衆議院

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第2号 平成16年11月17日(水曜日)

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平成十六年十一月十七日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 細川 律夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 菅  義偉君

   理事 鈴木 恒夫君 理事 津島 恭一君

   理事 前田 雄吉君 理事 松本  龍君

   理事 山名 靖英君

      井上 喜一君    今村 雅弘君

      坂本 哲志君    柴山 昌彦君

      武田 良太君    西野あきら君

      萩生田光一君    馳   浩君

      原田 令嗣君    平沼 赳夫君

      福井  照君    藤井 孝男君

      古川 禎久君    増田 敏男君

      谷津 義男君    山本  拓君

      井上 和雄君    石田 勝之君

      内山  晃君    岡島 一正君

      岡本 充功君    加藤 尚彦君

      末松 義規君    田村 謙治君

      中根 康浩君    長妻  昭君

      東  順治君    古屋 範子君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   総務副大臣        今井  宏君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   厚生労働副大臣      西  博義君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   会計検査院事務総局次長  重松 博之君

   会計検査院事務総局第一局長            石野 秀世君

   会計検査院事務総局第二局長            増田 峯明君

   政府参考人

   (国家公務員倫理審査会会長)           花尻  尚君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       河野  栄君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   安藤 隆春君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   北原 巖男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   平井 正夫君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (法務省大臣官房長)   小津 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 蒲原 正義君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    横田 尤孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   北島 信一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 川田  司君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   日野 康臣君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         福井 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  岩尾總一郎君

   政府参考人

   (社会保険庁長官)    村瀬 清司君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小林 和弘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 小林 芳雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            川村秀三郎君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中山 壮介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   野島 直樹君

   決算行政監視委員会専門員 奥村 卓石君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月四日

 委員都築譲君が退職された。

同月十五日

            補欠選任

             田村 謙治君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     古川 禎久君

  斉藤斗志二君     馳   浩君

  中山 泰秀君     坂本 哲志君

  武藤 嘉文君     西野あきら君

  加藤 公一君     長妻  昭君

  橋本 清仁君     中根 康浩君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     武田 良太君

  西野あきら君     武藤 嘉文君

  馳   浩君     斉藤斗志二君

  古川 禎久君     原田 令嗣君

  中根 康浩君     橋本 清仁君

  長妻  昭君     加藤 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  武田 良太君     中山 泰秀君

  原田 令嗣君     城内  実君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 歳入歳出の実況に関する件

 行政監視に関する件


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     ――――◇―――――

細川委員長 これより会議を開きます。

 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事野島直樹君及び理事中山壮介君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として国家公務員倫理審査会会長花尻尚君、内閣府規制改革・民間開放推進室長河野栄君、警察庁長官官房長安藤隆春君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、防衛庁長官官房長北原巖男君、総務省大臣官房長平井正夫君、総務省行政管理局長畠中誠二郎君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、法務省大臣官房長小津博司君、法務省大臣官房審議官蒲原正義君、法務省矯正局長横田尤孝君、外務省大臣官房長北島信一君、外務省大臣官房参事官川田司君、財務省理財局次長日野康臣君、厚生労働省大臣官房総括審議官福井和夫君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、社会保険庁長官村瀬清司君、社会保険庁次長小林和弘君、農林水産省大臣官房長小林芳雄君及び農林水産省農村振興局長川村秀三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

細川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。

菅(義)委員 自由民主党の菅でございます。

 治安対策の問題を中心に質問をいたします。

 昨年の総選挙前に、私、自分の選挙区で、約十万でありますけれども、選挙民の意識調査というものを行いました。十万、街頭でアンケートを配ったり、あるいは自分の会合で配ったりしました。回収されたのが千六百九十六であります。

 どんなことに国民は興味を持っているのか。十五ほど実は並べました、景気回復、財政再建、治安対策、社会保障、雇用対策、子育て支援、安全保障、地方分権云々でありますけれども。千六百九十六通が返ってきて、その中で一番多かったのが実は景気回復で三百七十七、二番目が治安対策なんですね。二番目が治安で二百六十四、三番目、社会保障が二百五十、四番目に教育が百五十七。後ろの方から言いますと、NPOの活用が十三、地方分権が二十二、エネルギー問題が二十、食の安全が四十八。こんな調査結果であったんですね。

 国民の皆さんがこんなに治安に対して関心を寄せている、実はこういう認識を、私、改めてしたわけでありますけれども、それ以来、治安対策に私なりに全力を挙げて今取り組んでおります。

 かつて日本という国は、まさに安全神話と言われたほど、世界で、真夜中に女性が一人買い物に行っても安全な大都市は日本だけだ、かつてはこう言われたわけでありますけれども、これだけ治安に対して国民の関心が高いということは、逆に言えば、それだけ治安が悪くなってきている、そういうことの裏返しでもあるわけであります。

 そこで、質問してまいりますけれども、警察庁に、現在の治安の状況、特色や傾向を含めながら、どんな状況にあるかということを、まず冒頭、お尋ねをいたします。

伊藤政府参考人 最近の治安情勢でございますけれども、平成十四年まで七年連続して戦後最多を記録し続けてきた刑法犯認知件数でございまして、これは昨年、平成十五年は前年に比べ二・二%減少いたしまして、急激な増加に一応の歯どめがかかりつつあるというふうには考えておりますけれども、依然として、刑法犯認知件数は、治安がよいと言われた昭和期の約二倍でございます。

 これに加えまして、来日外国人の刑法犯検挙件数及び検挙人員につきましては、本年上半期も、過去最多でありました昨年、平成十五年に比べても増加しております。

 また、少年の刑法犯検挙人員につきましては、平成十三年以降増加傾向にございまして、本年上半期は前年同期に比べわずかに減少となっておりますけれども、対少年人口比で見ますと、これは増加を続けているという状況。

 また、最近、他人名義の預貯金口座や匿名性の高いプリペイド式携帯電話を利用した、いわゆるおれおれ詐欺や架空請求詐欺等が急増しております。

 また、侵入強盗でございますが、これも平成十年ころから急増し、本年も増加傾向にあることなど、治安情勢は依然として厳しい状況にあるというふうに認識しております。

 警察といたしましては、犯罪を減少させ、治安を回復させなければならないと認識しておりまして、昨年十二月に犯罪対策閣僚会議で策定されました、犯罪に強い社会の実現のための行動計画に掲げられております諸対策につきまして、関係行政機関とも連携しつつ、強力にその対策を推進しているところでございます。

菅(義)委員 今、警察庁の御説明で、かつての二倍、そして外国人犯罪、青少年の犯罪がふえているということであります。

 私ども、これはほかの委員の皆さんもそうだと思いますけれども、警察官をふやしてほしい、あるいは交番をふやしてほしい、あるいは空き交番をなくしてほしい、こういう陳情をよく受けるわけでありますけれども、実態として、日本の警察官の数というのは海外と比較してどんな状況にあるのか、お答えをいただけますか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 国によって治安情勢、警察制度などに違いがありますことから、一概に比較することはできませんが、警察官一人当たりの負担人口という基準で見ますと、アメリカ合衆国が三百五十人程度であるなど、主要先進国におきましておおむね二百人台から三百人台であるのに対しまして、日本は五百二十七人でありまして、主要先進国に比べますと、日本の警察官の負担は重いものと認識しております。

菅(義)委員 そういう厳しい中で、警察もこうした激増する犯罪に対応していかなきゃならないわけでありますから、民間との連携というのも極めて大事だと思うんですね。あるいは、警察で民間委託できるものは委託をしていく、こういうことも必要であろうと思いますけれども、これについてはどんな状況になっているのか、お答えをいただきます。

伊藤政府参考人 犯罪の発生を抑止し、安全で安心な社会を取り戻すためには、警察力の充実強化はもとよりでございますけれども、警察が地域住民や民間団体などの行っております活動と連携して取り組むことが必要不可欠であるというふうに考えております。地域住民の側におきましても、最近、地域のことは地域で守るといった連帯意識、自主的な防犯意識が高まってきておりまして、全国的に、自主防犯組織が新たに結成されたり、町内会や自治会で防犯パトロールを行う取り組みなども広がりを見せてきているところでございます。

 警察としましては、これまでも、防犯情報の提供や合同パトロールの実施など民間の自主防犯活動と連携を強めてきたところでございますけれども、警察庁では、地域住民の自主防犯活動を活性化するための施策の全体像を示すものといたしまして、犯罪に強い地域社会再生プランというものを取りまとめまして、全国の警察に示し、地域住民による自主防犯活動の支援にさらに積極的に取り組むように指導しているところでございます。また、この犯罪に強い地域社会再生プランを実践するため、平成十七年度予算概算要求では、地域安全安心ステーションモデル事業に要する経費を計上しているところでございます。

 警察庁といたしましては、この地域安全安心ステーションモデル事業が模範となって全国に広がり、各地の自主防犯活動がより活発に展開されますことを期待しまして、今後とも民間との連携に努めてまいりたいと考えております。

菅(義)委員 先ほどの説明で、外国人犯罪も多くなってきている、入国者や在留外国人が伸びておるわけでありますけれども、そうした外国人に対応するために、入管の体制でありますけれども、この入管の人員というのは諸外国と比較してどんな状況にあるのか、お尋ねします。

蒲原政府参考人 お答えいたします。

 我が国の入管職員数は全国で二千八百三十三人でございます。これに対しまして、諸外国の入管職員数の一例を御紹介いたしますと、アメリカ合衆国においては、国土安全保安省で出入国管理を担当している職員数約三万九千五百人、英国におきましては、内務省入国管理国籍局の職員数約一万一千人と承知しております。

 各国の出入国管理体制はさまざまでありますので、一概に比較するのは難しい面はございますけれども、単純に入国管理担当職員一人当たりの在留外国人数を算出しますと、アメリカ合衆国が約四百五十人、英国が約二百人であるのに対しまして、我が国は約七百人となっており、これらの国に比して少ない人員で出入国管理行政を担っているということが言えると思います。

菅(義)委員 問題はここの不法滞在者でありますけれども、これは政府の犯罪対策の閣僚会議でも、この五年間に半減をする、そういうことをうたっておるわけであります。現在、こうした不法滞在者にどのように対策を行っているのか。

 あるいはまた、こうした滞在者を退去させるためには、何といっても関係機関との連携が物すごく大事であるというふうに思っています。警視庁と東京入管の間で入管法六十五条を活用し、その摘発を行っている。私は、この六十五条というものをもっと積極的に活用し、全国に展開すべきじゃないか、こう思いますけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。

蒲原政府参考人 当局といたしましては、不法滞在者が集中している首都圏での不法滞在者対策を強力に推進するため、東京都、警視庁を初めとする関係機関との連携を強化し、その一環として警視庁と連携して、入管法第六十五条の活用により早期かつ効率的な退去強制の実現を図っております。

 その結果にかんがみまして、今後、各地方入国管理局の受け入れ体制を整備しつつ、関係機関と協議の上、入管法第六十五条の活用拡大を積極的に図ってまいりたいというふうに考えております。

菅(義)委員 それと、政府は、観光立国という形の中で、外国人観光客倍増計画というのを今立てております。二〇一〇年には現在の五百万人を一千万人にする、こういう目標を立て、予算措置もしておるわけであります。

 一方、五年間で半減をする。ある意味では、二倍の人に来てもらえば不法滞在もふえるんじゃないかな、そういう思いもするわけでありますけれども、この両立は可能であるのか、これについてはどのような対策を行っていくのか、お尋ねをしたいと思います。

蒲原政府参考人 先生御指摘のとおり、政府は二〇一〇年に訪日外国人旅行者を現在の倍に増加させることを最重要課題の一つとして掲げております。他方、今後五年間で不法滞在者を半減するという目標も掲げております。

 我が国を訪れる外国人が倍増する中、円滑かつ適正な出入国審査を実施する一方で、不法滞在者の摘発を強化して、犯罪の温床とも言われる不法滞在者を半減することは相当に重い課題であると受けとめております。

 入管当局といたしましては、関係当局の御理解を得ながら、生体情報、バイオメトリックスと言っておりますけれども、生体情報の活用、あるいは入国審査に二次的な審査を導入するなど新たな方法を導入するとともに、人員や施設、所要の経費の確保など必要な体制の整備を図りつつ、いずれも我が国にとって重要な課題である、観光倍増計画への貢献と不法滞在者半減計画を両立させる道を探っていきたいと考えております。

菅(義)委員 刑務所についてお尋ねをしたいんですが、今、年間、受刑者が四千ずつ増加しておる、全国の刑務所が二割定員増である、そして過剰収容人員が今九千人いるということを言われています。

 刑務所の人員、これは海外と比較してどんな状況になっているのか、お尋ねをします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 今先生お尋ねは、刑務所の被収容者の数でございましょうか。手元の資料で、幾つかの国しかございませんけれども、最近の数字で申し上げますと、アメリカが百三十七万九千九百六十五という数字が出ております。それから、連合国イギリスが七万二千八百六という数字が出ております。それから、フランスが五万四千九百五十。ドイツ、これはベルリン州の数なのでございますが、五千二百十一という数でございます。

 それから日本は、二〇〇四年四月現在の数で、ちょっと比較の関係で出しましたが、これが約七万五千ということでございます。

菅(義)委員 これは刑務官一人当たりどれぐらいの収容者を対応しているか、お尋ねします。

横田政府参考人 お答えいたします。

 この点につきましても、諸外国の状況につきまして網羅的に把握しているものではございませんが、現在矯正局で入手している資料によりますと、行刑施設における職員一人当たりの被収容者数、比較しますと、アメリカが三・一人、イギリスが一・六人、フランスは二・〇人、ドイツが一・八人となっております。

 今申し上げた諸外国の数字と比べますと、我が国は四・三人でございまして、最も高い負担となっております。

菅(義)委員 実は、私、仲間の治安対策の関係のメンバーと横浜の笹下という刑務所を視察いたしました。視察をしてびっくりしたわけでありますけれども、とにかく職員の過剰な負担にこの刑務所は負っている部分が圧倒的に多いのじゃないかなというふうに思いました。

 と申しますのは、職員の人と懇談もしたわけでありますけれども、年休を二日間とれるかどうかというんですね、かわりの職員がいないものですから。それで、その年休についても、友人の結婚式だとかあるいは関係者の葬儀だとか、そういうものしかなかなかとれない。あるいはまた、いわゆる受刑者に暴力をされる、そういう刑務官も結構おりました。

 ある意味では、今の数で、刑務官が受刑者に対して対応する四・三人ですか、世界で日本が一番多いようですけれども、私は、もう限界に来ているんじゃないかな、視察に行ってそういうふうに思ったんでありますけれども、これについてはどのように思われていますか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在の過剰収容下におきまして、職員の勤務環境がどのようなものであるかにつきまして若干御説明申し上げます。

 近年、行刑施設におきましては、被収容者の急増に伴いまして職員の業務量が増加しておりまして、先ほど申し上げましたように、職員一人当たりの被収容者数について見ますと、平成十一年度は三・三人でありましたものが、平成十五年度には四・三人になっております。そして、処遇に手間暇のかかる六十歳以上のいわゆる高齢受刑者数及び外国人の被収容者数が、平成十一年に比べまして平成十五年は約一・六倍。それから、被収容者による職員暴行件数が、平成十一年に比べまして平成十五年は約一・五倍になるなど、職員の勤務環境が悪化しております。

 また、本年五月末日現在、工場で受刑者の処遇を担当する職員一人当たりの最大受け持ち人数が八十人以上となっている施設が十三庁ございます。最も多い受け持ち受刑者数は百二十三人で、これらの職員の精神的負担の厳しさなども考えますと、その勤務は極めて過酷なものとなっております。

 そして、今委員御指摘のように、こうした職員の負担の増大に伴いまして、四週八休制が確保できず、週休日も満足に与えることができていない施設が七十四庁中六十四庁、これは約八六%になりますが、あるほか、年次休暇取得日数につきましても、年々減少しておりまして、保安業務に従事する職員の平均は、平成十一年度には五・九日だったものが、平成十五年度には三・九日となり、国家公務員全体の平均がおよそ十一日程度であるのと比べますと、その負担の重さは顕著なものがあるというように考えております。

 こうした状況を踏まえまして、平成十七年度の予算概算要求におきましては、行刑施設の職員について五百二十四人の増員を要求しているところでありますが、職員の負担は増大をする一方でありますので、その負担を緩和するために、業務の一部を民間委託するための予算措置についてさらに拡充する要求を行っているという状況でございます。

菅(義)委員 組合もなく、一生懸命に頑張っている職員の皆さんに私は接しまして、本当に頭の下がる思いでありました。

 さらに、この飽和状況の中で、受刑者の人権でありますけれども、例えば独房に二人、あるいは六人部屋に八人とか、現実にそういう布団を敷いているところを見てまいりました。トイレに行くにもほかの受刑者の頭をまたいで行かなきゃならない、そんな状況でもありました。

 財政が厳しい中で、法務省としても、民間の力を利用するという形の中で、PFIの刑務所だとか業務の民間委託だとか、いろいろなことを考えておられるようでありますけれども、こうしたものの実態、さらに、増員と民間委託した場合、これはどの程度財政負担に差があるのか、ここも含めてお答えいただけますか。

横田政府参考人 まず、ちょっと訂正申し上げます。申しわけありません。先ほど、十七年度予算概算要求におきまして五百二十四人の増員を要求していると申し上げましたが、五百四十二人でございますので、訂正申し上げます。

 それから、ただいまの御質問で、被収容者、受刑者の人権の問題でございますが、委員御指摘のとおりに、刑務所等の行刑施設の過剰収容状態は極めて深刻な状態となっており、やむを得ず独居房に二人収容したり、それから雑居房において定員を超えて収容している状況にございます。こうした過剰収容の状況は受刑者に相当な負担を与えておりまして、ストレスの高まりの結果、けんかなどの粗暴事案が発生しております。それは、一方で職員の業務負担にもつながっておりまして、職員の職務執行を困難にする一つの要因ともなっております。

 当局といたしましても、このような状況は解消しなければならないものと認識をしておりまして、各施設におきまして、対人関係による摩擦を軽減するために、必要に応じて適宜部屋がえを行ったり、収容されている受刑者のストレスが少しでも緩和されますように、テレビ視聴の時間を延長するなどの方策をとり、生活環境の整備に努めているところでございますけれども、根本的な解決方法は施設の収容能力の拡充以外にはなく、その推進に努めてまいりたいと思います。

 そして、先ほどの過剰収容の対策として、PFIによる施設の新設、それから民間委託の拡充ということを申し上げましたが、民間に委託した場合と、それからそれを全部国でやった場合との経費の割合といいますか、比較のお尋ねがございましたが、今ちょっと手元に正確な数字を持ち合わせませんので、ざっとした記憶で申し上げますが、おおむね六、七割程度で民間の方が済むのじゃないかというふうに、たしかそういう数字があったように記憶しておりますが、間違っておりましたら、また後ほど先生の方に訂正させていただきます。

菅(義)委員 こうした人員については総務省でその割り振りをされるということでありますけれども、警察官においては地財計画、さらに検察官や入管、刑務所の職員等については定員令、そういうことで行われているということでありますけれども、非常に厳しい中でどのような割り振りを行っているのか、その仕組みについて御説明いただけますか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の定員管理の仕組みについてのお尋ねでございますが、国家公務員の定員につきましては、総定員法という法律がございまして、国家公務員の定数の上限を定めております。

 したがいまして、ふやす部門の前に減らす部門がないと上限を突破しますので、まず減らす部門としましては、計画削減等によりまして効率化、合理化を図って、その範囲内で毎年度の増員要求の厳正な審査を通じまして、刑務所等また入管等、行政需要が増大している分野へ適切な定員配置に努めているところでございます。

瀧野政府参考人 地財計画上の公務員の計上の関係についてお答えいたします。

 地方財政計画におきましては、義務教育の職員とかあるいは警察官、こういった者につきましては国の定める法令に基づき計上をいたしておりますし、その他の職員につきましては、実態を勘案しながら、真に必要な職員を計上しているところでございます。

 その上で、現在、三位一体の改革もございますが、地方財政計画の歳出の見直し措置の一環といたしまして、平成十八年度までの「改革と展望」の期間中におきましては、地財計画上の人員を四万人以上純減するということを閣議決定しておるところでございます。

 この削減目標につきましては、国の定員削減計画に準じた削減を図りますとともに、民間委託の一層の推進によりまして定数削減の努力を行うということを前提といたしまして、警察官等、国の法令に基づき計上する人員など義務的な増員分を措置した上で、なお全体としておおむね一万人のベースで計画計上人員の純減を図るということをしているわけでございまして、これらを踏まえまして、平成十六年度の地財計画におきましては一万九百八十人の純減を行っているという状況でございます。

菅(義)委員 ぜひ、両局長におかれましては、一度現場を見ていただいて、当然ごらんになっていると思いますけれども、もし見ていなければ、現場を見てこうした人員というものを割り振りしてほしいなというふうに思います。

 今まで、警察、入管、刑務所についていろいろお尋ねをしてまいりました。それぞれ、海外と比較をすると、警察、入管、刑務所も極めて少ない人員で治安対策を行ってきている、これは間違いないことであるというふうに思います。警察でいえば犯罪、入管でいえば入国外国人、そして刑務所でいえば受刑者、こうした増加に対して、施設整備、こういうものも追いついていないのが実態であるというふうに思います。

 そこで、両大臣に御出席をいただいておりますのでお尋ねをさせていただきますけれども、まず最初に、麻生総務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 人員計画については、大臣のところで決められる、大臣が最高責任者であります。大臣は、政調会長当時から、この治安対策というものに対して大変重要視をされまして、我が党の政策をリードしてこられました。今のこの治安の状況の中で、私どもはこうした人員というものを特段に配慮してふやすべきである、こう思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 いろいろ今御質問をいただいて、役所の方から答弁があっておりますけれども、警察と入管と刑務所、治安と二つだと思いますが、まず警察の方からお答えをさせていただきます。

 確かに御指摘のとおりに、四年前に政調会長のときに、地方警察官一万人増員というのをやらせていただいて、毎年三千人ずつふやさせていただいて一万人。先ほど、平均で五百幾つという話があっておりましたが、埼玉県あたりは七百三十、治安発生率日本一は埼玉県であって筑豊ではありませんのでぜひと言って、そのときに申し上げた記憶があります。以来、確実にふやさせていただいて、昨年も、一千五百人の予定だったところを千六百五十人足しまして、三千百五十人というのが昨年の実績になっております。

 これは、地財計画の中で四万人以上を四年間で純減することになったのを、別に純減させておいて一万人増員するという、めり張りとしてはかなりきちんとした対応をされていると思っておりますし、治安維持対策の経費として、空き交番やら何やらのところにつきましてもいろいろお願いをさせていただき、珍しく谷垣大臣とすんなり話が合いまして、この点につきましてもふやしていただきまして、感謝をいたしております。

 来年度につきましても、三千五百人の増員要求が警察庁から出されておりますので、これに対しても対応させていただきたいと思っております。

 もう一つ、入管の話は、警察が捕まえましても入れる場所がないとか、入れている場所が、先ほど、独居房がないとか、六人部屋が八人部屋とか、えらいことになっております。加えて、刑務所のいわゆる衛視というか、刑務所の職員の負担はえらいことになっております。

 従来、刑務所で大体百人から二百人ぐらいの増員だったと思いますが、昨年、担当大臣になりましたので、要求は四百人、査定も四百ということになっておりますし、地方の入管に関しましても、要求百六十八、査定も百六十八ということで、治安合計としては、合計八百六十七の要求に対して八百六十七の査定ということで、それなりの対応をしておるところではあるんですが、それで足りておるかというととんでもないのであって、実はふえ方の方は急激にふえてきておるということだろうと思っております。

 したがって、役所といたしましても、いろいろアウトソーシングの話が出ておりましたけれども、ほかにも、IT化するとか、いろいろな技術の進歩もありますので、いろいろな意味で効率化できるところは効率化する。先ほど、アウトソーシングできると六、七割にコストが削減されるということでしたから、そういった意味では、直接の刑務所職員はともかくとして、その他の、周りの衛視等々、玄関の番やら何やらはアウトソーシングできるのではないか等々、いろいろ今法務省としてもやっておられるようであります。

 私どもといたしましては、全体としてスリム化する中にあって、こういう問題はやはり国の、これは、観光をさらにふやそうとするときに、あの国は先進国の中において最も治安がいいというのは、人を呼ぶときの大きな条件というか、最大のセールスポイントにもなろうと思いますので、この点だけは大事にしていかねばならぬものだと認識をして対処してまいりたいと存じます。

菅(義)委員 では、財務大臣に最後に、このいわゆる財政面について、厳しい中でありますけれども、お考えをお尋ねして、終わりにしたいと思います。

谷垣国務大臣 菅委員が治安の問題を重視されて、刑務所にも足を運ばれたりいろいろ御尽力されていること、心から敬意を表したいと思っております。

 私も、前職は国家公安委員長でございまして、先ほど麻生総務大臣がおっしゃった一万人増員計画、私もその増員計画の渦中におりまして、当時の片山総務大臣に、それにさらに上乗せできないかという話をしに行ったこともございます。したがいまして、治安の重要性は十分意識しているつもりでございますし、今までもいろいろなお取り組みがあったことは、今までの議論でも明らかでございます。

 それで、財政面でも治安の重要性にそれなりに配慮してきたことも事実でございますけれども、こういう財政の厳しいときでありますから、治安の重要性というのは十分意識しながらも、財政資金の効率的な使い方という点は、これはぎりぎり議論させていただかなきゃいけないと思っております。

 麻生大臣も日本の魅力という点から治安が大事だとおっしゃいましたけれども、財政を預かっている私の観点からいたしますと、これから日本は人口が減ってまいりますので、労働力の不足とともに貯蓄率が急激に低下してきている。ということは、日本というのは投資先としても魅力的だと思ってもらわなきゃいかぬという、別な面からの要請もあろうかと思います。

 そのときに、やはり世界一安全な国だというのは大事なセールスポイントだというふうに私は思っておりまして、そういう観点から、財政の効率的な使用という点には十分配慮しながらも、議論をさらに続けたいと思っております。

菅(義)委員 終わります。

細川委員長 次に、中根康浩君。

中根委員 民主党の中根康浩でございます。

 いろいろと質問させていただきたいと思いますけれども、社会保険庁のことが中心であります。

 少子高齢社会以前に日本の公的年金制度にダメージを与えてきたのが、この社会保険庁のいわゆる流用、中抜き、むだ遣いだというふうに思っています。

 今、私は厚生労働委員会の方でもやっておるんですけれども、無年金障害者の問題、年金の制度の中で無年金障害の方々を救っていくとすれば、約二百億円必要である。それが、与党の方々は出せない、政府は出せないと言っている。一体、社会保険庁が保険料や税金をどれぐらいむだ遣いしているか、まさにそういった実態が明らかになればなるほど、国民の年金制度に対する信頼感は日々失墜していく。

 少子高齢社会だからということを政府は官製プロパガンダで述べておられますけれども、そうじゃないということが、この春からの年金審議の中でいろいろとわかってきた。国民から徴収した保険料のむだ遣い、職員倫理の欠如、ずさんな窓口対応、そして通常国会での年金改悪審議を機に、社保庁に対して厳しい目が向けられてきた。

 保険料の大規模保養基地、いわゆるグリーンピアや、各種年金福祉施設あるいは長官交際費への流用、こういったもので、厚生年金法の七十九条、国民年金法の七十四条、それから財革法、こういったあらゆる手段を駆使して、自分たちに都合のいい解釈をして、むだ遣いをして、公的年金制度に対する信頼を失墜させてきたのが今までの社会保険庁のやり方であったということを今改めて指摘して、御認識をいただかなくてはならないという意味合いであります。

 年金給付に使われた保険料は、五兆六千億余とも言われていますし、十兆円近くだとも言われている。また、一部の職員が企業と癒着して、むだな事業に保険料をつぎ込み私腹を肥やしてきた例が、例えば逮捕者が出た例だけでも、春の年明けすぐに発覚をした選択エージェンシーの事件。

 これは、選択エージェンシーを贈賄側として、社保庁石川社会保険事務局保険課長の森隆行氏が収賄側であったというもの。石川県内のテレビCMの、これは年金納付を促すものであったわけでありますけれども、発注に際して現金を受け取り、見返りに仕事を発注していた。これは、十月二十七日に、森さんの有罪判決が一審でおりております。懲役三年、執行猶予四年、追徴金四百六十万円という内容であります。

 こういったことのほかに、補助金で行われている国保中央会の発注の便利手帳の作成などに監修料という形で、事実上のわいろ、こういったものが厚生労働省や社会保険庁の職員の皆さんに渡っていた。

 ここにあるのは、社会保険庁問題に共通して存在しているものは、随意契約、そして監修料、また天下り、こういった問題、そしてまた、こういった霞が関の印刷利権に群がる政官業の癒着の構造、こういったものを断ち切っていかない限り、年金制度に対する信頼の回復はあり得ないということを訴えていきたい。

 選択エージェンシーからは、例えば、こういった事件化したこと以外にも、自民党の元秘書という方々に対して企画料という形で現金が渡っていた。そういったこともすべてそういう契約金額の中に含まれていた。監修料であったりあるいは自民党元秘書の方々に対する企画料であったり、そういったことの中で少しずつ少しずつ保険料がむだ遣いをされてきたり還流をしていたりという実態があるということを、国民がそこに怒っているということを改めてこの決算行政監視委員会でも指摘をしておきたいと思います。

 監修料につきましては、いろいろな問題があるんです。順不同で申し上げますと、監修業務ではなくて本来業務なんではないですかということ、あるいは、今申し上げました税金や保険料の還流が行われているんじゃないですか、事実上のわいろではないですか、金額は適正なんですか、監修業務を行う時間や場所は適切なんですか、あるいは国家公務員倫理法の職務専念義務に違反するんではないですか、さらには、本当に監修業務を行っているんですか。

 そして、受け取り方。プールをしていたり、何かこの間の報道によりますと、庶務係の引き出しの中に三千万円もいつもあったという信じられないような実態も警察によって明らかにされて、報道されているじゃありませんか。そしてまた、報告の義務のない人が受け取って、実は、使っているのは報告の義務のある偉い方々が使っている、こういう実態があるんじゃないですかというふうに国民から厳しい目で見られている。そういうことをやはり改めて自覚していただきたい。

 こういったことを踏まえて、私ども民主党は、きょうもお見えの長妻議員ともどもに、国家公務員倫理法の改正を議員立法で提案させていただく、そういう作業も今進めさせていただいています。すべての職員に監修料の受け取りの報告を義務づける、こういった内容を考えさせていただいているわけでございますけれども、例えば、監修といってもこういうことなんですね。

 この黄色い本、「二〇〇四年社会保険関係者名録」。これは、言ってみれば、単なると言っては失礼ですけれども、要するに名簿なんです。社会保険庁関係者の方々の名簿なんです。この名簿の本をつくるのに、監修業務を行い、監修料が支払われている。

 一体、この本をつくるのにどんな監修を社会保険庁の職員の皆さんは、厚生労働省の皆さんはしたというのでしょうか。しかも、監修をするということは、その持っている法律知識とか、そういう専門知識を生かして国民に正しいものを提供するという意味合いなんでしょうけれども、この中には、例えば、明らかに法律違反であると思われる、そういうことも指摘されておりますけれども、厚生年金事業振興団、公益法人がつくった職員宿舎に、社会保険事務所の人が、つまりは国家公務員が入居をしている。地元の人の方がよくわかっておりまして、そういった違法な点を指摘しておりますので、現場も見てきました。

 実は、そうしましたら、近所の人が、いや、そういった方々は確かにいらっしゃったそうですね、でも、何かそそくさと引っ越していかれましたよと。全く、こういったものやあるいは法律や何かに関知していないといいますか、御存じない近所の方々でさえも、そういう社会保険庁のこの実態に対して大きな疑問を持っておられるということでございます。

 そういった監修業務あるいは監修料を通じて事実上のわいろが職員に提供されているんではないか、こういった事柄につきまして、あるいは監修の実態、監修業務そのもの、いろいろと指摘をしておきたいと思いますけれども、先ほど申し上げました、ここはひとつ、厚生労働行政あるいは社会保険庁の方々が信頼を回復するために、報告義務のない方々にも、すべての職員に監修料の受け取りの報告を課する、そういった自主的な動きを示してもらうようなことを考えてもらうことはできないのでしょうか。ひとつ、ここで質問をさせていただきたいと思います。

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねは、監修料等の受け取りに関しまして、透明性の確保という観点からの御質問と存じます。厚生労働省及び社会保険庁におきましては、今回るる御指摘のございました監修料の問題、この問題につきましての反省を踏まえまして、役職を問わず、それからすべての職員に対しましてこの報酬の受け取りの透明化を図ることといたしております。

 具体的に申し上げますと、監修料という作業との関連が明確でない報酬の受け取りにつきましては、一切禁止をいたします。また、作業量に見合う形での校閲料につきましても、補助金によって作成をされるといったもの、あるいは役所で大量に購入をするといったものにつきましては、校閲料につきましても受け取りを禁止いたしますとともに、これらに該当しない場合につきましても、受取額につきまして上限を定める、あるいは、いわゆる公費の購入部分につきましては、報酬の中に算定しないという形で厳しいルールを設けまして、公費が還流をしているという疑惑を招くことのないようにいたしたいというぐあいに考えております。

 また、今申し上げましたルールによっても、なお報酬の受け取りが適切か判断がしがたい場合におきましては、当省、当庁の倫理監督官または倫理管理官に申し出てその指示に従う。さらに、報酬の基準につきましても、出版社等と文書で確認をするといったようなことにいたしたいというぐあいに思っております。

 さらに、平成十八年度につきましては、再度、報酬の受け取りにつきまして調査を実施いたしまして、今回の今申し上げましたルールの遵守状況を点検し、公表させていただきたいというぐあいに考えております。

 御指摘の点につきましては、厚生労働省及び社会保険庁といたしましては、まずもって、今申し上げましたようなルールの運用の状況を見きわめることが必要ではないかというぐあいに考えておるところでございます。

 以上です。

中根委員 今いろいろと御提案をいただきましたことにつきましては、また後ほど詳細分析させていただきまして、十分か不十分かということはよく検討させていただきたいと思います。

 監修料の受け取りの基準が初版分なのか、あるいは売り上げ全体なのか、あるいは複数版数が重ねられたらその分も含まれていくのか、今まで本当に不透明だったんですよね。この監修料、繰り返し申し上げますけれども、事実上のわいろというようなことのないようにぜひ厳しく対処していただきたいと思います。

 そして次は、会計検査院にお尋ねをしたいと思います。

 会計検査院が先日内閣に報告をした、平成十五年度の決算検査報告の概要というものでございますけれども、この中に、社会保険庁の特定の業者との不正な関係がまさに不当であるというふうに指摘をされている。いわゆるカワグチ技研と社会保険庁との間で交わされた購入契約、パピアートそして金銭登録機。厚生労働委員会の方では再三にわたって取り上げさせていただいておりますのでよく御存じだと思いますけれども、決算委員会の方々はもしかしたら初めてかもしれません。

 こちらの、これは通称ドラえもんとか、おかまとか言われている、これがパピアート。実は、全国の市町村、そして社会保険事務局、事務所に配置をされて、年間約六億円のリース料が支払われていた、五年余りにわたって行われていましたので、約二十三億円のむだ遣いが行われていて、ほとんど使われていなかったというのがこのパピアートであります。

 そして、金銭登録機。収納対策を強化するために国民年金推進員の方々に持たせたのが、この金銭登録機というものであります。

 こういった二つの機器の購入において、いかがわしい関係がカワグチ技研と社会保険庁の特定の職員の間でつくられていたということであります。

 ここで、まず社会保険庁の方に、これは通告してありますのでお尋ねをいたしますけれども、パピアートの購入時とそれから金銭登録機の購入時のそれぞれの決済ライン、運営部長、経理課長、年金保険課長、あるいは国民年金事業室、そのほかにもあれば、そういった方々の役職、お名前を教えていただきたいと思います。

小林(和)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、金銭登録機の関係でお答え申し上げます。

 金銭登録機の関係でございますと、十五年の年初めからの調達、導入ということが行われました。実際の企画は、その前年、十四年の夏場以降、作業が進められたということであります。その時点における、基本的には、金銭登録機に関しましては、年金保険課が中心となって作業をいたしたわけでございます。この時期の年金保険課長は渡邉俊之でございます。また、その時点での運営部長というお尋ねがございました。運営部長につきましては、磯部文雄という者が運営部長でございます。

 一方、パピアートでございます。

 パピアートの導入は、十一年ごろからの導入ということでございまして、この時期のパピアートにつきましては運営部の企画課というところで担当いたしておりますが、今ちょっと手元の資料によりますれば、当時の企画課長、植村という者でございます。また、当時の運営部長でございます。これは、小島という者が運営部長でございました。

 以上でございます。

中根委員 この二つの機器については、経理課は全く関与していないということですか。それから、国民年金事業室は関与していないのでしょうか。

小林(和)政府参考人 経理課は、いずれも契約担当課ということで、実際の契約を取り結ぶときの担当課ということで、関係する部署ということになっております。そういう意味で申し上げれば、パピアートにつきましては、手元の資料では、パピアート導入時の経理課長は霜鳥一彦。

 あと、金銭登録機の関係では、実際の契約事務は各社会保険事務局あるいは社会保険事務所単位に行われておりまして、契約の担当責任者は、それぞれ事務局長なり事務所長という方々がその責任者ということになってまいると思います。

 正直、ちょっとその全体についての名前は今手元にございませんので、そちらの方はちょっと失礼をさせていただきます。

中根委員 逮捕されたからといって渡邉俊之さんの名前ばかり挙げて、そのほかの名前がなかなか出てこないということなんですけれども、会計検査院にお尋ねいたしますけれども、いわゆる予責法、これによって、国民に損害を与えた、渡邉俊之さん、わいろもらって金銭登録機を全国に配置させてやったわけですね。こういった保険料のむだ遣いといいますか、保険料によって私腹を肥やしていた、こういったことを行うことによって国民に損害を与えていた。

 そういった中で、予責法を適用して渡邉俊之さんなりあるいはそのほかの人に弁償させるとしたら、予算執行職員というのはこの中のどなたに当たるか、御見解をお示しください。

重松会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 私どもは、毎年度の決算報告に掲記いたしました不当事項について、予算執行職員等の責任に関する法律、今お話ございました予責法に定める弁償責任の要件に該当するかどうかなど必要な検討等を行っておりまして、ただいまお話のありました十五年度検査報告に掲記いたしました社会保険庁の契約に係る不当事項につきましても、必要な検討を行ってまいるつもりでございます。

 なお、今お話がございましたけれども、予責法に基づく弁償責任と申しますのは、予責法第二条に定める予算執行職員個人の責任を問うものでございまして、まず、ただいまお話がありました方々がこれに該当するのかどうかということ、それから、これに関連いたします事案の特定の予算執行職員、その方が故意または重大な過失があるかどうか、あるいは、法律あるいは予算に違反して支出等の行為があるかどうか、それから国に損害を与えたかどうか、こういった要件すべてを満たす必要があるということになっておりますので、それぞれの要件に該当するかどうか慎重に検討したいと考えております。

 そういうことでございますから、直ちにただいまの御質問に、これから検討してまいる事案でございますので、答弁は控えさせていただきたい、そういうふうに考えております。よろしくお願いします。

中根委員 明らかに違法行為があったから警察による逮捕者が出ているわけでありますし、金銭登録機につきましては、当時、ここがどうしてもかみ合わないところなんですけれども、全国の社会保険事務局ごとにあるいは事務所ごとに購入したと言いますけれども、これは渡邉俊之さん初めどなたかの作為によってそういうことがつくられたわけで、いわゆる悪質な小口分割発注であったわけで、完全な入札逃れだったわけなんですね。

 だから、たまたま全国の社会保険事務所や事務局がそれぞれ個々に注文して購入したらカワグチ技研になっちゃったということを今までもしきりに御説明されるんですけれども、それがそうではないということは、もうこの一連の警察の捜査なんかでも明らかになっているわけでありますので、その辺のところを余り言われると全然話がかみ合わなくなってしまうものですから、限りある時間の中でどうやって質問をしたらいいかということが難しくなっちゃうんです。

 いずれにいたしましても、会計検査院、これは憲法によって規定をされた本当に権威のある機関なわけでありますので、自信を持って堂々と、だれにも気兼ねをすることなく、もし気兼ねをしているということがあれば、それは交流人事であるとか、あるいは検査対象に対する天下りであるとか、そういった後ろめたさがあるというふうに我々は受け取らざるを得ない。正々堂々と自信を持って、国民が応援しているわけであります、少なくとも民主党は応援しているわけであります、頑張ってこの検査をしていただいて、この予責法についても、しっかりとその対象者を見定めていただき、国民が怒っているわけでありますので、弁償させていただく、そういった手続を、ぜひとも調査手続を進めていただきますように改めてお願いをしておきたいと思います。

 会計検査院にもう一つお尋ねをいたします。

 この金銭登録機、カワグチ技研から社会保険庁が買ったわけなんですけれども、その買ったものに対してカワグチ技研、カワグチ技研というのは実は七人ぐらいしか社員がいないんですね、このカワグチ技研が全国の国民年金推進員の方々に説明会を行っている。その説明会を行うということに対して、講師料をまた受け取っている。こういったことがあるわけで、新聞報道もされておりますけれども、普通、物を売ったら、その販売したところは、自分のところの会社が売ったものですから、取り扱い説明を行うのはサービスといいますか、当たり前の業務であって、そのことに対してまたお金を講師料という形で受け取ってしまうというのはどういう感覚なのか。

 社会保険庁がそれを許していた。支払う側に問題があるんじゃないかというふうにも思うわけなんですけれども、販売した、あるいは購入した、立場はどちらでもいいんですけれども、物に対する説明会に講師料が払われていたということについては、会計検査院、どのように御見解をお持ちでしょうか。

増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 ただいま先生お話しいただきました件につきましては、私ども、新聞報道があったということで存じ上げております。ただ、その研修の中身、どういった契約によってそういうようなことがなされるようになったか、そのあたりはまだ十分承知をしておりませんので、その点についてはこれから私ども調べてみたいというふうに思います。

中根委員 必ず調べてくださいね。よろしくお願いいたします。我々が応援させていただいております。会計検査院、本当に期待をさせていただいております。

 次は、国会法百五条。これは民主党の皆さんは御理解をいただけると思いますし、それから共産党、社民党の皆さんも御理解をいただけるのかもしれません。しかし、与党の皆様方にまだお諮りをしてはおりません、御相談を申し上げておりませんものですから、どうぞ御理解をいただきたいとお願いをしたいんですけれども、国会法百五条によって会計検査院の方に調査を依頼しておきたいと思います。

 今までも、衆議院において一回、参議院において一回、一件、それぞれ調査がこの国会法百五条に基づいて行われました。衆議院において行われたのは、公的宿泊施設の運営に関する会計検査、それから参議院の方で行われたのは、政府開発援助、ODAですね。

 会計検査院、先ほどから申し上げておりますように、ぜひともその持てる力を存分に発揮していただきたいというふうに思っておりますものですから、国会法百五条に基づき調査を依頼したいということは、やはり今の金銭登録機等々にかかわる会社で、ニチネン企画というものがあります。ニチネン企画は、この金銭登録機のことで逮捕されたカワグチ技研の社長の川崎義幸さんの妻が社長をしておる会社であります。川崎義幸さん自身も、このニチネン企画の監査役として役員に名前を連ねておられます。

 皆さん、御案内のとおり、この川崎、妻、ニチネン企画の社長は、川崎千尋さんというんですけれども、千尋さんは、実は昭和四十九年から昭和六十一年の間、当時の厚生省並びに社会保険庁の職員であった、特にこういった契約関係の窓口である経理畑あるいは総務畑にずっとおられた方であります。それに加えて、昭和五十六年と五十七年には、今回逮捕された渡邉俊之さんとも席を同じくして仕事をしておられるわけでございます。

 今までの厚生労働委員会での質疑でも明らかになっていますけれども、契約担当者が、このニチネン企画の社長の川崎千尋さんが元厚生省あるいは社会保険庁の職員であったということを御存じであったということは、もう既に明らかになっております。御存じでありながら、ここが一番問題なんですが、随意契約という形で、例えば一九九八年、平成十年から、二〇〇二年の平成十四年までの間で、約十一億円の取引を結んでおられるわけなんですね。本当に必要なものかどうか。本当に必要な冊子やパンフレットだったのかどうか。ニチネン企画というのは主に印刷物をつくっているところなんですけれども、そういった必要性がきちんとあって行われたのか、あるいは、ニチネン企画をあるいはカワグチ技研をもうけさせたいがために随意契約というものを悪用して取引が行われていたのかどうか。

 こういった問題につきまして、ぜひとも会計検査院によって、ニチネン企画と社会保険庁の間でとり行われた取引について、適正なものであったかどうかということについて、国会法百五条に基づく調査依頼を行いたいと思います。

 川崎夫妻は、今、代々木上原に自宅があるんですけれども、あそこはいわゆる高級住宅街なんです。この高級住宅街に彼らが、あの夫妻がうちを建てたのは、平成十三年であります。平成十年にカワグチ技研という会社を立ち上げて、平成十一年にこのパピアートで二十三億円もうけて、平成十三年に上原に豪邸を購入した。平成十五年には金銭登録機でまた四億五千万円ももうけた。

 この代々木上原の川崎夫妻の御自宅の謄本をとってみると、一億二千万円の根抵当権がついている。その根抵当権の債務者はニチネン企画である。まさに、ニチネンとカワグチと川崎夫妻は一体的なものであるということは、もう明らかであります。

 その明らかな癒着関係の中で、社会保険庁がこういったものの発注あるいは契約を行っていたという、非常に国民から見て不自然あるいは不透明、そういう関係にあるわけでありますので、ぜひとも、このニチネン企画と社会保険庁との取引関係のすべてについて、会計検査院による調査を求めておきたいと思いますけれども、これは答弁というよりも理事の皆さんに御協議をいただく、委員長、どうぞよろしくお取り扱い賜りますように、お願い申し上げます。

細川委員長 では、理事会で協議をいたします。

中根委員 続きまして、社会保険事務局、それから社会保険事務局事務センター、いわゆる共同事務センター、それからレセプト点検センター、社会保険庁恵比寿分室、こういったものについてお尋ねをしたいと思っております。

 年金については、二〇〇〇年に地方分権一括法で、国民年金の業務が市町村から社会保険庁に移った。このことによって全くいいことは今のところはないわけなんですね。収納率は、当時の約八〇%から六十数%に落ちてしまう。それから、実はそのときに、各都道府県庁の国民年金課などにあったものが地方分権一括法によって外に出されたわけなんですね。そのことによって、それぞれ民間のビルを賃貸して今社会保険事務局が存在しているわけなんですけれども、全国の社会保険事務局が都道府県庁から出て、それぞれのビルに引っ越しをする、それだけでも、約二億円だったと思いますけれども、引っ越し代がかかっている。

 それから、社会保険事務局の存在するビルは必要以上に豪華で、一等地に存在をしております。一年間の家賃が、四十七都道府県で、約二十三億円にも上ります。それから、平成十五年の社会保険庁訓令によってできた社会保険事務局事務センター並びにレセプト点検センターは、それぞれ十五億円と十五億円の家賃を払っております。

 これらすべてのお金は、我々の、国民の保険料が財源になっている。だから、最初に申し上げましたように、社会保険庁のこういった必要以上のむだ遣いで公的年金制度が痛めつけられているんじゃないかという指摘にやはりここでも結びついていくものと思っています。

 まず、こういったそれぞれの全国の社会保険事務局が存在している豪華なビル、東京でいえばNSビル、こういったものの契約のあり方についてお尋ねをいたしますけれども、厚生労働委員会でお尋ねをしたとき、こういったものについて、それぞれ全国の家賃を全部出してくださいと言いましたら、守秘義務があるから出せないというふうに言われたところが幾つもあります。守秘義務を乗り越えて出してもらったところもありますけれども、こういう公のお金を使う契約において、守秘義務がある契約を結ぶということが本当に妥当なのかどうかということについて、まずお尋ねをしたいと思います。いかがでしょうか。

小林(和)政府参考人 各社会保険事務局の事務室は賃貸借契約を結んで入っておるところがほとんどなのでございますけれども、この賃貸借契約の締結に当たりましては、都道府県等の関係機関との連携とか、国の機関としてふさわしい位置にあること、あるいは借料が適正価格であることといったような観点から、こういう条件を満たす相手方との契約を結んでおるということでございます。

 今委員御指摘のように、その中に、委員からの資料要求に基づきまして、四十県程度のところはその借料を御報告させていただきました。六ないし七県程度のところでいずれも不開示の理由というのをつけておったわけですけれども、例えば、民間テナントも同時に入居しており、公表することにより不信感及び会社の信用低下につながるというようなことを理由として、その家主側、これは法人でございますけれども、家主側が開示を拒んだというようなことから、開示することはできないという御報告を申し上げたところでございます。

 こういう賃貸借契約につきましては、委員から再三の御指摘がございますように、効率的な経費の執行ということを考慮して、当然、賃貸借契約の中身についてもチェックをしなきゃいけないと思っております。いろいろな形で見直しを行うことは当然というふうに考えております。より有利な条件で契約が行えるような物件の存在についても、我々としてさらに日ごろの調査なんかも進めることによって、効率的な経費の執行に努めていきたいと考えております。

 また、契約条項に守秘義務を含めているというようなことについて、こういう面も含めて、契約をする相手方としてふさわしいかという総合的な判断もこれからはやっていきたいというふうに思っております。

中根委員 恐らく、推測をするに、地方分権一括法で社会保険事務局が外に出たときに、社会保険庁の労働組合である国費評の皆さん方と何らかの密約があるんではないか。それは今までの、例えば通勤経路が変更されないとか、さらに、今までより職場環境が低下をしないというようなことがあるんではないかというふうに邪推をしたくなります。

 そういったことによって、豪華なところあるいは都道府県庁から近いところ、その結果、一等地になる。都道府県庁とのやりとりはほとんどないはずなんです、社会保険事務局というものは。だから、一等地にある必要もない、都道府県庁の近くにある必要もないというふうに思わせていただいております。

 どうぞ、そういったあたり、保険料を使って家賃を払っているわけなんです。国民から見れば、NSビルなんてあんないいところで働いている。公的年金制度が危ない、保険料を引き上げる、給付は削減する、マクロ経済スライドを導入する、そういうことを言っておきながら、あんないいところで働いていることが許されないと思うのは、国民の自然な感情だと思っています。

 お手元に資料を配付させていただきました。これは、全国の四十七都道府県にある社会保険事務センター、共同事務センターの家賃それから職員数というものであります。ちょっと時間がなかったものですから、けたがばらばらで見にくくて申しわけありませんけれども、時間がありませんので、はしょって申し上げます。

 日本の民間の企業の一人当たりのオフィス面積の平均は、約十四・八平米だというふうに私は認識をしております。その一方、社会保険庁の共同事務センターの一人当たりの面積を計算してみましたところ、例えば東京でいいますと、一人当たり八十五・九三平米。それから、一番広いのは静岡じゃないかな。一人当たり百七十五平米の広さを持っておられるんです。本当に悠々と働いているんですね。

 では、そんなに広いんだったら、何か資料が積み重ねてあったり、あるいは何かホストコンピューターみたいのがあって本当に狭いところでやっていらっしゃるのかなと思って、静岡の社会保険事務局事務センター、これがその写真なんですけれども、何と空きスペースの多いことか、何とゆったりと仕事をしておられることか。

 皆さん、また後でゆっくりごらんいただきますけれども、こういったこと一つとっても、完全に社会保険庁の皆さんの感覚は国民感情からかけ離れていると言わざるを得ないというふうに思っております。

 この事務局あるいは家賃の問題につきましては、また改めてゆっくりとさせていただく機会があろうかと思いますけれども、ぜひ皆さん、この配付させていただいた資料、非常に読みにくいんですけれども、一度お目通しをいただいて、どれぐらい高い家賃が支払われているか、どれぐらい豪華なビルで行われているか。

 この共同事務センターやレセプト点検センターは、本当はこの職員の人たちがこういう広々としたところでしっかりと働けばいいんですけれども、この業務のかなりの部分はアウトソーシングされている。さっき、アウトソーシングされているからというふうに言われていましたけれども、この社会保険庁については、アウトソーシングされていることによって保険料がじゃぶじゃぶとむだ遣いをされているんではないかというふうにも思わせていただいております。このアウトソーシングされている、業務委託されているものについても資料を提出していただいておりますものですから、また改めて質問させていただくことがあろうかと思います。

 続きまして、少し細かい問題について行わせていただきます。年金電話番というものであります。

 この年金電話番というのは、コンピューターシステムによって、被保険者がある電話番号に電話すると、年金についてのわからないことを答えてくれるというものなんですけれども、では、これが使い勝手のいいものかといえば、そうではない。

 まず初めに、この年金電話番を利用するには、こういった「年金電話番利用のしおり」というものを手に入れなければならないんです。何でも自由に質問して、わからないことを答えてくれるというわけではなくて、まず、この年金電話番というもの、このしおりを手に入れるところから始まるんですね。では、これはどこで手に入れるかといえば、社会保険事務所で手に入れるわけなんですけれども、社会保険事務所のどこにあるかといえば、それはどこにあるか、わからない。

 私がこれを手に入れたのは、電話で、年金電話番のしおりを下さいと言ったら、ちょっとお待ちくださいということで、約五分ほど待たされましたか、そして、探して、あったみたいなんですね。あったみたいなんですが、窓口あたりには置いてありませんので、どうぞ御来所いただいて、窓口で年金電話番のしおりを下さいというふうに言ってください、そうしましたらお渡ししますよと。確かに親切は親切なんですけれども、そんな状態でこの年金電話番という機能が国民サービスとして十分機能を発揮されているかといえば、まことに疑わしいものと言わざるを得ません。

 この年金電話番にかかるお金は約四千七百万円なんです。このしおりをつくるのに三百十四万円、この電話番の機器回線経費が約四千四百万円、これもすべて保険料ということであります。

 四千万円という数字が小さく思えるほど保険料が至るところで使われているわけでございますけれども、この年金電話番というもの、今までの段階でこれが有効に国民サービスとして機能してきたのか、あるいはそういったことを踏まえてこれからも続けていくのか、細かいことで申しわけありませんけれども、お答えをいただければと思います。

小林(和)政府参考人 今御指摘の年金電話番でございます。

 平成十五年度の利用状況を申し上げますと、年間で約二十二万件の利用がございました。この数字をどう見るかということでございますけれども、一定の役割は果たしているのではないかというふうに考えております。

 しかしながら、この年金電話番、今委員御指摘のように、自動応答という形でございますので、双方向性というものが残念ながらございません。また、定型的な相談事項について機械音声でお答えをするということもありますので、個人の年金情報に基づきますところの相談にはなかなか対応ができないという技術的な制約もございます。これからのIT技術の進歩等もございますので、そういう状況も踏まえながら、利用者の立場に立った、利便性の高い情報提供サービスのあり方についても私どもとして真剣に検討してまいりたいと思っております。

中根委員 時間が来ておりますので、これで終了させていただきますけれども、社会保険庁は、すべて、根本からそのあり方を問い直してもらいたいというふうに思います。市場化テストの中で一番人気があるのは社会保険庁の業務だというふうに言われているではありませんか。そんなところで人気が出て一体どういうものになるのかということを改めて御認識していただいて、本当に国民から信頼される社会保険庁として再生していただきますように、そうでなければ、民主党が提案しておりますように、国税庁との統合による歳入庁という方向を目指さざるを得ない、そんな思いもお訴えをさせていただきながら、もっともっといろいろやりたいことはありましたけれども、以上をもちまして、本日の質問を終了させていただきます。

 御丁寧にお答えをいただきまして、どうもありがとうございました。

細川委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 本日は、まず初めに小泉内閣三位一体の改革についてお尋ねしたいと思います。

 三位一体の改革に伴う地方分権一括法、その中で法定外公共物の地方自治体への移譲があります。これについて伺いたいと思います。

 もともと、三位一体の改革は、地方への権限移譲により地方自治体の未来を切り開くというものであると説明されております。しかしながら、この地方自治体への国有財産の移譲でかえって地方自治体の自治を壊されるおそれが見えてきたケースがあらわれております。

 私の愛知県の犬山市に、日本一のため池、入鹿池があります。私が秘書をしておりました元副総理江崎真澄代議士も、心血を注いでこの日本一のため池、入鹿池の自治を守ってまいりました。

 江戸初期、尾張藩の初代の藩主の徳川義直の時代より、村人が三百七十年間にわたって自治をしてまいりまして、これも今に至るまで続いているわけでございます。

 私が配らせていただきましたこの資料の一枚目でございますけれども、これは愛知県の土木部長が出した文書でございます。昭和三十三年、まだ手書きでございますけれども、これにも見られますように、この入鹿池の財産管理権と水利権は改良区に認められているものでありました。この三百七十年の入鹿池の自治でございますけれども、これが今回の地方分権一括法で壊されようとしている、そんな危惧があります。

 そこで、本日、各省庁に確認をして議論を整理して、三百七十年間、前と変わりなく、入鹿池の改良区の皆さんが御自分たちでちゃんと水がかんがい用水として使えるように確認していきたいと思います。

 まず初めに、農水省に伺います。

 地域のこの改良区の組合員にとりまして、日本一のため池、入鹿池の重要性がよくおわかりになっていると思います。地方分権一括法が適用されても従来の財産管理権は変わらず、三百七十年間の自治のとおりに現状の使用ができますように、現状の使用が妨げられず改良区が使用できるべきものと私は考えておりますけれども、いかがでございましょうか。

川村政府参考人 お答えいたします。

 農業用水というのは、今先生の御質問の中にもございましたが、農業生産にとって非常に不可欠なものでございますし、また、それぞれの地域で、長い歴史の中で利用のルールとか管理のルールが定まって、築き上げられているものでございます。

 お尋ねの入鹿池につきましても、法定外公共物に係る国有財産の譲与手続に関するガイドライン、この中で、「その現実の利用状況を変更するものではない」と規定されていると承知しております。本件についても、このガイドラインに則して取り扱われるものと考えておるところでございます。

前田委員 現状の利用は妨げられないということを確認できました。ありがとうございます。

 次に、自治を所轄されます総務省に伺いたいと存じます。

 三位一体の改革と名のつくこの国有財産の移譲で、この三百七十年にわたる住民の自治が踏みにじられたら、これは大変なことだと思います。誤っていると思います。先ほど話が出ましたガイドラインにもありますように、現状の使用ができるように改良区の財産管理権、水利権が認められるべきものと考えますが、いかがでございますか。

今井副大臣 前田委員にお答えを申し上げます。

 ただいま農水省の方から見解が示されたわけでありますけれども、この日本一のため池、法定外公共物が今回その問題だと思いますけれども、市町村において機能の管理そして財産管理をともに行うことができるように、分権推進計画に基づいて法律の改正がなされたわけでございまして、国から市町村に譲与することができることとされたものでありますので、この場合、現実の利用状況は市町村への譲与によって変更されるものではない、こういうことでございますので、譲与を受けた市町村は、引き続き適切に管理がされるように、法定外公共物を実際に管理してきた地域の関係者、今お話しのように土地改良区の皆さんだと思いますけれども、意見調整を図ることが望ましいものと考えている次第であります。

前田委員 ありがとうございます。現状の使用ができれば、この改良区の皆さんは安心して暮らしていけると思います。

 次に、財務省に伺います。

 普通の公共物は、所在と受益が一致しているわけでありますね。例えば、東京にあります水路は東京都民が受益するわけでありますね。今回のこの日本一のため池、入鹿池は、所在は犬山市でありますけれども、受益は四つの市町村にわたっております。所在と受益が一致しない、法の不作為がそこにあると考えます。

 こうしたときのために先ほど来話がありますガイドラインがあるわけで、このガイドラインに現在の使用を維持するとありますから、改良区の財産管理権、水利権が以前同様に認められて、用水を使用できるものと考えますが、財務省はいかがでございますでしょうか。

田野瀬副大臣 若いころに何度か明治村へ行ったときに、たしか大きな池があったな、あれが入鹿池だったのかなと思い起こしながらちょっと答弁を考えてきたんですが、御指摘のように、財務省におきましても、法定外公共物の譲与は関係省庁が平成十二年一月に作成した法定外公共物に係る国有財産の譲与手続に関するガイドラインに基づいて行われておりまして、そのガイドラインでは、土地改良区が、事実上、法定外公共物の管理を行っている場合においては、「法定外公共物に係る国有財産の市町村への譲与は、法定外公共物の用に供されている土地の所有権を国から市町村に移転するものに過ぎず、その現実の利用状況を変更するものではない」、このように整理をいたしておるところでございます。

 御質問の入鹿池については所在する犬山市へ譲与することとなりますが、譲与後の具体的な管理等に関しては、所有者となる犬山市と土地改良区との間で十分調整をいただきたい、このように考えておるところでございます。

前田委員 副大臣、どうもありがとうございます。とにかく、この改良区の皆さんが以前と変わらず使えるということでございますので、ありがとうございます。

 次に、国土交通省に伺います。

 他省庁の見解にもありますように、この法定外公共物に係る国有財産の譲与手続に関するガイドラインのとおり、今までどおり、改良区が入鹿池を管理してきた実態を踏まえて、改良区が用水を使用できるべきだと考えますが、いかがでございましょうか。

岩崎大臣政務官 平成十年に閣議決定されました地方分権推進計画におきましては、現に公共の用に供されている法定外公共物については、市町村に譲与することとされております。これを受けまして改正されました国有財産特別措置法の第五条では、現に公共の用に供されている河川等または道路の法定外公共物については、市町村が河川等または道路の用に供するときには市町村に対し譲与することができる、こう規定されているところであります。

 したがいまして、譲与を受けた市町村において、公共の用に供することが前提とされて譲与されるものでありますから、お尋ねの土地改良区が現にため池、入鹿池を管理しているということでありますれば、国から市町村への譲与によってその現実の利用関係を変更するものでないということは当然のことと考えております。

前田委員 政務官、ありがとうございます。これは、三百七十年間の自治の歴史が今また守られたと思います。本当にありがとうございました。

 犬山市議会においては、何か特別委員会をつくって、ここの改良区あるいは入鹿池を自由にできるとか、それからこのかんがい用水を犬山市の市民の水に使うとか、いろいろな誤った解釈の議論がなされてきましたが、きょう、きちっと整理できたと思います。本当に、三百七十年の自治の歴史が、この入鹿池の自治の歴史が守れました。本日は本当にいい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 以上でございます。

細川委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三分開議

細川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 休憩前に引き続きまして、今度はNHK問題を取り上げさせていただきます。第一に、受信料の徴収の公平性について、また第二に、兼業規定にかかわる重大な事件が発生しておりますので、これについて伺いたいと思います。

 罪を憎んで人を憎まず。しかし、余りにも海老沢体制はずさんであると言わざるを得ません。昭和二十五年制定の放送法の上にあぐらをかいているわけでありますので、これは厳しく追及する必要がある、そう思います。

 まず初めに、病院のカードテレビ、プリペイド式テレビでも結構ですけれども、カードテレビについて伺いたいと思います。

 私の長女は心臓病を抱えていまして、生まれてから三歳まで日赤病院で暮らしておりました。そこで病の子と外界をつなぐものはテレビしかありません。カードテレビでありまして、そのカードが一週間のうちに何枚もなくなる。家内は途中でとめましたけれども、私はかわいそうだからつけていましたけれども、なぜこんなに高いのかと思っておりました。

 そしてまた、私の周辺の御婦人からも、もういいかげんにせなあかんよ、どうして病院のテレビはあんなに高いのと言われましたので、私も調べましたら、何と病院のカードテレビに受信料がかかっていた、この事実がわかりました。

 これはNHKに私が具体的に問い合わせをしました。そうしましたら、これは病院と業者とのことなのでわからないというようなそっけない回答が返ってきまして、自分のところが受信料を徴収しておるのに、わからないという回答は余りにもおかしいと思いますね。

 全国に病床が百六十三万床、これは厚生労働省に伺いました平成十五年十月現在の数字でございます。百六十三万床、そのうち、一般病床が九十二万床、療養病床、これは長期の入院の方ですけれども、三十四万床。つまり、百二十六万床がごく普通に病院に入院されている方の使われている病床数ですね。テレビのレンタル業者の大手の合計の数字を見ましても百万台。つまり、百二十六万床のベッドの数のうち百万台のテレビがあるわけですから、これはほとんど、どの病院、病室に行きましてもカードテレビはあるわけですよ。

 このカードテレビ、皆さん考えてみてください。病院での生活というのは家庭の生活の延長じゃありませんか。弱い人から、決まって取りやすいところからしか取らないというのは、これは間違っているのじゃありませんか。国民は怒りますよ。どうですか。いずれにしても、受信料を家庭でも払って病室でも払うということになりかねない、患者の負担を強いるようなこうした制度は、弱い者いじめそのものじゃありませんか。

 そもそもこの病室のプリペイド式テレビについて、受信料はいつから徴収しているのか、さらにまた、それまで徴収していなかった病室のテレビから突然受信料を徴収するに至った経緯をNHKに御説明いただきたい。

中山参考人 病室での受信契約についてお答え申し上げます。

 放送法三十二条で、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」というふうに定められておりまして、病室での設置されたテレビも受信設備に当たるということでございます。

 病室にテレビが設置してあれば、その設置した者が受信契約を負うわけで、病院それから貸しテレビ業者に受信契約をお願いしているということになります。

 また、入院患者の方が御自分でテレビを病室に持ち込んでいるという場合には、設置者は入院患者御本人になるわけですけれども、この場合は、病院は自宅と同一世帯に属する一つの住居とみなしておりまして、患者さんには契約はないということであります。

 それから、病院での受信契約の経緯について御説明を申し上げます。

 病院の病室に設置されたテレビについては、今申し上げましたように、放送法の中で受信設備というふうに決められて受信契約の対象ということになっているわけですけれども、NHKの受信料免除基準というものがありまして、自治体病院などの公的医療機関と、それから国立病院、国立療養所等については、実は、昭和五十三年三月三十一日まで受信料の支払いの全額免除の対象になっていました。

 こうした受信料の免除の見直しをしたらどうかというのが昭和五十年代にありまして、その中で、国会等でも、例えば参議院では昭和五十年以降四回、それから衆議院でも昭和五十年以降四回ほど、こういう免除措置を見直したらどうかというような決議をいただきました。そういう中で、NHKが免除対象の見直しをさせていただきました。

 そういう取り決めの中で、昭和五十三年に、関係者の理解や社会的な影響の程度を考慮させていただきながら、五十三年まで免除に当たっておりました公的医療機関等の免除措置を廃止させていただきまして、この時点から、例えば公的医療機関等の病室等でも受信契約をお願いするということになったわけでございます。

前田委員 今お話を伺っていても、どうも病院の中にも受信料を徴収するテレビと徴収していないテレビがある。その理由がはっきりと示されていない、そう思います。

 徴収員の皆さんが一生懸命徴収されているわけですね。こうした「プロジェクトX」の本を配ったり、これは千二百三十八円ですか、それに税がかかりますから、こんなのを配ったり、美術館の券を配ったり、それから大河ドラマのテレホンカードを配ったり、業者さんのところへそういうのを持っていって、たくさん病院から受信料を徴収している、病室から徴収している業者さんにはそういうものを販促グッズで配ったり、それも販促グッズも受信料から出ているわけですからね。そんなものを使わなくても、国民の皆さんに公平に納得して受信料を払っていただけるような仕組みをきちっとつくっていくべきだと思いますね。

 今、生活の延長線上での病室でのテレビの視聴、それと、今度はそうじゃないんだとおっしゃる徴収の根拠となる法律、さっきも少し三十二条の話をされましたけれども、受信規約等をきちんともう一度示していただきたいと思います。

 居住外においても、同一の世帯に属する一つの住居での契約と認められるケースもあるわけでございますので、それはまたどういった場合かも教えていただきたいと思います。

中山参考人 今申し上げましたように、徴収の根拠は放送法の三十二条でございます。テレビを設置した方が病院とか業者の場合は、病院とか業者の方に受信契約をお願いする。そして、患者の方が個人で持ってこられた場合には、当然ながら自宅で契約をされているわけですので、同一居住者の世帯に属するというふうにみなしておりまして受信契約はない。ですから、設置者が病院または貸しテレビ業者という場合に受信契約をお願いしているということでございます。

 それから、同一の世帯に属する一つの住居というふうにみなしているケースとしては、カーテレビなんかで、自家用として使われているカーテレビというようなものも受信契約の対象外ということになっております。

前田委員 今ちょうどお話が出ましたけれども、カーナビのテレビそれから携帯電話で見るテレビ、これには受信料がかかっていないんですよね。一方、病室でレンタルテレビ、カードテレビを借りてそれを見ると、受信料がそのカードの中に入っている、加算されている。これは一体どういうことですか。やはりもともとこれは受信料の徴収の公平性がここに失われているということを言わざるを得ません。

 特に、昭和二十五年、放送法制定当時、何軒かに一軒しかテレビがなくて、そこの居間に、お茶の間に何家族か集まってテレビを見る時代と変わってきているんですから、今までこのカードテレビとかカーナビとかこんな携帯電話とか、そういうことは想定されていなかったわけですからね。ですから、早くこの二十五年の放送法をさわってこなきゃいかぬかった。そうじゃありませんか。それなのにこれを放置してきたというのは明らかに怠慢じゃありませんか。

 皆さん、私が配りましたこの資料ですけれども、入院患者の絵がかいてあります。これを見ていただけますでしょうか。受信料徴収パンフですね。これは「NHKからのご案内」ということで、ちょっと薄くて見えないかもしれませんけれども、「病室内テレビの受信契約について」というタイトルが書いてあるところです。今、足に包帯を巻いて寝ているこの絵の人は、いわゆるカードテレビ、これには受信料がかかるんです、いいですか、下の二番のテレビを背負って持ってきている絵がありますけれども、この方は自宅から持ってきたんでこれはかからない。まあ、それはいいでしょう。

 問題は、売店でテレビを借りている、ちょっと言葉が小さいですけれども、見てください。まず、このけがをされた方が、「テレビを借りたいのですが…。」「病院にはありません。貸テレビ会社に取り次ぎます。」と言って取り次いでくるテレビと病室にレンタルで置いてあるテレビとどう違うんですか。両方とも借りてくるテレビじゃありませんか。片や、下の売店で借りてくるテレビには受信料がかかっていないですね。上の病室のカードテレビには受信料がかかっているんですよ。こういった不公正な徴収の仕方をしていてこれは多くの国民の皆さんが納得できますか。

 要は、病院で外界とのつながりがないからテレビを見ざるを得ない、そういう人たちから取れるだけ取ったれということじゃありませんか。どうですか。

中山参考人 今先生がお示しいただきましたパンフレットは、病院に御説明に上がったときに、先ほど申し上げましたような、病室での受信料制度について御説明申し上げる資料として使わせていただいたということで、何度も申し上げますように、放送法三十二条を受けて、病室での受信契約については、放送法三十二条は設置者と受信契約をしなさいということになっておりまして、私どもは、そういうことから、病室においても、病院が設置した場合には病院と契約をさせていただく、レンタル業者が設置した場合はレンタル業者に受信契約をさせていただく、そういう形で今運用させていただいているということで、例えば入院患者御本人がお持ちになるということについては、同一の住居とみなすということで、受信契約はないわけでございまして、そういうことで今運用をさせていただいているということでございます。

前田委員 病院で弱い人たちから取れるだけ取る、取りやすいから取る、まとまった数があるから取る、そういうことじゃありませんか。もう一度、どうですか。

中山参考人 私どもは、取りやすいところから取るということではなくて、受信料制度につきましては、公平負担ということで、さまざまな形で公平負担のことを視聴者の方々に御理解いただいた上で契約をいただいて受信料をお支払いいただいているということでございまして、特に病室だけ取りやすいから集中的にやっているとか、そういうことではなくて、いろいろなほかのところでもさまざまな公平負担のための受信契約、収納の努力をさせていただいているということを御理解いただきたいと思います。

前田委員 これは、現状としては、いろいろなことを言われましたけれども、確かに病室のレンタルテレビから大量に取られているわけで、それだけはやはり許せないと思いますね。

 さらに、どうして厚生労働省が圧力をかけなければいけないんですか。つまり、どういうことかといいますと、NHKは、市民病院には市側に言って、病院には厚生労働省に言って、圧力をかけて、このカードテレビの業者から受信料を徴収していた嫌いがあります。厚生労働省は一体どういう権限でこんな不公正な受信料徴収の一翼を担っておるわけですか。お答えください。

岩尾政府参考人 お答えいたします。

 国立病院におきます病室内のカードテレビでございますが、私どもの病院は、テレビの設置をカードテレビ業者に許可しております。受信契約や受信料の徴収については、業者とNHKの間で行われていると聞いております。したがいまして、厚生労働省からこの件について不当な圧力をかけたということはございません。

前田委員 実は平成九年に、一〇〇%受信料を徴収しようという厚生労働省通達が、指導通達があることを確認しました。これを私は出してくれと厚生労働省に言いましたら、拒否しましたよ。これはどういうことですか。やはりそうした文書があるんだったら、きちんと出していただきたい。

岩尾政府参考人 これまでに私ども、NHKテレビ放送受信料の取り扱いについてということで、昭和五十三年の七月とそれから平成十五年の三月に、それぞれ国立病院部経営指導課長あるいは当時の課長名で通知を出しておりますが、ちょっとそれ以外のものについてはまだわかりませんので、もしほかにもあるということであれば、事実確認をさせていただきます。

前田委員 これは重大な問題ですので、ぜひきちんと調査していただきたいと思います。弱い人からだけ徴収する、取りやすいから取る、こんな徴収の仕方だったら、国民は納得しません。これは法人の営業に関する、経営の根幹にかかわることだと思いますので、きちんと、こんな病院のカードテレビに受信料がかかっていて、それを尋ねてもいいかげんな答えしか返ってこないというような状況は一日も早く解消していただきたい。

 そうした受信料徴収の不公正さがある一方で、もう当たり前のように、税金のように受信料を国民から徴収していって、NHKは何をやっているんだということを一つ言いたいことがあります。これが第二の問題の兼職であります。NHKの正規職員の兼業に関する疑惑です。お尋ねしたい。

 皆さん、名刺のコピーがあります。これは、下の方の名刺、NHKの方、フランス人の方ですね、ロッド・マイヨール氏は、彼は正規職員ですか。

野島参考人 お答え申し上げます。

 正規の職員でございます。

前田委員 私も調査させていただきました。平成五年に入社されて、今、放送文化研究所におられる正規職員ですね。

 皆さん、上の名刺の方を見てください。ちょっと細かいですけれども、「有限会社百米映画社 プロデューサー ロッド マイヨール」、これは同一人物が使っている名刺であります。彼は、正規職員でありながら、有限会社のプロデューサーの名刺を持って回っている。これはどういうことですか。NHKの兼業の禁止規定を御説明いただきたい。

野島参考人 私ども、職員の就業規則の第十条に、上司の許可を得ないで事業を営み、または他の業務に携わってはならないというふうに規定してございます。ただ、実際に兼業を許可したケースとして、例えば大学の非常勤講師というのは例がございます。これは、公共放送の業務のノウハウを社会的に還元できるということでございまして、この場合、報酬を受け取ることは認めておりますが、あくまで業務に支障が出ないということが認可の前提でございます。

 それで、職員から願い出があった場合に、職員として業務を遂行する上で支障がないか、それから職場の秩序を乱すおそれがないか、それから公共放送の職員として適当かつふさわしいものであるかということといった条件を満たしまして、総合的に判断した上で問題がない場合にのみ上司が兼業を許可するということになってございます。

前田委員 彼は、ロッド・マイヨール氏は兼業の許可を得ているんですか、どうですか。

野島参考人 本人は現在どういうことをやっているかということをまず御説明申し上げたいと思うんですが、平成十五年にある人物、自主映画をつくっている人物に再会したわけですが、その人物が自主映画をつくるということで、それに協力するということでやっておるわけですが、その協力内容というのは、その人物が書いた台本に目を通すあるいはその映画の企画を知人に説明して回るとか、それから映画制作のための資金協力が得られそうな人を紹介するというようなことをやっているわけでございます。

 こうしたことはすべて、例えば夜間ですとか休日を使ってやっているわけでございまして、それから、ボランティアとして、そういう趣味的に映画に携わっているということは上司に報告しておりまして、上司の方も、ボランティア的にそういう趣味の映画にかかわっているということは承知しているわけでございます。

前田委員 私は、許可をしているかどうかと聞いているんですよ。どうですか。

野島参考人 私どもとしては、現段階で、本人がこれまでやってきたことについては、上司に報告しているということと、先ほど申し上げましたように、ボランティアとして趣味の範囲にとどまっている、それから業務に支障を来していないということで、まだ兼業というところにはいっていないというふうに判断しております。

前田委員 皆さん、この裏側を見てください。今その彼が有限会社でつくっている「スターフィッシュホテル」、資料三、「平成十六年度文化庁映画製作支援作品」。つまり文化庁の補助金を引き出しているわけですよ。それで、そのプロデューサー。この作品のこれはパンフレットですけれども、「プロデューサーのメッセージ」というところに彼の名前がそのまま出ているんですよ。そして資料五、「プロデューサー&プロデュース関係者」の費用として、予算計画書の中に五百万計上されています。

 つまり、映画をそんな片手間でつくれますか。それから五百万も、プロデューサー、プロデュース関係者の経費ということで予算計上していて、これは何ですか、兼業そのものでしょう。何か海老沢会長も二十年にわたって兼業していると言われていますし、NHK、むちゃくちゃじゃありませんか。準公務員でしょう。そういう方がこうした兼業をしていいんですか。有限会社の名刺を持って歩いて、やっていいんですか、どうですか。そんなのボランティアですか。

野島参考人 その名刺、プロデューサーという名刺を使ったことについては、これは非常に誤解を与えかねないということで注意したところでございます。ただ、自主映画が文化庁からそういう補助金、助成金をいただくというのは、これは一般的に自主映画の場合はあることでございます。

 それで、本人がプロデュース業務をやっているかということになりますと、今までやってきたことは先ほど御説明したとおりでございまして、本人は、この後そういうお金が集まって、本当に制作のめどが立つのは十二月になってからであると。そうしますと、その段階でどういうふうにその映画にかかわっていくのか、その段階で本人も上司に説明して許可を得たいということを申しておりますので、その段階で私ども、先ほど申し上げました職員の就業規則に照らし合わせて、厳正に判断したいというふうに考えております。

前田委員 そんな悠長なことを言っておれますか。国民からもう税金のように、当たり前のように受信料を徴収しておいて、それでこんな兼業をされていてはたまりませんよ。受信料をもう皆さん払わなくなりますよ。

 それで、この文化庁の補助金も、私は関係者に聞きましたけれども、できて二年目で、大変おいしい補助金だと。なぜならば、応募が二十件で、そのうち十一件が通るといった補助金です。これは、彼がかかわったことによって、まじめにこうした映画をつくられている方が迷惑しますよ。

 ですから、これはもう一日も早くきちんと調査されて、今までのNHK不祥事は過去のものばかりでした、これは現在進行形の不祥事ですから、きちんと対処をすぐにされる、どうですか。約束してくださいよ。

野島参考人 本人はこれについて、先ほどから申し上げますように、プロデュース業務をやって報酬を得ているということもございません。むしろ本人は、この自主映画をつくるために、資金が足りなければ自分でカンパするということでございますので、そういう兼業で今働いているということではないだろうと判断しております。

前田委員 でも、実際に有限会社の名刺を持って配っているわけでしょう。これが証拠ですよ。何の疑いもないことじゃありませんか。これはNHKとしてきちんと対応されることを要望いたします。

 最後に、もう時間が来ましたので、今まで、こうした国民から当たり前のようにして取っていく受信料、それできちんとNHKのいい番組をつくっていただきたい、これが国民の願いですよ。それにもかかわらず、こんな兼業や、こんなものばかり出てくる。これは海老沢会長がきちんと会見で説明されるべきですよ。それを要望しまして、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

細川委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。民主党の長妻昭でございます。

 監修料の問題を取り上げさせていただこうと思っておりまして、こういう質疑のために事前に質問主意書というものを、これは立法府から内閣に送られる文書による質問状でございますけれども、私もいわゆる監修料に関する質問主意書というのを出しましたところ、自民党によって内閣に送るのをストップされた、こういう私も初めての経験をいたしまして、本当に言論封殺を自民党はやっているということで、私は本当に怒りにたえないわけでございます。

 この監修料に関する質問主意書は、データの部分の要求を削れば送ってやる、こういうようなことでありましたけれども、これまでもデータの部分が補足的にあるものも送られていますし、前代未聞であるというふうに言わざるを得ません。

 質問主意書は内閣の意見を聞くのを主な目的にしておりますけれども、その裏づけのデータというのも要求するのは当然でございます。それを要求するなということで、本当に、大本営に逆戻りを日本はしていくんじゃないかと、これは大げさでなくて、そういうふうに危惧をしております。

 そして、十一月の八日に本来内閣に転送される予定の私の質問主意書が、今もまだ内閣に送られていない。そして、月曜日と水曜日に毎週送られるんですけれども、もう四回見送られているということでございまして、ぜひこのままきちっと通していただくということを強く申し上げます。

 そしてまた、もう一つその件で、本日、委員の皆様に資料をお配りいたしておりますけれども、多分、この表紙というか、三ページから始まっていると思うんですが、これは実は、初めの一、二ページにストップされた私の質問主意書のコピーを添付していたところ、自民党の方によってこれを取り外せということで取り外されておりまして、本当にどうなっているんだと。

 自民党というのは、昔の自民党はもっと広い心を持っていたんじゃないのか、何でお役人が嫌がる質問を自民党がブロックするのか、自民党はお役人の用心棒にいつからなったんだ、こういうふうに申し上げたいわけでございます。

 そして、質問に入りますけれども、この三ページから申し上げますけれども、この監修料というのが厚生労働省、社会保険庁、問題になって、十月の二十二日に発表があり、過去五年間で職員が十億円の監修料をもらっていた、こういう問題が指摘をされた。そして、厚生労働省としては、補助金絡みの図書あるいは総出版数の半分以上を購入している図書、これに関しては、監修料あるいは校閲料というような、どんな名目であっても今後自粛してはどうか、こういうような措置を打ち出し、全職員を調査されたというふうに聞いております。

 そこで、私、全省庁にこういう問いかけをしました。補助金絡みあるいは全書籍の出版数のうち半分以上をその省庁が買っている、これらの書籍に関して、監修料や原稿料など、そういうものを職員がもらっているケースを全部教えてください、こういう問い合わせをいたしましたところ、全省庁に問い合わせいたしましたが、五省庁から、ありますという回答がございました。

 その資料が三ページ以降にございますけれども、これは残念ながら、今の国家公務員倫理法に基づく申請というのは課長補佐以上に限定されておりますので、今回回答をいただいたケースも、厚生労働省のように全職員を調べたのではなくて、課長補佐以上に限定した資料として私に返ってきた、公開資料を集計したということでございます。

 この三ページ、今から五省庁、ちょっと説明いたしますけれども、その後に、五省庁の局長さんに来ていただいていると思いますので、五省庁続けて御答弁をいただこうと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 三ページには、農林水産省、補助金絡みのお金が出ている書籍、「のびゆく農業」という書籍でございますが、これは、書籍の作成を含む補助金が六千四百万円出ている。これは財団法人農政調査委員会というところに出ております。

 そして、二人の方が十五万九千円の報酬、原稿料を受けている。これはあくまで、先ほど申し上げましたように、課長補佐以上だけの数字が各省庁出てきた。

 補足いたしますと、厚生労働省は、今回問題になったケースで平成十五年に限りますと、課長補佐以上の方というのは一人ももらっていないということで、これは倫理法逃れとでも言っていいと私は思うんですが、係長以下が平成十五年に限っては全員だったと。ですから、もしこれと同じ調査を厚生労働省に聞いたとすれば、課長補佐以上に限定したら、全くありません、こういう答えが返ってくるはずでありますけれども、それを申し添えておきますが、農水省はこの補助金絡みの本が課長補佐以上でも一件であった。

 そして、総出版物の半分以上を購入したというケースでは、林野庁がこの「森」という季刊誌、五千二百部発行のうち四千部を五百万円で買っている。そして、月刊誌の「林野時報」というもの、四千五百部毎月発行しておりますが、二千五百部を買っている。これは一千二百万円、年間買っている。それぞれ、「森」の方は一人、五千五百円の報酬をもらっている、「林野時報」は六名が七万二千円の報酬をもらっている。

 そして、四ページ目でございますが、こちらは外務省でございますが、外務省では、下にあります「外交フォーラム」英語版、五ページにもございますが、これを総発行数七千二百部のうち六千五百部を購入している。年四回、毎回四百万円で購入、これも随意契約で、これから読み上げるのは全部随意契約でございますが、購入をしている。報酬は四人が十四万円もらっている。

 そして、六ページは総務省でございますが、総務省は財団法人日本統計協会というところが発行している月刊誌「統計」というものでございますが、これは発行部数が平成十五年四月から九月まで六カ月で三千百五十部、総務省購入部数が同じ期間で二千八十九部、購入金額が一カ月で百十万円ということで、随意契約でございまして、これは課長補佐以上に限定いたしますと、五万六千円、一名がもらっている。

 そして、七ページ、八ページが法務省でございますけれども、こちらは財団法人矯正協会というところが発行しております。八ページにもございますが、随意契約である。この「人」というタブロイド紙は、発行部数が二万七千三百八十七部、このすべてを法務省が購入している、全部買い上げている、随意契約。「わこうど」というのも、三千九百六十九部発行しておりますけれども、全部買い上げている、毎月ですね。そして、「人」の場合は職員二人が合計二万四千円の謝礼、「わこうど」は二人が二万四千円の謝礼ということで、こういうものは、半分以上購入しているとか補助金絡みというのは、これは仕事の一環じゃないかと思いますね。原稿料を本当にもらっていいんでしょうか。

 九ページ目、十ページ目は防衛庁でございますけれども、これは財団法人防衛弘済会というところが出版しております「セキュリタリアン」。私も読まさせていただいておりますが、これが随意契約で一万六千五百五十部発行、一カ月ですね、それを防衛庁が一万二千九百六十七部買っている。購入金額総額が五百四十万円ということで、随意契約。十一人の職員が十六万四千円をもらっているということでございます。

 以上でございますが、あくまでも、私が申し上げたのは、皆さんが出していただけないので、出せるのは課長補佐以上だということで出てきた資料だけを読み上げて、繰り返しになりますけれども、厚生労働省は同じ基準だと全くゼロになります。その意味では、課長補佐以下の職員の方もきちっと調べていただくと、かなり多くの方が該当して、厚生労働省のような問題にもつながっていくのではないのかと私は考えているわけであります。

 そして、今申し上げた五省庁の順番で簡潔にお一人ずつ御答弁いただきたいのでございますが、まず、今のような原稿料の受領というのは問題があるのかないのか、どういう認識なのかというのが一点と、二点目は、では、課長補佐以上だけれども、全職員に広げて調査をするかしないか、この二点だけを簡潔にお願いをいたします。初めの省庁からお願いをいたします。

小林(芳)政府参考人 農林水産省からお答えいたします。

 私どもの監修料、原稿料などの扱いでございますが、監修料につきましては、平成十一年から私どもの対応方針としましてこれは受け取らないという扱いでございますが、一方で、原稿料につきましては、これは職員が報酬を受けて公務外で書籍等の原稿を執筆するということでございまして、これにつきましては、国家公務員法なり国家公務員倫理法等の法令に反しない限り、職務専念義務などの服務規律の保持とかあるいは職務の公正な執行の確保との関係で問題が生じることはないというふうに考えております。

 それから、お尋ねのございました二点目の点でございますが、こういった形で、国家公務員倫理法の扱いでも、本省課長補佐級以上の職員については、一件について五千円を超える原稿料を取った場合には御承知のとおり贈与等の報告義務がございますが、係長以下の職員については、法律上この義務は課されておりません。

 したがいまして、私ども当省としても、こういったことを把握する立場ではなく、係長以下の職員を調査することは考えていないということでございますので、御了解いただきたいと思います。

北島政府参考人 委員が御承知のとおり、「外交フォーラム」につきましては、外務省の関係者が記述する場合には署名入りで記述することが多いということで、結果的には幹部クラスが書いていることが多いということがございます。

 お尋ねの点について御説明したいと思いますけれども、一般に職員が公務外で書籍等の原稿を執筆して報酬を受けることは、職務専念義務などの服務規律の保持や職務の公正な執行の確保等との関係で問題が生じるものとは考えておりません。

 それから、調査の範囲でございますけれども、外務省職員が事業者より原稿料を受領する場合に、それらは公務外で行われていることから、外務省としてそのすべての事例を把握する立場にはございません。

 したがいまして、委員からの調査依頼につきましては、国家公務員倫理法に基づいて原稿料等の受領につき贈与等報告書が提出された事例について調査をして回答させていただいたということで、この調査以上の調査を行うことは考えておりません。

平井政府参考人 総務省でございます。御質問にお答えいたします。

 先生御指摘の雑誌「統計」でございますが、この雑誌は、最新の統計に関する知識、技術の紹介記事、統計に関する研究論文等を内容といたしておりまして、都道府県、市町村の職員を含む統計職員に配付させていただいておるものでございます。

 本執筆の職員につきましては、勤務時間外において労働の対価として受領し、また適正に報告処理いたしておりまして、特に問題がないというふうに考えております。

 それからもう一点、課長補佐級ということでございますが、それ以下の職員につきましては贈与等報告の対象にならないということでございまして、法律上義務づけられたものではございませんので、我々としては把握する立場にもございませんし、把握しておりません。

 以上でございます。

小津政府参考人 委員御指摘の法務省の事例でございますけれども、これは、刑務所や少年院等の被収容者を読者対象といたしまして、出所後の職業や更生保護等に関する情報を提供するものでございます。八ページから成るコンパクトな月刊のタブロイド紙でございます。同紙は、部外の有識者等が執筆した原稿によりまして大半が構成されておりますけれども、ごく一部、法務省職員が執筆した施設の紹介記事等が含まれております。

 その原稿料につきまして、従来は、その原稿料が社会通念上批判を招くことがないかという観点、あるいは法令上問題がないかという観点から考えまして問題はないと考えてきたわけでございますけれども、改めて検討いたしましたところ、これは一般の原稿の執筆とは大変性質を異にいたしておりまして、矯正施設の被収容者が読む教材とでもいうべきものでありまして、そのようなものについて、たとえわずかであっても法務省の職員が報酬を受け取るという行為は社会の御批判を招きかねないではないかと考えまして、今後は、このタブロイド紙につきましては、原稿料を一切受け取らないように指導してまいりたいと考えているところでございます。

 次に、係長以下の職員の報酬の受領につきましては、その報告を法律上義務づけられたものではございませんので、当省として把握する立場にございませんで、また今後調査を行う予定はございません。

 以上でございます。

北原政府参考人 先生から御指摘をいただきました「セキュリタリアン」でございます。先生も御愛読いただいておりますが、ありがとうございます。

 この雑誌は、御承知のように、私どもの外郭団体であります財団法人の防衛弘済会が編集、発行しております月刊誌でございまして、防衛問題の情報誌であります。私ども、この雑誌、防衛庁・自衛隊の広報に大変有効な印刷物である、そのように判断しておりまして、先ほど御提出した資料のとおり、防衛庁といたしましても、これを買い上げ、また部内外に配付をいたしまして、広報の役に立てているところでございます。

 それで、先生御指摘の執筆等でございますけれども、まず、私たち防衛庁職員が報酬を得まして書籍等の執筆などを行うということにつきましては、一般にこれは公務外で行われるものでございまして、防衛庁といたしまして、そのすべての事例につきまして掌握をする立場にはないところでございます。

 他方におきまして、先生御指摘いただきましたが、倫理法、これは、防衛庁の場合は自衛隊員倫理法になりますが、ここに規定しております部員級以上の自衛隊員につきましては、同法の規定によりまして、五千円を超える報酬の支払いを受けた場合には、これは贈与等報告書の提出が義務づけられているところでございまして、これはすべて防衛庁として把握をしております。したがいまして、それに基づきまして御報告を申し上げたところであります。

 それから、最後に、先生お尋ねのすべての職員を対象とした調査云々ということでございますが、今申しましたように、当該の執筆等は一般に公務外で行われているものでございます。したがいまして、職務専念義務などのいわゆる服務規律の保持やあるいは職務の公正な執行の確保といった点で問題が生じるものではございません。

 こうしたことから、私どもといたしましては、防衛庁として把握すべき立場にはないと考えておりまして、調査につきましてはこれを行うことは考えていないところでございます。

長妻委員 ありがとうございました。

 ほとんどゼロ回答に近いんですが、法務省さんが原稿料をもうやめるというふうにお話しいただいて、そうすると、そういうものが、まだ背景に課長補佐さん以上じゃない以下の方にいろいろあるんではないのかと、どなたも調査するとは言われませんでしたけれども。

 そこで、きょう、花尻国家公務員倫理審査会会長にお出ましいただいているんですが、会長、これは、調査、事実確認を求めていただきたいと思うんですが、いかがですか。

花尻政府参考人 倫理審査会として発言するのは、各省庁の判断だと思いますので、倫理審査会としてこうするという発言はちょっとできないかと思います。

 といいますのは、法律にそういう規定がございませんので……(長妻委員「厚生省はやるんです、厚生労働省は事実確認を」と呼ぶ)はい。ですから、それは、各省の任命権者がその意思でおやりになるのは非常に結構なことだと思います。(長妻委員「そちらから確認してください、厚生省に」と呼ぶ)厚生省に……(長妻委員「厚生省に事実確認」と呼ぶ)

細川委員長 ちょっと、手を挙げて発言してください。

長妻委員 ちょっと、そういう弱腰では役割を果たせないと思うんですね。

 それで、花尻会長の国家公務員倫理審査会では、厚生労働省及び社会保険庁に対しては、ちゃんと調査しろということで調査を求めているわけですよ、おかしい、もっとちゃんと出せと。

 十一ページに、事前にいただいた資料がございますけれども、これをちょっと読み上げていただけますか。

花尻政府参考人 「本件監修料問題については、国家公務員」……(長妻委員「そちらがつくっていただいた、上から」と呼ぶ)上からですか。

  監修料問題に関して国家公務員倫理審査会が厚生労働省及び社会保険庁に対して求めている調査の内容について

  本件監修料問題については、国家公務員倫理審査会としては、国家公務員の職務に係る倫理の保持上、極めて重大な問題であると認識している。

  このため、現在、厚生労働省及び社会保険庁に対して、倫理法、倫理規程で規定されている、

   利害関係者から金銭の贈与を受けることの禁止

   利害関係者からの依頼による監修等を行う場合に倫理監督官の承認を得る義務

   報酬を受けた職員が課長補佐級以上で、その報酬の額が五千円を超えるときには、贈与等報告書を提出する義務

   通常一般の社交の程度を超えて財産上の供与を受けることの禁止

 などの点に着眼して、事案の全容解明を求めているところである。

長妻委員 今読み上げたことは、これは事前にいただいたそちらからの資料ですけれども、会長も、これで間違いないということでよろしいですね。

花尻政府参考人 はい。私ども、極めて重大な事案だと考えております。

 それで、一般国民の中にも、役所というのは一体どうなっているんだというような声も少なくないと思うんです。ですから、私どもは、国民の目線に立って、国家公務員倫理の観点から本件監修料問題の全容について真相を解明して、今後、国民からそういう声が起こらないようにしてまいりたいと思っております。

長妻委員 いいお話を今いただきまして、それを、ほかの省庁、五省庁、とりあえずは広げていただきたいというのを私から強く要望を申し上げます。

 そして、例えば、こういうのが、これは社会保険庁ですけれども、一ページに換算すると六万円なんですね、監修料の報酬が。毎年同じのを出しているわけで、そういう意味では、本当に適正なのかどうか。監修料という名目だけれども、労働の対価として、勤務時間外、アルバイトとしているというふうに御主張ですけれども、そうでないとすれば、またさらに今会長が言われたような問題も起こってまいりますので。

 そして、この資料の十六ページには、社会保険庁の経理課の職員が監修料を受け取ったという事例がございます。平成十五年では四冊ございまして、出版社は全国社会保険協会連合会とか、NTTデータシステムサービス広報出版部とか、経理課職員というのは、ある意味では契約をするところでありますので、相手は利害関係が多いわけで、これだけリストが出てきておりますので、ぜひこれもきちっと見ていただきたいというふうに思います。

 それと、勤務時間外に作業をしている、こういうような御主張を社会保険庁はされているんですが、私が聞くところによると、職場でも勤務時間外、こういう概念があるという、民間の私では考えられないようなことなんですが、きょうは村瀬長官来られていると思うんですが、どうなんですか、勤務時間外という概念は、職場で作業をしても、勤務時間外というケースが昼休み以外あるのかどうか、お答え願います。

村瀬政府参考人 ただいまの御質問にお答えさせていただきます。

 まず、実際、どの時間帯でやっているかということでございますけれども、先ほどお話ありましたように、昼休みの時間であるとか、それから後、就業が終わった後、残りまして、監修料の絡みの仕事をしているということが職場であったという事実は確認をしております。

長妻委員 ちょっと、村瀬長官も民間におられて、私も民間のサラリーマン経験がありますけれども、職場で残って、残業が終わって、それで職場で作業していたら、これはまずいでしょう。

村瀬政府参考人 基本的には好ましくないというふうに考えております。ただし、事実としては、時間管理外であるということも事実だというふうにお考えいただけたらと思います。

長妻委員 全く容認できませんね。時間管理外といっても、残業は、その時間を決めて残業を指示することもありますけれども、時間を決めないで口頭で残業を指示することもありますので、そういう常識外れのことを民間から来られた長官は是正をする立場なのに、それを是認しちゃだめですよ。それはおかしいから調査するということをぜひ言明ください。勤務時間内ですよ、それは。

村瀬政府参考人 監修料問題につきましては、厚生労働省としまして……(長妻委員「逃げちゃだめですよ」と呼ぶ)逃げていません。ちょっと聞いてください、済みません。推進チームにおきまして、今後、具体的に、監修料を受け取るものは何なのかという、細かく決めておりまして、規定をしてございます。したがいまして、その中でしっかりやらせていただけたらというふうに考えております。

長妻委員 それと、カワグチ技研の話、先ほど中根議員からも質問がありましたけれども、これは、会計検査院の、この十二ページにございますけれども、指摘の資料でも、不当だ、契約が不当だというふうに、きちっと十二、十三ページ、書いていただいているわけで、これはぜひ予責法に基づいてお金を弁償してもらう、そういうことをぜひ会計検査院やっていただきたいと思うのでございますけれども、それを国会法百五条に基づいて、委員会として会計検査院に、弁償させるというのを要請していただくということを、ぜひ、委員長、御検討いただきたいと思います。

細川委員長 後日、理事会で協議をいたします。

長妻委員 そして、市場化テストの問題をお尋ねいたしますけれども、この資料の十四ページにございます。非常にいいことだと思います。市場化テストを内閣府が考えられて、来年度から始めるということで、これは、役所の中で、民間から見てこういう仕事を我々はできるよ、やらせてくださいというようなものを公募で募ったということでございますけれども、一番希望者が多かったケースとその内容というのを簡潔に御説明いただきたいと思います。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 規制改革・民間開放推進会議におきましては、官業の民間開放の議論に取り組んでおりまして、この中で、来年度から実施する予定の市場化テストのモデル事業につきまして、現在まだ途中でございますけれども、民間からの御提案をお願いしているところでございます。

 現在までのところでございますけれども、民間からの提案といたしましては、社会保険庁関係の業務あるいはハローワーク関係の業務につきまして、多数の御提案をいただいているところでございます。

長妻委員 資料をいただきましたけれども、一番人気が、社会保険庁関係をやらしてくれと。社会保険庁、こういうところでは一番人気があるわけですよ、村瀬長官。

 ところが、きのうちょっと社会保険庁の課長さんとお話ししたら、いや、こういう市場化テストはうちはやりたくないということを言われているんですけれども、こういう市場化テスト、例えば、社会保険事務所の一つか二つを民間に任せる。全部、丸ごと任せてほしいという希望が来ていまして、それを任せてあげて、それは勉強になると思いますよ、社会保険庁としても参考になると思いますので、ぜひ前向きに考えるというのを村瀬長官から一言ぜひ言っていただきたいと思うんです。

村瀬政府参考人 現在、社会保険庁の改革の中で、民間企業の活用並びに外部への委託の拡大について積極的に考えておりまして、有識者会議等におきましても議論をしていただいているところでございます。

 今回、規制改革会議の問題の中で、具体的に何をされたいかという要請が来ておりまして、例えば国民年金の収納の問題で一つ言いますと、個人的な問題点もあるのではないか、クリアしなきゃいかぬ部分があるのではないかと。

 例えば、具体的には何かといいますと、平成十六年十月から、市町村の所得情報の開示に基づきまして、具体的な免除対策であるとか収納対策を打とうとしてございます。こういうものが十七年度からデータ交換をされる場合、ちょっと聞いてください。(長妻委員「時間がない、時間がない」と呼ぶ)十七年度以降、データ交換をされる関係で、そういう部分が果たして民間の企業さんに開放していいかどうかというのは、やはり国民の納得感の問題、それから公権力による強制徴収の問題、これが民間でいいのかどうか、ここをよくクリアした上でやらせていただけたら、こんな形で考えております。

細川委員長 時間が来ておりますから。

長妻委員 時間が参りましたので、最後に一問だけですけれども、今のお話だと、せっかく民間長官が来て、こういうモデル事業、非常に何かお役所の代弁者みたいなお話があってがっかりするんですが、ぜひ前向きに御検討いただきたい。

 最後に、厚生労働省副大臣、お出ましいただきましたので、この監修料、再調査をすると、昨日、厚生労働大臣が言われましたけれども、これは、例えば、経理課が吸い上げて各課に監修料を分配したというようなマスコミ報道もありますけれども、こういうものも含めて調査するのか、具体的に何を再調査するのか、一言お願いします。

西副大臣 長妻先生御指摘のように、先般、監修料、私どもは精いっぱい調査をさせていただきました。しかし、残念ながら、その後、若干、新聞報道にもございますように、監修料の取り扱いについて、具体的かつ詳細な事実が新聞で発表されました。そのことを受けて、やはりこのことについて、もう一度、我々として正確なことを確認しなければならないというふうに思っておりまして、その意味で、追加的な調査をやらせていただくというふうに考えているところでございます。

 既に現在、社会保険庁において事実関係調査に入っているところでございます。できるだけ早く、このことについては皆さん方に公表させていただきたい、こう思っております。

長妻委員 どうもありがとうございました。

細川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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