私は、なかなか難しいだろうからと思って、高みという言葉を使ったり、去年の今ごろは、瞬間風速でもいいからと言って、二〇二〇年にぱっと跳び上がって二千万、そう思っておりましたが、いろいろな手が打たれたということも当然あるんですが、富士山を初めとする世界遺産が最近たくさん生まれてきているというような、いろいろなことがございます。それで、千三百四十一万人まで去年十二月三十一日にいきまして、ことしは千五百を超えることは恐らく間違いないんではないかと思っておりますが、一月、二月も非常に好調です。

 二千万人になるということから考えますと、一番ネックになるのは、先生おっしゃるように空港です。空港の容量自体は、今は二千万人という形を、特に首都圏を初めとして、工夫したら何とかなる、対応ができるという状況ではありますが、それ以上、二千五百万とかになった場合には、それなりの対応をしていかなくてはならないということで、かなり大きな変更が必要です。

 現在のところ、二千万人体制ということで、羽田、成田を初めとする空港容量の拡大、それから、来ていただいた場合に、CIQで並んでいる方が多いと困るということ、それから、地方空港も含めて、そこからバスで行った場合にバスが足りないとかいうようなことにならないように、WiFi環境を整備するということがまた極めて大事。

 二〇二〇年二千万人ということを想定して、いろいろな対応ということについて、道路網も含めまして、よく練り上げて対応しているところでございますが、スピードが上がっているということを想定して、このことについてはより加速して体制を組まなくてはならない、このように思っております。

中島分科員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを目標にさまざま、地方空港も含めて、まずは首都圏だと思いますけれども、取り組まれておるということでございますが、その先も、先ほど言った日本の経済にとっても、外国人観光客受け入れ体制の整備はやはり重要になってくるのではないかな。その空港の整備がボトルネックになってしまわないように、やはり計画性と実効性を持って、先ほど大臣はスピード感とおっしゃいましたが、そのように進めていただきたいなというふうに思います。

 一方で、空港の整備もさることながら、これもよく言われておりますけれども、その整備を拡充していくに当たって、航空業界で働く方々、パイロットや航空整備士の確保というのも大変重要ではないかなというふうに言われております。

 これは資料の一枚目ですが、左上のグラフ、これは我が国の主要航空会社の操縦士の数、これを見ていきますと、操縦士、副操縦士等の割合が書いてありますが、今、四十代に偏っていまして、これを見ていきますと、このままシフトしていくと十五年から二十年後には操縦士の大量退職時期が迫ってしまう。一方では、この左下のグラフでいきますと、LCCでは、低コスト航空会社ですが、近年急速に拡大をしております、これは六十代の操縦士の数が多い。そうなってきますと、将来に向かっては、航空パイロットの確保、そして現状でも、LCC会社を含めて操縦士の確保というのは非常に喫緊の課題というふうに言えると思います。

 さらには、航空整備士。これも、昨今、台湾での航空事故がございました。まだ詳細はわかっておりませんが、航空整備の問題もあったのではないかということを考えていきますと、航空を拡充していくに当たって、操縦士の確保、そして航空整備士の確保という問題について今後どういうふうに取り組まれるのか、お尋ねをしたいと思います。

田村政府参考人 ただいまの資料にございますように、大手の航空会社にとっては、中長期的にパイロットの不足というものが懸念される、それから、LCCあるいは中小の航空会社にとりましては、現実の問題としてパイロットの不足というのがあるわけでございます。こういうことに対応するために、交通政策審議会のもとに設置されました小委員会におきまして、昨年七月にパイロット等の養成確保策を取りまとめたところでございます。

 この中で、短期的には、即戦力となるパイロットの確保ということで、自衛隊パイロットの活用、それから外国人パイロットの活用促進のための制度の見直し、そして健康管理体制の充実等によって現役パイロットができるだけ健康で長く働けるように、そういう三つの柱を中心に必要な対策が挙げられております。

 それから、中長期的には、当然、若手パイロットの育成、供給拡大ということが重要でございますので、航空会社による自社養成の促進、それから私立大学等の民間養成機関の供給能力拡充ということ、そして航空大学校のさらなる活用、こういった柱で必要な対策がまとめられております。

 短期的な対策につきましては、既に自衛隊パイロットの活用等に着手しておりますし、それから、中長期的な対策につきましても、航空業界の関係者と連携して具体的な内容の検討を進めているところでございまして、可能なものから順次実施をしてまいりたいというふうに思っております。

 それから、もう一つお尋ねがありました整備士の問題でございますけれども、これも実は先ほどの資料と似たような年齢構成になっておりまして、そういう意味では、大手にとって中長期的な課題であるとともに、LCCあるいは中小の航空会社にとっては当面その不足があるということでございます。

 したがいまして、これにつきましても、先ほどの小委員会の取りまとめの中で総合的な対策というものが抽出されたわけでございますけれども、これを踏まえまして、整備士資格の制度、運用の見直しというのを既に行っております。それからまた、先ほども申し上げましたように、航空業界と連携して、整備士の養成確保のための方策について具体的な検討を進めているところでございます。

 引き続き、こうした取り組みを通じまして、パイロット、それから整備士、両方ともこの総合的な対策によりまして確保をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

中島分科員 短期的な取り組みと中長期的な取り組みということで、短期的な取り組みとしては、自衛隊操縦士や外国人操縦士の活用、今現在の現役のパイロットの皆さんの健康管理をして少しでも長くということだと今お答えいただきました。

 これは私は専門家ではないということもあるんですけれども、単純な疑問として、もちろん航空機を操縦している自衛隊の操縦士の方もおられると思いますが、旅客機とはまた全然観点も違うと思います。そういった面で、安全面で本当に大丈夫なのかなとか、海外ではもっとどういう工夫をされておるのかとか、一方では、自衛隊の操縦士さん、これは民間の航空会社が賃金をつり上げたりして引き抜き合戦みたいになってしまわないかとか、いろいろ疑念というか疑問等もあるわけですが、その辺についてちょっと簡単にお答えいただければと思います。

田村政府参考人 自衛隊パイロットの民間航空会社での活用ということでございますけれども、昨年の三月にこの制度が再開されたところでございます。

 民間航空会社に転出した自衛隊パイロットにつきましても、航空会社での乗務に必要となる国家資格の取得というのが必要になります。それから、その航空会社で国の承認を受けた訓練、審査というものを定期的に受けることが求められているところでございまして、こういったことを通じて、自衛隊パイロットかどうかにかかわらず、航空会社のパイロットが安全な運航を行うために必要な技量を有しているということはちゃんと確認し、確保しているところでございます。

 それで、海外では、民間パイロットの最大の供給源というのが実は軍のパイロットであるということであります。しかも、そういう軍のパイロットが民間のパイロットになるときの要件というのは国際的に決まったルールでされているわけでございまして、国際的に統一されているということでございます。

 それから、当然、民間からの高額な給与による引き抜きで自衛隊パイロットが不足しないかという御懸念もあるわけですけれども、まさにそのことを防ぐためにこの割愛制度というのがございます。そういう意味では、無秩序な流出を防止して適正な年齢構成というのを自衛隊パイロットの中で守りつつ、やはりある程度年齢がいきますと戦闘機のようなものは操縦ができない、そういう中で、こういう方々が民間の航空業界で活躍していただく、そのためにこの割愛制度があるということでございまして、バランスをとりながらやっていきたい、こういうふうに考えております。

中島分科員 割愛制度等でそういったことはないというふうにお答えいただきました。整備士の方に関しましても、養成のあり方についての検討を、産学官の連携を深めてこれから確保していくということでございます。

 これは言うまでもなく、やはり航空事故も含めて、一度起こってしまえば甚大な被害になってしまう。そういった意味では、パイロットも含めて、整備士もそうなんですが、適性というか、そういったことも大変重要になりますし、私は医者でございますが、やはり一人の医者をつくるにも、その適性とか、施設整備も含めたり、教育機関、一人にかける時間とお金というものは非常に大きくなってしまう。これは航空業界で働く操縦士や航空整備士も、その適性というのも含めていきますと、大変時間とお金がかかるということは非常に重要だと思います。

 そういった意味で、先ほど大臣からもお答えいただきました、二〇二〇年、その先も、これから日本が観光立国としてやっていくためには、安全面と、そしてそういった拡充のために、これは本当に間に合うのかということも言われておることだと思います。

 一方で、航空予算を見ていきますと、航空整備予算と、先ほど言った操縦士等の養成確保対策にプラス一億円というふうな感じになっておりますが、きょうこのことは聞きませんが、本当にこれで間に合うのかなということは、私がぱっと見て、整備状況、本当に間に合うかどうかというのは非常に、大丈夫かなというとちょっと失礼なんですが、そのように思ったわけです。

 私、先ほど山梨県が地元と言いましたが、私の選挙区というとちょっと変なんですけれども、その近くに、学校法人でございますが、日本航空学園がありまして、私は実はそこの校医になっておりまして、そこで私もその学生さんたちとよく触れ合う機会もございます。

 そこは、本当に私立の学校法人であるにもかかわらず、敷地が四十万平米、そこに滑走路があって、格納庫まで整備されておる。そして、全国、日本の中で石川県と山梨に航空高校がありまして、日本で唯一、高校で航空科がある学校であります。そこの先には、専修学校、日本航空大学というふうに以前は呼ばれておりましたが、専門学校として成り立っておるわけですが、そういう整備がされておるところで、しかも、航空科というと、十五歳からそういう整備士やパイロットの養成に入っていくというふうな環境が整っている施設もあるわけでございます。

 先ほど、航空整備士の方で、自社養成や私立大学、航空大学校、これは独立行政法人の航空大学校を指しておると思うんですが、そういう既に整備されている航空大学校、航空専門学校を出た学生は、ほとんどが今の航空業界に従事しておる。そういったところにもう少し光を当てて、今ある施設をうまく利用して、先ほど言ったように、やはり安全面の確保のためにも、一人の操縦士、航空整備士をつくるためには時間とお金がかかる。しかも、適性を見きわめていくためには、ある程度の年齢からしっかりと教育していく必要もあるんじゃないか。

 そういう意味からいきますと、ちょっと確認なんですが、自社養成、私立大学、航空大学校への支援ということになっておりますが、航空専門学校等に関しましてどのように補助がされておるのか、今後どういうふうに考えるのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

田村政府参考人 現在、我が国におけるパイロットあるいは整備士の民間養成機関として、先ほど私立大学というのは一つの例として申し上げましたけれども、専門学校も重要な役割を担っているというふうに認識しております。

 昨年、航空会社や民間養成機関等によって発足をいたしました、パイロットの養成確保、あるいは整備士の養成確保に関する協議会、これにも専門学校に参画いただいているところです。日本航空学園にも入っていただいているところでございます。

 今後とも、パイロットの養成、あるいは整備士の養成確保を進めていくに当たりまして、専門学校も含めて、民間養成機関の供給能力の拡充のための対策というのを検討し、実施してまいりたいというふうに考えております。

中島分科員 航空局、航空分野からしたら、私立大学やほかの航空大学校と同じように専修学校にも支援をしていく。そうなってきますと、そもそもここではちょっと論外になるかもしれませんが、これは文科部門になると思います。私立大学に対して、専修学校への補助が少ない。そういった中で、専門性を高めていく学校がなかなか広がりができないということでもあるのではないかなという観点だと思います。

 日本航空学園のことを取り上げたわけでございますが、私は、ぜひ大臣に一度来ていただいて、その設備がどれだけすばらしいか、そして、そこで学んでいる高校生もしくは専門学校生が本当に航空業界に対して夢を持ってやっている姿を一度見に来ていただければなと思うわけですが、感想でもいいので、大臣。

太田国務大臣 梅沢さんのところですね。よく承知しておりまして、時間がとれれば行こう、こういうふうに思います。

中島分科員 よろしくお願いいたします。

 それともう一点、先ほど、航空路、山梨県は空港がないと言いましたが、リニア中央新幹線の発着に関しまして、これから観光客誘致をしなきゃいけないというところから、その発着点は現在の計画でいきますと品川から名古屋ということになって、二〇二七年を目指してということではございますが、これは地元ではよく言われます。これから外国人観光客を誘致していくために、できれば空港とのアクセスをもっと高めた方がいいんじゃないか、高めてもらいたいという意見をたくさん聞きます。

 羽田空港が発着点にならないのか、もしそれが物理的に無理であるならば、中部国際空港、セントレアとの連携性を高めて、アクセスをより一層高めていけないのかどうかということをよく聞かれるわけですが、現在そのような検討がなされておるのか、お尋ねをしたいと思います。

藤田政府参考人 リニア中央新幹線につきましては、平成二十二年の二月以降、交通政策審議会において合計二十回にわたりまして有識者の皆様に幅広く御議論をいただいた上で、二十三年に、三大都市圏を結ぶ高速鉄道として整備計画を決定したところでございます。現在、御指摘のように、事業主体であるJR東海が平成三十九年度の東京―名古屋開業を目指して整備を進めている、こういう状況でございます。

 御指摘は、羽田空港、中部国際空港へのアクセスということであろうかと思いますけれども、そういった経過を踏まえて現在整備計画がつくられておりますので、国土交通省としましては、まずは計画どおりに品川―名古屋間についてJR東海が着実に整備を進めるということが大事であろうと思っております。

中島分科員 検討されていないということですよね。

 先ほど大臣もおっしゃいましたように、二千万人と、高い数字と言いましたが、フランスは年間に八千三百万人ぐらい来ている、日本は今ようやく、過去最高、一千三百万人というふうにはなったわけですが、先ほど言った景気回復や経済活性のためにこれから外国人観光客を誘致していく、そのために、空港がない県とのアクセスというのは非常に重要になるわけですね。

 もちろん、JR東海での問題だとはわかりますが、先ほど、空港からJRとのバスの問題とか、東京オリンピック・パラリンピックにおいてもその辺が懸念されるというふうにお答えになっておりましたけれども、そもそもの計画から、やはり航空路と連携性を高めるという計画が前提としてある必要があるのではないかなというふうに御指摘をさせていただきます。

 お答えを聞きたいんですが、時間が迫りますので、ぜひその辺について検討を進めていただきたいなというふうに思います。

 今、リニア中央新幹線の話も出ましたので、これは一点、大臣にお聞きしたいんです。

 大臣、リニアの試乗もされたと思います。その感想も含めてですが、先ほどの南アルプスのユネスコエコパークは、昨年六月に登録承認をされました。まさに、リニアモーターカーは、その南アルプスを貫通するトンネルをつくられる。そして、私は昨年の六月に環境委員会で環境大臣にもお聞きしたんですが、地元では、もちろんリニアの開通というのは念願でございましたので大変喜ばしいことではあるわけですが、南アルプスは、エコパークにも登録されましたように、自然豊かな、そして南アルプスの天然水もある。そういった水脈系に本当に影響がないのか。そして、残土ですね。長い区間のトンネルを掘るということで、その残土が、エコパークは、緩衝地域、核心地域と移行して、人間と自然との共存ということをうたっておるわけですが、本当にそういう懸念が払拭されるのか、地元では大変不安もあるということです。

 リニアへの試乗の感想と、国交大臣といたしまして環境保全に対する認識、その辺について御答弁をいただきたいと思います。

太田国務大臣 二十五年八月に山梨の超電導リニア実験線に試乗して、五百キロを体験させていただきましたが、圧迫感もなく、新幹線と同様という感がいたしまして、ある意味では非常に安心して乗れる乗り物であろうという感がいたしました。日本の技術力というのはすごいなということを改めて感じました。

 今の局面は、上の、走る技術水準はもう実証された。今度は、トンネルを中心にした、掘る、土木技術の世界ということです。私は土木屋なものですから、いよいよ日本の土木屋を挙げて、土木学会の会員でもありますが、勝負に入ったと。千四百メートルの土かぶりの下を、圧力のある中をくりぬくという土木技術。そして、今御指摘のありましたように、残土というものを適切にする、それを運ぶという道路の確保。そのときに、さまざまな環境への障害をなくしていく。

 そうした中で、しかもここはユネスコエコパーク認定ということもありますから、さまざまな意味で、とにかく環境保全について配慮が適切になされるよう、我々は環境省と連携しながらJR東海をしっかり指導監督していきたい、このように思っています。

 課題はさまざまありますが、日本の技術水準からいくとこれはクリアできると、私は土木屋の一人として感じております。

中島分科員 これは、言うまでもなく自然破壊ですね。一度壊されてしまったら、元に戻すまでに時間がかかってしまったり、もしくは二度と戻らないということも懸念されます。今、力強い御発言をいただきましたので、ぜひ丁寧かつ慎重に進めていただきたいというふうに思います。

 山梨県の場合は、リニアの開通の部分はほとんどトンネルなわけですが、一方で、山梨県の数十キロにわたっては平地を走る、そういう計画にもなっておりまして、今、その用地買収に関しましても、ちょうどその部分のところが高齢化率が高い地域でございます。そして、買収に至っても、移転ということがなかなか困難な御高齢の方々もたくさんおるということで、その辺についても慎重かつ丁寧にぜひ進めていただけますように、JRの方にも御指導していただきたいなというふうに思います。

 ちょっと時間が迫っておりまして、ここだけ最後質問させていただきたいと思いますが、資料の二枚目、これは、平成二十五年度、各省庁による障害者就労施設等との調達実績というものでございます。

 障害者優先調達法というのが三年前の通常国会で成立をいたしまして、一昨年四月から施行されました。これは、法定雇用率の改定とも連動して、障害のある方々が自立した生活を送るため、就労によって経済的な基盤を確立することが重要であるとの観点から、障害者の就労する施設の仕事を確保して経営基盤を強化することを目的に、国や地方自治体が率先して障害者就労施設から物品の調達をするということを目的として定めたものでございます。

 これは、ちょっと見づらいんですが、下の方に国土交通省と書かれてあるところ、平成二十四年度はこれはまだ施行されていませんので、件数が四十九件ということですが、平成二十五年度が六十四件、九百二十万円ほどの調達実績ということになるわけです。各省庁かなりばらつきがありますが、所管である厚生労働省が断トツというのはしようがないのでございますが、これはもう法律が施行されて実施されておるわけです。

 そんな中で、やはり障害者の自立を促すために、もっともっと調達実績を伸ばす必要があるのではないか。私も、名刺はいつも障害者施設でつくっております。そうやることによって、障害のある方々が、税金を投入されるということよりも、自立をしていく。率先して我々がそういった障害者施設に対して、これは各委員会でいつも大臣にお願いしているんですが、各省庁に旗を振っていただいて、調達方針も実はもうできておりますが、前年度を上回るというような目標になっておりまして、もっともっと高い目標値を設定して、障害者の自立のために各省庁が一丸となっていくという姿勢が必要ではないかと思いますが、最後、一言いただきまして終わりとさせていただきます。

太田国務大臣 工事量は国交省は多いんですが、この面は、むしろ物品購入というような面で国交省は少ないんですが、私はこれは非常に大事なことだというふうに思っておりますので、少なくとも前年度を上回ってという、かなり上回れるよう、私、旗を振りたい、このように思っています。

中島分科員 ありがとうございました。質問を終わります。

上田主査 これにて中島克仁君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

長坂主査代理 次に、河野正美君。

河野(正)分科員 維新の党の河野正美でございます。

 長丁場の分科会、お疲れだと思いますが、よろしくお願いいたします。

 本日は、私の地元でもあります福岡空港の安全性確保についてなどを中心にお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 かねてより、福岡空港は、滑走路が一本の飛行場で、年間十五万回を大きく超える旅客機の発着をさばいております。滑走路が一本の空港では、我が国で一番の離発着数あるいは利用客数というふうになっております。離発着の遅延も慢性化しているところであります。

 こういった状態では、おくれを取り戻そうなどといったことで、事故がいつ起きても不思議ではないんじゃないかなというふうに危惧しているところでございます。そういった観点から、福岡空港の安定的な運用を初め機能向上の必要性をたびたび訴えてまいりました。

 ところで、昨年十一月、福岡県及び福岡市は空港運営の民間委託手続を了承いたしました。今後、福岡空港が、ハード、ソフトの両面で、安全、安定的な運用、利便性の向上が進んでいくと期待されているところであります。

 ついては、現在までの取り組みを検証し、今後の方向性を確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、現在は、滑走路に平行する誘導路の増設工事が進んでいます。つい先日も、誘導路で飛行機がブレーキがかかったまま動かなくなってしまったということで、空港が閉鎖され、大混乱になったというふうに報道されておりましたが、こういったことで、誘導路の増設をまず行うということだと思います。とりあえずは、駐車場が一カ所にまとまり、ビルとなりまして、ターミナルビルのセットバックに向けて進んでいるように見受けております。現在の進捗状況についてお聞かせいただけますでしょうか。

田村政府参考人 福岡空港では、今もお尋ねがございましたように、ピーク時を中心に発生している航空機の混雑や遅延を解消するとともに、空港の処理能力向上を図るために、国内線側での平行誘導路の二重化事業というのを進めているところでございます。

 この事業は、狭隘な国内線側で、ターミナルビルのセットバックにより平行誘導路を二重化するものでございます。平成二十四年度より事業に着手しておりまして、早期完成に向けてビル会社等関係者と密に調整し、整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。早ければ平成三十一年の完成を目指して、今進めているというところでございます。

河野(正)分科員 平成三十一年ということで。

 平成二十七年度予算において、滑走路増設事業が新規着手されました。来年度の取り組みと今後の見通しについて、用地買収等も必要だと聞いておりますので、そういったこともお聞かせいただけますでしょうか。

田村政府参考人 福岡空港でございますけれども、先ほど平行誘導路の二重化の話を申し上げましたけれども、当然、滑走路一本で年間二千万人弱の利用がございます。そういう意味で、航空機の処理能力というものを向上させるという必要性から、滑走路の増設ということを長年検討してきたわけでございますけれども、今般、福岡空港における空港経営改革等を進めまして、適切な財源を確保するということを前提に、平成二十七年度政府予算案において滑走路増設事業を新規計上したところでございます。

 平成二十七年度は、現地測量等の調査や空港施設の設計を行うことといたしております。

 平成二十八年度以降も、地元の福岡県あるいは福岡市の全面的な協力をいただきながら、滑走路増設のために必要となる用地拡張等を可能な限り円滑に進め、できるだけ早い完成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

河野(正)分科員 ぜひ、安全性を担保するためにも頑張っていただきたいと思います。

 次に、いわゆるコンセッションについてお尋ねをしたいと思います。

 現在、ターミナル会社が中心となり、駐車場の移設、ターミナルの建てかえなどの事業が進められております。民間委託が進むことで、空港利用者にとってどのような変化が生じると予想されているのか。よろしければ、福岡空港に先行しております仙台空港の実情も含めてお聞かせいただけると幸いであります。

田村政府参考人 空港の運営を民間委託するという取り組みにつきましては、今御質問ありました仙台空港で、運営権者の選定プロセスというものが進んでいるところでございますけれども、仙台空港も含めまして一般論で申し上げますと、空港運営の民間委託によりまして、滑走路とターミナルビルというのを単一の空港運営主体が一体的に運営をするということになります。

 これによりまして、民間の経営ノウハウによって、航空系それから非航空系、それぞれの収入をふやしていくということ、それから、費用の低減を図るというようなことで経営の効率化が期待できるというところと、それから、航空会社との調整機能を一元的、機動的に持つことで航空ネットワークの拡充等を通じた利用者利便の向上が図られる、こういうことが期待されているところでございます。

 それから、新しい空港運営主体が地域と連携して観光振興などに取り組むことを通じまして、地元雇用を初め地域経済活性化の点でもメリットがあるというふうに期待をしているところでございます。

河野(正)分科員 民間に委託して、いろいろ観光系も含めて企画をされていくことだと思います。また、福岡空港は滑走路の敷地等に民間の所有地も入っていますので、しっかりと国もリードしてやっていっていただきたいと思っております。

 一部報道によりますと、特定の事業者名もこのコンセッション等で散見されているところですけれども、福岡空港における今後のスケジュールや見込みについてはどんな感じに受けとめられているでしょうか。

田村政府参考人 福岡空港の運営の民間委託、コンセッションにつきましては、現段階で具体的なスケジュールが決まっているわけではございません。

 今後、地元の御意見も十分に聞きながら、地域の実情等を踏まえたコンセッションの実施に向けまして、具体的なスケジュール、それから事業スキームについて引き続き検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

河野(正)分科員 福岡空港は国土交通大臣の所管でございますので、しっかりとこういったところを国もリードしてやっていただきたいなと思います。

 とにかく、慢性的に遅延が続いておりますので、こういったことで事故が起きないかどうかというのは本当に危惧されるところでございます。住宅地あるいは都市部に隣接していて本当に便利な空港でありますので、なおさら事故が起きたときというのが大変なことになると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ようやく滑走路容量の増強が端緒についたと言える福岡空港でございますが、福岡空港は、今お話ししましたように、御承知のように、市街地に隣接しているという至便性から、利用客もたくさんおられます。一方で、今も述べましたように、住宅地にも隣接しているわけでございますから、離発着の時間にも制限があります。同じ福岡県内でも、北九州空港は洋上空港であり、夜間や早朝の離発着も可能となっております。また、お隣の佐賀県には佐賀空港がございます。

 福岡県では、今回、福岡空港と北九州空港との間をリムジンバスで連絡するということを予算化しておると聞いております。隣接空港へのアクセスをよりよくすることで、旅客機就航の分散化、あるいは、いわゆるLCCなどは北九州空港に誘導していくなどのことができるんじゃないか、結果的に福岡空港の発着回数を抑える施策というのも、当面の解決策としては今工事が進む中で考えられる策ではないかなというふうに思っておりますけれども、いかがお考えでしょうか。

田村政府参考人 まさに来年度予算案に福岡空港の滑走路増設のための経費というのが初めて計上されたということで、長年の懸案がこれから前進するということになるわけでございますけれども、仮にこの増設事業が始まりましても、完成をして処理能力向上が実現するまでに約十年の期間がかかるわけでございます。これは夜間工事が中心になりますので、ある程度長くならざるを得ないということでございます。

 そういう意味で、それまでの間も北部九州の航空需要の増加というのが見込まれるわけでございますので、今御質問ございましたように、北九州空港を初めとする近隣空港とも連携してこれに対応していくということが極めて重要な課題であるというふうに私どもも認識しております。

 国交省といたしましても、先ほどのリムジンバスのようないろいろな地元自治体の取り組み、こういうものと協力をいたしまして、各空港の特色、強みを生かした利用促進を図って、北部九州への航空需要に適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 繰り返しますけれども、福岡都心部へのアクセスのよい福岡空港では、空港自体に集客施設を設けることで、より魅力的な空港ターミナルへ変貌を遂げようというふうに考えられています。それに伴いまして、ターミナルビルにたくさんの人が集まるわけですから、空港周辺地域での交通ネットワークの改善を図ることが必要となります。

 具体的に話を進めさせていただきますが、空港に隣接する糟屋郡の南部地域というのは、かつては産炭地として栄えておりまして、当時の国鉄線などの交通機関、いわゆる鉄道が存在しておりました。その後、国鉄線が廃線となり、また、福岡市のベッドタウンとして人口もふえまして、空港周辺の道路は従前から大変な渋滞を来している状況であったわけであります。さらに、近年はこの付近に大規模な商業施設が開設されまして、朝夕を中心に極めて深刻な渋滞が多く発生しているというふうに思っております。

 空港に人を集めなければいけないということになってきますので、近隣の道路整備の必要性が高まっていると考えますけれども、こういったところの周辺の道路整備はどのように考えられているでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 福岡空港周辺地域においては、幹線道路であります国道三号と市道が交差する空港口交差点を初めとして、渋滞が発生しているということにつきましては認識しております。

 福岡市周辺地域における渋滞については、福岡県交通渋滞対策協議会において、国、福岡県、福岡市等が連携し、状況の把握や対策の検討を進めているところであります。

 具体的には、平成二十五年一月に、空港口交差点を含む主要渋滞箇所を選定し、要因の分析やハード、ソフトを含めた効果的な対策の検討を進め、現在、各道路管理者において逐次対策を進めているところであります。

 国土交通省におきましては、引き続き、関係自治体と連携し、空港周辺の開発等も十分踏まえつつ、必要な検討や対策を行ってまいりたいと考えております。

 以上です。

河野(正)分科員 今申し述べましたように、自家用車による通勤利用が多いということから、公共交通機関の整備も検討すべきではないかなというふうに考えております。

 例えば、福岡市営地下鉄は福岡空港まで開通しておりますが、これをいわゆる博多の森を経由して志免町あるいは須恵方面に延伸するという提案も地元では承っております。

 先日、福岡市が、二〇一九年ラグビーワールドカップの開催地に決定をいたしました。スタジアムがある東平尾公園博多の森球技場へのアクセス向上も、これによって実現すると思います。また、地元の一部には、工期や予算を考えると、この辺はモノレールがいいんじゃないかという夢のプランもあるように伺っております。

 政府として、こういったことについての考え、認識はいかがでしょうか。

藤田政府参考人 地下鉄の延伸にいたしましても、あるいはモノレール等の建設にいたしましても、一般にこれは多額の費用が必要となります。そのため、まずは、地域の実情を踏まえまして、輸送需要の見通しでありますとか長期的に見た採算性など事業の推進に必要な基本的な課題について、地元の関係者等において検討をしていただく必要があるものと考えております。

 国土交通省といたしましては、地元の地方公共団体から御相談があれば、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 繰り返しにもなりますけれども、空港の南東側に位置する志免町、須恵町、宇美町は、近年、福岡都心部へのベッドタウンとして人気のある地域でもあります。しかしながら、何度も言いますけれども、道路整備がまだ不十分で、歩道のない県道をトラックやバスが多く通るなど危険性が高まっております。

 地元では都市計画道路志免宇美線の早急な整備が求められておりますけれども、これについて政府の考えをお聞かせいただけますでしょうか。

小関政府参考人 都市計画道路志免宇美線は、主要地方道福岡東環状線から宇美町道木川四号線に至る、延長三・六キロ、幅員二十五メートルの幹線道路でございます。本路線の北側に並行する主要地方道福岡太宰府線の渋滞緩和や安全な歩行環境を確保するため、福岡県が順次整備を行っております。

 宇美町道木川四号線から往来路橋南付近までの約一・一キロにつきましては、昨年四月に供用されております。

 往来路橋南付近から吉原大橋南付近まで約一・六キロの志免宇美工区につきましては、平成二十七年度の都市計画事業認可の取得に向け、現在、県が橋梁の形式や道路の位置を決めるための設計を行っております。認可取得後は、社会資本整備総合交付金を活用し、詳細設計や用地測量を行う予定と聞いております。

 吉原大橋南付近から福岡東環状線の〇・九キロメートルの区間につきましては、志免宇美工区の進捗状況を踏まえ、県において、今後、事業化の検討がなされる予定と聞いております。

 国といたしましては、福岡県の事業内容を踏まえ、支援をしてまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上、福岡空港とその周辺地域の交通事情の現状や課題を取り上げさせていただきました。いずれも、地域で働いたり生活を営んでいる方々にとっては極めて重要なものでございます。

 地域から出された要望や提案を真摯に受けとめ、ぜひとも前向きな対応をお願いしたいというふうに考えております。国土交通大臣から力強い一言をいただければと思います。

太田国務大臣 福岡は、我が国にとりましても今後ますます重要になると思います。

 福岡空港は、福岡の中心部からこれほど近い空港はない。だからこそ、いろいろな問題があるというふうに思いますが、これほど中心部から近い空港はない。アクセスにすぐれている。そして、観光ということからいきましても、韓半島、中国、そして東南アジア、いろいろな形でゲートウエーになるということは間違いない。こうしたことで、今、道路や公共交通やあるいは鉄道の話もありましたが、ホテルなんかも私は足りないのではないかと。

 去年、上海に行こうと思いまして、福岡空港まで行きまして、福岡から朝飛び立って日帰りをしたわけなんですが、何と、私が行ったその前の晩はタレントの「嵐」が来ていまして、もう本当にホテルをとることができなかったというふうなことがありましたが、そういう意味で、これからますます大事になるという認識をしています。

 県から、あるいは経済界からも、また、先生初めそういう方々からも要請を受けておりますので、一つ一つきちっと対応できるように、よく連携をとり合って頑張っていきたい、このように思っております。

河野(正)分科員 ありがとうございました。

 本当に、さまざまなタレントが来ると、福岡ドーム等でコンサートがあっているときはホテルがとれないという話を私も聞いておりますし、何とかならないのという相談も受けます。

 また、アジアのゲートウエーということで、中国、韓国からたくさんの方が来ていただいて、V字回復して、今、博多港の大型クルーズ船もたくさん来るように、また戻ってきたというふうになっております。外国人の観光客の方は船に泊まりながら観光とか買い物をされているというような実情もありますので、大臣が認識されていて非常にありがたいと思っております。

 次に、ボタ山跡地の利用についてお尋ねしたいと思います。この地域は、先ほどもお話ししましたように、かつて産炭地として栄えた地域でもあります。

 旧志免炭鉱のボタ山が、志免、須恵、粕屋の三町にわたって今なお残されております。旧志免鉱業所竪坑櫓が経済産業省の近代化産業遺産、こういった指定を受け、国の重要文化財にも認定されております。ボタ山にもそのような価値を認める声がある一方で、土地を地域開発のために有効活用すべきではないかという意見もございます。

 これまでのボタ山の経緯について等々、国の認識をお聞かせいただきたいと思います。

三木政府参考人 まず、ボタ山の一般的な安全管理についてお話し申し上げます。

 操業中の炭鉱のボタ山につきましては、鉱山保安法に基づく安全管理が義務づけられておりまして、炭鉱の閉山以降五年間までは鉱業権者が必要な安全対策を行うこととされております。その後は、各ボタの所有者による自主的な安全管理が行われていると認識をしております。

 また、ボタ山の活用についてでございます。

 ボタ山跡地対策を含めまして、旧産炭地域振興対策は平成十三年度末をもって終了をしております。現在は、ボタ山跡地を活用する特別な支援策はなく、ボタ及び敷地の所有者による自発的な取り組みによりまして、ボタ山跡地の活用が行われているところでございます。

 ボタ山跡地活用の事例としましては、ブルーベリーやオリーブなどの農作物の栽培やメガソーラーの設置などがあるものと承知をしております。

藤田政府参考人 経緯についてお尋ねがございましたので、事実関係について私の方から御説明をさせていただきます。

 志免町の炭鉱につきましては、昭和二十年十二月に旧海軍から旧運輸省に移管された後、昭和二十四年六月、当時の国鉄に移管されました。その後、昭和三十九年六月に閉山されたところであります。

 御指摘のボタ山跡地につきましては、閉山後も引き続き旧国鉄において所有することとなりまして、旧国鉄と地元自治体等との間で利用方針等について協議が進められておりましたが、昭和六十一年の七月に旧国鉄が志免町、須恵町及び粕屋町に譲渡したと承知しております。

 現在、この三つの町で構成された国鉄志免炭鉱ぼた山開発推進協議会において、当該跡地の利用方針等について検討されているものと承知しております。

河野(正)分科員 ありがとうございました。

 空港に近い地域でもありますので、こういったところと一体化して開発していけば、もっと地域に活気があふれてくるのかなと認識しているところであります。

 話題は若干かわりますけれども、今度は羽田空港についてお尋ねをいたしたいと思います。

 これはちょっと利用者の方から相談を受けた問題なんですけれども、羽田空港の国内線、国際線ターミナルのタクシー乗り場は、昨年度まではポーターと呼ばれる係員の方がいらっしゃいまして、利用者の案内や問い合わせ対応、誘導などを行っていたというふうに認識しております。しかし、昨年四月より係員が不在となりまして、国内線ターミナルではインターホンでの対応になっているというふうにお聞きしております。

 これに伴いまして非常に混乱しているということで、現場のタクシー運転手の方々から、大変困っているという御相談をいただきました。特に外国人の利用者を中心に、利用の仕方がわからなくて困っている方が多くいらっしゃるというふうに聞いております。営業エリアの関係もあるでしょうが、たしか、川崎、横浜方面であるとか都内であるとか、分けて乗らなければいけない。

 また、きょうの日経新聞を見ておりましたら、四月六日から羽田に定額タクシーの乗り場が国内線にできるというようなことも報道されておりました。

 こういったことから、運転手が対応に追われてしまい、お客様をスムーズに案内できないという問題が生じている、利用者の利便性が損なわれているという声をいただいたわけであります。

 特に、この方から言われたのは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、これからさらに外国からのお客様がふえていくと予想されている。こういう中で、東京の玄関口である羽田空港でこういった対応、混乱を来しているようでは、我が国の印象も大きく損なわれてしまうんじゃないのかという懸念を持っているというふうにおっしゃっていました。

 これはターミナルビルの問題だと思いますので、一部民間業者の問題と看過することなく、やはり、二〇二〇年を迎えるに当たって、国を挙げての支援にもっと力を入れていかなければならないんじゃないかなというふうに思って、きょう提言させていただいておりますが、政府としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 羽田空港のタクシー乗り場につきましては、五十二年の二月より、東京タクシーセンターが、乗り場の案内業務を行うために、国内、国際両乗り場にポーターを配置してまいったところでございます。

 しかしながら、当該業務の人件費の経費の増大というのがございまして、二十四年度ではこのポーターにかかる費用は一億八百万円、こういうようなところで大きな負担になっておったところでございまして、二十六年四月より、今御指摘のとおり、ポーターの配置を廃止することといたしたところであります。

 これに伴い、利用者利便が損なわれないように、まず、タクシーセンターの指導員の巡回パトロールによる機動的な即応体制を構築、もう一点、人感センサーによります音声のガイダンス、四カ国語でございますが、この乗り場案内標識を設置していく、また、国内の乗り場ではインターホンを用いた車両指定に関するコントロールセンタースタッフの増員をして、こういうことに取り組んできているところではあります。

 しかしながら、御指摘のとおり、ポーター不在となったことによりますいろいろな要望、御意見をいただいているところでありますので、よく実情を把握し、どのように改善をしていけるか、関係者としっかりと協議をしてまいりたいと思っております。

 また、ただいま御指摘ありました、今般、羽田空港から都内各地への定額運賃の見直しと、また、あわせまして、四月六日から国内線で定額タクシー乗り場の設置も実施をすることといたしております。これらの取り組みとも相まって、羽田空港のタクシー乗り場改善に向けていろいろ工夫をしてまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 済みません、この点、通告していませんけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

太田国務大臣 対応しなければいけない問題だと認識をいたしました。対応できるようにいたします。

河野(正)分科員 ありがとうございました。

 福岡がアジアのゲートウエーと言っておりましたけれども、本当に、まさにオリンピック、パラリンピックを控えて、羽田空港というのは海外からのお客様にとって非常に大事なところだと思いますので、これで国の印象が悪くなってしまうようではいけないと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 もう時間が余りありませんので、簡単に、ちょっとまた九州の話題でお聞きしたいと思いますが、JR九州の民営化についてでございます。

 本年二月に閣議決定されましたJR会社法改正案に関連して、JR九州が完全に民営化されるということで、より九州の地域特性に見合った自立的な経営が可能になることは有意義だと思っております。

 JR九州は、一四年三月期連結決算では、鉄道以外の関連事業収入が五割を超えているということであります。実際、大規模なドラッグストアであるとか居酒屋などの経営が目につくところであります。一方で、ローカル線の運行形態の見直しなど、さらなる合理化の動きも見られます。

 無人化される駅もたくさんあるというふうに聞いておりますけれども、完全民営化により、九州に限らずでしょうけれども、地域交通への影響がどの程度見込まれるのかを教えていただきたいと思います。

藤田政府参考人 JR九州は、鉄道事業に加えまして、今御指摘のように関連事業を展開しておりまして、連結決算で、近年、おおむね二百億円規模の安定した経常利益を計上してございます。

 今御指摘のありましたJR会社法の改正案におきましては、経営安定基金というものを鉄道ネットワークの維持向上に資する資産に振りかえるといった措置を講じております。こういったこともありまして、JR九州は引き続き安定的な経営を行うことが可能であると見込んでおります。

 また、その法案の中では、JR九州が配慮すべき事項として鉄道路線の適切な維持について国土交通大臣が指針を定め、国の指導助言、さらには、必要に応じ勧告、命令によって、これを踏まえた事業運営を確保するという仕組みを設けております。

 こういった措置によりまして、完全民営化後におきましても地域交通がしっかり維持されることができるものと考えております。

河野(正)分科員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思いますが、さまざま、きょう提起させていただきました課題について、ぜひともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて河野正美君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東信久君。

伊東(信)分科員 維新の党の伊東信久でございます。

 本日は、予算委員会の第八分科会ということで、太田国交大臣に初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は現役の医師、外科医なんですけれども、そして医療法人の経営者として、いかにして肥大し続ける社会保障費を抑制するのかということをテーマとして日々取り組んでおります。太田大臣の所属されている公明党の桝屋敬悟議員とともに、まさしく本日、この質疑の後となるんですけれども、超党派でバイオシミラー議連というのを立ち上げまして、社会保障費の抑制に取り組んでまいります。

 バイオシミラーというのは、簡単に言いますとバイオ医薬品の後続品でございまして、非常に大ざっぱな表現になるんですけれども、一般の医薬品でいうとジェネリック医薬品のようなものでありまして、バイオ医薬品、単価が高いものでございますし、医療費の圧迫にもつながっておりますので、バイオシミラーの議連によって医療費削減に大きく貢献できると考えております。

 二〇一五年、本年はバイオ医薬品の特許が続々と切れる年でございますので、バイオシミラーという言葉が本年は世間をにぎやかせるかと思います。安倍内閣の重要閣僚のお一人でございます太田大臣もバイオシミラーのことは御承知のこととは思いますが、太田大臣と接することができる貴重な御機会でありますので、冒頭、御案内させていただきました。

 さて、私の選挙区と申しますのは、大阪第十一区、枚方市、交野市というところでございます。大阪なんですけれども、ちょっと小さいですけれども、この地図でございますように、大阪府の中でも一番北東でございまして、京都府と県境というような場所にございます。

 本日は、私の選挙区に流れております、大阪ですから大きな川として淀川が琵琶湖までつながっているわけなんですけれども、選挙区を流れております淀川の渡河橋、橋について御質問させていただきます。

 淀川を渡る架橋は、現在二、三キロごとに架設されておりますけれども、これもちょっと小さなイラストとなっておりまして恐縮なんですけれども、ただ、大ざっぱに見ていただいてもおわかりいただけると思うんですけれども、実は、枚方大橋という橋があって、そこから京都の八幡市まで、八幡市の御幸橋というんですけれども、この間、十二キロにわたって橋がかかっていない状況にございます。

 橋が不足しているために、枚方にかかっている唯一の枚方大橋に交通が集中しておりまして、容易に渋滞を引き起こす原因になり得るだろうということは御理解いただけると思うんですけれども、加えて、防災であるとかまちづくりの観点からも課題がございます。

 現在、枚方市は、この問題を解決するために新たにかける橋として、都市計画道路牧野高槻線の橋梁、つまり、この間に新たなる橋を単独でかけるということと、現在、国の方で検討いただいております新名神高速道路の併設橋としての検討を行っているわけです。

 新名神の併設橋とは、文字どおり、新名神がこうかかっていくわけですけれども、ここの新たに開通する高速道路に併設するような形で橋をかけようとするものだと理解しているわけなんです。

 ここで、まずは一問目、お尋ねさせていただきたいのは、この新名神高速道路において、大津ジャンクションより西側についての開設予定時期について教えていただきたいのですけれども。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の方から、新名神の大津ジャンクション以西についての開通予定ということで御質問いただきました。

 新名神高速道路は、名古屋市から神戸市までを結ぶ、延長約百七十キロメートルの高速自動車国道でございます。

 全て現在事業中でございますけれども、大津ジャンクションより西側の区間について順番に申し上げますと、大津から城陽の間、これは平成三十五年度供用目標でございます。それから、城陽から八幡、この間は平成二十八年度。八幡から高槻間、平成三十五年度。高槻―神戸間が、地元の協議が順調に進捗した場合でございますけれども、平成二十八年度ということで、供用の目標をNEXCO西日本の方で発表させていただいて、現在、事業をしているところです。

 なお、平成三十五年度という区間が二つありますけれども、具体的に申し上げますと、大津―城陽間、それから八幡―高槻間ですけれども、道路公団民営化の議論のときに、平成十八年、当面着工しない区間とされ、その後、平成二十四年四月まで事業が行われなかったという経緯がございまして、ほかの区間に比べて開通時期がおくれているということでございます。

 以上です。

伊東(信)分科員 深澤道路局長、ありがとうございます。

 ちょっと済みません。最後のところで、行われなかった経緯というか、その間に協議されなかったり進まなかった理由というのは何かございますのでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 道路公団民営化の議論のときに、ここの区間につきましては、周辺の道路状況の交通状況を勘案して考えるということで、当時、当面着工しない区間として認定といいますか、区間が指定されたところでございます。

 以上です。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 道路状況につきましては、かなり個別のことになると思いますので、この場においては御質問は控えます。

 ということは、きょうは高速道路、ハイウエーの話ではございませんので、併設橋のことをまずお聞きしたいわけなんですけれども、仮に新名神の高速道路の併設橋が実現したとしても、早くとも平成三十五年ということになります。

 大阪の北東部に位置する枚方市というのは、古くから大阪と京都を結ぶ要衝地として栄えまして、人口四十万人都市のベッドタウンとして発展してきました。

 しかしながら、してきましたと過去形になってしまうのも地元としてはちょっとつらいところなんですけれども、国道の一号線、百七十号線などの幹線道路の交通渋滞が本当に慢性化しておりまして、市内交通の円滑化を図るためにも、道路ネットワークの整備が必要となっております。

 十二キロにわたって橋がかかっておらないので、枚方大橋に交通が集中している現状ですと、もう一つ、やはり、災害が起こったときに防災の面からの問題も生じてまいります。

 例えば、現状ですと、不幸にして枚方に災害、それも大規模災害が起こった場合、医療機関としまして、現在、枚方市には、大学病院としては関西医科大学の枚方病院とかもございますし、昨年、市民病院が市立ひらかた病院としてリニューアルしたんですけれども、大規模災害で不幸にしてたくさんの負傷者の方が発生した場合、高槻市の大阪医科大学附属病院や三島救急医療センターに三十分以内で搬送できる範囲が狭くなっておりますので、これでは助かる大切な人命も助かりません。このあたりのことをやはり医療従事者として痛切に感じております。

 そしてまた、不幸にして淀川が氾濫した場合、国道の百七十号線、百七十一号線は浸水の影響が大きいので、これまた枚方大橋に集中してしまいます。

 そして、橋がかかることの恩恵として、新たに橋がかかることにより、商業施設の商業圏が拡大します。枚方市内だけじゃなくて、川の向こうの高槻市からもたくさんお客様が来られる。もちろん、枚方市の人が高槻市に行くこともさらに容易になります。そういうことで、市民の利便性も広がります。

 我々維新の党は、ベースとしては、本当に不要な箱物や道路は建設すべきではないと考えておりますけれども、しかし、この新たな淀川の渡河橋は、人の命の問題とか防災、そして経済効果、この三つのいずれの視点で見ても絶対必要な橋であることは間違いないと地元を回って確信いたしました。

 ひとえに高速道路の建設といっても、先ほどの政府参考人の御回答でありましたように、用地の買収問題とか地元の協議などさまざまな御苦労があると存じております。

 平成三十五年度の開通を目指してさまざまな障害を乗り越えると存じますけれども、枚方市としては枚方大橋以外の新たな橋が、三十五年と言わず、一刻も早く必要であるということをまずはちょっと御理解いただければと思います。

 過去の事例を見てみますと、他の高速道路、例えば新東名の高速道路では一年間の前倒しの開通がございました。御回答にありましたけれども、西から順に、城陽ジャンクションから八幡ジャンクションが平成二十八年度開通予定で、八幡ジャンクションから高槻ジャンクションは平成三十五年度、高槻ジャンクションから神戸ジャンクションは地元の協議がなされれば平成二十八年度開通予定ということなんですけれども、先ほどから繰り返し述べさせていただいていますように、淀川の渡河橋にかかわってくる八幡ジャンクションから高槻ジャンクションの開通は、七年おくれておるんです。

 ここで、太田国交大臣にお尋ねしたいんですけれども、本当に繰り返しになって申しわけないんですけれども、一刻も早く新たな橋の建設が必要な今、八幡ジャンクションから高槻ジャンクション、ここの部分の前倒しの開通の可能性についてお聞かせください。

太田国務大臣 とまっていたということもあったんですが、確かにおっしゃるように、平成二十八年度開通というのが両方あるということからいきまして、真ん中のところの八幡ジャンクションから高槻ジャンクション、これが三十五年度開通ということは、かなり、七年差があるということは、地元にとっては少しでも早くと思うのは私は当然のことだろうというふうに思います。

 しかも、非常に大事な名神高速道路や京滋バイパスの渋滞の緩和とか、あるいは大規模災害時における名神高速道路の代替路となるというような意義があるというふうに思っております。

 こうした意義を踏まえて、地域の皆様の御理解と御協力をいただきながら、早期開通に向けて着実に整備を進めてまいりたい。いつと数字は申し上げられませんが、早期開通に向けて着実に整備を申し上げたい、このように申し上げたいと思います。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。太田大臣からの本当に前向きな御答弁、ありがたく思います。

 地域、地元を常々歩いている国会議員としても、そして医療の立場からしても、防災の面でも、市民の皆様の利便性の面でも、そしてアベノミクス、今期掲げているように地方再生の観点からも、非常に重要な橋の問題でありますので、先ほど太田大臣、この七年おくれというのは地元の皆さんにとって非常にダメージだということを御理解いただいている非常にうれしい答弁をいただきましたので、この点に関しては地元に帰ってお伝えしたいと思っております。

 さて、繰り返して申し上げますように、枚方市民にとりまして、枚方大橋に続く新たな橋の架橋というのは、もう長年の悲願であります。

 ですので、やはり枚方市を歩いていると、橋はどうなんですか、橋はどうなんですかということをかようによく聞くわけです。一方で、地方自治体、枚方市の役所の皆さんとお話しすると、もしくは現場に携わる方々とお話しすると、幾つかの問題も指摘されるわけです。

 現在も順調にこの枚方市民の悲願に向けてスケジュールをこなしていると存じますけれども、枚方市だけの問題ではなく、お隣の高槻市の御事情もあるかと思います。ちょうど高槻市側、淀川の向こう側の河川敷に鵜殿のヨシ原というのが広がっております。

 この鵜殿のヨシ原というのは、いわゆる雅楽で使用されるひちりきのリードに用いられる。リードというのは楽器と口をつなぐジャンクションとなる部分でございまして、私、もちろんこれを吹くことはできませんけれども、聞いたことは何度もございます。良質のヨシの生育地が高槻市側の河川敷に鵜殿のヨシ原として存在しておりまして、自然環境はもちろん、歴史、文化的にも極めて重要な場所であることは重々承知しております。

 さて、高槻市と枚方市を結ぶ新たな架橋の建設に当たりまして、鵜殿のヨシ原の環境保全に向けた検討会が設置されておりまして、ヨシの生育などに関する現状調査や保全対策の検討が行われていると存じ上げておりますが、現状の調査の状況について教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

深澤政府参考人 御質問のありました鵜殿のヨシ原、これは多様な動植物の生息、生育地となっております。また、ここに自生するヨシが、今委員御指摘のように、日本古来の伝統文化である雅楽のひちりきに使われていることは承知しております。

 このため、これまでも、専門家から成る委員会を設置して、鵜殿を含めた河川環境の保全、再生に努めてきたところであります。

 また、新名神高速道路事業に伴う鵜殿のヨシの保全につきましては、事業者であるNEXCO西日本が、平成二十五年一月に新たに専門家から成る検討会を設置し、これまで五回開催し、鵜殿のヨシの保全対策について検討を行ってきたところであります。具体的には、ヨシの生息環境に関する調査、ヨシの生育拡大を目指した調査、試験を実施しております。

 今後とも、関係する皆様の御意見をいただきながら、新名神高速道路とヨシ原の共存について取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

伊東(信)分科員 平成二十五年の一月ということは、二十五年、二十六年ということで、ほぼ二年ほど調査が入っていると思います。

 さきの衆議院総選挙におきまして、また再び議席を確保させていただいた私でございますけれども、ちょうど一期目のときに、こういった調査の報告というのは、調査中ですよということは私自身も聞いているところなんでございます。

 ここで答えられる範囲で構いませんので、鵜殿のヨシ原とこの新しい橋もしくは新名神のいわゆる共存というのはどの程度可能なのか、具体的な施策はされているのか、調査の内容についてもし触れられることがございましたら、現在の調査状況の内容について、調査しているのは存じ上げていますので、その内容について現在わかることで構いませんので、お答えいただければと思います。

深澤政府参考人 調査の内容でございますが、私が理解する範囲で申し上げたいと思います。

 GPS等を用いまして、ヨシが大体どの辺にあるのかということを全体調査いたしました。その結果、ひちりき用のヨシの採取エリアというのは、高速道路を計画している橋から南に約六十メートル以上離れております。したがって、光や土壌、雨水等への直接的な影響はないというふうに考えられております。

 あと、ヨシに対する水分の補給等につきましても、現在のところ特段問題ないというふうに調査の結果得られております。

 なお、引き続き慎重に、その辺につきましては調査を進めていきたいと考えております。

 以上です。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 本当にさまざまな問題、環境保全の問題も大事でございますし、かといって、市民の皆様の利便性、安全性という面も大事と思っております。

 本日は、太田大臣の貴重なお時間をおかりしまして、私の地元である枚方の架橋について御質問させていただきました。先ほどの太田大臣の御回答にもありましたように、この枚方市の現状に対して、太田国交大臣には御理解していただいたと思っております。

 現在、大阪の状況を考えますに、大阪の府知事は、前までは幹事長でしたけれども、事情がありまして、我が党の顧問であります松井知事であります。そして、高槻市側には同じく我が維新の党であります松浪議員もおります。大阪府、大阪府知事とのパイプも生かし、一刻も早い架橋の実現を目指してまいりますので、太田国交大臣におかれましては、何とぞ引き続き御協力を賜りたいと思います。

 本当は通告にはなかったんですけれども、先ほどの鵜殿の件でも構いませんし、今回の枚方の悲願に関しまして、ちょっと私の質問に対する何かコメントをいただければと思います。済みません、これは通告にございません。

太田国務大臣 鵜殿の件については、森英介先生からもお話を聞いて、私も直接現地の議員にも聞いたり、あるいは地元の公明党の市会議員等にも聞いたりして状況を掌握しているつもりで、非常に貴重なものということを認識いたしております。

 共存というか、工夫をすれば実現するという、高速道路もまた鵜殿のヨシ原も共存ができるということを私は今聞いているところですが、より一層詳細を調べて、何とか皆様方が両面満足できるようにというところを目指していきたい、このように思っております。

伊東(信)分科員 ありがとうございます。

 冒頭、医療に関しまして、超党派でありますところの、バイオシミラー、つまりバイオ医薬品のいわゆる大ざっぱに言うとジェネリックみたいなものがありまして、それに対しての超党派の議連の立ち上げの話を御紹介させていただきました。

 最後に本当に申し上げたいのは、我々は国会議員ですから日本の国全体のことを考えるのは当然ですけれども、やはり地域再生なくして日本の再生はないと与党の皆さんもおっしゃっていただいておりますので、先ほど太田大臣、地元の御党の市議会議員の先生から調査の話をもう既に鵜殿に関してはお聞きいただいているということは、非常にありがたいお話でございます。そういったところで、市民の皆様のために、国民の皆様のためになるのであれば、そこはもう党派を超えていろいろ協力をしてなし遂げたいと思います。

 今回は、太田国交大臣におかれましては、この枚方の現状におきまして、非常に多大なる御理解をいただいたと承知しております。今後とも、何とぞ御協力を賜りたいという願いを込めまして、本日の質問の方を終了させていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて伊東信久君の質疑は終了いたしました。

 次に、上西小百合君。

上西分科員 維新の党の上西小百合でございます。

 あすは、いみじくも東日本大震災から丸四年、そして、ことしは阪神・淡路大震災から丸二十年に当たります。改めて、犠牲になられた皆様に哀悼の誠をささげ、そして、被害を受けられた皆様に心からのお見舞いを申し上げつつ、本日は、国民の皆さん方の命、そして生活にかかわることを、さまざまな方面から通告に従って質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 大震災時、ただでさえ狭い道路に電柱が立っていたり、そして、その電柱が倒れてしまったり、電線が地上に落下をして緊急車両が通行できず、本来であれば起こらなかったであろう類焼そして延焼が防げなかったり、救えた命が救えなかったのではないか、こういう報告例をよく聞きます。

 ですので、欧米の大都市のように、無電柱化、すなわち、電線を地下に埋める、地下に通すようにする必要が日本でも関東大震災の復興策のときから提唱されてきておりますが、今ではその声がだんだんと風化でもしたかのように小さくなってきていて、そして、ロンドン等とは比較にならないぐらい、東京でも大阪でも無電柱化が進んでいない、こういう状況であります。ですので、国民の皆様方に安心、安全な町を提供することができていないのではないか、こういう懸念を私は抱いております。

 私は、防災面からも、また景観の保持の観点からも、そしてまたバリアフリー、障害をお持ちの方であったり高齢者の皆さん方であったり、そういう皆さん方のためのバリアフリー推進の面からも、無電柱化を早急に進める必要がある、こういうふうに確信をしておりますが、まず、無電柱化に対する国の見解、お取り組み、現況、低コスト化の取り組みなどと、そして今後の見通し等をお聞かせいただけますでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 無電柱化は、委員御指摘のように、道路の防災性の向上、安全性、快適性の確保、良好な景観、大きく言って三つの観点から重要な施策だと考えております。特に、南海トラフ巨大地震等の発生時など、電柱倒壊による道路閉塞の防止、これはどうしても防がなきゃいけないというふうに考えております。

 このため、昭和六十一年から、関係機関とともに計画的に無電柱化を進めてきております。これまで、全国で九千キロメートルの無電柱化が図られているところです。

 しかしながら、委員御指摘のように、ロンドン、パリといった欧米の都市では一〇〇%、あるいはアジアの主要都市でも無電柱化が進展しておりますが、我が国の場合、東京二十三区に限っても七%と著しくおくれている状況でございます。

 国土交通省としては、総務省、経済産業省、あるいは関係事業者と連携しながら、とにかくコストを下げて無電柱化を進める、そのために、ケーブルの直接埋設の方法であるとか、さまざまな低コストの手法の導入に向けて取り組んでおります。

 引き続き、関係者と連携しながら、さらなる無電柱化の推進に努めてまいりたいと考えております。

上西分科員 ありがとうございます。

 しっかりと無電柱化を進めていく。一〇〇%の国もあれば、そしてアジア諸国でも進んでいる、そういった中で、日本の首都である東京でも七%という数字をいただきました。これは大変な問題であると思いますし、やはり地震大国日本に住まれる国民の皆様方からすれば大変心配される状況でありますので、しっかりと進めていただきたい、こういうふうに思います。

 福島の原発事故以来、発送電分離、こういう言葉がメジャーになり、国民の皆さん方の最大の関心事の一つになっているのではないか、このように思っております。

 そのような中で、先ほど申し上げましたように、無電柱化の普及が進まないこの大きな理由は、電力会社によると、コストが高過ぎるからだと。先ほど低コスト化に向けて取り組まれているというお話もありますが、電力会社に言わせると、コストが高過ぎるからちょっと難しいんだ、余りしたくないというふうな意見がある、こういうふうに聞こえてくるんですね。

 ですので、電線を地中化する際の費用負担者、これはどういうふうになるのか、そして、無電柱化のコストは、電柱を地上に立てて空中に電線を張る従来の方法よりも本当に相当に高い費用がかかるのか、そして、地中化された電力会社の料金も割高になってしまうのか、以上について、経済産業省の御答弁をお願いいたします。

吉野政府参考人 電線地中化に関する費用負担、それからコスト等に関するお尋ねでございます。

 まず、共同溝方式によります電線地中化の費用負担に関しましては、電線共同溝の整備等に関する特別措置法に基づきまして、国及び地方公共団体が共同溝の建設費用を負担し、その負担割合は実態上一対一になっているというふうに承知をしております。

 他方、電線の管理者であります電力会社、通信会社におきましては、道路管理者が設置した管路に通すケーブル、それから地上機器等の購入、設置、電柱の撤去に係る費用を負担するほか、先ほどの共同溝の建設に係る費用を一部負担するということになっております。

 この結果、共同溝を含めた費用全体の負担割合は、国、地方公共団体、事業者でそれぞれ約三分の一ずつになっているというふうに承知をしております。

 それから、コストの問題でございます。

 事業者の試算によりますと、架空設備、通常の電柱ですが、この設置の場合は、一キロメートル当たり約一千五百万円、〇・一五億円、地中設備の場合には、これが一キロメートル当たり一・六億円のコストになっているということでございます。

 この背景としましては、地中ケーブルが、土の場合は、そのケーブルにつきましては架空電線に比べて絶縁性能等を高める必要がある、多層構造のものが必要であるとか、それから、架空機器では開閉器などが別ユニットになっておりますけれども、地上機器についてはこれを一体化させる必要があるということ、それから、地上機器の場合には、車両の衝突などに備えた構造にする必要があるといったところで、そうした設備の単価が高いことが主な要因になっているというところでございます。

 それから、そうした費用と電気料金との関係でございますけれども、電線地中化のコストは料金原価に含まれますので、電線地中化を進めることは電気料金を押し上げ得るというところでございますが、他方で、現時点では、各社の料金の総原価に占める電線地中化に係る費用というのはそれほど大きなものではないというところでございます。

 電気料金の水準は燃料費などさまざまな要因に左右されますため、電線の地中化率の差によって電気料金が大きく異なるということは考えにくいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

上西分科員 電気料金の割合に占める、電線を張るたびだとか電線の地中化、そういったところもそこまで割合を占めていないということでありますので、国民の皆様方にすれば、安全に生活ができるのであればしていただきたい、こういう思いがあるのではないかというふうに思います。

 そして、費用に関しても、三分の一ずつということですので、電力会社も三分の一の負担ということでいいということでありますので、前向きに考えていただけるような事案ではないかな、こういうふうに思っております。

 今、電力会社の試算を発表いただいたと思うんですけれども、経済産業省さんの方では見積もりだとか試算だとか、そういったものはとられているんでしょうか。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたものにつきましては、これは実績に基づいた試算ということでございます。それから、コストの問題につきましては、やはり低減が重要であるというところは私ども認識をしております。

 このため、国交省さんとも、それから関係省庁さんと一緒に技術検討委員会というものを設けておりまして、コスト低減のための技術的検証を進めているところでございます。

上西分科員 検証を進めているところということでありますが、電柱を地中化する、こういう話は随分と前から出ているところでありますので、早急に検証をお願いしたい、こういうふうに思っております。

 私の考えになりますけれども、地中化をすることによって、当然、そういった事故のリスクも減ってきますし、事故で発生する修理のコストも下がる、そして、今だったら、何か修理をするたびにガードマンをすごく人数を配置して工事をしているわけですから、そういったコストも削減をできる、そして、国民の皆様方の安全もしっかりと確保できる、そういった形になると思いますので、ある程度の初期投資はかかったとしても、やはり電柱を地中化する、こういうことに関しては大変な価値があると感じております。

 私もこれからしっかりとこのことを訴えてまいりたいと思いますので、ぜひとも経産省、道路局さんの方からも電力会社にしっかりと働きかけをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、国民のために震災復興作業に当たってくださっている方々の環境についてお伺いをしたいと思います。

 ことし一月、福島第一原発で、タンク上部から作業員が落下をし、搬送先の病院で死亡する事故がございました。また、以前には、第二原発でも、廃棄物処理建屋で、作業員が倒れてきた荷物台に挟まれ、搬送先の病院で死亡した例もございました。

 四年前の大惨事以降、この場所は避難区域になっており、危険だ危険だ、こういうふうに言われていながらも、日夜たくさんの作業員の方々が作業をしてくださっているのも事実ですので、三点確認をさせてください。

 避難区域内、とりわけ帰還困難区域でもしっかりとした消防署の救急医療体制はしかれているのか、そして、現場に向かう救急隊員に対する安全管理について、装備や健康管理は大丈夫なのか。実務上、消防署の救急車は原発内には行かないという不文律ができ上がったまま四年間経過をしてしまい、先ほど申し上げたように、本来救えた命も救えなかったのではないか、こういうことも言われております。

 こういったことに関して、消防庁の御答弁をお願いしたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原子力発電所から消防機関へ救急搬送の要請がありました場合、管轄する双葉地方広域市町村圏組合消防本部が東京電力と連携しながら適切に救急業務を実施しているところでございます。

 まず、救急隊員の放射線対策に係る安全管理につきまして、隊員に防護衣それから個人線量計等を装備させるとともに、出動後の救急隊員に対しましては、外部被曝のスクリーニングを行っております。また、全ての消防職員に対しまして、病院で実施いたします年四回程度の内部被曝検査、それから年一回の血液、目、それから皮膚の検査を行っておりまして、専門医による分析、評価を行うなど、健康管理についても徹底をしているところでございます。

 次に、具体的に福島第一原子力発電所において傷病者が発生しました場合には、原子力災害現地対策本部が策定しました傷病者発生時の対応フロー及び対応要領に基づきまして、まず、発電所内の医師等により処置が行われております。さらに、必要に応じまして、当該医師の指示によりまして、双葉消防本部が傷病者を搬送することとされております。多くの場合、発電所の入退域管理棟前において傷病者の引き継ぎが行われており、適切かつ円滑に対応しているものと承知をしております。

 また、実際には、敷地内において消火や救助活動を行った実績がございまして、敷地内での消防活動を想定した訓練なども行っておるところでございまして、今後も同様の対応を行ってまいるものと承知をしております。

 以上でございます。

上西分科員 今、救急隊員の皆様方に関してはしっかりと被曝検査をしていただいたりだとか、そういうふうな対応を充実させてくださっている、こういうお話がありましたが、少しひっかかるんですけれども、やはり、実務上、私が先ほど申し上げましたように、消防署の救急車は原発内には行かない、危険区域内には行かない、こういうことでありまして、先ほど、それでもしっかりと対応できているというふうにおっしゃいましたが、でも、こういった事故が起こっている、死亡するような事故が発生をしてしまっている、こういうことであります。

 ですので、やはり、今の体制に不十分な点がないのかしっかりと見直していかなければならないのじゃないかな、こういうふうに思いますし、当然、その区域内にも医療関係者の方がいてくださる、そういうことなんですけれども、その方が、全てのことを診られるお医者さんであったり救急救命士の方であるのか、要は、内科であったり外科であったり、いろいろな事故が発生すると思うんですけれども、そういったこと全てに精通をされた医療従事者の方がいらっしゃるのか、まずはこれをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 東京電力の福島第一原子力発電所内には、自衛のための消防あるいは救急の組織体が出ておりまして、それと双葉消防本部との連接をいかに円滑にやっていくかという意味での、先ほどのマニュアルというんでしょうか、要領でございます。

 施設の中におきましても、私どもが伺っております限りでは、お医者さんが常駐してございます。第一の方には二十四時間いらっしゃると聞いております。救急隊員は救急救命士を乗せていくわけでございますけれども、まさにお医者さんがその緊急度なりを判定いたしますので、私ども、その意味では手厚い体制がとられているものと考えてございます。

 さらに、お医者さんの判断として、これはその施設の中だけではとても手に負えない、あるいはもっと重篤であるなどの場合は、直ちに連絡が参りまして、例えば福島県立医大病院でありますとか、搬送する手はずになっておりますので、その意味では相当手厚い手当てがとられていると理解をしておるところでございます。

 以上でございます。

上西分科員 先ほどから、充実している、手厚い処遇だというふうにおっしゃっていますが、やはりこういった事故が発生をしている。

 そして、私、以前から総務委員会の方で救急救命士のことを質問させていただいているんですが、そのときに御答弁いただくことは、例えば、消防職員でない民間出身の救急救命士の方はスキルが不十分だから任せられない、こういった趣旨の御答弁を何度もいただくんですね。そして、レクのときなんかは、それをあからさまに、随分はっきりとおっしゃっていただいているわけなんですが、それに比べては、こういう今の状況のときだけは、こういう原発のときだけは民間で十分だ、こういうふうにおっしゃられると、非常に矛盾を感じてしまうわけなんです。

 そういったところもしっかりとこれは見直して、やはりこういう事故が発生した場合は迅速に対応しなければならない。それがまた、福島で安心、安全のためにみずからの危険を顧みずにしっかりと作業してくださっているそういう方々の安心や命を守るために、しっかりと検討し直していただく必要があるのではないかな、こういうふうに考えております。

 それに加えて、昨年三月二十八日には、同じ福島第一原発で、医療機器と医薬品を装備した医師が乗り込んで、重体患者のいる場所へ急行して、治療しながら素早く病院に搬送できるドクターヘリが機能していれば救えたであろう患者の命が救えなかった、こういう悲しい事例も報告をされました。

 第一原発周辺には電力会社の医師が常時待機をしている、こういうふうに先ほどもお伺いをしましたが、その事故のとき、第一原発の所在地が航空機の飛行制限区域に当たり、航空機が飛べないのが今申し上げた例の原因だ、そういうふうにもお伺いをしております。しかし、それ以前のおととし十一月に、国交省は既に航空法の省令改正をして、ドクターヘリなら独自判断で離着陸できるようになったと報じるマスコミもありました。

 ドクターヘリならば帰還困難区域上空でも飛行できるようになった、こういう認識は間違いではないでしょうか。国交省の御答弁をお願いいたします。

田村政府参考人 お答えいたします。

 航空法の規定におきましては、航空機の飛行に関し危険を生ずるおそれがある区域の上空の飛行というのは禁止をしております。

 ただ、もともと、警察だとか消防だとか、そういうところの航空機、あるいは、そういう機関から通報なり要請を受けて捜索救助を行う航空機につきましては適用除外になっておったところでございます。

 さらに、おととしの十一月に、いわゆるそういう警察だとか消防の要請がなくても、ドクターヘリにつきましては飛行が可能になるという省令改正を行ったところであります。

 したがいまして、帰還困難区域の一部に設定されております飛行制限区域におきましても、ドクターヘリの飛行は可能であるというふうに申し上げておきます。

上西分科員 今、可能である、こういう御答弁をいただきましたが、それにもかかわらず、福島県から委託を受けた民間航空会社が社内規定で帰還困難区域へは飛ばないと決めていたとの報道が以前物議を醸しました。ドクターヘリが県の事業である以上、飛行拒否を認めないなど、やはり、命を守るために、行政は強固な態度で介入をし、解決策をしっかりと考えるべきだと私は思っております。

 命を守るという使命を持つドクターヘリが飛ばなかった原因は何だったのでしょうか、そして、国は、その事故後、福島県に対して、飛ばなかったことについての調査、指導をされたでしょうか、そして、現在はどのようになっているでしょうか、厚労省からの御答弁をお願いいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘の事案でございますけれども、福島県それから運航会社から適宜状況の確認は行っております。

 先ほど消防庁からもございましたけれども、東京電力福島第一原発では、医師が常駐していて、救急時の診療体制がとられておりまして、救急医療室でまず患者の除染が行われた後に、必要に応じて管理区域外に搬出して、救急車あるいはドクターヘリへ引き継ぎが行われる、こういう体制になっておるわけでございます。

 ドクターヘリが敷地内に着陸をしない、上は飛べるわけでありますけれども、着陸しないというのは、着陸した場合の機体の放射能汚染の問題がございまして、一旦汚染された場合には除染が必要になり、さらには、場合によってはエンジン全体を交換する、そういうことが生じます。そういう場合には、非常に長期にわたってドクターヘリの運航ができなくなる可能性がございます。

 ドクターヘリというのは、本来、医療が提供されていない地域に医者が器材も積んで飛んでいって、やるというところでございまして、ここの区域は、原発の中ではドクターはいるわけでございます、救急のドクターもおるわけでございますけれども、そういう中で、圏域全体の救急搬送を担当しているドクターヘリがその区域内に着陸しない、こういう運用をしているということについては、やむを得ないものであるというふうに私どもは考えております。

 しかしながら、救急搬送がよりよくできるために、現在、運航会社と東京電力の間で、現状おりられるところよりももっと近いところにおりられるような調整が行われるというふうに承知しております。

 厚生労働省といたしましても、東京電力福島第一原発の作業員の方が急病あるいは事故の際に、ドクターヘリを含めて、より迅速に救急医療が受けられるような体制の整備について、必要な支援、指導等を行ってまいりたいと考えております。

上西分科員 上空は飛べるけれども着陸ができないんだ、それであればドクターヘリの意味がないんじゃないかな、こういうふうに思うんです。

 そして、先ほど私、救急救命士のところで矛盾を感じるというふうに申し上げましたが、これは行政からしっかりと、ドクターヘリがそういった地域に行って人命を助ける、こういう仕事をするように強く要請をできないのであれば、むしろ、ヘリですら着陸できないような危険な地域で作業員が今作業をしている、これに関しても私はちょっと矛盾を感じるんです。ですので、やはりしっかりと一度検討し直していただきたいな、こういうふうに思います。

 ちょっと時間がないので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。

 二〇二〇年、東京でオリンピック、パラリンピックを控えて、今、国はさまざまな外国人誘致に御尽力をいただいております。

 その一方で、韓国首脳のように、ジャパン・バッシングと言うべき偏見や誤解を抱いたまま何も真実を直視しようとしない外国人の方も現状多いのが悲しい現実であります。

 そのようなとき、国だけでなく民間交流、民間外交を重ねて、啓発活動を推進することは大切なことだと思っております。

 例えば、昨今、観光庁では、近年ほとんど毎年我が国で最終決定戦が行われるミス・インターナショナルの各国の美しい代表が、日本はすばらしい、こういう認識を抱いて帰国をしている、そういう状況にもかかわらずに、それっきりになっている状況だった中で、民間交流を活発に推進していただくために、ミス・ビジット・ジャパン観光特使というものを創設し、彼女たちに活躍の場を提供してくださったことに私は感謝をさせていただきたいと思います。

 しかし、もっと視野を広げると、例えば、プロ野球で活躍をされた後、帰国された方、そして、日本で公演をされた後、解散をされて、引退して帰国をされたアーティストの方々、そういった方々にも日本観光親善大使のような形でしっかりと今後の国際交流に活躍をしていただければ日本のPRになるというふうに思うのですが、このことに関して、観光庁長官の御所見をお聞かせください。

久保政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、日本にかかわって御活躍をされた外国の方々に日本の観光魅力の発信に御協力いただくことは、大変ありがたく、かつ、大変有意義なことだというふうに考えております。

 今御紹介をいただきましたけれども、例えば、観光庁では、昨年の十一月に行われましたミス・インターナショナル世界大会に合わせて訪日された各国・地域代表、七十三名の方ですけれども、ミス・ビジット・ジャパン観光特使として任命させていただきました。

 この特使の皆さんには、日本に滞在中から、いわゆるソーシャルネットワークで日本の魅力を発信していただきましたけれども、今後は、海外の旅行博への出展等の機会に日本のPRに御協力をいただくこととしており、既に一部の特使の皆さんには海外各地で御活躍をいただいております。

 今後も、このように日本に御縁のあった外国の方々、あるいは、おっしゃるとおり、日本に好意を持って御帰国をされた方々に、例えば観光親善大使を引き受けていただくなどの御協力を得て、日本の魅力の発信あるいは国際交流が効果的に行えるように努めてまいりたいというふうに考えております。

上西分科員 ありがとうございます。

 こういった取り組みをどんどん進めていただく、クールジャパンの一環としてどんどん外国の方に日本の魅力を知ってもらい、そして、日本が言わずと知れたすばらしい観光地になり、経済的にもよい影響があればいいなと思いますので、加えて、日本に観光に来られた外国の方が驚かれる高い料金のタクシーについてお伺いをいたしたいと思います。

 大阪で長年ワンコインタクシーという愛称で親しまれ、顧客の多かった格安タクシーが、昨年のタクシー特措法の横暴的料金設定のため、町から、私の地元大阪から姿を消してしまったという話は、私も、本会議、総務委員会、そして国交委員会等で、憲法が保障する自由競争原理や職業選択の自由に反するのではないか、こういうふうに指摘をさせていただきました。

 常に、特措法が規定する三年間の経緯を見守る、私の質問に対して、経緯を見守る、こういう御答弁しか今までいただけておりませんが、ことしに入ってからだけでも、大阪、福岡両高裁の判決など、そして、司法の場では、政府の判断が裁量権の逸脱に当たり、違憲ではないが処分は無効とする、こういう判断が続いているわけであります。

 この判決に対する国土交通大臣の御所見をお聞かせいただけますでしょうか。

太田国務大臣 今回の決定では、昨年一月に施行されました改正タクシー特措法に基づく公定幅運賃につきまして、制度そのものは憲法に違反しない、一方で、近畿運輸局や、そして九州運輸局において公示された運賃幅については、従来、下限割れ運賃で営業を認められていた事業者の利益を考慮しておらず、運輸局長の裁量権の範囲を逸脱する、こういう意味での、地裁の決定を維持する判断が示されたということでございます。

 これを踏まえまして、今般の訴訟の対象となっている事業者につきましては、本案訴訟についての判断が示されるまでの間、仮の差しとめとして下限割れ運賃に対する変更命令等はしてはならないとされました。

 今回の決定は仮の差しとめについてのものであり、それとは別に、本案訴訟は引き続き係争中であり、訴訟の場において国の考えを述べ、対応してまいりたいと考えているところでございます。

上西分科員 行政の処分が無効ということなのであれば、もはや、私から言わせていただければ、この特措法の存在自体もしっかりと見直していただく必要があるのではないか、こういうふうに思いますし、先ほど申し上げましたように、三年間の経緯を見守る、そういう以前の問題である、こういうふうに思っております。

 ですので、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、日本の観光地としての発展を妨げているような、そして、高齢者や体が不自由な方が気軽に日常的に足として使えるタクシーの存在をも否定するかのような規制強化法案を今後どうなさるおつもりか、しっかりと考えていただきたいと思います。

 私は、このおかしな特措法を大至急取りやめていただき、そして、国民に憲法の保障する自由競争の原理を返していただきたい、このように要望させていただきまして、私からの質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

長坂主査代理 これにて上西小百合君の質疑は終了いたしました。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

上田主査 次に、大島敦君。

大島(敦)分科員 民主党の大島です。

 大臣を含めて政府参考人に何本か質問をさせてください。

 きょうは大枠が三つありまして、一つは建設業法の改正、もう一つは環境の自然再生事業、もう一つは道路についての質問をさせてください。

 まず、建設業法が改正されまして、地元を歩いていると、とび職の方から、ちょっと心配をされる声を聞いております。

 とび職は、これまでですと、とびの仕事というのは、高いところでお仕事をされる足場とび、鉄骨とび、重量とび、そういうとび本来の仕事とともに、基礎工事業とかあるいは解体業とか引き家業とか、非常に広範囲な仕事をしておりまして、業法が改正されることによって、これまで携わってきた解体業について、これまでのとびの資格でできなくなるのではないかな、そういう心配をちょっとされている方が非常に多いんです。それで、この点について、まずは質問をさせてください。

 建設業法なんですけれども、昨年の六月に改正をされまして、建設工事の業種区分に解体工事が新設されております。とび・土工という一つのカテゴリーがあって、そこから解体業というのが分かれまして、解体業というのが新設されております。その理由としては、建物が老朽化し、解体工事の増大が見込まれること、そして、事故の防止の観点から、施工能力のある業者が責任を持って工事をしていただく必要があるなどが挙げられていると考えております。

 そこで、政府参考人にお伺いしたいんですけれども、建設業法を改正し、解体工事を追加した意義や目指すものについてのお考えをお答えいただければと思います。

毛利政府参考人 解体工事を追加した意義につきましては、今先生からも御紹介ございましたけれども、我が国では、高度経済成長期以降に多くの建築物等が建設されましたけれども、今後次々と更新時期を迎えることになりますので、解体工事の工事量自体の増加というのが見込まれる点が一点ございます。

 また、我が国の場合、密集市街地の中で施工するという特有の厳しい条件もございますので、我が国は、解体工事に関して先進的な施工技術を持っておるということを考えております。

 ただ、一方で、解体工事につきましては、市民を巻き込むような重大な事故の発生ですとか、あるいは廃棄物の分別、適正処理など、環境面等への課題が喫緊の課題でございました。

 これらを踏まえまして、御指摘のとおり、昨年の建設業法の改正におきまして、とび・土工工事業から独立して解体工事業を業種として新設しまして、あわせて、解体工事に係る実務経験や資格を持った専門の技術者を現場に配置していただくことによりまして、解体工事について適正な施工の確保を図ろう、これが狙いでございました。

大島(敦)分科員 政府参考人に、質問通告はしていないんですけれども、基本的なことだから確認をさせてください。

 先ほど私が述べました、とび職といった場合には、結構広範囲な仕事を今されております。その点について、とび職の方が解体業にも主に従事をされている、そういう御認識はございますでしょうか。

毛利政府参考人 御指摘のとおりでございまして、たまたま手元に、二十五年度着工の工事におきまして、解体工事の中でとび技能士の方々がどの程度入っていらっしゃるかというデータがございましたが、監理技術者として入っていらっしゃる方々が、これは実務経験で入っていらっしゃる方も含みますけれども、全体の約四割、それから、主任技術者としては、約五割の方がこういう資格を持って解体工事などに参加されているということでございます。

大島(敦)分科員 とび職の質問をするに当たって、結構、とびの皆さんは地域に根づいている方が非常に多いんです。とび職組合というのが各古い町場にはありまして、出初め式から始まって、地域コミュニティーにしっかり溶け込んで、さまざまな地域のきずなというのかな、地域をしっかり固めていただくのがとびの皆さんでして、そういうところも踏まえて質問をさせていただいております。

 それで、地元のとび関係の建設業者の皆さんのお話を聞くと、解体工事の多くは、これまで、とびの許可を持っている業者が工事を請け負っていると思います。それは今御答弁いただいたとおりです。彼らは、これまで、とびの資格を持って多くの解体工事を安全に施工してきた実績があると私は考えております。

 まず、現在、解体工事に配置されている技術者資格にはどのような資格があると把握しているのか。私も役所からいろいろと教えていただきまして、さまざまな資格がこの解体工事には従事できる資格とあります。その点についての御答弁をお願いいたします。

毛利政府参考人 現在、解体工事は、主にとび・土工工事業の許可を持った方々が行っておりますけれども、それらの解体工事に配置されております技術者には、土木、建築の施工管理技士、あるいは、御指摘のように、とび技能士の資格を持っている方、もしくは、技術者資格に必要な一定の実務経験でもって工事をやっている方という方々が多いと認識しております。

 また、解体工事につきましては、五百万円未満の小さな工事もたくさんございまして、これを請け負う場合には、建設リサイクル法に基づきます解体工事施工技士の資格を有している方が配置される場合もあるというふうに認識しております。

大島(敦)分科員 大臣にお伺いをしたいんですけれども、今挙げられた資格のうち、とび技能士一級の合格者、これは延べで三万二千人程度おります。二級の合格者の皆さんは、一万七千人程度の合格者がおります。現場で中心的な役割に従事していると伺っております。

 彼らは解体工事のプロとして、優秀な技術者であり、これまでどおりその能力を発揮してもらうことが重要と考えております。今後、これまでの資格では解体工事ができなくなるのではないかと彼らは心配しております。

 そこで、これまでとび技能士の資格を持って解体工事を行ってきた人たちへの対応も含めて、新しい解体工事の技術者資格についてどのようにお考えなのか、検討状況や今後の方向性についての御答弁をお願いいたします。

太田国務大臣 新しい解体工事業にふさわしい技術者資格につきまして、昨年八月からずっと、有識者から成る検討会において検討しています。現在もまだ検討中ということです。私がその途中で口を差し挟むという状況は余り適切ではないというふうに思っていますが、既に、日本鳶工業連合会などの関係団体やとび技能士の試験機関からもヒアリングも行っています。

 今の答弁もあったとおり、解体の中で非常に大事な仕事をしているということは事実ですが、私、今検討中なものですから申し上げられませんが、今後、関係団体との調整も行って、今年度中には、新しい解体工事の資格について、実態を踏まえて取りまとめを行っていきたい、このように考えています。

大島(敦)分科員 今大臣が御答弁いただいたのは、解体工事の適正な施工確保に関する検討会ということで、各団体からのヒアリングを今行っているところですから、この検討会の結果を踏まえての御判断になるかと思います。

 建設業法の中で、どういう方がとび・土工工事業の主任技術者として認められるかというと、これは実務経験だけでも取れる資格もあります。大学を出ていれば三年以上、高校であれば五年以上、その他であれば十年以上とび・土工の業に従事していれば主任技術者として取れる資格。そのほか、試験を受けての資格としては、一級建設機械施工技士、二級建設機械施工技士、一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士、そして技術士、とび技能士、あと、型枠、コンクリート圧送、ウェルポイント技能士、地すべり防止工事士、こういう資格が、今とび・土工工事業に従事できる資格です。

 ですから、この中でできるだけ実態を踏まえて検討を行っていただいて、今のとび職の皆さんが非常に懸念している点について、確かに業法では経過措置もあります。ただ、現状持っているこの資格の中で、とび職組合、とび職の皆さんがスムーズに解体業にも従事できるようにしていただきたいということをお願いさせていただきます。役所の方もよろしくお願いいたします。

 それでは、次の点について御答弁をお願いしたいんですけれども、一点が、昨年も二十六日に本分科会で質問をさせていただいた、地元のコウノトリのことについてなんです。

 コウノトリ、私の地元に鴻巣という町がありまして、コウノトリの巣の町、そういう町でして、鴻神社というのがあってコウノトリを祭ってあります。私の名前もそこの先代の宮司からつけてもらった名前でして、結構思いがあるものですから、そういうことも踏まえて質問をさせていただいております。

 コウノトリをぜひこの鴻巣という町にも放鳥したいという結構強い、NPO法人の皆さん、こうのとりを育む会というのがありまして、地域の住民の方も協力しながら、自治会の皆さんの協力をいただきながら、今活発な活動をしていただいています。

 コウノトリというと、これは兵庫県の豊岡市だと思います、今放鳥がうまくいって、聞きますと、兵庫県のコウノトリが関東、千葉県とかに来て、ぐるっと本州を回ってまた兵庫県に帰るように、広範囲な飛来というんですか、飛んでいるのがコウノトリなんです。ですから、それぞれの地域にコウノトリの餌場、ドジョウとかカエルが餌だそうですので、そういう餌場をつくるということがコウノトリの放鳥には前提となっております。

 そういう点で、まず第一問目が、これは政府参考人に伺いたいんですけれども、コウノトリが飛来した場合に、舞いおりてくれるように、コウノトリの良好な採餌環境の確保のための水田づくりに、地元、これはNPO法人のこうのとりを育む会が取り組み始めております。こうした地元の動きと連携して、荒川の河川敷でも採餌環境の創出に協力してほしいと考えているんですけれども、その点についての御答弁、政府参考人から。

池内政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、荒川流域でコウノトリがすめるようにするためには、餌場となる環境をつくることが重要であるというふうに認識しております。

 これまで、荒川上流河川事務所、鴻巣市、北本市が事務局となりまして連絡会を設置しておりまして、荒川中流部の太郎右衛門地区という地区がございますが、ここで湿地再生や河畔林の保全、再生などの取り組み、また、それ以外の地区におきましても、コウノトリの餌場となる湿地を再生する方法の検討、こういったことを進めているところでございます。

 引き続き、地元とも連携いたしまして、コウノトリがすめる環境づくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

大島(敦)分科員 一点、国交省の職員で、非常に感心をしているものですから、そのことについて述べさせてください。

 地元のこういうNPO法人、自治会の活動も含めて、例えば収穫祭というのがあります。

 コウノトリを呼ぶためには、先ほど申し上げましたとおり、ドジョウとかカエルが必要なんです。そうすると、田んぼの中にドジョウとかカエルがいる田んぼをつくらないと、コウノトリというのは飛来してこないんです。

 そうすると、こういう田んぼをつくるのに、これまでの田んぼ、普通は冬になると田んぼの水をみんな出して、それでそこの栄養分をしっかり蓄える。こういう田んぼのつくり方と全く真逆の田んぼがありまして、これは冬水田んぼというんですけれども、冬でも田んぼに水を張りっ放しにするんです。

 そうすると、イトミミズだったかな、こういう小さなミミズが田んぼの中で繁殖をして、非常に栄養分が高くなる。そして、そのイトミミズがつくった土というのが、下にある雑草の種よりも上に来て、粘土的な、粘土層のような土をつくるものですから、春になって、春以降雑草が生えにくい、こういう田んぼのつくり方がある。

 今、そういう冬水田んぼという、これはもともと、三百年ぐらい前に福島県だったかな、そこで記録されていて、そういう田んぼをもう一度、NPO法人の皆さんが地元で自然再生を、コウノトリを呼ぶために二反、三反ぐらいやっているんですよ。そこで、夏になると、そういう田んぼには多くの、ここは無農薬ですから、先ほどのドジョウとかカエルとか蛇とか、さまざまな自然がよみがえってきて、自然観察会とかする。

 そういうところに、荒川上流河川事務所の職員の方が土日にもかかわらず来てくれているんですよ。頼まないのに。所長とか、あるいは河川環境課長さんかな、御家族で来てくれている。私も感心していまして、普通、土日ですから、自分の家庭内のサービスの方を優先しがちなんですけれども、自主的に地域のそういう収穫祭あるいは野外観察会に職員の方が来てくれている。

 これは一つの、荒川上流、私の地元だと荒川上流河川なんですけれども、そこの環境を整備するには地元の意向を、いつも住民、住んでいる皆さんと交流することによってちゃんと身につけて、よりよい施策に結びついていると考えるものですから、その点についてはぜひきょうは大臣に伝えたくて時間をとらせていただいております。

 それで、昨年も質問した荒川流域でのコウノトリに関する取り組み、地域と連携しながら進めていると思うんですけれども、その点についての大臣の見解をお願いいたします。

太田国務大臣 昨年もお答えしたと思いますが、荒川の下流事務所のところが私の地元ということになりますので、大島先生の荒川上流、また、きょうは国交省の一番現場の職員の話を聞かせていただいて、感動しました。うれしいです。現場の国交省のメンバーが地元と一緒になって冬水田んぼをつくって、それはコウノトリの飛来ということだけでなくて、いろいろな意味での生物がということで、その地域の学校の教育や子供たちにも大変いい影響を与えるのではないかというふうに思っています。

 昨年御質問いただいて以降、この一年間、自然との共生や地域の創生、あるいは個性ある地域づくり、こういうことで、取り組みは一層大事になってきたんだと私は思います。

 荒川流域では、荒川上流河川事務所と、そして埼玉県と地元の市町から成ります連絡会を平成二十五年度に設置して、二十六年度には二回開催しまして、中流域エリアでの基本構想の策定に向けた検討を進めていると承知をしております。

 コウノトリがすめる環境ができたら夢が我々でも広がるということで、すぐ大人は観光に何か利用するというんじゃなくて、コウノトリがすむ、そのこと自体が私はすばらしいことでありまして、大島先生の御尽力にも感謝したいと思いますし、これからさらに一層、これは二回目の質問だと思いますので、しっかりこの一年進められるように頑張っていきたい、このように思っております。

大島(敦)分科員 ありがとうございます。

 コウノトリを放鳥したりコウノトリの餌場を確保するためには、非常に広範囲な面積を無農薬で、かつ自然をもう一回よみがえらせないと、来ません。

 ですから、一つの意味では、観光的に、コウノトリを呼ぶということ、放鳥するということ。もう一つは、そこでとれる米というのがやはり無農薬であり、あるいは、こうのとり伝説米、そういう冬水田んぼでつくったような米もありますから、これは地域の一つの大きな力になるものですから、その点も踏まえながら、大臣あるいは国交省には進めていただくことをお願いいたします。

 最後の質問になります。

 上尾道路とか圏央道の質問でして、これはもう十五年前から毎回質問しておりまして、大分ここ十五年間で進んできた道路です。そろそろ完成が近くなってきております。

 三月八日には、圏央道は、私たちの地元の桶川北本インターから神奈川県の藤沢市までがもう開通しました。大体百キロです。百キロですから、大体、午後の六時に会社が終われば、埼玉県は海なし県なんですけれども、七時半ぐらいからは海を見ながらコーヒーが飲めるよとみんなに言っています。これは相当雰囲気とか風景が変わってきます。

 もう一つは、また同じように、私の地元から成田空港までが来年度中、要件が一つあって、土地の収用がうまくいけばというのがありまして、少なくとも、来年度中あるいは少しおくれても完成すると思う。ここもちょうど百キロなんです。

 人間の移動は、大体、ビジネスでも一時間半だそうです。一時間半以内だと多くの方が活発に移動するんですって。一時間半を超えると大分それが疎遠になってくる。そうすると、ちょうどここは一時間半のエリアになるわけです、神奈川県から。成田空港までが。ですから、私の地元でも、UDトラックスさんという、ボルボの一〇〇%のトラックメーカーがあって、アジアの拠点を東京じゃなくて埼玉県に置くというんです。多分飛行場が近いからだと思うんですけれども。

 そうやって多くの活力を海外から呼べ、先週もつくばの物質・材料研究所に一日行って、十二こまぐらい研究テーマを見てきたんですけれども、つくばでも、JAXAもあり、あるいは産総研もあったりして、研究機関がある。八王子の産業クラスター、そしてその先には神奈川県知事の黒岩さんがロボット特区というのをつくっていて、非常に産業がきれいに整って、海外まで行けるというのが、大臣も御承知のとおり、圏央道だ。ですから、圏央道は、それぞれの政権が優先的につくっていただいて、ぜひ今後とも後押しをしていきます。圏央道が一つ。

 それで、きょうは、上尾道路という道路でして、東西南北ですから、圏央道が東西です、上尾道路が南北です。

 これから、首都直下型の地震のおそれが多分にあると思っています。この間も国交省から、首都で地震があった場合にどうやって、避難をしていただく、その道路の整備について検討いただいているかと思うんですけれども、今度は南北の道路で、一つには、先ほど東西と南北、そして上尾道路という道路は、おかげさまで一期工事、東京から十七号がずっと来て、大宮のちょっと先から、大宮から上尾道路に変わって、ちょうど半分の区間、これは南の半分、第一期工事、ここのところもようやく完成のめどがついています。圏央道と同じタイミングで完成する予定です。

 その上の九・一キロの北の部分も、これは今から何年前だったか、平成十九、二十一年だったか、私が与党にいたときに事業化された道路でして、ここがあって、その先にも十七号の熊谷バイパスという道路がまた完成しているんです。ちょうどここの下の半分なんですけれども、上尾道路の一期工事、ここの部分は、首都高速道路が延伸できるように、当初の計画どおりつくられている。

 ですから、今、国土交通省でも首都圏渋滞ボトルネック対策協議会のその下に埼玉県中央地域渋滞ボトルネック検討ワーキングチームとかというのができて、では、そこを今後どうしようかなという議論が今進んでいるところなんです。

 そして、ここの真ん中の、北側の九・一キロはまだ、事業化して今設計に入っている段階です。その先、熊谷に向かってのところはもう完成しておりまして、ここも首都高速道路が来る前提での道路がもうできているんです。ですから、南側も高速道路ができている前提で、北側も高速道路がちゃんと延伸できるような状態で工事が進んでおりまして、埼玉県の県北の皆さんから聞くと、ぜひ首都高速は県北まで持ってきてほしいという方が非常に多い。

 プラスアルファ、先ほど言っていましたとおり、埼玉県とか関東の発展、あるいは防災の観点から見れば、やはり南から北にずっと物流がうまく上がっていくことが必要だと思いまして、その点で、今回の上尾道路の二期工事、北半分についての専用部を前提に、一期工事とか熊谷バイパスは専用部を前提に整備されているんですけれども、上尾道路の二期工事の整備の方針について、大臣から御答弁をいただければと思います。

太田国務大臣 以前は、埼玉に行って、大宮に行くまではやっと走れるようになったなと思ったんですが、その後、上尾に行って、また北に行くには相当渋滞して大変だという思いがありまして、やっとここが動き始めたということだと思います。

 上尾道路二期区間は、熊谷バイパス、上尾道路の一期区間及び圏央道と一体となって広域的なネットワークを形成して、交通混雑の緩和、そして埼玉県の中心部の拠点都市間における移動時間の短縮効果が期待される上に、先生、こっちに百キロ、こっちに百キロという真ん中のところになって、これから大いに発展するということを期待しております。

 この区間は、前後の上尾道路一期や熊谷バイパスと同様に、専用部を前提とした都市計画決定がなされていますが、早期に整備効果を発現するために、上尾道路一期と同様に、当面、一般部の整備を進める方針としています。

 今後の整備のあり方については、沿線の自治体や関係者からさまざまな御意見や御期待をいただいておりまして、それらを踏まえて、県と市と十分調整しながら進めていきたい、このように考えています。

大島(敦)分科員 ぜひ、上尾の南の一期区間と、上の熊谷バイパスですから、ここがうまく連携がとれるように大臣には御尽力いただくことをお願い申し上げまして、私の質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

上田主査 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島分科員 民主党の福島伸享でございます。

 きょうは、三十分の時間をいただきまして、霞ケ浦導水事業についての質問をさせていただきます。

 お手元の資料に事業の概略がございます。国土交通省さんがつくられた資料であります。よろしいでしょうか。

 この事業というのは、那珂川という私の地元の水戸市を流れている川と霞ケ浦を地下のトンネルでつなぎまして、さらに霞ケ浦から利根川までも地下で結びまして、水の融通を首都圏と那珂川水系の間でやるというものでありまして、霞ケ浦の水質を浄化する、そして流水の正常な機能の維持と増進を行う、水道用水の補給をするという目的で行われたもので、総事業費一千九百億円の事業でございます。

 これは、始まったのが、次のページの資料にございますけれども、昭和五十一年、私が六歳のときでありますけれども、事業計画調査に着手をして、今日まで長い時間をかけて行われているという事業であります。

 現在、この霞ケ浦導水事業の進捗状況というのはどうなっているか、その進捗状況をまず御説明いただければと思います。

池内政府参考人 霞ケ浦導水事業の進捗状況についてお答えいたします。

 まず、事業費につきましては、今御指摘ございましたように、総事業費約一千九百億円に対しまして、平成二十五年度末までに約一千四百九十一億円、約八割を執行しております。

 また、個別施設の事業進捗につきましては、利根川と霞ケ浦を結ぶ利根導水路は完成、霞ケ浦と那珂川を結ぶ那珂導水路は三三%完成、それから、導水路の立て坑は十二基のうち十一基が完成、ポンプ場は四カ所のうち三カ所が完成という状況です。

 また、ポンプ場等の建設に必要な用地につきましては一〇〇%取得済みでございます。

 それから、導水路の区分地上権の設定につきましては、利根導水路は一〇〇%設定済み、それから那珂導水路の石岡トンネルは九六%設定済み、那珂導水路の土浦トンネルは未設定という状況でございます。

福島分科員 詳細な説明、ありがとうございます。

 これはもう四十年ぐらいやっている事業で、次の資料のページにもありますけれども、当初は平成五年度完成だったのが、何度も事業計画を変更いたしまして、平成五年には事業計画を変更して平成十二年まで延ばし、十三年にはさらに二十二年まで延ばし、平成十九年には二十七年まで延ばすという、ずっと後ろ倒しにしております。その要因は何だとお考えでしょうか。

池内政府参考人 お答えいたします。

 霞ケ浦導水事業につきましては、昭和六十年七月に当初の事業計画を策定した後に、三回の工期変更を行いまして、現在は、平成二十七年度までの工期として事業を進めてきたところでございます。

 これまでの工期の変更につきましては、地上権の設定に伴う地元調整、それから、那珂川から霞ケ浦への導水の際の魚類の迷入防止対策等に関する漁協関係者との協議に時間を要したことが要因でございます。

福島分科員 ありがとうございます。

 地上権設定と魚類迷入対策で進んでいないということだと思いますし、それは私の地元で感じていることと同じでございます。

 これは、当初の完成予定から二十年以上経過したことによりまして、もう時代は大きく変わっております。当初は、首都圏の水がめとして首都圏の水需要を賄うという目的が恐らく一番の理由であったでしょうけれども、例えば千葉市が事業計画から撤退するなど、そうした水需要の状況も変わっております。

 平成二十二年、前の我々の政権のときでありますけれども、前原国土交通大臣のときに、ダム事業の検証というのを八ツ場などと並んで始めまして、この霞ケ浦導水事業も、ダム事業の検証に係る検討に関する再評価ということの対象になりまして、関係地方公共団体から成る検討の場におきまして検討が開始されております。

 先ほど言ったように、目的は利水、治水、環境浄化と三つあるわけでございますけれども、そのうちの環境浄化に絞って、この検討の場のものを、これだけの大部の資料なんですけれども、紹介させていただきますと、結論は、幾つかの対案を比べながら議論していて、十年後には、全ての対案において、河川整備計画レベルの目標水質をどのやり方をやっても達成できるんですよと。完成までに要する費用が最も小さいのは現計画案だ、維持管理に要する費用が最も小さいのは対策案の別の対案である、現計画案以外の案は中止に伴う費用が必要。つまり、現計画を変えれば中止に伴うコストが新たに必要ですよというふうにして、結局、現計画案がいいという結論を出しているんですけれども、これは言ってみれば、もう事業が始まっちゃって、予算も執行して、三三%しか那珂川と霞ケ浦を結ぶトンネルができていないとはいえ、始まっちゃっているから現行案が安いと言っているのにすぎないんじゃないかというふうに私には思えます。

 では、この検討の場でどう検討がされたかというと、次の資料三というものでございますけれども、我々の政権の平成二十二年の十二月二十四日に第一回幹事会というのがなされております。幹事会というのは、本体の検討の場の準備をする事務方の場であると心得ておりまして、それが十二月二十四日。それから半年後の平成二十三年の六月二十九日に第二回幹事会、一年後の平成二十四年五月十七日に第三回、一年三カ月たった平成二十五年の八月に第四回幹事会と、一年置きぐらいに、ある意味のんびりと、幹事会、これは本体の検討の場ではありません、検討する準備をするための議論をする幹事会が開かれて、そして、平成二十五年九月二十五日、第五回、平成二十六年三月二十七日に初めて第一回目の検討の場が開かれて、その場で、今申し上げたような継続という結論が出されてしまっております。

 会計検査院もこの事業に対しては指摘をしておりまして、平成二十四年一月に、資料の四の方にございますけれども、「導水路事業において、霞ケ浦の水質が更に悪化する傾向にあることから、現状においては同事業により導水を実施してもCOD値五・〇ミリグラム・パー・リットル台前半という目標を達成するまでに相当な期間を要することが見込まれる状況となっており、また、事業参画を継続する意思がない利水者が出てくるなど事業開始当初に比べて同事業を取り巻く社会経済情勢に変化が見受けられた。しかし、現状における同事業の効果、必要性の再検討を十分に行わないまま従前の事業計画により引き続き事業を実施している」というふうな指摘をした上で、所見として「導水路事業において、継続して事業を実施する場合には、関係者等と十分調整を行うとともに、霞ケ浦の水質改善対策の代替案に比べて費用対効果の面で有利であるなど、同事業の効果、必要性等を再度明確にした上で事業に取り組むこと」という指摘がなされております。

 その指摘に応えて、この検討の場で検討がされたということなのでありましょうけれども、しかし、この検討の場において、先ほど申し上げたように、幹事会という事務方の準備の会は六回開かれました。肝心の検討の場が開かれたのは、最後の結論を得る一回だけであります。

 先ほどのコストの面とかが、誰がどのように専門的な知見に基づいてつくられたかというのが全くわからない。議事録も公開されているんですけれども、代理の人が出席しているだけで、ほとんど議論も行われていないというのが実態でありまして、この検討において、どのように専門家がかかわってこのような結論を出したのかということについて御説明をお願いいたします。

池内政府参考人 お答えいたします。

 霞ケ浦導水事業の検証では、報告書の原案を作成する前の段階から、水質浄化の代替案の立案に際し、六名の水質分野の学識経験者から御意見をいただいております。

 また、報告書の原案をまとめる際には、水工学、水環境、動植物、水産資源など、幅広い専門分野の学識経験者四十六名から、個別ヒアリングなどにより御意見をお聞きしております。

 さらに、報告書の原案に示した魚類の迷入防止対策については、別途設置した七名の学識経験者から成る委員会の御意見をいただいて取りまとめを行っております。

 その上で、対応方針を決定する際には、関東地方整備局の事業評価監視委員会や本省における有識者会議の二段階で御意見を伺ってきております。

 今後とも、学識経験者の御意見を伺いながら、適切に事業を進めてまいる所存でございます。

福島分科員 この事業の、特に霞ケ浦をどうやって浄化するかということについては、専門家の間でもいろいろな意見が分かれております。私はプロではありませんけれども、いろいろな方の意見を聞いていると、傾聴すべき合理的な説明というのも多いはずであります。

 この六名の学識経験者というのはどういう方たちであって、その六名の学識経験者たちの議論というのは公開はされているのでしょうか。

池内政府参考人 お答えいたします。

 水質浄化の立案等の段階で御意見をお伺いした先生方は、いずれも水質分野の先生方、六名の方々でございまして、その先生方からいただいた御意見はまとめた形で公開させていただいております。

福島分科員 事後的に、この報告書をつくった後に、この報告書に対するコメントというのは出していると思うんです。この報告書の原案自体をつくることにこの六名の有識者というのはかかわっているわけです。しかも、つくった後ですから、皆さん、学識経験を得るというよりは、ただ問題ないと言う人もいれば、こういう観点もある、いろいろな指摘がされておりますけれども、そもそも、検討の場で素材を出すに当たって、どのような科学的な検討がなされてきたんでしょうか。

池内政府参考人 この六名の先生方におかれましては、まず水質浄化の複数の代替案を立案する段階で、いわば原案作成の前の段階で御意見をいただいております。

 水質浄化の手法におきましては、記録によりますと、約二百八十の浄化対策案を検討して、その中で、妥当性等を絞り込んだ形で比較検討させていただいております。

福島分科員 私は、本来、案をつくる段階で、きちんと公開の場で科学者同士で議論を行うべきだと思っております。案をつくって、最後の第一回目のときに案をどさっと出して、あとはコメントを求めてくださいというのが今回の検討の場のやり方です。科学者には、いろいろな立場のいろいろな意見があります。それを、案をつくる段階で、A案があって、B案があってという検討の過程を、誰がどう言ったというのをオープンにするのが私は本来のやり方だと思うんですね。

 と申しますのは、現在、この霞ケ浦導水事業に対しては、那珂川流域の漁業者から、漁業権の侵害であるとして工事の差しとめの訴訟が行われておりまして、平成二十六年の十二月十九日に五年九カ月に及ぶ審理が結審し、七月十七日に判決が出される予定であります。

 その審理が行われた昨年の九月五日に、国土交通省側の証人で、元茨城県霞ケ浦環境科学センターのセンター長であった前田さんという人が出てきて、回転率を変えて、実は、導水に頑張っていただきたいと考えたとしても、それによる回転率の改善というのはたかが知れているんですよ、霞ケ浦の水質を目に見える形で、例えば環境基準を達成するというレベルに、幾ら導水が頑張っても水質を改善することはできないんですよと、これは裁判の場で皆さん方が証人として出した方がおっしゃっているんですよ。アオコを抑制するなんという力が導水にあろうはずはないわけですし、現実にそのような手だては私は考えつきませんと証言をされています。

 この元茨城県霞ケ浦環境科学センターのセンター長の前田修さんは、この六名の中に入っておるんですか。

池内政府参考人 今御指摘ございました前田修先生は、茨城県の霞ケ浦の環境科学センター長、当時でございますが、この六名に入っておられます。

福島分科員 その入っている方が、裁判の場でこのように効果がないというふうにはっきり明言されているわけですね。それなのに、検討の場の結果では、効果も十分検証されるし、コストも一番安いというふうに、いきなり結論が出てきてしまっているということに、私は不透明さを感じるわけであります。

 会計検査院さんは、ここの検査報告の場において、「導水路事業において、継続して事業を実施する場合には、関係者等と十分調整を行うとともに、霞ケ浦の水質改善対策の代替案に比べて費用対効果の面で有利であるなど、同事業の効果、必要性等を再度明確にした上で事業に取り組むこと」という指摘をされておりますけれども、こういう、行政が、おざなりにとは申し上げませんけれども、不透明な形で検証したようなものが、本当に会計検査院の指摘に応えているものかどうかというのを、私はもう一度きちんとチェックすべきであると思うんですけれども、会計検査院の方の御見解をお伺いいたします。

須藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 委員が取り上げておられる報告書は、会計検査院が参議院から国会法第百五条の規定による要請を受けて検査を行い、平成二十四年一月に、大規模な治水事業に関する会計検査の結果についてとして報告したものであります。

 この中で、霞ケ浦導水事業については、事業参画を継続する意思がない利水者が出てくるなど、事業開始当初と比べて社会経済情勢に変化が見受けられましたが、従前の事業計画により引き続き事業を実施しているなどの状況となっておりました。そこで、国土交通省は、継続して事業を実施する場合には、関係者等と十分調整を行うとともに、同事業の効果、必要性等を再度明確にした上で事業に取り組むことが必要であると報告しております。

 会計検査院としましては、国土交通省が報告後にとった措置状況について引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

福島分科員 私は、ぜひとも、ほかのダムもそうだと思うんですけれども、きちんと科学的に透明な形で検証されているのかどうかということを、もう一度会計検査院の方でしっかりとチェックしていただきたいと思います。会計検査院自身の存在意義が問われるようなことだと思っておりますので、お願いしたいと思います。

 なぜそれを申し上げるかと申し上げますと、先ほど会計検査院の報告でも、話でもあったように、関係者等と十分調整を行うというふうになっております。冒頭申し上げたように、この霞ケ浦導水事業がずっとおくれているのは、訴訟が行われていることもあります、漁業権の調整がついていない、あるいは区分地上権の設定ができていない、さまざまな関係者等との調整が長年にわたって行われてこなかったことによるものなんです。

 茨城県民にとって、霞ケ浦をきれいにする、あるいは私の地元の千波湖をきれいにするというのは、全ての県民にとっての願いであります。どうやったらきれいになるかというのは、みんな願っているんです。それに対して反対する人は誰もいない。

 しかし、霞ケ浦導水事業に対して多くの県民の皆さんが疑念を抱き、反対をしている方もいるというのは、それは、科学的な納得のいく検証がなされていないからなんですね。閉じた場で結論を出したものだけを持ってきて、はい、これで進めます、お墨つきをくださいということをやることは、早く事業を進めるように見えて、実はそうじゃない。納得しない人たちがさらに反対することによって、事業をおくらすことにもつながっているわけです。

 政府側の証人の方ですら、霞ケ浦浄化の効果はないんじゃないかということを言っているわけですから、市民に見える形で科学者たちが議論を交わすことによって、どうやったら霞ケ浦を浄化することができるか、千波湖を浄化することができるかという議論をもう一度やり直すつもりはありませんか、副大臣。

北川副大臣 今、福島委員から逐一いろいろ御指摘がございました。

 霞ケ浦導水事業の検証についてでありますけれども、先ほどお話のあったとおり、民主党政権時代のときに、平成二十二年の十二月より検討を開始されて、それ以後いろいろ、パブリックコメントなり、あるいはまた有識者のそういう意見を聞く、あるいはまた評価委員会を開いていただくというような経過を経て、代替案の立案というような段階においても、報告書の案に対して、専門的な、また科学的な見地から、学識経験者の意見をお聞きしておるわけであります。

 その上で、関東地方整備局の事業評価監視委員会、さらには本省における有識者会議の二段階で、専門家の御意見を伺った上で対応方針を決定させていただいたということでありまして、我々としては、これらのことを含めて、検証は科学的な検討に基づいて行われたというように考えております。

 以上でございます。

福島分科員 恐らく、それが県民や国民の皆さんの信頼を浴びていない一番の原因だと思うんです。

 私も行政にいましたからわかりますけれども、後でお墨つきとして学識者の意見をもらったから、これで学識的に正しいんだということではないんだと思うんです。学識者の中にもさまざまな意見がある。その意見自体のやりとりを公開する中で、ああ、なるほど、科学者同士の議論でこういう結論が導かれたのだなということがわかれば、初めて県民の皆さんは納得するんですよ。

 先ほど来、事業監視委員会とかなんとか言っていますけれども、これだって、メンバーが全て水質浄化の専門家ではないし、一般の、法律とか、別の分野の人も入っていますよね、この事業監視委員会は。本当に水質の専門家、環境問題の専門家、生態学の専門家の人たちが、いろいろな意見がありますよ、皆さん方と同じような立場に立つ人もいれば、そうじゃない人もいるはず。でも、その人たちが一度意見を交わすことによって、それで案ができましたというプロセスにおいて科学者の知見が入らなければ、これはまたもめて、十年、二十年、事業が進まないということに必ずなりますよ。

 ですから、いろいろな異論があるんです、いろいろなことをおっしゃる人がいるんです。もう一度丁寧に科学的な議論をやり直すつもりはないですか。それは、なぜならば、その方が恐らくプロセス的にも早くいく。これで強引にやったって、進まないですよ。区分地上権の設定に対して、はい、ではこれで納得しましたとか、漁協の皆さん方が、この検討の場で出された結論に対して、納得しましたといって訴訟を取り下げたりということはないと思いますよ。今、漁業権の補償の交渉にすら入れていないわけです。テーブルにすら漁協の皆さんはのっていないわけですよ。

 そういう意味では、もう一度丁寧に科学的な検討をすべきだと思いますけれども、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

北川副大臣 いろいろな方の意見を真摯に聞いて、それを受けとめていくことはやぶさかではないというふうに思うんですが、これは、学識経験者からの意見聴取も二回にわたってやっています。パブリックコメントも二回にわたって募集をし、また、事業評価の監視委員会も開いていただき、また、整備局の方でいろいろ意見を聞いていただく、あるいはまた、本庁においても専門家の意見を聞いていただいた。その上で出した結論でありますから、正当に決定された方針であるというように私は受けとめております。

福島分科員 現に、訴訟が今行われているわけですよ。再開というのが決まって、今年度の予算は昨年度に比べて倍以上の予算がつけられている。施設設計費だという説明を事務方から事前にいただいております。

 何でそこまで漁協の人が真剣に反対するかといえば、別に補償のお金が欲しいわけじゃないんです。那珂川のアユの漁獲量というのは日本で断トツ一位なんですよ。これでなりわいを立てている人が茨城県だけじゃなく栃木県にも大勢いる。下流には涸沼のシジミというのがありまして、アサリのような大きな、料亭で食べるようなシジミがとれるんですよ。同じようなシジミがあった利根川は、逆水門というのをつくったことによって、そのシジミが絶滅して、漁師の皆さんは職を失っているんですよ。だから、彼らは真剣になって、訴訟を起こしてまで反対をしているんですよ。

 政府側の証人がそういう保証もないようなことを言う中で、納得して補償のテーブルに着くと思いますか。私は、これは絶対ないと思いますよ。もっと本気でやるつもりであれば、もっと丁寧にやらなければならないし、科学的な結論に基づいて、事業を中断したり、あるいは別の策を講じるということがあってもしかるべきだと思うんですよ。その誠実さを持たないと、この事業はもめるだけもめて何も動かないことになると思うんです。

 今年度、予算をつけております。検討の場で結論が出たからといって、今年度、裁判の結論が出る前に着工するようなことはしませんね。どうでしょうか。

北川副大臣 漁業に与える影響について、茨城県あるいは栃木県の漁協から工事差しとめの訴訟が提起されているということは承知しております。

 我々としては、漁協に対しても、着工に向けて、霞ケ浦導水事業について引き続いて丁寧に説明をしていきたい、こういうふうに思っております。

福島分科員 そんなことを言っているから、いつまでたってもだめなんですよ。

 通告を出しているので、一言御感想をいただけますか、太田大臣。私は、これを丁寧に進めることが必要だと思うんですよ。漁協が訴訟を起こしている場合で本格着工とかをすることになれば、これは大きな騒ぎになります。彼らも決して反対のための反対をしているわけではありません。科学的な議論をした場で結論を出してほしいと願っているだけなんです。

 もっと丁寧にプロセスを進めていく。とりわけ訴訟を抱えている今においては、丁寧に漁協や関係者の皆さんに説明を尽くし、そして、科学的な検証をもっと丁寧に行っていくことが必要だと思われますけれども、大臣、どう思われますか。

太田国務大臣 着工に向けまして、漁協に対して、霞ケ浦導水事業について引き続き丁寧に説明をしてまいりたい、このように思っています。

福島分科員 いや、丁寧に今までもやっていないんですよ。

 漁協の人は、ちゃんと科学者をつけて、科学的な議論を、今までも勉強してきたし、そうした意見も言っているわけです。それに対して行政の側が科学的な反論をしてこないことが議論がかみ合わない一番大きな原因になっているんですよ。

 そして、今回、検討の場というものを開いて、結論を一回だけの検討会で出して、予算をつけて、施設の設計費までつけてやろうとしていることが問題なんですよ。強引にやらない方がいいですよ。丁寧にやることが必要だと私は思うんです。

 ぜひ、この点、今年度の予算ができたからといって本格着工をしたり、あるいは漁業者の漁業権を無視して前に進めて、物事を余計複雑にするということがないようにお願いしたいんですけれども、最後にもう一度答弁をいただけないでしょうか。

北川副大臣 本当に繰り返しになって恐縮なんですけれども、着工に向けて、霞ケ浦導水事業に対する理解を得られるように、漁協の皆さん方等に引き続いて丁寧に説明をしていきたいというふうに思っています。

福島分科員 本当にそれである限りは、残念ながら、この問題が決着がつくことは、近いうちはなかなかないような気がいたします。

 私自身、反対のための反対とか、そういうつもりで申し上げているわけじゃなくて、丁寧に進めて、地元の人と合意を得た上で、この事業を進めるなり変更するなり中止するというプロセスを経ていただきたいと心から願っております。そのことをぜひとも胸にとどめていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わりにいたします。

 どうもありがとうございました。

上田主査 これにて福島伸享君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

長坂主査代理 次に、島田佳和君。

島田分科員 自由民主党の島田佳和でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、公共事業とアベノミクス三本目の矢、いわゆる成長戦略の関係、そして私の選挙区であります三重県北勢地区、四日市、鈴鹿、亀山の状況をお話しさせていただきたいと思います。

 かつて、コンクリートから人へと盛んに言われた時代がありました。公共事業関連予算を削って、その分、社会保障に充てて福祉を充実させていきましょうという考えでありますけれども、例えば二十数年前、一九九三年あたりの国の歳出を見てみますと、公共事業関係費が十三・七兆円、片や社会保障関係費が十三・三兆円。若干公共事業の方が多いですけれども、十三兆と十三兆で、ほぼ均衡していたときもありました。

 こういう時代ですと、公共事業の十三兆円から三兆円なり五兆円なりを削って社会保障に充てて、福祉の充実をさせていきましょうという考え方はある種納得できるんですが、今は状況が全く違っているわけでございます。

 公共事業費、十三兆円ありましたけれども、今、本予算ベースで見ますと、五兆円のほぼ横ばいです。しかしながら、同じ十三兆円だった社会保障費は今もう三十兆円を超えようという状況でございます。

 この五兆円まで減ってしまった公共事業費をさらに削って社会保障に充てていきましょうというのは、もう時代にそぐわない状況になってきている。そういう状況を考えれば、コンクリートから人へという考え方を改めて、しっかり社会保障の予算を確保するためにも、成長戦略に資する新たなコンクリート戦略がますます日本にとって重要になってくるのではないかというふうに思っております。

 この二年間、いわゆるアベノミクス二本目の矢、財政出動で、非常に機動的な補正予算をつけていただきました。二〇一二年を見てみますと約二・四兆円、二〇一三年は若干減りましたけれども一兆円の財政出動がありまして、全国各地で、これは十分とは言わないまでも、ある程度の予算がついて、これまで進んでこなかった道路工事、また、手入れされてこなかった河川整備等が行われてきた。国民の皆様も、いわゆるアベノミクス、政権交代の果実をやっと感じ始めた時期だったと思います。

 そういった中、ことしの補正予算を見てみますと、公共事業関係費〇・四兆円。これはおととしに比べても六分の一にまで縮小しております。

 アベノミクスが三本目の矢、いわゆる成長戦略に入ったという段階はわかるんですけれども、成長戦略だからもう財政出動は要らないんだという考えは、私はちょっとどうかというふうに思っておりまして、毎年予算が変動するような状況であっては、企業もそうですし、地域の人もそうですし、来年予算がつくかつかないかがわからないから、ちょっと設備投資は控えておこう、トラックを買うのは控えておこう、クレーンを買うのは控えておこう、人を雇い入れるのは控えておこうといって、中期、長期的な経営計画も立てられない状況になっているのが、今、現場の現状だというふうに思っております。

 しかしながら、財政出動というのは、地方創生の観点からも、切れ目のない財政出動を継続していただきたいというのが私の強い思いであります。これは、毎年の補正予算で帳尻合わせをするというのではなくて、真正面から本予算で、今大体五兆円レベルの公共事業関係費をさらに上げていくんだという姿勢をしっかりと国民の皆様に示して、理解していただくということが私は重要であると思っております。

 実は、おととし、安倍総理が、成長戦略第二弾スピーチで、四日市の東芝工場の名前を具体的に挙げて、こういうふうにおっしゃっています。「国として、大胆な設備投資を後押ししてまいります。」大胆な設備投資を後押しする、設備投資をした企業に対して税制優遇するというのも一つのやり方だと思うんですけれども、やはり、設備投資をしたいと思うようなインフラづくりを国が行っていくということも、しっかりとした設備投資につながっていく道だというふうに考えております。

 こういう状況を踏まえて、ぜひ大臣にお伺いしたいんですけれども、これまでの公共事業は無駄だというイメージをしっかり一掃していただく、払拭していただいて、必要なインフラ整備は積極的に行うんだ、特に地方の成長に資する事業はどんどん推進していくんだというメッセージを国民全体に伝えていただいて、そして、しっかりとしたPR活動のもとに、本予算で公共事業予算をふやしていくような流れを大臣にお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

太田国務大臣 予算全体の枠ということについてはなかなか財政制約がありまして、これは省庁とは申し上げませんが、それぞれがより必要だということをやりながら、財務省を中心にして予算が決定されているという状況だと思います。

 大きな流れからいきますと、公共事業が無駄であると言われたのは一体いつごろからかという源流をたどってみる必要があろうと思います。

 それは、九〇年代の特に中盤からのことであったと思います。そのときはまさに日本経済はずっと右肩上がりが続いていまして、そして、九五年、六年、七年のあたりは、財政構造改革という、この財政再建ということが大きな課題になり、一方では、経済が右肩上がりではなくデフレ基調に転ずるという状況があったと思います。その中で、何が無駄であるかということを、公共事業に限らず全てメスを入れるということが始まったのが九〇年代の中盤であったと思います。

 そのときに、公共事業を悪玉と言うような言葉が出たり、公共事業は無駄であるということがちょっと言われ過ぎたりしたという嫌いがあって、その流れの中で公共事業が減り、そして、社会保障は必然的にふえるわけでありますから、それが今の五兆円、そして三十兆を超えるという形になってきたんだと思います。

 私は、必要な公共事業は当然やる、無駄な公共事業は削る。公共事業が無駄というのは、これは誤りで、無駄な公共事業は削るが、必要な公共事業はやる。ましてや、現在は、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こういうことの中で、私はこの二年間、公共事業というもののメーンストリームに置くようにしてまいりました。

 都市再生や景気、経済に資するということについて、公共事業のあり方というものは、私はフローの効果より以上にストック効果というものを見ていかなくてはならないということを主張しながら、現在、この防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化をメーンストリームにしながら、そして、公共事業というものは、単にフローの効果で今まで判断されてきたけれども、道路ができるというおかげで周りに工場が出たりということが、もう今、目に見える形で、今の三重県の東芝の例でありますけれども、あそこにもっと渋滞しない道路があればということが地元の方たちがよく考えていらっしゃることではないかというふうに思いますし、道路ができることによってさらに東芝関連だけでない事業が展開される、そうしたストック効果というものをこの日本の中に見ていただくという時代をつくっていかなくてはならない、このように思っています。

島田分科員 すばらしい答弁をありがとうございます。

 まさに、来年度予算を見てみますと、財政の健全化が重視されていることは非常にわかるんですが、実際、現場を見てみると、用地買収も進み、いつでも工事が進められるような状況にあるにもかかわらず、なかなか手つかずのままのようなところもあります。これは大きな機会損失になりますので、できるだけ積極的にどんどん進めていただきたいというふうに思っております。

 今、三重県の話も大臣の方からしていただきましたけれども、この三重県の北勢地域、四日市、鈴鹿、亀山というのは、本当に慢性的に渋滞に悩まされている地域でございます。主要な幹線でいいますと、いわゆる東名阪高速、そして新名神、あとは国道一号線、二十三号線が通っているわけでありますけれども、これは、平日、週末問わず、朝昼夜問わず、常に渋滞に悩まされている地域でございます。

 この地域は、先ほど東芝の工場の紹介をさせていただきましたけれども、それ以外にもホンダの鈴鹿製作所があったり、もちろん鈴鹿サーキットもあったり、今、三重県を挙げて航空産業の集積化も図っている地域でございます。

 また、観光の面でも非常に重要な道路でございまして、中京圏、近畿圏から東名阪、二十三号線を通って伊勢神宮参拝に行かれる方も多いですし、鈴鹿サーキットはF1グランプリ等で遊びに来られる方も多いですし、また、この三重県、ゴルフ場も非常に多い地域でございますので、ゴルフを楽しむときにも使われている道路でございます。

 しかしながら、最近よく聞くのは、例えば名古屋圏のゴルファーの方たちが、三重に行くと帰りに渋滞で二時間、三時間かかってしまうので、もう三重のゴルフ場に行くのはやめようとか、先週末もあったんですが、鈴鹿サーキットで行われたモータースポーツファン感謝祭で、二日間で六万人の来場者があったわけですけれども、やはり帰るときに、鈴鹿に来るとまた二時間、三時間渋滞に悩まされるから、ことしは行くのはやめて、例えばF1グランプリはテレビで見ようかみたいな声を聞く昨今でございます。

 しかしながら、例えばホンダさんが七年ぶりにF1にカムバックするといったいい情報もございまして、これからますますサーキットへの来場者もふえると思いますし、先ほど申し上げました伊勢神宮参拝客、また長島のナガシマリゾートといったいろいろな観光地がございます。経済、観光の面でも非常に重要な道路であるわけでありますし、また、防災の点からも、この二十三号線というのは、南海トラフ地震が起きたときに、もし津波が来れば浸水想定地域に入っております。そういったときに、新たな避難道路を確保するということは非常に喫緊の課題である。

 そういった中、この渋滞解消、そして防災対策というところで、北勢バイパス、そして中勢バイパスの整備が地域の住民の方から非常に期待されております。

 しかしながら、この北勢バイパス、中勢バイパスもなかなか工事が進んでいないのが状況でございまして、例えば中勢バイパス、これは昭和六十三年に工事が始まったんですけれども、鈴鹿市内の中勢バイパス進捗率、いまだ四七%で半分に届いておりません。また、四日市市内、北勢バイパス、これは平成十一年に工事が始まっておりますが、市内進捗率二八%ということで、これもお世辞にも工事が進んでいるとは言えない状況でございます。地域の人たちからも、渋滞をなくしてほしい、早くバイパスを通してほしいから用地買収にも協力したのに、一体どうなっているんだという声も年々大きくなってきている状況でございます。

 道路局長、通告では二問に分けてお願いしていたんですけれども、時間の関係上、一問にまとめて質問させていただきますが、経済的にも観光的にも、そして防災的にも非常に重要なこの北勢地区の渋滞を解消して、地域経済を活性化させる、防災力を強化させるためにも、この中勢バイパス、北勢バイパス、開通目標を明確にして整備を促進していただきたいと思いますが、今の状況も踏まえて御答弁いただけますでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、三重県内の渋滞が激しいということにつきましては、私もそのように認識しております。

 国道二十三号中勢バイパス及び国道一号北勢バイパス、これらが一体となりまして、企業立地が進む中勢地域、あるいは、石油化学、自動車産業を初めとしたさまざまな産業が活発な四日市地域の現道の交通状況の緩和、さらには、委員御指摘のように、災害時の緊急輸送路としても非常に重要な道路だと認識しております。

 今おっしゃったように、中勢道路、これは全体でいいますと大体八割ができてまいりました。それから、北勢バイパスはいまだ四割ということなんですけれども、現在、残る区間、用地買収、工事、できる限り早期に開通するということで、あともう一息のところまで来ているというふうに考えております。

 ただ、中勢バイパスの最後に残っている区間、これは四工区と言っていますけれども、これにつきましては、現在用地買収を進めております。用地買収の進捗率が七八%ということでございます。さらに用地買収の進捗を図り、できる限り早く開通時期を公表するようにしたいと思っています。

 また、北勢バイパスにつきましては、約十二キロの区間で、今一生懸命やっておりますけれども、ちょうどゴルフ場の関係とかで構造上の課題が幾つかありまして、そんな中で、課題を解決しながら、今、設計、用地買収、工事を推進しております。全力で頑張りたいと思います。

 引き続き、地域の皆様の御協力もいただきながら、中勢道路、北勢バイパスが一日も早く開通できるように努力してまいりたいと思います。

 以上です。

島田分科員 ありがとうございます。

 今の答弁にもありましたとおり、この中勢バイパス四工区、七八%ということです。八〇%を超えれば法律上は収用の手続もできるようになると思いますので、ぜひ地元自治体ともしっかり協力しながら、この中勢バイパス、そして北勢バイパスの推進を一緒になってやっていきたいというふうに思っております。

 また、北勢バイパスも中勢バイパスも三重を縦断する道路ではありますけれども、三重を東から西へ横断する東西の道が非常に脆弱な状況でございます。

 そういった中、鈴鹿の沿岸部の方が内陸の方に避難できるように、今、鈴鹿亀山道路というものが計画されて、動き始めております。こちらもやっと環境影響評価手続が始まるという段階で、まだまだ完成までの見通しははるか先でありますけれども、ぜひ早期の開通を目指して環境整備の方をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、河川の話をさせていただきたいと思います。

 この鈴鹿、四日市には、亀山も含めて、鈴鹿川という一級河川が流れております。しかしながら、これまで整備予算、維持予算がなかなかついてきておりませんでした。

 そういった中、三年前までは、この鈴鹿川の川の中に土砂が堆積して、堆積した土砂の上に竹やぶが茂っているというような状況でございました。ですので、台風が来るたび、また、大雨が降るたびに洪水のリスクにびくびくしながら地域住民の方は生活をしていたわけでありますけれども、実際、平成二十四年、台風十七号がありまして、このときは鈴鹿川が決壊しまして、一名死亡事故が起きてしまうというような状況でありました。

 そういった中、アベノミクスの補正予算、約八億円の整備予算を追加でつけていただきました。この予算を有効活用しまして、竹やぶ伐採を行ったり河床掘削を行うことができた。その結果、昨年八月に来た台風十一号で、これは鈴鹿市内全域で特別警報が出るほどの大雨だったんですけれども、何とか一件も洪水事故を起こさず、ぎりぎりのところで持ちこたえているというのが現状でございます。

 河床掘削といいますと、例えば新しい堤防、いわゆる目に見えるようなものではないですから、地域住民の方には、その成果であったり、またアベノミクスとの関連性というものもわかりづらい部分はあると思うんですけれども、地域住民の方の財産、命を守る上でも、河川整備事業をしっかりする、予算づけをしっかりしていくということが重要であるかと思いますが、その辺、河川整備事業の地域にもたらす効果というものを教えていただきたいと思います。

池内政府参考人 お答えいたします。

 河川事業の効果のうち、特に費用便益分析、いわゆるBバイCにおいて貨幣換算して便益に計上しているものとしては、今御指摘があったように、家屋、家財、事業用資産、農作物の直接的な被害を防ぐ効果でございます。今御指摘ございました鈴鹿川における三千五百億円等の効果がございますが、こういった直接的な被害を防ぐ効果を算定したものでございます。

 このほか、こういったものに計上していない効果といたしましては、例えば、人命を守る効果、あるいは交通、ライフライン途絶による影響、そして社会経済活動への波及被害を防ぐ効果、それから企業立地の進展など土地利用の高度化に貢献する効果、こういった効果がございます。このような効果につきましても、できる限り定量的に推計して示すことが重要だと考えております。

 引き続き、河川事業の効果を推計する手法の充実に努めるとともに、そういった効果をわかりやすく説明してまいりたいと考えております。

島田分科員 実際、鈴鹿市民の方、四日市市民の方たちとも話していますと、やはり政権交代後、しっかり川もきれいになったな、道路も工事が進んできたなというふうな声も大きく上がってきております。しっかりと、この整備予算、整備事業も継続的に行っていただきたいというふうに思っております。

 しかしながら、こういった補正予算によってこれまでの公共事業がふえていく一方、例えば、昨年十一月、経済財政諮問会議では、民間議員の方から、公共事業が拡大する中、建設労働者の人手は不足し、資材価格が上昇している、結果、民間工事の一部は抑制されているという指摘がありまして、いわゆる民業圧迫といった指摘も出ているという状況であります。

 しかしながら、県内では、民業圧迫というよりはむしろ公共事業がふえて喜んでいる業界の方ももちろんいますし、地域住民の方もいるわけでございます。全国的にはどういった状況なのかというものを答弁いただきたいというふうに思っております。

毛利政府参考人 公共事業に人手がとられて民間工事を圧迫するという事態のことをクラウディングアウト、押し出すとか押しのけるという言い方で言われておりますけれども、これは御指摘のとおり現実には起きていない実態でございます。実際、景気回復に伴いまして、民間工事の受注工事量というのは全国的に増加基調にございます。

 さらに、大事な点としまして、そもそも公共事業の約九割が土木工事で、民間工事は八割以上が建築工事ということでございます。建設会社も、実態は土木と建築ですみ分けがございまして、現場の技能労働者も、土木と建築では技術、資格、経験まで異なっておりますので、流動性はほとんどないのが実態であります。

 実際、現場の声を伺いましても、実勢に合った適正な賃金と工期を確保すれば、民間工事におきましても人手の確保はできているという状況にあるというふうに認識しております。

島田分科員 ありがとうございます。

 新聞等を読んでいると、非常に、やはり現場の現状はちょっと違っているのかなというところもあると思いますけれども、しっかりとそういったところもPR、アピール、国民の皆様にお伝えをしていただきたいというふうに思っております。

 先ほども申しましたけれども、公共事業というのは決してカンフル剤であってはいけない、これは継続的に毎年しっかり本予算をもって担保していただきたいというお話をさせていただきました。

 そういった中で、やはり関連企業の方が経営計画を立てる上でも、設備投資計画を立てる上でも、人員計画を立てる上でも、国が中長期的に公共事業をどういうふうにこれから考えていくのか、この日本の国土をどういうふうにつくっていくべきなのか、そういったビジョンを求めているだろうというふうに強く思っております。

 ぜひ、今、国交省の方において、二〇五〇年を見据えた国土のグランドデザイン計画というところで、国土形成計画また社会資本重点計画というものを作成中と聞いておりますけれども、こちらの概要、そしてスケジュール感等を教えていただきたいと思います。

太田国務大臣 公共事業が無駄であるということについては、先ほど、無駄であるんじゃなくて、無駄な公共事業は削り、必要な公共事業はやるんだという話をしましたが、なぜそういうことが言われるようになったんだろうということを考えますと、常に将来の日本の国土というものをどうするというものを明確にして、場当たり的に、その場限りで、仕事を頼まれたからやっていくとか、予算がふえたからやるというようなことではなくて、こういう国にしたいんだ、そして、脆弱な国土である、老朽化対策もしなくてはならない、北海道なら北海道、三重なら三重をどうするのかということの方向を示して、そこに直線距離で進んでいく。オリンピック、パラリンピックがあろうとなかろうと、まっしぐらに、真っすぐに進んでいく、それを平準化しながらやっていくということが大事なことで、私は先生もそのことをずっと言われてきたんだと思います。

 そういう意味で、昨年の七月四日に国土のグランドデザイン二〇五〇というのを出させていただいて、これは、地方創生のベースになる、構造的に考えるということでありますけれども、人口減少、そして高齢化、そして都市間競争が激化する、そして災害が緊迫化している、そしてICTが非常に急速度に発達する。

 そういう中で、どういうまちづくりをしていったらいいのか、国土づくりをしていったらいいのかということを、町はコンパクトシティーにし、コンパクト・プラス・ネットワーク、そして、個性ある都市をつくり、個性と個性というものが、例えば二つの町があるならば、この町はこういう個性で生き抜いていく、この町はこういう個性で生き抜いていく。違う個性があるからこそ、東京と同じようなミニ版がいくのではなくて、我が町はこうする、我が町はこうするという違う個性が出たときに、初めてそこに、物理学でいうお湯の対流が起きるという対流現象が起きる。連携と対流でまちづくりをしていこうという考え方が、私たちの対流促進型国土というビジョンでございます。

 先生がずっと言われているように、そこにきちっと焦点を合わせて予算組みを恒常的にしていって、そして今度は、企業の側からいっても、安心して、急にふえても困るし、急に減ったらもっと困るという予算ということに対して、予算は平準化していく。二〇二〇年まで以降、その後も同じようにいくんだということがあって初めて、若い人を雇い、そして機械を買うことができる、設備投資ができるんだ、そういう当たり前の方向に何とか持っていきたいと私は強く思っているところでございます。

島田分科員 ありがとうございます。

 まさに大臣御指摘のとおり、国の将来像をつくって、中長期的な社会資本整備をどういうふうに国民に示していくのか。そして、それをもとに、短期的で具体的な計画に落とし込んでいきながら、地方を創生していくということが私は王道だというふうに信じておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 実際、先ほど言いました二本目の矢、これは地方に本当に大きな力を発揮していただきましたし、それによって地方の税収が上がっていることも確かであります。

 ぜひ、今回成長戦略になったから財政出動は行わないというような姿勢ではなくて、切れ目のない財政出動を地方に寄り添いながら続けていくという姿勢をこれからも続けていただきたいというふうにお願いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

長坂主査代理 これにて島田佳和君の質疑は終了いたしました。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

上田主査 次に、高木美智代君。

高木(美)分科員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、長丁場の御審議、大変にお疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 三月一日午前十時十分ごろ、足立区竹の塚の東武伊勢崎線竹ノ塚駅近くの踏切で、上り急行列車と軽自動車が衝突しまして、自動車の運転手が死亡するという痛ましい事故がありました。

 原因は捜査中とのことですが、踏切には警備員が二十四時間配置されておりまして、目撃者の話では、踏切内に入ろうとする車を警備員が制止しようとしたが、減速したものの、振り切って進入した、警備員は非常停止ボタンで電車に通報、電車も非常ブレーキを扱ったが、間に合わず、衝突した、こういう概況と聞いております。遮断機、警報器は正常に作動。この事故によりまして、約九時間、東武鉄道は運転を停止、約十三万人に影響が出たとのことです。

 ここは、太田大臣が一番御存じのとおり、あかずの踏切で有名なところでございまして、五本の線路が通り、遮断機の間の距離は三十三メートル、一時間に二、三分しかあかないと言われております。

 十年前の二〇〇五年三月十五日、竹ノ塚駅南側で四人の歩行者が死傷する大事故がありました。早速、翌日、太田大臣が内閣委員会で質問に立たれまして再発防止を要請、その日のうちに地元の都議、区議会議員と現場視察と聞いております。

 東武鉄道は、その事故を受けて遮断機を手動から自動化に切りかえ、踏切前に警備員二人を二十四時間常駐させております。

 大臣が中心となられまして、連続立体交差事業の実現を当時の北側元大臣に働きかけ、生活道路の踏切にも支援できるよう制度改正が実施されました。また、都、区、東武鉄道などの検討会に国交省も参画しまして、強い後押しをするなど、推進してこられたと聞いております。その後も粘り強く働きかけ続け、異例の措置を異例のスピードで推進してきたと承知をしております。

 今回の事故の発生を踏まえて、連続立体交差事業の終了は平成三十二年度と聞いております。一日も早い完成を求めるものでございます。さらに、完成までのこの五年間、当面とり得る措置につきまして何らかの対策があるのかどうか、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。

太田国務大臣 常磐道開通の式典の途中に、今回、三月一日の午前中の事故を聞きまして、冷やっとしました。なぜそうしたことが起きたのかな、どういう事態になったのかなということで、テープカットが終わってからでありますけれども、すぐ区長と連絡をとったりさせていただいたわけでございます。ここは大変な状況でありましたが、何とかあかずの踏切を除却するという事業が進んでいる状況です。

 この事業は、都市内交通の円滑化と交通安全の確保、市街地の一体化など、さまざま、あの周辺の市街地開発もありまして、大きな効果が期待をされています。

 この事業は、足立区が事業主体となる、区でやるという決断をしたということで動き始めたのと、今までのシステムというのが、高架化事業をするのは、こういう広い道路とこういう道路がなくちゃだめというような硬直的な基準を取っ払ったという二つの要素があったわけでありますけれども、今、順次工事を進めています。三十二年度の完成について目指していることは間違いありません。

 そしてまた、まずは、二十八年度でありますけれども、踏切の遮断時間の減少に資する下り急行線の高架切りかえを目指しているところでありまして、国交省としましても、事業の効果が早期に発現するよう引き続き重点的に支援をしていきたい、このように思っているところでございます。

高木(美)分科員 私どもも、足立区と、そしてまた東京都としっかり組んで、一日も早い完成を目指して頑張ってまいりたいと思っております。

 駅のバリアフリー化につきましては、もう目覚ましく進捗をしまして、東京の多摩地域のJRの高架化は間もなく完了するところでございます。今残っている箇所は、構造上などの課題がありまして大変困難なところが残っております。きょうは、その二つを質問させていただきたいと思います。

 まず、その一つは、地下鉄日比谷線広尾駅渋谷区側のエレベーター、エスカレーターの設置です。

 この広尾駅の北側は港区側になっておりまして、聖心女子大等があり、どちらかというと広々とした地域で、既にエレベーター、エスカレーターの設置につきましては工事中であり、平成二十九年度には全て完了予定と聞いております。

 この南は渋谷区側になるわけでございまして、こちらの方に日赤病院、広尾病院、各国大使館、また有栖川宮記念公園などがありまして、駅前は買い物でにぎわい、子育て世代も多く集まるスポットになっております。

 しかし、ここは、こうしたエレベーター、エスカレーター設置のめどがありませんで、中には、お助けマンとかお運びマンというような人があらわれるぐらい駅員の手も限られ、ベビーカー利用者には乗車拒否の駅とまで言われてまいりました。我が党の区議会も、長年、国に働きかけてきたところでございます。

 この広尾駅の乗降人員数は一日平均五万七千九百四十七人、東京メトロの駅では六十三位という状況でございます。

 このバリアフリー化に向けまして、現状をお伺いいたします。

太田国務大臣 高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するためには、バリアフリー化が極めて重要な課題だと考えています。

 広尾駅南口のバリアフリー化につきましては、関係機関の御協力をいただきながら、東京メトロにおいて平成二十六年度より、エレベーター等の整備のための調査が実施をされているところです。

 国交省としては、この事業に対しまして、平成二十六年度予算においても支援を行っており、今後も引き続き支援をしてまいりたい、このように考えています。早急に実現するということが少しでも早く進むように国交省としては支援をしたい、このように考えているところでございます。

高木(美)分科員 ありがとうございます。

 お店が密集しておりますので大きな課題があるかと思いますが、今の大臣の前向きな御答弁、ぜひとも実現に向けまして引き続きお願いをしたいと思います。

 もう一カ所が、JRの浅草橋駅の東口でございます。

 バリアフリー化につきまして、台東区からずっと強い要請を受け続けてまいりました。我が党の区議会議員も、十四年前、署名運動などを行いまして、陳情し、その後も要請を続けているという状況でございます。

 西口の方は、既にエレベーターの設置と区道の整備が決定をしまして、これも平成二十八年度までに完成の予定となっております。

 しかしながら、都営地下鉄浅草線、エスカレーターでずっと上がってきまして、そこから東口に入る、こちらの方は階段しかないという困難をきわめております。改札に入ってからも、トイレに行くにはまた下り、そして、下り線のホームに行くにはまた上り、上り線のホームに行くには一旦下ってまた階段を上がるという、もうバリアだらけの駅でございます。

 しかしながら、この浅草橋駅の一日の乗車人員は五万三千三百二十七人、JR東日本の駅の中でも八十七番目となっております。しかも、台東区は高齢化率が二十三区で一位という状況でございます。

 現状と今後の見通しをお伺いさせていただきます。

藤田政府参考人 JR浅草橋駅東口の現状でございますけれども、御指摘のとおり、今、エレベーターはございませんで、車椅子の御利用の方等は階段昇降機を使っていただくということになっております。

 この駅の構造でございますけれども、二面二線の高架上の駅、高架橋の上にある駅でございます。ホームが区道の上空に位置しております。そのために、東口にバリアフリー化設備、エレベーター等を設置するとすれば、区道を相当程度占用することになりまして、今度は区道の方の通行に支障を来すといった難しい問題があると承知しております。

 こうした検討課題の解消に向けましては、周辺整備を含めた総合的な検討が必要でありまして、まずは地元関係者の間で御協議を深めていただきたいというふうに考えております。

高木(美)分科員 今お話しいただきましたとおり、ホームが区道の上にせり出している、横から見ると扇形になっておりまして、災害とかあるとホームのあるその上空から人が落ちてくるのではないか、そういう懸念すらあるような駅の状況になっております。

 当然のことながら、台東区側は、区道は使ってくれるなという話があったとも聞いておりますし、そこから見ますと、今局長から御答弁ありましたとおり、まちづくりを含めた総合的な検討が必要ではないかと思っております。

 新しい区長も誕生しましたので、区でもよく協議をさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、これは、先ほど申し上げたように、長期的そして総合的にこの対策を着手を始めませんと、いつまでたっても同じ形態のまま、そして使い勝手が悪い、高齢者は使えない、そしてなおかつ災害時には危険を伴う、こういう状況になっております。

 その点を考えますと、国交省がもちろん軸になっていただければありがたいと思います。国と、そして都と区と、また事業者とぜひとも一体となって、検討会を設置するなり、何らかの方策をスタートしていただけないかと思っております。

 大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

太田国務大臣 一九九〇年ごろに私は数年間住んでおりまして、浅草橋駅を使って通っておりましたものですから、よく状況はわかっています。

 今鉄道局長が申し上げましたように、地元がどうするかということが一番最初でありますけれども、私としても、これは大臣という立場を超えて、昔住んでいたところだということで、台東区の区長さんとも御相談を申し上げ、またJR等にもその問題意識についてはお伝えをしよう、このように思っているところです。

高木(美)分科員 ありがとうございました。

 大臣、定刻でございますので、どうぞ御退席くださって結構です。大変にありがとうございました。

 全国のあかずの踏切につきまして、お伺いをしたいと思います。

 現在の箇所数につきましては、どのようになっていますでしょうか。

深澤政府参考人 全国のあかずの踏切について御質問がございました。

 国土交通省では、平成十九年四月に、全国の踏切の総点検というのを行いまして、全国で約三万六千カ所踏切がございましたが、それらの総点検を行いまして、緊急に対策が必要な踏切というものを抽出いたしました。

 その中で、特にあかずの踏切、これは定義を申しますと、ピークの時間、遮断時間が一時間のうち四十分以上閉まっているのをあかずの踏切という定義なんですけれども、それに該当する箇所が五百八十九カ所ございました。

 その後、このあかずの踏切の解消の抜本対策として、約三割の箇所におきましては、先ほどお話があったような連続立体交差事業など抜本的な事業を実施しているところでございます。

 既に完了したところもございまして、平成二十五年度末の時点で八十二カ所のあかずの踏切の抜本解消が行われました。

 その結果、現在では、あかずの踏切は全国で五百七カ所となっております。

 以上です。

高木(美)分科員 今御答弁ありましたとおり、十年前の事故以来、当時の北側大臣が全国のあかずの踏切の総点検をやろうということで実施されまして、緊急に対策が必要な踏切については、道路管理者と鉄道管理者に五カ年の整備計画を策定していただき、計画に基づいた対策を重点的にスピードアップして推進してこられたと承知をしております。

 平成十八年から二十四年の間、約百三十カ所の抜本対策も実施をされている。これは、それ以前に比べますと約二倍以上のスピードとも聞いております。

 今御答弁にありました残る五百七カ所、その中で、必要性が高いにもかかわらず進捗していない箇所などの調査分析も急務であろうと考えております。原因はどうなのか、解決策はどのようにしていくのか、不断の見直しが必要と考えます。

 国交省の対応につきまして、これは、青木政務官、御答弁をお願いいたします。

青木大臣政務官 委員が質問されましたことにお答えをいたします。

 あかずの踏切の対策といたしましては、一般的には連続立体交差事業が有効な抜本策となると認識いたしております。ただし、多額の事業費や用地取得の困難さが課題となることが多いというのが現状でございます。

 先ほど太田大臣も答弁されましたが、竹ノ塚で活用されましたように、特別区等も事業を実施できるよう事業主体を拡大していき、また、コスト縮減や取得する用地が少ない施工方法の提案等を現在行っているところでございます。

 また、抜本対策に時間を要する箇所につきましては、比較的安価で効果を早期に発現する速効対策を推進しておりまして、抜本対策とあわせますと、ほぼ全ての箇所で対策を実施しているのが現状でございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、毎年対策の進捗状況を確認いたしまして、毎年点検は行わせていただいておりますが、これからも各踏切毎の課題等を十分に把握しながら、あかずの踏切の対策を推進してまいります。

高木(美)分科員 命にかかわる大変重要な案件でございますので、私どももしっかりと後押しをさせていただきたいと思っておりますので、また今後とも、積極的なお取り組み、どうぞよろしくお願いいたします。

 私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

上田主査 これにて高木美智代君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)分科員 ちょっと高木委員が早目に終わられましたので、心の準備ができておりませんけれども、質問を始めさせていただきたいと思いますが、まだ答弁される方も来られていないようなので。

上田主査 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

上田主査 では、速記を起こしてください。

 斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫です。

 きょうは、福祉タクシー事業についてまず初めに質問をさせていただきたいと思います。

 平成十八年にバリアフリー新法が施行されました。そして、それに基づいて移動円滑化の促進に関する基本方針が定められたところでございます。特に、高齢の方、また障害をお持ちの方が社会生活へ積極的に参加をしよう、また移動の自由を確保するということで、バリアフリー化が推進されてきたところでございます。

 その中でも、特に高齢者、障害者の移動手段として重要な役割を担っております福祉タクシーに関して、何点か質問をしたいと思います。

 この福祉タクシーの運用形態ですけれども、大きく分けて二つに分かれるようでございます。一つは、福祉輸送限定の、いわゆる福祉タクシー事業者。これは、福祉タクシーだけをやっている、こういう事業でございます。それからもう一方は、普通の法人タクシーで、福祉車両を保有して高齢者や障害者の方に利用していただいている。この二形態に分かれる、このように認識をしております。

 そうした中で、平成二十四年三月、国が定めた仕様を満たした車両を標準仕様ユニバーサルデザインタクシーとして認定して、利用者へより優しい車両の開発と普及を図るとする制度が創設されました。

 そこで、まず最初の質問でございますが、冒頭に申し上げた移動円滑化の促進に関する基本方針、これが平成二十三年に改正されまして、平成三十二年度までに、つまり十年間で二万八千台の福祉タクシーを導入する、このようにされております。そして、これにはユニバーサルデザインタクシーを含むとされておりますけれども、直近の導入状況について、全体の台数、二万八千台が目標ですが、現在どこら辺まで来ているのか。

 そのうち、福祉輸送限定の、いわゆる福祉タクシー事業者の台数と、それから一般の法人タクシーが福祉車両を保有しているものの台数、それから先ほどのユニバーサルデザインタクシーというのはこの法人タクシーの福祉車両の中に含まれるのか両方に含まれるのかわかりませんが、その辺の関係も含めて、わかりやすく教えていただきたい。今どの辺まで進んでいるのか、教えていただきたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 福祉タクシーの導入状況でございますが、まず、総車両数は、平成二十五年度末現在で一万三千九百七十八台になっております。

 このうち、福祉限定事業者の車両数は一万七百四十七台でありまして、また、一般事業者の車両数は三千二百三十一台となっております。

 また、ユニバーサルデザインタクシーの車両数についてでありますが、これは平成二十五年度末現在六百六台となっているところでございます。

斉藤(鉄)分科員 目標が二万八千に対して、現在、全体で約一万四千台、ちょうど半分というところですね。そのうち福祉限定事業者が一万七百四十七台ということで、大体七割から八割方を占めているということがわかりました。

 このユニバーサルデザインタクシーの六百六台というのは一般の事業者の三千二百三十一台の内数なのか、それとも六百六というのは限定事業者にも入っているのか、その関係はどうなっていますでしょうか。

田端政府参考人 お答えいたします。

 ユニバーサルデザインタクシーの六百六台でございますけれども、現在、日産のNV200バネットタクシーというものがこのユニバーサルデザインタクシーとして認定をしてございまして、六百六台となっております。

 福祉タクシーは、車椅子あるいは回転シートなどがついている車ということで、これとは別の数字、外枠である、このように御理解いただければと思います。

斉藤(鉄)分科員 わかりました。

 福祉タクシー、平成三十二年度までに二万八千台という目標に対して今ちょうど半分まで来ているということでございましたが、今後、これをどのように推進していくのか、お伺いします。

田端政府参考人 障害者や高齢者を含んださまざまな人が利用しやすいこのユニバーサルデザインタクシーを初めとしました福祉タクシー車両の導入につきまして、地域公共交通確保維持改善事業におきまして、購入費及び改造費の一部を支援しております。

 また、ユニバーサルデザインタクシーにつきましては、国により認定されました標準仕様の車両に対しまして、自動車重量税あるいは自動車取得税の税制特例措置を平成の二十四年度から実施しておりまして、二十七年度政府税制改正大綱におきまして適用期間を延長するとなったところであります。

 国交省といたしましては、さらなるバリアフリー化を促進していくために、平成二十六年九月に、省内にバリアフリーワーキンググループを発足させ、ユニバーサルデザインタクシー等のバリアフリー車両の普及促進についても検討を行うことといたしております。

 福祉対応型車両の普及促進は、ユニバーサル社会実現のために不可欠なものと認識をしております。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も踏まえ、引き続き、関係者への働きかけを行うとともに、必要な支援策を講じてまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)分科員 その目標に向かって推進策を進めていただきたいと思います。

 その上で、懸念される問題についてお尋ねしたいと思います。

 福祉タクシー事業者は、福祉輸送限定として事業許可をとっている以上、高齢者や障害者以外のいわゆる一般の利用はできません。一方、法人タクシーの福祉車両利用、また標準仕様ユニバーサルデザインタクシーは、その認定の対象として、一般の利用、いわゆる流し営業も想定された仕様が求められております。

 そうしますと、例えば、施設への移動は予約して福祉限定事業の福祉タクシーで行くけれども、帰りは近くですぐ拾えるユニバーサルデザインタクシーを利用する。利用者の利便性からすると、一々予約せずに利用できるのであればその方がいいということで、福祉タクシー事業者としては、利用頻度が下がり、事業として経営が成り立たなくなる。ユニバーサルデザインタクシーの普及により、こうした現象が出てくる可能性は否定できないかと思います。

 利用者ニーズに合った車両の開発や普及は非常に大事なことであるということは十分理解しておりますが、その一方で、この福祉タクシー事業を支える事業者、とりわけ、そのほとんどが小規模事業者である福祉限定タクシー事業者への配慮が必要かと思われます。二万八千台導入の目標に向けた対策として、福祉タクシー事業者とユニバーサルデザインタクシーとのバランスということもあわせて考えていただいて、今後の福祉タクシー事業者に対する国の方向性をどのように考えていらっしゃるのか、質問をいたします。

田端政府参考人 ただいま御指摘ありましたユニバーサルデザインタクシーは、流し営業にも活用されることを想定いたしまして、身体に障害のある方はもちろん、高齢者や妊産婦、子供連れの方など、さまざまな人が利用できる構造を有する車両として国交省で認定をしているものでございます。

 一方、福祉限定事業者は、介護福祉士や訪問介護員などの資格を持つ運転者が多く、身体に障害のある方のほか、乗降の介助が必要な、要介護認定または要支援認定を受けている方の輸送も担うなど、地域に根差した、より福祉輸送としての専門性が高い輸送形態であると認識をしております。

 このため、国交省といたしましては、流し営業を行うユニバーサルデザインがより普及していく場合においても、福祉限定事業者が有する高い専門性や地域密着型の営業スタイルに対する需要は変わることはないと考えておりますけれども、その影響につきましては、現場の声あるいは現場の実態をよく聞きながら、今後とも十分注視してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)分科員 福祉タクシー事業者からそういう心配の声がありましたので、ぜひそういう配慮をした行政をお願いしたい、このように思います。

 障害者割引制度について、最後にお伺いしたいと思います。

 この制度で割引された分の負担は事業主とされております。先ほど来、福祉限定タクシーの事業者と、それから一般法人タクシーということでございましたが、福祉限定タクシー事業者の場合は、相手の方が高齢者もしくは障害者ですので、障害者の割合が一般の法人タクシーよりも当然高いわけでございまして、これがある意味で経営の大きな負担になっている。例えば、法人タクシー従業員の年収は各地まちまちですが、大体四百万円前後だけれども、福祉タクシー事業者は大体三百万円とも言われております。

 そういう中で、この障害者割引制度、これはすばらしい制度で、残していかなくてはいけないわけですが、その利点はよくわかった上で、特に福祉限定タクシーに大きな負担がかかっているということに対して、経営を下支えできる対応をぜひ検討すべきではないかという声がありますが、いかがでしょうか。

田端政府参考人 福祉限定事業者は、旅客の対象が要介護者等に限定されていますので、身体障害者割引等の対象者が多いことは承知しております。

 この割引制度でありますが、事業者の方みずからの御負担で行うものということを御理解いただいた上で設定をしていただいているものと認識はしているところであります。

 ただ、先ほども申し上げましたとおり、この福祉限定事業者は、地域に根差した福祉輸送として非常に重要な役割を果たしており、今後またその重要性がますます高まっていくものと認識をしております。国交省といたしましても、福祉タクシー車両の購入補助などの施策を通じまして、その経営が安定的に行えるよう、しっかりとサポートをしてまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、自動車の整備、車体整備関係の質問をさせていただきます。

 先日、私、新しく販売が開始された燃料電池車に試乗させてもらいました。水素社会が手の届くところまで来ているということを実感した次第でございます。

 そのような中で、国は、次世代自動車普及戦略として、二〇二〇年までに新車販売の五〇%を燃料電池車、電気自動車、ハイブリッド車で占めるという政府目標が示されました。

 こういう政府の目標に対して、車体を整備する整備業界から、次世代自動車へのアルミ合金の使用、炭素繊維樹脂、高機能樹脂の採用、自動ブレーキの採用など、これらの修理、整備を考えたときに、これから急いでこういう修理に対応できる設備機器の導入やまた人材の育成が図られなければならない、こういう声がございます。

 しかしながら、中小零細企業が多い車体整備事業では、これら新しい機械に対しての設備投資というのはなかなか難しいという声がありまして、この新しい次世代自動車に対応する車体整備事業に対する設備投資を応援する制度を国としても何か考えてもらえないだろうかという要望をその業界の方から聞いたところでございます。これは日本が新しい車社会を世界に先駆けてつくっていくという意味でも非常に大切ではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

田端政府参考人 自動車整備事業者は、約八割が従業員十人以下の中小零細事業者であります。

 現在、中小企業者の設備投資を促進することを目的といたしました、機械装置などを取得した場合の特別償却または税額控除を認める中小企業等投資促進税制がありまして、自動車の車体整備事業者においても、この優遇税制を活用した設備投資が行われていると認識しております。

 加えまして、自動車車体整備では、塗装の乾燥あるいはスポット溶接などの作業で大きなエネルギーを使っております。平成二十六年度の補正予算におきまして、最新モデルの省エネルギー機器の導入を支援するため、地域工場・中小企業の省エネルギー設備導入補助金が措置されましたが、自動車整備事業者もその対象となっております。

 今後、国交省といたしましては、車体整備を初め自動車整備業において、できるだけ多くの事業者がこの補助制度を活用して省エネ設備導入のための設備投資が進むよう、関係団体とも連携して、補助の申請に必要な情報を個々の事業者に周知を徹底してまいりたいと考えております。

 このように、自動車整備業におけます設備投資につきましては、支援する税制優遇あるいは補助制度の活用に取り組んできているところでありますが、現状では補助の対象となっていない車体整備業に必要な設備機器などもございます。今後、自動車整備業における設備投資の支援策の拡充について我々としましても研究をして、努力をしてまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)分科員 人材確保、人材育成についてはいかがでしょうか。

田端政府参考人 お答えいたします。

 少子化や車離れの進展などによりまして、整備士を目指す若者は過去十年で半減するなど、厳しい環境にございます。一方、先生御指摘ありました自動車技術の高度化などにより、自動車整備の分野においては、より一層高度な技術あるいは技能、知識を持った人材が求められているところであります。

 このような状況を踏まえまして、整備業におけます人材の確保、育成の取り組みを関係業界が協力して推進するために、平成二十六年の四月に、自動車関係の十四団体で構成されます自動車整備人材確保・育成推進協議会が設立されました。この協議会と国交省が協力して、平成二十六年度からいろいろな人材確保の取り組みを全国的に開始いたしました。

 まず第一点は、全国の運輸支局長等によります地元の高校への説明の訪問でございます。昨年、運輸支局長等が、全国で五百六十二校の高校を協議会の担当者とともに訪問いたしまして、校長あるいは進路指導の先生に自動車の安全、安心を支える自動車整備の仕事の重要性や魅力について説明をいたしました。

 これによりまして、多くの高校で、自動車整備の仕事について理解を深めていただきまして、自動車整備士が不足している状況を認識いただきました。この効果としまして、整備業界と高校との関係が深まったと認識をしております。約三割の自動車整備専門学校から、専門学校が高校を訪問したときに対応がよくなったという報告を受けているところであります。

 二つ目は、小中学校や親を対象といたしました整備の仕事の体験のイベントでございます。これにつきましては、全国各地でいろいろな団体が主体になりまして、小中学生や親を対象とした体験イベントを実施しております。

 三つ目は、若者の整備士の増加を図るための広報の充実であります。女性を初め若者向けの、イメージを向上するポスターやチラシを作成いたしまして、広く掲示、あるいはイベントで配布をしているところであります。

 以上のような取り組みにつきましては、二十七年度におきましても、地元の実態やニーズを踏まえまして高校を選定するなど、効果的になりますように改善充実を図ってまいりたいと考えております。

太田国務大臣 パイロットも不足している、パイロットの整備工も不足している、建設業界でも技術職員さんが不足をしてくる、そして、電力関係でも現場で働く人が不足をしてくる、運送業でも大変不足してくる、ましてや自動車の整備工は非常に不足をしてくると。ビジョンを幾ら出しても、それを担う人がこれから日本にいるかどうかということが非常に大事で、その辺、斉藤先生に、本当にこのことについて御尽力をいただいているということに、心から感謝を申し上げたいと思います。

 そして、昨年の一月には、日整連といいますけれども、日本自動車整備振興会連合会なんですけれども、そこで自動車整備技能大会というのをやりまして、優勝者に私の方から直接トロフィーを渡したりしまして、誇りあるというか、そしてそれが工場に張ってあったりということがあったりしまして、この仕事はとうといんだぞ、また、俺たちはそういういい仕事をしているんだぞと言われるような、そういうことを、今高校の訪問とかいう話もさせていただいたんですが、いろいろな機会にそうした、汗を流して汗まみれになり、そして油まみれになって働いている人は実はとうといのだという社会をつくるために力を注ぎたい、このように思っています。

 斉藤先生にもぜひともまたいろいろ知恵を出していただいて、応援をしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

斉藤(鉄)分科員 大臣、御答弁、本当にありがとうございます。

 それでは最後に、北総線の問題を大臣にもぜひ聞いていただきたいと思いまして、質問させていただきます。ちょっと時間があと五分ですので。

 北総線というのは、京成高砂から成田空港まで行っている線なんですけれども、運賃が高いことで有名でして、大体二倍、三倍高いんです。

 千葉ニュータウンというところに私も実は住んでいたので、今は私、広島の方に住んでいますが、昔の仲間から、この問題をぜひ国会で皆さんに聞いてもらってほしいという声をかけていただいて、質問させていただいているんですが、地方から出てきて、やっとこの東京、首都圏でマンションを買えたという人たちが多いんですね。

 そういう人たちが、例えば子供が高校に行って都心に通い出したら、もうそこには住めない、通学定期が物すごく高くて、そういう友達もたくさん知っております。

 この問題を何とか解決したいということで、実は私、二十年来この問題を取り上げて質問しているんですが、なかなか解決しない。昔は、成田空港まで通じていませんでしたから、通ずれば安くなりますというのが答弁だったんです。ところが、通じても安くならないし、先日は実は値上げが行われた。高い上にまた値上げが行われたということで、これはゆゆしき問題ということで質問をさせていただきます。もう時間がありませんので。

 一つは、京成グループとはいいながら、北総は京成から分離された子会社として運営されていますから、京成の運賃とは別にばか高い運賃がかからされて、かつ、京成に乗り入れますから、またそこで初乗りが取られる。例えば同じくニュータウン鉄道としてつくられた小田急の多摩線とか京王の多摩線は、一体のものとして、小田急なら小田急、京王なら京王ですから、一つの運賃体系ですから非常に安いんです。同じニュータウンでも、田舎から出てきて本当に苦しい人たちが住んでいる千葉ニュータウンにはそういう恩恵がない。

 それから、これは詳しく言うとあれですが、運賃カーブが、高砂から成田空港までありますと、北総線のところだけ、ぐっと高くなるんです。運賃が最後はほとんど変わらない。物すごく上に向いた、上膨れの運賃カーブ。例えば、北総線区間の最初の三十キロは八百三十円ですけれども、成田空港まで行けば、五十キロあるのに九百八十円。ほとんど運賃が変わらない。つまり、北総線の沿線の住民からだけたくさん取っているということがあります。

 それから、京成が北総に払っている線路使用料も、北総線区間だけは一キロメートル当たり一年間五千九百万、平均すると。ところが、そのほとんど運賃が上がらないところには一キロメートル当たり三倍の一億七千万とかぐらい払っているわけです。

 つまり、その線路使用料を変えたり、また、京成グループというんだったら一つの京成のグループになれば運賃は非常に合理的なものになると思うんですけれども、これは民間のことですから。しかし、その運賃体系やそういう経営体系を認めたのは国の責任もあるわけで、この点についてどう考えるか、質問をさせていただきます。

藤田政府参考人 まず法律的なことでございますけれども、北総線の運賃それからこれに関連する線路使用料、これらは鉄道事業法に基づいて認可が必要ということになっておりますが、私ども、これが法律に基づく認可基準に適合しているものとして認可をしたところでございます。

 ただ、その上ででございますけれども、今御指摘のありましたように、北総線の沿線の住民の方々から、北総線区間の運賃、その水準であったりあるいは体系であったり、それらにつきまして、京成本線あるいは他の鉄道路線と比べて負担が非常に大きいという声があることは十分に承知をしております。

 北総鉄道に関しましては、これまで、いろいろな歴史的な経緯あるいはそれぞれの経営判断で今のような形になっておるわけでございますけれども、これまでも、都市再生機構、千葉県、あるいは京成の支援、あるいは建設を行った鉄道・運輸機構に対する債務償還期間の延長、こういった措置が講じられまして、北総鉄道の経営の安定化策が講じられてきたところでございます。

 その上で、関係自治体の支援と北総鉄道の自助努力によりまして、平成二十二年七月以降、運賃の引き下げが実施をされております。

 このように、今、関係者がそれぞれの立場で御努力をされているところでありまして、今後さらなる引き下げにつきましては、引き続き鉄道事業者と関係自治体との間でよく話し合っていただきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)分科員 もうこれ以上質問しませんけれども、苦しんでいらっしゃる地域住民、財布は落としても定期落とすなというのが、あそこら辺の決まり文句になっているそうでございますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 終わります。

上田主査 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、石崎徹君。

石崎分科員 本日は、御質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 太田大臣、西村副大臣、また鈴木政務官を初め、政務の皆様方に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 私、新潟県出身でありまして、とりわけ公明党の漆原先生には大変お世話になっておりますので、本日は何とぞ、太田大臣の方から、私の質問に対して、前向きな御回答をいただけますことを心からお願い申し上げたいというふうに思っております。

 本日は、我が政権で進めております国土強靱化政策というものの中に、非常に大事な観点であります日本海国土軸構想というのが含まれていると思いますけれども、その中心的な位置づけであります新潟西港、東港、新潟空港、そして上越新幹線、また日沿道につきまして、いろいろと御質問させていただきたいというふうに思っております。

 とりわけ、私が質問させていただきます上越新幹線の新潟空港への乗り入れの件につきましては、かつて、星野行男代議士という方がおられまして、この方が平成三年三月の予算委員会分科会で質問して以来、二十四年ぶりに質問ということになりますけれども、地元にとっては非常に大事なテーマでございますので、どうか何とぞ前向きな御回答をいただければというふうに思っております。

 折しも、今週、北陸新幹線が十四日に全線開通ということになります。引き続き、上越新幹線の今後の利活用についても、これまでの投資効果をさらに継続、高めていくという観点でも、国土交通政策の中にしっかりと上越新幹線を位置づけていただければというふうに思っております。

 また、あしたで東日本大震災発災から四年を迎えるわけであります。発災後、新潟は救援拠点として大きな役割を果たしてまいりました。今後いつ起きてもおかしくない南海トラフ地震を初めといたします太平洋側の有事の際にも、新潟が持っているインフラ、拠点性、こういったものを活用して、防災首都として太平洋側のバックアップ機能を果たしていくという、国土強靱化政策の中の非常に重要な位置を占めるのが、私の地元新潟市であるというふうに思っております。

 そこでまた、最近では地方創生というふうに言われておりますけれども、この大きな考え方にあります東京一極集中の是正という観点からも、日本海国土軸というのは非常に意義のあることだというふうに思っております。

 この点、まず、太田大臣にお聞かせいただきたいのが、ことし夏に向けて、新たな国土形成計画、全国計画の策定を進めていらっしゃると思いますけれども、新潟を含めた日本海国土軸構想につきまして、どのように検討していく御予定なのか、お聞かせいただければと思います。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

太田国務大臣 昨年の七月四日に、国土のグランドデザイン二〇五〇、対流促進型国土を目指してというグランドデザインを発表させていただきました。

 そこで、太平洋側の国土軸、そして日本海側の国土軸ということで、日本海・太平洋二面活用型国土ということを言わせていただきました。あわせて、リニア新幹線が走るということもありまして、二〇五〇ですから、メガリージョンという時代が来るぞということを申し上げましたが、日本海側がこれから特に重要になるということについては、全ての人が同意されるのではないかと思います。

 ロシアダイナミズムとユーラシアダイナミズム、こういいますけれども、これから、北極海航路というものも徐々に動き始めてきておりまして、また、韓国やあるいは中国等々のファクターも大きくなるというふうに思いますので、日本海側というのは極めて重要なところに当たりまして、そういう意味では、ゲートウエーとしての新潟、物流の拠点として、そしてまた、もう一つは、空港と港湾、両方とも大事な上に、鉄道ということについても、あるいは日沿道ということについても、ますます大事になってくるという構えを持ってこれからに臨みたい、このように思っています。

 あわせて、首都直下地震あるいは南海トラフ地震というのが想定をされるわけでありますものですから、そうした点では、東日本大震災のときにも、実は関西の方から行きますと、新潟を通った方がはるかに早いわけですね。そうしたことで大いに活用されたということも含めまして、新潟の位置というものは、防災あるいは防災拠点ということの上でも極めて大事になるというふうに思っています。

 ぜひとも、新潟をこれからさらに発展させるということに、私たち一生懸命バックアップできるものはさせていただきたいと思いますので、いろいろ御指導をいただければ、このように思っています。

石崎分科員 太田大臣、本当に前向きで力強い御答弁、まことにありがとうございます。

 まさに我々の地元の経済界、政界、また行政の方々が議論していることを全て今大臣がおっしゃっていただきまして、また、引き続きしっかりと構えということで御対応いただけるというような本当に力強い御答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。

 ゲートウエーですとか物流、インフラの話等につきましては、また個別に後ほど質問させていただきたいというふうに思っております。

 今、防災また減災の観点での御質問をさせていただいたわけでありますけれども、少し視点を変えまして、今、観光立国というのも非常に政権として力を入れているわけであります。二〇二〇年までに訪日外国人旅行客二千万人の高みを目指していくという大きな目標を掲げているわけでありますけれども、この大きな目標は、成田空港そして羽田空港、この空港だけでは決して果たしていくことはできない大きな目標だというふうに思っております。

 その意味でも、新潟空港のような拠点空港を初めとする地方空港における訪日外国人観光客の受け入れ体制の強化というのも非常に大事な取り組みだというふうに思っております。

 この点、私も、CIQ議員連盟というものの事務局長をさせていただいておりますけれども、空港におり立ったときのおもてなしの部分に当たります税関あるいは入国管理等の分野につきまして、この三年間、非常に予算も毎年大幅に拡充をしていただきましたし、また人員の強化もなされてきているわけであります。

 この点、地方空港を初めといたします訪日外国人観光客の受け入れに対しまして、国交省として引き続きどのような取り組みを行っていくのか、お聞かせいただければというふうに思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 訪日外国人二千万人を実現するためには、これは、もちろん首都圏空港等での国内線の乗り継ぎというのも重要でありますけれども、海外からの地方空港への直行便、こういうものでアクセスできるようにするということも非常に重要であるというふうに考えております。

 こうした観点から、地方空港において、空港施設の機能強化やCIQ体制の充実など受け入れ体制の整備について、関係省庁と連携して進めるとともに、もちろん首都圏空港においても、国際線、国内線の乗り継ぎの利便性向上に向けた取り組みを進めてまいります。

 さらに、航空ネットワークの充実を図るために、国際線定期便やLCCが使用する小型機材の着陸料を割り引くなどの措置を講じているところでございます。

 観光立国推進の観点から、こうした空港の受け入れ環境整備に加えまして、もちろん地域における観光需要の掘り起こしの取り組みというのも大きな鍵になると考えておりまして、観光政策と一体となった空港の受け入れ体制の整備、そして訪日旅行の促進、こういうものに取り組んでまいりたいと思います。

石崎分科員 ありがとうございます。

 今、着陸料の低減の話がございました。少々不明瞭でありましたので、地方空港の着陸料の低下の面を含めて、今度、観光庁の長官に、きょうお越しいただいておりますけれども、今、インフラの面での地方空港の強化という前向きな回答をいただいたわけでありますけれども、プロモーションの部分であります。

 地方空港も、自治体を含めて、必死で国際線の路線の獲得あるいは国内線の路線の獲得に頑張っているわけでありますけれども、観光庁として、こうした自治体の取り組みに対してどのようにバックアップしていくのか、お聞かせいただければと思います。

久保政府参考人 お答えいたします。

 観光立国実現のためには、外国の方々を、今いわゆるゴールデンルートだとか東京周辺に集中されている旅行者を、全国津々浦々、各地域に呼び込んでいくことが重要だというふうに考えています。

 このため、今後は、各地域が連携して広域的な周遊ルートを形成して、点から線、線から面へとネットワーク化する取り組みを進めてまいります。その際には、御指摘ありますように、地方空港がより利用されるように、CIQ体制の充実等、さらに我々も政府内で連携して推進していくことが重要というふうに考えています。

 また、プロモーションの話でございますが、新潟空港を初めとする地方空港への、例えばチャーター便の就航等の機会を生かした訪日プロモーションによりまして、地方空港への訪日需要を喚起してまいりたいというふうに考えています。

 具体的には、海外の旅行会社あるいは海外のメディアを招請して、その招請事業において地方空港を利用してもらう、あるいは、旅行会社と共同広告でプロモーションを、今も実施しておりますけれども、引き続き積極的に展開してまいりたいというふうに考えております。

石崎分科員 久保長官、ありがとうございます。

 自治体も、本当にこれは新潟に限らず、全国の都市で同じことが言えるんだと思いますけれども、路線の獲得というのは、自治体ですとか地域の民間企業だけではなかなか力不足なところがあるというふうに思います。引き続き、観光庁として、ぜひ全面的にバックアップをしていただければというふうに思います。

 今、LCCですとか、あるいはビジネスジェットの受け入れというものもございます。先ほど田村航空局長からお話しいただいた、いわゆる着陸料の低減につきまして、大変恐縮なんですが、このLCC、ビジネスジェットを含めた地方空港の利活用についての着陸料の点について、もう一度確認で質問させてください。

田村政府参考人 お尋ねの着陸料の低減の話でございますけれども、新潟空港も含めた地方空港における国際航空ネットワーク充実のために、国際線定期便の着陸料というのを十分の七に軽減するとともに、国際チャーター便の着陸料を二分の一に軽減する措置を講じているところでございます。

 それから、国内航空ネットワーク充実のためにも、国内地方路線の着陸料を二分の一に軽減するとともに、LCCやビジネスジェットに使われる小型機材、これは百トン以下でございますけれども、その着陸料の引き下げ措置というものも講じております。

 こうした取り組みに加えまして、地方空港の航空ネットワークの充実のために、先ほどもちょっと申し上げましたが、地元が一丸となった利用促進に向けた努力が不可欠でありますので、国としてもそのような地元の取り組みに協力してまいりたいというふうに考えております。

石崎分科員 ありがとうございました。

 本当にことしも爆買いというのが非常に注目されてきたわけでありますけれども、引き続き、全世界の観光客の方が地方にも来てもらって消費をしてもらう、そのような体制づくりに、ぜひ国交省として全力で取り組んでいただければというふうに思っております。

 今までの質問は、どちらかというと需要の増加についての取り組みに対しての質問であったわけでありますけれども、鶏が先か卵が先かの議論で、星野代議士が質問して以来、この二十五年間、いろいろ議論があった新潟空港のそもそものインフラの部分の強化の点について、非常に地元でも関心が高いわけでありますので、ぜひ御質問させていただければというふうに思っております。

 北陸新幹線開通後には、やはり上越新幹線も需要が減るんじゃないかというふうに言われております。短期的には上越新幹線のいわゆるダイヤの変更は余りないわけでありますけれども、正直、中長期的にどうなっていくのか非常に不安なところがございます。

 そこで、かねてから構想としてはやられております、上越新幹線を新潟空港へ乗り入れをさせることで、利便性を高めて、供給の側で機能を高めて、それで需要をふやしていくという考え方、政策も大事なんだというふうに思っております。

 これまでは、新幹線と空港という二つの観点であったわけでありますけれども、冒頭で御質問させてもらいましたように、国土の強靱化政策という新しい国土のビジョンが今進められているわけでありますし、また、新潟港というのも日本海側で最大の港であります。西港、東港がございます。

 ちょうど今、新潟県の方で、新潟港の三十年間の長期整備方針を定めた新潟港将来構想というのを策定しているところでありまして、この構想によりますと、新潟空港の沖合に、佐渡に結ばれております佐渡汽船などのフェリー拠点をまとめて、空港に港と、そして新幹線も乗り入れた、港、空港、新幹線が一体となった総合交通ターミナル構想というのが今案として出てきているわけであります。

 その点、二十四年前と状況が変わりまして、陸、海、空のこのような交通機関を新潟空港周辺に集中させまして拠点性を高めていく、これは防災・減災の観点でもあります、今質問させていただきました観光需要の増進という観点もございます。こういった観点からも非常に重要な政策であるというふうに思っております。

 また、少し脇道にそれるかもしれませんけれども、今、佐渡金銀山が世界遺産登録に向けて運動が進められているわけでありまして、引き続き、新潟への観光需要の増進については、いろいろな面から取り組みが行われているわけであります。

 先ほど大臣の方からも、新潟が非常に防災都市としての機能ということで、太平洋側が何かあったときの重要性について、東日本大震災のときの例を踏まえてお答えいただきまして、本当に心強かったわけであります。

 その点、今私が申し上げました、新潟空港というのが、港、新幹線、そして、少し行けば高速道路がつながっております。磐越自動車道、関越自動車道、北陸自動車道、そして、後ほど質問させていただきます日沿道、こういった四つの高速道路が通る都市でありますこの新潟における新潟空港、観光や防災の観点から、日本海国土軸上に非常に重要なそのような拠点性があるわけでありますけれども、その機能を高めていくためにも、上越新幹線を延伸して新潟空港への乗り入れを実現するべきと考えますが、国土交通大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

 それに加えまして、群馬の国会議員の先生方とお話ししておりますと、成田、羽田がさらにこれから混雑していくときに、新幹線で乗り入れをすれば、群馬あるいは埼玉から上越新幹線で新潟空港まで一時間程度で結ばれれば、自分たちは新潟空港を使うよという声もあるというふうに伺っております。

 こういった点を踏まえて、大臣の御見解を伺えればというふうに思っております。

太田国務大臣 かなり行政というのはリアリズムの中の課題解決型で進んでおりますものですから、今の話に、まだ恐らく国交省としては十分ついていけないという状況だと思います。

 ただ、今御指摘のありましたような、新潟港、新潟空港、そして上越新幹線、そこに磐越と日沿道というのを加えて一体的にそれをどうするかということは、次の新潟をつくるという上で極めて大事な視点だと私は思います。

 具体的に、それぞれ、上越新幹線の延伸とかいうことが、今、国としての課題、俎上には上っておりませんけれども、しかし、この沿線自治体と鉄道事業者、空港、港湾、こうしたことでしっかり議論をしていただいて、形にしていただければというふうに思います。

 新潟空港へのアクセスの改善ということについて、新潟県において有識者会議が行われていると聞いておりまして、私たちはその成熟度というのを見守っていく、その上で御相談をするときが来るのではないか、このように思っているところでございます。

石崎分科員 大臣、ありがとうございます。

 先ほど申し上げさせてもらいましたように、新潟だけではなくて、日本海国土軸という大きな政策の位置づけ、そして、群馬、埼玉の利用客を含めた非常に大事な構想であるというふうに思っております。

 地元の新潟経済界でありますけれども、この延伸についてはずっと前向きに議論してまいりました。自治体も構想の中で入れているものであります。あとは、国と事業者の皆様がどのように後押しをしてくれるかというところでもございます。

 鶏、卵の議論がございますけれども、今大臣からいただいた心強い御答弁を踏まえて、これからしっかり関係者と連携しながら、この構想について、実現に向けてまた頑張らせていただきたいというふうに思っております。

 今度は、少し細かい話でありますので、事務方にお聞かせいただければというふうに思います。

 新幹線の乗り入れにつきましてはいろいろなやり方があるというふうに思っております。この点、ミニ新幹線方式というものででも延伸をすることが可能なんじゃないかというふうに思いますけれども、このあたりの実現可能性等につきまして、鉄道局長からお話を伺えればと思います。

藤田政府参考人 上越新幹線のいわば延伸ということになろうかと思います。その方法につきましては、技術的にはいろいろな可能性があろうかと思いますけれども、ミニ新幹線方式ということも含めまして、まずは、これは鉄道事業者の経営判断によって行われるものであろうと思います。

 したがいまして、その可能性を高めていく、あるいはその可能性を探るという意味で、沿線自治体と鉄道事業者の間でしっかりと議論をしていただくことが必要かなというふうに思っております。

石崎分科員 また、あわせまして、整備新幹線と同様に上下分離方式というやり方もございます。この点、国が積極的に整備を進めていくべきかと思いますが、そのあたり、事務方の御見解をよろしくお願いいたします。

藤田政府参考人 いわゆる現在の整備新幹線、これは上下分離方式で整備をしております。鉄道・運輸機構が下物をつくり、その上をJRが運行するという形でございます。

 この方式は、全国新幹線鉄道整備法に基づきます整備計画、この路線を整備する際に適用しているものでございまして、現在のところ、新潟空港への延伸路線についてはこの位置づけがございませんので、技術的にどうかといえば、今この段階でいわゆる整備新幹線と同じ方式でこの路線を整備するということは難しいのかなというふうに思っております。

石崎分科員 いろいろとありがとうございました。

 私の地元の話であれですけれども、中国、韓国、またロシア、三つの総領事館がございます。こうした非常に国際性のあるところでもございますので、先ほど大臣からのゲートウエーのお言葉がございましたけれども、こうした東アジア・ゲートウエー構想を踏まえても、国際的な観点、政策から考えても、この新潟空港の活用というのは国全体にとっての非常に大きなメリットがあるものだというふうに思いますので、引き続きいろいろと御議論させていただければというふうに思います。

 新潟港は、二つございまして、今議論してきたのが西港であります。もう一つが、東港というのがございます。

 東港には火力発電所が立地しておりまして、この発電力は、余り知られていないんですが、全国で二番目に大きい発電所であります。原発の停止後、非常に役割を果たしているものでございますし、東港は、エネルギー政策の観点からもいろいろなものを輸出入しておりますので、非常に大事な港であるというふうに思っております。

 いろいろと東港については、今申し上げましたロシア、東アジアとつながる物流機能の強化をしていくという観点でも、例えば、コンテナターミナルを早期に引き続き整備をしていくですとか、あるいはロシアとの食料、農業協力をしていくための食料備蓄基地としての可能性、あるいは災害時に大量の救援物資を積み上げ、集積して、それを航路によって首都圏にシームレスに緊急輸送を行うというような、その中でも大事な港であるというふうに思っております。

 また、今、政権の目玉であります国家戦略特区に新潟市を選んでいただきまして、こうした農業の成長産業化の中でも大事な柱になります農産物の輸出入、あるいは六次産業化した食品加工品の輸出の港としても非常に大事な港であるというふうに思います。

 こうした観点から、どのようにこの新潟東港を国の政策としてお考えなのか、西村副大臣にお聞かせいただければと思います。

西村(明)副大臣 まず、太田大臣がお話しされたように、新潟港は大変重要な港湾であるというふうに認識いたしております。

 そしてまた、委員御指摘のように、新潟港は、火力発電所やLNGの基地、石油基地などのエネルギー産業の立地拠点である、そしてまた、本州日本海側の随一のコンテナ取扱港として大変重要な役割を担っているほかに、長距離フェリーや離島航路が就航しておりまして、人流、物流の総合的な拠点港湾として発展しているところでございます。

 今後も、日本海側の拠点的な役割を果たす港湾として、対岸諸国そしてまた東南アジアの経済発展を我が国の成長に取り込むため、港湾機能や国際競争力の強化を図っていくことが重要だというふうに考えております。

 また、お話のありましたように、東日本大震災の際にも重要な役割を果たしたように、新潟港が、首都直下地震などで太平洋側港湾が被災した際のバックアップ機能を担うことも期待されているところでございます。

 国土交通省といたしましても、港湾管理者である新潟県としっかりと連携して、新潟港の機能強化に向けた取り組みを進めてまいりたいと思っております。

 なお、本日、交通政策審議会の港湾部会が開かれまして、つい先ほどですが、新潟港の港湾機能の強化、エネルギー供給基地としての役割の重要性などを内容とする港湾計画の改定が適当であるというふうに認められたところでございますので、しっかりと受けとめてまいりたいと思っております。

石崎分科員 ちょうどタイミングよく、きょう認定していただきまして、ありがとうございます。十五年ぶりに港湾計画改定ということで、本当にありがとうございました。

 実は、この東港というのは、今おっしゃったように、エネルギー港とかそういった位置づけなんですけれども、実は、大きなクルーズ船が新潟に来るときには、この東港に観光客の方におりていただいて、バスに乗って都市部まで移動してもらうというような、クルーズ客の方にとっては少し味気ないようなところがございます。

 その意味でも、今非常にクルーズ船の寄港というのは高まっております。平成の白船来航というふうに言われております、格安のクルーズ船。先ほど観光の戦略がございましたけれども、先ほどいろいろ申し上げました、新潟のインフラの機能等を踏まえれば、新潟のクルーズ船の寄港基地としての意義というのがございますので、ぜひ、そのあたり、港湾局長に確認させていただければと思います。

大脇政府参考人 クルーズ船の振興につきまして御質問いただきました。

 クルーズ船は、地方の港湾も含めまして、昨年、全国百六港の港湾に寄港しております。大型クルーズ船につきましては、一回の寄港で二千人から三千人もの購買意欲の高い外国人が訪れることから、クルーズ振興というのは地方創生の重要なツールになるというふうに認識しているところでございます。

 昨年決定されました観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四におきましては、「二〇二〇年に「クルーズ百万人時代」の実現を目指す。」とされておりまして、関係者が一丸となって取り組みを進めているところでございます。

 具体的には、全国百八の地方自治体の首長で構成される全国クルーズ活性化会議と連携しながら、国内外のクルーズ船社を招いた商談会の開催、あるいはクルーズ船の寄港に必要となる情報を海外に発信するウエブサイトの充実、こういったものを図っているところでございます。

 また、クルーズ船の寄港増あるいは大型化への対応を図るため、既存の施設の有効活用にも取り組んでいるということでございます。

 御指摘の新潟港につきましては、寄港を検討いたします外国クルーズ船社から、背後地での買い物やお祭り、酒蔵めぐり、温泉体験、こういったものに大きな魅力を感じる、さらには、既存の貨物埠頭の有効活用への取り組みにつきましても期待感が示されているところでございます。

 引き続き、新潟港を初めとする地方の港湾につきまして、クルーズ振興を通じた地方創生を図るため、関係者と緊密に連携しながら、しっかりと取り組みを進めてまいりたいというふうに思っています。

石崎分科員 ありがとうございました。

 せっかくきょう大臣御出席でありますので。

 去年の十月にも、いわゆる日沿道の早期全線開通に向けての期成同盟会というのも開催させていただきました。

 新潟県内の区間も残っておりますし、これは山形、秋田を含めた全体的な話であるというふうに思いますが、引き続き、早期全線開通の、また早期化も含めての大臣の御決意を確認させてください。

太田国務大臣 一昨年五月十五日に、最後の未着手区間でありました新潟―山形県境の朝日温海道路等の事業化を公表させていただいて、大変喜びに沸いたところでございます。

 この日沿道が通りますと、かなり工場等の集積等があることは間違いない、このように思っておりまして、一日も早く全線開通に向けて全力で取り組んでいくというふうに思っておるところでございます。

石崎分科員 ありがとうございます。

 きょういろいろと質問させていただきました港、空港、新幹線、そして高速道路、こうしたものが集結しているのが我が地元新潟市でございます。こうしたところの拠点性を高めていく、きょういろいろと前向きな御回答をいただきました諸施策について、引き続き私も、地元の経済界、また自治体を含めて、また国の皆様方とも連携をして精いっぱい頑張らせていただきたいというふうに思っております。

 これは、決して新潟の利益のみならず、日本海側全体の利益、国全体の利益につながる大事な政策であるというふうに思いますので、引き続き何とぞ力強い後押しをお願いして、私からの質問を終わらせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

長坂主査代理 これにて石崎徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 こんばんは。自民党の今枝宗一郎でございます。

 このたびも質問の機会をいただきまして、まことに心から感謝を申し上げます。

 さて、あすで東日本大震災から四年となります。哀悼の誠とお見舞いを心より申し上げます。

 私は、発災数日後に、福島第一原発三十キロぎりぎりのいわき市で、診療のボランティアをしておりました。その際、津波の被害を、最も甚だしい状況も直視をいたしましたし、支援物資が入ってこない、ある意味兵糧攻めのような、非常にきつい状況にも直面をしたことから、防災・減災への取り組み、特に輸送路確保のための道路整備を初めとするインフラ整備、私のライフワークだと思って取り組ませていただいております。

 また、国土交通分野におかれましては、現政権の最重要課題の地方創生についても、これは私は、単に地方の問題ではなくて、成熟国家となった日本が今後発展できるか否かはこの地方創生にかかっていると考えております。

 そのような中で、前回の質問で、大臣が、私の地元であり、また大臣の出身地でもある東三河に対して、国全体を見ても大切であり、また大変なポテンシャルを持っていると力を込めてお話しいただいたことは、心から感謝をしております。

 地方創生をなすためにもさまざまな政策が必要ですが、やはりその重要な一つは、地域への投資であると考えております。大臣は、インフラ整備のストック効果をよく主張しておられると思いますけれども、私もまさにそのとおりだと思っておりまして、単なるBバイCでははかれない、地域に眠るさまざまな地域資源の力を最大限引き出していくということが可能になり、その効果ははるかに大きくなっていくんだということも感じております。

 本日は、そのような観点から数点質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 まずは、道路についてでありますけれども、その中でも、ミッシングリンク、また、日本一経済効果が高いと言われておる国道二十三号線蒲郡バイパスについて質問いたします。

 昨年三月に西部区間が開通いたしまして、名古屋方面へのアクセスが改善をされ、それとともに蒲郡の西半分の渋滞は大きく緩和をされました。しかし、一方で、蒲郡市内の東半分、またオレンジロードや国道二百四十七号線、豊川市の為当インターの周辺や、また国道一号線の渋滞というのが大きな大きな問題となっております。

 さらに危惧することが、この渋滞を避けようと、大型車が生活道路や通学路にまでどんどん入ってきてしまっているということであります。私、この週末も地元に戻りまして、地元の区長さんや、また住民の方と実際にお話をして、実際に起きてしまった事故、また、子供たちが通学中、その脇ぎりぎりを大型車が通っていく、そういう写真も何枚も見せていただきまして、このような状況はもう絶対に解決をしなくてはならないと改めて強く決意をいたしました。

 周辺道路の整備はもちろんでありますが、やはり何といっても、根本原因である国道二十三号線蒲郡バイパス、一刻も早く全線開通をしなくてはならないと思います。

 前回の質問で、早期開通に最大限努力と御答弁をいただきましたが、あれから、さらに一つ、早期開通をなさねばならぬ要因もふえてまいりましたので、そのあたりも含めてお聞きをしたいと思っております。

 二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックが開催をされ、しかし、この効果をやはり政府としては全国に波及させていくというのが大きな方針であろうと思いますし、また大きな役目でもあると考えております。

 実は、この蒲郡市は、ヨット競技の合宿地、また、オリンピック・パラリンピックの前年には世界選手権というのも現在行われる可能性がありまして、そのときに渋滞問題やアクセスの不備でオリンピック・パラリンピックに土をつけては絶対ならないと思っておりまして、オリパラに関連した道路として、一日も早くこの二十三号線全線開通を目指さなくてはならないと考えておりますが、大臣の御見解をぜひお願いいたします。

太田国務大臣 名古屋市と豊橋を結ぶ名豊道路は、自動車産業の集積地である三河地域と三河港等へのアクセス性を強化して、国道一号の交通混雑の緩和、そして物流、こうしたことでも重要な路線であるというふうに認識をしています。

 今お話を聞きますと、最後の区間であるがゆえに、非常に渋滞がより多くなっているということを聞きまして、早く開通させなければと思ったところでありますけれども、用地買収、用地の進捗率が、未開通区間、豊川為当インター、蒲郡インターの間は七割という段階でありまして、直ちに開通の見通しをお示しできないという状況にございます。何よりも用地買収というのが大事なことは道路整備では言われるわけでありますけれども、ぜひとも地域の御協力をよろしくお願いしたいというふうに思っています。

 ただ、きょう申し上げますが、平成二十七年度からは、この区間の中でも、豊川市域におきまして本線工事に向けた工事用道路に着手する予定としており、一歩前進させたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 大臣の強い決意をお聞きいたしまして、私も非常に感動を受けました。

 そしてまた、新しく、平成二十七年度の予算で、今まで全く、用地買収のみであった豊川市地域についても実際の工事が始まる。これはやはり、地域の方にとって大きな大きな、気持ちを奮い立たせる、進めていくんだ、こんな思いをともにしていく非常に大きなスタートになると思いますので、一層スピード感を持って着実に進めていただきたいと思いますし、やはり私としては、オリパラの関係がございますので、何としてでも四、五年のうちの全線開通を強く強く要請申し上げたいと思います。

 さて、続きまして国道百五十一号線一宮バイパスについてお聞きをいたします。

 新東名の新城インターが一五年度末までに開業しますが、そうすると、東海、東南海、南海トラフ大地震など大規模災害の東三河の輸送経路として、この百五十一号線の重要性というのが飛躍的に上がります。

 また、新城、北設楽郡地域では、医療過疎地域でありまして、救急車の多くがその百五十一号線を通って隣の豊川市に搬送されているという現状もございますが、やはりこれも、ミッシングリンクとなってしまっているというのが今の現状であります。

 こういった状況の中で、前回の質問では、防災、医療の観点からも重要で、早期開通に最大限努力をするとお答えをいただきましたが、この道路の重要性がやはりますますここに来て増大をしているということもございます。

 それは、実は、この東三河は八市町村ございますが、新たに広域連合を組んで、合併ではない新しい地域の連携であり、地域の活性化、地方分権のあり方というものをつくっていくということに挑戦するようになってまいりました。この東三河八市町村、豊川の流域でありますけれども、この一体性がますます求められるような状況になってまいりました。

 しかし、新東名が開通いたしますと、そのこと自体は大変ありがたく、すばらしいことでありますが、一方、新城市の以北と、また豊川市以南という、この東三河という地域が二つに分断されてしまうのではないかというような懸念もございまして、やはり、一体性を保つために、この二つの地域をしっかりとつないでいく百五十一号線を何としても一刻も早く開通をさせて、速やかに移動ができるようにしていくことが必要不可欠であると思います。それが新しい地方の分権であり、地域の新しい形をつくっていくんだと思っております。

 確かに、自民党政権ができまして、国道百五十一号線の一宮バイパス、昨年から事業が進むようになったんですが、一日も早い全線開通を目指して、南の豊川からだけではなくて北の新城側からも進めていくことが、やはりこれも、用地買収等々でも、地域住民の皆様に進んでいるということが実感ができ、御協力や御理解を得ていく、早期開通につながるんだということを私は強く考えているのですが、いかがお考えでしょうか。お願いをいたします。

深澤政府参考人 国道百五十一号一宮バイパスについてお尋ねがございました。

 委員が御指摘のように、この一宮バイパスというのは、東名高速道路の豊川インターチェンジと、建設が進められております新東名高速道路の新城インターチェンジを結ぶ路線の一部ということで、大変重要な位置づけがなされていると思います。

 ただ、これは事業主体が愛知県でございまして、現在、愛知県としては豊川市側の方から事業を進めておるということで、国としては社会資本整備交付金で御支援を申し上げているところでございます。

 延長が七・九キロということで非常に長いので、県としては、現在整備中の区間を重点的に整備する、早期に事業効果を発現させるということで計画していると聞いております。

 進め方につきましては、県とまたよく相談していきたいと思いますけれども、国土交通省としましても、県の要望を十分お聞きした上で、一日も早く開通できるように御支援してまいりたいと考えております。以上です。

今枝分科員 ありがとうございます。

 この百五十一号線、今、一日でも早く整備をするというようなお答えもいただきました。

 やはり私としては、ぜひ、豊川からだけではなくて、新城側からも事業を開始して強力に推進をしていただくようにお願いを申し上げるわけでございますが、御案内のとおり県の事業でありますので、決して国がプレッシャーをかけるとか、国がやらせるという意味合いでは全くないわけでありますけれども、やはり相談をいただいて、あくまで、一日でも早く整備をしていただくための最善の方策を模索いただきたいと思いますし、できる限り最大限御努力をいただきたい、このように強くお願いを申し上げます。

 前回の質問でも大臣のお答えをいただきましたように、本当に大きなポテンシャルがあり、また、日本全国から見ても非常に重要な地域である、地方創生のモデルになるようなこの東三河のことでありますので、多少地元に寄った話ではございましたけれども、具体性のある質問をさせていただきました。しっかりとしたお答えをいただきまして、感謝を申し上げます。

 さて、それでは少しお話をかえまして、地方創生の具体策について、ある意味、人口減少というものが非常に大きな問題であります。こういった地方が抱える大問題に対して、やはり、交流人口をふやす観光、中でも外国人観光客をいかに地方が受け入れていくのか、これは最重要政策であるというふうに感じております。

 中でも、消費傾向の強いクルーズ船の観光客は、地方港に寄港することで一隻一億円の経済効果があるということも言われておりますし、地方の港町がその力を十分に発揮して、近隣の観光地とともに発展をする大きなチャンスがめぐってきております。

 実際、クルーズ船で入国をした外国人観光客の方は、前年比二・四倍の、ことし四十一・六万人になるということをお聞きしておりますし、まさに二〇二〇年には百万人を目指しているというところであります。

 このような中で、国交省さんは、ことし新たにクルーズ船の推進に取り組まれる、クルーズ船受け入れ円滑化事業を行われると思います。この事業は、来年度クルーズ船が寄港する予定である港を対象としています。

 一方で、蒲郡港のように、近隣に魅力的な観光資源、蒲郡港であれば、温泉であったり、また新しく、ハウステンボスを再生させたエイチ・アイ・エスさんが、ラグーナ蒲郡もラグーナテンボスとして、まさに中部地方屈指のテーマパークとしてやっていかれるところでありますし、こういったものが港をおりてもうすぐ、十分、十五分圏内に数多く存在をする、こういう魅力的な観光資源が存在をするものの、まだまだクルーズ船の寄港は少なく、毎年なかなか定期で寄港するというところまで行っていない港というのも数多くあるかと思います。

 私からのお願いも以前させていただく中で、クルーズ船活性化会議へ蒲郡が加入するときにも国交省にも御配慮いただきまして、それは心から感謝をするものでありますが、さらに、これまで寄港実績が少ない蒲郡港のような地方の港にも、百万人時代を目指して、クルーズ船がどんどん寄港していけるような、国が積極性のある支援策をつくっていくべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

大脇政府参考人 アジアにおけますクルーズ人口の増加に伴いまして、先生お話しのとおり、昨年、二〇一四年、我が国へクルーズ船で入国した外国人旅行客につきましては、前年比二・四倍の約四十一万六千人ということになりました。また、我が国港湾へのクルーズ船の寄港数につきましても、これも速報値でございますが、千二百三回ということで、過去最高ということになりました。

 今後とも見込まれますクルーズ船の寄港の増大や大型化に対応するためには、既存の寄港地以外の港湾も積極的に活用していくことが重要であるというふうに考えてございます。

 御指摘の三河港蒲郡地区におきましては、今月中にも、完成自動車の輸出の拡大等に対応するための新しい物流ターミナルが供用される予定でございまして、そうした物流ターミナルにおけますクルーズ船の受け入れの可能性も含め、関係者とともに検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、これも先生御指摘のように、愛知県それから蒲郡市も参画をされておりますが、全国百八の自治体の長から成る全国クルーズ活性化会議と連携しながら、クルーズ船社が必要とします寄港地の情報を国内外に積極的に発信しているところでございます。

 さらには、平成十九年四月に中部地方整備局長が認定をいたしましたが、海のゲートウエーとも言われております、みなとオアシスがまごおり、これの積極的なPRも図っているところでございまして、クルーズ船の寄港に合わせたイベントの開催などによるおもてなしも期待されるところと考えてございます。

 こうした取り組みを総合的に行いつつ、三河港蒲郡地区などへのクルーズ船の寄港に係る取り組みを積極的に支援してまいりたいというふうに考えてございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 クルーズ船につきまして、やはり全国的な振興、地方の港にも振興を図っていくという観点は非常に大切だと思いますし、そのような御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 やはり予算措置としても、観光庁さんが今、地域の観光を伸ばすための、例えば広域観光圏の周遊ルートをつくるであるとか、また、そのためのさまざまなソフト、ハードの予算というものもつくられておりますので、ぜひクルーズ船においても同様の発想で、予算措置というものも、新しく始めていく港についてもこれから御検討をいただきたいというふうに思っておりますし、また、蒲郡港についてもさらなる御支援を重ねてお願い申し上げます。

 さて、この蒲郡港でありますけれども、ただいまもお話をいただきましたように、水深十一メートルの岸壁がワンバース、今月供用開始できます。また、前回の質問で、太田大臣にも、この蒲郡港については、単純に故郷というだけでなくて、国全体から見ても非常に大切であり、力を入れるべきだ、こういう力強いお言葉をいただきました。主に完成自動車の取り扱いの増加が今どんどんとふえることが見込まれております。さらに加えて、今お話しさせていただきましたように、同岸壁を利用するクルーズ船というものも入港の増加が今期待をされております。港湾計画にもありますように、二バース目、三バース目を進めていかなくてはなりません。

 一方、蒲郡港の多くの岸壁は、建設後四十年程度を経過していまして、老朽化が進んでおります。これは、地方の港は全部そうかもしれませんけれども、やはり効率的な更新投資を鑑みると、最新の岸壁を一層強化、推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。

西村(明)副大臣 今御指摘のありましたように、三河港の蒲郡地区十一号岸壁が三月二十九日に供用を開始するというふうに伺っております。これは、完成自動車の輸出の拡大などに対応する、そしてまた、県が補助事業としてしっかりと進めたということで、これから地域産業を支える拠点性がますます高まるものではないかと期待しているところでございます。

 御指摘のように、三河港のみならず、供用後長期間経過した港湾施設の急激な増加というのは全国的な課題でございまして、戦略的なストックマネジメントによる老朽化対策、これをしっかりと推進する必要があるというふうに思っております。

 三河港の蒲郡地区におきましても、港湾管理者である愛知県が需要を踏まえつつ、港湾機能強化に向けた埠頭の再編などの検討をさらに進めていくことが重要だというふうに考えておりますので、こうした取り組みを踏まえて、国としても、必要な検討をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 やはり、ストック効果を考えると、単純にBバイCとか実績値、こういったものではかれない効果を生み出すというふうに思いますので、三バースを全て完成しなくてはならないと考えております。着実にどうか整備をお願いし、やはり最新の岸壁が一日でも早く供用が進んでいくように御尽力をいただきたいと思います。

 続きまして、ダムについて質問をいたします。

 ダムは、災害対策という意味でも、地方創生のための基盤中の基盤である地域の水の確保、こういったためにも必要な事業でありますけれども、民主党政権において無駄の象徴のように扱われて、必要なダムまでも再検証となってしまいまして、事実上凍結というふうな状況がありました。

 設楽ダムにつきましても、政権交代前、自民党政権の最後の最後に、四十年来、地元や流域の皆さんが本当に苦しんで苦しんで地元合意がなされたところでありましたが、その直後に民主党政権になって、残念ながら再検証となり、しかし、その後再び自民党政権ができて、工事費がそれまで一、二千万程度だったのが、関連道路の設楽根羽線も着工され、工事費も、十億円程度、このオーダーぐらいまでやはりふえてきまして、そのような中で、ようやく昨年四月にダムの再検証が終わって必要性が明確になった、そして再開をしていくというところであると思います。

 このような中で、今後の設楽ダムの工事の進捗、特に二十七年度予算での進捗についてお聞かせをいただきたいと思います。お願いします。

池内政府参考人 委員御指摘のとおり、設楽ダム建設事業は、ダム検証を行いまして、有識者からの御意見に基づきまして、昨年四月に、継続するという対応方針を決定いたしました。

 昨年度までは、水没予定地の用地取得や家屋移転を重点的に進めてまいりました。今年度からは、つけかえ道路等の工事が本格化してきておりまして、来年度の政府案では約三十八億円を計上しております。その内訳は実施計画で確定いたしますが、今年度に引き続き、つけかえ県道設楽根羽線や工事用道路の整備を進めていく予定でございます。

 今後とも、設楽ダムの建設事業をしっかりと進めてまいります。

今枝分科員 ありがとうございます。

 工事が本格化をまさにしていくという中で、ぜひとも工事費アップをしていただきながら、早急に推進をしていただきたいと思います。

 そして、やはり周辺環境また流域環境の保全、こういったことも非常に重要でありますので、そういった点もよろしくお願いを申し上げます。

 やはり、必要なものは必要である、それをきちんと証明できるような形で、国土交通省さんに取り組んでいただきたいなと思っております。

 続きまして、先ほども少し申し上げましたが、地方創生の最重要施策といたしまして、観光について質問をいたします。

 前回の国会質問でも、大臣からも、本当に、東三河の観光地としての魅力向上についてもバックアップが相当できるということもお答えをいただきまして、二十七年度予算では、そういった中で、地域の資源魅力創造事業が新たに始まってくるわけであります。この中で、マーケティングを必ずやっていくんだ、こうなっておりますけれども、私は、この観点は非常にすばらしいものでありますし重要であると考えております。

 欧米では、地域の観光を大きく伸ばしていく仕組みとしてDMOという、マーケティング、地域全体のマネジメントを行う組織が大きな成果を上げております。日本でも、日本版DMOなど、同様の組織が地域においてふえていく必要があると考えます。政府としてどのようにお考えでしょうか。お答えをお願いします。

久保政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、観光によって地域振興を図るに当たりましては、地域の取り組みの中心となって、関係者の合意形成をしたり、マーケティング、あるいは、おっしゃる各種事業のマネジメントを実施していく、そういう体制づくりを行っていくことが非常に重要だと私どもも考えております。

 私ども観光庁では、従前の観光圏の制度を運用する中でも、そうした役割を果たす官民一体の組織であります、観光地域づくりプラットフォームと言っておりますけれども、そういうプラットフォームが主導する魅力的な観光地域づくりを推進してまいりました。

 また、これも委員から御指摘がありましたように、欧米諸国等の先進的な観光地域においては、DMO、まさしく御指摘のDMOと呼ばれる一連の組織が中心になって、マーケティング、プロモーション、マネジメントを行うことで、地域みずから価値を生み出して来訪者を集める、そういう地域づくりが推進されていることは承知しているところであります。

 二十六年度の補正予算で、御指摘の日本版DMOという考え方にもつながるような、国内外の観光地域づくり体制に関する調査を実施しているところであります。さらに、来年度予算、二十七年度予算の案におきましても、各地において、地域の観光資源を徹底的に磨き上げる地域づくりと、一方、マーケティング等を実施する体制づくりを一体で実施する取り組みを支援する予算を案として計上しているところであります。

 引き続き、地域の体制づくりを初め観光振興に向けた地域の取り組みを、私どもとしても積極的に応援してまいりたいというふうに考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 私ども議員の側としても、この日本版DMOについては一層研究をいたしまして、実現に向けて、国交省さんや皆様と議論しながら進めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、最後になりますが、地方創生に関連いたしまして、直接的に効果を上げるであろう企業団地、中でも工業団地に関連をして、土地利用について質問をさせていただきます。

 工業団地といいますと、企業の外部誘致のような、単に外から引っ張ってくるんだろうみたいな印象があるかもしれませんが、決してそれだけではないと思います。やはり、地元の企業が新しく設備投資で工場をつくっていくということもありますし、そういったところから非常に、地域の工場なんかと連携をしながら、新しく技術移転、また人材が、その企業から新しく地域にスピンアウトをして起業していく、こういうこともあると思いますので、今後も工業団地は、地方にとってその地域の魅力を最大化する、大いに引き出すという、地方創生の観点からも価値が高いと考えております。

 その工業団地、これによくある土地利用といたしましては、都市計画法に基づく用途地域で、工業地域と工業専用地域とがありますが、どのような用途の建築物が建築できますでしょうか。お答えください。

小関政府参考人 まず、工業地域につきましては、主として工業の利便を増進するために定められるものでございます。このため、どのような工場も建てられるほか、住宅や店舗等は建てることができますが、学校、病院、ホテル等は建てることができない地域でございます。

 次に、工業専用地域につきましては、工業の利便を増進するため、住宅等の混在を排除または防止し、工業に特化した土地利用を図る地域に定められるものでございます。このため、どのような工場も建てられますが、住宅、店舗、学校、病院、ホテル等は建てることができない地域となっております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 工業団地は、先ほど申し上げましたように、地域の経済化に大きく寄与をする、地方創生にも有力な政策であると思います。やはり工業団地を推進していくという立場で今言ったような観点というのは非常に重要だと思いますが、しかし、こういった工業団地、広げていく、新しくやっていくという場合にも、そのためには近隣住民の方の生活環境を守ることも非常に大切であります。

 特に、やはり近隣住民の方との信頼関係、これは特に特に重要であると考えます。そうしなければ、今後、必要性があってもなかなか工業団地の造成が進まない、こんなことも起きてしまってはならないと思いますので、非常に重要だと思います。

 それゆえ、その中に入る工場というのは、ある意味、それが本当に工場なのかどうなのかということはきちんと見る、きちんと見定める必要があると思います。

 そこで、一つお聞きをいたします。例えば、木チップや食物残渣、汚泥など、引き取るときに収入を得て、つくった堆肥は例えば無償やもしくは非常に安価な値段で提供していく、こういう中間処理施設、こういったものは、やはり、その性格上、工場とは言えないのではないだろうかというふうにも思いますが、どのようにお考えでしょうか。

橋本(公)政府参考人 建築基準法におきましては、その場所で継続的に製造、加工等の作業を行う建築物につきましては、工場の用途に該当するものとして取り扱っております。

 御指摘の、木チップ、食物残渣あるいは汚泥などの原材料から肥料を製造するということを継続的に行っているということでありますので、これは工場に該当するものというふうに考えております。

今枝分科員 私は、どうもやはり、その建築基準法の判断というところがどうなんだろうというふうに強く思います。やはり工場の定義というものは、物を製造して加工して製品を販売するということで稼いでいくのが当たり前の状況でありますし、やはり、私はその判断というものはおかしいんじゃないかなと思っております。私は、こういう中間処理の工場は、ある意味、工場ではなくて違反建築物に該当するんじゃないのかなということも思っております。

 なぜこんな議論をしているかと申しますと、現実にこのような問題があります。

 新城南部工業団地というところで、産廃の中間処理施設が建設をされようとしております。ここは、愛知県が工業団地を造成する際に、製造業、物流業を誘致すると約束していたところです。そして、用途地域も工業地域、工業専用地域としております。しかし、当初誘致をした企業が、製造業だったんですけれども倒産をして、競売によって産廃企業にこの土地が取得をされた。このような手法を使ってしまうと、全国どこも、工業団地に、その辺の話とは全く違った産廃業が立地できることになりまして、住民の方も大きく不安を抱えております。

 この土地は、一キロ圏内に、住居はもちろんですけれども、こども園や学校まであるんです。子供たちの教育環境に悪影響を及ぼしかねないんです。私は、子供を思うお母さん、お父さんの気持ちになると本当に胸が張り裂けそうな気持ちになりますし、このような子を思うお母さんやお父さんたち、地域の皆さんと同じ思いで全力を尽くさなくちゃならない、このように強く決意をしています。

 このようなことが起きないように、都市計画法で定める用途地域の中に、単に工場という項目じゃなくて、産廃施設などを規制する新しい用途地域を設定するべきじゃないでしょうか。産廃施設が可能な工業、工専地域もあっていいかもしれませんけれども、そうじゃない地域と明確に分けるべきだと考えます。その上で、現在建設中のものであっても、精査して、建設中止、違反建築だ、こういうことを考慮していく、やる必要が強くあるということを申し上げたいと思います。

長坂主査代理 質疑時間が経過しておりますので、御協力願います。

今枝分科員 本当はこれを質問したかったんですけれども、時間がなくなってしまいましたのでここで質問は終わりますが、ぜひ国としても前向きに御検討いただきたいと強く要請を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

上田主査 次に、鬼木誠君。

鬼木分科員 自民党衆議院議員の鬼木誠でございます。

 本日は、朝から国土交通分科会の御審議、本当にお疲れさまでございます。最後の質問となりましたが、ぜひ訴えを聞いていただければと思います。また、大変人気のある国土交通分科会で質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 今回の質問の趣旨と私の思いといたしましては、規制緩和は、国民の安全を守るという法の趣旨をないがしろにしたものであってはならないといったことや、また、同じルールを守らないといけない人と守らなくていい人がいるといった、そういう不公平な競争があってはならないといった思いを訴えさせていただきたいと思います。

 まず、昨今、世の中には規制は悪であるかのような論調がございます。果たして本当にそうでしょうか。規制が持つそもそも本質的な意味というものは、国民の安全や秩序を守るためのルール、これが規制だと私は考えます。

 たくさんの法律を私たちは日々つくるわけでございますが、食品衛生法、建築基準法、薬事法、こういったさまざまな法律には必ず目的があります。例えば、食品衛生法であれば、第一条、目的、「食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ること」と、これだけでも、食品の安全性確保、衛生上の危害の発生を防止、そして国民の健康の保護を図るといったように、規制には、法律には、必ず目的があって法律がつくられ、規制があるわけでございます。

 ところが、これらの規制は、国民のさまざまな自由と時にはぶつかることになります。これらさまざまなルールは、自由な経済活動を阻害しているという批判に今さらされております。確かに、自由な経済活動をしたい人にとっては、いろいろと細かいルールというのは邪魔なことも多いと思います。ルールを守れば、制限されること、これはやっちゃいけない、こうしなければならない、そうやって制限されることがたくさんあります。また、コストもかかります。

 しかし、これらのルールは、何度も言いますが、いずれも国民を守るためのものである。これが規制というものの本質であるということを大前提として議論を進めたいと思います。

 薬の業界であれば薬事法、また放送業界であれば放送法があるように、さまざまな業界には業法というものがあります。国民の安全や秩序が守られるよう、それぞれの業界は法令を遵守して営業を行ってきております。そしてまた、その反対給付として、ルールを理解し法令を遵守する人に、国は国家資格や許認可を与えて、独占的な営業権を与えてきました。

 しっかり勉強して法令を理解し、厳しいルールを守れば営業権を担保されて、逆に、法令を理解せず、ルールを守らなければ営業権が取り上げられる、この仕組みによってルールの理解と遵守が徹底され、国民の安全と秩序が守られてきました。つまり、厳しいルールを守ることと営業権を保障すること、この二つが補完し合って国民の安全が担保されてきたということが言えると思います。

 しかし、昨今の規制緩和で、無資格の方がルールを理解、遵守しなくても営業できるというすれすれの現象がさまざまな業種であらわれてきております。これでは、国民の安全や秩序を守るという規制の本質が台なしになってしまわないか。ルールを守らなくてはならない人と守らなくていい人とが混在するというダブルスタンダードでは、極めて不平等な競争となってしまいます。

 一生懸命努力して国家資格を取った人、ルールを守った人が損をして、資格もない、ルールも守らないという人が低コストで営業して既存業者を淘汰する、そんな不公平なことが日本では起こってはいけないと考えるわけでございます。

 そこで、まず第一点は国交省に質問をいたします。

 私の地元福岡での実証実験があったという話なんですが、アメリカのITベンチャーであるウーバー社がことし二月に福岡で実験的にスタートしたライドシェアについてお尋ねいたします。

 車に乗って目的地に移動したいという人を利用者と呼ばせていただきまして、それを車で運ぶ人をドライバーと呼ばせていただきますと、一般の利用者と一般のドライバーを、インターネットのアプリでその両者を結びつけまして、目的地まで運ぶ。一般利用者がここに行きたいなという希望をインターネットで配信しまして、そしてその近くを走っているドライバーがその利用者を拾って目的地まで運ぶ、こういうサービスがあります。あいている車と移動したい人とをネットで結びつけることで、より安く効率的に移動できるというビジネスモデルでございます。

 こうして稼働していない資産を他者の利用と結びつけるという取り組みはシェアリングエコノミーと呼ばれておりまして、世界的に成長している分野でもあります。利用者は近くを走っている車に安く効率的に乗ることができますし、ドライバーは近くを通って乗せていけば小遣いを稼ぐことができるということで、一見、利用者にもドライバーにもよいことのように見えますが、さまざまな問題がございます。

 まず、このライドシェアは、法律上、営業許可を受けずに自家用車で営業する白タク行為ではないかということでございます。

 タクシーというのは、許可をとりまして緑のナンバーで営業しているわけでございます。緑のナンバーを持っていない車でタクシーの行為をすれば、それは白タク行為だということで道路運送法に抵触するというのが一般的なのですが、このライドシェアも道路運送法に抵触するのではないかという問題、法的な、形式的な問題がまず挙げられます。

 そしてまた、白タク行為だ、法律違反だという、形式的にアウトかセーフかという議論になりますと、また規制が自由な経済活動を阻害しているということで、私は抵抗勢力だという形で議論が矮小化しそうなので、もっと本質的な問題点を指摘させていただきたいと思います。

 それは、安全性の問題、まさに規制の本質そのものでございます。

 一つは、ドライバーが無資格の一般人であるという点でございます。

 タクシーは、ドライバーは二種免許というものを取っておりまして、運転技能や交通ルールの理解、そして、それをなりわいとしているということで、プロの倫理観というものがある。しかしながら、今回のビジネスモデルでは、車を運転するドライバーは、何の資格も持っていない一般の方がドライバーを務めるというところです。

 そして次に、事故が起こったときの問題でございます。

 福岡のケースでは、ドライバーが任意保険に加入していることというのが条件であったように聞いておりますが、しかしながら、その保険が、事故が起こったときに本当に保険金がおりるのか。一般の方が入っている一般の保険が、事故を起こした、しかしそれがライドシェアで別の人を目的地に送るときに事故を起こしたというときに、本当に保険金がおりるのかということが定かでないといった問題点。こういう安全上の問題があるわけでございます。

 また、海外では、ドライバーによるひき逃げ事故や女性の暴行事件なども起きておりまして、事故やトラブルが起こったときの責任の所在というものがはっきりしない。はっきりしないどころか、場合によっては誰も何も責任をとらないということもあるわけでございます。

 自由な経済活動なので、それは利用者の自己責任だということになりますと、まさに安全について野放し状態が放置されかねないのではないかということを懸念いたしております。小さな政府という考え方もあるのですが、これでは余りに国が責任を放棄していないかと考えます。

 これらの安全上、法律上の問題点を抱えるライドシェアについて国交省はいかがお考えになるか、お尋ねいたします。

田端政府参考人 お答えいたします。

 ウーバー社が福岡で行ったライドシェアの実験は、タクシー運転者の免許を持たない一般のドライバーと利用者をスマホアプリで仲介し、ドライバーが利用者を運送するものでありまして、今回の実験では、ドライバーに対してウーバー社が一定の対価を支払うこととされております。

 安全確保や法令遵守は大前提であり、許可等を得ることなく、いわゆる白タク行為は認められません。利用者以外が料金を負担する場合であったとしても、運送に対する対価が支払われている場合には道路運送法に抵触することとなります。

 今回の実験は、実態としては有償で旅客を運送するものであり、道路運送法に抵触すると考えられます。また、事故が起きた場合の保険の適用について確認が不十分であること等から、ドライバーや利用者の保護等の観点からも問題があると考えられます。

 このため、ウーバー社に対して実験を中止するよう指導いたしました。ウーバー社からは、ドライバーとの契約を三月四日をもって打ち切り、現在は当該実験は行っていないとの連絡を受けているところであります。

鬼木分科員 国交省の御見解を伺いました。

 やはり規制の本質というものを外さないということと、あとは、自由な競争であるのならば、公平な条件での競争でないと大きな不公平感があるということを訴えたいと思います。

 次に、第二点は厚労省の方にお伺いしたいんですが、きょうは参考人の方に来ていただいていると思います。

 二〇二〇年に東京オリンピックがありまして、そこで、宿泊施設の需要拡大への対応ということで、民泊というものが進められています。民泊というのは、辞書を引きますと、民家に宿泊することというもともとあった言葉のようなんですが、この場合の民泊というのは、もっと広い意味での、民間施設への自由な宿泊というふうな形で民泊が進んでいるようです。

 非常に広い意味が、いろいろな使われ方があるんですが、例えば、国内外に、日本の農家や田舎、そしてリアルな日本の生活を体験したいという旅行者のニーズというものがありまして、そうした農村のおじいちゃんやおばあちゃんの家に泊まって手料理を食べてといった心の通った交流に対してまで、これは法律違反だと目くじらを立てるつもりはございませんが、しかし、ここでも安全面のルールが守られるかどうかということは大事な論点であると考えております。

 先ほどのライドシェアと同じく、この民泊においても、やはり世界的にシェアリングビジネスというものが存在しております。さっきの農家の話もそうなんですけれども、もうちょっと違うイメージのものでいいますと、投資物件として一棟買いしたマンションの空室を稼働させるということで、インターネットを使って世界じゅうからいろいろな人を呼び込む。そういうふうに民間所有の空室と一般宿泊者を結びつけることで、希望の場所により安い宿泊施設を見つけられるというビジネスモデルがございます。

 一方、日本の旅館やホテルは、旅館業法や風営法といった大変厳しいルールを遵守して営業しております。不特定多数の人が宿泊する施設は安全面や風紀面で問題が起きやすいため、これらのルールが必要になっているというのがこの規制の本質なんですが、ましてや、今回、たくさんの外国の方が、本当に不特定多数の方が、文化さえも違うような人たちが一斉にやってくるわけですね。

 宿泊客の安全や風紀を守らなければならないという保護法益は同じであるのに、厳しい規制にさらされる業者と何の規制も受けない業者とが混在するというのはフェアではないのではないでしょうか。旅館、ホテルは安全のために大変な高コストの営業を強いられておりますが、民泊ならば業法を守らずに低コストで営業できる、競争できるというのはおかしくないでしょうか。安全はどうやって確保するのかについて、厚労省の御見解をお尋ねします。

福本政府参考人 お答えいたします。

 現行の旅館業法に基づく規制でございますけれども、これは旅館あるいはホテルが宿泊業を行うという場合に規制をかけておるわけでございます。

 その宿泊業というものの概念は、法律上、一つは宿泊料を受けるということと、それからもう一つは、寝具を提供して、施設、宿泊する空間ですけれども、それを利用させるという事業、これを反復継続して業として行う、こういうものであれば宿泊業ということに該当し、旅館業法上、都道府県知事の許可を受けなければならないということになっております。

 実際、この許可を受けて事業を行う際には、一つは構造設備の基準でありますけれども、フロントを設けるでありますとか、あるいは換気、採光の設備を設けなければならないというようなことでありますとか、それから、運営上は、宿泊者名簿を備えて記入をさせなければならないでありますとか、あるいは寝具の消毒を行わなければならないというような基準が義務づけられております。

 議員御指摘のいわゆる民泊ということですけれども、これは、例えば自宅を宿泊に供するという場合が考えられるかと思いますが、それも、今申し上げましたような業態に該当するということであれば、所有者の自宅ということであっても、都道府県知事の許可を受けて、今申し上げたような基準に従って運営をしなければならないということになります。

 厚生労働省といたしましては、この旅館業法が遵守され、そして宿泊の安全が確保できるように、今後とも努めていきたいと考えておるところでございます。

鬼木分科員 今のお答えでいいますと、やはり旅館業法は遵守されなければならないというお考えということで、そうした形で安全、風紀が確保され、公正な競争であるということであれば、私も一安心でございますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 小さな政府という考え方は、肥大化した行政をスリム化する上で大事な視点ではありますが、政府を極限まで小さくしていきますと、規制も国家資格も必要ない、全てが自由、全てが自己責任という状態になります。自由と言えば聞こえはいいですけれども、全く制限のない自由というのは無秩序と同義でございまして、したがって、何をどこまで規制するかということは、まさに国家の役割そのものの議論だと私は思います。

 昨今の規制緩和の議論では自由な経済活動がもてはやされておりますが、自由というのは万能ではないと思います。国民の安全や秩序を守るために法律をつくるのが国会でありますから、これらを全て自由に任せるというのは、国家機能の、私たちの放棄である。

 そして、狭き門を突破して国家資格を手に入れても、厳しい規制に縛られるばかりで、後からやってきた無資格者の方が規制も守らずもうかるのであるならば、誰も国家資格なんか要らないということになってしまいます。それは国家による国家の否定ということになってしまいます。また、規制を守った人が損をして、規制を守らない人がもうかるなら、誰だって規制を守らないという世の中になってしまう。それは法治国家の崩壊だと思います。

 私は、県会議員の時代から、流した汗が報われる社会へという価値を掲げまして有権者の信任を受けてまいりました。ルールを守り、努力を続け、国民の安全のために汗を流してきた人々がばかを見るようなことにだけはならないよう、今後ともくれぐれもお願いをしたいと申し上げます。

 最後の質問に移らせていただきます。最後、また国交省の方に質問をいたします。

 タクシーの規制緩和の話なんですが、タクシー業界は、ひところの規制緩和で新規参入が大変殺到いたしまして、供給過剰が起こりました。供給過剰の結果、何が起こったかといいますと、私の地元の福岡では、中洲という夜の繁華街の道路がタクシーであふれ返りまして渋滞を起こしまして、一般の車さえももう身動きがとれないという大渋滞を起こしました。そしてまた、タクシードライバーの賃金が下がりまして、下がったために過重労働を招いて事故が起こるようになった。

 こういう中で、やはり規制緩和が行き過ぎたかなということで需給調整があったわけですけれども、需給調整で減車に応じたのは、もともとタクシーを営んでいた既存の業者の方々が、この飽和状態はいけない、供給過剰だということで、既存の業者がタクシーの台数を減車したわけですね。新規の、新しく増車した人たちは減らさなかった。

 今後、需給調整の結果を見て、再びタクシー台数をふやす規制緩和を行ったら、また新規の業者が台数をふやして、減車に協力した既存業者がまた減らす、もしくは苦しむということになるのではないかということを地元の業者も心配しているわけですね。

 おかげさまで、改正タクシー特措法を成立させていただきました。そこで、特定地域、準特定地域というものもつくって、需給をきちんとやりましょうということをやっていただいております。しかし、この期間が定められておりまして、三年ということ、そしてまた、法律にも、指定事由がなくなったと認めるときは指定期間にかかわらず解除するということも書かれておりますので、では、これが期限が終わる、もしくは指定が解除される、解除されたらその後どうなるのだろうか、また自由に台数がふやせるようになるんだろうかということを心配しているわけでございます。

 やはり、努力してきた人たちがばかを見る、やればやるほど、需給調整に協力するほど自分の首が絞まっていく、こんなことになると、誰も需給調整にはもう協力しなくなるというふうに思われます。

 タクシーの規制緩和といいますか、今、特措法をつくっていただいております。ここで需給調整が行われております。この指定が解除された後の展開といいますか、需給の考えについて、国交省のお考えを伺いたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、安全の確保や労働条件の改善等の観点から、必要な規制は実施すべきであると認識をしております。タクシー事業においても、そのような考え方から、平成二十一年にタクシー特措法が制定され、また、一昨年の十一月には議員立法によりタクシー特措法が改正されたところであります。

 改正タクシー特措法では、これまでの減車への取り組み状況に関する事業者間の不公平感の解消の視点も踏まえ、供給輸送力削減の措置等を講ずることとされております。今後、特定地域として指定された地域においては、改正法の趣旨を踏まえて、できる限り幅広い関係者の理解を得つつ、適切に制度を運用してまいりたいと考えています。

 また、準特定地域につきましては、期間を限定して指定することとされておりますが、供給過剰のおそれがある状態が続いている場合には、引き続き指定をするということになっておりまして、必要な措置を継続して実施することができることになっております。

 なお、本年一月には、改正タクシー特措法の施行状況のフォローアップ等を行うための検討会を設置しております。制度の運用を通じまして把握された課題等についての議論を行うこととしておりまして、これを生かして、運転者や事業者の関係者に安心して利用者利便の向上に取り組んでいただけるよう、タクシー特措法の運用の改善を含めて図ってまいりたいと考えております。

鬼木分科員 済みません、余りねちねち聞きたくはないんですけれども、準特定地域については期間を限定というお答えでしたが、私の手持ち資料では、特定地域も期間が三年というふうに区切られているんですが、特定地域の三年の期間が終了したら、その後はどうなっていくのでしょうか。

田端政府参考人 先生御指摘の特定地域につきましても、期間を限定して、地域を限定して指定していくこととなります。原則として三年という期間を念頭に置いておりまして、その三年を過ぎた時点において指定要件に引き続き合致をする場合には、また再度指定をするということになる仕組みになっております。

 いずれにしましても、この指定基準に基づきまして、供給過剰の状況をデータにも基づいて判断して対処していくということになっているところでございます。

鬼木分科員 供給過剰であると認められたら引き続き継続するということですから、つまり、供給過剰でないということが確認されたら、やはりそこで特定地域も終わってしまうということですよね。となると、その後どうなるのかということを不安に思っているわけでありますが、それに対してお答えいただけますでしょうか。

田端政府参考人 特定地域の指定をされ、その状況で供給過剰削減の措置を講じていきます。それで、三年の期間の時点におきまして、特定地域の指定の要件には合致をしなくなるケースもあろうかと思います。

 ただ、その時点におきましても、準特定地域の指定の要件であります供給過剰のおそれがある場合に該当するようなケースが実際には多いだろうと思われますけれども、その場合は準特定地域というところに移行していく、こういうことを制度としては想定しているところでございます。

鬼木分科員 何度もありがとうございます。

 やはり、そこでもう供給過剰でないということになって特定を外れたところで、また増車ができるようになるんじゃないか、それを繰り返すんじゃないかということを、福岡に限らず全国のタクシー業者の皆さんは大変心配しているところでございますので、汗を流した者、供給過剰に対応した者、そして安全、安心な輸送に協力し続けてきた人、その人たちの思いを大事にしていただきたいと思います。

 規制緩和、タクシーにおいては、本当に低価格の参入者が続いて過当競争になりまして、それによって経済のパイ自体は大きくはならなかったわけですね。そこで起こったことは、労働者の賃金の低下、労働の質の低下、そして安全性の低下ということが続きましたので、やはり法の趣旨である安全な輸送ということ、そして公平な競争ということをあくまで訴えさせていただきたいと思います。今後とも、この行方については私も関心を持って見ていきたいと思います。

 それでは、せっかく最後までお残りいただきましたから、よかったら、太田大臣から感想、御意見をいただけたらと思いますが、よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 タクシーの新特措法につきましては、今局長からお話をしたとおりです。

 全体的なお話を聞いておりまして、私も、汗を流した人がとうとばれる社会、こういうことを言いまして、ちょっと言葉が違うんですが、同じ趣旨、そういう社会を目指すということです。

 例えば、車両を運転する。どこだとは言いませんが、あるところで私が接したプロの運転手がおりました。そのプロの人は、太田さん、私たちは単にほかの運転手とは違うんですと。政治家を乗せるという場合は、できるだけ人に会わないときがいいならば、このホテルにはどちら側につけるか、いないところにつけるか、そして何時につけるかというようなことをちゃんと計算して、きょうはどういう道路状況か、そして何時につけたらいいか、早くつけない方がいいのか、どうすればいいのか、どの場所にどのタイミングでつけるのかということを実は考え抜いているというお話を聞きまして、私も余り気がついておりませんでしたが、なるほど、プロというのは違うんだなという思いを、例えばドライバーということについても思い知ったことがありました。

 そうしたそれぞれにはプロという人がいます。そのプロの人たちが、何だと思ってしまうような社会というのはいけないのではないか、そのように私は思ったところでございます。

 規制するべきものは規制し、規制を緩和すべきものは緩和する。そこに、何を基準にしてそういうことをやるのかという、きょうの三十分の論議では、そういうことを考えさせられる大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

鬼木分科員 本当に一日お疲れのところに、本当に御答弁ありがとうございました。

 まさにプロの矜持ということについて御意見をいただいたわけですが、本当にそういったプロとしての仕事、なりわいを誇りを持って一生懸命頑張っている人たちが報われる、労働の質、賃金や雇用が確保されるといったこと、そして、何より国民の安全が守られるといった法の趣旨が守られるということがこれからもきちんと続いていきますことを祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 太田大臣、お疲れのところに本当にありがとうございました。

上田主査 これにて鬼木誠君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時五十二分散会


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