衆議院

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第7号 平成18年6月12日(月曜日)

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平成十八年六月十二日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 筒井 信隆君

   理事 伊藤 達也君 理事 北村 誠吾君

   理事 柴山 昌彦君 理事 平田 耕一君

   理事 吉田六左エ門君 理事 前田 雄吉君

   理事 松本  龍君 理事 斉藤 鉄夫君

      あかま二郎君    赤池 誠章君

      今津  寛君    大野 松茂君

      坂井  学君    杉村 太蔵君

      鈴木 馨祐君    土屋 正忠君

      冨岡  勉君    永岡 桂子君

      広津 素子君    藤井 勇治君

      やまぎわ大志郎君    矢野 隆司君

      若宮 健嗣君    池田 元久君

      太田 和美君    岡田 克也君

      菅  直人君    玄葉光一郎君

      田名部匡代君    福田 昭夫君

      松本 剛明君    佐藤 茂樹君

      東  順治君    亀井 久興君

      鈴木 宗男君    古屋 圭司君

      保坂  武君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         竹中 平蔵君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)     中馬 弘毅君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   松田 岩夫君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   財務副大臣        竹本 直一君

   会計検査院長       大塚 宗春君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   会計検査院事務総局第四局長            帆刈 信一君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  中島 正治君

   決算行政監視委員会専門員 藤野  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

  中山 泰秀君     やまぎわ大志郎君

  西本 勝子君     永岡 桂子君

  安井潤一郎君     杉村 太蔵君

  金田 誠一君     菅  直人君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

  杉村 太蔵君     安井潤一郎君

  永岡 桂子君     西本 勝子君

  やまぎわ大志郎君   中山 泰秀君

  菅  直人君     金田 誠一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成十六年度一般会計歳入歳出決算

 平成十六年度特別会計歳入歳出決算

 平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十六年度政府関係機関決算書

 平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより会議を開きます。

 平成十六年度決算外二件を一括して議題といたします。

 本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省領事局長谷崎泰明君及び厚生労働省健康局長中島正治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、総理に伺います。

 総理は今通常国会を延長しない方針を示され、教育基本法の改正、憲法改正国民投票法案の審議など重要案件が軒並み先送りになりました。一方、この秋に実施される自民党総裁選に総理は立候補されない旨明言しておられますので、これらはすべて次の政権に引き継がれるわけです。

 総理は、ポスト小泉、あなたの後継者に何を期待しておられるのですか。何を託したいと思っていらっしゃるんですか。

小泉内閣総理大臣 まず、私は、九月で任期が切れますから、それまでは総裁として、また内閣総理大臣としての職責を果たすべく全力を尽くしていく。そういう中で、今国会、今月の十八日で会期末を迎えます。皆さんの御協力のおかげによって、かなりの法案も成立を見ました。

 今御指摘の、教育基本法改正案また国民投票法案、あるいは防衛省昇格の法案、これは、本来与党と野党第一党が対立すべき法案でないと思っています。決して先送りするということではなくて、これを審議していただき、次の総理・総裁がこれを成立させることによって、与野党共通の国家の基本問題についての認識ができればよし、成立すれば実績にもなる。改革に終わりはないし、総理大臣の仕事はだれがやっても困難であり、懸案は山積しております。これはどの時代にも共通しております。

 そういうことを考えますと、総合的に考えて、今国会延長せずに、自由民主党も総裁選挙が行われる、野党第一党の民主党も代表選挙が行われる、お互い、夏休みに入りますから、時には頭静かに国家の将来をかくあるべしと考えるのもいいのではないかと思います。

柴山委員 与野党一体として改革に邁進をしなければいけない、まさしく、重い課題、次期政権に課された一つのノルマではないかと思っております。

 そこで、次にノルマの問題についてお伺いします。

 今、多くの社会保険事務局で行われていた国民年金保険料の不正免除問題で、これは、村瀬社保庁長官が保険料の納付率を六割台から八〇%に回復させるというノルマを設定したことが原因だという声があります。顧みれば、昨年四月に発生したJR福知山線の脱線事故でも、日勤教育の名のもとに運転士に課されたノルマが大惨事を招いたと言われています。また、最近の耐震偽装問題でも、事業者が建築士に鉄筋の量に関して厳しいノルマを課したことがああいった構造計算書の偽装を呼んだとされているわけですね。

 このように、ノルマを掲げることに疑問の声が上がっていることについて、総理はどのようにお感じになりますか。

小泉内閣総理大臣 ノルマという言葉がいいかどうか、それはともかく、目標というものを掲げるということは、どの世界においても必要だと思います。

 その目標なりノルマが達成可能であるか、実現可能であるかということを考えるのは、ノルマ設定、目標設定においても重要なことだと思っております。それが不可能なノルマなり目標を掲げて、これを達成しろ達成しろと言ってしりをたたくのがいいのかどうか。それを受けた人たち、また指導者の、ふだんの性格なり人柄なり指導力にも影響があるんだと思います。

 いずれにしても、一定のノルマなり目標を掲げるのは悪いことではないと思っております。

柴山委員 今御指摘のとおり、ノルマの設定自体は決して悪くないけれども、ノルマの設定の段階で、あるいは実施の段階で、法令遵守、いわゆるコンプライアンスを意識することですとか、問題行為をチェックできる体制、ガバナンスを確立することですとか、あるいは今御指摘のように、常にノルマや業務の見直し、評価を行っていくこと、そういうことが大切だと思うわけです。まさしく業務の中身、質の確保が重要だということだと思います。

 今通常国会で行政改革推進法が成立しましたけれども、国家公務員を五年間で五%以上純減させるとか、原則二年後までに政策金融機関を一元化して貸付金残高をGDP比で半減させるとか、特別会計の統廃合によって五年間で二十兆円の財政健全化を図るといった内容は、いわば量の改革なんですね。ノルマの発想なんです。これはこれで、今おっしゃったように、よいことですし、わかりやすいと思うんですけれども、今後は、今申し上げた質の改革が求められるのではないでしょうか。予算を削りながら、どのようにサービスの効率を上げていくかという戦略の立案や、今やっている政策が本当に効果を上げているかという評価を充実させていくことが大切だと思っております。

 竹中総務大臣に、こうした質の改革についての取り組みについて、簡潔にお答えいただければと思います。

竹中国務大臣 委員がおっしゃいますように、例えば経費の削減とか、まさに法律を遵守しながらしっかりとそうしたことに取り組む、そういう個々の公務員の気持ち、モチベーションをしっかりと持ってもらうということに尽きると思っております。

 結局のところ、このためにやらなきゃいけないこと、人事政策上はたくさんあると思いますが、一つの大きな問題は人事評価であると思います。そういう人事評価の制度をしっかりとつくっていく。簡単に言うと能力主義、実績主義ということではありますが、その中に、今おっしゃった質を取り込んでいくということだと思います。

 今、そういう意味で、人事評価の第一次試行を行っているところでございます。その試行を行った結果、いろいろな結果が出てくると思います。ここを変えなければいけない、そういうことをしっかりと織り込みながら第二次の試行もやりまして、新しい人事における評価システム、それを確立していきたいというふうに考えております。

柴山委員 今は個別の公務員の人事評価制度についてお答えをいただいたわけですけれども、今総務省の方では政策評価のあり方についても検討を重ねられていると聞きますので、その点についてもできればお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 最近よく使われる言葉で、プラン・ドゥー・チェック・アクション、PDCAという言葉があります。これは民間企業だったらどこでもやっていることだと思います。成果目標を立てて、しっかりと実行して、それを評価する。その評価について、政策の面でも行わなければいけない。そのために政策評価法が定められています。

 ちょうど先般、十七年度の政策評価の実施状況等について国会に我々も報告を行ったところでございまして、これによりますと、政府全体で毎年約一万件の政策評価が行われています。その政策評価に基づいて、例えば、例として申し上げますが、公共事業については、平成十四年から十七年度の四年間で総事業費として約三・二兆円規模の事業が廃止、休止、中止されたということになっております。これはいろいろな面でそういうのが出ております。

 ただ、これは国民にもっと知っていただかなければいけない、その点が実は大変重要だと思います。総務大臣になりましてから、この重要な仕事をやっているんだからもっと国民に知ってもらおう、そのための努力を重ねておりますが、さらにそういう努力を進めていかせていただいて、また、その成果を国会でもしっかりと御審議を賜りたいというふうに思っております。

柴山委員 今おっしゃった評価の充実に加えて、行政サービスの利用者の不服を独立した機関が迅速、公平かつ専門的に判断する準司法手続の拡充も有効だということを、あわせて申し上げさせていただきたいと思っております。

 現行の国への不服申し立て制度では、二〇〇二年度一万七千六百件のうち、不服申し立てが結局認められたのはわずか一八%、そして、結論まで六カ月以上かかった事例は三五%に上っているわけです。こうした実態をどのように改善するかということも大変重要な課題ではないかと思っておりますので、御検討をよろしくお願い申し上げます。

 先ほど、公務員の人事評価制度について御説明をいただきました。能力主義というようなお話がございました。質の改革の一環として、それでは、逆に、同じ業績をより少ない経費で実行したことが報われる仕組みは御検討されていますか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、全体の中でやはり成果目標をしっかりと立てるということなんだと思います。成果目標というのは、要するに、この政策をやることが目的なのではなくて、政策を行った結果どういうよいことがあるのか。例えば事業でありましたら、ここの混雑率がこれだけ改善するとか、何かの雇用率がこれだけ上がるとかその目標を設定して、それをやる執行はできるだけ自由にやっていただく。そうすることによって、実は経費削減の、先ほど申し上げた一種のモチベーションなんかも出てくるわけでございます。結局のところ、政策のいろいろなところに、先ほど申し上げましたようなPDCAのサイクルをしっかりと取り入れていく、それが基本であると思います。

 そのためのモデル事業等々をこの三年間もいろいろやってまいりました。そういうことを拡充していくこと、そしてその中に、私が先ほど申し上げました公務員のそれぞれの経費削減に対する動機づけ、モチベーションをしっかりと取り込んで、その人事評価を適切に行っていくこと、これが必要ではないかと思っております。

柴山委員 個々の公務員の能率に関する創意工夫を大切にする、あるいは、経費節減についてモチベーションを図る仕組みを検討していくという御説明だったわけですけれども、大変難しいことだと思っております。

 と申しますのは、民間企業では、経費を削減して利益をふやせば、それは、株価の上昇ですとか賞与の増加といった形で社員や役員にプラスになりますから、みんな必至で節約に努めるわけですよね。私の地元所沢の事業者の方々からも、とても御苦労をされている実態をお伺いしております。しかし、役所では、予算や人員をふやせば、それが権限の拡大につながる一方、予算は基本的に税金によって賄われてしまうわけですから、節約しても役所や公務員には直接のメリットはないわけです。

 年末になると私も役所から予算の陳情を受けますけれども、この施策は重要ですから予算と人員の拡大をお願いしますという要望は受けますけれども、いまだかつて、この施策は不要になりました、あるいは、これだけ経費を削減しましたといって予算の削減をお申し出になられる方に出会った記憶がありません。

 もちろん、公共事業の随意契約ですとか指名競争入札の不透明性といった一般に指摘されている問題に関しましては、昨今の、入札、契約に関する適正化指針の改正案が、五月二十三日でしたか、閣議決定されたと承知しておりますけれども、それ以外にも、やはり、年度末に工事がふえるですとか、小さなところでは、役所が紙を無駄遣いし過ぎるんじゃないかですとか、終電がまだあるのにタクシーを使うのはおかしいんじゃないかですとか、失礼な言い方になりますけれども、私は、事の性質上、公務員の皆様にはコスト意識という思考回路が欠落しているとしか思えないんですが、いかがでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 御指摘のとおり、こういう人事評価の御専門家がいらっしゃいます、労務管理、人事管理の専門家がいらっしゃいますけれども、そういう専門家のお話を伺っても、民間企業の場合は利益ないしは売り上げ、シェアというような非常にわかりやすい評価の基準がある、それに対して、まさに公務の場合は、本当にそれによって成果がどのくらい上がっているのか、その成果そのものが社会的な評価になりますので、大変難しい問題であるということを口々におっしゃいます。とはいえ、それでも評価をしなければいけないということで、専門家の間でもいろいろな知見が今蓄積されているというふうに思っています。

 そういう知見を活用しながら、今まさに、先ほど申し上げました第一次の評価の試行を行っています。その中で、例えば実績面では、役割達成度の評価、それと先ほどの成果の評価、そういったことを組み合わせて、まさに委員がおっしゃったようなその難しい問題に今我々なりにチャレンジをしようとしています。

 まだ一次評価が始まったばかりでございます。この一次評価を受けて、つまり、ここの部分はこの評価のままではまずい、今委員がおっしゃったような点、まだうまくここは取り入れられていない、であるならば、今度は二次評価でこういう評価基準をつくってみよう、そういうことの試行錯誤を数次の試行で行っていこうというふうに思っております。

 これは諸外国でも大変苦労しているところだとは思いますが、やはりそこに踏み込まないとよい仕事はできませんし、国民の納得も得られないというふうに思っております。

柴山委員 業績の評価ということと経費の節減ということは、いわば裏と表の関係にあるのかなと思っております。ですから、直截的に、例えば公務員が経費の削減をした場合に、その削減額の一定割合を賞与の増加などの形で当該公務員に還元させるですとか、もっと明確なインセンティブを考えないといけないのではないかというように私なんかは思っています。

 あと、役所に民間の人材をもっともっと登用することが必要だと思います。大臣のようにですね。

 この決算行政監視委員会で、筒井委員長初め同僚の先生方と昨年十一月にシンガポールに視察に行きましたけれども、シンガポールには、いわゆる公務員試験はありません。また、公務員の身分保障もありません。公務員の給与は民間の水準を参考に頻繁に改定されています。それでも、民間で経験を積んだ、若くて優秀な人材がどんどん公務員に採用されていますし、逆に、郵便事業や金融機関あるいは警備部門などの民営化も活発に行われているわけですね。ぜひ参考にしていただければと思っております。

 さて、ことしの六月七日に参議院の決算委員会で、総理は、決算の重要性につきお触れになっていました。しかし、衆議院でも参議院でも、予算委員会は花形委員会とされているわけですが、参議院の決算委員会や行政監視委員会あるいはこの衆議院の決算行政監視委員会は、必ずしもそうは扱われていないと思います。しかし、同僚議員の先生方、今、シーズンですから各種総会に出席されると思うんですけれども、民間の団体では、決算をもとに翌年の予算を検討するのが常識です。

 そこで、提案なんですけれども、この委員会で決算審査をする際に、重立った予算単位に関して、査定した財務省主計局の主査と各省の事後評価の担当者、もちろんこれには外部の有識者も含めてですけれども、しっかりと呼んで、時にはサポート役である総務省の行政評価局の方を呼びまして、充実した審議を行う。そして、それを踏まえて次の予算要求ができる。そういうような制度にしたらいかがかと思うんですけれども、どうでしょうか。

谷垣国務大臣 私、財務大臣になりましたとき、総理からいただいた指示、幾つかございましたけれども、その一つに、予算の質の向上を図ることというのがございました。それで、予算の質の向上を図っていくときに、今委員のおっしゃった決算というものによく学ぶということは、基本的に大事なことだと思います。

 私どもも、財務省として予算執行調査というようなものも行っておりますし、それから会計検査院の検査報告であるとか、各省の行っております政策評価、こういうものを予算に反映していく。なかんずく、国会における決算審議というようなもの、どういうことを国会で御関心を持って議論していただいているか。私ども、これは大いに参考にしなければならないと思っておりますし、このように決算重視の流れが出てきたことは、私どもの仕事にとりましても、非常に刺激になっているというふうに思うわけでございます。

 そこで、国会でどう決算審議をされるかということにつきましては、私の方からこうしてくれ、ああしてくれと余り申し上げにくいことがございまして、この委員会で、どういう形であればさらに我々にインパクトを与える御審議がいただけるか、御工夫をいただきたいと思っております。

柴山委員 加えて申し上げれば、会計検査院の検査報告書も、違法、不当事項しか指摘されていない上に、出てくるのが十一月の終わりと、大変遅い時期に出てくるわけですね。これは当然、翌年の予算審議にとっては大変不十分だということを一言申し上げたいと思っております。

 そこで、今、財務大臣の方から御指摘がございました決算を次の予算にフィードバックするという仕組みについてなんですが、我々が憲法の議論をしているときに、二院制の特質を明確にするために、参議院を決算重視とし、衆議院を予算重視として性格をきちんと分けたらどうかというような議論がなされることがあります。しかし、今申し上げた決算の予算へのフィードバックという観点からは、こういった主張に本当に合理性があるのかどうか、疑問に思うところでもございます。

 財務大臣もしくは小泉総理、この点について、もし何か御意見があれば、よろしくお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 二院制ですから、衆議院には衆議院の独自の運営もあり、参議院には衆議院と違った運営を考えていこうという動きが現在も出ております。そういう中で、先般も参議院では、決算委員会のある時期においては全閣僚出席を求めるという審議も行われております。

 予算も決算も両方重要なんですが、これは、法律を変えるまでもなく国会の運営の、政党間の合意でなされることであります。憲法改正も必要ない、法律改正も必要ない。それぞれ衆参両院の政党の方々が協議していただいて、同じことをやるよりも、それぞれの役割、独自性を出してもいいのではないかということから、現在、参議院でかなり決算重視の方向が出てまいりました。

 今後もこういう点については、同じ国会議員として、二院制の役割をどう充実させていこうかという議論の中でどういう運営がいいかということを考えていくべきものだと思っておりますし、政府もそれに従って対応していきたいと思います。

谷垣国務大臣 今、憲法の議論の中でとおっしゃいましたけれども、決算重視ということが今言われておりまして、これは非常にいいことですが、政治が予算の方に何というか突っ込んでいくというのは、ある意味では当然のことだと私は思うんです。

 やはり何かを打ち出して、何か今の現状を変えていきたいという気持ちがあるからこそ政治をやっておりますので、そういう中で、どうしてもそれは、予算で形をつけていこうというふうになるのは、ある意味で当然ですね。さらにしかし、その予算をさらに質のいいものにし、それから無駄のないものにしていく、こういう観点から決算が必要になってくるのだろうというふうに私は思っております。

 ですから、それをどう割り当てていくかというのは、憲法論でもありますけれども、むしろ国会の運用論で考えるべきところが大きいのじゃないかなというのが私の感じでございます。

柴山委員 確かに、政治の性質としては、新しいものを生み出して有権者の方々にアピールをしていくということが中心にはなっていくと思うんですが、その結果、既に機能していない法律ですとか、あるいは本当に効果があるのかどうかよくわからない政策税制とか、そういうものが大変滞留をしているというような実態があるんじゃないかということが、私は大いに疑問に感じるところであるんですね。

 ですから、こういうものを例えば定期的にしっかりとスクラップ・アンド・ビルドしていくという工夫を、我々政治家がしっかりと肝に銘じなければいけないということを申し上げたいと思います。

 将来世代の活力のために真に必要な改革を行うことの必要性ということは、まだまだ道半ばだと思いますが、これから私たちが一丸となってこうした努力を進めていかなければならないということを指摘させていただいて、若干早いですが、私の質問を終わらせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

筒井委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 今からちょうど五年前の平成十三年五月十四日、小泉政権が誕生いたしまして初めての予算委員会、初めての予算委員会でありますので、本来であれば、党幹部が出てきて新政権の基本方針を伺うというのが本来の姿なんでしょうけれども、どういうわけか、平議員である私がそのとき初質問に立たせていただきました。なぜか。

 当時、公明党は文化芸術基本法をつくろうということで一生懸命でございました。外交、教育、財政、そして安全保障、そういう国策の根底に文化政策がなくてはならないということで頑張っていたわけですけれども、ちょうどそういうときに小泉さんが総理大臣になられた。文化芸術に本当に造詣の深い方が総理大臣になられた。その当時は、いつまで続くかわからない、このように言われておりましたので、早いうちにこの文化芸術振興法をつくろう、それを小泉さんにぶつけてみようということで、担当でありました私が、平議員であるにもかかわらず、初質問に立たせていただいたということでございます。

 与えられた時間は四十分でしたけれども、その四十分を全部、文化芸術政策に費やしました。総理から随分答弁をいただきましたが、その答弁の一部に、ちょっと読ませていただきますが、このような答弁がございます。「私はもし、わがまま、独断が許されるんだったらば、ワグナーの芸術に魅入られて、ルードウィヒ、当時の王様が、国家財政を破綻に導かせるぐらいワグナーにのめり込んで、ワグナーを育て上げましたね。王様として、政治家としては非常に批判されていますけれども、いまだにドイツ国民はワグナー芸術を育てたということで敬愛している。」とまで答弁され、できればルードウィヒのようにやりたいとおっしゃいました。文化芸術振興基本法につきましても大変積極的な答弁をいただき、それが出発点となりまして、自民党と公明党で文化芸術基本法の原案をつくり、その年の十一月に文化芸術振興基本法として結実をいたしました。

 ちょっとパネルをつくってまいりました。これは、横軸が年度です。棒グラフは文化予算でございます。小泉内閣発足、そして文化芸術振興基本法ができるまでは本当に文化予算は低迷しておりましたが、文化芸術振興基本法ができて大きく予算が伸びた。この数年間、伸びているのは文化と科学技術だけだと言ってもいいかと思いますが、このように伸びてまいりました。折れ線グラフは国家予算の中における文化予算の割合でございます。この数字、〇・一%云々という数字が並んでおります。フランスはこの数字が一%、ヨーロッパ諸国、またお隣の韓国も〇・五から〇・六%という数字ですから、〇・一%というのは本当は非常に寂しい数字でございますけれども、しかし今、〇・一三まで上昇してきております。

 もう一つ、文化庁長官人事。それまでは文化庁長官といいますと文部科学省のお役人が順繰りに当たっておりましたけれども、小泉内閣ができて、総理は民間から河合隼雄さんを指名されて、五年間、ずっとそのままでございます。そこにも総理の文化に対する思い入れを感ずるわけでございます。

 もう一つパネルを見ていただきたいんですけれども、公明党がその文化芸術基本法の中で特に強調したのが、子供と芸術。感受性の豊かな子供たちに本物の芸術に触れさせる、体験させる、そうすることが豊かな情操をはぐくむことにつながるということで主張してまいりましたけれども、まさにこの子供関係の文化予算は、小泉内閣発足当時の六倍、七倍になっております。私は、これこそ本当の小泉改革だ、このように思っております。

 これまでのこういう文化政策を振り返り、また、今後この文化政策がどうあらねばならないかという点について、小泉総理にお伺いをいたします。

小泉内閣総理大臣 文化芸術に触れるということは、国民一人一人にとって、これは精神を豊かにし、あるときはいやされ、励まされ、生活には、食物と違って、なくてはならないものだと思っています。いわば心の糧といいますか精神の糧、これが文化芸術だと思っております。

 私は、わがままでもありませんし、かつての国王のように権力もありませんから、好きな文化芸術の予算を勝手にそちらに振り向けることはできませんが、それでも、できるだけ多くの国民が文化芸術に触れる機会をつくりたいと思っております。

 最近は、税制の面においても欧米に遜色ない、企業が、個人が文化芸術に寄附をしたいという、制度的には整ってまいりました。ただ、風土の違いですか、まだ伝統、期間的に短いせいか、欧米のように積極的に企業なり個人が文化芸術等に寄附する習慣というものはまだ根づいていないと思いますが、それでも最近、各企業はかなりの費用を割いて、国ができない、いい音楽なり美術なり芸術というものを積極的に、日本にないものは外国から招待する、外国へ行かないと味わえないような、あるいは見ることができないようなものを招待して、多くの日本国民にそのような生の芸術に触れさせる機会を提供してくれている、これは私は喜ぶべきことだと思います。

 最近も、河合文化庁長官のお話が出ましたけれども、日本には歴史や伝統や文化がたくさんある。そして、何よりも食がおいしい、食べ物がおいしい、これも文化であります。このような文化というのは日本人は気づかないんじゃないかということを私は外国首脳から言われたことがあります。

 旅も文化であります。日本人は外国へ行くのが好きだな、同時に、外国人も旅行は好きなんだ。もっともっと日本の歴史や文化や伝統に触れる機会を発信する必要があるということから、河合文化庁長官のところで全国の旅百選という、たくさん応募がありまして、旅の専門家、旅の愛好家の皆さんの協力を得て、こういうところに行ったら日本の文化なり伝統、あるいはよさに触れることができますよというところを選んでいただきました。千件近い応募の中で百ほど選ぶということでございますけれども、一日で行けるところ、二、三日かけて行けるところ、あるいは一年かかっても順繰りに行けるところ、さまざまな場所を選んでいただきました。

 こういうものも、ああ、日本に住んでよかったな、外国人にとっては、また日本に来てみたいなと。旅を楽しみながら、日本の我々の知らない歴史や伝統に触れるという機会をつくっていくということは、今後とも非常に奨励されてしかるべきじゃないか。

 また、今、知的財産、この面におきましても日本としても力を入れております、知的財産保護。何も伝統、歴史、文化だけじゃありません。近代的な映画にしてもあるいはアニメにしても、現代の若者が、今までの日本の伝統を知ってか知らずか吸収して新しいものを打ち出す、それがまた現代の人たちに、あるいは外国の人たちに評価されている。こういう点は喜ばしいことであって、やはりさまざまな面において、お互い文化芸術を楽しむ、また楽しむことができるような機会なり環境を整備していくことは、政治家としても大事なことではないかなと思っております。

斉藤(鉄)委員 文化芸術振興基本法の理念はまだまだ一〇〇%達成されているわけではございません。特に、先ほど総理がおっしゃった税制の問題等、これから取り組んでいかなくてはいけない問題が残っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 次に、教育基本法、先ほど子供の話が出ましたが、ちょっと質問させていただきます。

 私の趣旨は、米百俵で始まった小泉政権、その一つの結論である教育基本法政府案、これをぜひ小泉政権の中で成立させるべきだというのが私の趣旨でございます。

 そのまず第一の理由は、現在の教育、いろいろ問題を抱えております。その一つ一つについてここでは申し述べません。教育基本法を改正すればそれがすべて解決できる、すぐに解決できるというわけではございませんが、新しい理念が本当に盛り込まれました。その理念を実行するために、学校教育法の改正、地方教育行政組織法の改正、そして何よりも学習指導要領の改正等を行わなければならない。これが一、二カ月おくれれば、三、四カ月おくれれば、その改革はやはりまたそれだけおくれる、こういうことになるわけでございまして、これが第一の理由。

 第二の理由は、これはちょっと具体的ですけれども、衆議院の特別委員会でももう五十時間の議論をして、ある意味では採決直前まで来ている、そういう状況もございます。ぜひ今国会で成立させるべきだ、このように思いますが、総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 現在、国会においてこの法案は審議されているわけでありますので、その中で、よく議論を受けて、できれば成立させてほしいということを私はかねがね申し上げているわけでありますが、限られた期間であります。今後、どういう形でこの法案が成立に向かって進むかということは今の時点でわかりませんけれども、私は、できるだけ与野党が共通の基盤を得て、教育の重要性を認識して、今後あるべき教育の姿を国民に示して、教育の重要性を多くの方々が認識することによって、よき人材を育てていこう、教育こそ国を興す大きな原動力であるというふうな認識を持って、それほど対決とか対立することなく、与野党の枠を超えて成立させていただければなと期待しております。

斉藤(鉄)委員 教育の大切さということについては御答弁のとおりでございまして、私も同感でございます。できるだけ早い成立をと我々考えております。

 それから次に、がん対策について質問をさせていただきます。

 がん対策基本法が今国会で成立する運びとなりました。全会一致で成立する運びとなりました。これは大変喜んでおります。公明党も二年半、一生懸命頑張ってまいりました。しかし、本当はこれからだと思っております。

 といいますのは、これまでも政府はがん対策十カ年計画を進めてまいりましたけれども、ここで、欧米に比べて二つの大きなおくれがあると私たち指摘してまいりました。その二つの大きなおくれとは、一つが放射線治療医の不足、もう一つが緩和ケア医療の決定的なおくれでございます。したがいまして、この法律はできますけれども、法律に基づいてつくられる推進基本計画の中にこの二つが入らないと意味がないとまで思っております。

 最初の放射線医療についてでございますけれども、現在放射線治療を受けているのは日本で年間十五万人、それが十年後には三十四万人にふえると予測されておりますし、国民の理解が進めばこれが五十万人にもふえると言われております。

 それに対して日本の実情はどうなっているのかということでございますけれども、放射線治療を受ける割合が、アメリカでは六六%、イギリスでは五六%、ドイツでは六〇%、いずれも半分以上ですけれども、日本は四分の一、二五%でございます。

 なぜこうなったかといいますと、日本は胃がんが主流でございました。胃がんは切って取る手術が最も適した治療方法でございます。したがって、がんの治療法というと手術が主流でございました。しかしながら、食生活の欧米化によりまして、がんの種類は今どんどん変わってきております。肺がん、乳がん、大腸、前立腺、舌、咽頭、食道、子宮頸部、肛門などのがんがどんどんふえてきておりまして、手術が主流の胃がんや子宮がんは今、減少傾向にあるというところでございます。そういう状況の中で、日本はまだ二五%しか受けておりませんが、これが大きく治療希望者がふえる、そういう状況です。

 では、それを迎え撃つ方はどうかといいますと、放射線治療医、アメリカでは六千人おりますけれども、日本はその十分の一以下という状況でございます。放射線治療医やそれをサポートする工学、理学の人たちが明らかに足らないというのは目に見えてきております。これを解決する必要がある。しかし、これは厚生労働省や文部科学省が全力を挙げて取り組まなくてはいけないかと思うのですが、大学の自治の壁という問題もございます。

 そういう意味で、政治がリーダーシップを持ってこの問題を解決する必要があろうかと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今回、各党の御努力によって対がん法案が成立に向かって今現在進んでいるということは、歓迎すべきことだと思っております。これからがんにかかる方はますますふえる、また、死亡率もがんがトップという状況であるという報告は受けております。

 このがんの治療につきましては、多くの国民が一番の関心事の一つであるということも認識しております。また、最近の治療では、いかに痛みを緩和するか、患者さんの苦痛を和らげるかということについても格段の進歩を遂げております。

 かつては、がんという宣告を受けただけでもう生きる希望を失っちゃう、がんにかかった患者さんに対して、家族もお医者さんもいかに本人に知らせないかということで悩んだ時期もありました。しかし、最近は、知らせた方がいいのではないか、あるいは知らせない方がいいのではないか、かつてほど告知の点で悩む程度は少なくなったと聞いておりますが、それでもこの人には知らせない方がいいというのがあると聞いております。

 それだけ精神的な面においても病気の治療というもの、あるいは病気を克服するというのは難しい問題があると思いますが、できるだけがん対策を進めて、がんに悩む方々に、がんというものは治療できるんだ、治る病気だというふうな、医学の進歩を促進するような対策を国としてもとっていかなきゃならないと思っております。

斉藤(鉄)委員 今総理に緩和ケアについても御答弁をいただきました。もう一つ公明党が主張しておりましたのが、緩和ケアの充実でございます。

 これまでの治療は、治療を一生懸命する、しかし、あるとき突然お医者さんが、もう治療はできなくなった、緩和ケア病棟に行ってくださいといって、ここでは、それまでの痛みに耐えた治療がうそのように、モルヒネ等で痛みをとって、一カ月余りで亡くなっていかれるというのがこれまでの現状でしたけれども、本来、がん治療は、診断時からこの緩和ケア、緩和治療という考え方を取り入れていくべきではないか、これが公明党の主張でございます。ある意味で、治療と同時に痛みや苦しみを取り除く、そういう社会です。

 最近、ある新聞が「緩和ケア病棟から」という連載記事を書いておりましたが、その最終回に、担当した記者がこう書いております。終末期だけでなく、早い段階から痛みを抑え、その人らしい生き方ができるような社会になることを願い、これからも取材を続けていきますということでございます。

 今回、基本法の中に、公明党が主張いたしまして、「国及び地方公共団体は、がん患者の状況に応じて疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること、」ということで、これから、大学での緩和ケア講座の開設、医師、看護師等への緩和ケア研修等、大きく進めなければならない、それを基本計画の中に入れなければならない、このように思っておりますが、総理、そのリーダーシップについてもう一度御答弁をお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 病気になると、苦痛をいかに和らげるかということは、病気になった人から見れば何とか早く痛みをなくしてくれという気持ちになるのは当然だと思います。

 これも、医学の進歩によって痛みをなくすことはできるけれども、逆に、痛みをなくすことによってかえって病状を進行させてはいけないという、副作用のおそれも考えなきゃいけない。

 治療をしながら痛みを緩和していく、こういう点についても最近ではかなり進歩をしていると聞いております。治療と痛みの緩和を両方していかなきゃならないという斉藤議員の御指摘、私は、医者としての、専門家ではありませんし、どの程度まで進んでいるかというのはわかりませんけれども、前よりははるかに痛み緩和ケアというのは進んでいると聞いておりますので、そういう治療と痛みの緩和の両方で進めていくという斉藤議員の考え方について、私も賛成であります。

斉藤(鉄)委員 ぜひこの基本計画の中に盛り込んでいきたい、このように考えます。

 次に、少子化対策についてお伺いさせていただきます。

 合計特殊出生率一・二五、私も大変衝撃を受けました。お隣の韓国は何と一・〇八ということで、韓国も今後、四兆円を使って抜本的な戦略で取り組んでいく、二〇二〇年までに一・六を目指す、このように新聞に書いてございます。

 公明党は、かねてから、この少子社会対策に取り組んでまいりました。今回、少子社会トータルプランというものを発表させていただきました。

 総理、これから我が国の少子化対策をどのような視点と戦略で取り組んでいかれるか、まず総理にお伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 少子化を防がなくてはならないということで、その取り組みはさまざまあると思いますが、これだという特効薬、万能薬はないと思います。

 しかし、現在、女性の働く機会もふえ、お子さんを持っても夫も妻も働きやすいような環境を整備していくことによって、子供を持つ負担をなくしていこう、その面においてさまざまな対策が必要だということで議論がなされております。もちろん、そういう対策も必要でありますし、同時に、親子だけの問題でなくて、学校の問題、あるいは保育園、幼稚園、こども園の問題、地域の協力の問題、さまざまな対応があると思います。

 よく子供の負担、負担と負担が議論になりますが、同時に、子供を持つ喜びというものも感じてもらうような制度、環境の整備も必要でしょう。昔から比べれば晩婚、男も女も結婚する年齢が遅くなった、これが少子化の大きな原因だと言う方もおられますけれども、そういう点についても、さまざまな観点から、男も女もともに働き、家事、育児も分かち合い、そして子供を持つ喜びを感じてもらうような国全体、社会全体の取り組みも必要ではないか。

 今の時代に産めよふやせよと政府が音頭をとって、なかなかそのとおりいくものではない。豊かな国であればあるほど少子化の傾向が進んでいるということを考えても、これはなかなか難しい問題だと思いますが、できるだけ、子を持つ親御さんが働きやすい環境、子を持つことの喜びを持てるような環境整備というものをさまざまな論点から議論をして、いい点をとっていく、実際の施策に反映していくということが必要ではないかなと思っております。

斉藤(鉄)委員 さまざまな施策が必要でございますが、その一つにやはり経済的負担を援助するというようなこともあって、児童手当というのは大切だと思います。フランスの一・九という出生率は、十八歳までの手厚い児童手当が一つの大きな要因だという話もございます。

 少子化担当大臣にお聞きしますが、特に収入の少ない若い子育て世代を支援するために、乳幼児の児童手当を手厚くするということも重要だと思いますが、この点についていかがでしょうか。

猪口国務大臣 斉藤先生にお答え申し上げます。

 経済的支援につきましてでございますけれども、例えば子供がいる世帯といない世帯を可処分所得の観点から比べますと、やはり子供のいる世帯の方が低くなっているということがまずございます。

 先生御指摘のとおり、子供が小さいときは概して親の経済力が非常にまだ低いということが考えられますので、時期に着目した経済的支援のあり方、この重要性は意見として非常によく私に寄せられており、また、乳幼児期に着目した児童手当の拡充は重要であると考えまして、財源も含めて政府内で調整する必要があると考えております。

 子育て費用というのは、収入の水準にかかわらず一定額がかかる、そういう意味で、経済的負担の重い時期に着目するということが非常に重要であろうと考えております。今の考え方につきましては、政府の少子化社会対策推進専門委員会の報告あるいは与党の関係部会におきましても重要性が指摘されているところでございますので、政府内の調整を鋭意進めてまいりたいと考えているところでございます。

斉藤(鉄)委員 ぜひ、お願いいたします。

 文部科学大臣、子供の安全について最後にお聞きいたします。

 最近、子供の命が奪われるという痛ましい事故が続いております。子供を犯罪から守るというのは、我々大人の最低限の責務でございます。最近、不審者に気をつけなさいという人に着目した安全教育よりも、ここは危ないよ、ごみが散らかって落書きが書いてあるような公園は危ないから近づかない方がいいよという、場所に着目した危険回避能力を教える教育が大事だという説も聞きます。

 子供の安全教育、これも学習指導要領に入れていったらどうかとも思いますけれども、この点について最後にお伺いいたします。

小坂国務大臣 委員御指摘のとおり、毎日のように起こる子供を対象としたいろいろな事故に、何としてもなくしてほしい、これはテレビをごらんの国民の皆さんみんなが思っていることだと思うんですね。そのためには、地域での犯罪に対する抵抗力を、犯罪者が動けない、あるいはだれかに見られている、そういう状況をつくり出して地域全体で犯罪に対する抵抗力をつけることがやはり基本的には必要だと思っております。

 しかし、それにも増して、子供たち自身が、ここは危ないんだ、こういうときには気をつけなきゃいけない、それを体験的に学んでいくことが必要な安全教育を、おっしゃるように、中央教育審議会の答申でも、学校の中で安全教育を教えていく必要性があるのではないか、こういう提言もいただいております。今年度内に、この中央教育審議会の答申も踏まえて学習指導要領の改訂を行います。その中で、御指摘のように、安全教育、しっかりと身につけるように学校でも取り組みを指示してまいりたい、このように考えております。

 今後とも、安全についての御党の御指導、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。

 終わります。

筒井委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 小泉総理、五年間の小泉政権が、九月にはもう総裁選に出られないということですので、いよいよ終わりが近づいてまいりまして、私と小泉総理、数えてみますと、きょうで二十四回目の委員会質疑になろうとしております。政策的にはいろいろと意見が合わなかったところも多いわけですけれども、まずは小泉総理に、この五年間、本当に御苦労さまでしたと申し上げさせていただきます。また、小泉総理の精神的なタフさには心から敬意を申し上げたい。私も、これから、そのタフさをぜひ学ばせていただきたい、このように思っております。

 今、斉藤委員の方からも少子化のお話がありました。私も、ちょうど十年前、小泉総理の直前に厚生大臣をやらせていただいたときの出生率が一・四三でありました。当時、私、人口問題研究所の所長の話を聞きましたらば、結婚した夫婦の出生率は二から二・一で変わっていない、当時ですよ。しかし、晩婚化によって未婚者がふえている。しかし、世論調査というか調査をすると、未婚のままでいいと思っている人は少ない、どこかで結婚したいと思っている。だから、そのうちその人たちが結婚すれば出生率の低下は下げどまって、もうちょっと上がるでしょうと、割と楽観的な話をいただきました。しかし、御承知のように、そうはなりませんでした。

 まずは、晩婚化によって比較的高齢で結婚した方の出生率が二・〇、二・一をかなり下がっております。さらには、結婚しない人の率もだんだん上がってきております。外国の事例などと比べてみると、日本は、いわゆる婚外子、結婚しないで子供を産まれる方は大変少ない水準が続いておりまして、できちゃった婚を含めて、ある意味では、結婚と出産は一体不可分になっております。

 そう考えますと、そのさらに背景はいろいろありますが、直接的な少子化の原因は、やはりこの晩婚化さらには非婚化にあると言わざるを得ないと思っております。これについて、総理、いかがお考えですか。

小泉内閣総理大臣 私も、今、菅さんが言われたように、さまざま理由があるけれども、結婚しようと思う人が少ない、してもかなり遅くなるという晩婚化が大きな原因だという話は聞いております。

 こちらには、かなりの高齢になっても結婚されたという方もおられますので、それはおめでとうございます。お子さんもできることを期待しておりますが、晩婚化でも最近は決して例外ではない。男も女もかなり年をとってから結婚するのはもう不思議じゃないし、かなり一般的になったと思います。

 しかし、こういう晩婚化を防いでいこうということに対して政府が何をできるかということを考えますと、これまた難しい。国が音頭をとってお見合いするわけにもいきませんし。地方ではそういう触れ合いの場を役所がつくろうという試みもされております。どの程度効果があるかわかりませんが、できるだけ、結婚というのは、お互い、人間の教育の場にもなりますし、楽しいものである、つらいことばかりじゃない、そういう考え方を気楽に話し合える場というようなものを大人が進めていくのも一つの方法ではないのか。

 いずれにしても、強制はできないという点がなかなか難しいのであって、今の時代、個性を尊重し個人の自由を尊重しますから、そういう中で政府として何ができるかということを考えていくべきではないかと思っております。

菅(直)委員 私も、結婚して三十六年ぐらいになって、やっと今、小泉総理の言われた、結婚も悪いものじゃないということをしみじみと感じる世代になりました。また、その中で私は、なぜこれだけ晩婚化、非婚化が進んでいるかということをいろいろな専門家にもお聞きをしましたが、私なりに感じているのは、やはり今の日本の社会が、人間と人間の関係が非常に薄くなってきている、そのことが一つ背景にあるのではないか。

 今、一つ、これは先日朝日新聞が出したアンケートなんですね。これは女性をとっていますが、二十歳から三十四歳までの女性千人当たりですが、女性がどういうきっかけで出会って結婚したかというデータなんです。見るとなかなかおもしろいんですね。

 一九七〇年から七四年当時ですから、三十年からあるいは三十五年前あたりは、百六十人結婚する中で約三分の一近い人がお見合いです。また、同じぐらいが職場です。それ以外に、友人、兄弟を通じてとか学校を通じてというのが半分ずつぐらいの数字なんですね。それが、今から二十年ほど前にはお見合いがぐんと半分に減り、職場結婚も大分減りました。最近に近いこの二〇〇〇年―二〇〇二年だと、お見合いで結婚する人は七十二人の結婚する中で四人、わずか五%ですね。それから、職場もほぼ半分に減っているんですね。あと、友人、兄弟とか学校は余り変わっていないんです。

 ですから、そう考えると、いわゆる世話やきをする人が少なくなり、あるいは職場も、前だったら先輩が、おい、おまえもう三十近いじゃないか、いい彼女があそこに働いているじゃないか、そういうお世話を、多少おせっかいな上司もいたわけですが、最近なかなか職場も厳しいですから、おせっかいをやく余裕がないこともあるんでしょう。いろいろな意味で人間の関係が薄くなった、そのことが私は、この晩婚化、非婚化、さらには少子化、あるいはもっと言えば、いろいろな犯罪が今日家庭内というか親子の間でも起きている。つまり、社会的なつながりが少ない中で親子といったような関係に煮詰まってしまっている。そういうところにも一つの大きな背景があるように思います。

 猪口大臣にもおいでいただいていますが、こういった背景も含めて、御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。

猪口国務大臣 菅先生にお答え申し上げたいと思いますが、まず婚姻件数ですけれども、実は最近、非常に着実に伸びているのでございます。昨年の秋から上昇傾向に転じまして、ことしに入りましてからその傾向は非常に着実なものになっていますというのがまず最初でございます。

 それから、確かに、人間関係が希薄になっているという御指摘は、そのようなこともあるかと思いますけれども、私としては、実際に、例えば女性の七割の人が出産とともに職場を退職しているという状況があります。これは、我が国におきまして仕事と家庭が両立しにくいという状況があり、実際に仕事と家庭が二者択一的なものとして認識されているとなると、その決定は非常に重いものですから、決定を先延ばしにする、それによって晩婚化となる。ですから、総理もおっしゃいましたとおり、結婚や出産につきましては、これは個人の自由な決定あるいは状況の結果でありますから、国が直接的に関与したりそういうことはできないわけですけれども、結婚や出産をためらわせる何らかの障壁、これを極力取り除くことが政策の課題ではないかと考えております。

 そのために、いろいろと世論調査なども参考にしているんですけれども、我が国においては、未婚者の九割の方が、実際には結婚するつもり、結婚したいと考えているということです。それで、九割の方が望んでいることですので、そのためらわせている何らかの障壁を取り除くことが重要であると考えています。

 では、その障壁とは一体何なのかということですけれども、今申し上げましたとおり、家庭と仕事が両立できるように、それから、家族との時間を男女ともにもっと拡大できるような働き方の改革が必要であると考えております。また、総理の御答弁のとおり、総合的に、体系的に、そして多角的に政策を組み合わせていかなければなりません。そして、全体として抜本的な拡充及び考え方の転換も必要だと思います。

 考え方の転換の一つといたしましては、全家庭を対象に子育て支援のサービスを拡充することを考えるし、さまざまな支援について対応していく。そして、今申し上げましたとおり、働き方改革を充実させていく。そしてもちろん、世論調査を見ますと、筆頭に出てくるのはやはり経済的支援が欲しいということですので、経済的支援を、先ほど答弁申し上げましたとおり、親の負担感が概して大きい乳幼児期に着目して拡充することも考えられますし、また、教育の中で奨学金を拡充しなければならないという御指摘もいただいていますので、このようなことを総合的に強化していくということと、先生御指摘の、社会全体としてもっと人間関係、そしてお互いの人間関係を場合によっては助けてあげるというような部分と、あわせて効果が出ることではないかと思います。

 少しいい兆しが婚姻件数としては出てきていますので、そのような傾向を確実なものにするために、少子化対策の調整を熱心に、しっかりと進めてまいりたいと考えております。

菅(直)委員 いろいろ努力をされていることはわかりますし、我が党も育児支援についていろいろ取り組みをしております。そういう取り組みそのものは基本的には我が党も賛成なんですが、先ほど申し上げたのは、どちらかといえば子供が生まれた後のことが中心になっているわけでありまして、生まれる前、あるいは結婚しやすい条件。

 例えば、若い人が結婚したときに公営住宅は格安で入れるとか、また、直接国が見合いをしろとは言いませんが、少なくとも、十組ぐらいまとめた人には銅メダル、五十組ぐらいまとめた方には銀メダル、百組以上まとめた方には金メダル、野口英世賞もいいんですけれども、そういうことが本当に社会の役に立っているんだと。どちらかというと、ある時期、そういうおせっかいをすることは何か悪いことだというような感じもありましたので、そういうこともひとつ念頭に入れていただきたいということを申し上げて、ちょっと次に移りたいと思います。

 きょうは、小泉総理にお聞きすると同時に、ポスト小泉候補とされている方、本当は福田さんにもおいでいただきたかったんですが、閣僚におられないものですから、皆さんにお出ましをいただきました。その中で、あわせて御意見も聞きたいと思っております。

 最近、小泉総理は、靖国参拝を総裁選の争点にすべきではないというような発言をされておりますね。ほかの方が言われたのなら、まあそうかなと思わないでもありません。しかし、二〇〇一年に、当時の遺族会会長であった橋本龍太郎さんと総裁選を戦うときに、自分が総理になったら、どんな反対があっても八月十五日に靖国を参拝すると、総裁選の争点にされたのは、まさに小泉現総理御本人であるわけであります。

 総裁選の争点にすべきでないと最近言われているのは、自分がそうした行動をとったことはまずかったというその反省に立っての発言でしょうか。そのことをお聞きいたします。

小泉内閣総理大臣 私は、まずかったと思っておりませんし、私自身、争点にしたことはありません。

 争点にしたのは報道です。マスコミ報道なんです。私は、聞かれたから言ったんです。自分から言ったことはありません。そして、聞かれた中で一番大きく報道しているのがマスコミであります。靖国参拝、多くの議論の中でごく一部、ワンフレーズをとってマスコミが、靖国参拝すべきか、すべきでないか。中国、韓国が反発すると、それを支持する、支持しない。私は、全然争点にしていません。いまだに私は争点にするつもりはありませんし、靖国神社を、総理大臣であれ、どのような閣僚であれ、どのような議員であれ、市民であれ、参拝するのは、心の問題、精神の自由の問題であって、批判される理由がいまだにわかりません。

 これは、憲法で認められた、思想及び良心の自由は、これを侵してはならない、そのものの問題なんです。外国の首脳から日本の総理大臣がどこの神社に参拝してはいけないと言われて、それに同調して、そうだ、そうだと言っている日本人がいるというのも、いまだに理解できません。なおかつ、戦没者に対して哀悼の念をあらわすこと、二度と戦争の過ちを犯さないという心を込めて参拝していることに対して批判をされる気持ちも、私はいまだにわかりません。

 日本は、戦後六十年、戦争の反省を踏まえて、平和国家として自由と民主主義を守りながら、今日の豊かな社会を実現してまいりました。それは、戦争の反省を踏まえて、二度とあのような戦争を起こしてはいけないし、今日の平和と繁栄というものは、あのような戦争の犠牲を受けながら、戦地に行って、命を失わなければならなかった人たちの犠牲の上に今日があるんだということを我々現代に生きている者も忘れてはならない、そういうことから、戦没者に対する哀悼の念を持って参拝しております。

 ですから、前にも菅さんからそのような質問を受けたとき、外交問題にしている、中国が反対しているから批判しているのか、中国や韓国がいいと言ったらこれは問題にならないのかということを私はお聞きしました。お答えいただけませんでした。私は、この問題はまさに個人の自由の問題なんです。これをよく考えていただきたい。外交問題に私はする気はないんですけれども、しようとしている人たちがいるということは承知しております。

 総理大臣も一人の人間であります。前回、岡田さんは、総理大臣である、一人の人間である前に総理大臣だと言って私を非難しました。総理大臣も一人の人間である、私はそう思います。

菅(直)委員 今の小泉総理の答弁は、これまでの二十三回と全く同じでありまして、相変わらずはぐらかしておられますね。

 私が申し上げたのは、争点にしたことについてお聞きしたら、それについて一言言われました。自分が争点にしたのではない、マスコミが争点にしたんだと。こんな答弁は、私は初めて聞きました。それは、政治家はいろいろ聞かれたときにどう答えるかも含めて、それによって争点になったりいろいろなことになるのは当たり前でありまして、聞かれたことに答えたんだから自分が争点にしたわけじゃない、こんな答弁を、もうやめられる総理でありますけれども、本当に国民の皆さんがどう聞いているか。だから、約束なんてできなくたって大したことがない、そういう答弁に、二〇〇三年の私に対する答弁にやはりつながってくるわけであります。

 そこで、安倍官房長官は、昨年五月のアメリカのブルッキングス研究所においてこんな発言をされていますね。次の首相は、たとえだれがなるとしても靖国に参拝すべきだ、たしかこういう発言をされていますよね。そのお考えは現在も変わっていないんですか、それとも、その後の状況で変わっているんでしょうか、はっきり国民の皆さんの前でお答えください。

安倍国務大臣 私も、今まで何回も記者会見等でお話をいたしておりますように、国のために戦った方々、倒れた方々のために手を合わせ、御冥福をお祈りし、そして感謝と尊崇の念を表する、この気持ちは持ち続けていきたい、このように考えております。

 昨年のブルッキングスの講演の後に、参加者の質問に対して私はそのように答えたわけであります。それは、私の気持ちとしてそのように申し上げたわけであります。

菅(直)委員 ということは、その考えは変わっていないということで理解していいですか。

安倍国務大臣 私が今なぜ、その気持ちを持ち続けていきたい、それはまさに私の気持ちを申し上げているわけであります。しかし、現在、特に中国がこの問題を外交化しているわけであります。外交化している中において、我々としては、これはやはり心の問題である、このように考えているわけであります。

 先ほど、総理は憲法の十九条を引かれておっしゃったわけでありますが、二十条にも、信教の自由は、これを何人に対しても保障している、こうあるわけであります。その気持ちを持ち続けていくことは当然自由である。しかし一方、外交問題化していく、政治問題化をしていく、本来はそういう問題にすべきでない、こう考えておりますので、私は今の気持ちをこのように申し上げている、こういうことでございます。

菅(直)委員 ちょっと私もよくわからないんですね。私が聞いているのはただ一つ、ブルッキングスで、答弁かもしれませんが、話されたことのその考えは変わっていないんですねと。ここの答弁では、次の総理大臣は、たとえ私でない、だれがなるにしても参拝すべきだと。横文字で言うとシュッドという言葉を使われていました。どちらで、日本語でやられたのか横文字でやられたのか知りませんが、その考えは変わっていないと理解していいんですね。

安倍国務大臣 もう何回も申し上げているわけでありますが、こういう問題を、マスコミもそうなんですが、殊さらそのような形でセンセーショナルに取り上げて、むしろ外交問題化しようとしている人たちがいるんですね。その結果、本来、心の問題であるにもかかわらず、静かに手を合わせ、お祈りをしたいという気持ちであるにもかかわらず、別の側面を持ってきてしまう。ですから、私はこのように申し上げているわけであります。

菅(直)委員 私は、一九九六年の八月十五日には、天皇、皇后陛下の先導をする役目を厚生大臣として仰せつかりまして、もちろん戦没者の追悼会にも出席をさせていただきました。

 ですから、話はいろいろ展開するのは結構ですが、争点にしたのが小泉総理であって、その争点に対してどういう御意見をお持ちかを聞いているのは、国民の皆さんが聞きたいと思われるので、私もある意味ではその気持ちを託して聞いているつもりであります。

 そこで、麻生……(発言する者あり)土屋さん、うるさいですよ。市長が何を言っているんですか。

筒井委員長 御静粛にお願いします。

菅(直)委員 麻生外務大臣にお聞きをいたしますが、麻生外務大臣は、一宗教法人に任せているところに問題があるというふうなことも触れておられますが、この問題について、どうお考えですか。

麻生国務大臣 この問題というのは、宗教法人に関する問題ですか。今、この問題という定義が極めてあいまいだったので、お答えのしようがないんですが。

菅(直)委員 いや、私がお聞きしたかったのは、ここに、国家の英霊を祭るという大事なことを一宗教法人に任せているところに問題があるのではないかと発言されたと聞いておりますので、どういう問題があるとお考えなのか、お聞かせをください。

麻生国務大臣 これは、今総理また官房長官が言われた脈絡とほぼ同じなんだと存じますが、少なくとも、国のために自分の命を投げ出してくれた人たちに対して、国家が最高の栄誉をもって祭るということを禁じている国などというのはないと思います。

 したがって、そういったものを、戦後、いろいろな関係があったとはいえ、東京都認可の一宗教法人にその問題をすべて投げ渡して、何か問題があると、宗教法人の話に我々政治が介入できないのは憲法のとおりですということでこれまでずっと来ているんですが、こういったものはきちんとした形にするべきではないか、国がきちんとすべきものではないかということを申し上げたということであります。

菅(直)委員 結局、宗教と政治の分離をしたときに靖国神社もその中に入れたことに問題があった、そういう意味でしょうか。

麻生国務大臣 宗教法人にされた経緯を詳しく知っているわけではありません。かつて国でやっていたものが宗教法人に戦後なった経緯というのは、その裏にどういうあれがあったかをつまびらかにしているわけではありません。

 ただ、基本的に、今の宮司になっておられる南部さんのこの間の発言を見ましても、国からお預かりしているこの靖国神社をいつの日か国にお返しできるようなものにしたいものだという御答弁があっておったというのが公表されておりましたので、私どもとしては、宗教法人にいろいろなことを全部押しつけているという形にとられているのではないかという点が、政治家としてきちんとそういった解決を我々がやっていくべきではないかということを申し上げました。

菅(直)委員 私の知る限りでは、戦前は、一般の神社は神社本庁、多分内務省でしょうかね、その管轄にあって、靖国神社はたしか陸軍、海軍が直接管轄をしておられて、戦後すべて同じような形で宗教法人になったということで、麻生大臣のお考えはある程度わかりました。

 そこで、与謝野さんは、分祀すべきという表現なんでしょうか、分祀について触れられておりますが、与謝野さんはどうお考えですか。

与謝野国務大臣 国が戦没者に対して慰霊を行う、それも毎年現に行っておりますけれども、これは日本国政府としての最大の行事の一つであると私は思っております。そして、国の儀式としてはそれで多分完結しているんだろうと私は考えております。

 ただし、どなたでも自分の信ずるところに従って戦没者を慰霊するための行動というのは、当然のこととして許されているわけでございます。靖国神社は、かつてどなたでも何のためらいもなくお参りに行っていた場所でございますから、そういう昔の状況に私は戻ってほしいものだと。ただ、これは国が強制できることではなく、やはり神社自体、自主的に、そして独立して御判断されるべきことだろう、そのように思っております。

菅(直)委員 谷垣さんは、総理になった場合のみずからの参拝のことも含めて、戦略的あいまいさが必要だと言われております。戦略的にはあいまいさが必要かもしれませんが、国民の皆さんにわかるように説明していただけますか。

谷垣国務大臣 私も、靖国神社、それから私の京都でいえば護国神社、大変大事なところだと思っております。今まで何度もお参りをしてまいりました。

 戦略的あいまいさと言っておりますので、いかにもあいまいでわかりにくいという御批判をいただくんです。その気持ちの中には、一つは、先ほどから御議論のあるように、余りこれは、わあわあ政治的な議論あるいは外交的な議論にするのは望ましくないなという気持ちがあって、戦略的あいまいさということを申し上げているわけです。

 それからもう一つ、このあいまいさというのをできるだけ明瞭にするために申し上げますならば、もう一つの議論は、これは、海外からこういう議論があるからこうするというんじゃなくて、日本がやはり日本の独自の立場で判断しなきゃならないということが私はあると思っております。その上で、やはり政治ですから、いろいろ総合的に判断しなきゃいけない、それを事前にどうこう言う必要は必ずしもないことだという言葉を、私は、戦略的あいまいさということで申し上げているわけであります。

 それからもう一つ、今の菅さんのお尋ねには必ずしもなかったことでありますが、私がこういう議論の際に申し上げたいのは、例えば、日中の関係をこの問題だけに特化して議論するというのは、余り私は賢明なことではないと思います。もう少し幅広い観点から議論をして、日中のあり方あるいはアジア外交のあり方というのを議論すべきではないかという感じを私は持っております。

菅(直)委員 それぞれお話を聞かせていただきました。

 もともと靖国神社は、戊辰戦争の後に東京招魂社という形で明治二年にできておりまして、私は生まれが、安倍さんもそうでしょう、山口県でありますので、長州で亡くなった方もかなり最初から祭られております。また、今、谷垣さんが言われたように、まさに、我が国は戦争をやって三百万人を超える日本人が亡くなった、それに対するけじめというものを我が国自身がきちっとつけなければならない。最近は、読売新聞の渡辺恒雄さんも、この八月十五日に向けて、紙面を使ってそのことをやろうとされております。まさにそれは日本自身の問題であって、外国にとやかく言われたからやるとかやらないとかという問題ではありません。まさにそのとおりであります。

 ですから、先ほど申し上げたように、私は、戦後五十年のときは自社さ政権でありまして、当時の加藤紘一自民党政調会長とも五十周年のいろいろな国会決議について議論をしたときにも、分祀のこととかいろいろなことが出たわけであります。そういうことを踏まえて、なぜわざわざ小泉総理が五年前に、一応、あのときの国会決議は不十分でしたが、村山談話でほぼこの問題が国際的に解決されたと、少なくとも私にはそう見えていたんですが、わざわざ問題にするような行動をとられたのが小泉総理でありましたので、そこで、ポスト小泉と言われる皆さんに少し御意見を聞かせていただいたところであります。

 そこで、次の問題に移りたいと思います。

 これはもう改めてお見せする必要もありませんが、読売の調べでありますが、小泉総理が就任されてからの内閣支持率、これは赤ですね、それから株価が書かれてあります。いずれも、上がったり下がったりするというのは、小泉総理が言われるとおりであります。しかし、一貫して上がり続けているのが国債の残高であります。

 もう一つのパネルをお見せしますが、これは……(発言する者あり)ちょっと後ろからうるさいんですけれども。

筒井委員長 静粛に。

菅(直)委員 私は、これは、前回の行政改革委員会のときにもお見せした、いわば個人の家計になぞらえてみたところであります。つまりは、年収五百万、つまり税収五十兆に対して、一般経費が六百万、つまり六十兆、そういう家計になっておるわけです。

 ついせんだって、たしか経済財政諮問会議で、前から言われているように、まず、二〇一〇年代初頭までに、いわゆるプライマリーバランス、これでいえば、年収と生活費はイコールにしましょう、しかし、その後の目標としては、この五千四百万、実際は五百四十兆ですが、この借金のGDP比を下げていきましょう、こういうことを中間取りまとめとして取りまとめられていますよね、与謝野さん。これはなかなか大変ですよね。

 つまりは、プライマリーバランスを黒字化するというのは、利息の計算は計算外ですよね。ですから、利息が今のところは二%程度で、実際に言うと十兆円程度でありますが、これが平均四%になれば二十兆程度になるわけで、つまり、プライマリーバランスのときには利息計算が入らない。個人がお金を借りて利息計算を無視してやることはないんですが、とりあえずプライマリーバランスを黒字化しようというのは大いに結構です。その後は、今度は残高全体をGDP比で下げていこう。こうなると、借金の利息が直接にかかわってまいります。

 まず、これを担当された与謝野さん、どうやってこの後、つまり、小泉政権の後、百七十兆も小泉政権下で積み増して、結果として五百四十兆円になった借金のこの比率を下げていくのには、どうやられるつもりですか。国民の皆さんに、できるだけわかりやすく、簡明に道筋をお示しください。

与謝野国務大臣 プライマリーバランスという言葉は、バランスという言葉を使っているので、ちょっと誤解を招きやすいと私は思っております。しかし、基礎的財政収支をとんとんにするということは、まず財政再建の第一歩としてどうしても通過しなければならない関門。これは、私どもとしては、二〇一一年にはその段階に到達したいと思っております。

 先生御心配のように、その後どうするのかというのは、実は、そこから借金の利息でサラ金地獄的にいわば債務残高が発散的に増加していく、これは避けなければならないことでございまして、二〇一一年までにはプライマリーバランスを到達させる、それから、二〇一一年以降は債務残高が発散しないように物事を考えていく、この二通りで今やっておるところでございます。

菅(直)委員 発散という言葉はこれは数学用語でありまして、逆に言えば比率がどんどん上がっていくということで、発散させないようにするというのは数学用語なんです。どうやって発散させないようにするかというのが政治用語ですので、どうか政治用語でお答えください。

与謝野国務大臣 いろいろな施策を充実させろ、予算もふやせ、税金は絶対ふやすな、これはどなたが政権をとってもできない相談でございまして、収入と支出をバランスさせるというのは、先生御指摘のように、家計の中でも、家計をやっている方の基本的な考え方でなければならないわけでございます。

 二〇一一年を越したところで私どもが考えておりますのは、借金の絶対額を減らすというのは多分難しいでしょう、しかしながら、せめて残高の対GDP比を安定させる、「安定的に引き下げる」という表現を使っていますけれども、そのためには、歳出削減でどこまで賄えるのか、あるいは賄えない部分をどういう増収措置をとるのか、それはどういう税目でお願いするかというのは、これからは所得税、法人税、消費税その他の税制全般を一体的に見直していくということで、国民にその選択肢を御提示申し上げたいと考えております。

菅(直)委員 多少踏み込んでいただきましたが、谷垣財務大臣にもお尋ねをします。これは戦略的あいまい性ではなくお答えをいただきたいんですが、せんだってのときも、金利の動向と成長率の関係が、たしか財政審の中でもいろいろ議論されている、一般的には金利の上昇の方がGDPの上昇よりも大きくなる傾向があるけれども一概には言えない、そういう議論がなされているようです。

 そういう状況を踏まえて、同じ質問をさせてください。つまりは、この利息を含めて、借金残高のGDPの比率を下げていくには、これは収入と生活費の一致よりもさらに難しい課題になっています。百七十兆も借金をふやしているわけですから。それがツケとして残っているわけですから。それを、どうやってその方針を実現させるおつもりですか。

谷垣国務大臣 二〇一〇年代初頭にいわゆる基礎的財政収支をどうやってバランスさせるか、つり合わせるか、そのときいただいた税金でそのときの政策を打っていけるように持っていけるか、これが第一段階であることは今与謝野大臣から御答弁があったとおりです。

 そこから先、では、どうやっていわゆる発散させない、GDP比で国債残高を引き下げていくかということでありますけれども、今の御議論のように、確かに金利と名目成長率の関係は大きな関係にございますけれども、これは、政策的に長期金利をコントロールしていくということはほとんど不可能だろうと私は思います。もちろん、全く不可能ではありません。財政努力をして、財政に対する信認を取りつけるというのは極めて大事なことでございますが、長期間、政策的に長期金利をコントロールすることは難しい。

 では、金利と成長率の関係はどうか。これはいろいろな議論がございましたけれども、結局のところ、これはいろいろな場合があり得るんであって、どっちが一方的に高くなるとか低くなるというものではないんだろうと私は思います。そうしますと、財政再建の観点からは、若干やはりゆとりを持って考えておかないとなかなかうまくいかないぞということであろうと思います。

 したがいまして、要するに、黒字をやはり若干つくっていくという努力が、プライマリーバランスをとった後、私は必要なんだろうというふうに思っておりまして、経済財政諮問会議でも大体そういう方向で議論が整理されているところでございます。

菅(直)委員 ゆとりとかいろいろな表現がありましたが、また、与謝野さんからは税という話もありました。つまりは、歳出削減でプライマリーバランスをぎりぎりゼロ、黒字化できたとしても、さらにGDP比の借金の総額の比率を下げるには、歳出削減だけでは無理ではないかということをにじまされた答弁だったと思います。

 せんだっての行革委では、安倍官房長官にもこのことをお聞きいたしました。必ずしも明確な答弁をいただいておりませんので、同じように、この方針をどうやって実現するのか、もし政権の責任者になられたらどうされるのか、その覚悟を含めてお聞かせをいただきたいと思います。

安倍国務大臣 既に与謝野大臣、谷垣大臣から答弁を申し上げているわけでありますが、小泉内閣がスタートしたこの五年間は、債務残高のGDP比を下げていくということに向けた第一期のスタートであった、このように思います。プライマリーバランスを均衡させる道のりに入ったと言ってもいいんではないかと思います。

 この三年間で、プライマリーバランスについて言えば、三千億、そして三兆円、四兆七千億円と改善を見ているわけであります。そして、二〇一〇年代の初頭に向けてプライマリーバランスを黒にしていくというのが第二期でございまして、第三期においては、まさにGDP比、債務残高を低下させていくという目標を立てているわけであります。

 その中で、長期金利と名目成長が比率が同じであればGDP比の債務残高は固定化されるわけでありますから、そこで黒字化することによって低減していくことができる。黒字化していくためには、これは歳出の徹底的な見直しを行っていく。大変苦しい作業でありますが、今までもやってきたように、今後さらにやっていく。そして、やはり政府の資産をもう一度すべて総覧した上において、売れるものは売却をしていく。そしてさらに、その中において税収を図っていくための努力もしていかなければいけない。

 また、歳出削減また税の改革ということを考えていきますと、成長に、プラスの出ないように成長戦略もしっかりと考えていく、私どものこれはGDP比の債務残高低減への道でありまして、これ以外の道は恐らくないんだろう、このように考えております。

菅(直)委員 ちょっと今の中で、つまりは、プライマリーバランスが黒字というかゼロのとき、金利イコール成長率であれば、確かに債務残高の比率は変わりません。しかし、先ほど財務大臣は、そうなる場合もならない場合もあり得るから、ゆとりという言葉を言われました。一般的に言えば、そうならないことも想定しなければこういう目標を実現することはできない。

 それについて、税収と言われたんでしょうか、もう一度安倍官房長官にお聞きしますが、税に対して、簡単に言えば、税収を何らかの制度変更によって上げることもあり得るということでしょうか。

安倍国務大臣 税収を図っていく上においては、先ほど申し上げましたように、あれで成長戦略を図り、自然増収ももちろん当然考えていく。それと同時に、やはり、将来伸びていく社会保障費にどう対応すべきか。二〇〇九年には基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げなければならないということも総合的に勘案して、国民とともに税のあり方をそれは議論しなければならないだろう、このように思っております。

菅(直)委員 これ以上はもう繰り返しになりますから言いませんが、社会保障費の問題は社会保障費の問題として、支出増、先ほどでいうと家計がふえるわけですから、それに見合った増収を、例えば、一部目的税的な消費税でというのは我が党も言っております、年金について。ですから、そのことを言われるのは結構ですが、そのことがイコールであれば、先ほどの債務残高のGDP比が下がることにはそれ自体はつながりません。

 ですから、結局のところは、大きな借金を残した小泉内閣のこのツケをどうするかということについて必ずしも明確な絵を描けていないんではないかなという感じがいたします。もし反論があればお聞きしますが、反論がなければ、もう繰り返しになりますから。よろしいですか。

 ついでに、麻生さんにせっかくですから……。ちょっと待ってください。麻生さんにせっかくですから。いや、私は安倍さんに聞いたんですから、谷垣さんにはもう先ほどで結構ですから、安倍さんがもし反論があれば、言ってください。

 安倍さんにもし反論がありましたら、どうぞ。

筒井委員長 安倍官房長官。――では、谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 いや、何も考えてないようだと菅さんおっしゃいますから。政府全体で今議論しているんです、経済財政諮問会議の中で。

 それで、この年央といいますと、今月末、あるいは来月の初めになるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、プライマリーバランスを達して、それでさらにその後徐々に比率を下げていくためには、一体どれだけ歳出カットで、ある程度賄い、足らざるところは一体何なんだ、そのための選択肢とそれから工程表もお示ししようということで今作業を続けておりますので、あとしばらくお待ちをいただきたいと思っております。

菅(直)委員 これから財政再建が始まる、また、これから行政改革が始まる。つまりは、この五年間の小泉政権は、せんだっても申し上げたように、四十兆余りの公的資金を投入して、そして三百兆円もの金利の低減による国民への還元をできなくして、確かに十五年がかりの不良債権処理ができたけれども、しかし、行政改革、財政再建はすべてこれから始まるというのが今の答弁からも聞き取れるところであります。

 そこで、最後にもう一点だけ申し上げておきます。小泉総理、もう時間が余りありませんので、最後に一つだけ触れさせてもらいます。

 米軍の再編問題に関連しまして、私の地元に府中というところがあります。府中には航空自衛隊が本部を置いております。これが、米軍再編の中では横田基地に一緒になるという方針が出されております。

 かつて、三沢の米軍の基地にやはり自衛隊がいるわけですけれども、あの九・一一のテロがあったときに、世界じゅうの米軍基地が警戒態勢に入って基地を閉鎖したそうであります。そのときに、その三沢に併設された自衛隊の隊員の行動も米軍のゲート管理のもとに置かれて、その了解がなければ通行ができなかったという話を聞きました。

 つまりは、米軍再編の問題そのものも大きな問題です。これは、必ずしも日本の防衛力を高めることを目的としているというよりも、世界に対するアメリカの戦略上から来ていることは基本的には否定されないと思います。

 そういう中で、日米の、特に自衛隊の米軍との一体化がいろいろ具体的に進んでいるわけですが、一体化という言葉は非常にわかりやすいように思えますが、気をつけないと、日本の自衛隊が日本の総理大臣のもとで当然動かなきゃいけないわけですけれども、それが一体化によって何らかの制約を受けることになるのではないか。その三沢の一つの例を聞いたときに、私は大変そのことが心配になりました。

 つまり、独立国として、自衛隊を在日米軍と一体化して米軍が管理している基地のもとに置くということが、そういう懸念がないのかどうか。ないのなら、どういう意味でないのか。そのことも含めて、最後に総理にお尋ねをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 日米安保条約のもとに日米同盟を強化していくか。これは協力関係です。それは、お互い、日本は米軍と協力しながら日本の安全を確保する。いわば、日米安保条約、日米同盟のもとで侵略勢力に対して抑止力を維持するということと、沖縄基地等の負担軽減、これを両方やっていかなきゃならない。当然、日米安保条約のもとで日米同盟強化ということは、一体感を持ってやらなきゃならないものが随分あります。一体感を持ってやるということは、協力するということであります。

 現に、今回の横田基地におきましても、米軍が管制していた区域、これは、日本の要求に沿って日本の民間飛行機が通れるようなこともなされている。いわば今回の在日米軍の負担軽減と抑止力維持というのは、日本側が求めてやっていることであります。それに対してアメリカも協力しようということでありますので、私は、今回の問題において、日米がより協力できるような体制、そして日本は日本の安全に責任を持つ、そして日本の足らざるところは米軍が協力する。一体感を持ってやるのは当然だと思います。

 と同時に、さっき財政再建の問題で話がありましたけれども、私は、行政改革も財政再建も着実に進ませてきたんです。現に、民主党のあの政策においても、国債の新規国債発行枠を三十兆円以下に抑える、二年後にそれを実現すると言っているのを、十八年度予算で政府はやっちゃったんですから。ということは、民主党でさえも、三十兆円の新規国債発行枠は発行せざるを得ないという立場に立っているんじゃないですか。それを、三十兆円枠を発行させたから財政再建にはならない、ならないということは、全く矛盾しているじゃないですか。

 その辺は、余り自分の都合のいいところばかりやって批判したいというのは、野党だからわかりますけれども、それはもっと事実を客観的に示していただきたいと思うのであります。

菅(直)委員 時間になりましたのでこれで終わりますが、小泉総理のいつものまやかし答弁を多分国民の皆さんはわかっていただけたと思います。

 以上です。

筒井委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。十分間という限られた時間でございますから、早速質問に入らせていただきます。

 小泉内閣が発足してから五年を経過したわけでございますが、官から民へ、国から地方へというスローガンを掲げられて、聖域なき構造改革を進めるということで今日まで政権を担当してこられました。

 その構造改革の成果、総理からおっしゃられれば、いろいろあると思います。改革の本丸と言われた郵政の民営化も、法案を成立されたということでございます。私、全く立場が違っておりまして、将来、どうしてこんなことをやってしまったんだろうなということを多くの国民が必ず気がつかれるときが来る、そのように思っておるところでございますが、その問題をあれこれ議論いたしますと大変な時間もかかりますので、きょうはいたしません。

 今、経済財政諮問会議の一部の委員の方々あるいはまた一部の報道機関が、しきりに、現在の景気回復、景気拡大がイザナギ景気以来のものだ、そういうようなことを言っております。国民は、そのことを聞きますと戸惑いを覚えるだろうと思うんです。

 なぜかといえば、イザナギ景気というのは、これは申し上げるまでもなく、一九六五年から七〇年、約五年間、五十七カ月続いたわけでございますが、その間は間違いなく経済が大きくなっておりました。GDPが毎年一七・三%名目で成長をした、そのイザナギ景気の期間で、GDPが実に二・二倍に大きくなったわけでございます。したがって、税収も二・四倍に膨らんだということでございます。減税を毎年やりながらも税収が二・四倍に膨らんだ、そういうことでございました。

 ところが、今回、景気拡大がイザナギ景気以来の長期にわたって続いているという中で、先ほども質疑を聞いておりまして、思い切った歳出削減策であるとか、あるいはまた増税をせざるを得ないとか、どうしてそういう話が出てくるのか、国民には私は納得ができないんだろうと思います。

 私は、政府の発表がずっと実質成長率で発表されてきた、そこに一つ、実態をあらわしていない一種の数字のトリック、マジックがあるように思えます。

 デフレが続いておりますとき、デフレがまだ解消していない、そういうときに本当の経済の姿をあらわすためには、名目で表示をしなくてはいけない。名目がマイナス、そしてデフレーターがマイナスでございますから、実質成長率はプラスに出てしまう、そういうことになるわけでございます。この五年間の平均でとりますと、名目GDPが〇・三%マイナスでございます。デフレーターが一・八%マイナスでございます。そうすると、実質経済成長率が一・五%プラスというように出てしまっているわけでございます。私は、これは本当の経済の実態を正しくあらわしていない、そういうことで国民が非常に惑いを覚える、そういうことになりはしないかというように思っております。

 私、小泉内閣が発足をいたしました直後から、当時は自民党でございましたけれども、緊縮財政と不良債権処理、企業破綻処理の推進、その二本の柱だけで経済は絶対によくはならないし、財政再建もそれでは不可能だということをずうっと党内で申し上げてきたわけですけれども、竹中大臣と絶えずぶつかって、竹中大臣は、亀井さんとは哲学の違いだからというようなところで逃げ込まれたことがございます。

 私は、やはりデフレを解消していくということのためには、GDPが大きくなっていく、内需を中心にいたしました需要拡大政策をとらなければ決して財政再建もできないんだ。アメリカのクリントン政権のときに、見事に財政赤字を財政黒字化したということも、やはり景気拡大策、需要政策に思い切って取り組んだからそれができたんだと思います。

 したがいまして、今、GDPが、小泉内閣が発足いたしましたその前の年、二〇〇〇年は五百十三兆のGDPがございました、それが二〇〇二年では四百九十七兆に落ちた、そして二〇〇五年に五百三兆円、五百五兆円ぐらいのところまで戻ってきた、そういう数字ですけれども、そこで、法人税の税収、所得税の税収も減る、それはもう当然のことだと思うんです。

 税収が減りますから、国債発行をどうしてもやらざるを得ない、そういう状況になってくるわけでございまして、税収の推移を見ましても、二〇〇〇年度が五十・七兆円、二〇〇三年が実に四十一・八兆円まで落ちて、二〇〇五年度が四十七兆円ということですけれども、これは、二〇〇五年度の四十七兆円というのは、十八年前の税収と同じ数字なんですね。

 ですから、私は、景気が拡大してきたのではなくて、一たんがくんと落ちたその景気がようやくもとのところに戻り始めたというのが正しい姿だと思います。

 これは株価を見ても同じことが言えると思うんです。小泉内閣発足のときに、一万四千六百円弱だったと思いますけれども、それが一時は七千円台まで落ち込んだ、それが、ようやく昨年の暮れに一万五千円台に回復をした、そういうことでございますけれども、決してGDPが大きくなっているわけではないんだ、GDPが大きくなっていれば、当然、思い切った減税もやれるでしょうし、また、それだけ国民の可処分所得もふえてくれば、消費もふえてくる、いい循環に入ってくるんだと思います。

 小泉内閣の経済財政政策、失敗だとはお認めにはならないだろうと思いますけれども、少なくとも、今のデフレのもとにおける国の経済の姿をあらわすためには、実質ではなくて名目で出さないと本当の姿が出ない、そのことについてはお認めになりますでしょうか。総理並びに谷垣財務大臣、お願いいたします。

小泉内閣総理大臣 私は、着実に景気回復の軌道に乗ってきたな、改革の成果が出てきたなと思っております。

 それは実感がないと言われれば、いまだかつて、戦後この六十年、日本はデフレを経験していなかったわけです。インフレの時代に我々国会議員として仕事をしてきた。当初、あの一九七三年の石油ショック、二けたの物価上昇率、インフレをいかに抑えるかということが主な経済の課題でありました。

 その後、景気が悪くなると、公共事業を拡大し減税をしよう。一時はよかったんですけれども、これがもう当たり前の手法になってきて、いつの間にか、気がついたら、幾ら公共事業をふやしても幾ら減税しても、借金はふえるけれども景気回復しないということで、五年前に就任してから、もう公共事業も減らしていきますよという形で、とんでもないという声もありましたけれども、予算、公共事業を拡大しない中で、歳出削減の中で、現在、景気回復軌道に乗ってきている。ようやく、最近では見積もりの税収よりも多く税収が上がってくる段階になってまいりました。名目もマイナスからプラスに転じてまいりました。実質も、予想よりも若干多目な成長をしてまいりました。

 こういうことから、私は、かつてのように、まだまだ景気が十分じゃないから公共事業をふやせ、予算をふやせということにすることによって、景気が回復するかとなると、これまた借金をふやさざるを得ない、借金はだめだというと増税をせざるを得ない。両方とも景気回復にマイナスの面をもたらすんじゃないか。歳出を削減する、公共事業を削減するというのは景気にマイナスだと言っていたのが、現実にはプラスになってきているわけです。これが、かつてのインフレの時代と今とは違っている。

 私は、将来、増税幅をできるだけ少なくするためにも、まだまだ歳出削減の手を緩めてはならないし、改革をとめてはならないと思っております。

谷垣国務大臣 今総理のおっしゃったとおりだと思いますが、私は、経済指標として言えば、名目も実質も、両方見ながらやはり運営していかなきゃいけないと思っております。

 その上で、今亀井先生のおっしゃったことが、デフレを克服する上において、ちょっとそうははっきりおっしゃらなかったですけれども、もし財政を出動すべきだったとおっしゃるならば、今の日本の財政には、出動する余力がほとんどなくなっているということが従来からあったと思います。これ以上財政を出動していけば、多分、マーケットから財政の持続可能性に対する拒否反応といいますか、そういうものが起きてきかねない状況というものが一つあった。

 それからもう一つは、財政出動をやることの効果が、かつては非常に大きかった時代がありましたけれども、やはりこのところ、しばらく前の我々の経験によれば、財政を出動しても必ずしも十分効果が上がらなかったという我々の経験があって、結局、財政出動をできるだけ抑制する中で、規制緩和、そのほかの方向で景気、経済の拡大を図っていこうという路線をとらざるを得なかったということではないかと私は思っております。

亀井(久)委員 申し上げたいことはまだたくさんありますけれども、もう時間になりましたので、これで終わらせていただきます。

筒井委員長 以上をもちまして平成十六年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

筒井委員長 平成十六年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 これより議決案を朗読いたします。

    平成十六年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案

  本院は、平成十六年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。

 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。

   次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。

  1 国の財政は、公債残高が累増し引き続き厳しい状況にある。財政の健全化に向け、二〇一〇年代初頭における基礎的財政収支の黒字化を確実なものとするために、歳出の水準を一層厳しく抑制していくべきである。このため、制度面に踏み込んだ施策の合理化、少子高齢化社会に向けた歳出の重点化、一般競争入札の拡大等予算執行の効率化、事務経費の縮減等により歳出の見直しを徹底すべきである。また、継続的な剰余金や多額の借入金等が存在し、歳出合理化を阻害する要因ともなっている特別会計において、勘定間を含む実効性のある統廃合や特定財源の一般財源化等制度面からの見直しの促進、歳出の合理化、余剰資産の有効活用等を行うべきである。国の資産については売却・賃貸等を積極的に行い、国の財政への貢献を確かなものとすべきである。

  2 社会保険庁は、今般の国民年金保険料の不正な免除・納付猶予問題により、国民からの信頼が更に失われている状況にある。ついては、社会保険庁のこれまでの組織の体質を一掃し、法令遵守の徹底、内部統制の充実強化等の改革に全力で取り組み、年金制度に対する国民の信頼を早急に回復すべきである。

  3 天下りを背景とした防衛施設庁を巡る官製談合事件など入札談合事件が相次いで発生し、国民の公共工事に対する不信感が一層広がっている。ついては、手続きの透明性・客観性、競争性を確保するために、一般競争入札及び総合評価方式を一層推進するとともに、指名競争及び随意契約に係る場合は、情報を公表するなど、公共工事の入札及び契約の適正化を促進し、入札談合の排除を徹底すべきである。

  4 国の内外で大規模な地震の発生により国民生活に多大な影響が及び、国民の防災に対する意識が高まっている。こうした中、公共事業関係費の縮減の下で、地震災害対策には、重点的・効果的に予算配分を行い、建築物の耐震化、家具の転倒防止をはじめ、総合的な防災・減災対策に取り組むべきである。また、昨年明らかになった耐震強度偽装問題については、国民の生命・身体の安全に直結する問題であることに鑑み、事業者、建築士や検査機関等がきちんと責任を果たす制度を整備し、一層居住者・利用者・購入者の立場に立った実効性のある再発防止策を早急に講ずるべきである。

  5 最近、子どもが被害者となる事件が後を絶たない状況である。子どもの安全確保のために、学校安全ボランティアなどによる地域ぐるみの安全体制の整備や路線バスの活用を含めたスクールバスの検討などの防犯体制を一層充実させ、学校と地域住民との連携と協力を推進して、効果的な犯罪防止対策に取り組むべきである。また、学校施設の耐震改修やアスベスト対策など建物の安全対策について、総合的・計画的に推進すべきである。

  6 公務員制度の改革が喫緊の重要課題となっており、公務員の純減や成果主義及び市場化テストの導入に向けた改革を進めようとしているところである。今後は、公務の執行に伴う経費の無駄をなくすため、コスト感覚を養うべく民間との人事交流の促進や公務員に経費削減に対するインセンティブを与える施策を実施すると同時に公務員の労働基本権についての検証を進めるべきである。

  7 政策評価制度は、効率的で質の高い行政の実現などを目的とするものであり、予算・決算との連携強化が求められている。今後、政策の企画立案段階、途中段階や実施段階において、より実効性のある制度とするため、評価制度の拡充を図るとともに、適切な第三者を参加させたり、評価基準を明示するなど評価の客観性を確保し、国民にその評価結果を極力明らかにしていくべきである。各府省は当該評価を踏まえたうえで政策体系及び個々の政策の立案を行い、国民に当該立案、実施経過などに関する説明責任を果たしていくべきである。

  8 科学技術政策の在り方を定めた「第三期科学技術基本計画」を着実に推進する。計画の実施に当たっては、「選択と集中」を徹底し、研究成果の社会への還元や基礎研究の充実・強化を図るとともに、優秀な人材の確保・養成のために、研究環境の整備や国民の科学技術への関心を高める施策に積極的に取り組むべきである。

  9 在日米軍再編については、基地に関係する地方自治体や地域住民に種々の影響を及ぼそうとしている。在日米軍再編に伴う抑止力の維持及び沖縄をはじめとする地元の負担の軽減について国民に十分説明するとともに、今後、その経費の明確な根拠を示すべきである。また、国外の米軍住宅建設に活用する融資・出資についても、今後、その枠組みや機関を明らかにすべきである。

 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。

   政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。

 三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。

  政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。

以上が、議決案の内容であります。

    ―――――――――――――

筒井委員長 これより平成十六年度決算外二件を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決を行います。

 まず、平成十六年度一般会計歳入歳出決算、平成十六年度特別会計歳入歳出決算、平成十六年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成十六年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

筒井委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。

 次に、平成十六年度国有財産増減及び現在額総計算書、平成十六年度国有財産無償貸付状況総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

筒井委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

筒井委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 ただいま御決議のありました財政再建につきましては、まずは、当面の財政健全化目標である二〇一〇年代初頭における基礎的財政収支の黒字化の達成に向け努力を重ねているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも、歳出歳入両面から、バランスのとれた財政構造改革を進めてまいる所存であります。

 また、特別会計の見直しにつきましては、行政改革推進法に具体的改革案を盛り込むなど、着実な見直しを進めてきているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいります。

 さらに、国の資産の売却、有効活用につきましては、積極的に推進しているところでありますが、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも最大限努力してまいる所存であります。

筒井委員長 次に、川崎厚生労働大臣。

川崎国務大臣 ただいま御決議のありました社会保険庁の問題につきましては、速やかに、不適正な免除等の事務処理の全容を明らかにするとともに、職員の意識改革及び業務改革の徹底と組織改革の実現を図ることにより、年金制度に対する国民の信頼回復に努めてまいります。

筒井委員長 次に、北側国土交通大臣。

北側国務大臣 ただいま御決議のありました公共工事の入札問題につきましては、入札談合の排除の徹底等を図るため、一般競争入札の拡大と総合評価方式の拡充を柱とする入札契約の改善に全力で取り組んでいるところでございます。

 御決議の趣旨を踏まえ、今後とも、公共工事の入札及び契約の適正化を推進してまいる所存であります。

 また、耐震強度偽装問題につきましては、住まいという生活の基盤への信頼を揺るがすものであり、国民の安全と安心にかかわる重大な問題であるとの認識のもと、建築基準法等の一部改正案を今国会に提出しているところでございます。

 御決議の趣旨を踏まえ、今後さらに、建築士制度のあり方など、引き続き検討すべき課題について夏ごろまでに方針を取りまとめ、再発防止策を講じてまいる所存でございます。

筒井委員長 次に、沓掛国務大臣。

沓掛国務大臣 ただいま、地震に対する総合的な防災・減災対策につきまして御決議がありました。

 防災の分野についても重点的、効果的な対策の実施が求められており、中央防災会議においても、大規模地震の地震防災戦略を決定し、減災目標を定めて対策に取り組むことといたしております。

 さらに、今国会において地震防災対策特別措置法が改正され、地域での目標設定、これに即した計画実施の制度が導入されました。今後、本制度の的確な運用を図り、地震災害対策の重点的、効果的な実施を推進してまいります。

 特に、建築物の倒壊防止や家具の転倒防止は、人命を損なうという重大な被害の軽減に極めて有効な対策であります。建築物の耐震化については、昨年の中央防災会議での国家的緊急課題としての位置づけを踏まえ、耐震改修促進法の改正や税制創設、予算充実など推進体制の整備を図っているところであり、今後、これらの施策を最大限活用して建築物の耐震化を本格化してまいります。

 今後とも、各種事業、制度を効果的に活用し、総合的に防災・減災対策を推進してまいる所存であります。

筒井委員長 次に、小坂文部科学大臣。

小坂国務大臣 ただいま御決議のありました子供の安全確保のための対策につきましては、通学路における安全対策も含め、各学校や地域における学校安全対策の支援を行ってまいりました。

 今後とも、御決議の趣旨を踏まえ、地域ぐるみで子供の安全を見守る環境を整備するため、子供の安全確保に関する施策の一層の推進を図ってまいる所存でございます。

 また、学校施設の安全性の確保は喫緊の課題と認識しているところであり、学校施設の耐震改修及びアスベスト対策など建物の安全対策についても、全体的な状況を把握の上、緊急性の高いものから計画的に推進してまいる所存であります。

筒井委員長 次に、中馬国務大臣。

中馬国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を踏まえ、民間との人事交流を促進するとともに、現在実施されている人事評価の試行を進めつつ、公務執行等の実績を適切に反映するような能力・実績主義の人事管理の早期確立に努めてまいります。

 また、労働基本権のあり方につきましては、予見を持つことなく検討する場を立ち上げることとしておりまして、この場においても、国民意識を十分に踏まえて、幅広く検討してまいります。

筒井委員長 次に、竹中総務大臣。

竹中国務大臣 ただいま御決議のありました政策評価制度につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。

筒井委員長 次に、松田国務大臣。

松田国務大臣 ただいま御決議のありました第三期科学技術基本計画の推進につきましては、イノベーション創出などを通じ、社会、国民に支持され、成果を還元する科学技術を目指し、投資の選択と集中の徹底とともに、基礎研究の推進、すぐれた人材の育成などに重点的に取り組むこととしているところです。

 御決議の趣旨を踏まえ、第三期基本計画のもと、世界最高水準の科学技術創造立国の実現に向けて全力を尽くしてまいる所存です。

筒井委員長 次に、額賀防衛庁長官。

額賀国務大臣 ただいま御決議のありました米軍再編問題に関しまして、御決議の趣旨を踏まえ、防衛庁としては、米軍再編について国民に十分説明するとともに、その関連経費につきましては、これから米国との間で事務的に細部を調整し、我が国が負担すべき経費の内容の詳細をきちんと精査していき、国民の皆様の御理解が得られるように説明をしてまいりたいと思います。

筒井委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 本日をもちまして平成十六年度決算外二件の審査はすべて終了いたしました。委員各位の御協力に深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


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