衆議院

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第2号 平成13年11月19日(月曜日)

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平成十三年十一月十九日(月曜日)

    午後二時一分開議

 出席委員

   委員長 中馬 弘毅君

   理事 鈴木 宗男君 理事 原田 義昭君

   理事 細田 博之君 理事 望月 義夫君

   理事 伊藤 忠治君 理事 堀込 征雄君

   理事 井上 義久君 理事 東  祥三君

      臼井日出男君    太田 誠一君

      熊谷 市雄君    小泉 龍司君

      小西  理君    小林 興起君

      左藤  章君    高鳥  修君

      竹下  亘君    馳   浩君

      松野 博一君    水野 賢一君

      柳本 卓治君    吉野 正芳君

      阿久津幸彦君    池田 元久君

      江崎洋一郎君    佐々木秀典君

      佐藤 観樹君    手塚 仁雄君

      永田 寿康君    松崎 公昭君

      斉藤 鉄夫君    福島  豊君

      中井  洽君    大幡 基夫君

      矢島 恒夫君    吉井 英勝君

      今川 正美君    井上 喜一君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部

   長)           大竹 邦実君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住

   部長)          小野 正昭君

   衆議院調査局第二特別調査

   室長           牧之内隆久君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十四日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     小西  理君

同月十九日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     吉野 正芳君

  平井 卓也君     左藤  章君

  岩國 哲人君     江崎洋一郎君

  久保 哲司君     斉藤 鉄夫君

  吉井 英勝君     矢島 恒夫君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     平井 卓也君

  吉野 正芳君     谷本 龍哉君

  江崎洋一郎君     岩國 哲人君

  斉藤 鉄夫君     久保 哲司君

  矢島 恒夫君     吉井 英勝君

    ―――――――――――――

十一月十六日

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案(内閣提出第二四号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件




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     ――――◇―――――

中馬委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長吉村博人君、総務省自治行政局選挙部長大竹邦実君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

中馬委員長 去る七月に行われました第十九回参議院議員通常選挙の結果の概要について、政府から説明を求めます。片山総務大臣。

片山国務大臣 この機会に、第十九回参議院議員通常選挙の結果の概要について御報告申し上げます。

 今回の選挙は、本年七月二十二日に任期が満了となった参議院議員の通常選挙でありまして、昨年十一月に議員の定数削減及び非拘束名簿式比例代表制の導入等の公職選挙法の改正を行って初めての参議院選挙であり、また今世紀初めての国政選挙でもありました。さらに、参議院選挙では在外選挙及び洋上投票が初めて適用になりました。

 選挙すべき議員の数は、昨年の公職選挙法改正により、比例代表で二人、選挙区で三人削減され、比例代表選挙が四十八人、選挙区選挙が七十三人、合計百二十一人でありました。

 選挙当日の有権者数は約一億百三十一万人で、前回の通常選挙に比べ約二百二十六万人増加して、参議院選挙で初めて一億人台となりました。

 次に、投票の状況について申し上げます。

 七月二十九日の投票日は、一部の地域を除き、ほぼ全国的に晴れまたは曇りの天気でありました。投票率は五六・四%でありまして、前回に比べ二・四ポイントの低下となっております。

 次に、立候補の状況について申し上げます。

 比例代表選挙につきましては、名簿を届け出た政党は十四政党で、前回と同数であり、その届け出名簿に登載された候補者数は二百四人で、前回に比べ四十六人の増、競争率は四・三倍でありました。

 選挙区選挙につきましては、候補者数は二百九十二人で、前回に比べ二十四人の減、競争率は四・〇倍でありました。

 次に、当選人の状況について申し上げます。

 党派別に申し上げますと、自由民主党は比例代表選挙で二十人、選挙区選挙で四十四人、合計六十四人、民主党は比例代表選挙で八人、選挙区選挙で十八人、合計二十六人、公明党は比例代表選挙で八人、選挙区選挙で五人、合計十三人、自由党は比例代表選挙で四人、選挙区選挙で二人、合計六人、日本共産党は比例代表選挙で四人、選挙区選挙で一人、合計五人、社会民主党は比例代表選挙で三人、保守党は比例代表選挙で一人、無所属は選挙区選挙で三人となっております。

 なお、女性の当選人は十八人で、前回より二人下回りました。

 次に、党派別の得票率の状況について申し上げます。

 比例代表選挙では、自由民主党三八・六%、民主党一六・四%、公明党一五・〇%、自由党七・七%、日本共産党七・九%、社会民主党六・六%、保守党二・三%、自由連合一・四%、無所属の会〇・三%、諸派三・七%となっております。

 また、選挙区選挙では、自由民主党四一・〇%、民主党一八・五%、公明党六・四%、自由党五・五%、日本共産党九・九%、社会民主党三・四%、自由連合二・三%、諸派・無所属一二・九%となっております。

 以上をもちまして、今回の参議院議員通常選挙の結果の御報告を終わります。

中馬委員長 続きまして、第十九回参議院議員通常選挙違反検挙・警告状況について説明を求めます。警察庁吉村刑事局長。

吉村政府参考人 平成十三年七月二十九日に行われた第十九回参議院議員通常選挙における違反行為の取り締まり状況について御報告いたします。

 選挙期日後九十日、十月の二十七日でありますが、この日現在で集計しました数字は、お手元に資料としてお配りしてあります表に示したとおりでございます。

 検挙状況は、総数で四百七十三件、八百六十九人であり、前回の通常選挙における同時期の二百三十三件、五百二十六人と比べますと、件数で二百四十件、人員で三百四十三人、それぞれ増加しております。

 罪種別に申しますと、資料の表のとおり、買収二百六十二件、五百五十九人、自由妨害三十六件、三十五人、戸別訪問二十一件、五十八人、文書違反五十三件、百八人、公務員の地位利用三十六件、六十七人、その他六十五件、四十二人となっておりまして、買収が検挙事件総数のうち件数で五五・四%、人員で六四・三%を占めており、最も多くなっております。

 次に、警告状況を申し上げますと、資料のとおり、総数が三千七百五十八件でございまして、前回の四千二百五十七件と比べ四百九十九件減少をしております。

 なお、警告事案のほとんどは文書関係についてのものでありまして、件数は三千六百四件で、全体の九五・九%を占めております。

 以上、御報告申し上げます。

    ―――――――――――――

中馬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。望月義夫君。

望月委員 それでは、自由民主党を代表いたしまして、質問をさせていただきたいと思います。

 ただいま片山大臣から、今回の参議院選挙について、その結果の報告がございました。報告の中にありましたように、今回の参議院選挙は非拘束名簿式比例代表制による初めての選挙であったわけであります。

 参議院選挙の非拘束名簿式の導入につきましては、ちょうど一年前の国会においていろいろな問題点が指摘されました。また、いろいろな予想もされました。その中には、やはり当たったものもあれば、外れたものもあります。

 例えば、非拘束名簿式になると知名度のあるタレント候補に有利なので、多数のタレントが候補者となり、参議院は芸能院になるのではないかというような批判があったと思います。確かに、タレントと呼ばれる方が、ある程度の数、参議院比例の候補者となられました。その面では予想が当たったことでありますけれども、しかし必ずしもタレントが有利とまでは言えなかったというような数字が出ているのではないかと思います。実は、参議院も今回の選挙で芸能院化することはありませんでした。

 きょうは参議院選挙後初の委員会でございますので、選挙制度に完全なものはあり得ないというわけでありますので、仮定の論議で制度の批判のみを行っても余り有意義ではないと思いますので、あのときの判断が正しかったのか、批判が正しかったのか、あのときの予想は当たっていたのか、実際の選挙の執行状況を踏まえてこの場で検証することが有意義ではないかな、このような観点から、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 まず、横流しについてでありますけれども、非拘束名簿式になりますと、最も論議があったのはこの横流しの問題であったと思います。横流しという言葉は、集票力のあるタレント性の高い候補者がたくさんの票をとって、その票により選挙人が支持していない候補者も当選するという意味で使われておりまして、このような横流しが生ずることから、非拘束名簿方式はけしからぬという論議であったのではないかなというふうに思っております。

 そこで、実際にはそのようなことが起こったのかどうなのか、横流しの問題について改めてどのようなお考えを持たれているのか、お伺いしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 いわゆる横流しの議論は、この新しい非拘束名簿比例代表制の改正案の議論をいたしますときに、この委員会でも大変活発に出てきた問題であると私は認識しております。しかしながら、そもそもこの選挙制度は比例代表選挙でございまして、個人名を書きましてもそれは政党名に投票したと認識する制度でございますから、横流しという議論が生ずるのはおかしいと思っております。

 今回の参議院選挙の結果はどうだったかというお尋ねでございますけれども、今回、当選者の中で、いわゆる個人名投票だけで一人が当選できる投票数を得た人というのは二人だけでございました。

望月委員 今回の参議院選挙の大きなポイントというのは、国民にとって顔の見える選挙、そういうようなことであったと思いますけれども、選挙人は政党を選んで当選させることができる、そしてまた、さらにそれに加えて、自分たちがこの人だと思うような候補者も選ぶことができるという、これが非拘束式比例代表制だということであります。

 私は、これはちょっと話が飛んでしまうわけでありますけれども、この次に衆議院の選挙があるとしたら、純粋比例というのもこのような顔の見えるような方法にしていただいたらどうなのかなというようなことも考えておりますけれども、この話は別にいたしまして、選挙前には、政党票より個人の方が上回る、そのような予想が圧倒的なマスコミの皆さんからも出ておりました。しかし、今度の選挙の結果としては、個人票よりも政党の票の方が多かった、そういうようなことを聞いておりますけれども、このことについてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 非拘束名簿比例代表制というのは、顔の見える選挙にした、しかも、国民の皆さんが個人名投票して、ただ順番に従って当選者が決定する、いわゆる政党が当選の順番を決めるのではなくて、国民の皆さんが決めるんだ、そういう意味では、一歩国民の皆さんに開かれた選挙制度になったわけでございます。

 ただ、今回の選挙の結果だけを見ますと、個人名投票が全体の三五・七三%でして、政党名投票が六四・二七%ということでございまして、個人名投票の方が少なかったということでございます。

 この制度がさらに定着して、この制度のことを広報していくことによって、個人名投票の数がふえるのではないか、このように期待をしているところでございます。

望月委員 また、非拘束方式とすると、制度が非常に複雑になる、だから無効票がふえるのではないかという批判も実はあったと思います。これは大きな問題なんですけれども、実際はどうだったんでしょうか。非拘束名簿導入前の前回の参議院の選挙と今回の参議院の選挙を比較して、どうなったんだろうかということを御説明いただきたいと思います。

大竹政府参考人 今回の参議院選挙につきましては、非拘束名簿式の導入によりまして、投票方法が、従前の政党名投票から、政党名投票あるいは個人名による投票、両方できるようになったわけでございます。この投票方法の変更によりまして、今御指摘ございましたように、これまでと比較しまして無効票が増加するんではないかという懸念が事前に示されたところでございます。

 今回の比例代表選挙におきますところの無効投票につきましては、その総数につきましては約二百四十万票でございまして、投票総数に対します比率で示すところの無効投票率でございますと、四・二一%でございました。これは、前回、平成十年の参議院通常選挙と比較いたしますと、このときの無効投票率が三・六五%でございましたことから、これと比較しますと若干高い率を示すところでございます。

 しかしながら、過去六回行われております拘束名簿式比例代表制の投票率と比較いたしますと、このときの無効投票率は平均で四・五六%でございました。したがいまして、過去の平均の四・五六%と比較いたしますと、今回の無効投票率はそれほど高いものではなかった、このように認識してございます。

望月委員 ただいま無効票の数字が示されたわけでございますけれども、過去六回の平均に比べると非常にいい数字が出ている、そういうようなお話を聞いたわけであります。

 そうしますと、無効票の問題ともこれは大きな関連をしてくるわけでありますけれども、この新しい制度を国民の皆さんに御理解いただく上で、やはり周知徹底をどういうふうにしたのか、これは大きな問題だと思います。

 今度の参議院比例代表選出議員選挙の選挙制度を非拘束名簿方式に改める内容の公職選挙法の一部を改正する法律案が提出されたのが昨年の十月だったと思います。七月にこの参議院の選挙が予想されましたので、この非拘束名簿方式の導入については、法案の成立の日から数えますと、参議院の選挙の日まで期間が大分短かったのではないかな。そういうようなことで、論議の中では、その次にまた回したらどうだ、期間が短いと国民の皆さん非常にわかりづらいから、その次に変えたらどうだというような論議もあったと思いますけれども、十分な周知はできたのかどうなのか、この点について実際どのようなことを行ってきたのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

大竹政府参考人 昨年十一月の法改正に伴いまして、総務省といたしましては、新制度の内容の周知徹底を図らなければいけないということで、ホームページでの制度の概要の掲載でございますとか、新聞折り込みによりますところのチラシの全世帯配布、さらには新聞広告、パンフレットの作成、それからテレビスポットの放映等によりまして、新制度の内容の周知徹底に努めてまいったところでございます。

 さらに、七月二十九日の参議院選挙の前におきましては、総務省、それから明るい選挙推進協議会、内閣府、外務省、それから地方公共団体、こういった連携のもとに、テレビスポットでございますとか新聞広告、ポスター、点字パンフレット、ホームページ等におきまして、投票日の周知、それから投票参加の呼びかけ、さらには投票方法の変更等につきましても周知徹底に努めてまいったところでございます。

望月委員 多岐にわたる周知徹底が行われてきたなということは理解できましたけれども、特に一般に言うCM、これはもうあらゆるテレビで放映されるので、このCMというのは非常に大きな国民の関心といいますか、そういった意味での大きな点だと思いますので、国としても、一日全部CMを買い切っちゃうんだ、これは重要な国の選挙であるというような形で、そういう意気込みでやっていただいたらいいのではないかな、これは一つの提案でございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、氏名の掲示について若干意見を述べさせてもらいたいんですけれども、今度の参議院の比例選挙において、投票の記載所において、名簿登録者、つまり候補者の氏名がいろいろたくさん書いてありましたね。そこで、氏名を書いてあるのはいいんですけれども、一体あそこに何人の名前が自分の目の前に書いてあったか。あれは、私たち国会議員でも、どの人がどうだったかなと探すのに苦労しましたよ、本当に。

 これは、候補者が多いからなかなか物理的に無理だ、何とか平等に公平にああいうふうにしたいという気持ちはわかるのですけれども、特に高齢者の皆さんに聞いたら、私たち、わからなかったよ、わからないから、何となく大体あの人にしようかなと覚えていたけれども、名前を探すのにもう途中でわからなくなっちゃったというような、そういう大変困惑された方がいらっしゃいます。言いようによっては、選挙民の皆さん、高齢者の皆さんから、あれは親切でなかったよねなんというような言い方がございました。

 これはなかなか難しい問題だと思いますけれども、氏名の掲示についてどのようにお考えになっておられるのか、これは技術的な問題で大変難しいと思います、お聞かせいただきたいと思います。

大竹政府参考人 投票所におきますところの氏名掲示につきましては、比例代表選挙の投票におきまして、投票所内の適当な箇所に選挙人が見やすい大きさで掲示する、これが法律の規定でございます。

 そのほかに、私どもといたしましては、各市町村に対しまして、この見やすい大きさの掲示のほかに、できるだけ記載台にも掲示していただきたいというふうにお願いしてまいったところでございます。これは法律上要請はされておらないわけでございますけれども、やはり記載台にも氏名掲示がある方が有権者の便宜に資するということで、お願いしてまいったところでございます。

 記載台におきますところの氏名掲示につきましては、記載台の大きさが限られておりまして、その中で、すべての候補者について掲示の一覧性を確保できる、そして最大の文字の大きさ、こういったものを追求してまいったところでございますけれども、結果的には、スペースとの関係で、非常に文字が小さい、こういった御指摘をいただいているところでございます。

 これにつきましては、いろいろとスペースの問題、物理的な問題もございますけれども、今後、各都道府県選管等の意見も聞きながら、この改善に努めてまいりたいと考えております。

 ただ、各市町村におきましては、記載台にお年寄りに向けまして老眼鏡を設置いたしますとか、あるいは弱視者用のライトの備えつけ等、こういった便宜を図るためのいろいろ工夫もしているところも聞いております。

望月委員 わかりました。

 次に、開票の時間でございます。

 これは、国民の皆さんが本当にいろいろ、自分たちが支援している国民の代表を選ぶということで、なるべく早く知りたいというような非常に重大な関心を持っていることでございますけれども、非拘束名簿式になると、候補者別の仕分け、疑問票の処理ですね、開票時間に時間を要するということが最初から大分言われておりました。全団体が即日開票を行うのは難しく、選挙の結果が判明されるのは大変おくれるだろう、余りおくれるようだったらこれは失敗かなというようなことも言われておりましたけれども、大分我々が思ったよりも何か早い、スピーディーにできたような感もございますけれども、実際にはどうだったのか。また、各選挙管理委員会は、このような批判に対して、開票事務の迅速化のためにいろいろ工夫したんではないかなと思いますけれども、その点について御質問をしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 今回の、特に比例代表選挙の方ですけれども、これは十四の政党、それから二百四人の候補者ごとの分類をしなければいけないという膨大な作業を要したわけでございますけれども、幸い、日本全国の市町村の選挙管理委員会におきまして即日開票をしていただいたというのは大変ありがたいことでございまして、即日開票の決定をしていただいたことに対して、この機会に心からお礼を申し上げたいと思います。

 一部、大きな開票所等で遅くまでかかったところがあるんですが、幸い、投票日の翌日の午前六時ごろに九八・六%の開票所で開票が終了した、そして、マスコミにおける議席配分の確定報道も大体午前六時にはほぼ完了した、こういうふうなことでございまして、初めての試みでございますけれども、大変早い、迅速な開票ができた、このように考えております。

 具体的に、各市町村が大変な御努力をしていただきまして、臨時の職員を含めた職員の増員をしていただいたり、あるいは分配方式の工夫をしていただいたり、機械を活用していただいたり、あるいは模擬投票を実施してあらかじめ研修をしていただいたり、いろいろなそういうことを現地で工夫をしていただいたということ、それから、総務省といたしましても、開票にかかわって判定をしなければいけない票があるわけですが、一応これのリストをあらかじめ作成いたしまして通知をしたり、あるいは効力判定の参考資料をあらかじめ示して準備をしてきた、そういうところが具体的に実ったものであると思います。

 なお、今後とも、正確で、かつ迅速な開票作業が進むように格段の注意と努力を払っていきたい、このように考えております。

望月委員 ところで、今回の参議院選挙は、参議院選挙としては初めて在外投票、船に乗って働いておられる方の洋上投票が実施されたわけであります。平成十二年の衆議院の選挙において初めて導入された在外投票そして洋上投票は、国政選挙としてはもう二度目の実施になるわけでありますけれども、参議院選挙としては初めての選挙だったわけであります。

 在外投票についても洋上投票についても、これまで選挙権はありながら投票の機会に恵まれなかった方々に、より投票しやすい環境をつくったという点で大変意義のある制度である、私はそのように確信をしております。

 これらの制度の創設に当たっては、本委員会はもとより、各党各会派において、選挙の公正の確保という要請と選挙人の投票の機会の確保という要請をどのように調和させるかといった観点から、慎重な議論が重ねられてまいったわけであります。このような経過を経て創設された制度であるだけに、これらの制度の対象となっておられる選挙人の方にはぜひとも利用していただきたいと考えておるものであります。

 前回の衆議院の選挙は、制度創設後間もない時点で行われましたので、必ずしも一〇〇%効果が出たというようなことはなかなか難しかったと思います。しかし、今回の選挙は二度目でございますし、また、衆議院と異なり、選挙人の方は選挙執行の時期については、参議院の選挙でございますから、ある程度予測がついた。したがって、今回の参議院の選挙については、前回の衆議院の選挙に比較して、これらの制度がより利用されていることを期待しているものでありますけれども、いかがでありましょうか。在外投票、洋上投票について、その選挙の状況、そしてまた、投票率について衆議院選挙と比較して一体どうだったんだろうかということを御説明願いたいと思います。

大竹政府参考人 まず、在外選挙から申し上げるわけでございますけれども、在外選挙につきましては、投票の事前に在外選挙人名簿に登録しておく必要がございます。

 今回の参議院選挙におきますところの在外投票の名簿登録者数でございますけれども、七万三千六百五十一人となってございます。前回の衆議院選挙の際の登録者数が五万八千五百三十人でございましたので、これと比べますと一万五千百二十一人の増となってございます。

 今回の投票者数でございますけれども、名簿登録者数が、先ほど申し上げましたように七万三千六百五十一人でございましたけれども、このうち実際に投票されました投票者数につきましては二万二千五十四人となってございまして、前回の衆議院のときの投票者数が一万七千十三人でございましたので、これと比較いたしますと、投票者数は五千四十一人の増ということになってございます。

 投票率につきましては、今回が二九・九四%、前回衆議院の際には二九・〇七%でございましたので、ほぼ同水準にとどまっているという状況でございます。

 次に、洋上投票の関係でございますけれども、比例代表選挙の場合を例にとりますと、投票送信用紙、こういったものの請求が必要でございますけれども、この請求数につきましては、今回の参議院選挙の際が九百九件でございました。前回の衆議院選挙の際のこの請求件数が八百六十件でございましたので、四十九件の増となってございます。しかしながら、投票者数につきましては、今回が六百十九人でございます。前回が、衆議院の際が七百六十九人でございましたので、投票者数は百五十人の減となっております。

 以上でございます。

望月委員 在外投票、洋上投票とも、申し込みというんですか、そういう意味では大分ふえているようでございまして、そういう気持ちは多くなったのかな。しかし、投票率でいうと、何か前回の衆議院の選挙とそんなに変わっていないようでございます。我々とすれば、せっかくつくった、国民に与えられた大きな権利の一つでございますので、ぜひ利用していただきたいと思うんですけれども、副大臣のそこら辺の御感想をお聞かせいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 ただいま選挙部長が報告いたしましたように、今回の参議院選挙で、在外投票の名簿登載者の数が七万三千六百五十一人、実際に投票した数が二万二千五十四人という数字ですけれども、実際に在外に住んでいらっしゃる邦人は六十万人いらっしゃる、このように言われておりますから、六十万人の数から見れば本当にまだまだ低い数である、このように思っております。

 せっかく制度をつくったわけでございますから、六十万人の皆さんのところにきちっと、こういう制度がありますよという周知徹底を図りまして、これは本人の申請制でございますから、全員に申請していただくように、こちらの方からも啓蒙を外務省ともども頑張っていきたいと思っております。

 それから、洋上投票の方も、実際には指定船舶の船員は約三万人いると言われているんですが、今回の選挙で投票いたしましたのは六百十九人という数にとどまっておるわけでございまして、こちらの方もさらに啓蒙を進めていきまして、この制度が活用されるように頑張っていきたいと思っております。

望月委員 最後の質問でございますけれども、総務省は、十月九日に、インターネットの選挙運動への解禁の可能性を論議するため、IT時代の選挙運動に関する研究会を立ち上げて、十一月十二日には第二回目の会合を開いたと聞いております。

 私は、インターネットによる選挙、これはもう時代の流れだと考えておりますけれども、ただ問題は、インターネットに誹謗中傷等の文書が出た場合、選挙期間中に出たら、相手を調べるのに時間がかかる、場合によっては相手方を特定することができない、不可能だ、そういう場合もあると聞いております。悪意を持ってそのようなことが行われれば、国民にとって公正な選挙という観点から重要な支障を来すのではないか、私はこのように憂慮しているわけであります。

 また、これはインターネットとは別の話でございますが、一つの事例なのでありますが、今回の参議院選挙で、コンピューターを使用して無差別に電話をかける、コンピューターによる音声で投票を呼びかけるといった具体的な例があったようです。

 コンピューターによって無差別に電話をかけているせいでしょうか、何しろかにしろ、相手がもしもしと出ても、返事も何も関係ない。何しろ朝も晩もずっと、早く言えばこれは押し売りかあるいはまた無言電話、それにたぐいするものじゃないかなと私たちは実は思っています。

 それから、個別的ないろいろなプライベートがあるから、電話帳の名前を消している。ところが、コンピューターで〇〇〇番から何億までずっとかけていくんですから、こんなプライバシーを侵害するようなことが許されていいかどうかという問題があるわけでありますけれども、このようなことは、有権者の皆さんに選挙によって不快感を与えている、選挙運動の方法としてはふさわしくないとの感じもあります。とにかく、名前を覚えてもらうということでは、押し売りと一緒ですから、一定の効果があると思われますけれども、だからこそこのような事案が起こったのではないか、このように私は思っております。

 インターネット、特に電子メール、選挙運動にこれを認めることになると、これと同じような問題がいわゆる迷惑メールの問題として出てくることとなるのではないのでしょうか。現在、インターネットによる選挙運動は認めておらないわけでありますから、インターネットによる選挙運動を認めるとなると、これらの問題が一挙に噴き出てくるものと考えられます。

 先ほど申しましたとおりに、私は、インターネットによる選挙運動というのはやはり時代の流れで、必ずそういうときが来るだろうと思っております。ただ、そのためには、誹謗中傷の問題、迷惑メールの問題を解決して、きちんとしたルールを決めて国民にお示しする必要がある。私は、これは大変重要な問題であると思っております。

 そこで、お伺いいたしますけれども、IT時代の選挙運動に関する研究会の趣旨、審議の状況、そしてまた報告書の公表の目途についてお聞かせいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 現行の公職選挙法におきましては、選挙運動として使える文書図画というものは、はがき、ビラ、ポスター等に限定をされているんですけれども、インターネットというものが普及いたしまして、これは広範な地域を対象にした選挙運動として非常に有効な手段であるという議論がございます。

 その一方、今御指摘がありましたように、匿名性を利用して悪用する、誹謗中傷ですか、そうしたことも考えられるわけでございまして、今お話がありましたけれども、総務省の選挙部長のもとに、この十月九日ですけれども、IT時代の選挙運動に関する研究会を発足いたしまして、今お話をいたしました二面の問題、これをきちっと問題点を整理いたしまして、有識者の方々を中心に議論をしていただく、そして、おおむね一年ぐらいをめどにいたしまして報告書を取りまとめていただく、こういうふうに考えております。

 また、選挙制度は、各党各会派で御議論をいただく性格のものでございますから、インターネットの活用につきまして各政党の実務担当者の皆さんにも意見をぜひ聞きたい、こういうことも考えておりまして、さらに、インターネットの活用について、積極的にあるいは慎重に、両方の側面から総合的な判断をしていきたい、このように考えております。

望月委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わりますけれども、インターネット選挙運動の解禁の問題については、今、一年を目途に論点を整理した報告が公表される予定である、これを聞かせていただきました。次の国政選挙までには必ず結論を出していただかなければならない問題と思っております。

 この問題、報告が出ましたら、各党各会派の皆さんと私も大いに働きかけをさせていただいて、よりよい選挙ができますようにしていきたいなと思っております。どうもありがとうございました。

中馬委員長 次に、井上義久君。

井上(義)委員 私の方からは、最初に、いわゆる投票弱者と言われている、投票の意思があってもなかなか投票が困難である、あるいはまた投票するための情報が他の人に比べて非常に不利益をこうむっている、こういう皆さんの施策の拡充ということについてお伺いしたいと思います。

 まず、いわゆる在宅の寝たきり高齢者の郵便投票の問題でございますけれども、この在宅の寝たきり高齢者の実数については、確たる調査がないのではっきりしたことはわかりませんけれども、厚生省にいろいろ聞きましたら、いわゆる介護保険で、平成十三年八月末段階で、要支援、要介護認定者、これが二百七十五万人いらっしゃるそうでございまして、そのうちいわゆる在宅の介護サービスを受給している人が約百四十八万人、要介護三以上の全体割合が大体四割ですから、単純に推計しますと約六十万人が在宅の重度の要介護者じゃないか、このように推定されるわけです。

 これが、将来の見通しですけれども、二〇〇〇年に約二百八十万人であった要介護老人が、二〇一〇年には三百九十万人、二〇二五年には五百二十万人に達する。なかなか施設介護も量的な限界があって、在宅介護の高齢者が増加していくことは避けられないということで、恐らく、現状六十万人というふうに推定いたしますと、二〇一〇年ごろには大体百万人近い人がいわゆる在宅の寝たきりの高齢者で、なかなか投票機会が得られない、こういうふうになるんじゃないかと思うのですけれども、そういうことを考えますと、在宅の要介護高齢者、寝たきりのお年寄りの投票機会を確保するということはもう早急にやらざるを得ないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。

 そこで、郵便による不在者投票ができるように、その要件を緩和すべきではないかというふうに思うわけでございまして、その認定要件、これは身障者手帳をお持ちの方とは必ずしも一致しないということで、難しい問題があるのですけれども、この介護保険制度の活用を図ることはできないのかというふうに考えるわけでございます。

 この問題は、六月十一日に我が党の福島豊議員からも質問がございまして、そのとき遠藤副大臣は、「障害者の等級とは別の仕組みでそうした認定制度ができないかどうか、もう一度厚生労働省とも協議をやり直してみたい、」こういうふうに前向きの答弁をされているわけでございまして、その後これがどのように進んでいるのか、また、この見通しについてまずお伺いしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 在宅の寝たきりの老人の皆さんに投票機会を確保していくということは、大変重要な課題であると認識をしております。

 ただ、一時、お医者さんの診断書があれば、証明があれば郵便投票ができる仕組みをつくったのですけれども、それがかなり不正が続出をしたという経緯がありまして、廃止された経緯があることは御承知のとおりでございます。

 今もお話がありましたけれども、対象者の範囲をどういうふうに認定していくか、いわゆる公的な認定方法をどのようにつくっていくかということが大切なわけでして、介護保険制度が導入されるときに、当時の厚生省、今は厚生労働省ですけれども、議論をいたしたのですけれども、介護保険の要介護認定の基準は、要するに介護に必要な時間数ということが基準になっているのですね。一方、こちらの方は、選挙権行使に関して、投票所に出向くことができるかどうかということが認定の基準になるべきものでございまして、ちょっと性格を異にしているのですね。

 しかしながら、例えば、これは見切りの問題だと思うのですけれども、介護保険が五つの段階に分かれているわけですから、重いものはこの際郵便投票を認める、こういうふうな見切りも考えることは可能ではないかなというふうなことを私個人は考えております。

 したがいまして、もう少し政府部内で議論を進めまして、重度の在宅で寝たきりの方々にはそうした郵便投票制度が可能なものを考えてみたい、このように考えまして、今政府部内で一生懸命に努力をしているところでございます。

井上(義)委員 遠藤副大臣の御指摘のとおり、最初に導入された二十六年、医者の証明書があれば郵便投票ができたということで、かなり不正があった。これは統一地方選挙だったと思いますけれども、もう五十年もたっているわけでございますし、しかも今回はいわゆる介護保険にかかわる認定でございますから、医者の証明とは少し違うのじゃないか、こういうふうに思うわけでございまして、これは遠藤副大臣おっしゃるように、決めれば決められるという性格のものでございますから、できるだけ早くといいますか、少なくとも、再来年の四月には統一地方選挙が行われるわけでございまして、それまでにきちっと施行できるようにぜひ結論を出していただきたい、こう思いますけれども、重ねてよろしくお願いいたします。

遠藤(和)副大臣 政府部内でも一生懸命検討してまいりますが、ぜひ与党の中でも議論をしていただければありがたい。そして、各党各会派の御理解をいただきまして、そのようになることを望んでおります。

井上(義)委員 ぜひそうしたいと思います。これは事務方の理解がないと、与党で結論を出してもなかなか実行できないという面もありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それからもう一点、この不在者投票に関して、いわゆる指定病院等に該当しない病院の投票の問題なんですけれども、現在、都道府県の選挙管理委員会が指定するおおむね五十床以上の病院、それから入所者五十人以上の老人ホーム、身障者の援護施設では、指定病院等での不在者投票が認められているのですけれども、四十九床あるいは四十九人以下の施設では、このいわゆる病院投票が行われておらないわけです。これらの施設、これは病院に限っても、調べましたら、全国で千四百三病院、推定約五万人の人が入院されているわけでございまして、こういった人たちの投票機会が狭められているというのが現状でございます。

 したがって、この五十床未満の病院等施設でも不在者投票ができるように基準を引き下げるべきではないかということですけれども、それについてのお考えをお伺いしたい。特に、施設設備とか選挙管理者などの問題があってなかなか難しい、こういう声も聞くのですけれども、例えば投票管理者が施設を巡回するというようなことをやることによって、ぜひこれを実現すべきだというふうに考えますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

 あわせて、この件に関しては、総務省の方にも行っていると思いますけれども、公職選挙法改正に関する要望事項ということで、都道府県の選挙管理委員会連合会からもこの種の要望が出ておりまして、特に、これは法令に明文化されていないために、指定できない場合等説明に困るというような声もあるわけでございまして、この要件緩和についてぜひ実現をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 私どもといたしましては、五十人という基準は絶対のものとは考えておりません。したがいまして、例えば、単一施設として基準を満たさない場合であっても、同じ施設管理下にある他の施設と共同して行うことによって選挙の公平性が担保される、こういう場合は認められる、あるいは、定員が五十人未満でありましても、五十人以上の施設と同様の選挙の公平性が担保されるだろう、このように推定される場合は、各都道府県の選挙管理委員会におきまして柔軟な対応をすることが可能である、このように考えておりますものですから、五十人というのは絶対の条件ではない、このように理解しております。

 それから、巡回して回ったらどうかという提案でしたが、これは、すべての施設を巡回して回らなければいけないものですから、大変なマンパワーを必要とするところもございまして、これは各都道府県の選挙管理委員会にも御相談いたしますけれども、若干難しい問題があるのではないか、このように思っております。

 今後とも、指定施設における不在者投票のあり方について、さらに議論を深めていきたいと思っております。

井上(義)委員 次に、視覚障害者のための点字公報の問題ですけれども、現行の選挙公報制度では、選挙公報は、一定の規格、制限に基づいて、候補者から出された公報原稿をそのとおり掲載するというふうになっておりまして、これを点字に変換するというのはなかなか難しい問題があるということは理解をしているんですけれども、やはり投票に当たって同じ情報が得られるということは私は極めて大事な問題だと思いますので、何らかの工夫をしなければいけないんじゃないか。

 点字公報というものができればこれは一番いいんですけれども、もしこれが当面無理であるということであれば、例えば、聞きましたら、今一部の選挙管理委員会では行われているようですけれども、名前とか経歴の点字の一覧を発行して情報が得られるようにするとか、さまざまな工夫がされているようですけれども、こういった点、選挙公報を点字公報として出すのが困難であるということであれば、また別な仕組みをつくって、また予算措置も含めて情報提供の体制をつくってはどうか、こう思うんですけれども、この点はどうでしょうか。

遠藤(和)副大臣 選挙公報という厳格なものではないけれども、候補者の氏名とか経歴等がわかる、いわゆる選挙のお知らせというものを今発行させていただいておりまして、参議院選挙では全国で五万二千四百四部発行させていただきました。予算も計上いたしておりまして、一億二千三百万円計上いたしまして、そのようなきめ細かな施策をさせていただいております。

井上(義)委員 ぜひ施策の充実を今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 その次に、これは聴覚障害者の皆さんからたびたび出ております、いわゆる手話つきの政見放送の対象の拡大あるいは字幕放送の早期導入という問題でございます。

 現行の政見放送における手話通訳は、参議院の比例代表選挙及び衆議院の小選挙区選挙におけるいわゆる持ち込み方式だけに限られているわけです。それから、政見放送の字幕放送というのは、技術的な問題がクリアされていないということで、これが導入されていないというのが現状でございます。この点についても、先般、福島議員からも六月十一日の当委員会でこの問題を質問いたしまして、遠藤副大臣から、導入の方向でいろいろと検討していきたい、また字幕放送についても、技術の進歩ということがありますから、そういう方向で検討していきたい、こういうお話があったわけでございます。

 かなりリアルタイムで字幕化できるという技術も今進んでおりますし、手話についても、アニメーションで手話をやるというようなことがかなり技術的に可能になってきているようでございますし、この手話つきの政見放送、これを拡大する、あるいは字幕についてこれを解禁するということについて、現在の状況はどうなっておりますでしょうか、お伺いしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 参議院の比例代表選挙それから衆議院の選挙の小選挙区制による持ち込みビデオ方式のもの、それ以外の選挙に対してはいわゆる手話通訳をしていないわけですけれども、これは、手話通訳士が非常に偏在をしておりまして、すべての地域でつけるということがなかなか難しいという理由によるものでございます。

 ただ、今おっしゃいましたように、放送技術が大変今革命的に進展しておりまして、しゃべったらその場で文字放送になるとかいうふうな技術が開発されております。あるいは、手話のお人形がアニメで、しゃべったことをそのままお人形が手話をするというような技術も開発されておりますから、そういう技術の進展に合わせまして、選挙制度の中でもこれが活用できるようになりたい、このようなことで順次議論を進めていきたいと思っております。

井上(義)委員 これも次の統一地方選挙までにぜひ一定の方向が出るように、特にいわゆる中途で聴覚障害になったという方、なかなか手話が習得できないという方が非常にふえているわけでございまして、この字幕放送については相当な要望が出ております。

 御案内のように、テレビなんかでも、例えば外国語のインタビューなんかも、ほぼリアルタイムで日本語が出てくるというような形になっておりますから、日本語をそのまま日本語で字幕にするのに、英語でさえも字幕になっているのに何でできないんだという声が非常にあるわけでございまして、この字幕放送をぜひ早期に実現するようにお願いしたい、こう思います。

 続きまして、在外選挙及び洋上投票の件でございます。

 まず在外選挙についてですけれども、これは、平成十年五月に念願かなって公職選挙法が改正されまして、およそ六十万人と言われております在外邦人に国政選挙の投票権が確保されたわけでございます。過去二回の在外選挙の結果は、昨年の衆議院議員総選挙では、登録者が五万八千五百九十三人、投票者数が一万六千九百九十三人、投票率は二九%、それからことしの参議院議員選挙では、登録者数が七万四千四百五十八人、投票者数が二万二千五十四人で、投票率が三〇%と、着実にふえてきているとはいうものの、六十万人という数からいうと、我々が当初予測したよりもはるかに少ないわけでございまして、まだまだ有効に活用されているとは言いがたいというふうに思うわけでございます。

 制度の問題はいろいろありますけれども、総務省としてこの制度の周知、広報にもう少し本腰を入れてやるべきじゃないか、こう思いますけれども、まずその認識及び方針についてお伺いしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 おっしゃるとおり、六十二万人いらっしゃる人数から考えますと、まだ本当に少ない水準にとどまっていると私も思います。これから、各国にいらっしゃる在外邦人の皆さんに、こういう選挙制度があるということを周知徹底するとともに、日本の政治に対しても常に情報が行き渡るような仕組みというものを考えていく必要があると思います。今NHKが国際放送をやっているわけですけれども、常時、日常的に日本の政治に対する関心を同胞の皆さんに持っていただく、こういうことも必要ではないかと考えております。

井上(義)委員 きょう外務省に来ていただいていると思いますけれども、この投票のやり方について、もう少し簡素化すべきじゃないかという観点からお伺いしたいと思います。

 投票率、先ほどお話をいたしましたけれども、過去二回、全部三〇%弱ということになっているわけです。わざわざ在外選挙人名簿に登録した人、この登録した人が在外邦人全体の約一割強でございますけれども、それでも、実際に登録したのに、登録したということは、選挙権行使に意欲があるから登録したんだと思うんですね。その投票率が三〇%弱しかないというのが私はやはり非常に大きな問題だと思うんですね。

 実際のこの投票方法は、在外公館投票、いわゆる大使館、領事館で投票する、それから郵便投票、直接国内の市町村選管に投票用紙を郵送する、それから帰国投票、一時帰国時に投票する、この三種類で行われているわけなんですけれども、私は、この投票手続の段階で問題があるんじゃないかということで、外務省にお伺いしたいと思います。

 一つは、在外邦人が比較的多い地域、その地域の大使館、領事館が、治安とか実務上の理由というふうにおっしゃっているんですけれども、在外公館投票を行っていない。この地域の登録者は、近くに大使館があるにもかかわらず、日本国内と一往復半のやりとりをして郵便投票をしているというのが現状でございまして、せっかく近くに、しかも在外邦人が多い地域に在外公館があるわけですから、投票できる在外公館をまず拡充すべきではないかというのが一点です。

 それからもう一点は、郵便投票なんですけれども、これは遠い日本の市町村選管とやりとりする、これは時間もかかるしお金もかかるということでございまして、直近の在外公館とのやりとりで郵便投票が行えるようにしてはどうか。在外選挙を導入したあの委員会の附帯決議でも、「利用しやすい制度となるよう、不断の見直しを行う」というふうにあるわけでございまして、この点についての外務省の認識と見解をお伺いしておきたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 二つ御質問がございました。まず第一点の在外公館投票の拡充についての御質問でございますが、外務省といたしましては、昨年の衆議院議員の選挙以降今日まで多数寄せられております有権者からのさまざまな意見、要望を踏まえまして、在外公館投票の拡充の可能性を真剣に検討してきているところでございます。

 去る七月の参議院選挙におきましては、全世界で二百八公館の中で、約八割に当たります百六十六の公館で在外公館投票を実施したところでございます。残りの二割の公館につきましては、先生御指摘のとおり、治安情勢が劣悪である、あるいは、ニューヨーク、ロンドン、サンパウロ等、管内の在留邦人数が非常に多いために、あるいは高層ビルの中にあるといった物理的な問題があるために、さらには、多くの高層ビルの場合には、週末閉館とされているところが多くて、警備上の問題が生じる等、公館投票が現実問題として非常に困難な状況にあるところがあるわけでございます。

 公館投票につきましては、有権者の意見、要望というのはまたこれはさまざまでございまして、若干詳細にわたって恐縮でございますが、例えば、在外公館投票は公館の近隣地、比較的近いところを対象とするということになっておりますけれども、米国とかブラジルとか、近隣地といっても非常に広大で、在外公館まで車で片道三時間以上かかるようなところもございます。そういうところで在外公館投票の導入というのは、かえって投票率を低くすることにもなりかねないという要素もあるわけでございまして、これは一例でございますけれども、こういう諸点を考慮する必要があるというふうに考えております。

 こういう点を踏まえまして、今後とも在外公館投票の拡充の方途については真剣に検討していきたいというふうに考えております。

 それから、第二点目の点でございます。

 御指摘のとおり、郵便投票につきましては、投票手続といいましょうか、大変煩雑な状況でございまして、登録手続を含めますと、投票までに、在外有権者は市町村選挙管理委員会との間で二往復半のやりとりが必要ということになっております。この点、多くの有権者から改善の要望が寄せられていることは御高承のとおりでございます。

 外務省といたしましても、先生御指摘の点も含めて、例えば、投票用紙の請求手続なしに投票用紙を受け取ること、あるいは、投票用紙の送付先として、自宅ではなくて職場あてにすることも可能とすること、あるいは、選挙の公示日前から記載済み投票用紙の郵送を可能にすることなど、こういう要望もあることから、これらの諸点を含めまして、いかなる改善が可能であるか、真剣に検討してまいりたいというふうに考えております。

井上(義)委員 特に、在外邦人が多いところが在外公館投票をしていないという、例えばサンパウロみたいなところなんですけれども、これは非常に大きな問題だと思うので、こういうところはぜひ実現するようにしてもらいたいということと、それから、郵便投票、選択ができるように、現在、一部なっていますけれども、選択ができるようにしたらいいんじゃないかというふうにも思いますし、改善の余地は幾らでもあると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、洋上投票の問題ですけれども、洋上投票の対象を地方選挙にも拡大してもらいたいという要望が随分来ております。再来年が統一地方選挙の年でございますので、それまでにはぜひ、いわゆる地方選挙にも拡大すべきじゃないか、このように思いますけれども、この点について今当局はどのようにお考えか、ちょっとお伺いしたいと思います。

大竹政府参考人 洋上投票、これは、地方選挙を含めるといたしました場合につきましては、洋上投票を行います場合には、まず、指定市町村といいまして、港湾を有しているところを指定しているわけでございますけれども、その指定市町村で投票用紙の交付それから受信を行っているわけでございますけれども、この指定市町村におきまして、全国三千三百の地方選挙の実態につきまして、常時その日程等を把握しておく必要がございます。

 一方でまた、船舶でございますが、船舶の船長におきましても、船員に対しまして洋上投票を行います場合に、地方選挙の日程等を常時把握しておく必要があるわけでございます。

 さらにつけ加えまして、洋上投票の場合におきましては、洋上で航行中投票を行うわけでございますので、事前に予定で受けました投票用紙につきましても、実際に選挙が告示されて初めて投票を行うことができるわけでございますので、具体的に選挙がいつ行われるのかということを、告示日を把握しておく必要があるわけでございます。

 さらにまた有権者、船員が有権者でございますけれども、立候補者がどのような方なのか、こういった立候補者の情報等も洋上で確保する必要があるわけでございますけれども、なかなかその手だてもないということでございまして、これらの点を考えますと、洋上投票におきまして地方選挙までやるのは非常に難しい点があるんじゃなかろうか、このように考えてございます。

井上(義)委員 済みません、時間が来ましたけれども、最後に一つだけ、十八歳選挙権の早期の実現ということについてお伺いしたいと思います。

 十八歳選挙権、我々も長い間この問題を取り上げて主張してきているんですけれども、先般、アメリカで十九歳の町長さんだかが誕生したというような話もありますし、ドイツなんかでは、地方選挙ですけれども、一部地域で十六歳の投票権を認めるとか、世界の趨勢がもう十八歳選挙権になっているわけでございまして、我が国としても早くこの問題を実現しなければいけない。特に、少子高齢化で、若い人たちが将来の世代について責任を持つ、自分たちの世代についてきちっと関心を持っていただく、また政治もそういう未来志向にならなければいけないという観点から、これは一日も早くやはり十八歳選挙権を実現しなければいけない、こう思うんですけれども、これまで民法とか刑法との整合性の問題ばかりが言われてなかなか前に進まない。このことについて、最後にお伺いをしておきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 この問題は、タウンミーティングでもたくさんの意見が出てきました。若い人に政治に対する関心を持っていただく、そういうチャンスをつくるという意味でも大きな問題があります。

 ただ、問題は、今お話がありましたように、民法上の成人年齢それから刑事法制上の取り扱い、こういうものとの整合性というものがやはり一つあります。それとともに、やはり選挙権あるいは被選挙権の問題は選挙の基本にかかわる問題でございますから、各党各会派でも御議論をいただきたい、このように思っております。

井上(義)委員 では、以上で終わります。

中馬委員長 次に、佐藤観樹君。

佐藤(観)委員 今、議会制民主主義の根幹にかかわります選挙制度が大変危ういところへ来ている。政治改革ということで、日本の政治が持っているさまざまな問題点につきまして、私は、当委員会の前が政治改革特別委員会、その前が公職選挙法等改正特別委員会かな、ずっと席を置かせていただきまして、先輩あるいは各位と、日本の選挙制度というものが生き生きとしたものになるように、国民の民意が十二分に反映をするようにということで取り組んできたわけであります。

 最終的には、平成五年から六年、細川内閣の自治大臣という立場で、山花政治改革担当大臣とともに、政治資金規正法、公職選挙法、政党助成法、選挙区画定審議会設置法という四法案を皆さんの御協力をいただいて成立させていただいたわけであります。そういった立場からいいますと、冒頭申しましたように、今まさに国の根幹にかかわる選挙制度自体が非常に危ういところに立っているという危機感を持っているわけであります。

 七十年続きました中選挙区制というものがどういう弊害で小選挙区に変わったんだろうか。片山大臣の御意見を最終的にお伺いしますけれども、結局、中選挙区制というのは、複数候補者が出るものですから同士打ちということになってしまって、サービス合戦になって金のかかる選挙になった。そのために、幾つか政治的な疑獄事件ということが起こって政治の腐敗を招いた。これが国民の政治不信を呼び起こしたし、あるいは、例えば五名区ならば十数%で議席をとれるということにもなるわけでありますから、必ずしも政策の合意なりということにならずに多党制化しつつあり、したがって、敏速な政策決定ということが非常に難しい。このことが、政権交代がなかなか起こりにくいし、またそのために政治の腐敗というものが招かれてきたということが、その他いろいろありますけれども、中選挙区制を変え、現行の小選挙区比例代表制並立式ということに、さまざまな各党の意見をまとめてこういう制度になってきたと思うわけであります。

 小選挙区になりましたことにつきましては、その結果、政党、政策本位の選挙ということになりますし、どこかが腐敗をすれば、それは有権者の目に非常によくとまりまして、次の選挙ではその判断を有権者に仰ぐということになってまいりますので、そういった意味では、政権の、あるいはその政党の実績と公約というものによりまして政権交代が起こりやすい、こういうメリットがあったと思うのであります。

 振り返れば、リクルート事件を契機に、いや、その前のロッキードあるいは造船疑獄などと言ったらまた大変古くなりますので、最近ではリクルート事件をきっかけに、海部内閣、宮澤内閣、細川内閣と三代、三内閣にわたりまして六年間かけていろいろな議論をし、きょう、本委員会の中にも各党関係者いらっしゃいますけれども、議論の末に平成六年の一月に成立をしたわけであります。

 二度この小選挙区比例代表並立制という選挙制度で行いまして、国民にも、日本人はまことに賢明でありますから、初めはどういう制度かなと思ったわけでありますけれども、一回やってみれば、ああ、こういう制度かということがすぐわかって、したがって、二度この選挙制度をやりまして、ほぼ国民にも定着しつつある、あるいは政治の体質が変わりつつある。このごろは、摘発されないのかどうかは知りませんけれども、かつてのようなそういう疑獄事件、汚職事件というのがはるかに減ったと言えるのであります。

 そういった意味では、片山総務大臣にお伺いをいたしますけれども、中選挙区制から小選挙区制に変わったこれらの政治的変革の経過と、それから現状のこの制度のメリット、このことにつきまして、簡単で結構でございますから、たくさん何でも知っているので、答弁は大体お互いにわかっている話ですから、簡単で結構でございます。佐藤さんの言うとおりでございますということでも結構でございますが、答弁をお願いいたします。

片山国務大臣 自治大臣を相当前に経験された大ベテランでございますので、答弁の要も余りないんですけれども、今、佐藤委員言われたように、大変な経過と議論で今の制度になりました。

 並立制というのは余り世界でもそう例が多い制度ではありませんけれども、基本的には、政権の選択をする小選挙区制をメーンに、しかし、中小政党にもその意思が国会で反映できるような比例代表を加えた制度でございまして、ユニークな、そんな意味のある制度だ、私はこういうふうに思っております。

 中選挙区のよさも、確かに党を選んで人を選べるということがあるんですけれども、結局、政策の議論じゃなくて人の議論になりまして、いろいろな弊害があったことは御指摘のとおりでございますので、そういう意味では、今回の制度は、そういう点の効果、意味はあると考えております。

佐藤(観)委員 ところが、与党三党の方では、都市部は中選挙区制にし、都市部に対して郡部というんでしょうか、それ以外のところは小選挙区制のままにしていこうと、これは与党にとりましては大変都合のいい、そういう党利党略の制度にしようとする画策が行われたわけであります。

 最近、いろいろな起こったことで、新聞の社説でこれほど酷評を得たというんでしょうか、あるいは、大抵某紙と某紙は賛成するのでありますけれども、その某紙と某紙も含めて、一斉にこれだけ批判をした、酷評したこの与党三党の案、案ということまで言っていいと思うのでありますが、これはありません。これはもう改正の理念あるいは改革の目的、原則が全くないということでもありますし、新聞の見出しをそのまま使えば、露骨な党利党略、御都合主義、珍しい、与党は余りにも身勝手過ぎる、政党の打算、無定見きわまりない、恥ずべき政党エゴである。

 私も二十何年国会に置かせていただいておりますが、党利党略というのは何となく恥ずかしそうに、結果において党利党略になっているのでありまして、初めから党利党略をむき出しにして白昼堂々やるというのは、我が日本の議会制度も落ちたものである、こう言わざるを得ないのであります。

 そこで、大臣、やはり選挙制度というのは国民の民意を反映することであります。もちろん、政権の交代なり、それはその結果としていろいろあるけれども、国民の民意をできるだけ正確に、ただ、そのとき求める政治的な形態というのがどうあるべきかということにももちろんよりますけれども、何といっても、主権者である有権者の国民の意思を具体的に議席に体現をするということのためにあるわけでありますから、基本的には、選挙制度というのは各党の基本的な合意というものがなければいかぬのじゃないか、あるべきであるというふうにお伺いしたんでありますが、ひょっと顔を見ましたら、参議院の拘束から非拘束に変えた、片山さんはあのときの提案者の一人でありますから、この質問はどうかなとも思ったんでありますが、しかし選挙制度である限り、与党側の個々の利益ばかりではなくて、やはりそこには野党も含めた各党の共通の理念、目的、そしてその後どういう政治形態というものをつくるのかということを目指しながらいくべきであるというふうに思いますが、いかがでございますか。

片山国務大臣 佐藤委員、百も御承知なんでしょうが、選挙制度というのは百点はありませんね。いろいろな国民の意向、状況の中でベターなものを選んでいくということで、基本的には私は、選挙制度が議会制民主主義の根本ですから、土俵づくりですから、それは与野党含めて各党各会派が十分な議論の中で合意形成を目指していくということが正しいと思います。

 今回の与党の合意は、一票の価値を平等にする、二倍未満にする、そのために抜本的な見直しを図るということが与党三党の合意でございますので、それはそれで私はしっかりした合意ではないかと考えております。

佐藤(観)委員 その問題をきょう片山大臣にお伺いしようと思っているわけでありますが、それだけなら、選挙区画定審議会の案がもう出るわけでありますから、それを待っていればいいだけの話で、そうじゃないところに問題があるわけであります。

 もう一つ、今いみじくも大臣も言われましたように、当然のことでありますし、また我々が主張するのも当然でありますけれども、一票の格差の均衡化ということがもう一つ、最近の新聞の、世評にも言われておるわけでありまして、今度の国勢調査の結果、今まで、最初つくったときは一議席当たりの人口の格差が二倍を超える選挙区が二十八でございましたけれども、今度は九十五ということでありますから、ほぼ三分の一が二倍を超えるような選挙区になりつつある。二・一三七倍が二・五七三倍になったわけでありまして、これをまず是正していかなきゃならぬということになるわけであります。

 そこで、今、区画画定委員会でいろいろな審議をしてもらって、最終的には十二月の二十二日までに、たまたまこの日は土曜日なものですから、その前になるかと思いますが、出すことになっておるわけでありますけれども、これは事務局で結構でございますが、一体、前の答申、つまり村山内閣のときの答申、そのときにはもう選挙が迫っておりまして、初めての選挙制度が通ったときでありますから、ちょっと政治情勢は違うが、しかし法律の本質は一緒でございます。そのときにはどういう手続がなされていったかを簡単に説明してください。

大竹政府参考人 平成六年の衆議院選挙区画定審議会の勧告でございますけれども、これは八月十一日に内閣総理大臣あて勧告が行われてございます。これは区割りの画定案ということで、最初の勧告でございました。これにつきましては、翌八月十二日に閣議報告が行われまして、同日に、内閣総理大臣から衆参両院の議長あてに文書で報告することによりまして、審議会設置法第五条に規定しておりますところの国会報告がなされているところでございます。

 今回の区割りの改定案につきましては、ただいまお話ございましたように、法律の規定によりまして、本年の十二月二十二日までに勧告が行われるとなっているわけでございますけれども、この勧告がなされました場合におきましては、やはり前回同様にこの第五条の規定に基づきますところの国会報告等手続が行われるもの、このように考えております。

佐藤(観)委員 そこで、この第五条、私が答弁をした平成六年のときには、内閣総理大臣はこの勧告を尊重しなきゃならぬという言葉があったんでありますけれども、この尊重するが、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律というんで、五条の第一項がなくなっちゃったんですね。私、その議事録、自分が答弁したのをいろいろ見てみると結構答えているのに、この尊重するというのがなくなっちゃったということで、あるのとないのとどう違うのかを法制局を入れて聞きたいと思いましたが、きょう時間がありませんので、それはそうといたしまして、片山大臣も、この第五条に関係をいたしまして、これは尊重しますというのをたびたび言っていらっしゃるわけであります。そのことについては、それでよろしゅうございますね、当然だと思いますが。

片山国務大臣 前の法律では、今佐藤委員言われましたように、尊重義務を法定しておりましたが、中央省庁再編の際に、審議会によって尊重義務を書いているのと書いていないのがあるんですね。これは、政府がお願いをして御意見いただくわけですから、尊重するのは当たり前だろうというので、全部落としたわけでございますが、法律上の明定はございませんが、尊重すべきは私は当然だと思っております。

佐藤(観)委員 そこで、その尊重する、今大臣が言われた答弁なんですが、それは、先ほど大竹部長が言われましたように、最終的に国会議員に全部勧告案というのは配ることになっています。そこまでをやるという意味ですか。

 私はそれ以上に、尊重するということは、わざわざ画定審議会というものをつくって、そこから勧告が出てくるわけであります。内閣総理大臣はそれを受けて、受けるだけではこれは政治的な効果は全然ないのでありまして、何にも一票の不均衡というのは変わらないわけであります。これは、国会に提出をして、そして衆議院、参議院を通して初めてこれが政治的に生きてくるのでありまして、ただ勧告を受けてそれを議長なりあるいは各国会議員に配付をするというだけでは、これは政治的には意味をなさないというふうに思いますが、大臣の言われます尊重するというのは、どこの行為までを言うつもりで尊重するという答弁をなさっているんですか。

片山国務大臣 政府に、そういうことで内閣や国会に勧告があれば、勧告に基づいて案をつくって、国会に出して審議をしていただくというのが普通でございます。それは平静な普通の状況の場合でございますが、今回は与党三党が、今言いましたように、一年以内に抜本的な見直しをやる、一票の格差がないようにする、二倍未満にする、こういうことを決められておりますので、今回の場合にはそういう周辺の状況がございますから、その動向を見ながらどういうふうに扱っていくか決めていく、こういうことになるんではなかろうかと考えております。

佐藤(観)委員 ですから、先ほど言いましたように、これだけ酷評を得た案というのは私の知る限りない。そして、後でお伺いしますが、どうも大臣も第九次選挙制度審議会を設置するおつもりもなさそうである。

 先ほど言いましたように、近く言えばこの六年間、三内閣にわたりましてこの政治改革というのがなされてきたわけでありまして、与党三党がやっても、私は現行より国民の皆さんがより合意をするような案はできないと思います。まさに、いみじくも大臣が言われましたように、通常の場合には国会に法案を提出して、つまり定数の不均衡を直す勧告案をそのまま国会に提出をして、そして国会の審議を仰ぐ、これが通常なんで、それが正常な考え方だというふうに私は思いますけれども、それまで片山さんが大臣かどうかわかりませんが、現状においてはそこまでやるのが当然ではないか。それが、尊重するという意味ではないか。

 わざわざ画定審議会というのを、七名の委員をお願いして、そしてこれはあなたも御承知のように、両院の承認を得てやるという非常に重い審議会であります。そしてそれは、たびたび中選挙区のときにも定数是正というのがあって、なかなかそれができない、こういうことではいけない、やはり一票の格差をなるべく近づけようではないかという経験の上に、わざわざ画定審議会設置法という法律をつくって、いわば自動的に、十年に一回の本国勢調査があったらやらなきゃならぬというものをそのとおりやるのが政治に対する信頼だ、当然だと私は思いますが、いかがでございますか。

片山国務大臣 先ほども答弁させていただきましたけれども、そういう与党の合意がない場合、それで与野党とも全くそれについての意見がない場合には、私は、審議会の答申を受けて法案をつくらせていただいて、国会で御審議をいただくというのが、それが通常のやり方だと思いますけれども、今回は、与党でそういう合意をされている。

 基本的には、選挙制度というのは、何度も言いますけれども、国会内における各党各会派の十分な御論議、合意形成によって扱っていただくということを今までやってまいっておりますから、一方では政府・与党は議院内閣制では一体、こういうことでございますので、そこで与党合意の動向を見守らせていただく、そういうことは私は尊重の範疇にまだ属するのではなかろうか、こう思っております。

 いずれにせよ、国会の中において各党各会派が十分な御論議を賜るということを私は強く期待いたしております。

佐藤(観)委員 結局、最後は逃げちゃっているのでありますが、こういう審議会を設置して、勧告を出してもらって、そして、出されたものについて、今言われておりますように、一年間もたなざらしをしておくということは、これは政府だけの責任ではなくて、国会、我々全部の責任です。全部が一体何をやっているのかということを国民から厳しく問われてもやむを得ない。与党さんは自分たちで都合のいいような選挙制度を考えておるんだから、それはそれでいいのかもしれませんが、我々正常なあり方を考える者としましては、こういうことは許されることではないと思います。

 これはまさに審議会の委員の方々にも、これから案を出そうというとき、いや、一年間そんなもの、たなざらしですよというようなことを官房長官まで言っていることは、まことに失礼にしてふらち、これはもう議会制民主主義の破壊をみずからしていくことになるのであります。

 そういった意味で、ぜひこれは正常どおりやっていただきたい。特に、このごろスモンの問題のときに、不作為の法令違反ということが裁判所から言われておりますよね。スモンじゃない、ごめんなさい、ハンセン病について、不作為の法律違反、法令違反ということを言われております。つまり、国会はもたっとしていた、それにこたえなかったということなのでありまして、我々お互いに、国会議員としてこのことは肝に銘じていかなきゃならぬことだと思います。

 その意味で、これはそれに当たると同時に、よくよく考えてみれば、これは不作為じゃないんですね。作為の法令違反をやろうとしているということになることでありまして、ぜひこれは、勧告が出ました場合に、直ちに片山総務大臣のもとで法案を出すように、まさに審議会を冒涜するような、そしてそのもとにあるところの法律をみずから冒涜するような、そういう行為がなされないように再度要請をいたします。いかがですか。

片山国務大臣 佐藤委員のおっしゃること、お考えはよくわかりますが、先ほども言いましたように、基本的には、国会の中において各党各会派で十分な御議論をしていただけるもの、こう考えておりますし、一年たなざらしということではなくて、一年以内に抜本的な制度改正を行うということの合意でございますので、与党の動向あるいは国会内、与野党含めての動向を十分見守らせていただきながら、対応を考えてまいりたいと思っております。

佐藤(観)委員 それはおかしいのですよ、大臣。あなたは提出する義務があるんですよ。画定審議会設置法に基づいて、それを実現させるのは、これは文章は内閣総理大臣になっておりますが、所掌するのは総務大臣片山さんなのでありまして、あなた、人ごとみたいに国会に預けてではだめですよ、それは。法案をしっかりちゃんと出すということを再度要請しておきます。

 時間もあれですから、もう一つだけ申し上げますのは、実は、かく言う私も、そのときの大臣といたしまして、あのときは、御承知のように小選挙区で、いわば郡部の方々が多かったので、中選挙区から小選挙区に変えるときに、各県に一議席ずつ配分をして、その残りを二倍以内になるようにしようじゃないかということでつくったわけであります。そのときから既にいろいろ、各県に一つずつ議席を配分するというのはいかがなるものかという意見はありましたけれども、やはり成立させることが優先という政治判断のもとにやったわけであります。

 しかし、これだけ格差が開いてまいりますと、しかも二回選挙が行われますと、やはり一票の格差というものにもっと厳しくしていいのではないか。ということで、我が民主党は、各県に一議席ずつ配分をして、残りを配分するという、二百五十三を配分するというこのやり方については、これはおかしいのではないかという法案を出しているわけであります。だから、前言いましたように、画定審議会の案をやれやれというのも、ちょっと矛盾をしているところもあるのでありますが、これは政治問題です。

 しかし、いずれにいたしましても、総理も、ことしの五月三十日の参議院の予算委員会でも、「私は、一票の格差を是正する意味において、むしろ各県に一人割り当てるというよりは全国的な観点から一票の格差を素直に是正していく方法の方が好ましいと思っております。」と、我が党の浅尾慶一郎議員の質問に答えてそう言っていらっしゃる。彼も、小泉さんも、長いこと選挙制度を一緒にやってきましたから、非常にこういうことがわかっておるわけでありまして、私たちも、この方が本当だ、二・五三倍などという、一人が二票半持っているなどという、こんな不均衡というのは一日も早く直すべきであるというふうに考えておりますが、いかがお考えでございますか。

片山国務大臣 各県にまず、基礎というのでしょうか、基礎数というのでしょうか、一ずつ与えてというのがそのときの国会で合意された法律案ですね。それに基づいて今の定数配分がなされておりますので、画定審議会も、そういう法律の枠組みの中で、できるだけ二倍を超えないようにということで今努力をしておりますので、それはそういうことに御理解を賜りたいと思いますし、民主党さんがお出しなされた法案も、それもそれでお考えでございましょうから、これまたおしかりを受けるかもしれませんが、国会内で各党各会派で十分な御議論をしていただく、立法府で決めていただく、こういうことではなかろうかと思っております。

佐藤(観)委員 答弁としてはわかります。

 そこで、私は、うちの理事に、きょうは総理は来ないの、基本的にはこれはあくまで内閣総理大臣が画定審議会からもらう方でもありと言ったのでありますけれども、言われるように、当然のことながら、画定審議会設置法の中の第三条の一と二を変えていくということをしなきゃいかぬのでありまして、やはりそれの方が一票の格差を、均衡を保つという意味においては正しいのではないか。

 しかも、もう一つ、実務的に、今のでやりますと、つまり鳥取の合計が、鳥取三区が一番小さくて、人口が二十三万六千百三人、これは鳥取県全部合わせますと七十六万一千四百九十九人、こういうことになるわけですね。これを一つに――ごめんなさい、今のは島根。鳥取が今度一つになりますと、六十一万三千二百二十九人ということで、一番大きくなるわけですね。大きくなって、それで他のところを割っていけば、今度は倍率が非常に小さくなりますから、その次の十年後といっても、変動の数は今度のように九十五までふえるという、三分の一が二倍以上ということはなくなってくるわけでありまして、やはりお互いに均衡は直さなきゃいかぬけれども、有権者の関係からいえば、これは、余りたびたび自分のところがあっち行ったりこっち行ったりするというのは好ましいことじゃない。そういう意味から申しましても、そして基本的に一票の格差を是正するという意味におきましても、そちらの方がより民主主義を徹底することになるというふうに考えるからであります。

 最後に、冒頭申しましたように、与党のまさに御都合主義、酷評のこの選挙制度のことが言われておりますが、私もお伺いしましたように、当然だと思いますけれども、選挙制度というのは、各党の利害を超えて、国民が納得する理念の一貫したものがなきゃいかぬというふうに思います。それをつくるためには、私は基本的にはこの制度でいいと思っていますが、もしそうじゃないというなら、やはり国民の皆さんの議論を聞いて、そしてその次を考えるというのがあるべき姿だ、当然の姿だと思いますが、第九次選挙制度審議会というのはおつくりになるお考えはございますか。

片山国務大臣 これについてもいろいろな意見や御要請がございますけれども、今関係者で、総理まで含めまして慎重に検討いたしておる段階でございまして、結論は得ておりません。

佐藤(観)委員 終わりますけれども、これだけ長い間かけてつくってきて、妥協したところがありますけれども、小選挙区比例代表並立制という案にとにかくたどり着いたので、二回しかやっていないというか、二回やってそれなりのメリットを発揮していることでありますから、私は、新しい審議会をやっても恐らくできないと思っております。そのことも申し添えさせていただきまして、終わります。

中馬委員長 続いて、阿久津幸彦君。

阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。

 この一年間の選挙制度をめぐる議論や実際に行われた国政選挙を振り返ってみますと、民主主義国家にあるまじき極めて重大な選挙制度の歪曲が行われようとしてきたと言わざるを得ません。

 ことしの七月には、非拘束名簿方式という非常にわかりにくい、ある意味で問題のある制度のもとで参議院選挙が行われましたが、そこで高祖元議員による組織ぐるみの選挙違反が行われ、大量の逮捕者を出しました。有権者にとって長年の懸案である一票の格差の是正は遅々として進まず、その一方では、過日、与党三党の間で中選挙区制を復活しようという話が持ち上がり、その余りの強引さ、政党の身勝手が国民、マスメディアの猛反発を受けて、一時、復活案を引っ込めざるを得なくなりました。

 つまり、今、我が国の選挙制度は大きな危機にあるのではないか、政党の党利党略によって日本の民主主義や国民の権利がゆがめられているのではないか、そうした危機感と怒りを感じざるを得ないのです。

 そこで本日は、こうした今の選挙制度の問題点について、高祖事件とも絡めて質問したいと考えます。

 まず初めに、郵政事業をめぐっての選挙違反で十六人もの逮捕者を出したいわゆる高祖事件について質問したいと思います。

 この問題については、予算委員会あるいは総務委員会でもう既に議論はされているのですけれども、予算委員会は、性格からいって真相究明が主に行われました。そして、総務委員会は郵政庁の責任追及が行われた。そこで、倫選特としては、再発防止へ向けて何をなすべきか、このことを中心に伺いたいと思います。

 まず初めに、この事件の事実確認を行いたいと思いますが、容疑と内容について、簡単に警察庁参考人の方からお願いいたします。

吉村政府参考人 お尋ねの事案について申し上げます。

 本年七月に施行されました参議院議員通常選挙に際し、高祖氏に当選を得させる目的を持って、近畿郵政局長らが、職務上の地位を利用して選挙運動を行ったものでありまして、大阪府警及び京都府警において同局長ら十六名を逮捕するなど、公務員の地位利用による選挙運動の禁止違反事件として合計三十一名を検挙しております。

 大阪府警において検挙した事案は、当時の近畿郵政局長らが、本年二月上旬から三月上旬にかけて開催された近畿郵政局管内の大阪堺特定郵便局長業務推進連絡会、特推連と略称しておりますが、大阪堺特推連、三島特推連等十五の特推連の会合におきまして、参集した合計千二百名余りの特定郵便局長に対して、後援会入会勧誘の依頼や投票及び投票取りまとめの選挙運動の依頼をしたというものであります。

 京都府警において検挙した事案は、当時の近畿郵政局総務課長らが、昨年の九月ごろ、管内の普通郵便局副局長の会合において、普通郵便局副局長約二十名に対し、後援会への入会を勧誘するなどしたほか、本年六月ころ、管内の普通郵便局長の会合等において、普通郵便局長や副局長、合計約三十名に対し、投票及び投票取りまとめの選挙運動の依頼をしたというものであります。

阿久津委員 ちょっと確認をさせていただきたいと思いますが、公務員がその職務上の地位を利用して選挙運動を行ったことによる、公務員の地位利用による選挙違反の禁止違反容疑で逮捕されたというふうに理解してよろしいんでしょうか。ちょっと確認です。

吉村政府参考人 公職選挙法の百三十六条の二は、公務員がその地位を利用して選挙運動をすることを禁じております。

 個々具体的な事例についてはいろいろ、地位利用がどういうパターンなのかということはあると思いますが、今回の事案につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、特推連あるいは普通郵便局を舞台として、投票依頼なり投票取りまとめの選挙運動の依頼をしたということで捕まえておるわけであります。

阿久津委員 今回逮捕された中に、現職ではない、OBの方が含まれているんですけれども、その理由は何でしょうか。

吉村政府参考人 これは、公務員の身分を持った者と共謀して、公務員の身分なき者の加功ということで、共謀として検挙しております。

阿久津委員 要するに、公務員がその職務上の地位を利用して選挙運動を行っている、そのことに手をかせば、共謀によってOBといえども逮捕されるということだと私は理解させていただきました。

 そこで、片山大臣にお伺いしたいんですが、再発防止のために何ができ、具体的にどういう議論をしてきたのか、お答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 今の事案は大変、私としては、国民の信頼を失う遺憾なことだ、こう思っておりまして、責任を痛感している次第でございます。

 そこで、臨時の地方郵政局長、郵政監察局長の会議を開きまして、いろいろ事情や御意見を聴取いたしまして、私どもといたしましては、一つは、国家公務員法及び公職選挙法についての公務員としてのあるべき規律、ルール等についての研修をしっかりやろうということが一つ。

 それから、問題になりましたのは特推連と特定郵便局長会の関係でございまして、特推連は、これは業務連絡組織でございまして、公的なものでございますが、特定郵便局長会は、これは任意の団体ですね。それが混同されるようなことではぐあいが悪いので、そこは公私の別をというか、両方の組織の活動をはっきり分けていく、こういうことにしようということが二つ目でございます。

 それからもう一つは、地方郵政監察局というのがありますから、業務の監察が中心でございますけれども、今後は服務についても、特別考査ということで、これを計画的といいますか、そういうことで特別考査をして服務規律の保持を守っていこう、こういうふうにいたしておるわけでありますが、いずれにせよ、早急にこの事件の後始末として、国民の信頼を回復するような再発防止の体制をとっていこう、こういうふうに考えております。

阿久津委員 今の、何をしてきたかというのを聞いて、私はちょっとおかしいなというふうに思ったんですね。

 といいますのは、要するに、公職選挙法に関する研修を一生懸命やったわけですね。その後に、公的な機関である特推連の運営と私的なあるいは任意の団体である特定郵便局長会の活動は区別してくれよ、そこをはっきりしてくれよ、そういうことを言ったんだと思うんですけれども……(発言する者あり)これは大臣、今ちょっとやじにもありましたが、うまくやれよということだ。要するに、捕まらないための方法を伝授しているようなもので、例えば、スピード違反をした人がいたとして、そのときに、大臣だったら、四十キロのところで八十キロ出したら、それは君、妻子もあるだろうし、もしかのことがあったら大変じゃないかと諭すのが役割だと思うんですよ。それを、あそこにはオービスがついていないから、ひっかからないんだ、もうちょっと先には、あそこはいつも覆面パトカーがいるから注意しろよ、そういうことを言っているのと同じだと思うんですけれども、これは一体どうなっているのか。

 警察庁参考人の方、まだ残っていると思いますので伺いたいと思うんですが、公的な特推連であろうと私的な特定郵便局長会であろうと、その地位を利用して指揮監督下にある者に選挙運動を行えば、その違いはないと私は理解しているんですけれども、つまり、公務員の地位利用による選挙違反の可能性が生ずると思うんですが、どうでしょうか。

吉村政府参考人 先ほど申し上げましたように、公職選挙法の百三十六条の二を適用する事例かどうかということにつきましては、これは個別のケースをよく見てみないと判然としない部分があります。したがいまして、公務員等の内部関係で、職務上の指揮命令あるいは人事、予算権等に基づく影響力を利用して、公務員の部下あるいは職務上の関係のある公務員に対して選挙に際しての投票を勧誘することになっているのかどうかということは、これはその事実が発生をしてみませんと、一般的にはなかなか申し上げにくいという面もございます。

阿久津委員 重大な事件が今回起こったわけです。十六人逮捕者が出て、検挙者は三十一名ですか、大変重要な事件なんですよ、これは。だから、もうちょっとはっきりお答えいただきたいんですけれども、例えば、特定郵便局長会で、仮に時間内としましょう、局長さんが指揮監督下にある局員に向かって選挙運動を行ったら、どうなるんでしょうか。

吉村政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、刑罰法令に当該事実が該当するかどうかということは、その事例に即して考えませんと、一般的にこういう場合はなる、こういう場合はならないということはなかなか申し上げにくい面もあるということで御理解いただきたいと思います。

阿久津委員 私は、今の答弁を聞いた方は、国民は、つまり大丈夫とは言えないんだなというふうに少なくとも理解したと思うんです。

 そこで、大臣にもう一回伺いたいんですけれども、大臣、先ほどの再発防止策というのは私は根本的にちょっと間違いがあると思うんですよ。つまり、今しなければならないことは、郵政事業にかかわるすべての公務員がその職務上の地位を利用して選挙運動を行わないことを徹底すること、これが唯一最大の再発防止策だと思うんですよ。要するに、今まで郵政庁があるいは特定郵便局長がやってきた選挙運動をやめればよいだけの話なんですね。

 そこで大臣、今この場で国民に向かって、上司から指示されようと、公務員である諸君はその地位を利用しての選挙運動に加担する必要はないし、すべきではない、昇進にも影響しない、そういうふうにはっきり言っていただきたいんですけれども。

片山国務大臣 先ほど、公職選挙法なり国家公務員法の研修をやるということは、今回の事案が公選法に基づく職務上の地位利用と事前運動なんですね。だから、そういうことは公務員としてすべきことではない、だれにどう言われようが、それは公務員としての地位というものをしっかり考えて行動するようにということの研修をやるわけであります。事前にもそういう意味での通達や研修をやったんですけれども、今から思うと不徹底であった、そういう反省をいたしております。

阿久津委員 大臣、ちょっと大臣に教えていただきたいんですけれども、じゃ、なぜ公務員はその地位を使って選挙運動をやってはいけないというふうにお考えでしょうか。

片山国務大臣 それは、まさに委員に対しては釈迦に説法になって恐縮なんですが、公務員というのは国民全体の奉仕者ですから、パブリックサーバントですから、その地位の特殊性、職務の公共性からいって、法律で、公選法等でそういうことが禁止されているわけであります。

阿久津委員 今のことを御理解いただいているならば、防止策というものがまた違ったものになってくると思うんですね。私は、公職選挙法でこれがいけないあれがいけないというのを教えることは大事なことだと思うんです。ただ、それだけじゃなくて、公務員たる者、どういう気持ちで職につかなければならないのか、働かなくちゃならないのか、役割を任じなければならないのかということを、ぜひ今おっしゃったことを徹底的に公務員に向けて御指導いただきたい、そういうふうに思います。お願いします。

 ちょっと別の観点から今回の大量の違反者、逮捕者を出した高祖事件を振り返ると、このたび導入された参議院比例代表制の非拘束名簿方式という制度そのものにも原因があったというふうに思われるんですが、非拘束名簿方式の提案者でもある片山大臣に、この選挙制度の中に問題点があるとすればどんな問題点があったとお考えなのか、高祖事件との絡みも含めてお話しいただきたいと思います。

片山国務大臣 私は、制度の問題ではない、運用というんでしょうかね。

 ただ、今回、非拘束にしましたのは、個人の選挙運動も一定の制限のもとに認める、こういうことでございますから、個人の選挙運動が過熱するようなことも場合によってはあるのではなかろうか。だから、個人の選挙運動に関するいろいろな規制、罰則も適用するようにいたしましたし、連座制についても大変な議論がありましたが、連座制もその中に入れたわけでございまして、結果としてこういうことになりましたことは、裁判の確定を待たなければなりませんが、大変遺憾だと考えておりますが、私は、制度の問題ではないのではないか、制度に対する理解ややり方がもう一つであったのではないか、こういうふうに考えておりまして、恐らく次の選挙から、さらにこの制度についてはっきりした認識を持ってそれぞれが運動いただけるのではなかろうか、こういうふうに思っております。

阿久津委員 今、遠藤副大臣もいらしたので、ちょっと急にでおわかりにならないかもしれないんですけれども、伺いたいと思うんですね。

 今回大量の違反者、逮捕者を出した高祖事件を振り返ると、このたび導入された参議院比例代表制の非拘束名簿方式という制度そのものにも原因があったと思われる、その中で、この選挙制度の中に問題点があるとすれば、高祖問題と絡めてどんな問題点があるというふうにお考えかということで今大臣に伺ったんですけれども、ちょっと私としては納得がいかない答えだったので、公明党がこの非拘束名簿方式の制度導入を自民党に強く促したと言われていますので、公明党の立場も含めて、遠藤副大臣の方からちょっとお答えいただきたいんです。

遠藤(和)副大臣 この非拘束名簿比例代表制のお話ですけれども、これは議員立法で出された法律でございますが、恐らくその趣旨は、顔の見える選挙制度にしよう、個人の名前でも投票できるようにしよう、そして当選の順番を国民の皆さんに直接つけていただきましょうという、国民に開かれた選挙制度にしたというのが大きな目的だったと思いますね。そのかわりに、個人に対しても公職選挙法上罰則規定を設けた、こういうことが大きなところでございます。

 今回、残念ながら、そうした形で公職選挙法違反の事例が出たわけですけれども、これは、選挙制度が変わったからその刑事の犯罪行為が起こったというのとは必ずしも一致しないのではないか、私はこのように思っております。

阿久津委員 ちょっと確認すれば、片山大臣の言葉をおかりすれば、選挙制度に百点満点のものはない、必ずいい面と悪い面があると思うんですけれども、今回高祖事件が起こった。あるいは、これは一般論でも結構です。今回やってみて、問題点がたくさん出たと思うんですけれども、その問題点について遠藤副大臣いかがでしょうか。どの辺が問題点だったというふうに思いますでしょうか。

遠藤(和)副大臣 個人の名前を書ける選挙制度にしたにもかかわらず、個人の名前を書く人の数が少なくて、政党の名前を書く人の方が多かった。これはまだ制度の趣旨が十分に浸透していないということでありまして、これからも、個人の名前を大いに書いていただけるように、また、候補者本人も政党の方も努力をして、この選挙制度の趣旨が生かされるようにしていただきたいと希望しております。

阿久津委員 これは、例えば公明党のように、非常に組織された宗教団体である創価学会が全面的に支援してくれる。創価学会の方は選挙になれていますから、今度はこの人ですよと言えば、ばっと下まで流れていくわけですよ。そういう場合にはこれは全く問題ないんです、今回の非拘束名簿方式というのは。

 だけれども、今、一方で浮動票というか、無党派層がどんどんどんどんふえている。いい悪いありますよ。だけれども、その中で、ある意味では、どうしようかな、だれにしようかな、余りわからないでその場で考える人もいるし、でも投票に行くことは意義があることですからね。そういうことでいうと、今回のこの制度というのは非常に、何というのかな、トレーニングした組織を持たないと選挙がしにくいという点があったと思うんですよ。

 そこで、今回の事件は、ある意味では、個人名を全国の多くの有権者に覚えてもらい書かせるという非拘束名簿方式への無理な制度変更によって、もともと郵政一家と言われ、政官一体となって利害を共有する体質を持つ組織が、ある面危機感を持ってやり過ぎてしまった結果起こった悲しい事件だというふうに私は思っているのです。

 この悲しいという意味はどういうことかというと、郵政事業にかかわる多くの善良な局員まで巻き込んで行われた組織犯罪であって、組織に忠実だった、妻子もあり家族もあり、ある意味でまじめな人々の中から逮捕者が出てしまっているんです。今までの努力をその人たちはふいにしてしまっている。私は、この非拘束名簿方式は、今回で終わりにして見直すべきだと思うんですが、片山大臣いかがでしょうか。

    〔委員長退席、細田委員長代理着席〕

片山国務大臣 これも制度導入のときに大変な御議論、御指導を私もいただいたわけでありますが、これは選挙制度審議会の、あれは平成三年でございましたか、三年から四年にかけてでございましたか、その審議の答申をそのまま制度化したものでございまして、一度、あれは平成六年度か七年度ごろに、参議院でも導入しよう、こういうことになったわけでありますけれども、結局、各党の内部調整ができなくて流れたものですね。それを再度制度化したものでございまして、私は、制度としては相当よく考えられた制度だ、こう思っておりますが、二十年間近く比例をやってまいりましたから、ちょっと制度になじめなかったというようなこともあるいはあると思いますね。

 それから、党がやるものと個人がやるものとの分担関係を一応整理いたしましたけれども、この辺についての理解も十分でなくて、結果としてああいうことになったと思いますが、この制度についての理解が深まれば、私は、次の参議院の通常選挙から十分に機能していくんではなかろうか、こういうふうに思っております。

阿久津委員 そうしたら、ちょっと中選挙区制の方に話を移したいと思うんです。

 与党間で検討された中選挙区制復活論に対する見解を伺いたいというふうに思うんですが、もう大臣も副大臣も御存じのとおり、これは国民、マスメディアの非難というのは大変なもので、例えばちょっと紹介しますと、朝日新聞。この中選挙区制復活について、「恥ずべき政党エゴだ」「選挙制度を、政党の都合でここまで勝手にもてあそんでいいのか。」「中選挙区一部復活案は、政党エゴ丸出しの改革案だ。到底看過できない。」こういうふうに言っています。それから読売新聞。「理念なき選挙区いじりは論外だ」「改革案は無定見極まりない。党利党略が度を越している。到底、容認できない。」それから日経新聞。日経新聞は、「党利党略で選挙制度をもてあそぶな」「公明党がめざす選挙制度見直しの取引が公然とささやかれている」「言語道断であり、筋違いも甚だしい。」この取引というのは毎日新聞でも指摘されているんですけれども、「公明党幹部は、中選挙区制導入に応じないなら、自民党が検討している国連平和維持活動(PKO)協力法改正に賛同しないと発言している。」「無理が通れば道理引っ込む」、毎日新聞はこう言っています。最後に東京新聞。東京新聞は、「自民、公明、保守の与党三党は、民主政治の土俵である選挙制度改革の意義をわきまえて行動しているとは到底思えない。」というふうに言っています。

 こういうマスメディアの反応も含めて、遠藤副大臣、これはどのように中選挙区制復活論に対して考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 現行の衆議院選挙制度は並立制という選挙制度になっておりますけれども、これは三百の小選挙区で政権がダイナミックにかわる、こういうことを想定しております。したがいまして、この並立制の議論の中では、人工的、人為的でもいいから、日本の国に二大政党制を実現しよう、こういう夢が入った制度だと私は理解しております。

 しかしながら、それは、夢は挫折をいたしまして、私どもの立場では、新進党という政党はなくなりました。公明党は新しい公明党になりまして、党大会を開いて、やはりここは多数の民意を反映する新しい形の中選挙区制、すなわち三人区で百五十選挙区というものを機関決定したと承知をしておるわけでございます。したがいまして、公明党の主張は、あくまでも新しい形の中選挙区制、こういうことを提案されておる。

 しかしながら、与党の中で協議をいたしましたときに、自民党の中から、協議をいたしまして、なかなか公明党の案を丸のみするのは難しいという議論から、自民党の案が、第一次案が出てまいりましたが、これは自民党の議員の了解するところになりませんでした。そして、第二次案も出てまいりましたが、これも了解するところとなりませんでした。したがいまして、もう一回、一年間かけて議論をし直そうということに落ちついているのではないかと私は聞いております。

 ただ、私の立場は、選挙制度を所管するところの副大臣をさせていただいておりますものですから、選挙制度というのは、各党各会派が御議論をいただきまして、議論をしていただくものだ、こういうものでございますので、その議論の成り行きを静観させていただいておる、こういうことでございます。

阿久津委員 今、二大政党制を否定するような、これはメモをとられているんですからね、ちょっと考えられないような答弁だったので、ちょっと片山大臣にもお伺いしたいんですけれども、これは自民党の中でも反対続出だったわけですよ。

 もう御存じのとおり、制度改悪で百害あって一利なし、これは、名前を言わないですけれども、自民党の議員が言ったことですよ。それから、公明党にまとまりませんでしたと謝罪すればいいじゃないか、こう言う人もいた。それから、三〇〇%反対、公明党との連立を維持したいという思惑がありあり、それから、住所によって選び方が違うのは国民に失礼、世論がおかしいと言えば執行部でも通せない、こういうふうに言っているんですね。

 それで、大臣、先ほどと同じ質問。与党間で検討された中選挙区制復活論に対する見解を伺いたいんです。各党各会派の議論に任せるなどと言わないで、執行部でもある片山大臣にお答えいただきたい。

片山国務大臣 選挙制度というのは、今までも、委員、まとまるまでは大議論ですよ。これは一つの提案であったかもしれませんが、各党の内部調整でいろいろな議論が出て、それがあの合意になったので、私は、議論の途中経過ではいろいろな議論があっていいと思いますよ、民主主義というのはそういうことなので。ただ、最終がどういうことになるかでございまして、マスコミ等はいろいろな批評をされておりますけれども、私はやはり、選挙制度というのは非常に難しさがあるので、いろいろな議論があるものを次第に集約、収れんしていくべきものだ、こういうふうに考えております。その過程の議論としてお考え賜りたいと思います。

阿久津委員 もう時間が来ましたので、最後に、国会議員たる者は、一部の利害に奉仕するのではなく、国の全体に目配りをして、公平無私の精神でその責務を果たすべきであることは言うまでもありません。そのために、政治家と政党のモラルを確立し、公正な選挙制度を確立することこそが、我が委員会に課せられた任務であります。大臣、副大臣初め、私自身も含めて、関係議員はこのことを肝に銘じて職に当たるべきことを訴えて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

細田委員長代理 東祥三君。

東(祥)委員 自由党の東でございます。

 きょうは三十分間ほど質問をさせていただくということで、ただ、さきに佐藤観樹委員がきょうはとてもすばらしい質問をされ、二点にわたっての論点でありました。私も全く同じ論点から質問をさせていただこう、このように思っていたわけでありますが、重複するとこれは大変恐縮でございますが、佐藤先生はやはり大先輩の議員であります。また、自治大臣も経験され、そしてその経験を踏まえた上で、現行の衆議院の選挙制度が導入されるに当たって本当に大激論をして、そしてある意味で国の将来を志向して、どのようにしていったらいいのか、そういうかんかんがくがくの議論を踏まえた上で、そしてこの現行の衆議院選挙制度が導入された。また、片山大臣もそのことをお認めになっているその答弁を聞いて、やはりこういう議論が委員会において質問されていく、それは私のような若手の議員にとっては極めて参考になる。同時に、別の角度から、一つは、衆議院の選挙制度の問題並びに一票の格差、とりわけ定数削減の問題でありますが、このことを片山大臣に質問させていただきたいと思います。

 片山大臣も極めて実力者であります。多くの国民が、やはり政治家というのは見識をちゃんと持っていて、そしてその見識を踏まえた上でこの国のかじ取りをしている人間だと当初は思われていたわけでありますが、最近では、どうも国民ばかりに痛みを与えて、自分たちは常に安全な場所を確保して、そして政治家ではなくて政治屋になってしまっているのではないのか、そういう声がいろいろなところで聞かれます。そういうことも踏まえた上で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 第一点目に関しては、定数削減の問題であります。

 先ほど佐藤先生の方から一票の格差の問題について質問され、それはそのとおりでありますので、その部分は重複しませんが、現在の日本の国内の現状を眺めたときに、民間の方々が、小泉総理はまだ改革を断行していないんですが、リストラ等、そしてまた現行の経済不況の荒海の中で、大変な苦しい思いをされているわけであります。

 私どもが、自由党が自民党との連立政権をつくっているとき、つまり、平成十一年の十月四日でありますが、自民党、それから公明党・改革クラブ、そして我が党との間で三党連立政権の合意を作成いたしました。そのときに、定数の削減問題に関しての合意があったわけであります。

 このとき私たちは、政策論として、本当に、日本の一億二千六百万人がいる人口の中で、五百名という衆議院の数というのは多いのか少ないのか、こういう論点で考えれば、僕はいろいろな議論があると思うんです。しかし、なぜ定数を削減させるべき方向性でかじをとったかといえば、先ほど申し上げましたとおり、国民の皆さん方が本当に苦しんでいる。民間の皆さん方も、自分たちの生活防衛のために全力で頑張っている。そういうことであるとするならば、国民に範を垂れるべき政治家がまずもってその先鞭をつけるべきなのではないのか。政治家が国民に対してつらい思いを強いるのではなくて、まず政治家が政治家の首をとるべきではないのか。

 その意味で、一番初め我々は百名を提案していたわけであります。それが、この自民党そして公明党・改革クラブ、我々との合意の中で、五十名になったわけであります。そして、その中で、衆議院議員の定数については五十名の削減と、そのうち二十名については次期衆議院選挙において比例代表選出議員を削減することを内容とする公職選挙法の改正を次期臨時国会冒頭において処理する、二番目として、残余の三十名の削減については小選挙区定数などを中心に対処することとし、平成十二年の国勢調査の結果により所要の法改正を行う、このことが合意されたわけであります。

 さきの三党合意に基づいて、衆議院比例代表区は二十名削減されました。ただし、残り三十名の削減は課題として残されたままであります。この点について、議員定数は早急に削減すべきであると考えますけれども、まず片山大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 議員定数のあり方については、外国との比較でいろいろな議論があることは承知いたしておりますし、今、東委員言われましたように、自自公連立時代に、そういう提案が自由党の党首からございまして、それが合意されたということも承知いたしておりますが、結局、国会の定数、衆議院の定数をどうするかは最終的には立法府の判断で、何度も同じことを言って恐縮でございますが、各党で合意形成をしていただくことではなかろうか、こういうふうに私は思っております。

 参議院の方は、私は提案者の一人になりましたけれども、衆議院の二十名の削減を見まして、参議院も定数を無傷でいくわけにはいかない、民間を含めて、あるいは国家公務員、地方公務員の定数削減を含めて、ぜひ参議院も定数削減をすべきだろう、こういう合意の中で、十人の削減を当面やらせていただいたわけでありますが、これもいずれも議員立法で、内閣とは別の形でああいう実現になっておりますので、その点を御理解賜りたいと思います。

東(祥)委員 大臣、そこで、私たちは法案を提出させていただいておりまして、また民主党も法案を提出しているわけでありますが、その残余の問題といいますか、当時自由党の三連立与党で合意した残りの三十名の削減、これは国民との約束でありますから、この課題を解決するに当たって、まずその第一段階として、先ほど佐藤委員も言われました、基本的に人口比例配分規定の排除、基礎配分を廃止する。それを踏まえた上で、衆議院議員小選挙区選出議員の定数を十五人まず削減することを内容としました公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律案をさきの通常国会に提出しておりますけれども、継続扱いとなったままであり、まだ審議すらできない状況が続いております。

 これは、片山大臣のお立場から見れば、国会の、立法府の問題でありますから私がどうこう言えることではない、そういう御発言、御答弁になるのかわかりませんけれども、早急に審議するよう求めたいと思いますが、大臣としてやはりこの問題に対して、ただ単に国会にすべて任せるよということではなくて、大臣としての見識をこの場で披瀝しておいていただきたい、このように思うわけであります。

片山国務大臣 自由党さんが法案を提出されていることも、民主党さんが提案されていることも承知いたしております。一方、与党の方は、御承知のような、十月三十一日でございますか、あの与党合意をやりましたので、恐らく早急にいろいろな御協議をして結論をお出しになる、こう思いますので、もしそういうことでまとまって国会に法案が出れば、三種類のこの問題に関する法案が出てくるわけでありまして、ぜひその間で各党各会派の御調整をお願いして、国会として、衆議院としての意見の集約を図っていただければ大変ありがたい。

 大臣として、特にこの定数問題で今お話をするという立場では、ちょっとなかなかいろいろな問題がございますので、御遠慮申し上げたい、こういうふうに思います。

    〔細田委員長代理退席、委員長着席〕

東(祥)委員 この点について最後になりますけれども、先ほど冒頭申し上げました、民間がリストラで血のにじむような、そういう闘いをしている。ますます今の状況というのは先行き見通しが立たない。さらにまた、小泉さんは改革を断行するというふうに言っているわけですから、その改革の中身はまだ私どもにはよくわからないわけですが、それによって多くの痛みが伴う。小泉さんの、総理の言葉をかりればそういうふうになる。

 そのときに、先ほど申し上げましたとおり、国会議員がひとり自分の身を安穏なところに置いておいてそれでいいのかという問題にかかわってくるのではないのかというふうに思うのですが、この点については、大臣、いかがお考えでしょうか。

片山国務大臣 私は、委員の言われるような状況はよく認識いたしておりまして、先ほども言いましたが、民間がこれだけのリストラをおやりになっている。国家公務員、地方公務員も同じようにやっている。地方議会の議員も法定定数を相当下回っている。こういう状況の中で、衆議院が二十人の定数削減をおやりになりましたので、私どもの方の参議院もということで十人の削減をいたしたわけであります。

 そういう意味で、私は、国会が率先垂範、そういうことについての認識を持ってまとめていただくということは、それはあるのかな、こういうふうに思っております。

東(祥)委員 それでは、いわゆる衆議院の現行選挙区制度にかかわる問題で、先ほど議論されました、与党の選挙制度に関する実務者会議で、一部の地域において複数区を導入する合意がなされた。私はそれを見て本当に驚天動地、驚いてしまったわけでありますが、先ほどの委員の方々が報道を通じて評されている状況について説明されたので、重複を省きます。

 言うまでもなく、あのとき自分自身も当然この議論に入っておりました。当時、中選挙区下において、とりわけ自民党を中心とする政権をとろうとするそういう議員の中で、一選挙区に複数の候補を立てなくちゃいけなくなる。当然そこには、政策あるいはまた理念のぶつかり合いというよりも、人間関係をいかに細やかにしていくのかという視点での利益誘導型の政治、それがはびこっていた。これをまず第一義的にやめようという形で出てきた議論ではなかったのか。

 片山大臣が言われるとおり、選挙制度に完璧なものというのはありません。そういう意味において、それぞれの選挙制度において、いいところ、悪いところ、また不完全なところ、そういう部分があるのは当然だということを踏まえた上で、いかに日本、ある意味で理念あるいはまた政策に基づく選挙を行うようにするにはどうしたらいいのか、ここに一つの大義が、明確な大義があったのではないのか。にもかかわらず、現在そういう議論が与党の内部においてされているということを聞いて、私は率直に驚いてしまったわけであります。

 小選挙区においては、当選人が一人のため、原則として政党対政党の争いになる。まだ二回の選挙しか行われていないわけでありますから、いずれにいたしましても、それぞれ多くの方々に聞けば、やはりもちろん人間関係、今までの古き慣習といいますか、それに基づいてやっているところもあるかわかりませんが、あなた方の政党としてどういう理念、政策を持っているのか、そういう方向に徐々に徐々に行きつつあるのではないのか。

 そういう状況の中で、この複数区の選挙区が導入されるようになれば、小選挙区を導入した目的それ自体が骨抜きになる可能性があるのではないのか、このように素朴に思うわけでありますが、この点について、片山大臣、いかがお考えですか。一つ一つ聞いていきますので、どうぞよろしくお願いします。

片山国務大臣 先ほどもお答えさせていただきましたが、いろいろな案が選挙制度について出てきて、いろいろな議論が行われて、それが最終的には集約、収れんされていくべきものだ、私はこう考えておりまして、あの案の本当の考え方は私承知はいたしておりませんけれども、与党の各党の調整の過程でいろいろな議論があって、結果としては十月三十一日の与党三党の合意になったわけでありますから、私は、その合意がどういう形でこれから協議されまとまっていくのかということを見守りたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。

東(祥)委員 大臣よく御存じのとおり、現行の小選挙区比例代表並立制が導入された際に、候補者届け出政党と、そしてまた名簿届け出政党という概念が新たに創設されたわけであります。そしてそこで、候補者届け出政党と名簿届け出政党が、選挙事務所、選挙カー、政見放送、選挙公報、選挙運動用はがき、ポスター、ビラを使用し選挙活動を行えるようになりましたけれども、これは、小選挙区において政党対政党による選挙が行われることを前提として制度化されたわけであります。

 ところで、今度与党内でいろいろ議論されているもの、つまり複数人区において同じ政党同士の争いが起こると、これらの制度そのものの趣旨に反することが起こってくるのではないのか。この点について、いかがですか。

片山国務大臣 何度も同じお答えを申し上げて恐縮なんですが、東委員、成案になっているわけじゃないので、仮定の議論ですから、仮定の議論について、私が今選挙制度を所管する総務大臣としてコメントを言わせていただく立場ではない。

 小選挙区制は、もう何度も言いますように、政権選択の、二大政党を志向した制度でありますし、比例代表は民意を鏡のように反映するという制度でございまして、両方のデメリットを補うという意味で、並立制という世界にまれな制度が導入されたわけでございます。

 ただ、それが、それでは万全で百点か。私は、いろいろな案があっていいと思いますので、もしもっといい案があるのなら、それは検討するに一向差し支えないと思いますが、ただ、せんだっての案は、単にまだ内部で固まる前のいろいろな段階で出てきたものでございます。与党三党これから早急に協議をして、二倍未満で一票の格差をなくして平等にするようなことを、抜本的な制度をお考えになる、こういうことでございますので、どういうことになるのか、私はその動向を見守りたい、政府の立場ではそういうことでございます。

東(祥)委員 大臣の御趣旨、よくわかるのです、仮定の話だからと。

 ただし、私たちは本当に国会を活性化させていくために、委員会及び本会議、まだ本会議はおくれていると思うのですが、いわゆる政府委員制度を廃止した。それはまさに議員間の討論を活発化させていくためにやっているんですね。

 さらにまた、副大臣制度を導入した。遠藤先生は本当にこの道にもたけられている人でありますが、例えば、我々はイギリスを範として副大臣制度を導入しているわけです。ともすれば、僕の見方ですが、今の内閣というのは、副大臣あるいはまた政務官というのを本当の趣旨で、入れた趣旨で使っていない。つまり、プロを育てていかなくちゃいけないわけですね、それぞれの道の。

 だから、例えば僕は、外交、安全保障という問題を常に担当しておりますが、例えばイギリスの政務官になられるその人たちは、一切官僚と相談しないんですよ。そこで起こっている問題を把握した上で、そして、各政治家の間を必死になって回るんですよ。そして、大臣及び副大臣を補佐するわけです。大臣、副大臣というのは、自分自身の見識を持っていて、そしてそれを発表していくんですよ。

 ともすれば、これは間違っていたら御批判されるかわかりませんが、副大臣のポストがふえたからといって、ポストの数がふえたと思っているとすれば大きな間違いでありまして、そうであるとすれば、今いろいろ議論されている他の所管の問題でありますが、そういう大臣というのは本来出ないような仕組みになっているんです、その道のプロでなくちゃいけないわけですから。だから、そうしたときに、国際社会での会議があったとしても、自分自身の見識で大臣や各長官と議論できる、そういう制度を導入したわけですよ。

 だから、そういう意味で片山大臣は、数年前の、仮定の話だから、自分自身今なかなか言えないということは、それは違うんじゃないのか。私たちは、大臣があのときこういうふうに言っていたから、その言葉じりをとらえて後から追及するなんということを、少なくとも私、自由党はしないと思いますよ。

 だから、そういう意味で、総務大臣というお立場で、そして、こういう問題についても精通されているわけですから、いろいろな党内の立場というのはあるかわからない、しかし私はこういうふうに思うということでなければ、議論というのは活性化していかないんじゃないですか。決められたものがあって、私はそれは大臣でぽこっと乗っかっているんです、だれでもそれはその大臣になれるということですよ。別の言葉で言えば、それは戦えないベスト・アンド・ブライテストは大臣になれないということなんですよ。そうであってはいけないということで、大変大先輩に対して差し出がましいことを後輩議員が言っているわけでありますが、そういう角度で私は聞かせていただいている。

 個々の問題、具体的な、仮定の問題であったとしても、それは仮定の問題ですね、しかし私はこういうふうに思いますというぐらい大臣が言えなかったら、何のための大臣なんですか。それは大臣はいなくてもいいんですよ。役人さんがいればいい。とするならば、政府委員制度を廃止した意味が全くない。クエスチョンタイムを導入したのもその意味ですよ。

 だから、そういう意味で、大臣、もう一度お考えを、私、片山何がしはこういうふうに思う、これでいいじゃないですか。どうぞ。

片山国務大臣 東委員、今のいろいろな政党政治やイギリスを含む内閣制度に通暁されておりますので、お話ございました。

 私は、今の副大臣、政務官制度はなかなかいい制度だと思いますけれども、これから本当にもっと活用をしないといけないと思いますね。そういう意味では、国会の方でもいろいろお考えを賜れれば大変ありがたい、こういうふうに思っております。

 私どもの方でも、副大臣がお二人、政務官がお三人おられますけれども、政務官はかなり特定のテーマの特命的なことでいろいろ勉強していただいておりまして、そういう意味では、東委員言われるようなプロ的なことにだんだんなっていただいているのかな、私はこう思いますが、しかし、東委員、一遍にばらっと世の中、私のところを含めて、我が国はなかなか変わりにくい風土、環境でございまして、なだらかに次第に変わっていくのではなかろうか。

 国会のやりとりも、私どもは法律を所管しているんですね。私ども各大臣は、それぞれ所管の法律がございまして、その法律をしっかり守る。もちろん憲法を含めてです、憲法はもっと基本法でございますから。そういう立場でございますので、自由濶達に何でも言えるというわけに、なかなか立場上言えないということは御理解を賜りたい、こういうふうに思っておりまして、私はこれでも割にいろいろなことを言っている方だと自分では思っておりますけれども、今後とも東委員の御指摘を体して、私自身も努力してまいります。

東(祥)委員 やはり大臣すばらしくて、僕の質問に今何にも答えてくれていないのです。

 私は、現行の小選挙区比例代表並立制に一部分だけ複数区の選挙区を導入してしまえば、基本的な制度そのものにそごを来すんじゃないですか、論理矛盾を来すんじゃないですか、こういう質問なんです。見事に大臣はそれを横に置いておいて、別の問題に対して答えてくださっているのですが、それは僕も尊重しますし、それはちょっと置いておいて、この点についていかがお考えかと聞いているので、どうぞよろしく。

片山国務大臣 今の小選挙区比例代表並立制というのも、いろいろな要素を組み合わせた制度ですね。本当は、制度だけ言えば、比例代表か小選挙区の方が、制度の趣旨、目的は一貫するわけですよ。しかし、これはいろいろな考え方、要素を組み合わせて小選挙区と比例代表の制度になりまして、これは定数も最初は三百と二百ですね。比例の方は百八十になりましたけれども、そういうこともいろいろな議論があるので、もう一つ要素をつけ加えるという考え方は、私はあってもいいとそれは思います。

 しかし、それが国民の皆さんから見てどういうことになるのか、国会の中の国民の代表である国会議員の皆さんの御意思としてどういうことになるのかですね。私が何度も言いますように、選挙制度は百点がありません。各党各会派、各個人によってそれぞれ考え方が違うわけでありまして、どうやって集約できるかというのが選挙制度だろう、こういうふうに私は思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

東(祥)委員 僕の表現が悪いんでしょうか。小選挙区比例代表並立制度の問題について質問しているのではなくて、現在は小選挙区比例代表並立制なんですよ。そして、これが導入されるに当たってかんかんがくがくの議論があって、それが導入された。そして、そこで候補者届け出政党と名簿届け出政党という新たな概念が創設されたのです。そして、候補者届け出政党と名簿届け出政党が、選挙事務所や選挙カー、政見放送、選挙公報、選挙運動用はがき、ポスター、ビラを使用して選挙活動を行えるようになったのですよ。これは、繰り返しますけれども、小選挙区において政党対政党による選挙が行われることを前提として制度化されたのですよ。そこに、まさに与党で議論されていられるように、一部の地域に、複数の人が当選できる、そういうものをつけ加えてしまえば、現行の制度そのものの趣旨に反するようになるのではないですか。

 だから、僕が期待しているのは、いや、それは東さん、そんなこと言ったって反するようにならないよ、やはり反するよ、それしかないんじゃないですか。それを僕は聞いているのですよ、いかがですかと。

片山国務大臣 私は、東委員の言うことを正確に理解しているつもりでございますが、ただ、私の立場でそういうことについて右か左か、そういうことを言うのは差し控えたい、こういうふうに思っておるわけであります。

東(祥)委員 片山大臣は、大臣になれば、大臣としての見識を持てないんだ、そういうことですか。

 先ほどから言っているのは、まさにそれは国会の活性化であり、大臣というのは一体何なんだということですよ。仮定の話である、議論なんかできなくなるじゃないですか。何のために大臣がいるのですか、何のために我々はここに座っているのですか、委員会における審議というのは何なんですか、そういう話ですね。

 お話をずっと延長していけば、それぞれの所管で抱える法律が出てきたときに、そのときにそれを通してくださいと。別にここで議論しなくたっていいわけですよ。政党に持ち帰って、賛成ですか、反対ですか。政治家は要らないじゃないですか。そういう話になっていきますね、大臣のお立場をそんたくして、そして議論すれば。

 だから、私は申し上げているわけですよ。片山大臣が失言しようが何しようが、それによって片山大臣をいたぶったり非難したり、そういう政治はやめましょうと言っているんですよ、理念と政策の問題で議論していきましょうと。私が言っているこの議論に対しておかしいというならば、それは東さん、論理がおかしい、そういう議論をしていかなければ何の発展もないじゃないですか。それを聞いているのです。その上でも言えませんか。立場上、いろいろと非難の矢が飛んでくるんですか、言い方によって。それほど自民党というのは変わってしまったのですか。

片山国務大臣 それは自民党じゃなくて、自由奔放、濶達に、私は与党の閣僚の一人でございますけれども、お互いそういうことで意見を交換するというところまで自由な雰囲気、環境には私はまだなっていないと思います。だんだん変わっていくと思いますね。だから、そういう中で、全く個人の意見という形でなかなか私は言いにくい、こういうふうに思っておりますが、東委員の言われることは、私は私なりに的確にわかっているつもりでございまして、今の与党が検討した案という考え方も全く否定されるものではないと考えております。

東(祥)委員 もう一点、具体的に質問しますが、この与党実務者間の合意では、行政区を分割しないために複数人区を創設する。奇妙きてれつな論理だと僕は思います。行政区が変わっていれば国政選挙というのは行われないのか。そんなばかなことないと私は思うんですが、それはそれとして、新案でも、一つの市の中に複数の選挙区が残るケースが、政令指定都市で十一市、そしてその他で三市残っております。また、政令指定都市の中で川崎市のみを三人区にしているなど、全く整合性がとれていないわけであります。

 現行制度では、小選挙区と比例代表の重複立候補を認めておりますが、複数人区を創設した場合、複数人区の落選者の惜敗率をどう算出するんでしょうか。複数人区と小選挙区の惜敗率を同等な概念としてよいのかなどの、小選挙区比例代表並立制の制度そのものの根幹にかかわる問題が出てくるのではないのか。仮定の話として聞いているんですよ。この点についていかがお考えですか、片山大臣。

片山国務大臣 だから、それは、私はその提案に通暁しているわけでも何でもございませんし、報道で私は承知しただけでございまして、通暁もしていない、研究もしていない者が軽々なことを言うのは立場上いかがかな、こう思っておるわけでありますが、何度も言いますけれども、選挙制度ではいろいろな考え方、提案があっても私はいいと思います。最終的にどうそれが集約され収れんされるかということでございまして、途中過程でいろいろな議論があって、いろいろな提案があって、それをけんけんがくがく、ちょうちょうはっしやり合っていくということが議会制民主主義ではないか、私はこう思っておりますので、おしかりを受けるかもしれませんが、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

東(祥)委員 大臣が言われるとおり、ちょうちょうはっし、かんかんがくがくの議論をしたい、しかし片山大臣はそれを受けてくれないという極めて寂しい思いをいたしまして、私の質問を終わります。

中馬委員長 次に、大幡基夫君。

大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。

 まず、先ほども議論になっていました、選挙区画定審議会が十二月の二十二日までに提出する一票の格差是正のための改正勧告案に対しての対応の問題について質問をします。

 先ほどの質疑での大臣の答弁を聞いていますと、事実上、与党協議の結論が出るまではたなざらしをするというふうに理解する以外にない言い方だったと思うんです。

 我が党は、小選挙区制度に対しては大きな意見を持っています。しかし、小選挙区制導入に至る九三年十一月の本委員会で、我が党の質問に対して、当時自民党の政治改革推進本部長代理であった塩川正十郎氏が、中選挙区制では一票の格差を是正しろという要求の実現は難しい、こういうふうに言って、小選挙区制導入の根拠の一つにしたんですね。そして、その後小選挙区制が導入をされて、そのもとで、格差を是正する、いわば検討する第三者機関、画定審議会をつくった。

 先ほど大臣は、それを尊重するのは当然だというふうに言いましたが、こういう仕組みをつくりながら、この審議会が勧告をしても、与党の議論が決着するまでいわばたなざらしをするというのは、どう考えても尊重するということには当たらない、余りにも理屈が通らないというふうに大臣自身が思われるんじゃないですか。答えてください。

片山国務大臣 与党合意は一年以内にとありますね。だから、我々は状況を見守る、こういうことを申し上げておりますけれども、結論が出るまで一年じっと待つというつもりじゃありません。与党の合意の具体化の状況を見ながら対応を考えさせていただく。そのくらいは今のやり方として、審議会の勧告、それへの対応として許されるのではなかろうか。それは、議院内閣制、内閣、与党一体という考えからいいまして、与党がそういう意思決定をされたものについて、おまえの方の意思決定はそのとおりだ、わしの方は出すよ、こういうことはいかがかな、そこまでは許されるんではなかろうかと我々は考えております。

大幡委員 私は、尊重するというのは速やかに対応するということで、いわば一年以内、つまり最長一年ということであって、これはもう全く理屈が通らないと思うんです。そして、そういう理屈が通らない答弁をせざるを得ないのは、与党三党の協議そのものに問題がある、つまり、この内容とやり方にいわば大問題があるから理屈が通らない。

 先ほども民主党の委員が、党利党略に対するマスコミの批判を紹介されていました。まだ紹介されていない一つの部分だけを紹介しますと、「ここまで党利党略を隠そうとしない政党も珍しい。公明党のことだ。」こういう社説もありました。議会制民主主義の根本にかかわる選挙制度を党利党略でもてあそぶ、このことは絶対に許されないというふうに思うんです。

 そして、問題は、この議会制民主主義の根本にかかわる選挙制度を、しかもその抜本見直しということが、与党三党の検討の内容に入っている。つまり、選挙制度という議会制民主主義の根本にかかわる問題を与党だけでいわば議論するということがもう一つの大問題で、そういう点で、改めて大臣に、この選挙制度の抜本的な議論が必要だったら、与野党がそろって十分な時間を尽くしてやるべきだ、私はそう思うんですが、大臣の考えをお聞かせください。

片山国務大臣 一番いいのは、理想的なのは、与野党で合意して法案を出していただくということですね、一番いいのは。しかし、今もう、先ほどお話ありましたが、自由党さんも民主党さんも法案を出されている、この問題に絡む法案を。そこで、与党三党がこれから協議をしてまとまれば、法案を出されるかもしれません。その三つの法案が国会に出てくるわけでございますので、この選挙制度は、国会の中で各党各会派が、与党も野党も十分な議論を尽くして、国民の目から見て納得のいく結論を出すことが一番いいのではなかろうか。

 今まで大きな選挙制度というのは、すべて議員立法ですよね、各党各会派で。内閣主導じゃないんです。そういうことで、ぜひそういうことをやっていただいたらどうだろうかと考えております。

大幡委員 いわばそういう方向を今の与党三党で結論が出るまで引き延ばすというのが、私は真っ向から踏みにじるものだというふうに思うんです。

 時間の関係で、政治資金の問題について話を進めます。

 一九九九年の政治資金規正法の改正で、昨年一月から政治家個人への企業・団体献金が禁止されました。それから初めての政治資金収支報告書が、九月十四日に中央分、その後順次各県ごとに公表され、次々と批判を浴びる事態が表面化をしています。

 まず発覚したのは、政治家の資金管理団体への献金の問題です。

 二〇〇〇年から改正規正法が施行された。ただし、罰則の運用は四月からに猶予した。この期間を利用した政治献金で、産経新聞は、「違法承知で駆け込み献金」というふうな見出しで、こう書いています。「なかには「罰則猶予の期間を有効に活用しないと損」とばかりに、“駆け込み献金”を依頼していたケースもあった」と。

 そこで、選挙部長に聞きますが、これは明白な違法行為であるということが確認できますね。そして、この違法献金を集めていた国会議員が何人いたのか、その金額は幾らか、報告してください。

大竹政府参考人 政治資金規正法の関係でございますけれども、この規正法の改正につきましては、平成十一年の十二月に議員立法、この委員会の委員長提案でございますけれども、これによって改正されてございます。

 これは、平成十二年の一月一日から改正法が適用されてございますけれども、この改正が十二月のぎりぎりだったという観点もございまして、例えば自動口座の振替契約の解除が間に合わずに、一月以降も資金管理団体の口座に企業・団体献金がされてしまうというようなことも予想されたわけでございますので、そういった観点から、罰則の適用につきましては四月一日以降に適用するというふうになったものと承知してございます。

 したがいまして、御質問の趣旨が、今違法かどうかというお話ございましたけれども、これは、罰則を伴うものかということであれば、罰則を伴います禁止は平成十二年の四月一日以降ということでございます。ただし、法律の禁止規定自体は、一月一日から企業・団体献金は禁止されているということでございます。

 それから、次にございました、何人受けているのかというお話ございましたけれども、平成十二年分の総務大臣所管の資金管理団体につきまして、報告書をいただいてこれを確認したところでございますけれども、平成十二年の一月から三月末までの間に企業・団体献金を受けましたことの記載のあります資金管理団体の収支報告書につきましては、合計で六十八団体、金額にいたしまして九千五百三十一万二千二百四十六円となってございます。

大幡委員 要するに、罰はないけれども、明白な違法なんでしょう。それは確認できますね、法律違反だと。

大竹政府参考人 違反、違法という言葉の問題かと思いますけれども、要するに、禁止規定に反するものについてすべて違法ということであれば、違法となると思います。

大幡委員 この中には、新聞報道では、閣僚四人あるいは衆参の議長、元首相なども含まれています。これも新聞を見ると、やり方も悪質で、中にはわざわざ、三月末日までが猶予期間になっていますので、その間に年会費をお振り込み願いたい、猶予期間だからその間にやってくれ、そういう文書をつくって、違法だということはわかっているけれどもあえて書かなかった、こういうケースもあったというふうに言われています。

 九月十四日の東京新聞はこう書いています。「罰を受けなければ、法を犯しても構わないという理屈そのもの」「違法献金は法の理念を踏みにじり、国民を甘く見た裏切り行為」だと厳しく批判をしています。しかも、法律をつくった国会議員がみずから犯しているわけですから、本当に悪質だと思うのです。

 大臣、この東京新聞などの批判をどう受けとめるか、ぜひ意見を聞かせてください。

片山国務大臣 今の選挙部長の答弁のように、本当に全然だめなのは四月からだったんですね。それで、一月から三月までは、周知徹底もあるし、手続のいろいろなあれもありますから、タイムラグがあるからということで認めたんですね。だから、法的に言うと、それはやってもやむを得ないということになりますけれども、気持ちからいうと、姿勢からいうと、私はやはり慎んだ方がよかったのではないかと思います。

大幡委員 あわせて、私驚いたのは、こういう問題が起これば、本来、政党がきっぱり対応すべきなんですよ。ところが、これは産経新聞を読むと、ある自民党の事務所の担当者がこう言っているんです。「(自民)党からも猶予期間を前向きに判断するように指導され、それに従っただけ。」だと。つまり、自民党から違法献金を指導されたんだというふうに居直っているという談話が産経新聞に載っている。もしこういうことが事実なら、私はさらに大きな問題になるということを指摘して、次に進みたいんです。

 各県での報告書が公開されるにつけ、続いて問題になってきたのが、改正法で政治家個人への企業・団体献金が禁止された、これによって企業、団体からの献金の額がどう変化したのかという問題がその次の問題です。

 この結果が公表されるに従って、各地のマスコミが驚きを持って報道しています。一部を紹介しますと、愛知の場合ですが、「規制強化逆手に総額“焼け太り”」こういう見出しでした。中身は、「資金管理団体は当然ゼロ。代わって、政党支部が計二億八千四百万円を集め、前年の約七・六倍に急増。禁止された企業献金がそっくり政党支部に流れ込んだ。 それどころか、企業・団体献金の総額自体が前年より約一二%増え、規制強化のはずが、逆に“焼け太り”する皮肉な結果となった。」総額でも企業献金はふえている、こういうふうに書きました。

 北海道の場合も、「受け皿支部増え収入もアップ 自民 企業献金、前年比四・五倍」、この見出しでこう書いている。自民党の道内支部に集まった企業・団体献金は、前年の三億三千万円から十五億二千五百万円に急増した。

 私、この間マスコミに取り上げられた三つの県の自民党支部に入った企業・団体献金の去年とことしの変化を調べてみました。北海道は、今言いました三億三千万から十五億二千万へと四・五九倍、秋田が七千三百万から三億二百万の四・一倍、愛知は三千七百万から四億三千万、十一・五倍、片山大臣の地元の岡山も調べたのですが、岡山は十五億から三十九億、二・六倍、こういうふうになっていました。

 このように、各都道府県で出されている報告では、政治家個人への企業・団体献金が禁止されたのに、政治家個人が扱う企業献金はむしろふえているというふうに報道されているのですね。それはなぜか。それは、どこでも政党の支部が急増して、政党の支部が事実上これまでの政治家個人の資金管理団体と同じ役割を果たしている、こういうふうに言っているんです。

 そこで、選挙部長に、私が紹介した北海道、秋田、愛知、岡山の自民党のこの一年間の支部数の変化について教えてください。

大竹政府参考人 御指摘ございました道県の自由民主党の支部の数についてでございますけれども、政党助成法の規定に基づきますところの私どもに対する届け出でございますけれども、それによりますと、北海道につきましては、平成十二年一月一日現在では二百八十九でございました。これが、翌年の平成十三年一月一日現在では三百四十四となってございます。

 次に、秋田県でございますけれども、平成十二年一月一日現在では百二でございましたが、平成十三年一月一日現在では百十となってございます。

 次に、愛知県でございますが、平成十二年一月一日現在では百二十七でございましたが、平成十三年一月一日現在では百七十一となってございます。

 次に、岡山県でございますが、平成十二年一月一日現在では七十五でございましたが、平成十三年一月一日現在では八十六となってございます。

 以上でございます。

大幡委員 つまり、政治家個人がもらえば違法だ、政党支部をつくって、その代表としてもらえば違法でない、このようにして国会議員ごとに国会議員が代表の政党支部がつくられて、そして都道府県議を初め地方議員ごとに議員が代表の政党支部をつくって、そこから企業からの献金をもらっている。

 今言われたように、北海道の場合は一年間で五十五の自民党支部がふえています。調べてみますと、国会議員が代表をしている政党支部の企業献金集めもすごいのです。同時に、北海道の道議や札幌市議が支部長の支部も五十四つくられていて、北海道新聞はこう書いています。「自民党はこうした「受け皿」支部設置を、所属党員五十人以上を条件に認めているが、」自民党の道連関係者は「党員は議員後援会の会員がそのまま移行するケースが大半」だ、つまり、自民党の道連の幹部は、要するに後援会がそのまま支部に移行しているんだということを公然と認める発言をしているというふうに紹介しています。

 九四年の改正議論の際に、私は議事録を見ましたが、当時、我が党は、政党支部への献金を認めれば、無数の政党支部がつくられて、それが企業・団体献金の抜け道にされる危険性というのを何回も質問しているんですね。その当時に、その当時の大臣、これは山花さんですが、こう言っているんですよね。やれないことではないが、野方図に何百何千の支部をつくれば政党の責任が問われるんじゃないか。つまり、良識のある政党がそこまでやらないでしょう、こういう答弁をやっているんです。しかし、そこまでやらないでしょうというふうに言ったことを今自民党がやっているわけなんですね。大臣、これは余りに良識に欠ける行為だというふうには思われませんか。

片山国務大臣 これは、政党本部、政党支部、政党そのもののあり方にかかわる問題で、私がそれがいい悪いということは、それぞれ政党がどういう活動をやるか、本部と支部がどうやるのか、支部自身がどうやるのか、こういうことの議論でございますので、ただ、なるほど、恐らく資金管理団体への企業・団体献金が禁止にされましたから政党支部に行ったのではないかと私は思います。しかし、それは法律が許容しているわけで、しかも、それは国会で皆さんでお決めになった、こういうことになるわけでありまして、その辺を含めてお考えを賜りたいと思います。

大幡委員 法的には問題がないというふうに言われるんですが、実態は本当にひどいものです。

 私、秋田を調べたんですが、つまり、国会議員ごとに国会議員が代表を務める支部がつくられているんですけれども、住所を見ればほとんどが後援会事務所と同じなんです。企業献金を受け取るために政党支部の看板をつけかえただけ。先ほどの北海道の場合もそうなんです。

 この秋田の事態について、地元の朝日はこう書いているんです。何のための法改正だったのか、政治腐敗を防ぐ目的で禁止されたはずの企業・団体献金の大半が、議員が支部長を務める政党支部に流れている、政党支部は議員のいわば二つ目の財布。そして、「地方の政党支部が企業・団体献金の受け皿として、新たな政治家の“資金管理団体化”している実態が浮き彫りになった。」と。まさに、政治家個人への政治資金を禁止した法改正の趣旨に反していると思うんです。やはり政党支部が抜け道になっている。

 我が党は、企業・団体献金の全面禁止をもちろん求めていますが、しかし、少なくとも九九年のあの法改正の趣旨を実現するためには、少なくとも政党支部への企業・団体献金を禁止しないとだめではないか、私、そう思うんですが、大臣、どうですか。

片山国務大臣 この問題は、また似たような答弁になりますけれども、私は、国会の中で各党各会派が十分御議論賜るべき問題だと思いますね。政党の活動は自由だ、こういうことで今のいろいろな仕組みができておりまして、政党のあり方については、本当に御自身の問題としてそれぞれの党がお考えいただいて御相談いただければ大変ありがたい、こういうふうに思っております。

大幡委員 しかも、あえて言えば、そもそも政治家個人への企業献金の禁止というのは、政党助成金を導入するからということも理由になっていたわけで、そういう点では、政党助成金をもらいながら、政党支部を抜け道にして企業・団体献金をもらい続ける、まさに二重取りで、これでは国民には説明できないというふうに本当に思うんです。

 かつ、献金した企業の側も、変わらないというふうに言っているんですね。これは八月二十五日の朝日の記事なんですが、秋田の建設会社の担当者がこう言っているんです。「振込先は政党支部になったが、どうせ議員本人に行く。以前と何も変わらない。まさに政治資金の抜け道そのものだ。でも商売上やめられない。本当はすぐにでもやめたいが……」。つまり、渡した側も、何も変わっていない、そして、政治資金の抜け道だというふうに批判しているんですね。

 先ほど、大臣、他の委員の答弁の中で、大臣には所管があるというふうに言っていましたが、つまり、これらの実態が政治資金規正法の趣旨に反する行為、いわば、この改正規正法、その施行に責任を持つ大臣としては、この事態は問題がある、そういうふうに言うことが必要であるというふうに思うんですが、何も問題がないのか、この点で再度答弁を求めたいと思うんです。

片山国務大臣 先ほど言いましたように、委員、法律上は認められているんですよね。認められている。違法でないんですね。あと、政党というものは、私は、基本的には活動は自由であるべきだ、こういう考えで、兼ね合いですね。政党助成金のことも言われましたけれども、そこは私はひとつ、私自身必ずしも委員ほど実態に詳しくありませんけれども、各党各会派で十分御相談いただくべき問題ではないかと考えております。

大幡委員 あわせて、今回の報告書では、この企業・団体献金の実態のひどさという問題もまた次々と浮き彫りになっているんです。

 まず一つは、本年二月に事実上倒産した宮崎市の大型リゾート施設、シーガイアグループのいわば会社、フェニックス国際観光が、九五年から昨年まで、赤字決算にもかかわらずに、自民党の政治資金団体、国民政治協会と宮崎選出の二人の代議士に献金をしていた。これは、いわゆる三年度以上続けて欠損金を出した会社の献金を禁じているという明白な規正法違反なんですね。しかし、シーガイアというのは経営が大変だというのはわかっていたわけで、まさにこの新聞記事というのは、違法献金という記事が載ったんですが、国際観光が違法献金、宮崎の地元では、シーガイアの事実上の倒産で本当に苦しんでいる中小企業や労働者をしり目に、自民党はそういう企業からも献金を平気で取っていたのか、こういう批判の声が起こっている。

 また、北海道の新聞では、農業土木談合事件で公正取引委員会から排除勧告を受けていた企業七十二社から、自民党国会議員九人が支部長を務める政党支部が二千九百五十四万円の献金を受けていたということも報じられています。

 そしてまた、釧路の太平洋炭鉱、来年一月に閉山に追い込まれているんですが、ずっと地元の働く人や商店街が存続の願いを込めていろいろな取り組みをしていたんですが、この経営破綻、財政危機に追い込まれた太平洋炭鉱からも、自民党の支部や議員が献金を受けていた。

 そして、ともかく、各地で不況のもと、仕事が欲しいという深刻な思いにつけ込んで企業献金を言ってくる、こういう批判の声さえ上がっているというふうに聞きました。先ほどのシーガイアの関連企業の場合は明白に違法献金ですが、こうした国民の批判、怒りというか、献金の中身に対して、大臣の考えをお聞かせください。

片山国務大臣 政治献金は政治資金規正法の手続に従って適正に行われるべきだ、こういうふうに私は考えております。ただ、政治資金規正法は、今委員が言われたようなことについて制約、制限を設けておりませんね。だから、法律上の議論としては、違法かというと違法でないんですよね。しかし、委員のような考え方も確かにあると私は思いますので、その辺はひとつ大いに国会内におきまして各党各会派で御議論賜りたいと思います。

大幡委員 先ほど紹介した北海道の農業土木工事をめぐる談合事件にかかわって、そのいわば構図を調査した朝日がこう書いているんです。政治家は口ききを通じて建設業者に工事を受注させ、業者はその見返りに金と集票で政治家を支える、公共事業に絡む政治家の行為は、程度の差はあっても各地で行われている、こういうふうに書いているわけです。

 そういう点では、我が国の政治というのは、かつて選挙制度審議会第一次答申から、そして九〇年の第八次答申まで、将来の日本の政治の方向としては、いわば個人献金に支えられる、そういう政治への方向というのを歩むべきだということを何回も答申として掲げてきています。

 先ほども言いましたけれども、九九年の法改正というのは、政治家個人がもらえば違法、政党支部をつくってその代表としてもらえば違法でない、そういういわば今回の法改正の問題点がはっきりしてきて、大臣言われるように、それは違法ではない、法律上は。であるならば、やはり私は政党に対しても企業・団体献金をきっぱり禁止するということを改めて主張して、時間が来ましたので終わります。

中馬委員長 次に、今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 きょうのこの委員会では、私が最後の質問者になりますので、これまでの各委員の質問と多分に重複して恐縮なんですが、あえて質問させていただきたいと思います。

 まず第一番目に、これまでも何度も質問があっていますが、小選挙区の区割りの見直しの問題についてであります。

 選挙制度は、今さら言うまでもありませんけれども、やはり我が国の議会制民主主義にとって一番大切な、慎重に公平に審議をし、扱っていかなければならない問題でありますが、先ほどもありましたように、選挙区画定審議会設置法の第五条第一項にあったいわゆる尊重義務というものは、中央省庁再編の経過の中で、現在はなるほど削除されております。

 しかしながら、二年前の六月四日の例えば行政改革特別委員会における当時の太田大臣の答弁や、あるいは同じく十一月十八日の同特別委員会における続総務庁長官の答弁などを見る限り、尊重義務は削除したけれども、審議会の答申は当然尊重するとされています。

 尊重義務があるとすれば、当然、区割り審議会の勧告が出れば、次期通常国会の最初にやはり区割り法案を提出するのが筋だと思うんですけれども、以上の点について、まず副大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 区割り画定審議会が答申をされますその答申の相手は内閣総理大臣でございまして、そこに持ってこられた答申案に沿って、内閣で判断をし、法案を提出する、こういうのが筋でございます。

 ただ、議院内閣制でございますから、その内閣が与党の皆さんとも御協議して、その法案をいつまとめて出すか、これはまさに内閣の中で議論をして決定されるものだ、このように理解をしております。

今川委員 先ほど他の野党の質問にもございましたように、例えば、いわゆるこの勧告の棚上げ容認とでも言いますか、十一月の一日、総務省の嶋津事務次官は、会見の中で、衆議院選挙区画定審議会が十二月に区割り見直し勧告をしても、それに基づく公選法改正作業は凍結するとの与党三党合意を容認する考えを示したとも報道されましたね。十三日の予算委員会でも、福田官房長官も、政府としても勧告の棚上げを容認する姿勢を示されたわけですね。

 先ほども片山大臣の御答弁ありましたが、与党の合意は合意としまして、やはり私たちは、こういう審議をする場合には、きちっと法に基づいて筋道を通していろいろな審議をし、物事を決定していくわけです。先ほどの御答弁は、言ってみれば与党三党はどう判断するのかということになりますと、あくまでも大臣ですから、大臣としてのもっと主体的な独自の見解、少なくともこれまでいろいろな形で御答弁とか、これからいろいろな研究会も設けられて、いろいろな問題点なり検討されていくんでしょうけれども、やはり大臣としての方向性といいますか、基本的な方向性はぜひ示していただきたいと思うんですが、御見解を伺いたいと思います。

片山国務大臣 何度も御答弁申し上げておりますように、勧告が出れば、勧告を尊重いたします。

 我々は、勧告を尊重したことで法案の用意はいたしますけれども、しかし一方、与党三党が、一年を限って抜本的な制度改正を検討する、結論を得る、それは、一票の格差がないように、二倍未満にする、こういうことで案をつくられるわけで、それは、与党と内閣はお互いに調整をするのは議院内閣制である以上当然でございまして、その与党の動向を十分見守りながら、政府として、内閣としての態度を決める、こういうことでございまして、与党の言いなりというわけじゃありませんよ。与党と調整する、こう言っているので、その調整ということは許されるのではないか、私はこう思っているわけであります。

今川委員 それは調整は結構なんですけれども、大臣、例えば具体的に、最長一年間でしょう。そうしますと、勧告が出た場合に、選挙区間のいわゆる今大臣がおっしゃった格差是正、二倍以内にという、これを例えば勧告以上に、二倍以内にきちっとやっていくんだ、勧告以上のものを行っていくということであれば理解できますよ。そうじゃなくて、やはり与党三党におもんぱかって、どうもそうではない、これまでの答弁を伺う限り。

 だから、勧告以上に厳しくといいますか、やっていくんだという決意表明であれば理解できますが、いかがなんですか。

片山国務大臣 いや、勧告以上にやると、勧告を尊重したことになりませんからね。我々は、審議会でお願いをして十分な議論を尽くしていただいていますから、勧告を中心に物は考えていく、こういうことでございます。

今川委員 二点目にお尋ねなんですが、いわゆるインターネットによる選挙運動の規制に関してであります。

 これは選挙部長にお尋ねしますが、インターネットのホームページは、文言上、いわゆる文書図画に当たると解釈しているが、刑事罰を科して禁止する以上は、実質的な理由があるはずだと思うんですね。ホームページなどを禁止する合理的な理由は何なのかを御説明いただきたいと思います。

大竹政府参考人 選挙運動につきましては、これは、候補者の政策でございますとかあるいは人物等を含めまして、有権者にだれを選択すべきかの判断材料を提供するその手段でございます。したがいまして、これを無制限に認めます場合には、財力や権力等によりまして、むしろ選挙がゆがめられるおそれがあるということでございます。

 そのようなことから、選挙の公平公正の確保という見地からしまして、選挙運動に一定のルールを設けることが必要とされているわけでございます。特に、選挙運動のために使用する文書図画につきましては、往々にして金のかかる選挙の原因になりやすいということから、現行の公職選挙法におきましては、一定のものに限って認めるというふうにしているわけでございます。

 この現行の公職選挙法で認めております選挙運動のために使用することのできる文書図画でございますけれども、これにつきましては、選挙運動用通常はがき、それからビラ、ポスター、こういったものに限定しているわけでございまして、お話ございましたホームページにつきましては、この選挙のために使用することができる文書図画に該当しないということから、使うことができないとなっているわけでございます。

 この選挙運動のあり方につきましては、これまでも国会でいろいろと御論議願いまして、その論議の中からいろいろと合意を得て決められてきているもの、一定のルールがつくられてきているもの、このように承知しております。

今川委員 実は、五年前、九六年の十月に、当時の新党さきがけの回答願に対して、当時の自治省行政局選挙部選挙課は、「公職選挙法の「文書図画」とは、文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、スライド、映画、ネオンサイン等もすべて含まれます。したがって、パソコンのディスプレーに表示された文字等は、公職選挙法の「文書図画」に当たります。」という回答をしているわけですね。

 これは、当時の文書を読んでみますと、いわゆるいろいろなポスターだとか通常のこれまで使われてきた文書図画と比較しますと、パソコンの画面上に表示をされているものは、不特定多数あるいは多くの人に政治家なり候補者の側から発信するものではなくて、そこにアクセスをしてくる限られた人たちに限定されると思うんですね。ですから、そういった意味では、通常言われるところの文書図画というものと、そういうかなり限定的なインターネット上におけるものとは明らかに相違があると思うんですけれども、それをもう一度聞かせてください。

大竹政府参考人 選挙運動のために使用することができる文書図画につきましては、先ほど申し上げましたように、選挙運動用通常はがきでございますとかビラ、ポスター、こういったものに限定しているわけでございます。ある意味では、公職選挙法におきましては、使用できるものを認めるという法の体系をとっているわけでございまして、したがいまして、これに当たるもの以外は使うことができないということでございます。

 先ほど御指摘ございましたインターネットのものにつきましてのさきがけに対する回答でございますけれども、インターネットを利用いたしましてパソコン上に示されるものが文書図画に当たるのかどうかという問題でございます。

 この文書図画に当たるかどうかにつきましては、長い間、判例等の積み重ねもございまして、先ほど委員御指摘ございましたように、文字等に限らず、意識の表示としてあらわされるもの、これにつきましては文書図画に当たるということになっているわけでございます。

 そういったことにおきまして、文書図画に当たる以上は、現在の公職選挙法で認めておる使用することができる文書図画に当たらない以上は、使用することができないというふうなことになるわけでございます。ちょっとわかりにくくて申しわけございませんけれども、そのようなことでございます。

今川委員 それでは、警察庁にお尋ねいたしますが、さきの参議院選挙において、インターネットによる選挙運動に関して、どの程度の違反件数、違反事例があったのか、少し具体的に御説明をください。

吉村政府参考人 さきの第十九回の通常選挙におきましては、インターネットに係る公職選挙法の違反行為に対しまして、検挙事例はございません。全国で九件の警告事例があります。そのうち八件は、九件のうち八件は、立候補予定者等に対して支持支援を求める旨をホームページ上に表示したという法定外文書頒布事案でありまして、他の一件は、ホームページ上において、どの政党に投票するかを問いかけまして、その集計結果を当該ホームページにおいて公表したという人気投票の公表事案であります。

 警告によりまして、いずれも当該ホームページから該当部分が削除されております。

今川委員 次に、総務省はことし十月九日から、IT時代の選挙運動に関する研究会において、ホームページを利用した選挙運動の言ってみれば解禁に向けて検討を始めたというふうに新聞報道ではあるんですけれども、その趣旨なり方向性、これに関してもう少し具体的に御説明をお願いします。

遠藤(和)副大臣 インターネットを使うということは、広範囲に情報を開示できますから、大変有益な反面、匿名性を悪用いたしまして誹謗中傷するという心配もございます。したがいまして、そういう両面につきましてしっかりした議論をしようということでございまして、選挙部長のもとに研究会を立ち上げまして、今議論を始めているところでございます。ほぼ一年間ぐらい議論をいたしまして一つの報告書にまとめていただきまして、これを今後どうするかということを考えていきたい、積極的にインターネットを選挙に活用できるようにしていきたいということを考えております。

 また、これは、各党各会派においてもどういうふうなお考えであるかということをぜひ知っておくことが必要でございますから、各党各会派の選挙実務担当者の皆さんにも、このインターネットの活用については、選挙運動についてどういうお考えであるかということをお聞きしようと考えております。

今川委員 今おっしゃいましたように、これまでのいろいろな文書類と違いまして、文書類に一定の頒布の規制があるのも、御存じのとおり、お金がかかり過ぎる、それをそうしない、できるだけお金のかからない選挙という趣旨からしますと、例えばインターネットホームページというのは、そういう意味ではお金がかからない、非常に有効な手段でもあると思いますね。

 今副大臣もおっしゃったように、確かにいろいろな誹謗中傷だとか、これもそれぞれの政治家が実際に自分のホームページに集中攻撃を受けるとか、本当に恥ずかしいような嫌らしい嫌がらせもあることはあるんですけれども、そういう問題点もどういう形で克服していくのか。今おっしゃったとおり、極力、やはりこういう時代でありますので、情報化社会の中で、大したお金もかけることなくより多くの人たちに、政策だとか理念だとか、具体的なことを開示していくという手段として大切だと思うわけです。

 そこで、大臣に改めて、今、そういう研究会を含めて前向きであるということは十分わかりましたが、どういう議論になっているのか、少し御説明ください。

片山国務大臣 研究会では、そういう専門の方に集まっていただいて、種々の議論をいただいております。

 とにかく、これだけのIT時代で、日本を世界で一番進んだIT国家にするというのがe―Japan戦略の一番の大きな目標ですから、そういう中で、やはり選挙運動も、いつまでも昔ながらの選挙運動ではどうかなと私も大変な問題認識を持っておりまして、今度電子投票法なんかも御審議をお願いいたしたいというのもそういう趣旨でございまして、この研究会をぜひ実り多いものにしていきたいと思いますが、まだインターネットというのは、普及率が三四、五%なんですよね、御承知のように四千七百万人。もうちょっと普及していただかなきゃいけませんし、やはりもろ刃の剣ですよね。いい面はもう御承知のとおりなんだけれども、悪い面が、妨害や誹謗中傷、今のままでは何をやられるかわからぬというところもありまして、その防止法もしっかりと打ち立てた上でのことになると私は思います。

 いずれにせよ、このインターネットの爆発的な普及というのはまだまだ続いていきますし、情報通信技術も急速に進歩しておりますので、そういうものに負けないように、ぜひ研究会でいい結論を、一年と言いましたけれども、できるだけ早くとりあえず出していただいたらどうだろうか、こう考えております。よろしく御指導のほど、お願いいたします。

今川委員 三番目に、政党支部に対する例の団体献金の問題についてお伺いをしたいと思います。

 いわゆる資金管理団体に対する団体献金が、政党支部に対する団体献金にシフトしているのではないかと思うんです。

 ちなみに、東京都の例でいいますと、十月の十六日に東京都選挙管理委員会が公表した二〇〇〇年分の政治資金報告書では、政治資金規正法改正で企業や団体の政治家個人への献金が禁止され、政党の収入は急増、政党の団体数は過去最高の四百五十三となったと報道されています。主要政党別でも、自民党では、党支部が前年より七十二多い二百四十九にふえ、企業や団体からだけで前年比四・六倍、民主党の場合は、企業・団体献金、四・七倍というぐあいです。

 これは全国的に見ましても同様でありまして、地方の政党支部が企業・団体献金の受け皿として新たな政治家個人の資金管理団体化している実態が浮き彫りになっているというふうに報道されています。

 例えば、ある党のA議員が支部長を務める党支部は、九九年の十倍近い企業・団体献金を集め、その支部から議員の資金管理団体に多額の寄附が行われ、政治家個人に企業・団体献金が還流している仕組みが明らかになっています。また、ある党のB議員が代表を務める党支部では、二十以上の企業、団体から百万円以上の寄附を集め、このうち十三の企業、団体は、前年はB議員の資金管理団体に献金していました。

 政治家個人の資金管理団体に対しては、年間五十万円以内という制限がありましたけれども、政党支部には制限がないために、かえって企業による大口献金がふえた形になっています。

 そこで、大臣にお尋ねしたいのでありますが、政党支部といっても議員個人によって使われている現実がございます。政治家個人への企業・団体献金禁止という法律の趣旨が実態面では抜け道になってしまってはいないかということをどのように受けとめておられるのか、御見解を伺います。

片山国務大臣 私どもの方は実質的な審査、チェックする権限がありませんので、実態についてつまびらかではございませんが、資金管理団体と政党の支部は違いますね。それで、政党がどうあるか、政党の本部と支部の関係がどうあるか、支部の活動がどうあるかということは、まさにそれぞれの政党が決めるべきことでございまして、うまくやらない、妙なことばかりやる、こういうことなら、その政党は選挙で批判を受けるわけでありますからね、最終的には国民の審判を。そういうことの中で考えていくべきだ、私はこう思いまして、これにつきましても、国会で決めていただいたことですから、各党各会派で十分な御議論を賜る必要があるのではなかろうかと思っております。

今川委員 いや、私は一年生議員ですけれども、大臣は大ベテランの大政治家ですから、実態は十分御存じのとおりですよ。

 私がお聞きしたいのは、そういう法律ができましても、その裏道を通るように、企業、団体が、政治家個人にできないのであれば、政党支部もどんどんどんどんふえていますよね。そこにやはり実質的には、政治家個人に直接渡るんじゃないけれども、政党支部を経由して、法律で禁止されたはずの政治献金がされてしまう。ここを例えばどういうふうに是正できるのか。それは各党の議論もいいんですけれども、大臣としての御所見を伺いたいんですよ。

片山国務大臣 この政治資金のあり方というのは、委員もう御承知のとおり、古くて新しい問題で、本当にいろいろな議論をされていただいておりますが、民主主義のコストという面からいえば、企業・団体献金がどうあるのか。資金管理団体の仕組みをつくりましたし、これはだめだということで、今度はそれを禁止いたしましたよね。そういうことの中で、なるほど、企業・団体献金の一部が政党支部の献金という形で回っていることも事実だ、私はこう思いますけれども、しかしそれは今の制度では認めているわけですから、違法でないわけでありますから、実態が、おまえは詳しいのではないかと。そんな詳しくないのです。詳しくないのですが、ぜひこれは、よく各党各会派で実態を十分知悉された上で御議論賜って、よりいい方法をいろいろお考えいただくのが私は適当ではないかと思っております。

今川委員 大臣、おとぼけになったらいけませんよ。実態は十分御承知じゃありませんか。

 それで、次に、先ほど質問にもあったんですが、資金管理団体に対する団体献金が禁止された昨年の一月から、これに対する罰則の適用がされる昨年の四月一日までの約三カ月間にやはり献金が集中している実態。言ってみれば、駆け込み献金といいますか、罰則適用されるまでの間に相当集中的に献金がされている実態がございます。これは、この約三カ月間は罰則は適用されないでしょうが、しかし、違法であるということには間違いないんですよね。

 それと、新聞報道によると、企業献金、この三カ月間に国会議員六十三人に対して総額九千五百三十七万円の献金があっていた。しかし、その記事の最後には、「献金を受け取った政治家の多くは、献金元に返還するとしている。」という報道があるわけですが、それでは、ここの中にある献金元に返還されたのかどうか、そこが把握されているのか、これはぜひ、部長、どうでしょうか。

大竹政府参考人 ただいまお話ございました、平成十二年の収支報告書に計上されたものにつきまして、今年に入ってそのような返還等の話が出ているということでございますけれども、平成十三年に行われますところの政治資金の取り扱い、すなわち返還等につきましても、これは平成十三年分の政治資金の収支報告書に計上されるべきものとなっておるわけでございます。

 平成十三年分の政治資金収支報告書につきましては、来年の三月三十一日までが提出期限でございますことから、本年の十二月三十一日現在で締めまして、そして来年三月三十一日までに提出するとなっているわけでございまして、もしことしにおいてそのように返還等が生じますれば、来年度の報告されます収支報告書の中に計上されるもの、このように考えております。

今川委員 いや、私の質問は、これは大臣で結構ですよ、昨年の一月から三月末まで約三カ月間に、罰則適用はあってないけれども、言ってみれば、私の言葉としては、駆け込み献金的に集中している。これは、罰則は受けないけれども、一応政治資金規正法上は違法であるということには間違いないんですね、そこをお尋ねしたんです。大臣、いかがですか。

遠藤(和)副大臣 これは、当時私もこの委員会におりまして、委員長提案で、平成十二年一月一日からは禁止する。けれども、罰則の規定は四月一日からにする。したがって、一月一日から三月三十一日の間献金を受けたものは違法である。これは間違いない。しかし、罰則の適用を受けない。違法であるものを受けたということは公表する。公表することによって国民の批判を受ける。刑事罰ではありませんけれども、それも一つの罰則ではないのか、そういうふうな議論の整理をして、この委員長提案がなされたもの、こう理解しております。

今川委員 もう余り時間がありませんが、例の高祖事件について、改めて片山大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。

 これまで長い間郵便局というのは、私は九州の西の果て、佐世保に住んでおるんですけれども、地方に行けば行くほど、やはり多くの国民に物すごい信頼感があるんですね。小泉総理は民営化に非常に意欲を持っておられるようでありますが、しかし、片一方で、金融機関の不良債権の問題であるとかいろいろな不祥事が相次ぐほどに、やはり国営の郵便局は安心だ、こういう素朴な庶民感情といいますか、あると思うんですね。そういった信頼が高かった分だけ、やはり今回の高祖事件というのは非常に国民を裏切る大変な事件だったと思うんです。

 これは、今回が初めてじゃなくて、しかも近畿郵政局だけじゃなくて、例えば佐世保であるとか私の選挙区の中でも、実際にこの間の参議院選挙の場合も、局長さんはどこに行かしたというのを奥さんに聞きますと、正直なんで、あら、何か選挙の会議とかいって行ったよといって、しかも勤務時間中に、本当に率直にそう語っておられる。

 失礼だけれども、昔からやはり特定郵便局長会というのは、自民党にとっての強力な集票マシンと言われてきたじゃないですか。これは何も近畿だけには限らないと思うんですね。しかも、私どもからしますと、やはりそこにはこの参議院における非拘束式の弊害も多分にあったんだというふうに思うんです。

 そこで、この高祖事件というのは間違いなく、私たち、この参議院選挙を戦う前に、野党四党と無所属の会で、いわゆる政官業癒着を監視するということで連携をとり合ってきたんですけれども、やはり今回の事件はまさしくこの政官癒着の象徴的な事例であったとも思うんです。そういった意味で、再発防止という意味で、これは、これまで大体似たようなことがずっとあってきたわけですから、国民に対する信頼回復という意味も含めまして、本当にこれをきちんとやれるのかどうか、そこのところを、郵政事業を所管されておる片山大臣の御所見なり決意のほどをお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今委員言われましたように、郵便局は百三十年の歴史があるのですね。一番地域に溶け込んでおりますし、国民にも愛されて、利用されている。私は、二万四千七百の郵便局のネットワークは国民の資産だ、こう思っております。

 そういう郵便局がこういう関係で公選法違反を起こして、多くの人が逮捕され、今起訴になって裁判に移行している人もありますけれども、そういう事態は大変遺憾であり、郵政事業を所管する者として、大変責任を感じております。

 御承知のように、先月の終わりに五十七人の行政処分を発表させていただきまして、内部の秩序保持のためにそういう対応をとらせていただきましたけれども、今後とも、万般の対応で、二度とこういうことが起こらないようにいたしたい。二年後には今の仕組みは国営の郵政公社に移行しますから、その際にあわせて、中間の郵政局や郵政監察局のあり方、あるいは特推連のあり方、あるいは特定郵便局長会は任意団体でございますけれども、そういうもののあり方を含めて、もっと国民の信頼を高めるような体制にぜひいたしたい、こう思っております。

今川委員 もう質問時間が終了したので、最後に一点だけ、これは選挙部長にちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。

 バリアフリー社会ということが言われて久しいのですけれども、視覚や聴覚あるいは知的障害などを持つ人への選挙情報の提供や投票補助など、選挙参加の条件整備を進め、政治参加に必要なバリアフリーを図ることが非常に大事だと思います。むしろ、ハンディを背負っている障害者の方こそ、選挙に積極的にかかわりたいという熱意、希望を持っているのですね。さらに、投票方法や投票環境の改善はもとより、何といっても、直接立候補したい、そういう声にどうこたえていくのか。

 例えば、障害者の立候補者については、介助者や手話通訳者がどうしても必要となるケースが多くなるわけです。障害者の政治参加を進めるためにも、障害者の立候補者に対する選挙運動に対する支援措置であるとか、具体的な施策を何らか検討していただきたいと思うのですけれども、御見解を伺って、終わりにしたいと思います。

大竹政府参考人 障害者の政治参加を進めることにつきましては、これは極めて重要な課題と我々も考えております。

 現在の規定では、音声機能でございますとかあるいは言語機能に障害を持った方々が立候補されます場合におきましては、政見放送の録音、録画を行います場合に、あらかじめ提出されました原稿に基づきまして日本放送協会等で録音したものを使用することができる、このような規定になっているわけでございます。

 ただいま委員御指摘ございました、選挙運動を行います場合に、さまざまな支援活動が必要になるということから、財政的な支援ができないかというお話でございますけれども、選挙運動につきましては、公平公正の観点の問題もございますし、何が公正なのか、何が公平なのかという問題もあるかと思いますけれども、立候補者に対する特別の財政支援等を行うかにつきましては、なかなか検討しなければいけない課題が多いものがあるだろうと思っております。これにつきまして、直ちにその支援等の方策を御提示できる状況にはないことでございますので、今後の研究課題にさせていただきたいと思っております。

今川委員 これで終わります。

中馬委員長 以上で質疑を終わります。

     ――――◇―――――

中馬委員長 次に、内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。

 この法律案は、情報化社会の進展にかんがみ、選挙の公正かつ適正な執行を確保しつつ開票事務等の効率化及び迅速化を図るため、当分の間の措置として、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等について、公職選挙法の特例を定めようとするものであります。

 以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。

 次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、電磁的記録式投票機を用いた投票についてでありますが、市町村の議会の議員または長の選挙の投票については、不在者投票等を除き、市町村は、条例で定めるところにより、選挙人が、みずから、投票所において、電磁的記録式投票機を用いて投票を行う方法によることができることといたしております。

 また、都道府県の議会の議員または長の選挙の投票については、不在者投票等を除き、都道府県は、電磁的記録式投票機を用いた投票を行う旨の条例を定めた市町村のうち当該都道府県の条例で定めるものの区域内の投票区に限り、当該都道府県の条例で定めるところにより、選挙人が、みずから、投票所において、電磁的記録式投票機を用いて投票を行う方法によることができることといたしております。

 さらに、身体の故障等によりみずから電磁的記録式投票機を用いた投票を行うことができない選挙人に対する電磁的記録式投票機を用いた代理投票の制度や、みずから電磁的記録式投票機を用いた投票を行うことが困難な選挙人に対する電磁的記録式投票機の操作についての補助の制度を設けることといたしております。

 第二に、電磁的記録式投票機についてでありますが、法律において、二重投票の防止や投票の秘密保持等の具備すべき条件を定めるとともに、市町村の選挙管理委員会は、条件を具備した電磁的記録式投票機のうちから、当該選挙に用いる電磁的記録式投票機を指定することといたしております。

 第三に、電磁的記録式投票機を用いた投票の開票についてでありますが、開票管理者は、開票所において、開票立会人とともに、投票の電磁的記録媒体に記録された投票を電子計算機を用いて集計することにより、各公職の候補者の得票数を計算することといたしております。

 以上のほか、電磁的記録媒体の複写についての規定、国の援助についての規定、必要な罰則等を設けることといたしております。

 以上が、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

中馬委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十六分散会




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