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第4号 平成14年12月6日(金曜日)

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平成十四年十二月六日(金曜日)
    午後一時十八分開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 浅野 勝人君 理事 奥谷  通君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      石田 真敏君    植竹 繁雄君
      江藤 隆美君    大木  浩君
      小西  理君    後藤田正純君
      橘 康太郎君    谷  洋一君
      中村正三郎君    西川 京子君
      橋本龍太郎君    林 省之介君
      水野 賢一君    宮腰 光寛君
      宮路 和明君    村上誠一郎君
      森岡 正宏君    森田  一君
      井上 和雄君    大島  敦君
      金子善次郎君    今野  東君
      齋藤  淳君    手塚 仁雄君
      楢崎 欣弥君    葉山  峻君
      平野 博文君    山田 敏雅君
      山谷えり子君    神崎 武法君
      大森  猛君    穀田 恵二君
      山口わか子君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   農林水産大臣       大島 理森君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   会計検査院長       杉浦  力君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房総括審議官     友寄 隆信君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  村上 康聡君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月六日
 辞任         補欠選任
  江藤 隆美君     水野 賢一君
  谷  洋一君     林 省之介君
  額賀福志郎君     後藤田正純君
  武藤 嘉文君     西川 京子君
  金子善次郎君     山谷えり子君
  山田 敏雅君     大島  敦君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤田正純君     額賀福志郎君
  西川 京子君     武藤 嘉文君
  林 省之介君     谷  洋一君
  水野 賢一君     江藤 隆美君
  大島  敦君     山田 敏雅君
  山谷えり子君     金子善次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十二年度一般会計歳入歳出決算
 平成十二年度特別会計歳入歳出決算
 平成十二年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十二年度政府関係機関決算書
 平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――
山口委員長 これより会議を開きます。
 平成十二年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官村上康聡君、国土交通省航空局長洞駿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 質疑に入る前に、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守いただきますようにお願いを申し上げます。
 また、政府におかれましても、各質疑者の質疑時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いを申し上げます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅野勝人君。
浅野委員 地価と株価の下落は、金融を中心に日本経済のさまざまな分野を痛めつけ、むしばんでいます。資産デフレは一向にとどまる気配がなく、結果として不良債権がふえています。景気浮揚策に対するこれまでの施策が必ずしも十分ではなかったということのあおりで、日本経済はデフレスパイラルに陥ろうとしています。
 総理も危機感をお感じになって、補正予算の編成を指示されました。私どもは来年の景気は上昇するよう期待しておりますが、民間シンクタンクの予測は押しなべて景気後退ということであります。政治の力でこの予測を覆さなければなりません。そのときそのときの時宜にかなった最高の政策決定を下すのが総理の使命でありますから、三十兆円枠とか政策転換とか、言葉にこだわることはありません。
 ただ、財政金融政策については選択の幅が極めて狭くなっていますから、なかなか有効な手だてが見当たりません。インフレターゲット導入の可否を問うのは、きょうの段階ではあえて控えますが、残された決め手は税制改正です。税収の中立は長期的にとらえ、少なくともGDPの〇・五%、二兆五千億円程度の減税はすべきだと考えます。
 例えば、ドイツを例にとって、個人の株式の売買については、短期の投機的な取引を除いて、原則として今後二年間非課税としてはいかがでしょうか。今、自民党税調で論議の真っ最中ではありますが、小泉流の政治判断で、この場で即決をしていただきたいと存じます。
小泉内閣総理大臣 私は、今回の税改正におきましては、経済活性化に資するような、あるべき税制改革の検討をお願いしてきたわけであります。
 そこで、いよいよ大詰めに向かって議論が進んでおりますが、その中で私が方針として示しているのは、単年度で収支を合わせなくても結構だ、そして、改正は十五年度の税制改正の中でやってほしい、その場合に、減税は先行して、十五年度の税制改正でありますけれども、十五年一月、いわゆる十四年度に実施されても結構だ。
 それと、多年度にわたってやはり収支というものを考えなきゃいかぬ。減税、減税と言って、だれも反対する人はいませんけれども、かといって、ではその財源をどこで負担するんだという、これがなくして政権としての責任は果たせない。単年度にはこだわりませんが、将来、財政の規律というものを考えて、先行実施とあわせて、いつから増収なり増税なりを考えることができるかということもあわせて考えてもらわないと困る。
 先行減税も、ではどの程度か。一兆円を超える規模、その辺は増税項目等を考えて検討してほしいということを示して、その中で、今その枠内で、自民党の税制調査会でも非常に御苦心をいただいているというところであります。この点については、塩川財務大臣も今大きな関心を持って努力していただいております。
 また、ドイツの方を見ましても、あのドイツでさえも財政を考えて増税しなきゃならないということになってきた。株価は、日本の株価よりも下落率は大きいです。どこの国も苦労しているんだなということを考えて、世界的な状況を考えながら、日本におきましても税制を考えていかなきゃいかぬと思っております。
浅野委員 増税、減税差し引きで一兆円ということでしたけれども、一声、一兆五千億円かなという感じがしないでもありません。
 これまで、国が企業を育ててまいりましたが、企業が国を選ぶという恐ろしい時代に入ってきています。私の地元でも、中国に工場を移転した中小企業はいずれも絶好調です。つまり、日本の企業に日本を選んでもらえるような国に改造しなければならないということになります。高賃金のハンディを背負って開発途上の国々と競うのですから、並大抵のことではありません。この問題と取り組むにはさまざまな側面がありますが、わかりやすくするために、ここでも税制に絞って指摘をさせていただきます。
 法人税の実効税率は、ひとまずヨーロッパ並みにして、さらに将来、アジア並みに下げる用意が求められています。政府税調はヨーロッパ並みを今後の課題としていますが、これでは生ぬるい。総理の判断、決断で、来年に前倒しして実施するぐらいの思い切った政策判断が必要と存じます。そして、将来、時間をかけて、アジア並みにしていくタイムテーブルを示していくというようなことをお考えになってはいかがでしょうか。これで産業の空洞化が防げるとは思えませんけれども、企業が日本を選ぶ上での、少なくとも安心して選ぶことのできるよすがの一つになることは間違いないと存じます。総理の所感、政府の所感をお伺いいたします。
塩川国務大臣 浅野さんの提案は私も十分承知いたしておりますし、また、浅野さん自身が税調でもそういう御意見をおっしゃっているのをよく承知しております。
 そこで私たちは、今の提案は、いずれはそれは実施いたしたいと思うて一つの目標にはしておるのでございますが、現在の時点に立った場合にちょっとまだ時期が熟していないという、それは二つの面で申し上げられると思うんです。
 要するに、一つは、今回増減税、バランスをとります対象となりますのは、増収の方は個人所得の方を少し空洞化を埋めさせてもらって、こちらの方に増税分を埋めて、それをもって減税財源にしたい、こういうことでございます。そうであるとするならば、その増収した分は再び個人に返ってくるか、あるいはまた直接企業が投資をして、あるいは研究開発して、それのために活性化するか、そういう方便に使いたいということが、タウンミーティングなんかやりましたら、そういう意見が強うございます。
 けれども、産業の構造を変えていくということは、今おっしゃるとおり、そういう税目に注目してアジア並みに、あるいはアジア諸国から比べて日本は決して不利ではないという状況をつくるという意味において、急ぐべき課題であるとは思っております。
浅野委員 今後の課題としてとらえていることが手ぬるい、生ぬるいという思いを改めて指摘をさせていただいて、終わります。
 外交を一点やりたいけれども、時間です。ありがとうございました。
山口委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 きょうは、決算行政監視委員会、最後の締めくくり総括ということで、総理に出席をいただき、またとない機会でもございますので、十二年度決算と若干外れますが、何点かの質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、私も総理にお伺いをいたしました、ことしの五月八日の決算委員会でございましたが、それは、いわゆる平和のための施設をぜひつくったらどうかと。八月十五日のたびごとに靖国神社をめぐる論争がございました。そういう中で、総理にその問題についてお尋ねしたところ、日本においても、内外の方々がわだかまりなく、それぞれの国のために尽くされ、命を犠牲にせざるを得なかった方々に対して心を込めてお参りできるような施設がないものかと、現在、官房長官のもとに検討会を設けて議論している、そういう施設もあっていいのではないかという声にこたえてこの検討会を設けている、こういった答弁をいただきました。
 そこで、今官房長官のもとの私的機関としてそういった機関が設けられ、追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会、お聞きしますと、もう既に七回ぐらいの議論をされたように聞いております。その冒頭で官房長官は、「皆様には、施設の必要性の問題、そしてまた種類、名称、設置場所などについて、おおむね一年間をめどとして高いお立場から自由に御議論をいただきたい。」こういう官房長官のごあいさつもあったようでございます。
 その後、七回の議論を積み重ねているわけでありますが、現時点における中間的な報告をどのように聞かれ、また一年をめどにということでございますが、今後、スケジュールとしてどういうふうにお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
福田国務大臣 御指摘のとおりの懇談会を今開催して、いろいろと検討していただいております。
 何人もわだかまりなく戦没者等に追悼の誠をささげ、平和を祈念することのできるような記念碑などの国の施設のあり方、こういうことについて幅広い御議論をいただく、こういうことでございます。
 今までに七回懇談会を開催いたしました。そして、それ以外に五回の有識者委員による勉強会をしておるのでありますけれども、そういう懇談会並びに勉強会におきまして、議論の整理を行いまして、そして追悼の対象、理念、また新しい国の施設の必要性の有無等についてこれからも議論を続けていくということになります。
 今後のスケジュールは、おおむね年内をめどにいたしております。年内に報告書をいただく、こういう予定でございます。次回の懇談会は、現在、最終的に日程調整を行っておりまして近日中に開催される、こういうふうに承知をしておるところでございます。
山名委員 この新施設につきましては、論議がいろいろあるようでございますし、また、自民党の中でもいろいろと反対意見もあるようでございますが、この新施設は、追悼と不戦の誓い、こういったものを目的にして、無宗教である。そして、靖国神社のような参拝と慰霊のような宗教施設ではなくて、あくまでも国権の発動としてお亡くなりになった、死没された人々を追悼する、また思いをめぐらせる、また平和への大きな橋にしていこう、こういう所期の目的があるわけでございます。そういった意味では、この施設のイメージというのは、未来志向型というか公開型というか、そういう意味ではまことに意義のあるものだと私は思います。
 戦争を知らない若い世代が、戦争で命を落とした、あるいは災害等で命を落とした、国のために尽くして命を落とした、こういう人たちに対する思いを込め、なおかつ親しみやすい、また式典もできる、そういった施設をつくることはまことにすばらしいことだと私は思います。
 改めて、総理のこの新施設にかける決意なり御抱負をお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この追悼祈念施設というのは、内外の方々がわだかまりなくお参りできるということで、どういうものがいいかということを、今官房長官が答弁しましたように、懇談会でまとめていただいているところであります。年内には一つの結論が出ると思いますので、その報告を待って、どういう施設がいいかということを検討していきたいと思っております。
山名委員 ぜひとも、報告を待ってということですが、総理としても受け身ではなくて、総理自身の政治姿勢といいますか思いというものを、やはり明確に出していただかなければいけないんじゃないかと提言をさせていただいておきます。
 きょうは時間がありませんので、次に移ります。
 きょうは、ぜひとも委員長に御了解いただきまして、一人の人から総理あてに手紙を預かっていますので、ここでお渡しすることをお許しください。
山口委員長 どうぞ。
山名委員 手紙をお書きになった方は、私の地元である京都市にお住まいの渡辺ふじ子さんという方でございますが、渡辺さんの許可を得まして、若干その中身を御紹介させていただきたいと思います。
  非常時とも思えるこの日々、総理のまこと捨て身で国民のためお尽くしのお姿に合掌し、小泉総理で本当に良かったとしみじみ思う国民の一人でございます。
  老い先わずかを感じます今日、医薬品機構法に基づく、障害年金基金の申請嘆願を平成十二年七月に、医薬品機構及び当時の津島厚生大臣あて、そして、平成十三年十月十日、友人が懸命に集めてくださった八万三千六百二十七名さまの署名簿を持って、座ることもできない娘を車椅子にくくりつけて、国会に参上いたしました。
  しかし、九月二十一日、医薬品機構より、法律により受け付けられぬと申請書類一式が返送されてまいりました。
  法律は何のために作られ、何のためにあるのでしょうか。このような法は、どんな方々が作られたのでしょうか。現実の庶民の苦痛、苦悩を知らぬ、幸せな方々ばかりでお決めになり施行されるのでしょうか。
  この返送された書類は、お役人にすれば単なる紙切れかもしれませんが、医師の診断書一枚にいたしましても、二十四年前の医師を探し出し、当時、脳梗塞でろれつが回らない亡父と千栄美本人を車椅子にくくりつけ、遠い病院までお頼みに行ったり、嘆願書をお願いしたりして、やっと作成したものです。
  この度の医薬品機構並びにお役所の心無い処置には、ただただむなしさに唖然とし、今日をむかえています。
中略ですが、
  娘は、平成十一年の暮れ、「ライ症候群」が薬害として認められ、幾人かが補償され、千栄美さんも申請してはとのことで、私が若いときはそんなに思いませんでしたが、老いて力を失いますと、自分で訴えることもできぬ娘に代わり、親として最後に果たしてやらねばとの責任を感じ、総理にお手紙などもってのほかと承知しながら、書かせていただきました。
  どうか、現在の医薬品機構が昭和五十五年五月一日よりとなっていますが、法制定以前の者にも適用されますよう、人道上の高所から光をあててやってくださいますよう、伏してお願い申し上げます。
中略が入りましたが、そういった内容の手紙でございます。
 ここにも訴えられておるように、千栄美さんという方は、昭和五十三年の二月二十八日に発症したわけです。最初は風邪だと思って病院に行ったところ、そのときに受けた点滴、その途中に容体が大変急変をいたしまして、その後、千栄美さんは、座ることも寝ることも食事も排せつもひとりでできない、日常生活のすべてに介護が必要な重度の障害者になってしまったわけであります。
 病名はライ症候群後遺症。ライというのはいわゆるらい病のらいではありませんで、オーストラリアの病理学者のライ博士によって報告されて命名されたものでありますが、急性脳症の一種で、意識障害を起こしまして、肝機能の急激な悪化、高アンモニア血症、低血糖などの症状が短期間にあらわれて、極めて死亡率が高い、こういうようにされているものでございます。
 その後、お母さんは、娘にかわって、医療ミスだということで病院を訴えました。ところが裁判では、これは医療ミスではなくて薬害のライ症候群、こういうふうに結論づけられました。司法が薬害と認めたわけであります。
 その後、先ほどあったように、医薬品機構に、その救済基金を受けるべく申請をしたけれども、結局、これが法律として成立したのが昭和五十五年の五月一日、ですから、それ以降の発症者について対象になるので、それ以前の者は対象ではない、こういう結論で却下をされたわけであります。
 今、千栄美さんは三十三歳、お母さんは八十近くなりました。お父さんも当然亡くなっている。そういう中で、お母さん自身も年をとって介護がままならない。こういう中で、そういう法の決まりは決まりとしても、何とか娘のために報いてやりたい、娘のことを考えてこういった手紙を総理あてに出されたのが背景にございます。
 これは、もう以前から、坂口厚生労働大臣の方にも、この問題については同じように訴えがございました。しかし、現実の法の壁というのは非常に厚くて、現行法が五十五年五月一日以降と決めている以上は救済のしようがない、こういうことで今日に至っているわけでございます。このままこういった方に何の光も当てずにおいていいのか。私は、ここで改めて、この問題の、一人の人に対する政治の温かい光というか、これを訴えたい、こういうふうに思っているところでございます。
 そこで、今回、この医薬品機構も、研究センターとともに、独立行政法人、独法に移行する、こういう機会をとらえまして、五十五年五月一日以降ということにとらわれることなく、もう少し幅広く、柔軟的にその対象を広げられるような法改正を含めたことが考えられないのかどうか、このことについて厚生労働省にお聞きしたいと思います。
木村副大臣 御指摘の副作用被害救済制度の性格に関しましてでございますが、将来発生し得る副作用被害に備え、製薬企業が共同して財源を拠出し、発生した副作用の被害の救済を図るという、一種の保険の原理に基づくものでございます。
 そのため、御指摘のケースは、大変お気の毒でありますし、また、先生がお話しのように、坂口厚生労働大臣も大変心を痛めておられる問題でございますけれども、制度創設以前に被害を受けられた方に本制度を適用することは困難であることを、大変恐縮ではございますが、御理解をいただきたいな、こう思えてならない次第でございます。
 もちろん、厚生労働省が全く光を与えていないというわけではございません。特別障害者手当の支給や車いすなどの補助用具の交付などのサービスを通じまして、お話のあったような在宅の障害者の方が安心して暮らせるように今まで努めてきているところでございますし、今後とも各種の福祉サービス等をできるだけ広範囲に活用いたしまして御支援に努めてまいりたい、このように思っているような次第でございまして、何とぞ御理解のほどよろしくお願いを申し上げます。
山名委員 それ以外の施策で援助の道はある、こういうことなんですが、現行法でとまっておっては、そういう論理が当然成り立つと思います。しかし、確かに保険的な要素を持った制度であったとしても、こういったケース、まだほかにも同じような類症を持った方はいると思います。法律は法律としてひとり歩きはしますけれども、やはり、国民の、そういった一人の人を大切にする政治の光という観点から考えても、私は、政治家として、何とかならないか、法律の改正を含めて努力していくことが政治家にとって大事な役割だ、私はこう思います。
 そこで、きょうは、総理に直接そういったお手紙をお渡ししたわけでございますので、私は、総理の一政治家としてのこういったケースに対する思い、厚生大臣もおやりになって、こういった福祉のことについては当然プロフェッショナルであるわけでありますし、まさに、政治家小泉純一郎として、この問題をどのように受けとめ、政治家の思いとして、光をどう当てていくか、その辺についての御所見をぜひきょうはお聞かせいただきたいと思います。
 私は、その総理の答弁を見て、人間小泉純一郎を判断したい、一方ではそう思っておりますので、よろしくお願いします。
小泉内閣総理大臣 この写真を拝見いたしますと、小学校二年生のころの元気なかわいいお姿、そしてピアノ演奏会ですかね、ピアノを演奏されている、少女にとりましては、いわば一つの晴れ舞台だとも思います。その方が、突然の、医療ミスかあるいは副作用かわかりませんが、このような障害を受けたということで、お母様のショックというのはいかばかりかと拝察しております。
 この制度の適用につきましては、今、木村副大臣が申されたとおりではございますが、こういう障害を受けている方はたくさんおられると思います。また、私が厚生大臣当時にも、こういう、なかなか治りにくい病気になって、障害を受けて、困難な状況に境遇されている方々にもお目にかかりまして、何とかできないものかと思う気持ちは常に持っているわけでございますが、この法律が適用されなくても、今障害者に対する手当あるいは福祉サービス等、できるだけの手段をもちまして、こういう方々に対して、少しでも希望が持てるような、また苦痛を和らげるような対策というものも拡充していかなきゃならないなと思っております。
山名委員 ぜひ、今度の独法移行の際に、そういったあり方についていま一度御検討いただきたい、このことをお願いさせていただきます。
 最後の質問になりますが、さきに交通政策審議会航空分科会空港整備部会で、いわゆる大都市圏拠点空港の整備についての答申と報告がございました。その中で、今後の航空行政のあり方について大きく転換するような報告がなされたところでございまして、その報告に基づいて、今、航空行政のあり方がいろいろと検討されておるようでございます。
 特に、大阪国際空港の問題については、いわゆる着陸料の引き上げ、こういったことも一方ではささやかれている。今、こういう時点で、利用者負担やあるいは地方自治体の負担につながるようなこういった着陸料値上げはどうなのか、私はいささか疑問に思う一人でございます。
 今、観光産業が低迷をし、景気を浮上させる上でも、日本国内における、あるいは海外への観光、こういった産業をもっと振興していこう、こういう段階の中で、むしろ、航空料金を下げ着陸料を下げても振興を図ろうというのが今の流れではないか、むしろそれに逆行するそういった今の検討についてはどうかなというふうに私は思っておりまして、最後に、この辺の、航空行政の今後のあり方等についてお聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 端的に申し上げまして、着陸料の引き上げ等について御説明をさせていただきます。
 現在、規制緩和による需給調整規制の廃止に際しまして、地方路線を中心としました航空ネットワークの維持拡充を図るために、空整特会の状況を踏まえながら、平成十四年度までの時限的な措置として、着陸料の軽減がなされております。
 今後、その取り扱いを検討するに当たりましては、規制緩和後の地方路線の維持拡充のための着陸料軽減措置の必要性であるとか、あるいは今後の首都圏等を初めとする大都市圏の空港整備の財源としての着陸料が重要な地位を占めていること等を勘案しまして、適切に対処していく必要があると考えておりまして、十五年度におきましては、必要な軽減措置を講じることができますよう、最大限努力してまいりたいと思っています。
山名委員 終わります。ありがとうございました。
山口委員長 次に、松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 きょうは、最初に日朝問題を取り上げさせていただきたいと思っております。
 小泉総理の訪朝から二カ月半がたちまして、いろいろな意味で、全国民のこの二カ月のほとんどの話題をさらうくらいの国民的な大きな関心事になったわけであります。
 ただ、最近の情勢を見ますと、アメリカのイラクの問題も含めて、あるいはケリーさんが行ってから、いろいろなことがわかった。どうも核の問題、しっかりと開発をしている、それを認めてしまった。そういうことから状況がかなり厳しくなっております。
 つまり、拉致家族にとりまして、そのお子さんを含めた問題解決というものは非常に厳しくなった。私は、そういう膠着状態が出てきたんではないか、そのように今思っておりますけれども、これをまず拉致問題を中心としながら打開しようとしたら、今総理は、どういうことをお考えでしょうか。
小泉内閣総理大臣 日朝交渉が順調にいっていないということは事実でございますが、私は、北朝鮮との間で交わしました、九月十七日の日朝平壌宣言、この宣言に盛り込まれました内容をお互いが誠実に実施に移すということが大事だと思っております。
 そういう点から、日本としては、拉致問題、安全保障上の問題、そして過去、現在、未来にわたりまして、でき得れば現在の日本と北朝鮮との敵対関係を将来協調関係に持っていければなと思っておりますが、現在の時点におきましては、拉致の問題についても、北朝鮮側の言い分、また日本側の言い分、開きがございます。五人の拉致された方々が今日本に帰国されまして滞在しておりますが、まだ御家族は北朝鮮におられるわけでありますし、北朝鮮側は、まずはその五人を一度北に帰せというようなことで、日本と意見が違うわけであります。
 そういう点も踏まえながら、安全保障上の問題につきましては、韓国もアメリカも日本と同じように大きな関心を寄せております。安全保障上の問題は北と日本の二国間関係のみならず、韓国、アメリカ共通の関心を持っているということで、日本としては、韓国やアメリカと連携を密接に、協力をする必要がありまして、そういう点、安全保障上の問題も拉致の問題もともに重要課題である。どちらか一つ解決すればいいというものではございません。包括的に、総合的にこの問題を解決していこう、そういう暁に正常化できるのではないかという状況に持っていければなと思っております。それが当面の日本政府の姿勢でございます。
松崎委員 つまり、核と拉致は一体に解決をしていかなければ、それは確かに今おっしゃるとおりなんですけれども、ただ、平壌宣言そのものが、既に「国際的合意を遵守する」というこの文言は崩れている。つまり、ケリーさんが来まして、多分、アメリカの言い分は、この間のピョンヤンでの会談は、いわゆる日本の主体性を相当発揮されたということで、そういう意味では私は評価はしているんですけれども、ところが、安全保障上、アメリカから見たときに、どうも危ない、核の問題がありますよという警告をしていたにもかかわらず、まあ、あの状況では、なかなか総理は判断は大変だったと思います。でも、やや安全保障上の問題は、あの平壌宣言の中でもかなり薄く、余り重く受けとめる余裕がなかったんじゃないか。
 そんなことでいきますと、アメリカは今、少し警告を発してきた。ケリーさんが来たり、そういうことでいろいろ来ております。ですから、拉致問題も大事だけれども、それ以上に多国間の問題として、この極東の安全の問題で、北朝鮮の核問題がより以上に大きく大変である。
 そういうところで、実際に行動はどんどん悪い方向に行っているわけでありまして、この二、三日前も、IAEAの決議を北朝鮮が拒否するとか、それから、国連の人権委員会が家族の申し出を受けて調査に乗り出す、この辺はいい材料かもしれませんが、北朝鮮にとりましては、ますますよくない、かなり厳しい状況である。
 そろそろイラクの問題も、既に予備役の招集が始まったということで、きのうもニュースに出ておりました。そうなりますと、イラク攻撃が一月ぐらいという予測もあるようでありますけれども、そうなったときに、戦争そのものは一カ月ぐらいで終わるかもしれません、しかし、次の政権をつくるということで、やはり相当時間がかかる、一年、二年。
 そうなりますと、この核問題というのは、向こうはアメリカ側が主体にやるんだよということになっていますから、ずっと時間がかかる。その間、拉致の家族の皆さんは、大変立派な姿勢で、国のことも考えながら、今までの二十四年間の苦しみをさらに我慢しながら頑張っていらっしゃる方がいっぱいいるわけですね。
 そういう中で、私は、リンクをしなきゃいけないのは当たり前なんですけれども、本当にそのままでいいのか。やはり拉致は拉致として何らかの方法で、今回のピョンヤンでの会談のように、日本の主体性、国の主権というものを前面に押し出す。これは日本しかできないんですね、外交カードの中で拉致の問題というのは。だとすれば、そこで拉致問題を何らかの形で先行するということも私は必要なのかなと。
 そこで、二、三日前から日本外交協会の問題が出ています。四十万食の乾パンを出したということでありましたけれども、これは、協会は尾崎咢堂がつくられた、安倍晋太郎先生、椎名さん、稲山さん、綿貫さんと、大変な協会なんです。これは、向こうから見たら国の機関と見ますよね。となれば、先ほど言った、独自の日本のやり方ということで、一つのアピールをしているんじゃないか、日本外交協会の今回の、これは十一月ですからね。
 そんなふうに私は感じるんですけれども、この二つ、そろそろ独自の、拉致だけを切り離すんじゃありませんよ、拉致を一つのきっかけにして、日本独自の主体性でこの今の膠着状態をやっていかないと、長引く、イラク戦争を含めて、これじゃいかぬじゃないか。そこに外交協会のこの支援の問題もリンクしているのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 この外交協会と拉致の問題なんですが、私は、もともと九月十七日訪朝前から、拉致の問題さえ片づければいいんだというふうには考えておりませんでした、拉致の問題はもちろん最重要課題ですが。だからこそ、総合的に、包括的にという、安全保障とか、過去の問題、現在、将来の問題、包括的にということを言ってきたわけでありますが、九月十七日前では、拉致された方々が日本に帰国されるということを想像している方はほとんどいなかったんじゃないかと思います。結果的に、今五人の拉致された方々が日本に滞在している。一歩前進といえば前進なんですけれども、まだ全容解明には時間がかかります。そういうことから、拉致が進んで、その後、動かそうと思って何か支援対策を講じなきゃならないんじゃないかとか、あるいは経済協力もと考えるのは、これは時期尚早だと思っています、今でも。
 アメリカなり韓国なり、国際社会が心配しているのは、では拉致だけ解決したら日本は経済協力するのか、もしそうだったらば、この経済協力が、北朝鮮の核開発とか大量兵器計画とか、あるいは危険な兵器にこの金が使われたらとんでもないことになるという懸念を持っているわけであります。だから、その点もやはり踏まえなきゃいかぬ、あくまでも経済協力は正常化後のことだと。
 正常化というのは、拉致だけ解決すればいいというものじゃないんです。今言いましたような核の問題、大量兵器拡散の問題、安全保障上の問題、こういう問題を一緒に解決していかない限り、日本は正常化できません、また経済協力も行えませんという中で、今この外交協会の問題が出てきました。
 私も、名前だけ見ると、外交協会、そうそうたるメンバーが入っていまして、本当にこれは外務省の所轄団体と間違えるようなメンバーが入っております。しかし、よく調べてみると、外務省が監督はしていますが、これは直接外務省がああやれこうやれという団体でもございません。しかしながら、今の時期、民間団体といっても、このような支援を行うというのはあらぬ誤解を与えかねない、もう少し慎重に対応してもよかったかなという気もしております。私は、この日本外交協会というのは公益法人でありますが、もう少し配慮があってもよかったんじゃないかと思っております。
 今後、政府としては、この外交協会というものが、外務省としても監督するという立場から、事業の実施に当たっては、いろいろ国際情勢、また国内情勢、当面の諸般の情勢も十分考えて行ってもらいたいな、そう思っております。
松崎委員 日本外交協会のことは、外務、安保でも随分やっていらっしゃいますから、しっかりと指導された方がいいと思いますけれども、今の答弁は、おっしゃるとおりなんですね。核を含めて北朝鮮との問題がしっかりと包括的にできなければ、逆に言えば拉致もなかなか解決しないということになりますね。一年、二年という、多分、ひょっとしたらそのくらいになるということで、例えば曽我ひとみさんの、ジェンキンスさんですか、あれは本当かどうかわかりませんけれども、病気だということで映像が出てきましたけれども、こういう方が、曽我さんから北朝鮮へ看病に行きたいなんということになったら、どうしたらいいでしょうかね。
小泉内閣総理大臣 ジェンキンス氏の件につきましては、これは日本人ではありませんし、外国、しかもアメリカの軍人で、アメリカの事情によりましても、これはいろいろ複雑な事情があるようであります。そういう点について、今、家族を日本に呼び寄せるという方策を講じている中で、曽我さんだけが北朝鮮に行くというのも難しい情勢でありますので、今の時点で、どうすべきかという点は差し控えさせていただきたいと思います。
松崎委員 難しい話だと思いますけれども、ただ、外国人でも御夫婦ですからね。こういう、一年、二年になりますと、いろいろな問題が出てくると思うんですよ。ですから、核が解決しなければ拉致問題を解決できません、何もできませんというのでは、これは大変なことになってくるんではないかなという心配をしております。
 だから、そこで私は若干、あのピョンヤンでの会議のように、私は、あの会議は非常に、小泉さんがまさに国の主権を優先して、いろいろな国際環境はわかっていたけれども、あそこで踏み込んだという、これは国民が歓迎したわけでありますね、喜んだんですね。だから、ある意味では、そこは周辺国も説得しながら、拉致は拉致としてある程度やっていくということも私は必要じゃないかと思いますけれども、先ほどのお答えでは一体だということであります。
 そうなりますと、日朝正常化交渉のしばらくの、今日本で拒否していますからね、無期延期でありますとか、考慮しなければならない、そういう事態ですよということを突きつけるとか、そういうことも、私は、もうそろそろやらなければならないんじゃないか。私は、家族のためにも、それから、あいまいな形でずっといくのではこれからもっと大変だと思います、イラクの問題も始まりますから。そんなことで、そろそろ一つの日本の方針を出された方がよろしいんではないかな、そんなふうに思います。
 それでは、続きまして、今、同時刻に道路民営化の委員会はどうなっておりますかわかりませんけれども、きょうは、その問題も含めまして、総理のリーダーシップの問題をちょっとお聞きしたいなと思っております。
 私は、この場に立ちまして、もう皆さん忘れているかもしれません、石井紘基議員、あの議員は、この決算委員会を舞台に、非常に、公益法人あるいは特殊法人の問題で何冊も本を書き、自分の足で資料を集め、そして訴えてきた。日本の改革のためにはこういった行革が最も大事なんだ、私は背中にそういう石井紘基さんの声を受けながらいつもこの改革の問題をやっているわけでありますが、その石井さんも一番熱心に取り組んでいた道路公団関連の改革であります。
 現在、道路民営化推進委員会がかなり膠着状態といいましょうか、大変厳しい状況に今の時点で進んでいると思います。ただ、私はむしろ、これが本当なのかなと思うんですよ。今までの審議会とかは、役人さんがつくったものを、ある程度出てきて、オーケーと。私も今、地方制度調査会の委員をやっておりますけれども、議員の委員なんというのはほとんど、総会だけ来て、あとは全部役人さんの根回しの中でいろいろな、各専門家集団がやっていますけれども、結局、役人のおぜん立てで、ああいういろいろな審議会の答申が出てきちゃうんですね。
 そういう点でいったら、この道路の民営化推進委員会は、私はある意味ではまさに政治主導型で、けんけんがくがく、思い切ってやる。だけれども、まとめなければいけませんよね。ところが、今そんな状態じゃないと今も入ってきました。石原大臣が最終調整したけれども不調だった。それで今井委員長さんが、両論併記でやりますね、これじゃ松田さんたちの五人組の皆さんは嫌だ、だめだ、多数決だと。
 では、多数決でいけば、どうも今井委員長はやめるんじゃないかという状況が今進行中だと思いますけれども、総理自身が諮問されておつくりになって、自信を持って委員を指名した、そういう中でこの状態、今どういう御感想をお持ちですか。
小泉内閣総理大臣 私は、七人の委員の方にお願いして、この道路民営化のあり方の御議論をここまでやっていただきまして、心から敬意と感謝をしております。連日、実に熱心に議論をしていただきました。また調査もしていただき、今までわからない点も、随分明らかにされました。また、現在、最終段階に来ておりまして、まとまらないという報道でございますが、まとまって、成果が出た部分も随分あります。
 この点について、私は最初から一貫しているんです。特殊法人等整理合理化計画が閣議決定されていますから、この閣議決定に沿って、いい結論を出してください、これはいまだに変わっていないんです。結論が出るまでは黙っています。結論が出てから、私の出番なんです。政治の出番なんです。そういう点において、今になって私が関与しないからおかしいと言っている方がよっぽどおかしいんです。一々議論の経過に総理がどうもああも、総理の意向だったら聞く、聞かない、こう思っている方がよほどおかしいと思っています。私は、最終結論が出てから動き出すべきだと思っております。
松崎委員 こういう状況は余りないと思うんですね。それは、おっしゃるのはわかりますよ。だけれども、委員長さんは道路族のことやらいろいろなことを考えながらやっている。そして松田さんの方は、何とか総理の意向を受けて、改革の実行をするのにはどうやったらいいかということで案をつくってきた。ところが、折衷案になりますと、また、これは国交省の事務局中心で法案をつくられたら危ないんじゃないか、そういう心配で、あの五人の方々は一生懸命、折衷はだめだ、やはり設置令に書かれているように多数決でいこう、そんな状況です。
 それでは、もし今井委員長がおやめになったら、それは委員会の結論を待つんだから、そのままほっておく、そういうことでよろしいんですね。
小泉内閣総理大臣 今、委員のどなたかが私の意向についていっているという話がありましたけれども、私、意向など示したことは一つもありませんよ。整理合理化計画の計画に沿って、いい結論を出してくださいというのが私の意向なんです。私の意向というのは、だれがどういうふうに判断するのか。おもしろいと思っているんです、見ながら。一言言うと、総理はこう考えているんじゃないか。一言言うと、ああ考えているんだ。同じ発言しかしていないのに、とる人にとっては全然逆の解釈をしているんです。これが、小説を読んでいるような気も一部はいたしますよ。昔の人、その場にいないのにいたかのような、話を聞いていないのに話を聞いていたかのように、勝手なことを言っていますけれども。私の意向は、今言いましたように、閣議決定に沿って、いい結論を出してください、私が動くのは結論が出てからです、これは一貫して変わっておりません。
松崎委員 そういう言い方なんですね。
 私は小泉さんと、総理になる前に郵政の民営化の研究会を一緒にやっておりました。あのときは総理じゃありませんよね。でも私は、総理のリーダーシップというのはやはりそれだけの、指示するしないにかかわらず、日ごろおっしゃっているじゃないですか、自民党をぶっ壊してもこうやるというような強い意思だとか。だから、総合的、総括的に小泉さんの改革路線というのをわかってやっていらっしゃる方がやはりああいう委員になっていると思うんですね。
 だから私は、例えば例の郵政懇談会の田中さんだって随分一生懸命やっていた。しかし、最後になったら非常に拍子抜けしてしまった。郵政の民営化の問題ですね。私はそれでは、一々指示はしませんけれども、やはり改革を希望する国民初め多くの方々は総理のそのリーダーシップを期待しているわけですね。ですから私は、今のお話では、まあお立場はお立場ですから、そういうことになるんでしょうけれども。
 それでは、もう一つ同じようなことで、分権の問題をやりましょうか、きょうは総務大臣も財務大臣もいらっしゃいますから。
 分権も、随分小泉さんもこの会議に出て、諮問会議でも言っていらっしゃいますよね。細かいことは言っていないかもしれません。皆さんの決めたことでということかもしれません。しかし、今まさに三位一体論というのが中心で、いわゆる分権の一番大事な財源の問題が本当に抜けちゃっている。片山さんも、十月三十一日の諮問会議でも大変怒っていますね。それに対して塩川さんは、そう言ったって役所が云々だということで、非常にあいまいな態度であります。
 三位一体で、これは総理自身が入っていらっしゃる諮問会議の方針を出されているわけですね。補助金、財源移譲、地方交付税、これを小泉地方改革ということで骨太の二〇〇二で言っているんですね。ですから、これが実際に今どのぐらい動いているかというと、来年度予算に向かっても意見が合わない。本当に十一月二十日でも随分違っていますよね。
 その辺で、来年度予算編成に、この三位一体の考えで地方改革をやるとしたら、まず片山大臣、どうですか。三兆円、マイナス五パーぐらい単独の公共工事を減らすんだ、だけれども、財源移譲がなくちゃだめですよねという話なんですけれども、どういうふうにやろうとしていらっしゃるんですか、十五年度。
片山国務大臣 今委員言われましたように、三位一体の改革をやろうということが骨太方針で決まりまして、それは国庫補助金の整理合理化からまず手をつけよう、そこで分権改革推進会議に案をつくってもらう、こういうことなんですね。
 何で三位一体かというと、これからの地方税財政の改革は、歳出歳入において地方の自主性を強化することなんですよ。だから、税源を国が六割で地方が四割で、実際は六割以上国が使っているから、せめて五、五にしてくれというのが我々の主張ですね。そのためには、補助金を整理合理化し、交付税も見直そう、こういうことでございます。
 分権改革会議の御意見は評価すべきところもあります。しかし、正直言って、どうも補助金のところはもう一つですね。それから、税源移譲について道筋を定かにしていない。そこで私は、そこが不十分だ、こういうことを言っているんですが、それはそれで尊重しながら、今関係の役所が集まりまして、来年度はどうするかということを検討しておりまして、総理の指示もありますから、来年度予算で芽を出す、緒につける。そこで全体の改革の計画は来年の夏ぐらいまでに、工程表という形なんでしょうか、そういうことで全体をまとめよう、こういうことで今努力をしておりますが、いろいろなお考えがありますから、難航はしておりますが、まとめなければいかぬと思っております。
松崎委員 そこで一番問題は財務省ですよね。塩川さんは、財源移譲は検討までしか言っていません、十一月二十日の財務省の塩川案でも。
 これはどうなんでしょうね。むしろ財政審の、地方財政計画廃止ぐらいまでするべきだぐらい言ってしまって、どんどん押していますけれども、全然総務大臣のやろうとしていることに財源の方でついていかれない。移譲は全然考えていないみたいだ。これだと総理のおっしゃる三位一体論はできないじゃないですか。来年度予算に関してどういうふうにやろうとしていらっしゃるんですか。
塩川国務大臣 来年度予算は、三位一体論の芽を出せるところは私は出したいと思っております。それは事実、やります。けれども、根本的な問題は、私が訴えておるのは、今財政の問題だけが先行してしまっても、地方分権と、それから地方の自主独立というものは完成しない。どうしても、そこで行政の分配、いわゆる分権の問題ですね、これがまだ十分に煮詰まってきておらない。
 要するに、私が言っているのは、行政の責任というものは一体どこまで果たすべきなのかという、この根本をちゃんとしておいてもらわないと、無限に要望は広がる、けれども負担は嫌だというのが現状でございますから、そこをきちっとした上で、それじゃ、これだけの行政の責任がある、これの責任で、国の責任はこれだけで、地方の行政の責任はこれだけだということをきっちりしてもらいたい。
 ここでわざわざ私はなぜそれを言うかといいますと、かつて、分権委員会から出されましたので、機関委任事務というのがございましたですね、四百八十項目あったんです。それが法定受託事務となって、現在は法定化されておりますが、そのほとんどがそのまま移ってきておるんですね。そうしますと、それがほとんど中央の仕事なんです。ですから、その中央の仕事を、これを地方に移さなきゃならぬのです。そこをきちっと整理して、財源もやって、私は、ぜひ三位一体で財源の移譲を早くやっていきたいと思っておりますので、御期待に沿えるように努力いたします。
松崎委員 時間ですけれども、全然だめですね。本当によっぽどリーダーシップを、総理みずからやらないと、省庁は権限を外したくなくて金も渡したくない、しかし、総務省は一生懸命分権をやろうということで、あめとむちで十七年までに合併もどんどんやろうという、そんな状態で、ここは総理がやはりリーダーシップを発揮してどんとやらなきゃだめだと思います。よろしくお願いします。
山口委員長 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下でございます。
 総理ほか閣僚の皆さん、どうも御苦労さまでございます。
 今、同僚の松崎委員から日朝問題のお話がございましたので、まず最初に、私も引き続いて二、三点、この問題を質問させていただきます。
 先ほど松崎委員の方から、日朝交渉が膠着状態に陥っているというお話がございました。実は私は、九月十七日に総理が北朝鮮を訪問したとき、本当にあのタイミングでよかったのかどうかという疑問を外務委員会等で指摘しましたが、これは後ほど歴史的に評価されるだろうと思いますが、今の日朝交渉のおくれによって、新たな苦しみを生んでいる。
 これは私もあのとき指摘をしたんですが、今回、拉致被害者が一時帰国された。これは本来ならば、拉致問題というのは、やはり日本に対する主権侵害である、あるいは北朝鮮の国家的犯罪であるという観点を考えれば、原状回復しかなかっただろう。あそこでなぜあえて五人の生存者の方々だけ一時帰国でお連れしたのか。私は、あのとき考えたのは、恐らくこれによってまた御家族にとって新たな苦しみが始まるんではないかという思いがいたしました。例えば、少々交渉がおくれても、あのときなぜ強く原状回復、これこそまさに日本外交が問われている、そこでなぜ強く出てもらえなかったのか。
 私も同じ年ごろの子供がいます。今本当に家族、子供を離されたら、私は気が狂うだろう。家族の皆さん、二十四年間苦しんできました。そして、やっと日本へ帰ってきた。しかし、また家族が離れ離れになって、さらに苦しい思いをしている。
 この現状に対して、総理、本当に一時帰国でよかったのか、あるいは何としても原状回復をさせるべきだったのか、現時点でのお考えをお聞かせいただきたい。
小泉内閣総理大臣 私は、十七日、五人の家族が生存されている、あとの方は亡くなられたという報告を受けて現在のような状況になっているわけでありますが、九月十七日に私が行く前は、拉致の問題は存在しなかったはずなんですよ。行方不明も、そんなことはないと。そういう拉致の存在すら否定していた金正日総書記といいますか国防委員長、これが初めて拉致の事実と生存者を認めた。そういう状況がわかったからこそ、生存者だけでも帰国させてほしいのが、家族はもちろん、多くの国民の希望だったんじゃないでしょうか。今になって、帰ってこなくていい、一括解決なしに、わかっていてもそれは我慢すべきだというようなことにはならないんじゃないかと私は思っております。
 現時点におきましても、まだ未解明の方々もおられます。しかしながら、生きて帰国され、家族としてのぬくもりを感じておられる方々の御希望も踏まえまして、この五人の方は日本に滞在させた方がいい、そして、今生存がわかっている残りの御家族の方に対しては、ぜひとも日本で再会させたいという交渉に私は間違いはないと思っております。
木下委員 私は、一時帰国の皆さんに帰ってこなくてもよかったなんということは一言も言っていない。むしろ、あのときもうちょっと粘って、何としても原状回復させるんだという相当な決意なりがあれば、もう一泊してでもやる決意があればあるいは可能だったんではないか、そういう思いで申し上げたわけであります。
 まして、これまでの日本外交を見ていますと、先ほど社団法人の日本外交協会の話が出ました。これは、確かに日本外交協会の今回のやり方は非常に非常識であります。しかし、これまでの北朝鮮を含む日本の外交姿勢を見ていれば、外務省を初め、あるいは関係団体、国民にしても、一貫した姿勢がなかった。
 例えば、これまで北朝鮮に対して、人道支援という形で米を百十八万トン提供してきました。しかし、この米支援が始まった平成七年、そのときには既に、今回北朝鮮側から発表された、十三人のうち八人が亡くなっているというのが北朝鮮側の発表でありますが、そのうちの七人が平成七年以前にお亡くなりになっているというのが北朝鮮側の発表です。お亡くなりになっている。
 もちろん、外務省も政府も、あるいは我々も知らなかったかもしれない。しかし、結果的に既に八人のうち七人がお亡くなりになっているのに、外務省も政府も人道支援だといってせっせと米を送り続けてきた。外国から見たら、日本という国は何という国だ、七人がお亡くなりになっているのに、人道支援だ、人道支援だといって米を送ってきた、これに対して政府なり外務省がだれ一人責任をとろうとしない。
 やはり僕は、政治は結果責任だと思うんです。わからなかった、だからいいじゃないか、そうじゃないと思うんです。やはりその辺はきちんと責任を明確にしてもらいたい。どうですか、総理。
小泉内閣総理大臣 これは、お米の支援というのは人道上の支援という意味もあるでしょうし、あるいは、当時、お米の支援を行った時点におきましては、非常に日朝間には複雑な事情もありました。将来のことを考えて、敵視してばかりいては日朝間の関係も改善しないだろうというような、そういうおもんぱかりもあったと思います。一つの外交交渉の一環として、いろいろな配慮から米の支援が行われたんだと思います。
 確かに、目に見えるような改善は行われませんでした。そういうことから、あの米支援は無用ではなかったか、あるいは不必要ではなかったかという議論もありますが、私は、当時の関係者の御努力の一つの姿としてああいうものがあったと思いますし、それが効果がなかったから、それでは謝れということでもないのではないか、もっと長い目で見てもいいのではないかなと思っております。
木下委員 いや、総理、これは北朝鮮だけではなくて、例えば北方支援事業、あるいは中国に対するODAを含むさまざまな援助、要するに、人道支援だ、経済援助だといって外国にお金をばらまいてきた。それはそれで私はいいと思うんですね。ただ、それが戦略的になされていない。ここに私は最大の問題があるんだろうと思います。北方四島支援だってあれだけ、要するに、北方四島が日本に返還されるための環境整備だと言っていたけれども、結局一九五六年に戻ってしまった。
 国民にとっては、今厳しい中でこういった財政がどんどん出ていく、しかし戦略的にほとんど成果を上げていないじゃないかというのがあるんですよ。ですから、その辺のところをやはり方針をきちんと出して戦略的にやってもらいたい、私はそう思います。その点はいかがでございますか。
小泉内閣総理大臣 それは議員外交という言葉もありますように、政府がなかなか、慎重姿勢を示している場合に、議員が政府のしりをたたくという場合もございます。
 過去のいろいろな問題につきましては、余りにも効果がなかったのではないかということを言われますと、そういう面も全部否定し切れるものではありませんが、今までのいろいろな支援状況も見きわめながら、反省すべき点は反省すべきの点も多々あると思いますので、今後とも支援に対しては、今までの経過を踏まえまして、より戦略的、効果的な支援が行われるよう常に配慮していかなければならないなと思っております。
木下委員 それでは、次の質問に移ります。
 政府は、今月四日、テロ対策特別措置法に基づいて、米軍支援のため、イージス艦を今月中にもインド洋に派遣することを決めました。
 このイージス艦派遣については、これまで数回政府内でも、あるいは米軍の要請もあったかと思いますが、それによって政府内でも派遣を検討してきました。しかし、高性能のイージス艦を派遣することによって、憲法が禁止している、あるいは政策的に禁止している集団安全保障に抵触するおそれがあるのではないかということで先送りされてきたわけですね。ところが、今になってなぜ急にこのイージス艦をインド洋に派遣しなければならないのか、そのきちんとした説明を国民の前に明らかにしていただきたいと思うんですが。
石破国務大臣 イージス艦の派遣の決定についてのお尋ねでございます。
 今、委員が集団安全保障とおっしゃいましたが、恐らく集団的自衛権の御指摘なのだろうと思っております。
 今まで再々機会がありながら見送ったのは集団的自衛権に触れるおそれがあるからではないかという御指摘ですが、これは従来政府として答弁を申し上げておりますように、そのようなことが集団的自衛権に当たるというようなことは私どもとして考えたことはございません。
 すなわち、一般的な情報を提供するということであります限り、それは、武力の行使並びに武力の行使との一体化、すなわち憲法が禁じておる集団的自衛権とは何ら抵触するものではないという考え方に一切変更はございません。したがいまして、今回そういうような考え方を変えたから派遣をしたのだという御指摘は、それは当たらないものであるというふうに考えております。
 それでは、なぜ今回なのかということになりますと、るる申し上げておりますように、一つは、これはやはり、性能が高いということによって危険を早く察知することができる、危険を早く察知することができるとすれば、それだけ回避を早くすることができるであろうということであります。それがイージス艦の特徴の一つだと思います。
 もう一つは、一年間たってみまして、ローテーションが非常に厳しいということでございます。
 向こうに派遣しております船は一隻で動いているわけではございません。補給艦もおりますれば、護衛艦もおります。単艦で行動いたしておりません。したがいまして、全体を統制する司令部的な機能が必要でございますが、これはヘリコプター搭載型護衛艦、すなわちDDHと、イージス型護衛艦、DDGでございますが、これのみが備えているものでございます。ヘリコプター搭載型護衛艦は四隻ございますが、一隻はドックに入っておりますので三隻しか稼働状況にございません。
 そうしますと、その三隻で繰り回していくことは非常に難しい、困難性があるということでございます。そこへ、同じように司令部機能を有しておりますイージス、四隻のうちドック入りの一隻を除きまして三隻、六隻で繰り回せば非常にローテーションが楽になるということが第二点でございます。
 第三点は、これは一年たちまして本当に実感しておることでございますが、外気温は四十度から四十五度まで上がる、甲板の温度は七十度から七十五度になる。そこは砂じんが舞うようなところであり、半そでで行動するようなところではない。長そででマスクをして、そこで六時間補給活動を行うわけです。同じスピードを保ち、同じ距離を保って六時間真っすぐ進む。そして、そこはいつテロが来るかわからないような地域である。砂じんが舞う中、大変に暑い中やっておる。
 そして、六時間、そういうような緊張状態から解放されて船内に戻っても、日本の船はもともとああいうところで行動するようにはできておりませんから、日本の車を熱帯地方で使うことを考えていただければおわかりかと思いますが、エアコンを目いっぱいかけても三十度以下には下がらない。艦内居住は、DDHは古いですから三段ベッドです。その中で私どもの隊員は、憲法に定められた範囲内において、国際社会の一員として、テロ撲滅のために戦っておる、そういう米英を初めとする軍を支援するために、国際社会の一員としての責務を果たすべく精いっぱいやっておるわけでございます。
 そこで、安全の確保、ローテーションの柔軟性、そして勤務環境の改善、そういうことで今回総合的に判断をしたものでございまして、御指摘のようなことは私どもは当たらないと考えております。
 以上でございます。
木下委員 今、ローテーションの関係でというお話がございました。しかし、かつてこの問題が論議されたとき、イージス艦がローテーションに入っているとか入っていないとか、そんな議論は全くありませんでした。なぜ今急にローテーションなんという話が出てきたのか。
 それともう一つは、今、テロのためということでしたが、今回のイラクに対する国連の査察というのは、大量破壊兵器に対する、もちろんそれはテロの背景になっているかもしれませんが、テロから離れて、さらにもっと大きな、大量破壊兵器の査察、生物兵器の査察に入っているわけですね。それに対して、米軍を中心に、場合によってはイラク攻撃があり得るという状況の中で、それをテロと一緒に混同されて、テロ防止だからイージス艦派遣オーケー、これは違うのではないか。
 では、もし米軍がイラク攻撃に入ったとき、イージス艦は何をどう働くんですか、何をするんですか。米軍にさまざまな詳細な情報を提供して、それによってもし米軍が、日本のイージス艦の情報提供によってイラクを攻撃、施設を攻撃ということがあった場合、それを確認できますか。どうですか。
石破国務大臣 お答え申し上げます。
 まず最初の、イージス艦もローテーションに最初から加えておくべきではなかったかという御指摘は、それは、ある意味そういうこともあるのだろうと思います。しかし、実際にこれが一年間やってみて非常に過酷な条件であるということは、実際に行ってやってみなければわからないことというのはたくさんあります。一年間やってみて、三隻で繰り回すのは非常に厳しい。それは乗員の集中度もありましょう、疲労もありましょう。それが三隻で回すことはどうしても難しい、そして、司令部機能というものがきちんとしていなければその任務がちゃんと果たせないということが、一年たった今きちんと認識をされるようになり、我が国における必要性に基づいて出したということでございます。
 それから、第二点の御質問でございますが、私どもの船を出しますのは、あくまでテロ特措法に基づいて出すわけでございます。テロ特措法に定められました目的以外のことをすることはございません。法に逸脱して私どもの部隊が動くということは一切ございません。したがいまして、テロ撲滅ということがテロ特措法の目的であります以上、それに反した行動というものは一切あり得ない、これは法治国家として当然のことでございます。
 それが、情報提供によってイラクに対する攻撃というお話でございますが、そういうことはまた起こりません。先ほど申し上げましたように、一般的な情報交換にとどまる限り、それは集団的自衛権の行使にもその一体化にもつながらないというお話をいたしました。
 従来として政府が考えておりますのは、例えて申しますと、何時何分の方向を撃てというようなことは、これは一般的な情報提供には当たらないであろう。しかし、通常行っております情報収集を共有する、繰り返して申しますが、共有するというのがリンクシステムでございます。そしてまた、仮にそれを共有いたしましたとしても、それのみに基づいて撃つというようなことはございません。それのみにおいて撃つようなことは、かなり軍事常識に反することでございます。それは、それを仮に共有することがあったとしても、独自の情報を収集し、それによってやるとすればやるわけでございます。しかし、現在そのようなことが行われるとも考えておりません。
 したがいまして、一般的な情報の提供、それに基づく共有、そのことが集団的自衛権には一切当たらないということでございます。そしてまた、それに基づいて行動するというようなことも極めて考えられない。
 以上、二点でございます。
木下委員 防衛庁長官の答弁は、やはりはっきり言って戦争を知らない。そんなに、これはリンクしていない、これはリンクしている、あなたわかりますか。リンクしているかしていないか、アメリカから提供されますか。ここはリンクしました、この情報使いましたと言いますか。言いませんでしょう。
 ですから、私は、もし米軍がイラク攻撃に入った場合、イージス艦の持っているさまざまな高度情報というのは米軍にリンクされて使われる。そして、もちろんアメリカがとった情報もあるでしょう、それをミックスしながら、あるいは調査しながら、それによって攻撃目標その他を定めていくわけですから、ここはリンクしていない、ここはリンクしているという話は、軍事常識から見てそれはあり得ない話、そう思いますが。
石破国務大臣 それは、データリンクシステムというものが何を共有するかということでございますが、それは、何と何は伝える、何と何は伝えないというようなことをセレクトしてやるわけではございません。
 しかし、基本的に、データリンクシステムというものは、従来の、イージスではないタイプの護衛艦でも基本的には何も変わっておりません。それは、レーダーによって対空目標あるいは水上目標、これをとらえたものを共有するということでございまして、それに基づいて攻撃をするということは、それは軍事的に考えられないことでございます。それだけで攻撃をするというようなことはございません。
 先ほど来申し上げておりますように、一般的な情報を提供し、それを共有するということと、それに基づいて攻撃をするということは全く別個の問題でございます。したがいまして、そのことは集団的自衛権の抵触には何ら当たらないということを申し上げておるだけでございます。
木下委員 時間があれですので、次に、政治と金の問題について伺います。
 一つは、もう既にいろいろなところで議論されていますが、九八年参議院選で、清水達雄参議院議員に対する全政連の党費一億円、この肩がわり問題。
 これは、この前自民党が調査をして、問題はなかったということでしたが、私も先般、野党のこの調査のプロジェクトチームとして、全政連、全宅連あるいは全宅保証協会に取材を、聞き取り調査をいたしました。ここで、会長は残念ながら出られませんでしたが、肩がわりを認めているわけですね。なぜかというと、全政連が会費として集めているのは三千円なんです、三千円。東政連が集めているのは三千円。ところが、実際に党費として払っているのは四千円なんですね。
 この辺のところを、扇大臣、どうですか。確認していますか。あるいは総理でも結構ですが。突然のあれですが。
扇国務大臣 清水先生のお話ですか。(木下委員「その問題についてはどういう御見解をお持ちですか」と呼ぶ)清水先生のことに関しては、自民党がお調べになったということですから、私が答える資格はございません。
木下委員 では、総理、一言。
小泉内閣総理大臣 清水議員の党費に関する問題につきましては、自民党において調査を行った結果、十二月三日に自民党から記者会見を行ったとおり、党費の立てかえなどの事実はなく、法的に問題はないものと承知しております。
 これは山崎幹事長が記者会見で話されたことでありますが、自民党の党員入党の申込書及び党費については、支部で申し込みを受けた後、所定の手続を経て都道府県支部連合会から党本部に届けられるシステムになっており、適正な手続を経ていると承知している。報道されているような党費の立てかえや架空党員の事情について、我が党は知り得る立場になく、実際にわからないが、我が党の支援団体に関する事案であることから、弁護士等が調査を行った結果、一部で報道されている党費の立てかえなどの事実はなく、法的な問題はないとの調査結果を得たということでございます。
木下委員 もう一つ、資料としてお配りしました、扇国交大臣のこの新聞報道でございますが、時間がありませんので、これについて、扇大臣、どう御答弁されますか。
扇国務大臣 私も、今資料としていただく前にも、この現物が出たときにびっくりしまして、なぜ私の写真が載っているのかと思って見たんですけれども、新年会に行ったことだけは確かでございます。それは、ことしも去年も、私は、全国の国土交通省に関係ある新年会、三十から四十出席しております。
 それから、ここに書いてありますことで、ちょっと失礼ですけれども、七月の参議院選挙比例代表で、「自民党の小野清子候補や保守党党首の扇国交相らを推薦し、」と書いてございますけれども、私はどこからも推薦というのをいただいたことはありませんし、推薦を要請したこともございません。私はそういう選挙しておりません。推薦状で当選できるんだったらいただきますけれども、推薦状一枚いただいて当選できるわけありません。今まで私、何度も選挙しておりますので、今回も推薦状はどこにも要請もしておりませんし、推薦状はいただいておりません。
木下委員 この資料を御存じだと思うんですが、これは、東政連で出した第二十九回年次大会、京王プラザホテルでやったもののコピーです。この中に、第十九回参議院議員選挙推薦者一覧という中で、東京選挙区で保坂三蔵さん、比例代表として小野清子さん、岩井さん、扇千景さんと、きちんと名前が載っています。知らなかったんですか、これは。
山口委員長 時間が終了しておりますので。
扇国務大臣 推薦状はいただいておりませんので、これはお調べいただいたらわかると思いますし、私の応援をしたということも、私は街頭演説をいたしますけれども、鉢巻きかはっぴを着ていただいたらわかるんですけれども、不特定多数の皆さんに、街頭演説、私全国ですから、東京だけではありませんので、どこでだれが応援してくださったかということは、全く今個々の事例についてはわかりません。私の知らないところでもそうやって応援していただいたんなら、本当にお礼申し上げたいぐらいありがたいと思いますし、街頭演説で知っている方の顔を見たらほっとするというのが選挙をした者の現実の思いでございますので、私は、知らないところでも応援していただけたのならありがたいと思いますけれども、この新聞に載っているような事例はございません。
木下委員 時間ですので終わりにさせていただきますが、もう一枚の資料は、尾身幸次前沖縄北方担当大臣の献金を示してあります。担当大臣になった途端、沖縄から急に献金がふえる、これは異常なことでありますので、その点も指摘して終わりにします。
 ありがとうございました。
山口委員長 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 小泉内閣総理大臣にお伺いいたします。我が国の防衛について最初に質問いたします。
 国の防衛費は、平成十二年度予算で四兆九千三百三十七億円、これに対します決算が四兆九千六十六億円、そしてまた、平成十三年度の当初予算で見ますと四兆九千五百五十三億円、平成十四年度の予算でも四兆九千五百六十億円、こうなっております。人件費等の増嵩にかかわらず、五兆円のいわゆるキャップがかかっているような感じで、平成九年度以降、四兆九千億円台で足踏み状態が続いておるという状況であります。
 ちなみに、我が国を取り巻く周辺の国、特に中国におきましては、ここ数年一〇%を超え、ここ二年、三年にわたりましては、一七、八%の毎年の増加でございます。
 総理は、我が国の安全保障について、これは最も大事なことである、この国の防衛費の予算はこれで果たしていいとお考えでございますか、お伺いいたします。
小泉内閣総理大臣 防衛費についてこれで十分かどうかというお尋ねだと思いますが、我が国としては、国際情勢を踏まえながら、自国の防衛につきましては、節度ある防衛力を計画的かつ継続的に整備していかなきゃならないと思います。
 当然、財政事情というものも勘案しなきゃなりません。できるだけ効率的にあるいは経費の合理化に努めながら、みずからの国はみずからの力で守るんだという意識のもとに不断の整備が必要だと思っていますが、諸般の情勢からその額を伸ばすことができない。苦労はありますが、私は、必要な整備のためには十分な努力をしているということを御理解いただきたいと思います。
    〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
塩田委員 国の最大の責務というものは、我が国の国民の生命財産を守るということが第一だと思うのです。したがって、そういう観点から、主権を侵され、また人道的に問題があるいわゆる北朝鮮の拉致問題、これについては、毅然たる態度で解決のために全面的に勢力を投入して頑張っていただきたいと思います。
 我が国の国是として、いわゆる専守防衛ということでございますから、今、周辺の国が我が国に向けているミサイルというものは、何十、何百と基地があって、こちらを向いているわけですね。そして、ある国の声明というか宣伝によりますと、日本は全国にガソリンスタンドが何店もある、そして何千万台という車がガソリンを積んで走り回っている、一発で日本はつぶせる、こういうことを平気で堂々と言っておるわけですね。
 それだけ日本は危険性があるということであるわけでございますが、専守防衛の立場からいって、飛んでくるミサイルを撃ち落とす体制が我が国は十分でないじゃないか。したがって、アメリカと防衛技術協力をやっておりますTMDとかNMDといった迎撃ミサイルを早く開発して、そして配置をすべきだと思いますし、また、イージス艦につきましても、インド洋にやるよりも日本の周辺でもっと増強して守らなければならない事態ではないかと思います。また、監視衛星等につきましても、打ち上げを急ピッチで進める必要があるんじゃないか。こういう防衛配備を完成させるためには、思い切った、五兆円の枠にとらわれず、必要なものは予算措置を思い切って講ずべきであると思いますが、いかがでございますか。
小泉内閣総理大臣 防衛力ということを考えますと、完全を期すとこれは切りがないんですね。それで、それじゃ防衛ミサイル網をどこまでつくったら安全かというと、これは完全に今の時点で安全だ、完全だという体制をつくると、完成した時点でまた新しい兵器ができるというような状況も出てくると思います。いわば盾と矛の関係、いい盾をつくるといい矛ができる、いい矛ができるとまたいい盾ができるというこの繰り返しなんですね、防衛力というのは。
 そこで、日本としては、今でき得る限りの日本の国力に応じた、専守防衛に応じた防衛力を整備していこう、足らざるところは日米安保体制によって日本の防衛を確保しよう、さらに、外交努力によって安全を確保しようと。
 例えて言えば、今北朝鮮と日本は敵対関係にあります。私は、何とかこの敵対関係を協調関係にしたいということで、日朝正常化交渉、始めようと努力をしている最中であります。拉致の問題も、あるいは工作船、不審船というか工作船ですね、これも北朝鮮は、九月十七日に私が訪問して以来、初めて認めたんです。拉致いたしました、しかし二度とこれからはいたしません。不審船、工作船、確かにこれも一部の北朝鮮が行いました、これもこれからは二度としませんと金正日氏ははっきり言明したんですよ。
 だから、防衛力、不審船が来たらどうしようか、拉致する工作員が日本に来たらどうかという準備も大変です。費用もかかります。しかしながら、外交努力によって今の敵対関係が協調関係になれば、そういう装備、不審船対策の装備船を充実する、何隻もつくるということなくして安全は確保されるわけですよ。そういう点も配慮して、防衛力だけ整備ということではなくて、多方面に国際協調関係、外交努力、そして不断に自国民の安全は自国民の努力によって守るんだという意識、そういう総合的な面から防衛力というものを考える必要があるのではないかと私は思っております。
塩田委員 一〇〇%できないというようなことでなくして、国民に安心を与える、そして脅威を感じないように、やはり政府として責任を持って、防衛力は完璧を目指して努力すべき問題だ。これは総理の責務だと思いますので、よろしくお願いします。
 それから、これはもう回答は要りません。総理は昨年、本年と靖国神社に参拝されました。参拝の時期については問題はありますけれども、しかし、その決意と行動につきましては賛意を表したいと思います。最近、外国からのさしがねによって、靖国神社にかわる慰霊施設、すなわち、国のため命をささげた英霊の魂と国民の心がこもっていないような塔柱のようなものを主として外国人向けにつくるような、そういう国費はむだ遣いだと思うのです。絶対やめてもらいたい、強く要望いたしまして、終わります。
浅野委員長代理 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛です。
 きょうは、小泉総理に、中国から帰国された残留孤児の問題で質問をいたします。
 きょうも傍聴席に、神奈川県からも含めてたくさんの孤児の方が傍聴に見えておりますので、私への答弁ということではなく、あの皆さんにお答えになるつもりでぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
 中国残留孤児の帰国は、戦後四十年余りたってから本格的に開始をされ、現在、日本全国で約二千四百名に達しております。多くの孤児の皆さんが五十代、六十代を迎え、深刻な老後の不安に今直面をしております。
 横浜市泉区にお住まいの田中文治さんは、八〇年代に帰国をされましたけれども、とにかく一日でも早く家族と一緒に生活したいと懸命に働かれて、日本語の勉強も四カ月だけで、酒屋の出荷の仕事。この方は、永住帰国されるときは向こうで校長先生をやられていた方でありました。こういう方が十二年懸命に頑張って、昨年定年で、退職金が二百万円、これが唯一の財産だとおっしゃっておられます。厚生年金は月額五万五千円であります。
 今、孤児の皆さんは本当に、言葉そして文化の違いが大きな壁になっております。いじめや差別もあります。「あんた本当に日本人なのか」、こういう言葉もかけられる。あるいは、片言の日本語で求人広告を見て電話をしても、最初にそれを聞かれただけで受話器を置かれてしまう。さまざまな状況があるわけであります。リストラになれば一番先に切られる。
 その結果、今、帰国孤児本人の就労率は何と二九・二%であります。四年前は五一・二%、激減しております。そして、国民年金は二万円とちょっと。そしてその結果が、今、生活保護を受給されている方が孤児世帯の六五・五%、これも四年間で三八%から一・七倍。一般の受給率が〇・九六%、これと比べても極めて異常な状況と言わなければならないと思います。
 総理は、今孤児が置かれているこういう現状をどのように認識されているのか。そして、このような状況に立ち至った原因をどうお考えになっているのか。まずこの点からお聞きをしたいと思います。
    〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
小泉内閣総理大臣 私も、厚生大臣当時、中国残留の孤児の皆さんとお目にかかり、自分と同じ世代の方々が、境遇が違って、我々の想像を絶するような苦難の道を歩まれたということに対して、大変な思いをしながら、何とかできないものかと思って、対策を講じなければならないと思ってやってまいりました。現在、せっかく肉親を見つけられて日本に定住された方々も、今それぞれの困難を抱えて苦労されているということでございます。
 この問題につきましては、同じ日本人でありながら、長く中国で生活されたせいか、いわば語学の問題もなれない、あるいは語学習得には時間がかかりますので、そういう面からも就職については不利な面があると思います。また御家族の事情におきましても、家族で受け入れてくださった孤児の方々、あるいは対面を果たしたかったけれどももう亡くなられた方々、日本に戻ったけれども家族はいなくなってしまったという方々、さまざまであると思いますが、こういうことを勘案しながら、日本に戻ってこられた方々に対して、今後とも、その方々のお気持ちを踏まえまして、どういう施策があるか、この施策の充実に努めていかなきゃならないと思っております。
大森委員 どういう施策があるか、今後いろいろと見守っていきたいということでありますけれども、今孤児の皆さんが一番要求をされているのは、普通の日本人と同じように老後を不安を持たないで生活したい、こういうことであります。しかし今、生活保護六五%受給、本当に異常な状態で、なぜそうなっているかという点で、やはり私は、政府の責任というのは極めて大きいと指摘をしなくてはならないと思います。
 もちろん、孤児が生まれた直接のきっかけである、終戦前後、もう見捨てて、日本軍もそして当時の大日本帝国政府もこれを置き去りにした、こういうこともあります。それと同時に、戦後なぜ四十年も五十年もかかったのか、こういう問題でございます。
 とにかく、一九五九年には、当時、既に三千人の孤児を含む一万三千人の残留邦人が中国に遺棄され、生存していることが明らかになっていた。ところが、当時の内閣は、御承知のように戦時死亡宣告をして、戸籍上はこの人たちを殺してしまった。それが、その後の帰国、その後の戸籍の獲得、あるいは就職等に大きな影響を与えたわけですね。
 政府が何もしないから、一九五三年には、赤十字を初め日中友好協会など民間の団体が二万二千人の残留邦人を帰国させました。これが一九五三年であります。このときに三千人の孤児たちがいるという情報も伝えられ、このときにもし政府が全力を挙げて孤児たちを救出するということをやっておれば、十歳前後で帰国するわけですから、日本語も覚える、いち早く普通の日本人と同じような生活ができたと思うんですね。
 ですから、今日こういう異常な孤児が置かれている現状、そこにおいてはこういう政府の責任が極めて大きい、このことが大きな原因になっているんだという認識はないでしょうか。総理にお答えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この原因といいますか、やはりこういう実情を見ていますと、戦争がいかに悲惨か、そして戦争の傷跡がいかに大きいかというものがよくわかると思うのであります。そういう意味においては、戦後もう五十年以上たっていながら、まだまだ我々は戦争の傷跡を負っていると言っても過言ではないと思います。
 孤児の皆さんと北朝鮮の問題を一緒にするわけではありませんが、戦後処理の問題、これはいろいろ今まで日本はやってまいりました。今回の、今指摘されております中国に残留された孤児の皆さんにおきましても、戦後ある期間、中国政府としては不正常な関係にもありましたし、そして年数がたてばたつほど、孤児の皆さんの記憶も、そしてまた日本におられた両親を初め御家族の記憶も、事情も違ってきたという点もございます。今考えると、もっと早く手を打てばよかったという点はたくさんあると思います。しかし、そういう点を踏まえながら、現時点でできることを少しでもやってきたのも事実だと思います。
 いろいろ過去の経緯、そして今の孤児の皆さんの苦労されている実情を見ながら、今後、よりよき生活の改善に努力をしていくべき問題だと思っております。
大森委員 時間が参りましたけれども、日本自身が承認いたしましたジュネーブ条約では、こういう紛争当事国は、戦争の結果孤児になった者が遺棄されないことなどの必要な措置をとらなくちゃいけないということで、国際法の趣旨にも反することを政府はやってきたんです。
 しかし、今生活保護が六五%ということの結果、自分を育ててきた養父母のところに会いに行くこともできない、あるいは七割もの方が今中国に子供さんを残して来られている、そういう子供たちに会いに行くこともできない、そういう状況になっているわけであります。
 こういう状況を変えてほしいということで、孤児たちが国会に対して十一万の請願署名を集められました。街頭で日本語が話せない方が十一万の署名を集めるのは、本当にこれは大変なことだと思うんです。しかし、残念ながら、御党だけの反対でこの請願は採択されなかった。そこで、やむを得ず、今月の二十日、孤児の皆さんは国を相手取って提訴されるわけであります。
 きょう、あえて提訴の直前に私が小泉総理にこの問題を取り上げて質問したのは、こういう孤児の皆さんに、小泉首相自身の肉声を聞きたい、自分を育ててくれた養父母のところに自由に行けるようにしてほしい、子供たちに会いに自由に行けるようにしてほしい、こういう点で、私は、今までのそういう制度、仕組みを思い切って改めることも必要じゃないか。このことを最後にぜひ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
山口委員長 時間が経過していますので、答弁は簡潔にお願いをいたします。
小泉内閣総理大臣 今、孤児の皆さんの切実なる思い、それを受けとめてこの対応を考えていきたいと思っております。
大森委員 終わります。ありがとうございました。
山口委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党の山口わか子でございます。
 いよいよ最後になりました。最後の質問ですが、決算について質問をさせていただきます。
 平成十二年度の決算の状況を見ますと、一般会計で歳入歳出上の剰余金が四兆三千三百九十九億円、そのうち翌年度の繰越額を引いても六千九百六十億円が不要となっています。この不要額は、法務省と環境省を合わせた年間予算と匹敵します。各省庁の項別で見ても、一項五億円以上の不要が九十八にも及んでいます。なぜこれほど多くの不要額が出たのか。予算編成が悪かったのか、執行上何か問題があったのか、やはりきちっと総括する必要があるのではないかと思います。
 つまり、せっかく私どもが決算審査を一年じゅうやっているわけですが、この決算審査の結果を予算に反映させるという努力が必要だと思っています。特に、これだけ不景気で税収も落ち込んでいるときに、予算執行を十分に審査し、仮に年度途中であっても予算の組み替えを行うなど、例えば緊急な雇用対策あるいは少子高齢化対策などに措置できるような、もっと柔軟な取り組みを行うべきではないかと思いますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
塩川国務大臣 予算の編成と執行は私の責任でございますので、申し上げたいと存じます。
 おっしゃるように、不要額が相当な額が出ております。それは、いろいろと理由はございましょうけれども、予算の組み方の問題も一つあると思っております。それは何かといったら、各省から要求が出てまいりまして、使途を制限して予算を組んでおるところがございますので、そういう場合、予定した事業が思うように進まない、一方においては予算を使い果たして金が足らぬ、そういうちぐはぐが起きておることも事実でございまして、それを補正予算のときなどにある程度均衡をとっていくということはやっておりますけれども、なおそれでも若干出てくるということは、残念でございますが出てまいります。
 そこで、昨年から、予算の執行の状況を、年度中途から、どんな執行状況になっておるかということを主計局の方で検討させました。そのうち、四十三の項目についていろいろと指摘することがございました。これは、予算の執行状況でございますから会計検査院とかは関係ございませんで、その分につきましては早期是正を図って円満な均衡ある使用をさすようにいたしまして、ことしもそれを実施しております。
 今後とも、予算の執行状態の監視を続けていって調整するということをやっていけば、おっしゃるように、予算のいわばまばらな使い方についての是正はできることだと思っております。
山口(わ)委員 ことしも補正予算ということで、来年組むと思いますけれども、やはり、補正を組んでそれから実施ということになると、時間もかかりますし、本当に今失業で苦しんでいる人たちのお手当ですとか、例えば環境問題で森林整備ですとか、そちらにできるだけ早く手当てをするということが大事だというふうに思っています。
 毎年、私はまだ二年しか決算委員会にいませんけれども、いつもそういう感じを持ってこの決算の状況を見ていまして、やはり、決算委員会の使命というのはそこら辺にあるのではないかというふうに思っています。せっかく国民の税金ですから、できるだけやはり的確に、余らないような反省もしなきゃいけないと思います。翌年度にどう予算を組んでいくのか、昨年何で余ったのか、その辺もきちっと審査をしながら取り組んでいってほしいというふうに思っています。
 では、総理の御回答は次のところでお願いしたいと思います。
 少子化の問題について御質問させていただきたいと思います。
 少子化が叫ばれて既に二十五年以上経過しているわけです。純再生産率が一を下回ると人口は減少していきます。昭和四十九年に〇・九七ということで一を下回りまして以来、減少を続けてまいりまして、平成十二年では既に〇・六という大変低い数字になってまいりました。
 このままの状態でいけば、二〇三〇年から人口が減少し始め、二〇五〇年には人口が一億人になってしまいますし、六十五歳以上は三五・七ですが、十四歳以下では一〇・八%ということになるわけで、一番働く人々、社会を支える人たち、この人たちが半分になってしまうという大変な状況になるだろう、このままいけばそうなると思います。特に大都会では、非常に出生が低くなってしまうという現象もあります。
 そこで、少子化の原因はいろいろあると思いますけれども、何といっても、女性が結婚してもらわなければいけませんし、出産を希望しなくては少子化というのは解消できないというふうに思っています。女性が働き続けられる職場があること、低賃金で無権利状態をなくしていかなければいけないこと、あるいは、安心で安全な子育ての社会保障、環境があることが不可欠だと思っていますが、現状の社会の環境の中では、なかなかそうした環境ができていません。
 女性の就業状態を見ますと、高卒直後の就業では、この十年間、正社員は半分近く減りました。そして、パート、アルバイトがふえてまいりました。女性は大体半分しか正社員になれない、高校を出てもなれないという状況になってまいりました。そして、失業とか無職に至っては、十年前の五倍にもなっているという状況です。結婚しても、子育てをしながら働き続けられる条件がどんどん悪くなっているのが現状です。
 そんな中で、やはり雇用と均等待遇、子育てへの支援が必要だと思いますけれども、かなりここら辺はきちっと、よっぽど考えていかないと、発想の転換をしていかないと、こういう少子化を解決できないというふうに思っていますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 少子化対策としてやるべきことはたくさんあると思いますが、少子化の理由というのは一様じゃないと思っております。
 日本とか先進諸国は今少子化の傾向でありますが、地球全体で考えてみますと、人口はどんどんふえていく状況でもあります。そういうことを見ても、なかなかこの少子化の問題、理由は複雑だなと思っておりますが、今、日本の社会におきましては、女性が社会に進出しておりますから、そういう点を考えると、女性が子供を産みやすい、育てやすいような環境を整備していくのが重要かと思っております。
 そういう面から、私は、総理に就任して以来、保育所待機児童ゼロ作戦を展開して、年五万ずつ、就任した当時は十五万人が不足しているということでありますから、三年間でこれを解消していこうということで、この施策に力を入れております。三年たつとまた目標が変わってくるかもしれません、状況も変わってくるかもしれませんが、就任した時点の見込みではそうであります。
 さらには、育児休業制度とか、いわば、今は、女は家事、育児、男は仕事という時代じゃありませんので、男も女も仕事もするし家事も育児も分かち合おう、こういう時代でありますので、そういうような対策を充実させていくことが必要ではないか。そういう施策を打っても、結婚したがらない女性が今多いですね。男もそうですね。そういう面がありますので、こういう対策のほかに、やはり意識の面からも、どうやって子を育てる喜び、充実感というものをお互いが持てるような社会にしていくかということも重要ではないかと思っております。
山口(わ)委員 時間が来ましたけれども、女性も男性も、今は結婚しても働き続けないと食べていかれないという非常に低賃金な状況が来ているわけです。そんな中で、とにかく長く働かないと、昼間働いてまた夜も働かないとまともな賃金が得られないという状況の中で、やはり子育てに対する不安が非常に若い女性に広がっているというふうに思うのですね。先輩の皆さんのそういうところを見ていて、これではとても結婚できないわというふうに思っちゃうと思うんです。
 ですから、少なくとも女性に対する均等待遇だけは、ぜひ政府の政策で、総理を筆頭に考えていただきたいというふうに最後のお願いをしまして、終わりにしたいと思います。
山口委員長 これにて平成十二年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。
 内閣総理大臣及び副大臣は御退席をいただいて結構でございます。
    ―――――――――――――
山口委員長 平成十二年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成をし、委員各位のお手元に配付をいたしております。
 これより議決案を朗読いたします。
    平成十二年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案
  本院は、平成十二年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
  1 公共事業は国民の貴重な税金によって執行されているにもかかわらず、入札等において、政治家等の関与や談合、業務妨害等がたびたび指摘されている。
    政府は、このような不祥事が起こらぬよう、公共事業の入札や随意契約等の執行に当たっては、自由競争、公開、公正の原則により、透明性、公共性等の適正化措置を図るとともに、不正行為排除の徹底を強力に推進すべきである。
  2 住民基本台帳ネットワークシステムの稼働については、附帯決議(平成十一年六月十一日 衆議院地方行政委員会)の指摘にあるように安易な拡大利用を図らず、個人情報保護のための法制度を確立するために必要な措置及びセキュリティ対策を十分に講じ、地方公共団体との緊密な連携のもとに適切な運用に努めるべきである。
    なお、個人情報の保護に関しては、防衛庁における情報開示請求者リスト作成事件のような不適切な事態が発覚したことからも、こうした事態の再発を防止する施策を確立し、真に個人情報の保護を図るべきである。
  3 今後の道路建設に当たっては、その役割及び必要性についてより一層の検討を行い、費用対効果に配意し、効率的にこれを行うことが必要である。なお、有料道路については利用者の負担軽減に努めるべきである。
    また、京都議定書の発効により環境保全の重要性が求められているおりから、積極的な鉄道利用を推進することが課題であり、均衡ある交通網の整備のために地方鉄道の経営悪化問題に早急に取り組むべきである。
  4 一部の公益法人については、設立本来の公益性、中立性がないがしろにされ、国民に疑念を抱かせるような形で過度な政治活動を行っているものがあると指摘されている。政府は、公益法人の設立の趣旨にかんがみ、設立目的に沿った適正な業務運営が行われるよう適切に指導監督を行うべきである。
  5 食物は人命の基であるが、食品安全行政に対する国民の不安・不信感は増大している。政府は、食の安全を確保するための総合的かつ長期的な施策の確立のため、行政機構の改革や関係法令の整備を速やかに行い、新たな「食品安全保障システム」の構築を図るべきである。
  6 政府は、国産材の品質向上や安定供給を図るとともに一層の構造改革を進め、外材に対抗し得る国産材の供給体制を構築するとともに、木材輸出についても、その環境整備を図るべきである。
 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
  政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
    ―――――――――――――
山口委員長 これより平成十二年度決算外二件を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。
松崎委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、平成十二年度決算を議決案のとおり決するに対しまして、反対の討論を行います。
 以下、反対の理由を申し述べます。
 第一の理由は、政府・与党による野方図な借金財政と経済無策の結果、膨大な債務残高が生じ、我が国の財政がかつてないほど深刻な状況に至っていることであります。十二年度決算において、公債発行額は三十三兆円で、公債発行残高は三百六十八兆円に達し、地方と合わせた長期債務残高は、十二年度末で実に六百四十六兆円に達しております。
 他方、政府は、十二年十月に十一兆円規模の日本新生のための新発展政策に伴う大規模な補正予算を編成しましたが、日本の経済成長率は十三年度に再びマイナス成長に陥り、十二年度における政府の経済運営の目標であった民需主導の本格的景気回復の実現は未達成に終わったのであります。膨大な債務残高とあわせ、政府の経済失政は明らかであります。
 第二の理由は、十二年度に講じられた経済対策の多くが従来型公共事業に終始し、我が国経済の構造改革に資するものとなっていないことであります。政府・与党の経済対策に基づいて編成された十二年度予算や補正予算に計上された公共事業等予備費の多くが、整備新幹線や道路整備など、相変わらずの従来型公共事業に割かれており、公共事業見直しは全体の一部にとどまっております。一方で、雇用対策や子育て支援など、人への投資に対する予算は極めて不十分な状況であり、結局は、ばらまき、利益誘導型の予算編成が一向に改まっておりません。
 第三は、個別の問題として、私立大学医学部等の入学にかかわる入学者選抜と寄附金の関係について公正性が確保されていない実態が指摘されております。委員会審議でも出されておりますが、私立大学に対しては多額の国庫補助金等の公的資金が交付されており、政府は、透明性が確保され、内部監査システムが機能した私立学校経営となるよう必要な指導をより一層強化すべきであると考えます。
 その他、諫早湾干拓をめぐる諸問題、在外公館の渡切費の問題、外務省のプール金問題等々、適正な執行、管理体制の充実強化を図るべき事項が山積しており、政治、行政に対する国民の信頼を裏切る結果を招来しております。
 以上の理由により、指摘事項のほかは平成十二年度決算に対して異議がないとする本決議案には、到底賛成することができません。
 なお、国有財産関係二件につきましては、特段の問題もないと考えており、賛成であります。
 以上で、私の討論を終わります。
山口委員長 次に、大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました平成十二年度決算を議決案のとおりに決するに反対の討論を行います。
 平成十二年度決算に反対する理由の第一は、財政危機と環境破壊をもたらすむだと浪費の巨額なゼネコン型公共事業投資や、大銀行への公的資金投入などのばらまきを続けていることであります。ゼネコン型の大型公共事業が有効な景気浮揚策とならないことは、今や明白であります。当時の経済企画庁が発表したミニ経済白書で、公共事業をゼネコンに発注しても、その大半が不良債権の処理に消え、もうけの二〇%程度しか新たな設備投資に回らないと指摘されていることでも明らかであります。
 第二は、こうしたばらまきを進める一方で、厚生年金の支給年齢の繰り延べや、給付の五%削減に見られる年金の改悪、さらには医療費自己負担の増額など、国民に二兆円もの負担増を押しつけ、国民の将来不安を増長させていることであります。
 第三は、世界第二の水準となっている我が国の軍事費を、世界的な流れに逆らって一層拡大していることであります。SACO、沖縄に関する特別行動委員会関連などの五兆円の軍事費は、アメリカの世界戦略への貢献を中心としたもので、日本の防衛とは無縁なものです。軍事費拡大は、平和外交が力を発揮している現在のアジアと世界の流れに逆行するものと言わざるを得ません。
 第四は、ばらまきの結果、平成十二年度末の国と地方の長期債務が六百四十五兆円となり、世界に例を見ない借金急増を押しつけていることであります。GDP比一二九%というけた外れの長期債務は、第二次世界大戦末期の一九四三年の財政状況に匹敵するものであり、言語道断と言わざるを得ません。
 以上の理由により、ごく限られた指摘事項のほかは異議がないとする本議決案には、到底賛成することはできません。
 次に、国有財産増減及び現在額総計算書について申し上げます。
 国有財産の純増加額七兆八千四十五億円の約九%に当たる六千九百八十二億円が、艦艇や航空機など防衛庁関係の増額であります。この増額は、政府出資を除いた歳出を伴う国有財産増加額の四四・五%を占め、軍事費の顕著な突出ぶりを示しているのであります。このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。
 なお、国有財産無償貸付状況総計算書につきましては、国有財産を公園、緑地等を使用する目的で地方公共団体に無償で貸し付けるものであり、全体として賛成するものであります。
 以上で、私の討論を終わります。
山口委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 これより順次採決いたします。
 まず、平成十二年度一般会計歳入歳出決算、平成十二年度特別会計歳入歳出決算、平成十二年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十二年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山口委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山口委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山口委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
山口委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。扇国土交通大臣。
扇国務大臣 ただいま御決議のありました公共工事、公共事業をめぐります諸課題への対応につきましては、入札契約適正化法、その徹底等を通じて、不正行為の排除に努めてまいります。
 また、今後の道路建設に当たりましても、評価システムの一層の充実を図り、効果的かつ効率的な道路事業の実施に努めてまいります。
 有料道路事業につきましても、関係機関と協力し、利用者の負担軽減を図ってまいる所存でございます。
 さらに、地方鉄道は、モータリゼーションの進展等により輸送人員が減少し、厳しい経営状況にありますけれども、国としても、近代化補助等の支援により、こうした事業の経営改善を図られるように努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。
山口委員長 次に、大島農林水産大臣。
大島国務大臣 ただいま御決議のありました公共事業の入札や随意契約等の執行の適正化につきましては、入札契約適正化法に基づき、入札及び契約に関する情報の公表等の措置の徹底を図るなど、一層の透明性、公正な競争の確保や不正行為の排除に努めてまいる所存でございます。
 次に、食の安全の確保につきましては、食の安全を確保するための総合的かつ長期的な施策の確立のため、リスク管理部門を産業振興部門から分離、強化する等の行政機構の改革や、食品安全基本法(仮称)の制定を踏まえた関係法令の整備等を推進することにより、食品安全行政に対する国民の不安、不信感を払拭し、食の安全、安心を確保するよう全力で取り組んでまいる所存でございます。
 また、外材に対抗し得る国産材の供給体制の構築につきましては、昨年策定した森林・林業基本計画に基づき、乾燥材等の品質、性能の安定した製品を低コストで安定的に供給できるよう、加工施設の高度化、流通の合理化等の木材産業の構造改革を進めてまいる所存でございます。
 さらに、木材輸出のための環境整備につきましては、昨今、中国への木材輸出に向けた取り組みが見られるところであり、中国における木材需要をめぐるさまざまな情報を収集、分析し、提供するとともに、このような取り組みに対し、国としてどのようなかかわりが持てるのか、検討してまいる所存でございます。
山口委員長 次に、片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいま御決議のありました住民基本台帳ネットワークシステムの稼働につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも個人情報の保護やセキュリティーの確保に努力してまいる所存であります。
 また、公益法人の適正な業務運営の確保につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも適切な指導監督の推進に一層努力してまいる所存であります。
山口委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日をもちまして平成十二年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十一分散会


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