衆議院

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第2号 平成13年6月6日(水曜日)

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平成十三年六月六日(水曜日)

    午後零時三十二分開議

 出席委員

   委員長 中馬 弘毅君

   理事 鈴木 宗男君 理事 原田 義昭君

   理事 細田 博之君 理事 望月 義夫君

   理事 中野 寛成君 理事 長浜 博行君

   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君

      逢沢 一郎君    臼井日出男君

      岡下 信子君    上川 陽子君

      熊谷 市雄君    小泉 龍司君

      小林 興起君    高木  毅君

      竹下  亘君    谷本 龍哉君

      馳   浩君    平井 卓也君

      増原 義剛君    松野 博一君

      水野 賢一君    阿久津幸彦君

      石井 紘基君    玄葉光一郎君

      佐々木秀典君    佐藤 観樹君

      中村 哲治君    長妻  昭君

      山口  壯君    山村  健君

      久保 哲司君    福島  豊君

      黄川田 徹君    矢島 恒夫君

      吉井 英勝君    今川 正美君

      北川れん子君    原  陽子君

      井上 喜一君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   農林水産副大臣      田中 直紀君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住

   部長)          小野 正昭君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局計

   画部長)         百足 芳徳君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局観

   光部長)         鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局観

   光部企画課長)      大口 清一君

   衆議院調査局第二特別調査

   室長           牧之内隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  田中  甲君     小沢 鋭仁君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  小沢 鋭仁君     佐藤 観樹君

五月七日

 辞任         補欠選任

  小島 敏男君     西川 公也君

  西野あきら君     熊谷 市雄君

  平沢 勝栄君     望月 義夫君

同月八日

 辞任         補欠選任

  西川 公也君     柳本 卓治君

  林 省之介君     水野 賢一君

  松島みどり君     谷本 龍哉君

同月十日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     臼井日出男君

六月六日

 辞任         補欠選任

  太田 誠一君     上川 陽子君

  小西  哲君     高木  毅君

  高鳥  修君     岡下 信子君

  柳本 卓治君     増原 義剛君

  田並 胤明君     中村 哲治君

  長妻  昭君     石井 紘基君

  中井  洽君     黄川田 徹君

  大幡 基夫君     矢島 恒夫君

  北川れん子君     原  陽子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     高鳥  修君

  上川 陽子君     太田 誠一君

  高木  毅君     小西  哲君

  増原 義剛君     柳本 卓治君

  石井 紘基君     長妻  昭君

  中村 哲治君     田並 胤明君

  黄川田 徹君     中井  洽君

  矢島 恒夫君     大幡 基夫君

  原  陽子君     北川れん子君

同日

 理事西野あきら君五月七日委員辞任につき、その補欠として望月義夫君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月三十一日

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)(参議院送付)

二月十九日

 参議院選挙制度の非拘束名簿式の廃止に関する請願(大幡基夫君紹介)(第二五号)

同月二十三日

 十八歳選挙権の早期実現に関する請願(春名直章君紹介)(第二三五号)

 参議院選挙制度の非拘束名簿式の廃止に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二三六号)

三月九日

 企業・団体献金を禁止するための立法措置に関する請願(大森猛君紹介)(第五四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第六〇九号)

同月三十日

 企業・団体献金を禁止するための立法措置に関する請願(志位和夫君紹介)(第九〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)(参議院送付)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件




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     ――――◇―――――

中馬委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に望月義夫君を指名いたします。

     ――――◇―――――

中馬委員長 この際、総務大臣、総務副大臣及び総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。総務大臣片山虎之助君。

片山国務大臣 去る四月二十六日の小泉内閣発足に際し、引き続き総務大臣を拝命いたしました片山虎之助でございます。

 当委員会の皆様方には、かねてから格別の御高配、御指導にあずかっていることに対しまして、この機会に厚くお礼を申し上げます。

 選挙が民主政治の基盤をなすものであることを考えますとき、選挙制度や政治資金制度を所管する総務省の大臣として、その責任の重大さを痛感いたしております。

 私といたしましては、今後とも、公正かつ明るい選挙の実現に向けて最大限の努力を重ねていく所存でありますので、何とぞ御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

中馬委員長 次に、総務副大臣遠藤和良君。

遠藤(和)副大臣 去る五月一日に引き続き総務副大臣を拝命いたしました遠藤和良でございます。

 片山大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、中馬委員長初め理事、委員の皆様の格別の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

中馬委員長 次に、総務大臣政務官山名靖英君。

山名大臣政務官 去る五月七日に引き続き総務大臣政務官を拝命いたしました山名靖英でございます。

 遠藤副大臣とともに引き続き片山総務大臣を補佐いたしまして、全力を尽くしてまいりたいと決意をいたしておりますので、中馬委員長初め理事、委員各位の御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いします。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

中馬委員長 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長五十嵐忠行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 昨年六月に行われました第四十二回衆議院議員総選挙及び第十八回最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について、政府から説明を求めます。片山総務大臣。

片山国務大臣 この機会に、第四十二回衆議院議員総選挙及び第十八回最高裁判所裁判官国民審査の結果の概要について御報告申し上げます。

 御承知のとおり、今回の選挙は、昨年六月二日に衆議院が解散されたことによる総選挙でありまして、平成六年に公職選挙法が改正され、衆議院議員選挙が従来の中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に改められた後、二度目の選挙であります。

 選挙すべき議員の数は、昨年二月の公職選挙法の改正により比例代表選出議員の定数が二十人削減され、小選挙区選挙で三百人、比例代表選挙で百八十人、合計四百八十人でありました。

 なお、今回の選挙から、外国に住んでいても比例代表選挙に投票できる在外投票及び指定船舶で航海する船員がファクシミリ装置を用いて投票する洋上投票が初めて実施されました。

 選挙当日の有権者数は約一億四十九万人で、前回の総選挙に比べ約二百八十一万人増加して、初めて一億人台となりました。

 次に、投票の状況について申し上げます。

 六月二十五日の投票日は、一部の地域を除き、全国的に曇りまたは雨の天気でありました。

 投票率は、小選挙区選挙で六二・四九%、比例代表選挙で六二・四五%でありまして、これは、これまでで最も低い投票率でありました前回に比べ、それぞれ二・八四ポイント及び二・八三ポイントふえております。

 次に、立候補の状況について申し上げます。

 小選挙区選挙につきましては、候補者数は千百九十九人で、競争率は四・〇倍でありました。

 比例代表選挙につきましては、名簿を届け出た政党は十政党、十一選挙区で延べ八十三政党、その届け出名簿に登載された候補者数は九百四人で、競争率は五・〇倍でありました。なお、このうち、小選挙区選挙に届け出がなされた重複立候補者は六百九十九人でありました。

 この結果、小選挙区選挙及び比例代表選挙の合計の候補者数は千四百四人で、前回の千五百三人に比べ九十九人の減少となりました。

 次に、当選人の状況について申し上げます。

 党派別に申し上げますと、自由民主党は小選挙区選挙で百七十七人、比例代表選挙で五十六人、合計二百三十三人、民主党は小選挙区選挙で八十人、比例代表選挙で四十七人、合計百二十七人、公明党は小選挙区選挙で七人、比例代表選挙で二十四人、合計三十一人、自由党は小選挙区選挙で四人、比例代表選挙で十八人、合計二十二人、日本共産党は比例代表選挙で二十人、社会民主党は小選挙区選挙で四人、比例代表選挙で十五人、合計十九人、保守党は小選挙区選挙で七人、無所属の会は小選挙区選挙で五人、政党自由連合は小選挙区選挙で一人、無所属は小選挙区選挙で十五人となっております。

 なお、女性の当選人は三十五人で、昭和二十二年の総選挙に次いで多く、前回を十二人上回りました。

 次に、党派別の得票率の状況について申し上げます。

 小選挙区選挙では、自由民主党四一・〇%、民主党二七・六%、公明党二・〇%、自由党三・四%、日本共産党一二・一%、社会民主党三・八%、保守党二・〇%、無所属の会一・一%、政党自由連合一・八%、その他無所属を含め五・三%でありました。

 また、比例代表選挙では、自由民主党二八・三%、民主党二五・二%、公明党一三・〇%、自由党一一・〇%、日本共産党一一・二%、社会民主党九・四%、その他の四政党合わせて一・九%となっております。

 最後に、最高裁判所裁判官の国民審査の状況について申し上げます。

 今回の国民審査は、前回の国民審査以降に任命されました九人の裁判官について行われたものであります。

 国民審査の結果は、いずれも罷免を可とする投票が罷免を可としない投票の数より少なく、したがって、審査に付された全裁判官が国民の信任を受けました。

 以上をもちまして、今回の衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の結果の御報告を終わります。

中馬委員長 次に、第四十二回衆議院議員総選挙違反検挙・警告状況について説明を求めます。警察庁五十嵐刑事局長。

五十嵐政府参考人 平成十二年六月二十五日に行われました第四十二回衆議院議員総選挙における違反行為の取り締まり状況について御報告いたします。

 選挙期日後九十日現在で集計しました数字でございますが、お手元に資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。

 検挙状況は、総数で五百五十二件、千三百七十五人となっておりまして、前回の総選挙における同時期の八百八十六件、千七百十三人に比べますと、件数で三百三十四件、人員で三百三十八人、それぞれ減少しております。

 罪種別に申し上げますと、買収が三百九十件、千百三十三人、自由妨害三十六件、二十八人、戸別訪問二十二件、六十人、文書違反三十四件、八十九人、その他七十件、六十五人となっておりまして、買収が検挙事件のうち、件数で七〇・七%、人員で八二・四%を占めて、最も多くなっております。

 また、警告状況を申し上げますと、総数が四千七十六件でございまして、前回と比べ三千二百九十八件減少しております。なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、総件数の九四・〇%を占めております。

 以上、御報告申し上げます。

     ――――◇―――――

中馬委員長 次に、内閣提出、参議院送付、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と要旨を御説明申し上げます。

 この改正法案は、国会議員の選挙等の執行について、国が負担する経費で地方公共団体に交付するものの現行の基準が実情に即さないものになりましたので、今回これに所要の改定を加えようとするものであります。すなわち、最近における公務員給与の改定、物価の変動等にかんがみまして、執行経費の基準を改定し、もって国会議員の選挙等の執行に遺憾のないようにしたいと存ずるものであります。

 次に、この法律案による改正の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、最近における公務員給与の改定等に伴い、投票所経費、開票所経費、事務費等の積算単価である超過勤務手当及び投票管理者、開票管理者、立会人等の費用弁償その他の額を実情に即するよう引き上げ、これらの経費に係る基準額を改定しようとするものであります。

 第二は、最近における物価の変動等に伴い、選挙公報発行費、ポスター掲示場費等の積算単価である労務賃その他の額を実情に即するよう見直し、これらの経費に係る基準額を改定しようとするものであります。

 以上が、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案の要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

中馬委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 この際、お諮りします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長浜博行君。

長浜委員 民主党の長浜博行でございます。

 私も、先国会から引き続きましてこの委員会の理事ということで、よろしくお願い申し上げます。

 前国会は、あっせん利得の問題があり、そして選挙制度を変えること等あり、連日のように委員会が開かれておりまして、そういった意味においては、この法案に関しても大変前国会とも関係がある内容が多いと思います。一般論として、来月に予定をされている新しい制度によるところの参議院の比例区の選挙、あのときも、私自身、自分の関係者の全国区選挙それから拘束比例名簿とやっていた人間のことも兼ねて、この選挙制度に変えると随分金がかかるのではないかというような質問をした記憶もあります。

 大臣、どうですか、大臣自身も今回立候補される自民党の方だと思いますけれども、この選挙になって、比例区になっちゃって金がかかってたまらないよ、もちろん選挙前ですから政治活動でありますけれども、そんなお話は、ぼやきですか、聞かれたことはありますか。

片山国務大臣 私は都道府県選挙区の方の候補でございますので、この方は余り変わっておりませんが、私の方は定数が二人が一人になるんです。そういう減員区が三県ございます。鹿児島県と熊本県と岡山県でございまして、私はその岡山県なものですから、一人減るんです。

 全国比例の方は、今までは政党名だけですね。今度は政党名もいいんだけれども個人名も書ける、こういうことになりますから、個人の名前をある程度知っていただくために、これは昔の全国区とは違いますけれども、その運動をしなきゃいけません。

 ただ、全国区のときに、残酷区だとか銭酷区だとか、いろいろなそういう批評を受けたようなこともありますので、今回、できるだけ個人の選挙運動の部分を狭めまして、党にやってもらう。こういうことを中心にしまして、例えば選挙事務所は一カ所だとか、いろいろな工夫をいたしておりますので、党の運動と候補者の運動と両々相まって、うまくやれば、全国区のときよりはずっといろいろなことが、過酷というのか大変な負担になるというようなことはない、私はこう思っております。

 現在、全国比例に出られる方は一生懸命全国を走り回っておられることは事実ですから、そういう意味では、前より大変だなと思って私は見ております。

    〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕

長浜委員 おっしゃるとおり全国を駆け回りますので、現職の方はある程度、議員パス等々を含めて若干ですけれども緩和される部分がありますが、新人の方の努力は大変なものだなというのを感じました。

 この委員会においても、先ほど一番最初に申し上げましたように、継続法案もまだあるわけでありますし、それから我が方が出させていただいております公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案、この間決まったものに私設秘書を加えるという法案であります。それから、公職選挙法の一部を改正する法律案、これはインターネットによるところの選挙活動を解禁しようというような法案も、私どもは三月に提出をしておりますが、ただまだ未付託の状態でありますので、こういったものも十分この委員会で審議をしていかなければいけないなというふうに思っているわけであります。

 この法案に関してでありますけれども、私自身伺っていて頭がちょっと混乱をするところがあるんですが、執行経費の問題の中において、選挙制度が変わった時点でもうそれは織り込み済みといいますか、既に予算的なものも数字を変更してある部分と、それからこの法案で変更しなければいけない部分というのがあるやに聞いているんですが、その辺のところをちょっと御説明ください。

大竹政府参考人 今回、執行経費基準法でお願いしてございますのは、前回、三年前の法律に加えまして、いろいろな物価上昇で単価の改定等を行う必要があるものについて改正したものでございます。

 昨年秋の法律改正の際に、制度の改正に伴う新たな執行経費を要するものにつきましては、その段階で改正を終わっておるということでございます。

長浜委員 そこで、私自身一番気になっているのは、いわゆる投票所、今までですと、比例区の場合というのは、当たり前ですけれども政党名を書く。今度の場合は、先ほど大臣もおっしゃられましたように個人名が可能でありますから、個人名も表記をしなければいけない。

 岡山県の大臣のところみたいですと、大体投票するのは、どっちか決めるか、あるいはもう大臣を支援されている方は決めておられると思うんですね。もう一票の比例区の方は、どうしようかなと、顔ぶれを見ていて、同じ政党でもあるいは違った政党でも、意中の候補が二人ぐらいいて、ブースというんですか、書くところに入って、えいやっで決めようという方も多いと思います。もっと言えば、普通であれば入る前にポスターを見て最後に決めるんですけれども、比例の場合はポスターもありませんから、公営掲示板のところにはポスターがないという意味において、投票所に入って名前を書こう。しかし、いざ書こうとしたら、名前というか、どの漢字を使っていいのか忘れちゃった。平仮名で書けばいいじゃないかといえばそれまでですけれども、普通は、公営掲示板、投票所の中でそういうものが書いてあるところを探そうとするわけですね。

 たしか、投票所の中においては一カ所掲示をしなければいけないということになっているようでありますが、今度どのぐらいの政党が比例区にエントリーをされて、あるいはどのぐらいの人数の方が立候補されるということをシミュレーションといいますか、想定されているんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 比例代表選挙の説明会を行いまして、そのときには十九の政党が説明を聞きに来ておりましたが、その候補者数までは定かではございません。

長浜委員 事務部門で結構ですが、大体どのぐらいを想定されているんでしょうか。

大竹政府参考人 今年度に執行経費の予算を計上しているわけでございますけれども、予算上では二百五十人を見込んでございます。しかしながら、いろいろ新聞情報等を見てみますと、必ずしもそこまでは行かないのじゃないかという感触を今受けております。

長浜委員 十九政党ぐらいが聞きに来た、それから人数にすれば二百五十人、そこまでは行かないかもしれないということであります。制度が違いますが、前回の比例選挙のときで十四政党で百五十八人ぐらいだったと思いますし、それから、全国区という言い方をするとおしかりを受けるかもしれませんが、八〇年のときの最後の全国区のときでも九十三人だったように思います。

 十九政党二百五十人ということになると、かなり物理的に、書面に書くとしたらスペースが、配分が大変ではないかなというふうに思うんですが、それは各投票所といいますか都道府県、委託するところの地方自治体にどういう御指導をされておるんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 法律上は、投票の記載をする場所、ブースですね、あるいは投票所内の適当な場所、どれか一カ所で結構ですという法律になっているんですけれども、私どもといたしましては、投票のブースの中にも、それから外の方にも、両方とも名簿はきちっと閲覧できるようにしてほしいということをお願いしております。

 そして、ちょっと具体的な話になりますけれども、これは公平を期する意味で、各政党ともそのスペースは同じにしなければなりません。氏名も同じような大きさの活字にしなければなりません。ちょっとサンプルをつくりまして、各選挙管理委員会の方にはお伝えしたんですけれども、大体、小さな字になりますけれども、ブースの中にもちゃんと掲示ができる、こういうふうな考え方でおります。

長浜委員 今御説明があったサンプルと言われるものを私も入手しまして、そのシミュレーションに基づいてこういうものですよという、拝見をしているんですが、多分同じものだと思います。お恥ずかしい話なんですが、私は強度の近視でありまして、眼鏡をしておりますのでちゃんとお顔は拝見できますが、とるとわかりません。近視だけはなくて、老眼とかあるいは御病気によって弱視の方等おられますが、このぐらいでもう見えないですね、眼鏡をしていても。少なくとも振り仮名は見えない、あの狭いブースの中で。あるいは、私自身も、衆議院選挙のときは候補者でありますから、当然自分の名前を入れに投票所へ行ったわけです、去年の選挙のときには。あの広い投票所の中に一体どこに掲示をするのか。

 それと、今申し上げましたように、自分が関係者であっても、はがきみたいのを出して投票用紙をもらって、それを監督されている町のお偉方がいて、投票所に足を運ぶときに、ある種の威圧感と言っちゃなんですが、余計なことを言っちゃいけないなというような雰囲気を持っているわけですね。それがぴたっと、どうぞわからない場合はこの二百名ぐらいの方々の名前を見てくださいというような形での誘導は可能なんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 それは、誘導しなくても自然に目につくところに掲示していただく。ブースの中のものは活字が小さくなりますけれども、投票所の中は広いですから、そこはかなり活字が大きいもので、だれにでも見ていただけるようなものができる、このように考えております。

長浜委員 不在者投票所の問題があるんです。

 立候補して人数、名前が確定してくる、多分不在者投票はその瞬間からできるというふうに思いますけれども、最終的に名前がきっちり出るまでは、当然のことながら時差が生ずるわけですね。不在者投票所、いわゆる公的につくられた市役所とか町役場とかいうものとは別に、後ほど投票率の関係の質問のときでも伺いますが、ある規模のベッド数を持つ病院とかいう形での不在者投票所が認められていると思いますが、こういったところではどのようになるんでしょうか。

大竹政府参考人 不在者投票におきますところの氏名掲示の問題でございますけれども、市役所、町村の役場等、不在者投票所が設けられるところには、この氏名掲示を行います。しかしながら、病院や施設等におきますところの不在者投票につきましては、氏名掲示はするようになってございません。

長浜委員 それは技術的な問題なのかどうかわかりませんけれども、その点は問題ないんでしょうか。

大竹政府参考人 施設におきますところの不在者投票につきましても、通常は、現在では新聞等もあるわけでございまして、そういった面の情報は十分行き渡っているものと考えてございます。

長浜委員 新聞等がありましてということでは、私はちょっと不親切なような感があるんですけれども、もう一度御答弁いただけますか。

大竹政府参考人 市町村役場におきますところの不在者投票に行きますと、大部分は当該市町村の方でございます。それから、遠隔地での投票等もあり得るわけでございますけれども、その方につきましては十分御本人みずから情報を得ておられるだろうと思っております。

 しかしながら、施設等におきますところの不在者投票につきましては、施設に入所されています方は、住所は全国ばらばらの場合がございまして、必ずしも当該市町村、所在する市町村の住所を有する方ばかりでございませんことから、実質的に当該市町村の氏名掲示等を置きましても機能しない面もあるわけでございます。したがいまして、全国的な観点からの情報の入手ということが必要になるのじゃなかろうかと思っております。

長浜委員 その点についてのみ、せっかく執行経費の問題でありますから、さらに御一考をいただければというふうに思うわけであります。

 そして、ちょっと開票について伺いたいわけであります。

 きょうあたりの新聞ですか、きのう、東京都特別区の江東区が最後ということで、即日開票になったということで、おめでとうございますと言ったらいいのか、何だかよくわかりませんけれども、ちょっとこの問題について、基本的な問題で伺いたいんですが、なぜ即日開票でなければいけないのでしょうか。

片山国務大臣 公職選挙法の第六条第二項に、選管は「選挙の結果を選挙人に対してすみやかに知らせるように努めなければならない。」という、訓示的規定ではございますけれども、義務規定がございます。それから、今こういう時代ですから、結果を一日も早く知りたいというマスコミを中心とした強い要請がありまして、私どもの方もできるだけいろいろな工夫、努力をして、即日開票をやってくれ、こういうお願いをしまして、大分時間がかかりましたけれども、大体皆さん御了解いただいたようでございます。

 これは選挙部長以下の関係者の大変な努力があったと思って、私は大変高く評価しております。

長浜委員 私も、今おっしゃられたとおりの訓示規定であって、いわゆるだらだらやるな、なるべく早くお知らせするのが義務だということは、逆に裏返せば、国民が早く知りたがっているだけの理由ではないかなというふうに思うわけですね。

 一月の時点で、一月二十九日、総務省の調査では十三都道府県で即日は困難だということであったようでありますし、三月十九日、東京都の選挙管理委員会の調査では、中央区など九区町が即日開票は無理だ。そして、広島とか政令市の幾つかが、バーコードつきの附せんをつけて、それを機械的処理すればより簡単になるということで、三月から四月に大どころが即日可能というような話をされておりました。四月ぐらいの段階になって、東京の、特に最後まで無理ではないか、あるいは翌日開票を決定しているところにおいては、総務省の御指導があって、開票作業員人件費の五〇%アップ等々の、条件と言ったらなんですが、要は何とかやってくれという御要請があって、幾つかがまた御指導に従おうということになってきた。

 あるいは、機械化を進める中において、集計機というのですかカウンター、こういったものが一台三百万するとかなんとか言われていますけれども、これの導入。きのうの江東区の例でいうと、まず都議選で試してみようか、三台ぐらい買ってやってみようか、調子がよかったらもう三台ぐらい買おうか。ここでも費用が発生をしているわけでありますけれども、五月になって急速に、翌日開票だったところが決定をし直して即日開票、そしてきのうに至って全国オーケーだという状況になったわけであります。

 できないと言われていたときの理由に、職員の健康問題が非常に大きな問題になってきているのではないか。二十四時間拘束される職員もいるし、ある開票所に至っては、看護婦さんというか医療関係者を同席させて開票を行うとか、あるいは、東京都の場合は特にそうなんですね、田舎と言ったら失礼かもしれませんが、ローカルの方は割と駐車場スペースがあったりしますから車で来られるかもしれませんが、もちろん都内は電車も終わっている。しかし、疲れた状態で車を運転することがいいのかどうか。これを全部タクシーに切りかえたら一体どのぐらい費用がかかるのか。

 こういったもろもろのことに関して、総務省が行った各都道府県等々への御指導とはどのようなものであったのかというのが一つと、今るる申し上げたような形での即日開票を行うことによっての経費増が予想される部分は、この法案のどこに反映をされているのか、御説明をお願いいたします。

中野(寛)委員 委員長に申し上げます。

 先ほどから見回しておりますと、委員長を初め自民党の理事の皆さん、大方欠席しまして、委員の数もごくわずかであります。法案審議にもかかわらず、この委員会の成立は野党議員の出席によって辛うじて支えられている。この実態を改めて警告を申し上げます。

原田(義)委員長代理 委員長代理として、ただいまの御発言を重く受けとめまして、事務当局からも大至急呼び寄せておりますけれども、このまま続けさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 片山大臣。

片山国務大臣 委員御承知のように、十八年前は全国区だったのですね。全国区のときも、大変な数が立候補して、選管はそれをこなしてきておりましたけれども、十八年間、今までの党名だけという全国比例をやってきましたので、やはり新しいことに対する大変な不安と抵抗があったと私は思うんです。

 そこで、私どもの方は粘り強く各選管と話し合いまして、例えば開票の単位を小さくするとか、あるいは機械化もありますよ。しかし、機械化だって限界がありますから、いろいろなことでお互いに知恵を出し合おうというようなことの説得を重ねていった結果でございまして、やはり比例の立候補者の数が我々が当初想定したよりは少な目であったということも一つあると思います。それから、いろいろな選管が知恵を出す中で、それではそういう知恵があるならうちもやってみようか、こういうことになったということもあります。それから、日本はやはり、皆さんができるのなら自分の方もそれでやろうかということで、だんだん即日開票に踏み切っていただいたところがふえたと私は思いますが、予算は今の予算の中でやります。

 予算の配分等については、一番効率的で合理的な方法を見直しますけれども、即日開票、全部やっていただくから予算をふやすとか、特別なあれはいたしません。ただ、超過勤務手当はルールどおりきちっと払います。それから、労働量、作業量はできるだけ少なくするように、これは今もお願いしております。

 まだもうしばらく時間がありますから、さらに私どもの選挙部と各地の選管で知恵を出し合って努力していこう、こういうことになっておりますので、ぜひ御理解賜りたいと思います。

長浜委員 今の点でありますが、いわゆるそのレンジの中であるならば、使途に関してはある程度融通がきくということもありますので、多大な負担を都道府県等々、実務担当者に余り与えないような形での御配慮をお願いしたいというふうに思います。

 その時間的な多大の負担の一つの要因について次は伺いますけれども、いわゆる他事記載の問題というのが私はあると思います。傍聴に来ておられる方々もいらっしゃいますが、他事記載と言われても何かぴんとこない、普通の人はよくわからない。要するに、投票用紙に余計なことを書くと無効であるということであります。

 たまたま私の隣町で、選挙区ではありませんが、統一地方選挙のときに、開票したら、一票差で次点になった方がおられて、それを選管に申し立てたところ、その一票差の一票が、名前が書いてあって、例えば長浜博行と書いてあって、その後ろにエクスクラメーションマークというのですか、びっくりマーク、これは無効であるということで、一票差ですよ。その一票はその一票だったわけでありますが、そういう解釈でございますか。

大竹政府参考人 投票の有効、無効の判定につきましては、開票管理者が立会の意見を聞いて最終的に判断するわけでございますけれども、ただいま御指摘がございましたように、クエスチョンマーク等をつけました場合には、通常、他事記載として無効の取り扱いとなっているものと考えております。

長浜委員 おっしゃるとおり、公職選挙法の六十八条の他事記載、意図的な他事記載ということになると思うんですが、それでは、比例区の今度の選挙、具体的な例として、「鳩山の民主党」と書いた場合は、これは有効になるのかどうか、あるいはどこで有効になるのか、ちょっと伺いたいと思うんです。

大竹政府参考人 今、固有名詞を挙げることはどうかと思いますけれども、具体的に御指摘がございましたので、「鳩山の民主党」というふうな投票例についてのお尋ねがございました。

 これにつきましては、まず、民主党という政党名投票であろうというふうなことが働きます。それで、政党名投票につきましては、党の代表者の氏名を書きました場合については有効とするという取り扱いになってございます。

長浜委員 有効というのは、民主党で有効ということでございますか。

大竹政府参考人 失礼いたしました。

 政党の投票としての有効票ということでございます。

長浜委員 民主党だけ言うと不公平ですから、「小泉の自民党」といった場合はどうなるんでしょうか。

大竹政府参考人 「小泉の自民党」という具体例がございました。それから、先ほどちょっと申し忘れたわけでございますけれども、「鳩山の民主党」も同じでございますけれども、その場合には、当該政党がそれぞれ提出しております名簿の中に、鳩山あるいは今ございました小泉という氏名の候補者がいない前提で今申し上げたわけでございます。

 そういう前提で申し上げますと、「小泉の自民党」と書かれました投票につきましては、自民党の政党としての有効票となるということでございます。ただし、今申し上げましたように、その場合は、両方とも名簿登載者の中に小泉あるいは先ほどの例でいいますと鳩山、こういった名称の名簿登載者がいないという前提でのことでございます。

長浜委員 間違っていたら自民党の先生方に教えていただきたいのですが、小泉さんという方が比例区の立候補予定者の中に自民党はおられるというふうに認識をしておりますが、いかがでしょうか。

大竹政府参考人 今、仮定でございますけれども、例として挙げられました自民党の立候補予定者、名簿登載者に小泉という姓の方がいらっしゃるという前提でのことで申し上げますと、ただいま申し上げました「小泉の自民党」と書かれました票につきましては、名簿登載者たる小泉さんの個人票としての有効票になるものと考えられます。

長浜委員 そうすると、書いた人が、大変な今、小泉純一郎さんブームでありますから、小泉さんが大変好きだな、自民党は、もうこれ以上言いませんが、ともかく小泉さんの自民党は好きだな、こういって書いた場合は、その書いた人の意思を反映しないで、何も知らない、たまたまいたにすぎない小泉何がしさんという人の票になるのでございましょうか。

大竹政府参考人 選挙の投票につきましては、候補者あるいは政党に対する投票でございまして、当該政党に小泉なる名称の立候補者がいらっしゃいます場合には、やはり比例代表選挙におきます投票は、その小泉という名簿登載者に対する投票というふうに推定されるわけでございます。

長浜委員 先ほど議論しましたときの開票所のリストをたまたま見ておりましたら、日本共産党のところに、これは前回おられたのか、小泉親司さんという方のお名前がここに載っているわけでありますけれども、これはここに書いてあるとおりをただ読んでいるだけなんですが、仮に日本共産党で小泉さんという立候補者がいた場合は、「小泉の自民党」と書いた場合はどうなるのでしょうか。

大竹政府参考人 前提をどういうふうに置くかによっていろいろ変わってくるわけでございますけれども、ただいまの例が、各党通じて小泉さんという方が共産党の名簿登載者の中に一人いらっしゃるというだけの前提でお答え申し上げますと、その場合につきましては、異党派の政党名と個人名が書いてあるということで、無効票になると考えられます。

長浜委員 これをやり出したら切りがないほど、きのう寝られなくなりましたから、こういう場合があるのかどうなのかという状況の中で。ですから、これほど複雑な状況の中で、もっといえば、例えば民主なんという名前の人はいませんけれども、私のよく知っている人で、キミアキという名前の人がいるのですね。その人の場合は一字違いでありますが、公明さんの字を書いてキミアキと仮にあった場合、個人名の公明と公明党の略称登録の公明との関係はどうなるのでしょうか。

大竹政府参考人 「公明」、その二字だけの投票でございますと、政党たる公明党と個人の公明さんとの案分の対象になろうかと考えております。

長浜委員 だから、今お話しあったように、有効無効ではなくて、これは案分比例に今度はなっていくという状況での複雑なところでありますので、即日開票は結構でありますが、開票の手順をどのぐらいに想定しておられるのか。

 一般例であれば、八時に投票を締め切った、九時から開票スタートになる、そのときに、大臣のおられる地方区は別として、比例区の場合、一体まず何をやるのか、政党の仕分けなのか。今言ったように政党と個人名のクロスの場合も、悪意じゃなくて善意の間違いがありますから、どこをどう基準に開票を上げていって、最終的に一束にしてバーコードでやる。一束にするといったって大変ですよ、さっきも言ったようにクロスしてありますから、どっちで有効かどうかというのを立会人のもとでその現場、現場で最後は判定をしていくんでしょうから。標準的なスタイルでもいいんですけれども、開票終了何時ということまでを想定してのシミュレーションというのはあるんでしょうか。

大竹政府参考人 開票につきましては、今回初めての体験でございますことから、なかなかその予測がつきがたいわけでございますけれども、各選管それぞれ具体的な分類作業等のシミュレーションをやりながら、今内容を詰めているところでございます。

 東京都の区部あたりといろいろと私ども情報交換しておりますけれども、そういうところのお話をお聞きしますと、大体開票を九時半ごろから始めまして、翌日の朝の五時ないし七時ぐらいには開票が終了するというふうな想定で進められておるようでございます。

長浜委員 朝の七時から八時ということであれば、その最終的な、最下位という言い方は失礼でありますが、当選者確定は何時ごろと想定をされているのでしょうか。

大竹政府参考人 ただいま申しました朝の七時ぐらいといいますのは、最終的に私どもの方に確定票がいただける時間ということでございます。これが全国的にどのように妥当するのかはなかなかわからないわけでございますけれども、東京都の区部の例で申し上げますと、そのような想定で現在進めておるという状況でございます。

長浜委員 そのような状況でありますので、即日開票ということがあたかも即日すぐ、もちろん一生懸命やって、一刻も早く知らせてあげたいという、親心と言ったらなんでありますが、気持ちはよくわかりますが、これほど実務担当者には過重な負担をかけるという状況の中で、一番心配なのは、もちろん作業者の体でありますが、私は正確性だと思います。その正確性を担保できるのかどうか。こういったことに関してまだまだ、ないとはいえ時間はありますので、ぜひ総務省の御努力といいますか、前進を期待するわけであります。

 それから、投票率の件であります。

 今回改選になる方の一回前、つまり平成七年の第十七回が四四・五二、つまり五〇%に達しない。その三年後、半数改選のときの第十八回が、二時間延長でやっと五〇%を超えて、五八・八四というようなことであります。

 ちょっと本論から外れるかもしれませんけれども、この状況の中において、大臣、投票するのは権利なのか、義務なのかということについては、どうお考えになるでしょうか。

片山国務大臣 選挙権、被選挙権、権といいますから、権利であることは間違いない。ただ、国民である以上、国政参加の義務があるという説もありますが、法律上、拘束されて義務づけられているわけではないと思います。しかし、精神は義務に近い、私はこう思っております。

長浜委員 私も全く同じ考え方でありますけれども、この投票率が上がらないということに関して、人ごとのように言うと不謹慎でありますから、私を含めて、立候補をする人あるいは政治家の責任、魅力のある人物がいないから投票に行かないんだということを言ってしまうともう議論が終わりますので、そういったことではなくて、今回の選挙制度が変わるとか、何かのきっかけがあると国民に少しは注目をしていただけるんではないか、こう考えた場合に、この選挙における次の、もう来月に迫りましたけれども、啓蒙活動をどのように行われて、あるいはこの選挙制度に変わったがゆえに啓蒙費用はどのぐらいふえるというふうに考えておられるのでしょうか。

大竹政府参考人 新しい制度の改定に伴いますところの啓発経費といたしましては、予算上二億五千万いただいてございます。

 啓発の内容でございますけれども、私どもにつきましては、特に投票日の設定等がありました後にPRをやるわけでございまして、公示日以降につきましては、新聞広告、テレビスポット、あるいはインターネットのバナー広告でございますとか、さらには航空機内のムービースポットとか、あらゆる媒体を通じまして選挙日の告知に努めてまいりたい、このように考えてございます。

片山国務大臣 私どもの方の啓発啓蒙費の額、あるいはやり方もありますけれども、やはり私は、一般のマスコミにどれだけ協力してもらうかということもあると思います。おかげさまで、小泉内閣になりまして、国会の中継が大変高い視聴率で、政治がおもしろくなったとか、わかりやすくなったとか、親しみやすくなったという声を聞きますから、大変これはいい傾向で、我々の側からいくと、投票率が上がる。そういう意味では、一般のマスコミの方ともタイアップしながら、効果的な、有効な啓発啓蒙をやっていきたい、こういうふうに思っております。

中野(寛)委員 委員長、もう一回申し上げますが、これは定足数を完全に割っております。委員長も、ちょっとトイレ休憩とかという状況ではなさそうで、長時間にわたって。まして自民党の筆頭理事もいらっしゃいませんので、理事、まだそろっていないでしょう。

 暫時休憩されるようお願いいたします。

原田(義)委員長代理 御意見もありましたけれども……

中野(寛)委員 いやいや、提案というよりも何よりも、定足数を割っているんだから、成立していない、現実に。

原田(義)委員長代理 それでは、このまましばらくお待ちください。ちょっと時間とめて。

 それでは、委員長は今こちらに急いで来られておりますけれども、時間の関係で再開をさせていただきたいと思います。

 時間はあと八分ということで、長浜議員、よろしくお願いします。

長浜委員 ちょっと思考が中断をしましたので、またテンポを上げていかなきゃならないんですが。

 投票権問題の質問の続きでありますけれども、この執行経費等々含めて、私は、例の一番最初に質問したところの不在者投票所等々の問題の中で、ハンディキャップがある方の問題にもう少し丁寧に当たっていただきたいというふうに思うわけであります。

 たまたま大学の先生の書かれた論文を見ていたときに、ふだんは余り意識をしないわけでありますけれども、投票のときに、全国で大体二百万人ぐらいを超える福祉医療サービスを利用されている方がいて、そういった方は、この先生の説によると、私の祖父なんかもそうでありましたけれども、ずっとベッドに寝ている関係、しかし頭はさえているという状況の中で、新聞を山のように読む。私が読むものの何倍も新聞を読んで、政治の状況はどうなっているなんというのを祖父に聞いた記憶もありますけれども、そのぐらい政治的な関心が高いにもかかわらず、投票所に行けない。投票に行きたいんだけれども、体の不調を挙げて行けない。こういった部分に対する配慮がどのぐらいなされているのか。

 そして、質問通告しておりませんから答弁は要りませんが、ちょうどきょう私、この質問で部屋を出ようと思ったら、聴覚障害者が、多分自民党の理事の方にも行っていると思いますが、倫選特の理事ということで、例えば政見放送に字幕をつけてもらえないか。候補者選択の重要な情報源であるところの政見放送で字幕がない。公選法の改正によって手話は認められるような状況にはなったわけでありますけれども、高齢難聴者、つまり年齢の高い方々、あるいは途中で聴力を失ってしまった方々にとっては手話がわからない、こういったときには文字が大変重要になってくるわけですね。

 ところが、演説をしたりする、それを善意で文字に書き取って見せてあげようとすると、これは例の文書図画に触れるということで公職選挙法違反になってしまう。屋内の集会で候補者の政見をオーバーヘッドプロジェクターで見せ合う、これは幻灯機になって違反になる。こういったことも、ハンディキャップのある方々が投票に行きたい、政治に関心がある、だけれども基準としてわからない。こういう状況に置かれている方もいるので、執行経費の中において、ハンディキャップのある方々に対しての問題もぜひ考慮に入れていただきたいということを強くお願いするわけであります。

 前は政見放送研究会などという委員会も自治省内にあったやに聞いておりますので、総務省でもできる限りこういった委員会、研究会を発足させて、ハンディキャップはある、しかし大変政治参加を願っている方々のためのいい意味での予算を配分していただきたいということを心からお願い申し上げるわけであります。

 ですから、一つには、こういったもろもろの先ほど来質問してきましたところの延長線上では、電子投票というものを考えていけば、さまざまな問題、もちろん新しいものを入れればまた問題は生じますけれども、今るる時間を使ってやったような問題というのが割と簡単にクリアできると思うのです。電子投票に関しても総務省は割と積極的というふうに伺っておりましたが、状況等はどうですか。それから、やれる都道府県があったらどんどん先にやらせるということもありましたけれども、実際そういう希望が出ているのかどうか、その説明をお願いします。

    〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 電子投票の話は昔からありまして、超党派のそういう研究会というのでしょうか、議連というのでしょうか、そういうところもありますので、私もよく状況をわかっております。こういうIT時代で、総務省はIT化をやるところですから、電子投票の研究もやってくれ、こういうことで研究をやってもらいまして、試案はまとまっているのですよ。ただ、制度化ということになりますと、これはいろいろな問題がある。

 そこで、地方選挙でトライアルをやることから始めたらどうだろうか、こう私は考えまして、それの根拠法みたいなものをつくったのですが、この国会は、あと会期も短うございます。私どもの法案もまだたくさん残っておりますから、なかなかこの国会に出すなんということはできないだろう、こう思っておりますけれども、将来の方向としては、一つの方向だと思います。ただ、制度化は大変ですよ。まずトライアル、そういうことのための法案提出等を次回以降の国会で考えたいと思います。

 それで、私のところでやらせてくれと言ってきているのは広島市と岡山県新見市というところ、直接私に要請があったのは、その二市でございます。

長浜委員 ぜひこういった新しい方法をそろそろ、選挙制度以外にも選挙方法ということで、新しい時代を迎えて考えていっていただきたいというふうに思うわけであります。

 最後の質問に移りますが、私ども民主党としては、選挙運動へのインターネット等使用に関するということで法案も提出をしておりますし、あるいは、その法案に先立ちまして質問主意書も提出をし、そしてお答えをいただいております。このお答えも、ある意味で、今の法律体系の中においては、当然こういう答えが返ってくるであろうというような状況の質問でありまして、質問主意書の答えに、同僚議員が出したわけでありますが、それを読んで私は深く絶望したという気持ちはありません。それなら、国会でありますので、新しい法律をつくって時代に合わせた方法で選挙制度も変えていくべきではないかなというふうに思っているわけであります。

 あした、イギリスにおいてはブレア労働党政権の信を問う投票日になります。あの国の政治がどう変わるかという問題は別にしまして、イギリスではホームページによるところの選挙活動というのは解禁をされています。ごらんになった方々もいると思いますが、そのホームページの画面の内容が日本人の嗜好に合うのかどうかという問題は別でありますが、しかし、現状においてホームページが、日常生活にインターネットが定着をする中においては、先ほど申し上げております啓蒙活動においては、投票率を上げるためにおいては、大変有力なツールではないかなというふうに思うわけであります。

 国会議員がどのぐらいホームページを持っているのかというのも調べればわかるのでしょうが、たまたまインターネットの検索のページを使って、国会議員ホームページアクセスランキングなるものを、こういうものはみんな、民間の方というかオーソライズされない人たちがいろいろなものをつくっている、そのうちの一つにしかすぎませんけれども、もちろんアクセス数のトップは小泉さんであります。それから、私は事情はよくわかりませんが、鈴木政二さんという方が、これは参議院でいらっしゃるのでしょうか。派閥を離脱されたか何か、そういう方かもしれませんが……(発言する者あり)違いますか。違う鈴木さんですか。いや、急激にアクセス数が伸びたときがあるのです。だから僕はそっちかなと思ったのですけれども、ごめんなさい、間違えました。

 いずれにしましても、政治家自身もこういったホームページを持っている方々もふえてまいりましたし、インターネットを導入するところの選挙制度というものに関して、参議院の委員会の方で大臣は積極的な意見も述べられましたが、改めて御意見を伺いたいと思います。

片山国務大臣 私もホームページをやらせていただいている一人ですが、ホームページそのものが全くこういうITの時代に使えないのも、違反になるのも、いかがかなという気がかねがねしております。

 ただ、それではインターネットというものも、このところ急激に普及率が伸びてきましたけれども、この前までは二一%だったのですよ、やっと一番新しい数字で三四%です。だから、それこそ自分の地域ではそんなに普及していないよというところがあったりしますから、この辺をよく考えなければいけません。

 そこで、この新しいIT時代における選挙運動について、私どもの中に研究会をつくって、民主党さんの御提案もありますし、そういうことを含めて研究していこう。その結果、いい結論が出れば、これからの選挙運動の中でそれを生かしたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

長浜委員 この件に関しては、私どもの提案した法案の審議のときにまた深くやらせていただきます。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

中馬委員長 続いて、東祥三君。

東(祥)委員 片山大臣、初めまして。この委員会で初めて質問させていただきます自由党の東祥三でございます。

 長浜議員が基本的な、本質的な問題について質問されておりましたので、重複は避けたいというふうに思うのですが、今回の参議院選挙、比例代表区の選挙制度に新制度が導入された。新制度導入に当たっていろいろ問題があったことはここで言うまでもないことでありますけれども、そもそも大きく変わっている側面を見ると、本日まさに議論をしているテーマでありますけれども、予算が大幅に伸びている。それは当然、国民の税金を使って、この新制度導入に伴う経費が向上しているわけであります。

 私の手元にある資料によれば、平成十年度参議院通常選挙費予算額は約五百六十億七千万円であった。そして、平成十三年度の今回の参議院通常選挙費予算額は約六百三十四億九千万円、実に七十四億二千万円も費用が増加する、このように見込まれているわけであります。

 そもそも本来、政治家すべてが国民の税金を使っていく、その上で金のかからない政治改革を断行する、私が政治家になって十二年目を迎えますけれども、ずっと一貫してその主張が流れていたと思うんですけれども、残念ながら、その主張とは違う方向に動いているんではないのか。そして、この新制度が導入されることによって、何か政治そのものに極めて有効な、また国民がああそうなのかということを納得できるプラスアルファの何かがあれば別でありますけれども、総務大臣、この新制度導入に当たり、まだその選挙は行われていないわけですけれども、当事者の方々は、先ほど大臣のお話がありましたとおり、北は北海道、南は九州、沖縄まで全国行脚されているわけであります。

 今、虚心坦懐にもう一度大臣に僕はお伺いしたいんですけれども、そもそもやはりこの制度はおかしいんじゃないのかというふうに思うんですが、いかがですか。

片山国務大臣 昨年の臨時国会で参議院の選挙制度を改正させていただきまして、いろいろな御議論がその際もありましたけれども、大きくは二つ改正いたしております。一つは、全国比例を、党名だけでございます拘束式のものを、党名プラス個人名を書いてもいいという非拘束に直すということ。それからもう一つは、比例、都道府県選挙区を通じまして、衆議院の方が二十人の減員をされましたので、参議院の方は定数が約半分でございますから十人の減員をする、半数改選ですから今回の選挙では五人減員、こう二つ直したわけであります。

 特に、全国比例の場合には、昔から、全国区を今の拘束比例に直したときからの議論、昭和五十八年からずっと議論してきているんですよ。私も参議院議員にしていただいてからずっと議論に加わってきましたけれども、結局、第八次選挙制度審議会が今の制度の答申をしているんですよ。そこで、参議院も何かやらなきゃいかぬというときに、与党三党はこれでどうだろうか、こういうことになったわけであります。

 基本的な考え方は、衆議院に比べて参議院は党よりも人、顔が見える、こういうことは必要じゃなかろうか。それから、今の拘束だと候補者の順番を党が決めるわけですから、ここでいろいろな議論が、自民党ももちろんですけれども、ほかの党でもいろいろな御議論がおありのようでございますので、ここは党でなくて、国民の皆さん、有権者の皆さんに選んでいただいた方がずっとはっきりするし、それによって顔が見える、こういうふうな感じで、個人名を書いていただいて、個人名の得票の多い順に当選する、こういう制度にしよう。

 ただ、そうなると全国区の復活ではないか。金がかかる、運動量が大変大きくなる、こういう御議論もありますので、全国区の時代の反省を含めまして、今回はできるだけ金のかからないように、それから個人の負担がかからないように、そのためには、公営の方で少しそれを膨らませてもらうということと、もう一つは党にやってもらう。こういう党と個人、立候補者と公営との兼ね合いで、選挙運動の負担を個人にかけないようにしよう、こういうことで今の制度をつくったわけであります。

 東委員御指摘のように、選挙の執行経費がふえているじゃないか。ふえております。七十億か、丸々そうじゃありませんけれども、改正部分が六十億ぐらいだそうでございますけれども、その分は新しい参議院のあるべき姿への前進としてのコストだ、民主主義のコストあるいは参議院のコストとお考えいただいて、ぜひ国民の皆さんに御納得いただきたい、国会の先生方にも御納得いただきたい、こう思っておるわけであります。

東(祥)委員 わかりやすいですから、数字というのは。比例代表区の選挙制度に非拘束名簿式比例代表を導入したことは、先ほどおっしゃったとおり、昔の全国区並みの選挙費用がかかる、理論的に。例えば候補者用無料乗車券購入費、前回参議院選の約五千九百万円から今回の予算額では約六億三千七百万円、伸び率は九八三・一%ですよ。今、できるだけお金がかからないようにしようと、お金がかかるんですよ。さらにまた、先ほど長浜議員が議論されておられました開票速報に必要な経費も、前回参院選の約一億二千万円から今回は約六億二千六百万円、伸び率は四一八%となっているわけですよ。開票作業の困難さがこれを通じてでもうかがわれるわけでありますが、でもそれは、今言葉じりをとらえるわけじゃありませんけれども、進歩が何かあればいいですよ。

 総務大臣、もう既に、この選挙制度についての議論をされているときに、いろいろな意見が出たと思います。顔が見える。二百数十名の候補者が出て、今現在正確な数はわかりませんけれども、最終的にどれぐらいになるのかわかりません。どのように判断するんですか。個の顔が見えるとよく皆さん言いますよ。どのように各有権者が全国に立っている個の顔を見ることができるんですか。彼らの考え方を聞くことができるんですか。理念、政策を聞くことができるんですか。それに対しては、だれも多分答えていないんですね。何となく一般論として、政党名、政党で決断してもらうよりも、個々の有権者が自分自身が投票した人がわかる、それによって本当に顔が見えるのか、素朴な疑問をずっと私は思っていました。

 総務大臣、いかがですか。顔が見えると今もおっしゃっているんですけれども、全然顔が見えないですよ。

片山国務大臣 今の無料乗車券の問題は、先ほども言いましたように、私は、金がかからぬというのは、全体ではかかるんですよ。かかるんだけれども、余り立候補者個人の金がかかったり負担が大きくならないように、公営と党がやる部分と立候補者の部分と、これをうまく組み合わせて、できるだけ全国区のような、それぞれの候補者に負担がかからないようにできたらということが我々の考えでございます。

 それから、顔が見えるというのは、これはいろいろな考え方がありますけれども、今度の非拘束比例代表というのは、まず最初に党を選ぶわけですね。自民党なら自民党、自由党なら自由党を選んで、それではその自民党なり自由党の中でだれを選ぶか、二回選ぶということですね。比例ですからまず党を選んでいただく、その比例で選んだ党の中で個人を選べる。今までは党しか選べなかったんですね。だから、党の中でだれがいいかというのを国民の皆さんに選んでもらって、個人がいないという人は党名でもちろんいいんですが、Aという人が自分はいい、Bがいいんだ、こういう人はAなりBなりという名前を書いてもらうことによって、私は、今までの単なる党名よりは一歩も二歩もそこは前進ではないか、それが顔の見えるということではないか、こう考えておるわけであります。

 しかし、そんなことを言っても、たかが、例えば今自民党は候補者が二十四人ですか、もう少しふえるかどうか知りませんけれども、その中で選ぶのでどうということはないという議論は私はあると思いますけれども、前の拘束よりはこの非拘束の方が参議院の選挙制度としてはベターだ、私はこう思っております。

東(祥)委員 今、小泉旋風といいますか、小泉さんが総理大臣になって、僕は決して自民党と比例したものではないというふうに思うんですけれども、小泉旋風が吹き荒れている、こういう状況下であったとしても、総務大臣、新制度はやはり導入すべきだったというふうに思いますか。

片山国務大臣 我々は、だれが総裁、党首か、代表かではなくて、制度としてどうかということを議論してまいりまして、第八次選挙制度審議会の答申が、いろいろなことを、今までの経験を踏まえると一番いいのではないか、こういうことで選択したわけでありまして、総裁によって云々ということではありません。

 私は、それは今度、小泉さんが総裁になられたことによって、例えば投票率が上がることが期待できるし、その他のいろいろなことが期待できるということはあると思いますけれども、これは個人の問題じゃなくて、やはり制度の問題として考えていかなきゃいかぬのじゃなかろうか、こう思っております。

東(祥)委員 大臣があえてそのところに固執されているみたいですから、制度の問題でいくならば、参議院選挙制度改革について、一昨年六月に参議院において参議院各派代表者懇談会のもとに設置された参議院選挙制度改革に関する協議会でずっと協議を重ねてきて、その結果、比例代表選挙区については現行の、当時ですね、拘束名簿比例代表制を維持することを前提とする、抜本的改革案については参議院のことを前提に協議する等の趣旨が報告に明記されて、その結論をもとに協議を続けていたはずじゃないですか。それがまさに、与党三党は、各党各会派の協議である参議院選挙制度改革協議会で、今度は昨年二月に全会一致で決めた選挙制度の抜本的改革は行わないとの合意事項をほごにして、野党が、もちろん我々自由党もそうですが、再三要求した協議の申し入れも無視して、強行にこの制度を導入した、このことは認められているんですね。

片山国務大臣 いやいや、それは全く事実と違うんですよ。私は、東委員、参議院ですから、ずっと国対委員長をやっておりましたから、経緯をよく知っているんですが、各派の代表者じゃないんですよ。代表者懇で、関係者懇というか当事者懇というのか、いわばそのことの関係の人を出してやろう、そこでそれをずっとやってきたんですよ。そこで比例代表をどうするかの議論をやるとまとまらないから、そこは現行を前提に定員削減をやろう、こういうことだったんですよ。

 そこで、定員削減については一応の案がまとまりかけたんです。これもまとまらなかったんです。三案併記なんですよ。それを代表者懇に持ち込んで、私も代表者懇に出ました、会長、幹事長と私が。まとまりません。二回も三回もやっても、それはペケになったんです。何にもまとまっていないんですよ。

 ただ、今、東委員が言われたのは、当事者が代表者懇に出すときに、比例代表についてはとりあえず現行を前提に議論を進めるということを書いたのは事実です。しかも、その定数削減も三案併記になっているんです、三案併記に。与党と、共産党を除く野党と、それから共産党さん、三案併記のままで何にも決まっていません。それはもう私は責任を持って申し上げます。

 それを盛んに野党の方は言われるんですけれども、そこは大変な事実誤認があります。

東(祥)委員 私は、その場にいなかったので、どちらが正しい、正しくないというのは、ここで判定する立場にないんですが、私が聞いているのは、そういう情報をもとにしてお話をしていますから、それに対して異論があるというなら、それはそれで結構であります。

 再三再四総務大臣が言われているとおり、個人の候補者のお金はできるだけかけないように、それを公営そしてまた党営で、それも一つの考え方であります。ただ、問題は、公営といった場合、それは税金ですからね。まさに、参議院選挙の制度そのものを改革した、それによって日本の政治というものはどういうふうになっていくのか。

 とりわけ参議院のことですから、余り私がとやかく言うことではありませんけれども、顔が見える、僕は具体的に申し上げている、技術的な問題ではなくて。顔が見えることによって日本の政治をどのように大臣は引っ張られていこうとしているのか。何が変わるのか。有権者から見るならば、二百数十名の候補者が出ることによって、わからないでしょう。理念と政策、その人柄、わかりませんよ。だから、それを顔が見えると言うのは、それは全くのこじつけにすぎないんじゃないのか。

 他方においては、政党選挙というのがあるわけですから、それぞれが政党に所属しているとするならば、その政党の理念、政策、情だとかそういうことではなくて、理念と政策に基づいて、それをもっと公開で議論し合えるようなそういう場を設定していけば、ここの政党はどういうことを考えていればいいのか、どういうことを考えているのか、それはわかるわけですね、そこに所属しているわけですから。そうではなくて、総務大臣は、それは個人だ。個人で政治はできませんよ、同じ志を持った人間が集まって政党をつくるわけですから。

 そういう面においては僕はまだ全然納得できないんですけれども、総務大臣、いかがですか。

片山国務大臣 前の拘束名簿式というのは、これは党名しか書けないわけです。しかも、その党の執行部が順番をつけるわけですね。だから、国民の目から見て、何であの人が一番で、この人が何番で、こういう議論があるし、そこにやはり不透明さというのが私はあったと思いますね。それはどんな党でも、神様でない限り、本当に公平な順番なんかつけられないですよ。だから、自民党でも確かにいろいろな議論がございました。私は、かつての新進党でも、党の皆さんを初めとして、いろいろな議論が私はあったと思いますよ。ここはすっきり透明にした方がいい。

 それからもう一つは、何度も言いますけれども、参議院はある程度人物を選んでいただくということがあるものですから、衆議院ももちろんそうですよ。衆議院はやはり党で、政策で動いていただくのだけれども、ある程度参議院は良識の府、必ずしも良識はないかもしれませんけれども、良識ということは個人に着目しているんです。だから、そういう意味では、やはり個人の要素を衆議院よりは持つ必要がある、それが二院制のメリットだ、私はこう思うので、それが党名だけ書くということではいかがかな。

 しかし、そうはいっても、東委員が言われるように、この議会政治は政党政治です。だから、そういう意味では、非拘束にして、まず政党を選んでいただいて、自民党なり自由党なりを選んでいただいて、その中で、例えば自民党も二十何人から三十人の候補を出すわけですから、どの人が一番参議院議員にふさわしいかを選んでもらう、自由党でも同じですよ。そうすることがやはり政治を近づけるし、二院制としての特色も出せるし、その方が顔が見えるし、私はこういうことを申し上げているので、あるいは私の説明の仕方が下手なものですから、御納得いただけないかもしれませんが、我々はそういう考え方で今回の制度改正をやったわけであります。

東(祥)委員 もう時間が来ましたので、やめますが、ちょっと。

 一般論で言えば、議会制民主主義というのは、我々は国民から選ばれているわけですから、それによって政党をつくり上げている。その政党に対して支持してくださっている方々は、当然、我々に対して信頼を寄せているわけですね。そこから選ばれた長、それがその政党を運営していく最高の責任者ですよ、またその人たちによって選ばれた執行部が決めていくわけですから。

 多分、自民党は決められないんですよ。だから、例えば一連の、どのように順番をつけていったらいいのか、どれだけ党員を集めればいいのか、何百万という党員を集めるためにお金が必要だ。お金というのは極めてわかりやすいメルクマールだ。しかし、それだと今度はいろいろなお金にかかわる問題が出てくる、こういう問題があったからでしょう。

 つまり、そういう実質的な、どういうふうに決めたらいいんだろうといみじくも総務大臣はおっしゃいました。基本的には政党が、先ほど言ったとおり、有能な人間を連れてきて、これを一番にしたい、そして自民党の支持者の方々にそれを説明し切れれば問題ないことじゃないですか。それをし切れない、したがって何かないかということなんではないのかと私は理解しておりますし、また、そうじゃないということであるならば、反論を聞きます、ちょうど時間になっているみたいなんですけれども。

片山国務大臣 それでは、もう簡単に言います。

 これは自民党が決めたわけじゃありません。第八次選挙制度審議会がきちっと議論して決めたものを、我々もそれがいいなと乗ったわけであります。

 それで、東委員、制度というのは一つじゃないんですよ。制度というのは、一つのことをしっかりできれば、システムをつくれば、どんな人が出ても、物すごい神様に近い人からそうでない人まで出ても、ある程度機能するというのが制度ですから、一番いい神様に近い人が出ることを前提に制度を考えるべきではないと私は思います。

 簡単に、それだけ申し上げます。

東(祥)委員 それは僕は異論があって、僕はそんなことを言っていないですよ、ちっとも。制度をつくっているのは人間ですよ。(片山国務大臣「有能な総裁から選べばいいと」と呼ぶ)いやいや、それは一つのシステムでしょう。システムの中で、そのシステムを動かすのは人間じゃないですか。しかし、どういう前提でそのシステムを動かしているのかが異なれば異なってきちゃうということですねと。アメリカの大統領が国民から選ばれたとしても、大統領就任式のときにバイブルに手を乗せるじゃないですか。全知全能をつぎ込んだとしても政治というのはなかなか難しい、どうか我々が間違えないようにということを教えてくれているんでしょう。

 だから、そういう意味では、まさに完璧な制度というのはない。しかし、制度をどのように運営していくかというところに最大のポイントがあるんじゃないですか。

 ただ、僕が申し上げたのは、基本的に、総務大臣はいろいろ、顔が見える云々というふうに言っていたけれども、御党においてはそういう順番を決めることができなかった、したがって別の技術的なもので選択肢を持ってきてやった、それは国民になかなか説明しても説明し切れない問題ですねということを申し上げて、またこの場でいろいろと議論をしたいと思います。

中馬委員長 吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 片山大臣とは参議院以来の国会での顔合わせかと思いますが、一つ、今の議論にかかわって、私は、まず拘束名簿式について、順番を決めるということに、日本共産党はKSDの幽霊党員も金も全く関係のないものですから、本来、政党が責任を持って、きちっと政党を中心とする比例代表でやるべきだという考え方でおりましたから、なお非拘束名簿式への例の、昨年来の問題ですが、あなたはそうおっしゃったけれども、しかし、参議院の本会議で我が党の山下芳生議員が、本会議討論できちんと代表者懇での問題など事実関係を述べておりますので、それはあなたのお考えとはまた違うんだということをはっきり言っておきたいと思います。ただ、きょうは国会議員選挙経費基準法の改正案の問題ですから、この議論はここではもうおいておきます。

 政党名に加えて個人名での投票が可能になる今夏の参議院選挙における投票所の投票台に掲示する候補者名簿ということですが、先ほども議論がありましたが、昨年の十月二十五日の衆議院政治倫理特での公職選挙法改正案審議では、投票所の記載ボックスに政党名が掲示されるのかという質問に対して、片山大臣は、当時は提案者の方でしたが、当然、政党名を書いて、党名の下にその党の所属の名簿の候補者名を書くわけでありますと答弁されておりますが、まず、これは間違いないですね、確認しておきたいと思うんです。

遠藤(和)副大臣 これは先ほども答弁いたしましたけれども、法律の条文といたしましては、投票のボックスの中、あるいはその他適当な場所となっていますけれども、実態的には投票所のボックスの中にきちっと名簿を掲示していただく、こういうことで努力をいたしておりまして、それは可能である。そしてさらに、それに加えまして、投票所の中にもっと大きな掲示物をきちっと貼付していただく、このようなことで準備を進めておるところでございます。

吉井委員 これは六月一日の読売の夕刊にも紹介されておりましたが、大臣も見ておられると思うんですけれども、都道府県選管の担当者会議で、総務省が示した比例選立候補者名簿のサンプルを見て、これじゃ読めないなという声が上がったと報じられておりますが、実際、私もそうだと思うんですよ。大体、新聞の活字より小さい約二・五ミリ四方で、さらにこれにこれよりうんと小さいルビがついている。一九八〇年参院選の際の名簿の文字に比べると、大体、立候補者数からすると、今回は四分の一。逆に言いますと、八〇年参議院選挙のときは今回のサンプルの四倍の大きさだった。

 ですから、そういうことからしても、総務省としても、これは法で規定した投票所内に一カ所掲示にとどまらず記載台に掲示するということではあっても、次の問題として出てくるのは、比例選挙に立候補している届け出政党がまずはっきりわかるということですね。その政党の候補者はだれなのかがわかるように、見やすい名簿をどのようにつくっていくかということが重要になってくると思うんですよ。サンプルでは、とにかくわからない。そうすると、わかるものにするにはどうしていくのか、その点について伺っておきたいと思うんです。

遠藤(和)副大臣 名簿は、まず政党の名前をぼんと書いていただきまして、その後にその政党の略称、それから政党の候補者の名前を書きます。したがいまして、まず政党の名前が入りますから、どこの政党にどういう候補者がいらっしゃるのかということは一目瞭然でわかるような名簿になっております。

吉井委員 それで、さっきも出ていましたけれども、やはりきちんと記載ボックスに掲示するとともに、記載ボックスに書いてあるものは見えるということですね。私も近視なんですよ。でも、ちっちゃい字は眼鏡を外さないとわからないんですね。弱視の方もいらっしゃる。どういう人にもよくわかるように、どんな工夫をするのか。投票記載台に行って、前を見れば拡大鏡があって、実際はスペースが決まっておりますからなかなか大きく拡大しておくことはできないにしても、あるいは投票ボックスそのものを大きくすればまた別なんですが、拡大鏡によって見たものは大きく映るとか、どういう工夫をするかということが非常に大事なところだと思うんですね。

 それで、地方によっては拡大鏡とか老眼鏡、弱視者用ライトなどを設置するという工夫を考えているところもあるようですが、まず、選挙する人間が、選挙される政党、候補者がどういう党なのか、人なのか、それがわかるようにする工夫、どういうふうにするお考えなのかを伺っておきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 名簿といいますか、これは政党の名前をまず縦書きにきちっと、日本共産党は日本共産党と書いていただく。そして、その下に略称を書いていただきまして、候補者の名前は今度は横書きでずっと名前を書いていただくんですね。

 それは、こちらのサンプルを送りまして、それをもとにいたしまして、各選挙管理委員会でそれをできるだけ見やすいように掲示していただく。各選挙管理委員会におきましては、例えば老眼鏡を置くだとか拡大鏡を置くだとか、これは法律上は明記されていないんですけれども、よりわかりやすくしていただくということは大切なことでございまして、そういうことはどんどんしていただきたいと希望しております。

 そしてまた、その費用につきましても、この基準経費法の中で、個別の項目については措置しておりませんけれども、それは全部この経費の中でおさまるようにしてございますし、どうしても不足する場合には、調整費というものを計上してございますから、その中から捻出していただいて結構である、このように考えているところでございます。

吉井委員 大臣は、自治省でお詳しいわけですが、今回の法案で、地方財政法第十八条では、国の自治体への支出金は必要かつ十分な金額を基礎として算定することが基本だということは、大臣がずっとやってこられたことですから、自治省のその分野のプロですから、よくおわかりのところです。

 そうすると、投票所用の臨時電話の架設費とか、投票所で床を傷めないように敷くマットなどの施設の養生費とか、障害者用のスロープや照明など、多くの費用は現在、執行経費の基準に含まれていないんですね。投票所の経費の中で調整費で出しているものも確かにあると思うんですよ。

 いずれにしても、地方自治体の持ち出しにしないようにするべきで、地方自治体の持ち出し、つまり超過負担にならないようにする、そこはやはりきちっとしておくことが大事だと思うんですが、これはプロの大臣から伺っておきたいと思います。

片山国務大臣 今の執行経費は相当よく考えて積み上げていると私思いますけれども、この委員会で諸先生言われるように、制度を変えるわけですから、そういう意味では、できるだけそれが投票される皆さんにも不便にならないように、それから地方団体の方にも管理がしやすいように、総務省もそうですけれども、各都道府県あるいは市区町村の選管とも十分相談しますし、いろいろな努力もいたしたいと思います。

 経費の使い方も、今副大臣言いましたように、なるほど老眼鏡その他、そういうことも私考えていいと思います。いろいろな工夫をこれからしたいと思いますし、国の仕事を地方にお願いするわけですから、これは法定受託事務ですから、その意味では、超過負担が出るということは本来あってはならないことなので、しっかりと努力いたします。

吉井委員 そこのところをもう一遍よく聞いておきたいんですが、さっきもあったように、とにかく物すごく字が小さくなるんですよ、これまでとは違って。ですから、自治体としても、老眼鏡、弱視者用ライトとか拡大鏡とか、いろいろ準備しなきゃいけないということを考えているわけですから、これまでもいろいろ費用負担で問題があったんですが、これらの老眼鏡、弱視者用ライトとか、その設置などにかかわる経費について、自治体と相談するにしても、超過負担となるものがないようにする、これをもう一遍プロの大臣からはっきり。

片山国務大臣 それぞれの現場で状況が違うでしょうから、よく意見を聞いてみますが、何度も言いますけれども、地方に超過負担を出すようなことは慎みたいと思っております。

吉井委員 次に、政府の方は、昨年来、IT革命、IT革命ということをずっと言ってこられたんですが、今やインターネットは、広く国民各層において各種の情報を知るために有効な方法として定着してきています。こうした状況のもとで、選挙運動におけるインターネットの解禁といいますか、具体的には、選挙運動のための文書図画をインターネットの図画に表示すること等を解禁するべき時期が来ていると思うんですね。

 この点についても大臣に伺っておきたいと思います。

片山国務大臣 御承知のように、去年、IT基本法を通していただいて、IT戦略本部というのを立ち上げまして、国家戦略であるe―Japan戦略というのを決めまして、それに基づくアクションプランも決めたばかりですから、五年後には世界で一番進んだIT国家にするという国が、今のような選挙運動をいつまでも続けることがいいのかどうかということは、かねがね私もIT担当の副本部長として考えておりました。

 しかし、これを選挙運動に取り入れるのはなかなか難しい問題がいっぱいあるんですよ、技術的なことを含めて。そういうことなものでございますから、選挙部にお願いしまして、参議院の選挙でも終われば、研究会をつくって、研究に着手いたします。

吉井委員 それで、インターネットのホームページの利用について、総務省の今までの解釈も解釈なんですが、IT基本法を通してもらったのでというお話で、要するに、今後検討していくという方向ですね。

 そこで、インターネットの活用というのは、政府がIT革命推進を強調してきたという立場から、当然、政府の方針そのものであるはずのことなんですが、この活用が、政党や候補者が多くの情報を簡便に早く選挙人に直接提供することができる、そして選挙への関心を高める、そういうことは、ひいては投票率を高めていくことに資することは明らかだと思うんです。

 参議院選挙後にそれを検討するということじゃなくて、今度の参議院選挙にも間に合うように、もっと早く検討を始めていく、そういう検討をして、実現の方向性を持って検討を進めるということが今大事なところで、私は、その点では大臣が指導性を発揮して取り組むということが今緊急に求められていると思うんですが、重ねて伺っておきたいと思うんです。

片山国務大臣 私が言いましたのは、結論を出すじゃなくて、研究を始めるので、少し早く始める、それは検討しても結構ですけれども、結論は出ませんよ、そんな簡単に。今言いましたように、インターネットそのものの普及が偏っているのですから、地域的にも、所得階層的にも、年齢的にも。そういういろいろなことを研究して、選挙制度というのは本当に公平に、どなたにも公平にしっかりした制度にしなければいけませんから、それは検討するのはやぶさかじゃありませんが、参議院の選挙前に結論が出るとか法制化できるなどというものじゃとてもございません。それはひとつ誤解のないようにお願いします。

吉井委員 私は、選挙が済んでからということじゃなくて、もちろん時間もかかるでしょうが、しかし、選挙の前にもそれを本当に進めていくという立場で検討を始める、取り組んでいくべきだ、このことを申し上げているわけです。

 それで、在外投票制度が昨年の総選挙から実施されているわけですが、海外在住者が選挙の情報を得るという点では、ますますインターネットの活用が大事になっているのですね。私は、この在外投票制度とかかわっても、インターネットの活用というものについては、これは本当に、大臣は物理的な面から法案化して出すのに時間がかかる、その言っている意味は私もわかっているのです。しかし、今度の参議院選挙だって、これから以降の選挙だって、在外投票制度を本当に効果的なものにしようと思ったら、これは早くそのことをやっていかないといけないのじゃないですか。

遠藤(和)副大臣 在外投票の制度ができまして、有権者は大体六十万人近くおりますが、実際に登録をしていただいたのは六万人で、実際に衆議院選挙のときに投票していただいた方が一万七千人でございまして、さらに登録が容易にできるように進めているところでございます。

 実際、各議員の皆さんがホームページをつくっていらっしゃいまして、それは世界じゅうに情報として流れるわけですから、こうしたものが日常的に選挙活動として利用できれば、世界じゅうの皆さんに候補者の主張だとか政策だとか考え方というものがすべて伝わるということで、大変有効な手段だと思っております。特に、参議院の非拘束名簿比例代表制というのは、候補者のことを全世界の人に知ってもらう、登録した方は、比例代表は全世界の邦人の方が投票できるわけですから、そういうことで大変大きな武器にはなる、有益な手段だと思っておるわけでございます。

 そういったメリットの反面、デメリットもございまして、インターネットは匿名性でもございますから、非難とか中傷とか個人攻撃だとか、そういうことも無差別に行われる可能性がある。あるいは、メールの配信をやりまして、一挙にたくさんの方々に情報を提供する、これも可能な手段になるわけでございますから、こうしたメリット、デメリット双方をきちっと議論して、無秩序な解禁ではなくて、きちっとしたルールに従って解禁をしていく、こういう方向で、少し時間をいただきまして検討させていただきたい、こういうことでございます。

吉井委員 インターネットを使って海外有権者ネットワークのニュースを見ることもできるわけです。実際に、海外にいらっしゃる方たちがインターネットで情報を交換しながら、昨年の海外在住者の投票の問題について、どこにどういう問題があったかとか、非常によく意見を交換していっておられるわけです。

 例えば、在外選挙人の登録の方法が、直接本人が在外公館に出向く必要がありますから、居住地と大使館とか領事館との距離がうんとある場合の問題とか、さらに在外公館は土曜、日曜は休みであることなどの問題もあるわけです。それから、登録制度をより使いやすくする、あるいは現在の制度のもとであっても出張登録なども可能になってまいりますし、登録制度の改善を進めていくことの検討をしていく必要はあると思いますが、これは一言で結構です。

遠藤(和)副大臣 登録申請主義ということが原則になっております。そして、本人確認ということで、本人が登録をする、これが原則でございまして、代理登録だとかそういうことを認めていない、こういうことでございまして、直接大使館に出向いていただくことになっているわけですが、大使館の方でも御努力をいただきまして、大使館員を出張して数カ所でそういう登録の機会をつくっていただいたりしておりまして、そういう努力があらわれていると思っているわけでございます。

 今後も、現在六十万人いて六万人ですから、さらにたくさんの方々が登録できる方法を考えていきたい、こう考えているところでございます。

吉井委員 在外公館投票は、国内の投票所で投票するに近い形で投票できるわけですが、前回、ロンドンの大使館では、日本人が多いのに実施しなかったとか、投票するための手続面での利便性の問題があったとか、在外公館で投票しようにも在外公館まで相当の距離があったりとか、そういったことがイギリスのネットワークのニュースで紹介されておりますが、やはり種々の問題が現にあるわけです。

 郵便投票をしようにも、できる地域に限定があったりとか、特に解散のある衆議院の選挙では、解散から四十日の間に居住国と日本の間を航空便で一往復半のやりとりが必要になるなどから、郵便事情の問題が完全に解決していないなど、前回の衆議院選挙で在外投票を経験した有権者からいろいろな指摘があります。また、参議院選挙において、当分の間、比例代表選挙に限るということにされていることから、参院選挙区でも投票したいという声も多いわけですね。

 せっかく制度が導入されたわけですから、これらを含めて、やはりもっと根本的な検討を加えて、より使いやすい制度に改善する、その点について、最後に大臣のお考えというものを伺っておきたいと思うんです。

遠藤(和)副大臣 在外投票制度を初めて導入いたしまして、衆議院選挙、そして今回参議院選挙となるわけでございます。

 特に、今度の参議院選挙は、非拘束名簿でございますから、政党名だけではなくて個人名投票もできるということになりますので、これが本当にうまく正確に着実にできれば、今は比例代表だけに限っているんですけれども、次の機会には衆議院も参議院も選挙区選挙も考えたらどうかという議論が起こってくるんだと思いますね。

 それからさらに、将来、電子投票制度というようなものができれば、これは一往復半というふうなものではなくて、即座に投票が電子投票で、インターネットでできるとなると大変すばらしい、投票の機会が拡大していくのではないか、このように考えておりまして、総合的に、技術の発展だとかそういうものも視野に入れながら、よく検討していきたいと思っております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

中馬委員長 次に、今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 今も各野党の皆さん方からそれぞれ具体的に質問がありますので、多分に重複するところもあるかと思いますが、再確認の意味も含めて質問させていただきたいと思っています。

 まず、参議院選挙もいよいよ間近に迫ってまいりましたが、何といっても二十一世紀に入って初めての国政選挙でもありますし、今一方では、小泉人気であるとか、あるいは田中外相にかかわるいろいろな話題が多くて、そういった意味で、是非を問わず、国民の皆さん方の政治に対する関心が従来からしますと大きく高まってきたという意味ではいいことではないかとも思うわけであります。

 そこで、先ほども御質問があったんですが、こういう国政選挙になりますと、やはり有権者の側からしますと、一時間でも早くその結果を知りたいというのは当然のことでして、そうした場合に、今度は参議院の制度、特に比例区の制度が変わったこともありまして、非常に複雑になったために、各地方自治体に相当無理が生じているのではないかとも思うんです。

 それで、昨日、新聞、テレビでも報道がありましたように、全自治体が即日開票ができるようになったんだという報道でありますが、自治体の実情、相当無理があるだけに、これは果たしてうまくいくのかなというふうに懸念もあるんですけれども、そこのところはいかがでしょうか。

片山国務大臣 詳しい答弁はまた選挙部長にしていただきますが、私は今、今川委員が言われたように、できるだけ、少しでも早く結果を国民の皆さんに知らせるのが選挙管理の責任者としての務めだ、こういうことで、都道府県、市区町村の選管の説得を粘り強くしてほしい、しかも単なる説得じゃいけません、予算の配分その他の工夫を加えて、いろいろな知恵も出し合って説得してほしいと。ある意味では、大変時間がかかりましたけれども、皆選管それぞれ納得していただいて、自分の決定として即日開票やります、こうやっていただいたので、大変選挙部は総力を挙げてやっていただいたな、こういうふうに思っております。各選管納得しての決定でございますから、私は無理はないと思いますし、ぜひ正確に、スムーズに即日開票を進めたい、こう思っております。

 選挙部長、何か補足があれば。

大竹政府参考人 ただいま大臣から御答弁ございましたとおり、私ども、実際の投開票事務に当たります市町村選管とはいろいろと意見交換しながらまいってきたわけでございます。

 それで、当初の段階では、やはり新しい制度でございますので、開票システムはどうなってくるのか、それに対する非常に不安感もあったようでございますし、それからまた、立候補者数がどのくらいになるのか、名簿登載数はどのくらいになるのか、それに対する不安も非常にあったようでございます。

 そういった意味におきまして、早い段階ではまだ即日開票ができないとする団体が多かったわけでございますけれども、だんだんと開票状況についてのいろいろな知恵というものがお互いの選管同士の交換等もあって出てまいったわけでございますし、それからいろいろな立候補者の状況に対する情報も出回ってきたことから、各選管とも、自主的にこれは即日開票できると判断した上で、きのうの段階までに決定いただいたものと思っております。

 各選管の御努力、工夫に対して、非常に敬意を表したいと思っております。

今川委員 さて、二点目ですが、今度の参議院の比例代表では、非拘束式になったこともあって、先ほどもあったようでありますが、十九政党が予定をされていて、少なくとも予算上は二百五十人分を一応準備している。前回の選挙の関係からしましても、候補者が百人は当然超えるだろう。

 それで、先ほどもあったことなんですが、投票記載台に張り出す比例選挙立候補者の名簿、非常に活字が小さくなりますね。それで、お年寄りなどに名簿を読んでもらうために各自治体で、私が聞いているところでも、拡大鏡だとか老眼鏡あるいは弱視者用のライトを購入したところもあるんだというふうに聞いていまして、これは再確認ですが、これらに伴う経費はきちっともちろん見ていくということでいいのですね。

遠藤(和)副大臣 執行経費の総額の中で融通してできるものと思っております。どうしても足らない場合は、調整費の中から出していただきます。すべて経費の中でできるということでございます。

今川委員 さて、三点目ですが、いわゆる新IT戦略本部がe―Japan計画を前倒しにして電子投票制度の検討を指示した、民間レベルでも実用化の機運が高まっているやに聞いております。総務省としては、広島県、先ほど大臣の方からは岡山県もとありましたが、そういったところの要請もあって、今国会に公職選挙法改正案の提出を検討していたが、見送りになったようであります。

 まず、この点に関して、一つは、電子投票の場合にパソコンなどの機器の操作にふなれな人への対策をどのようにするのか。あるいは、思いも寄らない事故などに際してシステムのセキュリティーというか、万全なのかどうか。それから、仮に電子投票をやるとなったら、これまでの投票方法と当然違ってきますので、プライバシー上の保護は守られるのかどうかといったような幾つかの疑問なり問題点を感じるわけです。

 それで、電子投票制度の具体的な検討の状況なり、あるいは今申し上げたようなことも含めた問題点についての御認識を少し聞かせていただきたいと思うんです。

片山国務大臣 こういうことなんです。直ちに制度化を考えておりません。今委員が言われたように、いろいろな問題点があるんです。

 そこで、私が今考えているのは、地方選挙で、特定の地方団体がぜひ自分のところでやってみたいというところに、これは制度としてはトライアルですよ、トライアルについて法的根拠を与えよう、そういう法案であります。全面的な制度化はずっと先です。先ですというか、いろいろな今の問題点がクリアできないといけません。

 そこで、今言いましたように、私のところに直接要請があったのは、広島市長さんと、岡山県の北の方に新見市というのがありますね、新見の市長さんでございまして、どちらも大変熱心なことは熱心です。そこで、私の方はその根拠を与える法案の提出を考えましたが、この国会もあと会期が残り少のうございますので、私どもの法案はまだまだありますから、物理的にこれはちょっと無理だな、党内手続はもちろん要りますし、そういうことで今回は見送ろう、こういうふうに考えておりますが、大変小泉総理が興味を持たれて、できればというようなお考えですが、研究します、こういうふうに申し上げております。

今川委員 今の御答弁で結構なんですけれども、いわゆる電子投票、私もやれるものならばというふうに思うんですね。例えば、障害を持っておられる方々も非常に投票しやすくなるとか、あるいは無効票だとか疑問票などがこれで解消できるであるとか、メリットの部分も随分あるように思いますので、今国会では間に合いそうにないということは理解しますけれども、できることなら、ぜひという思いがあらわれた以上、今私が申し上げたようなところだけでも、検討は一切なさってはいないんですか。

遠藤(和)副大臣 具体的な検討項目といたしましてお話がございましたが、機器の操作にふなれな人に対するアドバイザーをつけるとか、あるいはセキュリティーの問題をどうするか。

 セキュリティーの問題というのは、要するにだれがだれを投票したかわからないとか、どこの投票はどうだったかという投票の実態がわからないということで、オープンネットワークを使わない。ですから、投票所ごとにそこで完結してもらって、そのフロッピーディスクを開票所に持ってきてもらって、それで集計する、こういうふうな形のところが、各先進の電子投票制度を導入しているところもそうでございます。そういうふうなことにするとセキュリティーが守られるのではないかな、こう思っておりますし、悪用されないのではないか、こういうふうなことも考えておるわけでございます。

 いろいろ先進諸国の例も参考にしながら、具体的にどういうふうにトライアルができるかということを考えているところでございます。

今川委員 ところで、いま一つは、電子投票に入る前に、記号式投票の問題に関してなのですけれども、小選挙区制が導入される際に、記号式投票の導入というものが法律上はなっていたはずです。しかし、どういうわけか一回も実施されることはなくて、御承知のように議員立法で現在の自書式に改定をされたわけですが、その経過を少し具体的に確認をしておきたいと思うのですが、いかがですか。

遠藤(和)副大臣 事実関係でございますので、経過を順番に説明しますと、平成六年の小選挙区比例代表並立制を導入する公職選挙法の改正におきまして、投票方法は記号式投票とされたところであります。しかし、その法改正に先立つ、当時の連立与党と自民党によります政治改革協議会の合意事項では、「投票方法は、記号式の二票制とする。なお、参議院議員の選挙制度との整合性を考慮して、今後引き続き検討する。」このようにされました。その後、平成七年に、自社さ連立与党におきまして、投票方法を自書式投票とする法案がまとめられまして、提案されて、同年十二月に成立、公布、施行されたものでございます。

今川委員 なぜ記号式の問題に少しこだわりがあるかというと、現行の公選法の自書式投票の規定が、先ほど言いました電子投票の導入に関して、それを阻む壁になっているのかなというふうに思うのです。

 総務省として、電子投票についてどのような法的な措置を考えられているのか、そこら辺を少し御説明ください。

遠藤(和)副大臣 トライアルとして考えている法案の中では、投票用紙に自書して投票することを規定した例の公職選挙法四十六条の関係ですけれども、これらの規定にかかわらず、電子投票機器を用いて投票を行うことができるような特例規定を置く、こういうことで電子投票を可能にする、こういうふうな法律の枠組みを考えております。

今川委員 余り時間がないようなのですが、四番目に、供託金に関する問題で少しお尋ねをしておきたいと思うのです。

 日本の場合には、率直に申し上げて、特に諸外国と比べて供託金の没収点が厳し過ぎる、高いのではないかと思うのです。衆議院選挙では小選挙区で有効投票総数の十分の一に達しない者は比例代表の名簿から排除されるという改正が行われました。

 まず一点目には、諸外国の供託額ですが、イギリスの場合で五百ポンドですから、日本円に置きかえて約八万六千五百円ぐらいですか。フランスが九五年に廃止。それからニュージーランドの場合で、これは日本円で一万六千二百円ほど。カナダが約七万円等々といったぐあいに、我が国に比べると著しく低いですね。我が国の衆議院では、小選挙区比例代表重複立候補、各候補各三百万円はいかにも高過ぎるのではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょう。

大竹政府参考人 供託金につきましては、長い間、いろいろとこの委員会でも議論されてまいったわけでございます。確かに、日本の場合には諸外国に比べますと供託金の額が非常に高いものになっているのは事実でございます。

 一方で、選挙制度といいますか選挙運動につきまして、我が国の場合には非常に公営制度が充実しておりまして、各候補者に対する公営によるところの支出が非常に多くなっているわけでございます。そういった意味におきましても、例えば売名目的の泡沫候補等を排除いたしますためには、ある程度の額の供託金あるいは没収点を設ける必要がある、このような考えでおるわけでございます。

今川委員 もともと泡沫候補を排除する目的であったのでしょうが、オーバーキルになっているのではないかなと思います。最近は、特に無党派層が政治的な影響力を持つ中で、ざっくばらんに言うと、素人ができるだけ政治に参加しやすくなるというのが望ましいと思うのです。若者であったり女性であったり、最近だとNPO、市民が選挙に挑戦しようとする場合に、十分の一の供託金没収点というのはやはり厳しい。公営選挙の部分を自己負担させられるという他のペナルティーもあるのだと思うのです。

 総務省として、ここら辺で見直してみようというつもりがないのかどうか、オーバーキルになっているという認識に立たれているのかどうか、お聞かせください。

片山国務大臣 我が国の供託金は、これはいろいろな積み重ね、議論の中でできておりまして、今選挙部長が言いましたように、公営制度が充実しておりますから、これは税金ですから、余り泡沫の方が出て税金をどんどん使われてはいかぬという主張が根っこにあります。

 ただ、私は、これはいろいろな考え方があると思います。どうか各党各会派で適正な御結論を出していただきますように、お願いいたします。

今川委員 次の質問に入りたいのですが、時間的に途中で切れそうなのですけれども、こういうことなのです。衆議院の定数是正問題です。

 小泉総理も、この定数に関して、二倍以上に膨らんでいる衆議院小選挙区の定数格差を抜本的に見直すということを断言されました。衆議院選挙区画定審議会設置法第三条では、一対二未満と規定をされています。三条二項で各都道府県にまず一を割り振ることが問題を複雑にしているのではないかと思うのです。

 それで、まず伺いたいのですが、区割り画定審議会の審議状況はどうなっているのでしょうか。

大竹政府参考人 区割り審議会におきましては、昨年十二月に平成十二年の国勢調査結果が出されたことを踏まえまして、昨年の暮れに第一回を開催し、現在までに十回ほど開会されてございます。

 その間、全国三百小選挙区の人口等の動態の状況等につきまして、全都道府県にそれぞれレビューという形で、全体の流れについての検討がなされておるわけでございます。さらに、四月に入りましてからは、全国四十七都道府県の知事に対しまして、区割りの基準、あるいは現行の区割りの状況等に対しますところの知事意見を求めまして、それに対する聴取を行ったところでございます。

 現在は、こういったレビューあるいは知事意見等の結果を踏まえまして、審議会では、新しい区割りの見直しに際しましての具体的な基準をどうするのか、それの論議が今始められたところと承知しております。

今川委員 もう一点だけお聞きをしておきますが、改めて聞くのですけれども、もともと、あらかじめ各県に定数一を配分するということで、一票の格差の問題で、どうしても一対二の枠内におさまり切れないという根源的な問題があるのではないか。そういった意味で、各県に定数一を配分したのはなぜなのかということを改めてちょっとお聞きをしておきたいと思います。

大竹政府参考人 現在の定数配分につきましては、これは政治改革法案の審議の中で出された内容でございます。

 当時は、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に制度を変えられます際に、各都道府県に対します定数につきましても、かつての中選挙区制の場合におきますところと新しく再配分しましたところに、やはりかなりの差が生じてくるということがあったわけでございます。

 そういったこともございまして、国土の均衡ある発展という観点から、やはり人口の少ない県につきましても一定程度の定数を配分する必要があるのではないか、そのような議論の中から、現在の一人配当という考え方が出されたものと承知しております。

今川委員 時間がもうほとんどございませんので、もっとお聞きしたいことがありますが、次の一般質疑のときにまた改めて御質問させていただきます。

 きょうは、どうもありがとうございました。

中馬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中馬委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中馬委員長 午後四時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時六分開議

中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、農林水産省農村振興局計画部長百足芳徳君、国土交通省総合政策局観光部長鷲頭誠君、国土交通省総合政策局観光部企画課長大口清一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿久津幸彦君。

阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。

 本日は、現在の選挙制度が抱えるさまざまな問題点について質問をさせていただきたいと思います。

 これまで国民の政治離れという問題が指摘されてまいりました。衆議院選挙を初め選挙の投票率は戦後一貫して低下を続け、地方選挙においては既に三〇%を切るといった事態も生じております。特に、若者の政治に対する無関心は深刻であるということが言われてきました。しかし、小泉内閣が誕生してから、この一カ月を振り返ると、国民の政治に対する関心が非常に大きくなってきているということをひしひしと感じます。今、国会はどうなっているのか、国会議員は何を議論しているのか、小泉総理の改革断行宣言は本物か、そうしたことに国民の熱い視線が寄せられております。テレビの国会中継が巨人戦の視聴率を上回ったとも聞いております。従来では考えられなかったことが起きているわけです。

 つまり、国民の政治離れというのは大きな間違いであったと私は考えております。国民が離れていったのは、政治そのものではなくて、派閥政治や利権談合政治に象徴される古い既成政治だったのではないでしょうか。だからこそ、派閥の解消や構造改革を掲げる小泉内閣の登場がこれほど大きな国民の関心を呼んでいるのだと思います。

 さて、国民が政治にかかわっていく上で最も大きな手段の一つが選挙であることは言うまでもありません。本日、私が選挙制度の問題を取り上げるのは、現行の選挙制度には民主主義国家にはあるまじき規制が多過ぎるのではないか、国民の政治参加や政治家と国民のコミュニケーションをむしろ妨げる仕組みになってはいないか、そうした疑念を常々感じているからであります。選挙制度もバリアフリーの精神が必要です。

 そこで、そうした問題点の幾つかについて、これから質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、選挙権年齢の引き下げについて伺いたいと思うんですが、現行法では選挙権年齢は二十歳からということになっておりますが、その根拠は何でしょうか。選挙権年齢と成人年齢が一致する必要があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 憲法十五条三項では、成年者による普通選挙を保障しているわけですけれども、具体的に何歳からであるかということについては、法律にゆだねているわけですね。したがいまして、公職選挙法で二十歳と決めているわけですけれども、民法上の年齢と理論的に同一である必要はあるのかというお尋ねであれば、それは必然性はない、必ずしも一致しなければならないということではありません。

 しかし、実際問題といたしまして、経済社会において自己のために司法上の行為をするに十分な判断能力を備えているとみなす民法上の成年と、政治に参加して選挙権を行使するというにふさわしい判断力を持っているとみなす選挙権年齢とを異にするだけの十分な理由があるのかどうか、ここは議論のあるところだと思います。

 さらに、選挙の公正確保と選挙犯罪の関連とを考えますと、選挙権年齢の問題は、まず民法上の成人年齢それから刑事法上での取り扱いなど、法律体系全般との関連がありますので、十分に考慮しながら検討すべき事項である、このように理解をしているところでございます。

阿久津委員 もう少し深くそこのところを伺いたいと思うんですけれども、要するに、選挙権年齢と成人年齢というのは必ずしも一致しないということだと思うんですけれども、私は、今おっしゃろうとしていることは、むしろ前提の部分で、どちらかといえば、成人年齢が一つ設定されている、それ以上の部分で選挙権年齢を設定するべきだというふうに考えているのでしょうか、ちょっと確認したいのです。

遠藤(和)副大臣 そうではございませんで、いわゆる民法上の成人という規定と公職選挙法上の選挙権年齢は、理論的には一致する必然性もないけれども、それを異にするだけの積極的な理由を見出すのはなかなか難しい、こういうことでございます。

阿久津委員 第百四十二国会の衆議院公選法特別委員会で田中甲議員が質問をしておりまして、それに対する政府委員の答弁にこんなものがあるのですね。「むしろ、成人年齢の中で選挙権の年齢要件をどうするのかという物の発想ではなかろうか、それが今は成人年齢と一致している、こういうふうに御理解をいただければと思います。」というふうに答弁しているのですけれども、これをやはりストレートに読むと、ある種の前提、一つの前提はわかりましたよ、つまり刑法の部分と民法の成人年齢の部分ですけれども、刑法、少年法とかいろいろ関係法令はありますけれども、それとともに成人年齢というのは非常に重きを置かれているのではないか、それを前提にした上で選挙権年齢を決めると考えていいのではないかというふうに思うんですが、ちょっと大臣、答弁いただけますか。

片山国務大臣 恐らく、成人年齢と同じにした方がいいという判断だと私は思います。

 民法、刑法も二十歳というのを一つのメルクマールにしておりまして、それから扱いを変えておりますから、一人前というのは二十歳以上ということが昔からの、観念的にも、そういう社会通念でございますから、そこに恐らく合わせたのだろうと私は思いますし、それはそれでよかったのじゃないかなと思っております。

阿久津委員 それでは、ちょっと伺いたいのですけれども、選挙権年齢引き下げが当然議論されているわけなんですけれども、そのメリット、デメリットというのをちょっと確認させていただきたいのです。

遠藤(和)副大臣 民法や刑法等の成人年齢に合わせまして選挙権年齢が引き下げられた場合は、これは責任を持つ若者として、当然政治に対しても関心を持っていただけるということでございますから、そういう若い人たちの意見が政治に直接反映される、そういう意味ではメリットはあると思います。

阿久津委員 今の遠藤副大臣の答弁というのはなかなか意外な答弁だったのですけれども、私もそう思っているのです。今までだと、十八歳になれば政治問題を判断する能力があるとか、いやいや十八歳じゃなくて二十歳なんだ、そういう議論で終始していたと思うんですけれども、今のお話は、やはり若い人の意見を政治に反映させる必要が出てきているんだというふうに、傾向で思うんですね。

 それで、諸外国の部分なんですけれども、当然いろいろと比較されていると思うんですが、諸外国はもうほとんど十八歳に引き下げられております。特にイギリスでは、最近はもう十八歳じゃなくて十六歳に引き下げようじゃないかという流れもできている。ちなみに、どのぐらいかというと、皆さんの方が御存じだと思うんですけれども、百九十一カ国のうち百四十四カ国以上ですか、もう選挙権年齢が十八歳になっています。特に先進国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、みんなこれはもう十八歳ですね。いい悪いの問題ではないかもしれないですけれども、むしろ発展途上国の方が選挙権年齢が二十歳以上になっているというふうに理解をしているんです。

 そこで、世界的な選挙権年齢引き下げの大きな流れもあるし、また、先ほど遠藤副大臣がおっしゃってくださったように、やはり若者の意見を政治に反映させるメリットもあるんだということであれば、ちょっと大臣にお伺いをしたいのですけれども、民法、少年法、関係法令等が十八歳を成人とするならば、それを前提としてというふうに置きかえてもいいのですけれども、選挙権を十八歳に引き下げることは可能でしょうか。どうお考えでしょうか。

片山国務大臣 今、民法、刑法と連動しているのは、別にこれは連動させようということじゃなくて、結果として両方の考えが一致して二十歳になったと思いますよ。

 私は、今、遠藤副大臣から御答弁ありましたが、なるほど若者の政治的関心が強まっているということは大変いいことだと思いますけれども、やはり政治に参加をするには、思慮分別があり、それだけの社会的責任を果たす人でなければいかぬと思います。

 そこで、今、我が国の状況を見たときに、十八歳に引き下げてどれだけ投票に行ってもらえるだろうかということが一つと、やはり一種のポピュリズム、政治がそういうことになる可能性もなおあるので、私は、そこは十八歳に引き下げるべきかどうかは慎重に検討する必要がある。外国の例は、委員言われるとおりでございまして、十八歳というのは多うございますけれども、私は、我が国の現状を見るときに、今言いましたようなことから、もう少し慎重に検討すべきではなかろうか、メリットだけではないのではないか、こういう感じを持っております。

 これは別に総務省の意見でもございませんで、私が勝手に言っておるわけでございますが、そういうふうに御理解賜りたいと思います。

阿久津委員 私は、今の発言は五十年前の発言じゃないかというふうに思うんですね、ちょっと失礼なんですけれども。五十年前に内務事務官が同じことを言っているのです、「年齢というものが、何と申しましても人間の思想の円熟さ、分別経験の程度というものをあらわす」。それで、大分遠藤副大臣と感覚に今ずれがあったというふうに思うんですが、私は、これはやはり大臣にここで英断を振るっていただきたいと思うんですよ。

 国会答弁をずっと追ってきても、大分変わってきているのです。平成十年二月に、橋本総理が「法律体系全般との関連も十分考慮しながら検討」ということを、引き下げの問題について答えています。その後、平成十二年九月、森総理は、それに加えて「各党各派で十分御議論をいただきたい」とおっしゃっているのですね。それで、ちょっとさかのぼってしまうのですが、野田毅大臣は、平成十一年三月ですけれども、もっと前向きなんです。十分検討する価値はある、そういう時期にあると思う、それだけにぜひ各党各会派で御議論を煮詰めていただければありがたいというふうに答えています。これはちょっと誤解がないように申し上げておくと、野田毅大臣は個人の部分と所管大臣として、両方あわせ持った立場でおっしゃっているというのはつけ加えておきます。

 それで、実際、各党各会派の動きを見ていると、これは間違いがなければ、済みません、確認する時間がなかったので申しわけないんですが、民主、公明、共産、社民は何らかの形で公約に掲げているというふうに理解しております。問題は自民党でございます。自民党も議論を煮詰めてほしいんですね。いつも何でもかんでも小泉総理がイニシアチブをとって、やりますと言って、それに従ってやるんじゃ、ちょっと格好悪いじゃないですか。

 大臣、ここはイニシアチブをとって、引き下げを自民党の中でもっと議論させていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 今御紹介がありましたように、時系列でいろいろな方がいろいろなことを言っておりますが、結論は、各党各会派で適正な結論を、こういうことですね。だから、私は、基本的には選挙権年齢問題は選挙制度の根幹に関することだと思いますから、最終的には、各党各会派で十分な議論の上、結論を出していただければいい。内閣としてどういう対応をするかということは、今までの選挙制度については十分に各党各会派の結論を尊重してきた、こういうふうに思います。だから、今委員が御指摘のように、自民党の中でもう少し議論を煮詰めるということは、自民党の中には選挙制度調査会がございまして、中馬委員長は大幹部でございますので、皆さんおられますから、大いに私は議論を起こすことは必要だと思う。

 ただ、私は、五十年前同じ議論があったと今初めて知りましたけれども、もう少し慎重にやる必要があるのじゃなかろうかな。五十年前の二十歳と今の二十歳と似ているのか似ていないのか、これはいろいろな議論がありましょうけれども、各党各会派でお決めいただければいいんですが、私は、個人的にはそういう感情やら持っておりまして、やはりポピュリズムということがいいのか悪いのか、これは評価はありますよ。ありますけれども、そういうふうなことになるのがいいのかなという感じをやや持っておりますので、それじゃおまえ、二十や二十一が十八、十九と比べてそんなに違うかと言われると、それは自信がありませんので、なお私自身も大いに自分の中でいろいろ考えていきたいと思います。

阿久津委員 本当は中馬委員長に御答弁いただきたいんですが、そういうわけにもいきませんので。ちょっと大臣、今の答弁には私は納得できないし、非常に残念に思います。

 それで、ポピュリズムというふうにおっしゃいましたけれども、ポピュリズムではないと思うんですよ。今、逆に、本当に十代、二十代に熱心な若者がたくさんいるんですね。そういう意識調査をもっとしていただきたいというふうに思うんですけれども、一九七一年から七八年にかけて、十六歳から十九歳まで及び二十歳以上の国民を対象に世論調査が極めて公的に近い機関で行われているんですね。その後は実施されていないんです。つまり、七八年以降は実施されていない。

 総務省は、こうした調査を行う必要があるというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

遠藤(和)副大臣 お尋ねの件は、昭和四十六年に調査をしたんですけれども、その結果は、十六歳から十九歳までの層も、それから二十歳以上の人たちの層も選挙権年齢を引き下げることに反対の人が多い、そういう調査結果でした。そして、その傾向が昭和五十三年ごろまで変わっていない、そういう状態があったものですから、その後は調査をしておらないわけでございます。

阿久津委員 今遠藤副大臣のおっしゃるとおりなんですけれども、その後、大きな国民意識の変化があったというふうに私は考えております。

 これは十代、二十代で選挙権年齢を引き下げることを訴えてできた若者のグループなんですけれども、政治参加を目指してできたライツというグループがありまして、そこが調査した資料なんですが、昨年の衆議院選挙の直前に、全候補者千百二十四名を対象にアンケート調査が行われました。回答率は四一・三%、四百六十四名だったというふうに聞いているんですけれども、この中で、十八歳への引き下げに賛成だったのは九三%なんですね。これは全候補者です。

 もちろん、これは一〇〇%の回答じゃないですから、政党には少し偏りがあるでしょうし、どちらかといえば賛成する人がアンケートに答えやすいなという傾向はもちろん十分わかっているんですけれども、こういったことも踏まえて、私は、ぜひこの調査をやっていただきたいんですね。

 ちょっと大臣に伺いますけれども、十六歳から十九歳まで及び二十歳以上の国民を対象に、選挙権年齢引き下げについて、総務省として世論調査をする意思があるのかどうか、一言お答えください。

片山国務大臣 総務省としては、そういうつもりがありませんので、本年度の予算にもありませんけれども、委員のせっかくの御指摘ですから、検討だけはしてみたいと思いますし、何度も言いますように、基本的には、こういう問題は各党各会派で党として御議論いただくことが私は前提だと思いますので、党の中馬委員長初め関係の方に言って、よく協議をいたします。

阿久津委員 ようやっと検討というところまで引き出せたというふうに思っておりますので、後は、遠藤副大臣、ぜひ大臣を説得していただけますよう、よろしくお願いいたします。

 被選挙権についても少しだけ質問したいんですけれども、現在、被選挙権は二十五歳ないし三十歳でありますが、その根拠は何でしょうか。成人に被選挙権を保障しなくてもよいのでしょうか。

遠藤(和)副大臣 憲法第四十四条は、両議院の議員は、その選挙人の資格は法律で定める、このように規定しておりまして、また憲法第十五条三項は「成年者による普通選挙を保障する。」こう規定しているわけでして、一定年齢の選挙権また被選挙権も法律でこれを決めているということでございます。

 選挙権と被選挙権の年齢に区別を設けておりますのは、社会的経験に基づく思慮と分別ということを期待したものでございまして、この年齢がそれぞれ適当であるとされているわけでございます。

阿久津委員 もう少しこの問題についても話を伺いたいんですが、時間の方がかなり詰まってきまして、ほかの話題に入らせていただきたいと思います。

 次に、一票の格差是正についてお伺いをしたいと思うんですけれども、いわゆる一票の格差は何倍くらいまでなら許容範囲とお考えでしょうか。

遠藤(和)副大臣 いわゆる一票の格差は、先ほどクエスチョンタイムでもお話があったようですけれども、やはり二倍以内、こういうのが妥当なところだろうと思っております。

阿久津委員 小泉首相は、次期衆議院選挙までに衆議院小選挙区の一票の格差を二倍以内に是正する方針を表明していらっしゃいますけれども、是正へ向けた大臣の意気込みを伺いたいんです。

片山国務大臣 御承知のように、昨年の国勢調査を受けまして、衆議院議員選挙区画定審議会がことし早々から、もう今作業に入っておりまして、十二月までには結論を出す、そういう中で、しっかりした答申を出していただけると思いますから、答申は、もちろん二倍というのが一つの目標でございますので、それが出てくれば政府としては最大限尊重いたします。

阿久津委員 どうもありがとうございます。

 その是正の二倍という範囲とともに、小泉総理は、基礎配分の部分についても言及されておるんです。小泉首相は、都道府県にまず一議席を割り振る基礎配分方式の見直しについても話されているんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか、大臣。

片山国務大臣 今の画定審議会は、基礎配分した上での二倍ですから、そこのところは現行制度に基づく二倍以内でございますので。

 この基礎配分をどうするかは、小泉総理は予算委員会でああいう答弁をされましたが、これこそまさに各党各会派で十分な御議論を賜りたい、こういうふうに思っております。

阿久津委員 新聞等によりますと、自民党の中の地方議員からも大分この問題については異論も出ているというふうに聞いております。私は、やはり基礎配分は国民にとってはわかりにくい制度だというふうに思っております。ぜひここのところを本当にフラットな形にしていただきたいということをお伝えして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次に、在外邦人の参政権について、先ほどほかの委員から質問がありましたので、簡単にお伺いしたいと思うんです。

 現在、在外邦人は比例選挙しか投票できないという形になっているんですが、なぜ比例しか認めていないんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 これはこの委員会で議論がありまして、実は、選挙区も認める法案もその当時出てきたわけですね。私はそのときは選挙区も含めるという法案を提案していた方なんですけれども、結論といたしまして、憲政史上初めてやる在外邦人の選挙権付与法案でございますから、まず衆議院選挙も参議院選挙も比例代表選挙に限ろう、各党各会派の議論でそういう結論になった。

 その理由は、外国に住んでいらっしゃる方に個人の名前を覚えていただくのはなかなか難しいだろう。したがいまして、当時は参議院選挙も党名選挙でございましたから、衆議院選挙も参議院選挙も党名で選挙をしていただくところから始めよう、こういう議論の経過で比例代表選挙に限る、このようにしたということを記憶いたしております。

阿久津委員 たしか法案では当分の間みたいな書き方があったというふうに思っておりますが、その流れからいえば、選挙区選挙についてもいずれ実施するんだということだと私は理解しているんです。

 当時、私も政党職員をしていまして、外務省が、当然煩雑な事務を受け持つのは外務省ですから、大分慎重になられていたというふうに思っているんですけれども、今度の新しい参議院の比例区はもっとややこしい選挙で、それにかなりの努力をされて外務省は今取り組んでいらっしゃるんですが、選挙区投票を海外で行う実務を引き受ける外務省は、指示があればできる準備はもうできているんでしょうか、あるいはそういう体制になりそうでしょうか。いかがでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 在外における選挙の実施を担当しております外務省といたしましては、先生御指摘の選挙区選挙につきましても、仮に将来、対象となった場合には、引き続き公正かつ適正な選挙の実施に向けて努力していきたいというふうに考えております。

 なお、昨年の在外選挙後に寄せられました海外有権者からの声の中には、仮に選挙区選挙も対象になれば有権者の関心もさらに高まるであろうというような意見もあったと承知しております。

阿久津委員 非常に前向きな御答弁、本当に感謝申し上げます。

 そこで、大臣に一応確認ですね。条件は整ったと思うんですけれども、ずばり、在外邦人の参政権、選挙区も含めて行う意思があるかどうか、一点お聞きしたいと思います。

片山国務大臣 今外務省の答弁もありましたし、我々としては拡大した方がベターだと思いますよ。

 ただ、御承知のように、六十万人ぐらいおるんですね。ところが、登録していただいたのは六万人で、実際投票していただいたのは一万七千人なんですね。だから、そこのところを、どうやったらたくさんの方に登録していただいて、参加していただけるかということも考えながら、今は比例区でこの状況ですから、それをもっと拡大したときに手間とお金が大変なことになるんで、そんなことを言っちゃいけませんけれども、今度制度を直して六十億か何億か選挙管理費がふえますことについていろいろ御指摘もいただきましたので、費用対効果と言ってはいけませんが、そういうことも含めながら、方向としては拡大の方向で検討いたします。

阿久津委員 まさに今御自身がおっしゃったように、そんなことを言っちゃいけないんです、大臣。これは国民の基本的な権利なんですから、日本にいようと海外にいようと、投票するというのは大事な権利だと思います。ぜひそこのところを御理解いただきたい。むしろ陣頭に立って指導していただきたいというふうに考えております。

 最後になりましたけれども、本当はほかにも、戸別訪問の解禁についてとか記号式投票についても話をしたかったんですが、もう時間となってしまいました。世にゲリマンダーという言葉がございます。自分の党に有利になるように選挙区の境界線を不自然にねじ曲げ、切り刻むこと、それをゲリマンダーというふうに言ったわけですけれども、自分や自分の所属する政党に有利な選挙制度をつくりたいというのは、私たち政治家のさがかもしれません。しかし、私たち倫選特の委員は、こうしたゲリマンダーの過ちに陥ってはならないと考えております。いかに国民の意思を正確に政治に反映させていくのか、その一点のみを公正かつ無私の精神で考え、選挙制度を考えていかなければなりません。そのことを最後に訴えて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中馬委員長 次に、石井紘基君。

石井(紘)委員 片山大臣、御苦労さまです。

 野党四党と無所属の会派で政官業癒着型選挙監視委員会、こういうものをもう何カ月か前からやっているんですよ、御存じいただいているだろうと思うんですが。これは特に参議院の比例区の選挙、かつては全国区選挙、こういう中で大変激しく行われてきた。

 大体、どうしてそういうものが選挙に、ある意味で、悪い意味で有効かといいますと、日本の国の財政制度、予算の仕組み、一般会計には公共事業費なんというのは九兆円ぐらいしか書いてありませんが、実は、公共事業費は国全体でどのぐらい使われているかというと、特殊法人なんかのものも含めると六十兆円ぐらいですよ、一年間に。そういうことを御存じあるかな。あるいは補助金、これもまた一般会計には二十兆前後しか書いていないんだけれども、実際には五十兆ある。こういうものをだあっといろいろなルートで流していきますから、しかも、特別会計を各役所が握って、予算の配分権を握って、事業予算の決定権も握って、そしてやっているわけですね。そういう中で、大変、業界と企業そして役所が結びついて、結託して選挙をやりますと、金も集まってくるし、票も出てくるというのがこれまでの選挙のあり方だった。

 そういう中で、小泉政権になって、大臣も以前の森政権のときとはまた違った新たな思いで取り組んでおられるだろうと思いますので、私が具体的な例を幾つか、一つや二つじゃありませんよ、幾つか出して、そしてこれを究明していくことに、大臣としても率先して取り組んでいただきたい。

 一つは、私は昨日、東京駅の隣にある国際観光会館、あそこの四階へ行ってきました。そこに何があるかといいますと、自民党の公認候補、藤野公孝さんというのですか、運輸省の役人出身の候補者、比例区。この人は、運輸省の運輸政策局観光部長、そして大臣官房総務審議官を歴任して、昨年役所をやめて、ことしの選挙に出るということなわけでございますが、その後援会が観光会館の四階にあるわけでございます。

 事務局長さんは、ここに名刺をもらってきたのですが、お名前は滝澤進さん。この人は、やはり運輸省を平成九年七月に航空局長で退官をされて、九年七月から社団法人日本観光協会の理事長をやっておる。事務局次長はといいますと、岡野貢さん。これは平成十二年、昨年の七月、運輸省を運輸政策局観光部企画課長補佐官で退官をされて、まだ五十二歳か三歳ですよ、何のためにやめたのですかね、藤野さんが当選したら何かなるんですかね。それで今、社団法人日本旅行業協会の研修部長をやっておる。まだほかにもたくさんいましたよ、お役人さんの顔というのは大体似たり寄ったりですので、そんな雰囲気の方が。この二人は、少なくとも後援会の事務局長と事務局次長。

 この事務局次長の所属しておる社団法人日本旅行業協会、これはどういう団体か見ますと、法律にも規定されている団体なんですね。旅行業法というのがありまして、旅行業法の二十五条の二、二十五条全体に書いてありますね。旅行主任者資格というのですか、何とこれはその試験をやる指定団体になっているわけですね。二つ指定団体に指定されているのですが、これはそのうちの一つです。

 この法律によりますと、いろいろ書いてございますが、第二十五条の二の八というのがありまして、ここには「旅行業協会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」つまり、みなし公務員ということです。これはそういうふうに国家試験をやる団体ですから、指定されている団体ですから、こういうところの役員や職員は公務員とみなすという面で、いろいろなモラルの面、さまざまな面で公務員扱いとなっておるわけです。

 私は、これは明らかに選挙法あるいは公務員法に違反する行為であろうというふうに判断をいたしまして、きのう、直接この事務局長から詳しい話を聞きました。専従で来ておる。そして、事務局次長の岡野さんは、大体二月ごろから専従になっておるようです。出勤は毎日ですよ。週に一回ぐらいは本家の方へ行ってちょっと事務処理をしてくる、それ以外は詰めっきりだということで、では何を担当しておるかということも伺いました。そうしましたら、これは旅行関係の団体あるいは旧運輸省関係の団体の組織対策だ、こういうことも率直に事務局長さんが言われました。

 これは大変だというので、その帰りがけに私は警視庁へ行って、こういうことを放置して選挙がやられることはえらいことだと。これだけじゃないんですから、後から言う農水省の土地改良にしても、旧建設省にしても、すべての例の官庁出身の自民党比例区の候補者は同様の形でやっているわけですから。

 そこで、私は、こういうことについてどういうふうに思われるか、まず総務大臣、ここには大臣は総務大臣しかいらっしゃらないな、片山総務大臣はいつも歯切れがいい答弁をされるので、ちょっと御感想をいただきたい。

片山国務大臣 みなし公務員も公務員に準ずるのでしょうが、公務員は公選法百三十六条の二の一項で「その地位を利用して選挙運動をすることができない。」こう書いてありまして、お話しのように参議院の選挙がだんだん近づいてまいりましたので、六月一日付で私の命で総務事務次官が各府省の事務次官と地方公共団体の長に対しまして、公務員が服務規律を厳正にして法律に反するようなことをしちゃだめだ、特に選挙運動について、そういう通達を出しております。

 お話は大変関心を持って聞かせていただいておりますが、私どもの方は、事実認定をしてあれこれ言うあれはないことは御了解いただきたいと思います。

石井(紘)委員 そうしますと、こういう行為は違法行為になるから、したがって、大臣の命をもってそういう指示を出したというふうに理解してよろしいですか。

 警察庁においでいただいておりますので伺いたいと思いますが、警察庁、そういうことで違法行為というのでございますから、私はきのう、警視庁の捜査二課に行ってまいりましたから、ひとつ鋭意、これは六月一日付と今大臣はおっしゃったのですけれども、きのうは六月五日でございますから、六月に入ってもまだやっておるというのが現実でございます。

 そこで、警察庁に、この捜査あるいはこうした問題に対する適正な取り組みについての決意をひとつ伺いたいと思います。

五十嵐政府参考人 警察では、選挙違反取り締まりを通じまして選挙の公正確保に寄与するという責務を持っておりまして、いついかなる選挙におきましても、不偏不党かつ厳正公平な立場を堅持して選挙違反取り締まりに当たっているところでございます。公務員の地位利用につきましても、こういった観点に立ちまして、これまでも厳正な取り締まりに当たってきたところであります。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に基づいて厳正に対処する所存であります。

石井(紘)委員 ちなみに、国家公務員法百二条に、公務員の政治活動あるいは選挙活動に関する関与について厳しく定めた規定がございます。職員は政党その他の政治団体の役員、政治団体ですから、これは政党だけじゃありません。政治団体の役員あるいは政治的顧問、その他これらと同様の役割を持つ構成員となることはできない、はっきり書いてあるわけです。

 この百二条には、人事院規則で定める政治的行為というようなことが規定されておりますが、この政治的行為というのは、仮にその公務員やみなし公務員が休暇中であろうと、あるいは休職または停職中の者及びその他理由のいかんを問わず一時的に勤務しない者をも含むすべての一般職に属する職員に適用する。この趣旨は、これは一般職と書いてありますけれども、これは今言った、みなし公務員も含むという総務大臣の答弁がそのままもちろん適用されるわけですね。その他いろいろと厳しく各所に公務員の政治的行為については記載をされているところなわけであります。

 そういたしますと、これは明らかに違法行為をやっておるということになりますけれども、さて、この所管は旧運輸省でありますので、国土交通省、どういう対処をするおつもりですか。

鷲頭政府参考人 ただいまお尋ねの旅行業法のみなし公務員の関係でございますが、旅行業法によりますと、旅行業務取扱主任者試験というのがございまして、それを旅行業法に基づいて旅行業協会に代行させることができるとされておりまして、国家試験として適正かつ公正に実施される必要があることから、試験事務に従事する役員または職員は、試験に関する守秘義務を課せられるとともに、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなされているところでございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。

 このみなし公務員規定は、すべての法令について公務員であるがゆえに罰則がかかるものかどうかという点につきましては、一般的には刑事罰の適用については文言に則して厳格に解釈すべきと考えておりまして、旅行業法のみなし公務員規定については、試験事務の適正性あるいは公正性を確保するのに必要な範囲において、試験事務に従事する役員及び職員に限り刑法その他の罰則の適用があると解釈されておりまして、具体的には、その趣旨を踏まえた各法律ごとに判断すべきものであると私どもは考えております。

 それで、今お尋ねの公職選挙法の関係でございますが、本条百三十六条の二の公務員等の地位利用による選挙運動の禁止という規定につきましては、みなし公務員規定が別途個別法令に明記されております各種公団法についても、改めて公選法の百三十六条の二に規定、限定列挙されているということから、御質問のようなJATA、日本旅行業協会の職員につきましては適用がないものと私どもは考えております。

石井(紘)委員 あなたは総務大臣と違う答弁をしているので、田中眞紀子さんじゃないけれども、どうするんですか、こういうのは。

片山国務大臣 先ほど石井委員に答弁しました中で、私は、みなし公務員を含んでと言いましたね。そこで、この選挙の地位利用の場合には、みなし公務員を限定列挙しているんですよ、法律の中に。その中には、旅行業法に基づく旅行業協会は入っていないんですよ。

 これは立案の過程で、地位利用についてはどこまで見るかということで大変な議論があって、今言ったものまで広げようかという議論があったのですけれども、今の旅行業法に基づくこの協会のやるのは試験の代行ですから、そういうことまでみなし公務員で公務員と同じように枠を広げるのはどうかということで、これは立案の過程で限定列挙になったんですよ。だから、その限定列挙の中になければ、この地位利用についての適用はないのです。ひとつ御理解を賜りたい。

 私が言ったみなし公務員を含んでというのは、限定列挙のみなし公務員でございます。だから、答弁にそごはありません。

石井(紘)委員 みなし公務員、「公団等」とか「等」という字が入っておりまして、あとは個別の、個別法というのか何というのか、旅行業法みたいな、こういうものがたくさんあるんですね、指定法人。これは、今あの人が答弁したように、試験に従事する人はだめだとか、そういうことではなくて、この旅行業法の法律の中にも、「旅行業協会の役員及び職員は、」というふうに、全部ひっくるめて書いてあるわけですね。それは、あの人の言う論理だと、公務員の中でも例えば何々に従事する人以外の公務員は適用されたり適用されなかったりというようなことになってしまうわけで、そういう問題ではないので、法律も我が国では残念ながら縦割りになっておりまして、こういうようなものもつくってあるんだけれども、法制局も法務省もこの解釈がきちっとできない。それで、この担当の国土交通省の、旧運輸省の観光課かなんかが解釈するなんて、そんなのでは法律じゃない。さっきの総務大臣が最初に言われた答弁が正しいんです、これは。

 いいですか。何でここにわざわざこういうふうに規定しているか。もし鷲頭観光部長が言うように、試験に従事する者だけだというのだったら、こういう書き方はしないんだ。その前の項に、今言っているのは八ですけれども、七のところにはこう書いてあるわけですよ。「試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」これは、この試験に従事する人の試験事務について七で書いているんですよ。わざわざ八でさっき言ったように書いてあるということは、これは試験事務だけじゃありませんよ、そこに働く人は、役員であろうと職員であろうと、これは夜であろうと昼であろうと、うちに帰ってからであろうと、これは公務員とみなすんですよ、そういう規定に決まっているじゃありませんか。

 そういう勝手な縦割りの、自分のところに都合のいいような解釈をするということはけしからぬ。これは法律なんだから、国会で決めているわけなんだから、あなたたちが案をつくって国会で決めているわけなんだから、そういう整合性のとれた法律解釈をしなきゃいけない。

 それで、これは今の岡野貢さん、事務局次長ですよ。後援会の事務局長が社団法人観光協会の理事長、その人がそこの社団法人をほったらかして、選挙に没頭しておる。どうなんですか、これは。あしたから両方ともやめさせますか。どうですか、大臣。

片山国務大臣 ちょっと今の石井委員と国土交通省観光部長さんのこの法律論については、ちょっと選挙部長から詳しくあれしますが、何度も言いますように、石井委員、事実認定をしなければ法律にどうかという議論はなかなかできないんですね。ところが、その事実認定をする権限も私の方にはありませんから、一般論になりますけれども、やはり公益法人の特に役員の皆さんは、公益法人の趣旨というのがありますから、できた趣旨、設立の趣旨、そういうものを尊重して身を処するということは必要だ、一般論でございます。何のためにその公益法人をつくったか、何のために認可されたか、そこを考えていろいろやっていただくということがベターだろうと思います。

 ちょっと法律関係だけ、言わせてください。

大竹政府参考人 公職選挙法百三十六条の二におきましては、公務員等の地位利用による選挙運動の禁止規定を設けているわけでございますけれども、この中では、第一号で「国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人の役員若しくは職員」と定めておりまして、第二号におきまして各種公団それから公庫の役員、職員と規定しているわけでございます。したがいまして、公職選挙法の解釈といたしましては、ここで言う地位利用の対象になりますのは、ここに限定的に列挙されているものに限るということでございます。

 ただし、ここで言う公務員に該当するかどうかにつきましては、個別の法律の解釈によって定められるところであろうと思っております。

石井(紘)委員 だから、公団とか独立行政法人とか、そういうふうに基本的な法律に基づいてできている、特に行政との密接な関係、国との密接な関係のあるものは、これは幾つか特殊法人の名称なんか列挙してありますよ。だけれども、指定団体なんというのは何百とあるんですから、それを全部法律に列挙できないからここには列挙していないだけなんだ。だから「等」という字を書いてあるんですよ。いいですか。

 そうしますと、指示を出した、それは大臣のどういう形で出したんですか。通達ですか、何ですか。そして、それは強制的な力を持ってというか、総務省としては、そうした公益法人の今趣旨を言われましたけれども、公益法人の設立というのは選挙をやらせるためにつくったんじゃないわけですから、そういう公益法人の中には補助金だとかあるいは天下りが行っているのがたくさんあるわけで、省庁の所管になっているわけですから、そういうところの者が選挙に没頭してしまうようなことは直ちにやめさせますか、どうですか。

片山国務大臣 そういう権限は、また実は私どもの方にないんです。

 この通達は、私の命によって総務事務次官が、国家公務員の場合なら、「参議院議員通常選挙における国家公務員の服務規律の確保について」ということで六月一日付で出しておりまして、各府省事務次官あてでございます。

  貴職におかれては、国家公務員が国家公務員法又は公職選挙法に違反して責任を問われ、あるいはこれらの法律に違反しているかのような疑惑を招くことのないよう、下記事項に留意の上、職員の服務規律の確保について格段の配慮をお願いします。

  また、所管の特定独立行政法人にもこの旨を周知願います。

また、公団等の役職員についても下記のとおりに遺漏ないようによろしくお願いします。事前運動がいけませんとか、地位利用がいけませんとか、いわゆる選挙に絡む政治活動、選挙活動についての通知でございます。本文がありますから、よろしくこれを見てください。

 ただ、それについて、仮にこれに違反するようなことがあったら、処分は任命権者の問題でございます。

石井(紘)委員 大臣の所管及び大臣の力の範囲内で、ひとつ全力を挙げてそういうものをきちっとさせてください。これは大変大きな、もう警察にも言ってある問題ですから、それはそっちの方でまた進めていただくとして、こういう問題はたくさんあるんですよ。

 例えば岩井國臣さんという、これは建設省でしょう、この人の選挙。社団法人静岡県建設業協会、これは二宮さんという人が会長なんですね。全県の建設会社にリーフ十枚、ポスター一枚を同封して送付。後援会入会申込書の締め切りは明記されていないけれども、近々回収の命令がある。もうあったのでしょう。各市町村の目標数は上記のとおり。こういうふうなものがあって、ずっと市町村名が七、八十書いてある。東伊豆町は百五十、河津町は百、あるいは沼津市は千六百、熱海市は四百、三島市は八百、富士宮市は千、富士市は二千。だあっとこれはやっているわけですよ。社団法人静岡県建設業協会、こういう協会挙げて、業界挙げてこういうことを指示しておる。

 あるいは、もっとたくさんあって言い切れないんだけれども、どうですか、これは広島県の行政書士会、こういうのが回っているんですね。

 これは、広島県の広島北支部、行政書士会の支部長さんの名前で、こういう支部長さんの名前で判を押して、平成十二年八月二十六日付、こういうことです。タイトルは、自由民主党新規入党についてお願い。いろいろ季節のあいさつや何かが書いてあって、こう書いてあります。

 依頼文書は各会員に郵送され、御趣旨は十分理解いただいていることと存じますので、重ねて趣旨は省かせていただきますが、広島北支部に対し六十六名の新入党員の獲得をするよう割り当てられ、申込書を送ってまいりました。そして、ちょっと真ん中は省略して、なお、入党費は、先般の支部長及び幹事合同会議において、親党員(会員)一人四千円のところ、これは自民党の党費ですね。一人四千円のところ半額二千円、家族会員一人二千円のところ半額千円にいたしました。それは、日本政治連盟及び同広島支部によって半額を助成していただくことと相なり、今回入党者は半額二千円と千円の新入党額となった次第でありますので申し添えさせていただきます。申込書二冊同封させていただきました。二冊というんだから、一冊にかなりあるんじゃないですか。これはどういうことですか。新規入党申込書記入の上は直接本会あて郵送願います。後日、本会から会費振り込み用紙が送られます。判こを押して、支部長の名前で送られている。

 自民党の党費は四千円ですか、それを半額にする。そのあとの半額は日本政治連盟及び同広島支部によって助成していただくことになった。自民党新規入党申込書も同封いたしますので、よろしくお願い申し上げます。こういうこともあるんです。

 先般来、これはまたちょっと話は移りますが、土地改良区の問題で、各地で党費の立てかえ払いというんだけれども、あれは立てかえじゃないですね、肩がわりですね。それから架空党員、こうしたものが大きく明らかになってきている。

 ちょっと農水省に伺いますけれども、土地改良予算というのは、土地改良区が全国に七千何百、八千近くあって、これは事業をする団体として許可してつくるわけです。その事業に対して補助が行われる。そして、受益者負担といって農家の皆さんもそれに金を出させられるんですよ。そういう中から金をすくい上げてきて、そして土地連、政治連盟だとかをつくって、あるいは政治連盟も経ないで土地連そのものがいわば自民党の党員の確保をする。中には、実際本人に許可も得ないで、そして何名分幾らと党費をそこから出す。これは補助金や公共事業の金が行っているわけじゃないですか、それを政党や政治団体に持っていってしまうという話じゃないですか。

 農水省、あなた方がどういう対処をしたか。詳しいことはいいですから、自民党に行った党費分はどうするつもりなんですか。

田中副大臣 御指摘のとおりの内容につきましては、五月三十日に最終の取りまとめの概要を農水省としても発表したところでございます。

 御存じのとおり、党費は本来、党員である個人が支払うべきものであります。したがいまして、本件は、党員である理事等にかわって当該党費を土地改良区の会計から支出したものでありまして、この党費については、今回の調査において党費等の立てかえが明らかとなった三十一道府県において、党員である個人から土地改良区に対して返還するよう指導されているところでありまして、そのうち、現に十三道府県においては、既に党員である個人から土地改良区に対し返還が終了していると聞いております。

 実質的には個人が支払うべきものであり、立てかえたものであると考えております。

石井(紘)委員 今、これは立てかえたものだとはっきり言われましたね。本当にそうですか。借用書を見せてください。あるんですか。今見せなくてもいいけれども、あるのかないのか。

田中副大臣 このような立てかえにおいて、一般論でありますけれども、借用書なるものは用いられていないというふうに思っております。

石井(紘)委員 立てかえるというときは、金の貸し借りでしょう。借用書、全然ないんでしょう。どうして立てかえたと言えるんですか。さっきの広島の行政書士会の例を見たって、支部の方で出しますと書いてあるんですよ。同じことをやっているんじゃないですか。そんな一々、立てかえますなんていって手続していませんよ。それをどうして立てかえだと言えるんですか。だめですよ、そういう答弁では。はっきり言ってくださいよ、本当のことを。

田中副大臣 事実、立てかえということで、本人から返還をしておるということでございます。

石井(紘)委員 勝手に党費を納めて、それを土地連あるいは土地改良区の金から出して、それはどこから返してもらうんですか。それは本人だって困るでしょう、知らないうちに出されているんだから。

 そのやりとりの経過、さっきの行政書士会のようなやりとりの経過があるはずなんですね。そういう文書はございますか。これが貸し借りであるのか、あるいはまたまとめて土地改良の予算でもって払ったとか払うとか、そういうものの文書はございますか。

田中副大臣 土地改良区の監督事務は、先生も御存じのとおり道府県でございます。今回の件についても、立てかえにつきましては、本人から、党員から返還されてきておるということを確認いたしております。

石井(紘)委員 世の中の金のやりとりということは、常識的にも当然御存じのはずなんだけれども、立てかえる場合には借用書とか、何か立てかえることを承諾する書類が必要なんですよ。そうでしょう。しかも、これは十人や百人の話じゃないんですよ。そういうことじゃだめですよ。それは、立てかえだということの証拠を出してください。そうしないとこれは話にならない。

百足政府参考人 お答え申し上げます。

 副大臣から申し上げましたけれども、党費は本来、党員である個人が支払うべきものであるというふうに考えておりまして、本件は党員である理事等にかわって当該党費を土地改良区の会計から支出したものであると考えております。

 これがなぜそういうふうに言えるかということにつきましては、今回の調査において党費等の立てかえが明らかとなった三十一道府県がございますけれども、党員である個人から土地改良区に対して返還するよう指導してきたものに対しまして、そのうち現在まで現に十三道府県において、既に党員である個人から土地改良区に対し返還が終了しているということを聞いております。したがいまして、このことによりましても、実質的に個人が支払うべきものを土地改良区が立てかえたものというふうに考えているところでございます。

石井(紘)委員 この中には大変たくさん問題が含まれているというのがわかる。土地改良区の予算というのは公金ですよ。国の補助金や公共事業費、それから個人の、受益者の事業のための負担金が入っているわけですよ。では、それを政党にあるいは党員に貸すという、土地改良法のどこに、あるいは政省令その他の法令のどこにそういうことが許されるという規定がありますか。

百足政府参考人 法的にこれを構成いたしますと、党員にとりましては第三者である土地改良区が事務管理として党費を支払うということになるわけでございまして、当然、土地改良区は党員である個人の役員さん等に対しまして返還請求をするという構成ができるのではないかというふうに思っております。

石井(紘)委員 あなた自身がそういう答弁をしているということは、いいですか、農水省自体がそういう答弁をしているということは、あなた、土地改良区の予算の使い方について今言っているわけでしょう。そういう使い方をしていいのかという問題と、そういうことを農水省として把握して、いいのかという問題があるわけですよ。そこのところは間違っていたとあなた言わないんですか。違法行為を犯したということを言わないんですか。国から流していった予算がたくさんあるんですよ。その予算の使い道として適正でないということは言えないんですか。

百足政府参考人 お答え申し上げます。

 土地改良区は公共、公益的な法人でございますから、党費の立てかえ等は不適法な支出ということになります。したがいまして、それは個人が支払うべきものでございましたので、土地改良区としてはそれを適正に返還させるということで、県の指導を通じて行ってきたわけでございます。

石井(紘)委員 あなたは今、適正でないと認めたわけだ。そうすると、その適正でない使い方をしたことに対する責任、適正でない使い方をしたら返してもらえばいいというの。もう一回言ってみなさいよ。適正でない使い方をしたら返してもらえばそれでいいということなんですか。予算の使い方はそれでいいんですか。

田中副大臣 土地改良区は、御指摘のとおり性格的に極めて公共性の高い団体であるため、土地改良区において党費等の立てかえがあったことは、一種の信用失墜行為であります。極めて遺憾だというふうに考えております。

 農林水産省としては、かかる事態が再び起きないよう、その適正な業務執行に向けて指導の徹底を図っていく、二度とこういうことは起こしてはいけないという指導を行っておる次第でございます。

石井(紘)委員 今の話は、二度と起きるとか起きないとかの話ではないんですよ。これは、だれがそういう公金を勝手によそへ貸したとしても、貸したのではなくて、それは本当は出してしまったのだけれども。領収書も何もないのだから、借用書もないのだから、それは実は貸したのでも何でもないのだ。どこかへ横流ししてしまったということなんですよ。もし私が百歩譲って、貸したとしても、どこへ貸してもいい、そういう政党あるいは政治団体の費用に、経費のために、あるいは党費のために出してもいいということは適正でなかったとあなたは今答弁したわけでしょう。両方、答弁された。

 そうすると、そういうことをそのままにしていいのか。そういうことをやった人は、全部これは一覧表を挙げなさい、その監督をした人を挙げなさい。そして、その人たちをどうするか、責任者はどういう責任をとるか、どうぞ言ってください。

田中副大臣 農林水産省といたしましては、土地改良区が党費や政治団体の会費を支出することは不適法であると考えております。指導文書を発出し、今後このような行為が二度と繰り返されないよう都道府県を通じて指導しているところであり、これに加えて、研修等を通じ土地改良区役職員の意識を改革する、それから土地改良区検査の重点項目に加えるということで、指導の徹底を図っていることでございます。

石井(紘)委員 総務大臣、これは行政監察や行政の管理にも関係することなので、これは総務大臣に、公金を、土地改良の予算というものをこういう政党に貸し出すなり、あるいは政党に差し上げる、それだったら我々ももらいたいぐらいだけれども、そういうことが、これは正しくないということをはっきり言っていただく。正しくないのであれば、これは違法行為です、これは財政法からいっても会計法からいっても違法行為です。この違法行為に対する役所の責任をどうするか、はっきり言ってください。

片山国務大臣 この問題は、私どもの方がどういう事実でどういうことかつかんでおりませんので、しかも権限は農林水産大臣にあることでございまして、その個々の事案で、土地改良区は公金ですか、預かったお金だとかなんとか、私的なものの流用ということもあり得るので、私はよくわかりません、公金、公金と言われていますけれども。だから、その辺も確認しないといかぬと思いますよ。

 ただ、恐らく、今田中副大臣も部長も不適正だと言っていますから、私は、やはり土地改良区のあり方からいって、一般論としては、それは確かに適当でないと思います。ただ、それがどういう法令に触れて、どういう違法かということは、これは事実認定しなければ何とも言えません。ただ、こういうことは一般的に、私どもの方の、今は行政監察と言わないのですけれども、政策評価、行政評価・監視の方で注意はいたします。

石井(紘)委員 では大臣、言いましょう。これは農林水産省農村振興局長が全国土地改良事業団体連合会会長あてに出した文書、それから同じ局長が各地方農政局長、沖縄総合事務局長、北海道知事あてに出した文書、ことしの三月十九日付で、私たち野党の政官業癒着監視委員会の執拗な要求、追及によって出されたものです。この中にはこう書いているのですよ。

 土地改良区は、性格的に極めて公共・公益性が強いことから、その行う事業については、土地改良法上、土地改良事業及びこれに附帯する事業に限定されているところである。

  このため、土地改良区が政党の党費や政治団体の会費を支出することは、土地改良法において認められている事業以外への支出であり、土地改良法に違反した不適法な支出である。

違法な支出なんですね。これは農林水産省の農村振興局長がこういう文書を出しているんですよ。

 その会計から特定の政党の党費等が支出されることは極めて不適当である

これはちゃんとけじめをつけなければいかぬのじゃないですか、どうですか。

片山国務大臣 私は総務省の責任者で、これはまさに……(発言する者あり)いやいや、だから、行政監察と今名前は言いませんけれども、行政監視か政策評価の個々の面では注意をいたします、こういうことは申し上げているので、これはまさに、任命権者である農林水産大臣あるいは土地改良法の所管大臣である農林水産大臣がこれからどういう対応をされるかということだと思います。

石井(紘)委員 そうすると、これは違法だと言っているわけですから、いいですか、法を犯しているということですから、これは行政の内部での措置も、行政的な方法があるでしょうけれども、これはもう既に司法が必要な、法的な措置が必要な内容なんです。いいですか。ですから、行政管理局を所管する総務庁は、これを法的に措置する義務があるのではないですか。

片山国務大臣 いやいや、これは、もしそういうことなら違法だ、こう言っているのですよ、今の局長さんの文書は。だから、それは告発だ何だというのは、全部事実認定をしっかりしないとだめですよ、司法の場に持ち込むのなら。だからそれは、公金を使った、公費を使った、予算を使ったということの認定がなければいけませんね。

 一般論として私が言っているのは、そこのことのつながりが定かでないので、私どもの方は、それは行政監察的なそういう役割はありますから、そういう面では対応いたしますと言っているので、私どもが告発するようなことにはなっていません。

石井(紘)委員 それはそれで聞いておきますが、これは総務大臣はちょっと認識が違うので、農水省、この文書は、今は認定していないかのごとき答弁だったけれども、これは認定した上での文書だということを言ってやってください。

百足政府参考人 議員読み上げられたとおりでございまして、土地改良区の性格から申し上げまして、こういう公的な公共性の強い性格ということから、土地改良法上、土地改良事業及びこれに附帯する事業に限定されているので、政党の党費や政治団体の会費に支出することは、土地改良法に認められている事業以外への支出で、不適法な支出であるということを送ったのであります。

 ですから、それを是正させるということで、返還を都道府県を通じて指導してまいったところでございまして、現にこれまで十三道府県においては返還されてきているということでございますから、引き続きその指導を続けていくと同時に、こういうことが二度とあってはいけないということで、役職員さんの自覚はもちろんのことでございますけれども、私ども、研修等を通じまして、再発がされないように、きっちり指導してまいりたいというふうに思っております。

石井(紘)委員 子供じゃないんだから、子供は悪いことをしたらごめんなさいで済むのだけれども、これからはやりませんというわけでしょう。これはそういう話じゃないんだ、違法行為をやりましたということを書いてあるんだから、法律に違反しましたと書いてあるんだから、それを認定しているんだから。

 農水省、法律を犯したらどうなるんですか。あなたたちがやるべきことはもう決まっているでしょう。どうなんですか、はっきり言ってくださいよ、農水省。

田中副大臣 農村振興局長が出している文書に間違いがありません。土地改良法に違反した不適法な支出であるということを農林水産省は認識いたしております。

 したがいまして、かかる事態が二度と繰り返されないように、土地改良区の指導方を徹底する、そして返還をすべて行う、こういうことの指導を行っておるわけでございます。

石井(紘)委員 これは話にならない。そういうことではあほらしくて、これは議論にならない。国会の議論にならない。これは私、幼稚園の子供を相手にやっているんじゃないんだから、こんなんじゃ、私は質問を続けられない、そういう答弁では。

 これは委員長、ちょっと指導してもらわないと困りますね。副大臣にしたって、もうやりません、もうやりませんと。こういうことでいいんですか、委員長。どうですか。法律を犯しましたということをはっきり農水省は文書で出しているんですよ。

中馬委員長 大臣も申しますように、事実認定等がまだこの場では明らかではございませんので、そのことを含めまして、また理事会の協議にいたします。

石井(紘)委員 もうそういうことじゃだめだ。大臣は、さっき言った一連のことも含めて、総務省としてきちっと対処してもらわなきゃだめだし、それから、農水省はそれじゃもうだめです。

 私は、ここでもってこれ以上できないから、質問をやめて、時間を保留して、ここで打ち切ります。これ以上できません。

 委員長、理事会でもってこれはきちっと善処していただく。そして、ぜひやってもらいたいのは、大臣なり役所の答弁というものはそういういいかげんなものじゃだめだ、指導的注意をやってもらうということで、ぜひお願いをいたしまして、あほらしいから、これでやめます。

中馬委員長 石井委員の残余の時間等につきましては、理事会で協議いたします。

 山村健君。

山村委員 民主党の山村健と申します。

 石井紘基先輩の後、非常に重苦しい空気の中で、初めてこの委員会で質問に立たせていただくのですが、前を見ますと、またしても片山大臣とということで、非常に光栄に思う次第です。あしたもまた、別の案件でございます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会、実を言いますと、私は、昨年六月二十五日に議席をお預かりする身になったのですけれども、選挙区といいますのは、先ほどの問題にも関係してくるのかもわかりません。司法の場で有罪判決の出た、かつて尊敬していた先輩の選挙区で、三重県第五区という選挙区ですけれども、政治倫理だけを訴えまして、今、東海比例区の議席をお預かりさせていただいている身です。

 結局、司法の場でどれだけ決めても、国会に選挙で当選し、与党であれば、立法府でそれをまた変えることができるのもこの国の一つの仕組みなのかなというようなことが、この国の未来図といいますか、民主主義国家というものの根幹を考える上で非常に危惧する部分でもございます。

 ということで、民主主義国家の根幹といいますとやはり選挙制度に行き着くと思うのですが、きょう、先ほど来、先輩議員、同僚議員がいろいろと質問させていただいているのを聞きまして、そしてまた大臣の答弁も聞かせていただきまして、まず選挙というものに関して、現状の選挙制度という問題はいろいろ、多々あるとは思うのですけれども、投票率がなぜこれだけ低いのかということに関して、大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。

片山国務大臣 近年、比較的高いときもありますが、本当に投票率が全般的には低い状況で、私も遺憾に思っております。

 これは一つは、やはり政治不信ということにあるんではなかろうか、私はこういうふうに思っておりまして、政治不信の原因は何だと言われますと、それは政治家、政党、政治のありように対する国民の皆さんの信頼がもう一つではなかろうか、こういうふうに思っております。

 したがいまして、余談になりますけれども、今度の小泉内閣の誕生は、先ほども言いましたが、政治を国民に大変近いものにしたのではないか、わかりやすく、おもしろく、親しいものにしたのではないか。そういう意味では、これは投票率にも恐らく反映するのではなかろうか、こういう期待を持っております。

山村委員 まさに私も、その政治不信というものに関して、一昨年までになりますか、衆議院の候補者になる以前は、政治不信といいますか、自分の活動におきましても、いわゆる市民活動といいますか、政治、行政に頼らずとも、自分の生活は自分たちでおもしろくしようよ、最低限税金だけ払っていればいいんじゃないかというような思想の持ち主であったわけなんですが、大半の、最近言われています無党派層、政治意識の高い無党派層の皆さんも、恐らくそれに近いんじゃないかなというふうにも思います。

 ただ、余りにも、政治家に任せているだけでこの国は本当に大丈夫かというような、まさに閉塞感といいますか、出口の見えないトンネルの中で、本当にこれでいいのかというようなときに、先ほど申されました、今回の小泉さんという存在が、失礼ですけれども、自民党という政党を批判しながら自民党の総裁になり、そして国民から八割、九割の支持を受ける内閣総理大臣というような立場に今いるわけなんです。

 そういう観点から申しますと、たとえそれがワイドショー内閣と言われようと、国民に身近な場に政治を引き下げる、その一つの考え方といたしまして、先ほど阿久津議員の方からもお話がございました、選挙権、被選挙権も含めて、十八歳に引き下げるというような考え方について、もう一度、片山大臣の方から御所見をいただきたいのです。

片山国務大臣 この選挙権の引き下げの問題は、メリットと、私個人はデメリットもあるな。このメリット、デメリットを厳重に比較考量して、その結果、結論を出した方がいい。若い人にも政治に関心を持ってもらって参加してもらう、大変よろしゅうございますけれども、その結果がどういうことになるのかという予測を含めて検討する必要があるんではなかろうか。

 ただ、国際的に見ると十八歳が主力であることは事実でございまして、それは各国がそれぞれの判断でそうしたと思いますけれども、そういうことを参考にしながら、あるいは先ほども言いましたが、民法や刑法の、今は二十歳を一つの境にしていますね、それの扱い等を含めて今後検討していくべき問題ではなかろうか、こういうふうに思っております。

山村委員 国際的には十八歳が主流ということなんですけれども、私もいろいろなインターネットを通じて、また国会図書館の資料を通じて調べさせていただいても、百八カ国から百五十六カ国というようないろいろな数字があるんですが、選挙部長、日本政府として把握している世界の十八歳選挙権という国の具体的な数を教えていただきたいんです。

大竹政府参考人 日本政府としてといいますよりも、むしろ国立国会図書館に各国の調査をお願いしているわけでございますけれども、国立国会図書館調査によりますれば、日本を含みますところの百六十八カ国で調査してございます。このうち、十八歳以下の者に下院議員の選挙権を付与しておりますのが百四十六カ国、被選挙権を付与しているものが三十九カ国、このような数字であると承知しております。

 それから、G7の参加国におきましては、下院議員の選挙権年齢につきましては我が国を除きましていずれも十八歳でございまして、被選挙権年齢についてはカナダとドイツ、この二カ国が十八歳であるものと承知しております。

山村委員 ありがとうございます。

 では、G7の各国でいわゆるG6の国が十八歳で選挙権を付与しているということになるんですけれども、先ほど片山大臣の方から、デメリット、メリット、今の十八歳に果たして選挙権を渡してもと。最近の若い者という言葉はいつの時代でもついて回るものだと思うんですけれども、ただ、私が思うには、他の諸外国に比べて日本の若者の政治意識が低いというのはどういうことになっているのか。

 これはこの場の問題ではないかもわかりませんが、先ごろの教科書問題にいたしましても、教育を受ける側の多感な十三歳、十四歳、十五歳、中学生にとりましても、自分たちが使う教科書をなぜ世代の違う人たちが、我々はこういうふうに国会の場で、そしてマスコミを通じてけんけんごうごうやっているにしても、実際の現場の中学生には全く関係ない世界になってしまっているんです。ということは、日本の教育の中に近代政治を全くタブー視している風潮があるんじゃないかなというところにも、その原因があると思うんです。

 ということは、逆に、手段と目的といいますか、それを逆転させてでも、十八歳というのを信頼し、メリットの方をまずやってみる必要性の方が、今のこの国に、特に未来を担う青少年に向けてもいいんじゃないのかなというふうに思う次第です。同僚議員からも拍手がございましたが、少数ですけれども、それが去年公開された「バトル・ロワイアル」という映画にもあります。

 今の時代というのは、ちょうど私四十を超えたばかりなんですけれども、まさに中年といいますか、ど真ん中にいるわけなんですけれども、全然違う世界で、インターネットを通じて世界の国々とコミュニケーションをとってしまっているんです。中学生が中学生として、このままいったら革命を起こしてしまうんじゃないか。実際にアメリカであり、日本人でもいるわけですけれども、十五歳、十七歳でIT関連でそれなりの富を得てしまう、ごくごく普通の子がちょっとした知恵を使うだけで、そういう時代になってしまっているんです。とても我々にははかり知れない、要するに大学も出ていないで何でできるの。現役の高校生がそういうような会社を起こしてしまっている時代でもあるんです。

 それを考えたときに、画一的に、今の十八歳、渋谷、池袋で路上に座っている子たちを見て、最近の若者はという概念でいくよりも、日本が本当に創造的な国家になるためには、若い力というものにもう少し我々大人の方から歩み寄る必要もあるんじゃないかなと思う次第です。

 次に移ります。

 ことしじゅうというふうにお伺いしているんですけれども、選挙区画定審議会の作業スケジュールはどこまで、どのように進めていくのかということをお伺いしたいんですが、選挙部長にお願いします。

大竹政府参考人 区割り審議会では、昨年の暮れに平成十二年の国勢調査人口が官報で公示されたことを受けまして、これまで十回にわたり審議会が開催されてございます。

 審議会におきましては、まず各選挙区の現在の人口格差の状況等につきまして各都道府県ごとにレビューを行いまして、次いで四十七都道府県知事からの意見聴取を行ったところでございまして、現在は、これらを踏まえ、区割りの見直しに当たっての基準をどのようにするのか、その論議がなされている状況でございます。

山村委員 といいますと、ことしじゅうに結論としては、審議会としては出てくるんでしょうか。

大竹政府参考人 法律上、区割りの勧告の期限が本年十二月二十二日となってございますので、それまでには勧告が出されるものと思っております。

山村委員 本年十二月二十二日までにそういう勧告が出てくるというわけですけれども、その基本となっている一票の格差ということになりますと、先ほど来、一対二というような議論があると思うんですが、もう一度大臣に確認したいんですが、やはり一票の格差という数字はそのぐらいのものと考えていらっしゃるんでしょうか。

片山国務大臣 この選挙区画定審議会は、現行制度で格差を二倍以下にするための区割りを答申する、こういう審議会でございますから、そういうふうにやっていただけるものと思っております。

山村委員 本来、一票の格差というのは、私はあってはならないと思うんです。一票は一票であり、皆平等に一票でなければならないというふうに思うんですけれども、これは非常に現実離れしていると仲間からも言われてはいるんですが、ただ、日本の国情を考えたときに、実は私の場合、今、平日はこちらで、土日地元へ戻っていますけれども、今まで若い時代、転々と全国を、それぞれの地に、渡り歩いているといいますか、居住していたときに、住民票はその土地土地で、東京であったり千葉であったり名古屋であったりしていて、その土地でいわゆる区会議員の選挙だ、都議会議員の選挙だ、いろいろあったとしても、まず関係ない世界なんです。ただ、地元の町会議員さんの選挙であったり、町長さんが次だれになったんだと、新聞もテレビも何も報道しなくても、ふるさとというものを持っている人間は、出身地のことに関しては非常に関心を持てるわけです。

 ということは、居住地に、現住所に三カ月住んでいるから選挙権を与えるという考え方、固定概念からちょっと外していただいて、選挙区を自分の意思で選べる、本籍地か現住所か、どちらか選択できるような方法というのも一つの方法になり得るんじゃないかなと思うんです。これはまだまだ、あくまでも個人的な持論であるわけなんですけれども。

 ただ、選挙の根幹といいますか、その辺のもとを考えたときに、やはり選挙というものに関して、大臣も、これは所管の省庁になるわけなんですが、専門性といいますか、知識としては当然お持ちのことで、IT時代、IT革命という真っただ中にあって、インターネット利用というのを、単純に電子投票だ何だ、事務手続がスムーズに運ぶからということだけじゃなくて、いわゆる本当に新しい国づくりの指標として、もう一度、先ほど来縦割りというようなことも言われていますけれども、ITという手段を使えばそういうことも可能なのではないかなと思うのですか、いかがでしょうか。

片山国務大臣 選挙する方が選挙区を自分で選べると、これは意図的な移動が行われますね。選挙の中立公正が害されますから、それから管理する方が大変ですから、住所なら住所要件だとか、それはやはりよるべき何かの基準があって、今の選挙権、被選挙権というのが成り立った方が私はベターだと思います。

 それで、今IT革命の真っただ中でございまして、しかも、e―Japan計画によりますと、五年以内に世界で一番進んだIT先進国、そういう時代に、私は、インターネット利用の選挙運動だとか、あるいは電子投票だとか、研究せにゃいかぬだろう。

 それから、電子投票については、先ほども言いましたが、広島市等かなり意欲的な導入をお考えになっているところもありますから、地方がそう希望しても今では導入できないのですから、少なくともトライアルとして、地方選挙について、その地方の首長さんなり選挙管理委員会、住民が望むならできるような道をあけてやるべきではなかろうか。これは私の考えでございまして、選挙部長以下も説得しまして、そういう一応の案は今総務省内につくっておりますけれども、間もなく会期末でございますので、そういう意味で物理的になかなかこの国会は難しいかな、我々政府提案としては。各党各会派でお話がまとまって、それは行こうじゃないかということになれば、立法府でございますので、我々がとやかく言う問題ではございませんが、我々としては、そういうことで電子投票、トライアルの法案については用意いたしております。

 それから、インターネット利用につきましては、これはいろいろな議論があって、インターネットの普及率もまだ三四%ですから、何度も申し上げますけれども。それから、地域的にかなり格差があるのですよ、インターネット利用が。だから、これをすぐ制度にはなかなかできませんけれども、ただ、研究は今からやっていなければいかぬ。恐らくこの二、三年で爆発的に私はインターネットが普及してくると思います、光ファイバー網だけではなくて。そういうときに備えて、この参議院選挙が終わったくらいから研究会をつくっていただいて、選挙部を中心に有識者を入れて、インターネット利用の選挙運動のいろいろな検討を始めてもらおう、こういうふうに考えております。

山村委員 二つ、もう一度確認したいのですけれども、総務省の方で今お考えいただいていますトライアル法案ということは、先の話ですけれども、いわゆる地方自治体が望めばトライアルとして実施することを可能にさせようという法案であるわけですね。

 それと、インターネットを利用した選挙、当然、今の時代ですと、事前運動も政党活動という中で、どこでどう選挙と政党活動と線引きができるんだという非常にあいまいなところでもあるわけですけれども、これはまた大臣とは別のところでお話ししなければいけないとは思うのですが、光ファイバーが、地上波デジタルが云々かんぬんという問題より、選挙というのはパーソナルである。一人一票という問題であるとするならば、今で言うiモードであり、それこそ今の時代でも、命の次に大切なお金を携帯電話一つであちこちにやりとりできるという時代になっているのです。

 ということは、命の次に大事かどうかはわかりませんけれども、投票行動というのも携帯電話一つでできるはずなのですよ。セキュリティーの問題だ、プライバシーが云々かんぬんと言っていますけれども、世界相手に当然、携帯電話一つで今ビジネスをやっている人たちは大勢いるわけです。しかも、千円や二千円という単位ではないのですね。

 そういう時代であるということも踏まえまして、新しい世代といいますか、逆に民間の方から提案というのを、単に電子投票という形で、なぜそこまでこだわるかといいますと、私も電子投票の議連で一度勉強会に出させていただいて感じたことといいましたら、ああいう形での電子投票、去年の沖縄サミットのときに使われたというようなやり方は、いわゆる選挙管理委員会といいますか、事務手続としては非常に楽にはなりますけれども、有権者にとって今の時代に合っているかといいましたら、ちょっと遅きに失しているのではないかなというふうに思うのですよ。

 だから、本人の認証の問題であったり、使い方、方法論というのは、技術の進歩の方がはるかに速いので、もうちょっとその辺、早急に、それこそ五年以内には実現できるようにお願いしたいと思います。

 次に進みますけれども、きょうも党首討論の中で小泉総理ははっきりと選挙制度についてお答えいただきました、選挙制度にさまざまな問題がありますと。その中で本人がおっしゃってみえた、持論として総裁選の折も訴えていました首相公選制という問題、制度を変えていくということに関して、大臣の御所見というのはいかがなものかと思います。

片山国務大臣 私は、首相公選制というのは突き詰めれば大統領制になるのではなかろうか。議院内閣制のままで総理を公選するというやり方もありますよ。しかし、これは制度的な整合性が大変難しい。一番わかりやすいのは大統領制ですよ。日本でいうと、地方がやっているのがそれですから、そうでしょう、知事さんや市町村長さんは直接公選で。そうなると、立法府と行政府が完全に分離されるのですよ。

 それが日本の場合いいのかどうかですね。これだけお役人が強い、大分最近は変わってきておりますけれども。大統領ができて、立法府と完全に切り離された行政府ができて、大臣も、議員をやめて行く人がアメリカみたいにおるのかもしれませんけれども、基本的には専門家やお役人がなる。一方で独立した行政府ができて、こっちは立法府だけ、こういうことになりますと、しかも任期保障がありますと、大変強大なワンマンシステムになると思うのですよ。だから、アメリカは二期であれしているのですね。アメリカの州知事も、ほとんどの州が再選か三選くらいで、多選を禁止していますね。

 だから、そういうことを全部含めて議論する必要があるのではなかろうか、私はこういうふうに考えております。

 それからもう一つは、元首論が必ずあるのです。大統領になると、普通は元首なんですね。ただ、日本は天皇制という独特の制度がありますから、そこの整合性をどう図るかということ、そういうことの万般を考えていく必要があるのではなかろうか。

 それで、総理も、そういう懇談会を立ち上げて、私どもの方の郵政事業とそれは懇談会でやるということですから、そこで大いに憲法論を含めて議論される必要があるのではなかろうか、私はこういうふうに思っております。

山村委員 といいますと、内閣においては、その総理がつくられる懇談会にゆだねるというところでよろしいわけですね。そういう考え方ですね。

 二十一世紀、まさになってしまったわけですけれども、この国のこれから国家百年の大計というのが、前内閣のときにも教育改革云々かんぬんの話もありましたけれども、まさにまず選挙制度といいますか、政治の制度、仕組みを考えていくということから改めないと、きょうの続きのあしたというような議論をしているだけでは、本当に世界の国々から取り残されるだけというふうな感覚を正直言って持っております。

 次の質問といいますか、先ほど石井紘基さんの方からかなり重い話になってしまったものですから、私も質問項目には挙げていましたけれども、政治家の倫理観といいますか、政官業の癒着構造を防ぐために大臣はどのようにしたらよいとお考えかという質問が非常に薄っぺらいものになってしまうかなと思うのですが、大臣のお考えとして、正直言って、政官業の癒着構造はあるのかないのか。あるとするならば、どのように改めたらいいと考えているのかということを大臣の口からお伺いしたいのです。

片山国務大臣 私は、やや個人の意見ですけれども、倫理というのは法律が出ていくべき世界じゃないのですね。本来、お互いに考えて、自分で身を律するというのが倫理なんで、今、政治倫理も公務員倫理も全部法律でやるということが私はこの国の不幸だと思いますよ。

 この国はもっと気高い国だったと思うんです、昔は。経済の一方的な高度成長の中で、やはり国民の資質が変わってきたんじゃなかろうか。だから、二十一世紀はもう一遍、倫理だとか、道義だとか、節度だとか、そういうことを知る国に変えていく必要があるんじゃないかと私は個人的に思います。

 そういうときに、私は、政治家が先頭に立たなきゃいかぬ。あの有名な保利茂という衆議院議長さんが、政治は最高の道徳でなければならないと言われたことを、私はまだ役人のころ大変感激を持って聞いた記憶がありますが、今はそういう感情を国民の皆さんは持たれていませんね、政治や政治家や政党に。これはやはり我々が、もうみんなでよく考えて行動すべきじゃなかろうかと思います。

 それから、政官業の癒着と言われますけれども、この国、議院内閣制というのは政と官が癒着するんですよ。ただ、いい癒着ならいいんですよ。悪い癒着は困るんですよ。業はまた別の関係でございまして、私は、そういうことはこの二十一世紀に、いい議院内閣制、あるいは大統領制でも結構ですし、議院内閣制における首相公選でも結構ですけれども、そういうことをこれからみんなで考えていくべきではなかろうか、こう思っております。

 これは私見でございます。

山村委員 ありがとうございます。

 本当にうれしく思った次第なんですが、それは先ほどの答弁にもございました総理の懇談会の首相公選制というような大胆な、日本が大統領制に近いような公選制に走るのか、本当の意味の三権分立ということができれば、先ほど言われたいい意味の政官の交流という形は議院内閣制のもとで絶対必要だということは、我々も理解はしております。

 ただ、大臣がおっしゃられたように、倫理というものは法律で決めるべきものじゃありませんし、これも私心なんですが、戦後の日本のおかしな民主主義というのが、すなわちキャッチアップ型というか、それこそ明治維新以降、西欧諸国に追いつけ追い越せという形だけで進んできた。ちょうど何年前になりますか、橋本さんが総理大臣のときに、神戸の少年殺傷事件があったときに、くしくも新聞で私も見たんですけれども、日本人はこの繁栄のもとで大事なものをどこかへ置き忘れてきたんじゃないかなというふうにぽつんと漏らした、そのメッセージといいますか、まさしく倫理観であり、道徳観であり、いわゆる心といいますか、そういったものを置き忘れてきて、目の前の物質的なものを、お金というものだけを追い求めてきた、その弊害が今あらわれてきているわけでございます。

 私自身、昨年の六月から議席をお預かりさせていただいて、なぜ衆議院議員だけが代議士という、要するに士の字がつくのか。やはり失敗したら責任をとって腹を切るという、まさにそういうことを我々政治家が、特に衆議院議員として代議士と言われる人間がまず真っ先にやるべきじゃないのかなというふうに思います。

 時間となりましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

中馬委員長 本日の質疑は以上で終わることとしまして、次回は、来る十一日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会




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