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第4号 平成13年5月23日(水曜日)

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平成十三年五月二十三日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 持永 和見君

   理事 浅野 勝人君 理事 木村 義雄君

   理事 菅  義偉君 理事 萩野 浩基君

   理事 石井 紘基君 理事 渡辺  周君

   理事 高木 陽介君 理事 中塚 一宏君

      相沢 英之君    臼井日出男君

      江藤 隆美君    奥谷  通君

      谷  洋一君    谷田 武彦君

      中川 秀直君    中村正三郎君

      西川 公也君    額賀福志郎君

      橋本龍太郎君    武藤 嘉文君

      森岡 正宏君    森田  一君

      山本 公一君    上田 清司君

      鹿野 道彦君    金子善次郎君

      金田 誠一君    今野  東君

      葉山  峻君    松崎 公昭君

      松本 剛明君    山田 敏雅君

      神崎 武法君    大森  猛君

      春名 直章君    山口わか子君

      近藤 基彦君    土屋 品子君

    …………………………………

   財務大臣         塩川正十郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   財務副大臣        村上誠一郎君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局次長  諸田 敏朗君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局

   長            関本 匡邦君

   会計検査院事務総局第三局

   長            白石 博之君

   会計検査院事務総局第四局

   長            有川  博君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   中村  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁契約本部長)   西村 市郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官

   )            浦西 友義君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   杉本 和行君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊藤 雅治君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局次

   長)           佐藤  準君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   決算行政監視委員会専門員 鳥越 善弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     赤嶺 政賢君

  山口わか子君     今川 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

  今川 正美君     山口わか子君

五月一日

 辞任         補欠選任

  遠藤 武彦君     林  幹雄君

  杉浦 正健君     虎島 和夫君

同月七日

 辞任         補欠選任

  木村 隆秀君     橋本龍太郎君

  虎島 和夫君     長勢 甚遠君

  林  幹雄君     奥谷  通君

同月八日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     萩野 浩基君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  逢沢 一郎君     山本 公一君

  小西  哲君     谷田 武彦君

  長勢 甚遠君     西川 公也君

  穀田 恵二君     春名 直章君

同日

 辞任         補欠選任

  谷田 武彦君     小西  哲君

  西川 公也君     長勢 甚遠君

  山本 公一君     逢沢 一郎君

  春名 直章君     穀田 恵二君

同日

 理事木村隆秀君同月七日委員辞任につき、その補欠として萩野浩基君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)(第百五十回国会、内閣提出)




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     ――――◇―――――

持永委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事一名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、萩野浩基君を理事に指名いたします。

     ――――◇―――――

持永委員長 平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)を議題といたします。

 まず、塩川財務大臣から本件について説明を求めます。塩川財務大臣。

塩川国務大臣 ただいま議題となりました平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十一年度一般会計公共事業等予備費予算額五千億円のうち、使用残額八千円を除き、平成十一年九月二十九日にその使用を決定いたしました。

 これは、年度内に経費の不足が見込まれるもの、景気浮揚効果が大きいもの、即効性のあるものを対象としたものであり、経済波及効果の大きい国家的プロジェクトの推進、二十一世紀の国民生活の発展基盤整備、九州・沖縄サミット等の緊急課題対応及び災害復旧等に要する経費であります。

 また、事項別の内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業等に必要な経費等の六件、その他の経費として、道路整備特別会計へ繰り入れに必要な経費等の七十二件となっております。

 以上が、平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書等についての概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾いただきますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

持永委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官中村薫君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁契約本部長西村市郎君、金融庁総務企画局参事官浦西友義君、総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、総務省自治財政局長香山充弘君、財務省主計局次長杉本和行君、厚生労働省医政局長伊藤雅治君、農林水産省農村振興局次長佐藤準君、国土交通省総合政策局長風岡典之君、国土交通省道路局長大石久和君、国土交通省航空局長深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森岡正宏君。

森岡委員 私は、自由民主党の森岡正宏でございます。

 きょうは、小泉政権の公約と公共事業について主としてお尋ねを申し上げたいと思います。

 まず第一に、塩川財務大臣に対してお願い申し上げます。

 財務省が二月に発表いたしました「財政の中期展望」によりますと、平成十四年度の公債金は三十三兆三千億という数字になっております。小泉総理の公約である国債発行を三十兆円以下に抑えるという状態にしようと思いますと、三兆円余りどうしても削らなきゃいかぬ。どこをどういうふうにカットしようとしておられるのか、まずお尋ねをしたいと思います。

塩川国務大臣 仰せのとおり、三十三兆三千億円が国債発行として予想されております。しかし、これは考えてみますと、平成十五年度はもう三十五兆を超すような状態になるし、見通しといたしましては大変な増額になってまいります。そこで、この際に何とかして十四年度で一定額にとどめたいということで、三十兆円という目標を一応設定したようなことでございます。

 それにつきまして、三十三兆三千億円が増額されるのに、どのように節約していくのかということのお尋ねでございますが、まず、一般的に、経費の支出を全体に見直してみて、そこの大幅な削減を図るということが一つの目標でございます。それともう一つ、できるだけ既存の経費の中で未執行の分はないだろうかということ、これを検索してみるということがございます。

 その上において適正な配分を続いてやってまいりたいと思うのでございますが、それがためには、まずシーリングというものに対して、要するに、今までやってまいりましたシーリングというものの枠を大幅に緩和していかなければできないのではないかという懸念がございまして、このことにつきましては、国会との関係等もございますので、十分その動向等を見定めて、協議しながら決定していきたいと思っております。

森岡委員 削ろうとしますと、公共事業でありますとか社会保障費でありますとか地方財政でありますとか、そういう分野にも当然メスを入れようとしておられるのじゃないかなと私は思うのです。

 先ごろ、塩川大臣は、国費は減らすけれども事業費は確保するのだ、そして経済の下支えをするのだということをおっしゃっておりますね。どうやってそれを考えておられるのか。特殊法人を使おうとしておられるのか、またPFI方式など民間に仕事をゆだねようとしておられるのか、そんなところしか考えられないのじゃないかなと思うわけでございますけれども、特殊法人ということになりますと、また一般会計の借金を財投にツケ回すというようなことになるのじゃないかな、そういうことを感じるわけでございまして、ちょっとそこのところを、どうやって事業量を確保しようとしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

塩川国務大臣 これは森岡さんのおっしゃっているように、私らも大体そんな知恵しかないのでございまして、大したものも考えられません。しかしながら、そうはいうけれども、何かやはりあらゆる面を細こう探して、探索してやっていかざるを得ない。

 まず第一に、経費の削減でございますけれども、私たちは経験的に言っておることで、確実な数字はございませんけれども、平成八年度を基準にいたしまして、建設関係の経費なんか物価の下落によって相当変わってきております。このことは事実でございますが、それに対しまして、単価の見積もりがそんなに変化しておらないということは、そこに見直していく一つの資源があるのではないかと思っておりまして、いわば公共事業一つ例にとりましての話ですけれども、それ一つ見ましても、そういう経費の節減によって事業費の、国費の支出が軽減されてくるということです。

 それでもなお総額において不足が起こってくることは当然出てくると思うのでございますが、その部分をどうするかということ。これは、国費を節減すると同時に地方負担も軽減していかなければ事業はバランスがとれないということがございます。私は、その間の差額は当然借入金か何かで賄っていかざるを得ないと思っておりますが、その借入金等につきましては、これを交付税にリンクされないような貸付金を考えていくべきだろうと思っておりまして、これは、基準財政需要額に仮にはね返ってくるものであれば、また再び負担としてかかってまいりますけれども、そうではなくして、一般のいわゆる貸付金の、財投資金でなると思うのでございますけれども、そういうような資金の融通をしてカバーしていきたいと思っております。その額は、私は、そんなに大きくない。何としても、私たち一番願っておりますのは、経費の削減というものに重点を置いたものを考えておる、こういうことであります。

森岡委員 今の御答弁ではちょっと、小泉総理が考えておられるような切り込みができるのかな、そして財源の手当てもできるのかなという不安を感じるわけでございますが、ちょっと話題を転じまして、今盛んに問題になっております道路特定財源の使途についてもお尋ねをしたいと思いますが、まず、事業官庁であります国土交通省の佐藤副大臣にお伺いしたいのです。

 この道路特定財源の見直し論議が高まってくるにつれまして、早くも地方の知事さんたちから反対の声が出てきておるようであります。私のところへも、あちこちから市町村長さんたちが、道路財源はどうなるんだ、またメールなんかも入っておりまして、あの道路はどうなるんですか、こういう問いかけも随分多いわけでございます。

 国土交通省として、道路のための特定財源としての役割はほぼ終わったと思っておられるのか、それともまだまだ必要だと思っておられるのか、その見解を事業官庁としてどう考えておられるのか。また、他分野に振り向けることによって道路五カ年計画にそごが生じるんじゃないか、計画がずれるだけのことになりやせぬか、私はそこを心配しているわけでございまして、佐藤副大臣のお答えをお願いしたいと思います。

佐藤副大臣 私どもは、道路の必要性というのはまだまだあると思っているのです。

 総理府が、今の内閣府ですけれども、前に社会資本整備の世論調査をしたことがございます。平成二年の調査ですけれども、大都市と町村を合わせましても、道路整備の要望というのが一番なんですね。これは平成二年の調査においても、一番が道路、そして次が下水道、公園、そういう順番になっています。最近の平成十年の調査におきましても、東京など大都市においてもやはり道路の整備が一番、町村も道路の整備が一番です。そんなことを見てみますと、やはり道路整備に対する国民の希望というのは非常に大きいということがおわかりになると思います。

 特に、東京圏などは、今環状道路の整備をしております。東京は、まだ本当に中心部の高速道路しかできていません。もっと三重に、大きく環状道路をつくって初めて東京都が住みよく、そしてまた排ガスがないような、都心部に車が入ってこないようなことをしなくちゃなりません。その整備がまだ二〇%しか達していない、全体で十二兆円の計画がまだこれから九兆円しなくちゃならない、こういうことを考えてみますと、道路特定財源が、今ほかの借入金や何かに置きかえてするとしたら、もう前に進んでいかない状態になってしまうんだろうと思います。ましてや利用者の負担というものが非常に大きなものになってしまうんだろうと思います。

 ですから、当然これからの五カ年計画に大きな影響も出てきますし、何としてでも私たちは、国民の期待にこたえて、今までの五カ年計画を続けながら、十分な財源を確保しながらやっていきたいと考えております。

森岡委員 今の質問を財務大臣にも申し上げたいと思うわけでございます。

 道路の特定財源としての役割はもう終わったと思っておられるのか。道路はもう十分じゃないかというふうに思っておられるんじゃないかなと思われる節が、先ごろの発言を聞いておりますとあるものですから、ちょっとその辺のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。

塩川国務大臣 私は、道路整備が完全にできてきておって、これで後々そんなに必要ないという、そんなことは全然思うておりません。

 しかし、一方において、こういうことわざがございまして、古いことを申して恐縮でございますが、道路のことについて、ローマ帝国ができた当時に、そのときに、ローマは一日にして成らず、そして、すべての道はローマに通ずる、こういうこと二つがございまして、ローマ帝国の政治の一番中心は道路の整備だった、これによってあの広大な半島を支配していく道をとったわけです。それほど道路というものは重大であるということはよく承知しております。

 ところで、日本では、戦後、昭和三十年ごろから道路整備が本格的に始まりまして、そのための道路財源というものを次々とつくられて、これが非常に大きい効果があったということは私たちも承知しておりますし、それからなお、さらに道路整備していかなきゃならぬ、これも十分承知しております。したがって、何も道路財源の、根本的にこれを否定して、新しい財源のそういうことは全然考えておらないのです。

 ただ、私たちが言えることは、一応幹線道路としての計画は遂行していかなきゃならぬことは承知しておりますけれども、一方において、その幹線交通が、各都市、何も東京だけじゃございませんで県庁所在地の都市もございますし、そういうところへ入りましたときの、そういう生活道路あるいは地域の道路という整備が、やはり面整備をあわせてやっていかなきゃならぬだろうと思うておりまして、そういう面における道路財源の使用を活発にやらせてもらいたい。

 今、道路財源の使途について、相当幅広く使うようにさせてもらっております。これは承知しています。でも、その重点の置き方をもう少しシフトを、都市開発の面とか地方道の開発、そういう面に積極的に使ってもらうことによって、一般財源が出しておりますものの代替はある程度していただけるのではないか、こういうことで、私たちは道路財源の用途についての拡大をお願いするということを言っておるのでございます。

森岡委員 今大臣のお言葉で、道路は大事だ、まだまだやる仕事があるんだというお考えを聞いて少し安心いたしましたけれども、現実に、今もう既に、連続立体交差事業でありますとかモノレールでありますとか、それから電線の地中化でありますとか駅内外のバリアフリー化とか、道路以外の都市基盤整備に随分、一兆円ぐらい使われているんですね。それを少しふやしていくぐらいならともかくも、ひさしを貸して母屋をとられてしまうというようなことになったら大変だと私は思うわけでございます。

 道路特定財源について、硬直化しているとか、また、何か特定の人たちの利権構造につながっているんだとか、つまらない議論が一方であるわけでございますが、私は、これはこれからの日本の公共事業の政策にとりまして大変大事な問題だ、まじめに考えていかなきゃいかぬ問題だと思っているわけでございます。

 一方で、小泉さんが、見直し見直し、こうおっしゃるものですから、見直しという言葉だけが先走りして、党内議論もやらない。そしてまた、何よりも私は大事だと思うのは、納税者の気持ちだと思うのですね。受益と負担ということがございますけれども、やはり自動車のユーザーは、道路五カ年計画があって、そして道路の整備に多額のお金がかかる、だから暫定税率を認めて高い税金を払わされているわけでございます。それなのに、ふたをあけてみたら道路に使われていないじゃないかというようなことになったら、納税者にうそをついたことになる。

 そんなことになったら大変だと私は思うわけでございまして、やはりもう少し党内も、そして国会内でも、何よりも納税者の声に耳を傾けていただきたい、そんな気持ちを申し上げておきたいと思いますが、もう一度大臣のお言葉をお願いしたいと思います。

塩川国務大臣 確かに、道路整備計画が軌道に乗りました昭和三十年、四十年、その当時はやはり幹線道路中心だったと思います。現在も幹線整備しなきゃならぬということは、私、何遍も言っておりますように、そのことは承知いたしております。

 しかしながら、一方において、このように車の利用がもう日常茶飯事、必需品となってまいりました車の使い方について、都市生活あるいは地方の地域住民の方々にしても、やはり自分らの直接の身近なところの道路整備、あるいは便利なように交差を直すとか、そういう要求も多いだろうと思うのです。

 ですから、私が申し上げておるのは、そういう面開発だとか、生活にあるいは地域の振興に役立つ分、その分野に使う分を多くしてほしい、そのことによって道路財源のむしろ新しい生かし方ができるのではないかなということを思っておりますので、おっしゃる趣旨は私たちと違っていないと思いますので、どうぞそのように認識していただきたいと思います。

森岡委員 そこのところ、これからもどうぞひとつよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと話題をかえまして、農水省の問題でございますが、今までの農政について、私は、農民の方ばかり向いて一般国民の方を向いていなかったんじゃないかなというふうに思ったりするわけでございます。農業は国家の基幹産業だ、未来産業だという意識を国民に持たせる、こういう努力が農水省はちょっと足りなかったんじゃないか。

 あの世界の大金持ちであるビル・ゲイツは、今アルゼンチンの土地を、農地を買い占めていると言われております。なぜか。これから地球上の人口は、もうあと三十年もすれば八十億ぐらいになる。そうすると大変な食料需要が起こってきて、そして農業というのは未来産業なんだ、そういう考えのもとにビル・ゲイツはアルゼンチンの土地を買いあさっている、こういう話を聞いておるわけでございます。

 日本の食料自給率は御承知のとおり四〇%でございますけれども、米は一〇〇%自給できるからといって安心できない、穀物自給率はたったの二八%。人口一億人以上の国では、食料自給率は最低でございます。麦や大豆の大半を輸入に依存しているということは、肉とかそれから牛乳とか卵、こういうものが手に入らなくなるおそれがある。米以外の作物をつくるための優良農地を拡大することこそ大事な施策なんだ、土地基盤整備はだから必要なんだということを国民の皆さん方に知ってもらう、そういう努力を農林省は怠ってきているのではないかな、私はそういうふうに思えてならないわけでございます。

 毎年毎年、水田の減反そして休耕田がふえてきている。そういうことから、一般の人たちはもう農地造成は要らないんだというふうに誤解をしていると思うわけでございまして、農水省は、なぜ土地基盤整備が必要かということをもっと都市住民などに知らしめる、そういう努力をなぜしないのか、してこなかったのか。そういうことも含めて、農業は未来産業だ、これからも日本の基幹産業として、大変大事な産業なんだという位置づけ、そういう気持ちを持っておられるのか、改めて私は農水省の方に伺いたいのですが、農水省の方はいらっしゃいますか。

佐藤政府参考人 先生のおっしゃるとおり私たちも考えております。

 特に、平成十二年三月に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画におきましては、食料の自給率目標を四五%というふうに設定をいたしまして、農林省の各施策をそこに重点化するという方向で努力している最中でございます。

 また、先生がおっしゃいましたように、土地基盤整備というものの必要性につきまして、これまでも私ども、都市の方々を対象にしましたパンフレットの作成ですとか都内でのイベントの開催ですとか、それから農林省のホームページにその必要性なり重要性を載せるとか、そういう努力もしておりましたけれども、必ずしも十分でなかったという御指摘、まさに私ども反省をしたいと思っております。

 現下の農業、農村を取り巻く状況の中で、先生のおっしゃる土地基盤整備関係、これはやはり国民の方々の御理解を得て進んでいかなければならないというふうに思っておりまして、これからも、国民それから都市の方々、こういうような方に御理解を得るためのPR等につきましては積極的に努力をしてまいりたいというふうに思っております。

森岡委員 これからもそういう努力を続けていただきたいと思うわけでございます。土地基盤整備はもう必要ないんだと思われるようなことのないようにしていただきたい、大変重要なことだと思うわけでございます。

 話をかえまして、金融庁の方にお尋ねをしたいわけでございますが、小泉総理は、二、三年内に金融機関が抱えている不良債権処理を完了したいのだ、こんなふうにおっしゃっています。このことによって建設業界にどのような影響が出ると予想しておられるのか、具体的にお答えをいただきたい。大変な痛みを伴うのではないか、私はそれを心配しているわけでございまして、セーフティーネットをどう考えておられるのかを含めてお尋ねしたいと思います。

浦西政府参考人 お答え申し上げます。

 不良債権の最終処理によります建設業界への影響についてどう考えているかというお尋ねでございますが、不良債権の最終処理につきましては、私的整理や公的整理等の処理の手法とか対象となる企業の状況によって、その影響度が区々でございます。したがいまして、建設業界への影響を定量的に申し上げることは困難でございますが、ただ、十二年九月期の主要十六行の、いわゆる不良債権の計数と言われていますリスク管理債権の数字に占めます建設業向けの融資の割合は、約一四%となっております。

 なお、セーフティーネットのお話でございますが、政府全体として、緊急経済対策に盛り込んでおります中小企業対策や雇用面のセーフティーネットを整備するための施策の効率的な実施に取り組む方針でございます。

森岡委員 今のお答えでは全くわからないのですけれども、それでは、具体的に国土交通省の佐藤副大臣にお願いしたいと思います。

 事業官庁である国土交通省として、小泉総理は構造改革なくして景気回復はあり得ないのだと、大変格好いいことをおっしゃったわけでございますけれども、構造改革には大変な痛みを伴うものだと私は思うわけでございます。建設業界は供給過剰体質、これは私もわかるわけでございますが、過当競争によって品質低下や優良な中小企業の淘汰などが心配される。一方、構造改革、再編整備は避けられない。大手ゼネコンの再編とともに、地方へ行きましたら小さな業者がいっぱいいるわけでございます。この十年ほどを見ましても、業者の数はどういうわけか一五%ぐらいふえているんですね。六十万社ぐらいあると言われております。

 私は、大手のゼネコンをどうするかということもさることながら、小さな業者を公共事業が減っていく中でどうやって保護していくのか、大変大事なことだと思います、特に雇用対策が大事だと思いますけれども、建設業界の将来像というものを国土交通省としてはどう描いておられるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤副大臣 今森岡先生おっしゃったとおり、今、業者数というのは五十八万を超えているという非常に大きな数なんです。しかし、この建設業界というのは、社会資本整備を進めていく上で非常に大事な業界でもあります。これが金融機関の不良債権の処理等に伴って、非常に経営状態が厳しいものになっていくのだろうと思います。

 そういうことを考えまして、非常に高い技術を持っている優良な業者に残ってもらわなくてはならないわけであります。しかし、国土交通省として、行政の立場でどれを残すとかというわけにはいきませんから、やはり業界がみずから再編をするなり他業種に移っていくなり、いろいろな工夫もしてもらわなくちゃなりません。それに向けて、国土交通省はその環境整備をしていく、また必要な制度があったらつくり上げていく、そういうことも大切なんだろうと私たちは考えています。

 そこで、これからいろいろな未来産業があるわけであります。例えば環境産業一つ見ましても、廃棄物の処理産業ですとかリサイクル産業ですとか、それから高齢化産業を見ましても、これは介護産業とかいろいろなものがあるわけです。今度の、ついこの間通していただいた、例えば高齢者住宅を民間が建てやすくする、共用部分は国として支援をする。そんなことなんかも、やはり建設業界がそういうものを経営して従業員をそこに向けていく、そこに介護の施設もつけてヘルパーに従業員を向けていく、そんなことも考えられると思います。

 それから、今、住宅を建てるときに、検査を民間に委託するようになったわけです。三回検査をする。そういう検査員なんかも、今の建設業界の中からやはりつくり上げていく。マンション管理士なんかもつくり上げていく。我々、行政の場で後押しできる部分はたくさんあると思います。そういうものを十分に生かしながら、その後の対応というものに取り組んでいきたいと考えております。

 もちろん、厚生労働省とも打ち合わせをしながら、雇用保険等で救われるもの、とりあえずしなくちゃならぬものは当然でありますけれども、私たちは全力を挙げて具体的に取り上げていきたい、そう考えております。

森岡委員 最後の質問になりますけれども、公共工事の前払い金制度というのがございます。

 建設業法に沿って元請から下請にうまく流れるように機能していないのではないかということを、私、よく聞くわけでございまして、どうやら、ゼネコンが工事を請け負ったときに、保証会社に保証してもらって、役所にその書類を提出しなきゃいかぬ、そして下請に払うときも、これだけの出来高がありますよ、ここの企業と契約をしておりますよというようなことを一々届け出をしないと下請に支払いができないということで、ゼネコンから下請には流れていない、せっかく前払い金を三割なり四割なりもらっても下請に流れていないということをよく聞くわけでございますけれども、ちょっとこのことについてお答えをいただきたいと思います。

佐藤副大臣 公共工事の前払い金制度につきましては、今、資金繰りの非常に苦しいときでありますから、大体四割ぐらいを前払い金制度にしているわけでありますけれども、今先生おっしゃったことも多々聞いております。

 ですから、国土交通省といたしましても、下請業者の方々がその資金を利用して資材を購入したり労働者を募集したり、そういういろいろなことをしなくちゃならないわけであります。それが何か、前払い金をやったとしましても、それをまたもう一回吸い上げてしまって、もう一回手形で切るとか、そんなこともあると聞いています。一層、その実態を調べまして、そんなことのないようにしっかりと対応していきたいと考えております。

森岡委員 お願いしておきたいと思います。

 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

持永委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 小泉内閣がスタートいたしまして、この決算行政監視委員会も初めての委員会という形となると思うのですが、その中で、総理が道路特定財源の見直しについて表明をされまして、これはこれから論議がさらに進んでいくであろうと思います。

 また、そのような中で、塩川財務大臣もそのほかの特定財源についても見直す意向を表明されたと新聞等でも報道されておりますけれども、財政改革のためにはこういった視点というものは必要であると私も思うのですが、やはり論議というものはさまざまな角度からやっていかなければいけないであろう。とにかく、硬直的な事業別シェアを経済の実態に合った予算配分に大胆に変えることになって構造改革や景気浮揚につながる、そういう角度もあると思います。

 このような認識の中で、私は、きょうは空港整備特別会計、空港問題について、現状の認識と制度改革について論議、質問をさせていただきたいと思います。

 この空港整備特別会計は、空の交通、社会資本整備を行うというか整備していく目的で、長期にわたり安定的に資金を確保した上で、大都市圏の国際空港の整備から始まって、騒音防止を含む環境対策、また地方空港、さまざまな形で施策が講じられてきたと思います。しかし、経済が右肩上がりだったときは、人口増加に裏打ちされた生産余力の拡大期には、公共投資の多少の非効率にも目をつぶっても何とかなってきたというのがあったと思いますが、今現状は、そういう甘い状況ではないと思います。

 そのような中で、特に空港、一種、二種、三種、地方空港の三種ですね。これは一県一空港みたいな形でどんどん整備されてきておりますけれども、そのような中で地方空港の新設、これは実際問題、赤字も出ているところも多々ございますし、そういったことについて今後どう考えていくのか。地域間格差、このバランスを配慮する空港整備というものは必要であったけれども、今後どのようにしていくかということで、そこのところをまず最初にお伺いをしたいと思います。

深谷政府参考人 お答え申し上げます。

 地方空港の今後についてのお尋ねがございましたけれども、現在、私どもといたしましては、平成八年度からスタートしております第七次空港整備七カ年計画が現在進行中でございますけれども、その中でも、滑走路延長などの継続事業を中心として整備を進めるとともに、需要を基本としながら既存空港の高質化など所要の整備を図る、こういうふうにされております。

 そういった基本的なベースの上に立ちまして、現在では、新規空港につきましては、御指摘の第三種空港、地方自治体が設置管理者となるものにつきましては、能登空港それから静岡空港、神戸空港、この三空港が現在ございます。

 今後の地方空港の整備につきましては、二大都市圏と地方を結ぶネットワークの形成、こういうものについては空港整備は概成しつつあるだろうというふうに認識を持っています。これからは、継続事業を中心にその推進を図るとともに、既存空港の高質化、こういったものに努めていきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 すごく抽象的なお話だったと思うのですけれども、そのような中で、今度はちょっと具体的な問題でお伺いをしていきたいと思います。

 マスコミ等も、この空港問題、折あるごとに触れておられますけれども、そういった中で、今、これから能登、神戸、静岡、計画のお話がありました。その直前にもできた大館能代または佐賀空港、ここら辺のところの実態というのもなかなか厳しいという。特に、これは昨年の暮れの新聞報道なんですけれども、会計検査院の調査で、自治体が管理する離島を除いた全国二十一地方空港のうち、十九空港が昨年度赤字に陥っていたことがわかった、こういう報道がありました。

 そこら辺の実態で、まずは、今お話のありました能登、神戸、静岡、これからできていくわけでありますけれども、これの総事業費、また需要予測というものが数字として出ていると思うのですが、それをお聞かせ願いたいと思います。

深谷政府参考人 お答え申し上げます。

 能登、静岡、神戸についてでございますけれども、能登空港につきましては、総事業費二百七十億円が見込まれておりまして、年間利用者、これは見込みでございますけれども、平成十五年度で三十万人と見込んでおるというふうに承知しております。静岡につきましては、総事業費五百六十億円、平成十五年度で、これは事業採択時におきます開港予定年度でございますけれども、年間利用者として約百八十万人。それから神戸空港につきましては、総事業費五百三十億円、平成十七年度の年間利用者として約三百四十万人というふうに見込んでおりまして、そういう状況でございます。

高木(陽)委員 今数字を出していただきましたけれども、これはあくまでもこれからの予測ですね。

 ちなみに、大館能代空港、佐賀空港、これの当初予測と現状の利用状況、それの乖離というものがあると思うんですが、その数字がもしわかったら教えていただきたいと思います。

深谷政府参考人 大館能代空港、それから佐賀空港についてのお尋ねがございました。

 いずれも第三種空港でございますが、大館能代空港につきましては、平成十年の七月に開港いたしております。直近の平成十一年度、確定したデータで、実績値として、利用客十五万五千人ということでございます。予測値としましては、大館能代の空港につきましては、設置許可、その手続の時点での予測値、これは平成十年度という数字が出ておりますが、約四十七万人という予測値を立てておりました。

 佐賀空港につきましては、これも平成十年の七月に開港いたしております。利用客の実績は平成十一年度で三十四万人でございます。空港を事業採択する時点での予測値としましては、平成十二年度のものが出ておりますが、これが七十三万七千人、それぞれ設置管理者が予測していたところでございます。

高木(陽)委員 今数字を出していただきましたけれども、例えば大館能代が、当初四十七万人の予測だったのが、実際開港してやってみたら十五万人しか来なかった。さらに佐賀空港も、七十三万人を予測しながら三十三万人台。つまり、半分もいっていない。結局、それで赤字になるわけですね。

 静岡、神戸、能登も、今予測を述べていただきましたけれども、ここら辺のところが予測どおりいかないんじゃないか。結局また赤字になる。赤字はどうするかというと、やはり国民、市民が負担をしなきゃいけない。こういう形となって果たしていいんだろうか。

 もちろん、何でも採算がとれれば、民間企業みたく採算をとらなきゃいけないというわけではないんですが、一番最初に申し上げました。経済がずっと上向きのときは、そういった部分でみんなが本当にそれを利用する、便利になる、その恩恵をこうむる、だからそういう負担はみんなで分散をして負担しましょう、この考え方はいいと思うんですが、やはりこれからの時代というのは、この空港の問題に関しても、採算性というものをしっかりと見ていかなければいけないのではないか。ところが、第三種空港の場合は地元からの要請が多いわけですね。各都道府県、県の方から、うちの地域に空港がないですから、下さい、つくりたい、そういった要望の中で何とかつくってきた状況もあると思うのです。

 そこら辺のところで、今度総務省にちょっと聞きたいんですけれども、当初は、地方空港というのは地方自治の活性化につながる、これが経済の活性化につながるんです、こういうような主張のもとでどんどん広がってきたと思うんですけれども、ただ、現状、今言ったように赤字がどんどん積もってくる、やればやるほど赤字になるというものを今後どうしていくのか。自治体に大きな負担になっているのは確かだと思うのです。そこのところの財源の措置みたいな部分、これは総務省としてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の地方団体が設置、管理する第三種空港につきましては、建設時には二分の一の国庫補助がございますが、残りの二分の一について、現在、ちょっと地方財源全体が不足いたしておりまして、財源対策債という特別な仕組みを導入しているために変則的なスタイルになっておりますけれども、地方負担に対しましては九五%地方債を充当いたしまして、その三分の二ほどを交付税で元利償還の手当てをするという形にさせていただいております。

 また、維持管理費につきましては、地方交付税の算定上、使用料、手数料を予定する部分を除きましては、空港の維持管理費として財源措置をさせていただいておるということでございます。これは、あくまで維持管理費等は交付税上標準的な水準というのを想定しておりまして、標準的な水準で標準的な乗降客があればこの経費で一応賄えるであろうというふうに制度設計をさせていただきまして、財源措置をさせていただいておる。

 一方で、現実の問題として、余り乗降客がいないという空港があるのは事実でありまして、私どもはそういう団体に対しましては、とにかく使用料の確保、あるいはその他もろもろの方策を講じて乗降客がふえるように努力をしてほしい、こういうつもりで指導させていただいております。

 何よりも、基本的には、空港に着手をする前に、将来の的確な需給予測のもとに事業に着手する、そういった取り組みが基本的に必要だろうというふうに考えておる次第でございます。

高木(陽)委員 これは、国が全部賄っていかなきゃいけないということじゃなくて、やはり自治体が主体的にやっていく、これが基本原則だと思うんですが、自治体も体力のない中で、つくってみたけれども、さあ困った、今後五年十年、今の空港体制がそのまま維持していくとしたら、これまた大変な問題になっていくということで、ここで問題なんですが、さっき申し上げました、採算性を考える。これからまさに行政評価法、そういった法律、制度が整備されてきた場合に、特に公共事業に対して国民の皆様方の率直な、むだはやめてもらいたい、貴重な税金は本当に大切に使っていただきたい、当たり前だと思うのです。それを、今までは、空港は必要だからな、とにかくつくってみようやというようなアバウトな部分があったのではないか。

 実際問題、さっきの数字を見てみますと、当初予測と比べたら半分以下、三分の一、そういった利用状況。では、その補てんはどうするんだ、こういうところまで本当に考えて空港というのができてきたのかというと、そうではないと思うのです。

 そういった中で、では今あるものをどうするか。これはやはり知恵を絞らなければいけないと思うんですね。もし民間企業であったらどうするか。廃止します。採算の合わないところは切っていくわけです。今リストラの時代、そういう中で、本当に民間の企業は苦労して何とか生き残りを図っているというような中で、行政がやっているから赤字になってもいいや、この感覚は、もうこれから許されないと思うんですね。

 ただ、これだけの、それぞれ何百億もかけるような空港ですから、それを一概に廃止とはいかない、これも当然だと思うのです。だから、ここで本当に知恵を絞っていかないと、やはり最終的に国民に負担がかかる。ここら辺のところは国土交通省も考えていただきたいと思いますし、また自治体もしっかり考えていただきたいということで、最終的に財源措置の問題で総務省もいろいろと絡んでまいりますから、そういった部分の検討というものもよろしくお願いしたい。これは回答は要りません。

 さらに、国が管理している空港ですね。二十八あるというふうに聞きましたけれども、さっきちょっと、静岡または神戸、能登、こういう計画があると言いましたけれども、今後の空港整備、今申し上げました効率化の部分、これをどう考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。

深谷政府参考人 今後の空港整備の効率化についてのお尋ねがございました。

 私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、いわゆる地方空港につきましては、高質化に重点を置いていくというふうに考えております。

 それから、全体といたしましては、大都市圏拠点空港、首都圏でございますとか中部圏でございますとか関西圏でございますとか、そういった大都市圏拠点空港の整備に重点化を図る、そういう全体のめり張りをつけて空港の整備に当たっていきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 すごく抽象的なもので、ではそれで解決するかというふうになるとなかなか厳しいかなと思うのですが、しっかりとそこら辺のところはやっていただきたいと思います。

 その上で、もう時間も参りますので、空港整備特別会計の収入の部の空港使用料について、最後お伺いをしたいと思います。

 これはずっと言われ続けておりますが、日本の空港の着陸料は高い、こういうふうに言われております。例えばジャンボ機が成田空港を利用すると九十五万、関西空港は最近値下げしても八十三万、世界で一位、二位だ、こういうふうに言われております。一方、韓国の仁川、これは三十五万、上海、香港が五十万前後だという。

 それを考えますと、これは航空各社からもいろいろな要請、要望等々、国土交通省、その前の運輸省等にもあったと思いますが、これについては、地価だとか工事費だとかいろいろな経費がかかったのは仕方がないと思うのです。それを上乗せしていくという考え方、これは自然な考え方かなと思いきや、例えば民間企業として、藤田日本マクドナルド社長、この方がこんなことを言っています。コストから割り出すのではなく、幾らで売れるかで決めることだ。やはり民間企業というのはこういう発想をするんですね。

 行政というのは、これだけかかったから、ではこれで売りましょう、これではやはり高くなるわけで、そこら辺のところの考え方というか、まさに、今までかかったからそれを何とか償還しなきゃいけない、このことは大切なことなんです。だからこそ、もっと利用をふやす、またはそれで回転をふやす中で経費を浮かしていく、こういった発想というものも必要だと思うのです。

 まさにこれは、さらにこの着陸料、国際競争力の問題にも関連していくのではないかなと思うのですが、この点、国土交通省としてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

深谷政府参考人 ただいま空港の着陸料、国際競争力の観点等からのお尋ねがございました。

 現在、国際的な拠点空港としまして、成田空港、関西国際空港というのがございますけれども、両空港の使用料につきましてはなかなか、国土の制約から、御指摘のようにいろいろな建設コストも含めまして高くなるというふうなことから、現にそれぞれ、御指摘のように、着陸料については世界的に見ても高水準にあるということは事実でございます。

 私どもといたしましては、そういった事情もございますけれども、国際競争力の強化を図ろうということで、例えば、関西国際空港につきましては、新規割引でございますとか増量割引でございますとか、そういった営業割引のような仕組みを平成十二年から取り入れまして、いろいろな措置を講ずる、さらには、今年度からは、国際線の着陸料をトン当たり二千三百円から二千九十円に引き下げるというふうな措置もとらせていただいております。

 こういった措置があってか、最近の関空の状況としましては、十二年度の国際線の発着回数は、旅客便が対前年度六%程度、貨物便に至りましては二四%程度伸びているというふうなことや、今年度の夏ダイヤにつきましても、過去最高でございました昨年をさらに上回るというふうな見込みになっているところでございます。

 他方で、首都圏にあります成田空港につきましては、容量の問題もありまして、なかなか乗り入れ希望に応じ切れないという申しわけない状況にあるわけでございますけれども、これも経営効率化などを図りまして、着陸料につきましては十七年間にわたって据え置いてきた。他方で、成田公団は独立採算で運営されておりますので、可能な範囲でいろいろ努力を公団にもしてもらいたいとは思いますけれども、着陸料のみならず、給油施設使用料につきましては、六十三年度以降、四割程度、引き下げをできるところはやっている、こういうことでございます。

 また他方で、平成十一年度から、いわゆる二種A、国が設置、管理する空港につきまして着陸料を従来の三分の二にするとか、あるいは、今年度からは、羽田空港と地方路線を結ぶ場合の地方路線にかかわる羽田の着陸料につきまして、三分の二に軽減する、そういったいろいろな努力をさせていただいているところでございます。

 当面、こういった措置の状況をきちっと見ていきたい、かように考えております。

高木(陽)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

持永委員長 次に、山田敏雅君。

山田(敏)委員 本日は、公共事業、道路、高速道路についていろいろ御質問をさせていただきたいと思います。民主党の山田敏雅でございます。

 まず最初に、国土交通省という世界に類を見ないような巨大な省庁ができ上がりました。公共事業の莫大な予算を握っているわけですが、大臣、副大臣というのはわかるのですが、政務官というのがどういう職務権限があるのか、ちょっと国土交通省。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 大臣政務官は、私どもの国土交通省、三名おるわけでありますけれども、その役割は、一名は、災害対策関係施策及び社会資本整備関係施策、特に公共事業の適正な執行の確保に関する事務をやっております。

 もう一名は、安全、危機管理関係、それから交通関係、特に航空関係事務を担当いたしております。

 そして、もう一名は、国土関係施策及び北海道開発関係、特に研究学園都市の推進ですとか都市対策、また、首都圏移転問題等を担当いたしております。

 御承知のように、本年の一月六日に閣議決定されました国務大臣、副大臣及び大臣政務官の規範では、大臣政務官は、国会との連絡調整を行うとともに、必要に応じ、国会において答弁を行うものとするとされておりまして、それを踏まえて、各大臣政務官は国会関係業務についても的確に大臣を補佐しているという役割をいたしております。

山田(敏)委員 副大臣、御存じだと思うのですが、ここに読売新聞の記事がございます。三月九日でございます。国土交通省の岩井政務官、この方がその当時現職の政務官でございますが、ゼネコン各社に対して後援会の名簿をお配りになった。全社員の数だけということでございますので、例えば鹿島建設ですと一万五千枚、それに五名ずつを書いてください、こういうことが載っております。

 この中で、ゼネコンの方々のさまざまな意見がこの記事に載っております。頼まれたけれども、現職の政務官の要請は断れませんというゼネコンの幹部の方の証言がございます。それから、景気低迷で公共事業に頼らなければいけない、こんなときに、こんな少ない人数で出せないという意見もございます。最後に、慶応大学の堀江教授、現代政治学の先生ですが、副大臣に次ぐ政務官は業界に対して大きな職務権限を持つ、入会はお願いだとしても、業界はそうは受け取れない、政治的にはやってはいけないことだ、こういうふうに述べております。

 そこで、国土交通省にお伺いしたいのですが、小泉内閣、構造改革、政治改革、そして自民党の改革ということで閣僚に入っていらっしゃる御意見として、この事実についてどういうふうにお考えになりますか、御意見をお願いいたします。

佐藤副大臣 私も、以前に新聞で見て情報を知っていたわけでありますけれども、しかし、候補者でありますから、候補者はいろいろな運動をするんだと思います。そういうときに、自分のいろいろな支援をしてくれている団体等にお願いをした結果、そういうふうに批判を受けたんだろうと思います。やはり役職ある間は、そういう疑いを受けないようなことでやらなくちゃならぬと思います。候補者である自分と役職というものをよく考えながらやるべきだろうと私は思います。

山田(敏)委員 率直な御意見をどうもありがとうございます。余り好ましくないという御意見だと思います。

 私の方は、もう一歩踏み進んで調査をいたしました。十数社のゼネコン、ちょっと読み上げますが、鹿島、清水、熊谷、前田、飛島、戸田、大成等でございます。この方たちが、確かにこれを社員の数だけ受け取りましたということを言っていただきました。ところが、御本人が、このゼネコンの会社を訪問されて、そして、その会社の役員の方に会われてこれをお渡しになった、こういうことがわかってまいりました。岩井さんの秘書の方がスケジュールを御存じですので、堀さんという方にお聞きいたしました。確かに訪問いたしました、こういう事実を確認いたしました。

 今、こういうことだけでも好ましくないということなんですが、御本人がゼネコンの会社の幹部の方を訪ねるということは、これはゼネコンにとって大変な脅威でございまして、もうお願いどころの話じゃない、とんでもないことになるということでございます。

 もう一歩進んで、副大臣、今ゼネコンの方たちに、こういうことはもう二度とないんだ、安心して働いてください、こういうメッセージをちょっと送っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 働きを受ける方も、自分でいろいろな判断をされるんだと思います。先ほど申し上げましたとおり、候補者として、そういう役職にあるときに、やはり自分の立場というものをよく考えながら運動もしなくちゃならぬことは一つ大事なことです。もう一つ、受ける方も、そんなこと、圧力とかなんとかということではなくて、やはり自分でいろいろな判断をされてすべきだと私は思います。それをこっちがどうのこうの言う問題ではないと私は考えます。

山田(敏)委員 好ましくない、そして、ゼネコンはこんなこと気にするな、こういう御意見だと承りましたので、私の方も皆さんにそういうふうに御連絡したいと思います。

 次に、道路公団、道路特定財源のことが話題になっております。

 佐藤副大臣は北海道の出身でございますので、私は北海道に行ってまいりました。九千三百四十二キロの高速道路をつくるという計画が政府決定されまして、どんどん今工事が進んでおります。北海道には、去年、おととしで二つ高速道路が開通いたしまして、その一つが旭川鷹栖―和寒という三十キロの道路でございます。ここに写真がございます。和寒まで二十キロという、ここに標識がございます。ちょっとごらんになったらわかるんですが、一台も車が通っておりません。これは雪が降っているんですけれども。

 そこで、交通量を調べました。一日の交通量が千三百台、要するに、もう道路としてはほとんど車が通っていない。この道路が、ほとんど通っていないところにちょっとでも雪が降ると、こういうふうに一台も車が通れない。五キロぐらい先まで一台も車が通っていないんですけれども、こういう状態になるわけですね。何をするかというと、除雪車を出して雪を取らないとだれも通れない。

 そこで、この道路の収入を見てみます。一日に千三百台ですから、今ちょっと仮に料金を計算しますと、一日に大体百万円の収入があります。一年間に三億円の事業収入がございます。この道路は五百億円かかりました。安い二%の金利でも、金利だけで十億円かかるんです。収入が三億円ですから、しかもこういう、ごらんになったらわかりますように、一台も通れない道路をつくりましたので、除雪のお金だけでも三億円ぐらいかかるんじゃないか。これはデータをお願いしたんですが、出てこないので私の推測なんですが。ということは、これも今申し上げましたように、五百億円というのは永遠に返せない、この道路をもし考えた場合。

 それからもう一つの、千歳恵庭―夕張四十二キロ、一千百億円かかりました。一日の通行量が千四百台、これはほぼ同じです。これも金利だけで、もし非常に低い金利二%として二十二億円かかる。一年間の収入が三億円ですから、これはもう償還どころの話じゃない。

 こういう道路を今の九千三百四十二キロの計画の中に、どんどん工事を進めよう、こういう日本道路公団の計画でございます。函館まで行きましょう、それからあと名寄ですか、それから北見、釧路、こういうところまでどんどん今の計画の道路の中に入っております。

 さらに、北海道だけじゃないんですが、例えば鹿児島の国分―志布志、これも私は通ったことがあるんですけれども、ほとんど交通量のない地域でございます。こんなことをやっていると、どんどん日本道路公団の業績は、業績予想も後で申し上げますけれども、悪くなります。

 そこで、塩川大臣、今のことをお聞きになって、構造改革、具体的に何かやらなきゃいけない。このような膨大な赤字をどんどん出すものを次から次へやっていくということについて、何か御意見はございますでしょうか。

塩川国務大臣 今おっしゃるような事態がございまして、何もこれは北海道だけじゃございませんが、国土の均衡ある発展というスローガンのもとにいろいろそういう計画をされまして、それは右肩上がりのときで、各地域に国土の均衡ある開発もあわせてやっていくという状態で、先行して道路をやったと思うのでございますが、その投資がむだになってきたということは事実でございます。

 そういたしますと、そのこと自体はもうできてしまったことでございますから、この上に立ってとやかく言うわけではございませんが、これからの高速道路をつくるについては、そういうフィージビリティーといいましょうか、事前調査というものをきちっとやっていただかぬと大変な負担が国民にかかってくる、これはもう事実でございます。そこで、やはり一つの基準を明示して公開すべきだ、計画を公開すべきだ、そのことが大事なんではないかと私は思うております。

山田(敏)委員 計画をつくって公開するというのは大変いいことなんですが、その計画が、あるんですが、どうもやるたびに全部狂ってしまうということを過去十年間繰り返してきているようなところがあります。

 そして、副大臣にお聞きしたいんですが、九千三百四十二キロのほかにさらに計画がございます。一万一千五百二十キロまでやろう、四全総で今から十年前に法律で決まりました。これについて、今塩川大臣の御意見も踏まえまして、一体、国土交通省はこれをやるのかやらないのか、ちょっと言っていただけますでしょうか。

佐藤副大臣 予定路線、一万一千五百二十キロですけれども、それはやる予定でおります。しかし、今のところ、整備路線の九千三百四十二キロ、これを重点的にやろうということであります。

 今のお話を聞いていますと、私は北海道でありますけれども、では北海道のようなところは高速道路は要らないのかということになります。国家として、基本的な道路、高速道路、道路というものはやはりつくるべきだと私は思います。しかし、そのときに、その地域のやはりいろいろな町づくり、地域づくりというものはどんどん出させて、そういうものを支援する道路でなくちゃならぬと私は思います。

 ですから、今、国土交通省も十年後を目指しまして、多分十年後には、まだそれはわかりませんけれども、各地域ごとのいろいろな競争の時代に入っていくんだと思います。それに合わせて、十年後の地域が、どういう高速道路の整備が進んでいるのか、どういう社会資本整備が進んでいるのか、そういうものを大胆に予定を今つくっておる最中であります。

 そういうものと地方との振興というものをよく合わせながらこれから進めていって、その後、高速道路や道路が、社会資本整備をしたものが本当に生かされる。その地域の発展のために、民間投資の誘発もやりながら、経済が大きく拡大をする。非常に地域が発展をしていく、また交流人口がふえていく、そういうことが十分に成り立つように、十分に計画を立てながら進めていきたいと考えております。

山田(敏)委員 今の副大臣の意見と塩川大臣の意見はちょっと違うんですが、塩川大臣は、道路をつくる計画はいいんだけれども、しかし、地域の開発計画というのはないのに、ほとんど人のいない、産業のないところに高速道路をつくるとこれは大変なむだになって、国民の負担は大き過ぎる、こういう御意見でございます。

 さっきも申し上げましたが、じゃ、北海道に高速道路は要らないのか、北海道にもどんどん高速道路は要るじゃないかということをおっしゃいました。これは、この高速道路を走ってみたらわかるんです。何で一台も車が通らないか。下の一般道を通ったら、ほとんど信号がないんです。一時間半で目的地に行くんです。高速道路を通ったら約一時間半で行くんです。本当、五分か十分しか違わない。こんな道路をつくったら、国民はばかじゃないですから、高速道路料金を払って目的地へ行く人はいないんです。だから、一日に千台とか、とんでもない道路になっている。

 そして、この事業費、もう償還どころか、これは、財投から借りたお金、それから今の道路特定財源、国民の税金を毎年三千億円、これを道路公団に補助しているわけですから。そして、このようなことをずっとやっていくとますます、今の計画だけで道路公団は二十六兆円の債務があるわけです。そして将来、これは三十四兆円の借金になります、こういう計画をいただいています。

 しかし、その計画の前提になるのは、今の通行量の予想、収入の予想というのがあるんです。どんどんどんどん、高速道路が一年に約二百キロずつふえていますので、収入はふえるという予想なんです。ところが、実際には、ここの通行量のデータをいただいていますが、平成八年からもう全然通行量が伸びなくなった。平成十年にはさらに下がってきた。毎年二百キロ高速道路を完成しているにもかかわらず、通行量が減ってきた。こういうデータがございます。

 すなわち、平成八年から平成十二年まで、予想した収入はふえていない。ところが、今、三十四兆円の借金になりますという計画では、この収入の予想はどんどん毎年ふえますという予想でやっているんです。現実には、長引く不況で通行料収入というのはふえていないんです。

 ここにまた大きな問題が起こる。特定道路財源で三千億補てんするけれども、とんでもない、もっと、じゃ、五千億にいこう、一兆円にいこうと毎年借金をふやしていっているんですけれども、さらにそれの国庫補助ということをやっていかなきゃいけない。

 ここで、やはり小泉内閣の閣僚でいらっしゃる、根本的に考え直していかなきゃいけない、というよりは、ごく普通のことを普通に考えて、こんな道路をつくっちゃいかぬ、やめるべきだと。本当に必要なものはつくっていいけれども、こんな、今言いましたように、一千億もかかって、そして利子だけで二十二億円かかるのに、収入が三億円です。それがどんどん普及する。

 しかも、私、世界じゅうで高速道路に乗りました。日本の高速道路料金がもうずば抜けて高いんです。しかも、首都高速なんかは、あれはとっくの昔に二十年で償却した。それをまだ七百円も取って、その償却した道路もある。外国では、高速道路をつくって償却したら、それはただにするんです。もう償却したんだから要らないんです。当たり前の話です。それを、世界にずば抜けた高速道路料金を取って、そして、赤字を通り越して、ちょっとばかげた道路だと思うんですけれども、これをどんどんつくっていくということは、ちょっと目を覚まして、普通の考えで普通に物を言って、やるべきではないときが来たんじゃないかと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

佐藤副大臣 先ほど申し上げましたとおり、やはり、地域の皆さんの意見を聞きながら、地域の開発ですとかいろいろなことも考えながら、道路の利用の拡大というものを図っていかなくちゃならぬ、そう思います。

 ともすれば、今までそういう地域の声を受け入れながらやるということは少なかった面がありますから、先ほど申し上げましたとおり、これからやる場合には、地域のいろいろな開発というものを取り入れながら、そのために必要な高速道路をつくり上げていくという方向で進めていきたいと思っております。

 それから、もう一つ大事なことは、高速道路というのはネットワーク化されて初めて大きな効果があらわれるということもあるんですね。例えば高速道路を、さっきの九千三百キロを十年間で全部やったと。これは二十二兆円かかるんです。しかし、今度、十年間で二十二兆円かけてやったとしたら、いろいろな経済効果、便益とかいろいろなものを含めまして経済効果が三十七兆円あると言われているんです。それは、やはり高速道路というのは短い間につくり上げる、そしてネットワーク化させる、そのことによって効果が大きくなるということがあるんです。

 ですから、ゆっくりゆっくりやっているからなかなか効果もあらわれないという面もあるわけでありますから、そういうことも含めまして、これからの整備計画というものを十分に考えながらやっていきたいと思っております。

山田(敏)委員 今のお話は、何かタイムトリップしたみたいに前内閣の御意見とほぼ同じというふうに受け取って、私どもも応援のしようがないんですが、塩川大臣、ちょっと塩川大臣の御意見は今の御意見と違うと私は思うんですね。どんどん高速道路をつくれば経済効果が上がる、三十四兆円も借金つくっても大丈夫だ、返さなくても大丈夫、利払いも大丈夫だ、こういう御意見ではないんじゃないでしょうかね、塩川大臣。

塩川国務大臣 私は、先ほども申しましたように、世界経済、日本経済、すべて世の中が変わってきたんです。つまり、右肩上がりの時代は、道路をつくって地域開発しようという発想もあった。それがために道路まで先行しなきゃならぬときがあったんですけれども、今はそれはもう全然違ってきたんです。右肩上がりじゃなくて右肩下がりの時代に対応しなきゃならぬ。そこで、何か選別しなきゃならぬということは言えるんです。

 私は、ちょっと比喩的に申しました、ローマの道路建設、ちょっと調べてみたことがあるんです。そうしたら、二百年かかって計画をやっておるんです。だから、大変な計画なんです。日本は四十年間でぶわっとやってしまおうというんですから、そこは、私は、幹線道路は必要だ、高速道路も必要だ、それは肯定しておるんです。けれども、そのスピードと地域開発の実情と財政需要というようなものを総合的に見なければいけないのではないか、単に右肩上がりだけのその計画だけでいくんだということはなかなか難しい時代になってきておるんじゃないかということを思うております。

 ですから、何も私は高速道路の建設を否定しているものじゃありません。しかし、もう少しスピードを考えてみたらどうだろうかということが一つの提案。そしてまた、建設するについて、必ず情報を公開すべきではないかということは私が言っておることなんです。

山田(敏)委員 大臣の御意見、非常によくわかるんですが、先ほど申し上げましたように、この九千三百四十二キロの計画は、今副大臣おっしゃったように、十年間で毎年毎年やり続ける、そして収入もどんどん上がってくる、しかし借金もふえ続ける、こういう計画でございます。

 大臣がおっしゃった、まさに右肩上がりの計画で進んでおる、実際には右肩下がりの経済になってきた、こういうことでございますので、副大臣、私の質問よりは今の塩川大臣の、右肩上がりじゃない、右肩下がりの経済になったんだということについて同じ御意見でしょうか。

佐藤副大臣 先ほど申し上げましたとおり、効果というのは本当は、一瞬、短い間につくり上げた方が効果があらわれるわけです、ネットワーク化されて。だらだらだらだらやっていくから効果が上がらないという面があるんです。そこで、そのことを先ほど一言御説明したんです。

 同時に、高速道路をつくるから、これを、ただおまえたち利用して何かをしろというんじゃなくて、その地域のいろいろな発展計画というものと十分に合わせながらやっていくということが大事なんです。そのことを先ほど申し上げたわけであります。ですから、言っていることはそんなに違わないと思いますけれども、しかし、やるべきことは早くやる。

 ですから、今回の公共投資の見直しなんかも早くやって、効果の上がるものを重点的にやる、効果の少ないものは極端に少なくする、そんな方向で今私たちは考えているところです。

山田(敏)委員 では、今の御意見だと、当然、北海道のほとんど車が一台も通らないような高速道路は見直さなきゃいけないというふうに私は思います。まさに、塩川大臣は時間をかけてもっとゆっくりやればいいんだ、佐藤副大臣は集中的にやれ、ちょっと何が何だかわからなくなってきたんですが、ただ一つ、これは明らかに、今私が申し上げましたようにとんでもないばかげた計画で、これ以上これを続けると必ず国民に大きな負担がかかってくる、もう既に三十兆円を返せなくなってくる、こういう時代が必ず来る。今見直さなければいけないときだというふうに思いますので、ぜひこれをしっかり一緒に議論して、私もこれは必要の少ない、効果の少ない道路、そしてしかも国民の負担が大きくふえる道路だと考えますから、ぜひこれをやめていきたいと思っております。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

持永委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 資料を配付させていただいておりますが、その問題に入る前に、塩川大臣に幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。

 最近、塩川大臣はいろいろ御発言になって、中には大変積極的な改革論を出されまして、私もかねてから御尊敬申し上げておりましたので期待をしているわけでございますが、ただ、ちょっと幾つか不安な点があるわけで、確認をさせていただきたいと思います。

 幾つかあるんですが、まず、きょうここにかかっておりますのは公共事業予備費ということですが、この公共事業予備費というのは、こういうものをやっていいのかどうなのかということがまず疑問になるわけであります。

 我が国の憲法には、国の財政を処理する、これはすべて国会の審議と議決を経なきゃならないということになっているんですね。しかし、公共事業の具体的な事業予算については国会で議決権がないんです、実態は。みんな役所が決めてしまう、あるいはもっと言えば、与党の中の部会なんかが事実上決めてしまうようなふうになっております。

 それはまた別の問題として、この予備費という問題でございますが、憲法の八十七条には、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け」るというふうになっております。つまり、予算については憲法でも第七章に大変念入りに規定がされております。八十三条、八十四条、五条、六条、七条。その上で、今申し上げました七条に、よほど予見しがたいことのために予備費というものを設けるんだということであります。これは恐らく、行政事務の経費、あるいは突然起こる災害というようなものを想定しているはずでございます。

 そこで、公共事業予備費などというようなものをそもそも設定した、そして公共事業予備費についてのみ審議をするというのは、この決算委員会あるいは決算行政監視委員会を通じてこれは初めてのことなんですね。

 大臣にお尋ねしたいんですが、今の内閣は公共事業を見直していこうという姿勢だと思います。そこで、今後こういう公共事業予備費というようなものを予算に計上していくのかどうなのか、お尋ねをしたいと思います。平成十四年度予算では公共事業予備費というものを設けるか設けないか、端的にお答えをいただきたいと思います。

塩川国務大臣 予算書が、あらゆるものを予見し、あるいはまたその見積もりも正確にできておれば、予備費というものは確かに使う必要などございませんし、また計上する必要はございません。しかし、政府全体の予算を見まして八十数兆円という規模になってまいりますと、全部が予見し得られるものばかりということはなくて、例えば災害等につきましてはやはり若干予測は外れるようなこともございますし、そういうものの必要性というものを見まして、若干ではございますけれども予備費をつけておるということで、したがいまして、平成十三年度も予備費をつけておりますし、十四年度におきましても予備費の計上をいたしたい、それはごく限ったものにいたしたい、こう思っております。

石井(紘)委員 申し上げていることがよく理解されているかどうか懸念するわけですが、予備費というのは当然毎年あるもので、常識でございますが、公共事業予備費、この場合は五千億円、今審議にかかっていますのは公共事業予備費ということで、五千億円が一般の予備費とは別に計上されたわけでございます。そういう形で今後も公共事業予備費というようなものをやるんですか。

 今大臣が言われた突然起こってくる災害というようなものは、通常の予備費で従来は行われてきた。当然、「予見し難い予算の不足に充てるため、」というふうに憲法の条文でなっているわけでありますから、来年もまた公共事業予備費を設けますよということですと、これはあらかじめ予見してしまうことになるわけですね。ですから、もう一度その点特に取り上げて、公共事業予備費というものを設けるのかどうなのか、それは好ましいことなのかどうなのか、お答えをいただきたい。

塩川国務大臣 私はやはり予見しがたいことが起こり得ると思いますし、また、公共事業の各事業項目ごとにおきましても若干調整しなきゃならぬこともございますし、また、実施いたしまするについて、地元の要望あるいは技術の進歩等からくるところの時代的な要望というのを、そういうものは多少は見込まざるを得なくなってくると思っております。

 でございますから、石井さんおっしゃるように、これはないのに限ったことはない、それはもうそれにこしたことはないんですけれども、しかし、やはりそういうことを予見しておくために、若干のものでございますけれども一応調整弁ということと、不時の支出を賄う資源といたしまして若干目計上いたすつもりでございます。

石井(紘)委員 わかりました。公共事業予備費というのを来年度も設けるという答弁だったと思います。

 次の問題に入りますが、道路特定財源を見直されるということですが、まず、この目的は何でございましょうか。何のために見直すのでございますか。

塩川国務大臣 先ほど来質問に答えておりますように、道路財源が設定されました当時の時代、もうこれは四十数年前でございますが、その時代の道路のニーズというものと、現在におきます道路に対する期待あるいは実際の使用のニーズというものが相当変わってまいりました。したがいまして、当初予定した道路特定財源の目的外の、しかも道路に直接関係してくるもの、そういうものに対しまして用途の拡大を図りたい、こういうことで見直すということを言っておるのでございます。

 したがって、これからの道路財源の一部を、いわば交通をスムーズにするために、あるいは交通環境を変えるために、地域開発の面にも使えるようにしてもらいたい、そういうことを考えておりますし、また、自動車交通からくるところの公害問題を除去するために必要な施設、あるいはそういうことの政策的な効果をねらった支出、そういうものにも拡大してもらいたい、こう思っております。

 このことについては、納税者との関係が重大な問題であろうと思っております。ガソリン税を払い、あるいは重量税を払っておられる方々、納税者の方々の意向というものが非常に大きい要件になってまいります。しかし、最近見てまいりますと、一応そういう納税者の方々も、道路財源をそういう都市開発というか都市整備というようなもの、生活の利便性のためにもっと使ってほしいという要望が非常に強いと思いますので、そちらの方向に向けていきたい、これが見直しの一つである。

石井(紘)委員 当初、この問題が提起されましたときには、やはり予算配分を根本的に見直そうというような趣旨が聞こえてきたというふうに思っておりますが、しかし、最近の与党内あるいは閣内の話では相変わらず、これは見直すけれども公共事業に使っていこう、国土交通省の予算配分の範囲内でやっていこうということにどうも後退してきているような気がするわけですが、やはり国土交通省の予算配分の範囲内で別の公共事業に充てていくというお考えですか。

塩川国務大臣 御承知のように、特定財源の使途につきまして法律で規定されておりますし、また現に道路整備五カ年計画というものが実施、進行中でございまして、平成十四年度までこの法律が効果を持っております。これを直ちに廃止して新しいものをつくるということも政府の方針としてはとるべきではないと実は思っております。

 したがって、平成十四年度中におきます道路財源の見直しにつきましては、先ほど言いましたような、道路に関連してくるあらゆるところに幅広く用途を拡大していくということが中心でございまして、十五年以降、つまり五カ年計画が期限が切れてまいります、そしてその後、また再び法律をつくらなきゃならぬことになってまいりますが、そのときにこそ道路財源の根本的な見直しをしてもらいたい、こういうことでございます。

石井(紘)委員 そういうことですと、道路特定財源を見直すということは、当然、道路整備五カ年計画あるいはその他公共事業の七カ年計画というようなものも含めて見直していかないと本当の意味が出てこないのですね。おっしゃるように、相変わらず公共事業につぎ込むんだということですから、どうも国民の皆さんはだんだんと首をかしげてくるようになるのじゃないかなという心配をしているわけでございます。

 そこで、特定財源というのは道路だけじゃなくてまだほかにもたくさんございますけれども、どうして道路特定財源だけを問題にして、その他八つか九つありますが、そうした公共事業のための特定財源というようなものを見直すおつもりはないのでしょうか。

塩川国務大臣 その他の特定財源、目的税というようなものもございますが、そういうものにつきましても、制定されました趣旨と現在との間の状況を真剣に検討いたしまして、その効果をどのように見るかということを定めて、改正すべきものがあれば改正したいと思っております。

 いずれにしても、道路特定財源と比べましたらスケールにおきまして相当相違がございますので、特定財源といいますと、どうしても道路特定財源に偏り過ぎた議論になってしまいますが、私たちは全般的に特定財源、目的税というものを見直していくということには変わりございません。

 ただ、一つ、一分だけで結構でございますが、道路目的税、道路特定財源、これを根本的にやり変えてしまったらどうだとおっしゃる議論はよくわかりまして、私たちも見直していく方法についてそういう抜本改正を考えておりますけれども、しかしながら、この問題は非常に背景の問題がございまして、一つは、道路目的税の根源は石油でございますので、石油の問題をどう考えるかということ、納税者の問題をどう考えるかということとあわせて、我々は抜本改正に取り組んでいきたい、このようなことを一言申し上げておきます。

石井(紘)委員 制定の趣旨が残っておるから云々とおっしゃるわけですが、まさに制定の趣旨まで含めて考えなければこれは見直しできないのじゃないですか。

 それからまた、こうした財源をどういうふうに今度は充てていくかということになると、これは公共事業との関連ですから、むだな公共事業を減らしていくということとの関連で出てくる。公共事業というのはほとんど特別会計で扱われておりますから、特別会計との関連も問題になってくるわけです。

 そうすると、今の道路特定財源については、直接一般会計に入ってそこから特別会計に行くのと、それから、直接納税者から特別会計に入ってしまって一般会計に入らない分とあるわけですけれども、このあたりはどういうふうに整理をされていくのか。それはそのまま、国民に見えないところで特別会計にすっと裏から入ってしまって使われるという形はそのまま残すのでしょうか、それとも、この特定財源は一たんきちっと一般会計に、国民の見えるところに出すのでしょうか、どうなんでしょうか。

塩川国務大臣 それは今までの法律の趣旨と、それから経理上の処理というものとでやってまいりましたけれども、そういう問題等含めまして、実は経済財政諮問会議等がございますし、また財務省におきましては財政審議会がございますので、そういうところで一応諮りまして、十分に検討いたしたい。制度の改正ということは非常に重要な問題でございますので、早計に取り扱うべきではない、そういう慎重に検討した結果を改正に結びつけたい。

 いずれにしましても、時代は変わってまいりましたので、今おっしゃるような趣旨は私たちも心して検討の中に入れていきたいということを申し上げたいと思います。

石井(紘)委員 どうも伺っておりますと、今の段階ではほとんど何も変わらないような気がしてくるわけでございます。将来の意気込みは、それはそれで私も大いに期待をさせていただきたいと思っております。それからまた、御協力できるところは御協力したいというふうに思っております。

 そこで、もう一つ、財務大臣は、公共事業の減る分については特殊法人とか財投の金でもって借りてきてやればいいじゃないかというようなことを言われたというふうに新聞報道であるわけですが、これは本当ですか。

塩川国務大臣 公共事業が減る分とは言うてない、そうは言うてないのです。そうではなくして、私は、事業量はできるだけ確保したい、これは原則として言っておるのです。それは、景気対策も十分考えなきゃいけませんので、公共事業全体の仕事量を減らすというのじゃなくて、これはできれば現状を維持していきたい、こう言っておるのです。

 ただ、その中で、今現在は、国費が幾ら、それから地方負担が幾ら、それから借入金幾ら、こういう構成になっておりますね、これは御存じのとおり。けれども、全体を見ました場合に、もっと根本的に経費を削減できるものはあるじゃないか、経費を削減したらどうだ。そして、国の負担、地方の負担はできるだけ減らしたらどうだ。経費負担でかなり減るであろうと思います。それでもなお財源が足らぬというならば、その足らない分に対しては、一応、一時的であろうけれども借入金をしてその穴埋めをしていくということ。

 したがって、同じ公共事業の一つの事業にいたしましても圧縮させていく。これはまず第一に経費の削減をさせていく。そういたしますと、削減した分が他の公共事業総額におきまして、事業量は減らなくても少し伸ばしていって確保できるじゃないか、こういうことを考えております。

石井(紘)委員 小泉総理は、やはり構造改革というものを進めていくということが財政の健全化にもあるいは経済の活性化にもつながっていくのだ、そういう考えだというふうに国民の皆さんは理解しているだろうと思うのですが、どうも塩川大臣はもう少し総理大臣とお打ち合わせになられた方がよろしいのじゃないかと思います。

 公共事業の量は減らさない、むしろふやしていくのだけれども、少しずつ節約して経費を節減していく、そんな程度の問題。これは構造改革じゃない。これはただ単なる行政の努力の話なのでありまして、それは全然構造改革じゃないんですね。

 また、今も、経費を減らしていく、その分をでは財投から、あるいは特殊法人なんかに借りてきたらいいのじゃないか、そういうふうにおっしゃったのじゃないですか。先ほど言われた都市再開発というようなことに振り向けていくというようなことも、これも特殊法人がやっていることなんですよ。ですから、これではこういう今までの構造をむしろ積極的に支えていくといいますか、伸ばしていくようなことにもなりかねないわけでございます。

 ですから、大臣、時々錯覚される、私も、錯覚癖がおありになったらこれは大変だなと思うのでございますが、お忘れにならないように。構造改革というものは、政府の支出というものを、構造的にそのあり方を変えて、そして極力小さな政府へ持っていって、つまり、財政が全部、経済も何もかも面倒を見るといってざぶざぶ金をつぎ込んで、そして、今もおっしゃったけれども、それが景気対策だというのではなくて、そうではなくて、むしろ市場の自主性に任せて、そして、それによって経済を膨らますことによって財政改革もできるのだ、そういう方向に持っていっていただくということを期待しているわけでございます。

 一度おっしゃったことをここはひとつお忘れになって結構だと思うのです。財投からまた借りてくるのだとか特殊法人にやらせるのだとか、そういうことはぜひお忘れになっていただいた方がいいと思うのですが、いかがでしょうか。

塩川国務大臣 私が言っておることと石井さんとそんなにえらい違わないと思うのですが。

 石井さんの話を聞いていましたら、ようかんをかみそりでぴしゃっと切ってこうやるんだ、これが構造改革だというような印象を受けますけれども、そう簡単にようかんを切るようなことになかなかいかない。けれども、目標はそういうところに持っていかなきゃいけないと思っておりますよ。けれども、それにはやはり経過を経ていかなきゃならぬということ。したがって、平成十四年度の目的財源等につきましては、一応そういう多目的で使用していくという方向性をつけて、その上で改めて法改正等を検討していくということをやる。

 財政制度、システム全体につきましてもそうでございまして、ただ財政だけで構造改革はできるものじゃございません。したがって、私たちが今言っておりますことは、都市開発にしても、民間資金を導入しようとするならば、規制緩和をやらないと民間資本は入ってきません。日本の公共事業は全部国と地方団体、公共でやっておるというのじゃなしに、公共事業のうちで相当部分が民間資金で賄えるものがございますが、それは規制が改正されない限り導入できない。そういう点もあわせてやっていくならば、構造改革の実績は徐々に上がってくる。それを強く推進するかどうかということが我々のこれからの心得でございまして、一生懸命に強く推進してまいりますから、御期待していただきたいと思っております。

石井(紘)委員 言葉だけ躍っていたのじゃしようがないので、ちょっと一つ具体的なことだけ。

 この公共事業の予算がそうやって経費削減される分を公団などで対応できる、こういうふうにおっしゃったのでしょうか。それはまたお忘れなんでしょうか。あるいは、もしおっしゃったとすれば、それはそのままでいいのですか、撤回するのですか、どうなんですか。

塩川国務大臣 何か公団で全部肩がわりする、私、そういうことは言っておりません。公団の中でも使うものがあるじゃないかと言っておるのです。

 例えば、住宅・都市整備公団は土地をうんと持っています。それが持っておるのを活用するということも一つの重要な景気対策上の問題になってくる。ただし、そのときも無条件でやるのではなくして、先ほど申しましたように、コストとかいうような条件を厳しく見直して積極的に推進させていくべきであると思いますし、下水道事業団等にいたしましても、これからますます整備していかなきゃならぬ。そういうものを言っておるのであって、特殊法人全体についてこれを推進するのだ、そういうことを言っておるものではございませんで、ひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。

石井(紘)委員 ありがとうございました。

 ちょっと話題をかえたいと思います。

 先日来、私が解明をいたそうとしている問題ですが、防衛庁空自の新初等練習機の発注、入札に絡む疑惑の問題でございます。

 皆さんのお手元に資料を配らせていただいていると思いますが、これをちょっと簡単に説明をさせていただきますけれども、その前に、私が最初にこの問題を出しましてからもう二カ月近くたっているのじゃないかと思います。会計検査院は、大変重大な関心を持って直ちに検査をするという御答弁をいただいたと思いますが、その後、検査を実施していただいているでしょうか。いかがですか。

関本会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 ただいまの件につきましては、現在、防衛庁から資料の提出を受けましたり、あるいは説明聴取を受けたり、また契約の相手方であります富士重工につきましても、説明を徴するなどいたしまして、鋭意検査を実施しているところでございます。

石井(紘)委員 これは最近いろいろな、中央公論だとかその他の雑誌等でも大きく取り上げられて、これは大変な疑惑ではないかということが世間でも取りざたされるようになってきているわけでございます。

 そこで、この問題というのはつまり、お配りさせていただきましたペーパーをごらんいただきたいのです。最初に白い紙がついておりますが、その次にあります大きなペーパーでございます。カラーを入れてございます。

 この新初等練習機というのは、入札をして契約したのが昨年の九月でございますね。この入札には日本の企業でございます富士重工とスイスのピラタス社と、二社が応札をしてきた。正式な入札というふうにされていたのは、全部で四十九機、将来九年間か十年間かにわたって購入するもののうちの最初の二機分ということでございました。その最初の二機分の価格は、以前にも申し上げましたとおり、富士重工の方がかなり高い値段であったにもかかわらず、富士重工に落札をされたということでございました。

 そこで、防衛庁の方の説明は、これは第二回以降の契約は随意契約になるのだけれども、全部で四十九機買うから、それの機体の価格全部とそれからライフサイクルコスト、LCCの価格を評価したものだというふうな説明でございました。それで、そっちの方が、三機目以降、二回契約分以降の方が富士重工の方が安かった、トータルすると富士重工の方が安いんだと。しかしながら、そっちの決め手になった方の価格は、入札の際に必ず行われる封印をして、あるいは箱に入れる、こういう密封する状態にしないで、いつでもその中の書類が差しかえられるようにしてあった、現に修正も行ったということは防衛庁の答弁で明らかになったわけでございます。ただ、どこまで修正が行われたかということは、私はまだ大いに疑問を持っているわけでございますが、そういうやり方であった。

 そこで、私は、この入札の方法というのは会計法によりますと、会計法の二十九条の六に一と二というのがありまして、この二の規定に従った方法でなされたのだろうというふうに思うわけでございます。といいますのは、入札するそれ自体のものとあわせて、ほかの要素も加味して価格を出して、そして決めるという方法をやるときには、これは財務省と協議をしなければならないということになっているわけですね。ですから、当然これは財務省と協議をされて行われたのだろうと思います。

 そこで、財務省にちょっと伺いたいのですが、どういう協議を防衛庁は持ってきたかということですね。価格を決める方の結果的に決め手になった三機目以降の価格については、これは封をしませんよ、これは後で幾らでも差しかえられる形でやるということですが、そういう形で、封をするのは最初の二機分だけですよというようなことまできちっと防衛庁の方から財務省は言われて、そして了解をしたのかどうなのか、お答えいただきたいと思います。

杉本政府参考人 お答えさせていただきます。

 防衛庁の航空自衛隊初等練習機導入に係る入札のお尋ねでございますが、当該練習機の入札に当たりましては、入札価格以外の条件も評価すべき、例えば機能とか性能でございますが、そういうものとして、通常の落札方式であります最低価格落札方式ではなく、総合評価方式を採用することが適当だということでございまして、先生御指摘の会計法二十九条の六の二項、これに基づきます予算決算会計令第九十一条第二項の規定に基づきまして、内閣総理大臣から、当時は大蔵大臣でございましたので、大蔵大臣に対して協議があったものでございます。

 具体的な協議の内容につきましては、当該落札方式の適用範囲、落札方法、総合評価の方法等でございます。これを具体的にどのように適用し、またどのような入札の事務を行うかにつきましては、これは防衛庁におかれまして、関連法令に基づき実施されているものと承知しております。

石井(紘)委員 そうしますと、財務省の方では、具体的にどういう方法をとって入札、それから開札を行うということは言われなかったわけですね。防衛庁の方は具体的には、私が先ほど説明したように、二回目の、要するに三機目以降の分についてはこれは封をしないとか、そういうことは言われなかったわけですね。そこだけちょっと。

杉本政府参考人 具体的には、例えばライフサイクルコストにつきましては、教育上必要とされる機数に応じて所要期間において確実に発生する費用であり、その価格について客観的な条件のもと相当な確実性を持って見積もりができる、そういう一般的なやり方について協議を受けておりまして、具体的なやり方自体については、法令に基づきまして防衛庁の方で適切にやられたものと私たちは伺っております。

石井(紘)委員 今、適切にやられたものとおっしゃいましたけれども、それは、それが正しかったかどうかという評価のことじゃないですね。

杉本政府参考人 会計法等の法令に基づいてやられているものというふうに私どもは考えておるということでございます。

石井(紘)委員 そうしますと、もう一回財務省に伺いたいのですが、入札という以上は、これは随意契約でもないし、あるいは民間同士の企業が下請にぽんと出すというような、そういう私的なものじゃありませんから、入札でありますからこれは当然のことながら、いかなる場合であっても、評価、性能等が少なくとも同じであればこれは価格でもって決める、これが入札ですね。

杉本政府参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。この場合はただ、価格プラス機能、性能というものをどういうふうに評価するかという問題があったということでございます。

石井(紘)委員 この場合は、機能、性能は全く同じということが防衛庁の発表でも出ているわけです。

 そこで、そうしますと、価格で決める、しかしその価格は封印されていなかったということが今明らかになった、それがそういう形で行われたということが明らかになっているわけです。防衛庁の方もそれは先日認めたわけですね。

 そういうことでございまして、この大きな紙を見ていただきますと、私は、価格の面で大きな不正が行われた疑いが濃厚であるというふうに見ております。

 富士重工が契約をすることになったこの価格の中の一番左の上に、購入経費、維持経費、関連経費というのがあります。このうちの維持経費、この維持経費は、上に総額九十八億円というふうになっているわけですね、これは発表されております。このうちの維持役務費というのがございます。この維持役務費というのが、この中でも一番多くを占めるものなんです。大部分を占めるものなんですね。

 それが、右に行きますと、支援整備、機体定期修理その他六項目でございますが、この機体定期修理というのを空自ではIRANというふうに呼んでおります。これは富士重工が請負ということになるわけです。その他のものは、富士重工ではなくて三菱等々に決まっているわけですね。このIRANの部分がどうだったのか、ここを私は今問題に取り上げたいと思うのです。

 これを、先日来、四月の初めぐらいから、質問主意書でもって、この価格をお出しくださいと言っているのですが、防衛庁はどうしてもこれを出してこないのですね。この右に行きますと、維持役務費総額六十四億円、この数字は防衛庁によって発表されているのです。しかし、今の機体定期修理、IRANという部分が、これはどう計算しても、どんなふうに逆立ちしても、六十四億円をはるかに超えてしまうわけです。これだけで超えてしまうわけですね。

 といいますのは、この落札をしたT3改という初等練習機は、海上自衛隊で使っているT5という機種と同型であって、ほとんど変わらない。どこかに飛行機の図をかいたものがお配りしてある思うのですが、小さい方の、この赤く塗った部分は、これは全部海自で使っているT5と共通のものでございます。この接合部分、青い部分の接合部分を変えた。右の四角で囲んだところの中段よりちょっと下の方に赤い字で書いておりますが、これは野呂田防衛庁長官が二月二日の予算委員会で答弁をしたものでございますが、新規開発部分を胴体前部と後部の接合部分に限ることにしたということですから、この部分だけが違っている。

 先日のお答えでは、座席が四つありますよとかなんとか言っておりましたが、これは笑い事みたいな答弁だったのです。座席が四つある、座席は、この小さい紙の飛行機の一番上の表に書いてありますとおり、操縦系統数というものです。この操縦系統というのは、要するに、訓練を受ける自衛隊員が乗って、それから教官が乗るわけですね。そのために二つの操縦系統というものがある。コックピットがあるわけです。そのほかに二つ座るところがありますよということをこの間の答弁では言っただけで、それはただ、座るところが、いすが置いてあるだけなんです。

 こういうことですから、性能、機能は、このT5もT3改も同じ。それから、ペイロードというのは、いわば車でいえば排気量みたいなもので、飛行機がぐっと上へ上がっていくときの単位を示すものです。これは三千四百九十四で、これも同じ。それから制限荷重倍数というのも、六・〇で正も負も同じ。エンジンは、片や三百五十馬力、片や四百五十馬力ですから、エンジンは若干T3改の方が大きい。これによっていろいろ、定期修理だとか整備だとか、あるいは通常の支援整備だとか、そういうものの値段が変わるということはほとんどないのであります。

 これは、私も専門家から随分詳しく話を聞いてございますが、そういうことはないのでございます。あるとしても、ほんのわずかなものでございます。今から言うような莫大な、百億とか二百億とかというような差が出てくるものでは決してないのであります。これは結局、国に莫大な損害を与える、そういう問題なわけです。

 といいますのは、海上自衛隊で使っているT5というのが高過ぎるのか。あるいは、富士重工に四十六人も天下りをさせておる。あるいは、ここにも書いてございます支援整備を行って何百億という発注を防衛庁から受けている富士重工の子会社であります富士航空整備、こういうところには、質問主意書の答弁によりましても、百二十八名もの防衛庁からの、あるいは自衛隊からの再就職が行っておる。ここにこの仕事をやらせる。しかも、この支援整備費というものは、丸ごとそういう会社のために出すお金なんです。

 この支援整備費というものが幾ら計上されて、この契約の中で幾ら出されているかというようなことも、この小さい方のペーパーの、今の飛行機の紙の次に全部書いてございます。防衛庁が出してこないものですが、一番右側の黒く書いてあるところ、この六項目を全部ひっくるめた値段は百二十何億という額なわけですね。これは、いわば事実上全部富士重工に行くお金なんですね。そのほかにも問題はいろいろたくさんある。したがって、この内訳をどうしても出してもらわなければなりません。

 この維持役務費というので、今のペーパーによりますと、富士重工は六十三億八千万というふうになっているわけですね。しかし、これまた、きょうは時間が足りませんから後にまた申し上げますが、先ほど申し上げましたIRANの経費だけでも、これを計算しますと、どうやって計算するかというと、さっき言った海自のT5と同型機種ですから、T5の価格で計算をすればいいわけですね。T5の価格は、単価が一機五千七百一万円だ。これを、海自は、通常は三十三カ月でやるわけです。そうすると、それが五千七百一万円だ。これでもってずっと計算をしていけば、少なくとも、T3改、八十六億円にならなければおかしいわけなんですが、この八十六億円は、維持役務費全体は六十四億円だというのですから、これだけでもはるかに超えてしまうわけです、このIRANの経費だけでも。

 そういうことですので、どうしても細目を、詳細な数字を出してもらわなきゃいけません。この維持役務費の内容について再三私は要求しているのですが、これをお示しいただきたいと思います。

中谷国務大臣 防衛庁といたしましても、この件につきまして、できる限り透明かつ公正な枠組みの中で手続を実施するため、入札の情報公開ということには取り組んでおるわけでありますが、先方に対しても、これの照会をお願いしましたけれども、入札説明書の中に、公開、使用の制限を希望する場合はその内容、理由を明記するという旨の規定がございまして、供給者側の営業上の秘密等に関する情報の保護という観点で、先方の方からその書類につきましては公開、使用の制限がある旨の申し出を受けていることから、細部内訳のデータの開示につきまして、承諾が得られなかったわけでございます。

 なお、今後とも、そのようなことにつきましてもさらに努力をしてまいりたいというふうに思っております。

石井(紘)委員 中谷長官、これは国費を出費する支出の話ですよ。何でこういう価格がついたかということは、富士重工に聞く話じゃありませんよ。これは防衛庁が言わなきゃならない話ですよ。ちゃんと言いなさいよ。

中谷国務大臣 その点につきましては、入札時に先方の社、恐らく、A社、B社、二つございますが、両方ともお約束をしておりまして、この情報公開につきましては先方の承諾を得るということがございますので、その約束は守っていかなければいけないと思います。

石井(紘)委員 入札説明書には、透明で公正にやると書いてあるのですよ、透明性、公正性。透明にやらなきゃいけないじゃないですか。先方がどうのこうのじゃない、スイスのピラタス社は出してくれと言ってきたじゃないですか。そんなことを問い合わせる必要もないんですよ。あなた方は、富士重工が落札して、富士重工と契約したのですから、その富士重工に対して幾ら払ったのか、なぜその金額なのかということは、透明に、国民にわかるように公開しなきゃいけないんですよ。

 中谷さん、あなたは新たに防衛庁出身の大臣としてなったんだから聞きますけれども、この入札というものは公正に行われたという自信がありますか。

中谷国務大臣 私が就任する以前の契約でございますので、私が関与していなかったわけですので、その辺の確証というものはないわけでありますが、国民の税金で国の防衛が成り立っているという観点では、先生のおっしゃる筋はごもっともだと思います。

 しかし、この契約に関しては、ピラタス社も富士重工もそういうことで契約をしているわけでありますので、この規定がある以上はこれを守らなければならないと思いますが、なお、そういう疑惑を解明するという点につきましては、再度富士重工に照会をいたしたいというふうに思っております。

石井(紘)委員 ちょっとあなたの答弁の中で問題があるのは、私が就任する以前の問題だと。就任する以前の問題について、あなたは責任がないのかどうか。

 それから、あなたが就任してどのくらい日時がたったか。この問題は、既に、もう二カ月も前から国会で問題になっていることなんです。これに対して、あなたは何にも調べていないのですか。もうあなたははっきりしたことを言わなきゃだめですよ。

中谷国務大臣 事務方から説明をいただいておりますが、私はその当時の契約の場に立ち会っておりませんので、一〇〇%そのことが正しいかという御質問ですから、そういうことは申せないということでありますが、なお……。

石井(紘)委員 ちょっとこれは、委員長、問題ですから、ちょっと待って、ちょっと待って。

 私は立ち会っていないからわからないと言うんですよ。これはどうなんですか。

持永委員長 大臣の職責その他十分考えていただいて、答弁をお願いします。

 石井君。

石井(紘)委員 大臣、あなたは今、事務方から話も聞いて、これは重大な問題だという認識がありますか。あるのだったら、あなたは自分で積極的に解明しなければいけないじゃないですか。それはあなたの責任ですよ。

 いいですか。この問題は、海上自衛隊がT5というのを使っておって、それとT3改の値段は百何十億も違うのですよ、二百億も違うのですよ。そうすると、どっちかが、海上自衛隊がごまかしている、払い過ぎなのか、あるいは空自の方が、こんな安い値段でやって、ほかの取引が裏にあるのか、そしてそのために不正な入札が行われたのか、そういう問題なんですから、あなたは重大な立場に立っているわけですよ。はっきり答弁してくださいよ。

中谷国務大臣 その点につきましては、御発言を肝に銘じまして、全力で取り組んでいきたいというふうに思っておりますが、今の時点で私が説明を受けている点につきましては、価格の違いについては、一年当たりの製造機数の数の差、それから開発規模の違い、民生品の利用、エンジンの一括発注、T3改の見積もり等には消費税が含まれていないこと等によってこのような価格の差が生じているというふうに報告を受けております。

石井(紘)委員 もう時間がなくなりましたが、あなたが今言ったことは、大変いいかげんなことを言っているのです。あなたは自分でもっとちゃんと調べなさい。事務方から聞いた話でしょうけれども、消費税がどうのこうのとか、そんないいかげんな答弁をやっていると重大な問題になりますから、それだけ申し上げておきます。

 それで、次にまた私がやりますから、そのときにははっきり答弁してください。あなたは、もし悪いのだったら、自分で積極的に身をもって解明して、責任を防衛庁としてとる、あるいは、正しいのであれば正しいとはっきり言う。いいですか。そういう約束をしてください。

中谷国務大臣 そのように努めてまいります。

石井(紘)委員 どうもありがとうございました。

持永委員長 次に、大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 私は、最初に、塩川財務大臣の政治姿勢問題、機密費問題とは別の角度からお尋ねをしたいと思います。

 小泉首相は、自民党を変える、日本を変える、こう言って自民党の新総裁になり、内閣を構成されました。しかし、自民党のどこを反省し、どこを変えるのか、もう一つはっきりしない。全体としては古くて、一方では危険な、そういう方向まで出ているわけでありますけれども、とりわけ政官業癒着の政治、こういう面での小泉内閣、私は、全く旧態依然、こういう状況があるのではないかと思います。

 国民が森前内閣を見放した大きな理由が、この間問題になりましたKSD汚職あるいは機密費問題等々に見られる政官業の癒着の問題であります。KSD汚職、これもまだ解明されなくてはなりませんが、政官業癒着のトライアングル、その典型ではありますけれども、私は、まだこれはごく一部にすぎないと。

 こういう面で、塩川大臣は自民党総裁選で小泉候補の選対本部長を務められたとお聞きしましたけれども、同時に、現在小泉内閣の重要閣僚として財務大臣に就任されております。そこで、小泉総理が自民党を変えると言って、KSD汚職に象徴される政官業癒着の政治、自民党と業界団体の癒着の関係、これを抜本的に正す必要がある。小泉内閣がまずそのことに着手しなくてはならないと思うわけでありますけれども、この点で、まず塩川財務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

塩川国務大臣 おっしゃるとおり、絶えず改革を進めなきゃなりませんし、改革を進める場合にはやはり政治姿勢が大事だと思っておりまして、それは拳拳服膺して私も務めてまいりたいと思っております。

大森委員 そこで、具体的に幾つかお聞きをしたいと思うわけですが、政治家と金の問題、これは今日もこれまでも絶えず大きな問題になってまいりました。

 そこで、塩川大臣の政治資金についてお聞きするわけですが、あなたの資金管理団体、塩心会ということで間違いないでしょうか。

塩川国務大臣 間違いありません。

大森委員 そこで、資料をお配りしておりますが、ごらんいただきたいと思います。

 資料1に、政治資金収支報告、そのまとめたものが官報で掲載をされております。その中で、資料1―2ですが、仁風会牧野病院、それぞれ九九年五月十八日と十二月十七日に、この仁風会牧野病院、代表者牧野光夫氏から二回にわたって十五万円ずつ、合計三十万円寄附を受けているということになっておりますが、これは間違いないですか。

塩川国務大臣 報告を出しておる以上、間違いないと思っております。

大森委員 それでは、厚生労働省にお聞きしたいわけですが、九八年度、仁風会牧野病院に対しどういうような補助金を交付されたのか、事業名、補助金、交付決定日を明らかにしていただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 医療法人仁風会牧野病院につきましては、医療施設近代化施設整備事業補助金といたしまして、大阪府に対し、平成十一年三月二十六日付で百九十二万一千円の交付決定を行っております。

 さらに、患者サービス改善設備整備事業補助金といたしまして、同病院に対しまして、同日付で五万九千円の交付決定を行っております。

大森委員 資料3―1及び3―2をごらんいただきたいと思うのですが、私どもが政治資金収支報告書に掲載された各法人等に対しての当時の厚生省からの補助金について調査要求したところ、厚生労働省から提出されたのが資料3―1及び3―2であります。これは、塩川大臣の塩心会に寄附をした団体にこれほどの補助が厚生省から行われていたという資料であります。

 そこで、これが政治資金規正法との関係でどうなるかという点でありますけれども、総務省にお聞きをしたいのですが、政治資金規正法では、寄附の質的制限、こういう形で二十二条の三を設けております。その中で、国から補助金、負担金等を受けた会社その他の法人は、交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日まで寄附をしてはならないと明確に規定しているわけですね。これはついでに資料4として添付をいたしました。

 総務省にお聞きしたいのですが、この条文を規定した理由を明らかにしていただきたいと思います。

大竹政府参考人 政治資金規正法第二十二条の三第一項におきましては、ただいま御指摘ございましたような規定を設けているわけでございますけれども、同項の規定は、国から補助金等の交付を受ける会社その他の法人との政治資金の授受は、補助金等の決定をめぐり不明朗な関係を生じさせる危険性があること等にかんがみ、このような会社その他の法人が行う政治活動に関する寄附について規制をしようとする、このような趣旨で設けられたものと理解しております。

大森委員 まさにそのとおりであるわけですが、旧自治省選挙部政治資金課が編集した政治資金規正法の逐条解説では、補助金等を受けている法人が、補助金を受けていることにより国と特別な関係に立っており、その特別な関係を維持または強固にすることを目的として不明朗な政治活動に関する寄附がなされるおそれがあるので、それを防止しようとするものである、こう明確に述べているわけですね。

 塩川大臣にお聞きしますが、この法人と塩川大臣との関係はどういう御関係でしょうか。

塩川国務大臣 仁風会牧野病院というのは、私のところからちょうど二百メートルぐらいの近くのところでございまして、その院長と私は小さい餓鬼の時代からの友達でございますから、長いつき合いでございまして、お互いに親戚みたいにつき合っておる仲です。

大森委員 特別な関係を維持または強固にすることを目的として不明朗な政治活動に関する寄附を禁止しているというわけなんですが、この厚生労働省から提出された資料を見ても、仁風会に関するそういうものが幾つも出されているわけであります。

 これは、先ほど総務省からもありましたように、明らかに政治資金規正法違反であります。二十二条の三の規定に違反して寄附を行った者、勧誘、要求した者及び寄附を受領した者は「三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」と二十六条の二で規定しております。

 そこで、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

塩川国務大臣 こういう質問があるということで、実はけさ聞いたようなことでございまして、私は全く意識も何もしていなかった。

 仁風会の牧野さんというのは毎年ずっと何ぼかずつ寄附してくれるものですから、事務所の方でそれを自動的に受け取ったのだろうと私は思うておりまして、私もお礼を言うたこともないし、全く覚えがないような寄附でございます。

 しかし、先ほど申しましたように、小さいときから一緒にずっとつき合いもしてきた仲でございますから、私を一生懸命応援してくれていることは事実でございます。学校も一緒で、小学校、中学校、全部一緒でございましたから、そういう関係だから、別に何も頼まれ事だとかそんなことでやったことは全然ございません。

大森委員 私が問題にしているのは政治と金の関係の問題で、そういう立場から、政治資金規正法でこういうおそれがあるものについては明確に禁止をしている。今指摘して明らかにしたように、政治資金規正法に違反の献金であるという認識にはまだ達していないのですか。

塩川国務大臣 私は、今言われてああそうかなと思う程度でございまして、全然意識を持っておりませんでした。けれども、おっしゃるように法律で書いてあるとするならばそうかなと思う程度でございまして、法律を、こんなのを一々読んで献金している人は恐らくいないのじゃないかなと思います。

 しかし、御指摘されたら、法律に書いてあるんだからやはりそうかなということでございまして、その点につきましては、私も、これはいかぬ、反省せないかぬなと思うております。

大森委員 まさにそこに皆さんの自民党内閣の、小泉内閣の脱することのできない、金権にまみれて、そういうものとの関係をみずから律するという、厳しいそういう意識が何一つ感じられない、それが私は最大の問題であると思います。そういう点で、まだそうかなという程度の認識にしか至っていないというのは、大変これは重症、それこそもう再起不能の金権体質病ではないか。

 このことを指摘して、これは、あなたが古い、小さいころから交友があるということは主要な問題ではないわけであります。では、こういう献金を通じて、厚生省が出されたようなああいう補助金のあっせんとか口ききとか、そういうのがなかったとだれが証明するのですか。そういう意味で、厳しくこれは指摘しておきたいと思います。

塩川国務大臣 よく調べまして、私は、違法をしているのだったらその政治資金、いただいたものを返しておきますから。それで、私もよく研究いたします。けれども、余りいろいろな方々から献金を受けるということは好ましいことではないと思っております。

大森委員 先ほどの大臣の答弁の中で、法律を一々読んでやる人はいないというような発言がありましたけれども、これは大変重要な問題だと思うのですね。一般の人が言うならともかくとして、財務大臣という立場にある人がこういう、法律を一々読んでやる人はいないなどと言って、違法献金が現に行われている、そのことを擁護する立場というのは、内閣を構成する人の発言としては私は認めがたい。その点は、私は明確に取り消すべきだと思います。

塩川国務大臣 先ほど申しましたように、一般の人はそういうことを意識がなかったけれども、こうして指摘されればそうであるということでございますから、私はそのとおりに従う、こう言っておるわけでございます。

大森委員 これは訂正して終わる話じゃなくて、先ほど申し上げたように、その間に、では大臣の方から、あるいは事務所から、この補助金のための口きき等がなかったのかどうか、そういうことについても厳しく調査をする。そういう姿勢が求められるということを申し上げて、次の宅建協会の入会問題についての質問に移りたいと思います。

 これまでKSD問題等で、自民党と業界団体、公益法人との癒着構造、こういうことがたびたび問題になってまいりました。三月の参議院予算委員会で我が党の笠井議員が、栃木の事例をもとに土地改良区の自民党費立てかえ問題、これを追及しました。先般、五月十六日に、農水省がこれを受けて調査を行って、立てかえ総額が十七県で四千六百万円に上る、こういう中間報告を発表いたしました。この自民党の党員数において、土地改良区が九万数千名、これと並んで多いのが宅建協会であります。宅建支部、これが九万二千四百八十三人と、ベストエイトに支部職域党員としてなっているわけですね。

 この自民党と業界団体の癒着ということで、社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の会員である都道府県の社団法人宅地建物取引業協会でもこうした癒着が行われている。これは資料にも入れておりますけれども、全宅連、全宅保証のパンフレットを見ますと、こういうぐあいに書いてあるのですね。

 「全宅連は、法律(宅地建物取引業法)に規定された唯一の全国業者組織であり、主務官庁である国土交通省をはじめ、関係各省庁と深いつながりを持ちながら、会員である全国四十七都道府県の社団法人宅地建物取引業協会を通じて、傘下業者の指導育成に努めるとともに、住宅・宅地政策の改善や流通の近代化に積極的に取り組んでいます。」こう書いてあります。

 宅地建物取引業を新規に開業する場合、これは法律で、営業保証金として主たる事務所一千万円、従たる事務所五百万円を供託して開業するか、もしくは宅地建物取引業保証協会に加入し、供託の免除を受けるというぐあいになっているわけです。この問題が今取り上げた問題と深くかかわってくるわけなんですが、そこで国土交通省にお聞きしたいのですが、全宅連を通じて都道府県の各協会に対し、協会に入会する際自民党への入党を申し込む、こういうぐあいに指導されているのでしょうか。

風岡政府参考人 先生ただいま御指摘をいただきましたように、宅地建物取引業協会、これは法律に基づいて設立をしているわけでございまして、宅建業の適正な運営の確保、あるいは産業としての健全な発展ということで、知事の許可の法人であります。この各県の協会の会員になろうとするときには、当然申し込みの手続あるいは理事会の承認等が必要になるわけでございますけれども、私どもが調べている範囲で、いずれの協会におきましても、特定の政党への入党ということを協会の入会の条件とはしていないというように承知をしております。

 ただ、一部のところでパンフレット等で、御指摘のような形で若干紛らわしい表現があったということでありまして、これは私どもからも、また所管します県の知事の方からも、改善についての指導というものを行っているところであります。

大森委員 これは、国土交通省の認識としては、やはり極めて甘い、浅薄な認識にしかすぎない。

 そこで、資料5―1を見ていただきたいのですけれども、5―1及び5―2ですが、これは群馬県の協会の「入会のご案内」であります。これが実物でありますが、この中に「入会申込に必要な提出書類」として、群馬県不動産政治連盟の入会申込書と入党申込書が記載されているわけですね。

 さらに、資料6―2を見ていただきたいのですが、これは群馬県の宅地建物取引業協会の「定款・規約・諸規程集」の定款なんですが、その第六条で、「この会の会員になろうとする者は、別に定める定款施行規約の手続きを経て、理事会の承認を得なければならない。」さらに、資料6―3、ここではさらに施行規約があります。第三条で、「定款第六条に定める入会申込は、以下のとおりとする。」そして(2)で、「入会申込書を受けた支部長は、支部入会審査会の結果を様式第三号の入会審査結果報告書にて会長に報告する」、こうなっているわけですね。

 さらに、6―4を見ていただきたいわけなんですが、ここで「様式第三号」のあて名として、宅地建物取引業協会、それから保証協会、そして不動産政治連盟、さらに不動産事業協同組合、四団体連名になっております。さらに6―5、これもこの諸規程集の中にあるわけなんですが、これは四団体入会申込書類一覧表であります。この書類一覧表の中で、群馬県不動産政治連盟の入会申込書と自由民主党入党申込書が添付をされているわけであります。

 これは、全体で宅建協会をめぐるさまが起こっている状況、そういう現象が、たまたま群馬県でこういう形であらわれてきたと思うのですね。

 塩川大臣にちょっとお聞きしたいのですが、お取り込み中ですが、こういう姿は社団法人として正常かどうか。所管は違いますけれども、ぜひ大臣の見解をお聞きしたいと思います。

塩川国務大臣 私も、それはやはり御指摘のように団体として何やかやあるということはどうかと思いますけれども、政治団体だったのでしょうか、どうでしょうか、その不動産は。政治団体でやったのですか。私もはっきり、その事実関係がわからないものですから……(大森委員「協会の申込書やら案内に入っているのです、宅地建物取引業協会」と呼ぶ)不動産ですね。不動産関係のことについては、私はちょっと勉強しておらないのですが。

大森委員 出席されているからには、水を飲まれるのは結構ですが、ちゃんと注目していただきたいと思うのです。

 確かに、所管はこれは国土交通省になるわけでありますけれども、しかし、小泉内閣の大臣として、社団法人がそういう入会等の手続の中で、特定の政党の入党の扱いをしているということについてどう思うかとお聞きしているわけで、それは当然、詳しくなくても、まず政治姿勢の問題として、あなたの見識で答えられるはずであります。

 塩川大臣と国土交通省の副大臣に、あわせて御見解をお聞きしたいと思います。

塩川国務大臣 それはおっしゃるように、私たちも十分注意して、そういうことのないように、今後心得てやってまいります。

佐藤副大臣 政権政党である自由民主党が、特定の団体と癒着しているような疑いを持たれるような行動はよくないと思います。小泉総理も何回も申し上げておりますとおり、やはり多くの国民に支持される自由民主党でなくてはならぬと思っています。多くの方々の目の高さで政策をつくり、行動していく、そのことに自由民主党はしっかりと基盤を置いてしていかなくてはならぬ、そう思っています。

大森委員 疑いではなくても、完全に癒着の構造になっている。KSDでも明らかになり、先般農水省の調査でも、土地改良区で明らかになった。今回この問題を取り上げているわけであります。その都度、言われたことについて一つ一つ発言するのではなくて、それこそ、全面的に自民党の政治を変えるというのであれば、癒着の構造全体をしっかりと洗い直す、調査し直す、そのぐらいの姿勢が必要だと思うわけです。

 これは群馬県の問題だけではないのです。この宅建協会についても、例えば静岡県、これも資料で添付しておりますけれども、「入会のご案内」に宅建協会と保証協会、政治連盟、これは三団体一体である。宅建協会の会員は、同時に、保証協会の社員、政治連盟の会員となっているわけですね。三団体の入会金と会費を徴収しているわけです。さらに、多くの都道府県でも、大体これはもう同様のそういうシステムになっているわけであります。協会、保証協会、政治連盟、会費も全部払う。そうしないと、もう事実上不動産業ができない、こういう現状に今なっているわけですね。

 そこで問題は、では、その会費の流れはどうなっているのかということでありますけれども、国土交通省として、各都道府県の不動産政治連盟と、上部団体である全国不動産政治連盟の収支状況、こういうものは把握されているでしょうか。

風岡政府参考人 不動産政治連盟の収支状況につきましては、これは宅地建物取引業法に基づく活動ということではありませんので、私どもとしましては、その内容については把握をしておりません。

 当然、御案内のことだと思いますけれども、この政治連盟の収支につきましては、政治資金規正法に基づきまして、各都道府県の選挙管理委員会に報告をされている、このように承知をしております。

大森委員 あなたは、そういうことを知りもしないで、調べもしないで、特定の政党との関係などないと思うということを言ってはいけないと思うのです。

 そこで、私の方から紹介しますが、各都道府県不動産政治連盟と上部団体である全国不動産政治連盟の政治資金収支報告書、これを見ました。会員が各都道府県政治連盟に納入した会費は、各都道府県不動産政治連盟から全国不動産政治連盟に上納される。さらに、その全国不動産政治連盟、これはいわばろ過紙、マネーロンダリングとして、これがどこに行くかというと、この全国政治連盟から自民党宅建支部に行くわけです。

 その資料が資料8であります。ごらんいただきたいと思うのですが、九七年、九八年、九九年、それぞれあるのですが、九七年でいえば、各会員が都道府県の不動産政治連盟に納めたのが全国不動産政治連盟に寄附をされる、三億五千何百万ですね。そして、九七年の場合、全国不動産政治連盟から都道府県の自民党宅建支部に一億三千五十七万、こういう形で全国政治連盟でろ過されて、ロンダリングされて自民党に行く、こういう仕掛けになっているわけであります。こういうものがさまざまな選挙費用に使われるということに当然なっているわけです。

 まさしく、これがこれまでの自民党政治の悪弊であると思うのです。小泉内閣が自民党政治の悪弊を打ち破るとおっしゃっているわけでありますから、こういう仕掛け、構造こそ打ち破っていく、このことが求められると思うのです。

 その点で、そういう点での御決意と協会会員の新規加入に際して、自民党への入党を強要していないかどうか。それから、もう一つが、既存の会員や新規会員に対して、不動産政治連盟への加入を強要していないかどうか、こういう点について調査を行う必要があるのではないかということで、そういう決意と、それから、その調査に対しての回答は、塩川大臣、国土交通副大臣からそれぞれお願いをしたいと思います。

佐藤副大臣 今お聞きしましたようなことが事実としてあるのであるならば、紛らわしいことがあるのであれば、全国の連合会にしっかりと言いまして直させていきたい、そう思っております。

 さらにまた、先ほど申し上げましたとおり、自由民主党が紛らわしいような、また疑いを持たれるようなことがないように、これからやはりしっかりと気をつけていかなければならぬ、そう思っています。

大森委員 その点はぜひ行っていただきたいわけなんですが、先ほど申し上げましたように、入党の強要、そういうものが行われているかどうか。あるいは、政治連盟にしても、これは本来は任意の加入でなくてはならないのです。しかし、現実はそうなっていないという点で、政治連盟に対する加入の強要があるかないか、こういう点、ぜひ調べて、当決算委員会に御報告をいただきたいと重ねてお聞きしたいと思います。

風岡政府参考人 私ども、今回御質問いただくに当たりまして、実態の把握についても、短期間でありましたけれども、してまいりました。

 それで、入党条件につきましては、私どもが調べた範囲では、群馬県のケースというのがありましたので、それについては、見直しをするようにという指示をしたところであります。

 それからまた、不動産政治連盟等の加入につきましては、もちろんこれは強要しているわけではありませんけれども、幾つかの協会におきまして、それがまさに紛らわしい、強要されているのではないかと受けとめられるような入会案内書がありましたので、その辺については適切に直すように、既に指導しておりますけれども、それを徹底していきたい、このように考えております。(発言する者あり)

 私どもで調べました状況を今御報告させていただきましたけれども、今後とも、実態の把握というものについては、当然日ごろから努めていきたい、このように思っております。

大森委員 私が質問で取り上げて申し上げたのはついきのうぐらいですよ。半日ぐらいの調査でそういうことがわかるはずないのです。

 これは大体、初めて指摘した問題ではないのです。こういう政治連盟と任意の社団法人のそういう癒着構造、そういうのは初めて指摘した問題ではありません。したがって、本省から電話一本かけてわかるようなものではないと思うのです。そういう意味で、全面的に改めて調査を行い、当委員会に報告されるよう、重ねて副大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

佐藤副大臣 今局長から申し上げましたとおり、再度調査をいたしまして、御報告させていただきます。

大森委員 終わります。

持永委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

持永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中塚一宏君。

中塚委員 自由党の中塚でございます。どうぞよろしくお願いします。

 十一年度の公共事業等予備費ということなんですが、まずちょっと申し上げますと、公共事業等予備費というのは、私ども自由党が連立政権におりましたときに私どもの強力なプッシュで実現をしたものでありまして、十年の末に連立政権の合意というのができて、ともに予算を編成するという合意があったわけなんですけれども、予算編成自体は年じゅう通しておやりになっているわけですから、その年末に、当時二年連続マイナス成長であったということもありますし、また小渕総理が、確実にプラス成長と言えるものにしたい、そういうふうな強い意向もありまして、五千億円の公共事業等予備費というのを計上して、確実にプラス成長になるような、そういうふうな予算をつくろうという合意があって、これが実現をしたという経緯があります。

 当時の合意も、公共事業費については、予見しがたい経済情勢の推移等に機動的に対応するために新たに大幅な公共事業等予備費を計上する、十一年度の公共事業費については、事業の規模で平成十年度補正後の予算額とおおむね同額を確保するという合意がありまして、そういったことがありましてこの公共事業等予備費というのが計上をされたわけです。

 調べますと、以前も、昭和五十一年、あと五十三年、五十四年と公共事業等予備費というのが計上されたことがあったようですけれども、ただ、使われたのは五十一年度だけで、しかも五十一年度はほとんど災害に使われたということであって、そういう意味では、この十一年度の公共事業等予備費が執行されたというのは画期的といいましょうか、それまでには例がない、目的を明示した上での予備費の執行であったということが言えると思います。

 そこで、その公共事業等予備費の効果、九月だったと思いますが、閣議決定をして使用をしたわけなんですけれども、公共事業等予備費の効果について一体どういうふうにお考えなのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

村上副大臣 中塚委員の御質問にお答えします。

 今おっしゃられるように、平成十一年度の公共事業予備費は、非常に民間需要の回復力が弱かったことと、雇用情勢が非常に厳しい状況にありまして、機動的に対処するために追加的な財政出動の必要が生じていたということで、その当時一緒にさせていただきましたとおり、十一年九月に使用を決定しました。

 そうした公共事業予備費の使用は、景気の悪化を防止し、その下支えに非常に貢献したものと我々は今でも考えております。

中塚委員 今お言葉にありました下支えということがすごく大切だと私どもも思っていまして、総需要を管理するという意味でこの予備費なんかをつけたわけですが、ただ、総需要を管理するということと同時に、やはり構造改革というか、そういったことを進めていかなければならなかったはずでありまして、そういう意味では、今、果たしてその目的が達成されたのかなというふうに、ちょっと首をかしげなきゃいけない部分もあるのかなというふうに思っているわけです。

 この公共事業等予備費を十一年度予算に計上するときに、できるだけ国家的プロジェクトというものに使っていこうという合意もいたしておりました。というのは、できる限り地方負担がないような形で需要の追加というものができないのかというふうに考えていたこともあったわけです。それで、実は本当は公共事業等予備費ではなくて、調整費のような形で、閣議決定はしないまでも調整費という形で機動的に使えるようにした方がいいのではないかなというふうな意見も当時あったことを述べておきます。

 ただ、現実に、補正予算の編成を待てないほど急激に景気の情勢が変化をして、早急に執行しなければならない景気対策のための公共事業があるのかどうかということについては、本当はもっと検討をしなきゃいけないというふうに思っていまして、そういった経緯でできた公共事業等予備費ではありますけれども、これからもずっとそういう形でいくのがいいとは私どもも思ってはいないわけです。

 本年度も三千億円の公共事業等予備費というのが計上をされているわけです。いずれにしても、予見しがたい経済情勢の推移にということがあるわけですけれども、毎年毎年これを常態化してやってしまうことになると、かえって財政規律を失わせるようなこともあるのではないかなというふうに思っているんですけれども、本年の予備費について、執行する方針とかあるいは使途というものについて、今の段階でどのようにお考えでしょうか。

村上副大臣 ですから、公共事業予備費は、今委員がおっしゃるように、予見しがたい経済情勢の推移等に備えてやれ、機動的に対処するという目的がありますし、今、小泉内閣になりまして、財政再建と構造改革と不良債権の処理を一石三鳥じゃないけれども同時にやっていこうという意気込みでやっておりますから、補正予算については、十三年度の当初予算の執行を始めたところであり、今後、本予算の円滑かつ着実な実行に努めて、景気の自律的回復の実現に向けて万全を期していきたいと考えておりまして、現時点においては補正予算が必要になるとは考えておりません。

中塚委員 補正予算が必要であるかどうかということは別にして、予備費なんですけれども、ちょっと済みません、もう一度お答えいただけますか。

村上副大臣 だから、今最初に申し上げたように、十一年度の公共事業の予備費は、民間需要の回復力が弱く雇用情勢が厳しい状況にあるなど、予算編成時には予見しがたい状況にあって、それに機動的に対処するために追加的な財政出動の必要が生じていたかどうかということでありますので、そういう状況を見つつ判断していきたいということであります。

中塚委員 内閣がかわりまして、森前内閣と今の内閣というのは何となく政策の運営方針というか態度が変わったんじゃないかなというふうに私自身は感じておるんですね。

 小泉総理は総裁選挙のときに、二、三年はマイナス成長であっても構造改革をやるんだという発言をされていたと思いますが、二、三年マイナス成長というのは本当に大変なことなので、小泉総理はメーデーに出席してごあいさつをされたそうですが、マイナス成長になってしまえば失業率だって上がっていかざるを得ないということになるんでしょうし、そういった点について本当に認識があるのかなというふうにも思うわけなんですけれども、内閣がかわって、経済財政運営の方針というのは変わったんでしょうか。財務大臣、いかがでございましょうか。

塩川国務大臣 これから予算の執行等につきまして濃淡をはっきりしていくということで、私は、これから変わってくるということを信じております。

中塚委員 濃淡がついていって、これから変わっていくということですか。

塩川国務大臣 結果として変わるということであります。

中塚委員 結果として変わるというのはどういうことなんでしょうか。

 例えば、森総理は、この国会が始まったときに、景気と財政健全化と経済構造改革と、三つに配慮をした予算であるというふうにおっしゃっていたわけですね。小泉新総理が言っていることというのは、先ほどの二、三年マイナス成長でもというふうな話もありましたけれども、この三つの分野について三等分に軸を置いているのではなくて、どっちかというと、不良債権の話が経済構造改革のことなのかもしれません、あとは、国債新発債を三十兆円以内に抑えるというような話があるから、これは財政の健全化ということなのかもしれませんが、そういった意味で、新内閣としては前の森内閣と経済財政運営の方針が変わってきているのではないのかというお尋ねなんですが。

塩川国務大臣 森内閣と、あるいはその前も引き続き小渕内閣と、私は大して違っておらぬと思うております。

 それは要するに、小渕さんのときも、経済回復に重点を置くが、同時に経済の、あるいは財政の仕組みも変えていかなきゃならぬということはおっしゃっておる。つまり、重点を経済改革に置いておられて、そこで、二兎を追う者は一兎を得ずということになってはいかぬから、とりあえず景気回復のところに重点を置く、こうおっしゃったんですね。ですから、構造改革というものを、経済改革というものを全然無視しておられない、やはり一緒にやっていきたい、こういう気持ちをはっきりと言っておられます。森内閣になりましても、その趣旨を継続してやっておられたことは当然でございました。

 小泉総理になりましてから言っておりますのは、結局、二つのウサギは一兎の中におさまっておる、こう言っておる。私は、それの表現をコインで例えておるんです。コインで見て、景気回復と、それからそれの結果起こってくるところの構造改革。あるいは、構造改革をやって景気が回復するのか。コインの裏表だからして、これは切り離して議論すべきものではなくして、一体のもの。

 したがって、構造改革を進めながら景気回復を図っていくことは非常に難しいことですけれども、当面、私たちは、裏表のところの表は景気回復だと思うております。裏を見たら構造改善。それは一つのものだと思っていますので、その点はひとつ理解してほしい。

中塚委員 ちょっと、何か余り理解できないんですけれども。

村上副大臣 これは小泉総理と一対一で話したわけじゃないんですが、小泉総理がお話ししていることを我々が勘案して感じますのは、結局今までは、竹中さんが言っているように、景気をよくするために一時的な総需要を出して、ケインズ的な発想でやろう、しかし、何回もそれをやっても余り効果が出ないじゃないか。それで、小泉さんがおっしゃっているのは、多分、アメリカやイタリアやスウェーデンのように、経済がマイナス成長時のときに財政再建に着手して、財政再建と景気対策が、一石二鳥じゃないですけれども、達成できたわけですね。そういう非ケインズ的な効果をねらうことがこれからの一つの考え方じゃないかな。

 ただ、言えることは、私が大蔵委員長のときから常に言っているように、不良債権の処理と財政の構造改革と経済の構造改革、この三つは、今大臣が言われたように、裏表ということもありますが、やはりすべて同時にやらざるを得ない、そういう状況に陥っている。

 それで、先ほど来申し上げているように、不良債権の処理を先送りして何らメリットがなかった。だから、そういうことを考えた場合に、財政再建も経済の構造改革も、もう一日おくれればおくれるほど次の世代が痛むだけだ。そのために、一時的に、数年間は経済の成長がマイナスになるかもしれないけれども、そこは英断と勇気を持って、やはり長期的な、持続的な経済の発展を図るためにそういうことも恐れずにやるべきじゃないかということを小泉新総理がおっしゃっているんじゃないかな、そういうふうに私ども考えています。

中塚委員 塩川財務大臣は、今の副大臣の御発言のとおりでよろしいんでしょうか。

塩川国務大臣 私は、構造改善とそれから景気は同一のものだと思っておりますから、先ほど言ったのと大小そう違いはないと思っております。

中塚委員 一緒に進めなければいけないというのは、もちろんそのとおりだと私も思っています。ただ、ケインズ的な政策が効果が出ないというふうにおっしゃいましたけれども、それはやはり、冒頭副大臣みずから御答弁されたように、下支えという意味での効果はあったはずだと私は思っているんですね。

 ただ、いずれにしても、需要の追加というのが公共事業だけではないということは明らかな話ですので、そういった意味で、財政出動だけで景気を下支えするというか総需要を維持するということについては、私もそれは全然賛成できるような話ではありません。その部分については、全くそういうことだと思います。

 それで、財務大臣にお伺いをしたいんですけれども、景気と経済構造改革と財政健全化と、三つに配慮をした予算であるということを森総理が言っておられて、新内閣になって、やはり三つとも配慮しているということなんでしょうね。配慮をするのは当然だと思うんですよ。ただ、どこに重きを置いているのかという話になってくると、三等分ではなくて、やはり構造改革なり財政健全化の方にウエートがたくさん乗っかっているんじゃないかなというふうに印象を持っているわけです。

 実際、来年度から新発債を三十兆円以内に抑えるということを内閣の方針として掲げられているわけですし、そのことについてこれからお話も進めていかれるようですが、そこで、塩川財務大臣の前の宮澤財務大臣が、財政改革ということについて御発言をされているんですね。宮澤前財務大臣のおっしゃっているのは、「しょせんは財政改革をいつやれるかということでございますが、結局、税制のあり方あるいは社会保障のあり方、中央と地方の関係等々を総合的に、」これはいつもおっしゃっていることですね。「何と申しましてもただいまはまだ、年初に考えました税収が足りなくなりまして減額補正をずっとしてまいったような財政状況で、今年度初めて幾らか見積もり増を補正に計上させていただいておるくらいでございますので、成長がはっきりいたしまして、税収が少しずつでもふえ始めるという状況を確かめまして財政改革に入りたい。」というふうに前の宮澤財務大臣が御答弁になっているんですね。

 この考え方について、塩川財務大臣の御見解はいかがですか。

塩川国務大臣 私自身の考えといたしましても、また小泉総理も同様だと思うのでございますが、構造改革というのはただ単に金づらの面、例えば予算あるいは経済成長とかそういうものだけではなくして、それをやっていく意味におきましても、例えば規制緩和を変えていくとか、それから予算の配分を変えていくとか、そういうことも実は構造改革の一環なんですね。これも並行してやらないと、実際、新しい需要もつくってこれないし、また同時に、財政のいわば節度ある引き締めといいましょうか、国債の発行額を野放しにするわけにいかないから、ある一点で整理していかなきゃならぬ。

 そういうことをいたしました場合には、景気が悪くなってはいかぬから、規制を解除して民間の資金を導入するとか、あるいは政府がやっております他の公社公団の事業等を積極的に推進していくとか、そういうことを通じて総合的にやっていかなきゃいかぬ。それは、先ほどおっしゃいました国と地方との関係に関係してまいりましょうし、そういうものをグローバルで考えて構造改善をする、そしてそのことによって経済の回復を図っていく、こういうような一体のものだと思っております。

 だから、私たちは、重点はやはり景気の回復というものに十分配慮しながら構造改善をやっていくということは当然のことだと思います。

中塚委員 宮澤前財務大臣は、税収が幾らか見積もり増になるということ、つまり、成長がはっきりして、税収が少しずつでもふえるという状況を確かめまして財政改革に入りたいというお話をされていたんですね。

 塩川財務大臣は、このお考えについてはいかがですか。

塩川国務大臣 大先輩の宮澤前大蔵大臣のことを申すのは失礼かもわかりませんが、宮澤大蔵大臣の言っておられましたことは、税の関係を中心にして財政構造の改革を言っておられたと私は思います。

 確かに、税制を変えることなくして財政改革というものはあり得ないと思いますけれども、しかし、財政改革の中のいろいろな部門、例えば予算配分、予算の仕組み、あるいは財投計画の使い方、こういうものも総合的に見て財政改革をしていかなきゃならぬと思っておりますので、広い視野における財政構造の改革だ、そういうぐあいに解釈しております。

 そういたしますと、両立は、税との間では両立いたしませんけれども、そういうグローバルな改革というものと景気対策というものとは私は実は一体のものだと思うておるんです。

中塚委員 グローバルな改革というのは何かよくわからないんですけれども。

 景気対策をするしないということではなくて、小泉総理御自身は、二、三年マイナス成長になっても構造改革をやるべきだというお話をされている。その二、三年マイナス成長になっても構造改革をやるという構造改革の中に、財政の健全化というか、国債発行額の抑制というのも含まれているんでしょう。だから、マイナス成長であっても財政構造改革はやりますということなんですかというお尋ねなんです。

塩川国務大臣 表現はそうなっておりますけれども、私は確かめましたが、何もマイナス成長ということを前提にしているものじゃなくて、一つの決意の表明として私は言ったんだと。ですから、何もマイナス成長をあえて肯定してでも、そうなってでも構造改革に踏み切れ、そういう意味ではないですよ。そのぐらいのつもりじゃないとできないじゃないか、こういうことですから。

村上副大臣 まさに今大臣がおっしゃるとおりなんですが、要するに、今まで何回も言うように、ケインズ的発想でいけば、景気が悪くなったら財政出動をどんとして、それによって景気が上向いて税収を図るというある程度のパターンがあったんですけれども、将来性のない産業や将来性のない企業にいつまでも人材と資金を張りつけておくのがいいのか。前も竹中さんが予算委員会で答弁したように、将来の持続的経済成長を図るときには、はっきり言えば、経済の構造改革が本当は一番大事なんですよ。

 それは何かというと、これは私の所見だから許してほしいんですが、今までは、残念ながら各企業も、事あるごとに何かあったら政府が何とかしてくれというような意思が強かったんじゃないかな、そういう発想からやはり転換をする必要があるんじゃないかな、そういうことを小泉さんはおっしゃりたいんじゃないかと私は考えています。

 そういう面で一番大事なのは、各経済の構造改革をきちっとやって、例えば極端なことを言いますと、欧米の企業に比べてトヨタとかソニー以外は生産性が六三%しかないんですね。そういう生産性だった場合、経済がボーダーレス化、グローバル化していますから、株価が高いか低いかといったら、欧米の企業に比べて六三%の生産性や競争力しかなければ、当然株価は幾らやっても上がらないわけです。

 だから、やはりそういうところの根本的な、各企業の生産性や競争力を強めることが第一義であるけれども、そのために、財政における構造改革も不良債権の処理も、それもまた同時並行にやっていかなければ、次の世代に今以上の日本がバトンタッチできないんじゃないか、そういう危機感が小泉新総理の心の根底にあるんじゃないかな、そういうふうに私は考えています。

中塚委員 そういった意味において、構造改革も景気回復も財政健全化もみんな大事だからやりましょうという話になったときに、三十兆円という数字で抑えてしまうということについて、本当にそのタイミングで実現をすることができるのかなというふうに考えているわけです。

 経済財政運営の態度というのは、小泉内閣と森内閣では結局変わっていないというふうに理解をさせていただいてよろしいんでしょうか。といいますのは、そのことも含めてなんですけれども、もし、景気、経済構造改革、財政健全化、三つに等分に配慮をするのではなくて、構造改革やあるいは財政の健全化の方にウエートを重く乗っけるということであれば、経済財政運営の方針がもし変わったということであれば、本年度の経済成長見通しというのは修正をするべきではないんでしょうか。財務大臣、いかがですか。

村上副大臣 だから、小泉総理が「日本にとって、今、最も重要な課題は、経済を再生させることです。小泉内閣の第一の仕事として、森内閣のもとで取りまとめられた緊急経済対策を速やかに実行に移します。この経済対策は、従来の需要追加型の政策から、不良債権処理や資本市場の構造改革を重視する政策へとかじ取りを行うものであります。」というふうに所信で言っているように、今までの景気対策をにらみながらそういう方向にも大きく、やはり重要性を考えてやっていきたい、そういうふうに小泉さんは変えていくというねらいというか腹があるというふうに私は考えています。

中塚委員 大臣、経済見通しについていかがですか。

塩川国務大臣 私は、経済見通しは、目標を一・七にしております。これはぜひ達成したいと思って全力を挙げて努力いたしております。

 現在の状況を見ますと、我々が考えておったよりも厳しい状態であるということはわかります。この厳しい状況はどこから来たのかといったら、やはり二つありまして、アメリカ経済の落ち込みがちょっとひど過ぎるという感じがすることが一つ。もう一つは、これは世界的にそうでございますけれども、IT産業、関連産業、特にEコマースがなかなか思うように進展しなかったということ、この影響が我が国にも直撃しておりまして、電子関係並びにIT関係の落ち込みがひどくなってきた。

 しかし、私は、今一番苦しいところでしょうけれども、夏ごろからあるいは回復してくるのではないかと思うております。ブッシュ大統領のもとで行われた減税法案が実施に移されてきた場合に、秋以降においてアメリカの経済も回復してくることは、まず大方の人がそのように予想しておりますので、相関連して日本の経済もその影響を受けてくるだろう。そういうところに私たちも大きい期待をかけておるし、また、我が国の経済自体においても、とりあえず予算の早期執行を通じて景気を刺激していくということを怠ってはならぬと思っております。

中塚委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、現在大変厳しいという御認識であると聞きました。小泉内閣ができてから余りみんな景気の話をしなくなっているわけですが、そういった大変厳しい中、一・七自体が決まったときから無理じゃないのかなというふうに思っていましたけれども、個人消費がどうのこうのという話があって、それが伸びて一・七になるんだという御説明でした。

 大変足元が厳しい状況になっていまして、そういった意味で、もし従来の経済財政運営の方針とは違う方向に小泉内閣がかじをお切りになるのであれば、やはりわかりやすく経済見通しも修正をされた方がいいのではないかということを申し上げたわけです。

 ありがとうございました。

持永委員長 次に、山口わか子さん。

山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。

 先ほどから、公共事業の予備費につきまして先輩の石井議員やほかの議員からも御質問がございまして、予備費の必要性については先ほど御答弁をいただきました。

 それで、平成十一年度の公共事業費十五兆六千億なんですけれども、これは一般会計ですが、そのうち、予算に計上されながら使い切れなかった、翌年度に繰り越された金額が二兆六千億にも上っているわけですね。それで、平成十一年十一月の景気対策で追加されました三兆五千億円の四分の三相当が年度内に執行されなかったということになります。しかも不用額が四百三十三億九千八百万円もある中で、予備費が公共事業に使われることが果たして財政法上も必要なのかどうかというのは非常に疑問に思いますので、財務大臣、一体これだけ繰越額があるという中でなぜ公共事業の予備費が五千億という金額になっているのか、御説明をいただきたいと思います。

杉本政府参考人 お答えいたします。

 十一年度の財政運営と経済の関係でございますが、十一年度年央以降の財政運営につきましては、我が国の経済動向を十分踏まえ、公共事業予備費の活用、十五カ月予算といった考え方に立って、二次補正予算の編成も含め機動的、弾力的な対応を行うこととされておりました。

 こうした基本的考え方に立ちまして、具体的には、公共事業予備費につきましては、同年の四―六月期のQE、これが九月に発表されましたが、これにおきまして、景気は最悪期を脱したものの、なお民間需要の回復力が弱く、雇用情勢が依然として厳しい状況にございました。こういう点を踏まえて、機動的に対処するため、計上されてございました五千億円の予備費全額の使用を九月二十九日に決定したところでございます。

 その後、民需の回復力が依然として弱い状況にありましたことを踏まえまして、景気の本格的な回復と新たな発展基盤の確立を目指す経済新生対策を取りまとめました。これを受けまして、公共事業関係費二兆八千億円を含みます十一年度の第二次補正予算を編成いたしまして、これが十二月九日に成立を見させていただいております。この補正予算は、十五カ月予算という考え方を踏まえまして、翌年度の当初予算と一体となって、向こう一年間程度にわたる景気下支え効果を発現するという性格を有していたものでございます。

 こういうこともございまして、当該補正予算分を中心に、結果としてある程度の繰り越しが発生したことはやむを得なかったものと考えております。

 また、公共事業関係費におきましては、通常、繰り越された予算のうち支出を完了する見込みのないものについて不用となっているところでございまして、十一年度における不用額の大半は前年度からの繰り越し予算に係るものと推察されることに加えまして、そもそも不用額の歳出予算現額に占める割合は、他の経費に比べても必ずしも大きなものとなっているところではないものでございます。

 このように考えますと、十一年度において結果として繰り越し及び不用が発生したことをもちまして、公共事業予備費の使用が妥当ではなかったということではないんじゃないかというふうに考えております。

山口(わ)委員 ただいまの御説明ですと、予備費を決められたのが十一月ですよね。補正を決められたのが十二月ということですから、もう既に十二月の補正予算の段階で予備費が特に必要だということはないんじゃないかと思うんです。

 それで、特に、こんなにたくさんの繰り越しが出るということは、予算というのは単年度方式ですから、単年度で予算が消化できるように本来だったら立てるべきであって、二兆六千億も繰り越すというのは私たちみたいな素人には理解ができないことなものですから、これはやはり、何か毎年こんなような感じじゃないかと思うんですけれども、いつかの時点で、きちっと必要なものを予算に計上し、きちっと執行していくという体制が必要じゃないかと思うんです。

 このことは公共事業全般について言えるんじゃないかと思うんですが、財政事情の悪化なんかで地方単独事業が非常に低迷していると思うんです。事業が減少している現状を見ても明らかだと思うのです。

 私は長野県ですので、長野県の田中知事が脱ダム宣言をしているわけですが、その大きな理由としまして、何といっても莫大な建設費を必要としていること、しかも八〇%近くが国庫負担になっているわけで、補助がかなり保証されているといいましても県の負担もかなり多いわけです。その県の負担がますますふえているということで、今、公共事業に依存した景気対策というのは、それぞれの地方自治体でかなり限界に来ているんじゃないかという思いがあります。ですから、国が予算をつけてどんどん公共事業をやりなさいと言っても、受ける方の側の地方自治体はなかなかそうはいかないというのが現状ではないかというふうに思っています。

 そして、さらに、公共事業については、やはり環境破壊も大変著しいということもありますし、まず公共事業ありきではなくて、公共事業に対してこれからどうしていくのか。特に断行内閣を宣言しているわけですから、財務大臣といたしましても、先ほどは予備費が必要だとおっしゃいましたけれども、こういう経過を見ますと、本当に、公共事業に予備費の特別枠を設けることが私はおかしいんじゃないかと思うんですよ。そして、やはり、こういうことは前例踏襲でなくて、今まではこうやっているけれども、これだけ繰り越しもふえているし、不用もふえている中で、思い切って、例えば平成十三年度は公共事業に予備費を設けるべきではないというふうにお考えいただきたいのですが、その辺はどうお考えでしょうか。もう一回財務大臣の御答弁をお願いします。

塩川国務大臣 おっしゃる趣旨はわかっておりますが、公共事業の予備費というのは、私は、予見せざる事態に備えるということと同時に、もう一つ重要なことは、先ほども調整費的な性格もあるということを申し上げたんです。

 しかしながら、かつては公共事業の予備費というのを計上しなかった年もたくさんあります。ですから、今、公共事業予備費を計上いたしましたのは、景気の下支えをするために出動の要件もあるだろうという趣旨もあって入れておる。でございますから、公共事業の予備費というのを非常に多様的な要素を加味してやっておるものでございます。ついては、ことし、平成十三年度も予備費をつけておりますけれども、十四年度についても、私は、ハンドリングが必要な場合に備えてある程度の予備費は計上しておく方がいいと思います。

 しかし、おっしゃる趣旨は私は実は賛成なんです。つけない方がいいんじゃないかと思いますけれども、しかし、行政が動いていく過程でそういうことも必要だろうと思うたりしますので、十四年度のときには十分検討して、計上するべきかどうかを決定いたしたい、こう思っております。

山口(わ)委員 私がわからないということは、国民も、何でこんなに繰り越しがあって不用があるのに予備費がというふうに思われると思うのです。

 そして、この予備費が公共事業につけられたのは、私の見たところによりますと平成十一年度からじゃないでしょうか。その前に、たしか平成八年度あたりにあったと思うのですが、平成十一年度から多分景気対策ということで始めたと思うのですね。ですけれども、小泉内閣はとにかく改革を断行したい、しかも不良債権の処理をしたいと言っているわけで、公共事業については、やはりこうした、はっきり言って私が見る限りでは随分むだなことをしているなというふうに思える、この予備費にしても一般会計の執行状況にしてもおかしな話だと思いますので、ぜひ十四年度は検討していただきたい。できれば、十三年度は早速断行するわけですから、十三年度を見直していただければ大変ありがたいというふうに思います。

 それで、引き続きまして、この予備費についてもう少しお尋ねしたいのですが、空港関係の公共事業について御質問をさせていただきたいと思います。

 この空港関係の予備費というのは、空港整備特別会計へこの公共事業の予備費の中から、計算しましたら百九十七億円ですか、繰り入れをしているわけです。空港整備特別会計の決算状況を見ますと、翌年度繰越額が四百四十一億円相当あるわけですね。しかも、不用額が二百四十六億円もあるわけです。こうなってきますと、ますます百九十七億円の予備費流用というのは根拠が全くないのではないかというふうに私には思われるわけです、不用額がとにかく二百四十六億もあるわけですから。しかも、この特別会計というのは、平成八年度から毎年七百億円近い前年度剰余金を受け入れているのですね。

 私は地方の自治体におりましたからよくわかるのですけれども、特別会計で剰余金が出た場合は、もともと多過ぎて剰余金が出るわけですから、収入源である一般会計を削るか、あるいは剰余金の二分の一を例えば基金に繰り入れるとか、いろいろな形でこの剰余金の処理というのはされていいはずだと思うのですね。

 ですから、これだけ不用が出ているのにもかかわらず、しかも、ちょっと見させていただきましたら、平成八年度から毎年七百億近い剰余金が出ているので、こういう特別会計の剰余金が出ることを考えましても、当然大切な国民の税金であるわけですから、そこへわざわざ予備費を繰り入れるのは私はおかしいのじゃないかと思うのですが、その辺のお考えをお聞かせください。

深谷政府参考人 空港整備の特別会計関係のお尋ねがございましたけれども、平成十一年度予備費として公共事業等予備費が繰り入れられましたのは百九十五億円でございます。これは、内容的には、関西国際空港の二期事業、これは現在国家的プロジェクトとして推進しておりますが、あわせて、羽田空港の沖合展開事業、こういう国家的プロジェクトへの財源として繰り入れていただいたもの、また、緊急課題という意味で、九州・沖縄サミットが予定されておりまして、空港危機管理システムなどの整備ということで、合わせて百九十五億円が十一年度公共事業等予備費から繰り入れられております。

 なお、あわせて剰余金の御指摘をいただきましたけれども、剰余金、十一年度の時点で四百九十五億円というものが出ておりますけれども、これは十一年度の公共事業等予備費を使用する時点におきまして、十一年度予算の適切な執行を図るため、空港整備事業を鋭意進めている段階で、十一月でございましたが、そういう時点でお決めいただいたわけです。

 この公共事業等予備費、これはもう御指摘のとおり、経済運営の万全を期す、あるいは予見しがたい経済情勢の推移、こういったものに機動的に対処する、こういう観点から空港の事業についても認められた、こういうふうに考えております。

 空港整備事業につきましては、滑走路あるいは誘導路、こういった空港施設の整備とあわせまして、騒音対策としての空港周辺整備事業なども実施しております。こういった空港周辺整備事業などにつきましては、空港周辺の騒音の著しい地域、あるいは住民の移転補償など、こういったことが対象になるわけでございますが、こういったことは、それぞれ住民の方々の意向によりましてまたその進捗が左右されやすい性格を持った事業でございます。こうしたことのために、空港整備事業の性格上の問題として、結果的に予算の繰り越し等が出るというふうな事情にあるということを御理解いただきたいと思うのです。

 こうした決算の剰余金につきましては、一次決算見込み額、これをもとに、各事業年度の決算前に編成されます翌年度の予算におきまして、空港整備事業等の財源として適切に反映して対応していっているつもりでございます。

山口(わ)委員 ただいまの御説明を聞いておりますと、どう考えても予備費を使わなきゃいけない理由にはならないのじゃないかと思うのです、不用額が二百四十六億出ているわけですから。しかも、毎年剰余金も七百億近い金額になっていて、不用額がこれだけ出ているということ、その中で幾らでもできる事業ではないかと思うのです。突然この予備費を使わなければ空港整備ができないというふうにはどうしても、決算状況を、ことしの決算書を見させていただきまして、そこに全部載っているわけですけれども、これを見る限りでは、どうしてもそこら辺のところが予備費を使うという理由にはならないのじゃないかと思うのです。

 私もそうですが、やはり官公庁というところは、とかく前例踏襲主義がどうしても続いておりまして、毎年剰余金が出ても不用額が出ても、予備費を要求するときにはまた予備費を要求して、それをまた特別会計に繰り入れをして使っていくという、単純にそういうふうな流れができてしまっているのじゃないかと思うのですね。

 やはり国民の目からすると非常におかしなことでして、本当に必要なら予備費を使うのはやぶさかではないと思うのですが、こういう状況をもう一回やはりきちっと見直すべきだというふうに思っていますが、その辺、財務大臣、御意見をお聞かせください。

杉本政府参考人 とりあえずお答えさせていただきます。

 先ほど国土交通省からも御紹介がありましたように、先生御質問の予備費は、十一年度の公共事業予備費の使用に当たりまして、国家的プロジェクトの推進ということで、関西空港の二期工事、それから羽田空港の沖合展開の財源として予備費から繰り入れたものでございます。

 先ほども国土交通省からの説明もございましたように、その時々の国会の関係で剰余金が出てくるというのは結果としてやむを得ないところもあるところでございますが、予備費の使用としては、そういった国家的プロジェクトの推進のための対応ということで必要なものだったというふうに考えております。

山口(わ)委員 結果としてそういうことが出るということでしたら、例えば平成十年度の予算執行のあり方を十分に反省するということが、来年度に向けた計画の大切な要件だと思うのです。毎年こういうことを繰り返しているわけですから、やはり前年度の反省をきちっとしていくことが大事ではないかと思いますので、このことは私の方からも要望いたします。来年度またこういうことのないように、ぜひきちっと反省したり実態を調査していただいて、だれの目にもわかる予算執行をお願いしたいというふうに思います。

 空港関連につきまして、実はこの空港整備事業が大変むだな公共事業になっているという例を一つ挙げさせていただきたいと思うのですが、静岡空港について、ちょっとお伺いしたいと思うのです。

 この静岡空港の整備事業につきましては、五月十六日に私どもの保坂議員が御質問させていただいておりますが、この静岡空港につきましては、たくさん問題がございますけれども、その中で特にこの空港が私はおかしいと思うのは、わざわざ、地下に新幹線のトンネルができているわけですが、その上に滑走路をつくるという非常にお金のかかる、何とも私たちには不可解な空港整備が行われているわけですけれども、この地下のトンネルのところに新幹線の駅をつくるという計画がされているわけです。そのことにつきましては、JRはその予定はないというふうに先週の答弁でもされているわけです。

 先ほどお渡ししましたこの資料の中にも、二枚目のところに、東海旅客鉄道株式会社から副知事にあてて、新幹線の駅に対する考え方については、新駅の設置は現状では不可能であるというふうに答えられておりますが、この辺のことにつきまして、国土交通省として承知の上でこの計画についてお認めになったのか。そのことをお伺いしたいと思います。

深谷政府参考人 静岡空港についてのお尋ねがございましたけれども、静岡空港の整備が現在進められておりますけれども、その建設予定地の問題にもなるかと思いますが、私どもが伺っておりますのは、静岡空港の建設地の決定に当たりましては、県の方では、候補地選定に係る専門的な調査検討をしなければならないということで、昭和六十二年に、学識者、有識者から成る検討委員会を設置して、検討に入ったというふうに伺っております。

 その検討会におきましては、県内全体から抽出した七千二百に上る地区、これについて検討を加え、都市的施設の有無でございますとか、飛行機の進入表面の確保の可能性だとか、そういったことを検討しながら、そのプロセスにおきましては、七千二百から四十五カ所、十四カ所、五カ所、最終的には、浅羽というところ、掛川というところ、それから榛原というところの三地区に候補地を絞ったというふうに伺っております。

 その中で、運航の空域条件でございますとか、建設条件でございますとか、土地利用条件、あるいは環境条件、アクセス条件、そういったことをもろもろ総合的な検討をされて、現在の場所、要するに榛原・島田地区に決定されたと伺っております。

 ただ、その時点で、お尋ねの新幹線駅との関係でございますが、その場所の検討の前提として、東海道新幹線の新駅設置を前提としたものだというふうには聞いておりませんで、私どもの当時受け取りました設置許可申請書におきましても、新幹線の新駅構想についての事柄は触れられておりません。したがって、私どもといたしましては、新駅の有無にかかわらず、空港自体の必要性という観点から、この事業を採択し、現在工事が進められている、こういうふうに認識しております。

山口(わ)委員 私の資料の後ろの方に、静岡空港と新幹線の駅について知事がどういうふうなことを言っているかということと、この新幹線駅設置期成同盟会の総会では、直下駅を了解したということも載っているわけですね。

 このことは、国土交通省としては、全く聞いていなかったから、そのときに許可をした段階で聞いていなければ、そのまま事業を継続していいのかということも、これは国として、大事な国民の税金をこの駅にかけるわけですから、そのことはやはりきちっとチェックしなければいけないのではないかと私は思うのです。ここは決算委員会ですから、やはり出すからには出すだけの理由をきちっとつけるというのが、国土交通省のなさるべきお仕事ではないかというふうに私は思います。

 しかも、JRが絶対不可能ということで反対しているわけですし、このことは、やはりこれから空港を建設していく場合に非常に大切な条件の一つになりますから、国土交通省として知らなかったから許可したというだけでいいのでしょうか。その辺をもう一回ちょっとお願いします。

深谷政府参考人 先ほど御答弁、御説明申し上げましたのは、私どもが不知であったからということではございませんで、私どもがこの事業採択をさせていただいたのは平成六年度でございます。

 先ほど申し上げましたのは、静岡空港につきましては、航空ネットワークの形成上、第三種空港として必要な空港であるという空港サイドからの純粋な判断から事業採択をさせていただいた。

 ただ、その際には、新幹線の駅が前提となっているものでは、設置管理者の方からも御説明もございませんし、そういう前提ではないというふうに現在も理解しています。

 なお、先ほどお話の出ました東海道新幹線静岡空港駅設置期成同盟会、これは平成十年にできたそうでございまして、地下駅云々ということを最終的にお決めになるのも、平成十年に静岡空港将来構想検討有識者懇談会というのが地元でできたそうでございまして、その懇談会が空港直下駅ということをどうだろうかと言ったのが昨年の八月だと伺っております。

 経緯はそういうふうに承知しております。

山口(わ)委員 私が質問したのは経緯ではなくて、国土交通省として、現在この空港建設が行われているわけですから、こうしたいろいろな経過を踏まえて、全く国は、この静岡空港についてはここでよしとしているのかどうかというのをお伺いしたかったのですが、その経過を御説明いただかなくても、私どもの方ではわかっていますので、次に進ませていただきます。

 この静岡空港につきましては、いまだに地権者の皆さんが反対していて、実際に空港の建設にはなかなか至っていないということもありますし、周囲の住民がかなり反対しているということもありまして、もう少し、静岡空港については、国としてもきちっとチェックをしていかなければいけないというふうに私は思いますし、チェックをしていただきたいと思います。

 それで、国土交通省にお願いしたいことは、今までに受け取った静岡空港建設関係の文書を、すべて資料として提出していただきたいことと、JR東海が県に出した文書を多分国が手に入れられていると思いますが、その文書も資料として御提出をいただきたいと思います。

 やはり私たちが一番、これから公共事業についてきちっとチェックしなければいけないことは、県民の皆様が望んで、県民の皆様の発意で、例えばこの静岡空港も建設をされるのであれば、別に、それは皆さんの必要な施設ですからいいと思うのですが、非常に反対も多く、しかもトンネルの中に駅をつくるということにつきましても、県内でさまざまな議論が出ている状況ですから、国としても、やはりその辺はきちっとチェックをしていただきませんと、特に空港整備というのは、今非常に問題が出ています。

 地方の空港で運営ができている空港というのは非常に少ないのではないでしょうか。松本空港もそうですけれども、つい先日も、田中知事がこの空港についてどうにかしなければいけないという発言をしているわけですが、どんどん利用数が減ってまいりまして、このままいってしまえばヘリポートになってしまうのではないかという心配もしています。

 これは、何も松本空港だけに限らず、佐賀空港ですとか地方の空港では、こういう非常に深刻な問題もあるわけで、果たして本当に地方の空港をつくることに意義があるのかということも含めまして、十分これから空港建設については考えていただきたいというふうに思っております。

 つきましては、この空港関係の資料提供をしていただけるのでしょうか、どうでしょうか。お願いします。

深谷政府参考人 御指摘の資料等につきましては、先生に後ほど御提出をさせていただきます。(発言する者あり)

山口(わ)委員 はい、ありがとうございました。

 今、そちらから、この空港は絶対むだだ、やめた方がいいというふうに言われまして、私もそうは思いますが、余りそういうことははっきり言わない方がいいのかなと思って、やわらかく御意見を申し上げましたけれども。

 私自身は絶対反対だと思っていますが、こういうことを、やはり国土交通省が反対になってもらわないと困るわけですから、ぜひその辺はしっかりチェックをしていただいて、国民の目線で考えられるという小泉内閣ですから、国民の目線に立って、必要なものとそうでないものは選択していただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。

持永委員長 これにて本件についての質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。

大森委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書について不承諾の意を表明します。

 本予備費使用総調書等の内容は、関西空港新空港第二期工事の百五十五億円、整備新幹線の四百二十億円、高規格幹線道路の六百七十二億円など、いわゆる国家的プロジェクト推進と称する大型公共事業に重点が置かれているものであります。

 本調書の説明では、「最近の経済情勢等にかんがみ、景気の着実な回復を図るために必要な公共事業等の経費に係る予算の不足に緊急に対処するため、」となっています。しかし、配分の中身は、今指摘したように大型プロジェクトが中心で、中小企業には仕事が回らず、大手ゼネコンだけが潤う仕組みになっています。これでは、有効な景気対策とは言えません。

 しかも、この公共事業予備費の支出は、国の財政負担に一層の拍車をかけるだけではなく、地方自治体の負担分は約二千四百億円にも上り、地方財政をも圧迫するものであります。

 今、緊急に取り組むべきことは、歳出のむだ、浪費にメスを入れることにあります。その中心は、ゼネコン型公共事業には五十兆円、社会保障には二十兆円という逆立ち財政を改め、消費税の減税、福祉切り捨て計画の凍結、雇用の拡大など、家計を温める政治が求められているのであります。

 本予備費使用調書の中には、平成十一年度に発生した山林施設、漁港施設、河川等の豪雨災害復旧、歩行空間のバリアフリー化など、承諾できる事業もありますが、全体として、さきに述べた理由により、本予備費使用調書の承諾には反対であります。

 本来、予備費使用は、予見しがたい予算の不足に充てるものであり、景気対策を理由に、大型公共事業のつなぎのための予備費使用は問題であります。

 最後に、この点を指摘し、私の討論を終わります。

持永委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

持永委員長 これより採決に入ります。

 平成十一年度一般会計公共事業等予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(承諾を求めるの件)について採決いたします。

 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

持永委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

持永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

持永委員長 次回は、来る六月六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四分散会




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