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第8号 平成15年7月14日(月曜日)

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平成十五年七月十四日(月曜日)
    午後一時開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 水野 賢一君 理事 宮路 和明君
   理事 持永 和見君 理事 森田 健作君
   理事 奥田  建君 理事 木下  厚君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      植竹 繁雄君    大木  浩君
      梶山 弘志君    川崎 二郎君
      小西  理君    河野 太郎君
      高橋 一郎君    橘 康太郎君
      津島 恭一君    中村正三郎君
      額賀福志郎君    原田 義昭君
      松島みどり君    松宮  勲君
      村上誠一郎君    山本 幸三君
      吉田 幸弘君    渡辺 博道君
      赤松 広隆君    伊藤 英成君
      上田 清司君    中川 正春君
      永田 寿康君    野田 佳彦君
      葉山  峻君    古川 元久君
      松崎 公昭君    神崎 武法君
      大森  猛君    穀田 恵二君
      山口わか子君    山谷えり子君
      保坂  武君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   法務大臣         森山 眞弓君
   外務大臣         川口 順子君
   財務大臣         塩川正十郎君
   厚生労働大臣       坂口  力君
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   環境大臣         鈴木 俊一君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     竹中 平蔵君
   国務大臣         石原 伸晃君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   会計検査院長       杉浦  力君
   会計検査院事務総局次長  白石 博之君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   会計検査院事務総局第三局
   長            船渡 享向君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十四日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     松島みどり君
  江藤 隆美君     川崎 二郎君
  谷  洋一君     吉田 幸弘君
  永岡 洋治君     渡辺 博道君
  橋本龍太郎君     梶山 弘志君
  宮腰 光寛君     高橋 一郎君
  武藤 嘉文君     松宮  勲君
  赤松 広隆君     野田 佳彦君
  北橋 健治君     伊藤 英成君
  古川 元久君     永田 寿康君
同日
 辞任         補欠選任
  梶山 弘志君     橋本龍太郎君
  川崎 二郎君     江藤 隆美君
  高橋 一郎君     山本 幸三君
  松島みどり君     原田 義昭君
  松宮  勲君     武藤 嘉文君
  吉田 幸弘君     谷  洋一君
  渡辺 博道君     永岡 洋治君
  伊藤 英成君     北橋 健治君
  永田 寿康君     古川 元久君
  野田 佳彦君     赤松 広隆君
同日
 辞任         補欠選任
  原田 義昭君     石田 真敏君
  山本 幸三君     宮腰 光寛君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 平成十三年度一般会計歳入歳出決算
 平成十三年度特別会計歳入歳出決算
 平成十三年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十三年度政府関係機関決算書
 平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十三年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――
山口委員長 これより会議を開きます。
 平成十三年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省道路局長佐藤信秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 質疑に入る前に、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。
 また、政府におかれましても、各質疑者の質疑時間は限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
宮路委員 私は自民党の宮路和明でございますが、現在、党の離島振興委員長をいたしております立場から、目下、離島にとって大きな課題となっております医師の確保対策、これについて総理にお尋ねしたいと思っております。
 ここにたくさん漫画を持ってきておりますが、これは、実は私の地元の甑島という離島で島民のために、それこそ生涯をかけて孤軍奮闘しておられるある医師をモデルにした「Dr.コトー診療所」という漫画でありまして、これが大変な人気を博しまして、そして今度はテレビドラマ化されまして、先々週からこれが全国に放映をされております。そして大反響を実は呼んでおるわけであります。
 ところが、現在離島では、高齢化が進む中で医師の確保、これが非常に深刻化してきておりまして、しかも、医師は無理をしてでも確保するということになりますので、勢いそこに多額の予算を投ずる。したがって、ただでさえ厳しい離島の市町村財政を非常に圧迫している、こういう事態が起こっております。
 御承知のとおり、我が国は島国で、六千八百の離島を抱え、うち有人離島が四百二十の多きに上っております。そして、これらの離島によって我が国の領土、領海の外縁部が画定され、そして同時に経済水域二百海里、それから大陸棚もこれによってその範囲が決まってくる、こういうことになっておるわけであります。
 昨年の通常国会で成立した改正離島振興法では、こうした離島の持つ国家的、国民的な役割というものを高く評価いたしまして、離島が厳しい条件下でも自立的発展を遂げていけるように、国、地方自治体がこれまで以上に幅広い支援措置をこの離島に講じていくということにいたしまして、医療につきましても新しい条項をわざわざその法律の中に起こしまして、医師の確保等に適切な配慮をすることも求めているところであります。
 そこで、我が党といたしましても、この問題に積極的に取り組んでいこう、こういうことで、先般も離島の皆さんに来ていただいて生の声をお聞きしたわけでありますが、例えば長崎県のある島の町長からは次のような訴えが切々となされたわけであります。
 主な点を抜粋して読み上げてみたいと思いますが、島の診療所の医師確保は主に県の自治体病院開設協議会のあっせんを受けて行っておりますが、確保した医師が数カ月でやめていくことも間々あり、後任医師の確保に当たっては、独自につてを頼りに東奔西走することがたびたびであります、この診療所は十九床の規模で、常勤医師二名、うち一名は町職員として採用している内科医、もう一人は近隣の私立大学より六カ月ローテーションで派遣してもらっている外科医であります、そしてこれに要する人件費は、町職員の医師の場合は、給料、賞与などを含めて年間三千四百八十五万円、私立大学から派遣されている医師については、大学に医療協力金として年間一千万円支払い、そして派遣医師に報酬として月額百十五万円を支払っており、この二名の人件費だけでも六千万円を超えております、このほか、医師の場合は赴任旅費を含む引っ越し費用の負担、あるいは医師住宅の無償貸与など、至れり尽くせりの扱いをしなければ確保することができません、こうして人口約三千八百の町の厳しい財政事情のもとで、一般会計から一億円余りを診療所会計に繰り出しております、地方交付税の削減も進む中、高額をもってのこうした医師の雇用や診療所の赤字経営からの脱却は不可能となりつつあります、こうした離島医療の脆弱性を打開するため、国立大学医学部の卒業生を一定期間離島医療機関へ勤務させる制度の創設を強くお願いしたい、離島だけでは解決できない問題ですので、一日も早い立法措置を講じていただきたい、こういうことであります。
 そこで、私は、こうした事態の改善策として、次の三つを提案させていただきたい。
 まず第一は、こうした恵まれない地域における医師の確保、養成を目的としてできました自治医科大学があるわけでありますが、この定員、今、各都道府県二名ずつの計百名と年間なっておるわけであります。これを、医学部あるいは医科大学の学生の定員削減が行われている中とはいえ、この自治医科大学の定員百名を、枠を拡大することが第一点であります。
 それから第二点は、離島における診療報酬につきまして、離島加算を設けたらどうかということであります。
 と申しますのは、御承知のように、国家公務員、地方公務員の給与につきましては、離島勤務をすれば、最高二五%の特地勤務手当が支給されております。また、大都市勤務の場合は最高一二%の調整手当が支給されているわけでありますが、診療報酬について見ますと、大都市の場合は最高一日十五点の地域加算があるのに対しまして、離島についてはこうした措置はないからであります。
 第三は、官から民への流れの中で、国立病院、都道府県立病院につきましても思い切った合理化措置が当然必要であるわけでありますけれども、そうした中にあっても、これら国公立病院の医師を、離島の病院や診療所へ一定期間派遣、滞在させる制度を設けたらどうかということであります。
 こうした対策の組み合わせによって初めて離島の人々の命と健康が本土並みとなる、そういうことが保障されると思うわけでありますけれども、総理のお考えをひとつお聞かせいただければと思います。
小泉内閣総理大臣 離島あるいは僻地の医療不足で悩んでおられる方の切実な声だと思いますので、今までも、どうしたらそのような離島や僻地への医療を充実していこうかといろいろ検討をしてきたわけであります。
 しかし、それでもまだ不十分だということであります今の御指摘、大事な点だと思います。自治医科大学の卒業生を今以上に一定期間行ってもらうような拡充が可能かどうか、あるいは診療報酬の点での配慮が必要かどうかという点、よく厚生労働大臣とも相談いたしまして、その要望にこたえられる道をできるだけ探っていきたいと思っております。
坂口国務大臣 今総理からも御答弁ございましたけれども、委員が三つお挙げになりました、その最初の自治医大の問題は、これは総務省所管になっておりますから、厚生労働省は余り言えないわけでございますけれども、しかし、いずれにいたしましても、医師になる人が、やはり地域医療や僻地医療あるいは離島、そうしたところに率先して行くような医師を養成しなきゃいけないというふうに思っております。したがいまして、そういう意味で、来年から研修医制度を設けますけれども、そのときに、僻地医療あるいは離島医療ということに十分携わるような体制をとっていきたいというふうに思っております。
 それから、二番目にお話しになりました診療報酬の問題でございますが、ここは私もかねて委員と同じ考え方を持っておりまして、ぜひ何とかここはした方がいいというふうに思っている次第でございまして、よく省内で検討いたしましておこたえできるようにしたいというふうに思っている次第でございます。
宮路委員 これは厚生労働省、それから総務省、そしてまた大学の場合は文科省も関係ありますので、各省庁にわたる大きなテーマでありますので、ぜひ小泉政権のもとで強力なリーダーシップを発揮していただきまして、そして長年のこの懸案にぜひともしかるべき回答を出していただくようにひとつ格段の御努力をお願い申し上げて、私の質問を終わりにさせていただきます。
 ありがとうございました。
山口委員長 これにて宮路君の質疑は終了いたしました。
 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 それでは、時間の関係で端的に質問をさせていただきます。
 小泉総理、総理のネクタイ、スーツ、国産品ですか、外国製品ですか。
小泉内閣総理大臣 いや、よくわかりませんが、たしかこれは国産品じゃないですかね、このネクタイは。この背広はつるしですけれども、これは外国品ですね。
山名委員 ありがとうございました。
 なぜそんな質問をしたか、大変失礼な質問だったのですが、私は京都の出身でございまして、西陣織あるいは丹後ちりめん等、かつては本当にすばらしい、日本の繊維産業を担う、こういう産地でもございました。ところが、御承知のように、近年、我が国の繊維産業は極めて、中国製あるいは韓国製の製品にぐんぐん押されまして、今、繊維産業、業界は大変な試練に直面をしております。
 当然、経済産業省としても、今日までいろいろな方策を練り、セーフガードあるいはイコールフッティング等々、手を打っていただいたわけでありますが、依然として繊維産業の世界は厳しい。中国や韓国、特に中国なんかは非常に労賃が安い、そういう中で、極めて安い、また最近は非常に品質のいい、こういう商品が日本に洪水のように押し寄せまして、それが日本の繊維産業を席巻しているわけであります。
 そこで、お聞きいたしますと、特に川中、川上は糸をつくるところ、川中は糸を使って染めたり、そして縫製したり、そういう事業ですね。そして川下、いわゆる小売等ですね。特に、この川中の人たち、具体的には製造している人たちの試練、こういうことにかんがみて、経済産業省では三十億の自立支援策を講じる、こういうふうに伺っております。私は、大変すばらしい施策であるし、こういった状況の中で、本当に日本の繊維産業を育成し、そして発展させる上で極めて有効な手だてとは思っておりますが、これが単発的であっては今の状況は打開できない、私はこういう認識を持っておりますが、総理のその辺についての御認識と今後の対応策についてどのような御見解をお持ちなのか、総理に伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 平沼経済産業大臣も後ほど答弁していただきますが、確かに繊維産業、いろいろ輸入品が多くて苦しんでいるのは事実であります。特に中小企業が集積している地域におきましては大変な打撃であるということを聞いております。
 一方、過日、タオル業界からは、発展途上国等から安いタオル製品が日本に輸出されて、もう大変な打撃を受けている、何とかとめてくれないかというような話もありましたが、そういうタオル業界でも頑張って、アメリカのある大会において、製品ですか、優秀作品の、日本の中小企業のタオル業界の企業家の方がデザイン賞ですか、優秀賞を受賞されるぐらいに、厳しい中でも安い製品に負けないような付加価値をつけて売れるようにして頑張っている、しかも外国からそれが表彰されるような非常に意欲的な経営戦略を展開している中小企業もあるわけであります。
 そういう意欲を生かすと同時に、中小企業対策におきましては、平沼経済産業大臣を中心にしてきめ細かな融資対策等を行っておりますので、両面を考えながら、今後どのように日本の産業を育てていくかということを考えていきたいと思います。
平沼国務大臣 山名先生に答弁をさせていただきます。
 御指摘の、助成という、これは三十億の枠で今年度やることにいたしておりまして、説明会を先般いたしましたところ、二千人の方々が来られまして、そして具体的には六百件の応募がございました。今月末に私どもはこれを絞り込んでしっかりとやらせていただきたいと思っています。
 それから、今後のことでございますけれども、私どもといたしましては、今、中小企業総合事業団に基金が残っております。したがって、やはり今厳しいときですから、これを継続してやらせていただかなきゃいかぬ、こういうことで、その基金をもとに今年度以降もしっかりとした対処を継続していかなければいかぬ、こういうふうに思っておりまして、必要に応じては法改正も私どもは視野に入れていろいろ取り組んでいきたい、こう思っております。
山名委員 ありがとうございました。
 今、平沼大臣おっしゃったように、基金の取り崩し、これは当然、法改正等、独法移行の際の政策としては極めて大事なことだと思いますし、これはぜひ早期にこの法改正の準備をしていただいて、来年度以降からの大きな手だてとして、この自立支援策、しっかり力を入れていただきたいと思います。とともに、どうしても、これは枠がありまして、そこから漏れていく、いわゆる零細事業者というのがいらっしゃるわけですね。こういう人たちのためのセーフティーネット、これはやはりもう一方で講じていかなきゃいけないだろう、こう思っておりますが、その辺についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 確かに、繊維製造業者の方々は、下請関係にあって非常に中小零細の方々が多いわけであります。そういう意味では非常に皆さん、厳しい局面に立っておられるわけでございまして、私どもとしては今の基金を取り崩してきめ細かく対応していく、そういう中で、複数の事業者の方々が共同して申し込む、こういうシステムもやっていかないときめ細かく対応できないというのが第一点であります。
 それからもう一つは、やはり今、他のセーフティーネットで、中小零細企業にセーフティーネット保証、貸し付け、こういうのをきめ細かくやっております。借りかえ制度も含めましていろいろなメニューがございますので、厳しい局面の中小零細企業のいわゆる繊維製造業者の方々にも、私どもは本当にきめ細かく、そして前向きに対応させていただかなければならない、こういうふうに思っております。
山名委員 ありがとうございました。
 時間がありませんので、最後にもう一点、総理にお伺いしたいと思います。
 政策評価法、一年前にできまして、先般、総務省の取りまとめで、およそ一万一千件の評価が明らかになりました。細かい内容は時間の関係で触れませんが、やはり質の高い行政、そして効率的な行政、これを推進するための政策評価法、これはもう画期的な法律ができたわけでありまして、問題は、その政策評価を受けて、もとにしてどのようにそれが次年度の予算に反映されたのか、その評価のあらわれとして今後どのような形で取り組んでいくのか、これはもう予算編成権を持つ内閣総理大臣としての御決意いかんにかかっていくんじゃないか。この政策評価法に基づいた評価を今後どのように予算の上できちっとした成果として出していくのか、その辺の総理の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。
小泉内閣総理大臣 政策の評価、これは、資金をいかに有効に活用するかという点で極めて重要だと思っております。現在でも塩川財務大臣が非常に意欲的にこの問題に取り組んでおられまして、実際の事業にしても、どこまで進んだか、本当に有効だったか、費用はもっと安くできないかという点、厳しく評価しなきゃいかぬということで、今御指摘の点を踏まえながら、今後も、予算が有効に使われ、さらに、むだを排除していく、次の予算に政策評価を生かしていくというような点から、改めるべきは改めていこう、またチェックすべきはチェックしようというところで、内閣が一体となって取り組んでいかなきゃならない問題だと思っております。
山名委員 ありがとうございました。
山口委員長 これにて山名君の質疑は終了いたしました。
 次に、山谷えり子君。
山谷委員 保守新党、山谷えり子でございます。
 ODA、八千六百億円、政府開発援助、十一年ぶりに大綱改定ということでございます。国益重視、戦略性の向上、要請主義をやめて、大量破壊兵器、テロの不拡散ということで、まことに正しい方向であろうというふうに考えております。
 要請主義をやめる、それからいろいろ方向が変わるわけで、実施体制を新しくつくっていくというような考え方も大事ではないかと思いますが、人事のあり方、外部監査、評価のあり方、どのように体制をつくり直そうというふうにお考えでございましょうか。
川口国務大臣 大綱の改定にあわせて外務省の改革もまた進めておりますので、その一環として、経済協力局については、人事それから組織等のあり方については、既に考えております。
 それで、機構という意味では、新しい、来年度の要求ということになりますので、我々がどう考えているかということですけれども、基本的に、今までスキーム別に、例えば有償ですとか無償ですとか、そういう形でやっておりましたけれども、国別の要素を加味したいというふうに考えております。
 組織につきましては、既に、経済協力局についてはNGOとの連携を非常に強めているというようなこともやっておりまして、できるだけ外部の方々の意見をくみ入れていくような仕組みにしたいと思います。
 外部評価についても、非常に重要なことでございますので、既にきちんとやっておりますけれども、引き続きそういったことをやっていきたいと思っています。
山谷委員 政府原案に比べて、外務省の原案は、国益重視とか、それからテロや大量破壊兵器の不拡散という部分がなかったように思います。八千六百億円の予算のうち、外務省が握っているのが五千二百億円でございます。総理は、強力なリーダーシップを握って、この大綱の実現のために努力すべきではないかと思います。
 ミャンマーへのODAは見直すという。例えば、キューバ、シリア、スーダン、リビア、これは、国連の北朝鮮の人権状況に関する決議に反対しなおかつアメリカのテロ支援国家というふうになっているわけですが、当面、この四国に関してはどのように見直されるおつもりですか。総理にお伺いします。
小泉内閣総理大臣 ODA大綱につきましては、不断の見直しが必要だと思います。
 また、日本のODAに対する各国の期待やら評価も高いものですから、日本は最近減らしてきております、一方、サミット参加国等におきましてはふやしていくという、サミットの会議になりますと、必ずODAの話も出てまいります。日本はなぜ減らすのかという話もありますし、その辺は、国際情勢、また国際協調と各国の事情というものをよく踏まえて、その国々に適した、必要とされるODAいわゆる経済協力援助をしていかなきゃならないと思います。
 また、テロ支援国家に対する厳しい見方もありますが、その際には、できることとできないこと、できる面については、人道的支援についてはできる面もあると思いますが、ほかの国と違って、その国の事情をよく見ながら、日本としても適切なODA対策をしていかなきゃならないと思っております。
山谷委員 続きまして、長崎市の種元駿ちゃん四歳が十二歳の少年によって殺されました。その事件のときに、小泉総理は、総合的観点からこの問題に対処すべきとおっしゃいましたし、福田官房長官は教育問題に言及され、また森山法務大臣は子供を取り巻く社会環境というようなことについて言及されました。
 私も、青少年の有害環境、情報、自主規制のあり方、教育のあり方というのを、とりわけきょうは、過激な性教育がこの十年非常に進んできていて非常に問題だというふうに思っておりますので、その点について伺いたいと思います。
 私は、ジャーナリストとして教育問題を取材し、またPTA会長、教育委員をしておりました。この十年、過激な性教育、小学生にまで今や性器の名前を教えたり、小学校四年でセックス、セックス、セックスと連呼させたり、「からだのうた」という、きょうNHKではとても放送できない言葉なものですから言えませんけれども、そのような言葉を毎回授業のたびに歌わせる。
 去年私が回収してくれと言った「ラブ&ボディBOOK」、百三十万部、中学生全員に配られる部数が配付され、一部、配付されております。そして、今も養護の先生等に働きかけられて、配ってほしいというような動きがございます。
 例えば、日本では中絶が認められているとか、「日本のお医者さんの中絶手術の技術は信頼できるけど」と。資料をお配りしておりますのでごらんください。ピルの失敗率一%、世界じゅうで広く女の子が使っていて、女の子だけで避妊できるのが最大のメリットとか。これは、WHOでも、中学生はピルを飲んじゃいけないんですね。そして、データの数字もでたらめでございます。それから、「ラブ能力テスト」というような非常にセックスを安易にとらえるような書き方がされていて、非常に問題なわけでございます。
 回収してくれと言って、文部科学大臣も再三おっしゃいました。内閣府副大臣もおっしゃった。しかし、いまだにまだきちんと回収され切れない、いまだに配られている。
 この七月二日、東京都は調査に入りました。これは小学校でございますけれども、兄や父、おじから性的虐待を受けているアニメを見せる、それからコンドーム着装用の男性器の模型がたくさん押さえられました。資料を見ていただきたいと思います。視察なさった都議が、まるでアダルトショップのようだと。性器つきの大きな等身大のお人形もあります。私、持っていますけれども、ここには持ってこれません。それほどひどいものです。
 それに、セックスの実習の仕方を小学生に教えるんです。子供の年齢を無視して、異常です。それも全国で、豊中市では、三分の一の中学校でコンドーム装着実習が行われております。この三分の一というのは、決して多いとも少ないとも言えない数字だというふうに私は思っております。
 石原都知事は、都議会で、あきれ果てるとおっしゃいましたが、小泉総理はこのような実態をどのようにお考えでございますか。総理にお答えいただきたい。
小泉内閣総理大臣 これは初めて見たんですが、果たして小学生にこんなことを教える必要があるのか疑問に感じます。
 私、小学校時代も中学校時代も、性教育なんて受けたことはありませんね。しかし、こういうのは自然に何となく覚えていくもので、ここまでやっていいのかなと。今初めてこれを拝見しましたけれども、ちょっと行き過ぎじゃないか、私は考え直す必要があると思いますね。
山谷委員 ことし一月の警察庁の発表で、見知らぬ人とセックスすることを本人の自由だと答える中高校生が六八%、セックスでお金をもらうことを本人の自由というのが四五%、このような性教育をして、すべて本人の自由と言っているんですね。
 高校の先生用の指導資料には、愛がなければセックスしてはいけないという考えを押しつけてはいけないと書いてあるんです。愛がなくてもいいというふうに書いてあるんですね。
 子供の小さいころの脳というのは、性行動と攻撃が中枢がくっついておりますので、このような教育をすると、性的サディズムに走りがちなんですね。それはもうアメリカでもヨーロッパでも、脳科学者、心理学者、いろいろな教育者が言っていて、アメリカも、クリントン政権のころからセルフコントロール教育、こういう教育はだめだ、コンドーム教育、こういうような科学的知識を高めるという言葉のもとにこんなことはやってはいけないということで、ブッシュはその二倍の予算、一億三千五百万ドルをこっちの方に、我慢の教育、セックスを我慢することは格好いいというふうな教育に移しております。
 小泉総理も、今度別荘にいらしたら、この話題もぜひしていただきたいというふうに思うんですけれども、青少年育成推進本部長の小泉総理として、ゆとり、緩み教育がもうゆがみ教育にまで行っているんではないか、これが普遍的に広がってきています。組織的に広げられております。ぜひ教育問題の特別委員会を、個人情報特とかイラク特のように、特別委員会をこの次の臨時国会でつくっていただきたいと思います。
山口委員長 時間ですので、終了してください。
山谷委員 そして、全国で実態調査をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
山口委員長 もう時間ですので、これで山谷君の質疑は終わらせていただきます。
 次に、木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 きょうは、去る七月二日に当委員会で質問させていただきました道路公団の問題について、改めて伺わせていただきたいと思います。
 まず、資料を今お配りしていますが、資料を見ていただきたいんですが、実は、道路公団における高速道路の通行料金別納制度、これについて改めて確認しながら、総理に回答いただきたいなと思います。
 実は、この割引制度で、平成九年から二〇〇一年の五年間だけで、一兆七百八十九億円、これが減収になっている、割引されているという実態を先般報告いたしました。
 私自身は、割引制度というのは、中小企業の互助のため、これは必要だろうと思います。しかし、実際に四十兆円の借金を抱え、それから、年間の料金収入が今二兆円を切っている状況です。こうした中で、果たしてこれだけの割引が必要なのかどうか、この点と、さらに、中小企業協同組合を設立しますと、大体平均すると二九%の割引があるということです。組合員に対しては、一〇%から一五%の使用料ということで、その差益が一五%から二〇%ある。その差益、いわば利ざやをその理事長さんあるいは職員たちが勝手に私的に使っているという指摘がございます。これは本来、組合法からいきますと、やはり組合員に還元されなければいけない。そういったお金がこういった形で私的に流用されている。
 その点について、総理の御判断を、どう判断されているのか、まずお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 これは、過日も木下議員からいろいろ言われましたし、私も、今、この別納制度というものが果たしてどうなのか。しかも、おっしゃいましたように、これは組合をつくって三〇%というのが今これだけの数になっているということが、今木下議員がおっしゃったとおりでございますので、私は、本来の目的から外れていると思います。
 組合を設立するときに、料金別納のため、それを目的とした組合の設立というのは、もともとが違法であると私は思っております。もともとは、トラックとかあるいはバスの業者、そういう中小企業、そういう皆さんのためにつくった別納制度を、大半が、今数を申し上げてもいいですけれども、後でまた御質問がありますでしょうから、その数からいいますと、ほとんどがそれを悪法のように使っている、悪利用している、そう言わざるを得ない状況は、私は一度全部洗い直すべきだと思っております。
木下委員 資料を見ていただきたいんですが、資料1、これは「事業協同組合数の過去五年間の推移」ということ、それから、下の方に「最近五年間における別納割引額の推移」ということで表にしてございますが、これを見ると、年間大体二千億円ずつ割引されている、そのうちの約八割が事業協同組合の割引になっている。
 さらに、次の資料2を見ていただきたいんですが、これは残念ながら事業組合名は明らかにできないということでございますが、これを、割引額の大きい上位十組合の表にしてありますが、一番のAを見ますと、高速道路利用額が百五十八億円、それに対して四十七億円が割引されている、割引率三〇%というような形で、軒並みこれだけの差益を得ている。そして、先ほど言ったように、一部の事業組合では、理事長が私的に使ったり、モーターボートを買ったり、あるいは自分の経営する会社に投資をしたり、そういう形で使われている。
 この実態について、総理、一言、どう判断されますか。
小泉内閣総理大臣 不適切なものがあれば、これは本来の趣旨にのっとって適正にしていかなきゃならぬと思っております。扇大臣もこういう問題について疑問を持っておられますので、御指摘の点を踏まえまして、本来の趣旨に合うような利用の仕方がなされなければならないと思っております。
木下委員 さらに資料3を見ていただきたいんですが、この料金別納制度を利用する組合や関連会社から、国会議員が理事になって、そこへその報酬あるいは政治献金が支払わされていると。
 理事として報酬を受けているのが岸田文雄衆議院議員、これが九三年より年額三百六十万円、政策秘書さんが年額三百六十万円、合わせて七百二十万円。それから、政治献金として、片山総務大臣あるいは橋本龍太郎衆議院議員、中川秀直衆議院議員、それから渡海紀三朗衆議院議員、亀井静香衆議院議員、亀井郁夫参議院議員、村井仁衆議院議員というような形で、金額はそれぞれ百三十万円、三十万円、三十万円と額は少ないんですが、いわゆる差益を利用して、本来組合員に還元すべきものを政治献金でもらっている、あるいは報酬としてもらっている。
 恐らく、もっと子細に調べればたくさんのそういった国会議員がおられると思うんですが、こういった政治献金というのは妥当なものだとお考えでしょうか。総理にお答えいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 それは妥当かどうかというのは、今私に言われても、法にのっとって恐らく献金する方も受ける側もなされているんだと思います。しかし、法にのっとっていない、違法だったらば、これは極めて遺憾であります。その点はよく調べないとわからないと思います。
木下委員 もし違法でないとすれば、道義的、政治的にはどうですか。例えば、本来得べき料金収入、それを割り引かせておいて、そこから、差益から政治献金をもらうとか、あるいは報酬をもらうということが、本当に道義的にあるいは政治的に許されることかどうか。どうぞ。
扇国務大臣 本来は、これは中小企業のためにするということで、中小企業庁でございますから経産省の所管でございますので、経産大臣がお答えするべきところだと思いますけれども、どこにしろ何にしろ、組合をつくって違法献金があるというのであれば、これは組合法違反でございます。組合法にはきちんと明記してございますので、その詳細は経産省からお答えになると思います。
西川副大臣 事業協同組合による政治献金というのは、一般的には中小企業等協同組合法に反するものではないわけでありますけれども、しかし、これはその程度でありますとか状況でありますとか、いろいろな問題を勘案して、必ずしも好ましくないという場合もございます。
 しかし、組合法は、組合の活動に対して、建議でありますとか陳情でありますとか、そういう一般的な政治活動を認めておりますので、政治献金もその範囲内で妥当なものであればよい、こういうふうな理解をしております。
木下委員 組合法は、政治的には公平中立でなければいけないというふうになっています。なぜ自民党の国会議員だけ政治献金して、それが妥当かとか妥当でないとか、そんな議論じゃないんです。要するに、割引をさせておいて、本当に中小企業の皆さんを守る、扶助するのであれば、そんなところから政治献金なんか得なさぬな、私はそう言いたい。どうですか、大臣。
扇国務大臣 私も、この別納問題というのは、十一省庁、内閣府も含めまして十一省庁がこの組合設立に全部関与しております。ですから、私は、先週でしたけれども、改めて内閣で申し上げようと思ったんですけれども、実態調査をもう一度詳細にしなければならない。しかも、組合設立には中小企業庁にみんな届けるわけですけれども、各省庁から上がっている、今私パーセントを持っていますけれども、私の国土交通省からいいますと、トラック協会等々はもちろん入ってございますから、数も多うございますけれども、冒頭に木下議員がおっしゃった、設立して差益を取るために、三人からでも四人からでも、なおかつそれを応募するということは、私はこれは違法だと思いますし、これはあってはならないことだと思いますので、料金を還元するのであれば、私は、多くの利用者が公平に料金を還元されるべきであって、こういう事業組合をつくって、その料金の割引を、ほかの事業、何しているかというのをもう一度調べていきたいと思いますので、厳重に対処していきたいと思っています。
木下委員 時間がありませんので、次の質問に移らせていただきますが、道路公団の改革についてお伺いしたいと思います。
 本来、今月十日発売、月刊文芸春秋の問題に入る前に、藤井総裁にお伺いしたいのですが、去る六月二十三日の衆議院予算委員会におきまして、同僚議員の長妻昭議員が質問した件なんですが、四月十日水曜日、尚友会館会議室での会議、これについて、どうも藤井総裁、議事録を読ませていただきましたが、記憶が定かでない、幾つかの中の一つだというような答弁をされていますが、どうですか、記憶を呼び覚ましましたですか。その会議があったのかなかったのか、もう一度はっきりお答えください。
藤井参考人 会議ですと、会議の議事録をちゃんとつくります。そういう意味で、会議というのはなかったということを、私、帰りまして確認しております。したがって、議事録はございません。
 ただ、四月のスケジュールの中で、民間の方と尚友会館においてお会いしたということはございますので、それはいわゆる、短時間ではございましたが、いろいろな通常で言う会合、ごあいさつしたりするそういう会合がございましたということでございますので、議事録等はございません。
木下委員 それは四月十六日ですか。それは間違いありませんか、十二時から十四時。
藤井参考人 四月の中旬ということまでは確認できておりますが、そういう会合、私的な会合はたくさんございますので、十六日かどうかという、日にちまでは確定できませんが、中旬に尚友会館でお会いしたことはございます。
木下委員 どれだけ会議があるかわかりませんけれども、総裁が動くんですよ、総裁が出席しての会議ですよ。しかも、質問されてから既に一カ月近くたつ。それで確認できないなんという、そんなあれがありますか。
 どうですか、もう一度答えてください。四月十六日、十二時から十四時です。
藤井参考人 会議ですと、きちっとそういう、何といいますか、日程表等にも入りますから、確実に申し上げられるのですけれども、そういう私的な会合の場合には、いわゆるお会いして、ごあいさつをして、そして帰るといったようなこともございますので、そういうのは一々明確な記録はございません。
 ただ、尚友会館でお会いしたという事実はございます。
木下委員 それはどうなんですか。道路公団側から、平井憲さん、濃添元宏さん、長尾哲さん、芝村善治さん、これが道路公団側からの出席者とされていますが、この人たちの会議ですか。それと外部の人たちとの会合というふうに判断してよろしゅうございますか。
藤井参考人 まことに申しわけございませんけれども、会議ではございません。会合でございます。いわゆるフリーなトーキングをする会合でございますから、今申し上げた方々もおったと思いますし、当時、今私どものいろいろな知恵を出していただいている民間の方もいらっしゃったと思います。
木下委員 そうすると、会合をやられたということですね。会議じゃないけれども、会合はあったということ。そこに、長妻議員も指摘しましたが、このような会議録が流布されている、あちこちに出回っています。これについては既に長妻議員が質問しましたので、この会議録にあるような話をされた事実はないということですか。これはもう長妻議員が質問していますので中身に入りませんが、指摘されたことについては、そういう会議が行われた事実はないということでございますか。もう一度確認します。
藤井参考人 議事録そのものがございませんから、いろいろな方にも確認をいたしましたけれども、議事録などはそういう会合のときとっておりませんから、その議事録そのものが私どもにはわかりません。ただ、ごあいさつとして、いろいろと私見を述べたり、雑談をしたりすることはございます。
木下委員 だから、それが要するに議事録として出回っているんです。
 これについては小泉総理が、まず、これは事実関係をはっきりさせにゃいかぬと答弁されております。さらに、私は基本的に道路民営化推進委員会の意見を尊重する、これに従わないような総裁だったら私は考えなきゃならないが、これは今後よく見る、よく見ると答えておられますが、この事実関係は、小泉さん、何らかの調査をされたわけでございますか。
小泉内閣総理大臣 いろいろ情報が来ておりますが、私がじかに調査したということはありませんが、私は、民営化推進委員会の基本的な意見を尊重して道路公団を民営化していくということには変わりありません。そのように扇大臣にも指示しておりますし、藤井総裁も、民営化に向けて一生懸命汗をかくということをこの場でも答弁されているようであります。
 いずれにしても、私は、基本的に民営化推進委員会の意見を尊重して道路公団民営化を実現していく方針に変わりありません。
木下委員 では、次の質問に移ります。
 道路公団の改革というのは、小泉総理にとっては最大の目玉と私は思っております。ところが、昨年十二月に最終報告書が出て以後、民営化が議論として全く進んでいないという指摘があるわけですね。
 これには、一つには、もう既にあちこちのマスコミで指摘されておりますが、藤井総裁の守旧的な考え方、これがあるんではないか、あるいは自民党の道路族といった人たちの抵抗、あるいは国交省内部の内部対立というようなものがあるということで、これだけ大事な問題が大変大きな議論になっている。
 先般、七月十日に、文芸春秋に、片桐幸雄さんという、この方が「道路公団 藤井総裁の嘘と専横を暴く」というタイトルで内部告発された記事が出ました。
 これにつきまして、また当日の朝、道路公団改革百人委員会のメンバーが玄関口でさまざまなビラを配って、藤井総裁に対して告発をされている。
 要するに、道路公団をこれから改革しようという大変大きな事業の前で、道路公団の内部がこのような形で、例えば内部告発が出る、あるいは百人委員会の人たちが玄関前でビラを配る、こんな事態があっていいんでしょうか。大臣、どう思いますか。
扇国務大臣 今、木下議員がおっしゃったように、民営化するという小泉総理の決断はそれほど大きいんだ、これほど波紋を呼んでいるんだという事実は、私は今おっしゃったとおりだと思います。民営化することに対しての賛否両論の意見があるというのは、これほど重大事なんだということでございます。
 それから、今進んでいないとおっしゃいましたけれども、それは事実と反します。
 事実と反することだけを少し言わせていただきますけれども、昨年の十二月に民営化推進委員会からの意見書が出まして、総理から、先ほどおっしゃいましたように、意見書を尊重しながらこれをやりなさいという御下命をいただいております。そして、私は、その意見書の中で、今すぐできること、そして中期にできること、そして最終にできること、法案提出までを分けまして、その中でコスト縮減をしようということで、コスト縮減も四兆円の縮減をして、また非常電話等々、総理も御存じですけれども、できるところはすぐにやりました。
 非常電話も、少なくとも一台二百五十七万円かかったものが四十二万円。それから、第二東名も、これはトランペット方式も、ETCを含めてダイヤモンド方式にしようということで、これも金額を四十億円削減しました。そして、トンネルも六車線を四車線にしよう、そういうことでこれも経費の三割減をしております。
 そういう意味では、民間を入れなさいということで、この民間人も、少なくとも総裁を含めてということで、民間人を九人配置いたしました。九人既に入っていらっしゃいます。これは、三菱も、イトーヨーカ堂も、太平洋セメントも、東京電力も、東急ハンズ、IIJ、それから三菱総研、田辺製薬、住友信託ということで、既に四公団の中で本四は民間の総裁に入れていただきました。
 民間の皆さんには、こういう大変苦しい中でですけれども、御協力いただいて、このようなことができているということ自体もぜひ御認識賜って、民営化というものができなければ切りなさいと言われているんですから、私は、切ることはいつでもできます。けれども、これだけ事が、民営化ということに対してのショックがあるということが、いかに民営化するのが大変かということで、これを乗り切ろうと思っております。
木下委員 いろいろな意見があるのは、これは当然だと思います。しかし、公団内部で議論すべきところを、例えばこういった形で内部告発が出る、あるいは玄関前でビラを配る、いわゆる藤井総裁を批判するビラを配る、こういった異常な事態が起こっているわけです。これについて、当事者として、藤井総裁、どんな判断をされていますか。
藤井参考人 まず、二点について申し上げます。
 職員について、私は可能な限り、いろいろな部長会あるいは職員のいろいろな会合に出て、私どもの民営化の、総理から御指示があり、国土大臣からの御指示の方向性を説明しながら、今道路公団はこういうことをやっているんだ、やらなきゃいけないんだということを説明しております。したがって、職員の中で、そういう心のある人がいるならば、私にじかに説明に来てほしいと思います。
 特に、ここの話題になっている片桐君は幹部でございますから、私のところに直接来て意見を言うべきであります。特に、月刊誌に、文芸春秋に出ましたこの署名記事、事実と極めて多くのところで異なっております。私ども、これは非常に問題である、事実を言うことは、もうこれはしようがない、しかし事実と異なったことはまずいということで、七月十日に緊急記者会見をさせていただきました。そして、文芸春秋社に、やはり事実だけは、日本に非常に影響力のある権威のある文芸春秋でございますから、法的措置を含めて、弁護士とも相談しておりますが、所定の手続をきちっととる準備に今入っております。
 なお、片桐副支社長に対しては、きょう本社に来ていただきまして、総務担当理事から、一体どうしてそういう記事を出したんだろうということで事情を聞かせていただいております。なぜ総裁に向かって、いつでも会えるのに言わないで、外で物を言うのか私にはわかりません。我々としては、公団挙げて改革派でございます。私は、この前申し上げましたように、だれよりも改革派だと威張っております。その公団は一体としてやっているんです。したがって、そういう意味合いで、私に意見を言ってくれなかったことは非常に寂しい気持ちを持っております。
木下委員 意見を言ったら飛ばされたんじゃないですか。
 時間がありませんので、どこが事実と違うのか、これは改めてまた伺いたいと思うんですが、もう一つ、あの記事の中で指摘されております、平成十四年七月に民間並みの企業会計基準に基づき作成した財務諸表、これがあると。資料4に提示してございます。これが「平成十二年度仮定損益計算書」と資料5にございます「平成十二年度末仮定貸借対照表」、これがいわば幻のものと言われている計算書なんですが、これについて、こうした資料が作成される、こういったプロジェクトチームがあった、そういうことは認識しておられますか。
藤井参考人 まず結論から申し上げますと、このような貸借対照表をつくった事実はございません。これは、十三年の十二月末に、本社内に、道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室というものを設けました。そして、調整等のために人員配置して、プロジェクトチームを設けて、民営化する場合にいろいろな勉強を事前にしておかなきゃいけないなということで、勉強の一環として実務者レベルで道路資産評価はどうしたらいいだろうかという勉強をいたしました。しかし、勉強すればするほど、データがなかったり、どういう区分にしたらいいかわからないものですから、途中で成果は得るに至りませんでした。そこで、加古委員長を初めとする斯界の会計学の先生方に直接御指導を仰がなければできないということで、委員会をつくらせていただいたわけでございます。
 したがって、この道路資産評価の価格の数字がなければこの民間企業並み財務諸表というのは作成できないわけです。そういう意味で、私どもこの六月に発表したものが公団の組織としての正式のものでございます。
 そういう意味で、きょうお見せいただきました資料を私初めて拝見しておりますが、どうして道路公団の名のもとにこういうものが出回るのか私には理解できませんが、我々としては、こういうものがこういうふうにお見せいただいた以上は、これがどういうものなのかというのは調査をさせていただきたいと思っております。
木下委員 これだけ詳細なデータなんですよ。聞くところによると、各支店にまですべて調査をお願いしている。資料を出すようにお願いしている。あるいは先ほどおっしゃったように公認会計士までつけてやっているんじゃないですか。そして、片桐さんが指摘しているように、財務で赤字が出るということがわかって、慌ててこれがなきものにしようという形で画策したんじゃないですか。これだけ詳細なデータが、一個人であったりあるいは私的グループで、あるいは何かの意図があってやる必然性というのはどこにあるんですか。
 もう一度お聞きいたします。つくったんじゃないですか、きちんと。
藤井参考人 NTTでも、財務諸表をつくるために約二カ年間かかっております。そんなに簡単にできるものならば、私どもは加古委員会なんかつくりません。また、昨年十二月に大臣からの御命令で大幅に前倒しをして作業いたしましたが、そのときも相当の職員の、百五十名にわたる増員をさせていただいて、そしてアウトソーシングも大幅にして、やっとこの六月に数字ができたわけでございます。どういうことでこんな表ができたのかわかりませんけれども、こんな簡単にできるものではございません。
山口委員長 木下君、時間が終わりました。
木下委員 小泉総理に、この問題について、最後に一言御意見を伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この道路公団民営化は、来年の通常国会に法案が提出されますので、着実に、民営化推進委員会の基本的な意見を尊重しながら進めていきたいと思います。
木下委員 最後に一言だけ申し上げさせていただきたい。
 あの国鉄改革のとき、中曽根さんは、当時の抵抗勢力と言われた国鉄総裁を飛ばしてでも分割・民営化を進めたんです。もしこの民営化に反対するあるいは抵抗するという姿勢があれば、そこは断固として総理が指導力を発揮して、御自分の意思を貫き通してもらいたい。そのことだけ要求して、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
山口委員長 この際、奥田建君から関連質疑の申し出があります。木下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田でございます。木下議員に続きまして、質疑を続けさせていただきたいと思います。
 私の方からは、骨太の改革そのスリーといいますか、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、このことを、配付資料でもお渡ししますけれども、この政府資料の中から、地方分権改革、地方行財政改革の部分についての質問をさせていただきます。
 続きまして、総理にはお耳苦しいことかもしれませんけれども、予算委員会で二月、三月と議題になりました、弟さんの経営しておりました会社についてのひとつ確認事項の報告をお願いしたいと思います。
 その後また、ちょっと欲張り過ぎかもしれませんけれども、時間があれば、デポジットや住基ネット二次サービスについて、そして整備新幹線について、こっちはお願いになるかもしれませんけれども、そういった質疑に入りたいというふうに思っております。
 まず、いわゆる政府の言う三位一体改革についての質疑でございます。
 このお配りの資料の中で、一枚開いていただきます。十九ページ、六「「国と地方」の改革」、そこに「改革のポイント」というものがございまして、事務事業及び国庫負担事業のあり方の抜本的な見直しに取り組むとともに、地方分権の理念に沿って、国の関与を縮小し、税源移譲等により地方税の充実を図ることで、歳入歳出両面での地方の自由度を高める、こういった文言には私どもも全く異存はございません。ぜひ、ともにこの改革を進めていきたいというふうに思います。
 しかしながら、その中の細目に移っていきますと、少し懸念が生じてまいります。そういった懸念についてお尋ねをしていきたいというふうに思います。
 そして、今、この方針の中に地方行財政改革の部分が書かれましたけれども、新聞報道でも大きく報じられました。これらのことが、地方分権の改革推進会議あるいは地方制度調査会、財政審議会、同じ国の中での審議組織ですけれども、三つどもえあるいは三すくみといったような状態で停滞しておりました。
 締め切りぎりぎりになって決断をいただいて方針として出させていただいたわけですけれども、これから細かい、あるいは現実的な審議に入るときに、やはり同じようなことが起きてくる。地方の痛み、そして中央省庁の痛み、そういったものが対立し合う、そういった仕事でもございます。
 ぜひとも、こういった仕事の進め方、あるいは「改革と展望」という中で、三年半の期限をもっての改革とするということも書かれておりますけれども、もう少し年度ごとの目標を持ってほしいということ、年限のこと、この組織と年限について、総理の方から御説明を少しいただければと思います。
小泉内閣総理大臣 この地方分権に関する議論の過程において、それぞれ地方から意見が出ております。また、総務省の意見と財務省の意見、過程におきまして、若干対立といいますか、相違もございました。さらに、財務省と総務省のみならず、他の官庁も、補助金等非常に密接な関係がありますので、それぞれ意見がございます。そういう中での三位一体の改革をしていかなきゃならない。
 補助金の問題と交付税交付金の問題と税財源、これがいわゆる三位一体の改革ということでございますが、補助金一つとっても、それぞれどの補助金をカットして地方に与えればいいのか。
 あるいは、交付税交付金の問題にしましても、これは財政調整という重要な役割がありますから、何とか交付金をもらわないでやっていける自治体をふやしていこうということが必要なんですが、税源も財源もないという地方にとりましては、今のままがいいという意見もあるんですね。自分で考えなくて、中央から財政調整金といいますか、足らないところは交付税交付金でもらう、余計な改革はやめてくれという声もあることはあるんです。
 それから、税源、財源につきましても、地域によって、税源のあるところ、いわゆる財源のあるところとないところ、地方議会に課税自主権を与えてもいいじゃないかという意見と、そんな課税自主権を与えてくれたって財源そのものすらないよという地方もあるわけです。
 だから、どれも、一つ一つ考えていくとみんな、ああこれは難しいなと言って今まで終わってきたわけです。手をつけられない。だから、どうせなら、これは全部難しいのはわかっているけれども、このままでは地方分権が進まない、地方の自主性を生かすことができないということで、この三つは難しいんだから一緒にやろうということで、非常にかんかんがくがくの議論が行われてきたわけであります。
 ようやく最終的な決断をしなきゃならないという段階におきまして、補助金を三年間で約四兆円程度削減しよう。そして税源も、義務的経費、地方なんだけれども、地方でやっている仕事なんだけれども、これは例えば義務教育費なんというのは義務的経費であります。これは、効率的な見直しの上に全部地方に与えたとしても、国が見なきゃならないだろうというのもあります。
 さらに、地方独自の判断で、裁量権を持った中での権限も与えていこうじゃないかということもありますので、先般、いわゆる補助金は四兆円、基本的な税源を移譲する、そして義務的な経費については全額移譲する、しかし、これも効率的に徹底的に見直してくれ、その他の分野においてはおおむね八割程度税源を移譲するから地方もよく見直してくれと。今までの経費を削減した中でも、地方の配分によって、どこを重点的につける、どこを削減する、そういう中で徹底的な効率見直しもできれば、今までの国の補助金がなくても、地方の範囲の中でみずからの地域の特性を生かした改革ができるんじゃないかという趣旨で大枠を決めたわけです。
 具体的な中身というのは、これから予算編成です。また問題を先送りしているという声がありますが、当然なんです。具体的な数字は十二月の予算編成で決まるんです。しかし、大枠の数字を決めたんです。この大枠の基本方針にのっとって、これから各省庁、地方との折衝が始まるし、十二月の予算編成のときには具体的な数字が出てくる。そういう方向で進めていきたいと思います。
奥田委員 三年半という時間は長いですけれども、十六年度の予算編成には補助金の削減や移行といったところをできるだけ検討していただけるということでよろしいでしょうか。答弁はいいです。よろしいです、済みません。
 ただ、この問題は今始まった問題ではなくて、地方分権の一括推進法が成立しているときに財源の部分が積み残しになって今に至っている、そういった問題だと私たちは認識しております。ですから、難しいから今から始まって三年半で決着をつける、私はそういう問題ではないと思っております。ぜひとも工程表の名に恥じない、本当に仕事とステップ、それらのつながりを明示したような、目標を区切ったようなそういったプログラムを提示してほしいですし、また、地方自治体にとって本当に関心のある部分でもありますし、今までの審議会同士の対立というのではなくて、本当に地方が参加して国とまた対等な立場で審議をできる、そういった審議会組織といいますか、会議組織というものをぜひ立ち上げて、その中で、お互いが納得しながら、物事をぶつけ合いながらこの改革をつくり上げていただきたいということを要望としたいと思います。
 今、四兆円というお話、これは総理のお口から直接何回も聞いておりますけれども、お話がありました。この四兆円という根拠といいますか、補助金改革というものがどんなに難しいかということは、財務省の方の発行のこの補助金総覧というもので、一千ページ近い補助金のいろいろのものが載っています。こういった中で出てきて大ざっぱな積み上げをしたものなのか、あるいは、国の税収、地方の税収といった中で、その比率を今の適正規模と考える中に持っていくために出した数字なのか、その辺のところを教えていただけませんでしょうか。
塩川国務大臣 それは、国と地方との関係の中で、大体補助金、負担金というように全部ついておるのは、約二十一兆円あるわけでございまして、その中で、ほとんど十一兆円以上のものが、実は法律とか政令とかでも規則づけられておるものがあります。それは一応後の整理として除きまして、そうしますと、約九兆ちょっとなんでございますが、そのうちでさらに分けますと、公共事業費というのは五兆円ちょっとあります。そうすると、あと四兆、大ざっぱな数字ですから約四兆、正確に言いましたら三兆六千幾らなんでございますが、それがいわば選択的補助金あるいは負担金という、政府の政策によってつけておる。国と地方のあり方の中で、まずそこから整理をしていこうという、これを三年間でやろう、それが四兆円ということになったわけです。
 ですから、国と地方の整理というのは、この三年で終わるものじゃございませんで、これからもずっと先々、公共事業の負担のあり方というものも考えなければいけませんし、それから社会福祉とかいろいろな制度的なもの、先ほど言いました十一兆円近くのものを、このものについての検討も必要になってくると思っております。
 とりあえず四兆円、そういう選択的な縛りの緩やかなといいましょうか、政策的なものに絞ってやるということであります。
奥田委員 今、財務省の方でいただいた資料で、国税収入、十五年度予算の中で見ますと、大体四十一・八兆、そして地方税収入三十二・二兆、これが六対四の比率だと、少し、下一けた違いますけれども、比率で言われている根拠かというふうに私は思っております。これが大体四兆円、丸々移行するということになると、国と地方の歳入、税収ですね、税での歳入というものが大体一対一になる。五一・一%と四八・九%という数字になります。大体両方とも、三十七兆円を境にして税収が確保されるということになる。そういったところから四兆円という数字が出てきたのかなというふうに私は思ったんですけれども、今、財務大臣のお話では、こういった補助金の中で、予算補助あるいは法律補助といったものがある中で、予算補助の中で、選択的補助金というものが大体四兆円あって、そこが一番手をつけやすい、あるいは動かしやすい、法制度の改正がないままできる、その積み上げたものが大体四兆円であるということで理解させていただきたいというふうに思います。
 この文言の中で、まだ一つ二つ気になる文言もございます。例えば2の「地方交付税の改革」、これも当然必要なことではありましょうけれども、地方交付税総額を見直し、「財源保障機能を縮小していく。」という文言がございます。
 この財源保障機能を縮小していく、交付税の機能として、財源保障そして財源の調整というものがあることは、議員であれば当然勉強していかなければいけないところですけれども、この保障機能を縮小していく。私は、この保障機能というのは、地方自治体の財源が不足したときに穴埋めしていく、そういった機能を持っている、あるいは財政基盤の弱い自治体にとっては生活保護的な、そういった財源であるというふうに聞いております。こういった財源を縮小していくという文言を入れることが、やはり財政基盤の弱い自治体にとって大変深刻な文言になってくるということを、ちょっと時間の関係で、質問ではなく、御指摘をさせていただきたいと思います。
 そして、三番の「税源移譲を含む税源配分の見直し」という部分もございます。ここで、「税源移譲は基幹税の充実を基本に行う。」これは政府の文言です。そして「義務的な事業については徹底的な効率化を図った上でその所要の全額を移譲する。」私は、この徹底的な効率化というところもちょっと気にはなるんですけれども、質問の方は、この基幹税の充実を基本に行う。
 この基幹税というのは、ぜひ、こちらの希望もありますけれども、地方からの希望を代弁すれば、個人所得税あるいは消費税、そういった安定財源をもとに考えていただきたいという思いがありますけれども、こういった声に対して、総理大臣のお考えを聞かせていただければと思います。総理大臣にお願いをしたい、簡単な答えでいいですから。
塩川国務大臣 ちょっと、税の関係は私の方で……(奥田委員「塩川大臣、この前決算委員会で聞いているものですから」と呼ぶ)そうですか。
 それで、もう一度言いますと、私どもは基幹税というのに別にこだわっているわけじゃございません。要するに、国と地方との間で、地方がどの税金が一番いいとおっしゃるならば、私どもはそれを優先して考えますよ。そんなこだわってはおりません。
 この問題は、国と地方の問題は、政治レベルでは基本的には話がついておるんです、あとは行政上、どう整理していくかということですから。ですから、税についても大体それで、基幹税であればどんな税源でも私どもは応じて、相談に乗ってやっていきます。
小泉内閣総理大臣 税源移譲については今財務大臣も、こだわっていないと、基幹税で。これは地方の意見をよく聞こうと。
 それと同時に、政府の税調も党の税調もあります。税制改正を伴うわけですね。そういう点もあるから、よく地方の意見を聞きながら、そしてこの件については、議員個人のいろいろな意見もあります。税制改正というのは地方だけじゃありませんから、非常に影響がある問題で、関心を持っている議員も多い。そういう点があるから、これからのよく議論をしていく中で、どういう税源を移譲していったらいいかという問題であるということを塩川財務大臣は申し上げているので、私も、今決めるものじゃない。当然、これから年末にかけて税制改正の議論が行われますから、その中で、地方の意見をよく聞いてやっていきたいと思います。
奥田委員 片山大臣、申しわけないですけれども、次の質問に移りたいと思います。
 質問というよりも、また要望と指摘という形になりますけれども、ここのところで、課税自主権の拡大ということも書かれております。
 今、課税自主権といいますか、課税に関しては法定課税主義ですか……(片山国務大臣「法定外税」と呼ぶ)ありがとうございます。憲法の方でも書かれておりますし、地方税法の方でも書かれております。今、自治体の条例での課税というものが法的な中で決められている中で、それを拡大するということは新たな法改正があるということを、一言でいいです。では、片山大臣。そうなんだよ、違うんだよと一言でお願いします。
片山国務大臣 やっと発言の機会を得まして、ありがとうございました。
 中央からいう基幹税は、安定的で、税源の地域による偏在がない税なんですよ。それは所得税と消費税でございます。基幹税といえば法人税も入りますけれども、これは十分政府や党の税調等で議論していただいて、そこで方向を出していく、こういうことになると思いますね。
 それで今、課税自主権というのは……(奥田委員「いや、法改正でやるのか、今の中での考え方でやるのか」と呼ぶ)課税自主権は、今、制度としてあるのは、法律が決めている税以外の法定外税と、それから、今、法律が標準的な税を決めておりますが、超過する超過課税、両方で五千億ぐらい取っているんですよ、一・四%。
 これは、今の税というのは租税法定主義なんですよ。だから、法律でなきゃいかぬのです、条例でなくて。だから、地方税法ということの中で根拠と枠組みをつくっているんですよ。その中で認めるものですから、いい税は全部法定税ですよ。国税も法定税、地方税も法定税。法定外税といったら、申しわけないが、落ち穂拾いみたいな税になるんです。だから、そこのところをどう考えていくか。それから、超過課税はかなり認めています。認めていますけれども、もっと認める、こういうことであります。
奥田委員 そういった税率での規定は、まず最初に、一番簡単に見直せるところかもしれない。そして、その中でまた新たな課税を考えて、地方からの提案とするときには、それに伴った法律というものをつくっていかなきゃいけないということだと思います。
 続きまして、総理の方の弟さんの、これはお手元の資料、一番最後の方につけさせております。二月と三月の予算委員会からの経過がありますので、その経過をペーパー一枚に私が議事録からまとめさせていただいたつもりのものでございます。
 簡単にその要旨を説明しますと、総理の弟さんが社長をやっておられる会社、株式会社コンステレーション、こちらの方とH金属という会社とが、横須賀市の入札物件に関して商的な取引、契約、あるいはそれに近いものを交わしておるということ。そして、これは長妻昭議員の質問から出ているものでございますけれども、その契約した会社からの証言があり、またそれのテープがあり、そこには、成功報酬、販売手数料としての契約支払いであるという言葉、あるいは弟さんの方からアプローチがあったんだと。どういう仕事の内容なんだというと、一般には手に入らない営業情報というんでしょうか、そういった情報をいただいたということが述べられております。
 そして、二回目の三月三日の予算委員会の時間切れのときに、藤井委員長の方から、幾つかの問題があるけれども、一般的な調査をすることに総理に御協力をいただけないかというお話があり、総理の方から委員長にまた従って答弁をする、報告をするという話となっております。
 この藤井委員長との話の報告、総理の報告、そして長妻議員が何回も質問したんですけれども、これはたった一点を聞いているんです。この弟さんの会社と何とか金属というところがした契約書、その有無、そしてその内容、それを教えてください、それだけの話なんです。
 今、埼玉県知事、もとの参議院議長の辞意表明というものもございました。うがった見方をすれば、そういうことにもかかわりかねない、やはり政治と金、そしてその周辺、政治を取り巻く人たちの問題といったことかと思います。
 総理の方から、調査結果と答弁をいただきたいと思います。御報告をいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 この問題は、前にも御質問いただき、私からはっきりと答弁しております。
 いかにも疑惑があるような形で質問されておりますが、先日も、その企業側と長妻議員側とのこの問題に関しての記録を委員の皆さんに配付されました。それで、委員長から、調査をすることはできないかというお話ですので、私も調査してみました。
 その配付された資料は、テープを起こしたものだというものですから、ところどころ消されてあるところがある。この消されてあるところは何だと思って……(奥田委員「私は簡単な答弁だけを求めていますので」と呼ぶ)それで、そういう消されてあるところを起こしてみたら、何と、先方の企業側は、小泉純一郎とのつき合いは全くない、政治献金もないとはっきり言っているところだけ消して、皆さんに配っているじゃありませんか。それで、いかにもあとのところに疑惑があるかのような形で質問されているというのは、大変私は遺憾であります。
 そもそも、特定の契約はあるかという御質問でありますが、ありません。そして、横須賀市は電子入札を導入しているんです。いわゆる口ききなどの可能性はないんですよ。疑惑を生ずる余地はないのに、なぜあえてまた同じ質問をされ、また疑惑があるかのように質問をされるのか、私は本当に残念です。
 こういう問題については、やはりお互い議員同士で、こういう場で、本当に、テープの起こしたのをみんな議員に配って、自分に都合の悪いところを消しちゃうという、これは民主党で認めているんですか、そういうことを。この方が私は問題だと思いますね。
奥田委員 総理は、契約はないというふうにおっしゃいました。
 そのテープを、私もできればお聞かせしたいですけれども、このテープは、予算委員会の理事には、与党側からの求めに応じて、長妻委員はそれを全部出し、テープのダビングしたものですね、そしてテープ起こしした書類も渡しておられる。確かに、途中、雑談の部分やそういった要旨と関係のない部分は削っておりますけれども、私もそういったことを聞いているんじゃない。その内容を教えてほしいと言っているんです。その内容をどうして、三月からのところで、総理はおっしゃっていただけない。
 じゃ、せめて、その内容を確かめることを、弟さんと、そしてこの相手の会社の方に確認し、その調査に協力していただける、いただいてください、協力してください、その言葉を総理からいただけますか。
小泉内閣総理大臣 調査した結果、特定の契約はない、全く不正の入る余地がない。しかも、先方側は、小泉純一郎と関係は全くない、政治献金もないとはっきり言っているところを、どうして消すんですか、信用ある調査をみんな議員に配って。この方が私は理解できません。こういう疑惑がないものをあるかのようにこう質問される。しかも、同じ質問でしょう。私、甚だ遺憾です。(奥田委員「答えてないからですよ」と呼ぶ)答えていますよ。ないんだもの。どうして、小泉純一郎と関係ない、政治献金もないというのを、あたかも不正な献金があるかのように、こうやって質問するんですか。
奥田委員 総理の弟さんは総理の私設秘書でもあるんです。そういった秘書と、そしてその秘書がやる、兼業か本業か知りませんけれども、その会社との関係を問いたいと言うておるわけであります。
 ぜひ、委員長、理事会の方で、こういった議事録を精査してでもいいです、決算行政監視委員会としても、こういった調査といいますか、聞き取り、確認ですよね、それと、もし総理がそこまでおっしゃるのであれば、せめて弟さんの、今は抹消した会社ですけれども、ぜひ帳簿だとか商業登記簿謄本、そういった当たり前の、これは当たり前の閲覧しようと思ったら幾らでもできることです。そういった書類をそろえて確認するということを理事会で諮っていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
山口委員長 これにて木下君、奥田君の質疑は終了いたしました。
 次に、塩田晋君。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 小泉内閣総理大臣に、数問にわたってお伺いしたいと思いますが、一括して御答弁をお願いします。
 第一点は、我が国の防衛問題でございます。
 日本人が拉致されました。これは北朝鮮という国の国家権力による国家犯罪でありますし、また、日本国民がその自由を奪われ、そして拉致をされて、人権が侵された。今なお侵されつつある。百名以上になるかもわからないような人たちがそのような状態にある。これに対しまして、国として、早期に救出をするために全力を挙げてやっていただきたい、全面解決をしていただきたい、このことを強く要望いたします。
 北朝鮮という国は、言うまでもなく、軍事大国であります。正規軍だけで百万を超える、民兵が八百万、そして各種の兵器をそろえて、大変な戦力を持っておる。そして、力がなければ国際社会ではばかにされるという最高責任者の考えのもとに、したがって核兵器も開発をし、それも所持するんだ、そしてまたミサイルも日本、韓国に対して二百基もそろえている。一朝事あれば、これはもう日本も韓国も火の海にできる、こう言っているわけですね。
 そのような状況の中で、我が国の安全、防衛のためにどうすべきか。
 昭和三十一年の総理あるいは防衛庁長官の政府統一見解が国会で述べられておりまして、現在もその政府統一見解は生きておるということは確認しておるところでございますが、これは、ミサイルに対しましては、座して死を待つよりは、発射直前に敵基地をたたく、これは憲法で保障された我が国の自衛権の範囲内である、こういう統一見解が現在も維持されておるわけでございます。しかし、残念ながら、これを実際行う力を自衛隊は持っていない、残念なことでございますけれども。しかし、日本国民の安全を図るために、防衛のためには最大限のことをやらなければならない。
 我が国の方針としては、言うまでもなく、専守防衛でございますから、ミサイルが飛んでくるのを、座して死を待つことはできない。そのためには、やはり最大限の専守防衛の防衛力を持たなければならない。そのためには、やはりミサイルの防衛システム、最新のものを確立する必要があると思います。そして、BMD、アメリカが開発しておりますが、日本も協力している、これの最新のものを、例えばSM3とかあるいはPAC3、こういったものを、やはりパトリオットの開発型としてでも、早く配置をしなければ、本当に国民は安心できない、本当に火の海にされる、そのような危険があるわけでございますから、国民に安心を与えてもらいたい。
 そのためには、やはり停止早期警戒衛星を打ち上げるとか、また、核兵器は別としまして、やはり空対地のミサイルを持つとか、あるいはミサイル潜水艦を持つとか、あるいは戦闘爆撃機を持つ、こういったことをやはり目指して、しかし当面は、早急にミサイル防衛のそういったシステムを開発し、必要な兵備を、防衛力を持つべきだ、このように思います。このことについてお伺いいたします。
 それから、第二問は、警察、教育の問題でございますが、治安が悪化しておる、あるいは教育の現場が非常に混乱しておる、こういう状況の中で、戦後つくられた今の公安委員会、教育委員会、これが形骸化している。これを廃止する大改革をやるべきじゃないか。
 そして、広域的な犯罪の捜査、また拉致問題等につきましても、一定の犯罪につきましては、現在は都道府県警察が中心になって捜査をしておりますけれども、ある県から他の県へ出かけて捜査しているわけですね。こういうシステムにいろいろ問題があるんじゃないか。そこで、アメリカ式のFBIというようなものを日本でもつくる必要があるんじゃないか。
 また、教育は、義務教育は国が責任を持つ。そのためにも、教員は国家公務員にすべきではないか、このように考えますが、いかがお考えですか、お伺いいたします。
 第三点は、外航海運の問題でございます。
 言うまでもなく、日本は海洋国家でございます。原油を初め、天然ガスあるいは鉱石等も外国から大量に外航船舶をもって運んでくる、あるいは貿易品も輸出は船によらなければならない、こういう状況でございますが、日本の商船隊が保有する船舶の約二千隻のうち、日本の旗を掲げているのはわずかに五%、他は、リベリアとかパナマとか、そういった外国の船籍なんですね。それから、船員につきましても大部分が外国で、日本人の船員は一〇%を切っておる、こういう状況であります。一朝事あれば大変な問題になる。そして、国の権力が及ばない置籍外国船、船籍のところで、これは、TAJIMA丸の事件もありましたように、日本の権力が、権限が及ばないといった問題も起こりました。
 やはり外国の状況をよく調査されて、税制等に問題があると思うんですが、そういったところをよく検討されて、抜本的な日本海運の再生を図るべくやっていただきたいと思います。
 それから最後に、国会等の移転でございますが、衆議院におきましては、国会等移転特別委員会におきまして報告書を出しました。これはもう、十二年間かかって三カ所に絞った、そしてあとは総理が決断されれば、これはできることなんです。憲法改正と違って、国会で過半数の承認を得て法律をつくれば、できることです。一大決断をして、百年の計、否、千年の計を、総理の大英断によって、ひとつ大改革をこれでもってやっていただきたい、このことを求めますけれども、いかがお考えか、お伺いいたします。
山口委員長 まことに申しわけありませんが、塩田委員の持ち時間はあと一分少々でありますので、答弁は、大事な問題ですが、恐縮ですが、簡潔にお願いします。
小泉内閣総理大臣 多岐にわたって御質問いただきましたが、四点、ミサイルの問題と治安の問題と海上輸送の問題と国会移転の問題。
 これは、ミサイル防衛の問題については、専守防衛の我が国にとっては、今後、重要な課題だと思っています。その経済的効率性とか技術的効率性、費用対効果、そういう点を考えながら、今後、米国とも共同研究していかなきゃならない課題だと思っております。
 治安の問題、確かに、日本は今、治安の点において、かつての世界一安全な国であるという神話が崩れつつあります。何とか、世界一安全な国という、この神話というべきよき制度を取り戻すべく、総合的に対策を練らなきゃならない問題であると思います。単なる治安だけの問題ではないと思います。教育の面あるいは外国との関係、いろいろ多岐にわたっておりますので、総合的に、政府は、この治安問題等、取り組んでいかなきゃならない問題だと認識しております。
 また、国会移転でございますが、これは私は、個人的に言えば国会移転論者なんです。しかし、私は、国会移転というのは東京を魅力的にするものでもあると思っているから、国会移転論者だと言っているんです。国会移転をする場合にも、東京はますます魅力的になるものだなと思っております。
 しかし、今国会で議論されております、時期がどうかと。今は、もう難問山積、次々課題が私に襲いかかってまいります。今、それに手をつけていい時期かというと、これは政治的判断を下さなきゃならない。もう少し、国会の状況なり時期を見て判断すべき問題ではないかなと思っております。
 海上輸送の問題ですが……
山口委員長 総理、時間が終了しましたので、終わってください。
小泉内閣総理大臣 はい。九九%以上を日本は海上輸送に頼っておりますので、御指摘の点を踏まえて、よく対処をしていきたいと思います。
塩田委員 終わります。
山口委員長 これにて塩田君の質疑は終了いたしました。
 次に、穀田恵二君。
穀田委員 きょうは、日本経団連の企業献金のあっせん再開について聞きます。
 十年前、当時の経団連は、なぜ企業献金のあっせんをやめたか。リクルート疑惑、金丸事件、東京佐川急便事件など、政治と金の問題が噴出しました。国民世論は、政治家と企業の癒着を、その温床となる企業献金について、献金自粛、規制強化を求めました。この世論に押され、企業献金の廃止も含めた見直しを当時の経団連会長は約束し、自粛したものでした。
 この十年間、事態は変わったかというと、改善されるどころか、一層ひどくなっています。御承知のとおり、昨年のムネオハウス事件、そして加藤紘一元自民党幹事長の事件、さらに、井上裕前参議院議長、自民党長崎県連、坂井隆憲議員など、後を絶たない政治と金をめぐる問題で問われてきたのは、国民の税金を政党、政治家に還流されていたということであって、しかも、いずれも企業献金により、金の力で政治がゆがめられたという問題でした。
 このときに企業献金あっせんを再開することは、政治と金の関係を正せという国民の願いに逆行するものと総理は思われませんか。
小泉内閣総理大臣 私は、逆行するものとは思っておりません。
 今までいろいろな議論が行われましたけれども、政治活動のために、国民からどういう寄附を求めるか、政治なり政党はどういう寄附を受けるべきかという議論が重ねられてまいりました。それ以来、政治家個人に対しては、企業献金は既に禁止されております。そして、企業が政党に寄附する場合においても、労働組合が政党に寄附する場合にも、一定の規制が設けられるようになりました。
 現に、いろいろ政治家の不祥事が出ておりますが、政治資金規正法に違反した者は逮捕されております。政治資金の管理も十分に行われなければならないという例だと思いますが、今後とも、私は、政党なり政治家が税金以外にどのような国民からの資金の拠出を求めるべきか、どのような制限のもとで企業なり団体は政党なり政治家に寄附金を与えるべきか、また政治家もどのような形で受けるべきかというのは、これはなかなか難しい問題でありますが、常に心して当たらなきゃならない。
 私は、いたずらに企業献金、団体献金が悪という考えは持っておりません。やはり民主政治というのを育てるのは国民です。国民が、企業においても団体においても、それぞれの政治をよくしていきたい、自分たちの主張を理解してほしいという形で、政党なり政治家に一定の制限のもとで寄附金を与えるということは妥当な制度だと私は思っております。
穀田委員 そういう一般論を聞いているんじゃなくて、今、そういう事態の中で企業献金のあっせんを再開する。もともとこのときに、企業献金を自粛したときには、一方で、政治の中では政治改革の議論が進みました。そして、少なくとも個人に対する献金はやめよう、そして企業献金はなくす方向で努力をしよう、そのかわり政党助成、そして献金の透明化を図るということを決めたわけですよね。ところが、そういう事態にならなかった。そして、その上に、今度の再開という問題は、単なる再開ではないわけですね。問題は、大がかりな政策、政党買収を行おうとしているところに問題があるわけです。
 そのことについて経団連自身が何と言っているか。日本経団連は政経行動委員会を設け、そこで日本経団連としての優先事項を設定し、その優先政策事項に基づき政党を評価する。つまり、その政党に寄附する企業の献金をさらに決めていくわけですが、経団連の求める政策を支持するかどうかが献金の判断材料とする、こういうシステムまでつくろうとしているところが問題だ。だから、私は、これは露骨な政策、政党買収と違うのかという問題を今改めて提起しているわけです。そう思いませんか。
小泉内閣総理大臣 それは、経団連だろうが労働組合だろうが政治団体だろうが、自分たちの言い分を聞いてもらおうと堂々と発表するのはまさに民主政治の基本です。それをどのように受けとめるかというのは、また政党の自由です、政治家の自由であります。そして、恐らく経団連の方は、個別の企業よりも、日本経済をどうよくするかということで、一定の自分たちの主張を理解してもらおうということで、団体として考えているんだと思います。
 そういう点については、労働組合だって、自分たちの生活をよくしてもらおうということで政党に献金しているわけでしょう。経団連だって、それの一つの団体、一企業よりもまとまってやった方が力を発揮できると思うから、自分たちの主張はこうだ、これに対して政党は理解してくれるのか、政治家は理解してくれるのかという発表をして、これに対する政党なり政治家なりの答えを得ようと思うのは、民主主義の社会においては、私は、当然許されていいんじゃないか。
 問題は、各政治団体なり労働組合なり経団連なりがそういう資金を提供して、政治がどう動くか、政党がどう動くか、選挙のときにどの団体の支援を得たいかというのは、政党なり政治家が個別に判断すべき問題だと思います。
穀田委員 そこが問題なんですよね。
 結局、出す側はどう言っているか。堂々と政策を主張することについて、私、言っているんじゃないんですよ。問題は、そういうものを実行するかどうかについて金を出す、つまり、金を出すことによって政策を動かすというところを問題にしているんですよ。
 だから、経団連で長年献金を扱ってきた中心人物の花村氏は、献金するから経済界の意見を取り入れろじゃ一種の汚職になりますよ、こう言っているんですね。そのとおりじゃないですか。また、マスメディアもこぞって批判をしていて、評価対象の政策が具体的な内容になれば、政策を金で買うというとの批判が避けられないということなんですね。堂々と自分の政策を主張する、このことについて言っているんじゃないんですよ。これで、これに従わなければ、これをやらなければ金を出さない、やったら金を出す、しかも実績評価、成功報酬を求めているところに問題があるわけなんです。
 しかも、私が三つ目に言いたいのは、事実上買収しようとしている政策は何かという問題なんです。
 消費税引き上げ、法人税の引き上げ、企業の社会保障の負担軽減、これが日本経団連の……(発言する者あり)法人税の引き下げが、奥田ビジョンと言われるものの中身です。そして、そのときの記者会見で彼はこう言っています。二〇〇四年度から消費税を引き上げようという政治家の点数が高くなることについて、大いにあり得ると言っているんですね。つまり、ビジョンと政治献金の連動性、まさに直結しているということを彼は言っているわけです。
 そうすると、国民にとっては、消費税大増税は圧倒的にノーと言っているものなんです。しかも、選挙権を持たない大企業が金で政治を動かすということになれば、それこそ総理がおっしゃっている、民主主義と言いますが、民主主義の破壊なんですよ。ここが大事なんです。
 だから、もともと政治家と企業の癒着にメスを入れるということで始まったこの問題の出発点、この団体献金、企業献金というものを禁止し、なおかつ政党支持のいかんにかかわらず強制的に税金を投入する政党助成金などはやめなくちゃならぬ、私はこう思っています。この点、最後に総理の意見を聞いて、質問を終わります。
小泉内閣総理大臣 要は程度の問題だと思います。これは主張によって、消費税を上げろと経団連は言っているようでありますが、私は、はっきり上げないと言っていますよ。言っていないで経団連が自民党に寄附しないか、そうじゃないと思いますね。それは主張は勝手ですよ。私ははっきり、小泉内閣続く限りは消費税率を上げないと言っているんですから。それはどういう、住民でも、地域でも、この人を応援したいといったら、みんな自分の、人の主張を理解してもらいたいと思って投票するわけでしょう。金のない人は票を下さい、金のある人は金を提供してください、労力のある人は労力を提供してくださいとみんな候補者は選挙のときにみんな言うんじゃないですか。
山口委員長 時間でありますので、これにて穀田君の質疑は終了といたします。
小泉内閣総理大臣 それだから、一部の人に左右されるというものじゃありません。民主政治というのは、いろいろな国民の動向がどうあるかということでなされるべきものであって……
山口委員長 時間が終わっておりますので、申し合わせを守ってください。
小泉内閣総理大臣 民主政治というのは、国民の意見を、よく耳を傾ける、そういう中で妥当な判断がなされるべき問題だと……(穀田委員「金の力で動くというのは民主政治の根本を破壊する」と呼ぶ)金だけじゃない、金だけじゃないんです。
山口委員長 総理、総理、時間が来ておりますので、質疑は終結をしてください。
小泉内閣総理大臣 金も重要なんです。税金だけで面倒を見るというのはよくない。
穀田委員 終わります。
山口委員長 次に、山口わか子君。
山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。
 最後になりましたので、きょう、これから文字どおり平成十三年度の決算について質問をさせていただきたいと思います。
 毎年、予算に基づいて政策が執行されていることは当たり前のことなんですけれども、予算がどう使われたのかをきちっと総括することが、むだな支出や事業計画と実態とのそごをなくすことができるということで大変重要だというふうに思っています。
 そのために会計検査が行われているというふうに思うのですけれども、平成十三年度の決算検査報告が昨年の十一月二十九日に小泉総理に提出されました。報告書はもう既に総理は読まれたと思いますけれども、この三年間の決算状況を見る中で、特別会計も含めて各省庁とも十分な決算の分析をし、事業の中身についてチェックしているのか、またそのような指示を小泉総理は出しておられるのか、このことについていつも疑問に思っていました。
 特に特別会計につきましては、一般会計の約六〇%、四十九兆円という大変な支出になっているわけです。一般会計では厳しく予算執行に努めているのでしょうけれども、一たん特別会計に支出されてしまいますと、そこで終わりになってしまうことが多いのではないか。残りの四〇%で事業や政策を執行していくということですから、これは大変なことではないかというふうに思います。
 税収の落ち込みとか景気の悪化で、十三年度は五兆円近く前年より少ない決算になっていることは、それだけ厳しい財政運営をしてきているのだというふうに思いますが、そうであればなおさら、六割近くもの特別会計に繰り入れをしなければならないような硬直化した予算の運営をこれからどう変えていくのか、変える必要がおありなのか、総理からお聞かせください。
小泉内閣総理大臣 この会計検査、そして一般会計、特別会計の点については、塩川財務大臣も非常に熱心なんです。この点について、検査の状況を翌年度の予算に生かしていかなきゃなりませんし、今、一般会計だけでなく、特別会計という中身に対しても、厳しい査定といいますか、評価をしなきゃいかぬということで熱心に取り組んでいるところでありますので、この点については、塩川大臣が張り切っておりますので、この際、せっかくですので、塩川大臣から答弁していただきます。
塩川国務大臣 問題は、私は、会計検査で一番難しいのは特別会計だと思うんですよね。そこについて、財政制度審議会の方で、特別に、特別会計等のあり方、そしてそれの企業会計への移動というのを、公会計の移動ですね、そういうのを勉強してもらっておりまして、進めていきたいと思っております。そのことがやはり検査を通じて透明性を確保する道だと思っております。
山口(わ)委員 私も地方自治体にいましたけれども、地方自治体で、一般会計から特別会計に六割もお金を出していたのではとてもとても回っていきません。ですから、やはり特別会計であれば何でもできるというふうに、もしそういう予算執行をなさるのでしたら、やはりこれは考えていくべきだというふうに思っています。
 続きまして、会計検査の結果を見せていただいているんですけれども、毎年、不適切な会計処理ですとかむだ遣い、あるいは補助金の不正支出など、指摘された額は十三年度だけでも三百二件、二百四十三・二億円もあるわけです。これが、大体毎年同じぐらいの額が指摘されているわけです。
 十三年度に関して見ますと、特に、支援委員会など国際機関等における拠出金ですとか分担金については、かなり古くからある委員会で、九年くらい前から継続されているわけですけれども、総額で十三年度末の繰り越しが三百四十一億円、ところが支出はたったの四十億円にとどまっているということで、これもちょっとやはり支出と歳入のバランスが全く崩れているというふうに思いますし、また小規模事業者等設備投資資金につきましても、貸付額が減少することに伴って、貸付額がどんどん減少してきちゃったんですけれども、千四百二十七億円という多額の次年度繰り越しが発生しています。
 また、電源開発促進対策特別会計に至りましては、十五年も前から収入より支出の方が少ないという現象が起こっていまして、十三年度で剰余金が一千七百億円も出てきてしまったということで、やはりこのほか、まだまだたくさんございます。
 例えば、都市基盤整備公団の土地がなかなか売れないでお金がふえてしまったというようなこともありますし、非常に、今これだけ財政が大変なときに、もうちょっときちっとこういうところを見直していかないと、ただ漠然と、前年度からある予算だからそのまま、またことしも予算をつくる、そして決算もそのまま進めていく、また次年度もというふうな、毎年同じことを繰り返していたのでは、これはなかなか、やはり今のこのような厳しい財政を何とかしていくことは難しいのではないかというふうに思っています。
 やはりこういうことを考えたときに、財務大臣として、来年はもっと違った予算執行する、あるいは特別会計についても変えていきたいということをお考えでしたら、お答えください。
塩川国務大臣 おっしゃるように、いろいろと予算の使い方の問題もあります。来年度から、できましたら、通年度で予算が使用できるような方法、これはモデル予算と言っておりますけれども、そういうようなものも採用してみて、だから、単年度ごとでやっていますから、余ってきたら使わな損だというので使うてしまう、そんなことをしないで、きちっとプロジェクトが終わるまでその事業を使っていけるようにするとかいう、そういうことも考えていきたいということも思っております。
 それと同時に、私は、ずっと見ていますのは、やはり会計検査院、一生懸命やっておられますが、人員が足らぬですね。やはり日本の政治全体がプラン・ドゥー・シーのシーの方をおろそかにしてきた、だからこれは充実してやっていかないかぬと思うて、私どもも、会計検査院と相談して、いろいろなことをこれから充実させていきたいと思っております。
山口(わ)委員 今御答弁いただきましたけれども、特に電源開発交付金なんかは、私たちの税金というよりはむしろ、電気料ですから、これはやはり原発施設だけに使うのでなくて、これだけ原発がみんなに不審視されてきている中ですから、例えば自然エネルギー開発にも使うとか、ほかの使い方も考えていきながら、本当に国民にとって、やはりこれでよかったというふうに思えるような予算の使い方が決算の総括の中できちっと実現していくということが大事だと私は思うんです。
 毎年毎年こういう質問をして、また来年になったら同じ質問をするということがないように、ぜひもう一回御決意をお願いします。
塩川国務大臣 我々財務省だけではなくして、各省庁懸命に努力しておりますけれども、さらに、御指摘ございますし、この機会に一層の精査をして、実効あるように努めるようにいたします。
山口(わ)委員 ちょうど三時になりまして、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
山口委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして平成十三年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。
 内閣総理大臣は御退席をいただいて結構でございます。
    ―――――――――――――
山口委員長 平成十三年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。
 これより議決案を朗読いたします。
    平成十三年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案
  本院は、平成十三年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
  1 近年、公債依存度が著しく高水準となっているが、政府においては、公債に大きく依存した財政構造を是正する抜本的な財政改革に取り組むべきである。
    公金の使途に対する国民の関心が高まるなか、不良債権処理等金融システムの安定化のために多額の公的資金が投入されてきたが、これらの資金の回収に万全を期すべきである。また、ダム建設移転補償に係る不当な事務処理や企業による航空機関連の過大請求事案といった公金の浪費問題が指摘されたことは、誠に遺憾である。政府は、公金の財源が国民の貴重な税金であることに深く配意し、不正及び浪費の排除、支出の透明性の確保に万全を期すべきである。
  2 地方分権推進に当たっては、自主・自立の地域社会の早期実現が枢要である。政府においては、小規模自治体の実情に配意しつつ、地域活性化、地方分権改革及び地方行財政改革を促進する三位一体改革を早急に実現するとともに、義務教育費国庫負担制度については、義務教育に関する国の責任や義務教育における地方の自主性尊重等の観点等を総合的に勘案しつつ、教育をより良いものとしていく観点から検討を行うべきである。また、林業については、緑の雇用事業を促進すべきである。
  3 重症急性呼吸器症候群(SARS)への対応については、国内発生に備えた検疫体制の強化・医療体制の充実など危機管理の徹底に万全を期し、問題終息のために必要かつ十分な措置を講ずるよう努めるべきである。
    また、アレルギー性疾患における専門医の知識・医療機関の情報等の国民への提供及び医療体制の不備が指摘された行刑施設における医療の充実に努めるべきである。
  4 介護保険については費用負担の在り方等の課題が指摘され、障害者については保護者死亡後の生活不安等の問題がなお存在している。
    ついては、介護保険において法施行後五年を目途とする見直しに向けて十分な検討を行うとともに、障害者への支援においてグループホームの積極的な拡充を図る等総合的な施策を講じ、各種施策の更なる充実に努めるべきである。
  5 北朝鮮による日本人拉致問題について、一部拉致被害者の帰国、北朝鮮の拉致の存在認知等進展がみられてきたものの、未だに解決に至っていない。政府は、積極的に国際世論形成を図るとともに、北朝鮮近隣国・関係国との連携の上、早期解決のために全力を尽くすべきである。
  6 旧日本軍の毒ガスが原因と見られる健康に重大な影響を及ぼす事故・被害が相次いで発生している。政府は、旧日本軍の毒ガスの使用、保管、投棄等の全国調査を行い実態を解明し、万全の措置を講ずるべきである。
    また、大気汚染による健康被害の防止を図る自動車NOx・PM法の施行に当たっては、規制対象車両を保有する中小事業者の負担の軽減に十分配慮するとともに、安価な後付け装置の早期実用化に向けた研究開発に取り組むべきである。
  7 公務員は、福祉、医療、教育、雇用、産業育成等国民生活の広範な分野にわたり重要な役割を果たしている。公務員制度改革に当たっては、公務員が国民から信頼され職務に専念できるよう、透明性のある改革を行うよう最大限努力すべきである。また、労働基本権の在り方を含め、職員団体と十分に意見交換を行うべきである。
 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
  政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
    ―――――――――――――
山口委員長 これより平成十三年度決算外二件を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
中川(正)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、平成十三年度決算を議決案のとおり決するに反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、十三年度以降、現在に至るまで、小泉内閣が経済失政を繰り返しているということであります。
 小泉総理は十三年度に二度も補正予算を組みながら、経済のデフレスパイラルの進行をとめることができませんでした。結局、雇用のセーフティーネットが不十分であったり、従来型公共投資を繰り返したりで、十三年度を通じて悪化し続けた景気・雇用情勢を回復させることができなかったのであります。
 それは、十三年度の経済成長率が当初見込みの一・七%に対してマイナス一・二%と大幅に下落したこと、完全失業率が前年度の四・七%から十三年度平均五・二%と悪化したことからも明らかであります。これを経済失政と言わず何と言うのでしょうか。
 第二に、小泉総理が声高に叫ぶ改革路線が我が国財政運営に大きなマイナスをもたらしていることも強く指摘しなければなりません。
 国債発行三十兆円枠堅持が総理の公約でありました。総理は、十三年度補正に当たり、前年度剰余金やNTT株の売却収入など他の財源を充て、いかにも三十兆円枠を守ったように見せかけましたが、結局は、償還の際に国債発行が必要なため、借金の先送り以外の何物でもありません。
 ところが、総理があれほど固執した三十兆円枠も、十四年度補正後は三十五兆、そして十五年度当初では三十六兆四千億円に増加しています。公債発行残高は四百五十兆円にも上り、大変深刻な状況であります。日本経済の実態を見失い続けている小泉総理に我が国の財政運営は任せることはできません。
 以上、ごく限られた指摘事項及び会計検査院が指摘した不当事項のほかは異議がないとする本決議案には、到底賛成することはできません。
 なお、国有財産関係は特段の問題のないことから賛成とし、私の討論を終わります。
 以上であります。(拍手)
山口委員長 次に、大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、平成十三年度決算を議決案のとおり決するに反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、家計を温める施策や雇用不安の解消を図る対策が必要であるにもかかわらず、逆に、高齢者医療費の一割負担などの医療改悪、年金からの保険料天引きなどの雇用保険法改悪の実施、さらには介護保険料の引き上げなど、社会保障分野での二兆円もの国民負担強化を押しつけたことであります。
 第二に、水需要の減少や生態系の破壊などでその必要性に疑問が出された徳山ダムの本体工事を初めとしたダム建設や、巨額の建設コストを下回る利用量によって経済破綻が明らかとなっている関西国際空港の二期工事などに見られる大盤振る舞いによって、三年連続で過去最大規模となった公共事業のむだ遣いが改められていないことであります。
 第三に、軍事費の突出であります。平成十三年度の軍事費は、内閣官房に計上された軍事衛星経費を合わせると、実際の軍事費は初めて五兆円を突破したのであります。この軍事費の中には、総額二十五兆一千六百億円となる中期防衛力整備計画、二〇〇一年から二〇〇五年度の初年度の経費も含まれており、自衛隊の海外派兵を装備面から強化するものになっているのであります。
 第四に、銀行に対する手厚い支援についてであります。金融再生法などによる銀行支援の期限が同年三月で切れるというのに、銀行支援に対する七十兆円の公的資金枠を継続したことであります。
 以上述べたように、浪費を拡大させ、一層の財政負担を深刻にした内容の決算に対し、ごく限られた指摘事項以外に異議がないとする本決議案には、到底賛成することはできません。
 次に、平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書は、国有財産の純増加要因として、軍拡路線を反映した防衛庁の艦船、戦闘機の新造や武器等の装備品などを含んでおり、このような国有財産管理のあり方を示す本計算書を是認することはできません。
 なお、国有財産無償貸付状況総計算書につきましては、管理運用面の一部に問題がありますが、国有財産を公園、緑地等に使用する目的で地方自治体に無償で貸し付けるという制度の意義を評価して、全体としては是認するものであります。
 以上で、私の討論を終わります。(拍手)
山口委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
山口委員長 これより順次採決いたします。
 まず、平成十三年度一般会計歳入歳出決算、平成十三年度特別会計歳入歳出決算、平成十三年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十三年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山口委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十三年度国有財産増減及び現在額総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山口委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 次に、平成十三年度国有財産無償貸付状況総計算書は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
山口委員長 起立多数。よって、本件は、これを是認すべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
山口委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。塩川財務大臣。
塩川国務大臣 ただいま御決議ございました財政改革につきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏んまえ、今後とも一層努力してまいります。
 委員の先生方におかれましても、一層の御支援、御協力のほどお願い申し上げます。
山口委員長 次に、竹中金融担当大臣。
竹中国務大臣 ただいま御決議のありました金融システムの安定化のための公的資金の回収につきましては、従来から努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。
 以上でございます。
山口委員長 次に、扇国土交通大臣。
扇国務大臣 ただいま御決議のありましたダム建設の移転補償に係る不当な事務処理につきましては、所要の是正措置を講じたところでございます。
 御決議の御趣旨を踏まえ、今後このような事態が生じることのないよう、公共事業の実施には、移転補償率あるいは事務の適正化に万全を期すとともに、補償額の算定に関する処理要領等を整理することなど、透明かつ公正な移転補償の実施に努めてまいります。
山口委員長 次に、石破防衛庁長官。
石破国務大臣 ただいま御決議のありました企業による航空機関連の過大請求事案につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、防衛庁としては、過大請求に係る国損を回復するための特別調査を実施しておるところであり、その結果に基づき返還請求を行うことといたしております。
 いずれにせよ、防衛庁としては、再発防止を含めた防衛調達の透明性、適正性を確保すべく、引き続き調達改革を推進してまいりたいと存じます。
山口委員長 次に、片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいま御決議のありました三位一体改革の実現と義務教育費国庫負担制度の検討につきましては、その御趣旨を十分に尊重して対処し、地方分権の推進に一層努力してまいります。
山口委員長 次に、坂口厚生労働大臣。
坂口国務大臣 ただいま御決議のありましたSARSへの対応につきましては、検疫体制の強化や医療体制の確保等、所要の措置を講じますとともに、WHOと連携を図りつつ、医師の派遣、物資の援助等の国際協力を行ってきておりますが、御決議の御趣旨を踏まえ、今後とも推進に努めてまいる所存であります。
 また、アレルギー疾患に関する知識や情報の提供につきましては、保健師等を対象とした相談員養成研究会の実施やホームページの活用等により、国民への情報提供に努めてまいる所存でございます。
 さらに、介護保険制度の見直しにつきましては検討を進めていくほか、新障害者プランに基づきまして、グループホームを初めとする障害者の地域生活を支えるサービス提供基盤の整備を進めますとともに、支援費制度の円滑な実施に努めてまいる所存でございます。
 なお、林業分野の雇用創出につきましては、農林水産省との連携のもとに、積極的に取り組んでまいります。
山口委員長 次に、森山法務大臣。
森山国務大臣 ただいま御決議のありました行刑施設における医療の充実につきましては、被収容者が心身ともに健全な状態で社会復帰できますよう、外部の有識者を招いて設けました行刑改革会議での御議論、御提言等を踏まえながら、関係各方面の御理解を得て、医師の確保など一層の医療体制の充実に努めてまいる所存でございます。
山口委員長 次に、川口外務大臣。
川口国務大臣 ただいま御決議のありました北朝鮮による日本人拉致問題につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、外務省としては、同問題が我が国国民の生命と安全にかかわる重大な問題であるとの認識のもと、拉致被害者御家族の帰国、事実解明を含めた同問題の早期解決のため、被害者の方々及び御家族の御意向も踏まえながら、北朝鮮側への働きかけ、関係国との緊密な連携、国際場裏における取り組み等に引き続き鋭意努めてまいる所存であります。
山口委員長 次に、鈴木環境大臣。
鈴木国務大臣 ただいま御決議のありました旧日本軍の毒ガスに係る問題への対応につきましては、まず、昭和四十八年に関係省庁により取りまとめられた旧軍毒ガス弾等の全国調査のフォローアップを関係省庁及び都道府県等と連携を図りながら行うこととしております。また、その結果を踏まえ、内閣官房を初め、関係省庁と協力しながら、被害の未然防止に努めてまいる所存でございます。
 また、自動車NOx・PM法の施行に当たりましては、車種規制の実施時期について準備期間等を設けるとともに、税制上の優遇や政府系金融機関による低利融資の措置を講じてきたところでありますが、引き続き、関係各府省と連携を図りながら、中小事業者の負担軽減に努めてまいる所存でございます。
 安価な後づけ装置の早期実用化に関しましては、高い技術を有する我が国の自動車メーカー等の果たすべき役割は大きく、事業者からの強い要望も踏まえ、格段の研究開発を促す等の一層の努力をしてまいりたいと存じております。
山口委員長 次に、石原国務大臣。
石原国務大臣 ただいま御決議のございました公務員制度改革につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、公務員が国民から信頼されるような改革を行うよう最大限努力するとともに、職員団体と十分に意見交換を行ってまいる所存でございます。
山口委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 本日をもちまして平成十三年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝を申し上げます。まことにありがとうございました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十一分散会


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