衆議院

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第7号 平成16年6月2日(水曜日)

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平成十六年六月二日(水曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 細川 律夫君

   理事 後藤田正純君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 中野 正志君 理事 平井 卓也君

   理事 五島 正規君 理事 今野  東君

   理事 山名 靖英君

      石崎  岳君    岩崎 忠夫君

      大野 松茂君    岡本 芳郎君

      城内  実君    斉藤斗志二君

      柴山 昌彦君    谷  公一君

      津島 恭一君    野田  毅君

      萩生田光一君    橋本龍太郎君

      早川 忠孝君    福井  照君

      宮澤 洋一君    村上誠一郎君

      森田  一君    谷津 義男君

      山下 貴史君    山本  拓君

      渡辺 博道君    泉  健太君

      内山  晃君    岡島 一正君

      岡田 克也君    菊田まきこ君

      岸本  健君    小林 憲司君

      鈴木 克昌君    都築  譲君

      西村智奈美君    橋本 清仁君

      松崎 公昭君    長沢 広明君

      東  順治君    古賀潤一郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         麻生 太郎君

   外務大臣         川口 順子君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       河村 建夫君

   厚生労働大臣       坂口  力君

   農林水産大臣       亀井 善之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小野 清子君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   財務副大臣        山本 有二君

   文部科学副大臣      小野 晋也君

   総務大臣政務官      松本  純君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局次長  重松 博之君

   会計検査院事務総局第一局長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   会計検査院事務総局第四局長            友寄 隆信君

   決算行政監視委員会専門員 熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  斉藤斗志二君     岩崎 忠夫君

  松岡 利勝君     山下 貴史君

  武藤 嘉文君     渡辺 博道君

  谷津 義男君     大野 松茂君

  中川 正春君     鈴木 克昌君

  西村智奈美君     岡田 克也君

  橋本 清仁君     菊田まきこ君

  古屋 範子君     長沢 広明君

同日

 辞任         補欠選任

  岩崎 忠夫君     斉藤斗志二君

  大野 松茂君     谷津 義男君

  山下 貴史君     谷  公一君

  渡辺 博道君     石崎  岳君

  岡田 克也君     西村智奈美君

  菊田まきこ君     橋本 清仁君

  鈴木 克昌君     中川 正春君

  長沢 広明君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     武藤 嘉文君

  谷  公一君     松岡 利勝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十四年度一般会計歳入歳出決算

 平成十四年度特別会計歳入歳出決算

 平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十四年度政府関係機関決算書

 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

細川委員長 これより会議を開きます。

 平成十四年度決算外二件を議題といたします。

 本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。

 質疑に入る前に、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木恒夫君。

鈴木(恒)委員 自由民主党の鈴木恒夫でございます。

 当委員会の平成十四年度政府決算締めくくり質疑でございますが、筆頭理事を自民党で務めておりますので、総理に三十分間質問をさせていただきたく存じます。

 総理におかれましては、日々、激動の内外の情勢を相手に御奮闘をいただきまして、イラクにしても、北朝鮮の問題にしても、景気回復にいたしましても、本当に頭の下がる思いでございます。我々も相当ヘビーな生活をしておりますけれども、総理の日々は心身ともに大変な緊張感におありになると思いますが、どうぞ、我々も与党といたしましてしっかり支えてまいりますので、今後とも国の発展のために精いっぱいのお働きを切望させていただきます。

 きょうは、私はこれで十五、六年国会議員をさせていただいておりますけれども、六、七割を教育問題と環境の問題を中心に仕事をしてまいりましたので、政府予算に占める教育の関係の予算も非常に多いものでございますから、教育一本に絞って総理のお考えを聞きたい、こう思って参りました。

 総理は、就任早々の演説で米百俵のお話をされまして、深い感銘を世の中に与えたのでございますけれども、その後、いろいろな議事録、あるいは質疑を私も聞いておりまして、本格的な教育の議論というものをそれほど総理の口からお聞きするチャンスが余りなかったようにも思いますので、きょうは具体的なものも含めて質問をしたいと思っておりましたところに、きのうの午後、佐世保の小学校ですさまじい事件が起きました。

 小学校六年の女の生徒が同級生をカッターナイフで切り殺す、しかも学校内でというのは、もうこれは本当に胸の痛む事件でございました。

 きょう、私は、ここに参りますときに、今、総理、ちょうど修学旅行のシーズンでございまして、恐らく何千人の子供たちが国会の周辺におります。さっき声をかけましたら、福井から来た女の子でしたけれども、きのうの事件知ってると聞きましたら、知っていますと顔を伏せておりましたが、総理、この事件を、きのう第一報をお耳にされたときにどんな思いが脳裏をよぎられたか、またどうしてこういうことが起きるか、率直な御感想をまずお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 まず、小学生の女の子同士でどうして死亡事件が起こるのかなと。また、それが事実であれば、余りにも痛ましいことだと思います。詳細は存じませんが、また、どういう事情でこのような殺傷事件が少女の間で起こったのかも詳しくは知りませんが、いずれにしても、我々の想像を超える事件だったと思います。

 世の中のお子さんを持つ親御さんも大変心を痛めていると思いますし、お互い、当の関係者が、再発の防止にどういう対応が必要かということを今後十分検討するのはもちろんでありますが、そのほかに、我々自身が、日ごろから、家庭のあり方あるいは学校のあり方、地域社会の、それぞれ、子は社会の宝だという考え方、こういう、改めて教育を初め子供に接する子育てというのはどうあるべきかと大人が責任を持って対応しなきゃならない問題だと痛感しております。

鈴木(恒)委員 私も総理と同じように、加害者の罪はもちろん、未成年といいますか、十一歳、刑法犯には問われないわけでありますが、むしろ我々自身が責任を感ずるべき事件だ、我々の問題だ、こう考えております。

 今度の事件に限らず、犯罪の多発それから凶悪化、低年齢化、あるいは治安の乱れ、風俗の乱れ、あるいは礼節をたっとぶ気風の喪失、日本の社会は本当にすさまじい今荒廃の中に向かいつつあるように思えてなりません。私はもともと楽天主義者だったんですけれども、日を追うごとにペシミストになっていくような自分が悲しくてなりません。

 私は昭和十六年、一九四一年生まれ、総理は一年私より後でございますが、我々は、戦後の荒廃の中で、本当に食べるものもない日々の中で育ちました。日本社会全体が戦後の荒廃の中で、貧困の中をどう生き延びていくかということは、何とか国民一体の意識を持ってしのいでまいりました。だから、貧困の中を生きる哲学というものは我々は身につけているはず。

 しかし、高度成長経済があって、豊かさの中をどう生きるかということをもう少し我々は、その生きざまについての国全体の哲学みたいなものがあってよかったのかもしれない。随分、物の豊かさの陰で失ったものも大きい。その豊かさの中の生きざまの哲学を見出せないままに、我々は数年後に人口が減るというこの歴史的な日本の転換点に立って、今度は停滞の中でどういう哲学でこの国を生きていくかということを迫られている。全く海図が見えないわけであります。

 そうした中で、我々がやはりなすべきは、教育をどうこれから立て直していくか、教育を国の礎としてどう充実させて健全な社会を目指すかということに尽きる、最後はそこに行き着くと私は思っております。

 子供たちを育てる場合に、私は二つのポイントがあると思っております。一つは自立、つまり、自分が強い個人を目指して、自立心を持った、強い個性を持った人間をつくると同時に、一方で、自律心、自分を律する力、忍耐力も含めて。自分で立つ力と自分を律する力、これが両面育っていなければならない、こう私は考えております。

 子供のころ、我々は、強い人間になりなさい、そして世間の役に立つ人間になれ、そして他人に迷惑だけはかけるな、おやじからさんざん言われて育った世代であります。それは、言葉をかえれば、一人はみんなのために頑張れ、しかし、みんなは一人のためにまた頑張らなきゃいけないという、ヨーロッパ、欧米に根底をなしている精神と同じだと私は思うのであります。一言で言えば、人間力をどう回復するか。これは総理の言葉でありますが、人間力の回復、これを教育の原点に見据えて進めなきゃいけない。

 そこで、我々は実は、世間は余り御存じないのでありますけれども、ここ十年、二十年の間に物すごい教育改革を続けてきているのであります。

 例えば、週五日制の導入なんというのは画期的なことでありました。あるいは、指導力不足教員の追放、あるいは教員の十年研修制度を新たに設けるとか、あるいは一般社会人の経験のある方に校長先生になっていただこう、こんなこともやりましたし、教員採用についても、面接を重視して、頭だけで、学力があるだけで先生じゃない、人間的な魅力を子供が感ずるようなそういう教師を採ろうということも努力をしてまいりましたし、習熟度別学習あるいは絶対評価制度などというのも入れました。あるいは学校評議員制度、さらに言えば読書活動、物を読む力、物を読んで頭脳のバランスをとらせるということもやってきましたし、御存じのように、国立大学の独立法人化も、日本の大学史上、国立大学始まって以来の大改革をことしの四月からやったわけであります。

 COEプログラムあるいは環境教育法という法律も実は、私は手前みそで申し上げるのではありません、命を手にとって見詰める、生きとし生けるもののとうとさを体で感じ取らせる必要があると思いまして、作業の中心を努めさせていただいて、超党派で去年の国会で成立をしたのであります。

 いろいろな工夫をしてきたけれども、残念ながら、まだ日本の教育は立ち直ってはおりません。

 そこで、総理に三つ、四つのポイント、幾つも教育の問題はあるわけでありますけれども、このうちで三つ、四つの点で総理の胸のうちを明かしていただきたいと考えて、まず一つは教員の問題であります。

 私は、教育の基本を立て直さねばならないという長い間の懸案に対応して、自民党と公明党との間につくっております教育基本法改正に関するプロジェクトチームのメンバーの一人でありまして、およそこれで二十六回、毎回二時間、教育基本法の改正問題で審議を続けてきているものでありますけれども、そうした議論の上に、まず総理の御見解を伺いたいのは教員というものであります。先生。

 子供がどんな先生にめぐり会えるかというのは、ある意味では子供にとって決定的な要素になると私は思っております。

 私は横浜の公立小学校の生徒でございましたけれども、本当は、今でも体、小そうございますが、人前ではとても話のできるような子じゃありませんで、この子は本当にちゃんと育つのかねと言われたような子供でありましたが、先生に恵まれました。

 総理、この間、その小学校の同窓会がありまして、もう八十過ぎた先生でいらっしゃいますが、師範学校出の非常に怖い先生、いまだに怖い。十人ばかり集まりましたけれども、同窓生にその先生に教わってあこがれて先生になったのがいるんです、同級生に。女の先生。横浜の学校で工業高校の先生を三十何年やって、今度定年ですから退職しました。

 その女の先生はなかなか男まさりでございまして、いろいろな教師の話をしたんですけれども、自分が思い出に残る子供が一人いるんだ、先生の前でこういう話をする。それはどうにも手のつけられないような不良だった、だけれども、余りにも目に余るから、自分は一回、家庭訪問も何回もしたけれどもだめなので、いすに座らせて、その子の耳元で私の言うことを聞きなさいと言いながら茶髪の頭をバリカンで刈って、それで、いい子にならなきゃだめだということをさんざんやった。その子は涙を流しながら頭を刈られていたけれども、卒業式の日にその子供が親と一緒に自分の胸元に飛び込んできて、今日あるのは先生のおかげだと言って慟哭した。これで、私は、この子のためにどれほど体力も使ったかわからぬけれども、やはり先生になってよかったと思ったという話をしました。

 それを聞いていたその私の先生が、みんな何言っているの、この先生をつくった先生は私よ、こう言ったので、みんなでだあっと笑ったんですけれども、そういう教師に出会えた子供は幸せだ。

 私の恩師の一人に、中学の恩師は、いまだに、今お坊さんをされておりますけれども、横浜のお寺の境内に毎朝五時、六時に立って、集まってくるホームレスの人たちに百円玉を、法衣をまとって配っています。私はこの先生に社会科を教わった、中学のときに。人のために尽くせ、それは最澄の自利利他、つまり、おのれを利するよりは他人のために努めろという言葉をまさに体現しているその姿、私の恩師の姿であります。

 二百円ずつ配ったんだけれども、人数が多くなったので百円ずつになっちゃったと言っていましたが、そういう教師の姿を見ただけで、ああ、国会議員としてしっかり世のために尽くさなきゃいかぬ、改めて目覚めさせられる思いをするのであります。

 教師というものがどうあるべきか。現行の教育基本法の中に、では、教師というものはどう書かれているかといいますと、現行の教育基本法というのは、昭和二十二年にできたまま、五十数年間、一字たりとも改正されたことはないわけでありますが、現行法ではこう書いてある。「教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。」自己の使命を自覚し程度の表現で教員が規定されている。

 我々は、この教育基本法をめぐる議論の中で、もう少し教師というものを、任務を自覚してもらわなきゃいけないということがありまして、私は、その場で、やはり教師はもっと自己の使命というものに崇高な使命を持っているということを深く自覚して研修と修養を積んで子供の教育に当たらねばならないということを規定したいと考えております。

 この点について、総理にも、もちろん総理にまで育て上げた先生方がいらっしゃったわけで、そういう教師のことを思い起こしていただきながら、教師のあるべき姿について、まず総理の見解をお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今、鈴木議員が長年教育問題に打ち込んでこられた経験からいろいろな話を聞かせていただきましたけれども、教育基本法を改めるべき点は、時代に合ったといいますか、教育の重要性というものを国民がしっかりと受けとめるような改正についてはどうあるべきかという議論が今盛んに行われております。これからもしっかりとした議論をしていただいて、まとめるような方向に持っていっていただければなと思っております。

 また、教師のあり方ということでございますが、それは、お話のとおりだと思います。使命感、崇高な気持ちがなきゃ子供に接する教育者としては問題があるという点も事実だと思いますが、私は、いろいろな法律以前に、一番大事なのはやはり愛情じゃないかと思います。教師の生徒に対する愛情ですね。この愛情というのは、生徒というのは敏感に感ずるはずです。

 私は、教育の基本、先生じゃなくて、親として一番心がけなきゃならないということについては、わかりやすい言葉で言えば、しっかり抱いて、そっとおろして、歩かせる、これが教育の基本だということを、若いころ、ある教育者から聞いたことがあります。私は、これに尽きるんじゃないかと。しっかり抱いて、そっとおろして、歩かせる。

 よく、親は、自立させたい、早くひとり立ちさせたいという気持ちで、何か、抱くと甘えさせるんじゃないかという気持ちを持って、夜も寝室を別にしちゃうと。大人ならいいですよ、寝室を別にしても。それが、生まれて一歳にもならない、二歳にもならない人を、早く自立させるために、泣いてもほって、ひとりでほっておく方が自立になるんだという、一時期、誤った感じがありました。

 そうじゃないんだ。むしろ、生まれてから三歳の間は、泣いたら抱いてあげる、しっかり抱いて、自分は親に愛されているんだなということを口ではなく態度でわからせることが教育の基本だ。そして、だんだん歩けるようになったらば、そっとおろしていく。そして、周りの人たちが、親がいなかったら、あるいは親戚が、周りの身近な人たちが受けとめて、ああ、自分は見守られているんだな、愛されているんだなという環境を整えていく。そうすれば、黙ってても、親が構わなくても自立していく。

 私は、親の態度として、これは大事な教育論だなと、今でもその言葉を忘れないんです。難しい法律の、使命感とか大切な奉仕の心とか、それよりも、しっかり抱いて、そっとおろして、歩かせる。

 これは、私は先生にも当てはまると思います。特に小学校の先生。小学校の先生は、生徒たちに対して、まず、自分たちは、ああ、先生から愛されているんだという気持ちを持つような心がけを先生は持つべきだ。そうすると、だんだんだんだん先生の言うことも聞いていくと私は思うんですね。

 だから、あらゆる法律以前に、まず先生が生徒に対して、ああ、自分は、大事なお子さんたちだ、そのお子さんを預かっているんだ、私は皆さんをしっかりと育てたいし、守りたいんだという気持ちを持つことが、いかなる法律以前、教科書以前に大事なことじゃないかと。すべての先生たちに対して、まずしっかり受けとめて、しっかり抱き締めなさいと。そういう気持ちをぜひとも持っていただきたいと思います。

鈴木(恒)委員 総理の胸のうちを本当に熱っぽく語っていただいて、そのとおりだと私どもも思います。

 とりわけ、教師と同時に我々が今考えなきゃならないのは家庭だと私は思うんですね。

 私は、誤解のないように申し上げますが、古いイメージの家庭を復古調で申し上げているんじゃありません。女性は非常に能力を持つようになられた。男女共同参画社会にもなった。あるいは、生きがいも求められるし、何よりも能力が高い。もう今度アテネに行くオリンピックの日本の選手団は女性の方が多いんですから。恐らくメダルも女性の方がいっぱいとるかもわからないと言われるくらいに、もう女性の進出が目覚ましい。だから、旧来型の、母親は家にいなきゃいかぬなんて、そんなことは私は言いません。

 ただ、おぎゃあと生まれて初めて出会う教師は母親であるという言葉がありますが、まさに、総理のおっしゃるように、抱き締めて、二年、三年、願わくば愛情たっぷりに、お父さんも家に早く帰ってきて、日本の父親ほど家庭にいない国はないんですから、できるだけ家庭がまさに温かい中で子供を育てる、家庭教育というものをもう少しやはり今度の教育改革の中で我々はしっかり位置づけていかなきゃならないと思っております。

 今は、総理、現行法の第七条で、家庭教育なんていうのはほんの一言しか入っていないんです。第七条で、笑い話に近いですよ、そんなことを言ったら法律に申しわけないが、「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。」家庭教育というのはこの一字しかないんです、教育基本法の現行の中に。

 そうじゃない。私は、やはり家庭教育、家庭というのは、国家権力が安易に手を突っ込むべきものじゃありません、プライバシーの塊だから大事に守られるべきものだけれども、余りにも家庭の教育力がないから、我々は、心のノートなどもつくって、可能な範囲で家庭教育にコミットメントしてきたつもりでありますが、しかし、もう今度の教育基本法の改正では家庭教育というものを一条起こして、その大切さを言いたいと思っております。

 同時に、時間が過ぎますから、総理にもう一点伺いますが、それは、我々の議論の中で大きな分岐点になっております、郷土や国を愛する気持ちというのをどう表現するかという問題であります。

 お断りしておきますが、郷土や国を愛する心を養うという指導は、もう既に平成十四年度から学習指導要領の中に明記されておりますから、別に教育基本法に書いても新しいことではないのでありますが、ここが議論を呼んでいる。

 家庭教育、あるいは幼児教育も含めて総理のお考えと、それからもう一つ、国を愛する、郷土を愛する気持ちというものはやはり明記してもいいのではないか、当たり前のことだろう、常識的に私どもはそう思いますが、御見解を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 教育の基本、それは家庭にある、そのとおりだと思います。子供が最初に出会う教師は母親であり父親である、また家族であるということも、私はそのとおりだと思っております。

 家庭教育、いわば親が最初に世に出てくるお子さんにどのように愛情深く接するかという点については、教育基本法についてもその表現をどうするかということについては、よく議論していただく必要があるのではないか。

 また、国を愛する心、郷土を愛する心、これはもう口に出さなくてもだれもが持っていると思います。

 日本国民が外国を旅行する、言われるまでもなく、日本にいるときよりも日本人というものを意識するはずであります。どの国も、みずからの国を愛する、それは、自分を愛する心がなければ他人も愛せない、みずからの国を愛せない人がどうしてよその国を愛することができるんだろうか、自分の歴史を大事にしない人がどうしてよその国から信頼されるか。外国人とつき合えばつき合うほど、そういうことはわかってくると思います。

 そういう点から踏まえて、愛国心とかあるいは郷土を愛する心とかということについて、教育基本法の中にどういう表現をもってこれを入れていくかということについては、よく各党と協議されまして、できるだけ多くの国民からなるほどと賛同されるような表現にしていただいて、よく協議を進めていただきたいと思っております。

鈴木(恒)委員 ありがとうございます。総理の意思を表明していただいて、具現化すべく努力をいたします。

 最後に総理に、中央教育審議会が教育基本法の改正の答申をいたしましたのは去年の三月でございます。我々は、もう与党の中の協議はほとんど九合目まで行っていると思っております。そこで、いつでも政府側に対して原案を示せと言われれば示せる段階になっておりますが、来年の三月で丸二年、中教審答申からたつわけであります。もう決着をつけなければ中教審の皆さんにも申しわけがない。

 また、冒頭申し上げましたように、佐世保の小学校の事件を見ても、もうこれは国民的議論にもちろん付していかなければなりませんが、教育基本法の改正は来年の通常国会で絶対になし遂げて、我々は国の礎をもう一度固め直さないかぬと思っておりますが、最後に総理の御決意を伺って、質問を終わります。

小泉内閣総理大臣 今まで長時間かけて議論してきた問題でありますので、鈴木議員もよく承知のことだと思います。国会に提出されるからにはこれが成立されるように、提出する前からの十分な議論、そして与党としての共通した認識を持って、国会に提出するような準備というものをこれからも精力的に進めていただきたいと思っております。

鈴木(恒)委員 終わります。ありがとうございました。

細川委員長 次に、山名靖英君。

山名委員 公明党の山名靖英でございます。

 それでは、早速、小泉総理に質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、日朝首脳会談についてでございます。

 去る五月二十二日、総理は北朝鮮に一年七カ月ぶりに再訪問をされました。この時期に訪朝されたことだとか、あるいは金国防委員長との会談の内容をめぐって、評価はいろいろと分かれるところでございます。

 すなわち、拉致家族の五人の子供さんたちが総理と一緒に帰国できた、このことは評価するものの、曽我さんの御家族は第三国での再会、こういうことになった、あるいは安否不明の十人の皆さんの件については何ら新しい情報を得ることができなかった、これらの十分な解決あるいは見通しがないまま食糧や医薬品等の支援が約束をされた等々、いろいろと批判も出ているところでございます。

 確かに、拉致家族の皆さんの心情を思えば、全員の帰国を待ちわびていただけに、手放しで喜べないというのが実態であろうかと思います。拉致家族代表の横田さんが、予想していた範囲の最悪の結果、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、これは、今回の小泉総理の訪朝がいかに大きな期待があったかの裏返しである、私はそのように思っております。

 一方、野党からは、訪朝は失敗だった、そういう批判だとか、自民党内からも、評価とともに厳しい批判の声が上がっておるわけでありますが、むしろ世論は冷静に受けとめておりまして、その七割近くが総理の訪朝を高く評価したものになっておるわけでございます。

 少なくとも、歴代総理で北朝鮮に行った人は一人もいないわけであって、まして二回も小泉総理は行かれている。北はかたくなに自己主張だけを繰り返し、日朝間はまさに硬直状態であったわけであります。平壌宣言署名後に、IAEA、国際原子力機関の査察官を国外に追放したり、あるいはNPT、核拡散防止条約から脱退宣言をしております。地村さんほか、五人等の拉致をしておきながら、北に帰すことが先決だ、安否不明者問題は解決済みだ、このように言っておったわけでありますが、そのかたくなな北が小泉総理の再訪朝を今回受け入れて、部分的とはいえ家族の帰国を実現したわけであって、安否不明者問題解明へ向けての話し合いのまず一歩を踏み入れることができたということは評価に値する、私もこのように思っております。

 また、韓国や中国等、北東アジアの諸国も今回の小泉訪朝を高く評価しているわけであります。

 総理は、今回の訪朝によって、日朝平壌宣言を土台とする日朝関係の進展に重要な契機が得られたと考える、また、拉致問題について一定の前進を見るとともに、核問題についても金委員長の一連の意味のある発言があった、これらのことにかんがみ、今回の私の訪朝は日朝双方にとっての利益であったと考えると述べられております。また、現在の不正常な関係を正常化する、敵対関係を友好関係に、対立関係を協力関係にといった小泉総理の言は、私も、その総理の認識を是とする一人でもございます。

 確かに、日朝間には解決しなけりゃならない多くの課題が山積をしていることは承知のとおりであります。拉致問題は当然、核開発やミサイル問題、二百人とも四百人とも言われる特定失踪者問題、その一つ一つを粘り強く解決に向け取り組む必要が残されているわけでありますが、私は、これらの解決に向けては、お互いの立場とかあるいは認識の違い、こればかりを強調したりする対決型ではなくて、同じアジアの民族という共通点を認識しながら、あくまで対話型の外交努力こそ重要である、このように考えているところでございます。

 そこで、総理に質問をしたいわけでありますが、一点目は、北朝鮮という、まことに国際社会から孤立している、閉ざされたそういう国でありますし、そういった国であるからこそ、今こそ、開かれた国に変革をさせるために、日本がまた小泉総理が積極的なリード役を果たすべきではないか。イギリスがリビアに対して行ったように、国際社会の場に北を誘引する、引き上げる、こういった役割が、我が国には、小泉総理には、まさにその役割としてあるのではないか、使命としてあるのではないか、このように私は思いますけれども、まず小泉総理の御見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 第二次世界大戦後、近くの朝鮮半島、いわば北朝鮮と日本との関係は不正常な関係にあります。これを正常化させるということは、政治家としても大事な仕事だと思っております。

 そういう中にあって、一昨年の九月十七日の私のピョンヤン訪問によって、金正日国防委員長との間で日朝平壌宣言を文書として発表いたしましたけれども、この日朝平壌宣言の精神にのっとって日朝の関係を正常化していきたいということでありましたが、その後一年七カ月、なかなか進展が見られません。一部家族は帰国されましたけれども、残された家族の問題も、思うように日本の地を踏むことができなかった。

 そういうことから、私の今回の訪問の主眼は、あのときの日朝平壌宣言、お互いに交わした文書、これはこれからの日朝正常化を考えると最も重要な文書ではなかったのかということを、署名した本人も同意した金正日氏と話し合って確認する必要があった。そして、今までの敵対関係を友好関係にしていこう、また対立関係を協力関係にしていくことが日本にとっても北朝鮮にとっても最も利益になる、そういう、あの日朝平壌宣言を誠実に履行していくことが両国にとって必要だし、最も利益になることだということを確認することが主眼でありました。その中には、当然、拉致の問題も、核の問題も、ミサイルの問題も含むわけでございます。

 そういう中で、拉致の問題は去年の九月十七日でもう解決済みという立場を金正日氏はとっておりましたけれども、これはもう日本国民の意識と大きなずれがある、そうではないと。核の問題、これはもうアメリカとの関係であって日本との関係ではないと言っていましたけれども、これも違うと。日本との関係はミサイルの問題だけじゃない、核の問題も日本にとっては脅威であるということから、再度、日朝平壌宣言というのは今後の日朝関係の基礎たる文書であるということを確認し合ったわけであります。

 そして、まず、日本に帰国した家族がピョンヤンに戻って、その上でその家族が日本に帰るかどうか判断すればいいじゃないかと言っていた北の態度でありましたけれども、それは日本はできない、まず家族を日本に帰しなさいということで、残された家族と一緒に帰国いたしましたけれども、ジェンキンス氏につきましては、日本人でもありません、アメリカ人であるという特殊な事情がございます。

 そういうことから、今後、まだ話し合いの余地が十分残っておりますが、拉致の問題、核の問題、ミサイル問題、総合的な、包括的に問題を解決して、日朝国交正常化に向けて努力しようという確認をすることができたということは、私は、今後の日朝関係を考えると、今回の二回目の私の訪問は一つの転機になったのではないかと思っております。

山名委員 私の質問とはちょっと、十分にお答えいただいていないんですが、いずれにしても、こういったことを踏まえながら、国際社会の中での北朝鮮の存在というものをしっかりとらえて、まさに、さっき申しましたイギリスがリビアに行ったような働きをぜひとも小泉総理に期待したいと思います。

 それから次に、目前に迫ったいわゆるシーアイランド・サミット、あるいは六月にも再開を予定されている六カ国協議、こういった場で、やはり今回の金委員長の発言、例えば朝鮮半島の非核化が最終目標である、これはもう大事な話なんですね。それから、六者会合を利用して平和的解決に努力したい、あるいは核の凍結は非核化の第一歩であり検証が伴うものである、こういった、従来からかなり踏み込んだ発言をされているわけでありまして、こういった内容をこのサミットやあるいは六カ国会合、こういったところでしっかりと伝える役割もまたあるのではないか。そういうことによってまた小泉総理に対する北側の信頼に結びつく、こういうふうに思っておりますが、サミット並びに六カ国協議に対する対応、どのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 サミットが、来週、アメリカのジョージア州で開催されますが、その際には、この北朝鮮の問題も当然話題になるわけであります。その会議におきまして、多国間協議におきましてもあるいはブッシュ大統領との首脳会談におきましても、私と金正日氏との会談の模様については、私からしっかりと状況を説明するつもりであります。

 また、北朝鮮の問題については、日本だけが関心を持っているわけじゃありません。米国はもちろん、韓国もロシアも中国も大きな関心を持っておりますので、六カ国協議がありますが、そういう場においても、各国が協力しながら北朝鮮を国際社会の場に引き出してくること、そして、それについては平和的話し合いが必要だということを強く主張し、理解を求めていきたいと思っております。

山名委員 それから、日朝間の国交正常化のプロセスの問題でありますけれども、拉致問題と核問題の解決がまず先決である、前提である、そして国交正常化ということでありまして、そういうことを念頭に置いていくことは非常に大事なことであります。

 私は、この包括的な問題解決に向けても、引き続き総理みずからが乗り出すべきではないか、そのためにも、必要とならば総理みずからが今後も積極的に北へ行くことを視野に入れておくべきだと考えておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私はそう何回も行くつもりはありませんけれども、必要な話し合いは、必要ならしなきゃならないと思っております。また、私がじかに行かなくても、いろいろな方を通じて話し合いのチャネルはつくっておかなきゃなりませんし、日本だけでなく、各国との協力体制は常に考えておかなきゃならない。連携を密にしながら、その時々、適時適切に話し合いにしてもしていかなきゃならないなと思っております。

 ただ、私がじかに行くということがそうちょくちょくあるものでありませんので、私のみならず、外務省、政府一体となって、各国と連携しながら北には対応していきたいと思っております。

山名委員 私は、相互理解を深め合う、そういう意味からも、信頼に基づいたそういう日朝関係を新たに築くためにも、やはりトップ同士がお互い胸襟を開いて話し合う、このことは極めて大事だし、ぜひともこれはお考えいただきたいと思います。

 それから、今後、安否不明者の十人について、金委員長は、白紙に戻して再調査する、こういうふうに約束をされております。ただ、最近まで、解決済み、こう言っておったものを、解決済みと言って一蹴していたこのテーマを再調査すると言っても不安が残るのは当然のことでありまして、やはり疑念を払拭するだけの十分な検証が私は必要であると。

 そういう意味でも、どんな手順で、どんな機関が、いつごろから、どのような体制で進めていくのか。実効性ある体制が私は必要だと思います。そのための実務者間の協議、こういったものをいつ開始するのか。この今後の安否不明者十人に対する取り組みのプロセスについてお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今後、安否不明者の調査につきましては、白紙の状況に戻して再調査しようということになっておりますので、外務省と、相手側もあります、それと家族の会の方々もあります、日本で調査している資料もございます、そういう点をよく担当者間で詰めて、しっかりとした調査ができるような対応をしていきたいと思います。

 私の口からこうこうという具体的な話で申し上げるよりも、こういう点につきましては大方針が決まっているわけですから、今、担当者間、よく協議しながら、この調査は一番家族の方が心配しているわけでありますので、しっかりとした調査に向けた協力体制をとっていきたいと思っております。

山名委員 いずれにしても、この問題は極めて関心の深いテーマでもありますので、やはり小泉総理が先頭に立って、こういった安否不明者の解明についてのリード役をぜひ果たしていただきたいとお願いをするわけです。

 それから、帰国が実現いたしました地村さんあるいは蓮池さん御一家の新しい生活が今始まっております。一日も早く日本の生活になれ、本当に日本人としての誇りが持てるように、これはもう各自治体に任せるんじゃなくて、やはり政府としてもしっかりとした支援策を講じるべきではないかと考えております。

 その点についてと、加えて、マスメディアによる過剰なスクープ合戦のような、こういう報道はやはり私は控えなきゃならぬのじゃないかと。両家に対して、温かくまた静かに、その環境を整えながら見守ってあげるという方が大事なことではないか、私はこう思っておりますが、総理の御見解をお伺いします。

小泉内閣総理大臣 御家族の支援につきましては、政府がやること、また地方公共団体がやること、いろいろあると思いますが、御家族のことを思って協力、支援をしていかなきゃならないと思っております。

 また、御家族のプライバシーの問題、これは、報道機関もぜひともそういう御家族の人権なりプライバシーなりを尊重していただきたいという気持ちは、私も山名議員と同じであります。しかし、これは、報道機関というのは、私が言っても聞くものじゃないんですよ。これはもうどうにもならない、政治が言えばまた干渉だとか言いますし。

 要は、やっぱり良識を持って対応していただきたいですね。一番大事なのは自律心だといいますけれども、みずからを律する、報道機関の責任として、お互いの立場を尊重しましょうということを考えていただきたいんですが、こう言っても聞いてくれないでしょう。これは本当に、報道機関の皆さんにはよく考えていただきたいと思っております。

山名委員 日朝相互の信頼関係、私はこれこそもう最高の外交カードだと思っているんですよ。もう外交カードを使い果たした等いろいろ言われておりますけれども、信頼関係、これほどの外交カードはないはずです。

 確かに北朝鮮の実情は、食糧、エネルギーあるいは民生消費財、こういったものが確実に不足していることはもう事実でありまして、こうした状況に追い込まれたのは、これまで国際社会から、胸襟を開いてこなかった、そういう北側自身の問題ではありますけれども、だからといって、物質的な側面だけを強調して、物資のやりとり、これに終始していては問題の基本的解決にはならないと私は思っております。

 北が一番脅威に思っているのは何かといえば、いわゆるテロ国家として国際社会から孤立すること。悪の枢軸国と言われているわけであって、そういった中で、イラクのようなこういう制裁措置、これに対する不安がやはり北にとっては最大の脅威ではないかと思っております。

 いわば、国際社会から閉ざされた氷のような、こういう存在の北を今、総理は抱いたわけです。冷たいからといって、その氷を手を離せば、離すということはいとも簡単なこと、しかし、たとえ体が冷え切っても、あきらめずに情熱という火を燃やし続けなければ、その氷は解けていかないというふうに思います。

 小泉総理の手によって、この積年の課題に勇気を持って取り組んでいただいて、ぜひ歴史を開いていただきたい、このことを要望する次第です。

 次に、介護予防について若干御質問をしたいと思います。

 御承知のように、我が国は、もう世界に類例を見ないスピードで少子高齢化が進んでおります。特に超高齢化という事態。お年寄りがいつまでもお元気で自立した生活ができるように、これはもう我々政治家のまた政治の大きな役割であろうかと思っております。

 一方、その高齢者の増加に伴って、要介護のお年寄りがまた急増をいたしております。高齢化のスピード以上に、要介護者の増加、これが大変深刻でありまして、介護保険が開始された二〇〇〇年の四月、それが、昨年の十二月までのこのわずかの間に、六十五歳以上の高齢者は約一二%増加しているんですね。

 ところが一方、要介護者は七〇%の増加を見ております。これを介護保険の給付費に置きかえれば、二〇〇〇年度は三兆二千億円、二〇〇一年度は四兆一千億円、二〇〇二年度は四兆五千億円、このようにふえ続けているわけです。このままこれが推移しますと、一五年度には十二兆円、二五年度には二十兆円という大変な額になるわけでありまして、もう介護保険制度そのものが崩壊につながりかねない、また国民の負担増につながりかねない、こういうことを懸念しております。

 私は、年金等の問題が今審議をされておりますが、早くこの年金制度に片をつけ、成立をさせて、この介護の問題について次の大きな取り組みをしなきゃならないと思っております。

 実は公明党は、去る四月の三日に、このような現状を踏まえまして、介護予防十カ年戦略というものを発表させていただきました。すなわち、要介護者、介護を受けなきゃならない、そういう増加あるいは悪化を防ぐための介護予防、疾病予防、健康増進、それから女性の健康管理、健康増進、こういったものを柱としております。

 例えば、歩いて行ける場所に介護サービス拠点を整備する、もう小学校区ぐらいに一カ所整備をする。あるいは筋力トレーニングなど介護予防プログラム、こういったものを開発する。あるいは医療用トレーニングマシン、こういったものを開発する。それから高齢者のリハビリテーションの見直しと充実、各市町村に介護予防連絡協議会等を設けて、しっかりとお互い連携を取り合う。また介護予防の取り組みをするサポーター、こういった人的パワーの育成、確保。こういった何点かの項目について提言をしているところでございます。

 これは極めてこれからの時代の推移の中で重要な政策課題だと私は思っておりますし、こういった発表をさせてもらったわけでありますけれども、今回の公明党の介護予防十カ年戦略、これについての総理の御見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 寝たきりをできるだけ少なくしていこう、そういう政策提言につきましては、熱心に与党内でもいつも議論されているということは承知しております。今の公明党の提案につきましても、長生きできる国になったわけですから、長生きできるだけではなくて、元気で長生きできるような、そうしたいろいろな対応というのはこれからますます重要になってくると思っております。

 よく長野県の例が出されますね。医療費は長野県はほかの県に比べて少ないのに、なぜ元気な高齢者が長野県は多いんだとよく言われます。そういう長野県の地域ぐるみの元気なお年寄りの対応も参考にしながら、これから政府といたしましても、長生きできる社会から元気で長生きできる社会についての対応を、御提言を参考にしながら進めていかなきゃならないと思っております。

山名委員 今、総理からも、期せずして例が紹介されました。もう既に地方自治体においては、それぞれ独自の施策として、介護予防あるいは健康増進のための取り組みをいろいろとやっております。長野県はその代表的なものでございまして、PPKというんですね。御存じですか、PPK、ぴんぴんころりという。いつまでも元気で長生きしてころりと死ぬというか、PPK運動というか、これはやはり人的な支えというものがあるわけでありまして、そういった地方の取り組みに対するしっかりした支援策、それから、この問題については、国策として、国を挙げて取り組むべき重要なテーマですから、ぜひ総理みずからのリードでこの課題にお取り組みいただきたいと思います。

 もう時間もありませんので、最後に一点だけ、三位一体改革について、ぜひこの際、総理の口から明らかにしていただきたいと思います。

 御承知のように、去る二十八日の経済財政諮問会議において、三位一体について、五年、六年で三兆円をめどにした税源移譲ということで総理からの発言もありました。谷垣財務大臣もいらっしゃいますけれども、この問題は地方にとっては極めて重要な問題です。この十六年度、初年度において、三位一体の改革はむしろ国の財政再建が優先された形で行われている。そして、苦労しているのが地方なんですね。今回の総理の発言、三兆円の税源移譲、これは本当なのか、本当にやってくれるのか、これは各地方自治体の大きな関心の的なんです。

 最後に総理の口から、やるというぜひ決意のほどをお述べいただき、私の質問を終わりたいと思います。

小泉内閣総理大臣 三位一体の改革として、税源移譲、補助金、交付税、これを一体として考えるということでありまして、三年間で四兆円、昨年一兆円ということで、あと十七年度、十八年度で三兆円ということであります。

 まず、二年間で三兆円の税源の移譲をする。同時に、これは地方の改革ですから、補助金を国任せにするよりも、地方がどの補助金を要らないかということを聞いてきてくれと言っているんです。両方だと。税源移譲します、そのかわり地方も責任を持ってくださいよと。ばらばらでは困ると。あっちの地方は言っているけれども、おれは違うと。政治というのはまとめるのが大事ですから、党内をまとめる、与野党をまとめる、地方をまとめる。地方がそれだけ要求するんだったら、地方の意見もまとめて、この補助金をカットしてくださいと、それで一緒にやります。

山名委員 どうもありがとうございました。

細川委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 総理とは今まで何度か、政調会長あるいは幹事長として議論をさせていただいておりますが、民主党の代表としてはきょう初めてであります。ぜひ中身のある議論をしたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 また、この国会、まだ会期が少し残っておりますから、党首討論など毎週議論する機会をつくっていただきたい、そのことをまずお願いを申し上げておきたいと思います。

 さて、まず冒頭、この問題を私総理とも何度か議論をしてまいりました、イラクの問題であります。

 イラク戦争が始まって、もう十五カ月であります。そして、我々は大義のない戦争には反対ということを申し上げたわけですが、総理は、大量破壊兵器の存在をもって、そしてアメリカの始めたイラク戦争を支持いたしました。いろいろな議論の過程で、いや、大量破壊兵器は出てくるんだ、そういう総理のお話もありました。しかし、今やそういう議論はないと思います。

 そこで、もう一度、改めて総理の御意見を聞きたいと思いますが、ブッシュ大統領の始めたイラク戦争について、それをいち早く支持をしたことについて、日本国総理大臣として今どういうふうにお感じなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今でも支持したことは正当性があったと思っております。

 国連決議にのっとって私はあのイラクの戦争を支持いたしました。あの当時、国連決議で、イラクは大量破壊兵器を過去に使っていたが、それをみずから廃棄しなきゃならない説明責任を負っていたんです。その脅威が存在していたということは国連決議が認めております。そういう点からいえば、私は正しかったと思っております。

 今後、イラクに一日も早く安定した民主的な政権をつくること、これが大事だと思っております。

岡田委員 国連決議があったかないかは、ここは議論の分かれるところでありますが、しかし、少なくとも安保理理事国の中で、アメリカ、イギリス、スペイン以外は、この国連決議は戦争を始める根拠になり得ないという判断をしました。

 なぜ総理はそういう中であえてあの戦争を支持されたのか、そのことを問うておるわけです。

小泉内閣総理大臣 それは今までも何回も同じ質問をされています。何回も同じ質問だから、同じ答弁をさせていただきます。

 決議一四四一を含め一連の国連安保理決議は、イラクに大量破壊兵器の脅威が存在することを認定し、その除去を求めてきていたんです。ある時点で仮に大量破壊兵器がひそかに廃棄されていたとしても、廃棄したことが明らかにされなければ、大量破壊兵器の脅威は存在し続けているという当時の国連の状況でありました。

 そういう一連の安保理決議の義務が果たされていなかったからこそあの戦争に突入したのであって、その義務をフセイン政権が誠実に履行していれば、戦争は起こっていなかったんです。

岡田委員 この議論は、今までずっと水かけ論です。

 ただ、私が総理に申し上げたいことは、この戦争でイラク人が一万人以上亡くなりました。米兵も、既に八百人を超える若い兵士たちが命を落としています。戦争というのはそれだけの人の命を奪う、私は国家が行う殺人だと申し上げましたが、そういう中で、総理は今、いとも簡単に紙を読み上げられたけれども、本当に一国の総理大臣として重い決断をしたのかどうか。一万人の命、八百人の命、そこを総理はどういうふうに今感じられておられるんですか。そのことについて私は問うているわけです。

小泉内閣総理大臣 これも何回も質問をいただき、何回も答弁していることでございますが、戦争への決断というのは大変重いものだと思います。そういう中で、いかに戦争を避けるかということについては各国が努力してきている。しかし、その努力も実らなかった場合には重大な決断をしなきゃならない。

 日本としても、今イラクの復興人道支援に取り組んでおりますけれども、一日も早くこの戦争の悲惨さを回復するためにも国際社会としての責任を果たしていかなきゃならない。

 戦争を起こさないような努力は、今後も極めて大事なことだと私は認識しております。

岡田委員 私は、外務省の奥大使と井ノ上参事官のお別れの式典がありましたね。総理も御出席されました。たしか総理は、お別れのあいさつの中で途中で言葉が途切れたと思うんです。確かに、本当に悲しいお別れの式典だったと私は思います。若い奥さんやあるいは小さな子供や、年老いた御両親や友人や同期生や、みんながそれぞれに奥さんや井ノ上さんのその死を悼み、そして悲しみました。総理も、そういう中で言葉が途切れる場面があったと思います。

 人の命はやはり重いものだと思います。しかし、その命の重さは奥さん、井ノ上さんだけではなくて、イラクの人一人一人にその命の重さはあるんだと思うんです。若い米兵もそうだと思います。だからこそ、我々は、戦争を始めるに当たって、いかにぎりぎり悩んで悩んで慎重に物事を決断しなければいけないか。

 私は、今、総理が、戦争を始めたことについて、もちろん日本は直接始めたわけではありませんが、ブッシュ大統領を支持して、そして、ブッシュ大統領の戦争を始めるということのその一つの動機に日本が支持しているということがあったとすれば、やはり私は総理の責任は重いと思うんですよ。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 それは認識が違うと思います。日本が戦争を始めたのではありません。アメリカの対応を支持いたしましたけれども、日本が戦争を始めたという認識は全く間違っていると思います。

岡田委員 総理、よく聞いていただきたいんですが、私は日本が戦争を始めたとは言っていません。今申し上げたように、ブッシュ大統領が戦争を始めるに当たって、日本が支持をしていたということが一つの補強材料になったかもしれない、そういう意味で責任が重い、こう申し上げたんです。

小泉内閣総理大臣 それは、(発言する者あり)わざとずらさないでいただきたいんですね、争点を。日本が戦争を始めたのではない、アメリカを支持したけれども。しかし、アメリカはアメリカの考えで戦争を開始したんだと思っています。日本は日本の立場であのアメリカの対応を支持いたしました。

岡田委員 私は、もちろん戦争を始めたのではありません。しかし、支持をするということも極めて重いということを総理がどこまで御認識され、そして国家の指導者として悩まれ、そして決断をされたのか。一連のあの過程を見ていて、そういうことが余り感じられなかったものですから申し上げたところであります。

 では次に、訪朝問題、少し議論させていただきたいと思います。

 私は、この日朝国交正常化の問題は極めて大事な問題だと思います。まず、これは、東西冷戦の残りかすといいますか、最後に残された、東アジアに残された東西冷戦の、これを終わらせるという意味、そして同時に、日本の安全保障にとっても極めて大きな意味を持つ。だから、総理自身が日朝国交正常化に取り組んでおられること自身は、私は基本的に評価をしております。ただ、今回の訪朝は、私は失敗であったと思います。

 まず、総理に確認したいんですが、五人の子供たちが帰るためには総理が訪朝しなければいけない、こういう話はあったんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 私は、日朝平壌宣言を重要な文書であると認識し、一昨年の九月十七日に交わされました日朝平壌宣言、いわゆる金正日氏と私との間で交わされた文書でありますけれども、この宣言にのっとって日朝国交正常化実現に努力するというのがあのいわゆる骨格であります。

 一年数カ月たって、この方向になかなか進展が見られない、そういうことから、あの文書におきましては、拉致の問題も、核の問題も、ミサイルの問題も、包括的に解決して、日朝間の国交を正常化するということになっております。そういう点から、この停滞した状況を、私が訪問しないで進展するんなら、私が行く必要はなかったんです。しかし、私が再度訪問することによって一定の進展が見られると判断したから、私は訪朝を決断いたしました。

 もとより、この私の訪朝に対していろいろ評価が分かれ、賛否両論あるのは承知しております。そういう点も含めて、私は訪朝を決断し、一定の進展が見られたということで、私は訪問に意味があったと考えております。

岡田委員 私の質問に答えていただきたいと思うんですが、私がお聞きしたのは、総理が行くことが五人が帰ることの条件になっていたのかと。これはイエス、ノーでお答えください。北朝鮮側はそのことを条件にしたのかということを聞いているわけです。

小泉内閣総理大臣 それは、今の私の答弁で入っているつもりで答弁したんです。それを感じるかどうかはわかりません。

 拉致の問題も、核の問題も、ミサイルの問題も、包括的なんです。そういうものを含めて、私が行くことによって一定の進展が見られるということであります。

岡田委員 それでは、観点を変えてお聞きしますが、会談の冒頭で、五人の子供たちが帰ることははっきりしたと思います。そのときに、総理は、五人が本当に帰ってくると確信を持ったのはいつですか。会談の途中で、確実に戻ってくるという確信を持ちましたか。

小泉内閣総理大臣 これは、私は最後まで、確信を持てたかという問いに対する答えとしては、率直に言えば、一緒に、私の飛行機と予備機、二機でピョンヤンにおり立ちましたから、二機ともに日本に向かって飛び立ったというときに、ああ、これで一緒に帰国できたなと、そこで確信が持てたわけであります。

岡田委員 私は、今の総理の答弁は、かなり率直に言っていただいたと思うんです。あの五人の子供たちが建物から出てきて飛行機に乗って、ああ、これで帰ると、初めてそのときに確信を持ったと思うんです。

 ということは、それまでの間は、いつ五人が、結局は帰らないんじゃないかという不安を抱えての交渉だったんじゃないですか。だから、思い切った交渉ができなかったんじゃないですか。

小泉内閣総理大臣 それは交渉事ですからね。(発言する者あり)

細川委員長 御静粛にお願いします。

小泉内閣総理大臣 実際に、独裁者の国で、交渉でまとまったものでも、話し合いの進展によっては変わる場合があり得るんですから、そういう点も含めて、私がじかにピョンヤンを訪問して金正日氏と話し合えば家族は帰国させることができるなという自信はありましたよ。

 しかし、どこまでその自信が確信に変わるかというのは話し合ってみなければわからないという、そういう面はありますよ。全部がちがちに固めなきゃ行かないというんだったら、行かなきゃいいんですよ。私は、そういう態度をとりませんでしたね。

岡田委員 だから、私は、総理は間違ったと言うんですよ。つまり、五人を帰すのに総理みずからが行かなければ本当にならなかったのか。例えば、山崎さんが大連で北側と会ったときには、政府高官という言葉になっています。山崎さん、そのときには、福田官房長官か川口外務大臣か、こういうことも言われていますね。まず、五人をしっかり日本に、政府高官を派遣して取り戻して、その上で北に行って、十人の問題や核の問題をしっかり腰を据えて交渉する、これが本来の外交じゃないんですか。総理は弱みを抱えていたから交渉できなかったんですよ、今回。違いますか。

小泉内閣総理大臣 反対の立場から見ればそういう見方もできるでしょう。

 しかしながら、私は、私が訪問しないことによって家族が帰国できるんだったら、私は訪問しないでほかの交渉もあったと思います。しかし、拉致の問題だけじゃないんです。日朝平壌宣言全体にかかわる問題なんです。それをどのような金正日氏の部下が、日本の外務省のどういう方、あるいは日本の政府高官が会ったとしても、独裁者自身の考えはどうなのかという確かめるすべは、私が行くしかないんですよ。拉致の問題だけじゃないんです、核の問題もそうです。そういうことから、私が行かないで家族の方々が帰ってこれるんだったら、もうとっくに帰っていると思いますね。

 そういう状況でない、この停滞した状況を、私の再訪朝によってある程度進展が見られるのだということで決断したんですから、そういう中で、私は、一定の進展が見られた、核の問題についても、ミサイルの問題についても、日朝平壌宣言の問題についても、拉致の問題についても、進展が見られたと。私は、訪問することによって一つの転機になったのではないかと思っております。

岡田委員 ここは見解の分かれるところかもしれませんが、私が総理なら、五人をまず日本に取り戻して、それから北朝鮮に行って、十人の問題、核の問題、しっかり交渉する、それが本来の私は国家としての交渉のあり方だと思います。

 では、具体的中身にちょっと入りますよ。

 先ほどいろいろ議論が出ていましたが、北朝鮮の再調査の結果はいつ出るんですか。

小泉内閣総理大臣 これは、すぐわかる問題ではありません。日本側の資料もよく突き詰めていかなきゃなりません。日本側も参加しなくてはなりません。そういうことによって、両国間でこの調査が進むようにこれからも努力を続けていかなきゃならない問題でありますので、いつどうかという期限を区切ることは、現時点でできません。

岡田委員 この調査のやり方ですが、私の理解では、前回出てきたものは白紙に戻った、したがって、もう一回北朝鮮がみずから調査して、まあこんなの時間かかるはずないんですよ。安倍幹事長なんか、そんなのすぐできるはずだ、わかっているんだ、こう言っていますが、しかし、その調査の結果が出てきた上で日本がそれを精査する、こういう順番だと思うんですよ。

 ですから、その北朝鮮側の調査は、安倍幹事長もすぐ出てくるみたいなことを言っておられますが、一体いつごろ出てくるんですかということを申し上げているわけです。

小泉内閣総理大臣 一体いつ出てくるんだというのは、これからの協議です。この協議が必要なんです。(発言する者あり)

細川委員長 お静かに願います。

岡田委員 国交正常化交渉、これは五人の、拉致された人々の、帰ってくれば国交正常化交渉に入る、こういう議論もありますが、ここのところはどうなんでしょうか。その十人の調査結果が出てくることと国交正常化交渉というのはどういう時間的な関係にあるんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは、拉致の問題を解決なしに、核の問題を解決なしに、国交正常化実現はできないわけであります。正常化交渉の過程で、お互いが誠意ある対応をしない限り、両国の国交正常化は実現できないんです。その点を確認し合ってきたんです。

岡田委員 私の質問には答えていただいていないんですが、国交正常化が実現するというのは、それは拉致や核の問題が解決することが前提であることは、これは明らかです。国交正常化交渉に入るのかどうか、こういうことを聞いているわけです。

小泉内閣総理大臣 それは国交正常化交渉の中でやり得るし、その過程でいろいろな対応が出てくる、その対応に誠意ある対応を日本は求めていくわけであります。

岡田委員 今のお話ですと、国交正常化交渉をやりながらこの十人の方の調査の問題も並行してやっていく、こういうお話ですが、そこで言う国交正常化交渉というのは具体的に何ですか。

小泉内閣総理大臣 これは、日朝平壌宣言にのっとってやるのが国交正常化であります。何回も言っているように、拉致の問題につきましても、核の問題につきましても、ミサイルの問題につきましても、包括的に解決していかなきゃならない。そういう中で交渉を今後ともしていかなきゃならない問題だと思っております。

岡田委員 国交正常化交渉の一番コアの部分というのは、これは平壌宣言にも書いてありますが、経済協力や資金協力の具体的な規模や内容を詰めることです。それが国交正常化交渉の一番ポイントのところです。

 だから、それを、今、正常化交渉を並行してやると言われたから、この十人の方の調査の結果が出ないのに、そういった援助の規模とかあるいは形態について、本当に並行して進めるんですかということを私は聞いているわけです。

小泉内閣総理大臣 経済協力も、拉致の問題、核の問題、解決なしには進展しないんですよ。総合的なんです。包括的なんです。そういうものが包括的に解決された後に国交正常化は成るんです。その間、交渉の中で、核の問題はどうなのか、拉致の問題はどうなのか、経済協力の問題はどうなのか、当然、具体的な話し合いがなされなければならないと思っております。

岡田委員 総理は全然答えていないわけですが、つまり、国交正常化交渉の中で、その交渉というのは、一番中心の部分は、経済協力の形態や規模を決めること、議論することですよ。そういう議論はこの十人の方の調査結果が出るまでの間も並行してやっていくんですか、それとも、それは十人の方の調査結果が出て日本なりに納得した上で初めてそういうお金の具体的な話に入っていくんですかということを申し上げているわけです。

小泉内閣総理大臣 それは、拉致の問題も核の問題も話し合いの中でどういう話になるか、これが解決しない限り経済協力の話もできませんから、それはよくわかっています。

 いろいろな腹の探り合いもあるでしょう。そういう点については、日朝平壌宣言全体を見ながら、日本の立場、北朝鮮の立場、アメリカ、韓国、中国、ロシアの立場、よく連携しながら対応していきたいと思っております。

岡田委員 今の総理の御答弁では、結局わかりませんでしたね。

 つまり、最後は調印をする、国交正常化交渉、調印をするというのなら、その調印というのは、拉致の問題や核の問題を解決しなければ調印しないというのは、それはそのとおりですよ。だけれども、具体的な中身の詰めは今もう並行してこれからやっていくのかどうか。

 確かに、総理の任期中に国交正常化交渉をやり遂げようとしたら、今からそういう話をやらなきゃできないはずですよ。でも、こんな状況で本当にそれをやるんですかと、そのことを私は申し上げているわけです。今、総理はやらないとは言わなかったということは確認できました。

 核の問題についても一言お聞きしておきたいと思います。

 核の問題について、いろいろ総理はお話しになったということですが、何か新しい話はあったんでしょうか。今まで事務方の確認してきたような、それを金正日国防委員長がみずから言ったという部分はあるかもしれませんが、何か今回の訪朝で、核の問題について具体的進展はあったんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 核の問題も当然議論になったんですが、金正日氏は、朝鮮半島の非核化が目標であると。これは、新しい発言だったなと。同時に、凍結というのは検証を伴うものだということであり、こういう点については、本心のところでは、国際社会に復帰することが北朝鮮の最も利益にかなうことであるというのがだんだんわかってきたのではないかなという感じも私は受けました。

 しかし、これは、今後の相手方の対応、そして日本を含めた関係六カ国間の対応が大きなかぎを握っておりますので、この点に向けては、今後、日米間とも、日韓とも、中国、ロシアともよく連携をとって何とか北朝鮮を核廃棄の方向に持っていきたいと思っております。

岡田委員 今、総理のおっしゃったことは、六カ国及びその他で実務的には確認されていることですね、それを金正日国防委員長が言ったことはそれなりの意味があるのかもしれませんが。

 では、例えば具体的に、安全の保証の問題、これは北が一番求めていることです。ここについて、何か具体的な議論はしましたか。どういう議論があったんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは、核の問題は、金正日氏は、基本的には米朝の問題だという主張をされておりましたけれども、それは米朝間だけの問題ではないと私が言いまして、微妙な問題でありますので、すべてこの場で金正日氏がどう言ったかというのは差し控えたいと思いますが、私は、核の問題は北東アジア全体、世界の安定に大きくかかわっていますので、米朝間だけの問題とはとらえておりません。日本も深刻な問題である、各国と協議していくべき問題だと思っております。

岡田委員 核の問題が日本にとって極めて深刻な問題であるということは、私が常日ごろから申し上げているところであります。恐らく、今、安全保障上、日本にとって具体的に最大の脅威は何かと言われれば、私は、テロか、それとも北朝鮮の核だ、こう思います。

 したがって、それについて日本がみずからの問題として交渉するというのは当然のことでありますが、先ほどの総理のお話は、結局、六カ国協議をなぞった、そして具体的に今までの話し合いからさらに一歩進めて何か議論がなされたという感じは私は受けないわけですね。先ほどの十人の方の調査の問題についても、やはり期限は明示されませんでした。

 そういうのを見ますと、最初に戻りますが、私は、今回の訪朝は、それはたくさんカードは切られましたよ、二回目の訪朝。そう何回も行けないと総理はおっしゃいました。そのとおりですよ。そう何回も日本国の総理大臣が一方的に北に、国交もない国に何回も行けるはずないんです。そのカードを切りました。二十五万トンの食糧支援、十万ドルの医療支援、そして制裁は平壌宣言が進んでいる限り発動しない。そういったいろんなカードを切りながら、私にはそれに見合っただけの成果がとてもあったとは思えないから、私は、失敗だった、外交的には失敗だったと。そして、それは、突き詰めて考えていけば、五人の方をまず戻した上で総理が行くのであればもう少しまともな交渉ができたんじゃないかということ、私が総理ならそうしたということを申し上げたわけであります。

 もし総理に何か感想があればお聞きしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 それは、私、日朝間の交渉というものは容易でないということは理解しております。しかし、家族の方々が一日も早い帰国を願っている、そういう中にあって、このまま、核の問題があるし、あるいは他の問題もあるからしばらくほっておけという議論も確かにあります。安否不明の方もいる、拉致された家族は、今、日本にいる御家族だけじゃないという議論も十分承知しております。

 そういう議論は議論としてわかりますが、それでは、よく冷静に考えていただければ、私が今回行かなかった場合、この進展はありませんでした。その辺は理解していただけると思うのであります。(岡田委員「何の進展」と呼ぶ)今まで言った進展はなかったと思いますね。

 核の問題についても、この凍結は検証を伴うということについて、私は、これからサミットに、会議に出た場合にも、北朝鮮に対して国際社会が平和的解決をしていくべきだと。そして、ブッシュ大統領を初め、金正日氏は、サミットに出席する首脳、プーチン大統領以外とは会談したことありません。

 そういう中で、私と金正日氏と会談した中身という問題については、日米関係を考えればいろいろ大事な問題もあります。北が一番気にしているのはアメリカの対応であります。そういう点について、私は、金正日氏の真意というものはどういうものかということは、今回会談したことによって、よりブッシュ大統領にも、アメリカ側にも伝えることができると思います。

 そして、私は、金正日氏に対して、そのような平和的解決を望んでいるならば、朝鮮半島の非核化を最終目標としているんだったらば、なぜ六者会議の場でもっとそういう真意を説明しないのかということで、金正日氏は、六者会議をこれからも活用していきたいという話もありました。

 いわば、会ってじかに話した首脳というのは今の西側の首脳にいないわけでありますので、私は、今後とも、日朝間の国交正常化問題というのは日朝間だけの問題じゃない、韓国もアメリカも中国もロシアも関心を持っている中でありまして、これからもそういう関係国との協力連携をするためにも、やはり今回の話し合いというのは意味があったのではないかと思っております。

 国交正常化に向けて、正常化が満点だといえば、当然、今回の私の訪朝というのは何点かという点数をつけることはできませんけれども、正常化に向けた一つの大きな転機である、ステップであるということは言えるのではないでしょうか。

岡田委員 この議論を幾らしてもお互い通ずるものがないと思いますので、これでやめますが、もう一言だけ申し上げます。

 総理の座というのは重いんですね。その総理がどこでみずから訪朝するか。何回も行けないんですよ。そのことがとても大事で、私は、先ほど申し上げたように、訪朝すること自身について批判をしているんじゃありませんよ。しかし、まず五人を手元に取り戻してから訪朝することでもっと大きな果実が得られたはずだということ、そのことを私は申し上げているわけです。

 次に、政治とお金の問題について一言申し上げたいと思います。

 この政治と金の問題について、私はやはり民主主義の根幹の部分だと思うんですね。我々がきちっとルールを守ってやっている、そういう視点で見ると、自民党は十数年前と全然変わってないな、残念ながらそのことを言わざるを得ません。

 例えば日本歯科医師政治連盟、今具体的な警察の捜査も進んでおりますが、そこと自民党との関係を見てみますと、私も友人ですから余り具体的な名前は出したくありませんが、閣僚でもある石原伸晃さん、二〇〇〇年七月からの二年間で一千万ずつ四千万の金が、自民党本部から石原伸晃さんが支部長を務める自民党東京第八区総支部に出ています。ほかの自民党議員には見られないお金の流れですね。

 そして、それはなぜかと見ていくと、その自民党あるいは国民政治協会に対して、日歯連からその十日から二十日前にやはりほぼ同じお金が出ているということですよ。つまり、これは迂回献金じゃないかという疑いが濃厚ですね。

 あるいは、自民党の各都道府県連の歯科医師政治連盟総支部というのがありますね。各都道府県ごとに歯科医師政治連盟、自民党、つくっています。そこと日本歯科医師政治連盟とのお金の流れがほとんど合っていませんよ、収支報告上も。例えば東京や佐賀の支部では、日歯連は出しているんだけれども、受けた記載がないんです。逆に、日歯連が出していなくても、それぞれ都道府県の自民党の歯科医師政治連盟支部が受けているという記載があったりする。でたらめなんですよ、これ。

 なぜそんなことになっているんですか。それは結局、裏金がたくさんあって、その中の一部が記載されたり記載されたりしないからこういうことが起こるんじゃないんですか。そういうことに対して、自民党総裁としてきちんと説明する、改める、その意欲はおありですか。

小泉内閣総理大臣 これは、政治資金の取り扱いにつきましては、個々の議員が政治資金規正法にのっとってきちんと対応すべきだと思っております。

岡田委員 そう言われるだろうと思って私は申し上げたんですよ。自民党本部から石原さんの総支部へのお金の流れであり、そして、自民党の都道府県歯科医師連盟総支部の、そのお金の流れなんです。全部、自民党が関係しているんですよ。だから申し上げているんです。もう一回答えてください。

小泉内閣総理大臣 政党活動ですから、その時々、どういう支部にどのような政治活動が行われるか、支部によって私は違うと思いますよ。政党としても支部としても個人としても、きちんとした政治資金規正法にのっとった対応をすべきだと思っております。

岡田委員 ですから、自民党本部からそういった偏ったお金の流れがあることについて、きちんと説明責任を果たすべきだ。我が党は、自民党の経理局長に対しても、参考人として出てきて説明するように求めています。そういった説明をきちんとすべきだということを申し上げているんです。そこで個々人の話にすりかえないでください、自民党の問題ですから。

小泉内閣総理大臣 自民党としてきちんと処理しているということでございます。

岡田委員 総理、ここは本当に私は大きな問題だと思いますよ。ですから、歯科医師政治連盟の問題はもう司直も入っていますから、これからいろいろなことが出てくるんでしょうけれども、自民党は、三年間で十五億円、本部はですね、その他も含めれば大体二十二億円ぐらい三年間で資金提供を受けているわけですよ。そこがこういう問題を起こしているわけですから、やはりそれは有権者に対して、国民に対してきちっと説明する責任があるんじゃないですか、あるいはお金を返す必要もあるんじゃないんですか。総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 政党としては、政党交付金のみならず、各党員、党友、支持団体の協力を得て政治活動を賄っていかなきゃならないという点についてはおわかりだと思います。そういう多くの方々の協力を得られるように、常に襟を正して活動していかなきゃならないというのは言うまでもありません。

 今後の資金をどのように国民から協力を仰いでいくか、そしてどのように活動に費やしていくかという点については不断の見直しというのが必要ではないか、やはりこれからも政治資金の扱い方についてはより注意深く配慮していかなきゃならないなと思っております。

岡田委員 私は、十年ぐらいたって自民党も少しは変わっているかなと思っておりましたので、ここは本当に残念なところであります。小泉さんは自民党の総裁ですから、ぜひしっかりとした対応をしていただきたいと思います。(発言する者あり)

細川委員長 お静かにお願いします。

岡田委員 委員長、ちょっと理事を注意してください。余りにばかげたやじだ。余りにもばかげています、やじが。(発言する者あり)

細川委員長 お静かにお願いします

岡田委員 いいですか。――それでは次に、年金の問題に移りたいと思います。

 私は、年金の問題というのは、国民生活の老後の保障ですから、極めて大事。ですから、国民一人一人がすごく関心があるというのは当然のことですね。そういう中で、今、政府案に対して、調査によっては六割から七割、この法案は今成立させるべきでないという国民の声というのが厳然としてあります。

 私は、この年金の問題を議論する際に、例えば政府案でよく言われる、毎年一兆円ずつ十四年間上がり続けるとか、給付が下がるとか、そういったことのみを問題にしようとは思いません。年金の問題というのは、これは結局は、今のままでは持続不可能、少子高齢化の中で、負担をふやしていく、そして給付は将来的に減っていく、その大きな流れは変えようがないわけですから、もう少ししっかり、具体的なところで議論したい、そういうふうに思っています。ですから、揚げ足取りの議論はしませんので、誠実にお答えをいただきたい、こう思っています。

 そこで、まず、今までの政府の御説明が私は非常に不誠実だったと思う。非常に誤解を招いた説明が多かった。例えば、国民年金保険料の上限を一万六千九百円にします、これはいろいろなパンフレットで断言してあるわけですね。しかし、審議の中で、現実にはそれは、二〇一七年には二万八百六十円であり、二〇三七年には三万一千六百十円であるということはわかりました。なぜ最初からこのことを言わなかったのか。ずっと一万六千九百円でいくかのごとき誤解を国民に与えたことについてどう考えるのか。

 そして、現役世代の平均収入の五〇%を上回る給付水準を将来にわたり確保する、この制度の一番の売りはここだったんですね。五〇%保証。しかし、五〇%の保証というのは、それは夫婦ともに四十年間、そしてその中で、御主人はフルタイムで働き、奥さんは専業主婦、そして年が同じ、そういう場合に初めて五〇%が保証されるのであって、夫婦ともに四十年間フルタイムで働いた場合には三九%であり、あるいは独身男性の場合には三六%にしかすぎない、このことも審議の中で明らかになったことです。

 それからもう一つは、最初は五〇%、だんだん減っていくということも、五〇%保証といえば、それは死ぬまで五〇%保証される、こう思うのが普通だと思いますが、現実には、六十五歳では五〇%でも、七十五歳では四五%、八十五歳では四〇%、今四十歳の方はこういうふうになっちゃうんですね。

 こういった非常に誤解を生むような説明をしていたことに対して、一体、総理、どう考えているんでしょうか。こういう説明をどうして前広にしっかり、国民に対して理解してもらう努力をどうしてやってこなかったんでしょうか。そういったことをきちんと説明をして理解していただくということが、私は、年金制度についての国民の信頼感回復につながっていくと思うんですよ。

 だれも、負担がふえるから嫌だとか給付が減るから嫌だとか、もちろんそれは人間ですからありますが、今、国民の多くが、この法案は成立させるべきでないと言っているその多くは、これが抜本改革じゃないからだ、そしてちゃんと説明されていないからだ、ここに尽きるんですよ。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 今御指摘のそれぞれの点は、今までの審議でも議論されてきたんです。民主党も、審議拒否されないで、早くから審議していただいていれば、こういう点も十分審議できたわけであります。

 それで、最初の、国民年金保険料の上限を一万六千九百円に固定と言っておりますが、これは現時点でのいわゆる数字ですから、将来、二〇一七年あるいは二〇三七年、その時点においては、物価も賃金も考えなきゃならない、今と同じようであるとは、そうじゃない。今までの改正の例でもそうです。現時点での値段といいますか数字を挙げているんです。当然、年金だって物価、賃金に応じてスライドしていくわけですから、そういう点は、私は、国民の皆さんも御理解いただいているんじゃないかと思います。いずれにしても、それは審議の場で議論すればわかることです。

 そして、現役世代の平均収入の五〇%を上回る給付水準という点についても、一つのモデル世帯を出さなきゃなりません。

 年金というのは、それぞれの仕事も違いますし、就業形態あるいは賃金も違います。そういう点からいえば、実に複雑で、個人個人、態様が違いますが、それだけに、一つの一定のモデルというものをあらわさないと、国民には説明しにくいんです。これは、この時点ではこうですよ、こういう年齢はどうですよ、こういう給料の場合はこうですよという説明をしたら、なおわかりにくくなるでしょう。だから、一定のモデルの状況を示して説明するというのは、私は政治としてあっていいと思います。

 全部それぞれの態様に説明しなきゃならないんだったら、時間の制限もあります、また複雑であります。だから、私は、一つの案であって、これが全部に当てはまらないじゃないかというその議論は認めます。しかし、全部当てはめていったら、どれだけ説明して、ややこしい説明をしなきゃならないか、そこも考えていただかなきゃならないと私は思っております。(発言する者あり)

細川委員長 お静かにお願いします。

岡田委員 今までであれば、例えば二〇〇三年度価額でとかそういったことはきちんと書いてあるんですよ。今回それがないから言っているんですよ。それはごまかしているわけですよ。

 それから、モデル年金といいますけれども、御主人はフルタイムで働き、奥さんは専業主婦で、同じ年で、四十年間、そういう、ある意味では数字が一番高く出るものを例に挙げて、そしてそのほかのものを挙げていないというのは、これまた非常に誤解を招くんですよ。

 だから、そういうことについて、国会で、委員会で議論しないからと言う前に、しっかりとまず政府として説明する責任があったんですよ。

 もう一つ申し上げますよ。今回の改革案の中で、四割の人が保険料を払っていない国民年金について、今の状況が抜本的に改革されると思いますか。

小泉内閣総理大臣 これは、今言った御指摘の点は、まさに審議すれば出てくる話なんですよ。政府案を出している、そして民主党の案も出した、そこで、審議を拒否することなく審議をすれば出てくる問題であります。

 それと……(発言する者あり)

細川委員長 お静かにお願いします。

小泉内閣総理大臣 一定の水準、問題だと言いますけれども、どのモデルをとるかということについて考えてみれば、将来はわかりませんよ。しかし、現時点で、夫が働いて妻は専業主婦であるという分野が、給付している世代では一番多いんですから。将来はどうなるかわかりませんよ。将来、共稼ぎが多くなるかもしれない。そういう一つのモデルをとって説明するというのは、私は、別に不自然じゃないと思っております。

 それで、国民年金の問題です。

 だからこそ、私は、三党合意したんじゃないですか。岡田さんが幹事長の時代に、年金一元化が望ましいと。だから、年金一元化を含む社会保障全体を協議していく場をつくろうと。これは、与党と、野党である民主党と合意したんですよ。

 そこで、この問題は、国民年金と厚生年金と共済年金を本当に一つの制度にするということについては、実に難しい問題があります。だからこそ議論しようとしているんです。これは、私は、与党、野党という対立を乗り越えて、いつ政権交代があるかわからない。そのときに、政権交代があったらくるくる変わる制度じゃ年金というのは困る。やはり、与野党の対立、立場を超えて安定的な制度をつくろうということで与党と民主党が合意したんですよ、協議。だから、ここで、私は、国民年金がこのままの制度でずうっといっていいとは思っていません。これについて……(発言する者あり)

細川委員長 お静かにお願いします。

小泉内閣総理大臣 よりよい案があるんだったらば、民主党もよく議論して、与党も一緒に加わって、建設的な議論をしていきたいと真摯に受けとめております、あの合意を。だから……(発言する者あり)

細川委員長 お静かにお願いします。

小泉内閣総理大臣 今後、一元化を含む議論を与野党で私は早く進めた方がいいと思うのであります。これは、単に与野党の対立とかそういうことじゃありません。岡田さんも、幹事長時代にみずから署名されたんですから、署名されて、党首になったんですから、この合意については、やはり責任を持って、早く――民主党がこの政府案がいかぬと言っているのはわかっています。いかぬと言うんだったらば、それではどういう形で一元化に持っていくかという案を、その場で、その協議会の場で議論を進めていく方が建設的ではないでしょうか。

岡田委員 最初に申し上げましたように、年金というのは国民生活にとって極めて重要ですよ。ですから私も三党合意にサインしましたが、つまり、この法案に対しては我々は反対ですが、しかし、もし本当に与党が真剣に一緒になって議論しようというのであれば、まさしくスウェーデンであったように、八割の議席を占める五つの政党が、与党、野党を超えて議論して、抜本的な年金改革をやった、私は、それができるならそれは理想ですよ、だからこそサインしましたよ。

 しかし、では、その後の与党の態度はどうなんですか。今、総理は、国民年金も含めて一元化が望ましいという、そういう御発言だったと私は理解しました。では、それで公明党と自民党の間はまとまっているんですか、あるいは自民党の中はまとまっているんですか。総理だけでしょう、そんなことを言っているのは。違うんですか。

小泉内閣総理大臣 政党ですから、議論が重ねられて一定の結論が出るまでは、いろいろな賛否両論があるんです。それは、民主党もそうでしょう。一枚岩でぴしっと、全く異論がない政党なんてそんなにないですよ、数が多ければ。自民党は一番多い政党ですよ。いろいろな議論がありますよ。しかし、その議論を一々取り上げて、まとまっていない、まとまっていないと言うのじゃなくて、議論をしていくうちにその賛否両論の意見が集約していくんですよ。

 だから、今、民主党の案といわゆる政府案とは違います。違うけれども、お互い協議しようという合意をされたわけでしょう。それを、今、自民党は真剣に受け取っていない、与党は受け取っていないというのは、それは誤解ですよ。我々は、この合意を真摯に受けとめて、早くこの協議会を立ち上げようとしているんですよ。そして、政府も、この与野党合意に向けてどういう資料が必要かというんだったらば、それを言ってください、この資料をできるだけ出しますと。そのために、私は、早くこの協議会というものを、意見が違ってもいいんです、意見は違ってもいいんです、与党と野党ですから。しかし、違った中でも、お互いよりよい案をまとめていこうという機運ができたということを、お互い尊重すべきじゃないでしょうか。

岡田委員 まず第一に申し上げておきますが、もう我々の案はあるんです。具体的な案を持っているんです。そして、それは政府案と対比されるようなものじゃないんですよ。我々の一元化の案、もう既に総選挙で大きなところはお示ししていますし、具体的に詰めたものはあるんです。だけれども、自民党にはそれがないんですよ、具体案が。ないから議論できないでしょうと言っているんですよ。

 総理、今、一元化が望ましいと言われたけれども、例えば安倍幹事長は、私は言いましたよ、安倍幹事長に、総理が国民年金を含む一元化が必要だと言っているから、党内をまとめてくれと。安倍さんの答えは、いや、総理は総理ですから。全くやる気がないじゃないですか。そういう不まじめな態度に対して、一体どうやってまとめろというんですか。まず、自民党の案をしっかりまとめた上で我々と議論してください。

小泉内閣総理大臣 それは、今まで岡田さんも十年以上国会議員やっているんでしょう。そして、党首になったんでしょう。わかるでしょう。政党の、与野党の協議の場ができる前に各党案をまとめて出してこいと言ったら、ますますまとまるものもまとまらなくなっちゃいますよ。だから、それは与野党で協議してどういう案がいいかをまとめていくという方が建設的じゃないですか。

 もし、じゃ、与野党で、自民党、公明党、民主党が一緒に入った、協議を始める前に各党案をまとめてこいと言ったら、まとめた人の立場はどうなるんですか。もしまとめてきたら、民主党の立場もあるでしょう、公明党の立場もあるでしょう、自民党の立場もあるでしょう。では、どうやって協議していくか。みんな、この案がいい、この案がいいと言ったら、これはまた、まとまるものでもまとまらなくなっちゃうんです。

 だから、きっちりとした案が出る前に、お互い、それでは、一元化に向けてどういう問題点があるか、論点を整理して、賛否両論があるけれども、本当に一元化がいいんだったらこういう状況になりますよというのは、各党が案をまとめる前に一緒に協議していった方がはるかに私はいい結果が出せると思いますが、いかがでしょうか。

岡田委員 総理も自由民主党の総裁であれば、少なくとも、一本化、一元化の中に国民年金も含まれるんだ、国民年金を含めた一元化が望ましいんだ、必要なんだということぐらいは自民党の中をまとめてから、具体的な交渉をしていただきたいと思います。そういうこともせずにばらばらで議論したって、進むはずないじゃないですか。

 時間が限られておりますから、最後、総理、数日来、総理御自身の厚生年金の問題が取り上げられています。

 私は、総理はこの際ちゃんと謝った方がいいと思うんですよ。いろいろ言いわけしているのは見苦しいですよ、日本国総理大臣として。普通の人ならいいですよ。日本国総理大臣が厚生年金制度を、実態はないのに、それを利用して、年金としての資格に入っていた、やがては給付も受ける。やはりこれはどう考えてもまずいですよ。ですから、私はちゃんと謝られた方がいいと思いますよ。いかがですか。

小泉内閣総理大臣 三十五年ほど前の、しかも議員になる前のことで、私は、何がおかしいのか、いまだにこれを問題にする方がおかしいと思っています。何のために私が謝らなきゃいけないのかも理解に苦しんでおります。

 私は、多くの方々のとうとい支援によって国会議員に当選させていただきました。支援者の中にはいろいろあります。私の支援者の中には、身銭を切って小泉に何とか当選させてやろう、そういう方々も多くいたからこそ当選することができたんです。

 そして、社員はこうだと言いますけれども、人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろです。全部社員が同じように、一定の時間に会社に出て、一定の時間に会社を退出して、そして机を並べている社員も多いでしょう。しかし、うちにいてもいいよ、あるいは、海外旅行してもいいですよという会社もあるんです。それでも社員です。恐らく岡田さんの関係の会社だって、全部社員が同じように働いているという社員ばかりじゃないと思いますよ。

 私が落選中に極めて太っ腹の人情味のある社長さんにめぐり会って、ああ、小泉君、一回ぐらい選挙に落ちてくじけちゃだめだ、私も応援してあげるからと、そういうことで、あなたの仕事は次の選挙で当選することだと言って、極めてありがたい言葉をもらって、熱心に応援してくれたんです。そういう極めて善意の、見返りを求めない貴重な人々の支援があったからこそ私の今日があるのであって、今でも私はその社長さんに感謝しております。

 こういうことについて、何らやましいこともないし、何で謝らなきゃなんないのか。しかも、三十五年前のことが今のこの国会でそんなに議論しなきゃならない問題なのか、私は理解に苦しんでおります。

岡田委員 私は、一言だけ申し上げますが、今の総理の発言を、この方が日本国総理大臣なのかと非常に寂しい気持ちで聞いておりました。

 つまり、それは、太っ腹で支援してもらうのはいいですよ、ちゃんと法律にのっとって政治資金の寄附をする。だけれども、これは、厚生年金制度という国の立派な制度を、それを活用して、そして本来入ってはならない人が入ったという事件ですよ。

 もし、総理がそういうふうに開き直れば、これから同じような、日本国民がこういった厚生年金制度を利用して、例えば、自営業の人が籍だけ会社に置いて厚生年金に入る、入りたい人はいっぱいいますよ、有利ですから。そういうことに対してノーと言えるんですか。国の制度の根幹が揺らぎますよ。それが総理大臣の言うことですか。

細川委員長 時間であります。質疑時間は終わりました。時間が参りましたので、終わります。

 以上をもちまして平成十四年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。

 内閣総理大臣は御退席をいただいて結構でございます。御苦労さまでした。

    ―――――――――――――

細川委員長 平成十四年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 これより議決案を朗読いたします。

    平成十四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案

  本院は、平成十四年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。

 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。

   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。

  1 公債残高が著増するなど国の財政は極めて深刻な状況であり、その健全化が急務となっている。政府は、公債に依存した財政構造を改めるため、目標に沿って、基礎的財政収支の早期黒字化を図るべきである。

  2 年金制度については、国民年金保険料の未納付率が約四割に達し、また、保険料が未納であった国会議員が相次いで判明するなど制度に対する国民の不信感が一層増大している。

    ついては、社会保険庁における未納・未加入者に対する取組みの強化に加え、年金の一元化問題を含めた社会保障制度全般の一体的見直しを行うべきである。

  3 介護保険については、ゴールドプラン21による基盤整備が行われてきているところであるが、介護サービスが利用者の自立支援に資するものとなっているかなどの課題が指摘されている。平成十二年の法施行後五年目を目途とする介護保険の見直しに向けてサービス内容の適正化及びサービスの質の向上などについて十分な検討を行うべきである。

    また、障害者福祉については障害者の地域生活支援の在り方等支援費制度の趣旨を踏まえ円滑な実施に努めるべきである。

  4 雇用問題については特に若年者の雇用の拡大を図るとともに、政府が一体となって若年者等に対する職業意識の啓発や学校における職業教育に対する取組みを推進すべきである。

  5 六兆百億円の多額の資金が投入されたウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策については、平成十二年七月に中間評価が出さ、十四年度で終了している。中間評価においては効果が十分あがっていない点が指摘されているところであり、今後とも政策全般の評価の中で成果を検証し、その結果を今後の農業政策に反映すべきである。

    また、牛海綿状脳症(BSE)発生に伴う米国産牛肉の輸入停止により、外食産業を始めとして経済的損失が増大している。食の安全・安心確保を大前提に、科学的根拠に基づいた検査体制の下で、安全な牛肉の安定供給体制の構築に努力すべきである。

  6 地方分権の推進に当たっては、自主・自立の地域社会の早期実現が肝要である。政府は、地方分権を推進するため、国から地方への税源移譲の促進と地方への自由度の拡大を図るための国庫補助負担金の廃止・縮減等を行い、地方交付税の所要額を確保し、真の地方分権を図るべきである。

    また、義務教育費国庫負担制度については、義務教育に関する国の責任を明確にし、総額裁量制の導入で、教職員の給与が過度に削減されることのないよう配慮するとともに、義務教育における学校の設置・管理主体である市町村が自らの理念に基づいた独自の教育が可能となるよう、市町村への必要な権限委譲について検討を進めるべきである。

  7 近時、凶悪犯罪の多発等を背景に国民の治安悪化への懸念が急速に高まっている。政府は、スーパー防犯灯の整備等の犯罪防止対策を積極的に推進するとともに、警察官の計画的増員及び適正配置等の体制整備並びに地域防犯力の向上を図るなど効果的な犯罪対策に取り組むべきである。

    また、都道府県警察の一部において、公金の不正流用の実態が明らかになったことは誠に遺憾である。こうした不祥事が再び発生することのないよう、警察職員の倫理意識の向上及び会計経理の適正化等に万全の対策を講じることにより警察に対する信頼の回復に全力を挙げるべきである。

    さらに、政府は、交通事故死者数の大幅削減目標に向けて、車載監視カメラの普及等の交通安全対策に鋭意取り組むべきである。

  8 北朝鮮による日本人拉致事件については、二度の日朝首脳会談や六者協議等を行うも、安否不明者や特定失踪者の消息解明などいまだ全面解決には至っていない。また、核・ミサイル問題についても疑惑は払拭されておらず、国際的な検証の下における完全な核廃棄を強く求めなければならない。

    政府は、積極的に国際世論形成を図るとともに、北朝鮮近隣国・関係国との緊密な連携の下、日本人拉致事件及び核・ミサイル問題について早期解決のために最大限の努力をすべきである。

 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。

   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。

 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。

  政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。

以上が、議決案の内容であります。

    ―――――――――――――

細川委員長 これより平成十四年度決算外二件を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決を行います。

 まず、平成十四年度一般会計歳入歳出決算、平成十四年度特別会計歳入歳出決算、平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十四年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

細川委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。

 次に、平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書、平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

細川委員長 起立総員。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

細川委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 ただいま御決議のありました基礎的財政収支の黒字化につきましては、政府としては二〇一〇年代初頭における黒字化を目指しているところであり、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも着実な取り組みを進めるよう努力してまいる所存であります。

細川委員長 次に、坂口厚生労働大臣。

坂口国務大臣 厚生労働省といたしましては、ただいまの御決議の趣旨を踏まえ、国民年金の未納者につきましては、催告状の送付や戸別訪問等による地道な納付督励を基本としながら、理解が得られない者に対しましては強制徴収を実施し、未加入者につきましては、届け出を促す通知の強化を図るなど、徹底した適用・収納対策に取り組んでまいる所存であります。

 次に、年金の一元化問題を含めた社会保障制度全般の一体的見直しにつきましては、五月十一日に本院本会議におきまして行われました国民年金法等の一部を改正する法律案の修正に基づきまして、政府におきましてもこの課題に取り組んでいきたいと考えております。

 また、介護保険制度につきましては、介護サービスの利用が大きく増加する中、持続可能な制度となるよう保険給付の内容等につきまして、現在、審議会で議論を進めているところであります。次期通常国会への法案提出に向けて検討を進めてまいりたいと思います。

 さらに、障害者の福祉につきましては、地域生活を支えるサービス提供基盤の整備を進めるとともに、支援費制度等がより安定的かつ効率的なものとなるように検討してまいります。

 なお、若年者の雇用につきましては、関係府省との密接な連携のもとに、昨年六月に関係四大臣で策定いたしました若者自立・挑戦プランに基づきます施策を着実に実施いたしまして、我が国の将来を担うべき若年者の職業的自立を促進し、若年失業者等の増加傾向を転換させるべく、積極的に取り組んでまいる所存でございます。

細川委員長 次に、亀井農林水産大臣。

亀井国務大臣 ただいま御決議のありましたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の成果の検証につきましては、その趣旨に沿って、政策評価による農業政策全般にわたる評価を実施する中で、今後ともその成果を検証するとともに、政策評価の結果につきましては、毎年度の予算、さらには新たな食料・農業・農村基本計画の策定を初めとする農業政策へ反映すべく、最大限の努力をしてまいります。

 また、安全な牛肉の安定供給体制の構築につきましては、我が国の消費者の食の安全、安心の確保を大前提として、国産牛肉について講じられている措置と同等の措置が米国産牛肉についても講じられることを基本として、早期に輸入再開できるよう、米国と協議してまいる所存であります。

細川委員長 次に、麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました地方分権の推進に関しましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいります。

細川委員長 次に、河村文部科学大臣。

河村国務大臣 ただいま御決議のありました学校における職業教育に対する取り組みの推進につきましては、若者自立・挑戦プランにおいて、将来を担う若者たちの人間力を強化し、特に額に汗して働くことの大切さなど勤労観や職業観をはぐくみ、明確な目的意識に基づく就業を促すための施策の充実に努めているところでございます。

 今後とも、御決議の趣旨を踏まえ、関係府省との連携を一層強化するとともに、産業界を初めとする各界との協力を深め、学校における職業教育の一層の充実強化に努めてまいる所存でございます。

 また、義務教育費国庫負担制度につきましては、国は義務教育について、地方と適切に役割分担を行いつつ、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持向上を図るため、教職員給与費の二分の一を負担しているところであり、平成十六年度からは、より地方の裁量を拡大できるよう、総額裁量制を導入したところであります。

 今後とも、御決議の趣旨を踏まえ、国としての責任を確実に果たしつつ、地方の自主性と責任を拡大し、地方の個性と特色を生かしたよりよい義務教育を実施できるよう、改革を進めてまいる所存であります。

 さらに、市町村への必要な権限委譲につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、市町村の主体的な教育行政を可能にする観点や都道府県と市町村の適切な役割分担の観点を含め、必要な検討を進めてまいる所存でございます。

細川委員長 次に、小野国務大臣。

小野国務大臣 ただいま御決議のありました効果的な犯罪対策の推進につきましては、引き続きスーパー防犯灯の整備を進めるなど、犯罪防止対策を積極的に推進するとともに、警察官の増員と第一線への効果的な配置に努めるよう、警察庁を督励してまいる所存でございます。

 また、会計経理をめぐります不適正事案につきましては、国家公安委員会として、予算執行の一層の適正化を推進するとともに、職務倫理教養の充実、業務管理の徹底などを図るよう、警察庁に対し適切な指導を行い、早期に国民の信頼が回復されるよう努めてまいる所存であります。

細川委員長 次に、川口外務大臣。

川口国務大臣 ただいま御決議のありました北朝鮮による日本人拉致問題及び核・ミサイル問題につきましては、さきの日朝首脳会談の結果も踏まえながら、御決議の趣旨を体し、拉致問題については、安否不明の方々に関する徹底した真相究明を北朝鮮側に対し引き続き求めていくとともに、曽我ひとみさん御家族の再会を可能な限り早期に実現すべく調整に努めてまいります。

 また、核・ミサイル問題についても、関係国との連携協力のもと、六者会合のプロセスを通じた問題の平和的解決を早期に図るよう、引き続き鋭意努めてまいる所存です。

細川委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 本日をもちまして平成十四年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会


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