衆議院

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第6号 平成16年5月26日(水曜日)

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五月十四日

 石井一君委員長辞任につき、その補欠として細川律夫君が議院において、委員長に選任された。

平成十六年五月十四日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府(本府、警察庁、金融庁)、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計〕

   主査 鈴木 恒夫君

      岡本 芳郎君    斉藤斗志二君

      早川 忠孝君    武藤 嘉文君

      奥田  建君    岸本  健君

      細川 律夫君    松崎 公昭君

      東  順治君

 第二分科会〔内閣府(防衛庁・防衛施設庁)、総務省、財務省及び文部科学省所管〕

   主査 今野  東君

      城内  実君    野田  毅君

      平井 卓也君    福井  照君

      村上誠一郎君    泉  健太君

      北橋 健治君    都築  譲君

      古屋 範子君

 第三分科会(厚生労働省、農林水産省及び経済産業省所管)

   主査 山名 靖英君

      津島 恭一君    萩生田光一君

      松岡 利勝君    森田  一君

      山本  拓君    内山  晃君

      五島 正規君    西村智奈美君

      古賀潤一郎君

 第四分科会(法務省及び国土交通省所管)

   主査 中野 正志君

      後藤田正純君    柴山 昌彦君

      橋本龍太郎君    宮澤 洋一君

      谷津 義男君    岡島 一正君

      小林 憲司君    橋本 清仁君

      徳田 虎雄君

平成十六年五月二十六日(水曜日)

    午前十時四分開議

 出席委員

   委員長 細川 律夫君

   理事 後藤田正純君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 中野 正志君 理事 奥田  建君

   理事 五島 正規君 理事 今野  東君

   理事 山名 靖英君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      城内  実君    斉藤斗志二君

      柴山 昌彦君    滝   実君

      津島 恭一君    西村 康稔君

      野田  毅君    早川 忠孝君

      福井  照君    宮澤 洋一君

      村上誠一郎君    森田  一君

      谷津 義男君    山本  拓君

      稲見 哲男君    内山  晃君

      岡島 一正君    岸本  健君

      都築  譲君    中川 正春君

      西村智奈美君    橋本 清仁君

      松崎 公昭君    笠  浩史君

      古屋 範子君    古賀潤一郎君

    …………………………………

   財務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   総務副大臣        山口 俊一君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   文部科学副大臣      小野 晋也君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   環境副大臣        加藤 修一君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局次長  重松 博之君

   会計検査院事務総局第一局長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第三局長            船渡 享向君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  日下 正周君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山口 勝己君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 四宮 信隆君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  増田 暢也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房外務報道官)           高島 肇久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省大臣官房文化交流部長)          近藤 誠一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳永  保君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         井口 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            青木  功君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  辻  哲夫君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  吉武 民樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 水田 邦雄君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  薄井 康紀君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  石川 裕己君

   政府参考人

   (国土交通省航空局飛行場部長)          阿部  健君

   政府参考人

   (国土交通省航空局管制保安部長)         岩崎 貞二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     細川 律夫君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  石井  一君     泉  健太君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  松岡 利勝君     葉梨 康弘君

  森田  一君     西村 康稔君

  内山  晃君     末松 義規君

  岡島 一正君     島田  久君

  岸本  健君     中川  治君

  北橋 健治君     大島  敦君

  西村智奈美君     辻   惠君

  橋本 清仁君     村越 祐民君

  東  順治君     上田  勇君

  古屋 範子君     赤松 正雄君

  野田  毅君     谷  公一君

  小林 憲司君     藤田 幸久君

  島田  久君     村井 宗明君

  末松 義規君     松野 信夫君

  都築  譲君     津村 啓介君

  中川  治君     小林千代美君

  松崎 公昭君     前田 雄吉君

  村越 祐民君     田島 一成君

  斉藤斗志二君     宇野  治君

  宮澤 洋一君     中山 泰秀君

  泉  健太君     松原  仁君

  大島  敦君     本多 平直君

  小林千代美君     楢崎 欣弥君

  津村 啓介君     中村 哲治君

  前田 雄吉君     川内 博史君

  松野 信夫君     石毛えい子君

  村井 宗明君     中根 康浩君

  赤松 正雄君     白保 台一君

  上田  勇君     高木美智代君

  川内 博史君     三日月大造君

  田島 一成君     古本伸一郎君

  楢崎 欣弥君     松崎 哲久君

  藤田 幸久君     馬淵 澄夫君

  本多 平直君     金田 誠一君

  松原  仁君     黄川田 徹君

  高木美智代君     大口 善徳君

  石毛えい子君     増子 輝彦君

  黄川田 徹君     松野 頼久君

  中根 康浩君     城井  崇君

  中村 哲治君     平岡 秀夫君

  白保 台一君     赤羽 一嘉君

  宇野  治君     斉藤斗志二君

  谷  公一君     野田  毅君

  中山 泰秀君     宮澤 洋一君

  西村 康稔君     森田  一君

  葉梨 康弘君     松岡 利勝君

  金田 誠一君     北橋 健治君

  城井  崇君     岡島 一正君

  辻   惠君     西村智奈美君

  平岡 秀夫君     都築  譲君

  古本伸一郎君     橋本 清仁君

  馬淵 澄夫君     小林 憲司君

  増子 輝彦君     内山  晃君

  松崎 哲久君     岸本  健君

  松野 頼久君     泉  健太君

  三日月大造君     松崎 公昭君

  赤羽 一嘉君     古屋 範子君

  大口 善徳君     東  順治君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  斉藤斗志二君     谷川 弥一君

  谷津 義男君     井上 信治君

  泉  健太君     鈴木 克昌君

  岡島 一正君     吉田  泉君

  岸本  健君     小泉 俊明君

  北橋 健治君     藤村  修君

  小林 憲司君     井上 和雄君

  都築  譲君     西村 真悟君

  西村智奈美君     山花 郁夫君

  松崎 公昭君     近藤 洋介君

  内山  晃君     市村浩一郎君

  鈴木 克昌君     平野 博文君

  橋本 清仁君     吉田  治君

  藤村  修君     奥村 展三君

  井上 信治君     谷津 義男君

  谷川 弥一君     斉藤斗志二君

  井上 和雄君     小林 憲司君

  市村浩一郎君     内山  晃君

  奥村 展三君     北橋 健治君

  小泉 俊明君     岸本  健君

  近藤 洋介君     松崎 公昭君

  西村 真悟君     都築  譲君

  平野 博文君     泉  健太君

  山花 郁夫君     西村智奈美君

  吉田  泉君     岡島 一正君

  吉田  治君     橋本 清仁君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  北橋 健治君     中川 正春君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     西村 康稔君

  橋本龍太郎君     加藤 勝信君

  武藤 嘉文君     滝   実君

  泉  健太君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     橋本龍太郎君

  滝   実君     武藤 嘉文君

  西村 康稔君     萩生田光一君

  笠  浩史君     稲見 哲男君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     泉  健太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

細川委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 このたび、決算行政監視委員長に選任されました細川律夫でございます。まことに光栄に存じますとともに、その職責の重大さを痛感いたしております。

 本委員会が、決算全般について審査し、その結果を将来の予算の編成・執行に反映させ、また、行政監視について本院において中核的な役割を果たすことによって、真に国民のための行政を確立し、もって国民生活の健全な発展に資することは、国民の負託にこたえるものであると存じます。

 委員各位の御指導、御協力をいただき、公正かつ円滑な委員会運営に努め、審議の充実を図ってまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

細川委員長 平成十四年度決算外二件を議題といたします。

 第一分科会ないし第四分科会の各分科会は、去る十七日、十八日の二日間にわたり審査を行いました。

 この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査鈴木恒夫君。

鈴木(恒)委員 第一分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣本府、警察庁、金融庁、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計について審査を行いました。

 主な質疑事項は、合併処理浄化槽と下水道の経済的比較に基づく設置場所に応じた建設の必要性、湖沼等の水質保全に係る法制度見直しの必要性、産業廃棄物の不適正処理の現状と対策、犯罪増加による治安悪化の現状と対策、交通規制強化の必要性と取り組み状況、パハン・スランゴール導水計画に対する特別円借款供与の是非、在イラク邦人人質事件に関する自己責任論の妥当性、北方四島住民支援の現状とあり方、ドミニカ共和国への移民問題及び募集要項の妥当性、従軍慰安婦問題に対する政治的解決の必要性、金融機関の不正取引行為に対する検査・指導の重要性、日本経済における地域再生の意義と取り組みの効果、離島振興と公共事業の確保等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 次に、第二分科会主査今野東君。

今野委員 第二分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、防衛庁、防衛施設庁、総務省、財務省及び文部科学省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、新住宅市街地開発事業における学校建設費等の地方負担見直しの必要性、教職員の問題行動と文部科学省の対応、我が国の文化・伝統を継承する教育の重要性、サマーワ周辺の現地情勢及び防衛庁の今後の対応、日本郵政公社の非信書分野における自由な事業展開の必要性、国と地方自治体の役割分担の整理、国の財政支援に頼らない地方自治体の自立的取り組み、豊島区の放置自転車等対策推進税の是非、国立国際美術館の建物保存の必要性、国の財政状況の深刻さと財政当局による長期計画作成の必要性、関税・内国消費税の立てかえ払い規制の必要性、給与所得者に対する申告納税を基本とした税制改正の必要性、スポーツ振興くじの運営改善の必要性等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 次に、第三分科会主査山名靖英君。

山名委員 第三分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、厚生労働省、農林水産省及び経済産業省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、フリーターを取り巻く諸問題、マンモグラフィー導入に伴う乳がん検診のあり方、就労支援を重視したホームレス対策推進の必要性、痴呆性高齢者グループホームの見直しの必要性、若年者雇用対策の取り組み状況、労災病院の廃止問題、医療的ケアを必要とする児童の普通学級就学等へ向けた体制整備のあり方、財団法人日本障害者スポーツ協会をめぐる諸問題、障害者支援施策に係る支援費制度の現状、使い捨てコンタクトレンズの品質管理強化の必要性、医療の質向上のための評価基準策定の必要性、児童相談所における児童の一時保護の現状と問題点、厚生労働省広島労働局における不正経理問題、難病対策の現状と問題点、地域の特色を生かした農林水産業振興策の推進、米国産牛肉輸入停止による経済的損失及び全頭検査の科学的根拠、自転車用補助いすの走行時における危険性とヘルメット装着等の安全対策の推進、年金資金による福祉施設建設の是非等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 次に、第四分科会主査中野正志君。

中野(正)委員 第四分科会の審査について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省及び国土交通省の所管について審査を行いました。

 主な質疑事項は、不動産登記事務コンピューター化のメリット、被疑者取り調べ時の弁護人立ち会い権及び録音、録画による可視化の必要性、交通事故防止対策としての車載監視カメラ普及の必要性、公共工事における官製談合、ダンピング受注の防止策、東京国際空港再拡張事業の進捗状況及び周辺地域の環境保全の必要性、首都圏中央連絡自動車道等の早期着工の必要性、独立行政法人移行後の公団賃貸住宅居住者対策、首都高速道路沿線の排気ガスの現状と対策、旧日本国有鉄道清算事業団から買収した土地に埋設されている産業廃棄物の処理問題、整備新幹線着工に関する今後の方針と計画、新石垣空港の早期着工の必要性、今後の社会資本整備において配慮すべき事項、スーパー中枢港湾を指定することによる経済効果、独立行政法人都市再生機構が受け継ぐニュータウン事業の実施方針、米軍横田基地の軍民共用化に関する諸問題、社団法人首都高速サービス推進協会の事業内容の適正性、ETCシステム等ITSの導入・活用促進策等であります。

 なお、質疑の詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。

 以上、御報告申し上げます。

細川委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。

    ―――――――――――――

細川委員長 これより全般的審査を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官日下正周君、総務省大臣官房審議官山口勝己君、法務省大臣官房審議官四宮信隆君、法務省入国管理局長増田暢也君、外務省大臣官房外務報道官高島肇久君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省大臣官房文化交流部長近藤誠一君、文部科学省大臣官房審議官徳永保君、厚生労働省大臣官房総括審議官井口直樹君、厚生労働省職業安定局長青木功君、厚生労働省保険局長辻哲夫君、厚生労働省年金局長吉武民樹君、厚生労働省政策統括官水田邦雄君、社会保険庁運営部長薄井康紀君、国土交通省航空局長石川裕己君、国土交通省航空局飛行場部長阿部健君、国土交通省航空局管制保安部長岩崎貞二君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君、環境省総合環境政策局長松本省藏君及び環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

細川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野正志君。

中野(正)委員 おはようございます。自由民主党の中野正志でございます。

 まずは、北朝鮮問題について質問を申し上げたいと存じます。

 平成十四年以来、二回目の日朝首脳会談が終了いたしました。小泉総理は、日本の安全、北東アジアの平和と安定のために、みずからが政権担当内で必ず日朝国交正常化を実現するのだ、その志で頑張っておられることは私たちも重々承知をいたしております。そのことにかける情熱、また強い意思、それが今回の再訪朝の決断になったのだな、そう思っております。帰朝後、国内でいろいろな考え方が示されまして、かまびすしい状況でありますけれども、私自身は、全般的には率直に評価をいたしたい、真剣な話し合いが持たれたのだな、そんな印象であります。

 何よりも、拉致被害者の蓮池さん、地村さんの御家族が帰国をされました。一年七カ月ぶりのあの再会、新聞であるいはテレビで報道されておるところでありますけれども、やはり親子の関係、ファミリーの関係、これは本当にとうといものだ、私自身も涙、涙でその場面を見させていただきました。

 残念ながら、曽我ひとみさんの御家族は来日はかないませんでしたけれども、これは諸状況にかんがみてやむなしだな。しかし、その中で、小泉総理が一時間、ジェンキンスさん初め御家族を説得された、そこにやはりこの拉致問題にかける小泉さんの気概があらわれているな、そう感じたところでもあります。

 とにかく、小泉総理の訪朝なしには御家族の帰国はなかったわけでありまして、私は、そういう意味で、率直に評価をすると言ったのには、そのことがあるからであります。

 ちなみに、マスコミの世論調査を見ますと、各紙とも、日朝首脳会談を全体として評価する、これが六五%前後であります。また、拉致問題での成果、これをどう思うか、大体六〇%前後の皆さんが了とされております。小泉内閣の支持率、五五%前後にアップをしております。ちなみに、私どもの自民党の支持率も四〇%前後にアップをいたしております。同じ世論調査で、あえて申し上げますが、岡田民主党に期待、二五%、二七、八%であります。岡田民主党に期待できない、六〇%前後であります。これ以上は申し上げません。

 そこで、質問を申し上げますが、曽我さんと家族三人の再会、これは早期に実現されるべきだ、第三国で、しかも自由に、じっくりと話し合っていただきたいものだ。二番目には、ジェンキンスさんについての米国との協議を本格化させる。いろいろ厳しい条件、厳しいファクターがあることは承知をいたしておりますけれども、政治的な配慮を求める。本会議で小泉総理からも若干言及があったところでありますけれども、どういう対応を進められるのかということについてお伺いをいたしたいと思いますし、同時に、安否不明者十人について、拉致問題は解決済みだとしてきた北朝鮮が、白紙の状況で再調査をしたい、こういうふうに約束をされたということは、私は前進だと思っております。

 そんな中で、この安否不明者十人、あるいは特定失踪者の問題もありますけれども、緊急の課題だ、そして直ちに調査をすることが肝要だと思うのであります。そのためには、やはり期限を定めて真相究明に当たるということが必要でありますし、北朝鮮からの調査結果について、私ども日本もそのことをしっかり立証できる、あるいは反証できるという体制をつくり上げていくことも大事だと思うのであります。

 いろいろ報道で知るのでありますけれども、九〇年代の食糧危機で、北朝鮮国内、軍部と大都市は優遇されている、しかし地方は悲惨なものだ、また、なかなかその悲惨さを抜け切れていない。ですから、北朝鮮の外務省が地方に指示を出したって、そんなことは言うことを聞ける態勢ではない、こんな国内事情もあるやに伺っておりますから、なおさらであります。

 具体的に、この二点についてどう進めてまいられるか、お伺いをいたしたいと存じます。

逢沢副大臣 中野先生から御指摘をいただきましたように、先般の小泉総理、金正日国防委員長、いわゆる日朝首脳会談を受けて、地村さん、蓮池さんの五人のお子様方の帰国が実現をいたしたわけでございます。一方、曽我ひとみさんの御主人であられるジェンキンスさん、そしてお二人の間の二人のお嬢様方については、御承知のような経緯の中で、できるだけ速やかに第三国において面会を実現する、その方向が基本的に確認をされたわけでございます。

 私どもといたしましては、当然のことでございますけれども、曽我ひとみさん御本人の意向を何といっても一番大切に受けとめ、できるだけその御意向に沿う形で場所を選ぶ。また、時期については、これはできるだけ早い方がいいということは当然のことでございますけれども、早速北朝鮮側と調整に入りたい、そのように承知をいたしております。できるだけ静かな環境、落ちついて、文字どおり家族水入らずで、今後のことについて十二分にじっくりと時間をかけてお話し合いをいただける、そういった状況をできるだけ的確に早く実現をしてまいりたい、そのように申し上げておきたいと思います。

 また、日米の間でジェンキンスさんのあり方について種々のやりとりを行っていることは事実でございます。しかし、機微に触れることでもあり、ある意味では、大変恐縮でございますけれども、今この段階でそのやりとりの中身を個別具体的に申し上げることにつきましては、差し控えをさせていただきたい、事情をぜひ御賢察いただきたい、そのようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 安否不明の十名の方々の真相に迫る、本当に正確な情報を私たちが掌握する、このことは絶対に必要なことでございますし、国民ひとしく重大な関心を寄せておる。もちろん、関係者の方々の、安否の確認については大変強い思いがある、当然のこととして、私ども承知をいたしているところであります。

 私どもとしては、十名の方々が北朝鮮のどこかで生きていらっしゃる、その確信のもとに、北朝鮮側に正確な情報の提供について求めていくわけでありますが、御承知のように、金正日国防委員長は、小泉総理との会談の中で、この問題については白紙に戻り、改めて直ちに本格的かつ徹底した調査を行うということを小泉総理に言明された、約束されたわけでございます。

 したがいまして、北朝鮮のトップの直接の言葉であるだけに、そのことをしっかり私どもは受けとめたいと思うわけでございますが、我が国といたしましては、北朝鮮側に、具体的な調査への着手、その結果の日本側への提示を当然求めることが重要であるというふうに考えておりますし、また、速やかに北朝鮮側との接触を行って、今後の取り進め方あるいは我が方の関与のあり方について話し合いをいたしたいというふうに考えております。

 既に、一昨年の段階で百五十項目にわたる調査項目を提示いたしております。あれから少し時間もたちました。新たな情報等も私ども入手をしている部分もございます。いわば百五十項目のニューバージョンと申しますか改訂版、必要ならばそういうものも整理をして北朝鮮側に指し示す、そのことも視野に当然入れておるわけでございますし、また、十名の方々が北朝鮮によって拉致をされる、国内の事情については、警察当局もそれぞれ捜査の情報を持ち合わせているわけでありまして、いずれ、北朝鮮側が何らかの返答をしてくることがあるとすれば、我が方が独自の調査結果を持っているわけでありますので、そういうものも突き合わせながら、そういった形を視野に入れながらも真相に迫っていくというふうに申し上げておきたいと存じます。

 また、その調査に期限を区切るべきではないか、このことについても議論をいただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、できるだけ早く徹底した調査を求める、そしてその結果の提示を求めるということに力を尽くしてまいりたい、そのように存じます。

中野(正)委員 逢沢副大臣の強い心意気を感じて、大変うれしく思います。十人は生きている、その初心、原点で、ますます頑張っていただきたいと思います。

 なおまた、小泉総理は、核・ミサイル問題について、核を持つことによって得られるものと核を持たないことで得られるものは天と地ほども違う、この機会を逃してはならないと要求をされたようであります。また、ミサイル問題については、発射モラトリアムの再確認があったとも伺っておりますけれども、これについて御説明をお伺いいたしたいと思います。

逢沢副大臣 中野先生御指摘のように、核問題の解決に向けて、小泉総理は並々ならぬ決意を持って、また強い気持ちを持って、金正日国防委員長との会談に臨まれたわけでございます。

 まさに、先生が今御指摘をいただきましたように、核を持つことによって得られるものと核を持たないことによって得られるものは天と地ほども違う、この機会を絶対に逃してはならない、そういった言葉を使って、強く金正日国防委員長の考え方を変えるということについて力を尽くされたわけでございます。

 核問題の解決、言うまでもないことでございますけれども、北朝鮮と国際社会との関係改善に直接つながることというふうに思います。結果として北朝鮮をめぐる安全保障上の関係の改善になることは当然のことでありますが、それにとどまらず、リビア等の事例を見ておりましても、経済的な環境の改善にも必ずつながっていくんだというふうに私どもは考えております。

 今回、金正日国防委員長は、小泉総理に対して、韓半島の非核化あるいは検証の必要性等々についても個別具体的に言及をされたようでございますけれども、この二人の間で核について交わされた会話、そのことが積極的な形で六者会合等に生かされる、そういったことが望ましい。また、そのような状況ができるように私どもは引き続き努力を重ねてまいりたい。

 そして、ミサイルについては、委員からもお話しをいただきましたように、ミサイル発射のモラトリアムの継続の再確認がしっかりできたということでありまして、これも成果の一つではなかろうかというふうに承知をいたしております。

中野(正)委員 西側の指導者で金正日総書記に二度会われたというのは小泉総理だけであります。どうぞ、そういう意味でも、しっかりお支えをいただきたいと思います。

 日朝平壌宣言が日朝関係の基礎であることを再確認した、その中で小泉総理は、諸問題の包括的解決を行った上で国交正常化を実現する、日朝平壌宣言を遵守する限り、いわゆる経済制裁措置発動の考えはない、こう言われたと確かにあります。

 日朝平壌宣言を遵守する限りと限定づけたことも意義あることだな。私からいたしますと、言外に、北朝鮮は、この宣言を遵守していない、核の問題について国際的な約束を破っているともとれる気持ちもあります。また、逆に日本は、いろいろな懸案課題の解決のために、平和裏のうちに解決に向かって頑張るのだというメッセージを発しているともとれます。

 よく、帰朝後、日本は最後のカードまで切ったという批判がありますけれども、私は決してそうは思わない。副大臣、いかが考えられますか。

逢沢副大臣 日朝平壌宣言の精神に基づき、お互いが誠実な話し合いを続けていく、そしてこの宣言を遵守する、そして関係の改善を図っていく、当然大切な姿勢であろうかというふうに思います。

 その上で、先生からもお話をいただきましたように、拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題、これら日朝間に横たわる問題を包括的に解決して国交の正常化を図りたい。そして、今回の訪朝については、日朝間の現状、総理が総理として責任を持って判断され、総理御自身の決意で、このタイミングで、やはり首脳会談を行う必要がある、そしてある意味で膠着状態にある拉致問題も動かしていかなくてはならない、あるいは日朝平壌宣言を再確認する必要がある、そういった判断のもとで訪朝されたものと承知をいたしております。

 そして、その成果については、るる委員からも御指摘をいただきました。この成果については、国民の間でさまざまな声があるのも事実でございますけれども、私どもは、高くその成果を評価し、また、今後の日朝間の関係改善に、この大切な両首脳間で交わされた会話、また確認された事項、それを発展的に生かしてまいりたい、そのように承知をいたしております。

中野(正)委員 ただいまの答弁で、私はしっかりと納得をさせていただきたいと思います。

 なおまた、二十五万トンの食糧支援、それから一千万ドルの医薬品支援、このことについて、身の代金だ、見返りだという批判がございます。つらつら考えますと、自民党、社会党、さきがけ、国交正常化交渉の再開で合意をして、一九九五年に米五十万トン、洪水被害で支援をされました。また、国連機関に五十万トン。そして二〇〇〇年には、二回に分けて六十万トンの人道支援があります。ことし四月の列車爆発事故では十万ドル相当の緊急人道支援、こういうことであります。私たち日本という国は、拉致という非人道的な被害に遭っても人道支援は北朝鮮に行う国だというメッセージを、少なくとも四月、また今回も発したんだろうと思っております。

 ただ、残念ながら、そういう批判があることも残念でありますけれども、決して、身の代金だ、見返りだ、そういうことではないのだということをもっともっと国民の皆さんに説明をする必要があるのではないかと思うのでありますが、副大臣、いかがでしょう。

逢沢副大臣 北朝鮮に対して人道的な支援ということで、中野先生からお話をいただきましたように、二十五万トンの食糧、そして一千万ドル相当の医薬品、これを一、二カ月のうちに提供するという表明をいたしたわけでございます。これは、あくまで国連機関の人道支援についてのアピールにこたえる形で、国際社会にあって責任ある一員として、また責任ある国連加盟国の一員として人道的な観点から支援をする、そういう判断をいたしたわけでございまして、決して拉致問題に対する何らかの見返りといったような趣旨では断じてないんだということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 二十五万トンの食糧につきましては、国連機関が北朝鮮側のニーズを精査し、お米あるいはトウモロコシ、麦、さまざまな食糧等々が考えられるわけでございますけれども、その中身については現在決定をいたしておりません。今後、最も適切な形で、北朝鮮のまさに人道支援に資する、そういう形で調整がなされるものと承知をいたしております。

 なお、この日本の人道支援の決定に対しましては、アナン国連事務総長からも高く評価をする、そういった旨のメッセージが寄せられているということについても申し添えさせていただきたいと存じます。

中野(正)委員 副大臣にたくさんのことを聞きたいのでありますけれども、時間は三十分でございます。

 ともあれ、とにかく総理が決断をされて北朝鮮を訪問した、また、帰朝報告にありましたように、いろいろな成果もあった。私は、やはり外交でありますから、与野党の枠を超えて、国内一致で、その帰朝報告に基づく次の戦略、戦術展開を後押ししていくのでなければならない、そう考えるのであります。

 緊密な日米同盟、それを基本にしながら、やはり北東アジアの平和と安定、またもちろん日本の安全のためにも、北朝鮮との国交正常化、一段一段ずつ着実に、さらなる成果があらわれるように、小泉総理、もとよりとして、外務省も一生懸命頑張っていただきたいと存じます。

 続きまして、財務大臣、また総務副大臣にお伺いをいたします。

 地方分権の問題でありますけれども、我が国の活力の回復を図る、そのためには、国の礎であります地方の活力を回復することが一番だ、最重要だ。そういう意味で、地方の期待にこたえ、また支持される改革とするためには、いわゆる三位一体、これを同時にかつ一体的に進めることが重要だと思うのであります。また、それこそが真の地方分権であり、地方の自立を図るものだと私は確信をいたします。

 平成十六年度予算編成で行った国庫補助負担金の廃止、縮減は、単なる省益を優先した数字のつじつま合わせであり、縮減額に対する税源移譲の規模も小さく、評価できないという批判があります。三兆円もの地方交付税それから臨財債の削減は唐突であり、国の財政再建のための地方へのツケ回し、こういった地方公共団体側からの批判があり、私自身も県議会議員OBとして厳しく受けとめております。

 きのうも、武道館で地方財政危機突破総決起大会が大々的に催されて、地方の悲痛な叫びがあったところでもあります。正直、十七年度予算以降の予算編成においても今年度行われた措置のようなことが一方的に推し進められるのであれば、三位一体改革の実現が困難となる、地方経済、地方住民の生活も大変困難になると危惧いたしている地方側の声には、私自身もしっかりと耳を傾ける必要があるなと思っております。

 私も、知事あるいは市町村長といろいろお話をするのでありますけれども、地方も大変厳しい財政の中で、人件費を削ったり、事務事業の見直しの中で大幅な歳出減を図ったり、精いっぱいの行財政改革で汗を流していることも事実であります。

 そういう中で、やはり三位一体改革の基軸というのは税源移譲だ、これを確認したいな。税源移譲なくして国庫補助負担金の廃止なし、これを基本として、私は最初に税源移譲額を確定させることが必要だと思うのであります。そして次に、それに見合う国庫補助負担金の廃止額を決める手順とする。そしてまた、税源移譲にあっては、やはり偏りの少ないと言われる所得税などのいわゆる基幹税とすることだ。

 先ほどの、数字のつじつま合わせあるいは地方へのツケ回しという批判にも反論をいただきながら、三位一体改革の基軸は税源移譲だ、こう考える私の考え方について、財務大臣そして総務副大臣の考え方をお示しいただいておきたいと思います。

谷垣国務大臣 それでは、まず私の方からお答えをいたします。

 三位一体の改革は、これは今、中野委員もおっしゃいましたけれども、一つは地方分権の推進を行っていくという観点、これはもう一番重要な観点でございます。しかし、それは同時に、こういう国、地方の財政状況というのがございますから、国、地方の行財政のスリム化ということもあわせて行わなければこの三位一体も実現が難しい、こういうことがございますから、スリム化ということも大きな目標でございます。

 それで、税源移譲については、こういう考え方から、今閣議決定としてある基本的なものは基本方針二〇〇三。二〇〇四をどうしていこうかというのはこれからの議論でございますが、その二〇〇三におきましては、まず廃止する補助金の事業のうち、引き続き地方が主体となって実施する必要があるのはどれかというのをまず厳密に審査する、そしてその個別事業の見直しや精査を行った上で所要額を税源移譲する。これは、さっきちょっと委員がおっしゃった考え方とは若干違うかもしれません。補助金を、まず権限分配、何を地方でやってもらうのか、これをきちっとやって、それに見合うものを税源移譲していこうということで二〇〇三はやったわけであります。

 それから、昨年末の三位一体の改革に関する政府・与党の合意におきましては、平成十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲をやる。平成十八年度までに、先ほどおっしゃったような基幹税、所得税でやるということにいたしまして、平成十六年度においては所得譲与税、所得税からこれを交付金みたいな形で地方に持っていく所得譲与税というものを創設しまして、平成十八年度までで所得税で、地方税に持っていくというまでの暫定的なつなぎの措置として税源移譲を実施するということでやったわけでございます。

 こういう方針のもとでこれからも私はやっていかなければならないと思っておりますが、これは、二〇〇四をどうするかは、これからまた麻生大臣、山口副大臣と議論しなきゃならないところでございます。

 それで、先ほどおっしゃった、数字のつじつま合わせにすぎないという御批判、あるいは地方へのツケ回し、こういう表現で私どもおしかりを受けることもこれはあるわけでございますが、先ほど申しましたようなスリム化というのもこれはしなきゃいかぬ。それで、中野委員がおっしゃいましたように、現実に、平成十六年度でも相当な努力を地方自治体はしていただいておりまして、その御努力の結果として、地方のプライマリーバランス等も相当改善をしてきている、これは事実でございます。

 こういう考え方のもとで、平成十六年度では補助金改革として事務事業の徹底的な見直しを行ったわけですが、一々細かく申し上げることは差し控えますが、例えば義務教育費の国庫負担制度について、総額裁量制というのを導入して、それぞれの教職員の給与水準などを地方が自主的に決定してもらおうとか、それから自主性、裁量性が発揮できるようなまちづくり交付金という形に改めていくとか、そういうような形で補助金の一般財源化みたいなものも推進したわけであります。

 それから、そういう補助金改革の結果、引き続き地方が主体となってやっていただくものは何か、地方に権限を移すものは何かということも精査して、その結果で、先ほど申しました所得譲与税、これは暫定的な措置でありますが、税源移譲は四千二百四十九億である。それから、義務教育費国庫補助負担金のようなものは税源移譲予定特例交付金ということにしまして、これも暫定的な措置でありますが、二千三百九億円。それから、まちづくり交付金が千三百三十億の創設ということで、合計七千九百億程度の財源を手当てした、こういうわけでございまして、数字のつじつま合わせというのは当たらないのではないかと私は思っております。

 それから、地方の自治体の方と議論をしておりましてやはり一番不安に思っておられるのは、地域間の財政力格差をどうしていくか、交付税の財政調整機能はどうかということだろうと思いますね。これはあくまで維持しなければならないと私は思いますが、同時に、交付税特会の借入金残高が五十・二兆ある、地方の借入金残高が二百四兆と見込まれているという現実を直視いたしますと、地方交付税全体のスリム化、特に財源保障機能のようなものは相当切り込んでいかないと、交付税制度も維持できないという現実があろうかと思います。

 それから、十六年度の地方財政計画の規模は対前年度比一・五兆円の減、一・八%減となっておりますが、一昨年、昨年と同程度の見直しとなっておりまして、必要な財源は確保しているのではないかと思っております。

 もっと申し上げたいことはたくさんあるんですが、時計を指さされましたので、とりあえずこの程度で終わらせていただきます。

細川委員長 山口総務副大臣、手短にお願いをいたします。

山口副大臣 私もいろいろ申し上げたいんですが、もう時間もないというふうなことでありますので、簡単に申し上げます。

 先ほど来、中野先生の御質問を聞いておりまして、全く同感だというふうな思いでございます。私も、昨日の地方六団体の総決起大会に出席をさせていただきましたけれども、本当に、不信の声、本当に大変だというふうな悲痛な叫びを感じたわけでありますが、補助金削減の規模に比べて税源移譲が少ない、あるいは全体像が全く見えないじゃないか、このままでは本当の意味での三位一体改革ができないじゃないか、まさにそのとおりなんだろうと思います。

 そうしたことを受けて、実は私どもも、いわゆる麻生プランというものを出させていただきました。税源移譲をまず明確にしてほしい、そういった中で、恐らくそれをすることによって補助金改革に対するインセンティブも大いに働くんじゃないか、そして地方も、これなら大丈夫かなというふうな御安心を持っていただくことによって、初めて三位一体改革が前を向いて進んでいくんだろうというふうなことでありますので、先生の御発言の趣旨を受けまして、しっかり私ども頑張っていきたいし、当然、税源の格差ということについても十分配慮していきたいし、交付税の二つの機能についてもしっかり守っていきたいというふうに思っております。

中野(正)委員 地方の声をどうぞしっかり大事に守っていただきたいと思います。

 終わります。

細川委員長 次に、松崎公昭君。

松崎(公)委員 民主党の松崎公昭でございます。

 きょうは、環境問題を中心に質問をさせていただきますが、この決算委員会というのは、ほぼ大臣をお呼びできることが魅力のある委員会ということでありましたが、残念ながら、きょうは、参議院の方とぶつかったということで、副大臣の皆さんを中心にでございますが、しっかりと、役人の考えじゃなくて、政治家としてお答えをいただきたい、そんなふうに思っております。

 大量生産、大量消費、廃棄、こういう社会はもう限界があるということで、平成十二年の五月には循環型社会形成推進基本法ができまして、ここからしっかりと循環型社会をつくるんだということを明確にしたのが日本の環境行政の大きな流れだと思っております。

 そして、それを受けて、十五年の三月には循環型形成の基本計画もつくられました。この目標値でいきますと、平成二十二年を目途に一人当たりのごみ量を二〇%減らそう、そして循環型社会のビジネスやら雇用、こういったものを倍増させよう、そういう内容になっております。

 この目標でいきますと、かなり減ることにはなっておりますが、しかし、その計画でも、循環の利用率というのは一四%、平成十二年では今一〇パーですから、四パーしか上げられない。しかし、これは最終処分がかなり減るということで、今の十二年では五千六百万トンも最終処分が行っているんですが、これを二千八百万トンぐらいにはしよう、これは目標なんですね。

 私は、この目標は決して高いとは言えないのでありまして、これをどうやったら本当の循環型の社会にできるか、そういうことで、今回ポイントにしておりますのは、容器リサイクル法、このところにこの辺のポイントがあるんではないかということで、きょうはこの辺を中心に御質問をしていくということであります。

 ごみの総量は、全体的にやや減少ぎみであります。確かに、循環、リサイクル率、こういったものは増加をしている。しかし、その中身を見ますとなかなか問題がある。リターナブルという、ガラスを中心とした本来一番効率のいいものが減っておりまして、そして、プラスチック類、ペットボトル、こういったものがふえている。そしてまた、売れるというか、資源化しやすいスチール缶でありますとか段ボール、こういったものがふえている。

 こういう状況の中で、今多くの国民の中から声が出ておりますのが、この容器リサイクル法の対象物が、どうも自治体に比重がかかり過ぎているんではないかと。これは、いわゆるリサイクルの品目に対して事業者がリサイクルの委託費用を払う、しかし、ほぼ七割近い収集と運搬、分別、こういったものに対しては自治体がほとんど払っているということに大きな問題があるんではないかという視点が、今、二百七の団体、百四の自治体、七十万の方々の署名で、この容器リサイクル法が来年改正だということで、多くの方々の声が国にも寄せられていると思います。

 この容器リサイクル法に関する今の各品目の状況あるいはこういう声に対して、環境省はどのように受けとめていらっしゃるか、また実情の把握はどうか、お願いいたします。

加藤副大臣 この分別収集に当たりまして、費用との関係についてを含めてお話し申し上げたいわけですけれども、基礎資料をどう把握するかということは極めて重要な点でございます。この制度の適切な推進を図る上で重要な事項であるというふうに考えているわけでございますので、これまでも、分別収集を行っている市町村を対象にいたしまして、平成十三年度から調査を実施しておりまして、その実態の把握に努めているところでございます。

 容器包装リサイクル法につきましては、平成七年十二月の施行から十年を経過した時点で、一部規定の施行状況について検討を加えるとともに、必要な措置を講ずるものとしておりますが、その検討に当たっては基礎資料の収集を十分に行わなければいけないというふうに考えておりまして、今後さらにそういった面におきます情報収集等を含めまして評価、検討を行ってまいりたい、このように考えてございます。

 平成十三年度から平成十五年度までの三カ年にわたりましてやった調査におきましては、例えば平成十三年度には九百七十七の市町村、平成十四年度が九百二十二の市町村、さらに、現在やっておりますけれども、平成十五年度調査として二千六百八十六、それぞれ重なる部分がございますけれども、そういった自治体に関しての調査を今進めている最中でございまして、鋭意努力して、その成果についてまとめて検討を進めている最中でございます。

松崎(公)委員 時間もありますので、簡潔な答弁で結構でございます。

 もちろん、リサイクルが伸びていること、それから国民の中に意識がかなり出てきたということは、これは数字の上、おっしゃるとおりなんですが、きょうわざわざ、この法律の五つの主管の省庁以外に、総務省に来ていただいたわけです。

 私は、先ほども出ました三位一体の改革もそうでありますが、地方分権の方それから地方財政のことを一生懸命やってきておりまして、本当に今地方は厳しいんですね。その厳しい財政の中で、これは名古屋市なんかでデータを見てみますと、例えばペットボトルのものを名古屋の試算をベースにして全国に及びますと、これは収集、分別、管理ですけれども、自治体の負担がペットボトルだけでも全国で多分一千億にはなるだろう。これは、法律で自治体が負担せよということになっていますからそうなんですが、リサイクルの方は三割近く業者が出しています。

 しかし、こういうことで、自治体の財政が厳しいんですから、この五つの共管には入っていない、自治体論、いわゆる財政論からいっても、もっと総務省もしっかりとこの辺の認識を私はすべきではないかと。もちろん、清掃、廃棄関係の費用も地方財政措置をしているわけですから、その辺で総務省はどんなふうにこの辺の自治体負担、法律だからしようがないじゃなくて、これだけ厳しい自治体の財政を見ている総務省として、やはり注目をしたり、あるいは各省に財政上いろいろなアドバイスをしたり働きかける必要があるというふうに思うんですが、総務省はいかがでしょう。

山口副大臣 ただいま松崎先生御指摘をいただきましたが、確かにいろいろな地方の声も私どもの方に入ってきております。

 もう先生御案内と思いますけれども、総務省としては、清掃料の全体にかかわる決算というのはトータルでは実は把握をしておりますけれども、では、例えばリサイクル法に絡んで分別の事務量がどうだこうだということは、実は把握をできておりません。

 今、環境副大臣の方から鋭意調査中というふうなお話もあることでもありますし、いわゆる見直し規定等もある。もう既に、種々、事務負担につきましては地方財政措置によって対応しておるところでありますけれども、確かに御指摘のような面もあるわけでありますので、十分環境省とも協議をしながら、ともかく地方財政に負担をかけないように、よりリサイクルコストが低減するような仕組みということで検討していきたいと思っております。

 いわゆる主務大臣になっておらないというふうなお話もありましたが、これは、実は地方団体の事務または財政負担が規定をされておるすべての個別法において、必ずしも私ども総務大臣が主務大臣にはなっておりません。ただ、やはりそういったことがある以上は、種々協議をしたり、あるいはまた、今回、この法律も見直し規定で十七年ということになっておりますので、またこの点につきましても環境省ともいろいろ御相談もさせていただきたいと思っております。

松崎(公)委員 自治体はなかなか力がないわけですよ。現実に、法のもとに収集、分別、運搬はやらなきゃならぬ。しかし、この容リ法の精神、それから、後で申し上げますが、拡大生産者責任、こういう概念が入ってきているわけですから、本来もっと事業者にあるいは消費者に持ってもらわなきゃならない。そういうことでこれからの方向性を出そうと自治体もしているんですけれども、それぞれの自治体ではなかなかできないんです。もちろん、これは環境省が全部そういったものをしっかり受けとめて、農水とか現場の官庁に働きかける必要があるとは思うんですけれども、やはりそこは財務、地方財政を預かっている総務省が共管でなくてもしっかりこの辺のことをやらなきゃいかぬ、私はそう思っています。

 ところで、その実態をしっかりつかむ根拠ができていないんですね。全くつかんでいない。つまり、清掃事業はかなりまとめてやっていますから、そういう意味で、なかなかこれができていない。

 そこで、最近、総務省の行政評価局ですか、これは三、四年前でしょうか、行政評価局をつくって、各省庁の政策をチェックするということが始まりました。今回、初めてでしょうか、容器包装リサイクル法の促進に関する政策評価というのを十五年の一月にやりました、同じ総務省ですね。ここの中で、今私が指摘した費用のデータがないんだと。この評価では、おおむねリサイクルは進んでいるという全体的な評価はしておりますけれども、その中で、分別収集の費用、こういうデータがない、これはやはり問題ではないかという指摘を受けているんですね。環境省は、政策評価を受けてどういう感想を持っていらっしゃいますか。

加藤副大臣 先ほども若干申し上げましたけれども、容器包装リサイクルにかかわる効果検証事業というのを環境省はやっておりまして、平成十三年度から平成十五年度、三カ年ということでございます。

 平成十三年度におきましては、九百七十七の市町村につきまして、いわゆる紙製の容器包装あるいはプラスチック製容器包装の分別収集計画について、市町村を対象にしてやってございます。その収集処理等にかかわる総費用の比較に必要なデータが得られたのは十一市町村のみでありましたが、このうち十市町村で総費用が増加している。

 あるいは、平成十四年度の関係でございますけれども、これまた同じような調査をいたしまして、リサイクル費用の重量当たりの原単位を作成いたしまして、容器包装の種類ごとに収集費用と選別、保管費用に区分しました容器包装リサイクル費用、重量当たりのコストでありますけれども、こういった試算もしております。

 さらに、平成十五年度でございますけれども、現在の市町村の人口規模別やあるいは分別区分別などの種々のパターンに対応いたしまして、容器包装廃棄物ごとの分別収集及び選別、保管費用の解析について、現在、取りまとめている最中でございます。

松崎(公)委員 そういうデータをしっかり出さなきゃ多分利用者にもなかなか、ではどのくらい負担すべきだという根拠が出てこない。ですから、私、言っているんですね。

 これが、民間の団体で、既に二年間にわたりまして、百六十団体を中心として約三千百万人の対象で、廃棄物会計というのをつくっているんですね、NPOの方々とか。これが一つ、今おっしゃった効果の調査。それが一つの会計として、環境会計ですか、環境会計というのが概念としてあるようでありますけれども、これは大体、企業を中心にやっていますね。私は、この辺で廃棄物会計という考え方が既に、少しずつではありますが実証されている。ここが、大体七〇%、この容器リサイクル法の対象物の自治体負担は七割だろうという計算を出したんですね。

 今のおっしゃった効果の調査、やっていらっしゃいますが、このような分析をしながらそれを廃棄物会計的な発想で一つの方式にして全国の実態をしっかりととらえる、そういうことが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤副大臣 御指摘の廃棄物会計とは、自治体が行っておりますごみ処理やリサイクル事業を主に経費の面からとらえる、分別収集費用を算出する際に共通性のある算定方法を用いているわけでありますけれども、その算定方法の標準化を行うものである、ごみ問題の解決に向けた取り組みに役立ちますように、いわゆる環境NGOが地方自治体などに提唱しているというふうに我々も承知しているところでございます。

 環境省といたしましても、地方自治体の分別収集費用の調査に当たりましては、各自治体の分別収集費用の算定を共通の算定方式によって行っているところでありまして、今後とも、算定方法につきましては、今御指摘のありました件を含めまして工夫をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

松崎(公)委員 ということは、今の調査なんかを中心にしながら、廃棄物会計的な、一つのしっかりとした方式をつくるというふうに受けとめてよろしいんですね。

加藤副大臣 そういった面も含めまして積極的に検討をしてまいりたい、このように考えております。

松崎(公)委員 そこで、今の問題でも、かなり現実の問題でもあるわけであります。つまり、この法律で一定程度、拡大生産者責任の概念が、この法律、容リ法でも少しは入っていますけれども、基本法ではっきりうたわれて、この概念が定着をしてきたということでありますが、そこで、特定事業者がざっと見て約三割はリサイクル料を委託費として協会へ出している。

 それはいいんですけれども、この中で、小規模事業者、これがかなり数が、零細企業を中心としてなんですが、この分を自治体が持っているんですよね、八から一〇%。これはどうしても私はわかりません。何で自治体が、小規模事業者の把握が難しいということ、あるいは小さいからということもあるんでしょうけれども、この辺、どうして小規模事業者のはじいた分を自治体が持っているということ、どうしても納得できません。これも自治体負担に大きくかかわっているということであります。この辺、どういうことでしょうか。

加藤副大臣 容器包装リサイクル法は、いわゆる自治体のみが全面的に容器包装廃棄物の処理の責任を負うという従来の考え方を改めまして、消費者は分別排出、それから自治体は分別収集、事業者は再商品化という新たな役割分担のもとでリサイクルを推進しようとするものであるわけでございます。

 ただし、今御指摘の件でございますけれども、一定の規模要件に満たない小規模事業者については、その義務履行能力や経営の脆弱性、また多数の小規模事業者からの費用を徴収するためのコスト等を勘案いたしまして、再商品化義務の対象外としたわけでございます。

 そういった意味では、御指摘のように、費用は市町村が負担しているところでございますが、いずれにいたしましても、これは見直しの段階に入ってきているわけでありますから、平成十七年度の評価、検討に当たりましては、今委員が御指摘されました件も含めまして、循環型社会の形成に資するように、見直しを積極的に考えてまいりたい、このように考えている最中でございます。

松崎(公)委員 私は、中小零細企業を、この景気の厳しいときに云々というのは確かにあるんですよ。あるんですけれども、小規模事業者分を自治体が、一般廃棄物は自治体だからという、その責任のもとに持たせるというのも極めて納得できない。

 もう一つは、同じような問題なんですが、フリーライダーというのがあるんですね。要するに、ただ乗り。実際は、この規定でいくと、売り上げ二億四千万以下、二十人以下、こういったものは、製造業者では除外されるわけですね、小規模になるんです。これは自己申告ですから、信用してやっているということですけれども、これが多分十七万社ぐらいあるんじゃないか。

 つまり、特定事業者の対象はざっと二十万社ある。そして、実際に特定法人と契約している事業者はふえましたね、十五年度、六万七千社。しかし、この中にはスーパーとかいろいろ入っています。いわゆる製造をしているような事業者というのは、実際は二万四千ぐらいだろう。そうすると、大体十七万社ぐらいがフリーライダーになっているんではないかということで、ここが極めてルーズではないかということが私の指摘であります。

 これは、農水省、経産省の範囲でありますけれども、両省、これに対するフリーライダー対策というのはどういうふうにやっておりますか。

亀井国務大臣 このフリーライダー対策につきましては、職員が事業者に出向きまして、この啓発活動、指導、こういうこともいたしておりますし、利用事業者として再商品化義務の有無の確認等を行い、必要に応じて改善の指導をいたしておりますし、さらには、各種セミナー等々を行いまして、啓発活動や普及、これに努めておるところでありまして、今後とも、関係府省とも十分連携をいたしまして、フリーライダー対策を進めてまいりたい、このように考えております。

坂本副大臣 経済産業省といたしましては、市場に流通している商品の調査を行いまして、容器包装の利用・製造事業者、販売量等の情報を分析し、フリーライダーと判明した事業者に対しては指導を実施いたしております。その結果、平成十二年には五万九千四百四十九事業者であったところ、平成十五年度には、先生が御指摘のように、六万六千九百三十一事業者と増加をいたしております。

 なお、このフリーライダーの中には同法に対する理解不足という面も散見されますために、各種説明会の開催などの普及啓蒙活動もあわせて行って進めておるところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、フリーライダー対策を推し進め、容器包装リサイクル法の着実な施行に努めてまいりたいと考えております。

松崎(公)委員 農水の方は全国で百七十八人ですか、点検指導業務担当者というのは。大体一つの県に一つぐらい地方農政事務所、昔の食糧事務所でしょうか、こういうものがある。ただ、二万件に対応しているということ、これはそれなりに今までの得意な分野も含めて動いているんでしょうが、経産省はそういう特別なチームとかチェックするところはあるんですか。

坂本副大臣 各経済産業局の方で実態を調査しながら把握しているところでございます。

松崎(公)委員 そういう答えではちょっと、時間がないものですから、何せこの辺はどう考えても大きな問題ですよね、小規模事業者をどうするか。

 ただかければいいかというと、確かに中小零細ある。しかし、ボーダーラインのところで事業者になっていない人たち、会社がかなり多いんではないか、これを指摘しておきますので、しっかりとここは、今後、全部網をかぶせればいいという問題じゃないかもしれませんけれども、もう少し透明になるような方法を考えていただきたい。

 それから、EPR、拡大生産者責任、これがやはり一番ポイントなんですが、これはOECDがかなりしっかり頑張って入れてきた。最近になって日本の中にも極めて定着して、この法の中にも入れてきたということでいいんですけれども、この考えでいきますと、今の三割の事業者の負担というものを、私は、消費者も利益を享受する、ペットボトルを使って享受するわけですから、やはりその応益を受ける人たち、個人の消費者も担うべきだろう。そして、四割ぐらいは自治体のいわゆる公のお金で清掃業務の一つとしてやるのはいいでしょう。そうなりますと、今の三割、消費者の三割、少なくとも三割ぐらいは事業者にもう少しかけるべきだ。

 私は、このEPRの考え方からいきましても、これは当然価格に転嫁されるかもしれません。しかし、これは、そのためのEPRの思想でありますね。やはりリデュースでありますとかリユース、こういったものを進めるインセンティブになる。また、包装品の設計の段階でもう少し工夫しようという、事業者にインセンティブが与えられる。

 ですから、こういう意味で、EPRの思想からいって、もう少し生産者に、あるいは消費者の分を含めてかけるべきだと思いますけれども、これは環境省でしょうか。

加藤副大臣 委員御指摘のEPR、拡大生産者責任、これは極めて重要な考え方でありますし、それが十全に効果が発揮できるようにやっていかなければいけないというふうに考えてございます。

 それで、委員もおっしゃっておりましたように、OECD、こちらでは拡大生産者責任ガイダンス・マニュアル、こういったものを出しているわけでございまして、これらを積極的に活用しながら、我々はこのEPRの考え方をより一層適用していかなければいけない。

 また、循環型社会形成推進基本法の中でも、こういうリデュースとかリユースあるいはリサイクル、そういった優先順位に基づいて考え方が示されておりますし、それから、環境基本法、その中でも、そういった意味では拡大生産者責任の考え方が述べられている。

 いずれにいたしましても、最初に私が述べたOECDの関係の考え方に基づきまして、積極的に対応を考えてまいりたい、このように考えております。

松崎(公)委員 それで、一番大事なのは、この考え方を現場でやる農水、経産省、ここが問題なんですね。特に、大臣いらっしゃいますね、農水としてはどうでしょうか。こういう拡大生産者責任というものを製品に転嫁するということになるわけですね。その場合に、本当にその精神を持って業者を説得したり、法改正に向けることができるかどうか、大臣の見解を。

亀井国務大臣 この事業者負担の増加、環境負荷の低減に向けた効果的なインセンティブとなるという考え方、また一方では、他の一般廃棄物との比較をして不公平ではないか、こういう議論が併存しておるわけでありまして、そういう面ではなかなか難しい課題ではなかろうか。

 この拡大生産者責任の強化の問題、このことは、環境省とも十分連携をして検討すべき課題、このように認識をいたしております。

松崎(公)委員 もう時間ですが、検討するというのは、大臣は政治家でありますので、役人用語は余り使っていただきたくないのでありまして、前向きに、検討とはやらないということですからね、それでは困るのでありまして、ひとつよろしく。

 また、最後に、この事業者負担をしている商品に対してマークをつけたらどうか。今、素材のマークがついていますね。そうなりますと、消費者が、これはちゃんとリサイクルの費用を払っているものだなということはわかります。そうしますと、いわゆる小規模をいじめるわけじゃありませんけれども、選別できるので、ぜひそんなことも御検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

細川委員長 次に、山名靖英君。

山名委員 公明党の山名靖英でございます。

 まず、先般の小泉総理の北朝鮮訪問、そして拉致家族のお子さん方の帰国、一〇〇%とは言えませんが、一定の前進を見たことについて、私としても評価をするところでございますし、引き続き、ぜひとも、安否不明の十人の方、またそれ以外の特定失踪者の皆さんの解明に向けて、政府を挙げて御努力をいただきたい、私どもも全面的なバックアップをしていきたい、このように決意をしているところでございます。

 ところで、きょうは、そういった北朝鮮の問題あるいは中国を含め北東アジア等の問題、こういうところに関連いたしまして、その中で、特に留学生そして就学生問題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、法務省の方にお聞きしたいと思いますが、我が国における留学生、就学生、こういった方々への在留資格認定、交付状況、これについて、数字の上で比較しなければわかりませんので、昨年の状況と比較をしながら、今年度の四月期生の認定状況、交付状況について、まずお教えをいただきたいと思います。

増田政府参考人 本年四月に日本語教育機関に入学するとして在留資格認定証明書の交付申請がございましたのは、件数で二万三千三百四十六件でございます。これは、昨年同期の二万五千百四十九件と比べまして千八百三件減少しております。それから交付数ですが、一万六百五十九件でして、昨年同期の一万九千七百七十七件と比べて九千百十八件減少しております。

山名委員 その実態の中身ですけれども、これを国籍別、これで分析したときにどういうふうになるのか、お教えいただきたいと思います。

増田政府参考人 本年四月の日本語教育機関に入学する者についての在留資格認定証明書の国籍別交付件数ですが、中国人が四千三百三件、韓国人が三千八百七十七件、バングラデシュ人が百二十六件、ミャンマー人が六十七件となっております。

山名委員 それでは、我が国日本における入管事務所ごとにそのデータはあると思いますが、地域別の交付実態、これについてお教えください。

増田政府参考人 これも、本年四月に日本語教育機関に入学する者についての数字でございますが、地方入国管理局別交付件数は、件数の多かった地方入管局あるいはその支局五カ所を申し上げますと、東京入国管理局が六千五百二十一件、交付率四八・三%です。大阪入国管理局が千百八十四件、交付率五三・八%、福岡入国管理局六百七十件、交付率五八・九%、次が横浜支局六百八件、交付率三四・四%、そして名古屋入国管理局四百十六件、交付率三三・七%となっております。

山名委員 この地域別の実態を見るときに、かなりの格差があるわけですね。

 今言われた数字を見ても、大阪、福岡、五〇%を超えているわけですが、横浜、名古屋等は三〇%台。私、ちょっと調べてみますと、東北地方はさらに交付率が低くて二四%、こういうふうに伺っているところでございますが、どうしてそういう地域的に格差が出ているのか、これについてどのように考えればいいんでしょうか。

増田政府参考人 地方入管局の間で別に審査内容に格差があるということはございません。

 それぞれの地方入管局あるいは支局ともに同一の基準に従って審査を行っておりまして、審査内容がそれぞれの地方局ごとにばらばらに異なるということではございません。

 交付率がそれぞれの地方局で異なるというのは、これはもうあくまでも一件一件を審査した結果、交付するのが妥当でないというものについて不交付にした結果でございます。

山名委員 それにしても、同一基準でやるのは当たり前のことでありますけれども、実態論として、こういった格差が出るというのは、何かすっきりしないものを感じるわけです。

 ともかく、こういった形で年々、一方で、特に昨年以来交付率が下がっているこの背景、これについてどのように見ればいいのか、法務省としてはどのようにお考えなんでしょうか。

増田政府参考人 まず、要件でございますけれども、この留学生、就学生に対する在留資格認定証明書の交付については、入管法の七条に決められております上陸のための条件に適合していることが必要であって、つまり、我が国で留学あるいは就学という在留活動を行うことが、虚偽でなくて、法務省令で定められている基準に適合することが要件となっているわけですが、その基準というのは、大学あるいは専修学校、各種学校等の教育機関に入学する者であること、それから、今問題になっているのが日本語学校でございますけれども、専ら日本語教育を受ける場合は、その機関が法務相の告示で定められていること、それからもう一つよく問題とされるのは、その外国人が日本に在留する期間中に生活に必要な費用、これを支弁する十分な資産、奨学金その他の手段を有することなどが求められております。

 私どもは、日本語学校に入学するために来日する外国人については、本当に勉学する意思があるのかどうか、あるいは勉学するための条件が整っているのかどうかを中心に審査を行っておりまして、例えば、生活に要する費用については、これまで問題を起こして退去強制した留学生、就学生の取り調べなどから、実際にはそのブローカーなどにお金をあらかじめ払っているから、どうしても日本に来ている間にそれを返すために働かなければいけないとか、あるいは見せ金、つまり、本当は日本で十分な留学、就学生活をするだけの資産はないけれども、母国で見せ金によって預金証明書をつくり上げて、それを使って資産があるように装って入ってきたけれども、結局日本で働かざるを得なくなって勉強の世界から脱落していく話であるとか、そういったことがいろいろございます。

 そういったことから、私どもは、例えば、預金残高証明書など、従来それを出していただいて、それでよしとしていたわけですけれども、見せ金の話であるとか、偽造の書類が多いことなどにかんがみ、資産形成の過程についての資料も提出していただく、こういった審査を行うようにしたわけで、これは御承知かと思いますけれども、やはり現在我が国で治安に対する不安が国民の間に広まっていて、特にそれが、その一つとして、留学生、就学生の中には犯罪を犯すようなこともある。また、留学生、就学生、合計で一万五千人以上が不法残留している、去年一年間だけでも四千人近く新たに留学生、就学生が不法残留になっている。こういう状況があるものですから、留学生、就学生について、例えば、その資産についても十分な審査をさせていただくということによっているわけでございます。

山名委員 確かに入管法第七条一項ですか、そこに書かれた基準に基づいた審査を行われている、このことは十分承知の上であります。

 先ほどもお話があったように、最近の治安情勢を考えるときに、極めて来日の外国人犯罪がふえている、こういうことも背景にあるかとは思いますけれども、今のこの数値から見ますと、やはり国別、地域別に考えたときに、どうしても中国に対する一定の厳しい措置というものが感じられてならぬわけですね。特に、そういった背景の中で厳格な審査をしなきゃならないということでもありますが、その立証の資料、これについて法務省としてはかなり厳しいハードルを設けているわけですね。

 確かに、日本に来る場合、それなりの勉強をしてもらうためには一定の学費だとか生活費、これがある、こういうことが一つの条件づけであって、それに基づく資料として、いわゆる預金残高証明書、こういうものを提出するように、預金残高証明書にかわるものというか、それを裏づけるものとして預金通帳の写し、当座預金の入出金の経緯が明らかになるような、こういった資料も出せ、そして、その資金形成に当たって、向こう三年さかのぼって、この三年間の収支、これに関する資料を年ごとに提出させるとか、それから経費支弁者に対する在職証明書、あるいは法人の登録簿、あるいは申請人との関係性、こういった資料、これだけの立証のための資料を要求するわけですね。

 実際、この預金残高証明書というのは、これは数字の上では明らかにしていませんけれども、大体三百万だというわけです。要するに、三百万円の残金がなければだめだと。この三百万の根拠というのは、大体一年間の生活費と学費、これは三百万だから、せめて一年間ぐらいは確保しなさいよと。一方で、それだけではとても生活等も不十分だから、週二十八時間のアルバイトは認めようということになっているようであります。

 しかし、実際、中国の場合でいえば、月平均の向こうの月収は一万、多くて二万ですよ。それが、三百万の残高があるというこの前提に立てば、もうとても中国からの留学生、就学生を受け入れる素地はなくなってしまう。

 果たして、こういった立証資料というものを、極めて厳しいものを設定する必要というのは、確かに、今の犯罪関係のあれからいえばもっともらしいわけでありますけれども、これはかなりの締めつけであり、留学生の締め出しではないか。中国からのそういった、日本に来て学び、日本語を学び、そして日本文化をまた持って帰り、最大の親日家をつくる、こういう本来の留学生交流のあり方の趣旨からいっても、私はこのハードルというのは余りにも厳し過ぎるんじゃないかというふうに考えますが、御見解を聞かせていただきたいと思います。

増田政府参考人 審査に当たりましては、不法残留者を多数発生させている国から来る場合で、また、これまで日本にある学校で不法残留者を多数出している学校に入ってくる、こういったところを重点的に審査することといたしているわけです。

 その場合に、おっしゃるとおり中国が一つの重点になっているのは否めないのですが、それは、現実に今、例えば、不法残留者の中で、中国からの留学生で平成十六年三月時点で不法残留している人が五千五百九十八人ですが、次に多い韓国で五百七十一人、次に多いフィリピンで四十五人。いかに中国がぬきんでているか。就学生でいいますと、中国から来ている就学生で不法残留になった人が七千八百六十八人、次に多い韓国が五百三十七人、次に多いフィリピンが三百人です。

 ですから、どうしても、私ども、審査するときに何でもかんでもやみくもに、外国からの留学生を排除しようとか狭くしようとか、そういうことではないのですが、一方で、現在、入管に対して、不法滞在者をもっと減らさなければいけないではないかというような御批判とか御要望が強い、あるいは入管は一体今まで何をやっていたんだという御批判もあるわけで、そうしますと、私どもとしては、一つのポイントとして、今生じている不法滞在者の中で、不法滞在と結びつきやすい在留資格については、これまでと同じようなことをやっていたのではこれからもどんどん不法滞在者が発生してしまう。そういったことから、この留学生、就学生についても、特に多数発生させている国などについての審査は厳格にやらざるを得ないと考えたわけでございます。

 御質問の中で取り上げられました、預金残高証明書などをぎりぎりやることについての御質問がございましたけれども、実際に、我が国に来てまじめに勉強していた留学生、就学生でも、落ちこぼれて凶悪犯罪を犯した人というのは、結局はやはりお金が続かなかった。そのために大学に行けなくなり、あるいは除籍され、そして結局は、犯罪組織から誘いを受けてついには殺人を犯してというような例が、これは報道もされているところでございます。

 そうすると、日本に来て、留学している間にアルバイト二十八時間だけで生活できるはずはないので、本当に留学、就学生として勉強に専念するだけの資産があるかどうか、これはやはり私どもとしては審査せざるを得ないところでございます。

 それから、例えば、申請人との関係あるいは申請人の肩書の証明書などについてもぎりぎり要求しているということでございましたけれども、これは、本人に資産がない場合、もちろんほかの人がかわって保証するという場合はそれはそれでいいわけです。しかし、この場合も、実は、現実にはそれが偽造されている例が多いものですから、そういった点で、やはり私どもとしては、出された書類についてはチェックさせていただいているというところでございます。

 ただ、誤解があったようで、例えば、預金残高証明書を出さなければ、あるいは預金通帳を出さなければもうだめ、入管は相手にしないのではないかとか、そういうふうに何か一時広まったようでございますが、これはそんな事実はないのであって、要は、その人が日本で本当に生活できるだけの経費支弁能力があるかどうかが証明されればそれでいいわけですから、もし預金関係の証明ができないのであれば別の方法で証明していただいて結構で、このことは、私ども法務省の方から各地方入管に対して、形式的にこれこれの書類がなければだめだなどという扱いは趣旨と違うのだから徹底するようにという指導は行っているところでございます。

山名委員 二十年前に文部科学省は留学生十万人計画というものを策定いたしました。それ以降どんどんと留学生、就学生、入国手続が簡素化したということもあるわけですが、ふえまして、昨年の五月時点ではもう十一万人近い、こういったことになっている。一方で、法務省的に、そういった取り締まりというか厳格な審査基準を掲げながら、数は、交付率は減っている。

 そういう意味では、文部科学省が進めるいわゆる国際交流、留学生十万人計画というもののこういった取り組みと法務省的な取り組み、ここにはかなりそごがあるんじゃないか、こういうふうに私は感じられてならないんですが、今後、こういった実態を踏まえながら、文部科学省として、今後の留学生交流に係る施策の推進について基本的にどのような計画等をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。

小野副大臣 山名委員が御指摘のとおり、昨年の五月に、統計によりますと十万九千五百八名の留学生数を記録することができまして、留学生受け入れ十万人計画を達成することができたと評価をさせていただいております。

 その中におきまして、先ほど御指摘がございましたとおりの課題がございますが、文部科学省といたしましては、留学生の急増の中で、同時に、不法残留問題、不法就労問題が表面化しているということも事実でございますし、また、大学等の受け入れ体制、留学生の質への懸念等が生じているというところもございますから、関係省庁が一緒になって協議を行って、政府全体としてこの問題に対しての対応を検討しているというふうな状況でございます。

 文部科学省といたしましても、この状況の中で、真に勉学を目的として留学を希望しているかどうかの点に留意を払いながら、留学生の受け入れを進める必要があるというのが私どもの見解でございます。そのため、大学や専門学校、日本語教育機関等において入学者の選抜を適切に行うとともに、学生の在籍管理を強化するということを指導として行っているところでありますが、この指導を適切に今後も行いたいと思います。

 また、経済的理由、先ほど山名委員から御指摘がございましたが、こういうことにより就学が困難である優秀な留学生ということに対しては、各年度ごとに一定数の受給者を採用して学習奨励費を支給するという形でその支援をしているところでございまして、今後とも、この支援を行いつつ、留学生交流をさらに活発に行っていきたいと思っている次第でございます。

山名委員 先ほどの法務省の基本的な考え方はよくわかりました。確かに私も、不法残留、こういったものをなくし、本当にすっきりした形で今後の国際交流を図っていくべきだとは思います。

 その一方で、まじめに勉強しよう、したい、こういう思いを持っている人たちを締め出すということがあってはならないと思いますし、現実に、留学生、就学生に対する国内における文部科学省としての支援策、先ほど学習奨励費ということで毎月五万二千円、これは今、三百人程度ですか、就学生については支払われている。まじめに、アルバイトを若干やりながらでも学ぼうとしている、そういう人たちへの支援策、これはもう少し力を入れて頑張って応援をしてもいいんじゃないか。毎年五十人ずつふやす、こういう程度じゃなくて、もう少し厚みを持った支援策が講じられないか。再度文部科学省の方にお伺いしたいと思います。

徳永政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、私ども、私費留学生につきましても、先ほど副大臣の方からお答えいたしましたように、学習奨励費、年々増額をしているわけでございます。そのほか、大学生等につきましては、授業料の減免といったような措置も講じているわけでございます。もちろん、さまざま、財政状況等あるわけでございますけれども、私どもといたしましては、実際に、本当に勉学に意欲がある方、こういった方が留学の意思を貫けますよう、そういう意味では、今後ともこういう経済的な支援、特に、学習奨励費でございますとか、さまざま、それ以外の住宅環境の整備でございますとか、そういったことについて努力をしていきたいと思っております。

 また、日本語学校全体につきましても、日本語学校の振興協会があるわけでございます。その中でもさまざまな教員の研修その他を行っているわけでございまして、こういったことに対しても、若干ではございますけれども、経済的支援を行っていきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、真に希望がある学生に対しましては、できる限りの努力を今後とも続けていきたいと思っております。

山名委員 それで、入り口を厳しくしながら、現実に留学、就学している、こういう人たちが本当に誇りを持ちながら十分日本で学べる、こういう体制をしっかりと構築する必要があるんじゃないか、そういう意味での留学生の皆さんへのインフラ整備というのが必要だ、こういうふうに私は思います。

 特に、先ほどもちょっとお話が出ました日本語学校、ここが、極めてずさんな体制の実態というものが一方で明らかになり、せんだっても三校取り消しになったという報道もございました。

 日本語教育振興協会、日振協というのがございまして、ここで日本語学校の審査を行うわけですね。どういった基準で学校設立について認可をしているのか。その認可に基づいて法務大臣が告示をして、そこから発せられる申請に基づいて留学生、就学生の申請が出される。一番もとになるこういったところの体制というものはどうなっているのか。

 かつて上海事件というのがありました。ブローカー等が不正な授業料等、これを巻き上げてしまう、こういうことで、今なおこういった実態があるということについては、この日本語学校のあり方、そしてそれを統括するというか、認可を下す日振協のあり方、こういったものにやはりしっかり今体制強化というメスを入れていかなければ、この問題はこれからずっと続いていく、なくならない。結局、法務省として壁を厚くするばかりで、印象的には、国際的にも、日本は中国やそういった周辺諸国に厳しい国だ、こういうイメージで国際交流の何のインパクトにもつながらない、こういうことを私は心配しております。

 そこで、この日本語学校設立の認定基準というもの、これに対してどう考えているのか、今後、この問題についてどのように改善策をしようとしているのか。これは、法務省ですか。そもそも、この日振協というのは財団なんだけれども、ここに対する取り組みの窓口というのはどこなんですか、法務省。

増田政府参考人 日本語学校の窓口というお尋ねでございますけれども、学校教育法上の認可を受けていない日本語学校は、恐らく、いわば私塾のようなものではないかと思います。その所管自体についての規定はございません。

 日本語学校の大半は、おっしゃるとおり、財団法人日本語教育振興協会によって、その協会の定めた「日本語教育施設の運営に関する基準」というのがございますが、これに基づいて、日本語教育機関として適正なものかどうか、この振興協会によって審査を受けておりまして、法務省は、その日振協からの審査結果を踏まえまして、これについて適当であると認めたときは日本語学校として告示をする、告示を受けた日本語学校は、留学生あるいは就学生を受け入れることができる、こういうことになるわけでございます。

 この日振協は、法務省、外務省、文部科学省、この三省庁共管の団体でございまして、日振協においては、日本語学校から申請があった場合には、その修業期間、授業時間数、あるいは設備、設置者など基準が定まっておりますので、こういった基準に当てはまるかどうかということで審査をしているようでございます。

山名委員 私は、率直に思うんですが、三省の共管ということで存在をしているわけでありますけれども、これが、えてして、ある意味で、責任逃れというか、キャッチボール的なそういうものになりがちでありまして、ここの問題をとらえるときに、いま一度、この日振協のあり方、そして日本語学校のあり方を問い直すべき横断的な機関というものを構築していく、こういう必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、この留学生、就学生の問題については、我が国の国際的なイメージの上からも、やはり看過できない大変な問題も含んでいるわけでありまして、取り締まりは取り締まりとして、一方、まじめに学ぼう、こういう人たちに対する快適な環境づくり。日本語学校というのは私塾みたいなものだ、こういうことなんですけれども、それだけの国際的な働きをしているところに、単なる私塾だ、こうやって、いわば追いやっているような、いわゆる援助も含めた何の目も向けられていない、日振協だけにそれを任せているという、こういう体制はやはり問題じゃないかなというふうに私は思います。

 そこで、提言として、さっき言いましたように、これは根本的に、国として、政府として、外国人定住のあり方の基本指針というか、こういったものをきちっと定めるべきではないか。今後、日本は、少子高齢社会の中で、外国人の皆さんの雇用、こういったものも含めながら、外国人対策というか、こういった基本方針というものを定める、こういう時期ではないかと思っております。それに基づいて、先ほど申しましたように、省庁横断的なこういう留学生対策の機関を設ける。

 それから、やはり留学生の実態調査をやってもらいたいと思うんですよ。留学生の皆さん、就学生の皆さん、いろいろな思いを持っています。そこで、要するに、机の上ではなかなかわからないこういう問題も出てまいりまして、こういった意味での進学あるいは就職を含めた実態調査、こういったものをぜひ求めたい、こういうふうに思います。

 そして、結論的に、新たな団体をつくるという動きもあるようですが、団体をつくるということよりも、今ある日振協、こういうところの体制をさらに強化するだけの方途をぜひ検討いただきたい、このように要望いたしまして、時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

細川委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 本日は、私、この委員会では初めての質問なんですけれども、お忙しいところ、官房長官にもおいでいただきまして、ありがとうございます。

 実は、先般の小泉総理の二回目の訪朝、これに関して、取材のあり方、日本テレビを一たん同行取材から外すというような官邸内での騒動が起こったわけでございますけれども、私は、この点について、ちょっと確認あるいは御指摘をさせていただきたいと思います。

 私自身、昨年の衆議院選挙でこういう立場になりますまで、長くテレビ局の方で、十年近く政治記者もやっておりました。総理同行という取材についても、村山内閣以来、もちろん小泉総理の同行取材もした経験があるわけでございますけれども、この政治記者としての経験、歩んできた中でも、このように、例えば都合の悪い報道をしたから、どういうことなんだ、あるいは同行させない、さらには取材源を明かせといった、そういうことを自分自身の経験としても、私はあるテレビ局におったわけでございますけれども、特に自民党には非常に評判の悪い番組を当時抱えておりまして、報道内容についていろいろと文句をつけられることはあります、これはおかしいんじゃないかと。それはそれで、いろいろと言い分もあっていいんだと思います。

 ただ、問題は、自分たちにとって都合の悪い報道をしたから取材をさせないとか、あるいはその取材源を明らかにしなければ同行取材させないとか、これは本当に前代未聞で、正直驚きました。

 そこで、まずちょっと事実関係を幾つか最初に確認させていただきたいと思うんです。

 この件については、これも異例なんでしょうけれども、内閣記者会と官邸のやりとりといったものが恐らくほとんどの新聞あるいはテレビで報道されているわけでございます。

 まず、五月十六日、日曜日、日本テレビが夕方の報道番組で北朝鮮に二十五万トンの米支援で最終調整に入ったというような報道をしております。これを受けて、飯島総理秘書官から日本テレビ側に、政治部長に対して、日朝交渉を妨害するために報道したのではないか、取り消しを求める、応じない場合は同行取材を認めないと抗議があったということで、十七日、総理官邸報道室から外務省報道課に対して同行取材から日テレを外すように指示があったと。

 事実、五月十八日に、きょうお手元に資料を配付させていただいておりますけれども、通常、総理同行というのは勉強会が二度三度行われるわけでございますけれども、そのときにこのロジ資料というものを配られるわけです。この第一回目の同行記者団勉強会のロジ資料、これに、同行記者、カメラマンなんかもすべて含めて、政府専用機に乗っていく方がほとんどなんでしょうけれども、百十六名のリストがありまして、ちょうど三枚目ですね、三ページ目のところ、NHK、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京と、常勤社のテレビ局のリストが並んでおります。普通であれば、このNHKの後に日本テレビがあるはずなんですね。しかし、これが事実この時点では抜けている、外されているというようなことなわけです。

 そこで、まず、この資料は外務省報道課が作成をしているわけですけれども、そこでお伺いいたします。

 外務省の報道課としては、総理官邸の報道室から、日本テレビを外せというような指示があった、あるいはもともと日本テレビが入っていないリストというものをつくるようにというような形での何かそういう要求、指示というものがあったんでしょうか。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、今回の総理訪朝に当たりましては、同行記者は、そもそも北朝鮮側が受け入れる数に制限がございました。このために、官邸の報道室が内閣記者会を中心とする報道機関側とまず調整をいたしまして、その調整の結果を受けて、外務省としては、その結果を踏まえて同行記者リストを作成、そんな事務的な作業を行ったものでございます。このリストの中にどこを載せるか載せないかといったようなことも、官邸報道室からの御指示に従ってつくったものでございます。

 以上でございます。

笠委員 それでは官邸の報道室にお伺いしたいんですけれども、今報道官の方が、内閣記者会と調整をして、その上でリストをつくって外務省の方で作成をしてもらうというような話があったわけですけれども、それでは、内閣記者会と調整をして第一回目のロジ資料というものに出ているこのリストが仕上がったわけでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど外務報道官が申し上げましたように、内閣記者会を中心とする各種機関と調整した上で作成をお願いしたものでございます。

笠委員 もう一度確認しますよ。この第一回目の勉強会のロジ資料、報道はどこの、要するに各社だれが行くんだというこの資料をつくるときに、この第一回目のですよ、内閣記者会と調整しましたか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 全体の枠の話がございましたので、枠につきましては内閣記者会等と調整してございます。

笠委員 枠というのはどういうことですか。それは、全体の人数、何人だというだけですか。それとも、各社何人なんだよと、今回四人なのかとかあるいは三人なのか、制限があるでしょう。ちょっと、もう少し具体的にお答えください。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 全体の枠がございますので、各社何人等も含めての数でございます。

笠委員 ということは、当然ながら、普通は、内閣記者会加盟社、全社行きますよ。

 では、ちょっと確認します。

 日本テレビサイドから今回は遠慮したいという話があったんですか。

日下政府参考人 いや、そういう話はございませんでした。

笠委員 おかしいですよね。それであれば、官邸の報道室にどこからか何らかの指示があって、日本テレビは入れるなということがあったんですよね。そこの経緯を御説明していただけますか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の資料は十八日の段階のものでございますが、その時点においてまだ調整中の部分があるということでございましたので、総理秘書官室それから官邸報道室が相談した上で、日本テレビの分については当面留保するということになったものでございます。

笠委員 その調整中の部分があるというのはどなたがおっしゃったんでしょう。

日下政府参考人 私ども、組織で仕事をしておりますので、官邸報道室と総理秘書官室との間の相談の上でのことでございます。

笠委員 官房長官にお伺いします。

 長官、今組織として動いているというお話がありました。ということは、長官、この同行社をどうするのかというときに、当然ながら、その調整というのは、今の説明であればこの日本テレビの部分なんでしょう。具体的に、恐らくは、そういう話が官邸の中で、秘書官サイドあるいは報道室、そういったところで調整がなされていたと。当然長官も御存じだったわけですよね。

細田国務大臣 総理が突然訪朝されるということを公表されたのが十四日の金曜日でございます。そして、御指摘のように、十六日に、一週間かけていろいろな調整を行っている中の支援問題について、まだ具体的な方針を決めていない内容について突然の報道があったということで、いろいろ大騒ぎになりまして、そしてその後、いろいろな当事者がいろいろなことを言い、記者クラブとまた話が行われたということは、私は最も議論が激しくなった十八日の日に聞いたわけでございます。それが事実でございまして、その事前に、十六日からずっと承知しておったわけではございません。

 そして、ちょっと経過を申しますと、そこで大騒ぎになって、官房長官会見で正式に聞くぞ、官房長官はどう考えるんだということを質問するから答えてくれ、こういうことがありまして、十九日にお答えをした、概略について言えばそういう経緯でございます。

笠委員 今の、十八日大騒ぎになったというのは、これは要するに、飯島秘書官から情報源を明かせば取材を許可すると求められた日テレが、しかもこのロジ資料から外されていたということを受けて、内閣記者会が開かれて、代表者会議というものが開かれて、初めて大きな問題になったんですよね。

 長官、ちょっと確認ですけれども、その時点で長官はこの一連のことを知ったということでよろしいでしょうか。

細田国務大臣 そういう大騒ぎになったときに承知いたしました。

笠委員 ちょっと参事官の方に、報道室長の方にお伺いしたいんですけれども、ということは、それ以前は報道室と総理の秘書官とだけでやっていたんですね、このロジの打ち合わせを。いかがですか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 その時点ではまだ調整途中の段階でございましたので、御指摘のような形で行ったようでございました。

笠委員 そこがおかしいんですよ。例えば長官は、今、知らなかった、この十八日、実際にこのロジが出てくるまで知らなかった。総理は十九日の、この翌日の夜のぶら下がりインタビューで、新聞で初めて知った、全然知らなかったと。総理も知らなかったと。要するに、官邸は大体どうなっているんだと。これは大事な問題だと思いますよ。

 私、抗議をするのはまだいいと言っているんですよ。しかし、これだけの自分たちに都合の悪いことを報道されたから、だから同行させないとか取材源を明かせとか、そういうことが一秘書官の権限でできるような体制になっているんですか。そのことについてどうお考えでしょうか、官房長官にお伺いいたします。

細田国務大臣 通常は、総理の同行記者団の選定については、過去の例ですとか各社のバランスですとか、そのときの会談の大きさ、各記者あるいは各社からの希望とか、そういうものを勘案して、それでは今回は政府専用機で何人お願いしようということで決めるわけですね。通常の場合、極めて事務的な決定であるわけです。したがいまして、そのことについて一々、例えば官房長官が入って、これはこうしろとかいうことは決めるようにはなっておりません。

 ただ、その後のことを申しますと、これだけ大きな問題になり、よく聞いてみますと、いろいろ激しいやりとりがあって、その背景には、報道の内容がこうである、国の交渉をこれからやろうという、二十二日の交渉について、十六日に既に決まったかのように出たのはけしからぬというような激しいことを言う方々もおられて、激しいやりとりになったということでございましたが、私は、十九日の会見におきまして、どうもいろいろなやりとりはあったようだけれども、これは私の方できちっと善処するからということをお約束したわけでございます。

笠委員 長官、それではお伺いします。

 いいんですよ、通常だったら極めて事務的でいいんですよ。これは異常だから、当然ながら、そこについては官房長官にも相談があるだろう。官房長官とはそういうお仕事じゃないんですか。やはり官房長官というのはスポークスマンであり、内閣におけるかなめですよね。少なくとも私はそう認識しています。

 それで、ちょっと長官にお伺いしたいんですけれども、長官自身は、この日本テレビの、二十五万トン米支援で最終調整という報道がなされたときに、どういう感想をお持ちになられましたか。

細田国務大臣 内容的には、交渉の途上でありましたので、これは特に申し上げることは避けたいとは思いますけれども、実際の訪朝までまだ時間があって、実際には交渉内容も煮詰まっていなかったということは事実でございます。そういったときに、具体的な量を示して、これがいかにも、相手の国にも、ああ、日本はここまでは譲歩するんだというふうな形で報道されるということは、決して国益上も望ましいことではないなということは思いました。

 それは、善処するときの会見においても、詳しくは申しませんが、そのことは申し上げました。過熱な報道競争によって交渉上の事柄を確定的に報道することは差し控えられたい、こういうことは申したわけでございますが、内容的には、私としてもいささか、余り交渉の前にまだ決めていないような中身について確定的な報道がされることはいかがなものかなと個人的にも思ったわけでございます。

笠委員 それだったら、長官、これは十六日の報道じゃないですか。十七日、官房長官は午前、午後、定例の記者会見がありますね。そこで、官邸として、おかしい、こういう報道は困るんだ、そのことを堂々と本来スポークスマンである長官がおっしゃればいいじゃないですか。それを、何で一秘書官がその社に対してそういうふうな、同行取材を認めないとか取り消せとか、そういう恫喝的な、このことを、長官は、官邸の中でスポークスマンとして、あるいはそのかなめとして、調整役としての機能というものを、しかも知らないでしょう、やはり全く果たしていないですよ。その責任についてどうお考えでしょう。

細田国務大臣 本来は、記者クラブと円満に話をしてふだんは決まっておるわけですから、普通は、それは、官房長官が一々割り当てて、この会社は幾らにしようとか、全体規模を幾らにしようというようなことは申しておらない慣例でございますし、それで十分事柄は流れておるわけでございますが、そこにいろいろな、感情的になった関係もあって、おっしゃったような流れが出てきたために、本来ならば通常に流れておったはずのところが、大きな問題として、しかもクラブ全体の問題として、あるいは報道の自由とかかわりある大変な問題だというような問題提起で出てきたものですから、そこで私としては、そういうことであれば、きちっと私の方で決めようじゃないかと。

 つまり、あらかじめどの社はゼロにしようとかなんとかという指示を下したわけでもないし、もちろん、そこに関与したわけでもありませんし、普通は関与しないんですよ。よく私自身も問い詰めたりはいたしましたけれども、打ち出しではそういうことも言ったけれども、おさまりはいろいろよく承知しておりますというようなことも会見のときには内々は受けておりました。したがいまして、それじゃ私からちゃんと責任を持って善処すると言うからということで、関係者も皆了解して、もとに復した、こういうことでございます。

笠委員 普通は関与しませんよね、普通は。普通じゃない、異常な人がいるからこういう問題が起こるわけですよ。そうでしょう。

 長官、率直に、この件をお知りになったとき、経過説明、要するに内閣記者会も含めて、あるいは秘書官サイドの話も聞いて、どうお感じになりましたか。

細田国務大臣 やはりこれは大変な問題だな、きちっと本来の姿におさめるべき問題であると直ちに認識いたしました。

笠委員 私、直ちに認識したとは思えないんですよ。というのは、長官、これは十九日の午前と午後、会見がございますね。何で午前の会見で方針を撤回しなかったんですか。午後ですよね、正式に。ということは、長官も、まあ何か大変なことだなぐらいの認識だったんじゃないですか。これが、事報道の自由あるいは言論の自由、憲法で保障されている権利にまでかかわりかねないような重大な問題という認識が本当にありましたか。

細田国務大臣 二十二日出発ということで、十九日のことでございますから、十九日になって、記者会もいろいろ発言ぶりも内容を固められて、そして官房長官会見において正式に要請するということでございましたので、ただ、それは事前にこういう要請をするからちゃんと答えろというようなことではなく、記者会の方から代表が、幹事から、かくかくしかじかのことあり、こういうことについてどう考えるかという質問でございましたので、もちろんその前からどういうことが、やりとりが行われていたかということは知っておりましたけれども、これは、私自身は、その場でなく、十九日の午後にお答えしても十分、二十、二十一、二十二が訪朝でございますから、手配も間に合うという確信を持っておりましたので、しっかりと内容的にも詰めて午後にお答えした、こういうことでございます。

笠委員 本当に長官、これはそういう問題じゃないですよ。行くのは当たり前で、要するに、この問題の本質というのは、一秘書官かもしれないけれども、長官は全くあずかり知らなかったかもしれないけれども、総理官邸サイドが、要するに都合の悪い報道に対して、時にあるわけですよ、そういうことは。先ほどから私は言っているじゃないですか、堂々と抗議すればいいんです、抗議を。

 ただ、この情報源を明かさなきゃいけないとか、これは行き過ぎじゃないか。もうこれこそ本当に言論統制でしょう。そのことについての長官の認識を聞いているんですよ。この一たん外された社が間に合えばいいじゃないかなんて、そういう話じゃない。その認識ですよ、長官。スポークスマンでしょう。毎日のように記者に対してもあるいはマスコミ各社に対しても、長官がまさに官邸としては一番そこの窓口となって対応している立場じゃないですか。そういう官房長官がそんな認識の甘いことでは本当に困りますよ。いかがですか。

細田国務大臣 認識はもちろん十分持っておるわけですが、十九日の日に内閣官房長官あての抗議文が出され、そして正式に記者会からもお話がございましたので、それにはちゃんとこの報道の中身についての見解も添えてお話をしようということでございましたので、午前の会見ではなくて、夕方まとめてしっかりとしたお答えをいたしたわけでございます。

 私が申しましたことは、午後の会見で申しましたことをもう一度申しますと、こういう報道があった。これは、二十二日の総理の訪朝の際に日朝間で協議される諸問題について、日本政府の方針や協議の結論の方向性があたかも既に固まったような具体的な数字まで挙げての報道でした。北朝鮮との厳しい協議が予想される中でこのような報道がなされたことは何を意味するのでしょうか。結果として、拉致被害者の御家族の帰国や行方不明の拉致被害者の安否確認を初めとする日朝間のさまざまな懸案について我が国が北朝鮮と協議を行うに当たり重大な支障や悪影響を与えることにもなりかねないことから、極めて遺憾だと考えているものであります。これは報道についての私の発言であります。そして、関係の方々ともよく御相談をいたしまして、朝、私が善処するということを申しましたけれども、結論を申せば、こういう発言を私からするということで、また、そういう報道があると思いますけれども、今回の訪朝への同行は従来どおりの形で行っていただく、そういうことで結論が出ましたので、報告申し上げます。

 こういう形で申したわけでございます。

 基本的な考え方としては、当然、報道の自由というものは大変大切でございますし、皆様方にぜひ自由な報道体制をとっていただきたいと思います。また、北朝鮮は御存じのような国柄でございますから、特派員がいるわけでもないし、同行記者団が行かなければ取材ができないわけでございますから、そういったことをすべて勘案すれば、無理な措置などをとるべきでない、私もそう判断をいたしたわけでございます。

笠委員 長官、これはやはりこれだけ機微に触れるまた外交ですし、大変な局面だからこそというのはわかるんですよ。だから、マスメディアというのも、各社競争して、いろいろなところで取材するんですよ、国民の知る権利があるわけですから。

 そして、結果として今回、二十五万トンだったじゃないですか。根も葉もない話じゃないでしょう。しかも、政府が決めたとか、あるいは小泉総理が決めたとか、細田官房長官が明らかにしたとかという報道じゃないじゃないですか、これは。最終調整じゃないですか。

 それまでだって、三十万トンだ何だ、いろいろ報道はあったじゃないですか。何でこのときだけこんなにナーバスになって、まさに言論統制までしてやろうみたいな、これはほかに何か目的があったんじゃないかと私は思いたいぐらいですよ。ひとつ見せしめにして、小泉内閣というのは自分たちに都合の悪い報道をしたときにはこういう制裁をするんだぞ、そう思われても仕方ないですよ。こんな反応をしたことないですよ、これまで。長官、そうでしょう。そのことを長官にしっかりと。

 それで、長官、それだけのことをおっしゃるんだったら、では十九日の後でもいいですよ。飯島秘書官に対して、長官は、やり過ぎだ、どういうことだとちゃんと事情を聞きましたか。そして、その上、長官として、おかしいじゃないか、出過ぎるなというような指導をしましたか。

細田国務大臣 私が、秘書官室にもきちっと、みんなを集めまして、これはこういうふうに判断するからということでしっかりと申しました。

 発表の中身が結果的にそのとおりではなかったかということについては、実はそのとおりではない面もございますし、それから、向こう側の希望の中身に近い中身であったとか、交渉上差しさわりがありますから細かく申しませんけれども、ちょうちょうはっしとやっているときに非常に大きな、日本側からそういうものが出るということは、やはりいろいろ、振り返ってみますと、あった面もあることだけは申し上げておきたいと思います。

笠委員 恐らく長官も、御自身のこともいろいろとあったでしょう、新しく長官に福田さんの後を受けてなったということで。

 ただ、長官の場合はその前に副長官をやられていましたから、当然いろいろな内容について精通しておられるし、当然情報を持っておられたという前提に立って私は質問をさせていただいているわけでございますけれども、やはり今回の一番大きな問題というものは、そもそも総理秘書官というものがどれほどの権限を持っているのかということなんですよ。官房長官も知らない、総理も知らないところで、自分の判断でこれだけマスメディアに対して介入をしていく、恫喝とも言えるような姿勢をしていく、そのこと自体について、長官自身、ちょっと率直にどう思われますか、長官の知らないところでこういう話があったということについて。

細田国務大臣 今後このようなことは起きないのではないか、起こしてはならないと思っております。

笠委員 では、最後にお伺いします。

 今、長官は最後、ちゃんといいことをおっしゃいましたよ。これは記者会見でも長官はおっしゃっていない。改めて、今後は、間違ってもこういう特定メディアを、多少の都合の悪い、もちろん明らかに意図的に偽りの報道をするとかそういうふうなときは別ですよ。けれども、こうしたことで少なくとも特定メディアを排除するようなことはないと約束をしていただけますね。そのことを最後に確認いたします。

細田国務大臣 そのことは当然であると思います。

 他方、国際交渉ですから、できるだけ注意深く、もうこれで決まったというような、実は決まった内容と違うのでございますが、決まったというような報道をされて、いろいろな交渉に差しさわるようなことは控えていただきたいという私から出した要望もひとつ御留意いただきたいと思います。

笠委員 ありがとうございました。

 長官、ただ、一つ、メディアに向ける前に、やはりこれは官邸の、外務省も含めた情報管理というのもしっかり徹底して、そちらに本来向くべきだと私は思っておりますので、そのことを一言申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

細川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

細川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡島一正君。

岡島委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、きょう決算委員会で、羽田空港の再拡張に関しての質問をさせていただきます。

 本来、羽田空港の再拡張については、総務委員会でも質問いたしましたが、検討事項がその後どうなったのかという穏やかな質問をけさまで用意してありましたが、私が質問する答えが全部新聞に発表されていまして、急遽午前中、質問を書きかえました。ということで、若干、また本質的な質問に変わりましたが、今から航空局あるいは国土交通省の方にお聞きしたいと思っております。

 国土交通省は、今回の羽田空港の再拡張において、その飛行ルートのほとんどが通過することになる千葉県あるいは千葉県内の十四の市、そうしたところから出ていたたび重なる強い要望に対して、浦安方面の住宅地やディズニーランド付近の通過を回避する、あるいはD滑走路の位置、角度を変更するなど、また千葉市、市原市では、飛行高度を三千フィートから四千あるいは五千と上げるというような形の騒音の軽減策などをとるということで、ようやくその修正案をきょう発表されたということであります。

 今回の修正案の中身を見ますと、これはどれも千葉県であり、十四の市であり、また、総務委員会で我々が質問したような内容は多く実現されているというようになっているわけであります。こうしたことについては、当然のことであって、私としても、これはいいことだ、喜ばしいという点が多々あるわけでございます。

 しかしながら、今回の修正に至る経緯につきましては、国土交通省にも、やはり歴史を踏まえて、反省していただかなきゃならないという点がまだ残っているだろうと思うわけであります。

 今回の羽田の再拡張は、一兆円には及ばないものの、羽田空港の沖合五キロに、単に滑走路というよりは、ターミナルも踏まえた、タワーも踏まえて、新たな空港を一つつくるというのに等しいような大規模な公共事業だというふうに私には考えられるわけです。そうした大規模な公共事業を立ち上げるに当たっては、一体、どういったことが大切なのかといった問題があります。

 それは、戦後、この日本が民主主義化されて以降も一貫して遭遇してきた、公共事業に当たっての国と自治体あるいは住民とのさまざまな混乱などを含めた出来事という歴史があるわけであります。ということは、成田問題も踏まえて考えれば、こうした大規模な公共事業、空港建設、拡張といったことに際しての、役所としての、地域住民や自治体への配慮といったものはどうあるべきかということは、見識を当然お持ちだと思っているわけであります。

 特に、この千葉県に関しては、成田空港の歴史、私はボタンのかけ違いという表現も使うことがありますけれども、計画ありきで、その中で、地元の住民や農業に従事している方々、あるいは自治体との細かな話し合い、打ち合わせといったものが十分でないままに進められた結果、現在でも、成田空港は国際空港として完全化に至っていないという歴史があるわけです。

 そうした千葉県に、ほとんどの飛行ルートがかかっているという今回の羽田再拡張に関する問題について、今回も役所の論理が優先される中で、千葉県民に対して直接の説明というのがまだ一度もない。また、千葉県に対してのさまざまな提言はあったにせよ、順番からいけば、やはり地元に理解してもらった上での計画だというふうに思うわけですが、そういったことを含めて、公共事業を進めるに当たっての国の計画と、それに対する地元住民、そうした人たちとの間の理解、話し合いが欠かせない。

 国土交通省としての、今回の羽田再拡張に絡んで、改めてこうした大規模公共工事の進め方、あり方について御意見、見解を伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 今、委員がお話がありましたように、私ども、羽田の飛行ルートにつきましては、二月の九日に最初に案を提示させていただきまして、その後、さまざまな形で、関係市町村等への説明あるいは意見交換あるいは御要望ということを承ってまいりました。また、この間、先ほど先生からお話がありましたように、国会においてもさまざまな議論があったわけでございます。

 それで、今回の修正案でございますが、そういう意味で、千葉県及び関係の十四市の意見、こういうものを十分酌み取りまして、取り入れたものであると私どもは考えております。

 それで、若干経緯を御説明させていただきますと、今回の私どもの修正案、回答につきましては、五月の二十四日月曜日の昼に、私どもの方から、私が県庁に出向きまして、千葉県知事、それからさらには浦安市長も同席されておりましたけれども、知事に、修正案、回答案について提示をさせていただきました。

 これにつきましては、千葉県知事の方から、当初の計画を変更して浦安の上空通過を回避したこと、さらに千葉市その他の上空の通過高度の引き上げなどの対策を講じたことなど、千葉県サイドの意見を大胆に取り入れたということで御評価をいただきまして、知事が翌二十五日火曜日、きのうでございますが、大臣のところへ来訪していただけるということになったわけでございます。

 さらに、その場において、関係する十四市に対しましても千葉県の方から御連絡をいただきまして、二十五日の朝でございますが、お忙しいところ、関係の十四市の方々に集まっていただきまして、そこで私どもから説明をさせていただきました。このような経緯を経てまいりました。

 私どもとして、そういう中で、我々の回答につきましては、千葉県及び関係十四市から御了承いただけるという旨の回答を昨日いただいたわけでございます。

 先生から御質問がありましたように、私どもとしても、国と千葉県との間の信頼関係の構築ということについては私どもなりに努力をしてきたと考えておりますし、今回はそういうことをベースに、今回の案が千葉県あるいは十四市の御意見というものを十分取り入れてできたものであったゆえに、そういうことを評価していただき、了承していただいたと考えております。

 ただ、先生お話がありましたように、あわせて千葉県及び関係十四市からは、今後は十分な情報公開を行い、時間をかけて地元自治体、地域住民の理解を得るように御努力願いたいというお話もございました。私どもとしても、今後とも、千葉県やあるいは関係の十四市との間で引き続き協議を行いつつ、この再拡張事業の円滑な推進というものに努めてまいりたいと考えております。

岡島委員 私が今質問したのは、この羽田の再拡張についての発表の説明ではなくて、こういったものにかんがみて、公共事業に取り組む上での自治体や住民との向き合い方をどのように国土交通省は考えているのかという、基本的な考えを一言聞きたいということで、質問であります。それについてお伺いします。もう一度、短くて結構です。

石川政府参考人 このような大規模な公共事業を推進するに当たって、関係する地元の自治体あるいは住民の方々の理解と協力を得ることが大事だと考えております。

 そういう意味で、私どもとしても、できる方法あるいはできるやり方というのはいろいろとあろうかと思いますが、個人の話で申しわけありませんが、従来から、私としても、千葉県知事との関係においていえば、十数回も千葉県知事を訪ね、御議論をさせていただいてきたわけでございまして、そういう意味で、さまざまな方法等あろうかと思いますが、関係自治体あるいは住民の方々の理解を得るよう努力してまいりますし、これからもしてまいりたいと考えております。

岡島委員 今の局長の御答弁は、これまでそういった住民視点も持ってきたということをおっしゃりたかったんだろうと思いますが、今回、羽田空港の再拡張に絡んでは、交通省の役人の方の中には、今局長がおっしゃったように、私個人としては、自身としては十数回あるいは何十回にわたって千葉県庁に出向きましたというお話は伺ったこともあります。

 しかし、私は、公共事業というのは、単純に行政と行政で話をつけて進めるということだけではいかぬだろうと思うわけであります。成田の歴史が示しているのは、行政と行政ではなく、住民というものがそこに基本的に生きて、介在しているということを忘れたことによるボタンのかけ違いが成田だろうと思うわけであります。

 その点においては、千葉県庁に出向いたということは、それだけで私たちは全力を尽くしたということだけでは、私はもう十分な時代ではないだろうと思うわけであります。

 つまり、国土交通省は昨年の三月の段階で、関係自治体に、新たな飛行ルートを七月に示すということをもともとお約束なさったわけであります。しかし、その時点では千葉県民に対してその飛行ルートを示すことなく、入札予算を八月には概算要求に盛り込む形で立て、その後、関係自治体にも約千三百億円の負担を求めるという形になるわけですね。そして、年末には、予算案決定直前に、これは東京と神奈川が負担するということになり、そして明けてことしに入ってからは、計画の中身は何ら千葉県や関係自治体の住民に配慮しないままに、ことしの二月九日に具体的飛行ルートを初めて提示したわけであります。そして、三月には、もう本会議で採決されるわけであります。本会議で審議されるその直前に、初めて県民あるいは国民、空港は国民のものだという視点から立てば、千葉県の県民だけでなく、利用する日本国民全体に対して飛行ルートがこうなるということを初めて提示したのは二月九日であります。そして審議されて、三月には採決です。

 こういったことで本当に十分だったのかどうか。私は、そういった住民という視点が決定的に抜けているんではないかと思うわけであります。その点について、局長はいかがお考えでしょうか。

石川政府参考人 先ほど申し上げましたように、公共事業に関しまして、さまざまな方々の御理解、御協力をいただくことは必要でございますが、まず、ある意味では住民の代表者というのは議会でもあり、あるいは首長さんたちでもあるわけでございます。したがいまして、私どもは、住民の方々とどのような形で接したらいいか、あるいは説明したらいいかということにつきましても、やはり代表をされている首長さんあるいは議会というところと、まず御相談をしながらやらせていただいていると思います。

 先ほどちょっと申し上げましたように、いろいろな方法、やり方があろうかと思いますが、いずれにしましても、私どもとしては、そういう皆様方の理解と協力を得ていきたいとは考えております。

岡島委員 一般的に、司法、立法、行政とあるわけですけれども、住民の代表という言葉を使うんであれば、多分、議会が適当だろうと思うわけであります。その議会に対して初めて飛行ルートが具体的に示されたのは、二月九日になるわけであります。そういったことの中で、わずか一カ月のうちに審議が進んで採決されたという事情がある。

 さらには、今回の修正案につきましても、二十四日に千葉県に出向いて、局長初め皆さんが堂本知事に対してこの案ができましたということを示して、翌日にはという話でありますが、二十四日に出向いて、あした国土交通大臣と会談をセットしてありますからこれで了承してくださいと言われた堂本さんは、中身については千葉県の要望を取り入れているということがあるものの、次の日の午後に国土交通大臣と会うことに設定されているといっても、十四の市の首長さんあるいは市議会の人たちを含めて、その人たちにどうやって議論して検討して新しい案を見てもらう時間があるんでしょうか。

 案の定、堂本知事ときのう話しましたが、きのうの午前中に集まった十四市の代表は、首長さんはたった二人だそうです。十二の市の方は、首長さんが、最高責任者はだれも来れなかった、そういった事情があるわけです。

 こういったことで、成田の教訓を踏まえた公共事業の進め方に、余りにも急ぎ過ぎた側面があるんではないか。なぜ、きのうのきょうで会談だ、そういう進め方をするのか、その辺が私にはちょっと理解できないんであります。そんな、なぜ一日もあけることなく次の日の午後にはと、二十四時間、映画じゃないんですから、二十四時間、四十八時間で焦る理由はないんです。その点についてもう一度伺います。

石川政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、二十四日の昼に県庁に出向いて知事に案を御提示させていただいたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、知事の方から中身について御評価をいただいて、それで回答については知事がみずから大臣のところに伺っていただけるというふうになったと承知しております。

岡島委員 そのような言い方をすると、知事が大臣との時間をセットしてくれと頼んだように聞こえますけれども、私が知っている範囲では、大臣との面談がセットされているという中で、急いで十四市町村に声をかけてくれ、そういう事実関係があったと聞いているわけです。

 いずれにしても、物事を進めるに当たって、新しい空港一つをつくるに等しいような大規模公共事業を進めるに当たって、関係市が十四もある、そこの首長さんと直接国が会うこともなく、最終案を受け入れられたと。知事は、基本的に受け入れてはいますが、しかし、問題も残るとも言っているわけであります。そういった意味においては、もっと十分な説明が、時間があってよかったとは思いませんか。どうでしょう。

石川政府参考人 先ほども御説明申し上げましたように、当日、堂本知事の方からも、今後は十分な時間をとってほしいというお話もございました。さらには、こういうことを協議するための、県あるいは関係十四市と国土交通省との間の協議というためのフレームというものもつくってほしいというお話でございました。

 私どもとしても、今後、このような国と千葉県あるいは関係十四市という間での協議の場というものを継続してまいりたいと考えております。

岡島委員 多分、世の中、終わりよければすべてよしというわけにはいかないと思います。いずれにしましても、その問題について民主主義のプロセスというのが、やはり結果だけではなくそのプロセスによって、同じ結果でも、軍事独裁政権でもできることもあれば民主主義国家だからできること、同じ結果になったように見えるかもしれませんが、プロセスが、住民参加といった視点も欠いてはならないということをまず申し上げておきたいと思います。

 では、修正案の中身についてちょっと急いでお話をさせていただきますが、滑走路自体を原案から七・五度海側に向ける、そしてオフセットILSによって二度修正して、九・五度、進入路を変更するということになりました。こういった問題や、市原市、千葉市上空の飛行高度を上げることについても、三千フィートから四千、五千フィートに上げるということになったわけです。

 これは、基本的に、もう今回だけじゃなくて、ひょっとしたら半年前でも可能だった中身だと私は思っているわけですけれども、不思議なことに、なぜこの修正が、三月の国会のあの審議であり決議の前に、どうしてこの修正が発表できなかったんでしょう。これは専門的に見ても、これがたった二カ月の間に新しい環境が生まれたと私には思えませんが、なぜ二月九日の段階あるいはその後の協議会の説明の段階、そういったところで同じことが言えなかったのか。その後、何か新しい環境の変化があったんでしょうか。

岩崎政府参考人 今回、提案させていただいた中には、今先生御指摘のとおり、オフセットでILSを入れるというような方式でありますとか、千葉の高度上げをするというような内容を入れております。

 オフセットのILS方式というのも、こういうことを導入することが安全上本当に問題がないのかどうかというようなことを、シミュレーション等々含めて検証いたしました。

 それから、千葉市の高度上げをすることにつきましても、今度は、今までと違って、二つのルートで飛行機が同時着陸いたします。従来の案は、少し専門的になって恐縮でございますけれども、チャーティッドビジュアルという方式で考えておりましたが、これを、高度上げをするために、LDAという、少し電波を使いながらおりていくという方式を採用させていただきました。

 こういう飛行機の飛び方の方式でございますので、これが本当に、安全上、基準上、問題ないか、あるいは、パイロットの意見も聞いて、本当に確証できるのかというようなことをいろいろ検証する必要がございましたので、残念ながら、二月の段階ではまだそこまで至っていなかったということでございます。その後の検討を十分にあちこち加えながら、今回、発表させていただいたということでございます。

岡島委員 今、岩崎保安部長がお話しになりましたけれども、今言ったLDAだったり航路が二つに分かれるとか、これは三月の段階だろうと去年の夏の段階だろうと、日本の航空にかかわる管制技術や着陸のシステムなどを踏まえても、何ら新しいことではないはずです。これは、もともとあったものを組み合わせたら、それもできるということが今わかったというだけだ。こういったことにちなんで言うと、要するに、私は、もともとできる努力を最後までしていなかった段階でこれまで動いてきたんじゃないかということを言いたいわけです。

 ほかの例を挙げてみますと、この滑走路の角度についても、私は、非常に計画ありきの、ある意味で役人のエゴというか、設計担当者か何か、そういった方々の傲慢さのようなものを感じるわけです。つまり、D滑走路に対しての進入角度は、結果として今九・五となりましたけれども、今回それをやった、修正できた理由は、首都高やアクアラインの換気塔との整合性をつけたということですね。

 しかし、これまで千葉県議会で、岩崎管制保安部長や大久保管理課長が、県議会での質疑に対し回答した中では、D滑走路の位置変更に当たっては、航空機の離着陸の安全の確保、それから港湾機能、海上の安全、洪水に際しての多摩川をふさぐことになる問題などを含めて総合的に検討した結果決めたものであり、位置変更は非常に難しいと、千葉県の県議会議員の河野さんや塚定さんなどの前で、今まであるものをすべて総合的に判断した結果できないと答えている。それが、たった二カ月でできるようになった。

 ということは、二カ月前には、こう答えたときには、総合的な検討をしていなかったんですか。お答えください、岩崎さん。

岩崎政府参考人 D滑走路、今先生御指摘のとおり、七・五度振ることにいたしました。これにつきましては、最後まで残った一番難しい問題がアクアラインの換気塔あるいは首都高の換気塔との調整だったものですから、少しそれを中心に説明をさせていただきましたけれども、この二カ月間、千葉県の議会でお答えしましたように、これを振ることによる安全性の問題、それから多摩川との関係、航路との関係、それと、もちろんこの換気塔との関係、こうしたものを総合的にいろいろ検討した上で、安全につきましては、例えばいろいろなシミュレーションをやったり、あるいは世界の基準を調べたり、いろいろなことをしながら検討して、今回の結論に至ったということでございます。

岡島委員 それでは、二月九日に発表した段階では、十分な検討がなされてないものを発表したということになります。それでいいんですか。

岩崎政府参考人 二月の九日の段階で、私ども、飛行ルートの案を発表させていただきました。それに対しまして、千葉県及び浦安市を中心とする関係市の方から、何とか角度振りを考えてくれないか、こういう話がございました、県議会からもございました。それを踏まえまして、では、角度振りをすることが本当に、繰り返しになりますけれども、安全、これは河川との関係、航路との関係、こうした周辺の建物との関係、どうかということについて、真剣に検討を重ねて、今回の回答に至ったということでございます。

岡島委員 それでは、本会議の法案の採決をする三月の段階では、きょうと違って、きのうと違って、まだ千葉県の検討に対して十分な答えを出せていないにもかかわらず、千三百億円も予算を貸すから、皆さんが借り受けたという形の予算措置をする、そういう法案を、十分な検討が終わっていない、きょうの日を迎えていない段階でやったということですか。どうですか、岩崎さん。

岩崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、こうした進入経路をどうするか、飛行方式をどうするかということについては、多方面の検証が必要でございますので、やはり一定の時間がかかる。その一定の時間をかけて我々は最善の案を提案させていただいた、そう思っております。

岡島委員 では、その十分な検討の答えが出ないうちにそういうプロセスを進めたということは、これはもう事実なわけですね。

 いずれにしましても、この問題について不思議なことはたくさんあります。多摩川の河川敷の洪水を防ぐためにあの滑走路の角度は変えられないと言っておる。新しいオフセットを導入、オフセットなんて昔からあるわけです、はっきり言って。オフセットILSなんというのはほかの空港にもある。新しい技術でも何でもない。

 多摩川の河川敷の洪水が起きるかもしれない、角度を変えたら洪水を起こしてしまう、そういう環境的変化が二月九日からこの二カ月間であったんですか、説明してください。それとも、その場しのぎの答弁だったんですか。

阿部政府参考人 私どもの当初の滑走路の方位、こういったものは、基本的には、まずもって、世界で百三十一空港のうち、三空港しか同時並行でというのはないわけです。ですから、まず、私どもの原案というのは、基本的には、一番の空港の基本理論に沿ったものでございます。これは間違いないんです。

 ですから、その形でどこまで飛行ルートで対応できるかとか、いろいろ検討いたしました。しかしながら、浦安市初め千葉県の皆様方の御意見も、非常に強い御意見がございました、特に浦安が、振れないかどうか。これを検討するに当たりましては、当然のことながら時間がかかります。なぜなれば、多摩川の関係につきましても、振りますと、より川に近づいていく。そうしますと、河川の流下をどれくらい阻害するか、この阻害率というのを検討いたしました。そういったものを私ども河川局ともやっておりました。

 それから、道路の関係におきましても、首都高の換気塔、ぶつかるわけですけれども、これを本当にカットできるかどうかということにつきましては、川崎市と調整の時間が非常にかかったわけでございます。

 そういったところから、今般、こういう形での発表になったわけでございます。

岡島委員 いずれにしても、アクアラインの換気塔とか首都高の換気塔の話は、具体的には出ていなかったわけですね、千葉県のときも。あなた方がおっしゃったのは、港湾機能、それを阻害しちゃならないと言っている。具体的に、アクアラインの換気塔とこの換気塔ということは、千葉県では一度もしゃべっていないんです。そういう具体的説明をしていない。あのときは、港湾機能を阻害しちゃならないというような言い方をしているわけでしょう。一番大事なことを説明していない。

 さらに、七・五度ですか、ずれましたね。では、前の段階で洪水が起きる可能性がどのぐらいだったものが、ずらすということで河川局と相談した結果、洪水が起きる確率が何%減ったんですか。数値で証明できるんですか、そういったこと。

 さらには、小型船舶の安全航行にも影響を与えるというのは、角度が七度違っただけで小型船舶の安全性が変わるんですか、たった二カ月で。漁の数が減ったんですか。

 もともとあなた方はできる努力をしていなかったんじゃないんですか。できる努力をしないで、専門用語をちりばめれば、千葉県議会議員も住民も市もだませると思ったんじゃないですか。自分が引いたものを変えることが嫌だという役人のエゴじゃないんですか。私はそう思います。いかがですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生からいろいろな御議論がございました。私どもは、二月九日に出した案につきまして、地元からさまざまな御意見がありました。これに対しまして、ややもすると、役人というのはできない理由を述べるわけでございますが、そういうことでございますが、ただ、今回は、地元からのいろいろな要望もあり、私どもとしては、できないと物を考えるのではなくて、やるためにはどうしたらいいかというふうな発想でやろうではないかというふうな、ある意味では、大臣からもそういう意味での強い御指示、御指導もございました。

 今申し上げましたように、そういう意味で、さまざまな問題はあります。ありますが、この滑走路をどうしたら振れるんだ、振れない理由を考えるのではなくて、振れる理由を考えてきて、今日、こういうふうな案を得たものでございます。

岡島委員 局長のおっしゃることは、私の思っていることと全く一緒であります。つまり、航空局長はそういうお考えであったかもしれませんけれども、航空局全体の中としては、こういう飛行場建設に当たってのきちんとした、住民のために、地域のために、負担がかかる千葉県のために、どうしたら、最大限の努力をして、最小限の騒音であり、最小限の被害に食いとめられるかという努力が、たった二カ月でできるものを、その前の半年間、できていなかったということになるわけですよ。そういう公共事業の計画ありきの推し進め方をする専門ばかになってしまうような役人エゴというものを、私はなくすべきだと今思っているわけです。違いますか。

石川政府参考人 私どもの仕事の仕方についての御批判がございましたが、私ども、先ほど申し上げた流れで検討してきているわけでございまして、その検討結果が出るまでの間というのは変でございますが、それは私どもも従前の説明をせざるを得ません。当時、担当部課長は、県なりに御説明した段階で、まだ私ども大変いろいろな難しい問題を、さっき申し上げたように、どうしたらできるかということを内々は考えながらおりましたけれども、外に向かっては、その時点ではまだ明確に申し上げられることはできなかったということはあります。

 いずれにしましても、先生が御質問のありましたように、私どもとしては、今回、そういう意味で、できない理由を探すのではなくて、いかようにしたらできるようになるのかという観点で、さまざまな工夫なりをさせていただいたと御理解いただければ、大変ありがたいことです。

細川委員長 岡島君、時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。

岡島委員 いずれにしましても、本来、やればできる努力を最大限した上で、これが決まったことですと言うならわかりますが、洪水のことも今回は何も触れていない、小型船舶も触れていない、今までるる述べてきた理由を全く触れていない、具体的に初めて触れた理由によって、角度を変えることができましたと言っている、そういう説明ができる前に予算をお願いする、全く本末転倒なわけであります。

 私は、そうした意味で、皆さんに、役人エゴを捨てて、きちんと、住民本位での最大限の努力をみんなにわかる形で進める公共事業を、今後の羽田についてやってほしい。

 ついては、最後に、今後、千葉県含めて関係十四市と、これから皆さんが公言して提示したことが約束どおり履行されるのか、あるいは今後の工事入札について、環境問題をどういう視点で取り入れるのか、環境アセスメントをどうするのかを含めて、るるこれから問題があるから、私はまた質問すると思いますが、いずれにしても、千葉県と住民等を交えた形での、空港の飛行ルートあるいは騒音に関する協議会を設けて、きちんとした形で、わかる形で情報公開して、これからの羽田再拡張を進めることについて、協議会を設けることについて私は提言したいと思いますが、それを受け入れていただけるでしょうか。

石川政府参考人 先ほども一部答弁でお答えいたしましたけれども、昨日、知事からお話がありました中で、県及び関係十四市と国との間の協議を引き続き進めてほしい、そのためのフレームを再確認してほしいというお話がございまして、わかりましたということでございます。また、引き続き、そのような形で地元との協議を進めてまいりたいと考えております。

岡島委員 最後に、いずれにしても、そういう中に、また住民という言葉が抜けておりましたが、できれば、住民という視点を踏まえた住民参加の協議会というふうにしていただければと思います。黒野さんという皆さん方の先輩の事務次官が言った、空港は国民のものだという言葉を、私も皆さんも含めて肝に銘じて、私も賛成する羽田の再拡張を進めていきたいと思います。

 以上です。

細川委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 きょうは、坂口厚生労働大臣にもお越しをいただきまして、この間話題になっておりました監修料、ここから私の問題意識をスタートいたしまして、厚生労働省とその周りの公益法人などを含む外郭団体及びNPOなどとの適正な関係について少し議論をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 まず最初になんですけれども、例の選択エージェンシーが受注をいたしましたビデオ、これなんです。「保健婦(士)のためのビデオシリーズ」2、3、4、監修料をいただいた分についてということで持ってきていただきましたので、こういうことになったんだというふうに思いますけれども、私、このビデオを実は全部拝見いたしました。非常に内容に興味がありまして、一つが二十三分、もう一つが二十六分、最後が三十二分、こういうことでございました。

 パッケージを見たときに一つ疑問に思ったんですけれども、つくられた年月日、年数が入っておらないわけですね。毎年毎年、恐らく一つずつつくられて、各市町村の関係のところに送られたんだというふうに承知をしておるわけですけれども、つくられた年数が入っていない。見ただけでは、よく中身もわからないですし、いつつくられたものなのか、そのこともここからはわかることができないというように感じました。

 まず確認なんですけれども、これまでも、このビデオ及びこれにまつわる副読本については大分質疑がなされておりますけれども、どのような経緯でこのビデオが作成をされることになったのか、目的も含めて、お聞かせいただきたいと思います。

辻政府参考人 このビデオは国保中央会が制作したものでございますが、まずもちまして、国保中央会と申しますのは、国民健康保険を運用しておる市町村、この連合組織である都道府県の連合会、これの中央組織でございます。

 市町村におきましては、医療費の関係で仕事をしていただいているわけですけれども、保健事業と申しまして、いわばより健康づくりのために、保健婦さんに大変活動をいただいております。特に、国保はこのことは非常に重要な課題になっておりまして、その関係で、国保中央会が、保健婦さんにより保健事業を積極的に行っていただくために、健康手帳というものとそのビデオ、これをセットで市町村に配付する、これは補助事業として認められておりまして、そういう経過から、五年間にわたりまして計画的に作成したものでございます。年次がついておりませんが、あわせて副読本がございまして、副読本に、そのねらいとかそういうような解説が別途ございます。

西村(智)委員 補助事業であって、選択エージェンシーが受注したということで間違いございませんでしょうか。

辻政府参考人 仰せのとおりでございます。中央会が企画をいたしまして、そして作成を選択エージェンシーが受託したと思うところでございます。

西村(智)委員 国保中央会と厚生労働省との関係と申しますか、どういう形でこの事業が行われることになったのか、その経過についても私は疑問を持っておるわけでございますけれども、そこのところはおいておきまして、ビデオを拝見しました。恐らく、この中でごらんになった方は私一人ではないかというふうに思うんです。中身は、悩んでいる保健師が地域住民の方々と共同ネットワークの形をつくりたい、先輩の保健師に指導を仰ぎながら、地域住民に助けられながら仕事を遂行していくというような中身になっておりました。

 会計検査院の方にお伺いをしたいのでございますが、こういうような形でつくられているさまざまな資料と申しますか、これはビデオです。そして、そのほかに、今手元にありますけれども、手帳のようなものもございます。恐らくいろいろな形態のものがあるんでしょう。会計検査のときに、そういう作成されたものを現物確認していらっしゃるのか、現物を見て実際に会計検査を行っているのか、お聞かせください。

増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 私どもの会計検査院におきましては、厚生労働省所管の補助金につきまして、今議論がありました国保中央会に対する補助金も含めてでございますが、多種多様な補助金がございます。そしてまた、金額も多額に上っているということから、従来より、合規性それから経済性、効率性、有効性等さまざまな観点から検査を実施してきておりまして、補助金を受けて制作、購入されました今お示しのビデオあるいは冊子等も検査の対象となっているところでございます。検査の中では、今御質問がございましたような現物の確認も実施しているところでございます。

西村(智)委員 知り合いの保健所関係の方に、保健師関係の方に何人か意見を聞いてみました、このビデオを見ましたかと。余り活用されていないようでございます。忙しくて見ている余裕がないとか、内容的にはそれほど目新しいこともないのでそのままにほったらかしにしてあると。まあ、現場の方々は、補助事業でつくられたものがせっかく来たということで、済まなそうにそういうふうに活用していない事実をおっしゃっているわけですけれども、これは、いずれにいたしましても、厚生労働省からの事業であるということは間違いないわけでございますので、この事実をしっかりと受けとめるべきであろうというふうに考えております。

 このほかに、いわゆる補助事業で、外部などにお願いをしてつくっている機材などというものはどのくらいあるんでしょうか、まとめていらっしゃいますか。そして、あわせて会計検査院の方にお伺いをしたいんですけれども、そのことについても同様に会計検査院の方は把握しているのかどうか、お聞かせください。

井口政府参考人 御案内のとおり、一般に補助事業につきましては、補助金交付要綱等におきまして、その補助目的を達成するために行うべき広報等、具体的な内容につきまして決めております。その他の必要な事項についてもその中で決めているところでございますが、実際に、補助金全体の中で、今申し上げた広報あるいは研修用等の冊子、ビデオ、パンフレット等、全体でどのぐらいになるかというところにつきましては、その内容が大変多岐にわたる、補助の件数も多いというようなことから、全体的な額につきましては残念ながら把握をしてございません。

増田会計検査院当局者 お答えいたします。

 今委員お尋ねの点につきましては、先ほど申し上げましたように、厚生労働省所管の補助金の種類が多岐にわたっておりますし、また件数も非常に多いということ、それから、補助金を受けて制作、購入されました広報あるいは研修用の冊子等、出版物の種類もさまざまであるということなどから、私どもといたしまして、これらの金額等が全体的にどの程度になっているかということにつきましては把握をしていないというのが現状でございます。

西村(智)委員 把握をされていないということなんですけれども、それは、いかにいいかげんにお金を出していいかげんにつくらせているかということの裏づけと言われても仕方がないのではないか、こういうふうに考えております。

 補助事業で、このビデオでいいますと、一つ当たり作成するのに五千五百万円ですか、このビデオをつくるだけにかけたお金でももう既に数億というお金が出ているわけでございます。それが実際に現場で活用されずに眠っているという状況、そして、そういったものが一体どのくらい全体としてあるのか把握をできていないという状況、これは、私は行政の仕事の仕方としては極めて不十分ですし、不満足だというふうに考えています。

 いずれにいたしましても、これは「企画」「制作」「制作協力」などというふうに書かれておりますけれども、私は、例えば大学時代にこういったものをよく見ました。文部科学省の科学研究費、それによって助成を受けて研究報告書をつくったものには、表紙あるいは中表紙にそのことがきちんと記載をされておるんですね。あるいは、かつての郵政省の、今もありますけれども、国際ボランティア貯金というものがございますけれども、この助成を受けて、私たち、地元の民間国際協力団体で東南アジアに小学校をつくらせていただいたことがございます。そのときには、郵政省からの強い御指導がありまして、郵政省の国際ボランティア貯金の助成を受けてこの学校ができたのだということをきちんと学校の一部にわかるように表示してくださいということでございました。

 厚生労働省の皆さんは、そうしたことについての御配慮を含めたルールづくりはされているのでしょうか。私は、これは極めて簡単なことであり、非常に幼稚なことだと言われるかもしれませんけれども、こういった細かい一つ一つの配慮が公金の意識を高めていくものではないかというふうに考えているんですけれども、その点についてはどうでしょうか。

辻政府参考人 今回問題になりましたのが保険局所管のものでありますことから、まず私どもの方からお答えさせていただきたいと思います。

 例えば、保健活動のための便利手帳という手帳の方も御指摘ありましたが、これは国保中央会が選択エージェンシーから発行しているものを買い上げて市町村に配付した、そしてその配付するという事業に補助をしたということでございますので、民間企業が発行している手帳に補助金により買い上げられている旨を明示することは困難であったと思います。

 一方におきまして、今御指摘の保健師のためのビデオにつきましては、国保中央会が制作したものであるということですので、これはそのようなことは可能だと思いますが、今までは、補助事業により制作された成果物について、その旨を明示することは補助金交付要綱で義務づけられておりませんでしたので、今までは明示しておりません。

 ただ、私ども、本当に今回こういうことの中でいろいろ調べまして、特に国保行政に関して少し説明させていただきますと、もともと国保の保健婦さんというのがいらっしゃいました。それが行政保健婦に一元化されまして、国保の方でなかなか保健事業をしていただけない、それで一生懸命中央会の方がいろいろな資材を送って、お願いしますという形で今までやってきたものでございます。

 そのような経過のものでございますので、事この国保中央会に関するものにつきましては、御指摘のように、補助金で制作された旨を明示することでより補助事業の目的達成に資すると考える場合には、その旨を表示することも一つの選択肢として今後真剣に検討してまいりたいと思います。

西村(智)委員 補助金交付要綱の見直しも含めて検討していただけるということでしたので、そのあたりについてはきっちりとした、目に見えるような形で成果をあらわしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 それで、続いてなんですけれども、今度、坂口厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。

 四月二十一日の厚生労働委員会の中で、選択エージェンシーをめぐる監修料の問題に関連してこういうことをおっしゃっておられるんです。「随意契約がそもそもすべてのもとの根っこになっているわけでございますから、どんなささいな問題であれ、すべて公開をして、入札制度にして、随意契約というのは一切これからやめろ、こういうふうに今言っているところでございます。」というふうに委員会で答弁をされておられました。四月の二十一日でございますけれども、この発言の真意をまずお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 今回のこの問題に絡みまして、さまざまな御指摘をいただきながら、私もその内容をずっと見てきたわけでございますが、やはり随意契約というのが多過ぎるということを私も感じております。随意契約を行うということが、それがたとえ小さな額のものであれ、それぞれの地方単位のものを全部集めますとかなりな額になるといったものも中には含まれておりまして、そうしたことを考えますと、やはりこれは原則として競争入札にしないといけないというふうに私は判断をいたしましたので、そのように役所に言っているところでございます。

 ただ、ワクチンのように一カ所しかつくっていないというようなものも中にはございますから、そうしたものに競争といいましても、ほかにたぐいがないということであれば、それはやむを得ないということもありますけれども、競争のできるものは競争入札にするということが、これは原則だということでやってほしいということを言ったところでございます。

西村(智)委員 競争入札というのは最近非常に多く促進をされておるわけでございますけれども、なぜ競争入札なのかといいますれば、もう多くの皆さんが御承知のことと思いますけれども、政官業の結託、談合政治、こういったような批判があちこちでされておりまして、そういったところをより少なくしていこう、そういう反省から競争入札の導入が促されてきたんだというふうに承知をしているところでございます。

 一言で言えば、税金の流れをより透明性を高く公正なものにしていくということだと思うんですけれども、ここのところ、そういった公金の公正な使い方に着目することと同時に、社会構造の変化というものも言われてきておりますね。一口で言ってしまうと、小さな政府、それにNPOなどが、第三セクターと申しますか、新しい社会的な公的セクターとして活動をして、小さな政府では賄い切れない多様な住民ニーズを満たしていくというようなことで、NPOなどというものが非常に注目をされるようになってきております。

 実際に、社会活動に参加をする市民もふえておりますし、団体数もふえてきている、これは私は基本的に望ましいことだというふうに思っておりますし、また、このことによって、肥大化した行政を縮小するということにもつながっていくんだろうというふうに考えております。

 そこで、NPOとの関係について一言お伺いをしたいと思っておるんですけれども、実は、平成十四年度から、民主党で毎年NPO関連予算のヒアリングというものを行っております。各府省の担当の方から集まっていただいて、NPOの関係者の皆さんに対して、新年度予算でNPOを事業委託の対象とするもの、その事業はこれだけで、額はこれだけで、要件はこういうものですということを説明していただくそのヒアリングの会を行ってきております。

 私も、ことしは衆議院におりましたので、そちらの方にも参加をさせていただいたわけでございますけれども、厚生労働省の方からも何人かの方が来られて説明をされました。

 驚きましたのは、NPOを事業委託の対象とする予算のヒアリングでありながら、既に特定の団体を想定した、特定の団体に委託することを前提とされているような事業がかなり含まれていたということなのでございます。

 先ほどの坂口厚生労働大臣の発言で申しますと、小さなものも競争入札にしたらよろしいのではないか、ワクチンのような一カ所しかつくっていないようなところは競争にはならないだろうがというようなお話がございましたけれども、どうなんでしょうか。NPOへの事業委託との関係、公正な外部の団体との関係をつくるという観点で、この点については大臣はどういうふうにお考えでしょうか、いろいろな事業がございましたけれども。

坂口国務大臣 NPOの皆さん方にいろいろのお仕事をしていただいておりますが、我が省との関係におきましても、例えば若年者の雇用の問題等につきましても既にNPOの皆さん方にお入りをいただいて、そして全部委託をしたりしている問題もございます。

 したがいまして、今後、NPOとの関係は拡大していくだろうというふうに思っておりますが、そのときに、どのNPOを選ばせていただくかということについては、これも幾つかのNPOが手を挙げていただくということになれば、それに対しまして個々の皆さん方との間のお話し合いをやはりそこで進めていくということは大事なことでありまして、最初から、一カ所、このNPOに限定をしてということではない。そういうことではなくて、多くの皆さん方のお声を上げていただければ、そこでさまざまな条件を示しながら、それでおやりをいただくところを絞っていくということにしなければいけないというふうに思っております。

西村(智)委員 大臣、実は、本当にここの団体でなければできない事業というようなのをあらかじめ、どちらが先なのかわかりませんけれども、この団体でしかこの事業はできませんよというものが委託事業のメニューとして挙がってきておるわけですね、具体的にはちょっと申し上げませんけれども。それは、私は、NPOを対象とした事業委託でも何でもなくて、言ってみれば随意契約の形に近いものだと。

 これは何が問題かと申しますと、まず一つは、やはりNPOの育成や市民団体、市民活動の促進という点には必ずしもつながっていかないということでございます。もう一つは、依然として、そういった団体に特有の性格に合う事業が発注をされるわけでございますから、やはり外部から見ますれば、あれは公平な段階での事業委託ではなくて、結局、厚生労働省の外郭団体、その周辺の公益法人が厚生労働省の事業を持っていったんだというふうに見られるということでございます。

 ですから、私、重ねてなんですけれども申し上げたいのは、まず団体ありきの事業の委託というのはナンセンスだろうというふうに考えています。やはり、厚生労働省の省の方が、市民にわかりやすい開かれた形での公正な事業委託の形をつくって、その活動の内容、そしてその成果がきちんと市民に見えるような形であらわれるようにしていく必要があるんだろうというふうに考えております。

 先ほど大臣がおっしゃられた、例えば子育ての支援などというのについては、本当にこれは全国で多くの団体がございますね。ですから、そういったことについて、厚生労働省の方で、事業委託のメニューを用意しました、皆さん、手を挙げてくださいということになれば、手が挙がってくることはたくさんあると思うんです。

 ところが、何か非常に、言ってみれば、そういった形で全国に広がっていない性格の団体、ここでしかできないものをNPOの事業委託の形として挙げるということは、これは私はNPOの事業委託の本筋ではないというふうに思っておるわけでございますけれども、大臣、もう一度、今後のNPOに対する事業委託の考え方、基本的なところをお聞かせくださればと思います。

坂口国務大臣 今お話をいただいたのがどういう具体的なことなのかということを私も存じ上げませんが、総論として申し上げれば、先ほど申し上げましたように、固定をするのではなくて、こちらがやりたいという事業の内容をお示しして、それに対して公募していただく、そしてその中から決定をしていくという、その決定の仕方、ルールというものを明確にしていくということが大事だろうというふうに思っております。

 NPOというふうに言いましたときのNPOも幅広いものですから、例えば、厚生労働省の周辺と申しますか、厚生労働省の周辺で今まで活躍しておみえになりましたようなところがNPOを名乗っておみえになるところもあるいはあるかもしれないというふうに私は思うんですが、そうしたところだけにすべての事業をお願いするということであっては、そこは明確にしていかなければいけないというふうに思いますから、そこはきちんと整理をさせていただきたいというふうに思います。

西村(智)委員 NPOを含む各種公益法人への事業委託も、実は関係者の間では、そろそろ既得権益化しているのではないかというような批判が聞かれるようになってまいりました。私は、そうであってほしくないからこそ、こういうふうに言わせていただいておるのでございます。本当に市民が活躍できる社会というのはそんな既得権益のある社会ではないというふうに思いますし、また、そういったことが既に生まれつつあるという現実をぜひ行政の皆さんからは認識いただいて、そうならないためのNPOに対する事業委託のあり方をぜひとも検討を続けていただければというふうに思っております。

 この後、恐らく内山委員が年金について質疑をされるというふうに思うんですけれども、私もどうしても一言申し上げたいものですから、この機会をとらえて発言させていただきたい。

 きのうの参議院の厚生労働委員会で、厚生労働大臣、新聞の見出しでございますけれども、保険料の固定が困難であるというふうに発言をされた旨の報道がございました。

 私は、今回の年金関連法案の与党案というものは、給付の水準と保険料、その上下を固定したことにこそ意味があるんだというふうに思っておりましたけれども、このように大臣がおっしゃったということになりますと、法案の持つ意味そのものが、皆無とは言いませんけれども、大分失われることになるんではないか。こういうふうに審議の過程でその持つ意味合いが変わってくる法案は、やはりこれは一回撤回をして、そしてきちんと自民党の所属議員の皆さんからも、年金法案を審議する議員はやはりみずからが公人としての立場から未納、未加入問題を明らかにすべきであるという国民の声が多いわけですから、それをしっかりと受けて、改めて仕切り直しをすべきだというふうに考えておりますけれども、大臣、所見を伺います。

坂口国務大臣 きょう新聞に出ております見出しは、いささか中身とは違っているというふうに思っております。

 きのう参議院におきまして御議論がございまして、それに対して私がお答えを申し上げましたのは、現在、負担と給付で両方を固定すると申しますか、負担の上限、そして給付の方の下限というものを、両方をお示しいたしております。これに対して、その両方を満たすことができない条件が生まれたときにどうなるか、こういう御指摘でございました。

 例えば、経済の動向でございますとかあるいは少子化の動向でございますとか、そうしたものをすべて含めてでございますけれども、もし仮にそれを両方守ることができなかったときにどうするかというお話がございまして、そのときには給付の方、最低の五〇・二%というのを守らせていただくということに我々としてはしたい。そのときに、じゃ、それは、そうすると、実際にあるかどうかは別にして、論理的な話として、そういうことがないとは言えないということになれば、その足りないところを一体何で補うかという話になる、何で補うかという話になれば、これは国庫負担でそこは賄うか、あるいはまたこの積立金を利用するか、さもなければ保険料を変えるか、この三つの選択肢ではないかというお話がございまして、そのことにつきまして、私は論理的にはあり得ると。

 しかし、その中で、私の方は、今御提案申し上げておりますのは一八・三〇%ということを上限ということに申し上げているわけでありますから、我々の手でそこを乗り越えていくということではなくて、そこはやはり財源を何らかの形で埋めるということに選択をせざるを得ないという趣旨のことを申し上げたわけでありまして、そうした議論を昨日させていただいたということでございます。

西村(智)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

細川委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 厚生労働委員でもございますけれども、きょうは決算行政監視委員会ですが、ひとつ、坂口大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 私も、今、西村議員と同じように質問をいたそうと思ったところが先に出てしまいましたので、少しはしょりまして質問をしたいと思います。

 給付を維持しようとすれば、財源ということで保険料を引き上げるということが当然考えられる一つの手段であります。しかし、坂口大臣は、百年安心プランということを今回改正案で国民に提示しているわけであります。

 そもそも、この前提となる幾つかの数値、例えば合計特殊出生率とか、こういったところの見込みがちょっと違うだけで制度がもう維持できないという状況では、やはりこれは安心した年金制度とは言えないんだろうと思うんですが、ここで、きのう参議院の厚生労働委員会でお話をした保険料の引き上げも二〇一七年度以降はあり得るという考えを今お持ちだとすれば、この年金改正案というのは百年もたないんじゃないか、こう思うんですけれども、いかがでございましょうか。

坂口国務大臣 昨日申し上げました点につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、負担と給付の問題は、どういう制度であれ、これは決めていかなければならない。そして、決める以上はその前提条件というものをつくらなければならない。その前提条件を守っていくことができるかどうかということは、その政府に課せられた大きな課題であるというふうに思っております。

 とりわけその中で大きいものは何かといえば、一つは実質賃金の上昇率、もう一つは先ほどお触れになりました合計特殊出生率、この二つが一番大きな前提条件になっておるところでございまして、ここができるかどうかということに最大のこれから努力をしていかなければならないというふうに思っております。

 掲げております我々の条件というのは、一つは、実質賃金上昇率の方は一・一五%以上ということを申し上げているわけでありまして、こちらの方は、GDPでいえば、全体で〇・七%ぐらいのGDPの上昇でございますから、平均して、私は、この前提はクリアしなければなりませんし、でき得る数字ではないかというふうに思っているところでございます。

 もう一方の合計特殊出生率、現在一・三二でございますけれども、五十年先にこれを一・三九まで回復せしめることができないかというのが案でございます。本当は、一・五ぐらいまで目標は掲げて、そして努力をしていかなければいけないというふうに思っておりますが、少子化の問題は個人の意思にかかわる話でございますから、必ずしもこれは政府のいわゆる国策としてどうするかということだけでは片づかない話でございます。したがって、そこはしっかりと少子化対策を行いながら、個人の皆さん方の気持ちというものにどうおこたえをするかということが大事でございますので、そうしたことを行っていけば、私は、この制度というものは確立でき得るというふうに思っております。

 しかし、そうは言うけれども、もしできなかったときにどうするかという理屈の上での話がございまして、理屈の上では、それはそうしたことがないというふうにこれは否定はできないわけで、もしもそういうことが仮にあったとすれば、そのときにどういう選択肢があるかということでございまして、その選択肢としては、やはり公的な負担か、いわゆる税によるか、あるいは保険料によるか、あるいは積立金を使うかという、どちらかにそれはなることだけは事実だということを申し上げたわけでございまして、私は、初めからそういう考え方には変わりないというふうに思っております。

内山委員 今回の改正案というのは、保険料を引き上げる、これは、現在、ただでさえ高い保険料率を引き上げていくわけであります。一三・五八%を一八・三〇と、これは十四年間かけていくということでありますけれども、今後、二〇一七年度以降も保険料の引き上げが行われるということになりますと、これはもうとてもじゃないけれども、やはり事業所がもたないだろうと思うんですね。ですから、これはもう早目に、今回の抜本改革という言葉で言っている以上、今の政府提案の年金原案というのはもう取り消しをしていただいて、一元化に、やはり民主党とともに協議をしていただきたいと私はお願い申し上げます。

 さて、同じように、大臣、新聞に出ていました記事で、社会保険事務所の年金相談待ち時間が何と五時間もかかったという事例があるわけです。

 今回、一連の未納、未加入問題で、私の年金はどうなるんだろうか、こう疑心暗鬼に思っている一般の方が大勢社会保険事務所の年金コーナーに押しかけている。記事によりますと、たくさん待っているにもかかわらず、お昼になると、ぱたっと相談を打ち切りまして、つい立ての向こうで職員は雑談をしながらお昼を食べている。こういった現状を、大臣、どうお考えになりますか。できれば、少ない人数で回すのであれば、交代でお昼をとるとか、緊急の増員をするとか、何かやはり今改善をしなければならないと思うんですが、お考えをお聞かせください。

坂口国務大臣 確かに、社会保険庁が非常に忙しくなってきていることは事実でございますし、そしてまた、地域によって非常に大きな格差がある。大変忙しいところとそうでないところがあるという現実がございますので、これは、忙しい地域に対しまして、余り忙しくないと申しますか、相談の少ないところから多いところへ人の配置を少し転換しようというので、今やってもらっているところでございます。

 しかし、それをやりましても、なおかつさばき切れないというところもどうもあるようでございまして、それは、最近特に関心をお持ちいただいて、そしていろいろの御相談をいただく方がふえてきたということもあるわけでございますが、できるだけそうした中の配置によりましてこれを乗り切っていくということをしなければいけない。年金のことに詳しくない者が相談に乗ったってこれは何にもならないわけでございますから、詳しい者が相談に乗らせていただくということをしなければいけない。

 また、もし、そうした多くの皆さんがお越しいただいて何時間もお待ちをいただかなければならないというようなことになれば、何かやはり対策を少し考えなきゃいけないだろうというふうに思っております。最近は病院でも、お見えいただきます皆さん方に対しましては、番号をお渡しして、大体何時ごろにひとつ来ていただけませんかというようなことを言っているわけでございますから、そうした工夫も必要ではないかというふうに思っております。そうしたことで、できる限り皆さん方の御要望におこたえをしていきたいというふうに考えております。

内山委員 やはり同じように国の機関で込んでいますのが、公共職業安定所の適用課の窓口でございます。雇用保険の資格取得、喪失手続を行うところでありますけれども、ここでもやはり長時間待たされるケースがございます。

 窓口の混雑緩和のためにも、郵送で書類を受け渡すことは、国と事業所にとっても双方にメリットがある状況です。この郵送で書類の受け渡しという処理に関して、公共職業安定所によっては非常にさまざまな対応をしておりまして、この点を具体的にこれからちょっとお尋ねしたいと思います。

 退職をいたしますと、雇用保険被保険者離職証明書というのを公共職業安定所で交付を受ける手続をいたします。社会保険労務士が行う場合には、社会保険労務士法第十七条に基づき、社会保険労務士会の会員である社会保険労務士から審査事項等を付した届け出が提出された場合には、審査事項の付記がなされた書類に限り照合を省略することができる、いわゆる十七条の付記ということについて明記されています。

 また、平成十二年三月一日に出た各都道府県労働基準局長並びに各都道府県労働主管部長あての通知には、法第十七条の規定に基づき付記された申請書等の取り扱いは、行政機関が当該申請書等を処理する際に執務上の参考資料として十分に尊重されるべきものであると記載があります。

 このことを前提として、照合省略ができる社会保険労務士からの郵送による離職証明書の提出がされた場合、持参した場合と同様に事務処理手続ができるものと判断をしますけれども、公共職業安定所での取り扱いについて、お尋ねをしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のように、ハローワークの窓口、大変混雑をしておりまして、雇用保険の資格取得等の窓口、特に四月、五月、大変忙しゅうございます。

 その中で、日ごろから社会保険労務士の皆様に大変御協力をいただいていまして、事務がスムーズに進んでいる、お礼を申し上げたいと思います。

 そこで、今のお尋ねの離職証明書、これはもう先生御案内かと思いますけれども、最終的に、離職された方が雇用保険を受給するときに、どのくらいの期間、幾らの金額が受けられるかということで、大変重要な書類でございます。

 そこで、今先生のお話にございましたように、御協力をいただいている実績のある社会保険労務士さんが法律に基づいて一定の事項を確認し、そして付記をされた書類については、これをいろいろ御面倒なく、照合を省略して迅速に事務を行うようになっておりまして、これは郵送でいただいたときも同様に受け取ることというふうにいたしております。

 ハローワークによってばらつきがあるというお話でございますので、ここは私ども早速にも調査をいたしまして、できるだけ早く離職者の方に書類が届くのが使命でありますので、きっちりと第一線に徹底してまいりたいというふうに思います。

内山委員 現に郵送で送っている社会保険労務士の事務所は、郵送で送りますと、返送するかまたはとりに来るかというふうに電話で連絡がある、こういうような現状なんです。ですから、取り扱いができるということであればいち早くやはり通知すべきでありまして、これはいつからできるようにしてもらえますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 既に基本的にはそういうふうにすることができるということを徹底しているわけでございますので、早速にも注意を喚起したいというふうに思います。

内山委員 同じように、やはり郵送で処理できる、できないかというのを一つお尋ねしたいんですけれども、六十歳以降の高年齢雇用継続給付金という申請書がございます。この処理の取り扱いは、離職証明書と同じように郵送で処理できると考えてよろしいんでしょうか。

青木政府参考人 そのとおりでございます。

内山委員 わかりました。それでは早速、やはり素早く各安定所に通知が行くように事務手続の方をお願い申し上げます。

 それでは、テーマを変えまして、加給年金ということについてお尋ねをしたいと思います。

 加給年金は、今年度、平成十六年度四月の金額で年額三十九万七千三百円ということになります。この制度は昭和二十九年に創設されたというふうに聞いておりますけれども、この制度の創設の趣旨と加給年金の定義について簡単にお尋ねをしたいと思います。

吉武政府参考人 加給年金、先生お話がございましたように、厚生年金保険法の大改正といいますか、定額と報酬比例給付という形に変えました。そのときに加給年金制度が創設をされておりますが、この一番の考え方は、年金受給者が年金を受給されましたときに、その方の配偶者あるいは、非常にまれではございますが、子供さんがおられまして、その年金受給者に生計を維持される方が世帯におられるということでございますので、世帯の高齢期の所得保障としまして、その生活実態にも着目をしながら、扶養的な見地から加給をするということで創設されたものでございます。

内山委員 この加給年金というのが現在やはり非常にちょっと問題になっておりまして、加給年金の支給要件としては、厚生年金に二十年、または中高年齢者、女性三十五歳、男性四十歳以降十五年ということで支給要件になるわけであります。しかし、夫婦でともに厚生年金を二十年または中高年齢者になって十五年加入しますと、その世帯というのは加給年金が夫も妻もどちらもつかなくなってしまうという現状があるんです。そうすると、知らないで両方とも二十年以上の厚生年金に加入します。そうすると、その世帯に加給年金がどちらにも、三十九万七千三百円と非常に大きな年額です、つかなくなる現状があります。

 知っていると得をする、知らないと損をする、こういったところで、よく本なんかにも書かれているところでありますけれども、今この現状、昭和二十九年の創設当時とは全く違うわけですね、夫も妻もやはり社会参画をし、働いているわけであります。こういう時代、この加給年金が夫婦ともに二十年以上の厚生年金の加入期間を得てしまうとつかなくなってしまう、これは非常に不都合じゃないかと思うんです。これによって就労を抑制されている人とか、知らないで二十年にしてしまったために夫の加給年金が減ってしまった、こういう声を多く聞きます。この辺、改善するとか支給停止を見直すとかということはないんでしょうか。お尋ねをしたいと思います。

吉武政府参考人 先ほど御説明申し上げましたけれども、二十九年に創設がされまして、五十五年の改正で、加給年金につきましては、配偶者の加給を月額六千円から一万五千円に大幅に引き上げをいたしております。このとき、同時に遺族年金の改善も行っておりまして、いわゆる寡婦加算額も引き上げを行っております。

 この趣旨は、今申し上げました加給が必要な状態につきまして、よりその状態に着目して額を改善しようということで実施をいたしたわけでございますが、この五十五年改正時に、同時に、先生がおっしゃいます調整規定を入れておるわけでございます。

 その趣旨は、例えば夫婦の一方の方が老齢厚生年金、これは六十歳から六十五歳の間でございますが、そのときに、例えば夫の厚生年金の被保険者期間が二十年以上ある。これは厚生年金では、もともとの厚生年金の老齢年金の支給に必要な期間が二十年でございましたので、二十年を超えると、老齢厚生年金、厚生年金の老齢年金が支給をされる。今の基礎年金の拠出の二十五年に相当するものでございます。ある意味では、いわゆる通算老齢年金のような非常に短期間の年金ではなくて、本格的な年金が支給をされる。同時に、その方の配偶者が同じように二十年以上の老齢厚生年金の受給権者となっている方の場合に、これを調整するという仕組みを入れたわけでございます。

 その考え方を非常に簡単に申し上げますと、配偶者自身が二十年以上の加入期間を持たれまして、一定水準以上の年金を受給しておられますので、これは、配偶者自身がみずから所得保障を受けておられる、そういう意味で扶養的な見地から加給年金を付加する必要性は小さいということで調整を行いまして、その調整と、それから、仮に配偶者の方がそういう一定水準以上の年金を受けられていない場合については、むしろ加給の額を引き上げることによって改善をしよう、そういう考えでございますので、これをなかなか、互いに二十年以上の老齢年金を受けながらそれぞれ加給するという形に変えるということは非常に難しいだろうというふうに考えております。

内山委員 でも、一生懸命働いた者が年金が少なくなってしまうというのはおかしいじゃないですか。夫婦で、夫がどういう年金か、妻がどういう年金か、それぞれ違うわけでありますけれども、長く加入した者が世帯で考えると年金額が少なくなる。これは不公平な論理だと思うんですね。せめて、やはり両方出さないんだったら、片方、一方に支給するとか、それぞれ二分の一支給するとか、やはりそういった政策、現代に合わせた改正をすべきだろうと私は思います。

 十九年と十一カ月の方と二十年の方、やはりそういったところの選択も当然あるわけです。知らなければ、逆に言うと、二十年にしてしまったために、夫の、扶養家族手当と今おっしゃいましたけれども、三十九万幾らがなくなってしまう、非常に大きな問題です。

 特に、社会保険事務所の年金相談コーナーなんかに行きますと、配偶者の年金加入歴を考慮しませんで、あなたはもう少し勤めると二十年になりますね、こういった指導もされるケースがあるわけですよ。指導を受けたために年金額を世帯で考えると減ってしまう。これは非常に過失的な要素がありまして、知らないから損をしてしまうのか、またそういう配偶者のことも考えないで間違った指導をしてしまったところに原因があるのか、やはりこういう被害者がいるわけです。

 一向にこういう問題、かなり私のところにも来ていますので、加給年金の取り扱い、それはやはり改善をしていただきたい、検討していただきたい、こう提案をしたいと思います。

 続きまして、百五十兆円の積立金の運用についてお尋ねをしたいと思います。

 各年度の運用受託機関への資金配分を決定する際、まず何に基づいて決定するのかということをお尋ねしたいと思います。

吉武政府参考人 年金資金運用基金で運用しております、これは債券が中心でございますが、株式等につきましては、いわゆるアクティブ運用といいますか、株式で申し上げれば、例えば成長株でありますとか安定株、こういう形で株の特性に応じた運用のウエートと、それからパッシブ運用と申しまして、東京市場のTOPIXに連動した運用でパッシブ運用の比率を引き上げてきております。これは日本の全体の市場の成長にほぼ即して運用収益を考えていこうということでございます。

 パッシブ運用につきましては、新規資金、これはもともと全体のポートフォリオがございますので、例えば株の時価が上がりますと、時価を勘案しました株の総額の価値といいますか、時価評価額が上がりますので、時価が上がると新しい資金の株式市場への投入が少し減ってくるという状態になってまいりますが、それを、トータルの新規資金につきまして、パッシブ運用につきましては、運用実績の定量評価、それから投資方針あるいは運用体制などの定性評価が一定水準以上であります運用受託機関に対しまして均等に資金配分を行うという方針で行ってきております。

 端的に申し上げますと、例えば株式市場に三千億新たな資金を投入するということで十社が該当いたします場合には、一社三百億ずつ投入をする、そういうやり方でやっております。

 それから、アクティブ運用につきましては、先ほど申し上げました例えば成長株でありますとか、安定株でありますとか、そこの中の運用の方針がございますので、これに対応して今申しました定量評価、定性評価がそこを担当しております金融機関の中で上位二分の一に該当する運用受託機関に対して、これも均等に資金配分を行うということでございます。

内山委員 アクティブ運用、パッシブ運用、前回も私質問しているところでありますけれども、十三年度、十四年度はアクティブもパッシブもベンチマークの指標を下回っているわけじゃないですか。これはやはりそういうことを言っても実績は伴っていないわけです。

 そして、森厚生労働副大臣がやはり四月二十八日の答弁で、定性面、定量面ということを述べてお話をしておりますけれども、定性面、定量面、これがなかなか、定量というのはわかりますけれども、定性面というのはどういったところを評価するのか、それをぜひお尋ねしたいと思います。

吉武政府参考人 先生おっしゃいますとおり、定量面は、市場の平均収益率というのがベンチマークという形で出てまいりますので、それに対して、いわゆるトラッキングエラーというふうに言っておりますけれども、どの程度離れるかということで客観的な評価は可能でございます。

 定性面で申し上げますと、幾つかのポイントで見ておりますが、一つは投資方針、それから運用のプロセス、それから金融機関の組織、人材、それからリスクの管理、それからいわゆる合法性といいますか適法性、そういう意味でのコンプライアンス、それから議決権の行使の見込みということで、こういうものを総合的に評価をいたしまして、ウエートといたしましては、定性的な評価、定量的な評価を一対一で評価をするということで行っております。

 もちろんこれは、金融機関が最初に参入をするというときに、現在はもう完全にオープンになっておりまして公募でやりますので、その時点でまずこの評価をいたしまして、適格があるかどうかということを評価いたしております。

内山委員 時間がありませんので、具体的な事例でちょっとお尋ねをします。

 みずほ信託銀行、十三年度では千九百三十二億円でありましたけれども、十四年度は九千七百十一億円の運用受託機関の中でトップの資金配分をしています。このみずほの定性面、定量面、どのような評価をしていますか。具体的にお願いします。

吉武政府参考人 定量評価につきましては、実際の運用実績、それから先ほど申し上げましたトラッキングエラーでありますとか、あるいはインフォメーションレシオと言われるリスクのとり方と収益率との関係というものを基本的には公表いたしておりますので、今先生がおっしゃいましたみずほについて申し上げますと、定量評価、パッシブでございますが、パッシブにつきましては、国内債券、国内株式、それから外国株式パッシブ、いずれも担当いたしておりますが、すべて今申し上げました定量評価の基準の中に入っております。

 それから定性評価は、申しわけありませんが、これは、定性評価を申し上げることは、その金融機関の先ほど申し上げました組織体制なり、そういう意味での年金資金運用基金という相当大きな公的資金を投入している機関の評価、会社の事情を世の中にお示しするということでございますので、実はこの部分については公開を控えさせていただいておりますが、みずほで申し上げますと、定性評価についてもクリアをしているという状態でございます。

内山委員 公開できないということは恣意的な取り扱いもできるんではないかな、こう判断をするわけですね。千九百三十二億円からいきなり九千七百億円に増額しているわけですね。公開できないんですよ、実際。ここを逆に考えてみますと、みずほの救済策で資金配分したんじゃないかとこれは疑いを持ってもおかしくないんですよ。だから、きちっとそれをもし公開できるんであれば、ここじゃなくともいいですから、資料を後で出してください。

吉武政府参考人 救済策でやるということは一切ございません。みずほの場合で申し上げますと、パッシブを主に対応いたしております。それで、先ほど申し上げましたパッシブの比率を株式あるいは債券で六〇%から七〇%に高めようというのをこの数年やっておりますので、そういう意味でパッシブを担当する機関に対する資金配分がふえているということでございます。

内山委員 アクティブ運用とかパッシブ運用で要するに稼げないんであれば、すべて低リスクのパッシブ運用に切りかえた方がいいんじゃないですか。もう本当に結論としてはそう申し上げたいと思います。

 あともう一問質問したいところでありましたけれども、ちょっと大丈夫でしょうか。

 財団法人社会保険協会についてお尋ねをしたいと思います。

 各都道府県財団法人社会保険協会と東京の恵比寿にある財団法人社会保険協会、同じ名前が組織図に二つありまして疑問に思いました。この違いは何ですか。

薄井政府参考人 お答えを申し上げます。

 確かに同じ名前の法人があるわけでございますが、財団法人社会保険協会でございますけれども、これは歴史が非常に古うございまして、昭和十二年に全国単位の公益法人としてつくられております。健康保険、厚生年金保険、あと国民年金の被保険者、受給権者など各社会保険制度全般にわたりますものの福祉の増進などを目的といたしておりまして、健康づくり事業のほか、年金相談指導員等の社会保険の実務に携わる方の資質の向上のための事業、こういったことを実施しているところでございます。

 一方で、都道府県の社会保険協会、財団法人でございますが、例えば○○県社会保険協会、こういった名前がついておるわけでございますけれども、こちらの方は、健康保険、厚生年金保険等の被保険者あるいはその被扶養者の健康福祉の増進を図るということを目的といたしまして、一番古いところは昭和十四年でございますけれども、主として昭和二十年代に各都道府県単位に設立をされている公益法人でございます。

 社会保険の適用事業所の事業主を中心といたしまして、社会保険制度の実務等に対する周知、協力、いわば社会保険の業務運営に対する協力団体としての活動、それから健康づくりに関する事業など、被保険者、被扶養者の福祉の増進のための事業を実施しているというところでございます。

 確かに名前は似ておるわけでございますけれども、それぞれ活動をしているということでございます。

内山委員 そうしましたら、全国、社会保険が適用されている百六十五万社のうち、協会に加入している事業所数と加入率を教えてください。

薄井政府参考人 社会保険の適用事業所に対する加入割合、これは過去の調査の結果でございますけれども、地域ごとにかなりばらつきはございますけれども、全国平均的に見れば、約八五%の事業所が、事業主が加入されているというふうに承知をいたしております。

内山委員 時間になりましたので、この続きはまた別の機会で質問させていただきます。

 ありがとうございました。

細川委員長 次回は、来る六月二日水曜日午後一時四十五分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十九分散会


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