衆議院

メインへスキップ



第4号 平成15年5月7日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年五月七日(水曜日)
    午後一時三分開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 浅野 勝人君 理事 宮路 和明君
   理事 持永 和見君 理事 森田 健作君
   理事 奥田  建君 理事 木下  厚君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      石田 真敏君    植竹 繁雄君
      江藤 隆美君    大木  浩君
      小西  理君    河野 太郎君
      橘 康太郎君    谷  洋一君
      津島 恭一君    永岡 洋治君
      額賀福志郎君    橋本龍太郎君
      宮腰 光寛君    武藤 嘉文君
      村上誠一郎君    赤松 広隆君
      上田 清司君    北橋 健治君
      中川 正春君    葉山  峻君
      古川 元久君    松崎 公昭君
      達増 拓也君    大森  猛君
      矢島 恒夫君    山口わか子君
      山谷えり子君    保坂  武君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   国務大臣
   (金融担当大臣)
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   国務大臣         石原 伸晃君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       諸澤 治郎君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房審議官       大濱 正俊君
   会計検査院事務総局第三局
   長            船渡 享向君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  伊藤 哲夫君
   政府参考人
   (人事院事務総局公平審査
   局長)          潮  明夫君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局軍
   備管理・科学審議官)   天野 之弥君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           恒川 謙司君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房官庁
   営繕部長)        春田 浩司君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 委員御法川英文君が死去された。
五月一日
            補欠選任
             永岡 洋治君
             保坂  武君
同月二日
            補欠選任
             津島 恭一君
同月七日
 辞任         補欠選任
  奥谷  通君     森田 健作君
  塩田  晋君     達増 拓也君
  穀田 恵二君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  達増 拓也君     塩田  晋君
  矢島 恒夫君     穀田 恵二君
同日
 理事奥谷通君及び塩田晋君同日委員辞任につき、その補欠として森田健作君及び塩田晋君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 分科会設置に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 分科会における政府参考人出頭要求に関する件
 分科会における参考人出頭要求に関する件
 平成十三年度一般会計歳入歳出決算
 平成十三年度特別会計歳入歳出決算
 平成十三年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十三年度政府関係機関決算書
 平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十三年度国有財産無償貸付状況総計算書


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
山口委員長 これより会議を開きます。
 この際、御報告申し上げます。
 本委員会の理事として御活躍をされました御法川英文君が、去る四月二十四日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに、委員各位とともに故御法川英文君の御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。
 御起立をお願い申し上げます。――黙祷。
    〔総員起立、黙祷〕
山口委員長 黙祷を終わらせていただきます。御着席をお願いいたします。
     ――――◇―――――
山口委員長 平成十三年度決算外二件を議題といたします。
 総括質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、内閣官房内閣審議官春田謙君、内閣官房内閣参事官伊藤哲夫君、人事院事務総局公平審査局長潮明夫君、金融庁監督局長五味廣文君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官天野之弥君、厚生労働省大臣官房審議官恒川謙司君、厚生労働省老健局長中村秀一君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長春田浩司君、国土交通省道路局長佐藤信秋君、環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山谷えり子君。
山谷委員 保守新党の山谷でございます。
 ことし、日本の観光にとっては特別な年でございます。観光立国元年ということで、観光振興を政策として中心的なものとして打ち出していきたい、総理それから内閣もいろいろな動きを始めているわけでございますが、日本は非常に宣伝下手と言われておりますけれども、海外の観光宣伝について、諸外国の予算、そして日本の予算をお教えください。
吉村副大臣 委員おっしゃいましたように、小泉内閣、観光を一つの大きな国家目標として打ち出しておる次第でございます。しかしながら、委員がおっしゃいましたように、観光宣伝事業費については大変小さなものでございまして、平成十四年で、国際観光振興会、わずか四・四億円という数字になっております。
 今、各国の宣伝事業費についての御質問でございますので、幾つか挙げさせていただきたいと思っております。
 韓国では観光公社がございまして、日本円にしまして、これは二〇〇二年でございますが、約二十億円。それから、香港は、観光局でございますが、これは二〇〇〇年で四十四億円。英国は、観光庁でございますが、これは二〇〇一年で五十億円。フランスが、観光局でございますが、これは二〇〇〇年で五十九億円。カナダが、同じく観光局でございますが、二〇〇一年度で約九十九億円となっております。
 なお、米国においては、従来民間が受け持っておりましたが、本年は、約六十億円の連邦政府予算を計上しておるところでございます。
 ちなみに、我が国は、今申しましたように、観光宣伝事業費としてはわずか四・四億円ということでございます。
山谷委員 フランスには年間六千万人ぐらいの観光客が訪れますし、またアメリカにも五千万人ぐらい観光客が訪れる。アメリカは、九・一一ショックとか戦争とかいろいろなことがございまして、イメージアップも図っていて、つまり、非常に安全保障的な発想でもって観光というものを位置づけているわけでございます。
 日本に来る観光客というのは五百万人弱で、ブラジルの次の三十五位、アジアでも九位という、韓国よりも少ないというような状況でございます。日本には、韓国、台湾、中国、香港などアジアから六五%のお客さんが来ていらっしゃる。観光宣伝予算も少ないんですけれども、少ない、ふやす、そしてまた、その額をどのように集客につながるように、国によって何を売るかというのは戦略が必要だと思いますけれども、その辺はいかがこれまでしてきて、あるいはこれからどのようにお考えでございましょうか。
吉村副大臣 委員おっしゃいましたように、まさに日本から海外へ、そして海外から日本へのアンバランスといいますか、これは大変ゆゆしき問題でございまして、我が国といたしましても、ビジット・ジャパン・キャンペーンと銘打ちまして、予算面では約二十億円をこれに充てておる次第でございます。
 このビジット・ジャパン・キャンペーンといいますのは、海外へのミッション派遣によるトップセールス、また、海外でのテレビ、新聞、雑誌等によるPR、また旅行関係者の招聘、また旅行博、そのようなイベントへの出展、また訪日ツアー専門職員の養成等々を含んでおる次第でございまして、今おっしゃいました、日本から出るのが約一千五百万人、日本に来られるのが約五百万人、これを二〇一〇年には倍増して一千万人、海外からのお客さんを招くのを一千万人にぜひ持っていきたい、このように思っておりまして、その内容については、ビジットキャンペーン、このキャンペーンが含みます内容というのは、今申したとおりでございます。
山谷委員 ブッシュ大統領とか金大中とか、ブレア首相もそうですが、クールブリタニカとか、大統領、首相みずからが観光のコマーシャルに出たりというように、諸外国は非常に頑張っておりますので、日本も、小泉総理、アジアの方でテレビコマーシャルに出るとか、いろいろなことを考えていただきたいと思います。
 アメリカでは、毎年大規模な訪米のインバウンド商談会というのを開催しております。私も今月行ってまいろうと思っているんですけれども、我が国でもこのような取り組みをすべきではないか。とにかく日本を売ろうというような形で、細かい商談が成立するようなインバウンドのことを考えてはどうかと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
吉村副大臣 今申されました、アメリカにおきますインバウンド商談会、これはパウワウという、これはハワイの言葉だ、このように伺っておりますが、この五月の十七日から二十一日まで行うということで、先生お行きになるということですが、ぜひいろいろとまた、お帰りになったら情報なりをお知らせいただきたい、このように思っております。
 この商談会は、今申しましたように、本年五月十七日から行われるわけでございますが、出店ブースが約千三百七十五、予定されております出席者が五千七百五十人という大変大きな商談会でございます。
 我が国といたしましても、今日まで、春の旅フェアや秋の世界旅行博などの場において、観光振興会や法人日本旅行業協会が主催するインバウンド商談会を行っておるところでございますが、これからも鋭意そのような取り組みもしていきたい、このように思っております。
山谷委員 これまでのフェアというのは、県の観光局とか、それから地域社会が主体になってというような部分がありましたので、具体的に、ホテル業界とか航空業界とか旅行会社が売り込みをかけて、具体的な商談会になるというような形をとっておりませんでしたので、これからは、そのようなビジネスにつながるような部分を官でおぜん立てしていくということも今の日本では大事なことではないかというふうに考えております。
 例えばコンベンションなんかでも、アメリカでは四十兆円ぐらいある。日本では四兆円ぐらい。何年先まで世界じゅうでどんなコンベンションが行われて、そのためにはこの風景のこのホテルをこうディスカウントしてこういうサービスをつけてというようなことを、みんながウの目タカの目で奪い合っているわけでございますので、日本でも、ぜひそのような情報収集と、チャレンジの場に参加していくことが必要ではないかというふうに思っております。
 観光産業は、国内需要が二十数兆円、経済効果が五十兆円に及んでおります。観光産業の就業者数は約百九十万人で、関連産業を含むと四百十万人。しかしながら、この新しい観光立国のプロジェクトで二百五十万人ぐらい新規の雇用者をつくれるのではないかと言われている。それは老若男女さまざまなかかわり方があるわけですから、今の失業対策について、非常に大きなインパクトを持って解決策に導いていくのではないかというふうに思っておりますので、リーダーシップを期待しております。
 ハード面に移りますけれども、訪日外国人旅行者の倍増には、国際空港及びアクセスの整備が必要と考えておりますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
吉村副大臣 外国からのお客様を招き入れるには、やはり拠点となります空港の整備が非常に重要でございまして、成田、羽田、関空それから中部、それぞれ整備を急いでおるところでございます。
 しかしながら、近年、アジア諸国が大変空港整備に力を入れておりまして、そういう面では、日本は若干といいますか、かなりといいますか、立ちおくれておるのではないかな、空港の受け入れ体制といいますものが非常にアジア諸国に比べると劣っておるということは否めないのではないかな、このように思っております。
 したがいまして、これからといいますか、今日までも、この数年でございますが、大都市圏拠点空港に予算面でも重点的に配分して、この大都市圏国際空港、すなわち海外からのお客様を招き入れるハード面の充実を図ってきておるところでございまして、今後ともそのような方針で進ませていただきたい、このように思っております。
山谷委員 アメリカ人というのは、もう国内旅行だけでも十億回ぐらいするということで、日本も国内旅行者というのをもっとふやしていくという形も大事だと思いますが、六十五歳以上のシルバー層が今二千百万人、一七%いらっしゃいまして、本当に旅というのは、人と人とのつながり、心のいやし、それから健康にも非常にいいわけでございまして、シルバー層がもっと気軽に旅をするために、道路や駅のバリアフリー化というのも大事だと思います。
 私の母は身体障害者なんですけれども、海外は割合スムーズに車いすで旅行できるんですけれども、国内に帰ると、とてもとてもバリアが多くて、むしろ国内の方が旅行しにくいといったような現状もございますけれども、これからのバリアフリー化、あるいは道路特定財源、どういうふうに使っていくかというような問題についてはいかがお考えでしょうか。
吉村副大臣 いわゆるそれぞれの交通に関連します施設のバリアフリーといいますのは、国土交通省といたしましても、バリアフリー化というのを一つの大きなこれからの重点目標に掲げておるところでございます。
 今申されました特定財源も、その用途を若干広げて、交通に関連する諸施設については積極的に運用もしていきたい、このように思っているところでございます。
山谷委員 観光地、保養客の多いところには道路特定財源を特に回すとか、あるいは駅の部分も、一日の乗降何千人以上というのはどうしても優先順位の中に入ってくるというふうに思いますけれども、そのようなあたりも、観光というふうな新しい切り口でもって優先順位などを決めていくというような方法も積極的にお考えになっていただきたいというふうに思います。
 これは決算というよりも、将来の決算行政にかかわることとして、平成十五年度より観光交流空間づくりモデル事業を実施していると聞いておりますけれども、どのように今後取り組んでいく所存か、お伺いしたいと思います。
吉村副大臣 本年度より観光空間づくりモデル事業を実施して、今応募もしておるところでございます。これから徐々に各地域の特性を生かしたアイデアといいますものが出てくるであろう、このように思っております。地域特性、またNPO等ができる範囲の施策等々を勘案して、そのモデル事業といいますのを指定していきたい、このように思っております。
 したがいまして、これは、今おっしゃいました観光面でのバリアフリー化等に対して特定財源を使う、その他一般財源も使うということですが、そのアイデアがよければ、財源は別といたしましても、この指定されました事業に対しては優先的に予算も回していきたいな、このように思っているところでございます。
山谷委員 そうしますと、実施主体とかあるいは選定の基準とか、それでもいろいろお金には限りがあるわけですから、どのぐらいの、一年間に何エリアぐらい指定されていくとか、そういうような具体的なものはお持ちでございましょうか。
吉村副大臣 今、数についてはまだはっきりしたものを持っておりません。これからいろいろな情報が入ってくるであろう、その中から選別していきたいな、このように思っておる次第でございます。
 ちなみにこのモデル事業自体に対する予算はございません。ただ、それに指定されますと、箇所づけその他で優先的に配分をしていきたいな、このように思っておるところでございます。
山谷委員 そうすると、観光交流空間づくりモデル事業としての予算はないけれども、例えば道路行政、観光行政、河川行政、都市行政、さまざまなところにわたるわけでございますけれども、発想がよければ優先的に箇所づけしていくというふうな理解でよろしいわけですね。
吉村副大臣 NPOに対しては予算どりをしておるというところでございます。
山谷委員 ちなみにどのぐらいでございましょうか。これからは本当に、点だけじゃなくて面として、文化体験とかエンターテインメントとか、さまざまな体験というものをプラスするような観光というものが皆さん求めていらっしゃる部分だというふうに思いますので、NPOを中心に面に広がっていけば非常に望ましいことでございますが、どのぐらいのことを考えていらっしゃいますでしょうか。
吉村副大臣 微々たるものでございますが、一件当たり数百万単位だということでございます。
山谷委員 私、このごろ海外に出るたびに、日本に来てくれないというか、ネックになっているのは何かということをしょっちゅう聞くようになりました。やはり日本の宿泊施設、交通費が高いというようなことが返ってくる場合が多いのですけれども、安い宿泊施設の整備というのはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
吉村副大臣 おっしゃいましたように、日本の宿泊施設というのは非常に高い。外国人も日本に参りまして本当にびっくりしておるのが現状でございまして、やはり海外からお客様、もちろん国内でもございますが、安い宿泊施設を提供するというのは当然のことだろう、このように思っておりまして、ユースホステル等々への支援といいますものは、一つの施策として予算もとっておるところでございます。
山谷委員 それはどういう形で予算どりを、いつごろからなさっていらっしゃるのでしょうか。
吉村副大臣 ちなみに公営ユースホステルの改修補助について、平成十四年度補正予算で、火の山ユースホステル、これは下関でございますが、一千万、それから天橋立ユースホステル、これは京都府でございますが、今のは補助額でございます、一千六百六十万、こういうことが実績として残っております。
山谷委員 総務省とか厚生労働省所管の特殊法人が官製ホテルや観光施設を経営して、随分豪華なものをつくり過ぎて、民業圧迫、それから地域社会に対してもいかがなものかというような現状もございますので、今後はそういうものではなくて、ユースホステルとか国民宿舎とか、一泊三千円で朝御飯つき、夕飯つきぐらいの、連泊するとどんどん安くなるとか、そういうような発想で予算をつけていっていただきたいというふうに思います。
 観光振興には産官学の連携協力が不可欠であると考えておりますけれども、我が国の観光の国際競争力強化のためには、観光学科の設置と学会サイドの支援強化が必要と考えております。文部科学省でも、私、随分委員会でやりとりしているのですけれども、例えば国立大学の観光学部がないとか、欧米では観光学部、観光学科が非常に多うございまして、ただホテルのサービスとかそういう狭いものを学ぶわけではなくて、それこそ国際関係とか経営とか、すべていろいろなものを学ぶものですから、卒業した後も非常に幅広く就職先がある。それから、もちろん観光においてはミドルマネジメント層の充実ということもあるわけでございますけれども、このような支援強化策について、国土交通省の見解はいかがでございましょうか。
吉村副大臣 委員まさにおっしゃいましたように、観光振興は国家戦略でございます。その国家戦略を受ける、遂行していこうとする体制は、まさにおっしゃいましたように大変貧弱だ。それはひとつ学問の分野でも、今観光学科を持っておる大学というのは全国で三校しかございません。これは、国家戦略を打ち出しておるという観点からいいますと、非常にお粗末なことだ、このように思っておりまして、少なくとも多くの大学で観光学科、または少なくとも科目として観光学科なんかが、選択科目でも結構なんですけれども、当然あるべきではないかな、このように思っておるところでございます。
山谷委員 国土交通省の中でも、例えば観光交流空間づくりモデル事業の場合、道路行政、観光行政、河川行政、都市住宅行政、港湾空港行政、自動車交通行政、もうさまざまな部局にわたると思います。それで、ハード、ソフト施策の総合化というのが大事だと思いますし、今おっしゃいましたように、観光学部の設置に関しては、例えば文科省と意見交換をしていく。
 それから、年次有給休暇の完全取得により十一・八兆円の経済効果があるというような計算もございますけれども、今、年次有給休暇、日本は平均九日しかとっておりません。アメリカは十三日、イギリスは二十四日、ドイツは三十一日、フランスは二十五日というようなレベルを見ますと、厚生労働省と休みのとり方、あるいは農水省と空間づくりの意見交換、法務省、外務省、それぞれいろいろ総合的に、縦割りではなく、施策を進めていかなければいけない状況にあると思います。具体的に観光立国推進懇談会というようなものは一回立ち上げて、いろいろな意見を聞いて、今閉じているようでございますけれども、今後どのように総合施策としてまとまってやっていくおつもりでございますか。
吉村副大臣 これは国土交通省だけで答弁していいかどうか、ちょっと私も戸惑うところでございますが、すなわち国家戦略でございますから、国土交通省が一つの所管ではございますが、今申されましたように、文科省それからその他の部局を総合的に取りまとめながら、一つの戦略として打ち出していかなければならないことだろう、このように思っておりまして、各省庁に協力をお願いしておるところでございます。
 また、民間の方ではグローバル観光戦略推進会議というのを設けまして、扇国土交通大臣が会長としてこれを打ち出しておるところでございまして、官民挙げて、一体となってやっていきたい、このように思っておるところでございます。
 以上です。
山谷委員 保守新党は、日本列島復元十カ年計画というのを政策としてつくっておりまして、観光立国にふさわしい日本の風土を復元する復元事業、例えば、神社、仏閣、史跡など日本固有の文化財や施設の維持、整備を行って、文化拠点として活用を図っていきたいというようなことも考えております。それは、観光客が来てくださるというだけではなくて、そこに住むその人たち自身、その文化自身が最高の観光資源でもあり、そしてまた、そこに住む人たち自身の幸福にもつながるわけでございまして、ぜひこれからの公共事業はそういった視点を加味しながら考えていっていただきたいというふうに思います。
 また、これは国土交通省の問題ではないのですけれども、ビザの問題。
 日本は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダなどとは相互免除になっておりますけれども、韓国、香港、台湾、タイ、中国などとは相互免除の締結がない。しかしながら、韓国、香港、台湾、タイは日本に対してはノービザだというような、非常にアンバランスな状況になっております。このビザの取得の見直しなどはお金はかからないわけでございまして、この前私、ベトナムへ行って、ベトナムの観光大臣とお話ししましたら、もう前年比三十何%、日本からベトナムに観光客がふえているのだから、本当にビザの問題を何とかしてほしいというような意見もございました。
 それからまた、ベトナムの観光大臣は、ODA活用をそういった新しい視点で見直してもらえないか、例えばお土産とか料理とかの、日本人がどんなものを好むのか、どういう価格帯で提供したらいいのかとか、そのようなODAの活用も含めて見直してほしいというような意見もございました。
 これも国土交通省の問題ではございませんけれども、お金を必ずしも使わなくても、あるいはこれまでのODAの使い方をそういった切り口で見直していくというようなことで、国土交通省、あるいはもっと広い部分で何かお考えがございますでしょうか。
吉村副大臣 ビザの問題は、実は、国交省観光部としましては、なるべくフリーにという考えは持っておりますが、残念ながら、いろいろな問題、なかんずく犯罪発生との絡みがありまして、警察庁その他、非常に慎重にこれに取り組んでおるところでございます。その辺はこれからの話し合いになっていこうか、このように思っております。
 観光立国、いわゆる国家戦略として観光を振興していこうということであれば、ハードの面それからソフトの面、なかんずくやはり人情ですね。我々も海外に行きまして、例えば、店の売り子さんが非常に無愛想だったり、またタクシーに乗って非常に変な道に連れていかれたりしますと、もう一気にその国が嫌いになっちゃうというようなことがございます。やはり国家戦略でございますから、日本人全員が、日本国民が、いわゆるホスピタリティー精神を持って、いついかなる場合も外国の方に親切に接するというようなこと、これはまさに、国交省の問題ではなくて教育全般の問題にもつながってくるんではないか、このように思っておりますが、国家戦略である以上はそのぐらいの考えを持ってこれは取り組んでいかなければならない問題であろう、このように思っておるところでございます。
 以上です。
山谷委員 本当に、日本の場合、これまで観光政策といったものはなかったと言ってもいいというふうに思います。そして、やっと気がついたわけでございますので、国家戦略だと。それから、国土づくり、それから人の生き方というような切り口、さまざまな面で美しい国土をつくることが、外国人のみならず、日本人にとっても誇りと新しい生き方を獲得するきっかけになるのではないかと思いますので、そのためにも、過去のシステムを変えていくというような意気込みが大事ではないかというふうに考えております。
 美しい国土をつくるために、そして美しい生き方を再生するために、ぜひ、観光立国というものを国家戦略として位置づけて、国土交通省の大奮戦をお願いしたいというふうに思います。
 以上です。ありがとうございました。
山口委員長 次に、奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田建でございます。
 本日は、財務大臣そして金融庁、さらには石原大臣の方に質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、御法川先生の御冥福を皆さんで祈らせていただきましたけれども、私も委員会で御一緒させていただいたり、あるいは、国旗・国歌法案のときにたしか本会議で演壇に立たれたことなどを少し思い浮かべておりました。安らかな御冥福をお祈りしたいと思います。
 財務大臣にお尋ねいたします。
 一番新しいニュースの中で、五月一日付であったと思いますけれども、平成十四年度の税収見通しがさらに上がってきたという報道がございました。昨年十二月に二兆五千四百億円の減額修正といいますか、減額見通しを発表しまして、これが大体、税収見通しの五・四%マイナスということでありましたけれども、今回の税収見通しについて、数字を含めて御報告をいただきたいと思います。
谷口副大臣 奥田委員のお尋ねでございますけれども、十四年度税収見通しは、確定するのが七月末でございます。そうしますと、今現在からまだ四分の一程度残っておるというようなことであるとか、また本年度の個人の確定申告状況、これは大変大きな未確定要因でございますし、またもう一つは三月決算の法人税の状況、これも一応、三月決算の場合は五月の末に納税をし、総じて、十四年度の税収動向は、七月の初めに概算を公表させていただいて、それで七月の末に確定するというようなことで、まだかなり不確定要因があるということで、この十四年度の税収見通しについて今申し上げるのは非常に困難だということを申し上げたいんですが、今現在の状況で申し上げさせていただきますと、現在判明しております収納実績で、三月末の累計で、対前年比で申し上げますと、八八・八%でございます。また、十四年度補正後予算に対する進捗割合は七五・八%というようになっております。
奥田委員 大体、毎月、月末にはこういう途中経過を報告していただいているわけですけれども、大きな法人税収があるとはいえ、二月末でもたしかマイナス一一・数%、今の御報告でも前年比で八八・八%ということで、前年比でいえばマイナス一一%強のところで推移しているということかと思います。
 昨年も、こういった歳入欠陥の補正予算というのがたしか組まれたと思います。今回も、確かにまだ見通しで大きな税収があるとはいえ、これから先ある要素というのは、株価の下落とともにある企業決算ということがあって、これから多くなるという明るい税収見通しというのもないかと思います。
 大臣の方に、これら歳入欠陥というものに対する政府の対処というものを聞かせていただきたいと思います。
塩川国務大臣 先ほど谷口副大臣から答弁がございましたように、まだ正確に確定したものはございませんが、私もその推移については非常に関心を持っておりまして、これから、七月末ごろに確定いたしましたときに、何らかの対処の方針も決めなきゃならないかと思っておりますけれども、今、やはり問題は法人税でございますので、これに対する見通しをもう少し正確に推測をしてみたいと思っております。
奥田委員 もう一つ、歳入欠陥とともに、歳出欠陥という言い方が適当かどうかわかりませんけれども、大体、ここ三十年来ぐらいでしょうか、国債発行とともに、公債依存度というものが高いまま推移しているという現実がございます。こういう歳出欠陥に対して、政府がいろいろな財政改革の方針を挙げてはおりますけれども、中長期的な方針としてどのような取り組みをなさっていくのかということをお答えいただきたいと思います。
 私も、議員になってまだ駆け出しのころに、亡き梶山静六先生なんかと、財政赤字を憂える会という中で、ちょうどそのときは金融危機の最初のときでございましたので、金融のハードランディング論をお聞きしたり、あるいは、財政投融資資金と特別会計の問題なんかを一つの勉強会の中で御指導いただいたりもしております。
 大きな、長期的な課題であるとは思いますけれども、こういった問題に対する方針をなくして財政に取り組むこともできないかと思います。ぜひとも大臣の方から、こういった歳入欠陥について、根本的に、どこから取り組んでいくべきなんだろうかということの御方針をお伺いしたいと思います。
塩川国務大臣 まず第一に、私も長いこと議員をやっておりまして気がつかなかったことが随分と実はございまして、財務大臣になりまして、ずっと予算を見ましたら、やはり民間で言うところの採算性ということが本当にずさんに考えておるということは一つあると思います。したがって、その採算性について、私は重点的に予算を見直すべきではないかと。その中心はやはりコストの算定が非常に甘いということが一つあります。これを正していきたいと思っております。
 それからもう一つは、私の方針として、公共事業等については、例えて申しますならば、事業量を減らさないで、コストを正確にとれるならば、見るならば、ある程度総額において削減できるという方針をとってまいりました。ところが、福祉、教育関係というものは、制度でがんじがらめになっておりますので、やはり制度的に改正してもらうということを現在検討していくべきだと思っております。それには、いろいろなものがたくさんございますけれども、現在財務省におきましては、大体五十一項目ほど、制度的な改正の点について提案を申し上げていきたいと思っておりまして、各省のいわばその努力をとっていきたいと思っております。
 それからもう一つは、制度もいろいろございましょうけれども、行政的に必要なのかどうかという根本的ないわゆるナショナルミニマム、あるいはローカルミニマムといいましょうか、シビルミニマムと申しましょうか、そういう点を見直していく必要もあるのではないかと思っておりまして、そういうようなものについては、国と地方との役割分担の中で、こういう行政事務が果たして国民ニーズについてどのように見るか、つまり、そのニーズはあるにしても、費用と効果の関係ということから見て、真にそのミニマムを実施しなければならぬものなのかどうかというような点についても考えていくべきではないかという点を重点に、予算の緊縮を図っていっておるということであります。
奥田委員 毎年八十兆強の一般会計の予算というものが論じられております。その中で、特別会計の歳入が大体三百六十九兆ぐらい前年度でもあったと思いますけれども、国全体の予算執行、特別会計を含めれば、トータルで大体二百三十から二百六十兆ぐらいあるんじゃないかというふうに聞いております。
 これまでも議論のあったことかと思いますけれども、国の予算あるいは決算を論じるときに、一般会計の部分だけを見て論じておっても始まらない、国会の承認も含めて、こういった国の執行予算全体を論じていく、そういうことも改革の第一歩ではないかというふうに思いますけれども、その点についてどういった御見解をお持ちでしょうか。
塩川国務大臣 仰せのとおりでございまして、今私は、日本の国全体を見ました場合、公共経済といいましょうか、それは、国、地方合わせて、民間より大きくなっているんじゃないかと思うておるんです。そのぐらい膨れ上がってしまっておると思います。
 その中で、一般会計、国のあるいは地方自治体の一般会計は締めてきまして、両方足して大体百七十兆ぐらいですね。ところが、公共経済の中で、特別会計なり、おっしゃるように公社、公団等の政府の公益的事業というものが、これが大きく占めております。
 そこで、今回とりあえず、特別会計というものは、一体これはどのように仕組まれておるのか、そして特別会計でなければ維持できない、経営できないのか、あるいは一般会計の中に入れて、そして行政的に整理をしていくという方法をとるべきかということにつきまして検討を始めたところでございまして、財政制度審議会の中に、今回、特別会計をいわば重点的に検討しようという委員会をつくっていただいて、現在そこに取り組んできておるところであります。
 それでは、その特別会計をどう見るかということですが、いわば行政と切り離して独立した会計としてやる方が明確で透明性があって効率的にできるというのがいいのか、あるいは特別財源があるものだから特別会計を組んでおるというのか、いろいろな種類がございますから、種類ごとに一回分類をして、そしてその中で可否、曲直を正していきたいと思って、財政制度審議会にお願いをしておるところであります。
奥田委員 ぜひ、今までも議論は多くあったところだと思いますので、建設的な結果をもって取り組んでいただきたいというふうにお願いをいたします。
 あと、簡単なお答えで結構ですけれども、いろいろな税制改革を中心に今国会でも話し合われておりますけれども、そういったところの以前に、今の制度のもとできちんとその制度を運用するという、一つの、所得捕捉と申しますか、税の徴収の前の基本となる部分がまだ緩いのではないかというような話も、経済財政諮問会議の中で年金問題などと絡めて御指摘があることかと思います。大臣の方から、こういった所得捕捉に関しての対策、そしてひとつ納税者番号についての御見解をいただければと思います。
塩川国務大臣 今ちょうど、時たまたま情報公開法の審議がございまして、ここでも非常に議論になっておるところでございますけれども、今、日本において情報の高度化そして拡大をしてまいりました中で、一番大事なのはやはりプライバシーを守ることだろう、そのプライバシーの一番重要な焦点を置いておる一つに納税ということがあると思っております。
 したがって、私は、元来は背番号をつけて、納税の公平性を図ることがいいとは思ってはおるんですけれども、なかなかそこへいくまでの世論の形成というものがまだ十分されておらないと思っておりますので、それを見定めながら、今回の個人情報公開法の推移等を見ながら、いずれは納税者番号等をつけて高精度な税執行、そのことがいわゆる納税の簡素化にも通じていくと私は思っておるんですが、そういう方向にいくのではないかと思っております。しかし、現在の段階におきましては、納税者背番号制ということは、やはり国民的な賛同はまだ得られない状態でございますので、私たちも今後の努力にまつべきであると思っております。
 特に、金融資産とかいうのも、資産課税というものがこれからの税制においては非常に大きいウエートを占めてまいります。そうしますと、これの公正さを期するためには、どうしてもそういう背番号制によって捕捉していく必要があるのではないか、私はそのような考えを持っております。
奥田委員 党内でも、私たちも納税者番号に関して意見が集約しているわけではありませんけれども、一つの課税強化といいますか、税収強化の中では、私は考え得る制度ではないかなというふうに個人的に思っております。
 資産課税につきましては、詳しいお話も伺っていませんので、また意見が異なるかもしれませんけれども、次の機会にしたいと思います。
 次に、一つ細かなお話になりますけれども、私の地元の方で、石川銀行という銀行がございました。おととし、二〇〇一年の十二月二十八日に破綻をしまして、ことしの三月末、四月に、地域の五つの金融機関に営業譲渡をしていただいたということになります。一番大事な営業譲渡の問題がクリアされましたので、今また残っている一つの訴訟問題にかかわっている部分について、直接の見解を出す部分ではありませんけれども、監督官庁として、金融庁の方のお話を伺いたいと思っております。
 まず、管財人の方、一年以上にわたっていろいろな資料を整理していただいたわけですけれども、私も、破綻直後に金融庁の方に情報を問い合わせても、金融庁検査の情報以外はほとんどないといったところでした。今、営業譲渡が終わった段階で、金融整理管財人と申しますか、そちらの方からいただいているいろいろな情報というものがありましたら、簡単にお答えいただきたいと思います。
五味政府参考人 お話のございましたように、平成十三年十二月二十八日に、石川銀行につきましては、金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われました。その後、預金保険法第八十条に基づきまして、金融整理管財人から報告書が提出をされております。金融庁長官あてでございまして、平成十四年四月、それから平成十五年三月、それぞれ、預金保険法第八十条に基づく業務及び財産の状況等に関する報告書ということで提出がなされております。
 この報告書の中では、管理を命ずる処分に至った経緯、業務及び財産の状況、それから営業譲渡の見込み、そして金融整理管財人による旧経営陣の責任追及の状況、こういったものについての報告がなされております。
 四番目の金融整理管財人による旧経営陣の責任追及の状況は、十五年三月、営業譲渡が行われるに伴いまして民事、刑事の責任追及が行われましたので、これを踏まえて、十五年三月に提出されております。それ以外のものは十四年四月の提出で、これは昨年十二月、FRC報告ということで国会にも御提出させていただいたところでございます。
奥田委員 一応、質問通告のときに、今それとともに裁判になっている第三者増資の問題について見解と御報告をいただきたいということですので、その点を御了承いただきたいと思います。
 今、預金保険機構、管財人の方でやっている訴訟を別としまして、民事訴訟で、第四次訴訟まで、三百八十一名の方が三十三億八千万円強の損害賠償請求を行っております。これが、ほかの金融破綻と違って、破綻直前に第三者増資を実施したということで、破綻する年の三月、四月に二百二十億強、そしてその一年前に百五十億の増資を行っているということです。上場株式ではありませんので、なかなかそういう上場基準といったチェック機能がないまま、財務局への届け出だけで増資が行われているというふうに聞いております。
 中には、こういう被害者といいますか、増資に応じた方の意見としては、地域に密着した金融機関であって、そういった要請に、お願いという形に断り切れなかったという人情的な、義理買いと申しますか、そういったものもございますし、会社としての取引先に対しては、なかなか証明するのは難しいですけれども、銀行の優越的地位というものを利用しての勧誘というものも聞いております。
 さらには、訴訟団には加わっていませんけれども、ちょうど、今ごろの少し前ですから、納税の時期に当たっていて、そういう納税の現金をねらって、銀行が、その現金で株式を買ってくれ、ついては納税する現金はお貸ししますというような一つの迂回融資的なものも伝聞としては聞いております。もっとひどいのになると、現金担保として押さえられていたものを株に切りかえて、そして紙くずになってしまったというような話も聞いております。
 これは金融庁にとっては、一つ一つの話は確かに細かい話でしょうけれども、こういったモラルハザードを起こしたその一年前にも不正融資で捜査されているんです。そして、逮捕者も出ていたはずです。そういった銀行の何百億という増資に関して、どういう査定をもって応じているのか、あるいは、そういうところに道義的な、あるいは現在のシステムというものに問題はないのかというようなことを大臣の方から少し御意見として伺えればと思います。
竹中国務大臣 奥田委員におかれては、地元の石川銀行ということで、随分と心を痛められ、御懸念を続けてこられた問題だと思います。私どもとしましても、御指摘のように、増資の直後に結果的に石川銀行が破綻した。やはりこれは大変遺憾なことであるというふうに思っております。
 個別の訴訟の問題等々については、まだこれは訴訟に係る問題でありますので、当局としてコメントは差し控えなければいけないというふうに思っておりますけれども、やはりこうしたことを踏まえて、我々としては、コンプライアンス、法令遵守の点でやはり守らなければいけない問題がある、そこをしっかりと行政の中に生かしていくということが大変重要だというふうに思っております。
 そうした観点から、先般、こうした第三者増資割り当てに係る事務ガイドラインを整備しまして、監督上の着眼点と事後のフォローを明確にしたところでございます。その基本的な考え方というのは、まず、商法の資本充実の原則を遵守しなければいけない、独占禁止法の優越的地位の乱用と不公正な取引を防止しなければいけない、商品性の適切な説明が行われなければいけない、適正なディスクロージャーの確保といった点に係るいわゆるコンプライアンスを確立していかなければいけない、健全性、誠実さ等の観点から特に十分な経営努力が払われなければいけないというふうに思っておりまして、今般のその事務ガイドラインでは、今申し上げたようなところを整備した点でございます。
 引き続き、一般論でありますけれども、これは増資をめぐる個別具体的な取引について、その勧誘方法等に重大な問題があって、出資者による訴訟が提起されて、裁判手続において銀行が不法行為が認定されて、不法行為に基づく損害賠償請求権の存在が認められたような場合には、その請求権は全額債務保護の範疇に入ってくる可能性があるというふうに考えておりますので、引き続きしっかりと見ていきたいというふうに思っているところでございます。
奥田委員 上場株式については、ある一定の査定のもとでの販売というものが行われますけれども、こういう非上場の株式、さらには、ある一定規模を超えるような、数十億、数百億、そういった増資に関して、何か今以上のチェック機能が働かないと、またこういうことが繰り返されるおそれがあるのではないかというような懸念を私も持っております。ぜひともそういうところを、すぐに答えの出るところじゃないかもしれませんけれども、また一緒に考えていければというふうに思っております。
 実際、破綻する一年前の金融庁の査定と、そして銀行の自己査定の差が、ちょっと聞きますと、一四・五%の開きがある。金融庁検査では、破綻一年前の検査でマイナス八・六%という検査結果が出る。それはちょうど破綻前の増資をする前にわかっていたはずなんです。その数字がわかれば、すぐストップをかけることだってできたと思うんです。せっかく検査に入っていてつかんだ事実というものを反映できない、そのことでまた大きな被害が出てくる、そういったこともまた認識していただければというふうに思います。
 石原大臣にも来ていただいております。公務員制度改革のことで何点かお伺いしたいと思います。
 先月、社民党の山口議員の方から、いろいろと、査定評価のこと、あるいはILO勧告の話が質疑に出ましたので、私の方は、大綱のポイントという書面を読ませていただいて、ちょっと不自然に思ったことを二点ほど聞かせていただきたいと思います。
 一点は、公務員の採用試験制度、これを政府のもとに、内閣のもとに持ってくるという案件が出ておりました。細かいことも言えば、採用合格者数を大幅にふやすということも検討項目に入っているというふうに聞いております。今、人事院がこの権限といいますか所管になっておりますけれども、このことを人事院の方から内閣の方へ移すということに対して、人事院の今の制度に問題があるのか、あるいはそういうことをすることによってどういったメリットがあるのか、聞かせていただければと思います。
石原国務大臣 もう委員も御存じのことだと思いますが、現在、公務員試験、人事院が実施しております試験というものは筆記試験が中心になっておりまして、内外から、内外というか、受ける方々あるいは外の方々から、知識に偏重しているんじゃないか。実態を聞いてみますと、大学で学んでいる学力というよりも、どちらかと申しますと、公務員に受かるための勉強、すなわち、公務員試験の予備校にほとんどの方が通っているという実態が現実としてございまして、各府省がこれだけグローバル化して多様化している中で、採りたい人材、行政ニーズに即した人材の参考になかなかマッチしていない、こういうことがあるわけでございます。
 そして、公務員の採用というのは、そもそも、各役所がそれぞれ抱えております行政の求め、ニーズとかに対して、それに見合った有為な人材を確保するということが、これは一般会社とも同じだと思うんですけれども、そういう観点から行われるべきものでありまして、行政運営の責任を持っております内閣が主体的に取り組んでいくことが必要ではないか、こんなふうに基本的に考えているわけでございます。
 このため、今回の改革では、委員御指摘のとおり、人事院がこれまで行ってまいりました採用試験の企画立案を内閣みずからが担うというふうに改めようというふうに考えているところでございます。もちろん、試験に対して私情等々が入るということは絶対にあってはならないことでございますので、採用に関しての中立性、公平性を確保するということはこれまでにも増して重要であると認識しておりまして、内閣が中立性、公正性の確保ということに対して責任を持つことは当然でありますとともに、人事院、廃止するわけではございませんので、第三者機関である人事院が必要に応じまして内閣に対して意見を、申し出を行うことができるというような仕組みになっておりまして、中立性、公正性を十分に確保していかなければならない、こんなふうに考えております。
奥田委員 反対で、人事院が内閣に意見を申すというよりも、内閣と人事院、人事院の独立性に関しての詳しいことはわかりませんけれども、内閣が、そういう試験の方法が筆記試験に偏重しているということであれば、その旨を人事院に伝えればいいだけではないかというふうに私は思います。もし外の目から見てどちらに中立性があるかと言われれば、私は、今の段階では人事院の方によほど中立性があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そして、いま一つ、人事院の方での仕事として天下り白書というものを毎年出されておりますけれども、こちらの方も民間企業への再就職というものを記載しておる、そして報告しておるわけでございます。
 これの方も各省庁への権限に移行するということが検討されているそうでございますけれども、これもやり方が反対で、各省庁が持っている特殊法人やあるいは認可法人への再就職といったものを、反対にそこにも人事院のチェック機能を働かせる方が、今時代の方で、社会の方で求められている公務員の再就職という中での透明化、健全性といったものがチェック機能として働くのではないかというふうに思いますけれども、そちらの部分については大臣はどんな御見解をお持ちでしょうか。
石原国務大臣 いわゆる営利企業への再就職については、今回の改革では、行政事務の執行に関する国民に対する責任はやはり一義的に担当大臣が負うべきであるという考えが根本にあるわけでございます。各府省の人事管理の最高責任者は言うまでもなく大臣でございますが、大臣が職員の再就職についても責任を持つべきではないかと基本的に考えております。
 具体的には、委員が先ほど読まれております大綱に基づきまして、いわゆる大臣承認制について内閣が基準の策定や総合調整を行うほか、再就職者に対する情報の公表、再就職後の行為規制の導入、これは刑事罰を考えております、人事院の適切な関与、二重三重と仕組みを検討しているところでございます。
 そんな中で、今委員が御指摘のとおり、改めることによってお手盛りになるんじゃないかというような御指摘ではなかったのかというふうにとらえていたんですけれども、こういう御批判は大変聞かせていただいております。そういうことを踏まえまして、大臣承認制のもとで内閣の総合調整機能、総合調整をどのように具体化にするか。この二重三重の縛りの上にもう一段仕組みをかぶせていかなければ委員の御指摘のような御意見に対応できないと私どもも考えまして、今鋭意検討を進めさせていただいているところでございます。
 後段の方の御質問は、特殊法人等々への公務員の方々の再就職についてだったと思うんですけれども、私も、これはやはり特殊法人とか公益法人が再就職の受け皿になっているという事実、それに対して国民の批判が高まっているということも事実だと思います。
 ですから、今回の改革では安易な受け皿になってはならないと思っておりますし、もちろん、公務の世界で培った経験を第二の人生で生かされるということは否定できないわけでございますので、業績と処遇のバランスがとれていないのではないかというような批判を真摯に受けとめなければならない。すなわち、能力のある人が能力に見合ってちゃんとした仕事をしていればいいんですけれども、能力のない人が能力以上の仕事をいいかげんにやって高い給料を取っているということはやはり一部見受けられるのではないか。一昨年……
山口委員長 大臣、申し合わせ時間が終わっていますので、御協力をよろしくお願いいたします。
石原国務大臣 はい、失礼いたしました。
 やはり、情報公開というものを具体的にやることによりまして、委員の御指摘のような部分についても、OB人事の一環として安易に取り扱われているという等々の批判を招かないように改めていくべきであると私も考えております。
奥田委員 丁寧な御答弁をありがとうございます。
 あと、終わりますけれども、潮局長の方に御出席いただきましたけれども質問できませんことをおわびして、質問を終わります。ありがとうございました。
山口委員長 次に、松崎公昭君。
松崎委員 民主党の松崎でございます。
 きょうは、少し毛色が変わりまして、在宅ケアとか緩和ケアとか、福祉の問題を質問したいと思います。
 人生の後半になってまいりますと、私どもも、がんでの死亡とか難病の死亡者とか、死との問題あるいは大変苦しみながら亡くなっていく、そういう例がたくさん周辺に見られるわけでありまして、必然的に大変興味を持つということでございます。
 きょうは、その中でも特にホスピスケア、この問題に関しまして御質問をさせていただきたい、そう思っております。
 五年ごとに調査が行われておりますけれども、ことしがまた調査、つまり、末期医療に関する意識調査検討会、これがあるんですけれども、ことしの発表はまだ集計中ということでありますので、五年前の報告書を中心にしながら御質問をさせていただきたいと思っております。
 今、病気になって自宅で療養を望む人が、実態は六〇%いるんですけれども、実際には一三・五%しか自宅で最期の病気を治療することができない。これは六〇年は、約五十年近く前ですけれども、七〇・七%が自宅で死を迎えていた。特にがんは、今一年間に三十万いるわけでありますけれども、自宅の死亡率というのは六・九%。これは病気の質にもよるんですけれども、どうしても病院でということで、病院が九一%、ホスピスが二・七%ですね。今、日本も大分施設ホスピスもふえてはきましたけれども、まだまだ非常に少ないものですからこういう数字だと思います。
 この調査の中で、お医者さんの約六〇%、そして看護職員の七〇%近くが在宅ケアの推進が必要なんだと言っているんですね。もちろん、技術的な面、医療の技術面でもほとんど自宅での療養はもう既に可能なんだ、そういうデータが出ております。特に最近では、三一%のがんの末期医療に関しまして、いわゆるチューブ漬けというんですか、延命医療というんですけれども、これが非常に行き過ぎているんじゃないかと。むしろ、延命医療をある程度中止して、苦痛の緩和、これがポイントなんですね、苦痛を和らげる、そういう方向に移すべきだ、こういうお医者さんも約七〇%、五年前のデータでも出ております。
 それで、当然、緩和ケアの病棟、私の柏というところにはがんセンターの東病院がありまして、歴史的に大変有名な緩和病棟があるんですけれども、こういう緩和病棟、これもお医者さんの五四パー、看護職員の六五%が必要だ、こう言っているんですね。
 また、角度を変えますと、後でまた詳しく言いますけれども、リビングウイル、自分の最期を自分の意思で決めていくんだ、こういう運動も今かなり広まっておりまして、これも医師会ではリビングウイルに賛同している人が約七〇%近い。もちろん、日本医師会も昨年は尊厳死というのを認めているわけですね。つまり、人間の最期の自己実現というものを、自分の死に方ということを自分の意思で選択するんだ、こういう今状況というか、望まれてきている。
 そういうことで、私は、施設ホスピスも非常に重要なんでありますけれども、むしろ在宅ホスピスの方がもっと重要ではないか、そういうふうに思っております。
 私は、平成十一年の二月にも、施設ホスピスのことでドイツへ視察に行ったことを質問の中で入れながら、その当時は施設ホスピスがまだ少なかった、ですから、これをもっと普及すべきではないか、そういう御質問をいたしました。その後、何度かこのホスピスの関係の質問は部分的に出ておりますけれども、昨年の三月六日の参議院の予算委員会でも出ておりました。これはある程度質問がしっかりしておりましたけれども、そのとき坂口大臣は、ターミナルケアを実現するシステムをもっとつくり上げていかないといけない、今後も具体的に、積極的に進めたい、そういう御意見をお話しになっていました。
 それからしばらくたっておりますけれども、特にホスピスケアの中でも在宅のホスピスケア、この充実に関して厚生労働省の方はどうお考えでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 この問題、ホスピスケアに対します大変造詣の深い松崎委員の御指摘は、私どももまことにそのとおりだというふうに考えております。中でも、御指摘ありましたように、在宅におけるいわば緩和ケアにつきましては、平成十年の末期医療に関する意識調査等検討会報告書の中でも、今委員が数字を取り上げて御指摘されましたように、その重要性については大変指摘をされているところでございます。
 国民、医師、看護師の七割から八割がもう延命治療はやめていった方がいい、あるいは国民全体で見ても四七%、それから先生もちょっと触れておられましたが、医師や看護職員の七割近い人たちが痛みの緩和に重点を置いた医療がよいというようなことを言っておられます。また、リビングウイルの話もされましたが、一個の人格としての尊厳を保って死を迎えるという尊厳死に対する認識も、大変深まっております。
 こういうことを踏まえまして、私どもといたしましても、診療報酬における緩和ケア病棟への入院や末期の悪性腫瘍患者の在宅医療等についても高い評価を行っているところでございます。また、これについては後ほどそういうことを申し上げる機会もあるかと思いますが、高い評価を行っているつもりでございます。
 このように、終末期の医療につきましては大変重要でございます。ただ、一律に対応するということは必ずしも適切でないというふうに思っておりまして、今後とも、国民意識がどこにあるかというようなことを踏まえながら、検討しながら、調査しながら、適切な終末期医療を受けられるような環境整備に、先ほどの坂口大臣が申し上げたように、積極的に環境整備について検討してまいりたい、このように考えております。
松崎委員 きょうは委員会が同時多発的にいっぱいやっておりまして、特にこの委員会は、普通は大臣を呼ぶというのが原則の委員会でございましたけれども、たまたま厚生労働、SARSだ何だでいっぱいありますので、きょうは政務官ということでございます。別に答弁が不足とは思っておりませんけれども、御自身の、やはり政務官は政務官としてのお立場の責任の中で、しっかりとした、なるべくならば読まないでお答えをいただきたいと思います。
 それで、実は医療費の面からいきましても、確かに緩和ケア病棟は今大分診療報酬は上がっておりますよ。それから一般病棟に対しても加算が昨年からついているということで、確かに少しずつ、かなり上がってきているということはわかります。しかし、私が今回取り上げております在宅ホスピスケア、これは、実は医療費の面からも逆に安上がりなんだ。これから高齢化社会、どんどんふえていくわけですね。この高齢化の率からいきましても、膨大な数の高齢者がふえていく。当然、終末期医療もふえていくわけですから、このままいきますと医療費がますます上がっていくということになります。
 ですから、この緩和ケア病棟の入院費が実は一日三万七千八百円ということですね。これが一月やりますと、これは基本的な料金ですよ、それだけでも百万を切ることはないんですね、緩和ケアに入ったときに。ところが、自宅で最期を迎える、いわゆる在宅の場合ですと、これも今、在宅末期医療総合診察料というのでかなり手厚くなってはきております。これは一日一万六千八百五十円ですから、一月でも五十万は超えないということになっています、これは基礎的な数字で比較しておりますけれども。ですから、やはり在宅に力を入れることによって、医療費もかなり違ってくるよということなんですね。
 実際に、何か医療費を審査分で全部数を出せないか、伸び率をと言いましたら、結局そういうデータはないということで、たまたま八年六月に抽出した医療費の審査分をトータルした場合に、医療費全体の伸びは三一・七なんですけれども、在宅医療費は五〇・八%と伸びている。既に伸び始めているんですね。だから、この傾向からいって、在宅ホスピスを、特に終末期ケアの在宅に力を入れるべきだ、これは医療費の観点からもそうではないかと私は思っているんですけれども、いかがでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 私どもも松崎委員の御指摘のとおり、この在宅緩和ケアにつきましては高い評価をすべきだというふうに考えておりまして、平成六年に在宅末期医療総合診療を創設したわけでございますが、この在宅緩和ケアは二十四時間で対応しなきゃいけないというようなこともありまして、創設いたしました平成六年の四月は、一日当たり、点数でいきますと千五百点であったわけですけれども、改定を重ねまして、現在では千六百八十五点という評価に上げてきておりまして、委員御指摘の考え方を私どももとっておるというふうに考えております。
松崎委員 それで、私は、在宅ホスピスの点数を上げろというのは、実は二十四時間体制なんですね。そこの部分なんですね。全体的には、施設ホスピスも大事だけれども、より在宅の方に力を入れるべきだというのは、相対的な医療費のことですね。しかし、二十四時間体制の在宅というのは非常に大変な対応をしなきゃならない。そこでの在宅の医療機関というのが大分ふえてまいりました。それでも非常に少ないですね。ほとんどは基幹病院が中心にやっているんですけれども、いわゆる町医者の診療所での在宅を専門にしている、最近若い先生がふえてまいりました。でも、全体的には、先ほどの死亡率を見ましても自宅が非常に少ないですから、まだまだ足りないんですね。
 その原因は、なかなかふえていかない理由というのは、やはり二十四時間対応というのは、お医者さんが四、五人カバーしたり、三交代でやるとか、非常に大変なんですね。それに対しては全然カバーしていないんですね。だから、そういうところにやはり私はもっと手厚くすべきではないか、そういうことなんですけれども、いかがですか。
渡辺(具)大臣政務官 私どもも、二十四時間体制ということは、もちろんその前提となっているということは考えておりまして、先ほど言いましたように、役所としてはそれなりの評価をしてきたというふうに考えておりますが、今後とも実態等を踏まえまして、適当な、適切な評価をしていきたいというふうに考えております。
松崎委員 つまり、自宅で最期を迎えたいという人がかなり、六〇パーですか、多いというところに私は着目しているんですね。日本の医療は、今までどうしても大病院志向で、どちらかというと、戦後の日本の資本主義システムといいましょうか、産業として追求してきたということによって、人間の、患者の心をケアするという点が非常に少なかった。そこで今、自分の最期は自分の自宅でという意識が非常にふえてきた。そういうところで、これが在宅ケアになりますと、非常にぴったりいくわけですね。ですから、これを中心にしていきたい、いくべきだと私は思っています。
 それで、独居の方々も多いんですね。独居の方々というのは、むしろ施設ホスピスにお願いをしていく。そして、家族の力を活用しながら、緩和ケアをしながら、緩和医療をしながら最期を迎えていくというのが在宅ホスピスケアの一番中心だと思うんです。
 それを、なかなか地域でのお医者さんの場合、これを専門にいたしましても、もちろん終末期医療だけじゃありませんから、専門性が非常に弱いということで、各地区の基幹的な施設ホスピスの専門医療機関がやはりそういう地域の先生方との教育面でも連携をしていきたい、そういう希望がすごくあるんですね。それがやはり重要だと思いますけれども、そういう試みというのは今後考えていただけませんでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 この問題につきましても、松崎委員の御指摘のとおりだと私どもも考えております。二十四時間体制というのは、一つの診療所なり、病院は別にしまして、より在宅に近い診療所では大変難しいというふうに考えておりまして、こういう場合は病院と診療所の連携が大変大切であろうというふうに私どもは思っております。
 そういう意味で、それぞれの地域のかかりつけのお医者さまを拠点的な病院で研修をするとか、あるいはがんなんかが多いわけですけれども、地域のがん拠点病院等を通じて、そういった養成、病気に対するいろいろな知識や技術の普及を今行っているところであります。
    〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
松崎委員 ぜひそういうことをしながら、在宅ホスピスケアを広げていっていただきたい。これが本当にこれからの日本の高齢者医療にとって非常に重要ではないか、そのように思っております。
 ただ、私は素人でありますから、医学の方はよくわかりませんけれども、私が九八年にケルン大学の緩和病棟を見に行ったときには、そのときまだドイツは、ホスピスはそんなに進んでいないんですね。でも、ケルン大学から全大学へ、緩和医学科の設置だとか、そういうことを呼びかけていました。
 日本では、医学部の中に末期医療学だとかあるいは緩和医療の問題、こういう技術体系はあるんでしょうか、ないんでしょうか。文部科学省にお聞きしましたら全くないということでございますので、ぜひこれから厚生労働省からも文科省に働きかけをしていただいて、学術的にもそういう確立をすべきではないか、そんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 委員御指摘のとおり、時代はそういう時代に向かいつつあるというふうに私も思います。文部科学省ともお話をしていきたいというふうに思っております。
松崎委員 随分受け入れがよろしいので、質問者としては大変うれしいのでありますけれども、聞きっ放しにならないようにお願いしたいと思っております。
 それから、実は国民の意識も大事だと思うんですね。こういう問題は、非常に家族との問題も関係することであります。ですから、やはりホスピスというのが、少しずつ進んではきていますけれども、在宅なんというのはなかなかぴんときていないと思うんですね。ですから、二十年前に日本で初めてホスピス施設ができましたけれども、まだまだ普及が足らない。シンガポールなんかはかなり国を挙げて、日本よりもおくれてホスピスが導入されたんですけれども、啓蒙週間をやったりチャリティーイベントをやったりして、大変に今先進圏になっているんです。国民に対するホスピスへの教育とか啓蒙、こういう問題はほとんど今までやっていないと思うんですけれども、今後どうでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 ホスピスケアについての国民に対する周知徹底は、これからますます大変大切な課題になっていくというふうに我々も思っております。
 このため、先ほど先生が御指摘になりました検討会の報告書なんかも公開をするとか、あるいは平成四年からでありますが、緩和ケア病棟があるかないかといったことを病院に広告を許すというようなこともできるようにしたわけでございます。
 ただ、こういった専門的な場所における周知徹底だけでは、広く国民に知らしめることが、広報することが大変難しいんではないかというふうに私は思っておりまして、今、こういう問題についてもっといい方法はないか。あるいはテレビ等の政府広報を使うとか、あるいは新聞広告で緩和ケアについての重要性を専門家に対談をさせるとか、あるいは最近の西欧におけるうまくいった例を紹介するとか、材料さえあれば国民だれでもが関心を持つ事項でありますから、そういうメディアを通してそういうものを広報していくことを検討しようではないかというようなことを、今松崎委員の質問を受けて、前後でありますけれども、そういうことも検討しているところであります。
松崎委員 ぜひお願いしたいなと思っております。
 もう一つ、これに関係して一番ポイントのところは、緩和ケアだけじゃないんですけれども、緩和ケアの本当のあれは、やはり自分の最期を自分の意思で自己実現できるかというところなんですね。それで最近は、尊厳死協会という団体がもう二十五年ほど前からできておりますね。いわゆるリビングウイルという宣言書を元気なときに書いておいて、そして自分がスパゲッティ症候群とか、意識もなくなる、そういう最期のときには、自分の意思を表明しておいてそして尊厳死を選ぶんだということなんですが、これは非常に私は大事なことだろう。
 カリフォルニアでは自然死法というのがたしかできております。そういうことをしっかりと担保する法律ができているんですね。ですから、即座に法制化というのは難しいかもしれませんけれども、人間の尊厳死を選ぶ権利、こういうものもそろそろ必要ではないか、私はそう思っております。
 十四年の三月、去年の三月、予算委員会で福島議員も、静岡市の医師会の取り組みを、「最期の希望表示カード」、グリーンカード、イエローカードということで自分で選ぶんですね。あるいは病院によっては事前指定書、こんなこともやっております。実際、リビングウイルを書いている人たちもいるわけであります。
 こういう運動というか、自分の尊厳死を選ぶ権利をあらわす、これも大事だと思うんですけれども、この辺はいかがでしょうか。今後、即座に法制化とは言いませんが、方向性はそういうことも大事じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 ただいま御指摘のリビングウイルの法制化については、大変難しいいろいろな問題があると思うんです。本人だけの問題ではなくて、家族の問題もあると私は思うんです。
 これに関する国民の意識調査がございます。これは平成九年でございますが、延命治療を望むか望まないかについては、四八%でございまして、さらに法律を制定すべきという意見になりますと全体の二三%と、まだマイノリティーでございまして、これをいきなり法制化するということはまだ早いのではないかというふうに思うわけでございます。
 私どもは、直ちに法制化ということは考えないけれども、患者とお医者さんとあるいは家族がよくよく意思を通じ合うといいますか、死に臨んでと言うとちょっと言い方は悪いかもしれませんが、そういう時期を迎えて、本人とお医者様と家族が十分話をする機会といいますか、思いを交換する機会をつくることが、そしてそういう中で信頼関係をつくっていくということが私はこの問題では今は一番大切な問題ではないか。
 法制化は、今後の皆さんの意識の変化あるいは医療の進歩にもかかわると私は思いますけれども、そういったものを総合的に見ながら、法制化すべきかについては常に考えておかなきゃいけない問題ではありますが、先ほど申し上げたような意思の疎通を深くしていって、お互いの理解、相互関係を深めていくということの方が今は大切ではないかというふうに考えております。
松崎委員 医療は病気を治し、なるべく長く生かすのは当然なんですね。ですから、それを否定するものではもちろんありません。
 今のテーマは、終末期医療のどうにも治らないという人たちですね。特にがんが多いわけです。これは本当に日常我々の周辺にたくさんあるわけですから、そういう意味で、終末期の問題を大切にしていきたい。それから、自分の尊厳、自分の意思で、今そうじゃないことが多過ぎるんですね。ですから、こういう問題を取り上げております。そして、できれば在宅ホスピスというものを広げていく、これがまたすそ野を広くすることであろうと思っております。
 それで、実は、尊厳死の問題に関係すると、インフォームド・コンセントというのが逆にしっかりしていないとこれは成り立たない話なんですね。自分の意思で自分の死に方を選ぶということでありますから、それには、情報がしっかりとお医者さんから開示をされ、そして納得をしなきゃいかぬ。
 実は、この問題でちょっと、きょうのニュースでしょうか、五月四日に生体の肝移植のドナーが初めて亡くなったということがありました。今まで二千三百も生体の肝移植がありましたけれども、これが亡くなったことはない。ところが、四十代の母親が亡くなってしまった。実はここが、インフォームド・コンセントが不足をしていたんではないかというふうに京都大学も認めておりましたので、ちょっとこれを質問させていただきたいと思っております。
 実際に、日本肝移植研究会も四月にこの問題で、まだ亡くなっておりませんでしたけれども、提言しておりますね。インフォームド・コンセントが十分に行われていたのかどうか、非常に疑問点を指摘しております。この辺、この問題に関しまして、京都大学、インフォームド・コンセントが不足していたのかどうか、どうでしょうか。
恒川政府参考人 お答えいたします。
 今回の京都の事案に関しましては、先生御指摘のように、関係学会においても既に検証され、平成十五年の四月十一日にその結果が公表されております。そして、その中で、インフォームド・コンセントに関しては、レシピエント、ドナーを含めた家族に対する説明は十分な時間がなかったが、手術の必要性の理解、ドナーの自発的な臓器提供であることが確認されたとする一方で、残肝容積が少ない場合の危険性についても説明する必要があったとしておるわけでございます。
 そして、それを踏まえ、今後への提言といたしましては、インフォームド・コンセントでは、予測残肝容積が少ない場合の危険性を含めて十分に行い、患者、家族への全人的サポートが必要であるとまとめており、厚生労働省としても、この提言を重く受けとめているところでございます。
松崎委員 私も詳しくこれは調べておりませんけれども、京都大学がほとんどやっておりまして成功しておりましたから、多少そのなれがあり過ぎたのかな、そんなふうに素人目でも見れるわけであります。
 それから、この患者さんに関しては、非アルコール性脂肪性肝炎というんですか、NASH、これが特別な肝臓の病であったということを認識していなかったとか、あるいはとり過ぎてしまったとか、いろいろ原因はあるので、この問題はまた別の専門の委員会でおやりいただきたいと思います。
 この問題から私が感じますのは、移植はそうなんですけれども、臓器移植は生体じゃなくて、脳死移植が本来主流でないといけないはずなんですけれども、日本ではいろいろな倫理観とか国民の意識なんかがありまして、脳死移植というのは、肝臓だけじゃありませんけれども、進まないというところがあるんですね。
 私は、この辺が実は問題だろうと思うんです。今回のように、結局、脳死移植が少ないから、生きた者同士、親子とか成人から成人というのが今出てきました。それによって、非常に危険性が出てきたり、ドナーが亡くなってしまうということも日本以外ではかなりあるんですけれども、日本では初めてだと。そういうことが今後起こってくるのは、やはり脳死移植というのをもっと進める必要があると思うんですね。
 この臓器移植法の場合は、非常にもめましたけれども、どうやらできているんですね。しかし、これは調べてみますと、ドナーカードを持っている人が、実はこの肝臓でも、三百八十人が意思表示していたにもかかわらず、移植が生かされずに死んでしまったというのが三百八十人いるんですね。
 これはどこに問題があるかと思いますと、どうも意思表示カード、ドナーカード、これは臓器移植法にきちっと書かれているんですけれども、本人の意思表示、それから家族が拒まない。この家族が拒まない、こっちが非常に問題なんですね。
 もちろん、日本の今までの意識とか倫理観からいくと、先ほどのお話もそうですけれども、家族の意思というのが大事だということなんですけれども、私は、この辺、一気にはいきませんけれども、教育だとか社会全体で、そろそろ本気になって、家族が拒まない、家族も同意できるような環境あるいは本人の意思表示を中心にしていく。先ほどのリビングウイルもそうですけれども、本人の最期の、死に至るとき、あるいは自分がもしそうなったときに移植してもいいですよという意思、これは、家族も大事かもしれませんけれども、やはり本人の意思を一番優先するような、そういう状況をつくっていかなければいけないと私は思っております。そうしませんと、この生体移植の危険性なんというのはますますふえてくるわけでありまして、この辺、いかがでしょうか。
恒川政府参考人 お答えいたします。
 臓器移植医療とはドナーの善意を前提として成立する医療でございますが、現行の臓器移植法については、先生御指摘のように、制定時にさまざまな議論がありまして、そうした経緯のもと、現在、家族の同意のみだけではなく、生前のドナー本人の書面による積極的な意思表示を条件とするという、諸外国に比べては厳格な要件を課したものとなっております。
 臓器移植法施行後、これまで二十三名の方から百五名の方へ脳死下での臓器移植が行われているところでありますが、厚生労働省としては、本人の生前の書面による意思表示を求める現行法のもと、多くの方に臓器提供に関する意思を表示していただくことが重要であると考えております。また、先生御指摘のように、家族の同意も必要とされておりますが、そうした意味からは、国民一般に対する普及啓発が重要であると考えております。
 今後とも、我が国における臓器移植の定着に向け、意思表示の重要性や臓器移植に関する正しい知識について、医療機関を初めとした国民一般に対する普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
松崎委員 ぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、私は、かつて五年前に痴呆症の問題を取り上げたことがあります。痴呆症というのは、大体今百七十万人でしょうか、六十五歳以上の高齢者の七・二%おります。当時もかなりおりました。
 当時は、痴呆からくる徘回という問題を取り上げました。これは、痴呆の中の一一%ぐらいが徘回老人なんです。現在ですと十八万人ぐらい全国にいるんですけれども、そのときは、ワンダリングパークというシステムをつくって、痴呆の徘回老人をケアするという提案をしたんですけれども、最近はグループホームというのが相当出てまいりました。実際、聞いてみますと、むしろ、このグループホーム等でしっかりとケアをすることによって、あるいは集団生活をする、地域の中で、みんなで地域の人と一緒に生きていく、これによってかなり痴呆も改善されているんですね。徘回もかなり少なくなるという傾向になっているんで、私も、グループホームというのはかなり違ってきたなと。
 これは、私どもの党の山井君がスウェーデンから一生懸命導入して、今彼が先頭を切って頑張っていますけれども、実際に介護保険ができたときにグループホームも入ったわけでありますね。これは、当時は、二〇〇〇年の四月は三百カ所だったんですけれども、現在は既に三千カ所ぐらいになっている。
 実際、私も幾つか見ました。いろいろ文献に当たっても、グループホームというのは、これからの高齢化医療、そして、痴呆というのは、七・二ですから百七十万ということですね。ですから、各町でも、その数字を当てはめますと、私の選挙区でも約四千人以上いるという数字になっております。
 ですから、これは、いろいろな施設だとか自宅だとか隠れておりますからなかなか見えませんけれども、実際に我々の周辺でも、私のおやじは九十二で元気でまだ痴呆になっておりませんけれども、周辺にいっぱいいますよね。ちょっと年をとってくると、我々も時々もう痴呆ぎみのところがありますけれども、そういう意味で、この対策というのは非常に大事なんですね。そうすると、グループホームをもっとつくっていかなきゃいけないなというふうに私は考えております。
 例の専門家である山井議員のお話では、二〇〇五年までに中学校区に一カ所、つまり十万人分、それから、二〇一〇年までに小学校に一カ所、二万五千カ所、二十五万人分ということですね。
 つまり、今、グループホームは一・五%しか入っていないんですね。それで、特養が一五%、老健が一二%、療養型病床群が九%、自宅が六四%、こういう数字ですから、これからグループホームというものを地域にしっかりつくっていく、私はそれが非常に重要だろうと。先ほどの二万五千、二十五万人分、こんなのも一つ大きな目標だと思います。現在、三千二百カ所でしょうか、今のゴールドプランでは。私は、これは非常に少ないと思いますので、これからスピードアップをすべきだと思っています。
 ところが、ことしの四月からこの指定の基準が強化されましたね。ある意味ではブレーキがかかりそうになっているんですね。この強化した理由というのは何でしょうか。
    〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
中村政府参考人 グループホームにつきまして、ただいま先生からお話ございましたように、介護保険がスタートする前の時点、平成十二年三月に二百六十六カ所でございましたものが、ことしの三月時点で二千八百三十二カ所、今の時点では三千カ所を超えているような状況になっているんではないかと思っております。特別養護老人ホームは、今全国で四千六百カ所くらいございますが、四十年かけて四千六百カ所つくられました。これに対しまして、三年余りで二千五百カ所ほどグループホームはふえております。
 グループホームをふやすことは大変重要な課題だと思っておりますけれども、他方、質の維持ということも大きな課題になっております。たくさんつくられるのは非常に歓迎すべきことでございますが、グループホームは、つくられればいいというものではなく、先ほど先生が御指摘いただきましたような、中で痴呆性高齢者の方が落ちついた暮らしができるようなケアをするというのはかなり難しいことでございます。したがいまして、従来から、グループホームを管理する方への研修の義務づけとか、自己評価、外部の評価機関によるサービス評価を得る義務づけとか、情報公開などのお願いをしてきたところでございます。
 この四月に、介護報酬の改定に合わせまして、さらにグループホームの質を担保するために、例えば、痴呆性高齢者の方ですからできるだけスタッフも固定した方がいいということでございますので、グループホームの数も二つのユニットまでにするということを規制することにいたしましたし、夜間の勤務についても、一人の職員の方が兼務する場合には二つのユニットまでにするというような基準を設けたところでございます。また、介護する計画をつくられる計画作成担当者をグループホームに従来から置くことにしておりますけれども、その方については、いわゆるケアマネジャー、介護支援専門員の資格を持った方を置いていただくということにしております。ただし、これについては三年間の経過措置を設けたところでございます。
 繰り返しますけれども、私ども、グループホームを大いにふやしていかなければならないと考えておりますが、質もあわせて担保していかなきゃならないということで、こういうことの質の確保のための基準の改正を行わせていただきましたけれども、これによりましてグループホームの伸びがとまることがないよう一生懸命グループホームの増設には力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
松崎委員 済みません、時間がなくなってしまいまして、ちょっと最後の、簡単に答えていただきたいと思うんです。
 グループホームそのものが居宅か在宅か非常にあいまいな状況でして、今一番困っているのは、これからターミナルケアも入ってくる、先ほどの問題とも近いんですけれども、ターミナルケアが入ってきたときに、訪問医療、これを使えるようにしてくれというのが非常に強いんですけれども、これをぜひ最後に答えていただいて、終わりにさせていただきたいと思います。
山口委員長 簡潔に御答弁をお願いします。
中村政府参考人 おっしゃるとおり、グループホームをなさっている方々から、訪問看護をグループホームであわせて使えるようにしてほしいという御要望をいただいております。ターミナルケアまでグループホームでやりたいという方、またしていただきたいという方、多うございますので、そのためには訪問看護との組み合わせを考える必要がございますので、私ども、大事な検討課題だというふうに考えております。
松崎委員 どうもありがとうございました。
山口委員長 次に、達増拓也君。
達増委員 平成十三年度決算の総括質疑ということで、まず、平成十三年度の経済財政政策というのはそもそも一体何だったのかという質問からさせていただきたいと思います。
 「平成十三年度決算の説明」という政府からもらった紙の「第一 総説」のところで、「経済の概観」として、平成十三年度の経済について改めて説明があるわけです。
 事前の政府経済見通しでは、国内総生産は名目で五百十八兆円程度であろう、名目成長率は一・〇%程度であろう、実質成長率は一・七%程度であろうという見通しだったわけですが、結果として、国内総生産は名目で五百兆円しか行かず、十八兆円足りなくなってしまったんですね。経済成長率は、名目でマイナス二・四、実質でマイナス一・九という、前代未聞の経済事件と言ってもいいでしょう、そういうことが起きたのが平成十三年度だったわけであります。
 平成十三年度は、政治的には、小泉内閣の誕生というマスコミ的には一種お祭り騒ぎのようなこともありまして、小泉、眞紀子ブームでありますとか、今から思うと、なぜああいうことがと思われるようなこともいろいろ起きた。政治的にはそういうにぎやかな一年間だったわけでありますけれども、経済については魔の平成十三年度、魔の平成十三年度と言っていいような、そういう経緯の平成十三年度。
 この見通しと結果の間にどういう経済財政政策が行われたかといいますと、これは「平成十三年度決算の説明」にも簡単にまとめられておりますけれども、「政府は、平成十三年四月以降、構造改革への取組みを抜本的に強化し、「改革なくして成長なし」との基本的考え方の下、六月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を決定した後、九月には「改革工程表」により構造改革の道筋を提示し、さらに十月には構造改革を加速するために「改革先行プログラム」を決定し、これを受け、第一次補正予算を編成するなど、経済・財政、行政、社会など各般にわたる構造改革を推進した。」公平のために、その後に書いていることもちゃんと読んでおきますと、「その一方、世界経済は同時的に減速し、我が国においても景気は悪化を続けた。個人消費が弱含みであったほか、生産が大幅に減少し、設備投資も減少した。失業率もこれまでにない高さにまで上昇した。さらに、デフレが進行した。」というわけで、先ほど紹介したような名目成長率マイナス二・四、実質成長率マイナス一・九ということになるわけでありますけれども、この政府がやったことと実際起きたことの間の説明がここには余りないわけであります。
 ここで竹中経済財政大臣に伺うんですが、結局、いわゆる構造改革路線、今紹介したような、改革なくして成長なしというスローガンに象徴される構造改革路線というものが失敗だったから経済がこういう結果になったということだったのではないでしょうか。
竹中国務大臣 平成十三年度の経済は極めて厳しい経済であった、委員御指摘のとおりでございます。
 ちょっと細かい話で恐縮ですが、統計のベースが改定されておりまして、実質成長率はマイナス一・二でございます。これが正しい数字でございます。
 これをどのように評価するかということだと思います。
 基本的には、内閣が誕生したのが平成十三年の四月の末でありまして、そのちょうど半年ぐらい前、十二年の十月ないしは暮れぐらいから景気は下降局面に向かっておりました。その下降局面が加速する中で内閣が誕生した。我々としては、前の内閣でつくられた予算を、引き継ぎで、前の内閣でつくられた経済見通しを引き継ぐ形で運営をしていったわけでございます。
 それをもって、構造改革が失敗だったのではないかという厳しい御評価をいただいているようでございますが、構造改革というのは、基本的には、経済が持っている中長期的な成長率を高めることである。しかし、それには、経済の方向、社会のあり方を大きくかじを切らなければいけませんから、これはやはりある程度時間をかけて本来の持っている体力を強くする、つまり中長期的な潜在成長力を高めていく、これが構造改革でございます。
 その意味では、十三年度の我々がやったことというのは、初めて骨太の方針をつくり、初めて工程表をつくり、初めて「改革と展望」をつくり、そのかじを一生懸命切ったわけでございます。その間、実は、経済が循環的な局面で非常に厳しい下降局面になったということ、それと、今達増委員も読んでくださいましたけれども、世界全体が、ちょっと例年にはないような非常に強い下方の圧力を受けた。これは、アメリカでいいますと、経済成長率は前年の三・八%からこの年〇・三%にということで、ちょうどマイナス三・五%ぐらいの収縮をしたということになります。ヨーロッパも同じような収縮をした。そのような非常に厳しい状況の中に日本の経済はあったということであろうかと思います。
 十四年度の成長率はまだ出ておりませんが、これはかなりのプラスになるということは確実でございまして、この点に関しては、構造改革は中長期的に評価をしていただかなければいけませんが、それなりの芽は出つつあるのではないかなと考えております。
 以上、十三年度の経済を振り返りますと、今申し上げたような解釈をしております。
達増委員 前の内閣がつくった予算、前の内閣の見通しという言葉がありましたけれども、思えば、森内閣というもの、これはかなり、当時加藤の乱などというのもありまして、与党も巻き込んだ、不信任成立の一歩手前までいくような、そういう内閣が当時あって、そしてそれが、何だかよくわからない自民党内の事情で突如退陣、平成十三年の通常国会を一カ月休みにして総裁選挙をやった。
 ことしは四年に一度の統一地方選挙があって、野党側は、そういうときには、国会の審議をある程度なしにして統一地方選の方をやってもいいんじゃないかと言ったわけですけれども、そんなことはないとことしはやられたんですが、平成十三年は、四月丸一カ月休みにしてそういう内閣の異常な交代が行われた。そういう森内閣から小泉内閣への異常な交代ということも魔の平成十三年度の要因になっているのかなという気がいたしましたけれども、その辺の詳細な分析はまた後ほどということで。
 マイナス二・四%の名目成長率、実質はマイナス一・二ということですけれども、やはり政治の結果責任ということからして、それだけの本来国が稼げたお金、所得というものが失われたわけで、たくさんの国民が失業なり倒産なりで困ることになってしまった。しかも、二月に、これは岩手県庁が出した平成十三年度の岩手県の経済成長率の速報値なんですが、実質でマイナス五・六%、名目ではマイナス六・三%の成長率だったという。全国がマイナス二・四%の成長率だったときに、岩手県はマイナス六・三%という、倍以上名目で経済が落ち込んでいる。
 ちなみに、これはデータが出ている都道府県を調べようと思って総務省に聞いたんですが、何か総務省は、ことし十二月にならないとデータが出てこないとか言って出してくれなかったんですけれども、速報値ベースとそうじゃないものとの違いもいろいろあるんでしょうが、というわけで岩手を例として出したんですけれども、かなりそういう、地方によって全国以上の深刻なダメージを受けているところがあるようであります。
 岩手県だけじゃないんだと思うんですが、名目成長率マイナス六・三というのは、これはちょっとやはり事件であり、一種の災害と言ってもいいと思うんですね。そういう経済災害のようなことが起きてしまった平成十三年度の経済なんですけれども、これもいわゆる構造改革路線というものが、そういう緊縮的な財政政策、そういった中で、つぶれるべきところはつぶれればいい、そして新規産業にどんどん移っていけばいい、そういうやり方が地方経済に対してより強い打撃を与えていたと言えるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
竹中国務大臣 平成十三年度の成長率、岩手県に関しては、名目で御指摘のようにマイナス六・三%であったというふうに私も承知をしています。もう言うまでもなく、極めて厳しい。全国でマイナス二・五であった。
 私、先ほど、十三年度の世界的な経済の流れで一点重要なことを申し忘れましたが、いわゆる世界的な意味でのITバブルがはじけて、電気機械、通信機器等々を中心に極めて大幅な落ち込みが世界的に見られたというのが十三年度経済であったと思います。実は、岩手県、これはもう達増先生に言うまでもありませんが、そういった影響をもろに受けた地域であったのだというふうに思います。
 実は、平成十二年度、一年前について見ますと、今、十三年度は全国がマイナス二・五に対して岩手県がマイナス六・三と申し上げましたが、その前年につきましては、全国がプラスの一・一であったのに対して、岩手県はプラスの一・六ということで、全国よりもむしろ、わずかだけれども成長していたということになります。
 恐らく、電気機械を中心とする業種で非常に大きな変動があって、その前のぐらいまでは比較的高い伸びをしていたんだと思うんですが、この年に世界的なIT不況を反映する形で、我々の数字でも、実は電気機械はマイナス三七・九%というような深刻な影響が出たというふうに承知をしております。そうしたウエートが高い産業に依存した地域において、より大きな影響が出たということなのだと思います。
 御指摘のように、小泉構造改革でそういう影響が出たのかと。構造改革、十三年度に関しては、実態的には予算もまだつくっておりませんし、そういうような形で非常に大きな影響が特に岩手県で出たというのは、これはちょっとそういうことでは必ずしもないのではないか。むしろ、今申し上げたIT関連の世界的な流れの中で理解ができるのではないかと思っております。
達増委員 IT関連需要の低迷による電気機械の大幅な落ち込みというのが、確かに岩手でありました。ただ、ほかにも建設業や卸売、小売業も落ち込んだということもございます。
 IT関連需要の低迷による電気機械の大幅な落ち込みということについては、平成十三年度の経済財政運営の基本的態度の2「時代を先取りした経済構造改革の推進」(イ)「IT革命の飛躍的推進」というのが実は平成十三年度にありまして、そういう点からすると、非常に皮肉な結果になっているんだと思います。
 さて、こういったことで、平成十三年度の経済財政政策は何だったのかという問題は極めて今日的な問題で、基本的にそのときの改革路線をさらに加速するということで今日に来ているわけでありますから、今これでいいのかという議論も非常に国を挙げてなされなければならないときなんですけれども、そこで気になりますというか、困りますのが、きのうの本会議でもこれは小泉総理がおっしゃっていたんですけれども、小泉総理はこういう言い方をするんですよ。今、ことしは三十六兆円も公債を発行している、税収が四十二兆円と落ち込んでいるときに三十六兆円も国債を発行しているんだから緊縮財政とは言えない、今やっていることは緊縮財政じゃない、緊縮政策ではないというようなことをきのうも小泉総理はおっしゃっていたんですね。
 ところが、これはきのうの毎日新聞の夕刊を例に挙げますと、岩見隆夫さんが、小泉総理は緊縮財政路線がメーンだからこれは政策転換しないだろうとか、座談会の中で発言していまして、そういうジャーナリストのほかにも、エコノミストもそうでありましょうし、経済学者もそうでありましょうが、大体、今小泉内閣がやっているのは緊縮財政、緊縮政策であって、それがいいのか悪いのかという議論を国民的にやっているんだと思うんです。そうやってみんなが一生懸命議論しているときに、小泉総理が、いや、自分がやっているのは緊縮政策とは思っていないとか言われますと、議論ができなくなってしまうんですね。
 この点について、これは塩川財務大臣に確認したいのですけれども、小泉内閣としては、公債の発行額、国債の発行額が多い場合には緊縮財政とは言わない、国債の発行が少なければ緊縮財政だけれども、多い場合には緊縮財政とは言わない、そういう定義をされているのでしょうか。
塩川国務大臣 緊縮財政というのは、その立場立場に立つ人の感覚によりまして、あるいは認識によりまして違っておると思っておりますが、国債の発行額が、非常に絞ってきたから緊縮であるとか、あるいはまた、一般財源が少ないのに国債を多く出してやっておるから緊縮財政ではないとか、そういう議論は人によってとりようがあるだろうと思っておりますけれども、私は、現在の財政は、財政の立場の者から言うならば、決して緊縮財政ではない、むしろ公需を生み出すために、積極的な公債発行でもやって公需を生み出してきておるという財政であると思っております。
 したがって、私自身としては、これは役所の考えじゃありませんけれども、緊縮財政ということを言うならば、ある一定の目標を抑えるために行っていく財政を私は緊縮財政だと思います。
達増委員 大概のエコノミストや経済学者が使っているように、前年よりも支出を抑えている、前年よりも歳出が減っている場合に緊縮財政、緊縮政策と言うというような素直な用法を使った方がいいと思いますよ。
 多分、小泉総理の感覚からすると、借金をたくさんしているんだから、あたかも消費者金融でどんどんお金を借りて、お金をどんどん使っている人のイメージで、何か放漫財政、緊縮の反対は放漫であろうということで、今みたいな借金漬けの財政は放漫財政であって緊縮財政じゃないという感覚でしゃべっているのかもしれませんが、緊縮政策の反対は積極政策、緊縮財政の反対は積極財政であって、それは歳出、支出をふやして、国民経済にそういう実際に使えるお金、実物経済にお金をどんどんふやしていくことをやるかどうかというのが緊縮かどうかの問題なので、多分総理大臣は放漫財政じゃないということを言いたいんだと思いますが、そういう用法については、きちんと国民的議論に合わせて使っていただきたいと思います。
 さて、きょうはもう一つ、SARSについて質問をしたいと思います。
 突発性呼吸器不全症候群、SARS。これは今、厚生労働委員会の方でも、先ほども何か疫学上の議論など専門的な議論がされていたようでありますが、決算行政監視委員会ですから、行政監視的な立場から、政府としてきちんとした体制でやっているのかというところを確認させていただきたいと思います。
 現在、SARSについては、内閣に対策本部があるというような形ではなく、所管の厚生労働省を中心に省庁間の連携を図ってやっているということなんですけれども、外国にある日本人学校の問題でありますとか、また海外渡航の問題、帰国の問題、その他いろいろ他省庁にわたる危機管理の問題だと思うのですけれども、この点、今どのような体制でやっているのか、伺いたいと思います。
渡辺(具)大臣政務官 SARS対策に対する組織でありますが、まず厚生労働省内におきまして、厚生労働大臣を本部長といたしまして対策本部を設置して、これに当たっております。しかし、委員御指摘のとおり、海外における問題あるいは空港や港湾における水際作戦等々の問題もありますので、外務省あるいは国土交通省とも緊密な連絡をとりながら対応しているところであります。
 具体的に申し上げると、今月の一日に関係省の大臣による会合が開催されましたし、必要に応じまして、事務レベルでも随時協議をいたしております。また、毎日定期的に、SARSの海外の発生動向でありますとか新たな情報につきまして、そういった面の交換も関係大臣ともしているところでございます。
達増委員 次は、地方自治体との関係について伺いたいと思います。
 きのう地方自治体との連絡会のようなことを厚生労働省さんの方でやって、かなり地方から不満が出たとけさ報道されているところであります。これは、患者さんが出る現場、治療しなければならない現場というのは、基本的に地方地方で行わなければならないわけでありまして、また病院や医療、福祉については、都道府県あるいは市町村、そういった地方自治体が所管しているケースが、基本的な所管をしているわけですけれども、最近のこういう議論を聞いておりますと、ともすれば国の方で都道府県に任せ過ぎているのではないか、任せっ切りになっているのではないか、もっと国の方で、例えば専門家を派遣してくれるとかそういったことをやってもらわないと、都道府県に任せられてもこのSARSにはきちんと対応できないという声が出てきているようなんですけれども、この点はどうなっているのでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 SARSにつきましては、まず、発生者の人権に十分配慮した上で、必要な医療を提供するため感染症法上の新感染症として取り扱うこととしておるわけでありますが、患者が発生した場合には、感染症法によりまして、まず都道府県において積極的疫学調査等の措置を迅速に行うということにされているわけでございます。
 このため、厚生労働省といたしましては、こういったことをされます都道府県に対しまして指導助言を行っておりまして、疫学、臨床医学にかかわる一チーム四名程度の専門家チームを既に人選しまして準備しておりまして、そういうことがあった場合にはいつも派遣できる体制になっているわけでございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、昨日は、これは都道府県を集めました担当部局長会議だったのですけれども、この中で、朝日新聞に報道されておりますように、いろいろな指摘が出されたわけでございます。そういう指摘もありまして、そういうことが報道されておりますので、今先生もその点についてそういうことがあったということを御指摘されましたので、どんな指摘があって、それに対して我々がどう思っているかということもあわせて、この場をかりて報告させていただきたいわけであります。
 まず書いてあったのは、情報が非常に遅い、後手後手であったということを言われているわけでありますが、私どもとしては、いろいろな情報を、ホームページ等を通じて常に最新の情報を、都道府県はもちろんでありますが、国民も見られる状態で提示をしていた、最新の、最大の迅速な対応を私どもはしていた。そういう面でも、都道府県に任せないで、情報の提供等も通して、都道府県とともに、提供しながらこの問題に当たってきたというふうに思っているわけでございます。
 それから、国立病院等の指導に行ったのが早くて、都道府県の管轄する病院に対する指導がむしろ遅かったと。それは、都道府県が前線に立っているんだから、もっと先に都道府県をやるべきではないか、そういう意味でも都道府県をもっと国が指導あるいは援助すべきではないかという趣旨であったというふうに思います。全都道府県におきまして、今アクションプログラムというのをつくっていただくことになっておったわけでありますが、昨日になりまして全体が出てきたわけであります。そういうタイミングをとらえて指導なりあるいは協議をするのがいいのではないかということで、そういうことのタイミングになったわけであります。
 それから、検疫所等に対する国立病院からの医師の派遣が非常に少ないという御指摘も、それも委員御指摘の都道府県に対する支援の薄さという批判の分類になるのではないかというふうに思いますが、我々としては、地元の医師二名に嘱託して対応をお願いしておったわけでありまして、例えば、沖縄県の要望により、県から派遣された医師も検疫に参画をしておったということでございます。
 そういうことで、私どもとしては、必ずしも都道府県の努力に依存するということではありませんで、各都道府県とも意思疎通を図りながら、あるいは情報をキャッチしてそれを流すとかいうことは国の方が迅速かつ得意でございますので、そういう面では、国が中心になってこの問題に取り組んでいるというふうに思っております。
達増委員 今挙げられた例の中で、一番最初に、情報が遅い、しかし、それはきちっとやっているというような答弁だったと思うんですけれども、情報というのは非常に今重要なんだと思うんですね。
 特に、日本でまだ患者さんが出ていない段階で水際で食いとめていく、また、最初の一人、あるいは何人か患者さんが出た場合に的確な最初のアクションがとれるためにも、SARSに関する最新の知見というものが常に医療現場に行き渡るような仕組みになっていないとだめだと思うんですね。また、医療現場にさえそういう情報がちゃんと行っていれば、一般の国民でも、お医者さんに行けば、病院に行けば、どうすればいいかがわかるというふうになるわけですから、その辺はきちんとやっているんでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 委員御指摘のとおり、新しい病気でありますから情報というものが大変重要でありますが、SARSにつきましては、国内発生がないということ、それから最新の知見はWHOや諸外国から情報を収集せざるを得ない、こういう状況でございます。
 したがいまして、WHOの情報は、必要なものを逐次日本語に訳しまして、厚生労働省あるいは国立感染症研究所のホームページを通して常にだれもがアクセスできるように提供しておりますし、また、その中で特に重要と判断しましたものにつきましては、都道府県を通して、医療機関あるいは医師会の協力を得まして、各医師にも伝わるように努力をしておるところでございます。
達増委員 SARSの流行については、最近は一定のペースでふえていると申しますか、ふえ方が急激にふえているわけではなく、国や地域によってはふえ方が衰えてきて、鎮静化に成功したんじゃないか、鎮圧できたんじゃないかというような国や地域も出ているようでありますけれども、中国というのが、本当にWHOに報告しているのかという問題もあって、よくわからないところもあるんですが、そういう中で、政府として、SARSの内外における、日本はまだ患者さんが一人も出ていないわけですけれども、日本も含めて、今後の流行についてどのように予測していますでしょうか。
渡辺(具)大臣政務官 御指摘のとおり、最近の新規の発生数はむしろ減少しておりますし、中国におきます情報の信頼性、リライアビリティーはちょっとわからないところがありますけれども、ベトナムは出ていないというようなこともありまして、WHOの事務局長の話によりますと、現在のSARSを取り巻く状況は、これを封じ込める機会が見える状況になってきたんではないか、ただし、封じ込めのための努力は今後とも一層力を込めてやらなきゃいけない、こういうふうに述べておられます。
 我々としても、全くそのとおりで、油断するわけにはいかない、ますます厳重な監視体制をしいていかなきゃいけないというふうに思っております。万一そういう感染者を発生したとしても、流行状態にならないように、流行しないように、入院、院内感染症防止対策等々について万全の措置をとっていきたいというふうに思っております。
達増委員 きちんとした医療体制でありますとか、患者さんの取り扱いでありますとか、気をつけていれば急速な流行を防ぐことが十分できるような病気であるらしいので、そこは日本政府としてもきちんと対応し、国民が余計な不安でパニック的なことになったりしないよう努めていただきたいと申し上げ、私の質問を終わります。
山口委員長 次に、大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 昨年、当委員会で、旧日本軍の毒ガス問題について質問をいたしました。その中で、さがみ縦貫道建設工事の現場の具体的な問題とあわせまして、旧日本軍が生産した毒ガスについての全国的な再調査の問題、あるいは政府に責任と権限のある窓口を設置する問題、そして一九七二年に国が行った調査結果、その資料提出なども要求をいたしました。
 その後、この再調査については環境省が行うということになったと伺いました。前回の当委員会で福田官房長官が昔のことで困難だと言っていた、こういう答弁から見れば、前進であると思います。
 あわせまして、一九七二年の、前回の調査の調査結果資料、これもその後提出をされました。環境省も相当苦労をされたと思うんですが、こういう点での御苦労については大いに多とするものであります。
 この資料については、政府の毒ガス問題でのいわば唯一の資料として大変貴重なものであると思いますけれども、やはり当時のさまざまな制約の中でのまだ不十分な状況もあるのではないかと思います。例えば、これは各都道府県ごとの評価もされておりますけれども、危険予測材料なしとされている神奈川県の寒川町やら、あるいは平塚市で現実に被害が出た、あるいは全く記載がない茨城県の神栖町でも被害が出ました。
 そういう意味で、この再調査、今改めてやられるわけでありますけれども、私は、政府の決意としてお聞きしておきたいと思うんですが、旧日本軍がどれだけの量、かつて毒ガスを生産したのか、あるいは終戦時、どれだけの量を備蓄していたのか、これを明らかにするのは、私は、二つの点で大変重要だと思うんですね。一つは、旧日本軍が中国、アジア太平洋地域でどういう毒ガス作戦を展開したのか、これを解明するその重要な前提になるということであります。もう一つは、旧日本軍が中国を初めとする海外や国内に遺棄した毒ガスの量がどれだけか、これを明らかにする上でも、これは今日的にも大変重要だと思うわけであります。
 環境省の方でこれは大いに奮闘していただくことはもちろんでありますけれども、そういう意味でいって、私は、環境省にとどまらない、政府の総力を挙げて、改めて旧日本軍の毒ガスの生産、使用、保管、投棄等の実態を明らかにするということが重要じゃないかと思います。まずその点、政府の見解をお聞きしたいと思います。
伊藤政府参考人 国内における旧化学兵器問題に関し、現在、行政的に求められている重要課題ということにつきましては、第一番目に、旧軍の製造した老朽化学兵器による被災事故及び環境汚染を防止すること、それから第二に、国内で発見された老朽化学兵器を、平成九年に発効いたしました化学兵器禁止条約に基づき、適切に廃棄していく、これが非常に重要なことになっているだろうというふうに考えております。
 このような観点から、現在、内閣官房の指示によりまして、環境省が中心となりまして、今御指摘のありました昭和四十八年の旧軍毒ガス弾等の全国調査のフォローアップを行うということになっている次第でございます。
 四十八年調査におきましては、終戦時における旧軍毒ガス弾等の保有、廃棄の状況、それから戦後における旧軍毒ガス弾等の発見、被災及び掃海処理の状況、こういったことを調査しているわけでございまして、今回このフォローアップを行うということでございます。これらの状況について、現段階で可能な限り情報が収集、整理されるということを期待している次第でございます。
 また、内閣官房といたしましても、今回のフォローアップ調査が関係省庁協力のもとで実りあるものになるよう、必要な調整等を行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
大森委員 そうした毒ガス兵器等がいかに生産されたかというような点については、現在でも民間の研究者等によっても地道にやられております。
 そういう中で、一九七二年以降においても、重要な米軍関係の公文書なども発掘されております。例えば、アメリカ太平洋陸軍参謀第二部「標的番号八十五、東京第二陸軍造兵廠忠海製造所」等の資料とか、幾つかそういうものも発掘をされております。こういうものの活用とか、それから、北海道の屈斜路湖から遺棄毒ガス弾二十六発が引き揚げられたのは、つい六年数カ月前でありますけれども、これも元兵士の証言、特に、地下鉄サリン事件に触発されて、改めて不安を感じて、行政当局に申告したということで、旧軍関係者への聞き取り等もまだまだ有効だと思うんですね。その後新たに発掘された文書の活用、あるいはこういう聞き取り活動の徹底した展開などによって、ぜひ全容を明らかにしていただきたいと思います。この点を強く要望して、具体的な問題に入っていきたいと思います。
 まず、最近、茨城県の神栖町で、飲用井戸水が砒素で汚染され住民が被害を受けるという重大な問題が起こりました。これについて、国はどのようにこれまで対応されたのでしょうか。
南川政府参考人 この問題につきましては、ことしの三月二十日になりまして、相当程度高い砒素が検出されているということがはっきりいたしました。そして、本年の四月十六日に、茨城県知事から環境大臣に対しまして、神栖町における飲用井戸の砒素問題について早急な原因調査を求めるという要望がございました。また、内閣官房から、この問題について、旧軍施設との関係が懸念されるということで、環境省が中心となって対応するよう指示がございました。早速、私ども、次の週の週明けの月曜日、四月二十一日に、環境省の担当者さらに国立環境研究所の専門家が一緒に現地調査を行っております。汚染井戸あるいは周辺環境の状況を確認いたしております。
 現在、これらを踏まえまして、今後の調査内容につきまして、茨城県と連絡をとりながら、その準備を進めているというところでございます。
大森委員 私も現地の調査に行ってまいりました。基準の四百五十倍の砒素が検出された。その井戸水を実際に使用していた住民の皆さんのお話も伺いました。新聞報道等では、手足のしびれとかいうような表現になっておりましたけれども、そんなものじゃないと。手足の震えなどの症状が出たということで、それは深刻な訴えでありました。特に、お子さんも一緒でありましたけれども、一歳半の子供さんの場合はまだ影響が残っているんじゃないかと非常に強い不安を訴えておられたんですね。
 あわせて訴えられたのは、行政当局の、これは大変いいかげんな調査じゃないかと。県知事も来たんだけれども、空き地の向こう側の道路に立って、ちょっと眺めただけですぐ飛んでいったということとか、それから環境省にも、来たけれども、私たちの話は聞いてもらえなかったということでした。
 今後、環境省が、先ほどの全国調査、再調査を行われるということも含めて、こうした関係住民の皆さんの声もしっかりと聞くというような立場を明らかにしておいた方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
南川政府参考人 個別の地点で問題が幾つか出ております。寒川もそうですし、神栖もそうでございます。
 私ども、全く本件について逃げる気はございませんで、当然専門家の意見も聞きますし、また実際に被害に遭われた方の様子についても、できるだけつぶさに、直接接触してお話は伺いたいと思っています。
 ただし、これは自治体がございます。自治体と十分連絡をとりながら、極力、一切の生の声を吸い上げていきたいというふうに考えております。
大森委員 住民の方がそういう形で、私どもお会いしたときに御意見が出たわけですから、国、県、市、これは協調して住民の皆さんの話をきちんと聞くという姿勢をぜひ貫いていただきたいと思います。
 今、先ほどの御答弁にもありましたように、今回の井戸水から検出された物質は、旧日本軍が製造していた毒ガス、嘔吐剤、くしゃみ剤から分解されてできたとされる有機砒素化合物ジフェニルアルシン化合物、これも検出をされました。ここは、戦時中、内閣中央航空研究所鹿島実験場があった箇所なんですね。特攻隊の訓練も行われていた海軍の神の池飛行場もすぐ近くにあったわけであります。
 昨年の当委員会で私も指摘をしましたけれども、戦前生産をされた化学兵器、毒ガス弾等は多くが飛行場等に配備されたということからも、こうしたことと深い関係があると見なくてはならないと思います。
 そういう意味で、これは国の責任で全面的な原因の究明と徹底調査を行う必要があるのではないかと思います。環境大臣に、まず、その点での基本的な見解をお聞きしたいと思います。
鈴木国務大臣 神栖町におきます飲用井戸の砒素汚染の問題でありますが、先般も茨城県の橋本知事さんが私のところにもおいでになられました。地元としても、大変重要な、深刻な問題だと位置づけておられますし、そして私も、今先生から御指摘ございましたとおり、その井戸を飲用されていた方々に深刻な健康被害が出ているということを、これは大変強い憂慮の念を持っているところであります。
 今、その健康被害の原因として考えられるのは、先ほど来御指摘のように、飲用井戸の砒素汚染である、こういうことでございますので、まずその原因究明を徹底的に行う必要がある、そのように思っているところでございます。来週になりますけれども、専門家の会議も開催することにいたしております。そういう専門家の御意見も聞いて、今後、原因を究明するためにどういうような調査をしていったらいいのか、そういうことを早急に取りまとめて、しっかりした調査をして原因究明を図ってまいりたい、そのように考えているところであります。
大森委員 その際に、ぜひ御検討いただきたいこととして三点申し上げたいんですが、一つは、四百五十倍あるいは数十倍の基準値を超えた井戸水がある箇所を中心に、これは地主さん等々の協力も当然得なくてはならないんですが、全面的な掘削調査、これはどうしても必要だということですね。それから、全域的、広域的な調査についても、メッシュを相当狭めたそういう調査も必要だということが第二番目。そして三つ目は、これは小さな町のことですから、そうした調査を行う上で、町で行えといっても、これはとても無理な話でありますから、財政的、技術的な援助を国が相当やらなくちゃいけない。この三つの点もぜひ含めて御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
鈴木国務大臣 今、先生から、問題となっている井戸の掘削という具体的な御提案、それからメッシュを細かくしてやるべきだということでございますが、私どもとしても、原因究明のための調査でございますから、これはきちんとした調査をしなければいけない、そのように思っております。先ほど申し上げましたが、来週には専門家の会議を行いますので、専門家からの、どういう調査をしたらしっかりした結論を得ることができるのか、そういうことを十分踏まえて、遺漏のない調査をしてまいりたい、そのように思っております。
 それからもう一つ、先生から、いろいろな技術的あるいは財政的な援助というような、支援というようなお話でございますが、この神栖町の原因でございますが、寒川町のさがみ縦貫道の場合ですと、実際に瓶に入っておりますびらん剤でありますとか催涙剤でありますとか、そういうものが出てきたわけでありますけれども、この地においてはそういうものが出ておりません。したがって、原因はわからないということでありますが、先ほどお話しのとおり、この地の地歴を見てみますと、旧軍の毒ガスとの関係というのは、これがもう排除できないものでございますので、まずその原因をしっかりと究明したいと思います。
 そういう中で、実際に県が何か調査を行うということになりましたら、必要に応じて、こうした支援についても、国として必要かどうかの検討を行って、適切に対応してまいりたいと思っております。
大森委員 検出された物質については、これは毒ガス兵器以外には全く考えられないというのが専門家の意見でありますから、持ち込まれた経緯はいろいろ考えられるとしても、物質としてはそれは断定できる状況まで来ていると思います。そういう意味で、国が積極的に行うということと、あわせてもう一、二点、地元の要望についてお聞きをしたいと思うんです。
 一つは、私どもがお聞きした住民の方のお話でも、直ちに井戸水から上水道に切りかえたということで、少なくとも自覚症状はかなり減ったというわけですね。それ以外のことについてはもっと詳細に当然これは検査をしなくてはならないと思うんですが、そういう意味では、上水道に切りかえる、これは緊急の課題であると思います。
 あわせて、健康相談などがこれは当然ふえているわけでありますから、地元として、そういう健康相談などに応じられる医療体制についても県、国等に要望したいというお話もありました。これもあわせて、こういう町当局あるいは住民の要望について、これらも含めてできるだけ応ずるという姿勢をぜひお示しいただきたいと思うんですが、これはどちらになりますか。
恒川政府参考人 お答えいたします。
 飲用井戸から水質基準を大幅に上回る高濃度の砒素が検出された茨城県の神栖町木崎地区については、既に水道布設は完了しておりまして、神栖町水道の利用が可能になっております。このため、厚生労働省においては、茨城県に対して、汚染井戸の利用者に対する上水道への早急な転換を指導したところでございまして、茨城県においても、これらの措置を適切に講じてきており、衛生行政、水道行政の観点からは、現段階において必要な措置は講じられてきたというふうに認識しておりますが、現在、関係省庁や茨城県において原因究明のための調査が実施されておるところであり、その調査結果を踏まえ、汚染が判明した井戸については、水道への切りかえ等、必要な対応を促進してまいりたいというふうに考えております。
 また、健康相談については、保健所等において平素から実施しているところでございます。また、神栖町の地下水汚染による健康被害に関する健康相談については、茨城県潮来保健所及び神栖町保健センターなどにおいて実施されているところでございます。
 厚生労働省としては、自治体から求めがあれば、専門的、技術的な観点からの必要な支援は行ってまいりたいというふうに思っております。
大森委員 確かに、上水道給水地域でありますけれども、ここの地下水は大変良好な地下水ということで、併用世帯なども非常に多いわけですね。そういう中で、上水道への切りかえに当たっての要望も出されているわけでありますから、これはぜひ前向きに対処していただきたいと思います。
 次に、前回と関連しますが、旧海軍相模工廠跡地での調査の問題、さがみ縦貫道の問題ですね。あれから半年余りが経過したわけでありますが、さがみ縦貫道路建設現場での調査の現状と今後の見通し、これはいかがでしょうか。簡潔にお願いします。
佐藤政府参考人 昨年九月と十二月に、ビール瓶に入った不審物十一本がさがみ縦貫道路の工事現場予定地で発見された。分析しましたら、マスタード、あるいはクロロアセトフェノン、ルイサイト、こうした物質であったということでございます。
 国土交通省といたしましては、住民の安全対策等を図るために設置した、国土交通省と神奈川県、神奈川県警、寒川町で構成する安全対策連絡会議での議論を踏まえまして、これまでに、大気の化学検知調査、掘削残土仮置き場周辺のフェンス設置工事、それから周辺の土壌表面調査、水質調査、掘削残土表面調査及びシート被覆作業などを実施してきたところであります。
 さらに、化学、環境、廃棄物、医学などの分野の幅広い有識者から構成されるさがみ縦貫危険物処理に関する有識者委員会を十二月十二日に設立いたしまして、現在までに五回開催しまして、調査方法、危険物の処理方法などについて御議論をいただいているところであります。
 この当該委員会の指導助言のもとに、現在までに、当該敷地内につきましては、安全確認のため、これまでにボーリング調査を百九十九カ所やってございます。それから掘削残土仮置き場では、残土を密閉して、さらなる安全性を確保するため、テントを設置したところであります。さらに、安全確認を行いながら、危険物発見箇所周辺の掘削調査を実施する予定としておりまして、汚染された掘削残土などの処理のため、専門業者への委託契約の手続、これの公募手続を三月三十一日に開始したところでございます。
大森委員 一定の調査をやられているようでありますけれども、住民やあるいは町当局等が不安を残したまま工事を再開、強行するというようなことはあってはならないと思うんですが、その点、一点だけお聞きしたいと思います。
佐藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、残土の飛散防止などのためにポリエチレン製シートで被覆するとか、あるいは二十四時間態勢で現場の安全管理を実施する。それから、有識者委員会の指導助言のもとに、さらなる安全性を確保するため、テントを設置した。さらにいろいろな調査を、土壌調査等を継続して実施しながら、有識者委員会において、回収された危険物並びに汚染された掘削残土の処理方法につきまして御検討いただいて、これを踏まえて適切に措置してまいりたいと思っております。
 このためにもということで、先ほど申し上げました危険物処理のための委託契約手続を三月三十一日に開始したところでございます。地元の皆様に常に情報を公表しながら、できるだけ不安をお持ちにならないように努力してまいりたいと思っております。
大森委員 今ボーリング調査をやられたというのは、道路の建設工事予定地のみですね。相模海軍工廠、広大な工場跡地をちょうど横断する形でさがみ縦貫道が走っているということで、あとは圧倒的に民間の土地なわけですね。道路予定地以外はボーリング調査をしないということになると、これは問題だと思うんですね。それで、そういう道路予定地以外の相模工廠跡地の調査は政府としてはどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。
南川政府参考人 この寒川におきますさがみ縦貫道道路予定地以外の周辺地域につきましては、内閣官房から御指示がございまして、私ども環境省が中心となりまして、関係者に入っていただいた検討会をつくっております。その中で、周辺についてどういう調査が必要か、そして、どのような形でできるだけ地元の方に安心していただけるかということを今探っているところでございます。
大森委員 この相模海軍工廠跡地の相当部分を占めるのが日東化工という会社ですね。これは平成十三年にも、実はこの日東化工の工場内から不審な瓶が発掘されたということで新聞でも大きく報道されたわけなんですが、実はこの工場が、今年度、十五年度、十六年度で建てかえ予定があるということで、町当局に今相談が来ているわけですね。この環境省の調査とこの建てかえの関係はどうなるのか、そして、もし建てかえ最中にまた新たな瓶が出てきたら、これはだれがどういう責任でどうするのか、このあたりはどうなりますか。
南川政府参考人 私ども、現地を訪れた際に、日東化工の工場内にも立ち入りをいたしております。その中で、先生御指摘の案件についても話を聴取いたしております。また、建てかえの計画があるということも聞いておりまして、今後、政府としての調査、そしてさらに工場の建てかえ計画、そういったものをどうやってうまく折り合わせて進めていくかということを今検討しているところでございます。
大森委員 ですから、これはやはり埋設等をされているという前提に立っていろいろ計画をした方が、本当に安全のために必要じゃないかということを申し上げておきたいと思います。
 国土交通省の方ですが、六千立米、これは前回も指摘したわけなんですが、高さ八メートルから十メートルもの建設残土、ドームをかぶせて、臭い物にふたをしろというような状態に今なっているわけなんですけれども、これはどうするんですか。これについても、地元のいろいろな情報では、瓶がこれらの表面に出ていたとか、いろいろな話があるわけですね。ですから、これについて、中に、掘り返したまま一緒に残土と置かれている可能性もあると判断しているのか、そういう立場でここも全面的な調査をするのかどうか、これは当然すべきだと思うんですが、いかがですか。
佐藤政府参考人 委員御指摘の六千立米、ここの残土の山からビール瓶が出た。このビール瓶の周辺の土砂の、土壌の調査をしてみましたところ、一部にやはり汚染が見られる。二十カ所ほど調査した中で汚染が見られる。
 したがいまして、この六千立米の処理をどうするか。先ほど申し上げました有識者の委員会の御指導もいただきながら、三月三十一日にこの掘削残土の残土処理の公募を行って、これから、公募に応募した会社がJVで七、八社たしか今のところあると思いますが、ここで、あわせていろいろな調査や検討をしながらこの処理をきっちりやっていく、こういうことにしているところでございます。
大森委員 いささかの不安も残さないように、ぜひ徹底的な調査、処理をしていただきたいと思います。
 あわせて、これは冒頭の答弁にもありましたように、化学兵器禁止条約、CWCに基づく老朽化した化学兵器ということで、化学兵器禁止機関、OPCWへの報告が既に行われたと思うんですが、その後、その報告の実施の状況と、それからこれに基づくOPCWの査察があると思うんですが、これの見通しは今後どうなるか、お聞きしたいと思います。
天野政府参考人 お答えいたします。
 さがみ縦貫道路工事現場で発見された不審物につきましては、我が国は、昨年十二月十二日に老朽化した化学兵器として化学兵器禁止機関技術事務局に申告を行い、その後、ことしの一月三十一日に必要な追加の申告を行っております。
 化学兵器禁止機関による査察の時期は同技術事務局が決定するため、現時点で具体的な時期の見通しを述べることはできませんが、外務省としては、我が国におけるこの不審物の処理方法の検討の進捗状況を踏まえつつ、査察が早急かつ適切なタイミングで行われるよう、同技術事務局に働きかけていく考えです。
 なお、先週及び今週、ハーグにおいて第一回化学兵器禁止条約運用検討会議が開催されておりますが、私は先週、ハーグに出張の上、四月二十九日、フィルテル事務局長に会い、今後とも化学兵器禁止機関が引き続きこの問題について円滑に協力してくれるよう申し入れてまいりました。
大森委員 これは寒川町の工場跡地だけじゃなくて、今後、類似の事故、事件はどんどん続発することが予想されると思うんですね。そういう意味でも、これらがこの禁止条約との関係ではどうなるかは、また全般的な問題として検討していただきたいと思います。
 その後、今度はことしの四月三日、同じ相模海軍工廠の平塚工場跡地、ここで、国土交通省が発注した工事現場で同じく不審瓶が出てきました。三人の作業員が健康異常を訴えて医療機関にかかるということになったわけですが、この問題でも、市街地の中心部分にありますから、住民の不安が大変高まっております。
 この平塚化学工場、平塚工場跡地というのは、環境省の方で御努力いただいて提出していただいた七二年の調査資料、結果では、相模海軍工廠化学実験部、平塚市、この記録ですと、〇・四トンのイペリット、ルイサイトが十・二トン、鉄がめ二十ケ、ドラム缶三十缶、これだけ保有されていたというのがこの平塚工場跡地ですね。そこで今回こういう事故が起こったわけですね。ここでも毒ガスはやはり存在しているという前提で徹底的な調査を行う必要があるのではないかと思いますが、これは国土交通省ですか。
山口委員長 申し合わせ時間が終了しておりますので、御協力をお願いいたします。
春田(浩)政府参考人 平塚第二地方合同庁舎工事現場におきまして不審物が発見された件に関しまして、周辺住民の不安を解消するための調査、こういったことがお尋ねがございました。
 四月三日に、おっしゃいましたように、工事現場におきましてガラス瓶三個が発見されました。不審物が発見された直後、周辺の安全を確保するため工事現場を立入禁止区域といたしまして、二十四時間態勢で現場の安全管理を行っているところでございます。また、警察の指導及び有識者の意見を受けまして、土壌にシートをかぶせるなどの作業を実施しております。
 四月二十五日、専門機関によるガラス瓶及び周辺の土壌の分析の結果、土壌からごく微量のマスタード及びその関連化合物と環境基準の六倍の砒素が検出されたところでございます。
 これを踏まえまして、四月二十八日、周辺住民の安全を守るため、神奈川県、神奈川県警、平塚市とともに安全対策連絡会議を設置いたしました。安全に関する情報の収集と提供を行っております。また、五月一日には周辺住民に対する説明会を開催して、不審物発見からの経緯や不審物の分析結果等について……(大森委員「時間がありませんので、徹底的に調査するかしないかだけ」と呼ぶ)
山口委員長 簡潔に答弁を。
春田(浩)政府参考人 今後の対応につきましては、関係機関と連携を図りまして、有識者の意見も聞きながら種々の検討を行ってまいります。その中で調査も含めて検討したいということでございます。
 何をおきましても、住民の方々の安全の確保を最優先に考えていきたいというふうに考えております。
大森委員 時間が参りましたので終わりますが、前回も指摘をしましたけれども、この問題、一番重要なことはやはり国の責任をきちんと明確にすることだと思います。
 広島県の大久野島での忠海製造所の跡地の問題が国会で大問題になったときも、当時の佐藤総理が、国がつくったものについては国が責任を持って処理すると明快な答弁をされて、この資料も佐藤総理の直接指示でつくられたものであります。そういう国の責任をきちんと明らかにすることと、責任と権限のある窓口をきちんと明確にしてほしいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
山口委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 きょう最後の質問をすることになりました、社会民主党の山口わか子です。
 石原大臣には、公務員制度改革でこれで三回目の質問ということになりまして、大変恐縮でございます。御協力に感謝を申し上げます。
 四月の九日のこの決算委員会におきまして、質問、そして答弁をしていただきました。それに関連しまして、何点か石原大臣に質問をしたいと思います。
 まず、労働基本権の問題について伺います。
 四月九日、私が、労働基本権に関して、政府の中でどのような検討が行われたのか質問をいたしました。そして、それに対する政府側の答弁、行政改革推進事務局の春田室長が答弁をされていますけれども、その答弁は、労働基本権の制約を維持した形でぎりぎりということができるかどうか、そういう形で検討したという内容でした。
 しかし、このような検討スタンスは私はおかしいというふうに思っています。つまり、労働基本権の問題を議論しようとしているわけですから、それを、最初から制約を前提として、その枠の中で何ができるかということを検討するということはやはりおかしいのではないかというふうに思います。基本的人権である労働基本権について検討する以上、正面から公務員の労働基本権のあり方を議論するべきだと思っています。
 この点について、石原大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
春田(謙)政府参考人 お答え申し上げます。
 四月の九日の委員会のときに御質問をいただきまして、私の方から、公務員制度改革を検討していく中で、労働基本権の制約をどういうふうに整理をしていくかということで御答弁を申し上げたところでございます。
 もちろん、私ども、労働基本権の問題というのは、前回の委員会のときにもお答え申し上げましたように、非常に重要な問題であるということで、私ども、公務員制度改革の検討を進めていく中でも、その問題の重要性ということを十分認識してきたところでございますけれども、その中で、特に私ども内閣官房としての検討体制でございましたが、与党における御検討ということもございまして、いろいろな議論の中で、労働基本権の制約につきましては、その制約を前提にしてぎりぎりどういう制度の設計ができるかという議論もございました。そのことを前回、私の方で、お答えの中で申し上げさせていただいたところでございます。
 そういう検討の中で、私ども、どういう形で制度の仕組みをつくっていくかというようなことについての検討も進めながら、あわせて、労働基本権問題についてどういう取り扱いをするかということで、平成十三年の十二月の公務員制度改革大綱、ここにおきまして、私ども、労働基本権の取り扱い、全体的にどういうふうに考えるかということにつきまして、公務の安定的、継続的な運営の確保の観点、あるいは国民生活に与える影響、こういった観点から、制約を引き続き維持をするということで、相応の措置を講じながら維持をするという結論に至ったものでございます。
 以上でございます。
石原国務大臣 春田室長の方から、前回、四月の答弁についての意味を改めて御説明させていただいたわけですけれども、私もずっと言っておりますように、この基本権の議論を全く否定するわけでもございませんし、今回の議論の中でこの問題をどう取り扱うということも議論をしてきた結果、整理をさせていただいたと御理解をいただきたいと思います。
 この問題は、各国いろいろな事情もございますし、日本の場合は、昭和五十年でございますか、これは公務員の方ではございませんけれども、国鉄のスト権スト等々ございまして、国民の皆さん方の間に、公務員の方々がスト権を持つことに対するさまざまな考えがある、こんなことも念頭にありますし、いずれにしても、これは労使の問題でございますので、こういう重要な問題は、職員団体の方々とよく相談させていただきながらこの公務員制度改革というものを進めていく、その中で十分に議論を深めていく問題であると考えております。
山口(わ)委員 今の大臣の御答弁ですと、先日の委員会の中でもそうですが、労働基本権の問題と公務員制度改革を切り離すということは一言も言っていないという答弁だったと思うんですね。今御答弁された内容は、この問題については、特に、働く側の公務員労働者側と十分話し合いをしながらこの公務員制度改革を進めていくというお話だったわけですね。
 ただ、私は、憲法に保障されている公務員労働者には今労働基本権がないわけです。ない中で、公務員制度改革について公務員労働者側と十分な話し合いを持っていくと言っても、それは、全く権利の発生していない人たちと話し合うということは、結論はもう見えているわけですね。
 ですから、私は、先ほどから申し上げることは、公務員制度改革をまず立ち上げるときに、一体公務員労働者の労働基本権を認めるのか認めないのかというのは一番大事な議論になると私は思っているんです。認めた上で公務員制度改革を議論するなら話はわかるんですが、そうではないわけでしょう。
 つまり、公務員制度改革を論ずるときに、この基本権の制約を認めた上で議論をするというお話をさっき春田室長もおっしゃっていますし、大臣の口からも、このことは、やはり一部、基本権を全く、認めた上ではやらないということを言っているわけですから、この辺については、やはり正面から労働基本権をきちっと認める形で議論をしていくということでないと、私は、この問題というのは十分な公務員制度改革はできないんじゃないかということを、今の御答弁でも非常にそういうことがわかったというふうに思うんですね。
 ですから、やはり公務員制度の中身に関する検討以前に、公務員制度改革以前に、労働基本権問題の道筋をきちっとつけていくということが非常に大事だというふうに私はここで申し上げたいと思うんです。御答弁をいただくのは非常に難しいんじゃないかというふうにちょっと考えるんですが。
 そこで、もうちょっと話を進めていきたいというふうに思うんですが、公務員の人事管理の政府側の担当者でもあります人事・恩給局長にお伺いをしたいと思うんですが、現在、中央省庁において各ポストに職員を配置する場合に、どういう点に着目して配置が行われているのでしょうか。
    〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕
久山政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、国家公務員法という法律があるんですが、ここの三十三条におきまして、職員の任用につきまして記述がございます。それは、職員の任用は、勤務成績などによるその職員の能力の実証に基づいて行うというふうに規定されているわけでございまして、この規定に沿いまして、各省庁の方で具体的なそれぞれの職員の任用を行っているところであると承知しております。
山口(わ)委員 ただいまの答弁ですと、これまでの勤務実績あるいは能力などを通じて、そのポストが必要とする知識や経験や業務処理能力を見きわめて配置しているというふうに考えてよろしいわけですね。そういうふうに答弁されたというふうに思っていますが。私も地方自治体の経験がございますから、やはり同じだと思うんですね。今までの勤務成績、実績ですとか、知識や経験などを見ながらその人のポストを決めていくということが今までも行われていましたし、私はそれでいいというふうに思うんです。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、能力等級制度に関する前回の御答弁ですと、潜在能力に着目して任用を行っていたのがこれまでの制度というふうに答弁をされています。では、その潜在能力というのは一体どういうことなのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
石原国務大臣 これも実は同じような質問が内閣委員会であったと思うんですが、例えば山口委員がどちらかの役所の課長さんだとして、その課長さんの仕事、その仕事に、山口委員は看護の世界に長いわけですから社会福祉のこういう仕事をやってもらう能力があるだろうと。すなわち、委員の潜在能力に着目してある課長さんになっていただく。これは、あくまで委員の、職員の方々の持っているであろう経歴から判断する、あるいはその人間性から判断する能力を見てそこに配置をする、そういうことを潜在的にという言葉を使わせていただいて前回御答弁させていただいたわけでございます。
山口(わ)委員 どうも、そこのところの大臣の御答弁が私にはよく理解できないわけですね。
 先ほど人事の局長さんがおっしゃったように、今まで実際に仕事をしてきた中で、その人の知識ですとか経験ですとか、ポストが必要としているものを、やはり具体的にどういう能力を持っているかをしっかり見きわめた上で配置しているというふうに思うんです。潜在能力ではなくて、今まで実際に仕事をしてきた経験ですとか、その人が本当にポストが必要としている知識を持っているかというのは、やはり具体的に見きわめていかないと、潜在能力ではないと思うんですね。
 例えば、この前も大臣が例に出されていますように、中東を担当する課には中東問題を適切に処理できる人間が配置されてくると思うんです。そのことは、潜在能力ではなくて、今まで実際に行ってきたその職員のやはり適切な経験ですとか知識が大事になってくる。そのために、その知識や経験をもとにして能力がその人にはあるんだろうというふうに決めていくんではないかというふうに思うんです。
 やはり国の仕事というのは、私は、そういう実際に仕事をしてきた経過の中で、その人が適切に仕事が遂行できる能力というのをきちっと見ていくことが非常に大事でありまして、潜在能力ではないんじゃないか。ここのところは、やはり十分な理解を大臣が本当に職員についてされているのかどうかというところを私はちょっと、私の経験からいっても非常に疑問に思っているわけです。
 ですから、やはり今回の制度改革の最高責任者でもあるわけですね、大臣は。しかも、全国で百十万の国家公務員、三百三十万人の地方公務員の働き続ける権利をどうやってこれから守っていくのか、そのための公務員制度改革をどうするのか、これは大臣の物すごい責任のある仕事だというふうに私は思っていますので、やはりここのところは、本当に職員の人たちの今まで仕事をしてきた能力を十分に生かされた、そういう公務員制度改革をぜひしていただきたいというふうに私からお願いをしておきたいと思います。
 そこで、もう一回お伺いしたいと思うんですが、石原大臣は、やはり先月九日の委員会でこういう答弁もされているんですね。ポストへの任命があって、そこに職員がいる、ポストのところに能力等級の分類がある、職員の側には能力等級の決定というものがある、それを一直線で結ぶと、その人を一体どこに張りつけるのが望ましいし、どれだけの能力の人がポストにつけばいいのかがわかってくるというふうに答弁されています。これもちょっとよく意味が理解できませんが、具体的な例を挙げて御説明いただけますでしょうか。
春田(謙)政府参考人 恐れ入ります。四月の九日の大臣が御答弁申し上げたところの関係についてのお尋ねでありますので、まず制度の整理を今どういうふうに考えているかということでございます。
 職員の能力等級につきましては、職務を遂行する上で発揮する能力というのを、具体的に標準的な官職というようなものをベースにいたしまして職務の遂行能力というものを明確に定めまして、この能力に応じまして任命権者がこの能力を基準として任用を行うということでございます。
 それで、具体的に職員の勤務成績につきましては、評定をいたしまして、その結果に基づきまして任命しようとする官職が求めているところの標準的な職務遂行能力、ここにかなっているということが認められる方、もちろん職務適性みたいなものも含めて判断をするわけでございますが、そういう方の中から任命権者がそのポストに当該職員を任用するということでございまして、そうすることによりましてそのポストが求めているところの標準的な職務遂行能力にかなう職員というものが適切に配置をされる、こういう関係になるものでございます。そのことを大臣はポストとの関係でこの前御説明をされたということでございます。
石原国務大臣 人が人を評価してポストに配置をするということは非常に難しいことだと思います。
 例えば、例に出して恐縮でございますが、財務大臣がおいででございます。財務大臣は御経歴としては我が党の税制調査会長も長くお務めになる、すなわち、財務の一つの重要な柱である税務に精通しているキャリアでもあり、税調会長をやることのできる能力、潜在能力に着目して総理が財務大臣に任命をされている。
 また、副大臣も公認会計士として非常に数字にお強い。これは、すらすら何も見ないでよく数字を御答弁されていることからもわかりますように、これもやはり御本人の、会計士という資格を取っているということは別にしても、数字に強いという潜在能力に着目され財務副大臣をされている。こういう部分もありますし、あるいは先ほど例に出されましたように、中東問題をずっとやってきて、中東問題のポストを課長になる前にも課長補佐あるいは係長とやってきた、ポストが人をつくるという部分もあると思います。
 そういう意味を含めて潜在能力という言葉を使わせていただきまして、委員の言われていることも、私はそう相違がないのではないかという、今お話を聞かせていただいておりまして感じました。
 また、ポストと人間との結びつきについては、室長の方から御答弁をさせていただいたことを、非常にポスト、役職、そして人の持つ能力を結びつけるという言葉が難しくて、なかなか御理解をいただけなかったのかなと思いますが、私は今委員の、私の答弁を聞かせていただいて、ああ、そういうことを言ったなとすぐわかりまして、私の頭の中では消化をされていたのであって、そこのところは、説明が下手であったことには大変申しわけなく思っております。
山口(わ)委員 ただいまの御答弁を聞いても、今までとどこが違うのかというのがやはりよく理解できません。やはりその人の能力というのは、別にどこかに潜在的に、この辺に能力があって、それをどうやって判断するか、判断する方だってわからないわけですから、判断する場合にその人が今まで仕事をしてきた中で、その人がどういう能力があるかを見て初めてわかるわけですから、別に今までの職員の採用基準といいますか、能力を見きわめる今までの制度と少しも変わらないのじゃないかなと私は思うんですね。
 それで、その辺につきましては、これからだんだんにそういう公務員制度改革の法案ができてくるのでしょうから、できてきた中で、その能力等級制度というものがどういうものかわかってこないと、ここで議論をしてもよくわからない、私にもわからないというふうに思いますから、その辺にしておきたいと思うのです。
 ただ、私は、この能力基準につきましては法整備をしていくんだろうと思うのですけれども、その法整備をしていく段階では、職域の人たちあるいは組合の皆さんとも十分に協議をさせていただくという旨の答弁もされているんですね。九日の私の質問にされているのですが、これは、労使が対等に交渉するシステムを新たに導入する、そういう意味に理解してもよろしいのでしょうか。
石原国務大臣 対等にという意味がちょっとわからないのでございますが、詳細は春田室長の方から御答弁をさせていただきますけれども、この能力等級制度につきましても、労働側の皆様方にこんなことを考えているということを、私のレベルでも、また細かい制度設計については事務局レベルでも、議論をもうさせていただいております。
 詳細につきましては、室長の方から御答弁をさせていただきたいと思います。
山口(わ)委員 やはりもう少し法案がきちっとできてこないと、詳細については、私は聞いてもよくわからないというふうに思うのですが、私がなぜ労使が対等でというふうに言ったのかというのは、先ほどの労働基本権問題と重なるわけですね。労働基本権がない中で労使が例えばいろいろなお話し合いをして協議をしても、やはり労働者としての権利が認められていない中では労使が対等にはならないわけです。ですから、きちっと労使が対等になるような状況をつくり出した中でお話し合いをするとかあるいは協議をしていかないと、私は、意味がないというふうに実は思うんですね。
 例えば、能力を評価する場合にですが、能力を評価する場合にどういう評価がされるかということは、上下関係がある中では、どうしてもそれは、何といっても採用する側、例えば、いろいろな各省で言えば、大臣とかあるいは事務次官ですとか局長ですとか課長の命令に従ってその下の公務員労働者の皆さんは働かざるを得ないわけです。ですから、そういう上下関係がある中で、必ずしも公務員労働者がきちっと対等に上司と意見を交換する、あるいは上司の人たちが下位の労働者の意見を聞くということにはなかなかならないのじゃないかというふうに私は思っていますので、この辺をやはり、何といっても労使が対等の立場になるような労働協約、例えば職員団体との労働基本権をきちっと確立していかないといけないのではないかというふうに思っているのです。
 時間がないものですから余り詳しくは申し上げられませんが、例えば、さまざまな問題が今までもございました。BSEの問題、あるいは防衛庁の自衛官募集時の住民情報の問題、あるいは外務省の報償費の問題、さまざまな問題がございましたけれども、こういう問題に対して、上司の命令でさまざまな仕事を行っていた中でおかしいと思ったことで内部告発をする場合もあると思うんですね。そういう場合には、内部告発という行為に対しては、上司の命令を聞かなかったということに結果的にはなるわけですから、そうなったときに、では労働者の側が果たして、上司がおまえは能力がないというふうに言ったときに、そのことを働く側の公務員労働者が証明できる手段というのはないわけですね。
 ですから、内部告発をしたけれども、内部告発をしたおまえが悪いから左遷したとは決して言わないわけですから、あなたは能力がないから左遷ですよ、結果的にはそういうことになってしまうわけですから、やはり労使が対等の立場できちんと公務員制度改革の問題についても協議をしていくということになることが大前提だというふうに私は思うのです。ですから、やはり労働基本権、団結権、団体交渉権、少なくとも団体交渉権をきちっと認めた上で公務員制度改革をきちっとしていくことが私は望ましいし、これは当たり前だというふうに思うので、その辺は申し上げたいと思います。
 私は、先ほどの、九日の委員会でも大臣から各省に法案の一部を示しているというお話を聞きましたけれども、これは、大臣がそういう御答弁をなさったので、この法案の一部を各省に示していらっしゃるということは間違いがないというふうに思いますが、よろしいでしょうか。その辺はどうでしょうか。
春田(謙)政府参考人 先ほど、四月九日のときの質疑のやりとりの関係で、各省庁とどういうふうに今、公務員制度改革の内容について議論をしているかということでございます。
 私ども、人事制度については、非常に重要な問題でございますので、各省庁とは議論を重ねていく必要があるということで、これは非公式的にも、いろいろと条文的なことをどういうふうに組んでいったらいいかというようなこともありますので、そういう相談をさせていただいております。
 特に、能力等級制度、こういう人事制度をどういうふうに組むかということは、各省にとりましても非常に重要な問題でございますし、そういう意味で相談をさせていただいているということでございます。
山口(わ)委員 各省にお出しになっているということは、これは、国会でも非常に重要な審議するべき事項だというふうに思っています。ですから、各省に出された法案を私にも資料として提出をいただきたいと思いますが、委員長、その辺を。
浅野委員長代理 それは、それでは理事会で協議させていただきます。
山口(わ)委員 よろしくお願いします。
 私は、省庁で議論することは、別に内輪の議論ですから自由にしていただくのは結構だと思いますけれども、内輪の議論だけをして法案をつくって、国会に提出して、あとは多数決で押し切るということでは非常に困るわけです。
 ですから、やはり何といっても、国家公務員の仕事というのは、国民の福祉や医療や教育を守るという大変重要な役割を持っているわけですから、国民の皆さんの理解も得なければいけない、納得もしてもらわなければいけない。当然、公務員労働者でつくっている労働団体の皆さんともきちっと議論をして納得をしていくことがない限り、私は、そういう内輪の議論だけでは済まないというふうに思っているわけです。
 やはり何といっても、憲法にも保障されていますけれども、全体の奉仕者でもあります。やはり制度改革の前提としては、まず、実際に働く公務員労働者の意見、あるいは労使対等な立場で反映させなければいけませんし、さまざまな国民の合意が必要だというふうに思うんですね。ですから、ぜひそういう意味で先ほどの法案を見せていただきたいというふうに思いますし、やはりもっともっと議論をオープンにしていただくことをぜひ要求して終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
浅野委員長代理 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。
 平成十三年度決算外二件審査のため、四つの分科会を設置することとし、区分としては
 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省、環境省所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計
 第二分科会は、内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省、財務省、文部科学省所管
 第三分科会は、厚生労働省、農林水産省、経済産業省所管
 第四分科会は、法務省、国土交通省所管
以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
浅野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
浅野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。
 次いで、お諮りいたします。
 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
浅野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次に、分科会審査の際、政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
浅野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次に、分科会審査の際、日本銀行及び公団、事業団等、いわゆる特殊法人並びに独立行政法人の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
浅野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 分科会審査は、来る十九日月曜日及び二十日火曜日の二日間行います。
     ――――◇―――――
浅野委員長代理 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴いまして、現在理事二名が欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
浅野委員長代理 御異議なしと認めます。
 それでは
      森田 健作君 及び 塩田  晋君
を理事に指名いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.