衆議院

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第7号 平成14年5月8日(水曜日)

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平成十四年五月八日(水曜日)
    午後四時二分開議
 出席委員
   委員長 渡海紀三朗君
   理事 岩屋  毅君 理事 桜田 義孝君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      逢沢 一郎君    浅野 勝人君
      石田 真敏君    岩永 峯一君
      江藤 隆美君    小西  理君
      佐藤  勉君    橘 康太郎君
      谷  洋一君    土屋 品子君
      中川 秀直君    中村正三郎君
      中本 太衛君    武藤 嘉文君
      村上誠一郎君    森岡 正宏君
      渡辺 博道君    井上 和雄君
      石井 紘基君    金子善次郎君
      今野  東君    手塚 仁雄君
      永田 寿康君    楢崎 欣弥君
      平野 博文君    山田 敏雅君
      山谷えり子君    神崎 武法君
      大森  猛君    穀田 恵二君
      山口わか子君    中村喜四郎君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   農林水産大臣       武部  勤君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      中谷  元君
   国務大臣         石原 伸晃君
   外務副大臣        杉浦 正健君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   会計検査院長       金子  晃君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  吉戒 修一君
   決算行政監視委員会専門員 川城 正彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三十日
            補欠選任
             石田 真敏君
五月八日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     浅野 勝人君
  江藤 隆美君     渡辺 博道君
  額賀福志郎君     中本 太衛君
  森田  一君     佐藤  勉君
  金子善次郎君     山谷えり子君
  今野  東君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  浅野 勝人君     相沢 英之君
  佐藤  勉君     森田  一君
  中本 太衛君     額賀福志郎君
  渡辺 博道君     江藤 隆美君
  永田 寿康君     今野  東君
  山谷えり子君     金子善次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十年度一般会計歳入歳出決算
 平成十年度特別会計歳入歳出決算
 平成十年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十年度政府関係機関決算書
 平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書
 平成十一年度一般会計歳入歳出決算
 平成十一年度特別会計歳入歳出決算
 平成十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十一年度政府関係機関決算書
 平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十一年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――
渡海委員長 これより会議を開きます。
 平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として法務省人権擁護局長吉戒修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。
 また、政府におかれましても、各質疑者の質疑時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。御法川英文君。
御法川委員 わずか十分でございまして、しかも、自分から進んで質問したいということじゃなかったのですが、やりなさいということでございまして、質問させていただきます。
 連休前に、あるテレビ会社でございますが、国会議員のそれぞれの方々に回ったと思いますが、今の小泉内閣、小泉総理をどう思うか、こういうアンケートがございました。百点満点で何点をつけるか、こういうことでございますが、私は一〇〇%つけたかったのですが、いろいろ、何かこの一年間の中で、これはやはりちょっとマイナスかなということを探したのですが、なかなか見当たりませんでした。
 しかし、これだなというふうに思ったのは、いわゆる昨年の八月十五日、総裁選挙の際に、必ず参拝するんだ、こういう公約であったわけでございますが、それが前倒しになりまして、十三日の参拝になったわけでございます。これを一つマイナスの要因にしまして、私は九十五点をつけたところでございます。
 そういうことでございますが、本当に難しい戦後のさまざまの問題が集約される中で、これを何とか解決して日本の本当のよさ、そして日本人の力を将来のために発揮させなきゃならない。そのためには、今は非常に難儀する、あるいは辛抱しなければならないけれども、時間を経過する、あるいはした段階で、必ず日本人のこのすばらしい力というものが発揮できる、そうした国づくりができるんだという前提のもとに、さまざまの難しい改革を今なさんとしているわけでございます。
 今国会につきましても、本当に重要法案がメジロ押しでございます。ある与党の幹部が、一つの国会にこんなにたくさんの重要法案を出すということ自体おかしいじゃないかなんということが新聞記事に出ておったわけでございますが、そう言う幹部の方がおかしいのでありまして、たとえこの国会で十本の重要法案があろうとも、これを国家のために全部通す、これくらいの意気込みで与党幹部は頑張ってもらわなきゃならない、こんなふうに思っているところでございます。
 それにつきましても、この外交関係につきまして、これは、今小泉総理が誕生してからの問題ではございません。戦後の、言うなれば今日までの一つの大きな課題でもあるんじゃないか、こんなふうに私は思っておりますが、例えばロシアに対する外交でございます。
 北方四島を返してもらいたい、これは全国民が同じ願いでございます。しかし、本当にロシアがこの四島を日本に返す気持ちがあるのかないのか、こういうことを考えますと、そう簡単に北方四島を日本に返す、そんな気持ちはない、こんなふうに私は思っております。にもかかわらず、北方支援あるいは人道的支援とかということで経済支援をいたしておりますが、これは言うなれば、ロシアの方はこれをえさに日本からできるだけ金を出させて、そして経済につなげていこう、こういう思いがありありと見えるわけでございまして、そういう手法にまんまとひっかからないような腰を据えた外交というものを日本は展開していかなきゃならない、こんなふうに私は思います。
 かつて、言うまでもないわけでございますが、第二次大戦の末期に、あの満州にかつてのソビエト軍が押し寄せまして、日本の軍隊六十万を超える同胞をあのシベリアに連れていったわけでございます。そして、牛馬に劣る強制労働を強い、六万を超える同胞があの極寒の地で亡くなっておる。そういうことに対して、それではロシアはどれだけ日本におわび、謝罪をしたかというと、何もない。そういう国であるということを前提に私どもは外交というものを進めていかなきゃならない、こういうことだと思っております。
 さらにまた、中国、韓国でございますが、総理が本当に国家のために命をささげた英霊に感謝の誠をささげようということで参拝される、これに一々文句を言う。まさに日本文化に対する冒涜であり、私は、本当に許すことのできない内政干渉だ、こう思っております。
 しかし、今日まで、日本の外務省がそうした事柄に抗議をした記事は一回も見たこともございません。相手の言うままに、あるいはそれをなだめようとして変な外交を展開する、こんなことでは本当に独立した国家としての外交展開にはならない、こういうことだと思っております。もっと突き詰めていきますと、昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約、これに調印した国としない国があるわけでございますが、結局、あのときの分かれが今日の姿になってあらわれている、こう私は思っております。
 そういう意味で、外交は大変重要でございますが、そうしたことを踏まえた中で、これまでの間違いは間違いとして反省しながら、小泉内閣におきましては、本当に日本人の誇りに値する外交を推し進めていただきたい、このことを強くお願いする次第でございます。
 今国会、会期も少ないわけでございますが、総理の掲げる構造改革、これをなし遂げるべく国会に提出されました法案の一日も早い成立のために、私どもも頑張ることを誓いながら、総理も一層国家のために頑張っていただきますことを御激励申し上げる次第でございます。
 何か所感がございましたら、お話をいただければ幸いと思います。
小泉内閣総理大臣 激励をいただきましてありがとうございます。
 私は、就任一年たちまして、総理就任時、また総裁選当時の私の改革なくして成長なしの路線が順調に進んでいると思っております。手順を経て、多くの皆さんが、当初は反対であったものも協力をいただきながら、時間をかけてようやく改革路線が実現の方向に向かっております。
 具体的に言えば、道路公団の民営化にしても、特殊法人に対する財政支出一兆円削減にしても、あるいは医療改革にしても、これから始めようとしております規制緩和の一環であります郵便事業における民間参入にしても、いずれにしても、最初からこんなことできるわけないと思われたことばかりだと思います。それが着実に今軌道に乗ろうとしている。私の目指す総裁選以来の発言は順調に軌道に乗ってきたなと手ごたえを感じております。
 また、ロシアの問題につきましても、今言ったシベリア抑留、これは人道上の問題から見ても、日本にとりましても、当時のソ連、全体体制のもとでのソ連におけるあの抑留生活、多くの日本人がいかにむごい悲惨な目に遭ったか、幾つかの書物を読み、こんなことがあったのか、こんなひどいことをしたのかと義憤を禁じ得ない面もたくさんあります。
 私は、そういう点から考えましても、これからのロシアの外交を考えますと、新しい市場経済、民主化に移行するロシアを支援しつつも、こういう問題につきましても、やはり日本人として、日本の政治家として、念頭に置いて交渉しなきゃいけないなと思っております。
 また、中国に対しましても、靖国参拝に対していろいろ意見がありますが、これは中国側の立場もあるでしょう。日本としては、意見の違いがあっても、日中友好の重要性を認識しながら、これから国交正常化三十年の節目に当たりまして、日中の友好進展、交流拡大を図るという観点から、いろいろ友好関係を図っていきたいと思っております。
 いずれにしても、多くの皆さん方の支援をいただきながら、今までの改革なくして成長路線をこれからも一路邁進、進めていきたいと思いますので、よろしくまた御指導、御支援を賜ればありがたいと思います。
御法川委員 質問者が拍手するのもおかしいわけでございますが、時間でございますので、これで終わります。頑張ってください。
渡海委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 きょうは、決算行政監視委員会、私、所属いたしまして、また初めて小泉総理に質問をする機会をいただいて、大変感謝をいたしているところでございます。
 小泉総理、この一年間、御苦労さまでございました。先ほどもお話が出ましたように、この一年間、総理は、ある面で圧倒的な国民の支持をバックに全力で国政の運営に行動されたわけであります。この一年間の総括という意味で、先ほどもお話がありましたが、何点つけるかということについてはいろいろな論議があるところでございますが、先ほどの御答弁でありましたように、総理自身は、ある面で自信を一層持ちながら今後の改革に努力したいということでございます。
 特に、総理は就任以来、聖域なき構造改革、これを旗頭にしまして今日まで運営を図ってきたわけでありますが、その中で、特に規制改革あるいは特殊法人改革等々、従来改革のメスが入れられなかった分野に大胆に切り込もう、こういう意欲を持って取り組んでみえたわけでありますが、しかし一方で、一歩踏み込んだものもあるが、まだそこまで至らない旧態依然の部分もある。そういう意味では、この一年間の小泉政権の歩みというのはどのような評価を下すのか。
 私は、改革というのは一年ぐらいでできるものとは思っておりません。やはり二年、三年、五年と、あるいは十年とかかる部分もあるでしょうが、しかし、国民の多くは現在、先の見えないこういう部分にいささか不安を抱いているのではないか、こういう感じもいたします。
 とともに、政治とは少しかけ離れた部分での問題、先ほど出ました靖国問題、あるいは政治と政治家と金、あるいは秘書をめぐる問題が小泉政権の支持を減少させている大きな要因にもなっているわけであります。
 そこで、今後、そういったものも踏まえながら、総理としてはどのように政局を運営していこうとされているのか、今後の決意をまずお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 総理になりますと、これは全省庁すべての問題のいわば総責任者に当たるわけであります。各省庁すべて、自分の抱えるところの問題が最大の課題と思っておられます。また、国民一人一人にとっても、議員一人一人にとっても、自分の関心のある問題が最大の課題だと思っております。これが大事だ、あれが大事だ、人によって全部違います。
 しかし、総理になると、それすべて大事なんですね。すべておろそかにできない。これを全部一年でやれなんて、とても私の力の及ぶところではないということは承知しております。しかしながら、全省庁の抱える問題、全国民の関心のある問題、私も真剣に受けとめて、一つ一つ、一歩でも二歩でも前進するような対応策をとっていかなければならないのが総理の立場であると認識しております。
 そういう中にあって、今や経済の再生、これが小泉内閣に課された最大の課題でもありますが、そういう点につきまして、いろいろ不十分だという御指摘もございます。構造改革の面におきましても、もっと早くやれという声も受けとめております。しかし、多くの方々の協力を得ながら一歩一歩前進していかなきゃならないという決意は一年前と変わりませんし、たとえ支持率が変わろうとも、私の改革への決意は全く変わりません。今後とも、一年間で皆さんからいただいた御支持と御批判というものを真摯に受けとめまして、批判に耐えつつ、みずから掲げた改革に向かって一歩一歩前進していきたい。
 幸いにしまして、今まで反対していた、あるいは抵抗していた方々も理解を示していただきまして、協力もいただいております。この協力を大事にしながら、これからも、当初掲げた改革なくして成長路線、いろいろ言えば切りがありませんけれども、少しでも軌道に乗せて、また、法案成立しないと私の考えた改革も前進しないわけでありますので、国会の御審議をいただき、多数の方々の御支援をいただき、一つ一つ軌道に乗せて、前向きの明るい将来を目指すことができるような改革に向けていきたいなと思っております。
山名委員 先ほども、いわゆる靖国問題がありました。私は、歴史認識の問題をここでやるつもりはありませんが、この八月十五日靖国参拝をめぐる問題は、毎年毎年これは繰り返して、東アジア等の国々からの日本に対する不信感という形でずっと今日まで来ておるわけでありまして、私は、もうそろそろこの問題については決着をつけなきゃいけないんじゃないかと。
 そのためには、今、内閣官房長官のもとに私的諮問機関として、新しい国立墓苑といいますか、こういったあり方に関する検討委員会等が設けられているようでありますが、やはりそういった形で、従来とは違った、外国の要人、元首が来ても気軽に、また明るい雰囲気で、宗教色のない、こういったいわゆるメモリアルパーク的なものをこの際建設して、そして戦没者のみならず、ある意味では災害で殉職した消防士だとか警察官だとか、あるいはPKOで犠牲になった方々とか、そういった人もそこに記念碑という形できちっと弔ってさしあげる。こういった新たな試みが今こそ大事じゃないか、こういうふうに私は思っているんですが、この際総理の御見解をお聞きしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私も、外国に行きますと、その国に尽くして命を犠牲にされた方々の記念碑やらあるいは墓地等に参拝いたしまして、慰霊の気持ちと申しますか追悼の真心を込めてお参りをする機会が多いわけであります。
 日本においても、内外の方々がわだかまりなく、それぞれの国のために尽くされ、そして命を犠牲にせざるを得なかった方々に対して心を込めてお参りできるような施設がないものかということで、現在、官房長官のもとに検討会を設けまして、議論を積み重ねております。この問題と靖国神社とは直接関係あるわけではございませんが、そういう施設もあってもいいのではないかという声にこたえてこの検討会を設けておりますので、年内にはどういう施設がいいものか結論が出ると思います。
 その結論を尊重しながら、命を犠牲にされた方を追悼すると同時に平和に対するとうとさ、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちを込めて参拝できるような施設ができないものかということを考えているわけでありますので、検討会の結論を待ってみたいと思います。
山名委員 次に、経済問題、景気回復の問題等についてお伺いしたいと思います。
 最近、先行きに多少の明るさが見えつつある、こういうことでございまして、さらにこれはしっかりと、今後、小泉政権の大きな命題でありますので取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、特に、依然としてデフレ状態が続いております。我が国の多少の明るさというのは、我が国の国内需要を喚起した上での結果ではなくて、むしろアメリカや東アジア等の景気好転による波が日本に来て、その結果として日本もちょっと上向いている、こういうことが言えると思います。
 先般、与党三党の党首会談で、我が党の神崎代表から、今後のデフレ対策の一環として、一つには住宅投資促進、二つ目には土地の流動化、土地税制見直しですね。それから三点目には産業の活性化。要約して三つのデフレ対策のポイントを提示いたしたところでございます。
 そこで、きょうは時間がありませんので、住宅投資の問題。住宅投資、例えば従来贈与税が五百五十万、これを少なくとも一千万から二千万に非課税枠を引き上げる。こういったことを踏まえながら、住宅が動くということは、それに関連する三十から五十種類の業界がそれで動くわけでありまして、そういう意味では極めて景気の拡大に効果をもたらすということでありますので、極めて有効な手だと思っております。
 とともに、土地税制の見直し。これもいわゆる土地資産デフレ、こういう観点から考えますと、例えば登録免許税、あるいは不動産取得税、あるいは特別土地保有税、今、地方税が大変税収が厳しい中で、地方税収のことを考えれば極めて厳しい現実ではありますけれども、やはり景気を回復するというもとをしっかりと今取り組んでいかない限り、今後の地方税収、国税収入の増加も見込めないわけでありますから、こういった意味で、一たん今そういった土地税制の見直しを大胆に行うべきではないかというふうに考えております。
 加えて、投資の促進のための減税というのは即効性があるわけでありまして、例えば減価償却、この期間を短縮するとか、あるいは投資初期の企業における税負担を、負担感を軽くする意味でも加速度償還といいますか、こういった制度。あるいは研究開発、環境投資、こういった税制措置を今こそしっかり取り組むべきではないかというふうに考えているところでございます。
 都市再生、こういったことも課題でありますし、また中小企業金融の円滑化ということも今なお取り残された大事な景気回復への道のりだ、こういうふうに私は思っておりまして、そういった意味で、今後のいわゆるデフレ対策、土地税制や住宅投資政策、あるいは償却のための見直し、こういったものについての取り組みへの決意といいますか御見解を、これは財務省の方、お聞かせいただきたいと思います。
谷口副大臣 今、山名委員のお尋ねでございますが、おっしゃるように、与党のデフレ対策の中に住宅取得についての贈与税の増額があるというのは聞いております。現行は、五百五十万までは非課税になっておりますから。
 ですから、そのようなことも含めて、それがどのように景気に、活性化に資するのかという観点があるんだろうというふうに思うわけでございますが、今、六月を目途に取りまとめをということで、政府税制調査会、また経済財政諮問会議で検討していただいておりまして、その中の議論におきましては、現行の贈与税が暦年ベースになっておるものを、相続と贈与を一体にした生涯課税方式といったようなことも含めて、まさに高齢者が持っていらっしゃる資産を生前に息子さんに贈与するといったようなやり方も含めて、今検討いたしておるところでございます。
 また、登録免許税のお話が出たわけでございますが、土地の流動化という観点での税制の緩和を考えるべきではないかというようなことでございますが、当然ながら税収が減るという観点があります。しかし一方で、これが土地の流動化に資するという観点もあるわけでございますので、このあたりを十分考えながらやっていく必要があるんだろうというふうに思いますが、まさに山名委員がおっしゃったような都市再生という観点が非常に重要なんだろう。そういう観点では前向きにこれを検討していく必要があるのではないか。いずれにいたしましても、六月を目途にこれが取りまとめられるということでございます。
 また、加速度償却の件についてお触れになったわけでございますけれども、これにつきましても、現行、試験研究費の税制上の対応が行われておるわけでございますけれども、すべての産業にやるということについてはどうかなというふうに思うわけでございます。しかし、ある種、これからの成長産業のところにそれを集中してこのような加速度償却を行うといったようなことは、景気の対策にも資するのではないか。
 今回のあるべき税制の議論、総理もおっしゃっておるわけでございますけれども、あるべき税制の議論の中には歳入歳出のバランスという観点もございますし、一方で、税がどの程度経済の活性化に資するのかといったような観点もあるわけでございますから、このような観点で今後も検討してまいりたいというように考えております。
山名委員 いずれにしましても、切れ目ない財政運営、バックアップによる景気対策というものをしっかり今講じていかないといけないと思います。やはりスピード、機動性、こういったものがこれからの大きな課題だと思っておりますので、ぜひ内閣挙げてお取り組みをよろしくお願いします。
 最後に、日本における人権問題、人種差別問題で、私、質問通告をさせていただきました。しかし、これは時間がありませんので次の機会に譲ることにいたしまして、最後に総理にお聞きしたいと思いますが、先ほどの切れ目ない財政の投入ということも含めて、日本の景気回復、経済活性化のために、財政投融資の活用を含め、補正予算をどう考えるか。これについての御見解をお伺いして私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。
小泉内閣総理大臣 現在、十四年度本予算が成立したばかりでありまして、この予算の執行に全力を尽くすということで、補正予算を今考えているわけではございません。
山名委員 外務省、法務省等々通告をいたしましたが、きょう質問できなかったことをお許しいただきまして、よろしくお願いします。
 以上で終わります。ありがとうございました。
渡海委員長 次に、松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 一年がたちました小泉政権、そろそろ中間的な決算ということでございます。
 私は、小泉さんのおっしゃっていらっしゃる構造改革、これはまさに明治以来の中央集権体制、官僚を中心としたこの国家をぶち壊すということで、そういう意味では最初から非常に興味を持ち、また方向性は正しいんじゃないか、そう思っておりました。
 ただ、残念ながら、最近の評価というのは、先ほどの総理のお言葉とは若干違いまして、かなり厳しいものがあると私たちは考えております。特に小泉改革の一番の眼目であります郵政の改革、これは、この中央集権体制の中でこれを壊し、そしてすべての構造を変えていくもとになるということで、実は私も超党派の郵政民営化研究会のメンバーでございますので、三年前から小泉さんとともにその郵政改革に取り組んできた、そういう基本的な立場を踏まえて、これから郵政関連を御質問申し上げたいと思っております。
 まず、四月二十六日の一年たった会見で、郵政改革について、郵便への民間参入をつぶすならば、自民党が小泉内閣をつぶすか、小泉内閣が自民党をつぶすかの戦いだと大変強いお言葉で会見されましたが、この覚悟というのはどういう内容であったか、お聞きをしてみたいと思います。
小泉内閣総理大臣 今までの慣例によりますと、内閣が国会に法案を提出する場合に、与党の事前審査を受け、事前の了承、賛成を受けて、そして初めて閣議決定され、国会に提出するというのがいわば慣例でありました。
 しかしながら、郵政関連法案になりますと、郵政公社化の法案はいいけれども、郵便事業に民間参入させる法案については、自民党のいわゆる部会の了承を得て、そして政務調査会の了承を得て、総務会の了承を得て、そして与党、公明党、保守党の了解を得て、それぞれ賛成を受けて出すという手順が普通だったわけでありますが、なかなか了解が得られないということでありますが、これは困ったなと。もともと、郵便事業に民間参入をさせるということについては、自民党内に強い抵抗といいますか反対があるのは承知していたわけであります。
 そもそも、私が橋本内閣の厚生大臣をしていたときも、郵便事業に民間参入させるのはけしからぬという声が自民党の中で圧倒的多数でありました。内閣で行政改革を審議した際にも、民間でできることは民間に任せようということはみんな賛成しているのに、この郵便事業だけは一切民間参入はまかりならぬという声だったものですから、私はおかしいんじゃないのかと。私一人が、郵便事業に民間参入させることを主張しました。しかしながら、だれも同調しませんでした。かんかんがくがくの議論の末、内閣というのは全閣僚が賛成しないと法案提出できない。行革関連法案、もう待ったなしというところに来ていました。
 そこで、結局私一人が郵便事業の民間参入を主張したものですからまとまらず、橋本総理一任でありました。一任になってどうなるのかと思ったところ、結局私は主張を変えませんでしたから、橋本総理は私の民間参入主張を受け入れて、結局法案を出すことになりました。当時反対していた閣僚も、総理大臣一任の後、総理が決めたものですから、結局了承しました。
 そういう経緯を受けて、この問題についてはいかに党内の反対が強いかということをわかっておりましたけれども、私は、昨年四月の総裁選挙でも主張しました。この主張を知りながら、党内の議員も党員も私を支持したんです。反対論もありました。この主張を引っ込めない限り総裁選挙で小泉を応援しないという人がほとんどでした。結果的に私が当選しました。
 そういう経緯がありますから、私は、今回も結局この法案については反対が強いということがわかりましたけれども、議論の蒸し返しです、数年前の、民間参入けしからぬという。しかし、これはやると言って、あくまでも事前審査で了解が得られなかったら、国会へ提出してから国会で議論しようということで、四月二十六日の閣議決定を事前審査抜きで、党の了承抜きで法案を提出したわけであります。
 しかし、その後、郵政公社化法案は通すけれども民間参入法案は通さないという声が一部の議員から起こってきました。私は、それはあり得ないと。民間参入当たり前の議論を何で自民党がつぶすのか。総論賛成、各論反対の典型的なものだ。私は、そういう意味においてこの法案は譲れない。参入させるか参入させないかの問題だと。
 今の部会での反対は、参入けしからぬであります。ですから、これは足して二で割る問題じゃないんです。参入させる条件をいかにつくるかというのが当たり前のことなんです。それができない、この法案をつぶすんだったらば、私のやっていることすべてに反対するということと同じような受けとめ方を私はしておりますので、民間参入法案だけは通さないと言うんだったらば、小泉内閣をつぶすのと同じだ。だからこそこれは、そうなると、自民党が小泉内閣をつぶすか、小泉内閣が自民党をつぶすかという戦いになると言ったまでであります。これは本心であります。最終的には、自民党も民間参入、賛成してくれると思っております。反対は一部だと思っております。
松崎委員 その決意というのは本当によくわかっております。私も三年前の郵政民営化のときに、たしかメンバーは、自民党の方があとお一人かお二人、そして小泉さん、ほとんどは野党の我々でございました。ですから、その意気込みはよくわかります。そして、この改革が本当の改革の一里塚であることも承知しております。ですから、頑張っていただきたいなという思いはあるんでありますけれども、そのお言葉はむしろ自民党さんに多分きょうは小泉さんはお話しになっていたんではないかと、聞きながら、総務大臣もいらっしゃいますので、しっかりとお聞きおきいただきたい、そんなふうに思います。
 実は、その意気込みは本当によろしいんでありますけれども、一番のポイントでありますヤマト、これが実は、同じ四月二十六日の同じ時間に、参入を断念するという記者会見がありました。これは、私はこの法案をつくっていっても、もちろん民間はヤマトだけではありません、しかし、ヤマトが一番熱心にあの研究会でもお話をしておりました。ですから、そういう意味で、ここがこの段階で抜けるということは私自身も極めて残念でありますが、総理はこのことをどのようにお受けとめなされたか、お聞きをさせていただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 これは、今までヤマト運輸が荷物、小包等を配達する際に、さんざん旧郵政省に妨害されたんです。
 例えばクレジットカードを配達する際も、これは信書に当たるから民間が配達しちゃいかぬと停止を命令したり、あるいはチラシを配達する、いろいろな宣伝のチラシがありますね、このチラシを配達するのにも、これは信書に当たるから民間が配達してはならぬ。あるいは、地域振興券なんというのは、各地方自治体、契約していたにもかかわらず、地域振興券も信書に当たるから配達してはならぬといろいろ地方自治体に圧力をかけて、契約を解除させる。信書の定義があいまいなんですね。
 商品券は民間が配達してよろしい、地域振興券がなぜ民間は配達していけないのか、私はいまだにわからない。地域振興券は特定の人に渡すからこれは信書だ、商品券は特定の人でないから信書じゃないというような理屈をこねて説明に来ましたけれども、デパートで商品券を特定の人に渡して、後商品券をもらえば、不特定多数、どれ使ってでもできるでしょう。地域振興券だってそうですよ。特定の人、こういう人の条件があります、地域振興券をもらえる。地域振興券を持っていって、家族が使ったって自由に使うわけでしょう、地域で。それが何で商品券は民間配達してよくて、地域振興券がいけないのか、わからない。
 なおかつ、チラシというのはできるだけ多くの人に見てもらいたいんですよ。秘密でも何でもないんです。そのチラシをどうして、民間の人は信書の秘密が守れない、役人じゃなきゃやっちゃいけないと考えるのか、私にはいまだに理解できない。
 そういうことから、この信書の定義はあいまいだし、陰に陽に郵政省の言うことを聞かないとあれこれ妨害された経験がヤマト運輸は痛いほどわかっていますから、信書の定義が明確でない限り、結局、民間参入させるというような法案をつくっても、定義の問題でまた条件つけられて邪魔されるんじゃないかという、それを危惧したんじゃないかと思います。
 私もチラシを郵政大臣あてに出しましたよ。私が出して違反かと言ったけれども、私が出したけれどもけしからぬとは言ってこなかったね。そういうあいまいな定義で民間企業の参入を邪魔するのはけしからぬ、今後はそういうことはさせないからと。私は、信書の定義にしても、極めて限定的に、民間企業が参入できるような定義を設けます。既に片山大臣に指示しています。必ず民間参入できるような条件を考えます。
 そして、民間が参入したから、これだけ多くの荷物が国民の手元に公務員ではなくても配達できるようになった。多くの国民がサービスを受けているんです。今や、国のやる配達事業よりも、民間のやる配達の方が圧倒的に国民は利用している。
 そして、宅配のサービスもすべて民間先行です。民間が夜間配達をやり出してから、後から役所がやり出したんです。民間が冷凍食品を配達できるというから、後から役所がやり出したんです。民間が時間サービスをやるというから、後から役所がやり出したんです。最初は、役所は郵便局にとりに来いと言いました。民間は自分がとりに行って手元まで届けるんです。だから、後から役所は同じようなことをやり出したんです。民間はほとんどと言っていいほどサービス先行です。民間が料金を安くしているから、旧郵政省のやる料金は値上げできなくなったんです。私は、そういう意味において、民間参入というのは必ず国民に利便をもたらすというふうに確信しております。
松崎委員 おっしゃるとおり、今回の法案では、ガイドラインで、今おっしゃったような極めてあいまいな不明な点をガイドラインでやる、そういうことを言っておりました。ですから、このヤマトが抜けた理由もその辺にあると。今総理は、民間参入を可能とするように政省令でありますとかガイドラインをしっかりやるんだと。これはきっとヤマトも考え方を変えるのかな、そういう力強さを感じました。
 しかし、ヤマトの根本というのは、許認可をすべて総務省に握られるということ、自由経済の中で戦いの相手の親分に全部計画から何から許認可を握られる、そこが嫌だというのが、抜けた、一番考え方の根本だと思います。本来は第三者機関でその監督、規制をやるべきだった、私はそう思っております。
 時間がなくなりますので次に移りますが、もう一点だけ。
 よくこの民営化論の中で、中央省庁等改革基本法の三十三の一項の六が問題になります。これは既に昨年五月の枝野議員への答弁でも、総理は、これは民営化のための条項だから、その後は無意味になる、総務大臣も、委員会でそのような答弁をされております。
 ということは、この三十三の一項の六というのは、今後、そんなに民営化、つまり公社化の後の民営化には障害にならない、そういう解釈でよろしいでしょうか。
片山国務大臣 その前に、今、信書の話が松崎委員と総理の間でありましたが、今まで信書の定義はなかったんですよ、法律上。今回は書きます。ただ、書いても法律で書くのは限界がありますから、どうしても全部を網羅できない、方向はわかりますけれども。だから、具体的なものはガイドラインではっきり示します。そのガイドラインは、ヤマトを含む、利害関係者を含む多くの人の意見を聞いて、国民の納得できるガイドラインにしてその範囲を明らかにしたい、こう思っております。
 それから、今の三十三条一項六号ですけれども、これは、公社化をするからこれらの措置によって民営化しないものとすると、当たり前のことを書いているんです、確認のために。これは、私はそれ以上の効果はない、こう思っておりまして、公社化以降にどうしようが、民営化を含めて公社化移行後のあり方については何ら制約するものではない。そのことは法制局と十分協議して、法制局も同じ解釈であります。
松崎委員 わかりました。
 大分この三十三条には、我々も、公社化の後の民営化を阻害するというふうに受けとめておりましたので、きょうの答弁ではっきりしましたので、公社化後の、その私的諮問機関、考える懇談会ですか、これで六月あたりにはそれなりの答えが出てくるものと期待をしているわけであります。
 さて、もう一点、先ほど総理が力強くおっしゃっていましたが、事前審査抜きのこの法案の提出。これは、抵抗があったから力強いリーダーシップでやったというお話でありますけれども、これは本来、御党の戦略本部の国家ビジョン策定委員会でも提言されましたし、それから、二十一世紀臨調でも言っております。
 議院内閣制の中でも、内閣の一元化ということで、そういう事前審査制というのは本来おかしいんだということで、初めて総理がこれを実行したということで、今後、こういうやり方というのは、日本の議会制度も変えていく、与党との関係も変えていく、そういう意味では大変試金石だ。今後もこういう方法をとられることが相当あるんじゃないか、必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私は、事前審査抜きとか事前審査があるとかいうのに余りこだわっていないんです。できれば、内閣の目指す法案というのは、我が党においても与党においても事前に了承を得られるのが一番いいと思っています、今でも。
 しかしながら、個別の問題になりますと、いろいろ議論が出てまいります。そして、どうしても党内なり、みずからの党なり、与党なりで事前に審査して了承が得られないという段階になったときにどうするかということを考えるべき問題だ。それは、法案それぞれによって違うと思います。
 私の判断するところにおいても、内閣の判断するところにおいても、その時々の情勢によって、これは事前の審査抜きにやってどういう結果が出るかわからない。あるいは、結果次第によっては大変なことになるなと思った場合には、再度考える場合もあるでしょうし、あるいは、今回の郵便事業の民間参入法案にしても、かなり一面では無謀なことをやるなと言われながらも、事前審査抜きに出す場合もあるし、私は一律に考えておりません。また、それぞれこだわっていません。できれば事前審査をやって、事前の了承を得るのが望ましいと思っています。
 しかし、そうでない場合は、たまたま今回あったんです、この数十年、初めてのことでありますけれども。だからこそ、事前審査抜きで出して、国会で議論してもらって、最後の採決の段階で考えればいいんです。採決の段階で結果を見ながら、私が判断するしかない。
 ですから、これはすべてに当てはまるものではありません。すべて事前審査がいいとも思っていません。抜きがいいとも思っていません。ケース・バイ・ケース、それで考えるべき問題だと思っております。
松崎委員 まさに、多分、小泉改革は、そういう手法を使わないと本当の改革ができないという内容を含んだ内閣だと思うんです。そういう意味では、大いにお使いになって、事前審査抜きでやることが小泉改革を進めることだろうと私は思いますので、勇気を奮って、野党からの応援でございますけれども、頑張っていただきたい。
 さて、一つだけ財務大臣にお聞きいたします。官邸もできまして、危機管理というのが非常に強くなったというわけでありますけれども、霞が関の危機管理はどうなのかということで、ちょっと具体的な問題を最近入手しましたのでお聞きいたします。
 大臣は、財務省本省のマスターキーの一つ、四つありますマスターキーの一つがなくなっていることを御存じでしたか。
塩川国務大臣 最近、聞いております。
松崎委員 最近というのは、きょうなんですけれども。
 実は、財務省のすべてといいましょうか、大臣室とか次官室、それからコンピューター室、そういう情報管理室、こういうもの以外は、全部の建物があくのがマスターキーなんですね。その四つのうちの一つがなくなっているんですよ。それが一カ月前です。四月の六日ですね。
 実は、ゆうべ泥棒が入っちゃった。財務省四階の国税不服審査所へ泥棒が入ったんですよ。この事実は御存じですか。
塩川国務大臣 泥棒の入った事実は聞いておりませんが、まあ、その事件があって、私は聞きまして、実はマスターキーが失われたことが発見されてから早急に、警備の体制等十分なことをとっておるということを聞いております。
松崎委員 ですから、国会では有事法制だ何だと大変なことをやっているんですけれども、おひざ元の日本の財務を扱っている財務省の、多分四つの重要な部屋以外でも大変なたくさんのものが、書類があるんですね。ですから、この中身は今丸の内署が捜査しているそうでありますけれども、何を盗まれたか。不服審査所ですね。金庫なのか、書類なのか。
 しかも、重要なのは、一カ月前になくなって、それを伏せていた。対応していない。本来四つあるんですけれども、一つは常に置いておかなきゃならないやつを全部、ある日、清掃会社が余計に掃除をするために全部出しちゃったと。夕方、三時間たったら一個なくなっていたのに気がついて、四月の六日、きょうは五月の八日ですか。それで、あげくの果てに、ゆうべ財務省に泥棒が入って、何が盗まれたかわからない。
 こういうような本当にお粗末なことでは危機管理以前の話でありますけれども、これに関して大臣に、きょう聞いた話で責める気はありませんけれども、一体どういう緩みなのか。
 私は、こういう内容を余りこういうところで言いたくなかったんですけれども、余りにもお粗末過ぎるということで、ほかの省庁はどうなっているかわかりませんけれども、財務省がそれであれば、大体同じようなものだろう。そのマスターキーは、普通のオフィスの引き出しの中にばさっと入っているんですね。番号もついていない。盗まれてから慌てて番号をつけたり、そんなことをしている。
 ぜひこういう問題をしっかりと、有事法制の前にやるべきだろうと思いますけれども、このたるみは、総理、どんなふうに感想を思われましたか。
小泉内閣総理大臣 いや、今初めて聞いたものですけれども、その管理面、しっかりしてもらわないと困るなと。これは財務省のみならず、全省庁再点検しなければならないと思います。
松崎委員 さて、時間も最後になりました。
 最近の政治情勢、小泉改革の進行というのは、非常に私は残念ながら後退後退、先送りが多いということ、そして景気の低迷、そしてさらに政治不信、これは我が県の井上参議院議員も今回おやめになりました。また、鈴木議員もいまだに参考人招致で国会の運営まで影響を与えている。あるいは検察の公安部長まで、暴力団との関与で財テクに走っていた。
 まさに政治の不信がきわまれりというところでありますけれども、これに対して、最後、総理、あっせん利得処罰法、我が党でもかなり厳しいものを出しております。あるいは入札干渉罪、あるいは官製談合防止法だとか、そしてまた政治資金規正法、こういったものをしっかりと整備をしていかなければならない。
 これは国のリーダーとして、また与党の総裁として、政治家小泉さんとしても、この辺のしっかりとした姿勢を見せていただきたいと思います。特に、公共事業受注企業からの政治献金規制を厳しくするということは、総理自身がおっしゃっていたようでありますけれども、最後に、この政治不信に対する基本的な取り組みをお話しいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 今御指摘いただきました点、それぞれ大変大事な問題でありまして、具体的にどういう改善策があるかということを与党で今検討しております。そして、今までのままではいけないな、一歩でも二歩でも前進できるような、またこのような不祥事が再発しないような対応を具体的にどう進めていくか。それぞれ細部にわたっておりますし、技術的な問題もあります。こういう点も含めて、今国会中に、改善できるような措置を協議しておりますので、私はこの問題について、今国会中に前進できるような対応策を講じたいと思っております。
松崎委員 時間ですので終わりますが、委員長に、先ほどの財務省の問題、特にこの委員会、財務省の関係でありますので、最後に、報告を、てんまつを理事会でお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
渡海委員長 わかりました。後刻、理事会に報告をさせていただきます。
 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 小泉総理には、私自身、かつてジャーナリスト、政治評論家時代、実に十回ほどインタビューをさせていただいて、各種雑誌、週刊誌、月刊誌、させていただきまして、きょう質疑ができるというので、全部インタビュー記事を読み返してまいりました。厚生大臣時代から含めて、実に小気味よい当時の政権批判を舌鋒鋭くやられておられたのが小泉さんであり、私自身、それに引かれて十数回インタビューしたわけであります。
 幸い、小泉さん、この雑誌は御存じだろうと思うんですが、小泉さんの後援会の雑誌でございますが、そこの中にまで私のインタビューが八ページにわたって取り入れられておりますが、一言だけ付言しておけば、これは無断転載でございますので、私も全然知りませんでしたので、本来、こういう転載をされるときは一言事前に御承諾をいただきたい。これは余談ですけれども。
 それで、これまでのインタビューを読み返してきまして、私自身、小泉さんに一言だけ申し上げたことがあります。恐らく、かつて総理・総裁候補に立候補されたとき、小泉さん、小泉さんが郵政三事業の看板をおろさない限り総理にはなれないよ、おろしたらどうですかと申し上げたことがあります。そのときに小泉さんは、いや、総理になるよりも、この郵政三事業の民営化だけは絶対におろせないとおっしゃいました。私は、おろさないと総理になれないかなと思っていたんですが、私の予測が外れて総理になられました。心から今おわびを申し上げておきます。
 まさに郵政三事業の民営化、公社後の民営化につきまして、今、同僚の松崎さんの方からも質問がありましたので、この問題は避けて、まず外交問題についてちょっとお話を伺いたい。
 今、ミャンマー、旧ビルマでございますが、アウン・サン・スー・チーさんが、一昨日、自宅軟禁から釈放されました。
 実は一九九五年七月、六年ぶりに自宅軟禁を解放された直後の八月、私自身、世界最初に単独インタビューしております。八月それから九月にも再度、二時間にわたって、本当に生まれから軟禁生活のすべてにわたって、本当に四十度を超える、冷房のない、電気のない部屋で、二時間近くにわたってインタビューしてまいりました。
 そのとき訴えられたのが、とにかく日本のODAを何とかしてくれないか、ODAをいただくのはありがたいけれども、それが軍事政権の強化になったり、武器購入の手助けになっているということで、何とか日本政府に働きかけてくれないかというのを最後まで力強くおっしゃっておられました。
 そのスー・チーさんが、九五年以後も実質的には、解放されたと言いましたが、実はヤンゴン通りの自宅の中でしか、庭でしか行動できない、外には一歩も出れなかった状態が続いておりました。それがつい最近になりまして、一昨日やっと解放され、政治活動も自由だという報道がありますが、このスー・チーさんの自宅解放について、総理、どんな御感想、御見解をお持ちか、一言お聞かせ願えればと思います。
小泉内閣総理大臣 このスー・チー女史の軟禁状態につきまして、私としても、日本政府としても、大きな関心を寄せておりました。
 私がASEANを訪問の際にも、各国首脳と会談する際に、ミャンマーのタン国家議長のみならず、例えば具体的に言いますと、マレーシアのマハティール首相とかあるいはタイのタクシン首相、それぞれミャンマーと深いつながりがありますから、両首脳との会談の際にも、ミャンマー政権とスー・チー女史との問題について私は言及いたしました。
 アメリカと日本のミャンマーに対する姿勢は違いますが、ミャンマー政府は、日本政府に非常に好感を持っていると同時に期待しております。当然、ミャンマーに対する対応も日本は各国政府と違って違うんですが、それだけに、日本としてもミャンマー政府がスー・チー女史と和解をした方がいいということで、陰に陽に働きかけてまいりました。
 今回、スー・チー女史が軟禁状態を解かれて、ミャンマー政府と国民的和解に向けてともに努力しようという決定がなされたことは、日本政府としても歓迎し、今後、ミャンマー政府が民主化に向けてスー・チー女史と協力しながら国内の改革に取り組むということを期待しております。これからも、この状況を注意深く見守りながら、日本としてミャンマー政府に対していかなる支援、協力ができるかということを考えていきたいと思っております。
木下委員 九五年の解放以後、人道支援、ODAという形で少しずつミャンマーにODAが出ているんですが、今回のスー・チーさんの解放で、今後ミャンマーへのODAは再開されることになるんでしょうか。その辺はどうお考えでございますか。
杉浦副大臣 スー・チーさんの自宅軟禁解除というのは、ミャンマーの民主化の流れを一層加速するものだというふうに思います。今まで私どもは、民主化を進めてほしい、そして、限られた範囲内ですが、国づくりに積極的に協力するという姿勢でミャンマーとの外交をやってまいったわけでございますが、それがこのスー・チーさんの軟禁解除によって一層前向きに進んでまいることになろうと思います。ただ、基本的に変化はありませんけれども、少なくともODAの分野については前向きにやっていこうということで相談をいたしております。
木下委員 恐らく、今ミャンマー経済は非常に厳しい状況にあります。ですから、対話が進み、民主化が一歩でも前進するとすれば、私自身は、やはりODAを含めてミャンマーへの援助をしていくべきだろうと思います。しかし、その場合にも、先ほど、スー・チーさんが私にくれぐれも言ったように、軍事政権への強化あるいは武器購入ということにならないように、まさに国民レベル、市民レベル、草の根レベルのODAに徹していただきたい、その確約だけをひとつお願いしたいと思うんですが、いかがでございますか。
杉浦副大臣 今まで私ども日本がやってまいりましたODAは、先生おっしゃったようにベーシック・ヒューマン・ニーズの部分を中心にしてやってまいりました。今後とも、基本的にそういう方向でミャンマーの民主化と国づくりに向けて協力を行っていく考えでございます。ODA大綱にあるとおりでございまして、軍事力の強化その他に資するような協力はいたさないことは当然のことでございます。
木下委員 いや、当然と言われると困るんですね。過去において、これは先般の外務委員会でも私指摘しましたけれども、例えば公社に対する援助とか、あるいは石油公団に対する援助とか、余りにも軍事政権寄りの援助になっているんです。もっと、学校とかインフラ整備とか、あるいは農業政策に対する技術援助とか、そういったものをできるだけ中心にやっていただきたいということをお願いしているんです。
杉浦副大臣 仰せのとおりであろうかと思います。
木下委員 それでは次に、昨年一月から実は外交報償費の流用問題が発生をいたしまして、昨年一年間は本当に、外交問題よりもむしろその外交機密費の流用問題で外交機能がほとんど麻痺状態に陥っていた。それがまたことしにも引き継がれ、今度は北方四島支援をめぐる疑惑、あるいはケニアの問題等、外務省をめぐる不祥事が昨年からずっと続いているわけですね。
 その一つの問題として、私も何回も外務委員会その他で追及したんですが、やはり、内閣官房報償費とそれから外務省報償費、この区分けがどうもはっきりしていない。官房長官にも何回も質問したんですが、この区分けがどうもはっきりしていない。
 どうですか。この辺を総理の決断で、少なくとも、今度、外務省の報償費は報償費で、総理外遊の際にはそっちから使うということで、内閣報償費は報償費としてきちんとされたということなんですが、内閣官房費がどちらかというと全くの手つかず、これが機密費としてやみの中にあるわけですが、総理として、この報償費の問題、一部でもいいですから、機密でないものについては公開する、そういうことをお考えになったことはありませんか。考えていただきたいと思うんですが、総理、一言お願いします。
小泉内閣総理大臣 いや、機密でないものはもう公開しているんです、機密でないものは。機密でないものは公開しよう、そういうことで、今見直しを進めているわけです、外務省も。そして、今までの御指摘も踏まえて、削減すべきものは削減しようと。そして、必要な費用はちゃんと項目を分けて計上しようということで、今回の指摘されたいろいろな問題について、しっかりとした対応をしていこうということで進めております。
木下委員 いや、報償費については一切使途を明らかにしないというのが従来からの政府の方針だ、一貫してずっと来ているわけですね。そうじゃありませんか。報償費の使途については一切明らかにしないというのが政府の方針です。
杉浦副大臣 これは内閣報償費も同じだと思いますが、外務省も、今年度予算におきましては、昨年度五十五億円予算があったわけですが、四割削減いたしました。そのうち、四割のうち二五%、二割五分は、例えば天皇誕生日のパーティー費用だとかそういうものでございましたので、公開というわけじゃございませんが、報償費の外へ出して一般の予算に組み入れたわけでございます。一五%は節約したわけでございます。内閣報償費も大体同じような方向で御検討されているというふうに理解をしております。
木下委員 いや、それはもう全然違う話ですよ。だから、報償費を削減というのは、それはわかります。それを外に出したなんという話は、そういう話じゃないですよ。それを公開しているなんという話じゃないです。それは副大臣、間違いじゃないですか。報償費についてはあくまでも減額するというだけの話ですよ。それを外へ出して明らかにしたなんという話は、今初めてですよ。
杉浦副大臣 報償費の使途については公開できないというのはずっと変わっておりませんが、私が申しました二五%は外へ出したというのは、会議費とかいろいろなものに組み入れましたから、これは情報公開の対象になると思いますし、公開といえば公開でございます。報償費の、今まで報償費の中に入っていたものをそれぞれの費目に入れたわけでございますので、報償費の公開という言葉には当たりませんが、少なくとも公になり得るものにしたという意味では同じだと思います。
木下委員 これはおかしな表現ですよ。報償費をあくまでも減額したと言っているわけでしょう。減額したわけですよね。だから、必要であったけれどもそれを減額したという話ですから、だれも少なくなったと思っているわけですよ。それを外へ出して別の項目にしたからそれは公開したという話じゃないと思いますよ。減額したんじゃありませんか。外へ出したという話ですか。じゃ、減額していないじゃないですか。
杉浦副大臣 その二五%分は外へ出したということで減額はいたしております。ほかの費用に、会議費とかいろいろなものに入れておりますから。例えば、天皇誕生日で地球上全部の公館でお祝いの会をやっておりますが、その費用は、今までは報償費であったわけですが、会議費にして、在外公館の費用に組み入れております。この部分は報償費から外しましたが、実質的に必要な経費ということで別途計上いたしております。
木下委員 いや、それは問題発言ですよ。
 政府の解釈は、要するに、予算から報償費を何%削減したと言っているわけですよ。じゃ、削減じゃないんじゃないですか。ただ移しかえただけの話じゃないですか。今までそんな答弁していないですよ。
杉浦副大臣 そういう答弁をいたしております。
 ネット削減分は一五%で、予算の移しかえが二五%ということで御説明をしてまいっております。
木下委員 じゃ、その削減した分は、外へ出して別の予算項目にしたということでいいわけですね。
杉浦副大臣 そのとおりでございます。純減が一五%で、よその科目へ振りかえた分が二五%でございます。
木下委員 じゃ、それはそれとして、要するに、公開できない部分、それがまだ相当あるわけでございます。三十三億ですか、あるわけですよね。その中でも、実質的に機密費でも何でもないものまでやはり含まれているわけですよ。
 実は、私自身が、外務省が三越から購入したその資料を全部洗い出しました。その中でも、本当に機密に属するものなんというのはほとんどないんですよ。やれネクタイを贈ったとか、あるいは灰皿を贈った、花瓶を贈った、そういう費目ですよ。だから、そんなもの明らかにしたらいいじゃないですか。どうですか。
 だから、私は、報償費を全額明らかにしろとは言いません。本当に機密のものと、そういった大使館に飾るものとか、あるいは外部へ例えばお土産として持っていくものについては、個別に一点一点出さなくても総額で出して明らかにすればいいじゃないですか。そういう、できるだけ透明性を高めてほしいということを申し上げているわけでございます。
杉浦副大臣 昨年の七月一日以降、報償費については大臣決裁にいたしました。現在、大臣と二人の副大臣で決裁をいたしております。執行の段階で厳重にチェックいたしております。
 報償費の使途については公にはできないという立場は一貫しておりますが、執行の過程で、例えば来年の予算で我々の判断で外へ出せるものがあれば、それは考えてもいいと思っております。
木下委員 時間がありませんので、ちょっと次の質問に進みます。
 実は、この連休中、私は、四月二十八日から五月四日まで、モスクワ、ハバロフスク、それからサハリンを回ってまいりました。私ともう一人、外務委員の、私どもの筆頭理事と二人だけで回ってきました。
 モスクワでも大変多くの国会議員にインタビューし、会談をし、例えばコプチェフ・ドボルニコフ国会議員、イグナチェンコ・イタル・タス通信社社長、ミトロファノフ国会議員あるいはジリノフスキー、タカ派のあれですが、そのほか、サハリン州知事あるいはサハリン市長、その他十数人の国会議員等に会ってまいりました。
 彼らが一番心配していますのは、いわゆる鈴木宗男さんの、彼らは失脚ととらえています、鈴木宗男さんの失脚によって日本の対ロ政策が変わるのではないか、要するに、政治的意図を持って鈴木さんを失脚させたのではないか、それによって日本はロシアに対して相当な強硬姿勢で来るのではないかということを、多くの国会議員あるいは市議会議員が指摘していました。
 ですから、私どもは、そうじゃないんだ、鈴木問題はあくまでも国内問題であって、スキャンダル問題であります、対ロ政策は全く変わりません、従来と変わりませんよということを言い続けてきました。
 どうなんでしょうか。それで本当によろしいんですか、総理。
小泉内閣総理大臣 日本としては、ロシアと平和条約を締結したい。その際には、北方四島の帰属を明確にして、ロシアと正常な関係を結びたい。さらに、ロシアの民主化支援、人道支援に対しても協力していくという姿勢には変わりありません。
木下委員 外務委員会でも随分問題になりました。要するに、鈴木さんが、あるいは鈴木さんを初め、いわゆる外務省のロシアンスクールと言われる人たち、東郷さん、あるいはもう一人、鈴木さんと一緒に行動していた佐藤さん、いわゆる二島先行返還で動いていたんじゃないかという話が国内でも大きな話題になりました。その点も、私も、サハリンあるいはハバロフスク、モスクワで確認してきました。
 やはり彼らは、鈴木さんが個人的な私的なあれで動いていたんじゃない、森さんの特使として来ていますし、あるいは政府特使として来ている。私人の立場で動いていたわけじゃない、政府の立場で動いていたというのをみんな認識していました。
 そういう意味で言うと、要するに、彼らはやはり一九五六年の日ソ共同宣言、二島先行、二島をとりあえず返還、その後二島を協議という形を日本政府の考えとして受け取っています。
 そういう意味では、小泉さんも、並行協議という形で、森さんが進めたクラスノヤルスク合意の話、当初は小泉さんも大歓迎というか賛同しておられたんですが、その話はどうなったわけでございますか。
小泉内閣総理大臣 並行協議という言葉をロシアが使っているかどうかわかりませんが、私は、森政権以来からの考えでありますが、まず歯舞、色丹の二島を返還すればそれでいいんだという考えは一度も持ったことありません。森総理に確認したところ、森総理もそんな考えは一度も持ったことないと。
 歯舞、色丹、国後、択捉、この四島の帰属が明確にならない限り平和条約は締結できないということははっきり伝えてあります。それを、まず歯舞、色丹だけ返して平和条約結ぶんだという考えをもしロシア側が持ったとしたら誤解であります。それを、森前政権から引き継いだ私も確認しております。プーチン大統領の会談でもはっきり申し上げております。四島の帰属を明確にして、日本はロシアと平和条約を締結するんだと。
 二島だけ返還して、あとあいまいにしたまま平和条約交渉、まず二島で平和条約を締結して、その後、あと二島の帰属問題を議論しようという考えは一度も表明したことはありません。
木下委員 そうしますと、これは、モスクワとサハリンで会った人たちの考えはかなり違っています。
 確かに、モスクワの方では二島という話はない。四島帰属だという話はしていました。ただ、サハリンあるいはハバロフスクで会った国会議員の皆さん、州議会の皆さんについては、やはり鈴木さんの影響があったとしか思えない。やはり二島先行返還、あとは、残りの二島についてはこれからの協議だなという印象を強く持ちましたのですが、これは改めて、もしそういった誤ったメッセージが伝わっているとすれば、これは大変今後の交渉に大きなマイナスになりますものですから、今後、そういった日ロ交渉等がありましたら、日本政府の考えをはっきり申し上げていただきたい。
 私たちも、会った人たちにははっきり、日本の領土問題に対する考えは変わっていない、それは鈴木さんが失脚しようがどうしようが、日本政府の考えは四島帰属がまず第一ということに変わりはないということは申し上げてきましたが、ぜひ機会があったらその点を。
 とにかく、ロシアの政治家はもう選挙が近いものですからさまざまなプロパガンダをいたします、国内向けにあるいは地元向けに。ですから、特にサハリンの人たちは、日本に返すと言えば必ず落選する、だから言えない、それははっきり言っていますものですから、そこは我が政府としてきちんとメッセージを伝えるということを、総理、ひとつしっかり御承知いただきたいなと思います。
 それからもう一つ、北朝鮮の問題。時間があれですので、拉致問題、それから北朝鮮による不審船の問題、これはどうですか。総理は米支援をしないと明言されていますが、私が聞いたところによると、米支援についてはやはり密約があったと。かつての森訪朝団の時代に、百万トンの密約があったという話を私は聞いています。そうすると、やはり四十から五十ぐらいの残りがあるなと。既に、WFP、世界食糧計画は北朝鮮の食糧不足を懸念して日本にも要請したいと言っていますし、それから、この前の日朝赤十字会談でも日本側に要請があったと聞きますが、米支援についてはどうなさるおつもりですか。総理からお答え願いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 一般論からいえば、米を支援しようという人道的な問題、これは総合的に考えなきゃならないと思いますが、私は、北朝鮮との正常化交渉、拉致問題、真剣に日本は考えているんだと。
 米支援の問題で密約があったということは全くありません。これは明らかにしておきたいと思います。
木下委員 東シナ海で不審船の調査が今度終了しました。かなり北朝鮮の工作船であるということがはっきりして、一部には、制裁措置もあるのではないかと。きのうの産経新聞によると、制裁措置というような話もありました。例えば、新潟へ寄港している万景峰号ですか、客船、これの入港を制限するというような話もきのうの産経新聞に出ていました。
 拉致問題も含めて、人道支援、それは結構でございます、本当にまともにお互いに交渉できる相手ならいいですけれども、日本の船に射撃を加えてきたり、それから国家主権を侵したり、拉致するような国に、果たして人道支援が必要かどうか。それも含めて、そういった形での制裁措置というのは今の段階で考えていませんか。
小泉内閣総理大臣 日本としては、拉致問題、正常化交渉、真剣に対応している、北朝鮮側も誠意を持ってこの問題について対応してもらいたいということであります。
 不審船については、今捜査中であります。
    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕
木下委員 時間でございますので、以上で終わらせていただきます。総理、どうもありがとうございました。
岩屋委員長代理 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 小泉内閣総理大臣にお尋ねいたします。二問申し上げます。
 まず最初は、公共事業の入札契約事務手続についてでございます。
 これは、自由競争、公正、公開の原則によるべきものである。これによりまして、民間活力を生かして、効率的な予算の執行を実現するというものであると思います。より適正な競争入札制度を確立すべきであると思います。
 近年の公共事業をめぐる不祥事、口ききとか最低価格を漏えいするとか、あるいは贈賄に至るような不正な事件があったわけでございますが、まことに遺憾であると思います。これは、公職選挙法あるいは政治資金規正法を変える、また政策秘書、あるいは私設秘書を含めるかどうかといった問題もありますが、これとあわせまして、入札制度自体を各省庁を通じて、また各種団体も含めまして、一つの基準を設けて適正に入札を行うべきである、このように考えるのでございます。
 特に、平成十年度、十一年度の決算報告の中に、会計検査院が指摘しております随意契約の乱用の問題があります。この随意契約は、言うならば、下手すると官と民間との癒着になるし、かなりの裁量権、任意な判断で行われるということでございますから、こういったものにつきましてもやはり共通的な基準を、全省庁あるいは関係の団体等にも適用するようなものを確立すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 公共工事のいろいろな契約、入札等については、今御指摘の透明性、公正性、競争性ですか、この確保に努めるということで、我々も努力しなきゃならないと思っておりますし、随意契約においても、やはり透明性の確保、どういう基準が必要か、よく検討する必要があると思っております。
塩田委員 随意契約の関係では、各省庁に、これは会計検査院が指摘したのは外務省で、私も質問をしたわけですが、ほかの省庁にもあるということをある大臣もある程度認められている。もっと調べていただくと、各省庁に大なり小なりあります。しかも、悪質なのは、一括して発注すれば競争公開入札になるものを細分化しまして、全部随意契約にしてしまう、こういう例があります。調べてもらったらわかると思いますが。そして、あるところでは、一括して公開入札に出しながら、応募もあったのにもかかわらず、途中で細分化して何千も分けて随意契約にした、こういう例もあります。
 公共事業等では、地域の業者等に均分に利益が渡るようにということで、そういうことをして分けて発注する場合もあるんだという大臣の答弁もありましたけれども、こういったものにつきまして、ぜひともはっきりした各省庁共通の基準を手続上定めていただきたいと思います。
 次に、第二問に移ります。
 いわゆる荒廃しつつある学校、教育の再建について思い切った改革をしていただかないと、これは大変な事態だということをお訴えしたいのでございます。
 私、前からも思ってはいたんですけれども、最近参加したある会合で、学校の元校長先生あるいは父兄、県会、市会の先生方が訴えられた、これにショックを受けたんです。
 御承知のとおり、国歌・国旗の問題、これは入学式、卒業式でこれを行うべしということになっておるわけでございますが、実際はなかなか行われていないところがある。学級崩壊とも言うべき、あるいは不登校の問題等々につきましては、まじめな多くの学校の先生方が一生懸命やっておられるということは、私も知っております。しかし、中には、校長と教頭が式のときに壇上に日章旗、日の丸を掲げる。そうすると、一部の学校の先生がそれを生徒児童の前で引きおろしてくる。また校長、教頭が行って掲げる。またおろしてくる。こんなことを児童生徒の前で見せる。これでいい教育ができるはずがありません。そういったことが行われておるということ。
 それから、ある例ですけれども、学校から、入学式、卒業式の国旗・国歌の問題を、実際その学校では二十何%しかできていない、あるいはゼロ、全然できなかったということを公表しながら、市なり県の教育委員会への報告には、一〇〇%実行しましたというような報告をしている。それを文部省が集めて、ああ何%できた、こう言っておられると思いますけれども、実態はそうでないということを切々と訴えられました。そんな事態があるということ。
 それから、教科書、いろいろ問題になりましたけれども、教科書を使わないで、教科書外のプリント、私、ここに持っておりますけれども、漫画入りのプリントを地理の先生なりあるいは歴史の先生が独自につくって、そしてそれでもって教えている。中身を見ましたけれども、実に驚くべきことです。日本は悪い、悪いことばかりしておった、韓国や朝鮮は、日本には米ももたらし、仏教も、いろいろな文物、陶器ももたらした、これだけ日本に貢献しているのに、日本は行って悪いことばかりした、こういったことをそういう教科書、手製の教科書で教えているんですね。
 これは御存じだと思いますけれども、中国等では、日本のひどいやり方、実際に被害をこうむったことについては、いろいろな博物館等をつくって皆に見せている。日本から行った人たち、旅行者にも見せている。こういう実態があることは御存じだと思うんですが、これ、将来どうなりますか。我々の日本人の若い子供たちには、そういった、日本はだめなんだ、悪い祖先を持ったんだということを教え、相手は、日本は悪いやつだと。こういうことで将来どうなりますか。本当に恐るべきことになるんじゃないでしょうか。
 それからなお、教育委員会自体が、文部省に言いますと、それは教育委員会の権限です、教育委員会は、学校の校長先生の権限です、こういうことですね。文部大臣に前にお聞きしましたら、教育委員会が形骸化している、無力化している、これは認められました。実際はそういうところもかなりあるわけです。もちろん、そうでないところもありますよ。そういった中で、教育委員会を通じていろいろなことをやっておられると思いますけれども、それがなかなか実際は行われていない。虚偽の報告もされている。
 こういうような状況の中で、日本の教育は本当に荒廃しつつあると思われますが、これについて抜本的に思い切った改革をして、教育の再建、正常化をしなければならないと思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。
    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕
小泉内閣総理大臣 日本にとって大事な問題、それぞれありますが、今日まで発展してきた一番大きなものはと言われると、やはり教育の重要性をよく認識してきたからだと思っております。
 まさに人の問題、先生の問題。いかにいい教育をするかという問題につきましても、人の問題を考えますと、いろいろ重要な問題がたくさんありますが、人材の育成という点、これは幾ら強調しても、し過ぎるものではないと思います。
 今、日本としてもいろいろ教育改革を進めております、大学教育におきましても、あるいは小学校の教育におきましても。かつては習熟度別の授業も敬遠されておりましたけれども、最近はむしろ、少人数でも習熟度別にクラス編成してもいいのではないかということが大方受け入れられるようになってきたと思います。生徒にとっても、わからない問題を教室でいろいろ教えられる、これほどつまらない問題はないと思うのであります。また、わかる人にとっては、わかり過ぎるような易しい問題ばかりやっていたら、これもまたつまらない。
 そういう点におきまして、いかに基礎的な問題についてはわかるように工夫を凝らすか。また、生徒にとって大事なのは、教育者の資質であります。先生によって、学科が好きにもなれば嫌いにもなる。
 いろいろ教育の重要性は指摘すれば切りがありませんが、日本にとって、ここまで発展してきたのは、教育ということを重んじてきたからだと。貧困の撲滅も大事でありますけれども、私は、発展途上国に行きますと、必ず、貧困削減のために日本の資金援助を要請されますけれども、資金援助も結構だけれども、国づくりの最も大事なものは教育なんだということを、よく発展途上国の首脳にも申し上げております。
 そういう点において、日本もこれから二十一世紀に向かって、教育というのは時代時代によって、何を学ぶか、またどのような知識が大事かというのは違ってくると思いますが、教育の重要性というのは変わりないと思っておりますので、小、中、高、大学、一貫して、教育の重要性について、政府としても重点分野として今後とも考えていきたいと思っております。
塩田委員 ありがとうございました。終わります。
渡海委員長 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 四月三十日、いわゆるムネオハウス問題で鈴木宗男議員の秘書など七人が逮捕、二日後の五月二日には、井上裕前参議院議長の政策秘書ら六人が逮捕、そしてその前には、加藤紘一元自民党幹事長の秘書、事務所元代表らが逮捕される。私は、自民党政治はまさに腐敗きわまれり、国民の怒りは今沸点に達していると思います。
 その中で、焦眉の問題になっております鈴木宗男疑惑について、端的に総理にお伺いしたいのですが、真相の徹底解明、疑惑の究明のために、自民党総裁としてどのようなことをなされたのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 今、鈴木議員のことを指摘されましたけれども、これまでもいろいろ国会で議論され、外務省に絡む問題におきましても、鈴木議員の関与については、共産党も具体的にいろいろな問題を指摘されております。
 そういう中で、いろいろ外務省の、具体的に言えば、ロシアの北方支援事業、これに対してもかなりずさんな面があったな、問題があったなということがよくわかってまいりました。そういう具体的な事実というものも今外務省内でよく調査し、確かに問題があった、改めるべき点が多々あるということで、北方支援事業につきましても抜本的に改めるということを打ち出しておりますし、私も、この問題について明らかにしていく、そして早急に改めるべき点は改めるということを指示しております。
 さらに、今後、公共事業の問題につきましても、このような公共事業にまつわる不祥事が起こらないような対策はどうあるべきかということについても今鋭意検討を進めているところでありますし、私は、こういう問題について鈴木議員がどのように判断されるか、それはまさに政治家の出処進退にかかわる問題でありますので、御自身もそういう指摘やら批判を踏まえて判断されるのではないかと私は思っております。
大森委員 私は極めて短時間の質問ですので簡潔にお答えをいただきたいのですが、私が伺ったのは、自民党総裁として自分の党の議員の疑惑解明にどのようなことをやったのかということをお聞きしたわけです。
 自民党は、一九九二年十二月の二十二日、かつての佐川急便事件、国民の大変厳しい批判の中で「政治改革の基本方針」、そういうものを策定いたしました。その中で、「党の自浄能力を強化する。」こういう項目で、「党所属国会議員による国民の疑惑を招いた事柄については、党自らがその解明にあたる。」こういう基本方針を国民への公約として示されているわけであります。
 この鈴木宗男疑惑に関して、みずからが所属する党の総裁としてどのようなことをなされたのか、改めてお聞きしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 党としても、いろいろ指摘された問題について調査をするということで、政治倫理審査会で鈴木議員の問題についても審査をしたところであります。そういう状況を踏まえて鈴木議員は自民党を離党されたわけであります。
 私は、今までも申し上げているとおり、疑惑についてはみずからが率直に疑惑を晴らすべく説明すべきだということを申し上げていますし、何度も言うようでありますが、本人の出処進退についても、政治家なんですから、人から指図するまでもなく、自分で判断すべきものだということを再三申し上げております。
大森委員 政治倫理審査会なども、離党の直前にごく短時間弁明の機会を与える程度で、とてもこの基本方針にあるような、党として疑惑解明に努めるという内容のものではないと思います。
 私は、自民党総裁としての責任は二つあると思うのです。
 一つは、前回衆議院選挙で鈴木宗男氏を北海道比例区名簿一位にしたことであります。あなたは、出処進退は自分で決めると言いましたけれども、何回となく繰り返しておりますけれども、この議席は、当然のこととして有権者の議席であると同時に、彼の議席じゃないんです。比例候補である自民党の議席であるわけですね。しかも、北海道比例区の名簿一位なわけです。名簿一位というのは、自民党が責任を持って有権者にこれを推薦する、いわば党の顔としてこれを打ち出しているわけですね。だれが一体一位にしたのか、その責任もあるわけです。
 自分で決めるというなら、この議席に関しては、比例区の第一位に指名した、推薦した自民党がまず決めるべきである。そういう点での責任を総理は総裁として感じないか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 そういう点も踏まえて、鈴木議員が、党から言われるまでもなく判断されて離党されたんじゃないでしょうか。今や自民党員では、これは比例の第一位にしようがありませんし、比例第一位にしてこういう不祥事を招いたということは大変遺憾に思っております。しかしながら、既に鈴木議員は自民党を離党されているわけでありまして、このことについては、鈴木議員にとりましても大変重い決断だと思っております。
大森委員 なぜ鈴木議員だけがやめないのか、早くやめるべきだというのが圧倒的な国民の声であり、そういう総理の答弁というのは、私は国民の声に背を向けた答弁だと言わなくてはならないと思います。
 総裁として第二の責任というのは、こうした人物を政府や党などの要職につけてきた、内閣官房副長官、あるいは党の総務局長、さらにはODA担当の、関係の党の責任者という形で、この点での小泉首相の責任も重大だと私は思います。
 しかも、重大なことは、党が与えたこういうポストが、こういう疑惑あるいは利権等々の強力な手段になっているということですね。自分が決めればよいというようなものでは決してない。自民党自身の責任、総裁の責任、これが問われていると思うのです。
 野党四党は、既に鈴木宗男議員辞職勧告決議案を提出しておりますけれども、自民党を初めとする与党三党の拒否でこれが今なお実現できていない。国民の怒りもここに大きなその理由があると思うのです。与党第一党の自民党総裁として、その責任を今こそきっちり果たすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私は、自民党が今辞職勧告決議案を拒否しているということは聞いておりません。今検討している、野党が提出されていることで、今検討の最中だというふうに聞いております。
 もともと、辞職勧告決議案が成立してもやめない議員もいたわけですから、この問題については大変国会の各会派の中でも意見があるようであります。
 私としては、この問題につきましても、自民党としてもしっかりと国会情勢全般をにらみながらよく判断すべきだということで、私は、党の執行部としてもしかるべき判断をされると思っております。
大森委員 先ほど言いましたように、彼は自民党の比例候補の第一位として、党の顔として議員となった人物であります。したがって、それをただ単に国会にゆだねる、これは、その原点からいってもおよそ間違った、人ごとの議論と言わなければならないと思います。
 繰り返し、自分で決めるべき、そういう判断でそういうことを述べてこられましたけれども、これだけ国民の怒りが激しく集中しているという中で、これを疑惑解明あるいは真相究明、その基本方針、かつてみずから決められた基本方針に沿って、自分の党の所属していた議員の疑惑解明に努めるという公約は、はるかかなたに投げやられてしまっている。
 そして一方では、医療保険の改悪とかあるいは有事法制とか、こういう悪法を強引に押し通す。疑惑にふたをしたままこういう悪法を押し通すような小泉内閣のやり方、一層これは支持率の激減にさらにつながるだろうということを申し上げて、私の質問時間が終了しましたので、質問を終了したいと思います。
渡海委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。最後の質問となりました。
 私は、医療制度改革について、総理に御質問をしたいと思います。
 今回の医療制度改革まで含めますと、五年間で健康保険の本人の負担が三倍にもなるという大幅な負担増になるわけですが、一九九七年の改正以来、現在までにどのような医療制度抜本改正への努力がされたのか、できなかった理由は何か、そういう点について総括をきちっとしませんと、この次の改正に向けて十分な論議ができないというふうに思っていますし、国民の理解も得られないというふうに思っております。
 そこで、時間がありませんので、二つに絞って御質問させていただきたいと思いますが、まず、負担増の原因といいますのは、健康保険の本人あるいは扶養が、医療費が増加をして負担をしたということはないわけでして、一番大きな原因は、老人医療費が非常に伸びたということが大きな原因です。そして、この老人医療費が伸びるということについて、各健康保険制度に老人保健拠出金という形でそれぞれの制度に振り分けたということが、やはり各保険制度が財政的に大変苦しくなってきた大きな原因だというふうに私は思っています。
 それで、過去を見ますと、特に一人当たりの診療費あるいは一人当たりの受診率を見ても、過去六年間ぐらいはほとんど変化がありません。老人保健医療はふえてはいますけれども、これは、一人当たりの老人医療費そのものがふえたというよりは、むしろ高齢者の数がふえることによって医療費がふえてきたというふうに私は思っています。
 例えば、年平均で四・六%伸びている老人医療の対象人口の増加があるわけです。一人当たりの老人医療費の伸びというのは平均で三・二%で、一般の伸びとそうは違わないというふうに思っています。特に平成十二年度は、それぞれ伸び率は減っていますから、やはり大きな原因は老人保健拠出金制度にある。
 つまり、老人保健拠出金をそれぞれの健康保険制度に振り分けている、これが非常に問題だと私は思っていますが、この老人保健拠出金制度について、今まで、このままほうっておけば、当然健康保険制度の財政が苦しくなるということはきっとおわかりになっていたと思いますが、ずっと老人保健拠出金制度について検討をされてこなかったのか、あるいはこの拠出金制度についてこのままでいいのか、総理の御意見をお伺いします。
小泉内閣総理大臣 少子高齢化社会が進んでいく中で、確かに高齢者の医療費がふえていく、御指摘のとおりであります。これを負担している保険制度、このままだったらもつわけありませんよ。
 そういう中で、この皆保険制度をどうやってこれからも維持発展させていくかということを考えると、今までのように、できるだけ給付を厚く負担は薄くというわけにはまいらないということで、今医療改革の必要性が叫ばれているわけでありまして、私としては、世界からも評価されておりますこの国民皆保険制度を維持していくために、どうして国民全体ができるだけ低い負担でいい給付を、医療サービスを受けられるかということを考えなきゃいけないということで真剣に考えているわけであります。
 これは私は、高齢者医療制度のあり方、給付の問題も負担の問題も含めて高齢者医療制度については、今年度中に基本的方向を明らかにしていくということを申しておりますので、これは各党真剣に考えておられるのではないかと思っておりまして、政府としても、この問題は多くの国民が関心を持っておりますので、より充実した医療、国民が負担できる程度の保険料なり患者負担なり税金投入なりを考えながら、組み合わせながら、いい制度を構築していきたいと考えております。
山口(わ)委員 実は、私は長野県でして、保健婦をしておりまして、特に地域保健についてはずっと四十年も続けてやってきたということがございまして、ちょっと長野県のことをお話ししたいと思うんですが、長野県の場合は、医療費は平成十一年度で全国平均が一人当たり二十二万七千円なのに、長野県は二十万二千円。老人医療費も全国平均が一人当たり八十三万二千円なんですが、長野県は六十四万三千円というふうに、全国でも一番医療費が低い県でございます。老人医療については特に低くなっています。そして、平均寿命は男女ともに全国一位ですし、非常に元気ですから、高齢者の就職率も全国一位です。非常に元気な高齢者が、医療費を使わずに元気で生きているという長野県なんです。
 何でこういうふうになったかということをちょっとお話ししますと、何といっても直営の、つまり市町村立の診療所がたくさんございまして、ここの医師が地域医療を非常に充実してやってきたということと、保健婦の数が実は全国平均で見ますと、普通は人口十万対二十九人なんですが、長野県は五十人おります。積極的に市町村が保健婦を採用しながら地域保健を充実させてきたということが大きな原因です。
 そこで、長野県はもともと低いわけではありませんでした。昭和三十年代の後半、四十年代では、脳卒中は全国第一位でしたし、国保の医療費も非常に高いということで非常に心を痛めまして、何とかこの医療費を削減できないものだろうか、お年寄りが元気で暮らすことができないものだろうかということを考える中で、こういうことをみんなが真剣に取り組んできたということなんです。
 今、大変医療費が低くなっているわけですが、こういうことというのは一年や二年ではとてもできません。やはり十年、二十年の単位で努力を続けていくことで医療費が低くなる。医療費が低いということは、健康でなければいけません。そのことがとても大事だと思います。診療費を抑制して患者さんが病院に行かなくなったと仮にしましても、やがてその反動は重症化ということで起こってきますから、私は、こういう老人保健のあり方というのは非常に大事だというふうに思いますが、このことについてやはり、この長野県方式をもっと全国的にきちっと広めていくお考えはないでしょうか。
小泉内閣総理大臣 私は、長野県の実態を調べ、聞きまして、これは全国に広げるべきだということを言っているんです。
 今、具体的な例を出して説明されましたけれども、こういうことを各都道府県もぜひ見習ってほしい。と同時に、いかにいいお医者さんがいても、いい薬があっても、やはり日ごろの生活、日ごろの食事、日ごろの活動、こういうものがいかに大事かということを長野県の実態を見ますとよくわかります。
 ですから、単に医療費だけの問題ではないなということを、長野県を参考にしながら、よくお互い学ぶべきところは学んで、元気で長生きできる方法はまず長野県に見習うべきだということで、私はよく、短期的な医療の面、薬価の面だけでなくて、長い面にわたって健康づくり、そういう点をこれからも医療改革の重点に考えるべきだということを申し上げているつもりでありますので、お互い、この点については意気投合するところがあるのではないかと思っております。
山口(わ)委員 大変積極的なすばらしい御発言をお聞きしまして安心しました。
 やはり、こういう制度を続けていくためには、何といっても人が大事です。保健所の統廃合なんかもあって、地域保健医療がだんだん廃れてきたということもございますので、今の総理の御発言を聞きまして非常に私は力強く思いましたので、ぜひ政策の中に生かしていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
渡海委員長 これにて平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
    ―――――――――――――
渡海委員長 平成十年度決算及び平成十一年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。
 これより議決案を朗読いたします。
    平成十年度及び平成十一年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案
  本院は、両年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
  1 外務省等における報償費詐取事件及び渡切費不正使用問題をはじめとする一連の不祥事は、公金の管理及び使用の適正を欠き、国民の行政及び外交に対する信頼を揺るがせたことは誠に遺憾である。こうした不適切な事態の再発を防止し、国民の信頼を回復するため、職員の倫理意識の向上、会計経理の適正化、業務の公正性の確保など、一層の改善に取り組むべきである。
    加えて、報償費については、本来の目的に沿った使用を徹底すると同時に会計検査院の検査体制を一層充実すべきである。また、将来の課題として、報償費の検査に関し、何らかの形で国会が関与することができるようにするための方策につきその研究を開始すべきである。
    また、政府開発援助(ODA)予算の策定及び執行に当たっては、政府のみならず、非政府組織(NGO)や有識者の意見を反映するための仕組みを検討するとともに、執行の透明性を確保し、事業の効果を適切に評価し得る体制を確立するための制度の見直しや管理体制の充実強化が必要である。
    さらに、「支援委員会」の在り方については、様々な問題が指摘されたところであり、我が国の対露基本方針を踏まえ、北方四島人道支援事業の今後の在り方や支援組織の抜本的見直しに着手すべきである。
  2 政府においては、企業会計の手法を考慮した国の貸借対照表を公表するなど、財政情報のより一層の開示に努めてきていることは認めるところであるが、いまだ不十分である。したがって、その後の公会計制度の在り方に関する議論をも踏まえ、国の財政の実情を国民にわかりやすく説明し、財政運営に対する説明責任及び透明性の一段の向上に資するため、企業会計手法を活用した国のストックの財政事情の説明について、さらなる適切な開示に努めるべきである。
  3 公益法人の中には、各省庁からの業務委託がなされ、それに伴って相当額の補助金や委託費が交付されているものがあるにもかかわらず、その活動状況や財務内容について情報公開がいまだ不十分であり、国民の理解が得られているとは言い難い。加えて、特殊法人とともに官僚の主要な天下り先になっていることもたびたび指摘されている。
    したがって、公益法人については特殊法人と同様に抜本的な制度改革を実現し、事業の透明性の確保と情報の開示に一層努めるべきである。
  4 公共事業の入札・契約事務手続や各種調達手続については、透明性、公正性、競争性確保の必要がたびたび指摘されている。したがって、随意契約の濫用によらない公正な競争入札制度の確立など、公共事業の入札や契約事務手続及び航空機選定等の事務手続は、より一層の適正化を図るべきである。
    公共事業の財源は、国民の貴重な税金により賄われていることを再度深く認識するとともに、最近の厳しい財政事情を踏まえ、その必要性や効果を十分に吟味すると同時に、事業の選別を強化し、より効率的、効果的な事業の執行に努めるべきである。
    なお、公営住宅については、従来までの運用の在り方にとらわれず、健全なコミュニティーを構築するために公団等の公共住宅等を含めた総合的な運用を図るべきである。
  5 会計検査院の検査機能の充実について、これまでも本院においてしばしば議決を行ったところではあるが、今後より一層、会計検査院の独立性と財政の事後監督機能を高め、もって、公金支出に対する実効ある会計検査に資するよう、会計検査院の予算、人員、組織の充実強化を図るべきである。
  6 政府は、安全な食品の供給のための危機管理体制の確立を図り、食品行政への信頼回復と牛海綿状脳症(BSE)問題解決に向けて早急な対策を講ずるべきである。
 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
  政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。木下厚君。
木下委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、平成十年度決算及び平成十一年度決算を議決案のとおり決するに対しまして、反対の討論を行います。
 以下、反対の理由を述べます。
 第一に、公金の管理、使用に適切を欠いた事例が数多く認められ、政府に対する国民の信頼を大きく損なったことであります。すなわち、内閣官房及び外務省報償費については、管理面で厳正さがないがしろにされる面があった結果、外務省元幹部職員らによる横領事件が発生する等、報償費本来の目的から逸脱した使途に充てられたことは容認できるものではない。ついては、全容解明されるまでの間、報償費の執行を保留すべきであります。
 第二に、公共事業については、かねてよりその入札等において、談合やいわゆる口ききの実態、さらには政治家等の関与が取りざたされながらも放置され、多くの不正疑惑事件の温床となっており、結果として国民の政治不信を招いていることです。公共事業の入札や契約事務手続については、透明性、公正性、競争性確保の必要性がたびたび指摘されており、一層の適正化を図るべきであります。
 第三に、平成十年度予算は、財政構造改革法に基づく硬直予算であり、その反動である平成十一年度予算は、ばらまき、利益誘導型予算を成立させ、さらには、ばらまき経済対策と補正予算を五回にもわたり成立させたが、結局、十年度の経済成長率は当初見通し一・九%が、実績ではマイナス一・九%に大幅ダウン。十一年度の公債発行は当初で最高の三十一兆円を上回り、公債依存度も三七・九%に達し、国と地方の債務残高はGDPの一・二倍に当たる六百兆円に達し、先進国中最悪の借金大国となってしまった。長期不況の中、経済財政運営を誤り、財政破綻の危機に直面する事態をもたらした政府の責任は極めて重大であります。
 その他、不良債権処理問題、特殊法人改革、郵政、外務省の渡切費、プール金の取り扱い、警察不祥事等々、適正な執行、管理体制の充実強化を図るべき事項が山積しており、政治、行政に対する国民の信頼を裏切る結果を招来しております。
 以上の理由により、指摘事項のほかは両年度決算に対して異議がないとする本議決案には、賛成することはできません。
 なお、国有財産関係四件につきましては、特段に問題もなく、賛成であります。
 以上、私の討論を終わります。
渡海委員長 次に、大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、平成十年度決算及び平成十一年度決算を議決案のとおり決するに反対の討論を行います。
 平成十年度及び十一年度決算に反対する理由の第一は、不況の最大の原因である個人消費を直接温める政策を何もとらず、難病患者への自己負担の押しつけや児童扶養手当の所得制限の強化などなどの社会保障の連続改悪を初め、教育や中小企業など、国民生活関連の経費を大幅に切り捨てたことであります。
 第二に、国民には財政危機を言いながら、ゼネコン奉仕の公共投資を景気対策の中心に据えてきたことや、弾道ミサイル防衛計画、BMDの共同技術関連費用の計上などに見られる軍事費の異常突出など、財政の浪費構造を温存し、拡大してきたことであります。
 第三に、銀行の不始末の処理やさらなる体力増強のためと称し、これまでの三十兆円スキームから六十兆円スキームをつくったことや、乱脈経営で破綻した銀行救済のため公的資金投入を初めて執行したことなど、国会と国民への公約を踏みにじり、一片の道理もない銀行支援のために国民の血税を大規模に投入していることであります。
 以上の理由により、平成十年度、十一年度決算について、ごく限られた指摘事項のほかは異議がないとする本決議案には、到底賛成することはできません。
 次に、平成十年度、十一年度国有財産増減及び現在額総計算書について申し上げます。
 平成十年度国有財産の純増加額のうち、政府出資等を除く一二・一%に当たる九千五百六十七億円、また、十一年度では五・一%に当たる一兆二十一億円が、主として防衛庁、防衛施設庁が占める総理府所管の増加であります。これらは軍事費の顕著な突出ぶりを示したものであり、このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。
 なお、平成十年度、十一年度国有財産無償貸付状況総計算書につきましては、無償貸し付けされた国有地の中に過去の侵略戦争を賛美する碑が一九八二年七月から建立されるなど、管理運用の一部に重大な疑義が残されたままとなっているなどの問題があり、この点についてまで賛成するものではありませんが、国有財産を公園、緑地等に使用する目的で地方公共団体に無償で貸し付ける制度の意義を評価して、全体として賛成するものであります。
 以上で私の討論を終わります。
渡海委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
渡海委員長 これより順次採決いたします。
 まず、平成十年度一般会計歳入歳出決算、平成十年度特別会計歳入歳出決算、平成十年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十年度政府関係機関決算書並びに平成十一年度一般会計歳入歳出決算、平成十一年度特別会計歳入歳出決算、平成十一年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十一年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十年度国有財産増減及び現在額総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十年度国有財産無償貸付状況総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十一年度国有財産無償貸付状況総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
渡海委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
渡海委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
渡海委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。扇国土交通大臣。
扇国務大臣 ただいま御決議のありました公共事業をめぐる諸課題への対応につきましては、入札契約適正化法の徹底を図り、なお一層の入札契約事務の適正化を推進してまいりたいと存じております。
 また、即効性の高い事業の優先的執行、費用対効果分析の厳格な実施などにより、公共事業の効率的、効果的な執行に努めてまいります。
 さらに、多様な公共住宅の総合的な活用を推進し、良好なコミュニティーの形成を図ってまいる所存でございます。
 ありがとう存じました。
渡海委員長 扇大臣、御退席いただいて結構でございます。
 次に、川口外務大臣。
川口国務大臣 ただいま御決議のありました公金をめぐる不祥事の防止につきましては、本年二月に発表した「開かれた外務省のための十の改革」の中で、調達などの会計手続の見直しや監察、査察制度の活用などの再発防止策を示し、改革に向け鋭意取り組んできておりますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも職員の倫理意識の向上や会計経理の適正化に取り組んでまいる所存です。
 外務省の報償費につきましては、従来より会計検査院による検査を受けてきておりますが、御指摘の趣旨も踏まえ、今後とも、十万円を超える案件は副大臣以上の決裁とする等の措置を着実に実施し、報償費の趣旨、目的に従った適正な使用を確保してまいる所存です。
 また、政府開発援助予算につきましては、国民各層の代表から成るODA総合戦略会議の設置や、透明性確保のための外部監査の導入について検討を行うとともに、評価体制の充実に向け、これまでも努力しているところですが、御決議の趣旨を踏まえつつ、今後とも一層ODAの透明性の向上のため努力してまいる所存です。
 支援委員会のあり方につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、また、支援委員会改革のための専門家会議の提言を重く受けとめ、この提言で指摘された問題点の再発防止を担保する制度を構築すべく、抜本的な改革案を速やかに策定してまいる所存です。
渡海委員長 次に、福田内閣官房長官。
福田国務大臣 ただいま決議のありました内閣官房報償費に係る事項につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも、一つ一つ吟味の上、厳正かつ効果的な内閣官房報償費の執行に努めてまいる所存であります。
渡海委員長 次に、塩川財務大臣。
塩川国務大臣 ただいま決議のありました国のストックの財政事情の適正な開示につきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいります。
渡海委員長 次に、石原国務大臣。
石原国務大臣 ただいま決議のありました公益法人制度の抜本的改革につきましては、三月に公益法人制度の抜本的改革に向けた取り組みについて閣議決定したところであり、御決議の趣旨を踏まえ、平成十四年中を目途に、公益法人制度改革大綱の策定に取り組んでまいる所存でございます。
渡海委員長 次に、片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいま御決議のありました公益法人の事業の透明性の確保と情報の開示につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも適切な指導監督の推進に一層努力してまいる所存であります。
 また、公益法人制度の抜本的改革につきましても、本年三月の閣議決定を踏まえ、その推進に努めてまいります。
渡海委員長 次に、中谷防衛庁長官。
中谷国務大臣 ただいま御決議のありました航空機選定等の事務手続につきましては、その適切な実施に努めてきたところでございますが、御決議の趣旨を踏まえ、より一層の適正化を図ってまいりたいと存じます。
渡海委員長 次に、武部農林水産大臣。
武部国務大臣 ただいま御決議のありました安全な食品の供給のための危機管理体制の確立につきましては、今般のBSE問題をめぐる行政対応上の問題を踏まえ、リスク分析の考え方に基づいた危機管理対応の充実に努め、消費者サイドに軸足を大きく移して、食の安全と安心を確保するため、食と農の再生を目指し、政策の抜本的な改革に全力で取り組んでまいる所存でございます。
渡海委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。
 次に、金子会計検査院長から発言を求めます。
金子会計検査院長 ただいま御決議のありました報償費に関する会計検査院の検査体制の充実につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、一層努力してまいりたいと存じます。
 また、会計検査院の予算、人員、組織の充実強化につきましても、御決議の趣旨を踏まえ、一層努力してまいりたいと存じます。
渡海委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日をもちまして平成十年度決算外二件及び平成十一年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。審査に当たりまして、委員各位の多大な御協力に心より感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十三分散会


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