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第5号 平成21年6月10日(水曜日)

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平成二十一年六月十日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 川端 達夫君

   理事 秋葉 賢也君 理事 谷川 弥一君

   理事 寺田  稔君 理事 武藤 容治君

   理事 山口 泰明君 理事 平岡 秀夫君

   理事 横光 克彦君 理事 福島  豊君

      赤城 徳彦君    石原 伸晃君

      坂井  学君    桜井 郁三君

      菅  義偉君    杉村 太蔵君

      棚橋 泰文君    玉沢徳一郎君

      冨岡  勉君    額賀福志郎君

      広津 素子君    牧原 秀樹君

      宮下 一郎君    矢野 隆司君

      安井潤一郎君    山本  拓君

      渡部  篤君    金田 誠一君

      小宮山泰子君    高山 智司君

      津村 啓介君    寺田  学君

      松木 謙公君    松本 大輔君

      松本  龍君    坂口  力君

      鈴木 宗男君    前田 雄吉君

      渡辺 喜美君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   法務大臣         森  英介君

   財務大臣

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国土交通大臣       金子 一義君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     河村 建夫君

   財務副大臣        竹下  亘君

   厚生労働副大臣      大村 秀章君

   国土交通副大臣      金子 恭之君

   外務大臣政務官      柴山 昌彦君

   会計検査院事務総局第一局長            鵜飼  誠君

   会計検査院事務総局第二局長            小武山智安君

   会計検査院事務総局第三局長            河戸 光彦君

   会計検査院事務総局第五局長            真島 審一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  江澤 岸生君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長)    小高  章君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山本 和史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 望月 達史君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    尾崎 道明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    谷崎 泰明君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 道盛大志郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 永長 正士君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中村 明雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  上田 博三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           稲葉 一雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   決算行政監視委員会専門員 菅谷  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  岡田 克也君     笹木 竜三君

六月十日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     牧原 秀樹君

  笹木 竜三君     高山 智司君

同日

 辞任         補欠選任

  牧原 秀樹君     棚橋 泰文君

  高山 智司君     笹木 竜三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成十九年度一般会計歳入歳出決算

 平成十九年度特別会計歳入歳出決算

 平成十九年度国税収納金整理資金受払計算書

 平成十九年度政府関係機関決算書

 平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書

 平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書

 中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況に関する予備的調査についての報告


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     ――――◇―――――

川端委員長 これより会議を開きます。

 平成十九年度決算外二件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官江澤岸生君、内閣府地方分権改革推進委員会事務局次長小高章君、宮内庁次長風岡典之君、公正取引委員会事務総局審査局長山本和史君、総務省大臣官房審議官望月達史君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長尾崎道明君、外務省大臣官房審議官中島明彦君、外務省欧州局長谷崎泰明君、財務省大臣官房審議官道盛大志郎君、財務省大臣官房審議官永長正士君、財務省主計局次長香川俊介君、財務省理財局次長中村明雄君、厚生労働省健康局長上田博三君、国土交通省大臣官房長増田優一君、国土交通省大臣官房審議官稲葉一雄君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長藤田伊織君及び防衛省防衛政策局長高見澤將林君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

川端委員長 これより、各件に関し、行財政の適正・効率化について重点事項審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。

 本日は、行財政の適正・効率化を中心に質問させていただきたいと考えております。

 これまで、政府・与党としましては、いわゆる骨太二〇〇六を基本といたしまして、公務員人件費の削減でありますとか特別会計の支出の見直し、また、特に剰余金、積立金等の見直しなど、多方面にわたって行財政の適正・効率化を図ってきたものと承知しているところでございます。

 そこで、まず、二〇〇六年以来、今日に至るまでの改革の成果がどのような形で出ているのか、できるだけ具体的な形でお示しをいただきたいと存じます。

江澤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、二〇〇六年に成立いたしました行政改革推進法などに基づきまして、簡素で効率的な政府の実現を目指し、行政改革に取り組んでおります。

 これまでの取り組みの成果の一例を申し上げますと、総人件費改革では、定員の純減や給与構造改革によりまして、国家公務員の人件費を二〇〇五年度と二〇〇九年度で比べますと千二百億円削減いたしております。また、特別会計改革では、特別会計法等に基づきまして、剰余金、積立金等から、二〇〇六年度以降、累計で二十七・一兆円を財政健全化のために活用いたしております。

 以上のような状況でございます。

宮下委員 ちょうど折よく、昨日開催されました経済財政諮問会議におきまして、骨太二〇〇九の素案が示されたと伺っております。この中では、行財政の適正・効率化、また、あわせて成長力強化等々についてどのようなことが盛り込まれているのか、お教えをいただければと思います。

 あわせまして、現下の経済危機を踏まえまして、これまでの二〇一一年プライマリーバランス黒字化という目標にかえまして、新たな財政健全化目標が盛り込まれるというふうにも伺っているところでございますけれども、その具体的な内容、またその考え方についてお聞かせをいただければと思います。

与謝野国務大臣 お尋ねが二点ございました。

 まず、行政効率化等についてのお尋ねがありました。

 基本方針二〇〇九について、昨日、経済財政諮問会議に素案を提出して御議論をいただいたところであり、今後さらに検討が進められるわけでございます。

 その内容について申し上げますと、行財政効率化については、一つ、不断の行政改革の推進と無駄排除の徹底の継続、第二に、簡素にして温かい政府をつくるための量と質の改革、第三に、新たな定員合理化計画の策定と出先機関の事務、権限の移譲に伴う人員の地方移管等、第四に、独立行政法人整理合理化計画の確実な実施などを盛り込んでいるところでございます。

 成長力の強化については、特に低炭素革命や健康長寿、魅力発揮といった分野において、重点的、集中的な投資、戦略的なプロジェクトの実行、大胆な制度改革実施、短期的な需要創出と中長期的な成長力の強化を図ることとしております。

 第二点の御質問であります、財政健全化目標の考え方についての御質問がございました。

 昨日の経済財政諮問会議において、財政健全化目標については、財政の持続可能性を確保するため、財政健全化目標の基本として国、地方の債務残高対GDP比を位置づけ、これを二〇一〇年代半ばにかけて少なくとも安定化させ、二〇二〇年代初めには安定的に引き下げること、今後十年以内に国、地方のプライマリーバランス黒字化の確実な達成を目指すこと、当面の経済財政運営に当たっては、まずは景気を回復させ、五年を待たずに国、地方のプライマリーバランス赤字、これは景気対策によるものを除くでございますが、これの対GDP比を少なくとも半減させることを目指すことなどについて有識者議員から提案がなされ、ほぼ大筋の合意がなされたところでございます。

 いずれにいたしましても、現在検討中である新たな財政健全化目標について、今月取りまとめる予定の基本方針二〇〇九においてお示しをいたしたいと考えております。

宮下委員 ありがとうございました。

 私も、今後も着実に行財政改革に取り組むと同時に、やはり成長力戦略、ここにもぜひ重点を置いていくべきであろうというふうに思います。その効率化を図り、無駄を見つけて排除しながら成長路線をとっていく、でなければやはり最終的な財政再建には行きつけないということで、非常に細い道ではありますけれども着実に歩んでいくということが大事だと考えます。

 ところで、一方で、民主党の皆様方の御議論についてこの場でちょっと触れさせていただきたいと思いますが、民主党の皆様は、こうしたこれまでの努力、さらなる努力以外、別のところにあちこち何兆円もの財源が埋もれているんだというような御主張を累次されておられます。

 例えば五月二十七日の国家基本政策委員会合同審査会におきましては、鳩山代表が、民主党の調査によれば、四千五百の天下り団体に二万五千人の天下った方々がいて、そこに国の予算が十二兆一千億円流されている、そこのうちの半分が随意契約だとの発言をされておりますし、かねてより、この十二兆一千億が無駄に使われているというような発言を繰り返されてこられました。

 これに対して、六月二日、我が党の細田幹事長からは、この発言は国民を欺くものだということで公開質問状が出されましたが、二日後の六月四日付で、民主党役員室担当平野先生の方から、これは趣旨としては、国会で議論することが必要であるという旨の文書が返されたのみでございまして、何ら実質的な回答が得られていないということでございます。

 本日は、まさに開かれた国会の場ですので、その内容について若干検証させていただければと思っております。

 この御指摘があった十二兆一千億の予算の内容を見ますと、主要なものは、零細企業の資金繰りのための資金でありますとか、農林漁業者への経営資金、国公立大学への助成や奨学金、さらに、住宅取得者の皆様への資金援助など、国民にとってまさに必要な事業に使われておりまして、もしこれらを削るということになりますと、困るのは、まさに経済危機に必死に対応している国民の皆様なのではないかというふうに考えます。

 また、たとえこの中に含まれている人件費を削るということを考えたとしましても、人件費としては推計一千億程度しかございませんので、この一部が削減されても、何兆円もの財源が捻出できるということはとても考えられないわけでございます。

 そこで、政府として、この十二・一兆円から財源を捻出することができるとお考えかどうか、その可能性の有無について御見解をいただきたいと思います。

竹下副大臣 宮下委員の御指摘のとおりでございまして、捻出するというのは極めて困難であると認識をいたしております。

 お話ありましたように、十二兆円の資金の交付を受けておりますのは、例えば国民生活金融公庫等への財政融資資金貸し付け、これが四・二兆円、ではこれが本当に削れるのか。あるいは、個人向け住宅ローン、あるいは低利、無利子の奨学金といったようなもの、これは独立行政法人への資金交付でありますが、三・七兆円、これを削れるのかなと。国公立大学の運営を支えるための交付金や私学助成一・二兆円。

 いずれも国民生活や社会経済にとりまして非常に重要な、政策を遂行するために必要な資金でありまして、国家公務員再就職者の在籍の有無とは関係ないものであり、大幅に削減するのは極めて困難であると認識をいたしております。

宮下委員 これ以外にも民主党の皆様は昨年来、平成二十年ベースでいいますと、一般会計と特別会計を合わせた純計二百十二兆円から約二十二兆円をひねり出すのだ、こういう主張もされてきておられます。

 これに対して我々与党としましては、この二百十二兆円のうち、国債費、また社会保障関係費、それから地方交付税交付金、これはそれぞれ削減は極めて困難だろうと。また、財政投融資についても、削減しても、資産、負債ともに減るだけでありまして、財源にならないということであります。したがって、その二百十二兆のうち調整が可能なのは政策経費三十・五兆円、この中から二十二兆円を捻出ということになりますと、政策経費の七割をカットするということになります。公共事業だけでなくて、教育とか防衛、食料の安定供給、こういった国の施策が果たせなくなるというふうに反論してきたところでございます。

 これに対して、一昨日、朝日新聞紙面によりますと、民主党の福山政策調査会長代理は、歳出の性格に応じて整理された区分表と照らし合わせますと、官僚の天下り団体への補助金など、削減しやすい項目がこの中に紛れ込んでいるんだ、これを足し上げると、見直しの対象となる額は約二十五兆円ふえて六十七兆円にもなる、三十・五ではない、こういう御主張のようです。その中で真剣に検討すれば約十兆円の削減が見込めると。

 以前は、特会、一般会計を合わせてその中から二十二兆円という話が、最近では、見直し項目を六十七兆円に絞ってその中から十兆円、十兆円はまた別途考えるというような財源論に変わってきているようでございますけれども、その残りは特別会計の積立金とか剰余金等々から確保するというお考えのようであります。

 それから、本日の日本経済新聞によりますと、直嶋正行政調会長が、昨日行われました二十一世紀臨調の公開討論会で、これは多分二十一年度ベースの数字だと思いますけれども、一般会計と特別会計約二百九兆円のうち七十兆円分を見直し対象とし、十兆円くらいを何年かかけてひねり出すと述べられたそうでございます。

 実際に、一般会計と特別会計を性格に応じて整理し直すと、削減対象となる予算が何十兆円も見つかって、結果として十兆円もの財源が確保できるというのは、私はちょっとなかなか現実的ではないのではないかなというふうに思います。この点、どのようにお考えか、政府としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

与謝野国務大臣 民主党の御主張されている予算組み替えによる財源捻出については、その詳細は明らかにされておりませんので承知をしておりませんが、これまでの国会での御主張を考えますと、単に予算の純計の一割から捻出するとしているのみでございまして、非常に単純な話をされているわけでございます。

 国の総支出の八割以上は国債費や社会保障費等で、削減が困難か財源にならないものであり、残りの三十兆は、教育、科学技術五兆三千億、防衛四兆八千億、公共投資八兆九千億などが大半であるため、仮に二十兆の財源捻出を行えば国民生活に大きな影響が出ると考えられます。

 また、御指摘のように、歳出の性格にも応じた目別で純計を分析すると削減対象が広がるとの主張もございますが、この中の最大項目は補助金四十五兆円でありまして、この内訳は、地方交付税交付金十六兆六千億、社会保障給付関係十八兆八千億、文教関係予算四兆九千億が大半を占めており、これを大幅に削減することは国民生活に大きな影響を与えるおそれがあると考えております。

 私どもは、各党が御主張されていることからはぜひ勉強をしたいと思っておりますが、財源捻出方法についてもう少し個別具体的にお示しをいただければ政府として参考にいたしたいと思っておりますけれども、現段階では演説だけで詳細がわかりませんので、何ともお答えのしようがありません。

宮下委員 この一般会計、特別会計の費目の分析からという話以外に、特別会計の積立金二十兆円、それから、毎年三兆円から六兆円存在する剰余金、合わせてこの二十数兆円から五、六兆円を調達する、それからまた、所得税の諸控除の見直し、これは所得税増税ということだと思いますが、これで四、五兆円確保して、それで四年後ぐらいに合計二十兆円分の財源が確保できるのではと。こういうことが福山先生の御主張のようでございます。

 特に、この中の特別会計の積立金また剰余金、これについてでございますけれども、例えば、民主党の皆様がよく財源の候補として挙げられます外為特会の積立金は、外貨建て資産の為替変動リスクに対応するものでございまして、現在の円高水準では評価損も発生し得るぎりぎりの状態であるというふうに認識しておりますし、これは一例でございますけれども、そもそも特別会計のストックの積立金は一回限りの財源でございます。

 また、フローであります剰余金も、毎年安定的に発生するということではなくて、たまたま余剰になることがあるというような性格のものでありますので、いずれにしても、この特別会計の積立金、剰余金が毎年何兆円も、四、五兆円も確保できる安定財源だということはないのではないかと考えますけれども、政府としての御認識をお聞かせいただきたいと思います。

竹下副大臣 まず、外為特会についてでございますが、先生お話しになりましたとおり、これはもともと、御存じのとおり、借金をして獲得した外貨資産ということで、為替リスクというものが存在をいたしますので、一ドル九十九円の為替レートで純資産は今おおむねゼロになっている。きのう、きょう九十八円前後ですから、実はマイナスが出ておるというのが実態でございまして、したがって、外為特会、正味の財産があるわけではありませんので、特会の健全性といったような観点から考えましても、必要な積立金は維持すべきである、こう考えております。

 それから、ストックだけじゃなくてフローの剰余金も毎年発生しているのではないかという御指摘。確かにさまざま発生をいたしておりますが、例えば国債整理基金で発生しているものは、国債の償還のために翌年度へ当然繰り入れなければならない。この国債整理基金というのは、いわば前倒しして発行をして償還に備えるものという性格でありますので、これは勝手に使えるものではない。

 使えるものは使っております。外為資金につきましても、次年度積み立て二・一兆円で、今年度も一般会計へ一・八兆円繰り入れております。年金につきましても、実は二・一兆円、フローの余剰が出ているんですが、これは受け取る人が少なかったということで、ではこれを本当に使っていいのか。いいとは思えませんので、翌年度歳入への繰り入れと積み立てですべて使わせていただいております。

 そういったようなことでございまして、毎年安定的に発生するものではないこと、それから、活用可能な剰余金があれば、これまでも特別会計法に基づきまして一般会計への繰り入れも行ってきております。二十一年度予算でいいますと、二・五兆円でございます。

 このように、特別会計の積立金、剰余金等は新たな施策のための安定財源になるものではない、このように考えております。

宮下委員 既に積立金、剰余金も活用できるものはしっかり活用した上で効率化も図っているというお話でありますし、逆に、それを継続的な安定的な財源として見込むのは難しいということを改めて確認させていただきました。

 こうして考えますと、やはり地に足のついたしっかりとした行財政改革を進めると同時に、産業の成長力を高めて、その上で持続的な発展を目指していくのが王道であるということを改めて感じるところでございます。そして、中長期的な財政再建に向けても、やはり国の安定成長、それがなければ中期プログラムの実施等々も困難であろうと思います。

 そうした今後の財政運営のあり方を考えますときに、特に平成二十二年度予算をどのように編成するかというのが大変重要になってくると考えます。特に、まだまだ世界経済の下振れリスクが懸念される中、先ほど大臣も、平成二十二年度予算において足元、景気回復を最優先で進めることは大切であるというようなお考えも述べていただきましたけれども、改めて、骨太二〇〇九における来年度予算の位置づけ、それから景気回復にかける大臣の決意についてお聞かせをいただきたいと存じます。

与謝野国務大臣 お答え申し上げます。

 政府としては、当面は景気回復に最優先で取り組むとの方針のもと、これまで総額七十五兆円規模の経済対策に加え、経済危機対策を着実に実施しているところでございます。これら累次の経済対策の実施を通じ、景気が回復するよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 また、平成二十二年度予算は、持続的な経済成長と財政健全化の両立を図る上で重要な予算であると認識しております。平成二十二年度の予算の方向については、「「基本方針二〇〇六」等を踏まえ、歳出改革を継続しつつ現下の経済状況への必要な対応等を行う。」との考えを昨日の基本方針二〇〇九素案においてお示しをしたところであり、今月下旬の取りまとめに向けて検討をしてまいりたいと考えております。

宮下委員 ありがとうございます。以上で質問を終わります。

川端委員長 次に、福島豊君。

福島委員 大臣、副大臣、大変御苦労さまでございます。

 現在、我が国の財政は急速に悪化をいたしております。経済危機から早急に脱出を図ると同時に、また、早期に財政健全化に向けた道筋を示すことが政府の重大な責任であるというふうに思っております。

 今日、政権与党に対しては、国民から大変厳しい評価を受けていると私は思います。その一因というものは、これだけ巨額の債務を積み上げてしまった、その責任があるのではないかという率直な国民の思いがあるのではないかというふうに私は思っております。

 高齢化に伴う社会保障関係費の増加や長期の経済の低迷、そしてまた、それに対しての経済対策、これは減税も含みますけれども、この十年、そうしたことがこうした財政を悪化させる大きな要因になってきたことは間違いがありません。しかしながら、これだけ巨額な債務を積み上げてしまったのはやはり政権の責任ではないか、こういう指摘があるんだと私は思います。

 ただ、この間、お配りしました配付資料にありますように、歳出改革ということを政府はしっかりやってきたことも一方で事実だと私は思っています。

 十年間で、例えば公共事業関係費は、十一年度の決算に比べると十三兆円から七・一兆と五・九兆円の削減をいたしました。また、その他歳出も、十二兆から九・七兆と二・二兆の削減をいたしました。歳出改革ということがこの十年間で着実に行われたことは一方で事実である。しかし、その歳出改革の努力も、社会保障関係費は十九兆から二十四・八兆、五・八兆の増加であります、また、地方交付税交付金等の増加も三・五兆、こうしたところで全く相殺をされてしまって、財政全体の健全化ということについては大きな影響力を持たなかったということなんだと思います。

 私は、この事実はもう少し国民によくアピールするといいますか、知っていただく必要があると。今の構造というのは、とにかく今の政権は官僚依存だ、官僚依存だから税金の無駄遣いを温存している、だからこれだけ債務が積み上がってしまったのだ、こういう非常に単純化された構図で語られてい過ぎる。ある意味でそういうことはないとは言いませんけれども、それですべてを説明しようとなると、これはレッテルにしかすぎません。

 このレッテルをいかにはがすか。事実と違うことを国民が信ずるということは国民にとっても不幸でありますから、私は、この点については政府はもっと努力すべきだ、このように思いますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 すべての政策は、実は国がやっているのではなくて、国民が負担をして行政サービスを提供している。その媒介者が国、政府というものだと私は思っております。

 ただし、選挙がございますし、特に小選挙区制度を導入した以降は、どちらかというと、選挙があるからとりあえず物は言わないという風潮が広がっております。民主党の鳩山党首も、消費税については四、五年は議論すらもする必要がないということを言い放っておられる。こんな無責任なことを我々の自由民主党も各党も言っていて、人気取り政策のみで選挙をやっていますと、国の財政はもたなくなるということは当たり前のことだと思います。

 我々は、国の財政がここまで悪化したのは、必要な歳出がふえてきた、また、政治としては、新しくいろいろな社会保障制度等もつくり上げてきた、その際に、やはり負担はだれがするのかということをきちんと国民に御説明してこなかったというのは我々の努力が不十分であった、その御指摘は甘んじて受けなければならないと思っておりますが、現在は、社会保障費等のいろいろな経費は次の世代に先送りをしている。この状況は、段階的にですけれども、やはりきちんと直すというのが党派を超えた政治の責任であると私は思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 昨日、経済財政諮問会議で、財政再建に向けた基本的な方向性についてお示しがありました。先ほど宮下委員からも御質問がありましたので、どのような内容かということについての質問は割愛をさせていただきたいと思っております。

 その中で、当面の課題として非常に重要なのは、五年を待たずに国、地方のプライマリーバランス赤字の対GDP比を半減させる、この目標だというふうに私は思っております。

 この「五年を待たずに」という書きぶりにいろいろな意味があるのかなというふうに思ったりもいたしますけれども、経済成長、そして歳出改革、歳入改革、この三本柱で財政再建をするしかありません。こういった三本柱をどのような形で発動させて、そしてこの「五年を待たずに」という目標を達成することになるのか、この点についての見解をお聞きしたいと思います。

与謝野国務大臣 そこに二つのことが書いてありまして、五年を待たずにやろうという話と、なおかつ、世界経済等には流動的要素があるのでやはり時宜に応じた再検証を行う必要があると。我々としては、真剣な気持ちは、「五年を待たずに」というのは、五年は待っていられないんじゃないですか、やはりできれば四年、非常に難しいけれども三年、そういう我々の意気込みがそこに書かれている表現でございます。

 そして、財政再建というのは、歳出削減努力を続けていくこと、それから国会にお願いして歳入改革をやっていただくこと、それからいろいろな政策を通じて日本の経済成長を図っていく、これがやはり財政再建の大事な三つの柱だと思っております。これら一つ一つの政策をきちんと積み上げていく、この真剣さが求められていると私は思っております。

福島委員 経済成長、そして歳出改革、歳入改革、この三つをすべてやり遂げていかなきゃいかぬ、このように私も思います。

 ただ、一方で、歳出改革、これは大臣にこう申し上げると大臣からおしかりをいただきそうでありますけれども、小泉改革の折にさまざまな歳出改革をいたしました。社会保障改革もそうであります。三位一体改革もその一端だったというふうに私は思います。そして、そのことが今日、さまざまな社会保障関係費、これは伸びているわけでありますけれども、ある意味で、さまざまな抑制を行いました。これに対しての国民の批判というのは極めて強い。また、地方交付税改革に伴う地方財政の悪化、このことに対して地方の疲弊だということで批判が強い。このことが今日の現政権に対しての批判にもつながっているというふうに私は思うんです。

 ですから、歳出改革をどう進めるのかということについて、こうした経過ということを十分踏まえながら次の手を打つ必要がある、このように思いますけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

与謝野国務大臣 二つのことがございまして、実は、二千二百億の削減は、一兆円以上ふえる社会保障費の伸びを八千億前後にしていただけませんかというので、前年度の予算から二千二百億ずつ減らしていくというのではなくて、増分を二千二百億減らしていただけないかというだけの話なんですけれども、実際は、このことのせいだという分野がたくさんあって、介護の現場、医療の現場、いろいろな悲鳴が聞こえてきております。

 そういう機械的な削減というものが実際の介護、医療の現場に与えている不安、こういう実態もよく考えなきゃいけないと思っておりまして、これは、基本方針二〇〇九での書きぶり、あるいはシーリングの考え方では、よほど注意した書き方をしないと国民の不安を増幅しかねない、そういうことを心配しておりますが、一方では、今のシーリング制度は各省の予算を横並びでカットしていこうという思想がありますので、一つの瓶のふたをあけると全部の瓶のふたをあけなきゃいけない、こういうことは避けなきゃいけないんですが、やはり現場での非常に苦しい状況というのは正確に反映する、また、新しい社会保障に関する機能強化、こういうこともきちんと考えながら、物事を経済社会状況に対応できることとしなければならないと思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣の御答弁で、経済状況も見きわめながらという話がありましたので、長期金利の上昇ということが一番気になるわけでありますが、その辺については柔軟によく判断して対応されるということで、質問を一問省略させていただきます。

 大蔵省出身のスウェーデン大使でありました藤井さんという方が、スウェーデンの財政構造改革について記述をしております。スウェーデンは、九二年にリンドベック委員会というものが報告書を出しまして、予算編成プロセスを含む財政管理システムの全体的改革を検討して報告した。従来の予算編成プロセスそのものが財政悪化に拍車をかけた、こういう指摘をしているわけであります。九五年に財政法を成立させまして、九六年から新しいシステムに移った。具体的には、三カ年にわたって歳出総額のシーリングを決定する、これはマクロ経済目標を踏まえて歳出の三カ年の総額を決める、そしてそれを二十七の歳出分野に配分する。ですから、大枠をきちっと決める、経済成長と整合性のある、財政状況と整合性のある、そういう大枠を決める、そしてその中から配分していく。ですから、日本の単年度の積み上げ方式とは全く違うやり方に実は変えたわけです。

 私は、今の議論の中で、これは大臣にお聞きするのは釈迦に説法のような話で、私のような素人が聞くのは大変恐縮なんですけれども、行政改革ということでさまざまな議論がなされております。そしてまた、財政改革ということで先ほどのような議論もなされている。この中で一つ私が同時に考えていただきたいのは、こうした予算編成のプロセスそのものを改革すべきである、会計制度も改革すべきである、こういうふうに思うんです。

 今申し上げましたような、中期的な目標のもとに、一律のシーリングということではなくて、歳出総額、そして全体の分野別の配分というものをまず決めて、そこから考えていったらどうかというような改革が一つ。

 それから二つ目は、例えば社会保障会計のようなものを独立するような改革をしてはどうか。

 三つ目は、決算の機能です。私も決算委員会に所属させていただきまして、決算をきちっと見るということがいかに難しいか、読んでもよくわからない、何を指摘していいかわからない、メディアで取り上げられたことを取り上げることは可能でありますけれども、全体として効率性の高い予算を編成するためにどう生かすのかということについては甚だ非力だな、こういう思いがいたしております。

 こういった予算編成のプロセスから、会計制度、決算、こういう制度全体をどう変えるのかということをやはり私は国民に示すべきではないか。先ほどの民主党の議論で、二百二十兆から一割削減します、こういう議論がある意味で国民の耳になじむというのは、逆に言うと、それだけ予算制度がわかりにくくて、そういうこともあるのかなという思いを逆に抱かせるからこそそういう結論になるんだと私は思っています。

 ですから、今、財政再建ということの中で、予算編成のプロセスそのものについても見直しをしていくべきだと思いますが、この点について大臣から御指導いただければと思います。

与謝野国務大臣 まず、最後の御質問からお答えしますけれども、決算というのをもう少し熱心にやられたらいいと私は思っております。無駄を省くというこの大事なことをただ漠然と言うのではなくて、具体的にここが無駄だということをやはり決算で国会の機能としてきちんとやるということは国民に対する責任であると私は思っております。これは、国会議員だけでできなければ、会計検査院だけでは十分でないという場合は外部の会計の専門家を動員しても、そういうきちんとした機能を政府は果たしていくべきだと私は思っております。

 それから、行政改革は終わることのない努力であると私は思います。人によっては、行政改革が始まったのは大化の改新だと言うんです、ずっとやっていると。これはいわば終わりなき努力なんだけれども、行政改革がここで済んだというものは多分ないはずなんです。やはり時代時代に応じていかに行政を効率化させていくかということは国会の責任であり、役所自体は自己増殖的にふえるという性質を持っている、これを抑制していくというのは国会の責任だと私は思います。

 予算は、お金のない時代なのでみんな一律にカット、これは実はちっとも頭を使っていない予算編成になってしまう可能性があるわけです。やはりめり張りのきいた重点的な予算というものを静かに編成する、こういう考え方も少しずつ出てこないといけないのではないかと自省を込めて申し上げております。

福島委員 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 最後に、先ほど三位一体改革によりまして地方の財政が大変厳しくなったという話がありまして、これは総務省がきょうお越しでしたか、総務省の方から……。では、大臣。

与謝野国務大臣 三位一体改革は、今いろいろな御意見があるんですけれども、地方六団体の御意見のとおりの三位一体改革をやったので、それに対して今いろいろな御意見を言っていただくと我々としてはつらいものがあるということだけは申し上げておきます。

福島委員 わかりました。大臣の御答弁をいただきましたので、以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

川端委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田です。

 きょうは、三十分のお時間をいただきまして、政府保有の株式に係り政府がどのような対応をしていくべきなのかということを一般論でお伺いした後に、具体論として日本郵政に関してもお伺いをしたいと思っております。お忙しい中、総務大臣にも官房長官にもお越しいただきまして、ありがとうございます。

 まず、財務省の方にお伺いしたいと思います。

 きのういただいた資料では、政府保有株式は約二十二社に及ぶというような資料がありましたけれども、この政府保有の株式に対して総会に理財局の方で出られるということを伺っておりますが、基本的に、総会での議決権の行使に関する財務省の基本方針と、今まで出席されて議題等に反対されたことがあるのかどうか、また、一説には基本的には反対しないのが方針なんだとも聞いておりますけれども、そういう場合において株式を保有している意味というのはどういうところにあるのか、まとめて御答弁いただけたらと思います。いかがですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政株式会社を初めとする特殊会社の常勤の取締役の選任につきましては、主務大臣の認可に関連し、閣議決定に基づきまして、内閣官房長官への協議を経て決定されるという手続がございますから、内閣として統一した対応が行われるものと承知しております。

 財務省は政府の一部門として株式を保有しており、取締役の選任に関する株主権の行使に当たっては、こうしたプロセスを経ることにより決定された内閣の方針に従って行使するものと考えております。

 それから、先生御質問の過去の例でございますけれども、当方で記録を調べました限りにおきましては、これまで議案に反対したことはございません。

寺田(学)委員 今るる御答弁いただいた中で、基本的には、会社側が出してきたものに従っていく過去もありますし、閣議決定等を経た上で一体的な行動をしているというような御答弁がありました。

 今話題になっている日本郵政のことに関しましては、まさしく株主としての議決という意味では、会社側に反対しないのではないかというようなお話もありますけれども、ある種同様に、会社側に、経営方針に大きな影響を及ぼす役員人事に関しては、閣内の中で意見が分かれているとの報道もあります。

 そういうところで、ちょっとそこら辺を整理してお伺いしたいんですが、まず、認可権限の所在に関してお伺いしたいと思っています。

 まず、法律をそのまま読みますと、日本郵政法の九条においては、取締役の認可は総務大臣が行うというようなことが書かれております。このことを指してですけれども、取締役の認可というものは、この法律上、総務大臣が専管して権限を持っている、お一人で決めることができるということの解釈でよろしいでしょうか。総務大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 当然、株主総会、株主は国一人でございますから、これは財務省理財局ということなんでしょうか、与謝野大臣がお持ちだということになります。

 しかし、財務大臣が株主として判断する基準というものは、いわゆる国有財産、あるいは国が出資している、あるいは株を保有している場合に、国の資産が毀損されることがないようにという視点であろうと思っております。ですから、そういう観点で株主総会では財務大臣が判断をされる。

 今、寺田学議員お尋ねの、九条の「会社の取締役の選任及び解任並びに監査役」、これは今いませんけれども、「の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということですから、これは、総務大臣が取締役を選ぶわけではなくて、株主総会で選任された、あるいは解任されたことに対して認可権を行使するということでございます。

 私の場合は、いわゆる日本郵政株式会社あるいは郵政グループのすべての今日までの業務のあり方や今後のあるべき姿を考えて、全部を考えて判断するということでございますので、与謝野大臣には大変失礼な言い方になるかもしれませんが、財務大臣というのは大変重いお仕事でして、法律のありとあらゆるところに財務大臣協議というのが入っておるわけです。日本郵政株式会社法にも財務大臣と協議をしなければならないという規定が随分あると思いますが、この場合は、総務大臣の判断は、財務大臣が株主総会で判断するのとは、密接不可分であるけれども別の視点で判断するという意味を持っていると私は解釈いたしております。

寺田(学)委員 今の御答弁の密接不可分というのは、考え方は一緒でアプローチが違うんだということでよろしいんですか。考え方は統一されるということですか。

鳩山国務大臣 若干、視点が異なると言ってもいいかもしれません。

 例えば、余り現実的な例でないかもしれませんが、子会社が四つありますね。四つの間で財産のやりとり、資産のやりとりとか、あるいは料金のやりとり、委託料のやりとりがあったとします。郵便局会社に払う、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の委託手数料がひどく安かったとしますね。これは、子会社間の金のやりとりであるならば、政府全体の資産としては大きな影響は受けないわけです。しかし、郵政行政全般を監督する私から見れば、それでは局会社が成り立たなくなってユニバーサルサービスが将来おかしくなるのではないか、そういう視点で物を見ますから、視点が若干異なる、こういうふうに考えております。

寺田(学)委員 だから、お伺いしたいのは、結論は一緒になるということですね。株主総会での判断と、その後直ちに行われる総務大臣としての判断は一致するということでよろしいですね、密接不可分なんですから。

鳩山国務大臣 それは密接不可分でございますが、私は法律の専門家ではありませんが、純粋法理論的に考えれば、異なることもあり得るということだと思います。

寺田(学)委員 であるならば、何が密接不可分なのかよくわからないんですけれども。

 今、総務大臣がお話をされましたけれども、財務大臣として判断されることと総務大臣として判断することは違うんだということを明確にお話しされましたけれども、財務大臣として、今の御答弁に対して同意されるかどうか、よろしくお願いします。

与謝野国務大臣 今は例外的な状況で、政府が全部株式を持っているという状況ですから、株主としての国と認可権限を持っておられる総務大臣の意見は完全に一致して、株主権も行使いたしますし認可権も行使する。これは同じでなければならないというのは、私は理の当然であると思っております。

 一方、この株が一般に公開されて、政府も持っているけれども民間も株を持っているという状況では、政府の意思だけでは株主総会というのは決まらない。もちろん重要事項については拒否権を持っていますけれども、例えば民間の方が三分の二を持っていたという状況では、いろいろな、例えば取締役が選任されるわけでございます、このときは、株主総会で決まったことと認可権の内容とは違う場合というのは理論的には出てまいります。今の段階では、そういうことは絶対にない。

寺田(学)委員 大臣同士の答弁が違うんですけれども。

 与謝野大臣が今明確に、日本郵政の場合、一〇〇%国が保有している株式の場合は一致しなければならないというお話をされて、鳩山大臣は、一致しないこともあり得るということを言われていますので、そこら辺をちょっと整理してもらわないと質疑できないんですけれども。与謝野大臣。

与謝野国務大臣 鳩山大臣の御意思のとおり株主権を行使するということであって、鳩山大臣は、官房長官や総理と御相談しながら、内閣の意思を体して考え方をまとめられる、忠実な金庫番である与謝野馨はそのとおり行動する、それだけのことでございます。

寺田(学)委員 鳩山大臣の御意思に従ってと。鳩山大臣が総理並びに官房長官と御相談されることであろうという御答弁でした。

 今、総理というお話がありました。いずれは総理が決められることだ等々政治的には言われていますが、内閣法上、いろいろ調べてみるんですけれども、いわゆる指揮監督権というところに及ぶと思います。

 指揮監督権が裁判で争われた一番の大きな事件というのはロッキード事件で、その判例とかも見てみますけれども、内閣法では、内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督し、これは六条、行政各部の処分または命令を中止させることができるものとする、八条。裁判の中では、行政各部に対し指揮監督権を行使するためには、閣議にかけて決定した方針が存在することを要すると判例でも言っています。その後の判例で、内閣総理大臣は少なくとも内閣の明示の意思に反しない限り同じように指揮監督できるというお話をされています。

 そういうことで、官房長官にお伺いしたいんですが、確認のためですが、この件に関して閣議決定を行われるというような御予定は官房長官としておありでしょうか。いかがですか。

河村国務大臣 政府といたしましては、必要な調整は行いますけれども、閣議決定まで行うということは考えておりません。

寺田(学)委員 それでは、内閣の意思の明示ということですけれども、総理の御意向ということですけれども、総理の御意向は、この分かれた二つの意見に対して一方の御意見、明示をされている部分はあるんでしょうか。官房長官、いかがですか。

河村国務大臣 総理から考え方を明確に示されて、こういう方向でということではありません。今御議論があるような問題もございますから、そこのところを踏まえて内閣としての統一した考え方にするにはどうしたらいいかの調整を要請、要請というか指示があった、こういうことであります。

寺田(学)委員 一部報道によると、総務大臣、鳩山大臣の説得を総理から官房長官は頼まれた、与謝野大臣も頼まれたというような話がありました。

 報道についてです。このような事実、鳩山大臣を説得するように、この言葉だけ見ると、逆の、続投するべきではないかという御意思にも感じられますけれども、そのような御指示は総理からあったでしょうか。いかがですか。

河村国務大臣 総理は、説得するように、そういう言い方で私に指示はいたしておりません。

寺田(学)委員 整理しますと、いわゆる閣議決定も行わない予定で、そして総理としてもいわゆる明示、政府としての明示がないということですので、冒頭に戻りますけれども、この認可するしないはまさしく鳩山大臣の専管事項になると思います。

 そういう意味で、どうなんでしょう、これから閣議決定はもしかして行われるのか、内閣の明示、総理としての御意向が出るかわかりませんけれども、その総理の指揮監督権に鳩山大臣は従われるおつもりなのか。報道によると、発言として、最後の一人になっても闘うという話がありますけれども、総理の指揮監督権に対して抗するおつもりはあるのかどうか。いかがですか。

鳩山国務大臣 今官房長官からそういうお話がありましたが、私自身も、もちろん総理とは毎日のように顔を合わせる機会がございますから、私の考え方はお伝えをしているわけでございます。総理からは適切にやってほしいというようなお話をいただいているところでございまして、当然、総理大臣には閣僚を指揮する権限があるわけですし、総理は私の任命権者でもあるわけでございます。したがって、総理の判断と私の判断が異なることはないであろうと考えております。

寺田(学)委員 もう一個、違う形でお伺いします。

 六月五日の閣議後の会見だったと思いますけれども、鳩山大臣が、総理が誤った判断をされるとは思わないという発言をされた。この誤った判断というのは、総務大臣としてどのような判断を御想像されているんですか。

鳩山国務大臣 私が日ごろ申し上げていることと同じような判断をしていただけるものと信じているという意味です。

寺田(学)委員 こういうようなことを御想像されている以上は、総理と考え方が異なる場合もあり得るということを今御答弁されているんだと思います。

 繰り返しお伺いしますけれども、総理と考え方が変わった場合は総理の考え方に従われるのか、鳩山大臣はあくまでも自分の考えを貫かれるのか、どちらでしょうか。

鳩山国務大臣 総理のお考えと私の考えが完全に食い違うという事態は想像いたしておりません。

寺田(学)委員 それでは最後の一人にならないじゃないですか。なることを想像されているから言われているわけでしょう。

 質問をかえて、なぜそこまで西川社長の続投を拒まれるのかということをもう一つお伺いしたいんです。

 これは鳩山大臣の発言ですが、これだけのことが起きたんだから責任は痛感してもらわなければならないというような発言をされています。今までのるる起きた日本郵政にまつわる事件、出来事、そこの部分を指して、やはり責任を感じてもらわなければならない、やめてもらわなければならないとお考えになられているのか。いかがですか。

鳩山国務大臣 それは全くそのとおりでございまして、きのうも二回も握手をさせていただいたし、西川社長は最後のバンカーと言われる立派な経済人であられたのだろうと思っております。

 ただ、日本郵政の社長、つまり、準備会社の時代から社長になられている、一時的には公社の総裁も兼ねられて、今日までの民営化路線の中で社長という職を担ってこられた。その中でさまざまな事柄が起きているわけで、その代表的なものがかんぽの宿でございますけれども、低料第三種の悪用問題もございますし、それに絡んで博報堂あるいは博報堂エルグが逮捕者を出しながら、どうも不明確な反応もありましたし、ガバナンス全体のことを考えますと、立派な経済人であっても日本郵政の社長としてはいかがなものかという思いを抱いているということでございます。

寺田(学)委員 明確に、過去の責任について、それがやめてもらう理由だということでした。ならば、きょうぐらいにも原案が出るんじゃないかとか言われていますけれども、業務改善命令というものがいかなるものであっても過去のやってきたことは変わりませんので、業務改善命令がどのようなものであったとしても、その辞任を求める所在というのは変わらないですね。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 与謝野大臣にしても河村官房長官にしても私にしても、あるいは、国会議員すべてとは言いませんけれども、国会議員の大多数は、この民営化の中で、日本の郵政すべてが国民の信頼が厚い中で立派に発展をしていく、いい民営化の成就というものを望んでいるわけでございます。

 ですから、すべてはその観点が一番大事だと私は思っておりまして、これからどう発展するかという意味では、業務改善命令に対してどういう答えが出てくるかということは大きな要素ではありますけれども、やはり今日までのガバナンスという問題は大問題であるという認識を持っております。

寺田(学)委員 もう一度お伺いしますけれども、業務改善命令に対する答え方、報告書等、今後、日本郵政がどのような形で姿勢を示したところで、辞任を求める態度は変わらないということでよろしいですか。

鳩山国務大臣 責任というものは、未来に対する責任もあると思いますが、過去の経営、ガバナンスに関する責任というものが何よりも大きいと私は思います。

寺田(学)委員 とすれば、過去の経営に対する責任というものに重点を置かれているので、業務改善命令に対する答えがどのようなものであっても、お考えは変わらないですね。

鳩山国務大臣 業務改善命令に対して、できる限り国民が満足するような、そういう答えを出していただきたいと私は心から願っています。それが郵政民営化の正しい姿をつくっていくためには必要、重要でありますから。

 しかし、過去のガバナンスの問題というものは絶対に消えることがありませんし、大体、業務改善命令を出す、かんぽの宿でも出しましたが、業務改善命令を出すということ自体が責任を感じてくれという意味を含んでいると私は思っております。

寺田(学)委員 では、業務改善命令に対する答えがどのようなものであっても変わらないということなんだと思います。

 それでは、その責任の範囲ですけれども、西川現社長のみならず、他の取締役の方々に対する認可権限も鳩山大臣はお持ちだと思います。その取締役の中から西川さんを再任する決定を下した指名委員会が選ばれているわけですけれども、他の取締役の方々、特に、同じように代表取締もやられている高木さん、副社長ですか、この方々も含めて、他の取締役の方々も同じように過去の経営に対する責任はあるわけですから、認可されないというお考えなのか。いかがですか。

鳩山国務大臣 きのう参議院の総務委員会の郵政集中審議でもお話をしましたけれども、私は、西川社長がある意味では被害者であった部分もあるかもしれないと答弁をしました。というのは、全く西川社長の知らないところで行われた、極めて不透明な事柄もかなりあるようでございます。

 ですから、私は、最高責任者というのはやはりガバナンスが求められるわけですから、知らなかったで済まされる問題ではない、そういった意味では、仮に被害者である部分があったとしても、最高責任者はそれだけ重い責任をお考えになり、またおとりになるべきだと思っておりますので、他の最高責任者でない取締役の方々については、今、全くお答えをする段階にはないと思います。

寺田(学)委員 認めるとも認めないとも現段階では判断をしていないということですか、ほかの方々に関しては。大臣、いかがですか。

鳩山国務大臣 特に考えを持って臨んではいないということです。

寺田(学)委員 認可されることもあり得るということでよろしいでしょうか。

鳩山国務大臣 当然です。

寺田(学)委員 鳩山大臣が強く求められている、西川現社長の続投を認めない、この方針が貫かれるとすれば後任の話になるんですけれども、どうなんでしょう、大臣が感じる責任の範囲ということですが、取締役どうこうということはありますけれども、社長、副社長も含めて責任の範囲というものを検討することはあると思います。もちろん、認める、認めない、取締役になっている、なっていないというのはあると思いますけれども。

 團副社長という方が、高木さんと並んでもう一人、副社長だと思います。間違っていたら後で訂正しますけれども。この團副社長に対しては、今、西川社長に求めている責任と比べて、責任というのは濃淡どのような形になっているのか、大臣は御判断をどうされていますか。

鳩山国務大臣 西川社長は取締役であり、かつ執行役として代表権を持っておられます。もう一人代表権があるのは、團さんと高木さんでございます。これはいわゆる代表権のある執行役でございます。それで副社長でございます。

 ですが、高木さんは取締役でございますから私の認可の判断対象になりますが、團副社長は取締役ではありませんので私の認可の対象ではありませんから、そういう観点からは考えません。

寺田(学)委員 大臣が権限として持っている認可権とその後の人事という部分が必ずしもすべてリンクしていないことはわかりますけれども、責任を感じて西川社長におやめいただくことを強く進言されているわけですから、社としての責任のあり方ということもぜひ御答弁いただきたいと思うんです。

 仮にですけれども、西川さんが続投されない、おやめになられた後に、同じように副社長で働いていた團さんが社長になるということはあり得るのかどうか。團さんが社長として、なるかどうかは別ですよ、ある種責任をとってやめられた後の社長として適任な方であるかどうか、社長になり得る方であるかどうか。大臣としてどのようにお考えですか。

鳩山国務大臣 皆さん立派な方だと思いますが、私は、いわゆる社長、副社長を決める権限を全く持っておりませんので、お答えのしようがありません。

寺田(学)委員 まさしく大臣の言われるとおり、認可権限はないので、決める権限もないので、そこをどうするかということを最終決断をお伺いしているわけではなくて、社長としてやはり過去のガバナンスの責任をとりなさいと西川さんに言われているわけですから、同じ下で支えていた副社長の責任はどのようにお考えになられているのかと聞いているわけです。

 責任は、西川社長にとどまらず、あるかないかで言えば、副社長にも当然あるわけですよね、過去のガバナンスの責任に対しては。いかがですか。

鳩山国務大臣 もちろん、ガバナンスというのは取締役全員が絡むことだろうとは思います、取締役というのはそういう仕事でございますから。

 しかしながら、余りに日本的過ぎる考え方であるかと思いますが、やはり最高のトップである西川社長については取締役としての適否を私は判断させていただこうと思っておりますが、他の方については、最高の責任者ではありませんので、考えはまだ及んでおりません。

寺田(学)委員 残り時間も少ないのであれなんですけれども、鳩山大臣がるる発言されているところをちょっと調べているんですけれども、正義を貫くのだというような御発言もありました。

 端的にお伺いしますけれども、西川社長が続投しない以外に、大臣が正義を貫く手段というのはあるんでしょうか。その余地はあるのかどうか、お答えいただけますか。西川社長がやめる以外に、鳩山大臣が言われる正義を貫く手段というものはほかにあるんですか。

鳩山国務大臣 正義という表現は私は好んで使います。これを友愛と言っていいのかもしれません。しかし、これは物差しなんです。友愛というのも物差しとして私はよく使う。総務委員会でお答えしたこともございます。例えばドメスティック・バイオレンス被害者をどう扱うかなんというのは、友愛の物差しで考えるべきだということは申し上げております。

 正義というのは、起きた事柄に対して、正義の物差しではかってみたらどうか。私は、かんぽの宿問題を正義の物差しではかってみれば、これは明らかに不正義である、こういうふうに考えておりまして、その物差しによって責任を感じていただきたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。

寺田(学)委員 時間になりましたので。今の質問に答えていただかなかったんですけれども、正義を貫くということを完遂するためには、おやめいただく以外にないんですね。いかがですか。

鳩山国務大臣 それは、郵政行政に関してさまざまな監督権限や認可権限を持っている私は、あらゆる場面において、私の正義の物差しに合うように努力をしていきたいと思いますし、私は、自分の個人的な唯我独尊で正義というふうに言ってはいけないと思っておりまして、それは常識と言いかえてもいいし、国民の常識と言いかえてもいいと考えております。

寺田(学)委員 以上で終わります。

川端委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 早速、国土交通省関係の公用車談合の問題について御質問させていただきたいと思います。

 報道で、国土交通省発注の車両管理業務に関して、公正取引委員会が、不当な取引制限、談合を認定し、近く業者に対して排除措置命令、課徴金納付命令を行うとともに、国土交通省の職員やOBの関与の疑いもあり、官製談合防止法に基づく改善措置要求を国土交通省に対して行うというふうに報じられているわけでありますけれども、この報道されている内容は事実であるかどうか、公正取引委員会にまず確認をしたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事件につきましては、昨年の七月に立入検査を実施いたしまして、以降、鋭意調査を行ってきたところでございます。現在は、最終的な措置をとるための事前手続の段階にございまして、関係人に対しまして、意見申述の機会を与えるために、今後予定される排除措置命令及び課徴金納付命令の内容を通知したところでございます。

 公正取引委員会としましては、今後、事前手続の結果を踏まえまして、速やかに最終的な結論を得てまいりたいと考えているところでございます。

 また、先生今御指摘の官製談合の関係でございますけれども、本件につきましては、発注者の関与の有無という点も含め、審査中でございます。関与行為の判断につきましては、独占禁止法違反行為の存在が前提となっておりますので、排除措置命令におきまして入札談合等関与行為に該当する行為が認定された場合には、入札談合等関与行為防止法に基づきまして、発注者である国土交通省に対して改善措置を求めることになるものでございます。

平岡委員 今、職員の関与については審査中だという話があって、さらに、改善措置要求をする場合には、独禁法違反の事実が認定されなければいけない、そういう前提条件もあったんですけれども、今、公正取引委員会の中で、事実行為として職員関与行為というものを、まだ認定はできていないと思うんですけれども、調査、把握しているということについてはどういう状況なんですか。

山本政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、独占禁止法の違反行為の存在が関与行為の認定に当たっては前提となっておりますのは、先生のおっしゃったとおりでございます。

 ただ、今申し上げましたとおり、官製談合という点で申し上げれば、本件の調査におきましても、発注者の関与ということの事実関係を含めて、これまで審査を続けてきたところでございます。

平岡委員 ある程度、職員の関与というものが事実関係の調査の中でわかってきたというようなことが多分あるんだろうと思いますけれども、まだ現在審査中ということであるので、そこは言えないということだろうと思いますから、とりあえずそこはおいておいて、これに関連して、国土交通大臣が五月二十六日の記者会見で、事務次官をトップとする車両管理業務の談合事案について調査検討するための委員会を立ち上げるよう、事務次官に指示したというふうに報道されているわけであります。

 公正取引委員会の立入調査は、先ほど答弁があったように昨年の七月ということであって、その後、国土交通省の職員についても、事実関係の確認のための問い合わせ等もあったというふうにも聞いておりますけれども、そうであるならば、私は、国土交通省自身として、もっと早い段階からこの問題についてしっかりと部内調査をしておくべきであったというふうに思うんですけれども、なぜこんな遅くなったタイミングでようやく重い腰を上げたということになっているんですか。

金子国務大臣 この問題が昨年六月、報道で出てまいりました。直ちに内部調査を開始いたしましたが、七月に入りまして公取が今度は立入調査に入られたものですから、今までの内部調査、これを公取の調査に引き継ぐ、あるいは協力をするという形に変わったところであります。

平岡委員 よくある話ですけれども、直接、職員が捜査の対象になっているというようなケースの場合は、捜査に支障を来さないようにというような視点からそれぞれの省庁が遠慮するというのはよくある話で、それがいいかはまた別として、省庁は省庁として本来あるべき省庁のあり方を考えていくためにも、部内調査というのはやはりしっかりやっていくべきだというふうに思います。

 このケースの場合は、直接的に職員が取り調べを受けているとか捜査を受けているということではないので、しっかりとやはり早い段階から国土交通省としても部内の調査ということをやっておくべきであったというふうに私は思います。また、この段階でこういう委員会を立ち上げるということも、先ほどの国土交通大臣の説明からいえば、平仄は合わないというふうにも思います。そういう意味では、国土交通省の対応について私はちょっと疑問に思っています。

 それはそれとして、この委員会、六月五日に第一回の会議を開催したというふうに聞いておりますけれども、車両管理業務談合事案に係る再発防止対策検討委員会というふうに書いてあるわけでありますけれども、一体何をする委員会なんですか。額面どおり、看板どおり、再発防止対策検討委員会ということなんですか。本来しなければいけないことは何なのかといえば、職員の関与があったのかどうか、このことについてしっかりと調査することではないかというふうに私は思うんですけれども、いかがですか。

川端委員長 国土交通省増田官房長。(平岡委員「大臣が指示した委員会なんだから、何をする委員会か、大臣、答えられるでしょう」と呼ぶ)

 金子大臣。

金子国務大臣 事務次官をトップに第一回会合を開いてもらって、そこで具体的な中身を、あるいは進め方について検討してもらっておりますので、官房長から具体的な方向について説明をさせてもらいます。

平岡委員 私は具体的な進め方を聞いているんじゃないですよ。この委員会は何をする委員会なんですかと聞いているんですよ。看板は何か再発防止対策検討委員会となっているけれども、そんなことよりも、談合問題について、職員の関与がどうあるべきかということをまず最初に、最大の問題としてやらなきゃいけないことじゃないんですか、それを聞いているんですよ。

金子国務大臣 当然でありますけれども、本委員会では、実態の解明、職員の関与、もとよりであります。再発防止対策、両面の調査をいたします。職員による不正行為の事実が確認された場合には、厳正に対処をするというつもりであります。

平岡委員 再発防止は何を目的に、談合そのものが発生することについての再発防止なのか、それとも職員が関与することについての再発防止なのか。これを見たら、職員の問題について全然、この看板を見れば、職員の問題について取り上げるというような印象は全くないですよ。

 それはそれとして、実は先ほど来から、事務次官をトップとして委員が構成されておって、事務局も国土交通省の中にあるというふうに言っているんですけれども、私も委員会のメンバーをちょっと見させていただきましたが、確かに有識者委員というのは何人かおるんですけれども、委員長は事務次官、副委員長あるいは委員は国土交通省の中のそれぞれの幹部職員がついているということですね。そうしたら、談合に職員が関与していたかどうかということをこういう面々が集まってやるというのはおかしいんだろうと私は思うんですね。もしかしたら、これらの人たちが若かりしころ、職員としてこの談合にかかわっていた、いるかもしれないじゃないですか。

 そういう問題を考えたときに、そもそもこんな委員会の仕組みというのはおかしいんじゃないですか。大臣、どうですか。

金子国務大臣 何を見ておっしゃっているのかよくわかりませんが、委員の名簿は、トップは事務次官でありますが、有識者委員に、これはチームとして、元公正取引委員会の総括審議官であります和泉澤先生、それから西松問題で小沢一郎さんのヒアリングをやられています郷原元検事、奈良弁護士、あと学識経験者に入っていただいておりますので、単なる内部調査とは構成として違って、極めて厳正、公正にやるメンバーとなっておると思います。

平岡委員 事実関係が確認された後にいろいろ判断するものとしての委員会というのならまだいいと思うんですけれども、先ほど私から申し上げているように、職員の関与というものがあったのかなかったのか、どういう関与であったのか、このことの事実関係をこういう委員会の仕組みでやるというのは、別に委員会の仕組みでやっちゃいけないと言うつもりはないけれども、その構成を見たときに、いかにも幹部がずらっと並んで、今まで職員として関与したことがあるかもしれない、そんなような人たちが並んでいる委員会のやり方というのは、私はおかしいというふうに思います。

 これ以上やっても押し問答になるかもしれませんので、これ以上申し上げませんけれども、この委員会は、今後、職員の関与等に関する実態の解明、それから、もともと看板についている再発防止策についてはどういうふうにして検討を進めていくことになるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、金子大臣から御答弁させていただきましたように、まずは実態の解明、事案の背景の調査に入りたいと思っておりまして、先ほど御説明いたしました外部の先生方にお願いをして、まずは職員のヒアリングから入りたいと思っております。

 あわせまして、今、公正取引委員会は事前の手続に入っておりますが、当然、正式に公正取引委員会から、この後の手続として排除命令でありますとか課徴金納付命令等々が出てまいりますし、場合によっては官製談合防止法の改善措置要求も出るという前提として、そういった内容を踏まえながら、それに沿って公正取引委員会とも協調しながら調査を進めてまいりたいというふうに考えております。

平岡委員 何かちょっと仕組みとしておかしいですね。やはり事実関係の調査というのはそれなりの、組織でいけば捜査みたいなものですからね。やはりそれに適した、これは、改善措置命令を受けたときには、職員が指名されて、その職員が調べなきゃいけないという仕組みになっているわけですね。それから考えると、何かどうもこの委員会の仕組みというのは時間稼ぎをするような、そんな印象を私は受けます。これはまだ改善措置要求が出てからの話でしょうけれども、適切な処置が行われることを強く要請しておきたいというふうに思います。

 ところで、この公用車の談合問題に関連して労働局が国土交通省の官署に調査に入った際に、公用車の運転管理業務について偽装請負の疑いがあるということで、ことしの二月に広島国道事務所、ことしの三月に遠賀川河川事務所に対して是正指導が行われております。

 この是正指導に対して、国土交通省としてはどう対処をしているんでしょうか。

金子国務大臣 広島国道事務所それから遠賀川河川事務所、昨年の九月二十二日あるいは三月三十日、御指摘いただいたとおり、労働者派遣法に違反するものとして是正指導を受けました。これについて、本省から各地方機関に指示を出しまして、関係法令の遵守、車両管理業務の適正な実施について徹底指導をしたところであります。

 つまり、労働者派遣法で、現場で行き先を告げることができないということで、派遣会社に対する直接的な指示といったようなことをやらないように、職員研修の実施、それから委託車両についてのそれに関する注意事項等々の研修を実施し、再発防止に取り組んだところであります。

平岡委員 私が聞きたかったことに直接答えていただいていないのでありますけれども、結局、本来この業務について言えば、労働局の方は、派遣労働にふさわしい業務であって、請負という形はおかしいんだという認定をしているわけですね。それに対して国土交通省の方は、なるべく請負の形になるようにということで、いろいろな工夫をしようとしているというような状況にあるということなんですよ。

 ただ、やはり請負という形でやるのは非常に無理があるというような状況にあると私は思うんですね。そういうことでいくと、本来、この問題について言えば、請負にふさわしいような運転業務であるならばそれは請負でいいかもしれませんけれども、公用車というのを請負の業務でやるということ自体が非常に無理なケースが多々ある。これは参議院の予算委員会でも議論された話であるというふうに思います。

 そこで、私の質問は、過去について言えば、昭和五十八年五月の閣議決定の中で、公用車の運転手についてはこれから先は採用していかないんだというような方針が示されていたり、あるいは総定員法の中で定員削減というものが図られなければいけない、そういう状況が過去あったわけでありますけれども、例えば、派遣労働の法制が非常に精緻なものになってきた中で、偽装請負の疑いがある契約形態というものをやはり回避していかなければいけないというような問題、あるいは緊急事態への対応というものに遺漏なきを期していかなければいけない問題、それを考えると、ある程度、自前の運転手を持って、自前の公用車で運行していくということについてしっかりと検討しなければいけない、私はそういう時期に来ているんじゃないかというふうに思うんです。

 さらに言えば、昭和五十八年五月の閣議決定についても見直しをしていかなければいけない時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですけれども、国土交通大臣、どうお考えでしょうか。

金子国務大臣 全く否定するつもりはありません。長い目で見て本当に今のままでいいのかということは私も思います。

 ただ、現状では、五十八年の閣議決定ということは、現実に政府全体として国家公務員を削減するという中の流れ、公用車はなるべく外部委託をしていくという大きな流れというのがありますし、現在もそういう方向で全体としては進んでおります。

 それからもう一つは、派遣法は好ましくないのではないかというお話でありますが、しかし、今の派遣法制、派遣法の考え方というのは、この運転主業務というのが継続する限り、三年たったら正規に雇うという選択を求められるという派遣法の持つ性格から、派遣というのは適当でないという政府としての一方での選択をしているところでありまして、そういう意味で、委託という仕組みをとっております。

 委託に伴うさまざまな課題というもの、先ほどの談合というのも一つ出てきたわけでありますけれども、やはりこれは厳正に、今は一般競争入札ということでやっております。そういう指示する方法、入札の方法、こういうものを工夫、改善しながら、今、各地方整備局あるいは出先機関ともこの問題で大変苦慮しておる、何とか回していくように全力を挙げて苦悩しているというのが現状であります。

平岡委員 私は、派遣法が好ましくないと言っているんじゃないんですよ。派遣法という形で労働者派遣について法制度が精緻なものになってきた、その状況と、政府の、今、公用車の運転手については採用をこれからしていかないんだという昭和五十八年の閣議決定との間に、私はある意味ではミスマッチが生じてきていると。そこのところをちゃんと見直さなければ、本来の公用のための車をどう運用していくかということについて適切な措置はとられない、だから、今回問題となった国土交通省が率先してこの問題について問題提起をしていってほしいということを私は言っているんです。それが、私の説明がちょっと誤解を受けたようでありますから、改めて私の考え方を述べさせていただきました。

 国土交通大臣は結構です。

 次の問題に移らせていただきたいというふうに思います。

 米軍再編問題なんですけれども、きょうは外務大臣がおられないので防衛大臣中心にお聞かせいただきたいというふうに思うんですけれども、四日に、カートライト米統合参謀本部副議長がシンクタンクの講演で、米軍の海外基地のあり方について再検討する必要性を指摘しております。

 その中では、来年二月にまとめる四年ごとの国防戦略見直し、QDRに新しい戦略を盛り込む考えを示し、その中で、海外基地戦略としての三つのオプションを示している。それは、御存じだと思いますけれども、恒久的な基地を設けていく、あるいはローテーションという仕組みをとっていく、あるいは装備を前方に配置しておくというような形で整備をしていく、そういう三つのオプションが示されているということで、我が国の在日米軍のように、基地をずっと抱えておかなければいけないということについても、もっと弾力的な見直しをしていくべきだ、そういうようなオプションを示しているわけですね。

 我が国の場合、考えてみますと、思いやり予算を含めて膨大な在日米軍提供施設関連予算というのが計上してあって、もし仮に、この米軍の高官が説明したように、例えばローテーションでやるというような仕組みの場合は、米軍家族住宅を含めて日本の予算の面でもかなり節約ができるんじゃないかというふうにも私は思うんですけれども、こんな考え方がアメリカの軍隊の高官の中で出てきているということについて、防衛大臣はどういうふうにお考えになりますでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘のカートライト統合参謀本部副議長による講演については、それぞれの発言の意図も不明でございますし、また、その概要についても私から御説明申し上げるのは必ずしも適当ではないと考えております。

 いずれにせよ、我が国は、米軍に対して、安全保障条約に基づいて、我が国の、極東の平和と安全の維持のために我が国の施設・区域を認めているものと承知をしております。

 なお、この米国のQDR見直し作業については、五月のゲーツ米国防長官との会談でも確認したとおり、米国との意見交換を通じて引き続き把握していきたいというふうに考えているところでございます。

平岡委員 いつまでも米国に対する恒久的基地提供ということを前提にした防衛政策のあり方ということではなくて、やはりもっと幅広い考え方に基づいて防衛政策を考えていくという時期に来ているんじゃないかというふうにも私は思います。

 そのことを指摘して、さらにもっと具体的な話として言えば、同じく四日のアメリカの上院軍事委員会での公聴会で、アメリカ海兵隊のコンウェー司令官が、普天間飛行場移設とかあるいは海兵隊員のグアム移転などの米軍再編について、検討に値する修正案があるんだというようなことを証言しております。移転費用が結構かさんでしまうようなこととか、あるいはアメリカが期待しているような基地機能維持に対して懸念をしているというようなことで、日本側と交渉する必要性も指摘したというふうに言われています。

 こういう状況を踏まえて、日本側としては、アメリカの軍の高官が言っているこうした米軍再編のあり方についての見直し、これを行うという用意はあるんでしょうか。どうでしょうか。

浜田国務大臣 先生、今の御指摘のカートライト統合参謀本部副議長、そしてまたコンウェー米海兵隊司令官の証言について、それぞれの発言の意図や指摘された具体的内容、さらに米国政府の中での発言の位置づけ等について不明でございますし、これらに対してコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、在日米軍の再編については、二〇〇六年の日米両政府の合意事項であるロードマップに従って着実に実施していくことを麻生総理とオバマ大統領との間で確認をしているところでございますし、そしてまた、防衛省としては、我々常日ごろから日米の間で議論をしながら、そしてまた協力し合いながら、今後ともロードマップに従って米軍再編を着実に実施してまいりたいということは、これは変わっておりません。

平岡委員 せんだっての沖縄からグアムへの移転のための協定の審議のときもいろいろと問題が指摘されておりましたけれども、それ以外にも、私の地元であります岩国の厚木基地からの空母艦載機の移駐の問題にしても、地元は大変にもめているという状況にもあります。これまで地元住民の意見がなかなか反映されないというか、全然意見も聞かれないままに両国政府間で勝手に決めちゃったという、そんな状況もあって、そういう事態が生じているんだろうと思います。

 私は、アメリカ側にこういう基地再編の見直しということがあるのであれば、もう一度やはり地域住民の声をしっかりと聞いた上で、この再編のあり方について政府としても検討する、そういう姿勢を持っていただきたいというふうに思うんです。

 これを質問にしたら、またさっきと同じような、着実に実施していきたいという答えしか返ってこないと思いますから、そうであるならば、やはり政権交代をして、我々としてはしっかりと見直しをしていかなきゃいけないなということを改めて痛切に感じたということでありますので、またよろしくお願いします。何をよろしくお願いしますかというのはよくわかりませんけれども、しっかりと頑張っていきたいと思います。

 ということで、さらに、核軍縮問題についてちょっと触れたいと思うんです。

 今、BMD、弾道ミサイル防衛について、配備され、そして運用はされているということでありますけれども、まだ完全に装備がし終わったわけでもない、これからの計画もあるということであります。しかし、考えてみると、こんなものが本当に必要なんだろうか、かなり高額なものであろう。それに比べて期待される効果というのは、実験が失敗してみたりとか、あるいは、そんな事態というのを事前に防ぐ方がよっぽど効果的じゃないか、よっぽど安上がりじゃないか、私はそんなふうな気がするんですね。

 そこで、まず前提として、このBMD、どういう効果を期待し、そしてそのためにどれぐらいのコスト、これは装備調達あるいはランニングコストも含めて、あるいは、これからのものも含めてでありますけれども、どのように考えているかというのを防衛大臣からお聞かせいただきたい。

浜田国務大臣 我が国の弾道ミサイル防衛システムは、大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散が進展している状況のもと、弾道ミサイル攻撃に対して我が国国民の生命財産を守るために、平成十六年度から整備を進めているものであります。

 このBMDシステムにおいては、我が国全体を二、三隻で防護し得るSM3、イージス艦による上層防衛と、拠点防御のためのペトリオットPAC3による下層防衛から成る多層防衛の考え方を採用しております。我が国の領域に飛来する射程千キロ級の弾道ミサイルに対処できるものであります。

 我が国のBMDシステムは、特定の国と地域を対象としたものではありません。また、純粋に防御的な、かつ他に代替手段がない唯一の手段であります。我が国の安全を確保する上で不可欠なものであることから、今後とも着実な整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

 今先生からもう一つございましたこの予算のお話でありますけれども、これは、今まで我々、平成十六年度からこの整備に努めてきておりますけれども、当面の維持整備関連経費や日米共同研究開発費を含めまして、平成二十一年度の予算までに約七千九百億円を計上しておるところでございます。

平岡委員 二十一年度までに七千九百億円ということで、これで終わったわけではない、まだまだこれから続いていくんだろうというふうに思います。

 今大臣が言われたように、何のためにこれはあるのかというと、やはり基本的には大量破壊兵器に対応するということが視点だと思うんです。では、しからば、大量破壊兵器とは一体何なんですかということですね。一つは、化学兵器ということもあるでしょう。ただ、これについては、禁止条約で北朝鮮だけが周辺諸国では加盟をしていないという状況。それから、生物兵器でありますけれども、生物兵器について言えば、これは北朝鮮も含めて周辺諸国は参加しているということですね。それから、やはり最大の問題は核兵器ということなんだろうというふうに思います。

 この問題については、やはり私は一つ一つ丁寧に、大量破壊兵器というのが使われない状況、あるいは大量破壊兵器を運搬するミサイルというものが使われない状況、こういうものをつくっていく努力をしていかなければいけない。ただ単にBMDをつくれば安心というものでもないでしょうし、BMDができれば、それに対抗するための措置を周辺諸国がとっていくということになって、まさに軍拡競争になっていくということであって、お互い全くためにならないというふうにも思います。

 それを前提として、私たちは、先ほど言いました大量破壊兵器の中でも、核兵器については、東北アジアの非核地帯条約というようなものをつくっていきたいということで党の中でも提案をさせていただいているということでありますけれども、今、世界各地に実は既にそういう条約というのはあります。南半球は実質的には非核地帯にもう全部なっている。東南アジアでも条約はできている。モンゴルも非核地帯宣言をやった。こんなことで進んでいるわけでありますけれども、そうした世界の非核地帯条約のような動きについては、日本政府としてどう評価しているんでしょうか。これは外務大臣政務官、答弁いただければ。

柴山大臣政務官 お答えいたします。

 今、委員が御指摘になった非核地帯条約としては、中南米におけるトラテロルコ条約、南太平洋におけるラロトンガ条約、そして東南アジアにおけるバンコク条約、中央アジア非核兵器地帯条約、これらが発効しています。

 これらの条約は、締約国が核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという、いわゆる非核三原則を内容としておりまして、それぞれの地域の平和と安定の強化に向けての努力のあらわれであると私どもとしては受けとめております。

 これらの条約においては、いずれも、すべての核兵器国の参加を予定した議定書が存在しておりまして、その中には、核兵器国が非核兵器国に対して核兵器の使用または使用の威嚇を行わない、いわゆる消極的安全保障などを……(平岡委員「中身はいいですから。評価です」と呼ぶ)はい。

 こういう議定書があるんですけれども、ただ、トラテロルコ条約を除いては、そうした議定書、実はすべての核兵器国が署名、批准を終えている状況にはありませんので、これらの条約がより実効性を伴って機能するのかどうかということについて、引き続き関連の動向を注視していきたいというように考えております。

平岡委員 何か知らぬけれども、評価しているのか評価していないのかわからないような答弁で、もうちょっとしっかりと、評価しているなら評価しているというふうに言ってほしいと思いますけれども。それが言えない今の政府だということだろうと思います。

 それを言えない理由の一つが、五月初めに防衛大臣が訪米されたときに、ゲーツ国防長官との間で、核の傘についての意見交換があったというふうに報道では承知しております。防衛省が配った日米防衛相会談の概要の中には、なぜか核抑止力については何も触れられていないという状況であって、確認をしたら、それについての意見交換はありましたと。報道でもそういうふうになっているわけですね。報道では、ゲーツ国防長官から、核の抑止力は維持するんだということを言ったというふうにあります。

 防衛大臣、ゲーツ長官との間で核の傘の問題についてはどういうやりとりがあったんですか。防衛大臣から何か、核の傘をお願いしますということで要請をし、それに対して、やりましょうということでゲーツからあったんですか。どういうやりとりがあったんですか。

浜田国務大臣 本年五月一日にワシントンで行われたゲーツ米国防長官との会談で、私より、日米同盟の強化は麻生総理大臣の指示でもあり、今回のような閣僚レベルでの会談は同盟の強化に貢献する旨を申し上げたところであります。それに対しゲーツ長官より、日本に対する拡大抑止及び日米安全保障上のコミットメントについて改めて確認するなどの発言がございました。

 そしてまた、シンガポールでもシャングリラ会合でお会いをいたしまして、ゲーツ米国防長官との会談においても、同長官からは、米国としては北朝鮮を核保有国として受け入れることはできず、拡大抑止、二国あるいは三国の協力を強化したいと考えている旨の発言があったところであります。

 そしてまた、麻生総理とオバマ大統領との会談等でも、日本の防衛に対する米国のコミットメントについては、北朝鮮の核実験実施発表後、日米首脳電話会談の際に、オバマ大統領から、核の傘を含む米国の拡大抑止に関するコミットメントの表明があったことを初めとして、米国は累次にわたってこのことに関して表明をしているところでございます。

平岡委員 表明をしているということではありますけれども、四月六日の、チェコのプラハでのオバマ大統領の核の廃絶を目指してという演説の中で、アメリカは世界で唯一核兵器を使用した国として、この世界から核兵器を廃絶していく努力をする道義的責任を有しているんだというところまで言明するような状況まで至った。その中で、いつまでも日本が核の傘、核の傘と言っていて、核に頼るような安全保障政策を考えていたのでは、私は日本が目指す核の廃絶というのは達成できないんだろうというふうに思うんですね。

 その関係からいうと、来年、核不拡散条約、NPT条約の再検討会議があります。それに向けて、福田前総理のイニシアチブでできたICNNDという委員会がありまして、共同議長が、オーストラリアのエバンス元外務大臣、そして日本の川口元外務大臣がなっているわけですね。

 そのエバンスさんが日本にやってこられたときに、核に対する日本の考え方について、もっと踏み込んでほしいという期待を持っていたと。その中の一つが核の先制不使用の問題です。日本として、核の先制不使用ということについてもっと積極的な、前向きな考え方を持ってほしいというようなことを言っておられましたけれども、この問題について、防衛大臣、どういうふうにお考えになりますか。

浜田国務大臣 現実の国際社会では、いまだに核戦力を含む大規模な軍事力が存在をしております。これに対して我が国は、米国との安全保障条約を堅持し、それがもたらす核抑止を含む抑止力を重要な柱として自国の安全を確保しておるところであります。

 これとともに、核兵器を含む軍備削減、国際的な核不拡散体制の維持強化等の努力を重ね、核兵器を必要としない平和な国際社会をつくっていくことが重要と考えております。核兵器のみをほかの兵器と全く切り離して取り扱おうとしても、それは現実的ではなく、かえって抑止のバランスを崩し、安全保障を損なうこともあり得ます。

 このような中で、当事国の意図に関して何ら検証の方途のない先制不使用の考え方に依存して、我が国の安全保障に十全を期すことは困難と考えているところであります。

平岡委員 最後のくだりは九九年の高村外務大臣が答弁されていたのと同じような御答弁をされておられますけれども。

 私は、核の先制不使用ということについても、これから国際的な動向としてなっていくんだろうと思うんですね。ただ、先ほど来から指摘がありますように、この北東アジアの状況がすぐにそれを許すような状況なのかと言われれば、確かに難しい状況かもしれません。しかし、日本としてこの地域をどういうふうにしていきたいのかという、理想的なといいますか、もっと我々としてはこうしたいんだという姿勢を、イニシアチブを示していくということは私は極めて大事だと思うんです。それがない限りは、北朝鮮だって、韓国がアメリカの核の傘にあるというような状況の中で、では、自分たちは一方的に核の保有をしないというようなことに踏み切るということについては、やはり彼らも不安があるんだろうと思うんですね。

 そういう意味では、やはり我々も、こういうふうにしますよ、この地域はこういうふうにしますよということを積極的に提示していくということがこれからの東北アジアの安定につながっていくんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、これについて答えを期待しても、多分現状を述べられるだけで同じだろうと思いますので、これ以上は申し上げません。やはり政権交代をしてやらなければいけないことだなということを改めて強く感じたということであります。

 ところで、きょうは外務大臣がいなかったので、外務大臣に質問する時間がちょっとあくだろうと思ったので、財務大臣にせっかくですからお聞かせいただきたいということで、質問を急に用意させていただきました。ただ、急ではありますけれども、議論の中身は、予算委員会、補正予算のときの審議で物すごく議論されている話でありますので、私は細かい話をするつもりはありませんけれども。

 かつて私も財政当局で勤務し、財政法の問題についてはいろいろな論文も書いてきたという立場の人間からすると、今回、補正予算に設置または積み増しされた基金というのは、財政法の四十四条、これは私が述べるまでもなくよく御存じだと思いますけれども、「国は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる。」と書いてあります。確かにこれは国が直接持つ場合の話でありますけれども、国がほかの組織に基金というふうな形で資金を持たせるということについても、これはやはり立法趣旨からすると、そういうことをすれば、財政規律の問題とか単年度主義の問題であるとか、あるいは歳出を毎年毎年チェックしていかなければいけないとか、いろいろな財政の原則からすると、私はこの立法趣旨に反するんじゃないかというふうに思っているんですけれども、大臣はその点をどういうふうにお考えですか。

与謝野国務大臣 御指摘のとおり、国に直接基金、資金を造成する場合には、会計年度独立の原則等の例外をなすことから、財政法第四十四条に基づき法律の根拠が必要とされておりますけれども、今回の補正予算においては、国に直接基金、資金を造成するものではございません。

 今回の補正予算における地方公共団体での基金造成に対する補助金等の交付については、本年度中に国が支出することで必要な経費を二十一年度補正予算に計上し、国会に御審議をいただいたものであり、財政法等の趣旨に反するものではないと考えております。

平岡委員 今のは官僚が用意した答弁を読まれたから、余り疑問を持っておられないかもしれませんけれども、今の議論でいったら、国会で予算審議をして基金をつくるんだったら、資金をつくるんだったら、それでいいんだということと同じですよ。

 そうじゃなくて、やはり資金をつくるためには、どういう目的のためにどういう使い方をする、入りと出はどういうふうに確保していく、そういうことをしっかりと法律で規制した上でなければやらないということを財政法第四十四条は言っているんですよ。それを、地方でやれば、国じゃないから、地方だからいいんだ、それは予算でやっているからいいんだというのは、まさにそういう立法趣旨を逸脱するものだと私は思います。これ以上議論しても仕方ないのでやめますけれども。

 そこで、これから私たちが総選挙を迎えて政権交代した場合に、今回の補正予算が来年度の我々の予算編成にどういう影響を与えるのかというのが心配なんです。

 与謝野大臣、仮に政権が継続して自民党、公明党の政権が続いた場合は来年度予算を編成されるということでしょうから、もう既にこの補正予算が来年度予算にどういう影響を与えるのかということについては考えておられると思うので、参考までに、私たちが政権をとって予算編成をする場合はどういうところに注意しなければいけないか、その点、何がどういう影響があるか、来年度予算編成についてどういう影響があるか、ここで答えていただきたい。

与謝野国務大臣 来年度の予算編成は、歳出削減については基本方針二〇〇六に書いてある路線を継承してやってまいるつもりでございまして、補正予算の編成が来年度の歳出に関する予算編成に影響を与えるということはありません。

平岡委員 時間が来ましたのでやめますけれども、今のはそれは考え方だけですけれども、例えば、今回、十五兆円にも上る補正予算になっていて、そのほとんどが国債発行によって賄われる、国債発行によって今度は基金という形でぼんと入ってしまうわけですね。そうすると、その国債発行に伴う金利負担というものもまた上昇していく。そういう負担は、では、どこでどうするのかというふうな問題だってあるわけですよ。

 私は、もっとそういう問題についてもしっかりと検討した上で今回の補正予算というのはやはりつくられるべきであったということを指摘して、私の質問を終わります。

    ―――――――――――――

川端委員長 これより全般的審査を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部篤君。

渡部(篤)委員 自由民主党の渡部篤です。

 先日、与謝野大臣は、日本政策投資銀行の完全民営化の方針は、現在の経済状況の中でいろいろな課題があると反省の弁を述べられました。政治家が反省の弁を述べるとバッシングを受けることが多いのですが、与謝野大臣はそれを恐れず、政治家としての責任倫理を全うすべく、堂々と正しいと信じることを述べられました。

 昨年、世界経済は急転直下で危機に陥りました。これは単なる不況ではないと私は考えます。世界史的な大転換に直面していると考えます。今回の経済危機に直面し、与謝野大臣は過去最大の補正予算の成立をリードされ、政策投資銀行の民営化方針も転換されました。私はこうした対応を強く支持するものであります。

 そこで、与謝野大臣にお伺いします。

 大臣の一連の方針転換の背景には時代の大転換という御認識があるのではないかと推察いたしますが、大臣の時代認識をお聞かせください。

与謝野国務大臣 昨年の夏以降の世界的な金融経済危機に対応するため、日本だけでなく各国におきまして大変大胆な政策対応が行われるなど、現在は時代の大転換期にあるものと認識をしております。

 日本では、短期的な経済活動の収縮や中長期的な競争力の低下への懸念といった経済の危機と、格差の拡大や雇用問題等に起因する国民の生活不安の増大といった社会の危機の二つの危機に直面をしており、これらの危機に同時かつ一体的に取り組まなければならない困難な状況にあると認識をしております。

 政府としては、経済危機対策等に基づき経済の危機に適切に対応するとともに、社会保障制度、行政基盤の整備や、若者世代、子育て世代への支援、育成といった施策の強化により社会の危機に対応していく必要があると考えております。

渡部(篤)委員 今回の危機は市場経済を支える社会が崩壊したためであると思っています。この社会やコミュニティーを再建することが大転換のために必要であります。

 そう考えますと、今回の補正予算は確かに社会のインフラや地域のコミュニティーを再建することに重点が置かれています。今回の補正予算は過去最大のものですが、しかし、ことし一回限りではなく、ある程度持続的に予算を投下していかなければ、本格的な社会の再建をなし遂げることはできません。この未曾有の危機に当たって、来年度以降も社会の再建のための積極的な財政出動を継続していくべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いします。

与謝野国務大臣 今回策定した経済危機対策においては、一つは景気の底割れ防止、一つは国民の痛みの軽減、一つは未来の成長力の強化といった目標に沿って、経済の下支えに必要なものや将来の成長力を高めるものなどを厳選し、補正予算に計上したものでございます。

 本対策の総合的な経済効果としては、平成二十一年度実質GDP成長率の二%程度の押し上げ、また需要拡大によって四十万から五十万人程度の雇用創出が期待されており、補正予算の着実な執行が重要であると考えております。

 他方、少子高齢化に伴い一層の社会保障費の増大が見込まれる。こうした中で、持続的な経済成長を図り、持続可能な社会保障制度を構築するため、当面は景気回復に全力で取り組む一方、中期的には財政再建に着実に取り組んでいく必要があると考えております。

 来年度の予算編成の方針等については、来月になってから政府・与党で決めていくべきものと考えております。

渡部(篤)委員 国家の運営を考える上で、財政の健全化も確かに重要です。しかし、世界経済の成長による外需の伸びを楽観できない中では、積極的な財政出動による景気回復がなければ、税収も下がり、結果として財政も健全化しないという面があります。かつての平成不況が長引いたのは、積極財政により景気が少し上向くと緊縮財政を行って景気を悪くするというストップ・アンド・ゴーの繰り返しにより、本格的な景気回復の軌道に乗り損ねたためだというふうに私は考えています。

 他方、与謝野大臣のリーダーシップにより、景気回復後の消費税値上げの方針が既に示されています。このように、将来の財源が明らかになったからこそ、責任を持って大胆な財政出動を行う道が開かれたのだと私は理解しています。財源の所在が明確になったからこそ、本格的な景気回復と社会の再建のため、来年度以降も積極財政を継続すべきと考えますが、大臣のお考えをお伺いします。

与謝野国務大臣 これは私のリーダーシップではなくて、麻生総理が、短期は大胆、中期は責任と言われたことに始まっております。

 少子高齢化のもと、国民の安心を確かなものとするためには、社会保障の機能強化を図るとともに、増加が見込まれる社会保障の費用について安定財源を確保し、堅固で持続可能な制度を構築する必要があります。

 こうした中で、さきに成立しました税制改正法の附則においては、消費税の全税収は、確立・制度化した年金、医療及び介護の社会保障給付と少子化対策の費用に充てることにより、すべて国民に還元することが明らかにされております。政府としては、こうした方針に沿って、消費税を含む税制抜本改革の具体的な実施のあり方について今後検討を進めてまいりたいと考えます。

 一方で、景気の底割れを防ぎつつ、国民の安心を確保し、未来の成長力の強化を図ることが重要であり、政府としては、当面、補正予算の着実な執行など景気回復に全力で取り組む一方、中期的には財政再建に着実に取り組んでいく必要があると考えております。

 なお、付言いたしますれば、今回、大型補正予算に踏み切った背景には、税法の附則で中期的な税制抜本改革の道筋が示されたという大きな背景があると考えております。

渡部(篤)委員 この消費税の引き上げは、世論の人気取りにはならない政策です。また、社会インフラの整備も、昨今ではばらまきであるとか利益誘導であるといったバッシングを受けています。しかし、我々政治家は、人気取りではなく、天下万民のために正しい政策を訴え、この難局を乗り切る責任倫理を全うしなければならないと思います。

 大臣、どうですか。

与謝野国務大臣 例えば、いろいろな予算について、コストとベネフィットというような考え方で分析をされる方が国会でふえております。もちろん効率性は当然追求するにしても、効率性だけで政策を判断していいのかというのが一方であるわけでございます。

 私は、多分、効率性で物を判断すると間違うと思っておりまして、政治が物事を判断するときには、やはり国民のニーズというものがどこにあるかということを的確にとらえて物事を判断していくということが必要で、効率性が唯一の判断のメルクマールであるということは実はあり得ない。ただ、効率性が唯一の基準だということを主張された方というのは非常にここ十年ぐらい多かったわけですけれども、やはり政治はもう一味違った考え方で物事を判断していく必要があるのではないかと私は思っております。

渡部(篤)委員 大臣の言われるとおりだと思います。

 私は、政治とは、すべての人々の要望に対して公正にこたえ、そして、すべての人たちに抑制、説得すること、これが私は政治の本来の任務だと思います。だから私は、消費税問題を含めて、国民がつらくても厳しくても、堂々とやはり私たちは、責任ある政治家はそれを主張していくべきだ、そういうふうに述べて、私の質問を終わらせていただきます。

川端委員長 次に、福島豊君。

福島委員 本日は、国交省の出先機関の統廃合の問題、そしてまた、それに関連する庁舎の整備の問題について、まずお尋ねをいたしたいというふうに思っております。

 昨年十二月八日の地方分権改革推進委員会の第二次勧告におきまして、国の出先機関の見直しが盛り込まれました。本年三月二十四日には、出先機関改革に係る工程表が取りまとめられたところであります。こうした取りまとめに先立ちまして、二十年度の予算の執行に関して、十二月二日に、委員長談話という形でありますけれども、地方分権改革推進委員会においては、出先機関の改革の方針が定まるまでの間、当面、政府全体の問題として検討して、整備を進めることを見合わせていただくことが適当であると考える、このような委員長の談話を公表したわけであります。

 最近もメディアで報道がなされておりますけれども、こうした決議にもかかわらずと言った方がいいんでしょうか、さまざまに御考慮いただいたというふうに思っておりますが、仙台の第一地方合同庁舎及び長崎第二地方合同庁舎については凍結ということになりましたけれども、それ以外の事案につきましては、二十年度末までにすべて契約が結ばれ、事業が執行されることとなりました。こうした経緯について、地方分権改革推進委員会の委員からは再び批判の声が上がっている、このように伺っております。

 国交省に、副大臣にきょうお越しいただいておりますので、二十年度中に契約された八府省十五系統の合同庁舎の契約の状況及び地方分権推進委員会の意見にかかわらず契約を進められた、こうしたことについてのお考えをまず確認したいと思います。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 国の地方出先機関等が入居します合同庁舎の整備につきましては、老朽、狭隘という問題の解消のほか、耐震性の確保等を図る上でかねてから懸案になっておりまして、全体的には早急に整備を進めていく必要があるものと考えております。

 お尋ねの八府省十五系統の出先機関が入居予定の合同庁舎につきましては、昨年末の方針といたしまして、工程表の策定後に必要な見直しを行うということを前提にして整備を継続することにいたしました。

 その結果、平成二十年度の建設工事を行ったものは、盛岡第二地方合同庁舎など十件となっております。それから、平成二十一年度当初、今年度当初でございますが、その段階におきましては、今後策定される出先機関改革に関する地方分権改革推進計画、改革大綱と呼んでおりますが、に沿って事業の計画規模の縮小とか入居官署の見直し等を行うことにより、より柔軟に対応できると判断したものについて事業を実施するということにしております。無駄のないように対応していく考えでございます。

 そうした中で、議員御指摘のとおり、仙台と長崎につきましては、地方分権改革において議論されている機関の占める面積の割合というものが大きいなどのことから、その影響をもう少し慎重に見きわめることが望ましいと判断いたしまして、引き続き、当面発注手続を見合わせるということにしていただいております。

福島委員 今御説明いただきましたように、非常に影響が大きく及ぶものについては凍結、それ以外については改革大綱の決定に柔軟に対応できるように配慮している、こういう御説明であったかというふうに思います。

 改革大綱、どのような形にまとまるかはこれからの議論でありますけれども、国民にきちっと説明ができるように対応していただきたいというふうに思っております。

 そしてまた、二十一年度の予算におきましても合同庁舎の計画が盛り込まれております。こちらの方がむしろ、これからどうするのかということでより批判の的になるのではないか、このように私は思っておりますが、二十一年度の予算における合同庁舎の計画の内容について御説明いただきたいと思います。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十一年度予算におきましては、平成十九年度に契約を行った二件とそれから平成二十年度に契約を行った十件のほかに、今後設計や工事の契約を行うこととしている二十四件、合わせて三十六件の合同庁舎の整備費が計上されております。このうち、仙台と長崎については、先ほど申し上げましたとおり、当面、引き続き発注手続を見合わせているところでございます。

 平成二十一年度新規契約予定の二十四件のうちでありますけれども、今年度、平成二十一年度に敷地調査費とか設計費等のみが計上されている二十四件のうちの十八件につきましては、改革大綱が出される予定の平成二十一年末、今年末においては、その事業につきましては設計中とか設計着手の前の段階でありますので、改革大綱の内容を設計そのものに反映させることが十分可能でありまして、そのように対応してまいりたいと思っております。

 また、本体工事が計上されている六件のうち、繰り返しになりますけれども、二件、仙台と長崎は当面発注を見合わせておりますが、それ以外の四件につきましても、平成二十一年末、今年末は本体工事の着手前の段階ということでございまして、同様に、大綱を踏まえて計画規模の縮小や入居官署の見直し等を行うことが十分可能でございますので、そのように柔軟に対応してまいる所存でございます。

 そういうことで、今後策定される政府の方針に沿いまして、無駄が全く生じないように対応していく決意でございますので、よろしくお願いします。

福島委員 大切な説明をいただいたと思っております。設計前、これから設計に入る等々のこれから十分に変更が可能なものについては、これは確実に、大綱が決定されてからそれに沿った形で対応していただく、この点が非常に重要だというふうに思っております。

 また、こうしたことが繰り返し言われるのは、やはり政府部内の連携というものが必ずしも十分ではないのではないか。片方で地方分権改革推進委員会が議論しておりましても、国土交通省としては既定の予算を粛々と消化していく、こういうことが一方であって、そして、それに対して声が上がったからこそ、こういう形になっているんだろうというふうに私は思うんです。

 国土交通省も大変膨大な予算を取り扱うわけでありまして、こうした政府の中での連携というものを十分緊密にとっていただいて、そして予算の執行の無駄というものが決してないように、その姿勢を示していただきたいと思いますし、副大臣の決意をお聞きしたいと思います。

金子副大臣 ただいま福島先生から、合同庁舎の整備につきましては、いろいろな重要なことについて御指摘をいただきましたし、私自身も、そこは各関連の省庁とはきちんと連携をした上で、国民に理解を得ながら頑張っていかなければいけないというふうに考えております。

 特に、地方分権改革というのは重要な課題だというふうに我々国土交通省としても認識をしておるところでございます。合同庁舎を整備するに当たっては、そういう地方分権改革との間でそごを来さないように努力をしていく必要があるというふうに考えております。

 一方、先ほどのお話を聞いておりまして、今、大規模な災害時の拠点施設として合同庁舎というのは非常に必要な施設だというふうに考えております。今、予想もつかないような大きな大地震災害等々が起きておりますし、また、ハローワーク等々も含めて利用者の方々が、もし地震が来たときに建物が崩れてという意味では、安全、安心という意味でもこのことは重要なことだというふうに考えております。

 このような地方分権改革の流れ、それから安全、安心という意味での国が果たす役割ということを考えたときに、我々は、各省庁との連携、その中ではやはり官邸等とも相談をしながら対応方針を定めていくというところでございます。

 先ほど、官庁営繕部長から答弁をしましたように、そういう福島先生からの御指摘をいただいておるところでございますが、早急に整備を行う一方で、今後策定される地方分権改革に係る政府の方針に沿って柔軟な対応を行うことにより、無駄が生じないように対応していくことが必要だと思っております。年内にまとめられるでありましょう出先機関改革に関する地方分権改革推進計画に沿って、適切に対応してまいりたいと思います。

福島委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 続いて、先日名古屋で大型コンテナトラックの事故がありまして、並走しておりました乗用車がコンテナにつぶされるという大変悲惨な事故があったわけであります。五月は何と十二日、そして十三日、十九日と、三件大型コンテナトラックの転倒事故が発生をいたしております。

 国交省が二〇〇一年からの事故の累計を出しておりますけれども、八十五件、年に約十件ほどが発生をしておりまして、一般のトラックに比較すると四倍近い発生だ、こういうふうに指摘をされているわけであります。

 こうした事故に関しては、全日本トラック協会からは、横転すれば積み荷の片荷が原因かどうかもわからなくなる、一般的に複合的な原因とされ、解明は難しいと。実際、現場の方々からは、コンテナの中はブラックボックスで、仮に片積みになっていたとしてもわからない、そういったことが運転において事故を引き起こす誘因になるんじゃないか、もう少しここのところは透明性を確保するように努力をしていただきたい、運転手が安心してコンテナを運搬できるように制度の見直しをしていただきたい、こういった要望もあるわけであります。

 現状の国交省の対応についてお聞きをいたしたいと思います。

稲葉政府参考人 御説明申し上げます。

 国土交通省におきましては、国際海上コンテナの陸上輸送の安全を確保するために、平成十七年に関係事業者それから関係行政機関とともに、国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドラインと題しましたガイドラインを作成いたしまして、全国各地で説明会を開くなど、関係者への周知を図ってきております。

 このガイドラインの内容でございますけれども、積載方法に関する事柄、それからコンテナの重量とか内容物等の情報の伝達に関する事柄など、荷主それから海運事業者、コンテナターミナルのオペレーター、トラック事業者などの関係者がコンテナの安全輸送のために取り組むべき事項を定めております。

 また、先ほど先生がお話しになりました、本年五月に入ってからの三件の事故でございますけれども、このうち、十二日と十三日に発生しました海上コンテナトレーラーの横転事故につきましては、これまでに、トレーラーの荷台とコンテナを固定する装置のロックが外れていたことが明らかになっております。このことから、同種事故の再発防止のために、このようなロックを確実に締めるということについて全国の事業者に通知したところでございます。

福島委員 ロックがなぜ外れたのかということも多分あるんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 現在、さまざまに調査をしていただいているようであります。ガイドラインにいたしましても、現場ではなかなか徹底されていないということが聞こえてくるわけでありまして、このガイドラインの遵守状況についてもしっかりと把握していただいた上で、何しろ大切なことは事故の件数を減らす、そして、そうした事故に巻き込まれる人を防ぐ、ここのところに政策目的があるわけでありますから、その政策効果が上がるように引き続きしっかりと努力をしていただきたい、このように思いますが、最後に副大臣の決意をお聞きしたいと思います。

金子副大臣 今、先生からお話がありました、続けざまに五月の十二日、十三日、十九日と、国際海上コンテナに係る事故が連続して発生をして、多くの痛ましい犠牲者が出ておられることを大変遺憾に思っております。このような悲惨な事故の再発防止が重要であると我々も認識をしております。

 確かに、現場で運転をする方が、このコンテナに何が入っているのか、どういう重さなのか、片寄っているんじゃないか、そういうのがわからない状況で運転をするというのは、非常に私自身も危険なことだというふうに認識をしております。

 今お話がありました、平成十七年に、国際海上コンテナの輸送の安全確保のために、国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドラインを策定したところでございますが、その後も事故が発生しているということから、現在、ガイドラインの浸透状況について関係事業者に対して実態調査を行っているところであります。何でこのガイドラインがありながらこれが周知徹底されていないのか、そこにやはり原因があると思います。

 今後、この実態調査を本当に急がせます。そして、その結果等も踏まえまして、さらなる周知徹底等の必要な措置を図ってまいりたいと思います。御心配の向きにつきましても本当に、また重要な点について御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

福島委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。

川端委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。本日は、白川日銀総裁、そして鳩山総務大臣、その次に内閣官房長官河村さんに御質問をしていくつもりでおります。

 白川総裁にまず御質問を幾つかさせていただきたいと思います。

 私は、日本銀行が、これはもう何十年来の課題かと思いますけれども、円という国際通貨をこれからも使い勝手のよいものとして、アジアそして世界の中でより広く使われるような環境を整えていくこと、十数年前の取り組みでは日本版金融ビッグバンというものもありましたが、こういった取り組みが現在どういうことになっているのか。足元、大変な金融危機の中で、そうした十年、二十年の話というのは少しかすみがちなのかもしれませんが、そうした金融立国というか日本の国際的な戦略という観点からこの円という通貨を眺めていきたい、そういう思いを持っております。

 きょうは、そういったことで事前に、日本版ビッグバンの再評価その他、質問通告をさせていただいておりますが、その後いただきました昨日の京都での御講演の内容や、あるいはけさの新聞報道等も少し絡めまして、多少アレンジした質問になるかもしれません。

 一点目ですけれども、金融市場規制における日本のイニシアチブについてお尋ねをしたいと思います。

 昨日の京都での講演で、プルーデンス規制の再設計ということで、プロシクリカリティーの削減等についての議論をなさっていらっしゃいます。また、古くはBIS規制その他、こうした国際的なプルーデンス規制の歴史があると思うんですけれども、事今回の金融危機に関しては、日本は、総裁御自身もお認めになっているように、世界の中では比較的ダメージがマイルドであったというか、それでも大きな影響はあるんですけれども、こうした日本が、しかも直近に大きな金融危機を自国で経験している我が国が、今回このプルーデンス規制を改めて考えていくというときに、どのような立ち位置でどういったイニシアチブをとっていけるのかということについて伺いたいと思うんです。

 先ほど申し上げたように、規制を緩和して日本の国の金融市場をより開かれたものにしていこうという一つのベクトルが、これは中長期のベクトルがある、あるいはあったと思いますし、一方で今回は、IMFなりあるいは欧米の最近の議論の潮流というのは、規制を強化しなければ、規制を緩和し過ぎたということの反省が強いように思うんですが、日本は少しこれは大局的な立場に立って、安易にこの国際的な流れに追随するのではなくて、日本としてのビジョンを示しながらイニシアチブを示すということが、今の日本の立ち位置なら、あるいは白川総裁であればできるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

白川参考人 お答えいたします。

 まず、ビッグバンから始まります日本の金融市場の競争力向上に向けての取り組みでございますけれども、これはこの十年間、政府それから民間金融機関関係者あわせて努力をしてきて、いろいろな意味で進歩があったというふうに思っています。

 ただ、一方で、世界の金融市場はこれまたどんどん変化していっていますから、それに合わせて変えていくという努力は今後とも必要だと思います。そういう意味で、まず、世界全体の中での日本の努力という面からしますと、さまざまな努力が必要だというふうに思っております。

 それで、今回の金融危機を踏まえての経験ということでございますけれども、今議員御指摘のとおり、一番大きなキーワードを一つだけ言うとすれば、プロシクリカリティーということだと思います。つまり、規制とそれから景気との関係で増幅作用をしていくということでございます。

 今回の危機を振り返ってみましても、経済の状況が良好なときには、どうしても金融機関あるいは投資家が強気化して、そのことがさらに経済を拡大する、またそれが強気化するということで、悪循環を来すということでありました。そうしたそもそも人間の行動にあるようなプロシクリカリティーをさらに規制が増幅しているのではないかということが、今回の一番大きな問題意識になっております。そうした観点から、今いろいろな見直しを進めております。

 ただ、今議員が御指摘のとおり、そうした見直しをすることが、しかし、結果として規制強化になっていろいろなイノベーションの力をそいでしまうということになりますと、これは元も子もない話であります。そういう意味で、一方で、プロシクリカリティーを緩和していく見直しをやりながら、しかし、イノベーションを阻害しないような形で発言をしていく、制度設計にかかわっていくということが非常に大事だというふうに考えております。

津村委員 日本のイニシアチブというところをお尋ねしたんですけれども、また補足をしていただければと思います。

 それからもう一点は、今、金融と実体経済の相互作用という意味でプロシクリカリティーのお話をされたんだと思いますが、少し話を財政のことと絡めていきたいんですけれども、財政の方は、逆に実体経済と、いわゆるスタビライズ機能といいますか、実体経済が大きく振れることに対して、今総裁は金融がそれを増幅することがあってはならないというお話をされましたけれども、財政にはそれを逆にスタビライズする役割があると思うんですね。

 しかしながら、最近の、小泉政権以来の、新自由主義という言い方がいいのかわかりませんが、さまざまな政策や、あるいは、そもそも財政規律が低下して財政力が低下している中で所得の再分配機能が大きく低下をしている、そういう中で財政の実体経済との相互作用の機能が低下しているのではないか、そういうふうにも見えるんですけれども、総裁、どう思われますか。財政と実体経済の相互作用の力が落ちているのではないか、そういう質問です。

白川参考人 まず、今回の日本のイニシアチブということでございます。

 議員の御質問に直接お答えになっているかどうかはわかりませんけれども、今回、いろいろな見直しの議論をしていますときに、日本のバブル崩壊以降の経験ということがいろいろな形で研究をされております。私どもがいろいろな国際会議に出るときにも、日本のそうした経験に基づいていろいろな議論に参加してほしいという期待が非常に強いように思っております。

 私自身がそういう場で言っていることは幾つかございますけれども、今のプロシクリカリティーということは、日本においても非常に強かったわけでございます。そうした大きな視点というのが大事であるということは常々申しています。それから、規制そのものではございませんけれども、実体経済と金融の負の相乗作用というのが非常に強力に働く、したがって、金融システムの問題に対してしっかり取り組んでいく必要があるんだということを、これはいつも申し上げています。

 そういう意味で、これは日本のイニシアチブと言えるかどうかはちょっとわかりませんけれども、そうした立場でいつも議論に参画しております。

 それから、財政と実体経済の関係でございますけれども、この十数年の大きな流れの中で考えますと、経済の安定化、景気の安定化という面で財政政策を裁量的に使っていこうという思想は後退してきたというふうに思います。基本的には、経済の安定、物価の安定ということは金融政策の仕事であるというふうになってきていると思います。

 ただ、現在のように金利が世界的にゼロ金利に接近してきて、かつ金融システムの機能が大きく低下してきているという状況のもとでは、これは一定の範囲で財政政策を活用することに意味があるというふうに今なってきております。ただ、これは、一般的に、財政政策を景気安定のために使っていこうということではないというふうに思います。

 そういう意味で、今の御質問については、一般的に、財政と実体経済の相乗作用というふうに考えるよりか、現在のこの局面で財政政策をどのように適切に使っていくのかということが問題意識になっているように思いました。

津村委員 少し質問を急いでしまうんですが、報道によれば、日本銀行の景気判断の上方修正ということが最近盛んに言われておりまして、総裁御自身は、前回の金融政策決定会合後の記者会見では「定義による」という言い方をされているんですけれども、少し報道との間でコミュニケーションのとり方があるのかなということと、もう一つは、私も政治家なので感じるのかもしれませんが、選挙の前だからか、政府の景気判断が妙にこのところ調子がいいというか、基調判断がどんどん上方修正をしていくんですね。その割に、一方では、景気対策が必要だ、あるいは金融政策も緩和を続けろということで、調子だけはいいなという感じがするんですが、当然のことですけれども、日本銀行の景気判断がそれに引きずられてはいけないと思うんですね。

 そういう中で、端的に伺いたいんですけれども、前回、悪化を続けているという判断をされている。そして、先行きの見通しとしては、悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げどまっていくというシナリオをたしか触れられているんですけれども、このシナリオどおりになることは上方修正ではない、シナリオどおりなんだという言い方もされていたかもしれませんが、しかし、文言が変わっていくのは絶対値で見れば上方修正なので、今回、そのあたり、まだブラックアウト前だと思いますので、景気判断としてどういう御判断を考えていらっしゃるのかということが一点。

 そして、先ほど私は意地悪な、政治的な配慮のことを申し上げましたが、そうした政府に引きずられているという印象を払拭する意味でも、上方修正をされるのであれば判断の根拠をより明確に御説明いただきたいというふうに思います。

白川参考人 お答えいたします。

 日本銀行は、来週、金融政策の決定会合を開きまして、そこで前回の会合以降のさまざまなデータを点検して、景気判断を行っていきたいというふうに思っております。

 前回までの判断ということをまず申し上げますと、これはもうよく御存じのことではあると思いますけれども……(津村委員「前回までの判断はいいです」と呼ぶ)はい。

 景気の大きな流れということでございますけれども、リーマンの破綻以降、世界的に大きな金融の収縮が起きて、その結果、グローバル経済それ自体が大きく収縮をしたという中で、日本の輸出、生産も、去年の第四・四半期、ことしの第一・四半期と大変に大きく落ち込みました。これは内外の企業ともそうですけれども、大変大幅な減産を行いました結果、さすがにここまでの減産を行いますと、在庫調整というものがだんだんに進捗をいたします。その結果、この四―六月期につきましては、多分、生産の数字がプラスになっていくでしょうし、GDPについても、前期の大幅な落ち込みから比べますと、これは明らかに改善の方向に向かうということだというふうに思います。

 当面は、そうした在庫調整の進捗に伴うプラスの影響が一方ではあるわけですけれども、他方で、これまでの大きな景気の落ち込みの結果、これから、雇用者所得あるいは企業収益が悪くなったことの影響が消費なりあるいは設備投資に出てきます。この両方の力のせめぎ合いだというふうに思っております。

 これは、結局、日本の経済自体の動きもそうですけれども、世界経済全体の影響が内需の方に出てくるわけでございますから、そこは丹念に毎回毎回判断していくことしかやはりないんだろうというふうに思っております。来週の決定会合でそうしたことをすべてあわせて、今八名の委員で議論しておりますけれども、入念に点検した上で情勢判断を対外的に説明していこうと思っています。

 議員が御懸念のようなことは全くございません。日本銀行は、日本銀行法に定められた目的に従って、経済、金融の情勢をしっかり判断し、それを説明し、それから金融政策を運営していくという点においては、これは全く揺るぎがございません。

津村委員 総裁は今、前回の御判断をもう一回おっしゃられただけで、私は足元の、直近の御判断をお聞きしたので、前回と全く変わらないということなのか、恐らくそうでないと思いますので、直近の御判断をお聞きしています。

白川参考人 政策委員会は合議体でございますので、もちろん私自身の見解はございます、いろいろなデータをもとに自分の中でいろいろな組み立てをしておりますけれども、しかし、日本銀行の行います判断は、日本銀行法の規定に従いまして委員会全体の判断として示していく、それを私が代表して記者会見で説明するということでございます。

 きょうはまだ水曜日でございますけれども、経済は生き物でございます。経済のデータも、それから金融指標も、これはこの後まだ出てくるわけでございます。そういう意味で、そういうものをすべて総合した上で決定会合に臨み、同じことを他の委員もなさっていると思います。

 したがいまして、今の段階で景気判断はこうですということを申し上げることは、かえって市場に対してミスリードしてしまう。どういうふうな筋立て、組み立てで今経済を考えているかということをしっかり御説明することが最もふさわしいというふうに判断して、先ほど申し上げたということでございます。

津村委員 総裁もルールにのっとってお答えになっているということだと思いますが、私もルールにのっとって御質問差し上げていまして、いわゆるブラックアウト期間があした以降ですから、合議体のリーダーとして御配慮なされる期間ということだと思うんですけれども、きょうは国会で、しかも総裁の御見解を伺っているわけですから、私は、きちんとお答えをいただいてもよろしいのではないかと思います。

 ぜひそのこともお答えいただきたいんですけれども、それからもう一点、審議委員の欠員が長期にわたって続いていますが、このことは大きな不都合だと思うんですけれども、政府と日銀の間では調整は行われているんでしょうか。そのこと自体が大きな不作為だと思うんですけれども。

 以上二点、最後の御質問にします。

白川参考人 先ほどの質問の第一点でございますけれども、前回決定会合の後、御説明いたしました基本的な経済の見方、これは実は、それ自体も、その後もし情勢の変化があれば変わってくるわけでございます。

 前回と同じような判断をしたというのは、単に機械的に前回と同じことをここで言っているというわけではなくて、その後の経済の展開を見ながら、そうした判断を現時点でもして申し上げることが適切だというふうに思って申し上げたわけでございます。そういう意味で、一カ月前のことをここでまた機械的に同じように言っているということではないということをぜひ御理解いただければというふうに思います。

 それから、審議委員の件でございます。これは私いろいろな場で申し上げていることでございますけれども、日本銀行は、九名の政策委員会のメンバーによって日本銀行の政策、業務を決めていくということになっております。一名欠けているという事態は、これは異例の事態でございます。総裁としては、日本銀行の政策それから業務の執行の最終的な責任者でございますから、たとえ八人であっても、その影響が出ないようにしていくということは私の責任でございますけれども、と同時に、一名欠けているという状況は、これは異例の事態であって、そうした事態はできるだけ早く解消をしてほしいということは申し上げているとおりでございます。

 最終的にどういうふうに任命をするのかというのは、これは日本銀行ではなくて政府、それから最終的には国会ということになりますので、私の方からはちょっとそれ以上申し上げることは差し控えたいと思います。

津村委員 総裁、ありがとうございました。以上で結構でございます。また引き続き議論させてください。

 済みません、時間が少し押しましたので、鳩山大臣に一問お聞きしたいと思います。

 現在、衆議院選挙とそして最高裁の国民審査、それぞれ期間がずれているために、公示日直後の五日間だと思いますが、期日前に投票に行った方は最高裁の国民審査はできない、投票用紙ももらえないということになっていると思います。その結果、前回の総選挙の際には、二百八万人の方が投票所に足を運びながら最高裁の国民審査の投票用紙をもらえない、つまり棄権を余儀なくされるということがあったと思います。

 総務省さんとしては、もう一回来れば投票できるというお立場のようですけれども、その日しか行けないから期日前投票に行っているわけで、その方たちにもう一回投票所に足を運べというのは、それは無理というものだと思うんですね。そういう意味では、この最高裁の国民審査の制度というのは、期日がずれているというのは非常に大きな問題で、国民審査をする、解職の制度ということですが、国民の権利に大きく問題があるというか疑義があると思うんです。

 解決の方法としては恐らく二つで、電子投票その他で、公示日の段階でどなたが対象となるのかを確定して、それが翌日にはすぐ投票所で技術的にできるようにするのか、あるいは現在、公示日に対象となる裁判官を確定していますが、現実には、その数日間で裁判官がかわるということは事故がない限りほとんどあり得ないことなわけですから、解散日であるとか、解散日から公示日の間にどこかの時点で確定をするということを工夫されることが、総務省、総務大臣のされるべきことだと思いますけれども、いかがでしょうか。

鳩山国務大臣 基本的な問題意識は、津村委員と私はほとんど同じなんです。

 これは単純に答弁しますと、要するに、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民審査に付されるということですから、具体的には、総選挙の公示日、始まる日、国民審査の告示日、同じなんですが、その日までに任命された裁判官が国民審査に付されるので、理論上は、国民審査に付される裁判官は総選挙の公示日に確定するということになるわけでございます。それから、いわゆる投票用紙にバツをつける投票方法をとっておりますが、投票用紙を印刷するので、結局は期日前投票が短くなってしまう、こういうことでございます。

 それ以上のお答えはなかなかしにくいんです。ですから、期日前投票を、いわゆる総選挙の公示日の翌日から行うことは非常に困難だと思っております。

 ですが、実は、私自身が自民党の選挙制度調査会長を長くやりましたときに、電子投票の国政選挙への導入ということを一生懸命やったわけでありますが、いまだなかなか結論が出ていないのは残念でございます。そのときに、電子投票にすることによってぱっと間に合わせることができるのではないかということを随分議論したわけですから。

 これは実際に、最高裁判所裁判官の国民審査の期日前投票が衆議院選挙と同じようにできるのが望ましいのはわかり切っているわけです。例えば平成十七年の選挙では、衆議院議員総選挙で期日前投票した人が八百九十六万人、それから最高裁判所裁判官の国民審査で期日前投票した方が七百七十二万人と差があるのは、日数の差、最初のころできないという四日間の差に基づくものと思っておりますから、これはやはり、できるような方法で考えていく方が正しいと思います。(津村委員「考えていくということですか」と呼ぶ)はい。

 私は実は、電子投票にして、そうしたいと思っておりますが、電子投票にしないとなかなか困難なのかもしれない。正直言って、投票用紙を印刷するという関係がありますから、その辺は、電子投票の国政選挙への導入とともにやっていくべき事柄ではないかなと基本的には思っております。

津村委員 大臣、結構です。ありがとうございました。以上です。

 河村長官にお伺いしたいと思いますけれども、少し駆け足で行きますが、四月二十一日、前回、分科会で質疑をさせていただいた際に、皇室典範の改正につきまして官房長官からは、「国民各層から賛同を得られるようにしっかり議論を重ねていく必要がある、」という御答弁がありました。しかし、一方では、昨年の年末に有識者会議が廃止をされている。その直前三年間は開かれもしなかったということだと思います。

 一体、今後どういう枠組みで議論していくおつもりなのか、そのスキームについてお伺いしたいと思います。

河村国務大臣 確かに、四月二十一日に質疑をさせていただいた際にもお答え申し上げました。

 皇位の継承というのはやはり国家の基本にかかわる大事な事柄であると考えて、安定的な皇位の継承を図っていく、維持していく、これは極めて重要だという認識に立っております。そういう意味で、皇室典範の改正も含めて、できるだけ多くの国民各層の賛同が得られるものにしていくことが重要だ。このことは有識者懇の報告にもあるわけでございます。

 したがいまして、まずは国民各層においてさまざまな議論が深まっていって、それを踏まえて検討を進めていくことが重要であると考えております。現段階におきましては、皇室典範の改正のための具体的な枠組み、これをスケジュール感を持ってお示しするだけのものを今、正直言って持ち合わせておりません。

津村委員 それは大変ゆゆしき問題で、前回の質疑で河村大臣は、「安定的な皇位継承を確保するという意味では、将来の不安が解消されたということにはならないと思います。」と、不安は解消されていないと明言をされています。それから、宮内庁長官は昨年の十二月に、そのことが、この問題を憂慮されていることが天皇陛下の御不例、つまり体調を崩されたことの背景になっているのではないかとまで、かなり踏み込んだ発言をされています。

 政府部内で、この問題についてのそういった強い問題意識を示されている一方で、議論の予定がない、何も今のところないというのは、一方で問題を認めておきながら、その不作為を堂々と公言されるというのは全く理解に苦しむところでして、さらに言えば、時間的な制約もある問題だと思うんですね。

 前回、河村大臣からも、時間の問題は津村議員と同じ考え方を共有していると思いますと言っていただきましたが、これはどのぐらいの時間的なめどで議論していくのか、少しはっきりと御説明いただきたいと思います。

河村国務大臣 御指摘のとおり、現在、皇太子殿下、それから秋篠宮殿下の次の世代の皇位継承資格者となりますと、悠仁親王殿下お一人でございます。そういう意味で、安定的な皇位継承を確保するという意味で将来の不安が解消されている、こういうふうに言い切るわけにはいかないと私も認識しております。

 そこで、安定的な皇位の継承を維持することは、先ほど申し上げましたように国家の基本でございますから、この認識は、さきの質疑の中でも共有していると申し上げました。そういうことも踏まえながら、これはやはり国民的な議論、いろいろな議論が必要でございますので、皇室典範の改正ということになりますので、そういうことも含めてやらなきゃなりません。

 しかし、おっしゃるように、これを安易に先送りばかりはできないということでございまして、今、麻生内閣において、特にこのことを発議して具体的な日程を持って検討しているという状況ではございませんけれども、麻生総理もこの認識は持っておりまして、どの時点でどうするか、これはこれからの重要な課題であるという認識は持っておる、こういうことであります。

津村委員 国民各層、国民各層とおっしゃるんですが、この国家の重大事を、やはり国会議員がこういう場で議論をし、あるいは内閣がきっちりとイニシアチブをとって議論をリードされるべきだと思うんですね。これから女性の宮様たちが結婚の適齢期を迎えられたり、あるいは陛下の御体調ということもある中で、ことしは平成になってから二十年、在位二十年になるという節目の年でもあるわけで、議論を深めていくには非常にいいタイミングだというふうに思うんです。

 先ほどから他人事のようなお言葉が続いていますが、河村長官自身が政府のまさに責任者でいらっしゃるわけですから、どういう展望を持っていらっしゃるか、もう少し誠実に御答弁いただきたいと思います。国家の重大事だと思います。

河村国務大臣 御指摘のとおり、総理からも、この問題は重要な問題であるという認識を示しておりまして、私からも、四月二十一日に津村議員からも実はこういう指摘を受けたということを報告しておるわけでございます。

 今、正直申し上げて、おしかりを受けたわけでございますが、具体的なスケジュール感を持ってという、この時点ではそういう答えは申し上げかねますけれども、しかし、御指摘のとおり、非常に大事な問題であるという認識を持って、どのようなスケジュール感でこれからやっていけばいいのか、さらに総理の御意見もお聞きしながら、また、国民各層、恐らくこれまでの有識者懇に対するマスコミの評価あるいはアンケートもございますので、そういうものも精査しながら具体的な方途を考えていかなきゃいけない、そういうふうに考えております。

津村委員 端的にお尋ねするんですけれども、麻生政権がいつまで続くか存じ上げませんが、麻生政権として取り組む意思を持っているということですね。

河村国務大臣 これまでの経過も踏まえながら、どのような方向づけをしたらいいか、検討に値する課題だという認識を持っております。

津村委員 時間もありますので、最後の御質問にしようと思います。

 四月二十一日の質疑の際に、官房長官から、皇室に対しまして適切な助言ができて、相談に乗れるような人材を宮内庁のプロパーとして養成する必要があるということを明確に御答弁いただきました。しかし、現在はそうなっていないわけですね。出向者の方が大変多かったりとか、そういった事情もあって問題意識を示していただいたということだと思いますが、今後、政府として、宮内庁プロパーの育成の仕方、それからもう一つつけ加えさせていただくと、民間の方を中途で採用されているケースも間々あるんですけれども、どういう基準で採用されているのかということもあわせてお答えいただきたいんです。

 これから、こうした宮内庁の職員の育成の仕方、陛下やあるいは皇太子殿下のそばにいらっしゃる方が、十年前、二十年前と比べて非常に短いサイクルで異動されている、そのことが陛下や皇太子殿下、宮様をサポートする力を弱くしているんじゃないか、そういう問題意識ですけれども、問題意識自体は前回共有していただきましたので、今後どういう措置をとっていくお考えかということを長官とそれから風岡次長にもお伺いできればと思います。

河村国務大臣 宮内庁におきましては、従来から、仕事の特性がある、それから職員の規模もございます、それから職種等、これは総合的に勘案して、いわゆるプロパー職員と他省庁の出身職員の採用と配置、これをやっているわけでございます。やはりその能力が最大限活用されなきゃならぬという認識が基本にあると思います。

 宮内庁においては、今後とも、今御指摘のように長期的な視点も大事でございますから、そういう視点を持っていわゆるプロパーの人をきちっと養成していくという、宮内庁職員の計画的な採用、配置、これが大事だと思います。それから、庁内、それから外部においても研修を持つ。それから、宮内庁職員と他省庁との派遣の実施。

 こういうことで、皇室がやはり開かれた皇室であり、また国民から敬愛される皇室をこれからも継承していただきたい、そういう思いで、専門プロパーはもちろんそういう長期的な視点が要りますが、さらに広い視野を持って、国民の方を向いた視点を持った職員も養成していかなきゃいけない。両面からしっかりとした職員をつくっていくことが非常に大事だ、このように考えております。

風岡政府参考人 お答えいたします。

 宮内庁の仕事につきましてはいろいろな業務がございますので、多様な人材を確保するというような観点から、もちろんプロパーが中心になりつつ、なおかつ、各省の経験者、また民間の経験者の方も含めて事務に当たっているところであります。民間等におきましては、年齢だとかこれまでの経験とか、そういうものを踏まえて、個別に判断をして採用するというような取り組みをしております。

 プロパー職員の育成についての重要性につきましては先生御指摘のとおりでありますし、ただいま官房長官から具体的な取り組みについてのお考えを示されましたので、私どもとしても、その考え方にのっとってプロパー職員の長期的な育成というものについても努力をしてまいりたい、このように考えております。

津村委員 時間が参りましたので、終わります。

川端委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

川端委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 きょうは、合同庁舎の建築問題について、それから少年院における法務教官の暴行事件について、さらには原爆症の認定問題について、順に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、合同庁舎の建設問題でありますが、昨年十二月にこの委員会で、我が党の同僚議員の高山智司委員がこの問題を取り上げております。そのときにお手元に配付された資料が、実はきょう私が再度配らせていただいた資料の一枚目と二枚目ということであります。

 このときにどういう議論が行われたかということでありますけれども、御承知のとおり、地方分権改革推進委員会の丹羽委員長が昨年の十二月二日に談話を発表されております。国の出先機関の見直しを現在調査審議中であるが、そうした中で、国の出先機関が入居する多くの庁舎の新築や増築が予定されていることが判明した、これらについては、既に仙台市内の合同庁舎については当面整備を見合わせるとの方針が国土交通大臣から示されたのと同様に、政府としての出先機関の改革の方針が定まるまでの間、当面、政府全体の問題として検討して、整備を進めることを見合わせていただくことが適当であると考えるという談話が発表された。

 それから、十二月八日に、今度は二次勧告が地方分権改革推進委員会から出されまして、総理が指示をしていた地方整備局であるとか農政局の統廃合の方針が打ち出された。

 にもかかわらず、地方合同庁舎の建設計画が進んでいるじゃないかということで、ちょうど今私のお隣にいらっしゃいます高山委員が昨年の十二月十日にこの委員会で取り上げた。

 このときにどういう議論が行われていたかでありますけれども、高山委員から「仙台のは当面見合わせということですけれども、」という問いがまずありまして、金子大臣からは「地方分権改革、議論がまさに御指摘いただいたとおり進んでおりますので、当面見合わせさせていただくということを指示させていただきました。」と。

 それから、高山委員はさらに、「私の配りました資料で、」と。これはきょう再度皆様のお手元に配らせていただいた一枚目と二枚目でありますけれども、「三十六カ所、まだ新築、増改築の予定が出ているんですね。仙台の件は当面見合わせるということですけれども、これら三十六件は、大臣、いかがいたしますか。計画どおりですか。」という問いに対しまして、金子大臣からは「あわせて今後検討させていただきたいと思っております。」と。

 高山さんは、検討している間にこれはどんどん建っちゃうんじゃないですか、こういうことを指摘されているわけであります。地方整備局は廃止だということを民主党も言っていて、「与党の方も、地方分権の時代だ、二重行政を廃止するために地方整備局は廃止だというような話がよく聞こえてきますけれども、本音は違うのかな」、こういう指摘を当時したんですね。これは昨年の十二月十日の本委員会です。

 その後どうなったのかということでありますけれども、大臣、検討させていただくとおっしゃっていたんですね。仙台については見合わせさせていただくとおっしゃっていたんですね。その後どうなったか。

 これを、我が党の長妻昭委員が、ことしの五月十一日の質問主意書で問い合わせております。二十年度に進んでいる案件、それから二十一年度に行われる案件ということで尋ねましたところ、お手元の高山さんの資料のもうほとんどがこれは行われるということで、計画が全く見直されていないんですよ。全く見直されていない。

 しかも、国交省からもらった資料によると、このお手元の資料の一枚目でいうところの、三番目の盛岡第二、それから五番目の立川、六番目の甲府、七番目の新潟第二、八番目の長岡、九番目の武生、十番目大津、十一番目広島、十五番目鹿児島、これなんですが、委員長の談話が発表され、二次勧告も出され、そして高山さんが、このままだと結局どんどん建っちゃうんじゃないですかとこれだけ指摘をしたにもかかわらず、大臣は検討させていただくとおっしゃったにもかかわらず、結局、今申し上げた案件、盛岡から鹿児島までの案件ですが、これは全部、二十一年に入ってから契約されているんですよ。盛岡が二十一年三月二十四日、立川が二十一年三月三十一日、甲府が二十一年三月二十六日、新潟第二が二十一年三月三日、長岡が二十一年一月二十七日、大津が二十一年三月十三日、武生が二十一年三月十九日、広島が二十一年二月十六日、鹿児島は二十一年三月二十三日。

 つまり、地方分権改革推進委員会の委員長談話もあり、二次勧告もあり、委員会で指摘され、検討すると答弁をされておきながら、全く無視をされて、検討すら行っていないんじゃないかというぐらい、さっさと、とっととこれは契約が交わされちゃっているんですよ。全部行われちゃっているんですよ。

 それで、もっと驚くべきなのは、二十一年度の計画はどうですかという長妻さんの質問主意書の回答が、この一枚目と二枚目のほとんどの案件に及んでいるんですが、何と、大臣が答弁で見合わせさせていただくとおっしゃった仙台の第一、それから地方分権改革推進委員会の議事録でも見合わせだとおっしゃっていた長崎の第二、これが復活しているんですよ。これが、質問主意書の答弁によりますと、「敷地調査、設計等の実施又は本体工事の着手を今年度」、つまり二十一年度ですね、「に予定しているもの」の中にしっかり含まれているんです。

 大臣、こんなことでいいんですか。国土交通大臣、これだけ勧告も出て、談話も出て、御自身は検討する、見合わせるとおっしゃっていて、これは全部やっているじゃないですか。こんなことでいいんですか、大臣。

金子国務大臣 松本委員、地方分権推進委員会というのは総理のもとに置かれている諮問委員会です。内閣府所管ですから、鳩山大臣がとりあえず担当されておられますけれども、総理の諮問機関です。

 官庁営繕の建物というのは、国土交通省の建物ではなくて、政府全体が住む、政府全体が業務をやる建物です。内閣の中で不一致が起こるわけがないじゃないですか。不一致を起こすようなことはするわけがないじゃないですか。当然に、地方分権委員会の皆様ともすり合わせながら、国土交通省だけでなくて内閣官房長官ともすり合わせながら、分権委員会のトップの方ともすり合わせながら進めている事項であります。

 いろいろ項目を挙げられましたけれども、長崎と仙台については発注を見合わせております。

松本(大)委員 発注を見合わせておりますとおっしゃいますが、これはしっかり二十一年度に、この質問主意書の答弁に「敷地調査、設計等の実施又は本体工事の着手を今年度に予定しているもの」としてはっきり書いてあるんですよ。これは全然凍結でも何でもないですよ。

 しかも、その他の案件についても検討するとおっしゃったけれども、もうこれは予定どおりやってしまっているわけですから、まさに高山さんが指摘したとおり、検討するとおっしゃっているけれども、検討している間にこれはどんどん建っちゃうんじゃないですかとまさにこのとき高山さんが懸念されていたとおりのことが起こっているんですね。

 さらには、先ほど地方分権改革推進委員会ともすり合わせしているというふうに金子大臣はおっしゃいましたが、これは四月二十四日の地方分権改革推進委員会の議事録、何と書いてあるのか。丹羽委員長は、

 今こういう経済環境の中で、民間製造業のあちこちの工場、あるいは我々も建設の凍結、遅延をやっているわけです。当然のことながら建設業者との間で契約をして、こちらの事情で遅延させるときには、違約金を払います。違約金が大きな損害にならないから、そういう遅延をしている。

こういう話をされている。さらには、

 今、申し上げたいのは、民間がこういう経済危機の中で、ほとんどが遅延しています。トヨタを始めあちこちでちょっと待てと凍結している。

 日本の官庁だけが凍結していないということは、やや異常さを感じる。

 四〜五か月経てば出先機関についての国の方針も大体方向が見えてくるのです。それがなぜ待てないのか

 四〜五か月でビルを慌てて建てなければいけないということは余りないのではないか

委員が、

 見直しの対象機関がいっぱい入っているものを平然とそのまま着工する。凍結しない対象にするのはおかしいではないですか。

こういう、委員が納得していない、委員長自身がまず納得されていないんですよ。四月二十四日にこういう議事録が残っているんですよ。すり合わせなんてうまくいっていないじゃないですか。

 しかも、納得しないからという理由で、来週予定されていると伺いましたが、もう一回この地方分権改革推進委員会にこれを説明しなきゃいけなくなっているんじゃないんですか。全く地方分権改革推進委員会の意向に沿っていないからこそ、すり合わせがうまくいっていないからこそ、こういう問題が起こっているんですよ。

 総務大臣、地方分権改革推進委員会の所管は総務大臣だというふうに思いますけれども、まさに分権の議論が行われている、その中で、地方分権改革推進委員会の委員長が当面見合わせるべきだというような談話を発表され、二次勧告でも統廃合が盛り込まれた。にもかかわらず、結局、検討すらしないで、二十年度中、三月あたりにばばばっとこれは全部契約をして、それで、今の答弁でもおわかりのとおり、いや、すり合わせはうまくいっているとおっしゃっている。これはとんでもない話だと思われませんか。

 こういう地方分権改革推進委員会の談話とか勧告がないがしろにされて、顔に泥を塗られるような形で二十年度に契約がばんばん行われていながら、本来三月に出すべき工程表に出先機関の統廃合を入れなかった。年内に出すと言われている改革大綱に先送りしてしまった。つまり、官僚の地方出先機関の恒久化にお墨つきを与えたんですよ、これは。

 そういうことをやっていて、総務大臣、分権の担当大臣として、これは本当にいいと思われますか。

鳩山国務大臣 地方分権というのは、国が持っている権限とか国が行っている事務や事業を地方へ、例えば都道府県へ移していくことだろうと思います。それが地方分権であって、事務事業や権限を移していけば、当然、国の出先機関が大きく変わってくるわけでございます。例えば、国道にしても河川にしても、国が直轄でどこまでやるかというのが変わってくるわけでございます。

 したがいまして、丹羽委員長が昨年十二月の二日でしょうか、委員長としての見解をお示しされたことはそういう意味だろうと思います。しかるべき理由があると思います。そして、私としては、三次勧告は秋になりますけれども、年内に地方分権改革の基本的な計画をつくって、年度内に地方分権改革の分権一括法を出そうということでございますので、でき得る限り委員長談話に沿った形でやっていただければありがたいと私は思っております。

 丹羽委員長は日本郵政の指名委員会の委員でございます。そっちの方では私と必ずしも意見が同じではありませんけれども、分権改革では私と全く意見は一緒でございますので、そういう方向でやっていただければありがたいと思うし、国交省の方でもそれを踏まえて、八府省十五系統が特に多く入りそうなところは、仙台、長崎等を見合わせるということでやっていただいておりますので、やはり八府省十五系統のところが入る予定のところについては柔軟に対応してもらいたい、こう思っております。

松本(大)委員 郵政のときには非常に威勢のいい鳩山大臣でありますから、ぜひ今の御答弁どおり、委員長談話に沿った形でこれはやっていただきたいという旨のすり合わせをしっかり国土交通大臣とも行っていただいて、政府として一体でこの分権をしっかり進めていくんだ、改革逆コースというような、高山さんのこのときの質問のようなことにならないように、ぜひ御尽力をいただきたいというふうに思います。

 きょうは質問が三点あります。合同庁舎の建てかえの話は以上でございますので、お二方は御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。

 次に、通告の二つ目ですが、少年院における法務教官の暴行事件について取り上げたいと思います。

 きょうの新聞にも、広島少年院の教官が四人逮捕されたという報道がありました。まず全容解明、それから責任者の処分、さらには被害者救済と再発防止、この四点についてお伺いしたいというふうに思います。

 きょうは、お手元にお配りした資料の三枚目以降ですが、五月十三日法務省矯正局作成のペーパーをお渡ししております。概略はお読みいただきたいと思いますが、(二)の「被害事案の状況等」の中で、「少年にシャワーの水を浴びせかける、小便を申し出た少年をトイレに行かせずに失禁をさせる」という、言葉を失うような、虐待じゃないか、どこが指導なんだというようなひどい事案が掲載をされております。

 さらに、きょうの新聞には、死ねと言って、馬乗りになって首を絞めた、さらには、十七歳の少年におむつの着用を強要した、少年を殴った上、ふろ場でズボンとパンツを脱がすためにシャワーの水をかけ、ほかの少年の前でおむつにはきかえさせた疑いがあるというようなことが報道されております。

 法務省に伺います。このような虐待とも言えるような不適正処遇の事案というのは、これは事実なんでしょうか。

尾崎政府参考人 委員御指摘のような不適正な処遇が判明しております。

 現在までの広島矯正管区及び矯正局による調査では、このような不適正な処遇が認められると考えられる事案のほとんどが四人の法務教官によるもので、件数は合計でおおむね百件前後、被害少年の数はおおむね五十人前後に上っているということであります。

 現在もなお調査中でありますが、昨日、その四人の法務教官による不適正処遇事案につきまして、広島矯正管区から広島地方検察庁に対しまして、特別公務員暴行陵虐罪の事実で刑事告発いたしました。そして、その四人は、広島検察庁により、同日、昨日でありますが、逮捕されたと承知しております。

 少年院の法務教官四名がこのような不適正な処遇を行って逮捕されるに至ったということは、矯正行政に対する信用を著しく失墜させるものでありまして、被害者、保護者を初めといたしまして、改めて皆様に深くおわび申し上げる次第でございます。

松本(大)委員 今紹介したような事案は事実だったんですか。そこに対しての答弁がありませんでしたね。どうだったんですか。

尾崎政府参考人 これまでの行政調査の結果、そのような事実が判明しております。

 ちなみに、告発事実について申し上げますと、四つございますが、一つは、少年Aに対しまして、着衣を手でつかんで引っ張り、身体を手で押し、手に持った洗剤の容器を口元に無理やり押しつけるというものであります。

 もう一つは、用便に行かせてほしいと申し出た少年Bに対しまして紙おむつをはくように命令し、Bがこれを拒んだところ、顔面を平手で殴打し、浴室においてBのズボンにシャワーの水をかけて、Bがみずからズボンを脱いで紙おむつを着用するのを余儀なくさせたというものでございます。

 三番目は、少年Cに対し、胸ぐらを手でつかんで腹部を手拳で殴打し、先ほど委員から御指摘のあった、死ねという言葉を申し向けて腹部を手拳で殴打し、さらに床に倒れたCに馬乗りになって顔面を手拳で殴打したというものでございます。

 もう一つの事実は、少年Dがトイレに行かせてほしいと申し出たのに応じず、首や足等を足げにし、Dをトイレに行かせなかった、これにより失禁させたというものでございます。

 それぞれ別の教官でありまして、合計四名の教官を告発しております。

松本(大)委員 五月二十八日の民主党に出していただいたペーパーには、その四人の事案のほかに、問責を検討すべき不適正処遇事案が数件あったというふうにも書いてあります。今回、地検が逮捕しておりますけれども、そのほかの不適正事案についても、厳正な必要な措置、処分も含めて、これは調査を行って対応していただきたいと思います。

 それから、真相究明ということでいえば、これは本当に今年度だけなのかということなんですね。過去にさかのぼった調査がもちろん必要ですし、もっと言えば、これは本当に広島少年院だけの事案なのかということなんですよ。

 ですから、真相究明の一環として、過去にさかのぼった調査、さらには全国のほかの少年院でこの種の事案がなかったのかどうか。在院少年はもとより、そこにいらっしゃる職員さん、さらには可能であれば退職された職員さんも含めていいと思いますが、これは徹底的な調査を行って、うみを出し切っていただきたいということを申し上げたいというふうに思います。

 それから、被害者救済でありますけれども、きのうの法務省の説明では、在院少年の数人が深刻な精神的な被害を受けている、この少年たちが退院、要するに少年院から出るべき期間が来たら、もう少年院としては接触するシステムはないんだということをおっしゃっていましたが、これは、少年院のこのようなとんでもない事案によって心に傷を負ったその少年が退院されて、少年院から出られて、そのまま何のケアも行われないということは言語道断だと思いますので、被害者救済もしっかり継続的に行っていただきたいということもあわせて申し添えます。

 それから、再発防止でありますが、少年院法上は、受刑施設と違って苦情の申し出の項目がありません。刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の百六十六条で言うところの苦情の申し出、あるいは百六十七条、監査官に対する苦情の申し出、こういった規定がないんですね。しかも、十六歳未満であれば少年院でもって刑期を全うするという少年院収容の受刑者もいながら、苦情の申し出の規定はないという形になっておりまして、これは視察をやって本当に再発防止になるかというと、なかなかそうもいきません。

 ですから、中からの告発を可能にするように、再発防止の観点から、苦情の申し出の規定をぜひ少年院法上にも設けていただきたいと思います。政令でできることであれば政令でやってもらって構わないと思いますが、再発防止を徹底していただきたい。

 さらには、法務教官の研修や教育が果たしてこれでいいのか。少年同士の摩擦が起こったときに、すぐ手を出しちゃだめだよということを教えるべき法務教官が、少年と自分との間の摩擦を暴力でしか解消できていない。とんでもない話ですよ、これは。まじめに現場で頑張っている法務教官にも本当に失礼な話です、残念な話です。ですから、これは再発防止のために、海外の事例も含めて、教官の研修、養成体制、さらには矯正教育のあり方、ぜひ見直していただきたいと思います。

 大臣に伺います。

 大臣は、少年院法上は、少年院の監督に完全な責任を負う立場でいらっしゃいます。少年院法の第三条、「完全な監査を行う責任を負う。」と。今回は完全な監査ができていなかったということでありますから、真相究明、全容解明、被害者救済、再発防止、ぜひやっていただきたいと思いますが、決意を伺いたいというふうに思います。

森国務大臣 在院少年に矯正教育を授けるべき施設である少年院におきまして本件のような重大事案が発生した、また、そのことによって国民の皆様の矯正行政に対する信用を著しく失墜させたことは、まことに遺憾でございます。先ほど局長からおわびを申し上げたところでございますけれども、私としてもじくじたる思いで受けとめております。

 委員もかねてから少年院等々のことについて大変関心をお持ちいただいて、いろいろと御指摘もいただいておりますけれども、矯正局に対しては、本件事案の背景や原因等を調査し、その結果に基づいて必要な再発防止策を早急に取りまとめるように指示をいたしております。

 具体的には、例えば法務教官に対する研修のあり方を見直すこと、また、少年院での処遇に関する在院者の不服を上級官庁等において適切に把握し、それをもとに必要な指導監督を行うことができるようにするため、その具体的な方策を検討することなどを指示しているところでございまして、委員の御意見も拝聴しながら、同種事案の再発防止の徹底を図ってまいりたいと思っております。

松本(大)委員 ミニストリー・オブ・ジャスティスなんですから、その名が泣かないように、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。ぜひ同種の事案がほかで起きないようにしっかりと対応していただきたいということを重ねて申し上げて、この少年院の事案については以上ですので、法務大臣は御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。

 最後に、原爆症認定問題について伺います。

 まずは、先般の四月二十日、分科会で私はこの問題を取り上げましたが、答弁に不適切なところがありましたので、その答弁の訂正についてお願いいたします。

上田政府参考人 御指摘の答弁につきましては、正確でない部分がございました。

 正しくは、がんと白血病の併発の場合には、原則として第三部会にて審査をするが、第三部会より分科会の方が早く開催される場合には分科会で審査を行っておりまして、正確には、白血病を審査する部会または分科会に振り分けているということでございました。

 この点は、この場をおかりしまして訂正をさせていただきたいと考えております。

松本(大)委員 時間が少なくなってきましたので、官房長官と副大臣にあわせて伺いたいと思います。

 お手元の資料の最後のページですが、この原爆症認定問題、国が十八連敗という資料をお配りしております。国の不作為、政府の不作為はこれ以上許されない段階に来ております。

 官房長官はかねてから、東京高裁判決が一括解決のタイムリミットだというふうにおっしゃっていらっしゃいました。昨日も我々の申し入れに当たって受けていただきましたし、その御回答ぶりにも誠意も感じました。

 しかし、これは最後は総理が決断するというようなことにもなっておりますので、原告団の方が望んでいらっしゃるような、最終の結論が出るまでに総理と当事者の皆さんの面談についてぜひ設定をしていただきたいということと、この一括解決は、一括解決という名前が意味するとおり、つまりは敗訴者の方も含めた全面解決なんだ。被爆者の平均年齢は七十五歳を超えているわけですから、もうこれ以上猶予はならないわけです。ですので、これは敗訴者の救済も含めた全面解決を行うんだということ。

 さらには、副大臣にあわせて伺いたいのは、この訴訟の全面解決と、さらには、訴訟に加わっていらっしゃらない被爆者の方もたくさんいらっしゃるわけです。現在、認定を申請しながら、直近で七千六百人の方が待機されていらっしゃいます。この認定待ちの早期解消と、さらには、認定制度自体を抜本的に見直すことによって、それに沿った形で訴訟の全面解決と全員救済を図る。今の枠組みでは一括解決はなかなか難しいということは、逆に言えば、今の枠組み自体を変えればいいんですよ。

 きのう官房長官も議員立法ということをまさにいみじくもおっしゃいましたが、我々も協力を惜しみませんから、ぜひこれは双方で知恵を出し合って、全面解決を行うんだ、被爆者全員の救済を行うんだという決意をお二方から伺って、私の質問を終わりたいと思います。

河村国務大臣 今御指摘をいただきました件、私も、このたびの東京高裁の判決というものは大きいものがあるというふうに思っておりまして、これを一つの契機として、今行われている裁判等の全面解決を目指すべきであろう、このことを言い続けてきております。

 そういうことでありますが、訴訟の性格というものもございますので、政治的に一括的にできる部分、できない部分というのもあるように感じられます。そういうことも含めながら、今、議員立法のこともおっしゃいましたが、これは、政府としてできることはどこまでなのか、あるいはいわゆる立法府として国会の対応の仕方、いろいろなことがあろうと思いますので、そういうことも含めながら、今回の裁判の結果というものを一つの契機として解決の道を大きく歩みたい、こういうふうに思っております。

 もちろん、専門家の意見もございますし、医療分科会の御意見もあります。認定基準の問題もございます。今回の判決は、東京高裁の判決を見ましても、これまで我々がやってきた、認定基準を拡大した、その中にむしろ判決というものが照準を合わせた形のものもございます。

 そういうことを考えますと、これまでの裁判で判決が出ております、そういうものもいま一度精査して、そして今の認定基準がどうあればいいのか、今おっしゃいましたが、認定基準を見直したらいいというお話もございました。そういうことも含めて、政府としても被爆者救済の考え方の上に立って正面から検討してまいりたい、このように思い、また今検討いたしておるところだ、このように思っております。

大村副大臣 松本委員から、原爆症の問題につきまして質問をいただきました。

 昨日、東京高裁判決を踏まえて上告しないということを決めさせていただきまして、また、舛添大臣が昨日の昼に、原告団の皆様の御意見もお伺いする、そういう機会も設けさせていただきました。

 そういったことを踏まえまして、ただいま官房長官が言われましたように、訴訟の性格上、政治的に一括して認定をするということはなかなか難しいということがございまして、現行法の体系で限界があるということも事実でありますが、今官房長官が言われましたように、どういった形のことができるか、また、政府の中で、専門家の意見も聞きながら、一つ一つできることを進めていくということで対応していきたいというふうに思っております。

 そして、もう一つ御質問いただきました、今現在、七千六百の審査の待機件数がございます。これは委員も御案内のように、昨年の四月から新しい審査の基準というのをつくって、今精力的に取り組みを進めております。昨年の四月から現在まで三千六百四十六件を認定させていただいておりますが、まだまだそういう待機件数があることは重く受けとめて、これはできるだけ早く解消できるように、対応できるように、さらに陣容を強化して対応していきたいというふうに思っております。

松本(大)委員 専門家の意見とおっしゃいましたが、これは、科学的な厳密さを追い求めることが政治的に正しいとは限らないんですよ。そこが一点。

 二点目は、政治的に一括解決が難しいとおっしゃいましたが、政治だからできるんですよ。行政では今の枠内に縛られてできないかもしれない、そこを解決するのが政治じゃないですか。これはぜひ政治判断で、政治決断で訴訟の全面解決、被爆者救済と認定制度の全面的な見直しを断行していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

川端委員長 次に、鈴木宗男君。

鈴木(宗)委員 森大臣、御苦労さまです。

 最初に、いわゆる足利事件についてお尋ねしますが、この足利事件、十八年前ですけれども、これを起訴したときの検察官はどなたでしょうか。

森国務大臣 当時、宇都宮地方検察庁に所属していた検察官ですが、その氏名を明らかにすることは今後の捜査活動一般に支障をもたらすおそれがありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

鈴木(宗)委員 今後の捜査に差しさわりがあると言いますけれども、捜査が終わっている話に何で差しさわりがあるんですか。

 森大臣、そういう役人のつくった答弁書でなくて、あなた、政治家として、今も質問者から言われたでしょう、法務大臣としての見識を持てと激励されたばかりじゃないですか。捜査が終わって、あなたの部下が釈放したんですよ。その事件に、何で捜査に差しさわりがあると言えるんですか。委員の皆さん方、聞いていてどうですか。どうしてそういう話になるか。

 森大臣、私が言いましょう。当時起訴したのは森川大司という検事ですよね、確認を求めます。委員の先生方、これは何も隠す話じゃないんですよ。証拠開示されて、みんな、弁護士も調書を読んでいれば、オープンになっている話ですよ。

 先生方も考えてください、特に与党の先生方、いかに役人にばかにされているかということを。私が言うのでなくて、山口筆頭理事、あなたあたりが本来ならばクレームをつけるべきだ、ばかにするなということを。どうです、先生方。いかに官僚政治でだらしないかということですよ。特に与党の先生方、しっかりしてください、そこら辺は。言っていることが正しければいい。そういう国民を欺くというか、与党の先生方をばかにしている話をしちゃいけませんよ。架空の話じゃない。

 これは皆さん、森川大司という検事ですよ。大臣、それで間違いないですね。

森国務大臣 私が申し上げた趣旨は、検察が組織として捜査し公訴提起するに至ったものでございますので、今後も本件の即時抗告審や再審において検察の組織として対応するとともに、最高検察庁において発足した検証チームにおいて、当時の捜査、公判等についても検討を加えられるものというふうに思っております。そういったことを踏まえた、そういった趣旨でもって先ほどの御答弁を申し上げました。

鈴木(宗)委員 森大臣、私は事実関係というか手続上の話を聞いているんです。何も捜査の中身云々なんということを言っていないんですよ。何でそういう防御する必要があるんですか。事務的に、起訴したこと、これは間違いないんですよ。これは森川大司という検事が起訴したと、資料から、検察庁が明らかにしている資料、証拠開示になっているんですから、大臣、これは隠しようがないんです。ちゃんと弁護士さん、関係者は見られるんですから、法務省関係者も。何も隠す話じゃない。

 あわせて、東京高検で起訴した検事はだれでしょうか。起訴というか、担当ですね。

大野政府参考人 ただいま東京高検で担当した検事という御質問でございましたけれども、確定する前の控訴審における担当検事のことを指されているのか、あるいは、現在、即時抗告審ということでありますけれども……(鈴木(宗)委員「いや、控訴審」と呼ぶ)

 まことに申しわけございません。控訴審でどの検事が担当しているかというようなことは、現在承知しておりませんし、また、東京高検、検察庁という組織で対応をしておりますことから、お答えは差し控えさせていただきたいというように存じます。

鈴木(宗)委員 せっかく大野さんが来てくれていますから、大野さん、この控訴審、高裁に控訴した際の担当検事は淡路竹男さんでよろしいですか。後で調べて連絡を下さい。私どもが調べたところでは淡路竹男さんになっていますから。お知らせをいただければいい。よろしいですか。委員会に報告してもらっても結構ですけれども。これは隠す話じゃないですからね、弁護士の方はみんな確認している話ですから。これだけはどうぞ平場に出していただきたいな、こう思います。

 それで森大臣、今回の菅家さんの件につきまして、あなたの部下が釈放いたしました。この点について森法務大臣としてどういうお考えでしょうか。

森国務大臣 再審請求の即時抗告審において係属中の事件に関することでございます。詳細についてはお答えを差し控えたいと思います、現時点においては。

鈴木(宗)委員 森大臣、あなたの部下が釈放したんですよ。そして、あなたは記者会見もしているんですよ。何でそれが答えられないんですか。

 これは、先生方、間違いなく検察に瑕疵があったことは事実じゃないですか。DNAの鑑定が間違っておったということが明らかになったわけですよね。

 法務大臣、一人の人生を十八年間拘束したんですよ。最終決定はこれからですけれども、今の段階において、なぜ人間として、判断違いがあったかもしれない、DNAの鑑定が間違っておったという事実が出た以上、我々は改めてこの重みを受けとめて、より真正で公正公平な判断をするように努力しなければいけないとか、少なくとも菅家さんに迷惑をかけて申しわけないとかという一言があっていいんじゃないんですか。どうでしょう、先生方。これは与野党関係ないんじゃないんですか。人権にかかわる問題なんですよ。

 それを、なぜ大臣、そういう役人がつくったような答弁で、あなた方の手のひらに乗せられているから、もったいないです、あなた、せっかく大臣になっているのに。人間として、政治家森英介としてのやはり琴線に触れる言葉があった方が、菅家さんにしたって、皆さん、言うに言えない安心だとか安堵だとか、いや頑張ってきたかいがあっただとかという、人間としての誇りや勇気を得られるんじゃないんでしょうか。それを与えるのが政治家の立場じゃないですか。

 もう一回、森大臣、ぜひともこれは政治家よりも人間として、この十八年間拘束した、そして結果として、これはだれが何と言おうとも無罪じゃないですか。疑いの余地もない。なぜそのことに、大臣、詭弁を弄するよりも正直に言った方がいいんですよ。言いわけしたり詭弁を弄する方が恥ずかしいんです。間違いはあってもいい、しかし間違ったら、それが事実として出たならば、もっと人間的な言葉で、御迷惑をかけたなり、いや、いま一度こっちも精査するけれども済まない点があっただとか、何か人としての言葉があっていいんじゃないんでしょうか。どうです、大臣。

森国務大臣 私が詭弁を弄する人間じゃないということは鈴木委員先刻御承知のことと思います。

 ただ、私は今法務大臣として御答弁を申し上げておりますので、いろいろ個人としては思うことはございますけれども、この公の席においては、先ほど申し上げたように、まさに即時抗告審係属中の事件でございますので、これについて今私が意見を申し上げることは、裁判所との関係等々のさまざまな関係から差し控えさせていただきたいと思います。御理解いただきたいと思います。

鈴木(宗)委員 これは先生方、話を聞いていて、検察が正しければ釈放する必要はなかったんじゃないですか。結果がわかっているから検察が先に判断したんじゃないんですか。刑事局長、あなた方が正しければ、何であなた方の筋を通してそのまま突っ張れなかったんですか。結果として、新たな鑑定結果が出てしまってどうにもできない状況になったから、早目に、やはり世論の反発を受けるのを避けるために検察が手を打った話なんですよ、今回のことは。

 明々白々のことを、何で予断を与えるだとか、これからのことがあるなんて言うんですか。私は、そこに一生懸命やっている人たちもいま一つ信頼されない部分があると思うんですよ、ごまかしだとか。やはり権力側が、自分たちのシナリオやストーリーに沿って自己防衛に働く、それを正すのが政治家なんですよ。

 大臣、ここは国会ですよ。国民に情報開示だとか情報の透明性を図る場所ですよ。裁判所じゃないんです。大臣といえども国民の代表で、国民から選ばれたから今大臣をやっているんですよ。いいですか、何で国民の目線があるということを考えないんですか。国民に向かって、責任者としてかくかくしかじかと正直に言うのがあなたの立場じゃないでしょうか。

 では、大臣、角度を変えて聞きますけれども、東京高検が釈放した、あなたのところにはそれはどういう手続、相談があったでしょうか。菅家さんを釈放するに至った経緯。

森国務大臣 個別の事件についてのコメントは差し控えますが、事前に報告を受けて、それについて私も了といたしました。

鈴木(宗)委員 大臣、私は個別の中身について言っているんじゃないんですよ。事務的な手続を聞いているんです。だから、あなたには何月何日に、刑事局からでもいいです、検察からでもいいですけれども、報告があって、いつ知らされたか、そして、あなたはどういう判断をされたかということを聞いているんですよ。

森国務大臣 それぞれの事件についての報告事項の内容についてここで申し上げることは差し控えます。

鈴木(宗)委員 委員長、ちょっと速記をとめてもらえますか。

 これは大事な話でして、個別の事件でこれから捜査が始まるとかということを私は聞いているんじゃないんですよ。もう一件落着した話で、法務大臣の部下が決裁した話を、法務大臣が個別の案件について答えないなんて、そんなばかな話ないんじゃないですか。行政的な、あなたの組織の内部の手続を聞いているんですよ。それをなぜ隠すことがあるんですか。何が問題あるんですか。あなたがいつ聞いて、自分はそこでどういう決裁をしたという事務的なことを私は聞いているだけなんですよ。

森国務大臣 それでしたら今申し上げているとおりでありまして、事前に報告を受けて、私も了といたしました。

鈴木(宗)委員 大臣、それは何月何日で、東京高検の発表の何時間前なり、それをきちっと教えてください。

森国務大臣 たしか当日であったと思います。

鈴木(宗)委員 秘書官、大臣の日程もあると思いますけれども、これは簡単な話じゃないですよ、事件じゃないんです。ほか一般の事件とは違うんじゃないですか。しかも、最高裁まで上がっている話なんですから。それをもしそんな軽々な扱いをしているということになったら、なおこれは人権無視じゃないでしょうか。どうですか、先生方。

 この点、人の命にかかわる話ですから、私はもっと重く受けとめるべきだと思うんですが、ちょっと秘書官、その経緯等を教えてやってくださいよ。

川端委員長 大臣、正確に、調べられる範囲で調べてお答えください。

森国務大臣 それは逐次さまざまな報告を受けておりますけれども、具体的な内容については当日の朝受けまして、私も了解をいたしたところでございます。

鈴木(宗)委員 大臣、了解をしたということですけれども、その了解というのは検察の判断が間違っていたということですね、釈放ということは。これについて、そこで大臣、その了解した、認めたというとき、どういう大臣の見解かということなんですよ、十八年間拘束したことについて。率直な大臣の思いを国民に話すのが、逆に東京高検の名誉にもつながるし、検察の名誉にもつながっていくと私は思うんですよ。

森国務大臣 ちょっと一つ訂正させていただきたいと思いますが、今やりとりしていて、報告を受けたのはやはり前日でございます。

 それと、先ほど来申し上げておりますように、私、いろいろ思うところはありますけれども、法務大臣としては、ここではそういった個人的な感情を披露することは控えさせていただきたいと思います。

 なお、私は科学者の端くれでございますので、かねがね科学技術は万能でないということを、すべて蓋然性、確率論の問題であって、それはすべからく、余りそれを過信することは、場合によってはすごく少ない確率であっても間違えることもある。しかしながら、それはすべてに言えることでございますので、やはり神ならぬ人間としては常に謙虚でなければいけないと思いますし、また、そういった結果についても、鈴木先生、私はすべてについて一般論として申し上げておりますけれども、余り科学技術を絶対化することについては私は慎重な立場でございます。

鈴木(宗)委員 私は、今の森大臣の話は、極めて森大臣らしい正直な気持ちだと思うんですよ。やはり科学技術万能じゃない、どこかに間違いがある、そういう認識を持って当たらなければいけない、これは正しいことだと思います。特に今回の場合も、MCT一一八型のDNA鑑定技術というのは、千人に一人か二人という可能性だったのが現在は四兆七千億人に一人というぐらいに精度が高まっているというので、格段に技術的に差がある時代のことですから、なお私は慎重でなければいかぬかったと思いますよ。

 大臣、結果として、警察が暴走した、その暴走を検察はとめられなかった、うのみにして起訴したわけですから。このことは、やはり結果として検察の瑕疵がある、当時よかれと思って判断したけれども結果として瑕疵があった、だから釈放だというのが事実じゃないでしょうか。いかがですか。

森国務大臣 私は、そういう事実関係についてはコメントする立場にありません。

鈴木(宗)委員 それでは、東京高検は何で釈放したんでしょうか。それを教えてください。

森国務大臣 検察当局においては、いわゆる足利事件でございますけれども、これまでも種々検討してきたところでございますが、六月四日、再審請求人が犯人でない蓋然性が高くなったと判断して、刑の執行を停止して釈放することとしたというふうに理解をしております。

鈴木(宗)委員 いや、ですから、法務大臣、刑の執行を停止したんですよね。それは検察側の瑕疵につながる話じゃないですかと聞いているんですよ。そう受けとめるのが、皆さん、普通じゃないですか。

 大臣、なぜそのことに触れないんですか。検察が正しければ、そのままにしておいたでしょう。ちょっと大臣、もっと真剣に向き合ってくださいよ。正直に質問に答えてくださいよ。

森国務大臣 私は真剣にお答えしておりますが、とにもかくにも再審請求の即時抗告審において係属中の事件でございます。そういった点を、現時点において私が申し上げられることに制限があるということを御理解いただきたいと思います。

鈴木(宗)委員 まあ不毛のやりとりですけれども、大臣、検察が正しければ釈放しなかったでしょう。釈放したこと自体、検察の負けじゃないですか。

 皆さん方、どうですか、菅家さんの情報を聞いたり、すべて総合的に判断して。私の言っていることと大臣の言っていること、どっちが正確ですか。

 検察だって神様じゃないんですよ。間違うときもあるでしょう。そういうときは率直におわびをするのが人間じゃないでしょうか。しかも、データ的にすべての面から見て検察がギブアップしたから釈放したじゃないですか。検察が少しでも分がいいと思ったならば、何で釈放しますか。そうですね。法務大臣、何でこだわるんですか。釈放しておいて、しかも十八年間拘束された人の身になってくださいよ。人間かと思いますよ。

 森大臣、菅家さんが釈放されたときの記者会見で、検察は絶対許さないと言っているじゃないですか。その言葉の重みを何で真摯に受けとめないんですか。法務大臣として私は部下を信じてきたけれども、その部下とても過ちだとか判断違いがあったかもしれない、まだ最終最後の結論は出ていないけれども、現時点では菅家さんに多大な迷惑をかけた、相済まないという一言ぐらいあって当然じゃないんですか。それが捜査にも、これから何の審理に影響を与えるんですか。

 法務大臣、人間としての対応が今求められているんですよ。あなた、菅家さんの立場になってみなさいよ。十八年、どう思いますか。なぜそのことを、役人の言いなりのような頭づくりなんですか。あなたらしくないですよ。私は、もっとしっかり人間としての見識を述べていただきたいなと思います。

 もう時間がありませんから、大臣、飯塚事件、久間さん、この方も同じケースですね、DNA鑑定も。そして、これは死後再審すると弁護団は言っていますよ。可能性として、菅家さんと同じ結論が出る可能性はあると私は思います。

 ところが、法務大臣はもう死刑の決裁をしてしまって、久間さんは去年亡くなってしまったですよ。少なくとも、本人は一審から一貫して無罪と言っている、しかも再審請求をしている。そういうとき、死刑の決裁をするのは、人の命にかかわる問題として極めて、私はもっと時間をかけるなり幅を持っていいと思うんですよ。

 今回の菅家さんだって、もし死刑判決が出ていて死刑執行されたらどうしますか、皆さん。しかも、飯塚事件の久間さんは、死刑執行、百一人中六十何番目じゃなかったかな、ランクは低いんですよ。先駆けて死刑執行されているんですよ。それも森大臣は粛々とと言っている。事務方から上がってきたものに決裁している。法務大臣、この飯塚の件についても、判決順位というのは百人中六十一番目ですか、先の人を飛び越えてしている。

 しかも、今回のケースとやはり同じ手法なんですね、このDNAのやり方も。また同じく、別の民間の医学部の先生方の判定では一致していないんですよ。ですから再審請求をすると言っていますね。

 法務大臣、私はやはり、法務大臣の立場としても、事命にかかわる、あるいは本当の意味での真実を明らかにするにも、何ぼ時間をかけてもきちっと要求なり言い分を聞いて最終判断をするというのが大事だと思うんです。大臣、飯塚事件についても、もし今回と同じ、菅家さんのような鑑定結果が出た場合、あなたは殺人者と同じになりますよ。この重みを私は考えてもらいたい。ただ上がってきたものに判こを押すというのは、私は逆に、政治家、法務大臣としての見識に欠けると思いますよ。ぜひともここら辺は慎重にやってもらいたい、私はこれは強くお願いします。

 同時に、もう時間がありませんから、大臣、こういった問題でやはり一番は可視化ですよ。今回の菅家さんでも、ぶん殴られた、けっ飛ばされた、十三時間もやられた、だからもう自暴自棄で、やってしまったと言ってしまったと言っているんです。

 きょう、皆さん方のところに私は資料を配っていますけれども、私を調べた水野谷という検事が、刑事局長、今、水野谷さんはまだ東京高検ですかな、刑事部長か何かやっているのかな。この水野谷さんは私にこう言いました。先生、バッジを外しなさい、政治家をやめなさいと言うんですよ。神経戦をかけてきますよ。あと、東京特捜部長をやった井内さん。この人は、村上正邦さんを調べたとき、おまえたちが森のばかを総理にした、あんなばかを総理にするからだめなんだと言って、あの村上さんを、一特捜部長、後の部長で当時の副部長ですね、井内さんが言うんですよ、皆さん。

 我々にも平気でそう言う者が、一般の人に面と向かってやる場合、もっと乱暴だと思いますよ。そういったことを考えるときに、冤罪が起きるんです。だから私のときも、やまりんというので東京高裁で採用された文書ですよ。吉田正喜というのは、今たまたま西松事件をやっている検事ですよ。これが、政治家に金を持ってくるのはお願いかお礼しかない、どっちだと言って誘導している。

 それで、皆さん、証人尋問で呼ぶとき、四日前から東京地検に呼ばれて、QアンドAなんですよ。検事はこういうのをつくるんです、QアンドA。こういうことを聞くからこう答えろ、大事な部分は線を引いて、こういうところはしっかり覚えておけと。この山田さんも四日前から呼ばれている。これはちゃんと東京高等裁判所第六刑事部で採用された文書ですから。

 皆さん、これが捜査の実態なんです。だから、これは与党、野党なく、可視化をしなければ冤罪はなくなりませんよ。

 あるいは島田事件、私の裁判をやっている島田さんで、夫の話ですが、検察官はあらかじめ文章をつくっていて、その表現内容が夫の認識と違うと言っても受け入れてくれず、どのように対応したらいいか困っているということでしたと。これがやり方なんですよ。これは与党、野党を問わず、ねらわれたら終わりですよ、つくられますから。そしてリークして世論誘導しますから。

 この中にも私の質問をした人がいますけれども、ムネオハウスでも三井物産のディーゼル発電でも、あるいはアフリカのODAでも、何も事件になっていませんよ。全く国会で話題にならぬことで、何かせぬといかぬということで検察がやってきたのがやまりん事件なんという、四年前の話です。賄賂に領収書を書きますか、皆さん。ばかもいいかげんにしてくれという話で、それでも権力側はやってきますよ。世論を誘導して、鈴木はヒールだ、とんでもないやつだとなれば、ねらわれたら終わりですよ。

 私は、今回の小沢さんも同じ流れだと思っています。結果的に小沢さんの件がどうなったかということを、皆さん、考えてみてくださいよ。

 私は、可視化は絶対必要だと思うんです。森大臣、これは公平に見て、今回のこの菅家さんの件を見ても強制自白なんですから。可視化することで少しでも冤罪がなくなるんです。そして、法務大臣、よく信頼性が云々なんて言いますけれども、淡々と正直に事情聴取すればいいんですよ。

 皆さん、ぜひともわかってほしいのは、被疑者、容疑者よりも、証人だとか参考人になる人が大事です。可視化しなければ、この人たちは、罪にならない、おまえたちは何を言っても心配ないと言われたら、検察も、さっき言ったようにつくられた調書でいく。ところが、その調書が裁判では、裁判所が有効性を、比重を置けば、どうにもならない結果なんですよ。

 これは与党、野党の話じゃないんです。特に与党の先生方、職務権限だとかいろいろありますからね、行政指導の権限がありますからね、ねらわれたら終わりですよ。

 参議院では可視化は通ったけれども、衆議院ではつるされたままである。ここはぜひとも、与野党抜きにして、国民の目線で、真の公正公平の上からも私はこの可視化をやるべきだと。ぜひとも大臣、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

森国務大臣 我が国において、取り調べの重要性が極めて高いということは御承知のとおりでございます。全面録音、録画ということになったときに、果たしてこれまでのような取り調べの機能を維持できるのかどうかということに私は疑問を持っております。

 また、仮にそういった方向性を模索するとすれば、諸外国でとられているような、例えば免責だとか司法取引ですとか、あるいは広範な通信傍受ですとかおとり捜査ですとか、そういったさまざまな強力な捜査手段と一つのパッケージとして、総合的な検討が必要であるというふうに私は思っております。

鈴木(宗)委員 やはり今回の菅家さんの例もあるわけですから、ここは大臣、すべての面で見直しなり検討するに値するんじゃないでしょうか。全面可視化に向けて検討する、やはりいろいろな面から総合的にこれは考えるべきだという認識を持つのが当たり前じゃないでしょうか。どうですか。

森国務大臣 今いみじくも委員がいろいろな角度から総合的にとおっしゃられましたけれども、それは私が申し上げていることと同じだと思います。

鈴木(宗)委員 ぜひとも大臣、本当に真の公正公平を図る上でも、一般の証人、参考人は特に大事ですからね、この全面可視化に向けての検討をいただきたいと思います。

 最後に、委員長、済みません、刑事局長がきょうせっかく来ていますから、刑事局長に聞きます。

 いわゆる西松献金事件で、小沢さんの関係の捜査は終結したと考えてよろしいんでしょうか。今すっかり話題になっていませんけれども。この点だけ、最後に質問いたします。

大野政府参考人 具体的な事件の捜査についてのお尋ねでありました。

 法務当局といたしましては、検察当局が担当している捜査の状況についてお答えすることは差し控えさせていただいているということでございます。

鈴木(宗)委員 終わります。

     ――――◇―――――

川端委員長 この際、御報告いたします。

 平成二十年十一月二十一日、調査局長に命じました中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況に関する予備的調査につきまして、本日、第二次の報告書が提出されましたので、御報告いたします。

 なお、同報告書の写しを私から議長に提出いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十三分散会


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