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第2号 平成14年2月20日(水曜日)

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平成十四年二月二十日(水曜日)
    午後四時四十分開議
 出席委員
   委員長 渡海紀三朗君
   理事 岩屋  毅君 理事 桜田 義孝君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      相沢 英之君    逢沢 一郎君
      岩永 峯一君    江藤 隆美君
      高木  毅君    橘 康太郎君
      谷  洋一君    土屋 品子君
      中川 秀直君    額賀福志郎君
      橋本龍太郎君    武藤 嘉文君
      森岡 正宏君    森田  一君
      井上 和雄君    石井 紘基君
      金子善次郎君    今野  東君
      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君
      葉山  峻君    平野 博文君
      山田 敏雅君    神崎 武法君
      大森  猛君    穀田 恵二君
      東門美津子君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      岸田 文雄君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院長       金子  晃君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房総括審議官     重松 博之君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第四局
   長            有川  博君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (内閣府賞勲局長)    佐藤 正紀君
   政府参考人
   (内閣府北方対策本部審議
   官)           坂巻 三郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君
   政府参考人
   (外務省欧州局長)    齋藤 泰雄君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     高木  毅君
  山口わか子君     東門美津子君
同日
 辞任         補欠選任
  高木  毅君     小西  理君
  東門美津子君     山口わか子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十年度一般会計歳入歳出決算
 平成十年度特別会計歳入歳出決算
 平成十年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十年度政府関係機関決算書
 平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書
 平成十一年度一般会計歳入歳出決算
 平成十一年度特別会計歳入歳出決算
 平成十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十一年度政府関係機関決算書
 平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十一年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――
渡海委員長 これより会議を開きます。
 平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件を議題といたします。
 総括質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣府賞勲局長佐藤正紀君、内閣府北方対策本部審議官坂巻三郎君、外務省大臣官房長小町恭士君、外務省欧州局長齋藤泰雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜田義孝君。
桜田委員 自由民主党の桜田義孝でございます。本日は、国家行政、決算制度全般につきまして、根本問題について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 さて、現在、国と地方を合わせ六百七十五兆円という膨大な債務残高を抱え、我が国の先行きに多くの国民が不安を抱いております。特に、行政国家化の進展に伴い巨大に膨れ上がった国家行政機構に根本的なメスを入れない限り、健全な財政状況の回復ができないと思います。公共事業をちょっとくらい減らそうが、医療費をちょっと抑えようが、いずれも根本的な解決にはなりません。血税を使ったあらゆる公共政策が本当に活力のある日本の将来のために必要なのかどうかを、徹底的に見直す必要があると思います。
 この際重要であるのが、やはり国家全体としての会計と人事の問題であると思います。組織のありようを問われているときにいつでも問題の根本となるのは、官民を問わず、会計と人事であると確信いたしております。こうした点から、私は、現在の政府全体としての会計と人事にかかわるチェック機能の充実というものに多大なる関心を持っているところであります。
 今、最も国民が必要であると思っている政府としての仕事は、公共事業をふやすことなどではなく、自分たちの税金が果たして本当に有効に使われているかどうかを自分たち国民の前に明らかにしてもらいたいという、その一言に尽きるのではないでしょうか。
 そうなりますと、例えば、会計検査院という機関がございますが、現在、国民のそうしたニーズというものに十分こたえているかどうか、あるいは、こたえられていなければ、制度を改変したり人員をふやしたりすることが必要になっているかなどについて、じっくりと検証しなければなりません。
 そこで、まず金子会計検査院長にお伺いしたいと思います。
 現在、会計検査院は毎年、実地検査、書面検査等を行い、二百億円程度の指摘事項を行い、そして最終的に報告書をまとめているわけでありますが、国家全体の財政規模からすると氷山の一角のような気がいたします。また、そういう指摘が世論からも行われているところであります。また、外務省機密費、在外公館での不明朗な会計の多くを許した検査体制の脆弱性に対する批判は大変大きなものがあります。
 今、多くの国民が、会計検査院には存在感がないと感じております。今のような会計検査院であれば、各省庁等の内部検査部局を充実させれば事足りるわけでありまして、形式的な伝票チェックしかできない会計検査院などはそもそも必要ないのではないかという考え方もあり得ると思いますが、この点、院長はこのような国民からの批判をどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
金子会計検査院長 会計検査院は、社会、経済の変化に即応した、また国民の期待にこたえる会計検査をしていきたいということで、現在努力をしております。議員おっしゃるような会計検査院に対する厳しい批判が現在行われているということも、私承知をしております。
 私、検査官に任命され四年半、院長として二年間経過いたしました。昨年の十二月再任をされたことを機会に、私、会計検査院のあり方、そして会計検査院の使命、その使命をいかに果たしていくかということについて、なお一層努力をしていきたいというふうに考えております。
 私、今、内部でいろいろ、あるいは外に対してもいろいろ発言をしておりますけれども、一つは、今、国の責務というのは、国民の期待にこたえ、そして質の高い、費用の安い行政サービスをいかに提供するかということにあるというふうに考えております。そして、会計検査院は、会計検査を通じてこの国の使命に貢献するということが会計検査院の使命であろうというふうに認識し、一つは、国の事務事業が、より質の高い、より費用の安い形で提供される、言いかえれば、国の行政サービスの価値を高めるということが会計検査院の使命であろうということで、私の言葉で言いますと、付加価値をつけるような会計検査をしていきたいということ。
 それから、国民の税金を有効に使うということのためには、損害が発生してから是正措置をとるということだけではなくて、損害が発生する危険を事前に予知し、そしてそれをマネージし、危険の発生しないような状況にしていくということが必要であろうということで、現在、リスクマネージ型の検査ということを導入する方向に進んでおります。
 昨年度の一年間の決算検査報告書、私は、今申し上げましたようなことがこの中に含まれてきているというふうに理解しております。そして、各報道機関からも、昨年末に出しました会計検査院の報告書に対して非常に好意的な評価を受けております。
 私、こうした方向を今後とも継続し、そして国民の期待にこたえる会計検査院でありたいというふうに努力をしております。御理解いただきたいと思います。
桜田委員 高い評価を得られているというふうにお答えになりましたけれども、私は余りそういうふうに感じていないんです。二百億円程度の指摘事項で、千二百名の人間がいて、一体、会計検査院を設置している経費というものはどの程度かかるんだろうか。千二百名の人件費とかそのほかいろいろなものだったら二百億円程度かかってしまうんではないだろうかというふうな気がいたします。そんなことならば、むしろ、存在感がないので、アウトソーシングではないか、外部に委託してもいいんではないかという懸念すら感じているところであります。
 いずれにしろ、私は、今のような形での会計検査院を存続させても余り意味がないんではないだろうか。数百億円レベルで伝票に漏れがあったか、むだ遣いがあったかというふうな程度だったら、また、法律に違反しているかどうかということが根本ではないような気がいたします。当然、公金を使う以上、適切な会計処理や事務の遂行が必要でありますし、正確性や合規性という点から会計検査院のこれまでの経過については多とするところでありますが、今は、税収がじゃぶじゃぶあるような高度成長期と違うわけでありますので、国民的なニーズにこたえられるとは考えておりません。
 私は、時代の変化の中で、税収が減少していく中で、また少子高齢化が進んでいく中で、おのずと、会計検査院等、政策の検証・評価機関のありさまというものが変質してきているように思います。
 そういう意味で、今後、会計検査院は、政策評価、会計検査院の用語で言うならば有効性、経済性、効率性評価というものを前面に出して、場合によっては総務省の行政評価・監視部門とも統合してしまって、より強力な形で行政の内在的ながん細胞を取り除き、国家財政のむだを極力排除できるような体制を整えることが国民的ニーズに一番合うような気がいたしますが、この私の考えについて、院長、ひとつお願いいたします。
金子会計検査院長 会計検査院では、今委員おっしゃられたような形で会計検査を進めております。
 平成九年に会計検査院法の改正が行われ、そしてその中で、会計検査の視点といたしまして、経済的、効率的な観点からの検査、それから有効性の観点からの検査ということが検査の視点として規定をされました。この規定に基づきまして、会計検査院では、今先生が言われた業績評価ということを一つの大きな柱として掲げ、そして検査をいたしております。
 先ほど私が申し上げました付加価値型検査というのはまさに業績検査のことでありまして、昨年末に提出いたしました検査報告の中においても、多くの業績評価をした結果を指摘、掲記いたしております。その点、御理解いただきたいと思います。
桜田委員 今後重要視されるべき政策評価の根本は、有効性、経済性、効率性評価という言葉に尽きると思いますが、こうした評価の例えばスタンダードな方針やマニュアルというものが国民にとってわかりやすく開示されるということはとても大切なことではないだろうかというふうに思います。会計検査院は、こうした厳格なマニュアルで我々の税金が有効に使用されるように公正にチェックしてくれているのかということが、国民から見た大切な視点ではないだろうかと考えております。
 そんなぐあいに政策の評価基準と手続が明確になっていることは、国民のタックスペイヤーとしての意識と理解を増強、向上させ、ひいては国家財政健全化のための強固な基盤となることは間違いありません。
 院長も、GAOの国際機関との懇談等も積極的になされているようでございますので、世界的に見て、このような政策評価対応の標準化の取り組みについてどのようなことをなされているのか、政策評価マニュアルの整備充実について、何か進展がありましたら、その点、お聞かせ願いたいなと思います。あくまでも国民が安心できるようになったのかどうかという観点から、ぜひ御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
金子会計検査院長 ただいま委員御指摘のとおり、会計検査の透明性及びアカウンタビリティーという観点から、会計検査院がどういう観点に立ってどういう手続で検査をしているのかということを明らかにしていくということ、非常に大切であるというふうに私も認識しております。
 そして、先ほど申し上げましたように、会計検査院では、従来型検査に加えて、付加価値型検査、業績検査及びリスクマネージ型検査という新しい方向に進んでおります。これらの検査について検査を有効に進めていくためにも、私、検査マニュアルの必要性ということを感じております。それと同時に、会計検査院の国際会議等でいろいろなスタンダードが決められております。こういうスタンダードを我が国も導入しているのだということを明らかにするという意味でも、私、マニュアルの作成ということは必要である。と同時に、国際機関の中で我が国会計検査院に与えられている役割というのは、アジアにおける発展途上国の会計検査、グッドガバナンスをいかに向上させるかという点もあるわけです。そのためには、我が国の検査マニュアルというものを諸外国、アジアの国々の発展途上国の人たちに示していくということも必要であろう。
 そういういろいろな観点から、現在、マニュアル化ということを、私、事務局につくることを要請しております。できるだけ早くつくっていきたいというふうに私も思っておりますので、マニュアル化促進、努力をしたいというふうに思います。
桜田委員 ぜひマニュアルの件につきましては、早急につくっていただければありがたいなと思っております。アジアの諸国だけではなく、日本国民もそれを待ち望んでいるのではないだろうかというふうに考えております。
 それから、会計検査院につきましては、検査を余り強化すると省庁が協力してくれなくなって、逆に検査が困難になってしまうというようなことが時として言われるときがあります。大きな額については手をつけないとか、各省庁の内部監察部局による内々の意思統一というものが依然まかり通っている等のことがメディア等で時として報道されておるわけでありますが、会計検査全般の有効性について国民が不信感を募らせていることは一部にあるということをひとつ耳に入れておきたいなというふうに思います。
 そして、私は、現在の会計検査院を充実させる以前の問題として、現場を一番よく知っている各省庁等の内部検査、監察部局にもっとしっかりしてもらわなければ困るなという考えを持っております。今は、会計検査院が、極めて限られた実部隊ですか、八百人程度の小世帯で何とか検査をしているようでありますが、多くは本来各省庁間の内部で検査するような細かい事柄で、肝心な骨太の政策内容の根本評価というものができていないのが現実ではないだろうかというような気がいたします。
 そこで、会計検査院が、私が先ほど述べているような視点から国民のニーズというものに適切にこたえていくためには、各省庁の内部検査体制をより一層充実させることが急務であると考えられますが、これが内部でのなあなあにならないような、国民にとって有効な内部検査となるためにはどうすればよいのか。また、日ごろ検査サービスの提供者という立場を強調しておられる金子院長率いる会計検査院として、今までどのようにしているのか、また何ができるのかを改めてお伺いしたいなと思います。
 結局は、内部にいる人だけしかわからないような事柄というものが、外部の会計検査院でどの程度把握して指導できるのかということであります。
金子会計検査院長 私、委員と同じ考え方を持っておりまして、第一次的には、予算を執行する各省庁が予算執行についてきちっと管理をしていく、そして内部チェックをしていくというのがまず出発点であろうというふうに考えております。
 会計検査院では、個々の支出行為についても当然見ますけれども、内部的な統制がきちっと行われているかどうか、また予算管理がしっかりされているかどうか、それを見るために個々の行為についてチェックをし、そしてそこに違法、不当な事態があるということは、これは内部的なチェック及び内部的な執行体制の不備というところから出てくる可能性がありますので、ここのところを十分注意していきたいというふうに考えております。
 先ほど私、リスクマネージ型の検査ということを申し上げましたけれども、会計検査院では、個々の違法、不当を発見し、そして追及していくというだけではなくて、予算執行についてのシステム、また予算のチェックについての体制というものに十分目を光らせ、そして、そこをさらに充実させる必要があるということであれば、そういう方向を追求していきたいというふうに考えております。
 それと同時に、私は、各省庁の予算執行についての基本的な認識の問題があると思います。システムの問題と同時に、各省庁の予算執行についての基本的な認識というものを再確認していく必要があるのではないかというふうに思っております。
 会計検査院では、検査報告が出た直後に、各省庁の担当者を集めまして説明会を開いております。私、今年度はその説明会に私自身出席をいたしまして、各省庁の担当者に対して、会計経理についての基本的な認識をしっかり持ってもらうということを要請いたしました。それと同時に、現在財務省にあります会計センターですか、これは昭和二十年代に、会計経理に当たる職員の資質を向上するために会計検査院が、財務省、大蔵省ですね、及び内閣に要請をしてつくってもらった組織であります。私、ここのところでの会計担当者に対する教育というものもしっかりやってもらいたいと思っておりますし、ここを活用して、会計検査院としても会計経理の職員に十分な注意を喚起していきたいというふうに考えております。
 今年度の会計センターにおける研修について、私今、自分自身で出席をして、そしてこの研修で会計職員の基本的な認識ということについて注意をしていきたいと考えております。
桜田委員 私たち自由民主党の中でも行政改革本部というものがあるんですけれども、その中でよく、行政改革といっても、どういうものを改革すべきかという項目については、各省庁の人に御意見を伺って内部を教えてもらわないとなかなかわからない。そうすると、教えてもらう人は、自分の出身の、自分が所属しているところの不明朗なところとかまずいことを指摘するということが、なかなか表に出したがらないということで、行政改革をやるのに大変難しいということを、自民党の中でも行政改革を担当する人たちのお話を伺っておりますので、会計検査院のところへ至ってもそういうことが往々にしてあるのではないだろうかというふうに感じるわけでありますので、今後ともしっかりやっていただければありがたいなと思います。
 それから、ちょっと次の問題に移させていただきたいんですが、会計検査院の人の中では、検査対象とする機関からの出向者の受け入れ人数はどの程度いるのか、また、会計検査院から各機関へ、自分が検査対象の各機関へどの程度出向しているのか、ちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
関本会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 本年の一月末現在でございますが、出向者の受け入れは二十二府省庁等から二十九人、それから、我が方からの出向者の派遣は三十八府省庁等へ四十八人となっております。
桜田委員 人事交流というものについては、私は大いにやってもいいというふうに思いますし、これを奨励する立場であるんです。人事交流の意義というものは否定するものではございませんが、先ほど私が述べたように、各省庁間の内部検査体制の充実という点から、そうした検査マニュアル、研修等を各省庁との共同で開催したりする程度のことはよいとは思うのでありますが、しかし、検査対象機関と検査機関はやはり適度な緊張関係というものがないといけないのではないだろうかというふうに思います。
 この点、会計検査院から、検査サービスの提供のために各省庁等の内部検査部局へ出向するのはよいとしても、各省庁等から会計検査院に出向してくるのはいかがなものかなというような気がいたします。
 また、院長は最近でも、会計検査院から検査対象機関への天下りの慣行については好ましくないという姿勢を明確にしておられますが、これは私も大変立派な態度であると思います。検査院が、検査院からの天下りを受け入れてくれている大事な機関を厳しく検査することはなかなか難しいのではないだろうかというふうに考えております。
 その点、会計検査院としての毅然とした態度が求められるのではないだろうかと思っておりますが、この二点について、現在の院長の御意見をお伺いしたいと思います。
金子会計検査院長 まず、第一点の各省庁間との人事交流の問題でありますけれども、私、いわゆる官庁の外から会計検査院に参りまして、官庁における人事交流の少なさということについて非常に驚いております。そういうところで省庁間の交流が現在唯一の人事交流の場になっている。これをふさいでしまいますと全く交流がなくなってしまうという状況になる。これは望ましいことではない。省庁間の人事交流、私は、今委員言われるような形で、一定の緊張感を持ちながら、そして業務遂行に影響をもたらさない形で人事交流を進めていく必要があるというふうに考えております。
 私は、省庁とのつき合いは長いんですけれども、日本の国家公務員の一つの特質というふうに言っていいと思うんですけれども、ある省庁から次の省庁に移ったときに、その移った省庁の人間となって仕事をしていくというのが日本の公務員の特質であるというふうに私はこれまで見てきております。
 したがいまして、会計検査院に来たからといって、会計検査院の情報を自分のもとの省庁にもたらすというようなこともありませんし、また、検査の観点でというようなこともない。会計検査院としては、派遣先の省庁に対して検査に行かせるというようなことはもちろんしておりませんし、十分検査の情報についても管理をいたしておりますので、問題が起こらないような形、適度の緊張関係を保ちながら人事交流を進めるという現在の体制というのはできるだけ維持していく。
 それから、天下りの問題ですけれども、私自身、今委員御指摘のように、検査対象機関に対してうちのOBが就職するということについては否定的な考え方を原則として持っております。
 しかし、現状では再就職先の問題があるわけで、私は、再就職先の問題についてのシステムを開発しつつ、検査対象先への再就職を原則的に廃止していくということを考えていく必要があるだろう。これは、天下りの問題を解決する車の両輪である。片一方だけを進めるということはできないわけで、私は、この問題について、私自身の考え方もありますし、院内において、私の考え方も示しながら、現在の公務員制度改革の中で会計検査院としてあるべき姿というものを議論をし、そして意見の統一を図っていきたいというふうに考えております。
桜田委員 天下り先との関係、緊張関係というものをぜひ維持していただきたいなというふうに思います。
 それから、検査をやった後の検査結果のフィードバックというものについて、今後の政策評価、検査結果の政策への反映というものをしっかりさせるためのシステムの構築についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
金子会計検査院長 私、一つは役割分担の問題があるのかなというふうに考えております。
 会計検査院では、業績評価をし、その結果を出す。そして、各省庁に対して付加価値をつけた提言をしていく。それについては、フィードバックさせるに当たって、国会、特に当委員会との連携を図ってフィードバックということをしていきたいというふうに私、考えております。
 それと同時に、業績評価につきまして、私、業績評価というのは、何遍も申し上げておりますけれども、相手方省庁、受検対象になる省庁の事務事業をより質の高い、より低廉な費用で提供できるものにしていくということが業績評価であると考えております。これは、各省庁が本来行う事務事業の基本的なスタンスであるというふうに考えております。
 その意味で、会計検査院の検査と各省庁の事務事業の遂行というのは、究極的には国民の期待する行政サービスをいかに質の高い形で、安い形で提供していくかということになるんだろう。この意味で相手方省庁と同じ方向に向いているということで、私はこういう形でフィードバックがされていくというふうに考えておりますし、そのように主張もしております。
桜田委員 ちょっと時間が少なくなっちゃって大変申しわけないですけれども、人事院総裁にお願いいたします。
 公務員の退職金というものがあるんですが、私、退職金制度というものは、年齢がたってから多額にもらうのではなく、退職金の前払い制度というものを実施して、年をとって金を使わなくなってから多額の金をもらうのではなくて、金が必要な若いうちに退職金の前払い制度で月々いっぱい金をもらうようにした方がいいと思うんですが、ぜひその辺の検証についてお聞かせ願いたい、これが一点であります。
 それで、ついでに、公務員の天下りの問題が先ほど出ましたけれども、いつも、今の国家公務員が六十歳まで働かないで五十四、五歳で天下り、肩たたきをやる慣行については、私は、天下りはだめだといいながら、この慣行については極めて不自然だと思っているんですが、ちょっと人事院総裁にお伺いしたいと思います。
中島政府特別補佐人 第一点の退職金の問題ですが、最近、幾つかの民間企業で退職手当の前払いというのを始める、あるいは検討するという新聞記事が出ております。私たちも、非常に新しい動きだというので注目しております。
 今先生がおっしゃいますように、これを前払いするかどうかにつきましては、そうした場合にどういう問題があるのかということをこれから研究していかなきゃならないなというふうに思いますが、いずれにいたしましても、退職手当そのものは総務省の所管でございますので、総務省と連携をとりながらこれについて研究をしてまいりたいというふうに思います。
 もう一つは、天下りの話ですが、今御指摘のように、1種試験で合格したいわゆるキャリアと言われる職員は、五十三歳以下で大体六〇%近い人間が退職しておるということでございます。したがいまして、どうしてもいわゆる天下り問題というのが生ずるわけでございますから、私たちはかねがね、もう少し在職期間を長期化するということを提唱しております。そして、それぞれの任命権者、各大臣ですが、大臣に、在職期間の長期化のための計画を立てて、少し計画的に在職期間を長くできるように考えていただけないかというお話を申し上げております。
 なお、この問題につきましては、関連する制度もいろいろございますので、そういうものをあわせながら検討し、今御指摘のような問題に対応していかなきゃならないというふうに思います。
桜田委員 どうもありがとうございます。
渡海委員長 次に、松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 両大臣、お疲れのところ、ありがとうございます。
 まず冒頭に、金子院長、先週、ニュージーランドの方で、国際会議、検査院長の第三回会議がありました。これは実はうちの予算委員会では随分問題になりまして、大事な、外務省の問題も含めて、一番会計検査院長のお話を聞くべきだ、そんなことがありましたので、行ってしまったことでありますので、一応ここで遺憾であるということを指摘させていただきまして、冒頭から始めさせていただきます。
 私、この委員会の野党の筆頭にさせていただきまして、初めてでございますけれども、決算の重要性というのは、私も入ってみてだんだんわかってきたんですけれども、実は、この決算委員会は、毎日新聞がこの前書きましたが、衆議院では三年もおくれてしまった。今回、自民党、与党の皆さん、そしてまた委員長さんの御配慮で、少しでもスムーズにやろうということで、こういうお疲れのところもやることになった。これは非常にいいことだろうと私は思っております。
 なぜそれを言いますかといいますと、やはり翌年の予算に反映するために決算をしっかりやれということで、憲法にも一応は書かれているわけですね。ところが、三年も当院では延ばしている。これは実は慣例で、二年ごとにまたいで、二年まとめてやっていた、こんなこともありました。私も地方議会出身でございますので、地方では、必ず秋に前年度の決算をしっかりやって翌年の予算に反映するということをやっているわけですね。ですから、そういう意味では、この決算委員会が、特にまた平成十年には改正されて行政監視という意味を深めたということでありますので、特にこの辺は決算委員会を頻繁に、しかも充実して開くべきであろうと思っております。
 そこで、財務大臣いらっしゃいますので、やはり予算を責任を持っておつくりになるお立場で、参議院の方は少し先行しておりますから決算は進んでいます、しかし衆議院はこのような状態でありますので、私から見ますと、執行部の方もやはり決算の内容を余り重要視していないのではないか。その辺で、予算をつくられる責任者の財務大臣に、やはり決算の重みというものをしっかり受けとめながら予算をつくっていくべきではないか、私はそう思っておりますけれども、その辺の、決算軽視ではないか、そういう状態ではなかったかということに対して、いかがお考えでしょうか。
塩川国務大臣 仰せのとおり、私もかねてから、ずっと長い間政治家をやっておりますけれども、何で決算を本当に余り重視していないのかという感じがいたしますね。
 大体、日本の社会の構成の中で、プラン・ドゥー・シーのシーの面は、どこの部門においても弱いんですね。外国に比べまして、日本の検事も少ないし裁判官も少ないし、会計検査院の定数は今千四百名ですかね。千二百人ですか。こんな状態ですからね。それで国会に全然ありませんね。ですから、このシーの面は、これはやはりみんなで考え直すときじゃないかなと思います。
 そこで、財務省としまして、私も思っておったので、毎年、予算の執行状態がどういうふうになっておるのかということを財務省独自で調べようということにしまして、去年の六月、七月で、主計局と地方財務局とで共同いたしまして、予算の執行状態を、現場を調べさせたんです。これは、随分と私は参考になりましたね。その中で一つわかりましたのは、行政コストですね。これは全然意識がなかったということがだんだんと現場を見てわかってきたということが、これは一つ私、収穫だったと思うんです。
 そこで、今度、それを制度化いたすことにしまして、主計局の中で予算執行評価会議というのをつくりまして、大体定数は十五、六人。人はふやしませんよ。省内の中で人間のやりくりをして主計局の中につくりまして、それで、これをどうするかといいましたら、毎年の予算の執行状態を全部調べていこう、何も公共事業だけじゃございませんで、福祉も教育も全部ございますから、分野ごとに調べていこう、こういうことをやっております。
 おっしゃるように、これからやはり検査体制というのをしっかりしなけりゃ、ここは私は本当にバランスのとれた社会は出てこないと思っております。
松崎委員 まあ姿勢はよろしいと思いますけれども、これだけでも膨大な、例えば会計検査院の対象はたしか二百何十兆ですよね、予算以外に二百五十三兆、会計検査院は対象としておりますね。財務大臣の方は予算の一般会計だけでも八十数兆ですから、それを十数名で云々というのはなかなか難しいので、これはやはり政府全体の仕組みを、やはり評価を含めてやっていかなきゃならない。
 ただ、これは、総務省に置いた政策評価制度、できましたけれども、自分で評価したらだめなんですね。今回の、平成十年の改正で、多分日本でも、GAOあるいはNAOですか、この辺を意識してやってきたと思うんですけれども、アメリカあたりのGAOは直接国会に所属をしている、こちらの会計検査院は独立機関である。その辺で検査能力とか権限とか随分違うので、一概に比較してもいけませんけれども、私は、もう少しその辺が、財務省につくられるのも結構ですけれども、やはり客観性のあるところ、自分でつくったものを自分で評価しても本当の評価じゃないんですね。だから、私は、総務省の評価制度も、これは本来は変えるべきだろうと思っておりますけれども、そういう客観性のあるところ、独立機関であれば、検査院はほぼそれに近いんです。
 ところが、これを見てみますと、最近の一番の話題の外務省関連のさまざまな、内閣報償費にしてもプール金にしても、渡切費もそうですけれども、ほとんどそちらではチェックはされていませんよね。警察やら内部からの告発で出てきたものをチェックされる。これではちょっと私は、本来的な、いわゆるGAOを目指しているとしたら違うんじゃないか。
 そこで、院長さんが先ほどからお話しになりましたリスクマネージ型、これは随分あちらこちらで院長お話しになっております。これはわかりますけれども、実際には、現実ではそうはいってない。
 十二年度決算の報告書には随分指摘が細かくされていますけれども、それはあくまで終わったことだと。これはおっしゃるとおり、事前に予知して防止をするんだということを、どんなつもりでこれからその方向性でおやりになりますか。
金子会計検査院長 私は先ほど桜田委員の御質問に対してもお答えしたんですけれども、これまでの四年半の会計検査院における経験、それから最近の報償費をめぐる問題、それからプール金をめぐる問題、それから主要各国の院長との意見交換というものを通じまして、私は、従来型の検査と同時にリスクマネージ型の検査の導入の必要性ということを痛感いたしました。
 そして、報償費の問題それからプール金の問題につきまして、これは事前に違法、不当な事態が発覚をしておりましたけれども、こうしたリスクマネージ型の検査というのも導入いたしまして、報償費の執行がどうなっているか、また検査体制がどうなっているか、プール金の問題につきましては、プール金の発生のもとになりました物品・サービスの購入のシステムがどうなっているのかということに目を向けて、ここから私は、再発を防止するためのそれぞれの費目についての管理及び執行体制の整備ということを指摘事項として行ったわけでございます。
 私は、GAOとの対比というのはなかなか難しいと思いますけれども、GAOも、議会に属するとはいえ、議会の要請で検査をすると同時に、GAO自身が戦略的な計画を持ってリスクのあるところに対して検査を行うという体制をとっております。私、今までの会計検査院に欠けていたものは何かというと、こういった戦略的な手法というところが欠けていたんであろう。
 先ほども申し上げたんですけれども、国の基本的な責務というのは、国民が期待する行政サービスをいかに質の高い、そして低廉な形で提供していくか。会計検査院は、これに対して、これに資する検査をやっていくというところが会計検査院の使命であろう。この会計検査院の使命を明確化して、その使命を果たすためにどういう検査をしていくのか。
 先ほど私は、リスクマネージ型と付加価値型というものを申し上げたわけですけれども、では、それをどのようにして実行していくのかという検査の体制というものをつくり上げていく。これを実行しますと、GAOに劣らぬ会計検査院の能力を発揮する。私は、会計検査院の現在の能力、潜在的能力というのは、決してGAOに劣るものではないというふうに思っておりますので、これをいかに組織化して使命を果たしていくか、それがポイントであるというふうに考えております。
松崎委員 御丁寧な御説明、ありがとうございました。ということは、このリスクマネージ型で既にやっているということでよろしいわけですね。大変期待をしております。
 ところで、川口大臣にも来ていただいております。
 実は、先ほどもう既に予算委員会で出たんですけれども、例の国際麻薬統制サミットですか、二〇〇二年、これが、例のホテルの流用事件がありました同じニューオータニで四月の二十三日から、もう既に決まっているということでありますけれども、この辺、どう考えても、ニューオータニの逮捕者も、たしか去年の九月でしょうか、半年以内なんですね。
 これは、先ほど答弁で大臣は、ニューオータニは停止中であるというお話でした。そして、浅川事件より前に契約したんだという説明をされていましたけれども、浅川事件より前に契約していたとしても、あの問題が起こって、浅川さんとそれからニューオータニの担当者も逮捕されている。これは会計検査院の方は、まだ確定した金額ではないんでしょうけれども、かなり調べてチェックを十二年度にもしている。そういう状態の中で、契約をこれから考え直すというふうに、けさ聞いてやるというお話ですけれども、この辺が全然反省も何もないんじゃないか。
 つまり、浅川さんの逮捕事件が九月六日ですから、だとすれば、その前に契約しても、ニューオータニを使うというのは、これは非常識ですよね。どういう経過で全然変えられなかったのか、まだ二十日間しか大臣になっていないとおっしゃいますけれども、その辺のことを、今の段階でなぜこんな契約が進んでいるのか。
川口国務大臣 この国際麻薬統制サミットの会議は、非常に規模も大きい会議でございまして、こういった会議をきちんと扱えるホテル、それから、関係者の方も多うございますので、都心から余り遠くないことということを考えまして、外務省が昨年の九月にホテルニューオータニとの取引停止措置をとる前にニューオータニを使うということで合意があって、準備作業を進めてきたということだと私は聞いております。
 それで、ただいまおっしゃられましたように、昨年九月にニューオータニとの取引停止という自粛措置をとっているわけでございまして、私、この話をけさ聞きまして、検討し直すように事務方に対しては指示をいたしたということは、先ほど予算委員会でも申し上げたとおりでございます。
 それで、御質問の、何で九月に自粛措置をとるということになったにもかかわらずそこを変えなかったのかということでございまして、そういう御疑問、ごもっともだと思いますけれども、その点について聞きましたところ、実はその時点でホテルを当たってみたということだったようでございますが、都内の、会議の施設が整っているとか、あるいはその会議に御出席なさる方が泊まれるとか、それから都心から余り遠くないとか、そういった条件を考えたときに、その条件に合ってなおかつあいているというところがなかったということであったようでございます。ということで、事務方としてホテルニューオータニで開催するということで検討を続けたということであったようでございます。
 過去の経緯について申し上げれば、そういうことと私は聞いております。以上でございます。
松崎委員 それで、過去の経過は、これは問題が大き過ぎますよね。ホテルはほかにないわけじゃないし、外務省関連は飯倉公館もあるし、幾らでも方法があると思うんですね。まずここの問題から、普通、建設省関連の入札関連でこういうペナルティーを受けたら、半年とか一年は指名停止なんですよ。外務省の場合は指名停止なんというのはないのかもしれませんけれども、自粛と言っておりますけれども。
 つまり、何が言いたいかというと、全然反省していないということだね。これだけ問題を起こして、普通、ほかの省庁だったら契約なんかできないですよ。場所がないなんていって、大阪でやったっていいんです。
 これはどうしますか。もう国際社会に、各機関に通知しちゃったんでしょうから、今さら変えられない。あいていなかったんでしょうから、今になったらもっとあいていないですよね。どうしますか。
川口国務大臣 けさほど、検討し直すように指示をいたしまして、今ホテルを鋭意当たらせていますけれども、幾つか可能性はあるのではないかと思っております。
 ただし、利便性その他からいって、国会議員の方もいらっしゃいますので、国会の近くといったようなことからいうと多少御不便をおかけするような結果になるかもしれませんが、そういうことで、今、事務当局に場所を選び直す方向で進めさせています。そういうことが多分可能になると思っております。
松崎委員 だから、分散したって何だってできるということですよね。
 ということは、この問題が起こる前に契約して、この問題が去年の九月に起こったら、反省をしている外務省だったら、当然ここで、指名停止と同じ状態なんですから。どういう感覚なんだ。今まで、この予算委員会でも何でも、いろいろなところでこの外務省の問題を中心に、プール金がどうだといったって、全然反省していないということでよろしいですか。
川口国務大臣 外務省は大いに反省を今いたしておりますし、私は反省すべきだと思っておりまして、それは、委員がいろいろ御指摘になられたようなことは実際にあったわけでございますけれども、反省はきちんといたしております。
松崎委員 川口新大臣を余り責めてもいかぬと思いますけれども、これは国民の皆さんに、やはりそういう体質がいまだに直っていないと。今回、けさ、NHKで報道された途端に、私もこれを見たんですけれども、予算委員会にも出てきて大臣も初めてわかった、慌てて対応する。この一連のいろいろな事件があって、これだけ逮捕者を出して、国会でもいろいろな審議をしたって、全然効果がないというか、馬の耳に念仏というものなんでしょうか。これはどこからきているかというのが問題なんですね。
 ちょっと質問は変わりますけれども、どうも国民のために働いているという外務官僚の意識がないのじゃないかと思うんですね。私、確認はしておりませんけれども、どうも陛下のためにやっているんだというような意識がまだあるんだというふうにちらっと聞きました。海外の公館は、たしか菊の御紋がほとんど入り口にあるそうなんですけれども、私も余り確認しておりませんけれども、日の丸じゃないんですよね。菊の御紋だそうです。私は天皇崇拝者でございますから、決してそれはいけないとは言っていません。しかし、国民のために働いている外務省だったら、やはり国旗を出すべきですよね。
 そういう意味では、その辺、もし私が違っていたら言ってください。そのくらい国民に対して、国民のために働く外務職員なんだということになれば、これだけ騒がれていることに対してもう少し緊張感というのがあっていいはずなんですね。どうでしょうか。
川口国務大臣 まず、菊の御紋か国旗かということでございますけれども、私も全部覚えているわけではございませんが、少なくとも、私が二年間ほど仕事をいたしましたワシントンにあります日本国大使館では、国旗をちゃんと毎日出していたというふうに私は記憶しております。
 それから、意識の話でございますが、私は、外務省に来まして、お客様志向ということを外務省の職員に言いました。外務省にとってお客様はだれかというと、これは国民にほかならないと思っております。十の改革というのをこの間発表させていただきましたけれども、そこにも、間違ったエリート意識の排除とお客様志向というふうに書かせていただいておりまして、この意識の改革というのは大変重要なことでございますので、意識が変わるのには少し時間がかかるかもしれませんけれども、ほかのさまざまな対策をとることによって変えていかなければいけないと思っておりますし、現に、外務省の職員の方も、私は、皆さんから、改革についての意識を書いてくださいといって紙をいただきましたけれども、そこを読みますと、皆さん、改革が大事だということをきちんと考えているというのが私の今の感じでございます。
松崎委員 骨太の方針を出されて、本当に、短い間にいろいろやっていらっしゃるのはわかりますけれども、夏までに第三者の「変える会」で改革の具体案をつくる、これでは、今言ったように、去年の間にもう契約なんか変えなきゃいけないことも全然やらずにいくわけですから、これはもっとスピードアップしないと本当の改革は浸透しないと私は思います。
 検査院の院長さん、先ほどのリスク管理、マネージ型でいきますと、今のようなことは検査院はどういう対応をするんですか。
金子会計検査院長 会計検査院は、昨年九月二十七日に出した処置要求の中で、会計法の原則に従った物品・サービスの調達をするようにという要請をしております。これは、そういう形で行動をしてもらうことがまさにリスクマネージにつながることになるわけです。したがって、会計検査院が処置要求を出した以降の調達について、会計検査院としては厳しく見ていくということになると思います。
 私、けさ、その話を聞いて、実はびっくりいたしました。どういう経緯でそういうふうになったのか、我々の処置要求に従って行った結果が例外的にそういう形になったのかどうか、それについては我々の方としては十分に検査をさせていただくということになると思います。そのように考えております。
松崎委員 そうしますと、検査院さんは、処置のことをいろいろ言ったものだけということになるんでしょうか。事前に予知し防止しという、リスク管理のマネージ型のポイントですね。これは欧米では通常行われているわけですけれども、ただ、きょうの時点でその問題が起こってきた、わかってきた。そうすると、会計検査院の出された、是正改善を必要とする事項、発生原因と書いてありますね、これに照らし合わせても、多分、停止と同じような内容の、自粛という、官庁が公費を支出する相手がああいう不正なり逮捕者を出している、内部も両方で出した、ああいう状態でまた契約するなんということは、どう考えても、どこから引っ張ってもこれはあり得ないですよね。それをきょう知ったんですね、検査院として。それに対しては何もやらないの。GAOだったらやるんじゃないですか。
金子会計検査院長 ちょっと、私、報償費とプール金の問題を一緒にしてお答えして、間違ったお返事をいたしました。プール金の問題については、十一月末の検査報告の中で掲記したものでありますので、それは訂正させていただきたいというふうに思っております。
 それから、会計検査院は、常時、会計経理について検査をするということになっております。したがって、外務省に対して、常時、我々検査をするということになります。
 私、先ほど申し上げましたのは、私が知ったのは実はきょうということで、会計検査院としてということではなくて、私個人としてそのことを知ったのはきょうであるということで申し上げたわけでございます。
 この点について、詳細、もしわかっていれば、局長の方から答弁をいたさせます。
松崎委員 本当に残念な話ですね。
 今ちょっとメモが来まして、実際、ニューオータニが一回使われているんだそうですね。二〇〇一年十二月十一日、読売が書いています。バジパイ首相ですね。私、この前パキスタンへ行ってきたのですけれども、印パの紛争で大変な指導力を持ったインドの総理ですけれども、この方が、十二月十一日にニューオータニが使われている。公式行事と書いてありますね、宿泊や公式行事。
 ちょっと私、これはよく調べておりませんけれども、これはどうなんでしょうか。このバジパイ首相は、向こうのお金で払っている分にはいいのです。公式行事というふうに書いてありますけれども、突然の質問で申しわけございませんけれども、これもやはり実際に外務省が絡んでお金を使って、公式に使ったのでしょうか。
川口国務大臣 けさテレビを見ましたときに、その後外務省の事務当局に、この話は、今おっしゃった話については聞きました。それで、理由は何であったかということを聞きましたところ、先方の、インドの政府の御希望であったということでございまして、その場合はそこは使えないのでということを申し上げられなかった、そういうことでございます。
松崎委員 インドの総理が、ニューオータニしか泊まらないなんということは言わぬと思いますよ、常識的に。川口大臣も海外生活長くていらっしゃいますから、私は素人ですけれども、多分、相手の国が用意したことになるんじゃないんでしょうか。
 ですから、そういう意味では、こういうふうに既にもう使われているんではないかというふうに思いますので、この辺、ちょっと時間がなくなりましたけれども、よほどしっかりしないと国民はもう納得しない、そういう段階に来ておりますので、今後ともしっかりお願いをしたいと思います。
 終わります。
渡海委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 時間が三十分ですので、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
 まず、北方四島に対する我が国の人道支援についてお伺いしたいと思います。この問題は、既にさきの予算委員会あるいは本日の集中審議でも出ておりますので、重複しない範囲内で質問させていただきます。
 実は、昨年八月三十日から、三十一日でございますか、三十一日から九月三日まで、ビザなし交流の一員として、北方四島、そのうちの色丹島へ行ってまいりました。約六十五名の旧島民の皆さんの顧問として、国会議員は私と自民党のお一人、二人だけでございました。三日三晩、ロシアの島民の皆さん、それから内地、日本の旧島民の皆さんといろいろな議論をし、そして要望も受けてまいりました。明らかになった事実もございます。それを踏まえながら質問させていただきます。
 まず、確認だけさせていただきます。
 この北方四島への人道支援、これまで十年間で、これまでの経過を見ますと、支援委員会を通じて平成十三年九月まで約百三十五億六千万円、さらに赤十字国際委員会等を通じて平成十三年末までに約七十五億九千万円、北方四島住民に対して平成十二年度までに確定している分で約八十七億八千万円、合計二百九十九億三千万円。これに間違いはございませんか。
齋藤政府参考人 御指摘のとおりでございます。
木下委員 旧島民の皆さんから非常に、お話を伺いまして、実は、この人道援助がもう既にいろいろな形で、発電所ができたり、ムネオハウスだとかムネオ号だとかあるいはムネオ診療所とか、私も見てまいりました。確かに現地では、診療所に対してはムネオ診療所、あるいは発電所に対してもムネオ発電所、現地の人たちはそう呼んでおります。
 しかし、それは別として、これだけの、十年間で約三百億円ですね、これによって、例えば北方四島の社会基盤、インフラ整備はある程度進んでいるわけですね。こうしたことに対して、むしろ旧島民の皆さんは、日本の援助によって島民の皆さんが恩恵をこうむっている、これによって逆に北方四島が返ってくる時期がおくれるのではないか、むしろ、延ばせば延ばすほど日本からお金が来る、だから北方四島はずっと延ばせば延ばすほど日本の援助が来る、そう言っておられますけれども、どうですか、もうそろそろ、ましてロシアは、ODAを我が国が出すような、そんな国ではない、大国であります。そろそろこのロシアに対する、あるいは北方四島に対する人道支援というのは見直すべきではないか、そんな旧島民の声もあります。いかがですか。
齋藤政府参考人 我が国が実施しております北方四島住民支援は、依然として困難な状況に置かれております四島住民に対する人道的な観点から行っているものでございます。社会的基盤整備を目的としたものは対象にしてございません。
 また、四島住民支援は、四島住民の我が国政府に対する期待感、信頼感を高め、領土問題解決のための環境整備に資するというふうに考えておりまして、この支援によって領土返還が遠のくとは考えておりません。
木下委員 いや、これは、旧島民の皆さん、あるいは北方四島、少なくとも私、色丹島のロシアの住民の皆さんとも話をしました。確かに日本の援助によって潤っております。
 しかし、本来社会的な基盤整備はロシアがやるべきことであって、一時的には、地震があったりしてそれはやむを得ない人道援助ということで、例えば学校を建てる、病院を建てる、これはやむを得なかった部分もある。しかし、これだけ人道援助に対して、一政治家が関与した、しない、こういう問題が出てきているわけですから、もうそろそろ見直して、やはり日ロの間に正常な関係をつくるべきではないか、私はそう指摘しているのですが、どうですか、大臣。
川口国務大臣 北方四島に人道的な支援をやった方が早く返ってくるのかやらない方が早く返ってくるのかというのは、北風、太陽、いろいろな話がありますけれども、判断はいろいろあるかと思いますけれども、政府といたしましては、人道的な観点からの援助をやることによって、四島の住民の日本への信頼感、期待感が高まるというふうに考えております。
 ただ、いずれにいたしましても、この支援というのは効率的に行われる必要があると思っておりまして、私は、先般予算委員会でも御指摘をいただいたところでございますので、その案件について調査を園部外務省参与に、監察査察担当の方ですけれども、お願いをするように指示をいたしましたし、それから、改革の十の項目の御議論を「変える会」でいただく中で、これについてより透明性が入る方向で議論をしていただきたいと思っております。
木下委員 確かに、人道的援助、いいです。しかし、旧島民の皆さんは、敗戦と同時に島を裸一貫で逃げてきたのです。そういう人たちに対して、何らかの補償はしてあげましたか。
 本当に五十年間苦労してきました。彼らから見ると、何で、私たちが島を追い出されて日本へ、内地へ逃げてきた、そして政府から一銭の援助ももらわないでここまでやってきたのに、ロシアの人たちにだけ援助をするのか。私も随分そういう指摘を受けました。何とかしてくれ、ロシアの人たちに支援するのだったら我々にだって支援してくれよ、それが政治じゃないかと。どうですか。
坂巻政府参考人 お答え申し上げます。
 北方四島の旧島民の方々につきましては、他の地域からの引揚者の方々と同様、過去に引揚者交付金、引揚者特別交付金が支給をされているところでございます。さらに、政府といたしましては、北方地域の特殊事情を考慮いたしまして、元島民の方々に対する生活資金や事業資金の低利融資制度を創設し、その充実を図ってきたところでございます。
 お尋ねの財産権の問題については、領土問題とともに日ロ間においてなお未解決であり、平和条約交渉において明確にされるべきものと考えており、さらに、その不行使に対する補償につきましては、他の均衡などから困難であるということを御理解いただきたいと存じます。
 その他、元島民の方々に対します援護措置といたしましては、低利融資制度のほか、北方四島への自由訪問でありますとか、衛星画像を活用した北方四島の土地利用分析等々を通じまして支援をさせていただいているところでございまして、今後ともこれらの援護措置の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
木下委員 それではお聞きしますが、一人当たり幾らぐらい支援していますか、旧島民の皆さんに。
坂巻政府参考人 いろいろな援護措置がございまして、例えば融資制度は貸付枠が十四億ということでございまして、いろいろ事業資金、生活資金、住宅資金等ございますが、その貸付残高につきまして一人当たりいかほどになるかということは、ちょっと手元に資料がございませんので、数字をお答えできないということでございます。
木下委員 融資じゃなくて、個人的に幾ら援助しているのか、したのか、過去に。それを聞いているのです。
坂巻政府参考人 お答え申し上げます。
 昭和三十二年に引揚者給付金等支給法に基づきまして支給がされております額は、一人当たりが、三十二年当時でございますが、七千円から二万八千円の幅の中、それから、昭和四十二年につきましては、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律に基づきまして、一人当たり二万円から十六万円の幅で支給をされているということでございます。
木下委員 そんな額で、援助していますよなんて言える額じゃないですよ。三百億ですよ、十年間で。それをもう一度考えてください。これはまた、いずれ質問させていただきますが。
 それから、人道援助とは別に、今お話しになりましたけれども、いわゆる北方四島の交流事業があります。これは、先ほど言いましたように、ビザなし交流、それから、これは墓参団、墓参ですか、墓地、それから自由交流、この三つがあると思いますが、そのうちビザなし交流ももう十年を経過しているわけです。
 私も行ってみましたけれども、ロシアの島民の皆さんと意見交換、大いに結構、あるいはホームステイ、あるいはビジット、いろいろ家庭へ行って議論をしてまいりました。しかし、こういったことが、逆に言うと、これは日本からも行きますし、ロシアからも来てくれるのですが、お互いに各家庭で大変な負担になっている、こういうことを私も聞きました。
 これについて、何らかの反応はありますか、御意見等聞かせてください。
坂巻政府参考人 お答えいたします。
 ビザなし交流につきましては、こちらからの訪問については私ども内閣府が、それから、四島在住のロシア人の受け入れにつきましては外務省が分担しているところでございます。
 御負担というお話でございましたけれども、こちらから訪問する場合の四島在住のロシア人の方々の御負担というものは確かにございますが、いろいろな形で、余り向こうの方にも負担がかからないような工夫はさせていただいているということでございます。
 こちらの負担は外務省さんの方でございます。
 以上でございます。
木下委員 それから、日本から行かれる旧島民の方々、大体、毎回三分の一ぐらいは同じ顔ぶれということで、かなりマンネリ化してきている。もう旧島民の皆さんだけに範囲を限定しないで、むしろ本土の方からも、国内の方からも、もっと青年とか学生とかそういったものを、将来のやはり日ロ関係を目指した交流をすべきではないか。もう旧島民の皆さんだけに限らず、今は限定されていますよね。そのほか、旧島民の皆さんとかあるいは北方返還に努力されている方とかそういった方々に限定されていますが、もっと今の学生さんとかあるいは青年とかそういう人たちとの交流を図るなど、見直しが必要じゃないですか。大臣、どうですか。大臣、お答えください。
齋藤政府参考人 九二年四月に開始されました四島交流は、当初、訪問の対象者を、御指摘のとおり、旧島民、北方領土返還要求関係者及び報道関係者に限定してございましたが、九五年には二名までの国会議員、さらに九八年には学術、文化、社会等の各分野の専門家にまで対象を広げてまいりました。これを受けまして、これまでに教育専門家ですとか絵画の専門家ですとか動植物の専門家等がこの交流に参加してきております。
 なお、御指摘の青少年につきましては、事業当初から行ってきております。
 いずれにいたしましても、本交流事業が十年を経過したことでもございますし、今後、関係者等からの意見を踏まえつつ、必要に応じ見直し等を行ってまいりたいと考えております。
木下委員 それから、その問題に関してもう一つ。
 ビザなし交流の一つとして、平成三年十月二十九日の閣議了解の中で、このビザなし交流は、領土問題の解決を含む旧ソ連との平和条約締結問題が解決されるまでの間継続するという形で閣議了解されています。となると、これに付随したいわゆる人道援助も、その日ロの平和条約締結問題が解決するまで毎年毎年人道援助が続く、そう理解してよろしいわけですか。
齋藤政府参考人 四島に対します人道援助につきましては、特定の予定を立てているわけではございませんで、その場その場に応じまして必要な援助をやっていきたいという考えでございます。
木下委員 その場その場と言っておりますけれども、平成四年から十二年までを見ますと、年々膨れ上がっている。平成十一年度は三十億八千四百万、平成十二年度は二十七億六千八百万、年々ふえているのです。このままいくと年々ふえていきますよ。どうですか、大臣。
川口国務大臣 私、ちょっと、まだ就任をして二十日でございまして、この支援の今おっしゃったような中身については、細かいことはというか一切聞いておりませんので、これから勉強いたしますけれども、今は、ことしの四月からでしょうか、各省は、政策評価のシステムがありまして、それをやることになっておりますので、そういう枠組みで、外務省がやっている政策が適切かどうかというのは随時考えていかなければいけないと思っております。
 一般論でございますが、今考えていることはそういうことでございます。
木下委員 それから、もう一点。
 昨年、私がビザなし交流の一環として北方四島へ行くときの団長が、実は鈴木宗男さんの有力な後援者であります。しかも、色丹島へ、ディーゼル発電施設、その燃料を供給しているところの社長さんであります。そういう方が団長で行かれた。
 しかも、その方が私たちの出発直前、私たちは八月三十一日に出発したわけですが、八月二十六日に、その方が会長になって突然、北方領土二島先行返還の新団体を立ち上げたわけですね。これが当時、根室新聞に公表されたところです。この設立総会には鈴木宗男議員も参加しております。
 実は、突然こういう話が出たものですから、出発結団式のとき大もめになりました。団員の中から、何で鈴木さんと関係のある有力な後援者が団長として行くんだ、しかも彼は二島返還じゃないか、人選がおかしいということで、出発に先立って参加者から異論が出て、激しい議論になりました。これは承知しておりますか。
齋藤政府参考人 昨年八月、根室市において開催されました北方領土返還促進根室市民会議の設立総会に鈴木議員が出席されましたこと、及び小林正輔根室商工会議所会頭が同会議の会長に選任されたことは、報道を通じて承知しております。
 また、四島交流訪問団の団長及び団員の選定でございますが、通常、実施団体が自主的に行っているというふうに理解しております。御指摘の訪問団につきましても、実施団体でございます北方四島交流北海道推進委員会が決定したものと承知しております。
木下委員 少なくも、旧島民の皆さんを代表して団長として行かれるわけですから、そこはやはりきちんと公平な、公正な方を選ぶような、そういうシステムをつくっていただきたいと思います。この問題は、またいずれ追及させていただきます。
 もう一つ、外務省のプール金問題についてお伺いします。
 これまで、私自身も外務委員会等でプール金の問題を随分追及いたしました。これについて公表してくれ、各課、室のあれについて公表してくれと言っていたわけですが、拒否しておりました。ところが、ことし二月五日、突然公表されましたけれども、この方針転換の裏に何があったのですか。
杉浦副大臣 当事者としてやっておりました私から御回答申し上げるのがよろしいと思います。
 木下先生初め、何人かの先生から御指摘があったわけでございますが、あの時点、つまり昨年十一月三十日の調査報告書を出した、その一月ぐらい前ごろになりますと、大体、プール金の残額それから費消額を合計すると二億円、あるいはちょっと超えるのじゃないかという実情が調査の結果わかってまいっておりました。
 そして、その金額の中で、個人が個人の責任で費消したものもございます。これはこれできちっと個人にけじめをつけさせる。しかし、その金額はそんなに多額ではなくて、大部分が、一人一人の責任が不明確だという実情がわかってまいりました。
 それで、調査と並行いたしまして同時に、この多額に上るお金を国庫に返還しなければならぬ、外務省、省員全体で責任を分かち合うべきではないかという意見が高まってまいりまして、並行して、その返却金の負担をどうするかという話し合いをしておったわけでございます。
 発表いたしました時点では、その金額を役職に従って、課長は幾らとかどうとかいう話し合いをしておったのですが、省員全体から納得を得られる状態ではなかったというのが正直なところでございます。結果的には課長補佐以上、職責に応じて分担をいたしましたし、課長補佐になっていない人たちも、自主的に負担した人もおります。それから、退官した人からもいただいておりますし、私どもも応分の負担をいたしました。
 それで、御指摘を受けまして、あの時点では公表しないとは申さなかった、検討いたしますという御返事をしたと思うのですが、検討を進めてまいったのですけれども、ほぼ皆さんの理解が得られて、責任を分かち合おう、大体返済額はめどがついた、年が明けて一月半ば過ぎにはそういう状態に相なりましたので、発表させていただこうということになったわけでございます。
 たまたま新大臣になりましたのは、副大臣の会見で発表しようと思っておりましたら、例の問題が起こりまして、新大臣就任までおくれたという経過でございます。
木下委員 この内訳について資料を出させていただきました。
 各課、室について残高あるいは費消額という形で出ているのですが、これを見ますと、実に、五百万円以上のプール金を蓄えていたところが十六課もあるのですね。とりわけ経済局が非常に多い。あるいは大臣秘書室、事務次官室、会計課まで、会計課は三百十一万円もプールしているのです。自分で会計をやりながら、せっせとプールしていた。
 何でこういうことが起こったのですか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 今木下委員御指摘の点でございますけれども、経済局、例えば国際機関第一課が一番多かったわけでございますけれども、そういう課が経済局の中に多かったのは、外国からのお客が多いとか、会議が多いとか、そういった事情がほかの課に比べてあったということでございます。プール金の形成過程については、昨年、委員会等で御説明したとおりでございます。
 それから、今の御質問の大臣室、事務次官室等につきましても、外国からの賓客がおいでになったときに大臣あるいは次官等が、レセプション等を含めまして接遇をする場合がございます。そのときに、余裕を持って見積もりを行い、実際に要したお金との差額といいますか、余剰金がプール金として残るということがございました。
 会計課につきましては、この我々が調査した過去六年半につきまして、どういう経緯でプール金が形成されたかは解明することができませんでした。いずれにいたしましても、会計課につきましては、今御指摘のような立場でございますので、歴代の会計課長に対しまして外務大臣による厳重訓戒処分を行った次第でございます。
木下委員 解明ができましたと、いかにも無責任なあれなのですが、それは後でまた追及します、時間がありませんので。
 では、このプール金の財源はどうなっているのですか。私自身が三越の問題で追及したとき、三越問題で外務省が購入したのは交際費と庁費とそれから報償費である、これをなかなか明らかにできなかった。なぜかというと、報償費がひっかかる。
 これは、今回の件は財源を明らかにしていただけますか。財源は、予算はどの費目から出ていますか。わかりますか。
小町政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆるプール金の出所でございますけれども、予算科目としては主として招聘外国人の滞在費、文化人などの招聘費、庁費等が用いられたことが判明しております。
木下委員 個別に財源を明らかにしてもらえますか。
杉浦副大臣 予算項目のどこから、財源というとおかしいですが、このプールに入って使われたかという点はおおむね明らかになっております。明らかにしろという御指示であれば、検討して明らかにすることはできる、検討はできると思っております。
木下委員 明らかにしてください。それぞれ財源、どこから出ているのか、それがプールされている、そのプール金の財源を明らかにしていただけますね。
渡海委員長 政府において御提出願えますか。
杉浦副大臣 持ち帰って検討いたします。
木下委員 いや、さっきは出すのはやぶさかでないと言っていましたけれども、検討じゃなくてやっていただけますね、どうですか。やってくださいよ。
杉浦副大臣 どの財源から出たかは明らかにできると思います。
木下委員 では、それをできるだけ早目に出してください。
 それから、会計検査院にお伺いしますけれども、こういったプール金はなぜチェックできなかったんですか。何を検査していたんですか。これだけ多額のプール金があった、どうしてチェックできなかったんですか。
石野会計検査院当局者 検査院では、外務省の検査に当たりまして、外務省の中の各種の支出の中でも、予算額が多額に上り、かつ国民の関心も高いODAを中心に検査してきたという経緯がございます。したがいまして、今問題となっております外務本省におきまするホテル等の業者との契約、これにつきましては、それほど重点を置いた検査というのはしてこなかったというのが実情でございます。
 ただ、昨年、外務本省におきまして、お話しのような一連の会計経理上の問題が出てまいっております。そこで、会計検査院では、その前の一昨年より既に、外務省の物品役務の調達事務に関してはさまざまな問題があるだろうということに着目いたしまして、その事実関係ですとか改善方策について検査を実施しておりまして、その結果につきましては、昨年の十一月に、外務省に対しまして会計調達事務の改善を図るようにという処置を要求したところでございまして、今後、その改善の処置がとられるかどうかということには十分注意してまいりたいというふうに考えております。
木下委員 もう一点だけ。
渡海委員長 もう時間が経過しておりますから、簡単にしてください。
木下委員 今、私の手元に、ホノルルとフランス大使館の渡切費と政府開発援助、この資料がございます。仙台の市民オンブズマンへ情報公開法に基づいて出した資料なんですが、この中で、渡切費とODAの渡切費が一緒に使われている。なぜハワイやあるいはフランスでODAが使われているんですか。そこだけお答えください。
渡海委員長 小町官房長。端的に。
小町政府参考人 お答え申し上げます。なるべく手短にお答え申し上げます。
 ODAの実績をどう計上して報告するかということにつきましては、長年議論されました。一九八二年にOECDの開発援助委員会の会合におきまして、政府開発援助、いわゆるODAに関します機関の行政経費についても、これを支出実績に計上することで意見の一致を見た次第でございます。これに基づきまして、我が国は、在外公館の経費のうち一定割合をODAとして同委員会に報告することといたしました。
 具体的には、在外公館で専ら外交事務に従事しております職員数のうちODA関連事務に従事している職員の占める割合を算定し、その割合をすべての在外公館の経費に一律適用し、在外公館のODA実績として同委員会にこれまで報告してきているところでございます。これは、在外公館の行政経費につきましては、ODAの事務と非ODAの事務が一体となって実行されており、個別の在外公館について、ODA関連経費が占める割合を個別具体的に算出することが困難であるためとられている措置でございます。
 ということで、今委員御指摘の件につきましては、先進国につきましてもODA渡切費というのが計上されているということで、フランスにもホノルルにもございます。フランスとの関係では、先進国との関係では、援助調整という事務がございます。それからホノルルにつきましては、日米援助協議といったものがホノルルで定期的に開かれているといったような事情もございます。
木下委員 この問題はよくわからないので、改めてまた質問させていただきます。きょうは終わります。
渡海委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 官房長官、お見えですか。福田官房長官におかれましては、日夜、内外の厳しい情勢の中で、総理の手足となり、また時には代理として、大変な激務をこなしておられます。特に昨今におきましては、かつての角福戦争を思い出すような問題も含めまして、大変な御苦労でございます。最初に、本当に御苦労さまということを申し上げたいと思います。
 質問の最初は、賞勲制度についてでございます。
 叙勲制度は、御承知のとおり、明治八年以来、百二十数年にわたって施行されてまいりました。特に戦後の昭和三十九年におきましては、生存者叙勲制度も復活いたしました。
 私たち、選挙区内でいろいろな知り合いのところへ参りますと、家では一番いい場所に勲章だとかあるいは勲記が額に入れて飾ってあります。これは、非常に名誉として思っておる方が非常に多いということだと思いますが、この勲章制度というのは、公への献身的な貢献、これに対しまして国がこれを認証したというものでございまして、非常に受章者も栄誉と考えておられるわけでございます。
 この賞勲制度につきまして、官房長官は今いかがお考えでございますか。お伺いいたします。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
福田国務大臣 栄典制度につきましては、現在、どのようにあるべきかということについて見直しを行っているところでございます。この見直しにつきましては、内閣総理大臣の懇談会でございます栄典制度の在り方に関する懇談会におきまして御議論をいただきまして、昨年十月末にその報告書が総理に提出されたところでございます。
 報告書は、栄典制度について、歴史と伝統ある勲章等を活用した上で、勲章の名称について、一等、二等などの数字による表示は改めるということ、そしてまた、等級区分を簡素化することなどによりまして、そのような運用の見直しを求めるものとなっております。
 また、政府といたしましても、報告書の内容を踏まえまして栄典制度の改革に向けて適切に対応してまいる所存でございますけれども、現在、その具体的な検討を進めているところでございます。
塩田委員 今言われました私的な懇談会、総理の私的諮問機関というべきものでございまして、それを受けて政府で具体的に検討しておられるということがわかりました。
 大体、こういった審議会とか懇談会の答申というものを受けてやるというのは、やはり政府としてしっかりした考え方を持って、聖域なき改革ということを言っておられるのですから、やはり一定の考えをしっかり持って、そして臨むべきで、参考までにそういった諮問機関の意見を聞くことはいいとしまして、やはり確固たる腹を据えてこの問題に当たっていただきたいと思います。
 これは、御承知のとおり官高民低という意見があるわけですね。民間に低くして官に高い、こういうことの批判でございます。また一方、もともと公務に従事した人たち、昔は軍人あるいは官吏と言われる者でございますが、給料なり報酬、所得は少ないけれども、国家のために身を捨てて、あるいは身を顧みずして公のために尽くしたことに対し栄誉を与えるということだという解釈もありますし、経済的に恵まれた財界の人たちは、戦後復活し、復活といいますか、与えられるようになりましたけれども、これは富も所得も、しかもまた栄誉もかという意見もある。いろいろな考え方があると思いますね。こういったことについて、やはりしっかりした方針でもってこの問題に対処をしていただきたい、このように思います。
 そこで、叙勲制度始まって以来一世紀、四分の一世紀プラスですね、経た今日まで、どのような方がどのような叙勲をされたか、人数はどれぐらいあるのか、こういったことはわかっているんでしょうか。
佐藤政府参考人 明治八年以来の叙勲者につきまして、叙勲者の名簿ですね、勲等それから氏名等を記載した原簿を整理しておりまして、定例叙勲、これは役人の年数を基礎にして発令されたもの、それから、功績のあった際あるいは特別の行事の際の特別叙勲、それから戦争、事変等のときの事変行賞についての原簿等々に分けて記載をして保管をしておりますので、ある程度のものは把握していると言えると思いますが。
塩田委員 ある程度のものは把握していると。何名と言われても言えない現状だと思うんですね。これは、国の法律が一体何本あるのかと聞かれても国会議員も役所の人も答えられないと同じようなことで、たくさんあるけれども何本かは正確にわからない。同じように、この叙勲をされた人の数もわからないというのが現状のようなんですね、今の答えから見ましても。
 そこで、受章者につきましては、賞勲局で発行されたしおりが渡っておりまして、そこに、もし紛失した場合は、有勲証状というものと勲章調製通知書と、それから、勲章を改めては出さないけれども同じものをつくって購入することは可能だという、してもよろしいという許可証ですね、これを発行する、こうなっているわけですね。
 戦後の受章者については、かなり把握して、コンピューターにも入っているかもわかりませんからすぐ出せると思いますが、戦前ですね、戦前の勲等簿冊と言われるものについては紛失してわからない。それから、問い合わせしても、自分のおやじさんあるいはおじいさんがどれぐらいの等級であるかわからない、返事ができないということが言われておりますが、そのようなことになっておるんでしょうか。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
佐藤政府参考人 戦前の叙勲者につきましては、明治八年から大正五年までのものにつきましては国立公文書館に完全に保管されております。それから、大正六年以降の戦災、事変に関するものそれから特別叙勲に関するものにつきましては、どうも昭和二十年の五月に賞勲局の入っている庁舎が戦災で焼失したときに一部焼失したと思われます。
 ただ、定例叙勲に関するものは完全に残っておりますし、あと、関係の資料で残っておるものによりまして、特別叙勲等についてはある程度の資料をそろえてございます。そのほか、叙勲者のカード等がありますので、かなりのところまでは把握できるんですが、そういう事情がありまして、先ほどある程度と申し上げたわけでございます。
塩田委員 今お答えになりましたように、戦時中に係るものは十分把握ができていない。したがって、しおりでもって紛失した場合に証書を出しますと言われても、勲何等でということがわからないものも出てくるということですね。これは、本当に国として認証してはっきり渡したにかかわらず、もらった方は非常に大事がっている、しかし出した方は出しっ放しというか、そんな状況ということは、国として余りにも無責任な状況じゃないか。
 これについて、賞勲局、内閣府は、もっと本当に国民の、受章された方々の気持ち、あるいはその家族、遺族の気持ちを考えて、やはり一刻も早くそれを完璧に整備をすべきであると思います。コンピューターにどんどん入れていけばいつでも検索がすぐできるわけですから、そのような体制を早くつくっていただきたいということを要望いたしまして、官房長官よろしくお願いいたします。
福田国務大臣 委員の御指摘のとおり、戦前の叙勲関係の資料の一部が戦災などによって失われているということがありまして、これはまことに残念なことでございます。今後、国立公文書館に保管されております裁可書等の資料に基づきまして、叙勲関係の記録の整理が可能なことになるのかどうか、こういうことを鋭意検討してまいりたいと思っております。
 今後のものにつきましては、コンピューターに入力するとかいうようなことで、昭和三十九年以降の叙勲記録についてはコンピューター入力するというようなことになりまして、検索が非常に容易になっているということもございます。それ以前につきましては、今申しました叙勲関係資料の整理のあり方とあわせて検討してまいりたい、このように思っているところでございます。
塩田委員 官房長官、どうぞ、結構です。
 次に、文部科学大臣にお伺いいたします。
 教育委員会制度につきましてお伺いいたしますが、教育に関する事務を管理、執行するというために、教育、学術、文化に関し識見を備えた者を教育委員に選定をし、都道府県、市町村、そして特別区、また市町村の一部事務組合等につきまして、五人あるいは六人あるいは三人という教育委員が任命されて教育委員会が設置されておるということでございますが、これの実際の、これは教育長それから事務局職員もおりますから、それを含めて予算的には、歳出はどれぐらいの金額で推移していっているか、それをまず念頭に置いてお答え願いたいんですけれども、まずそういう実情についてお伺いいたします。
遠山国務大臣 我が省におきましては、毎年、各年度に支出されました地方教育費を調査いたしております。平成十二年度分については現在集計中でございますけれども、平成十一年度については総額で十八兆五千三百六十億円となっておりまして、これは全体の地方行政費のうちの約二割を占めているところでございます。
塩田委員 その今の金額は、教員を含めていると思いますね。
 教育委員会と事務局職員、この関係の経費は大体どれぐらいかわかりませんか。わからなかったら結構です。
遠山国務大臣 今の内訳でございますけれども、学校教育費と社会教育費と教育行政費に分かれておりまして、十一年度の場合、学校教育費は十四兆九千百二十八億余でございますし、それから、教育行政費の方は一兆六百二十三億弱でございます。
塩田委員 そんなに大きい金額ではないと私は思いますけれども、教員を含めての数じゃないかと思いますが、いずれにいたしましてもかなりの金額ですね。これを支出して、本来の教育委員会の目的である役割が、機能が果たされているかどうか、この点について大臣はどう評価しておられるかをお伺いいたします。
遠山国務大臣 各教育委員会は、それぞれ地方公共団体におきます教育、文化、スポーツ等の幅広い分野において責任ある教育行政を展開いたしております。
 先ほど申し上げましたような予算を使いまして、地方教育費につきましては、各地方公共団体におきまして議会の議決を経た予算を効率的に執行して、決算につきましても監査委員の審査や議会の認定が行われているところでございまして、それぞれの地域における学校教育、社会教育、文化、スポーツといった、そういう仕事にわたりまして、適切かつ有効に使用されているものと考えております。
塩田委員 適切かつ有効に使用されているというふうに大臣は認識しておられると思いますが、今、地方の各教育委員会の状況を見ますと、もちろん全部とは言いません、非常に委員会が形骸化している。しかも、法律上与えられた権限というものは非常に大きいものがある、また多種多様で広範である。しかるにかかわらず、実際は委員は名誉職、そして委員会自体の活動は形骸化している。
 文部省に、教育行政について、あるいは教育、学校現場においてこうだということを言ったら、これは教育委員会の権限でございましてということで逃げられる。隠れみのという言葉がありますが、そういったことに使われている。実情はそんな状況じゃない、形骸化している。これは全部とは言いません、多くの委員会がそうだと。その実例を一々申し上げる時間はありませんが、これはまた後ほどの機会に申し上げます。
 いろいろなことをやりながら、教育委員会が本当に教育委員会としての権限を行使したということが考えられない。ほかの団体、市民団体も含めていろいろな団体から言われて、それを形の上で承認するだけというような教育委員会になっている向きがかなりあるということを思うのです。
 したがって、教育をよくしようと思っても、文部省が幾ら声を大にして地方に指示をしたりなんかしても、建前上は直接の命令権はない、委員会はそういった形骸化している状況であるという実情、これは今後明らかにしてまいりますけれども、ひとつそういう実情があるということをよく調べて認識を新たにしていただきたいと思うのです。
 小泉内閣が声を大にして言っておられます構造改革、聖域なき改革ということを言っておられるわけですが、教育について改革は何と何だといったら、人材の育成、人づくり、そして科学技術だ、こうおっしゃるのですが、本当は教育委員会にメスを入れて構造的に改革しないと日本の教育はよくならないです。
 それは、新聞等にも出てまいりますように、国旗・国歌の問題で、校長と教頭が一生懸命掲げる、これをある種の教員が行っておろしてくる、また校長と教員が行って張る。生徒児童の前でそういうことをやって見せて、そんな、いい教育ができるはずがないです。将来、子供が次代の国民として育っていくはずがないです。
 こういった実情、なぜそれが直せないか。しかも、だめ教員として排除するというのはありますけれども、ではそういう人たちは排除されているのかというと、ほとんど排除されていないというのですね。それは、いろいろな法令上の問題はあるでしょう、難しいと思いますけれども、今のままの法令上はできないということでいつまでも残っている。
 教育の荒廃、学園の乱れ、これは、もともとは、やはりそういう先生にあると思うのですね。本当に先生が児童生徒から慕われて、一生のおつき合いもするぐらいの子弟の関係というものがないと、日本の教育は決してよくならない。よくするためには、根本的には、やはり制度的には教育委員会を見直しをすべきだ、このように私は考えます。御意見がありましたらどうぞ。
遠山国務大臣 御指摘のような御心配をいただいているという実情につきましては、大変私も憂慮をいたしておりますけれども、最近、教育委員会の取り組みも大変変わってまいっておりまして、国旗・国歌につきましてもほとんどの学校で、例えば昨年問題であったところでもことしはいいとか、そういう形で順次改善が図られております。
 それから、教育委員会の活性化が必要だということは、まさにそうでございますし、昨年法改正をいたしまして、教育委員会の委員の構成についても、委員のうちに著しい偏りが生じないように配慮すること、あるいは教育委員会の会議を公開していくこと、それから教育行政に関する相談体制を整備すること。それから、校長の意見を一層反映させていくようなことにつきましても、これは昨年の教育改革三法の中で法改正をさせていただきまして、このようなことも順次制度も整えながらやっておりますが、先生の御指摘のように、やはり教員が本当に自覚をしていただいて、そして、よい教育、よい人間性を持った子供たちを育てるという気概を持っていただかないと末端まではなかなか通じないと思っておりますが、私どもは今の教育改革の流れを大事にいたしまして、順次そういうことが徹底するように努力をしてまいりたいと思います。
塩田委員 答えは要りません、私も意見として申し上げますが、教育委員会の制度改正で、保護者の代表を入れるとか、年齢を余り違わないようにするとか、いろいろな改正が行われました。これは本当に枝葉末節ですよ。これをやったからといって、教育委員会が一斉に全国変わっているわけないです。
 それから、ゆとり教育ということ、これを言われますけれども、ゆとりを得るようになるのは本当は教員だと思うのですね、教員のゆとり教育ではないかと。それもいいことですよ。労働条件がそれだけよくなるということであれば、それはいいことだと思うのです。だけれども、本当に勉強したい、学校に行きたいという児童が土曜日をもてあましている、こういう声も最近の新聞の投書欄にも子供から出ておりますね。そういうこともあるように、本当に今のような行き方でいいのか。
 しかも、塾に対する文部省の方針というのもぐらぐら変わっているわけですよ。もう塾に行くのはやめなさいといって盛んに圧力をかけてやめさせたと思ったら、今は塾はある程度行ってもよろしいとか、あるいは塾をもっと活用しろとか、こんなぐらぐら基本方針が変わっちゃいかぬと思いますね。
 教育百年の計を立てて、本当にこれに立ち向かってもらいたい。しかも、早くこれをやらないと、もう本当に日本の国がもたなくなる。どんな国民になっていくかということを考えると、本当に深刻な問題だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、続きまして、坂口厚生労働大臣にお伺いいたします。大臣もなかなか大変な毎日を送って、激務を遂行しておられると思いますが、敬意を表します。もう時間がありませんので、端的に一、二問だけ申し上げます。
 厚生労働省の予算というのは、社会保障関係費を中心としまして、非常に大きな金額に膨れ上がっておりますね。これを適正に、公正に施行しておられるということだと思うんですが、いろいろな物品を買ったり、あるいは建物を建てたりする場合に業者を使われますね。その場合にどういう原則でやっておられるか、どういう実情であるか、これについてお伺いしたいんですが、これはもちろん、公正であり、フェアであり、オープン、情報の公開というか、こういうことを原則にしてやっておられると思うのでございますが、いかがでございますか。
坂口国務大臣 御指摘いただきましたように、厚生労働省の予算は十八兆からあるわけでございまして、大変大きな予算であることはそのとおりでございますが、その中で、建築ですとか、あるいは機械器具の購入といった面は比較的少ないわけでありまして、全体の各省庁を一〇〇といたしますと、七、八%ぐらいのところでございます。主に、国立病院の新築、建築、あるいはまたその機械器具の購入等が中心でございます。
 もちろん、今御指摘をいただきましたように、そうしたものを契約いたしますときには、透明性を確保いたしまして、関係法令に従いまして、入札及び契約にかかわります情報を公開いたしますとともに、一般競争入札を原則とした契約方式によっておりまして、公正な競争のもとにやっているというふうに思っている次第でございます。
塩田委員 大臣がおっしゃるとおり、そうなれば本当にいいことでございます。ぜひともそれが実効を確保されるように祈っております。
 そこで、建設関係は余りないと言われましたけれども、平成十年とか十一年度の決算でいきますと、例えば、当時の年金福祉事業団等、全国に十一カ所の二百億ずつの建物をつくりましたね、年金保養基地。これは何といったって大きな予算であり、地方ではそれを、建設にかなりかかっていますから、これはこれとしまして、そういうものもあるということ。今はもう、今度はなくなるんですか、年金保養基地はなくなるそうですね。
 それはそれといたしまして、一般にまず、そういう入札の場合は公告をするわけですね。いろいろな通信機器も導入してやられるんでしょうけれども。それを公告して、その申し込みを受けて、そして入札者の立ち会いのもとに公正に一般競争入札をするということが原則、今原則と大臣は言われましたが、原則だと思うんですね。そして、それが落札をした場合は、落札の条件等を関係者へ明示するということも必要だと思うんですね。いわゆる透明性、公明正大にということになれば、そういうことになると思うんですね。
 これはぜひともそうしていただきたいと思いますが、競争入札にかけないで随意契約という制度もありますね。これは金額の小さいものだと思う。その一定の条件は決めておられると思いますが、随意契約。これを、同じ一つの大きいものを小刻みに切り刻んで、そして随意契約にみんなしちゃう、何十億円というものを切り刻んで随意契約にみんなしちゃう、こういうことも考えられないことはないんですね。
 具体的なことは、きょうはもう時間がありませんので申し上げませんが、随意契約と競争入札の関係についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
坂口国務大臣 今御指摘のありました随意契約につきましては、工事、製造などは二百五十万円までのもの、そういう非常に小さなものでございまして、大きいものにつきましては、先ほど申しましたような一般競争入札になっております。
 一般競争入札は、建築の場合ですと七億五千万円以上、それから、指名競争入札というものもございますけれども、この場合には一応五百万円以下のものでございますが、随意契約でございますと、今申しましたように、二百五十万円以下という非常に小さなものも中にはございます。
 それから、物品購入のときでございますと、三百万円を超えるものにつきましては一般競争入札、そして指名競争入札は三百万円以下の場合、そして百六十万円以下が随意契約ということになっておりまして、大きいものはすべて一般競争入札にいたしております。
塩田委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、今最後に私が申し上げましたことは具体的な例がありますけれども、次の機会にさせていただきます。ありがとうございました。
渡海委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十六分散会


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